#焼き小龍包
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nishinohoshizora · 2 years ago
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2023.4.23 横浜中華街に行った。好きな物食べて少し休憩しながら。すごい人だった。
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uedah1 · 1 month ago
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読んだ本の余韻をそのままに小旅行の記録を残す
三重県の丸善でその本を見つけた時、私はこれを確実にこの年末に読もうと決心したのだった。
私の年末は読書の為にある。
正確に言うなら読書の為にもある。他の目当ても沢山ある。例えば、友達に会うこと。例えば、街を歩いて故郷の空気を胸いっぱいに吸い込むこと。
さて、この年末とは即ち令和6年、西暦2024年12月29日日曜日から31日火曜日までの3日間のことだ。
そしてその本とは古川日出夫「京都という劇場で、パンデミックというオペラを観る」だ。
だから私はこれを携えて西へ帰った。
即ち名古屋から京都へと。
私の実家は京都ではないし、一度も住んではいないが、仮住まいもなかったのだが、「帰った」と言ってはばからない程には故郷のように愛している街である。
私は道中、読んだ。
しかし京都では読んだか。題に謳われし京都に着いて以降は読んだのか。読まなかった。
その代わりに京都を歩いた。
これには書かれていない京都を。即ち洛外を。
洛外のどこであるか。それは京都市伏見区だ。伏見区の稲荷大社だ。
一人でか。否、もう一人いた。大学時代の友人がいて、だから二人だった。
私たちが約束したのは令和6年、西暦2024年12月29日だった。
日曜日と言い添えるべきか。いや、もう書かずとも構わない。
バカンスに曜日は意識されない。
我々はわざと隣の駅で待ち合わせて、二人とも遅刻していて、しかしお互い気にしないで、挨拶を交わして、それから歩いて。
すぐに稲荷大社へ向かう訳ではない。
隣の駅で待ち合わせたのは訳があり、見たいものがあったからだ。
目的の一番目を達する為、京阪電車の龍谷大前深草駅を降り西へ向かう。
そこは普通の文教都市の住宅地である。しかしそこは京都の住宅地だ。並みの街とは、風格が違う。
実はそこにはカタカナ地名がある。漢字を受け入れる前の、日本の、この国の、古い古い記憶が残されている。
それを見る。標識に、看板に、自治会掲示板に。
まず、駅を降りるとそこはススハキ町である。
それからまっすぐ西へ歩き龍谷大学深草キャンパスと京都府警察学校との間を抜けていくとヲカヤ町。
誤字で��ない。
地名であるにも関わらずーーー現今の国語体系ではまずありえないことにーーー「を wo」の字を冠する町がある。
それを確認して嬉しくなった所で大学の学舎群に沿ってぐるりと回って戻って来ればケナサ町に至る。
固まって所在する三つの旧い町を見、満足して私達は北進する。
するとすぐ、国際観光都市京都の、Kyotoの、面目躍如であった。
当然日本人もいて、地元の人々や九州人や関東の人がいて国の言葉が飛び交う。しかし同等かそれ以上かと思われる程に肌や、眼や、言葉の違う人がいる。コーカソイドがいて、モンゴロイドがいる。
私たちは本命の目的地に着く。
巨大な二本の鳥居の下を通り、歩く。
山を、神域たる山を登っていく。
千本を優に超えていると思われるほどの夥しい朱の鳥居が続く。
くぐる。
歩いて。
登って下って。
鳥居に挟まれた道は狭い。
狭い参道を歩いて、登って下って、鳥居をくぐり続ける。
参道で産道を連想する。
しかしこの場所で生まれるーーー生まれ直す人の数が、多い。
だから、混んでいる。
稲荷神社の狐は多産の象徴だから正しい状況とすら言えるかも知れない。
自撮りする旅人を抜かし、恋人を「映えスポット」で撮影するこれも旅人をそっと待ってから進み、家族写真を手伝おうか迷って、足を止めるが友人は行ってしまうので追う。
二人は黙って歩いていたのではない。しかし会話を続けるには狭くて、混んでいた。
だから途切れ途切れに言葉を交わした。
私たちは久方の再開をおざなりに寿ぎ、散策を開始し、以降休まず歩き続けているのだった。
体がほぐれ、心拍が上がる。
狭い参道で人を避ける為に縦一列になりまた戻りを繰り返した。並んでいても遠ざかったり肩が触れ合いそうな距離を歩いたりした。
状況に応じて左右を入れ替わったりしている内に奥社奉拝所に出た。
それぞれに願を掛け、おもかる石に挑戦した。
また、歩く。
四辻まで辿り着く頃にはすっかり日が傾いていた。
森は緑から黒に移ろい、濃さを増していた。
稲荷山参道の四辻は開けていた。視界が。街に向けて。西を向いて。
国立天文台の発表によると、令和6年、2024年12月28日の京都市における日の入り時刻は16時53分だ。
だからこの思い出はその時刻の頃だった、と後からでも断じることができる。
しかしその日の私はそこで時計を検めなかった。
スマホのカメラを夕焼けに向けながら、しかし画面の隅の時刻は確かめなかった。
バカンスに曜日は必要なく、もう時刻すらも煩わしくなっていた。
ここで明かしておくと、私は稲荷山を登るのは初めての事ではない。
なので四辻が眺望という観点ではゴールであることを知っていた。
なので念の為に尋ねた。友に。まだ、進むのかと。
進む、と友。
応、と私。
四辻の先、山頂へ向かうルートはすぐに角度を増した。我々は試されていた。
我々の腿が、ふくらはぎが、踵が、心臓が。
三の峰、二の峰、最後の一の峰に着く頃には、混雑ではなく疲れから口数が減っていた。
しかし引き返すという手はなかった。
かわりに足を出して歩み続けるのだった。
裏稲荷、という言葉は存在しないが、四辻で右を選び、一の峰、すなわち山頂からそのままぐるりとまた四辻へ戻る道は正に裏、といった風情だった。
日は暮れていた。下り道が続いた。お喋りは減り続けて今や殆ど止んでいた。
電灯がかろうじて鳥居の内側を照らしてるだけで、外側はもう全くの暗がりだった。
自分たち以外の観光客も殆ど見なかった。
四辻でまた観光客を認め、進んで三ツ辻へ再び差し掛かって、先に来た方角へは戻らず、北向きのルートへ入った。
登りと同じだけ人がいるのが道理だと思うが、目の届く範囲が無人であることが多くなる。
二人きりになることが増えた。
闇に包まれているが自分達の道筋だけは明るい。
不安定な傾斜の中で、お喋りの途切れた時、不意にこれまでに感じたことのない種類の親密さを傍らの友に覚えた。
音のない森の中で、それがいつかも分からず、方角をも知らなかった。
上と下、前と後ろ、内と外の別だけがかろうじて残っていた。
幽玄で原始的な感覚の中で傍らの人の存在は強烈だった。確固としていた。
肩が触れた。
そっと手を取りたくなってーーー迷って止した。
今日は本当に楽しかった、私は言った。
そやね、またね、友が言い、分かれた。
互いに交わり合うことのない観光客同士で混雑する、JR稲荷駅と京阪電車伏見稲荷駅の中間地点で、私たちは一人ずつに戻った。
高揚は続いていた。
私は実家へ帰る道すがらまた本を読み、実家で読み、名古屋で帰る道中でまた読んだ。
僅か三日の経過がめぐるましかった。
日常があり、今やそれは休んでおり、非日常なひと時があり、そこで新たな感覚を得、虚構の世界に入り、また出ていこうとしていた。
京都には私の過去が、今が、そして虚構すらもが重なっていた。
境目はあやふやだった。
混ざりつつあった。
帰名の道中、梅田スカイビルを見た。
JR西日本の新快速に乗り、僅か十五分揺られるだけで乗り換えの京都駅に着いた。
乗り換えの合間に京都駅舎を内から外から眺め、観察し、原広司の世界を楽しんだ。
作中、古川が住んでいたという原広司事務所策の借家を思った。
私はこの本のカバー裏に京都駅来訪記念スタンプを押すことにした。
改札の近くまで行くと、南西アジア系の浅黒い肌をした観光客がはしゃぎながら先にスタンプを操作していた。
すぐに私の番になった。
この思い付きはーーー迷わなかった。
ハンドルを下げ、抑える。
手を上げてみると案外インクが薄く、期待外れだったが、これで全てが繋がったと思った。
