#ぬる燗派
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bearbench-tokaido · 3 months ago
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六篇 下 その六
五条新地の遊所をひやかしている弥次郎兵衛と北八。 さて、夜も更けて午前二時ごろ。
そこに吉弥は、はっと目を覚まして、 「もしなもしな。よう寝てじゃな。」 と北八を起こす。 「ああむむ、なんだなんだ。」 「わしやお手洗いにいきとうなった。」 と吉弥は、おきあがったのだが、枕元に放り出してある北八の着物を着て帯を引きしめると、 「おまいさんの着物、ちょっとかしておくれや。 わしゃこれきて男のふりして、下の衆をだましてこまそわいな。」 と言う。 寝ぼけ眼で北八が、 「よく似合てる。それがいいそれがいい。」 「でも、顔を隠さないと、これじゃあかんわいな。」 と吉弥は、手ぬぐいをとってうちかぶり、下へ降りていった。
北八は吉弥が便所から帰ってきたらまた、もてなしてくれるだろうかと思うと寝られなくなってしまった。 寝床の中であっちを向いたり、こっちを向いたりしていたのだが待てど暮せど、かの吉弥はいっこうに帰ってこない。 さては外にいい男でも、有るのかと今しばらく待ったのだが、外がうっすらと明るくなってきてそろそろ、夜も明けようかとする頃になったので、北八は待ちきれなくて手を何度か打ち鳴らした。
下より女房かけあがりて 「どなたぞ、およびなされたかいな。」 とのぞく。 北八は、女房に、 「おお、ここだ、ここだ。 わっちのおやまは、さっき下へ降りたが、それから戻ってこない。 ちょっくら、呼んでくんなせえ。」 と問いかけると、 「さあそのことで、下は大さわぎでござんすわいな。」 「なぜなぜ。」 「あのおやまが男の着物着て、走ったさかい。」 と憤慨したように言う。 北八は、 「なに!?走ったとは、逃げたのか。 そりゃ大変だ。その男の着物というのは俺のだ。」
女房はびっくりして、 「そうかいな。そりゃ、又何としておまいさんのを着ていたぞいな。」 「いや下へいって、みんなを騙してくるから貸してくれろといって。」 「それで、貸しなさったのかいな。」 と女房は、あきれている。 「そうさ。で、そのおやまが逃げた事は、こっちには関係のないことだから、着物をここで弁償してもらわねえといけねえ。 下へそういってくんなせえ。はやくはやく。」 と北八は、平気な様子で言う。 全く、事の重大さに気が付いていない。
女房は、 「まあ、なんにいたせ、そないに言いましょう。」 と下へおりていと、まもなくここの亭主とみえて派手などてらをきた、でっぴりとふとった大男が料理番の男ども、二、三人を引き連れてどやどやと二階へ上がってきた。 亭主が、北八の枕元に立はだかり 「これ、吉弥に着物貸したというわろは、こなんかいな。」 「おお、俺だ俺だ。」 と北八。
亭主は、 「おどれかい。腹黒い事さらしたな。まあ、おきくされ。どれ、面見さらせ。」 と言うので、 「いや、この丁稚らは、何で俺をそのようにぬかしやあがる。」 と北八は、食って掛かる。 「ぬかしたがどうすりゃ。 おどれ、吉弥めに着物かして走らせおったからは行く先はしってけつかるじゃあろ。正直に、ぬかしやがれ。」 「とんでもないことをいう。どうして、俺が知るものか。」 「いやいや、そないにぬかしさらしても、われが人に頼まれて手引きをしたに違いないわい。」 「こりゃ、貴様たちは、変な言いがかりをつける。」 「言い訳すな。ひきずりおろせ。」 と皆々立かかり、北八を手ごめにする。
このどさくさに弥次郎兵衛も目をさましこの様子を見て、跳ね起きて飛んで出ると、 「こりゃ俺の連れが、何をした。うぬらこの男をどうするんだ。」 と亭主に付きかかると、料理番の一人が、 「いや、こやつも同盗じゃあろ。二人ともひっくくれ。」 といずれも、屈強な男度もだから弥次郎兵衛と北八の両方ともが下へ降ろされ、縄でぐるぐるまきに縛り上げられてしまった。
弥次郎兵衛はいっこうに合点がいかなかったが、すべての事を亭主から聞くとびっくりした。 北八も今更ながら、おやまに自分の着物をかした事を後悔している。 確かに疑われても仕方��ないが、だからとはいえこのような目にあったのが悔しい。 いくら説明しても誰も取り合ってくれず、台所の柱のところにつながれている面目なさはいうに耐えない。 その上、夜があけて近所のもの共がおいおい見物にきだした。
その内に、この家と商売仲間の亭主らしい男がやってきた。 少し小利巧にものをいうこの男、名は十吉という。 「わしゃ、今聞いたが、吉弥めが、とんでもないことをさらしたげな。 その手引きしたやつらはどしたぞいな。」 「あこに、括っておいたわいの。」 と亭主が答える。 「店主、呼んであずけさんせ。」 「旅の者じゃと嘘つきさらして、ほんまの家をいわんわいの。」 「そりゃ、気の毒なもんじゃわい。」 と二人がしばられているそばへきて、十吉は、 「これ、こなんたちは、悪い奴らじゃわい。 そりゃ、わしと友人とでもいうなら、助けてやらんでもないが、そうでもないしましてや、事がこれだけ大きなりゃどうしようもない。 正直に全部話して、楽になるのがえいわいの。」 と話しかける。
「いや、わっちらは、ちっとも知りやせん。 ただこの男が、ほんのしゃれに着物をかしたばっかりで疑いうけたというもんだから、どうぞあなたのお力で、わっちらを助けて下さいませ。 これ、手をあわせておがみたくてもしばられているから、足を合わせておがみます。 こりゃ北八、お前も、お頼み申せ。」 と弥次郎兵衛が言う。 北八も、しょげ返って、 「はい、南無。金毘羅大権現さま、この災難を免れますように、南無。帰命頂礼。帰命頂礼。」 と仏を拝する時に唱える言葉を繰り返す。 「ええ、何ぬかすぞい。 金毘羅様を祈るなら、そないなこっちゃきかんわい。 幸いおどれ裸でおるから水あびてから、祈りくされ。」 と亭主がいう。 「いや、わっちは根っから金毘羅様を信じておりますが、これまで願掛けするのに人と違って水をあびて寒い目してはききやせぬ。 それとは逆に着物を着込んで、卯の花汁に熱燗をひっかけたうえに炬燵へ首っきりで願うと、すぐに御利益がござりやすからせめて着物はきずとも、いっぱいあつくして下さりませんか。」 と北八。 「ええ、尻でもなぶりやがれ。」 と亭主。 「いや、もっともでございやす。 わっちこそは、この男の巻き添え。ほんの災難。 それにこんな目にあいますと、持病の癪がさしこんで、あいたたた。」 と弥次郎兵衛。 「しゃくが痛いなら、縛っている縄をもちっと硬とう締めてやろかい。」 「いえいえ、わっちが癪は、甚句をおどるとおさまりますから、どうぞこの縄といて下さりませ。」
このやり取りを聞いていた十吉は、 「ははは、こりゃまったくだらしない奴らじゃわい。 勘太さんゆるしてやらんせ。結局こいつらは、えらいあほうじゃ。 なるほど吉弥めに、だまされくさって、着物をかしたまでのこっちやあろぞいな。」 と言う。 「そやな、そないにいわれりゃ、確かに賢うは見えんわ。 関わるのも時間の無���やいな。 立ち去らせてやろかいな。」 亭主も時間の無駄だと想い出してきた。
そのやり取りを聞いて、北八は、 「それはありがとうございやす。 でも、わしは、この裸のままではかえられやせん。」 「いなれば、いなすんな。いなすんな。 こっちにも、考えがあるさかい。」 「いや、そんなら、帰りましょう。」 「さあさ、いなんせ。ほんにあほらしい衆じゃわいな。」 と二人の縄をといてやると、弥次郎兵衛は、 「北八、お前のおかげでとんだめにあった。」 「それよりか俺は、この通り着物を取られて、はあ、くしょん。おおさむさむ。」
亭主は、この様子に、 「ははは、あんまりかわいそうじゃ。何なと、一枚くれてやろかい。」 というと、北八が、 「ありがとうございやす。どんなものでも、どうぞいただかして下さいやせ。」 亭主は、 「ええ、乞食めが、いうようなことをぬかしけつかる。 こいつらに似合たように、納屋のござ一枚、もって来てやれやい。」 と言うと、下男が、 「いやここに昨日の米俵がある、これ着ていかんせ。」 と足で、米の入っていない米俵を北八の方におしやる。
