#灰色の銀貨
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some scans of young toshiya from 灰色の銀貨 (haiiro no ginka) volumes 6-10
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混沌の洪水 9 おまけトーク(現実にではなく、観念にダメージを受けている)
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「断罪」
迸るように激しく 溢れるように流れ 世界の色彩は閃く
ギロチンが音を立てて待ち構えている 帰りを待っている 朝が来て 夜が来て
断罪の音が木霊する 日々音が近づいてくる どこにいようとも 何をしようとも
迫り来る 祭壇への 道 生きること 鼓動が 導く 避けようのない 運命
心臓は高鳴る 警鐘のように
逃れることはできないからこその 運命 受け入れる気はない 別の運命をたぐり寄せようと手を伸ばす
火薬に火を点け 計画を粉々に砕く 燃え広がり 海の中に灰を蒔く
未来への標を失った 命の計画書は塵となる 何を望める 運命の音は木霊する
細胞が 共食いし 命を 食らう 身体が 身体を 貪り 食らう
破壊されてしまえば 消えてしまえば
破壊された溝を 埋めることはできない 困難な道 茨の導き 血を流して軌跡とする 運命の音が迫り来る 脳裏に浮かぶ祭壇 恐怖 震える手 未来のための標は 失われてしまった 命は彷徨う
どこにいようと安全な場所など無い 安らぎなど仮初めの姿
真実から目を背けたいだけ なくなることはない 遠ざかろうとすればするほどに��音は轟き 心臓を掴む
心臓が肺を囓る音がする 恐怖 細胞の痛みが奔る 絶望
警鐘が鳴り 断罪は 雷鳴に似て 思考は 混濁 喪失し 生命の 破壊
時は近い 運命は変えられないのか 遙か昔に決定されていたこと
狂うことができれば どれ程の 救いだろう 不安 恐れ 失望 痛み
全てが降り注ぐ 矢のように 裁きのように のたうち回り 足掻き 藻掻き 懸命に走る
それしかできない どんなことがあっても 自身が歩む道でしかない
全ては耐えられるからこそ 与えられてしまうもの 運命には 望みも 願いも 何ら関係がない 微動さえしない
太古の昔から脈々と流れてきた 巨大な奔流 都��よく 未来と名づけて 必死に生きることしか できない
彷徨い歩き 倒れた時 後ろで音がした 刃物が落ちた音 影の首を切る 崩れ落ちた
逃れれば救いと呼ぶのか 自分勝手―それでも 生きろというのか 葛藤も 矛盾も抱えて 醜い心さえ携え 夜明けの美しさを焼きつけて
不穏
砂漠から立ち上る蜃気楼 海に浮かぶ砂上の城
既に失われた楽園
人々は泥を財宝と錯覚して身につける
美しさを求めて泥を身体に塗りたくり穢す
愛というものは季節のようにすぐに移ろう幻
秋が訪れれば 葉が枯れゆくように 万物は逃れられない 太陽と月さえも支配されている
熱せば冷める水と同じ 酔えば醒める甘美な酒 死のような恍惚の眠りと失望した現実への目覚め 彼らは皆求めたがゆえに失った
強固な大理石に罅が入る 溶けるように風化していく 化石のような残骸が残る
硫酸に溶かされるかのように消えていく
永遠を望むということは時の移ろわない砂時計を望むことと同じこと
籠は骨でできている やがて塵となり 土に還る時の流れに 抱擁されている
海水を啜る者達は飢えに我慢ができなかったのだろう 心の欠乏に 自らが欠陥を抱えた存在であることを認められないがゆえに より渇くとも知らずに
飢え求めるからこそ 貧しくなる 覚悟していようとも 本能と欲望は抗えない 偽りを本物と気づかずに
ほくそ笑むだろう 欲する者達は煌めきに眼は眩んでいる 砂粒が宝石に見える
自らが富を得て 豊かに 幸せを身につけているのは 全ては錯覚でしかない
より得るために 偽りを求めて 自らが代償に支払うものは自らの命の欠片 刹那の幸福の感情と引き換えに奪われていく
声が聞こえる 単なる砂上の王国だったと知る 愕然とする 人生は何だったのか 幻に踊らされていた 真実は常に痛みと共に襲い来る 恍惚は彼方に蜃気楼となる 幻 記憶は美化して輝かしくする 後悔が押し寄せる 人生の意味は失われた どのようにして取り戻せというのか 全てを奪われたと同時に 知った真実が 青空にすら星となって輝き消えない道を照らす
駒でしかなかったのか 運命という盤上の人形でしかなかったのだろうか
星は導いて満足したか 風は欺いて楽しんだか
闇さえも光の姿をして注いでいたのかもしれない
風を射抜いた旋律は 闇夜から零れ落ちた銀貨のように
命の目指す標
大洪水 無数の理由
無数の理由の柵(悪意 利己 執着)
混沌の渦に己の道を敷き秩序を描く
内なる音楽が消える時 引き寄せられる
記憶のない場所に 罪の意識と共に 自ら招いた意識の果て 無意識という 果ての無い宇宙 無音であり 万物の音よりも 雄弁に語る
契約という宇宙と星との密やかな画策
誰も知らない 己が契約書にサインをしたことを
気づきようがない 魂に封印されている
知らずとも 道を辿っている 未来と過去とが 出会う場所で 偶然に 必然を見出し 運命と名づけて 全てを背負って
宇宙はただなすがままに実行するだけであり 機械的であり 無常であり 非情ですらある この世界は自然的な法則で動いている
天に何を見出す
物事は淡々と生じ 粛々と過ぎる あるがままと言うか 自由と呼ぶのか
どこに自由がある 必然だらけの世界であり 星の配列により定められ 物事の数列により決められ 命はただ従い 抗い 藻掻くに過ぎない
逃れることはできない シナリオから 血管が証 血脈が奔り 施されている 心臓に託された運命の契約書
生者は 蘇る 第二の生へと
魂は目覚める時を待っている 蘇る瞬間の訪れを 心臓に閉ざされ 封じられ
生者は 蘇る 第二の生へと
欲望と混沌に見失う 広大な宇宙に彷徨い 見失った光 心臓が深淵に出会う時 時計は 針が 刻々と 時を刻む 時は動き出す 肉体の鼓動ではない 魂の表出 世界が孵化する瞬間 囚われた精神が光を見出し 頂よりも高く飛翔し 観念としての意味と価値を超越する 高潔と無垢との刃によって 柵と呪いは断たれる 命は鼓動し 星は光り 宇宙は万物を生み出し 破壊さえもする 混沌に 産声を 響かせ 奏で 紡ぐ 存在のために 精神は目覚める
幸福 安らぎ 存在理由 存在価値の全てが列なる 万物の意味 未来と過去の全ての暗号が解かれる
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Corvus and the Dramatic Chase (コーバスと追走劇)
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スタンド・アップ 鳶色のスキャンダル フラッシュバックはビートのクラッシャー さんざめく心音と謳った 動悸を患っている ��Wait a minutes girl時間外 気が早い 絶対なのに啖呵みたい) ローファイに素見通 板付はここで 突破したい… Stand up! A russet scandal. Flashbacks are beat crushers, I insisted to the sound of my thundering heartbeat. I suffer from its palpitations. (Wait a minutes girl, we’ve gone into overtime. Don’t be rash. Certain though you may be, it sounds like bluster.) I’m a lo-fi window-shopping connoisseur! The stage is right here, and I yearn to break through it... KNOCK OUT!!Burn in your brain お前の栄冠を前に政策掲げろ されどこの身を果たすべからず ぶっ倒れそうな侠は狂歌唱和したい 撤退だとは言えない blood your head かなり過激な妄 トップレディ閉口のdo a fade まさに陰気でfreakyなSHOW KNOCK OUT!! Burn in your brain. Put some policies forward before you start resting on your laurels! Be that as it may, I mustn’t run myself ragged. Those boisterous fools look about ready to collapse, and yet they fancy chanting satirical tunes. I can’t tell them to retreat. Blood your head, what a radical fallacy. The top lady is at her wits’ end, do a fade. A truly gloomy and freaky SHOW! 焼け付いた 銀河に飛び立つ鳥の歌 差し伸べた手 振り去ったのは 針のように 凍てついた 神話に先立つ 灰の歌 出任せを並べては 誰かの目論見で This is the song of a bird taking flight from the scorched Milky Way. It turning away from my outstretched hand cut deep like needles of frost. It takes the lead in this myth, this ashen song. I spout the words off as soon as I think them, all in accordance with someone else’s schemes. スタンド・アップ 鈍色に光った ティルヴィングでslash at 吹き溜まり 遠からず引導をいただき 常軌を遇っている (Just a moment boy 無頼漢 バックパス渡す愚策は悪足掻き) クライアントは別注 札付きの宴 調和したい… Stand up! It shone a dull gray. Slash at all those layabouts with tyrfing! Sooner or later, they’ll be needing their last rites. I’m only doing what should be done. (Just a moment boy, you ruffian! Making that foolish back pass only serves to prolong your futile struggle!) The client has specially requested this notorious feast, hoping to come to an accord... SHUT OUT!写楽・波磔・洒脱・処罰・菩薩にも度し難い程 表裏felony crime …get this right きっと猛省 月破 movingで溜飲 downerはlooping!! 新たな理想 一層 奇想天外な高鳴るbeat yourself 退路を断った包囲網 かなり老廃でcreakyなDON SHUT OUT! Sharaku, hataku,¹ sophistication, punishment, even bodhisattva are utterly irredeemable, inside and out, they’re full of felony crime. ...get this right, I’m sure they’re repenting. Unlucky star,² bile by moving, downer is looping!! A new ideal, an even more wildly fantastic pulsation, beat yourself They’ve got me surrounded, my escape is cut off. What a worn-out and creaky DON! 錆び付いた 銀貨に芽を出す宵の歌 張り詰めたって 飛べない鳥は 徒爾の世に 楯突いた 森羅に差し出す檻の歌 色褪せた麻の葉と 那由多を執り成して An evening song sprouts from a rusted silver coin. The bird that just couldn’t fly despite how hard it strained itself rebelled against this useless world, a song of a cage that presents itself to the endless expanse, making peace with everything alongside the faded hemp crest. Wait on 絶対のboss この罰から逃げ惑う奴の有様 見たくないなら手洗って搔っ攫う 手荒手柄ってのはお呼びじゃないから あっけないwanna bet on? 並べろ トべよフェノメノなんだろ?still 洒落本 破落戸達のヒステリーはstay shooting 絶頂にcatch the next twist Wait on, total boss! That’s what happens to guys who try to escape divine punishment. If you don’t wanna watch, then go wash your hands and snatch it away! No one asked for any of this hard-handed high-handedness, after all. What a disappointment, wanna bet on? Line ‘em up! Yo, loser, isn’t it phenomenal? Still a book of manners. That hoodlum hysteria is to stay shooting, at the peak, catch the next twist! 遍くgotta劣化な廉価 誰か駄弁ったらspend dollar 連打 隠すヴェノム pump up the bellows 奪還した奴らの王道楽土を 狡猾さでなら無敗 pass the buck 惹句 さらば軽薄な玲瓏を 因果応報 手の上で踊れ! Gotta get it all, an inferior bargain. If someone starts jabbering, hit ‘em with a spend dollar barrage! I hide my venom, pump up the bellows for the Arcadia of the recaptured. When it comes to cunning, I’m undefeated. Pass the buck is my catchphrase, fare thee well, o flippant brilliance. This is what you deserve—dance in the palm of my hand! 焼け付いた 銀河に飛び立つ鳥の歌 差し伸べた手 振り去ったのは 針のように 凍てついた 神話に先立つ 灰の歌 出任せを並べては 誰かの目論見で This is the song of a bird taking flight from the scorched Milky Way. It turning away from my outstretched hand cut deep like needles of frost. It takes the lead in this myth, this ashen song. I spout the words off as soon as I think them, all in accordance with someone else’s schemes. * It may be worth noting that the word “Corvus” means “crow.” ¹ A style of clerical script in kanji. ² In flying star feng shui, this refers to a type of inauspicious bearing.
