#一応日本語書籍に想像力を限定して言えば
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我が国の未来を見通す(80)
『強靭な国家』を造る(17)
「強靭な国家」を目指して何をすべきか(その7)
宗像久男(元陸将)
──────────────────────
□はじめに
本メルマガは当初の予定をはるかにオーバーし、8
0回まで来てしまいました。浅学菲才の恥をしのん
で、知見も経験もない様々な分野に首を突っ込み、
それぞれ表面的ではありますが、知り得る限りの知
識で書きなぐっていました。そうしているうちに、
(前にも紹介しましたように)「その道の専門家の
限界」のような、新たな問題意識を持つに至り、
「では、どうするべきか?」が再び首をもたげ、悩
むことになりました。その結果、最近のメルマガの
ように、「国力」の観点から再整理することしまし
たところ、これはこれで面白くなっ��きました。
今回は「軍事力」を取り上げます。世界的な呼称は、
「軍事力」ですが、事柄の性格上、我が国の「軍事
力」を語る場合は「防衛力」と置き換えます。
私は、37年間、陸上自衛隊で勤務し、各級指揮官
はもちろん、陸上幕僚監部の幕僚として防衛力整備
を主に担当してきましたので、「防衛力」について
詳しく語り出すと、書籍1冊では足りないぐらい
“言いたいこと”がありますが、あえてテーマを世
間ではあまり語られていない、いわゆる「タブー」
とされている部分などに絞って、しかも要点のみを
紹介したいと思います。
我が国の「安全保障」とか「防衛」に関する最近の
話題についてもっと知りたい読者は、最近、元空将・
織田邦男氏が『空から提言する新しい日本の防衛』
を上梓しましたので、ぜひご一読いただきたいと思
います。織田氏は私と同期で、幕僚監部勤務にあっ
ては陸上、航空の違いありますが、いつも同じよう
な部署で勤務してきた経験があります。よって、
「ライバル」というより「戦友」であり、家族ぐる
みで親しく付き合ってきた仲でもあります。
『空から提言する新しい日本の防衛』
本書は、「将来の我が国の防衛のあり方」に対して、
元自衛官ならではの“切り口”から迫り、一般の軍
事専門家などが追随できない視点から貴重な一石を
投じているとの読後感を持ちます。なかでも、「我
が国の防衛」が抱えている課題、あるいは昨年末に
策定された「戦略3文書」の不十分なところの指摘
などについては私も全く同意です。
あえて違いがあるとすれば、陸上自衛官だった私は、
どうしても「国土」とか「国民」目線から防衛を考
える“癖”がついてしまっているせいか、「国防」
など頭の片隅にもない方々などにとってはどうして
も理解が難しくなってしまいます。その点、元航空
自衛官の織田氏の解説や提言は、難解な領域にはほ
とんど踏み込まないのですっきりしてわかりやすい
と思います。
さて、私の現在の最大の関心事は、「現実進行形の
ウクライナ戦争が国際社会の将来にどのようなイン
パクトを与えるか?」、そして、「そのインパクト
が、やがて“形を変えて”我が国の“眼前”に迫っ
てきて、我が国の平和や独立や国民の安寧な生活を
左右する可能性があるのかないのか?」にあります。
織田氏も再三、同趣旨の切り口で解説していますが、
“予想外のことが起こる可能性を表す”言葉の「ま
さか」や「もしかして」のうち、これまでは“予想
外のことが起こる可能性が低いと考えられる場合”
に使われる「まさか」の範疇として無視あるいは軽
視してきた事態が、“予想外のことが起こる可能性
があると考えられる場合”に使われる「もしかして」
の範疇に移動し、その実態の解明や未然防止の対策
までを含め、考え、検討し、具体化しなければなら
ない割合が増えているように気がするのです。
昨年の「戦略3文書」にあっても、これまでのこの
種計画の“歴史”を継承しつつ、どうしても踏み込
めない憲法上の制約や戦後の防衛政策の変更に対す
る批判への“予防線”を張っているのか、いくつか
の「もしかして」には自ら目をつぶり、「まさか」
の範疇で取り扱い、その上で無視あるいは軽視した
と考えざるを得ない論点がかなりあるとように思う
のです。
現役時代も、毎度ながらの“政治決定”に呆れ果て、
言いようもない“むなしさ”を味わったものでした
が、“我が国の特殊事情からやむを得ない”と自ら
納得させてきた側面があります。
繰り返しますが、“失うものがない”今、自らを納
得させてきた論点まで少し踏み込んで、その要点は
紹介しようと思います。実は、そう思い立って文献
を漁ると参考になる書籍もたくさんあることもわか
りました。ただ、表題からして大きなインパクトを
与えないと手に取ってもらえないからでしょうか、
このジャンルの書籍はタイトルからしておどろおど
ろしいような気もします。例えば、『自滅するアメ
リカ帝国』(伊藤貫著)、『腹黒い世界の常識』
(島田洋一著)、『国連の正体』(藤井厳喜著)な
どです。インターネットで発信しているものも数多
くありますが、共通しているのは著者の皆さんの
“強い危機意識”でしょうか。
なかには、『新しい日本人論』(加瀬英明、ケント
・ギルバード、石平共著)のように、日本人の根底
に流れている「性善説」が背景にあって、この「も
しかして」を考えることができなくっていると指摘
するものもあります。多くの日本人が宗教のように
ひたすら信じている、憲法前文にいう「平和を愛す
る諸国民の公正と信義に信頼して……」のくだりな
どを指すものと考えます。
さて、「もしかして」の領域が拡大したのは、我が
国の「安全保障」とか「防衛」に限ったことではな
いことも明白です。すでに本メルマガで再三触れて
きましたように、我が国の未来に立ちはだかるであ
ろう「暗雲」として、「もしかして」が様々な領域
に広がる可能性があると考えます。
本メルマガ発信の目的は、「我が国の未来について
様々な視点から見通し、“最悪の状態に���らないよ
うに”早急に処置すべき具体的な対応策を明確にす
る」ことにありましたが、知れば知るほど“まだ道
半ば”との思いを強くしています。もう少し続けま
すので、しばらくお付き合い下さい。
▼「軍事力」の国際比較
さて、国際的な影響力という点でいえば、「軍事力」
こそが「国力」の“ど真ん中に位置づけられる”こ
とは明白です。しかも、その良し悪しは別として、
核戦力保有の有無は決定的です。
まず、これまで同様、「軍事力」の国際比較につい
てもチェックしておきましょう。発刊されたばかり
の今年の「防衛白書」は、冒頭、「戦後最大の試練
の時を迎える国際社会」から始まります。子細に読
むと、これまでの「“まさか”戦争なんて起こりっ
こない」を否定し、「“もしかしたら”我が国の周
辺でも起こり得る」ことを肯定しているのです。
白書は、「だから、未然防止のために反撃能力の強
化が必要」と言いたかったのでしょうが、白書の性
格上、それが限界なのかも知れません。そして、我
が国の陸海空防衛力については、「我が国の周辺に
は大規模な軍事力が集中している」ことを具体的な
数値で説明するために、世界の陸海空戦力それぞれ
のベスト10を紹介しています。しかし、白書らし
く、我が国の防衛力についてはそれぞれの兵力量の
みを掲載するにとどめています。ちなみに、実際に
ベスト10に入るのは海上自衛隊のみで、保有船舶
総トン数から第5位にランクされるはずです。
陸海空戦力を含む、軍事力を構成する様々な要素ま
で含め、通常兵器の世界軍事力ランキングは、「Gl
obal Firepower 2023」によれば、1位アメリカ、2
位ロシア、2位中国、4位インド、5位イギリス、
6位韓国、7位パキスタン、8位日本、9位フラン
ス、10位ドイツとなっています。
また「軍事予算」のランキングは、「ストックホル
ム国際平和研究所」(SIPRI)によれば、1位アメリ
カ(8010億ドル)��2位中国(推定2930億
ドル)、2位インド(766億ドル)、4位ロシア
(659億ドル)、5位イギリス(659億ドル)
と続き、日本は9位(517億ドル)になっていま
す。つまり、日本の防衛予算は、2021年時点で
米国の約6.5%、中国の約18%だったことがわ
かります。
前回上げたような各国の「購買力平価」を使用する
と、実際の軍事予算の様相は違ってくるものと考え
ます。また、年末の「戦略3文書」には「GDPの
1%から2%に引き上げる」旨が盛り込まれていま
すので、実現すれば数年後のランクは上がることも
予想されます。
現在、世界の核保有国は9カ国で、上記SIPRIの推計
による保有弾頭数は、1位米国(5244発)、2
位ロシア(5889発)、3位中国(410発)、
4位フランス(290発)と続き、9位には北朝鮮(3
0発)がランクされています。これらから軍事予算の
上位国はほとんど核保有国であることもわかります。
これら��あくまで静的な比較で、ウクライナ戦争に
より、ロシアや西側諸国の兵器の生産量や消耗量も
大幅な変動があったことでしょうから、最新のデー
タを比較すると、すでに変動している可能性もある
でしょう。
厳しくなりつつある周辺情勢や我が国の「国力」と
比較して、これらのランクや防衛力の量・質が現状
程度で適切か否かにについては各論あることでしょ
う。しかし、増強論に反対する側に立つ人たちの意
見の背景に、戦後の「平和ボケ」とか「平和の毒」
が今なお根強く定着しているとすれば、やはり「時
代は変わった」ことに気づく必要があると考えます。
目を開け、耳をふさがないで、しっかり見極めた上
で、自分たちの主張が正しいか否かを再考する時が
来ていると思うのです。
8月16日、有楽町駅前で、この暑さの中、背広を
着た日弁連の皆さんが「憲法違反の平和安全法制の
廃止を」との看板の前で街頭演説しているのを見か
けました。周りにはだれもいませんでしたが、“司
法試験に受かるくらい頭が良いのだから、法律以外
のことも少しは勉強すればよいものを”と思いつつ、
私も無視して通り過ぎました。ちなみに、「平和安
全法制」が制定されたのは9年前の2014年です。
「今頃、何を言っているのか」という点でも呆れま
した。
白書も言うように、“戦後最大の試練の時を迎えて
いる国際社会”を、我が国はけっして傍観できるわ
けがなく、予想される“戦場”が我が国近傍にある
ことを考えると、逆に“国際社会を戦略的にこの地
域に引きずり込めるか否か”に我が国の存亡がかか
っていると考える必要があります。そのために“何
をすべきか”については、ウクライナ戦争をみれば
明らかでしょう。多少苦しくても、「自助努力」す
るしかないのです。
▼我が国の「防衛力」の“急所”──核抑止
「戦略3文書」に書かれていない視点で、我が国の
「防衛力」の“急所”」と題して、いくつかの論点
の要点のみを紹介しましょう。“急所”ですから、
口に出すこともはばかれ、普段は隠れています。大
方の日本人のように、関心がない人には思いもよら
ないでしょう。されど“急所”なのです。ものすご
く大事なのです。
その筆頭は「核戦力」の取り扱いでしょう。織田氏
も「国家安全保障戦略」の中で、核抑止については
わずか1行しか触れず、米国に丸投げしていること
を「最大の欠陥」として問題視していますが、私も
全く同感です。
言うまでもなく、中国、ロシア、北朝鮮のような、
核・ミサイルを保有する権威主義国家に囲まれてい
る我が国が、「非核三原則」のような“現実離れ”
した政策を保持して「考えもしない」段階に留まっ
ている“危険性”について、安全保障や防衛を“真
剣に考えている人たち”は皆、多少の温度差はあっ
てもよく認識していると思います。しかし、その範
囲が“真剣に考えている人たち”に留まっているの
が問題なのです。
『自滅するアメリカ帝国』の著者・伊藤貫氏は、ア
メリカ在住が長いせいか、今どきの国際政治学者に
は珍しく、ハッとすることをスバっと指摘します。
一例を挙げれば、日本にもなじみが深い、アーミテ
ージ、ジョセフ・ナイ、それにライス元国務次官ら
が「日本の核武装をさせたくない」とする一心から
アメリカの「核の傘」の有効性を繰り返して主張し
てきた事実、しかし、昨今のアメリカの相対的な力
の衰退や国際環境の大きな変化もあって、キッシン
ジャー、ウォルツ、ホフマンなどのリアリスト戦略
家たちは、「日本もアメリカに過剰依存しない自主
防衛に舵を切るべき」と提唱していることを紹介し
ています。当然、自主防衛には核戦力の保持も含ん
でいます。
私たちは、通常兵器の世界では「敵と我が拮抗した
戦力を保持しておれば戦争は発生しにくい」ことを
軍事常識として理解していますが、伊藤氏は2人の
有識者の分析を紹介して、これまでの常識をくつが
えしています。実に興味深いです。
まず、MITの軍事学者パリ─・ポーゼン氏の「他
国からの先制攻撃によって破壊されない核兵器を所
有している国は、世界覇権を握ろうとする超大国に
よる軍事的な恫喝と攻撃を拒否する能力を持ってい
る」、同じくMITの国際政治学者ハーヴェイ・サ
ポルスキ��氏の「核武装国同士の戦争はリスクとコ
ストが高すぎる。したがって、核武装した諸国は、
お互いに核戦争を避けようとするだけではなく、通
常兵器による戦争まで避けようとする」との分析で
す。
つまり、核戦力保持の有効性は、たとえ彼我の格差
があっても、核戦争の抑止に留まらず、通常戦争の
抑止にもつながることを指摘しているのです。「核
抑止」と「核廃絶」の区別もつかない大方の政治家
・有識者・マスコミ人には“目から鱗”であろうと
思います。
だからこそ、湾岸戦争やイラク戦争から「イスラム
諸国が非核保有国だから、簡単にアメリカの攻撃を
受けた」との教訓を学んだ北朝鮮は、国民が明日の
食事さえ飢えているなかにあっても、莫大な経費を
費やして核実験やミサイル発射実験を繰り返し、有
効な核戦力の保持を企図しているのです(北朝鮮の
今年の餓死者は例年の3倍との報道がありましたが、
実態はかなりひどそうです)。
そして、中国は、日本を現状のような“与(くみ)
しやすい状態”に留めおくために、福島原発の処理
水について、自らがもっと濃い濃度の汚染水を垂れ
流している事実を知りつつ、“天つば”にもなりか
ねないリスクを冒しても、日本人が原発にも原爆に
も“眠ったまま”積極的な意思表示をしないように、
戦略的に反対論をぶち上げているのです。
さて、我が国の「核抑止」については大きな問題点
が2つあると考えます。まず、我が国のように「非
核3原則」を唱え、自らは核兵器を「持たず」「作
らず」「待ちこまず」としてすべてアメリカに“丸
投げ”している国が、ボーゼンやサポルスキーのよ
うな考えを適用しつつ、核抑止も、さらに通常戦力
の抑止も本当に可能なのか、という点です。
言葉を代えれば、アメリカの「核の傘」は未来永劫
に有効なのか、という点ですが、これについては、
次回、「日米同盟の有効性」に関連づけて詳しく触
れることにしますが、アメリカ政府の“一存”でそ
の有効性が突然、反故(ほご)になる可能性がある
ことは間違いないでしょう。
問題点の2番目は、中国や��朝鮮のような権威主義
国家に、アメリカのように「自国(民)の膨大な被
害回避を最優先し、核保有国とは戦争しない」との
考えが通じるかという点です。もし両国の為政者が
自国(民)の犠牲など一顧だにせず、戦争目的を遂
行しようとすれば、世界最大の核保有国・米国の
「核の傘」であっても、抑止が有効に機能しない可
能性があります。
なんせ中国には、1969年、ウスリー川の中ソ国
境問題を解決するため、当時は非核保有国だったに
もかかわ��ず、核保有国・ソ連に対して果敢に攻撃
を仕掛けたという“前歴”がありますし、同じく北
朝鮮も、“朝鮮半島はアメリカの防衛ラインの外”
と宣言した「アチソン声明」があったとはいえ、韓
国の後ろ盾に核保有国・アメリカがいることを知り
ながら、朝鮮戦争を仕掛けたのでした。
将来、これらの国とさらに緊張が高まるような事態
になれば、当然ながら、最大限の卑劣な文句を乱発
しつつ“露骨な核恫喝”を予想しておく必要がある
でしょう。
一方、本メルマガでも指摘したように、ウクライナ
はソ連崩壊時に領内に1240発の核弾頭を保有す
る世界第3位の核保有国でしたが、1994年の
「ブダペスト覚書」によって核兵器をすべて撤去し
ました。「歴史のif」ですが、仮にウクライナに
数発でも核兵器が残っていたなら、このたびの「ウ
クライナ戦争」は発生したでしょうか。少なくとも、
プーチン大統領の脳裏には、“ウクライナが報復と
して核兵器を使用すれば自国に膨大な被害が出る”
ことが浮かび上がり、侵攻を躊躇することにうなが
る可能性はあったと推測できるでしょう。
悩ましい問題でありますが、国際社会は、理想では
あってもいつ実現するか全く見通しが立たない「核
廃絶」ではなく、明日の「核抑止」をいかにするか、
で動いていることは間違いないのです。ゆめゆめ優
先順位を間違えないことが肝要です。
今回はこのくらいにしておきますが、我が国の「防
衛力」の盲点について、「もしかして」、つまり
「考えられないことを考える」ことまで拒否せず、
“急所”だけに“そっと覗いてみる”くらいの知恵
が必要であると私は思います。
ついでに私がアメリカをうらやましいと思うことが
もう一つあります。MITという、日本の東京大学
にランクされるような大学の教授たちが堂々と「正
論」を述べていることです。
それに対してと言うわけではありませんが、日本の
学者先生方は自らに恥じることはないのでしょうか。
前述の日弁連もそうですが、優秀なはずなのに、も
はや「つける薬がない」のでしょうか。
8月15日、終戦記念日の産経新聞社説は、論説委
員長の記名入りで「首相は核抑止の重要性を語れ」
と題して、“悲劇を繰り返さぬため”にも「核抑止
の有効性」について、普段の倍ほどの長さで堂々と
述べていました。過去にもあったのかも知れません
が、私自身は「核抑止」についてこれほどの内容を
マスコミ人が語ったのを初めて知りましたので、と
ても驚きました。
これなどはとても珍しいケースだと思いますが、我
が国の最大の問題は、様々な「もしかして」など
“夢にも思わない”人たちが政治家・有識者・マス
コミ人・教育者な���に数え切れないほど存在し、な
おかつ、依然として“その人たちの声が大きい”こ
とにあると思うのです。その結果を受けて、大方の
国民もなんら危機意識を持つことなく、時間だけが
進んでいきます。本当に困ったものです。次回は、
もう一つの“急所”を紹介しましょう。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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追追記大変遅くなりました!!!本当に今更ですが・・・ちょっと長くなりすぎたのでnoteに返信を書きました。(新規のnoteアカウントです)https://note.com/akanenbo/n/n377af3f862ceもし良かったら返信も見てください。追記やー…すっごい伸びてしまってあわあわしています心配や応援してくれた方、本当にありがとうございますあなたが��の様な人が居るお陰で私や性違和がある人、もう少しいえば色んなマイノリティの人が救われていると思いますマイノリティの代表者面じゃなくてあくまで想像なのですが!本当にありがとうございます ちょっと夜に返信と補足書きますね術中と術後の話も需要ありそうなので記載します今回はもぐまでの話だからって事で省いちゃった疑問点とかあれば出来る限り記載します あと、トランス女性じゃなくなったみたいな表記で不快感を与えた方、ごめんなさい私は本当に戸籍や身分証明書の事でしか考えてませんでしたどちらが正しいかは私にはわからないですが、デリケートな話を本質じゃない所でするのは良くなかったです 本文https://anond.hatelabo.jp/20230306124934この記事へのアンサーです記憶を頼りに書いたらので色々間違ってると思うので正確な内容は一次ソースあたって下さいプロフこの間お兄ちゃんは子宮切除しなくて済むよ!って書いた増田ですうへへ…ホットエントリ入りすると増田の味がやめれなくなるねあくまで自己経験からですが大変なんだぞって話をしますちなみに戸籍が女性になってるので厳密にはもうトランス女性じゃなくて女性カテゴリになってるけど悪しからず今回は前みたいにマニアックじゃなく…なる予定でしたが色々書いてたら長くなっちゃった. 手術の金銭面の問題まぁ高いっすSRS(最適号化手術、ちんを切って女性化する手術、以下SRSどだけ)を受けるには国内、タイ、その他医療先進国、で受ける手段があります ですが、SRSを受ける人は大体タイを選んでます理由はいくつかあるのですが、値段と技���と期間とアフターサポートとその他諸々含めて一番いいからですね一般の皆様は国内で受ければ良いって思うんでしょうが、予約がめっちゃ先の…私の時は3年先とか?まで埋まってるから海外行きたくないって強い意志でもない限り選択肢から外れます一応保険適用になったっぽいんですが(前にも書きましたが)ガイドラインにあるホルモン適用してたら保険適用外になるという不思議現象が起きていて殆ど使われてませんホルモン例外が無くなれば選択肢に入る可能性もあるのですがあと日本は残念ながらSRS技術の後進国なので、非常に質が悪く…女性器の形が良くならなく、ネイティブ女性のそれとかなり違い、かつ感度も良くないらしいとか で、次の選択肢は先進国…アメリカとかカナダとかですね高すぎるので選択肢に入りません石油王なら選択肢に入るのかな…詳しくは知りません質は良いと聞きます そして、タイですタイには名医と言われる先生が2人ほど居て、それぞれの先生の名前からガモンホスピタルとスポーンクリニックという病院がありますおそらく日本人含めたある程度お金あるSRSする人はこの二つの病院から選びますガモン先生はチンを再利用して周りの神経とかまで使って穴を作る権威チンだけ先に切るとこの術式が使えなくて大腸使う方式になるんですよねスポーン先生は…私は余り知らないですがスポーン式とかいう方法でまた権威の先生です当時ガモンクリニックで70万円ぐらいでスポーンクリニックは+30万円ぐらいだったかな今は円安だから100万円ぐらいしちゃうのかこれに交通費と3週間のホテル(病院指定)とあわせて130万円ぐらい最低でこれぐらいですがここから更に費用がかかります まずアテンド会社料金入るのは必須じゃないんですがタイでの書類を出すサポートとか1人の病室に来てくれたりとか、非常に手厚いらしいです私はお金ギリギリだったのでアテンド会社頼みませんでしたがガイドとかではお勧めされてたりしますこれで大体30万ぐらい上乗せですね さらに個別の追加料金30歳?