#民族調ブラウス
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gallerynamba · 2 months ago
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◇TWINSET(ツインセット)◇ブラウスが入荷しました。 定価:50,600円(税込) 弊社通販サイト商品ページ⇒http://www.gallery-jpg.com/item/643-140-338-89/ SPRING&SUMMER 素材: (本体1)コットン95%、亜麻5% (本体2)コットン100% (刺繍)ポリエステル100% (本体3)ポリエステル100% カラー:ホワイト×ブラック サイズ:42 総丈約60cm、肩幅約37cm、袖丈約60.5cm、バスト約98cm、ウエスト約100cm (平置きの状態で測っています。) 額縁と花のモチーフを刺繍で施したコットンリネンのブラウス。 ヨーク部分は透かし刺繍をあしらい、シースルーのデザインになっています。 刺繍は非常に細かく、芸術的。 前身頃のセンター部分はボックスプリーツ。 袖口カフス部分も刺繍をあしらっています。 北欧や中欧の民族衣装の様な雰囲気です。 ※ご覧頂いている媒体により、色の見え方が多少変わる場合がございます。 ※店頭でも同商品を販売しておりますので、通販サイトの在庫反映が遅れる場合があり商品をご用意出来ない場合がございます。予めご了承頂きますようお願い致します。 ━━━━━━━━━■アクセス□━━━━━━━━━         なんばCITY本館の1階     ���阪難波郵便局側から入って1軒目        靴のダイアナ(DIANA)の隣 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Gallery なんばCITY本館1階店 〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波5-1-60 なんばCITY本館1階 【営業時間】11:00~21:00 【休館日】10月無休 【PHONE】06-6644-2526 【e-mail】[email protected]
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bearbench-img · 4 months ago
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アオザイ
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アオザイは、ベトナムの伝統的な民族衣装で、その優雅さと美しさで知られています。通常、軽量で優雅な絹や綿の布で作られ、ゆったりとしたパンツと長袖のブラウスで構成されています。アオザイは、その細身のラインと優雅なシルエットが特徴で、女性の体を美しく強調します。
手抜きイラスト集
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shinjihi · 4 years ago
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伊藤詩織氏が告発した山口敬之氏の独占手記
「詩織」と名乗る女性の勇気ある告発!
2017年5月29日、「詩織」と名乗る女性が、東京・霞が関の司法記者クラブで、たくさんの記者とテレビカメラを前に、私から性的暴行の被害を受けたと主張した。
「性犯罪の被害者と主張する女性が顔を出して記者会見を行った」ということで、多くの新聞、テレビ、週刊誌が大きく扱った。この女性は自らの主張を詳細に説明するとともに、2016年7月の検察の不起訴処分について検察審査会に不服申請を行った、と述べた。
この問題は、この会見に先立つ5月中旬、なぜか『週刊新潮』が「安倍総理べったり記者��準強姦逮捕状」というセンセーショナルなタイトルで報じていた。
私は、週刊誌報道の段階から一貫して疑惑を全否定し続けた。しかしメディアの大半は、「勇気ある告発をした」として女性に寄り添い、私を犯罪者と断定するかのような報道が少なくなかった。
また、複数の野党議員が国会の内外で、女性側に寄り添い、事実認識を誤った質問を繰り返した。そしてなぜか、これら野党の主張に共鳴する集団も、ネット上で女性の主張を鵜みにして私を糾弾し、私や私の家族には「死ね」などという誹謗中傷のメールが殺到した。
事実と異なるあなたの主張によって私は名誉を著しく傷つけられ、また記者活動の中断を余儀なくされて、社会的経済的に大きなダメージを負いました。私は虚偽の訴えに強い憤りを感じました。
しかし4カ月あまりの審理の末、検察審査会は9月21日、「不起訴処分は妥当」との最終結論を出した。「犯罪行為があった」という女性の主張は退けられ、刑事事件としては完全に終結した。
 
この間、私は様々な判断から基本的に沈黙を守ってきた。しかし、女性が民事訴訟を提起したことで状況が変わった。これまでの沈黙の理由も含め、私は自らの見解を「当該女性への書簡」という形で申し述べることにした。
いままで私が、沈黙を守ってきた理由
詩織さん、
あなたは性犯罪被害者ではありません。そして、自分が性犯罪被害者でない可能性があるということを、あなたは知っています。
検察審査会は、一般国民から無作為に抽出された11人のメンバーによって構成されます。
そして、あなたの「犯罪行為があった」という主張と、私の「犯罪行為はなかった」という主張、さらに当局が収集した膨大な客観的な物証に基づく4カ月あまりの審査の結果、検察審査会は「不起訴処分は妥当であった」という結論に達しました。
 
これにより、刑事裁判によって私に犯罪者という汚名を着せようというあなたの企ては、最終的に失敗したわけです。
もしあなたが民事訴訟に打って出なければ、私はこれ以上の議論をしないつもりでいました。それは、これまで沈黙を守ってきた判断と同様に、傷ついているように見えるあなたがさらに傷つく危険性があると判断したからです。
しかし、あなたがあえて「不法行為があった」との主張を民事訴訟の場で繰り返すのであれば、無関係な他者を巻き込んで騒動を継続しようとするならば、私は自らの主張の中身を公表せざるを得ません。
 
それは「あなたの主張が事実と異なっている」ことを示すことを一義的な目的としますが、そのために「全く根拠がないことを事実だと思い込むあなた��有の傾向」まで指摘することになります。
残念ですが、あなたが選んだ道ですから、冷静かつ論理的に、私の主張の一部をここに示すこととします。
 
あなたの主張は、要約すれば「2015年4月3日の夜、抗拒不能な状態で意に反して性行為をされた」ということになります。そしてそれは、「飲食店のトイレから翌朝5時まで継続して意識を失っていた」というあなたの認識に立脚しています。
 
それは全く事実ではありません。また、あなたは自らの主張が正しいと立証することが絶対にできません。このことは、実は捜査段階ですでに明確に示されていました。
だからこそ検察官は不起訴処分という結論に達し、検察審査会もその判断が妥当という最終結論に至ったのです。私はこれから、その詳細を5つの事象に分けて説明します。
①「デートレイプドラッグ」
②「ブラックアウト」(アルコール性健忘)
③詩織氏特有の性質
④あとから作られた「魂の殺人」
⑤ワシントンでの仕事への強い執着
①「デートレイプドラッグ」――間違った主張のはじまり
あなたの「犯罪被害に遭った」という主張は、「私はお酒ですっぽり記憶を失くした経験はない」から、「山口氏にデートレイプドラッグを混入されたと思っている」という点からスタートしています。
 
私はそれを聞いて本当に驚きました。私はそもそも、デートレイプドラッグというもの自体を知らなかったからです。しかも、当夜の状況を見れば、私があなたのグラスにいかなる薬物も混入させることなどできなかったことは明白です。
2015年4月3日、我々は東京・恵比寿の2軒の店で飲食しました。1軒目は庶民的な串焼き店、2軒目はカウンターの寿司店。2軒とも、10数人も座ればいっぱいになる、小さいけれども明るいオープンカウンターの店で、客は店主と向き合って座ります。
1軒目の串焼き店はほぼ満席で、我々の両サイドにお客さんが座っていました。2軒目の寿司店もたくさんのお客さんで賑わっており、ほぼ満席でした。
 
当地で生まれ育った私にとって、両店は20年以上通う行きつけのお店です。あなたも記憶していると希望しますが、私はどちらの店でも、馴染みの店主やその奥さんと親しく談笑しました。
 
あの夜、あなたはいろいろな種類の酒を飲みましたね。1軒目の店に座ってほどなく、私はあなたの飲むペースが非常に早く、かなり強いお酒をぐいぐいと一気飲みのように飲むことに気が付きました。
少し心配になり、
「大丈夫ですか?」
と訊きました。するとあなたは、
「喉が渇いているので。お酒は強いほうだから大丈夫です」
と答え、その後もハイペースで飲み続けました。
私は少し驚きながらも、いい大人なのだからと、それ以上は警告をし��せんでした。もちろん、私があなたに飲酒を強要したことは一切ないこともお認めになりますね?
結局、あなたは2軒の店でビール、サワー、ワイン、日本酒を飲んだ。そして2軒目の寿司店で、当夜1回目のトイレに立って、そこで酔いつぶれた。あなたは記憶を失ったのは2回目だったと主張しています。
しかし、あなたが寿司店でトイレの場所を私に訊いてから席を立ち、その後、戻ってこなかったので私はよく覚えているのです。酔いつぶれてしまった女性が、直前のトイレの回数を正確に覚えているというのも不思議な話です。
あえて2回目と主張しているのは、そう主張することで私に薬を入れる機会があったと主張するためではありませんか?
 
要するに、あの夜、あなたが飲んだ全てのアルコールのグラスは、ずっとあなたの目の前にあったのです。
 
百歩譲って、あなたがつぶれたのが2回目のトイレだとしても、ほぼ満席の客でごった返す明るいカウンター席の店で、顔馴染みの店主や従業員のいる前で、女性のグラスに薬品を入れることなどできるはずもありません。
「山口に違法ドラッグを飲まされた」
しかも驚くべきことに、あなたは薬を入れているところを見たわけでも、その後、目撃証言を得たわけでもなく、「私は酒に強いはずなのに、急に酔いが回ったから、山口に薬を盛られたに違いない」と言うのです。
失礼千万な話です。
 
あなたの言う「デートレイプドラッグ」は、その後、調べてみたところ、町の薬局で手に入るものではなく、ほとんどがインターネットを通じた取引だということですね。
私は所有していたすべてのパソコン、携帯電話、タブレットなど、ありとあらゆる物を警察に提供しましたが、違法薬物の購入や使用に繋がる物証は一切ありませんでした。
 
もし私が違法薬物を入手したり使用したりしたのであれば、日本の優秀な警察機構は何らかの手掛かりを見つけたはずですが、あなたの主張を聞いたにもかかわらず、そんなものはなかった。
串焼き店、寿司店でも捜査員が証言を集めに回ったことが確認されていますが、そこでも薬物混入を示す証言は一切なかったのです。
当たり前です。繰り返しますが、私はあなたの言う「デートレイプドラッグ」などというものは、聞いたことも見たこともないのです。
 
あなたはただ、「自分の酒量を過信して飲みすぎた」だけなのです。それはよくあることで、そのこと自体を強く責める気はしません。
しかし恐るべきは、その後のあなたの見解です。自分の飲みすぎを認めないばかりか、何の証拠もなく、「山口に違法ドラッグを飲まされた」という前提で主張のすべてを組み立てている。
 
記者会見で、デートレイプドラッグを盛られたという主張をした際に、あなたは「他に思い当たる節もある」と述べました。それは何を指しますか? 明確に示して下さい。
そんなものはあるはずがない。あなたの勘違いと思い込みなのだから。ありもしない証拠や傍証を、あたかも存在するかのように記者会見の場で匂わせるのは、卑怯なやり方です。
②ブラックアウト(アルコール性健忘)
繰り返しますが、あなたはいかなる薬物も混入されていません。ただ、飲みすぎただけです。
その一方で、あなたは記者会見で「私は酒に強く、泥酔��たり酔いつぶれたりしたことはない」と主張しました。ということは、あのように泥酔してしまったのは人生で初めての経験ということになりますね。
 
それならば、あなたは酒の過剰摂取の影響下で、自分がどう行動するか、そして、その行動をどこまで記憶しているか、経験がないから類推できない。これが、今回の問題の核心部分です。
 
寿司屋でトイレに入ったあなたは、長い間出てこなかった。心配になった店の方に促されて、ようやく出てきたあなたは、見るからに酔っぱらっていました。驚いた私は、やむなく急いで会計を済ませました。
 
店を出たのは22時半から23時頃だったと思います。店を出る段階で、あなたは足元が覚束なかった。そして、店の入り口左手にあった荷物置きの棚から、あなたは自分のショルダーバッグに加えて、他のお客さんのカバンも持って出てしまったことが、あとになってわかっています。
誰が見ても、一人で電車に乗って帰すことは困難な状態でした。
 
しかし、私は当時、TBS報道局のワシントン支局長を務めていたので、ワシントン時間の午前中、すなわち日本時間の23時過ぎまでに済ませなければならない作業(メール確認やパソコンでの調査・連絡)を複数抱えていました。
神奈川県に住んでいるあなたを送っていったら作業が時間内に終わらない。しかし、あなたは自力では帰れそうにない。私はやむなく、当時逗留していたホテルで休んで酔いを醒ましてもらい、自分の作業を終えてから送って帰るしかないと判断しました。
「意識のない状態で部屋に連れ込まれた」
あなたはタクシー運転手の証言を元に、「『駅で降ろしてください』と言ったのにホテルに連れて行かれた。だからその段階で犯意があったのだ」というストーリーを作ろうとしているが、とんでもないことです。
そもそもあなたは、「寿司店のトイレ以降、記憶がない」と主張しています。あなたが相当程度酔っていたことは、あなたも認めているのです。
実際、あなたはそのタクシーのなかで嘔吐したではありませんか。嘔吐し、朦朧とした泥酔者が「駅で降ろしてください」と言ったからといって、本当に駅に放置すべきだと思いますか?
 
私が宿泊していた白金高輪のシェラトン都ホテルに到着すると、私は泥酔しているあなたがタクシーから降りるのを手伝いました。あなたはタクシーのなかで嘔吐したこともあって、傍目には少し回復したように見えました。
そして、千鳥足ではありますが、自分の足で歩きました。
 
このホテルでの移動について、あなたは「意識のない状態で部屋に連れ込まれた」と主張していますが、それはあなたが何と言おうと物理的に全く不可能です。ホテルの1階ロビーは、車寄せからエレベーターホールまで100メートルほどあります。
もしあなたの主張どおり、全く意識がない状態だったとしたら、私はあなたを抱えて、どうやって100メートルも移動したというのでしょうか? 
衆人環視のなか、正体不明の大人の女性を荷物のように背負ったり、引きずって歩いたりしたとでもいうのでしょうか?
あのホテルは、車寄せから入り口を入ると、まずドアマンや荷物係が待機しており、正面には24時まで営業している大規模なラウンジ、そして右手に曲がるとホテルフロントがあり、レセプションの人やコンシェルジェ、案内係がズラリと並んでいます。
意識を失っている、あるいは意に反して無理矢理移動させられている女性がいたとして、一流ホテルの訓練された接客のプロたち全員が、それを見逃すということがありうるでしょうか?
 
しかも、4月3日は金曜日で、ロビー階では多くの宿泊客やレストランの利用客が往来していました。あなたの主張がいかにありえないかは、金曜日の夜11時に、都ホテルに行ってみればすぐにわかります。
 
実際のあなたは、2つのカバンを自分で持って、自分の足でヨタヨタと歩いたのです。もちろん、千鳥足ではありましたから、私はあなたが転ばないように注意はしましたが、移動を無理強いしたり、あるいは担いだり引きずったりは一切していません。
防犯カメラに映っているのも、「意識のないあなた」ではなく、「酔っぱらっているけれども何とか自力で歩けるあなた」です。
 
要するにあなたは、犯罪行為が行われたという主張の根幹をなす「意識のない状態が朝まで続いた」という認識の一環として、「ホテル到着時も意識がなかった」との立場をとっていますが、あなたの主張は物理的にありえないのです。
 
私の部屋がある階でエレベーターを降りたあとも、あなたは自分の足で普通に歩きました。私が部屋の鍵を開けると、あなたは私を押しのけて先に部屋のなかに入り、小走りに窓際に向かいました。そして、いきなり嘔吐しました。
あなたは、いびきをかいて、寝ていた
私は翌朝、アメリカに帰ることになっていたので、パッキング前の荷物を窓際にまとめて置いていましたが、その上にも吐瀉物が飛び散りました。
自分の荷物を汚されて少なからず驚いていると、あなたは今度は踵を返して、無言でトイレに駆け込みました。あなたの吐瀉物をタオルで拭いておりますと、トイレのなかから嘔吐する大きな音が2度しました。
 
正直に言って、本当に迷惑でした。やらなきゃならない仕事を抱えて、翌日の移動のためにパッキングもしなければならないのに、荷物をゲロまみれにされたうえにトイレを占領されている。
しかし、早く済ませなければならない作業が複数あったので、私はやむなくパソコンに向かいました。仕事が一段落してもあなたがトイレから出てこないので、私は心配になってドアをノックしました。
すると、なかからかすかな声が聞こえたのでドアノブを回すと、ドアは施錠されていなかったため、ドアを開けてなかを見ると、あなたは尻もちをついて、トイレとバスタブの間に座り込んでいました。ブラウスとスラックスは、大量の吐瀉物で汚れていました。
 
私は吐瀉物が苦手なので自分も吐きそうになりましたが、このまま放置すると喉に物を詰まらせて事故を起こす可能性もあったので、やむなくなかに入って吐瀉物をタオルで拭い、あなたを起こそうと努力しました。
あなたは謝罪ともうめき声ともつかない声を上げながら、なんとか自ら起き上がりました。そしてゲロまみれのブラウスを脱ぎ、部屋に戻るとベッドに倒れ込み、そのまま寝てしまったのです。
 
