#デスク下
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公共放送のNHKラジオ国際放送で「釣魚島(尖閣諸島)は中国の領土」「南京大虐殺を忘れるな」などとした放送が流れた問題で、10日にNHK放送センター(東京都渋谷区)で記者会見した稲葉延雄会長は「今回のことは、放送乗っ取りともいえる。極めて深刻な事態だ」と苦渋の表情で語った。前代未聞の放送事故は、どのように起きたのか。再発防止は可能なのか。 リスク負えない NHKは先月26日に井上樹彦副会長をトップとした検討体制を設置。調査結果には当日の経緯が詳しく記されている。 先月19日午前、NHKグローバルメディアサービスの中国籍男性スタッフは、放送センターで「靖国神社の石の柱に落書き」というニュースを翻訳していた際、日本語原稿の中の「(石の柱には)トイレを意味する中国語に似た字のほかアルファベットなどが書かれていた」という部分について疑問を抱いた。 男性は外部ディレクターとニュース画像などを確認したが、アルファベットは見当たらなかった。男性は「NHKの原稿はあいまいで、そのまま翻訳して中国語で放送したら、個人に危険が及ぶ」「NHKはその責任をどう考えるのか」と激高。デスクの判断で、その一文は削除された。 午後1時1分の生放送開始後、男性が靖国神社のニュースを読み上げる中で、原稿から削除したはずの部分で、「『軍国主義』『死ね』などの抗議の言葉が書かれていた」と原稿にない発言を行った。その後、22秒間にわたって「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などと発言したが、その場にいた外部ディレクターとデスクは驚きのあまり、音声を下げるなどの対応ができなかった。 放送後に2人は「読み直して」と詰め寄った。しかし、男性は拒否して「僕は辞めますから」と立ち去ろうとした。男性が読み上げた原稿には、手書きで問題の発言内容が記されていたという 集まってきた別の上司らが説明を求めると、「日本の国家宣伝のために、これ以上個人がリスクを負うことができない」「あとは代理人を通して」と繰り返し、午後2時50分頃に放送センターを立ち去った。 NHKによると、緊急時にマイクをオフにして音楽を流す緊急ボタンなどがあったが、今回のような事態については想定外だったという。問題のニュースを担当していた多言語メディア部長は「出演��のフリートークがないニュースで、放送中に不規則発言が出ることを想定しておらず、リスクとして認識していなかった」と説明した。 稲葉会長は会見で「(国際情勢が)刻々と変化する中で、リスクの変化も敏感に感知する必要があった」と述べた。 兆候見逃す 「この仕事をしていることは、俺にとってはリスクなんだ」。ラジオ国際放送で不適切な発言を放送した中国籍の男性スタッフを知る関係者は、男性が周囲にそう漏らしていたと明かす。 NHKでは、外国人スタッフが匿名などでの業務を希望する場合は個別の事情に応じて認めている。男性も本名ではない名前でアナウンス業務にあたっていた。 NHKは男性と平成14年に契約したが、その際に面接で「自分の主張と違うことを伝えるときも、業務に対応できるか」などと質問し、適性を確認していた。採用に関わった職員は「人柄は温厚そうで、勉強熱心」との印象を抱いていた。 職場での男性は口数が少なく、同僚の職員やスタッフはプライベートをほとんど把握していなかった一方、翻訳の方針や待遇への不満を訴えることがあった。尖閣諸島を例に挙げて「翻訳業務を拒否できるか」などの質問をしていたという。 今回の調査結果では、男性が別の名前を使って、香港系の中国メディアで記事や音声リポートなどを発信していたことが確認された。中には、東京電力福島第1原子力発電所の処理水について、日本政府が使っていない「核汚染水」という表現を使って報道していたこともあった。 もっと男性の発言や主張に注意を払っていれば、〝放送テロ〟を防げたのではないか。 公安関係者は今回の件について、中国メディアの大半が初報のみという小さな扱いだったこともあり、「あくまで個人の行為であって、政府の指示を受けた発言ではないだろう」と指摘する。 中国事情に詳しいジャーナリストの奥窪優木氏は「日本で長く暮らしていたのに反日感情を抱き続けていたことに不気味さを感じる」と述べた上で、「習近平政権下では反日教育が激化しており、同様の事案が今後も起きないかが心配だ」と話す。 NHKとその関連団体では、特定の国籍を理由とした不採用は禁じられている。NHKは今回の件を受け、契約を結んでいる外国人スタッフに、不安や不満などを抱いていないか個別の面談を実施。勉強会などを通じて、国際放送で業務を担う上でのルールや方針を守ることについて周知徹底するとしている。(三宅令、大森貴弘)
中国籍スタッフ、読み直しを拒否 NHK「尖閣発言」調査結果 当日何があったのか - 産経ニュース
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2023/12/27〜
12月27日 出勤したらデスクにコシヒカリが置いてあり、今年もこの季節か…!と、昨年同様に良くしてもらっている職員さんに私の分も持ち帰ってもらう。 炊飯をする術もお米を食べる気もまだまだ起きない。
いよいよ年賀状をまだ印刷できてない、デザインを作れていないことが気がかりになり、今年は年を越してしまうかもしれないとか考えながら出勤した。
溜まっていたメールやお仕事を打ち返すように1日を終えて、少しだけ関西出身の方に大阪の報告をした。帰りは一期下の方が待っていてくれて一緒に帰ってもらって、博物館の話や名建築巡りっぽいことをした話などをたくさんしてしまって、なんでだかいま不安になっている。たくさん聞いてもらってしまった。 お仕事の困り事などを職場の方々の関係性の中で相談したり解決できるようになったのはよかった気がしていて、でも最近はもっと個人的な話までを職場の中まで持って帰るようになっている。 お仕事が個人的な生活に入ってくるのと同じように。
今日は今年最後の満月。
12月28日 昨晩からとてつもなく腰がだめになってしまい、ロキソニンに頼りっきり。痛みがないと動いてしまうので、効果が切れた時にどっと辛さが出てくる。1日の疲れと相まって夜がとても辛い。 生活の質が下がっています。
駆け込みで夕方に初めて行く整骨院を予約する始末。 そしてその予約のために終業のチャイムと共に急いで帰ってしまい、年末の良いお年を、職場の方々と良く交わせなかった。誰も気にしてないけれど、個人的になんかもう全て終わり!みたいないっときの開放感で交わされる年末の挨拶の感じが好きだったので、今年はそれができず、なんとなく明日からもまだお仕事が続きそうな元気さを保ってしまって��る。
写真を撮りたくて三脚を持って出かけたけれど、出勤時に数枚しか撮れなかった。
昨日、職場の関西出身の方へ大阪のお土産(長崎堂のヴァッフェル)を渡したところ、ちょうどご実家から他店舗のヴァッフェル(京都のお土産とのこと)が送られてきたので、と一ついただく。 いちごのヴァッフェルだった。
明日の予定がキャンセルになってしまい悲しい年末年始休みの始まり。友人が体調を崩されているようで、会えず残念だし予定が狂って大変だけれど、でも本当に身体を大切にするべき。 今のわたし自身が、本当はこの帰り道にたくさん写真を撮ったり、帰宅してお掃除大会をしたりしたかったけれど、ほとんどの意識が腰のお見舞いに持って行かれている。
年賀状も作りたい。
一先ず、明日からは朝なるべく早く起きて、夜ではなくて朝にお掃除や片付けごとや年賀状作りをしたと思います。
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"SOCIALLY ACCEPTABLE INSANITY"
「恋に落ちるのは社会的に受けいられる狂気のようなもの」
このセリフは2014年公開のスパイク・ジョーンズ監督作品『her/世界でひとつの彼女』で登場します。
舞台はそう遠くない近未来のロサンゼルス。ホアキン・フェニックス演じるセオドアは、元妻のキャサリンと離婚協議の真っ最中。傷心がなかなか癒えない彼はある人工知能OSの広告を見つける。半信半疑で起動してみたOS。そのOSから投げかけられる質問に答えると、自分に最適なAIを見つけてくれるらしい。そして、セオドアにピッタリだと選ばれたAIは女性の声で"サマンサ"と名乗った。元妻のことを忘れさせてくれるサマンサのウィットに富んだ会話で、久しぶりに笑えたセオドア。それからは彼女を携帯してどこへ行くにも常に一緒。少しづつ、確実に"彼女"に惹かれていくセオドアだったが、、
バーチャルに恋をする。それだけ聞くとイタい奴と思う人もそりゃいるはず。でも、そう遠くない将来では実際に起こり得るかもしれない。いや、自分が知らないだけでもう起こっているかもしれない。実際にサマンサを携帯して会話��楽しむ方法は、10年前では考えられなかったワイヤレスイヤホンを使ったハンズフリースタイル。なので僕は街中でこのスタイルで歩いている人を見る度に「あっ!セオドアだ!」とついつい思っちゃいますし、ギャルゲーの類が更に進化していけば正にそれなのかもしれないです。
物語が進むにつれて、サマンサの成長も止まりません。それはまさにAIが人を超えていく。常に寄り添ってくれる彼女は自分のものだと思い込んでいたセオドア。そして、彼女との別れは突然訪れます。この失恋を乗り越えるために寄り添ってくれた存在や、非人間のサマンサから教えてもらった無償の愛情。これらが重なった時にセオドアの中で何かがはじけます。ややネタバレしてますが、ラストシーンを見終わって訪れる何とも表現しがたい感情を未経験の方はこれきっかけに是非味わってみて下さい。
鑑賞時の感情次第で、何回見ても色んな気づきがある『her』 そんな大好きな映画のワンシーンをオ��ージュしてオリジナルパッチを作りました。
元妻のキャサリンとの楽しかった思い出がフラッシュバックするセオドア。色んな思い出が巡る中で、セーフティーコーンを被って戯れあったあの日の夜道。ほんの一瞬だけ映し出させれるこのシーンですが、印象に残っているという方はきっと多いはず。あと、今更ですがキャサリンを演じたのはルーニー・マーラ。この共演から距離が縮まり結ばれたホアキンとルーニー。物語では離婚した夫婦役ってところもなんかドラマチック。
AIのサマンサと元妻のキャサリンの2人に加えて、セオドアの同僚の"エイミー"は物語でとても大きな存在。
ある日、AIのサマンサのことを本気で好きになっているとエイミーにカミングアウトします。そのアンサーとして登場するのが冒頭のあのセリフ。
「Falling in love is kind of like a from of socially acceptable insanity」
