#朝顔盆
Explore tagged Tumblr posts
longgoodbye1992 · 1 year ago
Text
サイドシートの君
ゆかは旅先で呼んだコールガール。
地元が近いのと趣味が合った事がきっかけで連絡先を交換した。
そしてお盆の帰省のタイミングで会う約束を決めた。
ゆかのいる町まで車で一時間ほど。
来るか来ないかは半信半疑だった。
約束を破るような子では無いと思ってはいたけれど、連絡の返信の遅さがちょっと気になっていて、来なければ来ないでいいやと思っていた。
約束の時間の十分前に待ち合わせ場所に着いて車を停めた。
ゆかに着いた事と車の特徴を書いたメッセージを送る。
来ても遅れるだろうと思い、二十分後に発走する競馬を予想して買った。
既読が着いたのは約束の時間を二分過ぎたあたり。
あと五分くらいで着くらしい。
少し安心した。
それから十分後にメッセージ。
車のナンバーはこれですか?と来て、車の後ろを振り向くと、こちらを見ているゆかと目が合った。
手招きをして助手席に呼ぶ。
ゆかが席に乗り込んでくる。
「すみません」
「久しぶり」
「お久しぶりです」
「元気だった?」
「はい」
「ありがとね、来てくれて」
「いえいえ」
「じゃあ行こうか」
プランを二つ提案した結果、神社に行って近くにある貝出汁のラーメンを食べることにした。
近くのコンビニでコーヒーを買う。
「そうだ、さっき競馬買ってたんだよね」
「そうなんですか」
「一緒に見る?」
「見ましょ��!」
一緒に見たレースは見事に的中だった。
ゆかも喜んでいた。
車を走らせる。
車内ではゆかが同棲中の彼氏に薦められて見た頭文字Dの話を熱く語っていた。
今度聖地巡礼に行くらしい。いろは坂はあのまんまだよと言っておいた。
ゆかが今日着ている服はライトなロリータ風のワンピースで、童顔の彼女にはそれがとても似合っていたので伝えた。
嬉しそうに笑うゆか。ロジータというブランドらしい。
田舎道を走っているとひまわり畑を見つけた。
下りてみると一面ひまわりが咲き誇っていて、その後方にある風力発電のプロペラがまたいい味を出していた。
Tumblr media
夢中で写真を撮るゆかは無邪気な少女のようで、転んてしまわないか心配になるくらいだった。
車を再び走らせて神社へ向かう。
険しい階段を上って本殿でお参りをする。
「五円あった」ゆかが財布から硬貨を取り出す。
「俺は欲張りだから五円が十倍あるように五十円にするよ」
「なるほど!」
神様に祈ったことは今日が楽しく終わりますように。きつねの神様は俺を助けてくれ���だろうか。
反対側に下りて行くと無数の赤い鳥居が並んでいる。何度来ても圧倒されるが、ゆかも同じだったようだ。
ここで少し雨が落ちてくるが気にせずに歩いていく。鳥居の中を歩いていくと横に水場がある。そこに咲く蓮の花を見つけたのでゆかに教えると鳥居から蓮にスマホを向けて撮影した。
Tumblr media
白い花びらが水から顔を出して咲く姿は可愛らしさだけではなく強さも感じた。何となくそれはゆかの姿にも重なった。
高台から鳥居が並ぶのを眺める。
Tumblr media
雨が本降りになってきたので木の下で雨宿り。
ゆかの持っている赤いバッグには傘が入っていないらしい。
「折りたたみもってくればよかった」
「雨降るなんて考えてなかったよ」
「県の真ん中の方は降るって聞いてたんだけどなぁ」
「しゃあないよ、ここ真ん中じゃないし」
しばらく経ってもやま���い雨。結局少し濡れながら歩くことにした。
雨降りにも関わらず別な色の蓮の花を見つけて二人で写真を撮った。
階段を上って下り、おみくじをひいた。
天然石が入ってるおみくじで、パワーストーンが好きなゆかにはぴったりだった。
昼食の時間になったので店へ向かうが、時期や時間もあって行列ができていたので、同じく貝出汁のラーメンを出している別な店で食べることにした。
運良くすぐに座れ、ゆかとあれこれ話した。
ゆかは小学校から高校まで卓球をしていたらしい。
大学ではクラゲの研究をしていて、クラゲの生態にも詳しかった。
「一応理系なんで」
確かに同人小説を書き方を聞いたら実に論理的に話を作っているなと感じていた。
そんな話をしているとラーメンが出来上がって食べた。貝の出汁とバターの風味がうまくマッチしていて絶品だった。ゆかも気に入ってくれたようだ。
Tumblr media
店の外に出るとまたもや雨。
近くの公園にあった遊具も濡れていた。
「晴れてたらやりたかったのになぁ」
「これじゃ濡れちゃうね」
残念そうにするゆか。
ここの段階で時間は十三時をまわっていた。ゆかは十六時くらいまでならと言っていたので、次の場所を迷ったが、思い切って賭けに出ることにした。
市街地へ車を走らせる。
「あのさ」
「ん、なに?」
「夜の仕事、まだやってるの?」
「いや、しばらくやってない。昼の仕事で稼げるようになったから。このままやめようと思ってる」
「そっか、昼の仕事が順調ならいいね」
「うん、もう知らない人に会わなくてもいい」
「お疲れ様。よう頑張ったと思うよ」
「彼には絶対言えないけどね」
「体調もよさそうだね」
「うん、抗うつ剤は飲んでないし、元気になったよ」
「よかったよ」
ゆかの手に触れて握ると、握り返してくれた。
川沿いの堤防を走る。
カーステレオからは真夏の果実。
市街地にあるホテルへ入り車を停めた。
ゆかの表情は暗くて見えなかった。
「いい?」
「タダじゃ嫌」
「そっか」
その返答は予測していた。元々は金で繋がった関係だ。
「いくらくれる?」
価格交渉が始まるが、割とすぐにまとまった。
タッチパネルで安い部屋を選んで入る。横にあるシャンプーバーの香りが鼻についた。
部屋に入ってソファに座る。
唇を重ね、ゆかの胸に顔をうずめた。
その後の事は何となくしか覚えていない。何度もキスをして、何度も愛を囁いた。
そして二人並んで眠った。
ゆかの寝息を聞きながら時間を気にしていた。
リミットの時間はとうに過ぎている。
目を覚ましたゆかに聞いた。
「時間大丈夫なの?」
「ああ、うん。別に花火があるからそれまでに帰れれば。そんな花火見たいわけじゃないんだけど」
その日はゆかの住む町で祭りがあって二十時から花火が上がる日だった。
「そっかそっか。一緒に見る?」
「うーん、誰かに見られると嫌だから」
「だよな」
その後はゆかの書いた小説を読んだ。そしたら俺もゆかに自分の書いた物を見せたくなった。
「ゆかの事書いた作品があるんだけど見る?」
「えー!恥ずかしいからやだ」
「まあまあ、自分だと思って見なきゃいいからさ」
「うーん、ちょっと興味はあるんだけどね」
そしてTumblrに投稿してたコールガールを見せた。
時に笑いながら、時に考えながら読んでいた。
「この表現好き」
ゆかを花に例えた部分が気に入ったらしい。
「人の書いたもの見ると勉強になる。すごく読みやすかった」
「ありがとう」
「今日の事も書くの?」
「そうだなぁ、たぶん書く」
「めっちゃ恥ずかしい」
そんな事を話しながら、不思議な関係だなと思った。
現実で会った人にTumblrを見せたのは初めてだった。
彼女でもなければセフレでも無い。そもそも会って二回目の関係なんだから名前をつけようにもまだ難しいだろう。
それでもこの関係は何だろうと思いながら気づけば温くなった風呂に二人で入っていた。
洗面台で歯を磨くゆかに後ろから抱きついたり、服を着るのを邪魔してみたりした。
帰路につく。
夕焼けの時間だった。
この様子だとゆかの町に着くのは十九時くらいになりそうだ。
「今日さ」
「うん」
「何で来てくれたの?」
「えっ、うーん…誘われたし暇だったから」
「そっか。お金もらえるって思ってた?」
「いや、それはない。ただ会ったらするかもなとは思ってた」
「そ��なんだ」
「うん」
途中の海辺で夕焼けの写真を撮った。
Tumblr media
「すごくいいね!あとで送って」
「いいよ、今送るよ」
すぐゆかに送った。
「ありがとう」
そっとゆかの手に触れた。自然と繋ぐ。
車は海沿いの道を駆け抜けていく。
町に着くと大勢の人で賑わっていた。
「どこで下ろせばいい?」
「真ん中は嫌だから…朝会ったとこ」
そこへ向かって車を進めると、警備の人が立っていて入れなかった。
「ちょっと入れないな…」
「うーん、どうしよう」
ぐるぐると町中を周る。
「やっぱ入れないよ」
「離れたとこなら一緒に見てもいい」
「えっ、あっ、そっか。じゃあそうしよか」
「うん」
「食べ物買いに行こか」
「屋台はダメだよ。知ってる人いるかもしれないから」
「そうだな。コンビニでいいか」
その町にある唯一のコンビニで食事を買った。
その隣りにある駐車場から花火が見えそうだったので、そこに停めて見ることに決めた。
花火が始まる。
ここでもゆかは写真を撮るのに夢中。
俺も撮ってみたけれど、信号が邪魔して上手く撮れなかった。
合間に見せてくれるゆかの写真は上手に撮れていた。
プログラムの間、ひたすらゆかはスマホをいじっている。その動きが止まると俺のスマホに通知が来た。
「アルバム作った」
開いてみるとトーク画面に日付が入ったアルバムが出来ていた。花火や蓮、ひまわりの写真がたくさんおさまっていた。
Tumblr media
「おー、いいね。ありがとう!」
「ふふっ」
ゆかはまた外にスマホを向けた。
「あの色はリンで…」
花火の色を見ながらそんな事を言っていた。
「覚えたことって言いたくなるよね」
ゆかが笑う。そうだなと俺も笑う。
あっという間に花火大会は終わった。
「帰ろっか」
「うん…」
帰りに降ろす場所を探しながら車を進めた。
「あっちに行くと公園がある」
「そこで降ろす?」
「いや、遠いからいい」
「行ってみようか?」
「うん」
公園に行くと暗くてよくわからなかったが、日中は眺めがいいだろうなと思った。
「あっちには小学校がある」
「行ってみよか」
何となくゆかの気持ちがわかった。
「あれだろ」
「なに」
「別れが惜しくなったんだろ?」 
笑いながら言った。
「でも明日は友達と遊ぶから泊まれない」
「もうちょっとドライブするか」
「うん」 
小学校へ入った。ゆかが通っていた小学校はかなりきつい坂の上だった。
「こんなのだからめっちゃ足腰鍛えられた」
「これは中々スパルタだな」
「でしょ」
小学校を後にして車を俺の地元方向へ走らせた。
「あれだよね」
「なに?」
「泊まっても寝ればいいじゃん」
「うーん」
「俺いびきかかないし」
「そうなんだ」
ゆかの右手に左手を重ねた。
「朝、めっちゃ早起きだよ?」
「いいよ。またここまで送るからさ」
「わかった」
「じゃあ、泊まろっか」
「親に連絡しとく」
コンビニでコンタクトの保存液とビールとほろ酔いを買った。
ホテルへ入る。今日二度目だ。
カラオケがついていたので酒を飲みながら二人で歌った。
夜は深くなっていく。
シャワーを浴びる。マシェリでゆかの髪を洗った。
洗面台でそれを乾かしてベッドへ入る。
互いに欲望のまま相手を求めあう。
眠っては起きて、キスをして、何度も何度も。
「俺に好きって言ってみてよ」
「言わない」
「いいじゃん、嘘でも言ってみなよ」 
「嫌だ言わない」
「そっか」
力一杯抱きしめて、それをゆかも返した。
俺は六月にあったことを話した。
自殺未遂のことも。
「ガチで死のうとしたんだね」
「うん、そうだよ」
「生きててよかったね」
「ほんとそう思う」
「今も彼女のこと好き?」
「いーや、全然」
「そっか」
「新しい好きな人いるらしいし」
「いなきゃ好きなの?」
「いや、そういうわけでもない。俺にはあわなかった」
「切り替え早いね」
ゆかの首筋にキスをして眠りについた。
結局は予��の時間にゆかは起きれなかった。
俺も軽くは起こしたけれど、別れを早くしたくないなんてエゴが出た。
「私ほんと時間にルーズなんだよね」
と言いながら、そんなに慌てないゆかが滑稽だった。
「私と付き合わない方いいよ」
「どうして?」
「時間守れないし、好きなこと話すと止まらないし」
「時間を守れないのはよくないな。でもそれはパートナーがちゃんとしてれば支え合っていけるんちゃうか?」
「うん…」
ワンピースを着ながらゆかは俺を見た。
「うしろのチャック閉める?」
「閉めよっか」
「自分でも出来るけど」
「いいよ、閉めるよ」
背中を向けたゆかの背中のファスナーを閉めた。
「上のボタンもかけて」
「はいはい」
ボタンを掛けて後ろから抱き締める。
「かわいいよ」
「ふふっ」
ゆかにかわいいと言うといつも笑う。
そんなとこはあざといのかもしれない。
「友達との待ち合わせ場所まで送ってくれるんでしょ?」
「うん、送るよ」
「やったー」
「そのかわり」
「なに?」
「お金は無しな」
「えー、少しも?」
「当たり前だろ。泊まったし送るんだし」
「ふふっ、そうだよね。わかった」
「交渉成立な」
「電車代浮いたからいいや」
「なんだよそれ」
ゆかが笑った。
ホテルを出てコンビニでコーヒーと朝食を買った。
予定時刻までに着かないのはわかっていた。
友達やら予約しているカラオケに電話をしながら、車の中でアイラインを引き、ルージュを塗った。
「ちょっとはおしゃれしないと」
「昨日と同じ服だけどね」
「それはしょうがない」
「そうだな」
「そうだ、スッピンどうだった?」
「あー、うん。可愛かったよ」
「ふふっ」
相変わらず笑う。
海辺を見ながらゆかは言った。
「普段海見ないけど、やっぱりこっちの海のが好き。向こうはなんか深くて怖いから」
戻ってこいよ。なんて言おうと思ったけど、別に俺がそれを言える立場じゃ無い。
「やっぱさ、十八年見た海は特別なんだね」
「確かにそうかもな」
「今回帰ったら、次見るのは冬か」
「その時も一緒に見たい」
「うん、いいよ。あっ、あとは会いに来てくれれば会えるよ」
「行きたいなとは思ってるよ」
海辺を過ぎて内陸へ入る。
あと五分で目的地。
信号で止まった時にゆかの唇を奪った。
信号の色が変わるのを感じで離れる。
ゆかの表情はどこか寂しげだった。いや、そう思いたいからそう見えたのかもしれない。
カラオケの前で降りる間際にもキスをした。
去り際にゆかは俺を見てこう言った。
「死なないでね」
短いけど重い言葉だった。
「そっちもな」
車を大通りへと向かわせる。
何度もゆかの耳元で囁いた言葉を思い出す。
車線を変えながら車を一台二台と抜いた。
「俺って本当に」
アクセルを踏んで帰路につく。
サイドシートにマシェリの香り。
21 notes · View notes
fukagawakaidan · 5 months ago
Text
「お化けの棲家」に登場したお化け。