私はあなたのあまりの痴態に怒り呆れましたが、翌日着るものがないとかわいそうだと思い、トイレに放置されたあなたのブラウスのゲロを拭って浴室に干しました。
また、バスルームの床面もゲロまみれだったので、シャワーで洗い流すなどして部屋に戻ると、あなたはいびきをかいて寝ていました。
 
部屋はツインで、シングルベッドが2つありました。前日まで私が寝ていたベッドはあなたに占領され、もう1つのベッドは、ベッドメイキングを壊さないままパッキング前の衣類などを並べていました。
私が全ての仕事を終えても、あなたは相変わらずいびきをかいて眠りこけていたので、私は荷物置き場にしていたベッドの、わずかに空いたスペースに身を横たえました。
下着姿でミネラルウォーターをごくごく。そして――
部屋に入ってどのくらい時間が経ったのか。
 
私がまどろんでいると、あなたが突然起き出して、トイレに行きました。ほどなくトイレが流れる音がして、下着姿のあなたが戻ってきました。
「喉が渇いたのですが、飲み物をもらってもいいですか?」と言って、あなたがホテルの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、自分でキャップをひねって開けて直接飲みました。
下着姿であることを全く気にしていないのには少し驚きましたが、外国生活が長いせいかなと類推したのを覚えています。
 
そして、ペットボトルの水を何度かごくごくと飲んだあなたは、私が横たわっているベッドに近寄ってきて、ペットボトルをベッドサイドのテーブルに置くと、急に床に跪いて、部屋中に吐き散らかしたことについて謝り始めました。
面食らった私は、ひとまずいままであなたが寝ていたベッドに戻るよう促しました。
 
ここから先、何が起きたかは、敢えて触れないこととします。あなたの行動や態度を詳述することは、あなたを傷つけることになるからです。
はっきり言えるのは、私はあの日、あなたに薬物を飲ませたり、いやがるあなたを部屋に連れ込んだりしなかったのと同様に、部屋のなかでもあなたの意思に反する行動は一切していないということです。
もし、あなたが覚えていることがあり、自分で差し支えないと考えるなら遠慮なく言って下さい。
誰も証明できない「密室」での出来事
もうひとつ強調したいのは、トイレから戻ったあとのあなたは、立ち居振る舞いもしゃべり方も正常で、すっかり酔いから醒めたように見えたということです。
それまでに複数回にわたって大量に嘔吐したあと熟睡したので、それで楽になったのかなと思いました。その後しばらくして、あなたはまた眠りに落ちました。
要するに、あなたは「朝まで意識がなかった」のでは決してなく、未明の時間に自ら起き、大人の女性として行動し、そしてまた眠ったのです。
 
あなたはこのことを覚えていないのかもしれない。あるいは覚えていたが忘れてしまったのか��しれない。あるいは覚えているのに黙っているのかもしれない。
それは私にはわからない。密室での出来事ですから、誰も証言してくれる人はいない。
 
しかし、1つ��け客観的な事実を示すことができます。私は一時帰国の期間中、1度もホテルの冷蔵庫の飲み物を消費していません。室内のミニバーの飲料はどれも高価で、好みのものもなかったので、飲み物はコンビニで買って持ち込んでいました。
だから、7日間の滞在で、唯一の冷蔵庫の出費こそが、あなたが飲んだミネラルウォーターだったのです。
 
このことは、ホテルの領収書によって簡単に証明できます。あなたは、未明に自分で起きて、トイレに行ったあと、自ら冷蔵庫を開け、自分の力でペットボトルのふたを開け、飲んだ。
これはあなたの「朝まで全く意識がなかった」という主張とは完全に矛盾します。
 
その後、あなたが被害届を出して、私は警察の聴取に全面的に協力しました。そのなかで、深夜のあなたの覚醒と再睡眠について何度も質問されました。
ペットボトルのことも含め、私は覚えていることを繰り返し詳細に話しました。おそらく捜査員は私から聞いたことを踏まえてあなたに確認し、その答えを踏まえてまた私に聞き直すということを繰り返したのでしょう。
何回か聴取が繰り返されたあと、捜査員は私にこう言いました。
「あなたの供述は何度聞いても詳細で矛盾がない。他方、詩織さんは朝まで記憶がなかったと言っている。双方の主張は一見矛盾しているようだが、2人ともウソをついていない可能性が1つある。それは『ブラックアウト』だ」
 
英語でブラックアウトと言えば、真っ先に浮かぶのは停電です。しかし、捜査員の言うブラックアウトは違いました。アルコールの影響で、記憶の一部または全部が欠落してしまう現象のことをいうらしい。
たしかに、酒を飲みすぎてどうやって家に帰ったか覚えていないという話は珍しいものではありません。自力で歩き、自分でカギを開け、部屋まで辿り着いて寝たが、ただその経過の記憶だけがすっぽりと抜け落ちている。
 
それでも、最初に捜査員にブラックアウトの可能性を指摘された時には、私はにわかには信じられませんでした。
というのは、トイレから戻って再び眠るまでのあなたの行動は所作も会話も全く正常で、のちに記憶を失うような泥酔した状態とは到底思えなかったからです。そのことも捜査員に指摘しました。
 
しかし、医学的に「アルコール性健忘」といわれるこの現象は、アルコールの過剰摂取によって、脳内で記憶を司る「海馬」という組織の機能だけが低下することによって起きるため、傍から見ると当人の行動は、まったく酔っていないように見えるといいます。
普通に歩き、しゃべり、飲食をしているが、その状況を記憶として脳に保存することだけができない。もし当夜、そういう状況にあったのであれば、「朝まで記憶がなかった」とあなたが主張したとしても、辻褄が合うのです。
(つづく)
(初出:月刊『Hanada』2017年12月号)
【独占手記】私を訴えた伊藤詩織さんへ「後編」
③詩織氏特有の性質――「盗撮されたに違いない」
捜査員が示した可能性は、簡単に言えば「飲みすぎて記憶が飛んでしまった」という、酒飲みにとってはよくあるありふれた話です。
���かし、しかしです。私と同じく、あなたも捜査員からブラックアウトの可能性について説明を受けたはずだ。そして、あなたは記憶がないからこそ、「ブラックアウトではなかった」と断言することは絶対にできない。
 
しかも、あの夜は人生で初めて自分の酒量の限度を超えて飲んでしまったのだから、なおさらです。
それまでの人生でアルコール性健忘の経験がなかったからといって、その現象が自分には絶対に起こりえないと断定するのは、少し独り善がりが過ぎませんか? 
そして、「自分が飲みすぎたはずはない」という無理な論理を補強するために、根拠もないのに「デートレイプドラッグ」などという違法薬物の話を思いついたのではありませんか?
 
そこで、私が指摘せざるを得ないのが、あなた特有の思考傾向です。
たとえば、あなたは朝起きてテーブルの上に私のパソコンがあるのを見て、咄嗟に「盗撮されたに違いない」と思ったと述べていますね。そしてそれが、警察が強制捜査に着手するきっかけになったとも言っています。
 
私のような仕事をしている人間は、例外なくパソコンを使っている。部屋にパソコンがあるからといって、自分が盗撮されたと思い込むというのは、あまり普通の思考回路ではない。
実際、そのパソコンは警察に提出され、盗撮映像など一切出てきませんでした。当たり前です。私は盗撮などしていないからです。
 
それから、あなたは「独自調査の結果、得られた新しい証拠を検察審査会に提出した」とも述べました。そこで例示したのがタクシー運転手の証言でした。しかし警察は、そのタクシー運転手から早い段階で聴取を行っていました。
その証言に基づいて、私は捜査員から何度も質問されている。そのことはあなたも知っている。その証言も踏まえた捜査が行われ、検察官は不起訴という判断を下したのです。
「自分は酒に強いから薬物を盛られたに違いない」
「ブラックアウトは、自分には起こり得ない」
「パソコンがあるなら盗撮されたに違いない」
「自分は初めて聞いたから、新証拠だ」
 
あなたの思考パターンには、まず強い自意識があって、自分を被害者、私を悪意ある犯罪者と思い込むことによって、全ての事象をそのストーリーにはめ込もうとしているのではないか。
その結果、冷静な判断ができなくなり、結果として事実ではないことや根拠のないことを、自ら信じ込んでしまっているのではないか。そう考えざるを得ないのです。
④あとから作られた「魂の殺人」――「レイプは魂の殺人です」
ここまでは、「~に違いない」というあなた特有の思考パターンから、私を犯罪者と思い込むに至った流れを類推しました。
 
しかしこれから述べることは、アルコールという外的要因によって起きた、いわば不可抗力的なものではありません。事後、あなたの心の内部で時間の経過とともに深まっていった、不可解な「後付けの被害者意識」についてです。
 
あなたは記者会見で、「私はレイプされました」 「内側から殺されました」 「レイプは魂の殺人です」と、非常にエモーショナルに訴えた。
しかし、その激しい怒りと憎悪は、最初から一貫したものではなかったことを証明します。それは、事後のあなたの行動と発言を精査することによって、はっきりと浮かび上がります。
 
あなたは「給水タンクに寄りかかってから朝まで意識がなかった」という前提の下で、自分がレイプされたと朝の段階で確信し、口論の末に逃げるように部屋を出たと主張している。
しかし、あなたの翌朝の行動は、明らかにあなたの主張と矛盾しています。まずは翌朝のあなたの様子について、私の覚えている限り記述します。
 
1度未明に起きたあと、再び眠りに落ち��あなたは、朝になってもう1度起きた。そして、私とごく普通の会話をし、ごく普通にホテルの部屋を出ていった。途中、1回だけ英語で少し大きな声を出しました。
「I fucked without contraceptives.」(避妊しないでやっちゃったわ)
 
急に英語で大声を出し、しかもfucked というあまり上品でない単語を使ったので、私は違和感を覚えましたが、あなたがすぐに日本語に戻ったので、特に気にしませんでした。
日本語の会話は、通常の音量で平穏な口調で、その日の予定や今後の連絡の取り方など、差し障りのない雑談でした。「口論の末逃げ帰った」というあなたの主張は、事実とかけ離れています。
なぜ「レイプ犯」のTシャツを着て帰ったのか?
しかし、もしあなたが朝の段階で私にレイプされたと思っていたのであれば、絶対にしないはずの行動をし、絶対にしたはずの行動をしていない。
まず、絶対にしないはずの行動について説明しましょう。
 
朝起きてトイレから戻ってきたあなたは、浴室に干されていたブラウスを手に、
「ブラウスが少し生乾きなんだけど、Tシャツみたいなものをお借りできませんか」
 
あなたのブラウスは化繊の薄手のもので、朝までに相当程度乾いていたため、濡れて着用できない状況ではないように見えました。
しかし、私としては別に断る理由もなかったので、パッキング途中のスーツケースを指し、
「そのなかの、好きなものを選んで着ていっていいですよ」
と言いましたね。
あなたはスーツケースから、私のTシャツのうちの1つを選び、その場で素肌に身に着けました。覚えていないとは言わせません。
レイプの被害に遭ったと思っている女性が、まさにレイプされた翌朝、レイプ犯のTシャツを地肌に進んで身に着けるようなことがあるのでしょうか?
 
私はこのTシャツの末についても、捜査員に伝えました。そして、できれば返してほしいとお願いした。
しかし捜査員は、
「いまはまだ捜査の途中だから、物品の返却についてはもう少しあとで考えましょう」
と言われました。
結局、私はそのTシャツを未だに返してもらっていません。そのTシャツの存在を認めると、自分の主張の辻褄が合わなくなるからですか?
あなたは記者会見で、自分が受けたと主張する「被害」について、「レイプという行為は私を内側から殺しました。レイプは魂の殺人です」とまで表現しました。
そこまで言うのであれば、いまのあなたは、私のTシャツを素肌に身に着けることなど、おぞましくて決してできないでしょう。
 
