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AI Art - Furina and Focalors (Christmas of 2024) / More on: patreon.com/AisuChi
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ある中小企業が突然、不正輸出のぬれぎぬを着せられました。 捜査した公安警察の手法に疑念が持たれています。 その内幕を明らかにしようと、記者は追跡を続けました。 約1年にわたる取材録をつづります。 語り出した捜査員 今日も取材を断られるだろうか。そんな暗い予感が頭をよぎる。 少し肌寒くなり始めた2023年10月のある夜、とある住宅街。私(記者)はある人物の自宅インターホンを押した。 私は、警視庁公安部が主導した捜査にあやまちがあったのではないかと考え、取材をしていた。 その捜査とは、軍事転用可能な装置を不正輸出したと疑われた化学機械メーカー「大川原化工機」を襲った冤罪(えんざい)事件に関するものだ。 大川原化工機の大川原正明社長(中央)。起訴取り消し後、国と東京都に国家賠償を求める訴訟を起こし、1審で勝利する。裁判は2審に舞台を移し、現在も続いている=東京都千代田区で2023年12月27日午後2時29分、前田梨里子撮影 社長らが起訴された後、捜査機関が自ら起訴を取り消す異例の経過をたどっている。 この日、訪問したのは、この事件の内幕を知る���場の捜査員。 在宅しており、くつろいでいたのか部屋着姿だった。 それでも建物の外に出て、突然の私の訪問に対応してくれた。 以前も自宅を訪ねていた。その際は、相手が言葉を発することはほとんどなく、空振りに終わった。 だが、この日は違った。予想に反して会話が続く。 「捜査をおかしいと思った人はいっぱいいた。めちゃくちゃです」 捜査員が語り出した言葉は、怒りで満ちていた。 屋外で立ち話を始めて5分ほどがたっただろうか。 「今日はいける」。私は手応えを感じた。 衝撃の「捏造」発言、取材スタート 途中で担当が代わるまで、記者は大川原化工機の裁判を毎回傍聴していた=東京都千代田区の東京地裁で2020年2月26日、丸山博撮影 話は4カ月ほど前の6月30日にさかのぼる。 私は当時、東京・霞が関の司法記者クラブで裁判の取材を担当していた。 クラブ内の毎日新聞のブースで仕事をしていると、東京地裁で裁判を傍聴していた後輩の記者がノート片手に慌てた様子で戻ってきた。 「(警察官が)『捏造(ねつぞう)』って言ったんですけど」 後輩が傍聴していたのは、大川原化工機の捜査に携わった公安部の現職警察官4人の証人尋問。 大川原化工機側が公安部と東京地検による捜査の違法性を訴え、東京都と国に国家賠償を求めた訴訟で行われたものだ。 「まあ、捏造ですね」。証言台の前に立った警部補から衝撃的な一言が飛び出した=東京都千代田区の東京地裁で2020年2月26日、丸山博撮影 証言台の前に立った4人のうち警部補2人が公然と捜査批判を繰り返し、このうち1人が捜査について「まあ、捏造ですね」と衝撃的な発言をしたのだ。 後輩の報告を聞き、記者を束ねるキャップが驚いた顔で「本当にそんなこと言ったの? マジで?」と確認する。 後輩は「確かに捏造と言いました」と断言した。 国際テロ組織や過激派などによる事件を担当する公安部は、秘密を外に漏らさないよう保秘の徹底をたたき込まれているとされる。 捜査の内情は「秘中の秘」のはずだ。 公開の法廷で捜査に疑問を呈するのは異例中の異例だろう。 後輩とキャップのやり取りを横で聞いていた私は「捏造」という言葉にインパクトを感じたものの、それが真に意味するものがつかめていなかった。 公安部で何が起きていたのか。真相を探る取材が始まった。 つかんだ突破口 警視庁の本部庁舎=東京都千代田区霞が関2で2018年12月1日、本橋和夫撮影 しかし、取材は一筋縄ではいかない。 多くの警察は、記者が個別に捜査員を取材することを禁じている。記者が接触してきた場合は上司��報告を求める「通報制度」も敷く。 実際、私が大川原化工機の事件で捜査関係者を訪ねても「守秘義務がある」「組織に連絡しないといけない」と断られることがあった。 関係が築けていない相手から話を引き出すことも簡単ではない。 相手がしゃべらなければ一方的に話し掛け、何とか会話の糸口を探る。逆に話に乗ってくれるようなら相づちを打ちながら話を広げる。 相手の表情や仕草、言葉の抑揚、すべてに気を配らなければならない。 こうした取材を続けるなかで、冒頭の捜査員に出会った。公安捜査の経験者で、今回の事件にも詳しいという。 立ち話に応じた捜査員は、しゃべっている間も横目で周囲の状況をちらちらと確認する。 会話中、ヘッドライトをつけた乗用車が低速で近付いてきた。 一瞬、会話が止まる。車が通り過ぎるのを見届けると、捜査員は静かに語り出した。 「法律の解釈をねじ曲げてやろうと思った。これがすべての始まりと聞いています」 大川原化工機の事件について、記者が保有している資料。ファイル5冊分に上っている=東京都内で2024年6月11日、遠藤浩二撮影 その後も話は続いた。捜査員は表情を変えないものの口調は熱を帯びていった。 立ち話が始まってから30分ほど。薄着だった捜査員は、体をさする仕草をした。 「もう、このくらいで」の合図だろう。会話を切り上げようとした。 すると、捜査員は最後にこう付け加えた。 「あまりにも組織が変わらない。また同じようなことをやりますよ」 私は頭を下げ、最寄り駅に向かって歩き出した。興奮冷めやらぬまま、同僚にメールを送る。 「捏造の構図が分かった」 【遠藤浩二】 (警察官の肩書は原則、当時のものを使います)
追跡公安捜査:「公安は同じことやる」大川原化工機事件、捜査員が私に語った警告 | 毎日新聞
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2023年11月12日(日)
龍谷ミュージアムで開催中の<秋季特別展「みちのく いとしい仏たち」>、終了間際の今日になってようやく行くことができた。<みちのくの厳しい風土の中、人々の暮らしにそっと寄り添ってきた、やさしく、いとしい仏たちの、魅力あふれる造形をご覧ください。>、まことにその通り、雅な都の規格化された像とは異なり、鄙の暮らしそのままの素朴で大胆な表現、つい微笑んでしまい穏やかな気持ちになることができる。会期は残すところ1週間、お近くの方、お勧めですぞ!
6時起床。
洗濯。
昨晩のご飯が茶碗1膳分残っていたので、牛肉しぐれ煮を載せていただく。
1階の私の仕事場、MQJの荷物と私の資料類、それに食料品やワインがひしめき合って足の踏み場もない。プリンター台を1台増設して環境改善を試みる、なんとか来週末には原稿書きに専念出来るようにせねば。
龍谷ミュージアムの秋季特別展、週末の予定ぎっしりでやっと本日訪れることができた。
江戸時代、全国の寺院では、上方や江戸で造られた金色に輝く立派な仏像が、ご本尊として安置されました。一方、小さなお堂や祠、民家の仏壇や神棚などには、その土地の大工さんやお坊さんたちの手による、素朴でユニークな仏像・神像がまつられ、人々に大切に護られてきました。この展覧会では、青森・岩手・秋田の3県に伝わった約130点の仏像・神像をご紹介します。
いやぁ、良かった! 暮らしとともにある神像・仏像、初めて知ることだらけ、良い勉強をさせていただいた。
帰宅して少し遅めのランチはこのところお気に入りのUFO。
昨日生放送があった<NHK新人落語大賞>、録画を忘れたのでNHK+で観る。応援している一花さんはそこそこの出来、三実君は大爆笑だったがいかんせんローカルネタでは審査員の受けは良くない。慶次朗君の優勝は順当、文珍師の<師匠を超えた>発言には大爆笑。しかし、改めて2年前の二葉さんのインパクトの大きさを思い出した。
酢タマネギ仕込む。
半熟酢卵仕込む。
ポン酢・麺つゆ仕込む。
夕飯、鶏ムネ肉の甘辛煮・半熟酢卵、カラスミは息子たちもよく食べてくれる。
録画番組視聴。
柳家権太楼 落語「へっつい幽霊」
初回放送日: 2023年11月12日 柳家権太楼さんの落語「へっつい幽霊」をお送りします(令和5年9月1日(金)東京・小平市 ルネこだいらで収録)【あらすじ】「へっつい」とはしっくいで固めたかまど。古道具屋が売っている「へっつい」はいい品なのだが、誰が買っても、その日の夜中になると引き取ってくれと言って返品されてしまう。わけを聞くと深夜に���っついから幽霊が出てきて「金を出せ」とおどかすらしい。困った道具屋は…
久しぶりに散髪をしてもらう、風呂上がり体重は昨晩から50g減。
日誌書く。
弁当用に里芋煮る。
ミュージアムまでのバス移動だけ、明日からちゃんと3つのリング完成させよう。
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私にもサブカルのこと書かせて-4(スタジオボイス)
「ファッション通信」では毎月スタジオボイスの新しい号が出るとプレゼントしていて、それがきっかけでこの雑誌を知り読むようになりました。スタジオボイスはおしゃれとヨゴレを行ったり来たりしていて面白い雑誌でした。
今ではすっかりハイパー呼ばわりの高城剛のブログを思わせるような日記の連載があったのですが、レイアウトが読みにくくて面白くないのでいつも飛ばしていました。でもたまたまページをめくっていた時に、「僕は決めた、今世紀中にテレビ局を作ります!地上波でもBSでもCSでもないテレビ局!」というようなことが書いてあったのが目に入ってきて(この人はいつもこういうテンションだった)、当時はこの人何を言ってるんだろうと思っていたのですが、もしかしてそれってYouTubeのことだったの…?と今は思います。
あと何という人だったか忘れてしまったのですが演劇のページで大人計画のある芝居を堂々と批判している人がいて、結構キツイこと書いちゃうんだなぁと思ってたら、松尾スズキが「カジノフォーリー」というお笑い雑誌で反論していたことがありました。反論と言っても「誤解されてると思う」みたいな感じだったけど��批判の内容は、難解な書き方だったので真��の程はハッキリわからなかったのですが、自分としては多分「内輪受けで何でも受け入れるファンの方しか向いてない」ということだったと思っています。公演が終わった後にロビーで劇団員によるフリマが行われたことも書いてあって、「それはキツイなぁ」と思いました。お笑いはずっと好きだけど、小劇場のノリは当時から苦手でした。
「カジノフォーリー」は東京のお笑いが中心のミニコミという感じの雑誌で、そこに載っていた頃の立川志らくの尖りぶりはすごかったです。今の志らくはかなり丸くなってる。
スタジオボイスに話を戻すと、私がこの雑誌に感謝していることは、レインコーツの存在を教えてくれたことです。その頃ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのモー・タッカーがソロアルバムを出していて、新譜のページにほんの一言だけ「元祖レインコーツというか相変わらず年齢不詳のババア声」と書いてあったのです。昔のサブカル雑誌の悪いところが凝縮された言い方だなぁと思います。でもレインコーツという名前を知ったのはこれが最初でした。これ書いた人誰なんだろう。これ書いたの覚えてる?って聞きたい。
そしてあの頃のスタジオボイスにはナンシー関がいました。ナンシーがおもしろかった頃が、スタジオボイスのいい頃と重なってたと思います。ブロンソンズまではまだよかったけど、その後根本敬とかリリー・フランキーとかがよく載るようになってからクールさがなくなった。
ナンシー関はカルト特集といういろんなマニアが出てくる号で缶ジュースについて書いていました。おしることかプリンシェイクとか見かけると味をチェックしたくなるけど、缶ジュースと呼んでいいのだろうか、うわさによるとおでんジュースや串に刺さった肉が入っているヤキトリジュースというのがあるらしい、どこまでが缶ジュースなのだろうか、とかなんとか。その後秋葉原の自販機おでん缶って話題になりましたよね。
それから一瞬、ほんの一瞬i-Dジャパンていう雑誌があって、一見おしゃれっぽいけど調子こいた品のない雑誌でした。フリッパーズもスチャダラパーも電気グルーヴもピチカートも載ってました。この手の雑誌ってよく考えたらいつもこのメンバーで、その辺押さえとけ感もちょっとあった。i-Dジャパンの電気グルーヴの連載は他の雑誌の連載に比べて、ひときわやる気のないものに見えました。(ラジオでやっていた漫画紹介コーナーの書き起こしみたいなの)
クイックジャパンが創刊された時、「ヤバい雑誌が出る!」みたいに紹介していたのもi-Dジャパンでした。そんなに言うならと創刊号をちょっと立ち読みしてみたけど、これは自分には全然必要ない雑誌だなと思いました。
フリッパーズってすぐ解散しちゃった��あんまり出たがりな印象でもなかったので、嫉妬丸出しの大人も多かったけど特に追いかけてなければわりとどうでもよかった。それこそあのいじめインタビューとか、全然知らなかったです。だってロッキンオンとかクイックジャパンなんて私読まないし…あの頃調子こいてたツケが今来てるんならま、しょうがないんじゃない。という感じです。
私も大概サブカルクソ女子高生だったと思ってたけど、鬼畜系とかオリンピックのことがあるまでほとんど知らなかった。電気グルーヴのANNは聞いてたし「ゴメス」も毎月もらいに行ってたけど、ガロにははまらなかったし、テレビブロスも読んだことないし、夜遊びにも憧れなかったし、そう考えると私たいしてサブカル女子じゃないんじゃない?と思います。
でも知らなくてよかったかも、と思いました。60年代にうつつをぬかしててよかったかも。ただ生と死ブームはめっちゃ覚えてます。生と死にブームもクソもないだろうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ブームだったのです。
そして創刊号だけ買ったことがあるバァフアウト!がこんな感じで残ったのも意外でした。創刊号ではU.F.Oとラヴタンバリンズが印象に残っています。ラヴタンバリンズはちょっと大言壮語な感じがしました。U.F.Oの松浦俊夫は田島貴男と一緒にモグラネグラという深夜番組に出ていて、2人とも変に小慣れた喋り方じゃなかったのが良くて毎週見ていました。ゲストの高城剛が当時発売されたMDを紹介していましたが、田島貴男と松浦俊夫の2人はこのサイズではジャケットが見えないとあまり喰いついてませんでした。ハイパーはとにかくハイテク大好きという感じだったけど、MDは特にどうもなりませんでしたね。あとなんかチェリールイもゲストに出てました。(チェリールイって今書きながら思い出した〜)
モグラネグラ(モグネグ)の他の曜日はあんまり見てなかったけど、ローリーが従えていたオナペッツのインパクトはすごかったです。
オーディション番組「天下御免ね」に審査員として出ていた松蔭浩之の写真もスタジオボイスに何度か掲載されていました。天下御免ねに出ていた頃の松蔭浩之は、茶髪のサラサラヘアをなびかせてベビーピンクのスーツを着た、タメ口をきくアート界のプリンスといった雰囲気のキャラだったのに、今では自分から帽子を脱いで禿げてるんだ〜と見せるような人になっててビックリした反面、こんな風に年齢を重ねたことを受け入れられる人っていいなと思いました。大人の余裕を感じました。作品は好みじゃないです。
むしろその頃私がずっとウザいなと思っていたのは出たがりの便利屋小西康陽の方です。この人スタジオボイスで感じ悪い連載してたし、アントニオーニの「欲望」のフライヤーの裏に駄文書いてたし、「黄金の7人」のCDの解説にも出てきてた。また文章が中身が薄くてひとりで笑ってるみたいな、作ってる音楽と同じくらいつまらないものでした。
小西康陽がスタジオボイスで連載していたレビューのようなものはちょいちょい感じが悪かった。自分はCDを出したら関係者に配るのに、僕のところには全然来ない。あいつに送るなというリストに僕は入れられてるのでは?と、ここまではいいのですが(ちなみにうちにはそのリストが存在する)とか書いていて、そんなだからお前も同じ扱いされてんだろすぐパクるし、と思いました。
昔の音楽ライターについて、ボブ・ディラン担当だった菅野ヘッケルという人のことを「ヘッケルだよ、ヘッケル」と小馬鹿にしたように書いていたこともありました。それからずっと後、ボブ・ディランがノーベル文学賞をもらった時まさかの菅野ヘッケル本人がテレビに出てきてインタビューに応えていました。まさに生きとったんかワレ!でした。菅野氏は元気そうにしていてよかったです。なかなか雰囲気のある方で、街で見かけたらちょっとビビるかも、と思いました。
あと関係ないけど当時レコードフェアに行くと小西康陽そっくりな格好をした人がよくいました。(何をとは言わないけどマッシュルームカットとメガネとヒゲでごまかすスタイル)
リズ・オルトラーニが手がけた「世界女族物語」という映画のサントラが再発された時、誰が書いたのか解説の人がある曲について「小西康陽氏もこの曲が好きだと言っていたので、彼のフェイヴァリット・ソングとみて間違いないでしょう」とか書いてたのですが、ほんと知らねーよって感じでした。こんなんで原稿埋めんなよ。嫌いだわぁ。心の底から嫌いだわぁ〜!
取り乱しました。(ダチョウ倶楽部)
あの頃見かけた90年代のサブカル文体はあまり褒められたものではなかったけど、面白い人は面白かったし、川勝正幸やコモエスタ八重樫は下品すぎず自画自賛もあまり感じない文章でした。三田格という人の文はすごく痛くて、イジっちゃだめな人に見えました。もちろんつまんなくて下品な人もいて、そういう一部の人が使っていた「と、いうよーなモノがあって。でですね」みたいな文体は当時から気持ち悪かったです。モノとかコトとか片仮名にするのほんと気色悪かった〜。でも雑誌しかないから隅々まで読んでいて、こんなふうに記憶に染み付いてるんだからおそろしいです。
(つづく)
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スミワン12 グランドチャンピオン大会審査結果発表
5/30-31に、スミワン12 グランドチャンピオン大会が開催されました。 審査の結果、グランドチャンピオン及び審査員特別賞が決定しましたので、発表いたします。 受賞された皆様、大変おめでとうございました!
