#村田沙耶香
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読書をする時、私は喫茶店で最初のページを開くことが多い。新しい本を読み始める時、私にはページの中にあるのがどんな感触の言葉なのか、どんな風景の中に自分が立つことになるのか、まったくわからない。なので、多分少し緊張しているのだと思う。物語の中に「入る」ということは、私にとって、少しの間、その世界に滞在するということなのだ。
村田沙耶香著「異世界を鞄に入れて」(『私が食べた本』2021年12月Kindle版、朝日文庫)
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Sayaka Murata - Earthlings // 村田 沙耶香 - 地球星人
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『生命式』
生命式、それは人が死んだときにその死体を残された人たちが食べ、命を尊び繋いでいくという儀式。短編集の本冊には、人毛100%のセーターが好まれる世界だったり、野生の野菜に取り憑かれた女性だったりと、様々な世界観が出迎えてくれる。
とにかく固定概念をぶち壊していく作品だった。どの作品も読んでいくうちに様子がおかしくなる。けど、私達が"普通"と思って居ることは多数の人が【良い】と思って長年続けられてきた文化であって、それがいつ【悪い】という考えに変わるかは分からなくて、普通の基準は案外脆くて不安定なんだなと感じた。
2023.3.5
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村田沙耶香 『コンビニ人間』
この主人公が白羽さんと結婚したりしたらするエンドだったら嫌だな〜と思ってはいたけど、こういう結末の付け方あるのか……と唸った。
主人公・古倉恵子は道徳感とか良心みたいなものがかけていてthe社会不適合人間みたいなもんだけど、ここまで振り切ってると逆にストレスなく生きられそうだなと思った。ただ、古倉が感じる生きづらさって私も社会のどこかしこで感じることだから、主人公に共感はできないけど応援したくなるような新しい感覚を味わえた。タイトル通りの主人公だった……。
この本って、社会の生きづらさとか 圧力に対して皮肉的な視線から問いかけをしてるんだと思うけど私はどっちかっていうと主人公の女性に対して生きるのが下手くそだなーっていうのが一番最初に出た感想だった。その気持ちに自分で気づいたとき、あ、私は古倉に圧力かける側の人間になんだなとショックだった。結婚しろ出産にしろ、周りに言われるとうざい〜〜!と思うのに、実際それをしていない人が周りから責められてるのを見ると、見下すような気持ちが湧いてしまう。私の中に、無意識にそういう他人をジャッジしていいと思ってる部分があったことにびっくりした。
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日本橋を徘徊した日々
蒲公英は実際に茹でて食べてみた。早朝にこっそりとキッチンを借り、鍋に洗った蒲公英を入れた。苦いというのでよく茹でたら、ぐにょぐにょして気持ちが悪かった。二回目に茹でた時には、すこし短めに茹でて苦味を残した。そうしたら、少し美味しかった。
今でも、たまには日本橋の街に行くことがある。友人は結婚して妊娠し、今はこの街に勤めてはいない。当時はなかった大きなビルもいくつか建った。
あの頃に比べて、街も自分も変化した。でも、私が勤めた「つもりになった」会社はまだそこにある。ふとビルの前まで足を運んでしまうことが今でもある。そして、どこか懐かしい気持ちで、そのビルに吸い込まれていく人々を見つめてしまうのだ。
「となりの脳世界」 (朝日文庫)
散歩、旅することについて
村田沙耶香 Sayaka Murata
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12 Books for 2024 (Japanese Edition)
You may have seen my post about the twelve books I read in 2023 (here), and I thought it would be fun to follow it up with a little tbr for 2024! Ideally, I'd like to read more than twelve books in 2024, but twelve is enough for now since I've got some series on this list that I'd like to either make some serious progress in or finish up completely. This list is in no particular order!
地球星人 - 村田沙耶香: I read コンビニ人間 by Murata a few years back and loved it, and this one has been high up on my tbr for a long time now. With how many people say they're completely traumatized by it, it sounds like the perfect book for me. The only reason I haven't read this yet is because I've hyped it up so much for myself.
生命式 - 村田沙耶香: A short story collection by Murata? Sign me up ten times over. This one sounds weird and gruesome and right up my alley.
本を守ろうとする猫の話 - 夏川草介: Another cat book, who can blame me? This was also touted as being perfect for book lovers, and I haven't heard a bad review yet.
吾輩は猫である - 夏目漱石: Keeping with the cat theme, this one I actually have planned in tandem with a challenge I have to read twelve big ass classics throughout the year. Between the sheer size of this and the fact that the text is so densely packed in, this book kinda scares me. I'm planning to read it in December of next year so that I have as much time as possible to prepare haha.
世界から猫が消えたなら - 川村元気: Last cat book, I promise, but I had to keep them all together (it's actually not about cats, though). I've had this one for a long time and just picked it up on a whim. I've heard a bit of mixed reviews, but the premise sounds interesting enough, and it seems to be pretty popular.
