#ミルク粥
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✿ リスアラマン | Risalamande ・デンマークの伝統的なライスプディング。米、ホイップクリーム、バニラ、刻んだアーモンドから作られるもので、温かいチェリーソースをかけていただきます。北欧諸国では広く親しまれており、クリスマスの定番のデザートとして知られています。
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P3 Club Book Shinjiro Aragaki short story scan and transcription.
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料理天国、食べたら地獄
······ったく、 何で俺がこんなこと······」
「す、すいません荒垣先輩······っくしゅん!う~げほげほっ」
「ゆ、ゆかりちゃ��、大丈夫?」
ここは、寮のゆかりの私室。ピンクのパジャマにカーディガンを羽織り、つらそうに咳き込むゆかりの背を、優しく風花がさすっている。体調不良を押してタルタロスに出撃し、ゆかりはすっかり風邪をこじらせていた。そんなゆかりのベッドの横には、同じく心配そうにたたずむ美鶴と、やや所在なげに立つ荒垣の姿があった。そして荒垣の手には、彼が言った “こんなこと” の成果である、温かそうな料理がトレイに乗って湯気を立てていた。どうやら、ゆかりを心配する美鶴に頼まれ、病人食の定番となる粥を作っきてくれたらしい。
「荒垣先輩って、優しいですよね」
「んな······っ!?ま、まあ、ただの気まぐれだ。気にすんな。さっさと食っちまえ」
風花の素直な言葉に、荒垣はそれだけ言ってぶっきらぼうにトレイを差し出す。
「 うう、ありがとうございます。はふ······」
ゆかりが、一見普通の粥に見えるその料理をスプーンですくい、ぱくりと口に入れた。
「どうだ?岳羽?」
熱くないか、ちゃんと飲み込めるかと、美鶴が母親のように心配げに声をかけるが、その目の前でゆかりの表情がみるみる蕩けた。
「ぅ美味しい~っ!何これ、どうやって作ったんですか? 信じらんないー!」
先ほどまでの苦しそうな様子はどこへやら、あっという間に元気を取り戻したゆかりが、凄い勢いで手と口を動かし、器の中身はさほど間を置かずに空になってしまっていた。
「どうやってつーか、ま······適当だな。普通の粥じゃ栄養が足りねえかと思って、中華風のミルク粥にしてみた」
あっさりと荒垣は言うが、じつはけっこう手間がかかったもの。ニンニク、生姜、ネギのみじん切りをゴマ油でじっくり炒め、米と具---拍子木に切ったニンジンと大根を投入して鶏ガラスープを注ぎ入れる。あとはフタをし、沸騰したら吹きこぼれないよう弱火でことこと30~40分。米が十分柔らかくなったところで、牛乳を入れて塩で味をととのえ、できあがったものがこちらにございます、という感じ。体の免疫力を高める、炭水化物や蛋白質、ビタミンA・B・Cに β カロチンを含む、まさに完璧なる病人食なのだ。
以前から、荒垣の料理はプロ並だと真田あたりが言っていたが、その現物を実際に口にしたゆかりは、想像以上の感動を味わっていた。ゆかりは素直に、その賞賛を口にする。
「適当なんてとんでもない!荒垣先輩、もう最高ですよ!尊敬します!」
「バカ野郎······なに恥ずかしいことを······」
「なーに謙遜してるんですか?食事は人間の基本ですよ。大切なことです。それをしっかりできる荒垣先輩は立派です!もう、他の男連中にも見習わせたいぐらいですよ。人として、料理のひとつもできなきゃ駄目だって、ね」
興奮気味で止まらないゆかりの演説に、そこで突然ストップがかかった。
「ちょーっと待ったぁ!」
「!?じゅ、順平?それに皆も?」
ゆかりの部屋の入り口に、順平を先頭にして寮生の面々、すなわちこの部屋にいなかった全員が集まっていた。順平の足元からはコロマルまでが顔を出している。
「何ごとよ、いったい?」
「いや、あんまりいい匂いなんでな、つい······」
正直に真田が言いかけるが、それを体ごと遮って順平がびしっと指を突きつける。
「ゆかりッチ······貴様はオレを怒らせた!」
「は、はぁ?」
「料理ができなきゃ人として駄目?料理がお上手な岳羽サマは、オレたちが人間じゃないとおっしゃるわけだよな?」
「い、いや、別にそこまでは······。そ、それに順平がまともに料理できないのは事実じゃん」
と、そこで順平は、ちっちっと指を横に振る。
「料理が “できない” と “やらない” は違うんだぜ、ゆかりッチ。それに、オレだけじゃねえぞ、お前が傷吻つけたのはな······」
くくっと、芝居の気まんまんで順平が涙をこらえるように両目を手で押さえた。その言葉に、ゆかりが周囲をあらためて見ると。 「あ」
ベッドの脇で美鶴と風花が、顔を伏せてどんよりと暗い空気をまとっていた。
「い、いや、あの。私······別にそういうつもりじゃ······せ、先輩?風花?」
「ゆえにっ!!」
ぐわっと伏せていた顔を上げ、順平は大いに 盛り上がって高らかに宣言した。
「貴様に料理勝負を挑むっ!!」
「はぁ?」
かくて、第一回巌戸台分寮クッキング王決定戦の開催が決定したのであった (どどーん)
「という訳で、本日の司会はわたくし、アイギスがお送りするであります。いかがでしょう、解説の天 田さん」
「······みなさん、ヒマですね」
「なるほど。では、審査委員長の荒垣さん」
「······ったく、 何で俺がこんなこと······」
順平が宣言した翌々日。ゆかりがすっかり体調を取り戻し、ちょうど日曜ということもあって、ついに料理対決が開催される運びとなった。おそらく仲間内でもっとも鋭���な味覚を持つであろう荒垣を審査委員長とし、味覚がないアイギスは司会を勤める���とになっている。天田も参加をうながされていたが、「なんで僕が料理なんか······小学生に何を期待してるんです?」と一蹴し、解説者の席についている。そして、残る全員が参加者兼審査員というわけだ。
当初、美鶴と風花は徹底的に拒否の構えを見せていたのだが、「お祭りみたいなもんだし」とか、「何ごとも経験だし」とかいう順平の甘言で徐々に態度を軟化させ、ついには「······にイイとこ見せるチャンスなんだけどなー」という、とある個人名を出しての決定的なひと言で、料理対決に参加するよう洗脳、もとい説得されてしまったのであった。
「では、いよいよ競技を開始するであります。最初はゆかりさんからお願いします」
「オッケー!見てなさいよ、順平!」
意気揚々とゆかりが持ってきた料理、それは本人の自信を裏切らない見事なできばえ。見た目からして美味しそうな、幕の内弁当である。卵焼き、焼き魚、かまぼこといった幕の内弁当定番のおかずに加え、小さなハンバーグやチーズチキンカツなど洋風のおかずも入っている。もちろんご飯は俵型に成型され、上にはパラパラと黒ゴマが振りかけられている。
「うん、なかなかやるじゃねえか」
卵焼きをひと口かじった荒垣の評価に、ゆかりがガッツポーズを決め、それに続いて他のメンバ ーも横から次々に箸を伸ばす。
「焼き魚は西京味噌漬けか······いい仕事だ」
「うわあ、このかまぼこの切り方、凝ってる」
「もう、優勝は岳羽で確定か?」
立て続けに上がる賞賛の声に、ちょっと照れたような誇らしいような顔でゆかりが言う。
「あ、でもね。今回は意外なライバルがいたっつーか······私も食べてみたいんだよね、 彼の」
そのゆかりの視線の先にいるのは、自己主張が足りない気味の現場リーダーの姿。だが、前髪で隠され半分しか見えない顔に、常にはない自信がかすかに滲んでいるような気もする。
「では、続いてお願いしましょう」
