#黒楽平茶碗
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「金沢 色々巡り」報告4.
ミッション1.
週末に控える「Vela」関西ミニツアーに向けて
衣装を金沢にて探す。ここのポイントしか動けない。
限られた時間内で、ホテルから近いところで
かつ早めに開いているところから巡る。
古着屋(と、決まっている)は、昼からオープンが多く
ランチ予約もありまあまあタイト。
目指すものはおおよそ決まっていて
昔ながらのワンピース。
的を絞って時間節約作戦。
唯一遅い午前に開いているというお店を覗く。
2、3点見つけるが
買うまでの勢いが出てこない、、、。
で、すぐにランチ待ち合わせ時間になってしまう。
ランチは妹も前から気になっていたところで、かつ金沢ライブでドレスを
お借りしたFOR岡野夫妻からも推薦のエデンへ。エレンに似とる。
予約しないと入れないシステムの小さいお店に行けたのはラッキー。
丁寧に作られたスープランチを暖かい雰囲気でいただく。
残念だったのは、この限られた時間内ミッションを
大雨の中進めなければならなかった点。
ランチ後、開店前で行けなかった他の古着屋を巡る。
結局、目当てのドレスは見つからず
諦めかけていたところ
妹が「さっき閉まってたあるお店が開いているのでは?」というので
一応お店の前まで行ってみた。
綺麗な古着屋さんだが、お目当ての品揃えではない気がしながらも
行ってみたら開いていたので入ってみた。
案の定、楽しいお店だが
求める物はなかった。
せっかく来たのだからと
ちょっと気になったボディに着せていたガウンを着てみた。
店員さんのおすすめに従って
ついでに黒のラメのチューブトップ重ねたりしたら
全く思っていたのと違うが
これなら買いたいという気持ちになり
聞くと、送料も無料で配送してくれるシステムで
願ったり叶ったり!
あれよあれよと衣装が決まった。
同行していた姪が喜んでいたので勢いづいた感じ。
買い物って、黙々と1人で買うだけでなく
その場のノリで、買っちゃうのも楽しい。
雨の中、荷物持たずに安心して
次のミッションへ。
2.ご飯茶碗を買う(ミッションが買い物。。。笑)
以前より気になっていた��道具屋へ行く
こちらも要予約。
ハードル高めだね〜
色々と眺めつつ
輪島漆器のお椀を購入。
蓋が付いていて
「蓋は要らないんだけど、、、」と呟いたところ
「要ります!」と断言され
もちろんセットであるし買ったのだが
丁寧な暮らしぶりとは程遠いので
私の今のライフスタイルにはもったいない感じで要らないという意味なんですけど
なら、うちに来るなって感じですよね。(心の中の声)
九谷の色付け前の白無地九谷というのの欲しかったサイズを一枚プラス。
ああ、荷物増えちゃダメなのに、ギリギリ。
ミッション3.
米を買う。笑笑。
こちらも妹に遠路連れて行ってもらい
閉店迫る中無事配送手配。
「平地産でもいいんだけど」と呟いたら
「いや山間部でしょ」と妹に推されて
やや高めの山間地米で。棚田ではない。
ということで充実すぎるライブ翌日の1日を過ごす。
おまけ。出発寸前の翌日午前におすすめされたおはぎ屋さんに
開店と同時に飛び込み購入。
で、新幹線内ランチとする。(既に報告済み)
鈴木大拙館までは、行けなかったが
21美の離れみたいなところで私の好きな酒粕含む発酵展のショップで
お土産も買えた!
この度の金沢お買い物ミッション旅報告でした。
次回からはいよいよ関西ツアー編。長っ💦
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羊羹が好きだ。
あの清水羊羹の包みを手に取った時の、
真黒なむらさき色をした重み。
質量が包丁に反発する。
均等に分けられて、さらに印象深い重みになる。
フォークを刺した時の奥行き、
フォークの頭が重くなり、指に力を入れて口に運ぶ。
重みとは存在で、ここに在る証拠だ。
羊羹は、それを思い出させてくれる。
私たちは、常に重みを感じていながら、それゆえに重みの存在を忘れてしまう。
自分自身が地面に与えている負荷にすら無自覚だ。
良いものたちは重みに触れられる。
良い茶、茶碗、服、建築、音楽、絵画、言葉、
それらは明確に重さを持っている。
その存在と重みが不揃いなとき、
その存在を偽物に感じる。
重みをもった建築、あるいは重みを孕んだ建築が壊されていく。
次に生まれる建築は、平たい庭であり、薄っぺらいテクスチャであり、ぺしゃんこの思想だ。
そうした建築たちと青空との境界をみると、どうも青空が偽物に見えてくる。
街が偽物になり、空が偽物になり、世界すら偽物になるのではないか。
自分すら偽物になるのではないかとおそろしい。
ただ雨が降ると重みづけられるようで心地いい。
緩い黒色に濡れて、存在が肯定される。
景色も黒く色付けられて、質量が塗られていく。
正しい世界の姿のようにすら思える。
雨雲に浸けたような建築は愛おしい。
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世界遺産 大シルクロード展
福岡アジア美術館で大シルクロード展を見る。日中平和友好条約45周年を記念する展覧会で、日本との縁も浅からぬ唐の時代の文物が多く展示されている。なお、英語表記から判断すると、「大」は「展」でなく「シルクロード」を修飾しているように思われる。
チラシに大きく採用されている「瑪瑙象嵌杯」。金製。細くうねった形の持ち手は虎らしい。
青銅製の「男子跪坐像」。騎馬遊牧民族の姿。
このとんがり帽子は、布製品良好な状態で発掘された例のひとつ。
左の切子のガラスはローマ帝国またはササン朝ペルシアで製作されたものと考えられる由。右のガラスの杯はどこ製か不明。どちらも新疆ウイグル自治区からの出土品。
陶製の蚕! シルクロードなんだから確かに蚕は大事な生き物のはず……そのわりに蚕モチーフの文物とかあまり見たことなかったな……と虚をつかれたような気分になった。今回の展示品でいちばん気に入ったのがこれ。
マニ教ソグド語の手紙。マニ教最高位の僧侶宛の年賀の手紙とのこと。左から右へと読む縦書き。
「連珠対鹿文錦帽子」。いちおう鹿とあるが、キャプションによればもしかしたら羊かもしれない。
羊樹文錦。かなり保存状態が良いように見える。山羊や鳥がいる。
囲碁を打つ美人(屏風の一部分の複製)、碁盤。この碁盤は実用品ではなく埋葬するためのミニチュア。
「通行証発給に関わる調書 残片」。こういう実務文書がおもしろかったり貴重だったりするのではないかと想像する。
奏楽女子俑2点。
蝉形金具。中国では蝉は再生の象徴とされた由。
唐三彩の大きな駱駝。墓に納めるための俑。
唐三彩の女子俑。
白居易が住んでいた住居から発掘された椀と石硯。ひょっとして白居易本人が使った可能性も……?と考えると、かなりロマンがあるような気がする。
瑪瑙、ターコイズ、孔雀石のビーズ。
金を鋳造して作った六花形の杯。細かい線刻で狩猟の場面が描かれる。
「餌壺」(鳥のエサ入れ)と考えられる由。小さくて愛らしい佇まいをしている。宋の時代には文人の間で小鳥を飼うことが流行したそう。餌壺がわざわざ製品化されるほどだったのだとすれば、流行りっぷりは半端なものではなかっただろう。個人的に今回気に入った展示品の2番目。
クチナシ文椀。南宋時代の吉州窯で作られた黒釉茶碗。釉薬の雰囲気が良さそうなので、もしかしたらクチナシ文がないほうが日本では天目茶碗として人気が出るのではないだろうか。
シルクロードを通ったもののひとつに仏教がある、ということで、仏教関連の文物にもスペースが割かれていた。
菩薩坐像に馬頭観音坐像。
妙法蓮華経巻第一 断簡。
如来像の壁画。
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オランダの絹さやエンドウに、広州のシイタケ、フランスの厚揚げが手に入ったので、炒めものを作る。絹さやなんて日本では高級野菜で茶碗蒸しの上とかお澄ましにとかしか見ないざます。移民達に育てさせた絹さやは輸入食材にも関わらず、250グラムでおよそ300円足らず位(1.95ユーロ位
)。他の野菜を思うと格安なのです。
こちらでは、GMO食品に反対しているフランスが隣国なので、GMO大豆アレルギーのワシでも、気をつけて品を選ぶと豆腐や厚揚げを食べる事ができる。日本も早く、GMO大豆アレルギーが問題にならないかしら。医者の伯父伯母でさえ、GMOによるタンパク質組成が異なるためのアレルギーだと思う、と説明しても、なぜ味噌や醤油を食べられるのかと詰問してきよった。あー。日本の大学教育はマジで終わっている。発酵過程において大豆タンパクが分解されるからじゃん。。。と答えて始めて納得しよった。うーむ。まぁ、醤油も味噌も発酵食品であることを知っている事が大卒の証なら、もう話しにもならんわい。
日本では、大学に行く奴ほど頭悪くなるのが恒らしい。頭悪くなるだけなら良いけど、たいがい性格も悪なるから、日本の大学なんて行く必要性をワシは余り感じない。恵泉女学園も学生募集中止したらしいが、これからは経営破綻しとる癖に破綻したと正直に言えないゾンビ大学と、それに群がる、バカセ様達の目くそ鼻くそ試合が、ますます展開されゆくんやろうなぁ。可哀想なのは、構築された��会システムから抜��出せないと、自分自身を縛り、親に縛られる、中間所得層の凡人の子供達ですな。お気の毒この上ない。
ワシは最近、分かってきた。ワシが二十代後半の頃、気候変動ビジネスが心底、嫌になったのは、兎に角、あれは文句いう事で成立してしまうビジネスだからだ。つまり、自分の事は棚に上げて、社会のエネルギー消費���の多さや非効率性を、社会悪のように言いながらも、自らは、文句ぶーたれているだけで、その恩恵にどっぷり預かって、ぬくぬくと、寒けりゃ暖房、暑けりゃ冷房つけて、やれ国連会議だのなんだのと、世界中を飛行機で飛び回って、おマハン一人がいなくなる方が、よっぽどアレよ、二酸化炭素排出量減るわよ、という事実に気付かないで、他人の文句ばかり言っているオメデタイ馬さん鹿さんグループなのだ。グレタさんの顔付きを見ていると、良く分かるが、自分だけが偉くて、他人は、みんな馬鹿と心底信じて文句言える強さと無知が成立させるビジネスなのだ。
っで、最近分かってきたのは、この事ではありません事よ。だって、ワシは二十代の後半で、気候変動ビジネスの闇とパラドクスに気付いてたから。しかしヤクザと同じで、足を洗うのにもタイムラグっちゅーもんが生じるんすなぁ。話を元に戻すと、最近分かってきたのは、他人を批判的に見る人の多くは、その批判内容の殆どが、その人自身の潜在的意識において問題だ、と無意識に認識している事を、他人にいとも簡単に投影する事で、他人を批判できた気になっているという事だ。つまりだ、天にツバしているようなもので、気候変動ビジネスと全く同じ構造なのだ。まぁ仰る事はドエライ事ですけんども、まずは、御自分をよう見なはれっちゅーこっちゃ。人は誰でも、良い人でいたいのだ。
つまり、あれよ。批判する対象は自己の外部にあるようで、実は自己の内部の問題点を、他人様を道具にして、批判する事で、自分があたかも上位にいるような錯覚を感じつつ、自己優位の感覚に浸りながら、他人様を道具に自己批判を展開しているのだ。まぁ毛沢東時代の中華人民共和国の自己批判と同じで、自己批判なんだけど、今は平和なので、自己批判を自らが自らに隠蔽し、他人様を批判する事で無意識の自己批判を公に展開されておられる方が多いってこったね。具体的には、例えば、怠惰が問題の場合、自己の内部の怠惰性を、他人様の怠惰を批判する事で、自己の隠蔽された怠惰性を、自らが追認しているのと同じ事だ。今の論客達の話を聞いていると、批判内容に応じて、その人の人と成りが分かってしまう。実に口は災いなのだ。ガハハ。
ドイツ人は、一般的に、メチャクチャ権威主義で、権力志向が強い。貧しい国なので致し方ないだろう。日本も同じだ。魚の目鷹の目で、常に他者より優位である点を探りあっとる。実に下らん。ワシは平和主義者なので、批判とか止めれば良いのにと思う。批判は自己と他者を比べて判断を下す。それが嫌じゃ。ワシは批判ではなく、批評をしたい。比べて評価する。批判じゃなくて批評、其れくらいでえーんちゃうん?と思う。評価するなんて、何様のつもり?!?とツッコミが聞こえてくるが、評価は、別に必要だろう。ワシにとって価値あるか、無いか。それができん奴はアホやろ。誰しも価値基準にのっとった価値判断をしよるやろ。
ベムでさえ、ウンチ匂わないクッキーよりも、ぴよっちサブレの方が美味しいと評価しとったわい。不味いもんも美味いもんも、同じやったら、アカンやろ、とワシは思う。そう思うワシの価値判断が、そこにあるだけの事で、それを偉そうに、他人様に押し付けるつもりは毛頭無い。つまり、あれだ。白トリュフと黒トリュフを並べて、どっちがどうとか言って、まぁかまへんけどな、ワシにしたら、同じキノコなら王様はシイタケやと思うてるって言ったって良いのだ。
マキちゃんはすぐ他人に価値観を押し付けてくるよね!とワシを批判するそこのチミ。チミが一番、他人様に自分を押し付けとるだけかもしれんという、パラドクスに、自らが陥っとるだけっちゅーこっちゃ。ワシは〇〇が美味いと思う。そやから食べてみ、という感想と、食べてみ、という小さなお節介でさえ、価値観の押し付けだとキレる奴は、了見が狭すぎだと、今までのワシは思っておったのだが。ちゃうねん。了見が狭いんじゃなくて、自分が一番、他人にそうしているから、ワシにそうされると思い込ん��途端に、キレたくなる衝動を感じるのだ。マキちゃんに、偉そうに言えるんわ、ボクの方だ!というヒガミというか、負け犬根性というか。。。メンドクセ。
ドイツ人の場合、白色人種優位論、white supremacistを公に否定している奴ほど、優位性を信じている。LGBTQ rightを声高に言う当事者じゃない人間ほど、LGBTQを心の底で差別しているという構造と同じですね。みんな、ネジレているんですねぇ。LGBTQなんて、どーでもえーわって心底思ってる奴は、お前がベッドの中でどうなろうと、ワシの知ったこっちゃね~と思っているから、その人の性別だけで話をしない。性に囚われている隠れエッチ度200%位の奴が、LGBTQ権利がどーたらこーたら言って騒ぐ。白色人種であろうが黒人であろうが、バナナであろうが、お前は人間としてどーなん?と思うてる奴は、白いからとか、黒いからとかでは判断せんわなぁ。アーリア人種だとか、ボヘミアンだとか、だから何? 人非人は人非人だし、アホはアホ。性別も人種も学歴も、関係ありまへんねん。
司馬遼󠄁太郎が、日本人はすぐ裸になりたがるらしく、古代から韓国や中国では、野蛮だとされていたが、日本人の美しさとは、逆に、スッポンポンになっても、仁王立ちできる純粋さというか、素朴さにあるのでは無いかと、分析していた。ワシは、純粋ジャパニーズなので、ドイツの北部で、寒風吹きすさむ中、スッポンポンで思考する。だから、気楽にできる。失うものなんて何一つ無いし、常に気持ちは裸一貫。身ぐるみ剥いでやったぜと、エウロッパ人が思うてるもんがあるんやとしたら、ワシのチンゲをくれてやったもん程度やろうと思うてる。
残念なんは、日本、否、代表的日本の人心こそ、ワシを裏切り続けるという事だろうか。そんな、スッポンポンでドイツ人の前で仁王立ちなんて、日本人として、恥ずかしいわー、という苦情が聞こえてきそうだ。内村鑑三の描いた代表的日本人は、もはや幻想である時代、ワシはもう、浦島太郎で絶滅した日本なのじゃ、多分。時代は、多分、スマートな、先祖は侍でも無かった、何なら小作人程度だった、軽やかなサムライジャパンを求めちょる。ワシは開き直ろう。ワシは、倭寇じゃけん。瀬戸内を荒らしまくった水軍じゃけ。エウロッパ人どもに、チンゲ見せびらかしながら、スッポンポンで仁王立ちして、野蛮に生かせてもらいまっさ。あの、上、飽くまでも比喩ですので、御心配無用。
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#ペルシャ絨毯との良いお付き合いのために#ペルシャ絨毯にこだわる意味#ペルシャ絨毯買取口コミ|専門店港区#不思議と気分が安らぐペルシャ絨毯#優れたペルシャ絨毯とは#歳月とともに踏まれて美しさを増すペルシャ絨毯#絨毯のメンテナンスについて#絨毯の特徴、手入れと使い方
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Today's matcha 圓八のあんころで濃茶 #matcha #greentea #tea_bowl #rakuyaki #wagashi #濃茶#抹茶 #黒楽平茶碗 #木の葉釉 #園八のあんころ #和菓子
