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#僕の創るボブ
69creator · 2 years
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𝕝𝕟𝕤𝕥𝕒𝕘𝕣𝕒𝕞をご覧の皆様。 こんばんは\(^▽^)/! ⁡ 半身浴より全身浴派。 どうも、服部です。 ⁡ #ヨコノヘアカタ #マワルヘアカタ ⁡ 今回はバッサリ切りました。 鎖骨下くらいの長さから ボブショートに。 ⁡ スタイル解説! ちょっとはち上辺りにレイヤーを 入れて毛流れを意識したボブ。 ⁡ 寒くなるとハイネックや ストールやマフラーなど巻く 時にもこのクビレ感あるボブは ちょうどいい感じになるので おすすめ。 ⁡ シンプルなワンレンボブとかも ミニマムなものがいい気分ですね。 ⁡ スタイリング方法 ⁡ ストレートアイロンで 軽く毛流れをつくるくらいにして オイルかバームで仕上げるのが 今っぽくていいかなって。 ⁡ 僕の中の髪型を決める際に 重要視する3大ポイントは☝️ ①やりたいかやりたくないか ②似合うか似合わないか ③オシャレかオシャレじゃないか * この投稿を見たあなたの髪を切るのは… オレかオレ以外か…は違うか(笑) ♚ 今、目の前の担当している お客様にとって何がBESTなのか🧐⁉️ 四六時中考える服部です。 よろしくお願いします🙇‍♂️ * ヘアを自分史上最高にカワイクして 毎日ハッピーな毎日を 僕と一緒に始めませんか…💓 ✩ たくさんのお客様のヘアパートナーに なりたい!! ✯ ✩ #僕のセブンルール 【レディ編】 【ユウイチの7⃣ルール】 1⃣髪の生え方や癖を見る 2⃣頭の骨格を感じる 3⃣顔立ちを見る 4️⃣鏡越しに表情などをみる 5⃣前髪、顔周りは特に丁寧に仕上げる 6⃣椅子を回して360度のシルエットチェック 7⃣『僕の目をみて』と正面から質感チェック ★ ☆ △夢中になってるアプリのアカウントI.D. ▼Instagram:69_top_of_creator_96 ♢Tik Tok:6_hairdresser_9 ⿴ZEPETO:3XD7F6 ⿻YouTube:服部裕一のゆうチャンネル フォローしてくれたら飛んで喜ぶ。 ⿸ 【Hair menu】 cut…4500 color:retouch…5800 fulllengthcolor…8000~ doublecolor…15700~ medicalcolor…7300~ pointbleach…3600~ perm…9900~ medicalperm…16500~ pointperm…4000~ treatment…3000~ headspa…5000~ ※料金は税別+長さにより変わります。 ♡ヘアスタイル創りのコンセプト↓ ♥髪は作物、頭皮は畑、カットは剪定。 ♡ #名古屋 #名東区 #名古屋カフェ #名古屋美容師 #zele一社 #madeinゆういち #名古屋のyoutuber美容師 #毛束つまみがちな人 #僕にしか出来ないヘア #似合わせカット #オシャかわ #前髪はうざめ #レザーカット #レイヤーボブ #イメチェン #バーム仕上げ #ボブショート #be容師 #レア髪 #認知されたい #いいねコメントフォロー待ってます #頭は丸い #髪は動いてこそ美しい #ホットペッパービューティー ✩ ZELE一社( ✧Д✧) カッ @69_top_of_creator_96 愛知県名古屋市名東区一社1-87 ユウトクビル2階 ☏052-709-4100 営業時間 平日*土曜日 10:00~19:00 日曜*祝日 9:00~17:00 今までイメージ通りの髪型になったことのない方😫 自分に似合う髪型が分からない方🧐 ぜひお気軽にDMでご相談下さい👍 #服部裕一 ✩ お電話予約の際は あなたの綺麗を叶える魔法の合言葉は 『服部さんのインスタを見た!』ですよ。 特典があるかもしれませんよ。 ✩ トップのリンクから ホットペッパーのWeb予約出来ます!! おかげさまで口コミ高評価増えてます。 ありがとうございます。 (Nagoya-shi, Aichi, Japan) https://www.instagram.com/p/CkqbctrPvmD/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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cellophanemaryjane · 2 years
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私にもサブカルのこと書かせて-4(スタジオボイス)
「ファッション通信」では毎月スタジオボイスの新しい号が出るとプレゼントしていて、それがきっかけでこの雑誌を知り読むようになりました。スタジオボイスはおしゃれとヨゴレを行ったり来たりしていて面白い雑誌でした。
今ではすっかりハイパー呼ばわりの高城剛のブログを思わせるような日記の連載があったのですが、レイアウトが読みにくくて面白くないのでいつも飛ばしていました。でもたまたまページをめくっていた時に、「僕は決めた、今世紀中にテレビ局を作ります!地上波でもBSでもCSでもないテレビ局!」というようなことが書いてあったのが目に入ってきて(この人はいつもこういうテンションだった)、当時はこの人何を言ってるんだろうと思っていたのですが、もしかしてそれってYouTubeのことだったの…?と今は思います。
あと何という人だったか忘れてしまったのですが演劇のページで大人計画のある芝居を堂々と批判している人がいて、結構キツイこと書いちゃうんだなぁと思ってたら、松尾スズキが「カジノフォーリー」というお笑い雑誌で反論していたことがありました。反論と言っても「誤解されてると思う」みたいな感じだったけど。批判の内容は、難解な書き方だったので真意の程はハッキリわからなかったのですが、自分としては多分「内輪受けで何でも受け入れるファンの方しか向いてない」ということだったと思っています。公演が終わった後にロビーで劇団員によるフリマが行われたことも書いてあって、「それはキツイなぁ」と思いました。お笑いはずっと好きだけど、小劇場のノリは当時から苦手でした。
「カジノフォーリー」は東京のお笑いが中心のミニコミという感じの雑誌で、そこに載っていた頃の立川志らくの尖りぶりはすごかったです。今の志らくはかなり丸くなってる。
スタジオボイスに話を戻すと、私がこの雑誌に感謝していることは、レインコーツの存在を教えてくれたことです。その頃ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのモー・タッカーがソロアルバムを出していて、新譜のページにほんの一言だけ���元祖レインコーツというか相変わらず年齢不詳のババア声」と書いてあったのです。昔のサブカル雑誌の悪いところが凝縮された言い方だなぁと思います。でもレインコーツという名前を知ったのはこれが最初でした。これ書いた人誰なんだろう。これ書いたの覚えてる?って聞きたい。
そしてあの頃のスタジオボイスにはナンシー関がいました。ナンシーがおもしろかった頃が、スタジオボイスのいい頃と重なってたと思います。ブロンソンズまではまだよかったけど、その後根本敬とかリリー・フランキーとかがよく載るようになってからクールさがなくなった。
ナンシー関はカルト特集といういろんなマニアが出てくる号で缶ジュースについて書いていました。おしることかプリンシェイクとか見かけると味をチェックしたくなるけど、缶ジュースと呼んでいいのだろうか、うわさによるとおでんジュースや串に刺さった肉が入っているヤキトリジュースというのがあるらしい、どこまでが缶ジュースなのだろうか、とかなんとか。その後秋葉原の自販機おでん缶って話題になりましたよね。
それから一瞬、ほんの一瞬i-Dジャパンていう雑誌があって、一見おしゃれっぽいけど調子こいた品のない雑誌でした。フリッパーズもスチャダラパーも電気グルーヴもピチカートも載ってました。この手の雑誌ってよく考えたらいつもこのメンバーで、その辺押さえとけ感もちょっとあった。i-Dジャパンの電気グルーヴの連載は他の雑誌の連載に比べて、ひときわやる気のないものに見えました。(ラジオでやっていた漫画紹介コーナーの書き起こしみたいなの)
クイックジャパンが創刊された時、「ヤバい雑誌が出る!」みたいに紹介していたのもi-Dジャパンでした。そんなに言うならと創刊号をちょっと立ち読みしてみたけど、これは自分には全然必要ない雑誌だなと思いました。
フリッパーズってすぐ解散しちゃったしあんまり出たがりな印象でもなかったので、嫉妬丸出しの大人も多かったけど特に追いかけてなければわりとどうでもよかった。それこそあのいじめインタビューとか、全然知らなかったです。だってロッキンオンとかクイックジャパンなんて私読まないし…あの頃調子こいてたツケが今来てるんならま、しょうがないんじゃない。という感じです。
私も大概サブカルクソ女子高生だったと思ってたけど、鬼畜系とかオリンピックのことがあるまでほとんど知らなかった。電気グルーヴのANNは聞いてたし「ゴメス」も毎月もらいに行ってたけど、ガロにははまらなかったし、テレビブロスも読んだことないし、夜遊びにも憧れなかったし、そう考えると私たいしてサブカル女子じゃないんじゃない?と思います。
でも知らなくてよかったかも、と思いました。60年代にうつつをぬかしててよかったかも。ただ生と死ブームはめっちゃ覚えてます。生と死にブームもクソもないだろうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ブームだったのです。
そして創刊号だけ買ったことがあるバァフアウト!がこんな感じで残ったのも意外でした。創刊号ではU.F.Oとラヴタンバリンズが印象に残っています。ラヴタンバリンズはちょっと大言壮語な感じがしました。U.F.Oの松浦俊夫は田島貴男と一緒にモグラネグラという深夜番組に出ていて、2人とも変に小慣れた喋り方じゃなかったのが良くて毎週見ていました。ゲストの高城剛が当時発売されたMDを紹介していましたが、田島貴男と松浦俊夫の2人はこのサイズではジャケットが見えないとあまり喰いついてませんでした。ハイパーはとにかくハイテク大好きという感じだったけど、MDは特にどうもなりませんでしたね。あとなんかチェリールイもゲストに出てました。(チェリールイって今書きながら思い出した〜)
モグラネグラ(モグネグ)の他の曜日はあんまり見てなかったけど、ローリーが従えていたオナペッツのインパクトはすごかったです。
オーディション番組「天下御免ね」に審査員として出ていた松蔭浩之の写真もスタジオボイスに何度か掲載されていました。天下御免ねに出ていた頃の松蔭浩之は、茶髪のサラサラヘアをなびかせてベビーピンクのスーツを着た、タメ口をきくアート界のプリンスといった雰囲気のキャラだったのに、今では自分から帽子を脱いで禿げてるんだ〜と見せるような人になっててビックリした反面、こんな風に年齢を重ねたことを受け入れられる人っていいなと思いました。大人の余裕を感じました。作品は好みじゃないです。
むしろその頃私がずっとウザいなと思っていたのは出たがりの便利屋小西康陽の方です。この人スタジオボイスで感じ悪い連載してたし、アントニオーニの「欲望」のフライヤーの裏に駄文書いてたし、「黄金の7人」のCDの解説にも出てきてた。また文章が中身が薄くてひとりで笑ってるみたいな、作ってる音楽と同じくらいつまらないものでした。
小西康陽がスタジオボイスで連載していたレビューのようなものはちょいちょい感じが悪かった。自分はCDを出したら関係者に配るのに、僕のところには全然来ない。あいつに送るなというリストに僕は入れられてるのでは?と、ここまではいいのですが(ちなみにうちにはそのリストが存在する)とか書いていて、そんなだからお前も同じ扱いされてんだろすぐパクるし、と思いました。
昔の音楽ライターについて、ボブ・ディラン担当だった菅野ヘッケルという人のことを「ヘッケルだよ、ヘッケル」と小馬鹿にしたように書いていたこともありました。それからずっと後、ボブ・ディランがノーベル文学賞をもらった時まさかの菅野ヘッケル本人がテレビに出てきてインタビューに応えていました。まさに生きとったんかワレ!でした。菅野氏は元気そうにしていてよかったです。なかなか雰囲気のある方で、街で見かけたらちょっとビビるかも、と思いました。
あと関係ないけど当時レコードフェアに行くと小西康陽そっくりな格好をした人がよくいました。(何をとは言わないけどマッシュルームカットとメガネとヒゲでごまかすスタイル)
リズ・オルトラーニが手がけた「世界女族物語」という映画のサントラが再発された時、誰が書いたのか解説の人がある曲について「小西康陽氏もこの曲が好きだと言っていたので、彼のフェイヴァリット・ソングとみて間違いないでしょう」とか書いてたのですが、ほんと知らねーよって感じでした。こんなんで原稿埋めんなよ。嫌いだわぁ。心の底から嫌いだわぁ〜!
取り乱しました。(ダチョウ倶楽部)
あの頃見かけた90年代のサブカル文体はあまり褒められたものではなかったけど、面白い人は面白かったし、川勝正幸やコモエスタ八重樫は下品すぎず自画自賛もあまり感じない文章でした。三田格という人の文はすごく痛くて、イジっちゃだめな人に見えました。もちろんつまんなくて下品な人もいて、そういう一部の人が使っていた「と、いうよーなモノがあって。でですね」みたいな文体は当時から気持ち悪かったです。モノとかコトとか片仮名にするのほんと気色悪かった〜。でも雑誌しかないから隅々まで読んでいて、こんなふうに記憶に染み付いてるんだからおそろしいです。
(つづく)
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kkagneta2 · 4 years
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ボツ2
おっぱい、大食い。最後まで書いたけど胸糞なのでここに途中まで投稿してお蔵入り予定。
時: 午前8時05分
所: ○○中学正門前
身長: 標準的。155センチ程度。
衣服: 〇〇中学指定の制服。黒のセーラー。リボンの色より二年生と断定。
年齢: 中学二年生なので14、5。
持ち物: 右手に〇〇中学指定の鞄。左手にスマホを所持。
同行者: 友人1名。興味無しのため略。
背格好: やや細身か。冬服のため殆ど見えなかったが、スカートから覗く脚、そして周りの生徒と見比べるに、肩や腕も細いと思われる。腰回りもほっそりとしていると感じた。正確には引き締まっていると言うべきか。
顔: いと凛々し。小顔。頬は真白く、唇には薄い色付き。笑うと凄まじく整った歯が見え隠れする。この時髪をかき上げ血の色の鮮やかな耳が露出する。
髪: ボブ系統。ほぼストレートだが肩のあたりで丸くなる。色は黒、艶あり。
胸: 推定バスト98センチ、推定アンダーバスト62センチのK カップ。立ち止まることは無かったが、姿勢が良いのでほぼ正確かと思われる。しっかりとブラジャーに支えられていて、それほど揺れず。体格的に胸元が突出している印象を受ける。隣の友人と比べるとなお顕著である。制服のサイズがあっておらず、リボンが上を向き、裾が胸のために浮いていた。そのため、始終胸下に手を当てていた。揺れないのもそのせいであろう。制服と言えば、胸を無理に押し込んだかのように皺が伸び、脇下の縫い目が傷んでおり、肩甲骨の辺りにはブラジャーのホックが浮き出ている。されば制服は入学時に購入したものと思われ、胸は彼女が入学してから大きくなった可能性が大である。元来彼女のような肉体には脂肪が付きづらいはずなのだが、一年と半年を以てK カップにまで成長を遂げたところを見ると、期待はまずまずと言ったところか。要経過観察。名前は○○。胸ポケットに入れてあったボールペンが落ちたので拾ってあげたところ、「ありがとうございます」と丁寧にお辞儀をされる。
  時: 午前10時28分
所: 〇〇駅構内
身長: 高い。170センチ強
衣服: 薄く色味がかった白、つまりクリーム色のファー付きコート。内には簡素なグリーンのニットを羽織る。首元に赤のマフラー。
年齢: 22、3。休み期間中の大学生かと思われる。
持ち物: キャリーバッグ。手提げのバッグ。
同行者: 友人2名。先輩1名。何れも女性。貧。
背格好: 体格が良いと言った他には特に無し。腕も見えず、脚も見えず、首も見えず。肩幅の広さ、腰つきの良さから水泳を営んでいると推定される。
顔: その背に似合わず童顔。人懐っこい。マフラーに顔を埋め、視線を下げ、常に同行者に向かって微笑む。愛嬌よし。
髪: ショート。これより水泳を営んでいると断定。色は茶、染め上げてはいるがつやつやと輝く。
胸: 推定バスト129センチ、推定アンダーバスト75センチのR カップ。冬である上に、胸元が目立たないよう全身を地味に作っており、某コーヒーショップにてコートを取っても、無地のニットのために膨らみが分かりづらかった。さらに、胸の落ち具合から小さく見せるブラジャーを着用しているかもしれない。そのため、推定カップはR カップより3、4カップは大きい可能性がある。コートを取った際、胸元が一層膨らんだように感じられた。机の上に胸が乗って、本人は気にしていないか、もしくは気づいていなかったが、柔らかさは至高のようである。他の男性客の腕が肩にぶつかって、驚いた際に胸で食��かけのドーナツを落とす。以降会話は彼女の胸に話題が移ったらしく、左右に居た友人二名が所構わず触れるようになり、両手を使って片胸片胸を突っついたり、揺らしたりして遊ぶ。「机まで揺れる」と言う声が聞こえてくる。「ちょっとやめてよ」と言いつつ顔は相変わらず微笑むでいる。しばらくして四人とも席を立って、地下鉄筋の方へ消えていく。童顔ゆえに顔より大きい胸は驚くに値するが、体格からして胸元に自然に収まっているのを見ると、やはりなるべくしてなったとしか思えず。
  時: 午後00時14分
所: 〇〇市〇〇にあるスーパー前
身長: 低い。150センチに満たない。
衣服: 所謂マタニティウェア。ゆったりとした紺のワンピースに濃い灰色のポンチョ。
年齢: 26、7
持ち物: 買い物袋。ベビーカー。
同行者: ベビーカーの中に赤ん坊が一人。女の子である。
背格好: 小柄。寸胴で、かつ脚も長くはあらず、そして手足が細く、脂肪が程よくついている。つまりは未成熟な体つき。身長以上に小さく見える。
顔: かなりの童顔。着るものが着るものであれば高校生にも見える。可愛いがやつれていて、目の下に隈あり。子供が可愛くて仕方ないのか、そちらを見ては微笑む。
髪: セミロングを後ろで一束。中々の癖毛であるかと思われるが、目のやつれ具合からして、もしかしたら本当はもっと綺麗なのかもしれない。髪色は黒。可愛らし。
胸: 推定バスト110センチ、推定アンダーバスト58センチのQ カップ。体格が小柄であるのでQ カップよりもずっと大きく見える。というより迫力がある。私が訪れた時は買い物袋をベビーカーに吊っている最中であった。ほどなくして赤ん坊が泣き出したので、胸に抱えてあやしたが、赤ん坊は泣き止まず。片胸と赤ん坊の大きさはほぼ同じくらいであっただろう。また、胸と赤ん坊とで腕は目一杯伸ばされていた。胸に抱いて「よしよし」と揺らすのはしばらく続いたが、赤ん坊が泣き止むことはなかった。そこで、座る場所を求めて公園へと向かおうと、一度ベビーカーへと戻そうとしたのであるが、一度胸に食らいついた赤ん坊は離さない。「さっきも飲んだじゃない」とため息をついて片手で危なっかしくベビーカーを引こうとする。「押しましょうか」と接近してみたところ、意外にもあっさりと「よろしくおねがいします」と言って、私にベビーカーを預けた。中には玩具が数種類あった。道から離れた日差しの良いベンチに腰掛け、ケープを取り出して肩にかけ、赤ん坊をその中へ入れる。それでもしばらくは駄々をこねていたであったが、母親が甘い声をかけているうちに大人しくなった。私が「お腹が空いてたんですね」と笑うと、「困ったことに、食いしん坊なんです。女の子なのに」と笑い返して赤ん坊をあやす。話を聞いていると、母親の母乳でなければ我慢がならないと言う。授乳が終わってケープを外した時、子供はすやすやと眠りについていた。「胸が大きくなりすぎて、上手く抱っこできなかったんです。大変助かりました。ありがとうございます」と分かれたが、その言葉を考えるに、妊娠してから一気に胸が大きくなったのであろう。授乳期を終えたときの反動が恐ろしい。むしろベビーカーの中に居た赤ん坊の方に興味を唆られる。
  時: 午後01時47分
所: 〇〇市市営の図書館。某書架。
身長: 標準的。158センチ程度。
衣服: 白のブラウスにブラウンのカーディガン。
年齢: 30前後か。
持ち物: 白のタブレット
同行者: 無し
背格好: 小太りである。全体的に肉がふっくらとついている。けれども目を煩わすような太り方ではない。豊かである。ただし、著しく尻が大きい。
顔: 目尻は美しいが、柔らかな頬に愛嬌があって、どちらかと言えば可愛らしい方の顔立ち。鼻がやや低く、口元はリップクリームで赤々と照りを帯びている。色白とは言えないが、光の加減かと思われる。眼鏡をかけており、リムの色は大人しい赤。非常によく似合う。
髪: ストレートなミディアムヘア。髪色は黒であるが、不思議なことに眼鏡の赤色とよく合い、前髪の垂れかかるのが美しい。
備考: 司書である。
胸: 推定バスト128センチ、推定アンダーバスト81センチのO カップ。本日の夜のお供にと本を物色中に、書架にて本を正していた。胸が喉の下辺りから流麗な曲線を描いて20センチほど突き出ているばかりでなく、縦にも大きく膨れており、体積としてはP カップ、Q カップ相当かもしれない。頭一つ分背が低いので上からも望めたのであるが、カーディガンで見え隠れする上部のボタンが取れかけていた。本を取る度に胸が突っかかって煩わしいのか、肩を揺すって胸の位置を直す。本棚に胸が当たるのは当然で、文庫本などはその上に乗せる。一つの書架を片付け終わった辺りで、適当に思いついたジャンルを訪ねて接近すると、如何にも人の良さそうな顔で案内をしてくれた。脚を踏み出す度に甲高い音が鳴るのは、恐らくブラジャーのせいかと思われる。歩き方が大胆で胸が揺れるのである。途中���階段を下りなければならないところでは、一層音が大きくなって、臍のあたりで抱えていた本を胸に押し付けて誤魔化していた。そのため、ブラジャーのストラップがズレたかと見え、書棚の方へ目を向けている隙に、大胆にも胸を持ち上げて直していた。なまめかしい人ではあるが、年が年なので望みは無い。
  時: 午後02時22分
所: 〇〇小学校校庭
身長: 140センチ前後か
衣服: 体操服
年齢: 10、11歳
持ち物: 特に無し
同行者: 友人数名
背格好: ほっそりとしなやかである。幼い。腕も脚もまだ少女特有の肉が付いている。今日見た中で最も昔の「彼女」に似ている体つきであったが、この女子児童は単に骨格が華奢なだけで、痩せ細った体ではない。健康的である。脚が長く、短足な男子の隣に立つと、���下が彼の腰と同位置に来る。
顔: あどけなさは言うまでもないが、目元口元共に上品。笑う時もクスクスと擽るような、品の良い笑い方をする。眼鏡はテンプルに赤色が混じった、基本色黒のアンダーリム。そのせいで甚だ可愛らしく見えるが、本来は甚く聡い顔立ちをしているかと推定される。が、全般的に可愛らしい。
髪: 腰まで届く黒髪。ほぼストレートだが若干の癖あり。また、若干茶色がかっているように見えた。髪の質がかなり良く、時折肩にかかったのを払う度に、雪のように舞う。
胸: 推定バスト81センチ、推定アンダーバスト48センチのI カップ。体育の授業中のことである。男子は球技を、女子はマラソンでもやらされていたのか、校庭を走っていた。身体自体は小柄であるから胸はそう大きくはないのだが、無邪気に走るから激しく揺れる。揺れるごとに体操服が捲れ上がって腹部が見えそうである。明らかに胸元だけサイズが合っていない。何度か裾を直しながら走った後、耐えかねて胸元を押さえつけていたのであるが、いよいよ先生の元へ駆け寄って校舎内へ入った。そして出てきてから再び走り初めたけれども、その後の胸の揺れは一層激しくなっていた。ブラジャーに何かあったのだろうと思われる。顔には余裕がありながら、走る速さがこれまでとは段違いに遅く、これまで一緒に走ってきた友人に追い抜かれる。結局、彼女は胸を抑えながら、周回遅れで走りを終えた。しかし可哀想なことに、息を整えていると友人に後ろから手で掬われて、そのまま揉みしだかれる。小学生の手には余る大きさである。寄せあげて、掬い上げて、体操服をしわくちゃにしながら堪能する。私にはそう見えただけで、実際にはじゃれついていただけであろうが、指が深く沈み込んでいる様は男子児童の視線を寄せるのに足る。なされるがままにされていた彼女は、そのうちに顔を真っ赤にして何かを言いつつ手をはたき落とし「今はダメ」と言い、以降はすっかり両腕を胸元で組んで、猫背になって拗ねてしまった。この生徒は要観察である。下校時に再び見えてみれば、制服下の胸はブラジャーは着けていないながら見事な球形を為している。先程の光景から張りも柔らかさも極上のものと想像される。名前は○○。名札の色から小学5年生だと断定。ここ一ヶ月の中で最も期待すべき逸材。
  時: 午後05時03分
所: 〇〇市〇〇町〇〇にある某コンビニ
身長: やや高い。163センチほど。
衣服: ○○の制服。
年齢: 17歳
持ち物: 特に書くべきにあらず
同行者: 無し
背格好: 標準的だがやや痩せ型。恐らくは着痩せするタイプである。一見してただの女子高生の体であるが、肩、腰つきともに十分な量の肉量がある。その代わり腕は細い。右手に絆創膏。
顔: あどけない。非常に可愛らしい顔。人柄の良さが顔と表情に出ていると言ったところ。眉は優しく、目はぱっちり。常に口が緩んで、白い頬に赤みが差す。が、どこか儚げである。分厚くない唇と優しい目が原因か。
髪: 後ろに一束したミディアムヘア。一種の清潔さを表すと共に、若干の田舎臭さあり。後ろ髪をまとめて一束にしているので、うなじから首元へかけての白い肌が露出。これが殊に綺麗であった。
備考: 高校生アルバイター
胸: 推定バスト118センチ、推定アンダーバスト68センチのP カップ。服が腰元で閉じられているので、高さ24センチほどの見事な山が形成されている。そのため余計に大きく感じられる。手を前で組む癖があるのか胸が二の腕によって盛り上がって、さらに大きく見える。レジ打ちを担当していた。面倒くさい支払い方法を聞いて接近。レジにて紙を用いて説明してくれるのであるが、胸元が邪魔で始終押さえつけながらでの説明となり、体を斜めにしての説明となり、終いには胸の先での説明となる。ブラジャーの跡あり。よほどカップが分厚いのか胸と下着との境目がはっきりと浮き出ている。この大きさでこのタイプのブラジャーは、1メーカーの1ブランドしかないため、懐かしさに浸る。大体分かりました、では後日よろしくおねがいしますと言うと、にこやかにありがとうございましたと言う。腕の細さと胸の大きさとが全くもって合っていない。腰つきとは大方合っている。顔があどけないところから、胸に関しては期待して良いのではないだろうか? それを知るには彼女の中学時代、ひいては小学時代を知る必要があるが、そこまで熱心に入れ込めるほど、魅力的ではない。
   本日も予が真に求むる者居らず、―――と最後に付け足した日記帳を、俺は俺が恐れを抱くまでに叫び声を上げながら床へと叩きつけ、足で幾度も踏みつけ、拾って壁に殴りつけ、力の限り二つに引き裂いて、背表紙だけになったそれをゴミ箱へ投げつけた。八畳の部屋の隅にある机の下に蹲り、自分の頭をその柱に打ちつけ、顎を気絶寸前まで殴り、彼女の残した下着、―――ブラジャーに顔を埋めて髪を掻き毟る。手元に残りたる最後の一枚の匂いに全身の力を抜かされて、一時は平静を取り戻すが、真暗な部屋に散乱した日記帳の残骸が肌へと触れるや、彼女の匂いは途端に、内蔵という内蔵を酸で溶かすが如く、血管という血管に煮えたぎった湯を巡らせるが如く、俺の体を蝕んでくる。衝動的にブラジャーから手を離して、壁に頭を、時折本当に気絶するまで、何度も何度も何度も打ちつけ、忌々しい日記帳を踏みしめて、机の上に置いてあるナイフを手にとる。以前は右足の脹脛(ふくらはぎ)を数え始めて26回切りつけた。今日はどこを虐めようかなどと考えていると、彼女の残したブラジャーが目につく。一転して俺のこころは、天にのぼるかのようにうっとりと、くもをただよっているかのようにふわふわと、あたたかく、はれやかになっていく。―――
―――あゝ、いいきもちだ。彼女にはさまれたときもこのような感じであった。俺の体は彼女の巨大な胸が作り出す谷間の中でもみくちゃにされ、手足さえ動かせないまま、顔だけが彼女の目を見据える。ガリガリに痩せ細って頬骨が浮き出てはいるが、元来が美しい顔立ちであるから、俺の目の前には確かにいつもと変わらない彼女が居る。我儘で、可愛くて、薄幸で、目立ちたがり屋で、その癖恥ずかしがり屋で、内気で、卑屈で、でも負けん気が強くて、甘えん坊で、癇癪持ちで、いつもいつもいつも俺の手を煩わせる。冷え切った手で俺の頬を撫でても、少しも気持ちよくは無い、この胸、この胸の谷間が冬の夜に丁度良いのだ。この熱い位に火照った肉の塊が、俺を天に昇らせるかの如き高揚感を與えるのだ。
だがそれは後年の事。床に広がったブラジャーを拾って、ベッド脇のランプの燈を点けて、ぶらぶらと下へと垂れるカップの布をじっくりと眺める。華奢で肉のつかない彼女のブラジャーだったのだから、サイドボーンからサイドボーンまでの距離は30センチ程もあれば良く、カップの幅も中指より少し長い程度の長さしかない。が、その深さと広さはそこらで見かけるブラジャーとは一線を画す。手を入れれば腕が消え、頭を入れればもう一つ分は余裕がある。記念すべき「初ブラ」だった。
それが何たることか! 今日、いや昨日、いや一昨日、いやこの一ヶ月、いやこの一年間、いや彼女が居なくなってから実に6年もの間、このブラジャーが合う女性には出会うどころか、見かけることも出来ないではないか。細ければサイズが足りず、サイズが足りればぶくぶくと肥え、年増の乳房では張りが足らず、ならばと小学生の後を付け回してはお巡りに声をかけられ、近所中の中高にて要注意人物の名をほしいままにし、飽きる迄北から南の女という女を見ても、彼女のような体格美貌の持ち主は居なかった。風俗嬢へすら肩入れをし、ネットで調子に乗る女どもにも媚びへつらった。
恭しくブラジャーを箱へと収めて床に散らばりたる日記帳の屑を見るや、またしても怒りの感情が迸ってくる。今日は左太腿の上をざっくりとやってやろうか。紙屑をさらに歯で引きちぎり、喉に流し込みながらそう思ったけれども、指を切る程度に留め、代わりに床を突き抜ける位力を入れて、硬い板の上に差す。今日書いた文面はその上にあった。
「なんで、なんで俺はあんなことを、……」
気がつけば奇声を上げつつ髪の毛を毟り取っていた。時計を見れば午後11時28分。点けっぱなしにしておいたパソコンの画面にはbroadcasting soon! という文字が浮かび上がって居る。忘れた訳では無かったが、その英単語二文字を見るだけで、怒りも何も今日の女どもも忘れ、急に血の巡りが頭から下半身へと下り、呼吸が激しくなる。まるで彼女を前にした時のようである。急いで駆けつけて音量を最大限まで上げて、画面に食い入ると、直にパッとある部屋が映し出され、俺の呼吸はさらに激しくなった。