か35歳?以上になると確か追加でお金がかかりました、20%増しとかだったかなさらに体重70キロ超え?とかだとさらに20%とかかかりますそしてチンを使わない術式…これ、チンを切ってしまったとかでは無く、チンの長さが11センチ?以下とかでも使えないんですよねそうなると穴を作るのに大腸の一部を切り取る必要があり、60万ぐらい追加料金になります更に術後の経過次第で3週間では帰れない事もあるのでバッファの滞在費と交通費が必要です 長い間海外に行くわけなので荷物も何かと必要ですし合計350万ぐらいは計算した方がいいですね 手術外の金銭面問題昔は雑にSRS��きたらしいのですが、それでバキバキ手術した人が死にまくったらしく日本人がSRSするにほガイドラインというものを通さないといけなくなりましたこれも、かなり費用かさむのですまず初めに染色体検査や血液検査や性器の検査、諸々で10万ぐらいあとガイドラインが進むと週に一度ホルモン療法で5000円ぐらい、二月に一度血液検査で一万円ぐらいさらに女装が好きな性癖じゃなくて女性になりたいんだよねって確認の為に精神鑑定 これを数年行わないと日本のお医者さんはSRS受けていいよって許可証を出してくれませんこの許可証が無いと国内国外問わずある程度ちゃんとした病院ではチンを切る事も出来ないのです社会生活、健康、収入問題さっき書いた許可証がとても大切で手に入れるのが非常に大変ですまず「私は小さい頃から心が女性でした、男性で苦しいです」って言うのをお医者さんに認めて貰わないといけませんそのため、物心ついてから今までどれだけ苦労してきたかを証明する必要があり、今までの人生を作文にします国語力が低いとこれが通過しません さらに社会生活を女性として一年?以上過ごす事が必要となります正攻法では通すためには、社会人としてトランス女性として一年ぐらい給料貰う必要がありますトランス女性雇う会社なんて普通ないんですよ(今は多少増えてたりするのかな)私は水商売だから例外中の例外ですが、水商売しないでトランス女性で給料貰うってどうすれば良いんでしょうかねトランス女性で社会生活送るなんて事が不要なら水商売してなかった…かなぁ世の中にはお酒とかコミュニケーションとかそれ以外の事とか苦手な人も居るのに、それらの人がSRSするにはめちゃくちゃ難易度が高いんですよ私は3年ぐらいで許可証出たのですが、それでもとても早く許可された方なんですよね 書いてて思いましたがこの間はどうしてもトランス女性としてトイレ行く必要がありますねバレなければ問題にならない女性トイレか入った瞬間に時によっては怒鳴られたりもする男性トイレか…多目的トイレの存在が有り難かったですね私は容姿とかについては恵まれてる?方で元から銭湯に行って女子鍵渡されてたタイプなので(ここ自慢)まだ良かったのですが、それでもトイレ問題がおっくうで外に行く機会は減りました容姿問題は残酷で。どんなに良い人でも男性にしか見えない人は現代日本ではトランス女性として生きて行くのは非常に大変なのです そういうハードモードで、さらにSRSのお金貯めないといけないのですマジで水商売するか石油王か芸能人以外の人はどうやってSRS要件満たすのかな さらに手術をすると自由に動けるようになるまで最低半年かかります私は完全復帰するまで5年とか掛かったのでその間は親にごめんなさいして住ませてもらいました(ジェンダー���事で縁切られた後だったので5年ほど死んだように過ごしてました。それでも親には感謝しきれないです)私は術後の経過最悪だったのと精神がやられたので特殊ですが、一年は収入途切れても大丈夫な人しかSRSは厳しい気がします健康・その他性病持ってると手術してくれません血液検査結果で血液が固まりにくいと手術してくれません皮膚病で手術できない事があります健康な精神状態じゃないと手術してくれません体重一定以上あると手術してくれません18~59歳の間じゃないと手術してくれません他、色んな検査のどれかが引っかかると手術してくれません チンを切る話では無いですが、結婚してるとチンを切っても離婚しないと戸籍変更できません未成年の子供がいると戸籍変更できません 手術の危険性描くの忘れてたよ!手術するときには、死んでも何が起きても仕方ないですって書類にサインする必要がありますガモンヤンヒーでは余り聞かないですが、まぁ死ぬ例もありますまた、ソース忘れたのですがSRS終わっても術後一年で無くなる人も多いのだとか女性になれた!…あ、もう人生思い残す事ないや。死のうって感じで自殺する人とかも多いらしいですね、今まで苦しかった分余計に私も、かなりそういう風になりかけました まとめとかコロナのせいで海外での手術も出来なかったようです手術は前払い国際送金で「何かあってもこの日に手術出来なきゃ手術できませんお金は返せません」みたいな契約ありましたが、コロナ前にお金払ってた人はどうなるのかな… あと最近(といっても私が手術した時)はLGBTみたいな運動が軽く出始めた時で手術する人が多く、一年ぐらいは手術待ちました今だと更に待つんじゃないかな …と、言うわけで「私は男じゃない!」ってなった後すぐにチンを切ろうと思っても中々大変な訳ですジェンダークリニックに行ってる人は結構多いんですが実際執刀までできたのはどれぐらいなのか私も精神も病むしお金も無くなるしほんっとうに大変だったんですよねここまで調べるのも大変で、私には色々教えてくれる師匠みたいな人がいたから戸籍変更まで終えたのですが、1人だと無理だったでしょうねここでは書きませんが、手術もまぁー大変でした だから…女性になるのって本当に大変なのでトランス女性に石投げる時は少し手心があると嬉しいです昔の自分に石投げられてる感じがするので…
ちんこもいだ勢だけど、ちんこもぐのって大変なんだぞ
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漫画感想文(2024年11月)
現実逃避のためずっと漫画ばっかり読んでいたので感想を残しておく
「とりかえ・ばや」さいとうちほ
ウテナの話をして、途中まで読んでたのを思い出したので。平安時代の男女双子を入れ替える「とりかへばや物語」を現在の少女漫画へ翻案したもの。
神秘的な表紙イラストがとにかくよかった。絵がきれいでずっと目の保養。東宮と睡蓮のコンビがずっとほのぼのかわいくて癒しでした。ほかは結構関係性がたいへんだから……
テーマ的にジェンダー・セクシャリティのゆらぎを扱うことになるので、現代の少女漫画として読みやすいバランス取れてるか���とどうしても外側の視点が出てくる感じもある。氷室冴子による先行作「ざ・ちぇんじ」もあるし。二組の男女関係に落ち着いていくのは正統派少女漫画として読みやすくてたのしかったけれど、2024年に描かれるなら特に沙羅まわりはまた別のバランスありそうと思ったりした。そもそも落ち着かなくてもいいのかも。(完結は2018年)
「殺し屋1」山本英夫 1巻のみ
変節ラブストーリーと聞いたので。でも1巻でギブアップ。
過剰なグロ・暴力描写もそうだけれど、それ以上に作品内の暴力を支え正当化する理屈と感情の方が自分にはキツかった。DV受けてる女性に対する主人公の視線やそこから派生する暴力はじめ、すべてがほんとうにムリ。暴力を振るう以外に選択肢が浮かばない・ピュアだからという描写で過剰な暴力が無意識に正当化されてそうなのもいやだ。
ただ、ここに描かれる強烈な劣等感と痛みに強く共感できる人は多いと思うし、その感情を漫画的デフォルメを用いて純度高く表現していることは伝わったので、読んでみたのはよかったかな。情報の多い現代にこの純度の感情で書くのは難しそうなので、歴史的な価値があるかも。
「ふつうの軽音部」原作:クワハリ 作画:出内テツオ
各所でおすすめされていたのでミーハーな気分で。ふつうにおもしろくおすすめできる作品。
漫画っぽいキャラクターとちょっとだけ漫画的フィクションをまじえた、特別じゃないふつうの高校生たちのふつうの軽音部の風景。2024年にあってほしい「ふつう」をうまく形にしてるなあと思った。
邦ロックほぼ聞いたことないけれど、歌や歌詞がうまく引用されててPVとかちょっと気になる。
「ディエンビエンフー 完全版」西島大介
最近作者さんがインディーゲーム作ったり賞取ったりでいろいろ活躍されていたので。「無題さんアドベンチャー」はオーソドックスでたのしいGBStudio製ゲーム。
いまさらすぎるけれど、1巻はほんとにすごい!
ベトナム戦争という現実に対して、日本のマンガというサブカルチャーがなにを描き、なにを伝えるのかというひとつの答えになってる。
マンガらしいちっぽけな自意識や女体への欲望、デフォルメされた過剰な暴力表現、ご都合主義的な展開、余白ばかりのページターナーはばかばかしいまでに残酷な現実に呼応する。
歴史的な正確さではなく、当事者への誠実さでもなく、ポップで都合の良いフィクションでかろやかなマンガだからこそ描きうる広く伝えられるリアリティと戦争の一面があるように感じた。
進むほど、いわゆる「マンガとして��おもしろくなってしまって、当初どこかにあったリアリティが後退し、繰り返しも多くてやっぱり勢いで描きうる内容に対して長すぎたのだと思う。キャラクターが多彩で魅力的なことが作品の足を引っ張ることってあるんだ……
でも描かないとわからないこともあるんだろうし、中だるみがほんとに長いけど��とりあえずちゃんと当初予定されていた完結まで描いてくれて、読めて良かった。アオザイ通信たのしい。
そして、自分はこの結末となにか別のものを望んでいたのだと思う。
新作のカンボジア内戦を描く「コムニスムス」読もうかな。
阿賀沢紅茶「正反対な君と僕」
ラブコメすきなので。もうすぐ完結。
いまっぽい(のだろうか?)高校生たちの学生生活の話。ほどよく繊細でノーストレスで読みやすい。これも今時あってほしい学生生活が形になってるなあという印象。
恋愛模様については描かれてるとおりなのだけれど、アズマに関しては許容量が大きい分だけまじでわるい男にひっかかったらたちわるく続きそうなので、ほどよくめんどくさいタイラに落ち着いてよかったなとほっとした感じ。このままイライラしたり許したりしていてほしい。おせっかいな親戚の気分。
ちゃんと恋愛にいかない選択肢を示した後で、それでも違う関係を示唆して選ばせたのはなんかよかった。
リンクは自分用の画像参照用なので適当でした。
まとめ
読んでる時の情緒を反映して作品ごとのアップダウンがはげしく、大変なめまいがする読書体験だった。情緒がめちゃくちゃ。
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「未来予測プロジェクト」はじめます-みらいものがたりラボ1周年記念
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「未来予測プロジェクト」はじめます-みらいものがたりラボ1周年記念
皆さま、こんにちは。未来に繋がる情報を研究し発信するブログを運営する「みらいものがたりラボ」代表のせにょです。
本日、2024年08月13日は、未来に繋がる情報を研究し発信するブログ「みらいものがたりラボ」を開始して1周年となります。そこで、1周年を記念して、「未来予測プロジェクト」を開始します。この記事を最後まで読めば、それが単なる思い込みにすぎず、「世界はどんどんよくなっている」ということがわかります。興味あるという方は、ぜひ最後までお読みください。
「未来予測プロジェクト」とは?
「未来予測プロジェクト」とは、これから先の2030年?2050年までの未来を予測する本を解説して、皆さまとともに未来の物語に向けたトレンドを共有することです。プロジェクトと大げさにいってますが、まあ、要するにいつも通り私が未来につながると思う本をわかりやすく紹介するということです。
「未来予測プロジェクト」をはじめる理由
では、なぜ「未来予測プロジェクト」をはじめるのか?その理由は、「我々が、未来にあるべき姿を描く力を身につける」必要性を強く感じるからです。 皆様は、普段ニュースやSNSを見ていて「世の中はどんどん悪くなっている」とお考えではないでしょうか?具体的には、「格差は広がり、世界各地で戦争が起こり、貧困がなくならず、気候変動で地球はますます住めなくなっている」と思っていませんか?それが単なる思い込みにすぎず、「世界はどんどんよくなっている」と言ったらどう思われますか? 我々、大人がこのような思い込みにとらわれ、ディストピアな未来予想図ばかり見てしまうと、日本の将来を担う子供たちに対して、明るい未来像を提示できるわけがありません。ここに強烈な問題意識を感じたので、「未来予測プロジェクト」をはじめることを決意しました。
マスメディア業界の未来に不安を感じ離れる決意をした
最初に私がこのように考えるに至った背景をご説明します。 私は、20代でマスメディア業界に入り、以後13年間様々な仕事をしてまいりました。その間、.comバブル、YoutubeがGoogleに買収されドッグイヤーと呼ばれる、4大マスメディア広告の衰退、インターネット広告の隆盛、SEO/SEM、FacebookなどのSNSの流行などを体験してきました。そして、決定打となったのは2011.3.11東日本大震災が起きたときでした。震災が起き甚大な被害が出て、皆が悲しみ苦しんでいるとき、当時所属していた新聞記者出身の社長が「スクープだ!忙しくなるぞ!」と嬉しそうに話したとき、「ああ、私とは感性が違いすぎるな」と思いました。そして、Twitterでバイトテロが流行し社会問題化したころ、これをソーシャルメディアを活用した炎上商法の成功例として如何に注目を集めるか?を検討すると聞いたとき、メディア業界の未来に不安を感じたため離れる決意をしました。
メディア業界に感じた未来への不安=「バズらせること、炎上させることを厭わない」という業界慣行
では、私がメディア業界に感じた未来への不安とは何か?その応えは、コンテンツの内容の如何に関わらず「バズらせること、炎上させることを厭わない」という業界慣行です。新聞、雑誌、ラジオ、TV、WEBサイト、SNS、Youtubeと時代とともにメディアの隆盛が移り変わりに伴い、「発行部数、視聴率、PV数、リツイート数、再生回数、チャンネル登録者数」など言葉を変えてきてますが、メディアビジネスの成功の指標は、注目されて数字を伸ばすことです。 もちろん、今メディア業界で頑張っている方やかつての仲間のことは尊敬していますし、何とか業界を盛り上げて頑張ってほしいという応援の気持ちはあります。ただ少なくとも私は、大地震を「スクープだ!」と喜べる感性はありませんでした。
バズりや炎上を厭わない業界慣行の理由=ヒトはネガティブな情報に強く反応するから
では、メディア業界でバズりや炎上を厭わない業界慣行となるのじゃなぜなのでしょうか?その理由は、人間が持つ動物としての生存本能が、ポジティブな情報よりもネガティブな情報に強く反応するからです。スメディアビジネスはネガティブな情報に強く反応するという本能に徹底的に訴えかけることで成り立つビジネスです。そして、これは未来を予想あるいは予測するコンテンツについても同じことがいえます。 なるべく煽情的��おどろおどろしいディストピアな未来予想図を提示することで、多くの利用者に注目された結果、数字を伸ばすことを目指します。これは業界慣行上仕方ないことです。
私が考える未来とは=ユートピアな未来予想図
では、メディアが提示するディストピアな未来予想図に対して、私が考える未来予想図とは何か? その応えは、ユートピアな未来予想図です。以前、ファクトフルネスという本を紹介しましたが、���ァクトベースで様々な数値の長期トレンドを分析すると、あらゆる面で「世界はどんどんよくなって」います。そして、世界をよくする原動力は、生活の不便、不満、不安、不快、不足など様々な「不」を技術的な進化で解決するイノベーションです。そして、生活上の様々な「不」が解消された未来とは、便利、満足、安心、快適、十分な暮らし、つまり明るい未来の物語=ユートピアな未来予想図につながります。
過去の延長線上に未来があるとは限らない
ここで、確かに、「過去から今までは着実によくなってきたかもしれないが、過去の延長線上に未来があるとは限らない、つまり今後もよくなるとは限らない」というご意見があるかもしれません。おっしゃる通りです。VUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))の時代となり、変化が加速しています。いわゆる破壊的イノベーションで、我々が予測できないような脅威が起こるかもしれません。だからこそ、未来予想は誰にもできません。しかし、未来予測は可能なのです。
なぜ未来予想が不可能で未来予測は可能なのか?
では、なぜ未来予想が不可能で未来予測は可能なのでしょうか?その理由は、予想と予測の定義の違いにあります。 「予想」と「予測」はどちらも「将来のことを前もって見当つけて、どうなるかを推測する」という意味では似ていますが、以下のように明確な違いがあります。 「予想」とは、「物事の成り行きや結果について前もって見当をつけること。また、その内容。(goo国語辞典より) 」です。具体的には、「予想」は主観的で直感や個人的な見解に依存する傾向があります。つまり「予想」は個人の願望や期待や思い込みであることが多いので、未来予想が当たることはほぼありません。 一方、「予測」とは、「事の成り行きや結果を前もっておしはかること。また、その内容。(goo国語辞典より)」です。具体的には「予測」は、客観的で具体的なデータや事実に基づく推定です。つまり「予測」は、今ある事実を根拠に未来の予測をするので当たる可能性もあります。
未来予測をする方法
未来予測が可能だとして具体的にはどうしたらいいのでしょうか?その応えは、過去に書籍「未来に先回りする思考法」で解説していますが、以下の3ステップで実践します。
常に原理から考える
テクノロジーの現在地を知る
タイミングを見極める
より詳しくは以下をご覧になってください。
以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。次回は、未来予測プロジェクトの第1段階として2030年の未来を予測します。次回もぜひお読みください。今後とも��ろしくお願いします。
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TEDにて
ポール・ブルーム:先入観は良いことになり得るか?
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
私たちは、偏見や先入観は無知の産物だ!���考えます。しかし、心理学者であるポール・ブルームが示そうとしているように、先入観は、しばしば、自然で理性的で、道徳的ですらあります。
重要なのは、私たちの偏見が、どのように機能しているかを知り、間違った方向に働いたときは、制御できるようにすることだ!と、ブルームは述べます。プロトコル ?
こうした偏見は、とても早い段階で現れました。こうしたグループ内外に関する心理はあらゆる所で見られます。
異なるイデオロギーを持つ政治的対立でも見られます(今では、このような政治的な偏見は社会システム全体に悪影響を及ぼすことが実験で証明されています)
戦争といった極限の状況では、グループ外の者には与えるものを減らすどころか、人間扱いすら、しません。
また、ステレオタイプと偏見は、実社会に影響しており、いずれも小さいことながらとても重要です。
では、これを知った私たちはどうしたら良いのでしょう?
いくつかの道があります。一つの道としては、人々の感情に人々の共感に働きかけることで、これには、よく物語が使われます。ただ、感情が全てではないと思いますし、最後に理性の力をアピールして終わりたいと思います。
スティーブン・ピンカーの素晴らしい著書。「人の中の良き天使」の中でこう書かれています。
旧約聖書は、隣人を愛しなさいと説き、新約聖書は、汝の敵を愛しなさいと説いているが、私は、あまりどちらも愛していません。でも、殺したくもありません。
彼らに対して、義務があることは分かっているが、彼らに向ける道徳的感情やどういった姿勢で振る舞うべきかは、愛が基準ではありません。
その基準は、人権に関する理解にあり、私の人生が私にとって貴重であるのと同じように、彼らの人生もそうだという信念に基づいています。
著者は、これを支持する背景として、偉大な哲学者。アダム・スミスの物語を紹介していますが、私もそうさせてもらいます。
私のは、現代向けに少し変えて話しますが、���て、アダム・スミスは、まず皆さんに数千人の人々の死を想像してくださいと言います。そして、それらの人々は、皆さんがよく知らない国の人です。
中国でもインドでもアフリカの一国でも構いません。どう反応するか?とスミスは尋ねてきます。皆さんは、それは酷いことだねと言って、引き続き、自分の人生を歩んでいくでしょう。
例えば、ニューヨークタイムズオンラインを開いて、こういったニュースを知るのは、日常的にあるかと思いますが、私たちは、再び自分の人生に専念します。
そうではなく、こういう場合はどうでしょう。例えば、明日、皆さんの小指が切り落とされることを想像してください!と。
そして、それは皆さんにとって大事でしょう。とスミスは言います。さらに、明日のことを考えるとその夜は眠れないでしょう。そして、ここで質問です。
皆さんは、数千の命と引き換えに自分の小指を守りますか?
答えは、頭の中に留めておいてください。スミスは、決してそんなことはしないと答えますが、なんてイヤな答えでしょう。そして、これがある問題を提示します。
スミスによればこうです「受け身で考えるとこんなにいつも浅ましく自分勝手であるならば、一体、どうして、我々の行動原理は、常にこんなに寛大で高貴なのか?」
これに対するスミスの答えは「理性、行動原理、意識。それらが命じるのです。我々の情熱の最も傲慢な部分を動かす声で我々は皆、他と変わりないのだと」
この最後の部分は、よく公平の原則として紹介されるものです。
「公正」の定義は、「公平」の「判断や言動などがかたよっていないこと」「ハンデをつけて上限を公平に!」に加えて、「正義」の方向に現在進行形で進んでいる事象のこと。
「正義」の定義は、この場合、マイケルサンデルによると、ジョンロールズの格差原理から最下層の便益に合わせて社会を動かすことが正義である!と言っています。
知ってるつもりで思い違いしてること!