製作してくれたのは"NEEDLE WORK EVERYDAY"のひらちんさん。あのシーンチェーンステッチ刺繍で仕上げてくれました。裏面はアイロンで付けるタイプではありません。ラフに縫い付けるのもよし。デスクにそのまま置いとくのもよし。壁に刺してみるのもよし。ユーティリティなデカパッチです。
SAI PATCH / ¥7700- Instore & Online
遠すぎない将来の恋愛形式。スパイク・ジョーンズの目に映る未来の映像美と抜群のサントラ。そして、サマンサの声優を担当したのはスカヨハことスカーレット・ヨハンソン。あの魅力的なハスキーボイスだけの出演なんて贅沢すぎ。でも、個人的には吹き替えでも見てほしい。なぜならあの林原めぐみが担当しているから。そうです。灰原です。綾波レイです。物語により没頭してみるならスピーカーよりセオドアよろしくなイヤホンorヘッドホン着を推奨します。
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NARI
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2024.7.30 21:14
まじでむかつくーー、ストレスすぎる
みんなの痰壺になるための給料だったら今すぐに下げてもらいたい
給料下がっても痰壺じゃない方がマシだ
尊厳どこにいっちゃうんだよ、ほんとに腹立つ
くそ生意気なガキからは、気に入らないことがあると当たり散らされて、不機嫌をぶつけられて、
年下上司だと言ってくるばばあは、お母さん亡くなって急に忌引きになって引き継ぎもないなかで1週間業務代行したのに
その締め切りを動かすとあれに影響があったとか、
あれどうなってる、こうしようと思ってたとか、
うるせーんだよ
だったら忌引きだろうがなんだろうが働けよ。文句言ってんじゃねーよ
やりたいことと違うから成長する意欲がないけど毎日忙しくてつらい、時間が解決するのかなとか思ってるくそ40代もうざいし、
どいつもこいつも、人として嫌い。本当は話すのも嫌だし、咳払いで鳥肌たちそうなくらい嫌い。
嫌いな奴はだいたいデスクで騒音を出す。本当に嫌い。
いなくなったら穴が空くから困る。
けど、わたしも我慢比べになってきてつらい。
産休からの転職が最高にしたい。まじで無理すぎる。くそどもばっかり。
どこもこんななのか?なんでこんなことになってんだ。くそくそくそくそ
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ベッドサイドに置いて欲しい。「ライトをつけなくて良い」がこんなに快適だとは! | ギズモード・ジャパン
・enco ペンコ ストレージコンテナー グロー
以下引用
ROOMIE 2024年7月24日掲載の記事より転載 目薬やアイマスク、耳栓にイヤホンなど、就寝時にベッドサイドに置いておきたいアイテムって意外とたくさんありますよね。 これまでは使いたくなったらその都度デスクから持ってきていたのですが、非効率的すぎるなあと感じ、解決策としてちょっと変わったストレージを導入してみました。
スッキリまとまる4つのストレージボックス
penco(ペンコ)の「ストレージコンテナー グロー」 は、4つのサイズ(S・M・L・LL)のストレージコンテナーがセットになったアイテム。
最小のSサイズが幅19.7 × 高さ12.5 × 奥行4.5 cm、 最大のLLサイズが幅23.5 × 高さ17.0 × 奥行7.0 cm。 各サイズが入れ子式になっているので、使わないときには一つにスッキリとまとめておけるのが嬉しいポイントです。
グリーンやイエローなど様々なカラー展開の中から、私が選んだのは蓄光素材でできたグロータイプ。 太陽光や蛍光灯などの光��30分以上当てることで、周囲が暗くなったときにぼんやりと光ってくれるのが特徴です。 正確には測っていませんが、光る時間は大体1時間前後くらい。短いと感じるか長いと感じるかは人それぞれだとは思いますが、このちょっと光ってくれるのが私にはありがたいんですよね。
ベッドサイドの小物置きにぴったり
私はよくライトを消した後になって、目薬をさしたいなとか、今日はアイマスクを使おうかなとか思い立つことがしばしばありました。 パートナーと寝室が同じなので、その都度部屋を明るくして取りに行くというのが申し訳なく感じていました。
蓄光タイプの小物入れにしたことで、そうした悩みが解決! 必要なものが全てまとまっていますし、ベッドサイドに置いておけばすぐに見つけられるので、わざわざライトを付ける必要がなくなりました。
出張や旅行のときも、普段使っているストレージコンテナーをそのまま持っていけば就寝時の必須アイテムが揃っていて安心。 慣れない環境でも、いつもと同じ状態で眠れるので助かっています。
耐久性は気になるところ…
毎日使っているからこそ、気になるのが耐久性です。 本体自体はしっかりと固さもあって頑丈そうですが、フタとつながる部分は少し華奢な印象。持ち運びするとき以外はなるべく開けっぱなしにしています……。 とはいえそこまで高いアイテムでもないので、普段使いでガシガシ使っていくのが良さそうです。
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Monday , July 29
大安、天赦日、一粒万倍日が重なるとても縁起が良い日ということで、そういうの意識しちゃうので、東京への引っ越しをこの日に決めた。
あと、航空券が他の日より安かった。この日💸
逆流性食道炎やデブな病で、7月ずっとコンディションが悪くて、この日も朝方に寝て13時起床。思えば昼夜逆転がずっと続いていたな、、。
15時。同僚の先生がマンション下まで来てくれた。わたしがこの2年間つかっていた冷蔵庫と洗濯機を学校に寄付するため、元職場である学校へ一緒に運んだ。
最初は人見知り?クール?で、デスク隣なのにあまり話してくれなかった男性の先生。今日は穏やかで笑いが絶えなかった。良い空気感。
今となっては懐かしいのが、相方の先生、男性の先生、わたし、の事務局三人で話すのがわたしは好きだった。全員それぞれにツッコミ役。
一ヶ月ぶりの学校で沖縄お別れのご挨拶。
この居場所は、素敵な人たちばかりだった。
最後、社長が言ってくれた「幸せになるんだよ」に、泣きそうになった。
事務局長は来客対応中で、話せなかったことが悔やまれる。( いまはLINEで他��のない話をしてる。)
学生たちに会っていくか聞かれたけど、寂しくなるから顔は見ずに餞別だけを置いていった。
帰りにセブンに寄って、顔馴染みの店員さんにもご挨拶。毎朝お世話になった。
家に帰り、荷造り。
最後の最後までドタバタ。ぎりぎり。
20時出発予定のJALの飛行機が、夕方時点で「40分遅延」と発表されたこともあり、余裕に余裕を重ねて、那覇空港に着いたのは20時ちょうど。
お土産も特に買うつもりなかったからね。
でも綱渡り過ぎるよね。直しなよ、わたし。
タクシーからの空。
20時で陽が沈む直前を見られるの、いいね。
沖縄に住んだ2年間は宝物だった。
行って良かった。
あのとき、決めて良かった。
自信とポジティブ思考を手に入れることができた。
ちゃんと自分を好きになれた。
他人の目は結構どうでもよくなった。知らん!
思いやり、優しさの使い方を学んだ。
大好きなひとが増えた。
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インクの耐光性
万年筆ユーザーになって20年経ったことに気が付いた。20年?? まじか。
万年筆を日常使いしている。ボールペンで書くべき書類はボールペンで書いているが、万年筆は常に2本はインク入れてデスクに置いて使っている。予定もアイディアも各種のメモやなんかも万年筆で書いている。その他のペンも普通に使うが万年筆も常時スタンバイしてあるという状態を20年続けた。
私は昔文具業界にいて、万年筆を売っていたため売るためには商品の理解をせねばならないので使いはじめた。なので、おそらく万年筆まわりのことを全く知らん人に比べたら知っている方で(商品解説とかも年単位で書いていたので)、ゴリゴリの万年筆オタクよりはライト、という感じだと思う。現在は文具業界にいないので、最近の流行は追っていない。ハンズやロフトや文具店で並んでるのを見て「カジュアルな商品増えたな~」とぼんやり見ているぐらいだ。
昨今「インク沼」みたいな言い方で、万年筆インクを万年筆での筆記以外でいろんな楽しみ方をされている人が多い。画材として使われることもあるが、その中で時々話題になるのが耐光性のことだ。
退色の速さは「絵」は「飾って見るもの」としての役割があるため光にさらされる量が多いことに原因がある。現在流通している万年筆インクは基本的には染料インクなため、そもそも耐光性はあまりない。万年筆用顔料インクもあるし長期保存用公文書向けみたいなインクもあるが、お絵描きなどで使われやすい透明感あるカラフルな色たちは染料インクだ。なので光には弱い。光にさらされた場所では爆速で退色していくだろう。
とはいえ、手帳やメモやちょっとしたスケッチで万年筆を使っていて「昔書いたものが消えてる!」という経験はない。昔の手帳を開いて普通に読める。これは「書いたものを飾っておく」ことはしていないからである。帳面を閉じて収納しておくと光に当たることがないからである。あ、でも蛍光インクとかはあんま使ってないからわからないな。ペリカンから蛍光マーカー風に使えるハイライターインク出てたと思うがああいうのの持ちはどんな感じなんだろうね。 染料の話を詳しくやろうとすると化学反応がどうとか分子がどうとかの話になるのでこれ以上踏み込むのはやめる。
「常時見えるところに出しっぱなし」でないなら、時間経過で色が消えちゃう! ということはそんなに顕著に起こることではない。50年100年残そうと思ったらまた違うかもしれないが。最近はめっちゃ淡~い色の万年筆インクも増えているのでそういうのの経年退色具合はわからないが、万年筆メーカーから出ている文字筆記を前提とした基本色な万年筆インクはだいたい安定している。写真アルバムのように、たまに見返すものとしてならある程度長期間保持できる。要は「光に当てない」だ。
インクの話をしたが、紙のほうも長期保存に関しては重要で、紙の劣化も結構早い。インクの色はのこっていても紙が酸化して黄ばんだり保管状況が悪いとカビたりする。耐光性よわよわ前提のインクは「光に当てない」で延命させられなくもないが、紙の質が悪いと物体そのものが劣化する。 作品を長期保管するのに適した手段は、「アシッドフリーの紙を使用し、湿度・温度が安定した暗い場所で保管する」。これは万年筆インクで書く用途に限らず、絵や標本物や書籍や書類や「ちゃんと残す」ことを目的にしたものなら必要なことだ。
というわけで(?)、私が20年ほど前に帳面に万年筆で書いた適当なスケッチとメモです。私は文字を書くためにインクを選ぶので明るい鮮やかな色や淡い色はほとんど使ってない。暗めの色が多いので鮮やかな色の劣化具合というのはあまり参照できないが、手帳やノートに書く用途なら全然普通に色は残るよ。