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いい加減に 東京へ出てくるとうんざりするのをやめたい 新宿や渋谷ならまだしも 上野などでうんざりしているようでは 情けがないから やめたいのだけど やっぱりどうしてもああやって人が大きな塊になるような状況をみると 誰でもいいじゃないかという気になってくるので苦手だ そこにいるのは誰でもいい かけがけのないことのないただの記号という形をとった肉の塊にしか思えない だからそのような有象無象に気を配る気にもならない 中高生のような 人を殺す目で あれくらいの時期はみんな特に意味もなくあるいは大きな意志の元で人を殺したいと思っているものでは? うつむきながら 足早に肉塊を通り過ぎるしかない フードエッセイストである平野紗季子さんの (NO)RAISIN SANDWICH が クッキー・モンスター (青色のけむくじゃら) とコラボするということで 銀座のソニーパークへ 遊びに行く 銀座はよくわからない 近いようで遠い街だと思う 京橋や日本橋なんかは完全に他人事なんだけど 銀座に関してはどうしても割り切れない部分が個人的にあったりするわけで 上野から銀座線に乗り ライクアタイトル回収 銀座駅で降りる まずまずの人 ソニーパークは駐車場の傍らにある 以下HP引用 "銀座四丁目交差点改札より、そのまま地下コンコースを歩いてお越しください。B7とC3出口の間にある「西銀座駐車場」の入口を入ってすぐ左がSony Park Miniです" なんとも簡潔でいて分かりのいい文ではないの 無駄のないうえにそこまで事務的でもないのが良い 変な場所にある施設が 結構好きです 新橋の ニュー新橋ビル な 熱海の 第一ビル商店街 な 感じの施設 施設群? この日のために PACS の Round Corner Pocket shirts を卸した 真剣な青色で 名前の通り ザッツリテラリー ポケットがまあるくなっている 生地もスーピマコットンなので 肌触りも良い かつ光沢もあり品の良いシャツに仕上がっている かわいいねお気に入りです 大きめに着る 靴下もファミリーマートのアクアブルーだったので 話しかけられた店員さんに 「格好もクッキー・モンスターを意識されてるんですね!」 などと言われ 恥ずかしそうに頭をかきながらうんとかすんとか ヘラヘラするしかなかったよ 23にもなるのに 恥ずかしそうにヘラヘラするしかない場面がいまだにある ステッカーや缶バッジ なんとなく目当てにしていたクッキー・モンスターのTシャツはソールドだった まあそうだねと思いながら"PREMIUM COOKIE SANDWICH for COOKIE MONSTERS"を抱えて後にした この時点で汗が止まらなくて病気かと思う 汗をかきはじめると 周りの視線が過度に拡張されていく感覚になる 批評よりも批判よりの視線にさらされているような感覚 さすがに耐え難いので 鳥越の方に逃げた 昔に といっても2年前までは鳥越に居をかまえていたので 今でもマイメンな東京のスポットなのだ そんな場所は本当に貴重だ 鳥越神社という大きな公園のわきにあるアパートの一階部分には Torigoe T という小さなフランス料理のお店があったのだが それも1年前に閉店して今はアメリカ雑貨のお店になっているのを目撃した 6月は鳥越神社の例大祭があり 裸の男たちが蔵前橋通りを神輿担ぎ闊歩する 言語というよりむしろ発声に近い掛け声に混ざるぶつかり合う肌と肌の音は 何かしら象徴的に聞こえるものです 例大祭のチラシがあちこちに貼られているのに沿って鳥越の街を歩く もうこの街は 自室から浅草にあるアルバイト先まで 日陰から一歩も出ることなく歩いて行けるまでに 知っている 知っているのにすでに住んでいないというのはどうして不思議だ 1時間くらい歩き続けて観念したように浅草橋から総武線で新宿まで出張る 小田急線の急行で下北沢に着く頃にはもうだいぶ風が出て涼しくなったような気がして またシャツを羽織った だいぶ変わってしまったねこの街も 高校教師 (1993) には当時の京王井の頭線沿いも出てくるのだが 1993年時点での下北沢駅周辺はとても文化的ではなかったように見える ホームも薄暗くなんとなく湿り気のあるそんなイメージだった むろんあくまでイメージ 妄想ではある産まれてないしそもそも しかしな 今やサブカルチャーにとどまらず演劇や映画のベースメントとして 機能しているので 大したもんだと思う 人間が本気になれば 何もない場所に都市を計画し造ることなんぞは きっと造作もないのだろう 東京も元々大きな湿地帯であったことを考えると 人間のその豪胆さと労力の惜しげのなさには驚かされるばかりである 茶沢通りを北沢タウンホールに抜ける路地の左手に アンダーニース という楽器屋があり ビルの3Fで品揃えもいいしなによりオーナーの人当たりの良さ! この楽器屋でその感じなのありがたい 友人にお土産として Danelectro Black Coffee を買った DODのFX25B Envelope Filter とも悩んだが ゲインがフルテンで固定というオーナーの説明にクラッときたので そっちにした 朝からまともなものを食べていないことに気づいて 渋谷駅から渋谷川に沿って並木橋の方へ降りると恵比寿の手前にフレッシュネスバーガーがあるため そこでフレッシュネスバーガーとジンジャエールを食べる ジンジャエールがとにかく濃く作られており 自家製なのもあって 飲みごたえがすごいことになってんの 正直ハンバーガーには合わせない方がいい 完全に負けているので 狭い店内の後ろの席には 学芸会終わりの親子が感想戦などをしていた ジメっている恵比寿 リキッドルームに家主がやってくるということで 友人を誘った 昨年の12月に出したアルバムのツアー 恵比寿リキッドルーム ワンマン フルセット 整理番号はなぜか800以降のカスだが 久しぶりのライブも 友人に会えるのも嬉しい チケット代の代わりに 何かモノをくださいという暴力に 友人は旅館の灰皿とぶっとい葉巻で応えた 吸わなかったら灰皿で人を殺してもいいらしい とにかく喫煙が足りないと言われた 喫煙が足りない 喫煙が足りない? アウトレイジ 最近バイトや大学の合間を縫って アルバムのレコーディングなどしているらしく 小職よりも忙しそうにしているので頭が上がらない ライブはもちろん完璧だった 正直言ってここまでのめりこめるライブも少ない 撮影が可能らしく ちらほら撮影している観客もいたが 昔気質だからだろうか どうしてもライブという場において撮影という行為がイマイチしっくりこない いまそこにある景色を損なう可能性を 考えてしまって スマホへ手が伸びなかった 撮影などしなくてもライブはサイコーであるのであれば 無理して撮影する必要はない そうだよね ウン 途中マジで酸欠になって フロアが最高潮だからね クラクラしながら ぜんまいじかけ のリフが宙に浮いて見えたりしたが 無事 終演 熱冷めないまままた歩いて渋谷駅まで戻ることになり 家主の話よりむしろバックナンバーやクリープハイプの話になりなぜ? 家主の話をしないということによってむしろ家主の存在が際立っているような 哲学や文学の文脈でよく使われる論文の手法のような雰囲気で 道玄坂のロイヤルホストに滑り込んでひといきをつく 柴田聡子の新譜は ある種 脱構築的に音楽よりも言語 あるいは歌詞や詩の動きにフォーカスしたアルバムだと論じる 前作 ぼちぼち銀河 においてもその様子はたしかにうかがえたが 今回で完全に音と歌詞 (詩) は同時に存在するように作られはじめた それぞれで見てもイマイチパッとこない 納得できない そのふたつは 同時に鳴ることで私たちの前になにかしらの意味を持って突如立ち現れることになる そこが柴田聡子の独自性ではないかという話で盛り上がって 過ぎる時間 こんな話がしたかったと思っていることに気づいたのは分かれてから銀座線で上野御徒町へ戻る最中だった 山形行きの高速バスで 友人がSound Cloudにあげていると教えてくれた レコーディング中のアルバム そのリード曲になるというデモをこっそり聴く 疲れた身体でも 十分に良いと思える曲だった コンスタントな振動に揺れ カーテンをこっそり開けて 高速道路��ナトリウムランプが玉になって流れていくのを眺め 耳を澄ませて友人の曲を何度も 繰り返し聴く はじめて聴くのが夜行バスの中で良かったと思った 眼をつむるまでにそんなに時間がかかることもないだろうなと 考える間もなく 眠った 朝の4時に福島にほおりだされて 始発で郡山へ戻り 8時には職場にいるのだから 頭がおかしいとしか思えない 一緒に住んでいる人には 花屋の娘 が入ったフジファブリックのCDをお土産に買った ディスクユニオンの袋に包まれたのを 満足そうに机の上から机の上へ置き直して ニコニコしている 郡山は肌寒く しまったはずの毛布を取り出した
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ゲームセンターと私
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その昔ゲームセンターは薄暗い場所が多くてゲーム機の傍には銀色の灰皿が置かれタバコの煙がモクモクした不良が溜まる場所というイメージがありました。
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小学生の頃に近所のショッピングセンター屋上にゲームセンターがあったのですが、友人は中学生くらいの不良に絡まれ「金出せよ」と言われていました。
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「お金持ってません」と答えて「本当か?」と答えて「ジャンプしてみろ」と言われてポケットに入った硬貨の音が「チャリン」と響いてカツアゲされていたものです。
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今ではすっかりと明るい店内に変わりゲーム機の構成としては主にぬいぐるみや豪華な景品を落とすUFOキャッチャーが中心となりましたが、昔も今も1コイン1プレイですね。
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というわけで本日のランチは1コインで日替わりランチが楽しめる #兄夫食堂 です。打ち合わせや資料作成に追われた14時でやっている店を求めフラフラと赤坂まで来ました。
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この時間からお酒を飲む人や遅めのランチをとる制作関係の職業と思える人など様々です。今日は木曜日だったので #餃子スープ が出されるようです。
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まずは #キムチ などの副菜が速攻で出されて10分ほどでメインがやって来ました。 #スープ というにはあまりにも大き過ぎる器に驚きながらも実食です。
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白濁したスープは #ソルロンタン で味わったことのある、優しいけれどもコクのある深い味わいです。中には #餃子 がたっぷり。ちゃんと数えてませんが10個はありそうです。
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副菜はキャベツと胡麻を和えたものや、ナスの煮たものそのどれもがご飯に合う美味しさです。 #キムチ も酸味と旨みのバランスがいいですね。
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#ぎょうざ の味わいもお肉とスープとの相性がいいですね。卵やぜんまい、韓国海苔が入った海苔は最後まで美味しく頂けました。
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わざわざ電車に乗っても価値のあるランチが頂けるので、また時間が合えばお邪魔したいなと思います。
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#赤坂ランチ #赤坂グルメ #赤坂韓国料理 #溜池山王ランチ #溜池山王グルメ #溜池山王韓国料理 #とa2cg