公平概念は「ハンデをつけて上限を公平に!」
平等概念をわかりやすく言葉にすると「上限の公平ではなく底上げの平等!」みたいな感じで、これ以上でも以下でも概念が変わるから拡大解釈しないこと。
法人の平等な競争はあまり聞いたことない。公平な競争がしっくりくる。
この公平の原則は、世界中の宗教でも語られています。
あらゆる黄金律、世界中の道徳哲学でです。様々な違いはあるものの公平な視点から良識を判断するべきという前提を共有しています。私たちの理性は、情熱を抑え込むことができます。私たちの理性は、共感を強めることもできます。
また、私たちの理性は、習慣やタブー、法律を作り、また、衝動で行動すべきでないときには、理性的な人間として、そうしないよう自分たちを律します。
これが憲法というものです。これも先入観、偏見かもしれません。国内では、日本国憲法のこと。
憲法とは、簡単にいうと権力者を縛る最高レベルの法律です。
庶民(権力者も含まれる国民ではありません)の権利・自由を守るために、暴力機関を保持する頂点である国家がや���てはいけないこと(または、弱者を守るためにやるべきこと)について庶民(権力者も含まれる国民ではありません)が定めた決まり(最高法規)です。
三権分立の関係者である政治家、裁判官、警察、行政などや中央値で600万円以上の年収を得ているような裕福層の個人、法人であるテレビ局、大企業、中企業なども権力者に該当します。
根本は、カントの「永遠平和のために」やジャンジャックルソーと知られています。
過去の歴史では、ポピュリズムという、モデルのオンリーは失敗している現実があります。ハンナアーレントの書籍「全体主義の起源(The Origins of Totalitarianism)」「イエルサレムのアイヒマン- 悪の陳腐さについての報告」にもあります。
ヨーロッパでの一般データ保護規則(GDPR)でも言うように・・・
年収の低い個人(中央値で600万円以下)から集めたデータほど金銭同様に経済的に高い価値を持ち、独占禁止法の適用対象にしていくことで、高価格にし抑止力を持たせるアイデア。
自分自身のデータを渡す個人も各社の取引先に当たりデータに関しては優越的地位の乱用を年収の低い個人(中央値で600万円以下)に行う場合は厳しく適用していく。
最後に、マクロ経済学の大目標には、「長期的に生活水準を高め、今日のこども達がおじいさん達よりも良い暮らしを送れるようにする!!」という目標があります。
経済成長を「パーセント」という指数関数的な指標で数値化します。経験則的に毎年、経済成長2%くらいで巡航速度にて上昇すれば良いことがわかっています。
たった、経済成長2%のように見えますが、毎年、積み重ねるとムーアの法則みたいに膨大な量になって行きます。
また、経済学は、大前提としてある個人、法人モデルを扱う。それは、身勝手で自己中心的な欲望を満たしていく人間の部類としては最低クズというハードルの高い個人、法人。
たとえば、生産性、利益という欲だけを追求する人間。地球を救うという欲だけを追求する人間。利益と真逆なぐうたらしたい時間を最大化したいという欲を追求する人間。などの最低生活を保護、向上しつつお金の循環を通じて個人同士の相互作用も考えていく(また、憎しみの連鎖も解消する)
多様性はあるが、欲という側面では皆平等。つまり、利益以外からも解決策を見出しお金儲けだけの話だけではないのが経済学(カントの「永遠平和のために」思想も含めて国家や権力者は透明性を究極にして個人のプライバシーも考慮)
(個人的なアイデア)
勝手に警察が拡大解釈してしまうと・・・
こんな恐ろしいことが・・・
日本の警察は、2020年3月から防犯カメラやSNSの画像を顔認証システムで本人の許可なく照合していた!
憲法に完全違反!即刻停止措置をみんなで要求せよ。
日本の警察の悪用が酷いので、EUに合わせてストーカーアルゴリズムを規制しろ!
2021年に、EU、警察への初のAI規制案!公共空間の顔認証「原則禁止」
EUのAI規制は、リスクを四段階に分類制限!
前提として、公人、有名人、俳優、著名人は知名度と言う概念での優越的地位の乱用を防止するため徹底追跡可能にしておくこと。
禁止項目は、行動や人格的特性に基づき警察や政府が弱者個人の信頼性をスコア化や法執行を目的とする公共空間での顔認識を含む生体認証。
人間の行動、意思決定、または意見を有害な方向へ操るために設計されたAIシステム(ダークパターン設計のUIなど)も禁止対象にしている。
禁止対象の根拠は「人工知能が、特別に有害な新たな操作的、中毒的、社会統制的、および、無差別な監視プラクティスを生みかねないことは、一般に認知されるべきことである」
「これらのプラクティスは、人間の尊厳、自由、民主主義、法の支配、そして、基本的人権の尊重を重視する基準と矛盾しており、禁止されるべきである」
具体的には、人とやり取りをする目的で使用されるAIシステム(ボイスAI、チャットボットなど)
さらには、画像、オーディオ、または動画コンテンツを生成または操作する目的で使用されるAIシステム(ディープフェイク)について「透明性確保のための調和的な規定」を提案している。
高リスク項目は、法人の採用活動での利用など違反は刑事罰の罰金を売上高にかける。
など。他、多数で警察の規制を強化しています。
人間自体を、追跡すると基本的人権からプライバシーの侵害やセキュリティ上の問題から絶対に不可能です!!
これは、基本的人権がないと権力者が悪逆非道の限りを尽くしてしまうことは、先の第二次大戦で白日の元にさらされたのは、記憶に新しいことです。
マンハッタン計画、ヒットラーのテクノロジー、拷問、奴隷や人体実験など、権力者の思うままに任せるとこうなるという真の男女平等弱肉強食の究極が白日の元にさらされ、戦争の負の遺産に。
基本的人権がないがしろにされたことを教訓に、人権に対して厳しく権力者を監視したり、カントの思想などを源流にした国際連合を創設します。他にもあります。
参考として、フランスの哲学者であり啓蒙思想家のモンテスキュー。
法の原理として、三権分立論を提唱。フランス革命(立憲君主制とは異なり王様は処刑されました)の理念やアメリカ独立の思想に大きな影響を与え、現代においても、言葉の定義を決めつつも、再解釈されながら議論されています。
また、ジ��ン・ロックの「統治二論」を基礎において修正を加え、権力分立、法の規範、奴隷制度の廃止や市民的自由の保持などの提案もしています。現代では権力分立のアイデアは「トリレンマ」「ゲーム理論の均衡状態」に似ています。概念を数値化できるかもしれません。
権限が分離されていても、各権力を実行する人間が、同一人物であれば権力分立は意味をなさない。
そのため、権力の分離の一つの要素として兼職の禁止が挙げられるが、その他、法律上、日本ではどうなのか?権力者を縛るための日本国憲法側には書いてない。
モンテスキューの「法の精神」からのバランス上、法律側なのか不明。
立法と行政の関係においては、アメリカ型の限定的な独裁である大統領制において、相互の抑制均衡を重視し、厳格な分立をとるのに対し、イギリス、日本などの議院内閣制は、相互の協働関係を重んじるため、ゆるい権力分立にとどまる。
アメリカ型の限定的な独裁である大統領制は、立法権と行政権を厳格に独立させるもので、行政権をつかさどる大統領選挙と立法権をつかさどる議員選挙を、別々に選出する政治制度となっている。
通常の「プロトコル」の定義は、独占禁止法の優越的地位の乱用、基本的人権の尊重に深く関わってきます。
通信に特化した通信プロトコルとは違います。言葉に特化した言葉プロトコル。またの名を、言論の自由ともいわれますがこれとも異なります。
基本的人権がないと科学者やエンジニア(ここでは、サイエンスプロトコルと定義します)はどうなるかは、歴史が証明している!独占独裁君主に口封じに形を変えつつ処刑される!確実に!これでも人権に無関係といえますか?だから、マスメディアも含めた権力者を厳しくファクトチェックし説明責任、透明性を高めて監視しないといけない。
今回、未知のウイルス。新型コロナウイルス2020では、様々な概念が重なり合うため、均衡点を決断できるのは、人間の倫理観が最も重要!人間の概念を数値化できないストーカー人工知能では、不可能!と判明した。
複数概念をざっくりと瞬時に数値化できるのは、人間の倫理観だ。
そして、サンデルやマルクスガブリエルも言うように、哲学の善悪を判別し、格差原理、功利主義も考慮した善性側に相対的にでかい影響力を持たせるため、弱者側の視点で、XAI(説明可能なAI)、インターネット、マスメディアができるだけ透明な議論をしてコンピューターのアルゴリズムをファクトチェックする必要があります。
<おすすめサイト>
ロジェカイヨワ戦争論と日本の神仏習合との偶然の一致について2019
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フィリップ・ハワード: 壊れた法制度を直す4つの方法?
エピソード3Episode3 - Light clean since there is also in the darkness闇の中にも清浄な光が存在(パワーか、フォースか―人間のレベルを測る科学 - Amazon)
パワーか、フォースか 改訂版―人間のレベルを測る科学 - デヴィッド・R・ホーキンズ Amazon
<提供>
東京都北区神谷の高橋クリーニングプレゼント
独自サービス展開中!服の高橋クリーニング店は職人による手仕上げ。お手頃50ですよ。往復送料、曲Song購入可。詳細は、今すぐ電話。東京都内限定。北部、東部、渋谷区周囲。地元周辺区もOKです
東京都北区神谷高橋クリーニング店Facebook版
#ポール#ブルーム#心理#自然#道徳#イギリス#スティーブン#ピンカー#アダム#スミス#公平#憲法#法律#カント#ハンナ#アーレント#アイヒマン#ルソー#権力#法人#大企業#カイヨワ#NHK#zero#ニュース#発見#discover#discovery
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2024年5月31日
「「俺はこの作品が好きだ/嫌いだ」と言えばいいものを、あえて「マーケティング的にはこれが正解だ/失敗だ」と、市場や売上を主語にして軍師面で批評してしまうことを一言で表現する語彙が欲しい」
「承認欲求は創作活動のガソリンだから、意識して��油しないと創作が前に進まなくなる。でも承認欲求が創作のゴールになると、前に進んでるつもりでその場でグルグル回り始めることになる。承認欲求をつどつど健康的に満たしながら、目的地に向かうロードマップがすごい大事な感じ。」
「>前衛舞踏家がブリーフをはいていたのは何故ですか? 前衛舞踏家なら当然ブリーフだろ トランクスは保守的 ボクサーパンツは日和見主義的 ビキニパンツは冒険主義的すぎる」
「無知を悪だと断罪したら、無知を受け入れづらくなっちゃうからダメだと思うのよ 踏み絵とか総括とか、相手の心を転ばせる所業は気持ちいいから、気をつけないとエスカレートするでよ
もっとカジュアルに無知っていこ」
「これを何回やるかはその人次第というか、限界にチャレンジして無理して頑張るからみんな継続できない。 自分を偽るな。体を動かすのが得意なやつはここにたどり着かない。 大事なのは今日限界まで動かすことじゃない。三ヶ月後も継続できる運動を見つけることなんだ。三日後もヤル気になることをやれ。」
「安定したメンタル保つ方法、結局「将来の心配が無くなるレベルの資産を持つ」「煩わしい人間関係が無い」の2つしか無い気がするんだよな…まぁそれが簡単じゃないから人生苦しいのだけれども」
「△若いうちの苦労は買ってでもしろ ◯若さボーナスが有効な内に経験値増やしとかないと後がしんどい
だと思う。世間は「年相応の振る舞いやスキルを求める」ものなので。」
「父親は祖父に「パイプカットには失敗してたけど男が生まれてよかったわガハハ」みたいに言われたのを晩年まで引きずってたな…」
「「何だこのマンガ誌! エロマンガって聞いていたのに全然セックスしてないじゃないか、こんなの損切りだ!」
「悪いが、君には80年代美少女コミック同好会に入る資格はない!!」」
「カンユーもゴステロも全く救いようのないクズ野郎なのだけど、デスタンは違うんだよ。ボタンを掛け違えたどうしようなく哀れな人間なんだよね。確かにクズみたいな行動はあるがね。デスタンだけは彼を救ってやりたい女性が登場する。彼にはカンダタの蜘蛛の糸が垂れ下がるだけど、それを切ってしまう」
「ネットショップで不具合品が来てることに気付いて問い合わせフォームに交換のお願いをしたら「8日以内のお申し出でないと交換できません」て返事来て、「法定返品権ではなく追完請求権の行使なので1年以内は交換できるはずです」と伝えたら交換してもらえたことがある。呪文は大事。」
「書籍を買う行為は、すこやかに暮らしたい、仕事を順調に終わらせたい、精神的な余裕があったらいいな、というささやかな願いであり、一種の「祈り」なんです。」
「コンカフェによって客が女給さん目当てにやってくる昭和初期「カフェー」の見事な復古がなされたので死語となっていた「純喫茶」の意味が再び輝いている」
「エヴァを観る前から「笑えばいいと思うよ」という台詞が知られている時代の人では、エヴァをリアルタイムに観ていた人たちの受けた「笑わない女の子が初めて笑った時の衝撃」を想像することは出来ないと気付いて堪らなく悔しくなった」
「「それシェイクスピアが書いてる」 「それアガサ・クリスティが書いてる」 「それスティーブン・キングが書いてる」 「それ星新一が書いてる」 という言葉に「でも俺は書いてないぜ!」と言う作業が創作活動には必須なんよ。」
「だから寝取られはキャラクターでもシチュエーションでもなくて、男側から女側への思い入れだけなんだって何回も言ってるでしょ!(ばんばんと机を叩く) 読む側がどれだけロマンティックなやつかで変わるものなんだって」
「祭が無くなったらそのコミュニティは死ぬ という話があった」
「>「士郎正宗は、技術的概念に関する複雑な知識を駆使して『攻殻機動隊』という文化を揺るがす作品を作り、その後は日焼けした女性のヘンタイを描くことに残りの人生を費やした」
酷い評価だがだいたい合ってる」
「ゲームだとライフとかHPとかって呼ばれる数値がゼロになるとゲームオーバーだけど、同じノリで現代人全般「信頼」ってポイントでキャリアの生き死に決まるメカニズムなのではないかという仮説を持っていて、そのルール理解しきれなかった人容赦なく場から退出させられてたりしないか。
より具体的に言うと信頼失わないような「失敗」は意外とノーリスクで経験値得られる一方、信頼積み重ねる努力怠るとか、何か失敗したあと信頼回復の努力怠るとか、自分が獲得してきた信頼の源泉に根ざすところに不義理働くことをすると思った以上に取り返しつかないダメージ食らう気がする。」
「ゲームの仕様書に「目的」を必ず書けと指導してる理由がコレ。目的を明確にしとかないと「良かれと思って」間違った方向にいっちゃうことが多い。悪くいうと「良かれと思ってなんですよー」と勝手に好きな方向にする人もそれなりにいるのである程度の抑止として「目的」は大事。」
「個人的に「マシンロボクロノスの大逆襲」のレイナの描写に関しては、EDの「ヘルメット脱げる上に、思ったより可愛い」が頂点で、中期以降「ボディスーツ着込んだ女の子」描写が進む度に醒めていって、OVA「剣狼伝説」��なると、もはやメカ娘のアイデンティティ全部失ってて興醒め。そじゃねえんだよな」
「昔、今川泰宏監督と鉄人28号について話した時、何が良いって、横山作品は悪役が丁寧言葉な事が最高!と。怪盗紳士の流れで年下の正太郎君にも敬語を使う余裕の知能犯こそ一番手強くて怖いと。 その系譜がカーンデジファー様にも。武史君に敬語は無しでも汚い言葉は無しにしました。」
「慶應に入って幼稚舎組という存在を認知するまでは、 まさか自分が今まで見てた世界が労働者階級用の資本主義2部リーグで、 資本主義1部リーグでは有産階級が別のゲームしてるとは思わんかった」
「これ何が奥深いって、資本主義1部リーグはあくまでも「上層中流階級」ということ。どんな大資本家も貴種ではなく中流階級の上澄みに過ぎない。
その上に本物の上級階級である旧宮家・旧華族・地方名望家などがある。この名士層は必ずしも不労所得者ではないが、彼らは経済力だけで評価はされない。」
「俺の父親も農機具で指落としたけど自分で病院まで行ってなぜか一般の受付に並んでて順番回ってきた時に「緊急外来だよ!!!」って受付に怒鳴られてたな」
「学校の授業だけで現文のセンター満点取れたから現文の先生に「満点取りましたよ!先生のおかげです!」って言ったら先生ニヤッと笑って「いや、君がやった事だよ」って返されたの一生の思い出だったわ」
「ぬは見守りキャッツなんぬ 昨夜13歳の姪っ子を車で親戚の家まで送ったんぬ 事前連絡を受けてた親戚の家の14歳男児が出てきて姪っ子の前に学生服姿出てきたんぬ 姪っ子は「へぇ~」と言いながら甥の身体を観察したり、ちょっと触ってみたり、動画をとったりしたんぬ しばらくして姪が「脱がしてみて良い?」と言ったんぬ 甥は頷いてボタンを外そうとしたんぬが姪はその手を静止、第一ボタンを自分で外したんぬ 「結構硬いね」と言い、カメラを出して甥が脱ぐ様を撮影したんぬ 「持って良い?」と姪 学生服の上着を手に取り「重い…」
「羽織ってみて良い?」と続け、甥がうなづくとそれを着ちゃったんぬ 姪は納得した様子だったんぬ 「男子の学ランって生地が結構厚くて重いんだ」 「修行じゃんこんなの」 「元々軍服だからこんなに重いのかな」 と関心してたんぬ その後はまた自分の体温が移った学ランを甥っ子に着せ、様々なポーズを取らせて写真を撮っていたんぬ 8時を過ぎる頃姪っ子を車に載せ家に送り届けて帰路についたんぬ 見守りキャッツでしたんぬ」
以上���
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果たしてわたしが送ってきたのは「挫折のない人生」だったのか
人より少し長くかかった学生時代を終えようとしている。しかし文系博士課程としては長くも短くもない平凡な修業年数だと思う。幼い頃より「20代いっぱいは好きなだけ勉強に費やした���いい」と言ってくれる両親の存在があり、自分の人生に博士課程進学という選択肢が浮かんだときもわたしの中では特に違和感も驚きもなかった。
これがどれだけ特権性を孕んだ考えであろう。博士課程に駒を進めるまで「学問の自由を阻まれること」がなかったのだ。わたしは地方公立中学校から国立大附属高校(藝大附属音楽高校・以下藝高)、第一志望単願で国立である東京藝術大学(国立大附属高校にはエスカレーター進学がない)、そしてロンドン大学(英国王立音楽院)の修士に博士とストレートで来た。人はこれを「挫折のない人生」と呼ぶ。
でもそう言われるたび、わたしは内心思う。果たしてわたしが送ってきたのは「挫折のない人生」だったのか?
