#桜庭 涼太
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やがて終わる空
この道を抜ければ私たちは自由になれるのに
母が留守にするとき、私の家には菜実さんという女の人がやってくることがあった。それは、物心つく前からのことで、特におかしなことだと私は思わなかった。 ただ、菜実さんも、菜実さんの肩を抱く父も、母にはすべてを黙っておくよう私を戒めた。その理由を訊けない私は、父が母には見せない笑顔を菜実さんには向けているのをただ見つめた。 何か、おかあさんが仲間外れみたいで可哀想。 そう思ったけど、パートとか友人との食事から帰ってきた母に、私はおとなしく何も言わなかった。 父と母は、互いに相手に向かって微笑むことがなかった。私のことはかわいがってくれるけど、リコン、という言葉を知ったときには、やがて私の家にはそれが来るだろうと思った。私はどちらかを選ぶのかと悩み、夜、寝つけないときもあった。 父と母は、口論するわけではないし、どちらかが暴れるわけでも、怒鳴るわけでもない。でも、何というか、冷めている。何とも想っていない無関心が伝わってくる。 なのに、なぜ結婚したのだろう。結婚って、好きな人とするものでしょう?
「秋果にはそろそろ話しておくけどね。おとうさんには、昔から好きな女の人がいるの」
父が残業で帰宅が遅くなった夜、母とふたりで夕食を取っていた。メニューは、母のお手製の豆腐ハンバーグで、私はもうじき小学校に上がる春先だった。 私がつねづねの���問を投げかけるまでもなく、機会を待っていたように、母がそんな話を始めた。
「おかあさんは、何にも知らずにおとうさんと結婚しそうだったけど、その女の人、一度おかあさんに会いにきたの。そして、おとうさんと一緒に暮らしてる鍵をおかあさんに返して、『今、あの人の部屋には私とペアで買ったものがたくさんあるけど、どうせなら捨てずに使ってくださいね』って」
おかあさんは、食器棚のお揃いの湯のみとかお皿とかを見た。そして、「負けるか、と思って使ってるけど、やっぱりつらいね」と泣きそうに笑った。 私の頭によぎったのは、当然、この家を訪ねてきては、父に寄り添う菜実さんだった。そう、このとき私は、はっきりと心に決めたのだ。 ああ、私、おかあさんについていこう。
「秋果ちゃん」
小学校に上がって、校庭に咲いているのは、桜からつつじになった。よく晴れた五月の中旬、ちょっと暑いくらいで今年初めて半袖を着た日だった。白とピンクのつつじに目を移していきながら、私は車道沿いの通学路を下校していた。 聞き憶えのある声に、足を止めて顔を上げると、母のあの話を聞いてから避けるようになった菜実さんがいた。家の外で菜実さんに会うのは、初めてだった。
「学校、終わったの?」
無視しようと思ったけど、それを菜実さんが父に言って、父が私を怒ったら? 私は菜実さんと目を合わせないようにしながら、とりあえずこくんとした。「そっか」と菜実さんは私がそっけなくなっても優しいままの声で言う。
「あのね、秋果ちゃん」 「……何」 「私、秋果ちゃんと行きたいところがあるんだけど」
私は精一杯の拒絶で、つつじとそれに集まる蜂を見ていた。けれど、菜実さんの視線は折れないし、沈黙も気まずくて、やっと菜実さんを見た。 茶色の髪を梳いて軽くする菜実さんは、水色のスーツを着ていた。化粧がいつもより濃いように見える。「たぶんね」と菜実さんは私の頭に手を置いた。
「私、秋果ちゃんと会えるのは、これが最後だと思うの」
首をかたむけると、「その理由も話すから」と菜実さんは私の手を取った。 振りはらうべきなのか迷ううちに、軽く引っ張られて、すぐそばに停まっていたグレーの車の後部座席に乗せられた。ドアをばたんと閉めた菜実さんは、すぐ運転席に乗りこんで「一時間くらいだからね」と、あっという間に車を発進させてしまった。 私は窓から外を見て、さっき出てきた校門も通り過ぎるのを茫然と見て、やっと頭の中を蒼白にして菜実さんを見た。 菜実さんが私にひどいことをしたことはない。目つきも手つきも、いつもちゃんと優しい。 でも、やっぱりこの人は私のおかあさんじゃないし、なのにおとうさんとべたべたするし、昔おかあさんに嫌なことだってしたし。いい人��、とはもう思えなくなっている。 だいたい、おかあさんのいないときに、おとうさんと仲良くする女の人が好ましくないのは、小学校にも上がれば分かってくる。この人、私の家に入りこんできて、いったい何なの? この人さえいなければ、もしかしたら、おとうさんとおかあさんも仲が良かったかもしれないのに。 結局、よくよく考えれば、私は菜実さんに最もひどいことをされているのだ。
「お腹空いてない?」
赤信号のとき、菜実さんはそう言って、後部座席にあったふくろからお菓子を取り出した。私のポテトチップスが、いつも“のりしお”なのは、菜実さんも知っている。一応受け取ったけど、がさ、とそれを抱きしめてうつむいた。
「すぐ着かないし、ランドセルも足元に下ろしていいからね」
菜実さんがそう言ったとき、信号が変わってまた車が動き出す。 私はランドセルの肩ベルトを握った。どうすればいいのだろう。いつもの景色が遠ざかるほど、私はどうなるか分からないのに。 叫ぶ? じたばた暴れる? 窓を殴る? 車の中なのに、目を留めてくれる人はいるの? それに何より、私が動いた途端、菜実さんが怒鳴ったり、たたいたりしてきたら。 息が浅くなって、口の中も乾いて、心臓が苦しくなってくる。 どうしよう! どうしよう。どうしよう…… 考えすぎて頭が酸欠でくらくらしてきた。軆が震えないように、今夜切るつもりだった少し伸びた爪を、手のひらに食いこませる。まばゆい初夏の太陽が射しているのに、背骨が無感覚なほど冷たかった。 そんなふうにただ怯えているうちにも、車の窓から見える景色はどんどん変わっていった。 私が住む住宅街や通う小学校の周辺には、かなり大きな駅があるから、見慣れた近所はビルばっかりの都会だ。私は、夜にはネオンがないと不安になる。そして、田舎の夜は真っ暗になるから、大嫌いだった。 なのに、菜実さんが向かっていく景色は、徐々に緑を増やして、ひと気も薄くなっていく。そのうち、車は高速道路にも乗ってしまって、いよいよ私は蒼ざめてきた。 どこに連れていかれるの? おうちに帰してもらえるの? 殺されたり……しない? うつむいて、ポテトチップスのふくろを開けもせずに抱きしめていた。菜実さんがたまに何か声をかけてきても、もう耳に入ってこない。涙が滲みそうになって、唇をちぎりそうに噛んだ。 怖い。怖いよ。おとうさん。おかあさん。私、このまま死んじゃったりしたくないよ。 菜実さんの車が、ふと停まった。下を向いてスカートの赤のギンガムチェックを見ていた私は、そろそろと顔を上げた。 まだ、空は青く明るい。窓に首を捻じると、道路には走る車もなく、でも、左右の田んぼの手前のガードレールにトラックがちらほら寄せられていた。 菜実さんはエンジンを切って、「やっぱりここは、空が���麗だなあ」と後部座席を振り返った。私もそうしてみて、目をしばたいた。後部座席の窓の向こうには、地平線があって、突き抜ける空の青と、ふっくらした雲の白が、互いの色を際立ててくっきり澄んでいた。 菜実さんは車を降りて、一度背伸びをしてから、私のほうにまわってきて、ドアを開けた。
「降りてみて。秋果ちゃんにも、ここの空を見てほしいの」
私はまだ訝る目で、菜実さんを見たものの、ランドセルを下ろして車を降りた。さわやかな風がふわっと抜けていって、スカートがひるがえって、涼しかった。 菜実さんは私の手を取り、トランクのほうにまわって、車によりかかって天を仰いだ。そばにいる何かの工事をしている男の人が気になりながらも、私もそうした。 雲が白波、空が海原になったように見えた。背中を預ける車は、エンジンの名残で熱い。
「あのね、秋果ちゃん」
空を見つめて、こちらを見ないまま、菜実さんはぽつりぽつりと話しはじめた。
「私と直之くん──秋果ちゃんのおとうさんね、ほんとはそう呼んでるの。私たちね、昔から仲が良かったの。直之くんが五歳年上で、ほんとにいいおにいちゃんだったんだ。私は、子供の頃から直之くんと結婚するのが夢だった」
私は菜実さんの横顔を見て、知ってる、と言おうと思ったものの、何となくそれは意地悪な気がして、言えなかった。
「直之くんと結婚して、子供を持って、家庭を作って。最後は一緒にお墓に入る。それさえ叶えば、よかったの。でも、あんなに私と仲良くしてくれてた直之くんのおじさんとおばさんは、私が子供を作れない軆って分かって、変わった。必死に、直之くんを私から引き離そうとした」
子供を「作る」とか正直話がよく分からなかったものの、私は黙って聞いていた。
「直之くんは、それでも私と一緒になりたいって言ってくれてたんだけどね。だから、一緒に暮らすところまではいけたんだ。あの頃が、一番幸せだった。朝起きたら直之くんがいて、お揃いの食器でごはん食べて、直之くんは仕事、私は大学──夜になったら、また一緒に過ごして、同じふとんで眠るの。でも、それだけでい��のを、誰も理解してくれないんだよね。結婚できないんだから別れろ、子供も作れない女なんか捨てろ、直之くんは一時期、親にも上司にもそんなことを言われ過ぎて、ノイローゼみたいになってた。そんなとき、咲枝さん……秋果ちゃんのおかあさんとお見合いしてね。私は、突然直之くんに『別れよう』って言われた。わけが分からなくて、咲枝さんに対して嫌な女になったりした。きっと、咲枝さんにそれを聞いたから、秋果ちゃんは私によそよそしくなったんでしょ?」
私は眉を寄せて考えてから、「よそよそしい」という言葉の意味がよく分かっていなかったものの、うなずいた。菜実さんは柔らかく微笑んで、私の頭を撫でた。