1、骨女〔ほねおんな〕 鳥山石燕の「今昔画 図続百鬼』に骨だけ の女として描かれ、 【これは御伽ぼうこうに見えたる年ふる女の骸骨、牡丹の灯籠を携へ、人間の交をなせし形にして、もとは剪灯新話のうちに牡丹灯記とてあり】と記されている。石燕が描いた骨女 は、「伽婢子」「牡丹灯籠」に出てくる女つゆの亡霊、弥子(三遊亭円朝の「怪談牡丹灯 籠」ではお露にあたる)のことをいっている。これとは別物だと思うが、「東北怪談の旅」にも骨女という妖怪がある。 安永7年~8年(1778年~1779年)の青森に現れたもので、盆の晩、骸骨女がカタリカタリと音をたてて町中を歩いたという。この骨女は、生前は醜いといわれていたが、 死んでからの骸骨の容姿が優れているので、 人々に見せるために出歩くのだという。魚の骨をしゃぶることを好み、高僧に出会うと崩れ落ちてしまうという。 「鳥山石燕 画図百鬼夜行」高田衛監修・稲 田篤信・田中直日編 「東北怪談の旅」山田 野理夫
2、堀田様のお人形
以下の話が伝わっている。 「佐賀町に堀田様の下屋敷があって、うちの先祖はそこの出入りだったの。それで、先代のおばあさんが堀田様から“金太郎”の人形を拝領になって「赤ちゃん、赤ちゃん」といわれていたんだけど、この人形に魂が入っちゃって。関東大震災のとき、人形と一緒に逃げたら箱の中であちこちぶつけてこぶができたから、修復してもらうのに鼠屋っていう人形師に預けたんだけど少しすると修復されずに返ってきた。聞くと「夜になると人形が夜泣きしてまずいんです」と言われた。 (『古老が語る江東区のよもやま話』所収)
3、ハサミの付喪神(つくもがみ)
九十九神とも表記される。室町時代に描かれた「付喪神絵巻」には、「陰陽雑記云器物百年を経て化して精霊を得てよく人を訛かす、是を付喪神と号といへり」 という巻頭の文がある。 煤祓いで捨てられた器物が妖怪となり、物を粗末に扱う人間に対して仕返しをする���いう内容だ が、古来日本では、器物も歳月を経ると、怪しい能力を持つと考えられていた。 民俗資料にも擂り粉木(すりこぎ)や杓文字、枕や蒲団といった器物や道具が化けた話しがある。それらは付喪神とよばれていないが、基本的な考え方は「付喪神絵巻」にあるようなことと同じで あろう。 (吉川観方『絵画に見えたる妖怪』)
4、五徳猫(ごとくねこ)  五徳猫は鳥山石燕「画図百器徒然袋」に尾が2つに分かれた猫又の姿として描かれており、「七徳の舞をふたつわすれて、五徳の官者と言いしためしも あれば、この猫もいかなることをか忘れけんと、夢の中におもひぬ」とある。鳥山石燕「画図百器徒然袋」の解説によれば、その姿は室町期の伝・土佐光信画「百鬼夜行絵巻」に描かれた五徳猫を頭に 乗せた妖怪をモデルとし、内容は「徒然袋」にある「平家物語」の 作者といわれる信濃前司行長にまつわる話をもとにしているとある。行長は学識ある人物だったが、七徳の舞という、唐の太宗の武の七徳に基づく舞のうち、2つを忘れてしまったために、五徳の冠者のあだ名がつけられた。そのため、世に嫌気がさし、隠れて生活するようになったという。五徳猫はこのエピソードと、囲炉裏にある五徳(薬缶などを載せる台)を引っ掛けて創作された 妖怪なのであろう。ちなみに土佐光信画「百鬼夜行絵巻」に描かれている妖怪は、手には火吹き 竹を持っているが、猫の妖怪ではなさそうである。 ( 高田衛監修/稲田篤信・田中直日編『鳥山石燕画図百鬼夜行』)→鳥山石燕『百器徒然袋』より 「五徳猫」
5、のっぺらぼー 設置予定場所:梅の井 柳下 永代の辺りで人魂を見たという古老の話しです。その他にも、背中からおんぶされて、みたら三つ目 小僧だったり、渋沢倉庫の横の河岸の辺りでのっぺらぼーを見たという話しが残っています。 (『古老が語る江東区のよもやま話』所収) のっぺらぼーは、顔になにもない卵のような顔の妖怪。特に小泉八雲『怪談』にある、ムジナの話が良く知られている。ある男が東京赤坂の紀国坂で目鼻口のない女に出会い、驚き逃げて蕎麦 屋台の主人に話すと、その顔も同じだったという話。その顔も同じだったという話。
6、アマビエアマビエ 弘化3年(1846年) 4月中旬と記 された瓦版に書かれているもの。 肥後国(熊本県)の海中に毎夜光るものが あるので、ある役人が行ってみたところ、ア マビエと名乗る化け物が現れて、「当年より はやりやまいはや 6ヵ月は豊作となるが、もし流行病が流行ったら人々に私の写しを見せるように」といって、再び海中に没したという。この瓦版には、髪の毛が長く、くちばしを持った人魚のようなアマビエの姿が描かれ、肥後の役人が写したとある。 湯本豪一の「明治妖怪新聞」によれば、アマピエはアマピコのことではないかという。 アマピコは瓦版や絵入り新聞に見える妖怪で、 あま彦、天彦、天日子などと書かれる。件やクダ部、神社姫といった、病気や豊凶の予言をし、その絵姿を持っていれば難から逃れられるという妖怪とほぼ同じものといえる。 アマビコの記事を別の瓦版に写す際、間違 えてアマビエと記してしまったのだというのが湯本説である。 『明治妖怪新聞」湯本豪一「『妖怪展 現代に 蘇る百鬼夜行』川崎市市民ミュージアム編
7、かさばけ(傘お化け) 設置予定場所:多田屋の入口作品です。 一つ目あるいは、二つ目がついた傘から2本の腕が伸び、一本足でピョンピョン跳ねまわる傘の化け物とされる。よく知られた妖怪のわりには戯画などに見えるくらいで、実際に現れたなどの記録はないようである。(阿部主計『妖怪学入門』)歌川芳員「百種怪談妖物双六」に描 かれている傘の妖怪「一本足」
8、猫股(ねこまた)  猫股は化け猫で、尻尾が二股になるまで、齢を経た猫 で、さまざまな怪しいふるまいをすると恐れられた。人をあざむき、人を食らうともいわれる。飼い猫が年をとり、猫股になるため、猫を長く飼うもので はないとか、齢を経た飼い猫は家を離れて山に入り、猫股 になるなどと、各地に俗信がある。 このような猫の持つ妖力から、歌舞伎ではお騒動と化け猫をからめて「猫騒動もの」のジャンルがあり、
「岡崎の猫」「鍋島の猫」「有馬の猫」が三代化け猫とされる。
9、毛羽毛現(けうけげん) 設置予定場所:相模屋の庭 鳥山石燕の「今昔百鬼拾遺」に毛むくじゃらの妖怪として描かれた もので、 「毛羽毛現は惣身に毛生ひたる事毛女のごとくなればかくいふ か。或いは希有希現とかきて、ある事まれに、見る事まれなれば なりとぞ」とある。毛女とは中国の仙女のことで、華陰の山中(中国陝西省陰県の西 獄華山)に住み、自ら語るところによると、もともとは秦が亡んだため 山に逃げ込んだ。そのとき、谷春という道士に出会い、松葉を食すことを教わって、遂に寒さも飢えも感じなくなり、身は空を飛ぶほど軽くなった。すでに170余年経つなどと「列仙伝」にある。この毛羽毛現は家の周辺でじめじめした場所に現れる妖怪とされるが、実際は石燕の創作妖 怪のようである。 (高田衛監修/稲田篤信・田中直日編『鳥山石燕 画図百鬼夜行』→鳥山石燕��今昔百鬼 拾遺」より「毛羽毛現」
10、河童(かっぱ) 設置予定場所:猪牙船 ◇ 河童(『耳袋』) 江戸時代、仙台藩の蔵屋敷に近い仙台堀には河童が出たと言われています。これは、子どもたちが、 なんの前触れもなく掘割におちてしまう事が続き探索したところ、泥の中から河童が出てきたというも のです。その河童は、仙台藩の人により塩漬けにして屋敷に保管したそうです。 ◇ 河童、深川で捕獲される「河童・川太郎図」/国立歴史民俗博物館蔵 深川木場で捕獲された河童。河童は川や沼を住処とする妖怪で、人を水中に引き込む等の悪事を働く 反面、水の恵みをもたらす霊力の持ち主として畏怖されていた ◇ 河童の伝説(『江戸深川情緒の研究』) 安永年間(1772~1781) 深川入船町であった話しです。ある男が水浴びをしていると、河童がその男 を捕えようとしました。しかし、男はとても強力だったので逆に河童を捕えて陸に引き上げ三十三間堂の前で殴り殺そうとしたところ、通りかかった人々が河童を助けました。それ以来、深川では河童が人 間を捕らなくなったといいます。→妖怪画で知られる鳥山石燕による河童
11、白容商〔しろうねり〕
鳥山石燕「画図百器 徒然袋」に描かれ、【白うるりは徒然のならいなるよし。この白うねりはふるき布巾のばけたるものなれども、外にならいもやはべると、夢のうちにおもひぬ】 と解説されている。白うるりとは、吉田兼好の『徒然草」第六十段に登場する、 芋頭(いもがしら)が異常に好きな坊主のあだ名である。  この白うるりという名前に倣って、布雑巾 の化けたものを白容裔(しろうねり)と名づけたといっているので、つまりは石燕の創作妖怪であろう。古い雑巾などが化けて人を襲う、などの説 明がされることがあるが、これは山田野理夫 の『東北怪談の旅』にある古雑巾の妖怪を白 容裔の話として使ったにすぎない。 『鳥山石燕画図百鬼夜行』高田衛監修・稲 田篤信・田中直日編
12、轆轤首〔ろくろくび〕
抜け首、飛頭蛮とも つな いう。身体から首が完全に分離して活動する ものと、細紐のような首で身体と頭が繋がっているものの二形態があるようである。 日本の文献には江戸時代から多くみえはじ め、『古今百物語評判』『太平百物語』『新説 百物語」などの怪談集や、『甲子夜話』『耳 囊」「北窓瑣談」「蕉斎筆記』『閑田耕筆』と いった随筆の他、石燕の『画図百鬼夜行」に 代表される妖怪画にも多く描かれた。 一般的な轆轤首の話としては、夜中に首が 抜け出たところを誰かに目撃されたとする内 容がほとんどで、下働きの女や遊女、女房、 娘などと女性である場合が多い。 男の轆轤首は「蕉斎筆記』にみえる。 ある夜、増上寺の和尚の胸の辺りに人の 首が来たので、そのまま取って投げつけると、 どこかへいってしまった。翌朝、気分が悪いと訴えて寝ていた下総出 身の下働きの男が、昼過ぎに起き出して、和 尚に暇を乞うた。わけ その理由を問えば、「昨夜お部屋に首が参りませんでしたか」と妙なことを訊く。確か に来たと答えると、「私には抜け首の病があります。昨日、手水鉢に水を入れるのが遅い とお叱りを受けましたが、そんなにお叱りに なることもないのにと思っていると、 夜中に首が抜けてしまったのです」 といって、これ以上は奉公に差支えがあるからと里に帰って しまった。 下総国にはこの病が多いそうだと、 「蕉斎筆記』は記している。  轆轤首を飛頭蛮と表記する文献があるが、 これはもともと中国由来のものである。「和漢三才図会』では、『三才図会」「南方異 物誌」「太平広記」「搜神記』といった中国の 書籍を引いて、飛頭蛮が大闍波国(ジャワ) や嶺南(広東、広西、ベトナム)、竜城(熱 洞省朝陽県の西南の地)の西南に出没したことを述べている。昼間は人間と変わらないが、夜になると首 が分離し、耳を翼にして飛び回る。虫、蟹、 ミミズなどを捕食して、朝になると元通りの 身体になる。この種族は首の周囲に赤い糸のような傷跡がある、などの特徴を記している。中国南部や東南アジアには、古くから首だけの妖怪が伝わっており、マレーシアのポン ティアナやペナンガルなどは、現在でもその 存在が信じられている。 日本の轆轤首は、こうした中国、東南アジ アの妖怪がその原型になっているようである。 また、離魂病とでもいうのだろうか、睡眠中に魂が抜け出てしまう怪異譚がある。例えば「曽呂利物語」に「女の妄念迷い歩 <事」という話がある。ある女の魂が睡眠中に身体から抜け出て、 野外で鶏になったり女の首になったりしているところを旅人に目撃される。旅人は刀を抜いてその首を追いかけていく と、首はある家に入っていく。すると、その家から女房らしき声が聞こえ、 「ああ恐ろしい夢を見た。刀を抜いた男が追 いかけてきて、家まで逃げてきたところで目 が醒めた」などといっていたという話である。これの類話は現代の民俗資料にも見え、抜け出た魂は火の玉や首となって目撃されている。先に紹介した「蕉斎筆記』の男の轆轤首 も、これと同じように遊離する魂ということ で説明ができるだろう。 轆轤首という妖怪は、中国や東南アジア由 来の首の妖怪や、離魂病の怪異譚���見世物に 出た作りものの轆轤首などが影響しあって、 日本独自の妖怪となっていったようである。 【和漢三才図会』寺島良安編・島田勇雄・竹 島淳夫・樋口元巳訳注 『江戸怪談集(中)』 高田衛編/校注『妖異博物館』柴田宵曲 『随筆辞典奇談異聞編」柴田宵曲編 『日本 怪談集 妖怪篇』今野円輔編著 『大語園』巌谷小波編
13、加牟波理入道〔がんばりにゅうどう〕
雁婆梨入道、眼張入道とも書く。便所の妖怪。 鳥山石燕の「画図百鬼夜行」には、便所の台があるよう 脇で口から鳥を吐く入道姿の妖怪として描かれており、【大晦日の夜、厠にゆきて「がんばり入道郭公」と唱ふれば、妖怪を見さるよし、世俗のしる所也。もろこしにては厠 神名を郭登といへり。これ遊天飛騎大殺将軍 とて、人に禍福をあたふと云。郭登郭公同日 は龕のの談なるべし】と解説されている。 松浦静山の『甲子夜話」では雁婆梨入道という字を当て、厠でこの名を唱えると下から入道の頭が現れ、 その頭を取って左の袖に入れてまたとりだすと 頭は小判に変化するなどの記述がある。 「がんばり入道ホトトギス」と唱えると怪異 にあわないというのは、江戸時代にいわれた 俗信だが、この呪文はよい効果を生む(前述 ことわざわざわい ●小判を得る話を含め)場合と、禍をよぶ 場合があるようで、「諺苑」には、大晦日�� この話を思い出せば不祥なりと書かれている。 また、石燕は郭公と書いてホトトギスと読ませているが、これは江戸時代では郭公とホト トギスが混同されていたことによる。 ホトトギスと便所との関係は中国由来のようで、「荊楚歲時記』にその記述が見える。 ホトトギスの初鳴きを一番最初に聞いたもの は別離することになるとか、その声を真似すると吐血するなどといったことが記されており、厠に入ってこの声を聞くと、不祥事が起 こるとある。これを避けるには、犬の声を出 して答えればよいとあるが、なぜかこの部分 だけは日本では広まらなかったようである。 『鳥山石燕画図百鬼夜行』高田衛監修・稲 田篤信・田中直日編 『江戸文学俗信辞典』 石川一郎編『史実と伝説の間」李家正文
14、三つ目小僧
顔に三つの目を持つ童子姿の妖怪。 長野県東筑摩郡教育委員会による調査資料に名は見られるが、資料中には名前があるのみ で解説は無く、どのような妖怪かは詳細に語られていない。 東京の下谷にあった高厳寺という寺では、タヌキが三つ目小僧に化けて現れたという。このタヌ キは本来、百年以上前の修行熱心な和尚が境内に住まわせて寵愛していたために寺に住みついたものだが、それ以来、��を汚したり荒らしたりする者に対しては妖怪となって現れるようになり、体の大きさを変えたり提灯を明滅させて人を脅したり、人を溝に放り込んだりしたので、人はこれ を高厳寺小僧と呼んで恐れたという。困った寺は、このタヌキを小僧稲荷として境内に祀った。この寺は現存せず、小僧稲荷は巣鴨町に移転している。 また、本所七不思議の一つ・置行堀の近くに住んでいたタヌキが三つ目小僧に化けて人を脅したという言い伝えもある。日野巌・日野綏彦 著「日本妖怪変化語彙」、村上健司校訂 編『動物妖怪譚』 下、中央公論新社〈中公文庫〉、2006年、301頁。 佐藤隆三『江戸伝説』坂本書店、1926年、79-81頁。 『江戸伝説』、147-148頁。