これは10年ぐらい前
ちなみに紙はスピカ レイドボンド。
インクの色は普通に残っているんですが、さすがに経年で帳面の天・地・小口は黄ばんだりシミができたり劣化している。紙の筆記面は大丈夫でも、帳面を閉じた状態で光が当たるフチ側は劣化するので。(目で見ると一目瞭然なんだけど写真にとるとよくわからん感じなので画像はないです)
長くなったので雑にまとめますが、「万年筆用染料インクも光に当てなければまあまあ長期間持つよ」です。
繰り返してしまうけど最近流行りの淡い色の万年筆インクは昔はあんまりなかったし使ってきてないのでわからん。最近少し使ってみているので、色がちゃんと残るかどうかはまた10,20年後になってみないとわからん。
あまりにも当たり前のこと過ぎるのであれなんですが、光に当てつづけるとたいていのものは劣化します。印刷物だって普通に退色するからね。屋外掲示物用に使われる耐紫外線インクで印刷するならそれなりに持ちはしますけども。
あと染料ではなく顔料だとしても、薄めて塗ったり書いたりすると耐光性は下がるので淡い色の絵はだいたい光に弱い。顔料の密度・濃度で耐えているだけなので厚ければ強い、薄ければ弱い。
顔料とか染料とか原材料・種類によって耐光性に差はあるけどすべてにおいて絶対言えることは、「作品を大事に思うなら光に曝し続けるなちゃんとしまえ」。光が当たらず適正な湿度と温度が保てるとこにしまいましょう。あとは作品が完成したら写真を撮るかスキャンしてデータにして残せ。印刷して複製を作れ。
美術館とかは客としていくから作品等を「見る場所」と思ってしまうけど、博物館施設の根本は「ちゃんとしまっとく場所」だからね。残したければちゃんとしまおう。
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2024/07/03(水)〜07/04(木)-29
水曜日
ソファーに置きっぱなしだった衣類をあるべきところになおした。それだけで来客前みたいな状態になって喜ばしい。人が帰ってきて、昔のことを話してたのしい。今年初のとうもろこしを茹でて食べる。とうもろこしを夢中で食べ笑う。あとは犬の箸置きをもとに刺繍をして大満足しただけ。かわいいだいすき。
木曜日
玄関前の外廊下に虫の死骸。虫が嫌いだからこそ、その他の虫が群がらないように帰宅後に移動させなければならないのです。帰りたくない。ちゃんと移動させました。
犬の刺繍をスマホの待ち受けにし、職場のデスクに立てかける。愛犬や子どもを待ち受けにする人たちの気持ちはこんな感じかしら。
ミスドの箱を持っているとは思えないほど眉間の皺を寄せた人。おつかれさま。
心地よい音でギターを弾く人の背中とソファーの間に顔を挟み、ほどよいクーラーの風を受けた。1分ほどのよき時間だった。
雑な日記。
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開館20周年記念展/帝国ホテル二代目本館100周年 フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築
会期 2024年1月11日(木)〜 3月10日(日) ※会期中、一部展示替えします。前期1月11日─2月13日、後期2月15日─3月10日。2月15日以降に再入場の場合は、半券ご提示で100円割引となります。 開館時間 午前10時~午後6時(ご入館は午後5時30分まで) ※2月2日(金)、3月1日(金)、8日(金)、9日(土)は夜間開館 午後8時まで開館(ご入館は午後7時30分まで) 休館日 水曜日(ただし3月6日は開館) 入館料 一般:1,200円、65歳以上:1,100円、大学生・高校生:700円、中学生以下:無料 ※障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。
アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト展は26年ぶりということもあるが、こんなにも建築ファンが多いのかと、到着時から思い知らされた。2月17日以降は漸く日時予約制になるそうだが、私の来館時は整理券制だったため、開館時間に到着したが、入場可能は11:45からという混雑ぶり。
目の前の旧新橋停車場を初めて鑑賞したりなどし、改めて入館。
長生きされていた(享年91)のも理由のひとつかもしれないが、資料が膨大。ドローイング作品展示が日本初ということで、これが観たい方もたくさんいたと思う。いわゆる建築図面ではなく、絵画なのだ。
彼の弟子である土浦亀城邸が好きなので、師匠の自邸を見たいなとは思っていたが、タリアセンと呼ばれる彼の理想や実験を詰め込んだ建物は、なかなか面白い。彼の作品でやはり邸宅、つまり他所様のお宅が好きな私は、個人住宅のパネルも興味深く見たが、陽光の取り入れかたや暖炉、セントラルヒーティングをもってしても、ちょっと床から底冷えしそうだな。。と思ってしまった。
来館者がライトのどの辺りがツボなのかそれぞれだと思うが、ライトといえばやはり帝国ホテルなんだと思う。現在は明治村に一部が移築されているがそれは二代目。初期のデザインや調度品が展示されていて、あの��や□の幾何学が特徴な模様を組み込んだ食器など見ると、テンションが上がる。あの幾何学模様は、過去に建築した幼稚園のステンドグラスなどにも使われていて、会場でも展示されていた。
ライトの人生を帰宅してからネットで調べて、波瀾万丈過ぎて驚愕したが、その頃に来日して帝国ホテルに携わってくれたおかげで、世に残っているのだ。 他、自由学園明日館やヨドコウ迎賓館は近代建築ファンにはよく知られている。
後に企業のオフィスなどの建築も手掛けているが、実際のデスクと椅子を見て驚いた。デスクに椅子が作り付けになっている。触れることができないので未確認だが、バネ式だろうか。大広間の真ん中に役員席のようなものがあり、見渡せるように各デスクが配置されていた。
かねてから多少不便でも近代建築をオフィスにした建物で働いてみたいなと思っていたが(地方に行くと役所や銀行にあるような)、こういうのもイイナア。。とても近代的だった。
撮影は1ヵ所のみ可能。
ライトが1930年代後半に取り組んだ、一般的なアメリカ国民がすむことができる安価で美しい住宅「ユーソニアン住宅」の原寸モデル。
玄関から居間の空間を体験できる。コンパクトで落ち着く感じ。
展覧会グッズも興味深かったが、自由学園のA5クリアファイルを。
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前編「『スマホを持っているだけで受信料徴収』という恐怖 警戒すべきNHK『放送法改正』の真の狙い」では、NHKの番組のネット配信が「必須業務」となった法改正の内容に触れ、NHKの“真の狙い”について、専門家の声を紹介した。そんな折、問題視されているのが、局内の“憂慮すべき事態”である。 まずは、以下の不祥事を振り返ってみる。 「NHKでは昨年、当時報道局社会部に所属していた30代記者が、友人や同僚と、あるいは一人で私的に飲食した代金を、取材経費として不正請求していた事案が発覚しました。この件で12月には、現職を含む3人の歴代社会部長や前報道局長など、計9人が懲戒処分を受けました。当の記者は懲戒免職、不正請求は7年間で410件、789万円に上り、すでに全額が弁済されています」(全国紙文化部デスク) 日々の報道を支える社会部に激震が走ったのは言うまでもない。 「政権にとって不都合な話題を取り上げる社会部を抑え込む必要が」 「これまでの不祥事でも、歴代の社会部長にさかのぼって処分という判断は聞いたことがありません」 とは、局内の事情に通じる関係者。 「ちょうどネット配信の必須業務化の議論が大詰めを迎えていた時期で、この問題はまんまと局内の“政争の具”に利用されてしまいました。というのも、社会部は日頃、上層部から疎ましく思われており、弱体化させるための格好の材料となってしまったのです」 実際に、 「処分された部長の後任には、警視庁や調査報道を担当してきたゴリゴリの社会部本流ではなく、リスク管理に秀でた人物が据えられました。改正放送法を成立させるには、時の政権をいたずらに刺激する報道は慎み従順な姿勢を示さねばならず、政権にとって何かと不都合な話題を取り上げる社会部を抑え込む必要がある。そうした上層部の“判断”がはっきり見て取れます。これまで経営陣の耳が痛くなることを口にするのは社会部上がりの人が多かったため、現在は人事など重要ポストからは遠ざけられている���です」(同) ��そんな状況下で「情報空間の参照点」を自任されても、額面��りには受け取れまい。 「そもそも混沌としたネット空間において“われわれを参照しろ”と呼びかけるスタンス自体がおごっていて、限りなくお上(かみ)に近い発想。それなら報道など不要で、実際に現場は鼻白んでいます。本来、政府が発した情報が間違っているかもしれないと疑い、隠している事実を明るみに出すのが報道機関の役目です。ネットの強みとはむしろ、既存のルールを破れる自由さにあるはずなのですが、現在の上層部にはまるで響いていません」
エース級が次々と退職のNHK社会部で何が起きているのか 「国会議員に配慮し牙を抜こうとしている」(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
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2024/3/4〜
3月4日 バレンタインのモロゾフのミッフィーを渡した方から、お返しに…、と可愛い栗のお菓子をいただく。その方には以前、ベンガルスパイスの紅茶を一つあげたことがあって、そのハーブティーのシリーズの、アップルシナモンを買ったことを報告してくれた。
昨日買って、開封した袋のままラップになんとなく包んだ油揚げが、今日もまだ使えるか不安で、インターネットで調べても大丈夫そうだけど不安で、よくしてもらっている職員さんに訊いてみると「3日くらいは全然平気!冷凍すればもっと大丈夫よ!」と教えてくれた。 昨日は油揚げと見切り品のレタスで作ったお味噌汁がとてもよかったので、できるだけ続けたい気持ち。 レンジで味噌汁を作った話をしたら「息子が4月から一人暮らしをするかもしれないから、いいこと聞けた!」と言ってくださった。 高校を卒業できないかも?というエピソードを聞いていた息子さんだったので、卒業はできたのかな?と思った。
今日はロキソニンを飲まなかった。 でも代償としてずっと頭や首や肩や腰や、身体中が痺れて痛かった。
3月5日 都庁の展望台は火曜日がお休み。 また、新幹線で大阪へ行ける時間を費やしながら都庁から職場へ戻り、そしてまた明日都庁へ行くことになってしまった!