それならば、「あの朝のあなた」と「いまのあなた」の感情は、全く種類が異なっていることは明らかです。すなわち、あなたの強い被害者意識は最初からあったのではなく、あとから時間をかけて醸成されたものだということになります。
「レイプ犯」に送った「お疲れ様です」メールの謎
そしてもう1つ。「薬物を盛られてレイプの被害に遭った」と思っている人ならば、絶対にしたはずの行動をあなたはしなかった。それは病院での検査内容にかかわることです。
あなたは、ホテルを出て数時間後に婦人科に行ったと証言しているが、そこでどんな検査を受けましたか? 
妊娠していないかどうかだけを検査し、ピルをもらったと言っている。ホテルの部屋での、英語の独り言の内容と符合します。
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hisoca-kyoto · 3 years ago
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「unique」展も3日目となりました。週末に在廊くださいますkitsukiさんからご紹介します。企画展のために今回たくさんの作品を制作いただきました。クバ布というアフリカのコンゴ族が生み出したアンティークファブリックを使って、民族的な要素にビーズやステッチ刺繍、オーガンジーなどを組み合わせて洗練されたkitsukiさんならでの世界を作られています。武蔵野美術大学を卒業されたのちテキスタイルメーカーにお勤めされ、生地に触れる仕事をされていた頃から色々なファブリックやビーズ・刺繍に興味を持つようになり自然な流れでご自身のアクセサリーを作られようになられたそうです。個性が光るアクセサリーですが、身につけると自然と肌の色にも馴染み、色合わせや異素材の組み合わせも絶妙で美しく、コーディネートのポイントになって新しい扉を開けていただけると思います。
初日より皆さんが楽しみにされていたのはバングルで、太めのタイプを探されている方が多いです。これからの季節はブラウスやセーターの上からつけていただいても手元が印象的になって良いですよ。ワイヤーが入っていますのでご自身の手首に合わせて��を調節することができます。細いタイプも色々みていただけますのでぜひこの機会もお見逃しなくです。
ヘアゴムもサイズもカラーもたくさんバリエーションを作って下さいました。髪の毛はもちろん、手首にブレスレットの様につけても良いです。こちらもワイヤーが入っていますので形の調節ができます。1点だけポニーフックもご覧いただけます。
イヤリングとピアスもサイズもカラーも形も様々で選ぶのが楽し口なりますよ。ビーズをふんだんに使ったタッセルが素敵なタイプや耳に寄り添うタイプ、揺れるタイプや天然石との組み合わせなどぜひこの機会に色々試して選んでいただきたいです。イヤリングの大きさの参考に3点装着してみました。
kitsukiさんは明日より2日間在廊くださいます。在廊日に限り、今回制作いただきましたアイテムを参考にしながらオーダーもお受けいたします。在廊の時間帯をご確認いただきぜひこの機会を楽しんでいただけますように。
2日(土)11:00  〜 18:30 ・3日(日)11:00  ~ 16:00
*なお明日は18時半までのオープンとなります。お気をつけくださいませ。
今日は19時までオープンしております。明日・明後日の日曜日もお待ちしております!
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groyanderson · 3 years ago
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ひとみに映る影シーズン2 第六話「どこまでも白い海で」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、 誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。) ☆キャラソン企画第六弾 金城玲蘭「ニライカナイ」はこちら!☆
དང་པོ་
 アブが、飛んでいる。天井のペンダントライトに誘われたアブが、蛍光灯を囲う四角い木枠に囚われ足掻くように飛んでいる。一度電気を消してあげれば、外光に気がついて窓へ逃げていくだろう。そう思ったのに、動こうとすると手足が上がらない。なら蛍光灯を影で覆えば、と思うと、念力も込もらない。 「一美ちゃん」  呼ばれた方向を見ると、私の手を握って座っている佳奈さん。私はホテルの宴会場まで運ばれて、布団で眠っていたようだ。 「起きた?」  障子を隔てた男性側から万狸ちゃんの声。 「うん、起きたよ」 「佳奈ちゃん、一美ちゃん、ごめん。パパがまだ目を覚まさなくて……また後でね」 「うん」  佳奈さんは万狸ちゃんとしっかり会話出来ている。愛輪珠に霊感を植え付けられたためだ。 「……タナカDはまだ帰って来ないから、私が一美ちゃんのご両親に電話した。私達が千里が島に連れてきたせいでこんな事になったのに、全然怒られなかった。それどころか、『いつか娘が戦わなければいけない時が来るのは覚悟していた。それより貴女やカメラマンさんは無事なのか』だって……」  ああ。その冷静な受け答えは、きっとお母さんだ。お父さんやお爺ちゃんお婆ちゃんだったらきっと、『今すぐ千里が島に行って俺が敵を返り討ちにしてやる』とかなんとか言うに決まってるもん。 「お母さんから全部聞いたよ。一美ちゃんは赤ちゃんの時、金剛有明団っていう悪霊の集団に呪いをかけられた。呪われた子は死んじゃうか、乗り越えられれば強い霊能者に成長する。でも生き残っても、いつか死んだら金剛にさらわれて、結局悪い奴に霊力を利用されちゃう」  佳奈さんは正座していた足を崩した。 「だけど一美ちゃんに呪いをかけた奴の仲間に、金剛が悪い集団だって知らなくて騙されてたお坊さんがいた。その人は一美ちゃんの呪いを解くために、身代わりになって自殺した。その後も仏様になって、一美ちゃんや金城さんに修行をつけてあげた」  和尚様……。 「一美ちゃんはそうして特訓した力で、今まで金剛や悪霊と戦い続けてた。私達と普通にロケしてた時も、この千里が島でもずっと。霊感がない私やタナカDには何も言わないで……たった一人で……」  佳奈さんは私から手を離し、膝の上でぎゅっと握った。 「ねえ。そんなに私達って信用できない? そりゃさ。私達は所詮、友達じゃないただの同僚かもしれないよ。けど、それでも仲間じゃん。幽霊見えないし、いっぱい迷惑かけてたのかもしれないけど」  ……そんな風に思った事はない、と答えたいのに、体が動かなくて声も出せない。 「いいよ。それは本当の事だし。てかだぶか、迷惑しかかけてこなかったよね。いつもドッキリで騙して、企画も行先も告げずに連れ回して」  そこは否定しません。 「だって、また一美ちゃんと旅に出たいんだもん。行った事のない場所に三人で殴り込んで、無茶して、笑い合って、喧嘩して、それでも懲りずにまた旅に出るの。もう何度も勝手に電源が落ちるボロボロのワイヤレス付けて、そのへんの電器屋さんで買えそうなカメラ回して���。そうやって互いが互いにいっぱい迷惑かけながら、旅をしたいんだよ」  …… 「なのに……どうして一人で抱えこむの? 一美ちゃんだって私達に迷惑かければいいじゃん! そうすれば面白半分でこんな所には来なかったし、誰も傷つかずに済んだのに!」 「っ……」  どの口が言うんですか。私が危ないって言ったって、あなた達だぶか面白半分で首を突っ込もうとする癖に。 「私達だって本当にヤバい事とネタの分別ぐらいつくもん! それとも何? 『カラキシ』なんて足手まといでしかないからってワケ!?」 「っ……うっ……」  そんな事思ってないってば!! ああ、反論したいのに口が動かない! 「それともいざという時は一人でどうにかできると思ってたワケ? それで結局あの変態煙野郎に惨敗して、そんなボロボロになったんだ。この……ダメ人間!」 「くっ……ぅぅうううう……」  うるさい、うるさい! ダメ人間はどっちだ! 逃げろって言ったのにどうして戻ってきたんだ! そのせいで佳奈さんが……それに…… 「何その目!? 仲間が悪霊と取り残されてて、そこがもう遠目でわかるぐらいドッカンドッカンしてたら心配して当然でしょ!? あーそうですよ。私があの時余計な事しなければ、ラスタな狸さんが殺されて狸おじさんが危篤になる事もなかったよ! 何もかも私のせいですよーっ!!」 「ううう、あああああ! わああぁぁ!」  だからそんな事思ってないってば!! ていうか、中途半端に私の気持ち読み取らないでよ! 私の苦労なんて何も知らなかったクセに!! 「そーだよ! 私何もわかってなかったもん! 一美ちゃんがひた隠しにするから当たり前でしょぉ!?」 「うわあああぁぁぁ!! うっぢゃぁしいいいぃぃ、ごの極悪ロリーダァァァ!!」 「なん……なんだどおぉ、グスッ……この小心者のっ……ダメ人間!」 「ダメ人間!」 「ダメ人間!!」 「「ダメ人間ーーーっ!!!」」  いつの間にか手足も口も動くようになっていた。私と佳奈さんは互いの胸ぐらを掴み合い、今まで番組でもした事がない程本気で罵り合う。佳奈さんは涙で曇った伊達眼鏡を投げ捨て、私の腰を持ち上げて無理やり立たせた。 「わああぁぁーーっ!」  一旦一歩引き、寄り切りを仕掛けてくる。甘いわ! 懐に入ってきた佳奈さんの右肩を引き体勢を浮かせ、 「やああぁぁぁーーっ!!」 思いっきり仏壇返し! しかし宙を回転して倒れた佳奈さんは小柄な体型を活かし即時復帰、助走をつけて私の頬骨にドロップキックを叩きこんだ!! 「ぎゃふッ……あヤバいボキっていった! いっだあぁぁ!!」 「やば、ゴメン! 大丈夫?」 「だ……だいじょばないです……」  と弱った振りをしつつ天井で飛んでいるアブを捕獲! 「んにゃろぉアブ食らえアブ!」 「ぎゃああああぁぁ!!!」 <あんた達、何やってんの?> 「「あ」」  突然のテレパシー。我に返った私達が出入口を見ると、口に血まみれのタオルを当てて全身傷だらけの玲蘭ちゃんが立っていた。
གཉིས་པ་
 アブを外に逃がしてやり、私は玲蘭ちゃんを手当てした。無惨にも前歯がほぼ全部抜け落ちてしまっている。でも診療所は怪我人多数で混雑率二〇〇%越えだという。佳奈さんに色んな応急手当についてネットで調べてもらい、初心者ながらにできる処置は全て行った。 「その傷、やっぱり散減と戦ったの?」 <うん。口欠湿地で。本当に口が欠けるとかウケる> 「いや洒落になんないでしょ」 <てか私そもそも武闘派じゃないのに、あんなデカブツ相手だなんて聞いてないし> 「大体何メートル級だった?」 <五メートル弱? 足は八本あった>  なるほど。なら牛久大師と同じ、大散減の足から顕現したものだろう。つまり地中に潜む大散減は、残りあと六本足。 <てか一美、志多田さんいるのに普通に返事してていいの?> 「あ……私、もうソレ聞こえてます」 <は?>  私もこちらに何があったかを説明する。牛久大師が大散減に取り込まれた。後女津親子がそれを倒すと、御戌神が現れた。私は御戌神が本当は戦いたくない事に気付き、キョンジャクで気を正した。けど次の瞬間金剛愛輪珠如来が現れて、御戌神と私をケチョンケチョンに叩き潰した。奴は私を助けに来た佳奈さんにも呪いをかけようとして、それを防いだ斉二さんがやられた。以降斉一さんは目を覚まさず、タナカDと青木さんもまだ戻ってきていないみたいだ、と。そこまで説明すると、玲蘭ちゃんは頭を抱えて深々とため息をついた。 <最ッ悪……金剛マターとか、マジ聞いてないんだけど……。てか、一美もたいがい化け物だよね。金剛の如来級悪霊と戦って生きて帰れるとか> 「本当、なんで助かったんだろ……。あの時は全身砕かれて内臓ぜんぶ引きずり出されたはずなんだけど」 <ワヤン化してたからでしょ> 「あーそっか……」  砕けたのは影の体だけだったようだ。 「けど和尚様から貰ったプルパを愛輪珠に取られちゃって、今じゃ私何にもできない。だってあいつが、和尚様の事……実は邪尊教の信者だとか言い出すから……」 <は!? 観音和尚が!? いや、そんなのただの侮辱に決まってるし……> 「…………」 <……なに、一美? まさか心当たりあるの!?> 「あの」  佳奈さんが挙手する。 「あの。何なんですか? そのジャソン教とかいうのって」 <ああ、チベットのカルト宗教です。悪魔崇拝の仏教版と言いましょうか> 「じゃあ、河童の家みたいな物?」  とんでもない。 「テロリストですよ。ドマル・イダムという邪尊の力を操ってチベットを支配していた、最悪の独裁宗派です」 「そ、そうなの!?」  ドマル・イダム。その昔、とある心優しい僧侶が瀕死の悪魔を助け���その情け深さに心打たれた悪魔から不滅の心臓を授かった。そうして彼は衆生の苦しみを安らぎに変える抜苦与楽(ばっくよらく)の仏、『ドマル・イダム(紅の守護尊)』となった。しかしドマルは強欲な霊能者や権力者達に囚われて、巨岩に磔にされてしまう。ドマルには権力者に虐げられた貧民の苦しみや怒りを日夜強制的に注ぎ込まれ、やがてチベットはごく少数の貴族と無抵抗で穏やかな奴隷の極端な格差社会になってしまった。 「この事態を重く見た当時のダライ・ラマはドマル信仰を固く禁じて、邪尊教と呼ぶようにしたんです」 「う、うわぁ……悪代官だしなんか罰当たりだし、邪尊教まじで最悪じゃん……」 <罰当たり、そうですね。チベットでは邪尊教を戒めるために、ドマルの仏画が痛々しい姿で描かれてます。まるで��臓と神経線維だけ燃えずに残ったような赤黒い体、絶望的な目つき、何百年も磔にされているせいで常人の倍近く伸びた長い両腕……みたいな> 「やだやだやだ、そんな可哀想な仏画とか怖くて絶対見れない!」  そう、普通の人はこういう反応だ。だからチベット出身の仏教徒にむやみに邪尊教徒だと言いがかりをつけるのは、最大の侮辱なんだ。だけど、和尚様は……いや、それ以上考えたくない。幼い頃、和尚様と修行した一年間。大人になって再会できた時のこと。そして、彼に授かった力……幸せだったはずの記憶を思い起こす度に、色んな伏線が頭を過ぎってしまう。 <……でも、一美さぁ>  玲蘭ちゃんは口に当てていた氷を下ろし、私を真正面から見据えた。 <和尚にどんな秘密があったのか知らないけど、落ちこむのは後にしてくれる? このまま大散減が完全復活したら、明日の便に乗る前に全員死ぬの。今まともな戦力になるの、五寸釘愚連隊とあんたしかいないんだけど> 「私……無理だよ。プルパを奪われて、影も動かせなくなって」 <それなら新しい武器と法力を探しに行くよ> 「!」 <志多田さんも、来て> 「え? ……ふええぇっ!?」  玲蘭ちゃんは首にかけていた長い数珠を静かに持ち上げる。するとどこからか潮騒に似た音が聞こえ、私達の視界が次第に白く薄れていく。これは、まさか……!
གསུམ་པ་
 気がつくと私達は、白一色の世界にいた。足元にはお風呂のように温かい乳白色の海が無限に広がり、空はどこまでも冷たげな霧で覆われている。その境界線は曖昧だ。大気に磯臭はなく、微かに酒粕や米ぬかのような香りがする。 「綺麗……」  佳奈さんが呆然と呟いた。なんとなく、この白い世界に私は来たことがある気がする。確��初めてワヤン不動に変身した直後だったような。すると霧の向こうから、白装束に身を包む天女が現れた。いや、あれは…… 「めんそーれ、ニライカナイへ」 「玲蘭ちゃん!?」「金城さん!?」  初めてちゃんと見たその天女の姿は、半人半魚に変身した玲蘭ちゃん。肌は黄色とパールホワイトのツートーンで、本来耳があった辺りにガラスのように透き通ったヒレが生えている。元々茶髪ボブだった頭も金髪……というより寧ろ、琉球紅型を彷彿とさせる鮮やかな黄色になっていた。燕尾のマーメイドドレス型白装束も裏地は黄色。首から下げたホタル玉の数珠と、裾に近づくにつれてグラデーションしている紅型模様が美しく映える。 「ニライカナイ、母なる乳海。全ての縁と繋がり『必要な物』だけを抜粋して見る事ができる仮想空間。で、この姿は、いわゆる神人(かみんちゅ)ってやつ。わかった?」 「さっぱりわかりません!」  私も佳奈さんに同じく。 「よーするにここは全ての魂と繋がる母乳の海で、どんな相手にもアクセスできるんです。私が何か招き入れないと、ひたすら真っ白なだけだけど」  母乳の海。これこそまさに、金剛が欲しがってやまない『縁の母乳』だ。足元に広がる海水は、散減が吐く穢れた物とはまるで違い、暖かくて淀みない。 「今からこの海で、『マブイグミ』って儀式をする。一美の前世を呼んでパワーを分けて貰うってわけ。でもまず、折角だし……志多田さんもやってみますか?」 「え、私の前世も探してくれるんですか!? えーどうしよ、緊張するー!」 「アー……多分、思ってる感じと違いますよ」  玲蘭ちゃんは尾ビレで海水を打ち上げ、飛沫から瞬く間にススキの葉を錬成した。そして佳奈さんの背中をその葉でペンペンと叩きながら、 「まぶやー、まぶやー、うーてぃくよー」  とユルい調子で呪文を唱えた。すると佳奈さんから幾つもの物体がシュッと飛び出す。それらは人や動物、虫、お守りに家具など様々で、佳奈さんと半透明の線で繋がったまま宙に浮いている。 「なにこれ! もしかして、これって全部私の前世!? ええっ私って昔は桐箪笥だったのぉ!?」 「正確には箪笥に付着していた魂の欠片、いわゆる付喪神です。人間は物心つくまでに周囲の霊的物質を吸収して、七歳ぐらいで魂が完成すると言われています。私が呼び戻したのは、あなたを構成する物質の記憶。強い記憶ほど鮮明に復元できているのがわかりますか?」  そう言われてみると、幾つかの前世は形が朽ちかけている。人間の霊は割と形がはっきりしているけど、箪笥や虫などは朽ちた物が多い。 「たしかに……このおじさん、実家のお仏壇部屋にある写真で見たことあるかも。写真ではも��とおじいさんだったけど」 「亡くなった方が必ずしも亡くなったご年齢で現れるとは限らないんですよ」  私が補足した。そう、有名なスターとか軍人さんとかは、自分にとって全盛期の姿で現れがちなんだ。佳奈さんが言うおじさんも軍服を着ているから、戦時中の御姿なんだろう。  すると玲蘭ちゃんは手ビレ振り、佳奈さんの前世達を等間隔に整列させた。 「志多田さん。この中で一番、あなたにとって『しっくりくる』者を選んで下さい。その者が一つだけ、あなたに力を授けてくれます」 「しっくりくるもの?」  佳奈さんは海中でザブザブと足を引きずり、きちんと並んだ前世達を一つずつ見回っていく。 「うーん……。やっぱり、見たことある人はこのおじさんだけかな。家に写真があったなら、私と血が繋がったご先祖様だと思うし……あれ?」  ふと佳奈さんが立ち止まる。そこにあったのは、殆ど朽ちかけた日本人形。 「この子……!」  どうやら、佳奈さんは『しっくりくる前世』を見つけたようだ。 「私覚えてる。この子は昔、おじいちゃん家の反物屋にいたお人形さんなの。けど隣の中華食堂が火事になった時、うちも半焼しちゃって、多分だからこんなにボロボロなんだと思う」  佳奈さんは屈んで日本人形を手に取る。