15、双頭の蛇 設置予定場所:水茶屋 「兎園小説」には、「両頭蛇」として以下の内容が著してある。 「文政7年(1824)11月24日、本所竪川通りの町方掛り浚場所で、卯之助という男性 が両頭の蛇を捕まえた。長さは3尺あったという。」
文政7年(1824)11月24日、一の橋より二十町程東よりの川(竪川、現墨田区)で、三尺程の 「両頭之蛇」がかかったと言う話です。詳細な図解が示されています。 (曲亭馬琴「兎園小説」所収『兎園小説』(屋代弘賢編『弘賢随筆』所収) 滝沢馬琴他編 文政8年(1825) 国立公文書館蔵
16、深川心行寺の泣き茶釜
文福茶釜は「狸」が茶釜に化けて、和尚に恩返しをする昔話でよく知られています。群馬県館林の茂 林寺の話が有名ですが、深川2丁目の心行寺にも文福茶釜が存在したといいます。『新撰東京名所図会』 の心行寺の記述には「什宝には、狩野春湖筆涅槃像一幅 ―及び文福茶釜(泣茶釜と称す)とあり」 とあります。また、小説家の泉鏡花『深川浅景』の中で、この茶釜を紹介しています。残念ながら、関 東大震災(1923年)で泣茶釜は、他の什物とともに焼失してしまい、文福茶釜(泣き茶釜)という狸が 化けたという同名が残るのみです。鳥山石燕「今昔百鬼拾遺」には、館林の茂森寺(もりんじ)に伝わる茶釜の話があります。いくら湯を 汲んでも尽きず、福を分け与える釜といわれてい��す。 【主な参考資料】村上健司 編著/水木しげる 画『日本妖怪大辞典』(角川出版)
17、家鳴(やなり) 設置予定場所:大吉、松次郎の家の下)  家鳴りは鳥山石燕の「画図百鬼夜行」に描かれたものだが、(石燕は鳴屋と表記)、とくに解説はつけられて いない。石燕はかなりの数の妖怪を創作しているが、初期の 「画図百鬼夜行」では、過去の怪談本や民間でいう妖怪などを選んで描いており、家鳴りも巷(ちまた)に知られた妖怪だったようである。 昔は何でもないのに突然家が軋むことがあると、家鳴りのような妖怪のしわざだと考えたようである。小泉八雲は「化け物の歌」の中で、「ヤナリといふ語の・・・それは地震中、家屋の震動 する音を意味するとだけ我々に語って・・・その薄気 味悪い意義を近時の字書は無視して居る。しかし此語 はもと化け物が動かす家の震動の音を意味して居た もので、眼には見えぬ、その震動者も亦(また) ヤナ リと呼んで居たのである。判然たる原因無くして或る 家が夜中震ひ軋り唸ると、超自然な悪心が外から揺り動かすのだと想像してゐたものである」と延べ、「狂歌百物語」に記載された「床の間に活けし立ち木も倒れけりやなりに山の動く掛軸」という歌を紹介している。 (高田衛監修/稲田篤信・田中直日編『鳥山石燕画図百鬼夜行』、『小泉八雲全集』第7巻)
18、しょうけら 設置予定場所:おしづの家の屋根 鳥山石燕「画図百鬼夜行」に、天井の明かり取り窓を覗く妖怪として描かれているもの。石燕による解説はないが、 ショウケラは庚申(こうしん) 信仰に関係したものといわれる。 庚申信仰は道教の三尸(さんし)説がもとにあるといわ れ、60日ごとに巡ってくる庚申の夜に、寝ている人間の身 体から三尸虫(頭と胸、臍の下にいるとされる)が抜け出し、天に昇って天帝にその人の罪科を告げる。この報告により天帝は人の命を奪うと信じられ、対策とし て、庚申の日は眠らずに夜を明かし、三尸虫を体外に出さ ないようにした。また、これによる害を防ぐために「ショウケラはわたとてまたか我宿へねぬぞねたかぞねたかぞ ねぬば」との呪文も伝わっている。 石燕の描いたショウケラは、この庚申の日に現れる鬼、ということがいえるようである。
19、蔵の大足
御手洗主計という旗本の屋敷に現れた、長さ3尺程(約9m)の大足。(「やまと新聞」明治20年4月29日より)
20、お岩ちょうちん
四世鶴屋南北の代表作である「東海道四谷怪談」のお岩 を、葛飾北斎は「百物語シリーズ」の中で破れ提灯にお岩が 宿る斬新な構図で描いている。北斎は同シリーズで、当時の 怪談話のもう一人のヒロインである「番町皿屋敷の��菊」も描 く。「東海道四谷怪談」は、四世南北が暮らし、没した深川を舞台にした生世話物(きぜわもの)の最高傑作。文政8年(1825) 7月中村座初演。深川に住んだ七代目市川團十郎が民谷伊 右衛門を、三代目尾上菊五郎がお岩を演じた。そのストーリーは当時評判だった実話を南北が取材して描 いている。男女が戸板にくくられて神田川に流された話、また 砂村隠亡堀に流れついた心中物の話など。「砂村隠亡堀の場」、「深川三角屋敷の場」など、「四谷怪 談」の中で深川は重要な舞台として登場する。
21、管狐(くだぎつね)  長野県を中心にした中部地方に多く分布し、東海、関東南部、東北の一部でいう憑き物。関東 南部、つまり千葉県や神奈川県以外の土地は、オサキ狐の勢力になるようである。管狐は鼬(いたち)と鼠(ねずみ)の中間くらいの小動物で、名前の通り、竹筒に入ってしまうほどの大きさだという。あるいはマッチ箱に入るほどの大きさで、75匹に増える動物などとも伝わる個人に憑くこともあるが、それよりも家に憑くものとしての伝承が多い。管狐が憑いた家は管屋(くだや)とか管使いとかいわれ、多くの場合は「家に憑いた」ではなく「家で飼っている」という表現をしている。管狐を飼うと金持ちになるといった伝承はほとんどの土地でいわれることで、これは管 狐を使って他家から金や品物を集めているからだなどという。また、一旦は裕福になるが、管狐は 大食漢で、しかも75匹にも増えるのでやがては食いつぶされるといわれている。 同じ狐の憑き物でも、オサキなどは、家の主人が意図しなくても、狐が勝手に行動して金品を集 めたり、他人を病気にするといった特徴があるが、管狐の場合は使う者の意図によって行動すると考えられているようである。もともと管狐は山伏が使う動物とされ、修行を終えた山伏が、金峰山 (きんぷさん)や大峰(おおみね)といった、山伏に官位を出す山から授かるものだという。山伏は それを竹筒の中で飼育し、管狐の能力を使うことで不思議な術を行った。 管狐は食事を与えると、人の心の中や考えていることを悟って飼い主に知らせ、また、飼い主の 命令で人に取り憑き、病気にしたりするのである。このような山伏は狐使いと呼ばれ、自在に狐を 使役すると思われていた。しかし、管狐の扱いは難しく、いったん竹筒から抜け出た狐を再び元に 戻すのさえ容易ではないという。狐使いが死んで、飼い主不在となった管狐は、やがて関東の狐の親分のお膝元である王子村(東京都北区)に棲むといわれた。主をなくした管狐は、命令する者がいないので、人に憑くことはないという。 (石塚尊���『日本の憑きもの』、桜井徳太郎編『民間信仰辞典』、金子準二編著『日本狐憑史資料 集成』)
22、かいなで 設置予定場所: 長屋の厠 京都府でいう妖怪。カイナゼともいう。節分の夜に便所へ行くとカイナデに撫でられるといい、これを避けるには、「赤い紙やろうか、白い紙やろうか」という呪文を唱えればよいという。 昭和17年(1942年)頃の大阪市立木川小学校では、女子便所に入ると、どこからともなく「赤い 紙やろか、白い紙やろか」と声が聞こえてくる。返事をしなければ何事もないが、返事をすると、尻を舐められたり撫でられたりするという怪談があったという。いわゆる学校の怪談というものだが、 類話は各地に見られる。カイナデのような家庭内でいわれた怪異が、学校という公共の場に持ち込まれたものと思われる。普通は夜の学校の便所を使うことはないだろうから、節分の夜という条件が消失してしまったのだろう。 しかし、この節分の夜ということは、実に重要なキーワードなのである。節分の夜とは、古くは年越しの意味があり、年越しに便所神を祭るという風習は各地に見ることができる。その起源は中国に求められるようで、中国には、紫姑神(しこじん)という便所神の由来を説く次のような伝説がある。 寿陽県の李景という県知事が、何媚(かび) (何麗卿(かれいきょう)とも)という女性を迎えたが、 本妻がそれを妬み、旧暦正月 15 日に便所で何媚を殺害した。やがて便所で怪異が起こるようになり、それをきっかけに本妻の犯行が明るみに出た。後に、何媚を哀れんだ人々は、正月に何媚を便所の神として祭祀するようになったという(この紫姑神は日本の便所神だけではなく、花子さんや紫婆(むらさきばばあ)などの学校の怪談に登場する妖怪にも影響を与えている。) 紫姑神だけを日本の便所神のルーツとするのは安易だが、影響を受けていることは確かであろう。このような便所神祭祀の意味が忘れられ、その記憶の断片化が進むと、カイナデのような妖怪が生まれてくるようである。 新潟県柏崎では、大晦日に便所神の祭りを行うが、便所に上げた灯明がともっている間は決して便所に入ってはいけないといわれる。このケースは便所神に対する信仰がまだ生きているが、便所神の存在が忘れられた例が山田野理夫『怪談の世界』に見える。同書では、便所の中で「神くれ神くれ」と女の声がしたときは、理由は分からなくとも「正月までまだ遠い」と答えればよいという。便所神は正月に祀るものという断片的記憶が、妖怪として伝えられたものといえる。また、「赤い紙やろうか、白い紙やろうか」という呪文も、便所神の祭りの際に行われた行為の名残を伝えて いる。便所神の祭りで紙製の人形を供える土地は多く、茨城県真壁郡では青と赤、あるいは白と赤の 男女の紙人形を便所に供えるという。つまり、カイナデの怪異に遭遇しな��ために「赤い紙やろう か、白い紙やろうか」と唱えるのは、この供え物を意味していると思われるのである。本来は神様に供えるという行為なのに、「赤とか白の紙をやるから、怪しいふるまいをするなよ」というように変化してしまったのではないだろうか。さらに、学校の怪談で語られる便所の怪異では、妖怪化した便所神のほうから、「赤い紙やろうか、白い紙やろうか」とか「青い紙やろうか、赤い紙やろうか」というようになり、より妖怪化が進ん でいったようである。こうしてみると、近年の小学生は古い信仰の断片を口コミで伝え残しているともい���る。 島根県出雲の佐太神社や出雲大社では、出雲に集まった神々を送り出す神事をカラサデという が、氏子がこの日の夜に便所に入ると、カラサデ婆あるいはカラサデ爺に尻を撫でられるという伝 承がある。このカラサデ婆というものがどのようなものか詳細は不明だが、カイナデと何か関係があるのかもしれない。 (民俗学研究所編『綜合日本民俗語彙』、大塚民俗学会編『日本民俗学事典』、『民間伝承』通巻 173号(川端豊彦「厠神とタカガミと」)ほか)
23、木まくら 展示予定場所:政助の布団の上 江東区富岡にあった三十三間堂の側の家に住んだ医師が病気になり、元凶を探した所 黒く汚れた木枕が出た。その枕を焼くと、死体を焼く匂いがして、人を焼くのと同じ時間がかかったという。 (『古老が語る江東区のよもやま話』所収)
24、油赤子〔あぶらあかご〕鳥山石燕の『今昔 画図続百鬼』に描かれた妖怪。【近江国大津 の八町に、玉のごとくの火飛行する事あり。土人云「むかし志賀の里に油うるものあり。 夜毎に大津辻の地蔵の油をぬすみけるが、その者死て魂魄炎となりて、今に迷いの火となれる」とぞ。しからば油をなむる赤子は此ものの再生せしにや】と記されている。 石燕が引いている【むかし志賀(滋賀) の】の部分は、「諸国里人談』や『本朝故事 因縁集」にある油盗みの火のことである。油盗みの火とは、昔、夜毎に大津辻の地蔵 の油を盗んで売っていた油売りがいたが、死 後は火の玉となり、近江大津(滋賀県大津 市)の八町を縦横に飛行してまわったという もの。石燕はこの怪火をヒントに、油を嘗める赤ん坊を創作したようである。 『鳥山石燕画図百鬼夜行』高田衛監修・稲 田篤信・田中直日編 『一冊で日本怪異文学 100冊を読む」檜谷昭彦監修『日本随筆大成編集部編
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
3 notes · View notes
myonbl · 5 months ago
Text
2024年8月17日(土)
Tumblr media
先週の金曜日から夏休みスタート、関東落語遠征を楽しんだ後はそのまま盆休みへ。体感通り、体重が漸増している。4月以降<平日空腹健康プロジェクト>の展開で右肩下がりで来ていたものが、この1週間に限定すれば大きく反発してしまった。もちろんこれは想定内、週明けからは仕事を再開するので漸減化に舵をきることは間違いない。次のチェックポイントは9月9日の内科受診、主治医に大きな顔ができるように頑張ろう。
Tumblr media
2時30分起床。
日誌書く。
二度寝。
5時30分起床。
シャワー、体重は150g減。
Tumblr media
朝食。
洗濯。
珈琲。
週明けからの仕事再開に向けて、あれこれスケジュール調整。
高校野球を流しながら、片付けもの。
Tumblr media
ランチ、ツレアイには伊勢うどん、次男は素麺、三男はラーメン。
Tumblr media
コレモ七条店で買物、穀物酢・茄子・薄揚げ・豆腐。
ツレアイは「薬害をめぐるコンフリクトと制度化ー社会秩序形成過程にみる薬害の社会学」の研究グループからのインタビュー、京都タワービルの会議室へと向かう。
残りもので軽くランチ。
軽く午睡。
セブンイレブンでヱビスビールとハーゲンダッツ購入、ツレアイの慰労品。
肉じゃが仕込む。
組長さんが、地蔵盆の会費を徴収に、¥3,000。
彼女は18時頃帰宅、さっそくココに点滴。
Tumblr media
夕飯、肉じゃが・茄子と薄揚げの炊いたん・レタスとトマト、息子たちにはスパークリングワイン、私たちはヱビスビール・玉乃光・🍷。
録画番組視聴、刑事コロンボ。
第28話「祝砲の挽歌」/ By Dawn's Early Lightシーズン 1, エピソード 28 私立の陸軍幼年学校の校長ラムフォード大佐は、経営不振の学校を共学の短大に変えようとしていた。しかし、創立者の孫で、現理事長のヘインズはラムフォードの意見に批判的で二人は対立していた。学校開校記念日の式典が開かれる早朝、ラムフォードは式典で使われる空砲に強力な爆薬を仕掛ける。
片付け、入浴。
日誌は明日のことに。
Tumblr media
二度外に出たので、歩数はクリア、3つのリングも余裕で完成。
4 notes · View notes
orotimike · 5 months ago
Text
いつも、いつもいつもわたしは何処に向かっているのだろうかと思ふ。ここ最近はInstagramにお熱で、手帳の更新をせっせとしていたのだけれど、それも少し飽きてしまって、飲酒しつつ、けっきょくはゆらゆらと絵を描いたり本を読んで過ごしている、つまり集中力がないのだった!
