#白鳥ふれあい広場
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藤崎町の白鳥ふれあい広場に来てる。 白鳥はすでに北帰行済み。 #白鳥 #白鳥ふれあい広場 #藤崎町 https://www.instagram.com/p/Cp9KoLlSdGa/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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【2話】 はじめてLSDをやったときのレポ 【さいばーひっぴーができるまで】
僕と友人の“しのはる”は、LSDがどういう効果をもたらすのか特に分かっていなかったが、お気に入りのプッシャーからLSDを引いてみて、早速試してみることにした。
僕らは馴染みの公園に行き、緊張の中LSDを摂取したのだが、初めてのLSDは量が少なかったのか、高揚感や感情の増大などの効果はあったものの、幻覚を見るまでには至らなかった。
ただそれでも、ファミレスで2時間ほど互いに絵を描くことに没頭して奇妙な絵を描いたり、途中で雨が降ってきたのに雨を浴びるのが気持ちいいからと傘もささずに笑顔でびしょ濡れになったりしていて、初めてのLSDは十分愉快で興味深い思い出ではあった。
―――僕らはそれからもLSDを引いて、数回ほど、1ヒット分(100μg分)のLSDの体験をしていたのだが、LSDトリップの醍醐味を味わうことができた体験は、初めてのLSD体験から約1年後のことであった。
このときは、しのはると大学時代の友人でLSD初体験の“イシカワ”を呼び、3人で公園に行って、LSDを摂取した。またこのときは、Twitter上で“地下薬局”と名乗るプッシャーから引いてきた、角砂糖に垂らされたLSDを摂ったのだが、今までのLSDの2倍ほどの効果を感じられるものだった。
摂取してから1時間ほど待つと、視界はシラフのときより俄然明るく、輝かしく見えていて、芝生の緑や空の青々しさ、駆け回る少年の頬の赤らみなどが強調されていたし、なんの変哲もないただの公園なのに、あらゆる対象物に新奇性を覚えるほど、童心に帰ったような感覚で物事を見られるようになっていた。
僕は長らく、地べたにあぐらをかいて座り、公園の池の水面に浮かんだ油膜(それは鮮やかな虹色に発光するマーブル模様に見えている)を恍惚と眺めていた。すると、飛んできた鴨がその池の上に着水したのだが、不思議なことに、その様子はスローモーションがかかったように見え、翼の動きの一つ一つを鮮明に捉えることができた。
鴨は池の上を優雅に遊泳し始め、その油膜の上を通る。鴨の後方に次々と生まれる水面に広がる波紋の一つ一つが、極彩色に煌めくマーブル模様を帯びて、ゆっくりと広がっていく……。
そしてふと、「このサイケデリックな感覚のまま大麻を吸えば、もっと高みにイけるのではないか」と思い立たった。僕は2人に声をかけると、景気良く極太ブラントを作って、3人でそれをまわすことにした。
手始めにひと吸いすると、それだけで視界の奥行き感がなくなり、平坦な2次元動画のように見えてきた。さらに、外界の全ての動きがスローになり、鳥のさえずりや車の走行音などの環境音にはエコーがかかっているように聞こえ始めた。
この時点で、すでに現実の現実感がなくなったように感じていて、「今回こそ戻れないほどやりすぎてしまった」とかなり切迫していたのだが、もうどうにでもなれという気持ちで、それからも二巡三巡とまわってくるブラントを吸い続けた。
公園に生えている木の幹は、呼吸をしているように内側に収縮したり外側に拡張したりしていて、木々が呼吸しているように思えた。さらに深く吸うと、規則性を持って複雑に変化する半透明の幾何学模様が視界全体に現れ、その半透明の幾何学模様越しに、呼吸をしている木々が見えていた。地面は海のように波打って動いているように見え、その波打ちの残像まで見えていて、波打つ地面は遠くなるに連れて微妙に反り返っている。
視覚だけではない。思考は次から次へと矢継ぎ早に連想されながら流れていて、その矢継ぎ早に流れている思考とは別に、バックグラウンド再生のように同時に矢継ぎ早に流れる思考があった。そのため、思考を一つに絞って処理するのが難しく、思考を口に出そうとしても、思考の速さに口の動きが追いつかなくなっていた。
しかも短期記憶がほとんどなくなっていて、ついさっき浮かんだ思考が思い出せなくなっていたので、なんとか紡いだ言葉を口に出しても、言葉を口にした時点で何を喋ろうとしていたか思い出せなくなっていた。
そんなこんなで、やっとのことで極太ブラントを吸い切ると、ついには“目の前の光景を細部まではっきりと見ることができているのに、見ているものがなんなのか認識できない”という状態になった。
その刹那、「もう戻れないのではないか?」という考えがよぎってしまい、その考えを元に高速で恐怖の連想ゲームが始まった。絶望感で声が出せなくなった。
しのはるも僕と同様に、声を出せないか、声を出せても支離滅裂なことしか発せられていなかったので、僕はパニック状態になりつつも、“彼も同じように狂人になっている”と悟って、少し安心した。
ところが、イシカワは平然とした口調で、「お腹すいた。寿司でも食う?」などと呑気なことを言っていた。僕としのはるは、当然まともに言語を話せる状態ではなかったので、顔を見合わせ、テレパシーを使って「こいつとは次元が違う」などと会話をした(LSDの統合失調���様の効果で、相手の思考が読み取れて自分の思考が伝わっていると思い込んでいただけではあるが)。
僕はイシカワに対して、「こんなキチガイが公園の外に出ていいわけがないし、食事するにしてもナマものは気持ち悪いから論外」などと伝えたかったのだが、イシカワも僕としのはるの異常な様子に少し脅えた表情をしているように見えたので、「一旦…それぞれ一人になって…みない?」などと必死に言葉を紡いで喋ると、しのはるはよくぞ言ってくれたという表情で「そうしよう」とだけ言って、そそくさと離れて行った。
イシカワはわけがわからないようで困惑していたが、僕も最後の力を振り絞って、「ごめん、もう…幻覚が凄くて…」などと言って、イシカワから離れた場所に歩いて行き、平たい地面の上に座り込んだ。
地面に座り込むと、現実の瑣末な事象から解放され、一気に幻覚ワールドに引き込まれる感覚があった。僕はどういうわけか、その感覚に集中できることに安心感を覚えていた。
座り込んだまま上空を見上げると、網目の中一つ一つに目玉があるドーム状の蜘蛛の巣が空の全体を覆っているように見えていた。
僕はその幻覚に圧倒されて、後ろにぶっ倒れるようにして仰向けに横たわった。仰向けになると、その幻覚は次第に色濃く迫力を増し、完全に周囲を覆っていった。
次第に、その幻覚は、視界に映っているだけという認識ではなくなっていって、“むしろ実際の現実の光景より現実っぽく思える”という、摩訶不思議な感覚になっていった。
どう考えても“まともでない側の人間”に、僕がその“当事者”になってしまったという事実に、僕は極度のスリルを感じたが、その感情と同時に、目を瞑ったらより深い幻覚ワールドに没入できるという期待もあったので、僕はゆっくりと目を瞑り、LSDに身を預けることにした。
―――僕は奇妙なフラクタル構造の幾何学模様に360度覆われた空間にいた。その幾何学模様は僕の脳に保存されている記憶とは全く関連がないような、まるで見たこともなく、この世のものとは思えないパターン・構造・配色に次々と変化をしていき、それは無限に変化していく……。
僕はいつの間にか身体感覚を認識できなくなっていて、現実世界とは切り離された、魂の空間とでもいうような世界に入っていき、現実の事象―ここがどこで、僕は誰で、今は何時で、何を摂取してこんなことになっているのか―などが、まるでわからなくなっていた。
ここから記憶は曖昧だが、気づくと、先の見えない遥か上空まで続いている高い塔に沿って、魂だけの自分が上空に向かって凄いスピードで進んでいた。上空に進めば進むほど、現実世界がどんどん遠のいていくような感じがして、これはとても言葉では言い表せないほどに爽快だった。
すると、スピードは次第に弱まり、フリーフォールのように猛スピードで落下していった。面白いことに、落下するごとに徐々に現実の事象が思い出されてきて、地面に直撃する寸前で身体感覚や現実の記憶を取り戻した。
と、思ったら、自分の過去をプレイバックするように高速で時間の巻き戻しが始まり、一人称視点で、学生時代から少年期、さらに覚えているはずのない幼少期から乳児期まで遡り、母親の胎内へ入っていった。
すると途中で、逆再生は止まり、今度は未来方向に向かって、高速で早送りされる映像が始まった。再び一人称視点で、誕生から今生きている時間まで進んでいったが、さらに現在を通過して、数分後の未来から自分が老いて死ぬまでの主観映像を見た。不思議なことに、これらの各瞬間は主観的に現実感があり、“今”の事象として認識されていた。
それから自分が死んだ後も、映像の早送りは続き、さらにその先の自分の死後の世界の映像を少し見させられ、また逆再生が始まった。そして未来の死の状態から生の状態に、さらに巻き戻って、現在の時間に戻った瞬間、急に意識がはっきりし、僕はその勢いで目を開けて上体を起こした。辺りを確認すると、少し離れた場所にいたしのはるも、ちょうど上体を起こしてこちらを見ていた。
今��こそサイケデリック体験についてある程度理解はできているけど、当時はこの体験がなんのことかまるでわからず、SFやファンタジーのような摩訶不思議な世界に放り込まれたような気持ちだった。
しのはるも僕と同じように神秘体験をしていたようで、僕らは興奮しながら、ただ顔を合わせ、互いに言葉にできない想像を絶する体験をしたことを感覚的に共有した。
その後、僕らはとりあえず作戦会議をしようという話になり、ガストに行くことにした。言葉にするのはとても難しかったけど、どうにかお互い自分の体験を言葉にした上で、「LSDによる神秘体験を幼馴染と共有できていることの奇跡」などについて、恥ずかしげもなく語り合った。
また、僕たちはこの体験を通して、「死とは自分にも訪れるものなのだ」という本来当然の事実を、自分の肉体をもって理解することができたと感じていた。漠然と抽象的に、他人事としてイメージしていた“死”という概念の実態を掴めた気になって、死に対する恐怖心が薄れている感覚があった。
それと同時に、「今までいかに自分の人生に当事者としての自覚を持たずに、世間に合わせて流されるままに生きてしまったのだろう」とか、「どうせ死ぬのになぜお行儀よくしていたのだろう」というような後悔の念を強く抱いた。
そうして一通り話を終えた頃には、LSDの効果が下がっていて、サイケデリックな感覚は失われていってきていた。ただしかし、シラフに戻れば大丈夫という話ではなかった。臨死体験と括るだけでは物足りない神秘体験をしたということは、今後の一生を大きく変えるターニングポイントであり、一生忘れることのない体験なのだと思った。
そういえばよく覚えていないけど、トリップ中に体験していた“自分が死ぬまでのヴィジョン”は、このままの人格や生活環境であると、面白みのない人生を送って寂しく死んでいくという印象の体験だった。
ところで、イシカワはというと、そもそも僕としのはるほど大麻を吸っていなかったらしく、それによってトリップの深度の差ができていたようだった。とはいえ、イシカワも十分トランス状態ではあったので、僕としのはるが仰向けになってブッとび出したあたりで、その状況が猛烈に恐ろしくなったらしく、ひとりで電車に乗って、人混みに怯えながらどうにか帰ったらしい。
後日、イシカワにはちゃんとワケを話して、「ブッとびすぎててごめん」などと言って謝った。ただでさえイシカワは初体験なのだから、さぞかし怖かったんだろうなあと思う。
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つづく(この物語は雑誌「さいばーひっぴー」の「さいばーひっぴーができるまで」に載っている内容とほぼ同じものです)
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この物語はフィクションです。また、あらゆる薬物犯罪の防止・軽減を目的としています( ΦωΦ )
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いざ!相棒CB223Sで行く東北1周の旅ッ!~後編~
宮城県にてテント泊したのち、次なる目的は良さげな田んぼを巡りながら岩手県の岩手山、八幡平の山々を眺め、鳥海山を見に行く!
…振り返るとなんとも盛りだくさんだったなと思います。 初めての地であんなに魅力的な道と山、そして里山を目にしてしまったら、写真撮ったりまったりしてしまってなかなか進めないのは明白でした。
天気にも恵まれ、快晴のなか北海道にはない植生と地形、街の作りをバイクで走りながら「どうしてこんな形になったのだろうか、人々はどう暮らしたのだろうか」と思いにふけるも旅の面白さだと感じました。
行きと帰りのフェリーや道内を走る日を除いて実質4日間の東北ツーリングでしたが、圧倒的日にちが足りないッ!(泣) こんなにも東北は見どころが多く、植生・地形が面白く、バイクで走っていて楽しくて、なによりご飯とお酒がおいしかったとは…
初めての東北バイク旅は、私の視野とバイク旅の選択肢を大きく広げる非常に充実した【たまらん!!】ものとなりました。
一枚目【焦点距離】40mm【ISO】64【SS】1/640【F値】/5.6 二段目左【焦点距離】40mm【ISO】64【SS】1/125【F値】/2 二段目右【焦点距離】40mm【ISO】64【SS】1/1600【F値】/2.8 四枚目【焦点距離】20mm【ISO】64【SS】1/1250【F値】/4 四段目左【焦点距離】40mm【ISO】800【SS】1/40【F値】/5 四段目右【焦点距離】40mm【ISO】64【SS】1/80【F値】/2 七枚目【焦点距離】40mm【ISO】64【SS】1/125【F値】/2 六段目左【焦点距離】135mm【ISO】64【SS】1/640【F値】/2.5 六段目右【焦点距離】40mm【ISO】64【SS】1/250【F値】/7.1 十枚目【焦点距離】40mm【ISO】64【SS】1/1000【F値】/5.6
��…今回行きそびれてしまった場所等。気になって仕方がありません!また旅に出るのは時間の問題でした。)
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Persona 3 Club Book Strega pages scan and transcription.
