#本革羽織
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◆VLAB(ヴィラボ)◆レザージャケットが入荷しました。 定価:78,100円(税込) 弊社通販サイト商品ページ⇒http://www.gallery-jpg.com/item/SP52518/ SHOW SAMPLE MADE IN ITALY 素材:羊革 (袖裏地)ポリエステル100% カラー:オリーブ サイズ:S 総丈約58.5cm、肩幅約40cm、袖丈約54cm、バスト約96cm、ウエスト約93cm (平置きの状態で測っています。) 上質な羊革を使って仕立てられたレザージャケット。 前立て部分はダブルファスナー仕様。 襟や裾部等に均等に打ち付けられたカシメがアクセントになっています。 ウエスタンシャツ風のディテールを用いたレザージャケットです。 ご覧頂いている媒体により、色の見え方���多少変わる場合がございます。 ※店頭でも同商品を販売しておりますので、通販サイトの在庫反映が遅れる場合があり商品をご用意出来ない場合がございます。予めご了承頂きますようお願い致します。 ━━━━━━━━━■アクセス□━━━━━━━━━ なんばCITY本館の1階 大阪難波郵便局側から入って1軒目 靴のダイアナ(DIANA)の隣 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Gallery なんばCITY本館1階店 〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波5-1-60 なんばCITY本館1階 【営業時間】11:00~21:00 【休館日】年内無休 【PHONE】06-6644-2526 【e-mail】[email protected]
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大慌て人間による役者紹介。
こんばんは、べです。間違えました、箏です。
役者紹介をさせていただきます。
せっかくタイトルに栞があるので、“いつか栞を挟んで”の役者の方々を、栞に例えてみようと思います。
独断と偏見になるのは申し訳ないです。ご容赦ください。
それでは、何卒。
園堂香莉
淡い色使いの栞。どれだけ使ってもずっとまっすぐで、綺麗なまま
近未来ミイラ
尖ってたり丸かったり、装飾がある栞。でもすごく使いやすい
たぴおか太郎
リボンのついた桃色の栞。かわいいお花が描いていて、どこに挟んだかすぐにわかる
帝京魂
丁寧に使いこまれたシックな栞。なんだか一番手に馴染む
錫蘭リーフ
表は無地のシンプルな栞。でも裏にいっぱいの色が散りばめられている
森々仙入
木製の栞。モダンな模様で、握ると木の温かみがありそう
苔丸
レンチキュラーのついた栞。見る角度で、ホロの模様が変わる。
響夜
ビーズやラメの入った栞。蝶々がついてて、キラキラしてる
ミル鍋
波型の栞。水色っぽい色で、どんな本にも使える。ちょっと甘い匂いがする
西峰ケイ
羽で出来たアンティークな栞。使うとなんだか、レトロな世界にいる気分
あろハム権左衛門
銅でできた葉っぱ型の栞。おしゃれに緑色のタッセルがついている
アリリ・オルタネイト
革製の栞。英語デザインとかもついていて,使えば使うほど馴染む
〆切三日前
ステンドグラスみたいな栞。黒猫がついてて、光に透かすととっても綺麗
黒井白子
白黒のスタイリッシュな栞。ワンポイントで派手な柄や、右下にみいらの絵が描いてたり
中森ダリア
花束を模った、ビビットな栞。ずっと眺めていたくなる
きなこ
柔らかい和紙で出来た栞。儚そうに見えて、すごくしっかりした作り
暁レミエル
ガラスで出来た薄水色の栞。描いたり貼ったり、好きにカスタマイズできる
肆桜逸
織物で出来た、ビンテージの栞。深みのある色で、安定感がある
埖麦
銀色クリップの栞。鍵モチーフの柄で、本だけじゃなくて手帳とかにも使える
紫苑
不思議な形の栞。骨董品みたいで、みてると不思議と引き込まれる
水琴冬雪
細長い、金属製の栞。飾りが釣り下がっていて、綺麗な星が入ってる
悔いがないように、全力以上を出し切ります。
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なんだか小学校の国語の時間のようでカッコワルイが、自分の日本での言論の自由についての考えをまとめるためにも「報道の自由」と「自由な報道」は違う、ということから書こうと思います。 「報道の自由がない」という表現が通常意味するのは国家が自由な報道を許さない、という意味です。 高度な文明が発達している国のなかで、オダキンが述べる「報道の自由」がない国の典型は、衆目の一致するところ中国でしょう。 歴史をほんの少し遡って80年代までの韓国と台湾も「自由な報道なんて、とんでもない。そんなことをしたら殺される」国で、百数十人の死者を出した韓国での光州事件(1980年)や二・二八事件から始まって、1987年に戒厳令が解除されるまでの白色テロ(Terreur blanche)が頻発した台湾の「李登輝以前」の時代を見れば明らかだと思います。 日本では、どうか。 日本では韓国のような民衆の蜂起によるものでも、より妥協的で、選挙とデモによった台湾のようなやり方でもなく、1945年8月、��圧的な軍事政権が「米英」を中心とした民主社会国と共産主義独裁ソビエトの連合軍によって国そのものもろとも破壊されることによって「自由」がやってきました。 この「自由」は実はかなり徹底的なもので、アメリカでは居所が得られない多くの急進的リベラル人が、アメリカ合衆国に愛想をつかして、いわば日本に新天地を求めるようにして、GHQに潜り込んで理想主義的な国家制度をつくったのは、よく知られていると思います。 世界でも一、二を争う言論や報道の自由を保証した日本の世界中のリベラルが「ほんまかいな」とおもうような急進的な自由主義の戦後日本社会は、こうして出来上がった。 「自分たちの血を流さなければ真の自由社会は得られない」という意見は、もっともらしくはあっても、歴史を見ればほんとうとは言えない。 フランス革命もロシア革命も、革命としては「輝かしい失敗」とでもいうべきもので、現代の人間は歴史をふり返り、検証し、理解を共有することによって暴力による革命は結局はうまくいかないことを、すでに学んでいるとおもいます。 「革命」に対する憧れは、日本の体制側の「西洋列強」への近代化された軍事力への憧れと対をなすもので、日本の民衆のなかで知的な層は、「革命」に、いわばロマンティックな執着を感じてきたように見えます。 閑話休題 近代日本には「保守」が存在しない、という特徴があります。 日本の政治世界の歴史で西洋的な意味における「保守」は、例えば昭和天皇が、それにあたるでしょう。 戦後も左派と右派は存在したが「保守」と言える勢力は存在しなかった。 では、政治力学上の保守がいなかったかというと、複雑に思えるかもしれませんが、最大勢力として存在して、その中枢はワシントンDCにありました。 「アメリカ合衆国」という「保守」が、日本を実効支配してきたのだと、世界中の人が判っていると思います。 日本は、その日本の現実を支配するアメリカ合衆国という保守勢力に、反発したり追従したりして戦後80年を過ごしてきました。 おおざっぱに言ってしまえば、そういうことですが、この「見えない保守勢力」にも、戦後80年のあいだには重要な変化があって、もともとは保守の中枢がアメリカ軍であったのが、70年代と80年代に日本がアメリカの国家としての想像力を遙かに上廻る経済発展を遂げた結果、軍の手には負えなくなって、ホワイトハウスに移行します。 最近、ようやく日本の人の意識にのぼるようになった「日米地位協定」に判りやすく現れているのは、いまの「民主主義日本」をつくったのはアメリカ合衆国です���なくて、アメリカ太平洋軍なのです。 軍人は、もちろん民主制とはなにか、自由社会とはなにか、というような問題にはたいした興味を持ちません。 要は、自分たちの任務のために日本という、アメリカからひっきりなしの援助を必要とせずに、自前の工業を持ち、いわば基地運営のための「環境」をもった自力で維持される巨大な基地+兵站が恙なく動いてくれれば、それでいいんです。 南ベトナムでも、中東でもうまくいかなかったことを、たいした問題も起こさず(といっても、日本の人にとっては砂川闘争、60年安保闘争、戦車搬入搬出闘争と、おおきな闘争を繰り広げたつもりだったが、アメリカ側からみれば、予想された以下のかすり傷程度でしかなかったようです)80年、営々と運営して、太平洋支配の要の役割を果たし続けて来てくれた日本の努力をアメリカ軍は実際奇特なことだと考えているのは、アメリカ太平洋軍の若い将校と(妙な言いがかりを避けるために付け加えると、ガールフレンドとして)付き合いがあったあいだ、何度も聴いて、判っているつもりです。 日本には「報道の自由」は制度として守られているのに、自由な報道をめざすジャーナリストがほぼ存在しないのは、以上の理由・背景によるのでしょう。 遠くなった戦後の記憶として、日本の「自由社会」の正体が、「軍政」であることを知っているからです。 いまでも、ほんとうのことを報道すると「消される」ことになるのかどうか、そこまでは、ぼくには判りません。 日本は真相に近付いた人間が世間に公表する決意をすると、都合良く「自殺」したり、あるいは切羽詰まると、外聞もなく刺殺されたり銃殺されたりする国ですが、個々のケースを見ていくと、組織犯罪の都合であることが殆どで石井紘基にしろ伊丹十三にしろ、国家が直截殺害を企図したようには見えません。 日本社会の言論封殺は、もっと巧妙で、新聞記者を例に挙げれば、日本の大新聞の記者は、社会的には「有名企業のエリート社員」で、その内心は例外なく新聞記者と会社員の二面で構成されていて、内々で会社員としての個人に脅しをかければ新聞記者の顔は引っ込む、という仕組みになっているように思えます。 「紙面」を、よく注意してみれば判る事で、最近は特に顕著で、見出しと記事がおおきく乖離している記事が増えて、どうやら見出しの向こう側には自社社員を厳しく管理統制していこうとする「上司」の顔が並んでいるようです。 さて、ここまで書けば、いささか単純でドンキホーテ的な正義漢であるオダキンの言葉の正体が判ったとおもいます。 それが示しているものは、単純な国語力の不足であるよりも、やや深刻で、背後の、「戦後民主主義」が隠匿してきた重大な欺瞞が原因であるようにおもえます。 わが友オダキンにとっては、ごく自然にジャーナリストが「体制側の人間」と意識されていて、だから「日本には報道の自由がない」という表現になるのでしょう。 日本の報道が腐り始めるのは1930年代に、少しでも「英米との戦争は避けるべきだ」「戦争はやめるべきだ」と述べると、販売部数があっというまに部数が���がって経営危機を迎えるせいで、国民の希望どおり、読者が聴きたいニュースだけを流すほかなくなった新聞が「支那膺懲」「鬼畜米英殲滅」と連日書き立てたからでした。 日本は世界に稀な大衆社会なので、あとからふり返って衆愚に陥っていたことが判明しても、 「国民が悪い」とは絶対に口外できない国です。 いまの日本社会でも、太平洋戦争でアメリカと戦うという、ちょっと現実味を欠いているほどの愚かな選択をして、ついには核攻撃を受け、国土がそのまま原野にもどされ、兵士も国民も大量に餓死するような未曾有の事態に至ったのも、諸外国の人間にとっては、「日本国民が愚かだった」ことが自明でも、日本の国内では、その事実を認めたり、まして口外するのは、タブー中のタブーです。 そんなことを述べたら日本の社会では抹殺されてしまう。 「政府がやった」 「軍部がやった」 我々は欺かれただけだ、と現実ではないことを述べあっていて、「あれはおれではない他者がやったことだ」ということにして、真実が報道されないことも、その伝で、 「日本には報道の自由がない」と繰り返すのが日本社会の掟なのでしょう。 そんなことばかりやっていて、社会が変わるわけはないのではないか、とおもうが、 そこから先は、日本人でないものが言うことではない「余計なお世話」なので、この辺で黙ることにします。 (オダキン、これで判りにくければ、あとはDMで訊いてくれ。きみは人間が頑迷で、見た目ほど他人の話に納得しているわけではないのは判っています。まあ、あとで)
XユーザーのJames F. ガメ・オベールさん