博士の愛した数式 - 小川洋子: This was one of the first books I bought in Japanese, so it's high time that I get it off my tbr. I've seen so many people love this, in and out of the language learning community. This author also has a bunch of other popular works, so I'd really like to jump into her books and experience the hype for myself.
告白 ‐ 湊かなえ: I've seen a bit of buzz about this book in the language learning community, but what really convinced me on it was seeing people outside of language learners also enjoying it. It sounds dark and mildly depressing, and I'm hoping that it'll have some interesting commentary as well.
独り舞 - 李琴峰: Somehow, I haven't read any queer literary fiction in Japanese yet, despite it being my favorite genre, so I'm so excited to jump into this one. For the life of me I can't remember where I heard about this, but I think it'll be one of my first reads in 2024.
デゥラララ!!- 成田良悟: I used to be obsessed with the anime adaptation in middle school but never revisited the series out of fear that it wouldn't stand the test of time. After seeing a fellow language learner gush about the series, I decided to give it a shot, managed to find it at a local used bookstore, and snatched up the first volume. Don't let me down, nostalgia!
憎らしい彼 - 凪良ゆう: This is the second book in the 美しい彼 series, and even though I'd like to read the third one next year as well, I'm just combining them. Seeing this series next to series like No. 6 and キノの旅 I'm really grateful to have a trilogy on my tbr haha.
No. 6 - あさのあつこ: Saying that I would like to finish this series next year is a bit of a stretch, seeing as I have eight of ten volumes left, but I'd like to put a serious dent in it to be sure.
キノの旅 - 時雨沢恵一: This series is more of a read as I please type series for me, since there's not really any overarching plot. I'm also not racing to make progress, since there are over twenty volumes (and still going). I'm savoring this series and I'm okay with that.
#I have way more books than this on my tbr#and this doesn't even touch on manga#but its a start#these actually are ordered but less in priority order and more in similar books together#even if im the only one who knows what those similarities are#langblr#studyblr#booklr#bookblr#language learning#studyspo#polyglot#studying#日本語#benkyou posting
