#歩行補助杖
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bearbench · 8 months ago
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raccoon-pizza · 1 year ago
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284:底名無し沼さん (ワッチョイ b1c3-h+XS):[sage]:2023/11/04(土) 22:55:59.74 ID:qH288eM30
トレッキングポールって必要ですか?
登山知識ゼロの素人です
駐車場から15分以上歩きたくないという高潔な精神を今まで貫いてきて軽装で挑んでたけど
秘境っぽいところの祠のぞいたり、岩とか崖とかよじ登ってると案外頑丈な杖が欲しくなるんだよね
今までは体重に耐えるくらいのゴツい木を拾って這うように移動してたんだけど
ここまで頻度多いなら持ち歩くのもありかなって
285:底名無し沼さん (ワッチョイ 4530-63np):[sage]:2023/11/04(土) 23:15:36.64 ID:/i1QLwrh0
キミはポールよりちゃんとした杖を持っていった方がスタイルに合ってる
286:底名無し沼さん (ワッチョイ b1c3-h+XS):[sage]:2023/11/04(土) 23:26:35.32 ID:qH288eM30
ありがとう
ゴツいポールの正式名称を知らないのだが
なんて調べたら出てくるだろうか
伸縮タイプのおそらく歩行の補助と思われるものしか出てこないのだ
288:底名無し沼さん (ブーイモ MM62-iG/O):[sage]:2023/11/05(日) 01:15:16.91 ID:3aS8zZyVM
伸縮タイプのポールって体重預けたときにロックが壊れたり耐荷をこえてガチョーンって縮んじゃいそうで怖い
297:底名無し沼さん (ワイーワ2 FF8a-P3uJ):2023/11/05(日) 13:54:21.30 ID:IeUlIjhOF
>>288
ホーム��ンターとかの安いのは怪しいけど、登山用で定評があるところのは問題ないから。
289:底名無し沼さん (スププ Sd62-AqkE):[sage]:2023/11/05(日) 01:30:34.34 ID:OYuB8ayfd
トレッキングポールには体重かけちゃ駄目だよ
あくまでも階段の手摺りみたいにバランスを取る補助でしかないから
298:底名無し沼さん (ワイーワ2 FF8a-P3uJ):2023/11/05(日) 13:57:46.18 ID:IeUlIjhOF
>>289
登山用で定評がある物を規定通りにきっちり固定すれば大丈夫。
292:底名無し沼さん (ワッチョイ b2dc-btDf):[sage]:2023/11/05(日) 09:57:13.04 ID:z4uBpv7U0
トレッキングポールってアルミがいいのかカーボンがいいのかよくわからん
299:底名無し沼さん (ワイーワ2 FF8a-P3uJ):2023/11/05(日) 14:03:24.07 ID:IeUlIjhOF
>>292
オレはアルミのをずっと使ってる。
カーボンは三脚とかは使ってるけど、気付かないで砂とかをかんだままで伸縮すると研磨されちゃって傷みが早いから、けっこう気を使う。
といっても、すり減って駄目になるほどの日数を歩くのは容易ではないだろうけど。
293:底名無し沼さん (ワッチョイ 89f5-sdYh):[sage]:2023/11/05(日) 10:13:11.29 ID:GMq6/fR60
俺は何年かぶりに新しいポールをポチった。
一昨日の山行で長いポールをザックに挿してると
木の枝に当たって邪魔になるからだ!!
現在のポール(BD製)に大きな不満はないが
折り畳み式のを買った。
1段目と2段目がカーボンでそれ以下はアルミだ。
値段は約8,000円だ。あまり安すぎるのも
怪しいからこれくらいの値段で。
有名メーカーのは値が上がるからなw
294:底名無し沼さん (ワッチョイ 99bd-Oe48):2023/11/05(日) 10:40:28.36 ID:8/0BWZtH0
カーボンは突然折れる。
アルミのような予兆がない。
295:底名無し沼さん (ワッチョイ 427a-sdYh):[sage]:2023/11/05(日) 12:17:57.36 ID:fsvTbkQb0
急斜面で姿勢が乱れないからストックは手放せなくなった
私は疲れが緩和されて実に気に入っているけどまあ人それぞれだと思う
私は登りの急斜面でしか使わない 下りは全然使用しない
342:底名無し沼さん (ワッチョイ c250-ew56):[sage]:2023/11/07(火) 04:25:24.24 ID:wv0Zss9p0
>>295
むしろ、下りの膝の負担軽減目的で使うモノ
296:底名無し沼さん (ワッチョイ 6d6f-btDf):[sage]:2023/11/05(日) 12:35:16.99 ID:mH+tkEEf0
アルミorカーボン
伸縮式or折りたたみ式
I型orT型
ツイストロックorカムロック
1本or2本
意味があるのかわからないアンチショックやアンダーグリップ
考えるのが面倒だから買うのやめた
300:底名無し沼さん (ワイーワ2 FF8a-P3uJ):2023/11/05(日) 14:06:30.48 ID:IeUlIjhOF
>>296
アルミ伸縮Tツイストのダブルが無難。
といってもゲレンデスキーでストックさばきに慣れてないと最初は使いにくいかもしれない。
302:底名無し沼さん (ワッチョイ 6e5d-h+XS):[sage]:2023/11/05(日) 16:19:35.75 ID:ZFnIB0Gt0
体重かけていいやつは無いの?
岩場でめっちゃ頼りになるんだが
306:底名無し沼さん (ワッチョイ c27f-P3uJ):2023/11/05(日) 17:35:52.18 ID:dkVk/lZq0
>>302
そっちが念頭に置いてるのは、剣の一般ルート上部とかを代表とする一般的な意味の岩場じゃなくて、岩っぽい普通の道くらいの感じじゃないの?
岩場といってもホールドや鎖とかを掴み放しではないけど、手を何かで塞いだらとっさに何か掴むことができにくくて、それだけで危険だし、ありがちな隙間にハマり込んだりしやすいから使わない。
収納して、岩に引っかかったりしないように上手い具合でザックに固定する。
単にグッと体重を掛けるだけのことなら、ちゃんとした普通の登山用で定評がある物なら行ける。
ホームセンターとかの安いのは、アルミでも材質がヤワ過ぎるし、固定部も甘いから危ないので駄目。
312:底名無し沼さん (ワッチョイ b249-h+XS):[sage]:2023/11/05(日) 21:28:47.77 ID:Hv5mhc7b0
>>306
岩っぽい普通の道のことだわスマン
https://i.imgur.com/PJ4T69Q.jpg
https://i.imgur.com/LT608Qv.jpg
https://i.imgur.com/jHWFdwG.jpg
ケツだけ歩きしてレインウェア二枚もダメにしちゃったけど
こういうの 
https://i.imgur.com/ZtT8hPG.jpg
一本手に入れてから安定感が段違いになったからね
モンベルあたり行ってみる
328:底名無し沼さん (ワイーワ2 FF8a-P3uJ):2023/11/06(月) 15:54:25.02 ID:rrCHNfehF
>>312
納得。
座ってズリ降りるという発想自体が危なすぎるから登山ではご法度。
そうならないルートを見極めて回り道しないと駄目だよ。
沢なんかは滑りやすい段差だらけで、無造作にズリ降りたりしてると止まらないで谷底転落死も容易。
それで逝ったと推定される実例は数しれず
前向き行けるなら、腰を落として足裏で立って、何というかコサックダンスみたいな姿勢で、あくまで歩く。
どうしてもとなったら、「登るときと同じ具合」で、後ろ向き=斜面向きになって、次の安定したステップに足を下ろす。
普通のハイキングコー���とかでもありがちな段差部分で、低いからって何の気なしで無造作に登り降りしちゃわないで、「下がズバッと切れ落ちてるから一歩間違えたら危ない」という風にシミュレーションして練習する。
普段から欠かさずそうやっていれば、北とかの一般ルートの岩場くらいは難なく行けちゃう。
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kennak · 1 year ago
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347 名前:可愛い奥様:2020/09/12(土) 13:05:54.81 私片手片足動かせないわよ 読むのは問題ないしパソコンは基本的に右手だけで動かせるか ら井戸端にはお世話になってるわ 359 名前:可愛い奥様:2020/09/12(土) 13:06:40.71 >>347 脳梗塞かしら うちのおじにもいるわ 385 名前:可愛い奥様:2020/09/12(土) 13:08:27.60 >>359 自動車事故よ 切断しないだけマシな感じで挟まれたの 428 名前:可愛い奥様:2020/09/12(土) 13:11:00.16 >>385 うわ、大変だったわね メ��タルの切り替え素晴らしいわ 451 名前:可愛い奥様:2020/09/12(土) 13:12:29.18 >>428 たまに泣くだけで何もできない日とかあるわよー 470 名前:可愛い奥様:2020/09/12(土) 13:13:33.13 >>451 乙すぎるわ 出来る限りのご自愛してね 521 名前:可愛い奥様:2020/09/12(土) 13:17:09.87 >>470 ありがとね 431 名前:可愛い奥様:2020/09/12(土) 13:11:06.40 >>385 ヒエエエエよくぞ生きててくれたわ 387 名前:可愛い奥様:2020/09/12(土) 13:08:29.61 >>347 歩くのは杖かしら? 家事も大変そうだわ毎日おつよ 442 名前:可愛い奥様:2020/09/12(土) 13:11:44.55 >>387 家の中では歩行補助具使ってるわ 赤ちゃんのつかまり立ちの輪っかみたいなやつ 階段は杖だけど 456 名前:可愛い奥様:2020/09/12(土) 13:12:45.65 >>442 1Fにしたらいいのに…気をつけてなのよ 529 名前:可愛い奥様:2020/09/12(土) 13:18:08.06 >>456 実家だからね お客さんとか来ると2階に逃げるのw
自動車事故で片手片足動かせなくなった : 育児板拾い読み
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buriedbornes · 5 years ago
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第32話 『赤子の視る夢 (4) - “夢”』 Fetus dream chapter 4 - “Dream”
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 瞬間的に感じたのは、彼の怒りだった。ヴァルター博士は立ち尽くしたまま、無表情でいようと務めているが、その目の奥にくすぶる激情は消せないようだ。
 ぐるぐると私を渦巻いていた多くの音が遠ざかり、私は呆然とヴァルター博士を見つめていた。
 ――私はこの男を殴って逃げた。マティアス博士は私とヴァルター博士に後を任すと言った。ふたりの博士が私のところにやってくる……
 異界への門。
 その門に執着したというマティアス博士。ヴァルター博士はマティアス博士の何を知っているのだろうか。いいや、死んだと言っていたではないか。だからこそ、私に記憶を取り戻せと。
 読まされた論文は確かに異界と私たち人間のかかわりに関するものだったが、それすら、私にはそれが真実であると確かめるすべもないのだ。
 異界は確かに存在するのだろう、目の前にある門の向こうが我々の世界ではないことは疑う余地もない。
 だからこそ、私はどうしていいか途方に暮れた。どちらが正しい? あるいは、ふたりとも、ただそれぞれに異なる見解を持っているだけなのか? 私は哀れな道化のようにじりじりと追い詰められていくだけ��。
 ヴァルター博士は息を整えてから、私にきちんと向き直った。
「突然いなくなるものだから、驚きました」
「……」
「さぁ、病室に戻りましょう」
「どうしてですか?」
 私の声は強張り、隠すべき警戒をごまかすことは出来なかった。
 それにヴァルター博士は驚いたように目を見開いた。大きな目玉がごろんと飛び出て来てそうで、私はじりっと後ずさった。
「どうしてって……あなたは昏睡から目覚めてすぐですし、それに記憶だって」
「あなたは何を隠しているんですか?」
 私の投げかけた問いに、ヴァルター博士が息を飲んだのが分かった。
「あなたはどうして私を監視していたんですか?」
「監視……?」
 ヴァルター博士はいよいよ怪訝そうに首を傾げている。
「監視なんて、どうして私がする必要があるんですか」
「私が聞いているんです、博士。この監視所に生き残っているのは他にどれだけいるというのです? あの看護婦は? テオは? モニカは? マティアス博士も!」
 問い詰める私の声の緊迫に対して、ヴァルター博士は身を乗り出した。
「思い出したのですか?」
「いいえ、ちっとも。全く」
「てっきり思い出したのかと思いました」
 ヴァルター博士のついたため息は大仰に響いた。彼はどこまでが本心なのだろうか……ただ、記憶を取り戻していないと聞いた今の表情には嘘がなかったように思えた。
 私が思い出すことを本当に望んでいるのだろうか。分からない。
「さぁ、病室に帰りましょう。記憶がないというのに、色々お話をしてしましました。混乱されているでしょう。申し訳ない、私も焦りすぎていたようだ」
「近づくな……」
「落ち着いてください、お部屋に戻るだけですから」
「来るな……っ」
 私の拒絶の声はかすれて、ヴァルター博士には伝わらなかった。ただ、私に手を伸ばしながら、じりじりと退路を断つように近づいてくる。穏やかな口ぶりだが、どこか高圧的に行動を誘導しようとしているのが分かる。
 白いその手のひらに、私は闇を見ていた。
 私が信用すべきものは何だろうか。客観的な事実は目の前にある、異界へと繋がるその赤黒い腹を晒したその門だけで、異界の向こうであったという事件も、そのほかの人間も私は知らない。
 私は本当に、クラウスなのだろうか? 私はどこにいる? 確かに窓の外、円形の中庭を抱えた監視所の向こうは深い森である、鬱蒼とした、いっそ森しかないほどの山の中ほどのようだ。少しばかり変化のあるのは、遠く峰が冠雪するばかりで、人里からは離れているのが分かる。……こんな大がかりな準備をして、ただ記憶のない私に拵えた嘘を信じさせようとするのであれば、それは尋常ではない。何か、想像を越えるほどの大きな目的のために、記憶を失った私を利用して何かを仕向けようとしているのではないだろうか。門の存在��けは真実だが、どこまでが真実だろうか。
 ヴァルター博士の目は乾き切り、何の感情も出さないように努めているのが分かる。口だけが笑っているが、酷く醜く、気味が悪い。
「さぁ、体も冷えたでしょう。温かい懐炉も用意させますから」
 赤子は宿主の記憶を読み取ると記されていた。ヴァルター博士の首筋に垣間見えた赤黒い影が脳裏を過る。
 目の前のこの男が、既に赤子に成り代わられているとして、なんの不思���があろう。
「私に全てを思い出させて、一体どうするつもりなんですか?」
 私の疑問は余程意外だったのか、ヴァルター博士の目に一瞬だけ逡巡の色がちらついた。
「真実のためです」
「……真実? 門の向こうに入った人間はほとんど死に絶えた。それだけでは足りませんか?」
「門の向こうで起きたことを、私は知りません。なにも記録することは出来ない。本物の乳母を目の当たりにして帰ったのは、あなた達ふたりだけだ。あなたは真実に辿り着き、マティアス博士の遺志を継ぐ必要があるのです」
 丁寧に感情の取り除かれた声で、ヴァルター博士は呟く。
「ヴァルター博士。私は何が真実か分からないのです……」
「そうでしょう、仲間を失い、異界の脅威に晒された。当然のことです」
「私はあなたが信用できない」
 魔物に見えるとは、口には出来なかった。
 遠慮したためでもない、ひゅっと目の前に杖が突き付けられたためだ。
「――……手荒な真似はさせないでくれ」
 声は冷たく澄んでいた。
 私は自分に突き付けられた杖の先が、迸る雷光をまとっていることに気が付いて、また一歩後ずさった。しかし、部屋の中だ、逃げ場などない。ヴァルター博士が意志を込めれば、その杖は瞬く間に私に一撃を見舞うだろう。
「――……やはり」
「博士、あなた……」
「私はずっと疑問だった、切開して肉片が見つからなかったから、あなたは安全だとマティアス博士は判断したが……やはり――やはりあなたは赤子の成り代わりなのか……」
 丁寧な口調に徹していた分、命令じみたその話し方は、あまりに無機質に私を追い詰めてくる。
「ならば、処置するまで」
「処置……?」
 ヴァルター博士は杖の先を揺らす。
「いずれにしても、安全のため一旦病室に戻ってもらう」
「閉じ込めるのか」
「それはあなた次第です」
「モニカは逃げ出したのか?」
「――……信じたくない気持ちは分かる。だが彼女は、誓って、こちら側には戻ってきていない」
「杖を下ろしてくれ、私だって真相は知りたいのですから」
「私だって知りたい。だが、君はもう異界に冒されているのだ。私には他の隊員を守る責務がある」
「私は大丈夫だとマティアス博士は言っていたじゃないですか!」
 中々従わない私に苛立ってヴァルター博士の眉がひくりと跳ねあがった。
「村には成り代わりが出た。精神に異常をきたし、周囲に怪異をまき散ら��ながら死んだ……そいつらは死んで、人の姿を失った。…我々が目にしたのは、崩れ去った肉片だけだ。人の姿である内の完成体の解剖は、まだ行われていなかった。」
「違う!」
 私は声の限り叫んだ。
 ――……ねえ、クラウス。
 モニカの声は確かにした。私を呼ぶ声が。
「モニカ……?」
 ――……本当に信じてもいいのかしら。なんだか、少し怖い気がするわ。
「私は信じてなんていない。騙されたりはしない……!」
「クラウス君?」
 ――……あなたはどう思う? どちらの言い分にも、筋は通っているけれど……。
「うまく行くはずない……こんなこと」
「クラウス君、気を確かに持つんだ」
 ヴァルターが私を捕まえようと手を伸ばす。
 捕まるわけにはいかない。このままあの独房へと帰れば、そのまま何もわからないまま、永遠に外には出られまい。
 逃げなければ。真実を知るためにも、そして、モニカを救うためにも��
 ――……クラウス……!
 彼女はこんなに、私に救いを求めていたというのに!
「私が確かにクラウスだというのならば、私はあなたを信じることは出来ない」
「私は君を信じたい、だが……っ」
「そうやって私を閉じ込めても、永遠にこの事件は解決はしない」
 ヴァルター博士は赤子に取り込まれ、新たな犠牲者を招こうとしているのか?
 あるいは、マティアス博士とは異なる形で異界の研究を推し進めようとしているのだろうか? いずれにしても、"私"を己の目的のために利用しようとしているのには違いあるまい。
 この門ごと私たちを葬り、門の封印を自身の手柄とするつもりなのか。
 いや、門の向こうに仲間を閉じ込め、赤子へ代わる様を観察するためなのか。
 ――……助けて……!
