Tumgik
#夢のポルシェを買おう
ichinichi-okure · 10 months
Text
Tumblr media
2023.12.11mon_tokyo
昨日死んでいたせいか、変な夢で起きた。2時半。 早朝の起床の仕事があり、3時45分にめざましセットしておいたのだけどたいして眠れず起きてしまった。 悪夢につき熟睡度ゼロでなんか損した気分。 まあ寝坊して遅刻するよりはよし。思えば、いま使ってる名刺のデザインは花札の月の札をベースにしているのだけど、もともと仕事に盛大に遅刻して謝罪で頭を丸めたところが由来、 やけくそになって坊主の札で体を張ったダジャレにしてしまえと作ったのを思い出した。 それはさておき、ある時期から早朝起きれるようになったなあと思ったのだけど、これ単純に加齢だなと納得。
仕事は4時半に新宿駅集合。駅構内でモデル二人を速攻で撮れ、人の映り込みは許さん、とのリクエスト。 クライアント、割と無茶なこと言うなあと思ったけどまあやってみましょか。お金くれるし。
新宿駅までの交通手段はいつも仕事で使ってる機材車こと屋根付き箱付きのスクーター。 見た目完全にピザ屋さんかウーバーなのでどこでも業者用の入り口から案内され搬入できたりとメリット多し。 業者のふりしていろんな現場に紛れ込んできたり、燃費の良さもあって永らく使っててもう15万キロ、なんかこのスタイルがやめられない。 アシスタント時代についてた売れっ子の師匠にあたる人が黒のポルシェのオープン乗るようなベタなかんじだったので、絶対そうはなるまいと心に刻んでいるところもあり。
さて、3時40分出発。なんか湿度高い。246はこの時間帯さすがに激空きで、20分ほどで新宿駅東口到着。平日の夜明けなのに人いるねえ。 現場はJRじゃなくメトロの新宿駅付近ってことでちょっと歩いたのだけど、メトロ側のほうが断然暖房が効いてて暖かく、汗がじんわり出てくるくらいだった。 撮影は5時スタート、今回の機材はハンドリング重視でソニーのカメラを選択。モデルの方がすごい理解度で現場での打ち合わせ10分、 時折道行く人に冷やかされながら撮影は30分くらいであっさり終了。 そのまま朝6時、担当者と一緒に喫茶店へ直行して写真をセレクトしつつコーヒーブレイク。 二人いた担当者のもう一方が北海道の知床出身とのことで道東の野生動物のはなし(ていうかヒグマだけど)や、 好きなアイドル・推しの話をしばし。 「BTSのジョングクにあったらもう人生あがりです」とのこと。わかる。今の俺その感覚とてもよく分かる。 7時前に一同別れ帰宅!ここから子供の保育園の送りにいかねばなのだ。
新宿からの道中ヘッドホンで流れるのは人生の師匠であり神であるところの小泉今日子さん。
Tumblr media
曲はアフロピアに入っているプロセス。もう何回聞いたかわからないけど今日も沁みる。 最初に書いた「昨日は死んでいた」の原因はこれ。 昨日どういうわけかいろんな事情でご本尊(自分にとっては尊すぎるので人間扱いできずすみません)に邂逅したのであった。 小学生だったときからの憧れ中の憧れに会う。正気を保てるとは思えなくて本物には会いたくなかったんですよ。ツチノコ、天狗、麒麟etc.の枠の生き物で遠い電波の向こうの人。 それがなぜか目の前に。。。 「あー宗教体験ってこれか、、、」目の前が白くなり、時間は延び、空間は歪んで前後不覚になったところでてを差し伸べられました。なんだよこの蜘蛛の糸感。もう人生終わったようなもんだ。 てことで自分の中の暦が書き換えられましたBK/AKって具合です。今アフター小泉、AK1年こと令和5年です。
神の曲聴いてると危ないので次の曲へ。鈴木亜美の「それもきっとしあわせ」がかかってホロリ。涙が出る、今俺いきてる!作曲キリンジ、最高ー。
Tumblr media
ってことで妙なテンションのまま7時30分に家着。4歳の息子と妻は朝ごはん食べてた。一緒の食卓につくとぼーっとして来た。さすがに眠し。
8時45分、今日もバイクで保育園へ。息子は0歳からずーっとバイク乗っているので慣れたものである。 15分ほどの道中かならず息子の「なんでさー・・」の質問コーナーがあるのだけど、今日の質問はこれ。 「あのさー、昨日飲んだクランベリージュースのくらんってなあに??」いつもながら難しい。。ブルーベリーとかストロベリーはわかるけどクランベリーは分からん。 いつもそこで言葉切るかって文節を提示してくる、、ついこの前もウルトラマンレオの歌「突然嵐がまきおこり~♪」のまきって何?って質問あったな。・・・勉強します。
9時園着。息子とバイバイしつつハグしてそのまま保育園の隣のブロックにあるかかりつけの歯医者へ。 先月ナッツを食べていたら、なんか別のガリっとした感触がして、!!と思って吐き出してみたら奥歯が割れていた。ってのの治療。ついに次で終わり! 寝ていたら施術終わっていた。 帰宅11時。 夕方撮影もう一本あるので2時間ほど仮眠。14時起きてPC作業など。腹減ったので焼き芋。編集者の妻は在宅勤務でずーっと校正してる。 引き続き16時半までPC作業やバックアップなどなど。 16時40分にバイクで出発。今日は18時半神宮前集合の取材があるので17時に息子を早めのお迎え。 一回家に帰って、用意してあった機材を積み込みいざ某音楽編集部へ。本日の取材対象は「家主」という、くるりやスピッツ、aikoなどが絶賛しているバンドとのこと。
さて、この仕事の裏テーマは先日買った新カメラの本番投入第一戦ってこと。 中判センサーっていう割とハンドリングわるいカメラをマニュアルフォーカスで撮影するのはどんだけストレスなのか、それともわりといけちゃうのか知りたい。 短い撮影時間の中でどのくらい機能するのかをいきなり本番で試した。 カメラがないとどうしようも無い商売なんだけど、自分じゃコントロールできない電気とか機械の領域がめちゃくちゃあるので割とカメラとの相性は大事だなと思っている。 別に相性悪くても写真は写るしそこが尊いと思うんだけど、最終的になんか心許せるかどうかっていうのはあるんだよな。 めちゃくちゃ画質の良いカメラなのにそこにあんまり関心ないことにこれを書いていて気付いた。 結果概ね満足だった。ストレスほぼなし。ファーストインプレッション合格。ちょっと気を遣うカメラだったけど全自動で撮らされてる感覚無し、自分の身体との相性は良さそう。 今後もよろしくお願いします。
Tumblr media
取材はつつがなく終わり帰路。 BGMはやはりkyon2様。sexyheavenと夢の底とプロセス。沁みるぜ。二回目のループで家についた。
21時、ドアをがちゃっと開けるとドタタタタと足音がして風呂上り全裸の男子がお出迎えしてくれた。まだまだ生きねばと思った。
-プロフィール- 沼田学 50歳 世田谷 写真家・出張ゲリラ餅つき屋「もちはもちや」 https://www.instagram.com/numatamago/ https://twitter.com/numa_tamago https://www.instagram.com/mochistagram2017/
1 note · View note
32j · 1 year
Text
2023/05/02
朝から結構頑張って起きる、体調は昨日よりはマシで、午前中は調査で研究機関の図書アーカイブにいく。途中少し歩いてパン屋に寄って朝飯を食べ、プレッツェルがあんまり好きではないことに気づきつつあったり、国鉄の近郊電車のダイヤが終わっていて全然間に合わなかったりさらに入り口を間違えたり天気が良くなってきて花粉が最悪になってきたりしたがなんとかたどり着く。アーカイブはかなりよかったし対応してくれた人も親切でよかった。昼前にコピーなどを終わらせて大学都市を少し見る、中心部に戻り昼飯を軽く摂ってから見たかったヴァイセンホフへ、ここは流石に素晴らしかった、夢の空間という言葉がぴったりなの初めて思った。着いたあたりでカメラのメモリが一杯になり、クロークでパソコンにデータを転送して事なきを得る。パソコンにしておいて良かった。どこに行くか迷いつつ、ギリギリ行けそうだったので近くの公園のタワーにも行ってみたがこれは完全な地雷で何にも面白い構造ではなかった、写真をちゃんと見ればわかったはずなのだがこれは後悔、公園自体は素晴らしい。異様に難しい電車網に苦戦しつつなんとかポルシェ博物館にも辿り着く、建築的にはドバイなんだけど中身もなかなか厳選されていてベンツと比べて相対的にコンパクト。早々に市内に戻り、図書館と教会を見に行くも、図書館はわりになんてことない一発芸(上下で実は2発だが、みるべきものが空間とファサードの二層構成だけという気もする)で、教会は閉まっていてみられなかった。教会の外構はなかなか良かったのでリトライしたいと思いつつも、たぶん中はそこまで特筆すべきでもないとも思う。昨日行けなかった店で名物のパスタ包みを買ってそのまま食べてしまい、スーパーでサンドイッチとビール、水を買い込んで列車を待つ、異常に遅れていてビールをひと缶追加、結局1時間半遅れで着き、ビアホールを諦めてそのまま宿へ直行、11時までと言われていたがギリギリ間に合わない、いいお婆ちゃんだったので助かった。
0 notes
ramiiiiipic · 6 years
Photo
Tumblr media
@masaru2236 さんから 最近流行りの #バイナリーバトンを頂いたのでノリますね❤ ・ 写真は大成功したお金で 現金一括でポルシェを購入し 納車直後に向かい風に若干負けつつも 歯医者さんへ虫歯の治療に ダイヤモンドを詰めに行くところです。 この後ヒョギフ大統領と若鶏のエヒフを食べに オオグンタマにある 本格ナポリタン「パイゼリヤ」へ行きました🍽 本格デザートはミセスドーナツのヒップリングです🍩 ・ ちなみに 「たけのこの里」か「きのこの森」の件ですが… どちらかと言われたら 私は「たきのこの里」派です。 げんこつハンバーグだと 「オニオンソース」か「デミグラスソース」かと聞かれたら 私は「オニグラスソース」派です。 ・ さぁ!あなたも私のように 副業で稼いで憧れのスーパーカーを買いませんか? 大成功した私のように 週末は純白のポルシェを走らせ ガソリン入れる時は1000円ずつ入れ タイヤが減ってきたら裏組をして 割と長続きする500円貯金もして 500円を貯めたいが為に自販機に1000円を入れて 全部100円で返ってくる興奮も一緒に味わってみませんか? さぁ!新たな1歩を踏み出しましょう! ・ #バイナリー #バイナリーオプション #資産運用 #臨時収入 #企業家 #脱サラ #自己投資 #副業 #成功者 #仕事やめたい #ビジネス #儲かる #モテ期到来 #500円貯金 #夢のポルシェを買おう #炭焼きレストランさわやか #げんこつハンバーグ #ミスタードーナツ #本格ナポリタン #サイゼリヤ #バイナリーの方々面白いコメント待ってます #バイナリーホイホイ (Hamamatsu-shi, Shizuoka, Japan)
21 notes · View notes
pockysuburbia · 3 years
Text
新しい幸福の定義
幸せの条件というものがあるのかないのか分からないが、少なくとも「こんな状態なら幸せでしょ」という世間一般の共通認識みたいなものがあると思う。
これをここでは仮に「幸福の共通認識」と呼ぶとする。
この幸福の共通認識が、この20年~30年ほどで大きく移ろってきたと思う。
例えば30年まえはこんな感じだった。
「同級生の〇〇がスープラを買ったらしい」→ すげー・・・
「役員の腕時計がパテック・フィリップだ」→ 給料高いんだろうなー
「先輩が起業して成功した、ポルシェに乗っている」→ 羨ましい・・・
「ビジネスの自動化に成功して自由な時間がある、一年の大半を旅行している」→ わたしもそうなりたい!
「成功するためには夢のリストを書こう!」→ 欲しいブランド品のリストを書く
「あの人は成功していて年収は〇〇〇〇万円!」→ 俺もそうなる!