そして今にも壊れそうなそれに、火傷で火照った肌を癒すように優しく海水をかけた。 「まだ幼稚園ぐらいの時だからうろ覚えだけど。家族で京都のおじいちゃん家に遊びに行ったら、お店にこの子が着てる着物と同じ生地が売ってて。それでおそろいのドレスを作ってほしいっておじいちゃんにお願いしたんだ。それで東京帰った直後だよね、火事。誰も死ななかったけど約束の生地は燃えちゃって、お人形さんが私達を守ってくれたんだろうって話になったんだよ」  佳奈さんが水をかける度に、他の魂達は満足そうな様子で佳奈さんと人形に集約していく。すると玲蘭ちゃんはまた手ビレを振る。二人を淡い光が包みこみ……次の瞬間、人形は紺色の京友禅に身を包む麗しい等身大舞妓に変身した! 「あなたは……!?」 「あら、思い出してくれはったんやないの? お久しぶりどすえ、佳奈ちゃん」  それは見事な『タルパ』だった。魂の素となるエクトプラズム粒子を集め、人工的に作られた霊魂だ。そういえば玲蘭ちゃんが和尚様から習っていたのはこのタルパを作る術だった。なるほど、こういう風に使うために修行していたんだね。  佳奈さんは顕現したての舞妓さんに問う。 「あ、あのね! 外でザトウムシの化け物が暴れてるの! できれば私もみんなと一緒に戦いたいんだけど、あなたの力を貸してくれないかな?」  ところが舞妓さんは困ったような顔で口元を隠した。 「あらあら、随分無茶を言いはりますなぁ。うちはただの人形やさかい、他の方法を考えはった方がええんと違います?」 「そっかぁ……。うーん、どうしよう」 「佳奈さん、だぶか霊能力とは別の事を聞いてみればいいんじゃないですか? せっかく再会できたんだから勿体ないですよ」 ��そう? じゃあー……」  佳奈さんはわざとらしいポーズでしばらく考える。そして何かを閃くと、わざとらしく手のひらに拳をポンと乗せた。 「ねえ。童貞を殺す服を着た女を殺す服って、結局どんな服だと思う? 人生最大の謎なんだけど!」 「はいぃ???」  舞妓さんがわかっていないだろうからと、玲蘭ちゃんがタルパで『童貞を殺す服』を顕現してみせた。 「所謂、こーいうのです。女に耐性のない男はこれが好きらしいですよ」  玲蘭ちゃんが再現した童貞を殺す服は完璧だ。フリル付きの長袖ブラウスにリボンタイ、コルセット付きジャンパースカート、ニーハイソックス、童話の『赤い靴』みたいなラウンドトゥパンプス。一見露出が少なく清楚なようで、着ると実は物凄く体型が強調される。まんま佳奈さんの歌詞通りのコーデだ。 「って、だからってどうして私に着せるの!」 「ふっ、ウケる」  キツキツのコルセットに締め付けられた私を、舞妓さんが物珍しそうにシゲシゲと眺める。なんだか気恥ずかしくなってきた。舞妓さんはヒラヒラしたブラウスの襟を持ち上げて苦笑する。 「まあまあ……外国のお人形さんみたいやね。それにしても今時の初心な殿方は、機械で織った今時の生地がお好きなんやなあ。うちみたいな反物屋育ちの古い人形には、こんなはいからなお洋服着こなせんどす」  おお。これこそ噂の京都式皮肉、京ことば! 要するに生地がペラッペラで安っぽいと言っているようだ。 「でも佳奈ちゃんは、『おたさーの姫』はん程度にならもう勝っとるんやないの?」 「え?」  舞妓さんは摘んでいたブラウスを離す。すると彼女が触れていた部分の生地感が、心なしかぱりっとした気がする。 「ぶっちゃけた話ね。どんなに可愛らしい服でも、着る人に品がなければ『こすぷれ』と変わらへん。その点、佳奈ちゃんは立派な『あいどる』やないの。お歌も踊りもぎょうさん練習しはったんやろ? 昔はよちよち歩きやったけど、歩き方や立ち方がえろう綺麗になってはるさかい」  話しながらも舞妓さんは、童貞を殺す服を摘んだり撫でたりしている。その度に童貞を殺す服は少しずつ上等になっていく。形や色は変わらなくても、シワが消え縫製が丁寧になり、まるでオーダーメイドのように着心地が良くなった。そうか、生地だ。生地の素材が格段にグレードアップしているんだ! 「うちらは物の怪には勝てへんかもしれんけど、童貞を殺す服を着た女に負けるほど弱い女やありまへん。反物屋の娘の誇りを忘れたらあかんよ、佳奈ちゃん」  舞妓さんは童貞を殺す服タルパを私から剥がすと、佳奈さんに当てがった。すると佳奈さんが今着ているサマーワンピースは輝きながら消滅。代わりにアイドルステージ上で彼女のトレードマークである、紺色のメイド服姿へと変身した。けどただの衣装じゃない、その生地は仙姿玉質な京友禅だ! 「いつものメイド服が……あ、これってもし���して、おそろいのドレス!?」  舞妓さんはにっこりと微笑み、輝くオーラになって佳奈さんと一体化する。京友禅メイド服とオーラを纏った佳奈さんは、見違えるほど上品な風格を帯びた。童貞やオタサーの姫どころか、全老若男女に好感を持たれる国宝級生人形(スーパーアイドル)の誕生だ!
བཞི་པ་
「まぶやー、まぶやー、ゆくみそーれー」  またしても玲蘭ちゃんがゆるい呪文を唱えると、佳奈さんの周囲に残っていた僅かな前世残滓も全て佳奈さんに吸収された。これでマブイグミは終了だ。 「金城さんごめんなさい。やっぱり私、バトルには参加できなさそうです……」 「お気になさらないで下さい。その霊的衣装は強いので、多少の魔物(マジムン)を避けるお守り効果もあります。私達が戦っている間、ある程度護身してて頂けるだけでも十分助かります」 「りょーかいです! じゃあ、次は一美ちゃんの番だね!」  いよいよ、私の前世が明らかになる。家は代々影法師使いの家系だから、力を取り戻してくれる先代がいると信じたい。 「まぶやー、まぶやー、うーてぃくよー」  玲蘭ちゃんが私の背中を叩く。全身の毛穴が水を吹くような感覚の後、さっき見たものと同じ半透明の線が飛び出した。ところが…… 「あれ? 一美ちゃんの前世、それだけ??」  佳奈さんに言われて自分から生えた前世達を見渡す。……確かに、佳奈さんと比べて圧倒的に少ない。それに形も、指先ほど小さなシジミ蝶とか、書道で使ってた筆とか、小物ばっかり。玲蘭ちゃんも首を傾げる。 「有り得ないんだけど。こんな量でまともに生きていけるの、大きくてもフェレットぐらいだよ」 「うぅ……一美ちゃん、可哀想に。心だけじゃなくて魂も小さいんだ……」 「悪かったですね、小心者で」  一番考えられる可能性としては、ワヤン不動に変身するためのプルパを愛輪珠に奪われたからだろう。念力を使う時、魂の殆どが影に集中する影法師の性質が仇となったんだ。それでも今、こうして肉体を維持できているのはどういう事か。 「小さくても強いもの、魔除けとか石とか……も、うーん。ないし……」 「じゃあ、斉一さんのドッペルゲンガーみたいに別の場所にも魂があるってパターンは?」 「そういうタイプなら、一本だけ遠くまで伸びてる線があるからすぐわかる」 「そっか……」  すると、その会話を聞いていた佳奈さんが私の足元の海中を覗きこんだ。 「ねえこれ、下にもう一本生えてない?」 「え?」  まじまじと見ると、確かにうっすらと線が見えなくもない。すると玲蘭ちゃんが尾ビレを振って、私の周囲だけ海水を退けてくれた。 「あ、本当だ!」  それは水が掃け、足元に残った影溜まりの中。まるで風前の灯火のように薄目を開けた『ファティマの目』が、一筋の赤黒い線で私と繋がっている。そうか。行きの飛行機内で万狸ちゃんを遠隔視するのに使ったファティマの目は、本来邪悪な物から身を守る結界術だ。私の魂は無意識に、これで愛輪珠から身を守っていたらしい。 「そこにあったんだ。やっぱり影法師使いだね」  玲蘭ちゃんがファティマの目を屈んで掬い取ろうとする。ところが、それは意志を持っているように影の奥深くに沈んでしまった。 「ガード固っ……一美、これどうにかして取れない?」  参ったな。念力が使えれば影を動かせるんだけど……とりあえず、影法師の真言を唱えてみる。 (ナウマク・サマンダ・バザラダン・カン・オム・チャーヤー・ソワカ)  だめだ、ビクともしない。じゃあ次は、和尚様の観世音菩薩の真言。 (オム・マニ・パドメ・フム)  ……ん? 足の指先が若干ピリッときたような。なら和尚様タイプⅡ、プルパを発動する時にも使う馬頭観音真言ならどうか。 (オム・アムリトドバヴァ・フム・パット!)  ピクッ。 「あ、今ちょっと動いた? おーい、一美ちゃんの前世さーん!」  佳奈さんがちょんちょんと私の影をつつく。他の真言やお経も試してみるべきか? けど総当りしている時間はないし…… —シムジャナンコ、リンポチェ……— 「!」 —和尚様?— —あなたの中で眠る仏様へ、お休みなさい、と申したのです。私は彼の『ムナル』ですから……—  脳裏に突然蘇った、和尚様と幼い私の会話。シムジャナンコ(お休みなさい)……チベット語……? 「タシデレ、リンポチェ」  ヴァンッ! ビンゴだ。薄目だった瞳がギョロリと見開いて肥大化し、私の影から飛び出した! だけどそれは、私が知っているファティマの目とまるで違う。眼球ではなく、まるで視神経のように真っ赤なエネルギーの線維が球体型にドクドクと脈動している。上下左右に睫毛じみた線維が突き出し、瞳孔に当たる部分はダマになった神経線維の塊だ。その眼差しは邪悪な物から身を守るどころか、この世の全てを拒絶しているような絶望感を帯びている。玲蘭ちゃんと佳奈さんも堪らず視線を逸らした。 「ぜ、前世さん、怒ってる?」 「……ウケる」  チベット語に反応した謎のエネルギー眼。それが私の大部分を占める前世なら、間違いなく和尚様にまつわる者だろう。正直、今私は和尚様に対してどういう感情を抱いたらいいのかわからなくなっている。でも、たとえ邪尊教徒であろうとなかろうと、彼が私の恩師である事に変わりはない。 「玲蘭ちゃん、佳奈さん。すいません。五分だけ、ちょっと瞑想させて下さい」  どうやら私にも、自分の『縁』と向き合うべき時が来たようだ。
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 ……釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩……。座して目を閉じ、自分の影が十三仏を象る様を心に思い描く。本来影法師の修行で行う瞑想では、ティンシャやシンギング・ボウルといった密教法具を使う。けど千里が島には持ってきていないし、今の私にそれらを使いこなせる力もない。それでも、私は自らの影に佇むエネルギー眼と接続を試み続ける。繋がれ、動け。私は影。私はお前だ。前世よ、そこにいるのなら応えて下さい。目を覚まして下さい…… 「……ッ……!」  心が観世音菩薩のシルエットを想った瞬間、それは充血するように赤く滲んだ。するうち私の心臓がドクンと弾け、業火で煮えくり返ったような血が全身を巡る。私はその熱量と激痛に思わず座禅を崩してしまうが、次の瞬間には何事もなかったかのように体が楽になった。そしてそっと目を開けてみると、ニライカナイだったはずの世界は見覚えのある場所に変わっていた。 「石筵観音寺……!?」  玲蘭ちゃんが代わりに呟く。そう。ここは彼女も昔よく通っていた、私達の和尚様のお寺だ。けどよく見ると、記憶と色々違う箇所がある。 「玲蘭ちゃん、このお御堂、こんなに広かったっけ……?」 「そんなわけない。だってあの観音寺って、和尚が廃墟のガレージに張って作ったタルパ結界でしょ」 「そうだよ。それにあの外の山も、安達太良山じゃないよね? なんかかき氷みたいに細長いけど」 「あれ須弥山(しゅみせん)じゃん。仏教界の中心にある山。だぶか和尚はこの風景を基に石筵観音寺を作ったんじゃない? てーか、何よりさ……」 「うん。……いなくなってるよね、和尚様」  このお御堂には、重大な物が欠けている。御本尊である仏像だ。石筵観音寺では和尚様の宿る金剛観世音菩薩像がいらした須弥壇には、何も置かれていない。ここは、一体……。 「ねーえ! 一美ちゃんの和尚さんってチベットのお坊さんなんだよね? ここにいるよ!」 「「え?」」  振り返ると、佳奈さんがお御堂の奥にある扉を開けて中を指さしている。勿論観音寺にはなかった扉だ。私と玲蘭ちゃんが中を覗くと、部屋は赤い壁のシンプルな寝室だった。中心に火葬場の収骨で使うようなやたらと背の高いベッドが一つだけ設置されている。入室すると、そのベッドで誰かが眠っていた。枕元にはチベット密教徒特有の赤い袈裟が畳まれている。佳奈さんがいて顔がよく見えないけど、どうやら坊主頭……僧侶のようだ。不思議な事に、その僧侶の周りには殆ど影がない。 「もしもーし、和尚さん起きて下さい! 一美ちゃんが大ピンチなんですーっ!」  佳奈さんは大胆にも、僧侶をバシバシと叩き起こそうと試みる。ただ問題がある。彼は和尚様より明らかに背が低いんだ。 「ちょ、佳奈さんまずいですって! この人は和尚様じゃないです!」 「え、そうなの? ごめんごめん、てへっ!」 「てへっじゃないですよ………………!!?!?!??」  佳奈さんが退き僧侶の顔が見えた瞬間、私は全身から冷や汗を噴出した。この……この男は……!!! 「あれ? でも和尚さんじゃないなら、この人が一美ちゃんの前世なんじゃない? おーい、前世さムググム~??」  ヤバいヤバいヤバい!! 佳奈さんが再び僧侶をぶっ叩こうとするのを必死で制止した。 「一美?」  玲蘭ちゃんが訝しんだ。面識はない。初めて見る人だ。だけどこの男が起きたら絶対人類がなんかヤバくなると直感で理解してしまったんだ! ところが…… ༼ ……ン…… ༽  嘘でしょ。 「あ、一美ちゃん! 前世さん起きたよ! わーやば、このお坊さん三つ目じゃん! きっとなんか凄い悟り開いてる人だよ!」  あぁ、終わった……。したたび綺麗な地名の闇シリーズ第六弾、千里が島宝探し編終了。お疲れ様でした。 「ねー前世さん聞いて! 一美ちゃんが大ピンチなの! あ、一美ちゃんっていうのはこの子、あなたの生まれ変わりでー」 ༼ えっ、え?? ガレ……? ジャルペン……?? ༽  僧侶はキョトンとしている。そりゃそうだ、寝起きに京友禅ロリータが何やらまくし立てていれば、誰だって困惑する。 「じゃる……ん? ひょっとして、この人日本語通じない!?」 「一美、通訳できる?」 「むむ、無理無理無理! 習ってたわけじゃないし、和尚様からちょこちょこ聞いてただけだもん!」 「嘘だぁ。一美ちゃんさっきいっぱいなんかモゴモゴ言ってたじゃん。ツンデレとかなんとか」 「あ、あれは真言です! てか最後なんて『おはようございます猊下(げいか)』って言っただけだし」  私だけ腰を抜かしている一方で、佳奈さんと玲蘭ちゃんは変わらずマイペースに会話している。僧侶もまだキョトン顔だ。 「他に知らないの? チベット語」 「えぇー……。あ、挨拶は『タシデレ』で、お休みなさいが『シムジャナンコ』、あと印象に残ってるのは『鏡』が『レモン』って言うとか……後は何だろう。ああ、『眠り』が『ムナル』です」 ༼ ! ༽  私が『ムナル』と発音した瞬間、寝ぼけ眼だった僧侶が急に血相を変えて布団から飛び出した。 ༼ ムナルを知っているのか!? ༽ 「ふわあぁ!?」  僧侶は怖気づいている私の両腕をがっしと掴み、心臓を握り潰すような響きで問う。まるで視神経が溢れ出したような紅茶色の長い睫毛、所々ほつれたように神経線維が露出した肌、そして今までの人生で見てきた誰よりも深い悲壮感を湛える眼差し……やっぱり、間違いない。この僧侶こそが…… 「え? な、なーんだ! お坊さん、日本語喋れるんじゃん……」 「佳奈さん、ちょっと静かにしてて下さい」 「え?」  残酷にも、この僧侶はムナルという言葉に強い反応を示した。これで私の杞憂が事実だったと証明されてしまったんだ。だけど、どんな過去があったのかはともかく、私はやっぱり和尚様を信じたい。そして、自分の魂が内包していたこの男の事も。私は一度深呼吸して、彼の問いに答えた。 「最低限の経緯だけ説明します。私は一美。ムナル様の弟子で、恐らくあなたの来世……いえ、多分、ムナル様によって創られたあなたの神影(ワヤン)です。金剛の大散減という怪物と戦っていたんですが、ムナル様が私の肋骨で作られた法具プルパを金剛愛輪珠如来に奪われました。それでそこの神人にマブイグミして貰って、今ここにいる次第です」 ༼ …… ༽  僧侶は瞬き一つせず私の話を聞く。同時に彼の脳内で凄まじい速度で情報が整理されていくのが、表情でなんとなくわかる。 ༼ 概ね理解した。ムナルは、そこか ༽  僧侶は何故か佳奈さんを見る。すると京友禅ロリータドレスのスカートポケットに、僧侶と同じ目の形をしたエネルギー眼がバツッと音を立てて生じた。 「きゃあ!」  一方僧侶の掌は拭き掃除をしたティッシュのようにグズグズに��び、真っ二つに砕けたキョンジャクが乗っていた。 「あ、それ……神社で見つけたんだけど、後で返そうと思って。でも壊れてて……あれ?」  キョンジャクは佳奈さんが話している間に元の形に戻っていた。というより、僧侶がエネルギー眼で金属を溶かし再鋳造したようだ。綻んでいた掌もじわじわと回復していく。 「ど、どういう事? 一美。ムナルって確か、観音和尚の俗名か何かだったよね……そのペンダント、なんなの?」  僧侶の異様な力に気圧されながら、玲蘭ちゃんが問う。 「キョンジャク(羂索)、法具だよ。和尚様の遺骨をメモリアルダイヤにして、友達から貰ったお守りのペンダントに埋め込んでおいたんだ」 ༼ この遺骨ダイヤ、更に形を変えても構わんか? ༽ 「え? はい」  僧侶は私にキョンジャクを返却し、お御堂へ向かった。見ると、和尚様のダイヤが埋まっていた箇所は跡一つなくなっている。私達も続いてお御堂に戻ると、彼はティグクという斧型の法具を持ち、装飾部分に和尚様のダイヤを埋め込んでいた。……ところが次の瞬間、それを露台から須弥山目掛けて思い切り投げた! 「何やってるんですか!?」  ティグクはヒュンヒュンと回転しながら須弥山へ到達する。すると、ヴァダダダダガァン!!! 須弥山の山肌が爆ぜ、さっきの何百倍もの強烈なエネルギー眼が炸裂! 地面が激しく揺れて、僧侶以外それぞれ付近の物や壁に掴まる。 ༼ 拙僧が介入するとなれば、悪戯に事が大きくなる…… ༽  爆風と閃光が鎮まった後の須弥山はグズグズに綻び、血のように赤い断面で神経線維が揺らめいた。そしてエネルギー眼を直撃したはずのティグクは、フリスビーのように回転しながら帰還。僧侶が器用にキャッチすると、次の瞬間それはダイヤの埋め込まれた小さなホイッスルのような形状に変化していた。 ༼ だからあなたは、あくまでムナルから力を授かった事にしなさい。これを吹けばティグクが顕現する ༽ 「この笛は……『カンリン』ですか!?」 ༼ 本来のカンリンは大腿骨でできたもっと大きな物だけどな。元がダイヤにされてたから、復元はこれが限界だ ༽  カンリン、人骨笛。古来よりチベットでは、悪い人の骨にはその人の使っていない良心が残留していて、死んだ悪人の遺骨でできた笛を吹くと霊を鎮められるという言い伝えがあるんだ。 ༼ 悪人の骨は癒しの音色を奏で、悪魔の心臓は煩悩を菩提に変換する。それなら逆に……あの心優しかった男の遺骨は、どんな恐ろしい業火を吹くのだろうな? ༽  顔を上げ、再び僧侶と目が合う。やっぱり彼は、和尚様の事を話している時は少し表情が穏やかになっているように見える。 ༼ ま、ムナルの弟子なら使いこなせるだろ。ところで、『鏡』はレモンじゃなくて『メロン』な? ༽ 「あっ、そうでしたね」  未だどこか悲しげな表情のままだけど、多少フランクになった気がする。恐らく、彼を見た最初は心臓バクバクだった私もまた同様だろう。 「じゃあ、一美……そろそろ、お帰ししてもいい……?」  だぶか打って変わって、玲蘭ちゃんは���っかり及び腰だ。まあそれは仕方ない。僧侶もこの気まずい状況を理解して、あえて彼女と目を合わさないように気遣っている。 「うん。……リンポチェ(猊下)、ありがとうございました」 「一美ちゃんの前世のお坊さん、ありがとー!」 ༼ 報恩謝徳、礼には及ばぬ。こちらこそ、良き未来を見せて貰った ༽ 「え?」 ༼ かつて拙僧を救った愛弟子が巣立ち、弟子を得て帰ってきた。そして今度は、拙僧があなたに報いる運びとなった ༽  玲蘭ちゃんが帰還呪文を唱えるより前に、僧侶は自らこの寺院空間を畳み始めた。神経線維状のエネルギーが竜巻のように這い回りながら、景色を急速に無へ還していく。中心で残像に巻かれて消えていく僧侶は、最後、僅かに笑っていた。 ༼ 衆生と斯様にもエモい縁を��んだのは久しぶりだ。また会おう、ムナルそっくりに育った来世よ ༽