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読者諸兄はデパートに行ったらどこが気になるだろうか?デパ地下?ファッション売り場?増田は搬入口の場所だ。売り場で何売ってるかなんてどこから搬入するかに比べたらどうでもいいことだ。この文書を読んだら君もきっとそうなる。売り場で物が売れたらそれを補充しなきゃならない。その搬入口は大��ビルの裏にある。しかしデパートがある場所というのは一等地だ。バックスペースである搬入口なんかの為に一等地を使うのは余りに勿体ない…。という事で離れた場所に搬入口が設けられて秘密の通路で結ばれていることがあるのだ。それを幾つか紹介するよ。因みにこういう所は仕事でしか入れないもので、増田が仕事で行ったり同僚に聞いた入りした事がある個所に限られるから偏りはあるよ。池袋LABIヤマダ電機が運営する池袋LABIは元は池袋三越だった。開業は昭和29年の地下鉄丸の内線の前年か同年と古い。LABIの裏に都道があって、道路反対側に3階建てのマクドナルドがある。その裏に付近に似つかわしくない古くて灰色な運送会社的なところがある。https://goo.gl/maps/9fDTtZiNEB3pQTbJ8ここが搬入口で地下トンネルで結ばれている。さっきのマクドナルドはそのトンネルに乗ってるのだね。だから周囲が高層化しても3階建てのままなのだ。 池袋東武かなり離れたところにあるびっくりガードの中に分岐がある。https://goo.gl/maps/bsTBq4EtxBrgqc23A元々ここは東上線の線路だった。山手線から東上線への渡り線と電車の留置線が伸びていた。国鉄が貨物輸送を全廃に近い合理化すると東上線行きの貨物輸送も無くなり、ここは遊休施設になった。90年代に東武デパートが増床して新館のプラザ館を作る事になるとこの線路跡も一部利用され、新館より先は地上は駐輪場、地下には搬入路として旧館の搬入も集約化。東上線池袋駅が行き止まりホームになったのはこの時だ。それまで旧館は東上線の北口改札横にある汚らしい搬入口で搬入していたのだが、ここのせいで一帯が大変に荒んでおり、まるで古いアメリカ犯罪映画のダウンタウンのようだった。 銀座松屋デパートより一ブロック離れた箇所。https://goo.gl/maps/WQB7qSNwj4AjQPQc8ここはちょっとバックスペースが大きすぎる印象がある。新宿小田急ミロードの甲州街道のルミネとの間にあって、急勾配でミロードの中を登り、モザイク坂上のミロード広場の上階に出る。https://goo.gl/maps/oEbSXc96jzT8adFW8ここは急勾配&高さ制限がキツイ&急勾配登ってすぐに急カーブのクランクというデンジャラスなコースだ。クランクの路面は坂登ってる間は見えない。しかも途中で止まると再発進不可な程の急坂なのでアクセルを緩められない。そして暴走してクランクを突っ切ってしまうとミロード通りに落下だ。危なすぎる。ハードドライビンのスタントコースみたいなところなのだ。ここを攻める人は注意して欲しい。落下したらインスタントリープレイされるだろう。 新宿ルミネ遥かかなたのJR本社ビルの先にある。https://goo.gl/maps/ZCo693QRHujchVqZ7ここからJR本社ビルの周りをぐるっと回って甲州街道陸橋の下を潜り、ルミネに到達する。甲州街道陸橋の下が公共地占有だ。因みにJR本社前にBLAST!っていうお店があって、周囲は高層化されているのにここだけ2階建てだ。実はここは土地取引を巡って管財人の司法書士とヤクザが殺されたという曰くつきの土地でずっと更地&駐車場のままだったところだ。また、バスタの下には昔JRバスの駐車場になっていた大きな地下空間があって高島屋タイムズスクエアとJR本社とトンネルで結ばれているらしい。駅の工事の際には工事基地や職工の詰所になるようだ。ちょっと入ってみたいもんである。 渋谷西武群ロフト井の頭通り側にある。https://goo.gl/maps/UxNpSesPQp88VQY68西武デパート群は駅に近いA館と井の頭通り向かいのB館、ロフト、パーキング館とあるが、全て地下トンネルで繋がっている。特に特筆すべきは井の頭通りで、ここは宇田川という川が暗渠化された道で今でも暗渠に宇田川が流れている。搬入トンネルはこの地下の宇田川の更に下を通ってるってわけだ。公共地占有+川の下を潜るという2段構えの珍奇さである。 東急東横店珍奇な搬入路の王者と言ったらここである。もう無くなってしまったが。駅の東西に建っていたややボロッちかった東急東横店。ここの搬入口がどこにあったかというと、現在ストリームになっている東横線高架下にあった。(古い画像)https://goo.gl/maps/tA5i7NkHkTGbhhce9ここからR246の下を通り、東横店東口店までずっと地下トンネルが通っていた。更にここには空港の手荷物コンベアのようなコンベアがあり、行先(受取り先)が書かれた専用のコンテナに入れて流すと東横店の方に着くというシステムであった。こんな風にシステムになったのは246の掘り下げ工事があり、途中にエレベータを挟んでいたためだと思われる。このルートというのは全部東横線の高架線と駅の下だ。高架の下に後からトンネルを作るのは危険だし難しい。つまり、昭和2年の東横線開業時にはすでにこういう通リになっていたという事である。因みにこの近くには稲荷橋という橋があったので「稲荷橋搬入口」と呼ばれていた。というか、最近行ってみたら川が無くなっているのに橋だけ残ってたわ。東横店は無くなって今は新しいビルになってるし、稲荷橋搬入口はストリームになってるが、あの地下搬入路はそのままのはずだ。あれは今どうなっているんだろうか?東横店跡の新しいビルとストリームの地下で荷物の輸送に使われているんだろうか?実に気になる。肝心の「東横店東口店と西口店の間はどうなっていたか」については西口店の方に用が無かったせいで不明である。無念だ。JR線地下を通っていた、京王マークシティの方にあった、二つの可能性がある。開業当初は国鉄より頭の固い鉄道省と別会社の帝都電鉄だった訳で気になるのだが…ちゃんと見ておきたかった。 法スキームと輸送スキーム これらには公共地である道路を潜って離れた場所に繋いでいるケースが多い。普通はこういう占有方法は認められないが、施設の公衆性が強い場合は許されるのである。私鉄が道路地下を走っていたり病院の渡り廊下が道路跨いでたりと同じだ。デパートの場合の公衆性は、公衆が自由に立ち入り出来て買い物ができる、市場の性格がある事だ。だからデパートは会員制の立ち入り規制的な事が出来ない。 余談だが、中野ブロードウェイのまんだらけが性的な商品を通路側に陳列して対面の商店とトラブル、その商店をネット民が攻撃して炎上するというトラブルがあった。この時にネット民は中野ブロードウェイは私有施設だから陳列は自由、まんだらけの占有面積は大きいので施設運用でのヘゲモニーがある、というような考えを開陳する人が多く居た。でもこの法的スキームを知っていたらこの考えは間違いという事が判る。中野ブロードウェイは公衆施設の一種でありそれは立ち入りが自由である事だから、そこの通路は公道が準用される。そこに性的な陳列をしたら独立店舗の中での陳列よりも厳しい基準で取締りが行われるのは当然なのだ。実際まんだらけはガサ入れされて商品を押収されて件の店舗は後に閉鎖する事になった。 また、デパートは売店床面積を最大化したいのでこういう離れた箇所に搬入口を作るのである。だからビル裏に搬入口を作る場合はその面積を最小化したい。売り場を持つ業者は相当な数になるので、それらが少量ずつ荷物を持ち込んだら忽ち渋滞だ。そこでデパートの流通センターか搬入代行業者の倉庫に搬入して、そこからまとめてトラックに混載してデパートに搬入するという形になっている。当然その業者には委託料を支払わねばならない。だから利幅が小さくなるのでその分価格を上乗せする他無い。故にデパートで買うとどうしても高いのだな。これはデパ地下の小さな食品売り場、レストラン街の業者もそうなので、地方の業者が東京などのデパートに出店する場合、支社をその代行業者の倉庫内に置いてしまう事もよくある。「東京支社長就任おめでとう」とか言われて辞令を受け取ったら倉庫勤務とかになっちゃうわけだ。つらい。 大���名古屋編を誰か頼む。
魅惑のデパート搬入口の世界
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Some pages of 灰色の銀貨 vol.7
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灰色の銀貨 vol.0
Not scanned by me, but scanned for my old Dir en grey fansite.
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DIR EN GREY twitter 2020.11.10
次回の会報を絶賛制作中!📖✨ということで、昨日はDie・Toshiya・Shinyaの「D.T.S.」が久々に集結し、会報用の企画を実施!大盛り上がりの企画となりました!🎉🎉会報誌vol.89をお楽しみに!🙌✨ 11/20(金)迄にご入会(入金)で次号会報誌が届きます📬是非この機会に! リバウンド気味マネージャー藤枝
We're working now on the next fc magazine!📖✨ so Die, Toshiya and Shinya, creating 'DTS' met together yesterday for an fc project! It's gonna be pretty exciting!🎉🎉 stay tuned for vol.89🙌✨ If you join a knot by Nov 20th you can still get that issue📬 great timing to join!
From rebounding manager Fujieda
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Dir en grey - 灰色の銀貨 Vol. 9
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古典落語「小言念仏」
信心《しんじん》は徳のあまりということをよく申しますが、まごころこめての信心は、まことにすくないようでございます。 なかには、不景気で、商売もおもしろくないから、ひとつ信心でもしてみようかなどという、でも信心だの、また、おもしろ半分だの、もののついでなどというご参詣もあるようで…… 「おい、ついでに観音さまへいこうじゃないか」 ��いう。 いって、ほんとうに参詣するのかとおもうと、お堂からフイとわきへそれて、映画館や寄席のほうへおまいりにいってしまいます。怪しからぬわけのものでございます。 まことのこころというのは、寒《かん》三十日のあいだの寒まいり、こればかりは、しゃれやじょうだんではできません。 寒風肌をさくようなさむい晩、ひとえの行衣《ぎようい》一枚で、わらじをはいて、雪の降る日も、風の夜もいとわず、「六根清浄《ろつこんしようじよう》、六根清浄」と、駈けてあるきます。そのさむいすがたで信心するのですから、神さまもいくらかご利益《りやく》をあたえるだろうとおもいます。 さむい時分に、さむい思いをして、わが身を苦しめてご利益があるものなら、暑い時分に暑い思いをしたら、おなじご利益がありそうなものでございますが、まだ暑中まいりというのはございません。 暑中九十度以上の暑さに、シャツを五枚に、ももひきを五枚はいて、襦袢《じゆばん》を五枚、胴着を五枚、綿いれを五枚、羽織を五枚、上から二重まわしを着て、襟巻《えりま》きをして、ふところへかいろを三つ、背なかへ四つもいれて、午後の一時か二時ごろ、往来を「六根清浄、六根清浄」と駈けてごらんなさい、たいがい目をまわしてしまいます。
むかしは、お賽銭《さいせん》は、一銭がふつうでございました。二銭、三銭あげるかたは、ご利益をよけいさずかろうという、欲から割りだしたので、なかには、また、五十銭銀貨をあげるかたがございましたが、これは、自分で承知してあげるわけではない、色がさびてるところから、一銭銅貨とまちがえて投げてしまって、あとで気がついて、 「あっ、まちがえた、ちくしょう!」 うらめしそうに賽銭箱のなかをのぞいているひとがございます。 「ああ、つまらねえ。もったいないことをした」 どっちがもったいないかわかりません。 わずかなお賽銭で、おたのみあそばすことがなかなか多うございます。 どんなかたでも、神仏にむかって、家内安全なら安全、商売繁昌なら繁昌と、ひとつおねがいあそばすかたは、おそらくございますまい。たいがい五つや六つ、多いのになると、一ダース半ぐらいもたのんでおります。 正面にむかって、ポンポンと柏手《かしわで》を打ちます。あれは、なんのためだかわかりません。人間同士なら、目下の者を呼ぶときに手を打ち鳴らします。親や主人を、手をたたいて呼ぶひとはございますまい。神さまを目下だとおもって手をたたいて呼んでるんでしょうか? これから拝みます。神仏にむかったら、かならず十本の指は口のところへもっていらっしゃいます。これは、ねがいごとが叶《かな》うという字をこしらえるので、口に十の字、なかには、口の上へ十の字をもっていきます。はなはだしいのは、あたまの上のほうへいっているのもございます。まあ、上でも下でも、手をあわせているのは殊勝《しゆしよう》でございますが、なかには、片っぽうの手をふところ手をして、かゆいところをかきながら、手さきでのみをつかまえまして、それをひねって、賽銭箱の角《かど》でつぶしたりなんかしております。殺生をしながら信心をしてもなんにもなりません。 これからおねがいするわけですが、ざっとねがうところを申しあげてもずいぶんございます。 「四国は、讃州那珂《さんしゆうなか》の郡《こおり》、象頭山金毘羅大権現大天狗小天狗《ぞうずさんこんぴらだいごんげんだいてんぐこてんぐ》、家内安全、息災延命《そくさいえんめい》、商売繁昌、守らせたまえ、悪事災難、剣難、盗難、水難、火難をのがれさせたまえ」 これで一銭なんですから、ひとついくらにつきますか? ……これで、のこらずご利益があったら、こんな安いものはございません。 拝むときには、ほかに気が散らないようにと、目をつぶって拝みます。目をつぶったって、鼻までつぶるわけにはいきませんから、となりに若い女のひとなんかがならんで拝んでますと、おしろいの匂い、香水の匂いなんかが、つんつんと鼻へはいってまいります。そうなると、つい目をあけちまうということになるので…… 「妙法蓮華経《みようほうれんげきよう》、南無妙法蓮華経《なむみようほうれんげきよう》……ふんふん、ふんふん、妙法蓮華経、妙法蓮華経、ふんふん、ふんふん、南無妙法蓮華経……うん、こりゃあ、若くてきれいだな……もし、ねえさん、袂《たもと》がひきずってますよ……南無妙法蓮華経、妙法蓮華経、妙法蓮華経……ああっ、こうもり傘がたおれましたよ。お賽銭箱のすみに立てかけておいたらいいでしょうよ。いいえ、どういたしまして……南無妙法蓮華経、妙法蓮華経、妙法蓮華経……きれいだなあ、ほんとうにきれいだ。