「まさか……!」
 ヴァルター博士がハッと息を飲み、杖を捨てて私に手を伸ばす。捕まるわけにはいかない。
「待ちなさい!」
 悲鳴に近い制止を振り切り、私は開け放たれたままの窓から門のある中庭へと飛び出した。夕闇が忍び寄り、禍々しいまでの赤黒い内部は近づくほどに不思議な光を帯びていく。
 私は門の前で、監視室を振り向いた。
 ヴァルター博士は監視室の窓の向こう、立ち尽くしてこちらを見つめ、叫んだ。
「あなたは、間違っている……!」
 絞り出すように放たれた声には、強い、裏切りへの怨嗟に似たものが感じられた。
 一瞬足が竦む。
 そんな私の視界の端を、よく実った稲穂のように束ねた黄金色の髪がよぎった。
 この香りを、覚えている―――気がする。
「モニカ……?」
 私はヴァルター博士から目を離し、再び門を振り向いた。
 赤黒い内壁は、脈打ちうねり、うごめいている。寸での先で曲がっているのか、奥が見えなかった。
 その曲がり角をモニカが歩いていく。その先に数人の人影も見える。
「モニカ!」
 きっと彼女だ。
 私の声が聞こえないのか、モニカの姿は肉の壁の向こうに消えた。
 本能的に竦む足を叱咤して、門に飛び込んだ。
 足がぐにゃりと沈み込む感触、踏みしめることのできない地面に足を取られ倒れ込みそうになる。生ぬるい風がかすかに吹いていた。
 手をつく壁もぐにゃりとゆがみ、そして、蠢く。
 垂れ下がった肉という肉が、壁や扉、カーテンのように行く手を阻み、私の視界を遮った。あれほどはっきり見えていたモニカ達が見えない。
「モニカ!」
「しかし、暑い……博士、一枚だけ脱いでもよろしいですか? 他の隊員たちの消耗してしまいます」
「……仕方ない。袖のあるものは残しなさい」
 ぐわんぐわんと肉の空間を反響して、声が間延びして聞こえた。
 ……後ろ?
 声は、私が先ほど足を踏み入れたばかりの門の方から聞こえてきた。
 私は恐る恐る背後の空間へと振り向く。
「クラウス、付着物から何かに感染するかも」
「構わない。どうせこの空間を進む限り汚染は避けられないから、出てからまとめて洗浄する。体力を温存しておきたい」
 大仰なバッグを担ぎ、肉壁の中を慎重に進んでいる一団がうっそりと歩いていた。あたりを探る視線の動きや、慎重そのものの歩き方。あれは、写真で見た、仲間たちだ……。
 どうして。いつの間に、後ろへ?
 彼らの中に、先ほど私が見た同じ髪の女性がいる。忘れるわけがない、ついさっき、彼女の背中を見て飛び込んだのだから。
 モニカに駆け寄ろうと足を踏み出した瞬間、先ほどよりも深く、ぐにゃりと地面が沈み込み、私は無様に肉の中へと倒れ込んだ。
「嘘だ……」
 静かに、そしてまるで霧になるようにして、はっきりと見ていたはずの彼らが消えた。ぐっと胃の奥から吐き気が込み上げてきた。
 何かがおかしい。
 甲高く思わず耳を塞ぎたくなるような泣き声が聞こえた。まるで獣のようなその声に私はぼそりと呟く。
「赤ん坊……?」
 赤子の異界。
 マティアス博士の論文がよみがえった。
 赤子の異界と名付けたのはマティアス博士だったが、まさか、比喩ではなく、本当に異界には赤子がいるのか?
 私は気付けばブンブンと頭を強く、大きく振っていた。
 赤子の泣き声は止まる気配を見せない。
 泣き声が次第に高まる中で、加えて妙な音が聞こえはじめた。水分を含んだ肉と肉がこすれあって、歪な音を出している。
 肉だらけの異界の中で、ズル、ズル、と音が近づいてくる。異音のオーケストラに包み込まれ、私は朦朧としていたが、唐突に胸部に激しい痛みを覚え、身を跳ねさせた。
 咄嗟に抑えた手に、硬い感触がある。表面は柔らかく、熱く、けれども確かな芯のあるそれは……、
「――……肉……?」
 愕然とする。
 私の胸に深々と刺さっているそれは、肉片に他ならない。皮膚を突き破り、まるで角のように伸びている。
 こんなものが刺さったのであれば、すぐに気付いていたはずだ。
 痛みも微塵も感じなかったのに、今は赤黒くてらてらと光るその存在を主張し、激痛でこの身を強く支配して離さない。
 呼吸すらままならず、私はその場に蹲り、うめき声を上げる。
 世界を構成する肉の壁が、共鳴するように微かに揺れる。肉と肉の向こうに何かが見えた。あれほど重かった壁を容易く押しのけて、巨大な何かが近づいてくる。
 それはとても大きくて、また、小さかった。恐ろしいようで暖かく、また拒絶するようで受容している。
 ああ、
 ああ、お前が。
 視界が陰りゆく。
 恐怖は、跡形もなく消えていた。
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 ――……ブウ――――ウン、ンン―――ウウン…………。
 私の脳が揺さぶられるように、震えているのが分かる。
 歓喜に打ち震えているようにも、怯えて縮こまっているようにも思える。
 ――……ブウウン、ンン―――ウウン…………。
 この音に合わせて震えているのだ、私の頭は。
 ピチャリ、ピチャリと濡れた音が聞こえる、この音も私は知っている。
 音以外の全ての感覚が間遠く鈍い、かわりにかえって来る浮遊感。
 ドクリドクリと脈打つ音。その音と水音が私をゆったりと包み込んでいる��
 これは、羊水のようなものか。
 私の脳は更に震えた。
 ブウウン、ピチャリ、ドクリドクリ、まるで競うように奏で合う。音ばかりが響き合う。心地よい温度に包まれて、私は恍惚としている。
 私?
 私とは――。
 ……ああ、これはきっと、「赤子の視る夢」なのだ。
 これから赤子として目覚めるのだ……。
 門の中に入り、私はあの時もきっとこの光景を見たのだ。死に絶え、消え行く命を、呆然と見守ったのだ。迫りくる脅威に怯え、哭き、叫びながら、潰えるものの中から産まれたものを、見守ったのだ。
 私たちを待つものは……、私たちが得たものは……。
 赤子は泣いている。いつまでも、いつまでも。ああ、何がそんなに悲しいというのだ。この暖かな空間から飛び出すことが恐ろしいのか。
 私たちは何を求めていたのだろう。求めた先にどんな未来があったというのだろう。 
 次第に、何かが遠ざかっていきながら近づいてくる、矛盾した奇妙な感覚を覚えた。
 それは波のように押し寄せては、元の形から解けていくものの流れでもあり、また確かな形を得るように集まっていくようでもある。
 人の形をしていること��けが、人であるということの証左になるのだろうか。 
 私と世界との輪郭が次第に明確になっていく感覚に、胸が高鳴る。
 ゆっくりと、影が私の視界を覆い始める。見開かれながらも、何も映さない瞳。
 額から滴が流れ、それを覚束ない手付きで拭う。まるで血のように赤かった。
 やがて音は絶えて、その影が輪郭を持ち始める。おぼろげな光を背負ったその影はパックリと顔を真横に引き裂くようにして笑った。
「あっ……クラウス博士……」
 私は叫ぶ間もなく、意識を遂に手放した。
 ――……ブウウン、ンン―――ウウン…………。
 ブウン、ウンンン……――
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~おわり~
原作: ohNussy
著作: 森きいこ
※今回のショートストーリーはohNussyが作成したプロットを元に代筆していただく形を取っております。ご了承ください。
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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libra-sweet-collection · 6 years ago
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父親が倒れ、要介護になった先にー
いつかは独立したいー自由になりたい
そんな事を思いながらも、これといった行動も出来ずに会社のぬるま湯に浸かりまくった日々を送っていた4年前
父親が倒れたと一方が入った時は、冷や汗が出た
心肺は停止ー
助かる見込みは、ほぼない
一緒にいた弟が救急車を呼んだらしいが、1度目の電話越しの声は震えていた
2度目は慣れたのか、しっかりとした声だった
私の父は、小さいながらもある場所の権利を持ち、自営業を長年営んでいて
そんな父の周りには今まで���良い人たちももちろんいたが…大概は強欲な父の仕事を持ち上げるのではなく食いつぶすだけの、最悪な人たちが多かった
裁判沙汰も一度や二度じゃない
起業する夢が、甘くはないと数十年に渡って見てきていたはずだった
父の背中から
それでも、このまま会社員でいちゃダメだと思ったのは、やっぱり父親が倒れたからで
私が稼がなければ、知恵をつけなければ
何かあってもどうにも出来ないと心底思ったから
倒れる度に、命は助かったものの、糖尿病が邪魔をして?
年々体は悪くなり、透析が必要となり、目も見えなくなったー
それでも信頼関係だけで、仕事が進んでいくのを見ると凄いなと思う
そして、騙されたり、乗っ取られたりしない事を願うことしか出来ない
父が一歩外へ出れば、せわしなく動く人々が父と補助者を邪魔そうにしている
駅なんて使う日には、最悪で。
目の見えない、脚が弱ってる人には非情な作りになっていると今さらながらに事の重大さに気付いた
時には駐車場がなく、路駐をして車に乗せるためにゆっくり誘導して乗せるしかないのだけれど
場所が悪いと後ろからクラクションを鳴らして叫ばれる
「どきなさいよっっ!!」
杖や、補助者が見えているだろうにー
急いでいるのも理解できる、けどたかだか2、3分でしょう?
だけど怒鳴ってくる大概が、女性なんだから驚きで
あんなギスギスした人間にはなりたくないと
本気で思った瞬間だ
だから時間がとても大切だと思ったし
見えてるうちに、感じてれるうちに
やりたい事をやるべきだと思った
そして、変わらないモノに腹を立てても仕方ないと
父の背中をみて思う
出来る事を全力でやるしかない
私に出来る事ってなんだろうって
常に考えて行動するようになった
視点が変わるって
きっかけは何なのかなんてわからない
だけど、変わる事で見えてくることが必ずあるよ
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htkmch · 3 years ago
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2021.9.19
①9月に入ってから、ちょっとゆっくりモードになっていたのですが、それはわたしにとってどういう意味でしたか?
23. Maya : How She Spins
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「繰り返してない?」 うおーーーーーーーーーーー。びっくり。このマーヤおばあちゃん、出るたびどきっとするというか、なんか、悪い意味に取ってしまうな。繰り返しですね。今までの自分の繰り返し。揺り戻し期間みたいで、変わる前の自分みたいだなあと思ってたの。 糸車の車輪のところ?が気になる。回ってはいるけど、動いてない。同じところで回っている。 あと、糸車の背景は土なの。空じゃないの。地に足ついてるというか、デタッチメントできてないみたいな意味ぽい。うーむ。
忍耐のとき。変わることを恐れても、それでも変わっていくんだよ。止められない。繰り返しに思えても、実は進んでるってことかも。たしかにこんなんでも、確実にあたらしいことはじめてみたり、昔やっていたことをやりなおしたりしているし。
②もうすこし細かめにお願いしたいです。なんか、23だけだとマイナスの意味に取ってしまって……。このゆっくりモードで、わたしは何を得ていましたか?
11. Self-Created & 13. Death / Transfiguration
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わーん。泣いちゃう。カードさんやさしい。 あたらしい自分になっていく時期。花を開かせるための準備期間。 そうかあ。繰り返しに見えることの中にも新しいことがある。同じ作業をしていくうちに、どんどん糸は紡がれていくんだね。だから大丈夫なんだね。
11の、自分で何かをつくるということをたぶんかなりやった。絵を描いたり、フォカッチャ焼いたり、詩を書いたり。それは、魂のまんなかに、手のひらから燃え上がる炎があったからだね。それがわたし自身だからだね。それを23みたいにしてやっていくうちに、わたしはいつのまにか、13、変わっているんだね。
きょう露の詩を書いたのもあって、11の花や葉の上の露がすごく気になる。わたしは露を、インドラの網の宝玉だと思っていて、世界を、まわりをうつしてどんどん輝いていくものだと。そして、詩で書いたのは、世界をうつし、ふくみこんだ露が、蒸発して世界に還っていくところ。消えて見えなくなっても、世界にあるということは変わらないこと。わたしが書いた詩にヒントがありそう。真ん中の魂の炎で、露が蒸発して世界に溶け込んでいく。世界とつながっていくこと、あるいは、目に見えるものは世界そのものだと知ることは、魂を燃やすことでできることなのかな。
13、こめかみに穴がある、目じゃない、これ。撃たれたのか?謎の穴だ。そこを中心にして光がある。貫通する、頭の中、なんだろう。積み重ねられた諸々のてっぺんに杖を持って立っている、ああ、一山越えたんだ、という感じ。
③13のこめかみにある穴は、どういう意味ですか?
47. Horseplay
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これなのか!シャッフルしてる最中に裏返ってきたカードで、でもまだシャッフル中だし…… とそのまま混ぜたが、強いメッセージなのだろうなと思ってた。ここで出てきてくれてありがとう。これが大きなヒントなのね。 「もうすぐ見えない助けがやってくるよ」。 最初に、この9月のゆっくりモードがなんなのかを聞いたときに出てきて、13の穴の説明として出てきたから、このゆっくりモードは、固いものを貫通して変化させるためのきっかけ、みたいな気がする。こめかみの穴が銃弾なのだとしたら、銃に当たって死んだときが、変化の瞬間だろうから。そしてその銃弾にあたるものが、47。水の張っているところを、3頭+見えない人が乗った馬がこちらへ走ってくる。でも、手前の仔馬がいるところは、土が乾燥している(反射がない)。奥の真ん中の馬には翼が生えていて、その反射は仔馬がいるから見えないんだけど、その仔馬たちの形がちょうど、水に反射した翼と同じ形になっているみたい。リラックスして休んでいる仔馬2頭と、翼を広げて走る馬が、対称の構図に見える。感情や、見えない世界の象徴である水の世界から、いまの土の現実的な世界に、助けがやってくる、という感じ。そして、仔馬は大人になる。手前の仔馬たちは二人とも、頭を垂れて、止まって休んでいる、それは奥から走って来る大人の馬たちと対照的。わたしはいま、手前の仔馬のように、止まって、頭を垂れて、休んでいる。でもそれは、翼を広げた大人の馬と同じことなのよ。 ああすごい、いまインスタでいちばん上にあって見かけた文章も、「動けていなくても動いているよ」というカード。23じゃん。「地球めっちゃ動いてる!」という感覚はなくて、止まってるように思えても、実は宇宙では動いてる!そういうことか!それが23の言ってることかあ!いやあ、すごい。この文章がやってくるなんて。やべー。
ちなみに、47は、あたらしい世界に走り出していくカード。13と「あたらしい」という意味でつながるところがあるね。あたらしい自分になって、あたらしい世界にいくのよ。そして、ノートをみたら、11には「あたらしい誕生」の意味もあって、もう13じゃんそれは。すごい。それらが23といっしょに出てきてくれたから、すごく意味がわかりやすくなった。ありがとうカードさんたち。
④そんな時期を過ごしてきましたが、これからどんな感じでいたらいいですか?
44. Heart Drop
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うああーーーーすごい。泣いちゃうよね。そうかあ。そうかあ。これ、言語化しちゃうのもったいないなあ。ああ、すごく深いところで感動している。
心のオアシスをだいじにねって。そして、わたし自身がそれになりなよって。 心という宝石を、光を受けていっぱいにきらめかせて。その輝きと影のダンス。砂漠には枯れた草が生え、水のそばにはピンクの花が咲いている。オアシスだよ。
すごく胸がいっぱい。ありがとう。
心の声に従うこと。仲直りという意味も。えへ、あはは。
いたわること。理解すること。どんな自分をも受け入れること。そうかあ。そうします。どんな自分も。理由なんかなくたって、ね。
⑤具体的なアクションのアドバイスをお願いします。
なんかいっぱい出てきちゃった……下3枚は左手、44の隣にあるのはなんかめちゃくちゃに強かったやつ。なんだ?
うおおおなんだこれは。カードめくったら急に咳が出始めた。こわい!なに!なに、、、、!すごい咳でる。胸からじゃなくて、喉から。言えてないことか?喉のチャクラだわ。なにー!
2. Isis : The High Priestess 30. Castles in the Clouds 9. Way Through 8. Living Goddess
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女神さまのカードばっかりだ。女性性。2、8は、女神のカードであり、44と構図が被ってる。女性の上半身のみ。
2は見えない導き、8は他人のためにやること。
具体的なアクションのアドバイスとしては、8なんだろうな、いちばん強かったから。他人のために行動しなさいってことだろうな。 それを補強するのが2、30、9。2と30は、雲の中にあるってところが共通。2は星雲だからね。なんなら30のお城に顔があるように見えてきたよ。 2は見えない導き、魂の声に従いなさいということ、それから、受け入れる、ということ。 30は、空想を大事にしてね、ということ。そして現実のために細かく細かく空想しなさい、というのと。 9は、ヒントはもうある、鍵は手に入れている、という感じ。通り抜ける。 2と30と9、合わせて「見えない���のを空想することが鍵だよ」に聞こえるんだよなあ〜〜〜。
他人のために行動することと、見えないものを空想すること?
ここで聞いたカード、全て目線が上だな、宇宙のカード3枚と宇宙のカード。浮いてるものばっかり。
2、「見守ってくれているもの」という感じ。宝石の目がいつも以上に気になる。おばあちゃん。きょうもレース編みしようとしたし。9はきょう探した「かぎ針」の「かぎ」?そして城はレースの「白」?おばあちゃんみたいに、他人のためになにかすること??
なんか、嘘みたいに咳おさまってるし、さっきのなんだったの………?
あと、いちばん最初にめくった2のカードで薄々予感してて、41が出ないからほっとしたけど、よく考えたら9出てるし、大切にしているからこそ隠していること、のことかあ。30の空想もめちゃ��てるし。導きだし、2なんよなあ。その人のために何かしなさいってことかもしれなくてうなってる。また咳出てきた。ねえ、そういうことなん?2も30も9も、ぜんぶで読んだら「見えないもの、隠しているもの、ここにないもの」みたいなのが共通しているんだよなあ。また咳出そうになる。どうやらこの解釈のようですね……。
⑥先程の具体的なアクションのアドバイスカードを見て咳が出たことは、どういう意味ですか?何と関係がありますか?