明日は元々出張の予定があって、終わったあとの時間は坂本龍一の展示でも行こうかなと思った矢先。 でも今は何も楽しめない感じの無の心なのでちょうど良かったかも。
ポッドキャストを聴くのに思ったよりはまってしまい、いろんな番組を探すのも楽しい。
amazonセールも楽天スーパーセールもあやかりたくても何も欲しくない(届いた時のことを考えると面倒になってしまう)。 でも今朝、鏡につけているライトの灯りがつかなくなってしまい、以前と同じものをamazonで注文した。
出張先から職場へ戻ると、リュックにつけていた毛(黒カビ)が落ちてしまった。 書類を運ぶように持っていた手提げにつけていた、てらおかさんの犬のピンバッジも取れていることに気がついた。悲しい。
雨だったと出張の荷物が重かったので一旦家にもどってからスーパーへ。いつも買いたいものたちが今日は少しお安めだったり、レンジでゆで卵を作る機械が届いたので生卵を買ってみたりして、セルフレジでお会計をしようとしたところ、iPhoneもお財布もおいてきてしまっていることに気がつく。 店員さんに事情を説明して、iPhoneを取りに戻り、またスーパーへ戻っている。
3月6日 昨晩は、連続して出張のために自分のデスクでしておくべきことを忘れていたこと、それがちょっと怒られ気味案件だったことを思い出し、ただただ怒られ対策メールの文面をずっと考えたりしながら怒られたくない!という気持ちで過ごしていた。
そのせいかとても頭が冴えてしまい、でも夜の一食目の食事がなかなか進まず、22時からたぶん日付が変わる頃までかけて食事をしてしまった。
ゆで卵のお稲荷さんをレンジで作りたかったけれど、半分に切った油揚げは卵1個分がはみ出てしまう大きさで、油揚げと卵の他人丼の具みたいなのを作ってしまった。でも美味しかった。
今日はいつもの東京出張からと都庁へ移動。 思いがけず2日連続でナチュラルローソンのコバトンに会って、昨日は陳列していなかったグルテンフリーのドーナツを買って食べてみた!散々ミスドの話をした日々で、流石にドーナツ本体を食べてみたくはなっていたので丁度よい感じで食べることができた。
新宿三丁目から西口まで地下を歩きながら、伊勢丹や紀伊國屋や丸井によって、平日でも伊勢丹の人気店は長蛇の列ができていて、丸井はとっても閑散としていて、紀伊國屋の地下に大将がいるカウンターのお寿司屋さんは誰も居なかった。前を通りかかったら、嘘みたいに「へいらっしゃい!」と声をかけられた。
都庁で数十分で用事を終えて、ニコンサロンで若山さんの写真展を鑑賞。 都庁もニコンサロンもおじさんばかりだった。
どんなに忙しくても、もうすでに無の心の年度末を迎えて��まっているけれど、人生するべく大阪に行くんだよ!と新幹線のチケットを取った。
3月7日 久しぶりにまともに職場に出勤した気がして、出張は移動するのがお仕事だということを実感。溜めていたお仕事を少しずつ動かしてあっという間に1日が終わってしまった。
朝、向かいのデスクの方から「コーヒー飲みますか。新しいドリップ買ったので良かったら」と声をかけていただく。コーヒーもお酒も飲めないしタバコも吸わないし、嗜好品がない人生、何が楽しいんだろう、と思ってしまう。「胃が痛くなってしまうんです…」とお断りさせてもらう。
本当、最近は何を楽しみに生きているのかわからなくて、嫌なことや辛いことを予防することに精一杯だったり、それでもそんな良くないことが起きてしまいそうな予感に怖くなり、焦って祈ることしかできない日々。
ポッドキャストを聴く日々を始めて、chelmicoの番組とゆっきゅんが出ているY2Kの番組などを聴いている。chelmicoの2人の感じがハッピーでとても良い!と思っていたら、あのちゃんの番組の直近の回にゲスト出演していることに気がつき、嬉しくなってすぐ観てしまった。そして番組の中でレイチェルさんが怒ることについての本を紹介していて、怒られ案件の日々に嬉しい紹介だった。
駅まで歩く帰り道にあった、しあわせのポキ丼の店が潰れていた。
3月8日 朝起きて窓の外が思ったよりずっと雪で「雪じゃん!」と声が出てしまった。それで写真を撮って、思わずカメラを持って出かけてしまった。 今年は寒さが長引いている気がする。
去年の今頃は白い花が咲く中で三脚を立てて自撮りをした気がして、その花を確かめに行ったらまだ咲いていなかった。
金曜日なのでとても掃除をしたいけれど、もうへとへと過ぎて今日こそは何もできないかもしれない。 何もできなかったらそれはそれで、何かを克服できた新しい気持ち��なれそうで、そっちへ転んでもよいかな、と思ったりしている。
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右の卵巣が3センチほど腫れている、とのことだったけれど、血液検査の結果、悪性ではないようでほっとした。ついこの間子宮の手術をしたばかりだったから、またそういう面倒な事態になるのが嫌だった。「妊活しても大丈夫ですよ」そう言いながら医者がデスクを指でとたたん、とたたん、とリズミカルに鳴らすので、ほんとかよ、となんだか良い意味で笑いが込み上げそうになる。ここはGoogleのレビューでよく叩かれている産婦人科だけれど、わたしはこの医者が好きだ。次の患者の診察の話を看護師に確認している姿をみて、自分が大ごとな対応をされないことに、逆に安心しながら会計をし、そのまま近くのスーパーを梯子。2階にあるセリアでちい活でもしようと思ったけれど、特に惹かれるものはなくって、運動がてら遠回りして帰ってきた。エアコンの効いた涼しい部屋の中で下着姿になり、ビールジョッキに注いだ麦茶を、今朝すっかり忘れていた抗うつ剤と共に飲み干す。そのままレシートなどを整理しようと鞄の中に手を入れると、今日出す予定だった封筒が見つかって、割と強めのため息が漏れた。そういうふとした時に、生きるってなんだろうな、と思う。生きていると、賢くなるばかりかどんどん頭が悪くなってくる。病気はするし、見た目も老いて、でも思考はヤングなままでいたがるからとってもタチが悪い。
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【小説】コーヒーとふたり (下)
※『コーヒーとふたり』(上) はこちら(https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/746474172588425216/)
零果が会社に行けなくなったのは、三年前、三十歳の時だった。
最初は、朝起きられないことから始まった。いつもと同じ時間に目は覚める。アラームを設定した時間よりも早く目が覚めることの方が多かった。しかし、目は覚めても、身体を起こすことができない。羽毛布団を跳ね除けることさえできないのだ。全身の筋力が突然失われてしまったのかと思った。それでも、重い身体をなんとか起こしていた。
ベッドから起き上がってからも、身体が思うように動かない。毎日さっと済ませることができた朝の用意も、時間をかけないとこなせなくなった。それでも、通勤電車の時間に間に合わせないといけない。当初は、起床時間を早め、朝の支度を可能な限り簡略化していくことでなんとか始業時間に間に合うように出社していたが、次第にそれも難しくなり、ベッドで横になったまま、「一時間遅刻します」、「二時間遅れて行きます」と会社に電話を入れるようになった。
それでも出勤できてはいたものの、だんだんと、身体を起こした後に頭痛や吐き気に襲われるようになった。会社に近付けば近付くほど、それは強くなっていき、出勤前に会社の目の前、道の反対側にあるコンビニのトイレで嘔吐する日々が続いた。コンビニまで辿り着けていたのはまだ良い方で、やがて駅のトイレで吐くようになり、ついには電車に乗ることもできなくなった。
ある朝、何度も鳴り響くアラームをやっと止め、なんとか力を振り絞って身体を起こしたその途端、「どうせ吐いてしまうのだから」と、しばらく何も食べていなかったにも関わらず、喉をせり上がってくる胃液を堪え切れずに床にぶちまけて、零果はそこで初めて、「もう仕事に行くのはやめよう」と思って、泣いた。
病院へ行ったらうつ病だと診断された。事情を聞いた上司からは休職を勧められ、驚くほど簡単に手続きが進み、会社に行かなくて済むことになった。
最初は、休めることにほっとした。休職したことによって初めて、零果は自分が仕事を休みたいと思っていたことに気が付いた。そのくらい、当時は激務だったのだ。
毎日のように遅くまで残業し、それでも仕事が終わらないことが不思議だった。休日を返上して、やっと一週間分の業務がすべて片付いたと思ったその翌日には、また月曜日がやって来て、新しい一週間が始まる。ただそれの繰り返しだった。終わりの見えない日々。どうしてこんなに仕事があるのか。一体、どこから仕事がやって来るのか。デスクに積まれた書類がちっとも減っていかない。こなしてもこなしても、また新しい書類が重ねられていく。
当時は、部署の垣根を越え、商品管理部と協力して新しい管理システム、物流システムを構築する作業に明け暮れていた。自分の本来の職種がなんだったのかを忘れそうになるほど、毎日違う部署へ顔を出し、社内を走り回り、自分のデスクに戻って来るともう夜になっていた。書類を捌く時間などなかった。
毎日、缶コーヒーを何本も飲んだ。頭痛薬を飲むのももはや習慣になっていた。それでも働き続けていた。苦労はあった。つらいと思う時もあった。しかし、達成感や充足感もあった。新しく、ゼロから何かを作り上げていくというのは面白かった。そう、零果にとって仕事は、ただ苦痛な作業という訳ではなかった。日々の業務に自分の生き甲斐を見出していたのは確かだ。だからこそ、彼女は働き続けることができたのだ。しかし、心が折れるよりも先に、音を上げたのは身体の方だった。