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Aさんへ ⑲
Aさんこんばんは
先日、むすめたちと映画をみました
結論から申しますと全私が震撼し涙するおもてたんと違うでした。原作コミックからはいった私の、実写版に対峙する心構えが甘かった。私の非です
映画あと回転寿司にて次女が熱々の茶碗蒸しをひっくり返しテーブルを舞台に見事なプリンとなり、
回転寿司あとコーヒー店にて嗜みましたシトラス(きっとあれはライム。)シロップ含有パッションフルーツブラックティーから超高級ホテルのトイレの芳香剤の香りを感じ���いよいよ……、いよいよ本格的な夏の到来。夏の足音を捉えた次第です。
夏がくる。
しかしAさん、私の心は既に遥か晩夏にあります。ビコーズ
至近の市民プールが昨年閉鎖したことにこれほど歓喜している人間はK県S市の平らは広し近年人口増加傾向と言えど稀かと思います。早く、一刻も早く、
「プールなくなっちゃったのよ。残念よね。」
を娘たちに伝えたい。伝えたいのです。一昨年の夏休み、3日連続で娘二人を連れてオープンからクローズまでを流れるプールの水中で過ごした結果、冷え性が悪化し朝、回る洗濯機の水流を見るだけで酔ってしまうまでになった私にはそれを伝える権利があると思うのです
今後、わたしがダイエットを嗜む場合、プールにだけは通いません。いえ、通えません
よたばなしが過ぎました
梅雨は体調の揺らぎを覚えやすい季節です
どうぞAさん、ご自愛くださいませ
Sより
*********
『カロル絡む。カリム、カルム。枯れぬカルマ。』
彼は否定したけれど私はやっぱりネイビーだと思う。
それは、ほとんど黒に近く青より深い濃紺色のこと。
朝がくる直前の一番暗い空の色。
「いま自分がいる場所は絶望なのかもしれないって思う夜に言葉はなんの力にもならない。
絶望は暗いからなにも見えなくて、もちろん希望なんてひとつも見当たらない。
夜中、一人で、疲れて不安で永遠にこの夜にとどまっていたいと思う。朝がくれば否応なしに新しい一日が始まって、止まっているわけにはいかないぜって突きつけられる現実にうんざりするから。絶望の底にも更なる絶望があるんだってことを知ってしまう。辟易する。
なのにさ。
夜中、一人で暗い部屋でベッドの上で寝返りを繰り返してそのうち寝返る気力もなくなって、ぼんやり「あー、このまま朝がこなければいい。」って思いながらでも怖くて仕方ない自分もいたりする。「せめて朝がきて世界が明るくなればいい。」なんて思ったりもする。
このひとことが人生を変えたとか、世界を変えた偉人の言葉。とかさ。前向きに生きるためのヒントとか、いかにもな、まさに今の俺みたいな人が読むんだろうなって本をさ、片っ端から乱読して、なにか、なにかこの今を救う言葉がないかって探すんだ。
健全な状態なら胸打たれるんであろう涙を誘うハートフルな小説とかさ。
でも読んでも言葉はただ乾いたまま通りすぎる。白い紙に五十種類の文字と漢字が羅列してるなってことしかわからなくて、黒い文字がありとあらゆる組み合わせで言葉になってきちんと行儀よく、上から下へ整列してる風にしか見えない。
羅列って。
普通に使ってるけど実はよくわかってないよなって羅列の意味を調べて、ほら、やっぱり合ってたとか思ったりしてさ。音楽もね。あー、この人は日本語を音にのせて歌っている。としか感じない。何も自分の中に止まらず耳を通りすぎる。これは絶望のなかなんじゃないかと思うような時に、本も音楽も友達からのLINEも何の役にも立たない。って言いながら結局トルコ行進曲だったんだけどね。
探り漁ってたどり着いたピアノのトルコ行進曲をなんとなく、ぼんやりぼんやり聞いて小学生の時の運動会を思い出す。
玉入れの砂っぽい玉の感触とグラウンドの埃の匂いを思い出してアラタが「お前すげえ入れてたな」って褒めてくれた言葉と、笑顔を思い出す。ぼんやり眠くなってきて寝る。
夜の怖さも朝がくるプレッシャーも薄れて、ただ、とりあえず眠くなる。結局、言葉の苦しみは言葉で救うしかないんだ。って思いながら寝る。人で味わった痛みを溶かすのは結局人なんだ。
一番暗い、たぶん絶望って思う夜の中にもなにかしらの希望はきっとある。きっと希望はあるだろうっていう頼りない願望がかがり火になる。
希望の色はきっと、夜が明ける直前の一番暗い空みたいな色だと思う。絶望の色ととても似てるから見つけにくいけれど、きっとある。」
問わず語りを閉じ、フフっとタカシくんは笑う。私の頬を撫でる。
タカシくんが教えてくれた希望の色。夜明け前の空の色。彼はその色が似合う人だったと、今も私は思う。
*********
タカシの髪には白髪がある。
流行り廃りのない代わり映えしない定型の短髪。けれど「この髪型以外タカシくんには。」と、ソノコはその頭髪に鼻を埋める度、安堵を覚える。見た目より存外柔らかいタカシの髪に、柔らかな黒と白に、頭皮に届くほどに鼻を深く埋める度に。
20代半ばに生え始めたそれは年を重ねるごとに少しづつ増え、20代の終わりに髪色はブラックではなくグレーに近くなった。
タカシはグレーに近くなった頭髪を撫でて鏡をみつめ「また増えた気がする。」ひとり呟く。
ソノコはタカシの白髪の混ざる短髪を「知的で上品だし、セクシー。」なタカシの雰囲気に似合っている。と、とても気に入っている。
タカシの呟きを聞くとソノコは慌ててベッドから降り、鏡の前に立つタカシの真っ直ぐ伸びた背中を抱きしめる。湿り気の残る肩や背骨に唇を当て、どうかそのままに染めないで欲しい。と、鏡越しに目を見つめねだる。
秒後、鏡越しに、睨むに似た笑みのない視線でソノコを見下ろし、振り返るとソノコの肩をすっぽりと覆う大きな手を骨の浮く華奢な両肩にのせる。笑みの戻らない顔のままソノコをじっと深く見つめ、肩から手の平を頬に移し、包み、下唇をゆっくり何度も噛む。顔を離すとタカシは黒髪への捨てきれない未練とソノコへの愛しい呆れを込め、
「そんなことを言う女性はソノコくらいだ。」
と眉根をひそめ、力なく呟き、ため息をつく。未練も呆れも愛しさに抱きしめられ、幸せなため息となる。
***
「白髪なー。」
とタカシが嘆くのは、例えば、二人で買い物をしているとき。
「タカシくんはこれが似合うわ。もうね、絶対よ。」
と、紺色のシャツを鏡の前に立たせたタカシの胸に当てソノコが試着を催促すとき。
タカシは全体像を確認するより、ソノコを見るより早く、横に立つ、ソノコよりやや身長の低い男性店員の斜め上に向けられた視線を見つける。
悪意なくタカシの頭髪を見上げ、なにかしらの数字を計算する表情ののち歳の差カップル心中お察し致します的笑みの視線を、鏡越しに目ざとく認識すると鏡に顔を近づけ、
「白髪。」と「際立たせるよねー、」と誰に言うでもなく、呟きながら髪を撫でる。ティシャツのハンガーを丁寧にソノコに返し「検討します。」と微笑む。
タカシが白髪を嘆くのは例えば。
タカシが一人暮らしをしているマンションの、階違いに住む2、3歳の子供に満面の笑みで、
「おじさん。」
と、声をかけられるとき。
白髪の嘆きは例えば。
それを申し訳なさそうに我が子より大きなボリュームの声で、
「おにいさん、おーにーいーさーん。ね!」
と慌てて言い聞かせる母親に「すみませーん。」と謝られるとき。
タカシの嘆き、例えば。
タカシより年上であろうその母親が、
「ほんっとーにすみませんもうごめんなさい。あの、私の兄がほんの少しだけ白髪混じりですみません。ね!ごめんなさいは?おじさんのこと大好きだよね!優しいね!」
と、なにひとつ責めていないのに早口で言い訳し、我が子にいわれのない罪とそれに対する陳謝を強要し、ついでに見た目より案外深傷をおっているタカシの傷口に塩を揉み込み重ね重ね謝るとき。
例えば。
ソノコが髪を茶色に染めたとき。
「似合うね。かわいい。」
とソノコの髪に鼻をおしつけ、
「白髪なー。」
嘆き、ため息をつく。
「昼間さ、あの子またママに注意されてかわいそうだった。おじさん!の子。
ソノコそろそろ来るかなと思って下に降りたらあの子いたんだよね。おーい!って手ふってくれてさ。俺もおーい。とか言って。なんかほら、俺、ウキウキしてたしさ。子供かわいいし。で、おじさーん、って。そしたらさー、いつものくだりが始まっちゃってさ。ママ慌てちゃって。また同じ説明してくれるんだよね。初めて話すみたいな新鮮な���ンションでさ必死なんだよ。気の毒で見てられない。足元でしょんぼりしてるあの子の顔なんてもう直視できないよ。ただ声かけただけ��のにさ。で、謝られれば謝られるほど地味ー、にくるっていうさ。あの人のお兄さんてことはさ正真正銘ど真ん中のおじさんだよね。名実ともにおじさん。そのおじさんでさえほんの少しだって。ほんのすこーし白髪がって。すこーしって。多分あれ、俺に気をつかってくれてるんだよね。でも動揺してるからさ。気配りがバグ起こしちゃってさ。「すこーしだけ、かみがしろいのよね。」って。あの子に同意求めたら真顔で俺の顔ジーって見て首かしげたからね。無言の否定。明らかに彼はおじさんも俺もほんの少しではないことを理解してる。賢いよ。だからさ、無理ないよ。
自分のおじさんより白髪の多い男だったらさ、お兄さんて無理があるよね。
あの子まだちっちゃいし、なにも間違ってないのにその都度叱られてさ。
かわいそう。
でも確かにさ、五歳は老けて見えるよね。
仕事終わりで疲れてる時なんて。
十歳はいくよね。
そのうちさ。ソノコといるときにさ、親子ですか?とかさ、聞かれたらどうする?その日は近いよ。
限りなく近い。」
と、ソノコの染めたばかりの艶かな柑橘系の匂いがする茶色の髪に鼻を埋めたまま度重なるささやかな傷心を嘆く。
いつも必ずやさしい顔見知りのおじさんを見つけ、嬉々として手を振った小さな男の子と、自分を待ちわびウキウキと心弾ませてくれた大きな男が、一転、しょんぼりする様を思い浮かべ、そして、「高校生の頃もこんなに無口だったかしら。」と記憶を手繰ってしまうほど、日頃口数の少ないタカシから改行の少ないない長文の嘆きを聞き、その嘆きを聞くのは2度や3度ではないこともありソノコは、
「親子って。
そんなことあるわけないわ。
でも、そう、そうなのね。
それで元気がなかったのね。
さっき、気持ちいい?って聞いたら、今は大丈夫って言うから、なんか変ねって思ったのよ。
そうね。
でも、わかったわ。
そうよ、彼女のわがままな趣味嗜好を優先する必要はないのよ。タカシくんの髪はタカシくんのものに他ならない。
美容院行ってきたら?次のお休み。」
「ほんと?いいの?
そっかー、いいんだね。
うん。じゃあ、染めようかなー。そうだね、染めよう。
いいですか?未練はないですか?」
「ないわ。」
キッパリと答え、ソノコは目を閉じる。「タカシくん、ごめんね。
おじさんの子にもごめんなさいだわ。」
大切なことを伝えるときに目を閉じる癖のあるソノコの頬を撫で、キスをし、タカシはなぜか淋しさの混ざる複雑な笑顔をつくったあと自分の髪を撫でる。
撫で、ふと、考える。思い出す。いつかの痛い金曜夜のことを。
***
『世界中のミンナが敵になったとしてもボクだけはキミの味方だよ。』
「それってほぼ奇跡。」
ソノコと再会する直前。当時付き合っていた彼女と別れた直後。
金曜の夜を一人で過ごしていたタカシは、缶ビールと音楽番組をぼんやりと眺めていた。
若い女のグループが、一人一人自己紹介し歌い始めた。
メンバーの一人が作詞を手掛けた新曲だと紹介された。名前はおろか誰が誰なのか顔の判別がつかないままタカシは、そもそもこの団体は全員で何人なのかが妙に気になり、まばたきも忘れ、露出の高い服を着た女たちの人数を真剣に数えていると、その歌詞が耳に入った。
恋人と別れたばかりの一人の金曜の夜に音楽番組を何気なく選んだことがそもそも間違っていたのだ。
春の訪れに向け前向きな、メッセージ性の強い曲ばかりが流れ新しいスタートや再スタートを応援する。季節が変わり環境が変われば気持ちも変わる。前を向く。
そんな健全なスタートの季節に二の足を踏んでいる自分のような人間には、金曜日の夜に一人缶ビールの水滴を見つめ前の季節に止まっているような人間には、料理番組か将棋対戦当たりが妥当なのだと思う。旅番組など見た日には、自分探しなどと使い古した言い回しで手つかずの有給休暇申請をしてしまいそうだと思う。そのまま帰り道を見失ってしまいかねない。
それにしても痺れるパンチだったとタカシはビールをひとくち押し込み、かつての彼女を思い出す。
「嫌いじゃないけど、好きでもない。」
と、静かで長い別れ話の攻防の後、女から吐き出された文句は二人の交際を総括し要約されたシンプルな殺し文句は、フラれたというボディブローは、日毎、目には見えない速度でじわりじわりと心を蝕むような気がした。そのボディブロー、そのダメージ。
相手の女が最後に吐き捨てた言葉はタカシが相手に感じていた気持ちのコピーだった。コピーアンドペースト。女の顔を、すでに懐かしささえ込み上げるその顔を見つめ、タカシの思考を満杯にしたのは復縁祈願でも蛍の光でもなく「自分は、結婚はおろかまともな恋愛ができるのだろうか。」という底はかとない不安だった。
見つめ返した女から、
「毒にも薬にもならない。」
と、ボソリとゴミを捨てるようにつけ足されたとき。女の視線が鋭利な角度で斜め上を向いたこと。その視線を見逃せない自分を恨めしく感じた。
仕事の忙しさにかまけ、忙しさからの疲れにかまけ、ここしばらく自分の身なりをほったらかしにしていた。もちろんほったらかしにしたのは身なりだけではなかった。疲労を栄養に白髪が増えたことは、女から非難の視線を向けられなくとも認識していた。
不安で満杯だった思考は、どうせ終わるのだからと砂をかけたくなる思考に変わった。真実を暴く女々しい砂。
「わかった。で、このあとどこに帰るの?」
寸でのところで、とっくに喉を通り過ぎ口内で出番を待っている言葉を飲み込んだ。心底情けないと思った気持ちが砂をかける言動のストッパーとなった。
「奇跡ってどこに売ってるんだ。」
キンと冷えた缶ビールを心底まずいと思う金曜の夜だった。味方どころか敵ですらなかった。
結局、奇跡を歌うグループの人数は把握できなかった。まずいビールに酔ったせいではなく、
「動くよねー。」
ポジションがコロコロ変わるダンスに目が追いつかなかったのだ。全部が同じ顔に見えて仕方なかった。
いつから自分は若い女を見てきれいやかわいいの前に、タイプの女を探す前に、団体の人数を把握したいと思うようになったんだろう。グループを団体と呼ぶようになったんだろう。自分はこの子達よりこの子達の親に近い歳なんだと考えるようになったんだろう。そもそもいつから自分はひとりごとを声に出すようになったんだろう。
いつだ。
ビールはまずくなる一方だった。
***
タカシは冷えたビールがまずかった夜を思い出す。
目の前の「知的で上品だし、セクシー。」と白髪を褒める女を見つめる。再会した日「すごい久しぶりね。」に続いた言葉と優しい声を思い出す。
万が一、ソノコにフラれるとき。
愛してると言った同じ口に憎しみを込め毒にも薬にもならないとフラれるとき。
きっと、フラれた次の日の朝、顔を洗う前に鏡を見て白髪まみれの髪を今日にでも染めたいと思うんだろう。
もう誰もこの髪を愛し、包容し、許容して共有し、
「タカシくんの全てをすきよ。」
と、この頭を胸の中に抱いてくれる人はいないときっと淋しくなる。結婚はおろかまともな恋愛ができるのだろうかと悩むより先に、ただ、ソノコの笑顔を思い出す。髪を黒く染め、白髪に悩むことはなくなる。
けれど。
鏡にうつる自分の黒い髪を見つめきっと、とても淋しくなるのだろうと思う。
*
目の前のソノコと、その瞳のなかにうつる自分と見つめ合いタカシは、一人だった金曜日の夜を、キンキンにまずいビールを、いまだ人数がわからない若い女の団体が歌う奇跡の歌詞を思い出す。
*********
高校生だった時から12年後本屋で偶然再会したとき
「すごい久しぶりね!」
の挨拶の次の言葉は
「髪、すごく素敵ね。」
であったことを今も鮮明に覚えている。その言葉の次に
「ありがとう。」
と、謙遜や卑屈やまた自虐の言葉を返すことはできず、それらの言葉を思い浮かべることさえさせない清潔な気持ちの良い響きにありがとう以外返すことはできなかった。
清潔な気持ちの良い響きのありがとうには懐かしさと同じ量の安らぎがあった。
*********
タカシはネイビーが似合うと思う。それは黒に近い濃紺色。ネイビーのティシャツが世界でいちばん似合うひとだと思う。けれどタカシは、
「一層際立たせている気がする。」
と、髪を撫で否定の苦笑をこぼす。
