Tumgik
#短��小説
takigawa · 5 months
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短編小説「じゅたろう」 ① 9回裏 1-3 ワンアウト一、二塁 地区予選大会決勝。相手チーム南園学園は140kmの速球と125kmのスライダーを誇るサウスポーのエースピッチャー野村。 俺たち大友商業の3番セカンド北川は手堅くまずは得点圏に同点ランナーを進めて4番安藤、5番のオレ久富に回そうと送りバントの構え、そこに野村の高速スライダーが右バッター内角に食い込む。ガッと鈍い音がして、バントの打球は転がらず三塁側に変な回転の飛球が少しだけ上がる。野村がノーバンで拾おうと、マウンドを猛ダッシュで駆け下りて来る。 二塁ランナーは三塁に猛ダッシュする。一塁ランナーはノーバンで捕られたらゲッツーで試合終了になると考え迷ったが「捕られたら二塁ランナーは飛び出してるし、どっちにしてもゲッツー」と思い遅れて二塁に走る。ピッチャー野村は打球に走るが寸前でノーバン捕球は間に合わず、瞬間、迷ったが何とフォースアウトを狙い三塁に豪速球を送球。間一髪アウト!ツーアウトだ。 三塁手はすかさず、アウトに出来れば試合終了と、走塁が遅れている一塁ランナーが向かう二塁に猛然と送球。アウトのタイミング!一塁ランナーは二塁にヘッドスライディング。土煙りが上がる。 「終わったか、、、」とその時、ボールが二塁に入ったセカンドのグラブから溢れた。 「セーフ!」と大きな声が響く。 送りバントは失敗したが、辛うじて試合は続く。 9回裏 1-3 ツーアウト 一、二塁 バッターは4番こちらもサウスポーの安藤が左打席に入る。地区大会首位打者の安藤はこの試合まで4割を超える打率だったが、相手エース左投手の野村に押さえ込まれてノーヒット、三打席とも詰まった内野ゴロ。普段は明るく人気者の安藤の表情は野村の前にやや硬く見える。 一方、左ピッチャーが好きなオレは野村からセンター前ヒット、レフト前ヒット、そして、7回に今日の大友商業、唯一の得点をソロホームランで叩き出してる。 「フォアボールでもデッドボールでもいいから、オレに回してくれ」満塁になれば、ツーアウトだから、ランナーは全員思い切り走れる。 ヒットでも同点に出来るだろう。 1球目 内角速球を引っ張った安藤の打球は又、詰まって一塁側に転がる!観客席から悲鳴と歓声が同時に響く。 「ファール!」主審の声。 2球目 サウスポー野村の切れ味鋭いスライダーが外角を襲う。安藤、空振り! ノーボール、ツーストライク。 あと、一球で試合終了か。 3球目 更に外に少しはずしたボール球のスライダーに泳いだ安藤が手を出す!ポップフライが三塁側に上がる。さっき猛然と二塁に投げた相手サードがファールグラウンドに走る、走る、レフトも走って来る。再び耳をつんざく歓声と悲鳴。 「落としてくれ、、、、」 ファールグラウンドから観客席ギリギリ打球が飛ぶ。 入った。 観客席に入った。 「ファール!」 「タイミングが全く合ってない。」オレは呟いた。 「安藤!最後だ!悔いなく思い切って振り切れ!」オレは叫んだ。 安藤はこっちを向いて、日焼けした顔、切れ長の目で少し、はにかむように微笑んだ。 あれ?こいつ硬くなって無いのか? 4球目 またタイミングが合わない高速スライダーだ!安藤が右足をグッと踏み込んだ。泳いで無い。 すくい上げた。 パキーン!と甲高い打球音が球場に響いて左中間の深いところににボールが飛ぶ。飛ぶ。飛ぶ。 観客もピッチャー野村も安藤もオレもベンチの選手も審判も白球の飛ぶ夏空を見上げる。 一塁ランナーも二塁ランナーも見上げながらも走る、走る、走る。 「行っけ〜!!!」とオレは叫んだ。 と、センターが手をあげた。 打球が青空から落ちて来る。 悲鳴と歓声がこだまする。 安藤は一塁に走りながら、また、微笑んだ気がした。 安藤が右腕を突き上げている。 入った。 観客席に入った。 ホームランだ。 アレ?スリーランホームランだ? あれ?という事は? 4-3の サヨナラだ!!! 時が止まったような球場のベースを安藤がゆっくりと回っていく。 ピッチャー野村は膝を折った。 ニコニコ笑った安藤がホームベースに着く頃、オレたちはみんな安藤の笑顔を揉みくちゃにすべく、ホームベース上に集まり、抱き合って、待っていた。 「ゲームセット!」 「いいとこ、取りやがって!」とオレは叫んだが、果たして、ツーアウト満塁になってオレなら本当に結果が出せたのか??? そんな事は今は良い。 とにかくサイコーだ。 この日、オレと北川や安藤や野球部の仲間はサイコーに喜んでいた。 (②定食屋「イカ天」に続く) https://x.com/takigawa_w/status/1787822221651845444?s=46&t=8Vf8aUwk_B-ZbQ5UAGv05w #短編小説 「#じゅたろう」 #野球 https://x.com/takigawa_w/status/1787822805494739318?s=46&t=8Vf8aUwk_B-ZbQ5UAGv05w
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rosysnow · 10 days
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祈りが届く夜
純粋にお祭りを楽しみ、幸せを願う人の中で
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 残暑の夜、この町では無数に心願成就の赤い提燈を灯し、にぎやかなお祭りが行なわれる。
 子供の頃からこの町に住む私は、いつもこの日は浴衣を着てお祭りをまわる。昔は両親と、そのうち友人と、今は彼氏と。
 遠方からの人も混じるお祭りはかなり混雑するので、はぐれないように必死になる。駅前から神社までの道にも警備員が入るほど、今夜の町はざわめいていた。
 隣町の高校で知り合った、初めての彼氏である智行は、私と駅で合流して、「浴衣エロいな」とか言って私をむすっとさせる。笑って「かわいいよ」と言い直したシャツとジーンズの智行を私は見上げて、「智行は甚平着ないの?」と首をかたむけた。
「持ってないし」
「来年着てよ」
「それは、来年も別れてないということでいいんですかね」
「え……わ、別れてると思うの?」
 私が不安をあらわにして智行の服をつかむと、智行は笑って、「俺が振られてなきゃ続いてるだろ」とアップにかんざしをさした頭を、丁重にぽんぽんしてくれる。私は智行を見て、その手を取るときゅっとつかんだ。
「智行とはずっと一緒にいたい」
「じゃ、大丈夫だろ。告ったのは俺だぞ」
「でも、私も二年になって同じクラスになってから、智行がずっと好きだったし。落とせそうだったから、告白し──」
 智行がつないだ手に力をこめたから、立ち止まった。その隙に、唇にキスをされた。
 びっくりしてまばたくと、「千波はその卑屈なとこを直しなさい」と言われた。私は智行の瞳を見つめて、何とも返せずに素直にうなずく。
「よし」と智行は私の手を引いて再び歩き出した。
「智行」
「んー」
「私、小学生のときに、このお祭りで両親とはぐれたことがあるの」
「マジか。大丈夫だったのか」
「知らないおにいさんとお祭りまわった」
「は⁉ 何だよそれ、警察沙汰?」
「ううん。普通におとうさんとおかあさんに保護されたけど、家でめちゃくちゃしかられた」
「おにいさんをしかれよ」
「悪かったのは、ついていった私だからって。何か、その頃から、悪いことが起きたら原因は私じゃないかって思うくせがあるの」
 智行は私を見下ろして、「千波はいい���だよ」と言った。私はこくんとして、智行の肩にもたれた。夜風は涼しいけど、伝わりあう体温はまだ熱い。
 前方に目をやると、あふれそうに提燈がつるされた上り階段があって、その先にもたくさん赤提燈が並んでいる。「すげえ」と智行は子供みたいな笑顔を向けてきて、でも駆け出す前に私に引っ張られて足を止める。
「ちゃんとここで神様に挨拶したら、お願いが叶うんだよ」
 神社への階段、提燈の光が届かない入口のかたわらに、子供の図工の作品のような案山子が静かに何人か立っている。この案山子には、ライトアップも何もなく、たいていの人は見向きもせずに階段をのぼって、喧騒に混じっていく。
「これ、神様なのか?」
