#猫柄見つけると買うよね
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imwatashi · 5 months ago
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2024.08.14 (Wed)
早起きしてバスに乗りHay Market駅へ。事前にネット予約していたチケットを受け取り、はじめてのスコットレイルに乗車。日本でいう特急列車的な感じでした。前日の晩スーパーで拵えた1ポンドのドーナツとスタバのコーヒーを持って、車窓からどんどん緑が増えていくさまを眺める。
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1時間でDunblane駅に到着。バス乗り継ぎまで40分あったので、駅近くの大型テスコへ。 (テスコは大きさ別に4種類あるらしい。街中にあるテスコエクスプレスから、テスコメトロ、テスコスーパーストア、テスコ��クストラ。でも今調べたら他にもあった :0) 前日晩にドライヤーを誤って使ったせいで変換プラグを死亡させてたので、ずっと日本プラグに適合するやつがないかを見てた。
40分後、Stage Coachというスコットランドの遠距離走行バスに乗る。チケットは事前に予約済み。QRついてるのに結局スキャンされなかった(夜行バスもそうだったな)あれはなんなんだろう? 目的地はCrieffという街。Dunblaneも小さな駅だったけれど、バスが進むにつれどんどん景色がのどかになっていく。大量の羊や牛が草原でチルしてるのをたくさん見た。そして約1時間後、Crieff到着。ここも閑静でこじんまりとした街。たむろしていると工事のおじさんから「なんでこんなとこまで来た?」と珍しがって話しかけられる。
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バス停から更に歩いて30分移動。道中に公園があったので遊具で遊ぶ。赤ちゃんはみんなかわいいけど、ヨーロッパの赤ちゃんってレベチでかわいい。途中迷い込んだ道は等々力みたいな渓谷だった。
そしてはるばる到着したのは、最終目的地であるグレンタレット蒸留所。スコットランドに来た理由の一つは、ウイスキー蒸留所にいきたかったから (恋人がウイスキーにハマってる) 本当はスペイサイドやアイラ島まで行ければよかったのだけど、時間が足りなかったのでここにした。グレンタレットは日本であまりメジャーな銘柄ではないが、スコットランド最古の由緒ある蒸留所らしい。宿泊先から約3時間で到着し、蒸留所ツアースタート。蒸留所内は撮影禁止だったが、どでかいポットスティル���生で見て、木製の樽で熟成させている部屋はお醤油みたいな麹みたいな良い香りがした。そしてグレンタレットには伝説の猫タウザーがいたらしく、ネズミの捕獲数でギネスに載ってるらしい (捕獲後彼自身が食べたらしいけど、尻尾だけ残すので尻尾の数を数えてギネス認定されたらしい :0) 嘘みたいな本当の話。
最後にウイスキーのテイスティング。自分はピートが効いてるほうが好みかな、と思いつつ、普段ストレートでウイスキー飲まないからテイスティングだけで結構なダメージを喰らう… ツアーだけで2種類飲ませてもらったのに、事前に追加のテイスティングも予約していたので(滅多に来れないので予約しよう、となった記憶だが我々以外に誰もいなかった xD) 結局すべて飲みきれず、小瓶に入れて持ち帰るオチ。場違いくらいの素敵なバーで、ウイスキーたくさん出てきて嬉しいはずなのに、2人して「飲めないよね…」って小声で言い合う日本人があまりにもダサすぎて、「私たちアルコール強くないので…」って思わず店員さんに言ってしまった(じゃあ何でオーダーしたのだ?と思われてそうでまた草ですね)
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小瓶を携えて蒸留所を出発。ノリで寄り道することになり、スターリングというスコットランドの古都を経由して帰ることに。バスに揺られて1時間で到着。スターリングはエディンバラよりも更にこじんまりとした街だが、とてものどかで美しいところ。到着後smokeysというバーガー屋さんで遅めのお昼。変換プラグを購入し、スーパーで水を買ってたらまさかの日本人の方に遭遇。スターリング大学に留学しているのだとか。ロンドンやパリで会うのとはわけが違うので少し感動(相手も嬉しそうだったのでよかった)
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せっかくなのでスターリング城へ。しかし思ったよりも急な坂で険しい道、連日2万歩歩いていた疲労困憊の体を引きずりながら、何度も引き返そうと思いながら頂上に到着。こんなに人いたの?ってくらい人がたくさんいて、何より最高にチルなスポットで気持ちよかった。こういうのって写真で全然伝わらないので載せないが、頑張って登ってよかった。
この時点で19時。すっかり疲れたので帰宅してもよかったけれど、スコットランド最後の夜なのでエディンバラ市内のパブへ行くことに。スターリングからエディンバラのウェーブリー駅まではスコットレイルで1時間。スコティッシュパブでビールとfish&chipsをいただく。
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夜のエディンバラはまたまた綺麗で、この度を通して自分はすっかりスコットランドのファンになりました (元々映画で気になってたのもある) エディンバラはとっても美しく歴史のある街、パリやロンドンと比べて華やかさは少ないのかもしれないが、コンパクトだからこそ見渡す限り常に歴史の色香がただようので、本当にずっと浮かれていた。また来れたらいいな。次はグラスゴーにも行ってみたい。1日大移動してよかった :)
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myonbl · 7 months ago
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2024年7月3日(水)
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日本で唯一の演芸専門誌『東京かわら版』、東京の寄席事情と噺家の消息を知るために定期購読している。以前イベントで販売されたグッズ、Webで購入可能となったとのことで早速注文した。ポチ袋・手ぬぐい(同柄色違い2枚)、それにクリアファイルだ。落語会へ行くとプログラムやチラシをいただけるが、それをきれいに持ち帰るにはこのクリアファイルが役立つのだ。折り目が付くと、スキャンしても汚いからね。今は亡き林家正楽師匠の紙切りがちりばめられた(ファンにとっては)逸品、大事に使わせて頂こう。
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5時起床。
日誌書く。
朝食準備。
洗濯開始。
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朝食はそば、それようにツレアイが買ってきた天かすをトッピング。
珈琲。
洗濯物干す。
弁当*2。
空き瓶・缶、45L*1。
ツレアイの職場経由で出勤する。
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茨木ICから豊中ICまで故障車渋滞とのことだったが、影響を受けることなく茨木で下りることができた。
昨晩の寝方が悪かったのか、背中から腰に掛けてとてもこわばっている。おそるおそるラジオ体操第一、昨年9月の左腕の痛み以来休んでいたのだが、身体がまったく動かない。やはり続けなければ。
水曜日は、2限・3限<情報機器の操作Ⅰ(栄養学科)>、今週はExcelの操作の復習、先週の例題を一緒に復習した上で、実習問題2題を自習させる。全員時間内に提出出来たので、大丈夫だろう。
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帰路は順調、暑さでエアコンフル稼働のためか、燃費が悪い。
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すぐに買物、セントラルスクエア花屋町店で猫砂・介護食・ひげそり用ジェル、コレモ七条店で鶏もも肉。
汗だくで帰宅、すぐに着替える。
東京の落友・Nさんに関西ローカルの落語番組を送っているのだが、今回は74・75・76の3枚、ラベルを印刷し、レターパックライトに封入する。室内着に着替えてしまったので、ポスト投函は明日の朝にしよう。
クロネコが配達、浜峰商店姉妹から純米大吟醸が届いた、いつもありがとう!
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ツレアイも間に合って、早速みなでいただいた<純米大吟醸 米鶴>の味見をする。今宵堂の器の金魚も涼しげ、たまりまへんなぁ!
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今夜も枝雀、「くしゃみ講釈」「鷺とり」。
例によって、入浴前にダウンしてしまった。
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辛うじて、3つのリング完成。
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team-ginga · 2 years ago
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映画『生きる』
 U-Nextで黒澤明監督、志村喬主演の映画『生きる』(1952)を見ました。
 その昔、母から話を聞いた映画です。母は本が好きな人でしたが、映画も好きだったのかな。おそらく母が話してくれた映画はこれだけだったと思います。
 母曰くーーぼんやりと暮らしていた市役所勤務の男が胃癌で余命いくばくもないと宣告される。男は死ぬ前に何かを成し遂げようと、子どもたちのために公園を作ることにする。公園が完成して男は死んでいく。男が公園のブランコに乗って「いのち短し恋せよ乙女」と歌うシーンは名シーンだ。
 まさにそれがこの映画の���核ですが、実際に見てみると当然ながらそれだけではなく、い��いろなものが付け加えられています。
 主人公の渡邉(志村喬)が胃癌で余命いくばくもないというのはその通りなのですが、実際に医者にそう言われるわけではありません。病院の待合室で見知らぬ患者と雑談をして「胃癌というのは恐ろしいものです。医者は軽い胃潰瘍だと言い、特に消化の悪いものでなければ好きなものを食べていいと言うのですが、あっという間に悪化して死んでしまう」と聞いた渡邉は、医者にその通りのことを言われてショックを受けます。
 直後のシーンで医者同士が「あの人はいつまでもちますかね」ーー「半年くらいかな」と言っているので間違いはないのでしょうが、時代を考えれば本人に宣告しないのは当然としても、家族にも教えないものなんでしょうか。本人も家族も知らず、医者だけが知っているというのは、今の感覚からするとちょっと変な感じがしました。
 渡邉は早くに妻を亡くし、一人で息子を育てました。息子は社会人になり結婚して、渡邉と一緒に暮らしています。
 渡邉は市役所の市民課の課長です。ある地区に住む女性たち(その中には若き日の菅井きんもいます。こんなに可愛かったんだ、菅井きん)が空き地の水たまりをなんとかしてくれと陳情に来ていますが、市民課から公園課へ、公園課から土木課へたらい回しにされるだけで、一向に埒があきません。
 渡邉も若い頃は仕事に熱意を持っていたようで、仕事場の机の引き出しには市役所の運営の改革に関する私案の書類が入っています。若い頃に渡部が書いたのでしょうが、結局提出しないままになってしまったということですね。必死に書いたはずの書類の最初のページを破ってペン先の掃除に使うシーンは、渡邉の現在と過去を一瞬で対比するいいシーンだと思いました。
 癌で余命いくばくもないと知った渡邉は市役所を欠勤し、銀行から5万円おろして飲みに行きます。当時の5万円って今のいくらに当たるんですかね。100万くらい? まさか500万ということはないでしょうが、かなりの金額です。
 でも、遊び慣れていない渡邉は何をすればいいかわかりません。彼は飲み屋で知り合った小説家(演じるは伊藤雄之助。痩せて精悍な感じで、まさに無頼派の小説家という感じです)に余命いくばくもないことを話し、パチンコやキャバレーに連れて行ってもらいます(この時代のパチンコって立ったままやるんですね。知りませんでした)。
 キャバレーでピアニストに「リクエストはありませんか」と言われた渡邉は『ゴンドラの唄』をリクエストし、ピアノに合わせて歌います。
 あ、ここでまず歌うんだ。
 このシーンは���みがあります。志村喬はうつむき加減で虚空の一点を見つめながら、口をほとんど動かさず、調子はずれに歌います(音をはずすというよりリズムをはずし、ピアノの伴奏と合わない歌い方です)。
 彼の横に座っていたホステスは怖くなってどこかへ行ってしまいますが、むべなるかなーーそれほど鬼気迫る感じです。
 いいなあこのシーン。当然ラストで志村喬はもう一度『ゴンドラの唄』を歌うのですが、私はこっちのシーンの方が好きです。
 一晩中遊び歩いた渡邉は翌朝、自宅に帰る途中、市役所の部下の女性・小田切と偶然で会います。小田切は市役所の仕事は退屈だから転職する、ついては辞表にハンコが欲しいと言います。小田切の靴下が破れているのに気づいた渡邉は洋品店でストッキングを買って彼女にプレゼントします。
 小田切は「これ欲しかっただけど高くて」、「もしこれを買ったら、1ヶ月間お弁当のおかずはメザシになってしまいます」と言って喜びます(彼女は二間のアパートに3家族で住んでいるとも言っていました。まだ日本全体が貧しかったということでしょうか)。
 渡邉は小田切と一緒に遊園地やスケート場や映画館に行きます。息子や息子の妻は年甲斐もなく若い愛人を作ったのではないかと疑います。
 渡邉は息子に病気のことを打ち明けようとします。しかし、息子は愛人ができたという話だと思っているので話が噛み合わず、渡邉は打ち明けるのをやめます。
 一方、小田切は最初こそ渡邉と一緒に出かけるのを喜んでいましたが、だんだん不自然なものを感じて、もう出かけたくないと言います。渡邉は最後に一度だけと言って、小田切を喫茶店に連れて行きます。
 渡邉は余命いくばくもないことを小田切に打ち明け、「私はミイラのように生きてきた」、「君はどうしてそんなに生き生きしていられるんだ」と尋ねます。小田切は「さあ」と言った後、バッグからウサギのおもちゃを取り出し(彼女は市役所を辞めておもちゃ工場で働いているのです)、「これを作ってるからかしら。どこかの赤ちゃんがこのおもちゃで遊んでいると思うと嬉しくなるの」と言い、「課長も何か作ったらどうですか」と言います。
 でも渡邉は何を作ればいいかわかりません。小田切も「あの役所じゃ無理ですよね」と言います。しかし、渡邉は何か閃いたように喫茶店を出て行きます。
 その喫茶店は2階建てで中央に階段があり、渡邉と小田切は2階にいます。階段を挟んだ向こう側では、大勢の若者たちが仲間の誕生日を祝っています。
 渡邉が階段を駆け降りるとき、ちょうど誕生日を祝ってもらっている女性が現れたのでしょう、若者たちは一斉に「ハピーバースデイ」を歌います。
 次のシーンで渡邉は役所の部下たちに市民からの要望に応えて、空き地を整地し公園を作ると言うのですが、そのシーンでも「ハピーバースデイ」が流れます。
 それまでミイラのように生きていた、本当の意味で生きているとは言えなかった渡部が、この瞬間生き始めるということを示す演出ですが、うーん、どうなんでしょうね、これ。わかりやすいだけに少しあざとさを感じてしまいました。
 そこから時間が飛び、渡邉の葬儀の夜になります。これはちょっと驚きました。渡邉の死から遡る形で渡邉のしたことを描くわけですか。なるほど……これは予想していませんでしたが、なかなかいいですね。
 同僚や上司が渡邉の自宅に集まっているところへ、新聞記者たちがやってきます。空き地に公園を作ったのは渡邉なのに、それを自分の手柄にした助役にインタビューしたいとのことですが、そんなことで葬儀の場にまで来るものですかね。
 助役(演じるは中村伸郎)は「記者たちは役所の仕組みを知らないから困る。公園を作ったのは渡邉君ではない。渡邉君一人の力では何もできない」と言い、土木課長や公園課長も「取りまとめたのは助役ですから」とお追従を言います。
 そこへ陳情に来た女たちが焼香にやって来ます。彼女たちは泣きながら焼香をしますが、何も言いません。この「何も言わない」ところがいいですね。下手に何か言うと艶消しです。
 女たちが出ていくと、助役たちは居心地が悪くなったのか早々に立ち去ります。残った市民課の職員たち(藤原釜足がいて千秋実がいて左卜全がいます。いつものメンバーですね)は最初「あの公園ができたのは課長一人の力ではない」と助役たちと同じことを言いますが、若い課員が「いや、あれは渡邉課長の力だと思います」と言うのをきっかけに、渡邉が公園設置のために何をしたか、それぞれが思い出話をすることになり、最終的には「課長は立派だった」、「俺たちも課長のように頑張るぞ」と言います。
 そこへ巡査が現れ、焼香します。巡査は前夜遅く、渡邉が一人で公園のブランコに乗り「ゴンドラの唄」を歌っていたと言い、あの時きちんと保護していれば亡くなることもなかったと悔やみます。
 そこでフラッシュバックーーブランコに乗った志村喬が「ゴンドラの唄」を歌うシーンが流れるのですが、私は知っていたからかもしれませんが、このシーンよりキャバレーで「ゴンドラの唄」を歌うシーンの方が凄みを感じました。
 翌日の市役所ーー職員たちは前夜「課長のように頑張るぞ」と言っていましたが、何も変わりません。以前と同じように陳情に来た住民をたらい回しにしています。
 葬儀の場で渡邉を擁護した若い職員が、渡邉の作った公園へ行き、子どもたちが遊んでいる姿を見ているところで「終」とでます。
 確かにいい映画です。批判はしたくないしできません。
 黒澤が渡邉という人間の生と死を描くとともに役所の縄張り主義、硬直したシステムを批判しようとしたのはよくわかります。
 でも、個人的にはそういう風刺はどうでもいい、渡邉だけにスポットを当てて欲しかったという気がします。
 志村喬はもちろん名演です。猫背でオドオドして、病気が進むにつれてだんだん掠���声になっていくところなぞ誰も真似できないと思いますし、『七人の侍』のリーダーと同じ役者がやっているとはとても思えません。
 でもなあ……いつも��れた目をしている(これももちろん役者としての技術ですが)のを見ていると「病気の犬」か何かに見えてしまうというのもまた事実です。
 息子もかわいそうだよなあ。物語の流れとして息子夫婦には打ち明けない/打ち明けられないというのはわかるのですが、自分が息子なら「親父、どうして言ってくれなかったんだ!」と言いたくなります。
 息子は知る由もありませんが、渡邉は初対面の小説家や職場の部下にすぎない小田切に癌のことを打ち明けています。他人には打ち明けられるのに息子には打ち明けられない……世の中にはそういうこともあるとは思いますが、息子としてはたまらないだろうと同情してしまいました。
 『生きる』はミュージカル化(!?)されているそうです(渡邉役は市村正親と鹿賀丈史のWキャスト)し、最近イギリスでリメイクもされているそうですが、もしあの話を現代に置き換えるとどうなるんでしょう。
 ちょっと見るのが怖い気がします。
追記:  志村喬は1905年生まれ。ということはこの映画のときには47歳。  え? 47歳?  とてもそうは見えません。  もっとも当時の定年は55歳ですから、渡邉はまだ50代前半ということになります。  今とは年齢の感覚が全く違うということでしょうか(『サザエさん』の波平だって50代前半、うっかりすると40代なわけですし)。
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patsatshit · 1 year ago
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先日までの暑さが嘘のように、朝晩が急に冷え込んできた。つまりイネ科の花粉が猛威をふるう季節の到来ということだ。秋の訪れを待ち侘びていた人も多いとは思うけれど、僕としては新たな地獄の始まりであり、定量噴霧式気管支拡張剤メプチンエアーを手放せない日々がしばらく続くことになる。幼少期から悩まされている喘息発作、子どもの頃はこの苦しさが続くくらいなら死んだほうがマシやと心のどこかでずっと思っていた。小児喘息に虚弱体質、運動場や体育館で貧血を起こしてぶっ倒れたことは一度や二度ではない。何を食べても太れない体質で、特に鳩尾の凹み具合は周りの友人と比べて自分は異常だと感じていたから、DeerhunterのフロントマンBradford CoxがAtlas Sound名義でリリースした『Logos』のアートワークを見たときには、いろんな意味でゾッとした。
(直視を躊躇う『Logos』のアートワーク)
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臨海学修、林間学習、修学旅行などの学校行事はどれも喘鳴に悩まされた苦々しい記憶とともにある。臨海学修のときは勇ましく遊泳するクラスメイトの姿を、タイミング悪く生理になった女子と一緒にボートの上から眺めていて、あのときの情けないような惨めな気持ちは未だに忘れられない。家族旅行の際も必ず夜になると喘息発作を起こしてホテル近くの病院で吸入や点滴の処置を受けていた。いつも横に付き添ってくれていた母親には迷惑をかけっぱなしだった。そんな訳で今月に入ってからは非常に体調が悪く、おまけに歯痛、腰痛にも悩まされて、夜中に何度も目が覚めてしまう。目覚めたときはいつも息苦しくて、慌ててメプチンエアーに手を伸ばす。吸入してしばらくすると呼吸は落ち着いてくる。そのままソファに虚脱して朝を迎える。朝ごはんを要求してくる猫のミューモと文鳥のピッピにご飯を与えて今度は子どもたちを叩き起こし、みんな揃って慌ただしく朝食を済ませて妻のゆきこと子どもたちを送り出し、仕上げに洗濯と食器洗いを済ませてタラウマラへと向かう。自分が家を出るときに「行ってきます」と言える相手が部屋にいることを心から幸せだと思う。ミューモ、ピッピ、ほんまにありがとう。タラウマラのシャッターを開けると朝からたくさんの修理依頼を受ける。整備を終えた自転車が次々に巣立っていく。Googleの口コミで「ここはダメ。自転車の質が悪い」なんていう書き込みがあるにもかかわらず、数ある自転車屋のなかで僕の魂のカタチを具現化したような特異チャリンコ屋を選んでもらえることを素直に嬉しく思う。
(自転車屋としてあるまじきレビュー笑)
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昨年末まで一緒に働いていたマリヲくんが退職した際に、自分のなかで掲げた目標がある。まずは借金を完済すること、次に前年対比で売上を向上させること、そしてタラウマラレーベルからの制作/製作を途絶えさせないこと。この三本柱については現時点ですべて達成できた。おまけに今夏に関しては遂にサラリーマン時代の月収も超えることができた。これはひとえにタラウマラを利用してくれる日々のお客さんと、支えてくれる友人や家族、そして自分の意地の賜物だ。ひとりになったとき、何人もの人から「大丈夫なん?」「もう作品づくりできないんちゃう?」と言われ続けたけど、そこは誰に何を言われようとも自分を信じた。人はみな簡単に「嫉妬」という言葉を口にするけど、僕が抱えているのはいつだって「嫉妬」ではなく純粋に「負けたくない」とう気持ちだけ。それも身近な存在に対してではなく、もっと巨大な資本とかムードとか慣例みたいなものに対して。そして何よりも自分自身に対して。でもやっぱり言うは易し行うは難しで、達成する為には精神も肉体も相当に擦り減らしてきた。大好きな少年漫画の『呪術廻戦』に倣って言うと、誰にだって呪力切れは起こり得るということ。そんな訳でここ数日は通院と服薬と寝不足でへとへとなんだけど、お客さんとの何気ない会話から元気をもらうことは、どんなときにでも不意にやってくる。自転車のタイヤについているバルブと虫ゴムを駐輪場でパクられたギャルのAさん、虫ゴム交換後の水調べでチューブにも穴を開けられていることがわかった。しかもパンク修理で補えないレベルのデカい穴。Aさんはマジかぁと叫んで、次のような事柄を捲し立てた。先月、福井県のとある宿に宿泊してからこんなことばっかり起こるんですよ、その宿は幽霊屋敷みたいなボロボロの宿で私が泊まった部屋の天井は人間の手形みたいな痕がいくつもあって、とにかくそこに宿泊してから不吉なことが立て続けにあって、お母さんはここで買った自転車で車に轢かれて全治6ヶ月の重症やし、こないだは��レー屋でカレー食べてたら異物混入してて、気づかずに奥歯で思いっきり噛んでしもうて歯が砕けたんですよ、もう最悪です、お祓い行った方が良いですかね?矢継ぎ早に繰り出される災難の深刻さとは裏腹に、Aさんの表情はなぜか明るかった。まぁ、お母さんは命に別状はないし、自転車も奇跡的に無事だったし、カレー屋の保険対応でインプラントにできるし、ちょっとラッキーかもって思ってるんです、とのことなのだが、どう考えても彼女の置かれた状況はラッキーではない。幸と不幸の帳尻が合わない。そもそも歯を失わなければインプラントなんて必要ないのだ。実際に彼女のスマホで宿の写真も見せてもらったが、確かにいまにも崩れ落ちそうな薄汚い天井のあちらこちらに人間の手形のような染みが点在していた。よくこんな部屋で朝まで眠れたね、と聞くと、私ぜんぜん霊感ないんですけど、このときはさすがに気持ち悪くて、霊を拒絶するには死と真逆の行為をしたら良いって誰かに聞いたことがあったので、めちゃくちゃAV観てめちゃくちゃSEXしました、だから結局ぜんぜん寝れなかったんですよ、と快活に笑う。僕も笑うしかなかった。チューブ交換しないといけないのはめちゃ痛いですけど、この話をお兄さんにできたので良しとします、またお母さんも元気になったら連れてきますね、そう言って颯爽とペダルを回転させるAさんの後ろ姿を見て、ギャルってマジで最強やな、と改めて感心したのでありました。
(Aさんの推しは星乃莉子さんだそうです)
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littlesallywalker · 2 years ago
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日記2
雨。まぼろしの公園で居眠りをした。
A遠がわたしたちの庭に入る夢をみた。そんなところ。
今日の用事はあとひとつ、これが、不安で不安で。裁きの時間。
スマホ故障の彼是でlineのやりとりみんな消えてよかったです。
ぼくはそれでよかったのだとおもう。
あの人の住所もわからなくなった、
今日から。いいのだこれで今はもう。
なにもかもを売っぱらいたくなるぜ。
Instagramに写真がすごくいいなと思う方がひとりいる。
どの人もみんなみんなそれぞれみなさんいいのは勿論だけど。
プロにむかって生意気にもっていうのでなくきっと一般の方で、
ある時話しかけてくれてぼんやり話していたらその人もまた、
「あなたを見てはじめました」って君みたい。君かとおもた。
「弟子にしてください」の別の方とか...