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
アイウエオカキクケコガギグゲゴサシスセソザジズゼゾタチツテトダ ヂ ヅ デ ドナニヌネノハヒフヘホバ ビ ブ ベ ボパ ピ プ ペ ポマミムメモヤユヨrラリルレロワヰヱヲあいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよらりるれろわゐゑを日一国会人年大十二本中長出三同時政事自行社見月分議後前民生連五発間対上部東者党地合市業内相方四定今回新場金員九入選立開手米力学問高代明実円関決子動京全目��戦経通外最言氏現理調体化田当八六約主題下首意法不来作性的要用制治度務強気小七成期公持野協取都和統以機平総加山思家話世受区領多県続進正安設保改数記院女初北午指権心界支第産結百派点教報済書府活原先共得解名交資予川向際査勝面委告軍文反元重近千考判認画海参売利組知案道信策集在件団別物側任引使求所次水半品昨論計死官増係感特情投示変打男基私各始島直両朝革価式確村提運終挙果西勢減台広容必応演電歳住争談能無再位置企真流格有疑口過局少放税検藤町常校料沢裁状工建語球営空職証土与急止送援供可役構木割聞身費付施切由説転食比難防補車優夫研収断井何南石足違消境神番規術護展態導鮮備宅害配副算視条幹独警宮究育席輸訪楽起万着乗店述残想線率病農州武声質念待試族象銀域助労例衛然早張映限親額監環験追審商葉義伝働形景落欧担好退準賞訴辺造英被株頭技低毎医復仕去姿味負閣韓渡失移差衆個門写評課末守若脳極種美岡影命含福蔵量望松非撃佐核観察整段横融型白深字答夜製票況音申様財港識注呼渉達良響阪帰針専推谷古候史天階程満敗管値歌買突兵接請器士光討路悪科攻崎督授催細効図週積丸他及湾録処省旧室憲太橋歩離岸客風紙激否周師摘材登系批郎母易健黒火戸速存花春飛殺央券赤号単盟座青破編捜竹除完降超責並療従右修捕隊危採織森競拡故館振給屋介読弁根色友苦就迎走販園具左異歴辞将秋因献厳馬愛幅休維富浜父遺彼般未塁貿講邦舞林装諸夏素亡劇河遣航抗冷模雄適婦鉄寄益込顔緊類児余禁印逆王返標換久短油妻暴輪占宣背昭廃植熱宿薬伊江清習険頼僚覚吉盛船倍均億途圧芸許皇臨踏駅署抜壊債便伸留罪停興爆陸玉源儀波創障継筋狙帯延羽努固闘精則葬乱避普散司康測豊洋静善逮婚厚喜齢囲卒迫略承浮惑崩順紀聴脱旅絶級幸岩練押軽倒了庁博城患締等救執層版老令角絡損房募曲撤裏払削密庭徒措仏績築貨志混載昇池陣我勤為血遅抑幕居染温雑招奈季困星傷永択秀著徴誌庫弾償刊像功拠香欠更秘拒刑坂刻底賛塚致抱繰服犯尾描布恐寺鈴盤息宇項喪伴遠養懸戻街巨震願絵希越契掲躍棄欲痛触邸依籍汚縮還枚属笑互複慮郵束仲栄札枠似夕恵板列露沖探逃借緩節需骨射傾届曜遊迷夢巻購揮君燃充雨閉緒跡包駐貢鹿弱却端賃折紹獲郡併草徹飲貴埼衝焦奪雇災浦暮替析預焼簡譲称肉納樹挑章臓律誘紛貸至宗促慎控贈智握照宙酒俊銭薄堂渋群銃悲秒操携奥診詰託晴撮誕侵括掛謝双孝刺到駆寝透津壁稲仮暗裂敏鳥純是飯排裕堅訳盗芝綱吸典賀扱顧弘看訟戒祉誉歓勉奏勧騒翌陽閥甲快縄片郷敬揺免既薦隣悩華泉御範隠冬徳皮哲漁杉里釈己荒貯硬妥威豪熊歯滞微隆埋症暫忠倉昼茶彦肝柱喚沿妙唱祭袋阿索誠忘襲雪筆吹訓懇浴俳童宝柄驚麻封胸娘砂李塩浩誤剤瀬趣陥斎貫仙慰賢序弟旬腕兼聖旨即洗柳舎偽較覇兆床畑慣詳毛緑尊抵脅祝礼窓柔茂犠旗距雅飾網竜詩昔繁殿濃翼牛茨潟敵魅嫌魚斉液貧敷擁衣肩圏零酸兄罰怒滅泳礎腐祖幼脚菱荷潮梅泊尽杯僕桜滑孤黄煕炎賠句寿鋼頑甘臣鎖彩摩浅励掃雲掘縦輝蓄軸巡疲稼瞬捨皆砲軟噴沈誇祥牲秩帝宏唆鳴阻泰賄撲凍堀腹菊絞乳煙縁唯膨矢耐恋塾漏紅慶猛芳懲郊剣腰��踊幌彰棋丁冊恒眠揚冒之勇曽械倫陳憶怖犬菜耳潜珍
“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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2024/12/2 21:00:12現在のニュース
3年連続で最も暑い秋に 気象庁、9〜11月「異常気象」 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:57:53) 従来の保険証新規発行停止、マイナへ本格移行 自治体窓口に相次ぐ人(朝日新聞, 2024/12/2 20:56:24) 「3号廃止」「基礎年金を全額税財源に」経済同友会、年金改革で提言(朝日新聞, 2024/12/2 20:56:24) 石破首相、言質与えぬ「守り」答弁目立つ 党内配慮で持論封印続く(毎日新聞, 2024/12/2 20:55:16) 富士通、AWSとの提携拡大 クラウド導入を全業種で - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:51:22) 秋田のスーパーに2日間居座ったクマ、箱わなごと軽トラックで店外へ…体長1mほどの成獣か([B!]読売新聞, 2024/12/2 20:50:18) 宮崎の鶏農場で鳥インフル疑い 陽性確認されれば3万4500羽殺処分(毎日新聞, 2024/12/2 20:47:54) クマの市街地〝居座り〟相次ぐ 環境保全進み頭数増加、捕獲には「箱わなが最適」と専門家([B!]産経新聞, 2024/12/2 20:46:07) クマに襲われた店舗、補償は?専門家「施設は火災保険適用」でも全額まかなえるとは限らず([B!]産経新聞, 2024/12/2 20:46:07) 首相「短時間正社員の活用を」 若者・女性の不安払拭 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:45:28) [社説]中小の生産性向上こそ本丸だ - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:45:28) 女性正社員、非正規上回る 若手の伸び大きく 24年上半期、人手不足で03年以来 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:45:28) シャネル銀座でボヤ、イルミネーションが焼ける…高級ブランド街が一時騒然([B!]読売新聞, 2024/12/2 20:43:14) スーパーに侵入のクマを処分 わなで捕獲 秋田 | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/12/2 20:42:28) 女川原発差し止め訴訟、住民側は上告せず 判断枠組み示した点を評��(朝日新聞, 2024/12/2 20:41:27) 阿蘇市の元職員、市税など計52万円着服 帳簿改ざんし隠蔽も(毎日新聞, 2024/12/2 20:40:20) 政策活動費廃止法案 立憲、今週中に野党共同提出目指す方針を確認(毎日新聞, 2024/12/2 20:40:20) 維新、前原誠司氏を共同代表に選出 「吉村代表と考え方共有」(毎日新聞, 2024/12/2 20:40:20) 「レッドライン脅かされる」産油国反発 プラ汚染防止、生産規制で溝(毎日新聞, 2024/12/2 20:40:20) 静岡県磐田市に新ホテル、庭園や温泉売り物 婚礼需要も - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:39:37) 中央発条、インドで車ケーブル合弁生産 25年12月目指す - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:39:37) NEXCO中日本社長「トンネル工事を自動化」 防災へ4車線 中部企業 針路を聞く - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:39:37) 中部の10〜12月景況感、2期ぶり改善 中経連調査 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:39:37) ジェイテクト、名古屋の新興拠点「ステーションAi」に入居 連携で事業創出 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:39:37) 公的年金、来年度1.9%増 上げ幅抑制、3年連続 民間試算 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:39:37) JTBとスカイドライブ、空飛ぶクルマの観光利用で提携 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:39:37) 名古屋の百貨店、11月売上高11%増 冬物用品に動き - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:39:37) トヨタ紡織、車シートの縫製や検査を自動化 ライン公開 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:39:37) 授業料目安「53万円」 国立大学長、維持派と改定派が拮抗 本社調査 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:39:37) JR東京駅で障害者らの作品展開始 舘ひろしさんコラボTシャツも | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/12/2 20:37:46) 島根2号機12年以来稼働へ 全国唯一の県庁所在地立地 避難の実効性課題([B!]産経新聞, 2024/12/2 20:33:40) ジェットスター、「賃金支払いミス」問い合わせたら出勤停止処分… 組合役員への懲戒「無効」と判決(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/2 20:32:23) マイナ保険証で救急患者確認 9日から、本人同意は不要 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:32:10) 鈴与、川崎��医療機器物流施設 輸入手配や検品にも対応 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:32:10) ベネッセコーポレーション社長に岩瀬大輔氏 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:32:10) マイナ保険証、きょう一本化 利用率なお1割台、利便性の浸透課題 従来型は最長1年有効 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/2 20:32:10) 阪神大震災の追悼行事、縮小か ルミナリエ準備でスペース制約(毎日新聞, 2024/12/2 20:32:02) 船井電機の破産手続き反対、元環境相が民事再生法の適用申請…「グループで200億円の資産」([B!]読売新聞, 2024/12/2 20:31:06)
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悪魔ッ子の孫娘
[1966(昭和41)年]
1. 帝国サーカス団公演。 「次に登場いたしますはー、希代の魔術師、赤沼幻檀(あかぬまげんだん)と悪魔ッ子リリー!!」 円形アリーナの中央に黒ずくめの魔術師が歩み出た。 床まで届く黒マントに黒手袋と黒いシルクハット。 お世辞にもハンサムとはいえない容貌だった。痩せこけた頬の上に爬虫類を思わせる丸い両眼が開いている。 愛想笑いの一つもしないで、ぎょろりと客席を見回した。
魔術師が黒マントの裾を大きく翻すと、その陰から赤いチャイナ服の小柄な人物が出現した。 年端も行かない少女だった。ほんの6~7歳くらいではないか。 客席がどよめいた。 何もないところに少女が出現したことに驚いたのではない。出現した少女の幼さに驚いたのでもない。 観客は彼女の登場を待ちかねていたのだった。 魔術師と少女のショーは新聞に取り上げられるほど話題になっていた。 ほとんどの客は二人を目当てに来ているのである。
少女はお人形のように動かずその場に立ちくしている。 魔術師は白いロープを出すと少女の手首を背中で縛った。続いて足首も縛る。 人差し指を立てて目の前で振ると、少女は即座に意識を無くした。 その場に崩れ落ちたところを抱きかかえられる。