要するに、幸せとは成功のことであり、成功とは貨幣を多くゲットすること、だった。そして成功を証明するために、貨幣で手に入れられるものを買い、見せびらかすことが必要だった。
これを民俗、風俗的に「バブル」「バブルっぽい」と呼ぶのだと思う。
中国人観光客の腹の出たTシャツのおっさんが、似合いもしないウブロをし、銀座でブランドショップをマラソンする様子を見て、日本人の多くはあの「バブル」を思い出していた。
でも時代が過ぎ、少しずつ様子が変化してきたのかもしれない。
高級車や高級時計を手に入れたり、高級リゾートに滞在したことなどをもって自慢できる雰囲気ではなくなってきた。それで幸福だとは言えなくなったし、成功の証にすら必ずしもならなくなった。
高級車を欲しがるのは中高年、高級時計にこだわるのも中高年。逆に他人の持ち物に嫉妬するのも中高年。
一方、若い世代ほど貨幣で買えるものにさほどの興味を持たなくなったと思う。
その理由について、訳知り顔で「日本が貧しくなったから」と言う人もいるが、たぶん違う。貧しい人はバブル期にも沢山いたし、貧しいほど自分が持てないものを渇望していたわけで。だからこそ、遊興費で多重債務者になった人も多かった。
実際のところ、なぜなんだろうか。
それは「幸福を貨幣で手に入れるのは、実は負けなのではないか」という気づきが広がっていったからかもしれない。
幸福を「セックス」に置き換えていると分かりやすくなる。江戸時代の旦那衆なら、金で女を抱いて、それで粋を競っていたかもしれないが、現代ではそれはちょっと卑屈なイメージすらある。
金で女を抱くのは、金でしか女を抱けないという意味にすり替わったからだ。
貨幣で幸福を手に入れるのは最終手段であり、コストパフォーマンスが低すぎる。そういう気づきが一部の金持ちや若い者の間で広がっていったのがこの現代なのだと思う。
もちろん貨幣を否定するものではない。お金がなければ出来ないことは沢山ある。子供を育てる環境も金がないと困ったことになる。お金がない��とで家族に苦労をかけたことは俺も若い頃に沢山あって、それが傷になっている。
でも最近は、幸せになるためにはお金は想像よりずっと少なくて済むのではないかと、俺も思い始めている。
最近、仕事で使う社長車をワゴンRにした。ハイブリッドの新車だが、仕事で使っている中ではBMWに劣る部分が何一つ見当たらない。燃費はリッター20キロを超え、シートヒーターがあり、街中のトルクもあって走りやすく、Bluetoothオーディオがあり、バックカメラも付いている。一日100キロ走っても、疲れはBMWよりむしろワゴンRの方が疲れない。
これで車の値段は200万円でしかない。新古車なら150万円程度。
「軽は軽��しょ、いい年をした男が恥ずかしい」と思うのは、やはり中高年であって。俺自身は別に引け目を感じるわけでもなく、快適に仕事をして、毎日楽しく過ごしている。
別に、貧困を正当化するつもりはない。ワゴンRが正義でBMWが悪だとは言ってない。ワゴンRでいいのよ、とか貧乏な中年男が言うのとは違う。車が好きならBMWにすればいいわけで、それで必ずしも幸福になれるわけではないということだ。
幸福に貨幣の裏付けがそれほど多く必要ないとなったら、働き方や生き方が変わる。正社員である必要があるのか、就活をする必要があるのか、残業する必要があるのか、家族との時間を犠牲にする価値はあるのか、そもそも貨幣での成功を目指すのは意味があるのか。住宅ローンを借りても完済する意味はあるのか、ひとつの土地にしがみつく必要はあるのか。
いろんなことがひっくり返ってしまう。
巨大企業で働ける一部のエリートや技術職・専門職以外、あまり優秀ではない学生は親から刷り込まれた古い価値観を捨てなきゃならないかもね。
月手取り18万円の就職をするよりも、バイトしながら旅をしSNSで発信してフォロワーが50万人いる人の方が、おそらく資産価値は大きくなっていく。貨幣という面から考えても、きっと就職よりもパフォーマンスが高くなる。
ユーチューバーとして稼ぐという意味では絶対にない。もっとその先のソーシャルバリューみたいな何かが、貨幣を含めた資産を生み出すのかもしれない。
営業マンや店頭販売員という職種はそう多くない将来に絶滅していくと思っている。いますでに営業マンは修行のような苦しさになっているよ。交通費を垂れ流し、職場からの表彰やチヤホヤに洗脳されて。
ニードを喚起させたり購買行動を起こさせるのが営業マンの役割だったが、専門的な情報を発信できSNSのフォロワーが巨大で、インフルエンスを行使できる人が担っていくわけで。契約や支払いなどはもう人でなくても出来る作業でしょ。
インフルエンサーと呼ばれ今いる人たちも、本来の意味ではインフルエンサーではない。妙な踊りを披露しているだけでは価値がなく。
幸福とか豊かさの定義や、労働の定義、貨幣の意味が変わっていけば、新しい富裕層が生まれていくのかもね。ほんと10年先くらいには。
13 notes · View notes
naokinma · 5 years
Photo
Tumblr media
㊗️あなたも憧れの高級外車に乗れます‼️   ⚫︎頭金ぜろ0円 ⚫︎初期費用0円 ⚫︎車検0円、法定点検0円 で高級輸入車の新車が3年毎に乗れます‼️ (全て国内正規ディーラー車です) ベンツやポルシェやフェラーリ…憧れはしますが、愛車にするなんて夢のまた夢…そう思っていませんか? サーフカーシステムは、車の価格の3分の1の年収があれば憧れの車を驚きの月額で乗る事が出来るんです‼️   サーフカーとは、会員制の買取保証型ローンを利用した新車の販売システムです。 大手ローン会社と提携したオリジナルの変額ローンを利用することで、憧れの高級輸入車の新車が驚きの月額で乗ることができます。   さらに頭金0円・初期費用0円・車検0円・法定点検0円で3年ごとに様々な新車に乗り換えられます。   高級車が驚きの月額で乗れる仕組みは、 3年後に予想される買取価格を、新車価格から引き、残りの金額を36分割した金額で、月額が設定されているからです。 興味がある方は下記のLINEまで。必ず 【@naokiさんの紹介】と記入して下さい。 LINE ID ⬇︎ https://line.me/ti/p/TQqzO7g15J ■■■■■■■■■■■ 問い合わせが毎日来ています。✨ 詳しくはDM迄宜しくお願いします。✨ お待ちしています。✨ https://www.instagram.com/p/B9K9fVJg4JS/?igshid=uu08spgubqhr
0 notes
hiro-inami · 8 years
Text
桜の樹の下の女(私小説風)
 これは先月末、とあるバーでクラフトビールを飲んでいたときの話。
 その店内の棚にプーチン大統領のラベルのビール瓶が飾ってあって、それを手にとって眺めていたら、近くで飲んでいた女性に声をかけられた。黒縁の眼鏡をかけ、髪は無造作にまとめただけ、おそらく20代後半くらい、化粧気はほとんどなく、さっきまで相模湖周辺をトレッキングしてきたという雰囲気の人だった。なんでもそのビールのラベルのデザインがお気に入りで、独露首脳会談時にメルケル首相の犬嫌いを知って、強面の大型犬を従えて会談の場に登場したプーチンのエピソードを愉快気に話していた。
「この人なら北方領土もいつか返してくれると思うし、アメリカもトランプになってロシアと仲良くなることは良いと思うし、日本にとってもプラスだと思う、トランプ大統領にも期待してるの、彼の言うように移民は制限されるべきよ」
 要約するとこのようなことを、ディズニーランドに来てはしゃぐ女の子みたいなきらきらした眼差しで早口で語った。あまりの屈託のなさに、自分がこれまで分厚い本を図書館で借りたりしてコツコツ読んで得た知識や自分の感性が間違っているのか?と動揺したくらいだ。
 恐る恐るこちらから、プーチン政権下でジャーナリストや有力な政敵が暗殺されていること、モスクワのホテルのご乱行の証拠をロシアの情報部に掴まれトランプが脅されてるのではと大騒ぎになったこと等々話したら、彼女はかなり驚いていたけれど信じてもらえたかはわからない。
 雰囲気を変えようと趣味は何かと尋ねてみた。
「バイクや車の運転が大好きなの、これ私の愛車」
 そう言ってスマホを操作し見せてくれたのは、赤と白でカラーリングされたフルカウルのヤマハTZRの画像だった。
「実は車を買い替えようと思っているんだけど、どっちがいいと思う?」
 次に見せてくれたのは外車専門の販売店で撮ったらしい赤いフェラーリとイエローとポルシェボクスターの画像だった。彼女によれば中古車ならフェラーリでもポルシェでも5年ローンで現実的に購入できるものがあるらしい。
 僕にとってはあまり現実的とは思えぬ話に戸惑いつつも、昔外車好きの知り合いから聞いた薀蓄を基にそれらしいアドバイスをした。
「フェラーリは故障した場合パーツに費用がかかるから維持費が大変で、余裕があれば別だけど、故障が少なさそうなドイツ車のボクスターがいいんじゃないかな。この車のホイールだけでトヨタの小型車が軽く買えそうな価格だって知り合いから聞いたことがある」と彼女のスマホのフェラーリの画像を示しながら話した。
 そのときそのフェラーリの隣に、緩やなカールを施した髪に艶やかなメイク、黒のドレッシーなミニのワンピースの女性が立っているのに気付いた。右脚を軸にしてすらりと伸びた白い足を肩幅に開き、ファッション誌のモデルのようなポーズでこちらに向かって微笑んでいる。フェラーリが隣だと、まるでモナコのクラブへ踊りに出かけるセレブリティの女の子みたいだった。
「あれ?これ、あなたですか?」
 彼女は、一瞬戸惑いながら頷いた。
「素敵じゃないですか、次はこのバージョンのあなたに会ってみたいですね。」  とっさに浮かんだ思いのまま言葉にしたが、彼女にはおもしろくなかったようで、戸惑いながらもフンと鼻で軽く笑っただけだった。
「僕の趣味はクラフトビールと読んだ本の画像を撮ってネットに投稿することなんです、ほら」 とお返しのつもりで自分の投稿画像を見せたが、「海外文学はよくわからないし」と、プーチンの瓶の時から明らかにテンションが下がっている。 「日本文学も読みますよ。お勧めの作家や作品があったら教えてくだいよ」と努めて明るく振舞って訊ねた。
 すると彼女は「梶井基次郎」とボソッと言った。
 その作家が小説「檸檬」の作者と思い出すのに約5秒、それでも彼女には遅すぎたみたいで、僕を見る目がみるみる冷ややかになった。僕の「随分渋いですね」という率直な感想がさらに機嫌を損ねてねしまった。
「何を言ってんのよ、彼の『桜の樹の下には』は涙無しでは読めない私のバイブルみたいな存在なのよ、それをまったく」
と口を尖らせ僕をにらんだ。
  ええっ!そんなに凄いんですか、いや無知ですみません。梶井基次郎さんなら多分iBookでダウンロードできるかも、おおお、「桜の樹の下には」ありますよ、しかも無料ですよ。はい、ダウンロードしちゃってすぐ読みます、はい。
 彼女の不機嫌に、あえて笑顔で軽佻なオジさんを装いつつ、「桜の樹の下には」をダウンロードした。正直なところ、この女性のお気に入り作品がどんなものか大変興味があった。予想もしない梶井基次郎作品との出会いに戸惑いながら、ダウンロード完了と同時に急いで読み始めた。
 梶井基次郎の「桜の樹の下には」は、桜の花のあまりの美しさに魅入られ、その根には人や動物の屍体が埋まっているといるをグロテスクな夢想を書いた散文詩のような短編だった。猛スピードで一読したときは、帝政ドイツから第二次大戦後の激動の時代を生きたゴットフリート・ベンの初期の詩に雰囲気が似てる気がした。軍国主義化前の日本で書かれた作品と、後期ロマン派の時代から世界を二分する戦争に突入しようとしている頃のドイツ詩人の作品に共通点がある、という仮説はなかなか面白いことに思えた。しかしそれより、そんな作品がプーチンやトランプ支持の一癖二癖ありそうな平成の女性のお気に入りというも不思議だ。
 でもその謎を追求する時間は残されていなかった。そもそもこのバーに来たのは夜10時近く、一杯だけサクッと飲んで帰るつもりだったのだ。それがプーチンやらトランプやらフェラーリやら��ルシェやら話してる間にもう一杯頼んで、そのグラスも空になって乾きつつある。時刻も11時を回っていた。翌日もハードな残業が待っている。まず今夜の睡眠時間の確保が優先だろう。もやもやした気分が残るが仕方がない。
 白々しいとは思いつつも、素晴らしい、いやなかなか面白い作品教えてくれてありがとう、大したもんですね、とお世辞と見え見えなセリフを言って、懐疑的な眼差しを向ける彼女に、また会いましょう、あのバッチリキメキメのあなたに会えたら嬉しいです、と逃げるように店を出た。
 この件以後、トランプ支持者を追うNHKのドキュメントを見たりして、是非はともあれ様々な状況の中で現状をとにかく思い切り変えてほいしという願望に囚われた切実な人たちの存在を知った。しかしその一方、トランプのニュースの度に、フェラーリの隣に立つ魅惑的な脚線美のあの女性の姿も浮かんでしまう。そんな時は桜の樹の下にビールバーでのほぼすっぴんの彼女と、セレブリティのようなゴージャスな彼女が並んで眠って埋まっている姿を想像してみるが、なかなか絵にならない。
 なんなのだ、あの人は。
 しかしこの謎を解くのは色々面倒そうで、「保留案件」のボックスに放り込んだまま忘れたほうがいいような気もしている。
 彼女に出会ったビールバーにはそれ以来行っていない。
1 note · View note
breathingdifficulty · 5 years
Text
ポルシェ道への14
待てど暮らせど「ケイマン」はやってきません。発注したことさえ忘れかけてしまう。いや、もしかしたらあれは夢だったのかしらん?とも思うほどに・・・販売店から連絡はございません。
「お父さんのフェラーリいつ来るの?」って娘に言われ、「いやいや、フェラーリ買ってないしww」。。奴らにはフェラーリもポルシェもマクラーレンもなんでも一緒くたですね、参った!