アイギスに促され、2番手の料理が運ばれる。
「おお······!」
それは、ちょっとしたレストランで出してもおかしくないアサリとトマトのパスタ、ボンゴレ・ロッソであった。さっそく審査委員長の荒垣が、フォーク一本で器用にパスタを巻きつけて、ぱくりと口に入れる。
「ちょっとパスタが柔らかいが、合格点だな」
「どれどれオレにも······おおっ、美味ぇ!」
「アサリとトマトって合うのねー」
意外といえば意外だが、幼い頃に両親を亡くしてひとり暮らし歴も長い彼は、料理の腕は決して��くないのである。ただ、あっさりした性格ゆえか、パスタや丼ものなど簡単に作れるものに限られるというのが弱点といえなくもない。
「で、次は誰だ?」
連続して出される美味い料理に、最初は苦い顔をしていた荒垣も、上機嫌になってきたようだ。やはり、楽しい食事は人を和ませる。もしかすると順平は単に、荒垣と他のメンバーとの間の距離を、少しでも縮めようとして料理対決を企画したのかもしれない。もし、そうだとしたら、その意図は十分に果たされつつあった。
だが。
そんな楽しい雰囲気は、あまり続かなかった。
「······なんだこりゃ?」
「え、えーっと、ラーメンっす」
「カップ麺じゃねえか」
荒垣の前にあるのは、お湯を入れて3分でできるカップ麺だった。ちなみにシーフード味。
「い、いやカップなんすけど!ちゃーんとオレなりの工夫があってですね。荒垣先輩のミルク粥にヒントを得て、牛乳で作ってますっ!」
荒垣がうげっという顔をする。残りの連中も、一様に嫌そうな顔を浮かべている。 「え?え?みんな何だよ?いや、マジ美味い
んだって!」
「たとえ美味くても······料理じゃねえだろ」
「順平さん、失格であります」
どこに置いていたか、アイギスが横にあった鐘をカーンと1回鳴らす。
「いいっ!?そ、そんなぁ······」
がっくりと肩を落とす順平。ただひとり、そのカップ麺をひと口すすった現場リーダーが、うんまあ不味くないよ、といった感じで順平の肩をぽんぽんと叩いていた。
「では、続いて美鶴さん、お願いします」
事態は、破滅に向かって加速していた。
「鴨肉のコンフェ、フォアグラとトリュフ添えだ。素材はすべてフランスから空輸させた」
胸を張って、 豪華な銀の皿を突き出す美鶴の顔には、しかしだらだらと汗が流れていた。皿の上の料理を凝視しつつ、荒垣が尋ねる。
「······鴨は、どれだ?」
「こ、これに決まってるだろう」
「この黒いのは?」
「と、トリュフだ」
「こっちの黒いのは?」
「フォアグラ······だと思う」
「んじゃ、こっちの黒いのは?」
「ええと······付け合せのポロ葱、か?」
聞かれても困る。
下を向いていた荒垣は、凶悪な光を目に宿らせつつ、美鶴に向かってぽつりと言った。
「全部、炭じゃねえか」
「ま、まあ多少火加減を間違えたかもしれないが、素材はいいんだ。食ってないと······」
「食えるかぁ!次だ次!」
世界の終わりのような顔をする美鶴を尻目に、アイギスが鳴らす鐘がかーんと響いた。
「俺は料理などあまりやったことがないからな。変なものを出すのも申し訳ないから、シンジの料理を真似させてもらうことにした」
続く真田の料理は、白濁したスープのようなものだった。どうやら、 荒垣が一昨日作ったミルク粥を参考に作ったらしい。
「順平も、どうせシンジの料理を参考にするならこう��るべきだったな。まあ、俺も多少は自己流にアレンジさせてもらっているが」
既に勝ち誇った様子の真田に、荒垣も苦笑しつつ答える。
「くくっ、アキの料理か······そう簡単に俺の味が盗めるもんかよ」
「食べてみなければわからんだろ?」
「わかったわかった。じゃ、いただくぜ」
スプーンで粥をすくい、軽く冷ましてから口へと運ぶ。そして、刹那の間を置いて。
ぶぴゅる。
変な音と同時に、荒垣の鼻と口から白濁液が吹き出した。
「な、な、な、なんだこりゃあっ!!」
「牛乳よりも高蛋白で低カロリーなプロテイン粥だが······筋肉にはいいぞ?」
「食えるかあああああっ!!」
「最後に風花さん、どうぞ」
鐘を鳴らしつつ、 アイギスが淡々と言った。
---それから、5分後。この世のものとは思えない絶叫が、月光館学園巌戸台分寮から響き渡った。付近の住民の通報で、パトカーや救急車が出動したが、とくに事件性はないとのことで早々に引き上げたらしい。ただ、目撃者の証言によると、捜査員や救急救命士たちは一様に、口や腹を押さえていまにも嘔吐しそうな表情を浮かべていたとか。その日、どんな恐ろしいことがあったのか、口を開くものはいない。
「いいかお前らっ!料理の命は火加減!それと塩加減だ!いいな、順平!」
「う、ういっすっ!」
「あと常識だが、プロテインは料理に入れるなよ!わかったか、アキっ!!」
「あ、ああ、わかった」
「つか、山岸!なんでそこでタバスコとか入れるんだ!色を基準にして調味料足すんじゃねえ!味見しろ味見っ!」
「は、はいっ!」
料理対決の翌日。寮のキッチンでは突発料理教室が行なわれていた。こいつらの料理の腕を放置していたら、いずれ人死にが出る。事実、俺は死にかけたという荒垣の命令で、順平、真田、美鶴、風花に対し、マンツーマンで料理を教えることになったのだ。
「······ったく、何で俺がこんなこと······」
そうボヤきつつも、手取り足取り指導する荒垣の頑張りもあり、徐々に全員の料理は “食えなくはない” レベルへと上がっているようだ。
「おら、待て美鶴。焦げそうになったら、一度フライパンを火から降ろして······そうそう。落ち着いてやりゃあ大丈夫だ」
「りょ、了解した」
そんな荒垣の様子を横目で見て、風花はくすりと笑って言った。
「やっぱり、荒垣先輩って優しいですよね?」
その言葉が届いたかどうか定かではないが、荒垣は黙々と料理指導を続けていく。ただ、その横顔には、かすかに笑みが浮かんでいるような気がする。やがて、料理のいい匂いを嗅ぎつけてか、ゆかりたちが同じく笑顔でキッチンへと歩いてくるのが見えた。やはり、楽しい食事は人を和ませる。どうやら、今日の夕食も楽しいものになりそうだった。
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Pirkkaの無料広報媒体にKäärijäの衣食住に関する記事!
カーリヤは、フィンランドの大手スーパーマーケットチェーン、Kグループの独自ブランドである"Pirkka"(イオンのトップバリューみたいなものかな)とアンバサダー契約を結んでおり、今シーズンから乗っているカーリヤ号(ツアーバス笑)にもでかでかとPirkkaのロゴが入っています。
そんなPirkka(Kグループ)のホームページに、カーリヤの短いインタビュー記事が掲載されていたので訳してみました。
ちなみに同じ内容が、Pirkkaの無料冊子?にも掲載されているようなので、フィンランドに行く機会のある人は手にとってみるといいかもです。
紙面はこんな感じ。こちらからデジタルでも読めます!
<以下日本語訳>
イェレ・ポウホネン:贅沢とは、愛する人たちと穏やかな時間を過ごすこと
アーティストのイェレ・ポウホネンは朝に弱い寝坊助で、掃除のコツを聞くべき人ではないようだ。
朝起きるときは、アラームがなると即座にスヌーズボタンを押して、ベッドでぬくぬくします。急いで出かける必要がない時は、長くて1~2時間二度寝するんです。僕は完全に夜型の人間なので、朝はだらだらしてしまいます。
普段の朝食では、ピーナツバターと蜂蜜を入れたポリッジ(ミルク粥)を食べ、ベリーティーを淹れます。朝食は急いでるときは抜いてしまいがちなので、積極的に摂るように心がけています。
僕にとっての贅沢は、愛する人たちと穏やかな時間を過ごすことです。最高なのは、例えばバーベキューパーティーのように、ゆっくりと時間をかけて友達と過ごすこと。友達とおいしいごはん…これ以上の組み合わせはありません!