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『ある夜、彼女は明け方を想う』を帰りの高速バスで観ている。2回目。最近知人がInstagramで映画のアンケートをやっていたので書き込んだけど、私も思い出したら観たくなって観ている。今日はイベント対応で都内に出た。本来なら午後過ぎからだったけど少し早く家を出て会社の人とうどん屋さんに行って新橋銀座を歩き珈琲専門店に行って珈琲を飲んだ。普段腹を下すからと1ミリたりとも飲まない飲み物なのでとても苦くて酸味があるように感じたけど、不快感はなく、感じる前に飲み干した気がする。会場に向かいながら目がパキパキになったので体力回復に移動中少し寝た。今週はどうも仕事をしている日々ではないけれど、リセットするには十分な予定だと思っている。なにからリセットするかはわからないけど。イベントも1時間で終わり、同行者とは解散して前々から決まっていた会合に向かった。「○○と飲みたいってずっといってるんだよなぁ」と会社の年配層が前に一度お会いした別の部署の人たちと私との飲み会を作りたかったらしく、絶対ジジイだけだったら行かなかったけど行くことにした。初めましての方もいて、なんとも言えない空気感と時間が過ぎたけどなんやかんやで忘れない時間になったと思う。私はずっと、ジジイの息子の嫁にならないかと揶揄われていたけどずっと即答で嫌だ、と答えた。1番若い私に話を振ってくれていて助かりつつも、冗談で言ったであろう、引き抜きたいね、という台詞が冗談に聞こえなくてササーっと引いていた。ジジイよ、私を褒め称えるのはいいけど時と場合を考えろ。高速バスの時間が丁度いい時間にあったので途中退室。またいつか、と社交辞令を言い合い解散、で今に至る。キャリア採用で入ったという女性の左手に揺れる結婚指輪が間接照明に当たって綺麗だな、と横目で考えていた。先日友人の結婚式があったから今は敏感的に反応しているんだと思う。日本酒を滅多に飲まないけど飲まされたので思考が歪んでいたりもすると思う。ふと急に、不倫している女の感情メインの映画見たいと思い起こして冒頭の映画の話に戻る。話は変わるけどThe Wから知った梵天のしおたむ(妹)のツイートか何か前に見た時に結婚していることを知って急に好きになった。元々の顔も好きだったからだと思う、けど、若い(?)うちからこの人だとノリでもなんでも決めて結婚しているのが、いいな、と思った。私もしたいねぇ。と考えながら書いているとヒロイン役の黒島結菜と、若葉竜也のやりとりのシーンになった。結菜ちゃん最近氷魚くんとパートナーになったよね。いろいろな形がこれからも増えていくのかなあ。村田沙耶香の『殺人出産』の中にあったトリプルもこれからあったりするのかなとふと考えてみたり。色々多様化してっていつか昇華しちまえばいいのにと考えた。しきたりも存在も。ばぶと来月温泉旅行に行くことになった。2人きりの温泉旅行は一昨年の夏ぶりな気がする。そういえば受けた試験の正式な合格発表が今日で、合格していた。
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20231231
2023年、あまり記憶がない。記録や写真を見たらああそうやったなとは思うけど、自力で思い出そうとすると何してたっけな……と。できる限り自力で月毎に振り返ってみる。
●1月:年末年始は岩手。追いかけていた大阪の案件がやっと契約。成長。
●2月:神戸の案件を引き続きやってた。失注したけど。やっと少しだけ暇になって資格勉強をしてた。
●3月:資格試験受けた。沼津に小旅行。下旬からまた仕事が忙しい。
●4月:引き続き仕事が忙しい。役所の書類仕事に追われる。GWに帰阪。
●5月:この1ヶ月は本当に仕事を辞めたくなるくらい忙しかったし報われなさを感じてた。頑張って何の意味があるんと思いながら頑張ってた。
●6月:5月に��張ってた福岡の案件が実った。この時点で今年度の目標達成。自信が更についたと共に周囲に怒りを覚えていた。少し傲慢にもなった。
●7月:忙しさを振り切って台北旅行。暑かったけど楽しかった。年一回は海外行きたいな。刺激を受ける。
●8月:何してたっけ……。夏休みは大阪に帰った。サマソニにも行った。あと誕生日。おいしいイタリアンをご馳走になった。
●9月:初めて自分が契約した案件が完工。一人前になれた気がした。出張が多かった。客ともバトった。疲労。
●10月:前半忙しかった。ちょっとずつ暇になったような気がする。
●11月:ややゆとりが出てきた。ペルシア語を読んだり、展示を見に行ったりができた。初めて外語祭にも行けて満足。
●12月:年末挨拶で出張も飲み会も多かった。謎の体調不良。異動が確定する。
え、なんかやっぱり忙しかったな。私より大変な人が居るのはわかってるが上を見てもキリない。私のキャパシティから考えて忙しかった。人間のことが何回も嫌いになった。笑
一応2023年の目標を立てていたので振り返りたいと思う。下記が1月頃にしていた私のツイート。
仕事量は減る方向に持っていけてると思う。後進のために業務マニュアルも作り始めた。本の感想は一部だけになるけど、ある程度の長文で記録することができた。継続したいな。資格はひとつだけ、受験資格期限がギリギリのやつがあって勉強して合格した。ペルシア語もいちいちカウントはしてなかったけど読めてた方かな。適度に無関心でいられたかは微妙。ホットヨガ最近行けてない……行きます。
2023年の読んでよかった本も挙げておきたい。語学系の2冊は本当にモチベーションが上がったし読み物としても非常に面白かった。
種田輝豊『20ヵ国語ペラペラ』
山崎ナオコーラ『ベランダ園芸で考えたこと』
長澤信子『台所から北京が見える』
村田沙耶香『殺人出産』
市川沙央『ハンチバック』
実はTumblrの更新をもう辞めようと思ってる。使いづらくなってきてしまった。自分でアーカイブは残して良いタイミングになったら記事も消すつもり。2024年からはnoteで更新する。もし読んでくれている人がまだ居たらこちら(https://note.com/iunfe)を覗いてみてください。読んでる人おるかな? たまに「読んでるよ」と言われることがあるので、一応……。Tumblrには浪人生を終える頃からお世話になったので約10年使ってたんかな。Tumblr、本当にありがとう! また戻ってくることがあればそのときはよろしくね。
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ピノキオ
AP_2021 / 名古屋芸術大学 舞台芸術領域3年 発表公演(プロジェクトワーク5)