ストレガ
Strega
主人公たち特別課外活動部の行く手に現れる謎の3人組。同じペルソナ使い ながらあくまで敵対する彼らもまた、彼ら自身の信念でその限られた力を振るっている。
復讐代行屋 Strega
港区全域
自らをストレガと名乗る3人組の表向きの顔は、「復讐依頼サイト」に書き込みされた内容を受けて、自ら手を下せない依頼人の代わりに復讐を果たすことだ。人知れず所持する武器を手に、彼らは裏社会を渡り歩いている。
3人はいずれもかつて幾月が、ペルソナ能力者開発のためにグループ内部にすら秘密裏に進めてきた研究の被験者だ。非合法の人体実験で多くの子どもたちが命を落とすなか、幸運にも生��永らえて能力を開花させたものの、悲惨な実態を目の当たりにして研究所から逃亡し、身を寄せ合って生きてきた。
ペルソナ能力の発現と引き換えに心身に過剰の負担を負う彼らは、制御剤の力を以ってすら長くは生きられない。生命としてのルールを逸脱した運命に魅入られ、彼らは刹那的な衝動にのみ突き動かされて生きている。
たった3人だけで影時間に生きてきた彼ら。宵も享楽を求めて夜の街を笑う。
タカヤ Takaya
凶行の担い手
ストレガの実質的リーダー。3人の中では推定年齢が一番高く、研究所から逃亡した当初から指導的立場に立っている。刹那的・虚無的な思考が強く、自分にも他者にもあらゆる物事への執着の愚かさを説く。復讐代行屋として銃の引き金を引くときも、自分の享楽はもちろんだが、相手の生にしがみつく無様な姿を浄化してやろうという思いがあるようだ。
かつて同列の研究対象であったタルタロスは、忌まわしい邪悪なものではなく、甘美な悪夢をもたらす近しいものだと考えており、ペルソナ使いの存在はもまた、タルタロスあってのものだとしている。そのため真意を知らずタルタロス破壊を目指す主人公たちの存在は、愚かな人間がシャドウの恐怖に怯えることへの嘲笑も込めて、抹殺すべきものだと捉えている。
主人公たちの働きではからずも滅びそのものである二ュクスの復活が秒読み段階に入ると、自ら二ュクスの代弁者を名乗り、滅びと破壊の思想で扇動する。
タカヤの救世主思想
• あなたが自覚している悪意と、相手が感じている悪意とは無関係⋯ 人はみな、聞きたいように聞き、信じたい事だけ信じるものです。(6月22日影時間・裏通り)
• 聞けば、人々を守るための、“善なる戦い” だとか。ですが⋯ 今夜はそれをやめて頂きに来ました。(8月6日影時間・防空壕跡)
• 時の限られたこの体⋯力を失ってまで生き永らえるなど無意味⋯ ならば、 私の生きた証⋯ この地に立てるのみ!(11月3日影時間・ムーンライトブリッジ)
• 分かっていますね⋯? 君には “居場所” など無い⋯ 私たちと来る以外にはね。君もよく知っている筈だ⋯ 怖いのは死ぬ事なんかじゃない。(11月21日深夜・辰巳記念病院)
• フ⋯亡霊などではありませんよ⋯ 生に “執着” などしなかった我々を��運命はそれでも “生かした”⋯ 私は “選ばれた” のです。(11月22日影時間・タルタロス)
自分たちの思想こそが浄化された世界を作ると信じるストレガのリーダー。痩せこけた体に長い髪、色素の薄い瞳という憂世離れした姿。
欲深き自称メシア
ほぼ同年代のはずのストレガですがタカヤは見るからに老け顔。不精ヒゲを剃って髪を切ったらかっこいいのに。
ジン Jin
知性派の爆弾魔
タカヤの右腕を務める少年。自作の爆弾を持ち歩き、武器として使用している。
社会から隔絶された自分たちだけのコミュニティの中で生きているストレガは、物資の調達の大半を影時間を利用した略奪行為によってまかなっているが、その指揮を担うのがブレーンであるジン。特別課外活動部を脱退してからの荒垣に接触し、ペルソナ能力抑制のための制御剤を提供することになったのも、ジンの情報収集能力あってのことである。またネットでは同名のハンドルネームで知られており、その知名度と情報操作のノウハウが、ニュクス教を一気に広げることを可能にした。
つねにともに生きてきたタカヤを崇拝しているが、それゆえに狂気の思想に囚われる彼を、命を捨てていさめようとする。
物議を醸す髪の構造がよくわかる右からの一枚。身につけているものひとつひとつにもこだわりが感じられます。
ストレガ一家を支える苦労人な屋台骨
実際的な生活能力の欠如したストレガを支える一番の常識人。資金調達から食事の世話まですべてを担う関西弁のミリタリーマニア。
ジンの毎晩大変なんだから
• お前を恨んどるヤツがおんねや。でもって、“復讐” を頼まれとる。(6月22日影時間・裏通り)
• お前らには “個人” の目的しかあらへん。どいつも本音はその為に戦っとる。お前らの正義は、それを正当化する為のただの “言い訳” や。そんなんは “善” や ない⋯ ただの “偽善” や。そんなもんに邪魔されとうない。(8月6日影時間・防空壕跡)
• 破れかぶれは、あかん! ⋯すんません。でもこれは⋯ あなたが言うてくれた言葉です。(11月3日影時間・ムーンライトブリッジ)
• やめときや、タカヤ⋯ アンタには先がある! ここで無理したって⋯意味 あらへん! (11月22日影時間・タルタロス)
チドリ Chidori
手斧の魔女
白いドレスに身を包んだ、虚ろな表情の少女。ストレガのひとりとしてタカヤやジンと行動を共にし、ぺルソナ能力のひとつである索敵能力でふたりのサポートを行なうが、ふたりとともに戦いの場で力を振るうことは少ない。
感情表現に乏しく、とくに喜びや悲しみを表に現すことはほどんどない。それは幾月の下で受けた過酷な人体実験や、逃亡後の寄る辺のない生活によって後天的に身に付けた自衛の手段。また彼女は自身のペルソナを通して、あらゆる生き物に命を分け与えることができるが、これも自分の人生にはすぐ先に死が見えているという揺るぎない事実ゆえ、生きることに対してまったく執着を持たなくなった結果の悲しい力だ。しかしそれでも、ふたりが手を下す殺戮現場に決して目をやろうとしないのは、運命をゆがめて与えられる死への、本能的な嫌悪感を抱いているからかもしれない。
生を放棄した飛べない小鳥
可憐な容姿に似合わず手斧を振るって戦う少女。気の向かない相手とは一切会話せず、自分のペルソナだけを拠りどころに生きている。
冷めた目線はチドリのトレードマーク。豪奢なドレスは彼女の趣味なのか、ジンのお仕着せなのか。
あんたには関係ない私の言葉
• チドリよ。私の名前。順平が訊いたんでしょ? あの絵⋯もうすぐできるから。私の描いたものは、私にしか分からない。でもそんなに見たきゃ⋯来れば? (8月31日昼・ポートアイランド駅前)
• 命より、作戦が大事ってこと? 死ぬ事って、普通の人には一番の恐怖なんでしょ? ⋯ 違うの? (9月5日影時間・巌戸台分寮屋上)
• ⋯言っとくけど、心配してくれなんて、言ってないから。あんたの勝手な早合点でしょ。(9月8日昼・辰巳記念病院)
• なにそれ⋯ なんで、そんな顔してるの? 死ぬなんて怖くないのに⋯ 死なんて、あした目が覚めないってだけ⋯ ただそれだけじゃないの。(9月10日昼・辰巳記念病院)
• そう⋯アイツのせいよ⋯ アイツが近づいて来てから、私、毎日、苦しくて⋯ 死ぬのが⋯怖くなって⋯ (11月21日深夜・辰巳記念病院)
• 順平と一緒に居ると、怖くなかったものが、なんでも怖くなる⋯ 無くすのが怖い⋯ 死ぬのだって怖い⋯ 一緒の時間が終わっちゃうのが⋯怖い⋯ だから、私⋯ (11月22日影時間・タルタロス)
「チドリ補正」の入った超ナイスガイな順平とともに。幸せになって欲しいカップルNo.1。
順平との出会いと「生きること」
敵同士としての立場にありながらも献身的に���くす順平と出会って、チドリは少しずつ生きることの意味を知る。けれどそれは自分自身の死の認識と同義。ずっと忘れていた死ぬことの恐怖におののきながら、それでも彼女は愛する彼に生きて欲しいと願った。
頬を染めたグラマラスなチドリの魅力に、すっかり鼻の下が伸ぎ切った順平がキュート。がんばれヒゲ男くん!
#persona 3#p3#p3 club book#strega#takaya#jin#chidori#scanned these ages ago but have only now transcribed them
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各地句会報
花鳥誌 令和6年5月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年2月1日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
立春を待たずに友は旅立ちし 喜代子 習はしの鰈供へる初天神 由季子 在さらば百寿の母と春を待つ 同 春遅々と言へども今日の日差しかな 都 橋桁に渦を巻きつつ雪解水 同 盆梅の一輪ごとにときめきぬ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月3日 零の会 坊城俊樹選 特選句
飴切りの音高らかに春を待つ 和子 風船消ゆ宝珠の上の青空へ 慶月 天を突く手が手が福豆を欲す 光子 葬頭河の婆万年を寒く座す 光子 飴切りのビートを刻み追儺の日 いづみ 虚無なるは節分の達磨の眼 緋路 老いてなほ鬼をやらふといふことを 千種 恵方向く沓の爪先光らせて 光子 とんがらし売る正面に福豆も 和子 錫杖をつき仏性は春を待つ 小鳥
岡田順子選 特選句
厄落し葬頭河婆をねんごろに はるか 柊挿す住吉屋にも勝手口 眞理子 豆を打つ墨染のぞく腕つぷし 千種 奪衣婆の春とて闇の中笑ふ 俊樹 亀鳴けば八角五重の塔軋む 俊樹 節分や赤い屋台に赤い香具師 緋路 錫の音待春の鼓膜にも 緋路 飴切りのトントコトンに地虫出づ 風頭
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月3日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
ものゝふの声は怒涛に実朝忌 かおり 実朝忌由比のとどろきのみ残る 睦子 久女忌の空は火色にゆふぐれて かおり やはらかな風をスケッチ春を待つ 成子 実朝の忌あり五山の揺るぎなし 美穂 歌詠みは嘘がお上手実朝忌 たかし 死せし魚白くかたどり寒���光 かおり 実朝忌早き目覚めの谷戸十戸 久美子 寒月や薄墨となるパールピアス かおり 寒月に壁の落書のそゝり立つ 同 ふはとキスこの梅が香をわたくしす 美穂 昃れば古色をつくす蓮の骨 睦子 寒禽の過り裸婦像歪みたる かおり 人呑みし海ごつごつと寒の雨 朝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月9日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
両の手をあふるるあくび山笑ふ 美智子 春浅し絵馬結ふ紐のからくれなゐ 都 鰐口に心願ありて涅槃西風 宇太郎 柊挿す一人暮しに負けまじと 悦子 寒晴や日頃の憂さをみな空へ 佐代子 師の苦言心にとめて初硯 すみ子 この町を砕かんばかり月冴ゆる 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月10日 枡形句会
春菊をどさつと鍋に入れ仕上ぐ 白陶 落ちる時知りたるやうに紅椿 三無 装ひは少し明るめ寒明ける 和代 一品は底の春菊夕餉とす 多美女 中子師の縁の作詞冬の能登 百合子
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令和5年2月11日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
料峭の石橋渡る音響く 三無 苔厚き老杉の根に残る雪 あき子 羽広げ鴨の背にぶく薄光り のりこ 春まだき耀へる日の風を連れ 三無 吟行や二月の空は青淡き 和魚 春めきて日向の土の柔らかく 三無 春の陽を川面に溜めてゆく流れ 貴薫
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月12日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
古暦焚くパリの下町も焚く 昭子 豆撒や内なる鬼を宥めつつ みす枝 落日にして寒菊の色深し 世詩明 被災地の家もひれ伏し虎落笛 ただし 裸婦像の息づく如く雪の果 世詩明 雪吊の縄にも疲れ見えにけり 英美子 ありし日の娘を偲び雛飾る みす枝 それぞれの何か秘めたる卒業子 世詩明 今生の山河に満つる初明り 時江 九頭竜の河口に余寒残しをり 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月13日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
春立つや電車もステップ踏み走る 紀子 薄氷を横目に見つつ急く朝 裕子 商店街バレンタインの日の匂ひ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月13日 萩花鳥会
白梅と紅梅狭庭にうらうらと 祐子 熱燗で泣けたあの唄亜紀絶唱 健雄 如月の青空のこころ乗り移る 俊文 春の霜とぎ汁そつと庭に���き ゆかり うすらひを踏むが如くの孫受験 恒雄 透きとほる窓辺の瓶や冬の朝 吉之 身に纏う衣減らざり春浅し 明子 躙り口扇子置く手に零れ梅 美恵子
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令和5年2月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
越前の雪の生みたる雪女 雪 又次の嚔こらへてをりし顔 同 一としきり一羽の鴉寒復習 同 横顔の考へてゐる寒鴉 同 老いて尚たぎる血のあり恵方道 真喜栄 節分会華を添へたる芸者衆 同 白山の空より寒の明け来たり かづを 紅梅や盗まれさうな嬰児抱く みす枝 老犬の鼾すこやか春を待つ 清女 佐保姫やまづ能登の地に舞ひ来たれ 嘉和 収骨の如月の手は震へつつ 玲子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月16日 さきたま花鳥句会
煮凝を箸で揺らしつ酒を酌む 月惑 春一番ドミノ倒しの駐輪場 八草 雪残る路肩を選りて歩く子ら 裕章 春立つや蠢く気配絵馬の文字 紀花 朽木根に残してあがる春の雪 孝江 見舞ふ友見送る窓の老の春 ふゆ子 鼓一打合図に開始鬼やらひ ふじ穂 スクワット立春の影のびちぢみ 康子 匂ひ来し空に溶けたる梅真白 彩香 生みたてと書きて商ふ寒卵 みのり 寿司桶の箍光りたる弥生かな 良江 春泥や卒寿の叔母の赤き靴 珪子
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令和5年2月18日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
総門を白く散らして梅の寺 斉 俯ける金縷梅の香や山門に 芙佐子 恋の猫山内忍び振り返る 斉 日溜りに小さき影なし猫の恋 白陶 腰かけて白きオブジェの暖かし 久子 鳥もまた盛んなるかな猫の恋 白陶
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月21日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
撫で牛に梅の香纏ふ天満宮 笑子〃 白梅の五感震はす香の微か 千加江 真夜の雪寝る間の怖さ知るまいの 令子 銀色の光ほころび猫柳 啓子 復興や春一丁目一番地 数幸 紅梅の謂を僧の懇ろに 雪
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月22日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
一羽には一羽の矜持寒鴉 雪 憶却の先立つてゐるちやんちやんこ 同 煮凝りや良き酒飲めて子煩悩 同 来し方を語り語らず大冬木 同 此の人の思ひも寄りぬ大嚏 同 初春の遥か見据ゑ左内像 一涓 熱燗や聞きしに勝る泣き上戸 同 己がじし火と糧守りて雪に棲む 同 灯もせば懐古の御ん目古雛 同 もう少し聞きたいことも女正月 昭子 冬日向ふと一病を忘れけり 同 瀬の音にむつくりむくり蕗の薹 みす枝 夜中まで騒めき続く春一番 やすえ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
寒紅や良きも悪しきも父に似し 雪 退屈をひつかけてゐるちやんちやんこ 同 春立つや千手千眼観世音 同 路地路地に国府の名残り春の雪 同 節分会葵の御紋許されて 同 越前の夜こそ哀し雪女 同 瓔珞に鐘の一打にある余寒 清女 能登地震声を大にし鬼は外 数幸 春塵や古刹の裏の道具小屋 泰俊 蕗の薹顔出し山を動かしぬ 啓子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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東北のある地域に伝わる儀式
執筆者: 河合 曽良
◆
うちの地域に伝わる"ある伝統行事"を世に広めてほしい。
そう頼まれたのは、一昨日の明朝でした。
その日はたまたま大きな町に立ち寄ったということもあり、採った宿も比較的豪勢で、夕餉をいただいた合同の宴会場もとても賑やかなものでした。
一度も顔を合わせたことのない者同士でも肩を組み合い、大声で笑い合って、浴びるように酒を飲んでは給仕を口説いたり踊ったりして、また飲んで。
ジジイも久しぶりに熱燗を嗜み、気を良くして絡んで来やがるのがウザかったことをよく覚えています。
そんな騒がしい酒の席も夜が更ければやがて鎮まり、そろそろ太陽が顔を出すのではないか。そんな時でした。
「失礼。貴方のお隣の翁は、もしやかの高名な俳聖松尾芭蕉殿ではございませんか」
声をかけてきたのは、三十路前後の青年でした。
「高名とは滅相もないですよこんなジジイ」
「いやいや、そんな。…けどご本人様、なのですよね?」
「ええ、まあ。」
「そうでしたか! …それは光栄だ。私人の手を借りたい事柄を抱えているものですから、もし俳聖のお力をお借りできるのであれば、是非ともと思いまして」
「芭蕉さんの、ですか?」
聞き返すと、妙な光の宿る目で彼は頷きました。
それから話半分で詳細を聞いてみると、「うちの地域に伝わる"ある伝統行事"を世に広めてほしい」とのことでした
何でも彼の地元の地域には 一風変わった風習があるらしく、それは伝統行事や祭りごとというよりも、"儀式"に近いものなのだそうです。
つまるところその"儀式"の様子を、芭蕉さんが俳句にして詠み、世に発表することで存在を知らしめてほしいのだと、。
そういった説明をされました。
…なるほど、これは面白いかもしれません
だって年中スランプなジジイにとって良い刺激になるかもしれないじゃないですか。
どんな風習かは分かりませんが、当事者である彼自身が「変わってる」と表現するくらいですから、きっと珍しい行為が行われているのでしょうし
それについて芭蕉さんがどんな反応を見せるのかも、気になるじゃないですか?