内と外も。リアルとフィクションも。過去と今も。
ここを地獄の、とは言わないでおく。
ここは国際観光都市Kyoto。
愛する街を離れながら、私は次の本を開いた。
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yskwkt · 2 years ago
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ノックさん あなたは僕の太陽でした あなたの熱と光のおかげで 僕は育ちました あなたの温かさと明るさに包まれて 生きてきました ノックさん あなたはみんなの太陽でした あなたが現れるだけで その場がパッと明るくなりました あなたが笑顔を見せるだけで みんな心が癒されました ノックさん あなたは大きな太陽でした あなたの前に立つと 自分がいかに些細なことにこだわり つまらないことに悩み とるに足らないことで 人と争っているか 自分自身の小ささを思い知らされました ノックさん あなたは今 西の空を真っ赤に染めて 水平線の向こうに沈んで行こうとしています でも 僕の胸の中には今も 真夏の太陽のようなあなたが ギラギラと輝いています あなたと初めて会った昭和35年 1960年8月5日から 最後となった平成18年 2006年4月4日までの 想い出の数々が、まるで宝石のようにキ��キラと胸一杯に詰まっています 六甲のベースキャンプ ハウスボーイ時代にはサミーと呼ばれ 宝塚新芸座では「みたひさし」と名のり 「あきたけいすけ」から「横山ノック」 漫画トリオになったノックさん はじめて買ったブルーバードファンシーデラックスが盗まれ セドリックからアルファ・ロメオ ジュリアスプリントGTヴェローチェ 運転手付きのタッチダートに乗り換えたノックさん 我孫子町からさわの町 西宮北口から千里津雲台 桃山台の豪邸から芦屋に移り住んだノックさん 漫才師から参議院議員 大阪府知事から 最後は被告人にまでなったノックさん 相方や車や住まいや肩書はコロコロと変えたけど 奥さんだけは生涯変えなかったノックさん 血の滴るようなティーボーンステーキが大好き あんころ餅や大福餅といった甘いものが大好きで 何より麻雀が大好きだったノックさん 女性が大好きだったノックさん 料理を作るのがうまかったノックさん 麻雀は下手クソだったノックさん 女性を口説くのが上手かったノックさん お酒は弱かったノックさん 麻雀も弱かったノックさん 女性にも弱かったノックさん マーロンブランド扮するナポレオンの髪型を真似して ピンカールしていたノックさん あの頭で10日に一回散髪に行っていたオシャレなノックさん 進駐軍仕込みの英語が堪能だったノックさん そのくせカタカナは苦手だったノックさん 人を笑わせるのに自分は泣き虫で 賑やかなことが好きで寂しがり屋で ありがた迷惑なほど世話焼きで ああ見えて意外に人見知りで 甘えん坊で 頑固で 意地っ張りで 負けず嫌いで 天真爛漫で子供っぽくてかわいくて そしていつでもどんな時でも必ず 僕の味方をしてくれたノックさん ノックさん 本当にありがとうございました ノックさん 本当にお疲れ様でした そして、ノックさん 本当にさようなら
上岡龍太郎さん「横山ノックを天国へ送る会 献杯の挨拶」 - あなたにおくる最後の言葉
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bearbench-tokaido · 3 days ago
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八篇 中 その一
大阪にやってきた弥次郎兵衛と北八。 拾ったた当たりの富くじを前に茶屋で酒を酌み交わしている。
そんなこんなで弥次郎兵衛と北八は、おもいもよらない百両の富に当たり、たちまち威勢良く、座摩の宮からの帰りに煮うり茶屋で酒を酌み交わしほろ酔きげんで、浮かれはしゃぎまわり案内者の佐平次にひかれ、難波御堂の穴門より御境内を順拝しながら
おふみさまと 聞けば女の名 にも似て あらありがたし 穴かしこなり
などと詠みながら、仁徳天皇の社についた。 これは世俗に博労の稲荷だという。 これを見ながら、弥次郎兵衛が、一首詠む。
博労の いなりというも ことわりや 絵馬売りてくう 見せも見ゆれば
門前の田楽茶屋の女中が声をかけてきた。 「お入りな。お入りな。田楽の焼きたてあがらんかいな。」 それを聞いて北八が、 「ええい、当たり前の事を言う。さめた田楽が食えるものか。」 芝居小屋の呼び声も聞こえてきた。 「さあ、今が盛衰記。むげんのかねじゃ、評判で。」 「無限の金とは、聞こえがいい。こっちも百両とっているわ。 そうだ北八。これから、新町とやらへ女郎を買いに行くってのはどうだ。」 と弥次郎兵衛が言うと、北八も、 「おもしろい。すぐに行こうか。のう、佐平次さん。」 と佐平次に水をむける。 「そりゃ、お行きなさるのはいいが、不躾ながらお前さんがたのその身なりじゃ、あかんじゃないかいな。 上物をしとめるには姿かたちも肝心じゃてて、ちと身なりを整えて明日の夜にお出なされ。」 「なるほど、お前のいうとおりだ。 確かに百両という金が入ってくるんだから、どうせ遊ぶなら太夫とやらと遊んでみたいもんだ。」 「ところで、どこで、身なりを整えればいいんだ。」 北八が言うと佐平次が、 「そんなら、わしがお供して、連れて行ってあげましょう。 最近評判の大丸屋などは、なかなかいい品を売っておりますさかい。」 と佐平次が案内して、呉服店の大丸屋についた。 「あなたこれへこれへ、なんでもございます。はいりな。」
大きな店の前で弥次郎兵衛が、 「どうだ、北八。ここで今すぐに、着物をあつらえていこうじゃねえか。」 と言うのを、佐平次が、 「ははは、お前さんがたもそうあせりなさんな。 今日は見るだけにして、明日金が入ってからでもいいじゃろ。」 「そうさ、あせるこたあねえ。」 と北八。 仕方がないという様子で、弥次郎兵衛が、 「そんなら明日のことにしよう。 ところで北八、お前は、何にするつもりだ。」 「着物の事か。そうだな。 結城のぐっといきな縞で、三枚ばかり羽織は龍門のこりこりするやつなんか、金持ちらしくていいだろう。」 「いやいや、それでは、どこぞの番頭みたいだ。 俺は縞縮緬に、黒羽織、お太刀一本ちょいと腰にさす、なんてどうだ。」 「それにしても、さしあたり、着るものがなえとは、なさけない。」 と夢中で話している二人。
その後から歩いてきた往来の人が、 「着るもんがないか。 それで、やっぱりその後ろにおっきな紋所のあるのぼりの染かえしを着ていさんすが、えいわいの。ははは。」 と北八がのぼりを着ているのを馬鹿にして言う。 「いや、こいつらあ、何ぬかしやあがる。」 と北八が振り向くと、 「お前のこっちゃないわいの。」 と一目散に逃げていく。 それを見送りながら、北八は、 「ええ、いまいましい奴らだ。今に見てろ。 明日はどんなもの着ると思ってやがるんだ。」
佐平次はこの様子に、 「ははは、こりゃ不躾ながらお前さんがたがそないにひどいなりして、祝面じゃの、羽二重じゃのと、言うてじゃさかい笑いくさるのじゃが、こりゃ、敵等がもっともじゃわいな。ははは。 ところで、これから、あみだ池へ参じて砂場の和��屋をおめにかけたいと思ってじゃが。」 「いや、宮寺もあきてきた。それより、早く新町へ行てへものだがあすの晩までは、待ちきれねえ。」 と弥次郎兵衛。 それを聞いて、佐平次は、 「それなら、しかるようにしましょかな。 わしがどんなもんでも着物を借りてあげるさかい、それを着て今宵、新町へお出なされ。お金は、後払いで結構。 わしの親方の知り合いの店へ行くさかい。 どうせ明日は、百両おとりなさるのじゃもの、そうしなされ。」 「こりゃ、面白い屁理屈だ。」 と北八。
「なるほど。そりゃいい。そんならすぐに帰って、お前さんにその段取りをつけてもらおう。」 と弥次郎兵衛は有頂天になり、心斎橋筋を南へ下り早くも、道頓堀についた。 ここは本当に、当地第一の盛り場にて、前に島之内あり、後ろに坂町あり。 女形や芸子がなまめかしく行きかうさまは、にぎやかである。
いつとても 調子くるわじ 三味線の 道頓堀の にぎはいはそも