料理のインスピレーションは母から得ています。母は色々な料理を試すのが好きで、僕は母のところに行くたびに、レシピを盗んでいます。最近では、母に触発されて、チキンとポテトのキャセロールに挑戦しました。
よく買い物かごに入れるのは、とろけるチリチーズソーセージのパックとエナジードリンクです。後者はできるだけ避けようとしていますけどね。だって、歯にも財布にも良くないものだから。
僕の得意料理は、ひき肉とごはんのタイ料理(パットガパオのことか?)です。調味料にはオイスターソースや、ニンニク、砂糖、バジル、唐辛子を使います。若いころはパン作りも好きでしたが、自立してからはその趣味もやめてしまいました。
もっと規則正しく、数時間起きに食事ができるようになれたらと思います。移動の多い仕事をしていると、食事の間隔も長くなりがちです。おなかがすくと、すぐチョコレートやポテチのようなお菓子をつまんでしまいます。
夜に家にいるときはたいてい、リビングルームのソファか寝室のテレビの前で過ごします。寝る前にはいつもシリーズもののドラマか映画を見ています。
僕の一番の節約のコツは、夜9時以降に地元の店に買い物に行くことです。赤いシールが貼られた割引商品を買うことができるから。それに、冷凍庫に直接入れて、あとで調理することもできるので便利です。
僕の特技は、物事を深刻に考えすぎないこと。もちろん、今の仕事でやっていけてることにはいつも感謝しているし、それが当然のことだとは思っていません。少なくとも日常��活では、不必要に不平不満を口にしないようにし、前向��でいるようにしています。結局はすべてがいい方向に進んでいる、とね。
家の掃除は週に1回はしていますが、改善の余地があることは認めます。僕は家にいる時間がほとんどないので、急いでいると服が床に散らばったり、シンクに食器が放り出されたままになってしまいます。なので、掃除のコツは僕に聞かないほうがいいと思います
僕のひそかな楽しみは、ひき肉スープにケチャップを入れること。めちゃくちゃおいしくなるんです。まあ、僕はたいがいの料理にケチャップをかけるんですけど。
僕のピルッカテクは、染み抜きに重曹を使うこと。特に布繊維の表面の汚れですね。重曹のおかげで、ソファーについた厄介なシミや汚れを落とすことができました。
パンにトッピングするチーズやハムはケチります。特にブランドなどにもこだわりはなく、最初に手に取ったものを選ぶことがほとんどです。
僕はグロッギ(ホットワイン)が大好きなので、めちゃくちゃ買いますね!本当に好きで、1年中飲んでいます。
※Xのフォロワーさんが英訳をしてくださったので、投稿後に少し修正しました。ありがとうRoosa💚
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ゼラチンを手に入れたので、早速今日はチョコレートプリンをつくる。余ったらムラングショコラを焼く。
チョコレートのお菓子づくりは楽しい。
お供の🍝が観れない状況で、ドハマりした去年よりその前は何をして過ごしていたのだったか考えてみると気に入った同じ曲を満足するまで何百回も流していたり、ラジオ(星野源さんや藤原竜也さんなど)を聴いていたなと思い出しました。
なので今日はSpotifyで源です。
Spotifyで聴けるのがとても便利。
そして夜ごはんはミルク粥にします。
柔らかくしたかぶをたくさんいれて食べる。
ミルク粥
水 200ml
牛乳 150ml
コンソメ 1キューブ
かぶやごはん すきなだけ
お風呂は若葉の入浴剤にした。入浴剤って日中も香っている気がするようなしないような。たぶん気のせいです。
有言実行でチョコレートプリンを冷やしている。明日には美味しくできていますように。
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今度本屋で探してみようかな。
人の声も顔も身体��すら、機械音と絵でしか受け入れられなかったのにだいぶ絆されてしまったといいますか耐性がついてきたなと。もう最近ではたくさんの顔も覚えられる。瞬発力はない。
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チョコプリンと昨夜の月
日が暮れたら灯りはあまりつけない生活をしているので、隣をみると月がみえることもある。隣だなんて遠いけれど。それならみんな月の隣なのかもしれない。なんて。
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昨日は3連休の初日とゆうこともあり、朝からたくさんの方にお越しいただきありがとうございました。お馴染みのお客様、観光の方、DMや看板を見てお立ち寄りくださった方まで、楽しみにお越しいただきあっという間の1日でした。「遠藤素子 うつわ展」も日曜日までとなりましたが、店頭にて色やサイズなど見比べながらお悩みのお客様同士でお話が弾まれたり、微笑ましい場面もたくさん拝見できて昨日も嬉しい時間を過ごしております。本日、明日の残り2日の会期となります。作品も少なくなって参りましたがたくさん制作いただきました耐熱の器など、実物を手に取ってご覧いただきたい作品がありますのでぜひこの機会をご利用いただけたらと思います。
土鍋もあと3サイズ1点ずつ見て頂けます!hisocaでは初めて登場のL(黒)、一番人気のS(白)、SS(黒)があります。遠藤さんの土鍋は筒形なので安定感があり見た目以上にたくさん入るのも嬉しいです。Lサイズはこれからの冬の鍋料理やおでんなどにもピッタリ。店主おすすめのSサイズは季節のご飯や煮物、スープなど日々のお料理に活躍してくれるので台所の見えるところに常備して使っています。SSサイズはお一人暮らしの方や湯豆腐、煮物、チーズフォンデュなどにも楽しめるサイズです。サイズを見比べながらお選びいただける個展の際にぜひご覧いただけると嬉しいです。(Mサイズは完売しまています)
片手鍋とこなべも日々の台所で活躍してくれますよ!片口が持ち手の右側にあるのは、左手で鍋を持ち上げ右手で菜箸やレードルを持って注ぎやすいように考えられています。片手鍋は炒めて煮込みやすいのでカレーや豚汁、煮込みうどんやこちらも煮物など作ってそのまま食卓で取り分けるのも熱々が食べられて嬉しいです。こなべはスープやお粥、ミルクを沸かしてチャイやココアなど温かい飲み物にも良いです。(約500mlは入ります)
Rとn製作室さんの焼き菓子は昨日にて完売いたしました。たくさんの方が手にしてくださりありがとうございました。リピートしてくださった方も多く、関西でなかなか手にしていただく機会がないのを楽しんでいただけてこちらも嬉しかったです。布小物もランションとコースターが��枚であと少しになっています。お洋服とお菓子をメインに作られるので布小物を手に取っていただく機会は珍しいです。ぜひこちらも最後までお楽しみ頂けますように。
昨日からお天気も良くて汗ばむくらいですね。ぜひお近くにお越しの際はお気軽にお立ち寄りくださいませ。本日も19時までお待ちしております。
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一食分が少ないので小分けして職場に持っていっても良しで健康面これで完璧です���
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乳児◦幼児のお子様には
1才〜3才乳児◦幼児でともなう飲み込みが出来ないお子様には粒をスプーンの背で潰してミルクやジュース、お味噌汁などに混ぜてあげてください。飲む量は運動量◦食事量により加減してください。
その他
その他5歳以降は5粒からが適量です。
大人も8から20粒が適量です。
こんな時に便利!
◦熱が出た時のお粥🥣にスプーンの背で潰して他の食品と一緒に入れる。
◦栄養が偏っている学生さんのお弁当🍱のお供に。
◦赤ちゃんや子供の偏食の対処に。
◦魚も加工肉もだめと言う方にも最適。
◦おじいちゃんやおばあちゃんのバランスの良い食生活に。
スピルリナとは
スピルリナは水前寺海苔などと同じ藍藻類の一種で、今から30億年以上も昔に地球上に誕生した、最古の植物の一つです。主にアフリカや中南米など、亜熱帯地方の高アルカリの塩水湖に繁殖しています。
「スピルリナ」というの��ラテン語で「らせん」という意味で、くるくるとねじれた形をしていることから名づけられたといいます。
多種類の栄養素が豊富に含まれており、食生活の偏りがちな現代人の栄養補助食品として便利な食品です。
ここもすごいポイント!
「理想的な栄養食品」ということでNASAでは宇宙食としての開発も進められています。
こちらは、スピルリナの紹介
動画になります。是非見てね!☟
スピルミナがどうやって出来上がるかを見る事が出来ます。
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🍚🐘
寝ぼけていたら夢の中でざっそうが叫んでた(サイレント) 夢のためのスキマとは
象印食堂混んでた...入れた... 全然グルメ舌じゃないけど🍚もちもちだったと思う テレビで見た通りの景色眺めた🪟 同社のサーモカップなのに玄米茶ぬるかった(別にいい)飲み放題なのだ水筒から注ぐのだけどほうじ茶はキンキンだったらしい、その時のタイミングだね。。!陶器かガラスで飲みたい気もするし ビーフカツレツとの商品名だけど全然噛みきれなかったな 固いわけじゃないけれど 付け合わせの玉ねぎ美味しい 少しおかわり出来たファイト お米のアイス🍨米部 お粥をアイスにしたみたいなことらしく、ゆるいやつが凍るとこおうなるのか〜口の中で溶かす キッテ📮郵便局の売り場だけでもバラエティ豊かだった カカオハンターでパルプ?やっと。美味しい、ミルク風味ホワイトも出てた、こっくりしきらず半ばさっぱり。おいししし..