718の4発、6発ネタはカー雑誌はもちろん、ネットでもいまだに話題になることが多いようです。確かに6発は魅力的です。でも、私の場合、ポルシェ初心者からすれば、それがポルシェのエンジンであることが最重要。ゴルフGTIのエンジンにポルシェバッジのボディでは、大枚をはたく気には到底なりません。
0 notes
senbero-blog · 5 years
Text
MOney
「所詮、金だろう」「はい、お金です」
女性がいる飲み屋は、色々な機能がある。多機能なのだ。安くはない額の「チャーム」とか「セット料金」とか「チャージ」を、席に座る対価として払う。「座って5千円」とか。
30代の男性客はめったに見ない。社会組織、組織社会に、日に日に去勢されゆく「幼児的な全能感」が最後の抵抗を見せているように見える。「ぼくちゃん」が、「俺様」ぶって、オラっているというのだろうか。地元の人々が綺麗な女性を介して仲良くするという機能になじまない季節を生きている。「40になったら楽になった」という声をよく聞く。葛藤が解消したという意味ではないでしょうか。なにを悩んでいたかをよく覚えていないのではないでしょうか。
女性のいる飲み屋のもう一つの機能には、「遊技場」機能がある。コミュニティ機能とも呼べる。地元民が親睦を深めるためにゲームに興じるのである。英国のパブには、地元民が毎日訪れては、ビリアード、スロットマシン、ダーツなどに興じるか、テレビモニターで「フットボール」にゲームを見ながら、みんなで嘆いたり、歓声をあげたりする。日本の女性のいる飲み屋には「カラオケ」がある。同じ機能である。なにせ、「PUB○○〇」という店もあるぐらいだ。本質は同じではないか。
しかし、何と言っても、「現実を忘れて接客を楽しむ」ことが一番重要な機能だと思われる。「現実を忘れて接客を楽しむ」という言葉が指示している内容には広がりがある。「夢」を夢として、ある種のゲームとしてやり取りを楽しむ場合は健全だが、本当に現実を忘れ切って、夢中になり、現実に帰ってこれない人もいる。月に何十万と使うほど通ったりする人もいる。精神がつりあいと平常心を失った状態なのだが、それを「情熱」と呼ぶか、「狂態」と呼ぶかは、定量的なものではなく、定性的な「性質」に関わる問題といえよう。
「成金」という人種がいる。そのなかには、幼少期の貧困経験をバネにして、経済的自由を手に入れた人もいる。「経済的自由」とはほかの誰かへの「経済的隷属」からの解放という意味だろうか。それとも、「思い通りにできる」自由だろうか。ゴルフに行きたいし、行ける。高級車に乗りたいから、乗る。それは本人の問題だ。問題はその「思い通りにできる」が人間に向かった場合だ。自分が解放されている「経済的隷属」を他者に強いる力を行使する場合、本人がそこでどう感じるのか。人を思い通りにする、「経済的自由自在」にする力を手にしているという責任。空手の黒帯保持者が、道端で、ちょっとしたことで、喧嘩を始めたりするだろうか。核ミサイルのスイッチを持っていたら、カッとしたからと、安易に、それに手を伸ばすだろうか。力には責任が伴う。よく言われるフレーズには、お金自体は良くも悪くもない、というのがある。使われ方によって、白魔術にも黒魔術にもなりうる。
「結局、お金だろ」「はい、お金です」
「結局、顔でしょ」「はい、顔です」
70を越えて、年下の美女と結婚している人を知っている。資産家だ。赤いポルシェのボクスターだかカブリオレだかに乗っているのだが、それで商店街を時速10キロで走っている。奥さんは当然資産狙い。酒癖が悪くて、マシンガントークで、大陸の悪口と「陰茎」だのなんだのと艶のないエロ話を、誰彼となく繰り広げる。当然、飲める店が限られてくる。本人も自分が嫌われているという自覚はある様子だ。
世の中にはいろいろな価値がある。価値と価値を仲介するのがお金である。お金自体には価値がない。あるいは、仲介する価値がある、ということだろう。しかし、お金では拾い上げられない価値もあるだろう。むしろ、そちらのほうが多いのではなかろうか。女性のいる飲み屋のお客さんが面白い人で、ほかのお客さんを大いに笑わせた。この場合、この「面白さ」という価値は金銭に換算されないが、人々からの「好意」という形で報われたはずだ。お金に媒介されなくても、直接交換されている価値がある。「感謝」とか「尊敬」とか。そういったものを買えるか、あるいは売れるか。リアリティのあるイミテーションは売っているし、買える。でも、リアルは買えない。商品に変換するタイムラグ、貨幣に換算するタイムラグがあり、隙間風が吹いている。
毎月、何十万円も使って、店の女性にキスをしたり、胸をもんだりする成金は、楽しいのだろうか。むなしくないだろうか。相手の女性は内心嫌悪しているのに、金の力に屈して、忍従していることに気がついているだろうか。気がついているが、気にしないのか。シャーデンフロイデか。自分に夢中になった客から金銭を搾取する同じ女が、金銭によって、自尊心を踏みにじられる側になる。お金には善悪はないが、疑似という性質はある。お金自体がそれぞれ別々の価値を交換可能に似せた、疑似普遍性というフィクションである。要するに見せかけである。「見せかけ」がお金の魔力に憑りつかれた人の第二の天性になっていく。
テレビショッピングで、辛口の映画批評で有名な映画監督に出て、見せかけで、フライパンに驚いたりしている。そうなってくると、辛口も見せかけかと思えてくる。
(監督がそうなら、じゃ俳優とか役者はどうだろう。見せかけのプロの場合は、「なりきる」のかもしれない。「入る」というか陶酔するというか。ちょっと話が違ってくるので、保留にしたい。)
「神は死んだ」
南直哉著「仏教入門」(講談社現代新書)の33ページから36ページに書かれていることを要約すると、まず、人間には「自己の不安」、つまり、「記憶」と「他者の承認」で、かろうじて維持されている不安定な自己ゆえの不安がある。それは、死生の不安に直結している。そこから、「本当の自分」への問い、「私が私であることの根拠」に対しての動物にはない人間固有の強烈な欲望がある。しかし、「誕生」という出発点も「死」という目的地もわからないまま走る人間に、自分が走る意味や理由がわかるわけがない。
そこで、「根拠」を外から持ってきた。「神」だ。近代になって、その外から持ってきた「根拠」がリアルでなくなったのだ。
「誕生」「死」がわかれば、思ったように操作できる可能性があるが、それができない。でも、その欲望は活動している。「未知」を解明し尽くす。そして、思ったように操作する。「近代」「科学」「技術」の登場である。そして、個々人の実存においては、「思考する」「決定する」能力そのものが、思考し続け、決定し続けることによる強度によって自己を根拠づける以外になくなる。
「ある物事の処置を思い通りに決定する」とはまさに「所有」のことである。「神の死」以降、近代資本主義市場経済における人間の基本的なあり方は、「所有」になったのだ。そして、思い通りにする力=お金のために、人は奮闘しているのだ。
お金は「感謝」という人がいるが、見せかけの「感謝」だ。真心はない。ニューエイジ系の人には、お金はエネルギーの象徴だという人がいる。見せかけのシンボルだ。ただ便利なのだ。
仏教が「所有」を駄目だといのは、それが「錯覚」を強化するからだという。何も錯覚か。人間は言語内存在である。例えば、「名前」とは他人との人間関係における意味だが、「Aさん」という実存の名前、肉体も他人に由来する。(出産、命名)。「Aさん」の根拠は「Aさん」にない。「Sさん」であることを根拠づける、「常に・同一で・それ自体として存在するもの」は、「Aさん」や「名前」などの言語によって、設定されたフィクションに過ぎない。これは、すべての事物に当てはまる。
「ご縁」という言葉にしても、AさんとBさんという個別の区別された個個人が別個にいて、会っているうちに、ご縁が結ばれるというのは錯覚で、それは人間が言語内存在であるから生ずる誤解である。本来は、ご縁があることで、つまり、相互作用があるからAさんがAさん、BさんはBさんになる。つまり、時間という流れにおけるプロセスと流動性にあって、すべてが相互作用である。「所有」はそれとは逆に区切られた世界を錯覚させるが、そもそも「所有」は不可能であるという。
「所有」は貨幣であり、貨幣はドルが支えている。ドルはアメリカ合衆国の軍事力・経済力が支えている。しかし、元をただせば、私が私であることの根拠への欲望から始まった話だ。では、シェア、つまり、「共有」はどうだろうか。最近、サブスクリプションとか、物欲がない若者とか、新しい現象が起こってきている。
「私が私である根拠のために、人を思い通りに支配したい」という資本主義市場経済の人間のありかたは、「ご縁という相互作用で、お互い生かし生かされている」へと「覚醒」した場合、AIには取って代わられる日が来るとは思えない「女性のいる飲み屋」は、どんな業態になるだろう?お金を介さないで、感謝と感謝がダイレクトに感応するエクスタシーな店だろうか。だとしたら、「涅槃」だな。
0 notes
benediktine · 5 years
Quote
【We must live on.】 - 英国式自転車生活 : https://blogs.yahoo.co.jp/tenzen194/30396490.html : https://archive.fo/qTKJB 2012/12/21(金) 午前 3:15 この11日間は真夜中の国際電話にすっかり忙殺されました。なんだかぽっかりとした空虚感があります。なんだか何をやっても集中力が出ない。 「会うは別れの始まり」 昔、黒澤明の「7人の侍」を見たときに、「なんでつぎつぎにすごい人が死んでゆくのかな」と理不尽な感じがすごくしたのを覚えています。 しかし、いま自分が歳をとって見ると、世の中は理不尽なものだとの思いを深くします。 たぶん、7人の侍も、まったくの時代劇ではなく、黒澤監督のまわりで死んでいった、消えていった人たちを見た彼の実感だった気が強くする。人生ではなかなかすんなりときれいにはゆかない。 「こういう風にしたかった」という誰かの夢を知っていて、確たる文書も証拠となるものもなく、ただ記憶の中の、かわされた微かなニュアンスのなかにしか真実がない場合は少なくない。 そのおぼろげな記憶の中の夢、具象以前のイメージは誰が実現しなければならないのか? 推測でしかありませんが、アレックスも彼がなぜ突然かなりの間隔を置いてトラスをやりはじめたのか?これは普通に言われている以上に深い意味があると私は思います。英国の自動車産業はあの時期本当に行き詰まっていた。ものすごく高い失業率。どんぞこの不景気で新車開発もままならない。強まる排ガス規制、対衝突基準は厳しくなり彼のサスペンションを必要するほんとうに小さいクルマはつくれなくなる、Aピラーはどんどん太くなる、くわえて環境問題はいよいよ社会問題になる。 私の父は自動車狂でしたが、叔父もまた病に倒れたとき、「あにきも俺も自動車をつくるのが夢だった」と言うのを聞いて、どこか謎が解けた気がしました。しかし、自動車をつくるというのはなみたいていではありません。いまなお、ひとたび会社が外国に買い取られたら、新規に別の会社をたちあげるのはなみたいていではない。自転車の場合とはくらべものにならない。 多くの人が「未来環境を考えると自動車はこうあるべきだ」と考えていながら、そういう自動車は作れる環境にない。かつては世界的スポーツカーを作っていた人が超小型車、かつて日本にあったフライングフェザーの現代版をやりたいと思っても誰もやらせてくれない。ただ、過去の名声と過去のイメージの中で崇拝されて、過去の中に埋められてしまう。大資本商業・工業主義のなかでますますそういう傾向は強まっている。 私はアレックスのなかにはそういうフラストレーションと焦燥感があったように思えてならないのです。 自動車のメーカーの何人かはご記憶と思いますが、アレックスはニューミニとオリジナル・ミニの詳細な比較図面を持って来日し、人々に見せて歩いていました。ボデイは大きくなっているのに、中は狭くなっているとアレックスは主張して、「自動車をすこしづつ大きくして、馬力を上げ速くしてゆく開発の方向性でいいのか?」と。 人は「お城」と呼びましたが、税金の高い英国であの規模の屋敷を維持する苦労はなみたいていのことではないはず。 自由にふらふらしている私を見て、アレックスは、 「R&Fはたいへん裕福な資産家の息子に違いない。」 とある人に言ったそうですが、実態は、フレシュネスバーガーにお茶に入ろうか、専門の喫茶店に入ろうか悩んでいるくらいの庶民(笑)。 裕福な人には裕福な人の、庶民には庶民の苦労がある。 人は彼が「お城で作っていたから高級感が漂う垢抜けたものができた」と「お城」「お城」と言いますが、私は違うと思う。彼のどこかには「巨大な屋敷に住む人」を演じなければならない重圧感があったと思う。 彼は日本に来ると、むしろ高級なものを嫌っていました。 「夕食は何がいいか?」 と聞くと、 「高級なレストランや、天麩羅などの高級店はやめてくれ。」 と言って、普通の町の蕎麦屋や焼き魚に味噌汁などの定食を好んでいました。 「ミソ・スープは美味いな。これがわしの家でも年中食べられるといいんだが。」 そう言っていたので、半生のインスタントの味噌汁をもっていっていました。 ある時は、ご招待で有名な天麩羅屋へ行ったのですが、4分の1も手をつけず、 「Finish this.」 残さず食べろ、と招待した人に差し出したことを思い出します。そういう時にはまったくこどものようでしたが、彼はその時たいへんお腹がすいていた。待ち合わせの前にお腹がすいたといっていたのでたしかです。 彼は別に天麩羅が嫌いだったわけではありません。スツールしかない、背もたれのない椅子の蕎麦屋で、蕎麦と別に出てきた柚子を糸のように細かく切ったのをふりかけたかき揚げを、 「これは美味だ。」 といって、たいへんうまかった、と調理場の人にお礼を言いにいったりしていました。 高級なところから高級なものが出てくるわけではない。「すべてのものはこころからつくられる」。 「どうにかしないといけない気迫」これこそが別格のものをつくる秘訣だろうと思います。 We must live on. 補遺: けさ、トニー・ハドランドから連絡がありました。彼とは故ジョン・ピンカートンを軸とするつきあいと、アレックスを軸とするつきあいとの両方から良く知っています。サンビームやラレーの歴史の話でも本を彼が出す時にいろいろやりとりをしていました。 「アレックスの葬儀はすべては順調だった。しかし、こっちは雨また雨だ。」英国は涙雨のようです。トニーとは長年のつきあいですから、多くの湿った話はなしです。「ジム・ウッドバーンが来ていたよ。今年会ったのは3回目だ。BBCは僕とショーンのインタヴューをしていってラジオ4で放送した。あとは、そうだな、昼飯時の話題としては、『ポルシェのワイパーは水の中でも利く』とかそんな話ぐらいだったな」。トニーらしいクールジョークで、自動車にほとんど関心がないトニーからすると、自動車関係者が多かったようです。