あまいお世辞たちよ、おだや🦀。。
前略遠くの歩道橋の天使魚座さま
集合住宅に一緒でいやなら向かいに住んでいーい?
窓と窓で話して。めぞん一刻感っていうかロマンティック。
はしごを渡したりぶどう食べたり糸電話したりたのし荘です。
やってトライ見たいです。おまけに二人羽織してみる?こわい。
ナイフが苦手ならハサミの術もありますよ。大丈夫。
これだけはともかく妄想ではないです。
本当にだめなら飼ってもらおかな。
でもきっと大丈夫ですよ君は。
東京のころOLさんとのアパートの夏は毎時セックス。
ちょっとなんていうか...野球部のごとし地獄でした。
誰かやかんで水もってきてください...くらい。
すっごいえろい人でぼくまだ18歳ですよ、
それでいてなんにも知らないのをいいことに、
(※ここからは有料版でお楽しみいただけます)
セックスあまり得意じゃないかもという癖?があります。
いわゆる多分コンプレックス��んでしょうね、何かが。
上手じゃないんじゃないかとすっごい考えてしまったり。
最近「お人柄ですよ」ってよく言われる度ごと内蔵の部位に、
どことなく両性具有のお祈りを見すかれてしまっているのかもと。
行為と話が破綻していますが、なんか、ありがたいことです(?)。
...まだおやつの時間ですよね、わたしは何を言っていますか?
人生で何回か突然のプロポーズをうけたうち2回、
「あなたの子どもがほしい」でおっかなくなりました。
今週あんまり不安定で大人用おしゃぶりを買いました。
ぼくは口淋しいみたい、たばこにまつわることすべても。
パイポよりか落ち着くのではないかって。これもヘンな話。
ちなみに今夜のじゃがたまねぎにんじん鶏を炊いたものは、
炊飯器でも作れるよ。ショウガと塩コショー(あらびき)で充分。
おしゃぶりしながら、ナンですが...。
外は雨がつよまってきた。宅配物を持ってきてくれるおねいさん、
腕章どうにしたらいいですかねと訊いたら別の腕章もってきてくれ、
試しに装着いい感じ。腕白いたくましいってわかってる気にしてる。
今日した会話、レスポンスみんなそれだけっぽいです。~fin~
あ、Twitterでモスめ師匠とお菓子のお話したんだ。
警視庁の腕章ですあしたから、グッバイ職務質問。
真新しいペンでお手紙をって。
今、というかあれからずっとメルカリで売れたレシート集めていて、
貼り合わせて展の入り口の暖簾にしようかなって謎幻想。
野球場横の市営プール、今年はひらくかな。
チャリでいこかなって。そばに温泉まであるんです。
かあさんビスケット買ってたお店はなくなった、淋し。
でもクリーニング屋さんは駄菓子屋さんも兼業されていて、
夢だった子たちとガチャガチャする性悪猫の毎日でした。
もうすぐごはんですよ、でておいで。さようなら。
youtube
はじめお店でジャケ買いのものでした。これも学生。
スーパーの脇のレコード市へ行くのがたのしみだった。
こんなことがしたかった音でした。このファーストがいちばん好き。
キスしてください白鳥さん。
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yurina-yamashita · 2 years ago
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グッズ制作① かごねこさまより、 【SAKURAJIMAねこグラス】 のグッズ制作のお手伝いをさせていただきました。桜島の猫たちを撮影しに行って写真を見ながらイラストを描きました。猫ちゃんたちをナデナデさせてもらいましたが、同じ柄でも顔つきがこんなにも違うんだな、1匹1匹個性があるんだなと感じました。 あえてデジタルでなく、アナログで水彩色鉛筆を使用しあたたかみとやわらかさ、尊さを表現できたらと描きました。 グッズの売り上げは支援活動に寄付されます。 猫ちゃんは買えないけど活動の支援をしたいという方はぜひ、覗くだけでもどうぞ😊♥ かごねこさん (@kago_neko_ ) https://www.kagoneko.info/⁡ ⁡⁡↑ ⁡⁡地域猫の支援活動をされています! ⁡ https://www.instagram.com/p/CpCBOU7P8nE/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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yfxif · 2 months ago
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2022の日記
2022.1.23
祖父が亡くなって、(場所)にある祖父の家まで来ている。かれが認知症を患っていたことを、今日知った。時折わたしのことは話に出ていたらしい。母が祖父の訃報を聞いたときすぐに父親が電話をかわり、わたしは隣の部屋で壁の向こう側の父が警察や祖母、伯母とかわるがわる話しているのを盗み聞いた。「自分も、経験ないので」という父の言葉もそのとき聞いた。祖父は以前から足が悪かったけれど、最近はそれに加えて認知症のせいで言葉がわからなかったり、石が人間や猫に見えていたり、尿を漏らしながら歩いたり、どのボタンが何に対応しているのかわからなくなっていたらしい。テレビのボタンを理解できず、砂嵐なってしまった画面をわざわざテレビ業者になおしてもらったり、自分の尿を尿と認識できず水道局に連絡していたらしい。生前はよく怒る人だったと祖母は話すけれど、わたしはその一面を知らない。
 死ぬ直前まで歩いたり飲み食いができていたらしい祖父の、そのほかはすべて祖母が介護していたらしい。そういった生活がここ数年続いていたことを知らなかった。祖母はそういうことを知らせることが父と似て苦手らしい。それでも、「(祖父が亡くなった日は)朝起きてから、一日中トイレ(の床)が(尿で汚れていなくて)綺麗だった。それがすこしほっとした」と言っていた。祖父は、尿を垂れ流すことが恥ずかしくて大量のおむつをネットで買い込んで、自分ではつけられなかったらしい。大きな車が運転できず祖母の軽自動車に乗り、傷をつけ、乗るなと言われて自分の軽自動車を買い、それも傷をつけ運転をやめたらしい。風呂に入り、出られず、水を抜いて一段一段椅子を増やし浴槽から出た日から、風呂に入らなくなったらしい。一つ一つ生活をもがれた祖父のことを、いまは自分のことのように考えている。ひとりになった祖母が、「広い家に越してきたら何かできると思ったけど結局何もできなかった」と言っていた。
2022.1.24
寒気で朝8時に起きてまどろみ、歯磨きをするため九時頃に起き、朝食を食べた。厚めの食パンとハム2枚、干し柿を2つ。祖母が祖父の服を畳んでいたのでそっと手伝ったら、畳まなくて良い服だった。汚いから触らないよう言われ、ピアノを弾いたり、ストーブの前で本を読み、昼寝をしていたら13時になっていた。昼食は肉まんをすすめられ、食べていたらあんまんもでてきた。結局その2つ(あんまんは二分の一のあんこだけを抜いた、そういう食べ方が許された)を食べ、風呂に入った。昨日の夜の浴室はかなり冷えていて、シャワーを浴びただけでかなり呼吸が苦しくなり、頭痛までしたから怖くなって入浴を諦めたのだけど、今日はしっかり浴室をあたためたので体調も悪くならなかった。15時半ごろ父が警察署から祖父の遺体を引き取り、家につく。白く、ていねいな刺繍のついた長方形の棺が三人がかりで縁側に持ち上げられ、台車を使って家の中まで押し上げられた。葬儀屋と父が棺が玄関を通る、通らない、持ち上げて、という話をしているとき、祖母が「人のことをモノみたいに言わないでほしいわね」と言った。祖母は口を開けば、祖父が色盲で貧乏性で身勝手で金遣いが荒く怒りっぽくて��が悪かったというようなひどいことばかりいうけれど、時折喉をつまらせたり、手のひらで口元を覆ったりするので、簡単に相槌を打てず苦労する。間近で見る祖父の顔は気味が悪く、死体というだけで近寄りがたかった。死んだ人間がどれほど冷たいのか、触って知りたいけれど、抵抗があって触ることができない。唇を綿棒で湿らせる行為も、なるべく肉の感触を感じたくなくて、結局ほんとうにそっと触れるだけにしてしまっ��。
 夕食はお腹が空いておらず、何を食べたらよいかもわからなかったけれど、結果的に1300円もする寿司を買ってもらった。こっちに来てから炭水化物ばかり食べている。お守りとはいえ、ビタミンBを忘れたことが悔やまれる。そもそも、何を手伝うために来ているのかわからずずっと困っている。父にも母にも祖母にも、いるだけでよいといわれたけれど、ただ祖母の負担を増やしているだけのように感じる。実際そう。
 祖父の遺品にレザーコートがあり、父のものになるはずだったが、父はおしゃれな服を全く着ない。私が着てみるよう言われ、試しに着たら、父に「いいじゃん、袖とか折ってみて、そう。似合うじゃん」といわれた。父に服装のことを似合うと言われたのはおそらく人生で初めてだったので、なんだかどうしようもない気持ちがした。もちろん嬉しかったけれど、どことなく悲しいような気もしたし、そもそも気恥ずかしかった。どうしてもっと早く、なんとかして、今とは違う関係になれなかったんだろう、のような後悔に似た気持ちもあった。
2022.1.25
母と(妹)が山梨についた。(伯母)さんと初めて会う。(伯母)さんは白髪のなか、赤いメッシュが両側に入っていて、着ているものも随分柄が大きかったけれど、自分の持っている限りで地味な方のものを着てきたらしい。幼稚で情けなく恥ずかしい性質をその場の人々の前で暴かれてしまい、事実だけれど開き直ることもできずただ虚しかった。いっそ帰ったほうが良かった。
 (叔母)さんはハキハキと喋るキレの良い人で、しっかり喋る(妹)とは話が弾んでいた。朝11時に葬儀屋が来て、棺の中に入れる花などを渡された。勝手のわからない私達は死体の顔周りだけを花でぎっちりと覆い、祖父の顔がライオンのようになりまるでふざけているみたいだった。(伯母)さんが「顔が大きいから隠すくらいが丁度いい」と言っていた。(妹)だけが泣いていた。一番可愛がられていたからなにか思うところがあったのかもしれない、それか、あまりにも祖母や父、伯母が祖父の死に淡々としているものだから、しかもすごく悪口を言うし、それが悔しかったのかもしれない。母がしきりに「じいじのほっぺ触ってお礼を言って」と言ってきたが、私は最後まで死体に触らなかった。棺桶に自分の写真を入れてあげたい、と(妹)が言い、みんなで写真を探し、二階に飾っていた母手作���のアルバムを入れようと祖母が言い出し、それもそれでどうなのと思ったが、私自身に思い入れは無いのでそれを外した。けれど後に思い出すと棺には入っていなかった。さすがに入れなかったのかもしれない。母が、祖父があの世でなにか買えるようにとお札を入れた。
 タクシーに乗って葬儀場につく。棺の大きさと、それを運ぶ機械の大きさがぴったりなので、棺やその機械には規定の大きさや形があって、全国で共通しているのかもしれない。燃やされている間、奥のはしのテーブルに固まって時計の針が動く瞬間を何度も見た。それから祖母と伯母が喋っているのを聞いていた。伯母が父を「コイツ」と呼ぶのをみんなで笑った。母の相槌はあいまいで話についていけていないのがわかりやすい。政治とカネの話になるとすぐ曖昧な相槌をするが、害虫の話になるとよく喋る。たしかに私たちはそういう家族だった。棺ごと焼き、台上が骨のみになる。それらはまだ人の形をしており、すべて骨壷に納める。下顎、喉仏、頭蓋を最後に乗せるらしい。タクシーで家に帰り、みんなで残った食材を平らげ、お腹いっぱいになった。骨格ウェーブが着るような、くびれたダウンを着た(伯母)に「つみたてNISAをやれ、FXはやるな」と言われる。6時頃妹、母、(伯母)さんが帰る。夕飯は脂の多い肉だった。
2022.1.29
九時頃に起床。すき焼きを温めて卵をかける。野菜を食べて、残った卵をオートミールにかける。ピスタチオのチョコレートを2つ食べた。本を読むかと思って猫を抱いて象と泳ぐ・マウスの2冊をリビングへ持っていくがいつも通り読めない。今度こそと思ったけれど、今日も読めなかった。もう諦めたほうがいい。部屋のヒーターをつけて、ホットカーペットを椅子に引いて、ikeaのくまの人形を膝に乗せると体勢がちょうどよい。10時半頃コンビニのATMで振り込めるか確認しにセブンイレブンへ。砂ずりとねぎをポン酢で和える惣菜を買う。ついでにメルカリで「あそびあそばせ」1〜8巻の支払いを済ませる。1200円かと思っていたら、1300円だった。
 夕食の代わりに(妹)の誕生日ケーキを二切れと、チョコレートを4切れ食べた。最近は甘いものを食べすぎている。祖父が糖尿病だったらしいから、私も今から甘いものは気をやって管理をしないといけない。(友人)から連絡があったが、コロナ禍で遊ぶのは難しいと思う。なによりもまずコロナにかかりたくない。
 岩浪れんじ先生がよく使っている「🥳」という顔文字がすきで、LINEでよく真似をしている。楽しい気持ちになる。
2022.3.23
本免試験に向かう。(場所)まで母に送ってもらい、五千円チャージした後(場所)へ向かう。(場所)は思っ��より栄えていて、ドン・キホーテやスーパー、お土産屋があり、驚いた。(交通)は椅子にくぼみがなく、座席間隔は任意のため人があまり詰めて座らない。それはあの一帯が人の少ない地域で、電車も古ぼけているし、栄えていないのだと勝手に思っていたけれどそんなことはなかったみたい。
 バス停に向かうと運転免許センター行きの年齢の偏りが極端な列に並ぶ。隣りの若い人はかりかりと脇目も振らず勉強していて、試験前の空気を思い出し、影響されて緊張し始め、つかれた。免許センターはかなり広く、おおきい。顔写真をが必要だと会場で知り、無いので試験を諦めて帰ろうと一度センターを出て、けれどもったいないので帰るのをやめ、係の人に聞くと写真機があるとのことだったのでそこで撮った。写真を切り抜く器具の使い方がわからず一度その場から逃げ、どうしょうもなくて戻り、知らない人に聞くと困りながら教えてくれた。切り抜き、写真を書類に貼ったが一度ミスで書き直し、また別の書類は本籍を書き間違え情けない思いをした。試験会場につくとボールペンを禁止されており、ボールペンだけを持ってきたつもりがそもそも筆記用具を忘れていることに気づく。鉛筆の貸出はありませんという張り紙に怯え、知らない人にシャーペンを借りたあと「鉛筆を忘れた方は購買で買ってきてください」というアナウンスをされる。同時に「あと少しで始まりますので席について……」というアナウンスをされ、迷った挙げ句、気まずい思いをしながら借りたシャーペンを使った。
 無事合格し、指示に従って素早く写真をとり、帰った。朝食に玄米とおひたしを食べたのだけど、そのとき塩気と混ぜて噛み締めるご飯の甘みをとても美味しく感じたので、それをもう一度したくてコンビニで漬物を買った。それから夕食にご飯は良くないと思い直し、オートミールと漬物の組み合わせで食べた。本免試験の合格祝いに母がスーパーで刺し身を買ってきてくれていたけれど、なぜだか必ず美味しくない刺し身で、いつもどおりなぜだかシャキシャキしており、美味しくなかった。
2022.1.30
8時半に寒さで起きる。背中の肌着を伸ばしてじっくり温まりながらメギド72を始めたら部屋の外で(猫)に呼ばれたので、部屋に入れてあげる。9時45分頃、昨日の残りの肉を目当てにリビングへ降りたら、ちょうど父がすべてをラーメンに入れていた。自分が作ったわけでもないので食べたかったとも言えずオートミールを温めた。ついでに目玉焼きを作ろうとしたけれどぶよぶよ太っていくばかりなのに、食事を足すのもげんなりしてやめた。11時頃生麺のカップラーメンを食べる。スープは液体と粉末があったけれど、粉末だけで十分おいしかった。
 このまま一生働けないのではないか、という不安がよぎる。希死念慮に就活を阻��されたひとのブログを読む。3月に就活をして、ブログを書いた当時では働く日々を過ごしているらしい。わたしもそうなれたらいい。16時頃目玉焼きを2つ作り夕食のつもりで食べる。本当は昼ごはんに食べるつもりだったけどラーメンを見た瞬間忘れてしまった。祖父が食べ物しか娯楽がないひとで、足を悪くしてから食べ物に依存してしまった話を思い出すと、自分もそんなふうに食で理性を失っていてはよくないと思う。メルカリで取引していた「あそびあそばせ」が届く。送料が購入者負担になっていたことに気づかなくて、結果的に2300円ほどかかってしまった。素直に最安の5巻までのもの買っておけばよかった。
 自分が異性愛者だという自認が昨日に比べてすっかり薄れ、消え失せている。
2022.3.21
11時頃に起きる。糖質と脂質のバランスに悩みつつ、さつまいもとハンバーグを食べた。昨日洗顔を忘れたら顔がざらついていたので、仕方なく泡洗顔をした。それから朝洗顔に適したジェルを買おうと、外出の支度を始めた。15:31(交通)に乗って(場所)へ。(場所)で降り、少し歩く。(店)側のテラスのようなところで様々な服装の人たちや鳩がくつろいでいるのを避けながら店内に入る。ワゴンに3900円のジーパンが敷き詰まっていて、1700円で売っている神戸レタスのジーパンを思い出す。レディース階でSPINNSや古着ショップの瑞々しさに圧倒されつつ、鏡に映った自分を見て、縮毛矯正の決意を弄びながら店を出る。5月頃、たぶんする。ブックオフで眩暈・いちばんここに似合う人 ・すべての、白いものたちの・小川洋子の陶酔短編箱・悲しみよ こんにちはを購入。6千円強。157ポイントになる。PLAZAで洗顔ジェルを見ようとし、見つからず、蛍光灯と鏡の輝きに圧倒され店を出る。マツキヨでも希望に近い洗顔ジェルが見つからず、仕方なくネットで検索すると、混合肌はTゾーンのみ泡で洗うと良いと書いてあるので、自分が混合肌かはわからないけれどとりあえずそうしてみようと、店を出る。
 (交通)が来るまでの15分間で本屋を一周する。ハリーポッターの文庫本が並んでいた。最近、哲学の棚の隣に、ヒカルランドの棚ができた。世界史のコーナーで立ち止まると向こうから来た男性も同じタイミングで立ち止まり、買うつもりもないため移動した。岩波文庫の棚でシュトルム『みずうみ』を見つけ、手に取り、戻す。歩き、ゾラ『ナナ』も、同様にして戻す。心理特集フェアで平積みされていた本を開き「親は子供にリスペクトされることを望みますが、子供のことをリスペクトすることはあまりありません」という趣旨の文を読む。従兄弟の��活を侵害している母方の祖母を思い出し、いやな気持ちになる。時計を見ると残り3分だったので、海外の棚で『回復する人間』を手に取り、いつか読みたいなーと思い戻し、(交通)へ向かう。(交通)につくと、待っている人が四人しか居なかったので、なにかを間違えたかと思ったけれど、間違えていなかった。予定通り来た(交通)の中で、本免試験の問題を解く。同じところを間違え、うんざりしてやめる。試験は23日なので、それまでにどうにかする。
 父方の祖母が送ってきた肉を焼き、胸焼けした。最近はなんでも食べていたせいで体に肉がついて、細身に見えない。反省してプロテインを飲んで、ひなちゃんねると検索して気分にあったものをやるようにしている。
2022.3.24