大きな金庫が引き出されてきた。 その横幅は魔術師が両手を広げた幅で、その高さは魔術師のシルクハットの高さである。 金属製の扉を重々しく開くと中は何もない空洞だった。 そこにロープで縛った少女を転がせた。 頬を軽く叩いて目覚めないことを示す。 扉を閉めて鍵を掛けた。
照明が暗くなって会場全体が薄闇に包まれた。 アリーナ中央の金庫とその横に立つ魔術師がほのかにシルエットになって見えた。 そして──。
おお~っ。 再び客席がどよめいた。 今度は正真正銘の驚きの声。
金庫の上に少女の頭が生えたのである。 その頭はゆっくり上昇し、顔、首、肩、そして胴体から足までの全身が現れた。 手足を縛っていたはずのロープはなくなっていた。 金庫の上に立つチャイナ服の少女。 彼女は硬い金庫の天井をどうやって通り抜けたのだろうか。
不思議なことはもう一つあった。 暗い会場に少女の姿がはっきり見えることである。 スポットライトなどで照らされている訳ではない。 少女自身がほのかに発光していた。まるで幽霊のように。
魔術師が両手を広げて呪文を唱えた。 少女の足が金庫から離れた。 彼女は何もない空間に浮かび上がったのだった。 5メ��トルくらいの高さまで上昇して静止、すぐに何もない空間を前方へ歩み出す。 観客席の上まで来るとすっと降下した。 真下にいた女性客のすぐ傍に降り、ほんの数センチの距離まで顔を寄せて悲鳴を上げさせた。 少女は会場の空間を上下左右自由自在に移動した。 ワイヤなどで吊られているようには見えなかった。 天井近くまで上ったかと思うと、急降下して客席ぎりぎりで旋回し再びふわりと舞い上がってみせた。
少女が "飛行" していた時間はおよそ5分くらいだろうか。 魔術師が手招きすると彼女は金庫の上に戻ってきた。 ゆっくり金庫の中へ沈み込むようにして消えたのであった。
照明が点いて会場が明るくなった。 魔術師が金庫を解錠して扉を開ける。 中には白いロープで縛られた少女が眠っていた。 最初に閉じ込められたときと何も変わった様子はなかった。
少女は拘束から解放されて目を覚ました。 魔術師と並んで頭を下げる。 満場の拍手と声援を浴びながら彼女は初めて笑顔を見せたのだった。
[2024(令和6)年]
2. 私はテーブルの向かい側に座る男にグラスの水をかけた。 他の女と結婚するから関係を終わりたい? バカにしないで。 「サヨナラ!」 「ちょ、けやき!!」 そのまま席を立ち、小走りでカフェを飛び出した。
金曜日の夜。 私、近本けやきは雑踏の中を泣きながら駆けた。 運命の人と信じてたのに。 とても優しくて、よく笑わせてくれて、どんなグチも聞いてくれて、ベッドの相性も最高で。 大切な話があると言われて、いよいよプロポーズと信じて来たのに。 アラサー女の貴重な2年間を返せ、このバカ野郎ー!! 涙で景色が霞んだ。 私きっとお化粧ぼろぼろだ。
きゃっ。 前から来た女性と当たりそうになって私は転倒した。 歩道に座り込んで腰をさする。 痛、た、た。 「大丈夫ですかっ?」 「だ、だいじょーぶ・・」 その人は私の手を持って立つのを助けてくれた。 赤いチャイナ服を着た女の子だった。 男の子みたいなショートヘア、くりくりした大きな目。 可愛いな。高校生かしら。 いけない、謝らなきゃ。 「ごめんなさいっ、前見ないで走って。そちらこそ怪我とかありませんか?」 「あたしは全然。それよりも」 「はい?」 「変なこと聞きますけど、お姉さん金縛りの癖がありませんか?」 !! 「金縛り!?」 「そんな気がしまして」 「いいえ、そんな癖はないです。失礼しました!」 「あのっ、もしもしっ」 私は顔を背け、女の子を置いて逃げるように走り去ったのだった。
・・金縛り。 布団に入って眠ろうとすると襲われる状態。意識はあるのに身体が動かない。 私は子供の頃によく金縛りをやっていた。 最近は少なくなったけれど、それでもあの感覚は鮮明に覚えている。 やなこと思い出しちゃったな。 ただでさえ男に二股をかけられて滅入っているところなのに。
無性にお酒が飲みたくなった。 飲んでも嫌なことを全部忘れられるはずはないけど、酔えば少しは楽になりそうな気がした。 ・・よぉしっ! 近くにあったファッションビルのパウダールームに飛び込んだ。 泣き崩れたお化粧をちゃちゃっと直して外に出る。 行き慣れたパブに顔を出すのはやめよう。 だって今日は週末の金曜日。絶対に知り合いに会うし、会ったら泣いたでしょって見破られる。
目に留まった雑居ビルの入口にスナックの看板が並んでいた。 いつもなら一人でスナックなんて入らない。 でもその夜の私はひねくれていた。 傷心の女がスナックでカラオケも悪くないわね。 どうせなら一番へんてこりんな名前のスナックに入ろう。 『すなっく けったい』。 よし、ここだ。
3. さほど広くない店内はお客でいっぱいだった。 「ようお越し! ・・お一人?」 カウンターに一つだけ空いていた椅子席に案内された。 とりあえずビールを頼む。
「お姉さんも手品を見に来たのかい?」隣席のおじさんが話しかけてきた。 「あ、いえ」 「違うで。このお客さん今日が初めてやし」 カウンターの向こうのママが言ってくれた。関西弁? 「そうか、ラッキーだね。始めて来て赤沼さんの手品を見れるなんて」 「毎月第3金曜は流しの手品が来るんよ。・・せっかくやから見てってちょうだい」
流しの手品? そんなもの初めて聞いたよ。 言われてみればこのお店、普通のスナックと空気が違った。 カラオケコーナーはあるけど誰も歌ってないし、大声で放談する人もいない。 落ち着いたカフェかバーみたいな雰囲気。 女性も多いな。よく見たらお客の半分が女性だった。 どの人も手品が目的で来てるんだろうか。
しばらくして入口のドアが開き、黒ずくめの男性が現れた。 タキシードの上に黒いマントを羽織ったお爺さんだった。頭にはシルクハット。 ひと目で手品師と分かる服装。 お爺さんに続いて赤いチャイナ服の女の子が入ってきた。大きな革のトランクを両手で持っている。 あっ。あの子! 私が歩道で衝突しかけた女の子だった。
カラオケコーナーのスポットライトの当たる位置まで進むと、二人は並んで頭を下げた。 皆が拍手した。遅れて私も拍手した。 女の子が私に気付いたようだ。胸の前で右手を振って笑いかけてくれた。 困ったな。笑顔を返しにくい。
「今夜もたくさんお集まりいただきましたな。こんな爺の芸がひとときの慰めとなれば幸��の極み・・」 お爺さんは口上を済ませると、マントの中からステッキを出して振った。 ステッキは一瞬で花束に変わりそれを近くの女性客に渡した。
次に左手を高く掲げた。 何もないはずの手の中にトランプのカードが1枚出現した。 それを右手で取って投げ捨てると、左手にまた1枚現れた。 次々とカードを出現させて投げた。最後の何枚かは左手から直接空中に投げて飛ばした。 「あれはミリオンカードっていう技だよ。あの爺さんの十八番さ」 隣に座るおじさんが教えてくれた。 「へぇ。詳しいんですね」 「まあね。毎月ここで見てるからね」
お爺さんは手品を続けた。 銀色のリングをいくつも繋いで鎖のようにしたり、ピンポン球を指の間に挟んで増やしたり減らしたりした。 それから紙に火を点けそれを口に入れて食べてみせた。 ほとんど笑顔も見せずに淡々と続けた。 マジックとか手品は全然知らないけど、何となく最新のマジックではないような気がした。 昔からある手品をやっているんじゃないかしら。
「レトロだろう?」 隣のおじさんが笑いながら言った。 「やっぱり古い手品なんですか?」 「そうだね。あんなのばかり何十年もやっているらしいよ」 「そうなんですか」 「でもこの後の幽体離脱のイリュージョンはすごいよ。何回見ても不思議なんだ」 幽体離脱? イリュージョンって確か、美女が宙に浮かぶとか、そういうマジックよね?
4. チャイナ服の女の子がカウンタースツール(カウンター席用の背の高い回転椅子)をお店の奥から借りて持ってきた。 トランクの中から薄いカーキ色をしたキャンバス生地の包みを出すと、客席に向けて広げて見せた。 金属の金具とベルトがついていて、先の閉じた長い袖がだらりと垂れたジャケットのような形状。 これは知ってるわ。 病院とか拘置所とかで暴れる人に使う拘束衣ね。
お爺さんが拘束衣を女の子に着せる。 長い袖に腕を入れさせると、背中で編み上げになっている紐を締め上げた。 そして腕を前でクロスさせ袖の先を背中できつく絞って固定した。 腰から下がったベルトも両足の間に通して後ろで留めた。 「どなたか力のある方、お手伝いを」 男性のお客に手伝ってもらって女の子を持ち上げ、カウンタースツールに座らせた。 最後に黄色いハンカチで女の子の足首をスツールの一本脚に縛りつけた。 女の子はにこにこ笑っているけれど、これって割と厳しい拘束じゃないかしら。
お爺さんが前で指を振ると女の子は目を閉じて動かなくなった。 トランクから大きな布を出し、お客さんに再び手伝ってもらって女の子の上から被せた。 女の子の姿は隠れて見えなくなる。 「さぁて・・、」 お爺さんが前に立って両手を広げた。 布の下で動けないはずの女の子がびくっと動いた・・ような気がした。 しばらく何も起こらなかった。 やがて──。
おおっ。店内に驚きの声が響いた。 布の上に薄いもやのような影が現れて、空中に浮かんだ。 影はすぐにくっきりしてチャイナ服の女の子になった。
女の子は拘束衣を着けていなかった。 浮かんだままにっこり笑うと、ゆっくり一回転してみせた。 一度天井近くまで上昇し、それから降りてきてお店の中をふわふわ移動した。 お客の近くに寄ると手を伸ばして一人一人の肩や頭を撫でた。 わっ。きゃっ。 その度に悲鳴が上がる。
女の子が私の傍に来た。 ごく普通の女の子に見える。でも足が床についてない。 いったいどういう仕掛けなんだろう? 彼女は私の耳に口を寄せて囁いた。 「・・あとでお話しさせて下さい」 先ほど歩道で会話したときと同じ声が頭の中に共鳴するように聞こえた。 あまりにもリアルだった。トリックがあるとは思えない。 まさか本物の幽体離脱? 背筋が凍りついた。
5. その夜、私はベッドの中で眠れないでいた。 二股かけられた男のことは、もうどうでもよくなっていた。 それよりスナックで見た幽体離脱が忘れられなかった。 耳元で囁かれた声。 私は怖くなってあの場から逃げ出して帰ってきたのだった。
あの後、女の子は高く舞い上がって元の場所に戻った。 布の下に隠れた本体に重なるように消えると、手品師のお爺さんはその布を外してみせた。 そこには拘束衣を着せられた女の子が何も変わることなく座っていた。 お爺さんが彼女を解放している間に私は立ち上がり、急いでお会計を済ませてスナックから出てきたのだった。
・・金縛りの癖がありませんか? そうだ、私には金縛りの癖がある。 どうして見抜かれたんだろう? あまり考えちゃいけない。考えすぎると金縛りが再発する。
女の子が拘束衣を着せられる光景が蘇った。 長い袖に両手を差し入れる。袖の先を背中に巻き付けられて、ぎゅっと引き絞られる。 私は仰向けに寝たまま、右の掌を左の脇腹に、左の掌を右の脇腹に当てた。 これで強く縛られたら絶対に動けないよね。 腕に力を入れて身体に押し付けた。 ぎゅ。圧迫感。
・・ブーン。耳鳴りがした。 いけない!! 気がつけば私は動けな��なっていた。手も足もあらゆる筋肉に力が入らない。
(拘束衣に自由を奪われた私。あの女の子と同じ)
違う。これは金縛りっ。
(お爺さんが大きな布を広げた。ふわりと覆われる。何も見えない)
だから金縛りだってば。無理に動こうとしないで深呼吸しなきゃっ。
(拘束感が薄れる。布を通り抜けるイメージ)
もやが晴れるように視界がクリアになった。 目の前に見えたのは自室の天井。 私は仰向けに寝た姿勢で浮かんでいるのだった。 腕がだらりと斜め下に開いた。 拘束は・・、されていないみたい。
起きなきゃ。 そう思うと空中でまっすぐ立っていた。 ここは私の部屋。ワンルームマンションの最上階。窓の外には街灯り。 自分に起こったことを理解した。 これは幽体離脱だ。
足元を見下ろすと、目を閉じてベッドに寝ている私が見えた。 上へ。 意識するなり、すっと浮上して天井に当たった。と、天井を突き抜けてマンションの屋上に頭を出した。 真っ暗な空と夜の街が見えた。 いけない。 下へ。 降下して部屋に戻った。 スナックで見た幽体離脱は震え上がるほど怖かったのに、いざ自分に起こると驚きも恐怖もなかった。 こういうものかという感じ。 今の私、どんなふうに見えてるんだろう?