――
「真帆ちゃんの初めての挫折だね」
藝大の大学院入試に落ちたとき、家族にそう言われた。わたしはそれは違うと思った。発表された数字の群れの中に自分の番号がないことは、コンクールで経験があった。この気持ちの因子は知っている、サイズが違うだけで。
世間一般を見渡せば、大学院入試に失敗するなんて話は珍しいことではないし、それは「就活がうまくいかなくて」というのと同じ程度の温度で受け止められる話題だと思う。ところがこと藝大生の院入試に関しては、その合否がまるで(キャリアの)生死を分かつかのような悲壮感を持って語られている。藝大生って、ひとつの本番に悲痛なほど「何かを懸けて」いることがある。最近は「これってヘルシーじゃないな」と思うが、当時はわたしも例に漏れず、落ちた時にはこの世の終わりのような気分になった。でも先述の通り、それ以前にも「この世の終わり」ごっこは経験しているので、院試の結果だけがことさら特別に腫れもの扱いされるのは不思議に思った。
幼い頃よりヴァイオリンに勤しんだわたしは、小学生のうちから「藝高合格」を目標としていた。中学生になると生活のほとんど全てを藝高受験のために懸けた。それだけの情熱と労力をかけた目標が報われたとき、わたしはぼんやりと考えた。���の目標がいるな、と。
目下のミッションとして3年後の藝大受験はあれど、もっと未来を見据えた目標が必要だと思った。そんな折、藝高に教育実習生がやってくる。藝高卒業生でもある大学4年生の先輩たちの中には、大学院進学をすると言う人がいた。なるほど音大にも大学院があるのか。もし演奏家として論文を書くことができたらどんなにおもしろいだろうと思った。
その後の高校・大学時代の演奏家としての業績は決して華々しいものではなく、どちらかといえば苦い記憶も多い。学校から駅までの上野公園の道のりで何度も唇を噛み続けた。コンクールやオーディションは落ちたもののほうが当然多い。学業成績は皮肉なほど良かったが実技の成績がトップに躍り出ることはない。それでも専攻の勉強にフルコミットできる環境を楽しむ気持ちもあり、この年月でたくさんの挫折と努力と学ぶ喜びを重ねながら目一杯のことを経験して、わたしは藝大4年生になる春から修士課程を目指して大学院入試の準備を始めた。
とはいえ、このときわたしは大学院で研究したいテーマがまだなかった。しかし入試では面接がないのでそこを問われる機会はない。反対にこの有り余る研究へのモチベーションを伝える術もなく、実技試験の出来次第である。かつては学年の一部の人しか出願しなかった大学院入試、気がついたら半数以上の人が受けるようになっていて、自分の学年のときも結局たくさんの人が受験した。そしてわたしは落ちた。青天の霹靂だった気もするし、あるあたりから覚悟していた気もする。
わたしの頃は、多数の人が受験するわりに、その意思を公言するのが憚られた。ほとんど受けるということは必ず誰かが落ちるからだ。最近は受験することを公表したり、落ちたことをもSNSで明かす人がいて、隔世の感がある。でも今考えると隠す必要も特になかったと思う。ただわたしにとって「大学院に落ちた」ことは、長いこと表で言えないほど深い深い傷だった。数年の間は、誰かの「院試受かった」の文言にズキズキさせられた。
誰より早くから大学院を志していたのに。「院生はティーチングアシスタントも求められるから仕事ができる人が有利」なんて言い出したの、誰? その噂ゆえに、はらだの合格は堅いだろうと目されていたのに。逆に初めからわたしは落ちると踏んで、顔を合わせればわたしの自信を奪うようなことを言う大人もいた。そういった大人の中には、わたしを指導する立場にある人もいた。あいつは絶対受かると言われることも、あんたは絶対落ちると言われ続けることも、どちらもわたしを強く揺さぶった。院試準備期間は、なんだか周囲の言うことに対して過敏になっていた気がする。わたしにとって院試が深いトラウマであるのは、受験に落ちたこと自体よりも、受験の前後の周囲の反応に振り回されてしまったことが影響しているように思う。
実を言うと、「自信」に自信がなかったわたしは院試に備えてありとあらゆる対策を講じ、人生の中で一番心穏やかに、冷静に演奏することができたのが院試の当日だった。あの日のベートーヴェンの協奏曲は、自分のベートーヴェン史上一番良い演奏をしたと思った。もっと言えば、バッハを弾いている最中に指がもつれた。でも全体的には形をまとめたので、あの日あれ以上の演奏をするのは無理だった。だから院試本体には“気が済んだ”という感覚がある。審査する立場を想像すればそのミス1点を理由に落とすことはないと思うので総合的に力不足だったと見るのが自然だが、審査の仕組み上演奏に点数をつけるため、ただでさえ僅差の戦いの中で数字化したときにそのミスが尾を引いた可能性はあったと思う。
落ちたとわかってからは不思議と開放感もあって、環境を変える理由ができたと思った。そこにしがみつくように受験したくせに、不思議な話である。いや、可能な限りこの学府にしがみつくことが「正解」だと思っていたわたしは、「正解を外れる理由」を不合格でしか自分に用意できなかった。それほどがんじがらめになっていた。
院試の結果を受けて、家族から何度目かわからない「音楽なんて辞めれば」を喰らった。今までにも聞かされた、それまでの人生ごと否定されるような感覚になるその言葉は、21歳で聞くと10代の頃よりも重く響くようでもあったし、藝大生に向かってよくも言えるなと思う冷静な自分もいた。後者の自分がうまく立ち回って、結局留学の可能性を探ることになった。結果的に家族は留学に関して全面サポートをしてくれたわけで、どえらい恵まれた環境なのだが、わたしは常に才能を期待されているプレッシャーがあった。言うなれば「わたしの初めての挫折」というよりは、受験において「初めて”親が期待する結果”に届かなかった」のが院試だった。
その後の学部最後の学期のいろいろなイベントは、留学先の受験やその後の渡航準備と常に並行していた。卒業試験はもはや捨て身の感もあって気負わずに弾いたら、成績上位者として受賞できることになった。このときの録音を使っていろいろな奨学金に応募したがことごとく落ちた。本当にことごとく落ちた。藝大で成績上位になった演奏なのに! やっぱり学年一位レベルじゃない自分はダメなんだ! またはそもそも応募できないものも多数あって、それらは「留学時に日本の学校に学籍があること」という条件があった。学部を終えたら、わたしは日本国内に所属がない。こうした場面で院試落ちというスティグマが疼いた。このスティグマから逃れるのは実に困難で、誰に言われたわけでもないのに、人前に立てば「どうせわたしは院試落ち」という意識がついて回る状態が何年も続いた。
結局、そのスティグマが本当の意味で気にならなくなったのは、わたしの場合は博士課程に進学してからだった。クラシック音楽におけるジェンダー論というテーマを見つけて論文を書くと���心してみると、研究や論文を成り立たせるには適切な環境と指導教官が必要であるとわかる。もしあのとき藝大の修士に進学できていたら、そのときは嬉しかっただろうが、このテーマを勉強する機会はなかっただろう。
わたしの視点から見ると、この道のりに「挫折がない」と言われることは耐え難いが、絶望の深度がまだ浅いと言われたら何も返せない。多かれ少なかれ、音楽家だったら、留学生だったら、大学院を出た人だったら似たような苦労はしているだろうし、そもそもこの苦労に遭遇することすら特権階級的であることは否めない。全てのことは、わたしが“ヴァイオリンを弾ける環境になかったら”起こっていないことだ。だからといって、苦労が美徳とも思わない。
なぜこんなことをブログにしたためているのかと言うと、あの頃の「院試に落ちて絶望しているわたし」を励ますためだ。今はまだ胸が痛んで仕方ないだろうけれど、あなたは博士号取るよ、しかも英語で。演奏家として論文を書く環境としては、かなり良いところに身を置ける。観光レベルの語学力からスタートして必死に英語を勉強して、ヴァイオリンももっとうまくなって、ジェンダースタディーという学問に出会って、いろいろなことができるようになる。別に論文やら語学力やら目ぼしい成果がなかろうが、院試の結果でそのように思い悩む必要はないけれど、あなたのその胸の傷は未来でちゃんと癒えるからね。
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学ぶということは過去の偉人が築いた軌跡を辿ることを意味します。このことは数学の一分野である微積分学にも当てはまります。ニュートン及びライプニッソによって誕生した微積分学は当初数学的厳密性に欠けるとの批判を受けましたが、条件として誤差がイプシロン以内であるならば極限による近似を正しいと定めることで厳密に理論を構築することが可能となりました。これがいわゆるε-δ論法です。このε-δ論法によって局所的な微分及び大域的な積分を数学的にかつ統一的な視野から記述可能となりました。本書ではこの統一された視野から俯瞰して微積分学を学ぶことができると思います。
次に学習のロードマップについてお話ししたいと思います。まずは、YouTubeの微分積分の動画を観ながら、マセマシリーズを”ボロボロ”になるまで読みましょう。
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微積分入門
実はマセマシリーズを完璧にマスターすればA以上を目指せるだけでなく、高嶺の花だとされている斎藤正彦先生のテキスト「微分積分学」を楽々と読みこなすことも夢ではないのです。だからこそ、微分積分学の基礎となる土台の足固めをマセマシリーズで学ぶことが大切なのです。(逆に言えば、斎藤正彦先生のテキストが難しく感じるのはマセマシリーズを完璧にマスターしていない何よりの証なのです。)
なので、どんなに時間がかかってもいいのでマセマシリーズを完璧にしましょう。その後、演習書としてチャート式を解きこなし、体で覚えましょう。
また、英語が得意で意欲的な人はYouTubeで「MIT 18.01 Single Variable Calculus, Fall 2007」、「MIT 18.02 Multivariable Calculus, Fall 2007」と検索して世界トップクラスの大学の授業を体感していただけたらと思います。(英語字幕あり、実はそれほど難しくありません。)
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追記
夢の実現方法―PDCAサイクルを実践するー
1,Plan ;具体的に目標をイメージしてそれをノートに書きとめる。
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2,Do ;目標を達成するために努力する
↓
3,Check;現実と目標のギャップを受け入れて何を改善すればいいか考えてノートに書きとめる。
↓
4,Action;Checkでの反省を活かして努力する。
↓
1,Planに戻る。
~追記~
研究者もしくはエンジニアを目指す方はぜひ、こちらの書籍と動画を参考にしてこれからのキャリアを築いて下さい。
~エンジニアになるためのコツ~
「YouTube」で「デビッド・ケリー 「自分のクリエイティビティに自信を持つ方法」」と検索する。
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「YouTube」で「The surprising habits of original thinkers | Adam Grant」と検索する。
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「NHK」の「デデデデザインて何?!」を一年間見る。(YouTubeにも動画あり。)
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雑誌「日経デザイン」をたまに読む。
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有名デザイナー(「ジャスパー・モリソン」や「深沢直人」、「佐藤オオキ」などのホームページを調べる。またはグーグルの画像検索で検索してみる。)
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「太刀川英輔」の「進化思考――生き残るコンセプトをつくる「変異と適応」」を読む。
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「Jeff Patton」の「ユーザーストーリーマッピング」を読む。
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「James Kalbach」の「マッピングエクスペリエンス ―カスタマージャーニー、サービスブループリント、その他ダイアグラムから価値を創る」を読む。
~研究者になるための書籍~
「近藤 克則」の研究の育て方: ゴールとプロセスの「見える化」
~研究開発組織をイノベーティブにするための書籍~
「佐宗 邦威」の「直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN」
「佐宗 邦威」の「ひとりの妄想で未来は変わる VISION DRIVEN INNOVATION」
「野中 郁次郎」の「直観の経営 「共感の哲学」で読み解く動態経営論」
「エイミー・C・エドモンドソン」の「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」
「ピーター M センゲ」の「学習する組織――システム思考で未来を創造する」
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蜃気楼の境界 編(一二三四)
「渦とチェリー新聞」寄稿小説
連載中のシリーズ、第一話からの公開、第七話まで。第八話以降、朗読版に繋がり、最新話に辿り着けます。
蜃気楼の境界 編(一)
序件
赤に黄を混ぜると橙になるとか、分子だとか原子だとか、決まりごとで世界を理解した気になれるとしている人達の視た光景が世界の基準になっていることがそもそも気に食わないと、二〇一六年春、高校一年生になったばかりの渡邉咲は思っている。彼女はやがてクラスに、背が高く視力の悪い市川忍という一見平凡な男子生徒がいることに気づくだろう。麗らかな新大久保、韓国料理店をはじめとした多国籍渦巻く通り、彼女よりも背の高い通行人達の隙間を縫いながら気分よく和楽器専門店へ向かう道すがら、迷いのない機敏さですれ違った、いつだったか見たような気のする少女に勘が働き、あとを追うと、二人の男が対立していたのだ。さっぱりとした面立ちの男が軽やかに束感ショートの若い警部補に、これは高橋さんお久しぶりです、と話しかけるが、その警部補は、探偵に用はないよ、と軽くあしらう。少女は、この探偵と警部補の間を通り過ぎ、可憐に立ち止まり、一、三、三十、千五百と口にしたのだ。新規上場企業連続殺人事件の際はな仲本慧きみのお世話になったが、警部補がいう、本当に高くついたよ闇のポケットマネーだった、今回の捜査はもう済んでいる高知県岡内村の淵に発見された男の水死体はここのホステスとの恋の縺れで半グレが実行したと調べがついている。ところが、探偵仲本慧は、隠れて話を聞いていた渡邉咲が耳を疑うようなことを坦々と喋りだしたのだ。少女崔凪が口にした数から推理するに、彼女の身長百五十センチが百五十万μm(マイクロメートル)だね、目視可能な基準五十μmより小さい花粉が三十μmで飛沫や通常マスクの捕獲サイズが三μmで細菌は一μm、零点三μmはN95マスク捕集サイズ、零点一μmはインフルエンザやコロナのウイルスサイズつまり著名なウイルスは人間の千五百万分の一の小ささでその一回り大きい細菌が百五十万倍の少女を視れば頭は火星にあり地球からの距離十三光分だね月までなら一点三光分、符号、十三、仲本慧が楕円を描くようにぐるぐる歩く、火星は周期七百八十日で地球に近づき月との接近を天上で愉しめるわけだが今年はそれに当たる、七百八十と十三に関係する郵便番号が高知市青柳町で、そこに住む犯人は七百八十日周期で男を殺しに東京を訪れる。
雑居ビルの階段下で警部補は少女崔凪を見、腰を低くし、初めまして警部補の高橋定蔵だ、二年前はお世話になったがきみは知ってるのかな、という。崔凪は強い瞳のまま無言。警部補は探偵に、依頼はしてないから助言と受け取るがどうして事件を追ってる。陰で話を聞きながら、渡邉咲は胸を熱くしている。着信音がする。それを無視した仲本慧、曰く、単なる不倫調査で慧探偵事務所の探偵チームはターゲットの男がある女とホテルへ入るところを写真に収めたが依頼の追加でその女のプロファイルを求められたという。追加依頼を探偵チームに投げようとしたとき事務所に遊びにきた崔凪が、一、三、三十、千五百と自ら口にしたのだ。推理から、と仲本慧はいう、写真に収めた女は、蜃気楼だと気づいた、真の不倫相手の女、つまり犯人が、虚の像を追わせたのさ、ここのホステスは事件の蜃気楼、無関係だね。渡邉咲は、どういうこと、と驚くが、何度か鳴っていた事務所からの着信を仲本慧が受けて、崔凪に、さぁ行こう、と告げ、去り際、ふと足元を見、ツバキの花は境界に咲くというが、現世と魔界の境界にも咲くんだね、と笑みを浮かべる。警部補は二人を追わず高知警察署へ連絡しているらしい。数日後、高知の青柳町に住む女、宮地散花が連続殺人容疑で逮捕されたことを渡邉咲はニュースで知り、午前の授業中はずっと雑居ビルの階段下でのやりとりの記憶に捕らわれ、探偵仲本慧の絡んだ事件の真相って境界の狭間に咲く花のよう、と夢見心地になるが、少女崔凪による真相は、甲乙ムの三文字の一体である鬼を抱く宮地散花が千五百年つまり明応九年に践祚した後柏原天皇の詠んだ歌、心だに西に向はば身の罪を写すかがみはさもあらばあれ、に心打たれるも意味を取り違え、三十人の男の供養を願ったことに始まる。その鬼の念、情景を歪ます程に強く、探偵や警察を巻き込み、一高校生渡邉咲さえ巻き込んだが、彼女は探偵仲本慧による更なる次元さえ加わった渦の中でときめいている。その様は、クラスメイトの市川忍の何かを揺るがしたのだ。窓の下、体育館でのバスケの授業をずっと眺めていた市川忍は、突然渡邉咲の存在に気づき、それは彼のもう一つの人格、仟燕色馨の方が先だったかもしれない。胸騒ぎだ。
蜃気楼の境界 編(二)
書乱
春の夕、上海汽車メーカーの黒い車が高田馬場駅は西、高校の校門を通過し、停車する。奇妙な車がよぎった、脳裏より声。授業も聞かず窓の下、体育館でのバスケの授業をぼんやりと眺めていたが、脳裏に響く声に高校一年生の市川忍��カジョウシキカ唐突に何だよ、と聞く。一昨年にきみを冗談交じりに犯人と疑ってみせた探偵がいたのを覚えてないか。そう問われたものの市川忍は思いだせず、それがどうかしたのと内側へ声を。すると、微かなタイヤの摩擦音と停車音の比較から目的地はすぐ側の一軒家だろうちらと見えた、運転手がその探偵だ、という。この七年前は二〇〇九年五月、関西の高校生から広く流行した新型インフルエンザ以降雨の日以外つねに窓が少し開けられている。空気は生ぬるい。チョークの音。市川忍、幾つか机の離れた席に座る渡邉咲に視線を送る。チャイムの音が鳴り、放課後、別のクラスの生徒、石川原郎がやってきて無造作に横の机に座り、市川おまえ高校はバスケ部入らないの。まあね。受け応えしながら机の中の教科書類を鞄にしまっていく。渡邉咲立ち上がり、教室の外へ。一書に曰く(あるふみにいわく)と仟燕色馨の声が響く、混沌のなか天が生まれ地が固まり神世七代最初の神、国常立尊が生まれたが日本書紀に現れない五柱の別天津神がそれより前にいて独神として身を隠したというのが古事記の始まりということは教科書にも書かれていたが先程の古文の教師はイザナギとイザナミの二神から説明した、これもまた一書に曰く、数多の異神生まれし中世ではアマテラスは男神ですらあり中世日本とは鎌倉時代からつまり末法の世まさに混乱した世の後で超自然思想は流行り無限の一書織り成す神話に鎮座し人々は何を視ているのか、きみが気にしている渡邉咲、退屈そうに探偵読本を机の中に置いていった、大方、探偵に夢を見、探偵業に失望したのだろう、数分の場所に探偵がいる。市川忍は脳裏に響くその声をきっかけにし会話一つ交わしたことがない渡邉咲のあとを必死で追う。走りながら、どう呼びかけるのかさえ決めていない。仟燕色馨のいう一軒家は平成に建てられた軽量鉄骨造で、渡邉咲が通り過ぎた頃合いで咄嗟にスマホを耳に当て、探偵が入っていった、と強く言う。驚き、振り返る渡邉咲。
目黒にて桜まじ、遊歩す影二つ。吹く風に逸れ、冷たし。怪異から死者が幾人、立入禁止とされた日本家屋をちら見し、一つの影、あァお兄様さらなる怪奇物件作りどういたしましょうと口元を手で隠し囁く明智珠子に兄、佐野豊房が陽炎のごとき声で私達はね共同幻想の虚空を幽霊のように漂っているんです、井戸の中で蛙は鬼神となりたむろする魍魎密集す地獄絵図の如き三千大千の井戸が各々の有限世界を四象限マトリクス等で語る似非仏陀の掌の架空認識から垂れ下がる糸に飛びつき課金ならぬ課魂する者達が世を牛耳りリードする妄想基盤の上で生活せざるを得ないならば、宇宙に地球あり水と大地と振動する生命しかない他のことは全て虚仮であるにもかかわらず。明智珠子がその美貌にして鼻息荒く、あの探偵とだけは決着を付けなければいけませんわ、家鳴の狂った解釈で恐怖させる等では物足りません残酷な形で五臓六腑ぶちまけさせなければ気が済みません。佐野豊房は、だがただ凍風を浴びるがままである。翌週は春暑し、件の探偵仲本慧はそれでも長袖で、奇妙な失踪調査依頼で外出している。我が探偵チームが二日で炙りだしたターゲットの潜伏ポイントは男人結界つまり男子禁制の聖域だからねと探偵事務所二番窓口女性職員橋本冷夏にいう、琉球神道ルーツの新興宗教だそうだ。いつも思うんですが年中長袖で暑くないんですか。東京中華街構想があった年と探偵仲本慧プロファイルを口にする、同士と約束したんだねハッタリ理由に青龍を肌に翔ばす気がなかったから年中長袖を着る決着にしたわけだ。えっ、一体何が。その会話を引き裂かんとついてきていた少女崔凪、突飛な言葉を口にする、卑弥呼は、自由じゃない。ハッとし振り返った仲本慧問いかける、今回の件、どう思う。崔凪、気分良さげにいう、男子禁制だから教えられない。生暖かい風が東京湾から。晴海アイランドトリトンスクエアをぐるっと回ってみたわけだが、と元の駐車場に踏み入った仲本慧、あれはかつて晴海団地があった土地だね、我が探偵チームが弾き出した潜入ポイントにも寄った方がいいかもしれないね。そうして訪ねた一軒家の門の外、仟燕色馨を秘める二重人格者は市川忍と、探偵仲本慧を気にする渡邉咲、二人の高校生が現れたのだ。
蜃気楼の境界 編(三)
朔密
白雨あったか地が陽を返す。探偵との声に驚き振り返る渡邉咲の前に市川忍。彼をクラスメイトと理解する迄に数秒。バスケ部上がりの忍は別世界の男子生徒に見えたし圧も弱く視野外にあったのだ。水溜りを踏んで市川忍は彼のもう一つの人格仟燕色馨と心の内側で会話をしている。探偵が入っていったとスマホを片手に口にしたが通話はしていない。咲に向け、ここで事件が起こっているから静かに、俺には知り合いに探偵カジョウシキカがいて今彼と話していると囁くように言い、表札にある「朔密教」と火と雫の紋章、白い香炉を模った像をちらと見、呼び鈴を鳴らす。片や探偵仲本慧はその軽量鉄骨造の一軒家の門の斜め向かい、車中にいる。突然現れた高校生の男女がターゲットの家の呼び鈴を鳴らしたことで注目する。ガチャと鳴り玄関から高齢の女、倉町桃江が姿を見せ咲を見ると、何か用ですか、と聞く。戸惑う咲の前に出、忍、朔密教の見学に来たのですが、というと、男子禁制ですから、そちらのお嬢さんだけでしたら。運転席の仲本慧とともに慧探偵事務所窓口職員橋本冷夏が後部座席から降りるが助手席に座る少女崔凪は出てこない。通り雨は天気予報になかったねと口にしながら歩み寄る仲本慧を間近に見た咲が紅潮する。仲本慧が高校生二人を一瞥し、倉町桃江をじっと見つめ、貴女がここの教主ですか、こちらの橋本冷夏が見学に来たのですが。ぬるい風に織り混ざる卦体。そうですか。倉町桃江は表情一つ変えず、弥古様はおられませんが、さ、どうぞ、屋内へ消える。門前に探偵と忍と咲が残る。脳裏の声に促されて忍、何か事件でもあったんですか、と慧に。素性を見抜かれた質問を受けた慧はほんの僅か忍を見、ああきみは以前事件のときに少し話かけた学生だね、とにっこり笑いながら名刺を差し出し、慧探偵事務所の仲本慧だ、困ったことがあればいつでも訪ねてくるといい金額は安くはないけどね、そう話を逸らす。スマホを耳にあてた忍は仲本慧の目をじっと見て、知り合いの探偵と連絡を取りあってるところでもしかしたら同じ事件を追ってるのかも、弥古様を、と挑発する。ここに、咲の目前で、二人の探偵の戦いの火蓋が切られたのだ。咲の気をひく為に市川忍によって仟燕色馨が探偵とされた顛末である。
門と玄関の境界の片隅、雨露に濡れるツバキの花に気づくのは、仲本慧のスマートフォンに朔密教内部に潜入した橋本冷夏から失踪調査対象は石文弥古の姿見当たらずとのメッセージが届き、車内の崔凪に視線を送った直後、片や、市川忍の視界には、はらはら雪が舞い、脳裏に津軽三味線の旋律流れ、声響く、曰く、表札に火と雫の紋章があったがイザナミが命を落とすきっかけ火の神カグツチを当てれば雫はその死悲しむイザナギの涙から生まれしナキサワメであり白と香炉を模った像から琉球の民族信仰にある火の神ヒヌカンを合わせれば朔密教の朔は月齢のゼロを意味し死と生と二極の火の神を炙り出せるだろう男子禁制からヒヌカンによる竈でのゼロの月の交信を弥古様は隠れて行い目的はイザナミの復活か、次元異なる宗教織り成す辺りの新宗教らしさから朔密の密を埋没神と見るなら竈は台所更には死した大いなる食物の神オホゲツヒメの復活とも関連し故に弥古様は台所を秘めたる住処、家としている。この象徴的絵解きのごとき推理の意味が市川忍は何も分からなかったが解が台所であることのみ理解しスマホへ向け成程仟燕色馨、君の言う通りだ敢行するしかないねと言い渡邉咲を見、ねぇ仟燕色馨から君にお願いがある、この中は男子禁制、だから、と耳元に。咲はこのとき、心を奪われたのだ、市川忍ではなく、仟燕色馨の方に。現場が男子禁制ゆえに崔凪の手助けが得られず動揺して仲本慧は自力で推理する。ここへ来る前に出向いたかつての晴海団地はダイニングキッチンが初導入されそれを一般家庭に普及させた歴史的土地で朔密教が琉球神道ルーツの新興宗教であることは調査班の報告で分かっているから潜入した橋本冷夏は台所へ案内されている筈、儀式は日々そこで行われるが石文弥古の姿はないという、ならどこに。その事務的に戸惑った様子が渡邉咲には探偵読本にもあった只の組織である商売人の探偵にしか見えなかったのだ。咲は仲本慧を背にして走り、玄関をくぐり、朔密教内部に潜入する。だが、濡れた車、助手席から出てきた少女崔凪が数字の羅列を呟き、仲本慧は、そうか分かったぞ、と声をあげて橋本冷夏に通話する。崔凪が、涼しい顔でのびのびと呟く、負けるくらいなら今だけ男子禁制じゃなくてもいいかな。