下着の違和感で起きる。祈りながら起きるとシーツと敷布団が汚れていてはっとし、しかたなくいそいですべてを剥いで水洗いし、干した。天気が良く、ベランダは入学式の匂いがした。昨日したかった玄米と漬物の組み合わせを食べ、スープを飲む。昨日の朝ほどお腹いっぱいにならず、苦い緑茶を飲んでいたらカフェインで気持ち悪くなって、フローリングに寝っ転がって体調不良をやり過ごすためぼうっとした。 調子が戻り、『供述によるとペレイラは…』を少しずつ読み進めながらヒーターの前で温まったり、プロテインを飲んだりする。今日はほとんど本を読んでいたから、特に書き連ねるようなこともない。
 新しく買ったソイプロテインはほうじ茶風味で、少し豆の味が残るからきなこのような味にも感じる。同じメーカーの、ホエイプロテインに杏仁豆腐味があったので次はそれにしたい。ソイプロテインは温めて飲むことができるけど(苦味がましてあまり美味しくない。どうしても体調が悪く温かいものしか食べられず、どうしてもタンパク質を取りたいときしかやらないほうがいい)、ホエイプロテインは温めると分離する(乳糖が原因?)。今日もリビングに本を持っていくが、いつもどおり読めなかった。
 敷布団を干しているのでベッドに寝転ぶことができず、くまのぬいぐるみを背もたれにしながら本を読む。たまに声を出して録音してみて、聞き、消す。『供述によるとペレイラは…』は、の、ペレイラが日々摂取する異常な量のレモネードを指摘されるシーンで、医師がひとの食生活を「きちがい沙汰」と言ったのに笑う。徐々に忍び寄るファシズムに、というより、時代が変わりつつある匂いに、中立の立場をえらんだはずのペレイラがときめき始めている。そのことに罪悪感を覚えつつ、春風を嗅ぐのをやめられない。9時だけどもうねむい。昨日はナイトキャップをつけて寝たら、一日髪の収まりが良かったので、今日もそうする。
2022.3.25
10時53分起床。ご飯に麻婆豆腐をのせて食べる。そのあと、昨日買ったバジルのパンが残っていて、本当は食べないほうがよいが、食べたかったので食べて反省した。やるべきことが漠然と積もってゆ��感覚があったので、せめてタスクを可視化したほうがよいとリストを作ったら、多くはあったがそのうちいくつかを消化することができた。運転免許証のコピー、療養費申請、口座開設、眼鏡の新調。よかった。適当な時間に(店)へゆき、視力を測り直し、度を入れ替える。度が弱いと思っていたら、視力と合わせて0.6に調節されていたらしい。たしかに弱めに作ったけれど、不便なので1.0にしてもらう。かけると、こまごまと際立つ輪郭に吐き気がして、一生かけることはないだろうと思いながら受け取る。けれどしばらくかけていると、慣れた。よかった。ZARAの激しい色合いの服を眺めながら、明るいピンクのワンピースに、カジュアルな編みサンダル、前髪をなくし、鮮やかに赤い口紅をつけ、大きく笑う自分を想像し、それが本来の自分であるように錯覚する。今となっては、やりたければやればいいと思う。  寿司7貫で980円の高い盛り合わせを食べる。その後、百円の皿を3枚食べる。また行ったときに食べるものに目星をつけておいた。白いエビ、びんとろ、かつお。  帰ると、チョコレートをいくつか食べ、風呂でアジトtvとその実況を聞く。久しぶりにメギドがやりたくなって、少しやって飽きる。今育成をするには大幻獣を倒し続けなければならず面倒。寿司を食べたので、生理中だがひなちゃんねるを一生懸命やった。今日中に『供述によるとペレイラは…』を読み終えそう。  Twitterで卒業式の写真を見て、自分は卒業式も成人式もやっていないことを思い出し、せめて着物が着たくなって(いまさら)調べたけれど、着付けそのものよりアルバム代が高額で、成人式としてやるのは難しそうだった。家族に相談すればなんとかなりそうだけれど、だからあのとき言ったのにと言われるのがどうしても嫌だから、たぶん撮らない。  大学生のときはめったに写真を取らなかったけれど、過去の自分を他者としてまなざすことのできるいまは、もうすこし撮っておけばよかったと思う。
2022.5.28
6時半頃起床。仕事を始めてから生活が規則的になった。やや薄暗い早朝の食卓でひとりしずかに冷えたさつまいもを食べる。糖質56g。
古い服をまとめて捨て、8時頃風呂に入る。付けすぎたオイルが残らないようにていねいに洗う。コームでリンスをまんべんなく髪につける。昨日の夕方に打ったワクチンの副反応はこのときまだなく、きまぐれに美容院に行く準備をした。けれど万が一を考えてやめ、自室で『魂の不滅なる白い砂漠』を読む。12時頃とつぜん眠気が増し、13時には目も開けられないほどになったので寝る。外出しなくてよかった。15時に起きる。38℃。ブロッコリーをふたつ食べて昨日買っておいたルルアタックを飲み寝る。薬は2日分買ってある。 19時に再び起きる。体温計をなくしていた。発熱らしいだるさは変わらず卵焼きを少し食べルルアタックを飲む。少し楽になる。
一日を通してほとんど何もしなかった。朝方掃除をしたから部屋はやや綺麗。本を読む(ちいさな文字に焦点を合わせる)とぐるぐるして体調が悪くなる。目をつむったまま自分について振り返る長い一日だった。かろうじてソシャゲの周回ができた。無課金プレイしかしないけれど、一部ユーザーの課金によって成立するソーシャルゲームの運営システムは歪とおもう。ゲームといえば、電車に乗ってるスーツのひとがトゥーンブラストをプレイしているのをよく見る。思考を追いやった働きかけによるうすい反応、それがもたらす僅かな刺激にひとは依存しやすいらしい。 朝と夜に詩を読み、頭の中で音楽を流しながら働くことができ、時間を売るだけでお金がもらえる今の生活はかなり好きだけれど、この生活を続けるには不安が大きい。
ここで了承されるべきは、時間がもたらしたり取り去ったりしないつつましくも奥深く変わらずあるようなあらゆる事物のことであり、人間として存在することが自身にとって必要不可欠であるのと同じ程度で人間にとって本質的な事物のことだ
ピエール・ルヴェルディ 『魂の不滅なる白い砂漠 詩と詩論』
小川洋子が『密やかな結晶』のあとがきで人間のあらゆるすべてをそぎ落としたとき微かに残るなにかがあるはずというようなことを書いていたはず。立ち読みだったからよく覚えていないけれど。あとがきのみのために既に持っている本を買い直すか迷う。氷枕がひんやりして気持ちいい。
2022.5.29
 6時30分起床。体温37.1。頭痛がひどく目を閉じる。 7時30分起床。37.1。ふらふらしながら食卓へ。やきとり二本食べる。本が読めた。『すべての、白いものたちの』読み終える。6/14に同作者、同翻訳で『引き出しに夕方をしまっておいた』が出るらしい。未読本が多いからすぐには買わない。 『魂の不滅なる白い砂漠: 詩と詩論』を読み終える。終盤の訳者解題と訳者あとがきはだれてさらっとしか読んでない。
「詩とは、人の心の中で、空虚を埋めることのできる代替物を創るためにある」(『全集ⅱ一二五二頁』)(中略)苦しみの根源にある欠如は詩作によって充当されるべきものだったのだ。
魂の不滅なる白い砂漠 詩と詩論 ピエール・ルヴェルディ 訳者解題
私が特に色々な本を読み漁っていたのは10代の頃です。学校の先生やクラスメイトと一緒に得るものを、どうにか読書を通じて吸い取れないかと必死になっていた記憶があるので、その時間がなかったらもっともっと人として欠けていたのだろうと思います。
World meets KODANSHA interview 齋藤飛鳥
思えば自分の魂やこころ、精神の欠損をあまり実感したことがなかった。まるごとの質の低さを漠然と感じていたけれど、欠損とすればなにかで埋まることもあるかもしれない。なんにしろ出会いは遅くても早くても意味がないので気長に運を待つ。
藤本:(略)僕は読み切りを描く時は大体怒りで…。例えば、今ネット上で怒っている人が多いじゃないですか。そういう人たちって、Twitterとかで発散できていると思うんですけど、僕は自分の怒りなどをTwitterとかに書く気が知れなくて。漫画にぶつけているんですね。
藤本タツキ×沙村広明奇跡の対談
 17歳の時に僕は山形の美術大学に入学しました。東日本大震災が起こったすぐ後だったので、このまま絵を描いていていいのだろうかと皆思っていたはずです。絵を描いていても意味がない気がして。何か少しでも役に立ちたいと石巻に復興支援のボランティアに行きました。行くバスの中で僕と同じように考えている美大生や、体育大学の学生達がたくさんいました。(中略)30人くらいで一日中やったのに全然できなかった事に無力感を感じ、帰りのバスの中でも皆沈んでいました。作業中一緒に作業していた体育大学の学生が「俺達が来た意味なかったですね」と言っていました。 (中略)  また、悲しい事件がある度に、自分のやっていることが何の役にも立たない感覚が大きくなっていきました。  最近そろそろこの気持ちを吐き出してしまいたいと『ルックバック』という漫画を描きました。描いてみると不思議なものでちょっとだけ気持ちの整理ができた気がします。
藤本タツキ短編集 17-21
藤本タツキ作品は全体を彼固有の言語と感じるからたびたび愛しく思う。音楽があれば、小説があれば、絵画があれば語ることのできるひと、逆に言えばそれがなければ言葉を喉で詰まらせるひとがいる。創作という状態でのみ息を吹き返すような切実さにふれることで、吹き込まれる呼吸がある。
中学生の私は「死ぬ日」を自分が中学校を卒業した後のある日に決めてカレンダーに印を付け、あと140日、あと139日、と毎日自分の生命の残りの日数を書きこんで数えながら生き延びつづけていました。そのとき、私は小説に対する執着を、生きるために利用しました。自分の頭を自分で手術し、小説という「教会」を自分の生命と繋げました。
新潮 村田沙耶香『平凡な殺意』
学生時代のレポートが出てきたので読み直す。 宗教は精神的苦痛を身体的苦痛へ置き換えてくれる。精神に苦痛を引き受けることを決めたひとにとって、神はあまり役には立たないだろう。
18時頃37.0。発熱にも飽きてきた。
2022.5.30
5時起床。浮遊感と倦怠感で動けない。なんとかカーペットの上まで這いずり昨日の日記を整え投稿する。ビジネスチャンスを狙ったいいねの通知が煩わしいためまたどこかへ移植したい。wordpress使いこなせたらいいけど、生半可な気持ちでやるのはむずかしそう。7時に会社に連絡。おやすみを貰う。動けないからしかたないのに罪悪感。この程度で注意を受けたら辞める。7時半やきとり二本食べる。冷凍のやきとりあるだけで一回の食事を頑張れる。毎日食べても美味しい。14時まで動けない。熱の気配は完全に消え怠さがずっと残る。 東野圭吾『毒笑小説』が傍にあったので眺めていたら、なんだか知っている話で、よく読むと小学生の時に借りたことのある本だった。気づいたきっかけは『エンジェル』。流し読みしながら不調の原因は脱水症状かもしれないと思い始め、いそいで経口補水液を作って飲んだ。改善せず。
9月に大学を卒業してから卒業証書を貰っていないのでその連絡をしようとしたけれど、すっかり忘れてつみたてNISAの解説動画をみてた。死にたくないと言うより苦しい思いをしたくない。苦しい思いをしないために必要なときに必要なお金や環境があって欲しい。いつなにが起こるかわからないから怖い、というのが最近の不安。志賀直哉『城の崎にて』の鼠のような、生死の境に横たわる狂気からは逃れられないだろう。今日もたかがだるさで手を震わせて経口補水液をつくったし。祖父が亡くなる当日の朝、普段は使うことのない関西弁で「俺は(名前)やぞ!わかっとんのか!」と叫んだと祖母が話していたのを思い出す。
死は、頑丈な足場を築いた気になる者の、足元を崩れさす。そのとき、感覚器は断線し、呼吸程度の身体の実感も失い、鼓動で計る最も原始的な時間感覚すら途絶え、意識は自らを振り返すこともできずただ灰色である。ことばを思い出すきっかけなどない。ただ幸運にも生還できた者だけが、ことばも何もない、動物になった自分の絶叫のみが反響する灰色に溺れていたと知るのだ。
長谷川敏司 『あなたのための物語』5-6頁
そして、サマンサ・ウォーカーは、動物のように尊厳なく死んだ。
長谷川敏司 『あなたのための物語』428頁
とはいえ、死についてあれこれ書いているひとも、じっさい死を体験したことのないひとばかりなのだからあまり真に受けてもいられない。今週末ひとと会う予定があるから無理に美容院に行こうとしたり、ネットで可愛い服を探していたのに、あろうことか瞼の上!を虫に刺されて、どうぶつの森で蜂に刺されたむらびとの顔になった。からっと落胆しながら瞼に軟膏を塗る。よくない人相がさらに悪くて漫画みたくへこむ。
18時になんとかシャワーを浴びれて、日記をかけている。普段の生活は無理そうだけれど、在宅勤務のときくらいは記録を残せそう。明日みたらし団子が食卓に残ってたら食べる。
2022.5.31
いいねが煩わしいと書いたらいいねこなかった。意外にちゃんと読んでるのかしら。6時半アラームが鳴る。なんとか2度目のアラームまでねばる。44分起床。みたらし団子とさつまいもと卵たべる。ひじょうに満腹で通勤中かなり後悔。朝ごはんが一番豪華な生活が理想なのに。そろそろひと通りは読んでおきたい現代思想かばんにいれて家を出る。満員電車でなんとか読む。瞼が腫れているから目を開くと疲れる。仕事が終わった頃目の奥が痛くてくるしい。ふらふらしながら帰宅。22時半布団の中。
意識的になれば、こういう生活の中でもあるていどの記録はできそう。ただ聞くだけでよいと言われても、意識がある私に話しているという事実が(友人)を癒やすのだろうし、そのとおりにわたしにも意識があるからそれがつらいときもある。なるべく他者として、癒着されないよう振る舞う。永続的な関係のひけつは運と他者性とおもう。幼い女性の軽やかな他者操作を絶賛する社会きもちわるい。
2022.6.6
ショッピング楽しすぎて16時に帰宅してつかれてすぐ寝た。3時に起きてだらだらしてねて7時におきる。リモートワークで良かった。こういうよくわからない睡眠をまばらにとって満員電車に乗ると体調を崩す。仕事。なんとなくだけど指示を仰がず一人のうちに完結できるようになってきた。教えて下さいと言ってすぐわかる(資料)を案内されるととても申し訳ないからこれからも頑張りたい。でも思い入れはないのですばやく(駅)近くに転職したい。実家ぬくぬく生活できるのありがたい。
湿気で髪が広がるのがいやだから切るなりなにかしたいけどどれも迷って決められない。経営者のYouTuberが悩むことは自分にとって価値が低いということ(切羽詰まってない)、だから選択は10秒でする、そういうルールを作って無駄な時間を省くべきと言っていた。けっこう悩む時間も好きだから無駄に感じてはいない。でも早めに決めなきゃと思う。(人)ちゃんを通勤経路が同じためよく見かける。恐ろしくおしゃれ。大学生のとき(店)でバイトしてるのを見かけたし、ファッション雑誌の編集とかになっていたりするのかな。おしゃれなひとを見るとみずみずしい気持ちになる。みずみずしくなりながら『道しるべ』読む。
2022.6.7
帰りの電車座れたから日記書いてみる。つかれて頭ぼうっとする。早く帰りたい。寒くて4時起床。布団を被ってもなかなか寝付けず。昨日の夜寝る間際まで考えてたひとの夢をくっきりみてうれしい。
6:45再び起床。適当な化粧する。Qoo10で化粧用スポンジ買ったから届くの楽しみ。次はメイクブラシセットを考えてるけど収納スペースが狭くて困る。ほしいけど買わないかもしれない。もともと欲しい物を忘れたり我慢するのはかなり得意だからあまり浪費せずにすんでいる。何度も確認し��どうしても必要でほしいものに惜しみなくお金を使うのがすき。買い物は買う前に悩み尽くすから失敗してもあまり後悔したことはない。プロテインいつもの3分の2、ポテトサラダ、マリトッツォ食べる。ポテトサラダはからしをいれると美味しい。マリトッツォは世間で人気になってからずいぶん気安い存在になった。今日食べたのも一袋4ついりの量産型マリトッツォ。ファッションで言うところのつけ襟やセーラー襟のような大衆的な気安さを感じて文化だなあと思う。
昨日在宅だったからPC持って満員電車。つらかった。すでに筋肉痛。上司が一日を通してをあからさまに気分が悪そうだった。そうまでしてなぜ働くことを選んだり強いられたりしているのかわからない、心配で気が散るから帰ってほしかったけれどそうもいかないところが社会だから厳しいなと思った。この間小声で死ぬかもと言いながら早退したひとは今日出勤してた。わたしは健康なうちに仕事辞めたい。
2022.6.8
優先席座った。ひやひやしながら日記書く。ここを必要とするひとがきたらすぐ譲る。疲れたから座ったけどもう後悔してる。 脱げない靴が脱げる。気が向いたら中敷き買う。起床6時半。すっきり目覚めて二度寝なし。昨日と同じ人の夢をみる。人間が短毛で皮膚がでろでろの大型犬に石を投げ、大型犬はそれを両手で受け止め投げ返す、渋谷に似た治安の悪い街で迷子になる。「だから言ったのに、この街をなめるとそうなる」と言われる。どぶの上にかかる都会的な白い石の橋。
innisfreeのファンデーションは白すぎるから使いにくかったけどかなり薄めに付けたら肌に馴染んだ。ずいぶん残りがあるし永遠に使えそう。化粧品はときめくけど必要ではないから新しく買う予定もなく無くなるまで買わない。メルカリにも出さない。メルカリで買ったポルジョの下地はかなりいいけど高くてリピートできない。普段はキャンメイクの下地でやり過ごし人と会う日にだけポルジョの下地使ってるけれど、なくなったらいろいろ調べた結果マジョマジョにしそう。ファンデーションと下地はどちらかを妥協したい。餃子7個も食べる。豚肉は塩漬けすると加熱しても赤みが消えないらしい。さらさら雨が降ってるので傘持ってく。折りたたみ傘買うべきだけどとりあえず貰い物の長傘でやり過ごしている。思い入れのないものほどなくさないから不思議。(交通機関)がかなり遅れていたけど間に合いそうでのんびり歩く。いつもの時間よりやや空いていて、この時間でも良いかなと思うけど、朝は本屋もやってないしホームに椅子もなく時間のつぶしようがない。
上司は意識的に結論から指示を出してくれるのでありがたい。昨日、なにか書こうと思って眠すぎてねたの思い返すとやや傷つく。 『道しるべ』ピンとこないから読むべき本がわからず呆然としてたけどすこしだけ本屋歩いた��元気出た。早く次の本見つけて布団入りたい。
2022.7.2
七時半起床。昨日ののこりのつけ麺を食べる。一食分サイズはだいたい半分でよい。たまに食べたくなる重い炭水化物をめいっぱい咀嚼しているときはそこそこ幸せ。一番はなすの煮浸しを食べてるとき。ワールドトリガー2期一挙放送を途中から観る。スポーツ観戦をしてるみたいで面白い。判断が遅いな、と思ったところで実況キャラクターが遅いと解説するのでよくできている。漫画が無料公開されていたときにさらっと読んだけれど、もともと漫画を読むのが得意でないせいで何が面白いのかわからなかった。アニメになっていると色と音があるのでわかりやすい。アニメ『宝石の国』も色が綺麗だった。最近アニメを観ること減っていたけれど、在宅勤務が増えたのでまた何か観たい。