ネイビーのシャツから伸びる腕。腕組みをするときの、ひじから手首まで真っ直ぐな力強い線。遠くを見るとき少し細める目。ベッドで、眠っているときの顔も、苦しそうに響く気持ちいいの声も、眉間に寄せる皺も、耳元で聞く温かい息も。全部のタカシを好きだとソノコは思う。
「すごくおいしそうにごはんを食べているところなんて。たまらないわ。」
ソノコは目を閉じ言葉に力を込める。
「それはね、」
字幕が全部上に流れて、スクリーンが黒くなって、照明がついて明るくなった映画館でしばらく椅子から立ち上がれないくらい感動してチケットの半券を一生宝物にしたいと思う映画を観たあとみたいな。読み終わってしまうのが勿体無くて淋しくて、一旦、ページを閉じてしまう小説を一冊読んだあとみたいな。捨て曲が一曲もないアルバムを一枚聴いたあとみたいな気持ちよ。
大きな木を見上げて、風に揺れる葉っぱのカサカサって音を聞いて、その葉っぱと葉っぱの隙間から太陽がキラキラ落ちてくる。
「そんな気持ちになるの。タカシくんといると。それに、」
タカシくん眠いの?って聞きたくなってしまうような穏やかな表情はもちろん好きだけれど、怖いくらいに厳しい表情もたまらなく好き。
「つまり、タカシくんの全てがすきよ。」
目を閉じ、開く。
開いたソノコの目に自分が映っている。から、視線は確かに交わっているのだとわかる。けれど、ソノコはどこを見ているのだろうと思う。低い声、ゆっくり語るソノコの声に耳を委ねる。
そうか。
映画館にいる、
小説を読んでいる、
音楽を聴いている、
木を見上げ溢れる太陽を見上げている、
そうか、ソノコは今きっと幸せの中にいる。
タカシは、ソノコの瞳を、眠気を誘う愛の歌が溢れるよく動く唇を沈黙のまま見つめる。永遠に見つめ永遠に聴いていたいと願う。そして、ソノコのひと通りの説明が終わるとタカシは、
「うん。どれも全部よく分からないけどうれしいよ。ありがとう。」
笑う。
「ソノコが好きならなんでもいい。」
ソノコの首筋に顔を埋め強く抱きしめる。
泣きたくなるような幸せをソノコごと抱きしめ、タカシは目を閉じる。
*********
タカシの髪には白髪があった。
「知的で上品だし、セクシー。」なタカシの髪の色はソノコと再会した日から約一年後の3人の最後の日までブラックになることはなくずっとグレーのままだった。ソノコは時々タカシのグレーを思い、
「タカシくんはネイビーが似合う人だった。」
今も変わらず確信する。
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「改元記念」商品の第3弾を 【石橋静友堂 ねっと店】ほか グループ全店に掲載し、 連休のお知らせ と共にメルマガ配信させて頂きました。 #平成 #令和 #楽茶碗 #黒楽 #茶道 #茶道具 #茶の湯 #sadou #chado #chanoyu https://www.instagram.com/seiyudo/p/BwbeTZ0gdVX/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=1clfhbxfxq95h
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ダ-ティ・松本 不健全マンガ家歴30年[-α]史 ●はじめに この文章は同人誌「FUCK OFF!7」において書かれたものをベースにして逐次増補改定を加えていき、いずれ歴史の証言として、[というほど大袈裟なものでは無いが…]一冊の本にまとめたいという意図のもと、近年どんどん脳が劣化していくダ-松の覚え書きとしても使用の予定。事実関係は間違いに気付き次第 訂正。同人誌発表時のものも今回自粛配慮して、実名、エピソード等を削除した箇所有り。有り難い事に某出版社よりすでに出版打診があったがまだまだその時期ではない、マンガを描く事が苦痛になったら活字の方も気分転換にいいかも…。 /*マークは今後書き加える予定のメモと心得たし。 ●前史/修行時代・1970 さいとうプロの短くて濃い日々…… 1968年に上京。数カ月後東京は戦場に。熱い季節の始まりだった。 2年後親元を飛び出し友人のアパートに転がり込む。場所は渋谷から井の頭線で駒場東大駅下車、徒歩5分。地図で見ると現在の駒場公園あたり。昼間でも裸電球を付けなければ真っ暗という馬小屋のような部屋。数メートル先には当時の建設大臣の豪邸が…。前を通りかかるだびに警備のおまわりがじろり。 いつまでも友人に迷惑もかけられないのでとりあえずアシスタントでも…と手元にあったマンガ誌をひっくり返し募集を探す。幸いさいとうプロと横山まさみち氏のところでアシ募集があり両方応募。どっちか一つ通れば…と思っていたら何と両方受かってしまい、双方に条件を聞く。当時高円寺 のアパート、風呂無し4畳半の部屋で相場12000円の時代。前者一ケ月の給料10000円、後者20000円との事。給料の方がボロアパートの家賃より安いとは…!どう考えても前者は食う方法がないと判断し、後者さいとうプロへ入社。 ここに居たのはたったの半年に過ぎないけれど今思えばこれだけで本が一冊描ける位の濃い半年だった。しかしこのあと2X年分も書かねばならないことを思えば今回はいくつかのエピソードを書くだけに留めよう。 ダー松が入った時は小池一夫氏[クビ?]、神田たけ志氏や神江里見氏、きしもとのり氏[現・松文館社長]等と入れ替わりの時で、きし氏の女遊びの凄さと神江氏の絵のうまさは伝説になっていた。現在「亀有」「ゴルゴ」が歴代単行本の巻数の多いベスト1、2位だが[ともに100巻を越えた]、3位は神江氏の「弐十手物語」[70巻以上]だという事は知ってる人は少ないだろう。 当時の制作部は、さいとうたかを[以下ゴリ]をトップに石川班[ゴルゴ13、影狩り]、甲良班[バロム1]、竹本班[シュガー、どぶ等]の3つに分かれ、それぞれのキャップにサブ・チーフが一人づついて、ヒラが2~6人いるというシステムで総16名。独立し現在も活躍中の叶精作、小山ゆう、やまさき拓味の3名がそれぞれの班のサブ・チーフ。ダー松は石川班で左右1メートル以内に叶氏とゴリにはさまれ、のんびり出来ない状態で、はなはだ窮屈。叶氏はほとんどマンガ家になりたいとも思った事のなかった人で、設計事務所みたいなところで図面を引いていた人がなぜマンガプロダクションに来たのか不思議だった。格別マンガ好きというわけでもなかったせいか現在まで全ての作品が原作もので、オリジナルは一本もないのはそのせい?祭りなどの人がうじゃうじゃ出てくる群集場面が得意。 やまさき氏は大の競馬好き、現在競馬マンガを多く描くのは当時からの趣味が生きたというべきか。もう一つの趣味である風俗についてはここでは書くのは差し控えよう。小山氏は後日ここの事務の女性と結婚するが、当時はつき合っているとは誰も知らず、スタッフの一人がやめる時その女性に交際を申し込んだら、茶店に呼び出されて小山氏からと凄まれたと聞いたが嘘か本当かは不明。 ここでの生活は新入り[ダー松を含めて3名]は朝の9時前に会社に行き、タイムカードを押し、前日のごみをひとまとめして外に出し、トイレ掃除をして、16人分のお茶を2Fで入れて制作部のある3Fへの狭い階段をふらふら昇り、机ごとに置いて歩き、終れば、一息ついて買っておいたパンと牛乳を3分で食べて、やっとそれから仕事。しかし新入りの3名の内1人折茂は常に遅刻なのでいつも佐藤と2人でやっていた。佐藤も遅れる時はダー松1人で。辞めてから10年位、16人分のお茶を持って階段をふらふら歩きお盆をひっくり返す夢をよく見たものだが、実際ひっくり返したのは折茂と佐藤の2人で、よく茶碗を割っていた。 たまには夕方6時には帰れるが、普通は夜10時までで、アパートに帰って銭湯に行けばもう明日にそなえて寝る時刻、このくり返しの日々。週1日は徹夜で明け方に帰り、その時は当日の昼12時出勤。休日は日曜日のみで忙しい時はそれも取り消し。つまり休みは月3日。[これで給料2万円!]そんな日々の繰り返し。 夕方までは皆和気あいあいと仕事していたが、ゴリが夕方6時頃に「おはようさん」と現れると、全員無駄口がたたけなくなり、仕事場はシーンと静まり返り、以下その日が終わるまでは疲れる時間がただひたすら流れるのみ。 当時石川班は「ゴルゴ13」と「影狩り」を描いていたがゴリは主人公の顔と擬音のみ。マジックで最後に入れる擬音はさすがに入れる位置がうまいと感心。ゴルゴの顔はアルバムに大小取り混ぜてコピーがとってあり、忙しい時は叶氏がピンセットで身体に合わせて「これが合うかな~」といった感じで貼り付けていた。 その頃すでに「ゴルゴ」は近々終わると噂されていたが、現在もまだ続いているとは感嘆ものだ。 ゴリと石川氏が「ゴルゴ」の最終回の終わり方を話しているのを聞いたら、何ともつまらない終わり方。しかしあれから20年以上も経つ事だし、きっともっといい終わり方を考えてあるだろうなと思っていたら、先日TVで本人が最初から考えてある終わり方だと言うのを聞き、がっくり。企業秘密だろうから書かないが、作品の最初の方に伏線が数度出ているのでわかる人にはすぐわかる筈。 辞めた小池一夫氏とさいとうプロに何があったかは知らないが、漏れ聞く話では結構もめ事があったみたいだ。 「子連れ狼」で「ゴルゴ13」と同じ設定の回があった時、「小池のガキャー訴えたるー!」とゴリが吠えていたものだが、結局たち消え。さいとうプロ作品で脚本を書いた本人が辞めた後、他の作品で同趣向の作品を書いても著作権は脚本を書いた原作者のものだと思うがどんなものだろう。その回のタイトルは忘れたが、ある場所に居合わせた人々が武器を持った集団の人質となり、その中に素人だと思われていた主人公、実は殺しのプロフェッショナルがいて、次々とその集団を殺していく、といったプロットで、ミッキー・スピレーンの短編に同じような作品があり、本当に訴えていたら恥をかいたと思うが・・・。 そういえば事務の方には山本又一郎という男がいたが、後年映画プロデューサーとして 「ベル薔薇」や「太陽を盗んだ男」等を創る事になるが、この野郎が生意気な男で当時皆に対して10歳は年上、といった感じの振る舞いだったが後日俺と一つしか年が離れてなかった事を知り、そんな若造だったとは、と皆怒ったものだ。以来奴の事を「マタさん」から「クソマタ」と呼ぶようになる。 さて半年後に先輩たちが積もり積もった不満を爆発させる反乱事件が勃発し、2年は居るつもりでいたここでの生活も、辞めるか残るかの選択を迫られる。残ればさいとうプロの現体制を認める事となるので、ダー松も退社。 しかし反乱グループとは別行動をとって一人だけの肉体労働のアルバイター生活へ突入。超ヘビーな労働の製氷工場、人使いの荒い印刷所、命綱もない高所の足場で働く建設現場等々。トラックの助手をしていた時は運ちゃんが「本宮ひろしって知ってるか?うちの息子の友達でさぁ、昔、おっちゃんメシ食わしてくれーなんて言ってきたもんだが、今は偉くなっちゃってさー、自分のビル建てたらしいよ。赤木圭一郎みたいにいい男なんだ。」とうれしそうに話してくれたが、運ちゃんには悪いがそいつは今も昔も一番嫌いなマンガ家なんだ。あの権力志向はどうにかならんか。天下を取る話ばかりだもんなぁ。 ところで後日、単行本の解説で高取英が「さいとうたかをのヤローぶっ殺してやる!」とダー松が言ったなどと書いているが、小生はそんな危ない事言った覚えはないのでここできっちり訂正しておきます。 「会社に火ィつけてやる!」位は言ったかも・・・[嘘] 。 悪口は言っても別に怨みなど無い。ところでアシスタントとしてのダー松は無遅刻、無欠勤以外は無能なアシだったと反省しきり。理想的なアシスタントとはどんなものか、それはまた別の機会に。 *入社試験はどんな事を? *さいとうプロには当時ほとんどろくな資料は無かった? *ハイジャックの回の飛行機内部の絵は、映画「大空港」を社内カメラマンが映画館で写してきたものをもとに描く。 *当時のトーンは印刷が裏面にしてあり上からカッターでけずったり出来ない。 *トーンの種類は網トーンが数種、それ以外はほんの3、4種類位しかなかった。 *仕事中のB.G.M.はアシの一人が加山雄三ばかりかけるので大ひんしゅく。好評だったのは広沢虎造の浪曲「次郎長三国志」、初代桂春団次の落語。眠気もふっとぶ位笑えた。 ダ-松が岡林信康の「見る前に跳べ」をかけてるとゴリは「何じゃー!この歌は!」と怒る。名曲「私たちの望むものは」はこの男には理解不能。 ●1 9 7 1 ~ 1 9 7 4 持 ち 込 み & 実 話 雑 誌 時 代 当時は青年劇画誌全盛時代で、もともと望月三起也氏や園田光慶氏のファンで活劇志向が強く、 主にアクションもののマンガを描いて持ち込みに行っていた。今のようにマンガ雑誌が溢れかえって、山のようにマンガ出版社がある時代ではなく、数社廻るともう行くところがない、という状態で大手では「ビッグコミック」があっただけで 「モーニン��」も「スピリッツ」も「ヤン・ジャン」も当然まだない。テーマを盛り込んだ作品を持って行くと編集から「君ィ、うちは商売でやっているんだからねぇ」と言われ、アクションに徹した作品を持って行くと「君ぃ、ただおもしろいだけじゃあねぇ」と言われ 「おい、おっさん!どっちなんだ?」とむかつく事多し。この辺の事は山のように書く事があるが、有りすぎるのでパス。 *そのうち書く事にする。 ただ金属バットで頭をカチ割って脳みそをぶちまけてやりたいような奴が何人もいたのは事実。今年[’97]「モーニング」に持ち込みに行って、断られた奴が何万回もいやがらせの電話をかけて逮捕された事件があったが、そのうちトカレフを持って殴り込みに行く奴が出てくるとおもしろい。出版社も武装して大銃撃戦だぁ!などと馬鹿な事書いてどうする!とにかく持ち込みにはいい思い出が何もない。そんな中、数本だけ載った作品は渡哲也の映画「無頼」シリーズの人斬り五郎みたいな主人公がドスで斬り合う現代やくざもの[この頃の渡哲也は最高!]、ドン・シーゲルの「殺人者たち」みたいな二人組の殺し屋を主人公にした『汚れたジャングル』、陽水の「傘がない」が好きだという編集さんの出したテーマで車泥棒とブラックパンサーの闘士とのロード・ムー��ー風『グッバイ・ブラザー』、拳銃セールスマンを主人公にした『ザ・セールスマン』、等々10本ちょい位。 さてその頃並行してまだエロマンガ専門誌といえるようなものがなかったような時代で、実話雑誌という写真と記事ページからなる雑誌に4~10ページ位を雑誌の味付けとして描かせてもらう。当時、お手本になるようなエロマンガなど皆無で、エロ写真雑誌を古本屋で買ってきてからみのポーズを模写。マンガで裸を描く事はほとんど初めてで、これがなかなか難しいのだがエロシーンを描くのは結構楽しい。当時出版社に原稿持って行き帰りにグラフ誌をどっともらって帰るのが楽しみだった。SM雑誌の写真ページも参考になる。なお当時のペンネームは編集部が適当につけた池田達彦、上高地源太[この名前はいけてます。また使いたい]等。その数年後、逆にマンガが主で記事が味付けというエロマンガ誌が続々と創刊される。 *さいとうプロをやめたあと編集や知人に頼まれて数人のマンガ家の所へ手伝いに行く。秋田書店「漫画ホット」で『ジェノサイド』を連載中の峰岸とおる氏の所へ行き、仕事が終わったあとまだ売れてない頃の榊まさる氏も交え酒を飲む/川崎のぼる大先生のところへ数日だけ/3000円たこ部屋/小山ゆうオリオンププロ *当時のアルバイトは記憶によると時給150~200円位/大日本印刷市ヶ谷駐屯地/坂/ *一食100円/どんなに貧しい漫画家もみかん箱の上で書くやつはいない/TV萩原サムデイ *ろくでなし編集者 ●1 9 7 5 ~ エ ロ マ ン ガ 誌 時 代 に 突 入 実話誌は意外とエロは抑え目で描くように口すっぱく言われていたのだが、以前活劇っぽい作品を描かせてもらってたが潰れてしまった出版社にいた児島さんが編集する「漫画ダイナマイト」で打合せも何にもなしに好きに描かせてもらい、ここでエロマンガ家としての才能[?]が開花する。描いてて実に楽しく眠る時間がもったいない位で、人に睡眠時間が必要な事を恨んだ程。出来る事なら一日中休まず描いていたい気分で完全にはまってしまう。 初の連載作品「屠殺人シリーズ」はこの頃から/『漫画ポポ』。中島史雄氏は大学時代にこの作品を見ていたとの事で、トレンチコートにドクター・ペッパー模様のサイレンサーつきマグナム銃で遊戯人・竜崎一也が犯しまくり殺しまくり、サディスト、マゾヒスト、殺人狂、まともな奴が一人も出てこない性と暴力の祭典。ちなみにタイトルページは描かないでいい、との事でどうするのかと思っていたら編集部が中のワンカットを拡大してタイトルページを創り、1ページぶんの原稿料をけちるというせこいやり方だった。