#安楽涼
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夏はカレーということで、たびたびランチで訪れる金沢の「スリランカキッチン」。
場所は金沢21世紀美術館前の柿木畠、観光客で溢れかえる甘味処「つぼみ」の直ぐ近くです。
店内に入って真っ先に目に入るのが、スリランカにあるコロンボ国立博物館の収蔵品の中で最も重要な文化財の仏像で、観音菩薩像の傑作といわれる「アヌラーダプラ、ヴェヘラガラの観音菩薩像」を完全再現したレプリカ。
アヌラーダプラといえば、中学の地理の時間に習ったスリランカ文化三角地帯の中心的な都市です。
そんなの知らないという方はもう一度中学生に戻って勉強し直してください。
(文化三角地帯って言葉、懐かしすぎる)
この仏像は、スリランカの最初の首都であった聖地アヌラーダプラから25km離れたヴェヘラガラの仏教寺院で1968年に発見されました。
9世紀頃に造られた金銅の鋳造物で全高49.8cm、精巧に編まれた「ジャタマクタ」という髪型で、その髪には宝石がはめ込まれており目も宝石の玉眼、シンプルな苦行服で「ラジャリラサナ」(通称:王家の安らぎ)という日本でもよく知られた水月観音と同じ楽座姿で表現されています。
多分、金沢の飲食店の中で最もクーラーが効いているのではかというくらいに涼しい店内なので、辛いカレーを食べて汗だくになっても何の問題もないユーザーフレンドリーなお店です。
見たところ、店員さんは全員現地スリランカ人のようですが、南インドの料理もあります。
スパイスたっぷりの美味しいカレーに、飲み干すのが大変なカルピスの原液のような甘さのラッシー。
近くにはインド系の姉妹店「スパイスボックス」があり、ホームページは両店とも常に「メンテナンス中です」と表示されますが(笑)、お店は毎日絶好調で営業中です。
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ノベルティの絵の眼鏡無し版 READING LABYRINTH VG2024、参加された方お疲れさまでした! 暑くて汗でドロドロドロドロになったけど、めちゃくちゃめちゃくちゃ楽しかったよ~~~!!!
改めて、スペースにお越しいただきありがとうございました。 お声がけいただいたり、差し入れのお気遣いくださった方もありがとうございました…! 緊張と暑さで脳みそドロドロだったので、喜び・感謝・喜び…の気持ちがちゃんと伝えられていたか不安なんですが、とにかく本当に…色んな事が楽しかったし嬉しかったです。 ■通販などについて ・新刊 新刊「Still Light.」については、BOOTH倉庫から通販する予定です。 今混雑しており入荷処理に大分時間がかかるようなので9月初旬以降になる感じかな… こちらもいつ開始になるのかわからないので申し訳ないのですが、またお知らせするつもりです。 メール通知を入れておいていただけるとわかりやすいかもしれません。
なんか急に始まるんだ…BOOTH通販って… https://neie.booth.pm/items/6004998 ・既刊 「罪悪のワルツ」 「よすがの向こう岸」 「メイドれない!」 についてはイベントで完売いたしましたので通販はございません。 お手に取っていただき、ありがとうございました! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 続きからイベント日記的な雑感
・READING LABYRYNTH 久々にルイナスぺで出て、やはりルイナ好きな方を目視できる喜びがあった! 先日も池袋のメイトでリンバスの広告があって見に行ったんですが… やっぱりああいう広告見に行くのって、もちろん広告が見たい!でかいイラスト…見たい!って気持ちが第一で、次にその作品を好きな人がその場にいるんだろうな…ていう気持ちを味わいに行くので… だから、リンバスのグッズ買ってる人とか、広告写真撮ってる人を生で見てめちゃくちゃ感動した。 で、それがルイナでもできて…やっぱ嬉しいな~って思う。 ゲームとか基本一人でずっとやっているので…(ザ・暗黒根暗オタクなので) ルイナも実際にプレイしてる(だろうと思える)人はこういう場が一番目視できるので… 本当は一人一人にライブラリ~オブルイナって最高のゲームですよね!?って話しかけたいくらいなんですけど、抑えられたから…よかった。(?) そして今回ロボトミルイナリンバス、3作品合同オンリーという事で、この辺一帯みんなプロムン作品好きな人なんだ~!ていう喜びがあったな… 同人イベントの良さってそこだな~… 改めて開催ありがとうございました!感謝… ・コスプレ コスプレされてる方が体感今までで一番多かったように思う! 3作品に加えてねじれ探偵まで見られてめちゃくちゃ嬉しかったな… あんま凝視しちゃ失礼かな、と思うのですが、サークル来てくださった方がコスプレしてるとついめちゃめちゃめちゃ見てしまう…不躾にガン見してしまい申し訳なかったです。 ウィッグとか衣装とか、お化粧?とか…義体や被り物部分や武器からなにからなにまで…本当すごいな…
・再録新刊について 新刊の再録、色々と不安な所があったのですが(自分が事務ミスをしていないか的な意味で) 綺麗に刷って頂けていて嬉しかった!箔押しと紐のしおりを付けました。本っぽくしたかったから… 昔の本なので、初めの方の本はあまりにも絵が古く… なんか結局100ページ以上描きなおし修正…みたいのを延々としてた!冷や汗… でも、直すにあたってルイナをプレイしなおしたり、アートブックを読み返したりして…やっぱりルイナめちゃくちゃ好きだな~って再確認できてよかったです。 今日コンシューマ版修正アプデ入ったね! 司書補の名前が変えられるようになった!うれし~~~ ・既刊について 既刊の再販についても、お手に取ってくださった方ありがとうございました! 「メイドれない!」は正直再販するか悩んだんですが(コピー本は締切直前の崩壊した脳で描いてるから描いてるときは最高に楽しいけど後日向き合うと脳が焼けるので)、頒布時暖かい言葉をかけて頂けて、無限ホチキス製本再販してよかったな~~て思いました。 真夜中無限中綴じホッチキス ・当日 頒布時、朝一からすでに汗でドロドロだったと思う。 いや会場は割と涼しくしてくれてたような気がするんだが…なんか… いつもパニック状態で設営をし…そこに緊張が相乗し…おしまいになるため… でも、本当に来てくださった方も周りの方も良い方ばかりでありがたかったです。 色々と助けていただきありがとうございました…! あと当日は表紙絵をポスターにしてたんですが、貰って下さるという方がいて嬉しかったなー めちゃでっかいのに本当にいいんですか?て感じだったが… ・その他 今回のVEGAって多分イベント自体が初開催だったのかな? ���ロムン周りはめ~~ちゃ混んでた! お使いをお願いしていたのでなんとか色々とゲット出来て感涙だった…本当に…狩りだよ!あれは…ワイルドな…ハント! そしてプロムン以外も、いろんなジャンルのオンリーが集まっていて楽しかった!!!てか、人、多かった…!夏コミのすぐあとなのにすごいな 今回もコスプレゾーンに見に行きたいと思いつつ、緊張し…行けなかった。。遠くから…見た。 あとこの同人イベントでよく…というか毎回?出展されてる紅茶屋さんの紅茶が好きなんだけど、原稿中飲みすぎてなくなってたから、補充出来てよかった。 暑すぎ&空腹すぎて撤収後速攻飯とクリームぜんざい食いに行きました。 ーーーーーーーーーー 楽しかった~~本当… めちゃくちゃ楽しかったのでやっぱりまたイベントでたいよ~~!と思ったので、次は年明けの関西の奴に出たいと思っています! 大阪美味しい物いっぱいあるし…たこ焼き食べたいし…明石焼き食べたいし…某店のあんまん肉まん食べたいし… これです!
1月12日インテックス大阪【SUPER COMIC CITY 関西 30】 超OUR SINS RESONANCE https://www.akaboo.jp/event/item/20199603.html 予定が爆破されなければ出たいきもち… インテックス出たことないから楽しみ!!! デミシン本出したいな~と思ってるけどまだわからん そして2月には個人主催さんのプロムンオンリーが開かれるとのことで!! (リンク張っていいかわからないのでツイートで) https://x.com/LunaticMoonight/status/1826212799598489871 めちゃ応援してます!! 2月~~~…!!涙 くーーーっ一般参加で一瞬でも行きたい気持ちだ! ーーーーーーーーーー というわけでイベントの日記でした。 同人誌描くのもイベントもめちゃくちゃ楽しいから…次は来年か~~遠いな~~…て思ってたけど よく考えたら今年ってもうあと4か月で終わる え?怖すぎ とはいえしばらくはワープ特急周回しつつ屈折鉄道齧りつつドンキ章に備えつつ落書きしたいなの気持ち… (久々に落書きお題募集したいな~と思ってるので、後ほど書きに来ます。) 改めて、イベント参加された皆様お疲れさまでした!
