#なんとなく文豪気分
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残暑、と呼ぶには、あんまりにもひどく継続中の酷暑に思考能力を奪われたまま、気づけば9月も後半に差し掛かり、いい加減にこの夏の事を振り返っておかなければ、と、今年、2024年もひと月限定でオープンしたシェア型書店「みんなの表町書店」について、まとまりのないまま、書く。
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「冬雨文庫」という名前で昨年に引き続き一箱本屋の棚主として出店させていただいた。昨年同様、私家版��詩集と、私物の読了本を並列に置くスタイルを取った。今年は本箱も自作して、工具と材料もほとんどは100均で揃え、それなりの形になったと思う。
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昨年は持病の症状が強く出ていた事、はじめての催しで勝手がわからなかった事もあって、棚主が交代で担当する店番ができなかったのが心残りではあった。けれど今年は比較的持病も落ち着き、数回のイベント出店を経たこともあって自信もついたのか、計三回店番を担当した。
ただ「店番をする」だけでは面白くない、と思ったので、レジ横のスペースに冬雨の個人所蔵の私家版詩集やzineを並べて展示した。一般書店で流通していない、文学フリマやネットで個人が販売している本の数々。冬雨として自分が作った本を並べる、という選択肢もあったのだろうけれど、岡山という��で、表町商店街という人の行き来が比較的多い場所において、自分ひとりの宣伝をするよりは、私が今まで出会って心動かされた作家を紹介する機会にしたかった。
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「自作の頒布」というのも出店の大きな動機であるのだけれど、きっと、詩を書き始める以前の、小学生時代に図書室の主と化していた、ただの本好きのひとりとして、この場にいられる事が嬉しかったのだと思う。昨年に比べて、棚主の数も増えて、「みんなの」という言葉をより感じるイベントになっていたと感じた。
「常設のお店ではない」ということも良い方向に働いているのだろう、各々の棚主が趣向を凝らした棚は見ごたえがあり、「本当にこの本をこの値段で買っても良いのだろうか」というような本との出会いも数多かった。
具体的に数えてはいないのだけれど、売れた本の数と、買った本の数がそれほど変わり無いのではないか、と思うほど楽しませていただいた。
売買、という通貨を通じた形ではあるけれど、私の実感としては見ず知らずの人々とそれぞれの持ち寄った本を交換し合っている感覚であって、(それは身内で楽しんでいるだけじゃないかとの批判点かもしれないが)好ましく思えることだった。
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(みんなの表町書店で私が購入させていただいた本たち)
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これまで関わることのなかった人々との会話が発生した、というのも嬉しい機会だった。特性としてコミュニケーションそれ自体が得意とは言い難い私でも、好きなものを介してであればそれなりに楽しく話すこともできるのだ、ということは発見であった。
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人と繋がるために創作をする、という考え方は好きではない。誰かと出会うために、繋がりをつくる為に、何かをつくるようになるくらいであれば、すっぱりやめてしまえば良いと私は私自身に対して思っている。
ただ、それとはまた別のレイヤーにあることとして、本が好きであることに変わりはなく、町のなかのひとりの生活者として、「みんな」のなかの一人として、魅力的だと思える場が在ることは望ましいことである、とも思っている。
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正直にいえば、岡山市が「文学創造都市」と急に名乗りはじめたことに疑問を抱かないでもない(ずっと岡山に暮らしていた者の実感として)。「都合良く文学という言葉を利用してるんじゃねえよ」というような呆れる気持ちもないとは言わない。
シェア型書店、という形を絶賛する立場を取りたいと思える訳でもない。従来の新刊書店や古書店に代替可能な形式ではあり得ないと思う。あくまでも「本」という文化の楽しみ方のいち形式でしかないのでは、と個人的には考える。その「文化」を大切にする、持続可能的に守って行くことを考えるならば、新たな催し事を増やす、ではなく、例えば図書館の予算であったりとか、常日頃から営業している町の本屋さんの現状を何とかする方が先決なのでは、とか考えたりもする。
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着地点がみえなくなってきた。
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きれいにまとめることはできなかったけれど、書きたかったことは大体書くことができたような気もする。
ひと夏の思い出として、素敵な場をもうけてくださった主催者さま、また、出店者の皆さま方、そして冬雨文庫の本を手にとってくださった方々、本当にありがとうございました。
来年も「みんなの表町書店」は開催予定とのこと。
毎年の夏の定番となれば良いな、と今の時点では感じているし、「商店街の空き店舗活用」という目的も、何かしら良い形で達成されると良いなぁと思っています。
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「冬雨文庫」としての売上 8,400円につきましては、令和6年9月能登半島豪雨への支援として、「特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン 空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"」に寄付いたしました。
2024.9.23 冬雨千晶
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汚辱の日々 さぶ
1.無残
日夕点呼を告げるラッパが、夜のしじまを破って営庭に鳴り響いた。
「点呼! 点呼! 点呼!」
週番下士官の張りのある声が静まりかえった廊下に流れると、各内務班から次々に点呼番号を称える力に満ちた男達の声が騒然と漠き起こった。
「敬礼ッ」
私の内務班にも週番士官が週番下士官を従えて廻って来て、いつもの点呼が型通りに無事に終った。辻村班長は、これも毎夜の通り
「点呼終り。古兵以上解散。初年兵はそのまま、班付上等兵の教育をうけよ。」
きまりきった台詞を、そそくさと言い棄てて、さっさと出ていってしまった。
班付上等兵の教育とは、言い換えれば「初年兵のビンタ教育」その日の初年兵の立居振舞いのすべてが先輩達によって棚卸しされ、採点・評価されて、その総決算がまとめて行われるのである。私的制裁をやると暴行罪が成立し、禁止はされていたものの、それはあくまで表面上でのこと、古兵達は全員残って、これから始まる凄惨で、滑稽で、見るも無残なショーの開幕を、今や遅しと待ち構えているのであった。
初年兵にとつては、一日のうちで最も嫌な時間がこれから始まる。昼間の訓練・演習の方が、まだしもつかの間の息抜きが出来た。
戦闘教練で散開し、隣の戦友ともかなりの距離をへだてて、叢に身を伏せた時、その草いきれは、かつて、学び舎の裏の林で、青春を謳歌して共に逍遙歌を歌い、或る時は「愛」について、或る時は「人生」について、共に語り共に論じあったあの友、この友の面影を一瞬想い出させたし、また、土の温もりは、これで母なる大地、戎衣を通じて肌身にほのぼのと人間的な情感をしみ渡らせるのであった。
だが、夜の初年兵教育の場合は、寸刻の息を抜く間も許されなかった。皓々(こうこう)とした電灯の下、前後左右、何かに飢えた野獣の狂気を想わせる古兵達の鋭い視線が十重二十重にはりめぐらされている。それだけでも、恐怖と緊張感に身も心も硬直し、小刻みにぶるぶる震えがくるのだったが、やがて、裂帛(れっぱく)の気合
怒声、罵声がいり乱れるうちに、初年兵達は立ち竦み、動転し、真ッ赤に逆上し、正常な神経が次第々に侵され擦り切れていった。
その過程を眺めている古兵達は誰しも、婆婆のどの映画館でも劇場でも観ることの出来ない、スリルとサスペンスに満ち溢れ、怪しい雰囲気につつまれた素晴しい幻想的なドラマでも見ているような錯覚に陥るのであった。幻想ではない。ここでは現実なのだ。現実に男達の熱気が火花となって飛び交い炸裂したのである。
なんともやりきれなかった。でも耐え難い恥辱と死につながるかもしれない肉体的苦痛を覚悟しない限り抜け出せないのである。ここを、この軍隊と云う名の檻を。それがあの頃の心身共に育った若者達に課せられた共通の宿命であった。
この日は軍人勅諭の奉唱から始まった。
「我ガ国ノ軍隊ハ代々天皇ノ統率シ賜ウトコロニゾアル……」
私は勅諭の奉唱を仏教の読経、丁度そんなものだと思っていた。精神が忘れ去られ、形骸だけが空しく機械的に称えられている。又虐げられた人々の怨念がこもった暗く重く澱んだ呻き、それが地鳴りのように聞こえてくるそんな風にも感じていた。
勅諭の奉唱が一区切りついたところで、一人の古兵が教育係の上等兵に何か耳うちした。頷いた上等兵は、
「岩崎、班長殿がお呼びだ。すぐ行けッ」
全員の目が私に集中している。少くとも私は痛い程そう感じた。身上調査のあったあの日以来、私は度々辻村机長から呼び出しをうけた。あいつ、どうなってんだろ。あいつ班長殿にうまく、ゴマすってるんじゃないか。あいつ、俺達のことを、あることないこと、班長殿の気に入るように密告してるんじゃないか。同年兵も古兵達も、皆がそんな風に思っているに違いない。私は頑なにそう思い込んでいた。
つらかった。肩身が狭かった。
もともと私は、同年兵達とも古兵達とも、うまくいっていなかった。自分では余り意識���ないのだが、私はいつも育ちや学歴を鼻にかけているように周囲から見られていたようである。運動神経が鈍く、腕力や持久力がからっきし駄目、することなすことがヘマばかり、ドジの連続の弱兵のくせに、その態度がデカく気障(きざ)っぽく嫌味で鼻持ちがならない。そう思われているようだった。
夏目漱石の「坊ちゃん」は親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしていたと云うが、私は生まれつき人みしりのする損なたちだった。何かの拍子にいったん好きになると、その人が善人であれ悪人であれ、とことん惚れ込んでしまうのに、イケ好かない奴と思うともう鼻も引つかけない。気軽に他人に話しかけることが出来ないし、話しかけられても、つい木で鼻をくくったような返事しかしない。こんなことではいけないと、いつも自分で自分を戒めているのだが、こうなってしまうのが常である。こんなことでは、同年兵にも古兵にも、白い眼で見られるのは至極当然内務班でも孤独の影がいつも私について廻っていた。
あいつ、これから始まる雨霰(あめあられ)のビンタを、うまく免れよって――同年兵達は羨望のまなざしを、あいつ、班長室から戻って来たら、ただではおかないぞ、あの高慢ちきで可愛いげのないツラが変形するまで、徹底的にぶちのめしてやるから――古兵達は憎々しげなまなざしを、私の背に向って浴せかけているような気がして、私は逃げるようにその場を去り辻村班長の個室に急いだ。
2.玩弄
部屋の前で私は軽くノックした。普通なら「岩崎二等兵、入りますッ」と怒鳴らねばならないところだが、この前、呼び出しをうけた時に、特にノックでいいと辻村班長から申し渡されていたのである。
「おう、入れ」
低いドスのきいた返事があった。
扉を閉めると私はいったん直立不動の姿勢をとり、脊筋をぴんとのばしたまま、上体を前に傾け、しゃちこばった敬礼をした。
辻村班長は寝台の上に、右手で頭を支えて寝そべりながら、じっと私を、上から下まで射すくめるように見据えていたが、立ち上がって、毛布の上に、どっかとあぐらをかき襦袢を脱ぎすてると、
「肩がこる、肩を揉め」
傲然と私に命じた。
私も寝台に上がり、班長の後に廻って慣れぬ手つきで揉み始めた。
程よく日焼けして艶やかで力が漲っている肩や腕の筋肉、それに黒々とした腋の下の毛のあたりから、男の匂いがむっと噴き出てくるようだ。同じ男でありながら、私の身体では、これ程官能的で強烈な匂いは生まれてこないだろう。私のは、まだまだ乳臭く、淡く、弱く、男の匂いと云う��は程遠いものであろう。肩や腕を、ぎこちない手つきで揉みながら、私はふっと鼻を彼の短い頭髪やうなじや腋に近づけ、深々とこの男の乾いた体臭を吸い込むのだった。
「おい、もう大分、慣れて来たか、軍隊に」
「……」
「つらいか?」
「いエ……はァ」
「どっちだ、言ってみろ」
「……」
「つらいと言え、つらいと。はっきり、男らしく。」
「……」
「貴様みたいな、娑婆で、ぬくぬくと育った女のくさったようなやつ、俺は徹底的に鍛えてやるからな……何だ、その手つき……もっと、力を入れて……マジメにやれ、マジメに……」
辻村班長は、岩崎家のぼんぼんであり、最高学府を出た青白きインテリである私に、マッサージをやらせながら、ありったけの悪態雑言を浴びせることを心から楽しんでいる様子であった。
ごろりと横になり、私に軍袴を脱がさせ、今度は毛深い足や太股を揉みほぐし、足の裏を指圧するように命じた。
乱れた越中褌のはしから、密生した剛毛と徐々に充血し始めた雄々しい男の肉茎が覗き生臭い股間の匂いが、一段と激しく私の性感をゆさぶり高ぶらせるのであった。
コツコツ、扉を叩く音がした。
「おお、入れ」
私の時と同じように辻村班長は横柄に応えた。今時分、誰が。私は思わず揉む手を止めて、その方に目を向けた。
入って来たのは――上等兵に姿かたちは変ってはいるが――あっ、辰ちゃんではないか。まぎれもなく、それは一丁目の自転車屋の辰ちゃんなのだ。
私の家は榎町二丁目の豪邸。二丁目の南、一丁目の小さな水落自転車店、そこの息子の辰三は、私が小学校の頃、同じ学年、同じクラスだった。一丁目と二丁目の境、その四つ角に「つじむら」と云ううどん・そば・丼ぶり物の店があり、そこの息子が今の辻村班長なのである。
私は大学に進学した関係で、徴兵検査は卒業まで猶予されたのであるが、彼―― 水落辰三は法律通り満二十才で徴兵検査をうけ、その年か翌年に入隊したのだろう。既に襟章の星の数は私より多く、軍隊の垢も、すっかり身についてしまっている様子である。
辰ちゃんは幼い時から、私に言わせれば、のっぺりした顔だちで、私の好みではなかったが、人によっては或いは好男子と言う者もあるかもしれない。どちらかと言えば小柄で小太り、小学校の頃から既にませていて小賢しく、「小利口」と云う言葉が、そのままぴったりの感じであった。当時のガキ大将・辻村に巧みにとり入って、そのお気に入りとして幅をきかしていた。私が中学に入って、漢文で「巧言令色スクナシ仁」と云う言葉を教わった時に「最っ先に頭に想い浮かべたのはこの辰ちゃんのことだった。ずる賢い奴と云う辰ちゃんに対する最初の印象で、私は殆んどこの辰ちゃんと遊んだ記憶も、口をきいた記憶もなかったが、顔だけは、まだ頭の一隅に鮮明に残っていた。
辻村班長は私の方に向って、顎をしゃくり上げ、辰ちゃん、いや、水落上等兵に、「誰か分かるか。」
意味あり気に、にやっと笑いながら尋ねた
「うん」
水落上等兵は卑しい笑みを歪めた口もとに浮かべて頷いた。
「岩崎、裸になれ。裸になって、貴様のチンポ、水落に見てもらえ。」
頭に血が昇った。顔の赤らむのが自分でも分った。でも抵抗してみたところで、それが何になろう。それに恥ずかしさに対して私は入隊以来もうかなり不感症になっていた。部屋の片隅で、私は手早く身につけていた一切合切の衣類を脱いで、生まれたままの姿にかえった。
他人の眼の前に裸身を晒す、そう思うだけで、私の意志に反して、私の陰茎はもう「休メ」の姿勢から「気ヲ付ケ」の姿勢に変り始めていた。
今日は辻村班長の他に、もう一人水落上等兵が居る。最初から突っ張ったものを披露するのは、やはり如何にもきまりが悪かった。しかも水落上等兵は、私が小学校で級長をしていた時の同級��なのである。
私の心の中の切なる願いも空しく、私のその部分は既に独白の行動を開始していた。私はどうしても私の言うことを聞かないヤンチャ坊主にほとほと手を焼いた。
堅い木製の長椅子に、辻村班長は越中褌だけの姿で、水落上等兵は襦袢・軍袴の姿で、並んで腰をおろし、旨そうに煙草をくゆらしていた。班長の手招きで二人の前に行くまでは、私は両手で股間の突起を隠していたが、二人の真正面に立った時は、早速、隠し続ける訳にもいかず、両手を足の両側につけ、各個教練で教わった通りの直立不動の姿勢をとった。
「股を開け。両手を上げろ」
命ぜられるままに、無様な格好にならざるを得なかった。二人の視線を避けて、私は天井の一角を空ろに眺めていたが、私の胸の中はすっかり上気して、不安と、それとは全く正反対の甘い期待とで渦巻いていた。
二人は代る代る私の陰茎を手にとって、きつく握りしめたり、感じ易い部分を、ざらざらした掌で撫で廻したりしはじめた。