ジャンプ。
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56. Elixir Fruit / Essesnce
すべてを味わ��こと。
話すことと関係があるのかな?喉だから…… 話す、みたいなカードあるっけ?と思っていたら、口が出てきた。でもこの口は味わっている口なんだよな。うーんうまく意味とれない。
60. Taking Up Arms
どっちも土だ。
これは鍛錬のカード。 「大切にしたいもののために生きる」のカードよ。
味わうことを恐れないで、という感じだ。心とか身体の事情とか、「疲れてるから」「怖いから」とかじゃなくて、魂が大切にしたいもののために生きて、そしてそれを味わって。渋みも苦味も、ぜんぶ味だから。わたしの責任で、わたしが、それをやる。わたしが、わたしの人生を味わう。 亀、ゆっくりでも歩き出すことと、硬いもので大事なものは守られているよ、という感じがする。その守られた大切なもので、進んでいく。
どちらもオレンジ色だね。
56は、美味しいものだけ食べようとしないで、うまくいきそうなこととか、失敗がなさそうなことだけをやろうとしないでね、ということ。ぜんぶ味わうんだよ。ぜんぶ食べたら、甘味がなんなのかわかるから。
⑦動くほうと、このままとどめておくほう、それぞれにどんな感じになり、何が得られますか。
だいぶあのことについてになってきた気がしたので……。何より咳き込みが気になる。
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現状の障害:21. Earthbound 動くほう 現在:2. Isis : The High Priestess 未来:62 Dangerous Pussy / The Past 結果:25. Threefold Riddle とどまるほう 現在:1. Mercury 未来:33. Eternal Life 結果:61. Suvival
ねえ〜〜やばすぎる。
まず、障害の21はそう、いまとらわれているから。ずっと重いんだよね。
動くほうに、2現状見えない導きがある。そして、62自分を脱ぎ捨てて変わり、最終的に25ヒントが得られる。
とどまるほうは、現状が1根源的なパワーであり、異なるものが合一を目指し高め合っていくパワーなんだけど、合一を目指すゆえに「交わらない」という感じがする。別々、みたいな。あとは、自分のしていることが相手と同じ、鏡だよ、という感じだな。そして未来は33永遠の命だが、これはわたしのなかでずっと生き続ける、という感じ。62とは対照的だね。あと、「大いなる安心」の意味があって、「明日の朝もまた同じように太陽が昇ってくる」ということへの安心。それって、今と変わらないものがこの先も続いていくと信じていられることの安心、ということじゃない?そして結果は61で、「大事なものと生きる信念」。厳しい環境を、胸に抱いたまま生きていく感じがするよお。
これ見ると、動くほうが自己変革に近い気がする。えーん。とどまるほうは、わたし自身が続いていく、動くほうは、自身が変わっていく、という感じがする。でも、動くほうは、2も25も、全貌は見えないのよねえ。あと、動く方、ぜんぶのカードがわたしを見てる。見てるよーー!!!!とどまるほうのカードは、わたしとは目が合ってないのに(どっか違うところを向いてる)。
⑧動くとして、気をつけたほうがいいことを教えてください。
ここでシャッフル前のバックカードが42だった。「予想を超えた祝福」。やさしい。
気を取り直して。動くとして気をつけたほうがいいこと。
シャッフルしてるときに19. Phoenix が出てきた。 いつもの、死んで蘇ることじゃなくて、「結婚」というワードの方が強く伝わってきた。合一の意味だね。
びりびりで反応したもの3枚。
28. Cosmic Carrot 4. Hot Seat 22. Mother's Milk
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えーーーん泣いちゃう!!!この並び。 自分自身でいること、自分の人生の主人公であること、すべてを受け取ること。 わーーーーーん。
なんか、この3枚が、19を分解したものに見えてきた。28が男性性、22が女性性、そして4が座っていること(不死鳥のようす、6のカードでもそうだけど対面座位みたいだから)。
あとまた全体的にオレンジ色だね。自己変革のパワーやん。
28は、自分自身でいることの鍛錬。「これでいいのだ、集中しよう」のカード。これは4にもつながる? 22は、無条件の愛を受け取ること。 4は、今の位置の需要。自分の主人であること。 今の自分自身として目の前にある、そしてここにない世界をも受け取っていく。
そして19は、「成就」のカード。marriageの意味が強く伝わってきたけど、(そういうかたちでの)成就かあ!というか、動いたら成就するん!?!!?!!なんか元気出てきたのだが!!!!!しかも実質的な成就よ!!!??!??!えっ…… いきなり………!!!そんな!!え、、、!!心構えできてなくなーい??!!!
なんかかなり、⑥の質問と近い。色もオレンジで似ているし、60と4の「鍛錬」、22と56の「すべてを受けとって味わう」が共通している。60の「自分自身」は28にも通じるし。そうかあ。そうよねえ。
あと、4枚全体を見ていて「炎を燃え立たせる風」というのも来た。魂の炎を燃え立たせるのは、風の表象する、動くことやコミュニケーションだったりするのかしら。
⑨動くタイミングをつかむヒントをください
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39. Serpent Power
わー、なにもわかんないよう。馴染みが薄いんよなこのカード、解釈がむずいというか。蛇が出てくるカードだいたい解釈できない。
直感?びびっときたときってことか??
「パワーが目を覚ましてて、もうあるから、使ってこ!」ていうカードらしい。マジで?
まって、読めない。こういうのがきたら、こういう状態になったらタイミングだよ、というヒントはありますか?
45. Like a Bubble
うえー、読めない。というか、あの、「どうせすべてうつりかわっていって、今しかないですよ?」という感じにしか読めません。えーーーん。
これ、いつも見てるブログで見てみたら「妄想を手放そう」なんだが。ねえ〜〜。あれ?いつまでも考えてばかりいないで〜、みたいなお説教かと思ったけど、そうじゃないよ、「あなたが思ってるほど変な方向にはいかないよ、大丈夫だよ」という感じが来た。そういう意味での、悪い想像や妄想を手放してって。これってどんなことも表面ではいいことにも悪いことにも見えて、でもほんとは同じものだしいいも悪いもないよー、というカードだと思ってたけど、今回は、その「悪い」ほうにかならずいってしまうという妄想を手放して、大丈夫だから、っていうのがなんかすごい強い。あと、「今」だよっていうメッセージ。今か!?!!えーー!今か。
⑩今ですか?
シャッフル中に30が出てきた。 アドバイスとして「ビジョンを明確に」。
56. Elixir Fruit / Essesnce
またあなたですか!
こわがらずにぜんぶ味わって。噛んでみないと味はわからないよ。
踏ん切りつかないよーーーと、「ガチで今ですか?」と聞いてジャンプ4枚出てきた。
4. Hot Seat 61. Suvival 12. Slay the Ego 6. Wish-Fullfillng Gem
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ねえーーーこんなん笑っちゃうじゃん!!!! 笑いすぎて、でもカードさんの愛が伝わってきて、涙出てきた。
自分の人生の主人として、厳しい環境であってもちゃんと魂の大事なものと生きていくんだよ。もういいかげんエゴは捨てなさい!!(聞きすぎて、しつこいなあ!もういいから!あなたの自我は捨てて!と言われた感じ)ぜったいぜったいぜーったいに叶うから。大丈夫、安心して。
ほい。一瞬で動きましたよ。ふー。震えてくるわ。
最後のバックカードは11. Self-Createdだ。そこまでやさしいか。ひさしぶりのカードさんたち、ほんとうにありがとうね。
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badass-xin · 4 years ago
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オーダーしていた歩行補助用の杖がきました。身長合わせて作って頂いてました。 これからは3本足で歩きます。見た目がいかにも!って言うのはアレなんで英国紳士風で。 https://www.instagram.com/p/CO0DZ2Zp1b_/?igshid=14dvb59vn3tpo
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motiwonohtrgt · 4 years ago
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微笑む人(上)
私にとっては怒涛の毎日だった
さて整理しよう
できる人はちゃんとファイルを作る
自分のことは常に変えたいって思っている
どんな風にっていうのはわからない
わからないっていうより難しい
いろいろ聞いてみていろいろ納得した
でもそれに近づこうっていうのは訓練が必要
祖父はあんまり無駄な話はしない
でも堅苦しくて寡黙なお爺さんってより
ずっとやんわり微笑んでいるような感じの人
怒鳴りもしなければ大笑いもしない
それでいて思ってることは
ダイレクトに伝わってくる
祖父はぼちぼち、まあまあ、ゆっくり
が口癖でよく祖母に怒られている。
「すぐに結果を求めたらいかん。
なんでもそうや。
すぐには結果はでらんのやけ」
そう言う祖父。
母は祖父について
静かな亭主関白だという。
几帳面で家事を完璧にこなす祖母はいつも
祖父にも娘にも厳しい。(孫にも厳しい笑)
一見かかあ天下に見えてそうじゃない
祖父が少しでも機嫌が悪くなると
うんうんと頷いて一歩引く。
余談、祖父の機嫌の悪さに気づくのは
家族親族全員ふくめ多分私と祖母だけだ。
これに対し母は
「あんたは私でも気づかなかったお母さん達のことをよく気づく。言われてみればそうかもね」
と言う
親族で集まると
言いすぎる叔母に対し
機嫌を損ねる祖父にハラハラする
多分それは私と祖母だけで
私はそれが少し自慢でもある
余談、終わり
母は一度だけ祖父が怒ったのを
見たことがあると言う
母が高校生の時
当時反抗期真っ只中だった叔母が
文句をつらつら言うもんだから
祖母と口論になったらしい。
母は「今日も始まったな」と思いつつ
叔母の横で晩御飯を食べていると
キャベツを乗せたままのザルが
自分と叔母の間を
宙に舞いながらかすめて行ったのだ
投げたのは祖父だった。
まったく想像ができない
母も今でも一瞬全部がスローモーションになったのを覚えてると言ってた
それくらい衝撃だったのだと
「きっとあぁいうお父さんの姿を
私たちなんかよりお母さんは見てきているんやろね。
だからここぞって言う時一歩引くんやろね」
そう言う
祖父は祖母に「この人より先に死ねない」
そう言わせるほど、何も出来ない。
母と私が2人で田舎に住んでた時
祖母がたまに手伝いで来てくれていた
祖父は祖母がそうやって
何日か家を開けるようになるまで
お湯の沸かし方もなにも知らなかった。
最近は、
浄水器の機会にスイッチを入れること
お湯を沸かすポットの電源をいれること
祖母のつくった朝一番のお茶をお仏壇に
お供えしに行くことが仕事らしい
「これとこれとこれはおじいちゃんの毎日の仕事なんよ」
そうなんだか
嬉しそうに自慢げに話す祖父はとても好きだ
なるほど「静かな亭主関白」だ
祖母は祖父に怯えるのではなく
大好きだから身の回りのことを
なんでもこなすのだ
祖母は厳しくハキハキしてて
明るくとにかく几帳面だ
家事をこなし料理もうまい完璧な人だ
綺麗な景色や人の親切心や
色々なことに感動する
それでもあまり社交的ではない
友達はあんまりいない
1人でできる趣味を愛し言葉を愛する
そんな祖母が寂しそうにみえないのは
祖父がいるからだ。
これは決して祖父に依存しているのではない
祖母とは真逆で
祖父は楽観的でまったりしている
社交的で人が大好きで
隣の席に座った人、お店の人
そうやって特に用事はなくても
誰にでもすぐ話しかける。
喫茶店にふらりとよることドライブ
仲間とカラオケをすることが趣味だ
自分で見つけてきては
祖母におしえて祖母をそこに連れていく
「おじいちゃんが散歩の帰りにね
絶対にこうやってお土産を買ってきてくれるんよ」
108円の20%offのシールが貼ってある豆大福を嬉しそうに冷蔵庫から出して
「優しいがねぇ」
そう言いながら食べる祖母
自分が行動しなくても
楽しいことを教えてくれて
楽しい人に会わせてくれる
楽しいことを持ってきてくれる
祖父のそんなとこが祖母は大好きだから
祖父に対して何でもできるし
一歩引けるのだ
逆にそれは祖父もしかりなのだろう
祖父母の関係はとてもバランスがとれている
補い合っている
祖父の亭主関白は正しい姿だ。
今では意味を勘違いされているけど
きっと
かかあ天下も亭主関白も
どっちにしろこういうものだ。
させるのではなく
してあげたいと思える人間。
でもそれは洗脳や利用ではダメなのだ。
続かないのだ。お互い様じゃないと
祖父が人に嫌われているのを見たことがない
「おじいちゃんはね、モテるんよー。」
祖母が嬉しそうに笑う
「本当に幸せよ、こんなにいい人はいない
老後が楽しいっていいことよ
そういう人を選ばなね」
未だに手を繋ぎながら歩く祖父母に憧れる
「あんたはすぐこけるんやけ、
腕に捕まって歩きなさい」
祖父がそういうと
祖母は「まだ杖は買わんで良さそうやね」
と言う
体格の良い祖母が
祖父の細い腕に捕まって歩く
本当に転んだ時支えれるんか
無理やろな
でも3歩後ろで歩かれるより
すぐ助けられるけいいんやろな
そうやって私は祖父母の後ろ姿を見ながら
すこし言葉で遊ぶ。心の中でふふっと笑う。
こんなに素敵な2人でも
若い頃は波乱万丈だったらしく
一度別れ、祖母は別の人と結婚までしている
離婚して地元に戻り
また出会ったのが祖父だった
インターネットもスマホもSNSもない
そんな時代に、だ。
祖父は憧れだ
私もこういう人と
老後をすごせる人生でありたい
でも言い換えれば
見習うべきは祖母だ
祖母は素敵な人だ。
素敵な女性だ。
口紅を上品にひく
「みっともないから、こういう所は
他人に見せちゃダメよ」
現代を生きる私にとってはとても難しい
それだけでも真似してみようって思うけど
平気でお気に入りの鏡を見せびらかす
君の横で慌てて口紅を塗り直す
そんなお子様だ
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theyuko · 4 years ago
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親が高齢になると心配になるもしもの時。。。 すぐに落ち着いて何かできるだろうか? * 救急車到着まで全国平均は、約8分と言われていますが、 その間に突然心停止によって命を落とすことも考えられます。 * そんな時に活躍するのが、 心肺蘇生法補助手袋 QQGLOVE(キューキューグラブ) * 実際に着用して思ったのが、柔らかい肌触りで、手袋に緊急時の対応が大きく書いてあり、すぐにどんな事をすればいいのかわかりやすいです。 * 私自身怪我をしてしまい、松葉杖生活ですが、しゃがんでも手袋があれば対応できるので、親が倒れてもいざと言うときに頼りになると思います。 * 緊急時用の防災バッグに入れておいても、 普段持ち歩いているバッグに入れてでもかさばらないです。 手が小さい私には若干大きかったですが、 1組でもあると、いざと言う時の行動が取れると思います。 * そう言う日が来ない事を願いますが… #asagakeで体験 @asagakecom #QQGLOVE #心肺蘇生 #心臓マッサージ #目の前の命を救いたい #緊急時用 #防災 #心肺蘇生法補助手袋 #もしもの備え #もしもの時に #pr @yuko_fuji3 ← #followalways 💗 https://www.instagram.com/p/CF1LsxygH8Z/?igshid=qipsu8plfgqi
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kennak · 2 years ago
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公共施設や交通機関、病院といった場所で、盲導犬などの補助犬の受け入れを義務付けた身体障害者補助犬法の成立から今年で20年となった。しかし、同伴を拒否されるケースは後を絶たない。補助犬の役割をどう周知するかが課題となっている。  盲導犬のディプシーと暮らす前橋市の田名部功さん(68)は、「衛生面で心配がある。外で待たせてほしい」と歯科医院での同伴を断られた経験を持つ。市役所などに相談した結果、診察室までの同伴が可能になったという。このほか、タクシーや飲食店でも拒否されたことがある。田名部さんは「盲導犬がいれば障害物の前で止まってくれ、白杖(はくじょう)よりも早く安全に歩けてスムーズに移動できる。盲導犬といることで、社会参加が妨げられ��いようにしてほしい」と訴える。  日本盲導犬協会が2021年、盲導犬ユーザー215人に調査したところ、約3分の1の75人が同伴拒否を経験していた。  盲導犬などの補助犬については、衛生面や行動面の管理がユーザーに義務付けられており、予防接種やブラッシング、排せつの管理などで補助犬の体を清潔に保っている。一方、拒否の理由は「法律を知らなかった」「受け入れ方を誤解していた」などで、中には新型コロナウイルスのワクチン接種会場での同伴拒否や、「土足の盲導犬��新型コロナウイルスを持ち込むリスクが高い」といった誤った認識の事例もあったという。
補助犬の同伴拒否、医療施設などで後絶たず…どうする?役割周知 | ヨミドクター(読売新聞)
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sparrowcomp-blog · 7 years ago
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Reaper
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平成30年1月24日
「プギィー!!」
ほんの数メートル先でシシが��んだと思ったら、5頭の獣は忍者のような速さで蜘蛛の子よろしく四方へ走り去り、わしはその場にポツンと取り残された。
完全に油断をしていた。ミロク7000SPは背中に張り付いたまんま眠っている。もちろん弾も装填されていない。
今日の山は風が荒れ狂っている。
この風のおかげでわしの気配は消され、獣に気(け)取られずに済むわけだが、わしからも獣の気配を取りにくい。とりあえずい��もの山の中層を獣道に沿って反時計回りに歩くことにした。
しかし一向に獣と出会えず、半周したところで考えを変えた。
谷を越えた先の山を攻める寸法だ。
しかし以前登ったときはシカには一頭も出会えなかった。それでもヌタ場や寝屋はいくつも見つけていたから、もしかしたらもしかするのではと踏んでいたのだ。
「よし、さっさと登ろう。時間はあまりないぞ」
そのとき、シカが叫ぶ声がした。
振り返って山の稜線を見上げると1頭のシカがこちらを見ている。
逆光で影になっていたが、あれは1週間前に孤児にしたバンビだ。間違いない。この山で小さいシカが1頭でいるはずがないからだ。
しかし半人前のハンターはあのバンビを撃つ気にはなれなかった。
バンビは反対側の谷へ向かって走り去った。
山を登り始めて20分ほどで最初のシカに遭った。
やはり風のせいか相手は人間に気づくのが遅い。
ゆっくりと追ってゆく。
しばらく尾根を登ると、右手の斜面に2頭見つけた。
彼らもゆっくりと尾根を登り始め、よく見ると右手に見える主尾根下の斜面に4頭貼り付いている。
「ピャッ」と声を出して先の2頭を呼んでいるようだ。
「死神がきたぞ!早くこっちへ逃げてこい!追いつかれるぞ!」
しかし2頭は逃げるタイミングをつかめず、尾根をピークへ向けて歩き続ける。
わしはゆっくりと歩きながらチャンスを窺っていた。
間を詰め、射程内に2頭を収めた。
しかし引き金を引く直前に2頭は突然走り出した。
遠くにいる4頭も走り出し、皆、主尾根を越えて行ってしまった。
仕方がないので主尾根を北へ向かった。
途中立派な角を持った牡鹿や体格の良い牝鹿にも出会ったが、距離やタイミングが合わず撃つことはできなかった。
そろそろ時間いっぱい。
解体したり運搬することを考えると13時半には終えたい。
もうその時間だ。
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尾根の東側をなんとなく覗いたら2頭のシカが北へ向かって斜面を走って行った。
これまたボケっと油断をして見逃してしまった。今日はなんかギラつきが足りないんじゃないか?自問しつつその群れを追おうとしたその時だった。
「ビャーッ」
聞いたこともない悲痛な呼び声が南側から聞こえてきた。
ゆっくりとその方向を覗くと、あちらもそ~っと覗いてきて目が合った。
どうやら彼女だけ逃げ遅れてしまったらしい。その表情は不安そのものだ。
30メートル先の彼女の胸に照準を合わせて引き金を引いた。
ノックダウン。
大きな体は急斜面をゴロンゴロンと転がり落ちてゆく。
60メートルほど落ちたところで止まった。
山の頂上付近にデポしたザックを取りに戻り、再び獲物のところへ向かう。
その途中、解体場所と手順を頭の中でシミュレートする。
グーグルマップを開くと、このまま谷底へ落とせば前回解体した場所からほど近く、回収ルートを想像するに容易かった。
獲物の胸にナイフを滑り込ませて血を抜く。
しかし心臓が止まった身体からはほとんど血は流れず、気休め程度だ。
予定通り解体場所へ運ぶため、獲物を谷底へ向けて転がし始めた。
するとすぐに沢が現れ、そこを利用して獲物を下ろせるのではないか?