部屋はここと同じ八畳ほど、ベッドが一台、机が一つ、………のみ。
机の上にはありきたりな文房具と、食器類が一式、それに錠剤がいくつか。ベッドの上には質の良さそうな寝具、端に一枚のショーツ、その横に犬用のリードが一つ。これはこれから現れる者が、謂わばご主人さまに可愛がられるために着けている首輪につながっているのである。そしてその横に、あゝ、彼女がまだ傍に居ればぜひこの手で着けて差し上げたい巨大なブラジャーが一つ、………。ダブルベッドをたった一枚で埋め尽くすほど大きく、分厚く、ストラップは太く、今は見えないが12段のホックがあり、2週間前から着けているらしいけれどもカップは痛み、刺繍は掠れ、ストラップは撚れ、もう何ヶ月も着たかのようである。
しばらく見えているのはそれだけだったが、程なくしてブラジャーが画面外へ消えて行き、ショーツが消えて行きして、ついに放送主が現れる。病的なまでに痩せ細って骨の浮き出る肩、肘、手首、足首、膝、太腿、それに反して美しくしなやかな指が見える。顔は残念ながら白い仮面で見えないが、見えたところで一瞬である。すぐさま画面の殆どは、中央に縦線の入った肌色の物体に埋められるのだから。その肌色の物体は彼女の胸元から生え、大きく前へ、横へと広がりながら腰元を覆い、開けっ広げになった脚の間を通って、床へとゆるやかにの垂れており、ベッドに腰掛けた主の、脚の一部分と、肩と、首を除いて、体の殆どを隠してしまっている。床に垂れた部分は、部分というにはおかしなくらい床に広がる。浮き出た静脈は仄かに青々として、見る者によっては不快を感ずるだろう。
言うまでもなく、女性の乳房である。主は何も言わずにただそこに佇むのみで、何も行動をしない。仮面を着けた顔も、たまに意外と艶のある黒髪が揺れるだけで動かないのであるが、極稀に乳房を抑える仕草をして、愛おしそうに撫でることがある。けれどもそれは本当に極稀で、一回の配信につき一度の頻度でしかなく、殆どの場合は、一時間もしたらベッドに倒れ込んで寝てしまうのである。
この配信を見つけてからというもの、俺の日中の行動は、その寝姿を見るための暇つぶしでしか無い。彼女そっくりな体つきに、彼女そっくりな胸の大きさ、―――しかもこちらの方が大きいかもしれない上に、彼女そっくりな寝相、………見れば見るほど彼女に似て来て、また奇声を発しそうになる。無言で、手元にあった本の背表紙で頭を打ちつけて落ち着きを取り戻し、画面を見ると、ゴロンとベッドから落ちてしまったその女の姿。彼女もよくやった寝相の悪さに、途端懐かしさが込み上げて来て、
「あゝ、こら、叶(かなえ)、寝るんだったらベッドの上で寝ないと、……。手伝ってやるからさっさと起きなさい」
と頬を叩いたつもりだが、空を切るのみで、消息不明となっている者の名前を呼んだだけ、羨ましさと虚しさが募ってしまった。
   幼馴染の叶が居なくなってから早6年、片時も忘れた事はないのであるが、隣に住んでいながら出会いは意外と遅いものであった。当時俺は11歳の小学5年生、物凄く寒かったのを思えば冬から春前であったろうか、俺の家は閑静な住宅街の中に突如として現れる豪邸で、建物よりも庭に意匠を凝らしたいという父上の意思で、洋館が一つと離れが一つ庭に面する形で建てられ、俺はその離れを子供部屋として与えられていた。球状の天井を持つその部屋は、本当に子供のために閉ざされた世界かのようだった。庭の垣根が高く、木に埋もれる形で建っているのであるから、内は兎も角、外からだとそもそも離れがあることすら分からない。音も完全に防音されていて、車が通りかかるのすら、微妙な振動でようやく分かるくらい外界から切り離されているのである。いつも学校から帰ると、俺はその部屋で母上と共に話をしたり、ごっこ遊びをしたり、宿題をしたりする。食事もそこで取って、風呂には本館の方へ向かう必要はあるけれども、学校に居る7、8時間を除けば一日の殆どをそこで過ごしていた。だから、近隣の様子なぞ目については居なかったし、そもそも父上から関わるなというお達しがあったのだから、あえて触れるわけにはいかない。学校も、近くにある公立校へは通わずに、ずっと私立の学校へ入れられたのだから、関わろうにも、友人と言える者も知り合いと言える者も、誰も居ないのである。
そんな生活の中でも、よく離れの2階にある窓から顔を突き出して、燦々と輝く陽に照らされて輝く街並みを眺めたものだった。今はすっかりしなくなってしまったけれども、木々の合間合間から見える街並みは殊に美しい。一家の住んでいる住宅街というのが、高台に建っているので、街並みとは言ってもずっと遠くまで、―――遥かその先にある海までも見えるのである。
そう、やっぱり冬のことだ、あのしっとりとした美しさは夏や秋には無い。いつもどおり、俺はうっとりと椅子に凭れかかって街並みを眺めていたのであるが、ふとした瞬間から、女の子の声で、
「ねぇ、ねぇ、ねぇってば」
と誰かを呼びかける声がしきりに聞こえてきていたのだけれども、それが少し遠くから聞こえてくるものだから、まさか自分が呼ばれているとは思わず、無視していると、
「ねぇ!」
と一層激しい声が聞こえてくる。下を見てみると、同年代らしい女の子が、彼女の家の敷地内からこちらを不満そうに見つめてきている。
「僕ですか?」
「そう! 君!」
と満面の笑みを浮かべる。
この女の子が叶であることは言及する必要も無いかと思うが、なんと見窄らしい子だっただろう! 着ている物と言えば、姉のお下がりのよれよれになった召し物であったし、足元には汚らしいサンダルを履いていたし、髪は何らの手入れもされていなかったし、いや、そんな彼女の姿よりも、その家の古さ、ボロさ、貧しさは余りにも憐れである。流石に木造建築では無いものの、築20年や30年は越えていそうな家の壁は、すっかりと黒ずんで蜘蛛の巣が蔓延っており、屋根は黒いのが傷んで白くトゲトゲとしているし、庭? にある物干し竿は弓なりに曲がってしまっていて、痛みに傷んだ服やタオルが干されている。全体的に暗くて、不衛生で、手に触れるのも汚らわしい。広さ大きさは普通の一軒家程度だけれども、物がごちゃごちゃと置かれて居るのでかなり狭苦しく感じられ、俺は父上がどうして近隣の者と関わるなと言ったのか、なんとなく理解したのだった。目が合った上に、反応してしまったからには相手をしなくちゃいけないか、でも、できるだけ早く切り上げて本の続きでも読もう。―――俺は一瞬そう思ったが、ようようそう思えば思うほど、彼女に興味を抱いてしまい、小っ恥ずかしい感情がしきりに俺の心を唆していた。
それは一目惚れにも近い感情だっただろうと思う。というもの、その時の叶の外見は、着ているものが着ているものだけに見窄らしく見えただけで、顔立ちは悪くないどころかクラスに居る女子どもなぞよりずっと可愛いかった。いや、俺がそう感じただけで、実際は同じくらいかもしれないが、普段お嬢様と言うべき女の子に囲まれていた俺にとっては、ああいう儚い趣のある顔は、一種の新鮮さがあって、非常に魅力的に見える。どこか卑屈で、どこか苦心があって、しかしそれを押し隠すが如く笑う、………そういう健気な感じが俺の心を打ったと思って良い。また、体つきも普段見るお嬢様たちとは大きく変わっていた。彼女たちは美味しいものを美味しく頂いて、線の細い中にもふっくらとした柔らかさがあるのだが、叶はそうではない。栄養失調からの病気じみた痩せ方をしていて、ただ線が細いだけ、ただ貧相なだけで、腕や脚などは子供の俺が叩いても折れそうなほどに肉が付いておらず、手や足先は、肌が白いがために骨がそのまま見えているかのようである。兎に角貧相である。が、彼女にはただ一点、不自然なほど脂肪が蓄えられた箇所があった。
それはもちろん胸部である。叶は姉から譲り受けた服を着ているがために、袖や裾はだいぶ余らしていたのであるが、胸元だけはピンと張って、乳房と乳房の間には皺が出来ていて、むしろサイズが足りないように見える。恐らく裾を無理やり下に引っ張って、胸を押し込めたのか、下はダボダボと垂れているけれども、胸の上は変にきっちりしている。体の前で手をもじもじさせつつ、楽しげに体を揺らすので、胸があっちへ行ったり、こっちへ行ったりする。俺は最初、胸に詰め物をしているのであろうかと思われた。そう言えば、一昨日くらいにクラスの女子が、私の姉さんはこんなの! と言いつつ、体操服の胸元にソフトボールを入れてはしゃいでいたが、その姿がちょうどこの時の叶くらいであったから、自然にやっぱりこの年の女子は大きな胸に憧れるものなのだと納得したのである。だが、叶の胸は変に柔らかそうに見える。いや、それだけでなく、ソフトボールを入れたぐらいでは脇のあたりが空虚になって、はっきりと入れ物だと心づくが、彼女の体に描かれる、首元から始まって脇を通り、へその上部で終りを迎える曲線は、��どく滑らかである。手が当たればそこを中心に丸く凹み、屈んで裾を払おうとすれば重そうに下で揺れる。
俺が女性の乳房なるものに目を奪われた初めての瞬間である。
それは物心ついた少年の心には余りにも蠱惑的だった。余りにも蠱惑的過ぎて、俺の体には背中をバットで殴られたような衝撃が走り、手が震え、肩が強張り、妙に臀部の辺りに力が入る。頭の中は真っ白で、少しずつ顔と耳たぶが赤くなっていくのが分かる。途端に彼女の胸から目が離せなくなり、じっと見るのはダメだと思って視線を上げると、さっきとは打って変わって潤いのある目がこちらを見てきている。微笑んでくる。その瞬間、徐々に赤くなって行っていた顔に、血が一気に上る感覚がし、また視線を下げると、そこにはこれまで見たことがない程の大きさの胸。胸。胸。………あゝ、なんと魅力的だったことか。
「こんにちは」
「うん、こんにちは。今日は寒いね」
彼女に挨拶されたので、俺はなんとか声を出したのだった。
「私は全然。むしろあったかいくらい」
「元気だなぁ」
「君が元気ないだけじゃないの」
「熱は無いんだけどね」
「ふふ」
と彼女は笑って、
「君どのクラスの子?」
「いや、たぶん知らないと思う。この辺の学校には通ってないから」
「どおりで学校じゃ、見ないと思った。何年生なの?」
彼女がこの時、俺を年下だと思っていたことは笑止。実際には同い年である。
「へぇ、あ��ちの学校はどうなの?」
「どうもこうもないよ。たぶん雰囲気なんかは変わんないと思う」
「そうなんだ」
と、そこでトラックが道端を通ったために、会話が区切れてしまって、早くも別れの雰囲気となった。
「ねぇ」
先に声をかけたのは彼女だった。
「うん?」
「またお話してくれない?」
少年はしばし悩んだ。近くの者とは関わるなと言う父上の言葉が頭にちらついて、それが殆ど彼女の家庭とは関わるなとの意味であることに、今更ながら気がついたのであったが、目の前に居る少女が目をうるませて、希望も無さげに手をもじもじと弄っているのを見ると、彼女の学校での扱われ方が目に見えてしまって仕方がなかった。そっと目を外すと、隣に住んでいなければ、多分一生関わること無く一生を終えるであろう貧しい家が目に飛び込んできて、だとすれば、良い育ちはしていないに違いはあるまい。だが、今言葉を交わした感じからすれば、意外にも言葉遣いはぞんざいではなく、笑い方もおっとりとしている。それに何より、自分がここまで心臓の鼓動がうるさいと思ったことはないのである。少年の心はこの時、「またお話したい」などというレベルではなく、彼女に近づきたい気持ちでいっぱいであった。近づいて、もっともっとお話をして、その体に触れて、夜のひと時をこのメルヘンチックな我が部屋で過ごせたら、どんなに素敵だろう。この窓から夜景を見て、手を取って、顔を突き合わして、行く行くは唇を重ねる、………あゝ、この部屋だけじゃない、綺麗に見繕って、二人で遊びに行くのも良い、いや、もはや二人きりでその場に居るだけでも僕の心は満足しそうだ。………実際にはこんなに沢山ことを考えた訳ではなかったけれども、しかしそういうことが、父上の言いつけから少年をすっかり遮断してしまった。つまりは、彼女の言葉に頷いたのである。
「もちろん。こうやって顔だしてたら、また話しかけてよ」
「ふふ、ありがとう。またね」
「またね。―――」
これが俺と叶の馴れ初めなのだが、それから俺たちは休みの日になると、窓を通じて10分20分もしない会話を楽しんだ。尤もそれは俺が父上と母上を怖がって、勉強しなくちゃいけないだとか、習い事があるとか、そういう理由をつけて早々に切り上げるからではあるけれども、もし何の後ろめたさも無かったら日が暮れても喋りあったに違いない。
「えー、……もう? 私はもっとお話してたい!」
「ごめんね。明日もこうやって外を眺めてあげるからさ」
その言葉に嘘はなく、俺は休日になれば、堪えきれない楽しみから朝食を終え、両親を煙に巻くや窓から顔を突き出していた。すると叶はいつも直ぐに家から出てきて、
「おはよう」
と痩せ細った顔に笑みを浮かべる。彼女もまた、楽しみで楽しみで仕方ないと言った風采なのである。
「おはよう。今日はいつにもまして早いね」
「ふふ」
会話の内容はありきたりなこと、―――例えば学校のこと、家のこと(彼女はあまり話したがらなかったが)、近くにある店のこと、近くにある交番がどうのこうのということ、近くにある家のおばさんが変人なことなど、強いて言えば、近所の人たちに関する話題が多かった。というのも、この住宅街に住んでいながら、今まで何も知らなかったので、俺の方からよく聞いたのが理由ではあるけれども、話に関係ないから述べる必要はあるまい。
それよりも、あんまり叶が早く出てくるので、いつのことだったか、聞いてみたことがあった。すると、彼女は心底意地の悪い笑顔で、
「私の部屋から丸見えなんだもん。そんなに楽しみ?」
と言うので、無性に恥ずかしさが込み上げてきたのは覚えている。どう返したのか忘れたが、その後の彼女の笑う様子が、強烈に頭に残っているのを考慮すれば、さらに恥ずかしい言い訳を放ったのは確かである。………
そんなある日のことであった。確か、叶と出会って一ヶ月経った日だったように思う。何でも学校が春の休み期間に入ったために、俺達は毎日顔を合わせていたのであるから多分そうで、非常に小っ恥ずかしい日々を送っていたのであるが、この日は俺しか俺の家には居ないのであった。それも朝一から深夜まで、何故だったのかは忘れてしまったが、両親も居なければ、ハウスキーパーも、確実に居ないのである。然れば初恋に目の暗んだ少年が悪巧みをするのも当然であろう。つまり俺はこの日、叶をこのメルヘンチックな離れに招待しようとしていたのである。
一種の期待を胸に抱きながら、いつもどおり窓から顔を突き出して、今や見慣れてしまった貧しい家の壁に視線を沿わせては、深呼吸で荒れそうになる息を整えようとする。一見、「いつもどおり」の光景だけれども、この時の俺はどうしても、初めての彼女をデートに誘うような心地よい緊張感ではない、恐ろしい罪悪感で押しつぶされそうだった。別に子供が同級生の女の子を連れてくることなど、親からしたら微笑ましい以外何者でもないかもしれない。が、これから呼ぶのは、父上が関わるなと言った、隣家の貧しい娘なのであるから、どうしても後々バレた時の事を考えると、喉が渇いて仕方ないのである。―――出来れば叶が今日に限って出てきてくれなければ、なんて思っても、それはそれで淋しくて死ぬ。まぁ、期待と緊張と罪悪感でいっぱいいっぱいだった少年の頭では、上手い具合に言い訳を考えることすら出来なかったのである。
「おはよう」
そうこうするうちに、いつの間にか外に出てきていた叶が声をかけてきた。一ヶ月のうちに、さらに胸が大きくなったのか、お下がりの服の袖はさらに長くなり、………というのは、服のサイズを大きくしないと胸が入らないからで、その肝心の胸の膨らみは今やバレーボール大に近くなりつつある。
で、俺は焦ることは何もないのに、挨拶を返すこともせずに誘うことにしたのであった。
「ねぇ」
「うん?」
「きょ、今日、僕の家にはだ、だれも居ないんだけど、………」
「え? うん、そうなの」
それから俺が叶を誘う言葉を出したのは、しばらくしてのことだったが、兎に角俺は彼女を頷かせて門の前まで来させることに成功して、庭を駆けている時に鳴った呼び鈴にギョッとしつつ、正門を開けると、さっきまでその気になっていた顔が、妙に神妙なので聞いてみると、
「なんか急に入って良いのか分からなくなっちゃった」
ともじもじしながら言う。それは引け目を感じると言うべき恥であることは言うまでもないが、一度勢いづいた少年にはそれが分からず、不思議な顔をするだけであった。それよりも少年は歓喜の渦に心臓を打たせており、今日という今日を記憶に焼き付けようと必死になっていた。というのは、普段遠目から見下ろすだけであった少女が目の前に現れたからではあるけれども、その少女の姿というのが、想像よりもずっと可愛いような気がしただけでなく、意外と背丈がひょろ高いことや、意外と服は小綺麗に整えてあることや、手も脚も、痩せ細った中にも一種の妖艶さが滲み出ていることなど、様々な発見をしたからであった。特に、胸元の膨らみにはただただ威圧されるばかり。大きさは想像通りだったものの、いざ目の前に来られると迫力が段違い。試しに顔を近づけてこっそりと大きさを比べて見ると、自分の頭よりも大きいような感じがし、隣に並んでみると、彼女の胸元にはこんな大きな乳房が生えているのかと驚かれる。
「ちょっと、どうしたの」
と言われてハッとなって、叶の手を引きながら広大な庭を歩き始めたが、少年の目はやはり一歩一歩ふるふると揺れる彼女の乳房に釘付けであった。
庭の様子は今後必要ないから述べないが、一方はお坊ちゃん、一方は女中にもならない卑しい少女が手を取り合いながら、花々の芽の萌ゆる庭園を歩く様子は、或いは美しさがあるかもしれない。
離れについて、「や、やっぱり私帰るね」と言い出す叶を無理に押し込んで、鍵をかけると、一気に体中の力が抜けて行くような気がした。何となく庭を歩いているうちは、誰かに見られているかのようで、気が気でなかったのに、今となっては何と簡単なことだったであろう。とうとう成功した、成功してしまったのである、叶を一目見た瞬間に思い描いていた夢が、一つ叶ったのみならず、この心の底から沸き起こる高揚感はなんだろうか。期待? それとも単に興奮しているだけ? いや、恐らくは彼女が隣に居ること、手を触れようとすれば触れられる位置に居ること、つまり、彼女に近づいたという事実が、嬉しくて嬉しくて仕方がないのだ。そしてそれが、自分の住処で起こっている、………俺は多分この時気持ち悪いくらいに笑っていたように思ふ。頭は冷静に叶をもてなしているつもりでも、行動の一つ一つに抜けている箇所が、どうしても出てしまって、土足のまま上がろうとしたり、段差に足をひっかけて転けそうになったり、お茶を溢しそうになったり、最初からひどい有り様であったが、彼女は引け目を感じながらも笑って、
「ほんとにどうしたの、熱でも出てるんじゃ、………」
と心配さえもしてきて、その優しさもまた、俺には嬉しくて仕方がなくって、ますます惚けてしまったように思われる。が、それが出たのは昼前のことだったろう、あの時俺は、目の前ある叶の乳房が大きく重たく膨れ上がっているのに対し、それを支える身体が余り痩せすぎている、それもただ単に痩せているのではなくて、こうして間近で見てみると、骨格からして華奢であるので、身長はどっこいどっこいでも(―――当時の俺は背が低かったのである)、どこか小さく感じられるし、そのために、余計に体と胸元の膨らみとが釣り合っていない上に、胸が重いのか、ふらふらとして上半身が風で煽られているかの如く触れる時がある、それが緊張で体が強張っている今でも起こるので、段々と心配になってきて、
「す、すごい部屋、………」
ときちんと正座をしながら目を輝かす彼女が、今にも倒れてしまいそうに思われたのだった。しかし惚けた少年の頭では、ああ言えば失礼だろうか、こう言えば婉曲的に尋ねられるだろうか、などと言ったことは考えられない。ただ、この眼の前に居るかぁいい少女が、かぁいくってしょうがない。あれ? 叶ってこんなにかぁいかっただろうか? と、彼女の一挙一動がなんだか魅力的に見えて来て、手の甲を掻くのすらもかぁいくって、言葉が詰まり、今や何とか頭に浮き出てきた単語を並べるのみ、彼女を一人部屋に残して外で気持ちを落ち着けようにも、今ここに叶が居るのだと思えばすぐさま頬が燃え上がってくる。再び部屋に入れば入ればで、自分の思い描いていたのよりかぁいい少女が、きちんと正座をしながらも、未だに目をキラキラとさせ、口をぽかんと開けて部屋中を眺めている。そんなだから、一層少年の頭は惚けてしまった。同時に、胸の前で、乳房を押しつぶしながらしっかりと握られている両の手が目について、その細さ、そのか弱さに惹き込まれて無遠慮に、
「ねぇ、前々から気になってたんだけど、どうしてそんなに細いの? どうしてそんなに痩せてるの?」
と、彼女の正面に座りながら聞いた。
「あっ、うっ、……」
「ん? だって手とか僕が握っても折れそうだし」
「え、えとね?」
「うん」
「その、食べては居るんですけれど、………」
叶はここに来てからすっかり敬語である。
「食べても食べても、全然身につかなくって、………その、おっぱいだけが大きくなってしまってるの。だから、こんなにガリガリ。骨も脆いそう。………あはは、なんだか骸骨みたいだね」
「全然笑い事じゃないんだけど」
「うん、ありがとう。それだけでも嬉しいな」
とにっこりするので、
「もう」
とにっこりとして返すと、叶はすっかり普段の無邪気な顔に戻った。
「あ、でね、もちろんお母さんも心配してくれて、お金が無いのに、私のためにたくさんご飯を作ってくれててね、―――」
「たくさんって、どのくらい?」
「えっと、………」
と言葉に詰まるので、
「まぁ、別に笑わないからさ。言ってごらん?」
とたしなめた。すると返ってきた言葉は、俺の想像を軽く飛び越していたのだった。
毎���微妙に違うから昨日のだけと、はにかんだ叶の昨夜の夕食は、米を4合、味噌汁が鍋一杯、豆腐を3丁肉豆腐、その肉も牛肉1キロ、半分を肉豆腐へ、半分を焼いて、野菜はキャベツとレタスと半々に、鶏胸肉2枚、パスタ500グラム、………を食した後に寒天のデザートを丼に一杯、食パンを2斤、牛乳一リットルで流し込んだ、と、ご飯中は喉が乾いて仕方がないと言って、水もペットボトルで2本計4リットル飲んだ、いつもこれくらいだが、それでも食欲が収まらない時は、さらにご飯を何合か炊いて卵粥として食べるのだと言う。
笑わないとは言ったけれども、流石に苦笑も出来ずに唖然とするばかりで、俺は、スポーツ選手でも食べきれない食い物が、一体全体、目の前で顔を覆って恥ずかしがる少女のどこに入って、どこに消えたのか、想像をたくましくすることしか出来なかったが、そうしているうちに、今日の朝はねと、朝食までおっしゃる。それもまた米が4合に、やっぱり味噌汁を鍋一杯。そして、知り合いが店を構えているとか何とかでくれる蕎麦を、両手で二束、大鍋で茹でてざる蕎麦に、インスタントラーメンを2人前、水を2リットル。言い忘れてけどご飯は大きなおにぎりとして、中に色々と具材を入れて食うと言って、最後に、デザートとは言い難いが、デザートとしてシリアルを、やっぱり牛乳1リットルかけて食べる。その後パンがあればあるだけ食べる。水も何リットルか飲む。で、大体食事の時間は1時間半から2時間くらいで終わるけれども、お腹が空いていたら30分でもこれだけの量は平らげられるらしい。
「いやいやいやいや、………えっ?」
俺のそんな反応も当然であろう。ところで以上の事を言った本人は、言っちゃった、恥ずかしい、と言ったきり黙って俯いているが、益々見窄らしく、小さく見え、やはり可哀想でならなかった。
ポーン、と鳴って、時計が12時を示した。叶の告白から随分時間が経ったように思っていたら、もうそんな時間である。空腹を訴えかけている腹には悪いが、今ここで食事の話題を振れば恐ろしい結果になるかもしれない、一応自分の昼食は、父上が予め出前を取ってくれたのが、さっき届いたからあるし、母上が夕食もと、下拵えだけして行った料理の数々があるので、それを二人で分けて、一緒に食べる予定ではあったのだが、しかし先の話が本当だとすれば、とても量が足りない。だが、恐ろしい物は逆に見たくなるのが、人間の常である。俺は、叶がご飯を食べている様を見たくてたまらなかった。普段、外食は両親に連れられてのものだったけれども、幸い街を歩けばいくらでも食事処にはありつける。日本食屋に、寿司屋に、洋食屋に、喫茶店に、中華料理屋に、蕎麦屋饂飩屋鰻屋カレー屋、果ては創作料理屋まであるから、彼女をそこに連れて行ってみてはどうか。もちろん一軒と言わずに何軒も訪れて、彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげてみてはどうだろうか? 俺はそんなことを思って、心の内で嫌な笑みを浮かべていたのであったが、偶然か必然か、その思いつきは叶の願いにぴったり沿うのであった。
「あはは、………やっぱり引いた?」
と叶がもじもじしながら言う。
「若干だけど、驚いただけだよ」
「ほんとに?」
「ほんとほんと」
「じゃ、じゃあ、もう一つ打ち明けるんだけどね、………あ、本当に引かないでよ」
「大丈夫だって、言ってごらん?」
と言って顔を緩めると、叶は一つ深呼吸してから、もじもじさせている手を見つめながら口を開くのであった。
「えとね、私、………実はそれだけ食べても全然たりなくて、ずっとお腹が空いてるの」
「今も?」
「今も。ほら、―――」
叶が服の裾をめくり上げると、そこにはべっこりと凹んでいる腹が丸見えになる。
「すっかり元通りになっちゃった。君と会うために外に出た時は、まだぼっこりしてたんだけど、………」
「お昼は?」
「え?」
「お昼。お昼ごはん。どうするの?」
「我慢かなぁ。いつもお昼ごはんは給食だから、全然平気だよ!」
この時、図らずも俺の画策と、彼女の願い、というよりは欲望が、同じ方向を向いたことに歓喜したのは言うまでもない。俺はこの後のことをあまり覚えていないが、遠慮する叶に向かって、
「ご飯一緒に食べよう!!」
と無理やり立たせて、取ってあった出前を彼女の目の前に差し出したのは、微かに記憶に残っている。彼女はそれをぺろりと平らげた。口に入れる量、噛むスピード、飲み込む速度、どれもが尋常ではなく、するすると彼女の胃袋の中へと消えていった。母上が下ごしらえして行った料理もまた、子供では食べきれないほどあったが、5分とかからなかった。こちらは食べにくいものばかりであったけれども、叶は水を大量に飲みつつ、喉へと流し込んで行く。それがテレビでよく見る大食い自慢のそれとは違って、コクコクと可愛らしく飲むものだから、俺はうっとりとして彼女の様子を見つめていた。食べ終わってから、俺は彼女の腹部に触れさせてもらった。その腹は、3人前、4人前の量の食事が入ったとは思えないほど平たく、ぐるぐると唸って、今まさに消化中だと思うと、またもや俺の背中はバットで殴られたかのような衝撃に見舞われてしまった。ちょうど、叶の乳房に目を奪われた時と同じような衝撃である。思わず耳を叶のヘソの辺りに押し付けて、たった今食べ物だったものが排泄物になろうとしている音を聞く。ゴロゴロと、血管を通る血のような音だった。
「まだ食べられる?」
「もちろん!」
叶は元気よく答えた。俺は彼女がケチャップで��くなってしまった口を、手渡されたナプキンで綺麗に拭き終わるのを待って、
「じゃあ、行こうか」
と、財布と上着を取りながら聞いた。
「どこへ?」
「今日はお腹いっぱいになるまで食べさせてあげるよ」
俺の昼食夕食を軽く平らげた彼女は、今更遅いというのに遠慮をするのであった。「いや、私、もうお腹いっぱいで」とか、「お金持ってない」とか、「別にいいって、いいってば」とか、終いには「ごめん、ごめんなさい」と言って泣き出しそうにもなったり、なんとかなだめて離れから飛び出ても、動こうとしなかったり、自分の家に入ろうとする。「だ、大丈夫! 嘘! 嘘だから! 忘れて! もう食べられないから!」など、矛盾に満ちた言葉を放っていたのは覚えている。俺はそれをなんとかなだめて、気持ちが先行してしまって不機嫌になりつつも、最終的には弱々しい彼女の腰を抱きかかえるようにして引っ張って行った。
「ごめんね、ごめんね。ちょっとでいいからね。私よりも君がたくさん食べてね」
と食べることには堪忍したらしい叶が、物悲しそうにしたのは、確か家からまっすぐ歩いて、3つめの交差点を曲がって、広めの県道を西に沿ってしばらく行った所にある小綺麗な中華料理屋だっただろう。前にも述べたが、俺はこの日のことをあまり詳しく憶えていないのである。何故この中華料理屋に訪れたかと言えば、ようやく落ち着いた叶に何が食べたい? と聞くと、渋々、春巻きが食べたいとの答えが返ってきたからであるのだが、この店は昔も今も量が多いとの文句が聞こえてくる名店で、俺はよく、父上が天津飯一つすら苦しんで食べていたのを思い出すのである。とまぁ、そんな店であるのだから、そんな店にありがちな、所謂デカ盛りメニューなるものがあって、例えば丼物、―――麻婆丼だったり、炒飯だったり、それこそ天津飯だったり、そういうのはだいたい揃ってるし、酢豚とか、八宝菜の定食メニューもそれ専用の器すらあったりする。そしてそれを30分以内に食べきったら無料なので、これならお金を気にする彼女も安心してくれるだろうと、少年は考えた訳であったが、いざ入ってみて、奥の席へ通されて、
「この春巻きを10人前と、デカ盛りメニューの麻婆丼一つと、それと僕は、………エビチリ定食をご飯少なめでください!」
と注文すると、
「ぼ、僕? 冗談で言ってる?」
と、まず俺を見、そして叶を見して怪訝な顔をするのであった。
「冗談じゃないよ。ねぇ?」
と叶を見るが、彼女は静かに俯いている。
「ま、そういうことだから、お金は出すんだから、早く! 早く!」
「でもね、これはとっても量が多いんだよ?」
「うん、知ってる。だけど叶ちゃんが全部食べてくれるから、平気だよ」
「え、えぇ、………? この子が? 嘘おっしゃい」
そういう押し問答は10分乃至15分は続いたのであったが、とうとう店側が折れる形で、俺達の前には山になった春巻きと、山になった麻婆丼と、それ比べればすずめの涙程のエビチリが、テーブルの上に現れたのであった。俺も驚いたし、店員も驚いたし、何より他の客の驚きようと言ったら無い。奥の席だったから、人気はあまりないものの、写真を撮る者、頑張れよと冷やかしてくる者、わざわざ席を変わってくる者も居れば、自分たちも負けじとデカ盛りメニューを頼む者も居る。彼らの興味は殆どテーブルの上に置かれた理不尽な量の料理と、それに向かう華奢な少女であったが、妙に俺は良い気になって、ピースして写真に写ったり、冷やかして来た者を煽ったりして、相手をしたものだった。本当に、あの時の俺は、自分が一時の有名人になったかのような心持ちで、サインでも握手でもしてやろうかと思った。いや、そんなことよりも、もっと写真に撮って、もっと騒ぎ立てて、もっと人を集めてくれという気持ちであった。有頂天と言っても良い状態だった。が、ふと叶の方を見てみると矢張り俯いたままでいる。―――あゝ、こんなに騒がしかったら美味しいものも美味しくは無いだろうな、早く食べないと冷えてしまう、それに、自分もお腹が空いて仕方がない、そろそろ追っ払おうかしらん。叶の様子にいくらか冷静になった俺はそう思ったのであった。
「ごめんね、彼女、恥ずかしがり屋だから、ほら、あっち行ってて」
そう言うと、店主のハラハラした視線だけはどうすることも出来なかったが、皆次第に散り散りになった。叶もまた、周りに人が居なくなって安心したのか、顔を上げる。