「ここから、あの町、見える?」
菜実さんはそう言って、田んぼのずうっと先、地平線にある小さな町並みを指さした。
「あの町が、私と直之くんの育った町。だから、秋果ちゃんのおじいちゃんとおばあちゃんがいる。このあと、秋果ちゃんのことはそこに連れていくから安心して」
それを言われて、急���にほっとした。おじいちゃんとおばあちゃんが近くにいる。ということは、おうちに帰れる。思わずため息をついていると、「昔、その田んぼの中を、直之くんと走りまわった」と菜実さんは緑色の風景を見やった。
「この道も、昔はこんなに整備されてなかったな。一応、隣の町につながる道として道ではあったけど。よく、直之くんとこの道まで来て、駆け落ちしちゃおうって話した」
そう言ってから、ふと菜実さんは視線を落とすと、「ごめんね」と壊れそうな声でつぶやいた。
「それでも私、もう直之くんは結婚したんだから、あきらめなきゃいけなかったのに。やっぱり好きで、どうしても好きで。そしたら、結婚して子供もできたから、急に周りが静かになった直之くんも、やっぱり私が好きだなんて言ってくれて。それでも、もう私と直之くんは、ダメだったんだよね。何であんなことしちゃったんだろう。咲枝さんが留守にするたび家まで行って、秋果ちゃんにおとうさんがおかあさん以外の女といちゃつくところ見せて。ひどい女だよね。ほんと最低だよね。ごめんね」
なぜ菜実さんが涙を落としはじめるのか分からなくて、私はつながっている手をぎゅっと握った。菜実さんは嗚咽をもらし、「ごめんね」と何度も言った。 工事の人が、たまに怪訝そうにこちらを見ていた。それに気づいた菜実さんは、顔をくしゃくしゃにぬぐって、「この空、何年か経ったら、なくなってしまうの」と私の瞳を見つめて言った。
「高速道路がね、上にできちゃうの。ここから上を見ても、あるのは空じゃなくてコンクリートになっちゃうんだ」
私もう一度、空を仰いだ。雲が緩やかに流れて、青がしなやかに広がっている。
「何度も、この道を抜ければ私たちは自由になれるのにって、直之くんと話した。その道をいつもきらきらさせてた空が、もう閉じられるんだ」
菜実さんは、ゆっくり体重を脚に戻した。私は菜実さんとつないだ手を見て、ふとその左手の薬指に指輪があることに気づいた。その光をじっと見ていると、「子供がいなくてもいいよって人なの」と菜実さんは涙を残しながらも、にっこりした。
「だから、今日でほんとに最後。もう直之くんにも会わないし、秋果ちゃんにもほんとのこと話せた。っていっても、小学一年生じゃよく分からなかったよね。きっと、いつか分かるから」 「……ほんとに、おとうさんに会わなくていいの?」 「うん。やっぱりね、奥さんや彼女がいる男の人を好きでいるのはつらい」 「おかあさん……は、おとうさんの好きな人は、別にいるって言ってたよ」 「私も、直之くんがずっと好き。でも、一緒にいることはできないの。もう、この空がここからは見えなくなるみたいに、終わるんだよ」
私は目を伏せて、菜実さんの手を握った。 この人が、もしおかあさんだったら。そうだったら、すべてはうまくいっていたのだろうか。 おとうさんは幸せ。菜実さんは幸せ。そんなふたりの笑顔で、私も幸せ。 でも、やっぱり私は、結局誰にも愛されていないおかあさんを、一番見捨てられないと感じてしまう。 そのあと、菜実さんは私を祖父母のいる町並みに送った。 私は菜実さんにお金をもらって、駅にあった公衆電話で、祖父母の家に電話をかけた。菜実さんのことはもちろん言わなかったけど、電話に出た祖母はじゅうぶんびっくりして、すぐ迎えに行くと言った。 菜実さんは、私にランドセルとポテトチップスを渡して、車に乗りこむと、祖父母が駆けつける前に去ってしまった。 空を見た。さっきまで青かった空が、桃色と橙々色を溶け合わせて、穏やかに赤くなっていた。その光が雲に映え、夕焼けが広々と空を染めていた。 何でこんなところにひとりで来たのか。電車で来たとしても、お金はどうしたのか。父の実家にとりあえず保護されても、祖父母に細かく訊かれて困ってしまった。 けれど、電話をかけてきた父の何らかの説明で祖父母は落ち着き、両親が迎えに来るまで、もう普通にお盆やお正月のように私を甘やかしてくれた。 もしかしたら、父は菜実さんに最後の連絡を受けて、辻褄を合わせたのかもしれない。分からない。それ以降、菜実さんは本当に私の家に来なくなったし、父はちょっとずつ母に優しくなっていった。母もぎこちなくそれに咲い返した。 私はそんな両親を眺めて、薄れていく“離婚”という言葉を感じながら健やかに成長し、いつのまにか大学生になっていた。 二十歳になった大学二年生の夏休み、私は高校時代からの彼氏である宏昭と、ドライブに出かけた。「どこ行く?」と運転する宏昭に訊かれて、私は父の田舎とは言わずに、あの町に行ってみたいと言った。
「あそこ、何かあったか?」
首をかたむける宏昭と高速道路に乗って、私は高校生に上がってから──特に宏昭とつきあいはじめてから、来なくなった父の田舎に来た。 予想以上に景色が変わり、緑の田んぼは灰色の道路になっていた。右とか左とか指示しながら、私は帰省しても何となく近づかなかった、隣町に続く道にやってきた。 約十三年ぶりだ。宏昭と手をつないで、私は上を見た。 そこは、完全に高架下になっていた。灰色のコンクリートがしっかりできあがり、空をさえぎって、道路は日陰になっている。汗は滲んでくるけど、ぎらつく太陽はないから、ちょっと涼しい。 蝉の声が狂ったように鳴いている。コンクリートをじっと見上げる私に、宏昭は不思議そうにしていたけど、私があんまり強く手を握るから何も言わずに握り返してくれた。
「……終わったのかな」
不意に私はそうつぶやいた。
「えっ」 「ここみたいに、ここからもう空が見えないみたいに、ちゃんと……終わったのかな」
宏昭は、私を見つめた。無論、意味不明で少し混乱したようだけど、私の手を引き寄せて肩を抱いて、頭を撫でてくれた。 そんな宏昭の体温が、薄手の夏服から伝わってくる。その熱は優しく私に溶けて、ほっとするから、少しだけ泣きそうになる。 愛しあって、認められなくて、この道から逃げようとしたふたりがいた。結局、はっきりと確かめられていない。今は携帯電話だって普及した。本当に、おとうさんと菜実さんは終わった? 会っていない? 分からない。分からないけど。 あんなに自由に広がっていたはずの空さえ、今ではこんなふうに閉ざされている。そんなふうに、いくら愛しあっていても、結ばれない���ともある。 だから���は、今、手をつないでくれているこの人を、精一杯大切にしよう。そう、できればこの命が終わるまで。 すべてが終わってしまう、その日まで。
FIN
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2024年5月1日
「春と秋がない」「サンダルで過ごした」4月の平均気温は “史上最高” 飲食業界からはうれしい声も(RCCニュース)2024年5月1日
5月1日は、少しひんやりとしたスタートでしたが、先日は夏のように暑い日もありました。4月は、平均気温が史上最も高く、記録的に暖かい春となりました。
末川徹 記者 「午後1時、広島市中区の平和公園です。1か月前は、��のトンネルだった場所も新緑の葉に置き換わりました。季節の移り変わりを感じます」
4月の広島市中区の最高気温を表したグラフです。アップダウンはあるものの、月の7割以上で20℃を超え、25℃以上の「夏日」が4日ありました。平均気温は17.5℃。これまで最も高かった1998年を上回り、観測史上1位を更新しました。
まちの人は、どのように感じたのでしょうか。
男性 「今でも半そでになりたいくらい暑かった」
女性 「暑かったので、涼しいかっこうだった。トレーナー・パーカーを着ていない。ブラウスやサンダルで過ごした」
「衣替えのタイミングを決められなかった。上着で調整した。(気温の変化で)体調を崩しやすかった」
「(気温が)極端。2023年に比べて、ひどい。春と秋がない。あっても少し」
一方、広島市のデパートからはうれしい声も…。福屋八丁堀本店の「レストランアンダーザスカイ」では、記録的な暑さで売り上げが好調のようです。
福屋 営業本部 横山慧さん 「4月は急激に気温が上がったので、『外で食べたい』との声が多かった。涼しかった(3月の)時期と比べると、売り上げが120%になっている」
4月末にビアガーデンがオープンし、ビールやお肉などが食べ飲み放題で味わえます。夜はイルミネーションが輝く幻想的な空間が広がり、暑い日にこそ、外で食事を楽しんでもらいたいとしています。
広島県内は、この先1か月も、気温が平年より高い見込みです。
ことしの4月は “史上最も暖かい” 北・東日本&沖縄・奄美地方で高温記録更新 西日本でも過去145年で最も高い地点も(RCCニュース)
北日本・東日本と沖縄・奄美で “最も気温の高い4月” に
気象庁は4月の天候まとめを発表しました。北日本・東日本と沖縄・奄美では4月としては統計を取り始めた1946年以降で最も高い気温を更新しました。
日本付近は暖かい空気に覆われやすく、低気圧や前線に向かって暖かい空気が流れ込む日もあったため、月平均気温は全国的にかなり高くなりました。
4月の平均気温平年差は、北日本で+3.2℃、東日本で+2.7℃、沖縄・奄美で+2.6℃と、各地域で1946年の統計開始以降、4月として1位の高温となっています。
また、下旬には多くの地点で、4月として日最高気温の高い方からの歴代1位の記録を更新しました。