そう考えたのが間違いだった。
獲物を沢へ落とす。
しばらく引きずると滝が現れた。
落差は3メートルほどだが、このまま獲物を滝下へ落とそうとするとかなり危険だ。
足を滑らせる可能性もあるし、落ちる獲物に巻き込まれるかもしれない。
ザックから30メートルの補助ロープとハーネス、エイト環など懸垂下降セットを取り出す。
木にロープをセットして、自分の体をビレイしながら獲物を落とし、自分もそのまま垂直に下降する。
足元が悪いので、ロープをつけたまま獲物を引きずる。
また滝にあたる。
獲物をその場に置いて来た道を登り返し、ザックなど荷物を取りに帰る。
再び登り返してロープを回収した。
ロープをセットし、獲物を滝下へ落とす。
これを3回は繰り返した。
最後の8メートルの滝を越えて、谷底へ着いた時は15時になろうとしていた。
急いでバラさねば。
近くに獲物を吊るし上げる適当な木が見つからない。
仕方ないので寝かせたまま解体を始めた。
泥などに気をつけながら腹を開き、内臓を引き出す。
腰が痛い。
腹も減った。
休みたい。
どの訴えも自分自身で却下だ。早くしなければここはいずれ暗闇に覆い尽くされるだろう。
闇の中数十キロの荷物を背負って軽トラまで戻る自信ははっきり言って、ない。
そうなれば山中ご一泊となってしまう。
それはそれで少しワクワクもするが、明日は仕事だし家では犬のハイジも待っている。
とにかく急いだ。
解体を終え、各部をザックに収納し、残滓を埋設し終わった頃には日の入りまで残り時間20分を切っていた。
通常なら軽トラまで1時間かかるが、とにかく帰ろう。
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ザックを背負って沢筋を歩き始めてすぐに絶望した。
「なんじゃこりゃ?」
沢を大木が塞いでいる。
数十本の倒木が斜面を滑り落ちて、行く手を阻んでいるのだ。
このまま進むのは不可能。
もはやこの荷物を背負って急斜面を登るしかない。
しかもあまり時間をかけられない。
直登だ。
覚悟を決めて登り始める。
この地は「地滑り防止区域」崩壊する可能性もある区域だ。
あらゆる岩や石は呪いがかかったようにボロボロと崩れ落ちる。
だから岩肌に取り付いてはいけない。
木の根を探し、腐っていない気の幹を探し、それらをつかまえて、獲物を背負った100キロ近い身体を頂上へ向けて徐々に引き上げる。
ふくらはぎはパンパンに張って悲鳴を上げている。
山の中は平地よりも早く闇に覆われ始めた。
斜面に落ちているちょうど良い太さと長さの枝を拾い上げ、杖にする。
杖があるのとないのとでは、疲労度が全く違う。当然ある方が良い。
尾根に身体を引き上げた時、すでに日の入り時刻を過ぎていた。
ザックを降ろし、地面に転がり大の字になった。
地面には沢山のシカのフンが転がっていただろうが、関係ない。
「少し休ませてくれ」
自分自身で了解した。
2分休んで、ザックからヘッデンを出し頭に取り付けた。
ザックを背負うと再び歩き出す。
結論から言うと、直登したのは正解だった。
バンビがいるこの山はすでに勝手を知っていて、多少暗くても道迷いはしない自信があるからだ。
軽トラに着いた頃、周りは闇に覆われていた。
単独猟では、誰の助けも借りられないし、当然ながらすべての責任を背負って山に入る。自己完結型の狩猟スタイルである。「肉を持って帰る」ことが大変なことだと、簡単ではないと、しみじみと感じていた。
空を見上げると半分になった月が南の空に登っている。それは疲れ果てた死神をぼんやりと照らしていた。
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groyanderson · 5 years ago
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ひとみに映る影 第三話「安徳森の怪人屋敷」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。 書籍版では戦闘シーンとかゴアシーンとかマシマシで挿絵も書いたから買ってえええぇぇ!!! →→→☆ここから買おう☆←←← (あらすじ) 私は紅一美。影を操る不思議な力を持った、ちょっと霊感の強いファッションモデルだ。 ある事件で殺された人の霊を探していたら……犯人と私の過去が繋がっていた!? 暗躍する謎の怪異、明らかになっていく真実、失われた記憶。 このままでは地獄の怨霊達が世界に放たれてしまう! 命を弄ぶ邪道を倒すため、いま憤怒の炎が覚醒する!
(※全部内容は一緒です。) pixiv版
 ◆◆◆
 1989年十月、フロリダ州の小さな農村で営業していた時の事だ。 あの村で唯一と言っても過言ではない近代的施設、タイタンマート。 グロサリーを買いこむ巨人の看板でお馴染みのその大型ショッピングセンター前で、俺はポップコーン屋台付き三輪バギーを駐車した。 エプロンを巻き、屋台の顔ポップ・ガイのスイッチを入れ、同じツラのマスクを被り、  「エー、エー、アーアー。ポップコーン、ポップコーンダヨ」 …スピーカーから間の抜けたボイスチェンジャー声が出ることを確認したら、俺の今日の仕事が始まる。
 積載電源でトウモロコシを爆ぜていると、いつもならその音や匂いに誘われて買い物客が集まってくる。 だがその日は駐車場の車が少なく、やけに閑散としていた。 ひょっとして午後から臨時閉店か?俺は背後のマート出入口に張り紙でも貼っていないか、様子を見に行った。 一歩、二歩、三歩。屋台から目を離したのは、たった三歩の間だけだった。
 ガコッ!ガコガコガシャン!突然背後から乱暴な金属音がして俺は振り返った。 そこには、一体どこから湧いて出たのか、五~六人の村人が俺の屋台バギーを取り囲んでいた。 奴らはポップ・ガイの顎を強引にこじ開けた。 ガラスケース内のポップコーンが紙箱受けになだれ込む。それを男も女も、思い思いにポリ袋やキャップ帽などを使って奪い合う。
 「あぁー!!?何しやがるクソッタレ!!!」 俺はマスクを脱ぎ捨て、クソ村人共を押しのけようとした。その時。 サクッ。…背後で地面にスコップを突き立てたような音がした。 振り返るとそこには、タイタンマートのエプロンを着た店員と…空中に浮く、木の棒? いや、違う。それは…俺の背中に刺さった、鉈か鎌か何かの柄だ。 俺は自分の置かれた状況が理解出来なかった。背中を刺されたという事実以外は。 ただ、脳が痛覚を遮断していたのか、痛みはなかった。異物感と恐怖心だけがあった。 目の前では相棒が、俺のポップ・ガイが、農村の狂った土人共にぶちのめされている。 奴らはガラスケースを割り、焼けた調理器に手を突っ込んでガラスの破片とポップコーンを頬張り、爆裂前のトウモロコシ粒まで奪い合いながら、「オヤツクレ」「オカシ」「カシヲクレ」などとわけのわからない事を叫んでいやがる。
 そのうち俺を刺しやがったあのクソ店員が、俺のジーンズからバギーのキーを引ったくり、屋台を奪って急発進させた。 ゾンビめいた土人共がそれにしがみつく。何人かは既に血まみれだ。 すると駐車場の方からライフルを抱えたクソが増えた。 ターン、ターン、ターン。タイヤを撃たれたバギーが横転する。ノーブラで部屋着みてぇなブタババアが射殺される。俺の足に流れ弾が当たる…痛ぇな、畜生!
 ともかく逃げないとヤバい。こいつらきっとハッパでもキメてやがるんだ。 それにしても、俺の脳のポンコツめ。背中の痛みはないのに、なんで足はこんなに痛いんだクソッタレ!  「コヒュッ…コヒュッ…」息ができない。傷口が熱い。体が寒い。全身の血が偏ってきていやがる。 もはや立ち上がれない俺は匍匐前進でマートの死角まで這って逃げた。 そこには大量のイタチと、中心に中坊ぐらいのニヤついたガキが立っていた。 そいつは口元が左右非対称に歪んでいて、ギンギンに目の充血した、見るからに性根の腐っていそうな奴だった。 作業ツナギの中にエド・ゲインみてえな悪趣味なツギハギのTシャツを着て、右手にニッパーを、左手にカラフルな砂か何かの入った汚ねえビニール袋を持っていた。
 「おっさん、魚みてえだな」…あ?  「背中にヒレ生えてるぜ。それに口パクパクさせながら地面をクネクネ這いずり回ってさ。 ここは山ばっかだから見た事ねえが、沖に打ち上げられたイルカってこんな感じなのかな」 何言ってやがる…このガキもキチガイかよ。それにイルカは哺乳類だ。どうでもいいがな。
 「気に入ったぜ。おっさん、俺が解剖してやるよ」…は??  「心配するな。川でナマズを捌いた事がある。おいお前ら、オヤツタイムだぜ!」
 おいジーザス、いい加減にしろ!あのクソガキは俺にキチガイじみた虹色の砂をブチまけてきやがった! 鼻にツンとくるクソ甘ったるい匂い。そうか、こいつはパフェによくかかっているカラースプレーだ。しかもよく見ると、細けえキャンディやチョコレートやクッキーまで混じっていやがる。 ファック!このガキ、俺をデコレーションケーキか何かと勘違いしてんじゃねえのか!?
 「あんたのポップコーン、いつも親が買ってたぜ。油っこくて美味かった。 だからあんたの魂は俺達の仲間に入れてやるよ…」 なんでなんでなんで。なんで俺の生皮がいかれたガキのニッパーで引き裂かれてやがる。なんで俺の身体が汚ねえイタチ共に食い荒らされてやがる! カラースプレーが目に入った。痛え。だからなんで背中以外は痛えんだってえの。 俺が何をしたっていうんだジーザス。みんなの人気者のポップ・ガイがなんの罪を犯したっていうんだ。
 やだよ。こんな所で死にたくねぇよ。 こんなシケた田舎のタイタンマートなんかで…おいクソ巨人、お前の事だ!クソタイタンマートのクソ時代遅れなクソ看板野郎!なに見てやがる! 「Get everything you want(何でも揃う)」じゃねえよとっととこのクソガキを踏み殺せ!! こんなに苦しんで死ななきゃならねぇならせめてハッパでもキメときゃ良かった!死にたくねぇよ!ア!ア!ア!アー!
 そうだ。こんな物はただの夢だ。クソッタレ悪夢だ。もうハッパキメてたっけ? まあいい。こんな時は首筋をつねるんだ。俺は首筋をつねれば大概のバッドトリップからは目覚める事ができるんだ。 そう、こんな風に―
 ◆◆◆
 「あいててててて痛え!!!」 ジャックさんは首筋をつねる動作をした瞬間、オリベちゃんのサイコキネシスを受けて悶絶した。
 磐梯熱海温泉の民宿に集った私達一同は、二台繋げたローテーブルを囲い、タルパの半魚人ジャック・ラーセンさんが殺害された経緯を聴取していた。  「そんなに細かく話すな!イジワル!!」 涙目のイナちゃんが、私のモヘアニットのチュニックを固く握りしめたまま怒鳴った。 彼の話に「ライフルを持ったクソ」が出てきたあたりから、彼女はずっと私にしがみついてチワワのように震え続けている。 おかげで買ってまだSNSにも投稿していないチュニックが、ヨレヨレに伸びきってしまっていた。
 <あんたあのね、女子高生の前でクソとかハッパとか、言葉を選びなさいよ!> ローテーブルの対面で、オリベちゃんがジャックさんを叱責する。  「まあまあ。そんで死んだ後はどうなったん…なるべく綺麗な言葉で説明してくれよ」 一方譲司さんは既に、ポメラニアンのポメラー子ちゃんのブラッシングを終え、何故か次はオリベちゃんのブラッシングをさせられている。
 「まあ、その後はだな。要するに、お前達のお友達人形にされてたってわけさ」 ジャックさん、オリベちゃん、譲司さん。三人のNICキッズルーム出身者の過去が繋がった。 イナちゃんがこれから行くキッズルームは、バリ島院以外にも世界各支部に存在する。 アジア支部のバリ島院、EU支部のマルセイユ院…オリベちゃんと譲司さんが子供時代を過ごした中東支部キッズルームは、テルアビブ院だった。 (アラブ人ハーフの譲司さんは、十歳まで中東で暮らしていたんだ。)
 その当時テルアビブ院には、魂を持つ不思議な人形と、それを操って動かす黒子の少年がいた。 少年は人形と同じ顔のマスクを被っていて、少年自身の意思を持っていなかった。 でもある日突然、少年は人形を捨て、冷酷な本性を剥き出しにしてNIC職員や子供達を惨殺して回ったという。 つまり、少年…生き物の魂を奪って怪物を作る殺人鬼、サミュエル・ミラーは、人形のジャックさんという仮面を被ってNICに近づき、油断した脳力者の魂を収穫したんだ。
 「その辺の話は、俺よりお前ら自身の方が嫌でも覚えてるだろ。 あいつがわざわざ変装用の魂をこしらえたのは、オリベ…お前みたいに人の心を覗ける奴が、NICにはわんさかいるからだろうな。 俺は自分が自分の黒子に殺された事なんざ忘れちまってたし、 用済みになった後も奴の脳内に格納されて、長い眠りについていたようだ。 友達や先生方の死に面を拝まずに済んだ事だけは、あのクソサイコ野郎に感謝だな」 ジャックさんがニヒルに笑う。殺人鬼の隠れ蓑にされていたとはいえ、彼とオリベちゃん達の間の友情は本物だったんだろう。 仮面役に彼が選ばれたのは、生前の彼が子供達に愛されるポップコーン売りだったからだと私は推測した。
 サミュエルは殺人に、怪物タルパを取り憑かせたイタチを使うらしい。 人間のお菓子や人肉を食べるように調教されたイタチは人間を襲い、イタチに噛まれた人間は怪物タルパに取り憑かれる。 取り憑かれた人間は別の人間を襲う。その人間も怪物に心を支配され、別の人間を襲う。 そうしてゾンビパニック映画のように、怪物に操られた人間がねずみ算式に増えていく。 サミュエルはこのようにして、自ら手を下さずに集団殺し合いパニックを引き起こすんだ。 1990年。二十年前のNIC中東支部を襲った惨劇も、この方式で引き起こされた。 幼い頃のオリベちゃんはその時、怪物タルパとイタチを一掃するために無茶なサイコキネシスを放った後遺症で構音障害になった。そして…
 「なあジャック」譲司さんが口を開く。  「アッシュ兄ちゃんって、覚えとるか? 弱虫でチビやった俺を、一番気にかけてくれとった」  「ん、ああ。勿論覚えてるさ。 ファティマンドラの種をペンダントにしていた、サイコメトリーの脳力児。あいつがどうかしたのか」 ジャックさんがファティマンドラという単語を口にした瞬間、譲司さんは無意識に頭に手を当て、  「ハァー、…フーッ」肺の空気を入れ替えるダウザー特有の呼吸をした。そして、  「…アッシュ兄ちゃんは。俺の目の前で、サミュエルに殺された。 その時…兄ちゃんの魂は胸の種に宿って、ファティマンドラになったんや」胸元に手を当てて言った。  「なんてこった…!」 ジャックさんは目元を強ばらせる。
 話を理解できなかったイナちゃんが、私のチュニックをクイクイと引っ張った。  「ええとね…ファティマンドラっていうのは、簡単に言えば動物の霊魂を宿して心を持つ事ができる霊草の事なの。 譲司さんの幼馴染のアッシュさんは、殺された時、その種を持っていたおかげで怪物に魂を取られずに済んだけど、代わりに植物の精霊になっちゃったんだ」  「そなんだ…。ヘラガモ先生、今も幼馴染さんいるですか?」  「ああ。種はもう花を咲かせてなくなっとるけど、兄ちゃんは俺と完全に溶け合って、二人合わさった。 せやから、アッシュ兄ちゃんは今俺の中におる」  「すまねえ…あいつの事を思い出せなくて、お前らみたいなガキ共を巻き込んじまって。本当にすまねえ」 ジャックさんがオリベちゃんと譲司さん、そして譲司さんと一つになったというアッシュさんをまっすぐに見つめる。 一方、当のオリベちゃん達は、ジャックさんが謝罪する謂れはないとでも言いたげに、彼に優しい微笑みを向けていた。
 「ヒトミちゃん」 しんみりとしたムードの中、イナちゃんが芝居がかった仕草で私のチュニックを掴んだ。  「ごめんなさい、チュニック、伸ばしちゃたヨ。 お詫びにあげたい物あります。お着替え行こ」  「え?」  「ポメラーコちゃんにも!」  「わぅ?」 私はポメちゃんを抱えたイナちゃんに誘導され、別室に移動した。
 ◆◆◆
 「へえ、韓国娘。あんた粋なことするじゃないの」 高天井の二階大部屋。剥き出しの梁の上では人間体のリナが、うつ伏せで頬杖をついたまま私達を見下ろしていた。 その時イナちゃんが着ていたのが水色のパフスリーブワンピースだった事も相まって、まるで不思議の国のアリスとチェシャ猫みたいな構図だ。 二階に上がったのは私とイナちゃん、ポメラー子ちゃんにリナ。階下に残ったのは中東キッズルーム出身の三人のみ。 そういう事か。  「『後は若い人達に任せましょう』。私が好きな日本のことわざだモン」 胸を張ってイナちゃんが得意気に言う。それ、ことわざだったっけ…?