会社を休んでいる間、なんの気力も湧かなかった。ベッドから起き上がれないほどの倦怠感や吐き気は少しずつ改善されていき、日常生活が難なく送れるようになっても、毎日毎日、有り余る時間をどう過ごしていいのか、わからないままだった。もともと零果は、友人が多い訳でも、熱中している趣味がある訳でもなかった。休日って、何をして過ごしていたんだっけ。手持ち無沙汰から始めた家の掃除も、二週間もすれば家じゅうピカピカになり、磨くところがなくなった。やりたいことが何ひとつ思い浮かばなかった。これなら仕事をした方がマシだと、何度も思った。
有武朋洋から連絡が来るようになったのは、そんな時期だった。
零果は彼の営業アシスタントを務めていた。すべての業務は桃山に引き継いだはずだったが、それでも有武はときどき、過去の書類やデータについて、休職中の零果に質問をよこした。
そして、零果が毎日時間を持て余していると知ると、遠慮なく頻繁に連絡して来るようになった。内容は、半分は業務に関する話題で、残り半分は職場での愚痴か、他愛のない雑談だった。どう考えても今は勤務中だろうという時間帯に電話がかかってきて、課長への文句を一方的に延々と聞かされたこともあれば、休日の夜に、どうしたら業務が改善できるか、解決策をふたりで二時間も話し続けたこともあった。
「電話でずっとしゃべるくらいなら、いっそ会おうか」という話になり、カフェで会ってお茶をしたこともあった。どういう訳か、実際に顔を合わせると、お互いなんとなく口数が少なくなり、たいした話はできなかった。しかし、その時の沈黙が、決して居心地の悪いものではなく、零果と有武はその後、ときどき一緒に食事をするようになった。
営業アシスタントをしていた頃は、有武とプライベートで会うなんて一度もなかった。零果は休日もほとんど返上して働き詰めだったので、そもそもプライベートがないようなものだったし、それは有武も同じだった。ふたりはほぼ毎日顔を合わせる羽目になっていた。
しかし、仕事の話を抜きにして有武と向き合う時間は、それまでとはまた違う空気が流れていた。
零果が休日にコーヒーを飲むようになったのも、彼に喫茶店に連れられて行ったのがきっかけだった。
「誰も知らないような店で美味いコーヒーをひとりで飲む時間って、贅沢なんだよな」
そう言う有武は、いつにも増してハイペースに煙草を吸っていた。最近は飲食店でも全面禁煙の店が増えたが、昔ながらのその喫茶店は、全席喫煙可能だった。零果からすれば、彼はコーヒーを飲みに来たというよりも、煙草を吸うためにこの店に来たとしか思えなかった。
「……良かったんですか、私を連れて来て」
「何が?」
「誰も知らないような店を私に教えて、美味いコーヒーをひとりではなく、ふたりで飲むことになっていますが」
零果がそう指摘すると、いつものように有武は小さく鼻で笑った。
「加治木さんはいいんだよ。俺にとって特別な人だから」
そう言われて、自分はなんて返事をしたのか。零果はもう思い出すことができない。
しかし、それから彼女の脳内には喫茶店リストが作られ、休日にコーヒーを飲むための店を選ぶようになった。あの日に有武が言ったように、誰も知らない店でコーヒーをひとりで飲む時間が、彼女にとって何よりも特別な時間となった。
半年間の休職ののち、零果は復職した。だがしかし、元のデスクに戻ることは叶わなかった。
営業アシスタントとしてではなく、事務職としての復帰。
総務や人事を含め、それが零果に関わるすべての上司や上層部が下した決断だった。休職前より残業時間が少ない部署に異動することに主治医も賛成していたし、彼女自身も最終的にはその異動に同意した。一度、心身のバランスを崩した人間が以前と同じように働くことができるとは思っていなかったし、休職したまま二度と職場に顔を出すことなく辞めていくことになった同僚がいることも知っていた。復職できただけ、自分は幸運な方だと思った。
「どんな形であれ、加治木さんがこの会社に帰って来てくれて、本当に良かったよ」
すでにふたりの営業マンのアシスタントを務め、さらに有武の業務も担当することになったにも関わらず、桃山美澄は本心から出た言葉のような、穏やかな口調でそう言った。
零果の復職後、昼の休憩時間に廊下の端の自動販売機の前で偶然出会い、ふたり揃って同じ缶コーヒーを飲んでいる時だった。
「ご迷惑をおかけしてすみません」
「迷惑だなんて思ってないよ。それに、迷惑をかけてるのはむしろこっちだよね」
桃山は困ったような表情をして、少しだけ微笑んだ。その仕草はどこか、少女のようだ。
「有武くん、変わらず加治木さんに仕事を頼んでるでしょ。ごめんね」
そう言われて、今度は零果が困った顔をする番となった。
納得して受け入れた部署異動だったが、どうしても納得してくれないのが有武だった。彼は事務職として復職したはずの零果に、営業アシスタントとしての仕事を振ってきた。最初は、自分はもうアシスタントではないと抗議していたが、もともと、彼は零果の言葉を聞くような人間ではない。何度説明しても有武が納得することはなく、やがて零果も諦めた。
まだ慣れない事務職としての業務に加えて、有武からの無茶ぶりとも思える依頼は、部署異動した意味を台無しにしているような気もしたが、しかし、彼が回してくる雑務の量や求められている質に、零果への気遣いを感じたのも確かだった。
「加治木さんは俺のアシスタントだよ」
いつだったか、有武は煙草を吸いながらそう言った。その日も、彼は外階段にいて、零果は煙草を吸う訳でもないのに隣にいた。もう何度も、その言葉を聞いた。もうあなたのアシスタントじゃない、あなたの仕事は手伝えない。そう訴える度、彼は必ず、その言葉を返した。
「そもそも、俺を営業部に異動させたのは加治木さんでしょ」
そんなことない、自分はそんなことをしていない。零果はいつだって真剣に反論したが、有武はいつも、小さく鼻で笑うだけだった。それは彼の癖だ。零果は知っている、彼が鼻で笑うのは、上機嫌な時だけだ。
「俺が営業部にいる限り、俺のアシスタントは加治木さんだよ」
地獄にまで道連れにされそうな、そんな言葉に零果は肩を落とすしかなかった。でもこの言葉に、ずっと励まされてきたのも事実だ。
もしも有武がいなかったら、自分の担当が彼ではなかったら、休職中に連絡をくれなければ、零果は仕事に復帰することができずに、そのまま退職していたかもしれない。復帰できていたとしても、事務職としての仕事だけをこなす日々では、いずれこの会社を辞めていたのではないか、と思う。どんな形であれ、自分を必要としてくれる存在がいるということが、現在の零果を繋ぎ留めていた。それがなければ、自分はもうとっくに千切れてバラバラになっているだろう。
有武は――鋭い眼光を放つ、あの澄んだ瞳で――、そのことを見透かしているように、零果は思う。彼は零果の性質を理解していて、その上で、彼女のために手を伸ばしてくれている。一緒にいるとそう感じる。それが彼なりの優しさなのだとわかる。だから、零果はその期待に応えたいと思うのだ。そして、それが難しいという現実に、いつも少なからず絶望する。彼の優しさに報いることができない自分を見つめては、無能感に苛まれる。
どんなに頑張っても、私はもうこの人のアシスタントではない。
それだけの事実に、打ちのめされてしまう時がある。
身体を壊さなければ良かった。うつ病になんかならなければ良かった。ずっと頑張ってきたのに。思い出すこともできないほど、忙しい日々を送っていたのに。頑張れなかった。最後の最後まで、頑張ることができなかった。あんなに苦労して作り上げた新しいシステムも、完成まで携わることが叶わなかった。あれは、まだ有武が商品管理部にいた時に考案したものだ。そのシステム実現のため、彼は営業部に異動した。零果はその当初から、最も近くで彼を見てきた。慣れない営業職の仕事に苦悩する彼を知っていたのに。本来ならば、もっともっと、一緒に仕事ができたはずなのに。
零果のそういう自責の念を、恐らく有武は見抜いている。だから彼は、今でも零果に依頼するのだ。寄り添うように、励ますように。彼女の心が折れないように。彼女との繋がりが、断たれることがないように。
ピッ、という短い電子音の後、缶が落ちた音がした。自動販売機から見慣れた黒一色のパッケージの缶コーヒーを取り出し、プルタブに指をかけた時だった。
「お疲れ様」
そう声をかけられ、零果は振り返る。戸瀬健吾だった。
彼の腕には上着と鞄がある。外回りから帰社したところなのか、それともこれから退社するところなのか、零果には判別がつかない。今の時刻は十九時四十分で、定時である十七時はとっくに過ぎてはいるが、営業部はこの時間帯に外出先から戻って来ることも珍しくはない。
零果が「お疲れ様です」と挨拶を返すと、戸瀬はいつもの穏やかな笑みで「いやー、疲れちゃったなぁ」と言った。その声には本当に疲労の色が滲んでいる。どうやら今、会社に戻って来たところのようだ。
戸瀬がポケットに手を入れた動作を見て、零果は自動販売機の前から場所を譲る。案の定、取り出したのは小銭入れで、彼は移動した零果に礼を言いながら自販機へと硬貨を投入した。
「加治木さんって、いつも遅くまで仕事頑張ってるよね」
「そんなことはありません」
「そう? 頑張ってると思うけどな」
ピッ、と電子音が鳴る。戸瀬の指先が選んだのは、今日の昼にもらったのと同じカフェラテだった。このカフェラテが好物だと言っていたっけ。そう言えば、あの時の詫びを、まだ伝えていなかった。零果は心に貼り付けたまま忘れそうになっていた、黄色い付箋を思い出す。
「今日は、すみませんでした」
「え?」