「そう。ほんとに叶うから」
「ふうん。じゃあ、千波と結婚できますように!」
「ここでそれを、大きな声で言わなくてもいいんだけど」
「もう言っちゃってから言うなよ」
「普通に、『今日はお邪魔します』って挨拶するの」
 私はそう言って、その案山子を見つめた。
 そう、このお祭りに来たら、この神様に「お邪魔します」と挨拶して。帰るときは、「ありがとうございました」とお辞儀する。そうして、きちんと神社で託した願いを預けると、神様はそれを叶えてくれる。
 あの人もそうだった。あの人が私に教えてくれた。
 私は七歳で、小学校に上がって一年も経っていなかった。右手にいちごのかき氷、左手に大きな綿飴、両手がふさがって「はぐれちゃダメだよ」と両親に何度もお祭りの人混みの中で言われていたのに、ちょっと立ち止まって顔を埋めるように綿飴を食べた隙に、おとうさんとおかあさんの背中を見失ってしまった。
 焦ってきょろきょろして、駆け出そうとしたけど、慣れない浴衣と下駄でつまずきそうになった。「わっ」と声を上げて地面に崩れかけて、誰かが肩をつかんでそれを止めてくれた。
 私は慌てて振り返り、そこにいた高校生ぐらいのおにいさんに、急いで頭を下げた。
「あ、えと、すみません。ありがとう」
 たどたどしい口調で言うと、おにいさんはたくさんの赤提燈の明かりの中で微笑んで、首を横に振った。
「おとうさんとおかあさんは?」
「あっ、い、いなくなっちゃって。探してて」
「はぐれたの?」
 私はうなずいて、転びかけてこぼれそうになっていたかき氷を少し食べる。
「ひとりで探せる?」
 私は暖色に彩られたあたりを見まわして、首を横に振った。振ってから、どうしよう、と瞳が滲んできた。このまま、おとうさんとおかあさんが見つからなくてひとりになってしまったら。
 おにいさんは腰をかがめて、私の手から綿飴を取ると代わりに手をつないだ。
「一緒に探してあげるよ。ひとりだと危ないからね」
「いいの?」
「うん。おとうさんとおかあさん、どっちに行ったかは分かる?」
「たぶん、まっすぐ」
「境内のほうかな。足元、気をつけて」
 私はうなずいて、おにいさんの手をつかみ、たまに甘いかき氷を食べながら、人混みの中を歩きはじめた。
 赤い光が高く、永遠のようにいくつもいくつも並び、それで楽しげな夜店が浮かび上がっている。金魚すくいや水風船、おいしそうな匂いがあふれてくるベビーカステラや、宝石のようないちご飴やりんご飴。笑い声や叫び声がはじけて、みんなはしゃいで、お祭りを楽しんでいる。
「今日は、何か願い事はあるの?」
 ふとおにいさんが問いかけてきて、「え」と私は顔を仰がせて、まばたきをする。
「お願い」
「このお祭りは、神様に願い事を伝えるお祭りなんだよ。たくさん、提燈あるでしょ」
「うん」
「そのひとつひとつに、願いが込められてるんだ」
「そうなんだ。知らなかった」
「ふふ。神様も大変だよね。こんなにお願いされて」
 おにいさんは、まばゆく灯っている提燈を見やった。その横顔がどこか哀しそうに見えて、私は口を開いた。
「おにいさんは?」
「え、僕?」
「おにいさんも、お願いがあるから来たの?」
「ああ、……うん。そうだね」
「どんなお願い?」
「うーん……いろいろあるけど、子供が欲しいかなあ」
「赤ちゃん? 結婚してるの?」
 おにいさんは微笑んでそれ以上言わず、「ひと口もらっていい?」と綿飴をしめした。私がうなずくと、おにいさんは綿飴を食べる。「甘い」とおにいさんは咲ってから、不意にうつむいた。
「僕のお願いは、醜いのかもしれない」
「えっ」
「こんなに提燈があって、それだけ人の願い事があって。綺麗なお願いもあるよね。でも、醜い願いもあると思うんだ」
「……みにくい」
「純粋にお祭りを楽しんで、幸せを願ってる人たちの中で、僕はたぶんすごく汚い」
「おにいさん、優しいよ? 一緒に、私のおとうさんとおかあさん探してくれてるよ」
 私がそう言って、つないだ手を引っ張ると、おにいさんは泣きそうな顔をして、それでもうなずいた。私は考えて、「かき氷も食べていいよ」とさしだした。「ありがとう」とおにいさんは涙が混じった声で言って、懸命に私に微笑した。
 騒がしい混雑の中で、おとうさんとおかあさんはなかなか見つからなかった。私がつまらない想いをしないよう、おにいさんは少しお金を出してくれて、食べ物を買ってくれたり遊びに混じらせたりしてくれた。
 私が下駄の鼻緒がちょっと痛いのを言うと、おにいさんは腕時計を見て、「僕も帰る時間だし、出口で座って待ってたほうがいいかな」とにぎやかな露店の通りを抜け、ゴミを捨てて階段を降りていった。
 提燈が途切れた暗がりで、来るときには両親とはしゃいでいて気づかなかった案山子が、階段のかたわらに立っているのに気づいた。暗闇の中で不気味に見えて、おにいさんの手をぎゅっとつかむと、「この案山子には、神様が宿ってるんだよ」とおにいさんは私の頭を安んじてくれた。
「かみさま」
「このお祭りに来たときには、この案山子に『お邪魔します』って挨拶するんだ。そして、帰るときは『楽しかったです、ありがとうございました』ってお礼を言う。そしたら、願い事を叶えてもらえるんだ」
「私、来るとき挨拶しなかった」
「ふふ、来年からね」
 おにいさんが咲ったときだった。みんなお祭りに吸いこまれて、今は人がまばらの道の中から、「橋元っ」と声を上げながらこちらに駆け寄ってくる人がいた。おにいさんははっと振り返って、「湯原」とつぶやいた。
 おにいさんが私の手を離したのと同時に、その人がおにいさんにぶつかってそのまま抱きしめた。
「ごめん、家抜け出せなくて」
「ううん。来ないかと思ったけど」
「二十一時には帰るって言ってたから、焦って来た」
「そっか。来てくれて嬉しい」
「もう、一緒に見てまわれないよな」
「そう、だね。……いや、湯原が来てくれたなら」
「無理すんなって。また来年──」
「湯原と一緒に、願掛けたいから。来年にはもうこんな町出てて、一緒に暮らしてて、家族になるって」
「……橋元」
「ほんとに……ごめん。僕が、女じゃなくてごめん。もし湯原の子供とか作ってあげられるなら、こんな──」
「バカ。いいんだ、そんなもう気にしないって決めただろ」
 私は、ふたりのおにいさんが抱きしめあうのを見つめた。
 そのとき、「千波っ」と呼ばれてはたと階段をかえりみた。おかあさんが階段を駆け降りてきていた。おにいさんたちも私を見て、私は一緒にお祭りを見てくれたおにいさんに何か言おうとした。でも、すぐさまおかあさんに乱暴に手首をつかまれ、引きずるように階段をのぼる。
 私は、なおもおにいさんを見た。好きな人の腕の中から、おにいさんも私を見上げてきた。
 子供が欲しい。女じゃなくてごめん。子供を作ってあげられるなら。
 ああ、と思った。だから、おにいさんは自分の願いを「醜い」なんて言ったのか。
 でも、私はそう思わないよ。せめてそう言いたかった。おにいさんがその人を好きなのは、すごく分かったから。そして、好きな人と子供を持ちたいというのは、ぜんぜん普通で、とても綺麗な願い事だよ。
「ほんとに、あんたは何してるのっ」
 階段をのぼって、また赤提燈がふわふわ浮かぶ中に戻されると、おかあさんは軽く私の頬をはたいた。
「よりによって、あんな気持ち悪いうわさのある子たちといるなんて」
 その言い草に私は驚いて、おかあさんを見上げたけど、提燈の逆光でその顔は見えなかった。
「ほんとに嫌、うわさ通りなのね。男の子同士で抱きあってたわ」
「まったく……千波、何でおとうさんから離れたんだ。はぐれるなって言っただろう」
「もう何も買ってあげませんからね。おとうさんの手をちゃんとつかんでなさい」
「千波、その男に何もされてないよな?」
「う、うん──」
 すごく優しかったよ、と続けたかったのに、それは聞かずにおとうさんは息をつく。やっぱり、提燈の逆光で顔は見えない。
「ああいう輩には、いい加減この町を出ていってほしいな。気分が悪い」
「ほんとだわ。見かけるだけで嫌になるわね」
 何で。何で何で何で。
 おにいさん、優しかったのに。私のこと、心配してくれたのに。あの男の人が、大好きなだけなのに。
 どうして、おとうさんもおかあさんもひどいことを言うの? うわさってことは、みんなおとうさんたちみたいに、おにいさんたちをひどく言ってるの? あのふたりは、ただの恋人同士なんじゃないの? 一緒にいたいだけなのに、そんなふうに悪く言われているの?