 イナちゃんは中身を詰めすぎて膨らんだスーツケースの天板を押さえながら、布を噛んだファスナーを力任せに引いて開けた。 ミチミチの服と服の間から、哀れにも角がひしゃげたユニコーン型化粧ポーチを引き抜くと、何かを探すように中身を床に取り出していく。 「ボタニカル・ボタニカル」のオールインワン下地、「リトルマインド」のリップと化粧筆一式、「安徳森(アンダーソン)」の特大アイシャドウパレット… うーん、錚々たるラインナップ!中華系プチプラブランドの安徳森以外、どのコスメも道具も、高校生のお小遣いでは手を出し難い高級品だ。 蝶よ花よと育てられた、いい家のお嬢様なのかもしれない。
 「あったヨ!」 ユニコーンポーチの底からイナちゃんが引き抜いたのは、二重丸の形をした金色のペンダント。  「ここをこうしてネ…ペンダントと、チャームなるの」 二重丸の中心をイナちゃんが押し上げると、チリチリとくぐもった金属音を立てて内側の円形が外れた。それは留め具付きの丸い鈴だった。  『링』  『종』  中央が空洞化してリング型になったペンダントと鈴の双方に、それぞれ異なる小さなハングル文字が一文字ずつ刻印されている。 それを持ったイナちゃんの両手も、珍しく左右で手相が全然違う模様なのが印象的だった。 左は生命線からアルファベットのE字状に三本線が伸びていて、右は中央に大きな十文字。手相には詳しくないから占いはできないけど。
 イナちゃんはE字手相の左手でペンダントを私の首にかけ、右手の鈴はポメちゃんの首輪に括りつけた。 金属のずっしりとした重量感。これも高価な物なんだろうと察せる。  「イナちゃん、これ貰っちゃっていいの?まさか金じゃないよね?」私は恐る恐る聞いた。  「『キム』じゃないヨ。それは、『링(リン)』と読みます。リングだからネ。 キーホルダーは『종(チョン)』、ベルを意味ですヨ」  「い、いやいや、ハングルの読み方を聞いたんじゃ��くて」チャリンチャリンチャリン!「ワンワンっ!」 私のツッコミは鈴の音を気に入って飛び跳ねるポメちゃんに遮られた。  「ウフッ、ジョークジョーク。わかてますヨ、ただのメッキだヨ」  「な…なんだ、良かった。それでもありがとうね」
 貰ったペンダントを改めて見ていると、伸びたチュニックが一層貧相に見えてきた。 この後私達はお蕎麦屋さんに夕食を予約している。さすがにモデルとして、こんな格好で外を出歩くわけにはいかない。 折角貰ったいいペンダントに合わせて、私は手持ちで一番フォーマルな服に着替える事にした。 切り絵風赤黒グラデーションカラーのオフショルワンピースだ。
 「アハ!まるで不思議の国のアリスとトランプの女王だわ」 梁から降りたイナが、私とイナちゃんが並んだ様子を比喩する。  「そういうリナはさっきまで樹上のチェシャ猫だったじゃない」  「じゃあその真っ白いワンコが時計ウサギね」 私達は冗談を重ね合ってくすくす笑う。こんな会話も久しぶりだな。 そこにイナちゃんも加わる。  「ヒトミちゃん、ジョオ様はアイシャドウもっと濃いヨ」 さっき床に散らかしたコスメの中から、チップと安徳森のアイシャドウパレットを持って、イナちゃんはいたずらに笑った。 安徳森、アンダーソンか…。そういえば…
 「私…磐梯熱海で、アンダーソンって名前のファティマンドラの精霊と会ったことがあるな」 私はたった今思い出した事を独り言のように呟いていた。 イナちゃんの目が好奇心に光る。  「さっき話しした霊草の魂ですか?ここにいるですか!」  「うーん、もう3年前の事だけどね…」
 それは私が上京する直前のこと。 ヒーローショーの悪役という、一年間の長期スパンの仕事を受ける事になった私は、地元猪苗代を発つ前にここ磐梯熱海温泉に立ち寄った。 和尚様と萩姫様にご挨拶をするためだ。 するとその日は、駅を出るとそこらじゅうに紫色の花が咲いていた。 私は合流した萩姫様に伺い、それがファティマンドラの花だと教わった。 そしてケヤキの森で、それらの親花である魂を持つファティマンドラ、アンダーソン氏を紹介して頂いた。 アンダーソン氏は腐りかけの人脳から発芽したせいで、ほとんど盲目で、生前の記憶もかなり欠落していた。 ただ一つ、自分の名前がアンダーソンだという事だけ辛うじて覚えていたという。
 とはいえ、元警察官の友達から聞いた話では、ファティマンドラは麻薬の原料にもなり日本では栽培を許可されていないらしい。 ファティマンドラには類似種の『マンドラゴラ・オータムナリス』というよく似た花があるから、駅に咲いていたものに関しては、オータムナリスだったのかもしれない。
 「改めて今熱海町に来たら、もう駅前の花はなくなってるし、さっきケヤキの森を通った時もアンダーソンさんはいなかったの。 もう枯れちゃったかな…魂はどこかにいるかも」  「だといいネ。私も見てみたいです。 そのお花さんに因みな物あれば、私スリスリマスリして呼び出せるですけど」  「え、すごいね!イナちゃん降霊術もできるんだ…」
 スタタタタ!…私達が話している途中から、誰かがものすごい勢いで階段を駆け上がる音がした。 二階部屋の襖がターン!と豪快に開き、現れたのはオリベちゃん。  <そのファティマンドラよ!今すぐ案内して頂戴!!>  「オモナっ!」驚いたイナちゃんが顔の前で手を合わす。
 「え!?ど、どういう事ですか?」  <サミュエルは最後に逃亡する直前、ジャパニーズマフィアの薬物ブローカーだったの。そして麻薬の原料としてファティマンドラの種子を入手していた。 だからそれを発芽させるために、ブローカー仲間の女子大生を殺害して、その人の肉や脳を肥料に与えていたというのよ>  「ああ…女子大生バラバラ殺人の事ですね。指名手配のポスターで有名な」 物騒な話題にイナちゃんは顔を引きつらせる。またストレスで悪霊を呼び寄せないように、すかさずリナは彼女の体を抱き寄せて頭を撫でた。
 イナちゃんは知らないだろうけど、実はサミュエルの通名、水家曽良という名は日本では有名だ。 彼は広域指定暴力団の薬物ブローカーで、ブローカー仲間だった女子大生を殺害した罪で指名手配されている。 だから駅や交番のポスターには、彼の名前と似顔絵がよく貼ってあるんだ。
 <その女子大生から生まれたと思しきファティマンドラがね…なんと、眠っていたジャックを呼び覚まして助けた張本人らしいのよ!>  「そうなんですか!」 オリベちゃんに続き、そろそろとジャックさんと譲司さんも二階に上がってきた。 ただ譲司さんは、興奮気味のオリベちゃんとは裏腹に煮え切らない顔をしている。  「いや、せやけどなオリベ。殺された女子大生は『トクモリ・アン』って名前やろ。 ジャックが言っとったファティマンドラは『アンダーソン』って名乗っとったらしいし…『アン』しか合っとらんやん」 トクモリアン?ああ、はい。 私とイナちゃんとリナは三人同時に察して、ニヤリと顔を見合わせた。
 「ダウザーさん、その被害者の名前の漢字、当ててあげようか」挑発的にリナが譲司さんに微笑む。 リナが目配せすると、イナちゃんはあのアイシャドウパレットを譲司さんの前に持っていった。  「あん、とくもり…安徳森!何で?」  「そです。でもちがうヨ!中国語それ『アンダーソン』て読みます」  「なるほど!」  「そういう事だったのか」  <え…ど、どういう事ですって?> 譲司さんとジャックさんが納得した一方、ユダヤ人のオリベちゃんだけは頭にはてなマークを浮かべた。 私はパレットの漢字を指さしながら、非アジア人の彼女に中国語と日本語の漢字の読み方を解説した。
 <じゃあ、中国語でそれはアンダーソンになって、日本語��はアン・トクモリになるの!面白いカラクリだわ。>  「ファティマンドラ化した徳森安は生前の記憶を殆ど失っている。 その文字列が印象に残っていても、自分の名前じゃなくて有名な化粧品ブランドの読み方をしちまったのかもな。 あれでも女子大生だったし」ジャックさんが補足する。
 <となるとやっぱり、殺された女子大生で間違いないようね。 ジャックを蘇らせてくれたお礼と、サミュエルに関しての情報も聞きたいわ。 どうにかして彼女と会えないかしら?>  「ケヤキの森にいないなら…怪人屋敷に行けば何かわかるかもしれねえな。 まだあいつが成仏していなければ、だが」 ジャックさんが親指に当たるヒレをクイクイと動かす。その方角は石筵を指していた。  「怪人屋敷って、石筵の有名な心霊スポットですよね?山にある廃工場の。 実際はこの辺りで生まれたタルパとか式神達の溜まり場で、それを見た人間が『人間とも動物とも違う幽霊がいっぱいいる!』と思って怪人屋敷って呼び始めた…」  「何よ、じゃあ私も人間にとっては怪人だっていうの?失礼しちゃうわ!」 リナがイナちゃんを撫でながらプリプリと怒る。  「怪人屋敷なら俺が場所を案内できる。かつてのサミュエルの潜伏地点だ」  「そうか。よし、夕食までまだ時間がある。車で行ってみよう」
 ◆◆◆
 日が沈みかけていた。 私達を乗せたミニバンは西日に横面を照らされながら、石筵の霊山へ北上する。 運転してくれたのは、譲司さんに半身取り憑いたジャックさんだ。 生前は移動販売をしていただけあって、私達の中で一番運転が上手い。同乗していて、坂道やカーブでも全くGを感じない。 譲司さんも彼のハンドルテクに、時折感嘆のため息を漏らしていた。 故人の意識にハンドルを任せたのはギリギリ無免許運転かもしれないけど、警察にそれを咎められる人はいないだろう。
 廃工場の怪人屋敷か。私が観音寺に住んでいた頃は、そんな噂があるとは知らなかった。 でも行ったことは何度もある。 あそこには沢山の式神、精霊、タルパ、妖怪がいた。みんな幼い私と遊んでくれたいい人達だ。 人に害をなす魂がいなかったのは、すぐ近くに和尚様が住んでいらしたから、だったのかも。 私はリナと共に影絵を交えながら、そんな思い出話をイナちゃんやオリベちゃんに語った。
 「ジャックさんは、会ったことありますか?和尚様。 怪人屋敷のすぐそばの観音寺です」 私はバックミラー越しにジャックさんを見ながら話題を振った。  「残念だが、俺があの屋敷にいた時は、サミュエル本体に色々あって夢うつつだったんだ。 ファティマンドラの幻覚と現実の狭間をずっと彷徨ってた感じだ。 けど、少なくともその世界には神も仏もいなかったぜ」  「そうなんですか…。後でちょっと寄らせて下さい。紹介したいです」  「ああ、俺も知り合っておきたい。本場チベット仕込みのタルパ使いなんだろ、その坊さん。 だったらあのクソに作られた俺みてえな怪物も、いざという時に救って下さるかもしれねえよな」  「そんなこと言わないで下さい、ジャックさんいい人ヨ」 イナちゃんが身を乗り出して反論した。 ジャックさんは目線をフロントガラスに向けたまま、小さく口角を上げた。
 カッチ、カッチ、カッチ。リズミカルなウィンカー音を鳴らしながら、ミニバンは車道から舗装されていない砂利道に入る。 安達太良山の麓にそびえ立つ石筵霊山の、殆ど窓のない無機質な廃工場が見えてきた。 多彩な霊魂が行き交い、一部の界隈では魔都と呼ばれるこの郡山市でも、ここは一際邪悪な心霊スポットとして有名な場所だ。 そんな噂が蔓延しだしたのはいつ頃の事だっただろうか。 少なくとも私の知っている廃工場は、そこまで物々しい場所じゃなかったのに…。 ジャックさんが工場脇の搬入口にミニバンを駐車している間、私は和尚様の近況を案じた。
 その不安感が現実になったかのように、ミニバンを開けた瞬間何かを察知して顔を引きつらせたのは、意外にも譲司さんではなくオリベちゃんだった。  <あの二階、何かある。何だかわからないけどとんでもない物があるわ!> テレパシーやサイコキネシスを操る彼女だけが、その有り余るシックスセンスで異変を察知したんだ。 オリベちゃんが指さした工場の二階には窓があるけど、中は暗くて見えない。 私やリナ、イナちゃん、ジャックさんには遠すぎて霊感が届かないし…、  「すまん、オリベ。あの窓はめ殺しで開かんやつやから、俺にはわからん」 空気や気圧でダウジングする譲司さんには尚更読み難い状況だ。
 「それより、あっちに…」 譲司さんが言いかけた事を同時に反応したのは、ポメラー子ちゃんだった。 ポメちゃんは鈴を鳴らしながら譲司さんの脇をすり抜け、バイク駐輪場らしきスペースに駆けていき、  「わうわお!」こっちやで!とでも言っているような鳴き声で私達を誘導した。 そこにあった物は…
 ◆◆◆
 「うぷッ」 条件反射的に私の胸がえずく。直後に頭痛を催すような強烈な悪臭を感じた。 隣でオリベちゃんが咄嗟に鼻をつまみ、リナはイナちゃんの目を隠す。 既に察していた譲司さんは冷静に口にミニタオルを当てていた。
 そこにあったのは、腐敗した汚泥をなみなみと湛えた青い掃除用バケツ。 ハエがたかる焦茶色の液体の中には、枯葉に覆われて辛うじて形を保った、チンゲン菜のような植物の残骸が見える。 花瓶に雨水が入って腐ったお墓の仏花を想起させるそれは…明らかに、ファティマンドラの残骸だった。
 「アンダーソン」ジャックさんが歩み寄る。  「もう、いないのか?あいつを待ちくたびれて、くたばっちまったんだな」 ジャックさんは汚泥にヒレをかざしたり、大胆にも顔を突っ込んだりしながら故人の霊魂を探した。 でも、かつて女子大生の脳肉だった花と汚泥が、彼の問いかけに脳波を返す事はなかった。
 するうちリナの腕をほどいてイナちゃんが割って入る。 また彼女の精神がショックを受けて、悪霊を呼び出さないかと心配になったけど、 驚く事に彼女は腐った花に触れ、「スリスリマスリ…スリスリマスリ…」と追悼の祈りを捧げた。
 「い…イナちゃん、大丈夫なの?」私達は訝しみながら彼女の顔色を覗きこむ。 しかしイナちゃんは涼しい顔で振り返った。  「安徳森さん、ジャックさんのオンジン。だたら私のオンジンヨ。 この人天国に行ってますように、そこにいつかジャックさんも行けますように。 スリスリマスリ、私お祈りするますね」 イナちゃんが微笑む。その瞬間、悪臭と死に満ちた廃工場の空気が澄み渡った気がした。 譲司さんは前に出て、ファティマンドラをイナちゃんの手からそっと取り、目を閉じる。
 「オモナ…ヘラガモ先生?」  「サイコメトリーっていってな。触れた物の残留思念、つまり思い出をちょっとだけ見ることが出来るんや。 死んだ兄ちゃんがくれた脳力なんよ…」目を閉じたまま譲司さんが答えた。 そのまま数秒集中し、彼は見えたヴィジョンをオリベちゃんに送信する。 それをオリベちゃんがテレパシーで全員に拡散した。
 ザザッ…ザリザリ…。チューニングが合わないテレビのように、ノイズ音と青黒い横縞模様の砂嵐が視覚と聴覚を覆う。 やがて縞模様は複雑に光彩を帯びて、青単色のモノトーン映像らしきものを映し出し、ノイズ音の隙間からも人の肉声が聞こえてきた。
 ザザザ「…ん宿のミ…ム、元店ち…すね。署までご同こ」ザザザザッ「…い人屋敷へか…んな化け物を連れ」ザザ…「…っている事が支離滅れ…」「…っと、幻覚を見」ザザザザッ…
 「あかん。腐敗が進みすぎて殆ど見えん」譲司さんの額は既に汗ばんでいる。 それでも彼は…プロ根性で、ファティマンドラを握る手を更に汚泥の中へ押しこんだ! 更に、汚泥が掻き回されてあまつさえ悪臭の漂う中、「ハァー、フゥーッ…ウッ…ハァー、フゥーッ…」顔にグッショリと脂汗を湛えてえずきながら、ダウジングの深呼吸を繰り返す!