蜃気楼の境界 編(四)
你蜃
燻銀の月が空に二人の高校生公園で座る。笙の天音が鳴り、お母さんだ、とラインの返信をしながら渡邉咲、探偵カジョウシキカは推理で勝っていた、と市川忍を見、探偵仲本慧に出会ったきっかけはそもそもあの少女崔凪だったと思いだす。一昨年にこの公園で鼻歌交じりハーブの栽培をしてた子だ、だから見覚えがあったんだ、と。軽量鉄骨造一軒家、朔密教本部から出てきた探偵職員橋本冷夏に、今宵は重慶三巴湯と青島ビールで宴会だね、と上海汽車メーカーの黒い車へ去る仲本慧の側にいた少女崔凪が高校生の二人をちらと見ふっと笑う。市川忍は悔しがるだけで、だがその内側に潜むもう一つの人格仟燕色馨は市川忍の瞳を通し崔凪をじっと見つめる、夜の公園で仟燕色馨、只の勝負なら勝敗などは所詮遊戯それに君も渡邉咲と親しくなり目的は果たしているだろうしかし慧探偵事務所は現世と魔界裏返りし境界ありこれは魔族の矜持に触れるゆえ既に仕掛けをしている君も再戦を覚悟してほしい、と。その脳裏からの声の本意を掴めない市川忍に、咲、貴方のお知り合いの探偵さんはどう言ってるの。その輝く瞳妖しく、市川忍はときめく反面恐怖を覚え、無意識にポケットから作業用の黒ゴム手袋をとりだす。刹那、何故か海峡で波を荒らげる雪景色に鳴り響く津軽三味線の調べが聞こえ、再戦を望んでると伝えると、只ならぬ興奮を見せて咲は喜ぶのだ。先刻、朔密教内部へ駆けていった咲は、仟燕色馨の伝言、台所の真下に女の住居有り、を忍から受け儀式行われし白い炊事場を目指したとき、倉町桃江の脇で動揺する橋本冷夏の姿を見たが、その元に着信が入り中国語で会話を始め、瞳に青龍の華が光れば、香炉、水、塩、生花を払い除け床下収納庫の先に階段を見つけると、独房のような地下室で失踪調査対象である石文弥古を発見、最早咲は事の成り行きを見届けるのみ、異変の只中で、少女崔凪の存在が頭によぎったのだ、確かに探偵仲本慧は推理が届かず動揺していた、何か得体の知れない事が起きたのだ。それにしても、咲は思う、探偵仟燕色馨どのような人なのかな、市川忍という同級生がどうして魅力的な探偵さんとお知り合いなの、ふふ、取りだしたその黒ゴム手袋は何、月がきれい、まるで、私の住む世界のよう。
朔密教、明治に明���香良安が琉球神道系から分離し設立した新宗教である。分離したわけはスサノオに斬り殺されたとされるオホゲツヒメの復活を教義の核に据えた故で、同時期に大本で聖師とされる出口王仁三郎が日本書紀のみ一書から一度だけ名が述べられるイヅノメ神の復活を、同様に一書から一度だけ名が述べられるククリヒメの復活を八十八次元の塾から平成に得た明正昭平という内科医が朔密教に持ち込み妻の倉町桃江を二代教主に推薦し本部への男子禁制を導入、女埋没神の全復活によりイザナミ復活へ至る妻のお導きを深核とし今の形となる。女埋没神はイヅノメ神、オホゲツヒメ、ククリヒメの他に助かったクシナダヒメを除くヤマタノオロチの生贄とされた八稚女らがあり、更には、皆既日食により魔力が衰え殺されたとされる卑弥呼を天照大神と見定めての復活とも融合している。それらを依頼主に説明しながら仲本慧は殺風景な部屋で分厚い捜査費用を懐に入れ、他の探偵にも依頼してないかな、と冷えた目を向ける。依頼主である小さな芸プロのマネージャーは、業界に知られたくない件だから貴方を紹介して貰ったんだ、深入りはしない彼女どういう様子でしたと聞く。調査ではと仲本慧、社会にある数多の既存の道筋を歩めないという認識から石文弥古は芸能に道がないか訪ね、今は朔密教を訪ねているのだろうね、弟以外の人の来訪を絶ち鬼道を続けたとされる卑弥呼の形式で、倉町桃江の最低限の関わり以外を完全に断って地下で儀式を八十八日間続ける任務を受け入れた石文弥古は、我が優秀な女子社員いわく、自らの意志とのことだ。屋外へ出、仲本慧、通話し、高校生市川忍を調査して、という。崔凪の口にした数は、四四八、二四七、一三七。仲本慧はタワマン供給実績数を推理し晴海団地へ出向いたわけだがその推測は二〇二一年の上位三都府県に予知のごとく一致し、崔凪はのちに数列に隠していた八十八を付け足し、慧の推理は台所の地下へと変化したが、二四七が卑弥呼の日食の年を指すように、海とされるワタツミ三神がたとえ人智の蜃気楼であってもなくても推理と崔凪の真意とが違っても。仲本慧は思う、人々は、この街は大地は、紀元前、胡蝶の夢は一介の虚無主義ではない知が、華が、騒いでいる。
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蜃気楼の境界 編(五六七)へ
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大人のためのアート思考基礎講座/4月19日より第11期開講(全5回)
「第11期大人のためのアート思考基礎講座 byオンライン」開催日程: 2023年4月19日(水)/5月1日(月)/5月17日(水)/5月31日(水)/6月14日(水)全5回(19時30分~21時30分) https://peatix.com/event/3499165/view https://www.facebook.com/events/619183910017174 2004年にハーバードビジネスレビュー紙で「The MFA is The New MBA]という記事が発表され、日本では2017年に山口周氏著『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』が話題をよび、ここ最近「アート思考」という言葉をよく耳にするようになりました。論理的・理性的な情報処理スキルの限界が叫ばれ、大きく世界が変わる中で、「直感」と「感性」の時代が訪れたと言われています。 アーティストは見えないものを見るようにする役割を担い、その時代や社会の中で、「問い」を私たちに問いかけながら常識を揺さぶり、今までにない価値や意味を提示してきました。近年、ビジネスの舵取りは非常に難しくなってきています。企業は従来の古い価値観、世界観から抜け出し、直観的、感性的な創造性が求められ、ますます「アート思考」の必要性が高まっています。 アートには「唯一正しい答え」はありません。観察者が自由に解釈することが可能であるため、考えたことを、それぞれの独創的視点で物語化し、語り合うことで、互いの深い部分で共感がおこり、創造的無意識が自然に開かれていきます。 アート思考基礎講座では、日常にある風景に耳を澄まし、あなたの“まなざし”から独自のストーリーを紡ぎだす感性を育てていきます。あなたの奥深くに眠る創造の種が目を覚まし、想像の喜びを感じることでしょう。 今の自分を高めたい、創造的な思考を仕事や生活に活かしたいという意欲を持たれている方におススメです。 (カングロ株式会社) 【ダイジェスト版動画】 センス・オブ・ワンダーの世界へようこそ!「大人のためのアート思考入門講座」 https://youtu.be/I2T8FD1lilE ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ ◆プログラムの特徴: 本プログラムは、講義とワークを織り交ぜながら、楽しく学べるようデザインされています。毎回、講座の終わりに課題がだされますので、次回の講座の中で、各自が課題の発表を行います。課題を通して、洞察力や想像力、問題設定力、視点、発想力などを獲得し、それぞれの個性や世界観、また固定観念などに気づき、さらなる飛躍のスパイラルを創造していきます。 ◆プログラムの主な効能: 物事をじっくり観察する力がつき、見えないものをイメージする力(感性)が身につきます。問題解決ではなく、本質を見極める洞察力が養われ、問題設定力(問いの力)が高まります。「問い」は問題を提起する大切なベースであり、そこから創造性とオリジナリティーが生まれ、イノベーションへとつながる道ができます。さらに哲学的なアプローチから美意識のモノサシを創ることで、リーダーとしての人格を養うことができます。 <講座内容の一例> ※下記内容は予告なく変更する場合があります ①固定観念・既成概念を超える思考 ②不完全の美(茶の湯と禅) ③「正解を見つける力」から「答えを作る力」へ ④対話型鑑賞法①~③「発見力と表現力」 ⑤新し価値・概念を発見する「意味のイノベーション」 ⑥リバースアサンプションによる「逆転のイノベーション」 ⑦世界を違う視点で眺めるワーク ⑧日本の伝統文化から学ぶアート思考の感性 ⑨「問い」による常識からの逸脱 ⑩アート思考の本質 ■日程: 1回目2023年4月19日(水) 2回目2023年5月01日(月) 3回目2023年5月17日(水) 4回目2023年5月31日(水) 5回目2023年6月14日(水) ■時間: 19時30分~21時30分(2時間) ■受講スタイル: Zoomオンライン講座 ■受講費:82,500円(税込) ■講師:森夕花(もりゆうか)氏 プロフィール: カングロ株式会社 取締役 執行役員COO/マスターライフコーチ・PXファシリテイタ・フィロアーツ研究会主宰 ●神奈川県横浜市出身。音楽学校のピアノ科卒業後、三井住友カードに入社。その後、ドイツのフライブルクに留学。フライブルグ市の行政と市民による持続可能な世界を目指す社会システムと、ユーゴスラビア紛争で、ドイツに逃れた難民の方々との出会いを通じて、平和で精神的な豊かさを基本とした「サステナブルな社会作り」に興味を抱く。帰国後、三井住友カードに再び戻り、お客様対応や、クレジット決済端末機の管理システム“TACシステム”の開発に携わる。 ●帰国して5年が過ぎたころ、戦争や内乱に巻き込まれ傷ついた子供達を救済するためのNGOドイツ国際平和村の存在を知り、世界の平和と心の癒しに携わることが自分自身の使命と感じ、ヒーリングセンターアルケミストでカウンセラー、セラピスト、講師を務め、2008年に独立。2015年1月、カングロ株式会社 執行役員に就任。現役ライフコーチとして、ベンチャーから大手企業の多くのビジネスリーダーを受け持ち、個々の潜在意識にアプローチし、ビジネス ・プライベート両面における、変化、成長をサポートしている。 ●2021年より京都芸術大学芸術学部芸術教養学科に在籍。創造的思考によって「モノの見方、感じ方」を変え、仕事と暮らしをより良く変化させる「アート思考講座」を開催している。 ●自らの内面の探求のため、インドに十数回訪れ、心理学、禅、認知行動学、ジョーティッシュ(インド占星術)、手相、メディカルハーブ、中医学(中医食療士)などにも深い知識がある。 ●趣味は声楽(オペラ)・読書・映画鑑賞・美術鑑賞・ぶらり旅・歴史探訪・日記を書くこと。最近はウェルビーイングを軸とした、地域コミュニティー・組織つくりに関心をもつ。 ■お申込み・お問合せフォーム: 正式なお申込みは下記のフォームからお願いいたします。 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfgZkxbH742egJ-Qkswl3cx6waiXVlNDVdQpzg4Tk74TxBCLA/viewform ★クレジットカード決済ご希望の方は、上記のお申込みフォームにご入力後、下記Peatix経由にてお手続きをお願い致し ます。 https://peatix.com/event/3499165/view ※正式申込後のキャンセルはご遠慮いただいております ※やむを得ずキャンセルされる場合は、必ず事務局までご一報ください ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ <アート思考「入門」講座のご案内> ★アート思考入門講座も下記の日程で開催しています。 基礎講座受講を迷われている方は、入門講座をぜひ受講してみてください! ■大人のためのアート思考入門講座(早春編) byオンライン(全回 20:00~21:00) ①2月21日(火) https://peatix.com/event/3499327/view https://www.facebook.com/events/447102787547889 ②3月6日(月) https://peatix.com/event/3499375/view https://www.facebook.com/events/1999394306935795 ③3月15日(水) https://peatix.com/event/3499389/view https://www.facebook.com/events/628355915765109 ④3月23日(木) https://peatix.com/event/3499394/view https://www.facebook.com/events/724794742438445 ⑤3月30日(木) https://peatix.com/event/3499402/view https://www.facebook.com/events/757764862605578 ⑥4月6日(木) https://peatix.com/event/3499410/view https://www.facebook.com/events/2364350787061984 ⑦4月10日(月) https://peatix.com/event/3499417/view https://www.facebook.com/events/896158318369319 ⑧4月13日(木) https://peatix.com/event/3499511/view https://www.facebook.com/events/574614371213931 ☆すべての日程の講座は同じ内容です。 ※すべての日程の講座は同様の内容になる予定です(早春編)。 ※入門講座終了後、「大人のためのアート思考基礎講座」にご参加いただけます。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ ■お薦めイベント! アートシンキングSpring Seminar~既存の枠の限界ぎりぎりへ一歩踏みだす(3月16日 19時30分~)byオンライン https://peatix.com/event/3502843/view https://www.facebook.com/events/729078231898834 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ ■プライバシー保護方針: https://www.kanglo.co.jp/privacy.html ■主催:フィロアーツ研究会/カングロ株式会社 https://www.kanglo.co.jp 協力:SDGs超実践者委員会/イノベーションサロンZ/システムD研究会/ショックコヒーレント・イノベーションクラブ/セブラルメディテーションの会/HOOPS!/ザッポス研究会/サステナ塾 #アート思考 #アートシンキング #デザイン思考 #カングロ #森夕花
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〈答辞〉 皆さんこんにちは。ご紹介にあずかりました、卒業生代表の長尾と申します。ご来賓、教職員、保護者の皆さまにおかれましては、本日お忙しい所ご列席いただき、誠にありがとうございます。そして、中学三年生の諸君は、とりあえず三年間お疲れさまでした。高一・高二の諸君も、貴重な春休みを削ってのご出席、ありがとう。 さて、何といっても我々高校三年生は、今日この日を以て、武蔵高校からの門出を迎える訳であります。この「門出」という言葉は、「門出を祝う」というコロケーションの存在からも明らかなように、極めてポジティブな語感を伴うもので、さきの送辞でも、在校生代表の今井君が、「ご卒業おめでとうございます」というような祝辞をかけてくださいました。それで、我々の方も、何だか卒業できてめでたいなあという気にさせられた訳ですけれども、本当にこの「卒業」、「門出」という節目がめでたいものなのか、喜ばしいものなのか、改めて自問してみますと、何やら覚束ない心持がします。 私はこのたび武蔵高校を卒業するに及んで、幾らか嫌な思いも感じている。そこには、愛すべき母校から旅立つことへの寂寥だとか慕情だとか、その手のセンチメンタリズムが理由としてない訳ではないですけども、それより遥かに大きい素因は、個人的感情として、「大学生になるのが躊躇われる」、これであります。 ここ武蔵で、高校を卒業したものがその後どうするかといえば、当然大学へ進むわけで、……というと、一寸と語弊がありますので「当然」という所は訂正致しますが、何にせよ、多少の、一年二年の紆余曲折はあるかもしれないながら、最後はきっと大学へ進む訳であります。 時に、「大学生」とは一体何か。 大学生を「社会人」と見なす人はあまりいないと思います。大学生は、生産活動への従事によって、社会を構成するということがないからです。 しかし、他面、大学生を「大人」だと見なす人は少なくない。いや、むしろ過半数を占めるものともいい得ましょう。法定の成人年齢は我が国におきましては無論二十歳ですけれども、大学生と言ったら十八や十九の小僧も「大人」と考えられなくない。事実、先だっては選挙権年齢の下限が十八歳に引き下げられ、大学生は社会的に権利者としての性格を獲得しました。国家のレベルでさえ、大学生が「大人」と認められるようになった一つの現れです。無論、大人は一挙手一投足に責任が伴いますから、大学生も「大人」として、自身の言動にきちんと責任を負わねばならない。そして、来る就職のことを考えましても、企業の方が志望者の大学在学時における動態を査定の重要な因子に据えている以上、大学生は矢鱈に不用意な振舞はできない宿命です。自分の本心から来る切実な思いでも、それがもし世間一般でいう「過激思想」であれば、表現は控えるべきです。本音をすっかり胸の裡にしまって、いわく「精神健全」の人間像を演じねばなりません。むろん、現実にはこれと相違して、いささかの責任感もなく、幼稚園児もかくやと思わせる程にはしゃぎ回っている大学生も沢山いらっしゃいますが、皆さん在校生諸君はおそらくこの先一流大学へ進み、エリートコースを歩まれる身で、周りは将来の政敵・競合者だらけの環境となるはずですから、振舞方には充分気を遣った方がよい。 してみると、まったく自由に打算なく、自らのまっさらな思想をありのまま曝け出せる最後の環境が、在校生諸君にとってはこの武蔵だということになる。私の同級には無政府主義者も君主制信奉者もいますけれども、そういった無茶な思想を爽やかに振り回して、かつ滅びることもない最後の聖域が、武蔵高校なのです。無責任なガキだから無責任なことを言える。この絶好の立場を活用しない手はありません。 この答辞の場で、私が在校生諸君に申し上げたいことは、畢竟するにこの一点、「今のうちに極端な思想を持て」ということであります。そして、そのためには、受験勉強など高三の二学期から狂ったようにやれば十分間に合いますので、それまでの所、「勉強」ならぬ「学習」に労力を注ぎ込んで欲しい。要するに、「勉め強いる」というやり方でなく、「学び習う」という姿勢をとっていただきたいのです。たとえば、歴史に興味を持つのであれば、『実況中継』やら何やらのいかがわしい書籍は皆売ってしまって、もっとふくよかで貫流した主張のある一般書をお読みになるとよい。そうして、能動的なインプットを続けておりますと、若い頭には、かならず思想の芽生えとでもいったものが訪れます。往々にして、そうした一次的な思想は極論であり、反面、当人の中では揺るがし難い絶対的な説得力を持っています。だから、それを直ちに誰かへ伝えたくなってくる。その際、皆さんには絶好の捌け口があります。すぐ隣にいる、武蔵の友人がたです。皆さんは、彼らを極論の捌け口にすれば宜しい。友人同士、持論の過激さや特異さを却って誇る勢いで、遠慮せず、自己を表現し合えばよいのです。 私個人の例を挙げますと、たとえばわが国の選挙制度のあり方などを友人と議論する。もっとも、議論というのは形式上そのように見えるというだけで、実際は持論の一方的なぶつけ合いにすぎませんが、とにかく、複数人で、心の奥底から溢れ出す思想を応酬するのです。 ある人は、少子高齢化社会では現今の選挙制度は成り立たない、老人が数を恃んで結託し、若者のための政策を潰すという事態が横行してしまう、それを防ぐためにも、選挙権年齢には上限が設けられて然るべきだ、なぜなら、年金暮らしの老人は権利の対価として果たすべき義務、すなわち生産活動に従事していないからであり、同様の理由で大学生が選挙権を持つのもおかしい、などと論じる。 社会の実情を知らない、現実離れした極論です。 また他方ある人は、今時定年後も働いている人などザラであり、年齢による安直な輪切りでは不公平が生ずる、そのため、老人を選挙制度の枠外へ追放しようと考えるのではなくて、ひとつの選挙制度のもとで老人と若者とを住み分けさせようと考えるべきだ、一案としては、現行の国会を対等な立法能力をもつ老人院と若者院とに分割することが挙げられる、六十五歳以上の者は老人院議員の選挙資格、それ以下の者は若者院議員の選挙資格のみをもつ、とたとえばこんな風に排他的に分割してしまえば、老人が若者の改革を妨げる、ということも少なくなろう、などと論じる。 これも極論です。しかし、極論でよいのです。これが大人だと、「���っと現実的な議論をしろ」という風に、もっともな、いや、もっともすぎる批判をされるに違いありません。高校生だからこそ、こんな戯言を吐いて平気でいられるのです。 在校生諸君は、いま私が言ったような無茶な主張を手本に、皆が皆の、腹に決めた極論を、譲り合うことなく、本気で表出し合ってください。そうして、「大人」以前の最後の段階で極論に浸り、知的顕示欲を出し尽くしておけば、それらの御し方も段々に分かってくるものですので、大���進学時にセーブをするということも可能になる。そうした過程を経ないで、大人になってから下手に思想を身につけてしまいますと、人と素直な議論がしたい、しかし自分には社会的責任があるので安心できる相手が見つからない、という板挟みの状態に陥り、しかしそうした欲求不満を無限に溜めつづけられるほど人間の器は大きくありませんので、自らの身元を隠蔽したうえ、誰とも分からぬ匿名者と、倹しく意見の発散をし合う他なくなる羽目になるのです。いい年をした大人が、2ちゃんねるなどで空論をこねくり回し、政治談議らしき何物かに徒花を咲かせているのも、結局はそうした事情によるものと私は考えています。そういう意味でも、高校生の時分に極論と親しみ、親しみ切るのは、きわめて有意義なことと思う。 最後に、長くなりましたので、私の主張をもう一度しつこく確認しておきますと、在校生諸君は今のうちに極端な思想を持ち、友人とそれを交換し合ってほしい。そのためには「勉強」するより「学習」せよ、ということです。行き着く先は、アナキズムでもよく、モナキズムでもよい。ファシズムでもよく、コミュニズムでもよい。法律に抵触せず、他人の人権を侵害しない範囲で、青臭く愚にもつかない滅茶苦茶な思索を巡らしてください。私自身、武蔵での六年間の日々を通じ、そうしたことに時間を捧げた今思えば赤面ものの経験が、人間形成上、非常に有意なものであったと確信しています。 武蔵が男子校である以上、青春を彩る花として、甘酸っぱい恋愛はありえない。ならばせめて、甘酸っぱい理想論などを交わし合うことで、残り限られた青春を華やかに演出なさってはいかがでしょう。 以上をもって、私の答辞とさせていただきます。 平成二十九年三月十八日 卒業生代表 長尾柾輝
「青臭く愚にもつかない滅茶苦茶な思索を巡らせ!」 名門校・武蔵で目の当たりにした鳥肌ものの答辞全文(おおたとしまさ) - 個人 - Yahoo!ニュース
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TEDにて
オーレ・シェーレン:優れた建築が語るストーリー
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
建築家オーレ・シェーレンにとっては、建物の中に暮らし働く人々もまた、コンクリートや鉄やガラスと同様に建物を構成する大切な要素です。
彼は問います。「典型的な高層建築がもたらす分断と階層のかわりに、協力と物語を建築の中心に据えることはできないものか?」
中国のよじれた巨大ビルからタイの水上映画館まで、シェーレンが作ってきた5つの建築を見て、その背後にある物語に耳を傾けてください。
20世紀の大部分の間。建築はある有名な原理に捕らわれていました。「形は機能(function)に従う」というのは、モダニズムの野心的な宣言であると同時に有害な足かせともなりました。
建築を装飾から解放した一方で、厳格な功利主義と限られた目的へと押し込めることになったのです。
建築はもちろん、機能に関わるものですが、ベルナール・チュミが、あの標語をどう書き換えたのかを思い返し、まったく違う価値を提案したいと思います。
「形はフィクション(fiction)に従う」のだとしたら、私たちは建築や建物を物語が起きる空間と捉えることができます。そこに住む人々の物語。そこで働く人々の物語です。すると、自分たちの建物がどんな体験を作り出すのか?想像できるようになります。
その意味で私に興味のある物語は、ありそうもない話ではなく、その建物に住み、関わる人たちとっての現実という物語です。私たちの建物は、アイデアを示すものです。
人が暮らし、働く空間は、どのようなものであり得るのか?今日において、カルチャーやメディアの空間は、どんな姿をし得るのか?私たちの建物は現実であり建設されるものです。
物質的現実と概念的可能性が、目に見える形で結びついたものです。
私は、自分たちの建築を「組織構造」として捉えています。核にあるのは、システムのような構造的思考です。機能と体験の両面で物事をどう整理できるか?