 次の春、おにいさんと男の人は、一緒に高校を卒業して一緒に町を出ていった。ふたりはお盆もお正月も里帰りなんてしなかったけど、私が中学生になった夏、一度帰ってきたとうわさになった。
 孤児の子を養子として迎えた報告だったそうだ。でもふたりの家族は誰もそれを喜ばないどころか、受け入れることもしなかったらしい。ふたりとその子は、町に泊まることなく、平穏に暮らせているのだろう場所へ帰っていった。
 ……よかった。子供持てたんだね、おにいさん。お願い、叶ったんだね。
 それを言いたかったけど、結局伝えられなかった。
「──おっ、射的だぜ。やろうぜ、射的」
「いや、小学生しかやってないよ?」
「景品的には、さっき通った輪投げやりたいんだよ。まだこらえてるんだよ」
「輪投げ……」
「何か欲しい景品あるか? 狙ってやるぞ」
 智行は財布から出した三百円をおじさんに渡して、代わりに射的銃を受け取っている。
 本当に、小学生の男の子しかいないのだけど。その保護者の人に、何だか智行は生温かく見られているのだけど。
 恥ずかしい、と思いつつも、私は並ぶ景品を覗きこむ。一応見渡してから、私は智行に耳打ちした。
「智行」
「おう」
「私も、結婚がいいな」
「えっ」
「今夜、ここでのお願い」
 智行は私を見た。私は照れながら咲った。「よし」と智行も笑顔になる。
「じゃあ、あの指輪でも撃ち落とすか」
 私たちは思わず咲いあって、「もっと上か」とか「少し右」とか一緒に照準を狙い、それが小学生より真剣なので、店番のおじさんにちょっと苦笑される。
「もっとこう持ったほうがいいよ」と小学生たちにアドバイス��でされはじめて、智行はそれで銃を持ち直したりして、授業中よりまじめなその顔に私は微笑んでしまう。
 境内まで続く提燈が、暖かい光を灯して無数に並んでいる。その提燈のひとつひとつに、願いが込められている。
 それはどこまでも綺麗な祈りしかないようで。
 あまりにも貪るように願って醜い気もして。
 幻想的に揺れるあの赤い光は、どんな願いを聞き届けているのだろう。
 家族になりたい。階段の下の陰にたたずむ神様は、おにいさんのあの願いを叶えてくれた。そして今夜も、明るくにぎやかなお祭りから聴こえてくる願い事に静かに耳を澄ましている。だから私も、このお祭りで神様に祈りたい。
 この人と、いつまでも一緒にいられますように。
 それが私の祈り。両親に縛られ、自分の気持ちを言えない私が、初めて強く持った望み。
 どうか届いて、私にその光のような未来を。好きな人と家族になれる幸せを。
 提燈の光が、瞳の中に煌々と降りしきる。昔から変わらないその優しい明かりの下にいると、願い事は確かに神様に届いた気がした。
 FIN
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iftwmdt · 1 year
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我是今天早上起床后决定去死的。
收拾了昨夜吃剩下的泡面,汤水倒进了马桶,认真做好了垃圾分类。挑选了最喜欢的那身切尔西的帽衫,这是我妈在我20岁生日那天送我的。
收拾好一切,蹲坐在鞋架边,数着墙上时钟上的分针,因为六点半才能丢垃圾。
其实去死这个念头也仅是今天才有的,我开始回想起事到如今的原因。因为工作,家人,伴侣,生活。想了许久,想要挖出那一根被引燃的导火线。
那场面,大概就是燃烧着的蜘蛛网,火势从六边形的每个角落涌向中心点的我,而我还只是黏在网上的一只待宰的昆虫而已,没有这火,也只是等着被织网的蜘蛛蚕食罢了。
思绪截至在时钟指向六点半的那一刻,蹲了太久,站起来一瞬间两眼发黑,我扶着鞋架,待大脑重新回来,拎着几袋垃圾出门了。
两分钟后我折了回来,想死的心太急,马桶忘记冲了。
元旦假期前,同事涨薪失败,看着他双眼发红发朋友圈的样子,我满是羡慕。那种还对世界充满希望的泪水与愤怒,早就被我丢在人生道路上的哪个有害垃圾的垃圾桶了。我能猜到她的朋友圈内容,大抵是被老板数落能力不行,配上发红的眼眶自拍。嘴是一定会捂上的,毕竟这时候的表情要么就不太合适,要么就不太好看。
没多久,那条朋友圈就会有着数十个点赞,朋友会关心,家人会安慰,同事会帮着骂上几句,男朋友会扬言揍老板一顿。这一切会激烈的讨论整个下午,而话题中心的老板此刻正淡定的躺在自己办公室的按摩椅上,准备好好睡上一觉。
没多久,我就在那天屏蔽了不知多少人的朋友圈里点了一个赞。
爱埋怨是件好事,这是一个人知道一件事何为正确的象征。
我家人也爱埋怨,因为他们觉得我应该去厂里上班,应该去乡下讨个媳妇。不懂事的时候我还会愿意同他们争论。如何在厂里上班的同事,照顾好乡下的媳妇。
于是他们会埋怨我花了他们的钱读了书,却只知道和他们顶嘴。
这时候我就没法回,因为我也没读好书。
我大概是应该去厂里上班的。
听说那里有着定期发放的工资,每日的餐食,干净的宿舍,不用动脑的工作。
那是值得向往的工作,只可惜不是那个刚毕业热血的我向往的工作罢了。
当年的我烧着热血,离开父母,在这个外卖商家刷不到底的城市里,决定两年买车,三年买房,十年达到财富自由。
想到这,我坐上了公交车,临死前再看看吧,这个曾经我热爱的城市。
离财富自由的期限还有两年,房价已经比刚来时翻了几倍,公交车都从汽油换成了电车。
很怀念那些年,我还做着设计师的梦,即使身无分文,至少不像现在到处欠钱。
我前女友当年也很支持我做设计师的。
那时候她会夸我有才华,也因此,我有时还真的会相信我可能真的是个天才。睡前我总会翻着朋友圈,向她吐槽同行的垃圾图纸,客户带来的破烂样图。
其实我不也并非真的看不上,只是我很喜欢她对我说对对对的样子。
所以,当有一天,她说我不对的时候,我们分手了。