洗面台の鏡の前へ行ってみた。 歩かなくても移動できるから楽だ。 鏡の中によれよれのスウェットとショートパンツの女がいた。私だ。 電気も点けてないのにくっきり見える。 そういえばあの女の子もくっきり見えたな。カラオケコーナーのスポットライトの中で。 灯りを点けたらどうなる? 壁のスイッチを入れようとしたら指が壁の中にめり込んだ。 あら残念。
ベッドの上空に胡坐で浮かび、腕組みをして考えた。 私、どうなっちゃったんだろう。金縛りに加えて幽体離脱まで達成してしまうとは。 そもそもこれは現実なのかしら? ぜんぶ夢の中のような気もするし。 スマホやテレビでチェックしたらと思ったけど、触れないから確認できない。 窓に目を向けた。今の私なら窓ガラスを通り抜けられる。 コンビニにでも行って店員さんに私が見えるか聞いてみようか。 ダメだよ。もし本当に見えたら幽霊が来たって大騒ぎになるでしょ。
今、何時だろう? ベッドサイドのデジタル時計は 2:59。見ているうちに 3:00 に変わった。 じー。枕元のスマホが振動して画面が明るくなった。何かの通知を表示するとすぐに暗くなった。 夢だとしたらすごいわね。むちゃリアル。 スマホに手を伸ばしたら手がスマホをすり抜けた。 やっぱりこうなるか。ばかやろー。
・・
気がつけば朝だった。 私はベッドから起き上がって頭を掻く。ああ、本体に戻ったのか。 時計を見ると7時半。 も少し寝ようかな。今日はお休みだし。 いつもの習慣でスマホをチェックすると飲み仲間の女友達から LIME のメッセージが入っていた。 『水曜いつものパブでどう?』 メッセージの時刻は 3:00。
記憶��鮮明に蘇った。 時計が3時になって、同じタイミングで着信通知。 夢と現実がここまで一致するなんてあり得ない。 あの幽体離脱は現実だったと確信した。
それなら──。 私は思った。 あの子に会わないといけない。あの女の子と話をしないといけない。
6. 土曜のせいか『すなっく けったい』は空いていた。 先客はサラリーマン風の若い男性が二人だけ。 JPOP の音楽が流れていたりして、いたって普通のスナックだった。
関西弁のママは私を覚えていた。 「昨日のお姉さんやね。途中で帰ってしもたから莉里(りり)ちゃんが残念がってたわよ」 「莉里ちゃんて?」 「手品のアシスタントしてた子やんか」 「ああ、チャイナ服の女の子ですね」 「そうそう。莉里ちゃんは赤沼さんのひ孫なのよ」 へえ、孫じゃなくてひ孫さん。
ママによると、あのお爺さん(=赤沼氏)は2年ほど前にふらりと現れて手品をするようになった。 ずっと一人でやってたけど、今年の春になって莉里ちゃんも一緒に来て幽体離脱のイリュージョンを始めた。 それが受けて、今では赤沼氏が来る日は手品好きのお客が集まるという。 「あの人も昔は名のある手品師やったらしいけど、今は道楽でやってる言(ゆ)うて笑(わろ)てはったわ」 「私、赤沼さんと莉里ちゃんに会いたいんです。連絡先ご存知ないですか?」 「お姉さんネットで配信してる人? それともマスコミ関係とか。それやったら会(お)うてもらえへん思うよ」 「違いますっ。あの、個人的に、すごく個人的に会いたいだけなんです」 ママはにやりと笑った。 「それやったら、ボトル入れてくれたら話そかな?」 「入れます!」 「よっしゃ。・・あいにく連絡先は分からへんけど、雲島のほうの公園でストリートなんとかゆうのをやってるのは聞いてるわ」 「ストリートパフォーマンスですか?」 「それそれ。やるのは日曜だけでそれも気まぐれや言うてはったから、絶対に会えるとは限らへんけどね」 「ありがとうございます。行ってみます」
「・・ママぁ、カラオケするでぇ」「はーい、どぉぞ」 サラリーマン組が歌い始めた。
「ところで何飲む?」 ママに聞かれた。 「あ、ボトル入れますから。・・その、一番安いので」 「さっきのは冗談やから無理せんでええよ。そやね、何でもいけるんやったらホッピー割なんかどう?」 初めて飲んだホッピーの焼酎割は爽やかで飲み易かった。 「美味しいです」「やろ?」 ママも自分のグラスに入れたホッピーをぐびりと飲んで笑った。 「お姉さんのお名前お聞きしていい?」 「私、けやきです。近本けやき」 「けやきちゃんね、覚えたで。・・それで二人に会うてどうするの?」 「昨日の手品で聞きたいことがあるんです。特に莉里ちゃんの方に」 「ふーん、さてはけやきちゃんも幽体離脱してもぉたん��な」 ぎっくう!!! 「がはははっ、そんな真顔で驚かれたらホンマに幽体離脱した思てまうやんか」 「いえ、あの」 思い切り笑われてしまった。
「さあ、カラオケ空いたで。あんたも遠慮せんと歌いっ」 「あ、はい。・・じゃあ『ふわふわタイム』を」 「がははっ、アニソン! ええやんっ」 それから私はカラオケでアニソンを歌い、サラリーマン二人と意気投合して歌いまくった。 ホッピー割はいつの間にかハイボールとストレートのジンに変わり、結局ボトルキープと変わらない代金を払うことになった。
7. 翌日はよく晴れていた。 私は『けったい』のママから聞いた公園に来ていた。 そこは野鳥や水鳥の観察ができる貯水池や広葉樹の森が広がる自然公園で、私は赤沼氏と莉里ちゃんを探して歩き回った。 どこにいるのか分からないし、どこにもいないかもしれない。
ふう。疲れてベンチに座り込む。 『けったい』で飲み過ぎたかしら。おかげで爆睡して金縛りも幽体離脱もなかったんだけど。 それにしてもこんなに広い公園って分かってたら、もっと歩き易い格好にしたらよかったな。 私はロング丈のワンピースにヒールを履いて来たのだった。
・・あれ? 遠くに人が集まっている。 なだらかな芝生の丘の上にレンガの壁で囲まれた噴水があって、そこで何かが行われていた。 噴水の上にふわりと浮かぶ人影が見えた。 白いワンピースを着ていて背中に羽根のようなものがついている。
私は立ち上がった。 息を切らせながら斜面を登り、ようやく噴水の端へたどり着いた。 見上げると噴水に虹がかかっていた。 きらきら輝く飛沫と太陽の光。 その光の中、4~5メートルくらいの高さを莉里ちゃんが "歩いて" いた。 肩を出した真っ白なキャミワンピ。大きく広がる天使の翼。ひらひらした裾から伸びる素足。 神々しいくらいに綺麗だった。
「莉里ちゃん!」 私が叫ぶと彼女はこちらを見下ろして驚いた顔をした。 噴水の中をゆっくり降下し、それから水面を歩いて外へ出てきた。 彼女の髪や衣装は少しも濡れていなかった。 噴水の畔には大きなキャリーバッグが置いてあって、莉里ちゃんはその中へ溶け込むよう消えた。 取り囲むギャラリーから「ほおっ」という歓声が上がる。 「すごい! このイリュージョン」「どうなってるんだろ?」会話が聞こえる。 そうだよね。イリュージョンと思うよね普通。
キャリーバッグの脇に白髪のお爺さんが立っていた。 それはもちろん赤沼氏だけど、明るい色のシャツとズボンで優しく笑う姿は『けったい』で見たのと全然違っていて驚かされた。 赤沼氏は観客に向けて親指を立てウインクすると、キャリーバッグを横に倒して蓋を開けた。 バッグの中には拘束衣を着せられて丸くなった莉里ちゃんが入っていた。 立ち上がって拘束衣を脱がせてもらう。 弾けるような笑顔。額に汗が光っていた。 やっぱり可愛い子だわ。
拍手の中、二人はお辞儀した。 足元に置いた菓子缶に小銭がぱらぱら投げ込まれる。 莉里ちゃんが私を見て手を振ってくれた。 薄いキャミワンピ1枚だけ纏った背中に天使の翼はついていなかった。
・・
「近本けやきといいます。先日は途中で帰ってしまってごめんなさい!」 ギャラリーがいなくなってから私は二人に挨拶した。 「あたしは気にしてません。それに、きっとまた会えると思ってましたから」 莉里ちゃんが���えてくれた。
「実は私、金縛りの癖があります」 「あ、やっぱり」 「あの夜、久しぶりに金縛りになりました」 「!!」 「それともう一つ、私も本当に驚いたんですけど、えっと・・」 言い淀んでいると赤沼氏が応えてくれた。 「貴女も幽体離脱したのですかな? 先程のこの娘と同じように」 「あ、あれ、やっぱり本物の幽体離脱・・ですか?」 「はい!」 莉里ちゃんがそう言ってにっこり笑った。
あっさり認めてくれてほっとした。マジックじゃなかった。 さっき見たのも、『けったい』で見たのも、どっちも本物の幽体離脱だったんだ。 二人に告白した。 「私も、生まれて初めて宙に浮いて、自分の寝顔を見下ろしました」
8. 狭いキッチンに香ばしい匂いが漂っている。 ここは赤沼氏が暮らす古びた公営団地。 夕食を食べていきなさいと誘われたのだった。
私は莉里ちゃんと並んで座り、準備する赤沼氏の背中を見ながら二人でお喋りした。 莉里ちゃんのフルネームは関莉里(せき りり)。16 歳で高校1年生だと教えてくれた。 ひいお爺さんの赤沼氏はこの団地に一人住まい。莉里ちゃんは近くの一戸建て住宅に両親と住んでいる。 彼女は赤沼氏のアシスタントを春休みの3月から始めた。 「皆さんの前でふわって浮かんでみせるの、楽しいんです」 そう言って明るく笑う莉里ちゃん。 昼間から着たままでいる肩出し白ワンピが眩しい。
「・・さあ、できたよ。こっちは桜海老のビスクと鮭の香草焼き。メインにチキンソテーのクリームチーズソース。バケットを切らしていたからカリカリに焼き上げた食パン。ガーリックバターをつけて食べて下され」 「これ全部赤沼さんが作ったんですか!?」 「びっくりでしょ? ひい爺ちゃんはお料理が得意なんです」 「昔はフレンチのシェフをされてたとか?」 「いやいや、メシ作りは好きでやっておるだけだよ」
食卓テーブルはないからと、床に置いた卓袱台(ちゃぶだい)を囲んでお料理をいただいた。 「美味しいです!」 「それはよかった。・・そうそう、ワインは飲むかね? ちょうどドメーヌ・トロテローの白があるんだが」 「い、いいんですか!?」 「遠慮は無用。ただしワインにしてはアルコール 15 度を超える強めの酒だ。いけますかな?」 「いけます!」
赤沼氏は笑って冷蔵庫からワインの瓶を出してくると、プロのワインソムリエみたいにスマートに栓を抜いた 「ではティスティングを・・。おっとその前に姿勢を正していただきたい」 「あ、すみません」 私はきちんと正座して、少しだけ注いでもらったグラスを鼻に近づけた。 「どうだね? 2020 年のロワールで最もリッチなワインだよ。ふくよかで甘い香りがするだろう?」 「そうですね、いい香り」 「ゆっくり口に含んで」 口の中に芳醇な香りが広がった。 「舌の上で転がせば辛口で、凝縮された果実感と酸味がたちまち貴女を酔わせようとする──」 「ああ、本当」 ���ぁっと熱いものが広がる感覚。 酔ってしまいそう。 でもほんの一口試しただけなのに、私こんなに弱かったかしら?
ぽん。誰かに肩を叩かれた。 振り返ると、いつの間にか赤沼氏が後ろにいた。 「けやきさん、やはり貴女は暗示にかかり易いようだね」 「?」 「もう一度グラスの中身を飲んでみなさい」 ワインを飲むと味がしなかった。 あれ? 「それはただの水だよ」
「けやきさん、ごめんなさい」 莉里ちゃんが言った。 「あたしからひい爺ちゃんにお願いして確かめてもらったの」
・・
食事をしながら話を聞いた。 暗示は言葉やいろいろな合図を受けて誘導される精神的作用だという。 私はただの水をワインと思い込んだ。 思っただけじゃなくて、本当にワインの味と香りを感じたのだった。 赤沼氏はそうなるように私を導いた。これが暗示。
莉里ちゃんが言った。 「あたし、最初に会ったとき "金縛りの癖がありませんか?" って聞きましたよね。たぶんあれが金縛りの暗示になっちゃったと思うんです。ごめんなさい!」 「でも私にはもともと金縛りの癖があったんだし」 「それも暗示かもしれません。けやきさん、そんなにしょっちゅう金縛りをやってましたか? 癖があるって意識してましたか?」 え? そうだっけ?
「金縛りは睡眠障害の症状の一つと言われるが、それだけではない。暗示が金縛りの引き金になることもあるんだよ」 赤沼氏が説明してくれた。 「起こる起こると思っていると起き易くなるんですね」 「そう。だから逆に金縛りを起きにくくするのにも暗示が使えるし、起こったときに恐怖を感じないようにもできる」 「できるんですか? そんなこと」 「試してみるかね?」 「・・はい。お願いします」
食事の後、食卓を片付けて私は赤沼氏と向かい合って座った。 「貴女が金縛りになったときの状況を話して下さい。できるだけ詳しく、どんな些細なことでもいいから」 「はい、あのときは、」 あのときはベッドに入って、莉里ちゃんの幽体離脱を思い出していた。 金縛りの癖があるって言われたことを考えた。 それから莉里ちゃんが拘束衣を着せられるところを思い出して。 そうだ。私、自分が拘束衣を着て動けなくされるのをイメージした。 両手を前で組んで。ぎゅっと。
・・ブーン。耳鳴りが聞こえた。 あぁ、駄目! 身体ががくがく揺れるのが分かった。
「喝!!」 赤沼氏の声が響く。はっとして我に返った。 大丈夫、ちゃんと動ける。金縛りになんかなってない。 莉里ちゃんが横から肩を抱いてくれた。 「大丈夫ですよ、けやきさん」優しい声で言われた。 「怖い思いをさせてすまなかったね。・・しかし記憶を辿るだけで起こりかけるとは。よほど強い暗示か、さもなくば貴女の感受性が並外れているのか」 赤沼氏が言った。 「でも施術の方向は見えたよ。悪いがもう一度やらせてもらえるかね。もう怖い思いはさせないから」 莉里ちゃんに目を向けると、彼女はまっすぐ私を見て頷いてくれた。 私は答えた。 「やって下さい。お任せします」
・・
赤沼氏が奥の部屋から持って来たのは束ねた縄だった。 「背中で手首を交差させて」 手首に縄が巻き付いた。 それから二の腕と胸の上下にも縄が巻き付いて、全体をきゅっと締められた。 がっちり固められて動けない。 私は人生で初めて縄で縛られた。
仰向けに寝かされ、頭の後ろと背中で組んだ手首の上下に丸めた座布団を押し込まれた。 「床に当たって��いところはないかね?」 「いいえ」 「では目を閉じて、リラックスして。大きく深呼吸。・・そう、ゆっくり、深く」 息を深く吸うと縄の締め付けが強くなった。 辛いとか苦しいの感覚はなかった。締め付けられることに快感すら覚えた。
「けやきさん、今、貴女は縛られている。貴女を包む縄に身を預けている」 「はい」 「貴女が感じるのは穏やかな心地よさ。縄に守られる安心感。とても気持ちよくて、ずっとこのままでいたいと思う」 気持ちいい。まるで抱きしめられているみたいに気持ちいい。 優しくて、暖かくて。 これは、幸福感。
「いい表情をしているね、けやきさん。貴女は縄に守られているんだよ。何も恐れなくていい。あらゆることが気持ちいい」 私は守られている。 この気持ちよさの中にずっといられたら、何も怖くない。
「たとえ金縛りでも気持ちいい。・・悦び、と言ってもいい」 そうか。 今の私にもう金縛りを怖がる理由なんてないんだ。 金縛りが来ても嬉しい。
「準備できたようだね。さあ、迎えたまえ」 ・・ブーン。耳鳴りがした。 私はそれを受け入れた。
目を開けると赤沼氏と莉里ちゃんがいた。私を見下ろして微笑んでいる。 動こうとしたけど動けなかった。 縄で縛られた腕はもちろん、首、脚、指の一本も動かせなかった。 完璧な金縛り。
怖いとは感じなかった。暗示をかけてもらったおかげだろうか。 私は落ち着いて自分の状態を確認する。 どこも痛くない。気持ち悪いところもない。 誰かが上に乗って押さえている感じ・・、なんてものも全然ない。 身体中の筋肉が脱力したまま、脳からの命令を無視しているイメージ。
面白いね。 嫌じゃないぞ、この感じ。 今までの金縛りで味わったことはなかった。こんな感覚は初めてだよ。 確かに悦びかもしれない。 私、マゾのつもりはないんだけど。 「どうかな?」赤沼氏が静かに聞いた。 「・・今、貴女は動けない。動けないが怖くない。金縛りは怖くない。それどころか快適に感じるんじゃないかな?」
・・はい、快適です。 答えようとしたら、ふわりと身体が浮かんだ。 あれ? 私はそのまま赤沼氏と莉里ちゃんを通り抜けて浮かび上がった。 あらら、また幽体離脱しちゃったんだ。
私は仰向けで後ろ縛りのままだった。 そのまま上昇して天井にぶつかる前に止まった。 前、後ろ、右、左。 自由に移動できることを確かめた。前と同じだ。 その場でくるくる回ってみた。 頭を下に向けて倒立した。楽しい。 おっとスカート。 慌てて見下ろしたらワンピースのスカートはめくれ上がることなく足先の方向へのびていた。 引力は関係ないのね。
前を見ると逆さになった二人と目が合った。 いや逆さになっているのは私の方だけど。 縄で縛られた女が倒立状態でふわふわ飛んでいる。暗がりで会ったら腰抜��すかも。 赤沼氏と莉里ちゃんには見えているんだろうか?
