#黒絹の日傘
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🌂白黒無常5年目のメッセージの感想
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内容まとめ
宝石の国の流氷みたい
白黒無常は謝必安と范無咎(オリジナル)を基に色んな人の願望が作り上げたい二次創作のキャラみたいな立ち位置?
綾絹の意味と1年目の手紙
ホセさんはやはり夢を見ているのかなぁ ドリームランドの住人になっちゃった(?���なにこのさよ教
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ぱっと見の感想
顔が縦に短くなっていらっしゃる……ちょっと残念だ。
「『東方の亡霊』は暗い思考を増幅させ、揺るぎない情すら洗い流し、魂を奪う。誰も逃れることはできない。 」
宝石の国の流氷=無常……ってこと?!
「水底に沈むはずだった 」 「私の運命はとうに海と1つに交わっている。深海こそが、我が一族が帰るべき場所なのかもしれない。 」
無常も水底の住人になるはずだったってこと?!
水底や第五といえばクトゥルフ――ミリしらだから何も出てこないや。仲良くデイヴィー・ジョーンズのロッカーで過ごすとみられる可能性もあったのか(?)
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Q.綾絹って何?なんで消失と哀悼の意になるの?
絹は高級品。模様が織り込まれた絹=綾絹。動きや風などの動きによって模様が現れては消えるので古代の人から見たらこの世のものではない素晴らしいもの。 (参考サイト:農研機構|絹の文化) 中国では葬儀には白い服で行くのが普通。 (参考サイト:葬儀屋も、足はしびれます|中国のお葬儀事情)
↑これで納得いった。
無常さんは生前、衙役(賤しいともされる下級役人)をしていたらしいから絹なんて買えないはず。だから実際は持っていないんだろうけど、「長い綾絹」「永遠に続く静寂」って無常1年目の手紙に書かれた詞を思い出すよ。これ↓リンク先から引っ張ってきた。
実際に范無咎のために絹を持つことは到底できないけど、それでも范無咎を思う謝必安の気持ちは……上手く出てこないけどpricelessみたいな。価値を測れないほどに深く長く(永く?)続くみたいな。
追記:表紙を描きながら思ったけど、謝必安が持っている綾絹は謝必安の髪にも見えるね。綾絹って言ってる時点で髪ではないんだろうけど、范無咎の黒い三つ編みはあるのに白い三つ編みが下に伸びていないのが気になってさ。意味はないのかもしれないけど……。
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なんか謎が増えたので考えてみる前に実験をおさらいしよう。
傘と実験のおさらい
【事前情報】
「神秘的な東洋の力を持っている」伝説がある
微量な生物エネルギー反応を示す
長期的に特殊な生態環境にいた
【不明点】
湿った環境に置くと、湿度によって磁場の変化が検測される。しかし湿度と磁場変化の大きさに関連性が見られない(相関が見られないってことかも?)。
【ホセと傘の実験】
磁場の変化が最大になる湿度にした
ホセがゲームに入らなければ一時中止
【結果】※速記→短時間に起こった?
異常に湿っている+傘に近いほど湿度が高い場で、ホセは異常な表現を見せる水紋符号を発見
水紋符号の解読を試みる
観測できない何かを見る
影響を受けたように混乱
…
徐々に落ち着き精神状態がポジティブに変化
ウィラの元へ
…
【後日譚】
居心地の悪さが緩和された
激しい頭痛が緩和された
ホセ曰く「揺れる懐中時計は原点��。ただの幻覚ではなく得たものを失う夢を繰り返し見るにつれて現実となって私の目の前に現れるようになった。」
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Q.ホセは「現実になった」みたいに言ってるのに、「湿った水蒸気は夢と現実を曖昧にした」って何?
→ホセさんは現実だと思っているけど、実際は夢だったとか(夏イベの祭司みたいに)……つまりホセ4年目の内容は(全部かはわからないけど)事実ではないってことかもしれない。
まあ4年目の時点で「あぁまた幻覚見てるな」って思ってはいたけれども、その作用が催眠ではなく無常の作用であることは新情報か?でも「無常エネルギー→催眠→なう」だからどっちとも言えるな……判断つかず。さよ教か? 統合失調ホセさん(現パロ)とかあるかもしれない。
この夢は催眠のようにいつか消えるのか、それとも永続なのか。「逃れられない」だから永続か?夢の国の人になってしまったか(泣)
でもね、悲惨な現実を見るよりは夢を見ていたほうが幸せかもね(本人がいいならそれでいいよ)派なのでそれでもいいや……ホセさんよ幸せであってくれ、どうか生きていて……現実見ず幸せならそれでいいし、生きてて辛いでも挽回チャンスはあるだろうからさ……あぁでも不治の病……このまま生きていても辛いのは変わらないか……やっぱ幻覚見てて幸せでいて。
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Q.人の執念って誰の?
→発端はホセとかではない。
お戚も傘を欲しがったと言うよりはたまたま購入した骨董屋に傘があっただけからお戚も違う。それよりは、発端は削除された情報の商人とか、チャンXとか、荘園の主とかかも。
妄想だけど、荘園とかヴィルヘルム・ラムが傘を欲しいからバーデン家に失敗するとわかっている取引を持ちかけて貨物リスト含め傘をぶんどったのでは?それがなければホセさんが傘を欲する理由もなかったわけだし。
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Q.ホセはポジティブな変化を見せたのに、なぜ暗い思考を増長させると書かれている?
→危機⇒催眠の癖がある?
傘のネガティブパワーを催眠のエネルギー源として利用しポジティブパワーに変換したとか? でも今まで催眠にエネルギーが必要だって描写はないし違うかも。謎。
実験結果の「④影響を受けたように混乱 … ⑤徐々に落ち着きポジティブに変化」 この「…」の間に↑が起こったのかもね。
無常のネガティブな影響を受けないのは催眠を使えるホセさんだけとかだったらおいしい(妄言)。
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アプデされた私の脳内
ホセさんは夢と現実の区別がつかなくなった(背景推理の時点でもそう。ただ、催眠が切れたら現実を把握してはいた。つまり今回で催眠が解けなくなった、あるいは4年目の時点でまだ催眠が解けてない?)
無常��意図せず周りをネガティブにさせる力がある。霽れと褻、陰と���、夢と現実……対極にあるはずのものがない混ぜになっているのか無常であり、他の陰も陽も全て巻き込んでしまう。その結果が「暗い思考を増長させる」(失魂落魄)からの「夢と現実を曖昧にする」のかも?
☯陰のものだったのにいろんな人が欲しがるから陽が混じっちゃって無常になっちゃったじゃないか……悲しいこのハンターはみんなの願望で出来上がった、いわば妖怪みたいなものなんだね。☯じゃあ生前の謝必安と范無咎とは全く別人(白黒無常は謝必安と范無咎というかつて非業の死を遂げた二人の二次創作みたいな立ち位置)ってことでいいのかね。今のところしっくりくる。
ホセだけネガティブにならずにいられる。催眠とかいうエネルギー変換方法でポジティブになれる。ただし現実の見方が変わるという影響は免れない(ご都合弊荘園)
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どうでもいい話
「湿気がすごい」ほう。つまり乾燥した欧州でも傘の近くではカビが生えるのか……?白酒が造れる……?と思ったけど、調べたらイギリスではカビは普通にあるらしいよ。
でも白酒を飲む無常さんとホセさんを見たい。度数たっか!ってわちゃっててほしい……いや無常さんはそもそも酒を嗜むほどお金があったのか、あるにしても薄い安酒しか買えなかったのでは……(金銭事情とか文化とかは一切調べていない妄言)
あれでもいい、骨董屋に置いていた傘がなぜか湿っているから管理が大変だと思っているお戚がいても良いなぁ。拭いても拭いても結露ができる。特に冬。
書き忘れてた追記:生物エネルギーがあり湿度によって磁場変化を伴う、なのになぜ傘の力(神秘的な東洋の力)=湿った水蒸気ってなってるんだろう。生物エネルギーじゃなかったの?後で考えよう……やる気があれば
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#portrait#kimono#japan#summerkimono#lacehaori#parasol#vintagehat#retrostyle#ポートレート#夏着物コーデ#黒絹の日傘#レース羽織#着物女子#札幌着物#アンティーク紗着物
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月兎 01
雨の中華街は、まるで小さな映画館で観る古いキネマのようだ。燻んだ灰に烟る極彩色。濡れた地面に反射する赤、黄、青。中華角灯の連なる汚れた路地裏。公園の東屋。媽祖廟に関帝廟。映画のセットに一人取り残されたような気持ちで左馬刻は夜道を歩いていた。傘はない。霧雨は、肩にかけたスカジャンの下までは染み込んではこない。こんな日は人も静かだ。観光客の少ない街は必然、客引きの声が消える。商売をしても仕方がないと皆知っているから。脇に下げたホルスターの拳銃が、重い。自然丸くなる背をポケットに突っ込んだ手で支える。息をすることすら怠い。
沈んだ景色の中、不意に頭上に明かりを感じた。まるで、雲の隙間から気まぐれに顔を出す日の光のような。顔を上げると、眼鏡の男が居た。正確には、陳列窓の中に。男は、うたた寝をしているように見えた。アンティークのソファにゆったりと体を預けて���る。優美な曲線を描くマホガニーの肘置きに柔らかく添う指先。鈍い光沢のジャガード生地で作られたロングのチャイナ服。細い体。柔らかな質感の濃茶の髪。完璧な形をした耳には、赤い房飾り。シノワズリ趣味。それは男の装いだけではない。透かし彫の衝立も、天井から下がる黒の角灯とクリスタルのシャンデリアも、大胆なピオニー柄の淡碧の壁紙も。現代日本とは思えぬ、杳々とした空間。その中で眠る男に興味が湧いた。硝子に顔を近づける。繊細な装飾が施された眼鏡の、黒のフレームの奥。レンズ越しの瞼をまじまじと見つめる。放射状に広がる長い睫毛。丸みを帯びたまぶた。瞳の色は何色だろうか。白い頬に落ちる影。
「なぁ、目、開けろよ」
聞こえるはずはない。だが、話しかけずにいられない。明かりの消された店で、唯一明るい陳列窓の中で、眠る男が生身のはずはないのに。それでも、あまりに男が生々しく��。
「なぁ、なぁ」
気狂いのようにぽつ、ぽつと何度も語りかける。
どれ位の時間、そこに居ただろうか。縋るように硝子に手を突いて。ようやく諦めて、立ち去ろうとした。その時に。ふぅ、と男のまつ毛が持ち上がった。最初に見えたのは、明るい緑。晴れた夏の木漏れ日のような。それに見とれていると、ゆっくりとマゼンタが現れる。不思議な瞳の色だった。
「きれぇだな、お前の目」
こちらを見ない男に、話しかける。
「あっ?おい!」
男は無反応のまま、スゥと瞼を下ろした。何事もなかったように、上下のまつ毛が重なる。
「………くそ」
悪態をついた瞬間、店内がパッと明るくなった。
「何か、用か」
デカイ男が、にゅっと建物の脇から顔を出す。どうやら店の人間のようだ。裏口から回ってきたのだろう。
「あ、いや、こいつ」
左馬刻が、陳列窓の中の男を指差す。
「ああ……今店を開けよう。待っていてくれ」
そう言って、大柄の男が戻っていく。日の光を集めたような明るいオレンジ色の髪、晴れた海面のような明るい青の目。白色人種の特徴を持つ、彫りの深い顔立ちに、飾り窓の男と同じようなロングのチャイナ服。シノワズリを体現したかのような男と、店の佇まいが重なった。すぐに透かし彫の施された硝子扉が内側に開く。
「どうぞ」
背の高い男に招かれて、左馬刻は店内に足を踏み入れた。エキゾチックな花の香り。外からは見えなかった場所には、壺や茶器、置物などが並んでいる。
「茶を淹れよう。座っていてくれ」
縁にカーヴィングの施された、エボニーのティーテーブル。揃いの獣脚のアームチェアにドカリと座り、左馬刻は陳列窓の男の茶色い後ろ頭を、ぼんやりと見つめた。
「気になるか?」
オレンジの髪の男が、茶盤に並んだ茶器に湯を注ぐ。流れるような手つきで茶葉を洗い、再度鉄瓶から湯を注ぎ、蓋を閉めた小ぶりな急須に上からも湯をかける。コトリ、と目の前に置かれた透かし模様の白い湯のみに浮かぶ、黄金の輪。ず、と一口すすると、茉莉花の香りが広がった。
「銃兎も連れてこよう。起きるかどうかはわからないが」
そう言って、オレンジの髪の男が陳列窓に近づく。あの男は『銃兎』と言うのか、と左馬刻は思った。オレンジの髪の男に抱き上げられた銃兎が、左馬刻の向かいのアームチェアにゆっくりと降ろされた。
「銃兎、茶はどうだ?貴殿の好きな碧潭飄雪(スノージャスミン)を淹れたのだが」
スゥと、銃兎の瞳が開く。けれどまたすぐに閉じてしまって、オレンジの髪の男が苦笑した。
「どうやら、今日は気が乗らないようだ。部屋に戻せと言っている。すまないが、待っていてくれ」
そう言って、オレンジの髪の男は銃兎を抱き、カーテンに覆われた店の奥へと消えていく。それを、なぜ��かひどく腹立たしい気持ちで左馬刻は見つめていた。いや、腹立たしいというのは少し違う。左馬刻は、羨ましかったのだ。オレンジの髪の男が。