お盆前に滑り込んだ心療内科は病んだ人間でぎゅうぎゅうで、それまで元気だったわたしも一気に具合が悪くなってひどく項垂れてしまい、順番が回ってきた頃にはすっかり疲れ果てていた、それでも医者の顔を見ると、何か、何か話さなくては、と思い、最近はいかがでしたか、との問いに「元気です」と微笑んでみせ、そうすると、医者も安心したように微笑むので、〝わたしは患者だけれども、出来うる限りあなたを困らせたくはない〟と思う気持ちが勝り、その後のやり取りも短く、事実、わたしの診察は3分ほどで終わった。会計では、いつも冷静な女性が釣り銭を間違え、恥ずかし紛れの笑顔をわたしに初めて見せ、この女も、笑えば可愛いこと!といふ新しい発見もあって、なんだか胸いっぱいの気持ちで病院をあとにする。日が暮れることはまだまだなくって、浮かぶ真っ赤な太陽を睨み、くたくたになってしまった前髪に、一刻も早くシャワーを浴びて、体にこびり付いた薄い汗や病を洗い流したくなる。
▶︎
某日、ウォーキングに出かけた。わたしが朝早く、まだ暑さが〝マシ〟なうちに外に出ようとしていると、Kが起きて「俺も行く、心配だから」と準備をするものだから、あまりの過保護に、わたし来月ひとりで東京行くんですけれど、その時あなたの心の臓は余りの心配に千切れてしまうのではないかしら!と爆笑しそうになってしまった(彼は至って真剣だから黙ったけれども)、こんな風に、Kの心配性はわたしの病のように根深く、いつからこうなったのか、わたしが余りにもあほうだからそう過剰になってしまったのか、わたしの為に、といふよりかは何かが起こらないように、つまりKが安心したいが為のぬるま湯に無理やり浸からされているようで、たまにそのしつこさに憤慨もしたくなるが、まあ大抵はわたしもそれが熱いのか冷たいのか、わけがわからなくなって、されるがままにしているのだから、けっきょく、この日は娘含め3匹ぞろぞろと朝を歩き回ることになるのだった。羞恥心のあまり、頭に血がのぼりそうだったけれども���外の空気に触れて次第に心が軽くなり、意気揚々と歩きながらおしゃべりをしているのが単純に楽しかったりした。初日だったから、30分ほど歩いて終了。帰宅し冷たい麦茶を飲み、喉を潤しながら、つい先日読み終えた、谷崎潤一郎の『痴人の愛』の内容をうっすら思い出す。
3 notes · View notes
kachoushi · 9 months ago
Text
各地句会報
花鳥誌 令和6年5月号
Tumblr media
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
………………………………………………………………
令和5年2月1日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
立春を待たずに友は旅立ちし 喜代子 習はしの鰈供へる初天神 由季子 在さらば百寿の母と春を待つ 同 春遅々と言へども今日の日差しかな 都 橋桁に渦を巻きつつ雪解水 同 盆梅の一輪ごとにときめきぬ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月3日 零の会 坊城俊樹選 特選句
飴切りの音高らかに春を待つ 和子 風船消ゆ宝珠の上の青空へ 慶月 天を突く手が手が福豆を欲す 光子 葬頭河の婆万年を寒く座す 光子 飴切りのビートを刻み追儺の日 いづみ 虚無なるは節分の達磨の眼 緋路 老いてなほ鬼をやらふといふことを 千種 恵方向く沓の爪先光らせて 光子 とんがらし売る正面に福豆も 和子 錫杖をつき仏性は春を待つ 小鳥
岡田順子選 特選句
厄落し葬頭河婆をねんごろに はるか 柊挿す住吉屋にも勝手口 眞理子 豆を打つ墨染のぞく腕つぷし 千種 奪衣婆の春とて闇の中笑ふ 俊樹 亀鳴けば八角五重の塔軋む 俊樹 節分や赤い屋台に赤い香具師 緋路 錫􄼺の音待春の鼓膜にも 緋路 飴切りのトントコトンに地虫出づ 風頭
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月3日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
ものゝふの声は怒涛に実朝忌 かおり 実朝忌由比のとどろきのみ残る 睦子 久女忌の空は火色にゆふぐれて かおり やはらかな風をスケッチ春を待つ 成子 実朝の忌あり五山の揺るぎなし 美穂 歌詠みは嘘がお上手実朝忌 たかし 死せし魚白くかたどり寒月光 かおり 実朝忌早き目覚めの谷戸十戸 久美子 寒月や薄墨となるパールピアス かおり 寒月に壁の落書のそゝり立つ 同 ふはとキスこの梅が香をわたくしす 美穂 昃れば古色をつくす蓮の骨 睦子 寒禽の過り裸婦像歪みたる かおり 人呑みし海ごつごつと寒の雨 朝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月9日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
両の手をあふるるあくび山笑ふ 美智子 春浅し絵馬結ふ紐のからくれなゐ 都 鰐口に心願ありて涅槃西風 宇太郎 柊挿す一人暮しに負けまじと 悦子 寒晴や日頃の憂さをみな空へ 佐代子 師の苦言心にとめて初硯 すみ子 この町を砕かんばかり月冴ゆる 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月10日 枡形句会
春菊をどさつと鍋に入れ仕上ぐ 白陶 落ちる時知りたるやうに紅椿 三無 装ひは少し明るめ寒明ける 和代 一品は底の春菊夕餉とす 多美女 中子師の縁の作詞冬の能登 百合子
………………………………………………………………
令和5年2月11日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
料峭の石橋渡る音響く 三無 苔厚き老杉の根に残る雪 あき子 羽広げ鴨の背にぶく薄光り のりこ 春まだき耀へる日の風を連れ 三無 吟行や二月の空は青淡き 和魚 春めきて日向の土の柔らかく 三無 春の陽を川面に溜めてゆく流れ 貴薫
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月12日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
古暦焚くパリの下町も焚く 昭子 豆撒や内なる鬼を宥めつつ みす枝 落日にして寒菊の色深し 世詩明 被災地の家もひれ伏し虎���笛 ただし 裸婦像の息づく如く雪の果 世詩明 雪吊の縄にも疲れ見えにけり 英美子 ありし日の娘を偲び雛飾る みす枝 それぞれの何か秘めたる卒業子 世詩明 今生の山河に満つる初明り 時江 九頭竜の河口に余寒残しをり 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月13日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
春立つや電車もステップ踏み走る 紀子 薄氷を横目に見つつ急く朝 裕子 商店街バレンタインの日の匂ひ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月13日 萩花鳥会
白梅と紅梅狭庭にうらうらと 祐子 熱燗で泣けたあの唄亜紀絶唱 健雄 如月の青空のこころ乗り移る 俊文 春の霜とぎ汁そつと庭に撒き ゆかり うすらひを踏むが如くの孫受験 恒雄 透きとほる窓辺の瓶や冬の朝 吉之 身に纏う衣減らざり春浅し 明子 躙り口扇子置く手に零れ��� 美恵子
………………………………………………………………
令和5年2月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
越前の雪の生みたる���女 雪 又次の嚔こらへてをりし顔 同 一としきり一羽の鴉寒復習 同 横顔の考へてゐる寒鴉 同 老いて尚たぎる血のあり恵方道 真喜栄 節分会華を添へたる芸者衆 同 白山の空より寒の明け来たり かづを 紅梅や盗まれさうな嬰児抱く みす枝 老犬の鼾すこやか春を待つ 清女 佐保姫やまづ能登の地に舞ひ来たれ 嘉和 収骨の如月の手は震へつつ 玲子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月16日 さきたま花鳥句会
煮凝を箸で揺らしつ酒を酌む 月惑 春一番ドミノ倒しの駐輪場 八草 雪残る路肩を選りて歩く子ら 裕章 春立つや蠢く気配絵馬の文字 紀花 朽木根に残してあがる春の雪 孝江 見舞ふ友見送る窓の老の春 ふゆ子 鼓一打合図に開始鬼やらひ ふじ穂 スクワット立春の影のびちぢみ 康子 匂ひ来し空に溶けたる梅真白 彩香 生みたてと書きて商ふ寒卵 みのり 寿司桶の箍光りたる弥生かな 良江 春泥や卒寿の叔母の赤き靴 珪子
………………………………………………………………
令和5年2月18日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
総門を白く散らして梅の寺 斉 俯ける金縷梅の香や山門に 芙佐子 恋の猫山内忍び振り返る 斉 日溜りに小さき影なし猫の恋 白陶 腰かけて白きオブジェの暖かし 久子 鳥もまた盛んなるかな猫の恋 白陶
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月21日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
撫で牛に梅の香纏ふ天満宮 笑子〃 白梅の五感震はす香の微か 千加江 真夜の雪寝る間の怖さ知るまいの 令子 銀色の光ほころび猫柳 啓子 復興や春一丁目一番地 数幸 紅梅の謂を僧の懇ろに 雪
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月22日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
一羽には一羽の矜持寒鴉 雪 憶却の先立つてゐるちやんちやんこ 同 煮凝りや良き酒飲めて子煩悩 同 来し方を語り語らず大冬木 同 此の人の思ひも寄りぬ大嚏 同 初春の遥か見据ゑ左内像 一涓 熱燗や聞きしに勝る泣き上戸 同 己がじし火と糧守りて雪に棲む 同 灯もせば懐古の御ん目古雛 同 もう少し聞きたいことも女正月 昭子 冬日向ふと一病を忘れけり 同 瀬の音にむつくりむくり蕗の薹 みす枝 夜中まで騒めき続く春一番 やすえ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
寒紅や良きも悪しきも父に似し 雪 退屈をひつかけてゐるちやんちやんこ 同 春立つや千手千眼観世音 同 路地路地に国府の名残り春の雪 同 節分会葵の御紋許されて 同 越前の夜こそ哀し雪女 同 瓔珞に鐘の一打にある余寒 清女 能登地震声を大にし鬼は外 数幸 春塵や古刹の裏の道具小屋 泰俊 蕗の薹顔出し山を動かしぬ 啓子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
2 notes · View notes
kyoto4 · 1 year ago
Text
20230729  毎日、38℃をこえる
 連日、死ぬほどあつい。3日ほど39℃ちかくまで最高気温が上がったあとで、今日��38.1℃でした、と知ると、なんだか少し涼しくなったかのように錯覚してしまうが、いずれにしても京都の夏の本領発揮である。  お休みなので出かけるのだが、朝の7時半くらいに出てみることにする。なるべく日かげを走るように心がける。どこにいってもつんざくようなセミの声が響きわたってくる。鳴くのはもちろん雄の役目である。カモたちがせっせとご飯をたべていた。冬鳥はさぞ厳しかろうと想像する。加茂川ぞいはけっこうな数のおじさんが走っていた。女性陣はひとりも見かけなかった。  エアコンの発明者はウィリス・キャリアといわれている。彼がつくらなくてもそのうち誰かが思いついたのかもしれないが、もうちょっと名前をおぼえてもらってもいいようにも思う。ちなみにダイキン工業の旧社名は大阪金属工業所である。ウィキペディアによれば、2010年からキャリア社を抜いて空調事業の売上世界一となったらしい。キャリア社は、上記のキャリア氏がおこした会社で、日本法人は東芝をパートナーとしてえらんでいる。  エアコンは熱交換器なので、部屋の温度がさげた分、外気の温度をあげてゆく。京都は盆地なので風が吹きにくく、夜には熱がこもる。街なかはとくにひどい。風鈴さげたくらいではどうにもならない。昔から京都は暑かった。みんな耐えていたのだと思う。すずしい顔して知らんふりするのが京都の美徳である。  In Kyoto, it is considered a virtue to pretend not to know while wearing a calm expression
8 notes · View notes
kennak · 1 year ago
Quote
連日の報道で、忘れたい記憶がどんどんよみがえってくる。劇団内部の人間ではないものの、その近くで数年携わり、生活も精神も壊した身として、心当たりが多すぎる。便乗ファンによる創作だと思ったら、どうか読んだら忘れてほしい。固有名詞や用語の意味が分からない人は、そのまま一生分からずにいてほしい。でも、どこかに、仲間がいると思うから。自分以外にも壊れた人がいるはずだから。まとまりもないほどの書きなぐりになるだろうけど、腹を決めた今、匿名で言わせてほしい。もう無視できないところまで来ていると、心当たりのある各位に気付いてほしい。該当劇団には、公式ファンクラブ以外にもジェンヌ個人の私設ファンクラブ(以下「会」と呼ぶ)があることは有名だと思う。いわゆる代表やお付きと呼ばれるマネージャー的責任者と、スタッフやお手伝いといわれる他数名の小間使いが組織を運営している。自分は新人公演にも出演し、何度か主演も演じた人気ジェンヌの会運営スタッフを数年担当した。明確な時期や個人名の明言は避けるが、当ジェンヌは現役在団中とだけ書き記しておく。毎朝晩の入出待ち立ち会いからお茶会などイベント企画・運営、チケットの取次配席およびグッズ作成など...会所属経験のあるファンなら思いつくであろう業務、全部に携わった。会員数百人に対し、片手以下のスタッフで。無給は当たり前、経費も持ち出し、24時間365日ジェンヌや関係者の呼び出しに応えながら平日フルタイム会社員。睡眠時間も金も体力も心の余裕も何もかもなくなった。倒れて運ばれ、スタッフを辞めた。業務をもう少し細かく説明すると、・入出立ち会いよく日比谷の劇場前で見るようなスクワットでジェンヌのお迎え・お見送り。あれをやる時に暴走するファンが出ないか見張ったり、一般人のクレームに頭を下げたりする。毎朝7時前後、早いときは6時前に毎朝集合場所で立ち合いをして会社へ出勤。ジェンヌから翌朝の入り時刻連絡が来るのは平均深夜1-2時。それを待ってファンクラブ会員へ見送り場所への集合時刻を配信、他ファンクラブ運営へ報告したりするので自分が寝られるのは3時を回るのもザラ。毎日5時前には起床、始発の電車に飛び乗り現着から動き回ってフルタイム勤務で夜にはまた出待ちに立ち会う日々。大体毎日何かしらの細かすぎる指導が上級生会から入り、寝不足により回らない頭で必死の謝罪文をしたためお送りしていた。しんどい。・イベント企画・運営お茶会や新人公演出待ち後のミニお礼グリーティング、季節や誕生日の入出イベントなどなどあらゆる企画・運営。ただ企画すればいいだけでなく、上級生会に逐一お伺いを立て、実施許可を得、内容も重箱の隅を最早ぶっ壊れるまでつつかれまくる。あらゆる方面の顔色を窺い、企画や台本が出来上がるまで気が遠くなるほどの時間と神経を要する。