北八は、 「なに、それを着ろって言うのか。ええ、情けないことをいう。」 「せっかくの俺たちの志じゃ。着ていなんかい。」 「はい、ありがとうございやす。 せっかくのお志でございやすがわたくしにはやはり、裸が似合っておうようでござりやす。」 亭主の剣幕にたじろいだが、米俵を着るよりはましだ。
弥次郎兵衛は、 「まったく、要領の悪い男だ。俺の雨合羽をかしてやろう。」 と自分のもめんがっぱをとって、北八にうちきせながら
うとましや かいたる恥も 赤はだか 合羽ずかしき 身とはなりたれ
と、詠む。 それを聞いて連中は大笑いとなり二人は、やっとのことでここを出ると急いで、歩き出した。
これで、六篇 下は終わりです。七篇 上に続きます。
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azarashi5656 · 1 year ago
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ガメラコラボボトル。
とはいえ中身もキッチリ気合の入ったブレンド具合、ひと昔前のこの蔵を思い出します。実直で硬派な、クラシックな日本酒とオーダーがあれば、店主は必ずこのお酒を握っていました。
お燗酒にチャレンジしてみたい方はお申し付け下さい、心を込めて燗付けさせて頂きます。
#神亀 #ガメ��
開栓しています。
#神亀酒造 #神亀酒造株式会社 #神亀が飲める店 #神亀ガメラ #阿波山田錦 #熱燗 #あつかん #あつ燗 #ぬる燗 #温燗 #ぬる燗が好き #熱燗好きな人と繋がりたい #熱燗の季節
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arakawalily · 2 years ago
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初めてのビールアート🍺 ビールの泡にラテアートならぬ、ビールアートを描いていただきました❗️洒落乙です🍺 ドリンク編② 新鮮モツ料理をたくさんいただき、モツベーション爆上がりリー❣️ ホルモンヌ(ホルモン女子)大集合❗️ モツつもたれつ、モツ好き女子が集まるモツ専門店❗️イタリアンミックスなおしゃれな酒場となっております!モツ×日本酒×ナチュラルワインは、理に適った、ごモツともな組み合わせ🌾🍺 そして、なんと❗️🍺ビールの泡で、ラテアートならぬ、ビールアートも描いていただき、益々モツベーション爆上がりりー❗️ モツ酒場 kogane(こがね) @kogane.sake 様々な調理法で、モツをこれだけオシャレにいただけるお店は、初めてで、すごく新鮮な驚きがありました❗️やはり仕事帰りの、感度の高い原宿系リーマンが集い、大人気の様子で、夕暮れどきには、満席の賑わい❣️ モツ酒場となっておりますが、今までのモツ酒場とは、一線を画す別世界観❗️ やはり原宿キラー通りのモツ料理店は、オシャレでスタイリッシュ✨✨ランプレドットまでいただけましたよ❣️🇮🇹 手の込んだクリエイティブ溢れるモツ料理にドキドキして、冷静さを、たモツのに一苦労でしたよ❗️ モツ酒場コガネさんで、モツをいただき、おモツった感想を率直にリポートしていきモツ❣️ 新鮮で良質なモツ料理を中心に、和・洋・エスニックの 要素、特にイタリアンを取り入れたお料理とナチュラルワインのほか、居酒屋の定番、生ビールや焼酎、サワーやハイボールなどもお楽しみいただける、枠にとらわれない新しい酒場です❗️ 縁起が良い色=黄金色から名付けられたという、「kogane(こがね)」さん🌾🍺 随所に、金色モチーフが散りばめられ、運気上がりそう❗️ “お燗の魔術師”と呼ばれる高木晋吾氏の監修の下、燗酒カウンターを設け、常時20~30種ラインナップされた季節の純米酒からそれぞれに合わせた温度帯や飲みたい温度に合った銘柄を提案しています。 食べるのが、モツたいない❗️ クリエイティブ溢れるモツ料理が次々と飛び出しますので、じっくりリポートしていきモツ❗️ ドリンク編からお料理編へ 続きます👉 モツ酒場といえ、かなり現代風で酒場というより、オシャレカフェのような雰囲気❗️なるほど、自然派ワインを中心に扱う、自由が丘ニショクさんや、イタリアンのルリイロさんと系列店ということを、シェフに聞いて、納得しました❗️🇮🇹🍕 #モツ酒場kogane #supported#キラー通り#キラー通り商店街 #原宿ディナー #外苑前グルメ #表参道グルメ #青山グルメ #外苑前ディナー #表参道ディナー #青山ディナー #昼飲み #日本酒女子 #kogane#ホルモン好き#ホルモンヌ#ホルモン女子#レバー好き#イタリアン #イタリア好き#日本酒好き#日本酒バー #荒川リリー#lilystudio#チーズ天使#ビールアート#ノンアルコールビール (モツ酒場 kogane(こがね)) https://www.instagram.com/p/CqZRuTIyDtb/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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ladykama0530-blog · 7 years ago
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寒いんで、何年かぶりの自宅熱燗やで!!といいつつ、私はぬる燗派です♥肴は弁当🍱おかずに多目に作っていた、蓮根つくね✨蒸しているからhealthyよ🎵 コーヒーは一年中愛す、いやICEを所望いたす。燗はぬる燗で。要は猫舌かっ(笑) 緑の #山下透 さんのプレートも十分酒の肴に>゜)))彡色違いで黄色いのもあります♥ #kama飯 #居酒屋かずえ #ぬる燗派 #日本酒 #熱燗
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ttamari · 3 years ago
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日本酒はぬる燗派。 イカの塩辛/柿の胡麻酢合え/蓮根揚げ出し (自由が丘 金田) https://www.instagram.com/p/CVkOR0xp0TF/?utm_medium=tumblr
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xf-2 · 7 years ago
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中国人観光客は増加の一途だが、なぜか日本の観光業者は浮かぬ顔。最近は「在日中国人がもてなす日本旅行」がブームで、移動から宿泊、食事、お土産まで、観光客が使うお金がほぼすべて、中国人の懐に入る。そこに日本人の出る幕はない。ある中国人夫妻の東京観光に密着した。  福建省から4泊5日の予定でやってきた観光客の李華さん(仮名/35歳)夫妻。待ち合わせ場所に指定してきたのは、東京・多摩エリアで高級住宅地として知られる街の「日本料理屋」だった。  黒を基調にした落ち着いた店内には「日本酒飲み比べセット」の貼り紙が躍り、熱燗も勧めている。席に着くなり、刺身の盛り合わせが運ばれてきた。「刺身は中国の鮨屋でも食べますよ」(李華さん)。  トロをつまみにビールで乾杯すると、夫妻のお目当ての料理が運ばれてきた。���阪のたこ焼き、宮崎のチキン南蛮タルタル、静岡の富士宮焼きそば。メニューを見れば、他にも名古屋コーチン、ゴーヤチャンプルまで、日本各地のご当地メニューが勢揃いしている。が、どれも味はマズい。明らかに冷凍食品だとわかる。 「本当は北海道に行ってみたいけど、今回は日本の薬(健康食品)を買うのと東京見物が目的だし、4泊5日じゃ、いろいろ行けないからね」と李さんは言うが、この「日本料理屋」の経営者や料理人、アルバイトは皆、日本人ではなく、在日中国人だった。  初めての“日本食”を堪能した夫妻が次���向かうのは新宿でのショッピングだ。すでに店の前には、トヨタの高級セダンが待っている。