けちるといえば、原稿の1/3にCMを入れる際、原稿料を1/3削った会社もあり。 ●1 9 7 6 ~ 後に発禁仲間となる高取英と出逢い、『長編コミック劇場』で「ウルフガイ」みたいのをやろうと、怒りに震えると黒豹に変身してしまう異常体質の主人公を設定し、獣姦のイメージで「性猟鬼」なるエロマンガをスタート!しかしその号で雑誌が潰れる。この路線は今でもいけそうな気がするがどんなものだろう。 この頃の珍品に「快楽痴態公園」がある。タイガースに11-0とワンサイドで打ちまくられ、怒ったジャイアンツファンのおっさんが公園でデート中の女をずこずこに犯りまくり、その間にジャイアンツは9回裏に12-11とゲームをひっくり返してしまうのである!その時のジャイアンツの監督はもちろんミスター長嶋、先発堀内、打者は柴田、土井、高田、王、張本等々がいる。タイガース監督は吉田、ピッチャー江本、キャッチャーフライを落球する田淵、そしてあの川藤もいる。解説は牧野…… ●1 9 7 7 ~ 上記2作品を含む初の単行本「肉の奴隷人形」が久保書店より発行。後にリングスの会場で逢った佐竹雅昭氏はこの本が一番好きとの事だった。 「闇の淫虐師」もこの年スタート。一話完結でバレリーナ、バトンガール等々、毎回いろんな女たちをダッチワイフのごとくいたぶりまくるフェチマンガとして1979年まで続け、単行本は「堕天使女王」「裂かれた花嫁」「エロスの狂宴」「陶酔への誘い」「終りなき闇の宴」の全5巻。ちなみに今年「闇の淫虐師’97」を『コミック・ピクシィ』にて発表。いつか『闇の淫虐師・ベスト選集』でも出したいところ。 [’98に実現、’99には続刊が出る] ●1 9 7 8 ~ 久保書店より第2弾の単行本「狂った微惑人形」。収録作品の「犯された白鳥」は持ち込み時代に描いた初のバレリーナもの。結構気に入っていた作品なのに、後年再録の際、印刷所の掃除のおばさんが捨ててしまい、この世にもはや存在しない不幸な子となる。[’99に宝島スピード・ブックに本より直接スキャンして収録] エロ、グロ、ナンセンスの会心作「恍惚下着専科」を発表。サン出版より同名の単行本発行。また同出版より「コミック・ペット/堕天使画集」として今までの作品を続々単行本化。全10巻位。これは今でも古本屋で流通しているとの事で、まだまだ世間様のお役にたっているらしい。 この年、「堕天使たちの狂宴」を描いていた『漫画エロジェニカ』が発禁処分、来年でもう20年目となる事だし、当時の人たちと集まってその大放談を収録し「発禁20周年特集号」でも創ってみようかと計画中。さて当時の秘話としてもう時効だろうから書いてみるけど、前述の『堕天使画集』に「堕天使たちの狂宴」は収録される事となり、当然修正をガンガン入れて出版されるものと覚悟していたら、米国から帰国後出来上がった本を見ると発禁になった状態のまま再録されている!以下桜木編集長との会話 ダ/いや~、いい度胸してますね。 編/だって修正してあるじゃない。 ダ/その修正状態で発禁になったんですよ 編/・・・・・ ダ/・・・・ 以下どんな会話が続いたのか失念…… それにしてもサドの「悪徳の栄え」の翻訳本は発禁後20年以上して復刻されたけれど、「堕天使たちの狂宴」は半年もしない内に単行本になっていたとはエロ本業界とは何といいかげんな世界!しかし作品そのものは、今見るとリメイクする気にもならないどうという事もない可愛い作品で、結局あれもあの時代の姑息な政治のひとかけらに過ぎなかったのだろう。いい点があるとしたら一つだけ、それまでのエロマンガになかった瞳パッチリの少女マンガ的ヒロインを登場させた事位か。今の美少女エロマンガは本家の少女マンガもかくや!という位眼が大きいが当時としては画期的だったかも。 ●1 9 7 9 ~ この年の「淫花蝶の舞踏」は「堕天使たちの狂宴」よりずっといい/『漫画ソフト』。今年出た「別冊宝島/日本一のマンガを探せ!」でベスト2000のマンガがセレクトされているが、ダー松の作品の中ではこの作品が選ばれている。教師と生徒、二人の女たちが様々な男たちの手によってに次々ともてあそばれ、闇の世界を転々として再び巡り会う時、女たちは蝶と化し水平線の彼方に飛び去り、男たちは殺し合い血の海の中で屍と化す。ダー松作品にはこのように男根が女陰の海に飲み込まれてに負けるパターンが多い。[性狩人、遊戯の森の妖精、美少女たちの宴、人魚のたわむれ・・等々] この年からスタートの「性狩人たち」シリーズ[劇画悦楽号]はバレエ、バイオレンス、SEXの三要素がうまくからみあい、それぞれが頂点まで達する幸福な神話的作品だ。ここから派生した路線も多く、美少年路線は’83の「聖少女黙示録」へ。身体障害者路線は’80の「遊戯の森の妖精」、’84からの「美姉妹肉煉獄」へと繋がる。’81の最終話「ハルマゲドンの戦い」ではせりふなしで24ページ全てが大殺戮シーンという回もあり、中でも一度やりたかった見開きで銃撃戦の擬音のみという事も実現。こんな事がエロマンガ誌で許される時代だった。ちなみにこの回は[OKコラルの決闘・100周年記念]だが、何の意味もない。単行本は最初サン出版より、その後久保書店より「白鳥の飛翔」「少女飼育篇」「ヘラクレスを撃て!」「眼球愛」「海の女神」の全5刊。現在入手出来るのは後の3刊のみ。[「海の女神」も最近在庫切れ] この年出た「人魚のたわむれ」の表題作は性器に��たこ}を挿入するカットを見た編集長が「・・・[沈黙]・・・頭おかしいんじゃ・・ブツブツ・・気違い・・・ブツブツ・・・」と呆れてつぶやいていたのを記憶している。たこソーニューは今年出た「夜顔武闘伝」で久しぶりに再現。なおこの作品は’83にマンガと実写を噛み合せたビデオの珍品となる。水中スローモーションファックがなかなかよい。 ●1 9 8 0 ~ なぜか「JUNE」の増刊として作品集「美少女たちの宴」がサン出版より出版され、その短編集をもとに脚本化し日活で映画が創られる事となる。[「花の応援団」を当てたこの映画の企画者・成田氏は日活退社後「桜の園」等を創る。]その際、初めて映画撮影所を見学し、せこいセットがスクリーン上ではきちんとした絵になってるのを見て映画のマジックに感心。タイトルはなぜか「性狩人」で、’96にビデオ化された。監督・池田敏春のデビュー第2作となり現在までコンスタントに作品を発表しているが、出来のいい作品も多いのになぜか代表作がない。初期の「人魚伝説」が一番いいか。 この映画に合わせて「美少女たちの宴」を2~3回のつもりで「漫画ラブラブ」で描き出すがどんどん話がふくらみ、おまけに描いてる出版社が潰れたり、雑誌が潰れたりで雑誌を転々とし条例による警告の嵐がきた「漫画大飯店」を経て、「漫画ハンター」誌上で完結したのは’83になる。この作品でクリトリスを手術してペニスのように巨大化させるという人体改造ものを初めて描く。 この年の「遊戯の森の妖精」は身体障害者いじめ鬼畜路線の第2弾!森の中の別荘に乱入したろくでなしの二人組が精薄の少女の両親達を虐殺し、暴行の限りをつくすむちゃくちゃな作品で、雷鳴の中、少女の性器に男達のペニスが2本同時に挿入されるシーンは圧巻!しかしこのとんでもない男達も少女の性のエネルギーに飲み込まれ、朽ち果てていく・・・。 ●1 9 8 1 ~ 美少女マンガ誌のはしり「レモン・ピープル」誌創刊。そこで描いたのが「白鳥の湖」。虚構の世界のヒロインを犯すというコンセプトは、アニ��やゲームのヒロインをずこずこにするという今の同人誌のコンセプトと同じかも。バレエ「白鳥の湖」において悪魔に捕われたオデット姫が白鳥の姿に変えられる前に何にもされてない筈がないというモチーフにより生まれたこの作品は、悪魔に男根を植えつけられたヒロインが命じられるままに次々と妖精を犯して歩き悪魔の娘となるまでを描くが、あまり成功したとは言えない。ただ人形サイズの妖精をしゃぶりまくり淫核で犯すアイデアは他に「少女破壊幻想」で一回やっただけなのでそろそろもう一度やってみたいところ。「ダーティ松本の白雪姫」はその逆をいき、犯す方を小さくした作品で7人の小人が白雪姫の性器の中にはいり、しゃぶったり、処女膜を食べたり、と乱暴狼藉![ちなみに両者をでかくしたのが同人誌「FUCK YOU!3」の「ゴジラVSジュピター」]この童話シリーズは意外と好評で続いて「ダーティ松本の赤い靴」を上記の単行本に描き下ろして収録。童話は結構残酷なものが多く、この作品も切られた足だけが荒野を踊りながら去って行くラストは原作通り。 *近年童話ブームだがこの頃もっと描いておけば「こんなに危ない童話」として刊行出来たのにとくやまれる。 「2001年快楽の旅」もこの本に収録。快楽マシーンを逆にレイプしてしまう、珍しく映画「2001年宇宙の旅」風のSF作品。 掲載誌を決めずに出来る限り多くのマンガ誌で描こうというコンセプトで始めたのがこの年スタートした「怪人サドラン博士」シリーズ。「不死蝶」シリーズや「美少女たちの宴��シリーズの中にも乱入し、「漫画ハンター」最終号では地球をぶっ壊して[その際地球は絶頂の喘ぎ声をあげ昇天する!]他の惑星へ行ってしまう。今のところ10誌位に登場。いつかこのサドラン・シリーズだけ集めて単行本化したいところ。ちなみに「サド」と「乱歩」を足して「サドラン博士」と命名。作者の分身と言っていい。 [後年、「魔界の怪人」として全作品を収録して刊行、04年現在品切れ中] この年描いて’82の単行本『妖精たちの宴』に収録の「とけていく・・」はレズの女たちが愛戯の果てに、肉体が溶けて一匹の軟体動物と化す、タイトルも内容も奇妙な作品。作者の頭もとけていた? ●1 9 8 2 ~ 1 9 8 3 ’83年に「美少女たちの宴」が完結。全てが無に帰すラストのページは真っ白のままで、このページの原稿料はいりません、と言ったにもかかわらず払ってくれた久保書店、偉い![明文社やCM頁の稿料を削った出版社=某少年画報社なら払わなかっただろうな……と思われる……]この作品以外は短編が多く、加速度をつけてのっていく描き方が得意のダー松としてはのりの悪い時期に突入。また10年近く走ってきてだれてきた頃でもあり第一次落ち込み期と言っていい。マンガがスタンプを押すように描けないものか、などとふとどきな考えまで湧いてくる。思えば一本の作品には、いったい何本の線を引いて出来上がっているものなのか。数えた馬鹿はいないだろうが数千本は引いている筈。一ヵ月に何万本とペンで線を引く日々・・うんざりする筈です。 この頃のめぼしい短編をいくつか書くと、少女マンガ家の家に税務調査にきた税務署員が過小申告をネタにねちねちいたぶるが、アシスタントに発見された署員は撲殺される。そして板橋税務署は焼き討ちにあう、といった作品「[タイトル失念]xx税務調査」。[後日読者よりこのタイトルを「色欲ダニ野郎」と教えていただく。ひどいタイトル *編集者のつけるタイトルはその人のセンスが実によくわかる。しかしサイテ-の題だなこりゃ…。 果てるまで「おまんこして!」と言わせながら処女をやりまくる「美処女/犯す!」はラスト、狂った少女が歩行者天国の通行人を撃ちまくり血の海にする。「嬲る!」はパンチドランカーとなった矢吹ジョーが白木葉子をサンドバッグに縛りつけ、殴って、殴って、殴りまくる。段平おっちゃんの最後のセリフ「・・ブスブスくすぶっちゃいるが・・・」「打てッ!打つんだ!ジョー!」「お前はまだ燃えつきちゃいねえ!」とはエロ・ドランカーの自分自身に向けて発した言葉だったのかも。トビー・フーパーばりの「淫魔のはらわた」は電気ドリルでアナルを広げてのファック!とどめにチェーンソーで尻を切断!いまだに単行本に収録出来ず。[’98の「絶頂伝説」にやっと収録]「からみあい」は夫の愛人の性器を噛みちぎる。「危険な関係」はアルコール浣腸をして火をつけ尻から火を吹かせる。この手は『FUCK YOU!2』の「セーラー・ハルマゲドン」で復元。そういえばこの作品の序章と終章だけ描いて、間の100章位をとばすやりかたはこの頃の「禁断の性獣」より。女性器にとりつき、男性器に変身するエイリアンの侵略により地球は女性器を失い滅亡する、といったストーリーで当時聞いた話では谷山浩子のD.J.でこの作品がリスナーの投書でとりあげられ、ダー松の名はダーティ・杉本と読まれたそうな。ヒロインの少女がひろ子という名前なのでこのハガキが選ばれたのかもしれないが、作者は薬師丸ひろ子からとったつもりだったのだが・・。[別にファンではない。] 「女教師狩り」は映画館で観客に犯される女教師とスクリーン上の同名のエロ映画の二本が同時進行し、一本で二本分楽しめるお得な作品。 ’83は’80に「漫画エロス」にて描いた「エロスの乱反射」の最終回の原稿が紛失したため単行本が出せないでいたのを、またまた「仏の久保さん」に頼んでラスト近くをふくらませて「漫画ハンター」に3回程描かせてもらい、やっと’85に出版。見られる事に快感を覚えるファッション・モデルが調教される内に、次第に露出狂となっていき、街中で突然裸になって交通事故を起こさせたり、最後はビルの屋上でストリップショー。そしてカメラのフラッシュの中に飛び降りていき、ラスト1ページはその性器のアップでエンド! 本格美少年・ゲイ・マンガ「聖少女黙示録」も’83。レズの姉たちの手によって女装に目覚めた少年がホモのダンサーたちに縛られなぶられ初のポコチンこすり合いの射精シーン。そして性転換して女となった主いるが、その中の’84の「白い肌の湖」はタイトルで解る通りのバレリーナものだがポコチンを焼かれた男が、一緒に暮ら人公が手術で男になった少女と暮らすハッピーエンド。この作品は単行本「美少女ハンター」に収録されてす二人の女と一人の男に復讐するエンディングがすごい!まず男の性器を切り取り、片方の女の性器にねじ込んだあと、その女の性器ごとえぐり取る。そしてその二つの性器をつかんだまま、もう一人の女の性器にフィストファック!のあげく、その二つの性器を入れたままの女性器をナイフでまた切って、ほとんどビックマック状態でまだヒクヒクうごめく血まみれの三つの性器を握りしめるとんでもない終り方!全くダー松はこんな事ばかりやっていたのかとあきれかえる。もう鬼畜としか言い様がない!しかし「ウィンナー」を二枚の「ハム」で包むなんて・・GOODなアイデアだ、又やってみよう。 ●1 9 8 4 ~ 「漫画ハンター」で「闇の宴」前後篇を描き、後日これをビデオ化。雪に包まれた六本木のスタジオで痔に苦しみながらの撮影。特別出演として中島史雄氏が絶妙の指使い、東デの学生時代の萩原一至が二役、取材に来たJITAN氏もスタジオに入ってきた瞬間、即出演で生玉子1000個の海で大乱交。カメラマンが凝り性で照明が気に入るまでカメラを廻さず、たった二日の撮影はやりたい事の半分も出来ず。撮影が終ると痔はすぐに完治。どうもプレッシャーからくる神経性だったみたいでこれに懲りてビデオは一本のみ。 この年の「肉の漂流」は親子丼もので、近所の書店のオヤジからこの本はよく売れたと聞いたが、一時よく描いたこのパターンは最近では「FUCK YOU!3」の「母娘シャワー」のみ。熟女と少女の両方が描けるところが利点。「血の舞踏」は久しぶりの吸血鬼もの。股間を針で刺し、噛んで血を吸うシーン等々いい場面はあるが、うまくストーリーが転がらず3回で止める。短編「果てるまで・・」は核戦争後のシェルターの中で、父が娘とタイトル通り果てるまでやりまくる話。被爆していた父が死んだ後、娘はSEXの相手を捜して黒い雨の中をさまよう。 またリサ・ライオンの写真集を見て筋肉美に目覚め、マッチョ女ものをこの頃から描き出す。しかしなかなか筋肉をエロティックに描くのは難しい。 ●1 9 8 5 ~ くたびれ果ててすっかりダレてきたこの頃、8年間働いてくれたアシスタント女史に代わってパワーのかたまり萩原一至、鶴田洋久等が東京デザイナー学院卒業後加わってダーティ・マーケットも第2期に突入!新旧取り混ぜておもしろいマンガをいろいろ教えて貰って読みまく��。「バリバリ伝説」「ビーバップハイスクール」「ペリカンロード」「めぞん一刻」「わたしは真悟」「Be Free!」「緑山高校」「日出処の天子」「吉祥天女」「純情クレイジー・フルーツ」「アクター」「北斗の拳」「炎の転校生」「アイドルをさがせ」「綿の国星」「いつもポケットにショパン」「バツ&テリー」「六三四の剣」永井豪の絶頂期の作品「バイオレンス・ジャック」「凄之王」「デビルマン」等々100冊以上とても書ききれない位で、う~ん・・マンガってこんなにおもしろかったのか、と感動! そこで眠狂四郎を学園にほうり込んで、今まであまり描かなかった学園マンガをエロマンガに、というコンセプトで始めたのが「斬姦狂死郎」。