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ミルク系の料理にハマっていた。 あえてパンではなく米に合わせる。 ・カブの和風クリームシチュー ・ウインナー入りミルク粥 #cooking #breakfast #milk #stew #risotto #朝食 #おうちごはん #クリームシチュー #シチュー #ミルク粥 https://www.instagram.com/p/Co_dH3fSpsE/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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✿ キール | Kheer ・インドのライスプディング。米、ブルグル、タピオカ、バーミセリ、スイートコーンの中から一種類と乳、砂糖を煮て作られる。カルダモン、レーズン、サフラン、カシューナッツ、ピスタチオ、アーモンド、その他のドライフルーツやナッツを用いて風味付けされる。食事中あるいはデザートとして供される。 ・「パヤサム」や「フィルニ」など地域によって名称が異なりますが、多くの場合イスラム教やヒンドゥー教の宗教行事の際に食べる習慣があります。
#kheer#キール#インド:ライスプディング#インド:米#インド:牛乳#インド:2020〜#インド#米#牛乳#インド:ドライフルーツ#インド:ナッツ#インド:タピオカ#インド:バーミセリ#パヤサム#フィルニ#2020〜#���イスプディン#ミルク粥#粥
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mes possibilites aujourd’hui. 今日のわたしの可能性。 帽子を編み上げる。 昨夜遅くに 体調を崩したものの なんとか持ち直して、 今朝は 先日の新生姜のシロップを入れた オートミールのミルク粥でスタート。 午後から不定期のお仕事を 日暮れまでみっちりやって、 帰宅後に帽子を編み上げた。 ヒヤシンスの芽が ゆっくり上がってきているのを確認して うれしくなる。 そういえば、 交換会で輿入れした ヒモサボテン、 鉢を空けてみたら 何かの球根がひとつ入ってた。 新しい根が出ていたので とりあえずポリポットに植えて、様子を見る。 何が育つかな…。
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【3578日目①②】2022-11-03 カレー王子の初めての誕生日を祝して、カレーデビューしました。おめでとう!今日から毎日カレーを食べようね。 @自宅 ____________________________________ 僕たちからのバースデーケーキは、手作りベビーフードで南インドの定食ミールスを再現。妻と企画して一緒に作った共作です。準備に追われていた前夜…日付が変わった瞬間の彼の笑顔は本当に忘れられません。 “BABY VEG MEALS” *Sweet Potato Poriyal さつまいも炒めてマスタードシードの代わりに黒ごまを和えました。 *Tomato Rasam jelly スープ料理はまだ食べられないので、ゼリーで透明感を。ベジミールスなのでゼラチンではなく寒天でトマトジュースを固めて冷やし、コリアンダーリーフの代わりにベビーリーフを散らしています。 *Purple Potato Pachadi 白崎茶会のレシピから、水切りヨーグルトとココナッツオイルを使ったヨーグルトペースト。パンに塗ってもおいしい風味豊かなヨーグルトクリーム。 *Paruppu Kadaiyal これだけガチのインドのタミル料理。現地のベビーフードレシピから採用。ギーとヒングをしっかり使って香りを抽出、カレーリーフも入った優しいカレーです。 *Pancake Parotha お子様パンケーキ。 *Pumpkin Medu Vada カボチャと米粉のペーストを蒸籠で蒸した、餅のような蒸しパン。ドーナツ形にくり抜いて、メドゥワダに見えるように。 *Soy milk Rice 豆乳ミルク粥。 *Soy biscuits 大豆を使ったビスケットで、「1」を型作りました。 つかみ食べはまだできなかったけど、親の手で手食をさせてみると、おいしそうにパクパク食べてくれました。笑顔で拍手をしながらミールスを食べる息子。なんて幸福なことなんでしょう。生まれてきてくれたことに、1年元気に過ごせたことに、これからも健やかに育ってくれる期待に、心からありがとう。 さすがにご飯の量が多かったようで、食べ残した分は、お父たんがおいしくいただきました。 ※当日までの日々や、誕生祭の詳細は、ストーリーズハイライトにまとめました。 ____________________________________ 🇮🇳 #india #indianfood #asianfood #asia #foodpic #foodstagram #instafood #meals #spice #curry #1stbirthday #birthdayphoto #baby #インド #ミールス #スパイス #カレー #ふくすたぐらむ #ファーストバースデー #バースデーケーキ #1歳 #バースデーフォト #1歳バースデー #1歳誕生日 #誕生日 #離乳食 https://www.instagram.com/p/CknsPvaSvp5/?igshid=NGJjMDIxMWI=
#india#indianfood#asianfood#asia#foodpic#foodstagram#instafood#meals#spice#1stbirthday#birthdayphoto#baby#インド#ミールス#スパイス#カレー#ふくすたぐらむ#ファーストバースデー#バースデーケーキ#1歳#バースデーフォト#1歳バースデー#1歳誕生日#誕生日#離乳食
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20191004 Friday ライスプディング 世界どこの国にもけっこうある一般的には甘いデザート感覚で食べる米をミルクで煮た料理。 国によっては日本のお粥のように甘くないものもある、その場合はプディングというよりは「粥」的なその国の言葉が当てられる。 結構みんなが好きなもので昔からある、スーパーにもけっこういろんな会社からでている。 しかし大量工場生産は激甘&香料がたっぷりめの傾向のデザートになってしまいこんな繊細な料理には向いていない。 小さなパックで3個とか4個のセット、いかにも子供用ですなかんじで売られている。 ライスプディングは繊細な料理です! 自分でつくろう、美味しい食材を揃えて正直な米の料理を。 #ライスプディング #乳粥ミルク粥 #rijstpudding #rijst(e)pap #riz_au_lait #rice_pudding #有機食品 #biologisch #organic #無調整牛乳 #melk #milk #��� #rijst #rice #riz #arroz https://www.instagram.com/p/B4kxewslCNo/?igshid=h4lq1ip6par7
#ライスプディング#乳粥ミルク粥#rijstpudding#rijst#riz_au_lait#rice_pudding#有機食品#biologisch#organic#無調整牛乳#melk#milk#米#rice#riz#arroz
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#札幌 の#朝ごはん 泊まったホテルの朝食付きプランだったのだが、何と #なだ万 が入ってた! 何ともラッキーな🤞 #ご飯 か #茶粥 を選べたが、悩んだ末に御飯にする って御膳が来るまで待ってる間にお品書きみてびっくり! 2,600円! さらに、コーヒーが別料金で コーヒーより、ミルクの方が高い⁉️ まずは、ご飯と #味噌汁 を うわぁ〜 お米がたってて甘い 味噌汁の出汁が美味い とろろ昆布とお麩の味噌汁だね #雲丹豆腐 に #きんぴらごぼう #昆布の佃煮 どれもご飯に合う 特筆すべきは、#煮しめ の #大根 ふわっと歯がなくても食べられる柔らかさに出し汁が溢れて出てくる 美味いなぁ〜これは 朝から良いもの食べれたから、#帯広 への雪道も頑張れそう #札幌パークホテル (なだ万雅殿) https://www.instagram.com/p/CZx8S8OlIHicCJedKAjf8aLVSZHwkjyG3Ksmm00/?utm_medium=tumblr
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撮影。今日も良き体験をした。
自分の奥底に眠る記憶をくじ引きのような、でも無作為じゃなくちゃんと意味がある選び方で引き出してくれる、香りの記憶は本当に不思議だなぁ
ひよこ豆を一晩置いて、フムスを作った。美味しいなぁ
魔女の宅急便は憧れと懐かしさが詰まっていて何度見てもわくわくする。キキが冒頭に旅立ちの身支度をするシーンが好き。ミルク粥は美味しいのだろうか。
クレープまた作ろうかなぁ
今日のハイライトは鯛焼き屋。また行くねおじさん
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いつから一緒に住む?