一連の関係性や物語を生む構造をいかに作り出せるか?住人や利用者の物語が、建築を紡ぎ出すと同時に、その物語を建築が紡ぎ出すということがいかにして可能になるか?
ここで2番目のキーワードが出てきます。
「複合的物語」私たちが作る建物を巡って展開する複数同時進行する物語の構造です。私たちは、建築を複雑な「関係性のシステム」として考えることができるでしょう。
プログラム的・機能的にもそうだし、体験的・感情的・社会システム的にもそうです。現在の社会システムは、様変わりしています。私たちの住む世界では、もはや何事も明確に線引きや分離ができなくなっています。
異なる領域の間の境界は、曖昧になり、それぞれの独立を保つよりは、協同し相互作用させることの方がずっと重要になっています。
それで、私たちは、カルチャーを生み出す巨大な機械を作りたいと思いました。様々な領域を統合し、活気づけながら相互に作用し協力することを可能にする建物です。コスト削減も重要です。
基本になるのは、ごく単純なリング・モジュールです。
中廊下や日照や換気といった機能を表します。はめ合わせて展示やパフォーマンスのための大きな空間にすることができます。モジュールは、積み重ねられ、時の変化に応じてどの機能をどこのモジュールに配置することも可能です。
それぞれの施設は、コスト削減して小さくすることもできます。カルチャーの未来は、おおよそ予想の付かないものだからです。建物の飛び出た部分が、公共空間と交わっている様や中庭が内部に活気を持たせている様がご覧いただけるでしょう。
それぞれの機関が全体に飲み込まれることなく、自らのアイデンティティを保てるような複雑なシステムを作るというのが、ここでの狙いです。建築というのは物質や環境という領域を越えたものであり、自分はどう生きたいのか?
自分や周りの人の物語をどう紡ぎ出すかに関わるものだと私は信じています。
2018年は、災害に日照りという異常気象。100年前なら歴史的に見ると大飢饉のレベルかもしれません。違いは政治以外のテクノロジーによる大量生産が可能になった、インターネット、金融工学の発展などが貢献してる!
そういえば、昨年の猛暑日は自動販売機クーラー控えめにした?猛暑日になったらやれ!これが夜の都心部を熱くする要因かもしれないのに。
都心部の電柱に霧のスプリンクラーつければ?地中から配管伸ばすだけ!地中に電柱埋めなければ現在の資産を有効活用しつつ、雨の降らない日のみ電柱点灯同様、夜中に自動放水すれば、東京都など都市部のヒートアイランド現象回避できる可能性は高いかも?
都市部でのアスファルト50度以上は火事と同様災害!適正温度に消火するべきです!
都心部の電柱に霧のスプリンクラー搭載で夜中放水と同時に全消防署が神社に夜放水。それと同時に東京都のお祭り日には全員で打ち水する。すべては、猛暑日の夜に同時実行がヒートアイランド対策のポイント?
そして、雨降れば中止!こうして、効率を上げ幸福を増やしつつ、でも、税金だから節約もしていく。
SDGsや気候変動対策は、再生可能エネルギーのことではありません。パンデミック対策の一環です!それ以外の活動は派生物。権力濫用の口実に注意!
SDGsや気候変動対策は、再生可能エネルギーのことではありません。パンデミック対策の一環です!それ以外の活動は派生物。権力濫用の口実に注意!
SDGsや気候変動対策は、再生可能エネルギーのことではありません。パンデミック対策の一環です!それ以外の活動は派生物。権力濫用の口実に注意!
(合成の誤謬について)
合成の誤謬とは、ミクロの視点では正しいことでも、それが、合成されたマクロ(集計量)の世界では、必ずしも意図しない結果が生じること。物理学では、相転移みたいな現象です。性質が変わってしまうということ。
ミクロのメカニズムが個人同士の経済における仕組みであるのに対して、マクロのメカニズムは、国家間や経済全体の循環における仕組みだからである。
例えば、家計の貯蓄などがよく登場するが悪い例えです。前提条件が、所得が一定の場合!!所得が一定じゃない増加する場合は?これは、論じていませんので参考になりません!!(法人が提供する製品やサービスの価格も一定の場合も前提条件です)
1930年代のアメリカ経済が金融危機2008と似たような状態に陥った時、ケインズは、「倹約のパラドックス」というケインズ経済学の法則を発見しています。
それは、ポール・A・サミュエルソン(1915-2009)が、近代経済学の教科書「経済学」の冒頭で「個人を富裕にする貯金は、経済全体を貧困にする!(所得が一定の場合)」というわかりやすい���葉で表現しました。しかし、庶民の所得が増加し、貯蓄が投資、消費に回る場合には、「倹約のパラドックス」は生じません。
その後、この「倹約のパラドックス」は、アメリカの経済学者・ケネス・J・アロー(1921- )が「合成の誤謬」を数学的論理に基づいて「個人個人がそれぞれ合理的選択をしても、社会システム全体は合理的選択をするとは限らない」を検証してみせた。 要するに、部分最適ではなく、全体最適させていくということ。
つまり、新産業でイノベーションが起きるとゲーム理論でいうところのプラスサムになるから既存の産業との 戦争に発展しないため共存関係を構築できるメリットがあります。デフレスパイラルも予防できる?人間の限界を超えてることが前提だけど
しかし、独占禁止法を軽視してるわけではありませんので、既存産業の戦争を避けるため新産業だけの限定で限界を超えてください!ということに集約していきます。
なお、金融危機2008では、マイケル・メトカルフェも言うように、「特別資金引出権(SDR)」は、2008年に行われた緊急対策で、一国だけで行われたのではなく、驚くほど足並みの揃った協調の下に国際通貨基金(IMF)を構成する188ヶ国が各国通貨で総額2500億ドル相当を「特別資金引出権(SDR)」を用いて世界中の準備通貨を潤沢にする目的で増刷してます。
このアイデアの根本は、元FRB議長であったベンバーナンキの書籍「大恐慌論」です。この研究がなければ、誰一人として、変動相場制での当時の状況を改善し解決できなかったと言われています。
それ以前では、固定相場制でのマーシャルプランが有名です。
続いて、トリクルダウンと新自由主義
インターネットの情報爆発により隠れていた価値観も言葉となり爆発していくことになった。
しかし、法定通貨の方が、その価値、概念に対する通貨量拡大として価格で応じることができず、圧倒的に通貨量が足りない状況が生まれていたのが、2010年代の問題点のひとつでした。
リーマンショックの後に、新自由主義が誤りであることが、ピケティやサンデルによって指摘され、当時のFRBバーナンキ議長が、通貨供給量を大幅に増やした対策により、ベースマネーの金融、銀行間の相互不信を解消して収束した。
それでも、まだ足りないが、適正水準に収まったことで、さらに価値も増幅され、マネーストックの財政政策から再分配、事前分配を大規模に行い、さらなる通貨供給量が重要となっている現在の日本国内。
例えば
Googleがしようとしてた事は、まだ新産業として、基礎研究から発展できない機械学習の先端の成果をすべて持ち込んだ社会実験に近いこと。
シュンペーターの創造的破壊は、一定数の創造の基礎を蓄積後に、未来を高密度なアイデアで練り上げてから破壊をするのが本質です。
こうして、憎しみの連鎖や混乱を最小限にする。
アルビン・トフラーの言うように、法人と行政府とのスピードの違いが縮まらないのは、構造上の違いであって、それを補うためにプラスサムな連携するということが、必要になってくることを説いています。
三権分立が、規制のないGAFAMを非政府部門としてMMT(現代貨幣理論)からプラスサムに連携したらどこで均衡するのか?という社会実験も兼ねています。
このような前提で、あらゆるインターネット企業が、創業時、貢献するためコンセプトの中心であったものが、今では、悪性に変質して違う目的に成り下がっています。
再分配、事前分配の強化がスッポリ抜けてる欠点があり、ここに明かしたくないイノベーションの余地があります!!
2021年には、新自由主義のような弱肉強食では自然とトリクルダウンは生じないことは明らかになる。
確かに、トリクルダウンは発生しないが、法律で人工的に同じ効果は、貨幣の再分配、事前分配という形にできる可能性は高い。
再分配や事前分配をケムにまく「金持ちを貧乏にしても、貧乏人は金持ちにならない」「価値を生み出している人を罰するつもりがないのであれば税に差をつけないほうがいい」(サッチャー)
とあるが、新自由主義は誤りで、ピケティやサンデルによると違うみたいだ。
(個人的なアイデア)
経済学者で、ケンブリッジ大学名誉教授のパーサ•ダスグプタが、イギリス政府に提出した報告書の中に登場。
経済学を学ぶと、登場する資本や労働などの生産要素の投入量と算出量の関係を示す生産関数があります。
こうした関数は、様々な前提条件に基づきますが、経済学者は、収穫逓減の法則と言うものをよく知っています。
このような人工的な生産関数とは、他に天然由来の生産関数。
つまり、自然から収穫できる生産関数を導き出し、地球全体の生産関数というエコシステムを数値化することでバランスをコントロールできるかもしれないというアイデア。
ここでは、自然資本と呼びます。
自然資本を加味すれば現在の経済成長ペースがどこまで持続可能かを分析することもできます。
人間は、国内総生産GDPを生み出すため、自然から資源を取り出して使い、不要になったものを廃棄物として自然に戻す。
もし、自然が自律���復できなくなるほど、資源が使われて、廃棄されれば、自然資本の蓄積は減少し、それに伴い貴重な生態系サービスの流れも減っていくことになります。
さらに、教授は、経済学者も経済成長には限界があることを認識すべきだと説いています。地球の限りある恵みを効率的に活用しても、それには上限があります。
したがって、持続可能な最高レベルの国内総生産GDPと言う臨界点の水準も存在するということが視野に入るようにもなります。これは、まだ現時点では誰にもわかりませんので解明が必要です。
なお、地球1個分は、ずいぶん昔に超えています。
<おすすめサイト>
ジョン・フランソワ・バスタン:地球に1兆本多く木があったら?
リサ・ジャクソン:2030年までにカーボンニュートラル(気候中立)達成を目指すAppleの誓い
クリスティン・ベル:「ネット・ゼロ(相対的なCO2排出量ゼロ)」とは何か?
ロジェカイヨワ戦争論と日本の神仏習合との偶然の一致について2019
マーク・クシュナー:あなたが作る建築の未来
ロバート・マガー:急成長する都市を成功に導く方法
マイケル・グリーン:なぜ木材を使って高層ビルを建てるべきなのか?
レイチェル・アームストロング:自己修復する建築?
ハビエル・ビラルタ: 国地域に密着した建築を
<提供>
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2020/6/27
㊗トマス実装1周年
追記はデザイン考えてた時の話
めちゃくちゃ長いので暇で興味あったら見てね程度
・序
デザインコンテスト2nd、すでに2年も前であることが信じられないくらいよく覚えています。
応募のきっかけも、言い方はおかしいですが固定仲間にそそのかされて、という感じでした。
「固定しようぜ、何使う?」「自分でデザインしたキャラ使うわw」的な会話ができたら面白いなという具合だった気がします。
始めこそはこんな軽い調子のノリでしたが、デザインをするということになれば話は別です。少なからず絵を描いている身ですし、本腰を入れて考え始めました。まだ7月頃だった気がします。
私は趣味で一次創作をやってはおりますが、自分のキャラクターの好みがあまり万人受けするものではない自覚がありました。
したがって、「己の趣味を詰め込んだキャラクター」の実装を目指す浪漫より、「前提として実装されるキャラクター」を想定して考えていくことにしました。
・方向性の決定
当時、実装済みヒーローの内訳で、最も少ないロールはいわずもがなタンクでした。
その頃に実装されたモノクマはいますが、オリジナルヒーローとしてのタンクはヴィオレッタ以降増えていない状態でした。
そのため、タンクの応募数がかなり多かったことを覚えています。
実際、最終選考へのノミネートも半数近くがタンクでした。
私も例に漏れず、その頃よくジャンヌを使用していたのもあり、タンクでの応募は決定事項でした。
また、個人的にですが、コンパスのタンクはタンクしてないなという感覚がありました。
私の中でタンクとは「味方を守るもの」であって、自分が生き残るだけのものではありませんでした。
それ故に、今回デザインするキャラクターは「味方を守るタンク」をコンセプトにしたものになりました。
・タンクとしての特色
これでキャラクターの方向性は決まりました。
次に考えたのは、仮の性能です。もし実装が確定した場合、それが変更されることも視野にいれていました。
(前回のデザインコンテストでも、実装された性能は変更されていましたし、ゲーム制作の素人が考えたものよりも現場の製作陣が調整したものの方がよいというのは当たり前だからです)
キャラクターの性能、特色はそのキャラクター性を如実に表す重要なものです。
味方を守るコンセプトに則ったアビリティのイメージは、いくつかありました。
例えば、まず浮かんだのは、「一定範囲内の敵からのターゲットを強制的に自分に引き寄せる」です。
これならば手っ取り早く味方を守ることができるかと思っていました。
が、当時はタンクの生存能力よりドアを持たないいわゆる徒歩タンクというものが今よりも嫌われていた節があり、結局は前線に出られないと活躍できなさそうだと思い直し没としました。
徒歩が許される=1陣2陣を触っても勝ちへ持って行ける=後方にいてもHSが有用
この思考から、原案イラストに書かれているような「遠隔で味方のダメージを肩代わりするHS」への発想へと繋がっていきました。
実際は変更されましたが、「ダメージの肩代わり」という最重要点を汲んでいただけているため、問題ありません。
むしろ、HAでの肩代わりは強すぎると思ってHSにした節があったため、打ち合わせでHAへの変更を提案していただけたのはとてもありがたかったものです。
これで仮の性能、タンクとしての特色が「ダメージを肩代わりし、味方を守る」になりました。
・キャラクター性
ここから、キャラクターとしての設定を固める方へシフトします。
ゲームの1タイトル内で最も避けるべきなのは、「キャラ被り」です。
コンパスは各キャラクターが異なる世界観を持って作られているため、属性を非常に幅広くカバーしている印象があります。
そこで、ざっくりと当時実装されていたオリジナルヒーローの外見年齢と性別を分類してみました。(☆あくまで個人的な印象です!!!)
・男性(子供)……十文字 アタリ/ニコラ テスラ/かけだし勇者
・男性(10~20代)……桜華 忠臣/マルコス’55/アダム=ユーリエフ
・男性(大人)……ジャスティス ハンコック/グスタフ ハイドリヒ
・男性(高齢)……ルチアーノ
・女性(子供)……魔法少女リリカ/コクリコット ブランシュ/Voidoll/メグメグ
・女性(10~20代)……双挽 乃保/ジャンヌ ダルク/深川 まとい
・女性(大人)……ヴィオレッタ ノワール/マリア=S=レオンブルク
・女性(高齢)……おりゃん
(繰り返しますが、実際の年齢ではなく個人的に感じる印象です)
こう見ると、低年齢層へキャラクターが集中していることがわかります。
従って、ここで狙うべきは人数の少ない高齢層キャラクターということになります。
突き詰めるのであれば、高齢女性キャラクターを考えるべきなのですが、個人的に「味方のダメージを肩代わりする」ために女性に痛い思いを押しつけるという構図があまり好ましいものに感じられず、男性高齢キャラクターを想定することになりました。
(男性であれば痛い思いをしてもよいというわけではなく、守る存在はどちらかと言えば男性かなという感覚です)
これで、考えるキャラクターは「ダメージを肩代わりし、味方を守る高齢男性」となりました。
・肉付け
このキャラクター性が決定してから、しばらくはぐるぐると思考する日々でした。
この性能を持つに値する説得力があり、キャッチーでわかりやすい設定。
そもそも、私がコンパスにおいて最もアクティブユーザーが多いであろう年齢層とはズレているため、どういったキャラクターがウケるのか掴みかねているところがありました。
この時点で高齢男性を選択していたので、頭の片隅では(まぁウケないだろうなぁ)という考えも芽生えていました。
(ルチアーノがウケている事実があるのですがね!)