ལྔ་པ་
 竜巻が明けた時、私達はニライカナイをすっ飛ばして宴会場に戻っていた。佳奈さんは泥だらけのサマードレスに戻っているけどオーラを帯びていて、玲蘭ちゃんの口の怪我は何故か完治している。そして私の手には新品のように状態の良くなったキョンジャクと、僅かな視神経の残滓をほつれ糸のように纏う小さなカンリンがあった。 「あー、楽しかった! 金城さん、お人形さんと再会させてくれてありがとうございました! 一美ちゃんも、あのお坊さんめっちゃ良い人で良かったね! 最後エモいとか言ってたし、実はパリピなのかな!? ……あれ、金城さん?」  佳奈さんが振り返ると同時に、玲蘭ちゃんは焦燥しきった様子で私の首根っこを掴んだ。今日は色んな人に掴みかかられる日だ。 「なんなの、あの前世は」  その問いに答える代わりに、私は和尚様の遺骨(カンリン)を吹いてみた。パゥーーーー……決して癒しの音色とは言い難い、小動物の断末魔みたいな音が鳴った。すると私の心臓に焼けるような激痛が走り、全身に煮えたぎった血が迸る! それが足元の影に到達点すると、カセットコンロが点火するように私の全身は業火に包まれた。この一連のプロセスは、実に〇.五秒にも満たなかった。 「そんなっ……その姿……!!」  変身した私を、玲蘭ちゃんは核ミサイルでも見るような驚愕の目で仰いだ。そうか。彼女がワヤン不動の全身をちゃんと見るのは初めてだったっけ。 「一美ちゃん! また変身できるようになったね! あ、前世さんの影響でまつ毛伸びた? いいなー!」  玲蘭ちゃんは慌ててスマホで何かを検索し、悠長に笑っている佳奈さんにそれを見せた。 「ん、ドマル・イダム? ああ、これがさっき話してた邪尊さん……え?」  二人はスマホ画面と私を交互に三度見し、ドッと冷や汗を吹き出した。憤怒相に、背中に背負った業火。私は最初、この姿は不動明王様を模したものだと思っていた。けど私の『衆生の苦しみを業火に変え成仏を促す』力、��身中の痛みや恐怖に対する異常なまでの耐久性、一睨みで他者を黙らせる眼圧、そしてさっき牛久大師に指摘されるまで意識していなかった、伸びた腕。これらは明らかに、抜苦与楽の化身ドマル・イダムと合致している! 「……恐らく、あの前世こそがドマルだ。和尚様は幼い頃の私を金剛から助けるために、文字通り彼を私の守護尊にしたんだと思う。でもドマルは和尚様に『救われた』と言っていた。邪尊教に囚われる前の人間の姿で、私達が来るまで安らかに眠っていたのが何よりの証拠だ。観世音菩薩が時として憤怒の馬頭観音になるように、眠れる抜苦与楽の化身に代わり邪道を討つ憤怒の化身。それが私……」 「ワヤン不動だったってわけ……ウケる」  ウケる、と言いつつも、玲蘭ちゃんはまるで笑っていなかった。私は変身を解き、キョンジャクのネックレスチェーンにカンリンを通した。結局ドマルと和尚様がどういう関係だったのか、未だにはっきりしていない。それでも、この不可思議な縁がなければ今の私は存在しないんだ。この新たな法具カンリンで皆を、そして御戌神や千里が島の人々も守るんだ。  私は紅一美。金剛観世音菩薩に寵愛を賜りし紅の守護尊、ワヤン不動だ。瞳に映る縁無き影を、業火で焼いて救済する!
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cavane · 4 years ago
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styling_ Jumper skirt linen herring bone × Back-tuck Pull over blouse リネンヘリンボーン織の素朴な風合いをそのままに、ウエストからたっぷりギャザーをよせたディテール、ゆったりとしたイージーシルエットでリラックス感のある穿き心地となります。 詳細は下記よりオンラインストアをご利用下さいませ。 https://cavane.stores ・ ・ ・ cavane NO : ca-20162 ITEM : Jumper skirtスカート TYPE : women SIZE : F COLOR : Grege herring-bone(limited) STOCK:1(一点のみ)※ MATERIAL : linen100% ヴィンテージのように、着る人の好みによって生地のエイジング感を育てられます。 中厚手によるリネンヘリンボーンファブリックのジャンパースカート新作となります。 吊りベルト(サスペンダー)によって長さを調整することができ、ハイウエストのスタイルまで大人カジュアルに最適なデザインとなります。 バックのシルバー製スプリングホックにて脱着することができます。 ウォッシュ加工が施されておりますのでご自宅でも洗濯が可能です。カジュアルなスタイルから、クラシック・ヴィンテージまで幅広いテイストに溶け込むデザイン。 ロングシーズン着用可能なおすすめのファブリックです。おすすめです。 ・ ・ ・ cavane NO : ca-20096 ITEM : Back-tuck Pull over blouseブラウス TYPE : women SIZE : free COLOR : Mimosa STOCK:1(limited ) MATERIAL:linen100 柔かなふわっとした表面感のリネンファブリックを用いたバックタックプルオーバーブラウスとなります。身幅はゆったりめなシルエット、ギャザーが入ったドロップショルダー、丸みのあるライン(肩先の落ちた肩線)です 。一枚で着用しても肌さわりが良く、さらっとした着心地が印象的です。ウォッシュ加工が施されておりますのでご自宅でも洗濯が可能です。時間をかけて織られたリネンファブリック 、着用するほどに永く愛用のできるワードローブとなります。 カジュアルなスタイルから、クラシック・ヴィンテージまで幅広いテイストに溶け込むデザイン。 予めご理解の上、お求めくださいますようお願いいたします。 158cm/S size着用 ・ ・ http://cavane.shop MAIL: [email protected] ・ ・ ・ #cavane #jumperskirt #aranhnit #cablehnit #woolhnit #ireland #fashionphoto #handmade #artisan #classiclstyle #vintage #サスペンダースカート #アランセーター #フィッシャーマン #メリノウール #ニット #アイルランド #ケルト民族 #秋冬 #ヘリンボーンスカート #ジャンパースカート (Cavane) https://www.instagram.com/p/CHgnDW_FUDh/?igshid=128bwsokcl4yh
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hasie · 5 years ago
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ご近所まででも、着心地よく
Hasieオリジナルの今シーズン衣料のご紹介です。
全てのお品物はメールでのお問い合わせ、お取り置きを承っております。
[email protected] (店舗は休業中です)
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ループボタンタイブラウス
麻100% 税込8,800円
タイの山岳民族の衣装からヒントを得た短め丈のブラウス、
暑い時期にぴったりの麻100%生地です。
素材そのものの生成り色は、どんな色にも調和してくれます。
生地違いはこちら
リネンワイドパンツ
表地 麻100% 裏地綿100% 税込16,600円
南国の花のようなビビッドなピンク色の麻生地です。
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team-ginga · 5 years ago
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映画『マイ・ビューティフル・ランドレット』
 というわけで(どういうわけだ?)、スティーヴン・フリアーズ監督の映画『マイ・ビューティフル・ランドレット』(1985)を見ました。
 コアな映画ファンにはよく知られた映画で、フランス留学中パリのシネクラブ(というのかな、要するにコアな映画ファンのためにマイナーな映画をとっかえひっかえ上演する映画館です)でしょっちゅうかかっていました。
 ただ、移民問題と同性愛の問題を扱った映画というので、私はちょっと二の足を踏んでいました。社会問題を扱った映画……というか、そういうものを前面に押し出した映画はあまり好きではないからです。
 スティーヴン・フリアーズという監督は知りませんでしたが、ラクロの『危険な関係』の映画化(1988)とか、コレットの『シェリ』の映画化『わたしの可愛い人〜シェリ』(2006)とか、イギリス人なのにフランスの文学作品を映画化しているのですね。
 『危険な関係』は見ていないと思いますが、『シェリ』はなかなか良かったように思います。登場人物たちが英語で喋っているのは正直かなり違和感がありましたが、元高級娼婦のレアを演じたミシェル・ファイファーが実に魅力的でした。
 てっきりダニエル・デイ=ルイスが主演だと思っていたら、さにあらず。主役はオマールというパキスタン移民2世で、ダニエル・デイ=ルイスはその幼馴染というか恋人役でした。
 オマールは父親の介護をしながら暮らしています。生活は楽ではなく、そのせいで大学もやめてしまいました。あるとき父親が羽振りのいい弟のナセルに息子を雇ってくれと頼みます。
 オマールはナセルに気に入られてコインランドリー(ランドレット)の経営を任されます。一方、ナセルの親族であるサリムはオマールを麻薬の運び屋として使います。
 ちょうどその頃、オマールは幼馴染のジョニー(ダニエル・デイ=ルイス)を偶然街で見かけます。オマールは不良たちがたむろするボロボロのランドリーを立て直すべく、ジョニーを店で雇います。
 オマールはサリムに渡すはずの麻薬をちょろまかして、その金でコインランドリーを改装します。美しいコインランドリー、「ビューティフル・ランドレット」を作ったというわけです。
 昔からそうだったのか、それとも再会後にそうなったのかはわかりませんが、オマールとジョニーは同性愛の関係を結びます。二人は昔から仲良しで、ジョニーはオマールの父親にもよくしてもらっていたのですが、ある日、仲間たちと移民排斥のデモに参加して、オマールやその父親を裏切ったということがわかってきます。
 なるほど……なかなかいいじゃないですか。
 物語の中心はオマールとジョニーの関係なのでしょうが、それ以外にもナセルとその愛人の話や、ナセルの娘タニアが親に反発して家を出る話や、オマールの父親(彼は今でこそダメ人間ですが、パキスタンにいた頃は左翼系のジャーナリストとして活躍していたそうです)とナセルの兄弟の物語や、移民を敵視する白人の不良グループと移民2世のオマールの仲間になったジョニーとの一触即発の関係など、様々なストーリーが交錯します。
 ラスト近く、不良グループの一人をわざと車で轢いたサリムがコインランドリーの前で袋叩きにあい、それを止めようとしたジョニーもボコボコにされるというシーンと、ナセルがオマールの父親の元を訪れる兄弟の再会シーンと、オマールが親族の一人とビジネスの話をしているシーンがクロスカッティングで組み合わされる部分は見事だと思いました。
 人種問題を扱っているせいでしょうか、ふとスパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング』と似ているような気がしました。調べてみると、『ドゥ・ザ・ライト・シング』も1985年の作で、イギリスとアメリカである意味似通った映画が作られていたというのは、なかなか興味深いことです。
 別な意味で印象的なところもありました。一つは、コインランドリーの新装開店の場面です。店の外では大勢の客が開店を待っています。そこへ叔父のナセルが愛人のレイチェルを連れてやってきて店に入り、外の客に見えるところでBGMのワルツに合わせてレイチェルと踊りキスをします。一方、店の奥ではオマールとジョニーが服を脱いで熱い抱擁を交わしています。
 え? なぜ、いま? 大事な開店の日に客を待たせて一体何をしてるんですか?
 ここ突っ込むとこなんですか? そうですよね?
 もう一つはナセルの不倫を知ったナセルの妻が、愛人を呪う呪術を行うというところです。その呪術を行うと、呪われた相手の体には湿疹が出て��家では家具が飛び交うそうです。
 いろいろあってその後、レイチェルはナセルの元を去る決意をするのですが、その際レイチェルはナセルに「あなたの奥さんは天才だわ。うちでは家具が勝手に飛んだり跳ねたりするし、おまけに……」といって、ブラウスを捲り上げ湿疹を見せます。
 え? そ、そうなんだ……
 ここって笑うところですよね? そうですよね?
 そういう部分も含めてなかなかいい映画だったと思います。
 なにより48時間のうちに28歳のダニエル・デイ=ルイスと62歳のダニエル・デイ=ルイスが見られたというのは、非常に面白い経験でした。そういうことができるというのも、映画というものの魅力のひとつなのかもしれません。
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『メフィスト』毎月1回1年間ロングラン
次���3月27日(金曜)の公演は昨今の事情に鑑みて中止にすることにいたしました。
ご予約くださいましたお客さま、楽しみにしておられたお客さま、本当に申し訳ありません。我々も断腸の思いです。
事態が終息し、4月には公演を再開できるようになることを祈っております。
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pukusilhouette · 5 years ago
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20190923
今日はMARNI resort 2017のこの1枚から
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このスタイルの好きなところはまず1つに全体の色のバランスが挙げられる。
marniらしいパキッとした色のコントラスト。
特に黒に近いネイビーの深さが美しい。
さわやかなサックスのブラウスは首元にシャーリングを寄せ、少し民族調のデティールを取り入れながら、エナメルのような黒いビスチェでアクセントを作りモードな印象に昇華している。
そしてノーカラーコートのシルエットポイントは
内側にある白いキルティングのライナーと、アシンメトリーに配置された白いベルトだ。
このベルトが全体のアクセサリーのような役割を担っている。
太めの袖を大きくまくってシャツの袖を飛び出させているスタイリングもバランスが良い。
この上記2アイテムが気に入り、逆にスカート、バッグは他の物でも代用ができそうだなと感じた。
今日の考察はここまで。
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karobaworld · 5 years ago
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気軽にサラッとラバリタイプのブラウス ラバリジャケットと同様の細かいプリーツギャザー 落ち感の良い馴染みやすい生地でたっぷりギャザーでもスッキリ見える 紐の結び調整で体型選ばす◎ #ラバリジャケット #ラバリ #ラバリ族 #カシュクール #カシュクールブラウス #ラップブラウス #ギャザーブラウス #ビーズ飾り #民族衣装 #手仕事 #オリジナル #ハンドメイド #hecoamano #handmade #rabarijacket #rabari #blouse #momad #moderntribal #tribalmode #original #tokyo #Japan #KAroba (Shirokane) https://www.instagram.com/p/B1llT2Gn41k/?igshid=1vazauel7xcqz
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nina-ga-world-blog · 6 years ago
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2019/01/06【ルーマニア5日目】 ルーマニアの中のハンガリー系民族の村、《シク村》では年配の人は今でも、お揃いの民族衣装で生活しています。 その辺で売ってるものでは無いから、自分たちで仕立てるんでしょうね…。 特に日曜日は村の教会に皆《正装》してミサのために集まります。 その様子が観たくて日程を併せて村に来ました。 冬の衣装は黒が基調。夏には白いブラウスと色鮮やかな衣装を纏うらしいので、 またそのうち、夏にも来たいなー!! ルーマニアは色々ちょっと不便だけど、また来たいと思わせてくれる何かがあります。 #旅人nina #旅人ニーナ #ルーマニア旅行 #ルーマニア料理 #ルーマニア #旅行 #蚤の市 #女子旅 #女性一人旅 #一人旅 #世界一周 #バックパッカー #女子バックパッカー #バックパッカー女子 #イラストレーター (Sic, Cluj) https://www.instagram.com/p/BsVb21QAuBE/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=11g2ldc1qh9u3