勇利はちいさなテーブルに向かい、ノートになにごとか書きつけていた。練習をしていて気がついたこと、直そうと思ったこと、いいと思ったところ、ためしてみたいことなどを、毎日こうして書き留めておくのが彼の習慣だった。自分の動画を何度も見直して、今後どうしたいのか、どういう方向を向けば表現がひろがるかなどを考えるのは大切なことだった。 勇利は最後に、次にヴィクトルがリンクに来てくれたら尋ねること、見てもらうこと、手本を示してもらいたいことなどを箇条書きにした。それを赤いインクで囲んでひとつうなずいた。今日はここまでにしておこうとノートを閉じたところで玄関の呼び鈴が鳴った。 勇利は時計を見た。遅くはないけれど早くもない時刻だ。何かが届く予定はないし、同じアパートに知り合いもいなかった。誰だろう? この住所を知っているのは、クラブの事務員と、それから……ヴィクトルくらいだ。 「まさかね」 ヴィクトルは忙しい。長いあいだ不在にしたロシアのために、いまは一生懸命に働いている。リンクへもなかなか来られないくらいだ。そんな状況なのに、わざわざ勇利の部屋を訪問するとは思えなかった。 勇利は立ち上がり、おそるおそる玄関へ行った。なんとなく警戒心がわいた。友達なんていないのに、いったい誰が来たのだろう? 勇利はどきどきしながらのぞき穴に目を当ててみた。 「!」 びっくりした。立っているのはヴィクトルだった。何かあったのか。勇利は急いで鍵を外し、扉を開けた。 「ヴィクトル、どうしたの?」 「やあ勇利」 ヴィクトルはほほえんだ。 「久しぶり」 「え、あ、うん……」 確かに久しぶりという気がした。数日前に会ったけれど、あまり長い時間ではなかったし、日本で生活をともにしていたことを考えると「久しぶり」という感想がぴったりだった。昨季の後半、日本とロシアで離れていたときは会えなかったが、それはごく自然なことだ。こんなに近くにいるのに会わないとなると、なんとも妙な気持ちになる。 「今日は何か……」 勇利が言いさすと、ヴィクトルはじっと勇利をみつめた。困っているようではないし、焦っている感じでもない。何か大事件が起こったわけではないらしい。しかし勇利は、なぜか、いつものヴィクトルとちがう、という気がした。ヴィクトルはかすかに笑みを浮かべているけれど、彼の普段の陽気な笑いとはかけ離れていた。 「あ、あの、入って、とりあえず」 勇利は扉を大きく開けてヴィクトルを招いた。 「今日仕事だったんだよね? 疲れたでしょ? ごはん食べた? なんでもいいなら用意できるけど……ありあわせのものしかない……」 戸惑いながらも勇利は明るく笑った。ヴィクトルは何も言わない。 「食事いらないなら、何か飲む? 話があるんだよね? あ、こんな時間にうちに来たりして大丈夫? 明日早いんじゃないの?」 部屋へ入ったところで、テーブルの上に並べてあるノートやヴィクトルの写真集、DVDに気がついた。勇利がヴィクトルの大ファンだということはすでに世界じゅうに知れ渡っており、ヴィクトル当人だって百も承知なのだけれど、その証拠の品を堂々と置いておくのは気恥ずかしかった。 「あっ、ちょっとごめん」 勇利は赤くなり、膝をついて慌ててテーブルの上を片づけた。 「適当に座って。上着はそっちにかけてくれたらいいよ。うわ、恥ずかしい……」 勇利は笑いながらうつむいた。ヴィクトルなんて思っただろう、と照れた。いまさらだけど。からかわれるかな……。 その瞬間だった。背後からふいに抱きしめられ、勇利はびっくりした。ヴィクトルは普段からよく抱きついてきたり勇利にさわったりするのだが、そういうものではなかった。少なくとも勇利はちがうと感じた。抱擁はひどく情熱的で力強く、何か意味がこもっているような気がした。 「ヴィ、ヴィクトル……?」 勇利は手を止めて瞬いた。 「どうしたの……?」 「勇利……」 聞いたこともない声だった。せつなく、苦しそうで、大切なものを求めているようだった。 「何かあったの……?」 勇利は落ち着こうと努力しながら尋ねた。ヴィクトルはつらいことがあって相談をしに来たのかもしれない。自分で役に立てるかはわからないけれど、悩みがあるのなら協力したかった。 「ぼくでよければなんでも聞くよ。あの……」 「勇利」 ヴィクトルが勇利の腕を引き、立ち上が��せた。勇利はヴィクトルの顔を見た。ヴィクトルはひどく熱っぽい、何かを秘めた瞳で勇利を見ていた。真剣で、追い詰められているようで、勇利は彼の苦しみを感じた。 「ヴィクトル……」 どうしたの、とも訊けなかった。ゆっくりと瞬いた勇利を抱きしめ、ヴィクトルはくちびるを重ねた。勇利は目をみひらいた。戸惑ったし、びっくりしたけれど、拒絶することは考えなかった。 「ヴィクトル……?」 くちびるが離れた。勇利は混乱しながら、ただじっと立っていた。 「勇利」 ヴィクトルが呼んだ。情熱のこもった、その名前が大切だというような呼び方だった。 「勇利……」 ベッドに押し倒された。くちづけられ、服を脱がされた。勇利はただされるがままになっていた。すべての衣服を取られて、ヴィクトルも裸になった。ヴィクトルが覆いかぶさってき、彼の指やくちびるを勇利は感じた。勇利には初めての体験だったが、それほどおびえはしなかった。ヴィクトルの身体が重なり、勇利は彼を見上げた。ヴィクトルの青い目は熱狂的だった。勇利はまぶたを閉じた。彼の熱を知った。ヴィクトルの匂いに包まれる、熱くて不思議な時間だった。 目がさめると、ベッドにはひとりだった。しかし勇利は、あれは夢だったのではないかとは思わなかった。そう思うにはあまりに強烈な経験だったし、肌もまだ熱いようだった。自分の身体からヴィクトルの匂いがする。気のせいかもしれないけれど、そう感じた。 「んん……」 勇利はもぞもぞとふとんの中で転がり、しばらく眠気に打ち勝とうとしたり、負けてうとうとしたりということをくり返した。何も着ていなかった。でも、あたたかかった。ふとんの布地が素肌にふれると、ヴィクトルに愛撫された感触をすこしだけ思い出した。 三十分かけてどうにか起き上がる決心をし、勇利はしぶしぶ身体を起こした。視界がぼんやりしている。そうだ、眼鏡。昨日、行方不明になった。たぶん、途中でヴィクトルが外したのだろう。どこにあるのか。視線をめぐらせると、まくらべの棚にちゃんと置いてあった。勇利は眼鏡をかけた。すぐそばに、勇利が着ていた服がきちんとたたまれ、重ねられていた。下着までそうされていたので、勇利はちょっと赤くなった。 そっと身体を動かしてみた。痛いところはない。すこしだるさはあるけれど、活動しているうちにうすれそうだ。練習にも行ける。勇利は立ち上がると、台所へ行ってミルクを出した。温めようと思ってふと見れば、いつもとはちがうところにマグカップが置いてある。すこし濡れていて、使ったあと洗ったような感じだ。ミルクも減っているような気がする。ヴィクトルが飲んだのだろう。勇利はざっと室内を見渡した。いつも通り整然としていて、何かが動かされたとか、みだれているとか、そんなふうではない。勇利の感情と感覚を別にすれば、減ったミルクと濡れたマグカップだけが、ゆうべヴィクトルがいたという痕跡だった。 「……ふふっ」 勇利はちょっと笑った。 ヴィクトルはリンクに来なかったし、勇利も連絡しなかった。忙しい彼に気を遣っているというより、いつもそんな感じだ。普段はメッセージなんて送らないし、必要なときは電話をする。それが勇利のやり方だった。ヴィクトルはときおり、どうでもよいようなメッセージを送ってきたけれど、それもいまはなかった。時間がないからだろう。 勇利は普段通り練習をし、買い物をして帰り、なんとか食事をつくっていた。だんだん炊事がめんどうになってきて、クラブの食堂で済ませようかと思うことも多かった。金銭的にも、自分でつくるのとあまり変わらないのである。家では習慣のノートをつけたり、ヴィクトルの動画を観たりしていた。単調な、それでいて充実感のある毎日だった。 あの夜の出来事はなんだったのだろうと考えてみることがないわけではなかった。ヴィクトルはどうしてあんなことをしたのか。何か理由があったのか。ただしてみたかったのか。よくわからない。でも勇利にとってはなんでもよかったし、まあヴィクトルだから……という妙な信頼感があった。ヴィクトルのすることにいちいち説明を求めたり、悩んでみても始まらない。なんで貴方はそうなの、と怒りたくなることはあるし、実際文句を言ったりもするけれど、これに関しては、まあいいか、という気持ちだった。ヴィクトルも何か思うところがあったのだろう。 「まったく、自由気ままなんだから」 勇利は冗談を言うようにつぶやいた。しかしそれがヴィクトルというひとだと思えた。 数日ぶりにヴィクトルがリンクへやってきて、彼を間近で見たい選手たちが色めき立った。