「さて、待たせたな。小官は理鶯という。元軍人だ。船に乗るのが好きで、各国で買い付けをしては、こうして商いをしている。貴殿の名は?」
「左馬刻」
左馬刻は簡潔に答えた。
「銃兎、は一体なんだ?人間か?」
左馬刻の率直な問いに、理鶯が微笑む。
「あれは観用少年(プランツドール)だ」
「は?プランツ?嘘だろ?」
『プランツドール(観用少年・観用少女)』とは、その名の通り、観用の少年・少女だ。人工の。左馬刻の属する火貂組の組長・火貂退紅も一体、少女型を所持している。左馬刻は職業柄、派手な集まりに参加することが多いが、今まで目にした観用少女たちはみな、成人男性の胸元にも満たない姿だった。何年、何十年物でも。手入れを怠らなければ、同じ姿のまま二百年の時を越える個体もいると聞いている。
「稀に、育ってしまう物もいる。稀に、だが」
そう言って、理鶯は茉莉花茶に口をつけた。
「左馬刻、銃兎は名人の手による傑作だった。銘は『月兎(げっと)』」
銘がつくほどの観用少年の価値を、左馬刻は知っている。退紅のオヤジのプランツも、銘を持つ逸品だった。その値段は、億を超える。しかし、理鶯は『傑作だった』と過去形を使った。
「育ってしまったプランツの価値は、ほぼ無い。それでも、銘を持つプランツなら、ワンルームマンションを買えるくらいの価値を持つ」
語りながら、理鶯が茶を左馬刻の湯のみに注ぐ。一煎目より柔らかく重い香りが立ち上った。
「へぇ」
左馬刻が相槌を打つ。つまりあのウサギちゃんは、高級品っていうわけだ。
「一千万でどうだ?」
理鶯の言葉に、左馬刻が顔を上げる。
「は?」
訝しげな左馬刻に、理鶯が微笑みかけた。
「銃兎は、左馬刻を気に入ったようだ。興味がなければ、一瞬でも、瞳を開いたりはしない」
「アイツ、動けんの?」
ずっと、寝っぱなしなのかと勝手に思い込んでいたが、そういえば今まで見てきた観用少年・少女たちはみな、歩き、笑い、主人と何か会話をしていた。
「食べもんも食えんのか?」
理鶯が茶を勧めていた事も思い出した。
「ああ、風呂もトイレも、一人でこなせる。食事は日に3度、人肌に温めたミルク。週に一度金平糖を与えると肌ツヤが良くなるぞ。全体的に疲れが見えてきたら専用の栄養剤もある。銃兎は育っているから、人間と同じ食事も摂れるが、嗜好品だ。ミルクさえ与えていれば、ことは足りる」
左馬刻は頭を抱える。自分の家に銃兎がいる事を想像して、胸がぎゅっと熱くなった。コンクリ打ちっ放しの���機質な部屋だ。家具も最低限しかない。そんな空間に、あの、美しいものが存在する。それはなんと魅力的なことか。
「そいやさ、銃兎って名前は誰がつけたんだよ」
銃なんて物騒な名前が付いている。けれどその名は、あのお綺麗な顔に不思議と良く似合っていた。
「前の主人が、な」
含むように呟いた理鶯は、それきり理由を語ろうとはしなかった。
「返事は直ぐでなくていい。銃兎は気難しい。迷ったら顔を見に来るといい。眠っていても、銃兎は気づく」
流石に、高級車が買える値段を即決することはできなかった。
「馳走になった」そう言い残して、左馬刻は店を出た。
*
「いいのか銃兎?左馬刻は帰ってしまった」 天蓋付きの中華風の寝台の上、銃兎は絹のシーツに包まって眠っていた。理鶯の言葉に、パチリと緑の瞳が開く。理鶯が差し伸べた手をとって、銃兎はゆっくりと起き上がった。
「理鶯、余計な事はしないで頂けます?」
手厳しい一言に、理鶯が苦笑する。
「大体、一千万だなんて、安すぎます。私を何だと思っているんです」
ぷぅと頬を膨らませて、銃兎が涙を滲ませる。元は、数億で取引されていた個体だ。自尊心が大いに傷つけられたのだろう。
「だが、銃兎。貴殿の日々のミルク代や服、装飾品など、一体いくらの持ち出しになっていると思う?」
優しい声で理鶯が問う。責めているのではないことは、銃兎にはちゃんと伝わっている。けれど。
「……だから、嫌ですけど、ものすごく嫌ですけど、硝子窓で客引きしているじゃないですか」
「うん、それはとても助かっている」
言いながら、理鶯は銃兎の頭を柔らかく撫でた。現実、銃兎を目当てに店に飛び込んで来る客は多い。しかし、銃兎はそんな客たちには決して目を開かなかった。銃兎を目当てに入って来た客の中には、店の常連になる者も多い。もともと銃兎を欲しがる客というのは、美術品の好事家が多いのだ。
「だが、銃兎、小官は貴殿をこのようなところで飼い殺しにしたくない」
理鶯の言葉に、銃兎が泣きそうな顔をした。
「わたしは、ここに居たいんです。ずっとここに。ねえ、駄目ですか?お願い、理鶯」
理鶯の幅の広いチャイナ服の袖を掴んで、銃兎が懇願する。理鶯は銃兎を大切に扱っているが、それはあくまで商品としてだ。出来る事なら、商品としてではなく、銃兎を愛してくれる人間に届けたかった。
「もう、人間を愛するのは嫌なんです。もう、あんな思い、二度としたくない」
理鶯にすがり付く銃兎の背を撫でて、理鶯は物思いに耽る。通常、観用少年というのは、愛に絶望すると枯れるものだ。しかし、銃兎は、一度枯れかけはしたが、こうして未だ美しく咲いている。それは、銃兎も気が付かない心の奥底で、人の愛を望んでいるからではないのか。
「左馬刻は、きっとまた来る。ゆっくり考えたらいい」
そう言って、理鶯は銃兎を寝台に横たえた。椅子の背に脱ぎ捨てられたチャイナ服を、ハンガーにかける。
「おやすみ、銃兎。また明日」
暗闇の部屋から、明るい四角に足を踏み出す理鶯を、銃兎は寝台の上から静かに見送った。
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「すでに紙一重」
特定の分野で専門知識を得て経験を積み、またそこに強い感情や思い入れを持つ人を「マニア」「エンスー」「フリーク」などと呼ぶ。
先日お客さんとお互いの仕事の話をした際、私はクールビズを挙げ、夏場の売上減を話題にした。すると彼は「スーツもマニアがいますからね」と言う。クールビズとは関係ない「ある一定層」を取り込めと言う指摘だ。 確かにお客さんの中で夏場にもネクタイを締めてスーツスタイルを守る人がいる。言う彼もそのひとりで、季節の素材を選択してゆっくりシルエットのクラッシックスタイルを好んで着る。売上は減ったと言え、彼らのような顧客ひとりひとりがこの店の「夏」を支えてくれているのは間違いない。
ネットを検索した折見つけた「萬年社コレクション」というサイト。萬年社とは大阪にあった日本最古の広告代理店。そして「萬年社コレクション」はそこに残されていた広告資料を文字に起こして整理したものを指すそうだ。その中に昭和10年前後の四国に存在した洋服店の配布広告があるので、スーツに��いての項を抜粋してみよう。
■通常服(Town Lounge Wear / 都会での通常服或は田舎での儀式らしい場合)
コート・・・シングル又はダブル型、シングルの際は二つ釦又は三つ釦
チョッキ・・・コートと同生地、ダブル又はシングル、コートがダブル型の際はシングルのチョッキ、コートがシングル型の際はシングル又はダブルの チョッキ、シングルのチョッキは五釦
ヅボン・・・コートと同生地、裾折返なし又は折返付
シャーツ・・・ダブルソフトカフス付のソフトシャーツ
カラー・・・無地或はシャツ五共柄のダブルステイフ又はソフトカラー或はセミステイフカラー
ネクタイ・・・オプンエンド又は蝶型或は絹編ネクタイ
手袋・・・鼠、黄褐色のスエード又はカモシカ皮
帽子・・・中山又はソフトフェルト、そりべり或は切りべり
靴・・・黒又は茶の編上或は短靴、ボックス、キッド
靴下・・・無地又は柄物のキヤシミヤ、リッスル又は絹
オーバーコート・・・シングル又はダブル
附属品・・・真珠、金、プラチナ又はエナメルのカフス釦、白又は線柄のあるハンカチーフ、曲がり柄のステッキ又は蝙蝠傘
正確な内容だ。上着をコートとするところや、ぎこちないカタカナ表記を見ると、英国のドレスコードを日本語訳したものに間違いない。他に「燕尾服」から「カントリージャケット」までの項があって、全体は男性服のドレスコード一覧となっている。勿論戦前の昭和の男性たちすべてが、これらの服装術に忠実だったとは思わないが、少なくとも「ハレの日」に着る「一張羅」の装いをつくるだけの気概を持ち合わせていたのが当時の男性だったのではなかったか。重ねて、この広告が地方で配布されていることは、中央や主要都市以外でも男性服の着こなしがそれだけ重要視されていたことを意味している。時代における洋服への考え方や思いを知る上でも資料的価値が高いのではないだろうか。
日本が男性服に洋装を取り入れたのは明治四年。男性の大多数がスーツを着るようになったのは戦後である。70年を経て平服のドレスコードは無くなり、以前は小物を多用したスーツスタイルは簡素化された。ネットやスマホが無い時代に人が戻れないのと同じく、服装も楽で利便性が高いものを一旦知るともう元には戻れない。 明治期にスタンダードだったフロックコートやモーニングは、着やすく自由度が高かったスーツにその地位を譲った。そしてそのスーツも何者かに取って代わられる日は必ずやってくる。スーツが「真のクラッシック」と呼ばれるのはいつだろう。
「リアル・クラッシックスーツ」
愛する者は、もはやマニアでもエンスーでもない。
「コスプレイヤー」
人は彼らをそう呼ぶ。
注文服ヤマキ 木下 達也
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星辰選集
花鳥誌 令和3年12月号
令和3年9月号の掲載句より再選
坊城俊樹選
この星辰選集は、私が各月の掲載句の中で、雑詠選・撰集選・さいかち集の成績などに関係なく、改めて俳句としての価値が優れていると判断したものを再度選句したものです。 言わば、その号における珠玉の俳句ということになります。
蛇苺裏切り者の匂ひせり 渡辺 美穂 白髪の鏡の外の夕焼空 渡辺 炳子 陽に濡れてしまふ哀しみ青蜥蜴 横田 美佐子 夏潮の遠くなりては貝塚に 斉藤 いづみ 裏道に空の中心立葵 中里 三句 幻相の夜を立ちつくす蛍橋 松本 洋子 飛魚や海の剥落海に落つ 古賀 睦子 哲学の道へ迷へる梅雨の傘 沢井 真弓 夜爪切る死にまね上手の蜘蛛の傍 比嘉 幸子 朴の花無明てふ名の橋遠し 佐藤 ゆう子
躾糸取つて逢ふ日の花衣 荒舩 青嶺 泰山木花にて享けむ天の喜捨 近藤 菟生 夏椿弥勒菩薩の指の謎 江本 由紀子 青葦の風止む時ゆ鬨の声 馬場 省吾 梅雨空の裏に月蝕秘められし 猪俣 北洞 夏燕白い都会に死角なく 平山 きみよ 不信心恥ぢる鐘打ち花柘榴 田中 惠介 いまだなほ指先にある春愁ひ 久保 光子 真言は娑婆詞で終り蚊遣消す 尾田 美智子 白牡丹じつと見つめる火宅の目 野田 勝利
夏蝶が堆積層をまた跨ぐ 藤森 荘吉 物の怪も神も宿りて大夏木 宮崎 悠紀子 葛饅頭本音が透けて見えてます 小林 含香 泥鰌屋の三和土に赤きジミー・チュウ 松雪 耿子 簪の重さ加はる梅雨じめり 大江 三郎 蠟涙に縋る金蠅護摩修業 草刈 幸風 穴子釣る夜舟を包む闇深し 小川 笙力 防火桶ただぽつねんと水馬 鈴木 経彦 電線を離れられずに燕の子 有川 寛 海芋剪り白の陰影活けにけり 西村 史子
花栗の香を肺に籠め山を行く 髙橋 晁史 神様はいまここに居る七変化 河野 公世 病室の水銀柱や夏兆す 白神 照恵 薔薇窓も王宮もキャバレも白夜 葛生 みもざ 薔薇は散り橋���壽賀子も散りゆきぬ 坂井 令子 貝塚に貝の亡霊梅雨曇 辻 梓渕 真ん中に教会のある夏野かな 津野 おさむ 貝塚の地層へ辷る瑠璃蜥蜴 村山 要 送られし手のひらほどの茅の輪かな 後藤田 晶子 雨を出て蚯蚓に帰る処なし 秋吉 斉 門札は遺筆のままや花は葉に 石原 愛子
梅雨雲の流転長久手古戦場 蟹江 紅水 縮緬の皺のさざ波光琳忌 蕪山 啓子 花屑を浮かべ流離の水となり 白水 朝子 手相見の台の傾ぎや夏の月 杉原 久美子 夏の宵運歩のシテのをうをうと 池松 伸子 討死のごとき寝相や夏蒲団 関 とし江 貝塚の上に夏野の五万坪 加納 佑天 会ひたくて蠅虎を指で追ふ 藤野 和魚 波音の黒きうねりのはたた神 小川 康朗 飛魚の跳んで深海波立たす 田上 喜和 言へさうな名前の薔薇を探しをり 荒木 絹江
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2021/9/30
朝、目覚ましで目が覚める。窓を開けて、観葉植物に霧吹き。そとは綿あめのような薄い雲が漠とひろがり、雲のより薄いところから微かな質感の日差しが注いで薄い影を地面に映している。
昼、ココイチで期間限定のスパイスカリー。うーん、スープカリーの季節が待ちどおしい。街をぶらぶら練り歩いて空間を撮る練習をする。
空間と活劇が当面のテーマになるのかな。空間はともかく活劇とはいったい何なのか。このショットはすごい活劇してるよねっていうのは指摘できても、じゃあ活劇って何なのかと問われると言葉に詰まってしまう。必ずしも激しく動き回るだけが活劇ってわけじゃない。たとえば、小津映画や溝口映画によく出ている田中絹代は、そんなに激しく動き回るわけじゃないないけれど、小さな所作のひとつびとつが活劇していて、もう田中絹代がスクリーンに映っているだけで映画が活劇してくるように思う。色々と撮影してみて、図らずも傘の受け渡しはかなり活劇していたように思う。それから死んでいたSが復活して目を開ける瞬間、まず瞳を左右に動かして世界に驚いてみせる小さな仕草。あと、NとSがペタペタと橋の柵を叩きながら歩いている手前で黒いトイプードルを抱えていたひと��カメラとすれ違う瞬間、トイプードルにぎゅっと顔を近づける仕草。暗がりで手を振るRとNの背後を大勢のスケーターたちがダラダラと歩いてゆくのも活劇って感じだった。木の棒のシーンではとくにSがRに離れない手のところを指差すところ、RとNがマスクを選んでいるところもなかなか活劇していたように思う。そよかぜ号ではとくにNが石像から顔を離すショットがめちゃくちゃ活劇していた!