「もしもし、私のこと、どう見えてますか?」 「ええっ」「何と・・」 揃って驚かれた。 「聞こえたよね? ひい爺ちゃん」「はっきり聞こえた」 え、聞こえたらびっくりするんですか?
「貴女が逆さに浮かんでいるのはちゃんと見えておるよ」 「びっくりしたのは、離れていても声が聞こえたことなんです」 二人が説明してくれた。 「この間は莉里ちゃんも私に話しかけてくれたと思いますけど」 「あたしは相手の近くで囁くのが精一杯です」 そうだ���たのか。確かにあれは耳元で聞こえたわね。 「体外に分離した幽体が普通に会話できる��は大変なことだよ。幽体の濃度がとても高いことの証しだ」 幽体の濃度? さっぱり分からない。
「あの私、金縛りに入っただけなのに、幽体離脱までしちゃったみたいですみません」 「金縛りをきっかけにして幽体が分離するのは珍しいことではないよ」 「よくあることなんですか」 「そうなんだが・・、そこでふわふわされていたら落ち着かないな。申し訳ないが本体に戻ってもらえますかな?」 「あ、はい」 私は自分の身体の上に浮かんだ。 そこには後ろ手に縛られた私が両方の眼をかっと見開いたまま眠っている。かなり不気味だ。
「・・あの、どうやって戻ったらいいでしょう?」 「前に幽体離脱したときは?」 「朝、目が覚めたら戻ってました」 「そうか」 赤沼氏はしばらく思案し、それから奥の部屋に行って紙袋を持ってきた。 「莉里、これで戻してあげてくれるかい」 「これを使うの? 久しぶり!」
莉里ちゃんが紙袋から出したのは赤いゴム風船と空気ポンプだった。 「これは手品で使う風船です」 風船をポンプに繋ぐと、レバーをしゅこしゅこ押して空気を入れた。 「これは画びょうです」 左手に膨らんだ風船、右手に画びょうを持ち、眠り続ける私の本体の耳元で構えた。 「ちょ、莉里ちゃん何するの!?」
ぱんっ!! 大きな音がして私は目覚めた。 「つぅ~」 耳を押さえようとして、自分が後ろ手に縛られていることを思い出した。 「驚かせてごめんさない。これ、あたしが幽体離脱の特訓で戻れないときにやってもらってた方法です」 「幽体を元に戻すには聴覚の刺激が最も効くんだよ」 「そ、そうなんですか」
・・
起き上がって縄を解いてもらった。 淹れてもらったコーヒーを飲みながら、赤沼氏の説明を聞いた。 「元々けやきさんには幽体離脱の特別な能力があったんだろうね。それが急に活性化したのは、金縛りの暗示とおそらくスナックで莉里の実演を見たからだろう」 「私の能力って特別なんですか?」 「そうだね、けやきさんの幽体は濃度レベルが極めて高い。驚くべきことだ」
脳の神経細胞の接点をシナプスと呼ぶ。幽体と肉体の分離はシナプスの活動電位の乱れによって引き起こされる。 分離した幽体の濃度レベルが高いと幽体は可視化され、さらにレベルが高いと音声も伝わる。 レベルが低い場合は本人は離脱の記憶すらあいまいになり、たとえ覚えていても夢を見たと思うだけだ。
「これはわしの知り合いで一ノ谷という学者が提唱した理論だよ。もう何十年も前に死んでしまったが」 「そうなんですか」 「一ノ谷は超短波ジアテルミーという装置を作り、それを使ってわしの娘を訓練した」 え? 娘さんって、つまり莉里ちゃんのお婆ちゃん? 「今のは余計な話だった。忘れて下され」
「ひい爺ちゃん、これからどうするか話すんでしょ?」莉里ちゃんが催促した。 「おお、そうだったね。・・けやきさん、今、貴女が最も注意すべきは金縛りではなく幽体離脱なんだよ。使いこなす訓練が必要だ」 え? 「貴女のように幽体濃度レベルが高い人が無意識に離脱を繰り返すのはとても危険なんだ」 「もし今のまま幽体離脱が続いたらどうなりますか?」 「貴女自身の精神が不安定になる。やがて分離した幽体が独立した人格を得て勝手に行動するようになる。いわゆる生霊だね。娘もそれで危ない目に会った」 ええっ、それは困る。絶対に駄目。
「貴女はお勤めかな? それとも結婚して家庭におられるか」 「独身で勤めています」 男に振られたばかりで来年 30 のアラサーOLだよっ。 「では、後日改めてお越しいただけますかな? 今夜はもう遅い。これ以上続けると明日の仕事に差し障るでしょうから」 「分かりました。・・もしそれまでに幽体離脱が起こったら?」 「貴女の場合は金縛り状態でない限り、幽体の分離は起こらないと思っていい。そして貴女が金縛りになるのは縄で縛られているときに限られる。そういう暗示をかけたからね」 「つまり、縛られなければ安全なんですね?」 「その通り。もし貴女に誰かから緊縛を受ける趣味がおありなら、しばらく控えたほうがいい。その最中に幽体離脱が起こるかもしれない」 「そんな趣味はありません!」
莉里ちゃんが言った。 「けやきさん、実はあたしにも暗示がかかってるんですよ。あたしが幽体離脱するのは拘束衣を着せられたときだけです」 「莉里ちゃんも?」 「だって授業中に居眠りして勝手に離脱しちゃったらヤバイでしょ?」 そうか、だから莉里ちゃんはいつも拘束衣で幽体離脱してたのか。
・・
「では次は土曜日に来ていただくことでよろしいかな?」 「分かりました。時間は?」 「あの、」莉里ちゃんが右手を上げて言った。 「土曜の夜でもいいですか? 日曜日までゆっくりしてもらうことにして」 「夜? ・・なるほど」赤沼氏は何か分かったようだった。 「けやきさん、すまんがこの子の希望に合わせて夜でもよろしいかな?」 次の土曜の夕方6時に再訪の約束をして、私は赤沼氏の住まいを辞した。 すぐ近くにある自宅へ帰るという莉里ちゃんも一緒に出てきて、二人で並んで歩いた。
歩きながら莉里ちゃんは、赤沼氏の娘さん、つまり莉里ちゃんのお婆さんについて教えてくれた。 もう 60 年近い昔、赤沼氏は娘さんと一緒にサーカスで幽体離脱の見世物をやっていた。 娘さんは『リリー』と名乗っていて、彼女が見せる幽体離脱は大評判。当時の新聞に載ったほどだという。 リリーさんは 19 歳のとき父親の分からない女の子を出産し、その翌年に病気で亡くなった。 この女の子が莉里ちゃんのお母さんになる。
「あたしのママに幽体離脱の力はなかったんです。ごく普通に結婚してあたしを生んでくれました」 「莉里ちゃんの能力は赤沼さんが気付いたのね」 「はい。中1のとき金縛りになって固まってるところを見つけてくれました。あれがなかったら、あたし今頃本当に生霊になって飛び回ってたかもしれません」 莉里ちゃんは両手を前で揃えた幽霊のポーズで笑った。
「しばらくして離脱の特訓を始めました。ひい爺ちゃんは急に流しの手品師なんて始めたりして。それまであたし、ひい爺ちゃんが元手品師だってことも知らなかったんですよ」 「昔リリーさんと見せたショーをまたやりたかったのかもしれないわね」 「きっとそうです。ママもそう言って、あたしがお手伝いすることに賛成してくれました」
莉里ちゃんの家の近くまで来て、私は莉里ちゃんと LIME のIDを交換した。 「赤沼さんのアカウントも教えてもらっ��いい?」 「ひい爺ちゃんはスマホ持ってません」「そっかー」
「けやきさん、あたしね、」 「何?」 「ずっと一人だと思ってたんです」 「?」 「こんなことができるの、もうあたし一人だけと思ってたんです。でも、けやきさんと会えました」 「莉里ちゃん・・」 「ものすごく嬉しくて、泣いちゃいそうなんですよ、あたし」 そう言うなり私に抱きついた。 「これからも一緒にいて下さい。お願いします!」 彼女の背中を撫でてあげた。 「私こそお願いするわ。これからもいろいろ教えてね、先輩」 「まかせて下さい! ・・今度一緒に飛びましょね」 え、飛ぶの? 「じゃあ、サヨナラ!」
手を振って走って行く莉里ちゃん。 真っ白なキャミワンピの裾が広がって揺れていた。 ちょっと大人びてるけど、まだ 16 歳なのよね。 素直で明るくて本当にいい子だわ。
ふと気付いた。 あの子、幽体離脱できるのは自分一人って言ってたよね。 ひいお爺さんの赤沼氏自身に能力はないのかしら? リリーさんのパパなのに。
9. 週明けから急に仕事が忙しくなった。 残業が続いて毎夜牛丼屋か深夜ファミレスの生活。 飲み友達を『けったい』に連れて行きたいと思ってたけど、それも叶わずあっという間に週末になった。
SNS であの噴水パフォーマンスの評判をチェックしてみたら、やっぱりイリュージョンだと思われているようだった。 そりゃあれ見て本物の幽体離脱と判る方が変よね。 女の子が可愛い!という書き込みがたくさんあったのは納得したけど。
金縛りはまったく起こらなかった。 一度だけ、ベッドに入って自分が縛られているところを妄想した。 赤沼氏に縛られた縄。身体を締め付けられるあの感覚。 思い出すと少しだけ胸がきゅんとしたけど、金縛りの前兆であるブーンという耳鳴りは聞こえなかった。 ちょっと残念、だったりして。
10. 土曜日。 約束の時刻に赤沼氏を訪ねた。 莉里ちゃんも先に来て待っていてくれた。
私はまだ自分の意志で自由に幽体離脱できない。 前回は赤沼氏に誘導してもらって金縛りになり、その後勝手に幽体が離れてしまった。 自分で幽体離脱って、いったいどうすればいいんだろう?