○スミワングランプリ 2019-2020 グランドチャンピオン
森本順子(獲得点数:116点(126点満点中))
○審査員特別賞
※並び順は、審査員の名前の50音順です。順位はありません。
・グウナカヤマ 賞 湯上久雄
・菅原晋 賞 桐洋生
・中嶋敏生 賞 セキマリエ
・ハシグチリンタロウ 賞 南岳杲雲
・Haru Yamaguchi 賞 木原光威
・山本尚志 賞 高濱渉
・渡部大語 賞 Yoko Morishige
○グランドチャンピオンへの審査員コメント
・グウナカヤマ 森本さんは昔から変わらないスタイルを貫いているところが良いと思います。 自分の中から溢れるモノをそのまま直球で表現されていて誰が見ても森本作品とわかるところがポイントで良いと思います。
・菅原晋 森本順子の作品はその文字の佇まいや言葉の選び方から世界に対しての優しさが感じられるのと共にユーモアも共存している。その味わいが鑑賞者の気持も優しくさせてくれる。
・中嶋敏生 森本さんは、生きるということと、作品が生み出されるということが完全に一体になっていて、すごいと思います。全てタイトルも画面も違うのに、どれも根底には共通した作家の想いが感じ取れます。自然体の絵と、確かな技術の書に、魅力が詰まっています。”この中から1枚選びたい。家に飾ってみたい”と思わせる力があります。純粋性と画面の魅力、そして、ファンの多さ。グランプリにふさわしい存在だと思います。
・ハシグチリンタロウ 絵と文という点では、とっくの昔に「詩書画」として成立していた形式ではあるが、それでもなお2020年代にみずみずしく映る。「詩書画三絶」のようなハイカルチャー志向ではなく、本人の「詩書画悶絶」の生活の中にあって、今ではただただ軽やかに森本さん自身が一枚一枚の上で遊んでいる。生きとし生けるものに心を寄せながら、めちゃめちゃうまそうに焼肉を頬張るような人間の矛盾そのものをこれからも素のまんまでGOだぜ。
・Haru Yamaguchi 「台所と海」これは文句なしの満点。毎日の日常生活の中で、食器洗いをしていると洗剤容器は途端に大きな海へと変容し、「洗剤は地球に優しいものなのか?」と自ら問いかける。それは単純に環境破壊を危惧しているということではなく、森本順子作品の全てに共通するテーマ「心から優しくなれるか?」という問いかけであると私は思っている。作品を直視しながら、私はこの作家の純真さと表象力にただただ感服するしかない。
・山本尚志 作品を作る能力が素晴らしく、次から次へと新しいものが出てくる柔軟性が最近出てきました。テーマも海外に出しても通用するユーモアがあり、しっかりブランディングが出来ていて、これが森本順子だというのがヒシヒシと伝わって来ます。今でもファンが多いし、いつプロになってもおかしくないアーティストだと思います。売れますよ、この人。
・渡部大語 森本ワールドそのもので、日頃の生活から生まれた言葉を、なんのケレン味もなく紙面に落とし込む伎倆は他の追随を許さない。この人がさらに一念発起して、大作にも取り組んだら面白いことになりそうな予感がする。
○審査員特別賞への各審査員からのコメント
・グウナカヤマ 賞:湯上久雄 湯上さんは線自体が湯上さんそのものの様に感じます。日々研究を重ね紙や墨に拘り、生活の隙間に硯をすり己自身の書と向かう、吸い込まれる様な空気感がとても良いと思います。
・菅原晋 賞:桐洋生 桐洋生の素晴らしいところは常に新鮮に紙と向き合い筆を持っているライブ感が伝わって来るところだ。良い意味で常に初舞台に立っているような覚悟もたたえている。
・中嶋敏生 賞:セキマリエ 漢字を通して自然を見つめているのだと思いました。漢字の象形に踏み入ろうとしているのではなく、抽象化された漢字の形はそのまま受け入れた上で、景色と一体で見つめていることに面白さを感じました。形が決まっている山と、刻々と変化する雲を同時に眺めることで、山が動いて見えたり、雲が止まって見えたりして、非常に面白い感覚を味合わえます。 海外に評価されるにはもう一つユーモアが必要なのかもしれませんが、純粋で魅力ある画面に、とても惹かれました。
・ハシグチリンタロウ 賞:南岳杲雲 文字というのはしゃべることがある。活字を黙読しながら音声を立ち上げていくのとは違い、書いた文字そのものが紙の上に実体として呼吸をしていて、呟いたり、わめいたり、語りかけたりする。 南岳さんはこうして一文字ひと文字に息を吹き込むできる人なんだな、というのが第一印象で、書くことに対する愛情がある。作品の中には抽象的なかたちが共存していて、おそらくこの喋る文字の主であろうが、具象的ではないそれは「わたしであり誰かである」という自他一体のなかに人が「在る」ということのように感じられる。
・Haru Yamaguchi 賞:木原光威 本来であれば読者が作者の主張・心情を美しく読み取るはずの「白い行間」を、読者の「勝手な想像から成る大きな塊」と解釈し、その重みを「黒い行間」として表象・転換する手法はお見事。素晴らしい作品。「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」も秀逸。シリーズ作品としてのバリエーションも豊富で、���る者を飽きさせない作家としての底力も大きい。今後は、そのコンセプトを基盤に現代性・社会性を盛り込んだ作品を大いに期待しています。
・山本尚志 賞:高濱渉 大きな作品が作れるのが魅力。インパクトも空間処理もできる人。プロとして十分通用する1人だと思っています。この一年間苦労して頑張った印象がありますね。困難を乗り越えた凄みを感じます。テーマがシンプルなのも決して悪くない。ただ、もっともっとコンセプトワークをガチガチに固めないと。その辺の思考の量がまだまだ不足しています。将来性のある、スケールの大きな作家。まだまだ伸びる要素に満ちています。
・渡部大語 賞:Yoko Morishige この一年間で最も進化を遂げたのがYoko Morishigeであろう。広島会場でこのシリーズの初期作品を観たときは、「モノになるのか?」と些か疑問を抱いたものだが、見事な作品へと昇華させた。
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一 はじめに
(日本オリンピック) 五輪史上初の衛星生中継。世界が見守る中、聖火を手に、国立競技場に入ってきたのは、最終ランナーの坂井義則(よしのり)さんでした。 八月六日広島生まれ。十九歳となった若者の堂々たる走りは、我が国が、戦後の焼け野原から復興を成し遂げ、自信と誇りを持って、高度成長の新しい時代へと踏み出していく。そのことを、世界に力強く発信するものでありました。 「日本オリンピック」。坂井さんがこう表現した六十四年大会は、まさに、国民が一丸となって成し遂げました。未来への躍動感あふれる日本の姿に、世界の目は釘付けとなった。 半世紀ぶりに、あの感動が、再び、我が国にやってきます。 本年のオリンピック・パラリンピックもまた、日本全体が力を合わせて、世界中に感動を与える最高の大会とする。そして、そこから、国民一丸となって、新しい時代へと、皆さん、共に、踏み出していこうではありませんか。
(新しい時代へ踏み出す) 「日本はもう成長できない」。七年前、この「諦めの壁」に対して、私たちはまず、三本の矢を力強く放ちました。その果実を活かし、子育て支援、教育無償化、更には働き方改革。一億総活躍社会を目指し、まっすぐに進んでまいりました。 厳しさを増す安全保障環境を直視しながら、平和安全法制を整備し、防衛力を抜本的に強化しました。地球儀を俯瞰(ふかん)する視点で、世界を駆け回り、ダイナミックな日本外交を展開してきました。 我が国は、もはや、かつての日本ではありません。「諦めの壁」は、完全に打ち破ることができた。その自信と誇りと共に、今、ここから、日本の令和の新しい時代を、皆さん、共に、切り拓いていこうではありませんか。
二 復興五輪
二〇二〇年の聖火が走り出す、そのスタート地点は、福島のJヴィレッジです。かつて原発事故対応の拠点となったその場所は、今、我が国最大のサッカーの聖地に生まれ変わり、子どもたちの笑顔であふれています。 常磐自動車道に続き、本年三月、JR常磐線が全線開通します。これに合わせ、双葉町、大熊町、富岡町の帰還困難区域における避難指示の一部解除に向け、準備を進めます。 浪江町では、世界最大級の、再生エネルギーによる水素製造施設が、本格稼働します。オリンピックでは、このクリーンな水素を燃料とする自動車が、大会関係者の足となります。そして、大会期間中、聖火を灯し続けます。リチウムイオン電池、AIロボット。未来を拓く産業が、今、福島から次々と生まれようとしています。 津波で大きな被害を受けた、宮城県を訪れる外国人観光客は、震災前の二倍を超えました。岩手県では三倍となっています。昨年九月に陸前高田市で開業したばかりの道の駅では、僅か一か月で十万人の観光客が訪れ、賑(にぎ)わいを見せています。 来年度で復興・創生期間は終了いたしますが、次のステージに向け、復興庁を司令塔に、政治の責任とリーダーシップの下で、福島の本格的な復興・再生、東北復興の総仕上げに、全力で取り組んでまいります。 九年前、ファーディーさんは、ラグビーチームの一員として、釜石で、東日本大震災を経験しました。 「ここで帰ったら後悔する」 オーストラリア大使館から避難勧告を受け、家族から帰国を勧められても、ファーディーさんは、釜石に残り、救援物資の運搬、お年寄りや病人の搬送。困難に直面する被災者への支援を続けました。 その感謝の気持ちと共に、本年、釜石は、オリンピック・パラリンピックに際し、オーストラリアのホストタウンとなります。岩手県野田村は台湾、福島県二本松市はクウェートなど、二十九の被災自治体が、支援を寄せてくれた人々との交流を深めます。 心温まる支援のおかげで力強く復興しつつある被災地の姿を、その目で見て、そして、実感していただきたい。まさに「復興五輪」であります。 東日本大震災では、百六十三の国と地域から支援が寄せられました。我々が困難の時にあって、温かい支援の手を差し伸べてくれた世界の方々に、改めて、今、この場から、皆さんと共に、感謝の気持ちを表したいと思います。
三 地方創生
(観光立国) 全体で五百近い市町村が、今回、ホストタウンとなります。これは、全国津々浦々、地域の魅力を世界に発信する、絶好の機会です。 北は北海道から、南は沖縄まで。アイヌの皆さんが受け継いできた伝統音楽や食文化、琉球舞踊など、我が国が誇る全国各地の地域文化に触れていただく「日本博」を、本年、開催いたします。 国の文化財を積極的に活用できる制度を設け、地域のアイデアによる観光地づくりを後押しします。自家用車による有償の運送サービス制度について規制緩和を行い、外国人観光客の皆さんの地方での足もしっかりと確保いたします。 首里城の一日も早い復元に向け、全力を尽くします。三月には、那覇空港第二滑走路の供用を開始します。発着枠を十万回以上拡大することにより、アジアのゲートウェイとして、沖縄の振興に取り組んでまいります。 オリンピック・パラリンピックに向けて、サイバーセキュリティ対策、テロなど組織犯罪への対策に万全を期すことで、安全・安心をしっかり確保いたします。五年後の大阪・関西万博も視野に、多言語化、Wi‐Fi環境の整備など、観光立国の基盤づくりを一気に進めます。高い独立性を持った管理委員会の下、厳正かつ公平・公正な審査を行いながら、複合観光施設の整備に取り組みます。 更には、外国人観光客の多様なニーズに応える宿泊施設など世界に冠たる観光インフラを整え、二〇三〇年六千万人目標の実現を目指します。
(農産物輸出) 世界に目を向けることで、地方に新しいチャンスが広がります。 昨年、EUへの牛肉やコメの輸出は、約三割増えました。TPP諸国への乳製品の輸出も、二割を大きく上回る伸びとなりました。甘い「紅はるか」は、シンガポールやタイで大人気です。さつまいもの輸出は、昨年、四割以上増加しました。 先月、中国への牛肉輸出について、解禁令が発出されました。今月発効した日米貿易協定も活かし、おいしくて、安全な、日本の農林水産物の世界への挑戦を、力強く後押しいたします。 農地の大規模化、牛の増産や、水産業の生産性向上など、三千億円を超える予算で、生産基盤の強化を進めます。販路開拓など海外への売り込みを支援します。 神戸牛、ルビーロマン、ゆめぴりか。農家の皆さんの長年にわたる努力の結晶である、日本ブランドを、海外流出のリスクからしっかりと守ります。 CSF対策を一層強化します。野生動物の感染が発見された場合にも、家畜伝染病予防法に基づき、移動制限などのまん延防止措置を実施できるようにします。ASFについても、海外から持ち込まれる肉や肉製品の検疫を強化し、水際対策を徹底します。
(地方創生) 昨年の台風十九号では八ッ場ダムが利根川の被害防止に役立ちました。水力発電や農業用水などを目的とするダムについても、緊急時には省庁の縦割りを打破し、一元的に活用するための対策を、全ての一級河川を対象に、この夏までに取りまとめます。 相次ぐ自然災害の教訓を活かし、全国で、川底の掘削、堤防の整備、無電柱化を進めます。送電線の計画的な更新、電力会社、自衛隊、自治体の平時からの連携などにより、強靱(じん)な電力供給体制を構築します。防災・減災、国土強靱(じん)化を進め、災害に強い故郷(ふるさと)を創り上げてまいります。 東京から鉄道で七時間。島根県江津市は「東京から一番遠いまち」とも呼ばれています。二十年以上、転出超過が続き、人口の一割に当たる二千八百人が減少した町です。 しかし、若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました。 原田真宜(まさのり)さんは、パクチー栽培を行うため、東京から移住してきました。農地を借りる交渉を行ったのは、市役所です。地方創生交付金を活用し、起業資金の支援を受けました。農業のやり方は地元の農家、販路開拓は地元の企業が手助けしてくれたそうです。 「地域みんなで、手伝ってくれました」 地域ぐるみで若者のチャ��ンジを後押しする環境が、原田さんの移住の決め手となりました。 「地方にこそ、チャンスがある」。そう考え、地方に飛び込む若者を、力強く応援してまいります。東京から地方に移住して起業・就業する場合に最大三百万円支給する制度を、更に使いやすくします。「移住支援センター」を全国一千の市町村に設置し、移住へのニーズを実際の人の動きへとつなげてまいります。 都市に住む皆さんの地方での兼業・副業を促すため、人材のマッチングや移動費の支援を行う新たな制度を創設します。関係人口を拡大することで、将来的な移住につなげ、転出入均衡目標の実現を目指します。 企業版ふるさと納税を拡充し、地方における魅力ある仕事づくりを一層強化します。独占禁止法の特例を設け、まちづくりの基盤である地方の金融サービス、交通サービスをしっかりと維持・確保してまいります。地方の創意工夫を、一千億円の地方創生交付金で、引き続き応援します。 若者が将来に夢や希望を持って飛び込んでいくことができる。地方創生の新しい時代を、皆さん、共に、創り上げようではありませんか。
四 成長戦略
(中小・小規模事業者) 「東洋の魔女」が活躍したバレーボール。そのボールを生み出したのは、広島の小さな町工場です。その後、半世紀にわたり、その高い技術を代々受け継ぎ、今なお、五輪の公式球に選ばれ続けています。 全国各地の中小・小規模事業者の皆さんが、長年培ったオンリーワンの技術で、地域経済を支えています。しかし、経営者の多くが六十歳を超え、事業承継は待ったなしの課題であります。そして、若い世代の承継を阻む最大の壁が、個人保証の慣行です。 この春から、先代の経営者と後継者から個人保証を取る、いわゆる二重取りを原則禁止いたします。商工中金では、今月から、年間三万件、二兆円の新規融資について、個人保証なしの融資を原則とする運用を開始しました。 信用保証協会では、個人保証なしで後継者の皆さんの融資を保証する新制度を、四月からスタートします。経営の磨き上げ支援も行い、専門家の確認を得た後継者には、保証料をゼロとします。個人保証の慣行は新しい世代には引き継がないとの強い決意で、あらゆる施策を総動員してまいります。 七年前、十年ぶりの大改正を行った下請振興基準を、更に改正し、対象を拡大します。大企業に対しても、新たに金属産業、化学産業で、自主行動計画の策定を求めます。業界ごとの取引慣行に詳しい専門人材を下請Gメンに採用し、下請取引の更なる適正化に取り組んでまいります。 デジタル技術の進歩は、中小・小規模事業者にとって、販路拡大などの大きなチャンスです。デジタル取引透明化法を制定し、オンラインモールでの出店料の一方的引上げなど不透明な取引慣行を是正します。
(規制改革) IoT、ビッグデータ、人工知能。第四次産業革命の大きな変化の中で、デジタル時代の規制改革を大胆に進めます。 本年から、無人自動運転を解禁し、中山間地域の皆さんに、安全で便利な移動手段を提供します。自動制御ブレーキを備えたサポートカーに限定した新たな免許制度を設け、その普及を拡大します。 AIが解析するデータのボリュームが、競争力を左右する時代です。個人情報を匿名化し、その詳細な分析を可能とすることで、ビッグデータの世界をリードしてまいります。 フィンテックによる多様な決済サービスが登場する中、金融分野の業法による縦割り規制を抜本的に見直します。マイナンバーカードの取得を促し、来年度中に健康保険証としての利用を開始します。あらゆる行政手続の電子化を進め、対面での確認が必要なものなどを除き、二〇二四年度までに完了いたします。 技術の進歩による急激な変化に対し、消費者の安全・安心を確保していきます。個人データの利用停止を可能とするなど、個人情報保護を強化します。あおり運転を刑罰の対象とし、道路へのカメラ設置などにより、悪質な運転者の取締りを徹底します。空港施設へのドローン飛行を禁止し、飛行経路の安全を確保してまいります。
(イノベーション) 吉野彰(あきら)先生のノーベル化学賞受賞を、心よりお慶び申し上げます。 吉野先生に続く、未来を担う若手研究者に、大胆に投資します。自由な発想で挑戦的な研究に打ち込めるよう、資金配分を若手に思い切って重点化します。安定的なポストを確保し、海外留学を含めたキャリアパスを確立することで、若者が将来に夢や希望を持って研究の世界に飛び込める環境を整えます。 変化のスピードを先取りし、これまでにない価値を生み出す鍵は、ベンチャー精神です。大企業などからベンチャー企業への投資を税制で支援し、いわゆる自前主義からの発想の転換を図ります。国の研究機関によるベンチャー企業への出資を促すことで、蓄積された研究成果や技術を新しい産業へと成長させてまいります。 第四次産業革命がもたらすインパクトは、経済のみにとどまらず、安全保障をはじめ、社会のあらゆる分野に大きな影響を及ぼします。国家戦略としての取組が必要です。 その基盤インフラは、通信です。5G、ポスト5G、更にその先を見据えながら、大胆な税制措置と予算により、イノベーションを力強く後押しします。安全で安心なインフラが、これからも安定的に供給されるよう、グローバルな連携の下、戦略的に取り組んでいきます。 次世代暗号などの基盤となる量子技術について、国内外からトップクラスの研究者・企業を集める、イノベーション拠点の整備を進めます。 月を周回する宇宙ステーションの整備、月面での有人探査などを目指す新たな国際プロジェクトに、我が国として、その持てる技術を駆使し、貢献いたします。将来的な火星探査なども視野に、人類の新たな���ロンティアの拡大に挑戦します。 Society 5.0の時代にあって、教育の在り方も、変わらなければなりません。本年から小学校でプログラミング教育を開始します。四年以内に、全ての小学生、中学生に一人一台のIT端末を揃(そろ)えます。企業エンジニアなど多様な外部人材を登用することで、新しい時代の教育改革を進めます。
(アベノミクス) 今般取りまとめた新しい経済対策は、まさに、安心と成長の未来を切り拓くものであります。事業規模二十六兆円に及ぶ対策を講じることで、自然災害からの復旧・復興に加え、米中貿易摩擦、英国のEUからの離脱など海外発の下方リスクにも万全を期してまいります。 日本経済は、この七年間で十三%成長し、来年度予算の税収は過去最高となりました。公債発行は八年連続での減額であります。経済再生なくして財政健全化なし。この基本方針を堅持し、引き続き、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化を目指します。 この六年間、生産年齢人口が五百万人減少する一方で、雇用は三百八十万人増加しました。人手不足が続く中で、最低賃金も現行方式で過去最高の上げ幅となり、史上初めて全国平均九百円を超えました。足元では、九割近い中小企業で、賃上げが実現しています。 雇用環境が好転している今、就職氷河期世代の皆さんの就業を、三年間集中で一気に拡大します。この世代に対象を絞った求人を解禁するなど、あらゆる施策を講じ、意欲、経験、能力を活かせるチャンスを広げていきます。 兼業や副業をやりやすくするため、労働時間に関するルールを明確化します。労働施策総合推進法を改正し、大企業に中途採用・経験者採用比率の開示を求め、多様で柔軟な働き方が可能となるよう、改革を進めます。 経済社会が大きく変化する中、ライフスタイルの多様化は時代の必然であります。今こそ、日本の雇用慣行を大きく改め、働き方改革を、皆さん、共に、進めていこうではありませんか。
五 一億総活躍社会
(全世代型社会保障) この春から、大企業では、同一労働同一賃金がスタートします。正規と非正規の壁がなくなる中で、パートの皆さんへの厚生年金の適用を更に広げてまいります。三千億円を上回る、ものづくり補助金、IT補助金、持続化補助金により生産性向上への支援、社会保険手続の負担軽減を行いながら、従業員五十人を超える中小企業まで段階的に拡大します。 高齢者のうち、八割の方が、六十五歳を超えても働きたいと願っておられます。人生百年時代の到来は、大きなチャンスです。働く意欲のある皆さんに、七十歳までの就業機会を確保します。 こうした働き方の変化を中心に据えながら、年金、医療、介護全般にわたる改革を進めます。 年金受給開始の選択肢を、七十五歳まで広げます。在職老齢年金についても、働くインセンティブを失わせることのない��う、見直しを行います。 二〇二二年には、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となる中で、現役世代の負担上昇に歯止めをかけることは、待ったなしの課題です。 年齢ではなく、能力に応じた負担へと見直しを進めます。七十五歳以上であっても一定以上の所得がある方には、窓口での二割負担を新たにお願いすることを検討します。併せて、かかりつけ医機能の強化を図るため、大病院の受診に定額負担を求めることで、現役世代の負担上昇を抑えます。 医療や介護について、予防への取組を強化することで、いつまでも健康で、活躍できる社会づくりを行います。 子どもたちから、子育て世代、現役世代、そしてお年寄りまで、全ての世代が安心できる「全世代型社会保障制度」を目指し、本年、改革を実行してまいります。