この手の言い回しをするだなんて、きっと"因習"の可能性高いですよ。
…ということで、引き請けることにしたんです。
芭蕉さんには夜が明けてから事の経緯を説明しました。酒にめっぽう強い芭蕉さんはやはりケロッと目を覚まして、すぐに快諾してくれました。(最初 めんどくさがってたんで試しに一発パンチしてみたら言うことを聞きました)
出発は巳の刻直前。件の彼の案内で、該当地域まで移動しました。
町から然程遠くはなく、一刻程歩くと到着したくらいでしょうか。
その地域に入ると、彼は僕たちを自宅に招いてくださいまして。唐代の宮殿さながらの 荘厳で広大な邸宅に、芭蕉さんは大はしゃぎ…
恐らく地域一帯を治める地主か、領主の家系なんでしょうね。
彼はその家の次男らしく、僕たちはひとけのない小さな倉へと案内されました。
そこで、こんなものを見せられました。
※写しについて承諾済
それは粘土を固めたような、土臭いお面でした。
最初に倉に入った時、これには白い布が被せられていて、布を剥ぐ前��は 「決して面と目を合わせないでください」とも言われまして。それもかなり念入りにね(芭蕉さんとんでもなくビビってました)
これを承諾すると布が剥がされ、彼は"儀式"について説明してくださいました。
"儀式"の詳細は、以下にまとめさせていただきます。
◆この地域に伝わる"儀式"について
儀式の名称・・・ 降来 (コウレイ)[kou-lei]
概要・・・ 一般的な葬祭(葬儀や供養等)はせず、その
代わりに行う。死者が無事冥府へと辿り
着けるよう、その迎えの者を呼び出す儀
式だとか
時期・・・ 身内の死去後すぐ
用いる道具・・・ ◼️◼️◼️◼️◼️(面の名前)、懐刀
◆儀式の流れ
(一) 身内が亡くなったら、湯灌して奥座敷に三日安置する。下一枚目間取図参照。この間に諸々の準備をする。関係者への声がけや、会場の設営など。下二枚目簡易図参照。
(二) 翌明朝、正面から見て鳥居の右側に遺体を置き、左側に喪主が立つ。喪主は左前にした束帯を着用し、◼️◼️◼️◼️◼️を被る。懐刀は左手に持っておく。
(三) 日の出を合図に舞を舞う。(懐刀で地を切り開くような所作が主になっているとのこと)
(四) 舞が終わったら、目の前の鳥居をくぐり遺体と目を合わせながら「○○さん(亡くなった方の下の名前)、来ましたよ」と呼びかける。
(五) ここで遺体の顔が微笑んでいれば儀式は成功。しかし微笑む以外の表情をしていた場合は失敗と見做され、鳥居の左側に戻った瞬間 喪主は斬���される。(その首は七日間の間境内に捧げられる)
尚、儀式の最中は決して◼️◼️◼️◼️◼️と目を合わせてはいけない。遺族や参列者だけがという訳ではなく、たまたま通りかかっただけの人間もNG(肉眼で確認できる距離であればどれほど遠巻きでもダメだそうです)
もし目が合えば、その者は降来(コウレイ)している者に連れていかれるという。
儀式については、以上となります。
確かに、大分変わった印象を受けました。変わったというより、恐ろしいと表現した方が適切かもしれません。
芭蕉さんなんて途中から悲鳴をあげる余裕もなく、凝視するように開いた瞳孔と強張った表情で彼の話を聞いていました。
「成程。儀式については分かりました。………しかし今も◼️◼️◼️◼️◼️と目を合わせてはいけない理由は何ですか? 儀式の最中ではありませんよね。」
「はい。…ですが儀式でない時に目が合うと、その者は喪主になってしまうんです」
「喪主に…ですか?」
「えっ。それってどういうこと……?」
「そのままの意味です。ふつう喪主は亡くなられた方の一番近しい等身者、つまり親であれば子、子であれば親、親が居ない場合は長男か弟………などが該当しますよね。けれどうちの地域では、人が亡くなるとその方との"縁"が深い親族が集まり皆で◼️◼️◼️◼️◼️を見つめるんです。そしてその中で目が合ったたった一人を、喪主とするんですよ。けれど時たま、本当にごく稀にですが、複数人と目が合うことがあるんです。二人の時もあれば、十人の時もあったそうです。それは一斉に喪主を決める行為の前後でうっかり◼️◼️◼️◼️◼️を見てしまった場合も、例外ではありません。親族ではない者だったとしても、喪主にさせられてしまいます。まあその場合は、順番に◼️◼️◼️◼️◼️を被って舞うんですが………とにかく誰かが亡くなって、儀式が始まるまでの間が期限なんです」
「そんな………じゃあ私ももし目が合ったらさ、喪主になっちゃうってこと? で儀式失敗したら殺されちゃうってこと…?!」
「そうなりますねバカジジイ」
「ひっ………」
芭蕉さんの情けない声は相変わらず滑稽でした。
して聞くところによると、不遇なことに今度の喪主は彼自身なのだそうです。
だから儀式が成功しようと失敗しようと、この儀式の様子を詠み世間に向けて表沙汰にしてほしいのだと。
壊してください。
そう懇願しておりました。
………………え? 芭蕉さんの答え……?
勿論ノーですよ。
「嫌だよ怖いよ!」の一点張りで一向に話が進まなかったので、また一発いかせてもらいました。(しぶとかったのでもう二、三発追加させていただいたことはざらですが。)
この日は怖くて眠れなかった���しいです。
いい気味だ
『東北のある地域に伝わる儀式_続』へ続く
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230616
朝、4:20起床。 目はあいているけれど、といったふうな体でバナナを食べて、日焼け止めを塗っただけの顔で外に出る。
飛行機って、なんて夢のある乗り物なのだろう。飛行機に乗って移動する、ただそれだけなのに、わくわくする。窓側の席にすればよかった。 北海道はあふれんばかりの緑。 3か月ぶりに彼に会う。 人に対して、自然でいられるって、居心地がよい。嬉しい。 途中パーキングでソフトクリームを買って、写真みたいな写真を撮る。青空にソフトクリームの白が映えていた。浮かれている。
北海道の広大さが染みついていない私たちは、一体今日1日でいくつの県をまたいだことになるのだろう。 長時間のドライブ。 夜になると、街頭がなくて、真っ暗で、途中で道がなくなっていたとしても、気づくことなく落ちてしまいそうだった。 本当に、そんな気がして、運転する彼に、気を付けてと言い続けた。 まだしにたくなかった。 無事に生きて、帰宅。 安心に、ねた。
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230617
朝、顔を洗う水が冷えている。 食器を洗っていると、手が痛く感じるほど、水が冷たい。 もう6月なのに。これが北海道か。
牧場へいく。 道中、えいえんみたいな田園風景。 果てがなくて、自由な心地がする。解放されるような。 なだらかな山をのぼっていくと、広々とした大地に牛がくつろいでいた。知っている牧場の風景と違う。 ひんやりとした清々しい空気が気持ちよくて、車で昼寝。窓をあけて。 鳥がないているのが聞こえる。 またきたいね、またこようね、と言い合った。
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230618
朝、一緒にグラノーラを食べる。 抹茶オレを大雑把につくったら、味が薄くて、抹茶味のグラノーラに負けていた。 飛行機の時間まで、部屋の片づけをする。 どこもかしこも段ボールだらけで、彼は本当にここで生活をしているのだろうか、と疑問に思う。 張り切って片付けていたら「あなたは部屋を生活に最適化していく才能がある」と言ってもらった。あなたにその才能がなさすぎるのだよ、とは言わなかった。
母にお願いされていたお土産を買って、飛行機。 東京につくと、あまりの湿度に蒸されそうだった。 北海道は快適だった。
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230621
今、満ちている、と思う。 北海道から帰ってきてから、安心して過ごしている。 しばらく晴れなこととか、意識して食べ物のエネルギーをとっていることとか、きっといろいろな要因があるのだろうけれど、北海道での生活のイメージがついたことが大きいように感じる。
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石の言葉
名古屋を巡る車の中で、静岡に砂丘があることを友人から教わった。鳥取以外に砂丘が存在することは意外だったが、私はちょうど、ぼうっと眺めるだけで済む単調な風景を欲していたところだった。というのも、このところ雑事に追われていたせいで、精神は干された雑巾のように疲弊しきっており、何事に関しても乾いた考えしか浮かばなくなっていたからだ。友人に請うて予定を変更し、翌日足を伸ばしてみることにした。
三月某日。朝から曇天。連休の中日であるせいか車道はしばしば滞った。昼過ぎにようやく浜名湖に着き、そばにある店で鰻を食べつつ、私は植田正治が撮影した写真を思い出していた。白い空と白い砂に二分された画面の中央に、黒い服を着た人物が立っている。現実から遊離した夢のような断片。まるでタンギーの時空にぽつんとある、マグリットのオブジェ。新しいのにどこか懐かしい、シンプルで強烈なイメージだ。そんな不思議な光景が、この先で待っているだろうか。重箱の蓋を閉め、肝吸いをすする。椀のなかにある黒い背景と白い肝のネガポジを反転すれば、近くて遠い異世���が現れるだろう。思いもよらぬ効果は、そのように簡単な操作で得られるのかもしれない。携えたカメラで何かを撮ってみよう。
中田島砂丘は浜松の南部に位置し、遠州灘に面している。砂は、その東端が接する天竜川の上流から運ばれてくるそうだ。駐車場に車を停め、滑り止めが敷かれた小道を歩いて登って行く。林を抜けると視界が開けた。友人が声を上げる。空と、一面の砂が広がっていた。砂原へと続く急斜面を、足を取られながら興奮ぎみに降りる。すると、不意に下方から視線のようなものを感じ、私は立ち止まった。目を凝らすとそれは人でも動物でも虫でもなかった。石であった。坂の下に、じっとこちらを見つめている石があったのだ。遠ざかる友人をよそに、砂に顔を打たれながら、私はそれを見た。あたりにごろごろ転がる石とは何かが違う。風と波の果てしない響きのなかで、その石は白くきわだち、寂しそうだった。
私たちにはどこか通じ合うものがあった。ルートを外れ、靴にざばざばと砂が入り込むのも構わず、石のもとまで無心で下って行った。拾い上げると、それは花崗岩であった。美しい卵型をしており、側面に少し平べったい部分がある。表面はチョコチップアイスを思わせる、白にわずかな黒のまだら模様。握ってみるとたしかな重みがあり、旧知の仲でもないのに、手にしっくりとなじんだ。持ったまましばらく考え、その石を散策の相棒にすることに決めた。
石は、大人しい。しかしその性質はなかなか気難しい。浜を東へ歩いていく途上、こいつをどう扱おうかと悩んだ。ぐっと握りしめたり、持ち上げたり、掲げたり。ときに置いたり、立てたり、回したり。はたまた投げたり、落としたり、転がしたり。その全面が顔ともいえる、しかしいっさい動いてくれないカタブツをなだめすかしながら、何枚も写真を撮った。そのうち何やら、石の言葉が聞こえてくるような気がした。しかしその言葉とはいったいどんなものだろう。
雨に濡れて。/独り。/石がゐる。/億年を蔵して。/にぶいひかりの。/もやのなかに。
そう書いたのは詩人草野心平だが、なんでもない石について、石そのもののごとく簡潔に、そこに秘められた歴史と存在の必然性を言い表している。なおかつ映像的でもあり、事物を外部から見た限界ぎりぎりのところを巧みに描写している。とはいえ、それは石の発した言葉ではなく、あくまで人間から見た石の姿にすぎない。最終的にその主張を想像して汲み取るのは我々読者だ。詩人石原吉郎によれば、詩とは「沈黙を語るための言葉」だという。結局、我々が読めるのは「書かれた詩」でしかない。ほんとうの詩は事物と感興との沈黙の関係にあり、口にしたとたん霧消してしまうたぐいのものなのだ。ただしその意味で、カメラは言葉と同等に詩をつかみ得る道具となる。
石の言葉の意味は石にしかわからないが、聞くことはできる。それは生成と漂着の場所にこだまする音に根ざしているはずだ。ここは砂丘。海と空と砂と風がある。それらを組み合わせて固めた言語が質量となって、いま手のなかにある。石の組成、つまりこ��風土の中心に改めて石を据えてみようと思った。空へと放り投げて、あるいは、太陽と重ね合わせたシルエットに向けて、シャッターを切る。一連の試行錯誤の末、徐々に一個の石の多様な側面が見えてきた。浜にある無数の石の中、風紋を斜めに切る光彩と陰影の間、人の足のような流木の上、それぞれの関係性の中で石は表情を変え、異なる何か訴えかける。それは静かだが、熱のこもった対話であった。
石のようになかなか動こうとしない私に友人はやきもきし、途中からどんどん先に進んでいった。帰りがけに走って追いついたところ、持って帰るつもりかと聞かれた。私は黙って首を振り、堆砂垣の向こうにそっと転がした。ホテルに戻ると、お気に入りを見つけたと言って、友人はポケットから小さな黒い石を取り出してみせた。彼は彼で写真を撮っていたらしい。そうしてにやりとしながら差し出されたカメラの画面には、私と石の出会いが切り取られていた。少し笑うと、名残惜しさが込み上げてきた。ふたたび永遠の海亀の卵へと還った石は、満月とともに夜を語り明かすにちがいない。ここちよい疲労に包まれてほんとうの石となった私は、夢幻のなかでその会話を聞いただろうか。
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トム・ヴァーレインのブックセールにて
アレックス・アブラモビッチ
昨年の夏、ブルックリンでこんなミームが飛び交った: トム・ヴァーレインのブックセールの会場でキスしたらどうなる? バンド「テレヴィジョン」を結成し、そのフロントマンを務めたヴァーレインは、2023年1月28日に死去した。彼は長年にわたり、アート、音響学、占星術、UFOなど、さまざまなテーマに関する5万冊、20トン以上の本を入手していた。ブルックリンの隣接するガレージで8月に2日間にわたって行われたこれらの本の販売会は、大変な人気だった。アヴァンギャルドポップ・ミュージシャンのアート・リンゼイが立ち寄った。トニー・アウスラーは短いビデオを撮り、インスタグラムに投稿した。旧友たち(中には数十年ぶりに太陽の下に出てきたかのような者もいた)が、長い行列の中にお互いを見つけた。