「・・幽体離脱が起こるのは金縛り中に限ったことではないよ。強い衝撃を受けたとき、意識障害や失神したとき、酩酊したとき、あるいは普通の睡眠時にも起こり得る」 赤沼氏が教えてくれた。 「でも結局、離脱のハードルが一番低いのは有意識下の金縛り中なんだよ。パニックにならず落ち着いて自分を保てばいい。・・けやきさんはもう金縛りに恐怖はないだろう?」 「はい。縄で縛っていただけたら」 「では貴女の目標は、まず緊縛されて誘導なしで金縛りに入ること、それから意識を体外に向けて分離すること。ゆっくり練習すればいいよ」 「はい」
「けやきさん、あたしも金縛りになってから離脱してるんですよ」 「莉里ちゃんも?」 「そうですっ。コツを掴んだら難しくないです。けやきさんなら絶対にできますよ!」 「ありがとう。やってみる」
・・
私は前回のように床に寝るのではなく、椅子に座って後ろ手に縛られた。 手首と腕、そして胸の上下を絞める縄が心地よい。 縄に抱きしめられる感覚。 肉体は自由を奪われるのに、心には安心感と幸福感が広がる。 ほんと暗示ってすごい。 いつか自由自在に幽体離脱できるようになっても、この暗示だけは解いて欲しくない。
自分の胸に食��込む縄を見下ろした。 そうか、こんな風になってるのね。 我ながらセクシー。もうちょっとお洒落してきたらよかったと思ったくらい。 今夜は特訓だからと、私は動きやすいスキニーパンツに半袖のオーバーニットを合わせて着ていた。 せめてノースリーブとか、もちょっと肌を出したトップスにしておけば、・・って何を考えてるんだ私は。 これは真面目な訓練なのに。 「けやきさん、顔が赤らんで綺麗。羨ましいです」 「あ、ありがとう」 莉里ちゃんに指摘されて焦る。 今は邪念を払って集中しなきゃ。深呼吸を繰り返す。
「OKだよ。この先は貴女一人で行くんだ」 赤沼氏が私の肩に手を置いて言った。 「心の準備ができたら、いつでも始めなさい」 「はい」
私は目を閉じた。 身体を絞め付ける縄の感覚。大丈夫、何も怖くない。 これから私は肉体の自由を明け渡す。その代わりに精神を肉体から解き放つのだ。
・・ブーン。耳鳴りがした。 その音は以前より少し柔らかくなって聞こえた。
自分の身体を意識した。 その身体はまるで時間が止まったかのように静止していた。 外の世界を意識した。 そこには私を拒まない自由な空間が広がっていた。 行ける──。
私は虚空を見上げて飛び上がった。 自分が肉体から離れるのが分かった。 「おおっ、飛んだ!」「けやきさーん!」 赤沼氏と莉里ちゃんが私を見上げていた。 「どうですか? 私の幽体離脱」 私は二人の上空に浮かんで微笑んだ。 宙に浮かぶ緊縛美女、なんちて。 ちょっぴり、いや結構誇らしかった。
・・
私はしばらく空中に浮かんで元の身体に戻った。 戻るときもスムーズだった。 幽体を肉体に重ね、じんわり融合するイメージを描けばよかった。 初めての単独幽体離脱は大成功だった。 たった1回のトライで成功するとは正直思っていなかったと赤沼氏にも言われた。
「さて腹が減ったね。けやきさんも夕食はまだだろう?」 「え、また用意してもらったんですか!��」 「好きで作っとると言っただろう?」
私は緊縛を解かれた。 本当は縄に抱かれる快感にずっと浸っていたかったけど、縛られたままじゃご飯は食べられないものね。 赤沼氏が作ってくれたのは和食だった。 大根のべっこう煮、厚揚げと小松菜の煮びたし、鯖塩焼きに豚汁。 「すごいですっ」 「ありきたりの献立だと思うがね。けやきさんは自分で料理せんのかね?」 「あ、私は外食が多くて。・・でも今は家で作らなくても十分やっていけますから。ね、莉里ちゃん!?」 「お嫁に行くならお料理はできた方がいいですよ、けやきさん」 ズキューン。莉里ちゃんを味方につけようとして逆に撃たれてしまった私。
・・
莉里ちゃんが言った。 「けやきさん、次はあたしと二人で飛びませんか?」 「そういえば莉里ちゃん一緒に飛びたいって言ってたわね」 「それはやった方がいい。一緒に行って教えてもらうことがたくさんあるはずだよ」 そうだね。いっぱい勉強することはあるんだ。 よし、空でも何でも飛んでみせるわ。
今日の莉里ちゃんは膝上ショートパンツとボーダー柄のTシャツを着ていた。 その上に拘束衣を着て袖に手を入れ、その袖を赤沼氏が背中に取り回して強く絞った。 だぶだぶの拘束衣がきゅっと締まったのが分かる。 これ��莉里ちゃんは両手を動かせない。 「えへへ、ぎちぎちです」 屈託なく笑いながら言われた。
次は私の番。 再び後ろ手で縛られた。 きっちり両手が動かないことを確認して安心する。 いいな。やっぱり嬉しい。 「私もぎっちぎち」 莉里ちゃんにそう言って笑いかけた。
「行きましょ! けやきさん」「うん、行こう」 目を閉じて、深呼吸。
「けやきさん、」莉里ちゃんが小声で言った、 「はい?」 「一緒に拘束されてるの、嬉しいです」 どき。 「もうっ、集中できないでしょ!」「えへへ、ごめんなさい!」
・・ブーン。耳鳴りがした。 莉里ちゃんが少し震えて動かなくなった。隣で私も固まった。 そして──。
私と莉里ちゃんは部屋の中に浮かんでいた。 互いに微笑み合う。 莉里ちゃんが赤沼さんの近くへ行って挨拶した。 「行ってくる、ひい爺ちゃん」 「うん、気を付けてな」
莉里ちゃんは笑って私を手招きすると窓ガラスを通り抜けていった。 私も赤沼氏に会釈して、窓を抜け外へ出た。
11. 夜の空に浮かぶと私たちはとても小さな存在だった。 「うわぁ~~!!」 小さな子供みたいに叫んだ。
天空に瞬く星々。 眼下にはマッチ箱みたいな団地。 そして周囲 360 度に煌めく街の夜景。 ガラスの粒をばらまいたみたいに綺麗だった。 碁盤目に走る道路と車のライトの列。あそこですれ違う光の線は電車。 はるか彼方に見える超高層ビル群。虹色に光るテレビ塔。
「莉里ちゃん今までこんな景色を独り占めしてたの!?」 隣に浮かんでいる莉里ちゃんに聞いた。 「まあ、空に上がれば見放題ですからね」 「すごいなぁ。これ見れただけで幽体離脱に感謝だわっ」 「うふふ。・・よかった!」 「何がよかったの?」 「幽体同士だと普通にお話しできて。私だけけやきさんの傍で囁かないと駄目かもって、ちょっと心配してたんです」 「ああ、そうか」 幽体のときの莉里ちゃんの声は、普通の人間にはよほど近くでないと聞こえないのだった。
「でもほんと夢みたい! 一緒に飛んでくれる人がいたなんて」 莉里ちゃんは笑顔で両手を広げて一回転した。 暗闇の中でくっきり見えた。 ショートパンツとTシャツ。よく見たら髪に白い造花のバレッタをつけていて可愛い。 私も両手を広げようとして、後ろ手に縛られていることに気付いた。 そういえば莉里ちゃん、いつも幽体離脱したときは拘束衣が消えるわね。
「ねぇ莉里ちゃん、今更だけど拘束衣は?」 「はい、これですか?」 莉里ちゃんを包むように拘束衣が出現した。両手が固定されたぎちぎちの拘束。 「ええーっ!?」 「見た目なんていくらでも変えられますよ?」 拘束衣がふっと消えた。 替わりに莉里ちゃんの背中に大きな翼が生えた。噴水の上に浮かんだときの翼だった。 「はいっ、天使に変身です」 「そ、それ私にもできるの?」 「できますよ。頭の中でなりたい姿を思い浮べるだけです」 ・・じゃあ。 私を縛っていた縄が融けるように消えた。両手が自由になった。 「できた!」「はい、よくできましたー」 「どうして言ってくれなかったの? 変身できるって」 「すぐに気が付くと思って。それにけやきさん、縛られたままで嬉しそうだったし」 「う・・。あれは暗示のせい!」 「うふふ」
莉里ちゃんの服装が変わった。 肩出しの白いキャミワンピ。背中に翼も生えて正に天使だった。 「けやきさんも!」「うん!」 私も莉里ちゃんと同じ衣装になった。背中に翼も。 あれ? 翼の先��が薄れて消えかかってる。 「あたしの姿を見て、しっかり隅々までイメージして下さい」 翼がくっきり表れた。 「OKです!」
「ねぇっ、私たちどこでも行けるんでしょ? スカ○ツリー、見下ろしたいな」 「んー、行けなくはないけど、都心まで急いでも4時間くらいかかりますよ」 「え? どうして?」 「地面を歩くのと同じ速さでしか進めませんし、帰りの時間も考えたら朝になっちゃいますね」 「ぴゅーんって飛べないの? そうか一瞬で移動とか」 「そんな魔法みたいなこと無理ですよー」 幽体離脱だって魔法みたいなものだと思うけど。 「スカ○ツリーは無理だけど、お勧めのコースがありますよ! 行きませんか?」
・・
二人で夜の街を飛んだ。 ビルの上、道路の上。駅の上。 翼を広げて飛ぶのは気持ちよかった。
夜の小学校に降りた。 誰もいない校庭で莉里ちゃんと滑り台を滑ったり、ジャングルジムに登って遊んだ。
自然公園の森を飛び抜けた。 高度1メートルで飛んでも木の枝や幹が邪魔にならない。全部通り抜けられるんだ。 森を抜けたところで先を行く莉里ちゃんが貯水池に飛び込んだ。私も続いて飛び込む。 どぶん。 鳴るはずのない水音が聞こえた、ような気がした。 水中で動かない魚の群れを突き抜けて、水面から上空に飛びあがった。 もちろん私たちはぜんぜん濡れていない。
高圧線の鉄塔をネコバスみたいに登り、両手を広げて電線の上を歩いた。 ジャンプしてトトロみたいに回りながら着地した。 楽しい。初めて外に出してもらった子犬みたいにはしゃいだ。
「次はちょっと冒険です!」 莉里ちゃんが指差したのは幹線道路沿いにそびえる巨大なショッピングモールだった。 もう遅い時刻なのに歩いている人が多い。さすが土曜の夜。 誰にも見られないよう物陰に降り、変身を解いて天使から元の恰好に戻った。 莉里ちゃんは膝上ショーパンにボーダーのTシャツ。足元はバスケットシューズ。 私はスキニーパンツと半袖オーバーニットにパンプスを履いている。 さあ、行こう。モールの通路を並んで歩き出した。 心臓がドキドキしてるのが分かる。幽体なのに。
何人もすれ違って誰にも気付かれない。 「意外とばれないものね」「ばれたら大変ですけど」 「そりゃそうだ」「うふふ」 調子にのってエスカレーターに乗ったりベンチに座ったりした。
ベンチにいると、ヨークシャテリアを抱いた女性が前を通りすぎた。 と、その犬が私たちを見て唸り声を上げた。 女性の手から飛び降りて吠え掛かってきた。 やば! 私たちは慌てて逃げ出した。 通路を走り、角を曲がった。きっと床から足が離れていたたと思う。 正面は全面ガラスのテラスになっていた。誰もいない。ラッキー! 私たちは二人並んでガラスを走り抜けた。 3階から外に飛び出すとモールの外壁沿いに急上昇した。 「おっと!」「ひゃあっ」
高く上がって近くを流れる川の上に出ると、すぐに真っ黒な水面ぎりぎりまで降下して一直線に飛んだ。 いくつも橋をくぐって進むと前方に大きな道路橋が見えた。 それは鉄骨を台形に組んだ���ラス橋で、オレンジ色の照明が鉄橋全体を照らしていた。 「莉里ちゃん、あそこっ」「はい!」 私たちはトラスの一番上の梁に並んで座った。 「えへへ。びっくりしましたねー」 「ほんと、どえらい冒険だったわ。・・いつもやってるの? あんなこと」 「たまに。でも吠えられたのは初めてです」「犬には分かるのかな」 「そうかも。・・驚きました」 莉里ちゃんは自分の胸を両手で押さえた。 「これからは控えることにします。ああいう冒険は」 「その方がいいわね」
足をぶらぶらさせながら見下ろすと、橋の上を車がたくさん走っていた。 誰かが上を見たらきっと気付くだろうね、あり得ないところに座る女の子の姿に。 目立たない恰好に変身した方がいいかな。 いっそ透明なら絶対に見えないけど。
「ね、透明になれないの? 私たち」 「なれません。お婆ちゃんは透明になれたらしいんですけど」 「リリーさんのこと?」 「ひい爺ちゃんから聞いただけですけどね。幽体離脱も特別な暗示なしで自由にできたそうです」 「すごい人だったのね」 「はい。それで暴走したって話も」 「?」 莉里ちゃんはふわりと浮かんで言った。 「もう一箇所だけ、つき合ってもらっていいですか」
12. もう深夜だった。 たった今走って行った電車はそろそろ最終電車ではないかしら。 周囲は街路樹と街灯が整然と並ぶ住宅街。 私たちは電車の線路に降りた。 「昔、この辺りは一面の雑木林で蒸気機関車が走っていたそうです」 「へぇ」 「ここはお婆ちゃんが生霊になった場所です」 「!」
リリーさんは幽体離脱を繰り返し過ぎて精神が不安定になった。 やがて幽体が独立した意志を持ち、勝手に本体から分離して徘徊するようになった。 ある夜、眠っている本体を起こして外へ連れ出した。 赤沼氏が発見したとき、幽体と本体は線路の上を迫りくる列車に向かって歩いていた。 轢かれる寸前、赤沼氏はリリーさんを抱きかかえて救出した。 それから赤沼氏は一ノ谷博士の協力でリリーさんの精神を安定させ、リリーさんが勝手に幽体離脱することはなくなった。
「まさか幽体が生霊になって本体を殺そうとするなんて、思ってもいなかったでしょうね」 「・・」 「だからあたしは暗示をかけられました。勝手に離脱しないように。拘束衣を着たときだけ幽体離脱できるように」 「そうだったのね。私の縄の暗示も同じなのね」 「そうです」 莉里ちゃんは遠い目になって言った。 「暗示の理由を教えてもらったとき、ひい爺ちゃんはこの場所で起こった事件のことも教えてくれました。・・それ以来あたしはときどきここへ来てお婆ちゃんのことを考えています」 「リリーさん、ずっと怖かったのかしら」 「そうかもしれませんね」 「ねぇ、莉里ちゃん。お婆さんはどんな人だったの?」 「無口でおとなしい人だったらしいです。それ以上のことは、ひい爺ちゃんは何も教えてくれません」 「そう」
「・・そうだっ、」 莉里ちゃんは突然にやっと笑った。 「けやきさん、ひい爺ちゃんはずっと独身だって知ってます?」 「あれ? リリーさんがいたのに?」 「ひい爺ちゃんは今年 83 歳です。お婆ちゃんは 19 であたしのママを生んで、ママは 31 であたしを生みました。それで計算すると、ひい爺ちゃん 17 歳でお婆ちゃんが生まれたことになるんです」 「あらら」 赤沼氏、若いときに "やらかした" のかしら? 「じゃあリリーさんのお母さんは」 「分かりません。きっと事情があって結婚できなかったんだろうってママが言ってました」 そうか。それならリリーさんは自分の母親を知らずに育ったのかもしれない。 寂���かっただろうな。
・・
突然風景が変わった。 住宅街が消え、灯り一つない雑木林になった。 電車の線路は木々をかすめるように敷かれたか細い単線の線路に変わった。 私たちの前方に人影があった。 幼い少女が二人、並んで線路を歩いている。 白い寝巻らしきものを来た二人は瓜二つだったけど、片方の少女はぼんやり半透明に見えた。
がしゅがしゅがしゅ。 遠くに機械音が聞こえた。列車が来るんだ。 その音は次第に大きくなった。 やがて黄色いヘッドライトが一つ、こちらに迫ってきた。 少女たちは歩みを止めない。 ボウォーッ!! 汽笛の音。 危ない!!