(子育て支援) 子どもたちの未来に、引き続き、大胆に投資してまいります。 昨年の幼児教育・保育の無償化のスタートに続き、この四月から、真に必要な子どもたちの高等教育の無償化が始まります。私立高校の実質無償化も実現し、子どもたちの誰もが、家庭の経済事情にかかわらず、夢に向かって頑張ることができる社会を創り上げてまいります。 保育の受け皿整備を進め、待機児童ゼロを実現します。これまでの取組により、待機児童の数は、昨年、調査開始以来、最少となりました。いまだゼロが実現できていない自治体には、保育ニーズに応じた整備計画の策定を求め、取組を強化していきます。 妊娠、出産、子育てへの切れ目ない支援を行います。来年春までに、子育て世代包括支援センターを全ての市町村に設置します。所得の低いひとり親世帯への支援を拡大し、子育てしやすい社会づくりを更に強化します。「希望出生率一・八」の実現を目指し、深刻さを増す少子化の問題に真正面から立ち向かってまいります。
(一億総活躍社会) 我が国には、意欲と能力あふれる女性たちがたくさんいます。全ての女性に活躍のチャンスを創り、その持てる可能性を十二分に開花することができれば、日本の経済社会は一変するはずです。 この六年で、女性の就業者数は、新たに二百九十万人増加しました。就業率は、二十五歳以上の全ての世代で米国を上回っています。M字カーブは確実に解消に向かっています。引き続き、女性活躍の旗を高く掲げ、女性の皆さんが働きやすい環境づくり、女性リーダーの拡大に向けた取組を一層進めます。更に、民間シェルター支援によるDV対策などに取り組んでまいります。 女性も男性も、若者もお年寄りも、障害や難病のある方も、更には一度失敗した方も、誰もが多様性を認め合いその個性を活かすことができる社会、思う存分その能力を発揮できる社会を創る。一億総活躍社会の実現こそが、まさに少子高齢化を克服する鍵であります。 バリアフリー社会の実現に向けて、公共交通機関における取組を強化します。耳の聞こえない方に対する、無償で手話通訳を利用できる電話リレーサービスを整備します。重度障害者の皆さんの就労の意欲を後押しするための仕組みを強化します。 「その能力は磨けば無限である。」 中村裕(ゆたか)医師は、長年、障害者雇用に熱心に取り組んでこられました。 「身障者の社会��出のためにもスポーツを奨励しなければならない。」 中村先生の情熱によって、一九六四年、東京パラリンピック大会が実現しました。その後、パラリンピックは四年おきに継続的に実施されるようになりました。中村先生の思いは受け継がれ、半世紀以上の時を経て、再び、日本へと帰ってきます。 本年のパラリンピックを、世界中の人々に夢や感動を与える、素晴らしい大会とする。障害のある皆さんが、世界で最もいきいきと生活できる国・日本を、皆さん、共に、創り上げようではありませんか。
六 外交・安全保障
(積極的平和主義) 日本が、初めてオリンピック精神と出会ったのは、明治の時代であります。その時の興奮を、嘉納治五郎はこう記しています。 「世界各国民の思想感情を融和し以て世界の文明と平和とを助くる」 オリンピック・パラリンピックが開催される本年、我が国は、積極的平和主義の旗の下、戦後外交を総決算し、新しい時代の日本外交を確立する。その正念場となる一年であります。 日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指します。何よりも重要な拉致問題の解決に向けて、条件を付けずに、私自身が金正恩委員長と向き合う決意です。 もとより、我が国の国民の生命と財産を守るため、毅(き)然として行動していく。その方針はしっかりと貫いてまいります。米国、韓国をはじめ国際社会と緊密に連携してまいります。 北東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中で、近隣諸国との外交は、極めて重要となっています。韓国は、元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国であります。であればこそ、国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを、切に期待いたします。 プーチン大統領と長門で合意した、元島民の方々の航空機によるお墓参り、そして四島での共同経済活動は、着実に前進しています。一九五六年宣言を基礎として交渉を加速させ、領土問題を解決して、平和条約を締結する。この方針に、全く揺らぎはありません。私と大統領の手で、成し遂げる決意です。 日本と中国は、地域と世界の平和と繁栄に、共に大きな責任を有しています。その責任をしっかり果たすとの意志を明確に示していくことが、今現在の、アジアの状況において、国際社会から強く求められています。首脳間の往来に加え、あらゆる分野での交流を深め、広げることで、新時代の成熟した日中関係を構築してまいります。
(安全保障政策) いかなる事態にあっても、我が国の領土、領海、領空は必ずや守り抜く。安全保障政策の根幹は、我が国自身の努力に他なりません。 この春から、航空自衛隊に「宇宙作戦隊」を創設します。更には、サイバー、電磁波といった新領域における優位性を確保��るため、その能力と体制を抜本的に強化してまいります。 昨日、日米安全保障条約は、改定の署名から六十年を迎えました。日米同盟は、今、かつてなく強固なものとなっています。その深い信頼関係の下に、二〇二〇年代前半の海兵隊のグアム移転に向け、施設整備などの取組を進めます。抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担軽減に、一つひとつ結果を出してまいります。 日米同盟の強固な基盤の上に、欧州、インド、豪州、ASEANなど、基本的価値を共有する国々と共に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指します。
(国際社会の課題解決) この七年間、八十の国・地域を訪問し、八百回を超える会談を重ねてまいりました。各国首脳との信頼関係の上に、国際社会が直面する共通課題の解決に向け、世界の中で、主導的な役割を果たしていく覚悟です。 中東地域における緊張の高まりを深く憂慮します。我が国は、全ての関係者に、対話による問題解決と自制的な対応を求めます。これまで培ってきた中東諸国との友好関係の上に、この地域の緊張緩和と情勢の安定化のために、これからも、日本ならではの平和外交を粘り強く展開いたします。エネルギー資源の多くをこの地域に依存する我が国として、こうした外交努力と併せて、自衛隊による情報収集態勢を整え、日本関係船舶の安全を確保します。 自由貿易の旗手として、二十一世紀の経済秩序を世界へと広げてまいります。EUから離脱する英国とも、速やかに通商交渉を開始します。TPPの更なる拡大や、インドを含めたRCEP交渉を主導します。データ流通の新たな国際ルールづくりを、大阪トラックでリードしていきます。 G20で合意したブルー・オーシャン・ビジョンには、既に五十九の国から賛同を得ています。この流れを更に世界へと広げていくことで、二〇五〇年までの海洋プラスチックごみによる新たな汚染ゼロの実現を目指します。 我が国は、五年連続で温室効果ガスの削減を実現いたしました。二〇一三年度比で十一・八%の削減は、G7の中で英国に次ぐ削減量です。長期戦略に掲げた脱炭素社会を早期に達成するため、ゼロエミッション国際共同研究拠点を立ち上げます。米国、EUなどG20の研究機関の叡智(えいち)を結集し、産業革命以来増加を続けてきたCO2を、減少へと転じさせる、「Beyondゼロ」を目指し、人工光合成をはじめ革新的イノベーションを牽(けん)引します。 世界の平和と安定、自由で公正で開かれた国際ルールの構築、気候変動をはじめとした地球環境問題への挑戦。より良き世界の実現に向かって、新しい時代の日本外交の地平を、皆さん、共に、切り拓いていこうではありませんか。
七 おわりに
「人類は四年ごとに夢をみる」 一九六四年の記録映画は、この言葉で締めくくられています。新しい時代をどのような時代としていくのか。その夢の実現は、今を生きる私たちの行動にかかっています。 社会保障をはじめ、国のかたちに関わる大改革を進めていく。令和の新しい時代が始まり、オリンピック・パラリンピックを控え、未来への躍動感にあふれた今こそ、実行の時です。先送りでは、次の世代への責任を果たすことはできません。 国のかたちを語るもの。それは憲法です。未来に向かってどのような国を目指すのか。その案を示すのは、私たち国会議員の責任ではないでしょうか。新たな時代を迎えた今こそ、未来を見つめ、歴史的な使命を果たすため、憲法審査会の場で、共に、その責任を果たしていこうではありませんか。 世界の真ん中で輝く日本、希望にあふれ誇りある日本を創り上げる。その大きな夢に向かって、この七年間、全力を尽くしてきました。夢を夢のままで終わらせてはならない。新しい時代の日本を創るため、今日、ここから、皆さん、共に、スタートを切ろうではありませんか。 御清聴ありがとうございました。
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貧困なる精神 ハーバード大教授の珍学説 Ⅳ
マーク・ラムザイヤーの論文は、間違いが異常に多い。読んでいて、いちいちひっかかる。それを逐一指摘していたら、一向に前に進まない。漫才でたとえるなら、次々とボケを連発するため、その都度ツッコミを入れなければならない。これではまるで、すべてを言い間違え、それに訂正を入れるナイツの漫才ではないか(当然、ラムザイヤーが塙、私が土屋である)。
当連載では、昨年に発表された『On the Invention of Identity Polotics : The Buraku Outcast in Japan』の結論を読みながら、本文に分け入り、その内容を検証することにしている。論文は部落の起源から始まり、近代の共同体の特徴、反差別運動の勃興、補助金の略奪、同和対策事業を経た現在の部落の実態へと続く。
これまで部落の起源と近代のムラの特徴を見てきたが、まだ論文の三分の一ほどを消化したに過ぎない。数回で連載を終えるつもりだったのだが、けっこうもたついている。引用文を検証していたら、あまりにも齟齬が多く、看過できなくなったのである。「もうええわ!」とツッコミを入れずに、最後までお付き合い願いたい。
※ ※ ※
1922年(大正11)に全国水平社が結成されるまでに、ラムザイヤーはどうしても触れたい項目があった。米騒動である。ここでも全国の部落民は、目立った行動を見せているという。
<1918年、多くの府県にまたがる部落民は、暴力的な犯罪で耳目を集める。米価は1年で3倍になり、暴力的な群集の先頭には部落民がいた。もしそれ以前に、誰かが部落民と犯罪を結びつけていなかったとしても、1918年に新聞はそれを報じた>
米騒動は、同年7月~9月、米価の暴騰のため、生活難にあえいでいた大衆が、米の廉売を要求して米屋・富豪・警察などを襲撃した事件である。富山県から始まり、全国に波及した。労働者・農民を主力とする未曾有の大民衆暴動に発展し、軍隊が鎮圧に出動し、寺内正毅内閣が倒れた(広辞苑)。
ラムザイヤーは、官憲側の資料を使い、解説している。
<検察側は8200人を取調べ、4200人が有罪判決を受けた。不法侵入と放火が猛威を振るい、場合によっては死者が出たにもかかわらず、裁判官は比較的寛大な刑罰を与えた。死刑判決はなく、3件の無期懲役があっただけだった>
確かに、後に検事によってめとめられた『所謂米騒動事件の研究』(司法省刑事局、1939年)には、そう書いてある。だが、後世の研究では、<第一審では死刑二名、無期懲役一二名、一〇年以上の有期刑五九名>を数えている(『日本史大事典』平凡社、1993年)。少なくとも死刑は確定しているので、平仄に合わない。なぜ、わざわざ80年前の当局の資料だけから引用するのだろうか。
体制側の資料を重宝するラムザイヤーの本領は、ここから発揮される。
<暴徒は商店や倉庫、富豪から略奪し、焼き討ちした。暴動を主導したのは部落民だった。当時のジャーナリストや警察は、部落民をそう位置づけ、現代の研究者たちはその役割を追認している(Takayama 2005,p.66-69)。警察は大阪だけで9300人以上の部落民が米騒動に参加していると報告した。京都、大阪、兵庫、そして奈良の部落民は、平均して30~40%の部落民が参加した(Mitani 1985,p.82)。当時のジャーナリストや警察は、暴徒の中で部落民が最も暴力的であると位置づけた>
米騒動で検事処分を受けた8000人余りのうち、部落出身者はその1割を超える900人弱にのぼる。前掲の『日本史大事典』には、<とくに被差別部落民はねらいうちに検挙され、総人口の二㌫を占めるにすぎない部落民が検事処分者の一〇㌫を超えるという差別裁判を受けた。大審院で死刑を宣告された二名も部落民であった>と記載されている。
”ねらいうち”にされたのか、それともそもそも”暴力的”だったのか? 見る者の視点が問われよう。ラムザイヤーの論文には、部落民が暴力的であった背景については、述べられていない。ただ、それが言いたかっただけなのだろう。
※ ※ ※
ラムザイヤーが断罪するように、果たして当時のジャーナリストや警察は、<暴徒の中で部落民が最も暴力的>だと位置づけたのだろうか?
少なくない部落大衆が、米騒動に参加したのは事実である。当時の内政・治安担当者には、部落民先導説を唱える者がいた。『中央新聞』は「某内務当局談」として、以下の談話を伝えている。『米騒動と被差別部落』(雄山閣、1988年)所収の藤野豊による「米騒動における被差別部落主導論の成立」から引用する。
<最初に起つた富山県の暴動は特種部落民には関係なきも京都、大阪、神戸及び岡山、三重県等に於ける暴動は何れも特殊部落民にて其他の群集は単に是等特殊部落民に雷同したるに過ぎざるが如くである・・・彼等は常に一般の人民より穢多として軽蔑さるヽを憤慨して居れば偶今回の米価暴騰を機として平常の鬱憤勃発して斯かる暴動���やつたのであらうと思はれる>
部落民が中心であったとし、その背景についても述べている。
部落民主導説を唱える者もいれば、それに否定的な官僚や治安担当者もいた。たとえば内務省の天野藤男は、和歌山・熊本・京都・埼玉などで、部落の青年が米騒動の防止に活躍したことを挙げ、部落民が参加したケースでも「普通都会にある良民が不穏な行動をしたのと何の異なる事はない」と喝破している(前掲の藤野論文)。
暴動が起こる際、それなりの社会的背景があるのは、洋の東西、過去現在を問わない。現在よりはるかに差別が厳しかった時代に、仮に部落民が暴動を主導したとして、それに部落外の人々が従っただろうか。
要は京都市内のように、地域によっては部落民が大きな役割を果たしたところもあるが、全国的に見て、一概にそうは言えないということであろう。
ところがこれまでの研究をまったく無視するかのように、ラムザイヤーは<暴動を主導したのは部落民>と断じ、<現代の研究者たちはその役割を追認している>と書いている。
引用した論文中の” Takayama 2005,p.66-69”は、ラムザイヤーが参照すべき資料として挙げた、高山文彦著の『水平記 松本治一郎と部落解放運動の一〇〇年』(新潮社、2005年)である。ページ数は、米騒動と部落民について叙述されている箇所だ。
ノンフィクション作家の高山は、同書で<米騒動に多数参加したのは、もっとも貧しい生活を強いられた部落民であった>と述べたうえで、ふたりの部落民の死刑判決に関し、次のように書いている。
<これは見せしめのためにおこなわれた判決としか考えようがない。というのも、米騒動に加わった部落民は、これまで露骨な差別を自分たちにおこなってきた豪農や米屋を、焼き討ちや打ち込みといったはげしいやり方で襲撃した。同じ部落内のボス層を襲った者もいる。しかし、なにも部落民だけがそのようなことをしたのではなく、一般農村の小作人が積年の恨みを晴らそうと地主を襲ったり、高利貸しを兼ねる遊郭を焼き討ちしたりしている。部落出身の侠客も、それに加わった。
そうした人びとのエネルギーが、社会主義者と結びついて反体制運動へと盛り上がらぬよう、民衆を分断し騒動の鎮静化をはかろうとの目的で部落民を騒動の首謀者に仕立て、見せしめにたたいておけという判断が政府内にあったものと思われる>
明確に、部落民主導説を否定している。原文の文意を無視し、自論の援軍とするのは、ラムザイヤーの常套手段である。
※ ※ ※
高山は、権力側の部落民主導論に追随したマスコミも批判している。
<たまりにたまった鬱憤を部落民が晴らそうとして暴動にいたったという政府筋の観測は、ほとんど確信といってよい角度でジャーナリズムにも伝搬した。たとえば『やまと新聞』(八月二十五日)は「京都、神戸、大阪、名古屋等に於ける特種部落人の暴行は、最も凶悪残忍にして、掠奪強姦に及べるもあり、蓋し三百年来彼等が社会的に圧迫されし深刻なる復讐心の手伝えるなるべきも、凶険の度の甚だしきは、彼等特性の然らしむ所に外ならざるべし」と書き、『中外商業日報』(八月二十六日)は「(部落の)住民の中には、生活上の余裕無く、称して細民と云うべきもの亦甚だ多し。殊に牛馬等の屠殺を業とする者少からず。其生活状態の細民にして、屠殺を業とする者は、自然其性質は粗暴に動(やや)もすれば残忍に陥るの弊あり」として、部落民の職業や生活ぶりが彼らに凶暴な性質をあたえ、それによって暴動が引き起こされたのだと断定的にしるした。
こうした論説はジャーナリズムのあるべき姿から程遠く、冷静な分析や取材の労を欠いた差別意識まるだしの悪質な宣伝にすぎなかった。雑誌ジャーナリズムも同じ論調をとり、いかにも米騒動の首謀者は部落民であるかのような記事を連発した>
ここでも部落民主導説を否定し、差別意識に沿ったマスコミを批難している。<現代の研究者たちはその役割を追認している >などとよく書けたものだ。ラムザイヤーこそ、暴徒と呼ぶべきであろう。
※ ※ ※
<京都、大阪、兵庫そして奈良の部落民は、平均して30~40%の部落民が参加した>というラムザイヤーの記述(引用)についても、疑義を呈しておく。
高山の『水平記』と同様に、引用資料として挙げているのは『火の鎖』(三谷秀治、草土文化、1885年)である。同書は、大阪の水平運動の活動家・和島為太郎を描いた小説だ。
該当するページには、<米騒動による検挙者は・・・そのほぼ一割が部落の住民だった。部落の多い京都、大阪、兵庫、奈良などは、三割から四割にのぼった>とある。著者の三谷は”三割から四割”という数字の典拠を記していない。それに三、四割は、検挙された部落民であって、参加者ではない。
ラムザイヤーは、こういった手口をよく使う。賀川豊彦が自著『貧民心理の研究』(警醒社、1920年)の中で、和歌山県の部落民の犯罪は部落外の3倍にのぼると書いている、と引用したが、賀川が引いた原典は書かれていない。賀川がそう書いている、というだけである。これでは、〇〇がそう言っていた、という噂話に等しい。まともな研究者の論文とは、とうてい言えない(そもそも賀川がまともだったのか、という疑問はぬぐえないのだが)。
ちなみに『火の鎖』の著者の三谷は、共産党公認の大阪府議、衆議院議員を長らく務めた。同書では、米騒動において社会改革を求めて闘った部落民を<組織的で機動性に富>み<痛苦の深さと連帯意識の強さを示していた>と褒め称えている。そのエールが、”三割から四割”という根拠なき数字へと押し上げたのだろう。
この数字は、ウィキペディアの「米騒動」の項目にも引用されている(ただし参加者ではなく、刑事処分者)。ハーバード大学教授はそれを見て、誤って引き写したのかもしれない。
※ ※ ※
ラムザイヤーは、米騒動における部落民の横暴を前掲の資料『所謂米騒動事件の研究』(司法省刑事局)を読み込んだうえで、次のようにまとめている。
<基本的に米騒動は抗議ではなく、略奪と強奪が目的だった。暴徒は米の仲買人や商家、富豪をしばしば標的にした。彼らは現金の引き出しや米価の値引きを求め、それに応じない場合は放火をほのめかして脅した。もし攻撃目標が、躊躇もしくは固辞した場合、家中から強奪し、家屋に油をかけて火を放った。観察者がいうところの ” 窃盗団 ” の一味である女子供たちは、暴徒に付き従い、貴重品を持ち去り、暴徒が夜に焼き討ちした翌早朝には、焼け残った貴重品を持ち帰った>
この文章で、ラムザイヤーが引用・参照したのは、前掲資料で計5点(5カ所)。うち騒動の主体が部落民ではないのが3カ所もある。部落に該当するふたつのうちひとつは、<特殊部落民多数を混じたる暴徒>で、部落外も含まれる。
該当する、もうひとつ<神戸市騒擾に対し特殊部落民の参加したる状況>には、以下の記述がある。読みやすいよう句読点を付した。
<元来彼等の特性は、事変に乗じ、窃盗又は恐喝を為すに長ずるも、騒擾の主動者たるか如きは敢て為さゞるが如し。特殊民中或は仲仕と為り、又は鍛冶職工と為りて普通民と相伍する者は、騒擾に当りても亦夫等の者と行動を共にせる者無きに非ず。然れども是極めて少数にして騒擾の為、警察の力及ばざるに乗じ、不正を働きたる者最も多数とす>
部落民は騒擾の主導者とは言えない、部落民で参加した者はきわめて少数と明記している。ラムザイヤーの自論である部落民主導説と、参照した文献の内容が、まったく逆ではないか。
ラムザイヤーは、論文の米騒動の項目を次の文章でしめくくっている。
<暴徒の放火や略奪などの暴力は、全国にまたがった。時には火災現場に到着した消防士が襲われた。福井県では市長と警察署長の家宅が破壊され、警察署は焼き討ちされた。神戸では27ヶ所の鈴木商店の建物が放火された。福岡では暴徒はダイナマイトを投げ、銃で出動した軍隊を蹴散らした。最も大規模な暴動は大阪府で起こった。暴徒はときどき金庫を強奪して2万円を奪取し、建物に火をつけた>
もうおわかりであろう。インパクトがある事件を並べ立ててはいるものの、記述のほとんどが部落とは関係がない。そもそもダイナマイト云々は軍部のデマだし、2万円強奪は私が調べた限りでは、1200円だった。