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storyoflondon · 7 years ago
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delayed luggage
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忘れないうちに、荷物遅延の話をしよう。
❤ 17日土曜日
もっていった荷物は、
黒いリュック 手荷物物大事なものよう(飛行機で使うもの、パソコンとカメラ)
黄色いバッグ 手荷物スーツケースに入らなかった荷物よう(かさばる軽いもの)
赤いスーツケース大きめ 衣類・バッグ一式
白いスーツケース小さめ  衣類以外の機器・食料・生活用品
黄色いバッグは下の写真にうつってるやつ。
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今回乗るAIR CHINAは、手荷物23KG x2つまで無料だったよ。 ちなみに空港でふたつのスーツケースの総重量をはかったら...
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若干オーバーしてるけどこんなぴったり行きから荷物詰め込んだのはじめてだーーー500gオーバーは特になにも言われませんでした。 ここでスーツケースとはお別れし、飛行機で北京経由のロンドン。 2時間遅延でラストコールのバタバタな乗り継ぎだったにも関わらず、ロンドン行きの飛行機も雪の影響で15分遅延。 それでも無事にロンドンにつき一安心! 小夏様に会える安心感とネットがつながって連絡がとれる安心感。 みんなに連絡を返しながら baggage claim へ向かう~ そして無事について、もってきた便のレーンについたものの荷物はそんなにない。 そして10分後くらいに、この状態になる。(画像は引用)
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ん?なんもでてこないよ! 羽田から同じ北京乗り継ぎできた人たちもちらほらいて、荷物なさそうだったのでこれは荷物完全に乗り換えてないやつだなと察したよ。 そうだよね。そうなるよね。
Baggage enquiries っていう名前だったと思うデスクに行ったよ。 窓口に航空券とクレームタグ(荷物預けた時に渡されるやつ)を出して、 荷物がないことを告げると紙を出されて、書いてくださいとのこと。
その間にもスーツケースの特徴を尋ねられる。 何色とかどこのブランドのとか素材はなにとかいろいろ。
わかんない単語ちらほらあるけどとりあえず書く、 名前、滞在住所、ケータイ電話、Eメールアドレスなど YES / NO クエスチョンまじ意味わかんなかったけど多分危険なものははいってないかのよくある確認ぽかったから全部NOにした。
そして荷物の登録をその場でしてくれて、リファレンスナンバーと問い合わせ先の書かれた紙を受け取ったよ。
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それがこれです。 明日の夜には届くだろうって言われて終わった。 電話番号のとこにぴーって線ひかれたので電話しなきゃいけないのか聞いたら、あいつは絶対 We will call you って言ったんだよね。 ここから電話きたことなんてまじで一回もないぞ。
登録が終わるとすぐに、こういうメールがきました。 ネットでスーツケースの状況が確認できるよ。
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❤ 18日日曜日
次の日の朝、スーツケースがこの便にのってヒースローに到着しますよの連絡!順調じゃん!と思ったけど、1 piece というのがおかしいよね。 なぜひとつ?
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でもこんなに詳細に連絡がくるとは思ってなくて、確認できるの安心できた。 海外の配達なんて期待してなかったからはやくても月曜くらいになるのかなあと思ってたら、日曜の夜にドライバーから電話! 「今僕ここにいますけど、お宅が見つけられません、どこですか」とのこと。 わからなすぎたので、ジョエルに電話を替わってもらって一緒にドライバーの元に。ほぼ家の前に居た。
サインはブロック体と漢字のサインをかく。 漢字サインをジョエルに褒められたよ。ありがとう。
そして届いたのは白いスーツケース! フラットは2階にあるので、階段なんだけど、ジョエルが23キロを片手にさっそうと階段をのぼってくれました。 ジェントルすぎない?
白いスーツケースには衣類が一切はいってないから、月曜の学校おわりに洋服と下着を買いにいこうと誓った。
❤ 19日月曜日
WEBの画面はこんなかんじです。 スーツケースの特徴とかも書いてある。
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でもこの情報、今みたら間違えてる。 赤いほうがDELIVERY PROCESS INITIATEDになってるけど、届いたの白いほうだからな。 白いの中にはいってるもので必要なものは変換プラグと充電器くらいだったからなんか残念。
そして月曜日の学校終わりにH&Mへ行ってブラウスを買ったら、 店員さんにどこから来たの?って聞かれて日本からきてこれから2年住むことを伝える。 日本にきたことがあるらしく、名前は忘れたけどゴジラの街にいった。 って言ってた。んー新宿かな? スーツケースの遅延で服買ってることを伝えたら、まだつかないの?電話した?みたいな感じで電話することを強く勧められました。
みんなやさしいなあこの国の人々は。
そして帰って18時くらいに電話をしてみる。 リファレンスナンバーを伝えて、1個まだなんですけどっていうとヒースローにはもうあるから届ける手配しますよ。といわれる。 もっといろいろ聞きたいことあるけど英語で言いたいことも言えないこんな世の中でポイズンー
❤ 20日火曜日
日々荷物まだ?と心配してくれるジョエル。 昨日電話したけど正確な時間もわからなくて不安と伝えると、電話をかけてあげようか?と! やさしいなあ。
かけてもらったよ。
かけているのは空港ではなくて多分コールセンター的なところなので、「荷物がどこにあるかの確認を空港にします。確認し終わったころにかけ直してください。」とのこと。 13時くらいに電話したから、また17時くらいにかけてみるよとジョエルが言ってくれました。
そして17時に電話してもらったら「ヒースローで荷物がまだ確認できてません。」とのこと。 今まで楽観視してたけど、この時が一番不安になったな。
ひどいやつらだな、また明日電話してみよう!14時くらいは家いる?とジョエル。 やさしいやさしいやさしい。
荷物がまだ確認できてません電話のあとにWEBのステータスもかわった。
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んーこれは困ったなと思って、保険にはいってたことを今さら思い出して保険に電話。 ちなみに入っていたのはジェイアイ保険で、1年分の補償内容と金額は以下の通りです。
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YMSビザでいくとNHSという現地の国民保険みたいなのに強制ではいらされるので、英語しか通じない病院にはただで行ける! でもまじでやばい時にはさすがに日本語の病院いきたいし、家族にもなにかあったときに迷惑かけないように保険には入っておいたよ。
そして、保険のお姉さんに定形文のお見舞い申し上げられながら
手荷物遅延証明書(到着してから6時間以上)
レシート(到着してから96時間以内の必要品購入費)
があれば保険金10万円までお支払いできます。 とのことでした。
やったー!ない服が買える!と思って次の日の午後を買い物デーに設定。 手荷物遅延証明書は航空会社に発行してもらわないといけないんだけど、もう説明無理なので小夏に電話してもらった。
まわりに神様しかいない生活をおくってるなあ。 これが証明書だ!!!これさえあれば10万円の保険金!!! 小夏様ありがとう。
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❤ 21日水曜日
ジョエルが21日14時に電話もう1回してみようと言ってくれてたけど買い物をすることを告げて水曜日はお買い物デーをして、帰るころにドライバーからあなたの荷物を届けますよ電話がきました。 ポストコードと何時に帰るかを教えてといわれたので、19時に帰ること、テキストメッセージでポストコードを送ることを伝えて買い物を続行。
なんてスムーズな一日???
そして19時過ぎにまた電話「ついたから降りてきて」と言われて降りたら、ドライバーいた。そして、ひさしぶりにこのスーツケースに再会! またサインをして、荷物を無事に受け取りました。
今度はひとりで出たので荷物を自力であげたんだけど、まじ重かったな。
荷物が遅延しなかったら、これを空港から2個も持ってこなきゃいけなかったんだと思うとものすごく結果オーライなんじゃない? って思えてきたよ! タクシー代も浮いた! 一件落着!!!
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nanane-novel · 7 years ago
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第一話「不可思議と影」 (6)
「ハノちゃんって、いうのかい? 花が咲くような、大地にうるおいを与えるような素敵な名だね……僕はユエ、一応このフライハイトに所属している者さ」  青年はやわらかにほほ笑んで、礼儀正しく会釈をした。  ハノは、はっとして辺りを見回した。壁に飾られた、雄々しい白い鳥が描かれた旗を見つけて確信する。この建物は昨晩村長にも教わった冒険者協会フライハイトそのものだったのだ。民間人の護衛や情報収集、魔物の退治など様々な依頼を承っている、いわゆるなんでも屋のようなものだ。  清潔感漂う小奇麗な木造の建物で、大きく育った観葉植物がところどころに飾られている。それに数個ほどならべてある木の丸テーブルやイスも、使い古されているのか、傷はあれどまだまだ丈夫そうだ。スプリードの一番広い部屋より広い、酒場を思わせるような場所だ。“定職にもつかず、武器を振り回すならず者”と呼ばれる者たちのすみかにはとても見えなかった。  しかし、そこにいるがたいのいい男らは剣や斧をテーブルに立てかけ、傷だらけでごつごつした大きな手でジョッキを握り、豪快に酒を飲み交わしている。やはり、ハノが��像する冒険者のすみかなのである。 「アンタみたいなすごいひとに出会えてよかったよ。あぶないところを助けてくれてほんとうにありがとう、ユエ!」  ハノが握手をもとめると、ユエもそれを快く受け入れてくれた。 「どういたしまして。君は無邪気であたたかくて、まるで太陽を思わせるようだね。そんな魅力的な女性に出会えたことを僕は誇りに思うよ」  これが一般的には口説かれているのだということに気がつくはずもなく、彼のつむぐ言葉やどことなく優雅なしぐさが、森に住む少女にはとても神妙に映った。はじめて会ったひとは彼を一目見て冒険者だとはわからないだろう。  細身で長身である彼のいでたちは、温暖なこの国には不釣合いな北国のものだった。コートの襟や袖にあしらわれた黒い毛皮、その下にまとったチュニックは金糸で紡がれた優美な模様が描かれ、首元をリボンタイでまとめた純白のブラウスが、高貴で上品な香りを漂わせていた。白い肌にかかった長い白藤色の髪はリボンでゆるく束ねられている。貴族のような美しい装いの青年であったが、そういうひとびとに慣れていないハノにも、近寄りがたいとか親しみにくさというものはなかった。 「なにをしでかしたのかなんて野暮なことは聞かないけれど、ユミリア王国軍には気をつけたほうがいいよ。君みたいなかわいい少女にだって容赦しないからね」  水のように澄んだ青い瞳が、ハノの表情を映す。あっけにとられたような顔だ。 「ユミリア王国軍ってまさか……」  肝心なことが頭から抜けてしまうのは、ハノの悪いくせである。村長に叩き込まれた知識が、滝のようにハノの脳内に流れて出てくる。その瞬間最初に理解できたのが、逃げきれたのは運がよかったということ。彼らはこの国が率いる兵士達で、そしてその中でも黒服を着た集団は特別治安部隊”セイバー”と呼ばれている優秀な人材を集めた者たちだ。彼らはなにか大事な任務を成し遂げようとしていたのかもしれない。おそらくハノは、その邪魔をした敵と思われているに違いないだろう。 「オレはただ、鳥人のおんなのこを助けただけなのに」  ハノはうつむいて、ささやくようにひとりごちる。ユエの眉がわずかに動いて、そっと彼女の顔を覗きこんだ。 「鳥人のおんなのこ、とは?」 「……綺麗なみどり色の目をした子だったよ。王国軍の――黒い眼帯をしている男を見てすごく怯えていたんだ。あれはただ事じゃないと思ってさ、それで思わず逃がしたんだ」 「なるほど、君は共犯とでも思われたのだろうね」  その時の状況を思い出し、ルビーの瞳は輝きをにごらせる。治安部隊に追われるということは、あの少女がなにか悪事を働いたのだろうと、ユエは予想しているのだ。しかしハノにはどうしてもそうは思えなかった。明確な根拠があるわけではない。ただ、涙に濡れなにかを訴えるようなエメラルドの瞳が脳裏に焼きついて離れないのだ。 「あの子は、悪いことをして逃げているようには見えなかった」  その言葉を聞いて、ユエはすこし考えるような仕草をした。それから一瞬おどろいたような、おもいついたようにも見える表情をすると、ハノを手招いて小声でつぶやいた。 「だとしたらそのおんなのこは、この国で起きている事件の被害者かもしれないね」 「……事件って、どんな?」  ユエの表情がわずかにくもったような気がした。ハノは聞いてはまずかったかと思いながら、物語るように淡々と話を進める彼に耳をかたむけた。 「精霊病と呼ばれた病を患ったひとがいる。そのひとは何かにとり憑かれたように、暴れまわり周囲の人間に被害を与える。ただ一般人が暴れるだけなら僕たちには止められるんだけど、厄介な事にその病にかかったひとは人間でも、鳥人が使うような魔法を使えるんだ。それも結構強力なものをね」  鳥人には、男性が鳥に変化することができ、女性は風を起こす力を持って���ることは、ハノも知っていた。万物に宿る精霊に力を借りるだとかそんな話を聞いたことがある。人間にはその精霊の姿も声も聞こえないはずだった。 「そこで鳥人の王族に病にかかった人間を見せたら、なにか精霊と近いものの気配がすると言ったそうだ。精霊は純粋な血統を持つ鳥人ではない限りその姿を見たり、話したりすることはできない。見ることができても、止められなければ意味がないけどね……王族でも気配を感じ取るだけで精一杯だった。だから、今のところとり憑かれたひとを隔離するしか、対処のしようがない」  諦めたようなユエの言葉に、ハノは思わず身を乗り出していた。 「鳥人なんて街にたくさんいるだろ! 誰かひとりくらいはどうにかできるんじゃないか?」  ユエは参ったというように肩をすくめて、 「いや、ここは鳥人が治める国だけど、人間の数も半分ちかくいるだろう? 純粋な血統は年々途絶え、今は王族だけといわれているんだよ。でも、その王族も役に立たなかった。それで、さっきのユミリア王国軍のデスティ・リューリスはその精霊に取り憑かれた人を助けるべく、殺すという選択を実行している」 そう語る時の瞳はどこか遠くをみつめていた。  ハノは驚きのあまり言葉もでなかった。助けるために殺さなければならないなんて、それは助けるとは言わない。胸の奥から、言い表せないなにかがふつふつと沸いてくる。 「当然とり憑かれた人間が亡くなれば、騒ぎはしばらく治まるけど、憑きものが消滅したわけではないから……また別の人に乗り移る可能性は大きい。根本的な解決にはならないんだ。実際にもう十人以上は被害に遭っているし」 「さっきのおんなのこが、その病気にかかっているっていうのか?」 「あくまでも、憶測だよ」  念を入れるように、冷静な声でユエは言った。  こんな悲惨な事件があったなんて、全く知るよしもなかった。自分のなくしものをのん気に探している場合なのだろうか。己の無知さにハノは拳を強く握るしかない。この街は豊かで活気のある、平和な街だと思っていたのに。  ユエはうつむいているハノを見、ちいさくため息をついて、苦い笑みをうかべた。 「ああ、ごめんね。会ったばかりの君にこんな話をするつもりはなかったんだけど」  気にしなくて良いという意を込めて、ハノは黙って首を横に振った。そのあと、無意識に心のなかにうずまいていた決意が勝手に口をついてでてきた。 「なあ、ユエ! あの鳥人のおんなのこが殺されるなんて納得いかないよ。助けたい」 「その子は、君の知り合いなのかい?」 「……そうじゃないけど、ほっとけないよ。だってあの男、絶対本気だ」  まるで憎悪をぶつけるかのような紅い瞳を思い出すと、今でも背筋が凍りつく。あれを殺気というのだろうか。  ハノは先ほどからずっと、目の前にある旗を見ていた。女性の鳥人には、この旗に描かれた鳥のように大空を羽ばたく力はない。この城塞の檻の外に逃げることなんてできない無力な雛。助けてくれる者が必要なのだ。  ユエは��と、木窓の外をちらりと横目で見てから、ハノの方に視線を戻した。 「君はやさしいんだね。でも、今は自分の心配をしたほうがいいと思うよ」  ハノは理由を問うように、ユエの顔を見た。そこにはいつものようにおだやかな笑みはなく、無表情でありながらも警戒の色がうかがえた。 「三人……いや、四人かな」 「……なんのことだ?」 「この協会の周りを張っているネズミの数さ。僕が見張られているのか、もしかしたら君が出てくるのを待っているのかもしれない。どっちにしても僕は彼らからとことん信用されていないらしいね」  噂をすればなんとやらか――そう言ってやれやれと肩をすくめる時の表情は、どこか楽しんでいるようにも見えた。まるで他人事のようである。  ハノは一瞬、背筋に黒い影が通り抜けたような気がした。 「……もしかして、王国軍がいるのか?」  ハノがつぶやいたちょうどその時、カウンターの奥の扉から妙齢の女性が姿を現した。おそらく協会の職員だろうか。読書にふけっていたのか、ぶあつい本を片手に抱え、来客に今しがた気づいた様子だった。目についたハノをもの珍しそうに頭の先からつま先まで見たあと、その傍らにいたユエの方へ視線を向けあきれた風に口を開いた。 「やはりユエさんでしたか。女性をたぶらかしている場合ではありませんよ」 「やあ、ノア。君も気づいたのかい? さすがユミリアの野に咲く美しい薔薇だ。突然だけど、ここを頼めるかな」  彼女の冷めた視線を溶かすように、ユエが向ける瞳はとても嬉々たるものだった。先ほどまではハノにもそんな視線を向けていたので、どうやら彼は女性とあらばいつもこの調子なのだろう。  ノアと呼ばれた真面目そうな女性はといえば、ユエの頼みを聞いているのか聞いてないのか、さりげなく握られた手を押しのけるとハノの方へ歩み寄って軽く会釈をした。 「ようこそ、冒険者協会フライハイトへ。お話は伺っています。私は依頼の受付を担当しているノアと申します。あなた様のお名前は?」 「ハノだ」 「ハノ様、うちの冒険者がご迷惑をおかけしました。あなた様の安全は彼がお守りしますので、ご心配なく」  ノアは切れ長の目で睨みつけるようにユエを見た。それでも彼は、余裕しゃくしゃくたる態度でのん気に笑っている。ご機嫌にノアの手を握って別れを言ったあと、片手でハノの肩を抱きカウンターの奥の部屋へと促した。  ハノにはなにがなんだか把握できず、されるがままの状態でユエの横顔を見上げた。 「ユエ、これからどうするんだ?」 「僕と愛の逃避行なんてどうかな? 秘密のデートコースがあるんだ」 「無駄口は逃げ切れてからお願いします」  背後から聞こえたノアの声に、ユエは片目を閉じて合図を送った。