また、こういった設定でも既存のキャラクターとの被りを避けなければならなかったので、この肉付けには時間を要しました。
その頃、生放送でポロロッチョの情報が公開され、オネエキャラクターを製作していた他の応募者の方々が阿鼻叫喚していたこともよく覚えています。
高齢男性で、「#コンパス」の世界へやってくる理由のつけられる設定という角度から考えたとき、初めに浮かんだのは「旅行好きのおじいさん」でした。
イメージとしては、長い外套を羽織った英国紳士です。このイメージは現在の姿にも大きく影響を残しています。
キャラクター設定を考えながらラフを切っているとき、このイメージの方向性ではシルエットがかなりスレンダーになることに悩んでいました。
遠近感のある立体フィールド上で、特徴のないシルエットというのは好ましくありません。
(シルエット問題については桜華忠臣の製作インタビュー記事が非常に参考になるかと思います)→該当記事
男性タンクキャラクターの面々を見れば、その体格や装飾品によって大きなシルエットを持ち、タンクとしての迫力を保っています。
また、女性タンクキャラクターは、本人はスレンダーでも大きなアイテムを所持することでそのシルエットを大きく見せています。
ここで私が参考にしたのが、ヴィオレッタです。
彼女は彼女自身はシンプルなデザインでありますが、大きなオルガンを引き連れることで非常に大きな印象を与えています。
つまり、ジャステイスやグスタフのように体格を大きくしなくとも、キャラクターとは別にアイテムを引き連れることでシルエットを増強することができるということです。
この考えに至った頃、同時に私が中学生くらいの頃、どんなキャラクターが流行ったかなというのを思い出していました。
女性の間でよく話題に上がっていた印象の漫画に、「黒執事」がありました。
そうだなぁ執事ならどの世代層にもウケそうだなぁ肩代わりして誰かを守るというのも旅好きの紳士より執事の方が設定のかみ合わせがいいなぁ……それなら持ち運ぶのは給仕ワゴンかなぁ……
……と、いう流れで「老執事タンク」の外枠が確定し、外套だったものはスーツになり、外部アイテムとして給仕ワゴンを引き連れた初期案ができあがりました。
最初の頃のラフ(モロに給仕台だったときの画像は紛失。この頃はまだ武器も剣だった)
前述の通り「実際に実装される」ことを前提に考えていたので、この時点では深い設定は全くありません。
単に「味方を守る老執事キャラクター」というだけであり、誰に仕えているとか、何故#コンパスの世界で戦うのか、そういったものは何も想定されていませんでした。
・細かいデザインの意図
☆トランク
給仕ワゴンを引き連れた老執事という設定は、少々の齟齬を発生させました。
「この人給仕ワゴン外に持ってくんの?」
室内で使ってください。
そうした都合で給仕ワゴンは荷物を運ぶトランクとなりました。
執事になるよりも前の段階でイメージする国籍はイギリスになっていたので、妖精とか魔法とか、そういった類のものを利用してトランクには自走式になってもらいました。
中身がなんなのかは私も知りません。
☆髪
髪が長いのは、シンプルな服装故の揺れ物の少なさをカバーするためのデザインです。
(揺れ物……操作したときに慣性によって動くパーツ。これがあると操作していて気持ちよく感じられます。例えばリリカのツインテールやグスタフの垂れ下がった管など)
本来であれば髪の色も気にしたかったのですが、画面描写技術の向上や老人というキャラクター性を鑑みて、���ルバーでも許容されるだろうと考えました。
少し昔のゲームなどでは、キャラクターをパッと見て見分けやすくするために髪色が被らないようなデザインをしています。
シルバーの髪色は#コンパスにおいてはアダムという既存キャラクターと被ってしまいます。が、現在のスマホゲーの画面ではそこまで強烈に忌避するべき項目ではないなと判断しました。
☆武器
武器もまた、各キャラクターのイメージに沿うものであり、被りはできるだけ避けたいものです。
これまでの既存キャラクターがまだ持っておらず、且つキャラクターのイメージを補強する武器として、細剣、レイピアを採用しました。
あまり大仰ではなくスマートで、すばやい動きで攻撃するイメージは、出来る執事によく似合うのではないかと思いました。
☆カラー
トランクの色が青と赤なのは言わずもがなチームカラーを意識しています。
あまり目立ちませんが、ベストと宝石の色を緑とし、トランクと合わせて3属性の色を揃えたつもりです。
☆名前
「Thomas」は、様々な地域で使われる一般的な男性名です。
イギリスを意識していたので、英語読みの「トマス」としています。
よくいじられているのを見ますが、「トーマス」はこの「Thomas」のドイツ語読みであるので、特に間違いではありません。
実は名前を考えるのがあまり得意ではなく、かなり初期に仮に置いていたこの名前を結局変更することなく持って行くことにしました。
Thomasは名にも姓にもなる言葉であります。
Thomasは双子という意味を持ちます。
・ある程度のバックストーリー
#コンパスのキャラクターの魅力の一つに、そのバックグラウンドストーリーがあります。
具体的に描写されなくともそこにある情報から様々な背景の考察が、プレイヤーの間で活発に行われていることを知っています。
それ故に、一切合切設定はありません!ではお話になりません。
なのである程度、ぼんやりと、もし本当に実装されるのであれば必要な最低限の設定を、と考えました。
私は「破天荒で先走りがちなお嬢様に振り回される老執事」の構図が大好きです。
大好きなので、もうそれでいいか!となりました。
つまり、「お屋敷から脱走した���嬢様を#コンパスの世界にまで探しにやってきた」というものです。
実際、運営様方との打ち合わせの際も、このくらいのお話をいたしました。
結果としてお嬢様の方までデザインされて帰って来たのは予想外で、非常に驚いたことを覚えています。
逆に言えば、私が伝えたキャラクター設定はそれだけですので、それより先の設定は運営側へお任せした分が追加されている可能性があるのです。私も考察する側なのです。
事実、現在私にはこのキャラクターが自分のキャラクターであるという感覚はほとんどありません。
決定的にそう感じたのは、シークレットパーティーの告知にて、サックスを持ったデフォルメイラストが他ヒーローと並べられていたのを見たときです。
そうして既存のキャラクターたちと肩を並べ、そこにいるというのが、「ああこの人は#コンパスのキャラクターの一人になれたんだな」と感じさせてくれました。
私の手元を離れて一作品の中で息をしているというのが、とても嬉しく思えます。
これから#コンパスが続く限り、活躍してほしいなぁという気持ちでいっぱいです。
・おまけの話
「老執事」というキャラクター性(属性?)は比較的抽象的でありがちなもののため、「似ているキャラクター」というのは指摘されるだろうなあと思っていました。
いくつか自分でも予測はしていたのですが、よくあがっていた名前は割と最近の作品で、そういう面からこのゲームのプレイヤー層の若さを実感してしまいました。
センス的な部分でも、ギリギリの戦いだったのかなぁと思います。
実際、最終ノミネート作品群を見て、これがプレイヤー投票決戦ではなく運営側の判定で決定していたら、「トマス」は選ばれていなかったと思っています。
・終わりに
長々と稚拙な文を書きましたが、この一連の事柄において各方面に感謝してもしきれません。
これらのことを経験の一つとし、精進していきたいと思います。
これからもよろしくお願いいたします。
2020/06/27 山下和真(AmazingEntities)
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市場シェア8割を占め、世界の空を飛び回る中国製のドローン
いま多数のドローンが世界中の空を飛び回っており、日本も決して例外ではない。近年、急速に性能が向上しているドローンは、美しい空撮映像だけでなく測量や災害救助にまでその応用範囲が広がっている。 そのドローンの世界的シェアをご存じだろうか。実は、市場シェアの約8割を中国製が占めており、そのなかでトップメーカーとして君臨するのが、世界シェアの七割以上を占める中国のDJIテクノロジーズ(Da-Jiang Innovations Science and Technology:大疆創新科技有限公司。本社は広東省深市)だ。いまや「ドローンといえばDJI」というほど世界的な知名度を誇る。 DJIは2005年、香港科技大学を卒業した汪滔(1980年生まれ)が創設。汪は大学寮の一室でDJIを創業した。現在の企業価値は150億ドル、総資産は54億ドル(約5724億円)にも上り、ドローン事業で世界初となるビリオネアとなる(『フォーブス』2019年2月)。
警視庁のドローンも中国製
日本でもすでにDJI製のドローンは市販されており、たとえば2015年に起こった首相官邸無人機墜落事件に使用されたドローンもDJIのものであり、この事件を受けて警視庁が発足させた網を使ってドローンを捕獲するという「ドローン捕獲部隊」が使用しているドローンもDJI製だ。 DJIが2018年秋に発表した産業用ドローンの最新機種「マビック2エンタープライズ」は、高度制御技術を搭載し、消火活動などの緊急事態への対応やインフラ設備の調査などでの活用を謳っている。 マビック2は8個の高解像度ビジョンセンサーと2個の赤外線センサーを搭載し、障害物を自動で検知、回避して飛行できる。最大飛行時間は約31分、最大速度は時速72キロで、マイナス10度の低温環境でも十分な性能を発揮できる。 さらに撮影した映像は、DJIの「動画・データ伝送システム」を使うことで、最大で約8キロ(日本国内五キロ)離れた場所からも操縦者の元に送ることが可能だ。価格は最も安いモデルで30万円程度からとなっており、同程度の性能で数百万円する他メーカーの産業用ドローンと比べると格段に安い。
特許取得数の圧倒的多さ
DJIの高い技術力は、同社が取得した特許数からも分かる。特許分析会社のパテント・リザルト(東京都文京区)が公表した無人飛行機を含むドローン関連技術全般における特許の質と量から見た総合ランキングでは、DJIが1位となっている。 2011年から日本でドローン関連特許の出願を開始したDJIは2014、15年に出願数を大きく伸ばした。たとえばドローンを使った荷物配送システムや、初心者でも簡単に操縦できるように離陸時の不安定性を減らす技術などで特許を取得している。
空撮データが中国に蓄積、日本の国土は確実に“丸裸”にされる
問題は、DJI機が空撮したデータの取り扱いである。あまり知られていないが、データはユーザーのパソコンなどに移されると同時に、中国にあるDJIのデータセンターにも蓄積されることになる。DJI機を購入したユーザーは、こうしたDJI機の仕様に同意しなければ使用許諾を得ることができない仕組みになっているのだ。 ドローンの空撮データには、GPS(全地球測位システム)の信号とともに緯度・経度・高度の画像情報が記録される。いまや日本全国で橋梁の保守や工場の安全点検、災害復興、農薬散布など種々雑多な空撮が行われており、これら一つひとつは「点」でしかないが、すべてのデータが手に入るとすれば、やがて「面」となり、それは日本の低空域における「航路情報」になり得る。低空域における航路情報をインプットすれば、ドローンは無線操縦に頼らない「自律航行」が可能となる。 世界的にドローン規制が未整備な現在は、法の網の目をくぐり抜けた「偵察行為」が可能な状態にあると言える。現状を放置すれば、日本の国土は確実に“丸裸”にされる。その危険性を認識したうえで、中国製のドローンを使用しているだろうか。
東京都心の空間地理情報が中国企業に転売
実際に、中国が空間地理情報を狙っていると思わざるを得ない事件も発生している。2019年8月に埼玉県内に住む貿易会社役員の男が、首相官邸や皇居がある東京都心の空間地理情報をNTTグループ会社NTT空間情報株式会社からだまし取ったとして、警視庁公安部に書類送検されている。 販売されたデータは「GEOSPACE 3D ソリューション」と呼ばれる商品で、電子地図と航空写真のデータを組み合わせたもので、建物の高さと標高を1・5メートルの精度で表したものだ。地形の高低差情報は、ミサイルの飛行ルートを定めるうえで重要なデータになり得る。男は、2016年に転売目的を隠したうえでNTT空間情報から200万円で購入し、中国企業へ転売している。男は30年前に、中国から日本に帰化している。
人民解放軍のドローン攻撃に利用される日が確実に来る
ドローンが集める空間地理情報については、現時点で海外を含め法的規制を敷いている国はないが、個人情報と同じく空間地理情報の取り扱いも法規制が必要だ。想像してほしい、中国軍の飛行機が縦横無尽に日本の空を飛び交っている姿を。現状はまさにその姿なのだ。空間地理情報は簡単に個人が収集できるが、本来、個人のものではない。安全保障につながる国家として守るべき情報である。 同様に、カメラで撮影されたあらゆる空間地理に関する動画情報(静止画を含め)は国内のサーバーに保存すべきものであって、決して海外のサーバーに保存すべきものではない。このままでは日本の空を自由に航行できる航路情報として、人民解放軍のドローン攻撃に利用される日が来る恐れが極めて高い。
米軍が中国製を使用禁止にした理由
こうしたDJI機の仕様について、最初に問題視したのが米軍だった。それまでは米軍も、高性能で安価なDJI機は軍事利用可能と見て多数導入していた。ところが、2017年8月2日、陸海両軍が揃ってDJI機に関する報告書を出した。 陸軍研究所から「DJI無人航空機システムの脅威およびユーザーの脆弱性」という報告書が、海軍からは「DJI製品群に関する運営リスク」という報告書がそれぞれ出され、DJI機の使用が禁止された。 「すべての使用を停止し、すべてのDJIアプリケーションをアンインストールし、すべてのバッテリーとストレージ(補助記憶装置)を取り外せ」と非常に厳しい内容の報告書だが、米軍はこの報告から9日後の8月11日、今度は「OPSECの規定する条件を満たしているドローンは利用可能」と、先の使用禁止命令を緩和するような指令を出した。 オプセクとは「オペレーション・セキュリティー」(Operation Security)の略語で、ネットに常時接続されているコンピュータに求められる最低限のセキュリティー対策を指す。仮想敵国への情報流出リスクを判定する規定であり、米軍は条件を満たしていれば使用できるとした。 しかし実際は、DJIが中国企業というだけでOPSECの規定に反するとの見方が強く、現在も米軍でのDJI機の使用は制限がかけられたままだ。
“合法的に”空撮データを中国に送る仕掛け
米軍がDJI機の使用禁止を打ち出した直後の8月16日、DJIはドローンが撮影したデータを中国のデータセンターに送信することなしに使用できる「ローカルデータ・モード」を発表した。このモードでドローンを操縦すれば、データセンターがある中国に空撮情報が流れることはない、という説明だった。 だが、ローカルデータ・モードでの飛行は、高度が30メートル以下に限定されるうえに、DJI機の最大の特長である飛行中の高度な安全装置が機能しない。ローカルデータ・モード時に機能が制限されることはDJIの操作マニュアルにもしっかりと明記されおり、実際にこのモードで使用する人は極めて少ない。 つまり、通常の飛行モードを選んだユーザーは、従来どおり、空撮データがDJIのデータセンターに流れることを承諾せざるを得ないのだ。DJIは、いまも“合法的に”空撮データを中国に送ることができている。
ドローンの心臓部を握っている中国企業
仮にDJI機を排除しても他社製のドローンの多くが、GPSやジャイロ(安定飛行の装置)、加速度、磁気などのセンサーを搭載して飛行制御を行う「フライト・コントローラー」にDJI製品を搭載していると言われる。「ドローンの心臓部」といえるフライト・コントローラーをDJIに握られた業界では、「DJIの呪縛からは逃れられない」との見方が強い。
ファーウェイ事件と通底
DJI製ドローンの問題は、2018年末にアメリカが中国通信機器機大手のファーウェイ(華為技術有限公司)やZTE(中興通訊)社製の通信機器を全米から排除する決定を下した事件と通底している。 アメリカが決定を下した背景には、中国が2017年6月に施行した「国家情報法」に対する懸念がある。 同法は、“国家としての情報収集に法的根拠を与える”ために定められた法律だ。その第1条は「国の情報活動を強化および保証し、国の安全と利益を守ることを目的とする」と規定し、第7条は「いかなる組織および個人も法に基づき国の情報活動に協力し、国の情報活動に関する秘密を守る義務を有し、国は情報活動に協力した組織及び個人を保護する」としている。 つまり、中国の国民全員が、国のために情報収集を行う存在であると定義している。これはスパイにほかならない。それを国家は全面的に保護するといっているのだ。 ファーウェイやZTEがどれほど身の潔白を説明しようとも、中国政府から協力を求められた場合は抗えない制度になっている。当然、DJIも中国の企業である以上はこの法律に従うしかない。 国家情報法では、第9条で「国は、国の情報活動に大きな貢献のあった個人及び組織に対し表彰及び報奨を行う」と規定し、第25条で「国の情報活動への支援・協力により財産の損失が生じた個人及び組織に対しては国の関係規定に基づき���償を行う」と損失補まで定められている。
日本のIT企業で起きた中国人従業員情報漏洩事件
2019年、日本のある商社系IT企業のA社で起きた中国人従業員による情報漏洩事件は、この国家情報法と関係している可能性が非常に高いと見られている。これは重大な事件なので、事の経緯も含め説明したい。 A社で、中国人労働者のXが退職間際に、社内のパソコンから1・5ギガバイト(ギガは10億)ものデータを中国企業バイドゥ(百度)が運営するストレージ(データ保存)サービスに転送した事実が発覚した。送信されたデータを新聞の情報量に換算すると、約5万ページ分にも及ぶ。 バイドゥは「中国版グーグル」と称される検索サービスの大手企業として知られ、「Simeji」と呼ばれる「着せ替えキーボード」のアプリケーションを提供している。着せ替えキーボードアプリとは、スマートフォンやパソコンで文字入力する際に日本語の「漢字仮名交じり文」にするソフトだ。そのシメジは以前、「変換した文章が全て中国に送られている」と問題になったことがある。つまり、シメジが「情報を抜き取るためのサイバー攻撃のツール」だったのである。
国家の命を受けてデータ転送を繰り返していた
このシメジ問題によって新たな疑惑も生まれた。それは、検索エンジンの利用などで一度でもバイドゥにアクセスしたパソコンは、情報を抜き出す不正プログラムが送り込まれ、それ自体がサイバー攻撃のマシンに変わってしまうというのである。人民解放軍が実戦配備したサイバー攻撃の仕組みは「グレートキャノン」と呼ばれ、実際にアメリカのインターネットサービスがグレートキャノンの攻撃に遭い、機能不全に陥ったことがある。 この中国人社員は国家の命を受けて、日ごろから少しずつデータを小分けにして転送を繰り返していたと見られている。転送した事実は同社が運営するネットワーク監視機能で直ちに検出されたものの、1・5ギガバイトのデータはすでに送られたあとだった。 A社はX本人を呼び出し、聞き取り調査を実施したものの、黙秘を貫かれた。その後、Xは退職届けを出し、現在は音信不通の状態で、真相は闇に葬り去られてしまった。
日本の法律では裁けない。極めて深刻な事態
A社では、顧客のネットワーク構成図やIPアドレス(コンピュータの通信識別番号)も普段から扱っており、それらの情報は機密情報に該当する。しかも頭が痛いのは、通信記録から大量のデータがバイドゥに送られたことを掴んだものの、どのようなデータが送られたのかについては、データが暗号化されていたために知る術がない。 通常、この手の情報漏洩が起きた場合は「不正競争防止法」を適用し���持ち出されたデータが営業秘密に該当することを証明する必要がある。ところが、今回はデータが暗号化されていたために立証できない。現在の日本の法律では犯人を裁くことはできないのだ。 仮にA社が警察に被害届けを出したり、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて捜査協力を相手国に求めたりしても、日本国内で刑事犯罪としての要件が満たせなければ、相手政府も協力できないとの立場を取ることは明らかである。 A社は風評被害を恐れたからか、事件を公表していない。しかしA社の事業内容を見ると、各種の公共団体のネットワーク構築を請け負うとともに、セキュリティー監視も手がけている。事態は極めて深刻だ。
アップルで中国人技術者が
中国人従業員による内部犯行はアメリカでも起こっている。2019年1月に、米アップルの自動運転技術の企業機密を盗んだとして、FBI(米連邦捜査局)がアップルに勤務していた中国人技術者を逮捕した。2018年6月にアップルに入社し、自動運転車のハードウエア開発チームに所属していたが、中国へ渡航予定の前日に逮捕されている。 犯人が自動運転車開発に関する写真を撮影していることに気づいた同僚の通報で内部調査した結果、撮影データの他、図や2000以上のファイルを個人所有のパソコンにコピーしていたことが判明した。 アップルでは、2018年7月にも自動運転車の機密情報を盗んだ疑いで別の中国人が起訴されている。従事者の国籍によって内部犯行のリスクが排除されるわけではないが、国家情報法が施行されている以上、中国人従業員を情報やデータの管理職に指名する場合はスクリーニングを徹底すべきとの声もある。
採用に際して十分な身辺調査を行う企業も
スクリーニングとは、採用に際して十分な身辺調査を行うことである。アメリカでは「ウソ発見器」にかける企業もある。また、スクリーニングの専門会社も存在する。 日本では、採用面接の際に両親の職業を尋ねることも憚れるが、少なくとも出身校の教師や、前職の同僚や部下から話を聞くなど可能な限り過去に遡って、労働者の経歴など「バックグラウンド情報」を収集することが肝心だ。もはやそのような時代にきており、特に情報やデータの管理職に指名する人物に対しては、徹底したスクリーニングが欠かせない。 今後、入管法改正で、さまざまな国から労働者の流入が見込まれる。国益を守るためには、スクリーニングを合法的かつ効率的に行う仕組みを早急に構築する必要がある。
軍用ドローン1機で飛行場を壊滅させる破壊力
話をドローンに戻そう。日本の防衛省は2018年2月、国内の米軍基地、専用施設の上空や周辺でドローンを飛行させないよう、「航空機の安全な航行を妨害した場合は、法令違反に当たる」と注意喚起するビラを各地の防衛局に張り出した。だが、現代の「ドローン戦争」を想定すると、あまりにも対応が生ぬるいと言うほかない。 現在の軍用ドローンは、たった1機で飛行場を壊滅させる破壊力を持つ。防衛省が多額の防衛費を投じて日本に配備する「陸上イージス」(陸上配備型ミサイル迎撃システム)でも対応できない可能性が高い。仮に低空を自律飛行可能なドローンを大量に製造できる国が、軍隊として「ドローン戦闘機部隊」を整備し、何千、何万ものドローンを戦争の相手国へ向かわせる戦術をとった場合、相手国は大打撃を被るだろう。
ドローン1374機の編隊飛行に成功した中国
2015年4月7日、アメリカ国防総省が発表した「中国の軍事力に関する年次報告書」には、「中国は2023年までに4万機以上の無人機を製造する」と記されている。あれから約4年半、中国のドローンの能力は格段に向上しており、2018年4月に中国は、ドローン1374機の編隊飛行に成功している。 人民解放軍がいま力を入れているのが「ロボットの群れ作戦」だ。中国の軍事作戦の特徴は、飽和作戦といって数の力で相手を制圧することを目的としたものが多い。たとえば強力なミサイルを開発するよりも、何千、何万発というミサイルを打ち込んだほうが勝率は高くなる。軍用ドローンが何千機と襲来した時、いまの日本には対処のしようがない。 2019年4月10日、中国は尖閣防衛識別圏に攻撃能力を搭載した無人偵察機「TYW-1」を配備した。「TYW-1」は約40時間の飛行が可能であり、かつ最大離陸重量は1500キログラム、総重量300キログラムのミサイルや爆弾を搭載することができるとされている。
中国海警が尖閣諸島にドローンを
その1カ月後の5月18日には、尖閣諸島の領海内に中国海警2308からドローンが飛ばされ、航空自衛隊の戦闘機がスクランブル発進している。中国はいま、尖閣領海内でドローンを飛ばし、日本がどのような行動をとるか、どこまで行えばどう対応するのかを盛んに探っている。スクランブルにかかる費用は1機あたり300万円~400万円とされており、一方の中国はドローンを飛ばすだけで済む。コストも安上がりで、戦闘機を飛ばすよりも密かに確実に情報収集が行える。
水中ドローンの恐怖
これだけではない。ドローンというと飛行型を思い浮かべる人が多いが、中国は水中ドローンの開発にも成功している。国営の中国航天科技集団が開発した魚群NH1、NH2、NH3がそれで、「NH」とはインフラ攻撃を目的に開発されたものを意味する。日本は海底ケーブルでインターネットが繋がっているが、それらを破壊されたら日本の全てのネット環境が遮断され、日本社会は機能不全に陥ってしまう。 日本もアメリカのように、安全保障の観点からドローンの技術的仕様などについて何らかのセキュリティー規制を設けることは緊急の課題だ。 日本政府は「ファーウェイとZTEの製品を政府調達から事実上排除する方針」を掲げたが、ドローンについても早急に検討すべき時にきている。中国の日本侵略は着実に始まっていることを、国民も政府ももっと自覚すべきだ。
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<海外シンセ興亡記 II : Emu Systems Emax S.E review >
●メーカー名
E-mu Systems Inc.(イーミュ)
シーケンシャルを創業したデイヴ・スミスに対し、もうひとりのデイヴおじさんこと、デイヴ・ロッサム(Dave Rossum)が興したシンセメーカー、E-μ Systems。1972 年に法人化、本社は合衆国。 このロッサムおじさんは、ポリシンセを創るのに欠かせないデジタルスキャニングキーボードを開発し、1973 年には特許も取得。Oberheim 4 Voice を始めとする世のポリシンセは、ほぼすべてこの特許をライセンス使用。これによりロッサムおじさんは「ポリシンセの父」とも言われる。
ところがその特許料を、シーケンシャルが解釈の違いから支払いをやめるという事態が発生。当時、7万ドルくらいもする大規模なアナログシンセ「Audity(オーディティ)」を開発中だったイーミュは経営危機に。やむなくコストがかかる Audity 開発は強制終了。
代わりに急遽ぱぱっと開発できてメシのタネになる新機種を!というので、従業員一同が知恵を絞ってると、’79 年 AES ショーにてオーストラリアからフェアライト CMI が出展。これを見たイーミュは「フェアライトは大規模な音楽コンピューターだが、サンプリングに特化すれば、よりコンパクトかつ安くできる」と考え「サンプラー」という機種名の、まさしく史上初のサンプリングマシンをマッハで開発。
そのさなか、ふとある従業員が「いいアイディアを思いついた」と、にんまり笑いつつロッサムおじさんのところへやってきて
「機種名をイーミュレーターにするのさ」
と提案。エミュレーターやエミュレーションというコンピューター用語のとおり、物真似する者を意味する「Emulator」、それもイーミュという社名に引っかけた名前をもつ機種「イーミュレーター」が、そう、誰あろう史上初のサンプラーである初代イーミュレーターが、ここに誕生。
1981 年に発売された初代イーミュレーターは、8bit、128KB RAM、5インチフロッピー、49 鍵、そんなんで当時定価 200 万円以上もしたとはいえ、またたくまにプロの間で大ヒットとなり、サンプラーの代名詞になった。後継機種 Emulator II にいたっては、512KB ~1MB RAM でもって、もはや不動の定番になり、すっかり業界標準機として定着。これでイーミュは食っていくことになった。
だがそのあと、1984 年には米国 ensoniq 社 Mirage、さらにその後 AKAI S612、S900 をはじめとする、40 万円を切る価格破壊モデルともいうべき競合機種が出まわりはじめ、イーミュといえど安閑としてられなくなったのである。
●機種名
Emax S.E(イーマックス・エス・イー) 1986 年発売 61 鍵、ベロシティのみ対応
E-mu 社初の廉価版サンプラー Emax。このシリーズには、以下の派生機種がある;
・Emax;素のサンプラー ・Emax S.E;倍音加算合成と、TM シンセシスとを追加 ・Emax HD と Emax S.E-HD;20MB の HDD を内蔵 ・EMAX II ;後継機種。Emax S.E をベースに、16ビット化、最大8MBの内蔵メモリー、固定サンプリング方式、デジタルフィルター、SCSI 標準装備、最終的にはステレオサンプリングも可能に
廉価版とはいっても、五十万円以上した。 私はそれを、まだまだ Emax が現役時代に中古で買った。そしてそののち、システムソフトウェアがアップグレードされ、Emax S.E となったので、そのアップデーターをフロッピーで入手、アプグレした。
二百万円以上もした伝説の名機イーミュレーターII を、1チップにまとめたという「E-Chip」なる独自開発のチップを採用。Emulator シリーズと同じく可変サンプリング方式。二代目 Emax II になってから、どうやら固定サンプリング方式になったらしい。固定サンプリングは開発するには難しいが、ピッチ可変幅が大きくとれるので有利。本稿で取り上げる初代 Emax シリーズには、これはまだ採用されていない。
OS をフロッピーディスクで供給するのはいいが、OS 用 RAM が小さいので、使用中もずっとドライヴもフロッピーを突っ込んだままにしておかないといけない。そしてエディットすると、いちいちフロッピーを読みにいってシークしたりするのが遅い。
ただ、イーミュレーター II が、5インチという当時すでにレガシーになりつつあったフロッピーを採用したのに対し、Emax シリーズは 3.5 インチという、当時流行していたメディアを使い、容量もハンドリングも有利であった。
●音源方式
オシレーターでの波形生成には、以下の3種類があり ・サンプリング ・サイン波倍音加算合成を利用したウェーヴテーブル ・TM シンセシス オシレーター以降は、VCF / VCA によるアナログ減算方式
よって、デジアナハイブリッド・サンプリングシンセとして使える。
Emax S.E ではなく素の Emax は、サンプリングした波形を減算方式で加工するサンプラーであった。その実態は2オシレーター構成の後ろに、各1基の VCF、VCA が続く。つまりコルグ DSS-1 とほぼ同じ構成で、ただし最後についてる内蔵エフェクトはコーラスのみ。メニュー体系や使い勝手も DSS-1 と似ていて、小さい液晶画面なのにとても使いやすい。
2オシレーター構成なのだが、彼らはそれを大々的に言わず、それどころか 「音をレイヤーしても発音数が減りません!」 などと魔法のような宣伝をしていた。なんのことはない、普段は1オシレーターのみ駆動し、レイヤー時に2オシレーター駆動しているだけなのだが!