それでようやく実施まで漕ぎつけたと思ったらジェンヌ本人の機嫌ひとつで全部イチからやり直しになる。三徹で必死に準備を間に合わせたお茶会を、本人会場到着までのタクシー内で「やっぱ嫌」の一言でひっくり返されたときは殺意が芽生えた。しんどい。・チケット取次・配席ファンクラブ会員はジェンヌ個人の販売成績に結び付くよう、会からチケットを取り次ぐ。が、限られた座席数、入団年数が長い上級生に多くのチケットが劇団より宛がわれる、入団から5年くらいは1公演で2席しかチケットがないこともザラ。それでも会員はもちろん贔屓の舞台姿をたくさん見たい、当たり前だ、たくさん申し込んでくださる、だがしかし席がご用意できない。そんな限られたチケットと大量の申込データ(自会は全部エクセルに手打ち管理)を照らし合わせ、ファンクラブへの貢献度諸々を加味し、どのお席にどなたへお座りいただくか決める。こちらも最大限のチケット確保に奔走するものの、ご用意できなければ面と向かっての罵倒はまだ良し、掲示板に名指しで役立たずと晒される始末。データ捌いて配席悩んで胃を痛めているところにジェンヌ本人や関係者からも配席や取次内容に文句を言われ身内用にチケットを攫われていく。しんどい。・グッズ作成お茶会のお土産、総見のおまけ、お茶会で販売する小物や舞台写真、お礼状、グリーティングカード、挙げればキリがないほど準備物が多い。ジェンヌ本人にイラストや手書き文字の提供協力を頼みこむも多忙の一言で切り捨てられ、こちらでロゴなど用意すれば会員やジェンヌ本人からすらもダサいと文句を言われる。しかも当たり前だがこれらすべて事前の商品発注で毎度結構な金額が必要とされる、が、ジェンヌの家族が会運営の経費用口座を管理していて前借も楽ではない。結局毎回数万~場合によっては数十万円(お茶会会場費用など)も立て替える。そうじゃないと間に合わないほどすべてのスケジュールがカツカツなため。しかも公演終わりの経費精算まで数か月待ったりする、携わっていた最後の公演では大卒初任給くらいの経費が返ってこなかった。グッズの売り上げは全て会運営費としてジェンヌ家族が持っていくため、スタッフに一切の還元や儲けはない。公演期間中は飯が食えなかった。しんどい。・正直ここでしか言えないが人間関係が一番重労働ファンクラブ会員、つまりジェンヌを愛し会活動に貢献してくださっている方々は熱量も並のものではない。そこは覚悟してスタッフ就任を引き受けた。そのため会員から妬まれたり文句を言われたり、会の中での派閥争いや揉め事などは(楽ではなかったものの)捌くのもまあ堪えられた。しかし何故か同じ運営という立場で苦楽を共にしている他会運営陣やジェンヌ家族・関係者対応など、これが本当に一番きつかった。ジェンヌたちが厳しい上下級生文化に生きているというのは既報の通りだが、ほぼその文化がそのまま会運営にも持ち込まれる。朝は上級生会スタッフより早く出動・席および場所取り・雑用使いっ走り・全ての解散前には「ご指導」というクソ細かい姑のような小言...大劇場のチケット出し前には劇場内レストラン施設の一部(クリスタルルームでわかる人は仲間)を陣取り、謎の待機時間が発生する、もうこれが本当に耐えられなかった。上級生会代表の飲み物をお持ちし、その時通るルートや差し出し方全てに厳格なルールがあり、数時間も使いっ走りに待機するのに作業および会話禁止という苦行。2回公演の日ほど朝も早く夜が遅い、業務も溜まっていて限界なところにこの謎待機と小言で5-6時間は奪われる。それもこれ���すべて「上級生会の様子を見て学び、自分たちが将来は組の会全体を取り仕切れるように指導する」という、どこかで聞いたことのある理論。劇団への、ジェンヌへの、下級生会への愛があれば全ては指導という建前のもと許される。代表は毎日きついいびりに泣いていた。本当に、本当に、しんどい。ジェンヌでもなく、会運営の委託契約を結んだわけでもない、ただの一般人がこのザマである。会に所属したことがある人は、多少なりこの空気感をわかっていただけると思う。あの、「私たちも御贔屓の一部」と見做されるような感じが。全ての言動の根底には愛があり、清く正しく美しいジェンヌ像やファンダムイメージを求められていた、それにそぐわないものはすべて闇に葬られていたあの感じが。会運営陣は、ジェンヌを、劇団を愛しているから。無給でいつ何時でも労力を捧げてくれる。常に最善最良の案を考え前向きに運用してくれる。寝る暇がなくてもそれだけ携われることが幸せ。妬み僻みも有難いご意見として真正面から受け止める。上級生会からの理不尽な指導も意味あるものとして理解・昇華する。仕事よりも私生活よりも会運営を何よりも最優先してくれる。どんな無茶ぶりや激務も手を取り乗り越え逞しくなってくれる。そんなことがあるわけないだろ。平日フルタイムで8時間の仕事に会運営10時間以上を兼業し、公演期間中は1日1時間眠れたら御の字。仕事のパフォーマンスはそれはそれは最悪だった。盆や正月の連休はもちろん全て会運営に求められ、ロクに身体を休めることも実家に帰省することも友人と会うこともかなわなかった。急いで来いと急な呼び出しがかかり、内容も知らされないが仕事を無理言って早退し駆けつけると「明日からの公演で必要なものを近所のドラッグストアで買ってきて」という内容だった。社会人数年目で貯蓄もさほどなかった頃に無給の会運営で全国を飛び回り、立て替えの嵐、慢性的な寝不足で眠気も止まらず、安価で血糖値の上がらないもやしやカット野菜しか食べられなかった。周りのすべての人から「早く辞めろ」と言われ続けたが、もはや洗脳のように愛や貢献という言葉に縛られ何も自分で判断できなくなっていた。死にたいという気持ちが募り、毎朝駅で線路に飛び込もうか悩み始めた頃、千秋楽の出待ち後に倒れ運ばれた。栄養失調だった、この現代社会で。入院で強制的に劇団や会と離れられなければ、いずれ自ら命を絶っていたと思う。亡くなった彼女の生活円グラフは、まさに会運営に携わっていた時の私のようだった。鬱も発症し精神的にも不安定になっていたことをやっと自覚し、ジェンヌ本人にスタッフを辞める旨申し出た。代表も鬱で会から去ったと聞き、LINEを送ったが既読がつくことはなかった。もう一度繰り返す。ジェンヌじゃない一般人にすらこれほどまでに異常な文化がまかり通っている。劇団内部はいかほどばかりか、想像するだけで息苦しくなる。携わっていたジェンヌ本人も、本当に寝る時間もないほど過酷な環境に身を置き、公演前夜の3時に稽古から帰るところも目撃したことがある。会運営に携わるようになってからは度々言葉を失うような「指導」の様子を伺うようになり、いつの間にか自分は一切観劇する気力が湧かなくなっていた。何が愛だ。何が清く正しく美しくだ。何も清くも正しくも美しくもない。ただのパワハラ過重労働異常上下関係いびりしごきいじめ。社会的な常識が一切通用しない、異常な文化が形成され受け継がれ、異を唱えるものは全て排除され隠ぺいされてきた、ただそれだけである。亡くなった彼女のおかれていた環境や報道の事実関係は知り得ないため、それに関しては軽率な発言はできないものの、でも、遂にこうなったかと思った。その手前でぎりぎり退団していった人を、何人も知っていたから。巨大企業やファンダムに抗う力を持ち合わせていないがため、ただ黙って去っていった人たちを見てきたから。自分も、声を上げられなかったひとりだから。彼女の死は、自分も無関係じゃないと、毎日罪悪感に涙が止まらないから。溢れ出る記憶も思いも止まらず、何が書きたいのか、どこまで書けそうか、もう分からなくなってしまった。このあたりで切り上げることにする。いつか追記や修正をするかもしれないし、しないかもしれない。もうこの編集画面に戻ってこないことが最良と分かりつつ。自分は今後二度と件の劇団に関わらないと決めているが、報道の行く末はしっかりと追おうと思う。もう誰もこんな目に遭わない未来を願って。同じ罪悪感を抱えることがないように。誰かに手を延ばし声を上げられるように。かけがえのないいのちを、薄っぺらい言葉で葬ることがないように。妹さんにはお世話になりました、心からのご冥福を祈ります。助けてあげられなくて、ごめんなさい。
ジェンヌの個人FC運営で鬱になった話
2 notes · View notes
tokyomariegold · 1 year ago
Text
2023/8/20
Tumblr media
8月20日 好きなアーティストの方が似顔絵制作を受け付けていたので、図々しく自分の写真や“どこかへ行ってもいいし、どこへ行かなくてもいい”のフレーズと共に制作をお願いしてみる。わくわく。
ちゃんと朝起きて、9時前から用事を一つ済ませて、フィルム現像を出しに行った。 出来上がるまで、迷って送らずにいた方々へDMを配送し、昨日友人にいただいたとってもかわいいルスルスのクッキー缶を、DMも同封して実家へ送った。 何で断れなかったんだろうか���、と気を遣いすぎる間柄でもないのに、いつもちょっとした職場のお土産とかも受け取っては溜め込んでしまう。
Tumblr media
無印良品で必要なものを買ったりしたけれども、どうも時間が潰せないまち。茅場町や日本橋や蔵前での楽しい日々を思い出して、仕上がり予定の10分前に現像を受け取りに行ってしまう。やっぱりまだ仕上がっていなかった。
午後の予定に出かけると、眉村ちあきちゃんのTシャツを着ている方がいた。その方は以前はれにちゃん推しのTシャツを着ていた。でんぱ組ならえいたそかしら?と思った。
すっかり忘れていたけれど、スタジオクリップのミッフィーグッズは瞬殺売り切れだったと教えてもらう。スノードーム少し欲しかったな。
もう昨日で桃は終わり!としていたのに、いつも行かないスーパーで2つ売りの桃が半額で買ってしまう。半額のものってそれなりに半額にふさわしく、今回の桃も、切ってみると1/2ずつくらいの可食部だった。 お盆が終わったのでスーパーの離れのプレハブ小屋で展開していたお中元コーナーは、小屋の扉が閉まっていた。
Tumblr media
2月のフォトレビューにはファミレスの写真を持っていこう!そうだ、今のアド街ック地獄にもファミレス初め郊外要素がたくさんあるのだから、少しずつ写真を増やせたらいいな、とか、来年のことを考えて鬼に笑われたい。
破産してしまう前にデジタルカメラでも(満足した気持ちで)写真を撮れるようになりたいです。
Tumblr media
3 notes · View notes
manganjiiji · 1 year ago
Text
噂わさわさ
今日は一秒も勉強をしていない。10月朔日以降、誰とも会う約束がないのに勉強をしていない日というのは初めてだと思う。とにかく今日は休日にした。ぱっとしない休日だった、というか、どちらかというとパニックに襲われたような(そんな大袈裟なことはない)一日だった。もくりでも誰とも喋っていない。変な感じに静かで、しかし荒れていた日だった。
まず朝、生理痛で目が覚めるが、痛くて起きることができない。11時からせっかくのジムだったのに、とても行くことができず、欠席。もったいない。しかし体調のことは仕方ない。気を取り直して、夜に次の予約を2回分入れた。
生理痛がおさまってきて、友人から頼まれたGUの店舗受取の品をお迎えしに、何年ぶりかわからないけれど西武新宿のPePeに行った。来る度に、色々な人と来たなという思い出が蘇る。1人でエレベータで5階まで行き、粛々と品物を受け取って、スタバを覗いたが席がないのでそのまま出た。東口に向かう流れで、新宿のこちら側は相変わらずだ、と思った。歌舞���町と縁があったのはもうかなり昔のこと(と言いながら3年〜4年前くらい)で、でももうできるだけ近寄りたくないなという感じがする。どちらにしろ私はもう若くなく、太っており、歌舞伎町の「風景」にしかなれない。前景になることはない。老けたし、「おばさん」だなと思った。今日はZOZO中古で買った黄色いワンピースを着ていたが、それが肉でぱんぱんで、顔も肉でぱんぱんで、たいそうみじめな思いがした。太っていることは悲しいことだ。私にとって。(他の人にとっては、他の人の事情なのでわからないし、何も思わない。)
その後三丁目で電車に乗るのだし、と思って、三丁目のスタバに行ったら席が空いていたので、友人がGUお使いのお礼にとくれたドリンクチケットでホワイトモカ・ホット・トール・ソイ変更を頼み、ニューヨークチーズケーキまで食べた。ここで���取した脂質がものすごいことになっている。せめてニューヨークチーズケーキをやめろ、と思うのだが、とにかくお腹がすいてへろへろだった。夜になってさまざまに「痩せるための計画」を書き出したのだが、とにかくもうスタバに行くなとしか言えない。スタバにはアイスティーもないし、とにかく駄目だ。どんなに好きでも駄目だ。ホワイトモカをソイやアーモンドミルクに変更したくらいじゃ脂質は大幅にオーバーする。
スタバで燐一小説を書こうかと、『やがて秋茄子へと到る』をひらき、いくつかの歌を書き写す。音楽も今書いている話のためのプレイリストなので、かなり燐一の気持ちになった。小説は書けなかったが、短歌を三つ作ってTwitterに貼った。とくに誰からもなんの反応もないが、やはりこういうこと(自分の好きな情感を自分の好きな文字と情景にのせて整えること)は自分に必要だと思った。
スタバからの帰り際、事件が起きた。しかし、この事件は生涯おのれの胸に閉まっておくことにしようと思う。本当にやばかった。犯罪までいかないがあきらかに「罪なる行為」をしてしまった。動転してそのまま店を逃げ出した。とにかくおそろしかった。ただここには書かない。数年後に思い出したら書くかもしれないが、いつもの自分なら処理できたことも、今日の私にはなすすべもなかった。朝からずっと動揺していたのだと気づいた。
スタバでの動転を引きずったまま、最寄り駅で降り、スーパーで牛乳とバナナを買い、帰宅。朝からずっとマッチングアプリを(久々に)いじっていて、複数の女性とせっせとメッセージを交換しかなり気疲れした。相手が男だとこういうのは「営業」と思って割り切ってやれるが(慣れているというのもある)、相手が女だとかなり慎重になるし、アプリもレズビアン界隈のこともよくわかっていないので(それこそ多種多様な人がいるし)、手探りな面が多く、またこちらもそれなりに真剣なので疲れた。男性相手のマッチングアプリは今はやっていない。アイカツ!を通じて知り合ったお兄さんと月一で会っているが、今月は私の試験もあるしまだ次の予定は立っていない。私がマッチングアプリを使う時の癖として、同時に5〜6人とメッセージを交わし、その時間は集中してマッチングアプリに向き合い、やらない時は完全に放置する、というサイクルを繰り返すというのがある。今日も、1週間ぶりくらいに一気に返信して、それに返信してくださった方と、新たに知り合った方とで、やはり5〜6人とのやり取りになった。そういうことをしているから疲れるのかもしれないが、私にとってはこれがスタンダードである。基本的に人と常になんらかのやり取りをしていないと、私は狂ってしまうのだと思う。
帰宅してから燐一小説の続きの書写をやろうかと思ったが、なぜか爪を塗り始めてしまう。黄色のポリッシュを頂いたので、今回もそれを主役にして、下地にsopoのミカヅキイエローを塗り、rihkaのcelosiaを塗り、osajiの横顔と文通をそれぞれ根元と爪先に塗った。トップコートは二度塗った。
ノートにとにかく感情を書きつける。いつのまにか毎日の生活のタイムテーブルをどうするかという話になっていて、どうやら22時に寝て6時に起き、朝からウォーキング、筋トレ、そして朝ごはんとする、というサイクルにしたいようである。早速今は0:38なので22時に就寝できていないのだが、ともかく毎日の行事として設定した「湯船につかる」は達成できた。汗もかけた。朝より体重が0.5kg、体脂肪率が2%減っており、もしやスタバでの事件が関係しているのであろうか、と思った。(風呂の前にも測定しており、結果は同じだった。)早くジムのちゃんとした測定器で体脂肪率が実際どうなっているのか確かめたい。次の予約は4日土曜日だ。