その日は早くも宵闇が迫り、大西の芝居が櫓だいこの音賑しく呼び込みをしている。 評判じゃの声が木戸口に溢れて、見物がおしあう中を素早くすりぬけ芝居の看板さへも、目に入らないほどに三人は、歩きに歩いて日本橋の近くの宿に着いた。
佐平次が先頭で、 「さあさあ、お帰りじゃ。」 と、奥のほうに声をかけると、女中が出てきて、 「おはやうござります。」 と言う。 「はいはい、これは、佐平次さん。ご苦労さん。 ところでさっきの話の続きだが、衣装はいつ借りられるんだ。」 と弥次郎兵衛が聞くと、 「かしこまりました。早速、行ってきましょう。」 「そんならはやくはやく。」 と北八も、せかす。
二人は佐平次を送り出すと、奥の座敷に入って待つことにした。 そんな二人に女中が、 「もしよかったら、お湯などいかがでしょう。 それとも、夕食にいたしましょうかな。」 と話しかけてきた。 弥次郎兵衛は、その女中を押しとどめると、 「いや、飯は喉をとおらぬ。なんだかそわそわしてな。 しかし、湯へはちょっと入ってこよう。」 とニヤニヤしながら言うので、 「遅くなる。湯もいいじゃねえか。」 と北八は腰を浮かさんばかりに言う。 「いや顔ぐらいは、洗っておかねえとな。」 「いまさらどう洗ったって何がかわるというもんだ。」 と北八は弥次郎兵衛の様子を笑っている、
それでも弥次郎兵衛は湯には入りに行くと、しばらくして佐平次が貸衣装を風呂敷に包んで持ってきた。 「お待ちかねであったじゃろ。」 と北八の前に包みを置くと、それをといてみせる。 北八はかれこれとひねくり回し、 「なんだか、野暮ったいものばかりだな。」 佐平次はちょっと困った顔をしたが、 「じゃてて、いいのばかりを選んできたのじゃわいな。 お前さんにはこの黒袖がよかろう。」 北八は、それをつかみあげると、 「なんだ。でかい紋所がついている。それに、たけが短けえ。 袖はたいそうに大きい。 これを着たら無塩の奴凧というものだろう。そっちの縞はなんだ。」
北八が���差したのを佐平次がとりあげると、 「太織りじゃな。」 「いや、この小紋がよかろう。」 ととりあげてみると、それは女物の着物である。 それをみて佐平次が、 「ははは、わしゃ、男の着物かとおもうて持ってきたわいの。」 「よしよし、こうしよう。小袖ひとつじゃ、けち臭いからこの女小袖をしたに着て、上に太織りときめよう。」 と北八が、二つ重ねて着替えるところに弥次郎兵衛が、湯よりあがってきた。
「おや、佐平次さん、はやいな。 おい北八。お前は男っぷりがいいから、どこへ出しても貸衣装だとみえるわ。」 「つまんねえことはいいから、はやく支度をしねえ。」 「どれどれ」と、弥次郎兵衛が、着物をとりあげると、 「俺のは、この黒いやつか。 よしよし旦那とみえるように、お太刀一本こうきめていこうかい。」 その様子に、北八は、 「おい、お前。着物を着ねえか。 裸身にその脇差をさして行くつもりか。 どこぞの藪医者が清盛さまの脈を診に行くんじゃあるまいし、とんでもないやつだ。」
「ところで、羽織はどこだ。」 と弥次郎兵衛があたりをみまわすと、 「お前様は、このぬきもんにしなされ。」 と佐平次がとりあげる。 それをみて北八が、 「けちな羽織だ。干した鰯を買いに行くって感じだな。」 「人のことをとやかくいわないでもいい。 そういうお前こそ、藪医者が脈を取りにきたってかんじだな。ははは。」 佐平次は、笑いながら、 「お支度がようござりますなら、行きましょうかな。」 「おい俺はまだ、湯へはいらなんだ。」 と北八が言うと、 「ばかいうな。さあさあ、出かけよう。」 とばたばたと三人は連れ立って宿をあとにした。
佐平次は二人が百両の富に当たったのにつけこんで、なんでもかんでも分け前をせしめようと何かと世話をやく。 この宿の番頭にもそのことを告げていて、新町のあげやへの手紙を書いてもらっておりそれを持ってここを出ていた。 さて三人は、浮き足立ちながらも、長町を北へ堺筋をまっすぐ行くと、はやくも順慶町に着いた。
世間にも聞こえたここは、夜店も繁盛している町筋で両側に並んでいる店は、隙間もないほどに並んでいる。
つづく。
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tabilist · 24 days ago
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【東京】新橋「焼き小籠包マニア」
【王様のブランチ】2般階で旨味が押し寄せる!『焼き小籠包マニア』熱々グルメ #ごはんクラブ 2025/1/18放送 東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル B1F #王様のブランチ #3時のヒロイン 詳しく見る↓
新橋駅「焼き小籠包マニア(【旧店名】小龍包と餃子 粉オヤジ)」 食べログでcheck! こだわりの焼き小籠包が味わえるお店 【newsevery 焼き小籠包マニア】人気店のこだわり新業態 焼き小籠包のお店は?2020/10/27放送でも紹介 焼き小籠包(プレーン)4個 640円 住所 東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル B1F TEL 050-3628-0827
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uchu-household-blue · 7 months ago
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一輪
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小石川後楽園へ蓮を見に。ほんとに後楽園だ。笑 ハート型の池ってこのことだろうか、敷き詰められて生き生きと見えた。ピンクも大きさも良く、やっぱり目玉だなと思う。入り口の地図にスイレンと蓮の英訳が貼られている。渡月橋は渡れなかったけど、道が一筋縄でなくて面白いな。天気の具合や��節もあるのかもしれないが進むとすぐに暗い通りが視野に入る、六義園とも趣の違うことが分かる思いに。人気のない時に一瞬甘い匂いのする通りがあったけど、花を嗅いでも分からない。確か得仁堂にコンパクトな龍。藤田東湖の碑などあり、結局渋沢を思い出す。お土産にのし梅(ゼリー状)買う。水戸ゆかり。
シブチカにあった日日包がなくなって、ラクーアには惣菜コーナーがあるとのことで寄る。ステージ前の広場の岩に寄りかかって食べる。焼き小籠包をかじったら肉汁スプラッシュしてゆっきーの服に飛!⚡️🙀 ぬるいから大丈夫と思ったけどそういう注意点だけじゃなかったんだ、、🙇‍♀️ 蓮の花で巻いてあるちまきも美味しかった。搾菜はなかった。。杏仁オレとは?ミルクの代わりに杏仁?甘すぎなくてニュアンス良かったな〜 ラクーアのメリーゴーランドにゴリラいて、誰も乗っていなかった。。場所たちは混んでいたけれど不安になるような気持ちではなかった 夕方にケンタに入って絵や漫画の打ち合わせする(人が少なくて快適だった...)アーモンドアップルパイ⭕️
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kuutosuzoo · 7 months ago
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我が家の食卓事情・お好み焼き編
我が家は主人が江戸っ子で関東の料理で育った。といっても、主人自体が料理人を目指していた子供の頃があったため、鰯の手開きやら、鯛を一匹渡すと、三枚おろしから粗汁、刺身に湯引きした物が出てくる。 私は父が下関生まれで関西の味付けで、母は疎開先の新潟の味付けや関東の味付け。そして母は料理好きなので、愛する夫の為にいろいろな物に果敢にチャレンジする性格だった。 そんな環境の主人と私が結婚すると、食卓事情はどうなるのか?答えは簡単。 主人と私で料理バトルが始まる。 過去の戦歴は、以下の通りである。 料理名主人私私の感想肉じゃが勝利負け牛が豚に負けるとは・・・無念!餃子負け勝利胃もたれしない小籠包のような肉汁の餃子で勝利!けんちん汁引き分け引き分け気分によって、醤油けんちん、味噌けんちん💛唐揚げ負け勝利スタンダードな唐揚げと龍田揚げを競っていた筈がレモン塩・カレー味・生姜ニンニク味と龍田揚…