勇利は最初、どういう理由でみんながざわめいているのかわからなくて、リンクの上でエッジの傾きに注意していた。ミラが遠くから「カツキ、いいの?」と尋ねた。顔を向けると、彼女とユーリが不思議そうな目で勇利を見ていた。 「何が?」 勇利はもともと自分の世界を築き上げて練習する傾向があるので、みんなの興奮など気にしていなかった。きっと何か事務的なことが発表になったのだろうと思った。食堂の献立が追加されたとかそういうことにちがいない。勇利は、あとで掲示板でも見ればよいと考えて、足元に集中していた。エッジを深くしたり浅くしたり、その緩急をつくることに努めた。足だけではない。上半身も使えなければ意味がない。足元から始まり、全身に流れがひろがるのである。勇利のうつくしいステップシークエンスは、このエッジワークがかんじんだ。 夢中ですべっていると、リンクサイドから声が聞こえた。 「いいね。ヴィクトル・ニキフォロフは、勝生勇利のエッジワークをお手本にしてるらしいよ」 勇利は顔を上げた。ヴィクトルが笑いながらフェンスにもたれ、勇利の練習を見ていた。 「ヴィクトル!」 「最後までやること」 「あ、はい」 勇利は練習のためにさらっていた昨季のステップシークエンスをやりきって、ヴィクトルのもとへ飛んでいった。 「仕事じゃなかったの?」 「早く終わったから来た」 「すごい!」 「何が?」 ヴィクトルはまた笑っ���。忙しい彼だが元気そうだ。勇利もにこにこした。 「今日は夜までいられるの?」 「もちろんだよ」 「何かすべって」 「いいとも。俺もいい加減やらなきゃ、身体がなまってしまう。仕事先でも、空いているリンクをみつけては練習してたんだよ」 その言葉にうそはなく、ヴィクトルはいつも通りのうつくしいスケーティングを見せた。勇利は両手を握りあわせ、うっとりとヴィクトルの演技に見蕩れた。 「さあ、ここからは勇利のための時間だよ。俺はきみのコーチだ」 「本当?」 勇利はとにかく、いままでやっていたこと、修正したところ、提案しようと思っていたことなどをヴィクトルの前で披露し、どう思う? どっちがいい? よくなってる? ここはどうすればいい? と彼を質問攻めにした。ヴィクトルはひとつひとつ丁寧に答え、真摯に考えこみ、勇利の疑問を一緒に検討してくれた。時間が足りず、勇利はすべっているか、ひっきりなしにヴィクトルに話しかけているか、ヴィクトルの言葉を熱心に聞いているか、どれかだった。ヴィクトルは練習を見たうえで、勇利のノートに何か書きつけ、「これ、勇利の練習表」と手渡した。 「いまちょっと思いついたことだけだから、残りはまたじっくり考えてメールを送るよ」 「ありがとう」 勇利はノートを抱きしめ、笑顔で礼を述べた。そばにいたリンクメイトが何か言い、笑った。ロシア語だった。ヴィクトルも笑った。 「なに?」 「そんな顔で笑うんだ、だって。勇利、普段どんなしかめつらで練習してるんだ?」 「え……普通だと思うけど……」 「あはは、冗談だよ。みんなわかってると思う。勇利はまじめなだけさ」 「ヴィクトル、もう帰る?」 「いて欲しい?」 「いて欲しい!」 「なに? デートのお誘いかな?」 「もう一度すべってるところ見て。それから食堂で晩ごはん食べながら、話を聞いて」 勇利はその夜、ヴィクトルにたっぷり付き合ってもらえて満足だった。いつもより遅く帰宅すると、ベッドに倒れこみ、ここちよい疲労に息をついた。そうだ、書き留めてることの中にまだ訊いていないことがあった、メールしていいかな、と思いつつ、練習ノートをひろげてみたら、その訊きそびれたことすべてに対して、ヴィクトルの答えが書きこまれていた。勇利は目をまるくした。いつの間に? 「すごい」 勇利は瞳をきらきらと輝かせながら、ヴィクトルからの返信に見入った。たまらなくうれしかった。勇利のコーチは最高だ。 ヴィクトルはまたしばらくリンクに来なかったけれど、勇利の練習は順調だった。たくさんの有力選手の中に入って稽古をするのはためになったし、刺激にもなった。リンクをひろびろと使えないところは勇利にとってよくない点だったが、いろいろな人の演技を見て何かしら吸収しようと毎日努めていると、結局はあまり気にならなかった。デトロイトでも似たような環境だったけれど、雰囲気がずいぶんちがうし、かなり新鮮だった。次にヴィクトルが来たときは驚かせてやろうと、勇利は熱心に練習していた。 「これでよし……」 毎日つけているノートを閉じて、勇利はふうと息をついた。寝る前にヴィクトルの動画を見ようと選んでいると、玄関で呼び鈴が鳴った。 予感はあった。勇利は静かに立ち上がり、扉を開けて訪問者を迎え入れた。ヴィクトルがほほえみながら入ってきた。 「ちゃんと相手を確かめてから開けないといけないよ」 「ヴィクトルだと思ったんだよ」 「それでもだ」 ヴィクトルは勇利を抱きしめてキスした。勇利はそれに応えながら歩いて部屋まで行った。どうしよう、何か話したほうがいいのかな、と思ったらベッドに座るよううながされ、「両手を上げて」と言われた。勇利はその通りにした。するとヴィクトルは勇利からスウェットを脱がせ、自分も上着を床に落としてシャツのボタンを外した。 「えっと……」 「勇利」 押し倒され、スウェットパンツも脱がされた。下着を下ろされたあとは脚をひらいて、そのあいだにヴィクトルが座った。 「前のとき、痛かった?」 「ううん……」 「よかった」 ヴィクトルが笑った。勇利も微笑を返した。くちびるが重なり、ぼうっとなったところで、勇利はヴィクトルの愛撫に身をまかせた。 一時間か二時間か──ヴィクトルとの濃密な時間を過ごすと、とても疲れてしまって、勇利は深く寝入った。そのあとヴィクトルがどうしたのかぜんぜんわからない。翌朝目ざめたら、やはりヴィクトルはいなかった。流しのところに、空になった白っぽい瓶があった。ミルクが入っていたものだ。あ、最後の一杯ぶんだったのに、と勇利は思った。ヴィクトル勝手に飲み尽くしたなと拗ねていたら、テーブルの上に書き置きをみつけた。 『イズヴィニー!』 勇利は笑ってしまった。ロシア語だ。ごめん! の意味である。よく見ると、買っておいたパンも減っていた。 「しょうがないなあ……」 勇利はくすくす笑いながら食事をし、朝の身支度をした。彼は機嫌よくリンクへ行って練習をした。 ヴィクトルはその二日後にリンクへ来たけれど、勇利はミルクがなくなったとか、パンが減っていたとか、そんな苦情は言わなかった。ただ前と同じように夢中で稽古をして、ヴィクトルの言葉を、すべりを逃さないようにし、質問をたくさんした。充実した時間だった。 ヴィクトルの三度目の訪問はすぐだった。一度目と二度目にあいた期間よりも短かった。彼はやっぱりやってくるなり勇利にキスし、勇利をベッドに連れていった。勇利はとくに何も言わず、素直にヴィクトルに抱かれた。朝にはいつも通りヴィクトルはいなくなっていたけれど、冷蔵庫を開けた勇利は目をまるくした。今朝はものが減っていなかった。代わりに新しいミルク瓶が入っていた。勇利は笑い出し、パンかごを見た。そこには買ったおぼえのないパンがたくさんあった。 「ヴィクトル」 勇利はヴィクトルのミルクとパンで朝食を済ませた。食べているあいだじゅう、笑っていた。 自分とヴィクトルのこの関係は何なのだろう? 深刻ではないけれど、勇利はときおり不思議になった。ヴィクトルに問いただしたことはないし、そうしようとも思わないが、この不可思議なことを考えてみて悪いということはないだろう。勇利はたまにはちょっと思案してみるのだった。 ヴィクトルはかなりひんぱんに勇利の部屋を訪れており、勇利が彼と夜をともにした数は、もう両手の指でも足りないくらいだった。二日続けて来ることもあれば、一週間のあいだ一日おきになったりもした。どちらにせよ、いまとなっては、五日以上来ないことはなかった。 リンクで会うときとはちがい、家では話しこんだりはしない。ヴィクトルは来るなり勇利にキスして、すぐにセックスをする。そのあときまって勇利は疲れて寝てしまう。だからヴィクトルが朝までいるのか、それとも勇利を抱いたあとそっと帰っていくのか、どちらなのかわからなかった。しかし、ミルクが減ったりパンがなくなったりしているから、たぶん朝までいることが多いのだろう。いまは毎回ヴィクトルが朝食の仕入れをしてくるので、勇利のミルク置き場やパンかごはいつもいっぱいだった。 今朝もヴィクトルは勇利が眠っているあいだに出ていき、勇利はひとりで目をさました。うーんと伸びをし、ヴィクトルが買ってきたミルクを温めて飲む。瓶がちょっと多すぎる。ひとりでは飲みきれない。ヴィクトルにせっせとかよって飲んでもらいたいくらいだ。ミルクが必要な料理はなんだろう。シチュー? そういうものに使ったらすこしは減るかもしれない。 