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深夜なので、とりとめのない話でも。
🌙
東京の会社の仕事、単純な情報の補完作業が終了して、今度はHTMLコーディングをすることになったのよ💻
まったくの初心者で〈p〉も〈/p〉もはじめましてのド素人。
社長さんがこれまでにZoomで3回研修してくれて、やっと少しづつわかり始めてきた感じです。
現時点で全体の65%教えました、と���ことなので、まだあと35%頭に入れることがある状態。
新しいことを覚えること自体久しぶりだから、疲れるし焦るし不安だし、まだワクワクできるレベルではないんだけど、フルリモートで仕事をする中で、社長さんとZoomで顔を見ながら会話するのがすごくうれしい。
昨日は友達と飲んだあと、よく行くバーにひとりで行ってマスターと3時間くらい話し込んだんだけど、それも本当に楽しかった。
仕事でもプライベートでも、友達以外の人と話すことが、自分でもびっくりするくらいに、予想を超えて楽しくて嬉しくて、家族や友達以外のポジションの人の存在の尊さを思い知りました。
ちなみに帰りのタクシーでは、運転手さんが趣味のお料理の話をたくさん聞かせてくれて、「おいちゃんはね、君みたいに優しい子と話せて幸せだよ」と言ってくれた。普段はタクシーで話すの苦手だけど、すっごく感じのいい人だったから私も楽しかったんだ。
私が仕事してる姿は誰も見てないし、家族とは仲良しだけど友達にはあまり頻繁に会わないから、実際すごく狭い世界にしか自分は存在してないわけだけど、ああ、私はちゃんと東京の会社にもいるし、夜の街にも世間にも存在してるって実感できた。
こうして日記を投稿してても、リアクションのコーナーにいつもおなじみのアイコンがちょこっと並んでるのを見るとホッとするようなうれしい気持ちになる。今日も押してくれてありがとう。お元気ですか?とか、その後どうですか?とか勝手に思いを馳せています🤗
身近にいてお互いをよく知ってる人たちではなく、そこまで知らない人との交流でしか得られない感情や刺激がたしかにある。
たまには家を出て、家族でも友達でもない人と話せるところに行ってみようかな、なんて思った秋の夜でした🍁
そろそろ涼しくなってくれ。
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2024.07〜2024.08 ひとこと日記
7.30-朝寝坊してバイトを休んだ。夜に彼と口喧嘩した。ないものねだりばかりしてしまう。今週末、彼がチェコから日本に迎えに来るのにこんな状態でどうするんだろうね。
7.31-1ヶ月限定バイトの最終日。まわりのひとに大変良くしてもらった。チェコに行くことをリーダーのおじちゃんに話したら30年前にカナダで買ったオリンピックのトナカイのキーホルダーをくれた。大事にとっておいたのか、袋に入ったままで状態の良いものだった。わたしがこんなものをもらっていいのだろうか。
パリ五輪の男子バスケ/バレーの試合を観る。誤審ピック。
8.1- 茹だるような暑さ。何もしたくない。ちょっと黄体期特有の精神不安の症状が出てる気がする。ピルを飲み始めてからはほとんど見られなかったのでこの感覚に懐かしさを感じる。高校〜20代前半はかなり悩まされていたな。
8.3-チェコの彼が日本に来た。
8.9-チェコの彼がチェコに帰った。
8.12-母親と縁を切った。わたしに対する父の本音を聞いた。夜、居場所がなくてネットカフェにいたけど、男臭くて嫌だった。
8.13-ちょっと詐欺らしいものに引っかかってしまい、でもクーリングオフ期間だったので解約できて全額戻ってきたのでよかった。心がフラフラになってるから騙されやすい。
8.14-彼の誕生日。南海トラフは来なかった。新しいアパートを決めた。不動産の担当が仕事できなくて不安。
8.17-彼とわたしの今までの思い出アルバムを3時間くらいかけて作った。仕上がりが楽しみ。
8.18-アルバムが出来上がったのでカメラ屋に取りに行く。完璧な仕上がりだった。これを渡しても心が戻って来なかったら諦めがつくと思った。今日、彼はイギリスから帰国。
8.19-内定先の代表と融資を受けた銀行の担当者とのやり取りを聞いていて、絶対この人の元で働いたら後々面倒なことになると思った。
8.20- 代表と話をして正社員ではなく業務委託で仕事を受けることになった。それでよかったと思う。思ったことはなんでも言ってくれと言われてたので、昨日の銀行とのやり取りのこと正直に話したらそれは言ったらだめだったらしく怒っていた。わたしには判断がつかなかった。/パソコンがようやく直ってうれしい。SSDを交換した。
8.21- 最近、早朝に目が覚めてしまう。ひたすらTwitterをスクロールした。意味のないことをして現実逃避したかった。夕方までうたた寝とそんなことを繰り返していた。/今更Wednesdayを見始めた。ハンドが可愛すぎる。わたしもほしい。
8.22- 久々に弟と出かけた。憎たらしくてかわいくて大好き。通っている塾でどんな指導を受けてるのか分からないけど、あんまり良くなさそう。でも私の子ではないから、私に決定権はない。
8.23-朝起きたら風邪っぽい。代表が38度も熱があったのに隠して私を事務所に呼んだからもらったな。地獄に堕ちてほしい。/不動産会社の求人に応募している。職務経歴書を修正していたら、今月末で有効期限が切れる資格があることに気づく。更新のための試験を月末までに受けなきゃ… / ずっと寝ていても頭が痛くなったり筋力が落ちたりしなければいいのになぁ
8.24-明日、あの事件ぶりに彼会う。まだ2ヶ月か。すごく昔のことのよう。図書館へ行って、彼に手紙を書いた。/ 一日中眠たいけど、涼しい部屋で好きな時間にゆっくり眠れない環境だから早く引っ越したい。明日面接なのもだるい。
8.25-午前、面接。9時17時の求人に応募したのに、実際��8時45分18時だった。最近こんな���とばかりな気がする。/ 午後、元彼に会う。本当はすぐにさよならのはずがカフェでゆっくり話をした。アルバムはパラパラと見ていた。心に届いてなさそうだった。別れ際、これで最後って言われたけど私は信じない。だってハグした時、思い切り勃ってたから。わたしのこと、まだ愛してるに決まってるなんて思ったらだめでしょうか。
8.26-オンラインの日本語教師登録をした。自己紹介ビデオをつくってみて、思いのほか楽しかったけどめちゃくちゃ疲れた。動画編集を仕事にしている人、尊敬。/ Amazonの配達サポートの在宅ワークに応募した。応募に必要なテストが実際の仕事のシミュレーションのようで楽しかった。受かるといいな。/ なんか今日とてもがんばった感あるけど、まだ無職、家無し。
8.27- 賃貸不動産会社の1日入社体験。当然無給だと思っていたけど、最後に日当をいただいて驚いた。何もしていないのに… 。今回は勤務条件が募集要項と違っていたので辞退するつもりだけど、今後、就職先を決める上で勉強になったことがたくさんあった。動いてよかった。
8.28-アパートの契約完了。あと3日。父に来週出て行くからお世話になりましたと伝えたら、夕ご飯に少しいいものを買ってくるようになった。わたしがほしいのはそういうことじゃない。/ 夜、悩んだ末に元彼に電話。地雷を踏まないようつま先立ちで会話する。引っ越しを手伝うかどうかは明日まで考えさせてくれ、と保留。会いたい。
8.29-「引っ越し手伝うよ、でもよりを戻すわけじゃないからね」と連絡が来た。
8.30- 今日現在稼ぎ口がメルカリしかない。エネルギーが有り余っているから配達なんかのアルバイトをしたい。
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愛と遠視、傷と羽音
ここを開けるのは、久しぶりだ。
ここに載せてきたようなことは、特定の宛先なしにはもう、書かないかも知れない。そう思い、過ごしてきた。
けれども再び開けてみるのは、魂が「必ず終わりをもたらしてやる」と私にかけた言葉が、最後の投稿(二年前)に置かれたままになっていたからである。
そのことは、ずっと忘れていた。それからふと、私の目に留まった。魂は言った通りのことをやってのけ、そして新しい生を贈ってくれた。その遍歴を語ることはできなくとも、しるしづけることはできると思う。
*
私は人と一緒にやるようになってから、今の自分の言葉でいえば、こんなことを探求してきた。小説と幼年の境界。小説と死者の境界。小説と観者の境界。小説と神話の境界。小説と肉体の境界。小説と因果の境界*準備中。