「騒がしかったね」
「うん」
「まったく、野次馬はいつもこうだよ」
「うん」
「足りなかったら、もう一つ頼むことにしようか」
「あ、あの、………」
「うん?」
「いただきます」
この時の彼女の心境は、後になって聞いたことがある。たった一言、ああいう状況に慣れていなかったせいで、食べて良いのか分からなかった、と。実際には、中華店へ入る前から匂いに釣られて腹が減って死にそうになっていたところに、いざ目の前に好物の春巻きと、こってりとした匂いを漂わせている麻婆丼が現れて、遠慮も恥も何もかも忘れて食らいつきたかったのだそうである。事実、麻婆丼は物凄い勢いで彼女の口の中へと消えていった。
ところで麻婆丼は、後で聞けば10人分の具材を使っているのだと言う。重さで言えば8.7キロ、米は5合6合はつぎ込んで、女性の店員では持ち運べないので、男が抱えなければならない。時たま米の分量を誤って、餡のマーボーが指定分乗り切らない時があって、そういう時は乗り切らなかった餡だけ別の器に盛って出す。かつて挑戦した者はたくさんいるが、無事にただで食べられたのはこれまで1人か2人くらい、それも大柄な男ばかりで、女性はまだだと言う。
そんな麻婆丼が、11歳の、それも痩せ細った体つきの少女の口の中へ消えていくのである。休むこと無く蓮華を動かし、時折春巻きを箸に取っては、殆ど一口で飲み込むが如く胃の中へ流し込み、真剣ながらも幸せの滲み出た顔をしながら、水をグイグイ飲む。見れば、心配で様子を見に来ていた店主は、いつの間にか厨房に引っ込んで呆れ顔をしている。叶はそれにも気が付かずに黙々と口を動かして、喉が微かに動いたかと思ったら、蓮華を丼の中に差し込んで、幸せそうな顔で頬張る。あれよあれよという間にもう半分である。こういうのは後半になればなるほど勢いが落ちるものだのに、叶の食べるスピードは落ちないどころか、ますます早くなっていく。やがて蓮華では一口一口の大きさが物足りないと感じたのか、一緒に付いてきたスプーンで上から米もろとも抉って食べる。叶は普段から綺麗に食べることを心がけていて、大口を開けて食い物を口へ運んだとしても、それが決して醜く���く、逆に、実に美味そうで食欲が掻き立てられる。優雅で、美しい食べ方は、彼女が言うには、体の動かし方が重要なのだと、かつて教えてもらったことがある。気がついた時には、もう普通の麻婆丼と殆ど変わらない分量になっていた。一個もらうつもりだった春巻きは、………もう無かった。
俺は、叶の料理を食べている姿をついに見ることが出来て、ただただ感激だった。先程は恐ろしい勢いで食べたと言っても、量は大食いの者ならば簡単に平らげる程度しか無かったのである。それが今や10人前の巨大な麻婆丼を前にして、淡々と頬張っていき、残るは殆ど一口のみになっている。彼女はここに来てようやくペースが落ちたのだが、その顔つき、その手付き、その姿勢からして、腹が一杯になったのではなくて、あれほどあった麻婆丼がとうとうここまで無くなったので、急に名残惜しくなったのであろう。その証拠に、一口一口、よく噛み締めて食べている。俺は、またもや背中をバットで殴られたかのような衝撃に身を震わせてしまい、その様子をじっくりと穴が空くほどに見つめていたのであったが、汗もかかずに平然と、最後の豆腐に口をつける彼女を見て、とうとう食欲がさっぱり無くなってしまった。代わりに無性に苛立つような、体の内側が燃えるような、そんな堪えきれない欲が体の中心から沸き起こってきて、今までそんなに気にしてなかった、―――実際は気にしないようにしていた胸元の膨らみが、途端に何かを唆しているように思えて、もっともっと叶の食事風景を見ていたくなった。
「ごちそうさまでした」
と、声がしたので見てみると、澄ました顔で水を飲んでいらっしゃる。俺は慌てて、店主がテーブルの上に乗せて行ったタイマーを止めて時間を見てみた。
「16分39秒」
「えっ? 食べ終わった?」
「ほんまに?」
「本当に一人で食べたんだろうか。………」
気がつけば観客たちがぞろぞろと戻ってきていた。彼らの様子は、もうあんまりくだくだしくなるから書かないが、俺はまたしても注目を浴びている彼女を見て、ただならぬ喜びを感じたということは、一言申し上げておく必要がある。少年は輪の中心に居る少女の手を取るに飽き足らず、その体に抱きついて(―――何と柔らかかったことか!)、
「やったね叶ちゃん。やっぱり出来るじゃないか」
と歓声を放ち、
「ほら、ほら、この子はデカ盛りを16分で食べきったんだぞ。男ならそれくらいできなきゃ」
と、まるで我が手柄のように、奮闘中の大学生らしき男性客に言うのであった。俺の感性はまたしても有頂天に上り詰めて、多幸感で身がふわふわと浮いていた。隣で叶がはにかんで居るのを見ては、優越感で酔っ払ってしまいそうだった、いや、酔いに酔って、―――彼女の隣に居るのは僕なんだぞ。少年はそう叫んだつもりであるのだが、実際には心の中で叫んだだけなようである。俺がこの日の記憶をおぼろげにしか覚えていないのは、そんな感情に身も心も流されていたからなのである。………
騒ぎが収まってから、俺は半分近く残っていたエビチリを叶にあげた。もちろんぺろりと平らげた訳なのだが、しかしその後余りにも平然としてデザートの杏仁豆腐を食べているので、ひょっとしたら、………というよりは、やっぱりそうなんだなと思って、
「もしかしてさ、もう一回くらいいける余裕ある?」
「あ、………もちろん」
もちろんの部分は小声で言うのであった。そして小声のままその後に続けて、今体験した感じで言うと、もう一回あのデカ盛りを食べるどころか、さらにもう一回くらいは多分入ると思う。なんて言っても、まだ空腹感が拭えない。実のことを言えば、あれだけ店主が期待させてくるから楽しみだったのだけれども、いざ出てきてみれば、美味しかったものの、いつも食べてる分量より少なかったから、拍子抜けしてしまった、30分という時間制限も、頑張ったらさっきの麻婆丼2つ分でも達成できると思う。いや、たぶん余裕だと思う、出来ることならもう一回挑戦してみたいが、あの騒ぎを起こされた後だとやる気は起きないかなと言う。少年は彼女の食欲が未だに失せないことに、感謝さえしそうであった。なぜかと言って、この日の俺の願望は、彼女の食事姿を眺めること、そして、街にある食事処をはしごして、彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげること、―――この2つだったのである。しかし、前者は達成したからと言って、それが満足に値するかどうかは別な問題であって、既に願望が「彼女の食事姿を飽きるまで眺めること」となっていた当時の俺には、元々の望みなどどうでもよく、叶がお腹いっぱいになっちゃったなどと言う心配の方が、先に頭に上っていた。が、今の彼女の言葉を聞くに、彼女はまだまだ満足していない。腹で言えば、三分ほどしか胃袋を満たしていない。となれば、第二の願望である「彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげること」を達成していない。然れば、僕が叶の食事風景を飽きるまで眺めるためにも、そして叶が満腹を感じるまでに食事を取るためにも、今日はこのまま延々と飯屋という飯屋を巡ってやろうではないか。そして、あのメルヘンチックな子供部屋で、二人で夜景を眺めようではないか。………斯くして三度、俺の願望と叶の欲とは一致してしまったのであった。
結局叶は、春巻きをもう一度10人前注文して幸せそうな顔で味わい、その間に俺は会計を済ましたのであったが、あっぱれと未だに称賛し続けている店主の計らいで杏仁豆腐分だけで済んでしまった。本当にあの体にあの量が入ってるとは信じられんとおっしゃっていたが、全くその通りであるので、店を出てから叶に断ってお腹に手を触れさせてもらったところ、ちょうど横隔膜の下辺りから股上までぽっこりと、あるところでは突き出ているようにして膨らんでいる。ここに8.7キロの麻婆丼と、春巻き20人前が入っているのである。ついでに水何リットルと、申し訳程度の定食が入っている。そう思うと、愛��しくなって手が勝手に動き初めてしまいそうになったけれども、人通りの多い道であるから、少年は軽く触れただけで、再び少女の手を引いて、街中を練り歩き出した。
それから家に帰るまでの出来事は、先の中華料理屋とだいたい似ているので詳しくは書かないが、何を食べたかぐらいは書いておこう。次に向かった店は近くにあったかつれつ屋で、ここで彼女は再びデカ盛りのカツ丼4.3キロを、今度は初めてと言うべき味に舌鼓をうちながらゆっくりと、しかしそれでも半額になる25分を6分24秒下回るペースで平らげ、次はカレーが食べたくなったと言って、1つ2つ角を曲がってよく知らないインドカレー屋に入り、ご飯を5回おかわり、ナンを10枚食べる。おぉ、すごいねぇ、とインド人が片言の日本語で歓声を上げるので、叶はどう反応していいのか分からずに、むず痒そうな顔を浮かべていた。で、次はラーメン屋が目についたので、特盛のチャーシュー麺と特盛の豚骨、そして追加で餃子を頼んで、伸びたらいけない、伸びたらいけないと念仏のように唱えながら、汁まで飲み干す。この時既に、一体何キロの料理が彼女の腹に入っていたのか、考えるだけでも恐ろしいので数えはしないが、店を出た時に少々フラフラとするから心配してみたところ、
「いや、体が重いだけで、お腹はまだ大丈夫」
という答えが返ってくる。事実、その移動ついでにドーナツを10個買うと、うち9個は叶の胃袋へ、うち1個は俺の胃袋へと収まった。そして今度は洋食屋に行きたいとご所望であったから、先の中華料理屋の向かい側にある何とか言う店に入って、ナポリタン、―――のデカ盛りを頼んで無料となる19分17秒で完食す。とまあ、こんな感じで店をはしごした訳であったが、その洋食屋を後にしてようやく、ちょっと苦しくなってきたと言い出したので、シメとして喫茶店のジャンボパフェを食べることにした。彼女にしてみれば、どれだけ苦しくても甘いものだけはいくらでも腹に入れられるのだそうで、その言葉通り、パフェに乗っていたアイスが溶けるまでにバケツのような器は空になっていた。そして、喫茶店を出た時、叶は急に俺の体に凭れかかってきたのであった。
「あ、あ、………苦しい、………これがお腹一杯って感覚なんだね」
と、俺の背中に手を回してすっかり抱きついてくる。うっとりとして、今が幸せの絶頂であるような顔をこちらに向けたり、道の向かい側に向けたりする。人目もはばからず、今にもキスしそうで、その実ゴロンと寝転がってしまうのではないかと思われる身のこなし。心ここにあらずと言ったような様子。………彼女は今言った量の料理を食べて初めて、満腹感を感じられたのであった。―――あゝ、とうとう僕の願望と叶ちゃんとの欲望が、叶い、そして満たされたしまったのだ。見よ見よこの満足そうな顔を。ここまで幸せそうな顔を浮かべている者を皆は知っているか。―――少年も嬉しさに涙さえ出てくるのを感じながら、抱きついてくる少女のお腹に手を触れさせた。妊娠どころか人が一人入っているかのようにパンパンに張って、元の病的なまでに窪んでいた腹はもうどこにもなかった。胸元だけではなく、腹部にある布地もはちきれそうになっていた。思えばここに全てが詰まっているのである。今日食べた何十キロという食べ物が、………そう考えれば本来の彼女の体重の半分近くが、この腹に収まって、今まさに消化されているのである。少年と少女はついに唇を重ねるや、そっとお腹に耳をつけてその音を聞いてみると、じゅるじゅると時々水っぽい音を立てながら、しかしグウウウ、………! と言った音が、この往来の激しい道沿いにおいても聞こえてきて、この可愛らしい少女からこんな生々しい、胎児が聞くような音を立てているとは! 途端に、股間の辺りから妙な、濁流を決壊寸前の堤防で堰き止めているかのような、耐え難い感覚がして、少年は咄嗟に彼女から身を引いた。今度の今度は背中をバットで殴られたような衝撃ではなく、内側からぷくぷくと太って破裂してしまいそうな、死を感じるほどのねっとりとした何かだった。そしてそれは何故か叶の体、―――特に異様に膨らんだ胸元と腹を見るだけでも沸き起こってくるのであった。少年は恐怖で怯えきってしまった。この得体の知れない感覚が怖くて仕方なかった。目の前でふらふらとしている少女から逃げたくもなった。が、無情なことに、その少女はうっとりと近づいてきて、少年の体にすがりつくので、彼は逃げようにも逃げられず、為されるがままに、その痩せきってはいるけれども上半身の異様に膨れた体を抱いてやって、少女の希望ゆえにお腹を両手で支えながら帰路につくのであった。
「お母さんに何言われるか分からないから、楽になるまで遊んで」
離れに戻ってから、叶はそう言って俺の体に寄りかかってきた。道沿いでしてきた時はまだ遠慮があったらしく、俺はすっかり重くなった彼女の体を支えきれずにベッドに倒れてしまい、じっと見つめる格好になったのであるが、そのうちに堪えきれなくなって、どちらからともなく、
「あははは」
「あははは」
と笑い出した。
「ねぇねぇ」
「うん?」
「さっきキスしてきたでしょ」
「………うん」
俺はこっ恥ずかしくなって、素っ気なく答えた。
「もう一度しない?」
「………うん」
今度はしっかりと叶の顔を見つめながら答えた。
これで俺たちは二度目の接吻をした訳であるが、俺の手はその後、自然に彼女の胸に行った。この時、叶の方がベッドに大きく寝そべっていたので、俺の方が彼女より頭一つ下がった位置にあり、目の前で上下する乳房が気になったのかもしれない。俺の手が触れた時、彼女はピクリと体を震わせただけで、その熱っぽい顔はじっとこちらを向けていた。嫌がっている様子が見えないとなれば、少年は図に乗って、両手を突き出して乳房に触れるのであったが、それでも少女は何も言わない。思えば、少年が恋する少女の胸に手をかけた初めての時であった。やわらかく、あたたかく、頭ぐらい大きく、手を突っ込めばいくらでもズブズブと沈み込んでいき、寄せれば盛り上がり、揉めば指が飲み込まれ、掬い上げれば重く、少年はいつまででも触っていられそうな感じがした。と、その時気がついたことに、着ている物の感触として、女性にはあって然るべき重要な衣服の感覚が無いのである。
「ぶ、ぶ、ぶ、ぶらは、………?」
と少年は何度もどもりながら聞いた。
「高くって買えないの。………それに、おっぱいが大きすぎて店に行っても売ってないの。………」
と少女は儚げな表情を、赤らめ��顔に浮かべる。
それきり、言葉は無かった。少年も少女も、大人にしか許されざる行為に、罪悪感と背徳感を感じて何も言い出せないのである。少年の方は、父上の言いつけに背くばかりか、この部屋に連れ込んで淫らな行為に及んでいるがため、少女の方は、相手が自分の手に届かない物持ちの息子であることから、果たしてこんなことをして良いのかと迷っているところに、突然の出来事舞い込んできたため。しかし両者とも、気が高揚して、場の雰囲気もそういうものでないから、止めるに止められない。そして、どうしてその行動を取ったのか分からないが、少年は少女に跨って下半身を曝け出し、少女もまた裾を捲って肩まで曝け出した。玉のような肌をしながらも、はちきれんばかりになったお腹に、少年はまず驚いた。驚いてグルグルと唸るそれを撫で擦り、次に仰向けになっているのにしっかりと上を向く、丸い乳房に目を奪われた。生で触った彼女の乳房は、服を通して触るよりも、何十倍も心地が良かった。少年は、少女の腹を押しつぶさないように、腰を浮かしながら、曝け出した物を乳房と乳房が作る谷間の間に据えた。と、同時に少女が頷いた。右手で左の乳房を取り、左手で右の乳房を取り、間に己の物を入れて、すっぽりと挟み込み、少年は腰を前後に振り始めた。―――少年が射精を憶えた初めての時であった。
叶の腹がほぼ元通りに収まったのは、日も暮れかかった頃であったろうか、彼女を無事家まで送って行き、すっかり寂しくなった部屋で、俺はその日を終えたのであるが、それからというもの、お話をするという日課は無くなって、代わりに、休みの日になると叶を引き連れて、街にある食事処を次々に訪れては大量に注文し、訪れてはテーブルを一杯にし、訪れては客を呼び寄せる。その度に彼女は幸せそうな顔を浮かべて料理を平らげ、満足そうな顔を浮かべて店を後にし、日の最後は必ずその体を俺に凭れさせる。彼女にとって嬉しかったのは、そうやっていくら食っても俺の懐が傷まないことで、というのは、だいたいどこの店にもデカ盛りを制限時間内に食べられれば無料になるとか、半額になるとか、そんなキャンペーンをやっているのだけれども、叶はその半分の時間で完食してしまうのである。「頑張ったら、別に2倍にしても時間内に食べられるよ」と言って、見事に成し遂げたこともあった。その店には以降出入り禁止になってしまったけれども、痛いのはそれくらいで、俺は俺の願望を、叶は叶の欲望を満たす日々を送ったのであった。
だが、叶を初めて連れて行ってから一ヶ月ほど経った時の事、父上に呼ばれて書斎へと向かうと、いつもは朗らかな父上が、パソコンの前で真剣な表情で睨んで来ていらっしゃった。俺は咄嗟に叶との行動が知れたのだなと感づいて、心臓をドキドキと打たせていると、
「まぁ、別に怒りはしないから、隣に来てくれ」
とおっしゃるので、すぐ傍にあった椅子に腰掛けて、父上が真剣に見ていたであろうパソコンの画面を見てみた。そこには家中に配置されている監視カメラの映像が映し出されていたのであったが、その映像をよく見てみると、若い少年と少女が手を繋いで庭を渡る様子と、端に俺が叶を連れ込んだ日の日付と時間が刻銘に刻まれているのである。俺は頭が真白になって、どういい訳をしたらいいのか、どうやれば許して頂けるのか、―――そういう言葉ばかりが浮かんで結局何も考えられなかったが、兎に角、叶と会っていたことが父上にバレた、それだけははっきりと分かった。
「この映像に思い当たる節はないか?」
無いと言っても、そこに写っている少年の顔は俺であるし、後ろ姿も俺であるし、背丈も俺であるし、況や叶をや。言い訳をしたところで、事実は事実である上に、父上に向かってこれ以上見苦しい姿を見せたくなかったし、嘘を言うなんて事は俺には出来ないので、正直に告白することにした。もちろん、彼女に一杯物を食べさせてたなんて言うべきではないから、ただ一言会っていたとだけ伝えることにした。
「ふむ、正直でよいよい。そんなとこだろう。いや、それにしても、いきなり自分の部屋に連れ込むとは」
と、一転して朗らかになったので、急に恥ずかしくなってきて、キュッと縮こまったのであった。
ところで俺がこの監視カメラを甘く見ていたのには、少しばかり理由がある。1つには、庭は木が生い茂っていて見通しが悪いこと、そしてもう1つには、子供部屋として使っている離れには設置していないこと、だから俺はあの日の朝、部屋にさえ連れ込んだらこちらのものと思っていたのであったが、それ以上の理由として、父上がその防犯カメラの映像をあまりチェックし給はないことが挙げられる。父上は抑止力としてカメラを設置していらっしゃるだけで、その映像を見ることは月に一回あるかないか、それもたまに半年間もすっぽ抜かすこともあれば、チェックをするのも適当に何日かを選んで、早送りをして見るだけというずさんさがあった。俺はしばしばその様子を眺める機会があったのだが、いまいち鮮明でない画面であるがゆえに、もはや人が居るかどうかが辛うじて分かる程度であった。だから、俺はあの時、叶を部屋に連れ込んだとしても、見つかるはずは無いと高をくくっていたのである。
で、子供が一人で家の中で何をしているのか気になった父上が、ひょんなことから防犯カメラの映像を、ぼんやり眺めていると、何者かと共に離れにまで入っていく事を確認し、それが何とも見窄らしい格好をした少女であるから、2、3回繰り返して見ているうちに、隣家の貧家の娘であることに気がついたのであろう。
俺はそれから、また真剣な顔つきになった父上に、たんまりと諭されてしまった。この住宅街は、その大半が一般庶民の暮らしている家で埋められているのであるが、とある一画にだけは物騒な人(に売られる)が住んでいる。不幸なことにこの家を建てる時に、上手い土地が無かったために、ある一つの家を挟んで、そこと向かい合わせになってしまった。それならば、せめて家の裏にして、木で生け垣を作って完璧に仲を隔ててしまおうと思って、お前の部屋からも分かる通り、風景は見えるようにだけしたのである。もちろん、それなら別に他の所に住めば良いではないかと思うかもしれないが、しかしこの地は俺が子供時代に何年か過ごしたことがある土地であって、そして、お前のお母さんの生まれ育った土地である。つまりは夫婦の思い出の地であって、(言葉を濁しながら、)つまりは俺もお前と同じ穴の狢であるから、近所に住む女の子を一人や二人呼んだところで何も言いはしない。が、裏にある地区だけはダメだ。別にそういう地区ではないが、何しろ物騒な噂ばかり聞く。で、彼女の家はそんな地区と我々とのちょうど境目に建っていて、一番可哀想な境遇を経ているのであるが、向こうから色々と入れ知恵されていると人はよく言う。もし問題が起これば面倒事になるかもしれないし、お前に怪我でもあったら良くない。実際、昔お前のお母さんの友人が、あの地区にいる人といざこざを起こした時に、上辺だけは丸く済んだけれども、その後に復讐として連れ去られそうになったことがあった。彼らは放っておくとどこまで非情なことをするのか分からない。だからあの言いつけはお前を心配してのことだったのだ。そもそも、俺はお前にはもっとふさわしい女性とお付き合いしてほしい。ほら、一人二人くらい学校で仲良くなった子は居るだろう。いたらぜひ言ってくれと、最終的には学校生活の話をするのであったが、父上は諭している途中ずっと真面目であった。俺はそれをふんふんと頷きながら、その実父上がそういうことを話てくれることが嬉しくて、内容はあまり耳に入ってなかった。ただ叶が可哀想なんだなと思うくらいで、始まった父上の詰りに、すっかり考えを逸らされてしまったのであったのだが、
「しかし、可愛い子だな。あんな家に住ませておくのがもったいない。転校して会えなくなる前に、分かれの挨拶くらいは許してやるから、やっておけよ」
と、突然父上が衝撃的な事を言ってのけるので、
「え? 転校?」
と聞き返してしまった。全く、転校するなどとは俺には初耳で、椅子の上でぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
「もう少ししたら、気晴らしに別荘の方で何年か過ごすからな、―――あゝ、そうそう本当に何年間かだぞ、一週間などではなくて。だからそのつもりでな」
俺はぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
それからは急に頭がぼんやりとしてしまって、引っ越しまでどう過ごしたのか憶えて居ない。ただ、最後に叶に会ったことだけは憶えていて、彼女は泣いていたように思う。ようやく自分が満足する量の食事を隔週ではあるけれども、取っている彼女の体つきは、微かに肉付きがよくなっているのだが矢張りガリガリに痩せ細っていた。逆に、胸元だけは一層膨らみ始めていて、その大きさはバレーボールよりも大きかった。俺は木陰に入って、最後にもう一度触らせてもらった。もうこれが最後だと思うと、お腹にも耳を当てた。朝食後直ぐに出てきたというその腹からは、矢張りゴロゴロと中で何かが蠢く音が聞こえてきた。そして泣いて泣いて仕方がない彼女と最後のキスをして、また会う約束を交わして、蕾を付け始めた桜の花を、雲の下にてあわれに見ながら袂を分かった。
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kubotty · 4 years
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時間を埋めながら、支配されている。
普段生活してると、妻の仕事終わりで連絡が来てから駅までのお迎え行くまでの時間とか、通勤時間とか、40-50分という実に微妙な時間ができると、何をするにも中途半端になるので、気持ちよく埋める意味合いもあり、外国ドラマを継続的に見ている。(単に好きだからという説もある)
そんなわけで、今年の春くらいから見たドラマも溜まってきたのでここで一回整理。
●BOSCH
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:LA市警刑事ハリー・ボッシュが主人公のミステリー小説「ハリー・ボッシュ・シリーズ」のテレビドラマ化作品。各シーズンの1-2話で事件が起きて、上手い伏線を張りながらじわじわと10回かけて解決していくフォーマット。現実離れしてないから余計にリアリティが湧いて共感できるのか。派手さはないけど、これがまぁとにかく面白い。2015年-2020年までに6シーズンの60回が配信済みで、シーズン7の制作も決定とロングラン。
●ジャック・ライアン
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:CIA分析官のジャックライアンによるアクションスリラー。シーズン1はテロリストの怪しい資金移動に気づき、現場の仕事に投げ込まれて頭脳戦で解決。シーズン2は武器の搬入を疑って政情不安のベネズエラに入ったライアンは目の前で旧知のアメリカ議員を殺され、情報部員の助けを得て、議員暗殺の陰謀を調査し、殺し屋を倒す。「トランスフォーマー」「LOST」の制作陣が手掛けてることもありスケール感が映画クラスなので、ザ・アメリカものが好きな人には見応えあり。こちらもシーズン3の制作が決定したそうで楽しみ。
●Modern Love
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:1話完結型のニューヨーク・タイムズのコラムに基づくアメリカNYを舞台にしたロマンティック・コメディ。これはコメディなんだけど、温かいヒューマンラブや1話ごとのメッセージ性が完結にまとめられいて、すごい幸せになれる。8話まであって、8話で1-7の登場人物が出てきて人生が交差するストーリーも秀逸。音楽の使われ方も素晴らしいし、お洒落だし、見て絶対に損しないドラマ。こちらもシーズン2が製作決まったらしく絶対見るやつ。
●GOLIATH-弁護士ビリー・マクブライド-
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:ビリー・ボブ・ソーントン演じる主人公のビリー・マクブライドはかつて巨大弁護士事務所を創設したエリート弁護士であったが、挫折し零落している。家族と別れ、酒におぼれてうらぶれたモーテル暮らしをしながら、しいたげられた人間や友人たちのために弁護士としてゴリアテのごとき巨大な敵と戦う。各シーズンは8話を通して一つの事件を扱う。こちらもBOSCH同様に1話でトラブルが起きてじわじわと解決していくフォーマットで、古畑任三郎の様な頭脳明晰な推察に脱帽。法廷モノは企画者が相当にクレバーなので、どれもこれも面白い。現在シーズン3までですが、シーズン4の製作も決まったらしく絶対に見るやつ。
●FARGO
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:2014年から放送されているアメリカのサスペンスドラマ、ブラックコメディ。ノア・ホーリーが1996年の映画『ファーゴ』に着想を得て創作し脚本を書いている。 シーズンごとに設定や時代や配役の異なるアンソロジー形式。中西部のミネソタ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州の州境付近、およびカンザス州とミズーリ州にまたがるカンザスシティが共通の舞台となり、季節はつねに冬である。ごく普通の市民と警察官が主要なキャストとなり、連続殺人事件に巻き込まれていく。やはり現実に則してるかどうかって個人的に割と大きいポイントみたいでツボりました。サスペンス+ブラックコメディというにふさわしく、スリリングなのにどこか穏やかに見れる世界観。音楽の使われ方もタランティーノものに通じる洒脱な感じ。シーズン1のビリーの演技が味がありすぎて、GOLIATHを見てしまった。シーズン4がコロナで無期限延期ですが、これ再開したら絶対に見る。
●アップロード~デジタルなあの世へようこそ~
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:アメリカのSFドラマ。死後に自分自身をデジタルの世界にアップロードすることができる近未来をブラックユーモアを込めて描いた作品。「死」か、新サービス「アップロード」を選べる近未来で、後者を選択した者は、自分の意識をバーチャル空間に転送でき、死後の“第二の人生”が始まる。アップロード後の世界は、ゲームやSNSなどのアバターのようになっていて、「レイクビュー」というステージで、感覚的には生前とほとんど変わらない状態で新しい生活を永遠に送れるという設定。下界と話すには課金が必要だったり、ギガ数が足りて無いと接続が切れてしまったり、”アップロード”エージェントと主人公の恋の行方や、そもそも主人公がなくなったのには陰謀が垣間見れたり、何十年後、何百年後かに本当にあるかもしれない未来を観ているような、現実的なワクワク感がある先進性。新感覚な未来SFもので大変に面白かった。主役のAndy Alloも可愛いし、5月にシーズン1が配信スタートし、翌週にはシーズン2も製作決定を発表するなど、相当評価が高いのですが、これはめちゃくちゃ面白い。
●STATE OF PLAY -陰謀の構図-
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:2003年放送のイギリス(BBC)製作の政治と殺人事件の裏に隠された陰謀を追うサスペンスドラマ。
イギリス、ロンドン。15歳の少年ケルビン・スタッグ(グレゴリー・プアマン)が男に射殺され、そこを通りかかったバイク便の運転手も撃たれてしまう。同じ頃、政府のエネルギー特別委員会の調査官ソニア・ベーカーが地下鉄線���に転落し死亡。彼女はエネルギー特別委員会委員長を務める下院議員スティーブン・コリンズ(デービット・モリッシー)の愛人だった。ヘラルド紙の記者カル・マカフリー(ジョン・シム)と、デラ・スミス(ケリー・マクドナルド)が取材を進めていくと、ふたつの事件に接点があることが判明し・・・。
最後そうなりますかと眼から鱗が落ちるのはさすがのBBC。タブロイド紙の記者の大義名分・必要性をこのドラマ見て初めて納得しました。アメリカドラマとは違った読後感の絶妙な悪さが本当にクセになる。シーズン1で完結。
●マックマフィア
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2018年にBBC One、AMC、Cuba Picturesによって共同製作されたミニドラマ。こちらもマフィア系のクライムサスペンスで、あらすじは下記参照。
【ロシアから亡命してきたマフィア一族を描いた問題作!】
現代の犯罪組織の世界を描いたミーシャ・グレニーのノンフィクションをベースに制作されたドラマ。ロシアからイギリスへ亡命した後、欧米の教育を受け、英国人として生きる若きエリートのアレックス・ゴッドマンは、家業である“マフィア”を嫌い、ビジネスマンとしての人生を歩んでいた。しかし、叔父を目の前で殺害されたことをきっかけに、犯罪の世界に足を踏み入れていく…。アレックスが犯罪組織の一員になっていく過程をスリリングに描いた衝撃作!