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saruyama-inuo10 · 1 year ago
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横山ノック お別れ会 献杯の挨拶 上岡龍太郎
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ノックさん あなたは僕の太陽でした あなたの熱と光のおかげで 僕は育ちました あなたの温かさと明るさに包まれて 生きてきました ノックさん あなたはみんなの太陽でした
あなたが現れるだけで その場がパッと明るくなりました あなたが笑顔を見せるだけで みんな心が癒されました
ノックさん あなたは大きな太陽でした あなたの前に立つと 自分がいかに些細なことにこだわり つまらないことに悩み とるに足らないことで 人と争っているか 自分自身の小ささを思い知らされました
ノックさん あなたは今 西の空を真っ赤に染めて 水平線の向こうに沈んで行こうとしています でも 僕の胸の中には今も 真夏の太陽のようなあなたが ギラギラと輝いています
あなたと初めて会った昭和35年 1960年8月5日から 最後となった平成18年 2006年4月4日までの 想い出の数々が、まるで宝石のようにキラキラと胸一杯に詰まっています
六甲のベースキャンプ ハウスボーイ時代にはサミーと呼ばれ 宝塚新芸座では「みたひさし」と名のり 「あきたけいすけ」から「横山ノック」 漫画トリオになったノックさん
はじめて買ったブルーバードファンシーデラックスが盗まれ セドリックからアルファ・ロメオ ジュリアスプリントGTヴェローチェ 運転手付きのタッチダートに乗り換えたノックさん
我孫子町から沢ノ町 西宮北口から千里津雲台 桃山台の豪邸から芦屋に移り住んだノックさん
漫才師から参議院議員 大阪府知事から 最後は被告人にまでなったノックさん
相方や車や住まいや肩書はころころと変えたけど 奥さんだけは生涯変えなかったノックさん
血の滴るようなティーボーンステーキが大好き あんころ餅や大福餅といった甘いものが大好きで 何より麻雀が大好きだったノックさん
女性が大好きだったノックさん 料理を作るのがうまかったノックさん 麻雀は下手くそだったノックさん
女性を口説くのが上手かったノックさん お酒は弱かったノックさん 麻雀も弱かったノックさん 女性にも弱かったノックさん
マーロンブランド扮するナポレオンの髪型を真似して ピンカールしていたノックさん
あの頭で10日に一回散髪に行っていたオシャレなノックさん 進駐軍仕込みの英語が堪能だったノックさん そのくせカタカナは苦手だったノックさん
人を笑わせるのに自分は泣き虫で 賑やかなことが好きな寂しがり屋で ありがた迷惑なほど世話焼きで ああ見えて意外に人見知りで 甘えん坊で 頑固で 意地っ張りで 負けず嫌いで 天真爛漫で子供っぽくてかわいくて そしていつでもどんな時でも必ず 僕の味方をしてくれたノックさん
ノックさん 本当にありがとうございました ノックさん 本当にお疲れ様でした そして、ノックさん 本当にさようなら   芸人を送るのに、涙は似つかわしくありません どうか、不世出の大ぼけ 横山ノックを 精いっぱいの笑顔と拍手で天国へ送ってやってください
ノックさんに、献杯(けんぱい) ありがとうございました
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jetsoday · 1 year ago
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[香港旅遊優惠]2023京都嵐山紅葉攻略|最佳賞紅葉景點推介、必吃掃街美食|渡月橋、寶嚴院、祐齋亭
[香港旅遊優惠]2023京都嵐山紅葉攻略|最佳賞紅葉景點推介、必吃掃街美食|渡月橋、寶嚴院、祐齋亭 https://www.jetsoday.com/%e9%a6%99%e6%b8%af%e6%97%85%e9%81%8a%e5%84%aa%e6%83%a02023%e4%ba%ac%e9%83%bd%e5%b5%90%e5%b1%b1%e7%b4%85%e8%91%89%e6%94%bb%e7%95%a5%ef%bd%9c%e6%9c%80%e4%bd%b3%e8%b3%9e%e7%b4%85%e8%91%89%e6%99%af.html 睇紅葉係好多人秋天去日本嘅理由之一~除咗東京、大阪呢啲熱門地方,其實古色古香嘅京都亦係一個好好嘅選擇!想去京都睇紅葉,但係又怕好多人?今次小編為大家介紹嵐山公園龜山地區嘅紅葉一日遊路線,可以避開人群之餘,亦途徑多個景點及餐廳,包括寶嚴院、龜山家、祐齋亭、京豆庵,仲有必食掃街指南,即刻睇落去啦!另外,大家可以睇埋日本紅葉見頃預報、大阪京都交通攻略! 好想去京都睇紅葉,但又怕度度都人山人海?!跟住Claudia同Mayu行呢條嵐山公園龜山地區紅葉一日遊路線,就可以避開行竹林路線嘅人群啦!最重要係點同點之間都唔洗行超過5-10分鐘,最適合想輕輕鬆鬆自由行嵐山嘅人~!想睇紅葉嘅,必去景點有寶嚴院同祐齋亭。而想掃街嘅就唔好錯過賞味期限一分鐘嘅鯛魚燒まめものとたい焼き,同超綿密豆腐倒立雪糕京豆庵啦! ▼京都紅葉季必去!小眾嵐山公園龜山地區一日遊路線必去絕美紅葉倒映屋、日式紅葉庭園喝抹茶、必食一分鐘賞味期限鯛魚燒|寶嚴院、龜山家、祐齋亭、京豆庵 ���關優惠:【持續更新】日本京都2023旅遊資訊|自由行必睇|兔年必去兔仔神社、京都車站KYOTO TOWER SANDO重開、巴士一日周遊券9月起停售 日本紅葉預測 因為今年氣溫比較熱,所以推測今年見頃日子都會受到影響而推遲。根據日本氣象株式會社,京都嵐山嘅預測見頃日子係11月23日。如果想知道日本其他地區嘅紅葉預測,大家可以睇埋日本紅葉見頃預報。 相關優惠:關西新酒店推介|日本首間W酒店!環球影城全新官方酒店|大阪、奈良、京都新酒店 嵐山紅葉一日遊行程 講到紅葉季,緊係要去京都嘅嵐山啦!除咗大家平時會去嘅竹林、天龍寺之外,今次為大家介紹一個比較輕鬆嘅紅葉一日遊路線,主打唔會行得太辛苦,適合想悠閒睇紅葉、帶著一家大細嘅你~ ▼紅葉一日遊路線圖 相關優惠:關西機場 – 大阪京都交通攻略|關西機場出市區交通方法大整合!HARUKA 關空特急/利木津機場巴士/南海電鐵Rapi:t介紹! 第一站|渡月橋 今次推介嘅紅葉一日遊路線都會喺「阪急嵐山駅」附近。出站後步行幾分鐘,就會達到嵐山嘅地標「渡月橋」。大家過咗呢條橋之後,馬上轉右,就可以影到紅葉加上渡月橋嘅美景! ▼渡月橋 ▼渡月橋 第二站|嵐山よしむら 如果大家黎嵐山黎得早嘅話,非常推薦大家去食「嵐山よしむら」嘅手打蕎麥面。點解要黎得早?因為呢間蕎麥面非常多人排隊,如果午餐時間或者再晏啲黎,有機會要等30-120分鐘!所有如果大家有興趣食嘅話,建議最好早上10:30前到達,咁就有可能第一批入去!餐廳有一、二樓,如果坐到二樓嘅窗口位,就可以望住一片紅葉景色食飯!不過如果係兩個人以上,就唔可以坐窗口位~ ▼嵐山よしむら ▼嵐山よしむら 嵐山よしむら 營業時間:早上11點 – 下午5點 (或因季節改變,可於官網查詢) 地址:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3 (地圖) 電話:+81 075-863-5700 嵐山よしむら官方網站
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solitude-klang · 1 year ago
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やばい この前の埼玉のレポ書き出す前に次のライブが終わってしまった
ザアザア × VIRGE 2MAN TOUR 
DARKNESS BLOOD RAIN 〜納涼編〜
@上野公園野外ステージ
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のどかすぎて気分は完全にびじゅある祭
東京は昨日より少し涼しかったと思うけど暑くて暑くて滝のような汗をかきながらこの後撮影会あるのかぁって(笑)
先攻ザアザア
普通のバンド仕様のセットだけどドラムセットが簡易的
通常のドラムセットの音量がNGなのかな?