「六三四の剣」ばりに単行本20巻を目指すものの、少年マンガのノリは今では当たり前だが、当時はまだエロマンガとして評価されず、ほんの少し時代が早すぎたかも。’86に中断、今年’97に「ホリディ・コミック」にて復活!果たしていつまで続けられるか? →後に「斬姦狂死郎・制服狩り」、「斬姦狂死郎・美教師狩り」として刊行完結 前年末から始めた「美姉妹肉煉獄」は身障者いじめの鬼畜路線。盲目の姉とその妹を調教して性風俗店等で働かせ、娼婦に堕していく不健全・不道徳な作品で、肉の快楽にひたっていく盲目の姉に対し妹も「春琴抄」の如く己の眼を突き、自らも暗黒の快楽の世界にはいり、快楽の光に目覚めるラスト。 また、これからは女王様物だ!となぜか突然ひらめき「筋肉女」シリーズの延長としてフィットネス・スタジオを舞台に「メタル・クイーン」シリーズも開始。これは単行本2冊分描いたが、連載途中でヒロインの髪型を歌手ステファニーのヘア・スタイルにチェンジしたり、レオタードもたっぷり描けてわりと気に入っている。 10年近く描いた「美蝶」先生シリーズもこの年スタート!こうしてみるとマンガを描く喜びに満ちた大充実の年だったかも。 ●1 9 8 6 ~ この年は前年からの連載ものがほとんどだが、「エレクト・ボーイ」は空中でファックするシーンが描いてみたくて始めた初の超能力エロマンガ。コメディ的要素がうまくいかず2回で止める。この路線は翌年の「堕天使輪舞」で開花。 「夜の彷徨人」は自分の育てた新体操選手が怪我で選手生命を失ったため、その女を馬肉のごとく娼婦として夜の世界に売り渡した主人公という設定。しかし腕を折られ、女にも逆に捨てられ、そして事故によってその女を失ったあげく不能となってしまう。失った快楽を取り戻すため無くした片腕にバイブレーターを取りつけ、夜の街をさすらい次々と女たちをレイプしていくというストーリー。がっちり設定したキャラだったのにまったく話がはずまず、男のポコチンは勃起しないままに作品も不発のまま終る。 「斬姦狂死郎」が不本意のまま終わったため学園エロス・シリーズは「放課後の媚娼女」へと引き継がれる。当時見ていた南野陽子のTV「スケバン刑事・」とS・レオーネの「ウエスタン」風に料理。ラストの「男といっしょじゃ歩けないんだ」のセリフは一番好きな映画、鈴木清順の「東京流れ者」からのもじり。単行本は最初司書房から出て、数年後ミリオン出版から再販、そして’97久保書店より再々販ながら結構売れて今年また再版。この作品は親を助けてくれる有難い孝行息子といったところ。 ●1 9 8 7 ~ さいとうプロOBで那珂川尚という名のマンガ家だった友人の津田が「漫画ダイナマイト」の編集者になっていて、実に久しぶりに同誌で「堕天使輪舞」を描く。超能力エロマンガの第2弾。今回はエロと超能力合戦とがうまくミックスされ一応成功といっていい。この路線は「エレクト・ボーイ」とこの作品、そして’96の「夜顔武闘伝」も含めてもいいかも。一時、この手の作品は数多くあったが最近はめったに見かけない。しかし、まだまだこの路線には鉱脈が眠っているとにらんでいるがどんなものだろう。 ●1 9 8 8 ~ 「放課後の媚娼女」に続いて抜かずの凶一無頼控え「放課後の熱い祭り」を2年がかりで描く。’89に完結し司書房より単行本化。そして今年’97に改定してめでたく完全版として復刊!この頃が一番劇画っぽい絵で、たった2~3人のスタッフでよくこれだけ描き込めたなと改めて感心!エロシーンがちょっと少なめながら中島史雄氏がダー松作品でこの作品が一番好き、とお褒めの言葉を頂戴する。 TVで三流アマゾネス映画を見ている内、むくむくとイメージがふくらみ、昔から描きたかった西部劇と時代劇がこれで描けると、この年スタートさせたのが「不死蝶伝説」なるアマゾネス路線。昔々青年誌の創世期にあのケン月影氏がマカロニ・ウエスタンを描いていたことを知る人は少ないだろう。俺もあの頃デビューしていたらウエスタンが描けたのに、と思う事もあったが、このシリーズでほんの少しだけその願望がかなう。 この頃、アシスタントやってくれてた格闘技マニアの鶴田洋久に誘われ、近所の空手道場通いの日々。若い頃修行のため新宿でやくざに喧嘩を売って歩いたという寺内師範は、もう鬼のような人で、行けば地獄が待っていると判っててなぜ行く?と不思議な位休まず通う。体育会系はマゾの世界と知る。組手は寸止めではなく顔面以外は当てて可だったので身体中打撲のあざだらけ、ビデオで研究したという鶴田の体重をかけたムエタイ式の蹴りをくらい、右手が饅頭のように腫れ上がる。先輩たちの組手の試合も蹴りがもろにはいってあばら骨が折れたりで、なぜこんなヘビーな事をする?と思うが、闘う事によって身体の奥から何か沸き上がってくるものがある。スリランカの元コマンドと組手をやった時、格闘家の気持ちが少しだけ判るようになった。 ●1 9 8 9 ~ ’94まで続く「美蝶」シリーズでこの年は『ノスフェラトウ篇』を描き、シリーズ中これが一番のお気に入り。同人誌の「王夢」はこれが原点。 短編では「悪夢の中へ」はスプラッタ・エロマンガで久しぶりにチェーンソゥでお尻のぶった切り!はらわた引きずり出し、人肉食いちぎり!顔面叩き割り等々でラストに「ホラービデオの規制をするバカは俺が許さん!」などと書いているので、この年が宮崎事件の年か?世間は彼が日野日出志・作のホラービデオ「ギニーピッグ」を見てあの犯罪をおかした、としてさんざんホラービデオの規制をやっといて、結局見てもいなかったとわかったあとは誰一人日野日出志氏にもホラービデオさんにも謝らす゛知らんぷり。残ったのは規制だけで、馬鹿のやる事には全く困ったもんである。先日の「酒鬼薔薇・14才」の時も犯罪おたくの心理学者が、「これはマンガやビデオの影響です。」などと相も変わらずたわけた寝言をぬかしていたが、馬鹿はいつまでたっても馬鹿のまま。少しは進歩しろよ!お前だよ、��前!短絡的で幼稚な坊や、小田晋!よぅく首を洗っとけ!コラ! 「獣人たちの儀式」は退学者や少年院送りになつた生徒、暴走族、ヤクザ達が集まって酒盛りしながら女教師たちをずこずこにしてOB会をひらく不健全作品。編集長が「また危ない作品を・・・」とこぼしたものだが、岡野さん、田舎で元気にお過しでしょうか。この頃の「漫画エロス」には「ケンペーくん」だとか「アリスのお茶会」だとかおもしろい作品が載っていたものです。「爆走遊戯」は伝説のストーカー・ろくでなしマンガ家の早見純が一番好きな作品と言ってくれたが、なぜだかわからない。人の好みはいろいろです。以上3本は単行本「熱き唇の女神」に収録。 「ふしだらな女獣たち」はフェミニストの女二人が美少年をいじめる話。これは「氷の部屋の女」に収録。 ●1 9 9 0 ~ この年の「美蝶」シリーズは『ダンシング・クイーン篇』。マネキン工場跡でJ・ブラウンの「セックス・マシーン」にのせて5人プレイをするシーンや文化祭でのダンスシーン等々結構好きな場面多し。暗くて硬い作品が多いので、この「美蝶」シリーズは肩肘張らずに、かなり軽いノリでキャラクターの動きに任せて、ストーリーも、そして次のコマさえも先の事は何にも考えず、ほとんどアドリブで描いた時もある。 「不死蝶伝説」に続いてシリーズ第2弾「不死蝶」は2誌にまたがって2年位続ける。これも結構お気に入りの一遍。 ●1 9 9 1 ~ 1 9 9 3 「性狩人たち」の近未来版、といった感じの「夜戦士」は学園物が多くなったので、マグナム銃で脳天をぶっとばすようなものが又描きたくなって始めたミニシリーズ。全5話位。松文館より単行本「黒い夜と夢魔の闇」に収録。 この年から知り合いの編集者がレディス・コミックを始める人が多く、依頼されてどうしたものかと思ったが、エロなら何でもやってみよう精神と何か新しい世界が開けるかも、という事から’94位までやってみたものの結果的に不毛の時代に終わる。与えられた素材が体験告白物という事で、非現実的なものは描けないという事は得意技を封印して戦うようなもので苦戦を強いられ、これって内山亜紀氏がやまさき十三原作の人情話を描いたようなミス・マッチングで不発だったかな。今後、もしやることがあれば美少年SMのレディス・コミックのみ。そんな雑誌が出来れば、の話だが。 いくつかやったレディコミの編集の一人「アイリス」の鈴木さんは同じさいとうプロOBで、マンガ・アシスタント、マンガ家、マンガ誌の編集、そして今はマンガ学校の講師、とこれだけ多くのマンガに関わる仕事をしてきた人はあまりいないだろう。これでマンガ評論でもやれば全て制覇だが・・・。 この頃はいつもと同じ位の30~40本の作品を毎年描いていたが、レディコミは一本30~40枚とページが多く結構身体にガタがきた頃で、右手のひじが腱傷炎になり1年以上苦痛が続く。医者通いではさっぱり痛みがひかず、電気針で針灸治療を半年位続けてやっと完治。その後、住んでいたマンションの理事長を押しつけられ、マンション戦争の渦中に巻き込まれひどい目にあう。攻撃するのは楽だが、話をまとめるなどというのは社会生活不適格のダー松には大の苦手で「お前等!わがままばかり言うのはいいかげんにしろー!」と頭をカチ割りたくなるような事ばかりで、ひたすら我慢の日々で血圧がガンガン上がり、病院通いの日々。確実に寿命が5年は縮まる。あの時はマジで人に殺意を抱いたものだが、今でも金属バット持って押しかけて奴等の脳みそをクラッシュしたい気分になる時もある。いつかこの時の事をマンガにしようと思っていて、まだ誰も描いてない「マンション・マンガ」というジャンル、タイトルは「我が闘争」。え?誰も読みたくない? この間に出た単行本は「血を吸う夜」、「赤い月の化身」「熱き唇の女神」[以上・久保書店] /「牝猫の花園」「真夜中の人魚たち」[以上久保書店]、「美蝶/放課後篇」「美蝶/ダンシング・クイーン篇」「不死蝶/鋼鉄の女王篇・上巻」[以上ミリオン出版]。 ●1 9 9 4 ~ 1 9 9 5 ろくでもない事が続くのは厄払いをしなかったせいか、このままここにいたら頭がおかしくなる、と15年以上いたマンションから引っ越し。板橋から巣鴨へ移動し気分一新!以前からうちもやりましょうよ、と言われていた同人誌創りをそのうち、そのうちと伸ばしてきたものの遂に申し込んでしまい、創らざるをえなくなる。しかもそれが引っ越しの時期と重なってしまい大いに後悔する。しかしいろんな人にお願いして何とか一冊でっちあげ、ムシ風呂のような夏コミに初参加。これが運命の分岐点。レディコミもこの年で切り上げ、以下同人街道をまっしぐら。現在まで「FUCK OFF!」が9まで、「FUCK YOU!」が4まで計10+&冊創る。 ’95からダーティ松本の名前にも飽きてきたしJr,Sam名でも描き始める。 レディコミ時代は松本美蝶。あと2つ位違うペンネームも考案中。 この間の単行本「氷の部屋の女」「双子座の戯れ」[久保書店]、「黒い夜と夢魔の闇」[松文館]、「危険な女教師/美蝶」[ミリオン] ●1 9 9 6 ~ 美少女路線の絵柄もこの年の「夜顔武闘伝」あたりでほぼ完成、今後また少し変化させる予定。しかしこの作品は超能力、アマゾネス、忍法エロマンガとでも呼ぶべきか。「グラップラー刃牙」みたいに闘技場での勝ち抜き性武道合戦までいきたかったけれど、残念ながらたどり着けず。 「冬の堕天使」は久しぶりの吸血鬼もの。都営住宅で生活保護をうけている吸血鬼母子のイメージが浮かび、そこから漫画家協会・加藤芳郎を撃つ有害図書騒動のマンガへ。吸血鬼少年が光の世界との戦いに旅立つまでを描き、「闇に潜みし者」は時空を越えて近未来での戦い。その間を描く作品を今後創らなければ。 「FUCK CITY 2006」はクソ溜めと化した近未来のTOKYOを舞台に久しぶりにダーティ・バイオレンスが炸裂!ハード・エロ劇画と同人誌風・美少女路線の合体は果たしてうまくいったかどうか?30ページほど描き足して、’97、9月にフランス書院のコミック文庫にて発売。[「少女水中花」] 「放課後の媚娼女」と「人形愛」刊行。[いずれも久保書店刊]前者は以前、上下巻だったのを一冊にまとめて。後者は近作を集めた同人時代を経ての初単行本で、同人誌を知らなかった読者はショックを受ける。メタルフアンから以下のようなお手紙を受け取る。「これはジューダス・プリーストの『ターボ』だ。ラストの『眠れる森の少女』は『レックレス』にあたる。しかしジューダスもその後『ラム・イット・ダウン』や『ペイン・キラー』という傑作を世に出した事だし、今後を期待したい」という意のダー松のようなメタルファン以外は意味不明の激励をうける。 ●1 9 9 7 同人誌「エロス大百科シリーズ」スタート!いろんな項目別に年2刊づつ計100ページ位を別刊シリーズとして出し続ければ10年で1000ページになり、以前「谷岡ヤスジ1000ページ」という枕に最適の本があったが、これも一冊にまとめて枕にして寝れば、目覚める頃は3回夢精しているなんて事に・・・などとまだたった40ページの段階で言っても何の説得力もないか。飽きたら2~3号でSTOPするだろうし・・。[推測通り「毛剃り」「美少年SM」「女装」3号でストップ中]冬にはやおい系にも進出の予定。 今年出した単行本は厚くて濃いエロマンガを集めた久保書店MAXシリーズ第2弾!「放課後の熱い祭り/完全版」と「夜顔武闘伝」オークラ出版。ともに大幅描き足して25周年記念出版として刊行。ティーツー出版よりJr,Sam名で「昼下がりの少女」、9月にはフランス書院より「少女水中花」の文庫本が出る予定で現在、この同人誌と並行して描き足し中。「斬姦狂死郎」第2部も「ホリディ・COMIC」誌にて6月よりスタート!年内創刊予定の『腐肉クラブ』なる死体姦専門のマンガ誌にも執筆予定。 さてさて25年間、旅行の時を除いて、現在まで2日続けてマンガを描かなかった事はほとんどない。これはその昔、伊東元気氏というマンガ家とお会いしたとき「今月何ページ描いた?」との問いに、「今月仕事ないんでぜんぜん描いてません」と答えたら、「そんな事じゃ駄目だ。仕事があろうがなかろうが、毎月100頁は描かなきゃ。」と言われ、以後その教えを守り[描けるページ数は減ったが]、マンガは仕事ではなくなり、朝起きたら顔を洗うのと同じで生活そのものとなり現在に至る。 今は何でも描けそうなハイな状態で、以前はたまには外出しないと煮詰まってしまうので週いち位ガス抜きをしていたものだが、最近はせいぜい月いち休めば十分の「純エロマンガ体」。[純粋にエロマンガを描くためだけの肉体、の意。ダー松の造語] こうしてふり返ると、この路線はまだえぐり足りない、これはあと数回描くべし、なぜこれを一度しか描かない!等々、残り時間にやるべき事、やりたい事の何と多い事! 爆裂昇天のその日まで・・・ 燃 え よ ペ ン ! なお続きは 1997年後期 1998年 INDEX
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空みたい海みたい
陰日向の多肉植物の葉が茶けてぶよぶよに腐っているのを見たとき、ああこれでやっと自分の中に衣吹くんと別れる明確な理由を見つけられたと思った。
「水を遣るのは月に一、二回でいいの。それ以上では腐ってしまうから」
何度説明しても、衣吹くんはそれに対して「なんか可哀想な気がする」との言葉を返した。あのね、衣吹くん。衣吹くんのそのピントのずれた愛情こそが、この植物を水中毒で殺しちゃった要因なんだよ。そうやってはっきりと言ってやったなら、彼は一体どれぐらい盛大に顔をしかめて、どれぐらい私への言い訳を重ねるのだろう。
結局私は衣吹くんのそういう言い訳がましいところをどうしても好きになれなくて、きっと衣吹くんだって私のこういう言葉尻の冷たいところをどうしても好きになれなかったのだと思う。大学のサークル内で知り合い、就職を機に一緒に暮らし始めて一年と六ヶ月。好きな音楽も、好みのファッションも、味覚も性格も笑うポイントも、何もかもが相容れない私たちの唯一の共通点は「異常なほどに青色が好き」ただその一点で、本当に、それだけを理由として恋愛関係を貫いてきた私たちはよくここまで続いたものだと自分でも感心してしまう。
晩御飯を食べながら同棲の解消を申し出たとき、衣吹くんは間の抜けた声を上げて驚いていた。けれどそれもわずかな時間だけのことで、しばらくすると彼は、
「あー……、となると俺も引っ越さなきゃだ。ふたりだからここの家賃も払えていたわけだし、ひとりになるならこの広さは要らないもんなあ」