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Japanese Sewing Pattern Translations
Measurements: 作り始める前に - つくりはじめるまえに(tsukurihajimerumaeni) - before you begin making バスト basuto - bust ワイスト uesuto - waist ヒップ hippu - hip 背丈 - せじょう(sejyou) - back measurement 腰丈 - こしじょう(koshijyou) -measurement from navel to hipline 身幅 mihaba - width at main section 着丈 kitake - length 袖丈 sodetake - sleeve length 肩幅 katahaba - shoulder width General clothing : ボネット bonetto - bonnet ヘッドドレス heddo-doresu - headdress/headpiece リボン ribon - ribbon ネクタイ nekutai - necktie ブラウス burausu - blouse 衿/カラー eri /karaa - collar 袖 sode - sleeve ボタン botan - buttons スカート sukaato - skirt ジャンパースカート janpaa-sukaato - jumper (also seen JSK) ワンピース wanpiisu (means "one-piece") - dress ドロワーズ dorowaazu (means "drawers") - bloomers パニエ panie - petticoat/pannier 靴下/ソックス kutsu-shita/sokkusu - socks タイツ taitsu - tights タンクトップ tanku-toppu - tank top ベルト beruto - belt 靴 kutsu - shoes オーバーニーソックス oobaaniisokkusu - over the knee socks ブラウス burausu - blouse スカート sukaato - skirt ブーツ buutsu - boots キャミソール kyamisouru - camisole バッグ baggu - bag 靴下止め kutsushitatome - socks stoppers 小物 komono - accessories クラウン kuraun - crown コーム koumu - comb リング ringu - ring ボレロ borero - bolero タートルネック taatorunekku - turtleneck プルオーバー puruoobaa - pullover カーディガン kaadigan - cardigan ベレー beree - beret ブローチ burouchi - brooch ケープ keepu - cape プリンル parisoru - parisol 日傘ひがさ higasa - sun umbrella/parisol アンブレラ anburera - umbrella エプロン epuron - apron コルセット korusetto - corset チョーカ chyouka - choker ブレスレット buresuretto - bracelet カチューシャ kachuusha - cloth covered headband (often Alice Bows) Tシャツ/カットソー Tshatsu, katto-sou - tshirt/cutsew ベスト besuto - vest ジャケト jaketo - jacket Sewing terms: 作り方 tsukurikata - how to make (裁縫用)ミシン (saihou-you)mishin - sewing machine ロックミシン rokku mishin - serger(lock machine) シャーリング shaaringu - shirring ジグザグミシン jigujagu mishin - zigzag stitch 裾 suso - hem 見返し mi-kaeshi - facing 後 ato - back 前 mae - front 下 shita - bottom/under/beneath 上 ue - top/upper part 表/おもて omote - top side/front/ right side up/face up 裏/うら ura - reverse side/the back/wrong side 脇 waki - side/side seam 肩 kata - shoulder ラペル raperu - lapel ボタン穴 botan-ana - buttonhole ギャザー gyazaa - gather/gathering 切り込み kirikomi - make a cut/cut into 刺繍 shishuu - embroidery ダーツ daatsu - dart タック takku - pintucks(lit."tuck") はと目 hatome - grommets バイアス/バイアステープ baiasu/baiasu teepu - bias(cutting on the bias, bias binding/tape) - 縫い代 nui-shiro - seam allowance 段 dan - tier 糸巻き/ボビン ito-maki/bobin - bobbin 芯 shin - interfacing スナプ sunapu - snap 裏地/うらじ uraji - lining 前部 zenbu - the front (part) 背部 haibu - the back (part) 糸 ito - thread アイロン airon - iron コンシルファスナー konshirufasunaa - invisible zipper ゴムテープ gomuteepu - elastic 生地 kiji - fabric ヘム hemu - hem ひだ hida - a pleat, fold, crease, gather, tuck, frill, etc. カギホック kagihokku - eye and hook 綴じ toji - basting プリツ puritsu - pleats マジックテープ majikkuteepu - velcro フリル furiru - ruffle Fabrics ツイル tsuiru - twill シフォン shifon - chiffon 絹/シルク kinu/shiruku - silk 毛(糸) ke - wool (in relation to fabric) レーヨン reeyon - rayon レース reesu - lace 綿/コットン wata - kotton - cotton ポリエステル poriesuteru - polyester ナイロン nairon - nylon ポリウレタン poriuretan - polyurethane ベルベット berubetto - velvet 別珍 becchin - velveteen オーガンジー ooganjii - organdy ジャカード jakaado - jacquard フェイクファー feikufaa - fake fur ポプリン popurin - poplin ギンガム gingamu - gingham タータンチェック taatan-chekku - plaid/tartan デニム denimu - denim サテン saten - satin ブロード buroudo - broad チュール chyuuru - tulle ストライプ/ボーダ- sutoraipu/boudaa - stripes (sutoraipu is for fine stripes, wide stripes are "boudaa" for "border".) バックル bakkuru - buckles ストラップ sutorappu - straps 接着芯のインターフェイス secchakushinintaafesu - fusible interfacing インターフェイス縫 intaafesuai - sew in interfacing 布 nuno - cloth 麻布 asanuno - linen 表布 uranuno - "surface/outside/outer" cloth 裏布 hyoununo - "inside" cloth (lining) Colors: 白 shiro - white 黒 kuro - black 赤 aka - red 生成り kinari - unbleached 桃色/ピンク momoiro/pinku - pink サックス sakkusu - light Blue オフ白 ofushiro - off-white 灰色 haiiro - grey クリム kurimu - cream Motifs/Designs/Etc. モチーフ mochiifu - motif 柄 gara - design/motif スタイル sutairu - style 窓 mado - window シャンデリア shandaria - chandalier プードル puudoru - poodle プリント purinto - print アップリケ appurike - applique フルーツタルト furuutsutaruto - fruit tart さくらんぼ/チェリー sakuranbo/cherii - cherry 苺/いちご/ストロベリー ichigo/sutoroberii - strawberry 甘い/あまい amai - sweet トランプ turanpu - trump (as in cards) うさぎ usagi - rabbit うさみみ usamimi - bunny ears プリンセス(姫) purinsesu(hime) - princess 天使 tenshi - angel 天使のはね tenshinohane - angel wings ハロウィン harouin - halloween ゴースト gousuto - ghost ピュア pyua - pure ブーケ buuke - bouquet シュガー shugaa - sugar クロス kurosu - cross 花 hana - flower ロース roosu - rose Misc. 福袋 Fukubukuro - Lucky pack ファッション fasshyon - Fashion さりげない/さり気ない/カジュアル sarigenai/kajyuaru - casual コーディネート koodineeto - coordinate 部分 bubun - portion 足首 ashikubi - ankle 洋服 youfuku - Western-style clothing オーバースカート oobaasukaato - overskirt オリジナル orijinaru - original 取り外し torihazushi - removable ポシェット poshetto - pochette
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白百合を求めて
エイラとペリーヌがお互いを求め合うお話です。 ※女性同士が苦手な方はブラウザバックをお勧めします。
(そういえば……) いつもより静かなティータイム。 食堂で一人紅茶を楽しむ少女は辺りを見回した。 (今日は随分と穏やかですわね) この時間であれば、リーネのスコーンと、自分の紅茶やリョクチャと呼ばれる物を、誰かしら楽しみに来ている筈だった。 しかし今は誰も見当たらない。 今朝の伝令を思い起こすと、確か数人がこの時間に買い出しへ出ていたはず。 となると、他の隊員も何かしらの用事があるのだろう。静かな訳だ。
(これなら、花の世話に時間を割けますわね)
今日は訓練の予定も無く、外の天気も良い。習慣付いている花壇の水やりには絶好の一日だった。 それからもう暫くだけ紅茶を楽しむと、花壇の世話の為に日傘とじょうろを手に外へ出た。少しきつくはあるものの、力強い日差しが視界を刺激する。ようやっと目が慣れてきた頃、日傘を広げて自らが手掛ける花壇へと歩を進めた。
「あら、白百合の花が……もう咲きましたのね」
花壇の端に置かれた鉢植えから、白く立派な花弁を携えた白百合が顔を覗かせていた。水やりにはまだ時間がある。少女は、慈しむように花弁を撫で、暫くその花が発する香りを楽しむ事にした。
ーーーその光景を、隊舎から見つめる一人の影。
「…んー?ツンツンメガネじゃないカ。何シテンダ…?」
先刻、非番を告げられるも、暇を持て余した奇跡のエースは隊舎の窓から一人の少女を見つける。 風にたなびく美しい金髪と、それとは対照的な真っ青な制服に手元の白い花が良く映えている。陽光の眩しさから見辛いのもあったが、目が慣れてからも思わずじっと見つめてしまった。
(アイツ、あんなに綺麗だったカ……?)
遠くから眺めていると、水やりを始めたのが見える。
「……やる事ないし、ちょっとからかいに行ってみるカ」
悪戯な笑みを浮かべ、花壇の世話へ興じる少女の元へと忍び寄る。 肉食獣が獲物を狙うように、姿勢を低くして一歩、そしてまた一歩、慎重に距離を詰めていく。 そして……。
「ツーンツーンメーガネっ」
「うひぇぁひゃぁ!?」
耳元で声をかけ、脇腹をつつくとまるで猫の様に跳びはねた。急に驚かされた少女は、見事なまでにじょうろの水をひっかぶってしまった。
「きゃっ…! ち、ちょっと、どういうつもりですの!!」
「あぁー……悪い悪い。そんなに怒らないでくれヨー……」
手を差し伸べ、不満そうにぼやく少女を起こしてやる。
「何ですの、全く! 服がびしょ濡れになったじゃありませんか!」
「だから悪かったってー、そんなにツンツンするナヨ…ほら、タオル」
暫くタオルと顔とを交互に睨まれたものの、奪う様にタオルを受け取り、乱暴に髪を拭きはじめた。 銀髪の少女は、水に濡れ、ブロンドに輝くその髪にドキリと胸が高鳴るのを感じた。太陽の光を反射して煌めくそれは、とても美しく、視線を惹き付けるには十分だった。
「……? 何ですの、そんなにジロジロ見て」
「いや、お前の髪キレーだなーって思って」
ブッ、と噴き出されてしまった。赤面した彼女に思わず心配されてしまう。
「な、なんですの!今日は熱でもあるんじゃなくて!?」
「熱……あー、あるかもナ。熱くて仕方ないヨ」
「何をっ………~!?」
聞き返そうと開いた口を、急に引き寄せられ、塞がれた。眼鏡の内で見開かれた青い瞳が、目の前の人物を捉えて離さなかった。離せなかったのだ。
「~~!!……っぶは!はっ、な、何が……」
「ツンツンメガネの髪見てたら、我慢……出来ナカッタ」
ぐい、と肩を抱き寄せられ、華奢な体が抱き止められた腕にすっ��りと収まってしまう。なんて小さい身体だろうか、抱き締めた本人はその事実に尚の事、体が火照るのを感じた。
「や、いやっ…この間、もうこれきりだって……!」
「無理ダヨ、ペリーヌ。ごめんナ…無理だ……それに、本当は嫌じゃないダロ?」
そう答えると聞くが早いか、つぅ、と尾てい骨の上をなぞり上げた。指先だけで、軽く、まるで羽でくすぐるように。ゾワゾワとする感覚が背筋を走り、ピンと背筋が伸びてしまう。 そんなペリーヌの焦る表情を観察するように、余計に顔が近付いた。けれどもそれは、憧れのあの人ではなく……自らを喰わんとする、まるで、肉食獣の様な瞳を携えたスオムス人だった。 ペリーヌは、思わず息を飲み込んだ。うっすらと紫がかったその瞳に、まるで縛られてしまったかのように見つめてしまう。
「っ……せめ、て……水やりだけはさせてくださいまし……」
やっとの思いで視線を反らすも、弱々しくそう伝えるしか出来なかった。その様子を見届けたスオムス人は、獣めいた眼光を潜ませると満足そうに頷いた。
「じゃ、オマエの部屋で待ってるからナ。ゆっくり水やりしてやれヨ~」
此方も振り返らず、腹立たしいほど気楽に手をヒラヒラとさせながら、奇跡のエースは去っていった。
(あんな、熱く求める瞳……ズルいですわ……)
ペリーヌは、悶々としながら思い出すように唇をなぞると、残りの水やりを半ば上の空のまま再開した。
陽が少し傾き、昼もやっと過ぎたであろう頃。ペリーヌは、宮藤やリーネと共にする共同部屋の前で二の足を踏んでいた。
(……これは部屋のプランターに水をあげるため……そう、プランターの為ですわ。決してエイラさんの為で��ありませんわ……!)
じょうろ片手に言い訳を繰り返しながら、意を決して共同部屋の扉を開ける。しかし、そこで待ち構えて居るはずのエイラはベッドに横たわっていた。近付いてみるとかすかに寝息が聞こえる。
「……はぁ、あなたって人は……拍子抜けですわ……」
安心したような。少しガッカリしたような。溜め息をこぼしながら、窓際に置かれたプランターに水を遣ると、じょうろを置いてベッドへ腰掛ける。横たわるエイラの銀髪に櫛を通すように指先で触れると、ほんの少しだけ白樺の香りが漂った。
「ん、ぁ…ナンダヨ、来てるなら起こしてくれヨナ~……」
「なっ、あなたが勝手に寝ていたのでは……きゃっ!」
寝そべっていたベッドの主は、気だるげに大あくびをしながら、腕を引っ張ってきた。ペリーヌは、咄嗟の事に逃げられずに、背を預ける様にして抱きかかえられてしまった。白樺とラベンダーの混じりあった香りがふわりと香る。 エイラは、眼前に収まるブロンドに隠されたうなじに顔を埋めた。すんすんと鼻をならし、ラベンダーと汗の匂いを鼻いっぱい��頬張る。ペリーヌは緊張しているのか、大人しく腕に収まっている。
「ふーん、ラベンダーか…私はこの匂い好きダゾ」