A/D、D/A の解像度は 12bit。しかしディスクへ保存する時は、なんと8bitにまで圧縮する! 圧縮すれば音は悪いのか? でも、よぉ考えたら、そもそもデジタルそのものが圧縮である! せやかてデジタルは、アナログ曲線を離散値で量子化して間引いてまうやんけ!! そんなわけでかどうか知らんが、けっこう味のある音がする。 ちなみに 200 万円以上もした上位機種イーミュレーター II は徹頭徹尾、8bit である。いさぎよい!
メモリーは恐らく 512 KB で拡張不可。キロバイトといえど、この当時のプロ向けサンプラーでは標準的な RAM 容量であり、カシオ FZ-1 が1MB に達したときは話題となった。
鍵盤はベロシティのみ対応で、こんなに高い機種なのにアフタータッチがついていないことに驚愕したが、じつは二百万円したイーミュレーター II も同じであったと、のちのネット時代になって知った。
8パラアウト仕様だが、どうやら各アウト端子ごとに D / A がついているらしいところは、さすがサンプラー元祖のこだわり。
減算方式部分は素の Emax と同じだが、Emax S.E には、追加ですさまじいシンセ機能が装備されていた。これは、ソフトウェアのアプグレで可能であり、そのためのアップデート専用のフロッピーが販売されていた。
Emax S.E の S.E とは、Synthesis Enhanced の略だけあって、ただのサンプリングに加え、サイン波倍音加算合成(本機では Spectrum Interpolation Synthesis と呼ばれていた)を利用したウェーヴテーブル、そしてトランスフォーム・マルチプリケーション・シンセシス(Transform Multiplication Synthesis)という、とんでもない波形演算ができる演算が追加された。 すべて詳しくは後述。
●同時発音数
8音 当時としてはきわめて標準的。
●内蔵エフェクトの性能と傾向
コーラス内蔵 あるだけ御の字。
●内蔵波形、プリセットの傾向
サンプラーなので無い、って、ごめんなさいね 笑
●エディットの自由度と可能性
オシレーター部が凄まじい。
サイン波倍音加算合成は 24 倍音まで。なーんだ少ないと思うなかれ、こうして作った波形を 24 波まで時間軸上に並べることで、まさに PPG のウェーヴテーブルの簡易版のように、オシレーターだけで音色変化を創造できる! しかも開始波と終了波だけを作成し、間は自動演算で補完させることもできる。そのあとさらに倍音ごとの音量エンベロープも設定可能で、しかも倍音ごとにピッチ・エンベロープまでかけられる。そんな倍音、倍音って呼んでよいのか? ただし演算がノンリアルタイムなので、パラメータを設定してからいちいち演算実行せんと、音が聴けん。非力マシンが魅せる、ちからワザ。できた波形はフロッピーにセーヴ。99 もの波形をプリセットしたフロッピーまで、おまけについてくる。
そして TM 合成こと、驚愕のトランスフォーム・マルチプリケーション・シンセシス。
あまりにも名前が複雑すぎて、アメリカ人でも発音できず噛み噛み、私が訂正して発音してさしあげたら、復唱してきたのちに「サンキュー」と。
これは2つのサンプルから共通倍音のみを抽出し、それらを互いに乗算させるという、とにかくとんでもない演算。おそらく2つのサンプルをフーリエ解析し、基音を含む共通の周波数を持った倍音を抽出し、それらの振幅を乗算させたのち、リシンセシスしていると思われる。結果は、たとえばヴァイオリンが言葉を喋ったりするが、多くの場合予測不可能。強烈な金属倍音が激しく流出したりして、たいへんな結果に陥ることも多い。
しかももっと大変なのが、こいつも演算がノンリアルタイムであるという事と、しばしば演算に半時間以上もかかるということ! 最大 40 分くらいかかるらしい。なんでもスパコンに相当する演算を、32bit CPUと8bit コプロとちーちゃなメモリでやっているから、という事らしいが、とにかく「Synthesize!」とノーテンキなメッセージに促されるままに実行キーを押すやいなや「○分お待ち下さい」などと LCD に出てきたひには、失神しそうになる。しかし、すでになりふりかまわず Emax S.E は演算に突入。どえらい波形レンダリングをしているわけで、もはや誰にも止められない。英文取説では
「ま、ちょっと休憩でもどうぞ」
なんてこと書いてあったりして開き直っている!
おまけに、この演算を実行するには、最低 32KB の RAM 領域が必要とかで、これを割り込むと「足りん! サンプル減らせ!」と怒られる。キロバイト単位であっても、貴重なリソース。
このように強力シンセシスを駆使して作成した音は、サンプル同様に2つのオシレーターにアサインすることでレイヤーできる。
そのあとにくるアナログの LPF も効きが良く、ツィーンと鋭いレゾナンスはまるでプロフェット5のよう。事実、イーミュレーター II をワンチップ化したという��けあって、今度の VCF すなわち SSM 2047 によって、みるみるうちにサンプルがおもしろいくらい別の音への変わっていく。また、マルチサンプル各々の鍵域とは全く無関係に、フィルターをかける鍵域をいくつも定めて各々異なった設定にすることもでき、これは便利!
LFO 波形は、サイン波のみだが、パンニングを LFO でボイス毎に違う位相で揺らすことも可能、和音に良い。
16トラックの簡易シーケンサーも搭載。アルペジエイターもあって、休符もプログラミングできる凝ったもの。
2オシレーター構造の片方にはサンプルを、もう片方には変態シンセ波形を、そして後段の VCF / VCA へと、先人たちのアナログシンセを夢見つつ、無比の音色加工に溺れる。これでもって、D-50 ふうの LA 音源みたいな音色や、エンソニック SQ-80 みたく国産機にない自由な発想でクロステーブル音源を再現できる。イーミュ自身、それを奨励していたのは、ちょうど D-50 の音色がブームまっさかりだったから。
16 文字×2行の狭い LCD だが、メニュー体系が分かりやすく、しかもそれがフロントパネルにもシルク印刷されていて、やりたい事がすぐできる。ただし前述の 24 倍音加算しているときに、ピクセル幅しかない棒グラフが縦向きにひょろひょろと 24 本も表示され、それでエディットさせられるのには驚愕。
●拡張性
RS-422 端子装備! 特に古い Mac となら相性抜群? たしか Sound Designer とか Alchemy とかいったソフトウェアで波形編集できたはず。Sound Designer ですよ。この次の Sound Designer II なんか死んでも SDII フォーマットを遺した偉大な先人だが、初代 SD は?
●あなたにとっての長所
みょうに古い、メロトロンにも似た哀愁のあやしい出音。そして今となっては入手困難だろうが、豊富なライブラリー。クワイアーの音のあやしさなんか最高。VP-330 にも似た中高域と、メーテルの母のようなこわーい女性の低域。あれ、でもこれ「Male Voice」って書いてあるのに?
むろん強力無比の個性派シンセシス。そしてディスク・セーヴ時には8ビットにまで圧縮してしまうので、フロッピー1枚でもアホほど多くの音色が入る。
象牙のような鍵盤も静かで適当に重いのに滑らかで弾きやすい。グリスなんか世界一楽。でもこれはバージョンにより違うらしい。
自己診断プログラムもあって、イーミュ(和名エミュー)というダチョウのような鳥が、画面上を元気に走り回れば ok。これがまたかわいい。
この動画は、Emax II で撮影されたものだが、まったくおんなじ;
youtube
ただ、これが自己診断機能だとは、どこにも書いておらず、取扱説明書に至っては:
「これは、内蔵姿勢制御装置を初期化し、過剰なジャイロ宇宙相対理論化を防ぐ機能です。注意深く画面を観察いただき、重力空間歪曲や明らかな時間の加速・遅延、鏡に映る物体が実際より近く見えるなど不安定化兆候が無いか、ご確認ください。 時に小さなエミューが Emax 内部に閉込められ画面上を走り回る事がありますが、��れは安定化スキャン処理進行中の現象であり、Emax通常機能に影響はありません(超絶 Nemo 版和訳)。」
もうね、原文にある 「gyrocosmic relativation」とかバック・ロジャースのネタだし 「objects in mirrors appearing closer than they really are」って向こうの車のドアミラーに書いたーる警告文パロってるし どこにも「自己診断処理」て書いてないから 爆 それが自己診断機能だということは、生産完了後だいぶたってから、ネットかなんかで知ったw
そしてデザインが良い。Max Yoshimoto なる(日系?)イタリア人がデザインしたらしく、おしゃれな紫灰色ボディに落着いたくすみのあるパステルカラーのゴム製ボタン。テン・キーすら斜めに配置されているあたり、すばらしい。しかもデザイン重視なのに、メニュー階層と操作子とが分かりやすく、やりたいことをどうすれば実現できるか、すぐに分かる。
ちなみにフロントパネルの左はずれにあるスロット群は、スピーカーグリルではない。ただのデザイン。
●あなたにとっての短所
でかい。
おもてはクールなのに、リアのロゴが不思議にダサい。ぼてっとしてダサい厚みもある。
当時は高かった。だって定価 50 万円以上。すでに先行して存在していた国産サンプラーは、10 - 30 万円くらいだったから、いくら廉価版とはいえ群を抜いて高かった。
●その他特記事項
かつて小室哲哉が TMネットワークに在籍しているとき、テレビ出演時に使っていたことが��って、少なからずともびっくりした。
当時のデペッシュ・モードのライヴでは、ドラムもギターも一切ステージに無く、ただただ Emax HD だけが4台、あとはカスタムメイドの MIDI パーカッション・パッドが少々あるのみで、いかにもテクノな感じのすっきりシンプルかつハイテクなステージ機材ぶりが印象的であった。ライヴビデオ「101」で、その様子が拝める。
前述のとおり、史上初のサンプリングキーボードとなった Emulator は、
「イーミュレーター」ないし 「イミュレーター」と呼ばれた。今ふうに 「エミュレータ」などと読もうものなら、めんどくさいおっさんやじじいどもの集中砲火をあびるであろう。そんなことするから、めんどくさいおっさんやじじいどもは自滅するとも言えるのだが。
とまれ、イーミュという社名に引っかけて命名されたというのも、単語そのものは「競争者」「模倣者」という意味につき、まさに生音を模倣するサンプラーにふさわしい、センスの良い話。当時これしかなかったから、プロはみんなこれ使ってて、それがステータスモデルですらあった。
そこから Emax シリーズが、イーミュ社初の廉価版サンプラーとして登場。
Emax 発売が、1986 年。 EMAX II 発売は、1989 年。
そして生産完了となり、後継機種 ESI-32 へと取って代わるのは、じつに 1995 年のこととなり、Emax シリーズは、第2世代も含めて9年間にわたり販売されつづけるという、異例のロングセラーとなった。
おのおの廉価版と言っても、50 万円以上した覚えがある。それでも老舗ならではの膨大なサンプル・ライブラリーが、しかも最初からたくさん用意されていて、たいへん重宝した。事実、9年間も売れ続けるというロングセラーぶりは、この独自のライブラリーに負うところがすべてである。
おそらくこれでイーミュ社は、日本製の低価格サンプラーに対し、価格競争に巻き込まれること無く、それでいてシェア拡大をもくろんだに違い��い。つまりイーミュのネームバリューと、経験豊かなサンプリングの結晶たる質・量ともに圧倒的なライブラリーでもって、ハードの高性能化と低価格化ばかり追い求める日本メーカーに対し、貫禄あるソフトウェアの勝利を見せてくれようとしたのかもしれない。
そして、ネタが買えない人や、ありもののネタを必要と感じない人に対しては、自分でユーザーサンプリングした結果を加工すべく、そこんじょらに無いくらい強力な VCF や、そこんじょらにないくらい強力なデジタル合成たる TM 合成や、フレキシブルな 24 倍音加算音源がアシストしてくれる。
かくして、自分の声であっても、それが「あほんだらぇーい」と罵倒星雲するものであっても、フィルターで原型をとどめないくらい加工し、そのあとヴァイオリンと TM 乗算してしゃべらせるなりして、一躍有名な声になるかもです。
サンプラーとは、コンテンツ・ビジネスである。
Emax は、豊富なイーミュのライブラリーのみならず、自力でコンテンツを生み出せる、最強のサンプラーになるはずだったのだ。
私は苦労して買ったはずのカシオ FZ-1 を売り、そのカネで中古 Emax を入手、後にそれを Emax S.E にバージョン・アップした。当時、16bit サンプラーを売って 12bit に帰るのは私くらいなものだったが、それは膨大な中古ライブラリーをタダで入手できたからである。当時の私はローランド S-10 という初心者モデルでユーザー・サンプリングしまくっており、プロな音ネタに飢えていた。FZ-1 には謎のコンピューター端子と、元気なレゾナント DCF、8ステージ・マルチループなどの曲芸わざもあったが、音ネタも含むトータルでの格安さには勝てなかった。ソフトウェアの勝利。見事にイーミュ社の術中に。
ライブラリーとして供給されていた全てのフロッピーに起動システム・プログラムが入っていたために、S.E 版にするには一枚一枚ぜんぶアップデートせねばならなかった! あえて数枚だけ元のヴァージョンで残す。しかし、S.E にアップグレードして得た奇妙珍妙なる機能のおかげで、私にとってはむしろ追い風となった。自分でサンプリングしたネタも、強力に変態なシンセシスでよく加工した。
すなわちサンプラーたるもの、あたりまえだがネタに囲まれないと、これほど使えないものは無い。
そしてネタの管理が大変。どこにお気に入りの音色があったか、すぐ忘れる。だから管理しない。電源切ったら音色データがぱーぷりんになるくせに、ロード時間もいちいち数十秒かかるというのは、実にまどろっこしい。ばっちりハマる音色にたどりつくまでの試行錯誤たるや、はんぱでない。当時のサンプラーとは、面倒なしろものなのであり、カードリーダーに換装するのが、合理的。しかしあの当時は、プロはみんなよく使ってたから、忍耐強かった。
この後、各社から 20 - 40MB クラスのハードディスクを搭載ないし SCSI 接続できるハードサンプラーが出現し始めた。筆者も一時期アカイ S1000HD を使っていたが、本体内に複数のサンプルを保存できる上に、ロードが一瞬で済む画期的さに、単純に驚いた。だが高価。
しかしそれが、じつはハードが PC 化してゆく流れだったことは、Roland S-50 が CRT とマウスオペレーションを実現し、AKAI がエディターソフト MESA を開発することにより明らかとなった。それがゆえにソフトウェア・サンプラーの出現により、いきなりメモリーとストレージの上限が外れた上に、価格が数十分の一以下にまで下落、文字通り市場が崩壊し、さらに ReCycle! みたいな便利ツールまでがでてきて、純粋なハードサンプラーは絶滅。あおりくらって超高級機メーカー・イーミュ社も業績急降下、シンガポールのクリエイティヴ社に買収されたのち、おなじく同社の子会社と化し��エンソニックと合併して Emu-Ensoniq となり、Emulator のソフトウェア版や、PC 用のオーディオボードを新開発するなどずいぶん様変わりした。現存するハードサンプラーとは、アカイ MPC シリーズのように、シーケンサーやらパッドやらツマミやらついた操作子ばりばりの曲作り重視パフォーマンス重視なワークステーション的な、言わば付加価値タイプのみと言って良い。
かくして、純粋なハードサンプラーは絶滅し、楽器屋もきれいになり、知らん人が入りやすくなり、うさんくささもなくなり、あかるい家電量販店でホームユースのデジピを買い、あやしい Emax みたいな機種は、ソフトサンプラーと同じくネットの画面の彼方にて、オークションにて売買されるようになった。
サンプラ��とは、コンテンツビジネスであった。 コンテンツは、ネタ勝負であった。
そこにまつわる諸問題へのソリューションを考えるとき。
まずロード時間;
すばやく効率よくネタを獲得するには、いちいちシーク時間が長いフロッピーというメディアは、あまりにも、とろすぎ。だからこそ MPC は、短いドラムサンプルに特化することで、このアキレス腱を回避。
ということは、普通のハードサンプラーであっても、ドライヴをカードリーダーに換装すれば、ロード時間問題は一気に解決できる。
次にユーザーインターフェイス;
MPC のような機種は、シーケンサーとユーザーインターフェイスと手を携えることで、生き延びる。
イーミュやアカイなどのサンプラーも、主要パラメーターが物理操作子で表に出ていたら、もっと使いやすいはず。
そして、どんな音色を求めるか;
ゼロ年代までのサンプラーとは、リアルな音の追求が至上命題であった。リアルであればリアルであるほど良く、だからこそ容量ばかり追求し、量的拡大がマスト。結果、ハードサンプラーは、容量制限がないソフトやアプリに駆逐されることになる。
だがその一方で、現実音を加工するシンセやエフェクトなども DAW へと結実し、DAW そのものがプラグインで現実音を加工するようになった。現実音を加工するほうが、倍音構成も複雑になり、リアルを超えたシュールレアルな世界が描ける。
リアルよりも理想的な音。
というわけで、なりふりかまわず何十分も演算しつづけ波形をつむぎつづけた TM シンセシスのように、なにか野心的なむちゃくちゃな蛮勇にあふれた試みが、それも自律してみずから音ネタをつくりだすための仕組みが、そろそろサンプラーにあっても良いのではないか? 私が知らんだけ?
そして敢えて問う、コンテンツビジネスとは、ネタありきだけでほんとうに良かったのか?
サンプラーは、ネタだけが勝負ではない、サンプラーとは楽器だったのではなかったか? 楽器としての完成度と使い勝手ではなかったか? Ableton Live が、Sequencing Instrument と銘打って飛び出してきた時、彼らはシーケンサーもが楽器であると言いたかったのではなかったか。
それに気づいたとき、ハードサンプラーとしての速度感と自由度の高さ、いい意味での限定という自由度の高さ、取り回しの良さが、再評価されるのではないか?
2005 年ごろの私の部屋
謝辞; ハードサンプラーへの情熱を思い出させてくださった「まうんす@Pyro391」さん
なお、写真は私が撮影したもの以外は引用です。
Copyright © 2006-2020 Nemo-Kuramaguchi All Rights Reserved.
Revision log; First edition posted on Feb 23rd, 2020.
おまけ; 特に後半 Depeche Mode の音が出まくる Emax SE の胸キュンな 1986 年サウンドライブラリー動画6分 45 秒
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