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folded-memories · 8 years ago
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Atong Atem, US, 2017
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入り組んだ湾に囲まれたシドニーでは、バスや電車のほかに、フェリーの交通網が発達している。カスタム・ハウスと呼ばれる昔の税関局の建物は、フェリーの発着駅サーキュラー・キーを出て、すぐ目の前にある。19世紀半ばに造られた歴史的建物は、現在は図書館として使われていて、アーティスト、アトン・アテム(Atong Atem)の展示『US』はその二階にあった。地階の受付カウンターの脇にある階段をのぼって、展示スペースに足を踏み入れると、カラフルな色彩と、布地にプリントされた迫力ある美しい反復模様が目に飛び込んできた。『スタジオ・シリーズ(Studio Series)』という肖像写真のシリーズで、被写体となっているのは10代後半から20代くらいの比較的若くみえるアフリカ系の男女だった。かれらはカラフルな衣装、大ぶりのアクセサリーを身につけていて、西アフリカに広くみられる、ろうけつ染めのカラフルな布地や、ナイロン製の敷物の背景幕の前でポーズをとっている。液晶ディスプレイに投影する手法で展示されていて、あざやかな色彩が抜群に映えていた。
 アトン・アテムはメルボルン在住の南スーダン人アーティスト。1南スーダン人の両親のもと、エチオピアで生まれ、ケニアの難民キャンプで過ごしたあと、5歳のときに両親とともにオーストラリアに移住した。ニュー・サウス・ウェールズ州セントラル・コーストの黒人の少ない地域で、唯一の黒人家庭の一員として、みずからの「他者性」をつよく意識して育つ。オーストラリア社会・文化における自らの立ち位置を初めて意識した瞬間として、彼女は小学校時代の出来事——他の子と同じように淡い桃色のクレヨンをつかって、家族の似顔絵を描いていた彼女に、美術教師が「どうして茶色のクレヨンを使わないの?」と声をかけたこと——に触れ、両親の文化と移住先の文化、そのどちらにも帰属しない「Third Culture Kid(第三文化の子ども)」として育ったことが、彼女の作品のテーマを方向づけたと言う。2
2001年以降、オーストラリア政府はスーダン内戦の難民に対する人道支援プログラムを実施している。31997年から2007年のあいだに、20000人以上のスーダン出身の難民(ケニアやエジプトの難民キャンプでスーダン人の両親のもとに生まれた者を含む)がオーストラリアを移住先として選んだ。メルボルンやシドニーの都市部で暮らしている人たちが多いようだ。南スーダン出身のDeng Thiak Adutのように、少年兵となることを強いられた過去をもち、渡豪後は独学で勉強して難民問題専門の弁護士になったサクセスストーリーで知られる人もいるが、新しい環境や文化への適応は決して容易ではなく、移住の苦労やストレスを余儀なくされる者が多いのが現実だ。アテムのように幼少期に移住して、二つの文化のあいだで生きざるをえない若者がアイデンティティの葛藤・苦悩を抱えるケースも少なくない。
冒頭で紹介した作品『スタジオ・シリーズ』は、スーダンからの移住者の第一・第二世代を被写体にした肖像写真である。撮影にあたって、アーティストは友人や知り合いに声をかけ、かれらが持ち寄った花、スカーフ、衣装などを自在に組み合わせてイメージをつくった。その際、彼女が念頭においていたのは、セイドゥ・ケイタ(Seydou Keïta, 1921-2001)やマリック・シディベ(Malick Sidibé, 1936-2016)といったアフリカ人写真家たちのスタジオ写真の形式だと言う。4
スタジオ写真とは、背景幕にプリント模様の布地をつかい、華やかな衣装に身をつつんだプロのモデルではない被写体が、筆記用具、電話、花、高級車などの小道具に囲まれて、どこかぎこちなくポーズをとる肖像写真。51950年代以降、セネガルやマリの都市部のアフリカ人写真家が経営するスタジオで撮影されるようになった。ヨーロッパから持ち込まれた写真技術をつかって、アフリカ人写真家がみずからの文化を自由に表現し、植民者の民族誌学的・分類学的まなざしにより形成された「アフリカ」の歴史的表象を解体する試みとして注目された。 
このようなアフリカにおける写真文化の文脈を理解したうえで、アテムは肖像写真、スタジオ写真のスタイルを、アートの世界におけるヨーロッパ中心主義的なナラティヴに抵抗する方法として選びとっている。さらに、アフリカ人肖像写真家の作品との出会いとは、彼女やその友人たちのように、両親に連れられて幼少期に移住し、ルーツのある土地から離れて暮らす者たちにとって、両親の故郷と自分自身を結びつける紐帯の発見でもあった。それらの作品に惹きつけられた理由を、アテムは「これまでずっと目にしてきた両親や親戚の写真に似ていたから」と説明し、それを作品で「再現」したかった。『スタジオ・シリーズ』の撮影では「みんなの家の家族アルバム」をイメージして場面をデザインしたと語っている。6 
「再現/複製(replication)」という言葉の使用には興味をそそられる。ポップでカラフルな背景幕・衣装・小道具・構図などの形式を踏襲しつつも、〈オリジナル〉とも異なる〈再現/複製されたもの〉としての独自性、「第三文化の子ども」としての表現のあり方について考えさせるからだ。両親や親戚の家族写真を、故郷から遠く離れて育った子どもたちが、しかも、独自の植民地主義の歴史をもつオーストラリアにおいて「再現/複製」すること。そこには故郷との複雑な距離感、アマルガムなものとしての文化の位相がかいまみえるのだろうか。
同じ階の離れた場所に展示された、もうひとつのシリーズ『自画像(Self Portraiture)』は、ハイブリッドなものとしてのアイデンティティをより強く意識させる作品だ。やはり肖像写真の形式がつかわれているが、背景幕はいかにも「アフリカ」らしい布ではなく、アーティストが身にまとっているのは必ずしも民族衣装ではない。紺色の無地の布を背景に、顔と身体にあざやかなオレンジ色の布を幾重にも巻きつけた、思索的な雰囲気漂う一枚、淡いピンク柄の背景布に、ココア色の肌がひきたつベージュ色のオールインワンを身につけ、白いドットとラインの装飾的なメイクをほどこした一枚、淡いライラック色の背景に、カラフルなレオナール調の花柄ブラウス、大きな首飾りとイヤリングをつけ、厚塗りの化粧がアフリカ少数民族のボディ・ペイントにもヴェネツィアの仮面のようにもみえる一枚など、「セルフィー」という語が一般的になった時代のセルフ・ポートレートと言えるが、いずれも現代的で洗練された感覚にあふれていて、見ていて飽きない。
『自画像』シリーズにおける被写体としてのアテムは、多種多様なセルフ・イメージの創出を大いに楽しんでいるようにみえる。「ヨーロッパ」が「アフリカ」に対して注いできた植民地主義的視線に内在する、視る者・視られる者の関係を無効にし、「わたしはこのように見られることを望む」というパフォーマティヴな意志をストレートに突きつけている。異なる「わたし」にめまぐるしく変身/擬態する様子、シリーズとして並べてみた場合の強迫反復的な自己増殖の感じは、セルフ・イメージの不断の創出のなかにしか安住できない「第三文化の子ども」のアイデンティティのはかなさ、焦燥を伝えるが、それ以上に、アテムのつくりだすイメージはそれを悲哀とは感じさせないポジティヴなパワーとオーラに満ちている。
 注
1Atong Atemの経歴についてはAtem “Atong Atem”を参照した。
2このエピソードについてはDoを参照した。
3オーストラリアのスーダン人コミュニティについては、Migration Heritage Centre New South Wales, Stevensonを参照した。
4『スタジオ・シリーズ』におけるスタジオ写真のコンセプトについてはGilliganを参照した。 アテムはほかにも影響をうけた写真家として、あざやかなカラーとユーモアあふれる演出でスタジオ写真を洗練させたガーナのフィリップ・クワメ・アガギア(Philip Kwame Agagya, 1958-)の名前を挙げている(Gilligan)。
5植民地時代と独立後の西アフリカにおける写真の実践についてはMustafaを参照した。
6アテムの『スタジオ・シリーズ』についてのコメントはGilligan, Atem“Atong Atem”を参照した。
 参考文献
Atem, Atong. Official website〈http://www.atongatem.com/about/〉Accessed 8 May 2017.
--. “Atong Atem: Gallery Talks: Red Hook Labs” NATAAL
 〈http://nataal.com/atong-atem-at-red-hook-labs/〉Accessed 8 May 2017.
--.“How I Write: Atong Atemm” The Suburban Review, June 2, 2016. 〈http://thesuburbanreview.com/2016/06/02/how-i-write-atong-atem/〉Accessed 8 May 2017.
Do, Emma, “Photographing the space between cultures: Atong Atem talks to i-D about Third Culture Kids and confronting your identity as an ‘other’.” i-D 2 June 2015.
 〈https://i-d.vice.com/en_au/article/photographing-the-space-between-cultures〉Accessed 8 May 2017.
Migration Heritage Centre New South Wales website
〈http://www.migrationheritage.nsw.gov.au/exhibition/sudanesestories/a-new-life-in-blacktown/〉Accessed 8 May 2017.
Gilligan, Minna. "Bad Girl Painter: Atong Atem” Rookie 58, September 6
〈http://www.rookiemag.com/2016/06/bad-girl-painter-atong-atem/〉Accessed 8 May 2017.
Monneraye, Claire. “US: Atong Atem.” Australian Centre for Photogtraphy. (会場配布資料より)
Mustafa, Hudita Nura. “Portraits of Modernity: Fashioning Selves in Dakarois Popular Photography,” Paul S. Landau & Deborah D. Kaspin, eds., Images & Empires: Visuality in Colonial and Postcolonial Africa, Berkeley: University of California Press, 2002, 172-192.
Stevenson, M. “Sudanese Migration in Australia” Museums Victoria Collections 2009〈https://collections.museumvictoria.com.au/articles/2997〉Accessed 8 May 2017.
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zuidou-blog · 8 years ago
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エレウテリア 第五話
Conte エレウテリア Ghost and Insurance 第五話 「DON’T TRUST ANYONE OVER 30」 遊園地廃墟の夜が深い青に落ちていく。月明かりは木々を透過して注ぐ。海底の冷たさを等しく全員へ示す光に命ある総ての者は押し黙る。その身を闇に引きずり込まれないように。反対に騒ぎ出す者等。インサニティ。ルナティーク。月に憑かれて踊る魂の際限ないダンスの果てには神聖な狂気の世界が待つ。湖面に映るぐにゃぐにゃの時間。一時も落ち着かない生活がやってくる。生まれ持った音のボリュームには個体差がある。シューゲイズに惹かれるEDM。フォークソングとぶつかるポジティブ・パンク。ソウル・ミュージックとジャズが手をつないでニューウェーブを握りつぶす。 トイレの割れた窓ガラスをオバケが踏むと小気味良い感触が靴の裏から全身を伝わった。 「男子トイレってこんな感じなんだね」 「そうだよ」 驚くべきことに水道はまだ通っていてホケンが蛇口を捻ると腐ったような臭いの水が勢いよく飛び出し止まらなくなった。呆然として半笑いでオバケを見、疑問に感じた部分を混ぜ返す。 「“そうだよ”?」 「男とよく夜の公衆トイレで」 「そんなことだろうと思った!」 『暗黒日記二〇一六』執筆中の少年は個室で言いがたい感覚に襲われていた。清沢洌にちなんでキヨサワと呼ばれることになった彼がトイレに駆け込もうとすると当然のように少女二人もついてきた。「気にすんな」と言われても無理というものだったが彼史上最強クラスの便意と長時間に亘る格闘をするうちに無理ではなくなっていった。ボロボロの木の板一枚挟んだ向こうにいる彼女達をいつの間にか戦友のように感じている。下卑た冗戯も戦争映画の音声に聞こえ、敵国へ勝利を納め扉を開けた時彼の心には密かに二人への親愛の情が生まれていた。暗いのは好都合誰か人がいたとして姿を見られる危険は日中より少ないと三人は園内を彷徨う。突入する建物には必ず生活感があることに驚いた。廃墟を棲家にしている人々がいるのだろうか。いるとしてそれはどんな種類の人間だろう。山奥で隠遁生活をしなければならない集団。カルト宗教、指名手配犯、ホームレス……。何にせよ安全で善良な人物が暮らしているとは思えなかった。予感は的中した。明け方湖の側で発見した第一村人は遠目にも危険人物らしい相貌である。全裸で逆立ちをしながら詩の朗読をしていた。好きな作者の物が結構あったのでコイツは危ないとオバケは感じたのだった。 「あ、所長」 「所長?」 「あの人がここの総責任者なんだ」 「つまりアレをやれば我らの勝利……?」 「待って待って待って」 叢を分けて飛び出すと逆立ち全裸は華麗にバク宙を決めて二足歩行体勢に戻った。恥という感覚がとことん抜け落ちているようだ。衣服を纏おうとは欠片も考えぬ素振りのまま仁王立ちでオバケを迎えた。 「君は……新しい世話係だったかな。早いね。もう辞めたいっていうのか。よし。分かっているな。今日一日生き延びることが出来ればここから出て山を下りる権利が与えられる。死んでしまえばそれまで。それがローズバッドハイツ従業員のルールだ。では始めようか」 「イエーイゲームスタートふっふー!」 オバケが茂みに戻るとホケンとキヨサワは同時に彼女の頭を力いっぱい叩いた。 「だって……何あのRPGの敵対モブみたいな発言!?字幕見えたわもう!」 「いきなり出ていってどうするつもりだったの」 「本当に殺す気でいた?」 「そういう訳じゃ…..。上手くすれば状況打開する道につながるかなーと」 「で、上手く出来ましたか勇者オバケよ?」 「あーうーん、山下りる権利?くれるって」 「すごいじゃん!」 「うん、うん、でもな、あのな、今日一日、生き延びられたらって、言ってた」 「どういうこと?」 「うーんとうーんとああいうことかな」 無線機で連絡を取り逆立ち男は大量の人間を集めていた。真っ赤なツナギを身につけた集団のその数はどこに隠れていたのか不思議な程。最悪な状況が自分で思っていた以上に行く所まで行っていたことにオ���ケが気付いたのはこの時だった。逃げ延びられるはずもなく彼女達は山を下りるどころか頂上へと連行されていく。道々見えたのはこの廃遊園の全景。過酷な労働の果てに息絶えた亡者へ死してなおその手足を働かせることを強制する死臭噎せ返る工場。圧倒される物々しさは美の領域にまで達していた。ぜんたいここは何なのか。この先に何が自分達を待つのか。ぞくぞくと心臓を震わせるのは恐れだけでなく期待も大きいのであった。 薔薇。薔薇。薔薇。薔薇。薔薇。山頂を支配する無数の薔薇の花の群生。人の営みも動物達の食物連鎖も虚しい遊戯にしか思えなくなるほどただそこは薔薇園だった。薔薇が薔薇のみしか必要とせず薔薇のために薔薇は存在し薔薇のため薔薇が死ぬ。自家中毒の桃源郷。こんなところに連れて来られてはいよいよ死ぬしかない気がした。だが不思議と怖くなかった。切り刻まれ腐り果てて堆肥になったら養分としてこの美しい薔薇の一部になれる。それは本望かもしれない。私が生まれたのはきっとそんなふうに綺麗なものになるためだったんだ。 