そうしたいい加減な情報もさることながら、米騒動と部落民をテーマにした項目で、部落民以外の事件を取り上げるのは、倫理的にも学術的にも問題である。
ラムザイヤーは、なにか部落に恨みでもあるのだろうか。いちど本人に、直接といただしてみたい。<2���20・6・29>
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米中貿易戦争の裏でドイツと中国が調印した「巨額経済協定」の中身 メルケル首相の表情は何を意味するのか 中国とドイツの親密度 7月7日、ドイツの大手一流紙「フランクフルター・アルゲマイネ」に、中国の李克強首相が寄稿した。 文章の中身は、「中国は国際貿易において、自由と公平を重視し、多国間協力体制の強化を支持していること」、「EUの繁栄を望んでいること」。だから、「ドイツ企業は不安を持たず、ドイツやヨーロッパに進出する中国企業に対して、公正でオープンな環境、および、安定した制度上の枠組みを整備して欲しいこと」。中国は「WTO(世界貿易機関)の原則をいつもちゃんと守ってきた」のである。 実は、中国のこういう望みに、ドイツはこれまでも十分に答えてきた。独中関係は、小さな例外はあっても、すでにここ100年以上、概ね良好だ。 先日、中国に行った人から聞いたが、北京の国際空港のパスポート審査のところには、「中国人」「外国人」というどの空港にでもある区別以外に、「Air China Easy Way Beijing-Frankfurt」という窓口があるそうだ。そればかりか、北京~フランクフルト間を移動する人専用のチェックインカウンター、荷物のターンテーブルなども整備されているという。中国とドイツの親密度を考えると、さもありなんとも思える。 李克強首相の寄稿文が掲載された2日後の9日、本人がベルリンにやってきた。中国とドイツは定期的に政府間協議を行っているが、李克強首相は今回で5度目。カウンターパートはいつもメルケル首相だ。 2016年、中国はドイツにとって最大の貿易相手国となった。以来、メルケル首相は公式の場で、「中国はドイツにとって一番大切な国」とはっきりと言う。 去年の交易額は、中→独が1000億ユーロ、独→中が860億ユーロ。ドイツのGDPの半分は輸出によるものだから、中国の存在は大きい。ドイツ車も、3台に1台は中国市場向けだ。ドイツ経済は、中国がく��ゃみをしたら、風邪どころか肺炎になる。 だから、現在の米中貿易戦争も他人事ではなく、ドイツ人にとっては我が身に降りかかった災難に等しい。しかも彼らは元々トランプ大統領が大嫌いなので、あの大統領のおかげで中国の景気が冷え込むかもしれないと想像しただけで、頭に血がのぼる。 このトランプ憎しが後押しになったのか、今回の政府間協議はまさに独中スクラムの大展開となった。22の経済協力協定も調印された。 ドイツが自給できない意外なモノ 一番インパクトの大きかったのは、電気自動車用のバッテリー工場だ。旧東独のチューリンゲン州の州都であるエアフルトに、中国最大のバッテリーメーカーCATLが進出することになった。工場の敷地は80ヘクタール。サッカー場にすれば、112面。初期投資額が2億4000万ユーロという。 実はヨーロッパには、電気自動車のバッテリーを作れる会社がないそうだ。だから、これまでも主に中国から輸入していたが、バッテリーは危険物なので飛行機では運べない。だから輸送に時間と手間がかかった。 ところが、新工場の建設予定地はアウトーバーンのインターチェンジに近く、どの自動車メーカーにも数時間で運べるとか。BMW社は早くもこの日、2021年の分として、ここで作られたバッテリー15億ユーロ分の発注を出した。 それにしても、電気自動車をこれから爆発的に伸ばそうと言っているドイツが、バッテリーを自給できないというのは意外だ。しかも、EU中を探しても、バッテリーに関しては、目下のところ中国のライバルはいないという。 この調子ではますます中国依存が進みそうだが、これがドイツ人の考えるウィン・ウィンの関係なのだろうか? ちなみに第一テレビは、ニュースでこのバッテリー工場の建設予定地の映像を出した。もちろん、今はただの広大な野原なのだが、そこに金キラの招き猫を置いて、撮っていた。何が言いたいのかはよくわからない。自虐的ユーモア? そういえばメルケル首相も記者会見で、「わが国が自分でバッテリーを作れれば、それは悲しいことではないが」と、これまた自嘲的なジョークで、自国がこの技術で出遅れたことを皮肉った。「だから、どうせ中国がヨーロッパに進出するなら、それがドイツであったことは喜ばしい」のだそうだ。 一方、CATLの誘致に成功したチューリンゲン州の州知事も、同社が東欧に進出しなかったことに感謝したうえ、「中国はいつもテクノロジーを盗むと非難されているが、こうしてテクノロジーを持ってきてくれているではないか」と、中国に成り代わって胸を張った。ドイツ人の思考回路はどうもよくわからない。 ちなみにドイツでは、リチウムなど重金属を使わず、環境に負荷をかけない新しいバッテリーの開発も細々と進んでいるらしいが、投資が滞り、実用の目処はないという。 経済関係はますます深まり… さて、今回の独中政府間協議において、成功と考えられていることがいくつかある。 たとえば��中国が外国企業に、合弁ではなく、単独での投資を認めたこと。また、自動車メーカーは、これからは合弁会社の持ち株を、50%を超えて所有することもできるようになること。 メルケル首相はそれらを、「市場を開くという中国の言葉には、行動が伴っている」と称賛した。ただ、正確に言えば、今後も中国では、国産企業だけに補助金が出るなど、まだ完全に平等な市場になるとは言えないらしい。 いずれにしても、この日、李克強首相とメルケル首相が見守る中、両国の大臣や企業のボスたちが続々と契約書に向かった。一つサインが終われば、笑顔で握手。カメラのフラッシュが焚かれ、はい、お次。 調印された主な契約を挙げると、ドイツの総合化学メーカーBASFが、ドイツ、オランダに次ぐ、世界第3規模の工場を、85億~100億ドルかけて広東省に作るという。これまで南京にも工場があったが、その2倍の規模だ。2026年に完成予定。合弁ではなく、単独出資。 また、ドイツの複合企業シーメンスとState Power Investment(中国の5大電力会社の一つ)が、発電用の超高性能ガスタービンを共同開発することも決まった。 その他、ドイツの工作機械の大手Voith社と、世界最大の鉄道車両メーカーであるCDDC(中国中車)の協力、ドイツのSAP(世界第4位のソフトウェア会社)とSuning Holdings Group(中国最大のホールディング会社の一つ)の協力、独シーメンスとアリババが産業用のインターネット網の整備で協力。 自動車産業では、BMWとBrilliance Auto(華晨汽車)の合弁会社であるBBAが生産規模を拡張し、2019年より、2ヵ所の工場でBMW52万台の現地生産を開始するという。そのほか、ダイムラー、フォルクスワーゲン、ボッシュなども、軒並み、生産を拡大する方向で話を進めつつある。 また、鳥インフルエンザのあと中国への輸出が止まっていた鶏肉も、この度、めでたく解禁。とにかく独中の経済関係はますます深くなる。 ただ、これは私見だが、今回、李克強首相と並ぶメルケル首相の表情を見ていると、にこやかではあるものの、何か硬直したものがあったような気がする。4年ぐらい前のこの二人は、もっとリラックスした雰囲気を醸し出していた。ところが今回はどこか不自然なのだ。水面下の緊張が見え隠れする。 ドイツ人の危機感 さて、その二人が共同記者会見の場で強調したのが、自由貿易の推進。「多国間協定のシステムは大切」「摩擦のない交易を」など、つまり、トランプ大統領に向けてのアピールである。 「中国とドイツの協力関係は、トランプに対する強いシグナル」というのは、経済紙Handelsblattのオンライン版に載った記事のタイトルだが、どことなく、独中関係をさらに深化させるための大義名分のようにも聞こえ���。 それにしても、この二人がアメリカの「横暴」の前に立ちはだかる自由貿易の守護者とは! 李克強首相に「公平で正義ある国際秩序を維持せよ」と発破をかけられると、いくら何でも、ちょっと片腹痛い。メルケル首相は、いったいどんな気持ちでこの片棒を担いでいるのか? ただ、DIHK(ドイツ商工会議所)も、「アメリカが孤立主義を取るなら、ドイツはさらに中国との関係を深めるべき」という意見らしく、いまやドイツでは、中国との協調は国是のようだ。すでに深く関わりすぎて、引き返せないということもあるかもしれない。そのうえ、前進すれば、今のところはまだ儲かる。 一方、最近のEUでは、中国の進出に対して警戒を強めている国が増えている。EU内に中国の投資を厳しく見張る規則を作ろうという動きもあるのだが、こともあろうにBDI(ドイツ産業連合会)があまり乗り気ではないという。だからこそ中国は、2016年、ドイツのハイテク産業ロボットメーカーであるKUKA社も問題なく買収できたのかもしれない。 李克強首相は今回、独中関係は新しい段階に入ったと言っている。しかし、このままでは、ドイツ企業はそのうち巨大な中国に飲み込まれてしまうのではないか。中国にしてみれば、ドイツを影響下におけば、EU全体を影響下に置くことができる。あるいは、北アフリカや中東まで、その影響力を広げることも夢ではない。 今、中国の工場では、KUKAのロボットがせっせとドイツ車を作っている。しかし、ドイツ人には危機感はあまりない。唯一、メルケル首相の表情が、私には少し引っかかっているのだが、非常ベルは今もスイッチが切られたままだ。
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AI Art - Neuvillette (Christmas of 2024) / More on: patreon.com/AisuChi
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#文芸賞 に関するニュース 全36件
文芸賞に沢大知さん - 佐賀新聞
文芸賞に沢大知さん 「眼球達磨式」 - 中日新聞
中公文芸賞に山本文緒さん - 日本経済新聞
山本文緒さんの『自転しながら公転する』が、第16回中央公論文芸賞を受賞しました! - PR TIMES
芥川・直木賞贈呈式 澤田瞳子さんら4氏が感慨と抱負 - 産経ニュース
第4回徳島新聞 阿波しらさぎ文学賞・審査評 - 徳島新聞
<今週の激推シネマ>「仮面ライダーバルカン&バルキリー」 「ゼロワン Others」シリーズ完結編 刃唯阿に仮面ライダー滅亡迅雷の破壊指令(MANTANWEB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
「内向の世代」代表する作家の一人、坂上弘さんが死去…「優しい碇泊地」で読売文学賞 - 読売新聞
芦田愛菜「大きな幸せも大切だけど…」日常の小さな幸せに共感(シネマトゥデイ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
第20回(2021年度)小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞、受賞作品が決定しました - PR TIMES
島本理生が描く、コロナ禍で迎えたひと夏の物語。(ananweb) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
傑作。見逃さないで。「本屋大賞」翻訳部門No.1作家の新刊 - ニフティニュース
島本理生が描く、コロナ禍で迎えたひと夏の物語。 - ananweb
【文芸時評】9月号 資本主義の矛盾と芸術 早稲田大学教授・石原千秋 - 産経ニュース
千葉雅也さんが語る「小説を書く人生」 2冊目は「オーバーヒート」 - 毎日新聞 - 毎日新聞
【書評】『貝に続く場所にて』石沢麻依著 大震災と現在つなぐ時空 - 産経ニュース
『岬のマヨイガ』新キャストに江原正士、桑島法子ら 公開前予告&場面写真公開も公開(クランクイン!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
『岬のマヨイガ』大竹しのぶ絶賛 超絶作画の本編映像“昔話シーン”解禁(クランクイン!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
全国高校生読書体験記コンクール作品募集 - 愛媛新聞
第3回「日本おいしい小説大賞」受賞作を、村崎なぎこ『百年厨房』に決定しました! - PR TIMES
第165回直木賞受賞の佐藤究さん、書くことで気づかされた「物語とは、敗れた者たちのためにあるんだ」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
小林秀雄賞に「音楽の危機」(時事通信) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
『ONE DAY, 2050 / Sci-Fi Prototyping』 を『Sony Park展』にて8/31(火)から開催 - PR TIMES
一つの物語から生まれた、文楽と落語と直木賞。3つの芸が生み出す新しいコラボイベント - PR TIMES
【ユーザー投票で決める新しい賞】「次にくるライトノベル大賞」始動! 10月1日(金)13時から作品エントリー開始!:時事ドットコム - 時事通信
朝刊小説「かたばみ」連載を前に 木内昇 - 東京新聞
[レビュー]嫌韓と嫌日の二分法を超えて(ハンギョレ新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
インパクトのある強いタイトルで時流をうまく捉えた「文庫化」作品(レビュー)(Book Bang) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
ロングセラーを読む 無言の棋士と豊穣な観戦記 川端康成著「名人」 - ライブドアニュース - livedoor
「殺人」がキーワード? 文芸書ランキングで存在感を示す、“どんでん返し”づくめの極上ミステリ(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
村上春樹の小説『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』、貴重な執筆秘話と自作朗読をラジオで披露!(TOKYO FM+) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
坊っちゃんって実は“コミュ障”!? 現代を生きるヒントが満載の“書店仕込み”の名著ガイド - auone.jp
長身イケメン…!13歳のエリザベス王女が恋したフィリップ王子との出会い(婦人画報) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
各界の読み巧者が唸った『謎ときサリンジャー ――「自殺」したのは誰なのか』 新潮選書からついに刊行!:時事ドットコム - 時事通信
ファンタジーならではの謎解きに注目!『聖女ヴィクトリアの考察』刊行記念 春間タツキインタビュー - カドブン
『かぐや様は告らせたい』続編が初登場首位!『孤狼の血』続編は4位スタート - シネマトゥデイ
文芸賞:受賞作ドットジェイピー
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毎日新聞、元販売店主が「押し紙」訴訟…搬入部数削減を拒否され経営難に
千葉県の元販売店主が毎日新聞社に対して2016年4月に起こした「押し紙」裁判が、今春に結審する見込みだ。「押し紙」裁判とは、新聞社が新聞販売店に新聞の買い取りを強制することで被った損害の賠償を求める裁判である。新聞社が販売店に対して新聞の「押し売り」をしたかどうかが争われる。これまでに毎日新聞社だけではなく、過去には朝日、読売、産経、山陽、西日本、北國などの各新聞社も訴訟を起こされている。また、佐賀新聞の「押し紙」裁判は、現在進行している。
原告の元店主が毎日新聞社に請求している額は約5800万円。元店主は12年7月10日に店主に就任して、毎日新聞社との取引を始めた。しかし、スタート時から大量の「押し紙」が送られてきたために、経営が成り立たなくなった。そこで搬入部数を減らす���うに毎日新聞社へ繰り返し交渉したが、聞き入れてもらえなかった。そして最後には、新聞の卸代金の納金ができなくなった。
これに対して毎日新聞社は15年8月7日、期限までに新聞代金を納金しなければ取引契約を解除すると伝えた。怒った元店主は、翌日から配達を拒否すると主張。そこで毎日新聞社は、強引に取引契約を解除したとされる。こうして両者の商取引は終了したが、元店主は毎日新聞のほかに産経新聞など他紙も配達していた関係で、そのまま毎日新聞社の店舗を使用していた。
そこで毎日新聞社は元店主を被告として、店舗の明け渡しと1日2万円の違約金の支払を求める裁判を東京地裁で起こした。これに対して元店主は、「反訴」というかたちで過去に「押し紙」で被った損害の賠償を求める裁判を起こしたのである。
12年から15年までの各年7月の部数内訳は次の通りである。左の数字が実際に配達していた部数(実配部数)で、()内の右の数字が搬入されていた部数(搬入部数)である。
12年7月:554部(1759部) 13年7月:501部(1559部) 14年7月:486部(1573部) 15年7月:420部(1573部)
初期の12年7月には、搬入される新聞の約69%が過剰になっていた。廃業前の15年7月には、それが73%になっている。極めて高い残紙率だが、毎日新聞社の場合、大阪本社管内でも約70%の「押し紙」を強要されたとして、08年に元店主が裁判を起こしたケースがある。ただ、この裁判は原告の死去で判決が下されないまま終了した。 さらに07年には、毎日新聞箕面販売所(大阪府)の店主がやはり「押し紙」裁判を起こし、推定1500万円で和解した。さらに10年には、毎日新聞関町販売所(東京・練馬区)の元店主が提訴し、500万円で和解している。両ケースでは、搬入される新聞のおおよそ半分が「押し紙」だった。
「押し紙」のメリット
新聞社にとって「押し紙」には2つのメリットがある。まず、販売収入を増やせることである。それから、「押し紙」により公称部数をかさ上げすることで、紙面広告の営業が有利になることである。
「押し紙」裁判では、販売店側が新聞社に対して「押し紙」を明確に断ったかどうかが、最大の争点になる。大量の残紙があったことを販売店側が立証できても、「押し紙」を断った証拠がなければ、損害賠償請求は認められない。
なぜなら、新聞販売店は折込広告の受注が多ければ、その収入で「押し紙」で発生する損害を相殺できるからだ。そうすると損害は受けない。たとえば新聞1部の原価が月額1500円で、新聞1部から得られる折込広告の収入が月額2000円であれば、「押し紙」1部が逆に月額500円の利益を生む。
こうした状況の下では、「押し紙」は負担にならない。そのために販売主のなかには、自ら進んで「押し紙」を引き受ける者もいる。そこで「押し紙」を明確に断ったかどうかが、裁判で賠償を認めるかどうかの判断基準になるのだ。
実際、これまでの「押し紙」裁判で大半の新聞社は、残紙が存在していたこと自体は認めた上で、自分たちは「押し売り」をしていないので賠償責任はないと主張してきた。過剰な新聞を仕入れることを販売店側も承知していたので、残紙は「押し紙」ではないとする見解だ。日本新聞協会も「押し紙」は1部も存在しないとする立場を取り続けている。以前に筆者が日本新聞協会に「押し紙」について質問しようとしたところ、「残紙のことですか?」 と、切り返されたことがある。
新聞業界全体へのインパクト大
参考までに今回元店主が起こした裁判の毎日新聞社側準備書面から、毎日新聞社側の言い分を引用しておこう。
<即述のとおり、販売店では販売担当社員の訪店時などに、当月の販売状況や翌月の販売見込み、奨励金・補助金、折り込み広告収入などを総合的に勘案し、販売担当社員と合意の上で取引内容を決めるのであって、販売店側の一方的な不利益の下でその了解のないまま反訴被告(販売店)が一方的に送り付けるものでないことは、再三述べたとおりであり、反訴原告の云ういわゆる「押し紙」はない>
これに対してもちろん元店主は、「押し紙」を断ったと主張している。その証拠として裁判所に提出しているのが、元店主が保管していた毎日新聞社との交渉を録音したCDである。元店主は開業直後から、多量の「押し紙」が搬入されることに面食らい、係争になることを予測して、初期から交渉のたびに会話を録音していたのだ。その量は膨大になる。 たとえば15年7月31日の録音は毎日新聞社側との交渉記録である。次のような元店主の発言がある。()内は筆者による注釈である。
「○○担当が(新聞を)200(部)切ったって言ってますけど、それでも1000(部)以上余っているんですよ、だからここを根本的に直してもらわないと、きついですよ、こんだけ紙が余っていると」
毎日新聞社の担当員がある時期に搬入部数を200部だけは減らしてくれたが、それでもまた1000部の新聞が「押し紙」になっているので、経営が厳しいと必死に訴えているのである。元店主が過剰になっている部数を減らすように交渉していた証拠である。
裁判は今春にも結審する見込みだが、これまでの毎日新聞社の「押し紙」裁判とは異なり、和解ではなく、判決が下る可能性も若干ある。もし仮に判決により毎日新聞社の「押し紙」が認定された場合、それが判例となるので、新聞業界全体に与える影響ははかり知れない。 (文=黒薮哲哉/「メディア黒書」主宰者)
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2017年の出来事と読んだ本と観た映画と年末と