夫妻は、大陸の旅行会社に頼んで、あらかじめ白タクを手配していた。運転手の在日中国人は、栃木の土木会社で働いていたが腰を痛め、今は東京で車を借りて、白タクをやっている。この旅行のガイドを兼ねていて日本語も達者だ。 「ワゴンだと、1日(1人につき)1万円。でも相乗りでコースも決まっているから、こっち(セダン)の方がいいよ。4時間で2万円」(運転手) ◆白タクで中国人の店をハシゴ  夫妻が到着したのは新宿三丁目駅からほど近い“免税店”だった。そこで売られていたのは、日本のドラッグストアでは見たこともない「メイド・イン・ジャパン」の健康食品や精力剤。どれも2万~3万円と異常に高いが、初めて日本を訪れる李さん夫妻は、派手に陳列されている健康食品やゲルマニウム枕が「日本で大人気の品」だと思っているようで、手元のリストと睨めっこしながら、次々に購入していく。  店内を歩いていると、突然、警備員に声を掛けられた。 「日本人の方ですか? すみませんが、ここは予約制なので」  やんわり追い出されそうになったが、ガイド(運転手)が“連れ”だと説明して、事なきを得た。
日本で正規の旅行代理店を営む在日中国人(後出)によれば、ここで売られている健康食品の大半は、中国人が出資する特定の企業が作っており、一般市場には出回らないという。 「客は、バスやタクシーの中で、ガイドに洗脳されるんですよ。日本で一番人気のある健康食品が格安で買える、とか、ビックカメラやヤマダ電機はぼったくりだから絶対に入らないようにって。今や、華僑系のラオックスでさえ爆買いの恩恵を受けていません���  実際、この免税店は『日本免税“黒店”(ブラックな店)』として、中国本土のメディアが訪日客に注意を呼び掛ける記事を書いているほどだ。  その後、李さん夫妻は、新大久保の免税店、大山(板橋区)の怪しげな漢方販売店を回り、今日から泊まる宿のある池袋へ向かった。  宿といってもホテルではなく、いわゆる“違法民泊”である。中古マンションの一室に、大量の二段ベッドを入れ、一人1泊約2500円。支払いは、中国を発つ前に、アリペイ(中国のネットサービス企業アリババが手がけるQRコードを使った決済サービス)で済ませたそうだ。  結局、この日の夫妻は、中国人が経営する「日本料理屋」で食事をとり、中国人が運転する白タクで都内各所を回り、中国人が経営する免税店で買い物をし、そして中国人が所有する物件に泊まった。日本に落とした金は、コンビニで購入した飲み物とお菓子代の2000円ほどだろうか。  そういえば、そのコンビニ(ローソンではアリペイが使える)でレジ打ちをしていたのも中国人だった。まさに、日本人のいない日本観光いや、これは観光の名を借りた在日中国人による“同胞食い”ではないか。
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kurihara-yumeko · 4 years ago
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【小説】フラミンゴガール
 ミンゴスの右脚は太腿の途中から金属製で、そのメタリックなピンク色の輝きは、無機質な冷たさを宿しながらも生肉のようにグロテスクだった。
 彼女は生まれつき片脚がないんだとか、子供の頃に交通事故で失くしたのだとか、ハンバーガーショップでバイト中にチキンナゲット製造機に巻き込まれたのだとか、酒を飲んでは暴力を振るう父親が、ある晩ついに肉切り包丁を振り上げたからなのだとか、その右脚についてはさまざまな噂や憶測があったけれど、真実を知る者は誰もいなかった。
 ただひとつ確かなことは、この街に巣くう誰もが、彼女に初めて出会った時、彼女はすでに彼女であった――ミンゴスは最初から金属の右脚をまとって、我々の前に現れたということだ。
 生身である左脚が描く曲線とはまるで違う、ただの棒きれのようなその右脚は、しかし決して貧相には見えず、夜明け前の路地裏を闊歩する足取りは力強かった。
 脚の代わりでありながら、脚に擬態することをまったく放棄しているその義足は、白昼の大通りでは悪目立ちしてばかりいた。すれ違う人々は避けるように大きく迂回をするか、性質が悪い連中はわざとぶつかって来るかであったが、ミンゴスがそれにひるんだところを、少なくとも俺は見たことがない。
 彼女は往来でどんな目に遭おうが、いつだって澄ました表情をしていた。道の反対側から小石を投げてきた小学生には、にっこりと笑って涼しげに手を振っていた。
 彼女は強かった。義足同様に、心までも半分は金属でできているんじゃないかと、誰かが笑った。
 夏でも冬でも甚平を着ている坊主崩れのフジマサは、ミンゴスはその芯の強さゆえに、神様がバランスをとる目的で脚を一本取り上げたのだ、というのが自論だった。
「ただ、神様というのはどうも手ぬるいことをなさる。どうせしてしまうのならば、両脚とももいでしまえばよかったものを」
 そう言いながら赤提灯の下、チェ・レッドを吸うフジマサの隣で、ミンゴスはケラケラと笑い声を零しながら、「なにそれ、チョーウケる」と言って、片膝を立てたまま、すっかりぬるくなったビールをあおった。
 彼女は座る時、生身である左脚の片膝を立てるのが癖だった。まるで抱かれているように、彼女の両腕の中に収まっている左脚を見ていると、奇抜な義足の右脚よりも、彼女にとって大切なのはその左脚のような気がした。それも当然のことなのかもしれなかった。
 彼女も、彼女を取り巻いていた我々も、彼女が片脚しかないということを気にしていなかった。最初こそは誰しもが驚くものの、時が経てばそれは、サビの舌の先端がふたつに裂けていることや、ヤクザ上がりのキクスイの左手の指が足りていないこと、リリコの前歯がシンナーに溶けて半分もないこと、レンゲが真夏であっても長袖を着ていることなんかと同じように、ありふれた日常として受け入れられ、受け流されていくのだった。
「確かにさぁ、よく考えたら、ミンゴスってショーガイシャな訳じゃん?」
 トリカワが、今日も焼き鳥の皮ばかりを注文したのを頬張ってそう言った。発音はほとんど「超外車」に近かった。
「ショーガイシャ?」
 訊き返したミンゴスの発音は、限りなく「SHOW会社」だ。
「あたし障害者なの?」
「身体障害者とか、あるじゃん。電車で優先席座れるやつ」
「あー」
「えー、ミンゴスは障害者じゃないよ。だって、いっつも電車でおばあちゃんに席譲るじゃん」
 キュウリの漬物を咥えたまま、リリコが言った。
「確かに」
「ミンゴスはババアには必ず席譲るよな、ジジイはシカトするのに」
「あたし、おばあちゃんっ子だったからさー」
「年寄りを男女差別すんのやめろよ」
「愚か者ども、少しはご老人を敬いなさいよ」
 フジマサが呆れたように口を挟んで、大きな欠伸をひとつした。
「おばあちゃん、元気にしてんのかなー」
 まるで独り言のように、ミンゴスはそう小さくつぶやいて、つられたように欠伸をする。
 思えばそれが、彼女が家族について口にしたのを耳にした、最初で最後だった。
 俺たちは、誰もろくに自分の家族について語ろうとしなかった。自分自身についてでさえ、訊かれなければ口にすることもなく、訊かれたところで、曖昧に笑って誤魔化してばかりいた。
 それでも毎日のように顔を突き合わせ、特に理由もなく集まって酒を飲み、共に飯を食い、意味のない会話を繰り返した。
 俺たちは何者でもなかった。何かを共に成し遂げる仲間でもなく、徒党を組んでいたというにはあまりにも希薄��関係で、友人同士だと言うにはただ他人行儀だった。