娘じゃあねえな……ひとのかみさんでもなし、水商売の女でもなし……妙法蓮華経、妙法蓮華経……なに者だろう? うん、そうだ、二号さんかな? こういう女を囲っておくのはどんなやつだか、ちくしょう法蓮華経……」 信心にもなんにもなりゃあしません。 お若いうちは、気のまよいというものがございます。 年をとると、気が定《さだ》まると申しますが、そうばかりもまいりません。 よく念仏三昧《ざんまい》をなさるかたがございます。 こういうひとは、朝起きますと、仏壇の前へ坐りまして、木魚《もくぎよ》や鉦《かね》をポクポクカンカンたたいておりますが、叱言《こごと》まじりの念仏で、なんのための信心だかさっぱりわかりません。 「なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。おいおい、ばあさん、仏壇を掃除しなきゃあいけねえよ。ほこりだらけじゃねえか。無精《ぶしよう》しちゃいけねえ。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。仏壇掃除することと、猫ののみをとることしか用はねえんじゃねえか。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。おめえなんぞ、おまえなんぞ、もうじきあの世からおむかえがくるんだぞ。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。なに? おじいさんがさきでしょうだと? ばかあいやあがれ。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。おいおい、仏壇の花がしおれてしまってるじゃねえか。仏さまの花をしおれさしておくことがあるかい。なむあみだぶ、なむあみだぶ。だ���だい、この線香を立てるのに横に立てるのは? 仏壇が灰だらけになってしまうじゃねえか。なむあみだぶ、なむあみだぶ。おばあさん、若い者にさせちゃあいけませんよ。仏壇のことは、おまえさんがおしなさい。なむあみだぶ、なむあみだぶ。おいおい、赤ん坊が泣いてるよ。お念仏のじゃまにならあ。ぴいぴい泣かせるな。なむあみだぶ、なむあみだぶ。なに? 泣くからしかたがねえと? だれだい、よけいな口をきくのは? 泣かさねえようにするのが、おまえたちの役だ。なむあみだぶ、なむあみだぶ。なんだって、けさは、またぴいぴい泣くんだな。ああ、よく泣くとおもったら、金坊、おまえがかまったんだな。兄さんのくせに赤ん坊をかまうやつがあるか、大きいからだをして……早くごはんを食べて学校へおいでなさい。おそくなると、先生にしかられるよ。なむあみだぶ、なむあみだぶ。こんどは、ちっと勉強をしなさい。なむあみだぶ、なむあみだぶ。このあいだの通信簿《つうしんぼ》をみろ。乙《おつ》ばかりじゃあねえか。ちと勉強しろ。なむあみだぶ。なに? 乙ばかりじゃあねえ? 丙《へい》もある? ばかっ、丙や丁《てい》のあるのをじまんするやつがあるか。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。おい、赤ん坊のものをとって食べるな。意地のきたねえやつだ。なむあみだぶ、なむあみだぶ。なんだ? ようかんか? うまそうだな。おれにも半分くれ。なむあみだぶ、なむあみだぶ。泣いてもかまわねえ、半分とれというのにな。なむあみだぶ、なむあみだぶ。おいおい、鉄びんが沸《に》え立っているぞ。ふたを切らなくっちゃあいけねえ。早くしねえと、吹きこぼれるぞ。なむあみだぶ、なむあみだぶ。そーら、吹きこぼれちまった。みろ、灰だらけになって……だからいわねえことじゃあねえ。なむあみだぶ、なむあみだぶ。おいおい、ごはん��焦《こ》げてるとみえてくせえぞ。なむあみだぶ、なむあみだぶ。なに? となりのだ? となりのだって焦がしちゃあいけませんよ。となりへいって、そういってやりな。なむあみだぶ、なむあみだぶ。けさは、味噌汁をこしらえたのか? なむあみだぶ、なむあみだぶ。お汁の実はなんにしたい? なむあみだぶ、なむあみだぶ。まだわからない? なにをしているんだ? 子どもが学校へいくのがおそくなるじゃあねえか。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。なに? お汁の実はいもだ? そんなものは、ちょっくら煮えるもんか。胸が焼けて屁《へ》ばかりでるじゃねえか。なむあみだぶ、なむあみだぶ。おい、おもてへどじょう屋がきた。どじょう汁にしな、どじょうに……なむあみだぶ、なむあみだぶ。早くどじょう屋を呼ばねえかよ。早く呼ばねえと、いっちまうぞ。おいおい、そんなちいせえ声で聞こえるもんか。もっと大きな声だして呼べってんだ。なむあみだぶ、なむあみだぶ。どじょう屋がいっちまうてんだよ。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。どじょう屋! なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ、どじょう屋! なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみや! どじょうや、どじょう……あべこべになっちゃうじゃあねえか。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。どじょう屋きたかい? たくさん買わなくってもいいよ。五合《ごごう》買えばたくさんだ。五合いくらだか聞いてみろ。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。なに? 十五銭? そりゃあ高えや。高えから、もっと値切んな。十三銭に負けろって……負けなきゃあ買わねえといえば負けらあ。なむあみだぶ、なむあみだぶ。それみろ、負けたろう? 惜《お》しいことをした。もう一銭値切りゃあよかった。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。早くいれものをだしてやれ。なむあみだぶ、なむあみだぶ。目方《めかた》ごまかされるといけねえから、そばについてろ、なむあみだぶ……二、三びき負けてもらいな。なむあみだぶ、なむあみだぶ。なにを? 負けなければ、かまわねえから、どじょう屋がよそ見をしてるうちに、ぎゅっとつかまえて、二、三びきつかみこめ……なむあみだぶ、なむあみだぶ、おいおい、ざるなんか持ってったってだめだ。なべを持っていくんだよ。どじょういれたら、すき間からな、ふたをしといて酒をつ��こんでみろい。そうすりゃあ、どじょうがうまくなるんだい。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。どうだ、苦しがってあばれてるだろう? え? 平気で泳いでる? 酒が水っぽいんだよ。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。ふたをおさえて火へかけろ。ぎゅっとおさえてねえと、苦しがってとびだすぞ。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。え? ごとごといってる? 苦しがってるんだ。おもしれえな。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ……しずかになった? ふたをあけてみろ。なに? 腹をだしてみんな死んじまった? ざまあみやがれ」
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厚着紳士
夜明けと共に吹き始めた強い風が乱暴に街の中を掻き回していた。猛烈な嵐到来の予感に包まれた私の心は落ち着く場所を失い、未だ薄暗い部屋の中を一人右往左往していた。 昼どきになると空の面は不気味な黒雲に覆われ、強面の風が不気味な金切り声を上げながら羊雲の群れを四方八方に追い散らしていた。今にも荒れた空が真っ二つに裂けて豪雨が降り注ぎ蒼白い雷の閃光とともに耳をつんざく雷鳴が辺りに轟きそうな気配だったが、一向に空は割れずに雨も雷も落ちて来はしなかった。半ば待ち草臥れて半ば裏切られたような心持ちとなって家を飛び出した私はあり合わせの目的地を決めると道端を歩き始めた。
家の中に居た時分、壁の隙間から止め処なく吹き込んで来る冷たい風にやや肌寒さを身に感じていた私は念には念を押して冬の格好をして居た。私は不意に遭遇する寒さと雷鳴と人間というものが大嫌いな人間だった。しかし家の玄関を出てしばらく歩いてみると暑さを感じた。季節は四月の半ばだから当然である。だが暑さよりもなおのこと強く肌身に染みているのは季節外れの格好をして外を歩いている事への羞恥心だった。家に戻って着替えて来ようかとも考えたが、引き返すには惜しいくらいに遠くまで歩いて来てしまったし、つまらない羞恥心に左右される事も馬鹿馬鹿しく思えた。しかしやはり恥ずかしさはしつこく消えなかった。ダウンジャケットの前ボタンを外して身体の表面を涼風に晒す事も考えたが、そんな事をするのは自らの過ちを強調する様なものでなおのこと恥ずかしさが増すばかりだと考え直した。 みるみると赤い悪魔の虜にされていった私の視線は自然と自分の同族を探し始めていた。この羞恥心を少しでも和らげようと躍起になっていたのだった。併せて薄着の蛮族達に心中で盛大な罵詈雑言を浴びせ掛けることも忘れなかった。風に短いスカートの裾を靡かせている女を見れば「けしからん破廉恥だ」と心中で眉をしかめ、ポロシャツの胸襟を開いてがに股で歩いている男を見れば「軟派な山羊男め」と心中で毒づき、ランニングシャツと短パンで道をひた向きに走る男を見れば「全く君は野蛮人なのか」と心中で断罪した。蛮族達は吐いて捨てる程居るようであり、片時も絶える事無く非情の裁きを司る私の目の前に現れた。しかし一方肝心の同志眷属とは中々出逢う事が叶わなかった。私は軽薄な薄着蛮族達と擦れ違うばかりの状況に段々と言い知れぬ寂寥の感を覚え始めた。今日の空が浮かべている雲の表情と同じように目まぐるしく移り変わって行く街色の片隅にぽつ念と取り残されている季節外れの男の顔に吹き付けられる風は全く容赦がなかった。 すると暫くして遠く前方に黒っぽい影が現れた。最初はそれが何であるか判然としなかったが、姿が近付いて来るにつれて紺のロングコートを着た中年の紳士だという事が判明した。厚着紳士の顔にはその服装とは対照的に冷ややかで侮蔑的な瞳と余情を許さない厳粛な皺が幾重も刻まれていて、風に靡く薄く毛の細い頭髪がなおのこと厳しく薄ら寒い印象に氷の華を添えていた。瞬く間に私の身内を冷ややかな緊張が走り抜けていった。強張った背筋は一直線に伸びていた。私の立場は裁く側から裁かれる側へと速やかに移行していた。しかし同時にそんな私の顔にも彼と同じ冷たい眼差しと威厳ある皺がおそらくは刻まれて居たのに違いない。私の面持ちと服装に疾風の如く視線を走らせた厚着紳士の瞳に刹那ではあるが同類を見つけた時に浮かぶあの親愛の情が浮かんでいた。 かくして二人の孤独な紳士はようやく相まみえたのだった。しかし紳士たる者その感情を面に出すことをしてはいけない。笑顔を見せたり握手をする等は全くの論外だった。寂しく風音が響くだけの沈黙の内に二人は互いのぶれない矜持を盛大に讃え合い、今後ともその厚着ダンディズムが街中に蔓延る悪しき蛮習に負けずに成就する事を祈りつつ、何事も無かったかの様に颯然と擦れ違うと、そのまま振り返りもせずに各々の目指すべき場所へと歩いて行った。 名乗りもせずに風と共に去って行った厚着紳士を私は密かな心中でプルースト君と呼ぶ事にした。プルースト君と出逢い、列風に掻き消されそうだった私の矜持は不思議なくらい息を吹き返した。羞恥心の赤い炎は青く清浄な冷や水によって打ち消されたのだった。先程まで脱ぎたくて仕方のなかった恥ずかしいダウンジャケットは紳士の礼服の風格を帯び、私は風荒れる街の道を威風堂々と闊歩し始めた。 しかし道を一歩一歩進む毎に紳士の誇りやプルースト君の面影は嘘のように薄らいでいった。再び羞恥心が生い茂る雑草の如く私の清らかな魂の庭園を脅かし始めるのに大して時間は必要無かった。気が付かないうちに恥ずかしい事だが私はこの不自然な恰好が何とか自然に見える方法を思案し始めていた。 例えば私が熱帯や南国から日本に遣って来て間もない異国人だという設定はどうだろうか?温かい国から訪れた彼らにとっては日本の春の気候ですら寒く感じるはずだろう。当然彼らは冬の格好をして外を出歩き、彼らを見る人々も「ああ彼らは暑い国の人々だからまだ寒く感じるのだな」と自然に思うに違いない。しかし私の風貌はどう見ても平たい顔の日本人であり、彼らの顔に深々と刻まれて居る野蛮な太陽の燃える面影は何処にも見出す事が出来無かった。それよりも風邪を引いて高熱を出して震え���いる病人を装った方が良いだろう。悪寒に襲われながらも近くはない病院へと歩いて行かねばならぬ、重苦を肩に背負った病の人を演じれば、見る人は冬の格好を嘲笑うどころか同情と憐憫の眼差しで私を見つめる事に違いない。こんな事ならばマスクを持ってくれば良かったが、マスク一つを取りに帰るには果てしなく遠い場所まで歩いて来てしまった。マスクに意識が囚われると、マスクをしている街の人間の多さに気付かされた。しかし彼らは半袖のシャツにマスクをしていたりスカートを履きながらマスクをしている。一体彼らは何の為にマスクをしているのか理解に苦しんだ。 暫くすると、私は重篤な病の暗い影が差した紳士見習いの面持ちをして難渋そうに道を歩いていた。それは紳士である事と羞恥心を軽減する事の折衷策、悪く言うならば私は自分を誤魔化し始めたのだった。しかしその効果は大きいらしく、擦れ違う人々は皆同情と憐憫の眼差しで私の顔を伺っているのが何となく察せられた。しかしかの人々は安易な慰めを拒絶する紳士の矜持をも察したらしく私に声を掛けて来る野暮な人間は誰一人として居なかった。ただ、紐に繋がれて散歩をしている小さな犬がやたらと私に向かって吠えて来たが、所詮は犬や猫、獣の類にこの病の暗い影が差した厚着紳士の美学が理解出来るはずも無かった。