やがて羞恥に耐え切れず、抵抗するペリーヌの制止も聞かず、存分にそれを堪能したところでキャンディーを舐める様に、首筋に舌を這わせた。 突然の事に、ペリーヌは素っ頓狂な声を上げた。うなじから首筋にかけ、ほんの少しざらつくぬらりとした感触が何度も這うのだ。堪らず身を縮めるが、その度に無理矢理抱き寄せられ、舐め回された。
「やっ、エイラさっ……やめてくださいまし……あぅっ!?」
震える声を押し出すと、今度は鈍い痛みが伝った。
「いつっ…!」
痛みの正体を知るため目を向けると、鋭く尖った犬歯を突き立てられていた。こちらを伺うように、そのまま視線だけ向けた瞳と目があった。
「い、痛い、痛いですわエイラさん…!」
一瞬眉をひそめ、嘆願すると犬歯がすっと離れていく。首筋には赤い歯形がくっきりと残っていた。
「綺麗に付いたナー…痛かったろ?ごめんな」
額に優しく口付けられる。向けられた眼差しは先程と違って、慈しむ様に穏やかだった。
「……ズルいですわ。そうやって、わたくしをいつも弄んで……」
向き直り、今度は自分から口付けをする。軽く、短いものだったがエイラにはそれで十分だった。
「ツンツンメガネの方からなんて、火が付いタナ?」
「もうっ、今は名前で呼んでくださいまし!」
ぺし、とエイラの額を叩くと体を預ける様にペリーヌはベッドへ横たわった。すらりと細い脚に手がかかると、股を広げるように持ち上げられる。黒く薄い布地に隠れた素肌を味わうように、唾液を絡めた舌が腿をなぞられ、それを啜るように吸い上げて味わうと、内腿側に手をかけ破り捨てた。
「…なっ!?破かないでと前回あれほど言いましたのに!」
「後で買ってやるから怒るナヨー…何だかんだで好きダロ?これ」
外気に晒された白い肌に手が触れ、するりと太股に向かって滑り込んできた。くすぐったいような感覚に短く声を漏らすと、ペリーヌは何も言わずに目を反らしてしまう。が、エイラはそれを許さなかった。 くい、と顎を持ち上げ、舌を捩じ込むように強引に口付けた。色気ある吐息と声が、鼻腔を通して聞こえてくる。 ペリーヌは思わず目を見開いた。羞恥に耐えきれず視線を反らした筈が、無理矢理に顔を上げさせられ、舌がこじ開ける様にして口内へ侵入してきたのだ。生暖かい吐息が頬を掠め、長い舌が厭らしく水音を立てながら舌を絡め取ってくる。そして逃れようと舌を動かすほど、互いの唾液は混ざり、絡み合い、飲まされるのだ。
「はっ…んく、はぁっ……!」
舐め回され、口内を余すところ無く蹂躙される度に声が短く漏れる。それはエイラの嗜虐心を煽り、更に激しくペリーヌを攻め立てるには十分な反応だった。 腿を擦る手が付け根へと移動し、ズボン越しに秘部全体を擦れば、その手にぬたりと湿る感覚を伝えた。 あのツンケンしたお嬢様を、自分が良いように弄ぶ……その状況に何度となく心が高ぶった。満更でも無い様子で、快楽を享受し、自分を受け入れるそのガリア人に、エイラは酷く興奮した。以前もサーニャが夜間に出ている間、夜通しで互いに体を重ねたものだが、その時も互いに求めるまま、ひたすらに交わった事を覚えている。
最初に手を出したのはエイラだった。
少し前にサウナで絡んだ時、偶然に背筋へ指が触れた瞬間、ペリーヌが短い悲鳴を上げた。その瞬間、一瞬で沸き上がった衝動にまかせ、唇を奪ってしまった。 そこからは、枷が外れたように、のぼせる寸前まで互いに身体を重ね……そして部屋へと連れ去った。口付けた後は一切の抵抗が無かった所を見るに、彼女も火がついていたのだろう。 それからエイラ達は、同僚の目を盗みながら身体を重ねた。エイラはサーニャの居ない間に、ペリーヌは坂本との訓練が無い時や宮藤達と居ない間に時間を共にする事が増えた。だが、ペリーヌがここまでのめり込んだのには、憧れの坂本への背徳感からでもある。尊敬する少佐にではなく、このスオムス人に抱かれる事が、一体どれ程の興奮と快楽をもたらしたか。
「…ぷぁ……はぁ…大丈夫カー?」
背徳のもたらす劣情に飲まれそうになった瞬間、舌は抜き取られ、唇が離れた。口内には最早どちらのものかわからない唾液の味が充満している。惚けた様子で、咀嚼する様にその液体を舌に絡め、自身の指に絡めて食んだ。 その様子を見るや、エイラは上着に手をかけ丁寧に、労るように青いガリアの制服を脱がしていく。脱がされ終わってからではあるが、惚けていたペリーヌも流石に我を取り戻したのか、恥ずかしそうに胸を腕で隠した。
「明るい中でこれは……流石に恥ずかしいですわ……」
「ナンダヨ、今更気にするなッテー…私は好きなんだからサ」
胸を隠した手を掴み、優しく諭すように動かしていく。絹糸の様にきめ細やかな肌に、赤みがかった蕾のコントラストが美しく映る。 恥ずかしさの余りに顔を伏せられるも、ブロンドの髪に隠された頬すら赤みを帯び、潤んだ瞳だけがこれから何を行うかと様子を伺っていた。
「フフン、そんな期待するなんてお仕置きが必要ダナー…?」
何も応えず、きゅっと口をつぐむペリーヌをよそにヘソから上へと線を引く様に、腹を舌先でなぞった。抵抗させぬよう、利き手の手首を握ったまま、何度も、何度も。なぞる度に腹筋が震え、か細い吐息が頭上から聞こえる。 そんな事もお構い無しに、引き締まった裸体を味わう舌は止まらない。もどかしさを与える事がお仕置きだとばか���に、大事な双丘の突起には触れず、その周辺を舐め回すのみ。 自身を襲う快楽に物足りなさを覚え始めた頃、ペリーヌはようやく自分こそが獲物なのだと自覚した、その瞬間だった。 高潔に、強く、美しくさえあったペリーヌのプライドは消え去り、浅ましくも見える雌の本性が顔を覗かせた。淫靡な声が漏れ、猫が人の手をねだるように腰をくねらせ、エイラの劣情を引き出そうとさえしている。そこに、あの気高いお嬢様の姿は無かった。
しかし、突如として眼前で乱れ始めたペリーヌにエイラは困惑した。何か、壊れる程の事をしてしまったのだろうか。幾ら考えあぐねても、その真意はわかる筈も無く……このまま楽しむ事に決めた。 ペリーヌの矯声を後に、その柔肌を味わい続け、指はついに決して触れなかった胸の突起へと伸びる。 指先でピン、と爪弾き、歯を立て、固くなったそれをいじるとペリーヌは一瞬で達してしまった。今まで以上に体を震わせ、シーツやエイラ、制服を汚してしまう。 絶叫に近い喘ぎ声も、最後の理性が出させまいと腕を噛む事で何とか抑えていられた。程なくして、快楽の波も収まると体も落ち着いた。
「あぁー、モー……制服がびちゃびちゃダゾ~…」
エイラは制服を脱ぎ捨てると、再びペリーヌに覆い被さった。
「次からは泣いても許さないからナ」
「や、優しく、って言いました、のに……」
息もまだ整っておらず、これからの期待と不安に満ちた、今にも泣きそうな瞳がエイラを捉えた。
「お前ナ~……」
ペリーヌをうつ伏せにさせ、背に体重をかけると一言。
「絶対逃がさないかンナ……」
そう、ボソリと後ろから呟いた。ペリーヌが何か言う前に、口へ指を滑り込ませると塗り込める様に口内で暴れさせた。指に伝わる舌の滑りに、ぞくそくとした興奮が襲ってくる。 当のペリーヌは、反論される前に突っ込まれた指を噛む事もできず、好き勝手にされるしかなかった。艶かしい声と共に、唾液の跳ねる音が耳に入る。
「やっ、はっ…んぁ、あう……~~!?」
口内を弄ぶ指に興奮を覚えてきた頃、抱えるようにしながら、今まで触れなった秘部へ指が潜り込んできた。何かを抗議しようにも、指が邪魔になってしまい、そうする間にも指はどんどんと奥へ入り込み、ペリーヌの意識すらも掻き回していく。 何度も体を重ね、弱点もほぼ知り尽くされた中では、ペリーヌも気を保つのがやっとだった。 指を伝い、滴る液体がその快楽の程を如実に示していた。
「はぁっ、くっ……あぁぁ……!」
深く息を吐き、堕ちる様な声をあげると下腹部に包み込まれた指が収縮を繰り返しながら何度も締め付けられる。それを見るなり、エイラは指を引き抜き、見せ付けるようにペリーヌの眼前へと晒した。 羞恥に耐えきれず、小声で違いますわ、などと言っても、ペリーヌにもわかっていた。エイラの指に絡み付いたソレは、確かに自分が漏らしたもの、垂れ流した物だと言う事を。
「ほら、綺麗にしてくれヨ……『いつもみたいに』、ナ?」
賢い狐は、哀れな黒猫を追い詰める。黒猫にはよもや逆らえる訳もなく……。
(こんな恥辱、どうして私が……何故……)
脳裏をよぎる疑問に解は無し。僅かにざらついた舌が指に触れれば、味覚が塩気をはっきりと認識させた。これがお前の味だと言わんばかりに、鮮烈に。 この光景に背徳的な快楽を覚えない者は少ないだろう。エイラは、目の前のお嬢様が見せる艶かしい姿に心を奪われかけていた。あと一歩の所で踏み留まる理由は、心にちらつくオラーシャ人の影。 自分が求めるのは安寧か、背徳の快楽か。今はその背徳に身を委ねる為に、再び臀部へ手を伸ばした。 指に食らい付いているのを良い事に、再び秘部へと手を滑り込ませ、指を絡めるように攻め立てた。だが先程とは違い、今度は背面から覆い被さり、絶対に逃がさないという無言の意思を示す。そして、背に重みを感じながらの行為というものは、抵抗の無意味さと息苦しさが快感を加速させる事をエイラは知っていた。
それから何時間、身体の自由を奪いつつ抱いただろうか。呼吸も整わず互いに体を委ね合い、犯し、味わい尽くした。 煌々と輝いていた太陽が、今や夕陽を彩るランプと化している。部屋の窓から吹く風が、二人分の汗や体液の匂いを攫っていく。二人は、暫く無言で抱きあったままだった。
「…そろそろ、片付けますわよ…」
先に口を開いたのはペリーヌだった。
「……ん……んんー!?」
無愛想に応えながら制服を着る為に起き上がろうとした瞬間、エイラの唇は柔らかく触れる物に塞がれてしまった。
「んん…っはぁ!…ふぅ、今日一日のお返しですわ。さ、一緒に片付けて貰いますからね」
暫く呆然とするエイラだったが、こういうのもアリかな、と思いながら、いつもの軽口を叩きつつ仲良く後始末をする事にした。
(久しぶりで燃え上がり過ぎたナ…)
ペリーヌの首筋には二つのキスマーク。 勢い余って付けてしまったが、仕返しされたのだからこちらも黙っておく事にした。そもそも、自分の背中にも大きな引っ掻き傷が残されている。お互い様というものだ。
その夜、二人揃ってサウナでからかわれるのはまた別のお話。
#ストライクウィッチーズ#スト魔女#strike witches#エイラ・イルマタル・ユーティライネン#ペリーヌ・クロステルマン#Perrine#Eila#成人向け#For Adult Only#Yuri#百合
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〈tutaeeのスペシャルな日傘が数量限定で入荷しました〉 今日もすっきり晴れの大阪です。 黒の無地が今年すごく人気なのですが(再入荷分は在庫無しですがあと少しずつだけもうすぐ来る予定です。) すんごくスペシャルな、日傘をようやくアップできました。 生産がなかなか難しいみたいですこーしだけご用意できましたので気になるかたはぜひともお早めに。 長日傘の「キツネノタスキ」は武州藍と、オリエンスキナリ、折りたたみの「ウサギノタスキ」は武州藍のみとなります。 tutaeeさん立ち上げ当初からお付き合いが続いているという、武州は埼玉県北部のことを指します。 古くは江戸時代から続く伝統の産業です。武州の藍染めらしい、濃ゆい色の藍色が特徴です。 ※モデルが持っている画像は明るめの環境だったため青めに透けてうつっています。どちらかというと、置きで撮っている濃いお色味が現物寄りです。 また、オリエンスキナリはパッと見はわからないですが、光の具合で見える同系色のジャカード織りで柄を表現しています。綿と絹、素材の違いで楽しめるジャカード織です。 日本には、明治の初期に導入された、今では希少な紋紙(着物の帯などを織る時に使用します)による織り柄です。 洋装にも和装にも。 昔と今をかけあわせた素敵なtutaeeさんの、スペシャルな日傘をぜひご覧くださいね。 #myEssentialss #tutaee #tutaeeの日傘 #キツネノタスキ #ウサギノタスキ #武州藍 #オリエンスキナリ #折り畳み日傘 https://www.instagram.com/p/ByPM-IBFRg-/?igshid=1nia9flxojzdx
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詩集「Poetry Essential Vol.03 -ENSEMBLE」
「Poetry Essential Vol.03 -ENSEMBLE-」
1.「Chamomile」小川青夏×YUU_PSYCHEDELIC 2.「夜の世代」lilil×YUU_PSYCHEDELIC 3.「雲 -ENSEMBLE Ver.-」YUU_PSYCHEDELIC 4.「太陽に愛 星空に剣を」YUU_PSYCHEDELIC 5.「無口な吟遊詩人」浅縹ろゐか×YUU_PSYCHEDELIC 6.「紺色少女」あおい×YUU_PSYCHEDELIC 7.「Milk Tea」YUU_PSYCHEDELIC 8.「Last Youth」はる×YUU_PSYCHEDELIC 9.「Tears」YUU_PSYCHEDELIC 10.「涙色の夏 -ENSEMBLE Ver.-」YUU_PSYCHEDELIC 11.「T」佐々木航太×YUU_PSYCHEDELIC 12.「僕とあなた」中田龍二×YUU_PSYCHEDELIC 13.「サヨナラの調べ」YUU_PSYCHEDELIC
1.「Chamomile」
人は失くしてから 幸せに気付き 無くしたモノの 大きさに 立ち尽くしてしまう
悲しみに気付く前 彼と別れた ポケットの中の 第二ボタン 今はそっと 握りしめて
少しずつ 時は過ぎ 少しずつ 街は変わっていく 一歩の価値に 気付くとき 変わることの意味を知るだろう
もし独りに慣れたら もっと大人になる 聞こえぬ声に 気付いても 何も感じなくなってしまう
少しずつ 季節は変わり 少しずつ 街に馴染んでいく 青春の価値に 気付くとき 傍にいたことの意味を知るだろう
改札の前 追いかけてきた その声を ずっと 忘れない 東京でも あの花は 同じように咲いている だけど 何かが違う
それぞれの道 歩き始めて 少しだけ 二人は変わった 一つの夢を 全力で それぞれの未来(ほし)へ 走れ
少しずつ 傷は癒え 少しずつ 夢に近づいていく 逢えなくても 泣かなくなった 変わることの意味に気付けたんだ
あの花を見ると 涙が止まらない 約束のしるし いつか 逢いに行くから
2.「夜の世代」
人が集まる場所 それが「都」 夢が集まる場所 それは「都」
誰もが背伸びして 身の丈の自分を忘れて 無謀なことばかり 呆れちゃうよね 人のエゴと 君の欲望が まるでナイフのように鋭くて
十代が終わるからって この街に来たけど カッコつけてばかりで 心は不幸になっていく 正解は街じゅうに転がっているのに 気付かせてくれないのは この街に住むアクマ
ただ 誰かのせいにするだけで 変化を拒んでるのはわたしでした ただ 自分の責任を押し付けるだけで 変わろうとすらしないのはわたしでした
見上げてもビルばかり 月なんて何処にもない 通りかかった人々は誰も気付かない 今 この瞬間も街は変わっていること
すべての要素は繋がっているんだって 気付いているのは たぶん あの月だけです すべての出逢いは必然だって 気付けているのは たぶん あの月だけです
もうすぐ 十代が終わろうとしてる ベリーショートの黒髪が 風に揺れている 変わるために この街へ来たはずなのに 誰かの作り笑いにウンザリしてるだけ…「想定外」
どんな美しさも 汚さが消してしまうよ 当たり前の日常が 証明してる いつか わたしもあの月のように気付けるのかな? この街で生きることの「美しさ」に
眠らない都は 答えを知ってる だから わたしは この街に染まっていく
3.「雲 -ENSEMBLE Ver.-」
ひとりぼっちで街を歩いてみました 雲ひとつない青空でした 中学を卒業したのは去年のことでした
わたしは未だにあの日を忘れられません 変わることは別に嫌いじゃありません だけど決めつけられることは嫌いです
三年間付き合ってきた恋人と別れました 放心状態のわたしは夜の静寂に押しつぶされそうになりました 泣きたいけど 泣けるだけの涙はありませんでした
「ニセモノの涙は人を殺してしまうのだ」
誰かがそう言っていました あの日 わたしは信じませんでした
あれだけ晴れ渡っていた空が急に真っ暗になってきました 大粒の雨がわたしを包みました 手元に傘はありませんでした
幸い すぐに雨は止んでくれました いつの間にかわたしは街の外れに来ていました まっすぐな青さと 絹のような白さが 混じった空を見上げてみれば
明日も生きよう 勇気が滾ってきました 顔じゅうの涙を拭いました 今度は 本当の涙が流れてきました 拭いても拭いても拭いても 止まりません
風に揺れるスカーフが わたしを青春の人と言っています わたしは紛れもなく青春の人です
涙を怖がらなくていい いっぱい 泣いていい 好きなだけ 泣いていい
教えてくれたのは「雲」でした
4.「太陽に愛 星空に剣を」
太陽が愛を呼び 星空は別れを誘う 思いがけず ポロリポロリと 涙は流れる
あなたのすべてを愛していました この地球(ほし)よりも大きな想いの行方 誰か教えてください
太陽に愛を 星空に剣を 引き裂かれた心を癒すのは あの日の歌だけ
純情が夢を呼び 時間は諦めを誘う 思い出す度 ビュンビュンと 心は揺れている
僕の何処が気に入りませんか あの星よりも大きな愛の行方 誰か教えてください あなたに想いを 祈りに強さを 引き裂かれた心を救えるのは あの日の言葉だけ
二文字と三文字の違い 僕は知っている だけど あなたがあなたらしくあるために 涙を呼んだのか
希望に翼を 涙に希望を すべての愛よ すべての夢よ 引き裂かれた心を救えるのは 太陽のように輝く 強い意志さ
太陽に愛を 星空に剣を 強く前へ進めるように 自分自身を奮い立たせろ! 引き裂かれた愛を取り戻すために すべてを変えられるのは あの日の想いだけ
5.「無口な吟遊詩人」
夏が終わり 最初の登校日 隣の席には 初めての顔 黒髪の向こう側に 見えた本の名前 それだけが 私たちの共通点
台風が近づき 雷が鳴る日 いつものように転校生は本を読みながら そっと私のことを 励ましてくれた
ただのクラスメイトじゃない気がする そんな気持ちは 恋の予感?