 彼の涙ぐましすぎる努力と、サイコメトリー・ダウジングの相乗効果によって、残留思念は古いVHSぐらい明瞭になった。  「新宿のミラクルガンジ…」ザザッ「…元店長の水家曽良さんですね。署までご同行願えますか」ザザザッ。 未だ時折ノイズで潰れているが、話の内容から女性警察官らしき声だとわかる。でも映像に声の主は映っていない。 ファティマンドラの低い目線視点でわかりづらいが、映像で確認できる人物はサミュエル・ミラーらしき男性だけだ。
 「あ?はは、なんだ…」ザザザッ「一体何の冗談…」ザザッ「さあ、怪人屋敷へ帰るぞ…」ザザッ。 オリベちゃんの口角が露骨に下がった。これは水家曽良、つまり殺人鬼サミュエル・ミラーの声だろう。  「言っている事が支離滅裂で…」ザザザッ「…え。彼はきっと幻…」ザザッ。 サミュエルとは違う男性と、女性の声。彼を連行しようとしている『見えない警察官』は、複数人いるようだ。
 「幻覚?何を今更。…あれも、これも!ははは!ぜんぶ幻覚じゃねえか!!!」ザバババババ!! 錯乱したサミュエルが周囲の物を手当り次第投げる。 ファティマンドラの安徳森氏は哀れにも戸棚に叩きつけられ、血と脳肉が飛び散った。 その瞬間から、またノイズが酷くなっていく。  「はいはい。後でじっくり聞い…」ザザッ「暴れな…」ザザッ「…せ!どうせお前らも俺の妄そ」ザリザリ!ザバーバーバー!! 残留思念はここで途絶えた。
 「アー!」色々と限界に達した譲司さんが千鳥足で、駐輪場脇の水道に走る。 譲司さんは汚い手で触れないように肘で器用に蛇口を回すと水が出た。 全員が安堵のため息を漏らす。幸い廃工場の水道は止まっていなかったみたいだ。山の湧き水を汲んでいるタイプなんだろう。 同じく安徳森氏に触ったイナちゃんも、譲司さんと紙石鹸をシェアしながら一緒に手を洗った。
 ◆◆◆
 グロッキーの譲司さんを車に乗せるわけにもいかず、私達は扉が開けっ放しの廃工場、通称怪人屋敷のエントランスロビーで休憩する事にした。 「あんた根性あるのね。見直したわ!」リナが譲司さんの周りをくるくる飛び回る。 対して満身創痍の譲司さんはソファに横たわり、「やめてぇ…」とヒヨコのような弱々しい声で喚いた。  <無茶した割に手がかりにならなかったわね。サミュエルはまだ指名手配犯だから、あれは警察じゃない。 でも正体はわからないままよ>手厳しいオリベちゃん。  「無茶言わんでくれぇ…あんなん読めへんもんもうやあわあ…」最後の方は言葉にすらなっていない譲司さん。 結局、あの偽警察官は何者だったのか…もし残留思念の通りなら、生きた人間じゃない可能性もある。 それでも、イナちゃんにお祈りされ、譲司さんにあそこまで記憶を読み直してもらった安徳森氏は、浮かばれるだろうと願いたいものだ。
 カァーン!…カァーン!…電気の通っていないはずの廃工場で、突然電子音質の鐘の音が鳴った。 リナとイナちゃんがビクッと身構える。…いや、リナ、あんた怪人側の人じゃん。  「俺や」音源は譲司さんのスマホだった。 彼は以前証券会社の社長だったから、これは株式市場の鐘の音なのかもしれない。 譲司さんがスマホを出そうとスウェットパンツのポケットをまさぐる。指が見えた。穴が開いているのを着続けているみたいだ。
 「もしもし?」譲司さんはスマホを耳に当てた。着信は電話だった。  (もしもし。すまない、テレビ通話にしてくれないか?) 女性の声だ。静かな廃工場だから、スピーカー越しに相手の声が聞き取れる。 電話をかけておいて名乗りもしない相手を訝しみながら、譲司さんは通話をカメラモードに切り替えた。すると…
 「あ…あなたは、まさか!」 驚嘆の声を上げた譲司さんに、私達全員が近寄る。 皆でスマホの画面を覗かせてもらうと、テレビ通話のカメラは私達の顔ではなく、誰もいないロビー奥の方向を映している。 でも画面の中では、明らかに人工霊魂とわかる、翼の生えた真っ赤なヤギが浮遊していた。
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buriedbornes · 6 years ago
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第23話 『水と油の漂泊者《バガボンド》(3) - 何のため?』 Opposite vagabonds chapter 3 - “What for?”
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世界の崩壊が訪れてから、長い歳月が過ぎ去った。
それでも、多くの人々が密やかにではあるがその営みを続けており、そしてまた、一定以上の規模のコミュニティであれば、当然新たな命を授かる事もある。
『崩壊後生まれ』は、生まれながらに世界によって呪われた哀れな、だがそれであるが故にしたたかな生命であった。
奪い生き残る事を常とした世界に生まれ落ちた彼らは、その荒んだ世界の一部となるべく、戦う事を強いられた。
一方で、崩壊前に生きてきたが、変貌した世界に順応する事を迫られた者達も残されていた。
こうした層は、前者と比較して『崩壊前生まれ』と呼ばれた。
彼らの最大の違いは、「取り戻すべき世界を持つかどうか」にあった。
『崩壊後生まれ』は、彼らを取り巻く世界にいかに順応するかをひたすらに追求し続けていた。
しかし、年老いた『崩壊前生まれ』達は、今もなお「かつての世界」をいかに取り戻すか、その方法を苦慮し続けていた。
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沼地には、古びた桟橋、或いはところどころに土の露出した面が見られ、通行者達はそうした場所を歩いていく。
浅い水面であれば歩いて通る事も不可能ではないが、不意の襲撃を受けた場合、ぬかるみ水に足を取られる不安定な足場は、生存率に大きく関わる。
しかし、手練れた者であれば、あるいは逆に水中を進行する方が、その身を隠すのに適している場合もある。
桟橋の軋む木板の立てる音は、凹凸に乏しい沼地では容易に遠方へ届く。
今日のように風の強い日は、波立った沼の中に身を浸し進む事で、周囲に潜む敵対者にその存在を気取られる事なく進む事ができる。
勿論、そればかりが唯一の方法であるとも限らない。
ビアンカは、平然と桟橋を進む。
しかし、その足音は全くの無音だ。
いや、足音どころか、衣擦れの音すらも聞こえない。
後方すぐをついていく2名も、同様だ。
エルフメイジの行使した秘術が、この3人とその周辺の空間から一切の音が奪っている。
だがそれは同時に、声を介した会話も不可能にしている。
そのため、3人はビアンカを仲介役に立てて、念話、すなわちテレパシーでのコミュニケーションを行っていた。
「本当にこの方向で合っているのか?」
ジョセフは無言で、怪訝そうな表情のまま、直接不満を伝える。
だが、ビアンカの眉目は揺るがない。
「この沼の中で、生命体の反応は数えるほどもないわ。少なくとも"さらった奴ら"には100%たどり着ける」
「さらわれた連中を直接探すなら、逆に屍体を探す魔法を使った方がいいかもな」
ゴードンの言葉は、聞く者によっては怒りを覚えるような発言だが、今この場に、その言葉を皮肉と受け止めて熱くなるような人間は一人もいない。
命の奪い合いが常の世界で、何者かにさらわれた人間を待ち受ける運命のうち、"生還できる"可能性のあるものは極稀だ。
生かすにはコストがかかる。
食事や、逃げ出さないように監視も必要だ。
必要な"用途"に用いた以後、生かす理由など存在しない。
身代金を求めるくらいなら、最初から略奪すれば良い。
わざわざ個々の人間が連れ去られ、そしてその後の音沙汰がないのであれば、それはもう「使われた」事を覚悟するしかない。
それが、この世界の現状で、常識だ。
勿論、その常識を、大切な人がさらわれた者が素直に受け入れるかは、別問題ではあるが。
「屍体は、ただの屍体。肉片でしかないわ。何かに使われていない限りは、感知する術がない。見つけようがない場所に捨てられていたら、お手上げね…」
「ま、それも犯人から聞き出せば済むことさ」
ジョセフは拳に力を込める。
『崩壊後生まれ』としては、彼は優しすぎた。
しかしそうであるが故に、彼を求める者は数知れない。
「情を汲み、それに応える仕事をする」ような傭兵など、崩壊前ですらそうはいなかった。
実力が伴う者ともなれば、もはや稀少を通り越して、彼以外にはもう存在しないのではないかとすら言われている。
命までは期待できない。
だがせめて、亡骸だけでも、家族に帰そう。
そうでなければ、意味がない。
未来の被害を防げるという意味では、意味もなくはないが、それだけでは納得ができない。
請けたからには、亡骸を家族に帰す。
そう、心に決めていた。
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「待って」
ビアンカが左手を払い、2人を制止する。
「…水の中から、何か、来る…」
水面に様子の変化はない。
風に揺られて波紋が右往左往するが、異常は見られない。
ジョセフは剣を抜き、ビアンカの前方に立ちふさがる。
ゴードンは、懐中から杖を取り出し、前方のビアンカに背を向けて構える。
「どこだ?」
ジョセフがビアンカをせっつくが、それがビアンカの焦りをさらに募らせた。
「凄い速さで駆け巡ってる、なんなのこれ!?波紋も起こさずに…」
刹那、水面が盛り上がり、槍のようなものがゴードンめがけて飛び出した。
「ぐッ…」
咄嗟に、杖で払おうとするが、間に合わない。
喉を貫かれた、そう思った瞬間に、視界がぶれて、明後日の方角を向いている。
気がつくと、ジョセフに抱えられ、桟橋の少し離れた位置に引きずられて、横たわっている事に気づく。
元いた位置には、銀色に尖った針のようなものが水面から突き立っている。
と思えば、その針がどろりと溶けて、水中にポチャリと落ちると、また姿が見えなくなる。
「なんだ今のは」
ゴードンは狼狽しているが、一方でビアンカは戦慄していた。
「不定形… どうしてこんな場所に!?」
今度は隠すつもりもなくなったのか、飛沫を上げながら水中を銀色に輝く楕円状の物体が、高速で旋回している。
だが、ジョセフだけは冷静さを保っている。
「出てくる位置がわかっていれば…」
その言葉に呼応するかのように、水面に弾ける飛沫の数が2つ、3つと増えていき、やがて周囲の水面がまるで水揚げされる直前の網のような飛沫の嵐に包まれる。
「ビアンカッ、熱だ!!」
「! …わかった!」
ジョセフの言葉に我を取り戻したビアンカは、短い詠唱の後、杖を桟橋に突き立てる。
瞬時に、彼女の足元の水面を中心に湯気が立ち始め、瞬く間に辺り一面がまるで浴場のごとき熱気に包まれた。
いつの間にか飛沫は止み、気配は消え去っている。
「信じられない間違いない実現してたんだあの怪物…」
ビアンカはブツブツと何かを呟いている。
「ジョセフ、アレは一体…」
「ごー… ドン…」
見知ら��声。
3人が振り返ると、桟橋から離れた水面から顔を出した木のひとつ、その枝の上に、名状しがたい形状の、光を反射し銀色に発光する、ゲル状の塊がまとわりついていた。
その存在は形をうねらせると、口のような形状を作り出し、そこから声を発していた。
「老いたモノ… お前の、記憶… モラう…」
不定形の生物は手のようなものを伸ばし、木の幹を掴むと、ミシリミシリと音を立てて枝が曲がっていく。
掴んだ手を離した不定形は、まるで弩砲のごとく木の枝の反発力に弾かれて、沼地の遥か彼方の方角に向かって飛び去っていった。
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数秒の静寂を過ぎて、ビアンカがその場にへたれ込んだ。
ジョセフは、不定形が飛び去った方角を、力強く見つめている。
ゴードンは、尻餅をついた姿勢のまま、呆気にとられて動けずにいた。
俺にもできる事がある?
息巻いて足を踏み入れてみれば、現実はこれだ。
結局ジョセフに助けられるのか、俺は。
死にかけた。
いや、奴は俺を狙っていると言った。
むしろこれは、始まりなのか。
なぜ?
理由など、わかるはずもない。
やっぱり金貨100枚だけもらって、立ち去るべきだったのか。
だが、もう遅いのだろう。
乗りかかった船は、もう沖へ出た。
引き返す術はない。
少なくとも今は、生きるために、戦う以外に、道はない。
それだけは確かだった。
~つづく~
水と油の漂泊者《バガボンド》(4) - ”もう一度”
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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chaukachawan · 5 years ago
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一周回って早い奴
 エアーマンです。  流石に長くなりすぎたので分割投稿致しました。  自己最長記録を突破したかもしれません。笑えませんね。    役者紹介、黒幕&十勇士編です。  何卒、最期までお付き合い頂ければ幸いです。 ・加々見役/尾形莉奈(31期)  正直、加々見というキャラの発祥はあまり覚えていません。ふと気付いたら私の頭の中で寝ていました。人格の造形にあたってそこまで苦労した覚えもありませんし、もう何が言いたいかというと私の中でのこの方へのイメージが一つのキャラとして既に完成していたのかも知れません。それだけ、舞台に立ったこの人は格好良かった。役者さんとして以前に、人として既に悟っているオーラがある気がする。椎名林檎みたいな感じ、と御本人にはお伝えしました。不思議、という評をよく目にしますがそれだけ自分の中の世界がオリジナリティに溢れている証拠ではないでしょうか。今回は加々見の中で色々整理が付いてなかったので「語られる側」の役回りになりましたが、数年後には「語る側」に回っていてもおかしくないし、役者さんとしてもそうあってほしい。あと個人的な願望としてはそうですね、アレですね。本編後の大下との絡みが見たいですね。とんでもない連中によってそれまでの価値観を粉々にされた物同士、積もる話もあるでしょう。根が自由人だから絶対相性も良いはず。たまに会ってめっちゃ高尚な世間話繰り広げてそう。今後にも期待してます! ・暗殺者役、久保田役(兼役)/中戸太一(30期)  LOVE NOTEで主役を務めたこの人に結構なエアハラをした気がします、いやその時以来なのでルルさんと並んで一番最初に私のクセに慣れた同期の方かも知れません。いや、羨ましいです。自分があるというか、精神的な強さを持つと言うか。「人間」ってこうなんだな、みたいな感じの要素を詰め込みまくった性格をしておられます。でも、決定的に相容れない。貴方は主人公で、私はそうでないから。舞台上ではそうでしたし、これからも多分そうなのでしょう。忌憚なく話をしてみたい気もしますが、多分いや絶対喧嘩になる。  大分アドリブの多かった楽ステで、唸る部分もあれば「楽しそうだなぁ」と思って微笑ましい部分もありましたがこの方のそれはとても良かったと思います。メタは正直演出が機能してなかったのですが、だからこそ台詞の追加という大胆な真似に踏み切れた。あそこでミスってたら正直私も責任は取れませんでしたし、ペトロさん御自身もしんどい思いをなさっていたかもしれません。それを承知で、結果あそこまで物語を良くして下さった。「ルールは押し付ける物、文句があるなら殺してでも止めてみろ」。この方の行動に、私はそうした今作のメッセージを感じ取りました。  引退、残念です。また顔を出しに来てくれると嬉しいな。 ・エルフ役/西田幸輝(31期)  こんな役させてごめんなさい。でも優しいラムさんなら成し遂げてくれると思った………………成し遂げて下さいました。結果オーライですが一種のパワハラですねコレ。あとナチュラルにセクハラしたかもしれない。最悪だ。  ゆるキャラ感のある方です。だからこそ「子供っぽい役やれて楽しかった」と言って下さったのは嬉しかったですし、例の場面で本気の殺意を、そして最後のシーンで「後はお願いします」みたいな情を出してくれたのは本当に良かったと思います。セリフといい殺害シーンといい、個人的な性癖を押し付けてしまった気がするので次はサイコパス役を当て書きしたい。キマった表情も中々いい人ですし、何なら殺されても良いとすら思った。性癖ですね。  私自身プランを提案し辛かった演技に関してご自分で色々考えて下さったのは本当に感謝しかないですし、めっちゃ考えて下さってるんだなぁという事がよく分かりました。あと大道具チーフとしてカッコ良かったです。新人頑張って下さい。舞台図を仕込み二日前に書き直させられるという拷問を受けてなお笑顔でいさせちゃダメなんですよ本来は。そんな事があってはならないんですよ。いやぁ、死にてぇ。  輝くような演技をいつか見てみたいです。お疲れさまでした。 ・魔術師役/Anna(31期)  あ、その気持ち分かる。みたいな失礼な事を内心思う事が結構多い方です。今回めっちゃ楽しそうに演じてくれ………………ていたのなら、いいな。本当に色々な意味でこれから先頑張ってほしい人です。恐らく同じ道を辿っているであろう私は応援してます。勤勉な方ですし、演劇に対する情熱もあるし、私と比べて色々な物を持っている。貫いて行って下さい。叶うのならいつか主人公役を任せたいな、と思っている今日この頃です。  屍���晒した私なんぞが言える事はそう多くありませんが、やはり為すべき事を為すのが一番です。死ぬまで足掻いて、考えなしに暴れて、貴方も含めた沢山の人に迷惑を掛けて、そうした結果は何であれ必ず帰ってきました。それらはどういった形であれ、血として、肉として貴方に還元されます。それらに無心で、無感動で、当たり前の様に食らいついて咀嚼して呑み込み続けてこそ、貴方の様な人はもっともっと強くなると思います。  今だからこそ分かりますが、私にとって躊躇こそ最もやってはいけない事でした。もう足を止める事はないと思いますが、それでも自身が無くなったらこう考えるといいです。 「どーせ、あいつより酷い事にはならない」。  そうした存在としてどうか、心の中で頼って下さい。応援してます。 ・狂戦士役/髙木悠(30期)  滅茶苦茶体力を使う役、お疲れ様でした。(狂)戦士については「ステータスは高いけど予備動作が大き過ぎてボッコボコにされる」という所までしか決まってなかったので、ばたけさんに入っていただいた事でキャラが濃くなった気がします。しかしサイコパス、難しいですよね。なんかどの創作でも「くるってるキャラ」はやり尽くされすぎていて、もうなんかとりあえず理性が外れた感じの笑い方をさせるしかないみたいな所はあったと思います。そんな中でこう、何か「頑張ってる」感が出ていたのは本当に凄いと思いました。どれだけ狂ったキャラだろうと、歪んだキャラだろうと、分かりやすい目的の為に邁進している時は何故だか共感を生む気がします。今回はやられ役でしたが、その人間味の様な所が今後更に磨かれていく事を願っています。  全く関係ない話ですが、自分を出すって魅力的ですよね。私もついつい聞かれてない事まで人に話しちゃったり、こうして誰も読みやしない文章を延々と書いて悦に浸っちゃう時があります。何が正解なんでしょうか。私自身、未だに掴み兼ねています。  他の人とは違う事情がある者同士、一緒に頑張りましょう。 ・僧侶役/西岡克起(31期)  面白い役者さんです。こう言っちゃ行けないけど、あの台本では生かしきれなかった。脚本の中でハマってはいたけど、それ以上ではなかった。  もう一回チャンスが欲しいです。そしたらどれだけ面白い物がこっちで書けるか分かりませんが、少なくともその旨い部分をお任せしたい。いやもう、平生の笑顔が光ってるのなんの。そんでもって面白い。いやもう想像でしかないんですけど、あのいつもの言葉で形容できない感じの雰囲気で「何がおかしいのか分からない」みたいな調子のボケ台詞を喋ったらめちゃくちゃウケるんじゃないでしょうか。分からない。未知数。未知数の可能性を持つ役者さんです。何をやらせても上手いとは思うけど、それでもドハマりした時の演技が一度見てみたいです。面白い奴書いてきます。「面白そう」じゃなくてホントに面白いやつを練りたい。あ、もうこれ役者紹介じゃない。願望帳だ。  いや、たった二回の公演でこの方の可能性を図るのはあまりに惜しい。なんて所に使い潰しちゃったんだろう、って感じはあります。それでも「面白い」のと「人間性がある」感じ、そしてアドリブ性の三つを兼ね備えたちゃうか御用達みたいな長所を発揮して下さいました。次も弾けて下さい。   ・盗賊役/サミュエル・ツヤン(29期)  サムさん!!!!!!!!!!!LOVE NOTEの時からお世話になっておりまして、そして今回も演出補佐として大分お世話になりました、恩人です。この方の様にしっかりした演出になるのが夢でした。二回もチャンスがあってそれが叶わなかったのが残念でならないです。一度脚本についてお話しさせていただく機会がありまして、その際に「落とし続ければいつかは受かる」みたいな事を言って励ましていただいた覚えがあります。以後、私は公演の度に脚本を書き続けて来ました。アホですね。それでもまだ続けるつもりですが、サムさんに一言激励の言葉を頂かなければここまで続く事はなかったと思います。  本公演では「一度舞台上で歌いたい」というお願いをいただきまして、あれで良かったんでしょうか………………良かったんでしょうか?カラオケで度々拝聴していた美声。登場シーン全部歌ってるとかでもよかったかもしれない、と今更ながらに思っています。また演出補佐としては十勇士が「~に従え、さもなければ!」と言ってニッキを取り囲む所等をはじめとした十勇士の集合シーン、また各々の出番を監修していただきました。イリハケの整理を呼び掛けて下さった事と良い、正直サムさんにまとめていただかなければこの稽古場は回りませんでした。本当に、ありがとうございます………………!!! ・富豪役/橋本悠樹(31期)  予想外の面白さというのは常にあるものです。正直何となくのイメージで決めさせていただいた役というのはありまして、この役についても「あそこまで繊細な読みが出来る方なら間違いはないだろう」位の漠然としたビジョンで行ってしまった部分はあって………………大正解でした。とんでもない方向に進ませてしまって、これで良かったんでしょうか。