バスドラがアクリルみたいな板だった 電子ドラムなのかなあれ 初めて見た
無音の野外 パラパラとメンバーが現れると
踊りましょ~お
チューリップ
今日は楽器隊が白シャツ+ネクタイ
春さんはさいたまの時と同じ30cmくらい前後差のある白シャツにドット柄のネクタイ
一葵さんだけ黒シャツに黒ネクタイでしたが今宵が終わる頃には絞れそうなくらい汗かいてたw
春芽さんの繊細で優しい音が野外に響く 一瞬止めて弾き始めたのはアサガオが泣いてるのイントロ
いい曲終わって拍手に包まれる
今日なんかみんな元気ない?
野外でそんなに騒げねぇよって?
でも楽しいね^
楽しんでる?
浴衣のちゃんねぇも楽しんでる?
ギロッポンでシースー食べてから来ました
たぶんヴァージュのお客さんだと思うけど…ザアザアだけじゃ騒げないかもしれないけどヴァージュもいたら騒げる?
ということで
裸足に甚平 ドーナツ柄の浮き輪はめた紫月さんが平泳ぎで登場
出てよって言ったらさ 歌うって言うから
零夜さんのマイクを抜き取りw紫:春にぃんとこ行けない!!(コード短くて)→アル中
置いてかれた浮き輪をお立ち台に乗せちゃったためラストダンスイントロで零夜さんがお立ち台に乗れない(笑)一葵さんが浮き輪をシュッと退けて無事スタート
ラストの夕焼けもとても良かったでした
春にぃア"ーとかシァーとか叫んでたから元気だったと思う少し安心した
ちゃんと聞き取れてないけどエイヤーサッサーも言ってたかもしれない(笑)
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転換
チューニングに現れた楽器隊 さっきの出で立ちのまま紫月さん ヴァージュー!中毒者ぁー!って声を煽ってはヴァージュのレスが小さくて凹むを1億回繰り返してた
ここでやるって決まってね?会社の人にさぁ ここは大きい音出せないから アコースティックでやってって言われて
野外でアコースティックぅ?って思ったけど 音が出せないなら仕方ない、やってみるかって 俺たちアコースティックになったんだけど
DarknessBlood Rain(発音良)始まってこの前一葵さんに聴いたら
え?俺らガンガンやるよ?
アコースティックやるの?頑張ってって言われてさぁ
VIRGE(緩く本番スタート 笑)
憂璃さんと氷龍さん 遼さんは浴衣
達也さんと紫月さんは甚平(達也さんがカホンを叩く関係で脚を開きやすいようにらしい)
なんで俺も甚平って紫月さん自分で
ずっと喋ってる紫月さんを全スルーして演奏スタート
万華鏡ってアコースティックでできるんだねw
味わって♪の気持ち悪い部分 アコースティックだとただただ綺麗 なんだこれってくらい綺麗
遼さんの歌声アコースティック映えハンパねぇ 裏声も力強くてしかも綺麗だからちょいちょいゾっとする
陽が落ちて薄暗くなってからの線香花火 サビの後半息が止まるような裏声
紫月さんからの問いかけを華麗にスルーしつつ遼さんもギターを持ちトリプルギターの夜想
ラストの遺言は達也さんがカホンからさっき亞んちゃんが使ってたアクリルっぽいバスドラに切り替えて(夜想からこのバスドラだったかも)遼さんが立ち上がってかなり豪華な仕上がりに
アコースティックとはいえバンドサウンドに近い音圧
遺言良すぎた
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かなり久しぶりの5ショ撮影
リズム隊は黒シャツ、一葵さんは白シャツに着替えて、春さんはそのままでした。
ヴァージュの撮影と同時進行だったのでヴァージュブースから紫月さんの声がめっちゃ聞こえてきた(笑)
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greater-snowdrop · 2 years ago
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毒を食らわば皿まで
うちよそ。フェドート←ノルバ(パパ従兄弟) ※モブの死/暴力・性暴力行為の示唆
 揺れる焚火を前にマグを両手で包み込む。時折枯れ木が弾ける音を拾いながら、岩場に座すノルバはじっと揺れる炎を見据えていた。泥水より幾分かましなコーヒーはすっかり湯気が消え去り、食事の準備をしていたはずの炊き出し班がいつの間にやら準備を終えて、星夜にけたたましく轟く空襲に負けぬ大声で飯だと叫んでいた。バニシュを応用した魔法結界と防音結界が張られているとはいえ、人の気配までは消すことが出来ないがゆえに常に奇襲が警戒されるこの前哨地において、食事は貴重な愉楽のひとつである。仲間たちが我先にと配膳の前に列を成していくその様子を、ノルバはついと視線だけを向けて捉えた。  サーシャ、ディアミド、キーラ、コノル、ディミトリ、マクシム、ラディスラフ、ヴィタリー。  炊き出しの列に並ぶ仲間の名を、かさついた口元だけを動かし声は出さずに祈るように唱える。土埃にまみれた彼らが疲弊しきった顔を綻ばせて皿を受け取っていく様に、ノルバは深く息を吐いた。
「おい、食わないと持たないぞ」 「っで」
 コン、と後頭部を何かで軽く叩かれ、前のめりになった姿勢に応じてマグの水面が揺れる。後ろを仰ぎ見れば、見慣れた顔が深皿を両手に立っていた。
「フェドート……」 「ほら、お前の分だ」 「ああ……悪ィな」
 ぬるくなったマグを腰かけている岩場に乗せ、フェドートから差し出された皿を受け取る。合金の皿に盛られたありあわせの材料を混ぜ込んだスープは、適温と言うものを知らないのか皿越しでも熱が伝わるほど酷く熱い。そういえば今日の炊事係にはシネイドがいたな、と彼女の顔を思い浮かべ苦笑いを零した。  皿を渡すと早々に隣を陣取ったフェドートは、厳つい顔に似合わず猫舌のために息を吹きかけて冷ましており、その姿に思わず小さく笑い声がもれる。すかさずノルバの腕を肘で突いてきたフェドートに「面白れェんだから仕方ねえだろ」と毎度の言い訳を口にすれば、彼は不服そうな顔を全面に出しながら「それで、」と話を切り上げた。
「さっきは何を考えていたんだ。お前がぼうっとしているなんて、珍しい」 「…………ま、ちょっとな」
 ようやく冷まし終えた一口目を口に含んだフェドートに、ノルバは煮え切らない声で返した。彼の態度にフェドートはただ咀嚼しながら無言でノルバを射抜く。それに弱いの分かってやっているだろ、とは言えず、ノルバは手の中でほこほこと煮えているスープに視線を落として一口分を匙で掬った。  豆を中心に大ぶりに切られたポポトやカロットを香辛料と共に煮込んだスープは、補給路断たれる可能性が常にあり、戦況の泥沼化で食糧不足に陥りやすい前線において比較的良い食事であった。フェドートが別途で袋に詰めて持ってきたブレッドや干し肉のことも考えれば、豪華と言えるほどである。まるで、最期の晩餐のようなものだ。  ───実際、そうなるのかもしれないが。  ため息を吐くように匙に息を吹きかけ、口内を火傷させる勢いのスープを口に放り込んだ。ブレッドと食べることを前提に作ったのだろう。濃い味付けのそれは鳴りを潜めていた空きっ腹を呼び覚ますのには十分だった。  フェドートとの間に置かれたブレッド入りの袋に手を伸ばす。だが彼はそれを予測していたらしく、袋をさっと取り上げた。話すまで渡さないという無言の圧を送られたノルバは観念して充分に噛んだ具材を飲み下す。表面上を冷ましただけではどうにもならなかった根菜の熱さが喉を通り抜けた。
「次の作戦を考えてた。今日までの作戦で死者が予想以上に出るわ、癒し手が不足してるわで頭が重いのはもちろんだが、副官が俺の部下九人を道連れにしたモンだからどうにもいい案が浮かばなくてな」