全国的に天気は数日の周期で変化し、東日本太平洋側と西日本、沖縄・奄美では低気圧や前線の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多くなりました。沖縄・奄美では15日頃を中心に4月として記録的な大雨となった所がありました。
過去145年間で “史上 最も暖かい” 4月となった地点も
西日本は平年差+2.4℃で観測史上3番目に高い記録で、中国地方でみると、平年差+2.4℃となり、観測史上2番目に高い記録となりました。(1946年以降)
広島県内でみると、広島市中区では4月の月間平均気温は17.5℃となりました。これは、平年よりも+2.7℃高くなり、観測記録が残っている1879年以降の過去145年間で最も気温の高い記録となっています。
そのほかの地点では
福山 16.3℃(平年差+2.6℃)観測史上2位(1942年以降)
呉 16.5℃(平年差+2.1℃)観測史上3位(1895年以降)
庄原 14.8℃(平年差+3.4℃)観測史上1位(1976年以降)
高野 12.7℃(平年差+3.4℃)観測史上1位(1979年以降)
この記録的な暖かさは、日本付近で地上の気温を大きく左右する上空下層の気温が、4月は平年に比べてかなり高い状態が続いたのが影響しています。
4月19日に加計で30.1℃の真夏日となったのをはじめ、晴れた日には季節先取りの暑さとなったことに加えて、朝の冷え込みが弱かったことで最低気温が記録的に高くなりました。広島市中区の4月の最低気温平均は平年よりも+3.6℃も高くなっていて、これが全体の平均気温を大きく押し上げたとみられます。
広島市中区では4月に降水が観測されたのは合計18日もあり、月間の3分の2もありました。
県内各地で月間の降水量は広い地域で平年の1.5倍以上に達しています。
広島市中区182.5ミリ(平年比129%)
呉 182.5ミリ(平年比145%)
福山 150.5ミリ(平年比164%)
庄原 186.0ミリ(平年比174%)
「決算は 激しく上下する燃料価格に翻弄されてきた」 中国電力 純利益は過去最高 電気料金は維持(RCCニュース 4月30日)
中国電力は、昨年度の連結決算で純利益が過去最高の黒字だったと発表しました。
中国電力によりますと、去年4月からことし3月までの売上高は前年比658億円減の1兆6287億円でした。前の年、1553億円の赤字だった純損益は2888億円増えて、過去最高の1335億円の黒字となりました。去年6月からの電気料金の値上げや燃料価格の低下などが要因としています。「財務基盤の回復・強化を優先するため電気料金は維持する」としています。
中国電力 中川賢剛 社長「当社の決算は、ここ2、3年、激しく上下する燃料価格に翻弄されてきたと言っても過言ではない。経営を安定させることが大事だと考えている」
また、中川社長は、ことし8月の再稼働を目指していた島根原発2号機について、安全対策工事や設備点検などが長期化しているため、時期を4か月遅らせ、12月になる見通しを明らかにしました。
中川 社長「行程ありきではなく、安全第一で再稼働に向けて進めていきたい」
中国電力・広島ガスが6月値上げへ 国の補助金半減が主な理由 7月料金も追加値上げの可能性(RCCニュース 4月30日)2024年5月1日に追記
中国電力と広島ガスは、6月の電気料金とガス料金が値上がりになると発表しました。
発表によりますと、中国電力の「スマートコース」では標準的な家庭の6月の電気料金は7894円となります。これは5月より403円の値上がりとなります。
主な理由は、国の補助金の単価が3.5円から5月は1.8円に半減するためだということです。中国電力の値上げは2か月連続です。
広島ガスでは、標準家庭の6月のガス料金は6741円で、5月より149円の値上がりとなります。
こちらも補助金の単価が15円から7.5円に半減することが主な理由です。広島ガスの値上げは7か月連続です。
中国電力・広島ガスとも7月の料金は、6月から国の補助が終了するため追加の値上げの可能性があるということです。
「脱原発」求める議案を提出 中国電力の株主総会を前に原発反対の株主ら(RCCニュース)2024年5月1日
原発に反対する中国電力の株主でつくる団体が、6月の株主総会で提案する「脱原発」を求める議案を提出しました。
中国電力に議案を提出したのは、原発に反対する中電の株主たちおよそ30人でつくる団体です。株主総会の前に毎年、提出していて、ことしは5つの議案をまとめました。
それによりますと、▽活断層の徹底した調査を行い、地震災害に耐えられるような安全対策ができない限り、島根原発の稼働は行わないことや、▽山口県上関町で調査が進む使用済み核燃料の中間貯蔵施設は建設せず、原発自体を廃炉にするよう提案しています。
「脱原発へ!中電株主行動の会」 溝田一成 代表世話人 「もう原発はダメよねと、会社自身がこんなお金のかかるようなものはやめるという判断を早くしてほしい」
木原省治 世話人 「1つの手段として株主総会において提案をする。そして株主というのは中国電力という会社にとって最も重視しなければならない存在だと思っています」
議案は、中電による株主資格などの審査を経て、6月26日の株主総会で提案・審議されます。
「給料上がらないのに物価ばかり上がって…」物価高騰の中で迎えたメーデー 大幅な賃上げ実現を 広島県労連の主催(RCCニュース)2024年5月1日
メーデーの5月1日、広島市でも労働者の集会が開かれました。歴史的な物価高騰が生活を直撃する中、「大幅な賃上げ」を求める声があがりました。
参加者 「全ての労働者の賃上げを勝ち取ろう」
長引く物価高騰で、実質賃金が下がり続ける中で迎えたことしのメーデー。
「県労連」が主催した集会には約400人が参加し、「全ての労働者の大幅賃上げを勝ち取ろう」などと訴えながら、市内をデモ行進しました。
参加者 「労働者に給料と休息を!」
ことしの春闘では大企業を中心に大幅なベアが実現しましたが、中小企業は十分な賃上げが実現できていないといいます。
参加者たち 「厳しいです。給料が上がらないのに物価ばかり上がっているので、生活たいへんです」(医療関係)
「賃上げか物価が下がるかになれば、少しは生活が楽になる」(公務員)
「裏金つくるよりは賃金上げて、社会保障をちゃんとやれと言いたい」(元教員)
「医療職が足りないので。しんどいし、お金にならないのがわかっているのか、なり手も少なくなっているので、給料面から根本的に上げてほしい」(看護師)
参加者は、▽物価高騰を上回る大幅賃上げの実現を目指すほか、▽待遇や給料の格差是正、▽最低賃金を時給1500円以上に引き上げるよう求めるメーデー宣言を採択しました。
「くつろいで」 広島県庁を有効活用 中庭にウッドデッキ設置 平日に一般開放(RCCニュース)2024年5月1日
広島県庁の敷地を有効活用するリニューアル事業で、中庭に再生材を使ったウッドデッキが整備され、1日、一般開放されました。
ウッドデッキが整備されたのは、中庭に面した広島県庁本館の南側で、パラソルやテーブルなどが設置されました。食事や休憩・待合スペースとして一般にも開放されています。
広島市中心��の活性化策として、県庁の敷地を有効活用し、憩いの場にしようと、先月、リニューアル事業の起工式がありました。駐車場があった敷地には、県庁舎と調和するデザインの木造平屋建ての建物を整備し、カフェやレストランなどを誘致する計画です。完成は来年春の予定です。
ウッドデッキはその完成に先だって整備されました。中庭も樹木のせん定や手入れをして、ことし秋までには整備が終わるということです。
広島県 長延亮作 県有資産活用担当監 「県庁に立ち寄ったりとか、県で仕事とかあれば待ち合いとか、憩いで少しくつろいでいただければと思う」
整備費は4800万円で、利用時間は平日の午前8時半から午後5時15分までです。
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太宰府天満宮の仮殿。建築家の藤本壮介設計。大阪万博の会場デザインプロデューサー。 2023年5月より3年をかけて、御本殿124年ぶりの大改修。 菅原道真が亡くなって1125年、2027年の式年大祭前に完成予定。 25年毎に行う式年大祭。25という数字は菅原道真に縁が深い数字。誕生日(6月25日)、亡くなった日(2月25日)、太宰府に左遷が決まった日(1月25日)。 飛梅伝説のような、豊かな自然が御本殿前に飛翔してきたイメージで作られた。
菅原道真を祀る天満宮総本社(北野天満宮とともに)。天神(雷神)。学問の神様、文化の神様。創建919年。官幣中社。
飛梅伝説。道真が太宰府に左遷された際に、いなくなる道真を慕う庭木たち。桜は枯れてしまい、松と梅は太宰府へ向けて飛び立ち、松は途中で力尽き(神戸の板宿八幡神社)、梅は太宰府までたどり着いた。 菅原道真(845−903)。山陰亭(菅原家三代の私塾)を主宰、文人社会の中心的存在となった。讃岐国に左遷(886−890)。宇多天皇に重用された。遣唐使廃止(894)。899年右大臣。901年、藤原時平(左大臣)の陰謀(昌泰の変(しょうたいのへん))で太宰府に左遷(子供4人も流刑にされた)。太宰府への移動も実費、左遷後は俸給や従者も与えられず、政務にあたることも禁じられた。2年後に、太宰府で亡くなった。死後、藤原氏の相次ぐ病死、数多くの死傷者が出た清涼殿落雷事件は道真の怨霊によるものとされ、北野天満宮にて丁重に祀られた(死後、左大臣、太政大臣の位を与えられた)。 Dazaifu Shrine. Fukuoka.