ヴァーレインは膨大なコレクションをいくつかの倉庫に分けていた。彼が暮らすチェルシーの1ベッドルームから歩いてすぐの場所に1つ、川向こうのゴワナス運河に近いレッドフックに4つ。ヴァーレインはウーバーを使わなかった。ブルックリンの方の倉庫に行くには、おんぼろの食料品カートを持ってF系統の地下鉄に乗り、街でいちばん標高の高い地下鉄駅であるスミス・アンド・ナインストリート駅まで行き、あとは徒歩で移動した。人ごみの中で、ヴァーレインは目立った。背が高く、痩せていて、きれいな姿をしていた。(「トム・ヴァーレインの首はロック界で最も美しい」とパティ・スミスは1974年に書いている。「本物の白鳥みたい」)。彼は一度もタバコをやめず、フィルム・ノワールの登場人物のようなカーコートを着ていた。しかしそんな彼がカートを押して階段やエスカレーターをガタガタと降り、ブルックリン・クイーンズ・エクスプレスウェイの下をくぐり、7車線の道路を横切り、レッドフックに向かっていた。本をどこかに運ばねばならなかったのだろう。
ヴァーレインはストランド書店の常連で、かつて出荷部門で働いていたこともあった。店の前の1ドル均一のカートのまえにいるところを見かけることもあった。ツアー中にはサウンドチェックから開演までの時間を利用して地元の書店を訪れた。ブルックリンでは、倉庫にあまりにぎっしりと荷物を詰め込んでいたため、彼の遺品整理を任された友人のパトリック・デリヴァズは、箱を動かすスペースを確保するためだけに別の倉庫を借りなければならなかった。テレヴィジョンの直近のギタリストだったジミー・リップは、1月にアルゼンチンからやってきたが、7ヶ月後にまだニューヨークにいて作業を手伝っていた。ブッシュウィックの書店「ベター・レッド・ザン・デッド」のデイヴ・モースとマティ・ディアンジェロも整理に参加していた。
モースは言う。「ふつう、『5万冊の本がある』と言う電話がかかってきても、行ってると500冊くらいなんだ。今回、僕らは箱を数えた。5万冊よりは少しだけ少なかったかもしれない。ヴァーレインはパッキングがとても上手だったからね。たくさんの詰め物が使ってあった。波形の段ボールを折ったりプチプチを使って、即席で巣のようなものをつくってある。がさつではあったけれどとても几帳面で、ほとんどの本は素晴らしい状態だった。僕らは計算し、自分たちだけでは無理だと悟って頭をかいた。そしてスペースを持っている知り合いのディーラーを考えた。
ディアンジェロはワシントンDCのキャピトル・ヒル・ブックスを思い出した。そこはブックストア・ムーバーズという姉妹会社を持っていて、トラックも調達できた。そのトラックはいま、ブルックリンのガレージの前にあって、デリヴァズがみている。中の本は「文学」、「詩」、「宗教」といったテーマ別に分類され��いる。ディアンジェロは、神話や神秘主義、オカルト、超常現象、スピリチュアリティを指す「MOPS」という新しいカテゴリーを作った。イスラム教の旋舞教団、アレイスター・クロウリー、アントン・ラヴェイに関する本が、チャップブック[17世紀ごろからの冊子]や料理本(ヴァーレインがコンロで作ったのはコーヒーだけだったが)、中国に関する本の隣に並んでいた。読書家として、ヴァーレインは心理学や過激な理論に思う存分傾倒した。しかし、何度も立ち返ったテーマがあり、興味がずっと昔にさかのぼるものもあった。ヴァーレインのかつての親友でありバンドメイトでもあったリチャード・ヘルは、2013年に出版された自伝『I Dreamed I Was a Very Clean Tramp』の中で、彼がとても若かった頃のことをこう語っている:
世界は彼にとって理解不能の異様なところと写っており、空飛ぶ円盤のようなものから、極端な陰謀論、不明瞭な宗教的神秘主義まで、あらゆる種類の非合理的な説明に影響を受けやすかった。彼は、これらの信念や疑念が多くの人々にとってクレイジーに映ることを知っていたし、それが彼が人前に出るのを嫌がっていた理由の一つだ。
ブックセールの数日後、私はリップとデリヴァズに会うためにレッドフックの倉庫まで歩いて行った。彼らはアンプ、スピーカー・キャビネット、真空管でいっぱいのユニットを見せてくれた。それもヴァーレインが収集したものだ。「曲のキーがE♭だと、トムは真空管を交換するんだ。ほら、ここに、彼が印をつけていたかがわかるだろう」
販売会場には『The Tube Amp Book(真空管アンプの本)第4版』というカタログが、ギオルギー・リゲティの伝記とブルーノート・レコードの歴史に挟まれてあった。私はいま、それを買わなかったことを後悔している。ヴァーレインはまだ製造が続いているスロバキアから輸送した新しい真空管を持っていた。eBayから入手した、あるいはeBayが存在する前に購入したヴィンテージの真空管も持っていた。何百という真空管を持っていた。
ヴァーレインは高価な機材には手を出さなかった。(ルナ・アンド・ギャラクシー500のディーン・ウェアハムは、ヴァーレインがかろうじて弾ける12弦のエレキを持ってスタジオに現れ、それを見事に弾きこなしたことや、ヨーロッパ・ツアーを全く機材を持たずに行い、各都市で新しいストラトキャスターをレンタルしたことを覚えている)。しかし、彼は自分のトーンにこだわった。ジェフ・ベックのように、アンプに直に接続し、ギターのボリュームとトーンのノブを操作して、他のプレイヤーがエフェクターのペダルでしか作れないようなエフェクトを得ることができた。彼はおそらく、どこまでも繊細だったのだろう。リップは彼らのサウンドチェックの一コマを振り返った。「トムが弾くのをやめて『ブーンという音がする』と言った。俺らには何も聞こえなかったけれどトムは言い張った。俺らはその音の元を探して、やっと会場のうしろのほうで見つけたんだ。その下まで行かなければわからなかったのに、トムはステージから気づいたんだ」
「トムは非常にガード固かった」とヘルは自伝に書いている。「防御が強いんだ。それには良いことも悪いこともある。それは彼にある種の整合性を与えた。流行に流されることはなく、慎重で信頼できた。でもそ��せいで一緒に仕事をするのは本当に難しかった」。しかし、6年ほどの間、ヴァーレインとヘルは(ふたりは一緒にデラウェア州の高校を飛び出し、ニューヨークで再会していた)同じアパートに住み、同じダブルのマットレスで眠り、「テレサ・スターン」として一緒に詩を書き、ヘルが主宰する詩誌『ドット』から出版した(彼が最初に出版したのはアンドリュー・ワイリーの詩集だった)。
1972年、ふたりはバンドを結成した。ヴァーレインはサード・アベニューの質屋でベース・ギターを選び、ヘルに基本を教えた。髪を切り、名前を変え(「マイヤーズとミラー」から「ヘルとヴァーレイン」に)、ネオン・ボーイズと名乗り、ビリー・フィッカを加入させた。数ヶ月間、彼らはヴァーレインのアパートでリハーサルをした。アンプやセットを買う金はなかった。ジャズ志向の優秀なドラマーだったフィッカは、代わりに電話帳でドラムを叩いた。ヘルは「Love Comes in Spurts」、「Blank Generation」、「Eat the Light」など数曲を書いた。ヴァーレインは「Bluebirds」、「$16.50」、「Tramp」を書いた。彼らは『ヴィレッジ・ヴォイス』紙に「ナルシストなリズム・ギタリスト募集、最低限の才能があればOK」という広告を掲載し、何人かがオーディションを受けた(ディー・ディー・ラモーンになったダグ・コルヴィンや、ブロンディを結成することになったクリス・スタインもいた)が、誰もフィットしなかった。1973年になっていた。ヘルとヴァーレインは13番街にある小さな店、シネマビリアで働いていた。マネージャーのテリー・オークは、チャイナタウンのロフトに寝泊まりしていたリチャード・ロイドを推薦し、ロイドを2人目のギタリストに迎えて、彼らはバンド名をテレヴィジョンに変えた。
CBGBのオーナーであるヒリー・クリスタルは、彼のクラブでカントリー、ブルーグラス、ブルースのバンドを取り上げようと計画していた。テレヴィジョンをマネージメントするようになったオークは、代わりに自分のバンドを演奏させるよう彼を説得した。徐々にひとつのシーンが形成されていった。テレヴィジョンはリチャード・ウィリアムズとブライアン・イーノとデモを録音した。もしヴァーレインがイーノのサウンドを嫌っていなければ、イーノは彼らのファースト・アルバムをプロデュースしていただろう。ヴァーレインは、イーノがそのテープをイギリスに持ち帰ったと確信していた。ロキシー・ミュージックの次のアルバムのグルーヴの中に、自分のアイデアが入っているのが聴こえたと思っていたのだ。それが事実かどうかは別として、同じ頃、マルコム・マクラーレンとヴィヴィアン・ウエストウッドは、とんがった髪、破れたTシャツ、安全ピンといったヘルのルックスや態度をコピーし、セックス・ピストルズにあてがった。ヘルは回想する。「俺らの演奏はまるで反逆のスクラップが転がり落ち、ぶつかり合う音みたいで、同時にそれを遠くから眺めているみたいに美しくて胸が張り裂けそうでもあった。感動させられ、揺さぶられ、目を覚まさせられた」
しかし、テレヴィジョンがファースト・アルバムをレコーディングする頃には、バンドはそのメンバーではなくなっていた。ヴァーレインは、徐々に、そしてその後は徐々にではなく、ヘルとヘルの曲を脇に追いやった。『Marquee Moon』を何年もリハーサルして手を入れ続け、考え続け、それは1977年、ヘルの脱退から2年後に発表された。ヘルの代わりにフレッド・スミスがベースを弾いていた。曲はより慎重に構成され、短編小説のように構成された。ヴァーレインはジョン・コルトレーンとアルバート・アイラーを愛し、彼のレコード・コレクションの大半はESPやインパルスといったレーベルのジャズ・アルバムで占められていた。しかし、コンサートでも、テレヴィジョンがノイジーで自由だった頃、ヴァーレインとロイドが奏でる連動したソロは高度にアレンジされていた。ウィリアムズはそれを「金線細工を施された」と表現した。
彼らの曲は文字通り「文学的」だった。ロックンロールではめったに美徳とされないことだが、ヴァーレインにははまっていた。彼は手がかりや警官、裏切り者、その他ハードボイルドな小物でいっぱいの探偵小説を書き、それを打ち砕いているかのようだった。『Marquee Moon』に収録されている8曲のうち5曲は、夜に起こる物語を歌っている。4曲は過去形と現在形を行き来している。ヴァーレインの描くイメージにははっとさせられる。「素敵な小舟が欲しい/海でできた小舟」、「世界はとても薄かった/俺の骨と皮のあいだで」、「思い出す/雷が雷自身に落ちたのを」。
しかし、パンクの先駆けとなったテレヴィジョン(ヘルが所属していたときのグループ)がアナーキーで、1977年のテレヴィジョンがほとんどプログラムされたようにコントロールされていたとしても、両者を異なるバンドと考えるのはまちがいだし、ヘルとヴァーレインを正反対の人物と見るのもまちがいだ。ヴァーレインの歌声は神経質で切迫していた。彼のアルバムはやはりパフォーマンスであり、素早く録音され、多かれ少なかれライブだった。奇妙で、絶望的で、すばらしかった。1曲目の終わりに「愛する人と未来を引きずり降ろせ」とヴァーレインは10回続けて歌っている。彼とヘルには共通の恍惚感があった。
もちろん彼らは憎み合っていた。「あいつには我慢できない」とヴァーレインは言い、ヘルも手加減しなかった。しかし、『I Dreamed I Was a Very Clean Tramp』のエピローグで、ヘルはほんとうに久しぶりにヴァーレインに会ったときのことをこう語っている:
このあいだ、レストランから家に帰る途中、古本屋の前でトム・ヴァーレインが安売り本の箱を漁っているのを見かけたんだ。俺は彼に近づいて、「空飛ぶ円盤について何かわかったか?」と聞いた。
ヘルはヴァーレインの歯(俺の歯よりもっと悪い」)、顔(「でこぼこで膨張している」)、髪(「白髪まっしぐら」)を描写している。
俺は背を向け、ショックを受けて歩き去った。俺たちはまるで2匹の怪物が打ち明け話をしているようだったが、ショックを受けたのはそのことではなかった。俺が愛を感じたからだ。俺は彼に感謝し、彼を信じ、自分の中で、彼がありえない人間であり、彼を好きになることがありえないことを肯定した。それまでもずっとそうだったのだ。俺はこれまでと同じように彼を近くに感じた。彼のような人間以外に何を信じればいいのだろう? なんてこった、俺は彼と同じなんだだ。俺は彼だ。
ヴァーレインの本は、Better Read than DeadやCapitol Hillのサイトでまだ購入できる。彼のレコード・コレクションは、そのうちグリーンポイントとイースト・ヴィレッジのアカデミー・レコード別館で販売されるだろう。その本やレコードははいまとはちがう時代、いまとはちがう街を思い出させる。書店やレコード店が遅くまで開いていて、CBGBで夜遊びした後でも店を覗くことができて、そこで手に入るものは安かったし、それを保管するのに必要なスペースも安かった。たとえ書店で働いていたとしても、その金でオフセット印刷機を買って自分で詩の版元を始めたり、ソーホーにロフトを見つけて自分のバンドを始めたりできたのだ。
2024.3.4
ロンドン・レビュー・オブ・ブックスに掲載
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東京滞在日記。
◆Day1
12:45 新横浜到着。寒いと思ってヒートテックやらネックウォーマー、起毛したパジャマを持っていったにも関わらず、気温25度で照り返しがきつく汗ばむ気候。東京に住んでいた頃、関東は体感温度が関西よりも5度くらい低��気がしていたのに。レイジアゲインストザマシーンのウィズアウトアフェイス。かっこええー。96年発売の曲の中で一番好きかもしれないな。いや分かんないけど。終わるのが悲しくてリピートしてしまう。