2017年もいよいよ終わる。今年は5月25日に母が63で亡くなるなどしたが、それ以前になにが起こったかまったく記憶にない。8時半(たまに11時)から21時やら23時やらまで働いたりしているせいだろうか。どうやら『ベルリン・アレクサンダー広場』のDVDboxや『サイタマノラッパー』ドラマ版のDVDboxを買ったまま一度も観ていないのは憶えている。 『文藝』のアンケート企画に「来たるべき作家」の一人として前の筆名で載っていたことも、春ぐらいのことかと思ったら7月だった。時期の記憶がだんだんいい加減になってくるのであった。 広島旅行やら島根旅行やら、あと『白鴉』30号を出して「アゴアク」という作品を載せ、先日ようやく同人誌評に取り上げられたが、褒められていない、というかそれ以前の問題。まあ、『白鴉』に載せた私の作品がこれまで全作品どこかしらで取り上げられつづけているという記録をまた更新できたのでこれでいいとする。そんなことよりもいま書いている作品が無事に仕上がることを祈る。 「アゴアク」についていただいた感想に、相変わらず主人公はどこまでも僻みっぽい、でもどことなく品位がある、というのがあったのを昨日思い出して、それはたぶん、私の描き出す主人公の、まわりの世界や世間に対するプロテストなのだろうなあ、などと考えたり。 あと、2017年の文学フリマ大阪に参加した『白鴉』では来年1月21日の文学フリマ京都と5月6日の文学フリマ東京へ参加することがすでに決定しております。両方とも言い出したのは私であり、私がいるのは確実です。
読書関係だと内藤千珠子氏の著書がとても面白かったことや、長年の課題であったベケットがようやく読めるようになってきたこと、詩を読みはじめたことが大きい。ドゥルーズ=ガタリ『千のプラトー』もようやく読みはじめ、なんとか人間へ近づいていっている。来年早々に読んでしまって、長年の課題であるドゥルーズ『意味の論理学』に挑みたい。詩集であるていど稼いだ割に読了冊数73冊というのはどうかと思うが。冊数など関係ないと言われるだろうが、読みの浅い人間がせめて冊数がなければどうすればいいというのか。どうやら一般的に本をよく読むと言われている人物は年間300とか400とか読んでおられるらしいので、100にも満たない人間のベストなど不要だろう。 映画は毎年のことながら前半期になにを観ていたかすっかり忘れる。『アトミック・ブロンド』をもう一回ぐらいは観ておきたかった。これも映画好きを自称している人は年間平均500本は観ているようなので、本数ではなく回数にすることによって数字を稼ぐなどといういじましいことをしてもなお141などという、てんでお話にならない数字を出してしまう私などのベストになんの価値があるだろうか、ということでやらない。
といったところで、来年もよろしくお願いします。
最近読み終えた本 ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『千のプラトー──資本主義と分裂症(中)』(河出文庫) 平田俊子編『詩、ってなに?』(小学館SJムック) 勝嶋啓太『今夜はいつもより星が多いみたいだ』(コールサック社) 岡田育=金田淳子=二村ヒトシ『オトコのカラダはキモチいい』(角川文庫) 平田俊子『アトランティスは水くさい!』(書肆山田)
最近観た映画 『すばらしき映画音楽たち』(マット・シュレーダー) 『KUBO──二本の弦の秘密』(トラヴィス・ナイト) 『シンクロナイズドモンスター』(ナチョ・ビガロンド) 『サウルの息子』(ネメシュ・ラースロー)
2017年の本と映画の記録。2016年はこちら。
読了本73冊
松浦寿輝『BB/PP』(講談社) 二村ヒトシ/岡田育/金田淳子『オトコのカラダはキモチいい』(KADOKAWAメディアファクトリー) パスカル・キニャール『アマリアの別荘』(青土社) 赤木昭夫『漱石のこころ──その哲学と文学』(岩波新書) 町山智浩『映画と本の意外な関係!』(集英社インターナショナル新書) 津島佑子『半減期を祝って』(講談社) トーマス・ベルンハルト『ある子供』(松籟社) 三宅隆太『スクリプトドクターの脚本教室・中級篇』(新書館) トーマス・ベルンハルト『石灰工場』(早川書房)通算4回。 内藤千珠子『愛国的無関心──「見えない他者」と物語の暴力』(新曜社)
ウィリアム・シェイクスピア『シンベリン』(ちくま文庫) 山本貴光『文体の科学』(新潮社) 『北の文学2016──北海道新聞文学賞、短歌賞、俳句賞』(北海道新聞社) 『シリーズ言語態(4)記憶と記録』(東京大学出版会) 小平麻衣子=内藤千珠子『21世紀日本文学ガイドブック(7)田村俊子』(ひつじ書房) 杉田敦『リヒター、グールド、ベルンハルト』(みすず書房) 内藤千珠子『小説の恋愛感触』(みすず書房) 内藤千珠子『帝国と暗殺──ジェンダーからみる近代日本のメディア編成』(新曜社) アルフレート・デーブリーン『ベルリン・アレクサンダー広場』(河出書房新社) アルフレート・デブリーン『ベルリン・アレクサンダー広場──フランツ・ビーバーコプフの物語』(ぷねうま舎)
ガブリエル・ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』(新潮文庫)2回。通算3回。 橋本陽介『物語論 基礎と応用』(講談社選書メチエ) アルフレート・デーブリーン『たんぽぽ殺し』(河出書房新社) ジャネット・ウィンターソン『オレンジだけが果物じゃない』(白水uブックス) カルロ・エミーリオ・ガッダ『メルラーナ街の混���たる殺人事件』(水声社) チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』(河出書房新社) トーマス・ベルンハルト『消去──ある崩壊 新装版』(みすず書房)通算5回。 ロクサーヌ・ゲイ『バッド・フェミニスト』(亜紀書房) エルフリーデ・イェリネク『汝、気にすることなかれ』(論創社) 通算2回。 李珍景『不穏なるものたちの存在論──人間ですらないもの、卑しいもの、取るに足らないものたちの価値と意味』(インパクト出版会)
アーサー・ミラー『セールスマンの死』(ハヤカワ演劇文庫) 梁英聖『日本型ヘイトスピーチとは何か』(影書房) 山代巴 編『この世界の片隅で』(岩波新書) 岡本雅享『民族の創出──まつろわぬ人々、隠された多様性』(岩波書店) 岡本雅享 監修・編著『日本の民族差別──人種差別撤廃条約からみた課題』(明石書店) サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』(白水uブックス) 疋田龍乃介『歯車VS丙午』(思潮社) 稲川方人『形式は反動の階級に属している』(書肆子午線) サミュエル・ベケット『モロイ』(白水社) 辺見庸=目取真俊『沖縄と国家』(角川新書)
尹東柱『空と風と星と詩』(岩波文庫) サミュエル・ベケット『マロウンは死ぬ』(白水社) 稲川方人『封印』(思潮社) サミュエル・ベケット『名づけえぬもの』(白水社) サミュエル・ベケット『伴侶』(書肆山田 りぶるどるしおる) サミュエル・ベケット『見ちがい言いちがい』(書肆山田 りぶるどるしおる) サミュエル・ベケット『また終わるために』(書肆山田 りぶるどるしおる) サミュエル・ベケット『いざ最悪の方へ』(書肆山田 りぶるどるしおる) 『白鴉』30号 『星座盤』11号
『babel』創刊号 松浦寿輝『鳥の計画』(思潮社) 『時刻表』創刊号 田原『石の記憶』(思潮社) 田原『夢の蛇』(思潮社) 田原『そうして岸が誕生した』(思潮社) サミュエル・ベケット『蹴り損の棘もうけ』(白水社) 平田俊子『手紙、 のち雨』(思潮社) 高橋康也『サミュエル・ベケット』(白水uブックス) 平田俊子『戯れ言の自由』(思潮社)
ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『新訳 カフカ──マイナー文学のために』(法政大学出版局) 小野十三郎『冥王星で』(エンプティ) 稲川方人『2000光年のコノテーション』(思潮社) 川田絢音『白夜』(書肆子午線) 平田俊子『詩七日』(思潮社) ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『千のプラトー──資本主義と分裂症(上)』(河出文庫) 丁章『在日詩集 詩碑』(新幹社) トーマス・ベルンハルト『原因 一つの示唆』(松籟社) ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『千のプラトー──資本主義と分裂症(中)』(河出文庫) 平田俊子編『詩、ってなに?』(小学館SJムック)
勝嶋啓太『今夜はいつもより星が多いみたいだ』(コールサック社) 岡田育/金田淳子/二村ヒトシ『オトコのカラダはキモチいい』(角川文庫) 平田俊子『アトランティスは水くさい!』(書肆山田) 映画観賞回数141回
『この世界の片隅に』(片渕須直)3回。通算5回。 『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(ロバート・ゼメキス) 『ベストセラー──編集者パーキンズに捧ぐ』(マイケル・グランデージ) 『湯を沸かすほどの熱い愛』(中野量太) 『死闘の伝説』(木下恵介) 『マイマイ新子と千年の魔法』(片渕須直) 『ザ・コンサルタント』(ギャビン・オコナー) 『手紙は憶えている』(アトム・エゴヤン) 『マダム・フローレンス!──夢見るふたり』(スティーブン・フリアーズ) 『戦火の馬』(マリアンヌ・エリオット、トム・モリス)
『破門──ふたりのヤクビョーガミ』(小林聖太郎) 『ドント・ブリーズ』(フェデ・アルバレス) 『ドラゴン×マッハ!』(ソイ・チェン) 『ミス・シェパードをお手本に』(ニコラス・ハイトナー) 『92歳のパリジェンヌ』(パスカル・プザドゥー) 『マイ・ファーザー 死の天使──アウシュヴィッツ収容所人体実験医師』(エジディオ・エローニコ) 『MILES AHEAD──マイルス・デイヴィス 空白の5年間』(ドン・チードル) 『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』(マテイ・ミナーチュ) 『こころに剣士を』(クラウス・ハロ) 『ブルーに生まれついて』(ロバート・バドロー)
『ヒトラーの忘れもの』(マーチン・ピータ・サンフリト) 『MERU メルー』(ジミー・チン、 エリザベス・チャイ・バサヒリイー) 『沈黙 サイレンス』(マーティン・スコセッシ)2回。 『アイ・イン・ザ・スカイ──世界一安全な戦場』(ギャヴィン・フッド) 『クラッシャージョウ』(安彦良和) 『オアシス:スーパーソニック』(マット・ホワイトクロス) 『その街のこども』(井上剛) 『疾風スプリンター』(ダンテ・ラム) 『アリーテ姫』(片渕須直) 『アイヒマンを追え!──ナチスがもっとも畏れた男』(ラース・クラウメ)
『モアナと伝説の海』(ロン・クレメンツ、ジョン・マスカー) 『AKIRA』(大友克洋) 『SING』(ガース・ジェニングス)2回。 『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(押井守)2回。 『キングコング──髑髏島の巨神』(ジョーダン・ヴォート=ロバーツ) 『ショコラ──君がいて、僕がいる』(ロシュディ・ゼム) 『ドライヴ』(ニコラス・ウィンディング・レフン) 『殺しの烙印』(鈴木清順) 『ゴースト・イン・ザ・シェル』(ルパート・サンダース) 『東京流れ者』(鈴木清順)
『ラ・ラ・ランド』(デミアン・チャゼル) 『未来を花束にして』(サラ・ガブロン) 『牯嶺街少年殺人事件』(エドワード・ヤン) 『マグニフィセント・セブン』(アントワーン・フーク) 『美女と野獣』(ビル・コンドン) 『ナイスガイズ!』(シェーン・ブラック) 『ラビング──愛という名前のふたり』(ジェフ・ニコルズ) 『乱』(黒澤明) 『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(ジャン=マルク・ヴァレ) 『お嬢さん』(パク・チャヌク)
『たかが世界の終わり』(グザヴィエ・ドラン) 『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』(ファイト・ヘルマー) 『哭声』(ナ・ホンジン) 『わたしは、ダニエル・ブレイク』(ケン・ローチ) 『ライオン──25年目のただいま』(ガース・デイヴィス) 『彼らが本気で編むときは、』(荻上直子) 『アシュラ』(キム・ソンス) 『ゆれる』(西川美和) 『花戦さ』(篠原哲雄) 『ディア・ドクター』(西川美和)
『ジャッキー──ファーストレディ最後の使命』(パブロ・ラライン) 『エンディングノート』(砂田麻美) 『ムーンライト』(バリー・ジェンキンス)2回。 『百万円と苦虫女』 (タナダユキ) 『溺れるナイフ』(山戸結希) 『ウルトラミラクルラブストーリー』(横浜聡子) 『はらはらなのか。』(酒井麻衣) 『美しい星』(吉田大八) 『T2 トレインスポッティング』(ダニー・ボイル) 『未来よ、こんにちは』(ミア・ハンセン=ラブ)
『カフェ・ソサエティ』(ウディ・アレン) 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(ケネス・ロナーガン) 『光』(河瀬直美) 『武国』(熊切和嘉) 『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(ガブリエーレ・マイネッティ) 『ハクソー・リッジ』(メル・ギブソン) 『セールスマン』(アスガル・ファルハーディー) 『海辺のリア』(小林政広) 『おとなの恋の測り方』(ローラン・ティラール) 『海辺の生と死』(越川道夫)
『ヒトラーへの285枚の葉書』(ヴァンサン・ペレーズ) 『ダンケルク』(クリストファー・ノーラン) 『ジョン・ウィック:チャプター2』(チャド・スタエルスキー) 『ベイビー・ドライバー』(エドガー・ライト) 『ザ・ドライバー』(ウォルター・ヒル) 『彼女の人生は間違いじゃない』(廣木隆一) 『ファウンダー──ハンバーガー帝国のヒミツ』(ジョン・リー・ハンコック) 『ボブという名の猫──幸せのハイタッチ』(ロジャー・スポティスウッド) 『ライフ』(ダニエル・エスピノーサ) 『ありがとう、トニ・エルドマン』(マーレン・アデ)
『20センチュリーウーマン』(マイク・ミルズ) 『ロックンロール・ハイスクール』(アラン・アーカッシュ) 『少女ファニーと運命の旅』(ローラ・ドワイヨン) 『新感染』(ヨン・サンホ) 『ローマの休日』(ウィリアム・ワイラー) 『あしたは最高のはじまり』(ユーゴ・ジェラン) 『ザ・ウォール』(ダグ・リーマン) 『スペース・レイダース』(ハワード・R・コーエン) 『麗しのサブリナ』(ビリー・ワイルダー) 『アンタッチャブル』(ブライアン・デ・パルマ)
『おしゃれ泥棒』(ウィリアム・ワイラー) 『メッセージ』 (ドゥニ・ヴィルヌーヴ) 『デス・レース2000年』(ポール・バーテル) 『夜明けの祈り』(アンヌ・フォンテーヌ) 『幼な子われらに生まれ』(三島有紀子) 『RE:BORN』(下村勇二) 『エタニティ──永遠の花たち』(トラン・アン・ユン) 『50年後のボクたちは』(ファティ・アキン) 『パターソン』(ジム・ジャームッシュ)3回。 『コーヒー&シガレッツ』(ジム・ジャームッシュ)
『ドリーム』(セオドア・メルフィ) 『ハイドリヒを撃て!──「ナチの野獣」暗殺作戦』(ショーン・エリス) 『ブルーム・オブ・イエス���デイ』(クリス・クラウス) 『スイス・アーミー・マン』(ダニエル・シュナイナート/ダニエル・クワン) 『ロスト・イン・パリ』(ドミニク・アベル/フィオナ・ゴードン) 『リングサイド・ストーリー』(武正晴) 『はじまりのうた』(ジョン・カーニー) 『ELLE』(ポール・バーホーベン) 『散歩する侵略者』(黒沢清) 『アトミック・ブロンド』(デヴィッド・リーチ)
『審判』(オーソン・ウェルズ)通算2回。 『バリー・シール──アメリカをはめた男』(ダグ・リーマン) 『三度目の殺人』(是枝裕和) 『セザンヌと過ごした時間』(ダニエル・トンプソン) 『スモーク』(ウェイン・ワン) 『ゲット・アウト』(ジョーダン・ピール) 『鉱 ARAGANE』(小田香)2回。 『すばらしき映画音楽たち』(マット・シュレーダー) 『KUBO──二本の弦の秘密』(トラヴィス・ナイト) 『シンクロナイズドモンスター』(ナチョ・ビガロンド)
『サウルの息子』(ネメシュ・ラースロー)
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『ウエスト・サイド・ストーリー』シーズン1、終演しました。
2018年秋に 「これからは手がけた作品についてのブログを 真面目に書こう」と決めたので、 第2弾として、書き残しておこうと思う。 もちろん、演出作品ではなく演出補としての参加では あるので、その立場からの文章を。 IHI ステージアラウンド東京における 『ウエスト・サイド・ストーリー』、シーズン1。 (以下の文章はネタバレとは少し違うと思うが、 読み手が観劇済みであるという前提で書いたので、 真っさらな状態で観たいという人の楽しみを殺ぐ 恐れはある。 「『ウエスト・サイド・ストーリー』という作品を これから、そして真っさらで観たい」という方は、 良かったらどうぞ観劇後にご覧ください) わたしにはいわばシーズン0的な存在がある。 2018年1月に東京で、同年7月から8月に大阪で、 公演された宝塚歌劇団宙組の『WSS』に、 翻訳家として関わっていたのだ。 (訳詞は演出補も兼ねた稲葉太地さんが手がけられた) わたしの中で『ウエスト・サイド・ストーリー』は 【原点にして、頂点】だ。 誰もが知り、 また誰もが一度でも関われれば誇りに思う、名作。 この作品を境にミュージカルいや演劇そのものが 不可逆の変化を遂げた、まさに【原点】であり、 初演から62年の時を経てもあらゆる意味で 未だに超えるもののない、【頂点】でもある。 しかしそれはとても恐ろしいことだ。 そんな作品を今の日本の観客に届けるという 責任の大きさ重さ以上に、 「知ってるつもり」という恐ろしさがある。 「別プロダクションで(何回も)観た」 「原作の映画を見た」 (注:映画は舞台を映画化したものであって 【原作】ではないのだが、映画があまりに 有名すぎるため、しばしば目にする誤解だ) 「現代版『ロミジュリ』でしょう」 「曲は知ってるし大好き」 初演から62年間【名作】として君臨してきた せいで、演劇として取り組んだり見つめたりする ためには邪魔なる余計なブヨブヨが、たくさん くっついている。 作品にではない。我々の目に、だ。 ので、まずは目を開く必要があった。 いわば【曇りなき眼】を。 具体的には、ディスカッションの時間を多く取った。 これはアメリカ側演出補マストロの意向と重なった こともあり、集団で思考する時間を、通常より かなり多めに取れたのではないかと思う。 ディスカッションとはいえ、まずはこちらから、 1957年のアメリカNY市アッパーウェストサイド という、彼らが生きる場所と時代、その背景に 関する情報を、渡せるだけ渡した。 『WSS』は今でこそ【不朽の名作】だが、発表当時は、 劇場の数ブロック先で今まさに起きている社会問題を 鮮烈に切り取った、衝撃作かつ問題作だったのだ。 だから、情報といっても、本やインターネットで 調べれば出てくるような知識ではなく、 人物たちが生きていて感じただろう感覚に近そうな、 肌で実感できそうなことや、 大きな意味での時代の空気みたいなものを、 なるべくたくさん。とにかくたくさん。 わたしは偶然、作品世界を訪れるのが3回めだったし 別の演目だが時も場所も近い作品に関わった経験も あったため、それらの蓄積が大いに役立った。 それに加え、実際に普段ニューヨークで暮らす アメリカ側演出補 マストロ(イタリア系) 振付リステージング フリオ(プエルト・リコ生まれ) からの(時代は違えど)本物の実感のこもった言葉が もらえたことも、非常に有益だった。 トニーがポーランド系という台詞が印象的なので ジェッツはポーランド系と紹介されてしまうことが多いが 実際にはジェッツはイタリア系やアイルランド系も 入り混じっていると台詞にある。 だから我々はジェッツ側、シャークス側それぞれの、 いわば生の言葉が(時代は違えど)もらえたわけだ。 しかし、それだけでは足りないとわたしには思われた。 『WSS』で描かれる人種間の偏見や断絶は、 多くの日本人が無自覚に「他人事」と感じている問題だ。 差別をされる側としての当事者意識も、 差別をする側としての当事者意識も、持ったことがない ‥‥という日本人は多いのではないかと思う。 そういった土壌がないところに幾ら実感の種を ざくざく植えたところで、育つものは限られる。 そこで、日本生まれ日本育ち日本国籍でありながら 香港チャイニーズ移民2世でもあることで いわば日本における被差別当事者であるわたし自身の 体験や眼差し、実感も、積極的にカンパニーにシェア していった。 しかし、わたしは常々、 差別される側の意識よりも、 差別する側の意識を持つことの方が この作品にとってずっと大切だ、と考えてきた。 そしてそれは、日本で暮らす人にとって 差別される側の意識を持つことより 更に機会が少ない。 しかも、自分の中のそんな部分と向き合うことは、 人間であれば誰にとっても難しいことだ。 だから、その問題に対する免疫がない日本人でも 身近に、肌で実感できそうな手がかりを、少しずつ 見つけては、取り上げて、育ててゆくよう 心がけたつもりだ。 稽古を始めてすぐの時期には特に意識して このディスカッションの時間を多めに取ったが、 それにより、結果的に「対話しながら進める」という スタイルを、稽古の中に確立できたように思う。 そのおかげだろうか。 わたしは25年の間、 「外国人作家の戯曲や外国人演出家の演出を 日本人のカンパニーが表現する」という構図の 演劇作品に数え切れないほどたくさん、 それも橋渡しという立場で携わってきたが、 もしかしたらこの『WSS』シーズン1で初めて、 翻訳や通訳が介在したのでは追いつかないレベルにまで 表現を、そのためのコミュニケーションを、 探求することができたのではないか‥‥と、 そんな気がしている。 それはつまり、 外国の文化や価値観を基に与えられた作品や演出を 日本人側が咀嚼する、その咀嚼の仕方や、 そのためのコミュニケーションが、 今までのわたしの体験にないほどの頻度や深度や精度に 到達できた‥‥ということなのかもしれない。 一言で言うならば 「自分のものにする」といったようなことだ。 そうやってこの大きすぎる作品を カンパニーが自分たちのものにし、 世に届けるにあたり、 目指したことが、わたし個人として幾つかあった。 わたしはもちろん演出家ではないのだが、 送り手側に立つ以上、 そして演出家をやっている人間として 演劇作品に関わる以上、 どうしてもクリアしたいことはある。 1つめは、人物たちの筋を通すこと。 『ウエスト・サイド・ストーリー』は 【愚かな不良の若気の至り】という断定も できてしまう物語だ。 『WSS』の登場人物たちは1人として 社会的に恵まれた立場にない。 