全く明るくないのがさすがのBBCクオリティ。なぜかマフィアものが好きでよく見るのですが、映画よりもじわじわと迫るこの感じ、殺人の派手さ無いのが妙にリアリティを感じるのか。このドラマが終わった後にロシアの反体制指導者が毒盛られて重体というニュースが流れたので、きっと実際のロシアマフィアもこうなのかと思うと身震いブルブル、ロシアはおそロシア。シーズン1で完結ですが、マフィア好きなら必見。
●キング・オブ・メディア(SUCCESSION)
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:アメリカの風刺コメディドラマシリーズ。世界的巨大メディア企業を経営するローガン・ロイとその4人の子供たちの愛憎と争いを描く。だが家長のローガン・ロイは老いて健康問題を抱える。家族はローガン引退後の来を考え始めるなか、欲望と愛と愚かさを見せるロイ家の人々が戯画的に描かれている。華麗なる一族の軋轢が妙にリアルで、ドラマの中だけに限らず、同族経営の場合は実際こんなことが起きてるんだろうと想像すると、金持ちに生まれるのが幸せか不幸せか分からない。お金にモノを言わせるイヤらしさ満開のシーンに社会の闇を垣間見て、きっと千野アナもこういう話なのかと、邪推してしまった。シーズン2も有料なら見れるみたいだけど、アマプラの通常配信まで待て自分。
●女医フォスター -夫の情事、私の決断
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:イギリスBBC Oneテレビドラマシリーズの大ヒットドラマ『女医フォスター 夫の情事、私の決断』。平均視聴者数950万人、最終回は1000万人の大人気作。夫の浮気に気が付いた妻が、徐々に復讐に転じる様子が描かれた究極のラブサスペンスドラマ。カメラワークがすごく早いのが、見にくいと取る意見もありますが、個人的にはスリリングさと当事者感が増してよかったかなと。ダメ夫の終わってる感に辟易しつつ、いるんだろうなぁこういう人。終わり方もやはりBBCならでは。シーズン2までありますので是非。韓国でもリメイクされ、ハリウッドでは映画版が公開されたそうです。
●トレッドストーン
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:映画「ジェイソンボーン」シリーズのスピンオフドラマ。ジェイソンボーンを生んだCIAの工作員育成計画「トレッドストーン」に焦点が当てられ、世界各国に潜伏する”武器”として高度に発達したスパイが任務のために動き始めていく。スーパー工作員に焦点が当てられてるのでキレッキレのアクションは勿論見ものですが、シーズン1で完結するにはストーリーの組み方が少し不完全燃焼な感じが否めなかったので、ちょっと残念。米国作品はハッピーエンドでなくても、納得して終わってこそでしょ。視聴者に考える余地を残して終わらせる手法はBBCのほうが一枚上手。
●シカゴ・ファイア
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:シカゴの消防局51分署の消防隊員達の体を張った活躍を描いたドラマ。様々な人間関係の中、成長していく隊員たち。ケイシーとセブライドが意見の食い違いで衝突。果たしてわだかまりを解決し、危機を乗り越えられるのか。リアルさもさることながら感動もできるドラマ。一話一話が着実につながっていく非常に人間味が溢れたヒューマンドラマなので、楽しい一方で派手ではないので、サスペンスの様にこの先どうなるんだろう、見たすぎて寝れなくてつらいみたいなのがなくて、シーズン2でストップしています…
●CHUCK
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2007年から放映開始し、2012年までの5年間で5シーズン続いたスリリングな毎日を描いた痛快スパイ・アクション。「The OC」「ゴシップガール」をヒット作に導いた米TV界の売れっ子クリエイター、ジョシュ・シュワルツが映画「ターミネーター4」のマックG監督と新たに手を組み製作した最新TVシリーズだ。
家電量販店のパソコン修理コーナーで働くチャックは、サエないコンピューター・オタク。ある日、大学時代のルームメイトから送られてきたメールを開くと、チャックの眼に大量の画像データが飛び込んできた。それはCIAとNSAが協力して集めた国家機密データだった。CIA、NSAそれぞれのエージェントが、国家機密を守る為、チャックへと近づき・・・。 国家の運命を握るトップシークレットをダウンロードされたチャックの運命はいかに・・・!?
これもテンポよくコメディ要素をふんだんに詰め込んでるのでストレスなく見れるのはいいが、ドラマゆえのコメディとフィクション要素が強すぎるせいか、もっともっと見たいとならずこちらもシーズン1で僕はドロップアウト。
そーーーしーーーて、今見てるのが超話題作の
●The Boys
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:Amazonオリジナルドラマで最も視聴された作品として現在大ブームの作品。 巨大企業ヴォートに雇われたスーパーヒーロー7人から成るチーム、"セブン"のメンバーに恋人を殺されたヒューイが、元FBIのビリー・ブッチャーらと一緒に自警団"ザ・ボーイズ"を結成し、名声に溺れて堕落したスーパーヒーローを成敗していくアクションシリーズ。 SF・ヒーローものは個人的に全然刺さらなくて見ないのですが、これはヒーローではなく、自警団が主役なので、SF要素があってもとにかく楽しく見れる。絶妙な軽快さとスリリング感。これはマジで面白い。トップ作品になるのもすごくよく分かる。現在シーズン2が少しずつ放映開始になっており、先日シーズン1を見終えたばかりなのでこの勢いで見ていくことに。
まぁ結構な数を見ていてNCISのようにシーズンが10以上になるものは安定感が出過ぎて、興奮や衝動にかられないので、大体シーズン5-6くらいで完結モノが一番面白いのではないかということに気づく。妻からSUITSも見た方がいいと言われ、海外の友人はGOTは外せないだろという。ちょっと遅れたけど、今更だけどウォーキング・デッドも見た方がいいのか。
本当に時間がいくらあっても足りないくらい見たい作品が多くて困っている。
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kakitake · 4 years
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THE BIG ISSUE日本版 渋谷宮益坂上で購入! ホームレスの人の仕事をつくり自立を応援する雑誌 むちゃくちゃ暑い中で販売員さんお疲れ様です! 『特集 コロナ禍を生きのびる 今、人々は生きる苦しさを強いられている。 解雇や派遣切りで“家”を失う人、休業手当のない非正規雇用者、パートの低賃金の仕事をも失う女性、仕事が激減したフリーランスや自営業者など、休業すれば生きていけず、休業しなければ感染と隣り合わせで働かざるを得ない人たち……。 コロナ感染の恐怖の下、4月からの緊急事態宣言以降「ステイ・ホーム」が叫ばれ、生活も経済活動も「自粛」を余儀なくされた。この「自粛」には、休業補償という生存保障も、素早くそれを支える社会的手当や制度もなかった。 この間、さまざまな人々の応援をしてきた、稲葉剛さん(つくろい東京ファンド)、藤田孝典さん(ほっとプラス)、竹信三恵子さん(ジャーナリスト)、中島真紀さんと浅葉めぐみさん(フードバンク関西)に、応援の現場で見えてきた“生きのびるのに必要な方途”について聞いた。 コロナ禍を生きのびる苦しさが社会を変える知恵と機会を生む。その道すじを探したい。 経済困窮は「災害」とみなすべき 稲葉 剛さん 底をつく預貯金、生活相談急増 藤田 孝典さん “女性活躍小国”日本で起こっていること 竹信 三恵子さん 1214世帯へ、「コロナ禍・緊急食支援」 認定NPO法人 フードバンク関西 TOP INTERVIEW スペシャルインタビュー スペシャル企画:ありがとう、ボブ ビッグイシュー英国版の元販売者ジェームズ・ボーエンが路上で出会い、ホームレス状態や薬物依存から抜け出すきっかけとなったストリート・キャット「ボブ」。今年6月に不慮の交通事故に遭い、天国へと旅立ちました。ボーエンが英国版に寄せたエッセイ、読者からの追悼メッセージをお届けします。 リレーインタビュー・私の分岐点 玉川 奈々福さん 1995年、二代目玉川福太郎に入門。三味線修業の後、01 年から浪曲師として活動。自作の新作や長編浪曲も手掛けるなど、浪曲界をリードし続ける玉川奈々福さん。元々は書籍の編集者だったという奈々福さんが、なぜ浪曲の世界に? 意外な分岐点を語ります。 国際記事 米軍は、世界最大の温室効果ガス排出者 加速する気候危機に対し、世界で最も温室効果ガスを排出している組織「米軍」の存在はあまり知られていません。京都議定書の合意により、最も信頼される気候変動の報告書でも計算対象外とされ、米国も排出量を公開していません。米ルイス&クラーク大学のマーティン・ハートランズバーグ名誉教授(経済学)によるレポートをお届けします。 WORLD STREET NEWS 世界短信 国内記事 表現する人:人の心は虫に似ている、弱虫な心も臆病さも愛しい―川越ゆりえさん 人の感情や心の動きを、擬人化ならぬ“擬虫化”し、幻想的な「仮想の虫」からなる標本作品を創り出してきた、アーティストの川越ゆりえさん。代表作《弱虫標本》や《嫉妬》《それでも僕らは嘘をつく》など、一見ネガティブな感情から生まれた作品に川越さんが込めた“肩の力を抜いて生きられる世の中”への思いとは? 連載記事 浜矩子の新ストリート・エコノミクス 英国の階層社��化がもたらしたか、ブレグジット コミック マムアンちゃん ウィスット・ポンニミット ホームレス人生相談 × 枝元なほみの悩みに効く料理 難病の友人にどう寄り添えば ☆ ゆで卵と枝豆ペーストの一口サンド ☆ 宇宙・地球・人間 池内了の市民科学メガネ 人間の冬眠は可能なのか?』 #thebigissue #thebigissuejapan #コロナ禍を生きのびる #稲葉剛 #藤田孝典 #竹信三恵子 #フードバンク関西 #ジェームズボーエン #玉川奈々福 #浪曲 #川越ゆりえ #浜矩子 #マムアンちゃん #枝元なほみ (宮益坂) https://www.instagram.com/p/CEUGkRHA1qi/?igshid=lnn2squtp47m
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honyade · 4 years
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(5月31日まで開催中)【フェア】人から紐解くiPS細胞
代官山 蔦屋書店 営業時間について 5月11日(水)~当面の間 11:00~19:00
■代官山 蔦屋書店ご入店に関して ・1号館2階 映像フロアでのレンタル対象商品は「新作のみ」とさせていただきます。 ・3号館2階 音楽フロアはご利用いただけません。 ※お客様およびスタッフ同士の距離感を十分に取れる空間の確保・維持のため、入場制限を設ける場合がございます。 その場合は整理券を配布いたしますので、ご案内の際は指示に従ってくださいますようお願い申し上げます。 ※大変恐れ入りますが、マスクを着用していないお客様のご入店はお断りしております。 ※休店日や営業時間、当日のご案内方法は予告なく変更となる場合がございます
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iPS細胞研究所所長の山中伸弥さんをはじめとした研究者の方々や、京都大学総合博物館で行われる特別展「iPS細胞、軌跡と未来―こだわりの研究所を大解剖―」の関係者の皆様が、ご自身の人生で現在に至るまでに「刺激を受けた本」の数々を紹介教えて下さいました。 それぞれコメントも頂いておりますので、これが皆様にも刺激となれば嬉しいです。
———- 京都大学 iPS細胞研究所 所長 山中伸弥
『宇宙英雄ローダン・シリーズ』K・H・シェール他(著)ハヤカワ文庫SF 子どもの頃、夢中になって読んでいました。科学の力で問題を解決していく登場人物にあこがれたのが、今の仕事の原点かもしれません。日本語版が600巻を超えた今でも続きが出ている人気作です。
『星新一のショートショート』 環境問題、人口増など現代にも通じる社会問題に鋭く切り込んだ作品が多く、読んでいて刺激になります。
『仕事は楽しいかね?』デイル・ドーテン(著)きこ書房 アメリカ留学から帰国後、仕事に悩んでいたときに読んだ本です。思うように研究が進められず、研究を続けるかどうか悩んでいた私に、仕事を楽しむことを思い出させてくれました。
『FACTFULNESS』ハンス・ロスリング他(著)日経BP 科学者にとって、自分の偏見を捨て、データと真剣に向き合うことは非常に重要です。これは科学者以外の方にも言えることだと思います。この本は、世界のいろいろな事象を思い込みに惑わされずに見つめる訓練にとても役立つと思います。
『理不尽に勝つ』平尾誠二(著)PHP研究所 仕事をしていると、理不尽な目にあうことはたくさんあります。そんなときに手に取る本です。著者の平尾誠二さん(故人)とは友人として深い付き合いがあり、仕事の進め方やリーダーシップについて、多くを教えてもらいました。この本は、彼から教わったことを思い出させてくれます。
———- 京都大学 iPS細胞研究所 所長室 中内彩香
『阪急電車』有川浩(著)幻冬舎文庫 片道わずか約15分という阪急今津線の乗客の人間模様が優しいタッチで描かれ、映画化もされた大ヒット小説。人にはみな、それぞれが主役の人生のドラマがあるという当たり前なことにふと気づかされると同時に、(誤解を恐れずに言うと)「人って悪くないな」と思わされます。人間関係に少し疲れたときに読むと、ほっこり温かな気持ちになれる一冊です。
『僕たちの戦争』萩原浩(著)双葉文庫 何の接点もない戦時中の少年と“今どき”の少年が、ひょんなことからタイムスリップして互いの時代を生きる様子を描いたフィクション小説。背伸びしない、少年の目線で当時を想像しながら本の世界に没入し、現実世界に戻った後も、当時の人が急に今の私たちの日常に迷い込んでくるとこの世界はどう見えるのだろうと想像を膨らませました。当時を懸命に生きてきた方たちのおかげで今があるということを改めて考えさせられました。
『チーズはどこへ消えた?』スペンサー・ジョンソン(著)扶桑社 いつから変化を恐れ、前に踏み出すのをためらうようになってしまったのだろう。常に起きる変化にどう適応するかは自分の考え方次第。物事をシンプルに捉え(自分で勝手に複雑化しない!)、柔軟に行動し、冒険を楽しむ。「新しいチーズ」探しの旅を始める勇気をこの本からもらいました。心が弱くなる度に読み返すと背中を押してくれる、私の良き伴走者です。
『Newtonニュートン』ニュートンプレス 親が愛読していたこともあり、物心がついた頃にはページいっぱいに広がる鮮やかなビジュアルに惹かれて、わけもわからずページをめくっていました。今思えば、それが知らず知らずのうちにサイエンスに興味をもつきっかけになったように思います。読者を「追いていかない」工夫が凝らされ、また号のテーマによらない最新の科学情報も得られるので、おすすめです。
『SNOOPY COMIC SELECTION』チャールズ・M・シュルツ(著)角川文庫 1950年から描かれ、スヌーピーをはじめ愛くるしいキャラクターが人気の漫画。ほのぼのとしたやりとりに心を癒されるときもあれば、子どもの他愛のない一言が、大人が目を背けがちな真理をついていてハッと気づかされるときもあります。読後の爽快感がたまらず、休日の午前に読みたくなる作品がたくさんあります。
———- 京都大学 iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 准教授 池谷真
『神様からの宿題』山本育海他(著)ポプラ社 私たちの研究室では、進行性骨化性線維異形成症という筋肉組織中に骨ができる難病の研究に取り組んでいます。この本は、患者である山本育海君と、そのお母さんの手記です。患者さんとご家族が抱える苦悩、葛藤、決意などの思いが込められています。毎日を頑張って生きようという気持ちになります。
『細胞の分子生物学』ブル-ス・アルバ-ツ他(著)ニュートンプレス ミクロ系生物学が網羅されている、大学レベルの教科書です。大学合格が決まった後、すぐに購入しました。当時、第2版で、現在は第6版になっています。時に読本として、教科書として、辞書として、そして枕として大活躍しました。
『最強マフィアの仕事術』 マイケル・フランゼーゼ他(著)ディスカヴァー・トゥエンティワン 実際に裏社会で成功を収めた著者が、仕事のやり方を経験に基づいて書いた本だそうです。『マフィア』の法則ですが、現実社会に通じる内容が数多く含まれています。思わずニヤッとしてしまうような箇所もあり、心が疲れた時に半分娯楽として読むとちょうど良いかと思います。
『ブラック・ジャック』手塚治虫(著)講談社 医学に関心がある漫画好きの方なら、一度は読んだことがあるのではないでしょうか。法外な治療費を請求するなど理不尽に思える内容もありますが、治療不可能と思える患者を一人の天才外科医が治していく姿に憧れました。
『ドラえもん』藤子・F・不二雄(著)小学館 あんなことやこんなことを、夢の道具で実現してくれるドラえもん。何より、その発想の自由さに、子供心をくすぐられました。ただ同時に、サボった分は後から自分でやらないといけないという人生訓も教わりました。
———- 京都大学 iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門 講師 中川誠人
『ぼくらの七日間戦争』宗田理(著)角川文庫 中学生が大人の言いなりにならないために一致団結して向かい合う青春ストーリー。テンポがよく、ワクワクしながら一気に読んだ覚えがあります。秘密基地などは誰もが幼い頃にあこがれたのではないかと思います。本の終わりも痛快・壮快で良く覚えています。映画にもなりましたね。純粋に楽しめる本だと思います。
『三国志』横山光輝(著)潮出版社 最初に横山光輝さんの漫画から三国志の世界に入りました。様々な登場人物がそれぞれの信念を持って中国統一に向けて戦います。武力だけでなく知力、政治力、一番は人力(魅力)に優れている事が重要だと感じました。そういう人の周りには優れた人が集まり大きな力となるのだと思います。小説は数種類読みましたが、書き手によって内容や登場人物の性格が違っているのが面白かったです。個人的には劉備・関羽・張飛の義兄弟の絆にあこがれます。
『ザ・ゴール』エリヤフ・M・ゴ-ルドラット(著)ダイヤモンド社 ストーリー仕立てで、製造現場の生産管理の手法「制約条件の理論(Theory of Constraints)」を易しく学ぶことができる本。研究には関係無さそうであるが、ラボマネージメントの観点から非常に参考になりました。考え方によって様々な状況に対応できる理論になり得るのではないかと感じました。
『英語は3語で伝わります』中山裕木子(著)ダイヤモンド社 初心者でも、なんとなく英語を勉強してきた人でも参考になるのではないかと思う。いかにシンプルに英語で表現できるかを学べる。英語を難しく考えがちな思考を変えてくれる良本と思います。
『マイケル・ジョーダン物語』ボブ・グリーン(著)集英社 引退した今もなおバスケットボール界の神様と言われているマイケルジョーダン(MJ)の伝記。コート上での神様MJの圧倒的な支配力、そして人間MJの比較をうまくまとめた本。超一流の人には何か共通するものがあるのだろうと感じた。
『細胞の分子生物学』ブル-ス・アルバ-ツ他(著)ニュートンプレス 通称「セル」と呼ばれる、生物学の基礎教本。最初はその重さにやられてしまいますが、制覇した時の達成感は忘れられません。生物学の研究を志すなら、要点をまとめたエッセンシャル本もありますが、是非「セル」を読んでください!筋トレにもなります(笑)
———- 京都大学 iPS細胞研究所 国際広報室 和田濵裕之
『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ(著)ハヤカワepi文庫 幹細胞を使った再生医療に関係する仕事をしている者として、とても刺激になりました。ノーベル文学賞受賞で話題にもなりました。どういう未来が私達にとって良いのか、考える際の参考になると思います。
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹(著)新潮文庫 村上春樹さんの作品はどれも好きですが、特に印象に残っているのがこの作品。読むのにとても頭を使いました。こんなに頭を使ってしんどい思いをしながら読んだ作品も珍しいですが、しんどくても次を読みたいと思わせる魅力があります。科学的コミュニケーションにもそうした魅力をうまく持たせたいです。
『パラサイト・イヴ』瀬名秀明(著)新潮文庫 科学コミュニケーションを行う上で、科学に興味のない人にどうやって科学的な内容を伝えたらいいのかと悩む中で参考になった一冊。物語の中に科学を散りばめることで、より多くの人にアプローチできるのではないかと思うきっかけとなりました。
『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス(著)ハヤカワ文庫NV 刻々と変わっていく文章の書き方が、日々変化している主人公の知能を反映していて、初めて読んだ高校生のときには衝撃を受けました。時が経過して、アルツハイマー病の患者さんの病気が進行していく姿にも共通するように感じ、改めて読み直したいと思った一冊です。
『ルリボシカミキリの��』福岡伸一(著)文春文庫 大学3回生の時に学生実験で数週間だけ指導をしていただいた福岡伸一先生。雑談の中にあふれる知識に魅了され、4回生の研究室配属では福岡先生の研究室に入りたいと思いました。残念ながら他大学へ移られてしまい、念願は叶いませんでしたが、あの時に感じた魅力、科学コミュニケーションにとって大事なことがこの本には現れているように思います。
『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス(著)ハヤカワ文庫NV 刻々と変わっていく文章の書き方が、日々変化している主人公の知能を反映していて、初めて読んだ高校生のときには衝撃を受けました。時が経過して、アルツハイマー病の患者さんの病気が進行していく姿にも共通するように感じ、改めて読み直したいと思った一冊です。
『銀河英雄伝説シリーズ』田中芳樹/藤崎竜(著)集英社 舞台は宇宙ですが、歴史ものの小説のような作品。世界には様々な価値観があり、いずれも正しく尊重されるべきであることを強く意識するきっかけとなりました。
———- 京都大学 iPS細胞研究所 国際広報室 志田あやか
『松風の門』山本周五郎(著)新潮文庫 中3の国語のテストで収録作『鼓くらべ』に出会い、すぐに図書館へ走ったのを覚えています。自分の信念ではなく、人にどう見られるかを基準に行動してしまいそうになったときに読む本。
『壬生義士伝』浅田次郎(著)文春文庫 吉村貫一郎という新選組隊士が主人公。「お国のため」が第一だった武家社会を背景に、自分の軸を持って生きるというのはどういうことかを教えてくれる本。
『どうなってるのこうなってるの』鈴木まもる(著)金の星社 父に毎晩読み聞かせをしてもらって育ちましたが、リピート率No.1はこの本でした。「どうなってるの」で十分タメてから「こうなってるの!」と進むのがコツです。
『脳死・臓器移植の本当の話』小松美彦(著)PHP研究所 著者の小松氏は、大学に入って最初の講義の講師でした。「私を含め、他人が言うことを検証し建設的に批判できるようになれ」と言われたのが記憶に残っています。この本は、小松氏自身がそれを実践した著作。脳死のとらえ方に新しい一石を投じてくれるはずです。
『完璧じゃない、あたしたち』王谷晶(著)ポプラ文庫 あたりまえのことなんですが、男との出会いだけが、女にとっての「特別」であるはずがないのです。恋愛、友情、尊敬、女同士のいろいろを描いた短編集。
———- 京都大学 情報環境機構/学術情報メディアセンター 助教 元木環
『観る―生命誌年刊号Vol.45~48』中村桂子(著)新曜社 中3の国語のテストで収録作『鼓くらべ』に出会い、すぐに図書館へ走ったのを覚えています。自分の信念ではなく、人にどう見られるかを基準に行動してしまいそうになったときに読む本。
『壬生義士伝』浅田次郎(著)文春文庫 JT生命誌研究館の季刊冊子が年に一度まとめて発刊されるうちの一冊。研究者である編者が様々な分野の専門家と繰り広げる対話の連載や各種記事が、生命科学関連の研究を非専門家向けに、丁寧なテキストとビジュアル表現で伝達されており、研究を伝える時の態度や工夫が感じられるのが楽しい。この号は、自分が大学で、研究を対象にデザインをし出した頃にとても参考になった。
『図解力アップドリル』『[動く]図解力アップドリル』原田泰(著)ボーンデジタル この2冊のシリーズは、「読めばすぐできるような」デザインマニュアルだと思い手に取ると、期待を裏切られる。タイトルやぱっと見からではわからないが、知識や情報、あるいは経験を「視覚的に表現し、伝達する」ことの本質を、頭と身体を使い、実践的に掴んでいくための道しるべとなる本になっている。デザイナーだけでなく、科学を対象とするデザインに関わる人にもとても参考になるし、続編の「動く」の方は、映像作成の考え方の基礎にもなる内容で秀逸。
『患者はだれでも物語る』リサ・サンダース(著)ゆみる出版 CiRA展とは別で展示の準備中に出会った先生からいただき、とても面白かった本。医師が患者の問診や診察でどのように診断をしていくかが物語として描かれている。デザイナーが、制作依頼を受けて、相談、制作していくデザインプロセスとも通じるところがあることが興味深い。
『デザインに哲学は必要か』古賀徹 (著)武蔵野美術出版局 デザインの実践者かつ教育者である著者らによる論考がまとめられており、デザインの裏側にある考えを想像する手がかりになる本。実践者が自ら「デザインとは何か」と問い、表現している言葉に共感を覚える箇所が多数ある。CiRA展に関わったデザイナーたちは確かに、(うまく言語化できていなかったとしても)フレキシブルでかつ一貫した考え方を持って、制作に携わっていたのだ、と想像してもらえるかも。
『優しさごっこ』今江祥智(著)理論社 私が紹介するまでもない有名な小説であるが、小学生の頃以来、時々読み返す本。いつも関西(京都?)の言葉で綴られる光景やモノローグや会話の表現、時々出てくる食べ物の描かれ方に引き込まれるが、タイミングによって、娘、親、別の登場人物など、別の視点で読んでいる自分と、行間や背景に想像できる範囲が変わっている自分に気がつかされる。装幀や挿絵(初版は長新太さんによるもの)を含めたブックデザインに興味を持つきっかけとなった一冊でもある。
『アイデア No.355』アイデア編集部(編)誠文堂新光社 もし古本でも手に入るなら、「《特集2》奥村昭夫と日常」のページをみてほしい。CiRAマークの相談を受けブラッシュアップした、グラフィックデザイナー(当時京大メディアセンターの客員教授であった)奥村昭夫氏のデザインに対する態度、大学の中の様々な仕事の中でCiRAマークの制作に関わることになった様子に触れることができる。
『美術館は眠らない』岩渕潤子(著)朝日新聞社 大学生の頃、授業中ある先生から「美術館に興味があるならこれを読んでみたら」と紹介され出会った本。筆者がアメリカの美術館での研修員時代の体験談を軸に、アメリカでの美術館を支える組織、社会のあり方が紹介されている。今とは時代背景は異なるが、美術館や博物館を運営する(もちろん展示を行うにも)仕事は多様な専門性があって成立していること、国によって異なる歴史や社会の仕組みが、美術館や博物館にもとても影響をすることを教えられた一冊。感染症の関係で、美術館や博物館にまつわる社会の仕組みも再編されるのではという目で読むこともできる。
京都大学総合博物館 准教授 塩瀬隆之 『ちいさなちいさな王様』アクセル・ハッケ他(著)講談社 わたしたちの国と人生が真逆で、たくさんの知識や先入観をそぎ落とし、どんどん好奇心あふれ、いたずら心であふれる最期を迎える国の王様の話。「可能性で埋め尽くされた想像の毎日を捨て、なぜ斯くもつまらない一つの正解だけを追う日々を生き急ぐのか」と王様にわたしたちの社会が笑われている。