12:57 京急に乗って雑色へ。「ぞうしき」と読むらしい。聞いたことも見たこともない地名。最近友人が引っ越したというので、おじゃまさせてもらうことになった。ありがとう。大田区。飛行機に乗らない私にとってはあまり縁のない地区。東京タワーからは程遠く、都会とは縁のなさそうな樹々が生えていて、なんだか良さそうな街。昔ながらの商店街もある。バックナンバーからaiko、いきものがかりと平成J-popが次々と流れてくる。結構長そうな商店街。天六ほどではないだろうけど、先が見えないので抜けられるのかドキドキする。突然見覚えのある走り方をする人影が見えてきた。
13:55 友人宅到着。ちょっと駅からは離れているけど、立地は最高。大きな窓からは多摩川が見えていて、開放感でいっぱい。空港が近くにあって、すぐにここを飛び出してアメリカへでもいけそう。
14:30 友人は1日在宅ワーク。ずっとパソコンに向かってタイピング&会議私は後ろでひたすらゴロゴロ。ヒモみたいになってた。
16:00 夕方、仕事終わりの友人と茶をしばくため虎ノ門へ。むっちゃ薄暗い照明のお店。店内はマスターのオキニが詰まった宝庫みたいになっていて、グレングールドがかかっている。ライトな雰囲気のカフェと聞いていたけど、かなり荘厳な感じ。バカ話できるかな?友人登場。私が今ちょうどほしかったcasetifyのiPhoneケースを使っていてテンションが上がる。「ちょうど昨日藤原ヒロシが『便利』って言ってたよ」という話から佐川急便男子の話まで途切れることなく2時間強話しまくる。酸味の効いたコーヒーと濃厚なチョコレートケーキ、淡白なチーズケーキの相性がそれぞれ完璧だった。友人の背後からフライヤーの三島由紀夫が鋭い眼光でこちらを睨んでいた。ずっと怖かった。
19:10 『ざっくりYouTube』で見ていた池尻大橋の「喜楽亭」へ。ジュニアさんが座った席と同じところに座れてテンションが上がった。料理はもちろん極上。こう言っちゃなんだけどまずいハンバーグカレーとかあるのかなぁ。ルーとライスを綺麗に分けずに「親父ガケ」して「親父グイ」(ルーを皿一面にかけぐちゃぐちゃにして食べること)してしまう癖、治したい。というか治す。いやだわー。無意識って怖い、気をつけよう。
22:00 帰宅。友人と話す。思い出話2割、今後の話8割。昔は覚えてもないようなどうでもいい話しかしなかったのに、キャリアとか結婚とか出産とか、切ないね。けど仕方ないね。そうそう、何で雑色に引っ越したのか聞いてみた。いい場所だけど都心からはだいぶ離れているし…。友人曰く、最近の日本にますますいやけが差してきたので、すぐ海外に飛べるように空港付近にしたとのこと。かっこえ。昔から彼女の意思&意志が強くてすぐ行動に移せるところ、尊敬してる。
◆Day2
12:00 13時からの打ち合わせに向けて横浜へ。ほどよい都会感。建物の感じもどこかオシャレに見える。今日は風が強い。ふわっと香るくさいにおい。もう銀杏の季節か。『トークサバイバー2』で(シソンヌ)じろうさんが叫んでた「銀杏〜!くせえからうめえのか、うめえからくせえのか?」っていう素朴な疑問、私も思う。いつか教えてくれ。
15:30 一旦帰宅。友人会議中。多摩川を少し散歩する。『セトウツミ』の舞台ってここかなぁ?とかあらゆる平成ジャパニーズ映画のロケ地に思いを馳せながら歩いてみる。
16:50 半年ぶりに代田橋へ。行く場所は決まっているのに常に緊張する。Fat Boysを聴いて喝を入れる。
17:01 ジャスミンティー購入。手鏡にてデコに大きなおできと小さなニキビを確認。
17:10 緊張で首が左上右下に動いてる感じ。つまり吐きそう。
18:01 代田橋到着。とりあえずトイレに行く。
18:03 緊急事態。一旦酒を入れなければと彷徨う。
18:09 「納戸」は閉まっていた。がっくし。
18:18 「ジュークボックス」へ入る。マスターに挨拶するも覚えていない様子。半年ぶりだし2回目だから仕方ないかと思ったが、zineの話をしたら思い出してくれた。髪型とファッションで人は変わるということが分かる。コーヒー焼酎のロックを2,3杯入れる。美味い。
19:40 マスターに教えてもらった「大天狗」というお店に入る。焼き鳥がぶりぶりで美味しかった。この書き方だと不味そう。身が大きくて味付けも辛すぎず無すぎず、つまりちょうど良くて美味しかった。特にレバー塩。
23:39 終電に乗れた。代田橋に来る時はいつも終電と共にお別れだ。はー。終電といいながら蒲田までしか行かない。代田橋のお兄さんにもらったハイボールを片手に電車に揺られる。
0:16 蒲田駅から多摩川沿いを歩いている。徒歩22分。結構近い。友人に連絡する。川沿いで合流することに。
...
↑記憶なし
◆Day3
12:47 起床。若干頭痛。友人は会議中。
17:18 山手線に乗っている。今日学んだこと。二日酔いでも酒は飲め。但し、酒がないと話せない場合に限る。つまり緊張状態に縛られる状況の場合。
17:46 綺麗な夕焼けを写。肝心な時にカメラを持ってきていない。そして非常に落ち込んでいる。
↑夕焼け
19:15 友人とご飯に行く。カジュアルなフレンチビストロ。ここで「人生の目標」とか「働くこと」とか「死ぬこと」などシリアスな話を熱く語り合う。
20:39 多摩川散歩。酔っ払っていたので写真がすべてぶれている。
↑彗星到来。ネオ東京
◆Day4
8:45 朝から餃子を作る。大学時代から彼女とはずっと餃子パーティーをしていた。餃子で繋がる友情と言っても過言ではない。彼女の家族たちと餃子パーティーをしたこともある。今後誰と会ってもそうマウントをとってい���。味噌ダレで乾杯。パートナーの話で盛り上がる。いくつになっても色恋の話は楽しいな。しかし外食が多くて、胃が悲鳴を上げ始めてる。
10:45 多摩川の写真を撮る。毎日多摩川を見ながら生活できる幸せ。噛み締めた。川のある生活っていいなぁと実感。天気も良くて雲の形もポテトフライみたいでよかった。
↑ マンションの広告にありそうなくらい完璧な景色。うまく言えないけれど。
↑パノラマで撮った
11:00 友人と別れの時。でも12月にまた会える。でも帰り道少しツンときた。それくらい居心地が良くて、一緒にいて落ち着ける存在だったのだと改めて思う。会うのは半年ぶりだったけど、しっかり話すのは2年半ぶりくらい。彼女はすごく…さらにいい方に変われていて、刺激をもらうと同時にすこし、自分に対して不安になったりもした。同じ歩幅で歩いてると思っていたから。全然違ってたんだ!今、小さい頃に遠方の祖父母の家に何泊かして帰らなければならない時の悲しさで涙が止まらなくなるあの感じが襲ってきてる。嬉しいのに少し寂しいな。
12:02 有楽町駅到着。映画館の前を通り、スコセッシの新作今日公開だと思い出す。でも今日は無理。ノーマネーソーリー。
12:06 ある人と待ち合わせ。その後ランチ。
15:33 新幹線到着。いよいよ帰る。おセンチな気持ちなのでブレッドのプレイリストを聴いている。ただ、ウォークマンのプレイリストは厄介。
16:03 『Dumb and Dumber』(ジムキャリーはMr.ダマー)をみる。百面相最高。we love jim carrey!!!
18:40 帰宅
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おしまい。
東京ってやっぱり刺激のある街。ずっといたら飲み込まれそうで怖いけど。昔からそう思っている。昔東京に数年住んでみたけど、まぁ仕事とか色々なことがあって、いい思い出は全くなかった。でもきっと、その頃の自分は視野が狭くて未熟で卑屈ですごく保守的だったのだと思う。その頃の自分のことを…ようやく客観的にみれるようになった気がした。離れてみるとやっぱ東京って面白い街だと思うし、会いたい人がいれば誰にだって会いに行けるし、刺激の宝庫だなと思う。
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(『インクリナティ』2023年1月31日よりアーリーアクセス開始。“お尻でトランペットを吹くロバ”などが戦うターン制中世ストラテジー | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.comから)
インクベースの戦略ゲーム『インクリナティ』(英語名:Inkulinati)2023年1月31日でローンチ
『インクリナティ』は、中世の写本の上で戦う伝説の集団です。彼らは「生きたインク」を使って獣を描き、戦います。この魔法の物質のおかげで、生き物は命を吹き込まれ、壮大な戦いが繰り広げられます。お尻でトランペットを吹くロバ、祈りで異端者を退治するビショップ・ネコ、重くて致命的なカタツムリ、ユニットを生きたまま食べてしまうなどなど。 しかし、ウサギのお尻やラバの鳴き声のようなおふざけに惑わされてはいけません!また、『インクリナティ』は、気の弱いコックスコムや、頭の悪い半端者のためのものではありません。このコミカルなイラストは、『インクリナティ』のターン制戦闘の戦術的な深さを裏付けています。プレイヤーは、マスター・インクリナティとして、2Dの原稿の戦場で生きたイラストを指揮します。スタイリッシュなインクで描かれた各クリーチャーは、戦略的な戦闘の役割を果たし、ダンテやヒルデガルトといった中世の伝説的なキャラクターは戦況を一変させることができます。
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book of hours margin charactor - Google 検索
medieval manuscripts margin character - Google 検索
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Toshi Omagari | Inkulinati
ファミリー名:Inkulinati 分類:カスタム書体 クライアント:Yaza Games リリース年:2021 ポーランドのYaza Gamesという独立系ゲームスタジオからの依頼で、新しいカスタム書体を作りました。Yazaはスタジオ初めてのゲームであるInkulinatiを開発中で(PCと家庭用機でリリース予定)、中世の欧州の装飾写本に出てくる動物たちが戦うターン制バトルのゲームです。日本風に言えば、鳥獣戯画バトルゲームといった感じでしょうか。中世写本の世界観が文字好きの私のハートにとても響きました。 ゲームに使われているのは二つで、一つはメイン書体でロゴも含めた大きなサイズに使用され、もう一つは小さいサイズのインターフェイス用です。その前者はブラックレターで、私の担当です。
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時祷書 - Wikipedia
時祷書(じとうしょ、ラテン語: horae, 英語: primer, book of hours)は、現存するものの中ではもっとも多く存在している中世装飾写本である…』
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何かの暗号?中世ヨーロッパの本の余白に描かれた奇妙な絵20選 - DNA
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悪夢
見知らぬ男が肩の半ばあたりですらりと軀をスライスされた。 ヒッ、と喉が痙攣し、息を飲み下せない。男はその身を切り落とされたまま、平然と私の前に立ちつくしている。本来ならば、身体組織が顕になり血がどうどうと溢れてやまないはずのその断面は、なぜか黒地に橙色のまだらが無数に滲む平坦な模様をなしており、橙色の楕円のすべては天体観測に見る恒星のようにぼんやりと発光していた。肩から上のない男は、口もないのに、どこからか発声して私に語りかける。「なんぴともすべて門をくぐる。椅子はみどりの黴に覆われて、蛸――」瞬間、巨大な蛸が私のからだに濡れたまま纏いつく。無数の鳥肌が立つ。蛸の帯びたぬとぬととぬめった海水が私の皮膚を舐め上げて、逃げ悶えながら這いつくばる身体の、骨という骨がごきごきと音を立てて外されてゆく、痛い、痛い、もういや、痛い、もうやめて!――
はあっ、と息をあらげて目を覚ます。自室の白い天井が見える。大きな窓に掛けたカーテンを開け放していたせいで、部屋の奥に据えたベッドにまであかあかと届く光に瞼越しの眼球が晒されて痛い。私は昨晩眠りについたベッドにいつも通りに横たわっている。男はいない。蛸もいない。一応、手を確認する。折れていない。からだはこわばりきってぐったりと疲れている。汗がひどい。足の先まで湿っている。夢だった。あれは夢だった。
休むために眠っているのに、どうしてこんな目に遭わなければならないのか。私はわたしの脳を恨む。東京から沖縄までラッコと共に泳いで渡る夢を見て、起きたらなぜだか肉体的にも疲れ果てていて、その日一日が使い物にならなかった日もあった。だれにも、私にも統御不可能な苦しい夢が日々を圧迫して、どうにもならないので仕方なく受け入れている。
こんなにも毎晩、ひどい悪夢を見るようになったのはここ二、三年のことだった。それまでは美しい夢も見ていた。今も覚えている、数年前に見た、きらきらと光を湛えた金屏風の前に当時愛していた男が立って、こちらに手を差し伸べていた風景を。椿の花弁がおびただしく舞うなかで、とうに失ってしまった男が私に微笑みかけていた。そんな夢を見て、泣きながら目覚めた朝だってあったのだ。
今はどうだ。眠るたびにグロテスクな夢を見る。神経を逆撫でする光景ばかりが私の認識(認識は夢でも現実でも同じだけ作用する)に襲いかかり、何時間にも及ぶ格闘ののち、疲れ果てて目を覚ます。魚屋に行った日には、イカとイワシが膣めがけて大挙して射精し、私の胎がふくれあがる。不安な仕事を抱えていれば、夢の中で大いに失敗する。仕事だけではない、私生活の延長にある最も忌避したい現実もまた、物語としてありありと立ち現れ、眠っている私の心を折ろうとする。