授業中に隣を覗くと 見えたのは無数の日本語 紡がれた言葉のすべて 詩人のようだった 彼のことをあまり知らないのに 何故か好きになっていた たぶん このまま片想いが続くだろう
「君だけに教えるね。もうすぐ僕はまた転校してしまうんだ。」 「えっ、嘘でしょ!?」
私の驚く顔を見て 彼は笑った 冗談だと言う彼に 全力のしかめっ面を返した もうすぐ終わる 高校二年生 例え 届かぬ恋でも 私は変わった 気のせい…かな?
少しずつ お互いのこと 理解し始めた だけど そのときには 手遅れだった 人混みが嫌いな 無口な吟遊詩人は また次の街に旅立つことを決めていた 転校してきた日と同じ本を持って ぽっかりと空いた 心の穴は青春の証 私はそう心に言い聞かせながら 一人でいつもの道を歩いている 短い片想いだった だけど ありがとう
6.「紺色少女」
家から徒歩五分のカフェで 初めて君と出逢った キラリと光る 紺色のスカーフに 眩しすぎるほどの笑顔が反射して 僕の恋心に火を点けたのは いつだったか…
もう 傍に君はいない もう 二人の恋は終わった それは わかりきったことだけど 今も 君を思い出す度に 目の前の誰かに重ねてしまうのは なぜだろう…
涙が溢れそうになる そんな時だからこそ 『顔を上げて進め』 情けないくらい弱い自分に言い聞かせる 詰襟が背広に今は変わったけど 僕の初恋はあの頃のまま 変わらない…
駅から徒歩五分のバーで 再び君と出逢った 今の話や 高校時代の話に ただ僕は相槌を打つだけ あの日の君が何処かへ行ってしまったようで 寂しくて…
今は 何も語らず 今は 黙って生きるのみ 溢れそうな涙が 零れないように前を向く それでも 目の前の女を見ているうちに あの日の君に重ねてしまうのは なぜだろう… 誰も 教えてくれない 誰も 導いてはくれない あの恋は結果的に何も変わらなかったけど 僕は少しだけ強くなれた だけど 今も前に進めない 君が生きている限り…
7.「Milk Tea」
夕陽を背に -そっと- 口へ運ぶ ミルクティー ちょっぴり苦く ちょっぴり甘い まるで 今のわたしみたいね
社会に束縛されて 何も出来ない毎日 そんな日々抜け出すため ゴクリと飲み干そう
苦さはゴメンだ だけど 甘いのも好きじゃない どっちが好きとか そういうの どうでもいい
今の自分がキライなら 今から変わるしかないでしょ もしも夢があるなら 夢を追いかけるしかないでしょ どうせ 私なんか 孤独しか似合わない女よ
8.「Last Youth」
そっと手を伸ばせば 君の 眩しい笑顔 いつもそこにあった 今は懐かしい
卒業式の後 僕らは約束した あの桜の下で 二週間後に逢おう いつの日からか 君が好きになってた そんな想いを隠すために 幼馴染みのあいつも誘ってみた
突然 君から受けた 恋愛相談 思い出してみれば なぜ 僕なんかに…
そっと見上げれば 星は輝いてる 君と過ごした日々 ずっと忘れない
次の日の朝 あいつからのTell 「ごめん、今日は無理。」って プツリと切れた あの桜の下で 君と二人っきり デートみたいだねって 思わず呟いてしまった
突然 恋人のような 時間がやって来る そんな急に 受け入れられない…
そっと話しかければ 君は返してくれる そんな日常さえも あまりに愛しくて
僕は言い出せない そこに君がいても 好きという一言が 言い出せなくて
そっと目を閉じた 想いを整理した 君に向けて 精一杯の「好き」を 伝えるために…
思いっきり 深呼吸して せーの!
9.「Tears」
初めて出逢った 涙の味 ありもしない 理想を追い求めて この街の何処か 走り続けた あの頃を思い出してみる
気づいてしまった 限界という ありもしない 壁にすがる日々 自分で勝手に 決めているだけの 壁すらも乗り越えられない
叶わなかった夢が 僕に強さを与えた 愛せなかった人たちが 僕に力を与えた 今は遠い思い出 あの涙を越えていきたい
春が終わり 夏の訪れ ありもしない 希望を膨らませて この交差点 歩いていた あの頃にもし戻れるとしても
戻りたいなんて 思わないけれど 少しだけ 後悔はしてる 一粒の涙を 一歩ずつ越えて 後悔が生きる糧になればいい
叶わなかった夢が 僕に強さを与えた 愛せなかった人たちが 僕に力を与えた 終わらない青春 あの日を越えていきたい
ここで生きていることに もしも倖せがあるなら 僕はその倖せというものを追いかけたい あの日流した涙に もしも意味があるなら 僕はそれを無駄とは呼ばない 時間を越えて 気づくこと��出来た
やり場のない怒りが 僕に教えてくれた 叶わなかった夢が 僕に強さを与えた 愛せなかった人たちが 僕に力を与えた ここで生きていることで それに僕は気づけた 今は遠い思い出 終わらない青春 あの涙を越えていきたい
10.「涙色の夏 -ENSEMBLE Ver.-」
紫陽花色や 橙色に 煌々とした 夜空を見上げて 浴衣についた 赤舎利別の跡が 夏を手招きしてる
抱きしめたいけど 抱きしめられない 想い出達がポロポロと 涙代わりの夕立ち 濡れてもいいけど 濡れたくない 思春期の不器用な少女よ
二人で交わす 何気ない言葉も 振り返れば きっと… 大切な青春の一ページ
黄昏色や 濃藍色に 心揺さぶられた セーラー服の頃よ 右でも 左でも わたしは、たぶん 同じ道を歩んでいただろう
帰りたいけど 帰れない 後悔達がポロポロと 挨拶代わりの夏しぐれ 再びペダルを漕ぎ始める 涙模様の 最後の言葉 思い出す 余裕さえもない
一人で歩く いつもの道も 振り返れば きっと… 大切な青春の一ページ
少し時は流れた 学年が変わった 教室の場所も変わった 何もかも新しくなった 今だから 言えること
あの空の隙間に 想いを乗せて どんなに濡れてもいい ずぶ濡れでも構わない もう 吹っ切れてしまおうよ シャワー代わりの夕立ち わたしはわたしでいたいから
蒼さを抱きしめてほしい 白さを抱きしめてほしい 想いを抱きしめてほしい 弱さを抱きしめてほしい 強さを抱きしめてほしい すべてを抱きしめてほしい
イジュの花が連れてきた 新しい季節の始まり 今、この瞬間も わたしは二ページ目を捜している 青春という名前の何かを あの涙とともに…
11.「T」
From:バンドマンX To:プロデューサー○○ 件名:新曲の歌詞
俺逹は、今日もここで歌っている。 たぶん、明日も、明後日も、その先も、ずっと歌い続けるだろう。
「虹色に 輝く門扉(ゲート)を 開くその時 君は気付くよ 当たり前のように 生きてきた この街の Ah 物語にも届かない 幻想(まぼろし) 闇の中で 探し続けてきた 答えを 俺たちは 迷い悩みながら 見つめている どんな黄金も 惑わすほどの未来だけを
茜色に 染まった空を 見上げるその時 君は気付くよ 何気なく感じた innocence まだ見ぬ姿 Ah 夢の中すら届かない 現実(リアル) 君よ愛よ すぐ傍にあるなら 聞いてくれ 恋よ夢よ 叶わぬ過去を 嘆いても 何も変わらない 知っていても知らないフリして
純情に 生きていくのも つらいことだと気付いておくれ 光求め 今を生きている 俺たちは この唄と意志に すべて託して 叫ぶんだ どんなに夢が 遠くにあっても 諦めはしない 俺たちは 迷い悩みながら 見つめている どんな黄金も 惑わすほど 輝ける 未来だけを」
『薄暗いスポットライトに照らされ、 古びたライブハウスで 続けてきた「嘘と作り笑い」 作り笑いじゃなく、本当のメッセージを届けたい。 それが、音楽を創るものとしての使命ではないか。』
【ここ数年続けてきた自問自答で、やっと導き出せた答え。 今日まで、そして明日からも、このギターと仲間たちだけが道標だ。 ちょっとクサいって?誰かのフォークソングみたいだって?? そんなの、どうでもいいじゃないか。】
「2017.5.21. △△市 XXX-ZZZ」→タイトル:「T」
12.「僕とあなた」
生まれてきた その瞬間から 人の運命は 決まっているのでしょうか どれをそんなに変えようと抗っても 変えられないのが 運命なのでしょうか
誰も振り向いてくれず 誰も気付いてすらくれず 雨の日も 風の日も 勿論 晴れの日も ずっと 独りでした
そんな僕に気付いてくれたのはあなたでした あなただけでした
嫌われることを恐れて また振り向いてくれなくなることを恐れて 本当のことを隠して 僕はあなたを好きになりました
ただ 単純に好きでした すべてを捨てても あなただけは捨てられない そう思うようになりました
たった 一つの隠し事をして 二人で帰るようになり 未来を語り合い 夢を語り合い 愛を求め 話した この日々 どんなに辛くても どんなに淋しくても どんなに喧嘩したときでも あなただけはいつも側にいてくれた
もう気付いているのかもしれない
ひとつだけ「隠し事」をしているということも 本当は 僕が病気だということも 普通じゃないということも 少し時間が経てば 死んでしまうかもしれないということも ぜんぶ気付いているのかもしれない たとえ 本当にそうだとしても僕は喜びの気持ちでいっぱいです
あなたが掛けてくれた言葉のすべて あなたとデートした日のこと あなたが側にいてくれたという事実そのもの
なぜ そこにあなたはいるのだろう 不思議で仕方ありません なぜか かなしくて なぜか せつなくて この感情の在処は何処でしょう
僕はあなたにすべてを捧げます 僕のすべてを包み込んでほしい その温もりで その優しさで それがこの恋の答えなら 僕はどうなったっていいんです 運命、ですから。
13.「サヨナラの調べ」
さようなら さようなら さようなら 何気なく口にした言葉が 時には重い意味を持つ
かつての友や恋人も 大切な家族さえも いつかは 皆消えるときがくる 当たり前だけど 自分さえも
瞳を閉じて 今日を振り返ってみる おはようからおやすみまで 何を残したのだろう
結果だけがすべてじゃない それはわかっているつもりだけど どうしても そうは行かないときがある
どんな喜びも どんな悔し涙も 一つの力に変えて この瞬間を生きよう
今日にサヨナラ... 明日も元気で...
【Credits】 Produced / Written by YUU_PSYCHEDELIC Collab with 小川青夏(#1)・lilil(#2)・浅縹ろゐか(#5)・あおい(#6)・はる(#8)・佐々木航太(#11)・中田龍二(#12)
Special Thanks to:My Family,my friends and all my fans!!
YUU_PSYCHEDELIC
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🌂白黒無常5年目の肖像画とメッセージをもう少し考えたくなったので前回の記事を再考してまとめた記事。
できれば前回の記事を読んでからこれも読んでね。
※推敲はしていない+堅い文体になった���しているので読みにくいかも。
※雑絵が多い
まずは肖像画を鑑賞しましょう。
はい。
絵を見た感じ、謝必安が光で范無咎が闇なんだろうとは思う。だけど、どっちも最終的に悲劇的な死を遂げたから謝必安が光側にいるのは腑に落ちない。どっちも闇の中の方が���っくりくるのだが……。どういう意味なんだろう。
「当然、謝必安と范無咎に起こった出来事は過去のものである」と水の跡が語っている。でも「物言わぬ姿のまま時を止めている。年月が経ってもその姿は鮮明だ」「長い間見つめていると水滴がまだ流れている錯覚を覚える」みたいな文から、長い時間見ている(影響を受ける)と、今現在も続いているような感じがするのかも。過去の出来事、でも当事者的にはまだ心の傷はいえないみたいな……諸行無常に取り残された者みたいな印象を受けた。正しいかはさておき。
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「滲んだ墨の跡」は雨によるものだとは思うけど、滲んだ字というのは一般的に涙によることが多い。二人の胸の内ではとめどない涙のように雨が降っている……悲しみが残り続けているんじゃないかなぁと、無常PVを思い出しながらそう思う。
一部は前回の記事でも書いた内容をここにも書くよ。1年目の手紙の記述と深く関わっていると思う。そして意図的に、謝必安の髪に見えるような描き方をしたと思う。でも、実際に謝必安が首を吊った時につかった縄が自分の髪とか綾絹とかではなかったんじゃないかなぁ。あくまで絵の中の表現であって直喩ではない。
……以降は私の妄想や願望交じりの話になる。
【綾絹の色がしめす心境はどういったもの?→謝必安の范無咎に対する、とんでもなく深い重い想い】
この柔らかな長い綾絹の色は「消失と哀悼をもたらし、最後には永遠に続く静寂を残す」とある。これは要するに、謝必安の「千にも万にも無数に分岐し、細く長く伸びて胸の内を埋め尽くすかのように広がって」いく范無咎に対する思いを具現化したものだと思う。
【綾絹が謝必安の髪に見えるのはどうして?→思いが深まるのと同時に謝必安の髪も長くなっていくから(?)】
また、そうやって謝必安は精神を病んでしまうが、鬱病になった人はちょっとした行動もものすごくハードルが高くなる。たとえば髪を切ることができない。男性は辮髪��しなければならなかった時代に二人は生きていたので髪が長いのは説明できるが、そうだとしても思いが細く長く伸びていくように、残された謝必安の髪自体も細く長く伸び続けていたのではなかろうか――と思うのです。
【結ばれてるのはどうして?→自殺の暗示かも?】
縄で自殺したことの暗示かも。それか、二人をつなぎ留めたい・范無咎と離れたくない(会いたい)ことの現れかも。でも結局はその願いや想いから謝必安は首を括ったのだから、どちらにせよ自殺の暗示で落ち着くと思う。
【直喩ではないと言えるのはどうして?→髪の状態と綾絹の状態が食い違う】
しかしそんな精神状態では髪の手入れもままならいないのではないか? 綾絹は「柔らか」とあるが、異常なほど痩せた体を見るに謝必安は食事も喉を通らないほどショックを受けている。栄養状態が良いはずがなく、髪も柔らかツヤやかというわけではないはず。
他に気になったこと
ゲームでも言及がなかったので前回は気づかなかったけど、范無咎の右にある影のない部分は何だろう?光源の位置と袖の大きさ、腕の密着具合から范無咎の腕の影ではなさそうだし、謝必安の体の影でもなさそう。
……ホセさんだったら嬉しいなぁ(ご都合主義な願望ばかり)
メッセージを読みましょう。
湿った水蒸気は無常さんの比喩なのかなんなのか……実験をおさらいすると、傘は磁場を発し(?と私は考えてる)、その磁場に影響を与えるのが水蒸気(=湿度)。つまり傘≠水蒸気……のはずなんだけどなぁ。理解が追い付いていない。
過去の伝説は、無常さん二人の過去だね。「人の執念によって」これはちょっと長くなる……けど書きます。全部妄想。
白黒無常という伝説ができた経緯――無常は人々の認識で作られた存在であり、仮の・架空の存在
例えば誰かが死んだとか水害が起こったとか、そんな受け入れがたい・信じがたい事象が起こると、人々は理由を求める。理解できないものは恐ろしいし、理由もわからず何かを失うことは「理不尽」だから怒りを覚える人もいる。しかしその理不尽も、自分ではどうすることもできない物だったらあきらめがつくだろう。そんなこんなで理由を求める。
そして得た理由が「傘に亡霊が宿っているから、その亡霊のせいだ」。これが無常3年目の手紙にもあった「神秘的な東洋の力を持っている」伝説であり、ここでも書かれている「東方の亡霊」。
この理由付けに「この傘はかつて二人が持っていた/持っていなかった」の実情はどちらでもよくて、「かつて傘を持っていた二人があどっていると人々が思うようになった」ことが重点。
脱線。白黒無常の二人≠実在した謝必安と范無咎、だと思う。
物理的に考えて、人は死んだら終わりで存在しなくなる。だから実際、二人が傘に宿ることは無い。少なくとも観測できない。
では白黒無常の謝必安と范無咎は誰なのか?これもさっきと同様に、人々が創った実在しない人物ではないだろうか……?