 振り返ってみれば、俺がミンゴスや周りの連中と共に過ごした期間はほんの短い間に過ぎず、だから彼女のこと誰かに尋ねられる度、どう口にすればいいのかいつも悩んで、彼女との些細な思い出ばかりを想起してしまう。
    ミンゴスは砂糖で水増ししたような甘くて怪しい錠剤を、イチゴ柄のタブレットケースに入れて持ち歩いていた。
 彼女に初めて出会った夜のことは、今でも忘れられない。
 俺は掃き溜めのようなこの街の、一日じゅう光が射さない裏路地で、吐瀉物まみれになって倒れていた。一体いつからうつ伏せになっているのか、重たい頭はひどく痛んで、思い出すのも困難だった。何度か、通りすがりの酔っ払いが俺の身体に躓いて転んだ。そのうちのひとりが悪態をつき、唾をかけ、脇腹を蹴り上げてきたので、もう何も嘔吐できるものなどないのに、胃がひっくり返りそうになった。
 路地裏には俺のえづいている声だけが響き、それさえもやっと収まって静寂が戻った時、数人の楽しげな話し声が近付いて来るのに気が付いた。
 今思えば、あの時先頭を切ってはしゃぎながら駆けて来たのはリリコで、その妙なハイテンションは間違いなく、なんらかの化学作用が及ぼした結果に違いなかった。
「こらこら、走ると転ぶぞ」
 と、忠告するフジマサも足元がおぼつかない様子で、普段は一言も発しないレンゲでさえも、右に左にふらふらと身体を揺らしながら、何かぶつぶつとつぶやいていた。サビはにやにやと笑いながら、ラムネ菓子を噛み砕いているかのような音を口から立てて歩いていて、その後ろを、煙管を咥えて行くのがトリカワだった。そんな連中をまるで保護者のように見守りながら行くのがキクスイであったが、彼はどういう訳か額からたらたらと鮮血を流している有り様だった。
 奇妙な連中は路地裏に転がる俺のことなど気にも留めず、よろけたフジマサが俺の左手を踏みつけたがまるで気付いた様子もなく、ただ、トリカワが煙管の灰を俺の頭の上めがけて振るい落としたことだけが、作為的に感じられた。
 さっきの酔っ払いに蹴り飛ばされてすっかり戦意喪失していた俺は、文句を言う気もなければ連中を睨み返してやる気力もなく、ただ道に横たわっていた。このまま小石にでもなれればいいのに、とさえ思った。
「ねーえ、そこで何してんの?」
 そんな俺に声をかけたのが、最後尾を歩いていたミンゴスだった。すぐ側にしゃがみ込んできて、その長い髪が俺の頬にまで垂れてくすぐったかった。
 ネコ科の動物を思わせるような大きな吊り目が俺を見ていた。俺も彼女を見ていた。彼女は美しかった。今まで嗅いだことのない、不可思議な香水のにおいがした。その香りは、どこの店の女たちとも違った。俺は突然のことに圧倒された。
 彼女は何も答えない俺に小首を傾げ、それからおもむろにコートのポケットに手を突っ込むと、そこから何かを取り出した。
「これ舐める? チョー美味しいよ」
 彼女の爪は長方形でピンク色に塗られており、そこに金色の薔薇の飾りがいくつもくっついていた。小さな花が無数に咲いた指先が摘まんでいたのはタブレットケースで、それはコンビニで売られている清涼菓子のパッケージだった。彼女はイチゴ柄のケースから自分の手のひらに錠剤を三つほど転がすと、その手を俺の口元へと差し出した。
「おいミンゴス、そんな陰気臭いやつにやるのか?」
 先を歩いていたサビが振り返って、怪訝そうな声でそう言った。
「それ、結構高いんだぜ」
「いーじゃん別に。あたしの分をどうしようと勝手じゃん」
 彼女が振り向きもせずにそう言うと、サビは肩をすくめて踵を返した。連中はふらふらと歩き続け、どんどん遠ざかって行くが、彼女がそれを気にしている様子はなかった。
「ほら、舐めなよ」
 差し出された彼女の手のひらに、俺は舌を突き出した。舌先ですくめとり、錠剤を口に含む。それは清涼菓子ではなかった。これはなんだ。
「ウケる、動物みたいじゃん」
 からになった手を引っ込めながら、彼女は檻の中の猛獣に餌をあげた子供みたいに笑っていた。
 口の中の錠剤は、溶けるとぬるい甘みがある。粉っぽい味は子供の頃に飲まされた薬を思わせ、しかし隠し切れないその苦味には覚えがあった。ああ、やはりそうか。落胆と安堵が入り混じったような感情が胃袋を絞め上げ、吐き出すか悩んで、しかし飲み込む。
「ほんとに食べてんだけど」
 と、彼女はケラケラ笑った。その笑い声に、冗談だったのか、口にふくまないという選択肢が最良だったのだと思い知らされる。
 それでも、目の前で楽しそうに笑っている彼女を見ていると、そんなことはどうでもよくなってくる。こんな風に誰かが喜んでいる様子を見るのは、いつ以来だろうか。笑われてもいい、蔑まれても構わない。それは確かに俺の存在証明で、みじめさばかりが増長される、しがない自己愛でしかなかった。
 からかわれたのだと気付いた時には彼女は立ち上がっていて、俺を路地裏に残したまま、小さく手を振った。
「あたしミンゴス。またどっかで会お。バイバーイ」
 そう言って歩き始めた彼女の、だんだん小さく、霞んでいく後ろ姿を見つめて、俺はようやく、彼女の右脚が金属製であることに気が付いたのだった。
 人体の一部の代用としては不自然なまでに直線的で、機械的なシルエットをしたその奇妙な脚に興味が湧いたが、泥のように重たい俺の��肢は起き上がることを��なに拒み、声を発する勇気の欠片も砕けきった後であった。飲み込んだ錠剤がその効用をみるみる発揮してきて、俺はその夜、虹色をした海に飲み込まれ、波の槍で身体を何度も何度も貫かれる幻覚にうなされながら眠りに落ちた。
 その後、ミンゴスと名乗った彼女がこの街では有名人なのだと知るまでに、そんなに時間はかからなかった。
「片脚が義足の、全身ピンク色した娘だろ。あいつなら、よく高架下で飲んでるよ」
 そう教えてくれたのは、ジャバラだった。ピアス屋を営んでいる彼は、身体のあちこちにピアスをあけていて、顔さえもピアスの見本市みたいだ。薄暗い路地裏では彼のスキンヘッドの白さはぼんやりと浮かび上がり、そこに彫り込まれた大蛇の刺青が俺を睨んでいた。
「高架下?」
「あそこ、焼き鳥屋の屋台が来るんだよ。簡単なつまみと、酒も出してる」
「へぇ、知らなかった」
 そんな場所で商売をして儲かるんだろうか。そんなこと思いながら、ポケットを探る。ひしゃげた箱から煙草が一本出てくる。最後の一本だった。
「それにしても……お前、ひどい顔だな、その痣」
 煙草に火を点けていると、ジャバラは俺の顔をしみじみと見て言った。
「……ジャバラさんみたいに顔にピアスあけてたら、大怪我になってたかもね」
「間違いないぞ」
 彼はおかしそうに笑っている。
 顔の痣は触れるとまだ鈍く痛む。最悪だ。子供の頃から暴力には慣れっこだったが、痛みに強くなることはなかった。無抵抗のまま、相手の感情が萎えるのを待つ方が早いだとか、倒れる時の上手な受け身の取り方だとか、暴力を受けることばかりが得意になった。痛い思いをしないで済むなら、それが最良に決まっている。しかしどうも、そうはいかない。
「もう、ヤクの売人からは足を洗ったんじゃないのか?」
「……その仕事はもう辞めた」
「なのに、まだそんなツラ晒してんのか。堅気への道のりは険しいな」
 掠れて聞き取りづらいジャバラの声は、からかっているような口調だった。思わず俺も、自嘲気味に笑う。
 学んだのは、手を汚すのをやめたところで、手についた汚れまで綺麗さっぱりなくなる訳ではない、ということだった。踏み込んでしまったら二度と戻れない底なし沼に、片脚を突っ込んでしまった、そんな気分だ。今ならまだ引き返せると踏んだが、それでも失った代償は大きく、今でもこうしてその制裁を受けている現状を鑑みれば、見通しが甘かったと言う他ない。
「手足があるだけ、まだマシかな……」
 俺がそう言うと、ジャバラはただ黙って肩をすくめただけだった。それが少なからず同意を表していることを知っていた。