车正路过之前我们一起等车的站台时,一个老头坐在了我旁边,想必上车前才掐断最后一口烟,身上的味道像湿垃圾分类的垃圾桶。
我向里挪了挪,看着远去的站台忍不住笑了,这种吊人怎么好意思坐公交车,这种吊人怎么好意思有过女朋友。
后来我就习惯说对对对了。
我对老板说,对同事说,对客户说,对家人说。
对对对,您骂的是。对对对,问题在我。对对对,你的想法非常超前。对对对,厂里确实不错。
反正我是错的,那和我意见相反,应该都是对的。
后来我就决定去死了。
我难以得知正确的样子,让我在这个世界上没有了存在的意义。
这个世界是留给那些对的人的。
我一直坐在公交车上,一遍遍的看着这个熟悉的城市,我在这找过工作,在这见过客户,在这吃过火锅,在这遇到过老头。
“爷爷,你怎么一直不下车啊?”我问了问,这老头和我在这车上拉回好几遍了。
“逛逛。”老头盯着正前方,双手环抱着,看着不太愿意搭理我。
我又向里挪了挪,也环抱着,眯眼睡了过去。
被司机拍醒时天已经黑了,司机说他下班了,麻烦我把路费补一下。
我微信转了他一百四,倒不是我大方,手机里就这么多。
我一个人下了车,老头不知何时走的,大概是老年卡才可以这么肆无忌惮吧。
一年的最后一天,这个偏僻的末站倒��热闹,大家裹着衣服猫着腰,即使躲避着初冬的寒风,依然要在这一天找一个地方,等待庆祝新一年的来临。
我走到一个老旧的小区,就这吧,看这附近应该砸不死人。
看了三遍招聘平台的广告,电梯上了顶楼。再爬了一层没有夜灯的台阶,终于来到了天台。
我抬头看了看天,不像夏天,冬天的天空总是灰蒙蒙,看不到一点星光。
真好啊,夏天,一切都很美好,阳光,白云,最老套的词却描绘着最具希望的样子。
只可惜我是等不到下一个夏天了。
更可惜的是,天台有人了。
“爷爷,你咋也在这呢...”
“看看。”老头回头看了我一眼,他正盘坐在围墙上,十七层楼的下面,车子还不时传来不耐烦的汽笛声。
“爷爷,你这样不安全,要不你先下来吧。”我被风吹着忍不住打了个寒颤,声音都在发抖。
“我等着死呢。”老头的声音平稳有力,我甚至能在冷气中闻到他嘴里的那股烟臭味。
我哆哆嗦嗦挪到老头的身边,手掌隔空扶在他的背后,至少他要是往后倒下来,不至于摔伤。
往前倒,也不是伤不伤的问题了。
离的近些,我也才真的好好看了看这个老头。没有中年人的地中海,头发已经仅剩些白色的绒毛吸附在发皱的脑门上,眉毛的尾部已经飞出眉形,紧皱着望向楼下堵住的车流。
公交车上的那烟味还未散去,只是现在我是一点不敢离开。
“有烟吗?”老头回头上下扫了我一两眼,“跟着我这么久干嘛?”
“没跟着你啊,我...”
我不知道该如何解释此刻的天台相遇,憋了半分钟,假装掏了掏口袋,回了句没有。
“罢了,临死了连根烟都抽不得。”老头头又转了回去,双手始终环抱着。
看似取暖的动作,却在寒风中有着不惧的威严。
我又瞧了眼楼下,车已经纹丝不动,但停下的人们并未发现楼顶的这出闹剧。我一个寻死的人,此刻害怕另一个寻死的人去寻死。
我踩着地上散落的烟头,腿控制不住的发抖,脚趾已经冻得没了知觉,手仍悬在空中搂着老头身后的空气。
“有啥想不开的爷爷,先下...下来再说啊。”
“活着没意思,早该死了,死完了。”老头再次回了头,这次他身子也转了过来,利索的从围墙上跳了下来。搓了几下双手,从中山装的的上口袋里掏出一个塑料打火机,蹲了下来,利用着火光,寻找着残余的烟头。
“爷爷您这...,要不我给你子女打个电话来接您成不?”
老头没理我,翻了一会儿,找到一个还算长的烟头,靠着墙边,躲着风。点燃后,他猛吸了一口,收起了火机。
城市的灯光未被收起,还能看见那眉头终于松了下来。
老头在地上坐下,伸了伸双腿,一吞一吐,瞄了瞄弯着腰跺脚的我,“小伙子,做什么的啊?”
“我,看看风景...”
“我是问你做什么工作的。”
“设计,额,大概是设计。”我补充了一句。
老头又猛吸了口烟,残根的烟头立马就烧到了底,散着刺鼻的焦味。
“我和你差不多,我年轻的时候是个画家。”
“哦哦,蛮好的。”
“也就两年功夫,画了两年你知道吧,后来不画了,没人搭理,我们那不兴这个,家里人不让。”
“哦,那,那个挺惋惜的。”
“不可惜,不让的人后来死的都比我早,就我活着,没人管了。”
“哈哈....”我不知该回什么。
“那时候想死,不想活了,一家人拉着我,我在那喊啊,我去死了,不活啦。我妈就在那拉着我哭,在那念阿弥陀佛。”老头挥舞着双手,演着曾经的自己,“他们觉得我疯了,觉得我入了邪道了。”
我也坐在冰冷的地上,看着他眼神反着光。
“他们越是觉得我疯了,我越想死。可惜了,那时候该死。”
“活着不好吗,爷爷你看你现在活着多精神是不...”我说。
“那时候死了,兴许他们会觉得自己错了。死的晚了,他们都死了,他们都觉得自己都是对的才死的,可惜了,弄得现在我觉得我是错的。”
“您是对的,哦哦...您是错的,那个,我...”不知怎么的,我的眼泪就大颗大颗的往下掉,突然感觉极度的痛苦,还有害怕。不知痛什么,也不知怕什么,只有撑在地上的手能感受到冰冷,还有泪水滴在上面,烫的发疼。
“该死的,应该死的,白活了这么久,现在死了也没人问了。”
“我...大爷你干嘛和我说这个,你能别说死不死的吗,我害怕,我不想死,我,我不想死啊!”
“我又没让你死,你哭个屁。”
“我,我就是怕啊,我怕啊!”
风一阵阵的刮着,远方传来了阵阵烟花声,天空是不是闪着光,我的脸烫的发麻,感觉声带正在做着抵抗。
对啊,我在怕什么呢。
明明垃圾都分好类了,马桶也冲了下去。
在怕什么呢?
不知道自己在嚎什么,只感觉浑身的痛。
老头半天没说话,我也总算冷静了下来,抽了抽鼻子,抬头看着烟花。
老头也在看烟花,一阵黄,一阵红。在眼前,在远方。
“对不起,我,我可能有点紧张,我陪您下楼吧。”
“下去给我买包烟成不,一包红南京,十二快的,楼下有个超市。”
“啊?”