実際に、雍正9年前後に謝必安や范無咎が存在したが、既に死亡している。ただし、伝説を信じる人はこの二人が今もなお傘の中にいるのだと思っている。
要するに、この項目の冒頭のように考えるリアリストからすると、実在した二人≠伝説を信じる人の考える傘に宿る二人、なのだろうなって。いわば二次創作。伝説信者からすると両者はイコールで結べるけれど、科学信者からするとnotイコール。ちなみに私は後者であり、第五の実験者も基本的にそうだと思う。科学的に考えている、悪く言えば「目に見える者だけが真実じゃない」が分からない人。
その考えで行くと、創られた二人は実在した二人の過去情報を組み込まれている���で過去の記憶を持っている(かつてこんな非業の死を遂げたとか)。だから傘に宿る創られた二人は実在した二人を知っていて「あれは我々だ」と認識する。しかし逆はなく、一方的な自認。
そしてが創られた存在であることは知らない(背理法になるが、知っていたとしたらそんな悲しい過去もまがい物だと知ってしまうだろうし、何故それで苦しまなければならないのかと言う自我を持ってしまうだろう。また、別の見方をすると、自身が創られた経緯を知ればおのずと、再開を願う相手と表裏一体であることにも気づいてしまう詩、それが人工的だったということが分かってしまう。ともすれば、「会いたいのに会えない」「表裏一体であることを知らない」のが白黒無常だという定義から外れてしまうため)。
ここで疑問がわく。なぜ「」が名前についていないのか?それはきっと、探偵が科学信者でありながらもどこか伝説信者な面を持っているからだろう――と仮説を立ててみる。探偵は自分が超有名小説家だったとは知ってもその記憶がなく、また同様に覚えのない荘園での出来事のせいで今苦しんでいる。いわば自分自身が信じがたい存在。しかし、実際に苦しんではいるので「目に見えるもの・自分が知っていること以外を真実とする」しかない状態にある。だからリアリストというよりは「そうなのかも」と他のにわかに信じがたいことでも真実だと受容するしかなく、伝説も真実だと受容する可能性があるから――なんて考えているがさすがにこじつけ感が凄い。
「東方の亡霊は~」は実験で起こったことを書いていると思う。
前回の記事では「宝石の流氷に似てる!」って言ったけど、似てない部分もフツーにある
流氷について、作中でこんなセリフがある。
流氷は意思を持っているわけではない だが 見る者の不安を反射して増幅させる性質を持つ ……古代生物の 澱のようなものだ 流氷の前では心を穏やかに保ちなさい
これが「『東方の亡霊』は暗い思考を増長させ」に似ているなと思ったわけ。でもよく考えたら作用の仕方が違う。流氷は対象の不安(特に焦燥感)を煽って極端な行動や安直な行動を促す。では無常はどうかと言うと、対象の「暗い思考を増長」させて行動不能にさせる。また、意思の有無は上の項目で述べたように解釈によって異なるが、私はないと思っている。
形態変化からこのメッセージを考えてみる
行動不能をはじ��として、メッセージに書かれている「暗い思考の増長、揺るぎない情を洗い流す、魂を奪う、誰も逃れられない」については詳しく書きたいので書く。
白黒無常の形態変化には失魂や落魄がある。まとめるとこんな感じ↓
失魂:眩暈が起こり始める
心震:洗魂の鈴によって不安になる
落魄:洗魂の鈴によって精神不安定になり、方向感覚が逆(=正常な行動ができない?)になる(関連として、謝必安の持つ司南は逆向きである)
失魂落魄:魂のバランスが崩れ、行動速度が大幅に低下(=行動の制限、あるいは行動不能?)
また、関連がある要素として挙げるのだが、日本語には驚くことを意味する「たまげる」と言う言葉がある。これは「魂消る」と書くが、古くは「魂切る」と書き、本来は酷く怯える様子を指していたらしい。
これらを踏まえると、「洗魂の鈴」「情をも洗い流し、魂を奪う」これはどちらも魂以外を洗い流して魂を単離することを指し、魂が抜けることで人は極度に不安になる、つまり暗い思考に陥る末を指すのではなかろうか。そう考えると、「暗い思考を増長し」以降は同じことを繰り返し言っているだけだろう。
詳細は不明だが、傘には人を極度に不安にさせ、正常な行動ができなくなる or 行動自体ができなくなる作用があるのかも(行動不能、と考えた理由は、白黒無常の開発時での失魂落魄の作用が鎖に縛られている画像があるから。画像は公式weiboより)。
また、失魂の眩暈が起こるメカニズムはなんとなくだが探してみたらあった。静磁場勾配内部での物理的移動は、一時的にめまいや吐き気、眼内閃光……などを起こすことが報告されているらしい。
まだしっかり調べたり理解してはいない+傘の磁場がどの程度の強度なのかも把握していないので参考程度に留めているが、磁場の変化によって眩暈は生じる可能性がある。
一方、落魄の不安になるメカニズムについてはよくわからなかった。むしろTMS治療と言って鬱病に対して磁場で治療するという方法があるくらいだ。全く謎だ……ドユコト?
実験で起こった事を考える
改めて絵を描くエネルギーが残っていないので雑な手書きメモをそのまま載せる。
実験時、多分傘のある地点が最も湿度が高く最も磁場も大きくなるように設定されている。
①ホセが水紋符号を発見。この時、磁場によって波が立っているとか……あるのかな……?調査不足。通常とは異なる動きの波があったので不審に思うホセ。
➁ホセが解読を試みる。Boat」のヒントを基に勝利を目指して大船Aに来たのかは不明だが、生存のためにはこの現象が鍵となると考えてもおかしくない。解読を試みるということは近寄って様子を見るということ、つまり水紋符号の発生源(?)である傘のある(=より磁場の強い)方向に動くため、より磁場の影響を強く受ける。
③ホセが観測できない何かを見る。この現象は負よく分からないけど、磁場変化による神経への影響で視覚野が刺激されて幻覚を見た?(信憑性は限りなく0に近い)
④混乱に陥る。これがメッセージにもある「暗い思考を増長させて極度な不安を誘い、対象を行動不能にする」という傘の失魂落魄作用。
このまま不安い押しつぶされるのか――と思いきや、実験ファイルには「傘のエネルギーを利用して催眠を掛けて落ち着きを取り戻した」みたいな記述がある。これ、前の記事では催眠がエネルギーの変換機構だみたいに書いたけど、今はそうではないと思う。その根拠がこれ↓
ホセは危機が迫ったら防衛反応として催眠を掛けてそれを信じ込む癖があるみたいな書き方。つまり、傘の不安増強効果に対する防御反応として催眠を施したのではなかろうか?実験ファイルのエネルギー利用云々は、傘の影響で危機感を感じたので催眠を掛けた、というのを表しているんじゃないかなぁ。エネルギー変換ではなく免疫や防衛機制のような感じかしら。
ここで押さえておきたいのが、「傘がホセだけを不安にさせない作用を持っている」のではなく、「傘は誰でも不安に��るが、ホセがその対抗策を持っていた」と言う点。無常がホセを特別扱いしたわけではない(無航無好きとしてはちょっと悲しいけどそれが事実)。
だけどメカニズムは不明。どうやって催眠で負のエネルギーをかわしたのだろう……。
ちなみに、失魂落魄に対応する事項は一等航海士側にもあり、それが外在特質の自己暗示。さっきweiboから持ってきた画像にあるサバイバーが頭を抱えている図や洗魂の鈴の同心円状のエフェクトと全く同じに見えません?ちなみに公式が誤訳しているせいで詐欺と書いているけど、本来の意味は欺瞞です。恐らく欺瞞=「真偽に関わらず催眠の結果を信じる」であり、現実をあるがままに見ることができなくなった。
よくわからない所、と言うか個人的に一番知りたい謎
メッセージの最後に「揺るぎない情すらも洗い流し、誰も傘の作用からは逃れられない」的なことが書いてあるのに、なぜホセの精神基点は揺らがなかったのか。一番の謎。催眠ができたのなら精神基点は揺らいでいないはず。そして実験ファイルにも「催眠を掛けた」とあるので催眠で傘の不安増強効果を免れたのは本当……マジでわからん。
――――――――――――――――――――――――――――――――
どうでもいい話。
無常の不安増大パワー(失魂落魄)にホセが対抗策(催眠)を持っていたのかーと考えて真っ先に、前描いたこの絵を思い出した。謝必安と范無咎に分かれているのは違うけど、けっこう的を得ている気がした。
あと🦋は⚓️に強い、⚓️は傘に強い……みたいな流れできているのでじゃんけんか?と思ってしまった(ちがうのは百も承知)
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●せんす●センス●扇子
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●せんす●センス●扇子 ★センス【sense】 1 物事の感じや味わいを微妙な点まで悟る働き。感覚。また、それが具体的に表現されたもの。「文学的な―がある」「―のよくない服装」「バッティング―」 2 判断力。思慮。良識。「社会人としての―を問われる」 ★せん‐す【扇子】 おうぎ。《季 夏》 ★センスとは (センスとは) [単語記事] - ニコニコ大百科 http://p.tl/aOgG センスとは、ラテン語の「sentīre」という単語が語源になっていてこれは、「感じる」を意味する。 英単語として「sense 」と言った場合は「感覚」「人間の五感のうち1つ(味覚、聴覚、触覚、嗅覚、視覚)」「物事の見方や考え方」「感じ方」「意義」「意見」「意識」などを意味する。 日本で「センス」と言えば「センスがある」「センスが良い」などの使い方が有名である。
「センスがある」と言えば「判断力が優れている」「物の微妙な見極めができる。」「感覚が優れている」「細部の違いまで理解できる」のような意味で使われる。
「服選びのセンスがある」と言えば「良い服を選ぶ能力がある」「他人にはない服選びの才能」「上手に服を選ぶことができる」のような雰囲気で使われる。
「彼は料理のセンスが無い」と言った場合は「料理を作るのが下手くそ」「料理の才能が無い」などの意味合いが含まれている場合が多い。 ★おりがみ・せんす https://www.origami-club.com/accessories/sensu/ 折り紙で作るセンス, ★うちわ・せんす - ELECOM https://www2.elecom.co.jp/paper/uchiwa/index.html? ご家庭のインクジェットプリンタを使って、簡単にオリジナルデザインの「手作りうちわ」や「手作りせんす」を作成できるキットです。お好みの写真やイラストなどを使ってデザインし、付属の光沢シールや薄和紙シールに印刷したあと、うちわの骨組みや扇子に貼り付けるだけで、世界にひとつしかないオリジナルのうちわや扇子が出来上がります。 ★扇子 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/扇子 扇子(せんす)とは、うちわと同じく自分の手で風を送るのに用いる道具。ただし古くは扇( おうぎ)と呼ぶのが普通であった。「おうぎ」という言葉は「あふぐ」(扇ぐ)の派生形の「 あふぎ」であるが、日本語の変化により関連がわかりにくくなった。 このようにうちわは文明発祥時から存在するが、木の薄板を重ねたり、また紙を折りたたんで製作する扇は日本で発明されたものである。 ★檜扇(ひおうぎ/桧扇の表記も)https://ja.wikipedia.org/wiki/檜扇 宮中で用いられた木製の扇のこと。女性の用いるものは特に袙扇(あこめおうぎ)とも呼ぶ。 紙製の扇子(蝙蝠/かはほり)はここから派生し、檜扇を略したものとして普段使いに使われた。 ★檜扇の作法 https://ja.wikipedia.org/wiki/檜扇#檜扇の作法 ★末広がり (狂言) https://ja.wikipedia.org/wiki/末広がり_(狂言) 『末広がり』(すえひろがり)とは、狂言の曲目のひとつ。ただし現行の狂言の流派では『末広かり』、また大蔵流山本東次郎家では『末広』と書くがいずれも「すえひろがり」と読む。脇狂言を代表する祝言曲目で、傘を「末広」(扇)と称して売りつける「すっぱ」(詐欺師)と、それに騙される太郎冠者のやり取りを演じる。 末広がり(末広)とは本来銀杏の葉のような扇(中啓)を指す。 ★うちわ(団扇) https://ja.wikipedia.org/wiki/うちわ 手で扇いで風を起こす道具の一種。 一般的には扇部と手でそれを支持するための柄を備えるが、柄がなく扇部の端のくりぬいた部分に指を入れて用いる穴開き��ちわもある。絵柄や文様にも様々な種類があり、広告を入れた簡易なものはペーパーファンともいい販促品として用いられている。 ★ハリセン(張り扇) https://ja.wikipedia.org/wiki/ハリセン ドタバタ喜劇やドツキ漫才などで用いられる小道具のひとつ。 チャンバラトリオの南方英二が考案した。 「張り倒すための扇子」を略して「張り扇」と称するとされるが、形状や役割は古典萬歳における張扇(はりおうぎ/はりせん)に由来している)。 ★扇状地(せんじょうち、英: alluvial fan)https://ja.wikipedia.org/wiki/扇状地 河川が山地から平野や盆地に移る所などに見られる、土砂などが山側を頂点として扇状に堆積した地形のこと。扇子の形と似ていることからこの名がある。扇状地の頂点を扇頂、末端を扇端、中央部を扇央という。 複数の河川が複合してできた扇状地を合流扇状地(confluent fan)、形成期が異なる扇状地が重なり合いできたものを合成扇状地(composite fan)という。また、海底にも扇状地は存在し、そのような扇状地を海底扇状地という。なお、以上のような流水があることが主な成因となっている扇状地の他に、火山活動が主な成因となっている扇状地も存在する。 ★リピタ(ギリシア語: ριπιδιον, ロシア語: Рипида) https://ja.wikipedia.org/wiki/リピタ 正教会の奉神礼において用いられる扇状の祭具。ロシア語からそのまま転写すれば「リピーダ」が近いが、日本正教会では慣用的に「リピタ」と転写されている。明治時代の文献においては「聖扇」との表記が見られるが、こんにちの日本正教会ではこの語はほとんど用いられない。 ◆団扇太鼓 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/団扇太鼓 団扇太鼓(うちわだいこ)は、仏教で用いられる法具の一種(太鼓)である。