【We must live on.】 - 英国式自転車生活 : https://blogs.yahoo.co.jp/tenzen194/30396490.html : https://archive.fo/qTKJB 2012/12/21(金) 午前 3:15
0 notes
seitart · 5 years
Text
本車のほとんどは「役に立つけど意味がない」
山口周氏:問題を分析的に、ロジカルに解いていくっていうことの価値が、どんどん減っていくだろうなということを考えるためのフレームがあります。
世の中で売れているモノっていうには必ず、「役に立つ」っていうベネフィットか、「意味がある」っていうベネフィット、どちらかがあります。「役にも立たないし意味もない」っていう商品は、世の中に存在できません。
これマーケティングの専門用語でちょっと難しく言うと機能的便益、functional benefitと言います。一方で「意味がある」っていうのは、マーケティングの用語で言うと情緒的な便益とか自己実現的便益、personal benefitとか言います。僕は「役に立つから買ってる」「僕にとって意味があるから買ってる」と、そういう言い方のほうが平たくていいんじゃないかなと思いますが。
自動車産業を当てはめてみるとけっこうわかりやすいです。日本車のほとんどって、「役に立つけど意味がない」んですね。移動手段として快適で、燃費が良くて安全に移動できますよっていう、役に立つ手段として買われてます。家族みんなで移動するときにはやっぱり公共交通機関より車のほうがいいよね、っていうことで買われてるんですけども。
「アルファードじゃないと俺の人生じゃない」とかですね、「アコードに乗れない人生なんて有り得ない」とか、そうやって買う人ってあんまりいないと思うんですね。日本車でも例えばNSXとか、昔のスカイラインとかね、本当にそういうの好きで乗ってる人いると思いますけども。99パーセントの人はふつうに移動手段として役に立つから買ってる、っていうぐらいのもんだと思います。
値段が10倍だからといって、機能も10倍になるわけではない
もちろん移動手段として買ってるっていう側面が強いんですけれども、役に立つだけだったら日本車買えばいいじゃないかって言うと、「いやいや、やっぱり俺はBMWが好きなんだ」とか「やっぱりポルシェが好きなんだよね」っていう人はいるわけです。
これ、値段でいうとプラスアルファで400~500万から1000万ぐらい払うことになって、値段としては3倍、4倍するわけですね。じゃあ3倍、4倍役に立つんですかとそうではない。「うちのアルファードは7人乗れるんですけれども、それだけ出したら20人ぐらい乗れるんですか?」「いや乗れません、5人ですよ」と。「じゃあ燃費がリッターで15キロぐらい走るんですけれども、60キロぐらい走るんですか?」「いや、あまり燃費変わらないですね」と。
機能は変わらないんですよ。安全性も変わらない。でも値段は3倍~4倍します。じゃあ何にそのお金払ってるんですかっていうと、意味を買ってるんですね。その人にとってのなんらかの情緒的な意味を買ってるわけです。意味に500万とか600万とか乗っけて買ってるわけです。
さらに言うとですね、役に立たない自動車ってあるんです、おそるべきことに。役に立たない、意味しかないっていう自動車があります。「ドアが上に開くのになんか意味があるんですか?」って言うと、意味があるんですね、あると思う人にとっては。
これ、3,000万とか5,000万とかします。値段は10倍です。10倍~20倍ぐらいします。「じゃあ10倍人運べるんですか?」っていうと「いや運べません、むしろ二人しか乗れません」と。「荷物はどうなんですか」、「ほとんど荷物積めません」。「じゃあいろいろなところ走れて役に立つんですか?」「いや、車高が低いんで悪路走らないでください」と。「雨が降ったら危ないんで走らないでください」と、こんな感じで。
(会場笑)
「じゃあ何に使うんですか」って言うと「銀座の大通り、爆音出して突進するんですよ」と。みんな見ますよ、っていう(笑)。それで「よし買った」ってみんな買うわけですね。で、値段は3,000万から5,000万円。
「役に立つ」ことの価値はなくなりはじめている
おそらく過去10年の間で、特殊な自動車じゃなくて、いわゆる自動車メーカーが「新車」として生産した車で一番高額な車っていうのは、Jaguarが販売した1960年型のJAGUAR E typeのレプリカだと思います。ル・マンで優勝した車を20台だけ限定生産したんですね。その20台だけ限定生産したものの、新車の定価が2億円です。で、即日完売ですね、当然。
これは何を言ってるかっていうと、「役に立たないけど意味がある」っていう自動車は2億円で売れるんです。で、「役に立つ自動車」っていうのはせいぜい100万円から300万円でしか売れないっていうこと。何を言ってるかっていうと、「役に立つ」っていうことに価値がもうない時代になってるんです。
ここが非常に難しいところで、私はビジネススクールとか企業の研修でよくこのお題を出すんですけれども。「グローバル企業になるぞ」っていろいろな会社が掛け声を上げてますよね、今。グローバル化、グローバル化、って。
グローバル化、みなさんの夢ですね、いいですね、と。「じゃあ日本企業でグローバル化に成功した会社ってどこだと思いますか? 挙げてください、イメージで」って言うと、いろいろ出てくるんです。キヤノンだ日産だ、トヨタだホンダだパナソニックだコマツだ、とかいろいろ出てくるんですけど。
20社ぐらい出た段階で、「はい、もういいです、打ち止めです。じゃあこの役に立つ・立たない、意味がある・ないっていう市場で、どこの市場で戦ってる会社かっていうのでプロットしてください」って言うと、ほとんどが「役に立つけど意味がない」っていう市場に入ります。
まぁいいじゃない、と。役に立って、それで戦ってちゃんと市場で勝ち残ってるんだからそれでいいじゃないですか、っていう話もあるんですけれども、ちょっと待ってくださいよと。そこで考えなくちゃいけないのが、「どちらのほうが強豪として生き残れるか、サスティナブルか」っていうことなんですね。
コンビニでもっとも多くの種類を備えている商品とは?
みなさん、コンビニエンスストアを思い出してみてください。コンビニは店舗がすごくちっちゃいので、なるべく物品の数を少なくしたい、っていう欲求があります。当たり前のことですよね。なるべく品数多くしたいんで、1個で済むものは1個にしたい。
だから文房具の棚見ると、ハサミもカッターものりもセロハンテープも、基本的に1種類しか置かれてません。ですから、多くの商品が1種類しか置かれてないんですね。
そんなコンビニエンスストアですが、棚が狭いのでなるべく商品の数少なくしたい、種類を少なくしたいよと考えているにも関わらず、200種類以上置かれている商品があるんですけれども、みなさん何だかわかりますか?
200種類以上コンビニに置かれている。1商品カテゴリーで200種類。そう、タバコですね。飲料はもちろんたくさんありますが、オレンジジュースだけで見てみるとやっぱり2種類とかです。一番清涼飲料でたくさん種類あるのは、おそらく缶コーヒーだと思うんです。日本人、缶コーヒー大好きなので。おそらく5、6種類ぐらいあるんじゃないでしょうか。
タバコは200種類ぐらいあるんですね。つまり、多様なブランドが生き残れる市場だっていうことなんです、タバコは。で、文房具っていうのは1個しか生き残れてないってこと。
なぜそういうことが起こるかっていうと、文房具は「役に立つけど意味がない」んです。約に立つけど意味がないところっていうのは、「役に立つ」っていう物差しが1個しかないので、一番役に立つ会社とか商品が、1個だけ世の中にあればそれでOKなんです。いらないんですよ、2位とか3位とか。
一方で意味っていうのはいろいろな種類があるので、どんどん多様化するっていうことなんですね。ですからタバコは多様化します。あとお酒も多様化します。
みなさん、逆のコンビニって考えられないでしょ? タバコを買いに行ったら1種類しかないんですよ。「うち、セブンスターしかないんですよ」って。「なんだ、マルボロないのか」「セブンスターにしてください、いいでしょ同じでしょ」とかって言われて、「いや同じじゃないよ!」。その代わりハサミが200種類置いてある。考えられないでしょ、そんなコンビニエンスストア(笑)。
動かすのにコストのかからないサービスは、あっという間にグローバル化する
みなさんも直感的に違和感を感じるのは、「役に立つ」と「意味がある」っていう峻別を��の中でやって、「役に立つものは1個でいいけど意味があるものは多様化するよな」って思ってるんです。
その典型例がGAFAですよ。GAFAっていうのは、世界中を支配するって言われてますけど、なんでそう言われるかっていうと「役に立つから」なんですよ。Googleって検索エンジンですよね。で、検索エンジンに意味ってないんですよ。役に立つ検索結果を返してくれればいいんですね。
例えばGoogleじゃなくて、Googleの競合でPoopleっていうのがあって、たまにすげぇ変な検索結果返してくるけど味があんだよね、とか。そういうのは必要ないわけですね(笑)。
(会場笑)
いらねぇよそんな検索サービス、って。Googleだけでいいじゃん、と。今、日本ではヤフーがちょっとがんばってるので、Googleのシェアそんなに高くないですけど。G7のGoogleのシェアの平均って90パーセント超えてますからね。なんでこういうことが起こるかっていうと、「役に立つけど意味がない」っていう市場において、かつ「動かすのにコストのかからない」サービスは、あっという間にグローバル化します。
動かすのにコストがかからないっていうのは、つまりどういうことかっていうと、ガラスを考えてもらえばわかりやすいんですけど。ガラスってもちろん役に立つんで売れてるわけですね。B2Bの素材ですけども。
役に立つんですけど、ガラスってけっこう「かさ」があるんですよ、値段のわりに。だから運ぶとものすごいコストがかかる。だからあんまり遠くに運ぶよりかは、ローカルで作ったほうが効率がいいってことになるので、ある程度役に立つけど意味がない……ガラスにあんまり意味はないわけですね。本当もう、ガラスとして性能が良ければどこでもいいよ、ということなんですけれども。
GAFAの内、Appleだけが「意味」の世界で闘っている
PilkingtonとかCorningとか、そういう会社はアメリカでグローバルに何社かで棲み分けてます。ああいうかたちで何社か棲み分けるのはなぜかというと、移動にコストがかかるからなんですね。移動にコストがかかると、グローバル化のスピードはゆっくりになります。
で、一番体積がちっちゃいのが何かっていったら、電子ですよ。一番ちっちゃいわけです。Googleっていうのは電子を売ってるわけですから。ITのサービスですからね。電子は一番体積あたりのコストがたぶん低いので、「役に立つ」っていう市場では1社だけになっちゃう。
ですからGoogleとAmazonとFacebookっていうのは、「役に立つけど意味がない」っていう市場で、しかも電子を売り物にしてるので、世界的にシェアがある。ミクシィが負けてしまったのは当たり前のことですよね。その「役に立つけど意味がない」って市場で戦ってるわけですから。
唯一の例外はAppleで、あれはやっぱり買う人にとっては、なんらかの意味を持って買ってるケースが多いと思います。ですからGAFAの中で唯一の仲間はずれはAppleで、役に立ってしかも意味があるっていうところで買われてるのに対して、残りのGoogleとFacebookとAmazonというのは、役に立つというところで生きてるということですね。
これつまり何を言ってるかというと、市場がグローバル化していくと、役に立つっていう市場で戦ってる企業はグローバル競争にさらされて、一番役に立つ1社だけが残ってほかが全部負ける、っていう世界がやってきます。
日本の企業の多くが「役に立つけど意味がない」市場で戦ってるっていうことは、遅かれ早かれそのグローバル競争の中に巻き込まれていって、多くの企業は勝者として生き残るか、そこから敗退するかっていう、「グローバル役に立つ競争のハルマゲドン」を迎えてですね。あとは最後の1社が生き残るだけ、っていうことになります。
日本の家電業界が凋落していった理由
すでにその兆候は見えていて、例えば日本のお家芸である家電産業っていうのは、20年前までは就職すると親が喜ぶ会社の代表だったわけですね。「三洋電機に内定もらったの? よかったわね、一生安泰だわあなたは!」とかって、みんなで打ち上げやりましょうってお母さんが喜んでくれたわけです。
それがどんどん業績悪くなってますよね。三洋電機は事実上なくなりました。シャープももう事実上潰れました。20年前だったら就職の勝ち組だって言われた会社が��です。
なんでそういうことが起こってるのかっていうと、日本の家電産業のほとんどは「役に立つけど意味がない」というところで戦っているから。市場が閉じた状態であれば各国別に10社ぐらいは生き残れたかもわからないですけども、これがグローバル競争になっていくと、世界で一番役に立つ会社の10社しか生き残れない。