そうして食べ終わった食器をシンクに置き去りに、通帳を見ながらかったるそうに電卓を弾き出す。ずっと前から私の心持ちがそうであったように、衣吹くんの中でも私はとっくの昔にただの“同居人”へと成り下がっていたのだろう。友人などの部外者からどう見えていたのかは知らないけれど、少なくとも私たちの認識が共通して「愛しの恋人」などという甘ったるいものであった時期なんて暮らし始めてから最初の数ヵ月そこらが精々だったはずで、それに関して私自身「私たちなんてそんなものだろうな」としか思えない。それでもこの事実はどうしても私の心にある何らかのしこりの輪郭を明らかにする。
衣吹くんがブツブツ数字と格闘する声を背に、私はふたり分の食器を洗う。冷しゃぶを載せていた、掌を広げたよりも大きな紺色の平皿。モヤシと韮のナムルは空色の小皿に、取り皿に使ったコバルトブルーの豆皿は駅前の雑貨店で四枚ずつ買ったものだ。衣吹くん用のお茶碗はネイビーブルー、私のお茶碗は茄子紺。ふたつ揃いのマグカップはそれぞれ浅葱色と白群、お互い気分によって好きなほうを選んでいた。
家にある全ての食器が青いだなんて、この街じゃきっと私たちだけだよね、と顔を見合わせて笑った一年六ヶ月前の私たちが今の私たちを見たら、一体どんな顔をするのだろう。訳もなくスポンジを繰り返し握り締める。肌理の粗い泡が立つ。
「なあー、未波はいつごろ出て行きたいとかあるの? 特にないんだったらさ、悪いんだけど二ヶ月ぐらい待ってもらえない? せっかくならじっくり家探ししたいけど、俺いま仕事死ぬほど立て込んでてしばらく内見だ荷造りだってできそうにないんだよな。となるとまあ先延ばしにはなっちゃうけど、お互い三月の引っ越しシーズン辺りに新居探しに行ったほうがむしろ得な気がするんだよね。そっちのほうが絶対、いま慌てて決めるよりいい部屋見つけられるだろうし。あ、それとも未波は実家戻る予定だとか?」
蛇口をひねる。スポンジごと右手を水道にかざす。白い泡が排水溝へと吸い込まれていく。
「……んーん、私もまたひとり暮らしする予定。確かに三月くらいのほうが空き部屋の数も多いだろうし、そっちのがいいかもね。じゃ、お互い目標はその辺りってことで」
衣吹くんとの生活もあと二ヶ月だけなのだと思うと、自然と嫌味は出てこなかった。
最後ぐらいは常に笑顔で、冷たい言葉を慎んでいよう。たとえ、衣吹くんがどれほどの言い訳を重ねたとしても。
そこからの二ヶ月間を衣吹くんがどう感じていたのか私にはこれっぽっちもわからないけれど、少なくとも私にとってこの二ヶ月は彼と同棲した一年八ヶ月で最も幸福な時間だったと言い切ることができた。当たり前のことだ、私たちはもう二ヵ月前に恋人としての生活を暗黙の了解として終えていて、それ以降私たちはお互いをただのルームメイトとして扱うことに徹したのだから。
私は衣吹くんの後に入る湯船に髪の毛が浮かんでいても苛立ちを覚えなくなっていたし、お茶を飲んだだけのコップをシンクに放置されても「だらしないな」と思っただけで済んだし、何となく流しただけの映画に手を繋ぐシーンが出てきても、キスシーンが出てきても、それ以上のシーンが出てきても、私たちには自らにそういったノルマを課す必要がなかった。おそらくは衣吹くんも、私が食器棚の扉を半開きにしたままなのを見ても苛立たなかっただろうし、私が出しっ放しにしたままの基礎化粧品を見ても何とも思わなかっただろうし、風呂上がりの私が薄着でくつろいでいても、この二ヶ月ただの一度も抱き着こうとはしなかった。恋人であることを辞め、同居するだけの他人として一定の線引きができるようになった私たちは、誰が見ても適切な形でお互いを尊重し、そうしてお互いに干渉することへの興味の一切を失った。
そもそも私たちは恋人になんてなるべきじゃなかったのだと思う。
同じ大学の、好きな色が一緒で、何となく話しやすい異性の友達として、だらだらと時間を無駄にして馬鹿みたいに楽しいことだけを共有しておけばよかったのだと思う。他の友人を介し、たまに飲みに行って、お互いを異性として意識することもなく、だから恋仲になることもなく、そうしているうちにどこかで飽きがきて、少しずつ疎遠になっていけばよかったのだと思う。
そうしたらきっと、きっと私たちはこんなふうにお互いを「もうどうでも��い人だしな」なんて諦めずに済んだはずなのだと思う。
こんなにも悲しい気持ちを、こんなにも淡白な状態で知ることなんてなかったはずなのだと思う。
三月。上旬に衣吹くんが駅から少し遠い川沿いのアパートを、中旬には私も地元密着型のスーパーからほど近いアパートを契約し、四月の第一週にお互いこの部屋を出ていくことになった。
私が新しく暮らすアパートから駅へ向かう途中にも幅の狭い川があって、内見に向かう道中にはその川の両脇に咲く桜の花を眺めた。不動産屋と「綺麗ですねえ」「そうですねえ」なんてありふれた言葉の応酬をしていると、道路の向こうから散歩中の園児がカートに載せられこちらへ近づいてくるのが見えた。子どもたちは口々に「きれいだねー」「かわいいねー」「ピンクだねー」と笑っている。不意に利発そうな男の子が、
「おいしそうだねー」
とおかしなことを口走って、カートを曳いていた保育士が、
「食べられないねー」
慣れた様子で彼を窘めていた。盗み聞きなんて趣味が悪いとはわかりつつ、思わず吹き出してしまうと、彼らの会話を聞いていなかったのだろう不動産屋が不思議そうな顔で私を見る。いえ、すみません、何でもないんです、などと適当に誤魔化して、私は再び内見先へと歩を進めた。不動産屋が辺りの特徴をぽつぽつ挙げていくのを話半分で聞きながら、たぶんこの場に衣吹くんがいたなら不動産屋と同じ反応をしただろうな、とそんなことを考えた。衣吹くんが契約した川沿いのアパートの近くにも桜の木はあるのだろうか。特に理由はないけれど、ないといいな、と思う。
三月も下旬辺りになると、部屋中が茶色いダンボールまみれになっていた。衣吹くんが依頼した引っ越し業者のダンボールに描かれた鳩と私は数分おきに目が合い、私が依頼した引っ越し業者のダンボールに描かれたパンダは衣吹くんから「笑いかたが気味悪いんだよな」と何度も罵られていた。家財はそれぞれ等分ぐらいの金額になるよう譲り合い、お互いこれから始まるひとり暮らしには邪魔になりそうなソファーやダブルベッドは専門の業者に引き取ってもらう方向で話しがついた。多額の処分料がかかるかと心配したが、むしろふたりで割ってもその日の夕飯には充分すぎるお金で買い取ってくれるという。有り難いことだ。
四月の第一週、金曜日。私たちがこの部屋で共に過ごす最後の日だった。明日の午前に私はこの部屋を発ち、明後日の昼過ぎには衣吹くんもそうなる。数日前までは、最後の晩餐ぐらいパーッと外食でもしようかと話していたのだけれど、どうしても冷凍食品を食べ切れないまま今日まできてしまい、捨てるのも勿体ないからと結局こうしてふたり青色ばかりの皿をダンボールの上に並べ、無駄に品数の多い冷食だらけのディナーを囲んでいる。お湯で温めただけ、チンしただけ、自然解凍しただけの夕食も、いつもの青い皿に載せてしまえば普段通りの食事と同じ顔をして私たちに食べられるのを待っていた。どちらからともなく戴きますと手を合わせ、そっと箸をつける。肉厚なハンバーグからは肉汁がジュワッと溢れ出し、大口で頬張ると蕩けたモッツァレラチーズが上顎へ直に触れ思わず「あち」と慌ててしまう。
「なあ未波。俺、前から思ってたんだけどさ……」
ハンバーグを咀嚼した衣吹くんが、軽く俯いたまま私に話しかける。なに、と返事をするよりも早く彼は、
「青い皿って、なんとなくまずそうに見えるよな。飯が」
俺、ずっと嫌だったんだ。そうにへら顔で笑った。
「……何それ。いまさら言う?」
衣吹くんの言葉を受け、この二ヶ月間ずっとこらえてきたような冷たい言葉を返しながらも、思わず吹き出してしまう。だって、全く同じことを私もこの一年八ヶ月の間彼に言えずにいたのから。
ふたりとも、青が大好き。それだけの理由で親しくなった私たちは、この部屋に入れるものはできるだけ青で揃えてきた。カーテンも、カーペットも、ベッドシーツも布団カバーも枕カバーも、デニムなんて黒や白がほしくとも無理に青を選んでは、衣吹くんに見せて「似合うね」「そうでしょう?」と笑い合ってきたのだ。同棲を初めてふた月ほど経ち、見事青にまみれたこの部屋を衣吹くんは「空みたい」と言い、私は「海みたい」と言った。衣吹くんがそれに気づいていたかはわからないが、私の発した、海みたい、には軽い侮蔑の気持ちが込められていた。
「青色、確かに好きなんだけどさ、なんつーか……、俺、正直にいうとここまでじゃないんだよな」
「ああもう何それ、私だってそうだよ。最初に言ってよ。私なんてもう青い服だらけなんだよ。ほんとは赤とかピンクとか黒とかも着たかったよ」
「俺だって青いデニムのコートなんか買いたくなかったよ。本当はあれブラックのほう狙ってたんだからね。未波と買いに行ったから青にしたけどさ、ひとりで行ってたら確実に黒を買った」
「私、衣吹くんにずっと内緒にしてたけど、ブルーハワイのシロップ苦手なんだよね。一番好きなのはレモン。次がいちごで、その次はメロン」
「青じゃねえじゃん」
「そう、青じゃないんだよ」
お互いくつくつと小刻みに肩を揺らして笑う。先ほどまでは湯気の立っていたハンバーグがどんどんと冷めていく。それでも私たちはこれまでの隠し事や嘘を一つずつ、まるでパレットの青絵具を薄めるようにしながら丁寧に暴いていった。
「衣吹くん、青が好きだからメロンソーダが好きって言ってたじゃん。あれ初めて聞いたとき私『いやそれ緑じゃない?』って思ったんだよね」
「あああれね、俺も言いながら心の中でしくじったなーって思ってたわ。だってメロンソーダなんて好きじゃねえもん。あの頃まだ付き合ってなかったから。未波の気を惹きたかったんだよな。音楽家も作家も俳優も、未波、何一つ俺の“好き”と被ってなかったからさ、このままだとやべえ、何かこじつけなきゃって焦ってさ」
「ね、ほんとに私たちって趣味合わなかったよね。それこそ付き合う前、衣吹くんから『青色が好きなら、ブルー・マンデー・ムーンとか聴いてる?』って訊かれたとき、私それが曲名なのかバンド名なのかもわかんなかったんだから」
「俺、あのバンドは青とか関係なく好きだからね?」
「私はピンとこないんだよね。歌詞とかもう訳わかんないよ、いちいち回りくどいし」
「だー、そこがいいんだよ」
ダンボールの上に並ぶいくつもの青い皿を境として、私たちはどこまでもクリアに、親し気に話を続けていた。何一つ勘ぐることなく、気遣うことなく、気後れすることだってなかった。きっと私たちは青色になんか頼らずに、最初から、こんなふうに軽口を叩いておきさえすればもっと近しい距離で互いを認め合えていたのかもしれない。私たちはずっと馬鹿の一つ覚えみたいに青いものだけを揃え続けるばかりで、ずれたピントを直そうともしなかった。
明日の午前、この青まみれの食器を一枚残らず置き去りに、私はこの部屋を出ていく。ふたりで過ごす最後の夜を、私たちは軽快に罵りながら笑い合って過ごしている。窓際に吊るされたままの青いカーテンが、空みたいな、海みたいな顔で私たちを窓の外の濃紺から区切っている。
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. 東京国立博物館 特別展 桃山天下人の100年 狩野永徳を始めとする屏風絵はさることながら、その中に点在する茶道具の展示方法もまた面白く。 茶入は唐物肩衝 初花、薬師院、北野茄子、花入は青磁鳳凰耳付花入、顔回、後期に旅枕、茶碗は有楽井戸、老僧、赤楽の僧正、本手利休斗々屋、黒楽の禿、鼠志野の山の端、黄瀬戸宝珠香合、信楽鬼桶水指など挙げればキリがない名品揃いでした。 個人的には久しぶりに光悦の黒楽 村雲を久しぶりに観れて前より良く感じたのと(しかも赤楽の加賀と並んで展示)特筆すべきは志野茶碗だったかと。 志野茶碗 卯花墻は三井記念館で見る時に比べるとどことなく小さく所在なさげだったものの、橋姫、振袖も同時に展示されており、比べてみるとここにきてようやく卯花墻の良さが少しずつ分かってきたような。後期には何と羽衣まで加わるという志野茶碗勢ぞろい感。 織部も瀬戸黒も天目も良かったし、釜も茶杓も書状も甲冑も太刀も見どころがありすぎて、光悦×宗達の鶴下絵三十六歌仙和歌巻も何年か前の京都ぶりに観れてちょっと凄いことになっています。 常設も見応え充分。 今はネット予約制です。 #特別展桃山天下人の100年 #桃山天下人の100年 #東京国立博物館 #東博 #平成館 #桃山 #茶の湯 #茶道 #wayoftea #teaism #狩野永徳 #狩野派 #本阿弥光悦 #東京 #tokyo #日本 #japan #国宝 #インスタ茶道部 (東京国立博物館) https://www.instagram.com/p/CGpZ6PfF6kf/?igshid=12a0tg5fcprti
#特別展桃山天下人の100年#桃山天下人の100年#東京国立博物館#東博#平成館#桃山#茶の湯#茶道#wayoftea#teaism#狩野永徳#狩野派#本阿弥光悦#東京#tokyo#日本#japan#国宝#インスタ茶道部
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2022年1月の夢
- 2022年1月31日 月曜日 6:14 夢 ヨネ大魔王という名前で活動しているドラマーが、以前から懇意にしていたバンドのライブ時の穴埋めのために名乗り出ている。募って知らない人が来るより慣れた人がきてよかったねという空気 どんぐりが落ちている、どんぐり拾いの場所のことを考える、いつもものすごく楽しいことが起きる場所だった(という設定で具体的な中身はない)、仕事で行ってもいいが仕事ならあまり楽しそうな顔はできないなと思う 何らかのテロリストのいる付近に3人で円を描くようにして向かう。小熊の雰囲気
- 2022年1月27日 木曜日 7:12 夢 いとこの娘がパン屋のような空間にいる。焼き立てのいろんな種類のパン。人はほとんどいない。施設のトイレが、演説台のような高台に拡声器が置いてあり、そこに便器があるスタイルで、座っても引き下がるしかないしろもの。なぜか迷彩柄のタンクトップに学生棒を被ったような格好をしている。迂回すれば別のトイレがあることに気づく。黄色い表紙の絵本のようなもの。
- 2022年1月26日 水曜日 6:01
夢 牛乳5L.カペリンみたいな名前、これからはパックから出して瓶に詰めるように松本人志に言われる、開け口が汚いので カラオケ、妹の友達、全部で4人ほど。 3メートルくらい身長のある人が面接にくる、ドア枠に手をかけるようにして入ってくる、3メートルってこんなに大きいんだと思う、付き添いの人もでかい、モンゴル系の顔立ち 宅建免許切れ
- 2022年1月25日 火曜日 7:05 夢 玉置州系とタイタンがいる。話す。ドラえもんのイラストが付いているコラボ服。VHSに、ビデオ書き出して披露している。ギズモ。タイタンの母が作ったミートボール。エヴァのゲーム。
- 2022年1月24日 月曜日 6:57 夢 バスに乗ってどこか旅先から帰宅している。バスが実家に着き、車を寄せる、エコ配の車が出ていく。芭蕉の実? 唐辛子のような形のバナナがなっている。祖父がおり、笑顔で親指を立ててくる。父もいる。室内がかなり変わっており、広く、柱が立っている。大理石のテラゾーのようの素材の薪ストーブが置いてある。テラゾー部分にWHY NOTと彫り込んであり、それがダサく、埋めたいと思っている。
- 2022年1月22日 土曜日 8:27 夢
- 2022年1月21日 金曜日 8:52 夢 のりべーにくしを買ってもらう。会計の場所が違う。山の内覧をする。客を案内する。 衣類を持って部屋に引っ込もうとするとおじいちゃんがおり、鏡に向かって髭剃りをしている。若い。
- 2022年1月20日 木曜日 6:43 夢 緑色のインコを飼っているらしい。粟玉みたいな白くて大きめの粒を与える。なついており、かわいい。 南と誰かもう一人と遊びに行くことになる。外。公園のようなところ。踊っている南を撮っている、一人加わり二人加わり、バレエを踊る輪が大きくなっていく。 チェンソーマンを読むためにだだっ広い本屋?のようなところを歩いている、黄色いジャンパーを着た監視員のような人がところどころにいる 細いドアを抜けると、巨大な筒状の上部につながっており、3つの出口を相互��行き来できる。本来は水路のよう。
- 2022年1月18日 火曜日 6:14 夢 自室、実家のとはちょっと違う、に、新しい本棚が加わっていて、2000年ごろのギャル雑誌とか、文庫判の軽めの読み物みたいな本が並んでいる。面白い。背が四角い感じ。 妹が寝ており、暑そう、毛布をかけて送風にする 南と北、ラウンドアバウトがこの世界だと逆の意味になっている