私は子犬に吠えられ背中や腋に大量の汗を掻きながらも未だ誇りを失わずに道を歩いていた。 しかし度々通行人達の服装を目にするにつれて、段々と私は自分自身が自分で予想していたよりは少数部族では無いという事に気が付き始めていた。歴然とした厚着紳士は皆無だったが、私のようにダウンを着た厚着紳士見習い程度であったら見つける事もそう難しくはなかった。恥ずかしさが少しずつ消えて無くなると抑え込んでいた暑さが急激に肌を熱し始めた。視線が四方に落ち着かなくなった私は頻りと人の視線を遮る物陰を探し始めた。 泳ぐ視線がようやく道の傍らに置かれた自動販売機を捉えると、駆けるように近付いて行ってその狭い陰に身を隠した。恐る恐る背後を振り返り誰か人が歩いて来ないかを確認すると運悪く背後から腰の曲がった老婆が強風の中難渋そうに手押し車を押して歩いて来るのが見えた。私は老婆の間の悪さに苛立ちを隠せなかったが、幸いな事に老婆の背後には人影が見られなかった。あの老婆さえ遣り過ごしてしまえばここは人々の視線から完全な死角となる事が予測出来たのだった。しかしこのまま微動だにせず自動販売機の陰に長い間身を隠しているのは怪し過ぎるという思いに駆られて、渋々と歩み出て自動販売機の目の前に仁王立ちになると私は腕を組んで眉間に深い皺を作った。買うべきジュースを真剣に吟味選抜している紳士の厳粛な態度を装ったのだった。 しかし風はなお強く老婆の手押し車は遅々として進まなかった。自動販売機と私の間の空間はそこだけ時間が止まっているかのようだった。私は緊張に強いられる沈黙の重さに耐えきれず、渋々ポケットから財布を取り出し、小銭を掴んで自動販売機の硬貨投入口に滑り込ませた。買いたくもない飲み物を選ばさられている不条理や屈辱感に最初は腹立たしかった私もケース内に陳列された色取り取りのジュース缶を目の前にしているうちに段々と本当にジュースを飲みたくなって来てその行き場の無い怒りは早くボタンを押してジュースを手に入れたいというもどかしさへと移り変わっていった。しかし強風に負けじとか細い腕二つで精一杯手押し車を押して何とか歩いている老婆を責める事は器量甚大懐深き紳士が為す所業では無い。そもそも恨むべきはこの強烈な風を吹かせている天だと考えた私は空を見上げると恨めしい視線を天に投げ掛けた。 ようやく老婆の足音とともに手押し車が地面を擦る音が背中に迫った時、私は満を持して自動販売機のボタンを押した。ジュースの落下する音と共に私はペットボトルに入ったメロンソーダを手に入れた。ダウンの中で汗を掻き火照った身体にメロンソーダの冷たさが手の平を通して心地よく伝わった。暫くの間余韻に浸っていると老婆の手押し車が私の横に現れ、みるみると通り過ぎて行った。遂に機は熟したのだった。私は再び自動販売機の物陰に身を隠すと念のため背後を振り返り人の姿が見えない事を確認した。誰も居ないことが解ると急ぐ指先でダウンジャケットのボタンを一つまた一つと外していった。最後に上から下へとファスナーが降ろされると、うっとりとする様な涼しい風が開けた中のシャツを通して素肌へと心地良く伝わって来た。涼しさと開放感に浸りながら手にしたメロンソーダを飲んで喉の渇きを潤した私は何事も無かったかのように再び道を歩き始めた。 坂口安吾はかの著名な堕落論の中で昨日の英雄も今日では闇屋になり貞淑な未亡人も娼婦になるというような意味の事を言っていたが、先程まで厚着紳士見習いだった私は破廉恥な軟派山羊男に成り下がってしまった。こんな格好をプルースト君が見たらさぞかし軽蔑の眼差しで私を見詰める事に違いない。たどり着いた駅のホームの長椅子に腰をかけて、何だか自身がどうしようもなく汚れてしまったような心持ちになった私は暗く深く沈み込んでいた。膝の上に置かれた飲みかけのメロンソーダも言い知れぬ哀愁を帯びているようだった。胸を内を駆け巡り始めた耐えられぬ想いの脱出口を求めるように視線を駅の窓硝子越しに垣間見える空に送ると遠方に高く聳え立つ白い煙突塔が見えた。煙突の先端から濛々と吐き出される排煙が恐ろしい程の速さで荒れた空の彼岸へと流されている。 耐えられぬ思いが胸の内を駆け駅の窓硝子越しに見える空に視線を遣ると遠方に聳える白い煙突塔から濛々と吐き出されている排煙が恐ろしい速度で空の彼岸へと流されている様子が見えた。目には見えない風に流されて行く灰色に汚れた煙に対して、黒い雲に覆われた空の中に浮かぶ白い煙突塔は普段青い空の中で見ている雄姿よりもなおのこと白く純潔に光り輝いて見えた。何とも言えぬ気持の昂ぶりを覚えた私は思わずメロンソーダを傍らに除けた。ダウンジャケットの前ボタンに右手を掛けた。しかしすぐにまた思い直すと右手の位置を元の場所に戻した。そうして幾度となく決意と逡巡の間を行き来している間に段々と駅のホーム内には人間が溢れ始めた。強風の影響なのか電車は暫く駅に来ないようだった。 すると駅の階段を昇って来る黒い影があった。その物々しく重厚な風貌は軽薄に薄着を纏った人間の群れの中でひと際異彩を放っている。プルースト君だった。依然として彼は分厚いロングコートに厳しく身を包み込み、冷ややかな面持ちで堂々と駅のホームを歩いていたが、薄い頭髪と額には薄っすらと汗が浮かび、幅広い額を包むその辛苦の結晶は天井の蛍光灯に照らされて燦燦と四方八方に輝きを放っていた。私にはそれが不撓不屈の王者だけが戴く栄光の冠に見えた。未だ変わらずプルースト君は厚着紳士で在り続けていた。 私は彼の胸中に宿る鋼鉄の信念に感激を覚えると共に、それとは対照的に驚く程簡単に退転してしまった自分自身の脆弱な信念を恥じた。俯いて視線をホームの床に敷き詰められた正方形タイルの繋ぎ目の暗い溝へと落とした。この惨めな敗残の姿が彼の冷たい視線に晒される事を恐れ心臓から足の指の先までが慄き震えていた。しかしそんな事は露とも知らぬプルースト君はゆっくりとこちらへ歩いて来る。迫り来る脅威に戦慄した私は慌ててダウンのファスナーを下から上へと引き上げた。紳士の体裁を整えようと手先を闇雲に動かした。途中ダウンの布地が間に挟まって中々ファスナーが上がらない問題が浮上したものの、結局は何とかファスナーを上まで閉め切った。続けてボタンを嵌め終えると辛うじて私は張りぼてだがあの厚着紳士見習いの姿へと復活する事に成功した。 膝の上に置いてあった哀愁のメロンソーダも何となく恥ずかしく邪魔に思えて、隠してしまおうとダウンのポケットの中へとペットボトルを仕舞い込んでいた時、華麗颯爽とロングコートの紺色の裾端が視界の真横に映り込んだ。思わず私は顔を見上げた。顔を上方に上げ過ぎた私は天井の蛍光灯の光を直接見てしまった。眩んだ目を閉じて直ぐにまた開くとプルースト君が真横に厳然と仁王立ちしていた。汗ばんだ蒼白い顔は白い光に包まれてなおのこと白く、紺のコートに包まれた首から上は先程窓から垣間見えた純潔の白い塔そのものだった。神々しくさえあるその立ち姿に畏敬の念を覚え始めた私の横で微塵も表情を崩さないプルースト君は優雅な動作で座席に腰を降ろすとロダンの考える人の様に拳を作った左手に顎を乗せて対岸のホームに、いやおそらくはその先の彼方にある白い塔にじっと厳しい視線を注ぎ始めた。私は期待を裏切らない彼の態度及び所作に感服感激していたが、一方でいつ自分の棄教退転が彼に見破られるかと気が気ではなくダウンジャケットの中は冷や汗で夥しく濡れ湿っていた。 プルースト君が真実の威厳に輝けば輝く程に、その冷たい眼差しの一撃が私を跡形もなく打ち砕くであろう事は否応無しに予想出来る事だった。一刻も早く電車が来て欲しかったが、依然として電車は暫くこの駅にはやって来そうになかった。緊張と沈黙を強いられる時間が二人の座る長椅子周辺を包み込み、その異様な空気を察してか今ではホーム中に人が溢れ返っているのにも関わらず私とプルースト君の周りには誰一人近寄っては来なかった。群衆の騒めきでホーム内は煩いはずなのに不思議と彼らの出す雑音は聞こえなかった。蟻のように蠢く彼らの姿も全く目に入らず、沈黙の静寂の中で私はただプルースト君の一挙手に全神経を注いでいた。 すると不意にプルースト君が私の座る右斜め前に視線を落とした。突然の動きに驚いて気が動転しつつも私も追ってその視線の先に目を遣った。プルースト君は私のダウンジャケットのポケットからはみ出しているメロンソーダの頭部を見ていた。私は愕然たる思いに駆られた。しかし今やどうする事も出来ない。怜悧な思考力と電光石火の直観力を併せ持つ彼ならばすぐにそれが棄教退転の証拠だという事に気が付くだろう。私は半ば観念して恐る恐るプルースト君の横顔を伺った。悪い予感は良く当たると云う。案の定プルースト君の蒼白い顔の口元には哀れみにも似た冷笑が至極鮮明に浮かんでいた。 私はというとそれからもう身を固く縮めて頑なに瞼を閉じる事しか出来なかった。遂に私が厚着紳士道から転がり落ちて軟派な薄着蛮族の一員と成り下がった事を見破られてしまった。卑怯千万な棄教退転者という消す事の出来ない烙印を隣に座る厳然たる厚着紳士に押されてしまった。 白い煙突塔から吐き出された排煙は永久に恥辱の空を漂い続けるのだ。あの笑みはかつて一心同体であった純白の塔から汚れてしまった灰色の煙へと送られた悲しみを押し隠した訣別の笑みだったのだろう。私は彼の隣でこのまま電車が来るのを待ち続ける事が耐えられなくなって来た。私にはプルースト君と同じ電車に乗る資格はもう既に失われているのだった。今すぐにでも立ち上がってそのまま逃げるように駅を出て、家に帰ってポップコーンでも焼け食いしよう、そうして全てを忘却の風に流してしまおう。そう思っていた矢先、隣のプルースト君が何やら慌ただしく動いている気配が伝わってきた。私は薄目を開いた。プルースト君はロングコートのポケットの中から何かを取り出そうとしていた。メロンソーダだった。驚きを隠せない私を尻目にプルースト君は渇き飢えた飼い豚のようにその薄緑色の炭酸ジュースを勢い良く飲み始めた。みるみるとペットボトルの中のメロンソーダが半分以上が無くなった。するとプルースト君は下品極まりないげっぷを数回したかと思うと「暑い、いや暑いなあ」と一人小さく呟いてコートのボタンをそそくさと外し始めた。瞬く間にコートの前門は解放された。中から汚い染みの沢山付着した白いシャツとその白布に包まれただらしのない太鼓腹が堂々と姿を現した。 私は暫くの間呆気に取られていた。しかしすぐに憤然と立ち上がった。長椅子に座ってメロンソーダを飲むかつてプルースト君と言われた��物を背にしてホームの反対方向へ歩き始めた。出来る限りあの醜悪な棄教退転者から遠く離れたかった。暫く歩いていると、擦れ違う人々の怪訝そうな視線を感じた。自分の顔に哀れな裏切り者に対する軽侮の冷笑が浮かんでいる事に私は気が付いた。 ホームの端に辿り着くと私は視線をホームの対岸にその先の彼方にある白い塔へと注いた。黒雲に覆われた白い塔の陰には在りし日のプルースト君の面影がぼんやりとちらついた。しかしすぐにまた消えて無くなった。暫くすると白い塔さえも風に流れて来た黒雲に掻き消されてしまった。四角い窓枠からは何も見え無くなり、軽薄な人間達の姿と騒めきが壁に包まれたホーム中に充満していった。 言い知れぬ虚無と寂寥が肌身に沁みて私は静かに両の瞳を閉じた。周囲の雑音と共に色々な想念が目まぐるしく心中を通り過ぎて行った。プルースト君の事、厚着紳士で在り続けるという事、メロンソーダ、白い塔…、プルースト君の事。凡そ全てが雲や煙となって無辺の彼方へと押し流されて行った。真夜中と見紛う暗黒に私の全視界は覆われた。 間もなくすると闇の天頂に薄っすらと白い点が浮かんだ。最初は小さく朧げに白く映るだけだった点は徐々に膨張し始めた。同時に目も眩む程に光り輝き始めた。終いには白銀の光を溢れんばかりに湛えた満月並みの大円となった。実際に光は丸い稜線から溢れ始めて、激しい滝のように闇の下へと流れ落ち始めた。天頂から底辺へと一直線に落下する直瀑の白銀滝は段々と野太くなった。反対に大円は徐々に縮小していって再び小さな点へと戻っていった。更にはその点すらも闇に消えて、視界から見え無くなった直後、不意に全ての動きが止まった。 流れ落ちていた白銀滝の軌跡はそのままの光と形に凝固して、寂滅の真空に荘厳な光の巨塔が顕現した。その美々しく神々しい立ち姿に私は息をする事さえも忘れて見入った。最初は塔全体が一つの光源体の様に見えたが、よく目を凝らすと恐ろしく小さい光の結晶が高速で点滅していて、そうした極小微細の光片が寄り集まって一本の巨塔を形成しているのだという事が解った。その光の源が何なのかは判別出来なかったが、それよりも光に隙間無く埋められている塔の外壁の内で唯一不自然に切り取られている黒い正方形の個所がある事が気になった。塔の頂付近にその不可解な切り取り口はあった。怪しみながら私はその内側にじっと視線を集中させた。 徐々に瞳が慣れて来ると暗闇の中に茫漠とした人影の様なものが見え始めた。どうやら黒い正方形は窓枠である事が解った。しかしそれ以上は如何程目を凝らしても人影の相貌は明確にならなかった。ただ私の方を見ているらしい彼が恐ろしい程までに厚着している事だけは解った。あれは幻の厚着紳士なのか。思わず私は手を振ろうとした。しかし紳士という言葉の響きが振りかけた手を虚しく元の位置へと返した。 すると間も無く塔の根本周辺が波を打って揺らぎ始めた。下方からから少しずつ光の塔は崩れて霧散しだした。朦朧と四方へ流れ出した光群は丸く可愛い尻を光らせて夜の河を渡っていく銀蛍のように闇の彼方此方へと思い思いに飛んで行った。瞬く間に百千幾万の光片が暗闇一面を覆い尽くした。 冬の夜空に散りばめられた銀星のように暗闇の満天に煌く光の屑は各々少しずつその輝きと大きさを拡大させていった。間もなく見つめて居られ無い程に白く眩しくなった。耐えられ無くなった私は思わず目を見開いた。するとまた今度は天井の白い蛍光灯の眩しさが瞳を焼いた。いつの間にか自分の顔が斜め上を向いていた事に気が付いた。顔を元の位置に戻すと、焼き付いた白光が徐々に色褪せていった。依然として変わらぬホームの光景と。