 言って、ノルバはフェドートの手から袋を奪取すると中から堅焼きのブレッドを取り出し、やるせなさをぶつけるように噛み千切った。何があったのか尋ねてきた彼に、ノルバはくい、と顎で前哨地に設営された天幕を指す。中にはヒューラン族の男が一人とロスガル族の男が二人。ノルバと同じく、部隊指揮官の者達だった。折り畳み式の簡易テーブルの上に置かれた詳細地図を取り囲み話をしているが、平行線をたどっているのか時折首を振る様子や頭を掻く様子が見える。  お前は参加しなくていいのか、とノルバに問おうとして、ふと人数が足りないことに気付いた。ここにはノルバ率いる第四遊撃隊と己が所属し副官を務める第二先鋒隊、その他に第八術士隊と第十五歩兵隊に第七索敵隊がいたはずだ。そう、もう一人部隊長が────確かヒューラン族の女がいたと思ったが。  フェドートが違和感を覚えたことを察したのか、ノルバはスープに浸したブレッドを飲み下すとぬるいコーヒーを手に取り、その味ゆえか、はたまたこの状況ゆえか、眉間に皺を寄せつつ少量啜った。
「セッカ……索敵隊の隊長な、昨日遅くに死んだんだわ。今回の作戦は早朝の索敵と妨害がねェ限り成り立たなかったろ? 俺はその代打で一時的に遊撃隊を離れて第七索敵隊の指揮を預かってた。…………そうしたら、このザマだ」 「……副隊長はどうしたんだ、彼女が死んだのならそいつが立つべきじゃあないのか?」 「普通はな。ただ、まあ、お前と同じだよ。副官としては優秀だが、全体を指揮する人間とは畑が違う。本人の自覚に加えて次の任務は少しの失敗もできないとあって、俺にお鉢が回ってきたってェわけだ」
 揺れる焚火の薪が音を立てて弾けた。フェドートはノルバの言葉に思い当たる節があるのか、「ああ……」と声を零すと干し肉を裂いてスープの中に落としていく。ノルバはその様子に僅かに口角を上げると、ブレッドをまたスープに浸して食みながら状況を語った。  曰く、昨日遅くに死んだセッカは直前まで普段と至って変わらない様子だったという。しかし、日付が変わる直前、天幕で早朝からの作戦に向けての確認作業中にセッカは突如嘔吐をして倒れ、そのままあっけなく死んだ。彼女のあまりにも急すぎる死に検死が行われた結果、前回の斥候で腕に負った傷から遅効性の毒が検出され、毒死という結論に至った。  本人に毒を受けた自覚がなかったこと、術士隊がその日は夜の任であり癒し手の人数が不足していたため軽症者は各自で応急処置をしていたこと、その後帰還した術士隊も多数の死傷者を抱えて帰ってきたこと等、様々な不幸が折り重なって生まれた取り返しのつかない出来事だった。  問題は死んだ時間である。早朝からの任務を控えていたセッカが夜分に死亡し、且つ翌朝の作戦は必要不可欠であったため代理の指揮官を早々に選出しなければならなかった。だが、セッカの副官である男は「己にその器たる資格なし」と固辞し、索敵隊の者も皆今回の作戦の重大さを理解しているからこそ望んで進み出るものはいなかった。  その最中、索敵隊のひとりが「ノルバ殿はどうか」と声を上げたのだと言う。基本的にノルバは作戦に応じて所属が変わる立場だ。レジスタンス発足後間もない頃、何もかもを少数でこなさなければならない時期からの者という事もあって手にしている技術は多岐にわたる。索敵隊が推した所以である諜報技術もその一つだった。結局、せめて今回作戦だけでもと頼まれたノルバは一日遊撃隊を離れ、索敵隊を率いたという。
「別に悪いとは言わねェよ。あの状況で、索敵隊の精神状況と動かせるヤツを考えれば俺がつくのが妥当だ。俺はセッカがドマから客将として入ってから忍術の手ほどきも受けていたから、死んだと聞いた時から予想はしてた」 「………………」 「ああ、遊撃隊は生還率が高く、指揮官が一時離脱しても一戦はどうにかなると言われたな。実際、俺もどうにかなる……どうにかさせると思ってたさ。そうなるよう事前に俺がいない間の指示も伝えてから行った。だけどよ、前線を甘く見る馬鹿が俺がいないからって浮足立って独断行動をしたら、どうにもなんねェんだわ、そんなの」
 ブレッドの最後の一口を呑む。焚火の煙を追って、ノルバは天を仰いだ。帝国軍からの空襲は相変わらず止む気配がない。威嚇を兼ねたそれごときで壊れる青龍壁ではないが、星の瞬く夜空を汚すには十分だった。
「技術はあって損はないけどよ、その技術で転々とする道を進んだ結果、一度酒飲んで笑った仲間が、命を預かった部下が、てめェの知らねえとこで、クソ野郎の所為でくたばっていく度に、なんで俺は獲物一つの野郎でいられなかったんだと思う」
 目を瞑る。第四遊撃隊は今朝まで十六人だった。その、馬鹿な副官を合わせて十人。全体の約三分の二を喪った。良かったことと言えば、生き残った者たちが皆比較的軽症だったことだ。戦場で果てた者たちが、彼らの退路を守ってくれたという。死んだ部下たちの遺体は回収できなかった。帝国が回収し四肢切断やら臓器の取り分けやらをされて実験道具としているか、はたまた荒野に��ち捨てられたままか、どちらかだろう。明日戦場に出た時に目につくだろうか。もう既に腐敗は始まっているだろう。その頃には虫や鳥が集っているかもしれない。  とん、とノルバの背に手が触れた。戦場において味方を鼓舞するそれを半分��せるほど大きな手。その手は子供をあやす父親のようにゆっくりと数回ノルバの背を叩くと、くせの強い彼の髪に触れた。届かない空を見上げていたノルバの視線をぐっと地に向かせるように、荒っぽいが情愛のある手つきでがしがしとかき回す。「零れるからやめろ馬鹿!」と騒ぐノルバに手を止めると、最後に彼の頭を二度軽く叩いて手を離した。  無理をするな、とも、泣いていい、とも言わない。それらがノルバにはできないことであり、また見せてはならない顔であることを元々軍属であったフェドートは理解していた。ノルバは片手で椀を抱えたままもう片方で眉間を抑え、深く息を吸って、吐いた。
「……今回の大規模な作戦目標は、この東地区の中間地点までの制圧だ。目標達成まであと僅か、作戦期間は残り一日。全部隊の半数以上が戦死し、出来る作戦にも限りがある……が、ここでは引けない。分かっているよな」 「ああ。この前哨地の後ろは湿地帯だ。今は雲一つない空だが、一昨日から今日の昼間までにかけての雨で沼がぬかるみを増している。下手に後退すれば沼を渡っている最中に敵に囲まれるのがオチだ。運よく抜け出せたとしても、晴れだしてきた天気の中ではすぐに追跡される。補給路どころか後衛基地の居場所を教えてしまうだろうな。襲撃されたら単なる任務失敗では済まない」 「そうだなァ、他にはあるか?」 「……第七索敵隊の隊長はドマからの客将だったな。彼女が死んだとあれば、仲間の命を優先して中途半端に任務を終えて帰るべきではない────いや、帰れないな。"彼女は勇敢に戦い、不幸にも命を落としました。また、甚大な被害が出たため作戦目標も達成することが出来ず帰還しました。"ではドマへの示しがつかない。せめて、目標は達成しなければどうにもならん」 「わかってるじゃねェの」
 くつくつと喉を鳴らして笑うノルバを横目に、フェドートは適温になってきたなと思いながらスープを食む。豆と根菜に内包された熱さは随分とましになっていた。馴染み深い香草と塩っ気の濃い味で口内を満たしながら、フェドートはこちらに向けられている視線へと眼光を光らせた。  鋭い獣の瞳の先にあるのは、ノルバが指した天幕。射抜かれたロスガルの男は肩をわずかに揺らすと、すぐに視線を地図へと戻した。フェドートは男の態度にすっと目線を椀へと戻すと、匙いっぱいにスープを掬う。具に押しのけられて溢れたスープが、ぼとぼとと椀に戻っていった。  万が一にでもこのまま撤退という話になれば────もしくは目標を達成できず退却戦となれば、後方基地に帰った後、まず間違いなくノルバは責任を問われる者のひとりになるだろう。ともすれば、全体の責任を負いかねない。ノルバ自身は最良を尽くし、明らかに自身の行いではないことで部下を大量に失っている身だが、皮肉なことに彼はボズヤ人でないことや帝国軍に身内を殺された経験を特に持たないことから周囲の反感を買っている。責任の押し付け合いの的にするには格好の獲物だ。  貴重な戦力であり、十二年ひたすらに積み重ねてきた武勲もある。まず死ぬことはないだろうが相応の折檻はあるだろう。フェドートは息子同然の子の師であり、共にボズヤ解放を目指す戦友であるノルバにその扱いが待ち受けているのが分かっているからこそ、引けないとも思っていた。ノルバ本人にそのことを言っても「いつものことだ」と笑うから決して口にはしてやらないが。  汁がほとんど匙から零れ、具だけが残ったそれを口に運ぶ。いつの間にかノルバは顔から手を離していた。血糊の瞳と、濁った白銀の瞳はただ前を見つめている。ノルバは肩から力を抜くように大きく息を吐き出すと、フェドートに続くように匙いっぱいにスープを掬い大口を開けて食べ、袋から干し肉を取り出して頬張った。