「やあ」 薔薇はとうとう中世ヨーロッパの貴族階級のような声で口を利いた。遮るものの何もない場所で声はどこまでも響く。 「呆気なかったな、非行少女たち」 そして薔薇は人のかたちを模した。荊のベッドから身を起こす人影がある。美輪明宏がまだ美輪明宏になる以前の美輪明宏のような美青年が薔薇の海から生まれた。見覚えがあるように思ったのは恐らく究極の美というものは原始的な記憶領域に訴えかける作用を有するからだろう。蛇に睨まれたように身体が動かせずにいると青年は彼女らに自ら歩み寄った。コミュニケーションを取ることが却って困難になる距離まで近付いて黙ったまま観察する。彼のあまりの顔の近さにオバケにはそれが昆虫のような異星人のような巨大な目玉を持つ怪物に見えた。彼女らを連行した赤ツナギの一団が丘の上に立つ建物から出て来た別働隊から何事か報告を受けている。そして薔薇から生まれた青年へ報告は受け渡された。 「君たち….スタッフじゃなかったの?」 アゴ、というより両のエラに手を入れられ顔を持ち上げられたオバケは改めて目撃した青年の美しさに戦く。同時に気付いたこともあった。彼の目には何も映じられていない。目の前にいる私を、耳元の部下を、恐らく人間として見ていない。心を開いていない目。あの芸能プロダクションの人間と同じ、溶けたプラスチックの目。途端に強烈な嫌悪感に苛まれた。それは青年に対してだけでなく今まで全てから逃げ続けてきた自分自身に対しても同様だった。彼の澱んだ目の中でオバケの消したい過去たちが溺れてはまた浮上する。 「わっ!わー!何ですか、やめっ、あの、何ですか!?離してください!」 赤ツナギ達がホケンを拘束して運ぼうとしている。キヨサワはどうなったのかと探すと彼は赤ツナギの一人からいけないことをした子供に諭すように叱られていたが彼自身はどこか全く別の方向を見ている。それに対し赤ツナギは注意せず聞き手のいない説明会を続けていた。憶えている外の景色はこれが最後だ。神経症的に空間を埋める薔薇。濁ったプラスチックの視線。拐われる少女。遠くを見つめる少年。今となってはどれ一つとして現実感がない。私は始めからここにいて全部ただの妄想だったのかもしれない。 罅割れの激しいサイレンが鳴った。曜日の無い一日がまた始まる。人ひとり埋もれる高さの雑草が生い茂る中庭を伐り開いた空き地にはブルーシートが敷かれ、黒ずみ欠けたアイスクリーム屋の白い椅子とテーブルが並ぶ。キャスター付きホワイトボードは黒板を手前にある手術台は教卓の役割を果たしていた。現実社会という戦地から疎開した青空教室。しかし飽くまでも日本的な詰め込み型教育で教えられる科目はただの一つだった。危険薬物はその人の四肢を腐らせ五感を狂わす薬である。自ら進んで人間でなくなりたい者は使えばいい。日々突き刺される言葉の烈しさは薬物の刺激に慣れた「生徒」への配慮なのか家畜を見���目をした赤ツナギの憂さ晴らしなのか。小学校卒業以来、中学は週に一度作文を提出することで足りない出席日数を補完、高校は開き直って呆気なく中退、とまともに学校という物へ通った経験がなかったのでアタシはこの歪んだ青空教室を楽しんでいるきらいがあった。大学ってもしかしたらこんな感じかなと見当違いな想像もした。 それは長い梅雨の明けた7月のよく晴れた日だった。青空薬物リハビリプログラムは日一日と脱落者が増えていき生き残ったのはアタシと80年代のロックスター風にウェーブのかかった茶髪を長く伸ばした男だけにいつの間にかなっていた。荒くれ者然とした彼とは一度だけ話したことがある。ノートを見せて下さい、という意外にも丁寧な口調に面食らってしまい返答出来ずにいると俺のも見せますから、といらない交換条件を提示してきた。びっしり書き込まれた文字はタイプされたような美しさで、しかも見易く配置された内容はところどころ図に表してあるほどのこだわりよう。呆然と見惚れてしまったのを覚えている。よっぽど本気なんだろうなと思った。彼にとっても今日は待ち焦がれた日だと思う。予定ではいよいよプログラム最終日なのだ。 「おめでとう!」 薔薇の花。何週間、もしかしたら何ヶ月ぶりに見た青年は変わらず美しく息をしていた。いつもの常に苛ついている太った赤ツナギは萎縮して陰に隠れていたがその飛び出した腹部まではへこんでいなかった。残念。青年は笑顔を全く崩さないままにバッグからあるものを取り出す。 「最終試験だ!僕のモットーは“平等”だからね!このローズバッドハイツから出て行こうとする人には従業員にも患者にも同じ条件を出す!」 患者。アタシは患者だったのか。ずっと自分が何なのか探していた。子供にも、大人にも、学生にも、アイドルにも、狂人にも、誰かの大切な人にも、私は結局なれなかった。薬物リハビリ施設で治療を受ける哀れな患者。私という動物のつまらない正体を簡単に暴かれたせいでなんだか笑い出してしまいそうになった。 「今日一日生き延びろ」 壊れた機械のねじ穴を永遠に塞いでしまうような絶望的な清々しさで彼はそう言って次の言葉を続ける。 「けどクリーンなスタッフ達をわざわざクスリ漬けにするわけにはいかないし、ろくに運動もしてない君たちを走り回らせても仕方ない。彼等と君たちには別の生き残り方を目指して貰わなければ。そうだろ?そうしないと平等にならないもんね?」 素人目にも凄まじい高級品だと分かる黒い革の手持ちバッグから出て来たのは、一組の注射器と、粉末の包みだった。綿の飛び出した緑の手術台ーーそれは先述の通り教卓なのであるーーにその二つを見せつけるようにゆっくりと置く。 「これが何か分かる人ー?………..今日一日、君たちはここに居てもらう。それだけ。それが最後のテストだ。勿論、ここまで来た君たちは、目の前にかつてお世話になったおクスリがあるからって貪り打ったりはしないもんね。じゃあね!ああ寂しくなるなあ!一気に二人もローズバッドハイツを卒業しちゃうなんて!……….日付が変わったら、お迎えが来るよ」 金縛りなんて比じゃなかった。これからどんなに最強最悪の大悪霊に取り憑かれてどれだけおぞましい金縛りにあったってすぐに自力で解ける気がした。幽霊のたぶん充血して瞳孔の開ききった目を力いっぱい睨み返しながら、そいつがたまらず成仏してしまうまでやり返せる自信があった。もし、ここで、この場所で、身動きが出来たとしたら。体感で一時間が過ぎてやっと、骨の軋む音を頭蓋骨に爆音で反響させながら首を回して、隣にいる彼の様子を見ることが出来た。彼も同じく硬直してしまっていたが一部だけ激しく運動している点がオバケとは異なる。何かが宿った人形が髪をのばすように。聖像が血涙を流すように。微動だにしない肉体から絶えず滝の涙が流れていた。涙腺が心臓として脈打ちいち早く緊張を氷解させる。不安や恐れや怒りの入り混じった彼の姿を目で追っていると体の動かし方を思い出していくようにしてオバケも徐々に徐々に震える手足を命令に従わせていくことが出来るようになった。天敵に遭遇した動物と食糧を発見した動物。彼等の中で目まぐるしく入れ替わり立ち替わりする欲求の種類はまさに野生のそれであった。手術台に載せられているのは人生を破壊する道具である反面、どうしようもなく必要としてしまう存在でもある。二人とも一言として言葉を発せないうちに日は傾こうとしていた。時間が泥のようにまとわりつく。呼吸をするほど息は苦しくなる。酸素が猛毒だった地球最初の嫌気生物の気分。 「限界だ!」 ロックスターもどきの彼はチューブで腕を縛り血管を浮き立たせる。粉末を炙って透明な液体にし注射器で吸い取ったら一度ゆっくり押し出して針の先を2回はじく。そういえば、この動作への憧れがアタシを壊していったんだっけ。辛い時間を埋めてくれた映像。トレインスポッティング、ウルフオブウォールストリート、時計じかけのオレンジーー。映画はどんなダメ人間も許してしまう魔法だ。どれだけ人を嫌い嫌われるやつでもスクリーンは分け隔てなく愛してくれる。必死で、投げ遣りで、幸せで、不幸で、孤独で、愛し合っていられた。その中のどれ一つとして本当には味わったことのないアタシと画面の中のキラキラした彼等彼女らは全てを共有してくれた。おかげでアタシはハイティーンにして既に老境に入ったベテランジャンキーだった。灰彦店長の贈り物はだからきっかけでしかなく、あれがあっても無くてもどの道アタシは同じような人生になっていたと思う。だから、この、今まさに長い断薬生活に別れを告げようとしている同志のロン毛チリチリなんちゃってロックヒーローには、無意味な永遠の中に逆戻りして欲しくない。オバケは男に背後からしがみついた。注射針はもう彼の皮膚を突き破っていたが腕を振るだけで引き抜けたことから血管には達していない確率が高い。海岸線に沈み始めた夕陽が黒ずんだ濃いオレンジを二人目掛けて投げ込んだ。弾けた光はそのまま部屋中に広がり波打つ。 「だっ……ああ!も、さ!?うああっ!」 言葉が何一つ形にならなかったことで自分が泣いていることを知った。言いたいことが沢山あった。本当にいいの?じゃあ何で今まであんなに頑張ってたの?ここを絶対に出たい理由があるんでしょ?勝手な想像だけどさ、何が何でももう一度会って謝りたい人がいるんじゃないの?じゃなきゃ、きっと人間はそこまで自分の為だけに命がけにはなれないでしょ?全部ただの呻きにしかならなくて悔しくてひたすら彼の背を叩き続けた。這いずりながら彼はまだ注射を打とうと手を伸ばす。いっそう強く呻いて背中を叩いた。何度も何度も何度も。それでも彼は諦めず震える手を夕陽に透かしていたが、やがて抵抗をやめた。それから二人で馬鹿みたいに泣いた。悲しさを、悔しさを、全て流し切ろうとするかのようにいつまでも泣いていた。顔中ドロドロになって乾いてまたドロドロになって乾いてを3回繰り返した頃にはやっと少し落ち着いてきた。外はもう暗くなって、警備担当の赤ツナギの持つ懐中電灯の光だけが何の明かりもない敷地外を不気味に漂っている。 「あれやらない?ミーティング」 返答する以前に彼の顔の地殻変動っぷりが笑い事じゃなったのでポケットティッシュを差し出した。ありがとうと恥ずかしそうに呟いたあと顔を隠すように拭きながら彼は言う。 「もう二度とやることも無いだろうから記念にさ!」 白と黄色のまだらになったティッシュの塊をゴミ箱に捨てて戻って来がてら小さく引き攣った笑顔をオバケに向ける。彼女も自らの顔の汚れを拭き取ることでどうしても表れてしまう笑顔を隠していた。かつてない和やかな空気の中最後のミーティングは始まった。薬物依存の人間同士が集まって自分の薬物体験を発表し合う。そうすることにより薬物の恐ろしさを俯瞰的に感じ取るのがこの「ミーティング」の目的である。だがオバケはここで行われるプログラムの中でこれを最も苦手としていた。薬物についての話を集中して聞いていると頭の中が混沌としてくる。想像力が制御を失いどこまでも広がっていってしまう。アマゾン奥地では船で山を越えるんだ!先住民と戦争を!ジークハイル!フィツカラルド!いやザ・ダムド!ヘルムート・バーガー!ルキノ・ヴィスコンティ!地獄!老人という怪物!プレタポルテそしてYSL!YSL!称えよ我らがイヴ!我らがイヴを称えよ!ハイル!ハイル!ハイル!バスキアみたいなスライ・ストーン!さらばさらば藍色の青春時代!ヴィーナスは毛皮を着て陽射しがサングラスのマイノリティ!結論はシルクのバナナ!ーー喉が渇いた。砂漠にいや火星に置き去られてもうソル200くらい経ったような猛烈な喉の渇きでいつも幻覚は止むのだった。 「ごめん。付き合わせちゃって」 窓とは逆の壁を埋め尽くす段ボールの中から500mlの水を一本、彼が差し出していた。この施設には満足な物資こそないが絶えず喉の渇きを訴える入居者達の為に水だけは大量にあるのだ。ダム一つ分くらいありそうだといつか誰かが冗戯を飛ばしていたがあながち目測は外れていないのではないかと思う。ローズバッドハイツ。遊園地廃墟の姿を取った薬物リハビリ施設は「水」と「薔薇」の天国な��だ。 「大丈夫、じゃないけど大丈夫。何もしないよりはこの方が楽だったと思うから、気にしないで」 「そっか。今何時だろうね?」 「10時くらい?たぶん」 「そうだよね。ああ……さっきは本当にありがとう。あのままじゃ本当に何のために頑張ってきたのか、全部台無しにするところだった」 オバケが会話を続けられなかったのはミネラルウォーターをがぶ飲みしていたせいだけではなかった。もう一本さらに一本と二桁を超える数のペットボトルを要求してもまだ渇きを訴える彼女は彼にはとても見ていられない状態にあった。獰猛な肉食動物のように目をギラつかせて補給したさきから摂取量を遙かに凌ぐおびただしい水分を汗として放出している。温度感覚が狂い冷え切った室内にも関わらず暑さに喘ぐオバケ。支給品の病的に白いブラウスが湿って上手く脱げず彼女は男に助けを求めた。ボタンを全て外されると腕を抜くのも待てず彼女はホコリや髪と混じって床に転がる注射器へ飛びついた。痙攣しながら目的を果たそうとする。何が正しいのだろう。どこで間違ったのだろう。何故今俺はここで破滅しようとしている女の子をただ黙って眺めているのか。男は思う。良いじゃないか。俺には関係ない。後一時間足らずで決着はつく。俺は勝って、彼女は負けた。それだけだろ?何もするな、何もするなよ。お願いだ。 人を狂わす月の光がまたこの場所を深い深い海底に沈めていく。水槽の中に淡く揺れている海月のダンス。水面に浮かぶ薔薇の首。一組の男女が大麻の甘ったるい匂いを全身から放ちながら一糸まとわぬ姿で乱れている。人間離れした美しさの青年は普段の余裕溢れる態度をいくらか崩し目を細めて二人を眺めていた。翌朝、彼等は無論ハイツを退去することなど許可される訳もなく特殊患者向けのエリアへ移されることが決まった。ただ、0時に出会うべきだったところを翌昼12時に初対面した「お迎え」は意外な人物が務めていた。灰彦、と所長は彼女を呼んだ。 次回 第六話 「駅は今、朝の中」
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cavane · 4 years ago
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New arrivals... Jumper skirt linen herring bone × aran Woollen Mills made in Ireland 肌寒くなってきましたね🍂 週末はあたたかくしてお過ごし下さいませ リネンヘリンボーン織の素朴な風合いをそのままに、ウエストからたっぷりギャザーをよせたディテール、ゆったりとしたイージーシルエットでリラックス感のある穿き心地となります。 アイルランドよりざっくりと編まれたローゲージニットのケーブル模様が美しいニットが入荷しました。 肌触りの良いアイリッシュの天然羊毛となります。 詳細は下記よりオンラインストアをご利用下さいませ。 https://cavane.stores ・ ・ ・ cavane NO : ca-20162 ITEM : Jumper skirtスカート TYPE : women SIZE : F COLOR : Grege herring-bone(limited) STOCK:1(一点のみ)※ MATERIAL : linen100% ヴィンテージのように、着る人の好みによって生地のエイジング感を育てられます。 中厚手によるリネンヘリンボーンファブリックのジャンパースカート新作となります。 吊りベルト(サスペンダー)によって長さを調整することができ、ハイウエストのスタイルまで大人カジュアルに最適なデザインとなります。 バックのシルバー製スプリングホックにて脱着することができます。 ウォッシュ加工が施されておりますのでご自宅でも洗濯が可能です。カジュアルなスタイルから、クラシック・ヴィンテージまで幅広いテイストに溶け込むデザイン。 ロングシーズン着用可能なおすすめのファブリックです。おすすめです。 ・ ・ ・ aran Woollen Mills アラン ウーレンミルズ Ireland NO : ar-A825 ITEM : Traditional Aran Sweaterニット TYPE : men・women SIZE : S・M COLOR : Natural MATERIAL: 毛 (Merino wool )100% STOCK: 数に限りがございます 羊毛の中でも最高の品質を誇るメリノウール100% メリノウールは軽く保湿に優れ、肌触りの良いアイリッシュの天然羊毛となります。 ざっくりと編まれたローゲージニットは、ケーブル模様が美しいニットとなります。 袖口と裾はリブ仕様で、身体にそっとフィットし、しっかりと保温してくれます。カジュアルなスタイルから、クラシック・ヴィンテージまで幅広いテイストに溶け込むデザイン。 アイルランド製。 Aran Woollen Mills 1968年設立のアイルランド最大ニットウェアメーカー【Aran Woollen Mills(旧:CARRAIG DONN)】。 アイルランド西部の麓に位置する工場では、毎年最高品質のニットで編まれた暖かなニット製品が生み出されています。 一般にフィッシャーマンセーターとしても知られるアイルランドのアランセーターは、アラン諸島の伝統あるケルト民族に伝わる複雑で立体的な編み模様の美しさが特徴。 スタッフが着用したところ、 メリノウールは羊毛の中でも繊維が細くチクチクが起こりにくい品種ですが、天然素材のアイリッシュウール(羊毛)ですのでチクチク感が全く無いと言えませんが、天然素材のため若干のチクチク感はございます。 また、ウールニットの下に着るアンダーシャツはコットンやシルクなど、肌に刺激を与えない自然素材のものを選ぶことも大切で、チクチク感をカバーをしてくれます。ブラウスの上などに着用してもいいかもですね。 ※ チクチクが気になる方には、摩擦の少ないコットンやリネンなど自然素材を混合した肌にやさしいニットがおすすめです。 注意事項について こちらの製品は天然素材によるアイリッシュウール(羊毛)100%を使用しております。 天然素材のため、素材に特有のにおいが感じられる場合がございます。 着用するたびに馴染んでいきます、 予めご理解の上、お求めくださいますようお願いいたします。 158cm/S size着用 ・ ・ http://cavane.shop MAIL: [email protected] ・ ・ ・ #cavane #jumperskirt #aranhnit #cablehnit #woolhnit #ireland #fashionphoto #handmade #artisan #classiclstyle #vintage #cavane #アランセーター #フィッシャーマン #メリノウール #ニット #アイルランド #ケルト民族 #秋冬 #冬支度 #ハンドメイド (Cavane) https://www.instagram.com/p/CHcpeQulPGX/?igshid=zhp5fzqf9lb0
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