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各地句会報
花鳥誌 令和5年10月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年7月1日 零の会 坊城俊樹選 特選句
あぢさいや錆ゆくときもずぶ濡れて 光子 雨に白く汚されてゐる木下闇 緋路 サイレンも街騒もまだ梅雨の底 久 鉄骨が叩く鉄骨濃紫陽花 緋路 見覚えのビルはもう無くサルビアに いづみ 夏草のつぶやくやうな雨であり 和子 鉄条網梅雨の蝶さへ寄せつけず 同 支へ切れぬ天へ石柱梅雨深し 昌文 飛石をぬらと光らせ五月雨 久 その人は梅雨に沈みながら来る 順子 五月闇不穏な波の来るといふ はるか
岡田順子選 特選句
列車音遠ざかるとき浜万年青 はるか 庭石は梅雨のものとて黄泉のもの 俊樹 サイレンも街騒もまだ梅雨の底 久 鉄骨が叩く鉄骨濃紫陽花 緋路 雨の日の桔のうしろすがたかな 美紀 萱草のそびらに恩賜なりし闇 光子 潮入りのみづは昔や通し鴨 いづみ 支へ切れぬ天へ石柱梅雨深し 昌文 瞬ける雨粒蜘蛛の囲の銀河 緋路 雨に白く汚されてゐる木下闇 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月1日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
鹿の子啼く隠れの島に入日濃く 修二 たはむれの莨にむせし桜桃忌 久美子 寂しさを下から崩すかき氷 朝子 茉莉花の別れ際こそ濃く匂ふ 美穂 不如帰久女の夢と虚子の夢 修二 首の無きマネキン五体暑き日に 愛 蟬生る瓦礫の闇の深きより かおり ひまはりの花と育ちて銃を手に 朝子 バレエ団の窓へブーゲンビリア満つ 愛 蔓薔薇をアーチに育て隠居せる 光子 うつし世のものみな歪み金魚玉 かおり バス停のバスまで覆ふ夏木かな 勝利 梅雨空にジャングルジムがひつそりと 修二 襖絵の孔雀の吐息寺炎暑 勝利 君嫁して香を失へり花蜜柑 たかし
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月6日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
らつぱ隊香り奏でる百合の花 さとみ 風鈴が相づちを打つ独り言 都 香水に縁の無き身や琥珀色 同 身ほとりの置き所無き土用の入り 同 滴りの奥にまします石仏 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月7日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
黒塀や蔵してをりし八重葎 宇太郎 ふりかへる��丘の海の線は夏 同 葛切や玻璃にスプンの当る音 同 夏草の中の林道下りけり 同 ソーダ水斜めに建ちし喫茶店 同 向ひ風麦藁帽を光背に 同 白服を吊りたる明日の再会に 悦子 浜昼顔一船置きし沖を恋ふ 同 白南風旅の鞄をコロコロと 美智子 足跡や巡礼のごと砂灼けて 栄子 紫陽花やうた詠むくらし悔もなく すみ子 玫瑰の咲くや砂丘の果の路 益恵 躊躇なく風紋踏んで白い靴 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月8日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
早苗饗や手足を伸ばす露天の湯 幸風 はらからや薄れゆく過去心太 百合子 一品を後からたのむ心太 秋尚 青楓雄々しく抱ける年尾句碑 三無 天草の歯ごたへ確と心太 文英 朝顔に護符つけ市の始まりぬ 幸子 朝顔のつぼみ数へて市を待つ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月10日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
西日射す鏡に海女の手櫛かな 昭子 兜山古墳を包む大夕焼 ただし 良き事の有りや無しやの今朝の蜘蛛 信子 信州に梅雨のかけらの雨が降る 三四郎 石も又涼しきものの一つかな 昭子 香水や周囲の心独り占め みす枝 梅雨寒や口を預けて歯科の椅子 信子 うなだれて少年の行く片かげり 昭子 僧逝きて久しき寺の夏椿 英美子 猛暑日や万物すべて眩しめり みす枝 天近き牧牛の背や雲の峰 時江 コップ酒あふる屋台の日焼顔 英美子 サングラス外し母乳を呑ませをり みす枝 かぶと虫好きな力士の名をつけて 昭子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月10日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
芋焼酎醸す香りの満つる街 三無 団扇さし出かける孫の下駄の音 ことこ それぞれが里の焼酎持ち寄りて あき子 老媼の団扇頷きつつ動く 和魚 児に送る団扇の風のやはらかく ます江 店先で配る団扇の風かすか ことこ 泡盛の味覚えたりこの良き日 同 団扇手に風のざわめき聞く夕べ 廸子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月11日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
沖縄の鳳梨乾いた喉癒す 裕子 青空や収穫の日の夏野菜 光子 夕暮れは車窓全開青田風 紀子 貝釦一つ無くした夏の暮 登美子 まだ聴けるカセットテープ夏深し 同 雲の峰送電線は遥かなり 令子 夕焼に路面電車が揺れてゐる 裕子 鐘を撞く寺は山上雲の峰 令子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月11日 萩花鳥会
透き通る海は自慢よ海開き ��子 救助士の臀筋たくまし海開き 健雄 夏草や一対すべて青の海 俊文 生ビール久方ぶりや子とディナー ゆかり 引く波に砂山崩る海開き 恒雄 天の川点滅飛機の渡りゆく 美惠子
………………………………………………………………
令和5年7月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
羅を纏ひしものの身の一つ 世詩明 天国も地獄も自在孟蘭盆会 同 風の盆男踊りの笠深く 幹子 盆の供華華やいでゐる村の墓地 同 ギヤマンの風鈴揺れる蔵の街 嘉和 古団扇思ひ出の新しき 雪 縁側に男冥利の裸かな みす枝 ナツメロを口ずさみつつ草を引く 富子 蓮開く様自力とも他力とも やす香 神主の大きな墓を洗ひけり ただし 在りし日のままに夏帽吊し置く 英美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月16日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
田舎家の土間のだんまり朝曇 要 炎帝の遣はす鴉黒く群れ 千種 会釈する日傘に顔をなほ深く 同 夫恋ひの歌碑を見てより秋近し 炳子 飴色に枯れ空蟬の垂れ下がる 久子 古民家の故郷の匂ひ壁に黴 経彦 三猿の酔ふ草いきれ庚申塔 眞理子 古民家の茅屋根匂ふ炎天下 三無
栗林圭魚選 特選句
蓮花の水面の余白空の青 亜栄子 カラフルな浮輪乗り合ふ市民バス 久 じやぶじやぶと揃ひのティーシャツ水遊び 三無 咲き足せる泰山木の真白かな 秋尚 森少し膨らませをり蟬しぐれ 慶月 水音に誘はれつつ灼くる道 眞理子 惜しげなく涼しさ放つ水車小屋 要 ひとときの静謐滝に対峙して 久子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月19日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
マッカーサーパイプ咥へてアロハシャツ 千加江 遠雷や織部の茶碗非対称 泰俊 二業地に一の糸鳴る夜涼かな 同 悠久の光り湛へて滴れり 同 青田風満目にして夕仕度 清女 脱ぎ様のまことしやかに蛇の衣 雪 退屈をもて余しゐる古団扇 同 洗ひ髪訪ふ人も無く待つ人も 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月21日 さきたま花鳥句会
沢蟹の渡る瀬石に日の名残り 月惑 空蟬や辞書に挟まる紙兜 八草 家眠る厨にひとりバナナ剥く 裕章 山の水集め男滝の帯となる 紀花 どら猫にまさる濁声夏の風邪 孝江 炎天に心字の池面雲動く ふゆ子 打水や土の匂ひの風生まる 康子 行くほどに街路華やぐ百日紅 恵美子 睡蓮の葉を震はせて鯉の道 みのり 八の字を書きて茅の輪を潜りけり 彩香 誘蛾灯今は無人の故郷駅 静子 枇杷熟るる眷属訃報また一人 良江
………………………………………………………………
令和5年7月22日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
半夏生何処が嫌ひと云はれても 雪 蛇にまで嫌はれさうな蛇苺 同 何処をどう突いてみても蟇 同 お隣りは今はの際と虎が雨 一涓 師の友は文教場址合歓の花 同 守宮まづ招き入れくれ舎入門 同 忘れじの人今も尚蛍の夜 同 入道雲天下制する勢あり みす枝 藍浴衣片方だけにピアスして 昭子 サングラス外して妻は母となる 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月23日 月例会 坊城俊樹選 特選句
空蟬や地中の記憶あるらしく 要 靖国の坂みんみんの急くに急く 昌文 炎天に零戦仰角三十度 佑天 鳥居へとまぬがれがたき炎天を はるか その日近付き靖国の灼けてをり 慶月 みんみんの高鳴く魂の声として はるか
岡田順子選 特選句
熱き骨ぽきぽきたたみ日からかさ 眞理子 真白な祢宜の出て来し木下闇 政江 笛の音の遠くに生まれ夏の果 光子 零戦を撮る少年の夏休み 慶月 下乗せし老女紅濃く夏詣 同 英霊に七日の魂の蟬時雨 政江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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✺アーティスト
取り急ぎ…
盛り上がる曲
かわいい曲
かっこいい曲
バラード系の曲
男性の歌、女性の歌
年代別…
アイドルの歌
洋楽系
Avril Lavigne(3曲ぐらい)☆
テイラースウィフト(4曲くらい)
アリアナ・グランデ(2曲くらい)
ヴァネッサ・カールトン(A thousand miles)☆
アンドレア・ボチェッリ(Time to say Goodbye)
イディナ・メンゼル(Defying Gravity)
カーリー・レイジェプセン(2曲)
クリスティーナ・アギレラ(beautiful)
ザ・チェインスモーカーズ(Closer)
バックストリート・ボーイズ(3曲くらい)
マライヤキャリー(クリスマスの歌のやつ)
リアーナ(Take a bow)
レディーガガ(ボーンディスウェイ)
A1(Same old Brand new you)顔で歌ってる動画みてほしい
Boyce Avenue(fast car)
カーペンターズ(Close to You)
JPOP系(アニソン歌手etc)
森高千里(ララサンシャイン)
広瀬香美(ロマンスの神様)
大事MANブラザーズバンド(それが大事)
松原みき(真夜中のドア)
class(夏の日の1993)
松平健(マツケンサンバ)
ドリカム(7曲くらい)
Every Little Thing(3曲)
ZONE(2曲)
あたらよ(晴るる)
安藤裕子(僕らが旅に出る理由)
安室奈美恵(7曲くらい)☆
絢香(10曲くらい)☆
平原綾香(3曲くらい)
MISIA(4曲くらい)
福原美穂(3曲くらい)
Superfly(5曲くらい)
AI(4曲くらい)
HY(366日)
クリスタル・ケイ(2曲)
家入レオ(4曲くらい)
YUI(15曲くらい)☆
YUKI(15曲くらい)
aiko(10曲くらい)
chara(2曲)
柴咲コウ、KHO+(10曲くらい)
いきものがかり(5曲くらい)
Do As Infinity(5曲くらい)
水樹奈々様(6曲くらい)
LiSA(5曲くらい)
やくしまるえつこ・相対性理論(10曲くらい)
さユり(ミカヅキ(本家ore男装ver))
坂本真綾(30曲くらい)☆
アリプロ(2曲)
島みやえい子(5曲くらい)
Lia(4曲くらい)
Kalafina(7曲くらい)
霜月はるか(3曲くらい)
未来古代楽団(忘れじの言の葉)
Sound Horizon(2曲)
鈴木このみ(2曲)
やなぎなぎ(4曲)
supercell(10曲くらい)
EGOIST(10曲くらい)
茅原実里(5曲くらい)
牧野由依(5曲くらい)
Suara(夢想歌)☆
分島花音(2曲)☆
藤田麻衣子(2曲くらい)
美波(カワキヲアメク)
宮川愛李(2曲くらい)
ユリカ/花たん(永遠という場所)
澤野弘之()☆
Ado(2曲くらい)
Aimer(Ref:rain)
eufonius(リフレクティア)
伊藤由奈(2曲)
宇多田ヒカル(20~30曲)☆
倉木麻衣(7曲)☆
元ちとせ(2曲)
(ハナミズキ)
夏川りみ(2曲)
手嶌葵(4曲くらい)
オーイシマサヨシ(3曲)
秦基博(2曲くらい)
星野源(6曲くらい)
米津玄師
三浦大知(5曲くらい)
清水翔太(Women Don't cry)
大塚愛(3曲くらい)
浜崎あゆみ(5曲くらい)
JUJU(2曲くらい)
mihimaru GT(3曲)
西野カナ(4曲くらい)
岡崎体育(感情のピクセル)
サンボマスター(8曲くらい)
湘南乃風(バブル)
椎名林檎(6曲くらい)
鬼束ちひろ、東京事変(7曲くらい)
小野恵令奈(えれぴょん)
BONNIE PINK(4曲くらい)
中島美嘉、Nana(3曲)
ラブサイケデリコ(Last smile)
Perfume(5曲くらい)
miwa(5曲くらい)
加藤ミリヤ(2曲)
川��あい(2曲)
川田まみ(2曲)☆
Kiroro(6曲くらい)
清水美依紗(Starting Now〜新しい私へ)
きのこ帝国(3曲)
TRUSTRICK(5曲くらい)
木村カエラ(5曲くらい)
ヨルシカ(3曲)
yama(4曲くらい)
Yunomi(インドア系ならトラックメイカー)
Reol(2曲)
YOASOBI(4曲くらい)
緑黄色野菜(Mela!)