これを切っ掛けにネタキャラが振られまくるみたいな事がなければいいんですが、流石にそれをされたら親衛隊の方々が黙っていないと思うので安心ですね。シリアスもギャグも通せるなんてそんな人どこにもいませんよいや本当にもう。ご本人にも何回も言いました。先輩方が御卒業なさる事で良くも悪くもテイストが変わりかけている今だからこそ、「真面目な読みが上手い」という方は非常に重宝されると思います。この先の展開を読む限りこれが一旦の息抜きみたいな事に………………いやこのキャラは絶対に息抜きではない。「ギャグというジャンル」みたいな意味で言いましたが、それにしてもあそこまで遊んで下さるのはめっちゃ大変だったと思います。何度も言うけど予想してませんでした。殻を壊さない程度の無難な感じになるとばかり思っていたので、本当に弾けてくれてよかったです。感動したので次は洒落にならない程重い過去を背負ってもらいたいと思います。次があったらな!!!!   ・オーク役/GEO(30期)  終演後に演出の外注という案を思いついた切っ掛けになった方です。いて下さって本当に良かった。御自身も演出をなさった経験をお持ちなので、ノンクレジットの演出としてシーン練習や殺陣で滅茶苦茶助けて下さいました。キャラクターの理解も早く結構最初の段階で固めて下さったり、ああもう光り輝いて見えました。聞けばサイコパス演出とか散々な言われようなのがちょっと気になりますが、それでもすごい人望をお持ちの方です。信頼の裏返し的な奴ですね。親しまれてるのがうらやましぃ。  ところで、予告しました。この方には「当て書きして主人公にする」と予告しました。いやだってめっちゃ面白い事になると思うんです。あーリーダーやってるなぁって感じのお人柄といい、頭のキレ方といい、こういう人が「イノベーティブ人材」って呼ばれるんだなぁみたいな方なんです。いやーまだ詳しくは言えませんがこれ絶対チートギャグに映える。物語の楽しさって「想像力を掻き立てられる」所が一つあると思うんですけど、それに必要な要素をこの方は持ってます。役者としても新歓公演ではギャグ、今回はマジシリアスとどちらも凄く考えて演じてくださいましたし、夢が広がる。後、この公演で私が自我を保っていられた理由にこの方があります。もう優しい。隙あらば励まして下さる。ダメ演出を支えて下さって本当にありがとうございました。 ・吸血鬼役/初田和大(29期)  Zさん。声量が大きいうるさいイケメンと評判ですが、実はそれほど「うるさい」と思った事はありませんでした。何だろう。私が鈍いのかな。なので私にとってのZさんは悪い所が一つもないめちゃくちゃ優しい照明班の先輩です。その大きな背中を追いかけていられたのでしょうか。綺麗な事言って実際一歩も動けなかった気がします、だってあまりにも大き過ぎたから。ただただ凄くて、そこまでのビジョンなんて何も分からなくて、自分がこの人の器を継ぐのかと思うとプレッシャーでも何でもなく単に「不可能」だと感じてしまう様な、私にとってはそんな方でした。今は継ぐべき人がちゃんと戻って来て下さいましたし、31期の皆さんもちゃんと継承を済ませて下さっているのでもう大丈夫ですが。あぁなんて清々しい他力本願。  今作ではその声量を生かしてカッコいい役を演じて下さいました。いえ確かに色々コテンパンにはされましたけど、でもそれアレなんですよ。RPGのキャラが現代に出て来てて、しかも解析班の存在で内部情報全部明かされてる状況で、もう色々と無理すぎる状況で逆にあそこまで持ちこたえたのカッコよくないですか。1vs4で敵を手玉に取る殺陣を含め、威厳に満ちた、矜持に溢れた役を彩って下さって本当にありがとうございました。 ・剣客役/ガウス(31期)  ラスボス。ラスボスですよみなさん。割れんばかりの拍手を。  この方のキャラ性は演出の中で大分迷走しましたが、それでも役者さんが貫いて行って下さった先に正解があった気がします。演技指導もままならない私には分かりませんが、それで良かったのかも知れません。  ハルク、藤原竜也ときていきなりラスボス。でも演じる上でめっちゃ考えて下さるというか、キャラと真摯に向き合った上でその型を自分と擦り合わせて行くタイプの方です。次回以降も暴れて下さい。舞台に自分でもない、脚本の通りでもない、それらを合わせて辿り着いたより上の鮮烈な存在感を焼き付けて行く。それが相応しい。読みの聞こえの良さといい、役者としての底力を見せて下さったと思います。本当にお疲れさまでした。  日頃優しい。優しすぎる。面倒そうな事を率先して引き受けて下さる。何かトラウマでも抱えているのではないかと思う位優しい方なので、あまり頼り過ぎると良くない気がしてたまに心配になります。でもその分色々と暴れて発散していてくれていたら嬉しいです。トニーさんと並ぶ箱の民として頑張って行って下さい!あと小道具、杖やら矢文やらありがとうございました!  明るくていい人です。本当にいい人です。願わくばその笑顔に陰りが生まれない事を………………いや、祈るまでもありませんね。本公演、とてもカッコ良かったです!有難うございました!!  オペさんの紹介も書こうかと思ったのですが、これ以上長くなってもアレです。新人公演の稽古日誌の邪魔になっても良くないので、単にこう書きます。  
 フィルさん。  すださん。  フロンさん。
 お疲れ様でした。大変な、地獄の様な目に合わせてしまいました。  貴方達を、最後の被害者とします。  困難な表現が、あなた達のお陰で現実に近付きました。  最後まで見届けて下さって、本当にありがとうございます。
・冒頭の紙袋(久保田)役/Airman(30期)    私です。面倒なので自分でやりました。  まぁ、役としての作り込みはないに等しかったですね。情けなや。  正直、何にも出来ませんでした。  脚本を書いた位ですね。  身の程を知った、というのが丁度良い表現です。    実は私、人間ではありません。  そう呼べるだけの知能を持っていません。  お粗末な擬態で世を忍んで来ました。  何にも出来ない人間っているんだなぁと。  人間未満だから何も出来ないんですね。    何やらしても他人様に及ばない。  欠けてるからには何か天賦の才のようなものがあるのかと思ってました。  何もありませんでした。  天は二物を与えずとは言いますが、一物を与えるとは限らないんですね。  正直、後悔は多いです。  演出面での「ああしとけば良かった」が、とても多い。  役者さんは十分以上に頑張って下さいました。  それだけに、申し訳が立たない気分です。  自分の想像を人に投げるしか、出来なかった。  多分、それしか私には許されていないのでしょう。    何度か死にたくなりました。  他人に言われて、とかそんなのではありません。  自分の無能ぶりに絶望しました。  これまでの人生と同じように、幾度も。  死にたがる原因は、いつも私の中にありました。  それどころか。  私の中には、最初から「他者」がいなかったのかもしれません。 「他の人」と思っていた物は、全部自分で作り上げていた像。  人間すら「分かった気になる」。  全部自分。自分の為、自分の為。  脚本を書けなければ、ちゃうかで私が出来る事はない。  居場所がない。  情けないですが、その通りです。    呼吸のつもりで、身勝手に書きました。  それで、人様に御迷惑を掛けました。  最早私に息をする資格はない。  誇張でも何でもなく、そう思いました。  今は笑いかけてくれている。  よい言葉を掛けて下さっている。  その下がどうなっているか。  さしもの私にも、分かっていました。  薄いメッキが剥がれたら、どうなるか。  当たり前の事が起こるだけです。    誰も他人の事を注意深く見ない。  人は他人に無関心である。  だからこそ、こうして書くのです。  返事は無くていい。  返事は無いほうがいい。  私の心の中に誰もいない様に、私も誰かの中にいるべきではない。  それで、一人語りを許されている気になりたい。    この中途半端な虚無の空間に。  私は私に、死ねと言いたい。  何故、自分の事となるとこんなに長く書けるのでしょう?  どうでもいいですね。  身勝手に生き、人を食う獣は考えなくて良い事です。    どうせ。  死にたいなどと言いながら、生きていくのでしょう。  少なくとも後二、三年は。  支えて下さった皆様方。  本当に、ありがとうございました。      さぁ。  次だ。        恐怖。  不可解な存在に対する、言い表せない程のそれ。  それだけを顔に覗かせ、あの子は去った。  それでいい。  僕を殺した事なんて、気にする必要はない。  君には才能がある。  僕には、それを守る義務がある。    嘘だ。  そんな義務、本当はどこにもない。  勝手に手を出して、死んだ。  あの人の言った通り、自業自得だ。  僕の言葉は、大方伝わってはいないだろう。  死んだ人間が、生きた人間に何かを伝えるなど出来はしない。  ただ、察してもらうしかない。  ………………さて。  殺してでも止めてみろ、だったかな。    だったら望み通り殺してやる。  ただし、普通の方法でじゃない。  お前達は狂ってる。  体が死んだところで何度でも蘇って、僕を追い続けるだろう。  怒りでもなく。  義憤でもなく。  ただ「楽しい」、���れだけの理由で。  死人還りは恐ろしい。  その事は、今の僕が一番よく分かっている。    あの子をお前達の「楽しみ」の為に消費させない。  全てを忘れ去る。  それで、お前達はこの件について死んだも同然だ。      拍子抜け。  最も面白くない結末。  お前達の様な獣には、それが一番相応しい。  これが、僕の答えだ。  ゲームオーバーだ、マッカブランカ。  今すぐ、消えろ。   『死ねぇえぇ、ニッキぃいぃぃいぃいぃぃぃいいいいい!!!!!!!』      午前11時。  太陽がじりじりと照り付ける陰のない大通り。  撮影中の出来事だった。  ナイフを構えたアンチ活動家が、ニッキ目掛けて突進した。 「ニッキ、危な」  気付いたレミも、庇うには遅く。          刃の先から、血液が垂れる。  悲鳴。  その場にいた誰もが、動きを止める。  そして………………        活動家の頭が、落ちた。    転がる首。  街路樹に当たり、止まる。  皆がニッキを見る。  錆付いた、RPG風の直剣。  いつの間に取り出したのか。  流れる様に首を刎ねる動きは、どこで学んだのか。  ニッキ自身、その記憶は失っていた。    沈黙が、引き始める。  いろりが口を開く。 「………………何だ、今の」 「ホンマ何なん。勝手に『死ねー』つって突っ込んできて、ほんで自分で首掻っ切った………………意味分からん」 「………………新手の抗議か、コレ」 「さぁ。ニッキ、大丈夫?」 「え、いや無傷だけど」  徐々に、街が平静を取り戻す。  いつの間にか、活動家の死体は消えている。  当の4人を含めた誰もが、無意識に己の記憶を改竄していた。  即ち。 「襲い掛かった活動家が突然、ニッキの目の前で自らの首を切断した」。  市井の人は、その様に認識していた。  奇妙な、さりとて取るに足らない出来事として消化され、忘れ去られる。  一連の光景を見る、二つの影があった。 「………………つまり。  忘れると言う行為は、大変に暴力的なんですなぁ。  記憶というのは各々の中に存在するもの。  故にこそ、それぞれで都合のいい様に勝手に解釈してしまえる。過去というものは覚えておかねばやがて消え行くもの。であればこれは畢竟、あるべき過去の改竄にも等しい。それも、一方的な。  まぁ人間、忘れるからこそ覚えておけるという物でもあるのですがね」 「誰ですか?」 「おっと失礼。わたくし矢盛と言います。  端的に言えば君のキャラクターに殺された久保田君の知人ですよ」 「………………ごめんなさい。初めまして」 「初めまして。あとお気になさらず。  実の所、私が君を追えたのは久保田君の残滓あっての事です」 「というのは、どういう」 「会ったのではないですかな?久保田君と」 「………………」    加々見の脳裏を過る、数日前の晩の出来事。  空間を歪める様に現れた暗殺者。  正確には、その体を借りた何者か。  加々見を殺そうとしたマッカブランカの動きを止め、その後動きもなく加々見をじっと見ていた。  怖くなって、逃げ出した。  幸い、追われる事はなかった  あの時、自分は責められていたのだろうか。 「………………ごめんなさい」  無辜の人を、殺めた。  その事実が、今になって加々美へ圧し掛かる。  始めた当初は何とも思わなかった。  殺されかけても、何とも思えなかった。  終ぞ、心を動かす事のなかった事実。  それが、知人の存在という形で目の前に現れる。    謝罪。  自然に口から漏れた、悔悟の念。  それらを何となく察しつつ、矢盛は口を開く。 「『物言わぬ人間の感情を勝手に解釈するのなんて傲慢です』  ………………なんて、どこかの医者が言いそうなセリフではないですか」 「何の話ですか?」 「おや、最近の子供は深夜ドラマを見ないのですな。  ………………まぁ、否定はしませんよ。なんだかんだ言って、分からない物を勝手に察して納得したがるのも人の情というものですからな」 「………………何が言いたいんですか」 「結論を述べましょう。久保田君は、責めてなどいませんでしたよ。  むしろ褒めてすらいた。  呪いとはいえ、よくここまでの物を作り上げられるものだと」  加々見が怪訝な表情を浮かべる。  まさか、人を殺す為の道具を褒められるとは思っていなかった。  それを見た矢盛は更に愉快そうな顔をする。 「ほぅ。想定外と言った顔ですな。  まあ要はこういう事です。この世界には、君よりももっと変わった、有り体に言えば狂った人間が山ほどいる。  君はその内の一人に一杯食わされたのです。  文字通り命を懸けて、茶番を演じさせられたのですよ」 「………………最初から、手のひらの上」 「その通り。おっと、責めないであげて下さいよ?  久保田君も死ぬ気だったとはいえ、君を救おうとしていたのですから」 「分かってます。  ………………その、何というか」 「えぇえぇ分かりますとも。  何が何だか分からない。狐につままれた気分。  亜事象と関われば一回や二回はそうなる。お分かりいただけましたかな?」 「………………あの人は」  視線を合わせず、躊躇う様に加々見が言葉を選ぶ。  それで、自分の罪が無かった事にはならないと。  矢盛が分かってくれる事を望みながら、口に出す。 「あの人は、生きてるんですか」  優しく目を細める矢盛。  どこか遠くを見る様な、さりとて近くを見ている様な。  何とも言えない視線で大通りを見て、半ば独り言を口にした。 「難しい、質問ですな。  生きているとも言えるし、死んだとも言える。  何れにせよ、『在る』のは間違いありません」  確信的でない、回りくどい表現。  しかし、そうとしか言えない。  矢盛は、思いのままに言葉を並べた。 「これは、予想………………噂でしかない。しかし、この世に一度生まれ落ちたものは、何らかの形で残り続け、全てのものに影響を与え続ける。  舞台で言えば、パッと出て終わる様なモブはいない。こう言われます」 「………………」 「まぁ、希望論でしかないのですがな。  いずれにせよ、貴方の行いは残る。業は、おいそれと消えません。  先程首を刎ねられた哀れな人物も、久保田君も………………業となって、今も何処かを彷徨って。  やがてあるべき場所へ、還るのでしょう」  手首を見やる。  加々見の腕に、足に、体全体に。  黒い靄の様な物が、渦を巻いて絡み付く。  矢盛も、それを認識していた。 「君は、好かれていますよ。  いえ実際、私も件の吸血鬼が何処へ行ったのか分かりませんでしたが。  どうやらちゃんとあるべき場所に残ったらしい」 「………………それが」 「ええ。君です。あの貴族ばかりではない、他にも9人ばかり。  業として、君の一部となっていますよ」  靄の渦は加々見を襲わない。  ただ、残る。  そうするのが自然であるかの如く、振る舞う。 「次に進むのです。  久保田君も、きっとそれを望んでいます」 「………………分かりました」  顔を上げ、会釈をして去っていく加々見。  矢盛もまた、別の方向へ向かう。  気付けば、マッカブランカの姿もない。  それきり、交わる事もないであろう別れ。              異常を呑み込み、平衡を保つ世界の理。  或いは久保田も、そうしたモノの一部となった。  日常は、続く。  呪いじみた強固さで、穏当に流れ行く。  淡々と。  人波は、歩み続ける。
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benediktine · 6 years ago
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【補助移動手段】 - 英国式自転車生活 : https://blogs.yahoo.co.jp/tenzen194/34656862.html : https://archive.is/9kD3E 2019/4/17(水) 午後 8:17
ちょっと左足がつらくなって、集中力が切れたので、4時半頃から輪行28号で1時間散歩。自転車というのはたいしたもので、立っているのがつらいくらいでも、走り始めるとなんともなくなる。
高齢者などでも、歩くのがたいへんな人が、買い物用に自転車に乗り、杖を自転車に括り付けているのをたまにみます。理由がよくわかる。
まだ、いくつかの部品はダミーでやっていますが、分解、組み立てはいちおうやってみた。人によるでしょうが、仕切りの付いた輪行袋なら1分15秒で入れられます。トップチューブはあえてベアーにしていない。クラシックなベルと締めです。なので、輪行袋の上からトップチューブを握っても、ワイヤーで傷をつけることが無い。2分かければ、チェンも取り外せるので、キズが付くリスクも大幅に減る。サドルを樹脂サドルにして、ホイールをチューブラーにして、クランクをカーボンにすれば、そうとう軽くなる。
何よりも良いのは、折り畳み自転車などとちがって、走っている間はほぼタイヤの摩擦音以外は無音なこと。蝶番が付いていたり、折り畳みステムや回転式本体フレームなどは常にどこかギシギシ、ミシミシいっているのが私は気になって仕方がない。
これなら、どこかへ1時間~2時間でかけ、家から急に呼び出しがあったときなど、タクシーに1分15秒で載せられる。
裏技をつかえば、京都でタクシーに載せて、上賀茂神社まで行ってもらって、あとはほぼ全行程下りとか(笑)。
北鎌倉まで輪行で、あとは江の島まで下り優勢でのんびり観光するとか。
渋川から榛名湖までタクシーであとは下りとか(爆)。高齢者、後期オヤジのものぐさサイクリングとか、使い方はいろいろ。
ホイール2つとサドル、ペダル、ハンドルはホイール用の段ボールにちょうど入る。それは宅急便で送れるギリギリのサイズ。つまり翌日配送が期待できる。
それを東北でも新潟でも津和野でも奈良でも宿へ送っておけば、自分は3kgちょっとのフレームだけ持って旅ができる。NCのいまいさんは、晩年、一台丸ごと組んだままで送っていましたが、それだと東京から関西まで、片道2万円以上かかる。
その点だけ、フレームだけ持っての旅行は、カラのスーツケースの重さです、しかもホイールの送料は高くはない。ハードルが下がります。しかも、シンプル極まりないので、旅先でスペアの部品に困ることが無い。それは持ちあるく工具も必要最小限度ということです。
私は、これからはこの手の旅に切り替える。走って楽しいところまで抜けるまでに、クルマの多い所を抜けて、排気ガスを吸って、、、というのが、もはや苦痛になっている。
うちから鎌倉でも小田原でも全走で行けますが、途中の道が面白くない。
目的地によって変速器が欲しければ、スペアのホイールを持てば、組み換え出来ますしね。ホイール入れ替えて、チェンを入れ替えて、変速器をエンドに取り付ければ20分仕事。前日の夜の夕食後でできる。
英語でいうところの『LESS IS MORE』というところです。
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pinoconoco · 8 years ago
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空座第七女子寮物語 16
たかが、2泊の外泊だというのに第七寮ではルキアの無断外泊は話題になっていた。 こっそり部屋に入ろうとしたルキアだが、玄関先でまず石田に首根っこを捕らえられた。
「……お帰り、朽木ルキア」 「な、なんだ。離せ」 「離せ?心配したかもしれない寮長に酷い言い方だね?」 「したかもって、してないだろ!貴様」 「まぁね。あのオレンジ頭のとこだとわかってたし」 「!え?」
かぁっとルキアの頬が赤く染まる。 これはこれでいい眺めだな、と石田はニヤリと不敵に笑った。
「ち、違っ」 「だって、君、他に泊まるとこなんかないだろ?」 「~~~!う、うるさい離せ!」 「帰ってきたら言うことあるでしょう?」 「……無断外泊してごめんなさい」 「あとは?」 「……ただいま」
パッと石田の手が離れる。そんな二人の元へ、食堂から桃をはじめ数人が駆け寄って来た。
「ルキア! も~心配したんだからねー」 「桃、す、すまぬ」
男か、男だよな?やるなルキア~いつのまにー?ときゃいきゃいと女達に囲まれルキアはあたふたと慌てる。
「な、なんだ!皆だって、帰らないことしょっちゅうあるではないか!」 「アンタはないじゃん。いつもここにいるのにさ。いきなり2日も帰ってこなけりゃ何があったかと皆気になるんだよ」 「とうとう女にしてもらったかー!よかったな!」 「そんでセックスばっかしてたんでしょ?」
あながち間違いでもない卑猥な野次にルキアはどんどん顔が赤くなる。
「みんな心配してないじゃないかー!」 「当たり前だろ?で、彼氏できたか?いつのまにー?」 「ううううるさーい!!」
あはははと皆の笑い声がボロ家屋にこだまする。顔を赤くして怒ったように反論しているルキアもそれでも楽しそうだと石田は思った。 気のせいかもしれないが いつもの彼女より艶めいて、楽しそうにも見えた。たった2日で彼女の内面に変化を出すなんて 一護という男を余計に憎く感じた。
どうするつもりなんだー 朽木ルキアを、こんなにも女の子として喜ばせておいて 全て隠したまま、あの男は彼女の傍を離れないつもりなのか 許されるのか? いいのだろうか?