「痛ッ」
思わず腰を後にひくと、
「動くな、じっとしとれ」
低い威圧的な声が飛ぶ。私はその部分を前につき出し気味にして、二人の玩弄に任せると同時に、高まる快感に次第に酔いしれていった。
「廻れ右して、四つん這いになれ。ケツを高くするんだ。」
私の双丘は水落上等兵の手で押し拡げられた。二人のぎらぎらした眼が、あの谷間に注がれていることだろう。板張りの床についた私の両手両足は、時々けいれんをおこしたように、ぴく��ぴくッと引き吊った。
「顔に似合わず、案外、毛深いなアこいつ」
水落上等兵の声だった。突然、睾丸と肛門の間や、肛門の周囲に鈍い熱気を感じた。と同時に、じりッじりッと毛が焼けて縮れるかすかな音が。そして毛の焦げる匂いが。二人は煙草の火で、私の菊花を覆っている黒い茂みを焼き払い出したに違いないのである。
「熱ッ!」
「動くな、動くとやけどするぞ」
辻村班長の威嚇するような声であった。ああ、目に見えないあのところ、今、どうなってるんだろう。どうなってしまうのだろう。冷汗が、脂汗が、いっぱいだらだら――私の神経はくたくたになってしまった。
3.烈情
「おい岩崎、今日はな、貴様にほんとの男ってものを見せてやっからな。よーく見とれ」
四つん這いから起きあがった私に、辻村班長は、ぶっきらぼうにそう言った。辻村班長が水落上等兵に目くばせすると、以心伝心、水落上等兵はさっさと着ているものを脱ぎ棄てた。裸で寝台の上に横になった水落上等兵は、恥ずかしげもなく足を上げてから、腹の上にあぐらを組むように折り曲げ、辻村班長のものを受入れ易い体位になって、じっと眼を閉じた。
彼白身のものは、指や口舌で何の刺戟も与えていないのに、既に驚くまでに凝固し若さと精力と漲る力をまぶしく輝かせていた。
「いくぞ」
今は褌もはずし、男一匹、裸一貫となった辻村班長は、猛りに猛り、水落上等兵を押し分けていった。
「ううッ」
顔をしかめ、引き吊らせて、水落上等兵は呻き、
「痛ッ……痛ッ……」と二言三言、小さな悲鳴をあげたが、大きく口をあけて息を吐き、全身の力を抜いた。彼の表情が平静になるのを待って、辻村班長はおもむろに動いた。大洋の巨大な波のうねりのように、大きく盛り上がっては沈み、沈んでは又大きく盛り上がる。永落上等兵の額には粒の汗が浮かんでいた。
凄まじい光景であった。凝視する私の視線を避けるように、流石の永落上等兵も眼を閉じて、烈しい苦痛と屈辱感から逃れようとしていた。
「岩崎、ここへ来て、ここをよーく見ろ」
言われるがままに、私はしゃがみこんで、局部に目を近づけた。
一心同体の男達がかもし出す熱気と、激しい息づかいの迫力に圧倒されて、私はただ茫然と、その場に崩れるようにすわりこんでしまった。
戦いは終った。戦いが烈しければ烈しい程それが終った後の空間と時間は、虚しく静かで空ろであった。
三人の肉体も心も燃え尽き、今は荒涼として、生臭い空気だけが、生きとし生ける男達の存在を証明していた。
男のいのちの噴火による恍惚感と、その陶酔から醒めると、私を除く二人は、急速にもとの辻村班長と水落上等兵に戻っていった。先程までのあの逞しい情欲と激動が、まるで嘘のようだった。汲(く)めども尽きぬ男のエネルギーの泉、そこでは早くも新しい精力が滾々(こんこん)と湧き出しているに達いなかった。
「見たか、岩崎。貴様も出来るように鍛えてやる。寝台に寝ろ。」
有無を言わせぬ強引さであった。
あの身上調査のあった日以来、私はちょくちょく、今夜のように、辻村班長の呼び出しをうけていたが、その度に、今日、彼が水落上等兵に対して行ったような交合を私に迫ったのである。しかし、これだけは、私は何としても耐えきれなかった。頭脳に響く激痛もさることながら、襲いくる排便感に我慢出来ず私は場所柄も、初年兵と云う階級上の立場も忘れて、暴れ、喚き、絶叫してしまうので、辻村班長は、ついぞ目的を遂げ得ないままであった。
その時のいまいましげな辻村班長の表情。何かのはずみでそれを想い出すと、それだけで、私は恐怖にわなないたのであるが、辻村班長は一向に諦めようとはせず、執念の劫火を燃やしては、その都度、無残な挫折を繰り返していたのである。
その夜、水落上等兵の肛門を責める様を私に見せたのは、所詮、責められる者の一つの手本を私に示す為であったかもしれない。
「ぐずぐずするな。早くしろ、早く」
ああ、今夜も。私は観念して寝台に上がり、あおむけに寝た。敷布や毛布には、先程のあの激突の余儘(よじん)が生温かく、水落上等兵の身体から滴り落ちた汗でじっとりと湿っていた。
私の腰の下に、枕が差し込まれ、両足を高々とあげさせられた。
「水落。こいつが暴れんように、しっかり押さえつけろ。」
合点と云わんばかりに、水落上等兵は私の顔の上に、肉づきのいい尻をおろし、足をV字形に私の胴体を挟むようにして伸ばした。股の割れ目は、まだ、水落上等兵の体内から分泌された粘液でぬめり、私の鼻の先や口許を、ねばつかせると同時に、異様に生臭い匂いが、強烈に私の嗅覚を刺戟した。
「むむッ」
息苦しさに顔をそむけようとしたが、水落上等兵の体重で思うにまかせない。彼は更に私の両足首を手荒く掴んで、私の奥まった洞窟がはっきり姿を見せるよう、折り曲げ、組み合わせ、私の臍の上で堅く握りしめた。
奥深く秘められている私の窪みが、突然、眩しい裸電球の下に露呈され、その差恥感と予期される虐待に対する恐怖感で、時々びくっびくっと、その部分だけが別の生き物であるかのように動いていた。
堅い棒状の異物が、その部分に近づいた。
思わず息をのんだ。
徐々に、深く、そして静かに、漠然とした不安を感じさせながら、それは潜行してくる。ああッ〃‥ああッ〃‥‥痛みはなかった。次第に力が加えられた。どうしよう……痛いような、それかと云って痛くも何ともないような、排泄��促しているような、そうでもないような、不思議な感覚が、そのあたりにいっぱい。それが、私の性感を妖しくぐすぐり、燃えたたせ、私を夢幻の境地にさそうのであった。
突然、激痛が火となって私の背筋を突っ走った。それは、ほんのちょっとした何かのはずみであった。
「ぎゃあッ!!」
断末魔の叫びに��似た悲鳴も、水落、上等兵の尻に押さえつけられた口からでは、単なる呻きとしか聞きとれなかったかもしれない。
心をとろけさせるような快感を与えていた、洞窟内の異物が、突如、憤怒の形相に変わり、強烈な排便感を伴って、私を苦しめ出したのである。
「お許し下さいッ――班長殿――お許しッ ――お許しッ――ハ、ハ、班長殿ッ」 言葉にはならなくても、私は喚き叫び続けた。必死に、満身の力を振り絞って。
「あッ、汚しますッ――止めて、止めて下さいッ――班長殿ッ――ああ――お願いッ――お許しッ――おおッ――おおッ―― 」
「何だ、これくらいで。それでも、貴様、男か。馬鹿野郎ッ」
「ああッ、……痛ッ……毛布……毛布……痛ッ――汚れ――汚れますッ――班長殿ッ」
毛布を両手でしっかりと握りしめ、焼け爛れるような痛さと、排便感の猛威と、半狂乱の状態で戦う私をしげしげと眺めて、流石の辻村班長も、呆れ果てで諦めたのか、
「よしッ……大人しくしろ。いいか、動くなッ」
「うおおおー!!!」
最後の一瞬が、とりわけ私の骨身に壊滅的な打撃を与えた。
「馬鹿野郎。ただで抜いてくれるなんて、甘い考えおこすな。糞ったれ」
毒づく辻村班長の声が、どこか遠くでしているようだった。
終った、と云う安堵感も手伝って、私は、へたへたとうつ伏せになり、股間の疼きの収まるのを待った。身体じゅうの関節はばらばら全身の力が抜けてしまったように、私はいつまでも、いつまでも、起き上がろうとはしなかった。
班長の最後の一撃で俺も漏らしてしまったのだ。腑抜けさながら。私はここまで堕ちに堕ちてしまったのである。 瞼から涙が溢れ、男のすえた体臭がこびりついた敷布を自分の汁と血で汚していた。
どれだけの時間が、そこで停止していたことか。
気怠(けだる)く重い身体を、もぞもぞ動かし始めた私。
「なんだ、良かったんじゃねぇか、手間取らせやがって」
おれの漏らした汁を舐めながら辻村班長が言った。
そして汚れたモノを口に突っ込んできた。
水落上等兵は、おいうちをかけるように、俺に覆い被さり、聞こえよがしに口ずさむのであった。
新兵サンハ可哀ソウダネ――マタ寝テカクノカヨ――
(了)
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591:名無し:24/09/03(火) 19:24:01 ID:nw.bb.L1 うちの会社のやってることがアホくさすぎて私含めみんな辞めてった。 社員のボーナスも上げない癖に、豪華な体育館を予約して、 テレビにも出ていたフリーアナウンサーに実況させてる運動会を毎年開催してる。
運動会の会場までの交通費は全員自腹。
今年も社員が全く盛り上がらない中運動会やったんだけど問題が起きた。
座席に缶ビールが落ちてたらしい。それを見た人事部長が「【重要】全社員通達」と題して、 「社員の結束を高めるため��運動会にて、飲酒していた不届な社員がいたそうです。 座席は⚪︎⚪︎支店の方々が座る席でしたが、多くの方が席移動をしていた為、私はその方達だけが犯人だとは思いません。 皆が懸命に助け合い、運動会で成績を残そうとしている中で飲酒した者は断じて許すわけには行きません。 見かけた社員の方は、犯人特定にご協力願います(原文まま)」
と来た。「人事部長が何してんの、アホくさー」が全社員の意見だった。
そこに加えて副社長が 「社員各位 先ほどの通達の通り、見かけた社員は私に通達してきてもよい。もちろん、誰が言ったかは言いません」と通達。
そしたらとある支店のAさんが酒を飲んだ犯人として副社長に突き出され、なんの調査もなくチームリーダーから降格された。 複数名から通報があったらしい。
犯人とされたAさんは私も知ってたが、アルコールが飲めない体質。飲み会でビール三口で頭痛起こして唸ってた。
多分濡れ衣だろう思って、副社長に「Aさんはアルコールを飲めない体質です。何かの間違いかと存じます」と進言したら、 本当かどうか確かめるために、犯人候補の人とそれを庇った私を呼び出して、私の目の前で酒を一気飲みさせた。
結果Aさんはすぐに顔も真っ赤になり足もふらつき、床に嘔吐して倒れた。ようやく副社長も信じて、 「吐瀉物は私君が片付けるように」と言って帰っていった(私がゲロを掃除した)。
結局、若手達が悪ふざけで、気に入らないAさんに濡れ衣を着せただけだった。 しかも、支店長も「他の人がチームリーダーになってそのチームが上手く回っているので、Aはどうでも良い」ということだった。
濡れ衣を着せられた方には、人事部長が「人望がないから、会社に居場所が無いと思う」と退職勧告した。 Aさんは「アホくさい、こんな会社やってられるか。クソ会社」と人事部長に吐き捨てて退職して行った。
この話がジワジワと漏れ伝わって、半年もすると営業の4割が退職した。 成果を出してたAさんが無実の罪で追放されたこと、しかも濡れ衣を着せた若手が全員まるで成績を上げなかったり 無断欠勤してること。 実は濡れ衣を着せたのが支店長指示だったこと。
そういうことが漏れ伝わって、営業がかなり辞めて、副社長は人事部長に罵詈雑言を浴びせていた。 それを見て私も辞めた。
こんな会社に四年いた私って、アホすぎる。営業じゃなかったから、 営業の人達がこんな理不尽な世界で生きてるの知らなかったよ。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024年)11月25日
通巻第8521号
バカ息子の代表選手、あの薄瓜瓜が生きていた
エズラ・ボーゲル宅から“蒸発”12年、カナダの豪邸暮らし
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元重慶特別市書紀、「胡錦濤の次」は習近平か、薄煕来といわれた���革命元勲・薄一波の息子、薄煕来は、夫人の谷開来がイギリス人を毒殺していなければ、習に代わって中国共産党書紀につき、トップに君臨していたかもしれない。ともに「紅二代」であって、通った幼稚園も学校も同じだった。習は薄を頼もしい兄貴と慕っていた。
薄煕来の次男で ハーバード大學留学中だった薄瓜瓜はボストンで24時間警備、プール付きの豪華マンションに暮らしていた。
石油成金の息子のようにフェラーリを乗り回して、女の出入りも多く、プレイボーイとしてもしれられた。だが、「ぼんくら学生」でもなく弁護士資格試験にも合格していた。
2012年、薄煕来の用心棒兼重慶市公安部長の王立軍が女装して成都のアメリカ大使館へ逃げ込んだ。この事件が薄失脚に繋がった。
薄夫人の谷開来が息子の家庭教師で英名門ハロースクールへの入学を斡旋したイギリス人を何かの利害関係のもつれからか、森の中のホテルに呼び出した毒殺したことがばれて、2013年、二人とも終身刑となった。薄煕来は北京郊外の秦城刑務所、谷開来は燕城刑務所にいる。
さて豪遊の限りを尽くして派手な生活を送っていた薄瓜瓜は、両親の逮捕、拘束、裁判に報道陣が殺到したため雲隠れ、後に判明したのは親中派学者エズラ・ボーゲルの家に匿われていた。その後、杳として行方知れずになった。
異母兄は秦城監獄に父親を面会に行っているが、瓜瓜は両親の面会にも行かず、そもそも中国には一度も帰国していない。大金の持ち出しなどを問われて拘束される恐れがあったからだろう。
2024年十月、薄瓜瓜は極秘に台湾入りしていた。台湾人女性の許恵瑜と結婚し、台湾の近親者を集めての披露宴出席のためである。華燭式場は新竹の森の中の迎賓館で行われ、南国文民ホテルで親戚があつまったとされる。許夫人は羅東博愛病医院院長の娘で、カナダ留学中に恋仲となった。
中国の著名人の息子が、台湾入りし、しかも台湾人女性と結婚するという珍事は孫文の孫・周令飛以来である。台湾メディアが連日報道合戦を繰り広げたが、薄瓜瓜を撮影出来なかった。
薄瓜瓜はカナダのパワーコ-ポレーションにマネジャーとして勤務し、トロントに豪邸を構えていると噂されるが真実は何も分かっていない。
パワーコ-ポレーションは1925年創業の金融コングロマリットで、ファンド、生命保��、持ち株会社、企業のM&A斡旋など手広く営業し、上場企業としても老舗、ただし役員会名簿に薄瓜瓜の名前はリストアップされていない。
なぞは薄瓜瓜が不法ルートで巨額をもちだしことは明らかだが、豪邸を購入する資金や、その手続きをどうしたのか。裏では習近平との繋がりがあるのか、どうか。中国奥の院の闇は、しかし解明されることはないだろう。
▼中国トップの農夫山泉CEOがTEMUを酷評した
共産党幹部との繋がりが希薄な中国の企業家はときに災難が降りかかる。アリババの馬雲は「中国にはシステムがない」と放言して以来、金融子会社アントの上場は延期され、言いがかりをつけられて天文学的な罰金を支払わされ、ついには中国に居づらくなった海外を放浪している。
かれは世界的有名人だから、この程度で済んでいる。
民間人で共産党批判するとどうなるか。
中国ビリオネアの筆頭、農夫山泉のCEOは、講演会でTEMUを批判し、その安売りで国内産業は打撃を受けている。「こんな状態に陥った原因は共産党だ」とした。聞いていた人はひやりとなった。
中国の長者番付は四半期ごとに入れ替わる。株価の時価総額がランキングの基本だから株価乱高下に左右されるのだが、この速度の早さは日本とはると際立って異なる特質だ。
日本は1300年続く金剛組を筆頭に300年以上続く老舗は数百、いや数千? 中国で150年続いている老舗は五社ほどしかない。そのうえ日本の企業風土はトップも従業員も同じ釜の飯を食べるファミリーの感覚だからCEOが従業員平均給与の百倍とかの報酬を取ったりはしない。この点ではアメリカと中国は同根である。
十月にミネラルウォーターの「農夫山泉」(CEOは鐘淡淡)を抜いてトップに躍り出たのはTIKTOKの親会社「バイトダンス」の共同創業者、張一鳴だ。
「2024年『胡潤』中国長者番付」で首位となった。かれの資産は493億ドル(『胡潤』は中国のフォーブスのような雑誌)。バイトダンスの23年度の収益は30%増加し1100億ドルに達した。
バイトダンスは、中国で人気のニュースアプリ「今日頭条」と、中国におけるTikTokの姉妹アプリ「Douyin」も所有している。
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恋人と過ごすようになってからなのか、それとも単にいろいろ疲れすぎたのか、去年の秋ごろから調子が悪い。夏はオールで飲んだり、映画や本にたくさん触れたり、文学フリマで友人と日記本を販売するために奮闘していたはずなのに。ずっと胃腸がおかしい。その際の疲れがいまだに残っているのか?にしては長すぎないか?仕事を理由に全部を諦めたくない!と豪語していた自分は何処へ。新卒でお世話になった人から誘われていた仕事も断り、友人との付き合いも減り、かろうじて映画や本には触れているが、心と体が伴っていないような感覚。私は一体何がしたいのだろう。ずっと自問自答。アーとかヴーとか言っている。ちゃんと食べて、ちゃんと寝て、ちゃんと運動したら大丈夫だよ、と言う。そんなのわかってるよ、うるせえな、なんて思ったりもする。よくない方向へ気持ちが暴走しているような気がする。
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PASH! March 2024 Persona 3 Reload part pictures and transcription.