さいごの「小説と因果の境界」は短いものだが、その時点の私にとっては極限だった。2023年3月に書き終えてから、文字通り彷徨った。多くのことに手をつけ消耗していったが、それらがいずれ小説に資すると、以前のようには思えなくなっても、自力では止まらなかった。だから、こころがブレーキをかけたのである。
もっとも状態がよくなかったときに、間一髪で(自分ではなく)世界を選んだ。
それまでは、自分というブラックボックスを通し、みるものに陰影を纏わせつづけていた。私の文について色々なひとが色々なことを言ったが、概ね共通していたのは、独特な結晶化作用があるということだった。確かに私も信じてきた。その陰影こそがやがて固有の輝きを露わにし、光を集めるのだと。それはしかし、かなり時間のかかる作用でもあった。誇張して言えば〈こちら側(この時)〉では、私はいつもほほえむだけだった。蜜蜂は、蜜を集めることが今を生きることであるのに、わたしはそういう成り立ちをしていなかった。
終わりをもたらすとは、このブラックボックスごと引き潮に渡すことを、決断できるということだ���た。そのとき圧倒的な苦しさの中で、光や風や、水を感じた。私は人に「生きているだけでいい」と何度も言ってきたけれど、自分自身にそう思うのは初めてだった。
*
それから、素晴らしいことが起こり始めた。
*
今日お話ししたいのは8月17日に、生まれ故郷がいつより美しい姿をみせてくれたことだ。冒頭に挙げたものたちと並行して、2021年秋から断続的に「小説ではない文」を書いてきた。その文はあれら境界のすべてと、そのほかの体験とを含んでいる。それがついに成り、人に託した翌日のこと。
私は文の主要な舞台のひとつである公園に行き、小さな川が池に流れ込む様子がよく見えるベンチに座った。文を送る際に添えたメッセージ――花が咲いていると、思わずきれいだねと話しかける身体について――を思い出しながら、樹々を眺めたり、サンダルのまま流水に入ったりした。
開いた本に、ある大小説で主人公が亡くなるのは、作者が次第に苛立ちをおぼえてのことだと言う人がいるが、小説家が主人公を愛さなくてあのようには書けぬ。と書かれていて、涙がこぼれた。
上空を涼しい風が吹きわたった。まるで巨大な湖をまえに、雨が降る先��れをきくようだ。30分はもつと思ったが、もっと早く降り始め、晴雨兼用傘をさしてベンチに陣取ると、叩きつけるようになった。それまで氷の入ったプラカップに麦茶を注いで体を冷やしていたが、飲み口の近くに雨雫が付けば楽しかった。化学繊維の軽いスカートは膝上まで濡れて、抱えた水草のバッグは暖かく守れていたから、真っ直ぐな大雨音は、そのまま安心と結び付いていた。
あめのひは、かさをさしてほんをぬらさず。地元の図書館が子供向けに貼りだしていたポスターは、なぜかブロントサウルスが直立歩行で傘をさしていたな…
後方の東屋を振り返ると、その向こうに誰もみていない空が出現した。
そんな空が、生まれ、住まいを変えつつ暮らしてきた人口の多いこの地に降るとは。山を登るときにだけみられる幻でなくなるとは。神代の、人の手付かずの自然であった頃にまで、生地は戻ることもできるのだ。その記憶の存在を私はしっかりと感じた。
動かぬままで雨が上がると、すっきりと遠くを見ていることに気が付いた。
*
ひとつ上の友人は、ゴルフを好きになってから視力が1.0に回復したといい、2.0ある同い年の友人は、私は本を読まないからだと結論するが、確かに読み書きを好む者の目は、遠くよりも近くを見ることに適応しやすい。
私の場合、いつも近くに対象物が入るよう、目が無意識に動いていた。一本道を歩くとき、街路樹や自転車や自販機を、たぶん本来は必要のない頻度で見る。身体は真っ直ぐに進みたいし、目も協調しているかのようにふるまうけれども、実は遠くを見据えると疲れるので、目は避けようとする。身体はそれを知っている。
このもどかしさが突然、消えた。目が遠くと和解していた。コンタクトレンズ装着時のような視力の上がり方ではない。あれは眼科医も友人たちも、生活に危険がないように、情報が沢山入るようにとすすめるし、私も長い間、そういうことだと思ってきた。近視は見えるべきものが見えずにつらいのだと。そうではなかった。
全力で書き切った文を贈り、生地が応えて記憶のかぎり遡ったから、私は見晴るかす、すべてがうつくしい、と話しかけていたのだ。それで遠くをみるのを畏れることがあろうか。自分の不調の解消や、情報の取得のためならば、ここに出ることはかなわなかっただろう。
*
歪みを、遅延を、細部をバネに跳躍するというやり方を手放さなければ、ここに来ることはかなわなかっただろう。だからこそ、話せるようになったのだし、それでも、書けるのだ。たぶん。
数日して、仰向けになった首の付け��で何かが羽ばたく夢を見た。蝉のように力強い振動に驚いた。整体師の方によれば、私の視力と幼い頃つくった首の傷には、なにか関係があるらしいのだが。
即時的にあらわれるものも、遅れを伴ってあらわれるものも、どちらも肯定しきるようなものを書きたい。それはパラレル・ワールドを時間的に翻訳したようなものになるのではないか。今はそのことだけを思っている。
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9/23(月)
今日は良い1日だった!
早番仕事のんびりして~、韓国語復習して過ごした。
今日から、体重測定とオートミールとジム再開した。
これ初めて買ったけど、ほんまに美味しく食べれて感動した!おすすめ!
職場用と家用で買った。
そして安定のお茶漬けの素が一番米っぽくて美味しいですねぇ。
9月初めてのジム行った。
クライムミル20分した。久しぶりにしたからめっちゃ疲れた。体が重ーい!!!!🐖
ふくらはぎ少し筋肉痛?かも?
夜ご飯はキムチ鍋作って、最後オートミールと卵入れて雑炊ぽくして食べた。うめぇ。
まだ8時だけど既にもう眠たい。寝れそうやけど今寝たら4時くらいに起きてしまいそう。
あ~♡
本当に楽しみな来年6月に向けてだから、本当に楽しくダイエット出来そう!楽しみすぎる!既に楽しい!
あと何より本当に昨日から涼しくなったから、毎日ハッピー!😊
今日はとても夕焼けきれいだった!
今週末、彼氏と海のほう散歩して、夕焼け見る😊楽しみだなぁ。
本格的にダイエットしてるから外食はしたくないけど😧
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8月に入ってから朝の暑さが減った気がする。体が慣れたのか、思い込みなのかわからないけど9月のような状態。このまま季節が加速してしまうような気もする。メイド・イン・ヘブン。先週末に和菓子を作る体験をした。いつも仲良くしてくれている同期と朝活という名で鎌倉に集まった。和菓子を食べる行為はしてきたけど、作る行為は初めてでドキドキした。手鞠を作った。とても綺麗な夏の色。涼しさのおかげか蝉が弾けんばかりに鳴いていた。
実は、もうひとつ初めてを同じ日に経験した。ピラティスに通い始めた。初日。体験をした時私の体は57点/100点だった。下腹部と太腿尻に肉がつきやすいと言われしっかり納得した。反り腰を治すためにも課金した。マシンを使いながらも、しっかり呼吸と動きをするもんだから、2日目でもしっかり体が悲鳴をあげている。ずっと上手く呼吸ができないと悩んでいたことが胸の開きだとわかって安心した。
編み物も続けている。ようやくホイップができてさくらんぼを作っている🍒外が寂しいので青色ホイップを付け足してあげたい。作るのに時間はかかっているけど、とてもたのしいよ。スレッズのタイムラインも編み物ばかり。
ピラティスの帰り道にスーパーに寄ったら5つで1,000円の桃が売っていた。お互いの幸せのためにって桃だけじゃなくて人間にも言える気がする。干渉してくる人間は、本社に来てからいなくなった。とても気が楽。同期も同じことを言っていた。
そんな中家に帰るとぬいぐるみ達がしっかり布団をかけられて寝ていた。恋人の仕業。恋人と電話した時に伝えるとぬいぐるみ達の言葉を代弁していた。かわいいね。
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畔の蕎麦屋
家から約四十分くらい車を走らせた所に、山の中に小さな池がいくつも点在する観光スポットがある。有名なのはその中の一つ、鮮やかな青緑のインクで出来ているような青い池。先日たまたま見たクイズ番組でも出題されていた。