Rie fu(5曲くらい)
RYTHEM(3曲)
moumoon(どこへも行かないよ)
CHEMISTRY(2曲)
ミスチル(5曲くらい)
ポルノグラフィティ(6曲くらい)
スピッツ(3曲くらい)
東京スカパラダイスオーケストラ(3曲くらい)
King Gnu(4曲くらい)
I Don't like Moneys.(2曲)
official髭男dism(4曲くらい)
FLOW(3曲くらい)
ORANGERANGE(3曲くらい)
BUMP OF CHICKEN(10曲くらい)
RADWIMPS(6曲くらい)
UVERworld(15曲くらい)
Suchmos(STAY TUNE)
WANIMA(GONG)☆
NICO Touches the Walls(4曲くらい)
ミセスグリーンアップル(4曲くらい)
ASOBOiSM(明日はくる)☆ 配信して…
クリープハイプ(イト)
優里(2曲)
ぼくのりりっくのぼうよみ(SKY's the limit)
アジカン(8曲くらい)
Klang Ruler(タイミング~Timing~)
GReeeeN(4曲)
[Alexandros](2曲)
SPYAIR(3曲)
シド(2曲)
ケツメイシ(さくら)
スキマスイッチ(3曲くらい)
グリーンボーイズ(2曲)
GLAY(ff14のドラマのやつ)
ラルクアンシエル(3曲くらい)
ゴールデンボンバー(3曲)
ゲスの極み乙女(ロマンスがありあまる)
JanneDaArc(2曲)
サカナクション(3曲)
KANA-BOON(4曲くらい)
シナリオアート(サヨナラムーンタウン)
SEKAINO OWARI(2曲)
空音(Hug)
imase(2曲)
たかやん(反面教師)
けみお
SHAUM(Way back home)
CTS(唯我独尊ONLINE ONE)
BABYMETAL(4曲くらい)
ももクロ(行くぜっ!怪盗少女)
坂46(サイレントマジョリティー)
末吉Q太郎(機材席開放ってなんですか?)
橋本裕太(NEW WORLD)
元気ロケッツ(Heavenly star)
川本真琴(½)
ねごと(シンクロマニカ)
トンガリキッズ(Bダッシュ)
T.M.REVOLUTION(2曲)
JAMプロ(3曲)
SIAM SHADE(⅓の純情な感情)
AAA、Nissy(5曲くらい)
EXILE(3曲くらい)
アニメ
おじゃる丸(5曲くらい)
シャーマンキング(5曲くらい)
スラムダンク(3曲くらい)
機動戦士ガンダムシリーズ(5曲くらい)
マクロスシリーズ(30曲くらい)
創世のアクエリオン(2曲)
ヴァイオレットエヴァーガーデン(Sincerely)☆
NARUTO(20曲くらい)
鋼の錬金術師(10曲くらい)
ジョジョの奇妙な冒険(2,3曲)
デスノート(1,2曲)
ポケモン(20曲くらい)
コードギアス(4曲)
テニプリ・テニミュ(100曲くらい)
銀魂(10曲くらい)
家庭教師ヒットマンREBORN!(3曲くらい)
涼宮ハルヒの~(20曲くらい)
らき☆すた(10曲くらい)
とある魔術、科学の~(5曲くらい)
とらドラ(2曲)
ギルティクラウン(10曲くらい)
ひぐらしのなく頃に~(15曲くらい)
ハヤテのごとく!(ハヤテのごとく!)
みなみけ(2,3曲)
けものフレンズ(ようこそジャパリパークへ)
艦これ(海色)
ラブライブシリーズ(8曲くらい)
キノの旅(3曲くらい)
宝石の国(鏡面の波)☆
桜蘭高校ホスト部(3曲)
BEASTARS(2曲)
ユーリオンアイス(2曲くらい)
���界戦線(3曲(うち2曲多分配信されてない))
マギ(V.I.P)
ソールイーター(style.)
Dグレ(2,3曲くらい)
ヒカルの碁(Get over)
幽遊白書(2曲くらい)
エウレカセブン(5曲くらい)
ONEPIECE(100曲くらい)
ARIA the animation(10曲くらい)
CHAOS;CHILD(chaos symphony)
key作品シリーズ(15曲くらい)
ウィザード・バリスターズ(JUSTITIA)
天元突破グレンラガン(空色デイズ)
夏目友人帳(あの日タイムマシン)
ボボボーボ・ボーボボ(2,3曲)
うたのプリンスさまっ(2,3曲くらい)
絶望先生(2,3曲)
デュラララ(2曲)
モブサイコ(2曲くらい)☆
カウボーイビバップ(2曲(配信してる?))
ハイキュー(3曲くらい)
ケロロ軍曹(10曲くらい)
ツバサクロニクル(5曲くらい)
宇宙兄弟(2曲くらい)
BLACK CAT(ダイアの花)
ToLOVEる(forever we can maki it!)
仮面ライダー(4曲くらい)
プリキュア(初代、5(op))
おジャ魔女どれみ(おジャ魔女カーニバル)
無人惑星サヴァイブ(僕らのメッセージ)
魔法少女隊アルス(DuDiDuWa*lalala)
ゲーム系etc
FF14、THE PRIMALS(配信しろ)
NieR(カイネ)
ボカロ(10~20)
あんスタ(30曲)
アイナナ(5曲くらい)
ヒプノシスマイク(10曲くらい)
パラドックスライブ(BaNG!)
ガルパンRoselia(5曲くらい)
アイドルマスターシンデレラガールズ(10曲)
テイルズオブシリーズ(シリーズのOP全部)
龍が如くシリーズ(2曲くらい)
薄桜鬼(2,3曲)
HoneyWorks(3曲)
映画系
ディズニー・ディズニーチャンネル(50曲くらい)
ジブリ(5~10曲くらい)
細田守監督の映画のやつ(5曲くらい)
新海監督の映画のやつ(2,3曲)
天使にラブソングを
ザ・グレイテストショーマン
Rent(seasons of Love)
ジャニーズ系
嵐(50曲くらい)
KinKi kids
NEWS、テゴマス(15曲)
関ジャニ(10曲)
WEST
キンプリ
なにわ男子
KPOP系
BTS(5~10曲くらい)
IU(Good day)
BLACKPINK(5曲くらい)
少女時代(Gee)
TWICE(Yes or Yes)
東方神起(2曲くらい)
ドラマetc
勇者ヨシヒコ(2曲くらい)
ドンキの歌
雅マモル(配信しないんか?)