つまり、日本のペナントレースからグローバルのワールドシリーズに戦いが変わることで、日本では10社生き残れたかもわからないけども、グローバル競争になると各国別に2社しか生き残れませんってなると、じゃあ5位から10位の会社は市場から退場してください、3位から5位の会社は市場から退場してください……っていうのが徐々に起こる話になってきていて。
その過程の中で市場からこぼれ落ちていったのが三洋でありシャープだと考えれば、非常にわかりやすいと思います。
この「意味がある」っていう方向に市場をずらしていくのが、大きな組織にとってのテーマになります。
「意味」をロジックで解析することはできない
山口周氏:ここで非常に悩ましいのが、「役に立つ・立たない」っていうのは、ロジカルに解析できるということ。こういう機能をここまで伸ばせば役に立つ、というのがわかります。
まさに、先ほどの携帯電話と同じです。画素数をここからここまで増やそうとか、通信速度をここからここまで増やそうとか、そういったことをやるときには、「役に立つ」を数値化して目標を決めればマネージが可能です。サイエンスとロジックでマネージができます。でも、意味をロジックで解析できるかっていうと、できるわけがないですよね。
ですから、組織能力として「どうやって意味を作っていくのか」っていうのは、すごく大きな競争力になる。意味の競争ですね。役に立つ・利便性の競争から、意味の競争優位っていうものにシフトしていったときに、じゃあその意味の競争優位を作れる人材あるいは組織というものを、どう育てていくかっていうのが大きなチャレンジになってくるだろうなと思います。
そして3つ目の話ですが、市場の構造が変わってくると思うんです。「限界費用ゼロ社会」っていうのをJeremy Rifkinが3年前ぐらいに言ってて、これまで莫大なコストをかけないとできなかったことが、費用ゼロでできるようになってきてると。費用ゼロでできるようになってきたことで、スケールメリットが消失してるっていうことを言っています。
これはもう本当にそのとおりで、すでに顕在化してる変化だと思います。これまで多くの日本の企業は、日本という市場に安住してきました。1億2000万人もの人がいるから、それなりに市場もデカかったわけです。
で、ここでメジャーのシェアを取ろう、50パーセントのシェア取ろうよ、ということでやってきたのが、例えば花王とかパナソニックさんといった会社ですね。
日本の市場はマーケットインでもプロダクトアウトでもない
モノを売ろうとすると、広告代理店に頼まないといけない。そこで広告代理店にある程度頼んで……私の感覚からすると、「日本の人たち全体がなんとなく知ってる」っていう状態を作ろうと思うと、ざっと100億円かかるんですね。新商品を全国的に売り出しますよ、ということで全国的な認知度80パーセントぐらいを取ろうとすると、ざっと100億ぐらいかかります。
100億かけるってなると、当然その100億を売上から回収しないといけない。例えば粗利が100億が少なくともあるっていう状態にしようとすると、利益率10パーセントで、売上高は1,000億円必要ですよね。
売上高1,000億円の事業を作ろうと思ったら、さすがに市場調査をやって、「これどれぐらい買ってくれるかな」っていうことをやらないと製品開発はできません。ですから、まぁ仕方なく消費者調査やって、市場が好んでくれそうな製品を作る、っていうやり方になっちゃうんですけども。
ちなみにちょっと余談ですけれども、マーケティングの用語で「マーケットイン」と「プロダクトアウト」ってよく言われますよね。マーケットインというのは、マーケット側が好んでくれそうなものをちゃんと調べて作ろうよ、っていう考え方です。マーケットから入ってくる。プロダクトアウトっていうのは、自分たちの作りたいものを勝手に作って、世の中に押し出していく。その二つの考え方があるわけですけども。
どっちが良いか悪いかってよく議論になるんですけど、私はどっちでもないのが今の日本の状況だと思ってるんですね。それは何かっていうと、先ほどのテレビ広告やるためには100億必要だ、粗利で100億円が必要なので、売上高が1,000億円は必要だ、1,000億円必要だってことは、これぐらいの人に買ってもらえるものじゃないといけないから、こういうものを作らないといけない、と。
あるいは、モノをたくさん買ってもらおうと思ったら大手の流通に売らないといけない、大手の流通に送ってもらうんだとするとこれぐらいの大きさの棚に入らないといけない。で、こういうポップをやらないといけない、となります。
これ何を言ってるかっていうと、マーケットインでもプロダクトアウトでもなくって、「広告の枠組みがこうなってるから」とか「流通の売る枠組みがこうなってるから」、「こういうものを作らなくちゃいけない」ってなっているということです。
要するに、流通とかメディアのあり方が「どういうモノを作って売るか」という戦略まで規定しちゃってる状態なんです。ですからマーケットインでもプロダクトアウトでもなくて、メディアアウトなんですよ。メディアのあり方がどういうモノを作るかっていうのを規定してる、っていうことなんです。
家電業界の成熟神話を乗り越えたバルミューダの戦略
そういうことなので、50パーセントの人に買ってもらおうと思うと、こうやってメジャー市場を狙っていかなくちゃいけない。一方で自分たちはニッチ市場でいいよ、っていう人は5パーセントの市場を狙って、自分たちの作りたいものを思いっきり尖らせて作っていった、という構造になるわけです。
わかりやすい例でいうと、バルミューダをみなさんはご存知ですかね。トースターで一世を風靡した会社です。まさにそのバルミューダは、値段がふつうのトースターの10倍はするわけです。一番安いトースターって2,000円で買えますが、20,000円のトースターを売り出して、本当に「買ってくれる人だけ買ってくれればいい」というので、ニッチとメジャーで棲み分けるっていう構造になってたわけです。
今何が起こってるかっていうと、ここにグローバル化の障壁、要するに国ごとの障壁がなくなることで、グローバル市場っていうものが12億人の先進国としてマーケットで出てきます。先進国以外のものも含めれば、70億人のマーケットがあるわけですね。
先進国の人たちは経済的に似たような水準にありますから、尖りのあるものが出てくると、他国のものでもほしくなって買ってくれるわけです。昔であれば広告代理店に頼まないと知らせてくれない、あるいは商社に知らせないと売ってくれないという状況でしたが、今は3,000万人の方たちが外国からやって来て、日本で良いもの見つけるとバンバンSNSとかInstagramで知らせてくれるわけですね。
結果的にどういうことが起こってるかっていうと、外国の人たちがそのニッチな尖った商品を「ほしい」って言いはじめて、買ってくれる状況ができてます。バルミューダって、ここ10年で売上高が1,000パーセント伸びてるんです。1,000パーセントですよ?
家電産業とか家電市場って、成熟産業でもう市場が伸びないってずっと言われてて、実際にパナソニックさんの家電事業っていうのはほとんど成長していません。なので、関係者の人たちは「成熟してる」「市場は伸びない」と言ってますが、そんなことないんですよ。成熟して伸びてないのはお宅の会社でしょ、っていう話なんです(笑)。
一番おいしいのは「グローバルニッチ」
ちゃんと良いものを作れれば、ちゃんと伸びるんです。それはなぜかっていうと、バルミューダとパナソニックのいる場所が違うんです。先ほどのまさに「役に立つ」と「意味がある」ですね。バルミューダは役に立つところじゃなくて、意味がある市場に生きてるんです。意味があるところで刺さるものを作れれば、こういう先進国のマーケットで売れる。
これが、いみじくもどういう状況になってるかというと、日本の1.2億人に50パーセントのシェアで買ってもらっても、顧客は6,000万人ですよね。一方で先進国の12億人に5パーセントのニッチセグメントで売れれば、同じく6,000万人です。
じゃあ同じ顧客で単価はどれぐらい違うんですかっていうと、さっきのトースターの例でいうと、パナソニックの一番安いものとバルミューダの単価は6倍の差があります。顧客の数が同じで、6倍の単価で売れるわけですから、ビジネスとしてどっちが伸びがあるかっていったら、一番おいしいのは「グローバルニッチ」っていうポジショニングですよね。
で、グローバルニッチのポジショニングを取ろうと思ったら、市場調査は必要ない。必要ないって言うとちょっと乱暴ですけれども、どちらかというと市場の文脈の中でどういう刺さる意味を作れるかっていう、アーティストのような感覚が必要であって、刺さるか刺さらないかは直感が大きく効いてくることになります。
日本企業はマーケティングの奴隷状態
こういうことをずっとやっていったせいで、結果的にどういうことが起こってるかっていうと、Appleの例もそうなんですけれども、作りたいものを作る、それをどうやって売るかっていうことを考えるときに、マーケティングという手段が出てくると。つまり人間の「作りたい」っていう想いが主体であって、マーケティングというメソッドが家来の関係。主従関係になってるわけですね。
ところが日本の多くの企業で今起こってるのは、マーケティングが主人になってるんですよ。マーケティングが「何を作るか」を決める。人間がそれに従って働くっていう構造になってて、人間がマーケティングの奴隷になってるんですよ。
私はコンサルタントとして外から入っていって、いろいろなプロジェクトに関わりましたけども、「こういうデータは置いといて、〇〇さんはどういうものを世の中に出したいんですか?」って言うと、みなさんキョトンとします。問われたことがないんですよ。考えたことがないんです。
考えたことがなくても、脳って可塑性がありますから。オープンエンドのシステムで鍛えればいくらでも鍛えられるんですけども、逆にいうと鍛えないとすぐ萎えちゃうってことなんですね。
「あなた何作りたいんですか、どんなもの作って世の中ひっくり返したいんですか」っていうと、「そんなこと考えたこともありません」。今回の作るものはマーケティングの調査ではっきりしますから、ってことでずっとやってきた人には、「モノを作りたい」っていう主体性が失われちゃってるんですね。
「意味がある」って市場で何作りたいんですか、あるいはグローバルニッチという市場が出てきたとして、あなたはどういうものを作って世界に売り出したいですか……まさにこれをやったのが、ソニーのウォークマンですよね。温故知新ですよ。
自分の想いをセルフスターターにして、駆動していける人の重要性
ソニーのウォークマンっていうのは、販売本部長から「絶対に売れない」って言われながら、でもどうしても作りたい。どうしても作りたいから、どうやったら売れるかを考えようよ、っていうことを言ってたわけで。まさに人間の「世の中にこれを打ち出したい」っていう想いが先行して、じゃあそれをどうやったら売れるか、っていうのを実践したんです。
価格を決定するのにいろんなプライシングメソッドを使おうとか、流通をどうやったらいいだろうかとか。結局ぜんぜん売れなかったので、外国人のモデルにヘッドセットを着けさせて、ローラースケートで代々木公園を走らせて、とにかくPRをするってこともはじめたわけですけども。そういう工夫も「世の中に対して出したい」っていうパッションが先に立っているから出てきたわけですよね。
ですから、そうなったときに人の能力の鍛え方とか、これまで人材育成の基本になってたロジカルに考えてロジカルに答えを出せるっていう人よりかは、自分の想いでもって、セルフスターターとしてどんどん駆動できる人が必要になってくるかなということです。
この一番わかりやすい例が、マルニ木工の例だと思います。広島のローカルの木工メーカーで、つい5年前までは潰れかけてた会社です。それまでずっと、いわゆる家具セットとか応接セットを安い価格で作るっていうことをやってきたんですけれども、海外から安い家具が入ってきて、もううまく立ち行かないっていう……まさに昭和型で戦ってたんですね。昭和型の応接セットを安く作る。まさに役に立つ家具を安く作ろう、っていうことでやってきたわけですけども。
もう家具なんて、あまねく行き渡ったわけですよね。先ほど申し上げたとおり、モノは過剰になってるわけです。モノが過剰になってるときにふつうのモノを安く作っても、いらないモノはいくら安くてもいらないですよね。むしろ粗大ゴミになるだけですから。
そうなったときに、社長の山中(武)さんは「半ばヤケだった」っておっしゃってましたけれども、「どうせ会社潰れるんだったら、本当に自分がほしいと思う家具を作ろう」っていうことで、デザイナーの深澤直人さんに声をかけて。17万円っていう、それまでのラインナップからすると飛びぬけて価格の高い椅子をつくったんです。「HIROSHIMA」という椅子ですね。
Appleから5,000脚の注文が入った、17万円の椅子
出したのですが、ぜんぜん売れませんでした。百貨店に「置いてくれ」って言っても、「17万は高すぎる」と置いてくれない。置くのはいわゆるブランド家具ですね。Herman Millerとか、ブランドがある家具だったらまだしも、お宅みたいな名前もぜんぜん知られてないのが17万なんて売れるわけありませんよ、ってぜんぜん置いてくれない。
で、会社がいよいよダメだなって思ってたときに、Appleのチーフ・デザイン・オフォサーのJonathan Iveから、「クパチーノに新しく建てたAppleの新社屋のオフィシャルチェアとして5,000脚納入してほしい」といきなり注文が入りました。
営業もぜんぜんしてないんですよ。広告代理店にも頼んでない、商社にも頼んでない。深澤直人さんのInstagramをJonathan Iveがフォローしていて、「すばらしいデザインだ!」と。「Appleのミニマルな社屋のデザインに一番フィットする椅子なので、5,000脚入れてほしい」と。当時の月産の台数が20脚だったそうなんです(笑)。