『エンデの遺言』河邑厚徳(著)講談社+α文庫 ファンタジー童話『モモ』や『はてしない物語』で知られるミヒャエル・エンデの晩年の関心は、「お金を根源から問い直すこと」。お金がお金を生む投機的な世界に心を奪われた現代社会を風刺し、思想家シルビオ・ゲゼルの「老化するお金」を研究した。『モモ』の世界に登場する時間貯蓄銀行の灰色男は、あくせく働きすぎの現代社会を40年も昔から見透かしていた。
『木を見る西洋人 森を見る東洋人』リチャ-ド・E・ニスベット(著)ダイヤモンド社 問題を細分化する西洋流の要素還元的なモノの見方に対して、全体の調和を保とうとする東洋流のモノの見方こそが大切で、どちらかに優劣をつけようというのではない。大局観を失った近視眼的なモノの見方を揶揄する言葉であるが、それが心理的な差異にとどまらず、経済、法といった社会制度の好み、宗教観にまで影響を及ぼしていると指摘する。
『不実な美女か貞淑な醜女か』米原万里(著)新潮文庫 ロシア語通訳の米原万里が、要人通訳などにおいて意識した技術と視点を紹介する本。見栄えはよいが中身を伴わない文章と、見栄えが悪くも中身を正確にとらえた文章、使いこなす文章は常にその間を揺れ動いている。翻訳に限らず、あらゆる言葉の表現をするうえで、悩ましくも筋の通った考え方を示す。文章そのものも明解で極めて参考になる。
『バーバパパのがっこう』A・チゾン/T・テイラー(著)講談社 学校を舞台にしたバーバパパシリーズ。監視を強める学校に反発する個性豊かな子どもたちに手をやく大人。見かねたバーバファミリーが、ダンス好きな子、絵が好きな子、メカが好きな子それぞれの個性にあった学びをとどける。興味をもったところに、学校の数学の先生がかえってきて一緒に教え、結果として質の高い学びを得る物語。監視を強める学校教育への警鐘と言える。
———- 特別展「iPS細胞、軌跡と未来 こだわりの研究所を大解剖」デザイナー 東南西北デザイン研究所 石川新一
『生き物の建築学』長谷川尭(著)平凡社 泥臭い、生きるためのデザインをしたいと思った時に読むといい本
『さあ、横になって食べよう』バーナード・ルドフスキー(著)鹿島出版会 既成概念にとらわれていないか?と自分に問う時に読むといい本
『鯨尺の法則』長町美和子(著)ラトルズ 日本文化で癒されたい時に読むといい本
『Usefulness in Small Things』Kim Colin and Sam Hecht(著)Rizzoli アノニマス(無名性)デザインで参考になるいい本
『メイカーとスタートアップのための量産入門』小美濃芳喜(著)オライリー・ジャパン 私などデザインをする人が将来の野望ために読むといい本
———- 特別展「iPS細胞、軌跡と未来 こだわりの研究所を大解剖」デザイナー 奥村昭夫
『伊丹十三選集』伊丹十三(著)岩波書店 若い頃、伊丹さんの本は読む楽しみとともに、元気づけてくれました。 今、伊丹十三選集を楽しく読んでいます。
『瑞穂の国うた』大岡信(著)新潮文庫 文中の、夏目漱石の”レトリック など弄している暇はないはずだ、ア イディアがすべてだと思うよ、ということです。”の言葉に、製作の確 信を得てたびたび思いおこしています。
『常用字解』白川静(著)平凡社 常に手の届くところにあって、漢字と言葉の散策をしています。
『黒田泰蔵 白磁』黒田泰蔵(著)求龍堂 圧倒的に美しい白磁、緊張とすみきった空気を感じ、頭と心を研ぎす ましてくれます。
『大衆の強奪』セルゲイ・チャコティン(著)創元社 “戦争に対する戦争”のスローガンに代表されるように、伝える事の 本質と、言葉とシンボルの力を教えてくれました。
【プロフィール】 京都大学iPS細胞研究所 iPS細胞研究所所長の山中伸弥さんをはじめとした研究者の方々や、京都大学総合博物館で行われる特別展「iPS細胞、軌跡と未来―こだわりの研究所を大解剖―」の関係者の皆様が、ご自身の人生で現在に至るまでに「刺激を受けた本」の数々を紹介教えて下さいました。 それぞれコメントも頂いておりますので、これが皆様にも刺激となれば嬉しいです。 2006年に誕生し、2012年に「成熟した細胞を、多能性を持つ細胞に初期化出来る事を発見」した事により、山中伸弥/J・B・ガードン両氏が2012年のノーベル生理学・医学賞を共同受賞した事で、一躍再生医療の救世主と目されることになった「iPS細胞」。 そんな新たな存在を医療の現場に応用させる為の研究を行う「京都大学iPS細胞研究所(CiRA)」は2020年で設立から10周年を迎え、同研究所の軌跡と未来を記した『iPS細胞の歩みと挑戦』(東京書籍)も刊行されます。
会期 2020年5月11日(月)~2020年5月31日(日) 時間 営業時間通り 場所 蔦屋書店1号館 1階 ブックフロア 主催 代官山 蔦屋書店 共催・協力 京都大学iPS細胞研究所 東京書籍
問い合わせ先 03-3770-2525
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fujimoto-h · 7 years
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2017年の出来事と読んだ本と観た映画と年末と
 2017年もいよいよ終わる。今年は5月25日に母が63で亡くなるなどしたが、それ以前になにが起こったかまったく記憶にない。8時半(たまに11時)から21時やら23時やらまで働いたりしているせいだろうか。どうやら『ベルリン・アレクサンダー広場』のDVDboxや『サイタマノラッパー』ドラマ版のDVDboxを買ったまま一度も観ていないのは憶えている。  『文藝』のアンケート企画に「来たるべき作家」の一人として前の筆名で載っていたことも、春ぐらいのことかと思ったら7月だった。時期の記憶がだんだんいい加減になってくるのであった。  広島旅行やら島根旅行やら、あと『白��』30号を出して「アゴ���ク」という作品を載せ、先日ようやく同人誌評に取り上げられたが、褒められていない、というかそれ以前の問題。まあ、『白鴉』に載せた私の作品がこれまで全作品どこかしらで取り上げられつづけているという記録をまた更新できたのでこれでいいとする。そんなことよりもいま書いている作品が無事に仕上がることを祈る。  「アゴアク」についていただいた感想に、相変わらず主人公はどこまでも僻みっぽい、でもどことなく品位がある、というのがあったのを昨日思い出して、それはたぶん、私の描き出す主人公の、まわりの世界や世間に対するプロテストなのだろうなあ、などと考えたり。  あと、2017年の文学フリマ大阪に参加した『白鴉』では来年1月21日の文学フリマ京都と5月6日の文学フリマ東京へ参加することがすでに決定しております。両方とも言い出したのは私であり、私がいるのは確実です。
 読書関係だと内藤千珠子氏の著書がとても面白かったことや、長年の課題であったベケットがようやく読めるようになってきたこと、詩を読みはじめたことが大きい。ドゥルーズ=ガタリ『千のプラトー』もようやく読みはじめ、なんとか人間へ近づいていっている。来年早々に読んでしまって、長年の課題であるドゥルーズ『意味の論理学』に挑みたい。詩集であるていど稼いだ割に読了冊数73冊というのはどうかと思うが。冊数など関係ないと言われるだろうが、読みの浅い人間がせめて冊数がなければどうすればいいというのか。どうやら一般的に本をよく読むと言われている人物は年間300とか400とか読んでおられるらしいので、100にも満たない人間のベストなど不要だろう。  映画は毎年のことながら前半期になにを観ていたかすっかり忘れる。『アトミック・ブロンド』をもう一回ぐらいは観ておきたかった。これも映画好きを自称している人は年間平均500本は観ているようなので、本数ではなく回数にすることによって数字を稼ぐなどといういじましいことをしてもなお141などという、てんでお話にならない数字を出してしまう私などのベストになんの価値があるだろうか、ということでやらない。
 といったところで、来年もよろしくお願いします。
最近読み終えた本 ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『千のプラトー──資本主義と分裂症(中)』(河出文庫) 平田俊子編『詩、ってなに?』(小学館SJムック) 勝嶋啓太『今夜はいつもより星が多いみたいだ』(コールサック社) 岡田育=金田淳子=二村ヒトシ『オトコのカラダはキモチいい』(角川文庫) 平田俊子『アトランティスは水くさい!』(書肆山田)
最近観た映画 『すばらしき映画音楽たち』(マット・シュレーダー) 『KUBO──二本の弦の秘密』(トラヴィス・ナイト) 『シンクロナイズドモンスター』(ナチョ・ビガロンド) 『サウルの息子』(ネメシュ・ラースロー)
2017年の本と映画の記録。2016年はこちら。
読了本73冊
松浦寿輝『BB/PP』(講談社) 二村ヒトシ/岡田育/金田淳子『オトコのカラダはキモチいい』(KADOKAWAメディアファクトリー) パスカル・キニャール『アマリアの別荘』(青土社) 赤木昭夫『漱石のこころ──その哲学と文学』(岩波新書) 町山智浩『映画と本の意外な関係!』(集英社インターナショナル新書) 津島佑子『半減期を祝って』(講談社) トーマス・ベルンハルト『ある子供』(松籟社) 三宅隆太『スクリプトドクターの脚本教室・中級篇』(新書館) トーマス・ベルンハルト『石灰工場』(早川書房)通算4回。 内藤千珠子『愛国的無関心──「見えない他者」と物語の暴力』(新曜社)
ウィリアム・シェイクスピア『シンベリン』(ちくま文庫) 山本貴光『文体の科学』(新潮社) 『北の文学2016──北海道新聞文学賞、短歌賞、俳句賞』(北海道新聞社) 『シリーズ言語態(4)記憶と記録』(東京大学出版会) 小平麻衣子=内藤千珠子『21世紀日本文学ガイドブック(7)田村俊子』(ひつじ書房) 杉田敦『リヒター、グールド、ベルンハルト』(みすず書房) 内藤千珠子『小説の恋愛感触』(みすず書房) 内藤千珠子『帝国と暗殺──ジェンダーからみる近代日本のメディア編成』(新曜社) アルフレート・デーブリーン『ベルリン・アレクサンダー広場』(河出書房新社) アルフレート・デブリーン『ベルリン・アレクサンダー広場──フランツ・ビーバーコプフの物語』(ぷねうま舎)
ガブリエル・ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』(新潮文庫)2回。通算3回。 橋本陽介『物語論 基礎と応用』(講談社選書メチエ) アルフレート・デーブリーン『たんぽぽ殺し』(河出書房新社) ジャネット・ウィンターソン『オレンジだけが果物じゃない』(白水uブックス) カルロ・エミーリオ・ガッダ『メルラーナ街の混沌たる殺人事件』(水声社) チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』(河出書房新社) トーマス・ベルンハルト『消去──ある崩壊 新装版』(みすず書房)通算5回。 ロクサーヌ・ゲイ『バッド・フェミニスト』(亜紀書房) エルフリーデ・イェリネク『汝、気にすることなかれ』(論創社) 通算2回。 李珍景『不穏なるものたちの存在論──人間ですらないもの、卑しいもの、取るに足らないものたちの価値と意味』(インパクト出版会)
アーサー・ミラー『セールスマンの死』(ハヤカワ演劇文庫) 梁英聖『日本型ヘイトスピーチとは何か』(影書房) 山代巴 編『この世界の片隅で』(岩波新書) 岡本雅享『民族の創出──まつろわぬ人々、隠された多様性』(岩波書店) 岡本雅享 監修・編著『日本の民族差別──人種差別撤廃条約からみた課題』(明石書店) サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』(白水uブックス) 疋田龍乃介『歯車VS丙午』(思潮社) 稲川方人『形式は反動の階級に属している』(書肆子午線) サミュエル・ベケット『モロイ』(白水社) 辺見庸=目取真俊『沖縄と国家』(角川新書)
尹東柱『空と風と星と詩』(岩波文庫) サミュエル・ベケット『マロウンは死ぬ』(白水社) 稲川方人『封印』(思潮社) サミュエル・ベケット『名づけえぬもの』(白水社) サミュエル・ベケット『伴侶』(書肆山田 りぶるどるしおる) サミュエル・ベケット『見ちがい言いちがい』(書肆山田 りぶるどるしおる) サミュエル・ベケット『また終わるために』(書肆山田 りぶるどるしおる) サミュエル・ベケット『いざ最悪の方へ』(書肆山田 りぶるどるしおる) 『白鴉』30号 『星座盤』11号
『babel』創刊号 松浦寿輝『鳥の計画』(思潮社) 『時刻表』創刊号 田原『石の記憶』(思潮社) 田原『夢の蛇』(思潮社) 田原『そうして岸が誕生した』(思潮社) サミュエル・ベケット『蹴り損の棘もうけ』(白水社) 平田俊子『手紙、 のち雨』(思潮社) 高橋康也『サミュエル・ベケット』(白水uブックス) 平田俊子『戯れ言の自由』(思潮社)
ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『新訳 カフカ──マイナー文学のために』(法政大学出版局) 小野十三郎『冥王星で』(エンプティ) 稲川方人『2000光年のコノテーシ���ン』(思潮社) 川田絢音『白夜』(書肆子午線) 平田俊子『詩七日』(思潮社) ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『千のプラトー──資本主義と分裂症(上)』(河出文庫) 丁章『在日詩集 詩碑』(新幹社) トーマス・ベルンハルト『原因 一つの示唆』(松籟社) ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『千のプラトー──資本主義と分裂症(中)』(河出文庫) 平田俊子編『詩、ってなに?』(小学館SJムック)
勝嶋啓太『今夜はいつもより星が多いみたいだ』(コールサック社) 岡田育/金田淳子/二村ヒトシ『オトコのカラダはキモチいい』(角川文庫) 平田俊子『アトランティスは水くさい!』(書肆山田) 映画観賞回数141回
『この世界の片隅に』(片渕須直)3回。通算5回。 『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(ロバート・ゼメキス) 『ベストセラー──編集者パーキンズに捧ぐ』(マイケル・グランデージ) 『湯を沸かすほどの熱い愛』(中野量太) 『死闘の伝説』(木下恵介) 『マイマイ新子と千年の魔法』(片渕須直) 『ザ・コンサルタント』(ギャビン・オコナー) 『手紙は憶えている』(アトム・エゴヤン) 『マダム・フローレンス!──夢見るふたり』(スティーブン・フリアーズ) 『戦火の馬』(マリアンヌ・エリオット、トム・モリス)
『破門──ふたりのヤクビョーガミ』(小林聖太郎) 『ドント・ブリーズ』(フェデ・アルバレス) 『ドラゴン×マッハ!』(ソイ・チェン) 『ミス・シェパードをお手本に』(ニコラス・ハイトナー) 『92歳のパリジェンヌ』(パスカル・プザドゥー) 『マイ・ファーザー 死の天使──アウシュヴィッツ収容所人体実験医師』(エジディオ・エローニコ) 『MILES AHEAD──マイルス・デイヴィス 空白の5年間』(ドン・チードル) 『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』(マテイ・ミナーチュ) 『こころに剣士を』(クラウス・ハロ) 『ブルーに生まれついて』(ロバート・バドロー)
『ヒトラーの忘れもの』(マーチン・ピータ・サンフリト) 『MERU メルー』(ジミー・チン、 エリザベス・チャイ・バサヒリイー) 『沈黙 サイレンス』(マーティン・スコセッシ)2回。 『アイ・イン・ザ・スカイ──世界一安全な戦場』(ギャヴィン・フッド) 『クラッシャージョウ』(安彦良和) 『オアシス:スーパーソニック』(マット・ホワイトクロス) 『その街のこども』(井上剛) 『疾風スプリンター』(ダンテ・ラム) 『アリーテ姫』(片渕須直) 『アイヒマンを追え!──ナチスがもっとも畏れた男』(ラース・クラウメ)
『モアナと伝説の海』(ロン・クレメンツ、ジョン・マスカー) 『AKIRA』(大友克洋) 『SING』(ガース・ジェニングス)2回。 『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(押井守)2回。 『キングコング──髑髏島の巨神』(ジョーダン・ヴォート=ロバーツ) 『ショコラ──君がいて、僕がいる』(ロシュディ・ゼム) 『ドライヴ』(ニコラス・ウィンディング・レフン) 『殺しの烙印』(鈴木清順) 『ゴースト・イン・ザ・シェル』(ルパート・サンダース) 『東京流れ者』(鈴木清順)
『ラ・ラ・ランド』(デミアン・チャゼル) 『未来を花束にして』(サラ・ガブロン) 『牯嶺街少年殺人事件』(エドワード・ヤン) 『マグニフィセント・セブン』(アントワーン・フーク) 『美女と野獣』(ビル・コンドン) 『ナイスガイズ!』(シェーン・ブラック) 『ラビング──愛という名前のふたり』(ジェフ・ニコルズ) 『乱』(黒澤明) 『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(ジャン=マルク・ヴァレ) 『お嬢さん』(パク・チャヌク)
『たかが世界の終わり』(グザヴィエ・ドラン) 『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』(ファイト・ヘルマー) 『哭声』(ナ・ホンジン) 『わたしは、ダニエル・ブレイク』(ケン・ローチ) 『ライオン──25年目のただいま』(ガース・デイヴィス) 『彼らが本気で編むときは、』(荻上直子) 『アシュラ』(キム・ソンス) 『ゆれる』(西川美和) 『花戦さ』(篠原哲雄) 『ディア・ドクター』(西川美和)
『ジャッキー──ファーストレディ最後の使命』(パブロ・ラライン) 『エンディングノート』(砂田麻美) 『ムーンライト』(バリー・ジェンキンス)2回。 『百万円と苦虫女』 (タナダユキ) 『溺れるナイフ』(山戸結希) 『ウルトラミラクルラブストーリー』(横浜聡子) 『はらはらなのか。』(酒井麻衣) 『美しい星』(吉田大八) 『T2 トレインスポッティング』(ダニー・ボイル) 『未来よ、こんにちは』(ミア・ハンセン=ラブ)
『カフェ・ソサエティ』(ウディ・アレン) 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(ケネス・ロナーガン) 『光』(河瀬直美) 『武国』(熊切和嘉) 『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(ガブリエーレ・マイネッティ) 『ハクソー・リッジ』(メル・ギブソン) 『セールスマン』(アスガル・ファルハーディー) 『海辺のリア』(小林政広) 『おとなの恋の測り方』(ローラン・ティラール) 『海辺の生と死』(越川道夫)
『ヒトラーへの285枚の葉書』(ヴァンサン・ペレーズ) 『ダンケルク』(クリストファー・ノーラン) 『ジョン・ウィック:チャプター2』(チャド・スタエルスキー) 『ベイビー・ドライバー』(エドガー・ライト) 『ザ・ドライバー』(ウォルター・ヒル) 『彼女の人生は間違いじゃない』(廣木隆一) 『ファウンダー──ハンバーガー帝国のヒミツ』(ジョン・リー・ハンコック) 『ボブという名の猫──幸せのハイタッチ』(ロジャー・スポティスウッド) 『ライフ』(ダニエル・エスピノーサ) 『ありがとう、トニ・エルドマン』(マーレン・アデ)
『20センチュリーウーマン』(マイク・ミルズ) 『ロックンロール・ハイスクール』(アラン・アーカッシュ) 『少女ファニーと運命の旅』(ローラ・ドワイヨン) 『新感染』(ヨン・サンホ) 『ローマの休日』(ウィリアム・ワイラー) 『あしたは最高のはじまり』(ユーゴ・ジェラン) 『ザ・ウォール』(ダグ・リーマン) 『スペース・レイダース』(ハワード・R・コーエン) 『麗しのサブリナ』(ビリー・ワイルダー) 『アンタッチャブル』(ブライアン・デ・パルマ)
『おしゃれ泥棒』(ウィリアム・ワイラー) 『メッセージ』 (ドゥニ・ヴィルヌーヴ) 『デス・レース2000年』(ポール・バーテル) 『夜明けの祈り』(アンヌ・フォンテーヌ) 『幼な子われらに生まれ』(三島有紀子) 『RE:BORN』(下村勇二) 『エタニティ──永遠の花たち』(トラン・アン・ユン) 『50年後のボクたちは』(ファティ・アキン) 『パターソン』(ジム・ジャームッシュ)3回。 『コーヒー&シガレッツ』(ジム・ジャームッシュ)
『ドリーム』(セオドア・メルフィ) 『ハイドリヒを撃て!──「ナチの野獣」暗殺作戦』(ショーン・エリス) 『ブルーム・オブ・イエスタデイ』(クリス・クラウス) 『スイス・アーミー・マン』(ダニエル・シュナイナート/ダニエル・クワン) 『ロスト・イン・パリ』(ドミニク・アベル/フィオナ・ゴードン) 『リングサイド・ストーリー』(武正晴) 『はじまりのうた』(ジョン・カーニー) 『ELLE』(ポール・バーホーベン) 『散歩する侵略者』(黒沢清) 『アトミック・ブロンド』(デヴィッド・リーチ)
『審判』(オーソン・ウェルズ)通算2回。 『バリー・シール──アメリカをはめた男』(ダグ・リーマン) 『三度目の殺人』(是枝裕和) 『セザンヌと過ごした時間』(ダニエル・トンプソン) 『スモーク』(ウェイン・ワン) 『ゲット・アウト』(ジョーダン・ピール) 『鉱 ARAGANE』(小田香)2回。 『すばらしき映画音楽たち』(マット・シュレーダー) 『KUBO──二本の弦の秘密』(トラヴィス・ナイト) 『シンクロナイズドモンスター』(ナチョ・ビガロンド)
『サウルの息子』(ネメシュ・ラースロー)
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bokonone · 7 years
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2014年6月5日 NHK FM「ミュージックライン」(21:10~22:45)
2014年6月5日 NHK FM「ミュージックライン」(21:10~22:45) 【パーソナリティ】 【ゲスト】遠藤賢司 平田裕香(以下、平)「自己紹介お願いできますか」 遠藤賢司(以下、遠)「いやいや遠からん者は 音にも聞け            近くばよって 目にも見よ              我こそは 千代に八千代に 我が代の男                姓は遠藤                                          名は賢司                                          人呼んで 天下御免の純音楽家エンケンなるぞ!                                          してある時もこの時も不滅の男ー!!・・・です」 平「ふふ(笑)遠藤賢司さん。純音楽家というのはどういう意味で   捉えたら良いでしょうか」 遠「簡単に言うとロックとか演歌とかクラシックとか   良い音楽は何でも良いのね。   良い音楽は何でも良いという観点で、良ければ、   その人が好きだったらなんでも良いんだよね。   僕はなにしろ全部取り入れてやりたいんだよね。   純粋に、フォークとかロックとか分けをせずに、   自分がやりたいように純粋に音楽としてやりたいという意味と、   あともう一つは音楽はやっぱり言葉と音が一致してないと駄目だから。       言音一致の純音楽、家、と言っています」 平「言音一致の純音楽家!」 遠「生きてる人は一人一人芸術家だと思ってるし、   一人一人音楽家なんですよね。   例えば悲しい時にはとぼとぼと歩くでしょ。   嬉しい時にはランランと歩いて。   悔しい時にはコンチクショーと。物凄い偉大なドラマですよ」 平「単純な動きが、というところがですか」 遠「そういう意味も含めて誰もが言音一致の純音楽家だと思ってます。   その中の僕は一人です。 世界中の人が皆、純音楽家です。   何かあった時は、悲しいことがあった時は   自分の胸の中に音楽が流れるでしょう。   嬉しい時は、ああ良かったなって流れるでしょう。   音楽はあらゆる創造の原点だと思ってます」 平「そんな遠藤賢司さんに今日はお越し頂きました」 遠「今日は呼んでくれてありがとう。よろしくお願いします」 平「そんな遠藤賢司さん。1969年デビューということで、45周年!   1969年といえばNHK-FMの本放送がスタートした年なんですが。   当��の音楽というのは、今ではネットであったりとか   すぐ売れてるものは聴けたりするんですが、   その遠藤さんの当時ではどうやって好きな音楽であったりとか   気になる人の情報であったりとかを得ていたんですか?」 遠「AM放送が普通にあったんですよ。FMは確かに後から出来ましたね。   普通にラジオで聴いてましたよ。   家にテレビが来たのは高校生くらいの時ですけど。   中学くらいの時にテレビの放送が始まったのでテレビでも見ました」 平「音楽番組もあったんですか?」  遠「勿論ありました。今よりもっとありましたよ。   ジャンルが全く無くて、プレスリーもジャズもラテンもクラシックも   何でも流れてましたね。映画音楽だけの番組であったりとか。   どっかのラジオ曲を回せば、演歌も含めて何でもガーッっと流れてましたね」 平「その当時はレコードとかが主流だったんですか?」 遠「レコードだね。CDも全く無くて」 平「じゃあこの歌良いな!覚えたい!って思ったら   レコード屋さんに行って探す・・・」 遠「それしか無いね。でもレコードを買うってお金が当時は高いから、   そんなに簡単には買えなかったけど。   大人の人は買えたとは思うけど俺は特に買えなかった」 平「じゃあ覚えて、自分で弾いて・・・」 遠「いや、覚えて弾くとか全然意識が無かったね。   なにしろ当時ギターを弾けなかったから、   ただ良い曲だなあ!って色んな音楽を吸収したような気がする」 平「遠藤さんがギターを始めたのは幾つ位の時だったんですか?」 遠「18かな?・・・19かな?」 平「ギターとの出会いって何がきっかけだったんですか?」 遠「ボブ・ディランのLike a Rolling Stoneを聴いて、   俺もなにかやりたいと思って。   音楽は物凄く聴いてたんだけど全く弾けないし。   何かをやりたいと思ってその時俺は高田馬場の2畳の部屋に住んでて。   何かをやりたいと思って目の前にどーんと浮かんだのは、   なんだか知らないけど彫刻だった。さあコレを彫れと、   でっかい石が落ちてきたんだよ」 平「え????(笑)」 遠「頭の中だとは思うんだけど、そういうのをやるのかなあと思った。   ボブ・ディランのLike a Rolling Stoneを聴いて。   ギターも弾けなかったから大学入って   友達にボブ・ディラン好きな人がいて、   ギターを教えてくれてそれで始めるようになった」 平「始めはその友人のギターを借りたりして」 遠「古賀政男の古賀ギターというのがあって、結構憧れてたね。   マーチンとか全く知らなかったね」 平「マーチンというのは海外のものじゃないですか。   日本では高価い物だったのですか?」 遠「高かったねえ。ギターをやり初めて自分の曲をやり始めた時は   ヤマハのギターで作ったんだけど、古賀ギターを弾いて覚えたね。   古賀ギター見せてあげたいよ。   古賀政男の顔は知らない?凄く良い作曲家なんだよ。偉大な作曲家。   その人は有名だからその人のギターをどっかが作ったんだね。   ギターのホールを覗くとその人の顔が貼ってあるの。   憧れたんだよ。3500円位かな?」 平「今とお金の価値もまた違うし・・・」 遠「そうだね」 平「スタジオにギターを持ってきて頂いて   1曲演奏して頂けるということで。曲紹介お願いします」 遠「カレーライスという曲をやります」 カレーライス生演奏。 平「スタジオの照明も暗くしての演奏だったのですが、   どうですか?演奏されてみて・・・」 遠「えっとね・・・気を使ってくれてありがとう。   大丈夫です。バッチリいきました」 平「ハーモニカの方も、ブルースハープ・・・ちゃんと勢いよく   吹いてる感じはしなかったのですが、音が出ていて・・・   声も、おしゃべりしてる感じとはまた雰囲気も違って、   囁くようになんだけどちゃんと音になっていて、   私も声を使うお仕事をさせて頂いているんですが、   小さい声を出そうとするとウイスパーになって   息だけになってしまうんですけど、   ちゃんと音が出ているということは   それだけ筋肉がついているんだろうと・・・」 遠「いや、考えたこと無い。   