DATA
HP : https://p3re.jp
X (旧Twitter) : @p_kouhou
©ATLUS ©SEGA All rights reserved.
STAFF : 制作=アトラス
対応機種 : Xbox Game Pass、Xbox Series X | S、Xbox One、Windows、PlayStation 5、PlayStation 4、Steam
※ Xbox Series XS、Xbox One、Windows、 SteamはDL版のみ
料金 : パッケージ通常版9,680円、パッケージ豪原版17,380円、ダウンロード通常版9,680円、ダウンロード特別版15,730円、ダウンロード豪単版12,408円(すべて税込価格)
影時間、再び
名作RPGのフルリメイク作『ペルソナ3 リロード』を特集!伊織順平役・鳥海浩輔さん、真田明彦役・緑川 光さん、スタジオディレクター・山口拓也さんのコメントと共に、本作の魅力を紐解いていく。
学園ジュブナイルの名作『ペルソナ3』が現代技術で蘇る
2006年に発売され、多くのファンを魅了した『ペルソナ3』。約18年の時を経て、オリジナル版の魅力はそのままに、現代に合わせてフルリメイクした『ペルソナ3 リロード』(以下『P3R』)が2月2日に発売された!
本作は遊びやすくシステムがブラッシュアップされたほか、登場人物を掘り下げるイベントなどが追加されている。
ここでは『P3R』の奥深い物語や、システムを紹介。新たに蘇った『ペルソナ3』の世界に触れてみよう!
↑洗練された新規オープニングや、ゲームサウンドも話題に!
日と1日の狭間にある影時間に挑め!
影時間に現れる謎の敵・シャドウの襲撃を受け、ペルソナ能力が覚醒した主人公。彼は仲間たちとシャドウを討��しながら、謎に満ちた影時間の真実に迫っていくことになる。
出会いと別れの先で主人公を待つ運命は
Story
→↓心の強さが力になるペルソナ使いたち。彼らは満月のたびに襲来する大型シャドウとの戦いや、仲間との交流を通して成長していく。
System
学園生活を通して自分の能力を磨こう
学生である主人公は、平日は学校に通っている。放味みや休日は、買い物や自分磨きなど、自由に行動することができる。
Point 1
イベントがいっぱいの学園生活
授業を受けたり、行事に参加したり、学内でのイベントがたくさん用意されている。登場人物たちと、楽しい思い出を作ろう!
↑←主人公には、学力、魅力、勇気の専用パラメータがある。授業を受けたり、試験でいい結果を出したりすると成長。特定のパラメータが高くないと、発生しないイベントもあるようだ。
Point2
コミュで絆を育てよう
主人公は仲間たちや一部の登場人物と、絆=コミュを築くことができる。交流してコミュランクを上げることで、登場人物を深掘りする魅力的な物語が展開。さらにランクが上がると、戦闘が有利になる要素も!
新規のリンクエピソードも登場
↑オリジナル版でコミュがなかった仲間キャラには、新規のリンクエピソードを追加。彼らの知らなかった一面が明らかになる。
And More
何をするのもあなた次第
←↑本作はカレンダー形式で、1日ごとに何をするか選択可能 (一部、行動できない日もあり)。部活をするもよし、アルバイトに励むのもよし。全ての行動が主人公の成長につながっていくので、毎日の行動を充実させていこう。
ペルソナ能力を活用しシャドウを倒そう!
影時間に登場するダンジョン・タルタロスに挑むことで、シャドウを討伐し、主人公たちのバトル能力を成長させることができる。
→シャドウには弱点がある。武器やスキルで弱点をつき、戦いを有利にしよう。
シャドウの弱点をつけ
Battle
強力なテウルギア
↑必殺技・テウルギアが追加され、バトル演出がより華やかに!
しゅ じん こう
主人公
CV : 石田 彰
月光館学園高等部に2年から編入してきた転校生。昔学園がある港区に住んでいて、約10年ぶりに戻ってきた。複数のペルソナを召喚できるワイルドの能力を持ち、S.E.E.S. (特別課外活動部) のリーダーを任される。
S.E.E.S
Character
特別課外活動部の仲間たち
主人公が一緒に戦うのは、月光館学園に秘密裏に存在し、シャドウ討伐を目的とする部活動S.E.E.S.に所属する個性豊かな仲間たち!
勝気だけど仲間想いなクラスメイト
たけ ば
岳羽ゆかり
CV : 豊口めぐみ
月光館学園高等部の2年生で、主人公や順平のクラスメイト。弓道部に所属している。容姿端麗なため、学内でもファンが多い。明るくしっかり者で、個性的な仲間たちのツッコミ役になっている。父親の死、そして母親との確執から、ひとりで生きようと考えており、強気な態度を見せることも⋯。
陽気なムードメーカー
い おり じゅん ぺい
伊織順平
CV : 鳥海浩輔
影時間に迷い込んでいるところを真田に救われ、S.E.E.S.に加入する。コミュニケーション能力が高く、陽気で仲間を盛り上げるムードメーカーだが、少し調子に乗りやすいところがある。同じ学年なのにリーダーを任されて周囲からの信頼が厚い主人公に対して、ライバル意識や劣等感を抱いているよう。
ストイックなボクシング部主将
さな だ あき ひこ
真田明彦
CV : 緑川 光
月光館学園高等部3年生。無敗を誇るボクシング部の主将で、学外にも名が知れ渡っている。過去のある事情から強さを追い求めており、影時間でのシャドウとの戦いも、どこか楽しんでいる節がある。文武両道でストイックな性格の持ち主だが、頑固で融通が利かず、少しズレた反応を見せることも多い。
生徒会長を務める大企業の社長令嬢
きり じょう み つる
桐条美鶴
CV : 田中理恵
月光館学園高等部3年生で、生徒会長。S.E.E.S.を立ち上げ、自身も部長としてメンバーをまとめている。世界有数の大企業である桐条グループの社長令嬢だが、影時間には彼女の家が深く関わっているようで⋯。品行方正な優等生だが、世間知らずな面もあり、浮世離れした言動で周囲を驚かせる。
分析能力に優れたナビゲーター
やま ぎし ふう か
山岸風花
CV : 能登麻美子
月光館学園高等部2年生。穏やかで控えめだが、芯はしっかりしている。ある出来事で影時間に閉じ込められ、主人公たちに救出された。そこでペルソナ能力が覚醒し、S.E.E.S.の一員に加わる。情報収集や分析が得意で、サポート能力に優れた専用ぺルソナ・ルキアの力を使い、ナビ役として仲間を支える。
人懐っこい忠犬
コロマル CV : 高橋伸也
��の近くにある長鳴神社の神主の愛犬で、主人を亡くしたあとも、大切な場所を守り続けていた忠犬。ある事件がきっかけでぺルソナ能力に目覚め、主人公たちに保護され、一緒に寮で生活することになった。賢く、人懐っこい性格で、自身の気持ちを翻訳してくれるアイギスと、天田とは特に仲良し。
心を持った対シャドウ特別兵器
アイギス
CV : 坂本真綾
心を持った人型兵器として生み出され、ペルソナを召喚することができる。なぜか初対面から主人公に対して強い執着を見せるが、理由は不明。仲間に加わったあとは、月光館学園に通い、主人公たちのクラスメイトになる。機械らしく実直な言動が多いが、仲間と過ごすなかで、人間らしい感情が芽生えていく。
背伸びをして大人びた振る舞いをする小学生
あま だ けん
天田 乾 CV : 緒方恵美
月光館学園初等科5年生。事故で母親を亡くしており、主人公たちが暮らす巌戸台分寮に身を寄せることになる。あるきっかけでペルソナ能力に目覚め、幼いながらも、自らの意志でS.E.E.S.に加わることを決めた。とても礼儀正しく大人びているが、特撮ヒーローが好きなど、まだまだ子供らしい面も。
S.E.E.S.の創設メンバーのひとり
あら がき しん じ ろう
荒垣真次郎
CV : 中井和哉
月光館学園高等部3年生だが、現在は休学中。美鶴、真田と共にS.E.E.S.を創設したが、2年前のある事件が原因で現在は活動に参加していない。真田とは同じ施設で育った幼馴染みで、お互いに気にかけている。無口でぶっきらぼうだが根は優しく、料理が得意。また、コロマルを密かに可愛がっている。
順平は誰よりも人間臭くてとてもいい男
今作で初めて『ペルソナ3』に触れる方もいらっしゃると思います。改めて『ペルソナ3』という作品に、ご自身が感じられている魅力をお聞かせください。
独特の世界観、硬軟織り交ぜた見応えのあるストーリー、魅力的なキャラクター等あげたらキリがないですが⋯。新しい・古いではなく、ゲームとして楽しめるところが魅力ではないでしょうか。
ご自身が演じられている伊織順平の魅力や好きなところをお聞かせください。
順平はバカでお調子者でみっともなかったりだらしなかったりするのですが、誰よりも人間臭くて、成長して、決してスーパーマンではないけれど、とてもいい男だと思います⋯褒めすぎかな (笑)。
登場キャラクターの中で好きなキャラや思い入れのあるキャラがいれば教えてください。
Cast Comment 1
伊織順平役
鳥海浩輔
新しい・古いではなく、ゲームとして楽しめるところが魅力
とりうみ・こうすけ
アーツビジョン所属。主な出演作 : 『うたの☆プリンスさまっ♪』���島セシル役、『キングダム』尾平役 ほか
順平もゆかりっちも⋯てか、出てくるキャラクターみんな良いのですよ。とても魅力的なキャラクター揃いだと思います。まぁでも、手前味噌ですが順平が1番好きです。あとチドリも。
影時間 (1日と1日の間にある、普通の人には認識できない時間) にどんなことをしてみたいですか?
影時間は経験しなくていいです (笑)。
作中のお気に入りのペルソナを教えてください。
ヘルメスかっこいい。ジャックフロストかわいい。ケルベロスかっこいい。
月光館学園の生徒になったとしたら、どんなふうに過ごしてみたいですか?
やはり真田先輩と牛丼を⋯。
最後に読者にメッセージをお願いいたします。
とても楽しく、個人的にも思い入れのある作品です。是非多くの方に楽しんでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
自分は。ペルソナ能力には目覚めなくていいです(苦笑)
今作で初めて『ヘルソナ3』に触れる方もいらっしゃると思います。改めて『ペルソナ3』という作品の印象をお聞かせください。
自分が初めて遊んだ『ペルソナ』シリーズです。自分はちょっと怖いものが苦手で、このタイトルもそういう雰囲気なんだろうなぁ。遊びたいけど大丈夫かなぁ。なんてビクビクしながらプレイしたのですが、めちゃめちゃスタイリッシュだわ、音楽はお洒落だわで、ものすごくハマりましたねえ。
ご自身が演じられている真田明彦の魅力や好きなところをお聞かせください。
結構ハードな過去を背負っている割には、あまりそれを見せないところかなぁ。
登場キャラクターの中で好きなキャラや思い入れのあるキャラがいれば教えてください。
う~ん。やっぱり荒垣 (真次郎) ですねぇ。
Cast Comment 2
真田明彦役
緑川 光
スタイリッシュで、音楽はお洒落だわで、ものすごくハマりました
みどりかわ・ひかる
青二プロダクション所属。主な出演作 : 『うたの☆プリンスさまっ♪』鳳瑛一役、『あんさんぶるスターズ!!』 天祥院英智役 ほか
影時間 (1日と1日の間にある、普通の人には認護できない時間) にどんなことをしてみたいですか?
色んな所に行って、普段と違うところを堪能したいです (笑)。
もしご自身がぺルソナ能力に目覚めたら、どんなぺルソナだと思いますか?
目覚めちゃうと、あの銃のパーン!ってやつしなきゃダメ???だったら、怖いので、目覚めなくていいです (苦笑)。
月光館学園の生徒になったとしたら、どんなふうに過ごしてみたいですか?
学生時代が、それはそれは昔過ぎてキラッキラ輝いているので (笑)、普通に友達とわちゃわちゃ遊びたいですね。普通が1番で�� (苦笑)。
最後に読者にメッセージをお願いいたします。
以前のものも面白かったですが、さらに面白くする自信があるからフルリメイクしたんだと思っているので、未プレイの方だけでなく、ブレイ済みの方たちも、是非、再びお手に取っていただけると幸いです。
Staff Comment
アトラス ペルソナスタジオ ディレクター
山口拓也
今のペルソナスタジオが魂を込めてお届けします
議論を重ねて丁寧に作っていく
『ペルソナ3 リロード』はどのような流れでフルリメイクが決定したのでしょうか?
『P3』のリメイク自体は元々ユーザーからの要望も多く、毎年���トラスが行っているユーザーアンケートでもリメイクしてほしいタイトルとして常に上位に上がるほどでした。ぺルソナスタジオとしてもユーザーの要望にお応えしたい気持ちはあったのですが、今までスケジュールや人員などの色々な都合で作れていなかったところに、丁度様々な都合がかみ合うタイミングが来まして、「今だ!」という感じで企画が動き始めました。
『ペルソナ3』という作品の魅力はどんなところにあるとお考えですか?
シナリオ、世界観、キャラクターなど様々な魅力があると思いますが、テーマに【死】を掲げているからこその、決して良いことばかりではない、人生の暗い部分にもフォーカスして繰り広げられる群像劇。それを通じて、自分自身はどう生きるべきなのか、限られた時をどう過ごすべきなのか、ついそんなことを考えてしまいながらプレイしてしまって、気が付くとどんどんあの世界に引き込まれていきます。そういった部分が『ペルソナ3』の魅力かと思います。
オリジナル版の発売から約18年後の今、リメイクするにあたって苦労された部分はありますか?
やはり何を変えるか、何を変えないかの取捨選択は非常に苦労しました。オリジナル版は今の『ペルソナ』のターニングポイントとなった伝説的なタイトルで当時のユーザーの方たちも思い入れが強いと思いますので、そういったすでに『ペルソナ3』をご存知の方とこれから新しく遊ばれる方の両方に最大限、現代の『ペルソナ3』として楽しんでもらうための取捨選択が一番苦労しました。関わったスタッフの中には過去の『ペルソナ3』タイトルをユーザーとして遊んだスタッフも多かったので、そういったスタッフとも一つひとつ議論を重ねて丁寧に作っていきました。
『ペルソナ3 リロード』ならではのアピールポイントもぜひ教えてください。
本作には様々な魅力がありますが、まずは何と言っても全面的に刷新されたグラフィックでしょうか。フィールドやキャラクターは等身大のスケールで作られ、UIも全て新規に作り直されています。特に3Dのキャラクターモデルはとても魅力的に作られていますので、大きな画面でじっくり見ていただきたいです。あと個人的にはコロマルの可愛さがもうたまらないので、仲間になった後は是非パーティに入れて、探索に連れて行ってみてください (笑)。
UIまわりや音楽のお洒落さも話題になっています。デザイン面やサウンド面でこだわられたポイントを教えてください。
デザインやサウンド両方に共通することですが、オリジナル版を遊んでいた方にも改めて楽しんでいただけるように、オリジナル版のイメージやニュアンスを汲み取りつつも新鮮さも感じていただけるようパワーアップさせることを意識しました。例えばリーですと、単純に見た目がカッコいいだけでなくこれまでのシリーズを通して培ってきたユーザビリティを損なわないように、遊びやすさや操作の快適さにもこだわって作っています。あと、サウンドでは今作では新曲もいくつか増やしているのですが、あまり曲自体を軸にしすぎると、懐かしさといいますか『P3』らしさみたいなものが損なわれる気がしたので、今作全体の演出や表現、ゲームプレイでパワーアップしたところや変化��たところを考えてオリジナルを補完するような意識で追加しました。
キャラクターたちのイベントや寮生活も充実していますが、どのような経緯で追加されたのでしょうか?
『ペルソナ3』は主要なキャラクターたちが同じ寮に住んで暮らしているのですが、今まではあまりそのシチュエーションを活かした描写が少なかったなと思ったのがきっかけです。そこからスタッフと実際に同じ学校の同級生や先輩後輩と寮に住んでいたらどんな事をしたいかとかを話し合って、一緒にテスト勉強がしたいとかDVDが観たいなどいろいろな意見を踏まえて今の形となりました。
主人公たちと敵対する「ストレガ」のエピソードも追加されていますが、注目してほしいポイントはありますか?