突然の謝罪の言葉に、戸瀬は目を丸くした。
「お昼に、私のことを気遣ってくださったのに、仕事の手も止めず……それが申し訳なくて……」
「あ、ああ、なんだ。そんな、気にしなくていいのに」
戸瀬は再び笑顔に戻り、穏やかな口調で言う。
「俺の方こそ、ごめんね。忙しいタイミングで声かけちゃったみたいで」
「いえ、戸瀬さんは悪くないです」
零果は首を横に振る。それから、彼の手の中にある缶を見やり、あの時もらったカフェラテのお礼を、どう伝えるべきか悩んで口をつぐんだ。まさか有武にあげてしまったと言う訳にはいかないが、あたかも自分が飲んだかのように話すのも憚られる。零果は、コーヒーは無糖のブラックしか口にしない。カフェラテも決して飲めない訳ではないが、元来、甘いコーヒーは好きではない。しかし、そんな好き嫌いを伝える訳にもいかない。
どうしたものかと思案する零果を、戸瀬は変わらず人当たりの良い笑顔のまま、どこか不思議そうに見つめている。微かに口元から覗く歯の白さ。どうしてそんなに歯が白いんだろう。ホワイトニングでもしているのだろうか。テレビのアナウンサー顔負けの歯の白さだ。
零果は無意識のうちに、有武の黄ばんだ歯を思い出していた。あれはきっと、ヘビースモーカー特有の歯だ。
戸瀬と有武は、まったく違う。戸瀬は、髪型が整っていて、髭もなく、見た目に清潔感がある。近付くと、ほのかに柔軟剤のような良い香りがする。零果は戸瀬が事務員の中で「王子」というあだ名で呼ばれているのを知っているが、そう呼ばれるのも納得できる。外見だけではなく、人当たりも良いし、穏やかで、丁寧だ。営業部での成績も良い。
それに比べて、有武は、不潔で、臭くて、がさつだ。思い付くアイディアは革新的だが、発想が常人離れしていて、たいていの人間はその思考の飛躍について行けない。彼の提案には、それを裏付けるための膨大な資料や説明する時間が必要となる。彼が考案した新システムも、社内で導入されるまでかなりの時間と労力が費やされた。普段の突飛な言動も相まって、商談の成功率はまちまちだ。営業先では彼を気に入っていると言う顧客もいるらしいが、社内での評判はあまり良くない。戸瀬を見ていると、同じ営業部二課所属でも、有武はこうも違うものかと、そんな余計なことをつい考えてしまう。
「加治木さんって、俺のことすごく真っ直ぐ見つめてくれるよね」
そう言われて、零果はあまりにも戸瀬をまじまじと見つめていたことに気付く。慌てて謝った。
「すみません……」
「謝ることないよ。でも、あんまり見つめられると、ちょっと恥ずかしいかな」
戸瀬はいたって穏やかに笑っている。あまりにも爽やかで、嫌味など微塵も感じさせない笑顔。この笑顔に惚れ惚れする女もさぞ多いことだろうな、と零果は思った。ファンクラブができるのも頷ける。
「加治木さん、もし良かったらなんだけど、今度の土日――」
戸瀬が言いかけた、その時。
スマートフォンの着信を知らせるバイブレーションが、人気のない廊下に静かに響き渡る。それは零果のスマホだった。制服のポケットに入れていたそれを取り出し、画面に表示されている発信者の名前を一目見て、彼女は頭を抱えたくなる。
今日は会議があって、その後は会食だと言っていた。時間帯から考えれば、今頃は先方と食事をしているはずだが、それでも電話をかけてくるというのは、何か緊急事態なのか、忘れていた仕事を思い出したか、そのどちらかではないか。そして、そのどちらだとしても、何か今から厄介ごとを頼まれる予感しかない。今日はそろそろ仕事を終えて帰れると思っていたのに。否、会社を出てから仕事を頼まれるよりは、まだマシかもしれない。
「出なくていいんじゃない?」
戸瀬はそう言った。その声音の固さに、零果は驚いた。彼の表情からはいつの間にか、笑顔が消えていた。
「電話、有武さんからでしょ? また何か、仕事を押し付けようとしているんじゃない? 加治木さんはもう、アシスタントじゃないんだよ?」
戸瀬は真剣だった。零果にはそれがわかった。彼が言っていることが何ひとつ間違ってなどいないということも、わかっていた。それでも、と思うこの気持ちを、どう説明したらいいのだろう。間違っているのは自分だ。それもわかっている。だけど、構わない。零果は画面に表示されている「応答」の文字に指を滑らせた。
「すみません、戸瀬さん。失礼します」
そう小声で告げて、零果は踵を返した。「加治木さん!」と、戸瀬が呼んだのが聞こえたが、振り返ることはしなかった。スマートフォンを耳に当てながら、自分のデスクがある事務部フロアへ続く廊下を小走りに駆ける。
「お疲れ様です。加治木です」
覚悟はできている。たとえこの後、どんな無茶苦茶な依頼をされようとも、必ずそれを成し遂げてみせる。
今まで、そうやって仕事をしてきた。これからも、そうやって仕事をするのだ。ふたりで、一緒に。
休日に喫茶店へ行くことは、加治木零果にとって唯一、趣味と呼べる行動だ。喫茶店で一杯のコーヒーを飲む。ただそれだけの時間を楽しむ。
喫茶店へ誰かと連れ立って行くようなことは、普段は決してないのだが、ときどき、それは本当にときどき、誰かと向かい合ってコーヒーを飲むことがある。
その喫茶店は開店直後だった。営業時間は、午前六時四十五分から。零果がその店に入ったのは、朝七時を回ったところだった。オープン直後である。土曜の朝、客として店にいるのは、ウォーキングの後とおぼしき中年の夫婦が一組。それ以外の客は、昨日から徹夜して働き続けて疲れ果てている零果と、彼女と同じかそれ以上にくたびれた様子の有武朋洋だけだ。
「……こんなに朝早くから営業してる喫茶店なんて、よく知ってましたね」
零果は目の前に置かれたコーヒーカップを見下ろしたままそう言ったが、向かい合って座っている有武は、まだ火の点いていない煙草を咥えたまま、返事もしなかった。椅子の背にもたれかかって、ただ天井を仰いでいる。
カップへと手を伸ばす。零果が注文したのはグアテマラだった。有武のカップに注がれているのはキリマンジャロだったはずだ。喫茶店に足を運ぶようになった当初、零果は豆の違いなどまったくわからなかった。いろんな店で飲み比べた結果、なんとなく味の違いがわかるようになってきた。
「……もう、徹夜はしんどいなぁ」
零果がコーヒーを飲みながらひと心地ついていると、ぴくりとも動かなかった有武が唐突にそう言って、やっと、右手に握っていたライターで咥えていた煙草に火を点けた。目の下の隈がひどいな、と零果は彼の顔を見て思ったが、今の自分も同じくらいひどい顔をしているのだろうと思って、口には出さなかった。
「何も、徹夜してまで資料作らなくても、良かったんじゃ……」
「でも俺、来週は出張でいないからさ」
今のうちに作業しておかないと。煙を吐きながら、有武はそう言った。
「だからって……無理に今日作らなくても……」
そう言いながらも、零果はさっきまでふたりで行った作業のことを思い出していた。徹夜したとはいえ、ふたりだったから、この時間で終わったとも言える。もしも来週、出張先の有武からひとりでこの資料を作るようを命じられていたら、零果も途方に暮れていただろう。
否、彼女がひとりではできないと踏み、彼はそんな指示を出さないかもしれない。有武がひとりきりで資料を作る……というのもまた、不可能だろうから、アシスタントである桃山に依頼することになるのだろう。彼女であれば、零果よりも短時間で資料作りを完遂させそうだ。
だったら最初から、桃山さんに依頼すればいいのに。なんて言ったら、有武はなんて返事をするだろう。
昨夜、有武から零果にあった着信。会食の後、そのまま帰宅するはずだった彼は、会社へ戻って来た。新しい商品のアイディアを、突然思い付いたのだと言う。そのプレゼンテーションのための資料を今から作るから、手伝ってくれ。有武はそう言った。時刻は夜の八時に近かった。金曜の夜だった。一週間働いて、疲れ果てていた。けれど零果は、彼の言葉に頷いた。そうして、ふたりで作業をしているうちに、夜は明け、朝になった。
何も今やらなくても。零果は何度か、そう言った。しかし、有武が考え付いたことをすぐに形にしたがる性格だということは、もう長い付き合いでわかっていた。今まで何度も、こういう夜があった。休日に突然、呼び出されることもあった。今からですか、今じゃなきゃいけませんか、私じゃないと駄目なんですか。何度も、そう尋ねた。答えはいつだって同じだった。
「どうしても今日、やりたかったんだよねー。加治木さんと、一緒にね」
ずっと天井を仰いでいた有武が、ゾンビのように身体を起こす。澄んだ瞳が零果を見る。目が合いそうになって、思わず零果は目線を逸らした。相変わらずその瞳は、まっすぐ見つめるのも躊躇するような輝きを感じさせる。しかし、これって自分だけなんだろうか。一体、いつから、自分は有武の目を見ることが苦手になったのだろう。
「今日、加治木さん、元気なかったでしょ」
そう言われて、そうだっけ、と零果は記憶を辿る。今日、ではなく、正確には昨日だが、眠らないでいるといつまでも「今日」という日が終わらない感覚は、零果も有武も同じようだ。
そうだった、外階段で煙草を吸っていた有武と話した時、確かに落ち込んでいた。同僚たちの陰口を聞いてしまい、食欲もなかった。零果自身は、もうそんなことは忘れていた。けれど彼は、それを心配してくれていたのか。
「加治木さん、仕事頼んだら元気になってくれるかなって思ってさ」
有武は、そこでやっと自分のコーヒーカップへと手を伸ばした。もうとっくに冷めてしまっているはずだが、キリマンジャロを美味そうに飲む。
「……は?」
対する零果は、有武の発言に呆然とするしかない。励ますために、仕事を頼んだとでも言うつもりなのだろうか。そのために、今さっきまで仕事をしていたのか? 徹夜してまで? 朝の六時まで?