明らかに精神を病んでいる。しかし、夢の持ち主であり作り手である私は、夢の光景に苛まれながらもその異常性を楽しんでいて、現実の苦しみ以上を夢の中で苦しむことに負のカタルシスを覚えていて、自罰のために悪夢の日々を手放そうとしない。 そんなお為ごかしに遵じていると、また悪夢をみる。乗るべき飛行機の便があと少しで離陸するというのに、走っても走っても前に進まない。風呂に浸かっているかと思えば尻には溺死体の女の隠毛が触っている。殺人者から逃れて、ペドロ・コスタの撮るような見知らぬ外国の貧困街を走り尽くす。苦しい。痛い。怖い。走っても走っても前に進まない。そうして殺される。殺されても生き返る。また酷いやりかたで殺される。心臓を抉られる。四肢をもがれる。頸に刃物を刺しとおされる。海に沈んで魚についばまれる。陵辱され、奇形を孕む。
夢に現実世界の象徴化を見ることはスピリチュアリズムに淫するばかげた行為だとも思うが、そう理性的に事を収めるにはあまりにも異常な精度と頻度で悪夢を繰り返しすぎている。
心当たりはある。日課のように悪夢を見るようになった頃、現実の私は、おのれの抱く「悪意」を封じることを倫理に強要されたのだった。
褒められたことではないが、私には死を願っている対象が幾人かある。その願いを非倫理的なものとして押し潰し、しかし消し去ることはできず、心のなかに押し込んで飼い始めた。憎しみと怒りと苦しみと暴力性をぐちゃぐちゃに練り合わせた怪物は心の中で暴れ続けて、心臓を内側から喰いちぎろうとする。それと付き合ううち、段々と私の悪夢は激化した。初めは抽象的だったから、ただの悪夢として忘れることができた。夢は次第に具体化していった。その悪夢たちが現実を反映していることに気づいた時には、もう修復できないほどに心が喰い破られてしまっていた。
こうして夢は、現実の強いる抑圧とはっきり結びついた。悪夢の悪性は私の心の醜さを反映している。そのことを認識できないほど、私の理性はなまくらではない。解釈可能な悪夢が日々わたしの心を蝕む。おのれの醜さに辟易する。自罰は次第に激化する。こうして魘されることでしか、醜い自分を罰することができない。
ある夜、こんな夢を見た。 ペガサスの被り物をした女が、新宿駅東口の地下道へ降りる階段の踊り場に倒れ込み、今にも出産しようとしている。股からはおびただしく出血し、踊り場は血の海になっている。汚い地面に産み落とされようとする嬰児。ペガサスの女は、被り物をしているからその顔はわからないはずが、青ざめきって今にも死にそうになっているのがわかる。私は手を貸すこともできず、ただ立ち尽くしている。その光景はあまりにも惨たらしく、目が覚めてからもしばらく頭を抱えて魘された。 あの女はきっと、私だった。本当は、私がペガサスの被り物をして、汚い床にへばりついて、命と引き換えに何かを産もうとしていた。血みどろの光景。行き交う人間の靴の泥で汚れきって、不衛生な床。そこで何かを産もうとして絶叫しているのは私だった。誰の助けも得られぬまま、倒れ込んで血の海を広げ続けるのは私だった。
あの時はわからなかった。しかし、こうして悪夢について改めて考えてみると、あれが自己イメージだったことは容易に理解される。夢は兆候を示さない。夢は象徴と意味を一対一に対応させ得ない。夢は抑圧されたイメージの屈折した表出でしかなく、他者には絶対に読み解けない、極めて自己閉鎖的なものだ。あの女が血の海で倒れていたことの意味は、私にしかわからない。どんなに親しい人間であっても、絶対にわからない。
眠って、理性の制御のきかない混沌の中で夢を見るのが怖い。それは私を暴く。現実において理性的であろうと抑圧すればするほど、夢は残酷な様相を呈するようになる。とっくに理解している、この悪夢たちを退けようと思うのならば、現実をなんとかしなければならないのだと。現実のほうを、苦心なく生きていられるものに整えなおさねばならないのだと。
わかっている。何を取り除けば悪夢から解放されるのか。何を手放せば楽になれるのか。わかっていて、迷っている。何を迷っているのかを考えている。
いつか、それをついに捨てられる日が来るまで、夜がくれば私は諦めてまた眠る。眠って、悪夢に苛まれる。そうやって自分を罰する。考えて考えて考え抜いて、それでもどうしても手放せないというのなら、醜い怪物に喰われて、喰われ果てて、この心がいつか消尽するのを、果てしない絶望感に包まれて見守るだけだ。
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ネオファウナ
白と黒。それがこの台地に登って抱いた最初の印象だった。起伏に富んだ白い氷原のあちこちから、黒い崖が顔を覗かせる。雪がちらついているせいか、それとも大地の白を映し出しているせいか、空もまた、灰色のはずが白んで見える。初めて訪れる北極圏は、太古の昔から日の沈むことのない、かといって日が高く昇り、大地の氷河を溶かすこともまたない、薄明の世界だった。 雪原専用の8脚車両で、傾斜の緩い台地の東側から登って早半日、狭い空間で疲れは溜まっていたが、私の体重が他の乗組員より重い分、贅沢は言えなかった。大丈夫、あと数時間もすれば、発掘のためのキャンプ基地に到着する。この辺りは雪の粘度が低く、おまけに雪の下の固まった氷河をうっかり踏んでしまうと、車両ごと転倒する危険がある。車体の脚部分に付いた音響センサーで、なるべく雪の厚い場所を探りつつ、進むしかないらしい。 私の隣では、ダンと名乗った白いクマの男性が車両に接続して操縦している。一見すると椅子にもたれかかっているようにしか見えないが、後頭部には電磁コントローラが付いている。彼自身によればちょっと前の型番だが、車両を動かすには使い慣れたものが一番しっくり来るらしい。後頭部樹状核増設手術を受けているらしく、扱いには手慣れているという。もう10年になるそうだ。他の2名が小柄で、荷物もかなり多い以上、体重の大きいゾウである私と、ダンの2名はそれぞれコクピットとサブピットに座ることになった。 「僕は地元の村の出なんですが」 思いのほか、荒々しげな見た目とは裏腹に、丁寧な口調でダンは喋り出した。運転中とはいえ、重苦しい静寂に耐えられなくなったらしい。 「どうもそっち���も、起きてるみたいなんですよ、失踪事件」 「本当なんですか」 それまで黙りっきりだったネズミの男、ジェイが、淡々と訊いた。別段驚くでもなく、寒い車内の温度に合わせたような冷やかさだった。仕事をし始めて半年間、ここに来て躓くまで彼と世界を巡ったが、未だに彼の感情の起伏は捉えられていない。 「えーと、報告では、確かに4件の失踪事件が、マクファーレンさんのご出身の村で確認されてますね、種はいずれもバラバラですが」 そそっかしいラエンの女性、ライラと名乗ったか、が手元の携帯モニタを叩いて読み上げた。ダン・マクファーレンと同じく、ここに着いた際に中央都市の空駅で出会ったばかりで、なおかつ、私とジェイの終盤を迎えた調査が躓くことになった原因だった。 いや、原因というのはよそう。別に彼女が引き起こした事態ではないのだから。 私たちはこの地に到着した瞬間に、すでに躓いていたのだ。
私とジェイ・マウゼリンクスが実地調査を始めたのは半年前、そのきっかけになった、彼の調査に同行したのが1年程前だったか。赤道地帯の高地で発見された膨大な壁画、そしてそれを覆い隠していた巨大な洞窟は、数万年前に明らかな、我々知的生物による文明が存在した最古の証拠となり得るものだった。当時一介の動物文化学者だった私に、その研究の最前線に入って欲しいと言うオファーが来たのは、ジェイの横やりあってこそだと聞く。途中から研究に無理やり入り込んだジェイを疎む者はいたものの、全知的動物の大系統を、分子を用いて提示し、世界的に注目されている彼には、表立って反意を示すことができなかったようだ。無理やり私を暑い洞窟へ連れ出した彼は、これまでの古代文化とも違う、独特な意匠の壁画と、その物語る意味を教えてくれた。 それはカタログ、と言ってもいいものだった。中央に描かれた、楕円形の物体の中から、様々な種の、知的生物が出てきて、一様に並ぶ光景。そこには何万もの「立った絵」があったが、1色で描かれていながら、それぞれの絵はディテールが異なり、明確に別種と認識できた。赤道付近と言っても、安定陸塊上、そう、オセアニア大陸に位置する以上、ゾウやウマといった旧大陸を出自とする種は、ここには載っていないはずだった。だけれど、私の種だけではない。たぶん、あらゆる現生の知的生物が、この「カタログ」に載せられているのだろう。 分子生物学者のジェイは、恐らく人類のルーツを明確にしようとしているに違いなかった。そこで私に、手伝ってくれるように要請した。 誰もが気づかないふりをする。 感情の起伏に乏しいジェイが、この話をする時は苦々しい顔を必ず浮かべる。我々知的生物、つまり動物は、単一の系統である微生物として誕生し、無脊椎動物、魚類を経て、爬虫類となり、そこからそれぞれ鳥類と哺乳類が分かれた。これが、どんなにプロセスに疑問を抱こうと、この地球の教育機関で、幼獣ですら習っている仮説だ。 しかしこの仮説には矛盾が生じている。我々は進化の過程で、知能が発達したが、知能が発達するのが先だったのか、それとも様々な種に分化するのが先だったのか、という問題だ。知能が発達するのが先なら、例えば知能を退化させた種や、相応の歴史を示す物が残っていてもおかしくないが、実際はそんな種や事物は残っていないし、現在昆虫や魚類で示されているような、進化に至る原理、突然変異や、特に自然選択が、知能を持つと生じにくくなるのではないか、という仮説もある。一方で、様々な種に分化するのが先で、その後知能が発達したという仮説なら、上記の問題はクリアするが、いくら収斂進化という、似た生態的地位の��物に似た形質が出るという仮説があるとはいえ、そのような斉一的な知的生物化が起こり得るだろうか、という疑問が浮かぶ。そもそも、様々な種に分化しているのなら、我々には様々な、枝の途中となり得る、祖先種が数多見つかるはずだ。しかし、現状そんなものは一切見つかっていない。化石記録は魚類まで、それも現生の無脊椎動物や魚類とはかけ離れた姿で、我々の現在の姿を支持しない。 このジェイの主張に私は魅せられたのだろう。彼に伴って様々な古い遺跡をフィールドワークした。そうして、場所を絞り込んでいくうちに、文明誕生の起源となる候補が、この、新大陸の北極圏内にある、大きな台地で見つかった遺跡だと突き止めた。 残すは実地調査、既にキャンプ地が作られ、行われるはずだった大規模な調査に参加させて貰えることになり、北極へ向かう途上は、一睡もできないほどだった。しかし、いつまで経っても迎えの車両が来ない。どうもおかしいと思って、上空から気象観測用の無人機で見て貰ったところ、キャンプ地に誰の気��もない、ということが判明した。地元の警官隊に待機を命じられた私たちは、警官隊所属でこの地域を管轄していると名乗るライラと、この辺の地理に詳しく、仕事柄車両の扱いにも慣れているらしいダンと共に、キャンプへ向かうことになったのだった。
洞窟の中は、明るかった。発電機が稼働したままになっていたせいか、洞窟の壁に設置されたライトが空間を照らし出し、携帯ライトを持たずとも奥深くまでの道は見えていた。ずっと昔読んだ恐怖小説と違って、静寂こそあれど、何十人ものスタッフが失踪したような、不気味な雰囲気は感じさせなかった。 先を行くジェイを呼んで、私より二回りは小さな彼の様子を聞く。 「キュクロプスさん、この先は若干狭いがあなたでも入れないわけではなさそうだ。ただ灯りがもう設置されていない。誰かライトを貸して欲しい」 そんな声が狭い道の前、ダンやライラの前から聞こえてくる。私は持っていた携帯ライト、ジェイには若干大きいかもしれないが、をダン、ライラに渡し、ジェイに渡すように促した。 「この奥は広い空間だ」 「慎重に進んでくださいね」 ライラが呼びかける。裂け目が出来て落ちていたりしたら大変だろう。 ライラに続いてダンが、そして私が狭い穴をくぐる。真っ暗であまり見えないが。空間が広いのは声の響き具合でわかる。 「これは、特に岩の裂け目とかはないみたいだ」 慎重に前進して、ジェイから渡された携帯ライトで周囲を見渡したダンが、何かに気づいた。 「なんだ、あれ」 真正面の、ライトで灯された場所を見る。明らかに場違いな物が、岩に貼りついていた。 「扉、ですね」 ライラが立ちすくんだまま不安げに言う。 鎮座している金属製の、明らかに現代的な円い扉は、私でも余裕で通れるぐらいには大きい。左側には、取手のような金属製の棒も繋がっている。 狼狽しているのか、先にこの空間に入ったジェイは、扉を見て何か考え込んでいるように見えた。そんな彼の横を通って、ダンがおもむろに取手に手をかける。 少しだけ、空気の吸い込まれる音がして、扉が開いた。 考え込むのをやめたらしいジェイが、吸い込まれるように扉の奥に入っていく。 「マウゼリンクスさん!」 ライラは止めに入ろうとしたのか、後を追った。私もそれに続く。 後ろから足音が聞こえる。ダンも来ているようだ。 扉の奥は、少し上向きの傾斜のある、通路だった。4名分の足音、金属音が響く。それ以外は、ジェイの今持っている携帯ライトが頼りだった。 こんなところに近代的な人工物があったなんて、何かの軍事基地とかだと、非常に私たちはまずいことをしているわけだが、なんでこんな洞窟の奥深くにあるのか、見当もつかない。 好奇心はとうに消え失せ、徐々に後悔と不安と恐怖が胸の奥を占めつつあった。そんな時、ジェイが立ち止まった。 「行き止まり?」 最後尾のダンが聞いた。ジェイは短く、いや、とだけ答え、目の前の壁、いや、長方形の扉だろうか、に設置された黒いパネルに、手をかざした。 扉が開くのと、視界が明るくなるのは同時だった。しばらく薄明りや闇の中で過ごしてきたせいか、目が痛い。なんとか視界を取り戻すと、通路と思しき、私たちが辿ってきた空間が明るく、ライトのようなもので照らされているのが見えた。扉の向こうは、少し落ち着いた明るさのようだ。ライラやジェイに続いて扉をくぐる。 そこは、一面緑色の森だった。