木更津キャッツアイ(シーサイドバイバイ)いっしょにやっさいもっさいしてくれる人募集
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春告げ鳥が飛んだ
某日、曇天。東京のとあるカフェにて。 「絶対言う方」 告白する方とされる方ならどっち? というありきたりな問いに、鈴芽はきっぱりとそう答えた。 「え、そうなん? なんか意外」 店内の喧騒に負けない様、千果が少しだけ声を張る。ぐっと身を乗り出した瞳には、若干の好奇心が宿っていた。きらきらとしたその輝きに、内心で鈴芽はそっと謝る。 ごめん、そんなきれいな話じゃないんだ。 「前に叔母さんとのこと話したでしょ。小さい頃、ひとりになった私を迎えに来てくれた時にね、叔母さん……環さんが「うちの子になろう」って言ってくれたんだ」 「うん」 「ちっちゃかったから、そんなにはっきり覚えてるわけでもないんだけど、環さんが来てくれて、自分がいてもいい居場所を作ってくれて、うれしいっていうか、ほっとした気持ちもあったんだよ。あったんだけど……」 一旦言葉を切った鈴芽が、静かに目を落とす。 その先は正に、告解するような心地だった。 「私……多分どこかで、環さんの言葉を恨んでた。私はお母さんの子なのに、何でよそのうちの子にしちゃうのって」 迎えにきてくれてありがとう、私の為に頑張ってくれてありがとう、という気持ちと、 ──やめて。すずめをつれてかないで。お母さんのところへ行かせて。 ──私にばっか構ってないで、ちゃんと自分のやりたいこともやってよ。 そういう、「どうしようもない駄々」をこねた気持ちを、鈴芽はもう長らく胸で飼い慣らしてきたけれど。 グラスの水面に映った自分の顔は、存外穏やかな顔をしている。ふと頭に、「すずめのだいじ」と蓋に書いた赤い缶のことが過った。環に引き取られた頃、新たに手に入れた「宝物」が入っているあの「宝箱」こそ、今の鈴芽の証左であることは、確かで。 「だからね、今度誰かに何か大事なことを言う時は、絶対私の方から言うんだって決めてるんだ。私が決めて、そのひとを「そう」選んだんだって」 「なんか恥ずかしいこと語っちゃったな」、と鈴芽は明るくおどけて締めくくる。手持無沙汰にくるくると手許のグラスを回す彼女の様子は、傍から見ても悲嘆さは感じられなかったらしい。だから千果も敢えて深くは触れず、「そっか」と軽く相槌を打つ。 「で、いつ言うの?」 「えっとね……」 だいじにだいじにしていることを、鈴芽はそっと千果の耳元へ囁いた。
◇
某日、快晴。東京のとある校舎にて。 「あれ、そういえばそもそも、今日は鈴芽ちゃんの誕生日じゃないっけ?」 お前休日出勤してる場合かよ、と芹澤が茶化す。草太は涼しい顔をして、窓の外の校庭へ目を向けた。 「さすがに今回はご家族に譲ったよ」 「ん?」 何だか含みのある草太の言い回しに、芹澤は内心首を傾げて、悟った。 「……ああ、そっか。あの子ももうそんな歳か」 「そう。もうそんな歳」 草太の視線の先には、すっかり葉桜を茂らせている、桜並木だけが映っている。
◇
Xデー当日、快晴。鈴芽のアパートにて。 「カンパーイ!」 カキン、と小気味良い音をグラス同士が鳴らし合う。用意した酒やつまみに手を伸ばしつつ、環と鈴芽はこれまでの思い出話に花を咲かせた。 幼稚園、小学校、高校、そして大学。伊達に十年以上を共に過ごしていないから、語りたいことはいくらでもあった。 出てくる話題それぞれに、あれから何年とふいに思い返すたび、環の心に少しずつ感慨なんてものが湧いてくる。 この子もとうとう、旧年齢でも成人したのだ、と。自身の役目の終わりをひとつ、悟って。肩の荷が下りて、ほっとした様な、寂しい様な、むなしい様な。漠然とした不安をつい、感じてしまって。 燃え尽き症候群ってやつかしら、と、内心自嘲する。 「ここで不肖岩戸鈴芽、環さんに贈りたい言葉がございます」 ふいに鈴芽が、お行儀よく正座し体制を整え出す。あんまりにもしゃちほこばった様子に、つい笑ってしまった。 「ふふ、なんねなんね」 「あのね」 一拍置いて、
「環さん、私と家族になってくれる?」
妙にその言葉が、環の耳に刺さって残った。 上がっていた口角が下がるのを感じながら、鈴芽の方をまじまじと見やる。赤茶っぽい瞳もまた、そんな環を一直線に射貫いていた。 少しだけ不安そうなくせに、目が合えばしっかりときれいに笑う、若者。 環の愛の結晶は、確かにそこできらきらと輝いていた。 ──鈴芽、うちの子になろう。 そう、自分で決めて言ったものの。 正直な話、鈴芽を育てることが辛くなかった、といえば、嘘だ。 諦めなきゃいけなかったことも、投げ出してしまいたかったことも、正直両手の指じゃ足りないほどある。 でももちろんそれだけじゃなくて。 幸い環は、比較的周囲に恵まれていた方だった、と思う。鈴芽が熱を出せば早退を許されたし、ある程度学校行事への参加を鑑みて有休も取りやすく計らってもらえた。周りからは、そんなに肩肘張らなくても大丈夫、なんて言われることすらあって。 だけど環は、それでも、片時も目なんか離せなかった。だって所詮、自分の本当の子ではないのだ。血は繋がっているが、それでも自身の腹を痛めて産んだわけではない、他人の女の子。 気を遣うなという方が無理だ。気に負うなという方が無理だ。 身軽だった自分の足枷にしかならないこんな存在、嫌うな、という方が、無理だ。 けれど自分の袂ですくすくと育ちながらも、遠慮を持って自身に懐くこの命を、愛するなという方が、無理で。 ──私の人生返してよ! いつかの日。今だって死ぬほど後悔してる、死ぬまで言う気が無かった言葉が、不意に環の頭に浮かんでは消える。 「あー……」 咄嗟に呻いて、目の前の鈴芽をぼやけた視界で、そっと見つめる。自身ともう幾何も変わらない体格や、しゅっとしてきた頬と鼻筋に、環は心底実感する。本当に、この子はこんなにもちゃんと、大きくなった。 ぽつり、一粒だけ頬から雫が滑り落ちる。 たとえ取り戻せはしなくても。 失くしたと思っていたものは、確かにここに在ったのだ。
ああ、私の十六年は、この子の形をしていたのだと。
そしてこれから先もきっと、それは変わらなくて。ただ、年月だけが積み重なっていくのだと。 自分の宝の重みに、環はそっとこうべを垂れる。やだな、もう。なんて悪態を吐いてしまうほど、眼の奥が熱くて熱くて、痛くてたまらない。更には「お嫁に行って欲しくないな」なんて、突拍子もないことまで考えてしまったので更に泣けてきた。多分無理だろうけれど、と胸中で加えつつ。 「もぉひっどい子……こんなおめでたい日に泣きたくなんかなかとよ……」 「はは、産声みたいなもんだって」 「何のよぉ」 「家族再誕について?」 あっけらかんと──今まで自分には見せなかった顔で──鈴芽が笑う。何だかもう、本当にたまらなくなって、環は手近にあったビールをひっ掴み、勢いよく煽った。 強い酒でも無いのに、喉が焼ける。飲み込んでも、何だかまだまだ泣いてしまいそうで。だけど、うれしくてうれしくて。環はやけくそ気味に、声と缶を高らかに張り上げた。 「はぁ……もぉー! 私のかわいい家族の誕生日に、乾杯!」 「あははっ、カンパーイ!」
この日、珍しく環が酔い潰れたのだと。翌日に草太は鈴芽から嬉しそうに聞かされて、よかったねと頷いた。
更に後日。 定例通話の際、妙にふわふわとしている鈴芽の声に、環はいろいろと察してしまった。 ──ああ、そうやね宗像くん……君も待ってた側やもんね……いやでもさぁ…… かわいいあの子の旧成人を首を長くして待っていてくれたことに、感謝半分、親心としては正直、複雑だったと。 そういった話を環から聞かされた芹澤は、こんなに盛大にハタチを待ち望んでもらえる女の子もそうそういないよなあ、と。何だか感慨深くなったとかならなかったとか。 どっとはらい。
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Why tsukipara made chibi honeybunny moe kyot moff soff chibi Ryou again in this 2 years.
But thanks anywha e y
#tsukipara#tsukipro#tsukino production#Tsukino paradise#ツキノパラダイス#ツキプロ#sakuraba ryota#fanart#桜庭 涼太#Growth#alive growth#soara#alive soara#kagurazaka soshi#yaegashi kensuke#Kenryo
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I’ve been listening promessa yesterday and this morning it’s looping in my head since i woke up. LOL.
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[Fun] Advent Calendar Day 17
Q17: who are your top 3 (or more) tsukipro characters 2020?
① Munakata Ren (宗像廉) [obviouse… since my №2 plays Ren–kyun ] ② Hazuki You (葉月陽) [Shuuuuuuuuuutooooooo, okaeri~♡] ③ Sera Rikka (世良里津花) [well… who doesn’t love Rikka O_O?? 笑] ④ Sakuraba Ryouta (桜庭涼太) [was my very first ☆☆☆☆ card^^] ⑤ Etou Kouki (衛藤昂輝) [simply because of Hide-sama’s fansa during ivesute2 笑]
→ if you feel like it, you can write your answer in the comments, reblog it or even make your own post (+ #advent calendar & @leenaevilin so I can see your post^^)♡
let’s have some fun together (((o(*゚▽゚*)o)))♡
well… basically nothing changed since the last 2 years but just in case: >>Advent Calendar Day 17 ~ 2019<< >>Advent Calendar Day 17 ~ 2020<<
#advent calendar#tsukipro#宗像廉#munakata ren#葉月陽#hazuki you#世良里津花#sera rikka#桜庭涼太#sakuraba ryouta#衛藤昂輝#etou kouki
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Ryota-kun!!
Got a 80+th rank in the previous event for him, super happy so I drew a fanart!