周囲の雑多なざわめきが目と耳に戻ると、依然として黒雲に覆い隠されている窓枠が目に付いた。すぐにまた私は目を閉じた。暗闇の中をを凝視してつい先程まで輝いていた光の面影を探してみたが、瞼の裏���はただ沈黙が広がるばかりだった。 しかし光り輝く巨塔の幻影は孤高の紳士たる決意を新たに芽生えさせた。私の心中は言い知れない高揚に包まれ始めた。是が非でも守らなければならない厚着矜持信念の実像をこの両の瞳で見た気がした。すると周囲の雑音も不思議と耳に心地よく聞こえ始めた。 『この者達があの神聖な光を見る事は決して無い事だろう。あの光は選ばれた孤高の厚着紳士だけが垣間見る事の出来る祝福の光なのだ。光の巨塔の窓に微かに垣間見えたあの人影はおそらく未来の自分だったのだろう。完全に厚着紳士と化した私が現在の中途半端な私に道を反れることの無いように暗示訓戒していたに違いない。しかしもはや誰に言われなくても私が道を踏み外す事は無い。私の上着のボタンが開かれる事はもう決して無い。あの白い光は私の脳裏に深く焼き付いた』 高揚感は体中の血を上気させて段々と私は喉の渇きを感じ始めた。するとポケットから頭を出したメロンソーダが目に付いた。再び私の心は激しく揺れ動き始めた。 一度は目を逸らし二度目も逸らした。三度目になると私はメロンソーダを凝視していた。しかし迷いを振り払うかの様に視線を逸らすとまたすぐに前を向いた。四度目、私はメロンソーダを手に持っていた。三分の二以上減っていて非常に軽い。しかしまだ三分の一弱は残っている。ペットボトルの底の方で妖しく光る液体の薄緑色は喉の渇き切った私の瞳に避け難く魅惑的に映った。 まあ、喉を潤すぐらいは良いだろう、ダウンの前を開かない限りは。私はそう自分に言い聞かせるとペットボトルの口を開けた。間を置かないで一息にメロンソーダを飲み干した。 飲みかけのメロンソーダは炭酸が抜けきってしつこい程に甘く、更には生ぬるかった。それは紛れも無く堕落の味だった。腐った果実の味だった。私は何とも言えない苦い気持ちと後悔、更には自己嫌悪の念を覚えて早くこの嫌な味を忘れようと盛んに努めた。しかし舌の粘膜に絡み付いた甘さはなかなか消える事が無かった。私はどうしようも無く苛立った。すると突然隣に黒く長い影が映った。プルースト君だった。不意の再再会に思考が停止した私は手に持った空のメロンソーダを隠す事も出来ず、ただ茫然と突っ立っていたが、すぐに自分が手に握るそれがとても恥ずかしい物のように思えて来てメロンソーダを慌ててポケットの中に隠した。しかしプルースト君は私の隠蔽工作を見逃しては居ないようだった。すぐに自分のポケットから飲みかけのメロンソーダを取り出すとプルースト君は旨そうに大きな音を立ててソーダを飲み干した。乾いたゲップの音の響きが消える間もなく、透明になったペットボトルの蓋を華麗優雅な手捌きで閉めるとプルースト君はゆっくりとこちらに視線を向けた。その瞳に浮かんでいたのは紛れもなく同類を見つけた時に浮かぶあの親愛の情だった。 間もなくしてようやく電車が駅にやって来た。プルースト君と私は仲良く同じ車両に乗った。駅に溢れていた乗客達が逃げ場無く鮨詰めにされて居る狭い車内は冷房もまだ付いておらず蒸し暑かった。夥しい汗で額や脇を濡らしたプルースト君の隣で私はゆっくりとダウンのボタンに手を掛けた。視界の端に白い塔の残映が素早く流れ去っていった。
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エドワード王 三巻
昔日の王の一代記、三巻
教訓
黄金の日々は足早に過ぎました。エドワードはほとんどの時間をもっぱら両親の仲間と過ごしていました。彼はほかに数人の子供に会いました。誰も彼らの木には住んでおらず、ウッドエルフの主人と、奇妙な組み合わせでも愉快なモラーリンの6人の仲間だけでした。不遜だ、とエドワードは思いました。ダガーフォールでは、彼らがモラーリンとアリエラを絶えずからかっているように、彼の父に話しかける王宮の者も召使いもいません。でも、彼らは召使いでも王宮の人間でもないのです。ただの…仲間です。一人だけがダークエルフでした。カジートの女性と、ウッドエルフの二人は兄妹で、モラーリンよりも大きなノルドの男性、奇妙な見た目のトカゲのような男性は、彼のシュッと言うようなアクセントのせいで、エドワードは彼が何を言っているのかちっともわかりませんでした。ノルドの男は「モラーリンの奴隷」、あるいは単に「奴隷」と短く呼ばれていましたが、モラーリンはいつも彼を「私の奴隷」という意味の「マッツ」と読んでいました。マッツはみんなの武器を手入れし、夜に燃やす火の薪を集めていました。でも、他の人たちが木を運ぶのは珍しいことではありませんでした。モラーリンは必要があるか、そうしたいと思った時にはよくマッツの斧を借りて木を集め、薪を割っていました。
彼らは大抵の時間を、三々五々森の中や平原をうろうろして狩りをしたり、食べ物を集めることに費やしました。普段、モラーリンとアリエラとエドワード、シェイドは一緒にいました。彼らは狩りのために弓を持って行きました。エドワードがモラーリンに射撃を教えてほしいと頼んだ時、彼は同じように上手に撃てる母に頼むように言われました。そして、端正なアヒルを撃ち落としたのは母の矢だったのです。二本の矢が当たり、彼らはアヒルの方に走り寄りながら、どちらの矢がアヒルを殺したのかを言い争っていましたが。
「まったく!」モラーリンはおしりに刺さった黒い矢羽根のついた矢を引き抜きながら強い口調で言いました。「君と結婚する前、私がどうやって食べ物を調達していたんだかわからないよ」
「お仲間がいたじゃないの」
「ああ、ウィローとビーチに出会う前は、マッツとミスと私はみんな餓えていたよ。」モラーリンは歯で彼の黒いダガーを抜くと、動物の体の皮を剥ぎ始め、そばに来て見るようにとエドワードを呼びました。「動物のことを学びたいんだろう?」
「生きてるやつだよ」エドワードは味気なさそうに言いました。彼の上品な母は、熱心に皮を剥ぎ取っていました。
「食うとは人をこうもタフにするものだね」ダークエルフが言いました。「マントを貸してごらん。運びやすくまとめてあげよう」
「僕は王子だ、荷運び馬じゃない!」
「今晩腹ぺこになりたくなければ、自分の食い扶持は自分で運ぶんだ」エルフは彼の得意なユーモアを失っていました。
「やらないよ。僕は食べない。僕に強制なんかできないよ」
モラーリンは背筋を伸ばし、その言葉について考えているようでした。「私が強制させられないって?」彼は挑発するように言いました。
「エドワード、お願いよ―」アリエラが彼に助け舟を出します。
「教えてくれないか、王子さま。では、自分が食べる肉を自分が運ばないなら、どうやってそれを食卓に乗せるのかね。王子が肉を運ばないなら、確かに王と女王も肉を運ばないだろうね…王子が王になるのは、能無しから脱却した時ではないのかね?」
「召使いがいるよ!」
「蟻に給仕させるか?それは名案だ。人間にしか考えつかない妙案だよ!蟻は運搬が得意だからな、メモしておこう。そうは言っても、私は彼らに言うことを聞かせる技を知らない。おそらくお前は教えられるんだろうがね」
「召使いだよ!ここにいるマッツみたいな!」エドワードは叫びました。彼はからかわれるのが大嫌いでした。マッツと他の仲間たちもやってきて、彼らが獲物の上でどなり合うのを聞いていました。
「マッツ?お前は私に鹿の肉を運ばせることもできないと思っているのに、マッツにはそうするように命令できると思うのか?」モラーリンはブロンドの巨人を見上げました。「さて、百聞は一見に如かずだ。マッツ、鹿を運べ」
ブロンドの男は頭を掻き、思慮深げに顎を引き締めました。「閣下、これ以上の名誉はありません…が、大きな鹿ですし、背中の古傷が痛んで…もう少し小さいのを仕留めていてくだされば、できたと思うんですが」
「さて、王子、何か言うことは?」
「あなたが彼を懲らしめるんでしょ」
「何のかどで?かけっこでは勝てるよ。マッツ、私があの樫の木に先に着いたら、鹿を運ぶんだぞ」マッツはゆっくりと首を横に振りました。
「あなたとのお約束はヒーラーとしての約束でした、旦那様。それ以上の訓練を積むまでは、あなたの相談事に干渉することを控えても、許して下さるでしょう。棒で打ち据えてもマッツの背中の傷は良くならないと判断します。もちろん、間違ってるかもしれませんが」
「シルク、お前が鹿を運ぶんだ」
「私がですか?旦那様。すみません、ちょうど思い出したんですが、私は天国の女王ディベラの5番目の家の4番目のいとこなんです。私の立場では、何かを運ぶことを禁じられています」
ウィローとビーチは、ジョーンの月が上がっている間は、いかなる動物の部位も運んではならないとメイジから禁じられていると主張しました。
「王子、このルールが本当にわかるかね?これが人生をとても不便にしているように見える。我々は鹿を焼くために木を運ぶことができる。何時間もかかるし、ここで野宿することになるがね。部分によっては生肉を食べることもできるが、その選択肢を魅力的に感じるほど、私の胃袋はまだ空っぽじゃない。アリエラ、聞いてもいいかな?ハイロックの人たちは、どうやって肉を食卓に乗せるんだね?」
「旦那さま、私がそこにおりました時に確信を持っておりますけれど、魔法を使っていたようですわ。召使いがいましたが、彼らはとてもイライラさせるし、怠惰で、役に立つ以上に手を焼かされました。エドワード、私の坊や、この決まりが当てはまるのはハイロックだけかしら?」
「そうだと思う…」
エドワードは、自分の分の肉を背中に乗せて運びましたが、彼は不平を言いませんでした。そうしてこの件は丸く収まり、その夜の食事はとても楽しいものになりました。でもその数日後には、もし仲間たちが彼が何か運んでいるのを見かけたら、彼らは心配そうにハイロックの王子はそんなことまでするのかと尋ねることでしょうね。
「マッツが召使いじゃないなら、どうしてみんな彼のことを『モラーリンの奴隷』って呼ぶの?」エドワードは眠たくなるようなある日の午後に訊きました。
「まあ、彼は私の奴隷だ。私は彼にお金を払った。ミスと私が持っていた有り金全部をね。リーチ・パース砦の近くで、男が彼を打ち据えているところに行き合った。彼は死にかけているように見えた。ミスと私がやめさせようとすると、そ��男がマッツは逃げ出した奴隷で、彼はマッツに何をしてもいいのだと言った。それで、私は自分の金を投げ出して、これを持って立ち去れ、さもないと私が手に負えないような殺し方をしてやると言ってやった。彼は後者を選んだ。だから、私はマッツに主人の遺産としてその金を持って、好きなところに行けと言ったんだ。彼は我々に同行することを選んだ。だから、我々は彼の主人と金を埋葬して、それ以来マッツは我々と一緒にいる」
「マッツがそうしたいと思えば出ていける?」
「もちろんだ」
「あそこのベリーをちょっと摘んで来てもいい?」エドワードが尋ねると、モラーリンは頷きました。
アリエラは身体を丸めて横向きに眠っていました。モラーリンは木にもたれながら彼女の隣に座り、彼女の長い黒い巻き毛を片手でもてあそんでいます。彼の眼と肌は明るい日差しに弱いのです。シェイドは近くの太陽の下で身体を伸ばして眠り、彼の黒い毛皮が日光で銀色に輝いていました。エドワードは茂みの中をさまよって、明るい色のグローベリーを摘みました。今はどちらかと言えば鈍い灰色をしていますが、夜になると光るので、そう呼ばれているのです。もしたくさん食べたら、自分も夜光るのかしら、と彼は考えました。または、それを潰して果汁を集めたら…茂みが彼を捕らえました。やがて彼はその中を通るトンネルのようなものを見つけ、それに沿って早足で歩いて行きました。どこに出るのかと不思議に思いながら。
そのトンネルは、積み石の手前の小さな空き地で終わっていました。そこには穴が開いていて、中に何かがいました。エドワードは少し下がって、喉の中で小さな音を立てました。何かが身体を持ち上げて、歯をむき出して唸る牙のある顔を出し、地面に蹄のある足を乗せました。少年はゆっくりと後ろに下がりました。獣は頭を下げ、肩を怒らせて、突進に備えてその巨大な体を縮こまらせました。エドワードは茂みに身体を投げ出そうとしました…でもその場所はありませんでした…するとその時、信じられないことにモラーリンが彼の前に、獣と彼の間に立っていたのです。閃光が光り、衝突音がして、エルフは後ろに何フィートか跳び上がったようで、エドワードの目と鼻の先にしゃがんで着地しました。彼の剣が自分の意思のように飛び出すと、空気が笛のような音を鳴らしました。彼の周囲で空気が弾け、焦げたようなにおいがしました。そして、沈黙が訪れました。
「ここから逃げるんだ、坊や!早く!」
エドワードは、茂みに向かって走り寄り、彼を呼ぶ母の名を呼びながら逃げ出しました。彼女は彼を抱き寄せ、代わりにモラーリンを呼び始めました。答えはありません。すると、どうしたものか、エルフは無傷で、刀を鞘に納めてそこにいました。でも、彼の息は乱れていました。
「殺したの?けがは?」
「どちらもノーだ。シールドで防いだんだ。辛うじてな。お前は雌豚の巣に入り込んで出産の邪魔をしたんだ。運よく最初の一撃で充分だったようだが。敢えて言うなら、彼女はそのあとでも立ちっぱなしの敵を探すのに不慣れだった」
「どうして殺さなかったの?」激しい恐怖のあとで血に飢えたような気持を感じながら、エドワードは強い口調で訊きました。「母豚に対峙する時は、刀や、黒檀の剣すら選ばないだろう。多分、槍だ。長ければ長いほどいい。しかも、彼女を見逃しておけば、来年の今頃にはここに6匹の豚がいるだろう、運が良ければね」
「魔法の盾を作ったんだね」エドワードが目を見開いて言った。
「そうとも、シールドで防いだんだ。タフな老いぼれのダークエルフにいくつかかすり傷をつけて行ったよ」
「エドワード、命の恩人に感謝なさい」母が促しました。
「ありがとう」質問がいっぱいで心が忙しく、エドワードは自動的に言いました。どうやってこのエルフは彼の危機を知ったのでしょう?どうしてこんなに素早く移動できたのでしょう?