“我看你精神不太好,动动,完了陪大爷唠唠。”
我缓慢的爬起来,膝盖僵硬的不像话。
“没钱了。”我想了起来,最后那点存款给了公交司机。
老头又翻了翻衣服的上口袋,只掏出一个火机。随后起身,手揣进裤子口袋里掏了掏,摸出一些钱。
“再买瓶酒,十五的随便,白酒,别买别的,喝不惯。”
我伸出手接过那一沓皱巴巴的纸币,擦了擦眼泪。
“那你等我会儿。”
“好,别买错了,十二的红南京。”
我借着烟花的光走向楼梯,摸索着扶手下了楼。
楼下的灯光让我回过神,完全不知刚刚什么情况,身体突然的不受控制。
看着电梯门的镜面,发现自己的头发都吹的服服帖帖,蓝色的帽衫上沾满了白灰,眼睛通红。我按了电梯,狠狠地揉了揉自己的脸。
电梯从一楼到二楼到三楼,突然听见电梯边的人家传来了一声声倒数。
“十,九,八,七...”
电梯边的广告窗还在播着那个招聘平台的广告,里面的人穿着统一的绿色紧身衣,不知为何的聚在一起跳着舞。
“五,四,三,二,一!”
“彭!”
而后,周围的房间内传来了一阵阵欢呼。
烟花吗,我问着自己,随后走进电梯,捏着纸币的手按下了一楼的按钮。
新年了啊。
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cloudkuo · 1 year
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「我想請教一下,您那邊以前有沒有一爿叫『天涯海角』的館子?」
聽筒那頭沉默了兩秒,『你是說「天之涯,地之角」的「天涯海角」嗎?』
「是。」
『你們怎麼會想問這爿館子?』
連結:https://www.penana.com/article/1164829
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nunoisuhurosara · 2 years
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見ることも知ることもない
宇宙から地球を見たら、いま自分が悩んでることなんてちっぽけに思えるという言葉があるけれど、それよりももっと有効な例えがある。
君が生きている世界を一つのゲームと仮定する。そのソフトは生きている人間の数だけ、あるいは命ある生物の数だけ存在する。君は君としてそのゲームをプレイしている。スタートもエンディングもソフトによって、プレイヤーによって異なる。そのゲームはある一人の製作者の脳内で構成されている。その製作者とは誰か。それは君自身である。
仮に、君が死ぬまでに一度も耳にすることも目にすることもなかった音楽が存在するとする。つまり存在を認知できない音楽だ。仮にその曲の作曲者をアレックスとしよう。彼��カリフォルニアに住む大学生だとしよう。アレックスは得意のピアノでその曲を作曲する。仮にその曲のタイトルを「青い象」としよう。君は生きている間にアレックスがカリフォルニアに実在していたことも、「青い象」という曲が作られたことも知ることはない。だから君は君の脳内でこの「青い象」のメロディを演奏することはできない。すると君はこの存在を認知できない音楽、「青い象」は存在しないと同義だと考えるかもしれない。しかしそれは違う。それは同義なんかではなく、ハナから存在しないんだよ。なぜなら世界や宇宙、あらゆる事物は君の脳内で生まれるんだから。
あそこの水槽の中にサカナがいるだろ。仮にあのサカナはあの水槽の中で生まれて、水槽の中から出ることなく死ぬとしよう。その場合どうだろう、あのサカナは自分のルーツが海であるということを知ることはないだろうね。なぜなら海というものが存在するなんて想像もできないんだから。つまりあのサカナにとって海なんて存在しないと同義だ。でも君は海というものを知っている。ではあのサカナは海の存在を認知できないまま生涯を終えることを悔やむだろうか。悔やまないだろうね。だってあのサカナにとってのルーツはあの水槽でしかないんだから。
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alas5delatarde · 1 year
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バラ色の連帯と称する奇妙でみだらな疑似家族を営む母娘と俺との、エロティックな関わりの始まりと終わり。
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suzumesuzuki · 1 year
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こちらでも宣伝失礼します!あたらしいネプリが出たので、よろしくお願いします🐋
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beth--rch · 1 year
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職員室に入ったとき、コーヒーの匂いがした。私はその匂いが大嫌いだ。大人が大嫌いだから。大人になりたくないから。苦い味に麻痺しているみたいで。苦いと知りながら麻痺しているみたいで。それはコーヒーだけでなく。
私は大人の言うことを聞いた。小さな頃から素直に従っていた。大人たちからしたら、言うことを聞く都合のいい子供だったのだろう。それは中学生になっても変わらず、大人と子供に挟まれた何者でもない、人間なのかも分からない、道具のような機会のような誰かの者になっていた。
あれから何年が経っただろうか。思い出したくもないが、私は、今、コーヒーが好きだ。これは麻痺なのかも知れない。けれど知らないふりを続けるのだ。
「コーヒー」
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kensuido · 14 hours
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9/22開催の文学フリマ札幌9に硯水堂分室として青海波がソロ参加します!
お久しぶりです! 今回のイベント参加は9/22(日)開催の文学フリマ札幌9です~! 青海波のみのソロ参加、あららぎさんはいません&あららぎさんの本『鉱物異装』『天然石異装』はありませんのでご注意ください🙏
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スペースを詩歌で取ったのに、色々、ほんと色々ありまして新刊はなぜか短編小説になりました!計画性がない!!
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既刊2冊とグッズも持っていきます! お品書きにないですが、しおりとステッカーもあるよ💪
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【文学フリマ札幌9 開催概要】 🕙9/22(日) 11:00〜16:00開催 📍札幌コンベンションセンター 大ホール ✅入場無料✨ 📘文学フリマとは?→ https://bunfree.net/attend/ 📕イベント詳細→ https://bunfree.net/event/sapporo09/
青海波はじめてのソロ参加、基本びびってぷるぷるしてると思う🥺 ご都合良ければぜひ来てくださいましね~!