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君がこれからどうするかを考えよう。
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第七劇場「ピノキオ」は、2017年に[小さな大人と大きな大人のための名作シリーズ]として製作初演され、三重県と岡山県で上演されました。それから5年。名古屋芸術大学舞台芸術領域の3年生の舞台美術、照明、音響によってリメイクされて再演されます。ぜひご家族や、お友だちとご来場ください。もちろん、お一人でも。きっとあなたの中にもピノキオがいたことを思い出せるはずです。
鳴海康平(演出・指導教員)
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開演日時
2023年8月25日(金)18:00、26日(土)14:00 ※開演30分前より開場 ※上演時間60分
両公演とも、定数に達したためご予約受付を終了いたしました。 ご予約いただいたみなさま、まことにありがとうございます。
※追加情報※ 一般予約については受付が終了いたしましたが、託児をご利用希望の方のみ、観劇予約を若干枚追加で受け付けいたします。
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料金
一般 1,000円 / 中学生以上の学生 500円 / 小学生以下無料 ※未就学児入場不可、全席自由席、車椅子スペースあり
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会場
名古屋芸術大学 東キャンパス 8号館2階スタジオ 愛知県北名古屋市熊之庄古井281
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ご予約(オンライン受付): https://www.quartet-online.net/ticket/nua21ap02
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一般予約については受付が終了いたしましたが、託児をご利用希望の方のみ、観劇予約を若干枚追加で受け付けいたします。
以下のフォームから、観劇予約と託児希望をお申し込みください。
定員に達し次第、観劇・託児の受付を終了いたします。
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出演
木母千尋、山形龍平、増田知就、味潮浅利、國富花音(音楽総合コース2年)
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演出:鳴海康平(第七劇場)
第七劇場、代表・演出家。Théâtre de Belleville、芸術監督。早稲田大学在籍中の1999年に劇団を設立。これまで国内25都市、海外5ヶ国11都市で作品を上演。ポーラ美術振興財団在外研修員(2012・フランス)。2014年、三重県津市美里町に拠点を移設。民間劇場 Théâtre de Belleville を開設。愛知県芸術劇場主催 AAF戯曲賞審査員(2015〜)。名古屋芸術大学 舞台芸術領域准教授(2021〜)。
写真:松原豊
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身体指導・振付協力:浅井信好(月灯りの移動劇場)
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舞台プロデュースコース
大橋結音、谷愛音、橋本みのり、湯原桃
演出空間コース(音響)
飯田凌矢、井上裕貴、勝川美海、木村日菜 西郷卓哉、中根美咲、福浦雅楽、福冨隼大
演出空間コース(照明)
浅田彩友、石井日凪代、前田遥音、松原沙耶華
舞台美術コース
伊藤智与、岩原由季、大橋咲蘭、小川莉奈 小野花弥、垣内維月、加藤愛、加藤杏菜、酒井新 鈴木美生、高橋彩羽、谷口小春、永村清華 林夏里奈、細川暁生、山本 翔太
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指導教員
[企画制作]梶田美香、鳴海康平、浅井信好 [音響] 岡野憲右、山口剛 [照明] 稲葉直人、神谷怜奈、福井孝子 [舞台美術]石黒諭、杉浦充、乗峯雅寛
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名古屋芸術大学 舞台芸術領域について
令和3年度に名古屋芸術大学芸術学部に設置された新しい領域。「あなたが舞台をつくる」をコンセプトに、舞台芸術作品を製作・上演するための知識と技術を専門的に学ぶことのできるカリキュラムで、未来の舞台芸術シーンをけん引する人材を育成する。
/ ご来場のお客様へ
37.5度以上の熱がある場合や体調の優れない場合はご来場をお控えください。
会場内では検温やアルコール消毒、常時マスクの着用にご協力ください。
手荷物のお預かり、差し入れの受け取り、出演者のお見送りはいたしません。
以上に関しましては、状況に応じて変更となる場合がございます。最新情報は公式Twitterおよびこちらのwebsiteにてご確認ください。
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twitter / @NUA_AP instagram / nua_ap
/ 主催・お問い合わせ: 名古屋芸術大学舞台芸術領域 mail / [email protected] tel / 090-6798-8035(平日10:00〜17:00)
協力:第七劇場 ブルーエゴナク もう大人だもん。 名古屋芸術大学音楽総合コース
後援:北名古屋市、北名古屋市教育委員会
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すてきだ、ほんと今日のお前はすてきだよ。