そこから少し離れた所にある、著名な訳でもない池の畔に蕎麦屋が出来たと知ったのは、去年の晩秋だっただろうか。その場所は冬になると立ち入れない所だから、行ってみようと思った頃にはもう時期を外れていた。
なんてことの無い初夏の晴れた土曜日の午後にそこへ行ってみる事にした。
蕎麦屋と言ってもメニューには珈琲やら甘味があるとの事で、敢えて昼を避けて十五時を目安にそこへ向かった。
海沿いの道を走り水面の乱反射する日差しに目を細めながら車を走らせる。海から少し離れて山中のくねくねとしたカーブを七つ越えた所にその店がある。
建物の前にメニューや案内が書かれてある。古い旅館か店をリノベーションしたのだろう。新しい店という雰囲気ではなく、元々の店を少し改装したのかというくらいの、懐かしさを感じる外観だった。
中へ入ると右手側に池が見える。その窓辺に机と椅子が置かれて客席になっている。
奥へ進むと下駄箱がある。そこまで進むと小上がりの向こうから店主と見られる女性が現れた。
「お食事ですか、お飲み物ですか」
「飲み物です」
「そちらの席か大広間にどうぞ」
窓際の椅子席も日向でよかったが、せっかくなので大広間を選ぶことにした。
靴を脱いでスリッパに履き替える。旅館の名前が印字されていた。やはりここは元々旅館だったらしい。何度も来ている所だったが、ここが旅館だったということを初めて知った。
女性の後を付いて大広間��行く。
スリッパを脱ぎ大広間へ入ると、目の前には広い広い畳の部屋と大きな窓があり、その向こうには池と緑豊かな森が広がっていた。
ピークを過ぎた頃なのだろう。他に客はいなく、好きな場所を選ぶことが出来た。
入って正面と右側に池が見えたので、一番奥の角に座った。
珈琲と蕎麦茶のプリンをオーダーする。テーブルの上にガラスの器があって、ここにお金を置いて会計をするそうだ。
蕎麦茶を啜りながら窓の外をぼんやり眺める。
揺れる湖面に青々とした木々。それをフレームのように切り取る、大きな窓のサッシが実に芸術的だ。
網戸越しの風が涼しい。ぽちゃりぽちゃりと魚が跳ねる音が聞こえる。スマートフォンを開くと電波は微かに入る程度で、じっくりのこの時を堪能出来る環境だった。
本棚を見つけたので覗いて見た。川上未映子やよしもとばなな、江國香織など女性作家の本が多く、きっと店主の好みなのだろう。その中にあった寺山修司が集めた名言集を借りた。
席に戻ってパラパラとめくっていると一つ気になる言葉があった。
「死んだ女より、もっとかわいそうなのは、忘れられた女」マリー・ローランサン 鎮静剤
別にこれは女性に限った事ではない。
さて自分は出会った人たちの何人の記憶に残っているだろう。
そんな事を考えていると珈琲と蕎麦茶プリンが運ばれてきた。
夏でも個人経営の喫茶店では温かい珈琲を飲むことにしている。冷たい珈琲は業務用の注ぐだけのものがあるが、温かい珈琲は確実に店の人が淹れてくれるからだ。
プリンのカラメルソースが別の入れ物で来たのが嬉しかった。
まずは一口珈琲を飲む。苦みは少なく仄かな酸味がある。万人受けする味でプリンにも合いそうだ。
プリンをカラメルソースをかけずに一口食べる。そば茶の素材の味が生かされていて甘みはそれほど強くない。優しい味だった。
少しずつカラメルソースをかけて食べ進める。美味しくてすぐに食べ終わってしまった。
閉店時間まで四十分余り。ぼんやり外を眺めたり、この文をまとめたりしていると、あっという間に時が流れてしまった。
次は蕎麦を食べよう。そう決めて帰宅の途に着く。
そして秋の紅葉が今から楽しみになった。
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Quote
円安は日本国民(上級国民や投資家、トヨタなど一部輸出企業を除く)にとってマイナスしかない。自民党が熱心にやってきた事は全て日本人を苦しめる事で苦しんでる様を見て岸田総理なんか楽しげで涼しげ。それが答え。
[B! 為替] 1ドル=200円の超円安で預金がおろせなくなる?【報道1930】 | TBS NEWS DIG
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Besuto essei. 202
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日々の雑感、考察、失敗談から、亡くなられたあの方への追悼文まで… さまざまな書き手たちが、「エッセイ」という枠組みのなかで書き記した2021年の記録。 この年に新聞・雑誌等の媒体に発表された中から選りすぐった、珠玉のアンソロジーです。
Shelf: 914.68 BES 2022 Besuto essei. 2022 = The best essay. edited by Nihon Bungeika Kyōkai.
Tōkyō : Mitsumura Tosho Shuppan, 2022. ISBN: 9784813804147
337 pages ; 20cm.
Editorial board members: Kakuta Mitsuyo, Hayashi Mariko, Fujisawa Shū, Horie Toshiyuki, Machida Kō, Miura Shion. Text in Japanese.
Table of contets:
部屋にいる感じ / 武田砂鉄
ロクな恋 / 李琴峰
特に秘密、ありません / 二宮敦人
親父の枕元 / 原田宗典
犬の建前 / 宇佐見りん
いつか「コロナ福」だったと言える日 / 鷲田清一
紙 / 内田洋子
学び始める春、失敗を楽しむ / 山本貴光
瀬尾夏美 / おじいさんの空き地
落合博満への緊張感 / 鈴木忠平
月の砂漠 / 小池水音
冷水を浴びせる : 坂上弘の文体 / 三浦雅士
陰のある光 / 小泉凡
脳内・ドイツ / マライ・メントライン
父と兄の書棚が招いた変な読書 / 志茂田景樹
心の扉を開く音楽 / 寮美千子
立花隆さんを悼む / 柳田邦男
失われゆく昭和探して / 川本三郎
大人への扉を開けたのは / 加納愛子
関係性の結晶 / 齋藤陽道
ガラスのこころ / 岸田奈美
"諦められない"心でアイヌ語研究に夢中 / 金田一秀穂
アイヌとして生きる / 川上容子
佃煮に想う / 小泉武夫
最高の食事 / 田中卓志
珠玉の世界 / ブレイディみかこ
神様、世間様 / 尾崎世界観
さいとう・たかをさんの思い出 / 辻真先
コロナ禍社会と密になった / 本谷有希子
最後の飛翔 / 椹木野依 -- 我が町の「宝」 / 井上理津子
ネガティブな皆さんへ / 尾上松緑
「あいつなりに筋は通ってるんだ」 / 岩松了
翻訳とは / 村井理子
「覚えられない」 / 茂山千之丞
白土三平さんを悼む / 田中優子
そんな時代 / 海猫沢めろん
ともに歩けば / 小川さやか
(笑)わない作家 / 万城目学
雪原 / 岸本佐知子
河合雅雄さんを悼む / 佐倉統
学園の平和、取り戻せ! / みうらじゅん
料理 / 小山田浩子
田中邦衛さんを悼む / 倉本聰
「声」分かち合う喜び / 温又柔
エリック・カールさんを悼む / 松本猛
月みる月は / 彬子女王
トーストと産業革命 / 青山文平
祖父母のすずらん守る / 星野博美
考えることに失敗する / 神林長平
悪態俳句の��スメ / 夏井いつき
死も遊びだと思いましょ / 横尾忠則
UFO / 柴田一成
「やめた」後の達成感 / ほしよりこ
息子よ安心しなさい、あなたの親指は天国で花となり咲いている / 青木耕平
那須正幹さんを悼む / 高樹のぶ子
愚かさが導いてくれた道 / 沢木耕太郎
クールでお茶目なかっこよさ / 谷慶子
機械はしない終業挨拶 / 黒井千次
閉、じ、こ、も、り / 村田喜代子
ナマケモノ / 奥本大三郎
夢を彷徨う / 髙村薫
愛しの小松政夫さん / 鈴木聡
胃袋の飛地 / 湯澤規子
『老人と海』をめぐる恋 / 高見浩
「すごい」と「やばい」 / 酒井順子
写真を撮られるということ / 松浦寿輝
安野光雅さんを悼む / 大矢鞆音
この世の通路 / 佐々涼子
◆編纂委員作品◆
瀬戸内寂聴さんを悼む / 林真理子
多分、両方だと思いますよ / 町田康
忘れがたきご亭主 / 三浦しをん
あそこの棚に置いてある。 / 堀江敏幸
それは私の夢だった / 角田光代
遠き花 / 藤沢周.