今まであまり描かれていなかった、ストレガの各々が影時間やペルソナ能力に拘る理由の一端が垣間思えるかと思いますので、そういった点に注目していただけたら幸いです。また主人公とタカヤが対話する場面も増えており、この追加エピソードを通じ二人の関係も少し深くなっていく部分もありますので、そういった部分も注目ポイントかと思います。
豪華声優陣も注目されていますが、ボイス収録の際に印象に残っているエピソードなどがあればぜひお教えください。
『ペルソナ3』は割とシリアスな場面が多めのストーリーではあるのですが、そういった場面での鬼気迫る演技は、本当に収録に立ち会いながらスタジオで思わず目頭が熱くなるような凄まじい演技をしてくださり、改めて声優さんの凄さといいますか魂を吹き込むというのは比喩でもなんでもなく本当に吹き込んでいるのだなと感じたことが印象に残っていますね。これは本当に是非ゲームをプレイして体感していただきたいです。勿論何気ない日常の一コマもとても楽しく活き活きとした等身大の彼らが見られますので、そういった部分も存分に楽しんでいただければと思います。あとは、新たにキャスティングさせていただいたコミュキャラクターの声優さん方も本当に錚々たる方々に演じていただけたのはありがたかったです。勿論どのキャラクターも魅力を十二分に引き出していただきましたので、そのあたりも注目していただければと思います。
今作で初めてゲームをプレイされる方もいらっしゃると思います。プレイのコツやアドバイスなどがあれば教えてください。
『ペルソナ3 リロード』はカレンダーシステムという何か行動するたびにゲーム内の日付が進むシステムを採用していまして、ゲーム内で日々を無為に過ごし続けると月日がどんどん経過していき、気が付くと何も準備ができていないまま強敵と対峙する⋯なんてこともあります。なので、勉強やアルバイトなどの自分磨きや仲間や友人との交流は勿論、ダンジョン探索やぺルソナの合体等、様々な要素をまんべんなく進めていただいて、忙しくも充実した日々を送っていただくのがプレイするコツかなと思います。あとは難易度設定も用意してあり、ゲーム中にいつでも変更可能ですので、バトルが難しいと感じた方は遊びやすい難易度を選んでいただけたらなと思います。一番優しい難易度では絶対にクリアできるようになっていますので、ストーリーは気になるけどゲームは苦手という方も安心して遊んでいただけると思います。
最後に読者へメッセージをお願いいたします。
今の『ペルソナ』シリーズのターニングポイントにもなった『ペルソナ3』が装い��新たにフルリメイクされて『ぺルソナ3 リロード』として発売中です!“『ぺルソナ3』のリメイク”となっていますが他の『ペルソナ』タイトルを遊んでいなくても、オリジナル版を遊んでなくても全く問題なく楽しめる内容となっています。今のペルソナスタジオが魂込めてお届けする『ペルソナ3 リロード』。少しでも気になったらお手に取っていただけますと幸いです。
Keyword 1
『ペルソナ』シリーズとは
『ペルソナ』は、不思議なペルソナ能力に目覚めた少年少女たちの物語を描く、アトラスの大人気RPGシリーズ。各作品でストーリーは独立しているが、ペルソナを生み出すベルベットルームの存在など、世界観は共通している。『P3』はグラフィックやシステムなどを刷新し、新たな『ペルソナ』像をファンに打ち出した記念すべき作品だ。
↑ベルベットルームの主・イゴールは、シリーズに欠かせないおなじみの人物。
Keyword 2
スタイリッシュなUI
UI (プレイヤーが触れるメニュ―などのシステム) やキャラクターの2Dイラストがブラッシュアップされ、美しくより遊びやすいものになっているのも本作の特徴だ。
→バトルのメニューも操作性アップ!
Keyword 3
仲間たちとの寮生活
S.E.E.S.のメンバーは、全員同じ寮で生活している。本作では寮内で一緒に料理をしたり、試験勉強をしたり、仲間たちと一緒に過ごせる要素がたっぷり追加された!
↑一緒に過ごす時間が増え、仲間たちとの距離がオリジナル版より近い印象に!
Keyword 4
敵対する存在 “ストレガ”
影時間を利用して、他人の復讐の代行をするグループ“ストレガ”。彼らもペルソナ能力を持っており、影時間に対する考え方の違いから、主人公たちと対立する。彼らのイベントが追加され、想いや目的が明らかに。
↑ “ストレガ”が影時間やペルソナ能力に執着する理由とは⋯?
タカヤ
CV : 神奈延年
“ストレガ”のリーダー。独特な風貌と言動の持ち主だが、高いカリスマ性から、心酔する者も多い。影時間を特別な領域と考えており、影時間を消すために活動しているS.E.E.S.の前に、何度も立ちふさがることになる。
ジン
CV : 小野坂昌也
関西弁を話す少年で、戦闘では特製の手榴弾を使用する。頭脳明晰で、情報収集を得意とし、復讐代行サイトの運営を担当。過去の出来事からタカヤのことを強く信奉しており、彼につき従って行動している。
チドリ
CV : 沢城みゆき
絵を描くことを好む、白いドレスが印象的な少女。あまり感情を表に出すことがなく、他者に対して関心がない。ひょんなことから順平と出会い、交流するように。そのなかで、彼女の心に大きな変化が生まれていく。
#persona 3#persona 3 reload#p3#i got this when it released sorry for being so late#scanning it would ruin the spine but its too big anyway
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これが世界最大という超超巨大書店を、どーんと僻地でもなんでもいいから街が作れそうな平野に作ってほしい。その超超巨大さは世界第2位を突き抜けてほしい。 政府もテコ入れし、クラウドファンディングも募り、数多ある企業も全勢力が参入してほしい。もうとにかく全力をかけて作ってほしい。 「そんなことして失敗したらどうする?!バカじゃん?!」とか考えず作ってほしい。勝算とか考えず勢いで作ってほしい。 そこには和書だけではなく洋書もある。西洋の本だけではなく中国語の本、アラビア語の本、アフリカーンス語の本、とにかく片っ端から「いやこれいらんだろ」みたいな本だったとしてもすべておく。 なんなら和書が中央ではなく洋書が中央である。日本語を中心で考えてほしくはない。言語別に存在する知の量に応じた配分をしてほしい。 客層に応じてカテゴリ分けは必要だろう。1つの書店だけでなく複数の書店が統合してもかまわない。古本屋を集めてもかまわない。 「よくわからなくても物理の本を買うなら日本のここへ行け。たぶんあるから」という状態になっていてほしい。日本の中規模以上の書店はほぼすべてここに集める。 全勢力が協力してできた超超巨大書店を中央に据えて、その周りを他の超巨大書店が取り囲む。その周りは巨大書店。その周りは中規模書店、その周りには小規模書店。 海外からも片っ端から誘致する。必要なら補助金も出す。「バカなの?」とか「さすがに海外出店は難しいです」とか一蹴されるだろうが「まあ採算とれそうだからいいよ」と言われるまで粘ってほしい。 税金をたくさん投入してもかまわない。重要なことは「そこにある」「とにかく日本のここに来たらある」「お前のやりたいことは知らんけど本がほしいなら日本のここに行け」という願いが叶う場所だ。 例外を作ればそのブランドは失われる。このブランドこそが他国が追随不可能な圧倒性を生む。先行者利益だ。バカすぎて1つ1つで見るとデメリットしかない行為が、結合すると巨大な1つのメリットを作り出す。 どこかで手を抜くと終わる。そんなことまでする必要ないんじゃないのとか、それってめちゃくちゃ損しますよねとか言われようが、究極に本を集める。 書店と書店の隙間にはさまざまなカフェが立ち並ぶ。個人で経営するカフェからチェーン店が密集する。コンビニも立ち並び、公園には読書に適したベンチがある。公園は読書に最適化されている。 その街にはどこにでも椅子が置いてある。買った本をすぐ座って読む人向けのものだ。 この街には有名人が毎日のようにやってくる。たとえば「ビル・ゲイツが本を選びに来日!」など当たり前のことになるだろう。 読書家はこの街の付近に別荘をかまえる。なんにもなかった僻地の近隣に富裕層街が誕生し、地価がとんでもなく上昇する。意味不明なおいしい話だ。 一方で本を読むことが目的でない人間には居心地が悪い空間になる。この街に存在している人間はほぼ全員本かその周辺が目的なのだ。本以外が目的の人間は異様に目立つようになり警戒される。 街の中央部分は徹底的に、本、本、本、本、本、と本が存在するのが当然の本の密集空間になっている。普通の人間が「ここまですることはないんじゃ・・・だって採算とか・・・」とドン引きするぐらいの熱量で本で溢れかえっていてほしい。 地面に敷かれたタイルには、文章が書かれている。まっすぐ歩くと偉人の言葉などがそのまま読めるようになっているのだ。たとえば「良い本は私の人生におけるイベントである。」「本の無い家は窓の無い部屋のようなものだ。」「天才とは努力する凡才のことである」などという文が永久に書かれている。有名な書の冒頭部分だったりもあるし、古典文学もあるし、文学のみならず数式も書かれていたりする。それを読むだけで日が暮れる。 この街の広告はすべて本に関するものでいっぱいだ。ほかでは絶対に見られない、読書家にだけ向けた広告が撃たれる。「こんな難しそうな本の広告ある?」というのがそこここで見つかる。 たとえばベトナム語のマンガの新刊広告なども見受けられていてほしい。 この街にあるのは紙の本ばかりではない。電子書籍派のための書店もある。他では絶対採算がとれないような形の店であっても、「読書家が毎日のように集まることが普通」の街特有の書店ができる。たとえば巨大な8Kモニタにその人へレコメンドされた電子書籍が大量に表示され、立ち読みすることができるとか。「辞書専門店」や「単語帳専門店」や「栄養学書籍専門店」などがあったりもする。そういうものを作っても不思議と利益が出るのだ。 この超超巨大書店圏内部には研究所や大学なども誘致する。どのような言語でも関係ない。化学系のカテゴリが立ち並ぶ「化学通り」のようなところには実験器具専門店も立ち並ぶ。 そういうところは、基本的には英語がメインだ。英語の下に日本語が書かれている感じ。イメージ的にはハリーポッターだろうか。ときどき「なんで化学通りにオムライス専門店がこんなにあるんだよ」などということもあるかもしれない。秋葉原や神田にカレーがたくさんあるようなものだろう。 やや込み入ったところにはマイナーな本屋がある。「なんだよこの本屋・・・」という、見るからに異国感が漂���本屋だ。謎の部族の謎言語で書かれた謎の材質の本が置いてあるなど。ネクロノミコンのような本も見つかる。 石版などもなぜかある。読書向けの椅子専門店もある。「本のためだけの椅子専門店」が生存��きる場所は日本ではここしかない。 しかし、この超超巨大書店群の主目的は「本の集積」である。そこから逸れるようなことがあってはならない。何か欲をかいて「ここに企業をうんたら」などとして利益を優先するとこの街はあっという間にその意味をなくし滅びるだろう。ありとあらゆる人々が周辺の利益を求めて集ってくる。そういうのを一蹴できるような体制であってほしい。 「この街意味ないだろ。なんで作った。赤字だろ」と罵られながらも存続する街であってほしい。そして、そう罵る人も、ひとたびその街に入ると「すげえ・・・この街は地球に必要だわ・・・」とどうあがいても認めざるをえないほど感動できる街であってほしい。街自体で見ると赤字なのだが不思議と日本経済が潤う源泉である摩訶不思議都市であってほしい。完全に未来へと投資された都市である。 この街では、夜もたくさんの書店が営業している。こんな大きな本屋が24時間営業できるのはこの街しかありえないとなっていてほしい。「夜眠れないな・・・本でも買いに行くか・・・」という人外の行動を普通にするような場所であってほしい。 街の周囲には民家が立ち並ぶ。ただしこの民家に住む民間人はややおかしい。本のために移住してきた狂信者たちだ。軒先には自分の選書が並び「1冊100円」などと書かれていることも多々ある。 富豪がゴッソリ買っていくことを見越して少し離れたところに在庫置き場がある。 富豪が「ではこの棚からこっちの棚まで」などと爆買いしていく。もはやテロリストのようなものだが、そんなことは気にせずまた入荷する。本はバカみたいに売れる。 近隣の都市はこの超超巨大書店都市のおかげで経済効果がある。 この街は、「日本人なら1度は絶対行け」と呼ばれる場所になる。そしてひとたびそこに立ち入れば「世の中にはこんなに知識があったのか」「世の中はこんなに頭のいい人たちで溢れかえっていたのか」ということが、嫌でも全身の細胞に刻みつけられる。伊勢���宮みたいなものだ。それよりも神々しいかもしれない。 そして、全身の細胞で体感したその人は、格段に読書するようになるだろう。それは地元へ帰っても同じことだ。一流を目の当たりにした者は一流になる。 取次の問題も、書店が潰れかけている問題も、日本人が本を読まなくなってしまっている問題も、経済が深刻化している問題も、だいたい解決できるだろう。 誰か作ってください。 ちなみに国防にも役に立ちます。一度作ってしまえばここを潰すやつは「バカ」なので。ペンは剣よりも強し! 書店は兵器です。 追記 ジュンク堂書店など大型書店が潰れかけているのは知っている。 ただそれは、「本がたくさんあっても意味がない」のではない。逆。 大型書店であっても、本が少なすぎるのが問題である。 だいたい日本語の本という��は大して範囲が広くない。 それに「物理本を読む人が少ないから本屋が潰れちゃう」というのも逆だ。 「物理本を読みたいと思う人を増やす。そのためには本屋すべてが潰れることも辞さない」という情熱が正道である。 本というのは知の源泉である。だから知識がない人に迎合すれば、潰れるのは自然だ。知識がない側に与するのだから。 本の機能はそれとは真逆であり、全体を引っ張り上げるものである。知識がない側が「欲しい」と願える場にすべきなのだ。 ない側に媚を売っていれば潰れて当然。 「この本は今は読めないけれど、読みたいと思う」そういうものがない。 「この本は内容はちんぷんかんぷんだけど、そういう本の存在を知っている」そういうものもない。 ジュンク堂書店などですら、知らない人々が多い。大型書店の重要性を知覚できていない。入ったことがない人間もいる。 だからこそドカンとぶち上げるのだ。 記事を読んでくれた人へ: 記事を読んでくれたのはありがたいが、たぶん自分が考えている規模と読んだ人が考えている規模に大きな差があると思う。 自分が考えているのは、もっとも小さく考えても深圳書城中心城の数十倍の大きさであり、既存の書店をちょっとだけ大きくしたものとか、蔵書が全く同一であるような大型書店が単に10個ある街という形ではない。 コーチャンフォーつくば店は50万冊、池袋ジュンク堂書店は150万冊、深圳書城中心城は400万冊、国会図書館は4685万点。Amazon Kindleは60万点。 自分が言っているのは、数億冊あるような書店群である。つまり、コーチャンフォーやジュンク堂書店や紀伊國屋書店は超超巨大書店(世界中の意味わからんハイレベルの本から選びぬかれ集まったエリート本屋)の周辺を取り囲む「日本区域最大の超巨大書店」の周辺を取り囲む「大型書店の1つ」という状態を考えている。ブックオフなどはその周りを取り囲む中型書店になるだろう。その周りを、身近にあるご近所の本屋さんがたくさんずらーーーっと並んでいるというような領域だ。いうならばこれが日本区域である。 世界の蔵書数はGoogleによると約1.3億冊であるらしい。日本区域内に別に中国語や韓国語の本があることもある。ただし日本区域の横には韓国区域だったり中国区域だったりする。その中国区域でもばかみたいにデカい超巨大書店があり、それを取り囲むようにジュンク堂書店並の大型書店があり、英語区域では……というような状態だ。言語別に分けられているだけでなく、「数学領域」で分けられていることもあり、そこでは「高校数学」の棚に世界各国の高校数学が並ぶ。数学の参考書を買いに来た高校生が、カメルーン人の中学生と仲良くなるみたいなことも想定できるわけだ。 地方のクソデカ本屋が数百個単位で入る「は・・・?」「この街が・・・全部・・・本屋さん・・・?」という規模の書店群である。 イメージとしては↓な感じ。 まもなく目的地の駅に近付く。電車にいる人々は全員が本を読んでいる。スマホを触っている人たちなど誰もいない。不思議な光景だ。多くの人がそ��そわしている。初めて来た人たちが多いのかもしれない。 電車が駅に滑り込み走って降りる人々の後ろでのんびりと降りる。全く、はしゃぎすぎだろう。 降りた直後、本の形をした案内板が表れた。真っ先に飛び込んできたのは「↑ バベル中央書店」というやたらとデカい黒文字と、その下にあるやや大きな黒文字の「↑ 北区域書店」だった。 右を向くと・・・あれは・・・本の自動販売機?! 本を自販機で販売するのか。カルピスの作り方・・・自動販売機の歴史・・・Why could he make vending machines?・・・なるほど。 床には文字が書かれている。Station, State, Statue, Status. 何のことやらわからない。 改札を出る。改札を出ると、ああ、もうこれは本のテーマパークだ。最奥部に見える巨大な塔には雲がかかっている。おそらくあれが中央書店だ。その横には数えるのもバカバカしくなるほど書店が並ぶ。街には今まで見たこともないような人々で溢れかえっていた。ベンチでは読書をしている中東とおぼしき人が中国人らしき人と何やら議論している。彼らが話しているのは何語だろうか。 デジタルサイネージで目まぐるしく本の広告が入れ替わっていく。「サウダージにさようなら」「入門グロッキング」「般若心経の終焉」 ぼうっとしているとハトが飛んできた。ここでは何やら、ハトでさえ賢く見える。予算は5万円だったが、足りるだろうか。 Amazon倉庫でもないんだって。 なんか全然伝わっていなくてものすごく悲しい。 子どものときに巨大書店や巨大図書館に人生で初めて行ったときとか、論文と大学と研究の仕組みと接したときに、知の偉大さに震えたことがないだろうか。 目に見えないものは見えないことが多い。たとえば、ライブ会場に行ったことがなければライブの偉大さは本当にはわからないし、「本当にこんなにたくさんの人がファンなのだな」ということもわからない。 記号接地問題ともいうらしいが。 いま「自分が考えるクラスの巨大な本の集積地を人類の誰もが見ていない」というのが問題であると思う。誰1人として。 そういう知がたくさんあることは存在としては知っていても、「それを見たことがある人は誰もいない」のだ。いわば、月は見えるけど、月に行ったことは誰もいないような状態だ。 神田の古本屋街や、既存の大型書店というのは、いわば地球上にある月に似たところでしかない。「たぶんこれとこれがこうなると月」というふうにしか想像できない。だが月に行かなければ月の隕石は無いのだ。 ほとんどの人は、目に見えないなら存在しないと感じてしまう。マッチングアプリで人間を左右にスワイプするとき、人間ではないように扱う。それは人間として存在しているのに。 一方、眼の前に相手がいるとき、同じように左右に指を振って��くのは容易ではない。これが目の前にあるかないかの大きな違いである。 自分が言っているのは、そういう知の集積の偉大さが理解できなくてもとにかくそこに行けば、「ああそういうこと」「人類は偉大だったのか」と、誰もがたちどころにわかってしまう場所がほしいということである。 それから、実現の不可否はともかくとして、「え、そういう本屋あったらめっちゃいいな〜〜〜〜〜〜〜〜〜」と感じてほしい。