10月中に願書を印刷すると言っていたが、ふつうに出来なかった。普通にできろよ、そこは。と思うが、まあ、生理痛が悪いよね。今日まではできなくて仕方ないと思う。明日に期待します。明日の体調がよいことに期待します。朝昼晩の寒暖差、これはみんなひとたまりもないと思うけれど、私はどこまで煽りを受けるのか、やや戦々恐々。11/8(水)必着なので、とにかく土日に速達で出せばなんとかなる。それまでに印刷して必要書類を集めることができるのか。そこが問題です。主に試験のための費用を払い込み、その証明を得ることなど。
風呂の後納豆を生卵に入れて食べ、ソイプロテインを飲んだので、胃がいきなりの高負荷な栄養価にひとたまりもなくやられている。横になったらましになったが、かなりの胃痛だった。冷たいものをいきなりたくさん食べるんじゃあない。
明日も朝から晴れるといい。ウォーキングの道すじは決まっていないが、とりあえず明日はルート決めになると思う。音楽を聴きながら歩くのは好きで、楽しみである。基本的にその時書いている話のプレイリストを聞いて歩くと、その話が頭の中で書かれてゆくので、昔は歩かないと書くことができなかった。最近は書写しているあいだに書けるようになった。でも基本的には体を動かしている時に考えたり頭の中で書いたほうがいい。そのほうが文に酸素が入る。
昨晩、9月と10月の支出についてのスペースを録音したのだが、恥ずかしすぎてリンク先の載ったツイートを消した。これはさすがに公開するものではないな、と、朝になって冷静になった。ただ、オタクの支出が気になると言っていた友人にはLINEでスペースのリンクを送った。かなり呆れられるというか失望されること請け合いだ。送ってから取り消そうかと葛藤したが、まあ、いいか、となり、かき捨てられない恥を友人に押し付けてしまった。喋っている声もかなりいい加減な発声で、まじで人に聞かせるものじゃないなと思った。後悔先に立たず。覆水盆に返らず。もういい。忘れよう。私なんてどうせその辺のヘドロです。生活態度がね。頭の中身は頑張って作ってきたのでヘドロではないが、とにかく生活態度や人生に向き合う姿勢というものは自己評価でいくと地を這っている。
Tumblr media Tumblr media
2023.11.1
4 notes · View notes
chisasarasa · 1 year ago
Text
Tumblr media
230815
お腹がすいたから、梨の皮をむく。 もう大人だから、自分の意志で、自分の行動を決められる。わたしは自由。
実家でお昼ご飯を食べる。 デザートにカヌレが何個も何個も出てくる。 誕生日のケーキということらしい。 親にとって、子が30歳になるというのはどういう心地なのだろう。感慨深いことなのだろうか。 中学生の頃と同じように畳の上でごろりと漫画を読んでいるけれど。
夜、伸びた前髪を少しだけ切る。 本当はのばしたい。たぶん、似合わない。
-
230816
ねむれなかった。 エアコンをつければ寒く、エアコンをきればあつかった。 電車も建物も人が少ない。まだお盆休みなのか。 いつも通りじゃないだけで、不安になる。 夜、寝る準備をする前に寝てしまった。 ひさしぶりの仕事に疲れていたらしい。
-
230818
はやく起きようと思って、昨日の夜早く寝たのに、朝、はやく起きられなかった。 最高気温37℃。だいぶ体は慣れてきたけれど、やっぱりあつくて、体力が奪われる。 絵本の修理を教えてもらって、ラーメンを食べて、帰る。 夜、みたもの、かんじたものが、するすると言葉になっていく。 陽が落ちると、過ごしやすくなるし、もう、秋になるんだ、と思う。
-
230819
朝、寝たいわけではないけれど、起きたくなくて、布団の中でぐずぐずとする。 つまらない、と思う。 気持ちがわるい。 顔色が悪い。 こういうときはたいていお湯につかると回復していくと知ってきたけれど、今、この部屋には米がなくて、買いに行かなければ晩ご飯はない。 仕方がないから、ぐるぐると重たい頭をのせて、外へ出る。 空気が流れている、気持ちがいい。 そのまま帰ってしまうのがもったいないくらいで、5㎏の米を抱えたまま、川を眺めていた。 川にかかる橋の上を電車が走っていて、ズボンをたくしあげて釣りをしている人がいた。
すみれって、茎がほそくて俯き加減で、はかないけれど、雑草の強さがあるよな、と思う。 コンクリートだって割って生きてゆくだろう。
4 notes · View notes
ichinichi-okure · 1 year ago
Text
Tumblr media
2023.9.14thu_tokyo
ーーーーーーーーーーー この日記を読むあなたへ スマートフォンを横向き にして閲覧してください ーーーーーーーーーーー
昨晩は疲労困憊なのに百万遍を歩き回ったのち村屋※で飲んだ 帰りに天下一品に寄ったせいか 今朝は二度寝していた
Tumblr media
二度寝して現場に到着
午前中はトイレ前にあったデカい鏡を移設する準備をしていた ラジオは「今���アレになる」「18年ぶりのAREだ」と繰り返す
鏡を取り外すと朽ちた内壁がバリバリと剥がれたので修復 車があるうちに2枚多めに合板(畳サイズ)を買っておいてよかった
京都「西ノ京」に開店する珈琲ヤマグチ※の工事を請け負っている 最高気温が35度を超えたことを意味する猛暑日は37日を数えた
Tumblr media
クライアントと友達
午後は昨日に引き続きクライアントが友達2人と助っ人に来てくれた ニュージーランド在住?サービス業従事者&僕の母校の教員
クライアントは真名美という 5年位まえ僕の飲み屋の客だった 真名美が現場に来るとアイデアを伝えてどう形にするか相談する
京都入りしてから2か月と1週間が経つ 7月7日に銭湯で買った石鹸はすっかりちびてしまった
Tumblr media
7月8日天井落とし
今日はこういうかたちで「回想」することをみとめられたので 日頃反芻していた言葉の断片を1行31文字以内で書き留める
高井戸ICからイッチー※のハイエースに工具を満載し片道460km 物件は元米屋でその前はパン屋 餅屋いずれも貸主の商売だった
東京から京都へたった1人で移住した借主の行動力に感服する 工事の相方で師のイッチーと真名美で3人であちこち飲み歩いた
METROでのGiftやKyoto TSUBAKI fm 3rd anniversaryは楽園だった 京都にいる内にできるだけ多くのリスニングバーやクラブを回りたい
Tumblr media
DJで一級建築士のタムラさん(DoitJAZZ)
築90年の町家建築を相手に序盤のほとんどは解体で難儀した 天井を落とし壁をめくり床をこじあけた裏側に幾千の生き物の痕跡
Tumblr media
イッチーと彼が連れてきたアルバイト
仕事終わりには若松湯で埃りと汗を流している 町場に用事があればその周辺の銭湯巡る 10数軒は回ったか
Tumblr media
文化財で銭湯にプチ遠征
ひと月かけて執り行われる祇園祭にも少し詳しくなった 通りの名前も徐々にしみついてきている
Tumblr media
祇園祭はカッコよかった
コーヒーを淹れる台��材木屋で50年眠り続けたラワンの一枚板 材木屋は現場の近くにあり親切※美大関係者へのサーヴィスが手厚い
Tumblr media
材栄さん
京都入りと同時に2級建築士製図試験対策の日曜講座に通い始めた しかしオンもオフもやることが満載で宿題の半分もままならなかった
めくった壁から90年前の大工さんがつくった壁がでてきた 新しく造る壁と並列させて見えるように設えている
Tumblr media
A剥がして現れた壁
Tumblr media
B古い壁と新しい壁
8月22日 イッチーはトリツカレ男の店番と都立家政での新しい 案件に着手すべく一足さきにハイエースに工具の半分を載せて帰った
いったん東京に戻り9月10日に製図試験挑んだが十中七八アウトだ 12月7日に結果が出る そのころには珈琲ヤマグチも板についている
Tumblr media
二級建築士製図試験問題
言葉を尽くし手を動かし工夫を重ねた内装工事も終盤 準備した200枚の名刺は徐々に京都人たちの名刺に換わっている
いろんな店で顔なじみになり「工事終わったら帰りはるんですか」 惜しんでくれるのは嬉しいが工事はあと1週間半くらいで終わらせたい
サウナで声をかけてくれた51才の紳士は音楽通だった いまやかけがえのない京都のともだちになっている
Tumblr media
レコード棚も造っています
場所柄外国人とも酒を酌み交わした フィンランド人、チリ人 トルコ、中国人、モンゴル、アイルランド…7か国位?
芸大(先端芸術表現科)の同級生や先輩とも久しぶりに会えた なぜか同級生の2人が医師免許をとっているが明日その彼らに会う
Tumblr media
先端の先輩が自転車に載せられる美術館をつくっていた
16時半 真名美は同級生と自然派ワインの店coimo wine & cafeへ 僕は若松湯のラジオで阪神タイガースの優勝の瞬間を見届けた
最寄りの定食屋兼飲み屋「たいたん はちべゑ」へ行くと 「あとアウト1つやで」と狂喜乱舞するファンに迎えられた※
Tumblr media
あれに乾杯
京都でピザ屋を開きたいという同い年の夫妻に出会った※ 早く眠るつもりがCOMOGOMO JURAKUで2人の夢を語りあった
もしかしたら彼らの店を造ることになるかもしれない 25時 今日も倒れるまで眠らなかった
灼ける盆地の風にも秋の成分がだいぶん添加されてきた もう猛暑日の38日目をカウントすることはないだろう
Tumblr media
イッチー、フィンランド人のイラリくん、やぎ
ーーーーーーーーーーー 注釈
※村屋 出町柳のカオスな飲み屋。自然派日本酒が豊富。
※珈琲ヤマグチ 現在自家焙煎コーヒーのオンライン販売とイベント出店。 2023年9月現在。中京区西ノ京左馬寮町にて喫茶店を開業予定。 御前丸太町下ル 若松湯東入ル。 https://www.instagram.com/_3_yamaguchi/
※イッチー 高円寺のタパスバー「トリツカレ男」店主。 2017年末この店をイッチーが造っているのを手伝わせてもらったことが 僕が内装を始めたきっかけのひとつになっている。 https://www.instagram.com/toritukareotoko/
※親切な材木屋 材栄 https://zaiei.shopinfo.jp/
※阪神タイガースのリーグ優勝 日記の中にアレの瞬間が2回あるのは ラジオ放送に遅れてテレビ放送がついてくる。 タイムラグは2分近くあったと思う。 その間検閲できちゃうのでは?という時間差。 ラジオは昔も今も最速のメディア。現場でもラジオが相棒。
※ピザ屋 ヨロシクピッツァ。 ポップアップ出店と窯ごと出前ピザしている。 https://www.instagram.com/yoroshiku_pizza/
※COMOGOMO JURAKU 現場から近いし深夜遅くまで開いているので 製図試験対策で力尽きたらここで晩酌していた https://www.instagram.com/comogomo_juraku/
-プロフィール- やぎ 38歳 東京 とんち造作計画・内装業
ペーパードライバーの個人事業主の内装業。 店舗設計、解体、壁の造作、什器製作、左官、給排水配管 などおおよそ全て自前で施工している。 佐橋※介。※の部分を景に替えてお読みください。 http://instagram.com/tonch_keikaku/ http://tonch.tokyo/
3 notes · View notes
kiroahi · 2 years ago
Text
赤城山
このところ休日が休日になっていなかったので、朝から健康診断があったというのに終わるなり温泉目指して走り出した。
目標は道の駅中山盆地。群馬県立天文台の近くで盆地の中の高台にある温泉からの景色が美麗である。しかも洗い場が露天に並んでおり、この寒い中すべて外で風呂を満喫できるのだ。
すでに温泉セットを車にセットしてあり、健診会場から直接温泉を目指して出発した。しかし、角をいくつか曲がると正面には壮大な赤城山。そうだ、赤城に登ろう。
赤城山山頂を目指す道は数えるほどしかなく、鳥居を通って有名な桑風庵のある道を登っていく。混雑することはなく、淡々と山道を登っていく。
標高600メートルの看板を見たあたりから少しずつ雪が目につくようになるが、道路には全く溜まっていない。途中の姫百合駐車場のあたりから路面に雪が残り始める。ここまでならスタッドレスは必要なさそう。雪山ハイクの車でいっぱいだ。
上を目指して登っていく。エスクードはフルタイム四躯なので通常路面でもスタビリティが高いが、雪道でも嫌な挙動は示さない。今年は雪が多くないようで、上の方に行ってもアスファルト路面が顔を出している。雪(圧接)路面とアスファルトが交互に出てくるのでなかなか直結四躯にはしづらいが、その必要もないくらい安定している。
見晴山展望台を超えた、あとちょっとで大沼というところで多重衝突で警察が出ていた。5~6台が路肩に寄せていたが、うち2台は結構なダメージを受けているように見え、帰りも同じ位置にいたということは動けない状態なようだ。どんなスピードで走っていたのか。
大沼の周回路に入ると流石に全面雪道。スキー場は子供がいっぱいいて楽しそうな声が聞こえてくる。いきなり本格的な雪国だ。駐車場を巡るがどこもいっぱい。結局泥だらけの駐車場にかろうじて停める。
Tumblr media
特に用があって来たわけではないので、何もすることがない。一休みして周回道路を奥に進んだ。
赤城神社の駐車場もいっぱい。その先に赤城山の北側に降りていく道があり老神温泉まで行けるのだが、冬期は閉鎖される。沼に沿って細い道を進んでいくと、一部で有名な群馬県立赤城高原キャンプ場がある。無料キャンプ場なんだが狭くて設備もあまりなく、キャンプ慣れしている人用って感じ。ここも冬期は閉鎖。
この辺は圧雪路になっていると思ったら、やはり所々で舗装路が見える。もう少し進んで日陰の道が雪深かかったので直結四駆にしてみたが、やはりなんの破綻もなかった。
ぐるりと回って元の道に出たので帰ることにした。帰りも特にドキドキするようなことはなかったが、目の前を走っていたアルファードにはちょっと困った。
下りの圧雪路なのでゆっくり走るのは当たり前だが、ちょっとアスファルトが見えるとすぐに加速し始める。次のカーブの手前に雪があるのにブレーキが遅く、しかもブレーキを引きずるクセがあるようで、カーブ途中でふらついちゃってヘロヘロになっている。更にまたアスファルトが見えると踏み込んで、カーブでヘロヘロ。加速するのをやめるか、ブレーキを引きずるのをやめるかしなければ何れ何処かに刺さるだろうと思ってかなり車間距離をあけた。きっときれいな道でタイヤ任せにしか走ったことがないんだろうな。
危ないといえば、姫百合駐車場のあたりで登ろうとしているバイクがいた。ヘルメットにでかい猫耳をつけた革ツナギのソロライダー。すでによくここまで来たな、というような位置だったが、これ以上は無理と察知したようで、Uターンを試みていた。駐車場に入ってみていたらもうまともに走っていられるような状態ではなく、引き返す決断は正解だと思った。ああいうのって「走ってみた!」系なんだろうか。
全部で1時間もいなかったが久しぶりの雪道は楽しかった。それでも時間がなかったので温泉はやめて地元の銭湯に浸かりました。楽しかった。
2 notes · View notes
bearbench-tokaido · 24 days ago
Text
八篇 上 その二