 五体満足でいられるだけ、まだマシだ。特に、薄汚れた灰色で塗り潰された、部屋の隅に沈殿した埃みたい��この街では。人間をゴミ屑のようにしか思えない、ゴミ屑みたいな人間ばかりのこの街では、ゴミ屑みたいに人が死ぬ。なんの力も後ろ盾も、寄る辺さえないままにこの街で生活を始めて、こうしてなんとか煙を吸ったり吐いたりできているうちは、まだ上出来の部類だ。
「せいぜい、生き延びられるように頑張るんだな」
 半笑いのような声でそう言い残して、ジャバラは大通りへと出て行った。その後ろ姿を見送りながら、身体じゅうにニコチンが浸透していくのを脳味噌で感じる。
 俺はミンゴスのことを考えていた。
 右脚が義足の、ピンク色した天使みたいな彼女は、何者だったのだろう。これまでどんな人生を送り、その片脚をどんな経緯で失くしたのだろう。一体、その脚でなんの代償を支払ったのか。
 もう一度、彼女に会ってみたい。吸い終えた煙草の火を靴底に擦りつけている時には、そう考えていた。それは彼女の片脚が義足であることとは関係なく、ただあの夜に、道端の石ころ同然の存在として路地裏に転がっているしかなかったあの夜に、わざわざ声をかけてくれた彼女をまた一目見たかった、それだけの理由だった。
 教えてもらった高架下へ向かうと、そこには焼き鳥屋の移動式屋台が赤提灯をぶら下げていて、そして本当に、そこで彼女は飲んでいた。周りには数人が同じように腰を降ろして酒を飲んでいて、それはあの夜に彼女と同じように闊歩していたあの奇妙な連中だった。
 最初に俺に気付いたのは、あの時、煙管の灰をわざと振り落としてきたトリカワで、彼はモヒカンヘアーが乱れるのも気にもせず、頭を掻きながら露骨に嫌そうな顔をした。
「あんた、あの時の…………」
 トリカワはそう言って、決まり悪そうに焼き鳥の皮を頬張ったが、他の連中はきょとんとした表情をするだけだった。他は誰も、俺のことなど覚えていなかった。それどころか、あの夜、路地裏に人間が倒れていたことさえ、気付いていないのだった。それもそのはずで、あの晩は皆揃って錠剤の化学作用にすっかりやられてしまっていて、どこを通ってどうやってねぐらまで帰ったのかさえ定かではないのだと、あの夜俺の手を踏んづけたフジマサが飄々としてそう言った。
 ミンゴスも、俺のことなど覚えていなかった。
「なにそれ、チョーウケる」
 と、笑いながら俺の話を聞いていた。
「そうだ、思い出した。あんた、ヤクをそいつにあげてたんだよ」
 サビにそう指摘されても、ミンゴスは大きな瞳をさらに真ん丸にするだけだった。
「え、マジ?」
「マジマジ。野良猫に餌やってるみたいに、ヤクあげてたよ」
「ミンゴス、猫好きだもんねー」
 どこか的外れな調子でそう言ったリリコは、またしても妙なハイテンションで、すでに酔っているのか、何か回っているとしか思えない目付きをしている。
「ってか、ふたりともよく覚えてるよね」
「トリカワは、ほら、あんまヤクやんないじゃん。ビビリだから」
「チキンだからね」
「おい、チキンって言うな」
「サビは、ほら、やりすぎて、あんま効かない的な」
「この中でいちばんのジャンキーだもんね」
「ジャンキーっつうか、ジャンク?」
「サビだけに?」
「お、上手い」
 終始無言のレンゲが軽い拍手をした。
「え、どういうこと?」
「それで、お前、���
 大きな音を立てて、キクスイがビールのジョッキをテーブルに置いた。ジョッキを持っていた左手は、薬指と小指が欠損していた。
「ここに何しに来た?」
 その声には敵意が含まれていた。その一言で、他の連中も一瞬で目の色を変える。巣穴に自ら飛び込んできた獲物を見るような目で、射抜かれるように見つめられる。
 トリカワはさりげなく焼き鳥の串を持ち変え、サビはカップ酒を置いて右手を空ける。フジマサは、そこに拳銃でも隠しているのか、片手を甚平の懐へと忍ばせている。ミンゴスはその脚ゆえか、誰よりも早く椅子から腰を半分浮かし、反対に、レンゲはテーブルに頬杖を突いて半身を低くする。ただリリコだけは能天気に、半分溶けてなくなった前歯を見せて、豪快に笑う。
「ねぇ皆、違うよ、この子はミンゴスに会いに来たんだよ」
 再びきょとんとした顔をして、ミンゴスが訊き返す。
「あたしに?」
「そうだよ」
 大きく頷いてから、リリコは俺に向き直り、どこか焦点の定まらない虚ろな瞳で、しかし幸福そうににっこりと笑って、
「ね? そうなんだよね? ミンゴスに、会いたかったんでしょ」
 と、言った。
「あー、またあのヤクが欲しいってこと? でもあたし、今持ち合わせがないんだよね」
「もー、ミンゴスの馬鹿!」
 突然、リリコがミンゴスを平手打ちにした。その威力で、ミンゴスは座っていた椅子ごと倒れる。金属製の義足が派手な音を立て、トリカワが慌てて立ち上がって椅子から落ちた彼女を抱えて起こした。
「そーゆーことじゃなくて!」
 そう言うリリコは悪びれた様子もなく、まるでミンゴスが倒れたことなど気付いてもいないようだったが、ミンゴスも何もなかったかのようにけろりとして椅子に座り直した。
「この子はミンゴスラブなんだよ。ラブ。愛だよ、愛」
「あー、そーゆー」
「そうそう、そーゆー」
 一同はそれで納得したのか、警戒態勢を解いた。キクスイだけは用心深く、「……本当に、そうなのか?」と尋ねてきたが、ここで「違う」と答えるほど、俺も間抜けではない。また会いたいと思ってここまで来たのも真実だ。俺が小さく頷いてみせると、サビが再びカップ酒を手に取り、
「じゃー、そーゆーことで、こいつのミンゴスへのラブに、」
「ラブに」
「愛に」
「乾杯!」
 がちゃんと連中の手元にあったジョッキやらグラスやらがぶつかって、
「おいおい愚か者ども、当の本人が何も飲んでないだろうよ」
 フジマサがやれやれと首を横に振りながら、空いていたお猪口にすっかりぬるくなっていた熱燗を注いで俺に差し出し、
「歓迎しよう、見知らぬ愚か者よ。貴殿に、神のご加護があらんことを」
「おめーは仏にすがれ、この坊主崩れが」
 トリカワがそう毒づきながら、焼き鳥の皮をひと串、俺に手渡して、
「マジでウケるね」
 ミンゴスが笑って、そうして俺は、彼らの末席に加わったのだ。
    ミンゴスはピンク色のウェーブがかった髪を腰まで伸ばしていて、そして背中一面に、同じ色をした翼の刺青が彫られていた。
 本当に羽毛が生えているんじゃないかと思うほど���緻に彫り込まれたその刺青に、俺は幾度となく手を伸ばし、そして指先が撫でた皮膚が吸いつくように滑らかであることに、いつも少なからず驚かされた。
 腰の辺りが性感帯なのか、俺がそうする度に彼女は息を詰めたような声を出して身体を震わせ、それが俺のちっぽけな嗜虐心を刺激するには充分だった。彼女が快楽の海で溺れるように喘ぐ姿はただただ扇情的で、そしていつも、彼女を抱いた後、子供のような寝顔で眠るその横顔を見ては後悔した。
 安いだけが取り柄のホテルの狭い一室で、シャワーを浴びる前に外されたミンゴスの右脚は、脱ぎ捨てられたブーツのように絨毯の上に転がっていた。義足を身に着けていない時のミンゴスは、人目を気にも留めず街を闊歩している姿とは違って、弱々しく薄汚い、惨めな女のように見えた。
 太腿の途中から失われている彼女の右脚は、傷跡も目立たず、奇妙な丸みを帯びていて、手のひらで撫で回している時になんとも不可思議な感情になった。義足姿は見慣れていて、改めて気に留めることもないのだが、義足をしていないありのままのその右脚は、直視していいものか悩み、しかし、いつの間にか目で追ってしまう。
 ベッドの上に膝立ちしようにも、できずにぷらんと浮いているしかないその右脚は、ただ非力で無様に見えた。ミンゴスが義足を外したところは、彼女を抱いた男しか見ることができないというのが当時囁かれていた噂であったが、俺は初めて彼女を抱いた夜、何かが粉々に砕け散ったような、「なんだ、こんなもんか」という喪失感だけを得た。
 ミンゴスは誰とでも寝る女だった。フジマサも、キクスイも、サビもトリカワも、連中は皆、一度は彼女を抱いたことがあり、それは彼らの口から言わせるならば、一度どころか、もう飽き飽きするほど抱いていて、だから近頃はご無沙汰なのだそうだった。