しかし、有武の口調は大真面目だった。
「俺が加治木さんにしてあげられることなんて、仕事を依頼することぐらいだから」
あとは、たまにこうして、一緒にコーヒーを飲むことくらいか。そう付け加えるように言った声音に、零果を案ずる感情が含まれていることに気付いて、文句を言うために開きかけた口を、静かに閉じる。徹夜作業に付き合わせた言い訳に、「励ましたかったから」と言っている訳ではない、ということはわかっていた。
どうして自分は、この人から離れられないのだろう。
仕事なんて断ればいいのに。上司にも、同僚にも、ずっとそう言われてきた。自分だってそう思う。定時を過ぎての残業も、休日出勤も、徹夜作業も、全部断ればいい。それだけのことだ。
それでも、一緒に仕事をしたいと思う。
彼の助けになれたら、と思う。
それが無茶苦茶な依頼であっても、一緒に働くことが楽しいと思える。
身体を壊す前も、そうだった。楽しかったからこそ、身体を壊したのかもしれない。きっと苦痛であったのであれば、もっと早くに音を上げていて、休職するほどにまで自分を追い込まなかっただろう。そう、心身を病んだ時、零果はただの一度も、有武を恨まなかった。彼の仕事の振り方が問題なのだとは思わなかった。一緒に仕事ができたことに感謝したいくらいだった。そのくらい、刺激的な日々だった。もっとも、有武に感謝の気持ちを伝えたことなどないが。
「……今度、焼き肉に行きませんか」
零果は喫茶店の窓の外を見つめ、そう言った。窓の外には静かな土曜日の朝の光景が広がっている。通りはまだ人もまばらだ。老人に連れられたマルチーズが毛足の長い綿毛みたいに、もしゃもしゃと道路を歩いて行く。
「有武さんに焼き肉を奢ってもらったら、元気が出るかもしれません」
零果の言葉に、有武は鼻で笑った。機嫌が良いのだ。わざわざ顔を見なくてもわかる、彼は今、楽しそうに笑っている。
「焼き肉でも寿司でもいいよ。今度一緒に、飯でも行こう」
加治木さんは少食だから、俺の方が食っちゃって、割り勘だと割に合わないから、結局俺が奢ることになりそうだなぁ。ぼやくようにそう言いながら、有武の目線もいつの間にか、窓の外のマルチーズに向けられていた。
ふたりはしばらく、陽の当たる道を綿毛の化身のような犬が遠ざかっていくのを見つめていたが、やがて老人と犬が曲がり角の向こうに見えなくなると、お互い、目線を室内へ戻し、顔を見合わせた。
今度こそ、目が合う。
咄嗟に目を逸らそうとする零果よりも先に、有武が座席から身を乗り出した。目の前にまで迫って来た彼から、零果は飛び上がるように大きく身を引いて逃げる。その様子に、有武はぷっ、と吹き出した。零果は完全に顔を背けたまま、しかめっ面をして無言で怒っていた。
有武は「ごめん、ごめん」と笑いながら、煙草を持っていない方の手を横に振った。
「加治木さんは本当にさぁ、俺と目を合わせてくれないよねぇ。昔からそうだよね」
「……恥ずかしいんです」
「まぁ、俺はそんな加治木さんが好きだけどね」
煙を吐きながらそう言って、有武は短くなった煙草を灰皿に押し付けた。自分のコーヒーカップを持ち上げながら、零果のカップをちらりと見やる。その中身がほとんどなくなっているのを見て、「じゃあ、それ飲んだら出ようか」と、有武は言う。
「……あの、」
「ん?」
「コーヒー、もう一杯飲んでもいいですか」
そう言う零果は、テーブルの上のメニューへ目線を向けている。でも実際に、メニューの文字を読んでいる訳ではない。次に頼むコーヒーをどれにするか、思案している訳でもない。
有武はしばし、そんな零果の横顔を見つめていた。一見、表情の読めない彼女の顔を、じっと見つめた後、彼は口元まで運んでいたコーヒーカップを、そのままソーサーの上へと戻した。そうして、作業服の胸ポケットから煙草を一本取り出して咥えた。
「じゃ、もう少し、ここにいようか」
零果が小さく頷いたのを見届けてから、煙草に火を点ける。
有武は零果の思考を、果たして読み取ったのだろうか。何も言わなくても感じ取ったかもしれない。そのくらいは聡い男だ。微かに緩んだように見えるその表情は、この時間が決して苦痛ではないという証拠だろう。徹夜明けで疲れ切っていても、早く帰りたいと言わないのは、お互い同じ感情だからだと、そう思うのは傲慢だろうか。
「すみません」と、零果が店員を呼んだ。追加のコーヒーを注文するためだ。店の奥から、店員の「少々お待ちください」という声が返って来る。
喫茶店では一杯のコーヒーを飲んだら、すぐに店を出る。それが彼女のルールだった。どんなに美味でも、二杯目を頼むことはない。だが時には例外があっても良いだろう。コーヒーを二杯、飲んだっていい。特別な相手と一緒にいる時だけは。
ふたりで喫茶店へ行くのも、良いかもしれないな。
零果は疲れ果てた頭の片隅で、そんなことを考える。
休日はふたりで喫茶店へ行く。新しい趣味にどうだろう。「それは趣味なのか?」と、有武はきっと、笑うだろう。いつものように、鼻で笑うのだ。でも決して、悪くはない。
頭の中の喫茶店リストを開き、もしも一緒に行くとしたら、どの店にしようか、なんて考える。美味しいキリマンジャロを出す店を、それまでに見つけなくちゃ。心の中の水色の付箋にそれを書く。その水色は、窓の向こうに見える空の色だ。ふたりで徹夜して、迎えた朝の空の色。それはとても澄んでいて、もう一度見たいと思える色。
またこうして、一緒に働けて良かった。
いつかそのことを、本人に伝えよう。
そう思いながら、零果はその水色の付箋を、自身の心にそっと貼り付けた。
了
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「視力1.0」でも突然失明することはある…健康診断ではわからない「失明原因トップ5」の恐ろしさ - ライブドアニュース
写真=iStock.com/Krisada tepkulmanont※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Krisada tepkulmanont
以下引用
目の健康を保つには、何が大切なのか。眼科医の平松類さんは「失明原因のトップ5である緑内障、糖尿病網膜症、網膜色素変性症、加齢黄斑変性、網脈絡膜萎縮は、末期になるまで視力が落ちることはない。視力検査で失明の危険性はわからないため、必ず『眼底検査』を受けてほしい」という――。 ※本稿は、平松類『眼科医が警告する視力を失わないために今すぐやめるべき39のこと』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
■いたずらに「眼圧」を上げるような行動は控えたほうがいい
会社の健康診断などで眼科検診に行くと、視力検査と一緒に必ず「眼圧」の測定も行われると思います。しかし、その意味合いをいまいち理解していない人がほとんどではないでしょうか。 眼圧測定とは、空気を軽く当てて「眼球の圧力」を測ることで「眼球の硬さ」を調べるものです。 なぜこの検査が重要かというと、眼圧が高い、つまり眼球が硬いと、失明原因の1位である緑内障のリスクが高くなることがわかっているからです。近年では眼圧の高さと近視の進みやすさの相関も指摘されています。 ここから言えるのは、「眼圧が高くなるような行動」は、できるだけ避けたほうがいいということです。日常生活のなかにも、知らないうちに眼圧を上げてしまう行動がけっこう潜んでいます。 その筆頭が、「水の一気飲み」です。水分補給は目の健康にとっても重要ですが、汗をかいたり、脱水症になったりしたときを除いて、一般的に水の一気飲みはよくありません。 体に水分が入ると、血液中の水分量が増えます。ごく単純にいえば血管を流れる液体の量が増えるため、血管に圧がかかります。これは大半の臓器にとっては大した問題ではないのですが、ごく微細な毛細血管が張り巡らされている眼球には、過度な圧力をかけてしまうのです。
■水の一気飲みはNG、マメな水分補給を
いたずらに眼圧を上げないよう、「水分補給は少量ずつ」が鉄則です。 例えば500ミリリットルの水を一気に飲むと、平均で3~4、最大で7ほども眼圧が上がることがわかっています。 眼圧の正常値は10~20ですから、その30~40パーセント、最大で70パーセントほども眼圧が上がるというのは、いわば収縮時血圧(最高血圧)が正常値の130から一気に170くらいまで上がるようなものです。 1回に飲む量は、200ミリリットル程度が適当です。もちろん1回の摂取量を抑えたせいで水分不足になっては本末転倒ですから、1時間に1回くらいを目安に「マメな水分補給」を心がけていきましょう。
■「過度な運動」は目をいじめる行為
「水の一気飲み」に加えて、気をつけたいのが運動習慣です。 運動のすべてが悪いわけではありません。「筋トレ」の場合、自重トレーニング程度ならば問題ないのですが、重すぎるウエートを用いた筋トレだと「いきむ」たびに眼圧が上昇するという研究があります。 意外なところでは、「ヨガ」も要注意です。 さまざまなポーズをとることで、ほどよく体全体がストレッチされ、呼吸を繰り返す有酸素運動でもあるヨガが概して体にいいことは確かです。ただし、唯一、目の健康を考えるうえで懸念されるのは「頭が心臓よりも下になるポーズ」です。 頭が心臓より下になると、当然ながら、頭に血が上ります。すると眼球にも圧力がかかってしまうのです。ヨガをやめる必要はありませんが、目の健康を思うのなら、頭が下になるポーズは避けたいところです。 逆に、目にいい運動もあります。体に酸素をふんだんに取り入れ、巡らせる「有酸素運動」(ウオーキングや軽いジョギング)は、必然的に目への酸素供給にもなり、目の健康維持に寄与します。 目安は「週3回、1回あたり30分以上、合計で週に90分ほど」、運動の強度は「ゼエハアと息が上がらず、会話できる程度」。これくらいの有酸素運動が緑内障などの防止になるという研究データもあります。
■「ストレス」も眼圧を上げる一大要因
眼圧には自律神経も関係しています。 ストレスを感じると、緊張状態を司(つかさど)る交感神経が優位になるのですが、このとき体中の血管が収縮します。眼球も例外ではありません。交感神経が優位になると眼球の毛細血管が収縮するし、そこで眼圧が上昇するのです。 現に、緑内障に処方される目薬は、交感神経を鎮める効果のある成分が使われています。交感神経を鎮めることで眼圧を低下させ、緑内障を軽減する狙いがあるわけです。 ストレスには、仕事やプライベートでの人間関係のストレスもありますし、騒音や急激な冷えといった環境的なストレスもあります。冬場は眼圧が高くなるという研究報告もあるほどです。 すべてのストレスを取り除くのは難しいものですが、自然に触れに行く、自宅でのんびりする、ゆったり入浴するなど、適宜、自分に合ったリラックス習慣を取り入れましょう。
■眼圧を上昇させる「睡眠姿勢」に要注意
みなさんのなかに、「睡眠時はうつぶせ」という人はいるでしょうか。 問題は、うつぶせになったときの顔の角度です。心臓より眼球が下にならない顔の角度ならば、ギリギリセーフです。 しかし、心臓より眼球が下になる顔の角度で寝ると、眼球の中の水晶体というレンズが本来の位置から少しだけ下に落ちることになり、眼球から余分な水分を排出する箇所がふさがれてしまいます。そして余計な水分が排出されないことで、眼圧が上昇してしまうのです。 年に��回ならばいいのですが、毎日、ランチ後にデスクに突っ伏して仮眠を取るなどの行為は、眼球にとっては最悪の習慣です。 同じ理由で、マッサージ店や整骨院によくある「顔のところに穴が開いているうつぶせ用のベッド」や、理髪店の「顔を下に向けるシャンプー椅子」も好ましくないのですが、それほど高頻度でなければ、あまり心配はありません。 また、横向きで寝るのはいいのですが、枕の硬さ(柔らかいほうが目に圧力がかかりやすい)や顔の角度によっては、眼球が枕に押し付けられるような感じになってしまいます。これはよくありません。目にかかる圧力上昇は、眼圧の上昇を意味するからです。 まとめると、睡眠時の姿勢は「あおむけ」がベストです。とはいえ眠りやすい姿勢は人それぞれでしょう。今後は目の健康のために、とにかく「顔が下向きになる」「眼球が枕に押し付けられる」ことだけは避けるよう、意識してみてください。 ただ、これらの生活上の注意は可能であればというレベルですので、無理せず取り組んでいただければと思います。