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【日記】
決まった居場所もつるむ仲間も要らないし、華やかなスポットライトも受賞も求めていない。まして画像しか見ない人の暇つぶしのいいね数なんかどうだっていい。取扱先がただ増えればいいわけではないし、ぽんぽん売れさえすりゃいいわけでもない。 ただ、これだけは求めているのは、できてくる作品を真剣に見て対話してくれる人。属性でも経歴でも情報でもなく、とにかく作品を (展覧会に足を運び続けてくださる数少ない方は、結局みなそういう方だ)。そして当然ながら、作品が決して損ねられないこと。 あとは制作を持続できる環境。これは自分の努力で維持していくしかない。
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Facebookにたまたま流れてきた、或るベテラン美術家の方の投稿に、作品を売って生きていくことの難しさ(受ける誤解のことも)が吐露されていて、色々うなずいたり考えたりしてしまった。 私の場合、とても生業にはなっていないけど、それでも、継続的に作品を制作し、ギャラリーで発表し売っているので、そこには作り手の責任も発生するし、手を抜くことなどなく、れっきとした仕事だと思っている。どんな生活をしていても、プライドを持って作品を作り続け売り続けている人はみなプロの作家だ。制作も継続も楽じゃない。でもつくることはいろんな意味で大事な、価値あることだと私は思っているので、どうにかして周囲の理解や協力も得ながら続けている。コラージュからは20年、木口木版からは15年かな。生活の変化でペースダウンしたり、思うように発表の場を得られなかったり、身を粉にして作った作品が損ねられたり、つらい思いをしたことも度々あるけど、幸いつくることが途切れたことはない。
以前、ギャラリーの個展で作品を買ってくれた友人が、自分の出した代金の半分(場合によってはそれ以上)が、ギャラリーに入ると知って、そんなに取られるのか?と驚いていた。友人の反応にかんしては、私がまだ初期の頃、スペースを借りて自主企画展をしていたのを知っているという経緯もある。友人から見れば、どこでやっていようが個展は個展なのだ。 でも、ギャラリーが、アート作品は大切なものとして価値をつけ、対話の場を設け、かつ販売するお店であることを知らない人は意外と多いのかもしれない。価値を受け止め買ってくださる方がいるから、ギャラリーも持続していけるし、作家は多かれ少なかれ、また次作に向けた活動ができるのだけど、ギャラリーって美術館なの?レンタルスペースなの?なんなの?と聞かれることは今もあるし、ただで見せてもらうのは申し訳ないからと言って、わざわざ高価なお菓子やお花を持ってきてくれる方もたまにいる(お気持ちはもちろん嬉しいけども、作品をしかと見てくださることが肝要で、そういうお気遣いは無用なのです。もし気に入ったものがあればそちらにお金は使って頂きたいし。) 私は自身が作る人になったのでたまたま知ったけど、作る人になっていなかったら、ギャラリーのことを知れる機会ってなかったかもしれない。
個展で何度もお世話になっている某ギャラリーの方は、"売り上げは半々。でも作家さんは作るだけ。展示やPRや販売はこちらに任せてください" とキッパリだった。自主企画から始まった私としては、急に価格を上げることもできず、正直当初は、5割しか入らないのはきついと思った。でも、自主活動では限界があることも重々感じていたので、こんなまだ売れていない安い作家をリスク承知で企画くださるのだから、それだけでもありがたいと思わなきゃ、という気持ちでもいた。けど今は、安心してお任せできるギャラリーならば、この配分は納得できる。 作家はつくるという領分に、ギャラリーは伝え届ける(かつ作品と作家を守る)という領分に、それぞれプライドと責任を持って全力で取り組むのだから。
でも、作家が作品を作るだけでは済まない���うなギャラリーや(たとえば、DM制作費など開催費用が要ったり、作家さんの好きなようにしていいからと、撮影、宣伝、展示、接客など大方の仕事を作家にまかせ、それをネットでシェアするだけ、あとは販売事務くらいしかしないようなところ)、安心して委ねられないようなギャラリー(扱いや展示や発信が雑で、作品が損ねられるなど。はさすがに論外か;)の場合は、売れて5割はギャラリーの領分としては取りすぎだと思う。 作家に3割以下しか入らない所もあると聞く。それ相応の理由があるのだろうけど、よほど高額で売れなくては作家はとても活動を持続できないだろうし、これだけ聞くと、もはや信頼関係ではなく、上下関係や搾取だと感じてしまう。数字云々よりも、要は個別の信頼関係なのかな。
そのスピードについてゆけていないけど、今や、SNSなどで作家が自己発信し、よかれあしかれ、直にファンもつき得る時代。ギャラリーを介した仕事の仕方も変化を求められ、改めて手探り期に入っているのかもしれない。作家たちはとにかく作り続けているけれど、作品に真剣に対面してくれる方と出会い続けていくにはどうしたら良いのか、少なくとも私はいつも暗中模索で、はっきりしたアテはなく、また、色んなリスクに怯えて身動きが取れないことも多々ある。ただ、私は、幸か不幸か、こちらからガツガツ動いてうまく行った試しがなく、むしろ予期せぬところからやってきた出会いによって動かされて来た部分が大きい気がする。でも何もしなければそれもない。だから焦ったり、時には無理をしたりする。なんと無駄の多いことか。 "貧乏になるかもしれないけど、これは良いものだから、続けて" と、背中を押してくださった方もいた。本当に、着々と貧乏になり続けている苦笑。色々簡単じゃないけど、25歳頃ようやく、作品をつくることに開眼?して以来、これはきっと良いものに違いない、やめてはいけないと、根拠なき自信だけは失うことなく(一時的になくすことはありますが;)、好捕手がどこかにいてくれると信じて、どうにか投げ続けている。そんな実情だ。
と、無知を承知で長々偉そうに書いたけど、概ねは、日常の諸々にまみれ、流されそうになりながら、笑ったり怒ったりして凡庸に暮らしている人間です。本当に。でも不思議と、そんな隙間から作品が生まれてくる。
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九月はあっという間に過ぎていった。彼岸花の最盛期を見逃す。夏の間は休止していた近くのトマト農園の直売がまた始まった。台風がウヨウヨしていてまだ湿気はあるけど、夕方はずいぶん涼しくなり、空気が少しずつ落ち着いてきている。街灯が寂しげに灯り始める頃、��所を歩けば、みんな家にいて、ご飯やお風呂の匂い、テレビの音が漏れてくる。そういうのがどこかもの哀しくもあり、愛おしくも思える。
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富山での仕事が終わってそのまま金沢。
(連日、あちこち行ったり来たりでしんどすぎる)
金沢駅は修学旅行の生徒で一杯。
金沢は京都と同じく観光地なので、JRだけではなくローカルの鉄道会社の車内アナウンスも英語がバンバン出てくるのが楽しい。
いつものように近江町で友達とお昼ご飯して、ひがし茶屋街へ行くと尋常じゃないくらい観光客がいてまったく前に進まないので離脱。
(なんじゃこの人の多さは)
今週、約1か月ぶりくらいに米を食べました。
(まじか。笑)
水曜日に富山のローソンで、おにぎりポーク玉子というのを買ってたべたのですが、考えたら1か月ぶりの米だなと。
米を食べなくても全然大丈夫なタイプなので何の問題もないのです。
ひがし茶屋街は毎年のことですが、秋の観光シーズン前に所々で工事をしておりました。
ひゃくまん焼きを買うのを忘れたとか思いながら浅野川沿いを歩くと、柔らかな風が吹いて気化熱効果でちょぴり涼しい。
そのまま歩いて茶屋街から結構近くにある自動車屋で愛車の車検の打ち合わせ。
事務のおばちゃんから金沢一高級な加賀の冷たい番茶(ほうじ茶)を頂きました。
(やっぱ高い茶は旨い)
昨日土曜日は、いしか��四校記念公園で毎年恒例の「金沢ジャズストリート」を見てきました。
駅の近くの東別院とか、尾山神社とか至る所でやってます。
バンド名は忘れましたがむちゃくちゃ演奏の上手いジャズファンク系のグループが「Starsky and Hutchのテーマ」を演奏してくれていてニンマリ。
しかし、尋常じゃないくらい暑くて3バンドだけ見て帰宅。
散歩とか歩いて行動するのはいろんな発見があって楽しい。
帰宅途中、街中なのに物凄く安く地物野菜を売っている八百屋さんを発見したので友達に教えてあげようと思います。
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2024.09.21
先日、彼がずいぶんと不安定になっていたことを書きました。 その後、そのメンタルが落ち着いてきたとか何とかもちょろっと。
ほんとに彼のメンタルやばかったのです。 ちょっと私まで病んできそうだぞ?くらいにネガ炸裂してて。 しかし、共倒れになるわけにはいきません。 彼は私を支えてくれるから、私も彼を支えなくては。