俺は極端に激しい曲もあるから、   まあ出そうと思って出してるだけだね。俺はね」 平「純音楽家として表現のひとつとしての、   喉を楽器として扱ってのそういう表現になってるんですかね?」 遠「考えたこと無い。ただ単に、同じ意味かもしれないけど、   自分でこうしたいなこの曲は。自分に聴かせたいなってあるわけ。   どんな激しい曲でも。俺は人の為に歌ってないんだよね要するに」 平「冒頭で少し話をして頂きましたけど、   人それぞれ気分が良い時にはルンルンだったりとか、   自分の気持ちを表現する時の為のひとつの手段というわけですか?」 遠「そうですね。俺はそうあるべきだと思ってる。   いろんな考え方の人がいるだろうけど   まずは自分に聴かせなかったら、   俺が先ず納得しなかったら聴いてる人は納得しないよね。   俺自身が納得した時に。   人間として他の人に伝わるかどうかが音楽もそうだし物作りの根本だと。   それが物作りの基本だと思うね」 平「じゃあこれを聴いた人はどう思うんだろうとか   こういう歌詞を書いたら喜んでもらえるかなっていうところではなく・・・」 遠「俺が喜べば良いんだよ」 平「わぁ~!」  遠「それが一番正しいと思うよ」 平「シンプルですよね!」 遠「初めから人の為だとか言って、作るんじゃ俺は駄目だと思うね。   それは逃げてる。ズルイと思う。   よく「皆さんの為にやります」とか言うじゃない。   でも俺も当然人の前でやるからには聴いてくれる皆が   元気になってくれれば嬉しいなあとは思うよ。   でもそれ以前に「皆さんの為にやります」っていうのは卑怯だ。   さっきから言うように自分が楽しくなかったら通じないって。   物作りの、創造の彫刻だろうが何だろうが   「コイツ本気で彫刻彫ったんだな、絵を描いてんだな」って。   岡本太郎がそうじゃない。   一生懸命描いてるんだなって言う気持ちが伝わるんだよ。   そこで勝負すべきだよね。全ての芸術家はそこで勝負すべきだ。   自分がやりたいことやった時に、   人数が少ないだろうが多いだろうが   「良いね」「良かったよ」「気持ちよかったよ」「元気なったよ」って   言われるかだよ。そこが勝負だよ」 平「はい。人数じゃないわけですよね。一人でも伝わってくれれば・・・」 遠「一人は先ず自分だけどね。一人目が自分なんだけどね」 平「それをハッキリ言えるというのは凄い・・・」 遠「それしかないよね」  平「経験だったりが重なっての言葉だと・・・」 遠「いや経験じゃないよ。俺それしかないんだよね」 平「ずっと」   遠「じゃないと卑怯だと思うわけ。   俺は音楽でお説教もしたくないし、   俺はこうやるから皆も頑張れよとかそういうことは言いたくない。   俺はこうやって頑張ってるんだよって自分に歌った時に、   聴いてる奴が納得するかどうかだよ。   しつこいけど、そこが物作りの根本で、   この国はそこから始めたら良いんだよ。   人の為になんかやってほしくないね」 平「まだ私にとっては若輩者なので難しいところではありますが   ・・・そこを目指していきたいと思います」 遠「(笑)俺も若輩だけど・・・   でも俺は、そこからこの国は出発した方が良いよ。   フォークだとかロックだとかで音楽を分けて、   映画でも色んな映画があるじゃない。良い映画は良い映画なんだって   捉え方をする国じゃないとおかしいよ。   フォークだから良いロックだから良いクラシックだから良いという」 平「ことじゃなくて」 遠「そう言ってるうちはその人は知らないんだな。   本質を知らないと思う」 平「これだけは聞いてこいと言われたので、ひとつ聞いて良いですか。   日本の音楽を今どのように遠藤さんは見ていらっしゃいますか?」 遠「俺はもっと象形文字で歌って欲しいね」 平「象形文字?」 遠「普通に話してて漢字も仮名も含めて、   簡単に言うと空があるっていうじゃない。   空と言った時にはSKYとは思わないじゃない。これ大きいよ。   だから向こうの奴がSKYって言った時には   決して空とは思わないじゃない。   日本の人は空とは歌っても   SKYと聴いてほしくて歌ったりもするんだよね。   象形文字はきれいだから、青空!って言ったら絵柄が出るじゃない。   それを大事にして欲しいよね」 平「言葉、という物の持つ本来の伝えるっていう意味ですよね」 遠「自分が何に対して歌うかってことだよね。   自分に歌う時に青空って言ったら   自分の心の中に青空が広がるじゃない。   SKYったら広がらないよね」 平「私も日本でしか生きていないので・・・」 遠「大事なことだと思うけど・・・それが言いたいし、   若い奴にいっぱい良い空気を吸ってほしい。赤ちゃんとかね。   日本って綺麗でもっとおいしい国だったんだよね」 平「今は違いますか?」 遠「勿論違うね。そりゃ全然違うよ。取り戻してほしいね。   それで恋をして欲しいわ」 平「恋!」 遠「ほんとに」 平「新しくリリースされたばかりのニューアルバムタイトルは【恋の歌】」 遠「上手く繋がりましたね!」 平「45年経っても変わらない恋の歌を。   ラブソングを歌い続けてる遠藤さんですが、   最近の人たちにも恋はし続けてほしい」 遠「してほしい。137億年前から、凹と凸で始まったこの宇宙だから。   この瞬間も街角で誰かがキスしたりするわけじゃない。   そこから全ては始めるんだよね。創造もそこから始まる。   まあ気にしないで。俺勝手なこと言ってるから(笑)」 平「いえいえ、なんかこのニューアルバム【恋の歌】の中でも率直に   心の中で思っていることがこぼれるように歌詞になっているんですが、   中学生の遠藤少年・・・」 遠「『どうしてそんなに可愛いの』ですか」 平「恋の仕方って年と共に変わってくるものではないんですか?」 遠「変わらないと思うよ」 平「変わらないですか?」 遠「変わるようじゃ駄目だね」 平「何故?!」 遠「スケベだから」 平「そっかぁ」 遠「男はスケベだから。女もスケベじゃない。   プラスとマイナス、凹と凸はそういうことだね。   大事にした方が良い。別に恥ずかしいことでも何でも無いよ。   そっからしか物は出てこないよ」 平「でもカッコつけたいなって思うことがあったり・・・」 遠「あるよ。そりゃあるよ。でも音楽は何をやっても良いじゃない。   何言ったって良いけど、お説教だけはやめた方が良いよね。   音楽でね。俺は恋の歌以外はお説教だと思ってる。   『恋の歌』っていう13分くらいの曲があって、その中で言ってるんだけど」 平「本当に率直にさっき言っていた凸凹、プラスとマイナス、みたいなことで。   一生懸命男の子があなたが好きだと言って、女性も私もよ、と応えて」 遠「そんなことかもしれない。例えばよく言う、反体制だとかね。   ロックは反体制だとか言う人いるじゃない。   そういうのあんまり好きじゃない。   人間ってさっきも言ったけど一人一人が芸術家だし、   一人一人が偉大な音楽家だし、皆のた打ち回って生きてるんだよね。   そんな人にお説教なんかする必要ないよ。   皆反体制だし哲学家だし、自分の考えで動いてる。一人一人、哲学だよ。   極端に言うと道路で次どこで曲がろうかとか、   何時までに帰らなくちゃとか。ちょっと早めに帰ろうとか、全部哲学だよ。   だからそういう人達にお説教する必要は無い。   俺はおいしい空気をいっぱい吸って、恋をして、自分の仕事をして欲しいよ」 平「今回リリースされたアルバムですが、この中で私的に好きな曲ありまして。   湯川潮音さんが参加された「小さな日傘と大きな日傘」壮大なスケールで、   物語もあるんですよね。歌を歌っている部分って長くは無いんですが・・・」 遠「僕はピアノを弾いてて、湯川潮音ちゃんがボーカルだけやって」 平「何故湯川さんとやろうと思ったか聞かせて下さい」 遠「湯川トーベンが僕のバンドのベースで、その人の子どもなんだよね。   潮音ちゃんが幼稚園の頃から知ってて、   でも立派にすごく綺麗な声で歌う子になって。   綺麗な声だから、やってもらいたいなと思って」 『小さな日傘と大きな日傘』流れる。 平「これも湯川潮音さんも歌を歌うと言うかは、   本当に言葉を紡ぐ様に出している音が声が、本当に素直に胸に響いたので」 遠「絵柄が出てくるでしょう。象形文字で描いてるんだよね」 平「映像が浮かびますよね」 遠「日傘ってのはすごいなって思ってて。   俺はずっと日傘って女だと思ってるの。   ウチの妹がいて仲が悪くて亡くなっちゃったんだけど、   妹がもういよいよ駄目だって時に、でも妹は駄目だってこと知らなくて、   何が良いかなと思って俺は「日傘だな」と思って。   持って行ったら凄く喜んで仲直りして。やっぱり日傘なんだなと思って。   日傘を背中に持って散歩する女の人は綺麗だと思う。   それが根底にあって、あとは小さな日傘と大きな日傘っていうのは   3.11の・・・歌詞の小冊子には亡くなったお母さんが子どもに逢いに来て   海岸通りを日傘をくるくる差して散歩するという曲なんだよね。   その後ろには世界中のお母さんと子どもが数限りないくらい   ず~っと繋がっていくんだよ。   俺の頭の中にそういう絵柄があって   ピアノを弾いて作ろうってんじゃない、   物凄く急に弾きたくなってその絵柄が出てきて泣いたね自分で。   世界中の悲しい話が沢山あるじゃない。   その世界中の女の人達が福島の海岸を皆繋がっていくんだよね。   という映像があって脚本の方はもっと旦那の話とか全部書いてあって   亡くなったお母さんがどこから登場するとか全部書いてあって。   お母さんは28で小学1年生の女の子という設定で。   作ったんですけど・・・それが気に入ったんですか?」 平「この歌凄く好きでした」 遠「ありがとう」 ライブ告知の後、曲紹介。 遠「この歌は女優さんがいて、僕は会った事無いんだけど、   その人がテレビでカレーライスが好きだと言ってくれた話を   友達から聞い教えてくれてそれで作ったんだけど。   おいしい空気を吸って、沢山恋をしてほしいなという   願いを込めて作った曲です」 『44年目のカレーライス』流れる。ゲストコーナー終了。
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manabiya-kuebiko · 5 years
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「まとまらない人」「我が詩的自伝」
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くえびこ文庫に新しく入った本のご紹介です。
坂口恭平という人物をご存知でしょうか。建築家、作家、歌手、絵描きなど広い活動領域をもつ芸術家です。僕がこの人の名前を初めて知ったのは、ハッキリ覚えていて、海外の旅から帰国した2015年の秋に(スワローズが優勝した年でした)東京を訪れた際、青山ブックセンターでこの人の特集が組まれており、その著作が平積みになっているのを見たときでした。その時は「建てない建築家」というようなフレーズが目に入り、手にとってパラパラめくってみただけでした。
それから時が経ち、塾を開いて、広報の一環としてTwitterを始めた時、この名前を再びよく目にするようになりました。そこで以前と違い、この人に興味を抱く決定的なきっかけがあるのですが、それは彼の多岐にわたる活動のひとつである「いのっちの電話」という自殺予防活動を知ったことでした。
坂口さんは自身が躁鬱病を患っており、鬱状態に入ると自殺願望に取り憑かれてしまい、布団から出られなくなると公言しており、その経験からか、希死念慮に憑かれている人の話し相手になることで、自殺を防ごうと活動されています。電話番号を公にし、無償で行われるその活動を通じて、2万人ほどの人と話した、という坂口さんの言葉に、一瞬立ちくらみのようなものを覚えた僕は、それ以来この人への興味が尽きない状態になっていました。
そして先日、昨年末に出版された語り下ろし本「まとまらない人」の出版記念ツアーが行われるとのことで、広島までいそいそ話を聞きに行きました。それはもう、とんでもないライブで、終演後すごく元気になれたのですが、その感動は字面で伝えうる自信も筆力もないので、ここには書きません。ただ坂口さんの「声」が、これは救われる人もいるよな、と思えるほど、安心感のある、懐かしい、小学生の頃のいっつも面白い遊びを考えついてくる友達、みたいなそんな声で、そのことが強く印象に残ったのでした。 帰りのバスの中で、紀伊國屋で買った詩人・吉増剛造の自叙伝を、フランク・オーシャンを聴きながら読んでいたのですが、ここにもたくさん「声」にまつわる話がありました(フランク・オーシャンの声も凄い、、)。どちらも少しずつ引用してみます。
「まとまらない人」から。
小説でも、歌でも「声」を出そうとしてるんだよ。最終的な僕の目標は、声だけにいこうとしてるみたい。(…)「おい!」(すれ違う友人に軽く手を挙げ声をかけるような朗らかなトーンで)って人に声をかけるくらいの声を出したい。僕はああいうものの価値を見出してる。それで人は元気になる。いのっちの電話で僕の声を聞いただけで、泣いて、電話切るんだから、みんな。P39
みんなコミュニティーばっかつくろうとするから、俺はただコミュニケーションだけを、コミュニティーを作らずにやりたいという感じです。コミュニケーションっていうか、言語の交換だけを徹底させるっていう。(…)社会っていうことは、言語が途中でダラダラになっちゃうんですよね。(…)それだと絶望とか失望状態の、いちばん敏感な状態のときに、いい感じの会話ができないんですよ。P65
また創作することについてはこんなことも。
つくったものが評価されて、それで食っていくためにつくるんじゃない。「私はたった一つの現実なんです」と言い切ろうとしている現実に対して、そうじゃないでしょ、と声をかけるためにつくる。そうやって考えると、自分だけの問題じゃなくなってくる。P39
つくっても、つくっても、自分は確立されないからね。経験談としてわかる。どんどん揺れていく。それも大変。(…)つくっても自分のものだと感じられない。でもそういうふうに自分を確立することを諦めるっていうか、そうじゃない道があると感じたとき、そこに新しい健康の芽を感じたけどね。P33
また、以下は吉増剛造の自叙伝「我が詩的自伝 素手で焔をつかみとれ!」(講談社現代新書)から。
(子どもの頃)自分が声を出すっていうこと、声が出るっていうことに対して非常な興味を持っていた。2歳か3歳の子どもってそうだよね。それも依然として僕は覚えてる、僕の喉が覚えてる。P64
やっぱりここにギンズバーグの「Howl(吠える)」がある。「Howl」の朗読を聞いてるわけ。声から聞いてる。ボブ・ディランも声から聞いてて、こんなふうにして語られる声の浮遊状態っていうのかな、こんなのあるかと思ってさ。そのころ岡田たちと勉強してて、「万葉集」なんかを読んでた時にも、柿本人麻呂からとんでもない声が聞こえてきて、ああ、これが人麻呂かと思った。P94
決定的だったのは柳田(國男)さんの語り口、声だね。それはね、幼いときの記憶を呼び出すときの思考の瑞々しさだった。すべて別のトーンだけど折口さんにも小林さんにも、それぞれ思考の瑞々しさがあるのね。柳田さんの場合には、僕は一生それとつき合った。P278
ライブで坂口さんも、ディランの歌ってることなんてひとつもわかんないけど、師匠なんだと言っていました。そして「A Hard Rain's A-Gonna Fall」の日本語カバーを歌われました。「声」なんですよね。
坂口さんの本は、思想の本として読んでも十分にアクチュアルで厚みのある内容なので、広く読まれるといいなと思います。でも、あの声は本当なら生で聞いてみたほうがいいのかもしれない。声を聞いただけで、泣いて元気になっちゃう、というのはあながち、いや全然嘘じゃないなと思うかもしれませんよ。
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学び舎・くえびこ
〒690-0875 島根県松江市外中原町64−1
TEL : 070-2659-3753 (堀本)
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69creator · 2 years
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𝕝𝕟𝕤𝕥𝕒𝕘𝕣𝕒𝕞をご覧の皆様。 こんばんは。 ⁡ ⁡ キャベツ太郎をずっと キャベツ味のお菓子だと 思ってました。 ⁡ どうも、僕です。 ⁡ #ヨコノヘアカタ #マワルヘアカタ ⁡ ⁡スタイル解説‼️ ちょっとだけレイヤー いれてみたボブです。 ⁡ ⁡スタイリング‼️ 外ハネも 内巻きも 波巻きも 春巻きも…🤯 ⁡ アイロンのスタイリングで 色んな雰囲気が楽しめます。 ⁡ ⁡ バリエーション楽しみたい方に おすすめです。 ⁡ 僕の中の髪型を決める際に 重要視する3大ポイントは☝️ ①やりたいかやりたくないか ②似合うか似合わないか ③オシャレかオシャレじゃないか * この投稿を見たあなたの髪を切るのは… オレかオレ以外か…は違うか(笑) ♚ 今、目の前の担当している お客様にとって何がBESTなのか🧐⁉️ 四六時中考える服部です。 よろしくお願いします🙇‍♂️ * ヘアを自分史上最高にカワイクして 毎日ハッピーな毎日を 僕と一緒に始めませんか…💓 ✩ たくさんのお客様のヘアパートナーに なりたい!! ✯ ✩ #僕のセブンルール 【レディ編】 【ユウイチの7⃣ルール】 1⃣髪の生え方や癖を見る 2⃣頭の骨格を感じる 3⃣顔立ちを見る 4️⃣鏡越しに表情などをみる 5⃣前髪、顔周りは特に丁寧に仕上げる 6⃣椅子を回して360度のシルエットチェック 7⃣『僕の目をみて』と正面から質感チェック ★ ☆ △夢中になってるア��リのアカウントI.D. ▼Instagram:69_top_of_creator_96 ♢Tik Tok:6_hairdresser_9 ⿴ZEPETO:3XD7F6 ⿻YouTube:服部裕一のゆうチャンネル フォローしてくれたら飛んで喜ぶ。 ⿸ 【Hair menu】 cut…4500 color:retouch…5800 fulllengthcolor…8000~ doublecolor…15700~ medicalcolor…7300~ pointbleach…3600~ perm…9900~ medicalperm…16500~ pointperm…4000~ treatment…3000~ headspa…5000~ ※料金は税別+長さにより変わります。 ♡ヘアスタイル創りのコンセプト↓ ♥髪は作物、頭皮は畑、カットは剪定。 ♡ #名古屋 #名東区 #名古屋カフェ #名古屋美容師 #zele一社 #madeinゆういち #名古屋のyoutuber美容師 #毛束つまみがちな人 #僕にしか出来ないヘア #似合わせカット #オシャかわ #シースルーバング #デザインカラー #コテ巻きパーマ #レイヤースタイル #グレージュ #オルチャンヘア #perm #be容師 #レア髪 #認知されたい #いいねコメントフォロー待ってます #頭は丸い #髪は動いてこそ美しい #ホットペッパービューティー ✩ ZELE一社( ✧Д✧) カッ @69_top_of_creator_96 愛知県名古屋市名東区一社1-87 ユウトクビル2階 ☏052-709-4100 営業時間 平日*土曜日 10:00~19:00 日曜*祝日 9:00~17:00 今までイメージ通りの髪型になったことのない方😫 自分に似合う髪型が分からない方🧐 ぜひお気軽にDMでご相談下さい👍 #服部裕一 ✩ お電話予約の際は あなたの綺麗を叶える魔法の合言葉は 『服部さんのインスタを見た!』ですよ。 特典があるかもしれませんよ。 ✩ トップのリンクから ホットペッパーのWeb予約出来ます!! おかげさまで口コミ高評価増えてます。 ありがとうございます。 (Nagoya-shi, Aichi, Japan) https://www.instagram.com/p/CkX9TVlP-D2/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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team-ginga · 5 years
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志賀直哉旧居からフェスティバルホールへ
 今日は朝から奈良の志賀直哉旧居へ行って、「白樺サロンの会」で「アルベール・カミュと母親ーー戯曲『誤解』を中心に」と題する講演をしてきました。
 「白樺サロンの会」でお話をするのは、今年で5年目かな。そもそも志賀直哉ゆかりの場所でなぜ私のようなフランス文学者が話をするのかという疑問はありますが、最初は『異邦人』について、次の年は『ペスト』について、次の年は『転落』について、昨年は『カリギュラ』について話したので、今回は『誤解』というわけです。
 30人余り(だったと思います)の方々が志賀直哉旧居のサロンにおいでくださり、熱心に話を聞いてくださいました。
 年齢層は結構高めーーというかかなり高く、『カリギュラ』の初演でジェラール・フィリップが主演したとか、『誤解』の稽古中にカミュはマリア・カザレスと愛人関係になったとかいう話が通じるのが嬉しかったです(大学生相手だと、「え? だれ?」となりますから)。
 5年前は参加者は10名程度だったでしょうか。徐々に認知度が高まったのかどうかはわかりませんが、それが3倍になったと思うと、感慨深いものがあります。
 特に一人の方はその場で9月22日の『リハーサル』に予約を入れてくださり、さらに別の講演のオファーまで頂戴しました。ありがたいことです。
 改めて思いましたが、奈良はいいところです。
 何がいいって、鹿がいたるところにいるのがいい。
 でも、私は知っていますーーあいつらかわいい顔して、実は獰猛だということを。随分昔、お正月に奈良に行ったとき、おろしたてのコートのポケットをあいつらに食い破られましたから。
 それからお土産に���仕事に行ってお土産もないですが)柿の葉寿司を買って、一旦帰宅して、夕方から妻と一緒に大阪フェスティバルホールの山下達郎のコンサートに行きました。
 いやあ、すごい。かっこいいのひとことです。
 山下達郎って、その、なんというか……ルックスがちょっとアレじゃないですか。でも、かっこいい。人間は「顔」じゃないということがよくわかりました。
 なにより素晴らしいのがあの声。3時間半歌い続けて全く疲れを見せないのですから、大したものです。あれで66歳とは、信じられません。
 驚いたことがいくつかあります。
 コンサートに行く前、「絶対に歌わないだろう」と妻と話していた曲が2曲あります。一つは「クリスマス・イブ」。名曲ですが、季節はずれですから。もう一つは「ドーナツ・ソング」。あれはミスター・ドーナッツのCM曲だから歌わないだろうというのが妻の意見でした。
 でも2曲とも歌いました(やっぱりたとえ季節はずれでも「クリスマス・イブ」は聞きたいですよね。「ドーナツ・ソング」に関しては、コンサートの帰りに駅前のミスター・ドーナツの横を通ると、ちょうどその曲がかかっていて、妻と顔を見合わせて大笑いしました)。
 また、山下達郎が夫人の竹内まりあの曲をメドレーで歌ったことも驚きました。しかも、そのあと竹内まりあの最新CDの広告までしていました。うーん、夫婦愛……なのかなあ。
 観客は全体に年齢層が高く、我々と同年輩の(ということはアラ還の)夫婦が多かったのですが、みんなしょっちゅう山下達郎のコンサートに来ているのでしょう、ラストの曲のある箇所で一斉にクラッカーを鳴らしていました。
 そうかあ、お約束なんですね。知りませんでした。
 一番驚いたのは「僕らの夏の夢」の中に英語の歌詞を入れ込んできたのですが、その中に How many roads must a man walk down ? The answer is blowing in the wind というのがあったことです。
 妻はわからなかったようですが、私は「えっ?」と思わず声を出しました。
 もちろんボブ・ディランの「風に吹かれて」の一節です。
 なるほどそうきたか……
 正直やたら英語を使いたがるのは少しどうかと思いましたし、途中アカペラで「ラ・ヴィ・アン・ローズ」と「ベラ・ノーテ」と「スモーク・ゲッツ・イン・マイ・アイズ」を歌ったのは余計だったと思います(個人的には「ラ・ヴィ・アン・ローズ」を英語で歌うのは許せません)が、あそこまでやってくれれば「参りました」と言うしかありません(それにアンコールで最後にアカペラで歌った「Your Eyes」は全曲英語ですが、素晴らしいとしか言いようがありませんでした)。
 帰りは梅田まで歩いて、三番街のフードコートで遅めの夕食。
 いい一日でした。
 明日からはまた芝居の稽古と原稿の校正に戻ります。
**********
 演劇ユニット・チーム銀河×モンゴルズシアターカンパニーは9月、10月に3つの公演を控えています。
1)『リハーサル』リバイバル公演(ファンディングフェスタ〜劇場を創るための演劇祭)
日時:9月22日(日曜)17時
会場:イサオビル2階ホール
料金:2,500円(前売り・当日とも)
https://www.facebook.com/events/486874758545584/?event_time_id=486874761878917
2)『メフィスト』初回プレビュー公演
日時:9月27日(金曜)19時半
会場:イサオビル2階ホール
料金:2,000円(プレビュー特別料金、前売り・当日とも)
https://www.facebook.com/events/403902366903274/
3)『オズの部屋探し』フランス公演決定イベント、ファンディング公演
日時:10月18日(金曜)19時半
会場:杉浦実業株式会社2階会議室
料金:2,500円(前売り・当日とも)
https://www.facebook.com/events/470855916801664/
みなさまのご予約・ご来場をお待ちしております。
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noriyukiushida-blog · 6 years
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髪が色々な動きでその時々の表情を見せてくれてお客様が笑顔でいていただける そんなスタイルを創ってお客様に笑顔でいてほしい! [牛田 初回クーポン] カット ¥7020 カット+トリートメント ¥8100 カット+カラー+トリートメント¥14040 【牛田限定】カット+おしゃれに明るく染まる白髪染め+トリートメント¥14040 【牛田限定】カット+カラー+トリートメント+前髪パーマ¥17280 牛田指名の初回のみカット料金が¥7020になります。 二回目以降は通常料金¥5940になります。 【2・3回目再来クーポン] カット+トリートメント ¥7560 カット+カラー+トリートメント¥14040 【牛田限定】カット+おしゃれに明るく染まる白髪染め+トリートメント¥14040 【牛田限定】カット+カラー+トリートメント+前髪パーマ¥17280 【4回目以降2ヶ月以内のご来店】 10%オフ 【牛田限定】 天使の輪ができる縮毛矯正 ¥23760 お電話でのご予約は052-561-5001まで(^^) 髪のご質問やご予約用のラインはID @vtm9628uまで(^^) 美容師さんへ カットでもっとお客様と一緒に笑ってたくないですか? 僕はもっとそうなりたい! そのヒントがここにあると思うので是非(^-^) 今回4/28に名古屋でシルキーカットのデモンストレーションが見れます!! シルキーカットとは? 日本人をはじめ、アジア人特有の癖や骨格をしっかり理解する事でどんなスタイルにも応用出来るカット!! テクスチャーではなくカット技法なので色々なカットやデザインを組み合わせて使えば、無限にカットの幅が広がります!! カットが今よりも上手くなりたい 人より得意技を増やしたい スタイルを長持ちさせるカットを覚えたい そんな悩みをお持ちの美容師さんは見る価値ありますよ!! アジアのNEWスタンダードを目指して現在海外でも徐々に広まりつつあるシルキーカット この機会に是非一度見てもらって、みんなで一緒にカットを楽しめる美容師になりましょう!! #gemgarden #ジェムガーデン @noriyukiushida #うっしーさん #なりたい質感がかなう #ハネさせない #ナチュラル #オーガニック #ボブ #ショート #カット #カラー#トリートメント #cute #love #ヘアカタ #ヘアスタイル #アドミオカラー #色は引力 #マイベージュ#名古屋#名古屋駅 #名古屋美容師 #名古屋美容室 #名古屋美容院 #日本人のためのカット #シルキーカット#ノア#ノアカラー #中部美容 #マルチバース https://www.instagram.com/p/Burs310n2f9/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=ab0j82qy3dl2