唖然としていた私たちに、ジェイが呼びかけた。 「立体映像だ、本物の森じゃない」 各々が、凄まじい密度で生えている草木を触ろうとするが、すり抜けてしまう。どうやら本当に、偽物らしい。 「こんな植物見たことない。地球上でこんなの発見されてたっけ、それに日差しも」 「青い空だな」 上を見上げてジェイが言った。空と言えば、エアロプランクトンが漂っているため、地上からは緑色に見える、日差しもこんなに明るくはないはずだった。 「これが故郷の景色か」 そうジェイが呟く。 「その通りです、ここが本来の地球の景色です」 今までの穏やかな口調のまま、ダンが言い出した。 「マクファーレンさん?」 何を言い出すのか、と思い、私は振り向く。ライラも遅れて振り向いた。怯えているのか、その顔は強張っている。 「ようこそ、汎用生態系生産プラント、ネオファウナへ、私はこちらのオペレーションを行っているメインシステム、チャーリーと呼ばれています」 ダンは全員の方を向くと、恭しく礼をした。 「皆さんがご覧になっている映像は、本来の地球、東南アジアのカリマンタン島付近の熱帯雨林を再現したものです。本来の地球で最も多様性が保たれていた個所と言われています」 淡々と話すダンにはどこまでも表情が無かった。まるで愛想笑いを無理やり貼り付けたかのように、いや、人形や標本の魚のように、虚ろな笑みを浮かべたまま語り続けている。 「マクファーレンさん、どうしちゃったの?」 「私が現在操作しております個体は、身体の一部に改造を受け、なおかつ日ごろから電磁ネットワークに接続状態にありました。そこで、アバターを実体化させるよりも低電力で済むとみなし、デバイスとして使用するに至った次第です」 「俺をここに呼び寄せた理由はなんだ」 ジェイが、これまで聞いたことのない、敵意の籠った声で言った。赤い目が射止めるように、ダンを見つめている。しかしダンは答えなかった。 「ジェイをここに呼んだ理由は?」 今まで黙っていたライラが今度は言った。さっきまで怯えていたとは思えない、鋭い声だった。 「私は当該個体、あなたがジェイと呼ぶ個体を通して、ユーザーの設定した開始コードの発現タイミングを計算していました」 もはや私には何がなんだかわからなかった。洞窟の中の見知らぬ施設、見覚えのない緑、そして態度の一変した同好者たち。立っているのがやっとだった。 「一から説明してくれ、彼らがここに呼ばれた理由を」 ライラが続けた。ダンは薄笑いを浮かべ、苦虫を嚙み潰したような顔でジェイがそれをにらんでいる。 「始生暦時代に入って、人類の文明は大きく進歩し、大規模な星間文明を築くに当たりました。その過程で、本来の地球は大きく生態系を衰退させ、私が稼働を始めた段階では、乱開発防止のために所在不明とされていました。その代わり、多くの惑星が植民化され、人類は星間文明を自らの故郷とするに至りました。しかし、本来の故郷である地球への憧憬が無くなったわけではありません。数多の星々をテラフォーミングする過程で、人類はそのノウハウを蓄積させ、より高効率に、より速やかに他の惑星を地球化することを実現したのです」 「そして、故郷への憧憬は、私が制作されたネオファウナ計画に繋がりました。星間文明で用いられていた、地球由来の生物の遺伝情報を基に新たな労働力、知的生物を作り出す技術と、先に述べたテラフォーミング技術が結びつき、新たな地球を生み出すという計画へシフトしたのです」 「手順はまず、簡易な条件での地球化から始まります。条件に見合った惑星に、こちらのプラントで遺伝情報を改変し作製した大気性プランクトンなどを放ち、大気構成を地球により近いものとします。その後、水生プランクトンやごく微小な生物、水生生物、陸生植物、小型陸生動物といった順に作製し、放流します。生態系がそれぞれ安定してきた段階で次フェーズに移行し、最終的に大型動物を除いた不完全な生態系ができます」 「その後、大型動物をヒト型知的生物として作製し、惑星上に解き放ちます。初期はある程度の調整が必要ですが、徐々に文明化が進むと、自然と個体数も増えていくことでしょう。 ユーザーであるホモサピエンスに形態的に近いグループが作製されたのは、文化基準をかつてのユーザーの文明に合わせ、個体数増加を促すためです」 「ラエンのことだよ」 静かにライラが呟いた。 「私が開始コードを発現しようとしているのは、更にその次のフェーズです。当該個体を作製した私は、接続可能な別個体を使って、当該個体を外に出し、その脳を通して現在の惑星の状態を観察していました。もちろん、当該個体には脳神経の加速化措置と、私に情報を送るためのリソースも設置済みです。24年6か月を観察したことで、私は開始コードの発現を行うのに十分な時間が経過したと認識しました」 「それが、俺が作られた理由か」 相変わらずダン、否、チャーリーを睨んだまま、ジェイが吐き捨てた。 「開始コードの発現後はどうなる、先住種族と同じように、彼らを消去するのか」 「いいえ、開始コードの発現後は、現在作製している神経加速化の遮断、脳内の感覚抑制の解放、ボトルネック防止に用いられていた多系統繁殖用遺伝領域の切除、そして次代における原種形態への移行、これらを促すウィルス群を散布します。現在、その準備段階として、複数個体にこれらの措置が可能かどうかを試験しています」 「どういうこと?何が起きるの?」 何を言っているのか、門外漢の私にはわからない。だけれど何か恐ろしいことを言っている気がして、口走る。 「俺たち知的生物は知能を失い、動物に戻る。感覚も戻り、少子化対策に用いられかけてた遺伝領域はもぎとられ、子孫は四つ足の獣に、ってことだ。失踪事件は、その準備として、試験的にウィルスをばらまいたってことだ」 ダンは何も言わなかった���、ジェイが代わりに答えた。 「私に記録されている地球生命の情報は膨大ですが、基礎さえ完成すればあとは難しくありません。残りは生態系が安定するに従って、徐々に作製し定着させていく予定です。早ければ数十年で、この星は第2の地球となります。私やユーザーの願った地球の復活が遂に為されるのです」 ダンは両手を広げてまるで演説でもするかのように宣言した。私にはこれが夢の中の出来事のようでならなかった。 「当該個体と、そうですね、こちらの個体は私の本体にフィードバックすることにしましょう。現状のサンプルでは効率的なウィルスの散布が行えないので」 そう言うとダンの体は何も映っていない瞳で私の方を見た。ここが北極であることを思い出したかのような寒気が走る。先んじて捕まえられたジェイがもがいている。私も腕を強い力で引っ張られて、森の奥まで連れていかれそうになる。 「AIの癖によく喋るなお前は。中に誰かいるだろ、飛びっきりのイカれた奴が」 突然、腕が離れた。同時にジェイの咳き込む声がする。 見ると、大柄なクマを取り押さえているラエンの女性の姿があった。非現実的な光景に何が起こったのかわからなくなる。 「チャーリーだったか、以前遺跡を回って、似たような壊れた施設を見た時にあんたの名前を確認したよ。設置予定の生体プラント兼液体コンピュータの素体になるって時点でやばいと思ったが、こちとら先住種族を駆逐されんのも、せっかく根付いた知性を踏み台に懐古主義に走られるのもごめんでね、悪いが稼働停止してもらう」 出会った時の態度はどこへ行ったのか、荒々しい口調で告げると、周囲に火花が散った。 途端に、立体映像の森が消え失せ、通路と同じ無機質な灰色の部屋に変わる。 「案の定、システムはニューロン式を使ってたか。悪いけれど私はラエンじゃないし、体はあんたの言うホモサピエンスでも、宿っている意識は年季の入った量子の寄生虫なんだ。量子脳に関してはこっちの方が上手なんだよ。3億年かけて辿り着いた、被食者と捕食者が共にいられる楽園、そう簡単に潰されてたまるか」 「私の活動が停止すれば、今後エアロプランクトンが作製されることもなくなりますよ」 苦しげでもない、さっきと同じ淡々とした口調でダンの体が言う。 「エアロプランクトンも継代を重ねて、あんたの供給なしに殖えるようになってるんだよ。この世界は変わっていくさ。でもそれは地球と違う、大型動物相の代わりに知的生物が優占し、交雑を重ね、多様化と均質化を入り混じらせる世界としてだ。本来の地球生命が今も変化を続け、この星だって変化の最中にあるのに、時を戻して止めようとした時点で、あんたは詰んでたのさ。わかったらとっとと凍りな、あんたの望んだ永遠の停滞だ」 轟音が響き渡った。床が震える。部屋のライトが点滅して、消える。真っ暗になった部屋が振動を続ける。盛大に転倒した私は、解放され糸が切れたように崩れ落ちたダンと、同じく転げまわるジェイをなんとか抱きしめる。 「私はこいつのやらかした後始末に行ってくるから、またどこかでね」 覚えているのは、そこまでだった。
台地で起こったことは、巨大な雪崩によってキャンプ地と、内部の空洞が崩壊した、というニュースで片付けられた。私は他の2人と共に病室に缶詰になり、あれこれと話し合った。ダンは荒っぽいが人懐こい性格で、私のことは全く知らないが、幼い頃に父親が連れてきて兄弟のように育ったらしいジェイのことはよく覚えていた。ジェイは遺跡巡りと、ダンがジェイを覚えていないことで気づいていたらしい。 キャンプ地で失踪したスタッフと、近隣の村から失踪した住民が保護されたのは、私たちが洞窟の入り口で倒れていたところを発見された翌日だった。ちょうど反対側の海岸で見つかったらしいが、不思議なことに皆が一様に「吹雪が酷くなったのでビバークした」という記憶しか覚えていなかった。1本だけ、空の注射器が置いてあったそうだ。 ライラの行方は分からない。そもそも、地元の警官隊にはそんなメンバーどころかラエン自体がいなかったのだ。 「これからどうするんですか」 ダンは寝ている。病室の窓から空を見ているジェイが、どうしても気になった。 生きる目的を失ったのではないかと、思ったからだ。 「枷が外れた気分だ、清々しましたよ」 いつもと同じ、だけれど少し晴れやかな声色で彼が返した。 「なに、資料は集まってますから、最後の仕上げだけできなかったってことで」 彼らしくない、楽観的な言葉だった。彼も、吹っ切れたのかもしれない。 「あの場にいた誰もが、あの場所に関係している者だった、あなたを除いて」 「そうですね、傍観者として、大事たと思われたのかもしれません」 「チャーリーが言ってましたね、星間文明がどうとか」 「言ってましたね、多種族からなる星間文明とか、地球由来の遺伝情報で人類の伴侶を作り出すとか、あれ」 「そんなこと、言ってましたっけ」 記憶と知識の食い違いに、戸惑う。すらすらと出てきた言葉は、私の理解を大幅に超えていたはずだった。 「磁気映像で撮影した、あなたの脳のカルテを見せてもらいました。先天的な改変の痕跡が見つかったようです」 「私には、そんな自覚は」 「無いんでしょうね。誰かが、どこか遠くからあなたの脳を介して、この星を見ている」 私と同じですね、と彼は言った。彼が言っている間に、まるで目の奥の濁りが取れるみたいに、目の前は鮮やかになっていった。 目の前に広がるのは、白い空。 でもその向こうに広がるのは、プランクトンに覆われた碧色の空。 脳裏に浮かぶのは、あの時見た青い空。 「モッティさん」 白い空をバックに、白い毛並みの彼が振り向く。その顔には、見たことのない表情が浮かんでいる。 「この世界って、綺麗ですね
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2023/1/1〜
1月1日 2023年になった瞬間とかを忘れていたく��、時刻を見ずに夜を過ごしたけれど、多分寝ていたと思う。 昨晩は久しぶりに“おとぎ話みたい”を観ることができた大晦日だった。
有楽町でお正月仕様の干支ツリーを見て、池袋でおかいものくまに会ってきた! まだ誰とも直接「あけましておめでとうございます。」と言ってないけれど、良い元日だった。
国際フォーラムには誰もいないロビーを警備ロボットが巡回していて可愛かった。年末年始の何かしら特別感や、お店がお休みしちゃって自分でなんとか生きるんだよ!感が苦手で落ち込んでいたけれど、有楽町から大手町まで、やっぱり好きな街を歩くのは楽しい。 東京駅の広場にはたくさんの人がいて、みんな写真を撮っていた。何を撮っていたのだろう。
電車に乗ると、広告が全て駅伝。 襷を模した特別な中吊り広告だった。“シミュラークルとシミュレーション”を読みながら移動していたので、スポーツすらないものなんじゃないか、と思える。
池袋は西武デパートが1月1日から営業しているので、元日の静けさが無くて良かった。 特に欲しいものがなくて、でもぶらぶらと全てシミュラークルだわ〜と、遊び半分にお散歩気分でデパートを歩いた。 おかいものくまも30歳らしく同い年! 登場5分前くらいから、広場にはおかいものくまファンたちが集まり始める。辰年のおかいものくまを持っている男の子がいた!いいな〜。 こうゆうキャラクターものがいつまでも好き。コンセプトがある程度あって、平面的で、エネルギッシュでない子。
登場したおかいものくまは着ぐるみにしては小柄で、ちゃんと可愛さを保っていた! そして年季がはいっていた! なんだかんだで一番乗りで写真を撮ってもらう。かわいかった。そしてこれもシミュラークル。
帰宅してから夕方、土手に行ってみた。 今日は飛行機がたくさん飛んでいる。凧揚げをしている人がいた。
ポストには年賀状が3通。元旦から届くことってほとんどないので嬉しい。そのうち1通は夏に花火をしたお友達からで、その時に撮った写真を印刷した年賀状だった。撮った写真で手作りの年賀状、とっても嬉しい。
2023年始まってしまえばなんてことないのかもしれない。でも、消えることは決まっているので、その緊張感を保ちつつ、ポップに生きられるようにしたい。
1月2日 今日は自分の外見に一喜一憂(一喜、は無かったかも)する日だった。 今年はやっぱりもう一度病院に行こうとか考えて、それは前向きだったのに、そう思うとどっぷり持病に浸かってしまい、病気のことを調べては自分をその症状へ寄せに行ってしまう。よくない! でも今日はそんなモードでセロトニンと水分不足。
だって、午前中に東京都現代美術館でオルデンボルフを観て、午後に神戸から一時帰省している友人と初詣に行って、お話しして帰ってくるまで少しも水分をとっていなかった。
美術館はクリスチャンディオール展が大盛況。 私が干渉したオルデンボルフ展は映像がメインで、会場でじっくり映像を鑑賞するのが苦手なので、さら〜っと流してしまった。でも会場構成や映像作品の展示方法が面白かった。 それと、関係作品や本などの展示の中に気になるzineと作家さんを見つけることができた。 リピートチケットを頂いたのでまた近いうちに観に行こう。 駅までの道で、全身金色の大黒様のコスプレをしている3人組に鉢合わせた。