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rosysnow · 14 days
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だけど、僕は君と
頑張っても、いくら頑張っても……
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 単に人より頭が悪くて、授業に追いつけないのが邪魔なだけだから、保健室登校にはならなかった。もっと深刻な理由で教室に行けない子がいるから、僕の面倒は見られないと保健の先生は言った。
 生徒たちが帰宅していく放課後、クーラーのかかる職員室に戻り、担任の先生はうつむく僕を心底厄介そうな目で見下ろした。
「学校に来るの、やめるか?」
 匙を投げる言葉を、ついに先生のほうから言われた。僕もそうしたかった。けれど、そんなことをしたら、両親がきっと黙っていない。
 首を横に振ると、先生は息をついて、「じゃあ、勉強をもう少し頑張ってくれないと」と腰に手を当てた。
 頑張ります。そう言うしかなかった。頑張っても、いくら頑張っても、僕は目障りに劣っているだろうけど。
 口を開こうとしたとき、「無理に頑張っても、分からんもんは分からんよなあ」と笑い声がした。思いがけない台詞に僕は顔を上げ、ついでびくんと震えそうに緊張してしまった。
「坂口先生も、言い方がきついんじゃないかな」
 担任の先生にそう言ったのは、僕は口をきいたこともない、でも毎週月曜日の朝礼でそのすがたは見ている、この中学の校長先生だった。担任の先生もすぐ畏まったものの、「しかし、校長」と僕を一瞥する。
「この生徒は、本当に努力が足りなくてですね。やる気が感じられるなら、サポートもできるんですが」
「それは先生も同じに見えるがね」
「は……い?」
「坂口先生のほうも、彼に誠意が足りないようだ。見てくれると思うなら、彼も先生を自然と頼ってくれるはずだよ」
 僕はまばたきをして、校長先生を改めて見た。
 校長先生の話は長いなあ。地面を見て、そんなことしか思ったことがなかった。
 けれど、ぽっちゃりした軆に背広を着た校長先生には、大らかそうな親しみやすさがあった。
「名前は──小橋くんか。よし、小橋くんのことは私が見ようじゃないか」
「い、いやっ、とんでもないです。すみません、校長。小橋のことは、僕がもっと厳しく見るので」
 校長先生は首を横に振り、「そうやって、生徒を追いつめるのはやめなさい」と言った。担任の先生は、そう言われる理由が本当に分からないようだった。
 僕は、分かる。だから校長先生の目を見ると、校長先生はにっこりしてうなずいた。
「小橋くん、明日から校長室の隣の会議室に来なさい。何、校長先生なんてヒマなもんでね、だからよく花壇の世話をしたりしてるんだ。学校で一番仲がいいのは、用務員のおじさんなんだよ」
 校長先生の哄笑に、僕も思わず笑ってしまった。ついで、驚いた。まだ僕は、学校で笑えたのか。息苦しくて、こんな場所ではみんなみたいに笑えないと思っていた。
「うん、そんなふうに笑えるのが一番大事だ。毎日相手はできないかもしれないが、学校に来たら、これからは会議室でゆっくりするといい。勉強は余裕ができたときでいいんだよ」
 担任の先生は何か言いたそうだったけど、校長先生が僕を理解している手前で、なおも責める勇気はないみたいだった。
 中学二年生の二学期、夏休みが明けたばかりの蒸し暑い九月。そうして僕は、教室をドロップアウトし、校長先生認定の会議室登校を始めた。
 朝、登校すると、職員室で会議室の鍵を借り、校長室の隣のドアを開ける。カーテンのない窓からの日射しがまばゆい、広い教室だった。長いつくえに椅子がみっつ並び、そのセットが黒板の前から後方まで整列している。
 その中のひとつの椅子に腰を下ろし、僕は図書室で借りた本を読んだり、自分なりに教科書に目を通したりする。
 静かだった。つっかえる朗読がうざったそうな視線も、先生をいらつかせる不正解への舌打ちもない。僕以外は誰もいなくて、時計の秒針だけが響く。
 言ってくれた通り、時間が空くと校長先生が話相手になってくれた。こんな中学時代で高校に進学できるか不安を打ち明けると、親身になって、通信制高校の資料を持ってきてくれたりもした。鈍くて、勉強ができなくて、いつも大人に恐縮していた僕も、校長先生には自然と懐いていった。
「小橋くんは、人と交流するのは苦手かな」
 十月に入って太陽が緩やかになり、気候が涼しくなってきた頃だった。その日も会議室で本を読んでいると、校長先生が顔を出して、僕の隣の椅子に座ると、そんなことを訊いてきた。
 僕は首をかたむけ、「みんな僕といるといらつくみたいで」と自嘲気味に笑った。
「友達ができたことはないです」
「そうか。小橋くんがよかったらだがね、ここにもうひとり受け入れたい子がいるんだ」
「え」
「その子は、保健室は病室みたいで嫌だと言っていてね。親御さんも、保健室のほうが安心だとその子を説得はしてるんだが」
「何か、事情がある人なんですか?」
「ほとんど、学校に来たことのない子なんだ。生まれつきの病気で、ずっと病院で過ごしてきた子でね」
「はあ……。じゃあ、治って学校に来れるようになったんですか?」
「いや、心臓を移植するしか確実な治療はないそうでね」
 校長先生は少し口ごもり、「小橋くんを信用して話すがね」と前置きした。
「もう、長くないそうだ」
「えっ」
「だから、その前に学校に通ってみたいと言ってるそうなんだよ」
 何度かまばたきをしてから、止まってしまった。
 心臓。長くない。その前。
「小橋くんならがさつなこともしないし、言わないだろうしね。よければ、ここで一緒に過ごしてみてほしいんだ」
「僕、……そんな、ちゃんとできるか分からないです」
「『ちゃんと』?」
「嫌なこと言ったり、したり、しないかもしれないけど。その……何か、意識するというか。し……死ぬ、んですよね。もしかしたら」
「……そうだね。だから、もし小橋くんのプレッシャーになりそうなら、無理は言わないよ。別の教室を考えればいいから」
 このあいだクローゼットから引っ張り出した、防虫剤が名残る学ランを見下ろした。
 迷惑だ、とかえらそうなことは感じなかった。ただ、僕はいつも周りを不愉快にさせる。その人の最後になるかもしれない時間が、僕のせいでいらいらしたものになったら。
 たどたどしくその心配を素直に話すと、校長先生は優しい顔つきになって、「小橋くんじゃなかったら、きっと何も相談もせずに、その子にはほかの教室を用意していたよ」と言った。
「小橋くんは、その子のいい友達になれるように感じるんだ。じゃなければ、長くないなんて話も、本来は勝手にしてはいけないしね」
 そのプライバシーは、本当だと思った。
 校長先生は、今までのどんな大人より僕を見てくれる。僕だって、欲を言えば友達が欲しい。「ほんとに友達になれそうな人ですか」と確認すると、「私はそう思うよ」と校長先生は言ってくれた。「じゃあ」と僕は顔を上げた。
「その人と、一緒にここで過ごしてみたいです」
 校長先生は微笑み、「ありがとう」と何度かうなずいてくれた。言ってから、まだそわそわしたけど、校長先生のことを信じたい。
 大丈夫だ。合わない人を無理にここにつめこむなんて、校長先生ならしない。
 友達になれる。友達ができる。出来損ないの僕に、友達ができる。
 校長先生からその人の親御さんに連絡が行き、その人も僕が会議室にいることは承知し、「そこに行きたい」と言ってくれたらしい。それを校長先生に聞いた翌日の朝、職員室に寄ると会議室の鍵がなかった。
 ちょっと首をかしげてから、例の人が先に来ているのかもしれない、とどきどきしてきた。かばんの持ち手を握り直し、職員室を出ると会議室に向かう。
 校長室のドアをちらりとしてから、会議室の前に立つ。耳を澄ますと、中から話し声がして、緊張がせりあげたものの、ひかえめにドアをノックして扉を滑らせた。
「お、おはようございます」
 どもりながら言って、ぎこちなくならないように目線を上げた。そして、突っ立ってしまった。
 何で、だろう。僕はその生徒は、何の根拠もなく男だと思っていた。けれど、そこにいたのは紺のセーラー服を着た、白皙の長い髪の女の子だった。
 校長先生が椅子に座る彼女のかたわらにいて、「おはよう」と僕に応えてくれる。僕は慌てて頭を下げてから���後ろ手にドアを閉める。