『戦艦武蔵』と『悲しみよこんにちは』を毎日持ち歩いている。文庫本軽くてありがたい。17時から(人1)と(人2)と会う予定だったけれど(人1)が一時間遅らせてほしいというのでそうなった。聞くと昨日会社の飲み会で、朝帰りだったらしい。自分とは無縁の世界で生きているひとたちの話を聞くのはたのしい。会社固有のコールがある、社員の大半が二日酔いで機能していないので二日酔いが二日酔いの味噌汁を昼休憩で買いに行くなど。飲み会。みんな明るくて元気。広告会社と営業に就職したひとたちだからかすごく気がまわり、何度もお冷をもらってありがたかった。こういう外向きのひとたちの飲み会の手際の良さには巻き込まれるたび感動する。飲み慣れた人たちはぐびぐび飲んでテキパキ話すけれど、いっぽうの私はハイボール一杯で酔うコスパのいい体になったらしく、ずっと笑っていながらよく覚えていない。年々お酒弱くなってるし酔うことも好きでもなくなってる。しばらくお酒いらない。セクハラはどこにでもあるねという話をした。前のアルバイト先の店長にされた頬を揉むという独特で不気味な可愛がり方を思い出した。
カラオケに行ったら息を吐きすぎてぐったり。歌うことは好きなのにできず、ポルノグラフィティに合わせて必死にマラカス係。久しぶりに色彩の鋭い光と音楽が自分を素通りしていく感覚を味わう。高校の同級生と会うことは余程のことがない限りない。同窓会を企画するようなひとが友人の中にいないし、連絡の途絶えたほとんどがそれきり。今日会ったひとたちももう一生関わらないだろうと思っていたので、実際に会って軽く話せているのが不思議だった。カラオケでは眠くてしんどくて子どもみたいに無口になってしまいすごく反省していたけれど、帰り際8月にまた同じ三人で会うことになり、少し戸惑っている。
au通信障害があったけれど運良く被害を受けずに済んだ。よかった。
2022.7.19
昨日の微熱が下がらない。不安になる。祖母に会いに行ってしまったのは馬鹿だった。東京ではとてもコロナが増えているのに。いつ罹ってもおかしくないのに。 病院へ行ったがとても混んでいた。9時に行って帰ってきたのが10時30分。発熱患者は待合室も隔離されていて、話を盗み聞くに私と同じように微熱が上がりきらない症状を訴えているひとが多かった。みんな不安なのだろう。それと同じようにわたしもとても不安。子どもがひたすらしんどいとため息のように呟いていたのが素直でうっとうしかった。体調がわるいと自分が助かることばかり考えてしまう。 検査は込み合っていて結果は明日届かない可能性があるとのこと。 一年前の検査は容器に一定量の唾液を溜めて提出したけれど、今は脱脂綿に3ー5分唾液を含ませるだけで良く、医療システムはこの短期間でぐんぐん効率化されている。それでも一時間半かかるのだから、最近の感染者急増はすさまじいのだろう。わたしもそのひとりかもしれないけれど。不安。 症状として、熱は37度から上がる気配はない。昨日は体に熱が覆っている感覚があったけれど、今日は汗を掻いたせいか昨日ほど籠った熱ではない。昨日と体温は変わらないけれどからっとした発熱になった。どうかコロナでありませんように。
仕事の話。通常三人体制のところを今週は一人が5日間有給休暇をとっていて、今日明日わたしが休んでしまうので一人体制となっている。一人で出来る仕事量ではないから大変だろうけれど、会社員ひとりが休んだごときで仕事が回らなくなってしまうのは経営に問題があると思うのではやく辞めようと思う。というのが強気な建前。 いっぽうで、私の代わりに在宅の人が出社になってしまった、わたしの業務を押し付けてしまった、そういうことを考えると猛烈に人間臭い弱気な悩みが噴き上がる。申し訳ない。申し訳ない。申し訳ないからもう二度と会いたくない。仕事辞めたい。
やっぱりコロナだったらどうしよう、祖母に会いに行ったのは間違いだった。たくさん本を貰ってきて、また会いに行くねという話をしたばかりなのに。最悪のことばかり考えて消耗する。 考えても仕方ない、今わかっていることはなにもない。今できることは全部正しくやったから、大丈夫のはず、(場所)は病床逼迫率も低いし、万が一のことがあっても病院をたらい回しにされるようなことはないだろう、とは思うものの…。 やっぱりコロナは早く収まってほしい、あらゆるリスクが高くて生活しづらい。あと3人以上の飲み会は今後も断り続けよう。
山椒魚戦争読み始めたらやっぱり面白い。グレムリンみたい。
追記 8.28 新型コロナではなく、ただの風邪だった。
2022.8.25
 ポワントを家で履いてはいけなかった。家のフローリングについている成分をバレエ教室へもちこむと、教室の床がなぜかつるつるになってしまうらしいから。  木の板便利なところ1:広い 90*90はけっこう広い。広い木の上にすっきりPCが置いてあると導線が複雑にならないからこういう日記もすんなり書きはじめることができる。電子ピアノも置ける。立って電子ピアノを弾くこともできる。  木の板便利なところ2:左側にスペースが出来た 今まで使っていた勉強机の右側にスペースを増設したから、木の板を正面にすると左側にスペースが生まれた。左利きなので左側にスペースが生まれると作業効率があがるし、L字にスペースがあると体をぶつけない。  木の板便利なところ3:天井が見える わたしの勉強机に限ったことだけれど上部に棚が付属しているから暗い圧迫感があり地味にストレスになっていた。作業中真上に天井があるのはいがいと安らぐ。天井が高い家はよくCMになっているけれどわたしもそういう家に住みたい。  木の板こまるところ1:痛い ちょっとかさかさする。腕が擦れるとやや危険。  木の板こまるところ2:書ける 書けるし書いたら消えなそう。試していない。でもこれは将来的に長所にもなりそう。絵とか、感情の為におしゃれにするつもりはない。  木の板こまるところ3:猫を部屋に入れられない 木の板がひっくり返って猫がけがをしてしまったら怖いので部屋に猫はいれないことになった。おおきな犠牲だけれど快適な生活をとった。
2022.8.30
 去年の夏原因不明の眩暈で救急車を使った際保険証をもっていなくて13000円支払った。申請すれば立て替えた保険代分の費用を返してくれるとのことで、返金申請の書類のための書類を手に入れる連絡などを毎日仕事の合間にこつこつやっている。巡り巡ってなかなか書類に届かないのは月とか地球ががぐるぐる回っているようでもう一生立て替え金なんて手に入らない気がする。積み立てnisaの申し込みとマイナンバーカードの申請もやったりして書類があちこちに散らばっているけれど木の板を設置していたので床に広げずに済んでいる。
 本屋に行って練り歩いていたら坊主で短パンの男性が哲学とか社会学の棚から一歩も動かずなんとなく似合っていないかんじが似合っていた。  みすず書房のフェアだとかで『徴候・記憶・外傷』があったら買っちゃうなあと思っていたけれど『いじめの政治学』しかなかったから特に何も買うことはなかった。
2022.10.3
7時起床。朝食に茶碗蒸しと月餅。  1日に(人)と(場所)へ遊びに行った。(人)は携帯を持たないので前日までに待ち合わせ場所をメールでやり取りし、11:30、(駅)の(交通)線最後尾で会うことになる。10分前につくと(人)はもう居た。どこか行きたいところはあるかと聞かれ、行ったらなんでも面白いかなと思ってと答えるとそういうの調べないんだと言われる。恥ずかしかった。  昼食を食べお茶を買い高い月餅を二つかった。そういう経緯で家に月餅がある。毎日食べている。  BMIが18.5以下は皆痩せ型だからあなたは欠食児童と言われ、児童という歳でもないけれど面白かった。今日からひさびさにあすけんの記録を付けてみたら食事バランスでばかみたいにお菓子が突き抜けていた。月餅のせいだから気にしてない。カロリー計算上だと食べる量はそれほど多くないけれど、カロリーがすべてではないし、脂質と糖質の組み合わせによっては簡単に太るだろう。でも健康が一番なので多少の体形の崩れにはもう目を瞑っている。運動すれば良いけれどしたくない。
今週はずっと在宅勤務。勤務中にプライベートな息抜きだとか娯楽ができるのはいいことなんだろうか。
夕飯時、母親がクッキー食べてるの見てつられて食べたら母親の二倍食べた。
 猫の一匹が心臓肥大で最短の余命が半年との宣告を受ける。目が見えなくなって、血圧を下げる薬を飲んでから視力が回復したので勝手によくなったのだとぬか喜びしてしまった。これから死ぬ生き物と一緒に暮らすのは弱い地震が起こったあとの破壊的な揺れを想像する時間がうっすら引き延ばされているようで不気味。どの生き物もこれから死ぬのは死ぬけれど。  一度失明したとき、瞳が光に対応できず黒黒と開ききった瞳孔が全面に光を反射していて、その選びようのなさが虚しかった。ずっと一緒に暮らしてきたのに、瞳が機能していないだけで同じ生き物ではないように、人形のように思えた。私は私の知る生の基準をそのままに、失明した猫を生きているとみなしているのか、自分で分からなかった。体験するとは多分そういうことだけれど、これは酷い話で、不特定多数の読みうるウェブ上の日記に、本当は書くべきではない。  昨日口呼吸をしていたので夜間救急へ連れて行くと心臓肥大が判明した。これからもっと悪くなることは確実で、そのスピードには個体差があるらしい。今日は一日ぐったりと廊下の暗がりに横たわっていて、この調子じゃ早そうだねと母が言った。今日一日の経過しかみていないのだから何とも言えないけれど、母は最近妹を亡くしていて、死が急速に迫ることへ慣れたがっているふうだった。  昨日はわたしも昂っていて、どうしても猫の死から逃れたく、この家を出ることでしか猫の死から逃れる方法はないと絶望していた。心臓肥大が進行し、肺に水が溜まり呼吸が苦しくなり、安楽死であれ病死であれ、溺れるように窒息しかける/する様子が続くことに耐えられず、死ぬなら私が家を出た後勝手に死んでほしいとさえ思っていた。いまは一日経ったのですこし落ち着いた。なんとなくこのまま猫の病状に慣れ、時間をかけて死んでるかもしれない/死んでいるようだ/死に慣れ、不在に慣れるのだろう。猫の死を拒む思いは全く消えないけれど一方で、生まれた以上死ぬことは決まっているのだし、せめてよりよい命のためにすべきは願いでなく行為とも思う。  猫が初めて失明した日、もう二度と視力は戻らないだろうと言われた。目の見えていない猫が妹の部屋を目指して鼻を壁に押し付けながら階段を上っていた。引用はそのとき書いたものの一部。
いつの日か温かい寝床に���い付けられる日が訪れたとき、あなたのみる夢が最後にのぼった階段のさき、あなたを受け入れる扉の奥のにおいを蘇らせますように。
 今日は階段を上る元気もないようで、撫でると喉を鳴らすのみだった。生きていた。  できれば、生きていることあまり大袈裟に捉えないようにしたい。生きていることの過度な祝福は死の否定で、死と生は地続きだから結局生の否定に反転する。もうたぶん、人生で動物は飼わないと思う。
2022.10.4
起床8時。月餅とヨーグルト、茶わん蒸しを食べる。月餅残り一切れ。最近は夜更かししてしまうので起きる時間も遅くなっている。そろそろ早く寝る習慣を付けないといけない。とはいえ今は10時だけれど、もう眠い。
『月の三相』読みながら労働。
猫は一日廊下の隅から動かなかった。一昨日病院に行く前は階段を上ってトイレで息を切らせていたけれど、それさえ元気に思えるほどぐったりとして、糞尿を垂れ流している。あの晩に病院に行き、嘔吐や下痢をしたことがなにか張り詰めた生気のようなものをぷつんと途絶えさせてしまったのかもしれない。胸を引き上げるみたいに息を引き込んで、重力に任せて呼気を追い出すような呼吸を繰り返している。動かないから分からないけれど、動けないほどつらいのだろう。本当に別れは早いのかもしれない。でもこの様子を見ていると、がんばれとはとても言えない。
 昼は昨日からそうめんを食べようと予定していたのでそうめんを食べた。100gで330カロリー。四分ほど茹でるうちにお湯に入りきらなかった面が焦げてしまった。4倍濃縮のめんつゆを薄めて食べた。 昼休憩後留守番のためリビングで仕事をしていると動物病院から電話がかかってくる。仕事をして良かったことは二点、電話に出やすくなったことと、Ctrl+Aを知ったこと。土曜に予約を取り付け終話。
どこかの知らない、けれど存在する町のルポルタージュのように小説を読む。段落の機能に感動する。ものを割り開くことより事象をなぞることができるようになりたいけれどそれは時間の経過、並走することだから今までやってこなかったことで大変だ。25ぐらいまではまだ分解を楽しんでいそうだけど30までには並走もできるようにしたい、40あたりで並走に重心が置ければまあ成功だろう。その辺で人生もすこし楽しくなってくる予定。また生きていかなくては。
ひとと話していて口癖が「でも」だと気付き反省。わたしの「でも」は一旦相手に納得して、思考を相手に傾けてからの揺り戻しで意見を発する「でも」なので、相手に完全に納得しているのだけどそんなこと言っても無いのだから伝わるはずがない。さらにこの会話だとすべて意見は逆張りになってしまうのだからなにも上手く行かないだろう。”でも”、「でも」を使わずに会話を展開させるやりかた分からない。会話って展開しないものなのかな。
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shokobekki · 2 months ago
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【日記】
一気に寒くなった。 暖かさに惑わされ咲いてしまった河津桜がなんだかいじらしい。ようやく背中を押されて服の入れ替えをする。といっても、持ち服が少ないので、奥の冬物と手前の夏物を入れ替えるだけですが笑。Tシャツからいきなりニットだ。
ここしばらく作業中BGMは、午前中メンデルスゾーン、午後はミセス、というちぐはぐな感じ笑。メンデルスゾーンは、訳あって個人的にちょっと憶えなきゃならない曲があるため。まっこんとハナが寄って来てにゃあにゃあ鳴く。波長に何か感じるのかな? 弦も、声も?
"えっさかほいさ 猫にバイオリン 牝牛が月を飛び越えた 仔犬がそれ見て大笑い お皿はスプーンとかけおちしたのさ"
だったかな ちょっとうろ憶えだけど…
"ミルクよバターになーあっとくれ はやくーバターになっとくれーー ピーター待ってる門のそば ピーター待ってるバターケーキをー♪"
母が長年やっている合唱団で そんなのを歌っていたこともあったっけ。 マザーグース訳詩が 思い出と絡んで印象に残っている。 谷川俊太郎さん、 ついに惜別か…
今から10年ほど前、辻征夫さんの詩がらみのお仕事をさせて頂いたおりに、葉月ホールハウスのトークイベントを始め、シマウマ書房さんや詩人の八木幹夫さんを介して二度ほどお会いしたことがある。ある時は、東京の下町の昔ながらの食堂で。ふつうに電車で来られた。大変小柄で、庶民的な雰囲気もありながら、佇まいはしゅっとして上品で、第一印象はなぜか、無着・世親の、無着像。貴重な、ありがたい接点でした。
子どもの頃家にあった『いちねんせい』『ことばあそびうた』『わらべうた』『これはのみのぴこ』…  母が若い頃、ぽえむぱろうるという店で買った、南桂子装画の初版詩集『うつむく青年』、私が書店員時代に社割で買った『あさ』、友人知人から頂いた訳詩集色々、最近の絵本『ぼく』… 絵本的なものが多いけど、ちょこちょこ手元に。
とりたてて、深く読み込んだことはない。でも思い返してみれば、いつも身近にさりげなく在って、ふとした瞬間よみがえったり、日常に寄り添ってくれるようなことば。小難しいことは言わず、ご機嫌とらずに済む(笑)詩の世界で、ことばっていいな面白いな、と思わせてくれる、唯一無二の方だった、のかもしれない。
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osaji-plus · 3 months ago
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ヘビー級おすそわけ
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先月、コインさんから誕生日プレゼントと一緒に紙もののおすそわけをいただきました。 プレゼントももらったんだけど、おすそわけのウエイトがあまりにでかすぎたので今回はおすそわけについての記事となります。誕プレのネコチャン型スコーンは写真を撮る前になくなりました(食べた)。
それでは見ていきましょう。 これが全数��す。
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・メモ 698枚(349柄×各2枚) ・デザインペーパー 22枚 ・シートシール 3枚 ・フレークシール 60枚
総枚数 783枚 総重量 460g
写真では伝わりきらないかもしれないけど、けっこうな量。箱で届いたんですけど。これは本人にも手紙でお礼とともに、失礼を承知で伝えたことなんだけど「正直引きました」って。どうしたのこの量は…おすそわけじゃないでしょ。 そしてそのあと枚数カウントした話をしたら、今度は私が引かれました。「数えたの!?」と。数えちゃったね…記録魔だからね…数えたし量ったし測ったよね。
メモは全柄につき2枚ずつ入れてくれる手厚さ。 すべて広げて写真を撮るために脚立(!)にのぼりました。地上からではカメラの画角におさまらないのだ。ナスカの地上絵かもしれない。
こちら積み上げサイドビュー。
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高さ約10cm。 「おすそわけ」ってなんだろう、と宇宙猫になった日でした。
ちなみにこれは送られてきたパッケージング状態のもの。
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このパック作業のために、全部出して、数えて、仕分けして、詰めて…大変なこっちゃと思います。ありがとうございました。 大切に保管・使用します。
おすそわけだけでこんななのに、本体はどんな量なんだろう。しかも今回いただいた以外にもあるのだろうし、コインさんはRollbahnのリングノートもコレクションしてるの知ってるから、あれは場所とるだろうなっていつも思っている。
私も文具は好きで買うけど、どっちかというと「使用」するほうに寄っているので実はそんなに在庫は多くないのかな。
レターセットとか。いや、使うのが追いつかなくて保管箱が7~8箱あるんだけど。でも使うつもりだから!コレクション用のつもりじゃないから!(よくわからない言い訳) 買う時の基準が「かわいい!使お!」なので手紙を書く機会さえあれば減ってくれる。 シールは…ああ、シールはたまりがちかもしれない。近年、このままではいかんと思い手紙の端々に貼るようになった。ぴよこ豆がよく貼ってあると思う。
かわいい文具、使うのもったいないけど、使わずに終わってしまうのはもっともったいないのでできれば使っていきたい。
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buhayko-sa-cordillera · 4 months ago
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City Market
 Magandang araw po!