 彼らが彼女の義足を外した姿を見て、一体どんな感情を抱いたのかが気になった。その奇妙な脚を見て、背中の翼の刺青を見て、ピアスのあいた乳首を見て、彼らは欲情したのだろうか。強くしたたかに生きているように見えた彼女が、こんなにもひ弱そうなただの女に成り下がった姿を見て、落胆しなかったのだろうか。しかし、連中の間では、ミンゴスを抱いた話や、お互いの性癖については口にしないというのが暗黙の了解なのだった。
「あんたは、アレに惚れてんのかい」
 いつだったか、偶然ふたりきりになった時、フジマサがチェ・レッドに火を点けながら、俺にそう尋ねてきたことがあった。
「アレは、空っぽな女だ。あんた、あいつの義足を覗いたかい。ぽっかり穴が空いてたろう。あれと同じだ。つまらん、下種の女だよ」
 フジマサは煙をふかしながら、吐き捨てるようにそう言った。俺はその時、彼に何も言い返さなかった。まったくもって、この坊主崩れの言うことが真であるように思えた。
 ミンゴスは決して無口ではなかったが、自分から口を開くことはあまりなく、他の連中と同様に、自身のことを語ることはなかった。話題が面白かろうが面白くなかろうが、相槌はたいてい「チョーウケる」でしかなく、話し上手でも聞き上手でもなかった。
 風俗店で働いている日があるというリリコとは違って、ミンゴスが何をして生計を立てているのかはよくわからず、そのくせ、身に着けているものや持ちものはブランドもののまっピンクなものばかりだった。連中はときおり、ヤクの転売めいた仕事に片脚を突っ込んで日銭を稼いでいたが、そういった時もミンゴスは別段やる気も見せず、それでも生活に困らないのは、貢いでくれる男が数人いるからだろう、という噂だけがあった。
 もともと田舎の大金持ちの娘なんだとか、事故で片脚を失って以来毎月、多額の慰謝料をもらい続けているんだとか、彼女にはそんな具合で嘘か真実かわからない噂ばかりで、そもそもその片脚を失くした理由さえ、本当のところは誰も知らない。訊いたところではぐらかされるか、訊く度に答えが変わっていて、連中も今さら改まって尋ねることはなく、彼女もまた、自分から真実を語ろうとは決してしない。
 しかし、自身の過去について触れようとしないのは彼女に限った話ではなく、それは坊主崩れのフジマサも、ヤクザ上りのキクスイも、自殺未遂を繰り返し続けているレンゲも、義務教育すら受けていたのか怪しいリリコも、皆同じようなもので、つまりは彼らが、己の過去を詮索されない環境を求めて流れ着いたのが、この面子という具合だった。
 連中はいつだって互いに妙な距離を取り、必要以上に相手に踏み込まない。見えないがそこに明確な線が引かれているのを誰しもが理解し、その線に触れることを極端に避けた。一見、頭のネジが外れているんだとしか思えないリリコでさえも、いつも器用にその線を見極めていた。だから彼らは妙に冷めていて、親切ではあるが薄情でもあった。
「昨日、キクスイが死んだそうだ」
 赤提灯の下、そうフジマサが告げた時、トリカワはいつものように焼き鳥の皮を頬張ったまま、「へぇ」と返事をしただけだった。
「ドブに遺体が捨てられてるのが見つかったそうだよ。額に、銃痕がひとつ」
「ヤクの転売なんかしてるから、元の組から目ぇ付けられたのか?」
 サビが半笑いでそう言って、レンゲは昨日も睡眠薬を飲み過ぎたのか、テーブルに突っ伏したまま顔を上げようともしない。
「いいひとだったのにねー」
 ケラケラと笑い出しそうな妙なテンションのままでリリコがそう言って、ミンゴスはいつものように、椅子に立てた片膝を抱くような姿勢のまま、
「チョーウケるね」
 と、言った。
 俺はいつだったか、路地裏で制裁を食らった日のことを思い出していた。初めてミンゴスと出会った日。あの日、俺が命までをも奪われずに済んだのは、奇跡だったのかもしれない。この街では、そんな風に人が死ぬのが普通なのだ。あんなに用心深かったキクスイでさえも、抗えずに死んでしまう。
 キクスイが死んでから、連中の日々は変化していった。それを顔に出すことはなく、飄々とした表情を取り繕っていたが、まるで見えない何かに追われているかのように彼らは怯え、逃げ惑った。
 最初にこの街を出て行ったのはサビだった。彼は転売したヤクの金が手元に来たところで、一夜のうちに姿をくらました。行方がわからなくなって二週間くらい経った頃、キクスイが捨てられていたドブに、��先がふたつに裂けたベロだけが捨てられていたという話をフジマサが教えてくれた。しかしそれがサビの舌なのか、サビの命がどうなったのかは、誰もわからなかった。
 次に出て行ったのはトリカワだった。彼は付き合っていた女が妊娠したのを機に、故郷に帰って家業を継いで漁師になるのだと告げて去って行った。きっとサビがここにいたならば、「お前の船の網に、お前の死体が引っ掛かるんじゃねぇの?」くらいは言っただろうが、とうとう最後まで、フジマサがそんな情報を俺たちに伝えることはなかった。
 その後、レンゲが姿を見せなくなり、彼女の人生における数十回目の自殺に成功したのか、はたまたそれ以外の理由で姿をくらましたのかはわからないが、俺は今でも、その後の彼女に一度も会っていない。
 そして、その次はミンゴスだった。彼女は唐突に、俺の前から姿を消した。
「なんかぁ、田舎に戻って、おばあちゃんの介護するんだって」
 リリコがつまらなそうに唇を尖らせてそう言った。
「ミンゴスの故郷って、どこなの?」
「んー、秋田」
「秋田。へぇ、そうなんだ」
「そ、秋田。これはマジだよ。ミンゴスが教えてくれたんだもん」
 得意げにそう言うリリコは、まるで幼稚園児のようだった。
 フジマサは、誰にも何も告げずに煙のように姿を消した。
 リリコは最後までこの街に残ったが、ある日、手癖の悪い風俗の客に殴られて死んだ。
「お前、鍵屋で働く気ない? 知り合いが、店番がひとり欲しいんだってさ」
 俺は変わらず、この灰色の街でゴミの残滓のような生活を送っていたが、ジャバラにそう声をかけられ、錠前屋でアルバイトをするようになった。店の奥の物置きになっていたひと部屋も貸してもらい、久しぶりに壁と屋根と布団がある住み家を得た。
 錠前屋の主人はひどく無口な無骨な男で、あまり熱心には仕事を教えてはくれなかったが、客もほとんど来ない店番中に点けっぱなしの小型テレビを眺めていることを、俺に許した。
 ただ単調な日々を繰り返し、そうして一年が過ぎた頃、埃っぽいテレビ画面に「秋田県で殺人 介護に疲れた孫の犯行か」という字幕が出た時、俺の目は何故かそちらに釘付けになった。
 田舎の街で、ひとりの老婆が殴られて死んだ。足腰が悪く、認知症も患っていた老婆は、孫娘の介護を受けながら生活していたが、その孫に殺された。孫娘は自ら通報し、駆けつけた警察に逮捕された。彼女は容疑を認めており、「祖母の介護に疲れたので殺した」のだという旨の供述をしているのだという。
 なんてことのない、ただのニュースだった。明日には忘れてしまいそうな、この世界の日常の、ありふれたひとコマだ。しかし俺は、それでも画面から目を逸らすことができない。
 テレビ画面に、犯人である孫娘が警察の車両に乗り込もうとする映像が流れた。長い髪は黒く、表情は硬い。化粧っ気のない、地味な顔。うつむきがちのまま車に乗り込む彼女はロングスカートを穿いていて、どんなに画面を食い入るように見つめても、その脚がどんな脚かなんてわかりはしない。そこにあるのは、人間の、生身の二本の脚なのか、それとも。
 彼女の名前と年齢も画面には表示されていたが、それは当然、俺の知りもしない人間のプロフィールに過ぎなかった。
 彼女に限らない。俺は連中の本名を、本当の年齢を、誰ひとりとして知らない。連絡先も、住所も、今までの職業も、家族構成も、出身地も、肝心なことは何ひとつ。
 考えてもしょうがない事柄だった。調べればいずれわかるのかもしれないが、調べる気にもならなかった。もしも本当にそうだったとして、だからなんだ。
 だから、その事件の犯人はミンゴスだったのかもしれないし、まったくなんの関係もない、赤の他人なのかもしれない。
 その答えを、俺は今も知らない。