わからない、と石田は考え込む。 許すとは、それはー 一護の赦しは、誰に対して乞うものだー?
「石田!織姫は?」
考えていたせいでぼんやりとしていた石田の前に、皆にもみくちゃにされて頭をボサボサにしたルキアがいつのまにかいた。
「ああ、僕の部屋」
え?
一瞬にしてそこにいた全員が声をなくした。
「……は?」
間抜けな声でルキアが聞き返すも
「眠れない、と昨日僕の部屋に来たんだ」
石田はそれがなにか?とでもいうようにさらっと言った。 はぁ~?とかやだー!とか今度は一斉に皆が騒いだ。管理人なにしてんだよ!サイテー!織姫に手だしてないだろーな!いやアノ子前に聖人面してたら男じゃねーよ! と、皆が騒ぐ中、ルキアは心配そうに石田に聞いた。
「織姫、何かあったのか?」 「……それは、君が直接聞くことだ」
皆が騒いでる中、ルキアは石田の部屋へと急いだ。だが部屋にいた織姫はいつもの織姫で、ルキアに気がつくとキャ~!と抱きついてきた。
「ルキアちゃん!お帰り~!」 「織姫、何でこんなとこにいるのだ!」 「ん? だってールキアちゃん帰って来ないからつまんなくて。石田さんとお喋りしてたの」 「えええ~? な、なにもされてないか?」 「してくれないんだよー?」
ぷぅと頬を膨らませた織姫にルキアは固まる。え?今何て言ったのだ?と頭の中で反芻するルキアに笑いながら、織姫は「外で朝ごはん食べよう?」とルキアの手を引いて連れ出した。
「織姫に、話たいことというか、聞いてほしいことが私もあって」 「うふふー聞くよ聞くよ!すごく楽しみ」 「や、あの、楽しいかわからぬが」 「え~?ルキアちゃんの謎の2日間の話でしょ!わくわくしちゃうよ」 「いや、別にその……」
ブンブンと繋いだ手を振りながら二人は歩く。今日は陽が出ているが北風が冷たい。 ハマーカフェに行こうよと言う織姫にルキアは頷く。1度行ってみたかったのだ。でも誰も誘う人も誘ってくれる人もいなかった。 こうやって、他愛ない話をしながら、聞いてほしいことを楽しみと言ってくれる友達と、行きたかったお店に行けるなんて
幸せだなぁ とルキアは泣きたくなる。
一護といるのも、キスしてくれるのも 抱かれるのも幸せで 寮の皆の下品な話も楽しくて お友だちとご飯を食べに行くのが
何でもないかもしれない日常が ルキアにはすごく嬉しかった この日常が続けばいいー
あとは何も望まないーとルキアは思った
◾ ◾ ◾
だが、その日常はご飯を食べる前に崩壊した。
「……うそ」 「残念ながら、嘘じゃないんだなこれが」
織姫は普段通りにニコッと笑った。 ルキアの固まった表情に気がつくと、それでも困ったように笑って、ルキアの頭を撫でた。
「あたし、頭そんなによくないからね……おじいさまが半年は専用の家庭教師つけさせて猛勉強だって」 「半年って……」 「うん、向うの大学は9月から新学期だからね……でもねぇ、まさかこんな急に日本離れなきゃならなくなるとはね……」
織姫がいなくなるー
それはルキアにとって思いがけないショックをもたらした。 アメリカの大学に行くというそれは 織姫がここからいなくなるということだった。
「……あたしね、両親いないんだ」 「え、」 「話したことないでしょ?おじいさまの話しか。だって、覚えてもいないんだもん」 「織姫……」 「あ、気にしないでね?小さいときに死んでるから知らないの。だからかわいそうじゃないから」
あは、と笑いながら織姫は肉を口に放り込んだ。
「……だから、おじいさまの会社は、あたしが継ぐのはもう小さい頃から決まってて。周りからもおじいさまからも言われてて……なに不自由なく暮らしてるけど、あたしには未来の夢はないんだよね」 「織姫……」 「仕事も旦那様も選べない。……つまんないねー」
困っ��顔で笑う織姫にルキアは苦しくなる。 そんな、そんなのって。 でも織姫はいつだって笑顔だ。 たくさんお喋りするけれど愚痴なんて聞いたことがないくらいな���に。 いつだって楽しそうなのにー
「でもね、おじいさまは大好きで尊敬してるの」
そう言った織姫の顔は、いつもの優しい笑顔だった。
「だから……おじいさまの為なら、犠牲とかそういうんじゃないんだ。……好きな人の為なら、それは我慢じゃないの。その人の役に立ちたいし、その人の願い叶えてあげたいって思うんだ」
うん、それはわかるよとルキアは頷いた。 よかったぁ、ルキアちゃんにわかってもらえたらいいんだぁと織姫は笑った。
色々ね、矛盾してるけど 育ててくれて、私を愛してくれるおじいさまには、私も愛を返してあげたいっていうか 応えてあげたいの
寂しいけどね、日本から離れるのは
でもずっととか死ぬまでじゃないし、遊びにもくるよ!
ルキアはそれでもやはり、泣きたくなった。
前向きな織姫に頑張れ、と思う。 本当に思うのに、会えなくなるのは寂しくて嫌だと思ってしまう。 思えば数ヵ月のつきあいでしかないのに 毎日一緒だった。 寝るのも。ご飯も。学校へもパチンコ屋にもどこに行くのも一緒で。 そして毎日が楽しかった。 長く忘れていた感情や感覚を、自分に与えてくれたのは織姫だった。
「でも、寂しい……織姫と遊べないのとか、会えないのとか寂しいよ」
困らせてしまう、そうわかっていてもルキアは言葉にしてしまった。織姫も首をかしげて「私もだよ」と困ったように笑う。
「でも、もう大丈夫でしょ?」 「え?」 「一護くんが、いるから」 「え、あ!わぁ、な、何を……」
しんみりしていたのに、一護の名前を出しただけで手をばたつかせて慌て出したルキアに織姫は笑った。
「そうそう!それ聞いてないんだけどー?ルキアちゃん2日も一護君と二人でいたのかなー?」 「えっと、あー、……うん」 「一護君に好きだって言われたの?」 「……」 「あら?」
んー?とルキアが変な顔をした。言われたか?私は言ったか?とブツブツ真剣に考えるルキアに織姫はクスッと笑ってしまう。 面白いなぁと織姫は両手で頬杖をしてルキアを眺めた。
私も ルキアちゃんみたく、好きな人に振り回されてみたいな そう思うと浮かぶ、前髪の長い黒髪と眼鏡の奥の優しい瞳
石田さんには、女として見てもらえなかったなぁ
勇気だしてお部屋にまで行ったのに
「一護くんはさ、すぐにルキアちゃん触るよね」 「え!? あー、うん」 「そういうの、いいよねぇ……」 「どうしたのだ?!」 「あたしからアクション起こさなければ触れてもくれないヘタレより、ちょーっと強引なくらいの男の子がいいなと思ったの!」
ぷくりと頬を膨らます織姫に、まさか石田のことか?、とルキアは思うもそれ以上は聞けなかった。
デザートまで食べて二人は店を出た。 どれだけ店にいたのか、気がつけば夕焼け空に変わっていた。
「……いつまで、いられるのだ?」 「あと2週間!」 「そうか……」 「その間ももうずっと第七にいるから、よろしくね!」 「うん、なぁ、皆でどこか行かぬか?」 「わぁ!本当?」 「帰ってから石田や桃達と相談しような!」 「うん!たーくさん思い出つくろーっと」
うむ!、と笑ってからルキアははっと思い出した。 織姫に会ったら一護の家に戻ると約束していたのだ。 でも今は織姫が楽しそうにしている雰囲気を壊したくない。 皆で話して、夜一護の家に行こうとルキアは思った。 今日は仕事に顔を出すと言っていたしな ー ぼんやり思いながら そういえば一護は仕事を辞めると言っていたなと思い出す。 できれば、女の子とべたべたする仕事は辞めて欲しかった。だからそれ自体に異論はなかった。 でもー 一護は会った時からあんな感じだった。 ホストになろうとしたこともあった。 また、夜の仕事を探すんだろうか?それを駄目だと言うつもりはないが、 できれば、昼間に働いてほしいなぁとルキアはぼんやり思った。
◾ ◾ ◾
一護は仕事を既に辞めていた。
週払いでも給料を貰うことができる仕事だったが、一護は月イチの振り込みにしていた。だが今回みたく突然辞めると給料を支払わないでスルーされることがあるからと、赤髪の先輩が一護の辞める話を止めていてくれた。 給料も週払いの申請に変えてくれていたのだ。
「月イチのは普通に振り込まれるから安心しろ。んで、これ先々週のだ」 「助かります、なんか色々すみません」 「いーって謝るな。こんな世界にお前引きずり込んで悪かったと思ってたからよ」
グリグリ、と頭を掴まれる。いや、世話してもらって助かったんすよと一護は素直に礼を言った。 親も親戚もいない1人の自分を、この先輩は世話してくれた。先輩も同じ施設にいたのだ。 4つ上のこの先輩は、一護が口を利けない間も可愛がってくれた。
「おまえは連れてると女が寄ってくるし、喧嘩強いからな。助けてもらってたのは俺なんだわ」 「なんすかそれ」 「大事なシャセイは大事にするってことだ」 「舎弟だろ。本当に馬鹿っすよね」
うるせーなとがはははと笑いながら男は一護の肩をばんばん叩いた。
「あのおちびちゃん、モノにしたのか」 「……言いたくないッスね」 「だから辞めるんだろ?」 「言わねぇっての」 「へーへー。……ちゃんと幸せにしてもらえよ?だからお前もあの娘にやさしくしてやれ?」
幸せにしてもらえよー
一護は男の言葉に思わず戸惑った。 俺が、幸せになる?
「ん?どした」 「いや…… 俺、幸せにしてもらえるんすかね」
はぁ?と男は不可解な奴だなと言わんばかりに男は眉間に皺を寄せた。
「だっておめー、あの娘の傍でいっつもまとわりついてたじゃねーか。ずっと好きだったんだろ?欲しかったんだろーよ」
そうだ、ずっと好きだった 先輩が思うよりもっと昔から あの林檎を渡されたあの日から
「その女を自分のものにしたんだろ?よかったじゃねえか。一方通行じゃなくておまえも愛してもらえるんだろ?」
自分に手を伸ばすルキア 手を握ってくるルキア ねだれば恥ずかしそうに、でもちゃんとキスしてくれるルキア
ルキアも俺を愛してくれている? いいのか? 俺なんかでルキアはいいのか?
俺が幸せになっていいのか?
自分がルキアを幸せにしてやるんだ、傍にいてやるんだとそれしか考えてなかったのだと一護は今更気がついた。
施設に入れられ、それでもルキアが気になり あの町に戻ってルキアを探した。
ルキアは1人になっていた。
天真爛漫な白雪姫は、施設を抜け出して、見に行く度に1人ぼっちだった。 石を投げられ額から血を出すこともあった。 悪徳警官サイテーと野次を飛ばされるのも見た。 それでもルキアは泣いていなかった。表情一つ変えずに逃げもしないで歩いていた。 悪質な虐めは中学でも続いていたようだった。傷だらけで歩く姿を何度も見た。耐えきれず一護はルキアを傷つけた相手に男であろうと女であろうとぼこぼこに殴ったことも何度かあった。その結果何度も補導された。 それでも止めれなかった。 本当ならー ルキアが連れていかれるのを見ている時点で助けるべきなのに
ルキアの前に姿を出せなかった。 自分の存在を知られたくなかった。
そんな自分が ルキアに幸せにしてもらおうなんて考えたことがなかった。本当になかったのだ。 だから一護は混乱した。
「おいそれから、貴枝なんだけどよ」
先輩の声に一護ははっ、と顔をあげた。
「あれから連絡とかきたか?」 「いや?俺、女達の番号も何もかも全部消したし」 「家には?」 「一応オートロックなんで」 「ならいーけどよ。ありゃやべえわ。やりすぎだあいつ死ぬかも」 「は……?」 「もう薄気味悪いんだって。店にも出せなくて今オーナーが監禁してるとか聞いたけどな、わかんねーけど。一回事務所でオーナーとスゲエ喧嘩してた時にお前の名前言ってたらしくてさ、他の女が言ってたけど。貴枝おまえにマジだったみてーだから」 「……そんなこと言われても、」 「わぁーってるよ!ただ執念深そーだから気を付けろよな?お前もだけど、大事な女やられたらたまんねーだろ?」
ルキアを?
そう思った時、一護の背中は凍りついた。 寒気がした。貴枝がルキアに手を出したら貴枝を本当に殺す、と思う。 嫌だ絶対に嫌だ、そんなことは絶対させない。
父娘揃って、自分の周りの中毒患者に殺されるなんてそんなことは絶対嫌だ!
「一護!!」
先輩に揺さぶられて一護ははっと先輩と目が合う。
「大丈夫かよ、お前今怖かったぞ? 気をつけりゃ大丈夫だから、な?おい!しっかりしろ?」 「あぁ……うん」 「びびらせんなよ、スゲェ殺気で俺が殺されるかと思ったわ」 「悪ぃ…… 」
上手く笑えているだろうかと一護はつまらないことを気にした。両手はまだ震えている。
怖い、と一護は思った。
だって昔もそうだったのだ。
つまらない毎日にある日おかしな神様が現れて。お姫様にまで会わせてくれて
今度は、娘も一緒に3人で山登りでも行こうなんて約束までして
夜眠れないくらいの幸せを感じた直後に 神様は消えたのだ 俺の前からこの世界から
だからー
ルキアに触れるだけでなく、求めてもらえるなんて幸せな今も
また消えるんじゃないだろうか? 一瞬で 前触れもなく
幸せなことなんてほとんどないのに
幸せだと感じたらそれは泡沫の夢で終わる
消えるなら 消えてしまうのであれば 消えてなくなるのは、それは俺にしてくれ
震えの止まらない手を、笑いながら擦り続けた。
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