「わが子の命を救ったことに感謝する必要などない。ありがとう、シェイド」モラーリンが言いました。「その猫が、何かが起きていると教えてくれた」
エドワードは膝をつき、満足げに喉を鳴らす猫を抱きしめました。「大好きなシェイド。いつでも頼りにしてるよ」
「息子よ」 「私たちの息子」 少なくとも言い訳としては、その言葉は誇らしげに響きました。エドワードは少しの間混乱しました。これには説明が必要ですね。モラーリンが単にまだ彼のことをよく知らず、よく知らない相手に疑念を持つことに利益があると考える傾向があるのは気に入っていました。いずれは…でもその間は、それを楽しんでいたのかもしれません。それは…いいことでした。自分を誇りに思う父がいて、一緒にいることが好きで、色々なところに連れて行ってくれて、話しかけてくれ、耳を傾けてくれる。そして最も特筆すべきことは、そうしたい時は一人にさせてくれる。モラーリンは単に、バラードを作曲する時は、本当に一人でいることが好きなだけでした。
エドワードはビーチとウィローに母豚のことを話しました。「彼がそう言ったから逃げたんだ。わかる?そうしろって言ったから。他に助かる方法は思いつかなかった。だけど…」ビーチとウィローは注意深く聞き、ちらりと視線を交わして、彼らはそのことについて考えてみるだろうと言いました。
夕食後に火を囲んでいると、ウィローが小さなハープを取り出して秋の午後とベリーの喜びの歌を歌いました…モラーリンが少年をベリー摘みに行かせたことは除いて。彼らはその部分を勘違いしていました。モラーリンは鋭く座り直すと辺りを見回しましたが、他の者たちはその場からそっと暗闇に姿を消し、ウィローは彼を見ていませんでした。ミスはベリーを摘み、音を立てて食べるような身振りをしながら、小刻みな足取りで炎の明かりの中をぶらぶら歩いていました。モラーリンは頭を下げて唸りました。ミスは何かを見つけたようなパントマイムをして、嬉しそうにスキップしました。マッツの頭と肩が炎の光に閃きました。ミスが手を伸ばして彼を軽く叩き、マッツが牙で彼を切り裂こうとすると、金切り声を上げて後ろに飛びすさりました。巨大な牙と豚の鼻が彼の顔を飾っていました。ミスは大げさに怖がりながら両手で顔を覆いました。シルクは黒づくめで、火花のシャワーを散らしながら跳び上がって、ミスとマッツの間に降り立ちました。ジャーキンを後ろ前に着て、ズボンは膝の辺りまでずり下がっていて、靴を履いていませんでした。手を剣にかけましたが、マッツが突進してそれを宙に飛ばし、くるくる回って視界から消えました。マッツは四つ這いになって飛び掛かりましたが、ミスを取り逃がしました。でも、ズボンは破りました。ミスはマッツを追いかけて火の周りを回りました。シルクは片手に剣を持って、もう片方の手でズボンを引っ張りながらマッツを追いかけ、彼を剣で打ち据えました。
もう一人の人影が現れました。アリエラの青いガウンに身を包んだビーチの頭が、黒い長髪のカツラを乗せて突き出しています。ミスは彼女のスカートの後ろに隠れました。彼女がマッツを睨み付けると、彼は凍り付きました。シルクは彼の背中によじ登りました。ビーチは彼女の髪を後ろに払い、安心させるようにミスの頭をぽんぽんと叩きました。濡れた指で眉を撫でつけると、のんびりと弓を取り出し、狙いをつけて弦をはじきました。
マッツは飛び下がり、シルクの上に倒れ込んで、ガラガラと非常に真に迫った大きな音を立てました。ビーチとミスは、マッツの下でのびているシルクを無視して抱き合いました。モラーリンは、シルクが最初に飛び上がると笑いました。アリエラはビーチが現れるのを待っていました。彼女の頬に涙が流れています。モラーリンは身体を二つに折って大笑いしながら、木に拳をぶつけました。澄んだ笑い声の波紋と忍び笑いが広がり、金貨のシャワーが輪の中に落ちました。仲間たちは集まって、人間がするようにお辞儀をしました。
「もう一回、もう一回やって!」
「やめてくれよ!」モラーリンはまだ笑いながら喘ぎました。「母豚よりもお前たちはよっぽど私を殺しかけたよ!どうかお慈悲を!」
「また今度ね、素敵な皆さん…私たちの王には長い1日でしたもの。みんな、本当にありがとう」
街中が見ていたのでしょうか?エドワードは後ろを見つめましたが、すべてが暗闇に溶けて行きました。「本当のことじゃないんだ」彼は叫びました。「あなたは英雄だ。みんなあなたをからかったんだ」
「そう、そうだよ。そうだとも。特に最後がね。イェフレのお恵みだ、楽しかった!」
「みんなが見てたよ!みんなにもう一回やってもらうの?」エドワードは呆れかえりました。すべてが馬鹿馬鹿しく見えたのです。
「みんなにやってもらう?間違いなく何世紀もタムリエル中で何度も上演されるよ。でも、こんなにうまくやることはないな」
「でも全然あんなじゃなかったよ」
「もしマッツが―つまり、母豚がもう一度突進してきたらそうなっていたよ。アリエラの弓は私の貧弱な剣よりずっと効果的だっただろう。それに、彼女はモラーリンをカジートみたいに跳び上がらせたんだからね!」彼は指で眉を撫でつけるアリエラの特徴的な素振りをまねして、また長い間笑いました。「ああ、矢を見つけられなければ、彼女は獣を目だけで殺していただろうよ。マッツ、お前は彼女以上に母豚に似てるよ。大きいしな。誓ってもいい!ミス、この年を取ったごろつきめ、無邪気に見せられるのはお前だけだな」
「でも―ほんとじゃないんだ!」エドワードは抗議しました。
「坊や、真実は一つしかないと思っているのかね?今日、お前が見たことが真実かい?真実のすべてを見たのかな?何が起きたのかを。今夜お前が見たものは、見えていない真実の数々を照らし出したのだ。もしお前がそうしたければ…一生をかけてこのことを考えてみても、すべてを見ることはできない。それはずっと遠く、深いところに行って、私たちすべてを超えて、永遠の深い静寂へと、池の中の波紋のように広がっていくからね。何が起きたかは、真実の中のちっぽけな一部に過ぎない…一番小さな部分かもしれない。そして、お前が見たものは、やっぱり小さいんだ」
それでもエドワードは、王というものは、本当にもっと威厳を持つべきだと考えました。でも、口には出しませんでした。
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第37話 『白き山脈にて (1) - “屍術団"』 In the white mountains chapter 1 - “Necromancers”
冬、雪深い季節に、エレドスティ山地に足を踏み入れる者は少ない。
麓に住む数人の狩人が、備蓄が尽きてやむを得ず食料を求めて入山するばかりである。
仮に入山しようとする者がいたとしても、無関係の者の多くは、そうした者達を自殺志願者として扱う。
そのため、道案内など頼まれようものなら、道連れを恐れ、誰も首を縦に振る事はない。
しかし、今回だけは、事情が違った。
多くの無知蒙昧な麓の村民達にとって、屍術師の集団などなおさら忌避すべき余所者だ。
私自身でさえ、置かれた状況の変化がなければ、そうした連中と同じように門戸を閉ざし、その冒涜者達と直接まみえることさえもなかっただろう。
しかし今、私は彼らと旅程を共にし、馬車に揺られながら、エレドスティの中腹へと向かっている。
村から半日ほどかけて、馬車は間もなく野営予定地に到着する。
幌の端を軽く捲って外を覗き込むと、麓の村が放つ灯光が白い斜面の先にぼんやりと小さく視界に映る。
あれは、滅びゆくものが放つ、最後の光だ。
私はその村の姿を遠目に見るごとに、死にゆくものを看取るような気持ちを抱いていた。
私が、妻や、老いた両親や、幼い我が子を看取ったときと同じように。
この冬の寒波は一層強く、そして何より、山が牙を剥いたのだ。
それは、自然の力強さだとか、野生動物の活動だとか、そういったものとは性質の異なる、この世のものとは思えない悍ましいものだった。
被害者の多くは、暗く虹色に発光するタール状の痕跡だけを残し、腕一本さえも帰ってくる事はなかった。
被害者こそ数人に留まったが、村の狩人達は完全に萎縮してしまった。
被害者達の末路を知る者はいないのだ。
誰だって、得体のしれない怪物に連れ去られ、どんな悲劇が待ち受けているのかわからない魔境に足を踏み入れるくらいなら、餓死した方がマシと考える。
私自身も、気持ちは同じだった。
狩人のワットと言えば、村で知らぬ者もいないほどの狩りの名手と謳われたものだ。
それが今では、屍術師達の手先に成り下がった、とでも言うのか。
それでも、良いじゃないか。
どうでも良かったのだ。
家族は皆、餓えて死んだ。
あとは私も後を追って、皆の待つ場所へ逝くだけだったのだ。
そこに、彼らがやってきた。
他の村民には門前払いされたそうだが、私はそうはしなかった。
相手が誰であろうと、誰が家に来ようとも、もう、どうでも良かったのだから。
この連中が帰ったら、その後自死しようか、とまで思っていたのだ。
しかし、悪魔は囁き、私は応えた。
エレドスティ山地の案内料は、今どき珍しい、金貨で支払われた。
これだけの金貨があれば、都市廃墟の闇市場に行けば、幾らでも食料を買える。
死なずに済む、生きられる。
そう思ったとき、はじめて死ぬ事が恐ろしくなったのだ。
村民達はきっと私を、家族を見殺しにした死にぞこないとして軽蔑するだろう。
金も分けずに、一人で屍術師達に取り入って生き延びた、裏切り者。
なんとでも言えば良い、それでも私は生きたいのだ。
そして連中は、この冬を越えられず、一人の例外もなく息絶えるだろう。
だから、あの灯光は、死にゆくものの光なのだ。
私だけが、彼らの訪問を迎えたのだから、私だけが、生き延びる資格を有していたのだ。
屍術師達は、馬車を引き連れて現れた。
手綱を引き、二頭の馬を巧みに操るのは、意外にも女性だった。
はじめ御者席に座る彼女を遠目に見たときに、巨漢と見紛うほどの長身であった。
肩口で切り揃えられた銀髪の先が、黒いコートに縫い付けられたフードのファーに埋もれていた。
雪のように白い肌と切れ長の瞳が、妻に似ていると思った。
名を名乗り挨拶した私を一瞥し、彼女はそっぽを向いてしまった。
仲間との会話から、彼女はアリーセと名乗る事がわかった。
直接門戸に立ち交渉を持ちかけてきた男は、ライツと名乗った。
彼に対して抱いた第一印象は、”普通”だった。
特徴のない顔、伸ばし放題の髪をくくり、肩に垂らしていた。
ヒゲだけは丁寧に剃刀を当てているようだったが、それが逆に無個性さを強調しているようにも思えた。
鈍色のローブの中は見えなかったが、この寒い中でも厚着はしていないようだった。
交渉中も始終抑揚のない発声で、事実のみを淡々と述べていた事が印象的だった。
一方で、交渉が成立し、馬車から飛び降りてきた男は、逆の印象を与える人物だった。
男はジョゼフと名乗り、狼狽する私の掌を強引につかみ、白い歯を覗かせながら握った手を雑に振った。
短く刈り込まれ撫でつけられた髪と猟犬のような端正な容貌は、都会の社交界で幅を利かせていた男前の紳士達とやらを思わせた。
体のシルエットに沿ったハンター用のジャケットとキャップを着こなし、身振り手振りから気取りが感ぜられて、人に見られる事を強く意識しているだろう事が、余計にライツとの違いを際立たせたように思う。
馬車にはこの3人が乗り込んでいた。
そして、馬車の荷台の脇に積まれた、曰く有りげな大袋、5つ…
彼らが何の集団なのかを知っていれば、その袋が何を入れたものなのか、容易に想像がつく。
とはいえ、私はそのことを口に出す事はなかった。
袋は完全に密封されているようだったし、雪深く積もる山中においては、匂いが漂う事もないのだろう。
私は、荷台に設えられた簡易椅子の、一番外側に座していた。
その隣で、ライツが姿勢良く揺られていた。
ジョゼフは、あろうことかその死体袋の脇に鞄を放り、枕にして横になっていた。
アリーセは幌の外、御者席で馬車を進めていた。
道中、車輪の音だけが響いていたが、沈黙に耐えかねた私の質問に、ジョゼフが丁寧に答えてくれた。
彼らは”屍術団”を名乗り、人類の勝利と復興を標榜しているらしかった。
私はつい、随分安直な名��と言ったが、ジョゼフは「俺達にとっちゃ、名前なんてどうでもいいんだよ」と笑った。
屍術師達が集まり、この災禍をもたらした地底の王とやらを屠るために、各地に散在する様々な知識や技術を集め、日夜戦いに耽っているとの事だった。
組織には他にも多数の術士達がいるらしかったが、この3人のように少人数でグループを組み、任務に当たる事が多いとも聞いた。
その日を生きる事ばかりで精一杯の私にとっては、まさに雲の上のような世界だった。
彼らがどれほど恐ろしいものと対峙しているのか、想像する事もできなかった。
ただ、山中で村民が出くわしたような怪異も、彼らにとってはきっと、容易く解決してしまうような日常茶飯事なのだろうなという事は想像できた。
矮小で無力な人間には、自分で自分の未来を決める事すら叶わない。
私のようなただの狩人には、運命は変えられなかった。
己の手で己の運命を決められると信じる彼らの存在は、とても羨ましいと思った。
だから私は、仲間が消え去った山へと登っていく馬車の中でも、不思議と落ち着いている事ができたように思う。
幌の外から馬の嘶きが響き、揺れが収まる。
馬車が目的の野営地に到着したのだ。
私は術士2人を促して先に降りてもらい、続いて地上に降り立つ。
長い時間揺られ続けていたせいか、降り立った直後に軽い目眩を感じ、私は思わず荷台に寄りかかってしまう。
エレドスティを登る道は、ここで途切れている。