声をあげて唱題するときにドンドンと打ち鳴らすことで、聴覚的にリズムを整える。日蓮宗・法華宗などで用いられることが多いので「法華の太鼓」(ほっけのたいこ)とも通称される。他宗門ではあまり用いられない。 ◆団扇絵 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/団扇絵 団扇絵(うちわえ)とは、江戸時代から明治時代にかけて描かれた浮世絵版画の様式のひとつ。 ◆日本古来からの団扇絵 http://www.photo-make.jp/hm_2/uchiwa.html 団扇絵はいつ頃から描かれたのか 江戸庶民文化の団扇絵 ●葛飾北斎の団扇絵 北斎の郡鶏図(重要文化財)鷹、勝景奇覧シリーズ、人気の団扇絵師 ●歌川豊国・国貞の団扇絵 粋な江戸女(四季シリーズ)、芸者衆、近衛八景 ●歌川国芳の団扇絵 猫の団扇絵(猫のすずみ・猫の六毛氈)、粋な芸者衆、江戸名家 ●歌川広重の団扇絵 江戸庶民に一番の人気は広重の風景団扇絵だった ●歌川広重の団扇絵 背景の風景は広重、人物は豊国、二人の競作団扇絵 ●歌川房種の団扇絵 江戸名所と粋な芸者の団扇絵 ●「団扇売」絵・奥村利信 東京国立博物館蔵 拡大表示 ●団扇絵について……… 上記の絵は通称団扇絵と呼ばれ、絵の形に切り抜き、竹の骨に張り込んで団扇になる。寸法は、縦・22~24センチ、横・30センチ以内である。まん丸で、上記の団扇絵が上部をカットされているのは、絵見本を保存する都合であろう。 ● 団扇は使用され、捨てられるため残っていないが、切り抜かずに絵として鑑賞されたり、見本摺の絵が残った。 ◆『馬込と大田区の歴史を保存する会』ホームページ http://www.photo-make.jp/hm_2/oota.html ●サイト内検索 2018年更新.06.18. 《大田区の歴史・史跡探訪 項目目次》 《 浮世絵で探る江戸時代 項目目次 》 ◆ー奇想と反骨の幕末江戸浮世絵ー 2015.01.08更新 http://www.photo-make.jp/hm_2/kuniyoshi_mokuzi_1.html ●江戸時代幕末の頃、天保の改革により華美な祭礼や贅沢・奢侈はことごとく禁止された。役者絵や歌舞伎絵に依存していた浮世絵も大きな規制を遂げた。しかし木版技術の彫りと摺りの技術は最高度に達していた。わずか2ミリの板(版木)に3本の毛を���る事が出来るようになった。ぼかしなどの摺りも高度に成り、豪華な多色摺りの錦絵となった。 ◆軍配 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/軍配 軍配(ぐんばい)とは、かつて武将が戦の指揮に用いたうちわ形の道具。 相撲の行司が力士の立合いや勝負の判定を指示するのに用いる道具として知られている。 軍配団扇(ぐんばいうちわ)の略であり、本来「軍配」とは、所謂「軍配術」「軍配兵法」とも呼ばれる、戦に際して方角・日時を見極め、天文を読んで軍陣を適切に配置する法のことである。「軍敗」とも表記される。軍配術を行う者を軍配者という。 ◆軍扇 - 日本・中国の軍師が持つ扇、諸葛亮などの軍師・策士が持っていた「鹅毛扇(ガチョウ羽の羽扇)」が有名。このことから策士の陰謀を「摇鹅毛扇(鹅毛扇を揺らす)」という成語が誕生した。 ◆黒漆塗十三本骨軍扇 くろうるしぬりじゅうさんほんほねぐんせん 文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/253499 工芸 日本 江戸時代後期 1 武将が、軍陣の際に扇を携帯する習慣は早くからあり、有名な『平家物語』『蒙古襲来絵詞』などにも、当時の軍記物にいう種々の扇が数多く描かれている。軍扇は単なる指揮具であるだけでなく、武将の地位を示す持ち物として用いられ、時には涼を入れるため、また時には閉じて物を指したり手なぐさみをするなど多目的に用いられたことがうかがえる。本作は、江戸時代後期のもので、軍扇として頑丈に作られており、表側には金箔の地紙に、朱色の日の丸を大きく、裏側には朱漆塗りの地紙に、金色の日の丸を描く。親骨を含めて、十三本の黒漆塗りの骨(木製)を使用し製作されている。 ◆扇子の種類 http://www.sensu-uchiwa.or.jp/sen/kindsensu.html 「京扇子」「京うちわ」は京都扇子団扇商工協同組合の登録商標(地域団体商標)です。 当組合員以外は使用できません 。 桧 扇 桧扇 檜扇とは檜の薄片を末広がりに綴り合わせ、手もとに要をつけ、先を絹の撚糸で編み綴った板扇であり、表に金銀箔を散らし、彩絵して束帯など、平安宮中の公の儀式の際の持ち物でした。木簡から派生したと考えられ、東寺の千手観音像の腕の中から発見された元慶元年と記された物が、我が国最古の檜扇とされている。当初は男性が用い、女性は「はしば」という団扇の一種を持っていましたが、次第に女性も檜扇を用い初め、宮中の女人が常に手にするようになりました。初めから装飾的役割が与えられていたが、特に女性が用いるようになってさらに彩り華やかな物になりました。国風文化が花開く中に優雅さと繊細さを加え、平安時代中期には、三重、五重(みえ、いつえ)と呼ばれる数多い矯数(骨数)の扇ができ、草花、人物などが彩られ、美しい彩糸を長く垂らしていました。 ◆投扇興研究室 http://www.tosenkyo.net/ 更新 2020/02/01 扇を投げて的を落とす…優雅な日本の伝統遊戯「投扇興(とうせんきょう)」をご存じですか? 「聞いたことはあるけど、実際にやったことはない」という方が多いのではないかと思います。 関東では浅草の其扇流が知られていますが、日本全国には様々な流派や形式の投扇興があります。 ここ「投扇興研究室」は、日本中の投扇興を幅広く、色々な視点で楽しめるよう工夫しながらご紹介します。 ◆投扇興とは? 2019.11.09 http://www.tosenkyo.net/whats.htm 「広辞苑」で「投扇興」を引いてみると、次のような説明がされています。 【投扇興】 江戸時代の遊戯の一。台の上に蝶と呼ぶいちょう形の的を立て、1メートルほど離れた所にすわり、開いた扇を投げてこれを落とし、扇と的の落ちた形を源氏54帖になぞらえた図式に照らして採点し、優劣を競う。1773年(安永2)頃から盛行。扇落とし、なげおうぎ。 ≪季・新年≫ ◆大記録・珍記録 2020.02.01 http://www.tosenkyo.net/record.htm 長いこと投扇興をやっていると、いろいろすごい場面を目にすることがあります。単なる伝説にしてしまうのももったいないので、今までに経験してきた事例のうち、特にすごいものをここに書き残しておきます。 なお、ここで挙げるのは、全て浅草の道具とルールにのっとった試合もしくは練習中のことで、おまけに私が見聞きした範囲内だけです。つまり、「公式記録」などという意味合いは全くありませんし、他の大会や例会においてもっとすごい記録が出ていた可能性はもちろんあります。
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飴色の部屋
風の鳴る音で目が醒めた、わずかにマンションが揺れているのがベッドを通して身体に伝わってくる。カーテンを開けるともう朝の7時だというのにまだ外は紺色で、薄暗い。5階の俺のいる部屋の窓は激しくがたがたと震え、そこにときおり風に飛ばされた雨が波しぶきのようにびしゃあと吹き付ける。ベランダに面した大通りの街路樹が激しく靡いている。そこを、出勤中のビニール傘をさしたサラリーマンがひとり、吹き飛ばされそうな傘を両手で懸命に抑えながらずぶぬれで駆けてゆく。テレビをつけるとニュース番組の台風情報の中継が映った。「関東地方は本日の正午過ぎまでは暴風圏内となりますのでむやみな外出はお控えください。」暗いので俺はリモコンで部屋の電気をつける、部屋がぱっと暖かい飴色に染まる。すると、部屋と外界とのギャップのイメージが寝起きでぼんやりとしている俺の頭の中に拡がった。そしてそのコントラストは俺を安心させ、緩やかに恍惚へと導いた。ここは暗黒の時化の中を漂流する安全なシェルターのような部屋。俺がこの絹枝さんの部屋に来てからもう5ヶ月になる。
絹枝さんは綺麗な人だった。色白で首がするりと長く、その上に小さな頭がついていて、肢体も指も細くしなやかで、まるで鶴だった。俺と絹枝さんは最近流行のスマホのマッチングアプリで知り合った。当時仕事を辞めたばかりで暇だった俺はマッチングした女と手当り次第に会っていた。絹枝さんもそんな中の一人だった。俺が今年24歳で絹枝さんはアプリのプロフィールによる���46歳。22も歳が離れていると価値観や人生観がかけ離れていてなにも話が合わないのじゃないか、という懸念があった、しかしいざ会ってみるとそんなこともなく、むしろ絹枝さんとのデートはほかのマッチングした女としたのよりも楽しかった。そして絹枝さんも同様にそうだったのだろうということが彼女の様子から察せられたので俺はすっかり得意になった。それから意気投合した俺たちは度々会うようになった。俺が無職で金がないので会うのは専ら公園とか、河川敷でだった。絹枝さんは「ピクニック好きだからつい張り切っちゃう。」と、いつもお弁当をこさえてきてくれた。絹枝さんの玉子焼きやハンバーグやふきの炊いたんに俺は舌鼓を打った。俺たちはいつも必ず17時には解散した。ふたりの関係は順調だったが絹枝さんが自分の身の上をほとんど話さないのが俺は少し気がかりだった。夫や子供はいるんですか?と訊ねたかったがそのことを絹枝さんから話さないということは、後ろめたさや、なんらかの話したくない理由が絹枝さんにあってのことだろうと思い至り、それならばその話題を俺の方から切り出すのは悪手だと判断し、なのでついぞ彼女にそのことを訊ねることはなかった。そしてあれは5回目のデートのときだった。その日はすばらしい日本晴れで、例の如くふたりで公園のベンチに腰掛け弁当を食べていると、絹枝さんが出し抜けに「あの、スバルくん、変なお願いなしてもいいかな…」「うん、なに?」「もし差し支えなければね、スバルくんに私の部屋に住んでほしくて、だから今度暇な日に一度その部屋を見に来てくれない?だめかな。」と俺に問うた。青天の霹靂だったので俺は吃驚して思わず「え?」と「へ?」の中間みたいな裏返った情けない声を出した。
その部屋は俺の住んでいる実家の最寄り駅から4駅離れた繁華街にあった。タウンマンション「フランシール」505号室、7畳のフローリングの1Kで大通りに面した西向きの部屋。建物の一階には、24時間営業のスーパーが入っている。絹枝さんがキーを差し込みその部屋のドアを開ける。俺がドアの前でたじろいでいると絹枝さんは「ささ、どうぞー」と朗らかに俺を招じ入れた。玄関に踏み込むと強い柑橘の匂いが鼻をついた。俺はそれにあてられて少しくらっとした。「ごめんね、ちょっとルームフレグランスの匂いがきついかも。」そう言いながら絹枝さんはヒールを脱ぎ、玄関に備えてあるルームシューズに履き替える。スカートから伸びるヒールを脱いだ絹枝さんのタイツの脚がとても官能的で、思わず今すぐにそれを撫で回したい、という甘い疼きが俺のなかにムラッと湧いた、しかし俺はその疼きを咄嗟に抑えた。絹枝さんと俺はまだ互いに触れたことがないし、今のところそういった関係に陥る兆候も全くない。しかし絹枝さんは俺に自分の部屋に住んでくれと言う。なによりこの部屋はいったい何なのか、ここが絹枝さんが現在住んでいるところなのかどうかすら、絹枝さんからいまだに聞いていない。いったいこの状況はどういうことなのだろう、と俺は俺に問いかけてみたが、なんの返答も得られなかった。確かなものは、まだ慣れないさっきから鼻をつくこの強い柑橘の匂いと、目の前にある暗闇であえかな白い光をぼんやりと纏った絹枝さんの脚だけだった。そして絹枝さんがぱちっと廊下の電気をつけるとそのあえかなのは見えなくなった。
部屋は簡素なものだった。中央には青い丸いラグが敷いてあり、その上に小さなテーブルが置いてあって、入り口から向かって左の隅にシングルのパイプベッド、そして右の隅にはそのベッドと同じ高さのテレビとルームフレグランスを乗せた棚があるだけだった。「ちょっと狭いけど、大丈夫かな」絹枝さんが潤んだ黒目勝ちの瞳で乞うように俺に問う、俺は自分のなかにまた昏い欲求が渦巻きはじめたのを感じた。「ううん、ぜんぜん、こんぐらいの広さが俺、落ち着く。灯りの暖色も優しくてちょうどいい感じだし、飴色っていうのかな、こういうの。」「よかった、スバルくんがここを気に入ってくれたらってずっと考えていたから、お茶、淹れてくるね。」絹枝さんはそう言ってキッチンへ行った。絹枝さんは足音を立てないで歩くことにこの時気が付いた。「ちょっと渋いかも。」確かに絹枝さんが淹れてくれたお茶はちょっと渋かった。「いけるよ、俺渋い方が好きだし。」「そう、それはよかった。私も渋いのが好き。」そう呟いた絹枝さんの表情はどこか寂しげではかなく翳っていた。俺はそんな絹枝さんを抱きしめたくてたまらなかった。「それでね、この部屋のことなんだけど…」絹枝さんは俺がこの部屋に住む際の条件について滔々と話した。それによると、絹枝さんはこの部屋に水曜日の夜しか来られず、しかも18時から22時までしかここにいられないらしい。そして俺の生活費は月の初めの水曜日にまとめて置いて行き、それは自由に使ってよい。家賃・光熱費は絹枝さんの口座から引き落とされるので心配しなくてよい。別に部屋に誰かを招いてくれてもかまわないが、部屋の内装や家具の配置はできるだけ変えてほしくない、とのこと。俺は単純な冒険心に従ってこの部屋に住むことを快諾した。実家の親には就活がてら友人とルームシェアを始めるかもと適当なでっち上げを話し、事前に家を出て行くことの承諾を得ている。俺は絹枝さんになぜこんな突拍子もない条件で俺をこの部屋に住ませたいのかということは訊ねなかった。それは言いたくないことなのだろうということが、絹枝さんのしぐさを見ているとわかった。なので俺は逆らわず絹枝さんの潮流に身を委ねることにした。それがふたりにとってなにより心地良いことだと俺たちは直感していた。互いに求め合うということは、言葉にせずとも出来るのだと俺は絹枝さんと過ごしているうちに学んでいた。それは、いままでのどんな人間関係においても感じたことのない機微だった。それからこの部屋はお世辞でなく本当に居心地が良かった。まるで、ここが俺が本来帰るべきところだったかのような…絹枝さんと俺はその日も互いに触れることなく22時に部屋から出て、別々に帰宅した。そしてその丁度一週間後の水曜日に、俺は荷物をまとめ絹枝さんの部屋に転がり込んだ。最初はきついなと思っていたルームフレグランスの香りにもすぐ慣れた。