マグカップを持ってテレビのそばまで行き、スイッチを入れた。画面にヴィクトルの映像が出た。何の番組だろう? 早口のロシア語でまったく聞き取れない。このひととああいうことしてるんだなあ、と勇利はぼんやりした。ゆうべだって……いろいろと……。勇利はヴィクトルのささやき声と吐息、それから彼の舌と指がふれた場所を思い出して赤くなった。 セックスフレンド? そんなありきたりの言葉を想像して、勇利は噴き出してしまった。確かに状況だけ見ればその通りなのかもしれない。しかし、なんだかそれはそぐわないように思えた。ヴィクトルはそういう考えを持っていない気がする。でも、だからといって熱烈な恋人というわけでもないし……。 まあいいや。 勇利はほほえんでいるヴィクトルを見ながら支度を整え、リンクへ行った。その日は帰りに買い物をしてきて、インターネットで調べ上げた調理法で白いシチューをつくった。味をみてみたら、なかなかの出来だった。だが……。 「……ちょっとつくりすぎちゃったかな」 だってヴィクトル、いっぱいミルク買ってくるんだもん、と勇利は笑った。 次にヴィクトルがやってきたのはその翌日で、いつもと変わらず、勇利は彼と一緒に寝た。そして翌朝、あくびをしながら台所へ行くと、シチューがあきらかに減っていた。ヴィクトルが食べていったらしい。しかし、昨日最後に見た残りの分量から考えて、どう判断しても、ひとりぶん以上消えている。おかわりをしたのか。 「ふふふ」 勇利は笑い出し、シチューをあたためてパンと一緒に食べた。 それからは、いつヴィクトルが来てもよいように、そして彼が食べられるように、いつでも何か一品は料理をつくりおきした。いろいろ考えた。朝から食べられるもの。ヴィクトルが喜ぶもの。勇利は、めんどうだから食堂で晩ごはんを済ませようかと思っていたことなど忘れたかのように、毎日家で食事をつくった。ヴィクトル、今夜は来るかな? 食べるかな? そんなふうに思案しながら料理するのはおもしろく、実際、つくったものがなくなっているときはうれしかった。 リンクではヴィクトルの指導を仰ぎ、ごく真剣に練習し、家ではヴィクトルとキスをし、セックスし、翌朝はヴィクトルの買ってきたパンを食べたり、勇利のつくったものをヴィクトルが食べていったり、ということがしばらく続いた。勇利はそれをしごく当たり前のことだと思い、だんだんと、考えることもなくなっていった。もともときまじめに思案していたわけではないのだ。ヴィクトルとの仲はいつも自然で、あたたかい交流にみちていた。 勇利は練習に明け暮れる日々だったけれど、ロシアの英雄であるヴィクトルの生徒である以上、たとえ日本の選手でも、ロシアメディアから取材を受けないわけにはいかなかった。会話は英語でよいと言われていたし、相手も好意的な記者だったけれど、取材の日、勇利はひどく疲れてしまった。慣れない移動や状況に、すっかりまごついたのだ。記者は「堂々としていて凛々しい」と褒めてくれたけれど、自分ではそんな対応ができたとはどうしても思えず、帰宅するなりぱったりとベッドに倒れこんで眠ってしまった。目がさめたのは呼び鈴が鳴ったからで、勇利はふらふらしながら玄関へ行き、扉を開けた。 「勇利」 「おかえりなさいませ」 「え?」 勇利はぼうっとして部屋へ戻った。まだ眠かった。ヴィクトルは不思議そうについてきて、勇利にキスした。 「勇利」 「んー」 「勇利、していい?」 「んー……」 「眠いの?」 勇利はとろんとした目つきでヴィクトルを見た。ヴィクトルはおぼつかない様子の勇利を心配しているようだ。 「眠いなら、しないけど……」 勇利はつい笑ってしまった。本当はしたくてしたくてたまらないけど、だめなら我慢する、と言われているみたいだった。ヴィクトルがこんな顔をするなんて思いもしなかった。 「していいよ」 勇利は笑顔でうなずいた。 「でも、疲れてるんだろう?」 黙ってベッドに座ると、勇利は足をぶらぶらさせてヴィクトルをみつめた。 「しないの?」 「……本当にするぞ!」 「いいよ……」 そんなに疲労が溜まっていたわけではない。精神的に緊張していたせいでやすみたかっただけだ。疲れているというなら、ヴィクトルのほうがよほどという気がした。ヴィクトルが覆いかぶさってきて、勇利は後ろにころんと身体を倒した。 「はっ……、ん?」 目がさめたのは昼近くで、勇利はすっかり寝坊してしまっていた。今日は休日だからべつに構わないのだけれど、普段より遅い時刻なのでうろたえた。 「うう、寝過ぎた……あ、よだれ」 勇利は口元をぬぐいながらのろのろと起き上がった。もちろんヴィクトルはいなかった。ふいに鼻先をよい匂いがかすめ、はっとした。 昨日は何もつくってなかった! ちょうどつくりおきしていたものがなくなっていたのに、取材ですっかり忘れていた。ヴィクトルは空腹のまま出掛けたのだろうか? パンなどはあるから、なんでもよいのなら腹をみたすことはできただろうけれど……、いや、それにしても、さっきから食欲を刺激するこの匂いは何なのだ。 勇利はたたんであった下着に足を通し、Tシャツとショートパンツを身に着けて、ふらふらと台所へ行った。食卓の上に、カリカリに焼いたベーコンと目玉焼き、ひきわり小麦のお粥があった。鍋があったのでのぞくと、中身はひとりぶんの玉ねぎスープだったし、冷蔵庫にはサラダが入っていた。勇利がつくっていなかったので、ヴィクトルが支度したらしい。 「あははっ」 勇利は、ヴィクトルでも料理できるんだ、と感心した。スープとお粥を温めているあいだに顔を洗い、歯をみがい��から食卓を整えた。美味しそう、ヴィクトルはこういうのも上手いんだ、と思ったのだが──。 「なにこれ?」 日本のお粥とはちがって、ロシアのはほんのりと甘い。ミルクの優しい風味もある。それは勇利ももう慣れている。しかし、口当たりが、クラブの食堂で食べるものとなんだかちがった。中に──妙なかたまりが──。 「これ、小麦粉?」 そういえば、ヴィクトルに聞いたことがある。お粥はね、小麦粉がかたまりになって残っていたら最悪だよ。美味しくないんだ。そんなのは絶対に食べたくない。俺のもっとも憎むべき料理だよ。いまいましい──。彼は冗談めかして説明し、くすくす笑っていた。 「…………」 どうやらヴィクトルは、かの忌まわしい料理をみずからの手でつくり出してしまったようである。勇利は笑いをかみ殺しながら匙を口に入れた。ヴィクトルはこれを食べなかったのだろうか。パンが減っているようだから食べていないらしい。勇利のためにつくったのだ。味は美味しい。混ぜ方の問題なのだろう。たぶん。 「これ、ヴィクトルに言ってもいいのかな……傷つくかな……。おおらかに生きてるように見えて、たまによくわかんないこと気にしてるしな……」 勇利は熱心に食事を続け、ヴィクトルのつくってくれたものをぺろりとたいらげた。美味しかったのだけれど、勇利の中で、「変なかたまりが入ってた、ヴィクトルが初めてつくってくれた料理」という思い出になった。 ある日、勇利はふと、自分のほうからヴィクトルのところに泊まりに行くのはどうだろうと思いついた。いつもいつもヴィクトルが勇利の部屋へ来ている。反対に勇利が訪問したら、ヴィクトルは驚くのではないだろうか? そうしたら、彼は���ったいどんな顔をするだろう? しかし、これを実行するにはよくよく考えなければならなかった。だいたいクラブと自宅とを往復しているだけの勇利とはちがって、ヴィクトルは泊まりがけで留守にすることも多く、彼の予定を勇利はつかみきっていない。忙しい真っ最中に行ったりしたら迷惑がかかる。それに、ヴィクトルはいつだって、来れば勇利を抱いて帰るのだ。訪問したりしたら、勇利がそうしてもらいたがっていると思われてしまうかもしれない。ヴィクトルに抱いてもらうために来たのだと。べつにヴィクトルとセックスするのがいやなわけではないし、そういうなりゆきになるのは構わないのだけれど、ヴィクトルに、自分が普段勇利に求めているのだから、勇利が来たなら同じだけのことを返さなければと──抱かなければと義務を感じてもらいたくなかった。勇利はヴィクトルとだからしているのだし、そのことに不満を持っていない。だからヴィクトルがそんな責任をとる必要はないのである。 とりあえず勇利は、リンクで会ったときにさりげなくヴィクトルの予定を訊き、いつなら家にいるか、次の休みは何曜日かということを確かめた。この日なら訪問しても大丈夫そうだという日がきまると、勇利は心楽しく、ひどくわくわくした。決行の時が待ち遠しかった。 とうとうその当日がやってきて、勇利は胸をはずませながら支度を整えた。ヴィクトルが勇利の家で夕食を食べたことはないので、勇利のほうもあらかじめ済ませておいた。風呂も自分の家で入った。あとは眠るだけというふうにして、必要なものをバックパックにつめて背負い、ヴィクトルの家まで走っていった。