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2023年6月13日 村田沙耶香、概念からこぼれ落ち続ける生について
起立性低血圧が関係しているのか分からないけれど朝起きてから、日が沈んで18時頃になるまでの間、ずっとぼうっとしていて頭が回らず、気力も出ないので、実質的には一日が18時以降の時間しか存在していないような心地になる。どうしても、起きてから8時間くらいは経たないと本調子が出ない。
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小説の話。村田紗耶香の「地球星人」を読み終わった。 村田紗耶香は以前から『コンビニ人間』『消滅世界』『しろいろの街の、その骨の体温の』など色々読んでいたのだけど、『地球星人』を読みながら、自分にとって村田紗耶香という作家は思っていたよりも重要かもしれない、と気が付く。
村田紗耶香には読んでいて波長が合うというか、自分の感性に直に刺さるような部分が確かにあって、それが何なのかを言語化するとすれば、人間を脱すること、脱-人間化へと向かっていくというその方向性だと思う。
たとえば、『コンビニ人間』において主人公はタイトル通りの「コンビニ人間」になるわけだけど、それは従来の人間でもなく、男でもなく、女でもなく、「コンビニ人間」という新たな種類の人間。そして、常識的に考えればそれは資本主義と消費社会によって生み出された哀れな存在にも見えるものの、村田紗耶香はむしろ「コンビニ人間」という新たな人間の誕生を徹底して肯定的に描いて祝福しているように見える、その両義性。
もう少し「コンビニ人間」について書くと、「コンビニ人間」は消費社会におけるコンビニというシステムに過剰に適応することによって逆に、社会を攪乱するような不条理な存在になっている点や、結婚という制度を読み替えてひそかにやり過ごしながら反抗するような態度に、ドゥルーズの言うマゾヒズム的な戦略を感じることがある。
「地球星人」には「メッセージを送る相手の絵文字や文体を真似する」というくだりがあるし、「コンビニ人間」でも「他の店員の言葉遣いを真似る」という場面があったと思うのだけど、そこにはASD(自閉症スペクトラム)的なコードへの適応の運動と、しかしそこから逸脱していくような側面があって、既存の法に対してうわべだけは忠実に従おうとしながらも攪乱していく動きが村田紗耶香らしさだと思う。あと、いまASDという単語を出したものの、だからと言ってこれが「ASDの主人公の物語です」と言い切ってしまうことにも抵抗があって、「コンビニ人間」は文字通り、「コンビニ人間」という新しい特異的な人間を描いた小説に他ならない。
「地球星人」においては、主人公は生殖および恋愛という規範を持った地球星人(人間を作る「工場」)に対して徹底的に抗い、そのような自分たち(夫や由宇を含めて)をポハピピンポボピア星人���称する。しかも、幼い頃の主人公は「変身」のためのステッキを持った魔法少女でもある。 そんな中で主人公は性行為も恋愛感情もない相手と合意の元で結婚をすることによって、家族や友人からの圧力をやりすごす。この、「性愛も恋愛感情もない、契約としての結婚や同棲」というのは『コンビニ人間』にもあったはずで、好きな関係性だと感じる。
あと、村田紗耶香を読んでいると、彼女がどこまで「本気」なのかな、ということも考える。 たとえば『消滅世界』で描かれる世界がディストピア的だと言われることはわりと多かった印象があるのだけど、主人公はその世界をむしろユートピアとして見ていたはずで、そのとき、村田紗耶香が「ディストピア小説」としてあれを書いているのか、もしくはもっと純粋に「ユートピア」として書いているのかというのはどちらとも取ることができる。 ああいう世界をディストピアとして風刺的に書く、というスタンスはありうるけど、村田紗耶香はそうではなくて、もっと透明な意識で書いているような気がする。肯定か否定かというより、ある前提において世界を考えた時にこうなる、というのをただただ純粋に書いていく。
***
文學界5月号の『ハンチバック』、読み終えているけれど、まだ消化しきれていないので、もう一度読めたら読みたい。 ***
今日、これから自分が書こうかな、と思う小説の候補ができた。 最近、自分は小説には向いていないのかもしれないと思うことも多いけれど、今はとにかく賞に出すことを目標として書こうとは思う。2024年3月31日締め切りの「文藝賞」が本命だけど、2023年10月15日締め切りの「群像新人文学賞」および2023年9月30日締め切りの「文學界新人賞」も可能性としてはある。
正直に言って、ここ最近は「小説」として書くべきことがあるのか分からなかった。小説として書くということは、単なるエッセイでも論説文でも日記でも表現できないものを書くということで、それは虚構の世界という枠を用意することによって可能になる何か。
内容としては以前から「書いてもいいかな」とぼんやり考えていたことだけど、今日になって、それを他ならない「小説」として書かないといけないことに気が付いた、天啓のように。自分の中には何もないと思っていても、必ず何かはあって、でもそれは「社会的に書いてはいけないこと」であるがために抑圧されていたり、単純に、「こんなことを書いても文学にはならない」と思ってしまうようなことが多いけれど、文学は「社会的に書いてはいけない」ような間違ったことをこそ書かなければならないし、「こんなことを書いても文学にはならない」ようなものも、その切り出し方によって文学になりうる。
***
文学の特異性、その価値みたいについて、ある種のラベリングという観点から考える。たとえば、現代において問題になる(なりうる)ようなラベリングはいくらでも挙げることができる。「女性」「男性」「同性愛者」「障害者」「黒人」「弱者男性」「トランスジェンダー」「鬱病」「発達障害」「ロリコン(ペドフィリア)」「無性愛者」「レズビアン」「ゲイ」「ASP」「マゾヒスト」「サディスト」「犯罪者」「処女」「売春婦(娼婦)」「夫」「妻」「子ども」「フリーター」「反出生主義者」「アダルトチルドレン」「吃音者」「精神病者」……(etc)