ド田舎に世界各国の超超巨大書店が集積する都市がほしい
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シンデレラのお姉さん
指定された時間に律子の家に行ったら、律子は既に運転席に座っていた。車内はクーラーがついているのに彼女の額からは玉のような汗が顔から流れていた。開口一番にねえ痩せた?と聞かれる。わかる?お母さんはやつれたって言うんだけど、わかるよ尋常じゃない痩せ方してる、病人の顔をしてるもの、と病人を沢山見てきた彼女に言われ、ああお盆までたくさんもらったリポソームのサンプルを使いまくろうと思った。肌をピカピカにして、ついでに髪もピカピカにしておけば親戚どもにやつれたとは言われないだろう。あいつら太っても痩せても文句言うからな。そういう時、心の中で私はヨジャドル、私はヨジャドルと唱える。痩せて見えるのも太って見えるのもスタイリングの問題よ。
ナビを設定し、運転してもらってる時も一頻り体調の心配をされ、検査してもらったけどスーパー健康って言われたから大丈夫と何度も答える。クーラーの温度も風量もマックスなのに律子の汗が止まらないので、どうしたの、温度下げようかと聞くと、ギリギリまで車内を掃除してたの、汚くないからよかったら礼もドリンクホルダー使ってと言われた。すごい気の入りようだ。私車に人乗せる時にここまで気を遣ったことあったっけと考える。かぼちゃの馬車に乗るシンデレラみたいな気分。そもそも誘ったのが4日前とかだからいけなかったのかもしれない。
豊田市民文化会館には開場の1時間前には到着した。中学校吹奏楽県大会2日目を聴きに来たのだ。私も律子も元吹奏楽部なので、この会場には思い入れがある。ロビーにはそれなりに人がいたので2階席すぐ埋まっちゃうかもね〜と言いながら開場と同時に階段を上ると、びっくりするぐらい2階には人がいなかった。そうか、ロビーで待ってた人達は出演順が早い学校のご家族か関係者だねと律子と唸る。わざわざ顔の見えない2階席には来ないだろう。でも審査員席は2階なので、学生はそこへ向かって演奏する。1階と2階では響きが全く違うので、家族でも関係者でもない、吹奏楽からもとっくに離れた私達は審査員席の横を陣取った。
そういえば最初から最後までコンクールの演奏を聞いたのは初めてだ。私は姉も妹も吹奏楽部で、少しずつ歳が離れているので、各々の大会を観に行くことはあったけど、出演順に合わせて家を出発していたし、当然自分が出演する側だった時は通しで見られる訳もない。
自分が引退した後も吹奏楽のコンクールにはずっと来てみたいと思っていた。でも車を持っていない時分にはホールへ行くのが不便だったし、コロナ禍で入場規制もあった。ようやく通しで聴けて、自由に休みが取れるようにもなるまで卒業してから15年近くかかってしまった。自由曲に選ばれる曲も現代曲ばかりで当然知らなかったし(私達の時代はこぞってメリーウィドウセレクションばかり演奏していた)、課題曲をマーチにしない学校が大半で時代は変わるんだなあと思った。おかげでマーチが来る度律子とやっぱマーチだよね!と老害ムーブをかましてしまった。
演奏がはじまって何より驚いたのは、審査員の先生方がひっきりなしにメモを取っている事だった。先生によるが、学校にもらう先生からの講評は結構テキトーだったから。大変上手でした。ぐらいの先生もいる。最も私達が汚点と言われるほど下手な代だったからかもしれない。現役時代審査員の先生も飽きちゃうからと自由曲を耳馴染みのない曲にしたりしてきたけれど、先生方は真剣でちっとも飽きた様子はなかった。地区大会はまだしも県大会以降は主催が愛知県吹奏楽連盟ではなくなるから、その分ジャッジが厳しいのかもしれない。
最後の結果発表まで見てきたが、私も律子も気合いを込めて拍手をした。部長だけが壇上で証書をもらう。金賞と言われてキャァと嬌声を上げる学校にも、銀賞と言われて沈黙する学校にも。どんな結果でも涙を流せず証書を受け取り、客席に向かってお辞儀をする15歳に割れんばかりの拍手を送りまくった。不思議なもので時代は変わっても先生が変わっても強豪校は変わらない。きっといいレッスンの先生がついてるんだろうね、と話しながら帰った。
律子と早めに夕食をとる。駅前が居酒屋しかなくて、まあここならおつまみ以外もありそうだし、とやっと探し出した17時から空いている店に入ろうとすると、お酒頼まないと嫌がられたりしないかなと心配していた。なんというか、本当にこの人は普段気を遣いすぎて倒れたりしてないか心配である。ちなみにその和食居酒屋はお酒を頼まなくても嫌な顔ひとつされなかった。高い刺し盛り頼んだからだろうか。
親戚にされた酷い話をツマミにこれ笑って欲しいんだけど、という度にごめんね、ごめんね、と謝られ、次第には涙を浮かべられた。それはちょうど兄に容姿を未だにいじられるのがすごく不快だけれど、私は甥と姪の前では兄を悪く言わないで、数少ない兄との素敵なエピソードをかき集めて甥と姪には話していると言った時だった。だって嫌でしょう。自分の大好きなパパが悪く言われてるのを見るのなんて、と言った時だった。あなたがそんなふうににこにこ気を遣ってしまうのは私のせいだね、ごめんね、と泣くのだ。嫌だ泣かないでよ全部終わった話でしょ、と言いながら私も少し泣いた。
律子は私の姉だ。私は自分の姉と17歳から24歳になるまで口を聞かなかった。理由は分からない。あの時聞いても教えてくれなかった。17歳の時、何度か話しかけても無視された。無視、は私が1番トラウマであったこと、前々から感情の起伏が激しかった姉にほとほと疲れていたのもあり、私も心のシャッターを閉めた。家族もうるさい親戚も誰もその事について触れられないぐらい、7年間私たちの仲は張り詰めていた。
子供だったから仕方なかったのだ。傷ついたのはお互いさま、喧嘩両成敗と思うし今こうして仲良くやってるならなんでも良いじゃんと思うのだけれど、姉はそう思っていない。妹を傷つけ、人の顔色を伺う可哀想な子供にしてしまったと悔やんでいる。7年間の溝は私より姉の方がずっと深く感じているのだろう。律子と会う度初デートの彼氏より細やかに不器用に気を遣ってくれる。罪滅ぼしだ。
きっと被害者でいるより加害者でいたい人なのだろう。姉が謝りたいなら私は謝罪を何度でも受け入れる。でも結局それって、私はずっと被害者になり続けるということで。さだまさしの償いみたいな。島本理生の君が降る日みたいな。
最後は笑って楽しい話をして、東海大会も一緒に行こうと約束した。またかぼちゃの馬車で連れていってくれるらしい。ラッキー。
私と姉は、私が17歳になるまで仲良しだった。だからこそ空白の7年が無ければどうなっていたのか気になるし、空白の7年があったからこそ今ぎこちなくとも上手くやれてるのかもしれない。
私達はどの道あの頃には戻れないのだから、新しく作っていくしかないでしょ。何度でも。
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2024.07.31
付き合って2年おめでとうケーキを同じ構図で当日やりたかったのにゲリラ豪雨でダイヤが乱れ不発に終わった。定時に上がり急いで帰路に立って最寄りの大きな駅でケーキを買って花も買って素敵な日にしたかった。んだなって、1時間後迂回に迂回して家に着いた時にはボロボロで苛立ちと悲しみが同時に襲ってきて気が狂いそうだった。怒の先には哀があってしっかり泣いてしまった。それを見越した恋人がジム終わりに「ケーキを買ってこようか?」と言ってくれた。前の文を珍しく返さずいたからか、連絡くれて余計に泣いた。情緒が不安定な自分が嫌だったので、おめでとう記念日を翌日にすることとした。
*****
2024.08.01
恋人からもらったパンプスをおろし、会社に向かう。御守りだと思って今度こそ祝えますようにとお祈りした。定時に上がり天気も悪くなく急いで店に向かう。花屋に行ったらピンクの花々が売られていて一本一本選んだ。ケーキは彼が望んだいちごタルトがなくて困ったけど、彼っぽいなっていうケーキを選んだ。手紙も昨日書きかけた続きに追加した。
彼はわざわざ家に戻り私の家まで来てくれた。翌日早いというのに。今年はアラモード���なった。
翌日彼はまた会いに来てくれた。
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たどり着かなかったおおくの未来たちへ
文フリ東京だった。 土曜日開催のイベントってなんだかんだ言いながらはじめてのような気がする……労働が土日祝休めなかったころはなんでイベントは平日にやらないんだろうと思っていたし、土日が休みだったころはイベントは土曜日にしてほしいと思っていたが、日月休みになると、イベントは日曜日がいいなと思ってしまう。日月は宿泊料金がやすい。
そんな自分本位な「この日がいいな」をわたしはいくつも持っている。
文フリ東京は、土曜日の朝に出発した。車内販売がなくなってしまって、でもまあ新幹線のホームとか購買にシンカンセンスゴイカタイアイス(シンカンセンモウカタクナイアイスだという噂だが)が売っているらしいから、それを食べようと思っていたが、朝、名古屋駅で見つけることはできなかった。 しょんぼりしながら新幹線に乗る。新幹線の中ではほとんど寝ていた。
東京駅・浜松町・流通センター。いつもの乗り換えで会場に向かう。来年の12月の文フリはビッグサイトでやるらしいから、この行程で向かうのはあと一回。
会場前に八束さんのスペースで不穏なフライヤーをもらう予定だったのでもらいに行ったら、八束さんがさいたま文学館で開催中の『澁澤龍彦の文学世界』のフライヤーも一緒にくれた。 ので、スペースが出入り口の真ん前だったこともあって、これはたくさんのひとに見てもらえるんじゃないか…!ということで、出口に向けて配置した。完璧である。
そんな素敵な設営をして、開場。
遠方からきてくれたフォロワーさんに展示のフライヤーを見せ澁澤龍彦の話をし、「若い頃にわたしも全集読みました!」と言ってもらうなどしたり、痛覚の麻子さんにはえんえんと「この写真見てくださいやばくないですか?羽田に楯の会の制服を着て見送りに着た三島の帽子をかぶっておどけているときの写真でこれが二人が実際にあった最後になるんですよ……」と一生終わらないんじゃない勝手くらいの話をしつづけてしまったり、このフライヤーに気づいてくれた通行人のひと(「澁澤龍彦だ…!」という声が聞こえた)に「裏面も見てください!そしてよろしくお願いします!」とさっと差し出したり……。こんなに充実した文学フリマ東京は、2014年から参加していて初めてじゃないかと言うくらい充実していた。
惜しむらくは、澁澤龍彦のフライヤーと一緒に不穏なフライヤーを挟んでいたにもかかわらず、だれも「澁澤龍彦と棄てに行ける家父長制があるんですか?」と聞いてくれなかったこと…。澁澤龍彦と棄てに行ける家父長制は果たして存在するのか……?
とまあ、こんな感じなのだが、そろそろ皆さんも不穏なフライヤーとは?と思っているところだろうと思うので、ご紹介致しますとこういうやつです。
「父親の死体を棄てに行く」アンソロジー。家父長制を棄てに行きたい方はどうぞ2024年5月の文学フリマ東京をお待ちください。
イベントが終わってからは、八束さんとヒマラヤ鍋を食べに行った。 お店の予約時間まで過ごしていたドトールで渋沢栄一の話になり、「ああ、向こうは傍家で、本家はうちなので」と話したら「いまうちって言いました?」と聞き返される。うちです。 ヒマラヤ鍋屋さんはめちゃくちゃすてきな楽隊(?)��お誕生日パレードがあったり、びっくりするような美味しい鍋を食べられたりと大満足だった。
打ち上げを終えて、翌日のさいたま文学館に備えて埼玉に宿を取っていたので、移動をはじめたら電車がいきなり止まった! 電車の沿線で人身事故があったとのことで、近くのハブ駅みたいなところで電車を降ろされてしまう。こんなこと担ったのは初めてなのでびっくりしていると、とりあえず一時間くらいしたら電車は動くからね~とアナウンスが入り、事なきを得る。
都会ならではの体験だな…と思いながら、ホテルにたどり着いて泥のように寝た。
そしてさいたま文学館へ。
張り切って出てきたら開館まえについてしまった…。図録を買って、老人クラブの展示があったので見せてもらったりして(ヤツガシラの俳句があってとてもよかった)、10時になる。
貸し切り状態……。
展示は、埼玉と澁澤の関係から始まっていて、浦和高校時代の写真(浦和高校同窓会が出しているものだった)があるのがとてもよかった。 限定本も展示がたくさんあり、原稿も、文学館が所蔵しているものが4、5点。 サド裁判のときに澁澤が三島に書き送った手紙に、争点が「わいせつか芸術かを超え、表現の自由/検閲への抵抗である」ことが書かれていることを指摘していたり、『高丘親王航海記』の原稿用紙、最初は「了」と書いてあったのを、推敲の段階で文字を自ら消したことを指摘していたり、「澁澤龍彦」という人物を表現との向き合いかたから見せているのが良いと思った。 面白かったのは三島の写真の使い方で、「血と薔薇」の「男の死」の三島の写真、あと、メインビジュアルが羽田に見送りにきた三島の帽子をかぶっておどける澁澤の写真だったからか、「楯の会の制服を着た三島由紀夫」の写真が展示してあったりした。
展示をひとしきり見た後は、図書室に今回の展示の関連本がまとめてあるとのことだったのでそれを身に。「作家のおやつ」「作家の食卓」といった本の紹介や、山﨑ナオコーラが文豪の墓参りにいく本に澁澤の項目があった。山﨑ナオコーラの澁澤へのまなざしにはわたしにもおぼえがある。よい本だった。そしてその本で、先月わたしが緑色のインコに夢中になっていた霊園に中島敦の墓があることを知った。敦、ごめんな……墓のことなんて全然知らなかったから、緑色のインコのことしか考えてなくて……。
その後は文学館併設の「けやきカフェ」で澁澤龍彦コラボメニューをたべる。黒糖と胡桃のパンケーキ。澁澤が好きだった胡桃や黒糖のお菓子をイメージしてつくられていて、とてもよかった。 思い出したのは、今よりもっと貧乏だったころ、いろんなところでやっている澁澤の展示に行けなくて悔しい思いをしたことだった。いまこうしてたどり着くことができるようになったことを、なんだかとても、自分が、自分をなんとかしているように思えた。
パンケーキを食べ終えてから、「武蔵野うどん」に挑戦することにした。「伊勢うどんとは対極にあるうどんだ」という事前情報しかなかった。 桶川駅ちかくのお店はかなり人気店のようでたくさん人が並んでいて、お店に入れたのは並び始めてから一時間後くらいだった。 つけ麺(うどんのことをつけ麺というのか?)システムで、つけ汁とうどんは別々の皿に載っている。なるほどこういうやつなのか、となにも考えずにがっと箸でつかんで汁につけてすすりはじめたはいいが、うどん、めちゃくちゃかたいんですけど?!噛みちぎれない…やばい、全部すすって口の中に入れるしかない……と思ったが、これがまたすさまじく長くて……永遠にうどんがおわらない……。 こんなに硬くて長いうどんはじめてなんですけど?!おれたちは箸で持ち上げただけでへたしたらブツッといく伊勢うどんの民なんだということを再確認し、「これは風邪を引いたときに食べるうどんではなく、体力が有り余っているときに食べるうどんだな」と確信しました。きっと武蔵野のひとたちは、風邪をひいたときにはおかゆを食べるに違いない。(伊勢志摩の人間は風邪をひいたら伊勢うどんを食べます)
二口目からは一本ずつ食べることで武蔵野うどんのおいしさを堪能し、また是非食べたい、顎の力を試したい、と思った。
武蔵野うどんを噛み���くのに体力のほとんどを持って行かれて、疲れ果てたので、そのまま帰宅することに。 購買にシンカンセンスゴイカタイアイスを見つけたので購入し、席に着くと、隣のひともおなじシンカンセンスゴイカタイアイスを持っていた。しかもおなじチョコレート味。
べつに示し合わせてはいないがふたり一緒に食べることになってしまい、こんなに好きなひとがいるのに、もうシンカンセンスゴイカタイアイスは車内販売されないんだな……と悲しくなる。 そして、乗車15分まえに買ったし、シンカンセンモウカタクナイアイスだった。
アイスを食べ終えてからは、記憶がない。気づいたら名古屋だった。
名古屋駅で、近鉄のホームに来たら、電車を待つ人は無秩序にホームにたたずんでいて、車両のドアとか何も気にしていなかったし、電車が着いても「先に並んでいたひと」という概念がないので、運良くドアの近くにいたひとから電車に乗りこんだ。東京とかから帰る途中、この近鉄のホームの無秩序さを目の当たりにすると、まだ名古屋から三重まで帰らないと行けないのに、「帰ってきたなあ」と思うのだった。
名古屋駅から最寄り駅までも、寝ていたのでほとんど記憶がない。
帰宅したら、夕食は焼きそばだった。焼きそばの麺は、どれだけ頬張っても簡単に噛みちぎれた。武蔵野うどんは硬かった。
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2024年5月7日(火)
夜来の激しい雨も出勤時には小降り、車に乗ろうとするとガレージ隅っこに追いやられているたった一株のアジサイが自己主張をしている。ををそうか、立夏となって君の出番がやって来たのだね。梅雨にはまだ間があるが、その時の活躍を予感させるような瑞々しさ。これから毎朝挨拶して、日毎の色の変化を楽しませていただこう。では、行ってきまーす!