明るい未来を思い描くために必要なものを、 社会や大人世代によって、与えられていない。 ところが、作品を届ける我々スタッフキャストの 多くは、演劇という夢を叶えてそこにいる。 また、観劇する観客の多くも、1万5000円を 観劇という体験のために支払えるからそこにいる。 つまり、劇場に集まる我々はいわば、 人物たちの誰より、恵まれているのだ。 彼らより多くの選択肢を持ち、 彼らよりずっと広い世界を知っているのだ。 よほど意識しない限り、人間は 他者の苦しみを感じることができない。 ましてや自分より恵まれず余裕もない人間の 苦しみなど、なかなか理解できないどころか、 知らず知らずのうちに上からジャッジすること すらあるのではないだろうか。 しかしこの戯曲では、 若者たちの、一見若さの暴走とも取れる言動、 その一つ一つに、非常に丁寧に、筋が通されている。 選択肢が極めて少ない社会の中で、 「数の論理」「やられたらやり返す」という、 いつの時代でも国家すら動かす明快で単純な 理屈を基にして、この戯曲には全てにおいて 細かく詳細に、因果の鎖が描き込まれている。 人物たちはその因果の鎖の上を、 信じ、大切にしているものを 信じ、大切にすることによって、突き進んでゆく。 しかし、人物それぞれの筋や それが互いに分かち難く絡み合うように 編み上げられた因果の鎖は、 人物たちの背景という裏付けを知ることなくしては 読み取れないようになっている。 また、(これはもう作者たちが意図的に仕組んだ としかわたしには考えられないのだが) この戯曲ではきっちり編み上げられた因果の鎖、 それを繋ぐリンクのうち、最も重要なものが幾つか、 スコッと、抜けているのである! 我々は代数の問題を解くように、抜け落とされた 幾つかのリンクを割り出さなければ、 物語の真髄というか、ラストシーンまでも、 到達できないようになっている。 そんな戯曲なので、人物たちを上からジャッジ するような眼差しを持っているうちは、 物語のスタートラインにすら立つことができない。 だいいち観客の方だって、1万5000円も出して 人物たちを「愚かな若者たちだ」と一蹴にするより、 もっと奥へと分け進みたいものだろうと思う。 『WSS』を世に届ける上で、個人的に どうしてもクリアしたかったことの2つめは、 舞台上に生きる人物一人一人が常に、 本物の人間の感情を、とんでもない色濃さと とんでもない熱で、一瞬一瞬生きている‥‥ ということだった。 ‥‥まぁそれは、敢えて言語化するまでもなく、 全ての演劇が目指すことではあるかもしれない。 しかしこの劇場では、通常と少々、事情が違う。 何しろ機構が大掛かり。 何しろ美術が超リアル。 少し補足説明をすると、 IHI ステージアラウンド東京では、 客席の方が動いてくれるため、 まず舞台が8面も存在する。 そのため、転換をする必要がない。 動かす必要がないから、 舞台美術というよりは建築物と呼ぶべき 重厚なセットが建て込めるし、 本当に人が暮らしているかのように 小道具を細かく飾り込めるのだ。 そんな超リアルな美術が、 客席が回転するという大掛かりな機構が、 芝居を助けてくれると思ったら大間違いだ。 少しでも緩い芝居ぬるい芝居をしたら、その瞬間、 機構に、セットに、 役者は飲まれてしまう。 「アトラクションみたい」と言われる 機構の、美術の、インパクトを上回るほどに 必死に生きていないと、負けてしまうのだ。 本当に心が動いたわけでもないのに 唇が触れ合ったというだけで、 それをキスと呼び恋と呼ぶような、 そんなミュージカルや演劇や映画やドラマは 世界中にいくらでもある。 しかしそんな芝居は、この劇場では通用しない。 (本当は、どこでも通用しないのだが) これについては、 対話を重ねる稽古を通して 人物たちそれぞれの【筋】を通せたことで 俳優たちはその分、人物の言動を信じて 生きることができたのではないかと感じている。 自分の言動を信じて生きている人間には、 信じて生きている人間にしかない熱がある、と わたしは思う。 とはいえこの物語にはもちろん 理屈を超えたものも描かれているから、 【筋】=理屈だけでは太刀打ちできない。 しかし、理屈や筋といった理知の部分を 余すことなく追求し抜いた先でしか、 理屈を超えたり、打ち壊すような激情には 到達できないのではないかとわたしは考える。 人物たちが一瞬一瞬を精一杯命いっぱいで生き、 それを俳優たちが持っているもの全てを賭けて、 生きる。 わたしが演出補として観たいと願い 取り組んだのは そんな『ウエスト・サイド・ストーリー』だ。 そんな『ウエスト・サイド・ストーリー』に なっていたかの判断は、 観客ひとりひとりにお任せするとして。 そんな探求を共に歩んだシーズン1の 出演者たち一人一人についても書いておこう。 (これを目にする出演者たちへ。 一人一人への言葉、ここには全然 書ききれなくて、こんな感じになった。 書ききれなくって、ごめんね) トニー、宮野真守。 オーディションで見せてもらった、 全てを包み込むような圧倒的な包容力が、 わたしにとってはキャスティングの決め手だった。 (キャスティングは集団で段階的に行ったので 審査をした一人一人にそれぞれの決め手があったと 思うが、わたしにとっての決め手はこれだった) 宮野真守という表現者は世間から「器用」と 評されているのではないかと思うことがあるが、 わたしから見たマモはむしろその逆だった。 傷だらけになったり失敗したりしつつ恐れることなく 常に心の全てで、全力でぶつかってゆく、 不器用で人間くさいトニーを生きてくれた。 トニー、蒼井翔太。 「この人は本当に新しい世界、新しい自分が 見たいんだな」とオーディションから伝わってきた。 それこそまさに、トニーではないか。 与えられたり見つかったりした手がかりの 一つ一つを、一瞬にして、しかも物凄く本質的に、 捉える翔太持ち前のセンスと、 やはり翔太持ち前の、脱帽する他ない勇敢さで、 翔太にしか表現できないトニーを切り拓いた。 本当に対照的な2人のトニーだったけれど、 演じた2人のお名前にそれが象徴されていたことが わたしにはとても運命的に思われた。 大切な人や、自分なりの真実を、守りたいトニー。 新たな世界を求めて、蒼い空高く飛翔するトニー。 対照的でいて、確かにどちらも、トニーだった。 マリア、北乃きい。 オーディションの時から、一般的なマリア像、 通り一遍のヒロインとは一線を画すような、 熱と情念、そして同じだけの繊細さが、感じられた。 若さゆえに兄から色々と押さえつけられてはいても 既に情熱と官能が成熟した、プエルト・リコの女。 ベルナルドと同じ、熱く誇り高い血が流れていて、 たった1日だけでも、一生分の愛を生きることが できる——きいちゃんは、そんな説得力を持って、 マリアを生きてくれたと思う。 マリア、笹本玲奈。 これほどミュージカルを知り尽くした女優が これほど裸で飛び込むということそれ自体に、 オーディションでも、稽古でも、本当に多くを 教えてもらった。裸で飛び込むからこその、 少女が女になる直前の、儚い煌めきと愛らしさ。 舞台上で起きて転がった全て、命も死も、 本当に全てを、その身に引き受ける、 あのとてつもない大きさ。強さ。そして気高さ。 玲奈ちゃんに、大きな愛を、見せてもらった。 アニータ、樋口麻美。 太陽のように、熱くあたたかいアニータ! 全てを受け止め、全てを受け入れられるほどに 大きな器を、絶えず愛や悲しみでいっぱいに 満たして、アニータを生きてくれた。 アニータ、三森すずこ。 自信がなさそうにも見えた稽古の最初の頃が、 今ではもう信じられない。 花って、大輪の花って、こうやって咲くのかと思う。 愛と自信が大輪に咲き誇る、強く美しいアニータ。 リフ、小野田龍之介。 ブレなくて頼れるリーダーでありながら、実は一番 やんちゃで、負けず嫌いで、いちいち何でも悔しくて、 甘えん坊。本当はジェッツを一番必要としているのは リフだって、リフ之介は心から納得させてくれた。 リフ、上山竜治。 何も持っていない若者が、まるで全てを持っている 者かのような優しさで、仲間たちを丸ごと愛していた。 それがとても頼もしく、同時に切なくもあった。 男の気骨、その脆さは、竜治ならではのリフだった。 ベルナルド、中河内雅貴。 何て愛の大きい男だったろう。 でっかい夢を見て、仲間と家族を愛し抜き守り抜き、 手が届かないことを心底悔しがって、時に吠え、 世界に立ち向かう。男だね。雅のベルナルド。 ベルナルド、水田航生。 シャークスならではの隙のない物腰と殺気。 ��人はもちろん妹や仲間たちに対しても細やかで 紳士的で、余裕と器の大きさを感じるけれど、 敵に回すと実は一番怖い。それが航生のベルナルド。 ドク、小林隆。 こばさんのドクは、トニーだけじゃなくジェッツを、 そしてこの荒んだ街での営みの一つ一つを、 たゆみなく、時に父のような厳しさで、愛してくれた。 作品世界を映し出す、鏡のような存在。 シュランク、堀部圭亮。 シュランクの存在によって物語は常に追いつめられる。 戯曲より今回、それが際立ったのは堀部さんのお力だ。 現代東京とは全く違った警察という存在を 理屈でも理屈じゃない部分でも体現してくれた。 クラプキ、吉田ウーロン太。 作品世界において本当に大切な警察という存在の うち、シュランクとはあまりに対照的な一面を、 ウーロン太さんはたった1人で担ってくれた。 グラッドハンド、レ・ロマネスク TOBI。 TOBI さんは3つの役を通して、 物語が曲がり角を迎える時に必ずいてくれた。 大切な役回り、ありがとうございました。 アクション、田極翼。 超絶頼れる我らが(ダンス)キャプテン翼。 芝居の面でも、まるで生まれ変わったみたいに 目覚しい変化を見せてくれた! ビッグディール、樋口祥久。 矛盾を抱えて複雑なビッグディールという人物を、 ぐっぴーは繊細で柔らかな感性で演じてくれた。 A-ラブ、笹岡征矢。 ベビージョンとA-ラブの2人が物語で辿る旅が、 かつてのトニリフと完全に重なるということを、 征矢の芝居が教えてくれた。 ベビージョン、工藤広夢。 工藤広夢の【いま】に『WSS』上演が重なった 奇跡を、演劇の神さまに、幾ら感謝しても、 感謝し足りない。 スノーボーイ、穴沢裕介。 スノーボーイからリフへの愛とリスペクトが 徹底的に貫かれていたことが、ジェッツの底力の 基礎になっていたと思う。 ディーゼル、小南竜平。 無口で頼れるディーゼルそのもの!芝居の話を するたびに、竜平のまなざしの細やかさと深度に、 いつもいつもハッとさせられた。 エニィバディズ、伊藤かの子。 オーディションで一目惚れしたエニ子! この作品世界の描く希望を、そして絶望を、体現し、 背負い、繋ぎ、抱きしめさせてくれた。 グラッツィエーラ、酒井比那。 たった1人でリフとのあのとんでもないダンスを 78回踊りきってくれたことに拍手したい。 リフを亡くした後の芝居、好きだったなぁ。 ヴェルマ、今井晶乃。 一分の隙もない美しさとシャープさ、 これぞ誇り高きジェッツ・ガール! かと思えばバレエでは、浄化を体現してくれた。 ザザ、井上真由子。 ジェッツの複雑な男女関係を一手に引き受けた その姿、かっこよくて、哀しくて、大好きだった。 ホッツィ、笘篠ひとみ。 小柄でキュートなとまちゃんが、踊り始めると 空気が変わる。ジェッツ男子も顔負けの切れ味、 これぞ COOL! マグジー、鈴木さあや。 ダンスパーティでもスケルツォでも 子鹿のようなダンスと存在感を見せてくれた。 ジェッツにも希望がある、といつも思えた。 チノ、高原紳輔。 大人なチノだからこその悲劇を見せてくれた。 「一つ違ったら、チノは王子さま」それを 体現しつつ、それに囚われずにもいてくれた。 ペペ、斎藤准一郎。 表情の豊かさと、クールなシャークスの ナンバー2を、絶妙のバランスで生きてくれた。 コンスエロとの睦まじさ、好きだったなぁ。 インカ、前原雅樹 aka パッション。 パッションのインカが持つ熱さと暖かさと、 ジェッツに対して見せる猛烈な怒り。 その振り幅に、いつも釘付けだった! ボロ、東間一貴。 シャークスの中で突出して爽やかに見せて おきながら、真っ先にトニーに飛びかかっていく あの熱さ。忘れられない。 ティオ、渡辺謙典。 大人っぽい佇まいのけんけんティオなのに、 フェルナンダとのカップルっぷりは とってもキュートで‥‥素敵だった! フェデリコ、橋田康。 ダンスパーティでの色っぽさはシャークス 随一だったと思う。いつも目を奪われていた。 コンスエロ、大泰司桃子。 桃ちゃんの頼れるコメディエンヌっぷりが 思う存分発揮されたということは、シーズン1の 成果の一つではないかとさえ思う。 しかも、我らが頼れるヴォーカルキャプテン。 フェルナンダ、山崎朱菜。 あんなにハードな『アメリカ』のナンバーを あんなに嬉しそうに楽しそうにキラキラ踊る人が、 いや踊れる人が、他にいるだろうか! ロザリア、田中里佳。 ガールズにどんなにプエルト・リコを悪く 言われても、ロザリアの心のプエルト・リコは いつも変わらず、負けずに、美しい。その強さが 『アメリカ』には不可欠だった。 アリシア、内田百合香。 ブレないロザリアの隣で、プエルト・リコへの 悪口に心を痛めたり憤慨したり、そして最後には‥‥ くるくる変わる表情にいつも楽しませてもらった。 ベベシータ、淺越葉菜。 『アメリカ』では地に足ついて自信に溢れて‥‥ でもバレエの時は幻想を全て纏うかのような、 心溶かす美しさ! 最高に頼れる、我らがダンスキャプテン! スウィング、大村真佑。 ジェッツの一員アイスとして毎公演『Cool』を 踊り、公演によってはバレエもセンターで踊り、 アシスタントダンスキャプテンでもあって‥‥ 大活躍の、頼れるダイソン。 スウィング、畠山翔太。 翼の代わりにアクション役を務め上げた 勇姿はシーズン1の忘れ難き光景の1つだ。 日々シャークスのニブルスを演じ、 バレエも踊り、その上ファイトキャプテンも‥‥! スウィング、脇坂美帆。 シャークスとしてダンスパーティを艶やかに彩り、 時にはバレエもセンターで踊り‥‥ 頼れるアシスタントダンスキャプテンとしても 日々活躍してくれた。 スウィング、矢吹世奈。 『アメリカ』での、独特のウィットと女っぽさ、 茶目っ気ある色気に溢れた魅せ方は実に鮮やか! 存在感があって、流石だった。 41人の出演者全員、それぞれに、心から、 ありがとうございました。 「〜してくれた」という表現は ちょっと上からな印象を与えてしまうかも 知れないが、舞台に立って物語を伝えるということが どれだけ大変か、そして勇気の要ることかを知り、 かつそれを見せてもらう立場であった わたしなりの、精一杯の言葉のつもりです。 次は演出補でなく演出家としてみんなに 再会できるよう、精進したいと思います。 本当はこのままスタッフ一人一人についても 書きたいけれど、絶対に行き届かないことに なってしまう気がするので、割愛します。 最後に、 『ウエスト・サイド・ストーリー』シーズン1を ご観劇いただいた皆さま、 愛してくださった皆さま、 ありがとうございました。 次は演出補でなく、 わたしの演出家としての仕事をご覧いただけるよう、 精進したいと思います。 (敬称略) 薛 珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)
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朝日新聞英語版の慰安婦に関する記事には印象操作がある――。この印象操作中止を求めるべく、集めた署名は1万6千筆あまり。この署名をケントさんと山岡さんが7月6日、朝日新聞に提出し、印象操作中止の申し入れと記者会見を行います。それに合わせ、『月刊Hanada2018年5月号』掲載のお2人の対談を公開いたします。朝日の慰安婦報道の海外への影響、英語表現の解説、朝日新聞訴訟の結果、そして「なぜか日本人に冷たい」朝日新聞の実態に迫ります。
*
■読者をバカにする朝日新聞
ケント これまで朝日新聞は、ごまかしにごまかしを重ね、印象操作を行ってきました。朝日は読者をバカにしているんじゃないですか。
山岡 おっしゃるとおりです。読者に幅広い見方を提供しようというつもりがない。朝日新聞だけ読んでいる読者は、「朝日新聞の世界」の住人になってしまうのではないでしょうか。 「朝日新聞の慰安婦に関する報道で誤った事実が世界に広まり名誉を傷つけられた」などとして、在米日本人を含む62人が朝日新聞を訴えていた訴訟についてもそうです。「二審も本社勝訴判決」と8段の大きな記事で報じ、朝日新聞社広報部のツイッターアカウントは、判決を受けて「弊社勝訴で確定しました」などと勝ち誇っていましたが、彼らも自分たちの思っている世界だけで自己完結しているように思います。
ケント たしかに、2月8日に東京高裁が判決を言い渡した裁判自体は原告が敗訴しました。しかし判決文をつぶさに読んでみれば、朝日新聞が「弊社勝訴」と勝ち誇れるような内容ではありません。
山岡 まず、慰安婦報道によって生じた在米日本人に対する地元住民からの偏見や、いじめに遭った子供たちがいる、困っているお母さん方がいるという部分については、裁判所は事実として認定し、朝日新聞は一切反論していない。つまり、事実だと受け止めていると言っていい。しかし判決では、朝日新聞の慰安婦報道は70年前の軍や政府を批判するものだから、現在の在米日本人の名誉が損なわれたとは言えない、としています。
また、仮に原告である在米日本人たちに対する嫌がらせなどをした人が、朝日新聞の記事によって日本人に対する否定的な評価を持ったとしても、それ以外に様々な情報に接し、自身の考え方に照らして行動を決めるものだから、朝日の記事と原告が被った被害の相当因果関係を認めることはできない、としています。
ケント おかしな判決ですね。
山岡 朝日の記事、なかでも90年代の慰安婦キャンペーン記事が燃え上がって海外に広まり、2014年に朝日新聞が吉田清治記事を取り消したあとも余波が広がり続けていることはたしかであるにもかかわらず、「法的に因果関係を認めるまでにはいかない」と。しかし一審では「なんらの影響も与えていないということはできない」、控訴審では「主要な役割を果たしていると認めるには十分ではない」とし、影響そのものを全否定しているわけではありません。
■朝日には「製造者責任」はないのか
ケント 分野は違いますが、たとえばアメリカの製造物責任にかかるPL法で言えば、自分たちの作った製品が様々な人の手を介して第三者に渡り、最終的に使用者が何らかの被害を受けたとなれば、製造者は責任を持たなければなりません。しかも、責任はなかったと主張する場合には、製造者の側がそれを立証しなければならない。日本の場合とは全く逆ですね。消費者の側が因果関係を立証しなければならないとなれば、専門知識と莫大な経費が必要で、日本の消費者は守られません。
今回の朝日新聞の訴訟で言えば、主要な原因でないとしても、わずかでも名誉が毀損された可能性が否定できないのであれば、一部であっても朝日の責任を認め、朝日に対して有罪判決を下すべきです。
山岡 被害者が存在することはたしかなのですから、少なくとも朝日の広報が〈これで慰安婦報道を巡り弊社を訴えた裁判がすべて、弊社の勝訴で終結したことになります〉と勝ち誇るようなものではありません。
海外に影響を及ぼしたこともたしかで、日本政府は国連で数回にわたって、吉田清治証言を朝日新聞が広く報じたことで海外に誤解が広がり、各地に慰安婦像が建てられた原因の一つになっていると指摘しています。また、2007年に米下院で慰安婦非難決議が可決されましたが、06年に議会に提出された議会報告書では、はっきりと「朝日新聞がこの件に関してキャンペーンを張った」と書かれているんです。
ケント 大事なポイントですよね。せっかくなので触れておくと、この米下院の慰安婦非難決議案は議員同士の駆け引きで成立したものです。中国系の抗日連合会からカネをもらっていたマイク・ホンダ議員が何としてもこれを通したくて、「協力してくれたら別の決議案に賛成する」と取引したものなのです。
しかもこの決議は本来、IWG報告を受けて行われるはずでした。IWG報告とは、ナチスドイツおよび旧日本軍の戦争犯罪に関連する機密文書を機密解除して再調査したアメリカ合衆国政府の省庁間作業班がまとめた報告書のことですが、結果的にIWGは「慰安婦を軍が強制連行などして性奴隷とした証拠はなかった」とするものです。調査員の一人は「抗日連合が期待していた証拠は出てきませんでした。ごめんなさい」なんて書いているのですから、この報告書の内容をちゃんと読ませて議会にかければ、決議は通らなかったかもしれない。その程度のものなのです。
■朝日はいまも「英語で」嘘を書き続けている
山岡 朝日新聞に話を戻すと、吉田清治記事を取り消したあとも、慰安婦問題に対する「誤解」を特に海外にふりまいています。
朝日新聞の英字記事では、慰安婦に関する報道で、〈forced to provide sex〉、つまり「セックスを強制された」という定型文を必ず入れてきます。もうほとんどコピペかフォーマットのようなもので、慰安婦(comfort women)という単語のあとには〈forced to provide sex〉という説明が必ずつくのです。これはケントさんのようなネイティブスピーカーからすると、「物理的な強制によって性行為を余儀なくされた」というイメージを与える表現なんですよね。
ケント そうです。「性行為を強制された」というイメージで、この表現では女性側に断る余地はない。
山岡 朝日新聞の英字記事はたしかに〈sex slave〉、つまり「性奴隷」という表現は使わなくなってきていますが、本人の意思を無視して性行為を強制されるという表現は、限りなく〈sex slave〉に近いものになる。これを印象操作と言わずして何というのでしょうか。
裁判でも〈forced to provide sex〉という表現について、「仮に〈sex slave〉という言葉を使っていなくても、それを想起させる表現を使うのはおかしい」と指摘しました。これに対して朝日新聞側は、「これは強制連行や性奴隷だと明言するものではない」と主張しているのですが、では一体、何を表現しているのか。「無理やり性交渉を行った、としているけれど『強姦』とは言っていない」というようなもので、極めておかしな表現です。朝日新聞はどういう意図で〈forced to provide sex〉という表現を使い続けるのか、その説明責任を果たしていません。
ケント 使っている単語を文字どおりに取ってくれというなら、そうしましょう。〈forced to provide sex〉という表現に従えば、女性の側に断る権利はない。しかし、慰安婦になった女性たちには客を断る権利はあった。多額の報酬も受けていた。