でもここで、こうしてラベリングされた概念というのは概念でしかなくて、抽象された、単なる一般的な、そして空虚な概念にすぎない。「女性」と言われるときそれは一般的な「女性」を示してしまうわけだけど、言うまでもなく、実際にはこの世界に数限りない無数の女性が存在していて無限に差異のある、そして深さをもった固有の、特異的な生がある。逆に、特異的な生しか存在しない。
「精神病者」でも「犯罪者」でもでも何でもよいのだけど、そこには本来特異的な、生きられる生としての内面性、ひとつの世界、深さのようなもの(そのように行動すること必然性、内的な世界の法則のような)があって、しかし概念は外的な、一般的な形でしかそれを語ることができない。あるカテゴリーに属する人間の生きられた生そのもののようなものを捨象することでしか、それについて語ることができない(Twitterを上記のようなラベリングについて議論が行われている風景を見ていると、どうしてもそのことを考えてしまうし、不毛な気持ちになる)。
そのとき、文学というのはそのような人々の生きられる生そのものを内側から、その複雑性をできる限り捨象することなく、ひとつの世界として提示する方法であり(人生を追体験する)、それは単なる外的な語り(哲学にせよエッセイにせよ)では不可能なことだと思う。
私たちが普段使う言葉、概念、ラベリングは決して現実を正確に写しとることなんてできなくて、常にそのラベリング(およびそれによってイメージされるもの)からこぼれ落ち続ける側面がある。あるいは、そのラベリングから超え出る側面。 平均的な「人間」が存在しない(統計学的に平均を取ることはできるだろうけれど、すべての人間はその統計学的な平均から必ず逸脱する)ように、ラベリングされた者はそのすべてが必ず、そのラベリングから逸脱する。
書きながら考えているのでまとまりがないかもしれないけど、結局のところ、哲学にせよ心理学にせよ社会学にせよ、この現実そのものの、人間の生そのものの複雑さを捉えることが決してできなくて、(もちろん文学にだってそれはできないのだけど)、生そのものの複雑さ、生の特異性に最も近い位置にあるのが文学だと思っている、信じている(たとえば映画だってこの意味での「文学」でありうるものの、それを語るのが「言葉」である、という点には重要な何かがあると思う)。 ***
ドゥルーズの『批評と臨床』(Gilles DELEUZE "CRITIQUE ET CLINIQUE")を読んでいる。出版されたのは1993年なのでほんとうにかなり晩年だけれど、実際のところ、いつくらいに書かれた文章なのだろう(論集としては、未発表のものと再録のものの両方がある)。 第1章「文学と生」の17ページまでを読んでいて気になった箇所は二か所あって、一���目は「非差異化のゾーン」という言葉遣い、そして二つ目は[健康」という言葉の特殊な使われ方について。 〈生成変化とは、ある形態(同一化、模倣、ミメーシス)に到達することではない。そうではなく、それは、人がもはや一人の女、一匹の動物、あるいは一つの分子とみずからを区別し得なくなるような近接のゾーン、識別不能性あるいは非差異化のゾーンを見出すことなのだ〉(p13)
ドゥルーズが言うには、まず書くことは生成変化であり、そして生成変化は、「非差異化」のゾーンを見出すことでもある。ドゥルーズといえば「差異」の哲学だけど、生成変化はむしろ「非差異化」のゾーンにあって、そこでは特異性と非差異化が並立しているはずだけど、それはどういう状態なのだろう。
二つ目は、ドゥルーズが「健康」という言葉に込めている特殊な意味について。
〈文学とは、そうなってくると、一つの健康の企てであると映る。それはなにも、作家が必ず大いなる健康の持ち主であるということではない(ここには先の運動競技におけるのと同じ両義性があるだろう)。そうではなく、作家はある抗し難い小さな健康を享受している。その小さな健康とは、彼にとってあまりに大きくあまりに強烈な息苦しい事物から彼が見て聴き取ったことに由来しており、その移行こそが彼を疲弊し切らせているのだが、しかしながら、太った支配的健康なら不可能にしてしまうようなさまざまな生成変化を彼に与えてくれてもいるのである〉(p17)
作家が享受している「小さな健康」と「太った支配的健康」というのは対比されていて、一般的には前者(小さな健康)とはむしろ病の状態であり、後者(太った支配的健康)は、一般的に「健康」であるとされているもの。
もっと言えば、「小さな健康」を享受するのはマイナー文学のことで、問題なのは「病」として見なされうるようなマイナー文学がどのような意味で「健康」であるのかということ。 「エクリチュールに仮託された生 : ドゥルーズ『批評と臨床』における方法と動因」 「芸術における真理とは何か : ドゥルーズの fêlure とハイデガーの Riß」
「健康としての狂気とは何か : ドゥルーズ『批評と臨床』試論」
*** 「世界仰天ニュース」で富士銀行行員顧客殺人事件が特集されていた。何となく、他人事に思えないように感じる。ブラックコーヒーを流し込む。朝ご飯をろくに食べずにストラテラを飲むと気持ち悪い。夢の中で人を殺して、そのあとじわじわと警察に追い詰められて���くときのあの緊張感。
最近、小説を読んでいて面白くないときに、自分の頭の中で神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン……)がうまく分泌されていないから面白くないのか、それともその小説自体が根本的に面白くないのかの区別がつかなくなってきている。 ***
今日聴いた音楽。空廻「黒眼青影」、未来電波基地「立体駐車場」、TOOBOE「錠剤」、ビリー・アイリッシュ「all the good girls go to the hell」、ザ・スミス「Bigmouth Strikes Again」、ハチ「パンダヒーロー」