「ま、何にしろ全体の損失を考えりゃここでは引けねェが、簡単に言えばあと一日持たせてもう目と鼻の先にある目的を達成さえすればどうとでもなるんだ。なら、大人しく仰々しいメシを食いながら全滅を待つこたァねえ。やっこさんを出し抜いて、一泡吹かせてやろうじゃねェの」 「本当に簡単に言うなぁ……」 「そんぐらいの気持ちでいかなきゃやってけねェんだよ、ここじゃあな。ダニラ達もあっちで相当頭捻ってるし、案外メシ食ってたら何か、し、ら…………」
 饒舌に動いていた口が止まる。急に黙り込んだノルバにフェドートは怪訝そうな顔でどうしたと彼を見やる。眼に映った顔は、笑っていた。  ノルバの手の中で、空の匙が一度踊る。そのしぐさに目を奪われていると、匙はこちらを指してきた。
「なあ、フェドート。アンタ、俺の副官になる気はないか?」
 悪戯を思いついたこどものような表情だった。しかし、彼の声色が、瞳が、冗談なのではないのだと語る。「は、」とフェドートは吐息のごとく短い声を上げた。ノルバは手を引いて袋の中からまたブレッドを手に取る。「ようはこういうことだ」ノルバは堅く焼いたそれを一口大に引きちぎり、ぼとり、と残り半分もないスープの中に落とした。
「遊撃隊と」
 ぼとり。
「先鋒隊と」
 ぼとり。
「索敵隊。この三部隊を統合して俺の指揮下に置き、一部隊にしたい」
 三つのかけらを入れたスープをノルバは匙でくるりと回す。突飛な発想だった。確かに遊撃隊はノルバを含め僅か六人の生存者しかいない。どこかの部隊に吸収されるか、歩兵隊あたりから誰かを引き抜いてくる必要はあるだろうが、わざわざ先鋒隊と索敵隊をまとめる必要があるかと言われれば否である。  帝国との兵力差は依然としてある状況でいかにして勝ち進めることができているのかと問われれば、それ���部隊を細かく分けて配置し、ゲリラ戦で挑んでいるからに他ならない。それをノルバはよく知っているだろうに、何故。  答えあぐねているフェドートにノルバは真面目だなと笑うと、策があるのだと語った。
「承諾が得られるまで細けェことは話せねェが、成功率は高いはずだ。交戦時間が短く済むだろうからな。それが生存率に繋がるかと言われれば弱いが、生き残ってる奴らの肉体と精神両方の疲労を考えれば、戦えば戦うほど不利になるだろうし、どうせ負けりゃほとんどが死体だ。だったら勝率を優先した方がいい。ダニラのヤツは反対するかもしれねェが……俺が作戦の立案者で歩兵隊と変わらない規模の再編隊を率いるとなれば、失敗したら責任を負いたくない野郎共は頷くだろ」 「おいノルバ、」 「で、これの問題点と言やァ、デケェリスクと責任を全部しょい込んで無茶苦茶を通そうとする馬鹿の補佐につける奴なんて限られてるし、そもそも誰もつきたかねェってとこなんだが」
 ノルバ自身への扱いを聞きかねて小言を呈そうとした口を遮って続けられた言葉に、フェドートは息を詰まらせた。目の前の濁った白銀と血溜まりの瞳が炎を映して淡く輝く。
「その上で、だ。もう一度言うぞ、第二先鋒隊副隊長さんよ。生き残って勝つ以外は全部クソな俺の隣席だが、そこに全てを賭けて腰を据える気はないか?」
 吐き出された地獄へ導く言葉は弾んでいた。そのアンバランスさは他人が見れば奇怪に映るだろうが、フェドートにとってはパズルピースの最後の一枚がはめられ、平らになった絵画を目にした時のような思いだった。ああ、お前はこんなに暴力的で、強引で、けれども理性的な男だったのか。  「おっと、ギャンブルは嫌いだったっけか」とノルバが煽るように言う。彼の手の中でまた匙がくるりと弧を描いた。茨の海のど真ん中で踊ろうと誘っておきながら、退路をちらつかせるのは彼なりの優しさかそれとも意地の悪さか──おそらくは両方だろう。けれども、フェドートはここでその手を取らぬほど、野暮な男になったつもりはなかった。  フェドートが口角を上げて応える。ノルバは悪戯の成功したこどもの顔で「決まりだな」と言うと、浸したブレッドを頬張る。熱くもなく、かと言ってぬるくもない。シネイドが作ったであろう火だるまのようなスープはただ美味いだけのスープになっていた。  この機を逃すまいと食べ進めることに集中した彼に合わせてフェドートも小気味よく食事を進ませ、ノルバが最後の一口を口に入れるのに合わせてスープを飲み干す。は、と僅かに声を立てて息づくと、ノルバは空の皿を脇に置き腰のポーチを漁ると小箱を取り出した。フェドートはそれに嫌そうな顔を湛え腰を浮かせたが、「まあ待てよ」とノルバがにやにやと笑って彼の腕を掴んだ。その細い腕からは想像できないほどの力で腕をがっちりと掴んできた所為で逃げ道を塞がれる。���う片方の手でノルバは器用に小箱を開けた。中に鎮座していたのは煙草だった。
「俺が苦手なのは知っているだろう!」 「わーってるわーってる。そう逃げんなよ。願掛けぐらい付き合えって」
 スカテイ山脈の麓を生息地域とする特有の葉を使ったそれは、ボズヤでは広く市民に親しまれてきた銘柄だった。帝国の支配が根深くなり量産がしやすく比較的安価なシガレットが普及してからというもの、目にしなくなって久しかったが、レジスタンスのひとりが偶然クガネで発見し仲間内に再び流行らせたという。ノルバも同輩から教えられたらしく、好んで吸う側の一人だった。  ノルバは小箱から葉巻を取って口に咥えると、ポーチの中に小箱をしまい、代わりに無骨なライターを取り出して、フェドートに向かってひょいと投げた。フェドートが器用に受け取ったのを見るや否や彼は咥えた煙草を指差して、「ん」と喉の奥から言葉とも言えない声を上げた。フォエドートが嫌がる顔をものともせず、むしろそんなものは見ていないとばかりに長く白いまつげを伏せて火を待つノルバに、フェドートは観念してライターの蓋を開けると、押し付けるように彼の口元の上巻き葉を焦がした。
「今回だけだぞ。いいか、吐くときはこっちには、ぶっ、げほッ!」 「ダハハハハ!」
 フェドートが注意を言い終わるよりも先に、ノルバは彼に向かって盛大に煙を吐き出した。全身の毛を逆立ててむせる彼に、ノルバは腹を抱えてげらげらと笑う。
「お前なあ!」 「逃げねえのが悪ィんだよ、逃げねえのが」 「お前が離さなかったんだろうが!!」
 威嚇する猫のように叫ぶフェドートなどどこ吹く風で笑い続けるノルバに、「ったく……」と彼はがしがしと頭を掻く。ノルバの側に置かれた椀をしかめっ面のまま手に取り、もう片手で自身が使った皿と空になった麻袋を持ってフェドートは岩場から立ち上がった。
「こいつは片付けてくるから、吸い終わってから作戦会議に呼び出せよ、ノルバ」
 しかめっ面の合間から僅かに呆れた笑みを見せたフェドートは、ノルバに背を向けると配膳の天幕から手を振るシネイドの方へと足を進めた。その彼の後ろ祖型を目で追いながらノルバは膝に肘を立て頬杖をつくと、いまだくつくつと喉からもれだす笑い声は殺さないまま焚火の煙を追うように薄く狼煙を上げる葉巻を弄ぶ。
「他のヤツならこれでイッパツなのになァ。わっかんねェな、アイツ。おもしれえの」
 フェドートの背中にふうっと息を吐く。煙で歪んだ彼の背は掴みどころが見つからない。ノルバはもう一度吸ってその煙幕をさらに深くするように吐きだすと、すっかり冷めたコーヒーを飲み干して立ち上がった。
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thesunabar · 2 years ago