Twitter @wynnfield27
Insta @himawari_shu
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今までに何度も読み返している漫画、山岸涼子著『日出処の天子』と、昨年末から読み始めてすっかりどっぷりハマって読んでいる岩波文庫版『日本書紀』です📚
どちらも、ほぼ「ご近所物語」で、特に聖徳太子が厩戸王子(または厩戸皇子、豊聡耳王子)だった頃は我が家から徒歩数分の場所にお住まいでした(らしいです)。散歩がてら歩いて遊びに行きました😆
まずは厩戸王子ご本人のお住まい(上宮 『かみつみや、うえのみや』、南上の殿 『かむつのみや』)だったと比定されている「上之宮遺跡」です。お庭の排水溝跡が発掘され保存されています。斬新で凝った排水溝です🤔
ここは住宅街ですし、すぐそばに学校も建設されているので、上宮(宮殿)の建物を復元するには残念ながら手遅れです😔
排水溝というより、当時は何より貴重だった水路の掌握や新技術を誇示した権力の象徴のように感じます。
上宮や南上の殿 『かむつのみや』と呼ばれていたのは、厩戸王子の父である豊日大兄皇子(後の橘豊日天皇、諡号・用明天皇)の宮がここより北の方角で低い地にあったからのようです。(主屋の上にある宮、南の上の方の宮という意味でしょうか。)
こちらは用明天皇(橘豊日天皇)の宮(池辺雙槻宮 『いけべのなみつきのみや』)跡に比定されている石寸山口(いわれやまぐち)神社です。こちらの方が我が家からは近いです。石寸と書いて「いわれ」と読み、転じて磐余となりましたが、桜井の古い呼び名だそうです。
江戸時代は雙槻神社と称していたそうです。鳥居のすぐ後ろに2本、杉の木が植えられていて雙槻を演出して��るかのようです🌲🌲
現在は木材業界繁栄の守護神だそうです。桜井は古代から昭和初期頃まで木材の河運による集積地で、この近くに木材集積地がありました。
神社のすぐ目の前に池があって、まさに「池辺」という感じがします。
雙槻は、上掲の二股の樹ではないかという話もあるようですが、まさか1400年前からあるとは思えません。古い樹だとは思いますが、時代を随分と下って植えられたものだと思います。でも雰囲気は出ています。
ちなみに神武天皇こと神日本磐余彦天皇(かむやまといわれびこのすめらみこと)と長髄彦(ながすねひこ)が決戦したのもここら辺りです😅(日本書紀 巻第三 神日本磐余彦天皇「神武天皇」より)
南上の殿から池辺雙槻宮は直線距離だと約750m ぐらいですが、実際に道を歩くと15分ほどかかっていましたので1km以上ありそうです。ご一家の敷地はどれほど広かったのでしょうね。その広大さを考えますと、当時の王族の絶大な権力がよくわかりました🚶♀️💦
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ALIVE その1 Side.G (Growth)
衛藤昂輝/Etou Kouki (CV. 土岐隼一/Toki Shunichi) 八重樫剣介/Yaegashi Kensuke (CV. 山谷祥生/Yamaya Yoshitaka) 桜庭涼太/Sakuraba Ryouta (CV. 山下大輝/Yamashita Daiki) 藤村衛/Fujimura Mamoru (CV. 寺島惇太/Terashima Junta)
Tracklist:
01 - ドラマ「挑戦者」 02 - ラダ・キアナ 03 - My Gloria 04 - 自由の鳥 05 - ドラマ「さぁ、音楽をはじめよう!」
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太宰府天満宮。 御神牛。天神様の使い。合計11体。 太鼓橋。三つの橋は、それぞれ過去・現在・未来を表している。橋を渡ることで心を清める。 心字池。道真公の門弟である味酒安行が造ったとされる。 楠の木。
6年前の太宰府天満宮(2017年6月)。 菅原道真の和歌。 さくら花、主をわすれぬ、物ならば、吹き来む風に、事ずてはせよ。 桜の花よ 主人を忘れないのならば (大宰府に)吹いてくる風に(咲きましたと)伝言しておくれよ。 、 百人一首。 東風(こち)吹かば、匂ひおこせよ、梅の花、主なしとて、春を忘るな。 東風が吹いたら(その風にのせて)香りを送ってくれ 梅の花よ 主人がいないからといって春を忘れるなよ(大宰府に左遷されることが決まった道真が庭の梅に別れを告げた歌)。 飛梅伝説。道真が太宰府に左遷された際に、いなくなる道真を慕う庭木たち。桜は枯れてしまい、松と梅は太宰府へ向けて飛び立ち、松は途中で力尽き(神戸の板宿八幡神社)、梅は太宰府までたどり着いた。 菅原道真を祀る天満宮総本社(北野天満宮とともに)。天神(雷神)。学問の神様、文化の神様。創建919年。官幣中社。
菅原道真(845−903)。山陰亭(菅原家三代の私塾)を主宰、文人社会の中心的存在となった。讃岐国に左遷(886−890)。宇多天皇に重用された。遣唐使廃止(894)。899年右大臣。901年、藤原時平(左大臣)の陰謀(昌泰の変(しょうたいのへん))で太宰府に左遷(子供4人も流刑にされた)。太宰府への移動も実費、左遷後は俸給や従者も与えられず、政務にあたることも禁じられた。2年後に、太宰府で亡くなった。死後、藤原氏の相次ぐ病死、数多くの死傷者が出た清涼殿落雷事件は道真の怨霊によるものとされ、北野天満宮にて丁重に祀られた(死後、左大臣、太政大臣の位を与えられた)。 三大怨霊の一人(平将門、崇徳天皇)。
竈門神社と太宰府天満宮とも別表神社。
別表神社。(昭和23年成立。社格制度廃止後、伊勢神宮以外は、全ての神社は対等の立場であるとされた)。第二次世界大戦後、神職の人事のみに関わる区別。規模が大きい神社。現在353社。 近代社格制度。明治維新以降。第二次世界大戦後廃止。 官幣大社(65)>国幣大社(6)>官幣中社(23)>国幣中社(50)>官幣小社(10)>国幣小社(37)>別格官幣社(33)(国家に功績を挙げた忠臣や、国家のために亡くなった武将・志士・兵士などを祭神。楠木正成)。北野天満宮と太宰府天満宮は天神信仰による雷神扱いで官幣中社。 官幣=神祇官(じんぎかん 朝廷)から、国幣=国司(地方)から。 大社。大社(おおやしろ)=出雲大社。明治以降、官幣大社+国幣大社→大社と呼ばれるようになった。
中世社格制度。 神宮。33社。日本書記では3社(伊勢、石神、出雲)。鹿島、香取(平安時代)。 勅祭社。(ちょくさいしゃ)。16社。二十二社3、一宮6、別表14。 二十二社(1081年。上七社、中七社、下八社。勅祭4、別表神社19。伊勢神宮、奈良と京都。滋賀の日吉神社、大阪の住吉大社、兵庫の廣田神社)。 名神大社。730年。古代社格。中世以降は明神。全て式内社。 一宮神社。120社。国で一番有力な神社。国司が一番初めに参拝。平安時代後期。 総社。国司がまとめて1つの場所に神拝した神社。不明な場合もあり。
古代社格制度。 式内社。(しきないしゃ)。延喜式神名帳。927年。全国の神社一覧。
上古社格制度。
天津神(アマツカミ。ヤマト王権の皇族や有力な氏族が信仰していた神 アマテラス)。 国津神(クニツカミ。ヤマト王権に平定された地域の信仰。スサノオ、オオクニヌシ)。 Dazaifu Shrine. Fukuoka.