・・
「見えたんですね?」 莉里ちゃんの声がした。 私と莉里ちゃんは住宅街を抜ける線路にいた。 「残留思念っていうんでしょうか、あたしにも見えるんです。もう 60 年も昔のことなのに」 「幽体になった私たちだけに見えるのかしら」 「たぶん。誰にでも見えたら『幽霊の出るスポット』で有名になるでしょうから」 「それは残念ね。動画に上げたらバズるのに」 「それだったらもっといいネタがありますよ。・・あたし達自身です」 「それもそうね」「うふふ」
・・
二人が赤沼氏の団地に帰りついたのは、日付が替わってだいぶ過ぎた時刻だった。 寝ないで待っていてくれた赤沼氏は叱りもせずに私たちの拘束を解いてくれた。 程なく莉里ちゃんはぐっすり眠ってしまい、それを見届けてから赤沼氏はとっておきのバーボンを開けてくれた。 「水ではありませんぞ」 「あはは、水と判っても騙されたふりして飲みます」
赤沼氏は、莉里ちゃんがこんなに晴ればれした顔で帰ってきたのは初めてだと嬉しそうに話してくれた。 今まで誰にも言えなかった秘密を私に話せた。一人でしかできなかった体験を共有できた。 それは私という仲間ができたからと言ってくれた。 「これからもこの子に寄り添って下されば、こんな嬉しいことはありません」 私は少し考えて返事した。 「これからもお二人のこと、お手伝いさせて下さい」
13. 『すなっく けったい』に行くとさっそくママに声をかけられた。 「けやきちゃん! もう来てくれへんかと思てたわっ」 「すみません、ご無沙汰しちゃいまして」 「ええんよ。はい、こっち座って!」
カウンター席に座りホッピー割を頼んだ。 ああ、美味しいな。 これからも『けったい』に来たら一杯目はホッピー割にしよう。
「さすがに今夜は賑わってますね」 「そら第3金曜やからね。けやきちゃんも手品見に来たんやろ?」 「もちろんです」 「そういえば、あんときは莉里ちゃんと会えたの?」 「おかげさまで、何もかもうまくいきました。・・本当にママさんのおかげです。感謝しきれないくらい」 「何や、気持ち悪い」 ママは不思議そうな顔をしたけど、それ以上は何も聞かずに笑ってくれた。
・・
「こんばんわーっ」 チャイナ服の莉里ちゃんが入ってきた。その後ろに真っ黒なマントとタキシードの赤沼氏。 赤沼氏は年中こんな恰好で手品をするのは大変だと思う。 でも本人に言わすと「これがわしのアイデンティティ」ということらしい。
いつものカラオケコーナーで二人が挨拶すると一斉に拍手が起こった。 莉里ちゃんが私を見つけてウインクしてくれた。 うん、ちゃんと来てるよ!
赤沼氏の手品が始まる。莉里ちゃんはアシスタント。 トランプを扇形に開いたり閉じたり繰り返すとカードがどんどん大きくなった。 財布を開くと中から小さな火が出て燃えたり、両手の間にステッキを浮かせて踊らせたりした。 ハラハラドキドキするような手品じゃないけど、ちょっと不思議で楽しい。 安心して見ていられる手品。 これが赤沼さんのテイストなんだと改めて思った。
さあ、次は幽体離脱イリュージョン。 皆が期待するのが分かる。 莉里ちゃんがカウンタースツールを2脚持ってきてカラオケコーナーに置いた。 「ん? 何で二つ?」誰かが呟いた、 莉里ちゃんは店内をまっすぐ私の方に歩いてきた。 「こちらへどうぞ」 私の手を取って言った。 店内がざわつく。 ・・いつもと違うぞ? 何が起こるんだ?
私は一度は遠慮して断り、再び誘われて首を縦にふった。 羽織っていたジャケットを脱いで席に置く。 立ち上がった私の恰好はノースリーブのブラウスと膝上タイトミニ、黒ストッキングにハイヒール。 今夜のサプライズのために選んだコーデなのだ。 脚を見せるなんて3年ぶりだぞ。
莉里ちゃんに連れられてカラオケコーナーに置いたスツールの片方に座った。 赤沼氏が縄を持っている。 私は黙って腕を背中に回した。 「緊縛!?」 女性のお客さんが両手を口に当てて驚いている。
赤沼氏が耳元で囁いた。 「少々厳重に縛りますよ」 私は無言で頷く。 厳重なのは大歓迎。それだけ私は守られるのだから。
腕が捩じり上げられた。手首を固定する位置がいつもより高いような。 二の腕の外側から胸の上下に縄が回される。 別の縄が腕と胸の間に通されて、胸の縄をきゅっと絞った。 ・・はうっ。 思わず息を飲んだ。こんな縄は初めて。 むき出しの肌に縄が食い込む感触。ノースリーブにしてよかったと思った。 ストッキングを履いた膝と足首にも縄が掛かった。 脚を縛られるのも初めてだった。
気持ちいい。 縄の暗示で導かれる安心感。 それだけじゃない気がした。味わったことのない快感。
隣で莉里ちゃんが拘束服を着せられていた。 袖が強く引き絞られている。 うん、ぎっちぎち。 私も莉里ちゃんも拘束感の中にいるのね。互いに微笑み合った。 大丈夫、いつでも金縛りに移行できるわよ。
赤沼氏が大きな布をふわりと広げ、私たちはその中に包まれた。
・・
チャイナ服の女の子とノースリブラウスの女が空中に出現した。 拘束服も縄も纏っていない。 その代わり二人の背中には大きな翼が生えていた。 お客様の真上で優雅にお辞儀すると、両手を広げてくるくる回った。 私たちは自由だった。 天使のように舞って自由自在に飛び回った。
・・
布が取り払われると、私たちは再び拘束された状態でスツールに座っていた。 お客様全員からスタンディングオペレーション。 赤沼氏がまず莉里ちゃんの拘束衣、そして私の縄を解放してくれた。 「けやきさん!」 莉里ちゃんからハグされた。
それは抱きしめられた瞬間だった。 背筋に電流が走った。 はぁん! 身を反らせて快感に耐えた。 まだ縄で縛られている感覚が残っていた。 気持ちいい。子宮がじんじん震えそうなくらい気持ちいい。 どうしたんだろう。 縄を解いてもらえば暗示は解けるはずなのに。 一歩、二歩、前に進もうとして私はその場に崩れ落ちた。
気が付くとソファに寝かされていた。 まわりを赤沼氏、莉里ちゃん、『けったい』のママ、そして『けったい』のお客さんたちが囲んでいた。 ほのかなエクスタシーが残っていた。 素敵なセックスに満た��れた後の余韻のような。 ・・とろけそう。 寝ころんだまま私はだらしなく微笑んだ。
ママが言った。 「・・縄酔いやな。がはははっ。赤沼さん、この人相手に張り切り過ぎたんとちゃう?」 「ううむ。久しぶりの高手小手縛り、つい縄に力が入りましたかな。いやこれは申し訳ない」 「あんた縄師の仕事もしてたん?」 「昔のことです」 莉里ちゃんがきょとんとして聞いた。 「あの、縄師って何ですか?」 小さなスナックに皆の笑い声が響いた。
14. 『けったい』で鮮烈?デビューを果たした私は、それから本格的に赤沼氏と莉里ちゃんのお手伝いを始めた。 二人の手品やパフォーマンスに裏方として同行し、たまにサプライズで幽体離脱イリュージョンに参加する。 主役はあくまで莉里ちゃんだからね。
莉里ちゃんの将来の目標はひいお爺ちゃんのような手品師になること。 赤沼氏に習って手品の練習を始めたし、高校を卒業したらプロについて修行する話もしているようだ。 幽体離脱は大切な自己表現だけど、莉里ちゃん自身はそれを手品のオプションでやる必要はないと考えている。 いつか、超常現象やオカルトではなく、普通の能力として世の中に認められるようになったら、そのとき堂々と見せたい。 それまでに「仲間」が見つかるかもしれないし。 彼女の意見に赤沼氏も私も賛成した。 先は長そうだけど私も全力で応援するつもり。
私は赤沼氏からそろそろ暗示を外してあげようと提案された。 暗示とは、私が金縛り状態に入れるのは縄で縛られているときだけ、という条件付けのことだ。 今の私なら縛られていなくても不用意に幽体が分離することはない。生霊になる心配はないから暗示は不要。 わざわざ申し出てくれたのは、おそらく私の私生活への配慮だ。 一人でいつでも幽体離脱を楽しめるように。 もし私がプライベートでも縛られることを望んだとき、幽体離脱の懸念なく存分にプレイを楽しめるように。
その心遣いにはとても感謝するけれど、私は今のままでいたいと返答した。 誰かに縛られることで幽体離脱の自由を与えてもらう。 とても受動的。でも私はそれが嬉しい。身震いするほど嬉しい。 その「誰か」は今のところ赤沼氏。そしてこれからは莉里ちゃんかもしれないし、未だ現れないパートナーかもしれない。 マゾだね。もう素直に認めるよ。 でもこれは私の特権なんだ。こんな素敵な特権を手放すなんて考えられないよ。
莉里ちゃんからは、けやきさん早く婚活すべきです、と強く言われている。 「けやきさんお料理苦手だからごはんを作ってくれる人、最近けやきさん縛られたらとっても色っぽくて綺麗だから緊縛も上手な人、それと、ときどき幽体離脱しても呆れないでずっと愛してくれる人! この三つは絶対譲れない条件です!」 そんな都合のいい相手が見つかるかしら? でも運よくそんな人と結婚できたら、そのときは赤沼氏に暗示を外してもらおうと思う。 莉里ちゃんに言わせると、ひい爺ちゃんはとても元気で 100 歳まで絶対に死なない! らしいから、まだまだ時間はあるわね。 理想のパートナー探し、頑張ってみよう。
[1963(昭和38)年]
15. その女の子は4歳で、いつも一人でいた。 感情を露わにすることは少なく、話しかけられたときに最低限の受け答えはするけれど、自分から他人に話しかけることはなかった。 この施設にいる子には暴れる子や泣いてばかりの子もいたから、女の子はむしろ手がかからない子として扱われていた。 元々は戦災孤児の保護を目的に設立された施設だが、終戦から 18 年が過ぎた今では親のいない子、育ててもらえない子、その他いろいろな事情の子供がここで暮らしていた。
自由時間になると女の子はよく鉛筆で絵を描いていた。 その絵は人物画のようだけど、いつも顔面がのっぺらぼうで誰だか分からない。 施設の職員から「誰を描いてるの?」と聞かれても、女の子は黙ったままで何も答えなかった。
「上手だねぇ。もしかして君のお母さん?」 突然声をかけられて女の子が顔を上げると、知らない人が微笑んでいた。 その人は 20 歳そこそこの若い男性で、頬がこけていて目だけが大きいちょっと昆虫みたいな顔だけど、笑顔には優しさがにじみ出ていた。 彼女が描いていたのは確かにお母さんだった。 どんな顔か覚えていないから、のっぺらぼうにしか描けない。 でも記憶の中には自分を抱きしめてくれた母親が確実に存在していた。
どうして分かったんだろう? 不思議そうな顔をして男性を見上げる。 「もうすぐ手品をするんだ。見に来てくれるかな?」 その男性は慰問で訪れた手品師だった。
集会室に子供たちが集まって手品を見た。 右手で消えたコインが左手に移動する。手の中からカラフルなカードが何枚も現れる。空の箱から生きたウサギを取り出す。 初めて見る手品に女の子は目を見張った。 最後は大きな黒布を両手に持って広げると、手前に小さなお人形が出てきてふわりと浮かんだ。 お人形はどこにも支えがないのに宙を飛びながら楽しそうに踊った。
まばたき一つしないで見つめながら女の子は思う。 いいなぁ。わたしも飛びたい。 あんなふうに飛んでお母さんに会いに行きたい。