5時45分起床。
洗濯。
朝食。
弁当*2。
可燃ゴミ、20L*1、30L*1&45L*1。
ツレアイ(訪問看護師)は先方の都合で、7時15分に合羽を着て出勤。
ヤクルトさんから、野菜ジュース購入。
8時10分、O姉と一緒に出発。
順調に到着する。
昨日の<情報機器の操作Ⅰ(看護学科)>のネットワーク基礎テストの採点、入力課題のチェック、e-learning修了証の確認。
午後のスタディスキルズ(第4週)の進め方を確認する。
火曜日3限・4限は<スタディスキルズ(看護学科)>、2クラスとも欠席無し。今日の課題は図書館での資料検索と本の読み方、OPACとNDCについて解説と実習、新聞社説を用いた<要約文>作成のトレーニング。連休の疲れか、あくびするもの多し。
帰路も順調、O姉とは拙宅で別れ、彼女は近所の<喜楽亭>で買い物して帰るとのこと。
ツレアイは朝が早かった分帰宅も早く、あれこれ買物や片付けをしてくれていた。
私が夕飯の準備を始めると同時に、ツレアイはココに点滴。
豚バラ肉と新タマネギ・新キャベツの蒸し煮、鱧皮と胡瓜の和え物、さんだかんの焼きソーセージ、見切り品の焼売、レタスとトマト。
録画番組視聴、
春・予讃線、伊予鉄道を呑む!
初回放送日:2024年5月2日 俳優・六角精児が「酒」と「鉄道」という偏った視点で旅する▽予讃線と伊予鉄道で春の愛媛を満喫▽創意工夫をこらした酒の数々と海の幸に舌鼓!▽語り・壇蜜 「呑み鉄(のみてつ)本線・日本旅」第34弾は春の愛媛▽今治から宇和島まで、海と花に囲まれた予讃線にたっぷり乗車▽愛媛の花から分離した酵母で造った酒の味は▽伊予鉄道市内線のクラシックな路面電車に感激▽マダイ、サバ、ブリ、サザエ…四国ならではの新鮮な海の幸に舌鼓▽京王電鉄3000系との再会▽写真映えで人気のあの駅も▽日本酒酵母で造るラム、ピンクの酵母で造る純米酒▽八幡浜の魚市場で豪華バーベキュー
枝雀落語大全、昨日の続きで<持参金>。
片付け、明日の夕飯用にストウブで<無水地鶏カレー>を仕込む。
入浴、体重は250g減。
パジャマに着替えて日誌書く。
バランス良く3つのリング完成。
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コピー本交換会レポート(でもない)①
コピー本交換会ありがとうございました! 早いもので1ヶ月経ってしまった。 2月は本棚展をやったり寄稿するアンソロの〆切×2があったり忙しく、自分主催のアンソロも動き始め、3月に入ったらJ.Gardenもありそのほか生活のもろもろもあり…ずっとドタバタしている。自主開催するイベントってほんとはもうちょっと身軽なときにやるものだったかもしれないなあとは思いつつ、身軽なときというのはなかなかやってこないので、えいやっとやってみてよかったようにも思う。 というかいちばん初めのところでは、えも個展&本棚展への集客につながったらいいなーというちょっと下心みたいな気持ちで始めたことではあったので、会期中の2月に開催したのはそういうわけでした。
つまずく本屋ホォルの深澤さん、mibunkaの吉田さん、快く会場を貸してくださりありがとうございました。わたしの要領を得ない説明をいつも辛抱強く聞いてくださり、コピー本って何?交換ってどういうこと?というところからしっかり会話ができて、とてもうれしくありがたかったです。 わたしが「なんかもっと格好いいイベント名をつけたかったんですけど思いつかなくて…」とぶつぶつ言ったとき、「コピー本交換会ってとてもいいと思いますよ」と吉田さんが背中を押してくださりありがたかった。いろいろ準備したり当日を過ごしたりするなか、今回のイベントはそういうまんまの名前が必要だったんだなあと思い至りました。コピー本を交換するということだけ決まってて、来た人はそれぞれいろんなスタンスでいていいというか。
打ち合わせに何度かお伺いしたのですが、いつもいろんな方がにこやかに出入りしていて、本当にいい雰囲気のお店だなあと思います。お店は地域生活応援団という地域住民主体の支え合いの場、有償ボランティアさんの拠点でもあって、イベント会場に貸していただいた2階スペースはふだんコワーキングスペースにしているとのこと。近所の方が「霞ヶ関の父」っていう傾聴ボランティアをやってらして、幅広い世代の方で賑わっていていいなあと思います。
本当にとても正直な気持ちをいえば、そういう「地域」「地元の人」と密接な場所におじゃまするのはけっこうドキドキします。わたしは自分の作品にセクシャルマイノリティのことをたくさん書くので、生身の人間が顔を突き合わせる場、住所や容姿や年齢やもろもろ属性と紐付きやすい場に作品を持っていくのはとても緊張する。いま家からかなり近いところで貸本棚をやっているけど本当におそるおそるという感じで、もちろん悪いことをしているわけではないしうしろめたい表現というわけではないんだけど…「地縁」的なものになんとか馴染もうとするときに切り捨てられがちなものが気にかかる(そういうものを小説にしている面がある)。 ホォルさんはいま住んでいる場所からは離れているんですが実家の近くではあるので、イベントを開催したり自分の作品を並べたりするのはいろいろ感慨深いものがありました。怖さ、照れ、恥ずかしさ、でもここで自分がこういうことをできるようになったんだなーという喜び。また少部数のコピー本だったりzineだったりは書いた人のパーソナルな部分が出やすいものではあるから、自分含む参加者がリラックスして話せることを大事にしたかった。セーファーな場づくりをしたかった。
深澤さん吉田さんがわたしのそういった葛藤や、zineにまつわるデリケートさをみたいなものを汲んでくださりつつ、本当に快く場を開いてくださりとてもとてもうれしくありがたかったです。イベントが明るくオープンな場になったのはホォルさんmibunkaさんの常日頃からのお店づくりによるものが大きいと思います。ホォルさんの選書にもそういった姿勢があらわれていて、大らかで気骨のある場所だなあと感嘆します。
なんかこのレポートすごく長くなりそうなので何回かに分けようかな。ひとまず今回は余談のような話をしておしまいにします(もはやレポートでもないんだけど、ちゃんと書こうとするとえっらい時間がかかりそうなので、ともかく考えたことを垂れ流しにしているような感じ…)。
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ホォルさんのある角栄商店街の通りに合鍵と靴修理のお店があって、そこで5円コピーというのをやってたんだよね。白黒と単色カラーが5円で、色紙(色上質紙)に刷ると6円だったかな。中学生のころ友だちとそこに行ってペーパーを刷ってたの。 ペーパーっていってもべつに何か宣伝するとかでもなくて、なんかこう…各自が好きな漫画とか音楽とか身の回りのこととか、いろいろおしゃべりみたいなのを書いた手書きの紙。30枚とか40枚とか刷って、学校の友だち同士で交換したり、同人誌のイベントのフリーペーパーコーナーに置いてみたり、好きなバンドのライブとかファン同士の交流会?みたいな場で名刺と一緒に交換したり、郵便で知らない人と交換したり…。 こないだ実家を掃除したらそういうのが出てきて、GLAYのJIROのラジオで紹介されてたスマッシング・パンプキンズのAdoreってアルバムがよかったとか、恋する惑星を観たから香港に行ってみたいとか、そんなようなことを書いていた。いまとあんま変わんないかもしれない。 同じ頃、部活の後輩から毎日手紙をもらっていて、ルーズリーフやコピー用紙にぎっしり書かれた手紙だった。夜に書いたのを朝にくれて、授業中に書いたのを昼か夕方にくれて、1日2通の手紙。わたしの返事は5回に1回返すかどうかって感じだったんだけど、毎日まめに手渡してくれて、なんか話したいことがあったんだろう。わたしにそういう高頻度で手紙をくれる子はほかにも4人くらいいて、毎日たくさん読んでいた。どの子の手紙も深刻な話はあんまりなくて、だいたいは日記というか雑談というか。 あとその頃よく行っていたCD屋で店員さんが新譜紹介のフリーペーパーを自主的に作っていて、これまた手書きの手作り感あふれる感じの紙だった。新譜紹介といいつつ「これぜんぜん好きじゃない」とか「もうこれで解散してもいいくらい最高」とか思いっきり主観で、余白にはどこそこに行ったとか何を食べたとかの雑談も書いてあって…。
わたしはふだん同人誌やzineを作って文フリなどのイベントや書店で販売してるんだけど、今回のコピー本交換会は、こういうペーパーや手紙が頭にあった。売り買いとはちょっとちがうやりかた、むかし作っていたペーパーみたいなことってできるのかな。これは去年6月に参加した陰気なクィアパーティーでzineの交換会をやってすごくいいなと思ったのもあったし、以前umeさんからいただいた交換がテーマのzine(umeさんは本の交換所をやっている)を読んで考えたことでもあった。売ったり買ったりではないことをしてみたらどうなるだろう。売ったり買ったりできないものを作るってどんなだったっけ。
金銭のやりとりの方がコミュニケーション自体はラクだろうか。交換だと人対人になりやすいから結局のところコミュニケーションが達者かどうかになっちゃうんだろうか。買う(読む)側としては匿名でいたい気持ちはすごくある…なら金銭を介したやりとりであるべきか。いや売り買いであっても、規模の小さいイベントだと人対人のコミュニケーションになりやすい。11月に出店者10組だけのzineイベントに出て、「あなたは誰?」「この本は何?」という会話になりやすかった。場が親密になればなるほどそうで、それ自体はとても豊かな時間なんだけど、属性と作品がまっすぐ結ばれるのってちょっと危うさはあるなと思った。そして作り手側もそういうプレゼン?にあっというまに慣れちゃって、自己プロデュースのうまさみたいなことになりがちなのも気にかかる。属性、作品、宣伝、SNS、ビジュアル、会話…そういうものがしっかり噛み合い、「わたしは◯◯で、△△な作品を作っています」がいつも首尾一貫している。一言で説明できる。なんかわかりやすすぎないか。整いすぎてないか。自らと作品をじょうずに寄せにいっちゃってるけど齟齬があってもよくないか。あと買う側の人も自身のことをけっこう開示してくれて、わたしとしては会話ができるのすごくうれしかったけど、無理に話させてないかとちょっと心配にはなった。べつにあなたが何者であっても(なくても)わたしの小説を手に取ってくれるのはうれしい。でもそれだけではいられない、何か話さなきゃって圧が場に生じてるんだとしたら、けっこうきついことかもしれない…とか(ところで陰気なクィアパーティーはそういうのがなくてすごく居心地よかった。会のはじめにセーファースペースポリシーを読み上げてくださって、場にいた人がおたがい了解していたのもあったし、たぶんそのあたりに関心の強い人が多く参加していたのもあったと思う。すごいことだなあと感嘆したしほっとした)。
あるいは売り買いの宣伝の話。文フリとかzineフェスとか書店さんとかで小説を売るとき、多くの人に見つけてもらえるよう宣伝をするわけだけど、なんというかまあけっこう大変だし疲労はある。たとえばアンソロジーだと、コンセプトの強さだったり、フックの効いた言葉やビジュアルだったり、作品や作家の紹介を丁寧にやったり、メンバーの豪華さをアピールしたり…いろいろあるわけだけど、ちょっとちがうことをしたくなった。これはそういうのがよくないという話ではなくて、ちがうベクトルのことをしてみたらなんかいいことあるかもなあくらいのぼんやりした予感。 文芸作品、とくに小説は、読むのにそれなりの負荷がかかると思う。作品の難解さとはまた別のところで気持ちや時間のコストが大きく、「なかなか読めない」という話を作家同士でさえ本当によく聞く。そうすると作品や作家周辺の「活気」みたいなものがけっこう重要ではあって、何か賞をとった、SNSでよく見かける、みんなが話題にしている、みんなが工夫をこらして強い文言で「いい」って言う、そういう祭りや波が読むことへの後押しになる。活気があるのはいいことで、わたし自身すごく楽しんでいるし参考にもしている、かなり恩恵を受けている部分もあるけども、祭りや波から生じる権威大好き感がちょっと苦手ではあって…。権威大好きはちょっと言葉が悪いか。でも沈黙や絶句が、ほんとに沈黙や絶句のままでいられないのはなんかちがうなというか、心の柔らかいところをまいど律儀に開示しなくてもいいし、そもそもそんなに激しく感情が動かなくても楽しんだり感じ入ったりはあるわけで、まして誰々のお墨付きとかじゃなくてもいいわけで…。大傑作とまでは思わなかったけどほどほどに楽しんだ、ちょっといいなと思った、そういうことはぜんぜんあるというかわたしはだいたいの作品はほどほどに面白がってるんだけど、それをまんま口にするとちょっとけなしているみたいに聞こえてしまいそうだなと思う。なんかこう活気を���こそうとする中でちょっと「褒め」がインフレしてねえか…と思う。要するに、祭りや波的なものとはちがったやりかたでの読んだり書いたりが必要な気がしている。 (これはあんまり整理できてないし、活気を起こそうとがんばっている人たちをくさしたいわけではないので、ほんとにまとまってない話で恐縮なんだけど。参加してるアンソロ10000000部売れてくれ〜とかわたしもぜんぜん言うし、人と一緒に作ってるときはおたがいを鼓舞する意味合いも強いのはわかってる。もしかしたらみ���なそんなことはとっくに了解していてあえて強い言葉をやっているのかもとも思うけど、わたしはその「あえて」をやり続けられるのってそれなりに元気な人だけじゃないかなあとは思ってしまう…元気じゃない人も文芸をやりたいし、実際勝手にやってるんだけど、「やってる」ということを他人に見せていくのは大事かなと思って言っている)
余談と言いつつすごい長くなってしまった(むしろ余談の方が長い)。 えーと今回のコピー本交換会、わたしはいくつかzineやペーパーを持って行って、そのうちのふたつ『tide』と『プロテスト・モノローグ』はあんまり売ってない本です。 『tide』は陰気なクィアパーティーでのzineの交換用に作ったもの。短い小説をいくつかと&セクシュアリティにまつわるぼやきみたいな文章をまとめたもので、通販はしてなくて文学フリマにも持って行ってない。zineフェス長野には持ってったかな。べつに過激なことが書いてあるわけじゃないんだけど自分的にちょっとナイーブな話はしてるから、こういう本がありますよって宣伝すると��ると勇気がいるなーと思う。 『プロテスト・モノローグ』はパレスチナへの連帯について考えてることとかのひとりごとみたいなzine。コピー本交換会のどさくさにまぎれて作ったような感じで、ほんとの走り書き。あんまりおおぜいに売るものではないなーと思った。勿体つけるわけではないんだけど、なんかこうちゃんと発信しようとすると発信するための言葉や話題になるわけで、そうじゃない話、「どさくさ」でないと出てこないような話をする必要があるなと思ったというか…。
そういうものを手渡す場所をやろうと思った。交換する本を机に並べて、気になったものを手に取って読んだり持ち帰ったりできる。しゃべりたかったらしゃべれるし、黙って本だけ交換して帰ってもいい。閲覧用の本も置いておいて、読書の時間にしてもいいし本作りのヒントにしてもいいし…。 それがうまくいったのかどうか、当日わたしはドタバタしていてじつはよくわかんないんだけど、ちょっとずつ振り返っていければと思います。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024年)11月6日(水曜日)弐
通巻第8492号
メタ(旧フェイスブック)の多言語モデルが中国軍に転用されていた
自分を吊すロープを敵に売り渡したことにならないのか