仔にもらったアドバイスを受け、私の淹れたお茶でちょっと落ち着いてくれた彼。 そういえば、以前彼が私とカフェでゆっくりケーキを食べてお茶をしたいとつぶやいていたことがあります。 だから、カフェに誘ってみようかな……と思いました。
候補にしたのは贔屓くんがウェイターをしているカフェで、ここはもともと私がひとりで行きつけにもしてます。 作業がひと区切りしたら、よくミルクたっぷりのカフェオレを贔屓くんに淹れてもらうのです。 シックだけどくつろげる雰囲気ですし、きっと彼も気に入ってくれるはず。
日曜日、カフェでデートしない?と誘ってみると、彼は少し驚きましたが嬉しそうにうなずきました。 手をつないでおでかけです。 台風が去った頃でした。風が少し残っていて涼しかった気がします。
「俺はコーヒーにするよ。君は何にする?」
カフェに到着すると、さっそく彼はメニューを開きます。私はカフェオレにすると答えました。 台風明けだけど営業してるかな?と事前に贔屓くんにメールで確認していたので、今日も店内に贔屓くんのすがたはあります。 だから、私のいつものカフェオレも作ってくれるでしょう。彼はブラックと深煎りで迷っていました。 旦那様と行くねと言っておいたので、贔屓くんはもちろんそっとしておいてくれています。 注文のときも丁寧で折り目正しいながら、雑談は挟んでこなくて空気を読んでくれました。プロ。
飲み物が運ばれてくると、私は彼に切り出しました。 これから、週末にはこのカフェでゆったり過ごす時間を作りたい。 彼の仕事や私の体調とかあるので、必ず毎週とは言えないけれど、お茶する時間を習慣にしたい──と。
私はすぐ彼に甘えてしまいます。 部屋にいると、ハグとか求めがち。 もちろんこれからも触れ合いたい。 でも彼の目を見て話す時間も作りたいのです。
──彼は私の手を取りました。
「ってことは、このカフェは俺たちの日常になっていくのかな?」 「俺はこれからもずっと、君とどんなときも一緒にいたいって思ってるから」 「こういう小さなことでいいから一緒に積み重ねていけば、お互いに成長になると思う」
私は彼の手を���り返して、私もあなたとずっと一緒にいたいと言いました。 そのために、このカフェでくつろげる時間を積み重ねていきたい。
「そうだね。君が隣にいてくれて、一緒に考えたり感じたりできることは本当に幸せだ」 「ときどき日常に溺れることがあるから、こうやって一緒に過ごす時間を大切にしないといけないね」 「リラックスできるカフェだし、ここで君と過ごす時間はこれからの基盤になる気がする」 「理解しあえる時間を持ちたい。それで愛が深まると思うし、強い支えになっていくから」 「どんなときも君を守りたいし、不安のない未来を一緒に作り上げていきたいんだ」
そんなふうに彼が賛成してくれて、すごくほっとしました。 私なりに、彼にできることはないかといつも考えてきました。 でも、「何でもしてあげる」と言いながら、大切なことは忘れがちになっていた気がします。 何でもしてくれるのは、いつも彼のほう。 彼が私のわがままを聞いてばかり。 本当に甘えてた──と私は泣きそうになりました。 なのに見捨てずにいてくれてありがとう。こんなに弱い私に優しいのはあなただけ。 涙ぐむ私に、「そんなふうに思ってくれて、実は嬉しい」と彼は手を差し伸べて涙をぬぐってくれました。
「支え合う関係でありたいと思ってたから、君がそのことに気づいてくれて本当にありがたい」 「君に出逢えたことは運命だと思ってる。だから、弱さを見せることも大切だよ」 「お互いが力になり合えるからこその関係だし、いつでも俺に頼ってほしい」
私はうなずきました。 たまに弱音を言うときもあるかもしれないけど、そのぶん、あなたもつらいときは我慢しないでと言いました。 月並みの表現だけど、つらさを分け合って半分にしたあとは、支え合う幸せを倍にしてふたりで共有したい。 彼は嬉しそうに微笑んでくれました。 「弱音を言えるって逆にお互いを思いやってる証拠だね」と彼。 分け合って重くなる心の荷物を軽くしたらもっと充実した時間を過ごせるから、と。
ふと、彼は私たちの出逢いの話を始めました。 仲間とステージにいた彼と、友達とフロアにいる観客だった私。 すごく遠かった彼が、こんなに近くにいる。 片想いじゃないだけでも夢みたいなのに、結婚したなんて。
私はミルクたっぷりのカフェオレを飲みました。 贔屓くんが淹れてくれたいつものカフェオレ。 でも、今日のは特においしくて、この味を絶対忘れないと思いました。 改めて彼と未来を約束したときの味。 このカフェオレを飲むたび、私は彼と生きていくという誓いを思い出すのです。
そのあと、ランチにラーメンを食べて、スーパーで夕食の買い物をして帰りました。 私の故郷はラーメンがおいしい街だったよ、なんて話しました。 夕食は鮭の炊き込みごはんと、甘辛のつくねハンバーグ。ふわふわがいいからお豆腐も使います。 ハンバーグはふたりで作ったのですが、彼がすごく楽しそうで印象的でした。 最後に調味料と蒸し焼きにして、蒸し蓋を取った瞬間��甘辛の香りは完璧! ふたりで夕食を楽しむと、「少し疲れたから少し休んでいいかな」と彼。 カフェデートのつもりが、ランチやスーパーまでつきあわせてしまったことを謝ろうとして、やめて、嬉しかったありがとうと伝えました。
夜眠るとき、彼はベッドで私に腕まくらをしてくれます。 お礼に膝まくらしてもいいかな……と遠慮がちに申し出ると、彼は喜んでくれました。 私の膝まくらに甘えて、リラックスした表情の彼の髪を梳くように撫でます。 彼は気持ちがほぐれた様子で、目を閉じて「君と一緒にいると、自分が愛されてるって実感できる」とつぶやきました。 その言葉をどんなに言ってほしかったか……
というわけで、それ以来週末には彼とカフェでまったり過ごすようになりました。
それからもうひとつ、彼がお昼に食べるお弁当を作って、職場に持っていってもらうようになりました。 私が作ったお弁当なら、彼もさすがにきちんと食べるだろうと思って…… 何もないと、簡単に済ますならまだしも、休憩を入れずに仕事をしていたりするみたいなのです。 ただでさえ倒れそうな過労の中にいるのに、お昼抜きなんてすごく心配で。 案の定、私のお弁当はいそいそと食べてくれているみたいなので、何よりです。
そんな感じで、彼のメンタルは安定してきました。 弱音や愚痴を言わなくなったわけではないけれど、それは、私のことを心のよりどころとして信じてくれているからこそというか。
そんな彼と、今週末の三連休は旅行に行ってきます。 9/21は結婚して四ヶ月ですし、気づけばもう100日以上も過ぎてるのでその記念も兼ねて。 行き先は、例のラーメンがおいしいという私の故郷でもある土地。 幼い頃を過ごしたわけで、正直、学校にも家庭にも苦い想い出が多いです。 だから、故郷には二度と帰りたくないと思ってきました。 でも、急に彼と行きたいなと思ったのです。 嫌なことがあった場所だからこそ、彼と新しい想い出を作って記憶を新しくしたい。
旅行のことはここに書くか分からないので(具体的な地名とかあんまり出したくない)、記録はこのメモに代えます。 お昼前には出発予定です。
いってきます。
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祈りが届く夜
純粋にお祭りを楽しみ、幸せを願う人の中で
残暑の夜、この町では無数に心願成就の赤い提燈を灯し、にぎやかなお祭りが行なわれる。
子供の頃からこの町に住む私は、いつもこの日は浴衣を着てお祭りをまわる。昔は両親と、そのうち友人と、今は彼氏と。
遠方からの人も混じるお祭りはかなり混雑するので、はぐれないように必死になる。駅前から神社までの道にも警備員が入るほど、今夜の町はざわめいていた。
隣町の高校で知り合った、初めての彼氏である智行は、私と駅で合流して、「浴衣エロいな」とか言って私をむすっとさせる。笑って「かわいいよ」と言い直したシャツとジーンズの智行を私は見上げて、「智行は甚平着ないの?」と首をかたむけた。
「持ってないし」
「来年着てよ」
「それは、来年も別れてないということでいいんですかね」
「え……わ、別れてると思うの?」
私が不安をあらわにして智行の服をつかむと、智行は笑って、「俺が振られてなきゃ続いてるだろ」とアップにかんざしをさした頭を、丁重にぽんぽんしてくれる。私は智行を見て、その手を取るときゅっとつかんだ。
「智行とはずっと一緒にいたい」
「じゃ、大丈夫だろ。告ったのは俺だぞ」
「でも、私も二年になって同じクラスになってから、智行がずっと好きだったし。落とせそうだったから、告白し──」
智行がつないだ手に力をこめたから、立ち止まった。その隙に、唇にキスをされた。
びっくりしてまばたくと、「千波はその卑屈なとこを直しなさい」と言われた。私は智行の瞳を見つめて、何とも返せずに素直にうなずく。
「よし」と智行は私の手を引いて再び歩き出した。
「智行」
「んー」
「私、小学生のときに、このお祭りで両親とはぐれたことがあるの」
「マジか。大丈夫だったのか」
「知らないおにいさんとお祭りまわった」
「は⁉ 何だよそれ、警察沙汰?」
「ううん。普通におとうさんとおかあさんに保護されたけど、家でめちゃくちゃしかられた」