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kuzume-h · 7 years
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傲慢な女
創作BL・創作百合
わたしが家としている、安い宿は壁が薄いので、隣の人間がどのような者か、なんとなくわかってくるのだが、その日泊まった人間は、どうにも奇妙であった。 男は、彫りが深いが外人とはいえないくらいの顔立ちで、髪が長かった。なにか作業するには、髪を結ばなくては鬱陶しいだろう。見目の悪くない男だった。 「二泊三日、ふたり部屋で」 「後からお連れさまが?」 「いいえ」 従業員は不可解な顔をしたが、男が重ねて「ふたりぶん払いますので、もちろん」といったので、頷いた。このころは繁忙期とは程遠いゆるやかな時期で、融通がきいたのだった。鍵を渡されると男は大層でかいスーツケースを引っ張って部屋に向かっていった。 「さきさん、あんまりお客さんのことじろじろ見ちゃあ、駄目よ」 カウンターから出てきた女子高生が声を潜めてわたしにいった。 「見てないよ」 「見てたよ」 そういいながら女子高生は、従業員の証である緑色のエプロンを脱いでわたしの膝に乗せた。白きタートルネックに緑色のエプロンは映えていたのに。 「これから映画観に行くの、さきさん、よろしくね、お土産買ってくるからね」 女子高生は、5度目の万引きをする中学生の顔でいった。最近悪い男と悪い遊びを覚えた女子高生は、よく宿の仕事を抜け出して遊びに行く。その時仕事を押し付けてくるのは、わたしがもう数年ここに住み着いていて、殆ど従業員と変わらないのだとでも考えているのかもしれない。 「わかったよ」 可愛い子に弱い。わたしが緑色のエプロンを着てカウンターに立つと、「私より似合うよ、さきさん」と笑った。それから、青い唇を誤魔化すように口紅を塗り「さっきのお客さん、お隣だけど、変なことしちゃ駄目だからね」と失礼な忠告してくる。わたしは答えなかった。女子高生は笑う。すると長い髪が揺れた。あれは偽物の髪だ。可愛いボブだったのに、ウイッグというのか、最近では、かつらをかぶっているようになったので、胸まであるロングストーレトを気取っている。女子高生は、長い髪を、首に巻きつけるような仕草をしながら従業員専用出口に向かっていった。風で髪が飛ばされて、タートルネックから覗く肌を見せるのを怖がるように。
数時間も働いていると、他に見つかってしまって、わたしは緑色を剥奪される。 「安津子ッたら! ねえ、さきさんも甘やかさないで下さいな。あの子ったら……」 女子高生の母親は頭の上から湯気を漂わせながら、泡をひとつひとつ潰すように愚痴をこぼす。あんまり一緒にいると、矛先がこちらに向いてしまうので(わたしは女子高生の共犯者なのだから)、早々に自室へ戻った。
宿の壁は薄い。寝台に寝転んで目を閉じると、隣の部屋の様子が脳内に浮かんでくるほどだ。音で全てが再生される。 わたしはその瞬間、大きいスーツケースと、一人なのにふたり部屋をとった男が妙に気になった。そうなるとどうしようもなくなって、無意識に、息をほとんど止めるようにして、いた。隣の音はより鮮明になる。
ぎし、ぎ、ぎい、ぎし、ぎし、 ぼふ、かつん、ぎ、ぎ、ばふん、すー、すう かち、かち、かちかち、ぱっちん
男が歩いて寝台に向かう。(隣の部屋は寝台周りが一層酷いので、床が鳴る音でどこを歩いているかなんとなくわかる。)乱雑な仕草で寝台に座ると、部屋に置いてある、サービスのビール瓶一本、サイドテーブルに置いたあと、寝台の足元に置いてあったあの馬鹿でかいスーツケースを寝台にのせる。重みのあるそれで、寝台は揺れただろう。それから手元か、具合のいい場所まで引っ張って、シーツとこすれる音がした。 わたしには、その後の、軽い、カチカチとした音の正体が掴めなかったが、おそらくスーツケースの、ダイヤル式の鍵を開けている音だとわかることにはばこん、とスーツケースが開けられていた。
「…………、……」 「………………」 「………………」 その間、なんの音も声もしなかった。じいっと、あの男がスーツケースを見つめて動かない様を思うとなんだか不気味だった。わたしが、その、背筋の寒くなるような雰囲気に耐えられず、起き上がろうとした時、咳が一つ聞こえた。わたしは思わず動きを止めた。
「ほこり、ほこりが酷い」 「安いところですから」
ひとりのはずの部屋からは、もうひとり、男の声が聞こえた。きっと咳の主だ。男は驚かずに言葉を返す。まさか、スーツケースのなかに人を隠していたというのか? なんのために? 宿代を誤魔化すためならば、男はふたり部屋なんて頼まないだろう。男たちの真意が見えず、わたしは音がならない程度に喉を鳴らした。
「腹が減ったんだけど」 「何かルームサービスでも」 「こんなところにそんなサービスあるかよ」 「ありますよ」 「へえ、でもヤだ」 「どうして」 「もう、スーツケースに入るのは嫌だ」
男は答えないで黙った。しんとしたなか、不意にビール瓶を開ける音と、呑む音が聞こえた。
「なんか買ってこいよ」 「どこに?」 「ここに着く前、パン屋があった。そこで甘くないの、買ってきて」 「なんでわかったんですか」 「匂い、あと、穴が空いてたからそこから見てた。アレ、もう壊れかけてる」 「そんなはずありませんよ」
咳の主の最後の言葉は、男を嘲笑する色合いが濃く、こちらがいたたまれなくなるような、苛立ちを覚えるような、具合だった。男はその言葉を否定する。それから、ごそごそと何かを探ったあとに、立ち上がり、部屋の扉の前まで来た。 「部屋からは」 「出ない。わかってるよ。愛してる」 「ええ、僕も」 扉が閉じて、足音がわたしの部屋の前を通る。階段あたりまで行くとさすがに音は聞こえなくなって、静謐が下りた。咳の主の呼吸音が聞こえる。アレは生きているのだろうか?
わたしはその時、隣の扉をこじ開けてしまいたいという衝動に駆られた。今まで、どんな奇抜な人間が隣に泊まっても、こんなに興味が惹かれるということはなかった。 隣の部屋がわの壁を見る。真っ白だが、ところどころ茶色いシミで薄汚い。もう何十年も営業しているこの宿は、年相応の姿だ。 壁の前に立つと、もういよいよという気持ちのみに支配される。とうとうわたしは壁を叩いて見ることにした。 コンコン、よりは、カッカッ、に近い音で壁を叩く。 咳の主は答えない。わたしはもう一度叩く。カッカッ。これで応答がなければ諦めるつもりでいた。 「開いてるよ」 咳の主は答えた。わたしは部屋を出て、隣に向かった。
隣の部屋は、わたしの部屋を全く同じ作りだ(それは当たり前のことだが)。見慣れた内装のなか、寝台の上だけが異質だった。 寝台には、あの男が持っていたスーツケースが、開いて置かれている。中は黒々としていて、どこか艶を帯びていた。そして、わたし側から見て右側、そこが最も異様、現実離れしている。スーツケースの右側からは、男の上半身までが、生えていた。ちょうどへその上あたりまでが見えている。腰や尻、足はどこにもみあたらない。折りたたんでしまえるような場所もない。
「驚いた?」 咳の主は茶目っ気がたっぷりのった声で聞く。わたしは声を出すことも、首を縦に降ることもできなかった。 「驚くに決まってる、俺も最初は驚いた」 咳の主は自分の問いに自分で答え、ひとつ、あくびをした。口のなかは濡れていて艶かしく、彼が生きているんだということを証明している。 わたしはいくらか衝撃から抜け出せていたので、じっくり咳の主を眺めることができた。連れの男よりもだいぶ若い。男は二十代後半あたりの、出来上がった精悍さがあったが、咳の主はまだ若い。20代前半、いや、20歳になったばかりのような若々しさだ。まだ大人になりたての、純朴さがあった。しかし、この内、例えば咥内だとか、言葉遣い、目つきなどは、男と同年代のようにも感じる。見た目と中身が不一致だ。 「鞄から生えてる人間は珍しいさ、おい、姉ちゃん、アメリカにでも連絡するか? 見世物小屋か? それともどこかの研究所? あの、もしもし、鞄から生えてるビックリ人間を発見したんですが、おいくらで買い取っていただけます? ……くるのは金じゃなくて救急車だな、うん」 咳の主はまくしたてたあと、一気に消沈して肩の力を抜いた。それから、わたしのつま先から頭のてっぺんまでじっくり見て、「あんたは金に困ってなさそうだから、俺を売らない」と呟いた。その通りだった。 「でもあんたは欲しいものがある。金じゃあ手に入れられないものだ。そのためにこの鞄がいる。違うか?」 それは初耳だった。わたしにはもう欲しいものなんてない。あと手に入れるべきなのは天国への片道切符だけ。安寧な生活以外望むものはなかった。 「そんなものないって顔してるな。え? アンタはあれだ、受付にいた女……あの長い髪の……あの女! あれが欲しい」 「ちがう、彼女が欲しいなんて考えたことなんかない。」 「違う、違う。アンタが欲しいのはあの女自身じゃなくって、あの女の幸せな生活だ。男運がなさそうな顔してるもんなア。首の傷に気づかないのは間抜けだけ。ここの客は間抜けばっかりみたいだけど」 わたしは否定できなかった。女子高生が、悪い男にあそばれていて、暴力を振るわれているんだろうということは、事実だったからだ。ロングヘアーのウイッグは傷を隠すためで、タートルネックも同様、赤い目はよく泣いているからだ。彼女は現状から抜け出せないでいる。地獄の生活から。わたしはすくいだしたかった。しかしはわたしは何も持っていない女だった。 「当たりだな」 「どうして分かるの?」 「この鞄はもう壊れかけなんだ。だから外のことが漏れてきて、見える。俺の体はもう成長を止められない。それに、もうこの鞄に相応しくない。」 咳の主の言葉の意味がちっともわからない。しかし、彼は気にせず言葉を続ける。 「あんたは鞄が欲しい。俺は鞄から出て生きたい。ウィンウィンだろ」 スーツケースの口をコンコンと叩くと、咳の主は笑った。わたしは聞きたいことがあった。 「それであの子は救われる?」 「全てから隔離される。全部見なくてよく���るし、暗い鞄の中は居心地よくて眠りやすい」 わたしは女子高生の目の下の隈を思い浮かべた。化粧でごまかせない不眠の証をみていつも心を痛めていた。 「どうして外を出たくなったの?」 「セックスしたくなったから」 明け透けに咳の主はいった。真顔で言ったので、それが本当のことだと、思わせる。 「下半身はどうやったって出てこない。おれは間抜けにも上半身しかこんにちはできないんだ、セックスもクソもない」 わたしは何の言葉も返せなかった。咳の主はハッとした顔をした後、嫌な顔で「処女には刺激的な話だった」と、笑う。わたしはそれを無視して、「あの子の幸せが欲しい」と願った。 「願えばいい。明日目が覚めたらお望みのものが隣にあるだろうさ」 咳の主は、目的の会話は終わった、とばかりに口を閉じる。 わたしは、咳の主のような格好ですごす女子高生の姿を思い浮かべ、それでも愛らしさは変わらないな、と思った。平和に生きられる生活を送らせたい。わたしの願いはただひとつだった。それが彼女の求めていない形だとしても。 「安心しろよ、願いが叶ったら、鞄から抜けだせる。永遠じゃない。あんたの場合はそうだな……、女が、外でも平和に生きられるところに到達したら、女自身が自覚するだろ、きっと。出るべき時は本人しかわからない、おれみたいに。」 「君はなんで鞄に閉じ込められたの?」 咳の主は一瞬、口を閉じて固まった。それから緩やかに糸を吐くか細さで息を吐いた。 「おれはひどい浮気性だった。國弘……恋人はそれに耐えきれないと何度も言った。おれはそれを無視して、女とも男とも寝た。ある日目が覚めたら、俺は鞄の中だった。あいつは長い旅になると言った」 それから咳の主はすこし恥ずかしそうな顔になる。 「あいつの願いはきっと"浮気をやめて欲しい"ってやつだ。その通りになった。もう他に目移りなんでできっこない。だから鞄から出られる」 わたしが何かを言う前に、咳の主は壁に掛けてある時計をみて、少し大きい声で「もう戻れ」と言った。 「もうあいつが帰ってくる。あんたがいるのをみられたら面倒だ。俺はもう浮気しないんだからな。変な疑いかけられて喧嘩したくない。安心しろ、鞄はあんたのものになる」 咳の主に追い出されるような形でわたしは部屋の扉のノブに手をかけた。最後に聞きたいことがひとつあった。わたしはできるだけ早口で、簡潔に聞いた。 「あの子はわたしを恨むかな?」 「最初はな。でも時間が解決する。ストックホルム症候群なんて外野のヤジだから気にするな。もう行けよ」 扉を閉めて、自分の部屋に飛び込むと、ちょうど階段の方から音がした。革靴の音は、あの隣人の男のものだった。わたしは男が部屋に入ったのを聞き届けてから、部屋を飛び出して一階のロビーに向かった。ふたりの会話をこれ以上聞くのは、なんだか気が引けた。
深夜を見計らって部屋に戻ると、隣はしんとしていたが、それもつかの間の出来事だった。しばらくすると鳴き声が聞こえた。震えていて、濡れていた。國弘という名前の男が、咳の主の名前を呼んでいる。はるかと呼んでいた。名を呼ばれるたび、咳の主は必死に、うん、うん、と答えている。泣き声交じりだった。 わたしはヘッドホンをして、クラシックをかけた。目を閉じて、あの子のことを考えた。あの子の幸せを。 * * *
「あら、さきさん、おはようございます」 「おはようございます」 「その鞄、さっきのお客さんの忘れ物かしら?」 「いいえ、いただいたんです」 驚く母親に、わたしはタグを見せた。「親愛なる隣人へ」おそらくはるかさんの字だろう。確かな重量のあるそれをわたしは大事にもつ。 「へんなひと」 「ええ、本当に。それからわたし、今日から、他を回ろうと思って」 「えっ、そんな、急に」 「ええ、急に。突然沖縄に行きたくなったんです」 「そうなの……、」 母親は残念そうな、どこか縋るような目でわたしをみたが、曖昧に微笑んで、目をそらす。誤魔化すように、わたしは尋ねた。 「この、スーツケースのひとなんですけど」 「ああ、連れは後から来ませんなんて言っておいて、チェックアウトの時には知らん顔でひとり増えてたの、まあ、あの方は、ちょっと困ったような顔をしてた気がしたけど……変な人」 母親は繰り返してそう言った後、はっとして、「ごめんなさい、彼が何か?」と問う。わたしは「いえ、それが聞きたかったんです」とだけ答えた。 「それでは。長い間お世話になりました」 「こちらこそ。アッそうだわ、安津子を見かけたら声をかけてくださる?昨日出ていったっきりなの」 「ええ、見かけたらかならず」 「お願いしますね」
鞄が泣いている。わたしにはどうすることもできない。それがすこし、悲しかった。 「さきさん、さきさん」 すすり泣くような声はあの時の、隣人の声のような艶かしさを持っていた。 「あこちゃん、苦しくない?」「ええ」「何か見える?」「いいえ」「匂いはする?」「なにもしないわ」 「ねえ、さきさん、わたし怖いのよ」 「大丈夫、あこちゃんは幸せになれるから。もう少しの辛抱だから」 鞄はそれきり黙り込んだ。はるかさんもかつてそうだったのだろうか? それを知るすべはない。 わたしは夢想する。彼女が鞄から抜け出す日々を。この鞄が別の、誰かに譲渡される瞬間を。
國弘 くにひろ 浮気性な恋人に悩んでいたところフィリピン人に件の鞄をもらった。 帰って来たある日恋人が鞄から抜け出していて焦ったが恐れていた事態は起こらず。旅行は続行。黒髪。攻め。
遙 はるか 浮気性。性格も良くない。口がよく回る。鞄事件で浮気性は治った。鞄にいる間は成長が遅れるので、國弘とは微妙に年の差があるように見える。受け。
さき 金持ち。安津子な幸せを願っている。傲慢。自分だけが安津子を救えると思っている節がある。
安津子 割とやばかった。ヤバイ男に捕まりヤバイことに手を染めかけていた。近々風呂に沈められる羽目になっていたのでセーフ。母親は継母。でも関係は良好だった。心残りはそこ。
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yuupsychedelic · 3 years
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詩集「Gemini -Evergreen Story-」
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詩集「Gemini -Evergreen Story-」
1.ジェミニは風の中 2.太陽の踊り子 3.雨やどり 4.アイビー・ボーイも恋をしたい 5.嵐の夜に 6.時違い 7.21 8.心唄 9.愛のバラッド 10.サマーシャワー 11.ピュラスの独唱 12.Evergreen Story
(セクション表記:A〜G=Aメロ,Bメロetc…, S=サビ, I=導入, +=応用 )
ジェミニは風の中
街角ですれ違う 麗しき人よ その名はジェミニ
時を越える記憶 涙を駆ける愛 いくつもの日々を越えて 君に風が吹くのさ
ピントを合わすまで 気付かぬ世界よ 君を知るまで すべてはモノクロだった
ジェミニは風の中 永遠(とわ)に輝く 後悔よ 憂鬱よ 昨日に置いてゆけ
まだ見ぬ未来へ…… アクセル
刹那に星は流れて 突然愛が終わる 時の魔法 消えぬうちに 風に乗り絆繋げ
視線を合わすまで 交わらぬ世界よ 君に逢うまで すべてはモノクロだった
ジェミニに恋をして いつしか別れた セピア色 問いかける 恋の行方は
どんなに辛くても…… アクセル
既読が付かぬまま 言葉は闇へ消えてく 青春色のセンチメンタル 衝動を塗り替えよ
涙を交わすまで 見えない真意よ 君と離れて すべてはモノクロになった
ジェミニが置いてった 解けないパズル まるで解れた後の愛みたいさ
悲しい時こそ…… アクセル
①【I・A・B・S・SⅡ】 - ②【A・B・S・SⅡ】-③【C・B・S・SⅡ】
太陽の踊り子
太陽の踊り子 麗しき若者 真夏に照らされて 最初の恋をした
チェリオの自販機 貝殻に頬赤らめた 幼少の僕が 今や懐かしい
突然の通り雨 家路へ急ぐ君が なんだか眩しくて 自然に追いかける眼
太陽の踊り子 麗しき若者 真夏に照らされて 最初の恋をした
でも届かぬ想いよ ふと我に帰る時 遥かなる愛の果てに 僕は大人になった
ウィンナコーヒー ココアシガレット…… 涙に暮れた夜こそ 生まれ変わるチャンスさ
太陽の踊り子 麗しき若者 真夏に照らされて 最初の恋をした
部活の仲間と 一緒に笑い合ってた 何も疑わず 好奇の対象だった
でも気づいたら独り 子供に取り残された 過ぎ去りし時の中で 繋がらない記憶の渦
愛なき抱擁に 何も感じない 夢なき接吻に 明日は見えない
過去から未来へ 太陽が昇るとき 永遠の詩口遊み 大人であること 放棄する
太陽の踊り子 麗しき若者 真夏に照らされて 最初の恋をした
僕らは大人になり ふと我に帰る時
あの時の僕は 何をしてたのかと 後悔の渦に襲われたなら 子供時代を振り切った証さ
未知との遭遇に 不安を覚えた夕立ち 出逢いと別れを重ねながら この人生をまっすぐに往くのさ
太陽の踊り子 麗しき若者 真夏に照らされて 最初の恋をした
でも届かぬ想いよ ふと我に帰る時 遥かなる愛の果てに 僕は大人になった
①【S・A・B・S・SⅡ】 - ②【A+・S・SⅢ・SⅡ】-③【C・D・S・E・SⅢ・SⅡ・S・SⅡ】
雨やどり
傘を忘れた 気持ちは憂鬱 走って帰る 道の途中で
いつも君に逢う 何故なのか?
声を交わす non no no no 同じクラス non no no no 別の世界で生きてくはずの 二人の運命が繋がって Uh…
雨やどり 命取り 君モドリ ハッピー・モード
雲の隙間に虹が見え 手を振り別れた瞬間 恋が芽生えた さよならの影に疼く青春
傘を忘れた 予報は雨模様 肩で息をして 君に逢いにゆく
もうここにいない わかってても
雨が運ぶ non no no no 時弄ぶ non no no no 同じ世界になった瞬間 二人の運命は離れ離れ Uh…
雨やどり 渡り鳥 君は去り アンハッピー・モード
晴れ渡る空が切なく眩しく 君を思い出す度 止まらない涙 言葉なき別れに嘆く青春
雨やどり 記憶辿り 君愛し マイユース
青空に再び雨雲を架け 虹の彼方へ 君を呼ぶ 人生は別れるために…… あるのだろうか?
①【A・B・C・S・SⅡ】-②【A・B・C・S・SⅡ】-③【S・SⅡ+】
アイビー・ボーイも恋をしたい
東京へ出た時 皆が大人に見えた 同じ学部の仲間も ひとつ先輩に見えた
お洒落なんか興味ないけど 今のままではダメだ なんとなく街へ出かけて 服と靴を選んでみた
悲しいほどに似合わない その姿に驚いた お洒落って難しいんだと 俺は俺なりに知った
アイビー・ボーイも恋したい 今は見習いでも
地元へ帰った時 「少し垢抜けたね」と言われた クラスメイトに会う度 並ぶのは似たような言葉
若すぎたから気付けなかったけど その言葉に秘められた意味 何度思い出しても 頬が赤く染まる
まるで熱に浮かされたみたく ふと我に帰った この街は人を変える そんな力があるんだと
東京生まれの君は気付かない 魔性の大東京
人の目なんか気にしたことない そんな僕だけど いつの間にか人の目気にして 大切なもの忘れてた
自分に合う姿 いちばん良い自分 お洒落って難しいんだと 俺は俺なりに知った
どんな街でも自分らしさ 忘れちゃいけないよね 恋をするならまず自分から 愛せる人になるのさ
アイビー・ボーイも恋したい 今は見習いでも
①【A・B・S・SⅡ】-②【A・B・S・SⅡ】-③【C・D・S・SⅡ】
嵐の夜に
ふたりきりガールズトーク 抱き枕 Hold me tight!! 雷鳴に怯えて眠れぬ夜は 秘密の話をしようよ
気になるあの人 あいつの点数 好きなアイドル ほしいものリスト
もちろん自分のこと 悩みも打ち明けよう 秘密基地みたいだ ドキドキが止まらない
嵐の夜に 朝まで喋ろう 眠気が来るまで 話し尽くそう ……プチョヘンザ!
何気ない会話が 今夜の主役になる 芝居は要らない ありのままでいい
もちろん眠くなる でも聞き逃したくない 身体には悪いけどさ 始まったら終われない
嵐の夜に 朝まで喋ろう 寝坊してもいい 話し尽くそう ……プチョヘンザ!
修学旅行の夜を思い出してほしい 今しか出来ないこと 全部やろうよ
嵐の夜に 朝まで喋ろう 眠気が来る前に 話し尽くそう ……プチョヘンザ!
夜明けまで待つから ふたりきりガールズトーク
①【A・B・C・S】-②【B・C・S】-③【D・S・E】
時違い
若葉が色づく頃 君はまだ若かった 冬服の袖を捲り 街を歩く五月の朝
いつものバス停で 偶然隣になった 毎日見かけていたから 顔を覚えていた
どうして話をしたか 今も思い出せない ひとつだけ確実なのは きっかけが僕からじゃないこと
時は流れて 季節も移ろい この街に君はいないよ それぞれの人生 君の行方は知らない
夏服に着替えた頃 少しだけ近づく距離 お互いの話をして たまに寄り道もした それが倖せだった……
夏休みが始まる前に 一度だけ遅刻した時 明日も逢えると信じていたけど 次の日は逢えなかった
想い溢れて 涙流れる この街に君はいないよ 男と女の友情 君の行方は知らない
永遠なんてないこと 僕は学んだよ 誓いの明日繋ぐために 今を生きてる
時は流れて 季節も移ろい この街に君はいないよ それぞれの人生 君の行方は知らない
忘れられぬ青春 ふたりの時違い
①【A・B・C・S】-②【A+・C・S】-③【C・S・D】
21
もうすぐ五年になるよね 君と出逢ってから 恋もした ケンカもした
いまの僕らなら いちばん合う気がする
共に歩いてるだけで 僕は倖せだった 愛を���かめなくとも 未来は輝いてた
今でも思い出す度 君が恋しくなる よく話した 夜も明かした
いまの僕で もう一度巡り逢えるなら
共に夢を見ていた 日々が倖せだった 息を確かめなくとも 明日に時めいてた
いまなら僕も 君の言葉がわかる 共に風に吹かれた 僕らは倖せだった
波に追われなくとも 青春を感じてた 共に明日を追いかけた 時代が倖せだった
嘘を確かめなくとも その言葉が総てだった
いまの僕で もう一度巡り逢えるなら
①【A・B・C】-②【A・B・C】-③【B・C・C+・B】
心唄
君と僕の関係 もう長い関係 不思議な関係 どうでもいい関係
ほどほどの関係 恋する関係 ケンカした関係 泣き明かした関係
腐れ縁の関係 最高の関係 一生続く関係 大切な関係
凹凸関係 おしゃれな関係 羨む関係 みんなが知ってる関係
昨日出逢った関係 今日知り合った関係 最近友達になった関係 生まれて初めて恋をした関係
関係ない関係 関係ある関係 これからもよろしくの関係 ありがとうの関係
All【A・A・A・A・A・A+】
愛のバラッド
悲しみの夜が 今日もやって来た 君との時間だけは 終わらないと信じてた
あの頃の俺達は ずっと若かったね 君が傍にいる 意味もわからなかった
夕陽に照らされて 自転車を押して帰った日 アヤメの花を握ってさ 約束したこと
今も覚えてるよ 忘れたフリをしたけど 些細なすれ違いが いつしか大きな傷になった
今だから言える 後悔してると 別れてもいいと言って ごめんね
安らぎの夜が 今宵も明けてゆく 君と共に過ごした日々が 無性に恋しくなる
思い出話に 浸りたくはないが 夜が深くなる程に 後悔が止まらないよ
泣き明かした夜は ずっと電話したよね アヤメの花は枯れたまま 月の光を浴びて
今も覚えてるよ 無かったことにしたけど 些細な嘘が 心のかさぶたを開く
今だから言える あの言葉の意味を 別れてもいいと言って ごめんね
君のことだから 新たな恋を育むだろう 俺なんかよりずっと立派な恋人 でも忘れられない 忘れてはいけないんだ 忘れてはいけない気がする 過去に縋るなんて こんなの俺じゃないけど 自尊心……
今も覚えてるよ 忘れたフリをしたけど 些細なすれ違いが いつしか大きな傷になった
今だから言える 後悔してると 別れてもいいと言って ごめんね
今だから言える あの言葉の意味を 別れてもいいと言って ごめんね 愛のバラッド
①【A・B・C・S・SⅡ】-②【A+・B・C・S・SⅡ】-③【D・S・SⅡ・SⅡ+】
サマーシャワー
Summer Shower…… Summer Shower……
今年の夏はやけに寒い どうしたものかと考えたら 別れたばかりの君の顔が浮かぶ
その場凌ぎの言い訳がバレた 君の髪に光る赤いバレッタ
気付かれなきゃいいだろ 軽い気持ちで I Love You…… 感じなきゃいいだろ 週末ホテルで rendez-vous……
すべてが甘すぎた 恋の終わり
Summer Shower…… Summer Shower…… 頬の傷が沁みる
今日はなぜだか胸が火照るぜ 君と別れて一年 今夜も知らぬ女(ひと)を抱く
仲間は「やめとけ」と言うけど 棄てられたままの理性
恋にならなきゃいいだろ 朝になればサヨナラ 見つめなきゃいいだろ その日だけ Instant Love
すべてが甘すぎた 若き日の過ち
Summer Shower…… Summer Shower…… 自暴自棄になる
愛の尊さも知らぬまま 知ってしまった別れの傷
気付かれなきゃいいだろ 軽い気持ちで I Love You…… 感じなきゃいいだろ 週末ホテルで rendez-vous……
恋にならなきゃいいだろ 朝になればサヨナラ 見つめなきゃいいだろ その日だけ Instant Love
すべてが稚すぎて すべてが未熟だった 最初で最後の恋夏(コイナツ)
①【I・A・B・S・SⅡ】-②【I+・A・B・S・SⅡ】-③【I+・B+・S・SⅡ・C】
ピュラスの独唱
何も知らない子供達 その夢は純粋無垢 世を知り尽くした大人達 醒めないでと祈る
真夜中のエチュード 無題のドラマ 悲しいほどの静寂が 涙の矢を撃つ
本当にやりたいことはなんだろう? 一体なんのために生きるんだろう??