- 2022年1月17日 月曜日 6:41 夢 元ラブホの部屋に住んでいる。天井の壁紙がめくれているので気づく。オレンジの壁紙の下に紫の千鳥格子。交際しているわけではない男。 エレベーターホールへ。共用部分が広いので気づく。遠くにAさんがいる。 目が水色みたいな目の見えない猫。向かって左目の中を覗き込むとラーメン丼に描いてあるような雲の紋様が入っている。深度がついていて左右つながっている。かなり丸々している。 広間でイベントがあるらしく、骨、ホルマリン漬けの標本などおどろおどろしいものが展示されているのが見える。
エネルギー��回転の動きに変えて、オレンジ色の輪の回転でモーターを回す。 父と外を歩く。水がヒタヒタの水路に細い木の板が渡してあって、雑草を食べるYouTubeチャンネルのことを言いたいと思う。進んでいくと母のいるキッチンのようなところへ続いている。私の大学時代の封筒とか雑紙みたいなものを逐一取っていて、捨てるの捨てないので揉め、じゃあいつ使うのか、今日か、明日か、明後日か、と問いただしている。ゴミを入れるための袋を探すが見つからない。
- 2022年1月16日 日曜日 0:40 夢 夢の中でも頭痛がしている。頭痛の理由を、何かゲーム攻略本風の言い方になぞらえてExcelの表にまとめようとしていて、山口さんのイメージと重なる。下膨れの顔の女性が室内に入ってくる。特殊な医療従事者系の人。横になった状態で顔を上げる。12時。会社始まってると気づき、言う。 別シーン。カオナシに似た仮面が目線の高さに浮いている。気づかないふりをするべきだが、気づかないふりが大して効かない。生きているものには無視もきくが、そういう小手先のわざが通じない、呪のものなので。めいっぱい無視しているが、関係なしに間近に来られる。古い家の中。お面と、何か鈍い金色の他のお面と、リンリンリンリン音が出るものと、ある。家の中には一家がおり、特に子供はそのお化けのようなものにつきまとわれ、それが嫌で泣いているが、家長らしき初老の男性は無視している。顔はのっぺらぼうとして描かれていて、これは家族がお互いに無関心であることの表現としてだと、宮崎駿的な人のインタビューに視線が引いていく。最悪のピークで音が止まり、過去の回想シーンに移っていく。
夢 めぐみに似た女がメガネをしている。シルバーでレンズに細かい気泡が入っている。レンズはくるくる表裏変えられる。そのメガネが良いと褒め、褒めることができたこと(関係を維持する試みができたこと)にほっとする。 オサムグッズの小さいタッパーウェア?防水のパッチンと止められるシリコン素材の容器が売ってある。うち一つはよくよく見ると香水らしく、中に液体が入っている。チョコバー、有名建築士のデザインした鏡のジェネリックなど売られている。
- 2022年1月15日 土曜日 8:59 夢 何となく入ってみた雑貨屋で多面体のスノードームみたいなものを見つける、砕いたウイスキー用の氷みたいな形、上下がない、ひっくり返すと雪が積もった山頂みたいなものが見える、細かい粒子状のラメが動く、すごいキレイ。小さいタイプのものも、貝殻が入っていてそれはそれできれい。買おうとするのだが、日本ではないらしく、目を凝らしてもラベルの数字が日本円なのか香港ドルだかわからない。 レジ方面に行く。キョンシーのお札風おもちゃみたいなものが売ってある。 水に落ちるシーン。 母がいる。実家の景色ではないが室内。ひきだしを開けると金色のチョコレートの包み紙ばかり出てくる。自分がむかしこっそり食べて隠したものだと思う。2012年頃に期限切れのキャラメル風味の砂糖チップなどを勝手に持って帰る。錆びたお菓子の缶に不要な金属類を溜めていたらしく重い。中をあらためる。すごく錆びたペンダントトップ、クレヨンの箱?みたいなものが出てくる。母が昔に父から贈られたものらしい。妙にハンサムな造形の青っぽい犬?馬?のディズニー風キャラクターの、首から上の陶器の貯金箱。母、サメのでかいぬいぐるみを手洗いしている。
- 2022年1月14日 金曜日 6:11 夢 ちえが雪を削り取って食べている 剣山への水の染み込ませ方。短冊切りの白いウレタンみたいなものをまぶしている。実家でそういうのをやっている子は剣山くらい庭に落ちてるとのこと。
- 2022年1月13日 木曜日 6:39
夢 本を読んだ 毎日迎合って書いてあった 録音機器みたいなものが置いてある 幼い妹を泣くまでくすぐり倒す 茶碗に洗い残しがある
- 2022年1月12日 水曜日 6:59 夢 緑色の服、T字のカフスの女性 二度寝しすぎて夢が壊れた
- 2022年1月11日 火曜日 7:14 夢 一人で手漕ぎボートに乗り、少し遠い目的地へ向かう。 何かの福引のような催しで丸々した生のイカを一杯もらう。 会ったことのないフォロワーが仕事を辞めるらしく、最後にもらってきたでかい歯ブラシを勤め先に忘れてきた話とか、離婚しようと考えているらしい話を聞く。 ザリガニの卵。灰色でハートのような形をしており、水草にくっついて気泡を出す。 穴の空いている巨大な石の奥に黒っぽい燭台があるのを見つける。燭台を引き出し、蝋燭と線香を供える。不気味に振動するので心のどこかが怖いのだが、割と平気だ。
- 2022年1月10日 月曜日 7:24 夢 韓国の住居内を抜けて逃げている。広い庭。床に掘り込みが作ってあり、洗い物などが入っている。室内かわいらしく写真を撮る。 ヘアクリップで前髪をとめる。実家にある古いくちばしクリップを捨てる。
机の上に古いメモ帳が残っている。20006年、2007年。絵コンテみたいなもの。ぷくぷくした絵柄。それだけ経ったことに恐ろしさを感じる。 カップ麺を大量に購入した女性が、ビーズ状のものを組み立てて箱を作っており、おそらくその箱に購入品を分けて人に配るつもりらしい。箱に足を突っ込んでいくが、すぐに違うことに気づく。
- 2022年1月8日 土曜日 6:47 夢 心臓をウタエットという名前の改造銃で撃たれる。7人くらいでおり、全員撃たれる。銃を持った人が二人いる。分かりやすい痛みはないが、一日後くらいに心臓麻痺になるみたいな死に方をする。家にいれば撃たれなかったのに。と少し思うが、何もせず家にいた自分が考えられず、運命を受け入れてもいる。 文房具屋のような静かな店。どこかの主婦が鉛筆に文句をつけている。ロルバーンの筆入などを見る。 カモフラージュで隣の喫茶店の制服を着て働いているおじいさん。お礼をしたいのだが痕跡を残せない。金魚鉢みたいなコーヒーフロートを渡す。
- 2022年1月7日 金曜日 6:39 夢 妹の年賀状。3種類ほどを作成している。妹の友達T。みかんか何かを剥きながら、ほとんど初対面の男とTと私でなんとか間をもたせる。
- 2022年1月6日 木曜日 7:09 夢 カレー、鳩時計 集合している中鳩時計を持っていく
- 2022年1月5日 水曜日 6:55 夢 パチンコ屋の中を通り抜ける 二店舗連なっており、女性スタッフがいる 輪になり、ミーティング風の中、ラジオ体操のようなことをする 裏路地の中を抜け、プロレスをテーマにした居酒屋?バー?のような店に入る まだ時間が早い。 天六という名前のカクテルみたいなものを作ってもらう。梅酒とリンゴジュースを混ぜたような単純なもの。タンブラーグラスに注がれ、目の前に来るとピンク色のフローズン状のものになっている。
- 2022年1月4日 火曜日 5:41 夢 あまごっちゃはんどうという単語 服屋を見ている ピンクとブルーのザラメがチューブ内で固まったものをこそげ取る
- 2022年1月3日 月曜日 8:54 夢 さつまいもの匂いのするところへ社員旅行へ行く。出発当日だが荷造りが終わっていない。
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Sushi Yuu Tsubasa: Restaurant for the next Michelin-starrd sushi chef candidate
I went to "Sushi Yuu Tsubasa", the branch restaurant of "Sushi Yuu" which has one Michelin star for four consecutive years. Even though it is a branch restaurant, it is a restaurant for young sushi chef that the main restaurant proudly entrusts to, and it is reputed to be both "reliably delicious" and "very reasonably priced".
4連続ミシュラン一つ星の「鮨由う」のセカンドライン店、「鮨結う翼」へ。セカンドラインとはいえ、本店が自信を持って任せている若手のためのお店ということで、「確実においしい」と「めちゃめちゃコスパがいい」を両立したお店と評判です。
なんてったって「飲み放題付きお鮨コース、税込13200円」という圧倒的コスパ。この日は、12月中で唯一空いていた20:30〜の枠でお邪魔します。
...いやしかし、withコロナのライフスタイルに慣れまくると、20:30からのご飯って結構時間調整が大変。18:00ごろにはもうお腹が空いてきちゃうし、そのタイミングで軽く食べるのも、鮨コース+飲み放題前だとちょっと難しいし...
ということで、とっても喉カラカラお腹ペコペコで、待ちに待った20:30です。
調子に乗って駆けつけ2杯のシャンパンタイム。オイヒー
飲み放題、ということで、お酒のラインナップはどんなもんなんかな?と思っていたのですが、
・レモンサワー ・シャンパン(スパークリングじゃなくてちゃんとシャンパン!) ・生ビールは「プレモル 香るエール」 ・焼酎(芋・麦・米、玉露割りや黒烏龍茶割りも) ・果実酒は鳳凰美田の梅酒と柚子酒 ・日本酒は<辛/Dry> <香/Fruity> <酵/Mellow> それぞれ2種 さらに追加料金でプレミアム銘柄も ・ウイスキーも「角」「知多」「イチローズモルト」 ・グラス白ワインも2銘柄 ・ノンアルコールも黒烏龍茶や熟成ウーロン茶、サンペレグリノ炭酸水
と、かなーりの充実っぷり。これで飲み放題なんて本当にコスパ良し。
▼別の方があげてた別日のメニューだけど、私が行った日もこんな感じだったわ。
突き出しで出てきたのは「牛乳ととうもろこしと生クリームの”嶺岡豆腐”」と「もずく」と「三陸産のわかめ」。
なんと、わかめはおかわり無料だったので、コース中3回くらいお変わりしてしまいました。わかめ最強。
この、「嶺岡豆腐」がものすごくて、もう冷製コーンクリームスープにめちゃめちゃ生クリーム入れて、とろふわレベルにだけ固めた、という、豆腐というかもうトロトロの何かになっていました。スイーツレベル。
*あとから調べてみたら、”嶺岡豆腐”っていうのは九州の郷土料理なんですね。新しい知識だ。
こちらのお店は、最初にたまごが出てくるタイプのようでした。 あおさ入りのたまごは、結構和だし巻き方向のお味。美味なり。 つまみで楽しむなら、最初にたまごっていうのもいいね。
ほろっほろ、とろっとろのだしかけの「穴子の茶碗蒸し」。
めちゃめちゃアツアツでクリーミーな茶碗蒸しなのですが、「半分残してからカウンターに戻してくださいね」と言われ、素直に戻すと...
一口大の酢飯と、岩海苔を入れてくれます!
これでまた味変。おいちー
もうこの時点で3杯目。炭酸に飽きちゃったので、白ワインをいただきます。 やや酸味強めのリースリング。
ひえひえ〜
まだ握りも出てない段階で3杯目ですが、いいのです、なんてったって飲み放題なので! しかも、この日のために、事前にヨーグルトドリンク+ウコンの力を飲み、ハイチオールCも買ったわたしに死角はないっ!
もう少しおつまみのターン、こちらはメヒカリの天ぷら。
アツアツで、サクサクで、白身がほろっほろ〜♡ 白身天ぷらの良さが詰まった逸品。
実はこの日、お鮨のコースに加えて、その日の「特別なおつまみ」が追加で頼めるとのことで、ご用意いただいたのが4種。
①富山産白海老と雲丹 ②白子 ③今シーズンできたてのからすみ
私たちのチョイスは...
/白海老と雲丹!!\
迷いに迷って、2人で2品注文して分けっこしようという算段。
はい、もうこの段階で日本酒に入ります〜まだ握りが1貫も出てきてませんが日本酒に入ります〜
メニューの「辛口」の欄からチョイスしたのは、
日高見の”鮨由う+鮨結う翼 別誂”!! せっかくこういうお店にきたんだし、このお店専用の「別誂」なんてあったらそりゃ頼むでしょ。
フルーティーでスッキリしてて飲みやすいやーつーでした。
ここからやっとお鮨のターン! 最初はやっぱり白身から、ということで、まずは「春子鯛」
皮目が美しすぎる鯛。
はい〜正面のビジュアルも最高です〜!上にさっと塗られた醤油でキラキラしています。
お次も白身ですね、こちらはハタです。
ぶりんぶりんの歯応えの白身、食べ応えある〜!!
さらに怒涛の3貫目、こちらは縞鯵です。
これまた黒いお皿に映えますな...
(あたらしいiPhone13Proになってから初めてのお鮨だったんだけど、ズームの時の細部の写りがやっぱり綺麗。めちゃめちゃ美味しそうに見える...)
さてさて、ここからが本番
取り出したるは「大量のアンキモ」。それを酢飯と...
豪快にまぜまぜします。
溶けて混ざっていくアンキモ。
そして、キメキメで出していただいたのは...
これが、お店の名物の「プリン巻き」です。 プリンは「プリン体」のプリンw
直接手渡しで頂戴します。
ちゃんと一人一人にキメキメショットの撮影タイムを設けてくれるので、SNS映えも重視しててよいw こういうサービスには、遠慮なく乗るのがお店の方としても嬉しいとおもうw
ここで、追加で頼んだつまみの「焼き白子」が登場。
もう、パッツパツでいまにも弾けそうなくらいの白子。(...なんかちょっと表現が卑猥だな...)
案の定、アツアツとろとろです。最高です。
お次もお店のフラッグシップ的握り、通称「港区巻き」。 (恵比寿は...渋谷区だけど...)
じっくり動画を撮っちゃう所作。そして蟹と雲丹と。
vimeo
ここで、取り出したるは...その缶はもしかして...あの黒いつぶつぶの...?
/キャビア!\
ひとつひとつに、こんもりと乗せてくださいます。 (ひとつだけ鮪なのは、ウニが苦手なお客様がいらっしゃったみたいで、その方向け。)
/ドヤア\
こいつが、海苔の上に乗ってビューンと飛んできます。 まるで空飛ぶ海苔ジュータン鮨。
はい、本日のビジュ最優秀賞きました〜!!! 赤酢のシャリ、「これでもかっ!」ってくらい乗った蟹(しかも、カニ味噌と混ぜたたっぷり濃厚なやつ)、そしてウニ、さらにおキャビさん。 ブレーメンの音楽隊かな...?
ビジュよ。
本当なら、ひとくちふたくちでいただくのが良いんだと思うのですが、あまりにこの蟹身が美味しすぎ���、箸でちびちびやりながら酒を飲むという行為に。
これ、本当にひとくちではもったいなさすぎるよ〜〜〜〜!!!
ということで日本酒銘柄チェンジ。 辛口枠から、お次は「黒龍 いっちょらい」をいただきます。これまた、フルーティーでスッキリしていてベリーおいしい。蟹身と日本酒で過ごせるわぁ...
名残惜しいながらも、残った半分の蟹雲丹鮨を平らげ、お次の握り登場。
まぐろ!
はい〜!海の宝石〜!海のダイヤモンド〜! 色はむしろルビー!美しい赤〜!
トロも来ました。これまたおいしかった。安定の美味しさ。
そして小肌。
(この写真を撮っている私はまだ知らない、下手したらこの小肌が今日イチの品だということに...)
この小肌、ちょっとびっくりするくらい美味しくて。 小肌なんだけど、結構身が厚めになってて、柔らかい酢締めの味わいと、ほんの少しだけ脂の乗った身の旨みが絶妙なバランスで、ご一緒した方と 🐰「......(これ、今日イチじゃないですか...?)...」 🧝♀️「.......(ちょっとびっくりするくらいだわ...)...」 なんて話すレベル。
お次は...
ホタテ!
こちらのホタテはちょっと変わってて、ほぐしホタテでした。歯応えというよりは、ふわふわの繊維を楽しむって感じ。
🐰「このホタテ、ゆずの香りがすごいですね。ゆずの香りが。」 🧝♀️「うん、こりゃゆずだね。」 🐰「...(ゆずの香りしかしないすね)...」 🧝♀️「......(さっきの小肌の方が断然おいしかったね...)...」 🐰「......(まじそれです)....」
そしていくら。いくらの軍艦ちゃん。
キラキラ〜!
ふつうにおいしかったです☆
お味噌汁をいただいて...
あぁ〜!至高の時間が...終わってしまう...締めの使者「穴子」が来てしまった...