 バギオの街の中心部に位置するマーケットを散策してみました!
 マーケットには主に東西に200mほどの通りと、そこから張り巡らされる細かい道もたくさんあり、歩いても歩いてもまだ知らない通りがあるくらい広いです...!
 売っているものは野菜、果物、お米、肉や魚などに加えて、バギオのお土産、古着や靴、ティッシュなどの日用品など、生活に必要なものはだいたいここで揃うくらいなんでもあります!
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 マーケットの中で一番広い通り。
 左手には果物、右手にはお土産を売っている店があり、後ろは野菜コーナー。
 私は通学で毎日ここを通るので、学校帰りに野菜を買って帰ります。
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 山盛りのいちご。
 バギオはフィリピンで唯一いちごの生育ができる気候らしく、いちごがいたるところで売られています。
 一度だけ買ったことがあるのですが、日本のいちごに比べると少し酸っぱく感じました、、
 いちごだけでなく果物全般がとても安い!!
 ↑のいちごは500gで150ペソ(約393円)。日本だったら1パックの値段ですよね^^
 ほかにもいろいろな果物があり、マンゴーやドラゴンフルーツなど東南アジアらしい果物もあるので、最近は一つずつ買って朝食べるのにはまっています♪
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 立派なバナナが並んでいるのを見るとフィリピンを感じられますね^^♪
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 先ほどの通りを西に歩いていくとビルの中につながっているのですが、古びたビルの中におびただしいほどのお土産が置いてあるお土産屋さんが並んでいます。
 真ん中に見えているストライプ柄の布は、コルディリエラ地域の伝統衣装として使われるもの。これはお土産用に加工されたものと思われますが、実際にお祭りなどの際に使う衣装を売っているお店もあります。帰るときにぜひ買っていこうと思っています^^
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 これで終わりかと思いきや、ジープの乗り場を進んだ先にまた別のエリアもあり...!
 ここは生活圏内ではなかったので、最近散歩していて発見しました!こんなに広かったとは!
 この量の魚を果たしてどれくらいかかって売り切るのだろうかと毎回不思議に思いますが^^;
 パエリアに添えられる黒くて大きい貝(伝わっていますように)が山積みで売られていて面白かったです。
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 お米エリア。フィリピンは米食文化の国なので、米だけでマーケット内の一区画を占めています。
 先日米を買おうと思ったのですが、kg単位でしか販売していないらしく、一人暮らしの私には量が多すぎるのと持って帰るのが大変なので諦めてしまいました...。やっぱり米は食べたいから再チャレンジしてみようかな...
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 こちらは古着コーナー。人一人がぎりぎり通れる通路にびっしりと古着が並んでいます。このズボンは3枚で100ペソ(約280円)と衝撃のお値段。日本の大きな古着屋さんに比べると質は保証できないですが、うまく利用すればかなり便利そう。(まだ買ったことはない)
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野菜コーナーを上から見た様子。
 この狭い中を子供や猫が走り回っていたりしてかなり活気があります。
 売り子さんたちは元気な人が多く、タガログ語で注文したりするととても喜んでくれて、ローカルなコミュニケーションを経験出来るので、バギオの中でも好きな場所の一つです!日々の買い物に加えて、まだ家に帰りたくない気分の時はぶらぶら散歩したりすると思わぬ発見があったりするのも楽しみの一つです。まだ全容はつかめていないくらい広いので、帰るまでにもう少し開拓しようと思います^^
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furoku · 4 months ago
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momoyuzu-nikki · 5 months ago
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2024/9/8
桃「眠れない夜」
昨日の疲れがどっときて、1日中体が重い日だった。何に対してもやる気が出ず、映画とドラマとYouTubeと昼寝に費やした1日。
夜はくしゃみと鼻水が止まらなくて、おそらくエアコンのフィルター掃除をサボっているせいだろうなと思いながら、起き上がる元気もなく、悶え苦しんだ。よくわからない夢を見ていた気がする。
9時に大阪の約束が起きたら8:38であぁしまったと思いながら母親に連絡する。急いでシャワーを浴びて身支度、今日が誕生日の母の家に向かった。両親といい焼肉を食べ、食べ過ぎ、お腹重いまま商店街で恐竜の柄の食器を押しつけるように母に買いプレゼントし、お目当てだった山王美術館へ。佐伯祐三・荻須高徳・藤田嗣治 展。一番好きな画家・佐伯の絵を初めて美術館で見られた。ぐっとのめり込んで眺めて、それから遠目に眺めて、本当によかった、画集と比べ物にならない。油絵は立体物だとすら思う。鬱蒼とした街の空気と佐伯の熱量が詰まっている。若い頃の荻須は佐伯に近いけれど全体的にもっとわかりやすく、晩年は特に暖かな感じ。父親が好きな藤田は緻密で美しいけれど佐伯とはあまりにも対照的だった。猫の絵は好きだった。訳のわからないこと言いますが、友達になるなら荻須だな、というのが3人続けて見た感想。それから陶磁器の美術館にも行った。大昔の器を、きっと本当に使われていたのだろう器を静かに見てまわるのはなんだか変な感じでちょっとわからなかった。実用物はどれだけの美しさを持とうと静的な美術品にしてしまうより、実用物としての機能的意図や作り手・使い手の姿が見えた方が魅力的なように思う。母親と、この皿なら使いやすそうだし可愛いわね、みたいな全く高尚でない会話をして楽しんだ。父親が何かに拗ねたのか気がついたら帰ってしまっていて、ほんと、そういうところだけはいつまでも変わらないのかと呆れる。それはないでしょう。母とふたりで少しお茶してからお洒落な中華をご馳走して神戸に帰った。夜に恋人と電話。曲の空耳の話なんかでげらげら笑う。
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apothecaryscript · 5 months ago
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Episode 15 : Raw Fish / 第15話『鱠(Namasu)』
武官「聞いたか?この前の��火(ぼや)のこと」
Bukan “Kiitaka? Kono maeno boyano koto.”
Military Officer “Hey, did you hear about the fire the other day?”
武官「李白のやつ、お手柄だったな」
Bukan “Rihakuno yatsu, otegara dattana.”
Military Officer “Lihaku did a really good job with it.”
武官「あいつが解決するとは、意外だった」
Bukan “Aitsuga kaiketsu suru-towa, igai datta.”
Military Officer “I never expected he’d be able to solve it.”
武官「それが、どうも噂によると…下女が事件解決に一役買ったらしい」
Bukan “Sorega, domo uwasani yoruto…gejoga jiken-kaiketsuni hito-yaku katta rashii.”
Military Officer “Actually, I heard a rumor that a servant girl helped solve it.”
武官「下女?」
Bukan “Gejo?”
Military Officer “A servant girl?”
武官「壬氏様の部屋付きの下女だって」
Bukan “Jinshi-samano heya-zukino gejo datte.”
Military Officer “They say she’s a personal attendant of Master Jinshi.”
武官「へえー、本当か」
Bukan “Heee, hontoka.”
Military Officer “Wow, really?”
武官「壬氏様と言えば、この前、緑青館の妓女を身請けしたんだろ?なんでも、知的で冷たい目つきの美女だとか」
Bukan “Jinshi-samato ieba, kono-mae, Rokushokanno gijo’o miuke shitan-daro? Nandemo, chitekide tsumetai me-tsukino bijo datoka.”
Military Officer “Didn’t Master Jinshi buy out a courtesan from the Verdigris House the other day? I hear she’s a beautiful intellectual with cold eyes.”
武官「ああ、見た連中が騒いでたぞ」
Bukan “Aa, mita renchuga sawaidetazo.”
Military Officer “Yeah, the guys who saw her wouldn’t shut up about her.”
武官「あっ、ああ…羅漢様」
Bukan “A, aa… Rakan-sama.”
Military Officer “Master Lakan?!”
―――――――――――――――――――――――――――
羅漢「フフッ。その話、詳しく教えてくれないか?」
Rakan “Fufu. Sono hanashi, kuwashiku oshiete kure-naika?”
Lakan “Mind telling me more about that?”
高順「小猫、ちょっといいでしょうか?」
Gaoshun “Shaomao, chotto iideshoka?”
Gaoshun “Xiaomao, could you spare a moment?”
猫猫「高順様。どうしたのですか?」
Maomao “Gaoshun-sama. Doshitano-desuka?”
Maomao “Master Gaoshun. What is it?”
高順「見てもらいたいものがあるのですが」
Gaoshun “Mite-moraitai monoga aruno-desuga.”
Gaoshun “There’s something I’d like you to take a look at.”
猫猫「古い事件の資料ですね。10年前の商家で、フグのなますにあたって食中毒が起きたと…」
Maomao “Furui jikenno shiryo desune. Ju-nen-maeno shokade, fuguno namasuni atatte shoku-chudokuga okitato…”
Maomao “Records of an old incident. Ten years ago, at a merchant’s home, there was a food poisoning incident involving a raw pufferfish dish.”
猫猫(フグの毒…!あのピリピリした痺れがいいんだ…ああ、食べたい)
Maomao (Fuguno doku…! Ano piri-piri shita shibirega iinda… Aa, tabetai.)
Maomao (Pufferfish poison… I love how it tingles and stings. Oh, I really want some now!)
高順「今度、その手の料理屋に連れて行きますから…」
Gaoshun “Kondo, sono-teno ryoriyani tsurete ikimasu-kara…”
Gaoshun “I can take you to a place that serves it sometime soon.”
猫猫「はあ~!はああ…これが、どうしたのですか?」
Maomao “Haaaa! Haaa… Korega, doshitano-desuka?”
Maomao “So, what about this?”
高順「昔、私がこの事件について、仕事で関わっていたことがありました。これとよく似た事件が最近起こったということで、元同僚に相談を受けたのです」
Gaoshun “Mukashi, watashiga kono jikenni tsuite shigotode kakawatte-ita kotoga ari-mashita. Koreto yoku nita jikenga saikin okottato-iukotode moto-doryoni sodan’o uketano-desu.”
Gaoshun “A while ago, I was officially involved with this case. A colleague asked me for advice, because a similar incident occurred recently.”
猫猫「よく似た事件?」
Maomao “Yoku nita jiken?”
Maomao “A similar incident?”
高順「官僚が、フグのなますを食べて、昏睡状態に陥っているのですよ」
Gaoshun “Kanryoga, fuguno namasuo tabete, konsui-jotaini ochiitte-iruno-desuyo.”
Gaoshun “A bureaucrat ate pufferfish, raw and seasoned with vinegar, and fell into a coma.”
猫猫「昏睡状態…。申し訳ありません、高順様。それは、私が聞いてもよろしい話でしょうか?」
Maomao “Konsui-jotai… Moshi-wake arimasen, Gaoshun-sama. Sorewa, watashiga kiitemo yoroshii hanashi deshoka?”
Maomao “A coma? Master Gaoshun, my apologies. Is it appropriate for me to learn about this?”
高順「問題ありません。小猫は、自分の立場をわきまえていますから」
Gaoshun “Mondai ari-masen. Shaomaowa, jibunno tachibao wakimaete imasu-kara.”
Gaoshun “That won’t be an issue. You are someone who knows her place.”
猫猫(つまり、喋るな、と…)
Maomao (Tsumari, shaberuna, to…)
Maomao (In other words, stay silent about this.)
高順「それに今さら、毒の出てくるこの話を途中で切ってもいいのですか?」
Gaoshun “Soreni ima-sara, dokuno dete-kuru kono hanashio tochude kittemo iino-desuka?”
Gaoshun “Besides, this story involves poison. Are you sure you want me to stop here?”
猫猫「ぐっ…。どうぞ、お話の続きを」
Maomao “Gu… Dozo, ohanashino tsuzukio.”
Maomao “Please, do continue.”
高順「うん。今回、なますには、フグの皮と身を湯引きしたものを使っていたそうです。それを食べて昏睡状態に陥ったと」
Gaoshun “Un. Konkai, namasu-niwa, fuguno kawato mio yubiki shita-mono’o tsukatte-ita-sodesu. Soreo tabete konsui-jotaini ochi’ittato.”
Gaoshun “In this instance, they served parboiled pufferfish skin and meat. He ate this and fell into a coma.”
猫猫「フグの身ですか?毒が多いのは、肝などの内臓ですが…」
Maomao “Fuguno mi desuka? Dokuga ooi-nowa, kimo-nadono naizo desuga…”
Maomao “The meat? Most of the poison is in the gut.”
高順「ええ、皮と身です」
Gaoshun “Ee, kawato mi desu.”
Gaoshun “Yes, the skin and the meat.”
猫猫「身は比較的、毒が薄いはずなのに…。まあ、種類や環境によっては、身に毒がある場合もあるかもしれない。別におかしな点はないのでは?」
Maomao “Miwa hikaku-teki, dokuga usui hazu-nanoni… Maa, shuruiya kankyoni yottewa, mini dokuga aru baaimo aru-kamo shirenai. Betsuni okashina tenwa naino-dewa?”
Maomao “The meat isn’t supposed to have much poison in it… Maybe it depends on the type of pufferfish or the environment it’s from. Nothing seems out of place, then?”
高順「…それが、今回の事件も、前の事件も、料理人は“フグを調理に使っていない”と言い張っているのですよ」
Gaoshun “…Sorega, konkaino jikenmo, maeno jikenmo, ryori-ninwa ‘fuguo chorini tsukatte-inai’to iihatte iruno-desuyo.”
Gaoshun “The thing is, in both cases, this time and in the past, the cook claims they hadn’t used pufferfish in the dish.”
猫猫「面白そうな話ですね」
Maomao “Omoshiro-sona hanashi desune.”
Maomao “That sounds interesting.”
高順「共通点は、それだけではありません。倒れた2人…今回の役人と、前回の商人は、共に美食家で珍味を好んでいました。普段から魚の生肉などもよく食べていて、フグも好物だったそうです。事件のあと、厨房のゴミから、内臓や皮が全て発見されたことから、肝は食べていないと判断されました。二つの事件の料理人は、共にフグは前日の料理に使ったもので、なますには別の魚を使ったと、無罪を主張しました。しかし、証人となる人間がいなかった。役人は料理を全て食べ終えた30分後、中毒症状を起こして倒れ、痙攣していたところを発見されました」
Gaoshun “Kyotsu-tenwa, sore-dake-dewa arimasen. Taoreta futari… Konkaino yakuninto, zenkaino shoninwa, tomoni bishoku-ka-de chinmio kononde imashita. Fudan-kara sakanano nama-niku-nadomo yoku tabete-ite, fugumo kobutsu datta-sodesu. Jikenno ato, chubono gomi-kara, naizoya kawaga subete hakken sareta koto-kara, kimowa tabete-inaito handan sare-mashita. Futatsuno jikenno ryori-ninwa, tomoni fuguwa zenjitsuno ryorini tsukatta monode, namasu-niwa betsuno sakanao tsukattato muzaio shucho shimashita. Shikashi, shoninto-naru ningenga ina-katta. Yakuninwa ryorio subete tabe-oeta sanjuppun-go, chudoku-shojo’o okoshite taore, keiren shite-ita tokoro’o hakken sare-mashita.”
Gaoshun “That’s not the only thing in common. The two who fell ill… The bureaucrat from this case and the merchant from the past one were both gourmets who loved eating rare foods. They both often ate raw fish and pufferfish was one of their favorites. After the incident, all of the organs and skin were discovered in the trash, so it was determined that the guts were never consumed. In both cases, the cooks claimed innocence, said the pufferfish was served the night before, and that on the day of the incident, they’d used a different fish. However, there were no witnesses to provide proof. The bureaucrat ate all the food served, then became intoxicated and collapsed half an hour later. He was discovered convulsing.”
猫猫(案外、しっかり調べてるんだな…適当な調査で犯人をでっちあげる、ろくでもない役人もたくさんいるのに)
Maomao (Angai, shikari shirabeterun-dana… Tekitona chosade han’nin’o dekchi-ageru, roku-demo-nai yakuninmo takusan iru-noni.)
Maomao (He did a more thorough investigation than I’d expect. Plenty of other bureaucrats would put in zero effort and just make up a suspect.)
高順「どう思われますか?」
Gaoshun “Do omoware-masuka?”
Gaoshun “What do you think?”
猫猫「症状はフグの毒みたいですが…今の話だけでは何とも。高順様、もう少し情報を集めてきてもらえますか?」
Maomao “Shojowa fuguno doku mitai desuga… Imano hanashi-dake-dewa nantomo. Gaoshun-sama, mo sukoshi joho’o atsumete-kite morae-masuka?”
Maomao “The symptoms do sound like pufferfish poison, but I can’t say for certain without more details. Master Gaoshun, can you try to find more information?”
高順「分かりました。調べておきます」
Gaoshun “Wakari-mashita. Shirabete okimasu.”
Gaoshun “Understood. I will look into it.”
猫猫(今の季節なら、生ごみを数日置いていたとしても、おかしくはない。別の魚を使ったという話も、残りかすが見つかっていて、矛盾はない…)
Maomao (Imano kisetsu-nara, nama-gomio sujitsu oite-itato shitemo, okashikuwa nai. Betsuno sakanao tsukattato-iu hanashimo, nokori-kasuga mitsukatte-ite, mujunwa nai…)
Maomao (At this time of year, it’s not rare to have food trash sit out for a few days. The testimony of using different fish matches the evidence of the leftovers…)
壬氏「何の話をしてたんだ?」
Jinshi “Nanno hanashio shite-tanda?”
Jinshi “What were you talking about?”
猫猫「うわあっ…!」
Maomao “Uwaa…!”
壬氏「…さすがにその顔は俺も傷つく…」
Jinshi “…Sasugani sono kaowa oremo kizu-tsuku…”
Jinshi “That look would wound anyone, even me.”
壬氏「高順の話を、やけに熱心に聞いていたようだが」
Jinshi “Gaoshunno hanashio, yakeni nesshinni kiite-ita-yodaga.”
Jinshi “You seemed to be listening very eagerly to Gaoshun’s story.”
猫猫「面白い話なら、人は耳を傾けるものですから」
Maomao “Omoshiroi hanashi-nara, hitowa mimio katamukeru mono desu-kara.”
Maomao “People naturally pay attention to stories that are actually interesting.”