「小橋くん、この子が話していた緑野さんだよ。三年生だから、彼女がひとつ年上だね」
「あ、はい……えっと、初めまして。小橋優司です」
 緑野さんはこちらを見て、人懐っこく微笑むと「初めまして」と意外なほど快活な口調で言った。
「緑野亜由子です。しばらくお邪魔しますね」
「しばらく──あ、そうか。三年生なら、卒業……」
「はは、卒業までいれたらいいんだけど、残念ながら十月のあいだだけなんです。あーあ、どうせなら卒業式にも出たかったなあ」
「卒業式だけには来るのも、学校側はもちろん歓迎するよ」
「ほんとですか? やったあ! それ、おとうさんとおかあさんに言っておいてくださいねっ」
 緑野さんは、校長先生に無邪気に咲う。
 女の子だとは、思わなかった。それに、そんなにあっけらかんとした子だとも思わなかった。ほんとに仲良くできるかな、と不安も感じつつふたりに歩み寄り、やや躊躇ってから、緑野さんの隣の席に座る。
 すると校長先生は、「私はそろそろ朝礼があるから、ふたりで話してみてごらん」と僕の肩を励ますようにとんとんとして、会議室を出ていった。それを見送っていると、「あの校長先生、何かいいね」と緑野さんが言ったので、僕はそちらを向く。
「校長って、学校で一番堅そうなのに」
「僕も、初めて話したときはびっくりしました」
「敬語じゃなくていいよ。私も、優司くんでいい?」
「あ、はい──いや、うん」
「私も亜由子でいいから」
「亜由子、さん」
「そう。ふふ、嬉しいなあ。ここではクラスメイトだよね、私たち」
「そう、なのかな。学年は違うんだよね」
「いいじゃん、会議室の生徒で。あー、嬉しいっ。クラスメイトとか、ほんと初めてだー」
「あ、あの、……亜由子さん」
「うん?」
「僕、そんな、いいクラスメイトじゃないかもしれないけど。その……」
 亜由子さんが僕をじっと見つめる。僕はちょっと頬に微熱を感じつつ、「よろしく」と改めて言った。すると亜由子さんは嬉しそうににっこりして、「よろしくっ」と僕の肩を軽くたたいた。
 それから、僕の会議室の時間は、亜由子さんとの雑談が主になった。亜由子さんは、生まれてから今まで病院の個室にいて、ほとんどひとりで過ごしてきたらしい。でも僕なんかより気さくで、ほがらかに明るかった。
 亜由子さんなら、普通の教室でもなじめるのではないかと思った。僕なんかと過ごすより、そちらのほうがたくさん友達ができるだろうし、卒業式で再会できる人も作れる。
 それをそのまま言うのは卑屈だからひかえたけど、「ここにいたのが、僕なんかでごめんなさい」とつい言ってしまうと、亜由子さんはきょとんとしてから、「優司くんだから、毎日登校してるんだよ」と咲った。
「ほんとは休み休み登校しなさいって言われてるんだけどね。優司くんと話したいから、『大丈夫だよ』ってここに来てるの」
 目をしばたいて亜由子さんを見つめた。亜由子さんはにこっとして、ほっそりした手で僕の肩をぽんとした。
 僕はどんな顔をしたらいいのか分からず、でもすごく嬉しくて、照れながら咲った。亜由子さんと過ごしていると、自然と僕も笑顔が増えていた。
 けれど、僕たちがどんなに打ち解けても、亜由子さんは今月いっぱいで病院に戻らなくてはならない。お見舞いに行ったりしてもいいのだろうか。してもいいなら、僕はまだ亜由子さんと過ごしたい。
 亜由子さんはどうなのだろう。学校に来るのが終わっても、僕に会ってくれるだろうか。訊きたくても、踏みこむことだからなかなか言えなかった。
 もどかしい想いを抱えているうちに、陽光が弱りはじめて気候が肌寒くなり、来週には十一月になる頃になっていた。亜由子さんは今週を区切りに会議室に来なくなる。
 夜のあいだ、音を立てて雨が降っていて、僕は自分の部屋で亜由子さんのことを考えていた。僕は亜由子さんに恋をしてしまったのかもしれない。そう思い当たり、妙に恥ずかしくて、まくらに顔に伏せた。
 亜由子さんが、僕を友達としか見ていないのは確実だ。でも、それでも、亜由子さんの屈託ない笑顔を思い出すと、胸が痛みでほてる。その熱を冷ますように秋雨は降り続け、朝になってようやく晴れ上がった。
 その日、登校すると、亜由子さんと校長先生が窓際に立って話していた。「おはようございます」と僕が言うと、ふたりはこちらを見て、笑顔で挨拶を返してくれる。僕はつくえにかばんを置いて、ふたりのいる窓際に歩み寄った。
 この窓の向こうは、通学路に面した裏庭への細道なのだけど、街路樹からこぼれ落ちた赤や黄色の紅葉がその道を美しく染めていた。「すごい」と思わずつぶやくと「あとで、校長先生が掃除しちゃうんだって」と亜由子さんは言う。
「え、もったいなくないですか」
「ほらっ、先生。優司くんならそう言ってくれると思ったー」
「仕方ないなあ。じゃあ、もうしばらくあのまま飾っておこうか」
「わあい! 優司くん、あとで一緒に、あの道歩いてみようよ」
 そう言った亜由子さんに、僕は笑んでうなずいた。そんな僕たちを校長先生は微笑ましそうに見てくれていたけど、一瞬、哀しそうにしたのに僕は気づいた。
 その陰りで僕も思い出した。亜由子さんがこんなふうにここに来てくれるのも、もう終わってしまうのだ。初めて好きになった女の子なのに、僕は彼女に会えなくなってしまう。
 中休みが終わった三時間目の最中、僕と亜由子さんは会議室に鍵をかけて靴を履き替え、紅葉に染まった細道に向かった。
 校長先生は、ちゃんとそのままにしておいてくれていた。「夕べ雨だったから、濡れちゃってるね」と亜由子さんは水溜まりをまわってから言う。
「乾いた綺麗なのがあれば、拾っていきたかったなー」
 亜由子さんはその場にしゃがみ、水溜まりの水面を覗きこんだ。僕もしゃがんでそうした。
 赤い落ち葉がゆっくり揺蕩っている。
「もったいないね」
「えっ」
「濡れちゃったから、この葉っぱはこの水たまりから出ることはできないでしょ? 乾いた葉っぱみたいに、風でどこかに行けるわけでもない。ここで終わっちゃう、というか。こんなに綺麗なのに」
「……うん」
「うーん、でも、こんなに紅葉して落ちて、葉っぱとしての一生はまっとうしたのかな。また来年、新しい葉が芽生えるには、こうして散っていくのも仕方ないことなんだよね」
 僕は亜由子さんを見た。亜由子さんも僕を見て、その瞳がとても澄んで、穏やかで、凪いでいることに気づいた。
「私も、生まれてきて楽しかった」
「え」
「何にも楽しいことなかったみたいな人生に見えるかもしれないけど、私は幸せだったよ。死ぬことも怖くない」
「亜由子さん……」
「分かってるの。そうとうやばいんだよね、絶対許してくれなかった学校に行かせてくれるんだもん。最期の自由だよ。きっと私、卒業式にも出られない」
「そんな……の、分からな──」
「それでも私は、生まれてきてよかった」
 亜由子さんの瞳を見つめた。茫然と、その瞳の静けさを見つめた。残酷な、恐ろしい瞳だった。死を安らかに受け入れている瞳。
 嫌だ。そんな目は嫌だ。いつもみたいに、いつまでもそうであるように、やんちゃに咲っていてほしい。
 どこにも行けないなんて。ここで終わるなんて。まっとうしたなんて、散っていくなんて、仕方ないなんて。
 そんなことは言わないで。亜由子さんの命が終わってしまうなんて、僕は嫌だ。僕は君ともっと一緒にいたい。
 僕の瞳が必死にそう訴えていたのだろう。亜由子さんは困ったように咲ってから、僕の肩に手を置いた。
「学校に来れなくなるのは、正解かも」
「……え」
「好きな人ができたら、心決めたのにつらくなる」
 僕は目を開く。亜由子さんは、視線が重なる前にすっと立ち上がる。雨の名残も過ぎ去った、青い秋晴れの中にいる亜由子さんを見上げる。
 来週には会えなくなってしまう。もしかしたら、次の春にはいなくなってしまう。だから、僕も好きになったらつらいのに。逆光からそそがれてくるまばゆい笑顔は、僕の心をしっとり染めている。
 初めての恋が、落ち葉のようにはらはらと散っていく。
 だけど、僕は君と、これからも咲っていたい。君を失いたくない。生まれてきてよかった、なんてもう終わるような言葉は、まだ言わないで。僕は君と生きていきたい。今、その命を鮮やかに生きている、君のそばにいたい。
 君はすでに、命が巡った先を見ているのかもしれない。だけど、僕はまだその前に、君の未来が終わってしまうなんて信じたくないんだ。
 FIN