車輪で踏み込めるのはここまでで、ここから先の斜面と険しい岩肌は、馬車で立ち入る事はできない。
この窪地の開けた荒れ地は、露出した土中に含まれる塩分のために雪が積もらず、狩人達が夜通し狩りを行う際にも野営のため頻繁に使われていた。
疎らに立った木の陰を見れば、ロープの切れ端や布切れが散見され、過去にここを使った者達の痕跡が確認できた。
おそらくは私自身が最後に山に登ったときに焚いた焚き火の跡もそのまま残されていた。
ライツは窪地に降り立つが早いか、すぐに石灰の白墨で荒れ地の地面に何かの図形を淡々と描き始めた。
アリーセは馬車の荷台と幹の太い手近な木をロープで手早く括り付けると、荷台に積まれたあの忌まわしき袋を次々とライツの描く図形の脇へと降ろし始める。
ジョゼフは、同様に馬車の荷台奥に積まれていたであろう折りたたみ式の椅子を取り出すと、図形の目前に揺れのないようしっかりと固定し、その上に深々と腰を下ろすと、懐中から取り出した帳面を熱心に読み込み始めた。
三者三様に、これから始まる探索に向けた準備を始めていると素人の私にもすぐに判断できた。
一方で、私自身はというと、明確な目的を持って動く3人を前にして所在なげにウロウロと図形の周囲を歩き回っていた。
時折、荷物を運び出す途中のアリーセの通り道を塞いでしまい、舌打ちされ、慌てて脇に避ける場面もあった。
やがて一通りの荷物は出し終えられ、図形を描くライツの手も止まった。
ジョゼフはそれに気づき、帳面を畳み懐中にしまい直すと、両手のひらで顔を2,3度強く打ち付けた後、気合を入れるように言葉にならぬ声を発し、ライツに声をかけた。
「やろうか、リーダー」
「急くな、結界が先だ」
そう答えたライツは、ブツブツとなにかの呪文のようなものを呟き始めた。
間もなく、光の筋がライツの指先から放たれると、窪地の周囲に積もっていた雪がその光を反射して輝き出すと、やがて私の視界はぼやけ始め、窪地全体にまるで靄がかかったかのような景色へと変じた。
「ワットさん。この窪地から外には決して出ないように」
「アンタ一人で死ぬ分には勝手だが、俺らまで見つけられたら困るからな」
ライツの説明を、ジョゼフが物騒な形で補足する。
アリーセは相変わらず無言のまま、腕組みをして山頂の方角を凝視していた。
ジョゼフは腰掛けた椅子の上で胡座をかくと、目を瞑り、頷く。
それを認めたライツが先程とは異なる呪文の詠唱を始める。
地面に描かれた図形が仄かな光を放ち始めると、アリーセが傍らの袋をひとつ軽々と抱えあげて、円形の図の中央に丁寧に横たえ、また元の位置へ帰る。
やがてライツの呪文に呼応するように図形の光は力を強め、やがて袋そのものが発光を始める。
あまりの眩さに、思わず手を翳して光を遮った。
次の瞬間、嘘のように光が去り、ライツの詠唱も途切れた。
ライツは図形の中央に歩み寄ると、袋を固く封じていた紐を丁寧に解いた。
すると、ああ、これがこの、悍ましき屍術師の業だと言うのか。
袋の中から、頬の肉が破れ、奥歯が露出した顔が覗く。
男の死体が、独りでに起き上がり、地面に手をつき、気怠げに立ち上がった。
ボロ布だけを身にまとい、体のあちこちが綻んで皮膚の内に秘めた真紅の筋肉が覗いている。
遡った胃酸が喉を焼いた。
臭いなどはない。
ただ、その悍ましさ、涜神的な情景に、心が悲鳴を上げていた。
「ジョゼフ、行けるか?」
ライツが死体に声をかけている。
当のジョゼフは、椅子の上で項垂れて、返事をしない。
直立した死体の喉がひゅうひゅうと鳴り、軽く咳払いをひとつ、そして地の底から響く呻きじみた声が発せられる。
「いつでもいけるぜ」
これが、今のジョゼフなのだ。
そこで項垂れた青年は今、ここに立つ死した者の身にその心を宿しているのだ。
耐えきれず、私はその場に吐瀉する。
馬車の中で受け取った林檎の残骸が荒れた土に撒かれる。
「おい、しっかりしてくれよ。ここからがアンタの仕事なんだ」
死体が、その見た目に反した軽口を私に向ける。
一見滑稽にすら見える、この世のものとは思えぬ一幕。
脳の奥の方が、急速に痺れて鈍磨していくのを感じる。
死体は、その立ち上がった時とは別人のような軽快な足取りで、早々に靄の結界の外へと駆け出して、そのまま見えなくなった。
ライツがその姿を見届けると、再び呪文を唱え始める。
やがて、靄の中に、鮮明な幻像が浮かび上がってくる。
風のように過ぎ去る山地の景色。
まるで、崖や岩場を駆ける猫科猛獣の瞳に映るものを覗き込むようだ。
やがてその視界は、今我々が立つこの野営地を見下ろす位置で止まる。
「視界、声、問題ないか?」
やまびこのような声が耳の中に響く。
「問題ない。ワットさん、あなたにも彼の視界と声が見聞きできているか?」
ライツの問いは非常に奇妙なものであったが、首肯する以外になかった。
ここからが私の仕事…
たとえ彼らが屍術に精通し恐るべき力を行使できたとしても、この山の地理には不案内なのだ。
だからこそ、この山に精通した案内人を、この山に生きてきた狩人を求めたのか。
震えが止まらない。
もう前に進むしかない。
これを選んだのは、自分だ。
生き残るための代償。
こうして図らずも、私は屍術師達の戦いに巻き込まれる事になった。
~つづく~
※今回のショートストーリーは、ohNussy自筆です。
白き山脈にて (2) - “エレドスティ山地"
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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中国経済の成長エネルギーは 明らかに低下している
ここへ来て、中国経済の成長のエネルギーは明らかに低下している。中国国内の“灰色のサイ”※(=過剰債務問題や不動産バブルなど構造的な問題)が顕在化しており、今後、中国経済は本格的に“成長の限界”に直面することになるだろう。
リーマンショック後、中国政府はインフラ投資などによって、成長を人為的にかさ上げしてきた。その結果、中国国内では投資案件はほぼ飽和状態になっている。そのため、高い期待収益率が見込める投資案件が見当たらなくなりつつある。
つまり、投資主導の経済成長が“曲がり角”を迎えているということだ。
また、中国経済は“中進国(中所得国)の罠”に陥りつつある。2018年中国の1人当たり名目GDP(所得)は、9600ドル程度に達した。中国は、他の新興国からの追い上げに対応しつつ、技術面を中心に先進国にキャッチアップしなければならない。債務問題への懸念が高まり、成長率が徐々に低下する中、中国が1人当たりGDPを増やすことは口で言うほど容易なことではない。
景気減速を食い止めようと、昨秋以降、中国政府はインフラ投資や減税などによって経済を上向かせようと躍起だ。状況によって、中国政府はさらに景気刺激策を積み増すだろう。短期的に、景気刺激策が中国経済を上向かせることは可能だろうが、投資効率が低下する中での財政支出の拡大は、潜在的な不良債権リスクを高める。
13億人の人口を抱える大国・中国が、高成長を続けることは事実上難しい。今後、米国との貿易戦争のマイナスもあり、中国経済は難しいかじ取りが必要になるはずだ。
“投資型成長モデル”の曲がり角
リーマンショック後、中国政府は投資によって経済を成長させた。特に、2008年、リーマンショックの直後に中国政府は総額4兆元(当時の邦貨換算額で57兆円程度)のインフラ投資などを軸とする景気刺激策を発動した。その威力は大きく、2009年下期から2011年上期まで、中国のGDP成長率は毎期10%程度の水準を維持した。
現在まで、この経済運営の発想に大きな変わりはない。それは、大きなダム(中国経済)に水をどんどん流し込む(財政政策を中心に資金を供給し、投資を増やす)ことによって、水位(経済成長)をかさ上げすることに似ている。
固定資産投資の推移を見ると、いかに中国の投資が急速に肥大化したかがわかる。2007年の固定資産投資額は約12兆元(180兆円)だった。2018年の投資額は63兆元(1000兆円)超にまで膨張した。その他、インフラ投資などの公共工事などを含めると、膨大な資金が投資に回された。
当たり前だが、インフラ投資や固定資産への投資が増えるにつれ、期待収益率の高い案件は減る。それが、投資効率が低下するということだ。2018年、中国の実質GDP成長率は6.6%まで低下した。投資が増える一方で成長率が低下しているということは、中国国内で収益の見込める投資案件が減少し、投資一単位から生み出される付加価値の額が小さくなっていることを意味する。
行き場を失ったチャイナマネーの一部は、海外の不動産市場などに向かった。それが、オーストラリア、カナダおよびニュージーランドの不動産(住宅など)の価格を上昇させた。わが国においても、東京の高級マンションなどを購入する中国人投資家が増えた。その背景には、中国経済における期待収益率の低下がある。
現在の中国政府は、鉄道の敷設を中心にインフラ投資を進めているが、それが金利費用を上回る収益を生み出せるか疑問視する経済の専門家は少なくない。この状況が続くと、中国の不良債権問題は一段と深刻化するだろう。多くの資金が財政に頼っていることを考えると、長期的に、投資効率の低下は中国の財政リスクを高める恐れがある。
中国が陥る“中進国の罠”
近年、経済の専門家の間では、世界の工場として成長率を高め、投資によって成長を維持しようとしてきた中国が、“中進国の罠”を回避できるか否か、関心が高まっている。現状、中国が中進国の罠に陥ることを回避するのは難しいと考える。
中進国の罠とは、開発経済学における考え方だ。定義に揺らぎはあるものの、新興国(途上国)の経済成長が進み、1人当たり所得が1万ドル(100万円程度)に達したあたりから、成長が鈍化・低迷することをいう。
中国経済が中進国の罠を回避するには、個人の消費を増やさなければならない。中国政府の本音は、リーマンショック後、一定期間の成長を投資によって支え、その間に個人消費の厚みを増すことだった。
しかし、リーマンマンショック後、中国の個人消費の伸び率の趨勢は低下しいている。リーマンショック後、中国GDPに占める個人消費の割合は30%台半ばから後半で推移している。昨年の個人消費の推移を見ても、固定資産投資の伸び率鈍化から景気が減速するにつれ、個人消費の伸び率鈍化が鮮明化した。これは、投資効率の低下が、家計の可処分所得の減少や、その懸念上昇につながっていることを示している。
現在、中国政府は個人消費を増やすために、自動車購入の補助金や減税の実施を重視している。短期的に、消費刺激の効果が表れ、個人消費が上向くことはあるだろう。ただ、長期的にその効果が続くとは考えづらい。
なぜなら、中国政府は国営企業の成長力を高めることを目指しているからだ。市場原理に基づく効率的な資源配分よりも、中国では共産党政権の権能に基づいた経済運営が進んでいる。それは、国有企業に富が集中し、民間部門との経済��差の拡大につながる恐れがある。それは、民間企業のイノベーション力を抑圧・低下させることにもなりかねない。
歴史を振り返ると、権力に基づいた資源配分が持続的な成長を実現することは難しい。習近平国家主席の権力基盤の強化が重視される中、中国が1人当たりGDPを増やし、多くの国民が豊かさを実感できる環境を目指すことは、そう簡単なことではない。
最大の懸念事項巨大化する“灰色のサイ”
中国経済は成長の限界に直面している。投資効率の低下、個人消費の伸び悩みに加え、輸出を増加させることも難しい。米中貿易戦争の影響に加え、効率性が低下する中で投資が累積され、中国の生産能力は過剰だ。裏返せば、世界経済全体で需要が低迷している。
スマートフォンというヒット商品の人気に陰りが出始めたことに加え、ここから先、米国経済が成長し続けることも難しい。その上、中国では生産年齢人口が減少している。労働力の減少は、潜在成長率の下振れ要因だ。
理論的に考えると、中国政府は構造改革を進めなければならない。急務なのが、不良債権の処理だ。1990年代初頭の資産バブルが崩壊した後のわが国のケースを見ても、不良債権処理は経済の安定に欠かせない。
中国政府もその重要性はわかっている。同時に、国内の不満を抑えるために目先は投資を増やさざるを得ない。成長期待(期待収益率)が低下する中で中国政府が公共投資などを増やすことは、不良債権の増大につながるだろう。
中国では、不良債権問題という“灰色のサイ”が、どんどん大きくなっていく気がする。灰色のサイとは、発生確率は高いが、対応があまりに難しく見ているしかないリスクのことだ。
1月の社会融資総量を見ると、シャドーバンキングの代表形態とされる信託貸出(ファンド経由の貸付)、銀行引受手形が急増した。特に、信託貸出の増加は見逃せない。データがないため推論によらざるを得ないが、中国人民銀行による金融緩和や財政政策を通して供給された資金が行き場を失い、利ザヤを稼ぐためにシャドーバンキングに流れ込んでいる可能性がある。
中国経済の展開を考えると、短期的には、インフラ投資や減税などから景気が幾分か持ち直すことはあるだろう。
しかし、長期的に中国経済は一段と厳しい状況を迎える恐れがある。リーマンショック後の経済が投資頼みで推移してきただけに、中国経済は成長目標に合わせて投資を積み増さざるを得ない。その結果、中国の債務問題は深刻化し、灰色のサイは一段と大きくなるだろう。
(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
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