   ミンゴスの右脚は太腿の途中から金属製で、そのメタリックなピンク色の輝きは、無機質な冷たさを宿しながらも生肉のようにグロテスクだった。
「そう言えば、サビってなんでサビってあだ名になったんだっけ」
「ほら、あれじゃん、頭が錆びついてるから……」
「誰が錆びついてるじゃボケ。そう言うトリカワは、皮ばっか食ってるからだろ」
「焼き鳥は皮が一番美味ぇんだよ」
「一番美味しいのは、ぼんじりだよね?」
「えー、あたしはせせりが好き」
「鶏の話はいいわ、愚か者ども」
「サビはあれだよ、前にカラオケでさ、どの歌でもサビになるとマイク奪って乱入してきたじゃん、それで」
「なにそれ、チョーウケる。そんなことあったっけ?」
「あったよ、ミンゴスは酔っ払いすぎて覚えてないだけでしょ」
「え、俺って、それでサビになったの?」
「本人も覚えてないのかよ」
「リリコがリリコなのはぁ、芸能人のリリコに似てるからだよ」
「似てない、似てない」
「ミンゴスは?」
「え?」
「ミンゴスはなんでミンゴスなの?」
「そう言えば、そうだな。お前は初対面の時から、自分でそう名乗っていたもんな」
「あたしは、フラミンゴだから」
「フラミンゴ?」
「そう。ピンクだし、片脚じゃん。ね?」
「あー、フラミンゴで、ミンゴス?」
「ミンゴはともかく、スはどっからきたんだよ」
「あれじゃん? バルサミコ酢的な」
「フラミンゴ酢?」
「えー、なにそれ、まずそー」
「それやばいね、チョーウケる」
 赤提灯が揺れる下で、彼女は笑っていた。
 ピンク色の髪を腰まで伸ばし、背中にピンク色の翼の刺青を彫り、これでもかというくらい全身をピンクで包んで、金属製の片脚で、街角で、裏路地で、高架下で、彼女は笑っていた。
 それが、俺の知る彼女のすべてだ。
 俺はここ一年ほど、彼女の話を耳にしていない。
 色褪せ、埃を被っては、そうやって少しずつ忘れ去られていくのだろう。
 この灰色の街ではあまりにも鮮やかだった、あのフラミンゴ娘は。
     了 
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herbiemikeadamski · 5 years ago
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(^_^)/おはよー(^▽^)ゴザイマース(^_^). . . 11月8日(金) #先負(己酉) 旧暦 10/12 #立冬 月齢 11.0 年始から312日目(閏年では313日目)にあたり、年末まであと53日です。 . . 朝は希望に起き、昼は努力に生き、夜は感謝に眠ろう(^_-)-☆ 睡眠は明日を迎える為の未来へのスタートですY(^^)ピース! でお馴染みのRascalでございます😅. . みなさ~ん!お待たせしました(;^o^A今日は立冬です。 待ちに待った冬の到来だぁ~(^^)待ってやしませんね⤵ 寒い冬は敬遠しがちですけど月日は流れ放って置いても やって来ますもんね。春夏秋冬がそれぞれ楽しめる日本 で育って本当に幸せだなぁ~って思いますσ(^_^;)アセアセ... . しかし、昨今は地球温暖化のせいでしょうか?季節がズレ ている様な感じですよね春や秋が短くモウ夏?モウ冬?の様 に丁度良い快適な季節が幾つも数えない内に終了ッスモンネw あれこれぼやいても長い冬が始まりましたので仕方ない。 冬でも良い所は美味しい料理が盛り沢山ですよね\(^O^)/ . クリスマスもお正月もあったり忘年会に新年会やらも沢山で 沢山食べれちゃいます!ダイエッターには(;゚ロ゚)(>_<;アセアセ。 辛いでしょうけどw 冬の食べ物で美味しいのは「鍋料理」 日本各地には様々なご当地鍋があって一体どのぐらいの 種類があるんだろうかとググッたがヒットしませんでした⤵ . そんな暇人は居ませんよね。。。_| ̄|○ただ、鍋料理 には3タイプに分けられる「水煮タイプ」水炊きやちり鍋とか 「薄味��煮るタイプ」おでんや寄せ鍋、「濃い味で煮るタイプ」 のすき焼きなどで汁気を少なく濃い味で煮る料理だそう。 「すき焼き」と言ったら私の家庭では牛肉が主にでした。 . これが絶対に豚肉派だという輩が居るんですが皆さんは どちら派でしょうか?豚肉のも時折は美味しいですが やっぱり私は牛肉で食べたい!しゃぶしゃぶなら豚も ありかなぁ~って思うが牛は外せなく箸休め的かなw 朝から食い物の話で食欲旺盛ですσ(^_^;)アセアセ...では✋ . もうラストスパート金曜日もう一息、ガンバリマショウ\(^O^)/ 今日一日どなた様もお体ご自愛なさってお過ごし下さい(^^ゞ “本日もご安全に参りましょう(^^)v” . . ■今日は何の日■. #立冬.  立冬は、二十四節気の第19。  十月節。 現在広まっている定気法では太陽黄経が225度のときで11月7日ごろ。  恒気法では冬至から7/8年後で11月6日ごろ。 暦ではそれが起こる日だが、天文学ではその瞬間とする。  期間としての意味もあり、この日から、次の節気の小雪前日までである。 .  朝夕冷えみ、日中の陽射しも弱まって来て、冬が近いことを感じさせる頃。  木枯らし1号や初雪の便りも届き始めます。  立冬を過ぎると、初霜が降りて冬の佇まいへと変わります。  この日から立春の前日までが冬。 . #夜なきうどんの日.  全国で讃岐釜揚げうどんの「丸亀製麺」を展開する株式会社トリドールが制定。  寒さが本格化する冬の夜にうどんを食べることで身体をあたためる「夜なきうどん」という食文化、習慣を伝えていくのが目的。  日付は暦の上で冬の始まりを告げる二十四節気のひとつ「立冬」に。 . #ウェルカムウィンターデー(#あられせんべいの日).2019/11/08 . #立冬はとんかつの日. #ココアの日. #湯たんぽの日. #鍋と燗の日. #堅あげポテトの日. ●いい歯の日. ●いい歯ならびの日. ●歯ぐきの日. ●刃物の日. ●八ヶ岳の日. ●いいお肌の日. ●いいパックの日. ●レントゲンの日. ●ボイラーデー. ●いいおっぱいの日. ●おもてなしの心の日. ●徳島県れんこんの日. ●信楽たぬきの日. ●いい泡の日. ●米の日(毎月8日). ●信州地酒で乾杯の日(毎月8日). ●歯ブラシ交換デー(毎月8日). ●生パスタの日(毎月7,8日). ●生命保険見直し月間(1日から30日). ●世界都市計画の日. . . ■今日のつぶやき■ #己の欲せざる所は人に施すなかれ(#オノレノホッセザルトコロハヒトニホドコスナカレ) 【解説】 自分がして欲しくないと思うことは、他人にとっても同じなのだから、他人にすべきではないということ。 . . #1992年11月8日  #森詩織 (#もりしおり) 【#アイドル、#歌手】 〔#東京都〕 《元、#PASSPO☆ (#ぱすぽ)》 . . (金杉橋(かなすぎはし)) https://www.instagram.com/p/B4lbfqfFHx8Ksp4tgE7IV_Pj1N3fX-uKGW5A5s0/?igshid=xccjemwxm4bz
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hagieeeeeeee · 7 years ago
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2017/09/30新宿LOFT出演者紹介③BARBARS
さて、第三弾いきましょうか。 ええ、ちょうどライブ見に行きたてホヤホヤなので こりゃあ筆が走っていいやと思いまして、いきますかナイス女子と金髪!
BARBARS!!!
さてまず動画をチェックよろです。PVはちょっと昔のだったのでライブ映像をば↓
https://youtu.be/rzQq_SkHPlM
元旦の朝っぱらにライブすんなや…誘われても面白半分で受けちゃダメじゃ。
いつの間にかilyoにいいように引きずり回されてる気がしますが、大���夫でしょうか? 正気を保ててバンドをやれてますでしょうか?