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メタ(Meta=旧フェイスブック)はオープンの多言語モデルの「Llama」(ラマ)シリーズを「防衛および国家安全保障のため米国政府機関に提供した」と発表した。
ラマ 3の利用規約には、「軍事、戦争、核戦略対応、スパイ活動、米国国務省が管理する国際武器取引規則(ITAR)の対象となるもの、或いは活動」の使用を禁じている。
ラマ 2は利用規約に米国だけでなく、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージー���ンドの同様の政府機関 (および請負業者) に「例外」を設けている。簡単に言えば西側の安全保障に役立つ利用は可能ということである。
11月1日、ロイターは中国人民解放軍と繋がる研究機関が「Llama 2」を使って軍事目的のAIツールを開発したと報じた。
メタは「利用は許可しておらず、これは利用規約違反だ」と慌てたが、どっこい、そんなことはわかりきったことではないか。
豪シンクタンクASPI(豪戦略政策研究所)が24年8月に発表した驚き桃の木のレポートは、国際競争力ランキングで宇宙航空、量子コンピュータ、Aiなどのハイテク64分野の技術競争において、じつに57の分野のテクノロジーは中国が世界一の水準だと評価した。
問題はMETAの国家安全保障に対する曖昧模糊とした体質だろう。中国がつけいる
余地があった。いや、隙間だらけだったかも。
メタCEOのマーク・ザッカーバーグは天才的発明家だが、まるで異端児、民主党支持者でトランプ批判の急先鋒、2020年にはトランプのアカウントを永久凍結したほどの反トランプである。
だが問題はもっと深く、深刻である。
ザッカーバーグ夫人のプリシラ・チャンは中国人である。ハーバード大学で一学年下の小児科医。両親はベトナムからボートピープルで逃げだし米国へ亡命した。彼女はアメリカで生まれた。
広東語、英語、北京語に流暢なことはいうまでもないが、ザッカーバーグ自身も、夫人の影響で中国語を流暢にあやつり、清華大学での講演を中国語でやってのけるほどの親中派である。
トランプがTIKITOK規制に反対するのは、「もし禁止したら、儲かるのはMETAじゃないか」という理由だ。イーロン・マスクのXとMETAは犬猿の仲であり、マスクはザッカーバーグに決闘を申し込んだほどだった。
▼SNSが「アラブの春」をもたらしたが、その猛省からロシアはハイブリッド作戦を立案し、中国はそれ以上の監視体制を構築したのだ
由々しき事態は中国のハイテク研究者が既に、このラマ・モデルを特殊な軍事およびセキュリティ目的に最適化したことである。いまや中国のハイテクエンジニアにとっては、朝飯前の軽い作業だったかもしれない。
適応されたChatBITは、諜報、状況分析、任務支援などの軍事分野で使用する試用デモンストレーションで成功したと伝えられ、そのまま中国軍の能力を強化する目的で導入される。米国企業は敵に自分を吊すロープを売りわたしたことになり、アメリカは軍事技術での優位を脅かされることになる。
一方で中国は「戦略的な悪用を防ぐために強力な監視体制が必要」と国際社会のむかって強調しているのだから二枚舌の典型だろう。
中国軍事科学院(AMS)の元副院長、何雷中将は、国連に対し、戦争における人工知能(AI)の応用に関する制限を設けるよう求めた(24年9月13日)。噴飯物である。
自分たちは秘密裏に開発を続行するが、ほかの国は足踏みをせよと言っているようなものである。北京が軍事AIリスクを軽減する方向を装いつつ、実際は逆のコースを突っ走っている。
中国は既に2019年版『国防白書』において、「新時代の中国国防(新時代的中国国防)」と題した文章を掲載し、「現代の戦争はますます情報化とインテリジェント化の領域に移行しており、技術の進歩が求められている」とした。
このような中国軍の意識の変化はアラブの春がSNSによる拡散で拡大し、チュニジアの独裁政権を倒し、つぎにリビアの政変に繋がり、エジプトの押し寄せた波がウクライナのマイダン革命へと驀進した。
ロシアはSNSの政治利用を真剣に考え、それがゲラシモフ将軍のハイブリッド作戦に繋がった。SNSを活用して情報を操作し、クリミア半島を併合した。そのドミノは、今度はウクライナに逆流し、戦争の緒線では宇宙衛星と繋がる通信の成果でロシアの戦車隊を追い返した。
中国はこの経過を虎視眈々と観察し、精密に分析し、データを集め、国内の情報管理、情報操作による支配をより強固なシステムとしたうえで、同時に米国の先進的発明をさっと盗み出して軍の現代化に転用したのである。
▼軍事転用すれば指揮官の適格な現場判断を迅速化できる
第一に、大規模なAIモデルを転用することによって戦場の状況認識を強化し、指揮機能をサポートするために、迅速な対応と意思決定を可能にする。複雑な状況下で情報に基づいた意思決定を行うための指揮官の支援が含まれる。また複数のソースからの情報の融合を強化することも重要とされており、AIを使用して衛星、サイバーインテリジェンス、通信傍受からのデータを統合する。
「軍事AIは認知戦争や心理戦にも広く応用されている。軍事化学院の専門家によると、生成AIモデルは、物語に影響を与え、戦略的なキャンペーンを実施して影響力を拡大し、敵の士気を低下させるためのメディアコンテンツを作成する。迅速な拡散ができる。大規模言語モデルは、多様な情報ソースを迅速に統合して、軍事情報分析を強化できるばかりか、言語処理機能により、データ抽出を簡素化し、リアルタイムでの翻訳を可能とし、複雑なデータを実用的な洞察に変換する。したがって戦場での指揮官の意思決定を円滑に支援することが可能になる。(ジェ
イムズタウン財団『チャイナブリーフ』、2019年9月6日、9月8日、ならびに6月21日号)。
Meta は「研究と非商用利用をサポートするオープンソース モデル」だとしてLlama をリリースした。たちまちのうちに中国人民解放軍は Llama を採用して ChatBIT などのモデルを構築した。
Llama は軍事目的での使用を禁止する契約を付属させてはいるが、中国が規約を無視することは明らかだった。まさに「もってけ!泥棒」という結果となった。
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たまごやき
大好きなあなたのことを考えながら、卵焼きを焼いている。
そんな詩めいた言葉を口に含みながら、よく溶いた卵をフライパンへ注いだら、弱火に熱した鉄のうえで薄い黄色がふくふく泡立った。洋食屋のシェフだった祖父直伝の卵焼きのレ��ピの内容は、たまごと醤油と砂糖、あと塩だけ。あせったらすぐ焦げてしまうので、深呼吸しながら巻いてゆく。出来上がった卵焼きの完成度で自分の気分が分かるのはまた別の話。
そうやって、わたしは今、もうこの世にいない大好きなあなたのことを考えながら、卵焼きを焼いている。
だって、卵焼きを焼くと、あなたの耳のうしろへ鼻を寄せたときと同じ匂いがするから。
あなたはわたしのお誕生日の次の日におうちへ来てくれた。茶色くて、骨が太くて、レッドアンドホワイト、オス、と札がついていた。お店で抱っこしたときはあんなに大人しかったのに、うちにくると暴れん坊になった。ラッキーって名前をつけようとしたら、父親が「こいつはそんな感じじゃない」と言って、すぐに〈チャチャ〉という名前になった。本当に声が大きかったよね。すっごいうるさかったよ。横に住んでるビーグルの男の子と、窓越しによく会話してたよね。散歩がすっごく好きだったよね。行けない日は網戸越しに外を見てたよね。バイクもトラックも本気で追いかけたよね。獣医さんの処方した薬は嫌いだったよね。そうそう、話は戻るけど、あなたをお会計(ペットショップ)してるとき、この子は心臓が弱いから生きられても12年ですって言われたんだよ。わたしは10歳だったから、説明を受ける両親の後ろで指を折って22歳まで数えてみたな。実感湧かなかったな。小さくてかわいいリボンを首につけて、ケーキを持ち帰るときとそっくりの段ボールに入って、空気穴から鼻を出してるあなたを見ながら、約12年のカウントダウンが始まりました。懐かしいね。
大好きだよって何度抱きしめただろうね。
私が悲しかった夜。外の空気を吸いたくて、でも門限が厳しかったからひとりでは出られなくて、「散歩連れて行ってくる」って口実で抱っこしたら、眠そうだったのに一緒に歩いてくれたよね。絶対前を歩いてくれたよね。でもそれはただ、自動販売機のひかりに吸い寄せられていたからだって知ってるよ。歩くたびに背中の毛が羽根みたいにふわふわゆれて、あれ、今思えば癖っ毛だったのかな。いろんなところでいたずらしてたし、オムライスのたまごをつまみ食いしたこともあったよね。勝手にテーブルに登ってティッシュを散らかしてたよね。私がリコーダーの練習をしてたら、エーデルワイスに合わせて遠吠えし出したのにはびっくりしたな。あれ今ネットに流せば話題になるんじゃないかな。いろんな携帯を経由してるからもう画質がびがびだけどね。
梨が好きだったよね。おじいちゃんの焼いたパンが好きだったよね。大きい毛布が好きだったよね。こたつも好きだったよね。ひとりっ子でわがまま放題だったあなたに、弟ができたのはその頃でしたね。黒いチワワのちくわ。妹命名です。手の先だけが茶色くて、ちくわをはめているみたいだったかららしいよ。最初は喧嘩してたけど、ちくわがあまりにもどこ吹く風だから、あなたは早々に諦めていましたね。いいコンビだったよ。お留守番も悲しくなくなったよね。いきなり部屋の電気をつけたら、ふたりでまぶし、って顔してたよね。血は繋がってないのに面白いくらい似てたよ。そしてそのまた次の年、コーギーのまめが来て。まめとは……相性あまり良くなかったよね。おんなじ毛の色してるくせにね。たまに、未知の生命体と交信するみたいに見つめ合ってたね。かわいかったよ。なんだかんだ一緒に寝たりしてたよね。リビングに毛玉がみっつ落ちてる光景、好きだったな。
あだ名たぶん10個くらいあるよ。思い出せないけど。チャチャはチャっくんになって、テレビでもののけ姫が流れた次の日、ヤックルにちなんで、チャックルになったよね。どうせなんて呼んでも振り向くんでしょあなたはね。
変なところ鋭かったよね。動物的勘っていうやつなのかな。
家出しようとしたら、静かに目で行くなって言ってくれたよね。
部活の大会で負けて、頭に顔を押しつけて泣いて、あたまびっしょびしょにしちゃってごめんね。
受験勉強で夜更かししてじゅうぶんに寝かせてあげられなくてごめんね。
うるさいって言ってごめんね。でもそれはほんとにうるさかったからこれでおあいこです。
私が大学生になって、あなたの心臓がいよいよ悪くなって。大好きなおじいちゃんの食パンに包まれた薬を飲んでたよね。たまにぺって吐き出して怒られてたよね。たまに発作を起こしてたよね。つらかったよね。何もできなくてごめんね。
夜寝る前に、こっそりあなたの頭に鼻を寄せて、おやすみ、大好きだよ、って言うようになったのはその頃です。そして、卵焼きの匂いがすると知ったのもそれがきっかけです。ごめんね。でもね、朝起きて、あなたが死んでいたら後悔すると思って。自分勝手でごめんね。嫌だったよね。いや生きてるわ、って思ってたよねきっと。でもさ、そんなことでわたしのこと嫌いになったりしないよね。警戒心の強いあなたがわたしのお腹でぐーすか寝るくらいだもん。家族だもんね。
わたしがあなたを最後に見たのは、冷蔵庫の前に伏せをしている姿でした。いつも通りでした。この夜が山場だって両親から言われて、覚悟はしてたの。でもどこかで、大丈夫だろうって思ってたのも本当だよ。だってあなた信じられないくらい骨が太いんだもん。叩いたら太鼓みたいな音するんだもん。チワワのくせに8kgもあったんだもん。あっ、体重測るのはわたしの役目だったよね。わたしがあなたを抱いて体重計に乗って、表示された数字から48を引いたら、あなたの命の重さが分かりました。……そんな重くなかったって? ちゃんと重かったよ。そしてね、すっごいあったかかったよ。
朝。ベッドで寝ていたら、父親が入ってきて。目が覚めたのが先か、父が口を開いたのが先か覚えていないけど、そこで全部を悟りました。父親がわたしに声をかけるときは、決まって大事な話があるときだから。
チャっくんが死んだわ。
一言一句たがわず覚えています。
ベッドから出て、階段を降りて、リビングの柵を跨いで。この柵はね、あなたが脱走するから苦肉の策で設置したやつね。それを跨いで。
頭の横に母、足元に父、おなかのよこに妹。そして心臓の前にわたし。ちくわとまめはどこにいたかな。ごめん二人とも、その瞬間だけは見えてなかったかも。許してね。
死んでたね。
涙が出なくて。だって悲しくなくて。強がりとか薄情じゃなくて、分かってたから。半分だけあなたが死ぬって分かってたから。そっか、死んじゃったかって、あなたの目の前にいるくせにそんなことを思ったわたしのこと怒ってる? ……怒ってなさそうだね。この世の終わりのように泣く母に相槌を打って。初めて見る父親の泣き顔にびっくりして。妹は泣いてなかったったかな。
あまりにも悲しくなくて、普通にお化粧をして、遊ぶ約束をしていた友だちとそのまま遊びに行って、パスタを割り勘して、電車に乗って帰って、恋人に迎えにきてもらって。こうやって文字にしてみたらすごく最低なやつだね。実際そうだよ。母親は不満そうでした。その反応が普通だよ。
だって、悲しくなかったの。当たり前だったから。あなたが生きていようが死んでいようが、わたしがあなたを好きなことに変わりはないし、今まで生きてきた時間は消えないし、思い出もなくならないから。そしてね、あなたが死んでからいまこの瞬間まで、あなたが死んだことを悲しんで涙を流したことはありません。懐かしくて泣いたことはあるけどね。
それは、あなたがぜんぶを連れ去ってしまったからです。
ビルでも建てられそうな隆々とした骨の中で、弱かった心臓を守っていたあなたは、いつだって気丈で跳ねっ返りが強くて。わたしが煌々と電気をつけて勉強するから寝不足だっただろうに、ごはんももりもり食べて。発作のときもどこか豪快で、心配になるような弱りかたはしなくて。ああ思い出した、肉球を怪我してるのに海に入って、血が出てるのに何にも言わなかったよね。気づかなくてごめんね。染みたよね。そんなふうにあなたはずっとまっすぐで。散歩のときはリードを引っ張って。あげく、もうすぐ死にます、なんて診断されて帰ってきて。
好きだったよ。
大好きだったよ。
いや、大好きだよ、今も。
火葬場に行くあなたを、最後にちくわと触りました。まめは連れて行かないでって吠えていました。うまくできた話だよね。泣かせるね。
遺骨になったあなたは、わたしが部活のカメラで撮ったぶさいくな写真を遺影に採用されて、いつもお仏壇はものでいっぱいです。最初はみんなさめざめとお菓子を備えてたけど、今では半分投げやりです。チャっくんにあげとくか〜って軽い感じです。
たまに夢で会いますね。
最初は良かったんだけど、いつしか、夢の中でさえ、なんであなたが生きてるんだろうって思うようになりました。たぶん、わたしにとって、あなたがこの世にいないことが普通になったから。
わたしは、あなたがいないことを悲観的に捉えたことはありません。会いたいなとは思うけど、悲しんで泣いたりはしません。たぶん、これからも。
一月生まれなのに桜が似合うあなたに。
みんなに撫でられすぎてあたまだけ癖っ毛が落ち着いていたあなたに。
悪知恵ばっかり働くあなたに。
ちょっとしゃくれてるあなたに。
しっぽが長いあなたに。
お風呂が大好きなあなたに。
10歳で亡くなったあなたに。
わたしの誕生日プレゼントとしておうちに来てくれたあなたと、その���命に。
耳の後ろが卵焼きなあなたに。
会いたいなと思いながら、さっき、卵焼きをお弁当に入れました。
気が向いたら会いに来てね。今日でもいいよ。そろそろのぼせそうだからお風呂あがるね。明日もお仕事だから早く寝るね。
おやすみ、大好きだよ!