(会場笑)
「設備投資を本当にしてもいいのかどうかすごく迷った」とおっしゃってましたけれども、Appleの本社に大量採用されたってなれば、世界中のデザイン関係者は黙ってないですから。まさにこの状態ですね。日本の百貨店に入る前に「ミラノ・サローネに出てくれ」って言われて、ミラノ・サローネに出展する。で、世界中のデザイン会社から「導入したい」って注文が来ると。
まさにニッチ。日本でぜんぜん売れないモノがグローバルの横側に市場が広がっちゃったっていうケースですね。これも今までのマーケティングに頼り、流通のいうことを聞いていくらの価格じゃないと置きたくない、っていうことをやってて、ぜんぜんうまくいかなくなった会社が、むしろアーティスティックな感性を駆動したことで世界に刺さる製品ができあがった、っていう例かと思います。バルミューダも同じですね。
アートを主軸に、サイエンスを道具として使っていく時代
昭和から平成の世の中の状況は、4マスメディアが中心にモノを販売・告知していって、流通も大手の流通を主体に、顧客ニーズは利便性とか価格で、国内の市場関係は国内でクローズしている。
こ���いう環境の中で私たちも、戦略とかうまくいくパターンとか、優秀な人材っていうもののイメージができあがっています。
これが、メディアも限界費用ゼロで、先ほどのマルニ木工みたいに知られるようになった。顧客ニーズもモノがあるとか利便性とかっていうよりかは、むしろ意味とかストーリーとか、自分らしい人生を演出してくれるものなのかどうかっていうところに価値が生まれ、貨幣が生まれる。
バーチャルでどんなものも売れるようになってきてて、市場はグローバルにオープンになってきている。こうなったときに、これからの戦い方っていうのを見直す必要がでてきますよね。それを担える組織とか人材っていうものを、やっぱり高めなおすべき時期に来てるんだろうなと。
ということで、このサイエンスとアートとクラフトについて。モノが重要で利便性が大事で、役に立つっていうことが非常に価値があった時代には、サイエンスが主軸になっているっていう、日本の状況は正しかったと思うんですけども。もう競争のゲームが大きく変わってきているなかで、このアートとサイエンスとクラフトのリバランスが必要になった。
アートを主軸に立てて、サイエンスを道具として使っていく、っていう考え方が必要になってくるんじゃないかな、ということで。ちょうど1時間になりましたので、私の話は以上とさせていただきます。どうも、ご清聴ありがとうございました。
0 notes
and273 · 6 years
Photo
Tumblr media
SEP 18, 2018 Kyoto Japan I took an interest in a BGM which I heard at #Starbucks today. So I googled about it, then I learned about #TommyDorsey. I'm looking forward to arriving "The essence of Tommy Dorsey". Thank you for the App #SoundHound. #スタバのBGMでちょっと気に入ったのがあったからiPhone用アプリSoundHoundに聴かせてみた #出てきた答えはトミードーシーという人が演奏するサタンテイクスアホリデイという曲でUltimateBigBandCollectionというアルバムに収録されているらしい #なんだか聞いたことある名前だけど詳しいことは何も知らないやと思ってWikipediaその他ググってみた === #1905年11月にアメリカのペンシルバニア州といってまぁ要するにNYの近くで生まれてる #日本では明治38年だから日露戦争の2年目で5月に東郷平八郎の戦艦三笠が日本海海戦で圧勝して7月に樺太を占領して10月に終戦になった翌11月にアメリカではTommyDorseyが生まれてさらにその翌月の12月に第1次桂太郎内閣が総辞職したわけですね #クラシック音楽あるいはピアノが好きな人なら鍵盤の魔術師とか悪魔のような演奏と言われたホロヴィッツが1903年つまり日露戦争が始まる前の年だからまぁ同世代ですね === #トミードーシーは1934年29歳の時に兄と楽団を結成するとすぐに大ヒットを連発 #日本では昭和9年だから丹那トンネルが開通してそれまで御殿場経由だった旧東海道本線が熱海経由になって東京と神戸を9時間で結んでいた超特急つばめ号が大幅にスピードアップした年 #1940年に当時まだ25歳だったフランクシナトラが加入すると10代の女性たちに熱狂的に支持されて12週連続1位など大ブレイク #フランクシナトラって名前ぐらいは聞いたことあるかもだけどプレスリーとマイケルジャクソンと並んで20世紀を代表する1人ね === #そしてトミードーシーは1956年に51歳で亡くなってる #埋葬されてるニューヨーク州のケンシコ墓地ってどこかで聞いたことあると思ったら私の大好きなラフマニノフが埋葬されてる墓地だった #登山靴を持って渡米してヨセミテ国立公園の3千m級の山々に登ってアンセルアダムスという写真家の足跡をたどろうとしたら間違いなく腰痛で寝込んじゃうけどケンシコ墓地でラフマニノフとトミードーシーの墓マイラーするぐらいなら大丈夫そうな気がする #プレスリーのお墓もググったことあるけどそもそも今の人はプレスリーなんか聴かないのかもね #ちなみにJFKはアーリントン国立墓地なんだけどでゎジェームスディーンのお墓はどこでしょう #いつかまた超絶ハイパー円高になったらアメリカに行って現地でそこそこ程度のいい超レアな古いポルシェを買ってアメリカ大陸をあちこち旅しまくって最後に西海岸から船便で日本に送って自分は飛行機で帰ってきて日本に届いたら自分で車検を通して一生乗りつぶすってやってみたいんだよなぁ1つの夢だよなぁ #日本人が550スパイダーとか904なんか乗ってたらたとえレプリカでもあっちこちで狙われるだろうしそれは初代911通称ナローでも同じだろうけど #そういえば例えば中国人観光客が日本に来てホンダBEATとかそれこそ昔のホンダS800とか買って日本国内あちこち旅してるなんて話は聞かないなぁ === #話を戻すと一番のお目当てはスタバで流れてたSatanTakesAHolidayという曲なんだけどUltimateBigBandCollectionというアルバムCDは10曲だけみたいなのでTheEssenceOfTommyDorseyという50曲のCDを買うことにした #ここまでググってAmazonで買ったところまでで今日はおしまい #イギリス発送だそうで到着まで10日ぐらいかかるらしい #ちなみにこの前のマイルスデイヴィスは後期の電気音楽よりも前期のほうがお気に入りなので前期のCDをもうちょっと買ってみようかなと #英語わからないから洋楽は苦手って言う人が多いけどマイルスデイヴィスもトミードーシーも音だけで歌詞はないよ #トミードーシー https://www.instagram.com/p/Bn4LpJTHqAL/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=tcywk49m6bu1
#starbucks#tommydorsey#soundhound#スタバのbgmでちょっと気に入ったのがあったからiphone用アプリsoundhoundに聴かせてみた#出てきた答えはトミードーシーという人が演奏するサタンテイクスアホリデイという曲でultimatebigbandcollectionというアルバムに収録されているらしい#なんだか聞いたことある名前だけど詳しいことは何も知らないやと思ってwikipediaその他ググってみた#1905年11月にアメリカのペンシルバニア州といってまぁ要するにnyの近くで生まれてる#クラシック音楽あるいはピアノが好きな人なら鍵盤の魔術師とか悪魔のような演奏と言われたホロヴィッツが1903年つまり日露戦争が始まる前の年だからまぁ同世代ですね#トミードーシーは1934年29歳の時に兄と楽団を結成するとすぐに大ヒットを連発#1940年に当時まだ25歳だったフランクシナトラが加入すると10代の女性たちに熱狂的に支持されて12週連続1位など大ブレイク#フランクシナトラって名前ぐらいは聞いたことあるかもだけどプレスリーとマイケルジャクソンと並んで20世紀を代表する1人ね#そしてトミードーシーは1956年に51歳で亡くなってる#埋葬されてるニューヨーク州のケンシコ墓地ってどこかで聞いたことあると思ったら私の大好きなラフマニノフが埋葬されてる墓地だった#プレスリーのお墓もググったことあるけどそもそも今の人はプレスリーなんか聴かないのかもね#ちなみにjfkはアーリントン国立墓地なんだけどでゎジェームスディーンのお墓はどこでしょう#日本人が550スパイダーとか904なんか乗ってたらたとえレプリカでもあっちこちで狙われるだろうしそれは初代911通称ナローでも同じだろうけど#そういえば例えば中国人観光客が日本に来てホンダbeatとかそれこそ昔のホンダs800とか買って日本国内あちこち旅してるなんて話は聞かないなぁ#ここまでググってamazonで買ったところまでで今日はおしまい#イギリス発送だそうで到着まで10日ぐらいかかるらしい#ちなみにこの前のマイルスデイヴィスは後期の電気音楽よりも前期のほうがお気に入りなので前期のcdをもうちょっと買ってみようかなと#英語わからないから洋楽は苦手って言う人が多いけどマイルスデイヴィスもトミードーシーも音だけで歌詞はないよ#トミードーシー
0 notes
hochagera · 6 years
Text
流し芝居シナリオ
Tumblr media Tumblr media
<旦那、口上>
本日お集まりのいずれも様に、聞かせたい話、聞かせたい歌があるってんでやってきましたおらが夫婦はあの、「流し芝居」の行商人。 北は北海道、南は九州・沖縄まで、渡り歩いてスナック居酒屋はたまた個人宅まで、投げ銭行商をしてなんとかやってきてるんでございます。 北のアルプスを越えてやっとの思いでたどり着いたのがここ松本の街。 本日お聞きいただく土産話はここ松本からはさらにうんと下った南の国。そこで出会ったのは鬼でも蛇でも天狗でもねえ、そいつあでっかい巨人だった。 嘘みたいでほんとの話。ここはひとつ、しばしのお付き合い、どうぞよろしくお願いいたします。
<かかあ、プレイバック1>
緑の中を走り抜けてく真紅なポルシェ ひとり旅なのわたし気ままにハンドル切るの 交差点では隣の車がミラーこすったと 怒鳴っているからわたしもついつい大声になる
馬鹿にしないでよ そっちのせいよ ちょっと待って Play Back Play Back 今の言葉 Play Back Play Back
<いざない>
かかあ   もう、疲れたわ。 旦那    そうやって気をもむことはねえんだぜ、かかあ。 かかあ   もういっそのこと、 旦那    義理や人情かき捨てて、 かかあ   着の身着のまま飛び出して、 旦那    春を佇む宵の暮れ、 かかあ   月夜の晩に花開く。 旦那    咲いては散る、咲いては散る、(クレッシェンド) ふたり   ああ、今一つだけ散れるなら、儚く舞ってあなたの元へ。
<夏、坂>(うだるような暑さ、セミのカセットin) 旦那     、、、あちー、、暑いなあかかあ。 かかあ   ほらもうあんたさっさと行くわよ。 旦那    おいかかあちょっと待てよ、ここで休憩していこうぜ。 かかあ   休憩さっきもしたじゃない。 旦那    いいじゃねえか、おめえ小銭出せよ小銭。 かかあ   なんでよ。 旦那    なんでっておめえ自動販売機でジュース買うんだい。 かかあ   ダメよ。 旦那    ダメってこたあねえだろおめえ、小銭のひとつくらいでケチケチすんなよ。 かかあ   小銭のひとつって、小銭のひとつも無いのようちには! 旦那    あんだろう小銭くらい! かかあ   無いわよ! 旦那    なんでだよ!おめえこの前の俺が流しで稼いだ金があんだろ。 かかあ   この前?あんたがいつ稼いだのよ? 旦那    いつってだからこのあいだの。 かかあ   いつぅ?
旦那    ああ!まあいいや!元気出せよかかあ!いいじゃねえか。あのな、これから登る坂は地獄坂っていってよ大変なんだよ。 かかあ   そうなの? 旦那    もう気が狂っちまうほどの急勾配だから、これまで何人もの人間が諦めて引き返していった難所だ。 かかあ   まあ怖いのね。 旦那     怖いもんてもんじゃねえやい!これだから女子っちゅうのはナメくさりやがって。 かかあ   いいから登りましょうよ。 旦那    待てやい!あまり急ぐと気い狂っちまうぞ!おいかかあ!ちくしょ〜たくましいかかあだなあ���
坂を登る二人、かかあは先に行き旦那は次第に道を外れる
かかあ   おいっちにいさん。にいにっさん。 旦那    おい!かかあ!待てやい!       ああ、、、かかあ、かかあがいなくなっちまった。おい!かかあ〜!
気が狂った旦那は客をかかあと見間違えている
旦那     おい!おめえかかあじゃねえか、こんなところで暇つぶしてねえで行くぞ。おいかかあ。 かかあ   あらいやだ。あの人あんなところで気が狂ってしまっているわ。 あんた〜何やってんの、ほら行くわよ。ほら!あんたが好きなルマンドよ〜! 旦那    ルマンド!
かかあルマンドをかざして旦那を呼び寄せる
旦那    ルマンドだ!ルマンドが見える!かかあの色合いだ!ルマンドォ〜。ルマンドォ〜。
旦那がルマンドを手に取ろうとしたところでかかあのチョップ
かかあ   ドォーン! 旦那    いて!お、おいかかあじゃねえか。 かかあ    そうよ。あんた大丈夫?気が狂ってたわよ、そこら辺の草に喋りかけて。 旦那    なぁに言ってんだかああおめえ元気を出せよ! かかあ   わたしは元気よ。まあいいから登りましょ。 旦那    よしゃいくかぁ登ろう登ろう。 上り詰めるはこの地獄坂。その頂点で拝むのが、仏だろうと閻魔だろうと、ふたりのあんよで登り切る!