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如月十六日(木) ⁡ ✝️いつまでもあると思うな親と店✝ 88㎏⤵️⤴️ポンコツ肥満は今日もぼんやり ⁡ ⁡ おピーカン☀️で風はキレキレ🍃 NYFS開いてます空いてます🚪 ⁡ 今月はとても閑散とした横丁ですが、お酒は順調に溜まりつつあります🍶 ⁡ 老化が加速しているようで、週が明けたと思っていたら今日はもう木曜日⏳ ⁡ 残された時間が充実しているとイイんですが… ⁡ 冷酒がメインではございますが、ひや(常温)や温め酒もご提供しています ⁡ 蒸し器でシュンシュン♨️っと温めます 奥能登の白菊にごり酒、神雷佳撰、睡龍生酛、シンツチダ、神亀ひこ孫、仙禽雪だるま…etc. ⁡ 今月は革命君月間なので、信州亀齢、浅間嶽、浅茅生、奥能登の白菊、越前岬、そしてロ万Revolutionがオンリストです🍶 グイグイ飲み干して🙏 ⁡ 日めくりカレンダーによれば「近道は遠道」だそうです🤔 ⁡ 今宵、おまんちしております💋 ⁡ ⁡ 牡蠣は北海道厚岸と三陸山田🦪 ⁡ ふぐ皮とカラスミの卵蒸、重慶飯店の麻婆豆腐、トマト卵炒め、ウインナーたまご🥚 生ハム ハモン デ テルエル切落とし、エ・イ・ヒ・レ😘 ⁡ 生ハムと青とうがらしの包みピザ、豚ロースの味噌生姜焼き、セセリ串葱蒸し焼き、も、おススメです💡 ⁡ 〆ものは、 クミン焼きそば 広島菜と紫蘇の混ぜごはん焼おにぎり カラスミ稲庭素麺 アンチョビふきのとうのショートパスタ ⁡ ⁡ AKABU NEWBORN、横山五十 ホワイト大吟醸、雪の茅舎 にごりパック、仙禽 雪だるま、浅茅生は剣呑に熊蟄穴は澄and滓、信州亀齢は山田錦と美山錦とひとごごち、十四代は本丸に角新本丸に中取り純吟播州愛山etc. ⁡ ⁡ 【如月の店休日】 5(日) 12(日) 19(日) 23(㊗️木)※貸切営業 26(日) ⁡ ⁡ 【🚨唎酒コース🚨】 ・最初の1時間は3300円(4〜5杯) ・延長は1時間毎に1100円(状況に応じて) ※税込、小鉢付き ※グラス交換制 ※お酒は肥満のおススメを順に ※1組1名から4名迄 ⁡ 【⚠️予約制⚠️フードセット】 ・2名様から ・¥7700(税込) ・150分制(ラストオーダーは30分前) ・ガリ、突き出し、生ハム、卵、魚、肉、〆 ・肥満おススメ日本酒をご提供(4〜5杯) ⁡ ◎お席のご予約、貸切(8名様から)、承ります →お気軽にお問い合わせください📞📲 ※貸切予約はご来店ください🍶 ⁡ https://sunabar.thebase.in/ 視野を広く裾野を広く🌋 ご理解ご協力の程よろしくお願いいたします🙏 ⁡ ◎手洗いと手指消毒の励行🥷 ◎無駄な大声(地声含む)は永遠に自粛🙅 ◎マスクや距離感など優しいキモチ👼 ⁡ アタシ 待つは ⁡ どうぞ よしなに ⁡ かしこみ かしこみ ⁡ #新四谷舟町砂場 #the_neo_sunabar #四谷舟町砂場 #舟町砂場 #the_sunbar #日本酒スナック #NYFS #荒木町 #四谷三丁目 #舟町 #日本酒 #焼酎 #ワイン #麦酒 ⁡ ♨️新四谷舟町砂場(Neo Yotsuya Funamachi Sunabar) 〒1600007 東京都新宿区荒木町6 ルミエール四谷1FA 0333545655 [email protected] 17時頃から24時入店(変更の可能性有り) ※ラストオーダーは気分次第よ責めないで😘 不定休 facebook.com/NeoYFS facebook.com/the.sunabar instagram.com/the_sunabar twitter.com/_sunabar (新四谷舟町砂場) https://www.instagram.com/p/Cot3VOZSi_h/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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shoku-and-awe · 7 years ago
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tabilist · 2 months ago
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【東京】世田谷「大山生煎店」
【ヒルナンデス】門外不出の小籠包『大山生煎店』#榊原郁恵 #畑芽育 #作間龍斗 世田谷グルメ巡りバス旅 2024/12/5放送 東京都目黒区自由ヶ丘1-4-6 1F #ヒルナンデス #横山裕 #木村昴 #生見愛瑠 #やす子 #大沢あかね 詳しく見る↓
自由が丘駅「大山生煎店」 食べログでcheck! 門外不出の小籠包が人気のお店 本場上海の味を日本で楽しめるお店として人気を集めている。 店名の由来にもなっている「生煎」は、外はカ��ッと中はジューシーな焼小籠包で、その独特の食感と豊かな味わいが特徴 鉄鍋で焼き上げた焼小籠包は、口にした瞬間、肉汁がジュワッと溢れ出し、幸福感に包まれる。 【SHOWチャンネル】本場中国 名店の味を受け継いだ門外不出の焼き小籠包『大山生煎店』 2023/4/22放送 【Nスタ】本格小籠包の立ち食い『大山生煎店』話題の立ち食いグルメ 2023/6/8放送でも紹介 住所 東京都目黒区自由ヶ丘1-4-6 1F TEL 03-5731-0977
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oishii-oishii · 5 years ago
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dolphinsan · 5 years ago
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✨コロナ支援でお取り寄せした小籠包と焼き小籠包、そして定番の551の蓬莱の豚饅と餡饅✨ ・ ・ ・ こんばんわぁ٩(*´꒳`*)۶ ・ ・ ・ コロナ支援で購入した、小籠包。 ・ ・ ・ 大阪の箕面にLei can ting(リーツァイティン )って実店舗がある様です。 ・ ・ ・ 小籠包は冷凍で到着! 作り方を見ながら蒸らしたり焼いたり…出来上がり! ・ ・ 小籠包はひとつひとつ紙受けに入っていたので、作りやすく食べやすく、肉汁の洪水に熱々言いながら食べてました 笑 ・ ・ 焼き小龍包も美味しかったけど、小籠包はお店でやっぱり食べたいかな…ってのが正直な感想 笑笑 ・ ・ 551の蓬莱の豚饅と餡饅は蒸し器で蒸して、安定の美味しさ〜っ☆ ・ ・ ・ 餡饅はネットだけの販売なんだけど、ねっとり胡麻の風味が香ばしくてとってもうんま!なんですよね☆ ・ ・ ・ で、言っちゃうよね? 「ある時〜!無い時〜っ!」これって関西限定なのかな 笑笑 ・ ・ ・ 大変な最中、美味しい物、慣れ親しんだ味を食べれる事で気持ちまがホッとしました(*´ `) ・ ・ ・ ごちそうさまでした☆ ・ ・ ・ p.s. 家族に食べている最中���言われた言葉、「今日のご飯白いなぁ」ほんまや、真っ白 笑笑 ・ ・ ・ #Leicanting #コロナ支援 #リーツァイティン #箕面グルメ #箕面 #コロナ支援 #小籠包 #焼き小龍包 #お取り寄せ #うちごはん #おうちごはん #大阪グルメ #551蓬莱 #豚饅 #餡饅⠀ #ある時ない時 #今日の晩ご飯 ⠀ #どるふぃんの気ままに食べ歩き ⠀ #いただきます #感謝⠀ #コロナに負けるな ⠀ #医療従事者に感謝 ⠀ #最前線で働く人に感謝 ⠀ #ありがとう ⠀ #コロナと共存 #引き続き気を緩めず https://www.instagram.com/p/CApjT1wAgBY/?igshid=chzwoeon8cj1
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