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karasumachizuru · 12 days
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[[MORE]]
「あなたへ」
朝、目覚めたら妻がいなくなっていた。――朝食の支度だけを残して。  
既に定年を迎え、妻と二人暮らしの昭夫。
ある朝、いつもより遅く目覚めると、家には妻の姿がなかった。 ひとり分の朝食だけが支度されていたが、着替えは何故か風呂敷に包んで布団の下に隠すように置かれていた。その他の服や肌着はどこを探してもみつからない。
妻はいったい朝から何処に行ってしまったのか。家のことをすべてまかせていた妻の不在によって、満足にお茶も飲めない昭夫は苛立ち、やがてあることに気づく。
[1]妻の不在 [2]ミスター・ロンリー [3]死にゆく家 [4]「あなたへ」
{Tags: 短篇/ヒューマンドラマ/夫婦/結婚生活/定年後の夫/専業主婦/中高年・シニア世代}
≫ カクヨム ≫ ステキブンゲイ
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bearbench · 1 month
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tmtkko · 3 months
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短歌カテゴリまとめ⭐︎【顔】
こちら、「顔」をテーマに自作短歌をまとめてみました。
きさらぎの渡り廊下をみたことがない でも空もひとの顔もそう
音のない痛みを見てた脱ぐということ繰り返し君であること
塩レモン嗅ぎに来た夜は重ね着の下から鼻のふくらみ見せて
湧き出てる森林無限がなる列をかおと呼びわたしかおを見ている
塞がれてみたいいつか見た死に際の神の口と目、鼻に花刺されて
ふと晴れて汽笛きこゆる原子的生物の顔が電車を降りる
ひとくくりにされそうこんなにソフトクリームはなのあたまにつけたぼくたち
喉仏いつから付けているのだろう つくしは姿を変えて久しい
漁るだけ漁ったあとで透明になる海岸がもし顔ならば
トイレ行くたびにぱんつと出会いたり物忘れされる雲のかお見る
恥ずかしくなるような風 えり立てて低い言葉でかおかくそうか
スーパーはすべての顔を見せるからたびたび浮かぶ友人のように
かおのよさをたたえるキセルをいぶかしむ満願とよせてちる さくらばな
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kurihara-yumeko · 3 months
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【欠けている思い出】
140字小説『ブリザード』
 ソフトクリームが奥歯に挟まって取れなくなった。吐息はブリザードとなってまたたく。「今日の天気は大雪です」と、この半世紀変わらない文句をテレビが言う。犬のジョンはここ3ヶ月、暖炉前で動かない。毛並みはまだ温かいだろうか。窓の外では、高層ビルの隙間を埋めるマンモスの行軍。
140字小説『お盆』
「休みだからっていつまで寝てるの」と起こされると、茶の間に、黒い影がふたつ立っていた。ぎょっとしていると、玄関の方から姉の声が聞こえ、母が「帰って来たら、ただいまくらい言いなさい」と言うのが聞こえた。ふたつの影が、「ただいま」と言った。そうか、お盆だもんな。お帰り。
『地獄で踊ろう』
 極楽から救いの糸を垂らしてくれるひとよりも、ここまで堕ちてきてくれる人間が現れるのを、ずっとずっと待っている。高みの見物なんかしてないでさ、一緒に地獄で踊ろう。音楽がないなら歌ってあげる、手足が欲しいならいくらでも生やしてあげる。
『人間に見えるから』
 人間に見えるから本を読むだけ、人間に見えるから音楽を聴くだけ、人間に見えるから美術館に行くだけ、人間に見えるから、人間に見えるから、人間に見えるから。人間に擬態して命を貪り無為に過ごして糞だけ残して灰となり消える、そういう変温動物なので、私は。
『だけ』
 運がよかったから生���れてこれただけで、運が悪かったからまだ自殺してないだけ。
『祈れ』
 歯をくいしばって祈れ、砂利でも食ってねむれ、血を流しても笑え。
『嫌い』
「私は人間嫌いなのではなくて、きみたち全員が嫌いなだけです」
【短歌】
ほんとうにあなたのことが好きだから砂糖の瓶に塩を詰め替える
あなたがよく振らずに飲んだ綾鷹の底から苦い媚薬を作る
夕暮れの改札前はインベーダーゲーム消えるな家に着くまで
前髪の方向性も決められず進路指導室そっとノックする
ペーストみたいになるまでゴキブリをなぶる元彼の国語辞典で
ちいかわが好きなんだったら絆創膏あげる手首の傷より似合うよ
無名のまま死んでいくなら教室の机に名前彫ればよかった
欠けている思い出ばかりが流れ着く砂浜でまるい月を見ている
夕暮れの伸びる影から逃げるように五時のチャイムで駆けていく子ら
さみしさを分け合いたくて真夜中の公園ポッケのビスケットを割る
すべて夢でそこは夕暮れの教室で肩揺するのがきみならいいのに
痛みなど忘れてしまう他人ならなおさらそれでもふたり月を見る
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hayato-10ka10 · 4 months
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【小説】『てるてる坊主の仮説立案』後
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 仮に母が空と心の天気の兼ね合いに悩む気分屋であったとして、不思議なのは、それでも母は父の実家で父と義父母と暮らしている時にはほぼ毎日洗濯をしていたことだ。当時母は晴天ならば外に干し、雨なら家の裏手の温室に洗濯物を干していた。そしてごく稀に急ぎの洗濯物がある時だけ、年季の入った、母にとっては嫁入り前からある大きな乾燥機を使っていた。「私なら乾燥機なんてものがあるなら毎回欠かさず使ってやるのに」と今更ながらにそう思った。そして同時に、もし気分屋が気分屋のままで毎日洗濯をこなしていたらと思うとぞっとした。それに耐えた忍耐に尊敬を覚えた。私なら動けない日に無理やり動くのも、晴天を見送って溜まっていく洗濯物の山を見るのも、見送って迎えた雨の日に「やっぱりやっておけば」と思うのもうんざりだ。可能なら気分の方に合わせて、文明の利器に頼りたい。そのほうが何倍も精神の健康に良いに決まっている。ならば、母はどうして毎日乾燥機を使わなかったのだろうか。電気代の節約のため。熱による衣類の痛みを気にしたから。洗濯の工程をできるだけ自分の手でやりたいという義務感や責任感から。外干しが好きだったから。あるいは逆に乾燥機が嫌いだったから。あるいは、幼い私に母が良く言っていたように、洗濯の仕方に関しても祖母からの圧力の様なものがあったのだろうか。でも、これは父の家を出て二人暮らしを始めた部屋でまで気にすることではないはずだ。先に挙げた理由だって、昨今の最新家電ならきっと大抵はそつなくこなしてくれるに違いない。唯一手をかけたいという思いだけはどうにもできないけれど、そればかりがお気に入りの服や家族への愛の体現になるわけでもないだろう。 
 洗いあがった洗濯物を干す作業の手はそのままに頭の中では様々な仮説とそれに対する反論が渦巻いた。たった一つの「なぜ」に対してだってその答えは無数にある。本人に聞けない今、その推測は頭の中でひたひたと広がるだけだ。思えばこういう本人すら良く分かっていない感情について色々と思いを巡らせるのが私は嫌いじゃなかった。考えに考えた末にその仮説を披露して、ぴったり表現できる言葉はあるか、それを見つけるのを楽しんでいた。粘土をこねて動物をかたどるように、言葉をこねて心を真似ていた。癖のように今も。見せる相手はもういないのに。「ご苦労なことだね」とため息がしゃべった気がした。こんなことなら何とかしてドラム式の、最新の、乾燥まで一括で出来るすごい洗濯機を買ってあげればよかったと無責任にそう思った。少し前まで学生だったくせに。
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