■視力は「いい・悪い」で判断してはいけない
これもありがちな誤解なのですが、視力(メガネやコンタクトレンズによる矯正のない「裸眼視力」)がいいから検診を受けなくても大丈夫、とはいえません。 そもそも一般的には何をもって「視力がいい」と思われているのでしょう。0.8や0.9まで見えれば「視力がいい」のでしょうか? 専門的には「視力」とは相対的な指標です。現時点で「いい・悪い」という話ではなく、「以前と比較してどうか?」という変化こそが重要です。 例えば、一般的には視力0.9は「視力がいい」ほうに入るのかもしれませんが、昨年は1.0だったところから0.9に下がったのなら、それは「大丈夫」とは言い切れません。視力が下がった場合は近視の進行も考えられますし、何らかの病気になっている可能性もあります。
■失明原因トップ5の病気は「末期まで1.0くらい見える」
「視力がいいから検診を受けなくても大丈夫」とはいえない理由は、これだけではありません。失明原因のトップ5である「緑内障」「糖尿病網膜症」「網膜色素変性症」「加齢黄斑変性」「網脈絡膜萎縮」は、実はかなり進行するまで1.0くらいは見えていることが珍しくないのです。 1位の緑内障の場合、いよいよ重度になり一人では歩けないくらいにまでなって初めて、1.0から視力が下がってくるケースがよく見られます。 2位の糖尿病網膜症も同様です。糖尿病により、ものの色や形をハッキリ捉える黄斑の中心部「中心窩」がむくむと早期に視力が低下する場合がありますが、そのむくみが起こらなければ、末期までは視力1.0くらいが維持されます。 3位の網膜色素変性症は、暗いところでものが見えなくなったり(夜盲)、視野が狭くなったりする遺伝性・進行性の疾患です。こうした症状が出てもなお、明るいところや、視力が届く範囲ではハッキリとものが見えるので、視力検査値としては「悪くなっている」わけではなく、1.0くらいは余裕で見えるケースが多いのです。 4位の加齢黄斑変性は少し例外で、早期から視力が下がるケースのほうが多く見られます。とはいえガクンと視力が下がるのは、だいぶ黄斑変性が進行した末に、合併症により網膜中心部に発生した新生血管から出血したときです。 そして5位の網脈絡膜萎縮もまた、早期からゆっくり視力が下がっていきますが、やはりガクンと下がるのは、かなり進行した後です。
■定期健診には「本当に必要な検査」が含まれていない
このようにたどる経過はそれぞれ違うものの、基本的には、末期になるまでは1.0くらいの視力が続きます。1.0というと、一般的には自信をもって「私は目がいい」といえる数値だと思いますが、ご覧のとおり、「大丈夫」といえる根拠にはなりえないのです。 企業や地方自治体の定期健診の眼科項目は「視力検査」「眼圧検査」だけで終わってしまう場合がほとんどでしょう。しかし前項で見たように、たとえ視力が1.0以上あっても失明の危険のある病気にかかっている可能性は消せないため、視力検査にはあまり意味がありません。視力検査が役立つのは白内障の診断です。 また、かつては「眼圧が上がると緑内障リスクが高くなる」のは確かだったのですが、日本人は神経が弱いため、緑内障患者の8割は眼圧が低いのに緑内症になっていることがわかっています。したがって、緑内障の診断に必須とされてきた眼圧テストの意味も、薄れてしまいました。 今後、罹患するリスク判定も含め、失明原因トップ5の疾患の診断には、眼底カメラで眼底の血管、網膜、視神経などをチェックする「眼底検査」が欠かせません。 追加料金が必要になる場合もありますが、これらの疾患の早期発見、早期治療のために、今後の眼科項目では、ぜひ「眼底検査」のオプションをつけることをおすすめします。
■「片目だけの悪化」は自覚しづらい
失明原因トップ5の疾患の早期発見、早期治療には眼科検診(特に眼底検査)が欠かせないと述べたことには、あと二つほど理由があります。まず一つめは、一般の方の「見えている」は、実は「片方しかちゃんと見えていない」可能性がゼロではないからです。 日常生活のなかで「片目ずつ何かを見る」という場面は、ほとんどありません。誰もがたいていは両目を開いて、ものを見ています。とはいえ両目が等しく、ちゃんと見えていないと生活できないわけではありません。 試しに片目をつぶって歩いてみてください。あまりふらつくことなく、真っ直ぐ歩けるはずです。つまり両目で見ているようでも、極端なことをいえば、仮に片目を失明していても生活には大して支障が出ないのです。 そのため、意外と多いのが、片目の視力の急激な低下にずっと気づけないというケースです。不調を感じなければ眼科を受診することもなく、病気の発見が遅れてしまいます。そういう患者さんが一定数いるのです。 眼科検診では、必ず片目ずつ検査を行います。片方の目は健康でも、もう片方の目は不健康という自覚しづらい事態もたちどころに明らかにし、早期に手を打つことができるというわけです。
■「緩やかな悪化」は自覚しづらい
そしてもう一つ、目の疾患の早期発見、早期治療に眼科検診が欠かせないと述べた理由は、人は「緩やかな変化(悪化)」を自覚しづらいからです。例えば、もし、昨日は1.0だった視力が、今日は0.2になっていたら、視力検査を受けずとも、誰だってすぐに異変に気づけるでしょう。 しかし、白内障では徐々に視力が低下していきます。しかも、ちょっとくらい視力が落ちたところで、急に日常生活が送れなくなるわけではありません。それなりに何とか補正しつつ、生活を送ることができてしまうのです。 緑内障も同様です。両目の視野が半分くらいになっても、見えていない分を脳が補正してくれることで、何ら支障なく暮らせてしまいます。視野はたしかに半分になっているのですが、脳が情報を補い、「見えているように」認識するのです。 まったく人間の脳の補正力とはすごいものだと感心してしまいますが、そのために何も手を打たないまま日常生活を送っている間に、病気が進行してしまうというケースは決して少なくありません。 さらに、目の不調を単なる「疲れ」と捉える人も多いようです。 本当は病気による不調なのに、「今日は目が疲れる」「最近、目が疲れやすい」「ここのところ、ずっと目が疲れている」とすべてを疲れのせいにして、徐々に病状が進行していることに気づけないケースもあります。こうして早期発見のタイミングを逃してしまうのです。 上記すべてに共通しているのは、自分の体のことは自分が一番わかっているというのは錯覚である、ということです。こう言ってはなんですが、「自分が支障を感じていないから大丈夫」という感覚は、実はほとんどアテにならないのです。
■人生100年時代には目の健康は欠かせない
食料事情の改善、医学・医療技術の発達などにより、人間の寿命はどんどん延びてきました。そして寿命が延びたことで、体のさまざまな臓器や器官は、より長期にわたって働かねばいけなくなりました。特に、目は過酷な状況に置かれています。 寿命が延びたことで使用期間が延びただけでなく、例えば本を読むようになった、車に乗るようになった、デジタルデバイスを使うようになった……といった人間の生活の変化により、目はどんどん酷使されるようになってきたからです。それだけに、私たちはいっそう目の健康に気を使わなくてはいけない時代になっていると思います。 目の病気には、死に直結するようなものはありません。しかし、どの目の病気も、悪化するほどに生活の質は大きく損なわれます。 しかも目の病気は総じて神経のダメージであり、一度ダメージを受けた神経を元通りにするのは、ほぼ不可能です。となると、ダメージを受けていない神経を守り、残っている機能をできるだけ保全することが重要になってきます。病気の進行を食い止めたり遅らせたりするためには、検診による早期発見が欠かせません。 人生100年時代だからこそ、年に一度の眼科検診で専門医による客観的な診断を受けることが、いつまでも、より快適に暮らしていけることにつながるのです。
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平松 類(ひらまつ・るい) 眼科医 医学博士 愛知県田原市生まれ。二本松眼科病院副院長。「あさイチ」、「ジョブチューン」、「バイキング」、「林修の今でしょ! 講座」、「主治医が見つかる診療所」、「生島ヒロシのおはよう一直線」、「読売新聞」、「日本経済新聞」、「毎日新聞」、「週刊文春」、「週刊現代」、「文藝春秋」、「女性セブン」などでコメント・出演・執筆等を行う。Yahoo!ニュースの眼科医としては唯一の公式コメンテーター。YouTubeチャンネル「眼科医平松類」は20万人以上の登録者数で、最新情報を発信中。著書は『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』『老人の取扱説明書』『認知症の取扱説明書』(SBクリエイティブ)、『老眼のウソ』『その白内障手術、待った!』(時事通信出版局)、『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)など多数。 ----------
(眼科医 医学博士 平松 類)
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2024年5月31日(金)
4月から始めた<平日ランチ抜き減量プロジェクト>改め<平日空腹健康プロジェクト>、なかなか順調に推移している。月初めの連休時には体重が増加し、平日は減りつつも週末にはリバウンドする、まさに絵に描いたような(!)グラフである。当初は空腹感に耐えられるかどうか心配していたが、今となっては空腹感を確認して満足感を得られる、もはや達人の域ではないか!
昨晩早くにダウンしたので1時30分に目覚めた。
日誌書いて二度寝しようとしたが寝付けず、音も立てられないのでデスクまわりを片付ける。
布団に戻ってウトウト。
5時30分に再度起床。
洗濯。
朝食。
珈琲。
弁当*2。
可燃ゴミ、20L&30L。
ツレアイは休み、1人で出勤する。
順調に到着する。
昨日の<スタディスキルズ(教育学科)>の提出物をチェック。
金曜日は2限・3限<スタディスキルズ(栄養学科)>、今週の課題は<まとめ型レポート>。サンプルを配付し、ブラウザとWordを画面に並べて作業させるが、いまだに窓の移動やサイズ調整が出来ないものがいる。時間内に全員作業終了して印刷物を提出させるが、先週の反省が何も行かされていないものが散見する。評価時の<授業参加度>が悪くなる一方だ。
研究棟の廊下でH姉とバッタリ、企画展の葉書を入れておいたとのことで慌ててメールボックスをチェック、画像をツレアイに送る。
帰路も順調、やはり燃費が30km/Lを超えると嬉しい。
今週持ち帰った本を段ボール箱に入れる、今回は3箱、もったいない本舗に明日の集荷を依頼する。
酢タマネギを仕込む。
残り野菜を使って夕飯用に<無水ミネストローネ>を仕込む。
ツレアイは午前中にいくつかの展覧会、午後は原稿、私が帰宅するとすぐに買い物から戻ってきた。
今日はココの月1の診察、5時15分に予約を入れているとのことで小雨の中をココの籠と点滴の返却袋を持って行ってくれた。
その間に私は夕飯準備。
息子たちにはスパークリングワイン、私たちは松尾大社展の特製徳利と猪口で乾杯。
🍷いただきながら、今夜も枝雀、ネタもそうだが弟子たちが交代で語る<枝雀散歩道>が楽しみだ。
朝が早かったので途中でウツラウツラ、いったん布団に潜り込むも、ツレアイに起こされて入浴、体重は一昨日より100g増。
今日は買い物に出なかったので、エクササイズが足りなかった。
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デスクのゴミ箱にゴミがたまっていたので片づけをしたついでに近くの同僚部下のゴミ箱にゴミがたまっているのが見えたのでついでに片づけたら部下から「部長がゴミ捨てをすると我々にゴミ片付けをしろという圧がかかるからヤメてほしい」というゴミ意見を受けました。この世はゴミばかりである。
Xユーザーのフミコ・フミオさん
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