そこに憂いはなく もっとも優雅なメディテーション
嗚呼 夜明けまで待っておくれ 嗚呼 目を覚ますな 涙を流すな
あなたは僕らの愛しい天使だ だから小悪魔のように笑わないでおくれ
蒼い星に生まれし希望よ 時代に抗う勇気はあるか あなたが大人になる頃に まだ希望を胸に抱けるか
嗚呼 夜明けまで待っておくれ 嗚呼 目を覚ますな 涙を流すな
純白の雨が降る 汚れなき命の息吹 何かを愛することも知らぬまま ぐっすり眠れよ
あなたは僕らの愛しい天使だ だから小悪魔のように笑わないでおくれ
地球が産まれた時 誰に想像できたか 七十七億人の星屑 今壊れ逝く運命を
嗚呼 夜明けまで待っておくれ 嗚呼 目を覚ますな 涙を流すな
神よ時を止めろ! あなたには見えるだろう 淀みなきユートピア さあ現実を見る前に 眠れよ 眠れよ 眠れよ 眠れよ
①【A・B・C・D・S・SⅡ】-②【E・S・F・SⅡ】-③【A・S・SⅢ】
Evergreen Story
Baby, Green…… いつまでも色褪せぬ恋 最初で最後のロマンスさ
織姫と彦星が 七夕を待つように セレネの恋に 応える男(ひと)のように
何にもなかった十代 二十代は星に消えた
明日なき青春の日々は とうに過ぎ去り 自由の旗を掲げて ようやく掴んだ平穏
そんな日に君を見つけてしまったのだ これが一目惚れなんだと 気付いた瞬間 戸惑いの嵐……
遅れてきた夢 僕のEvergreen Story 君に届け!
太陽と月が 重ならぬように 王妃と青年が 巡り逢わぬように
風を追いかけた三十代 四十代は何処へ消えた?
誰かに追われ続けて 忘れかけた純情 自由の日々を手にして ようやく気付いた恋情
忘れかけてたことを今日から取り戻す 今から��って跳べるのだ 気付いた瞬間 戸惑いの嵐……
遅れてきた夢 僕のEvergreen Story 恋よ叶え!
宇宙の法則に従うならば もう長くはない僕の人生
誰かに流されたまま 終わりたくはないよ 誰も守れぬまま 終わりたくはないよ
誠実に生きてきた 不器用に生きてきた この人生の最後に やっと夢を見たのだ ……完全燃焼!
涙も愛も知らずに ここまで来てしまった だから今こそ僕は 全力で恋をする
六十になった頃から 身体が軽くなった 恋するウキウキも やっとわかってきた
かつて軽蔑したコトの 魅力に気付いた瞬間
遅れてきた夢 僕のEvergreen Story 君に届け!
遅れてきた夢 僕のEvergreen Story 明日を繋げ!
Baby, Green…… 永遠に色褪せぬ恋 一度きりの青春 最初で最後のロマンスさ
①【I・A・B・S・SⅡ・SⅢ】・②【A・B・S・SⅡ・SⅢ】・③【C・S・SⅡ+・D・B+・C・SⅢ・SⅢ・I+】
Bonus1:モノレール
夢の痕が今も 淋しく微笑む 愛を知らぬ人が それを見て微笑む
黄金色の未来を 思い描いてた かつてこの国が 豊かだった頃
埃を被れど まだ走れると こちらを見ている 君が切ない
役目を終えても まだやれると こちらを見ている 君が悲しい
夢の痕が今にも 消え去りそうだ 愛も消え失せて 終りを待つのみ
今日も人目付かず 静かに生きている 最期を待つだけの 君でいいのか
Bonus 2:期末テスト
まずは名前を書きましょう クラスと名前 忘れずに
つぎは問題 見渡そう 出来る出来ない 見分けよう
最初の問題 解けたなら テストの傾向 見えてくる
出来ない問題 気にしない 出来る問題 確実に
これが私の必勝法 よければみんな真似してね♪
まずは答案見渡そう イージーミス 誤字ってない?
つぎは躓いた場所を まだ行ける 大丈夫
最初に上手く行かずとも まだ諦めちゃダメさ
残り十分 ケアレスミス 残り五分 総仕上げ
これが私の必勝法 よければみんな真似してね♪
最後に答案ズレてない? 不安 出来ない チェックしよう
チャイムがなったら伸びてみて おつかれ おつかれ ごくろうさま
これが私の必勝法 よければみんな真似してね♪ ……って、みんなやってるか!笑
Bonus3:I'm a Creater
あなたが生まれる少し前に ひとつ跨いだ Century 生まれてすぐで知らないが みんな騒いだ Millennium
時は緩やかに流れ 色々あった 2001 やっと私が歩き始めて 言葉を喋った 2002
青色の星が流れ 最後に夢を見た 2003 手のひらを太陽に掲げ 友と橋を渡った 2004
ひらがなを書き始め 言葉がわかった 2005 看板の漢字を読み 友に自慢した 2006
いついつまでも夢を見る 青春と怪獣の表現者 私だけの世界創るのさ
とにかく落ち着きがなく 走り回った 2007 ピアノと水泳で 水泳を選んだ 2008
野球に出逢い とにかく遊んだ 2009 野球を始め 沈黙を知った 2010
信じられない光景 友よ生きろ 2011 明日はどこだ 人生考える 2012
いついつまでも夢を見る 青春と怪獣の表現者 私だけの世界創るのさ
まだ見ぬ世界 夜明けを求めた 2013 アルフィー出逢う きっかけはウルトラの風 2014
小説家になる 道はここだ 2015 詩を描き始める 未来が見えない 2016
青春の味 永遠信じた 2017 夢破れ 風が変わった 2018
いついつまでも夢を見る 青春と怪獣の表現者 私だけの世界創るのさ
すべてが壊れた 何もわからぬ 2019 すべてが変わった 何をしようか 2020
さあここからだ 強くあれ 2021 いくつになっても まっすぐ生きたい 20XX
風に吹かれても 時に流されても この根だけは絶やさずに
いついつまでも夢を見る 青春と怪獣の表現者 私だけの世界創るのさ
私は創作家 言葉と共に生きるひと
詩集「Gemini -Evergreen Story-」
(Yuu Sakaoka Project / YSSP-006)
All Produced / Written by Yuu Sakaoka Respect to 浜田省吾, ラッツ&スター, BEAT BOYS, 鈴木雅之, チェッカーズ, 高橋みなみ, 八木莉可子, ENNE, 爆風スランプ, 沢田研二, 高見沢俊彦, 井上陽水, 雪見撫子, 小坂菜緒, グレゴリオ聖歌, PINK FLOYD, ボブ・ディラン, 加山雄三(永遠の若大将), 姫路市営モノレール, スバル・ワールドラリーチーム, ウルトラマン, 北島康介, すべてのチブル星人, クレイグ・ブラゼル, すべての創作者のみなさま, 大滝詠一 with All My Loving. Designed, Directed, Commercial by Yuu Sakaoka
Special Thanks to My Family, my friends and all my fans!!
2021.6.18 Yuu Sakaoka
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i-my-me · 5 years
Text
傲慢な鞄
創作BL GL
わたしが家としている、安い宿は壁が薄いので、隣の人間がどのような者か、なんとなくわかってくるのだが、その日泊まった人間は、どうにも奇妙であった。
男は、彫りが深いが外人とはいえないくらいの顔立ちで、髪が長かった。なにか作業するには、髪を結ばなくては鬱陶しいだろう。見目の悪くない男だった。
「二泊三日、ふたり部屋で」
「後からお連れさまが?」
「いいえ」
従業員は不可解な顔をしたが、男が重ねて「ふたりぶん払いますので、もちろん」といったので、頷いた。このころは繁忙期とは程遠いゆるやかな時期で、融通がきいたのだった。鍵を渡されると男は大層でかいスーツケースを引っ張って部屋に向かっていった。
「さきさん、あんまりお客さんのことじろじろ見ちゃあ、駄目よ」
カウンターから出てきた女子高生が声を潜めてわたしにいった。
「見てないよ」
「見てたよ」
そういいながら女子高生は、従業員の証である緑色のエプロンを脱いでわたしの膝に乗せた。白きタートルネックに緑色のエプロンは映えていたのに。
「これから映画観に行くの、さきさん、よろしくね、お土産買ってくるからね」
女子高生は、5度目の万引きをする中学生の顔でいった。最近悪い男と悪い遊びを覚えた女子高生は、よく宿の仕事を抜け出して遊びに行く。その時仕事を押し付けてくるのは、わたしがもう数年ここに住み着いていて、殆ど従業員と変わらないのだとでも考えているのかもしれない。
「わかったよ」
可愛い子に弱い。わたしが緑色のエプロンを着てカウンターに立つと、「私より似合うよ、さきさん」と笑った。それから、青い唇を誤魔化すように口紅を塗り「さっきのお客さん、お隣だけど、変なことしちゃ駄目だからね」と失礼な忠告してくる。わたしは答えなかった。女子高生は笑う。すると長い髪が揺れた。あれは偽物の髪だ。可愛いボブだったのに、ウイッグというのか、最近では、かつらをかぶっているようになったので、胸まであるロングストレートを気取っている。女子高生は、長い髪を、首に巻きつけるような仕草をしながら従業員専用出口に向かっていった。風で髪が飛ばされて、タートルネックから覗く肌を見せるのを怖がるように。
数時間も働いていると、他に見つかってしまって、わたしは緑色を剥奪される。
「安津子ッたら! ねえ、さきさんも甘やかさないで下さいな。あの子ったら……」
女子高生の母親は頭の上から湯気を漂わせながら、泡をひとつひとつ潰すように愚痴をこぼす。あんまり一緒にいると、矛先がこちらに向いてしまうので(わたしは女子高生の共犯者なのだから)、早々に自室へ戻った。
宿の壁は薄い。寝台に寝転んで目を閉じると、隣の部屋の様子が脳内に浮かんでくるほどだ。音で全てが再生される。
わたしはその瞬間、大きいスーツケースと、一人なのにふたり部屋をとった男が妙に気になった。そうなるとどうしようもなくなって、無意識に、息をほとんど止めるようにして、いた。隣の音はより鮮明になる。
ぎし、ぎ、ぎい、ぎし、ぎし、
ぼふ、かつん、ぎ、ぎ、ばふん、すー、すう
かち、かち、かちかち、ぱっちん。
男が歩いて寝台に向かう。(隣の部屋は寝台周りが一層酷いので、床が鳴る音でどこを歩いているかなんとなくわかる。)乱雑な仕草で寝台に座ると、部屋に置いてある、サービスのビール瓶一本、サイドテーブルに置いたあと、寝台の足元に置いてあったあの馬鹿でかいスーツケースを寝台にのせる。重みのあるそれで、寝台は揺れただろう。それから手元か、具合のいい場所まで引っ張って、シーツとこすれる音がした。
わたしには、その後の、軽い、カチカチとした音の正体が掴めなかったが、おそらくスーツケースの、ダイヤル式の鍵を開けている音だとわかることにはばこん、とスーツケースが開けられていた。
「…………、……」
「………………」
「………………」
その間、なんの音も声もしなかった。じいっと、あの男がスーツケースを見つめて動かない様を思うとなんだか不気味だった。わたしが、その、背筋の寒くなるような雰囲気に耐えられず、起き上がろうとした時、咳が一つ聞こえた。わたしは思わず動きを止めた。
「ほこり、ほこりが酷い」
「安いところですから」
ひとりのはずの部屋からは、もうひとり、男の声が聞こえた。きっと咳の主だ。男は驚かずに言葉を返す。まさか、スーツケースのなかに人を隠していたというのか? なんのために? 宿代を誤魔化すためならば、男はふたり部屋なんて頼まないだろう。男たちの真意が見えず、わたしは音がならない程度に喉を鳴らした。
「腹が減ったんだけど」
「何かルームサービスでも」
「こんなところにそんなサービスあるかよ」
「ありますよ」
「へえ、でもヤだ」
「どうして」
「もう、スーツケースに入るのは嫌だ」
男は答えないで黙った。しんとしたなか、不意にビール瓶を開ける音と、呑む音が聞こえた。
「なんか買ってこいよ」
「どこに?」
「ここに着く前、パン屋があった。そこで甘くないの、買ってきて」
「なんでわかったんですか」
「匂い、あと、穴が空いてたからそこから見てた。コレ、もう壊れかけてる」
「そんなはずありませんよ」
咳の主の最後の言葉は、男を嘲笑する色合いが濃く、こちらがいたたまれなくなるような、苛立ちを覚えるような、具合だった。男はその言葉を否定する。それから、ごそごそと何かを探ったあとに、立ち上がり、部屋の扉の前まで来た。
「部屋からは」
「出ない。わかってるよ。愛してる」
「ええ、僕も」
扉が閉じて、足音がわたしの部屋の前を通る。階段あたりまで行くとさすがに音は聞こえなくなって、静謐が下りた。咳の主の呼吸音が聞こえる。アレは生きているのだろうか?
わたしはその時、隣の扉をこじ開けてしまいたいという衝動に駆られた。今まで、どんな奇抜な人間が隣に泊まっても、こんなに興味が惹かれるということはなかった。
隣の部屋がわの壁を見る。真っ白だが、ところどころ茶色いシミで薄汚い。もう何十年も営業しているこの宿の壁としては、年相応の姿だ。
壁の前に立つと、もういよいよという気持ちのみに支配される。とうとうわたしは壁を叩いて見ることにした。
コンコン、よりは、カッカッ、に近い音で壁を叩く。
咳の主は答えない。わたしはもう一度叩く。カッカッ。これで応答がなければ諦めるつもりでいた。
「開いてるよ」
咳の主は答えた。わたしは部屋を出て、隣に向かった。
隣の部屋は、わたしの部屋を全く同じ作りだ(それは当たり前のことだが)。見慣れた内装のなか、寝台の上だけが異質だった。
寝台には、あの男が持っていたスーツケースが、開いて置かれている。中は黒々としていて、どこか艶を帯びていた。そして、わたし側から見て右側、そこが最も異様で、現実離れしている。スーツケースの右側からは、男の上半身までが、生えていた。ちょうどへその上あたりまでが見えている。腰や尻、足はどこにもみあたらない。折りたたんでしまえるような場所もない。
「驚いた?」
咳の主は茶目っ気がたっぷりのった声で聞く。わたしは声を出すことも、首を縦に降ることもできなかった。
「驚くに決まってる、俺も最初は驚いた」
咳の主は自分の問いに自分で答え、ひとつ、あくびをした。口のなかは濡れていて艶かしく、彼が生きているんだということを証明している。
わたしはいくらか驚きから抜け出せていたので、じっくり咳の主を眺めることができた。連れの男よりもだいぶ若い。男は二十代後半あたりの、出来上がった精悍さがあったが、咳の主はまだ若い。20代前半、いや、20歳になったばかりのような若々しさだ。まだ大人になりたての、純朴さがあった。しかし、この内、例えば咥内だとか、言葉遣い、目つきなどは、男と同年代のようにも感じる。見た目と中身が不一致だ。
「鞄から生えてる人間は珍しいさ、おい、姉ちゃん、アメリカにでも連絡するか? 見世物小屋か? それともどこかの研究所? あの、もしもし、鞄から生えてるビックリ人間を発見したんですが、おいくらで買い取っていただけます? ……くるのは金じゃなくて救急車だな、うん」
咳の主はまくしたてたあと、一気に消沈して肩の力を抜いた。それから、わたしのつま先から頭のてっぺんまでじっくり見て、「あんたは金に困ってなさそうだから、俺を売らない」と呟いた。その通りだった。
「でもあんたは欲しいものがある。金じゃあ手に入れられないものだ。そのためにこの鞄がいる。違うか?」
それは初耳だった。わたしにはもう欲しいものなんてない。あと手に入れるべきなのは天国への片道切符だけ。安寧な生活以外望むものはなかった。
「そんなものないって顔してるな。え? アンタはあれだ、受付にいた女……あの長い髪の……あの女! あれが欲しい」
「ちがう、彼女が欲しいなんて考えたことなんかない。」
「違う、違う。アンタが欲しいのはあの女自身じゃなくって、あの女の幸せな生活だ。男��がなさそうな顔してるもんなア。首の傷に気づかないのは間抜けだけ。ここの客は間抜けばっかりみたいだけど」
わたしは否定できなかった。女子高生が、悪い男にあそばれていて、暴力を振るわれているんだろうということは、事実だったからだ。ロングヘアーのウイッグは傷を隠すためで、タートルネックも同様、赤い目はよく泣いているからだ。彼女は現状から抜け出せないでいる。地獄の生活から。わたしはすくいだしたかった。しかしはわたしは何も持っていない女だった。
「当たりだな」
「どうして分かるの?」
「この鞄はもう壊れかけなんだ。だから外のことが漏れてきて、見える。俺の体はもう成長を止められない。それに、もうこの鞄に相応しくない。」
咳の主の言葉の意味がちっともわからない。しかし、彼は気にせず言葉を続ける。
「あんたは鞄が欲しい。俺は鞄から出て生きたい。WIN-WINだろ」
スーツケースの口をコンコンと叩くと、咳の主は笑った。わたしは聞きたいことがあった。
「それであの子は救われる?」
「全てから隔離される。全部見なくてよくなるし、暗い鞄の中は居心地よくて眠りやすい」
わたしは女子高生の目の下の隈を思い浮かべた。化粧でごまかせない不眠の証をみていつも心を痛めていた。
「貴方はどうして外を出たくなったの?」
「セックスしたくなったから」
明け透けに咳の主はいった。真顔で言ったので、それが本当のことだと、思わせる。
「下半身はどうやったって出てこない。おれは間抜けにも上半身しかこんにちはできないんだ、セックスもクソもない」
わたしは何の言葉も返せなかった。咳の主はハッとした顔をした後、嫌な顔で「処女には刺激的な話だった」と、笑う。わたしはそれを無視して、「あの子の幸せが欲しい」と願った。
「願えばいい。明日目が覚めたらお望みのものが隣にあるだろうさ」
咳の主は、目的の会話は終わった、とばかりに口を閉じる。
わたしは、咳の主のような格好ですごす女子高生の姿を思い浮かべ、それでも愛らしさは変わらないな、と思った。平和に生きられる生活を送らせたい。わたしの願いはただひとつだった。それが彼女の求めていない形だとしても。
「安心しろよ、願いが叶ったら、鞄から抜けだせる。永遠じゃない。あんたの場合はそうだな……、女が、外でも平和に生きられるところに到達したら、女自身が自覚するだろ、きっと。出るべき時は本人しかわからない、おれみたいに。」
「貴方はなんで鞄に閉じ込められたの?」
咳の主は一瞬、口を閉じて固まった。それから緩やかに糸を吐くか細さで息を吐いた。
「おれはひどい浮気性だった。國弘……恋人はそれに耐えきれないと何度も言った。おれはそれを無視して、女とも男とも寝た。ある日目が覚めたら、俺は鞄の中だった。あいつは長い旅になると言った」
それから咳の主はすこし恥ずかしそうな顔になる。
「あいつの願いはきっと"浮気をやめて欲しい"ってやつだ。その通りになった。もう他に目移りなんでできっこない。だから鞄から出られる」
わたしが何かを言う前に、咳の主は壁に掛けてある時計をみて、少し大きい声で「もう戻れ」と言った。
「もうあいつが帰ってくる。あんたがいるのをみられたら面倒だ。俺はもう浮気しないんだからな。変な疑いかけられて喧嘩したくない。安心しろ、鞄はあんたのものになる」
咳の主に追い出されるような形でわたしは部屋の扉のノブに手をかけた。最後に聞きたいことがひとつあった。わたしはできるだけ早口で、簡潔に聞いた。
「あの子はわたしを恨むかな?」
「最初はな。でも時間が解決する……。もう行けよ」
扉を閉めて、自分の部屋に飛び込むと、ちょうど階段の方から音がした。革靴の音は、あの隣人の男のものだった。わたしは男が部屋に入ったのを聞き届けてから、部屋を飛び出して一階のロビーに向かった。ふたりの会話をこれ以上聞くのは、なんだか気が引けた。
深夜を見計らって部屋に戻ると、隣はしんとしていたが、それもつかの間の出来事だった。しばらくすると鳴き声が聞こえた。震えていて、濡れていた。國弘という名前の男が、咳の主の名前を呼んでいる。はるかと呼んでいた。名を呼ばれるたび、咳の主は必死に、うん、うん、と答えている。泣き声交じりだった。
わたしはヘッドホンをして、クラシックをかけた。目を閉じて、あの子のことを考えた。あの子の幸せを。
「あら、さきさん、おはようございます」
「おはようございます」
「その鞄、さっきのお客さんの忘れ物かしら?」
「いいえ、いただいたんです」
驚く母親に、わたしはタグを見せた。「親愛なる隣人へ」おそらくはるかさんの字だろう。確かな重量のあるそれをわたしは大事にもつ。
「へんなひと」
「ええ、本当に。それからわたし、今日から、他を回ろうと思って」
「えっ、そんな、急に」
「ええ、急に。突然沖縄に行きたくなったんです」
「そうなの……、」
母親は残念そうな、どこか縋るような目でわたしをみたが、曖昧に微笑んで、目をそらす。誤魔化すように、わたしは尋ねた。
「この、スーツケースのひとなんですけど」
「ああ、連れは後から来ませんなんて言っておいて、チェックアウトの時には知らん顔でひとり増えてたの、まあ、あの方は、ちょっと困ったような顔をしてた気がしたけど……変な人」
母親は繰り返してそう言った後、はっとして、「ごめんなさい、彼が何か?」と問う。わたしは「いえ、それが聞きたかったんです」とだけ答えた。
「それでは。長い間お世話になりました」
「こちらこそ。アッそうだわ、安津子を見かけたら声をかけてくださる?昨日出ていったっきりなの」
「ええ、見かけたらかならず」
「お願いしますね」
鞄が泣いている。わたしにはどうすることもできない。それがすこし、悲しかった。
「さきさん、さきさん」
すすり泣くような声はあの時の、隣人の声のような艶かしさを持っていた。
「あこちゃん、苦しくない?」「ええ」「何か見える?」「いいえ」「匂いはする?」「なにもしないわ」
「ねえ、さきさん、わたし怖いのよ」
「大丈夫、あこちゃんは幸せになれるから。もう少しの辛抱だから」
鞄はそれきり黙り込んだ。はるかさんもかつてそうだったのだろうか? それを知るすべはない。
わたしは夢想する。彼女が鞄から抜け出す日々を。この鞄が別の、誰かに譲渡される瞬間を。
國弘 くにひろ
浮気性な恋人に悩んでいたところフィリピン人に件の鞄をもらった。
帰って来たある日恋人が鞄から抜け出していて焦ったが恐れていた事態は起こらず。旅行は続行。黒髪。攻め。
遙 はるか
浮気性。性格も良くない。口がよく回る。鞄事件で浮気性は治った。鞄にいる間は成長が遅れるので、國弘とは微妙に年の差があるように見える。受け。
さき
金持ち。安津子の幸せを願っている。傲慢。自分だけが安津子を救えると思っている節がある。
安���子
割とやばかった。ヤバイ男に捕まりヤバイことに手を染めかけていた。近々風呂に沈められる羽目になっていた。母親は継母。でも関係は良好だった。心残りはそこ。
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plussterubiyousitsu · 6 years
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2018prize&nominatePHOTO📸 全てイベント終了。さぁ来年はまたどんななるかなー?楽しみだ😊週末3連休のようで。 . って今年振り返りで思ったことを少し。(や、長い笑) 去年末に出した真ん中下の写真から一気に今週までいつのまにやらラストを迎えた2018の作品達^_^ どれもこれも好きで作ってるし、その時の流行りとかよりかは、自分からなんとか出るもので絞り出したという側面の方が強かったような。 正直普通のことしかできないけど、その"普通"てなんなんだよってずーっと思いながら作った2018。 こんなのがウケるんじゃないかなんてのは全然無くて、モデルが決まってから、もしくはどうしてもしてみたいヘアがあるなら見合うモデルさんを探したりとか。 それはたぶん僕の中での正解はおそらく、向き合う ってことなんじゃないのかなぁ?てのがなんとなく見えかけてきたような年でした^_^ モデルに ヘアに 雰囲気作りに 衣装に カメラマンに メイクに 空気に その全部、もしくは何かにとにかく向き合う。 似合わせや、テクニック的な向上は続けていればいつかは良くなる、、はず。 でもその場とかその人でしか出しえないものはたぶん向き合わないと見つけることができない気がするし、なによりも自分がやってることの本質がわからなくなるような気がして。 なのでTHAでも言ったんだけれど、ホントに好きで好きでそのことがハマって、作り上げることが出来た作品が受けた評価ていうのは正直飛び上がるくらい嬉しかった^_^(感情表現の下手さで半減以下😂)^_^ . んで今年の作品見返したら、ああ、やっぱ偏ってるなぁとは思いつつも、まぁ、最終的には自分は自分でしか追い詰めることも楽することもできないから、それならちゃんと向き合って何が好きなのか?をもっと明確にしたり、そこでしか感じることができない場所や、ことがあるってわかってるからまだまだ臨んで行きたいとこですね。 . わおーっ!てのが創りたし☺︎ . とにかく来年もどげんなるかはわかりませんが楽しく苦しく足短くやっていきたいと思います。 全部終わったんでやっとまとめられるけど、けっこう良い年でよかったです。 いつも協力してくださってるみんな様ホントにありがとうございます😊 まだ上があるんでそこまでいけたら喜び爆発できるようにがんばろーっと😉 あ、あと最後にすごい感動したポストがあるので紹介させていただきたいです。 新潟スニップスさんの @hikari4825 西牧ひかりさんの 赤いポイント入ったボブの投稿🌷ぜひ見られてみてください。 楽より楽しいを選ぶ。 僕は電車でちょっと震えました笑 本人にも許可もらってるのでぜひ。コンテストというか、いろんなことにチャレンジしたいかたは見て欲しいす。 . . ではさよーならーまだ💤ない . . . . #plussterubiyousitsu#pluss福岡#プラステル美容室#春吉#美容室#パーマ#デジパ#ショートカット#hair#fukuoka#color#wave#curl#春吉クオリティ#春吉ガール#春吉ボーイ#春吉美容室#クリエイション#キレイニスゴソウ #私と春吉#パーマ推し美容室 #japanhairdressingawards #tokyohairdressingawards #asiabeautycongress #arimino (Pluss teru biyousitsu) https://www.instagram.com/p/Bqezq_0Hj2N/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=41yoo1i56rg3
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