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腕っぷしではない紡��
村田は腕っぷしではない。異質感や違和感に場所や実感や体験が、何かの機会に等身大のサイズでどこかに滲ませている。それをごにょごにょと紡ぐ。そういう作家の小説の腕前は粗製乱造さえしなければ、いくらでも深くもなるし、別様の可能性に届いていく。「しびれ」や「にがみ」が次々にブンガクになっていく。読む者にその実感が伝染する。マジックも成功する。
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(https://1000ya.isis.ne.jp/1743.html)
松岡正剛の千夜千冊
1743夜
村田沙耶香
コンビニ人間
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12月 - 1月
読んだり見たりしたものの感想をつけていくのって大事なんじゃないかと最近思い始めた。(記録は読書メーターとFilmarksを使うことにした) 「暗い絵・顔の中の赤い月」野間宏 12月から読んで今日読み終わった。話は暗いんだけど描写に惹きつけられるものがあって楽しめた。こういう情景描写が書けたらいいなと久しぶりに思った。
「傲慢と善良」辻村深月 12月中に読んだ。話は自分向きではなかったので読んでて苦しかった。が、あっという間に読み終わった。苦しかったのは自分の心境と重なる部分が多かったからだと思う。ストーリー展開は気に食わなかったけど心理描写はすごかった。敵ポジションの女性達がめちゃくちゃイヤな感じで感動した。 「コンビニ人間」村田沙耶香 たぶん好きなやつだと思ってたけどやっぱり好きなやつだった。好き。
「あそびあそばせ」涼川りん なんかめちゃくちゃハマって1月中盤に繰り返し読んでた。初期の華子が異常行動してるらへんが特に好き。後半のシャネル先輩中心倒錯趣味っぽい感じは面白いけど共感できないかも。
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF QIN SHI HUANG
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“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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2024年11月27日 05時00分 「日本の小説ブーム」がイギリスで起きている、「猫」や「曖昧さ」などブームに不可欠な意外な要素とは?
2020年代前半のイギリスでは「日本の小説」が空前のブームとなっており、2022年にはイギリスにおける翻訳小説の売上の25%を日本小説が占め、2024年には翻訳小説の売上ランキングトップ40冊のうち40%超が日本小説でした。イギリスで日本小説がブームになっている理由や、イギリスで人気の日本小説にみられる特徴について、イギリスの日刊紙であるThe Guardianがまとめています。
Surrealism, cafes and lots (and lots) of cats: why Japanese fiction is booming | Fiction in translation | The Guardian https://www.theguardian.com/books/2024/nov/23/japanese-fiction-britain-translation
The Guardianによると、2024年にイギリスで最も多く売れた翻訳小説は、首都圏連続不審死事件をモチーフにした柚木麻子氏の「BUTTER(英題同じ)」だったとのこと。週刊誌の記者が獄中の犯人と面会するうちに影響を受けていく様子を描いたこの作品は日本でも話題となりましたが、イギリスでも大きな人気を博しています。
イギリスにおける日本小説の人気は今に始まったことではなく、1990年代には村上春樹氏と吉本ばなな氏の2人がブレイクし、特に村上氏の「ねじまき鳥クロニクル(英題:The Wind-Up Bird Chronicle)」はカルト的ともいえるヒット作となりました。2000年代初頭にイギリスの書店チェーン「Waterstones」で購買チームを率いていたスコット・パック氏によると、当時は出版されたどの村上氏の著作も仕入れが追いつかない状態だったとのこと。村上氏の大ファンだというパック氏は村上作品の魅力について、「とても親しみやすいのに、奇妙な感じがするのです」と語りました。
一方の吉本氏は、村上氏よりも早い1980年代後半~1990年代初頭から「キッチン(英題:Kitchen)」や「とかげ(英題:Lizard)」などの作品が英訳されていました。パック氏は「彼女が村上春樹より前から存在していたことを指摘するのは、非常に重要なことです」と述べています。吉本氏の作品は、しばしば個人的な悲劇を乗り越えようとする、疎外された女性を描いている点が特徴です。
村上氏と吉本氏の作品の共通点としてThe Guardianが挙げているのが、疎外感やシュールレアリスムの感覚、そして社会的な期待への抵抗感といった要素です。これらの作品は今日のイギリスでベストセラーとなっている日本小説にもみられますが、ここ10年間ほどで日本の作家の幅は大きく広がったとのこと。
2024年にイギリスで最も多く売れた翻訳小説トップ20に松本清張の「点と線(英題:Tokyo Express)」がランクインしたほか、村田沙耶香氏や川上弘美氏、川上未映子氏らが描く女性視点の小説も人気となっています。特に2018年に村田氏の「コンビニ人間(英題:Convenience Store Woman)」が出版されたことは大きな転機であり、同作はイギリスで50万部を超えるヒット作となりました。同作を含めて村田氏の翻訳小説を3冊出版している出版社「Granta」でアソシエイト・パブリッシング・ディレクターを務めるジェイソン・アーサー氏は、「彼女は驚異的な存在です」と述べています。