ギターin
旦那    やっとの思いで坂の上、広がる景色の視界の先に、鮮烈に光るは真っ青な海!       かかあ!海だ!綺麗だ!あの海へ行こう!
<かかあ、プレイバック2>
はるかな波がキラキラ光る海岸通り みじかい旅よ力一杯アクセル踏むの 潮風の中ラジオのボリュームフルに上げれば 心かすめてステキな唄が流れてくるわ
旦那    かかあ、おめえ最近おっぱいがでかくなったんじゃねえか?
馬鹿にしないでよ そっちのせいよ ちょっと待って Play Back Play Back 今の言葉 Play Back Play Back
<海>(カセットの波の音in) かかあ   ちょっとぉバカにしないでよぉ。 旦那    いいじゃねえ。ほんとにでかくなったと思うぞ。 かかあ   やめてよ〜人が見てるじゃない〜 旦那    なんだおめぇ急に女だしやがって。恥ずかしいのか。 かかあ   恥ずかしくない〜もぉ〜バカにしてぇ〜。 旦那    ええ?恥ずかしいんじゃねえか。恥ずかしいんなら恥ずかしいって言えおまえは。 かかあ   やめてよ〜もぉ〜。 旦那    急に女々しくなったなおまえは。見ろ、日が暮れてって綺麗だぞ。 かかあ   ねえ。わたしこうして、ふたりで海に来たかったの。 旦那    なんだい急に。 かかあ   いいじゃないたまには。ねえ、綺麗? 旦那    ん。ああ、夕日が綺麗だなぁ。 かかあ   夕日より綺麗なものってあるかしら。 旦那    なかなかないんじゃねえかあ? かかあ   夕日より、綺麗なものってあるかしら。 旦那    なんだおめえ。夕日より綺麗なものっていやあなかなかないんじゃねえかと思うぞ。 かかあ   ねえ。夕日より、綺麗なものってあるかしら。 旦那    だから!夕日より綺麗なものは世の中そうそうないと思うぞ! かかあ   ねぇえ。夕日より、綺麗なものってあるかしら。 旦那    だぁかぁらぁ!夕日より、、
カセットからサイレンとナレーションが鳴る
ナレーション 『その時だった!あたりが突然真っ暗になり轟音とともに突風が吹き荒れる〜!
旦那    おい!かかあ!なんだこりゃ!すげえ風だ! かかあ   きゃー 旦那    おいしっかりしろ! かかあ   あんた、あんたぁ。 旦那    しっかりしろ!吹き飛ばされるな! かかあ   あんたぁ。 旦那    おれあここだ! かかあ   あんたぁ、あれぇ! 旦那     なんだってんだ、急に空なんか見上げてっ、、、て!!かかあ、ありゃあ、
2人    巨人だぁあぁぁぁああ!
2人メガネをかける
<旦那、語りー巨人>
なんと!そこに立っておりましたのは、世にも恐ろしい立ち姿、空をも突き抜けて風を吸って風を吐く。 身丈100間は超える、視界には収まり切らねえ、巨人って奴だったんでございます。 筋肉隆々で触れるもんは全部なぎ倒してしまう。おいらみたいな人間は指先でプチっといちころだい。 だがその巨人の恐ろしさって言やあそれだけじゃあなかった。ここにいるお客さんだけにぁ教えてあげよう。 はるか上空しゃんと佇むその巨人の、雲の隙間から垣間見えるその顔面が、世の中全てをひっくり返るほど、、、イケメンだったんだぁ! にこやかな笑顔でこっち見て手ェ振ってやがる!
<巨人>
旦那    いけねえいけねえ、かかあはあれ見ちゃいけねえよ。あんなスマイル見みちまったらさすがのかかあでもイチコロだ。行こう行こう行こう先へ進もう。 かかあ   なになになに?みたい〜。気になるう〜。 旦那    ダメだダメだダメだ。おい!あんた!巨人さんもいつまでそこいるんですか!手ぇ振らないでくださいよ!そんな面でねうちのかかあ見られたら困るんですよ。
かかあ   あんたぁあ、(メガネをハートに替える)       あたいあの巨人と一緒に行くわ。 旦那    なんだ!おめ!急に寝返ったか! かかあ   わたし、決めたの。 旦那    何を決めたんだ! かかあ   恋よ! 旦那    なんだぁ!? かかあ   これが、恋なのよぉ!ふぉぉ。 旦那    しゃらくせえこと言ってんじゃねえ!やめろその声! かかあ   忘れてたわこの感じいぃぃぃぃい。 旦那    何言いやがんだ! かかあ   私の中の女がジンッジンッするの。 旦那    恥ずかしいこと言うなぁ! かかあ   恥ずかしくなんかないわ!これが、恋だから。 旦那    何が恋だ! かかあ   巨人に恋したの! 旦那    そりゃおいら許さねえよ! かかあ   好きなのよ! 旦那    おめえさっきまでおれにキスせがんでたじゃねえか!あれはなんだったんだ! かかあ   せがんでないわよ! 旦那    せがんでたよ!  『ねえあんた、夕日より綺麗なものってあるかしら?』、、ねえよばかやろう! かかあ   あるわよ! 旦那    ねえよ。夢見んな! かかあ   ひどい、、、!あるのに。、、、みてよ! 旦那    何をだよ。 かかあ   夕日より綺麗な、わたしの、、、、バイブスゥ。
ギターin
<旦那、プレイバック3>
勝手にしやがれ 出ていくんだろ ちょっと待って Play Back Play Back 今の言葉 Play Back Play Back
<旦那、一人語り>
そうしてうちのかかあは巨人に取られっちまった。事件があまりに突然で受け入れる術があるはずもない。 おらが夫婦ふたりで歩んだこの道も今じゃ涙で泥んこだい。 夫婦で仲睦まじくこれからも続けていこうと思っていたその矢先に呆然と立ち尽くした。 それでも季節は秋になり、厳しい寒さも過ぎ去って、巷には春が訪れる。 頭上に咲き誇るのは満開の桜。 綺麗なもんだなあ。かかあは桜が好きだった。 儚く散って自分の人生全うしてやがる。 どんなに雨が降ろうとどんなに風が吹こうと、始めちまったもんは後には戻れねえ。 おいらみたいな流し芝居行商人には帰る場所なんて最初っから最後までありゃしねえんだ。 悲しみ押し殺してしおれた体に鞭打って、それでもおいら歩き続けるぅ!
っと、見上げた視線の遥か先、女佇む坂の上、その見覚えのある立ち姿! 艶やかな衣装に白いエプロン、抱えたギターに蓄えた口髭! おっおめ!!かかあでねえかぁあ!おい!かかあ、帰って来たがか?おい!かかあ!かかあぁ〜!
かかあ、ギターと共にin
<かかあ、プレイバック4>
緑の中を走り抜けてく真紅なポルシェ ひとり旅なのわたし気ままにハンドル切るの 交差点では隣の車がミラーこすったと 怒鳴っているからわたしもついつい大声になる
馬鹿にしないでよ そっちのせいよ ちょっと待って Play Back Play Back 今の言葉 Play Back Play Back
馬鹿にしないでよ そっちのせいよ これはゆうべのわたしのセリフ 気分次第で抱くだけ抱いて 女はいつも待ってるなんて 坊や、いったい何を教わって来たの 私やっぱり、私やっぱり、帰るわね
旦那    かかあ! かかあ   あんた! 旦那    帰ってきたのか! かかあ   あんたぁ! 旦那    かかあ! かかあ   あんた、、、だれ?
<旦那、エンディング>
なんとぉぉぉお!かかあはおいらのことを完全に忘れ去っちまっていたぁ! かかあの記憶を戻そうとたくさんのな薬を投与してみるがかかあの記憶はいっこうにもどらねえ! 果たしてどうなる、流し芝居ぃ! 本日はお時間相まってここまでとさせていただきます。 本日は誠にありがとうございました!
あの流し芝居(2018.3.15~4.28) 旦那・鍵盤ハーモニカ 前田斜め かかあ・ギター・歌  マサ
0 notes
carguytimes · 6 years
Text
【TOP SECRET V12 Supra】スモーキー永田による伝説のナルド最高速アタックをプレイバック!
夢を、現実に。 湾岸最速のチューニングカーを生み出しては、公開不能な記録を樹立しつづけるトップシークレット。しかし、2007年に発表したV12ツインターボ仕様のスープラは違った。ナルド攻略をコンセプトに、世界に堂々と公開できる記録の樹立を目標に開発されていたからだ。そして2008年3月、ついにチューニングカー最速レコード更新という自身の壮大な夢を叶えるべく、スモーキー永田は南イタリアのナルド(正式にはナルドテクニカルセンター)へと挑んだのだ。【OPTION2008年4月号より】 --- 最高速の聖地で輝きを増す金色の戦闘機 V12スープラのメイキング V12スープラのパワーユニットは、2JZではなくセンチュリーに搭載される5LのV12ユニット(1GZ-FE)に、HKSのGT-RS改タービンを両バンクにマウントしたツインターボ仕様となる。エンジン内部は、エスコート製の5A-Gピストンに同社のB18Cコンロッドで強化し、さらにヘッドも燃焼室やポート研磨を実施。オリジナルのメタルガスケットも投入している。 さらに、ノーマルの5800rpmというローレブリミットも、L型用の強化バルブスプリングなどを流用することで7500rpmにまで引き上げられている。ラジエターは大容量タイプをリヤへと移設しているが、高速域では水温に不安があったためフロント側にも小型ラジエターを追加している。これで水温は85度前後をキープしたままオーバー300キロの世界へと突入できるというわけだ。 そんなV12ツインターボユニットの制御には、F-CON Vプロを2機使用して片バンクに1機のVプロを配するツイン制御システムを確立。結果、パワーは850psまで高められ、さらに2本のウエットショット式NOSを噴射することによって、ブースト圧1.3キロ時に実測943ps、トルクに至っては103kgmを発生するまでに進化しているのだ。 最高速に欠かせないミッションはJZA80純正ゲトラグ6速を使用し、輸出用の3.1ファイナルと275/40-19という大径のタイヤを組みあわせる。これで計算上は6速7000rpmで370キロ、7500rpmまでまわれば400キロを突破することになる。 また、空力を左右するエアロパーツも徹底チューンを慣行。オリジナルの「スーパーGフォース・ワイドボディキット」は、スモーキー永田のこれまでの経験から空力に有利な形状を最優先にデザイン。車重は1700kgと超ヘビー級だが、スモーキー永田の「最高速なら車重は多少あったほうが安定する」という経験則から軽量化はあえて行っていない。むしろエアコンやオーディオといった快適装備をすることで、リラックスして最高速に挑めるメイキングとなっているのだ。 しかし、これだけの最高速仕様をもってしてもナルドの巨大な壁はスモーキー永田とV12スープラを苦しめることとなる……。 PHOTO:Nobutoshi Kaneko スペック ■エンジン:1GZ-FE(4996cc) HKS GT-RS改GT2835ツインターボシステム/ウエットショット式NOS×2/F-CON Vプロ×2/ORC709クラッチ/ゲトラグ6速ミッション/機械式LSD/ファイナル3.1 ■フットワーク:アラゴスタ トップシークレットバージョン+ロベルタカップ/トラスト GReddyブレーキ キット(F8ポッド R4ポッド) ■ホイール:ボルクレーシングGTF(F9.5J+4 R10.5J-15) ■タイヤ:ポテンザRE050(F245/35-19 R275/40-19) ■エクステリア:スーパーGフォース ワイドボディキット ■インテリア:デフィ スーパースポーツクラスター/ブリッド セミバケ タイヤはポテンザRE050。時速200キロ以上で走ることを前提に開発されているだけに、今回の挑戦にはベストチョイス。路面温度9度の状態で1周してきても空気圧は0.3キロ、表面温度も約10度上昇した程度で終始安定していた。 アタックドライバーは、もちろんスモーキー永田。今回ばかりは私服というわけにはいかず、アライのヘルメットにアルパインスターズのレーシングスーツ、グローブで正装。「ヘルメットからの視界はいつもと違う…」とボヤいていたが、これが正しいここでのスタイル。 ナルドの全容 最高速野郎を虜にする最高速の聖地 イタリア南部、プッリャ州のアドリア海に面する港湾都市・ブリンティジ。そこからクルマで約1時間ほど南下した所に、今回の舞台「ナルド・テクニカルセンター」は存在する。プロトティーポという民間企業が運営(※2008年当時/2018年現在はポルシェが所有)している大型施設で、1975年にフィアットが自社テストコースとして作ったのがはじまりだ。その後、1999年1月にプロトティーポ社が買い取り、現在に至る。 最高速テストを行うのは、メイン施設の「サークルトラック」。この場所以外にも13にもおよぶテストコース(クロスカントリーコース、オフロードコース、音量測定、スキッドパッド等)が存在するが、施設内に足を踏み入れると、撮影禁止区域が非常に多かったりもする。その理由は単純明快。敷地内には、フェラーリをはじめとするヨーロッパ有数の自動車メーカーが専用のピットを持っており、連日のように新型車の極秘テストを繰り返しているからだ。 V12スープラがアタックに使用するサークルトラックは、直径4km、1周13kmにも及び、車幅も1車線4m×4車線=16mという広さを誇る。また周回路の設定速度も、イン側で408.948キロ、アウト側では492.317キロと、想像を絶するスケール。それでいながらバンク角が非常に浅いため、ドライバーにもマシンにも負担は少なく、安全面に関しては申し分無しと言えるだろう。聖地という呼称は伊達ではないのだ。 ちなみに、このサークルトラックには推奨レコードラインなるものが3車線目に存在し、このレーンはR=2.013m(1周=12.648km)で400キロ以上を出せるような設計になっているのだ。 