「おにいさんをしかれよ」
「悪かったのは、ついていった私だからって。何か、その頃から、悪いことが起きたら原因は私じゃないかって思うくせがあるの」
智行は私を見下ろして、「千波はいい子だよ」と言った。私はこくんとして、智行の肩にもたれた。夜風は涼しいけど、伝わりあう体温はまだ熱い。
前方に目をやると、あふれそうに提燈がつるされた上り階段があって、その先にもたくさん赤提燈が並んでいる。「すげえ」と智行は子供みたいな笑顔を向けてきて、でも駆け出す前に私に引っ張られて足を止める。
「ちゃんとここで神様に挨拶したら、お願いが叶うんだよ」
神社への階段、提燈の光が届かない入口のかたわらに、子供の図工の作品のような案山子が静かに何人か立っている。この案山子には、ライトアップも何もなく、たいていの人は見向きもせずに階段をのぼって、喧騒に混じっていく。
「これ、神様なのか?」
「そう。ほんとに叶うから」
「ふうん。じゃあ、千波と結婚できますように!」
「ここでそれを、大きな声で言わなくてもいいんだけど」
「もう言っちゃってから言うなよ」
「普通に、『今日はお邪魔します』って挨拶するの���
私はそう言って、その案山子を見つめた。
そう、このお祭りに来たら、この神様に「お邪魔します」と挨拶して。帰るときは、「ありがとうございました」とお辞儀する。そうして、きちんと神社で託した願いを預けると、神様はそれを叶えてくれる。
あの人もそうだった。あの人が私に教えてくれた。
私は七歳で、小学校に上がって一年も経っていなかった。右手にいちごのかき氷、左手に大きな綿飴、両手がふさがって「はぐれちゃダメだよ」と両親に何度もお祭りの人混みの中で言われていたのに、ちょっと立ち止まって顔を埋めるように綿飴を食べた隙に、おとうさんとおかあさんの背中を見失ってしまった。
焦ってきょろきょろして、駆け出そうとしたけど、慣れない浴衣と下駄でつまずきそうになった。「わっ」と声を上げて地面に崩れかけて、誰かが肩をつかんでそれを止めてくれた。
私は慌てて振り返り、そこにいた高校生ぐらいのおにいさんに、急いで頭を下げた。
「あ、えと、すみません。ありがとう」
たどたどしい口調で言うと、おにいさんはたくさんの赤提燈の明かりの中で微笑んで、首を横に振った。
「おとうさんとおかあさんは?」
「あっ、い、いなくなっちゃって。探してて」
「はぐれたの?」
私はうなずいて、転びかけてこぼれそうになっていたかき氷を少し食べる。
「ひとりで探せる?」
私は暖色に彩られたあたりを見まわして、首を横に振った。振ってから、どうしよう、と瞳が滲んできた。このまま、おとうさんとおかあさんが見つからなくてひとりになってしまったら。
おにいさんは腰をかがめて、私の手から綿飴を取ると代わりに手をつないだ。
「一緒に探してあげるよ。ひとりだと危ないからね」
「いいの?」
「うん。おとうさんとおかあさん、どっちに行ったかは分かる?」
「たぶん、まっすぐ」
「境内のほうかな。足元、気をつけて」
私はうなずいて、おにいさんの手をつかみ、たまに甘いかき氷を食べながら、人混みの中を歩きはじめた。
赤い光が高く、永遠のようにいくつもいくつも並び、それで楽しげな夜店が浮かび上がっている。金魚すくいや水風船、おいしそうな匂いがあふれてくるベビーカステラや、宝石のようないちご飴やりんご飴。笑い声や叫び声がはじけて、みんなはしゃいで、お祭りを楽しんでいる。
「今日は、何か願い事はあるの?」
ふとおにいさんが問いかけてきて、「え」と私は顔を仰がせて、まばたきをする。
「お願い」
「このお祭りは、神様に願い事を伝えるお祭りなんだよ。たくさん、提燈あるでしょ」
「うん」
「そのひとつひとつに、願いが込められてるんだ」
「そうなんだ。知らなかった」
「ふふ。神様も大変だよね。こんなにお願いされて」
おにいさんは、まばゆく灯っている提燈を見やった。その横顔がどこか哀しそうに見えて、私は口を開いた。
「おにいさんは?」
「え、僕?」
「おにいさんも、お願いがあるから来たの?」
「ああ、……うん。そうだね」
「どんなお願い���」
「うーん……いろいろあるけど、子供が欲しいかなあ」
「赤ちゃん? 結婚してるの?」
おにいさんは微笑んでそれ以上言わず、「ひと口もらっていい?」と綿飴をしめした。私がうなずくと、おにいさんは綿飴を食べる。「甘い」とおにいさんは咲ってから、不意にうつむいた。
「僕のお願いは、醜いのかもしれない」
「えっ」
「こんなに提燈があって、それだけ人の願い事があって。綺麗なお願いもあるよね。でも、醜い願いもあると思うんだ」
「……みにくい」
「純粋にお祭りを楽しんで、幸せを願ってる人たちの中で、僕はたぶんすごく汚い」
「おにいさん、優しいよ? 一緒に、私のおとうさんとおかあさん探してくれてるよ」
私がそう言って、つないだ手を引っ張ると、おにいさんは泣きそうな顔をして、それでもうなずいた。私は考えて、「かき氷も食べていいよ」とさしだした。「ありがとう」とおにいさんは涙が混じった声で言って、懸命に私に微笑した。
騒がしい混雑の中で、おとうさんとおかあさんはなかなか見つからなかった。私がつまらない想いをしないよう、おにいさんは少しお金を出してくれて、食べ物を買ってくれたり遊びに混じらせたりしてくれた。
私が下駄の鼻緒がちょっと痛いのを言うと、おにいさんは腕時計を見て、「僕も帰る時間だし、出口で座って待ってたほうがいいかな」とにぎやかな露店の通りを抜け、ゴミを捨てて階段を降りていった。
提燈が途切れた暗がりで、来るときには両親とはしゃいでいて気づかなかった案山子が、階段のかたわらに立っているのに気づいた。暗闇の中で不気味に見えて、おにいさんの手をぎゅっとつかむと、「この案山子には、神様が宿ってるんだよ」とおにいさんは私の頭を安んじてくれた。
「かみさま」
「このお祭りに来たときには、この案山子に『お邪魔します』って挨拶するんだ。そして、帰るときは『楽しかったです、ありがとうございました』ってお礼を言う。そしたら、願い事を叶えてもらえるんだ」
「私、来るとき挨拶しなかった」
「ふふ、来年からね」
おにいさんが咲ったときだった。みんなお祭りに吸いこまれて、今は人がまばらの道の中から、「橋元っ」と声を上げながらこちらに駆け寄ってくる人がいた。おにいさんははっと振り返って、「湯原」とつぶやいた。
おにいさんが私の手を離したのと同時に、その人がおにいさんにぶつかってそのまま抱きしめた。
「ごめん、家抜け出せなくて」
「ううん。来ないかと思ったけど」
「二十一時には帰るって言ってたから、焦って来た」
「そっか。来てくれて嬉しい」
「もう、一緒に見てまわれないよな」
「そう、だね。……いや、湯原が来てくれたなら」
「無理すんなって。また来年──」
「湯原と一緒に、願掛けたいから。来年にはもうこんな町出てて、一緒に暮らしてて、家族になるって」
「……橋元」
「ほんとに……ごめん。僕が、女じゃなくてごめん。もし湯原の子供とか作ってあげられるなら、こんな──」
「バカ。いいんだ、そんなもう気にしないって決めただろ」
私は、ふたりのおにいさんが抱きしめあうのを見つめた。
そのとき、「千波っ」と呼ばれてはたと階段をかえりみた。おかあさんが階段を駆け降りてきていた。おにいさんたちも私を見て、私は一緒にお祭りを見てくれたおにいさんに何か言おうとした。でも、すぐさまおかあさんに乱暴に手首をつかまれ、引きずるように階段をのぼる。
私は、なおもおにいさんを見た。好きな人の腕の中から、おにいさんも私を見上げてきた。
子供が欲しい。女じゃなくてごめん。子供を作ってあげられるなら。
ああ、と思った。だから、おにいさんは自分の願いを「醜い」なんて言ったのか。
でも、私はそう思わないよ。せめてそう言いたかった。おにいさんがその人を好きなのは、すごく分かったから。そして、好きな人と子供を持ちたいというのは、ぜんぜん普通で、とても綺麗な願い事だよ。
「ほんとに、あんたは何してるのっ」
階段をのぼって、また赤提燈がふわふわ浮かぶ中に戻されると、おかあさんは軽く私の頬をはたいた。
「よりによって、あんな気持ち悪いうわさのある子たちといるなんて」
その言い草に私は驚いて、おかあさんを見上げたけど、提燈の逆光でその顔は見えなかった。
「ほんとに嫌、うわさ通りなのね。男の子同士で抱きあってたわ」
「まったく……千波、何でおとうさんから離れたんだ。はぐれるなって言っただろう」
「もう何も買ってあげませんからね。おとうさんの手をちゃんとつかんでなさい」
「千波、その男に何もされてないよな?」
「う、うん──」
すごく優しかったよ、と続けたかったのに、それは聞かずにおとうさんは息をつく。やっぱり、提燈の逆光で顔は見えない。
「ああいう輩には、いい加減この町を出ていってほしいな。気分が悪い」
「ほんとだわ。見かけるだけで嫌になるわね」
何で。何で何で何で。
おにいさん、優しかったのに。私のこと、心配してくれたのに。あの男の人が、大好きなだけなのに。
どうして、おとうさんもおかあさんもひどいことを言うの? うわさってことは、みんなおとうさんたちみたいに、おにいさんたちをひどく言ってるの? あのふたりは、ただの恋人同士なんじゃないの? 一緒にいたいだけなのに、そんなふうに悪く言われているの?