……あれ、なんか伏線回収みたいになった? 職業病かな。うふふ。そうだといいな。
でも本当におやすみ。大好きだよ。
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もう無理……キャクエンしよ……。
役者として1ステを迎えるのは、実に1年ぶり。
ぶっちゃけありえないほどのクソ雑魚っぷりを披露した私は、帰り道、道端に残る水たまりに片足を突っ込みならこう思いました。
そうだ、京都行こう。
役者エグむずいやん。みんないっつもこんな大変なことしてたんですか。いろんな感情があふれてこぼれて、僕の足元には新たな水たまり。明日は晴れます。晴れさせます。
かく言ってますけど、楽しくやらせてもろてます。おおよそベガさんとなぽりが寛容なおかげです。本当にありがとうございます。
何はともあれ役者はすごい!てなわけで、そんな偉くて凄い役者の中から、『いつか栞を挟んで』に登場する皆様をご紹介します。今回は「この役者を主役にするなら、こんなタイトルのこんな劇」というテーマで。
以下役者は本チラ掲載順。
園堂香莉
『シング』
歌でみんなを笑顔にすることを夢見てきた少女。念願叶ってバンドを結成。しかし、第三次世界大戦が始まりかけた世界で、音楽などの娯楽は次第にタブーとされるようになった。そうした社会の風に吹かれ、バンドメンバーも1人また1人と去っていく。そんな少女がたどり着いたのは、商店街にある小さなお布団屋さんだった。彼女の子守唄と、お布団屋さんのお布団で、彼女らは「全世界ふかふかすやすや計画」を実行する。
「世界中の人がふかふかの毛布で眠れば、争いなんてなくなると思わないかい?」
近未来ミイラ
私には主役になれるほどの器はありません。
誰かを主役にすることなら、きっと、なんとか。
たぴおか太郎
『キャッサバイバル』
タピオカの原料として知られる「キャッサバ」、その和名が「イモノキ(芋の木)」であることは周知の事実であるが、そんなキャッサバにも、一時期本物の芋になることを目指していた時期があるということを、君は知っているだろうか。
これは、キャッサバが芋社会からの洗礼を受け、まさに芋洗い状態になりながらも、憧れることの光と闇を垣間見るお話。ちなみに、これはネタバレなのですが、最終的には芋社会のカースト、通称ポーテトで最上位に位置する「スイートポテト」が貢茶(ゴンチャ)の本店を燃やすことになります。芋もホテルも、「スイート」が最上級なんですね。
錫蘭リーフ
『虚ろにジャックポット』
ゲームセンターで働く男。ある日、ゲームセンターの喧騒が似合わない風貌の紳士がその店を訪れる。男が様々なゲーム機に対応する鍵を全て腰からぶら下げているせいで、紳士は男のことを、この世の全ての鍵を開けることができる鍵職人だと勘違いする。半ば無理やり紳士に連れられ、男は大小様々な扉がある部屋へと案内される。紳士は言う。「ここにある全ての扉を、君に開けて欲しいんだ」
「鍵」をテーマに繰り広げられる、ゲームセンターのように騒がしく、それでいてどこか空っぽな物語。
帝京魂
『職場参観』
小学生が、後ろから見ている。作業中の俺のパソコンを覗いている。部長に資料の修正を求められている俺を見ている。電話なのに頭を下げながら話す俺を、なぜか愛しそうに。その小学生の中に、我が子はいるのだろうか。気になるけど、ここで後ろを振り返るのは、なんとなく恥ずかしいような気がする。
オムニくらいの尺で、サクッと笑える劇に仕立てたいですね。
森々仙入
『タイトルコールが始まらない』
とある劇団の公演。いよいよ本番。当初の予定だと、タイトルコールの映像が流れてから本編が始まることになっていた。しかし、本番直前。機材トラブルにより映像が流れなくなる。担当者曰く、「多分すぐ復旧できるから、前説出ちゃっていいよ」とのこと。男は半信半疑で前説に出る。注意事項をあらかた言い終わったところで、舞台袖にちらりと目を向けると、舞台監督が必死の形相で両手を広げている。……延ばせということか?
ラムダが数十分間真面目にふざけ倒す劇。彼は無事に、タイトルコールというエンディングを迎えることができるのだろうか。
箏
『すがる藁もなく』
「この子、きっと何かの病気だと思うんです」。母親がそういって診察室に連れてきた少女は、何を尋ねても無口で、表情一つ変えない。どうやら学校でもこの調子らしく、クラスでは孤立し、家族もどう接すれば良いのか悩んでいるらしい。医者はその子を「不笑病」と診断し、一言。「今から治療をしますので、他の医者と看護師を呼んできます」。院内の医者と看護師総出で、彼女を笑わせにかかる。しかし彼女は笑わない。いや、笑えないと言った方が、正しいのかもしれない。
ルーベの口角が上がったが最後、この物語は崩壊します。地獄を見てほしい。
苔丸
『冷仏』
僕らのクラスには、「仏」と呼ばれる生徒がいる。なんでもできて、なんでも持ってて、なんでも許してくれる。と思っていたのだけれど、仏と同じ中学だった生徒が言うには、それは今が夏だからなのだという。なんでもその仏、「仏の顔もn度まで」のnの部分が、その日の最高気温と等しいという特殊な性質を持つらしい。とはいえ、一日にそんな何十回も仏の気に障ることなんかするはずもなく、大きな問題もなく時は流れていった。……その日、秋にしては異例の寒波が日本を襲う。最高気温は、0度。
苔丸の本当の怖さを、君たちはまだ知らない。僕もまだ知らない。
響夜
『見込み無き巫女見習い』
ある神社に、自らを巫女見習いと称する女がやってきた。おいおい。巫女見習いとかいうわりに、��イツ巫女についてなんにも知らねぇじゃねぇか。発言も行動も全部予測できない巫女見習いに、振り回される人々。挙句、巫女見習いはこんなことを訊いてきやがった。「あの、神様って、なんですか?」
今まで当然のように存在すると思っていた何かが、存在しないと言われたとき。あなたはその存在を証明できますか。
ミル鍋
『アマクチカラクチ』
インターネット上でも有名な辛口料理レビュアー。今日も口にする料理のほぼ全てにマイナスの評価をつけて回る。ある日、そんなレビュアーの隣で食事をしていたのは、インターネット上でも有名な甘口料理レビュアー。どんな料理でも「美味しい!」と言い、その料理の良いところをツラツラと述べていく。「そんなお世辞並べたって、この店は成長しないんだぞ!?」「じゃあ、あなたがつけた難癖で、この店は成長するんですか?」 食を通して、飴と鞭の使い方について考察する劇。
ゆには甘口レビュアーの方が似合いそう。ちなみに本編中に食事シーンが5〜6回登場します。楽ステ後は満腹ですね。
西峰ケイ
『穏やかな濁流』
親の都合で大阪から田舎の町へ転校してきた少女。その町のヌルさに愕然とした彼女は、大阪とは何かを体現していくことを決める。そしてクラスを、学校を、町全体を、大阪一色に染めていく。その町が彼女にとってかなり居心地の良い場所になってきた頃、彼女がいるクラスの扉を開けたのは、町長だった。「俺たちの町を壊したのは、お前か」
新しい宗教が蔓延れば、それを抑制しようとする派閥が出てくる。長い歴史でもずっとそうだったし、きっとこれからもそうで。
あろハム権左衛門
『スローに踊るだけ』
一流のマネジメントウーマン。日々様々な企業へ出向き、無駄を徹底的に省くよう的確に指導。その腕が認められ、彼女の予定は2年先まで埋まっている。一方で恋をする予定なんて入れてないから、恋なんてするはずがなかった。なかったのに。ある日訪れたベンチャー企業を統べる若い社長に、恋をしてしまった、ような気がするんです。
キャスパはもちろん、ゲスの極み乙女の「スローに踊るだけ」です。振付もアロー本人が(え)
アリリ・オルタネイト
『つづきつづれずとも』
日本政府は言う。「みんな別々のものを持っているから、それを振りかざして争うのだ。これからは逆の時代だ。みんな別々のものを失い、支え合っていくべきなのだ」 その次の日から、人々からはそれぞれ別々のものが奪われることが決まった。ある人はお金、ある人は片足。そして彼女から奪われるものは、言葉だった。奪われるまで、あと12時間。彼女は彼女の言葉をできる限り残そうと足掻く。文字で、音で、人伝てで。24時。政府の人間がやってきた。
イルルさんの役者紹介意気込みコメントが好きです。言葉を大切にしている感じがするからです。だからこそ。
〆切三日前
『いくつ担っても』
一人複数性制が導入された日本。今日はこっちの苗字の私で生きようかな。それは先週のことだから、今の苗字の私じゃなくて、先週の苗字の私が来た時に言ってください。そんな世界線で繰り広げられる、非日常的日常系短篇集。しかし日常というのは案外あっさり終わってしまうもので。「面倒だから」という理由で一人複数性制は突如廃止が決まる。おっけー、了解した。で、私はどの私を残せばいいんだろう。
キャスト欄に10個くらい異なる芸名が書いてあるんですけど、その内5個はみそかです。
黒井白子
『試行柵誤』
舞台と客席を隔てるのは、上手ハケ口から下手ハケ口まで一直線に伸びた柵。暗転が挟まるごとに、その柵は意味合いを変える。例えばそれは豪華客船の上。例えばそれは高校の渡り廊下。例えばそれはジュリエットがロミオを見下ろす場所で、例えばそれは高層ビルの屋上。この劇においてツラ線を破るということは、柵を飛び越えるということであり、柵を飛び越えるということは、大抵無事では済まない。そんなオムニバス公演。
僕がやりたいことに、彼はまだ付き合ってくれるのかな。付き合ってくれたらいいなという思いを込めて。
中森ダリア
『カメレオンガール』
バーで働く女。しかしこれは世を忍ぶ仮の姿。彼女の正体は、秘密結社「ユージン」のエリートメンバー。コードネームは「華芽麗音(カメレオン)」。彼女の本当の使命は、彼女自身が様々な姿に化けて、この世に数多いる、友達がいないと嘆く人にとっての「それなりの友達」になること。ある時はギャルに、ある時はおばあさんに、またある時は青年にまでなり、その任務を遂行する。
そんな彼女に、「それなりの友達」はいるのだろうか。
きなこ
『毒あるキノコは美しい』
それはなんの前触れもなく、突然の出来事だった。全国民の頭の上にキノコが生えたのだ。そのキノコは色も大きさも様々で、次第に人々はキノコで人を判断するようになっていく。恋人に求める3Kは、価値観が合う、金銭感覚が合う、キノコと言われるようになった。しかし、ほとんどの国民は知らない。ただ1人、キノコが生えてこない少女がいることを。
キャスパ曲は多分「マッシュルームマザー」
暁レミエル
『マイノリティ魔女リティ』
「魔女ってなんか、思ってたのと違うね」 その言葉が彼女を蝕んでいく。そんなこと言われたって、それが私なのだ。魔女のくせにちりとりの方持ってるのとか言われても、それが私なのだ。魔女のくせに電子書籍で魔法覚えてるのとか言われても、それが私なのだ。それが私なのに。
これは悩める少女の、笑って泣ける物語。
肆桜逸
『寝るまで起きてる』
夜。眠れない夜。男の枕元にあるスマホもまた眠らず、その液晶を煌々と光らせている。その夜男には、無数の電話がかかってくる。恋人から、親から、友人から、先輩から、そして、すでに"眠ってしまった"自分から。
男は"眠る"ことを選ぶのか。それとも、もう一度朝日を見ることを望むのか。スチルさんと他役者の録音された声だけで進む、怒涛の一人芝居。
埖麦
『無念ゴミ』
部屋中の本棚に詰め込まれたアルバムの数々。これらは全て、男が後悔している出来事が鮮明に記録されている「後悔アルバム」であった。一度開けばその時の記憶は鮮明に思い出され、その度に男は、懐かしさというには悍ましいような感情を抱く。ふと、見覚えのないアルバムを見つける。「……これは、親父のだ」
「アルバムって、何曜日に捨てればいいんだろう」
紫苑
『as mysteriously as possible』
少し不思議、いや、かなり不気味。そんな1人の男がひょんなことから異世界に飛ばされるものの、男が不気味すぎて逆に異世界の住人が怯む話。異世界に行けば周りに馴染めると期待していた男は、「変」であることに虚無感を覚え始める。これは「私」が悪いのか、「私以外」が悪いのか。「変」なりの、奮闘記。
略称はAMAP。ほぼSMAP。
水琴冬雪
『いつかオレンジの原付で』
ブゥーーーンブンブブーンブンブンブブゥーンブーンブンブゥーーンブンブンブンブブゥーーーンブンブゥーーンブンブンブブゥーーンブンブリョゥドゥーーンブゥーンブンブブンブンスウブンカィーーンブゥーンブブブーーン
(原付の音であらすじがよく聞こえないが、ベガさんが主役を張る演劇なんて、良い作品になるに決まってる)
以上です。もし実際に脚本に起こしてほしいという物好きな人がいたら教えてください。そのときには10年かけてでも、あなたを主役にする体で当て書きして完成させたいと思います。
びあげのブゥーンはどうしようかなぁ……
大学のキャンパスでcampusノート使ってる学生、見たことない。
近未来ミイラ
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新ベラは何処にいった?
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
どうも、こんにちは。11月3日(日)「文化の日」は、hrkさんと水藻フィッシングセンターに行ってきました。7時半過ぎに着いたんですが、第2駐車場がこのような有様。一体何があったんや?と思いましたが、11月1日(金)に今秋2回目の新ベラ放流があったので、新ベラ狙いなんでしょうね。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
入口の脇に車を停められそうなので停めてみましたが、hrkさんのVWはどこに停める?奥を見に行くと桟橋の手前あたりに軽自動車ぐらいなら停められそうなので、僕の車はそこに停めました。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
駐車場にFさんのトヨタがあったので桟橋を見てみると、放流場所に近い桟橋でFさんとICさんハケーン!Fさんは床釣り、ICさんは正宙のグルテン宙釣りでした。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
さて、hrkさんも到着して、僕らは新桟橋の外向きに着座しました。僕の釣席は113番だったかな?
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
広い水藻FC(三宅池)なので、今日の竹竿は西池で入魂できた「流れ雲」の16尺です。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
師匠のFさんが床釣りスタートなので、僕も床釣りするかな。宙釣りもできるように、浮子は舟水の「PCオールマイティー(期間限定作)」の13番です。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
さ、第1投!浮子がなじむのを見てたら、スマホがキンコンカンコン鳴り出して…
Σ('◇'*)エェッ!? 地震がくるんか〜?マジ?
驚いたが訓練でした…(^▽^;)
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
2投目ぐらい?浮子がムニュって感じで入ったのでアワセたら手応えが軽い…お前かよw
桟橋の上には、他の釣人が釣ったブルーギルが何尾も放置されていますが、僕は殺す気はしませんね…
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
ふう、釣れまへんな。休憩で缶コーヒーを事務所に買いに来ました。新旧の桟橋にズラリと釣人が並んで盛況ですが、みんな外向き。内向きってダメなんですかね?
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
駐車場は第1駐車場(バス釣り客用)も第2駐車場もいっぱいですが、桟橋は余裕ありますね。桟橋が広いのも水藻FCの魅力ですが、浮桟橋なので歩くとかなり足音が響くのでジロジロ見られますw。あと、板の隙間が大きいのでモノを落としますw。僕はハリスメーターを落としたことあります。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
水面の波を見るとわかりますが、午前中は風が強くて浮子が流される。床釣りなので着底したエサが���ンカーになるのか、浮子が流されるにつれて深なじみで魚信が見難い。床釣りやめて宙釣りにしますわ。風に流されないよう浮子は15番にしようかと思ったが、宙釣りだとフォーリングの釣りやし、間をとって14番にします。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
竿も風を受けながら16番は振りにくいので13尺に変更。「げてさく」の白節巻です。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
宙釣りを始める前にとりあえずお昼ごはんを食べます。僕もhrkさんも午前中ボウズ。キビシイね…(汗)
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
午前中、ICさんが様子を見に来てくれて、ICさん1枚(宙釣り)、Fさん3枚(床釣り)らしいので、強豪クラブで活動しているお二人でもこんな感じなので激渋やん。午後の部開始で僕が13尺で正宙どころか深宙も通り越して片ズラシ(下鉤トントン)でやってるとFさんが見に来てくれて、「まだ底の方が安定している」と床釣り(共ズラシ)を勧めてくれた。言われてみれば、片ズラシって教科書に乗ってるが、床釣りって��にベッタリじゃなければ釣れないので、片ズラシって釣れない釣り方なんじゃ…魚が床から浮いていて「かんぬき」で喰ってくる時とか釣れそうな気はするが。ところで、宙釣りの仕掛けでやってるので段差が15cmで大きいと思うんだが、Fさんも段差15cmらしい。では、宙釣りの仕掛けで床釣りするか。
しばらくしてすぐに結果が出た。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
ボウズ脱出〜!hrkさん、スマンw、「一抜け」や。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
またキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
怒涛の連チャンで両目が開きました(嬉)
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
さらに1枚追加でhrkさんとのスコアは3対0になった。珍しくリードしている。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
追加を狙うがブルーギルでした。ブルーギルでもデカけりゃいいのに。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
あ、釣��やがった…ツイホンネガ(^▽^;)
でもこれはスレでした。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
3枚釣ってるので余裕が出てきて16尺に復帰。釣れたと思ったら口の横…「ツン」って魚信やったのに。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
hrkさんが当たり出して3対2まで追い上げられる。よっしゃ「ツン」魚信取った!
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
だが、しかし…アッパーでした。
なんで?めっちゃ良い魚信取ったのに〜。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
hrkさんが今頃に確変モードに入って6枚までスコアを伸ばした。
桟橋の何処かから「釣り方教えて〜」と自嘲気味の会話が聞こえる。元管理人さんがバス釣りに来たついでに手伝っているのか、ちょっと前に釣果を聞きに来たんだが、例会を除いて一般客は最高が9枚で1枚もいたらしい。聞かれた時は僕が3枚、hrkさんが2枚。みんな釣れてないんや。
2024年11月 水藻フィッシングセンター(貝塚市)iPhone11
今日も熱い戦いが終わった。僕はヘラブナ3枚、ブルーギル3尾で合計6枚、hrkさんはヘラブナ6枚で引き分けでした。
こまけぇことはいいんだよw ʅ(◞‿◟)ʃ
では、また。
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