実際に走ってみても速度感など全くなく、いつのまにか200キロ近く出ているような状態で「300キロ以上出てるのにステアリングはニュートラル位置のままだし、広いからコースサイドのカメラマンの顔も確認できるくらい余裕があった」と、スモーキー永田が驚いたほど。まさに、最高速ジャンキーにとっては夢のようなステージなのである。 画像提供:Nardo Technical Center バンク角は非常に浅いのが特徴で、どのポイントから見ても写真や実際に見た景色はかなりコーナーがキツいような印象。しかし走り出すとステアリングはニュートラル位置のままほぼ動かない。過去にはジャン・アレジが駆るフェラーリF1マシンが走ったこともある。 24mあるテストコースの管制塔。といっても、高速周回路はこのタワーでも監視が届かないとか…。ちなみにこのタワーはナルドのシンボルでもあり、施設外からでも確認することができる。 オフロードコースや悪路など、さまざまな条件が用意されたクロスカントリートラック。オフロードのオーバルコース��用意されていたり、WRCも開催できそうなほどコースは充実している。 今アタックで問題にもなったガソリンのオクタン価。テストコース内にはガソリンスタンドが設置されているが、ここでのオクタン価は98。V12スープラは添加剤を入れてオクタン価を100まで上げたのだ。 高速周回路の中心には、清潔感のあるガレージが多数存在する。トップシークレットはリフトが2基ある一室を借りた。ちなみに隣のピットはメルセデスベンツが所有しており、その向かいはフィアット、フェラーリ、ランボルギーニと、そうそうたるメーカーが顔を並べていたのだ。もちろん金色のマシンには各メーカー大注目! ナルドの入口に立っていた公式記録の看板。国産メーカーはホンダやスズキのバイクがいるだけで、あとは全てヨーロッパの自動車メーカーばかり。トップは1979年のメルセデスベンツC111C-Ⅳが記録した403.9キロ(2008年当時)。公式記録の申請が困難らしく、最新のものでも2002年のフォルクスワーゲンW12が最後だった。 偉大なる挑戦 エンジントラブルを抱えながらもオーバー350キロを何度も記録 最高速度は358.22キロ! 3月16日午前6時。決戦のとき。朝日がうっすらと顔を覗かせる南イタリアの朝に包まれるなか、至宝のV12ユニットは目を覚ました。コクピットには、いつになく深刻な表情のスモーキー永田がたたずんでいる。 1周約14kmという広大な「ナルドリング」で、自身がドイツ・アウトバーンで記録した341キロという最高速度の更新は絶対条件。スモーキー永田の闘志がマシン越しに伝わってくる。 そしてコースイン。与えられた時間は、泣いても笑っても2時間(占有時間)だけだ。思い残す事など何もない。自分の夢を掴むために踏み抜くだけだ。 決意のフルスロットル。V12の甲高いエキゾーストサウンドがナルドを覆い尽くす。 が、しかし…、現実は想像以上に厳しかった。なんと350キロを超えたところでオーバーヒートが発生。回転数も7500rpmまでまわるどころか、5800rpmでストップしてしまったのだ…。 「350キロを超えたあたりで、アクセルが重くなってきて加速も鈍っちゃうんだ。水温も107度まで一気に上がっちゃったし…。日本でさんざんテストしたんだけどな」。そう言い残し、再びコースイン。…無情と表現すべきだろうか。その後、何度トライしても結果は変わらず、353.88キロ、356.87キロ、358.22キロ、355.11キロ、356.21キロ…と、350キローオーバーを連続で記録するものの、目標である380キロには届かなかったのだ。そして、そのまま2時間のアタック時間が終了した。 結果、公式のMAXスピードは3本目に記録した358.22キロだった。 「シフトアップのタイミングやアクセルの踏みかたをいろいろ変えてみたけど、6速のときに高回転がまわらなくなって、5800〜5900rpmで止まっちゃう。水温の上昇もそうだけど、もっと違うところに原因がある気がする…」。自分を責め続けるスモーキー永田。続けて「ごめんなさい、本当に悔しい! でも、走ってみたらパワーとか水温とかいろいろな問題点が見えた気がする。このままじゃ終われないから、もっとマシンを進化させて再チャレンジします!」。 この結果をどう受け止めるかは読者それぞれの判断に委ねるが、たった2時間のあいだに350キロオーバーを連続で5回も叩いた事実、最後まで諦めずにマシンを信じて踏み続けた闘志、そして記録を達成できずスタッフ全員に何度も謝るその姿には、カメラマンやビデオ班を含めて現場にいたスタッフ全員が強く心を打たれていた。 スモーキー永田はリベンジを誓った。そう、トップシークレットの380キロオーバーチャレンジはまだ続くのだ。そしてそれは、かなり近い将来に実現するであろう“最高速ジャンキー”からのマニフェストとして受け止めたい。 ATTACK時のV-BOXログデータ これは高性能GPS型ロガー機「V-BOX」のログデータを切り取ったものだ。230キロからアタックを開始して最高速地点となる358キロまで急激に山が立ち上がっている。300キロオーバーの領域でもまだ加速していることを考えると、たらればの話になってしまうが、トラブルさえなければ360キロどころか380キロ到達も夢ではなかったかもしれない。 (web option編集部) あわせて読みたい * 【JUN 420R】エンジン屋の意地が作り出した1500psオーバーのR35GT-R * 【激走!高速周回路ATTACK!】レクサスLFAって本当に速いの!? 禁断のフル加速テストを実行! * 【友池 聡 180SX】自走派という制約の美学! ドリドレ界で個性を放つ自作スペシャル * 【Memory of RB26DETT Part.2】チューンド史に名を刻んだ伝説の第二世代GT-R達【ストリート〜サーキット】 * 【SUPER TUNED MEMORIES】C30A改ツインターボを縦置き! WTACで世界が注目したタイムアタックNSX http://dlvr.it/QsccjZ
0 notes
release-info · 7 years
Link
via RELEASE(リリース) みんなで作るニュースサイト!
0 notes
guanden · 8 years
Photo
Tumblr media
[デトックス12日目/バックができないクルマ] 所用で真田村の方に出かけたらば。。。 運転しててちと違和感あり、ワイパーも動かずちっと不安に思いながらそれでもワーゲンゴルフ乗らないと、と思いながら向かってみたらば。 雪の駐車場でバックできなくなりました。 前進あるのみ! 聞こえは良いけれどクルマは困ります。 行きのクルマの中で次に買おうとほぼ決めているクルマの写真をお母ちゃんに見せたりしていたから、拗ねたのね、君ね。 軽井沢からクルマやさんに来てもらい、代車で帰宅。ホントいつもすみません。 やっぱりクルマ、買おうかと思います。古いクルマに乗る趣味もないし、新しい方が良かろうで。 さて、お金貯めよう。 デトックスは火曜日まで。そのあとの復食期間はまだ決めてないけれど、2月いっぱいくらいまで爆喰いはやめておこうか。 タバコは軽井沢に持って来なかったのに、やっぱり吸いたくなってLAWSONへ。お母ちゃんの目を盗んでLAWSONで吸うなんて、高校生かよ、と思いつつ。 嗚呼、クルマ。 クルマ大好き。 でも高速ではクルーズコントロールついてないとずっとアクセル踏むのは疲れるから。やはりポルシェの夢は60代までお預けかしら。 #デトックス12日目 #バックオーライ #前進あるのみ (真田町)
0 notes
carguytimes · 6 years
Text
作りこまれたボンネットは驚きの開き方、リアはハッチバック。GT-R50 byイタルデザインが想像の斜め上を行っていた
これは、朝早く起きて眠い目をこすりながら見に行った甲斐がありまくりですよ。 会社に向かう人と、なぜが早朝からウロウロしている観光客とおぼしき人が錯綜する銀座4丁目の交差点。そこにある日産のショールーム「NISSAN CROSSING」で15日から公開が始まった「Nissan GT-R50 by Italdesign」を見に行ってきました。 いやあ素晴らしい。こんな特別なモデルを自分の目で見られる機会なんてないと思っていたのに、目の前にあるという現実。もう夢みたいです。生で見られるというだけでもはや拝みたくなるレベル。お願いだから、夢なら醒めないで―。 このクルマはGT-Rニスモをベースに作られたスペシャルモデルで、デザインは日産が担当。開発と設計、そして生産(なんと限定販売する!)はイタルデザインが担当とのこと。 意外なコラボ、しかもイタルデザインといえばデザイン工房なのに、デザインは日産が受け持ったというのも不思議ですが、まあそんな細かいことを気にするのはやめておきましょう。 ちなみにデザインだけでなくエンジンも手が加わっていて、最高出力720馬力なんだそうです。 ところで、実際に車両を目にするといろんな発見や驚きがありました。 1:ルーフはGT-R標準車よりも低い 勝手な想像ながら、デザインに手が加わっているのはいわゆる「外板」に相当する部分だけだと思っていました。しかし実際にはルーフも普通のGT-Rより低くなっているとのこと。つまりはピラーなど骨格自体にも手が加わっているということになりますね。 ショーカーならともかく、高い走行性能を持ちつつ実際に販売するとなると、大きな負担がかかり強度が求められるピラー周辺は新車開発に匹敵するくらい手間をかけて新設計されているというわけです。ここまで変えていたとは驚き。 2:ボンネットフードはカウル式に取り外せる ボディ外板の多くはカーボンで作られているとのこと。そしてボンネットフードは、フェンダーの一部まで含めて取り外しできるようになっていました。まるでレーシングカーのようですね。これはカッコいい。 もしかすると、注目はボンネットフード裏かもしれません。しっかりと補強が入っていて、すでに市販前提の開発が進んでいることを読み取れます。 3:実はハッチバックだった! トランクの後方に電動昇降式のウイングやそれを動かす頑丈なシリンダーが取り付けられているため、一般的なクルマのようにトランクリッドを開けられないことは想像できていました。ではどうやって開けるのかと思っていたら……なんとトランクリッドがリヤウインドウと一体になって開く構造。つまりはハッチバックなのです。 ちなみにルームミラー越しの後方視界は……こういうクルマにこそカメラ式のルームミラーが必要かもですね。   4:リヤウイングは電動昇降式 これまでリヤウイングがせり出した状態の写真しか見たことが無かったので、てっきり羽根は固定式だと思い込んでいました。しかしなんと、室内のスイッチで昇降する電動式。説明によると、市販時には可動式と固定式の2タイプを設定するかもしれないとのこと。 ポルシェやアウディはごく当たり前のように電動可動式のリヤスポイラーを組み込んでいますが、ここまで大きな羽根が動くのは珍しいですね。 5:メーターはMoTeC製だった 今回はメディア向けのお披露目だったので、室内に乗り込むことも許されました。そして目に飛び込んできたのがメーター。標準のGT-Rとは異なるフル液晶で、なんとレーシングカーやチューニングカーのような雰囲気なのです。 この液晶パネルは実際に競技車両にも使われるMoTeC社製。デザイナーの遊び心でしょうか。 6:テールランプはジェットエンジンのよう 日産のデザイン統括者が「丸にこだわった」というテールランプは超立体的で、まるで翼に吊り下げられたジェットエンジンのよう。どこかで見覚えが……と思ったら、かつてモーターショーに展示されたGT-Rの将来像をイメージしたコンセプトカーの「日産コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモ」のテールランプによく似ていますね。 ウインカーは? バックランプは? 果たして市販仕様はどうなるのでしょうか? 7:ところで「50」とは? 車名にも記載され、生産時の「限定台数台数」と示されている数字の「50」は、GT-Rの誕生50周年にかけたもの。「GT-Rの50周年を祝うためになにかしよう」というのがこのプロジェクトのスタートなのだそうですよ。 なんだか知れば知るほど興奮し、欲しくなってくるNissan GT-R50 by Italdesign。もし標準車よりちょっと高いくらいだったら気合でローンを組めば買えるかも……なんて思ったりしたのですが、価格は90万ユーロ「から」。 日本円にすると1億2000万円は超えちゃいそうです。限定50台という希少性からも、最高のコレクターズアイテムになりそうですね。 ボクも買おうかと思っていたのですが、よく考えたらこの全幅では自宅ガレージに収まりそうにないのでちょっと買えないかなぁ。欲しいけど、車庫に収まらないんじゃ仕方ない、残念! 決して、宝くじが当たったとしても手が届かない世界だから……じゃないんだからっ! (工藤貴宏) あわせて読みたい * レクサスっぽいクワッドエキゾーストパイプを発見。メルセデスAMG GT-Rの「ブラックシリーズ」を目撃 * 【Nissan GT-R50 by Italdesign】約1億1700万円〜の世界限定50台の日産GT-Rを「NISSAN CROSSING」で期間限定公開 * 日産がパイオニアにライセンス供与したという高速道路の「逆走報知ナビゲーション技術」とは? * 【ノートe-POWERが売れた理由を考えてみた・後編】ノートにはネガティブ要素を打ち消す「何か」がある! * 【ノートe-POWERが売れた理由を考えてみた・前編】長所はe-POWER Driveだけではない! http://dlvr.it/QnShSL
0 notes