東京に20年間住んでおり、「コンビニ人間」の英訳も手がけた翻訳者のジニー・タプリー・タケモリ氏は、村田氏の成功は驚くべきものだとコメントしています。イギリスでは「コンビニ人間」を自閉症についての本だと考える人が大勢いますが、これについてタケモリ氏は「その見方は沙耶香氏が必ずしも意図したものではありませんでしたが、彼女は人々がそのように本作を見ることを気にしていません。彼女は、私たちが当たり前だと思っていることが、実はまったく普通ではないことを示しています」と語りました。
加えてイギリスにおける日本小説ブームを語る上で外せないのが、「癒やされる」や「心温まる」といった宣伝文句で売り出されている「comfort books(コンフォートブック)」というジャンルです。マスコミや文芸誌で大きく取り上げられることは少ないものの、イギリスでベストセラーとなっている日本小説の半分以上はコンフォートブックだとのこと。
コンフォートブックにはいくつかの頻出するモチーフがあり、「コーヒーショップ(例:川口俊和氏の『コーヒーが冷めないうちに(英題:Before the Coffee Gets Cold)』)」「書店や図書館(例:青山美智子氏の『お探し物は図書室まで(英題:What You Are Looking for Is in the Library)』)」「猫(例:新海誠氏原作の『彼女と彼女の猫(英題:She and Her Cat)』)」がそれに該当します。
イギリスで最も成功しているコンフォートブックの出版社「Doubleday」で副編集長を務めるジェーン・ローソン氏は、2017年に有川浩氏の「旅猫リポート(英題:The Travelling Cat Chronicles)」を出版し、シリーズ100万部以上を売り上げました。ローソン氏はコンフォートブックの興味深い点として、「性別や年齢などの垣根を越えて、老若男女を問わず多くの読者にとって魅力的なこと」を挙げています。こうしたジャンルは以前から存在していましたが、InstagramやBookTokの影響で、よりクールなものとしてみられるようになっているとのこと。
一方で、出版社がコンフォートブックにみられる共通のモチーフを追求するあまり、それが表層的なトレンドになっている点もThe Guardianは指摘しています。しかし、出版社にとって売上は非常に重要なため、売れていればOKという精神で既存作に似せていく試みは活発です。
実際、あるイギリスの出版社は「コンビニ人間(英題:Convenience Store Woman)」の人気にあやかるため、日本で「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」というタイトルで出版された花田菜々子氏の本を、「The Bookshop Woman」として出版しました。東アジア文学を専門とする文芸エージェントのリー・カンチン氏によると、この本はとてもよく売れているそうです。
また、表紙に猫が描かれていることは販売上とても有利だそうで、2024年の翻訳小説売上ランキング第5位になった八木沢里志の「森崎書店の日々(英題:Days at the Morisaki Bookshop)」のイギリス版の表紙では、物語に関係ないにもかかわらず猫が描かれています。なお、タケモリ氏はThe Guardianに対し、「日本では猫の本が大人気というわけではありません。存在はしていますが、イギリスほど大きなブームにはなっていません」と指摘しています。
特定のジャンルが優勢であることとは別に、日本文学がイギリスの読者を引きつける要素についてもThe Guardianは言及しています。日本文学を紹介するウェブサイト「Read Japanese Literature」を運営するアリソン・フィンチャー氏は、ジェンダーを超えたロボットやAIを描いた大原まり子氏のSF小説「ハイブリッド・チャイルド」が日本では1990年に刊行されていたことを指摘し、「日本文学は英文学より20年も前から、後期資本主義問題、ジェンダー、フェミニストの問題に対処し始めていたことに気付きました」と述べています。
また、カンチン氏は日本作家の多くが都市部に住んでおり、それが物語にも反映されていることを指摘。「この都市部の風景はイギリスの読者にとってなじみ深いと共に、東洋にあるため少し魅力的に感じるのだと思います」と述べています。書籍ブロガーのトニー・マローン氏も、「人々が求めているのは離れすぎていない『他者』なのです。つまり、心地よい他者ということです」と述べ、同様の魅力が日本小説にあると主張しました。
さらにタケモリ氏は、「日本小説は西洋小説と比べて批判的ではありません。西洋小説は物事が善か悪かに焦点を当てる傾向があります。一方で日本小説は、善と悪の境界がはるかに曖昧で、悪いキャラクターでも何かしらいい点を持っていることがあり、いいキャラクターにもしばしば欠点があります。小説の結末も、西洋のものよりずっとオープンです」と語っています。
出版業界は常にトレンドに左右されているため、日本小説のブームもいずれは過ぎ去るとみられていますが、評価の高い本はその後も残り続けます。たとえばカンチン氏は、偽装妊娠によって社会に反抗する女性を描いた八木詠美氏の「空芯手帳」などが文学研究の対象となるだろうと予想しています。
The Guardianは、「日本であれその他の国であれ、猫の本であれ犯罪小説であれ、結局のところフィクションが売れるのは、ジャンルや言語を超えた普遍性があるからです。フィンチャー氏が村田作品を評した『私たちは誰もが少し変であり、人間社会は奇妙なものです。この小説に登場するのは、私たち全員なのです』という言葉の通りです」と述べました。
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