壬氏「ん?おい、ちょっと待て。お前、俺の話はよく途中で…」
Jinshi “N? Oi, chotto mate. Omae, oreno hanashiwa yoku tochude…”
Jinshi “Wait, hold on. You often cut me off mid-speech―”
猫猫「それでは、遅くなりましたので、帰らせていただきます」
Maomao “Sore-dewa, osoku nari-mashita-node, kaerasete itadaki-masu.”
Maomao “Oh dear, it’s getting late. With that, I’ll take my leave.”
壬氏「なっ、おい、まだ話は終わってない…」
Jinshi “Na, oi, mada hanashiwa owatte-nai…”
Jinshi “Hey, I’m not done talking-“
水蓮「あらあら、動かないで。ほら、じっとして」
Suiren “Ara-ara, ugoka-naide. Hora, jitto shite.”
Suiren “Oh, no, don’t move. Come on, stay still.”
壬氏「ん…」
Jinshi “N…”
―――――――――――――――――――――――――――
高順「小猫。昨日の話ですが…これは、調理書です。使用人の証言だと、主人に出す料理は、ほとんどここに書かれていると」
Gaoshun “Shaomao. Kinono hanashi desuga… Korewa, chorisho desu. Shiyonin’no shogen dato, shujinni dasu ryoriwa, hotondo kokoni kakarete-iruto.”
Gaoshun “Xiaomao, about the discussion we had yesterday… These are the cook’s notes. According to the servant, it describes everything served to their master.”
猫猫「ありがとうございます。…湯引きした魚に細切りの野菜を加えて酢であえる…なますの作り方に特におかしなところはないですね…」
Maomao “Arigato gozai-masu. …Yubiki shita sakanani hoso-girino yasaio kuwaete sude aeru… Namasuno tsukuri-katani tokuni okashina tokorowa nai desune…”
Maomao “Thank you. Parboil the fish. Add cut vegetables. Season with vinegar. The recipe looks normal.”
高順「酢の配合は何種類か書かれていますが、材料は詳しく書かれていません」
Gaoshun “Suno haigowa nan-shuruika kakarete-imasuga, zairyowa kuwashiku kakarete imasen.”
Gaoshun “There are several types of vinegar mixtures outlined, but the list of ingredients lack detail.”
猫猫「恐らく、季節によって、手に入る魚や野菜が変わるからでしょう。これでは肝心の、何を使って作ったかが分かりませんね…」
Maomao “Osoraku, kisetsuni yotte, teni hairu sakanaya yasaiga kawaru-kara desho. Kore-dewa kanjinno, nanio tsukatte tsukuttakaga wakari-masenne…”
Maomao “That must be because the types of fish and vegetables available differ by season. This won’t help us understand the key facts around what was actually used to cook the dish.”
壬氏「分からないのか?」
Jinshi “Wakaranai-noka?”
Jinshi “You can’t understand?”
猫猫「ハア…」(話に加わりたいらしい…)
Maomao “Haa…” (Hanashini kuwawari-tai rashii.)
Maomao (He wants to join in.)
壬氏「…で、何が分からないって?あ~ん…ん…」
Jinshi “…De, naniga wakara-naitte? Aaan…N…”
Jinshi “So, what can’t you understand?”
水蓮「お食事前ですから…」
Suiren “Oshokuji-mae desu-kara…”
Suiren “It will be mealtime soon.”
壬氏「分かっている」
Jinshi “Wakatte-iru.”
Jinshi “I know.”
猫猫(随分、子供っぽいことを…)
Maomao (Zuibun, kodomoppoi koto’o…)
Maomao (That’s quite childish.)
猫猫「事件が起きたのは?」
Maomao “Jikenga okita-nowa?”
Maomao “When did the incident occur?”
高順「一週間ほど前です」
Gaoshun “Isshukan-hodo mae desu.”
Gaoshun “About a week ago.”
猫猫「冬場の野菜となると…なますの材料は、大根か人参といったところですか?」
Maomao “Fuyubano yasaito naruto… Namasuno zairyowa daikonka ninjinto itta tokoro desuka?”
Maomao “Meaning winter vegetables, so probably radishes and carrots?”
高順「それが、海藻を使ったと言っていまして…」
Gaoshun “Sorega, kaiso’o tsukattato itte-imashite…”
Gaoshun “Actually, I hear they used seaweed.”
猫猫「海藻ですか?」
Maomao “Kaiso desuka?”
Maomao “Seaweed?”
高順「海藻です」
Gaoshun “Kaiso desu.”
Gaoshun “Seaweed.”
猫猫(珍味を好むということは…変わった海藻を入れることもあるだろう)
Maomao (Chinmio konomuto iu-kotowa… kawatta kaiso’o ireru kotomo aru-daro.)
Maomao (If he likes rare foods, I guess he could have tried strange seaweeds.)
猫猫「もしよろしければ、その家の厨房を見せてもらうことはできませんか?」
Maomao “Moshi yoroshi-kereba, sono ieno chubo’o misete morau kotowa dekima-senka?”
Maomao “If possible, could I take a look at the kitchen involved?”
―――――――――――――――――――――――――――
猫猫「ん?…高順様から、ここに来るようにと言われたのですが」
Maomao “N? …Gaoshun-sama-kara, kokoni kuru-yonito iwaretano-desuga.”
Maomao “I’m here under Master Gaoshun’s orders.”
馬閃「馬閃だ。話は聞いている」
Basen “Basen da. Hanashiwa kiite-iru.”
Basen “I’m Basen. I’ve heard about you.”
猫猫「猫猫です」
Maomao “Maomao desu.”
Maomao “I am Maomao.”
馬閃「これから屋敷に向かうが、お前はあくまでも私のお付きだ。いいな、勝手なことはするなよ」
Basen “Korekara yashikini mukauga, omaewa akumademo watashino otsukida. Iina, kattena kotowa suru-nayo.”
Basen “We’re heading to the mansion now, but remember, you’re my follower. Don’t do anything without my permission.”
猫猫「分かりました」
Maomao “Wakari-mashita.”
Maomao “Understood.”
馬閃「向こうに行けば、屋敷の下男が厨房を案内してくれる」
Basen “Mukoni ikeba, yashikino genanga chubo’o annai shite-kureru.”
Basen “Once we arrive, the servant there will show us to the kitchen.”
猫猫「はい」
Maomao “Hai.”
Maomao “Understood.”
猫猫(さすが高順様。仕事が速い…。それにしても…見たことない武官だな。誰かに似ている気がするが…良く思われてなさそうだが、まあいいか)
Maomao (Sasuga Gaoshun-sama. Shigotoga hayai… Soreni-shitemo… Mita-koto-nai bukan dana. Darekani nite-iru kiga suruga… Yoku omowarete-nasaso-daga, maa iika.)
Maomao (Master Gaoshun sure does work fast. That aside… I’ve never seen this officer before. He looks familiar, though. He doesn’t seem to have a good impression of me. Oh, well.)
下男「こちらが厨房です。毒の一件以来、使われておりません」
Genan “Kochiraga chubo desu. Dokuno ikken-irai, tsukawa-rete orimasen.”
Servant “This is the kitchen. It hasn’t been used since the poison incident.”
馬閃「ん?おい!」
Basen “N? Oi!”
Basen “Hmm? Hey!”
役人の弟「勝手に入るな!出ていけ!何をしてる!」
Yakunin’no ototo “Katteni hairuna! Dete-ike! Nanio shiteru!”
The official’s younger brother “Who let you in here?! Get out! What are you doing?!”
下男「ああ…」
Servant “Aa…”
役人の弟「こんな奴らを連れてきたのはお前か!」
Yakunin’no ototo “Konna yatsurao tsurete kita-nowa omaeka!”
The official’s younger brother “Did you bring these people here?!”
馬閃「ちゃんと奥方に確認は取っています。それに、これは仕事ですので」
Basen “Chanto okugatani kakuninwa totte-imasu. Soreni, korewa shigoto desu-node.”
Basen “I’ve gotten permission from the mistress, and this is official business.”
役人の弟「それは本当か?」
Yakunin’no ototo “Sorewa hontoka?”
The official’s younger brother “Is that true?”
馬閃「入ってもよろしいか?それとも、何か不都合でも?」
Basen “Haittemo yoroshiika? Soretomo, nanika futsugo demo?”
Basen “May we continue? Or would that inconvenience you in some way?”
役人の弟「勝手にしろ!」
Yakunin’no ototo “Katteni shiro!”
The official’s younger brother “Whatever.”
猫猫「誰ですか?」
Maomao “Dare desuka?”
Maomao “Who is that?”
下男「旦那様の弟君です。旦那様が昏睡状態になって、奥方様も疲労で寝込んでしまい、弟君が屋敷を取り仕切っていまして…」
Genan “Danna-samano ototo-gimi desu. Danna-samaga konsui-jotaini natte, okugata-samamo hirode nekonde shimai, ototo-gimiga yashikio tori-shikitte imashite…”
Servant “That is the master’s younger brother. After the master fell into the coma, and the mistress took ill from fatigue, the younger brother manages the mansion.”
猫猫「そういうことですか…」
Maomao “So-iu koto desuka…”
Maomao “I see.”
猫猫「馬閃様」
Maomao “Basen-sama.”
Maomao “Master Basen.”
馬閃「ああ」
Basen “Aa.”
Basen “Yeah.”
猫猫(調理器具は、料理人が洗ってしまったらしい…他には…ん?)
Maomao (Chori-kiguwa, ryori-ninga aratte shimatta rashii… Hoka-niwa… N?)
Maomao (The cook washed all the cooking utensils. Other than that…)
猫猫「これは?」
Maomao “Korewa?”
Maomao “What is this?”
下男「ああ…旦那様が好きなやつだ。お気に入りで、よく食べておられましたので、毒はないと思いますが…」
Genan “Aa… Danna-samaga sukina yatsuda. Okini-iride, yoku tabete orare-mashita-node, dokuwa naito omoi-masuga…”
Servant “Ah, the master loved that. It’s his favorite. He ate it often. I don’t think it’s poisonous…”
猫猫(嘘はついてなさそうだな…)
Maomao (Usowa tsuite-nasaso-dana…)
Maomao (He doesn’t seem to be lying.)
役人の弟「だそうだ。終わったなら早く帰ってくれ」
Yakunin’no ototo “Da-soda. Owatta-nara hayaku kaette-kure.”
The official’s younger brother “So that’s that. If you’re done here, please leave.”
猫猫「そうですね。ご迷惑をおかけしました」
Maomao “Sodesune. Gomeiwakuo okake shimashita.”
Maomao “Indeed. Sorry to bother you.”
―――――――――――――――――――――――――――
馬閃「なんで簡単に引き下がった?」
Basen “Nande kantanni hiki-sagatta?”
Basen “Why did you back down so easily?”
猫猫「引き下がったとは思っていません」
Maomao “Hiki-sagatta-towa omotte-imasen.”
Maomao “I don’t consider that backing down.”
馬閃「なっ…持ってきたのか!」
Basen “Na… Motte kita-noka!”
Basen “You brought it with you?”
猫猫「これ、不思議なんです。この海藻が採れる時期には、まだ少し早い。だからと言って、塩漬けにしたところで、今の時期までもつものでもありません」
Maomao “Kore, fushigi nan-desu. Kono kaisoga toreru jiki-niwa, mada sukoshi hayai. Dakarato-itte, shio-zukeni shita-tokorode, imano jiki-made motsu mono-demo arimasen.”
Maomao “This is strange. This seaweed isn’t in season quite yet. But even if salted and preserved from last year, it wouldn’t last this long.”
馬閃「なるほど」
Basen “Naruhodo.”
Basen “I see.”
猫猫「恐らくこの近辺で採れたものではないと思います。例えば、交易で南から仕入れたものだとか…どこから仕入れたか分かるとよいのですが…」
Maomao “Osoraku kono kinpende toreta mono-dewa naito omoi-masu. Tatoeba, koekide minami-kara shiireta monoda-toka… Doko-kara shiiretaka wakaruto yoino-desuga…”
Maomao “I don’t think it was gathered in our region. Perhaps it was imported from the south. It would be good if we could find out where it came from.”
馬閃「ハッ…」
Basen “Ha…”
猫猫(分かってくれたらしい…。なら、私も私のやるべきことをやろう)
Maomao (Wakatte kureta rashii… Nara, watashimo watashino yaru-beki-koto’o yaro.)
Maomao (I think he gets what I mean. In that case, I’ll do what I have to do.)
―――――――――――――――――――――――――――
壬氏「何だ?これは」
Jinshi “Nanda? Korewa.”
Jinshi “What’s this?”
猫猫「屋敷から持ってきた海藻です。事前に2つに分けて、水にさらしておきました」
Maomao “Yashiki-kara motte-kita kaiso desu. Jizenni futatsuni wakete, mizuni sarashite oki-mashita.”
Maomao “The seaweed I got from the mansion. I’ve split it into two and put it in some water.”
猫猫(なぜ壬氏様もいるのだろう…)
Maomao (Naze Jinshi-samamo iruno-daro…)
Maomao (Why is Master Jinshi here?)
馬閃「調べたところ、やはり海藻は、南方から持ち込まれたものでした。下男の証言では、主人が冬場にその海藻を食べることはなかったとのことでした」
Basen “Shirabeta tokoro, yahari kaisowa nanpo-kara mochi-komareta mono deshita. Genanno shogen-dewa, shujinga fuyubani sono kaiso’o taberu-kotowa nakatta tono-koto deshita.”
Basen “The seaweed was indeed imported from the south. According to the servant, the master never ate that seaweed in the winter.”
高順「料理人からも、普段使っている海藻と同じ種類で、毒のはずがないと」
Gaoshun “Ryori-nin karamo, fudan tsukatte-iru kaisoto onaji shuruide, dokuno hazuga naito.”
Gaoshun “The cook also said this is the same as the seaweed they normally use, and can’t be poisonous.”
猫猫「同じ海藻なら毒がない…というわけじゃないんです。もしかしたら、南ではあまりこの海藻は食べる習慣がないのかもしれません。美食家の役人の好物だと知った交易商が、金になると思って、わざわざ地元民に海藻の塩漬けを作らせたとしたら?」
Maomao “Onaji kaiso-nara dokuga nai…to-iu wakeja nain-desu. Moshika-shitara, minami-dewa amari kono kaisowa taberu shukanga naino-kamo shire-masen. Bishoku-kano yakunin’no kobutsu-dato shitta koeki-shoga, kaneni naruto omotte, waza-waza jimoto-min’ni kaisono shio-zukeo tsukura-seta-to shitara?”
Maomao “You can’t assume it’s not poisonous just because it’s the same seaweed. Maybe this seaweed isn’t eaten often in the south. Perhaps a merchant learned that it’s a favorite of this bureaucrat, and, looking to profit from that, went out of his way to get some locals to make a salted version of it?”
壬氏「それのどこが問題になるのだ?」
Jinshi “Soreno dokoga mondaini naru-noda?”
Jinshi “Why is that a problem?”
猫猫「世の中には、毒が無毒になることがあるんです。例えば、鰻には本来、毒がありますが、血を抜いたり、加熱することで食べられるようになります。この海藻の場合は、石灰水に漬けることが必要だったはずです。ここに用意したものは、石灰水に漬けたものと、そうでないものです」
Maomao “Yono-naka-niwa, dokuga mu-dokuni naru-kotoga arun-desu. Tatoeba, unagi-niwa honrai, dokuga ari-masuga, chio nuitari, kanetsu suru-kotode tabe-rareru-yoni narimasu. Kono kaisono baaiwa, sekkai-suini tsukeru-kotoga hitsuyo datta hazu desu. Kokoni yoi shita monowa, sekkai-suini tsuketa-monoto, sode-nai mono desu.”
Maomao “Sometimes, poisons can become not poisonous. For example, eels are originally poisonous, but by bleeding them out or cooking them, they become edible. In the case of this seaweed, I think it had to be soaked in limewater first. What I have here is one batch soaked in limewater, and one batch without that.”
3人「ぎょっ!」
San-nin “Gyo!”
壬氏「何してる!」
Jinshi “Nani shiteru!”
Jinshi “What are you doing?!”
猫猫「大丈夫です、たぶん」
Maomao “Daijobu desu, tabun.”
Maomao “It’s fine. Probably.”
壬氏「たぶんって何だ!」
Jinshi “Tabuntte nanda!”
Jinshi “What do you mean, ‘probably’?!”
猫猫「ご安心を。ちゃんと嘔吐剤はここに…」
Maomao “Go-anshin’o. Chanto oto-zaiwa kokoni…”
Maomao “Don’t worry. I have an emetic agent right here-“
壬氏「自信満々に言うな!高順!」
Jinshi “Jishin man-man-ni iuna! Gaoshun!”
Jinshi “Don’t say that so proudly! Gaoshun!”
高順「はい!」
Gaoshun “Hai!”
Gaoshun “Yes.”
猫猫「ちょっ…」
Maomao “Cho…”
Maomao “Hey―”
壬氏「吐け―――!」
Jinshi “Hakeeeeeee!”
Jinshi “Vomit, now!”
猫猫(フウ…フウ…一夜漬けで無毒化できるかどうか、食べて検証するつもりだったのに)
Maomao (Fuu…fuu… Ichiya-zukede mudokuka dekiruka-doka, tabete kensho suru tsumori-datta-noni.)
Maomao (I wanted to test if the detoxification could be done overnight…)
猫猫「え――、気を取り直して。ここで問題なのですが、交易商人に海藻の塩漬けを持ってくるよう提案したのは、誰でしょうか?取り寄せたのが食べた当人であれば、ある意味、自業自得ですが…でも、もし、そうでないなら…食べる習慣のない地方から取り寄せれば、危険性が高いのは当たり前です」
Maomao “Eeeee, kio tori-naoshite. Kokode mondai nano-desuga, koeki-shoninni kaisono shio-zukeo motte-kuruyo teian shita-nowa, dare deshoka? Tori-yoseta-noga tabeta toninde areba, aru imi, jigo-jitoku desuga… Demo, moshi, so-de nai-nara… Taberu shukanno nai chiho-kara tori-yosereba, kiken-seiga takai-nowa atari-mae desu.”
Maomao “Um, back on topic. So, the issue is: who suggested that the trader bring the salted seaweed? If the one who ate it imported it himself, it’d be his own fault, in a sense. But, if he didn’t… Bringing it in from a region that doesn’t eat it is obviously taking a pretty big risk.”
高順「わかりました」
Gaoshun “Wakari-mashita.”
Gaoshun “I understand.”
猫猫(ここにいる者たちは賢い。これ以上言う必要はないだろう…とりあえずは一件落着かな)
Maomao (Kokoni iru mono-tachiwa kashikoi. Kore-ijo iu hitsuyowa nai-daro… Toriaezuwa ikken-rakuchaku kana.)
Maomao (The people here are smart. I don’t have to elaborate further. I guess that settles it for now.)
猫猫「ん?フフフフッ…」
Maomao “N? Fufufufu…”
壬氏「こら!」
Jinshi “Kora!”
Jinshi “Hey!”
猫猫「うううう…」
Maomao “Uuuu…”
―――――――――――――――――――――――――――
高順「結局、犯人は倒れた役人の弟でした。買い付け先を見つけたところで、自分が買ったと白状したそうです。動機は、次男の自分がないがしろにされて、長男を邪魔に思ったからだそうです。よくある話です」
Gaoshun “Kekkyoku, han’nin’wa taoreta yakuninno ototo deshita. Kaitsuke-sakio mitsuketa-tokorode, jibunga kattato hakujo shita-sodesu. Dokiwa, jinanno jibunga naigashironi sarete, chonan’o jamani omotta-karada-sodesu. Yoku aru hanashi desu.”
Gaoshun “The culprit was the official’s younger brother. When we found where he bought the seaweed, he confessed to being the one who’d purchased it. His motive was that, being the younger son, he wasn’t treated well. He wanted to remove his older brother from the picture. A commonplace story.”
猫猫「でも、そんな浅はかな理由で殺人を犯そうとした男が、どうやって海藻の毒を知ったんでしょう?」
Maomao “Demo, sonna asahakana riyude satsujin’o okasoto shita otokoga, do-yatte kaisono dokuo shittan-desho?”