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各地句会報
花鳥誌 令和4年12月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和4年9月1日 うづら三日の月句会 坊城俊樹選 特選句
散歩する頭上に置きし蟬時雨 喜代子 初老なる夫婦八人墓��り 同 名月やうるはしき夜はゆつたりと さとみ 新涼やメダルの如き耳飾り 都 月白し八十路女の薄化粧 同 漁火や月より遠き船の道 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月5日 花鳥さゞれ会 坊城俊樹選 特選句
蝸牛進退ここに尽きたるか 雪 静もれる故山はみだす虫の声 かづを 鬼ヤンマ唯我独尊そのままに 数幸 虫の音や今日の命のつきるまで 雪子 彼岸花蕊の情念���めけり 笑 秋の蝶縺れて解けてまた縺れ 希 倶利伽羅の谷底埋めし曼珠沙華 千代子 山門の落慶法要赤のまま 天空 山門の檜の香り曼珠沙華 々
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月7日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
縁台が身の置き所盆の月 宇太郎 去ぬ燕神の杜へと集まり来 和子 秋時雨幽かに日射す山の裾 益恵 雨上がるぽつてり重き鶏頭花 都 つみれ汁どんな魚かと盆の客 すみ子 蹌踉けくる秋の蚊を打つ掌 悦子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月7日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
九頭竜に手波で送る万灯会 世詩明 大根を種蒔くごとく踊りの輪 同 近松の碑黒き露葎 ただし 花鳥誌を拾ひ読みする柏翠忌 同 胸を開け峠を行くや青葉風 輝一 秋深し山粧ふや手をかざす 同 針山に待ち針錆びてゐる残暑 清女 今朝の秋きりりと髪を結ひ上げて 同 抱かれし赤子も一人墓参り 蓑輪洋子 空蟬の銅色をいとほしむ 同 ふるさとの火祭を恋ふ孟蘭盆会 同 犬引いて犬に引かれる青田道 秋子 陶の里古き甕墓秋陽濃し やす香 秋草に隠る甕二つ三つ 同 通り過ぐ風のささやき大花野 誠 団栗の十津川淵へ落つる音 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月10日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
多摩川の風の広さやねこじやらし 美枝子 待宵の月にかかりし雲動く 和代 太刀魚の尾まで隈なく光伸び 秋尚 香を辿り見上げる空に葛の花 教子 一叢の露草の青向き向きに 多美女 一山を覆ひ尽して葛咲けり 三無 手際よく太刀魚捌く島の嫁 多美女 露草の儚く萎える句碑の午後 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月12日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
暫晴間急ぎ稲刈り火蓋切る さよ子 陽が沈み無人駅舎に秋津飛ぶ 世詩明 お十夜の庭石ことに湿りをり さよ子 芋虫も愁ひの時のあるらしき 上嶋昭子 黒数珠や梅の家紋の墓参り ただし 一人暮しと見られたくなし秋すだれ ミチ子 人住まぬ屋根にも月は影落とし 英美子 銀河濃し鬼籍の人を懐かしむ みす枝 虫を聞く闇に心を近づけて 信子 細くなる髪を眺めてゐる秋思 中山昭子 洗ひ髪口に咥へて甘えけり 世詩明 朝霧の緞帳音なく上りゆく 時江 父は父私は私鳳仙花 三四郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月12日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
名月や巻雲淡く細くあり 和魚 一晩の伽となりゆくちちろかな 聰 木道の空何処までも秋の雲 秋尚 こほろぎの屋敷稲荷に住みついて 怜 草むらを抜け露草の楚楚として 秋尚 湯煙もやがて紛れて秋の雲 怜 さつきまで庫裏に人居りちちろ虫 あき子 つゆ草を残し置くなり墓掃除 エイ子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月13日 さくら花鳥句会 岡田順子選 特選句
かなかなや夢二の絵にも黒い猫 令子 植物園はるかな道に桔咲く 裕子 蜩や一里を登る尼の寺 登美子 柏翠忌師の口癖よ「しようがないや」 令子 学校のこと話す道鰯雲 裕子 師弟なる五灰子生きろ柏翠忌 令子 青い目のバックパッカー秋澄めり 登美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月13日 萩花鳥会
大相撲元気を貰ふ秋場所に 祐子 たつぷりと生かされ米寿の彼岸花 健雄 宝石か朝露庭の曼殊沙華 恒雄 爽やかさ簞笥から出たシャツズボン 俊文 秋の灯や沁沁友と語り合ひ ゆかり 文書けば秋蝶ゆるやか折りかへし 陽子 爽やかや一分音読はじめたり 美恵子
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令和4年9月16日 伊藤柏翠忌俳句記念館 坊城俊樹選 特選句
飛べば憂し飛ばねば淋し火取虫 雪 地に落ちし火蛾の七転八倒す 同 裸火搦め取られし火取虫 同 炎帝に万物黙す他は無し 同 忘れずに約束のごと曼珠沙華 みす枝 兜虫見つけ揚揚子の戻る 同 紺碧の空に小さく燕去る 同 剝落の蔵を背にさるすべり 上嶋昭子 砂時計くびれ見てゐる庭の秋 同 甕墓に離れ離れに彼岸婆 ただし 曼珠沙華淋しき風の甕の墓 同 甕墓の底の暗さや盆の月 同 浅間山焼りは雪の峰となる 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月16日 さきたま花鳥句会
人待ちの小半酒や秋しぐれ 月惑 銀漢をよぎる宇宙観測船 一馬 新都心ビルの凹みに秋入日 八草 秋暁や路地に酵母の甘き湯気 裕章 四方に散り芒に沈むかくれんぼ とし江 歳時記の手摺れのあとや秋灯火 ふじ穂 綾なして咲き継ぐ窓や牽牛花 ふゆ子 朝顔をからませ町家昼灯す 康子 草むらの道なき土手にカンナ燃ゆ 恵美子 白粉花咲きて従妹の嫁入日 静子 居酒屋に恩師と出会ふ良夜かな 良江 鶏頭の赤さを増して咲き揃ふ 彩香
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令和4年9月18日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
地虫鳴く甲深き靴はく朝 久子 白樫の森黒々と台風来 眞理子 雨粒を玉と飾れば花野かな 眞理子 昼の虫静かに聴きぬ濡れ鴉 久子 一面に火群立ちたる曼珠沙華 幸風
栗林圭魚選 特選句
白樫の森黒々と台風来 眞理子 かまつかや燃えあがらんと翳深く 千種 四阿に鴉と宿る秋の雨 斉 登高をためらふ今日の風雨かな 真理子 団栗の袴はづれて光りけり 久子 開門の前のしづけさ萩しだる 千種 秋出水さわは飛石を隠すまで 眞理子 群れも良し一茎もまた曼珠沙華 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月21日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
江戸生れ浅草育ち柏翠忌 世詩明 柏翠忌三国に残る墓一つ 同 柏翠師みなし児にして月仰ぐ 同 虫時雨して父恋し母恋し 同 ちらり見ゆ女の素顔柏翠忌 令子 河口から虹屋へつづく月の道 笑子 柏翠忌城下にのこる里神楽 同 月窓寺ふたつの墓碑に星月夜 同 草相撲では一寸鳴らしたる漢 雪
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月21日 鯖江花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
水鶏笛一人夜更に吹く女 雪 男有り愛子の墓の草を引く 同 虫すだく九頭竜に闇引寄せて かづを 大花火人なき家を照らしけり たけし 弔句書く筆の悲しさ蚯蚓鳴く みす枝 夕月を崩してをりぬ池の鯉 同 過疎の村今は花野の風の中 英美子 日焼して盗人冠りの農婦かな 千代子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月25日 月例会 坊城俊樹選 特選句
どの窓も歪むことなき秋の空 和子 銀杏の匂ひ拭へと下乗札 順子 なめらかに吹かれ秋蝶それつきり 和子 風うねる度敗荷になりかけて 小鳥 手庇の薄きに秋の蝶が消え 和子 碑のうしろ一切曼珠沙華 同 昼はまだ黄泉へ遠しと法師蟬 順子 人々は秋日に溶けて印象派 小鳥 竜淵に潜み国葬待てる森 はるか
岡田順子選 特選句
冷やかや手渡されたる阿弥陀籤 ゆう子 石橋を掃く庭番や柳散る 眞理子 落葉のみ掻き寄する音陰陰と 要 秋蟬の大音声の骸なり 俊樹 落蟬の眼とはなほ瑠璃なりし 同 香具師の声ありし境内昼の虫 要 地に転ぶまま靖国の銀杏の実 昌文 眼裏に黒き温みや秋日濃し 小鳥 金風を乗せ大仏を真似たる手 光子 秋天へ金の擬宝珠の衒ひなく 要
栗林圭魚選 特選句
石橋を渡る人影水澄めり て津子 銀杏の匂ひ拭へと下乗札 順子 お守りの小さき鈴の音野分晴 美奈子 桜紅葉いよいよ昏き能舞台 佑天 碑のうしろ一切曼珠沙華 和子 雅楽部の復習ひ音零す宮の秋 順子 敗れ蓮と成り切るまでを���の風 はるか
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年9月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
天高しバベルの塔は小指ほど 古賀睦子 うす衣の雲の行方よ女郎花 由紀子 夕映えて剥落のなき鱗雲 美穂 露の身を映す鏡架のくもりぐせ かおり 蚯蚓鳴く誰もゐぬ時計屋の時計 ひとみ 大漁旗鰯の山のてつぺんに 喜和 揚花火空に遊びて降りて来ず 朝子 眠られぬままに秋思のままにをり 光子 夏彦の怪談と行く秋の夜 桂 城門の乳鋲は無言盆の月 朝子 あの夏の天地の焔壕暗く 朝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年5月11日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
したたかに顔を打つなり化粧水 世詩明 天平の庭白牡丹眩しけり 同 み仏のなんじやもんじや風光る ただし 羅や大方に父似一寸母似 清女 桜満開の軍旗祭りや七十五年 輝一 聞き役も時にははづしつつじ見る 蓑輪洋子 丈六の金の観音寺の春 やす香 海原に風の道あり波の綺羅 同 馬酔木咲く近くて遠き明治の世 誠
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
立待花鳥俳句会 令和4年6月1日 坊城俊樹選 特選句
鯉幟風の階段ありにけり 世詩明 老夫婦夏痩せの身の重かりし 同 美しき日傘の人の振り向かず 同 相寄りて源氏蛍の河和田川 ただし 葉桜や茶筅に残る薄みどり 同 老いの肘掬ふや目髙五匹まで 輝一 鮎置いて門を去り行く釣り師かな 誠 村の子の手足を洗ふ清水かな 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
立待花鳥俳句会 令和4年7月6日 坊城俊樹選 特選句
手花火や素足に女下駄を履く 世詩明 一筋の水を落して滝白し 同 釈迦仏渡と共に祭らる六地蔵 ただし この奥に東光寺あり地蔵盆 同 軋みかと思へば虫や秋の風 輝一 何となく筆持ちたき夜天の川 清女 明易やドラマの様な夢を見て 同 眉と目に力あふるる大日焼 蓑輪洋子 勤行の夫の後行く夕立風 同 落雷に神木青く光りけり 誠 図書館の茂りの中の大欅 同 猿田彦夏越し祓ひ輪をくぐる 信義
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
立待花鳥俳句会 令和4年8月3日 坊城俊樹選 特選句
枯れた字を書くと言はれし生身魂 世詩明 三國山車祭に見合ふ辻屋台 同 飛ばされてゆく星もある天の川 同 古里へ立つ汽車減りし盆の月 ただし 子供達木魚を打てり地蔵盆 同 山寺や老鶯の声心洗はる 輝一 川泳ぐ蛇とかけつこ下校の子 同 兵一人炎天の中帰り来ぬ 誠 家々の火影の中を花火船 同 ぺちやんこの胸の谷間を流る汗 清女 太公望さつぱりですと日焼顔 同 蓮池に生まれて蓮葉に寝る蛙 やす香
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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■ Scheduled Release Date □ 30 June 2017
■ Tracklist Track 1. BUZZER BEATER Track 2. 甘き風のプリムラ (Primula of the Sweet Breeze) Track 3. BUZZER BEATER -off vocal- Track 4. 甘き風のプリムラ -off vocal- (Primula of the Sweet Breeze -off vocal-)
■ Cast Furukawa Makoto as Kagurazaka Soshi Yamashita Daiki as Sakuraba Ryota
■ Staff □ Takizawa Akira: lyrics, composition, arrangement
#tsukino talent production#tsukipro#alive#soara#growth#kagurazaka soshi#sakuraba ryota#ツキノ芸能プロダクション#ツキプロ#アライブ#ソアラ#グロース#神楽坂宗司#桜庭涼太
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