初めて会ったのはうっすら覚えてんすよ、たぶん前回のファズエムではないかと。 誰が間に入ってくれたかはあんまり覚えてないんだけど、ライブ終わったあと挨拶して頂いたのに、イベントが終わった安心感で放心して限りなく透明に近いブルー存在になってしまった私は、ここ数年でも群を抜いたリアクションの薄さで挨拶してしまったのは今年の共演を機に忘れるくらい仲良くなりたいってことでいいですか!? いいよね?ああよかったー!
BARBARSはしばらく二人で活動していて、そこに
「北海道の頼れる男」ことヒデさん
がサポートしてたおかげでこうして知り合えてライブ出てくれるわけです。縁って大事ね。
それでもってこないだライブ見に行きまして。 ストレートなロックを見るときは、何が良いってドラムがブレずにビシッとビート出してりゃ、あとはベースとギターがかっこつけてくれてれば音の良い悪いとかも気にしなくて楽しく踊って見れる。
でもやっぱただ楽しいだけじゃないステキなところがいくつかあって、その中でも
「ブルースのビートをちゃんとやる」ってのにグッときてしまって。 ブルースのビートがよくわかんない人はこれ見とけば大丈夫す。
https://youtu.be/nr839d9t44I
ここまで泥臭くないけど(日本人でしかも女子二人の歌声でこの泥臭さ出たら危ない。)スローな曲を作る時にブルースっぽさを出してくれると、個人的な好感度爆上げです。 ドラムも派手に叩けないからニュアンス勝負で大変なんだけど、そこは
「北海道の夜霧」ことヒデさん
がビシッとシャッフルしてましたよ、ええ。
曲名覚えようと思って梨央子ちゃんにセットリストくださいっつってもらってしまった、ファンかよ! 「枯れない花」が好きです!もっかい言っておこう、「枯れない花」が、好きですぅぅぅぅ!
これだけ言えば9/30やってくれっかな。3人がドSじゃないことを祈ろう。
そうそう、ちなみに先日のそのライブからドラムが正式加入となり晴れてスリーピース!ドラムはもちろん
「北海道の”ぬる燗王子”」こと岩中英明さん!
やっぱメンバーになったらさ、期待しちゃうよね、バンドの地肩が強くなるのを。 演奏するのは同じ3人だけど、良くなるギアがきっと一段階上がったはず。
ロックバンド最強の陣形と勝手に思っている「スリーピース」のBARBARS、楽しみにしております。
3人になったBARBARSはファズエムまでにあと2本ライブがあるようなので、遊び行くのもよし!
---------------------------------------- 『CLUB251 SUMMER FES.2017NATSU/YORU音楽祭』
日時 : 2017年8月15日(火) 18:30 OPEN / START 19:00 会場 : 下北沢CLUB251 ADV 2,800円 / DOOR 3,300円 (+1drink) 出演 : BARBARS(acoustic set) / Keita The Newest / 千葉喜朗(Response)
----------------------------------------- 『Red Typhoon』sugar'N'spice × BARBARS presents
日時 : 2017年9月1日(金) 18:30 OPEN / START 19:00 会場 : 下北沢CLUB251 ADV 2,500円 / DOOR 3,000円 (+1Drink) 出演 : BARBARS / sugar'N'spice / THE MOLICE
オフィシャルHP→http://www.barbarsband.com/
--------------------------------------- 2017/9/30(土) | 新宿LOFT KAGERO PRESENTS 「FUZZ’EM ALL FEST.2017」
OPEN/START 12:30/13:00 TICKETS 3800/TBA
LINEUP KAGERO/UHNELLYS/WRENCH/Yasei Collective/イデリュウジ(Rega)/アシュラシンドローム/絶叫する60度/BARBARS/銀幕一楼とTIMECAFE/GEEKSTREEKS/トリコンドル/I love you orchestra/ andmore!!!
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kachoushi · 6 years ago
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雑 詠
花鳥誌 平成31年4月号
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雑詠巻頭句
坊城俊樹主宰選 評釈
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着膨れてどつこいしよつと立ち上がる 菅原 ひろし 雪ばんば飛んで夕晴れ人恋し 談論風発熱燗ぐいと呷りつつ
日常の俳句というものも虚子は大切にした。あくまでも日月星辰の運行の結果ではあるのだが、俳句を作る当事者は人なのだから、そこに平和な日常が営まれることを祈願するのは当然である。 だから、それらの句を生活句とか平凡な句として片付けるのもいかがなものかと思う。ここにある三句はどれもその日常を本来の筋として、平明に写生し、かつ俳句本来の持つ本意たる情、すなわち本情というものに添った高雅な句だと思うのである。 同時に、「談論風発」といった、慣用句などもなかなかの俳味と滑稽を含みつつ、句としての品位を穢さない作風に感服する。
大杉を神と祀りし里の秋 村上 雪 垂直に垂れし鈴の緒神の留守 大鳥居いよよ大きく神の留守
かつてのこの作者の俳句は私が若い頃からちょっとした憧れであった。その情というものには私が決して出来ないものがある。花鳥の風のようなものがあった。それらの美意識をベースとして作られたこれらの作品も、品格のある写生を逸脱することなく、類想と平凡から抜け出るような表現方法に眼を瞠る。 作者の懐には、情の句や伝統的な土地に執着した句とともに、平明で良い意味の平凡という日常がある。その壮大な俳句世界にはとてもかなわないなと思うのである。
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空真青己が舞台と寒鴉 安原 さえこ
「空真青」と言い切ってしまうところが好きだ。舞台としての意味が、単なる日常の舞台よりはるかに、深淵で天涯まで続くようなところに感服。
上枝から下枝の撓ひ笹子鳴く 安原 さえこ
ふと、日本画を思う。雪舟でも大雅でも良いのだが、このような写生はやはり伝統として永遠に俳諧の世界に続くのだなあと思う。我ら花鳥子の骨格はやはりここにある。
竹はぜてとんどとんどと神火舞ふ 安原 さえこ
「とんど」とはかく言うべし。神火とはこの「とんど」の時にしか存在しないものとした。その断定が余韻を生む。ただの唯我独尊に終わることがないのである。
八重垣の大本山も春を待つ 岡田 順子
立派な句なのである。この季題の本意・本情というものを踏まえた上で、これほどの高貴な句を作ることに驚愕。大本山は永平寺でも良いし、比叡山延暦寺でも良い。それほどに普遍性のある高貴なる句なのである。
冬虹を見し目にけふの弥勒仏 岡田 順子
「冬虹」という季題がせつない。この季題の意味以上に冬の虹を称えていて、かつ哀しいところがせつない。品格はここにもあって、俳句というものは日常から高雅なるものまで全���を、つまり「花鳥諷詠」を諷詠することができる見本。
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大店の主か二人懐手 吉嶋 きみゑ 絡繰の飛び出る刻や火の用心
もう一つの世界を描き出している。ひとつの写生画や意味としての日常ばかりが俳句ではない。このような舞台のような日常を描き踊り、映像のように諷詠するのも俳句なのである。
小説のテーマは嫉妬読み初む 渡辺 彰子
「嫉妬」がまことにすばらしい。正月に読むその嫉妬の小説にまこと惹かれる。人間のほとんどの原動力は嫉妬である。それを正月に読破するめでたさ。
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カリヨンの降らす風花かも知れぬ 髙間 ヨシヱ
北海道を思う。カリヨンにせよ、風花にせよ、その大地とその風とその音色は北海道のものでしかなく、その深遠さは無類のものがある。
空澄みて成人の日の神慮かな 宮崎 悠紀子
「神慮」という言葉は虚子もよく使った。成人の日のそれならば、神慮もちょっと���しい。その空が澄むのも心が澄むようで優しい。
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寒夕焼自画像多きムンク展 河野 公世
寒の夕焼けの赤さは夏のものより、むしろ漆黒に近づくのである。その背景の中のムンクの叫びは、その夕焼けそのものがカンバスであり、ムンク世界の入り口である。
鮒鈍く泥に光りて池普請 猪俣 北洞
「鈍く」がなんとも「鮒」である。その光の日常性というか寂しさにむしろ打たれる。池普請とは生きるものにとって残酷なのかもしれぬ。季題の本意に触れた句かもしれぬ。
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