Maomao “But how could a person who’d plot to murder someone for such a thoughtless reason have learned about the seaweed poison?”
高順「酒場で横に座った客から、偶然教わったそうです」
Gaoshun “Sakabade yokoni suwatta kyaku-kara, guzen osowatta-sodesu.”
Gaoshun “He happened to hear about it from a person sitting next to him at a tavern, apparently.”
猫猫「偶然、ねえ…」
Maomao “Guzen, nee…”
Maomao “‘Happened to,’ huh? Sure…”
猫猫「結局、毒の残っている海藻は食べられなかったな…」
Maomao “Kekkyoku, dokuno nokotte-iru kaisowa taberare-nakattana…”
Maomao “In the end, I didn’t get to try the poisonous seaweed…”
猫猫(それにしても、何に使おう~?あの、干からびた虫から伸びた枯葉色の茸…!薬酒にしようか?丸薬にしようか?ウフフフフフッ…)
Maomao (Soreni-shitemo, nanni tsukaooo? Ano hikarabita mushi-kara nobita kareha-irono kinoko…! Yaku-shu-ni shiyoka? Gan’yaku-ni shiyoka? Ufufufufufu…)
Maomao (By the way, what should I use it for? That mushroom the color of dry leaves growing from the dead insect! Should I make medicinal booze?! A pill?!)
猫猫「おかえりなさいませ」
Maomao “Okaeri-nasai-mase.”
Maomao “Welcome home!”
壬氏「んっ!んっ!」
Jinshi “N! N!”
猫猫「えっ…」
Maomao “E…”
高順「何事ですか?!」
Gaoshun “Nani-goto desuka?!”
Gaoshun “What’s going on?!”
猫猫(私のせいじゃない!)
Maomao (Watashino seija nai!)
Maomao (It’s not my fault.)
壬氏「ハア…」
Jinshi “Haa…”
水蓮「お疲れのようですね」
Suiren “Otsukareno yo-desune.”
Suiren “You seem tired.”
壬氏「仕事が溜まってるんだが、どうにもウマが合わない相手がいて、意見が違ってしまうのだ」
Jinshi “Shigotoga tamatte-rundaga, do-nimo umaga awanai aitega ite, ikenga chigatte shimau-noda.”
Jinshi “I have so much work piled up, but there’s someone I just don’t get along with. We just can’t see eye-to-eye.”
猫猫「壬氏様にも苦手な方がいるのですね」
Maomao “Jinshi-sama-nimo nigatena kataga iruno-desune.”
Maomao “I never would have thought you’d ever have trouble with people.”
壬氏「相手は頭の切れる軍部の高官だ。家柄は良いのに、四十を���ぎて妻帯もせず、甥御を養子にとって家の管理を任せている。有名な変人だ…」
Jinshi “Aitewa atamano kireru gunbuno kokanda. Ie-garawa yoi-noni, shiju’o sugite saitaimo sezu, oigo’o yoshini totte ieno kanrio makasete-iru. Yumeina henjinda…”
Jinshi “This man’s a razor-sharp high official in the military. He comes from a good family, but even though he’s past forty, he hasn’t married. He adopted his nephew as his son and has him handle his household. A famous weirdo.”
猫猫(四十を過ぎた軍部の高官で…変人?)
Maomao (Shiju’o sugita gunbuno kokande…hen-jin?)
Maomao (A forty-plus, high-ranking military officer… and weirdo?)
壬氏「興味のあるものといえば、もっぱら、碁と将棋と噂話。難癖をつけては突撃してきて、案件の判を押すのを先延ばしにしてくる。どうも、標的にされたらしい…このところ、毎日執務室に居座られて…」
Jinshi “Kyomino aru monoto ieba, moppara, goto shogito uwasa-banashi. Nan-kuseo tsuketewa totsugeki shite-kite, ankenno han’o osuno’o saki-nobashini shite-kuru. Domo, hyotekini sareta rashii… Kono tokoro, mai-nichi shitsumu-shitsuni isuwa-rarete…”
Jinshi “His only interests are go, shogi, and rumors. He files complaints, barges in, and keeps extending deadlines on decisions that need to be made. I think he has it out for me for some reason. He’s been camping in my office for several days in a row.”
猫猫(…よし!忘れよう~!思い出しても、ろくなことにならない)
Maomao (…Yoshi! Wasureyooo! Omoi-dashitemo, rokuna kotoni nara-nai.)
Maomao (Okay, let’s forget about this! No good can come from dwelling on this.)
―――――――――――――――――――――――――――
猫猫(…しかし、まあ…忘れたところで、いつもの嫌な予感は当たるのだが…)
Maomao (…Shikashi, maa… Wasureta tokorode, itsumono Iyana yokanwa ataruno-daga…)
Maomao (However, no matter how hard I try to forget, as usual, my bad hunches are correct.)
―――――――――――――――――――――――――――
壬氏「案件はもう通ったはずですが…」
Jinshi “Ankenwa mo tootta hazu desuga…”
Jinshi “This matter was settled already.”
羅漢「冬に花見は難しい…ならばこちらでと思いましてな…」
Rakan “Fuyuni hanamiwa muzukashii… Naraba kochirade-to omoi-mashitena…”
Lakan “Flower viewing in the winter is difficult. I thought this would be better instead.”
壬氏(この男の名は、羅漢。軍師をやっている。どうやら、突っかかってくる理由は、緑青館に縁のある猫猫を下女にしたことにあるらしい…)
Jinshi (Kono otokono nawa, Rakan. Gunshi’o yatteiru. Do-yara, tsukkakatte-kuru riyuwa, Rokushokanni enno aru Maomao’o gejoni shita-kotoni aru-rashii…)
Jinshi (This man is Lakan. He is a strategist. It seems like the reason he’s confronting me is because I made Maomao, who is connected to the Verdigris House, my servant.)
羅漢「そういえば、緑青館に昔、なじみがいましてね」
Rakan “So-ieba, Rokushokanni mukashi, najimiga imashitene.”
Lakan “Come to think of it, I have an old acquaintance in the Verdigris House.”
壬氏(…意外な話だ。色恋など全く興味ないのかと思っていたが…)
Jinshi (…Igaina hanashida. Irokoi-nado mattaku kyomi nai-nokato omotte-itaga…)
Jinshi (That’s unexpected. I thought he had no interest in romance.)
壬氏「どんな妓女ですか?」
Jinshi “Donna gijo desuka?”
Jinshi “What kind of courtesan is she?”
羅漢「フッ…」
Rakan “Fu…”
壬氏(ハッ…つい聞いてしまった)
Jinshi (Ha… Tsui kiite shimatta.)
Jinshi (Shoot, I asked without thinking.)
羅漢「いい妓女でしたよ…碁と将棋が得意で、将棋では勝てるが、碁では負けてばかりだった」
Rakan “Ii gijo deshitayo… Goto shogiga tokuide, shogi-dewa kateruga, go-dewa makete-bakari datta.”
Lakan “She was a good courtesan. She was very good at go and shogi. I could beat her in shogi, but never in go.”
壬氏「軍師殿を負かすとは…それは強かったのでしょう」
Jinshi “Gunshi-dono’o makasu-towa… Sorewa tsuyo-kattano-desho.”
Jinshi “Defeating our master strategist? She must have been good.”
羅漢「あれほど面白い女にはもう会えないだろうと、身請けも考えましたが…世の中うまくいかないものでね。物好きの金持ちが2人、競い合うように値を釣り上げていった」
Rakan “Are-hodo omoshiroi onna’niwa mo aenai-daroto, miukemo kangae-mashitaga… Yono-naka umaku ikanai mono-dene. Mono-zukino kane-mochiga futari, kisoi-au-yoni ne’o tsuri-agete-itta.”
Lakan “I considered buying her out, since I felt I would never meet another woman as interesting as her. But sometimes, things just don’t work out. Two rich men with curious tastes endlessly tried to outbid each other.”
壬氏「それはそれは…」
Jinshi “Sorewa sorewa…”
Jinshi “Is that so?”
壬氏(時に、妓女の身請け金は、離宮が一つ建つほどの額になるという)
Jinshi (Tokini, gijono miuke-kinwa, rikyuga hitotsu tatsu-hodono gakuni naruto iu.)
Jinshi (It’s said, at times, buying out a courtesan could cost about as much as a small palace.)
羅漢「変わり者の妓女でしてね…」
Rakan “Kawari-monono gijo deshitene…”
Lakan “She was a strange courtesan.”
壬氏(しかし、そんな話をして、何が言いたいのか…)
Jinshi (Shikashi, sonna hanashio shite, naniga iitai-noka…)
Jinshi (Where is he trying to go with this story?)
羅漢「芸は売れど、身は売らず。それどころか、客を客とも思わない。客に茶を注ぐ時も、下賤の民に施しを与えるような、尊大な目で見ておりました。しかし、それにうつつを抜かす物好きもいるもので…かくいう私も、その一人なのですが…背筋にゾクゾクッとくる感覚がたまらないものでして…」
Rakan “Geiwa uredo, miwa urazu. Sore-dokoroka, kyaku’o kyaku-tomo omowa-nai. Kyakuni cha’o sosogu-tokimo, gesenno tamini hodokoshi’o ataeru-yona, sondaina mede mite-orimashita. Shikashi, soreni utsutsu’o nukasu mono-zukimo iru-monode… Kaku-iu watashimo, sono hitori nano-desuga… Sesujini zoku-zokutto kuru kankakuga tamaranai mono deshite…”
Lakan “She would sell her skills, but never herself. In fact, she didn’t treat guests as customers at all. Even when pouring tea, she had an arrogant look, like she was being charitable to a lowly peasant. But there were many with curious tastes who were head over heels for her. Myself among them, naturally. That chill down my spine was truly irresistible.”
壬氏「う…」
Jinshi “U…”
羅漢「フッ。いつか押し倒してみたいと思っていたものですよ。フフフッ、フフフッ…。結局その妓女を諦めきれず、仕方なく少々汚い手を使いました」
Rakan “Fu. Itsuka oshi-taoshite-mitaito omotte-ita mono desuyo. Fufufu, fufufu… Kekkyoku sono gijo’o akirame-kirezu, shikata-naku sho-sho kitanai teo tsukai-mashita.”
Lakan “Oh, how I wanted to try to force myself on her one day. In the end, I couldn’t give up on her, so I had no choice but to use a bit of a dirty trick.”
壬氏「というと?」
Jinshi “To-iuto?”
Jinshi “Meaning?”
羅漢「高くて手が出せないなら、安くなれば問題ないわけでして…希少価値を下げたんですよ。どんな方法か、知りたいですか?」
Rakan “Takakute tega dasenai-nara, yasuku nareba mondai-nai wake-deshite… Kisho-kachi’o sagetan-desuyo. Donna hohoka shiritai desuka?”
Lakan “If something’s too expensive, you simply lower its value. I made her less exquisite. Do you know how I did that?”
壬氏「ここまで来てもったいぶるのですか?」
Jinshi “Koko-made kite mottai-buruno-desuka?”
Jinshi “Why play hard-to-get all of a sudden?”
羅漢「フッ。フフッ。…まあ、その前にちょっと、頼みたいことがあるんですが」
Rakan “Fu. Fufu. …Maa, sono maeni chotto, tanomitai kotoga arun-desuga.”
Lakan “Well, before I get into that, I have a favor to ask.”
壬氏「何ですか?一体」
Jinshi “Nan-desuka? Ittai.”
Jinshi “What is it?”
羅漢「そちらに最近入った下女というのが、なかなか面白いようで…妙に謎解きが得意なようですな?ああ…私の知人に、宮廷御用達の彫金細工師がいたんですよ…そいつが先日、ぽっくり逝ってしまった…ちゃんと後継者を指名しないままにね…。やつには3人の子供がいて、弟子にしていたんですが…秘伝と言える技術を伝えぬまま逝ってしまったのが、不憫でねえ…。きっと彼の思わせぶりな遺言が、何かの手がかりだと思うんです。それが引っかかっていてねえ…」
Rakan “Sochirani saikin haitta gejoto iu-noga, naka-naka omoshiroi-yode… Myoni nazo-tokiga tokuina yo-desuna? Aa… Watashino chijin’ni, kyutei-goyotashino chokin-zaikushiga itan-desuyo. Soitsuga senjitsu, pokkuri itte shimatta… Chanto kokeisha’o shimei shinai-mama-nine. Yatsu-niwa san-nin’no kodomoga ite, deshini shite-itan-desuga…hidento ieru gijutsu’o tsutaenu-mama itte shimatta-noga, fubinde-nee. Kitto kareno omowase-burina yuigonga, nanikano tegakari-dato omoun-desu. Sorega hikkakatte-itenee…”
Lakan “I heard that the servant girl you hired recently is quite intriguing. They say she has a strange knack for solving puzzles. I was acquainted with a metalworker who was the palace purveyor. He suddenly passed away a few days ago, and failed to name a proper successor. He had three children who were also his apprentices. Unfortunately, he died before passing on his secret techniques to his children. He left a puzzling will, which might be a hint. That’s been bothering me for a while.”
壬氏「何が言いたいのでしょうか?」
Jinshi “Naniga iitaino-deshoka?”
Jinshi “Where are you going with this?”
羅漢「いや?何、大したことではない…その秘伝の技術を知るすべがないかと思ったまでです…ああ、例えば…頭の回る、そちらの下女が調べてくれやしないものかと…」
Rakan “Iya? Nani, taishita koto-dewa nai… Sono hidenno gijutsuo shiru subega naikato omotta-made-desu… Aa, tatoeba…atamano mawaru, sochirano gejoga shirabete kureya shinai-monoka-to…”
Lakan “Nowhere special, really. I just wonder if there’s some way to learn that secret technique. Perhaps, for example, by having your clever servant girl take a look.”
壬氏「フウ…とりあえず、話だけでも聞かせてもらえないでしょうか」
Jinshi “Fu… Toriaezu, hanashi dake-demo kikasete morae-nai-deshoka.”
Jinshi “Well… I suppose I could hear the whole story.”
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猫猫「…よく降るなあ…」
Maomao “…Yoku furu-naa…”
Maomao “That’s a lot of rain.”
(Continue to episode 16)
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bearbench-3bun4 · 6 months ago
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猫は知っていた 7月4日 土曜日
さて、7月4日になり、仁木兄妹が箱崎医院に引っ越してくるところからです。
夏空に“ソフト・アイスクリーム”の形の入道雲という表現が面白いです。 今なら、ソフトクリームですね。
不二家が、昭和26年(1951年)にソフト・アイスクリームを作る機械をアメリカから輸入したそうです。 昭和27年(1952年)5月13日の朝刊に不二家洋菓子の広告に〈ソフトアイスクリーム〉の掲載があります。 昭和28年(1953年)には、ソフトクリームブームが到来したみたいです。   でも、ここでソフト・アイスクリームと表現したということは、不二家の影響が強いのでしょうか? 恐るべし不二家ですね。
荷物は、小さなオート三輪で運んできました。 昭和34年の話だとして、小さなオート三輪なら昭和32年に発売された「ミゼット」でしょうか?
さて、案内された部屋は七号室でした。 八号室では夕日のせいで暑くなるだろうからという理由でです。
わざわざ八号室から七号室に移ることを明確に書いているということはなにかあるのでしょうね。 というか、何かあるとしたら、部屋を変えさせた人物が関係しているのかも。 箱崎医院の関係者ですかね。
家永看護婦の嫌味がチクリと刺さりますが、これも伏線でしょうね。 階段の上り下りはギシギシとでも音がするのでしょうね、手術があったので静かにといってます。
悦子は、そんな家永看護婦のようすを“権柄尽く”といってます。 権力に任せて、強引に事を行うことですね。
2階に上がると今度は野田看護婦とあいます。 野田看護婦は、悦子の持っているブラックの絵に関心を示します。 ブラックとしか書かれていませんが、ジョルジュ・ブラックですかね。 パブロ・ピカソとともに「キュビスム」を生み出したフランスの画家です。凡人には全くわかりません。
この後、入院患者がわざとらしく紹介されます。 これも、何かの伏線でしょうね。
一号室は、小山田すみ子という中年の婦人で、頸部リンパ腺炎だそうだが、もうほとんどいいらしい。一人で入院している。 二号室が例の平坂勝也です。例のというのは、プロローグに出てきたからですね。 清子夫人が付添って看護しています。 職業は貿易商で、外人に日本の浮世絵や古美術品を売りつけているみたいです。 三号室は空室です。 五号には若い男の患者がふたりはいっています。 宮内正は26、7の機械技師で職場で左手を負傷したのだが、もう痛みもないので毎日を退屈しきっている。 桐野次郎は大学生でサッカーの練習中ころんで足を折り、つい二日ばかり前に入院した。 六号室は、工藤(くどう)まゆみで、十三くらいの女の子です。 背中におできができて手術したのが今日です。 七号室は、引越し先ですね。 で、不思議なんですが、八号室についてはかかれていません。 誰かが入っていればそれを書くのでしょうから、空室なんでしょうがなぜそのことにふれないんでしょうか?
で、部屋の片付けの途中で、 兄が大事にしている“フレウム・アルピヌス”(Phleum alpinumフレウム・アルピヌムのことですかね)にちょっとふれてます。 これは、兄が植物学を専攻していることと、それ以外にもなにかの目的があってここに挿入されいるのかもしれません。 フレウム・アルピヌムは学名で、みやまあわがえり(深山粟返り)の頃らしいですが、7月だと花がしている時期だと思うのですが、そのことにはふれていません。
片付けをしていると、夕食の案内にユリさんが入ってきます。 ところが、このユリさん、様子が変です。 心ここにあらずで、顔色も青く、寝不足の時のように、いらいらと血走った目をしています。 これは、何かありますね。
さて、夕食です。 院長夫妻、おばあちゃん、英一さん、幸子ちゃん、それに仁木兄妹の七人が食卓を囲んでいます。 箱崎家のはなれの八畳の茶の間です。
・気分が悪いというユリのこと。 ・仁木兄は、大好きなくせにアルコールに弱く、すぐ眠くなってしまう。 ・幸子ちゃんが、金魚の模様のゆかたのことを。 ・おしゃれにうるさい敬二は、四月から医大へ行っていて、中野で下宿している。 ・病院と台所が離れているので、患者や看護婦の食事を運ぶのが大変だと。 ・洗濯も、病院専用の大きな電気洗たく機を買ってからは、楽になった。 ・調理場も建て増しして、家族と別にする。 ・親が読んでためになる小さい子供の音楽のおけいこに参考になる本このこと。
と多岐にわたります。
そして、これが一番の��心なんでしょうか。 英一が、“ヒヨドリジョウゴ”は、毒草なのかと、仁木兄に尋ねます。
鵯上戸(ヒヨドリジョウゴ)は、つる性多年草で日本全土の山野に分布しています。 ジャガイモの新芽に含まれることで有名な有毒成分である“ソラニン”を含むみたいです。 なんと、種が鳥や土に運ばれて、家庭の庭やベランダのプランターから突然生えてくることもあるようです。 他にも、モクレン科の常緑小喬木であるシキミにも、きれいな実がなるが、猛毒で子供が食べて死んだりします。 もともと『悪しき実』と呼ばれていたのが、シキミという名になったらしいです。 直接ではないのかもしれませんが、毒による事件でも起こることの伏線ですかね。
夕食の最後に女中のカヨさんが、水蜜桃を運んで来ます。 水蜜桃とは桃全体のことを意味しているみたいです。 そのため「水蜜桃」という品種はなく桃はほとんどがもともと「水蜜桃」だそうです。 知りませんでした。 ももではなく「水蜜桃」というと、通っぽくていいですね。
その後、仁木兄妹は、英一の書斎を訪ねることになります。
英一の書斎は、家の東側にあたる八畳の和室です。 窓際に勉強机と腰掛があって、本のぎっしり並んだ大きな書棚が二つあります。 きちんと整頓されていた書棚は、英一の几帳面な性格を表しているようです。 専門の医学書が大部分で、通俗科学書も少しありそれ以外の本は見当たらないようです。
英一は、平たいボール箱を探しますが、見当たらないようで、悦子が、壁ぎわの書類ののっている机を指さして「ここにあったのでは?」といいます。 理由は、丁度箱ぐらいの大きさの四角な物ぐらいに、ほこりがななかったからでした。 それに、英一は、例の用心深い目の色で、じっと悦子を見つめ、“置いてあったのは、人から預かって置きっ放してあったのを、返した”と答えます。 これも、なんだかわざとらしく挿入されていますね。 これも伏線なんでしょうか? いったいどんな箱なんでしょう?