大阪で宿とった弥次郎兵衛と北八。 あんまにもまれながら菓子売りと話している。
菓子売りの女が茶をくんで、お盆にのせ持ってきた。 「さあ、ぬくいのをあがりなされ。」 弥次郎兵衛は、 「せっかく、お前がきなさったものを、まんざらそっけなくも出来ない。」 と菓子箱をながめて、 「これはいくらだ。」 と適当に指差すと、 「はいはい、それは、一番安いやつじゃわいな。 そりゃ美味しくない。こっちゃ、あがって見なされ。」 と勧めるので弥次郎兵衛も北八も丹羽の人も、てんでにとって食う。
「でも、待ちねえ。こんなに勝手に食っちまうと、数がわからねえだろう。」 と北八が言うと、 「よござります。なんぼでも、あがりなされ。 こちゃただでもあげよわいな。のう、おたこさん。」 と、あんまにいうと、 「さよじゃわいな。さあ、ようございます。 こっちゃのおかた、もみましょかいな。」 と弥次郎兵衛の肩をポンと軽く叩いて、 「おう、もうおしまいか。」 「さあ、あなた、わしのそばによってかいな。」 と、北八に声をかける。 「それ、よしかよしか。」 と弥次郎兵衛と場所を替わると、 「さあさあ、もうひとつ、あがりなさらんかいな。」 と弥次郎兵衛に、菓子売りがいう。 「おなべさん、御ちそうなされ。 このお方は、えらい気前のいいお方じゃわいな。ささ。」 と北八をもみ始める
ここで、丹波の人が、 「こりゃ、お前たちの口車に乗って、えらい、食ったのけ、何ぼぞい。」 と問うと、 「はいはい、お三人さまで、二百四十八文でよござりますわいな。」 と言う。
「やあ、とんでもないことを言う。 そんなに誰が食ったんだ。北八はいくつだ。」 と弥次郎兵衛がびっくりして答えると、 「さて、いくつ食ったか。」 と北八は、あんまにもまれていて気持ちいいのか、適当に答える。 「わしは四文のを五つくたから、そりゃ二十やるぞ。」 と丹波の人は、銭を払ってしまったので、 「そんなら、あとは二人で出すのか、ばかばかしい。 菓��よりか宿代の方が安い。」 と北八はもまれながら、なんとなく上の空でいう。 「それじゃてて、あがりなされたのじゃから、 しょうことがないじゃないかいな。おほほほ。」 と菓子売りもひかない。
「いや、おほほじゃねえ。無茶苦茶なはなしだ。」 と小言を言いながら、弥次郎兵衛は仕方なく銭を払うと、そのうちあんまももんでしまい、 「あんまさんはいくらだ。」 と北八がきいた。 「はい、おふたりでちょうど百文おくれいな。」 「なんと五十づつか。こりゃ高い高い。」 と思わず大きな声で北八がいったが、これも終わったあとでは仕方なく、百文出してやると菓子売りとあんまの二人は、そろって出て行く。 その後姿を見ながら、 「上方の女にゃ、油断がならねえ。 しかし、菓子売りが俺たちを、いいようにしたと思ってけつかるであろうがそうは問屋が卸さない。 とっくに菓子をここに、隠しておいたのをしらぬやつさ。」 と後ろを探したが、菓子はどこにもない。 北八も同じように自分のうしろを探ってみていたが、みつからない。 そこへ、女中が、湯飲みと急須を持ってきて、 「御退屈さまでござりましょ。お茶でもどうぞ。」 と置いて行く。
北八はまだ、あたりを探しながら、 「ええい、さっきの菓子があるとちょうどいいのに、どうしたんだろう。」 と言っているのに、丹波の人が、 「そりゃ、さっきのあんまが、取っていったんだろ。ははは。 それより、ここにいいものがありよる。」 と後ろの柳行李から、小さな包みを取り出して、 「さあさあ、こりゃ、道修町の店で貰うてきよったさとう漬じゃ。 茶の子にひとつやらっしゃれ。」 と持ち出してきた。 北八が、 「こりゃ、ありがてえ。弥次さんどうだ。たくさんいただこうぜ。」 と言うと丹波の人は、 「いんや、そないに食うてもらうてはならんわい。こちにくされ。」 とひったくりて、そうそうにしまってしまった。 そのうち女中が布団を引きずり持ってきて、 「もう、お床のべましょうかいな。」 とそこらを取り片付けると、また、別の女中が枕を持ってきてほうりこんで行くのを見るとはなしにみると、どうやらさっきのあんまのようだ。
皆々びっくりして、 「もし女中さん。今そこへ来た女は、さっきのあんまじゃねえかの。」 と弥次郎兵衛が聞くと、 「さよじゃわいな。」 とそれがどうしたのかという顔。 「どうして目が見える。」 と北八が聞くと、 「ありゃお客さんがたの前に出るのに、目あきでは、お客様が気をつかうから、お座敷へはあないに目の見えんふりして出てじゃわいな。 この家でやっかいになってるから、ここから帰る前には、いつもあないに手伝ってんでじゃわいな。」 「どうりで、俺の事をよくあてたはずだ。目が見えるものを。」 と弥次郎兵衛は、苦笑い。 「そんなら俺が、さっき隠した菓子も、横取りしたに違いない。」 と北八も、苦りきって言う。
「ああ、おかしい。 お前さんがたがくすねた菓子も、今はこれ、私が貰いましたわいな。」 とたもとから出して見せ、笑いながら出て行く。 その様子に、 「大笑い大笑い。」 「やっぱり、あっちの方が一枚うわてだ。ははは。」 と二人は、笑い出した。
ろくろくに 按摩もせずに 菓子までも こちらに目がない ゆえに取られた
そんなこんなでそれより三人とも布団を、引かぶり寝ることにした。 丹羽の人は、はや高いびき。 でも二人はいまだ寝られない。
なんとなく話していたが、裏通りに「火の用心」の声が聞こえてきた。 北八はふと頭を上げて、 「おい弥次さん。お前、ごそごそと何をしてるんだ。」 「なぜかあんまり寝付けないから、ふっと思い出した。 これ見ろや。足でこんなものをかきよせた。」 と布団中から、小さな袋を取り出した。 「おや、そりゃさっき、あの人の出したさとう漬じゃあねえか。」 と北八がいうと、 「こりゃ、声がたかい。 柳行李のわきに出してあるを、さっきからにらんでおいたんだ。」 「こりゃいい。ひとつよこしねえ。」 「まてまて。」 と弥次郎兵衛は暗い灯りのなかでよくわからないが、袋のふたを取りひとつつまんで口に放り込んで噛んでみると、かっちり。 「こりゃ、固い。」 と言う弥次郎兵衛から、 「どれどれ。」 と北八も、袋の中から一つ取り、これもつまんで口にいれると今度は、ぐしゃり。にちゃにちゃ。 「ええ、なんだ。こりゃ、灰だらけなものだ、ぺっぺっ。」 と吐き出してしまう。 「こりゃ、さとう漬じゃあねえ、なんだかおかしな匂いがする。」 と気分が悪くなって、げいげいとやりだした。
この声を聞きつけ丹羽の人が目をさまし、この様子にびっくりしてはねおきて、 「やあやあ、わりさまたち。こりゃ何しよる。わしが女房をなんぜくいよる。」 と慌てた様子。 「なに、お前のかみさんたあなんのこった。」 と弥次郎兵衛は、訳がわからない。 「なんのこっちゃとは情けないわいの。ありゃ、わしの恋女房じゃわいな。 その入れ物のふたをよう見やれ。」 と丹羽の人に言われて弥次郎兵衛はとんでおき、灯りの前に持って行くとそのふたの書付をよんだ。
「はあ、秋月妙光信女。てことは、この袋の中身はお前のかみさんの骨だな。」 「なに、骨とは、こりゃ大変。 どおりで胸がむかつく。ええ、どうしよう。」 と北八は、ますますげいげいやりだした。 「わりさまたちの胸のわるなったより、わしの胸がつっぱったわい。 こりゃ、わしどもの村のきまりで、その骨を高野へおさめに持っていきよるにござるわい。 ようまあ、大切な仏をなんぜ食いよった。貴様たちは、真人間じゃあるまい。 鬼か畜生じゃろ。」 とたもとを顔におしあて、おいおいと泣く。
弥次郎兵衛もおかしさ半分、小腹もたって、 「ええ、ごたごた言うんじゃねえ。お前がさっき柳行李を開けた時ころげ出たをしらずに居たのは、そっちの失敗だろ。 それをさとう漬だと思って、食ったのがこっちの失敗。 それで、五分五分だ。何もごちゃごちゃ言うもんじゃねえ。」 「いやいや、きかんきかん。元通りに弁償してかえしや。」 と丹波の人は息まいていて、涙まじりにわめきちらしているので、北八がいろいろと断りをいって、さまざまなだめすかして、ようよう納得させて、落ち着いてきたので弥次郎兵衛も内心面白かったのだが、 「いや、もうめんぼくしでえもねえのさ。」 と弥次郎兵衛が一首詠む。
人の骨 食うのも当然 若いとき 親の足をも かじりたる身は
と弥次郎兵衛がくちずさんだのに丹波の人も心とけて、笑いを催し機嫌もなおってうちとけた。
まもなく一睡の夢さめて夜も明けてしまうと、女中が起こしにきて朝食もさっさとすましてしまった。 丹羽の人は高野へ出て行った。
つづく。
0 notes
yfxif · 2 months ago
Text
2024.06日記
2024/06/03
解決しない問題、障害だった。
ふくらはぎが痛くてよくマッサージし、ボディクリームはいい匂い
乃木坂の動画ばかり見ている
2024/06/04
世界征服したいときがわたしにもあった。世界征服とは他者支配であり、目指すところはそのための自己征服だった。
2024/06/05
残業。朝早くに目が覚めてしまうのはたぶん目が開いている。
2024/06/06
並び替えができませんというエラーを解決してやっとここ2週間のなやみから解放された。なにもできなかったけどとてもうれしい。ずっとお腹が痛くエアリズムを買ったり薬を買ったりとにかくくるしい日だった。なにかがあたったのか、さむかったのか、なんなのか。ポポロクロイスのRTAをすこしみて寝る。当落発表は今月だ。
2024/06/07
体調がわるいなか仕事へ行きまたひとつ解決。何も食べれないなりに贅沢をしたくてコーンポタージュを買ったが飲めず、ゼリーも買ったが食べれない。ポカリもひとくちしか飲めないが、なんだか白米は食べれた。コーンポタージュは高いし捨てるのもったいないので家に持って帰ってゆっくり飲んだ。こうなったら糖分補給と和三盆を2つも食べた。
2024/06/08
腹痛で何度も目が覚めるからあたたかくして寝たら、熱中症みたくなったのか気分が悪く起きられず、手も震えて力が入らない。なんとか窓を開けたりクーラーつけたり氷枕で冷やしたりしながら7119に電話すると腹痛と合わせて内科の受診を勧められる。顔のほてりに気づき鏡を見ると目の周りが真っ赤に腫れ上がっていてこわかった。(そういうふうに医者がメモしていたのだけど発赤というらしい。)熱中症でこのまましんでしまうんではないかと冷やしていくうちにすこし良くなる。落ち着いた頃病気で点滴をしてもらい、血液検査の結果はかねがね良好。また異型リンパ球がみられるとのこと。膵臓は問題ないらしい。よくなってるの?
2024/06/09
1日を通して資格の勉強をしていて、なんとなく飽きるとピアノを弾いたり。LINEスタンプを作ってみたいから会員登録だけして��いた。
2024/06/12
いつもの通りばかまじめに仕事をしていたら他の人の仕事を引き受けることとなり、楽しくはあるのでまたこつこつと終わらせて報告に行ったら深々と「いつも助かってます」とAとBから同時に言われ、ひとりでたのしいからいいやと思っていたけれどやっぱりうれしかった。ただ先週はわりと大きめの声でAが(わたしに付いている)Bに「あなたは一人で仕事したほうがマシ」みたいなことを言っていた気もする。都合のよいところだけ大事にうけとめてまたこつこつがんばろう。基本的に単純で前向きな性格なのでがんばれることはたのしい限りがんばろうと思う。うれしい。
2024/06/11
昨日仕事をさぼったしごできのひとにこれでいいですか?と聞くと渋い顔で代替案を提示され、しぶしぶエビデンスを取り直す。仕事ができるひとはさぼってよいとおもうから、ぐぬぬとなるくらいで素直に取り直した。このひとにはわたしがとんちんかんな嘘ばかりついていかなり迷惑をかけているのでいつも申し訳ないなとおもう。この間も落ちませんとSTAP細胞くらい強気に言ったところがきっちり落ちて笑ったり言い訳する気も起きないくらい気まずかった。気まずっと思っていると小声で落ちるじゃんと言われていた。ね。申し訳ない。
2024/06/10
今日くらい休んでもよかったが仕事に行き、いつもさぼるひとが今日もさぼって、居なかったのでほんとうに休んでよかった。ただ難しいと思うのでできないならできないでよいですと言われたところをあっさり解決できたため、ちょっと得意になっている。得意になっては仕様書のしょうもないミスへの冷静なお叱りをよみなおし、セルフ平手打ちをしている。わたしは多少の良いことで際限なくうかれたり体調を崩すほどご機嫌になってしまう滑り台みたいにストッパーのきかない、気色の悪い幼稚さがあるが、その自分をコントロールしようとしているところはえらい。
2024/06/13
コピーした瞬間にファイルが消える大事故でエクセルファイルが消滅し、なかばパニックになったり手が震えたり半泣きになったりして午前中は仕事にならなかった。昨日ほめられて極限まで浮かれてしまったので、ほんとうにはずかしい。もう二度と思い上がりたくない。はずかしい!まず自社の上司をまっさきに頼ったが、かれはツーッという呼吸をしながらネットを調べるばかりなのに他社のリーダーに報告しようとすると止められ、でもマジで使える情報をくれず、挙句の果てに報告はチャットでよいとか言い出すからすべて無視した。無視してリーダーに謝罪のうえ報告。「うーんどうしようかな、とりあえずこのエラー見てて」と渡されたエラーには見覚えがあったので昼休みを使って解決すると報告チャットに100点つけてもらえた。半泣きのままうれしい……としみじみして、半泣きのまままた資料を作り直している。いっしょに資料を作ってくれることになったいつも寝てるひとはわたしとはべつのなんらかのトラブルで残業していたが、帰り際がんばりましょう〜と言ったらウィッス!と言われた。元気でありがたい。しかたないので帰ってから洗面所の前でGo my wayを歌って元気を出し前向きになる。自分が素直にがんばろう!とか前向きに!とか健全な精神に執着しているのをかんじる。これが酷くなるとぽきんとうつ病になってしまうのではないかと漠然とした不安がある。
2024/06/15
毎年面談があるたびに匂わせられる基本情報をとうとう取ってもう何も言われないだろうと一安心。去年すこし勉強していたから1、2週間その場しのぎの勉強だけで取得できた。A試験は620点なんてなんともぎりぎりで、Bも難しかったが、取ったら点数は関係ないのでよかった。すごくうれしい。帰りはなにか買って帰ろうかと思ったが、欲しいものがなかったので温存。
2024/06/16
ひさびさのカラオケで、ひさびさにフリータイムにできたというのにやくしまるえつこのものまねをしていたらテンションを高く保てなくて、けっきょく雲の遺跡も歌えず2時間45分くらいでリタイアしてしまった。家に帰るとHeatherのかわいすぎるカーディガンが届いており、5着くらいのワンピースと合わせてひとりでファッションショーをしたあと、オフィス用にと狙っていたnatural coutureのワンピースが安くなっていたので購入。本当はレースのスカートと白いブラウスも買って今年は深窓の令嬢OLになりたかったが出費の関係で我慢した。夜またスマホを落としたら画面の故障が酷くなったため、もう買い換えることを決意した。
2024/06/17
同じチームの1年下のひとのエビデンス取得を手伝ったため2時間の残業。そこから家に帰って10時帰宅。最近平日は10時に寝ていたから起きる時間のことを考えると不安。でも迷惑かけられるのはかけるのより気楽だし、焦ってみんなで頑張るのは学園祭の準備みたいでたのしい。帰りはエントランスの扉が閉まっていて、通行口を見つけるのに苦労した。
資格が取れたのでなんのうしろめたさもなく本が読めてうれしい。