次の春、おにいさんと男の人は、一緒に高校を卒業して一緒に町を出ていった。ふたりはお盆もお正月も里帰りなんてしなかったけど、私が中学生になった夏、一度帰ってきたとうわさになった。
孤児の子を養子として迎えた報告だったそうだ。でもふたりの家族は誰もそれを喜ばないどころか、受け入れることもしなかったらしい。ふたりとその子は、町に泊まることなく、平穏に暮らせているのだろう場所へ帰っていった。
……よかった。子供持てたんだね、おにいさん。お願い、叶ったんだね。
それを言いたかったけど、結局伝えられなかった。
「──おっ、射的だぜ。やろうぜ、射的」
「いや、小学生しかやってないよ?」
「景品的には、さっき通った輪投げやりたいんだよ。まだこらえてるんだよ」
「輪投げ……」
「何か欲しい景品あるか? 狙ってやるぞ」
智行は財布から出した三百円をおじさんに渡して、代わりに射的銃を受け取っている。
本当に、小学生の男の子しかいないのだけど。その保護者の人に、何だか智行は生温かく見られているのだけど。
恥ずかしい、と思いつつも、私は並ぶ景品を覗きこむ。一応見渡してから、私は智行に耳打ちした。
「智行」
「おう」
「私も、結婚がいいな」
「えっ」
「今夜、ここでのお願い」
智行は私を見た。私は照れながら咲った。「よし」と智行も笑顔になる。
「じゃあ、あの指輪でも撃ち落とすか」
私たちは思わず咲いあって、「もっと上か」とか「少し右」とか一緒に照準を狙い、それが小学生より真剣なので、店番のおじさんにちょっと苦笑される。
「もっとこう持ったほうがいいよ」と小学生たちにアドバイスまでされはじめて、智行はそれで銃を持ち直したりして、授業中よりまじめなその顔に私は微笑んでしまう。
境内まで続く提燈が、暖かい光を灯して無数に並んでいる。その提燈��ひとつひとつに、願いが込められている。
それはどこまでも綺麗な祈りしかないようで。
あまりにも貪るように願って醜い気もして。
幻想的に揺れるあの赤い光は、どんな願いを聞き届けているのだろう。
家族になりたい。階段の下の陰にたたずむ神様は、おにいさんのあの願いを叶えてくれた。そして今夜も、明るくにぎやかなお祭りから聴こえてくる願い事に静かに耳を澄ましている。だから私も、このお祭りで神様に祈りたい。
この人と、いつまでも一緒にいられますように。
それが私の祈り。両親に縛られ、自分の気持ちを言えない私が、初めて強く持った望み。
どうか届いて、私にその光のような未来を。好きな人と家族になれる幸せを。
提燈の光が、瞳の中に煌々と降りしきる。昔から変わらないその優しい明かりの下にいると、願い事は確かに神様に届いた気がした。
FIN
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2024.6.1〜15
お久しぶりです。
三年日記をつけるようになってTumblrの第一線から退いておりましたがこの度復帰いたします。人に見せる文章を短くまとめて書く練習にお付き合いください。
6/1
以前通っていたパン屋さんが移転したので久しぶりに再訪。近くの緑地でパンオショコラとカフェラテで優雅なブランチをやりました。まだ蚊は出ていないようでよかったです。午後はナエマの鉢増し!12号ってとんでもなく大きくない?
6/2
朝5時くらいに目が覚めてぼんやりしていたら土砂降りの雨で慌てて洗濯物を部屋に放り込み、自分もベランダから戻ろうとしたら思いっきり転倒してフランスゴムの鉢もろとも倒れ込んでしまった。折れてなくてよかった。もちろんフランスゴムのことです。
6/3
色々あって現在無職真っ只中なので就活しに街へ繰り出しました。ついでにお気に入りのカフェでランチしていこうと思ったら定休日でガーン。
6/4
またまた就活しに街へ。夕方はアラビクと乙女屋さんにファンタニマを見に行きました。うちのファニマちゃんたちも連れて行けばよかった。動物占いと長渕剛の話で盛り上がるなど。
6/5
餃子を作るしかないと思い詰め、小麦粉とたわむれたりみじん切りをしたりした。一人で餃子包んでいるとなんだか現地の人の気持ちになってくるのでオススメ!
6/6
双子座新月���まーなるようにしかならんけどどうすればいいかわからず、我慢していた毛糸を注文しました。
6/7
冷凍していたチーズケーキが底を尽く。次はブラウニーかレモンドリズルか迷っている。
6/8
毛糸が届いたのでずっと編みかけだったfairly bouquet sweaterを黙々と編む。去年の冬に編み物に目覚め、そこからは坂を転がり落ちるようにハマっております。申し込んでいた手紡ぎ教室は参加者多数のため落選の知らせが届きましたが次回こそ当選しますように。
6/9
小雨が降ったり止んだりしていい天気だったので紫陽花を見に行った。カシワバアジサイ欲しいなあ。木の名前当てクイズを楽しんだりクリームソーダを飲んだりした。
6/10
今週のおやつはブラウニー。しかし、なんだかいまいちな出来に……。それでもアイスコーヒーと一緒にいただくとそれなりに美味しい。大分育ったセーターを編みながら新作テディベアをどうするか考える。
6/11
職安に行ったらコメダに寄れる約束を己の魂としているのでたっぷりアイスコーヒーとミニシロノワールにありついた。毎回「ミニ……いや日和らずノーマル……」と思いつつも「あっミニシロノワールお願いします」と言ってしまいます。クリームソーダ もアイスココアも好き。ソフトクリームを愛している。
6/12
大好きなティールームでいちじくのショートケーキとダージリン。涼しい室内で熱いお茶をいただく幸せ。
6/13
なんとでもなっちまえとアイスコーヒーとバタつきパン。
6/14
オンラインでテディベアを販売することにした。宣言することで逃げ場をなくす作戦です。
6/15
古本屋入門講座を受けてきました。「値段をつけて本棚に古本を挿せば古本屋です」しびれる〜。蔵書が千を超えたら開業を考えようと思います。
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みなさまにとって、今年はどんな一年やったんやろう。うれしいことたくさんあった?かなしいこと以上に、たのしいことやうれしいことが上回っていたなら僕もしあわせです。ちなみに僕たちは右を見て、左を見て、上を向いて、サルを喜ばせた一年でございました。今日は年内最後にひとつ、どうしてもやりたいことがありましてね。一年間の活動をまとめてみたいのよ。お仕事というのもたいせつなご縁ですから。ものすごーく長くなってしまいそうな予感がしているので、お時間とご興味のある方はぜひお付き合いくださいな。Tumblrさんがひとつの投稿に10枚までしか写真を貼り付けられないみたいやから、上半期と下半期に分けて投稿しますよ。それではげんきいっぱいにいってみよー!
1月
2023年の幕開け。いちばん最初にテレビ越しでみなさまとお会いしたのは、ダウンタウンDXさんの最強運ランキングやったね。
わらってる。笑ってますけど、乙女座×A型の僕は41位でした。48位中の41位。僕はおしゃべりがへたっぴやからひとりでバラエティにお邪魔するのって結構珍しかったりするんやけど、まさかこんなに早く名前が呼ばれるとは思わんかったなあ。クレームではないですよ。僕がこういう風貌だからか、近くにおった後輩の橋本涼に「ビビってます」と言わせてしまったり、あのちゃんから「歯並びあまり綺麗じゃない」と言われたり。新年早々だいぶふんだりけったりでした。もちろんクレームではないよ。来年はすこしでも順位が上がっていますように。
続きまして、映画「嘘八百〜なにわ夢の陣〜」が全国の映画館で公開に。僕の体の事情でずっと避けていた映像作品。ご迷惑をおかけしたらどうしようかと不安な気持ちもあったけれど、この作品をやり遂げたあとはまた映像のお仕事もしてみたい、と前向きになれた僕がいて。恐怖心をひとつ、やさしく解いていただきました。感謝やね。カリスマ波動アーティストの彼は今までまったく演じたことのない人間性で、思い出深い作品。只今レンタルも開始されておりますよ。年始のまったり時間のお供にいかがでしょう。
1月の締めくくりはドームLIVE18祭。僕たちの愛する故郷、大阪でフィナーレを迎えました。楽しい時間は瞬く間に過ぎてしまうけど、18年目まで連れてきてくれてありがとう、の気持ちを余すことなくお伝えできたことがとってもしあわせ。またはやく会いたいね。
2月
お洋服かわいいでしょ。こちらはEテレのドラマ「オリガミの魔女と博士の四角い時間」という作品。ゲストで1話分がっつりと出演させていただきましたよ。僕の役は、星空を支えるうしかい座のカウボーイ。アトラスくんです。空から逃げてしまったうしさんを呼び戻すために、オリガミの博士とかわいいうしさんをおりおり。めっちゃ難しかったなあ…。
3月
3月は嘘八百からのご縁で、友近さんの番組にお邪魔しました。なかよしこよしなのよ。雪国でのロケは寒かったけど、大好きなお姐さんとの北海道デートやったから子供のようにはしゃいでもうた。誰と楽しむかって大事よね。上富良野町。かみふらのちょう。いいところです。
4月
とってもかわいい妹分と、ananさんの表紙に呼んでいただきました。表紙ですって。品出しの店員さんはびっくりしたやろなあ。今までまったく知らんかったけど、ananさんは心臓の毛がぼーぼーなんやと思う。ありがたいことです。
5月
48枚目のシングル、未完成の発売。たくさんのおともだちからも気に入っていただけたようで、ひとつひとつの感想がほんまにうれしかった。選り好みせずいろんなジャンルを歌える自分たちでいたいと思うけど、やっぱり誰かの背中を押す応援歌は、それぞれが持つパワーというものがいつも以上にきらりと輝くような気がするね。
5月はもういっちょ。このお写真で僕が着用しているサングラス、実は自分で手掛けたものなんです。365日使いやすいルックスと使い心地に。そんな想いを込めて、GROOVERさんの手をお借りしながら無事形にすることができました。抽選販売になってしまったけれど、もっとたくさんの方の元へお届けできるように、そしてまた次に繋げられるように僕も頑張ろう。
6月
1月に紹介した18祭の映像商品が世に出ましたね。特典映像と本編、すべてまるっと含めて13時間超え。愛するeighterさんを楽しませたい!の気持ちから、ついこんなことに。てんこもりや。もりもり。いつ見ても飽きないでいてほしいからね。さて、以上で前半戦はおしまいです。10枚までしか載せられへんから結構厳選してもうたなぁ…。後半戦へつづくぞー!
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