朝日の英字記事では、〈forced to provide sex〉のあとに、〈to Imperial Japanese soldiers〉、つまり「大日本帝国の兵士に」と続きますが、旧日本軍や軍の兵士が女性の権利を奪って「性行為を強要」したのではない。仮に一定の自由を奪われていたとしても、直接女性たちの権利を抑圧した主体は軍ではなく、女性たちを管理していた業者のはずです。つまり、朝日がいくら弁解しても、この表現は事実と異なることを報じていることに変わりはない。
■朝日にとっては事実より主張
山岡 事実と違う表現を使い続け、指摘されても絶対に変えないとなれば、そういう印象を与えると分かっていてあえて書いていると見做すほかはないでしょう。
ケント 少なくとも、「ジャーナリズム」ではありませんね。活動家による機関紙、つまり「赤旗」と一緒です。ジャーナリズムが政治思想を持ってはいけないというわけではありませんが、自分の目的のために事実を捻じ曲げてはいけない。
私は日本のメディアに興味を持つようになって本当に信じられない思いがしましたが、朝日新聞は嘘の記事を書いて30年以上も撤回しなかった。そもそも、朝日の記者たちが吉田清治の話を本気で信じていたとは思えないんですよ。
現在の沖縄タイムスや琉球新報などを見ても、彼らにとっては事実であるかどうかよりも自分の主張が先に立っています。これはジャーナリストではなく、政治活動家。日本のメディアは「言論の自由」を盾に、何でも報じてしまう。しかし、その結果生じた影響については責任を取らなければならない。報じておいてそこから逃げるのは無責任です。〈forced to provide sex〉という表現は、第一に事実ではないという点がありますが、朝日がどうしてもその表現を使うというのであれば、朝日はそれによって生じた責任を取らなければならないはずです。
■慰安婦=性奴隷なのか
──「性奴隷」などの表現の問題でいうと、フェミニズムの研究者などを中心に「性を売る仕事に従事させられ、少しでも自由を制限された女性はすべて『性奴隷』」 「だから『慰安婦=性奴隷』という表現はおかしくない」という意見が出てきています。
山岡 たしかに、「白色奴隷」(19世紀のアメリカで、強制的に売春に従事させられるなど性的虐待を受けた女性への奴隷制を指す概念)のように、「本人が望まないのにそうせざるを得なかった」ケースを全て奴隷と見做すという概念はあります。慰安婦となった女性にしても、当時、公娼制度が合法だったという背景のなかで、生活苦から親が娘をブローカーに売ったケースはあった。娘は内心、嫌ではあったけれど親のため、家のためと思って売られていったということもあったでしょう。
しかし、もともと朝日新聞が報じてきた「慰安婦」とは、「挺身隊という名で騙されて強制的に連行されて慰安婦にさせられた」 「軍隊が組織的に女性を連れ去った」というものであり、韓国側は「十代前半の少女まで連行された」 「慰安婦の多くは証拠隠滅のために殺された」とまで主張しているのです。「日本軍の性奴隷」といった場合にこのような誤った情報が付随してくることに対して、我々は「それは違う」と声をあげているわけで、「性奴隷という言葉は売春に従事している女性を語るうえで一般的な表現だ」という主張は議論のすり替えです。
──「性奴隷」という表現を最初に使ったのは朝日ではない、と朝日批判を批判する論調もあります。
ケント 国連に「性奴隷」という表現を持ち込み、慰安婦と結びつけたのは戸塚悦朗弁護士でしょう。朝日系列の英字新聞「ジャパンタイムズ」も、2016年1月18日の自社の記事で「性奴隷(sex slaves)との表現は妥当である」と正式に明記しています。
山岡 仮に、慰安婦に対して「性奴隷」という表現を朝日より先に使ったケースがあったとしても、大々的なキャンペーンを展開したのは誰だったのかという点で言えば、朝日の責任は揺らぎようがない。
言葉の定義を言うなら、挺身隊と慰安婦の混同は朝日が90年代に報じる以前からあったでしょう。しかし、明確に〈主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した〉(92年1月11日付)という記事を発信した朝日が免責されるはずもない。問題は、「起源」以上に「インパクト」なんです。データベースを検索して「『性奴隷』という表現を朝日よりも前に使っていた海外メディアや論文があった」からといって誰も覚えていない、あるいは誰も知らなければ影響があったとは言えない。「性奴隷=慰安婦」という印象を世に知らしめ、定着させた原因となった記事を書いた朝日新聞の責任が軽減されるわけではないでしょう。
ケント 〈sex slave〉でいうなら、本物の「性奴隷」は現在も存在します。日本でダンサーやホステスをするために来日して業者に雇われた外国人女性がパスポートを取り上げられ、渡航費用の借金返済を口実に売春を強要されるケースです。こういった事例は世界各地にあるし、被害に遭っている女性も大勢いる。これこそ「性奴隷」ですよ。
■朝日慰安婦キャンペーンの確かな影響
山岡 いまの話を聞いて思い出しました。米ジョージア州ブルックヘブンに慰安婦像が建てられたので視察に行きましたが、慰安婦像の隣りに自治体が建てた看板にはこんなふうに書いてある。 〈性的人身売買は、いま世界中で私たちの周りで起こっています。2014年、アトランタ都市圏は全米でも最も犯罪の多い地域であるとFBIに指定されました。この歴史的な記念碑に鑑みて、今日起こっている犯罪を如何に認識し、声をあげたらよいか、考えていきましょう〉
つまり、現在行われている女性の人身売買の「象徴」として、慰安婦像と記念碑を位置づけているというわけです。こんな偽善と欺瞞があるでしょうか。無茶苦茶な話ですよ。しかも、碑文にはこうあります。
〈これは1930年から45年に日本帝国陸軍に奴隷にされた、「慰安婦」と呼ばれる婦女子を称える記念碑です。慰安婦は推定数十万人の20世紀最大の人身売買の一つです。この暗黒の歴史は、1990年代に生存者が勇気をもって沈黙を破るまで、数十年間、隠されてきました。慰安婦はアジア太平洋の少なくとも13カ国の出身で、主に韓国です。ほとんどは第二次世界大戦中に殺されました。この碑はこれらの婦女子の記憶に捧げ、世界に蔓延する性暴力と人身売買を撲滅するためのものです。私たちは決して忘れません。真実を教えます〉
この碑文で特筆すべきところは、〈暗黒の歴史は、1990年代に生存者が勇気をもって沈黙を破るまで、数十年間、隠されてきました〉の一文です。〈勇気をもって沈黙を破〉った人物は、朝日新聞の植村隆記者が91年に「元慰安婦が初めて名乗り出た」との記事を書いた金学順であることは明らか。この碑文は、海外での慰安婦に関する認識において、朝日新聞の90年代のキャンペーンが大きな影響を及ぼしたことを、いみじくも裏付けています。
■なぜ韓国人は海外に慰安婦像を建てるのか
──国内的には、2014年の朝日新聞の吉田清治証言報道の取り消しでひとまず落ち着いた感がありますが、時を同じくして、海外の各地に慰安婦像が建設され始めています。
山岡 なぜ韓国人は、第三国に慰安婦像を建てるのか。日本人には理解しがたい心理ですが、在米韓国人の人たちは、周囲の人をどんどん巻き込み、いかに自分たちが被害者であるか、またいかに日本が加害者であるかを周囲に知らしめることで、自分たちの主張の正当性を担保しようとしているのです。いわば告げ口文化というのでしょうか。
ケント まさに「恨」の思想。常に誰かを批判していないと気が済まない。それが生き甲斐になるだけでなく、自身の正当な生き方であるというふうになっていくんです。事実であるかどうかは重要ではない。これが韓国の人たちの考え方です。なぜ日本人は35年間も朝鮮半島を統治していたのに、こういう韓国人の特性が理解できないのですか。
山岡 戦後植えつけられた罪悪感で、学んだことを水に流してしまったのでしょうか……。
ケント たしかに日本、特に政府の対応に問題はありました。慰安婦問題のそもそもの元凶は、日本政府がきちんと精査してから発表する手段を踏まず、いきなり謝罪したことにあります。日本の発想では、「ごめん」の一言で物事の半分くらいは終わってしまう。謝れば水に流してくれると思ったのでしょう。しかし、韓国の文化はそうではない。というか、日本以外の国はそうではない。たとえば、日本政府が元慰安婦に対して支払った「見舞金」についても、外国人には理解不能です。
山岡 でしょうね。「慰安婦は性奴隷ではないし、強制連行もしていない」と言いながら、謝罪してお金まで払っている。海外の感覚で見れば、相当悪いことをしたに違いないと考えるのが普通です。「やってもいないことに謝罪して、お金払うなんて殊勝ですね」なんて話にはなりません。
■日本を悪魔化する手法
ケント ニュージャージー州フォートリーに慰安婦被害者を追悼する慰安婦碑が建てられるというので、これを阻止すべく、私が市長宛に英語で文書を送りました。そのなかでも見舞金について説明しました。「お金は払ったが、これは見舞金であって賠償金ではない。日本特有のやり方であって、日本軍の強制連行は政府も誰も認めていません」と。
これで少し碑文の表現は柔らかくなったかもしれませんが、地元の日本人の反対の訴えは通らず、昨年末に設置決議が通り、今年5月に除幕式が行なわれました。
山岡 地元では、日本人のお母さんたちが中止要請を行っていたのですが、フォートリー市長は「実際問題、選挙民の多くに韓国人がいるから、その声を無視することはできない」と言っていました。
ケント 韓国人が告げ口文化からこういう運動に勤しんでいる一方、中国人は違います。慰安婦像建設運動にかかわっている抗日連合会は、中国共産党のプロパガンダ組織です。在米韓国人に頼らず、抗日連合会や他の中国人グループが前面に出たのが、サンフランシスコの慰安婦像建設のケースでした。アメリカで抗日連合会などの中華系団体は在米韓国人に近づき、彼らの精神構造を利用して慰安婦像を建て、日米の信頼を崩して離間に結び付けようとしている。これは、戦時プロパガンダと全く同じ手法です。
山岡 中国人は韓国人を信頼していないし、韓国人だけに任せておくと失敗するケースも出てくる。だから中国人団体が出張ってくる。ついには「慰安婦40万人説」を持ち出すようになりました。40万人の慰安婦のうち韓国人が20万人、残りの20万人は中国人だというわけです。アメリカで、アジア系移民の政治活動に関する実地調査を行いました。その結果、分かったのは、日系移民も、中国系も、韓国系も、はじめのうちは「同じアジア系移民として仲良くやりましょう」と言って、一定の連帯感を持っているように装う。しかし、地域住民における中韓系の合計割合が一定を超えると、一気に掌を返すのです。よかれと思って「みんなで一緒に考えましょう。和解はもうすぐ」なんて甘い幻想を抱いていると、手ひどい目に遭います。
ケント 実は私のもとに、カナダで起きている恐るべき実態が寄せられました。トロントに住む中韓系がしきりに反日運動を行い、州議会の中国系議員に働きかけ、慰安婦像を建てようとしているというのです。地元の方が手紙で知ら��てくれたのですが、それにはこう書いてあります。
「日本政府のだらしなさに、海外の日系人は絶望的な思いです」
「今の状態を作り出したのは朝日新聞。朝日のおかげで海外に住む邦人は大迷惑です」
「ケントさん、中韓の陰謀阻止キャンペーンを行ってください」
山岡 悲痛な叫びですね。
■外務省の事なかれ主義
──山岡さんはオーストラリアで慰安婦像設置を阻止しましたが、山岡さんがかかわっていない他の地域では連戦連敗といった印象です。何が原因なのでしょうか。
山岡 いろいろとありますが、一つは英語での説明力と発信力。海外であれだけ誤った発信がなされているのに、英語で即反論することができない。そもそも、日本政府や外務省が発信する文書の英語表現も、まるで日本がとんでもないことをしでかしたような印象を抱かせるものになっていて、逆効果になっています。私自身、慰安婦問題について海外のジャーナリストの取材を複数回受けましたが、きちんとこちらの意見を述べれば、相手に良心があれば少なくともこちらの言い分を記事にはします。なかには、反論されて電話をガチャ切りしたジャーナリストもいましたが(笑)。
ケント 外務省に任せきりにしてきたのは大きな問題でしょう。これではダメ。彼らは事なかれ主義ですから。90年代から、慰安婦問題が日本にとって大きな問題になっていくことが分かっていただろうに、きちんと対処しなかった。問題が発覚した時に特別調査部隊を組織して、アメリカでも韓国でも調査させてきちんとした報告書を出すくらいの努力は必要でした。それなのに、調べもせずに「ごめんね」と言って済ませようというのはね。ご近所トラブルじゃないんだから、それで済むわけないでしょう。
また、日本では英語を言い訳にする人も多いのだけれど、これも怠慢です。日本人が英語が苦手なら、私のようなネイティブスピーカーを雇えばいいんです。これで英語力の面は解決ですよ。簡単な話です。
山岡 最近は外務省も少し変わってきて、「慰安婦制度は性奴隷ではない。強制連行はない」と自ら主張するようになりました。たしかにそれは進歩ではあるのだけれど、まだまだ舌足らずです。「性奴隷ではないと言うなら何なんですか」と言われると、説明できないんですから。慰安婦制度というものは何であったのか、きちんと日本政府が定義しておかなければ反論のしようがないのです。
■日本人に冷たい朝日新聞
──こうしている間も、次々に慰安婦像が海外に設置され、そこに住んでいる在外邦人や日系人たちは肩身の狭い思いをすることになる。これに対して、朝日はどう責任を取るのでしょうか。
ケント 朝日は責任なんて感じないでしょう。謝罪どころか、反省の気持ちなんて全くないんですから。こういう冷酷な新聞は許し難いね。
山岡 そう、朝日新聞は日本人に対して非常に冷酷なのです。韓国人の元慰安婦のおばあさんに対しては「かわいそうだ」 「寄り添わなければならない」と言うのに対し、今回の裁判でもそうだったように、現在、朝日の報道によって被害に遭っている人……つまり、いじめられている子供や、子供を持つ親に対しては、完全に沈黙。全く同情しないし、「彼らが不利益を被っているのは私たちのせいではない」と言い続けている。
「その英語表現がいまなお誤解を生んでいるので、止めてください」と指摘しても、絶対に直さない。「事実と違う情報で日本人が被害を被っています」と言っても、絶対に表現を変えないのですから。
ケント この冷酷さは気になりますよね。日本人に対する上から目線というレベルを飛び越えている。朝日の社是は「日本解体・日本打倒」ではないのですか。だから共通の目的を持つ中国や韓国を擁護する。それどころか、「日本叩き」の材料を中韓に与える。靖国参拝問題はその最たるものです。
山岡 朝日は「『日本打倒』という社是を正式に掲げたことはない」と言うでしょうが(笑)。しかし朝日新聞の日本人に対する冷酷さは、ちょっと異常です。
――朝日新聞は、「愛国心」と聞くと過剰な反応を見せます。かつて天声人語は、〈「日本人としての自覚」 「我が国を愛し発展に努める」といった記述に、ふと立ち止まる。食事中に砂粒をんだような感じがする〉(14年3月7日)とまで書きました。
山岡 朝日新聞は、日本人が愛国心を持つことに対する嫌悪感があるんですよ。これは一体、何なのか。
ケント WGIP(War Guilt Infor-mation Program)、つまり占領政策の影響が残っているのかな。「日本は悪いことをしたじゃないか」と言われたら、条件反射的に謝らなければならないと刷り込まれているのでしょう。
■国民の声で止めるしかない
山岡 いずれにしても、朝日による実害はいまも広がり続けています。これはもはや、国民の声によって止めるしかない。そこで、ケントさんと私は〈朝日新聞に英語版での慰安婦強制・性奴隷の印象操作の中止を求める署名〉活動を行っています。要望は3つ。
「ネイティブが読んだときに、事実と齟齬のある表現を使うのをやめてほしい」
「吉田証言が虚偽であり、記事を撤回した事実を改めて英文で告知してほしい」
「もし、前記表現が軍隊による物理的強制連行や性奴隷化を意味しないと主張するなら、具体的に、『性行為を強制された』とは何を意味するのか明確に説明してほしい」
現在、6千筆を超える署名が集まっていますが、少なくとも1万筆を集めて、然��べき時期に朝日新聞に申し入れたい(※5月号発売時点、現在は1万6千筆あつまり、7月6日に朝日に申し入れ予定)。朝日は「国民の声」にどう応えるのか。これは「言った言わない」とか解釈の話ではなく、現に使っている表現をやめてほしい、使い続けるなら説明責任を果たせという至極具体的な要望ですから、朝日新聞には誠意をもって答えてほしい。
ケント 誠意をもって対応しなかったら、いよいよ朝日はおしまいだよ。
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聴講メモ 情報法制研究会 第6回シンポジウム
聴講時に入力したメモです。断片。配布資料からのメモも引用符はありません。 聞き取り間違い等、あります。おかしな部分は記録者のせいです。
2017年11月25日(土) 13:00-17:30 一橋大学 一橋講堂
開催案内 https://www.dekyo.or.jp/kenkyukai/symposium6.html 主催 一般財団法人 日本データ通信協会 情報法制研究会 後援団体(50音順) システム監査学会、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会、一般財団法人情報法制研究所、 一般社団法人全国携帯電話販売代理店協会、一般社団法人テレコムサービス協会、一般社団法人電気通信事業者協会、 一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会
総合司会 鈴木 正朝 新潟大学 教授 (理化学研究所AIP情報法制チームリーダー)
堀部研究会全9回、通算で今回15回のシンポジウム。時々の論点を先取りして行う。 これから先の個人情報保護法について議論したい。
13:00-13:20 スピーチ 「個人情報保護委員会の国際的取組例」 ≪資料≫ -ICDPPC・EUを中心として- 堀部 政男 一橋大学名誉教授(個人情報保護委員会委員長)
ハイビジョンの日 1970年11月25日 『宴の後』執筆者の三島由紀夫が割腹自殺 2018年5月25日 GDPR適用開始日 2年前にICDPPCについて検討 今年は香港で開催。39回目。 DPAとしてのネームタグ 2日目に正式メンバーに認められるまではクローズドセッションに入れない。 ベルギーの機関(Belgium: Supervisory Body for Police information Management)が認められたので、4年前でも行けたかも。 昨年は反対が上回ってだめ。今年は全面改正後なので通った。 国によっては複数の機関が加わっている。 晩さん会では上座に席が用意された。 「グローバル化する世界における個人データの交換と保護」(Exchanging and Protecting Personal Data in a GlobalisedWorld) 2018年の早い段階で日本の十分性認定について検討するとのこと。 →CommissionWorkProgramme2018(2017/10/24)Ⅱ. COMPLETING AND DELIVERING THE 10 PRIORITIES OF THE JUNCKER COMMISSION5 韓国はあまり早い時期ではないようである。(11月20日付文書)
13:20-15:00 1.パネルディスカッション<匿名加工情報の利活用に向けて>(仮)
モデレーター 森 亮二 弁護士法人英知法律事務所 弁護士(も) パネリスト 高木 浩光 産業技術総合研究所 主任研究員(ひ) 高橋 克巳 NTTセキュアプラットフォーム研究所 主席研究員(た)
森 亮二 弁護士法人英知法律事務所 弁護士
社員番号は誰にとっての「個人情報」か 容易照合性 個人識別符号
情報が一意か 本人到達性
渡された先では個人識別性がないような場合
丸めたデータの提供
対応テーブルがなくても、情報そのものから照合は可能 乗車履歴 データを丸め過ぎるとデータの価値が低くなる
識別行為禁止義務
個人情報の保護に関する法律施行規則(平成28年10月5日個人情報保護委員会規則第3号) https://www.ppc.go.jp/files/pdf/290530_personal_commissionrules.pdf (匿名加工情報の作成の方法に関する基準) 第19条 一 個人情報に含まれる特定の個人を識別することができる記述等の全部又は一 部を削除すること(当該全部又は一部の記述等を復元することのできる規則性 を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。 二 個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号 を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換える ことを含む。)。 三 個人情報と当該個人情報に措置を講じて得られる情報とを連結する符号(現 に個人情報取扱事業者において取り扱う情報を相互に連結する符号に限る。) を削除すること(当該符号を復元することのできる規則性を有しない方法によ り当該個人情報と当該個人情報に措置を講じて得られる情報を連結することが できない符号に置き換えることを含む。)。 四 特異な記述等を削除すること(当該特異な記述等を復元することのできる規 則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。 五 前各号に掲げる措置のほか、個人情報に含まれる記述等と当該個人情報を含 む個人情報データベース等を構成する他の個人情報に含まれる記述等との差異 その他の当該個人情報データベース等の性質を勘案し、その結果を踏まえて適 切な措置を講ずること。
高木 浩光 産業技術総合研究所 主任研究員
5月のシンポジウムでは情報公開請求で判明したことを紹介。情報法制研究所シンポジウムでも。 9月のFITで議論。
認定保護団体指針の匿名加工情報 先週のNHK番組での匿名加工情報の紹介に疑義 履歴の部分は業界団体の自主ルールと。 匿名加工の基準は結局曖昧なまま。5月のJIPDECの指針でもあいまい。 いくつかの業界では具体的なデータ流通のケースでできそうなものも。 法の条文解釈で曖昧 匿名加工情報は個人情報なの、そうじゃないの?