絹枝さんは公約通り、毎週水曜日だけ部屋を訪れた。絹枝さんはきっちり18時に来て家全体の掃除や整理整頓をする。俺はその間に料理を作り、それをテーブルで向かい合って一緒に食べ、ふたりで片付けをして、そして絹枝さんはきっちり22時にどこかへ帰って行く。絹枝さんが置いて行ってくれる生活費は1人で暮らすには十分すぎるほどの額だった。けれど俺はそれを毎月決して余すことなく使い切った。毎日下のスーパーで食材や酒、煙草を買い、それらをひと月のうちに全て消費した。余った端数はサービスカウンターにある盲導犬の教育に充てられる募金箱に入れた。絹枝さんは生活費と一緒に毎月数冊の本も置いて行ってくれた。俺は一日のほとんどを寝て過ごし、それ以外の時間は本を読んだ。俺には読書の習慣があまりなかったのだけれど、この部屋に来てからというものひねもす読書にふけるようになった。なにが俺にそうさせるのかは解らなかった、それはもしかすると、この部屋のせいかもしれない。絹枝さんが置いて行く本にはジャンルの統一がなかった。海外の古典小説もあれば、新書、哲学の書、ガーデニング入門、調理術の本、芥川賞受賞作家のエッセイ、偉人の伝記や果ては日本の暗殺史みたいなニッチなものまでそのバリエーションは多岐にわたる。俺はそれらを食べるように耽読した。本を読んで感じたことや得た知識は生活費を使い切るのと同じように余すことなく絹枝さんに話した。絹枝さんは好きな音楽を聴いているときのように自然体で、ほとんど口を挟むことなく目を瞑って俺の本の話に耳を傾けた。そうしているときの絹枝さんはとても満たされているようだった。そしてそんな絹枝さんを見ていると俺も嬉しくて、もっと本を読んでもっといろいろなことを絹枝さんに聞かせたいと思った。絹枝さんが部屋に持ってくる本を読みそれらを絹枝さんと共有していくうちに絹枝さんのことがいっそうわかっていくような���がした。そしてそんな営みへの没入が深まるのにつれてどんどん日々の境が曖昧になっていった。ゴミ出しと下のスーパーに行く他の外出は全くしなかったし、寂しくてだれかを部屋に呼びたいとも一切考えなかった。俺が絹枝さんに、飴色の部屋に取り込まれて行く。そんな感覚が次第に強くなっていった。そしてそれは俺をこの上なく安堵させるたぐいのものだった。目覚めていてもゆめうつつでまるで水槽の魚のよう。絹枝さんとこの部屋以外のあらゆるものがこの部屋に隔てられて、遠ざかって行く…絹枝さんに与えられた曖昧なねむり、その中でただ絹枝さんを待つこの生活は祈りに似ていた。
台風が去って外はすっかり晴れ、18時になった。いつも通り絹枝さんが来て部屋の掃除をし始めた。俺は今日はマカロニグラタンを拵えた。絹枝さんは喜んで食べてくれた。それから絹枝さんがいつもの渋いお茶を淹れてくれて、俺は例の如く絹枝さんに読んだ本の話を聞かせた。今日はイタロ・カルヴィーノの「見えない都市」についてだった。元の皇帝フビライ・汗が臣下のマルコ・ポーロに自分が旅をした都市を報告させるという内容の、東方見聞録を元にしたこの小説にはさまざまな幻想の都市が登場し、読者はマルコ・ポーロの語る滅びゆく都市や、幻想的でありながらなんらかの現実のメタファーである都市など、様々な都市のイマージュの中を彷徨うことになる。そしてそれらには具体性がいまひとつなく文字通り、見えない。その「見えない」という要素に俺は惹かれた。それは俺にこの部屋を連想させた。この飴色の部屋を形成するのは俺と絹枝さんの不在性とも呼べるものではないだろうか。この部屋は小説の中の幻想の都市のようにたゆたうもの。そんなことを俺は絹枝さんに話した。絹枝さんはいつものように心地良さそうに目を瞑って俺の話を聞いていた。絹枝さんはうん、うん、と穏やかに相槌をうつ。俺が話し終わっても絹枝さんは目を開かなかった。すると、絹枝さんは静かな寝息を立てはじめた。眠っている絹枝さんはどんな絹枝さんよりも調和していて綺麗で、俺はその顔に思いがけず魅入ってしまった。そしてしばらく眺めていると涙がひとすじ、絹枝さんの右目からほろりとつたっていった。おとがいを経て首をつたっていった透明なしずくは絹枝さんのブラウスの襟に吸い込まれていった。静寂の中で俺は絹枝さんのはかない寝息に耳を澄ましていた。世界には絹枝さんの寝息以外の音はなかった。ここでは自分の心の声すら遠く、聞こえなかった。しばらくたって絹枝さんをそのまま寝かしておくか迷ったが、やはり起こすことにした。眠っている絹枝さんの肩を揺するとその紙のような柔らかさ、軽さにどきっとした。絹枝さんはゆっくりと目を開いた。最初その目はまだ眠りの虜で見開かれて尚、なにも見てはいなかった。それから少し遅れて、絹枝さんの意識はまどろみの水底から水面にゆるやかに浮上してきた。「あ、寝ちゃってたね。ごめんごめん、もうこんな時間か、起こしてくれてありがとう。じゃあ帰るね。」と言って絹枝さんはほとんど物音を立てずに帰っていった。やっぱりあの人は鳥みたいだ。と、絹枝さんを見送りながら考えた。その連想はいつもより感傷的な色を帯びていた。
それからその日の夜中、シャワーを浴びて寝支度をしていつも通りだらだらと本を読んでいると、やにはにスマホから着信のコールがなった。電話が鳴るのは、久しぶりだな。画面を見ると「ユカ」の名前が表示されていた。ユカは俺が仕事を辞める直前まで付き合っていた女でまだ俺に気があるらしいということを俺は知っていた。俺は応じるか少し迷って通話マークをタップした。「うん?」「もしもし、久しぶりだね。」ユカの口調がやけに改まっていたので俺はいささか滑稽だった。俺はすっかりそっちの方はご無沙汰だったのでユカをこの部屋へ連れ込んでやろうかと一瞬考えたが、すぐにもう1人の自分がそれはやめろと咎めた。そのもう1人の自分はこの部屋に住み出してから生まれた俺。聖域を第三者との逢い引きで穢したくない俺。「最近調子どう、仕事は見つかった?」「いや、実はまだなんだけど」「えー、それって」ユカの口調が非難めいてきたので反射的にユカの言葉を俺は遮った。「それよりさ、聞いてほしいことがあるんだ…」俺はなぜだか無性にユカに今の自分の境遇やこの部屋のことを話したくなった。そして絹枝さんとこの部屋のことを仔細漏らさずユカに話した。「それって監禁じゃないの?!すぐ警察に電話するから!!!」話を聞き終えるとユカはすごい剣幕で騒ぎ出したのでびっくりした。そしてなぜ俺は馬鹿正直に本当のことを話してしまったのかと後悔した。こんなことを話されたユカがこうやって騒ぐのも客観的に考えてみれば当然のことじゃないか。しかし、絹枝さんのことを昔の女に憚られずありのまま話せたことが少し誇らしくもあった。それほどまでに俺と絹枝さんの関係は俺の���で無防備な優しいものとなっている。俺は適当に言い繕ってユカを宥めた。そしてなんとかユカの怒りも収まって、その場はこと無きを得た。ユカは「知らない人のことをこんなふうに貶したくないけど、やっぱりその絹枝って女なんか得体が知れないし気持ち悪いよ、スバルは主体性がないんだから、ダマされて利用されちゃだめだよ、じゃあもう寝るから。」と言い捨て一方的に通話を切った。ユカとの通話の余韻で頭が痺れている。やっぱりユカに話してよかったな、絹枝さんのこと。突拍子もなくそんな考えが浮かんだ。すると、意識が弛緩してきた。落ち着いてきたらなんだか眠くなってきた。外を見ると、空は薄明るくなっていた。
それからまた一週間後、真昼に珍しく絹枝さんが部屋を訪れた。絹枝さんはいつの間にかリビングに座っていた。音のしない絹枝さんのことだ、俺の気付かぬ間に部屋に入ることなど雑作ないだろう。「今日はスバルくんにどうしても話したいことがあって来たんだ。」俺たちはいつものようにコーヒーを淹れてテーブルに向かい合っている。コーヒーから厚い湯気がもうもうと際限なく立ち昇って絹枝さんの顔が見えない。目を凝らしてもとらえられるのは、湯気ばかり。部屋は湯気でいっぱいだった。なので俺は絹枝さんを見ることを諦め湯気のうねりを観察することにした。そこにはいろいろなイメージが浮かんできた。「なんですか、言いたいことって。」「実はね、この部屋なんだけど、ここは前に私の息子が住んでいた部屋なの。」「ちょうどスバルくんと同じ歳でね、スバルくんと同じように仕事を辞めて、それからはこの部屋で何もせずに茫然と暮らすようになったの。」「息子がこの部屋で一日のほとんどを寝て過ごすようになって、私は息子の好きだった本を実家から持ってきてあげたり、身の回りの世話をして毎日励ましてあげていたんだけど、ある日来てみるとね、息子はそこのドアノブで首を吊って死んでいたの。」「私は息子を忘れることができなかった。夫は反対したんだけど私はこの部屋の契約を切らずに息子が生きていたときと変わらず部屋に通い続け、いつでもまた息子がここで暮らせるように手入れをしていたの。」「そしてそんな生活のなかであなたに出会った。」「ちょうど息子と同じ年齢で似たような境遇のあなたと。」「あなたと共に過ごしているうちに私の確信はどんどん強くなっていった。あなたなら…」「ピンポーン」インターホンの音がした。窓から強い朱色の物憂い西陽が射していた。インターホンがもう一度鳴る。俺はさっきまで眠っていたことに気が付いた。クーラーをつけっぱなしで寝てしまっていたので口の中がカラカラだった。悪寒がする、頭がぐらぐらと昏く重い。背中が冷や汗でびっしょりだった。手元のスマホの時計を見ると18時ぴったりだった。ドアを開けるといつも通りの絹枝さんがいた。「スバルくん…顔色悪いよ、大丈夫?」「…ちょっと風邪気味みたい、絹枝さん悪いんだけどさ、冷蔵庫の中にうどんがあるからちょっと作ってくれないかな。」「うん、わかった。」「ありがとう、じゃあちょっとシャワー浴びてくる。」シャワーを頭から浴びながら俺はさっきの夢を振り払おうと努めた。しかし無理だった。夢の中のような生活をしている今の俺に夢を払拭するのは。「ユカだ。」「ユカの言葉があの夢を呼んだのかもしれない。」足下の排水溝で渦をまく湯を俺はしばらくじっと見つめていた。絹枝さんは梅干しの載った玉子とじうどんをこさえてくれた。ふたりともそれを黙々と食べた。俺が明らかに普段と様子が違うので絹枝さんは少しそわそわしていた。「ごちそうさま、じゃあ片付けてくる。」「うん、ありがとう、ごちそうさま。」絹枝さんはいつものように食器をキッチンに下げて洗い始めた。するとしばらくしてキッチンからやにはに がしゃん と大きな音がした。「大丈夫ですか?」駆けつけると湯飲みが床で割れていた。「うん、大丈夫、ごめんね、つい手元が滑っちゃって。」絹枝さんと屈んで割れた湯飲みのかけらを拾い集めた。絹枝さんの開いた胸が近い、彼女の目尻の皺が以前より深くなっているような気がした。つむじの辺りに少し白髪が目立っているのにそのとき初めて気が付いた。「この女は、誰だろう。」そう思うと同時に俺は絹枝さんの腕を掴んでいた。そして掴んだ手で流し台に絹枝さんのかけらを持った手をゆっくり誘導し、かけらをそこに置かせた。そしてそのまま腕を引いて絹枝さんをベッドの方へ誘った。絹枝さんの身体は冷たく、震えていたが、絹枝さんは何も言わず、一切抗わなかった。俺は部屋の電気を消した。そのとき、俺は飴色の中でいつも絹枝さんを見ていたのだな、ということに気が付いた。俺は絹枝さんを抱いた、俺たちは暗闇のなかでやさしく交わった。事が終わると絹枝さんは何も言わずに帰って行った。外では激しい雨が降り始めていた、雨音はやけにうるさくて俺の気に��った。
そしてそれから二ヶ月が経ち俺は部屋を出て行った。あの夜以降絹枝さんは部屋を訪れなくなった。生活費は月の初めにいつの間にかドアの新聞受けに入れられていた。俺は絹枝さんを抱いた日からこの部屋と絹枝さんに対する執着を失ってしまっていた。絹枝さんもそうなのだろう。俺たちをつなぎ止めていた静電気のように微妙であやふやな力は抱き合うことによって解消されてしまったのだ。俺は絹枝さんに「今までお世話になりました。ありがとうございました。」とだけメールをし、荷物をまとめ、部屋を後にした。それから実家に帰ってほどなくして友人のつてで通販サイトを運営するしがない零細の企業に職を得た。俺は仕事帰りにしばしばあの部屋を通りから仰いでみたが、部屋の飴色が灯ることはもうなかった。
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星辰選集
花鳥誌 令和2年4月号
令和2年1月号の掲載句より再選
坊城俊樹選
この星辰選集は、私が各月の掲載句の中で、雑詠選・撰集選・さいかち集の成績などに関係なく、改めて俳句としての価値が優れていると判断したものを再度選句したものです。 言わば、その号における珠玉の俳句ということになります。
岬マリア寄する日の波月の波 洋子 輪廻とか風になるとか蚯蚓鳴く 耿子 露草の露草色と云ふを供華 雪 秋夕焼稜線黒く烏なく 弘子 黄落をそつと踏みゆく鼓笛隊 月惑 やや寒の絡まりさうな木偶の糸 幸子 秋声の昭和歌謡を博多川 かおり
日の落ちて身に入む肩を引き寄せて 亜栄子 天国の何処の花野を今君は 久子 天道虫一番好きな高さ飛ぶ 走帆 老人が老人さがす大夕焼 朝子 爽やかに明眸ときとして訛る 美穂 秋の水恋ふる人魚の眠る寺 いづみ どんぐりにそれぞれの名のあるものを 悠紀子
屠場への路しらじらと秋暑し ゆう子 ロンドンの傘を流れて秋の雨 彰子 鱗雲空に散骨してしまふ 河公世 蹲踞に小石十字や秋時雨 志津子 過去は今太古の銀河仰ぎけり 幸月 むしやしない茶屋の品書秋めいて 照恵 やや固き隠れの島の新豆腐 伸子
纜の秋潮を曳く齢かな 三郎 俎板に七種叩く庫裡の音 幹也 月光を髪にたくはへ弾くピアノ 晁史 一ぬけて縄とびやめる秋の暮 義人 切株のかさぶたとして毒菌 鯨 百足虫死す百てふ脚の遅れ死す 絹江 天守なき城址の紗とて鰯雲 都
豊穣を行つたり来たり稲刈機 聰 寝返るとベッドの軋む夜長かな 映子 奥院へ天鵞絨めきし赤蜻蛉 美智子 天高く防潮堤に海のこゑ 幸風 灘模糊と海戦を秘め野菊晴 喜美子 杳として金木犀の香を纏ふ 郁子 ことのほか眉目秀麗柏翠忌 利榮
秋声や波立たざれば暗き�� 千種 秋の声羅漢の列の歪みがち 照恵 礎石てふものの寂しさ秋の声 孝江 補聴器のとらへてをりし秋の声 麗子 秋の声メタセコイヤの梢より 三無 シャンデリア余さず点し秋の声 阿佐美 静寂と豆電球に秋の声 緑
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