すこし遅い時刻だったけれど、ヴィクトルはこれくらいに来ることが多いから、とくに問題はないだろう。 呼び鈴を押してしばらく待つと、いぶかしそうな応答があった。ヴィクトルのロシア語だ。 「ヴィクトル」 勇利は陽気に呼んだ。一瞬の間があり、何かがぶつかるような音が聞こえて、ヴィクトルが急いで出てきた。 「勇利!」 「大丈夫? なんかすごい物音が聞こえたけど」 「何かあったのか? どうしたの?」 「どうしたのって、泊まりに来たんだよ」 「え?」 「いいでしょ、べつに。ヴィクトルだっていっつもうちに泊まるじゃん。ぼくが泊まっても構わないよね?」 「それはもちろん……歓迎するけど……」 ヴィクトルは戸惑っているようだ。 「本当に何もないのかい?」 「ないよ」 初めてヴィクトルが家に来たときの自分を思い出して勇利は笑ってしまった。そうだよね。びっくりするよね。もっと驚いて。 「お邪魔します」 勇利はいそいそと中へ入った。彼は当たり前のように笑顔で尋ねた。 「台所は?」 「え、ああ……そっちだよ」 「ちょっと借りるね」 勇利は持ってきたものを冷蔵庫に袋ごと入れて満足した。 「寝室は?」 「その奥の扉だけど……」 「失礼します」 人の寝室にずかずか入りこむなんてずうずうしいかなと思ったけれど、ヴィクトルだっていつもしてるじゃんという気持ちで勇利は堂々としていた。もしいやならヴィクトルが止めるはずだ。 「あ、マッカチン。元気?」 勇利は寄ってきたマッカチンのつむりをごしごしと撫でた。マッカチンがうれしそうに吠えた。 「わあ、すごく大きなベッドだね。さすがヴィクトル。長谷津にあるやつよりまだ大きいよね?」 勇利はバックパックを下ろし、すみのほうに片づけた。 「ヴィクトルはまだ寝ないの?」 「いや……なんていうか……そろそろ……うん……」 「やることがあるのかな。ぼくはさきに寝させてもらうね」 「え?」 勇利はさっさと服を脱いでいった。ヴィクトルが目をまるくしている。荷物から出したジャージに手早く着替えると、眼鏡を外し、「じゃ、おやすみ」と挨拶した。 「ゆ、勇利」 「あんまり夜更かししちゃだめだよ」 「勇利……」 勇利は目を閉じた。可笑しくてたまらなかった。ヴィクトルの困惑しきっている顔がおもしろい。迷惑や拒絶は感じないので大丈夫だろう。きっといまごろ、いったい何しに来たんだ、と思っているにちがいない。これでは本当に、ただ寝るためだけに来たみたいである。自分の家でできることをわざわざヴィクトルのところでしているのだ。でも、ただ寝るだけでも、意味があることではないか? だってここにはひとりではない。ヴィクトルがいる。ヴィクトルの部屋で、ヴィクトルのベッドだ。 勇利はすぐに寝入ってしまった。一度も目ざめず、朝までぐっすりだった。そして、目覚まし時計もなしで、翌朝ぱっとまぶたがひらいた。ヴィクトルがごく近くにいた。深い寝息をたてている。端正な寝顔だった。だが、ときおり、それがふっとゆるんでへらっと笑う。勇利は笑い出すのをこらえた。 「おはようヴィクトル」 勇利はささやいて、自然にヴィクトルの額に接吻した。こんなことをしたのは初めてだと思い、そうか、いつもヴィクトルがさきだからと納得した。ヴィクトルのやすらかな寝顔をみつめ、ふふっと笑うと、勇利はベッドからそっと抜け出した。マッカチンがついてこようとしたが、ヴィクトルといてあげてと頼むとおとなしくまたまるくなった。勇利は顔を洗うなどして身支度を整え、台所へ行った。冷蔵庫に、ゆうべ勇利が入れた袋がきちんとおさまっている。それは朝食の食材だった。 勇利は、ほかに何かないかと冷蔵庫の中を調べてみた。ほとんど食べ物が入っていない。いつも外食なのだろうか。買ってきてよかったと思った。献立は和食だった。たいしたものはできないけれど、卵焼きや焼き魚があれば体裁は整うだろう。ヴィクトルはごはんとみそ汁が好きだからそれだけでも喜んでくれるにちがいない。……たぶん。みそ汁は具だくさんにした。野菜をたっぷり入れておく。炊飯器がないから、鍋で米を炊いた。思ったより上手くできた。ふたりぶんつくったので、食卓につき、自分でも味見してみたけれど、とんでもなく美味しいとは言えないものの、ごく普通の、食べられる朝食だった。勇利は、ヴィクトルはここで暮らしてるんだなと、あちこちに視線をやって観察しながら、最後まで勢いよく食べた。彼は自分の仕事に満足した。 「ごちそうさまでした」 そろそろ出掛けなければ。練習がある。勇利はヴィクトルの様子を見に行った。彼はさっきとはちがう位置で寝ていた。勇利がいた場所に覆いかぶさっている。そんな姿勢で苦しくないのかと顔をのぞきこんでみたけれど、口元に微笑をたたえているので大丈夫だろう。 「じゃ、ぼく行くね」 勇利はまたヴィクトルの額にキスした。 「いってきます」 ヴィクトルの家をあとにし、リンクへ向かう途中、勇利はひどくみちたりていた。ヴィクトルっていっつもこんな感じなのかと思った。朝の支度をして、寝ている勇利に別れを告げ、出ていくヴィクトル。確かに楽しい。これはやりたくなる。何がいいのかと訊かれたらこれだとは答えられないのだけれど、とにかく精神がすがすがしく、晴れやかで、しあわせな気持ちなのだ。 「癖になりそう」 勇利はつぶやいた。 その日はヴィクトルは休みなので、勇利の朝食を食べて、ゆったりしているはずだった。夜にはまたぼくんちに来るかな、どうだろう、と勇利はぼんやり考えていた。ところがヴィクトルは、昼頃クラブへやってきて、食堂で昼食をとっている勇利を見るなり、つかつかと歩み寄ってきた。 「あ、ん、ヴィクトル」 勇利はボルシチでいっぱいの口をもごもごと動かし、のみこんでしまおうとした。なんだかヴィクトルはすごい剣幕みたいだ。顔つきが真剣だし、足取りも勢いがある。食堂にいたほかの選手たちがなにごとかと振り返っている。怒らせちゃったのかな!? 勇利はどきどきした。勝手に寝て、勝手に台所使っちゃったから……。 「勇利」 ヴィクトルは勇利のすぐ前で足を止めた。彼は熱心な様子で勇利に顔を寄せると、たったひとこと、きっぱりと言った。 「結婚してくれ」 「は!?」 勇利はぽかんとした。口の中のボルシチがようやくなくなったところだった。彼はぱちぱちと瞬き、そっと首をかしげ、考えこんだあと大笑いした。 「あっはははははは!」 ごはんとみそ汁に感激したのだろう。簡単なんだから、と勇利は可笑しくてたまらなかった。そんな朝食をつくってもらったくらいで求婚したくなるなんて。あのヴィクトル・ニキフォロフが。笑い過ぎて涙をぬぐっていると、ヴィクトルが咳払いをした。勇利は言った。 「今日休みじゃないの?」 「休みだ。でも、会いたかったから会いに来た。ごはん、美味しかったよ」 勇利は驚いた。いままで、それと意識したわけではないけれど、こうして昼間に会ったとき、夜の逢瀬のことを話したことはなかったのだ。 「よかった」 「とくにみそ汁が美味しかった。たくさん野菜が入っていて……。でも焼き魚の塩加減がいちばんよかったし、卵料理の焼き加減がすばらしかった。鍋で炊いたごはんも最高だった」 「結局どれがいちばんなの?」 「全部だ」 「ヴィクトルがつくってくれたお粥はね……」 「ああ」 「……ううん、なんでもない」 「なに? 気になる」 「なんでもないよ……大丈夫」 「何なんだ!?」 午後、いつものように練習を見てもらい、帰りは、いつもとはちがって、そろって勇利の家へ帰った。部屋で、ふたりで夕食を食べた。初めてのことだった。 「一緒に暮らそうか」 食事をしながらヴィクトルが言った。 「結婚するんじゃなかったの?」 勇利はからかった。 「するさ」 ヴィクトルはとりすまして答えた。 「いずれね」 「ふうん」 「どうだい」 「どうだいって、ふたり暮らし? それとも結婚?」 「両方だ」 勇利はちょっと首をかしげ、口をすぼめて考えた。冗談ではなかったのだろうか? 「いいけど……」 「本当かい?」 ヴィクトルが声をはずませた。勇利はにっこりした。 「でも、いまの感じも好きだから、そのうちね」 「そのうち?」 ヴィクトルは不服そうに片目をすがめた。 「そのうちっていつ?」 「いずれ」 「わかった」 ヴィクトルはうなずいた。ふたりは協力して洗い物をし、一緒に風呂に入り、ベッドでキスをして、着ているものを脱ぎ捨て、肌を重ねた。ヴィクトルの情熱的な愛撫に深くみちたり、勇利はほとんど気絶するように寝入ったが、翌朝目ざめたとき、つむりはヴィクトルの腕にのっていて、彼はいなくなっていなかった。ヴィクトルは起きていた。 「おはよう」 「おはよう」 ヴィクトルは勇利のくちびるにキスした。 「で、いつから一緒に住む?」
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