英一が、探偵小説が好きなのかと悦子に振ります。 その部屋には敬二の本棚があり、探偵小説ずらりと並んでいます。
いくつか名の売れた一級品として挙げられています。
「ABC殺人事件」 ・1936年発表。 ・アガサ・クリスティの推理小説。 ABC殺人事件 (創元推理文庫) ISBN-10 ‏ : ‎ 4488105386 ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4488105389 ポアロの元に、「ABC」と署名された挑戦状が届いて、その通りに事件がおきます。 面白そうです。
「赤い家の秘密」 ・1921年発表。 ・A・A・ミルンの推理小説。 赤い館の秘密【新訳版】 (創元推理文庫) ISBN-10 ‏ : ‎ 4488116027 ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4488116026 「赤い館」で「銃声のような音が聞こえた」と、そこに人が倒れている。 この事件の謎を素人探偵のアントニー・ギリンガムが調査します。
「血の収穫」 ・1929年発表。 ・ダシール・ハメット作の1929年の探偵小説。 血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫) ISBN-10 ‏ : ‎ 4488130062 ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4488130060 悪党たちの対立によって荒廃した町に主人公が現れ、複数の陣営に接触して扇動や撹乱を行い彼らの抗争を激化させて殲滅する。 ハードボイルドやアクション小説というところでしょうか。 大好きなジャンルなので、今度読んでみたいですね。
「Xの悲劇」 ・1932年発表。 ・エラリー・クイーンの長編推理小説。 Xの悲劇【新訳版】 (創元推理文庫) ISBN-10 ‏ : ‎ 4488104436 ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4488104436 密閉状況での殺人やダイイング・メッセージとして「X」の形を作っていたなど、推理小説しては非常に面白そうです。
「カナリヤ殺人事件」 ・1927年発表。 ・S・S・ヴァン・ダイン作の長編推理小説。 カナリア殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫) ISBN-10 ‏ : ‎ 4488103200 ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4488103200 殺害現場が密室で犯人を特定するために、ポーカーによる心理探偵法を実践するという話です。
日本の作家がないのが残念ですが、ここにのは載せられないような事情があるのでしょうね。
英一と仁木兄は、毒草のことで盛り上がっています。 ヤマトリカブト(山鳥兜)は、特に根にアコニチン(アルカロイド)と呼ばれる毒が大量に含まれているみたいです。 アコニチンは、猛毒で、嘔吐・痙攣・呼吸困難・心臓発作を引き起こすみたいです。 そんなのここにあっていいのでしょうか?
英一さんのところから自分たちの部屋に帰るとき、桑田のおばあちゃんとあって、ユリさんの状態を確認します。 この状況は、ユリさんの部屋から出てきた桑田のおばあちゃんと仁木兄妹が会ったという感じでしょうか? その後、桑田のおばあちゃんは、脇玄関の戸をあけて外に出て行きます。 何をしに外に出たのかは説明されいません。 そのとき、桑田のおばあちゃんは、そでの中に何かをかくしてでもいるような感じだったとあります。 何かを持って外へ出たみたいですね。 様子のいおかしいユリさんも気になりますね。 これもなにかの伏線なのでしょうか?
これで、翌日に続きます。 特に何も起きないのが、かえってワクワクしますね。
つづく
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z-s-lz · 7 months ago
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2024年6月23日の読書、24日の読書
撮りすぎる写真 椿の葉を磨くものが時間と知りながらなお
新生児並べるようにタッパーへ夜のしじまへご飯を分ける
/穴根蛇にひき「雪と雪の鵺」(『短歌研究』2024年7月号)
日に照るのは確かに花より葉の部分と思うから磨くにすごく納得感があった 〈すぎる〉とか〈なお〉があると、長くてゆるやかな時間の流れ/短くて急に加速する時間の流れの対比が見えて、加速の危うさというか緊迫感がほんの少し出てくる気がする
タッパーを手元に見るときの日常の感覚から〈夜のしじま〉で生活空間を外側から見る把握に移るときに新生児や日常のにぎやかさが削ぎ落とされるのがかっこいい 無音は揺るぎなく詩情だと思う それまでは音とかが聞こえてるけど〈ご飯を分ける〉動作は無音でモノクロの映画っぽく再生される気がする
いつかのホームページにあったドット絵の桜吹雪が流れるしかけ
スタンドバイミーがきこえてスタンドバイミーのストーリーを思い出す
/梨とうろう「8週目の天気」(『短歌研究』2024年7月号)
〈いつかの〉がおもしろい ドット絵とかのレトロな感じは共有できる全員のためのいつかにも思えるし〈ドット絵の桜吹雪が流れるしかけ〉は容易に想像がつく分かなり自分史的な、個人のいつかにも思える スタンドバイミーの歌もそういう側面があって並んである状態で読んでうれしかった
思い出を取り出してきたはずなのにとても似ている油絵��った
また一つ歩いていない道を消し四半世紀にさらに奥行き
/橙田千尋「パッチワーク」(『短歌研究』2024年7月号)
〈取り出してきた〉に対しての〈油絵〉、質感があることによって物体っぽく見えるのが本当に良い 映像や絵というか景の話は平面っぽいけど、この歌は厚みのある立体としてそれらを扱うから思い出がその人の身体に基づく実感のあるものに思える 歌を読んで、この他者の実感を信じきれると思った
〈また一つ〉でその人の暮らしの四半世紀を思い浮かべるんだけど、〈さらに奥行き〉でこれから消す/残るだろう暮らしを想像するときにそこにはその人以外の(私を含む)他者の暮らしも含まれている気がする 巨大な見せ消ちっぽい
からだは街へ柳のやうにしなだれてわたしはわたしの祭司をさがす
ガムを買つたレシートにガムを吐き捨てる立体駐車場の機能美
/佐原キオ「なにかある街」(『短歌研究』2024年7月号)
しなだれることの喩として柳は全然使われると思うけど、この歌ではわたしにとっての祭司が未だに不在である状態の街を想定したときに、風に吹かれる様とか、そういった動きを伴う柳として再度喩が立ち上がる 心底かっこいい
立体駐車場の内部には多分吐き捨てられたガムとかあるだろうな、とか、レシートから立体駐車場が商業施設に付随するものだったりすることを思うときに、内部にいる人まで含んで機能は機能たらしめられると思った 機能美に説得力がある
海のことざっと調べてぼくたちに還る資格はないと思った
がらがらの弱冷房車でいろはすをすこしこぼして靴でのばした
/遠藤健人「猫の形の」(『短歌研究』2024年7月号)
昨日ともだちと読んでていちばん笑った おもしろすぎる 〈ぼくたちに〉で謎の連帯をしようとしているところとか、〈がらがらの〉〈すこし〉でなにかから免れようとしつつ〈弱冷房車〉でその免れの手付きを描写にすり替えようとしている感じとか 丁寧なおもしろさがあると思う
行かなかった社員旅行のおみやげのパインケーキをデスクに飾る
デザインを依頼しながら渡してる栃の実せんべいは飛騨の銘菓
/城下シロソウスキー「トランジション・ピリオド」(『短歌研究』2024年7月号)
〈行かなかった〉の選択を踏まえたときに、パインケーキは食べるでもなく飾っているわけだし、つくづくこの社員旅行に魅力を感じていないように見えて通底した温度感のなさや結果として発生した動作がおもしろく感じる 栃の実せんべいについての説明や〈ながら〉の動作も同様で、歌における心身の捩れのなさやその空気感がしみじみ良い
引いた歌はもちろんすべて好きな歌だが、表題の記載があるものの中だと「雪と雪の鵺」「パッチワーク」「なにかある街」が良かった 好きな歌が多い
変じゃなく面白いって言いなさい、という指導が入っているな
/岩倉曰(『短歌研究』2024年7月号)
おもしろくてみんなに見せたかった
この冬のため手に入れたマフラーに描かれている冬の生き物
色々な指の曲げ方をしていると知らない鳥が来て調べたい
/奥村鼓太郎(『短歌研究』2024年7月号)
〈冬の生き物〉とか〈色々な指の曲げ方をしている〉手がバリエーションのある感じで平面的に立ち上がるのが良い
食べきればおのおの骨を返しゆくKFCが滲んだ箱に
/景川神威(『短歌研究』2024年7月号)
〈おのおの〉や〈滲んだ〉でファーストフードの感じが残りつつ、受け取れるところは余韻のような空気感なのが良い 箱のシンプルそうな感じもうれしい
てのひらの上で形を見いだした餃子に蓋をして焼いている
屋根裏を見たことがないひとのためシルバニアファミリー駆けつける
/新上達也(『短歌研究』2024年7月号)
私に常識がなければぜんぶの歌引きたいくらい良い
〈形を見いだした〉でまず 餃子の完成形のイメージがあって/そこに沿わせて成形し/てのひらに餃子が乗っていること がわかること、〈蓋をして焼いている〉ことからなんとなくてのうえにあったときと同じ姿勢の餃子がフライパンの上に並ぶことがわかる気がする 言い回しから受け取れるものが多い
〈シルバニアファミリー駆けつける〉ときの動機として〈屋根裏を見たことがないひとのため〉が挙げられたときに、家っぽさで言えば屋根裏とシルバニアファミリーの取り合わせは納得ができるのに、状況としては具体的にはわからないから〈シルバニアファミリー駆けつける〉の空想的な感じを損ねない 取り合わせのバランスが抜群に良いと思う
それに〈シルバニアファミリー駆けつける〉様はコマ送りで撮られた映像のようだと思うと可愛らしくて人形にもともとのコンテンツが与えるキャラクター性も改めて付与される気がする、そうなると〈ひとのため〉のための部分にも説得力が生じてきて読んでいてすごくうれしかった
〈見いだした〉も〈駆けつける〉も、動詞の選択が抜群に良い
新上達也さんの短歌、とんでもなく良い...... しみじみ......
むんむんとシャンプー提げて下ってく坂がなんだか友達みたい
考えていると時間が経っている花梨もこれでふくらむんだな
/橋本牧人(『短歌研究』2024年7月号)
むんむん............?
割と2首とも膨張の感じがあって、その膨張は長めの時間の経過が前提になっている気がする そこに対して坂の実際の距離や考えている時間が沿うように置かれると長い時間のほうは過程も含めて一枚絵みたいに景として置かれているように思えてきて、なんか、たぶん主体はめちゃ長生きしようとしていると思った
初恋を描くとしたら足癖の悪さをできるだけ美しく
/宇田川美実(『短歌研究』2024年7月号)
〈できるだけ〉がよかったと思う 〈足癖の悪さ〉自体は美しくなくて、美しいのはその足捌きだと思うけれど、そこも含めて〈できるだけ美しく〉描こうとするときに自分の体験から離れた/もしくは語に引っ張られたイメージとして〈初恋〉が独立して存在するのがおもしろい 自分の経験をもって概念のすりあわせをしようとしている感じ
撫でているとふわふわになるカーペットそのうちうんちしてくれないかな
/太田垣百合子(『短歌研究』2024年7月号)
怖いと思った
許しあうことに慣れたら本棚の日なたにちかい本がきいろい
/髙田皓輔(『短歌研究』2024年7月号)
〈きいろい〉理由として〈日なたにちかい〉が挙げられているけれど別にちかいだけで日なたにあるわけではないから確定しようと思うと変な感じ、日焼けでも装丁の色でも〈ちかい〉だと説明しきれない この歌では〈日なた〉と〈きいろい〉のイメージの近さだけ受け取ってなんとなくわかった気がする一瞬があって、歌の中ではそれが物理的な近さとして置かれているのがおもしろいと思う 〈許しあうことに慣れたら〉、一応解決っぽいことにはなっているけどよく考えたらちょっと変なことばっかり起きている可能性が高い
純粋に数とレイアウトで目がすべる 読書ってむずかしいかも
気をつかうと気を遣わせてしまうから多めに肉団子を皿に取る
/松下誠一(『短歌研究』2024年7月号)
解説が先に来る実況が内包するのは〈気をつかうと気を遣わせてしまう〉の展開の実況と実際に行動に移すまでの考えごとをしている人の姿の実況で、この歌では後者の部分、あるいは元気そう/明るそうに見せようとする感じを肉団子が担保している気がする メインっぽい料理、肉料理として 〈多めに〉もその結果......みたいな感じで読んだのでこの歌は結構精緻な描写がなされているのではないか、と思った 〈から〉の接続でもしみじみと主体の善良な人柄や丁寧な気遣いの様を受け取れる気がして読んでいて好感度があるなとうれしくなる
鮭を焼くにおいのなかで実感は塩のかたちになって指から
/豆川はつみ(『短歌研究』2024年7月号)
塩を振るのであれば〈実感〉は既に焼いているときの〈におい〉の部分がそうなのではないかと思いつつ、焼かれている鮭に対しての能動的な動作は塩を振ることくらいかも......となった ひとつの動作の - 一連の動作の中の - 手順 だけ剥ぎ取ってラグを強引に生じさせる手つきがある気がする 指から離れた塩が鮭に届くまでの時差もこの歌は含んでいて、全体的に切れ切れの、階段状の放物線を思わせるフォルムの歌だと思う
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bluegardenmaker · 8 months ago
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2024/06/04 見た夢
猫が猫の口に入って隠れる夢。
結婚式場のレストランで私だけ毒母のせいで食事を頼めない夢
結婚式場のレストランのレジで、私だけメニューをもらってないし食事を頼んでないのに、母親がなんかしてレジを済まされてしまう。
母親と2人席で、隣にお金持ちのKさんとその娘も座ってた。
私だけメニューをもらってないし、食事を頼んでいない。
隣のレストランで、美味しそうな食事のバイキングみたいなのがある。
行ってみると、外国人ばかりで、お客の女性に聞いたら、会員制みたいな感じで私には買えない。
猫は女性を象徴する生き物だと言われています。そして、夢占いのなかで猫が暗示するものは「嫉妬」「執着」や「復讐」など、陰陽で言えば影の部分を表すことが多いようです。それでは一体、猫が現れるそれぞれの状況で意味がどのように変化していくのか、早速見ていきましょう。
「嫉妬をひた隠しにする女性」ってことかな?
新しい始まり:結婚式の夢は、新しい生活や新しい関係の始まりを象徴しています。
結合と統合:この夢は、異なる側面や人格の結合、あるいは自己の統合を象徴しています。
コミットメントと責任:結婚式は、深い約束や新たな責任を象徴しています。
結婚式の夢は、あなたが重要な関係や決断に対する深い思考や評価をしていることを暗示しています。これは、個人的な成長の機会を迎えているか、人生の大きな転換点に立っていることを示している可能性があります。
参加者が大勢の結婚式の夢は、社会的なつながりや広範な交友関係を意味しています。この夢は、多くの人と関わりたいという願望や、人々との接触を通じて自己を表現したいという欲求を表しています。夢は、コミュニティの中での自分の役割を再考する機会を提供します。
洋装の結婚式の夢は、自由や個性の表現を象徴しています。この夢は、新しい生活様式への憧れや、自己表現の欲求が高まっている状態を示しています。また、西洋文化や価値観に対する好奇心や憧れが背景にあることもあります。
ホテルでの結婚式の夢は、豪華さやステータスへの願望を意味しています。この夢は、人生での一大イベントを華やかに祝いたいという願望や、成功と認識されたいという欲求を示しています。夢は、自分自身と自分の成就を誇りに思うことの重要性を教えています。
結婚式直前の夢は、期待と同時に感じる緊張や不安を象徴しています。この夢は、重要なイベントを前にしての心理的なプレッシャーや、期待に応えたいという願望を表しています。夢は、大切な瞬間を迎える前の自然な感情を示しています。
怒りを感じる結婚式の夢は、抑えられた感情や対人関係の緊張を意味しています。この夢は、現実生活での未解決の感情的な問題や、人間関係におけるフラストレーションを示しています。夢は、感情を健康的に表現し、解決することの重要性を教えています。
悲しみを感じる結婚式の夢は、喪失感や変化に対する恐れを象徴しています。この夢は、人生の変化点において感じるかもしれない悲しみや、大切なものを失うことへの不安を反映しています。夢は、変化を受け入れ、悲しみを乗り越える過程の重要性を教えています。
混乱を感じる結婚式の夢は、人生における方向性の喪失や決断の難しさを象徴しています。この夢は、現実生活での選択肢や決断に対する迷いを反映しており、内面の混乱や不確実性を示しています。夢は、自分自身と向き合い、明確な方向性を見つけることの重要性を教えています。
夢はあなたが新しい人間関係を築いていこうと前向きになっている気持ちを表しています。
豪華で華やかなレストランに入る場合は、あなたが個性あふれるたくさんの人たちとの関係を築いていけることを意味します。今まで知り合ったことのないタイプの人と知り合って、充実した日々を過ごすことになりそう。
レストランで料理を注文する夢は、現在のあなたが少々自己中心的になっていることを意味する警告夢です。ここ最近、気が付けば自分が自分がと、ついつい話や行動が自分のことばかりだったり、自分中心になってしまっていませんか?
周囲の人の話の内容などはちゃんと覚えているでしょうか。心当たりがない場合も、少し最近の自分の言動を思い返してみましょう。そして、思い当たることがあれば今からでいいので改善していきましょうね。
もっと周囲の人を大切にしたり、親身になって話を聞いてあげた方が良好な人間関係を築いていけるはずですよ。レストランで料理をたくさん注文する夢は、あなたが注意力散漫になっていることの表れであると共に、判断力が低下していることも意味します。
少し頭が疲れているのかもしれません、自分に本当に必要なものが何なのか分からず色々なことに手を伸ばしてしまいそう。その中には危険なものも含まれている可能性があります。疲労を感じるようであれば、できるだけゆっくり休むようにしましょうね。
レストランで注文したいのにできないのは、自己中心的になりたいのに、そうさせてもらえない。
レストランで食事が食べられない夢は、あなたのやる気が低下していることを意味する警告夢です。今のあなたはあらゆることに対して無気力になっていたり、気分が沈みがちで暗い考えに頭が支配されていませんか?精神的に不安定気味だったり、何もやる気が出ない時にこういった夢を多く見ることがあります。
もし声を掛けてくれる人がいるのなら、その人のことは大切にしましょう。そういった付き合いまで面倒に感じていると、いざ気持ちが浮上した時にはあなたを大切に思ってくれる人は誰もいなくなっているかもしれませんよ。
また、食事が運ばれてこなくて食べられないのであれば、現在のあなたのあらゆる運気が低迷していることを意味しています。特に対人運が著しく低下しているので、この時期は言動に注意しておかないと身近な人と大きな喧嘩になってしまうかも。この夢を見た時は、我を通すよりはできるだけ周囲に合わせておく方が穏やかに過ごせるかもしれません。
なにもしたくないって気分。
バイキング形式のレストランの夢は、あなたが運気の波に乗っていることを意味する吉夢です。バイキングには色々な人がやってきますね、たくさんの人が自分の好きなものを取り、自由に食べて楽しいひと時を過ごします。
波に乗れなかったってことだね。
レストランに家族と一緒に行く夢は、あなたの身の周りでトラブルが起きることを意味する警告夢です。身近な人間関係で喧嘩や衝突が起きてしまうかも。その結果、あなたも巻き込まれてしまう恐れがあります。
普段親しい間柄の友人たちが喧嘩をしたようであれば、時間を少し置いてからでもお互いの仲を取り持ってあげるようにしましょう。もしかしたら両者の間に誤解があるのかもしれません。
この夢を見た時は、実際に家族とのトラブルにも注意が必要です。普段から家族と連絡を取り合ったり、会話をするなどのコミュニケーションは取れていますか?返事や相槌のみになってしまってはいないでしょうか。
もし普段から家族との時間を取れていないということであれば、この機会に一度ゆっくりと談笑する時間などを設けてみてもいいかもしれませんよ。また、もしもあなたが何かしらの悩みを抱えている場合は、この夢の会話の内容を思い出してみましょう。そこに問題を解決するヒントが隠されている可能性があります。
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