視聴者プライバシー保護WG(総務省)では JEITA 時刻情報丸めるのは勘弁 事務局 法で再識別が禁止されていることをもって加工方法の基準を緩和することは、制度趣旨に照らすと適切ではない。
宇賀先生の逐条解説第5版では「復元することができないように」を説明していない。
「復元できないように」を皆言わない。
「どうぶつの森ポケットキャンプ」非特定性情報って何?
本来なら「復元できないように」の文言を入れるべきでは。
「復元することができないように」と「識別できない」は違う。
旧案では仮名化だけでOKと。内閣法制局長官が審査でダメ出し。 「復元することができないように」を定義の要件に追加 規制緩和にならないことが認識されていた様子。 基準の明確化がキモ
旧案では1号、2号、3号の3つ。
禁止だけでは駄目。照合できないデータを提供すること。
グルーピング、トップコーディング、ノイズの付加、値を入れないといった加工方法は旧案には入っていなかった。
α解釈 「復元できないように」は各号の措置とは独立の要求 β解釈 両方にかかっている
「識別」に容易照合による識別を含むのか? α 含まない β 含む
ファイル単位でもっぱら照合できるということを容易照合性の解釈としてはどうだろう? 63年法の構想段階ではファイルまたは台帳との照合を考えていた。
当該個人の人格から切り離された情報となるということ ありふれた情報 「ありふれた」とは?
仮IDの問題。
高橋 克巳 NTTセキュアプラットフォーム研究所 主席研究員
k-匿名性に関する疑問に答える
k-匿名性を突き詰めると、それで守れない部分が高木さんの提起した課題となる。
k-匿名性は必須ではないが、個人識別性がないということを根拠をもって主張できる。
識別子 単独 準識別子 組み合わせ k-匿名性の守備範囲だけど、誰かが決めるのではなく、作成者が決める必要がある。
NIIレポートで言及
製法表示ではk-匿名化の対象項目の明記が重要
k=1データ データの中で一意(識別可能)
kの値に共通汎用的な答えはない。2または3 5または10 20以上だとデータが破壊されてしまうという説がある。
データの性質に応じたリスクを考えて対応する
購入品名が明らかに個人識別に貢献する 例 野球選手の守備位置 対応 k-匿名化対応 参照情報があってマッチング可能 対応 ノイズ 潜在的な個人識別性がある 例 位置情報
匿名加工情報の規律は、データから個人識別性を無くすことである 匿名加工情報の利用目的を決めて作成することが、有用なデータ作成に貢献する 要らんものは入れない。
匿名加工情報のお試し利用 ビッグデータはやってみないと分からない。にわとりたまご 技術的に解決 リアルな疑似データを作成する技術の研究開発 制度的に解決 各種制限をつk手は「お試し」利用の運用可能性検討 業界的にはデータエコシステム設計構築
ディスカッション
も 最終的な目的は一般的な安全性が確保される(識別されない)ことではないのか
ひ 特定の個人を識別できないということの概念が揺れている。先週の法とコンピュータ学会でも議論された。特定の個人を識別できるとは、同定できること。同じ顧客が来たと分かるというのは、同定できるということ。 長官のダメ出しは照合による識別の概念が揺れていたからではないのか。
も 仮名化について
ひ 名前等だけを落とすこと。連結可能匿名化でOKと誤解されている。
も 規則19条に容易照合性の文言がないことについて。NII報告書は省略ではないとしている。5号措置の対象であると。
ひ 加工基準の1号は容易照合を含んでいないという点は同意。法律の条文上でどうか。 何をすれば達成したことになるのかが不明。復元不能か、識別不能か。
も 視聴者ガイドラインで視聴履歴の時刻を丸めることにしたのは人によっては高度に識別可能になるから。
ひ 委員会ガイドラインはどうやったらいいのか分からない。
も 法文上の根拠が分かればできるのか。
ひ 何の法的根拠もないところではだれも決められない。
も 識別可能なデータがあってもいいということについて
ひ EU29条委員会での匿名性検討では多くの列があるのは駄目となっている。母数が十分大きなところからサンプリングするというのは有効ではないか。偶然、一人しかいないようなデータを引いた場合に、問題とするのか。データを受け取ったほうには分からない。
た k-匿名性とランダムサンプリングでは、想定された属性が、データのかたまりの中に安定して分布していれば似ている。長いデータでは安全性に疑問。
も 横に長いことによって一意になってしまう。
ひ 背景母集団による一意性は要考慮
た 母集団一意性の議論は難しい。k-匿名性がいいとされた理由は母集団の事を気にしなくて済みそうと考えられたから。函館市の90代の女性と与那国島の100代の男性の違い。
も 4号によって削除されるべきデータでは。
ひ 4号は1列だけ取ってユニークなものとしているが、背景母集団の一意性は前列を見る。
も 母集団での前列一意なんて分かんないんでは。
た 年齢一つだけ見ればいいというわけでもないし、前列見るのが難しいというのも分かる。
質疑応答
会場 2つほど見過ごされたポイントが。横に長いデータの切断による安全性向上が議論されていない。もう1つは反証可能性が法的に議論されていない。
た ぶつ切りの問題は3人ともぶつ切り賛成派だと思う。必要な情報だけにしろというのがそれ。
ひ 事務局レポートは仮IDを許容しているが、反復して長期間利用することは危険とも。前回シンポジウムで議論。
た 匿名加工情報を2つの表で出さざるを得ない場合は使うけど、他は要らないんじゃ。繰り返しは使わない。期をまたぐような奴は使わない方が良いと思う。
ひ 内部加工用ということで。
ひ 匿名加工情報を議論するときに絶対安全にしたいという声もあるが、無理。法はそこまでは求めていないのでは。
会場 そのための基準作りが法では。
15:20-17:20 2.パネルディスカッション<改正個人情報保護法完全施行後の現状と課題>
モデレーター 湯淺 墾道 情報セキュリティ大学院大学 教授(ゆ) パネリスト 新保 史生 慶應義塾大学 教授(新) 小川 久仁子 個人情報保護委員会 事務局 参事官(川) 小木曽 稔 一般社団法人新経済連盟 事務局 政策統括(木) 小堤 康史 一般財団法人日本データ通信協会 電気通信個人情報保護推進センター所長(堤)
新保 史生 慶應義塾大学 教授
委員会ができる前と後、今後の課題について。 2013年の個人情報保護法はアンゴラにも負けていた。その当時と変わっていない課題がある。 日本としての影響力を発揮していかないと。俗人的な対応は国益を損なう。 日本には利益団体がない。例えばPIのように。 情報収集、情報分析、情報発信のための体制整備 グリーンリーフ教授によるその後の評価 2015年 委員会の独立性 第三者機関として確固たる地位 執行権限 第三者機関として独立の執行権限 委員会規則に基づく、統一的な執行体制 老練な初代委員長 執行権限のためのリソースが整っている。 当初の政府案よりも強力な執行権限 課題 ビッグデータ 公的部門
データ移転の課題 トップの了解事項として取り組み 欧州委員会の議員団来訪。高評価。 24条の手続き 十分なレベルの保護基準が大事
戦略的に考えるべき 法の適用と執行の明確化 誰が、どこに、何に
小川 久仁子 個人情報保護委員会 事務局 参事官 NHKの番組では35分話したが、10秒しか使ってもらえなかった。
小木曽 稔 一般社団法人新経済連盟 事務局 政策統括
新経連では説明会を数回行った。勉強会も。 改正までの検討経過が妥当であったかを振り返るべき。 経済界からも声を上げるべきであった。 3年後の見直しに向けて、情報法制全体に向け、どのような提言をすべきか検討したい。 パーソナルデータ研究会での議論のやり方について、決まってからの経済かいとの対話が良かっただけに、もう少し考えることがあったのでは。 個人情報保護委員会のサイトは分かり難い。 弁護士の意見や、解釈本に不備が多いので、原典に当たるために個人情報保護委員会のサイト充実を。 データ移転の分類は実務にあたって、ここまで落としてもらわないとできない。 2000個問題は言い続けるべき。 75条(国外移転)は外国の主権との問題はあるが、執行面における対等性をどう担保するか。
小堤 康史 一般財団法人日本データ通信協会 電気通信個人情報保護推進センター所長
認定個人団体は仲裁のようなことをしている。業界の保護指針も策定している。 ※実際に書いているのは10~20%程度。総務省や個人情報保護委員会のガイドラインから多く入れている。ハンドブックでざくっと。 匿名加工の在り方については検討を続けている。 加入事業者が目減りしている… 増やしたいのは「認知度」と「活動原資」 後手に回っているもの 「匿名加工情報」に係るリーダーシップ PI-ICT やりたいこと 個人情報保護デー 個人情報保護の適正な取り扱い診断ツール 個人情報保護取り組み状況等に関する継続的な比較調査 認定団体の協議会のような取り組みも必要では。 シール制度重要
ディスカッション
ゆ 国際化の問題は大きい。イコールフッティングについて
川 域外適用の規定がなかった時には手が回らなかった。75条を積極的に活用して執行していきたい。ない部分も多いが、国際的な動向も踏まえ、執行協力も活用しつつ対応したい。
ゆ 海外サーバーの問題を連邦最高裁が取り上げるとのこと。データローカリゼーションも論点になっている。日本企業が直面する課題と解決について。
新 日本企業が何もしなくて済むように制度的に担保してほしい。標準契約条項でやるのは、毎回切符を買って電車に乗るようなもの。手間と費用が掛かる。するべきことは単純に、簡単に。
ゆ 企業はGDPR対応で困っている点は?
木 困っているというよりも認識がない。BCRをとった経験を聞かせてほしいと言われるが、そこまで社内的に進んでいないところがほとんど。全企業が取れるものではない。とるといいのは自社グループ内のデータ流通の整理、社員教育の整備に役立つ。セミナーはいくつか開催されているが、会員企業から深掘りした質問が出てこない。
新 対応しなければならないという不安症的な対応は良くない。誤った情報がはびこっていることで、不要なことをしていたりする。「間違いだらけの」と冠した書籍など。正しい情報をわかりやすく伝えるのは難しいが重要。
ゆ 不正確な情報を行政が提供している例も見られる。
新 2枚で分かる個人情報保護法という資料を作ったのが、勝手に使われている。単純でわかりやすいものが少ないので、しょうがないのかもしれないが、出典は明確にしてほしい。
川 委員会としても正しい理解を広めていくのは重要と考えている。講演と、中小企業向けにシンプルレッスンという素材を提供している。トンデモ本についても情報提供をお願いしたい。
ゆ 記録作成義務については浸透していない印象がある。真面目にやっている企業からは大変だとの声が。
堤 一般的な事業者のレベルで言うと、委託と提供の区別がつかないところが多い。責任関係の点について理解が不足した上に、混乱が上積みされている。そもそものレベルの話をしていく必要がある。委託は記録を取られていることが多い。
ゆ 何か事業者としての考えは?
木 まだ会員企業からは聞いていない。記録を取るということを知っている会員が少ないのかもしれない。これから問題が浮上するかも。
堤 5人、10人の会社ならともかく、1万人の会社で、一部門が記録を取ったことが企業として取ったことになるのか。
ゆ ガバナンス、社内問題であるともいえる。インシデント発生時の告知など欧米では入っているものが今回は見送られている。
川 安全管理措置を取る義務に基づき、個人情報保護委員会に報告することになっている。現在も報告が入っている。報告は義務ではないが、安全管理措置をとることは義務である。
新 第三者提供の記録については形骸化が懸念される。米国のデータブローカー規制のようなやり方もある。なにが重要になるか。プライバシーインパクトが重要。PIAが免罪符的に使われてきた。特定個人情報保護評価もできないところがある。PbDでも重視されているプライバシーインパクトを検討していくべき。
ゆ 特定個人情報保護評価はかなり形式的になっている点は否めない。やらないよりはましだったとは思う。情シス部門と総務部門の風通しはいくらか改善されているが、インパクトが軽視されているのは良くない。官民データ活用法と行政機関個人情報保護法とあと2法、交通整理が必要。
木 匿名加工情報のレベルが法律に書かれていない、何を守り切らなければいけないのか、守らなくていいのか、定義の部分が落し切れていない。
新 情報法制全体で考えたとき、個人情報保護法はあくまでも個人情報の話なので、不正競争防止法との絡みなどもある。 なんでもAIとつければいいという風潮がある。不防法の改正を巡り、個人情報でもない、営業秘密でもない、著作物でもないというデータが増えていく。本当の意味でのビッグデータが増えていく。機械学習の対象となるデータが増えていく。いかにデータを取り扱うことができるのかを考えていくべき。
ゆ 情報なりデータなりのオーナーシップを確立すべきとの考えか?
新 プロパティ概念の間違い。属性を物権的に扱うのはいかがなものか。財産的に考えるのはおかしい。
ゆ 中国、ロシアのデータローカリゼーション
川 3年後に向け、まだどうやって行くか決まっていないが、IoT機器の普及など、個人情報の取得が無意識に行われていく可能性を踏まえ、企業との意見交換を行っていきたい。個人のリテラシ向上も。民間の自主ルールも重要になる。
質疑応答
会場 ロボットからクラウド等に情報が流れるときの危険性が懸念される。マイデータ@フィンランドでグループプライバシーという概念が出てきた。AIのテクノロジーが入ってきやすい概念である。
新 NAACP事件がグループプライバシーの事案としては嚆矢であろう。欧州では労働組合への加入情報が主。グループの構成員であるという事実がプライバシーであるとして議論されてきた。
木 AIスピーカーで家族内の会話が外資に流れて大丈夫なのか?
湯 イコールフッティングの問題にもなる。
17:20-17:30 まとめ 閉会挨拶 鈴木 正朝 新潟大学 教授 (理化学研究所AIP情報法制チームリーダー)
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(以下、映画の内容に一部触れています)2017年に公開された前作『IT/イット“それ”が見えたら、終わり 元スレ 1:2019/11/10(日) 11:28:38.91ID:Gmv0rdC30 大ヒット公開中の映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』に、映画監督や俳優として活躍するグザヴィエ・ドランが出演していることが話題となっている。(以下、映画の内容に一部触れています) 2017年に公開された前作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』でペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)を倒したはずのルーザーズ・クラブのメンバーたち。しかし、27年後、ペニーワイズの脅威が再び訪れる。 俳優としても活躍するドランが演じたのは、映画の冒頭に登場する同性カップルの1人。田舎町で不良少年たちに心ない言葉を投げかけられるが、強気に立ち向かう。わずかな出演ながら、強いインパクトを残している。 映画を観た人からは、「ドラン出ててびっくりした」「ドラン出てきて嬉しい」「序盤からテンション上がった」といったコメントがSNS上で見受けられた。 2009年、19歳のときに『マイ・マザー』で監督デビューしたドランは、『わたしはロランス』(2012)で世界中から注目を浴び、『Mommy/マミー』(2014)でカンヌ国際映画祭審査員賞を獲得。 独特の感性で描く物語と画づくりが高い評価を得ており、『たかが世界の終わり』(2016)ではカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した。今年で30歳となったドラン。今後の活躍も期待されている。 また、本作には、原作者のスティーヴン・キングもカメオ出演。大人になって街に戻ってきたビル(ジェームズ・マカヴォイ)が入る、とある店の店主にふんしており、「やっぱりそうだった!」「まさかで驚いた」「セリフ意外とあった」と驚きの声が上がっている。 …
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