 彼女は何も言わずそこに座り、今という瞬間を楽しんで、憎悪が去った後な空っぽの空間を愛が満たすに委せた。その瞬間が来たと感じた時、彼女は月に向かって、そのオマージュとしてソナタを弾いた。それを聴いた月が誇りに思ってくれ、星たちの嫉妬を誘うことはわかっていた。それから彼女は、星たちのために、庭のために、暗闇のなかで見えないものの、そこにあると分かっていた山々のためにも音楽を奏でた。 庭のために弾いている間、精神病患者で、もはや治療の余地のないエドアードがやってきた。彼のことはべつに怖くなかったし、逆に彼女が笑いかけると、驚いたことに、彼も笑いかけてきた。音楽は彼の遠く離れた世界にも侵入した。それは月よりも遠かった。奇跡を起こしたのだ。
ベロニカは死ぬことにした 90 パウロ・コエーリョ
2024/06/18
スマホを落としてながらく左側に白い線ができていたけれどもう2回落とすと線がもっと太くなり右側のパネルの裏側に液が漏れ徐々に画面が黒く侵食され始めたため機種変更を余儀なくされた。会社終わりに機種変更へ。なんとなく勧められたGoogle Pixel8aの料金が許容範囲だったのでかわいいパステルグリーンをえらび海みたいなケースに入れた。(そういえば水沢なおのうみみたいも読了。うみみたい、うつくしいからだよ(未読。タイトルから推測)、とここまで生殖や身体について書きたいひとが『私の身体を生きる』にいないのはやっぱりざんねん。)
夜はたのしみにしていたニンテンドーダイレクトをみたけれどたいしてヒットするものはなかった。まわりのドラクエすきなひとにきくとみな7がやっぱり…というのに制作側はロトシリーズ(そのようなくくりも11クリア後に知ったが)ばかり着手するから世代の違いをかんじる。3が発売された当時の長蛇の列は今でも伝説的にあつかわれており、あの人気にすがりつづけているかんじがは寒々しい。くわえてぱふぱふ、おいろけ、オカマ(必殺技のひとつにナカマ呼びというのがあって、カタカナ表記から明確にオカマとかけていると思われる)ともう現代のファンを作る気がないらしいが、でもゲームシステムは焦らず地道に進められるものだから長く続いてほしくもあり。他作品もゼルダの伝説もタッチをみるに夢島未プレイだとまずはそちらからと思うし、ロマサガ2、サンリオ版どうぶつの森、コロボックル版どうぶつの森のほうが惹かれるけれど、そもそもいまの配属先ではなかなかゲームする気もおきない。原神も置いてずいぶんになった。
『ベロニカは死ぬことにした』で、ベロニカが多重人格障害のエドアードのまえの全力マスターベーションで幸福に満たされるシーンを読み、女性の性欲に対する抑圧やそもそも現代の老廃物としての性という面を考えるとまあかがやかしいシーンだろうとおもうものの、このような性の解放にはいつもおいてけぼりをくらっていて察する価値ほどの感動を感じない。では何に価値を感じるかというともう人口に膾炙しきってしまったアダルトチルドレン的な展開で、過去の自分と対峙する/対峙を諦めるはなしにはぐっとくる。そのような意味で乃木坂46『帰り道は遠回りしたくなる』のMVはよかった。
2024/06/19
表象のほかにほしいものがないというのは表象になりたいこととはどう異なるのか。スマホを新しくしたら打ちづらい。
2024/06/20
つがつが日記を書いていたら細かくメモしたいこともなくなってしまい、ひたすら本を読んたりrtainjapanを見直したりしている。夏のゼルダの伝説回はたいぶよかったけれどそんな回はもうしばらくはないだろうとおもうと残念。今年は風タクが申請されていたけれど目新しくはなかったからどうだろう。でももし配信されるならかこつけてAに連絡しよう。それでこんな人生早く終わってしまえばいいよ。
2024/06/21
友人と夕食。前回はダブルブッキングされてキャンセルになったのでよくあることと思いつつ、忘れられる程度の存在なんだと高校生みたいな落ち込み方をしていたがじっさい会うとたのしい。アイドルマスターやダンガンロンパ、原神の話をする。インドカレー屋さんのビリヤニを食べたが、ものすごく硬い途中スパイスを誤って噛んでしまうと歯が痛く、祖母の家の絨毯の味がした。カレー食べておけばよかった。
2024/06/22
昨日の友人からカラオケでデュエット曲の愛包ダンスホールが歌いたいと言われ、まかせてと返したものの聴くと早すぎる。何回か聴き、口ずさめるようになると目が覚めてしまって3時まで起きていた。なので身体のことを考えて一日外には出ず、rta in fukuokaを観てすごした。明日のトリはスカイウォードソードだから楽しみ。rijの当落発表も明日。
ビビデバのPVじたいはよかったが、(アニメーションではなく)表象萌のためのキャラクターとしては学園アイドルマスターと併せて限界をかんじる。
2024/06/24
福岡rtaのスカイウォードソードをあらためて見返していたら、走者がニンテンドーのグッズにハートの器のピンズと鏡があると宣伝していて、見に行くとムジュラの仮面やボス部屋の鍵(風のタクトというかトゥーンリンクのシリーズだろか)、ロンロン牛乳、ハートのかけらなどのグッズかあった。ハートのかけらなんてあればあるほど嬉しいけれどとりあえずムジュラの仮面のピンズ、ボス部屋の鍵のキーホルダー、ピクミンのクリップを購入。
2024/06/25
貧しき人びととやわらかな生命を交互に読む。ポクロフスキーとワーレンカの最盛期の恋愛に萌えたりした。
ポクロフスキーは貧しい、それもとっても貧しい青年でした。病弱の為にずっとつづけて大学へ通うことができなかったほどで、彼を大学生と読んでいたのは、あたくしたちが昔ながらの慣習に従ったまでのことです。彼は物音一つしないくらい、つつましく、おとなしく、ひっそりと暮していました。外見はとても変わっていました。その歩き方も、お辞儀もとてもぎこちなく、話し方も風変りでしたので、あたくしははじめのうち彼を見ると笑わずにはいられなかったくらいです。
ドストエフスキー『貧しき人々』
このポクロフスキーが数ページ後にこう。
ポクロフスキーはかんかんに腹をたててしまいまいした。 「ちぇっ、まだこんなことをやっているのか!」かれはどなりました。(中略)「それより頼まれもしないところへ入るのはやめてくれよ」彼はそういったものの、こちらのおとなしい態度にいくらか心をやわらげ、つい最近まで教師だった権利をふりかざして例の説教口調で静かにこういうのでした。「ねえ、いったいいつになったら一人前になるんです、いつになったら分別がつくんです?さあ、自分の姿を眺めてごらん、君はもう子供じゃないんだ、だってきみはもう十五歳になるんじゃないか!」彼はそう言いながらあたくしがもう子供じゃないという自分の言葉を確かめるかのようにじっとあたくしの顔をのぞきこんで、耳の付け根まで真っ赤になってしまいました。あたくしは訳が分からず、彼の前に突っ立って、吃驚したまま目を大きく見開いて相手の顔を覗き込んでいました。彼はつと立ち上がるとばつが悪そうにあたくしのそばへやってきて、しどろもどろに兄やら喋り始めました、何やら誤っているようでしたが、それはきっと今の今まであたくしがこんなに大きな娘になっていることに気付かなかったことを詫びていたのかもしれません。
ドストエフスキー 『貧しき人々』
おとなしく卑屈でかっとなるタイプの男性が女性に対ししどろもどろになっているシーンすき。
あの人が病気になった当時、家の人たちはみんなあたくしのことを変な目でみていました。そうしたみんなの目をまともに見返していたので、それからはだれもポクロフスキーを看病するあたくしを、とがめるようなことはしなくなりました。
ドストエフスキー 『貧しき人々』
良い台詞。
ドストエフスキーの描く一人称の男たちは見えっ張りなのに浮かれやすくプライドが高いのに臆病だから知る限りは全然好きになれないが、女性の一人称はかなり良い。また三人称の男もかなりいい。
齋藤飛鳥がかつて乃木坂のアイドルだった頃「踊りは歌詞に寄せていて人を作る(自分が踊っている感覚ではない)」と話していて、彼女の踊りの向こうに踊りになるまえのものがあると知る。齋藤飛鳥の踊りといえば肩の残し方や手足のさばき方がこだわりがあるふうに見えかなり鏡とも向き合ったのだろうと思うが、いっぽうで踊りの枠をこえて潔く振り抜く瞬間があり、その踊りの向こうにいる人と彼女個人の感情の昇華のバランスがすごく良い。でもアイドルを卒業した齋藤飛鳥がなにかの機会でいまさら踊るのを一ファンとしてのぞんではおらず、昔の動画を見るくらいがちょうどよい。
2024/06/26
任天堂から注文していた荷物が届いた。早い。ムジュラの仮面のピンズで遊び、キーケースのリングをボス部屋の鍵キーホルダーに付け替えて満足。ムジュラの仮面のピンズはデザインで選んでしまったけれどやっぱりグッズは作中本来の用途やシチュエーションと地続きのものがよい。ボス部屋の鍵のキーホルダーもそうで、ほかには『レヴュースタァライト』アタシ再生産のワイヤレス充電器、チェーンキー��ルダーの『スーパーマリオ』ワンワンなど。デザインが良い。
2024/06/27
自社の上司は報告会でおしゃべりがしたいのか、仕事の報告会をしているのに仕事場の人間関係へ話が飛んでなにのために集まっているのかよくわからない。
2024/06/28
早上がりでショッピングのあとお寿司を買って帰宅。食べながら仕事の続き。
2024/06/29
9ヶ月ぶりにカットへ。ぱっつん前髪になり、サイドバングを作ってもらう。
2024/06/30
カラオケへ行ってドンキで化粧品を買い、ミッフィーショップとムーミンショップでそれぞれボールペンを買い、財布を新調し、おジャ魔女どれみのクリアファイルガシャポンをする。ちいかわも特集が組まれていて、かなり客層が広かった。寝る前に剥がれてしまったマニキュアを塗り直す。除光液を使わないでよいというベースコートを作ってみる。
0 notes
kachoushi · 3 months ago
Text
風月句会
2024年8月18日
Tumblr media
於:多摩市民館第五会議室 写真:柴田貴薫
坊城俊樹選 栗林圭魚選
坊城俊樹選 特選句
Tumblr media
坊城俊樹選 特選句
枡形の黒門渡る送り南風 幸風 白雲の刷毛遣ひよく秋に入る 軽象 弁慶の骨組みあがる倭武多小屋 経彦 山寺の奥の奥なる桐一葉 秋尚 的れきの花天に向け烏瓜 幸風 隠沼の微かに饐えて秋に入る 軽象
坊城俊樹選 並選句
女坂飛蝗食みをる葉をよけて 慶月 苔茂る水瓶澄みて銅鑼の音 文英 古民家に故郷の匂ひ黴の壁 経彦 艶歌聴き魚定食終戦の日 亜栄子 森晩夏親しき人のたましひと 幸子 しづけさの箔の重なり秋の蝉 千種 水音に引き寄せられて秋暑し 亜栄子 天の川遠く去りたる人恋ひし れい 秋の蝉途切れ途切れに声つなぐ 秋尚 隧道をよき風抜けて赤のまま 久子 句碑の辺をすっきりさせて涼新た 文英 桐一葉落ちて享年確かむる 千種 父彫りし石灯籠に盆の燭 経彦 秋暑し筧の水に手を濯ぐ 久子 母子地蔵見守るがごと百日紅 貴薫 蟷螂の己が肢を舐む真昼かな 久子 台風の割り込んで来し予定表 三無 供華枯るる寺囲ふかに秋の蝉 貴薫 山城跡ひとり登りて秋の人 秋尚 秋暑や岡本太郎ここにあり 軽象 灼熱を吸い込んでゐるカンナの緋 亜栄子 葉隠に処暑の一水奔りたる 千種 墨の香の濃くやはらかく施餓鬼寺 三無 閼伽桶のひっそり乾き盆のあと 貴薫
栗林圭魚選 特選句
Tumblr media
栗林圭魚選 特選句
人気なくただ秋蟬の鳴ける寺 貴薫 萩の枝大きく撓り年尾句碑 文英 隧道をよき風抜けて赤のまま 久子 暗がりの守れる句碑や秋の声 千種 寄せ墓の一基盆花枯れずあり 久子 墨の香の濃くやはらかく施餓鬼寺 三無
栗林圭魚選 並選句
桐一葉続けて一葉陽子墓碑 三無 紫の供華鮮やかに秋涼し 秋尚 古民家に故郷の匂ひ黴の壁 経彦 新涼やメタセコイアは風生みて 三無 雨雲の近づく気配葛の花 貴薫 森晩夏親しき人のたましひと 幸子 白粉花の紅せり出せる句碑の路 慶月 山寺の奥の奥なる桐一葉 秋尚 初秋や太郎抱かるる母の塔 三無 旅に出る友や朝顔色明か 貴薫 此処に多摩横山の真葛原 文英 葛の花覆ひ病院跡さびし 慶月 おしろいや三毛猫するり通り過ぐ 貴薫 桐一葉落ちて享年確かむる 千種 香煙の一穂たてり霊祭 幸風 木を覆ひ垣乗り越えて葛かずら 秋尚 秋の蝉城主の墓へ啼き尽くす 慶月 父彫りし石灯籠に盆の燭 経彦 蟻はらふベンチにとどく水の音 幸子 秋暑し筧の水に手を濯ぐ 久子 母子地蔵見守るがごと百日紅 貴薫 蟷螂の己が肢を舐む真昼かな 久子 台風の割り込んで来し予定表 三無 はだかの子ふくのままの子噴水に 幸子 陽子忌へ竜胆さやか捧げられ 慶月 みぞそばの蕾あつまる雨意の濃し 千種 隠沼の微かに饐えて秋に入る 軽象 灼熱を吸い込んでゐるカンナの緋 亜栄子 噴水やひくき半円十条ほど 幸子 秋草となりて風呼ぶしなやかに 秋尚 葉隠に処暑の一水奔りたる 千種 特攻の叔父の墓参や訪ふ離島 経彦
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
0 notes
kennak · 4 months ago
Quote
車で3時間ほどかかる妻の実家に今年のお盆も行ってきた。 まだ小学生の娘は妻の実家が好きで、おじいちゃんとおばあちゃんに(それと猫に)会えるのを毎年楽しみにしているんだ。 お義父さんとお義母さんも娘のことが好きだから歓迎してくれて、娘はいつにも増してはしゃいでた。 それで疲れたのか、夜には晩御飯を食べるとすぐに寝ちゃったんだ。 晩御飯の後、大人だけで少し晩酌しようかって話になって、でもお酒が足りなくなった。 もうちょっと飲みたいよねって話になって、お義母さんが「私が買ってこようか」って言ってくれたんだけど、近くにコンビニがあるし俺が行ってきますって名乗り出た。 それでお願いされて、コンビニまでお酒を買いに行ったんだ。 外に出ると夏の熱気がまだ残っていて、それでも知らない夜の住宅街を歩くというのは不思議と悪い気分じゃなかった。 酔いを醒ますのにもちょうど良かったのかもしれない。 コンビニは空いてて、アイスとお酒を買って、アイスを食べながら来た道を戻る。 見上げれば夜空に星空が輝いていて、こっちに来ないとこうも綺麗に見れないよなぁ…なんて思ってアイスを食べて、たまに足を止めて夜空をじっと見つめたりもした。 道草食って戻るとお義母さんが玄関で出迎えてくれて、買ってきたお酒を渡すとお礼を言われた。 コップに移して持ってくね、と笑顔で言ってくれて、お願いしますと答える俺も思わず微笑んだ。 リビングの方に戻ろうと思って廊下を進むとリビングへのドアが少し開いててさ、そこから中の様子を伺えた。 こっそり覗き込むと妻とお義父さんがなにやら話してて、楽しそうにしてた。 妻はちょっと畏まるような、でも笑ってて、その笑顔は見たことのない類のものだった。 そのとき思ったんだよ。 ああ、そっか。妻は娘のお母さんだけど、でもお義父さんの娘でもあるんだなって。 だから今の妻は母であり、そして娘でもあるんだなって。 そう思うと何か妙にじんわりときちゃって、ちょっと泣きそうになった。 妻とお義父さんの姿を、将来の娘と自分に重ね合わせて見ていたのかもしれない。 どうかした?って、いつの間にか後ろに来ていたお義母さんに声をかけられて、恥ずかしくなって何でもないですって答えて、二人でリビングに入っていった。 それから俺が買ってきたお酒と、お義母さんが用意してくれた肴で、楽しい夜を過ごした。 お開きになって、寝ている娘の横に布団を二つ敷いて、横になったとき。 さっき泣きそうになってなかった?って妻に聞かれて、ちょっと驚いた。 俺は「〇〇も昔は子供だったんだなって思って」と素直に言うと妻は笑って「なにそれ」といった。 それから目を瞑って将来のことを漠然と考えていると、気付けば眠っていた。 体を揺すられ、ゆっくり目を開けると娘が「おとうさん、もう朝だよ!」といって俺の体をぽんぽん叩く。 妻が、それを見て傍で笑ってた。 飲み過ぎたみたいで頭��痛かった。それでも、思わず笑ってしまうような、快い二日酔いだった。
今年も妻の実家に帰省した。
0 notes