友人の実家近くの駅で待ち合わせをして、近くの神社へ行った。知らない町の知らない神社で初詣。小さい神社だったけれど列ができていて少し並んだ。 友人の旦那さんとの話や、親御さんの話を聞いて、やっぱり家族っていろいろあるし、私からしたらかなり心身共に疲弊してしまいそうなエピソードばかり。でも友人は「まあ、しょうがないよね」みたいなかんじだった。
離れて暮らす父に、家族がそれぞれラインであけましておめでとうスタンプを、気を遣って送ってあげている話が面白かった。あと、彼女のお母さんの実家が焼き鳥屋さんというのを初めて知った。 こうゆう感じの彼女なので、私が年末年始に落ち込んでいたり、もう体力がなくて毎日ふらふらだったり、30歳で消える話をしても全部笑っていた。 初売りも落ち着いたショッピングモールのベンチで女の子と写真についてまとめたブックを見てもらった。
写真に撮��たくなるのって女の子だよね〜、と言っていた。何か絵になるのは男性より女性、ということは私も同意だけれど、ただの個人の感覚でそこに深掘りできる話はない気がした。
彼女が今住んでいる神戸は、東京より寒いらしい。
昨日はamazonプライムで“5つ数えれば君の夢”を観た。今日も何か観たいと思っていたけれど、自分の醜さに落ち込んでいてそれどころではない。
1月3日 今日は国立近代美術館へ行こうとしていた。 朝から活動できたけれど、なんだか身体が疲れている!と察知して、そこし東京散歩だけをして帰ってきた。 丸の内から皇居、日比谷を歩くと東京にもこんなにも広々とした場所があるのね〜と不思議な気持ちになる。お正月限定皇居ランナーが多そう。 関西から来ているはとバスツアーに「私こんなビル見たことない〜」とカメラを回す女の子に「大阪にもありますよ。」と言うお父さんがいて、いい関係だな、と思った。 丸ビルと新丸ビルをふらふらして、アポテーケのお香だけ買って帰宅。
午後は初詣に香取神社に行った話や、音楽ライブに行った話を聞いた。 そろそろ夜に出歩く余裕を持ちたい。 それとちょっとかなり驚きお知らせが入って、電車の中で力が抜けてヘニャヘニャだった。それで、気を入れないと!思ったり、やっぱりこれからどうするか考えないと、と思って、それで身体も心も整えていかなくては、と戒めながら、また身体を冷やしては痛み止めを手放せないでいる。
そろそろお正月にも飽きて退屈なのか、電車内は独り言を言っちゃう人が多かった気がする。 スーパーでは節分のポップの準備をしていた。 月が青白い空。小さい浴室用暖房を探そう。
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
アイウエオカキクケコガギグゲゴサシスセソザジズゼゾタチツテトダ ヂ ヅ デ ドナニヌネノハヒフヘホバ ビ ブ ベ ボパ ピ プ ペ ポマミムメモヤユヨrラリルレロワヰヱヲあいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよらりるれろわゐゑを日一国会人年大十二本中長出三同時政事自行社見月分議後前民生連五発間対上部東者党地合市業内相方四定今回新場金員九入選立開手米力学問高代明実円関決子動京全目表戦経通外最言氏現理調体化田当八六約主題下首意法不来作性的要用制治度務強気小七成期公持野協取都和統以機平総加山思家話世受区領多県続進正安設保改数記院女初北午指権心界支第産結百派点教報済書府活原先共得解名交資予川向際査勝面委告軍文反元重近千考判認画海参売利組知案道信策集在件団別物側任引使求所次水半品昨論計死官増係感特情投示変打男基私各始島直両朝革価式確村提運終挙果西勢減台広容必応演電歳住争談能無再位置企真流格有疑口過局少放税検藤町常校料沢裁状工建語球営空職証土与急止送援供可役構木割聞身費付施切由説転食比難防補車優夫研収断井何南石足違消境神番規術護展態導鮮備宅害配副算視条幹独警宮究育席輸訪楽起万着乗店述残想線率病農州武声質念待試族象銀域助労例衛然早張映限親額監環験追審商葉義伝働形景落欧担好退準賞訴辺造英被株頭技低毎医復仕去姿味負閣韓渡失移差衆個門写評課末守若脳極種美岡影命含福蔵量望松非撃佐核観察整段横融型白深字答夜製票況音申様財港識注呼渉達良響阪帰針専推谷古候史天階程満敗管値歌買突兵接請器士光討路悪科攻崎督授催細効図週積丸他及湾録処省旧室憲太橋歩離岸客風紙激否周師摘材登系批郎母易健黒火戸速存花春飛殺央券赤号単盟座青破編捜竹除完降超責並療従右修捕隊危採織森競拡故館振給屋介読弁根色友苦就迎走販園具左異歴辞将秋因献厳馬愛幅休維富浜父遺彼般未塁貿講邦舞林装諸夏素亡劇河遣航抗冷模雄適婦鉄寄益込顔緊類児余禁印逆王返標換久短油妻暴輪占宣背昭廃植熱宿薬伊江清習険頼僚覚吉盛船倍均億途圧芸許皇臨踏駅署抜壊債便伸留罪停興爆陸玉源儀波創障継筋狙帯延羽努固闘精則葬乱避普散司康測豊洋静善逮婚厚喜齢囲卒迫略承浮惑崩順紀聴脱旅絶級幸岩練押軽倒了庁博城患締等救執層版老令角絡損房募曲撤裏払削密庭徒措仏績築貨志混載昇池陣我勤為血遅抑幕居染温雑招奈季困星傷永択秀著徴誌庫弾償刊像功拠香欠更秘拒刑坂刻底賛塚致抱繰服犯尾描布恐寺鈴盤息宇項喪伴遠養懸戻街巨震願絵希越契掲躍棄欲痛触邸依籍汚縮還枚属笑互複慮郵束仲栄札枠似夕恵板列露沖探逃借緩節需骨射傾届曜遊迷夢巻購揮君燃充雨閉緒跡包駐貢鹿弱却端賃折紹獲郡併草徹飲貴埼衝焦奪雇災浦暮替析預焼簡譲称肉納樹挑章臓律誘紛貸至宗促慎控贈智握照宙酒俊銭薄堂渋群銃悲秒操携奥診詰託晴撮誕侵括掛謝双孝刺到駆寝透津壁稲仮暗裂敏鳥純是飯排裕堅訳盗芝綱吸典賀扱顧弘看訟戒祉誉歓勉奏勧騒翌陽閥甲快縄片郷敬揺免既薦隣悩華泉御範隠冬徳皮哲漁杉里釈己荒貯硬妥威豪熊歯滞微隆埋症暫忠倉昼茶彦肝柱喚沿妙唱祭袋阿索誠忘襲雪筆吹訓懇浴俳童宝柄驚麻封胸娘砂李塩浩誤剤瀬趣陥斎貫仙慰賢序弟旬腕兼聖旨即洗柳舎偽較覇兆床畑慣詳毛緑尊抵脅祝礼窓柔茂犠旗距雅飾網竜詩昔繁殿濃翼牛茨潟敵魅嫌魚斉液貧敷擁衣肩圏零酸兄罰怒滅泳礎腐祖幼脚菱荷潮梅泊尽杯僕桜滑孤黄煕炎賠句寿鋼頑甘臣鎖彩摩浅励掃雲掘縦輝蓄軸巡疲稼瞬捨皆砲軟噴沈誇祥牲秩帝宏唆鳴阻泰賄撲凍堀腹菊絞乳煙縁唯膨矢耐恋塾漏紅慶猛芳懲郊剣腰炭踊幌彰棋丁冊恒眠揚冒之勇曽械倫陳憶怖犬菜耳潜珍
“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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2025年1月のフナトとフチガミ
間近��迫った1.12、久々の加藤千晶さん鳥羽修さんとの共演に向けあれこれ膨らませつつ、新年のフナトとフチガミはパスカルズとエノケンの音楽に囲まれて過ごしております。 1.16,17パスカルズ@スターパインズ・カフェ、フナトはゲストとしてパスカルズの音になって演奏します。チケットはすでに完売とのこと。さすがです。 その翌週、フチガミが東京・浅草で「エノケンMIX」という舞台に参加します。1/24-26の三日間で四公演、初めて尽くしでドキドキしてます。 エノケンこと榎本健一さんの歌はずっと、いつかこんなふうに歌いたいなあという、遠く光る星のような目標でした。話しているのか歌っているのか、下手なのか上手いのか(上手いです)、そんなものを通り越して胸にとどく、哀しくて可笑しい、あたたかいうた。 話が合う人はいないだろうとずっとこっそり聴いていたエノケンさんですが、船戸さんに出会って洒落男、ダイナ、私の青空などを、人前で演奏するようになりました。 それでもどこかで、自分の趣味の音楽、と線引きしていたのですが、三十数年の時を経るうちエノケンの曲はオリジナルや他のカバー曲とごちゃまぜに、自分のレパートリーの中でかかせないものとなり、同時にエノケンさんの歌は以前と変わらず遠くで輝いています。 そして此の度このエノケンさんがまた、ご縁を広げてくれました。 この先はフチガミのコーナーに書いたものをひっつけます。 長くなりますが、要約しますと、100年前のオペレッタを演者総ミュージシャンで上演します。フチガミ赤鬼、大熊ワタルさん青鬼、閻魔大王・上の助空五郎さん、亡者がウエッコ、西本さゆりさん、木村美保さん、泊の武村篤彦さん、ドキドキでどきどきです。二部の歌のコーナーには山田参助さんも。追ってSNS等でまた逐次お知らせします。ぜひお運びください!!!
2025.1.24-26 エノケンMIX @浅草九劇
フチガミの勝手心の師・榎本健一さん数えで100歳の翌日、前日華やかに生誕100年が祝われた浅草東洋館にほど近いヨーロー堂にて「勝手にエノケン祭り」を開催したのが2003年10月12日。 時を経て知り合ったぐらもくらぶ保利さんがその事を頭にフチガミに声をかけて下さり、生誕120年の年に新たに誕生する「エノケンMIX」という舞台に出演の運びとなりました。 舞台は三部構成で第一部は浅草オペラの再現。エノケンも魅せられたに違いない当時の当たり演目「地獄祭り」を、ぐらもくらぶの真骨頂、SP盤として残されたオペラ後半を中心に保利さんが上演台本を作成、演者はフチガミがお声がけの大役。 二十年前「勝手にエノケン祭り」にご出演いただいた大熊ワタルさん、現役の浅草ボードビリアン上の助空五郎さん、さらに言い出しっぺさえ見たことがない舞台を一緒に作ることを面白がってくださる、フチガミが敬愛する錚々たる音楽家の方々と、100年ぶりの地獄祭り上演に挑みます。 演者は皆ミュージシャンですが、伴奏はぐらもくらぶの大土蔵録音でお馴染みのG.C.R.サロンオーケストラ。空五郎さんを除いては普段セリフを言い慣れない面々による浅草オペラや如何に、また、音楽家其々の演奏シーンは?、等々、どうぞお楽しみに。 第二部はぐらもくらぶでもお馴染み山田参助さん、G.C.R.サロンオーケストラとバンマス青木研さんによるエノケンとその時代の歌の数々。数多出演する歌手の歌声は聴けるのか?? 第三部は1936年の菊谷栄台本が2024年と融合し音楽は大谷能生さん。STASは松竹歌劇団の伝統を受け継ぐ本物のレビューを行なっておられ、エノケンMIXはまさに、時代が感覚が、大いにミックスした興味深い舞台となりそうです。 ########################################### エノケンMIX ########################################### エノケン生誕120年! 令和の浅草に大正末~昭和初期の幻の名舞台がよみがえる! 浅草オペラと菊谷栄と戦前ジャズ###########################################
2025年1月24日(金)~26日(日) 会場 浅草九劇 東京都台東区浅草2-16-2 浅草九倶楽部2F 地図(GoogleMap) 入場料 前売・ご予約:4,000円 当日:4,500円(全席自由・税込) 1月24日(金) 開場18:30 開演19:00 1月25日(土) 開場14:00 開演14:30/開場 17:30 開演 18:00 1月26日(日) 開場15:00 開演15:30 前売開始 12月10日(火) 10:00 取扱い Paskip/チケットぴあ[Pコード:531167] ■ぴあチケット受付ページ
主催・問合せ 一般社団法人ふらすこ 電話番号 03-6231-0690 Mail [email protected]
【第一部】 浅草オペラ『地獄祭り』
作=佐々木杢郎 脚色・作曲=佐々紅華 上演台本=保利透
若かりしエノケンが魅せられた浅草オペラの中から当たり舞台『地獄祭り』を当時のレコード音源で表現されている後半部分を中心として約100年ぶりに上演します。ジャズ音楽前史や大正デモクラシーや大衆芸能の洒脱さなど、当時の人々の息吹を感じていただき、更に第二部では引き続き山田参助とG.C.R.サロンオーケストラによる戦前にエノケンが歌った曲や当時のジャズ音楽などをお楽しみください。
出演 渕上純子 西本さゆり 武村篤彦 ウエッコ 上の助空五郎 大熊ワタル 木村美保
音楽と演奏 G.C.R.サロンオーケストラ 青木研 【第二部】 1931年型ジャズ楽団の演奏と歌唱
音楽と演奏
山田参助とG.C.R.サロンオーケストラ
青木研
【第三部】軽演劇『ミュウジック・ゴオズ・ラウンド』Remix版
作=菊谷栄 上演台本=和田尚久
エノケン全盛期であるピエル・ブリヤ��ト時代の重要な脚本家として知られる菊谷栄(1902ー1937)によるアメリカ文化を濃厚に反映した「ミュウジック・ゴオズ・ラウンド」に先行作品「公園のベンチ」をないまぜにし、新たに音楽を大谷能生が、改訂台本を和田尚久が執筆し90年の時代を超えてスピーディーな演出のもと1936年と2024年が融合する、まさにエノケン・リミックスをお楽しみください。
出演
STAS OG 東京レビュー 榛名珠利 藤城伶維 紬希彩華 光瑠葵 粕谷雄太 村野みり 越後静月 山内菜々子 鈴木海人 藪田凛
音楽と演奏 大谷能生 ============================= 【番外】「昭和風俗再現」 弁士楽団付き無声映画『黒手組助六(1929)』と『エロ・エロ東京娘百景』朗読 活動弁士:片岡一郎 朗読:山内菜々子・尾田直彪
1月26日(日) 【番外】開場 12:00 開演12:15/開場 15:00 開演 15:30 【番外】当日���のみ2,000円 ==============================
【エノケン MIX】 スタッフ 企画:ぐらもくらぶ 演出:山口貴義 美術:和田尚久 振付:榛名珠利、村野みり 照明:阿久津未歩(LICHT-ER) 音響:小谷しげのり 舞台監督:守山真利恵 制作:柴田聡子 協力:保利透、毛利眞人 イラストレーション:和田尚久 宣伝デザイン:千葉健太郎
=おまけ= 勝手にエノケン祭り 〜エノケン生誕100年(の翌日)〜 2003年10月12日(日) 於:浅草 ヨーロー堂 出演:ふちがみとふなと、大熊ワタル ゲスト:上野茂都、中尾勘二、こぐれみわ
写真:芝田文乃さん
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