こちらの穴子、ふうわりほろほろなのはもちろん、結構穴子があったかかったのもあり、口の中があったかくなって、締めとしては最高でした。
嘘、本当の締めはこいつ。
モリモリのトロの太巻きだよ〜
大満足のコースでした。
恵比寿の駅前で、大満足のつまみ+にぎりのコースに、結構いい銘柄のフリーフロー(つまり飲み放題)が付いて、13,200円という圧倒的コスパ。これはみんながハマる気持ちがわかる。 お鮨も「プリン巻き」「港区巻き」という、ビジュアル優勝のSNS映えを意識したものから、ふつうの握り(この日は 小肌・縞鯵・鯛がとても良かったなぁ〜)ももちろん美味しくて、ぜひまた行きたいお店になりました。
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渡航制限と私 ・ 新型コロナウィルスの蔓延により海外から日本に来ることや日本から海外に行くことに制限がかけられるようになりましたね。 ・ 海外に滞在している日本人も日本への入国を禁止する趣旨の発言が政府からあった際に流石にそれは人権侵害だろうと言うことで慌てて内容を訂正していましたね。 ・ 警察官になった友人は社会主義国や共産主義国に行けなくなったそうです。海外渡航の自由を日本国憲法で認めているのに組織のルールがあるみたいですね。 ・ そんな友人の職業は刑事で発音はこうですね。と言う訳で本日のランチは #デカ盛り のメニューで有名な #興華楼 です。行けない国代表の中華の店です。 ・ 頼んだのは #カツカレー 950円です。開店とほぼ同時にお店に入ったのですが、すでに入店しているオジさんがラーメンを食べ終えそうな状態でした。 ・ 壁一面に貼られた黒地に白い文字が印象的なメニュー群の数々に圧倒されます。昼の情報番組を眺めながら平日はコーヒーのサービスがあることを知りました。 ・ やって来た #カレーライス の盛りの良さに軽く震えます。表面張力でぎりぎりに保たれている黄色い #カレールー はおばちゃんが置いた瞬間にこぼれました。 ・ 茶色いカレーに慣れ親しんでいる中での黄色い #カレー は優しい味わいで #玉ねぎ がたっぷりと入った味わいが特徴です。 ・ 優しい味付けだけれども #スープ で伸ばされた #カレーパウダー ととろみが入った煮込み料理は中国でもインドでもなく、日本独自の美味しさです。 ・ 食べ進めると乱切りにされた #にんじん の甘い味わいもやって来ます。そして #カツレツ は脂身の旨さを感じられる #ロースカツ です。 ・ これ単体でも美味しく味わえる感じでお肉の柔らかい感じと脂の柔らかくて旨味がぎゅっと詰まった感じを同時に味わえて幸せな心地です。 ・ 意外と山盛りになったご飯が茶碗3−4杯ぶんあって、大学生時代に戻った感覚です。赤い福神漬けのアクセントや醤油ベースの #ラーメンスープ も美味しい。 ・ 途中かつに #ソース をかけて味わったりと色々と違う表情で楽しめました。お酒に合うメニューや後から来た人が頼んでいたサッポロ醤油ラーメンとラーメンの違いなど気になることだらけなので、飲食の制限がないうちにまた来たいと思います。 ・ #東向島グルメ #東向島ランチ #東向島中華 #東向島町中華 #東向島洋食 #東向島カレー #東向島カレーライス #とa2cg (興華楼) https://www.instagram.com/p/CXPPSQFhyRb/?utm_medium=tumblr
#デカ盛り#興華楼#カツカレー#カレーライス#カレールー#カレー#玉ねぎ#スープ#カレーパウダー#にんじん#カツレツ#ロースカツ#ラーメンスープ#ソース#東向島グルメ#東向島ランチ#東向島中華#東向島町中華#東向島洋食#東向島カレー#東向島カレーライス#とa2cg
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平茶碗で濃茶 #matcha #greentea #tea_bowl #raku #igersjp #spring #抹茶 #濃茶 #黒楽平茶碗 #木の葉釉
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シナリオ『Room.I』
【概要】
人数:2~3人 時間:2~3時間 推奨技能:無し
【あらすじ】
「せっかくアイホート様の雛育てるんなら美味しい苗床になってくれ(とある狂信者の手記)」
連れて来られて体重が増えるまで帰れない、と見せかけた、逆ラ〇ザップシナリオとなります。 生贄にならないように部屋から脱出してください。 また、謎解きがメインですが、料理ロールなども出来るので、ワンルームでわちゃわちゃ遊ぶことも可能ではないかなと思います。 ただ若干ややこしい謎解きをしなければ、死にます。 また、窓からはアイホート様がじっと、探索者を見つめています。
【導入】
目が覚めると、探索者は知らないワンルームにいた。前後のことがよく思い出せず、持ち物などは何もない。 部屋にはキッチンやテーブル、ベッド、カーテンの間仕切り、扉があり、ひとつだけある窓からは夕焼けのような真っ赤な光が差し込んでいる。
◎部屋
壁には数字と記号の様なものが書かれている。
窓側の壁:31 扉側の壁:2] カーテン側の壁:25] キッチン側の壁:[4
◎窓
赤く光る窓。それ以外は何も見えない。
もし目星などをふってまじまじと見るのであれば、どこか不気味な光に感じるだろう。 また、窓の下にはハッチのような物があり、その隣に小さなデジタル式体重計が置かれている。(※地図左上、グレーがハッチ、ピンクが体重計)
☆体重計
ボタンの二つ付いた体重計。
右のボタンを押すと「HATCH MODE」と表示される。乗ってみると探索者の名前と、飲み食いをしていなければ「-10kg」という数字が表示される。
この体重計に+10キロのものを抱えて乗るのなら、部屋の中にそれに該当するものは探索者達自身しかない。お互いを抱き上げる、等の行動を取れば、条件を満たせないことは無いだろう。
左のボタンを押すと「KEY ISN’T[WEST]」と表示される。乗ると、体重が表示された後に「×LOCK」の文字が出る。
英語技能:直訳すると「鍵は西ではない」となる。
☆ハッチ
取っ手のついたハッチは閉まっている。鍵がかかっているようだ。
このハッチは、体重を10キロ増やして体重計に乗ることによって、開けることができる。 開けると中は、そこそこ急なスライダーのような形になっている。奥は見えない。滑った場合は後述。
◎キッチン
ガス台や流しの並ぶキッチン。オーブンレンジや食器棚はキッチンに組み込まれている形となっている。 隣には冷蔵庫が置かれている。(地図左、キッチン横の正方形が冷蔵庫)
☆流し
プラスチック製のたらいが一つ置かれており、水を満たしたその中にはスチロール製の魚の切り身を入れる様なトレイが浮いている。
☆冷蔵庫
食材が入っている。おおよそ1食分であることが分かる。
※何のレシピを作っても、一食分が消耗する。また、全員が食べて寝ると中身はリセットされる。
目星:N極とS極が赤と黒に塗り分けられた、よくある棒磁石が貼り付けてある。
☆食器棚
人数分の皿と茶碗、箸、フォーク、スプーン、ナイフ、包丁、まな板、ハサミが置かれている。
アイデア:最低限の調理器具、といった印象だ。
目星:「美護印のカロリーファイト 1kg」と書かれた袋を見つける。中には白い粉が大量に入っており、使い方の欄に「なんの料理にも合います。100gで1キロ、上手く作れば3キロ、とびきり美味しいものだと5キロ、食べた後にぐっすり寝ると体重が増します。飯マズだと増えないかも」と書かれている。味は何もしない。
クトゥルフ神話技能:美護という単語に聞き覚えがある。ミ=ゴでは、と気付く。詳細はルルブ。
※こちらは日数が経過しても増えない
◎テーブル(※地図真ん中)
ランチョンマットの敷かれたテーブルの上には、メッセージプレートのようなものが置かれている。
アイデア、目星:テーブルが固定されている事に気づく。
※もしもこの後に家具を調べるのであれば、それらが全て固定されていることに気づく。
☆メッセージプレート
かなり軽い。持ち上げるなら、発泡スチロールで出来ているようだと気づく。
「+10キロに増えないと出られません」と書かれている。
また、裏面を見てみるのならば「×=C」とも書かれている。
◎ベッド(※地図右下)
上に一冊の本が置かれている。
アイデア:全て固定されていることが分かる。
☆カロリー満点レシピ
様々なレシピが載っている。簡単なものから凝ったものまで、カレー、シチュー、肉じゃが、ハンバーグなど、総カロリーがたっぷりしたものばかりだ。
本には、それぞれの料理の成り立ちも載っている。
《カレー:Curry》
多種類の香辛料を併用して食材に味付けするというインド料理の特徴的な調理法を用いた料理、またその英語名。 明治時代、日本にはイギリス料理として伝わった。それを元に改良された「カレーライス」は、現在洋食として普及している。
《シチュー:Stew》
シチューは、野菜や肉、魚介類を出汁やソースで煮込んだ煮込み料理の英語による総称である。日本への「シチュー」の伝来がいつかについて明確な記述はないが、明治4年の東京の洋食店の品書きに存在する。しかし本格的に「シチュー」が全国に浸透したのは、第二次世界大戦終結以後のことである。
《肉じゃが:Nikujaga》
広く流通しているのは、東郷平八郎が留学先で食べた「シチュー」の味を非常に気に入り、日本へ帰国後に作らせようとしたが、命じられた料理長は「シチュー」を知らず、イ���ージして作った「シチューではないもの」が始まりという話である。これは都市伝説であると近年では言われている。
《ハンバーグ:Hamburg steak》
ひき肉とみじん切りにした野菜にパン粉を混ぜ、塩を加えて粘性を出し、卵を繋ぎとしてフライパンで加熱して固めたものである。原型に関しては諸説あるが、一説には「タルタルステーキ」が原型であるとされている。
また、読み進めるのであれば、その中に一箇所だけ「ヒトナベ」という項目を見つける。
《ヒトナベ(hitonabe)》
美護印のカロリーファイトを大さじ一杯と人間一匹を入れてぐつぐつ煮込むだけ!茶碗一杯で10キロオーバーなこと間違いなし!」
と書かれたそこには、文字通り人がぶった斬られ煮込まれている写真が載っているだろう。SANチェック1/1d4。
◎カーテンの奥(※地図右上波線)
五右衛門風呂のある、簡素��風呂場となっている。 固形燃料が入れてあり、傍にはマッチが落ちている。
目星:くしゃくしゃの紙切れを見つける。
「方角が分かればいいのか?駄目だ、さっぱりわからない、方位磁針なんてないし、有った所で壁の数字の順番はどうなる?何周りだ?それとも法則があるのか?西は夕陽が差し込んでいる方だと思っていたが、一向に陽が沈まない。不気味だ、食べて寝るだけの生活は悪くない、が、一体どうなってるんだ」
◎扉
鍵がかかっているが、鍵穴などは見当たらない。
【料理について】
楽しいクッキングが出来る茶番パート。 DEX×5とアイデア両方に成功することによって、美味しい料理が作れる。 料理技能がある探索者であれば、料理技能の成功のみでうまく作れて構わない。
DEX×5かアイデアの片方に成功すれば、普通の料理となる。 両方失敗するとまずくなる。料理技能の所持者はファンブルが失敗に値する。
クリティカル:5キロ増える 美味しい:3キロ増える 普通:1キロ増える まずい:増えない ファンブル:SANチェック
ヒトナベ:五右衛門風呂で誰かを煮込めば、大匙一杯の粉で一気に10キロ増える。ダイスの成功の有無などは関係ないものとする。
【扉から出る方法】
方位磁針を作成する。
水を張ったタライの上のスチロール、もしくはそこにメッセージプレートを浮かべ、上に磁石を乗せることによって、方角を知ることが出来る。
水に浮かべた磁石は正しく方位を指すだろう。
なお、方位磁針の作り方が思い浮かばなければ、アイデアや知識、それらしい本を見つけることによって思い出して構わない。
方角は以下のようになる。
南:窓側の壁 北:扉側の壁 西:カーテン側の壁 東:キッチン側の壁
「KEY ISN’T [WEST]」とあるように、鍵は西ではない。
西以外の文字「窓側の壁:31」「扉側の壁:2]」「キッチン側の壁:[4」を時計回りに並べると、[4312]となる。時計回りについては「×LOCK」の「×」にメッセージプレートにあった「×=C」を代入することによって「CLOCK」というヒントが出て来る。
鍵は西ではない=西以外のものを使う、という案が出ない場合、アイデアを振らせてもよいだろう。
出て来た[4312]を同じかっこのある[WEST]と並べ、数字の順番に並べると[STEW]、レシピに出て来たシチューとなる。
「KEY ISN’T STEW」、「鍵はシチューではない」(英語技能で分かってよい)という所から「シチューではないもの」と明記されている肉じゃがが鍵となる。
肉じゃがを作って乗せる、作って食べて乗る、または原材料を乗せても構わない。その方法で体重計を動かすことによって、扉のロックを解除することが出来る。
肉じゃが以外で上記の行為を行うと「ERROR」と出る
正直ややこしい問題だとは思うので、適度にヒントを出してあげてください。
【扉の向こうの部屋】
ドアを開けると、むわりとした腐臭が鼻をつく。中は薄暗く、入ってみるならば真ん中に死体があることが分かる。SANチェック1/1d3。 また、部屋には本棚と机が置かれている。
◎死体
男のようだ。ローブの様なものを纏っている。
目星:周囲に、蜘蛛の子供の様なものが蠢いているのに気付く。一旦視界にとらえれば、その数がかなりあることが分かるだろう。SANチェック1/1d3。また、手に何かメモを握っていることが分かる。 医学:腹が裂けたことにより死んだようだ。また、一部骨まで齧りつくされているのが分かる。
☆メモ
「-29」と書かれている。
◎本棚
ほとんどが洋書の本棚である。
目星:一段だけ空っぽな場所の奥にスイッチのような物があり、本を数冊をはめ込むことで棚が動きそうなことが分かる。 図書館:表紙が真っ黒のぼろぼろの本を見つける。タイトルは書かれていない。
『アイホート
イギリスのセヴァン谷の地下深くにある迷宮に棲んでいる。白く青ざめた肉の塊に幾つもの足が生え、体は目に覆われている。その瞳の色は赤いとも青いとも言われている。彼は人間の犠牲者を隅に追い詰め、質問する。これを拒むとその場で殴打され、殺されてしまう。申し出を受けたのであれば、その人物はアイホートの未成熟な雛を受け入れ、胎内で孵すこととなる。迷宮には多数の門が存在し、世界各地に繋がっていると言われる』
ここまで読んだ探索者はSAN値減少1d4。クトゥルフ神話技能+2。
◎机
上には地図帳が四冊置かれている。 また、引き出しがついている。
☆地図帳
「Ghana」「Japan」「Australia」「Austria」の四冊。
☆引き出し
開くと、一枚の紙が出て来る。本のページのようだ。
『怪談 赤い部屋
ある夜、タクシー運転手が一人の女を乗せた。真っ赤な服を着た俯きがちな女性は非常に美人で、運転手は気になりあれやこれやと話しかけるが、なんの返答もされない。やがて目的地に辿り着き客は降りていくが、気になった運転手は後から付けて行き、鍵穴から部屋をのぞこうとする。しかし、赤い部屋しか見えず、彼女は赤い色が好きだという情報しか得られないまま、その晩はアパートを後にする。
後日、幽霊話をしていた同僚が、赤い服を着た女性の話を持ち出す。あれは幽霊だったのかと驚く運転手は、顔も見た、という同僚の次の一言で、体を固まらせた。
「あの幽霊、格好だけじゃなくて目も真っ赤だったよ」』
オカルト、知識1/2:この話が、有名な都市伝説であることを知っている。
上の本と合わせ、ここまで読んだ探索者がもしリアルアイデアで窓の向こうの存在に気付いたのなら、SANチェック1/1d3。 あなたたちは、どうやらじっと人でない存在に見つめられているようだ。
【脱出】
「KEY ISN’T STEW」から導き出された肉じゃがから29、肉を引く。
英語表記にした時に「JAGA」は、地図帳の頭文字にそれぞれ該当する(オーストリアとオーストラリアの前後は問わない)。 本棚に「Japan」「Australia(Austria)」「Ghana」「Austria(Australia)」の順で地図帳を並べると、ロックの外れる音がする。
本棚を押しのければ、そこには白い光が広がっているだろう。 中に歩みを進めるのであれば、探索者はやがて意識を失い目を覚ます。
気付くと、公園のベンチに倒れていた。知っている場所でも知っていない場所でも構わないが、一応調べれば、探索者の家からそう遠くないことが分かるだろう。
夢だったのだろうか、そう思うにはやたらリアルだった体験を時折思い出しながら、探索者たちは日常へと��って行く。トゥルーエンド。
また、体重は戻っていない。頑張ってください。増えていた場合、人によってはノーマルエンド。
【ハッチから脱出する】
ハッチから滑り降りると、探索者は広く薄暗い空間に投げ出される。
そこには夕焼けも何も無かったが、重い足音に振り返ると、白い楕円形に象の足の様なものを生やした、生き物と称するには悍ましい姿をした巨大な存在がいた。
無数の赤い目がまばたきをせずじっと探索者を見つめる。アイデアに成功すれば、その目の輝きに見覚えがあるだろう。それは赤いあの窓の色だった。
アイホートの姿を見た探索者はSANチェック1d6/1d20。
この後は、雛を埋められるか殺されるかのいつもの二択となります。雛を埋められた後、別の門から帰る事は可能ですが、幸運に成功しなければ見たこともない国外に辿り着いているでしょう。残された時間は、ルールブックの通りです。バッドエンド。恐らくロスト。
【生還報酬】
生還した:1d3
太らなかった:1d3
美味しい料理が作れた:1d3
SAN値は上限を超えて回復しないものとする。
【余談】
Room.Eye、もしくはRoom.Eihort。
この狂信者絶対肉じゃがめちゃくちゃ好きだと思います。
お読みいただきありがとうございました。 感想等いただけると喜びます。
詐木まりさ Twitter @kgm_trpg
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