ショーが終わると手品師は女の子にお人形をくれた。 「君が一番熱心に見てくれたからね。そのお礼」 背の高さがほんの 10 センチくらいのセルロイド製の少女人形だった。 手品師は手品で使う人形とは別に、プレゼント用に安価な人形を用意していたのだった。 お人形は女の子の宝物になった。
・・
数週間後、施設で異変が起きた。 深夜、巡回していた職員が廊下で女の子を見た。声を掛けるとその姿はふっと消えた。 さらに数週間過ぎた夜、食堂の天井の近くに女の子が浮かんでいた。腕にあのセルロイドのお人形を抱いていた。 目撃した職員が腰を抜かして動けない間に、女の子は壁の中に溶けるように消えた。 そしてその翌月、2階の窓の外を女の子が飛んでいた。昼間のことであり複数の職員が目撃して大騒ぎになった。 皆で女の子を探すと、女の子は誰もいない遊戯室で一人眠り込んでいた。 慌てて起こして問いただしても本人は何も覚えていなかった。
職員の中に女の子のことを『悪魔ッ子』と呼ぶ者が現れ、やがてその名は子供たちも広がって女の子は苛められるようになった。
・・
女の子が職員室に呼ばれて来るとあの手品師がいた。 人づてに噂を聞いてやって来たのだった。
手品師は女の子の目をじっと見つめて言った。 「きっと飛びたかったんだね。お母さんに会いに行きたいのかな?」 分かるの? わたしの気持ち。 「君は特別な女の子だ。あのとき気付いてあげられなくて悪かった」 この人は何を言ってるんだろう。 でも、いい人だと思った。信じても大丈夫。���の人なら大丈夫。
手品師はにっこり笑った。優しくて暖かい笑顔だった。 「僕と一緒に手品をしないかい?」 手品!? あの手品の情景が蘇った。 「自由に飛べるようにしてあげるよ。きっとすごい手品ができる」 ええっ!? 「やりたい。手品も、飛ぶのも、全部やりたい!」 女の子は初めて自分から喋った。
「僕は赤沼っていうんだ。君の名前は?」 「わたしはリリー。リリーだよ!!」
こうしてリリーは赤沼に引き取られた。 翌年正式に養子縁組して親子になった。 二人がサーカスでデビューしたのはさらに2年後。赤沼 24 歳、リリー7歳のときだった。
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~登場人物紹介~ 近本けやき (ちかもと けやき): 29歳 独身OL。莉里と出会って幽体離脱の能力が覚醒する。お酒が好き。 赤沼幻檀 (あかぬま げんだん): 83歳。手品師。リリー・莉里・けやきの幽体離脱を導く。 関莉里 (せき りり): 16歳 高校1年生。赤沼のひ孫。赤沼の手品のアシスタントをしている。 『すなっく けったい』のママ: 年齢不詳。豪快なおばさん。 リリー: 赤沼の娘。莉里の祖母。7歳で赤沼と一緒にサーカスのショーに出演する。
タイトルを見ただけでウルトラQを思い浮べた人は何人いらっしゃるでしょうか? この小説は昭和41年に放映されたテレビドラマシリーズ『ウルトラQ』の第25話『悪魔ッ子』(以下、原作) をリスペクトして書いたものです。 小説は原作を知らない方でも読めるように書いていますが、原作も抜群の人気を誇る(と個人的に信じている^^)名作なので、機会があればぜひご覧になって下さいませ。 公式に視聴するには有料配信か円盤購入しかないようです。およその粗筋やシーンの一部ならネットで見られるので、そちらだけでも。
本話は原作の設定を少し変更した上で、魔術師赤沼と悪魔ッ子リリーのその後を描いています。 当初『悪魔ッ子の娘』というタイトルでリリーが生んだ女の子が活躍するお話を書きかけましたが、その娘は2024年の現在では40~50歳くらいになってしまうのでモチベが続きませんでした(笑。 そこで『悪魔ッ子の孫娘』にして女子高生を主人公のアラサーOLと絡ませることにした次第です。 なお名前だけ登場した一ノ谷博士は原作では『一の谷博士』で、シリーズ全体で様々な怪事件を解決に導く学者です。 ちなみにこの人は、ウルトラQの後番組『ウルトラマン』で科学特捜隊日本支部の設立にも関わったそうです。(Wikipedia より)
金縛りと幽体離脱は私の小説では初めて扱った題材です。 自分では体験したことがないので、ネットで調べた内容に作者のファンタジーを加えて創作しました。 肉体から分離した幽体は誰の目にもくっきり見える設定です。 暗いところでも見えてしまうので違和感を感じますが、明るい場所だと普通の人間と区別できません。 (空を飛んだり壁を抜けたりするのを見られたら当然バレます) 肉体から離れられる距離や時間は制限なし。ただし普通に歩いたり走ったりする速度でしか移動できないので遠くへは行きにくい。 あと、幽体時に着用している衣服は本人の脳内イメージで自由に変えられます。 実は主人公のけやきさんが自分の服をイメージし損ねて全裸で空を飛ぶシーンを考えましたが、お話が変な方向に進みそうになって止めました(笑。
もう一つ、暗示も初めてのネタです。 本話ではけやきさんも莉里ちゃんも自分に暗示がかかっていることを認識しています。 二人とも暗示を受け入れていて、しかも解除されることを望んでいない。 無理矢理コントロールされるのではなく、かけられた当人が嫌に思わない、むしろ嬉しい状況が私の好みです。 暗示の与え方についてはいろいろ調べましたが難しいですね。 赤沼氏が暗示をかけるシーン、けやきさんがとても素直な人であるとはいえ、あんな簡単な指示で実際にかかってしまうことはないでしょう。
挿絵は拘束衣を着せられた莉里ちゃんにしました。 自分で描くのは時間がかかりますが、やっぱり楽しいです。
それではまた。 ありがとうございました。
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𝐖𝐖-𝐋𝐎 | 𝐀𝐛𝐨𝐮𝐭 𝐃𝐞𝐬𝐭𝐢𝐧𝐲 𝐚𝐧𝐝 𝐏𝐚𝐭𝐡
不知怎的,雷因哈德想起了老爹,他在這個時候會怎樣做呢? 醫療廂房發生爆炸,學生受傷甚至有人死亡,雷因哈德握著羽毛筆卻一筆都寫不下,墨水滴在日誌慢慢化開。 他果然是失職了吧,雷因哈德想。他做不到像老爹那樣出於自然的去關心學生,縱然他認為自己已盡了最大的嘗試。學校附近的安全、周圍奇獸和盜獵者不尋常的舉動,能力範圍上的他都盡可能把它們趕跑了,只是他們敵人的手已伸到這麼遠而他在自己的界別再有份量也無法作出決定性的影響。 魔法部到底要墮落到什麼地步。 雷因哈德挨後靠在椅背,老舊的椅子被他的伸展弄出聲響,他望著天花板嘆氣。 史密斯校長被革職、學校被勒令停辦、學生被逼四散⋯⋯他自己呢,該何去何從?回威爾斯保護區嗎? 他吸口氣重新坐直。還是不在任何地方任職、沒有從屬哪一方對現在的情況來說或許才更有利?他托著眉額逐頁翻看日誌。 他記起裸鼴鼠混亂中藏起的信件,按照那人的反應那封信不可能只是公文或個人問候的書信,而是指令或像在盜獵者營地看到的那種私通内容。當然,這只是雷因哈德的猜測,而且會寄信給他的勢力方不是來自魔法部。 新組織似乎已經著手放掉走私這條財路,畢竟那小小裸鼴鼠必然會向其主人回報他的到訪,而他們的足跡也逐漸退出了森林。 但變得猖狂的盜獵行為無法一時三刻完全壓制,雷因哈德可不介意插手「幫忙」,尤其是在殺死米利暗的兇手們還在外面時。 「珀迪和氈⋯⋯」 雷因哈德想著保護區內那帶新式巫師腕錶的新手、曾共事那麼多年的前同僚,還有那些還沒確定的叛徒,慢慢握緊沒有手套遮掩滿佈被奇獸撕咬、抓傷痕跡的手。獵物被他和莉安娜咬到他們就絕不放開,穀倉老鼠的命運也只有一個。 命運。 他放下羽毛筆拿過長袍攀上天文塔。 「妳果然在這裡,亞絲嘉女士。我是奧斯本。」 雷因哈德確保在樓梯上的踏步有發出聲響。 亞絲嘉堤亞沒有轉頭也沒有回應,漫天星宿下的身姿在雷因哈德眼中顯得更像一隻不受打擾的奇獸。微風和星光温柔的輕拂她銀白的髮絲,他靠近對方把手中漆黑的長袍包裹在她單薄的身軀上,也抬頭看向星空。 「你希望我給出什麼答案,奧斯本?」 「我們不可能在所有事情上都得到答案。」 雷因哈德說。 她用淡金色的雙瞳望著他的方向。「但你來找我不就是為了得到命運的啟示麼?」 命運。 「妳曾讓我找到南方的屍體,那份情報是從妳在魔法部的小幫手得來的,還是妳的能力?」 「為什麼?」 亞絲嘉堤雅沒有眨眼。 「妳看到了多少?」 雷因哈德低頭看著他,亞絲嘉堤雅被籠罩在他的身影之下。 他知道關於她的傳聞,他終於想起十多年前曾在公幹時聽過一個關於很久沒有預言家誕生的家族終於產出了擁有強大預言能力者的傳聞,她的第一個預言便是其兄長的死亡,而他們都有著如眼前亞絲嘉堤雅天生的白髮。 「因為妳認為它無法被改變所以妳才什麼都不說嗎?」 「我只是個謙卑的僕人。」 她回答。 雷因哈德握住她不自覺摸著項鏈上指骨微微抖顫皙白的手,兩人都沒有說話。 「那告訴我,亞絲嘉女士,告訴我我會找到他們,並把他們殺死。」 亞絲嘉堤雅垂下眼簾握緊了那滿滿傷痕凹凸不平的大手,過大的長袍在她身後飄動。 「你會找到他們,並把他們殺死。」
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光怪陸離
H:嘗鮮,是對食物而言。對事物的新奇體驗,以光怪陸離,五光十色,甚至五彩繽紛,五花八門。看一些奇幻異聞,鬼怪仙俠的古書。新鴛鴦蝴蝶「花花世界鴛鴦蝴蝶,在人間已是癲;何苦要上青天不如温柔同眠。」形容的很好,人間處處有桃花源,何苦想那青天上的仙境。美好的事物不必遠求,只在你我身邊周圍。
知足常樂得享天堂仙境「一花一世界,一木一浮生,一草一天堂,一葉一如來,一砂一極樂,一方一淨土,一笑一塵緣,一念一清靜。如果你不給自己煩惱,別人也永遠不可能給你煩惱。因為你自己的內心,你放不下。若能一切隨他去,便是人世間自在人。」20240816W5
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光怪陸離
音讀與釋義典故說明用法說明辨 識列印 加入筆記
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成 語光怪陸離
釋 義「光怪」,離奇怪異的樣子。語出《吳書》。「陸離」,參差錯雜的樣子。#語出戰國楚.屈原〈離騷〉。「光怪陸離」形容現象離奇怪異,色彩參差錯雜。典故說明「光怪陸離」係由「光怪」及「陸離」二語組合而成。
「光怪」是出自《吳書》。孫堅家族的祖墳在富春城東,墳上屢次出現怪異的光景,上頭時常飄著五色雲彩,連綿數里不斷,吸引很多人前去觀看。凡是看過的鄉親父老都說,孫氏要興旺了!後來孫堅出生,果真長相不凡,生性闊達,擁有不凡的操守。
「陸離」則是出自〈離騷〉。戰國時楚人屈原,遭靳尚等人毀謗,被懷王放逐漢北時,作〈離騷〉表明忠貞愛國之心。文中,屈原因為無法解開對現實和理想之間的矛盾,於是上天下地找尋解脫之道。他幻想駕鸞凰、鳳鳥乘風飛升,翱遊天際。一路上有望舒、飛廉、鸞凰、雷師、鳳鳥、雲霓等眾多仙人及侍從伴隨,色彩繁雜而絢麗。後來這兩個典源被合用成「光怪陸離」,用來形容現象離奇怪異,色彩參差錯雜。用法說明
成語用法
成語釋義
光怪:光彩奇異;陸離:開卷參差。形容奇形怪狀,五顏六色。[1]
成語出處
戰國·楚·屈原《離騷》:“紛總總其離合兮,斑陸離其上下。”《三國志·吳志·孫堅傳》裴松之注引《吳書》:“冢上有光怪,雲氣五色,上屬於天,曼延數里。”[1]
解釋:
形容現象怪異、色彩繽紛。參見「光怪陸離」條。《孽海花》第八回:「見船上紮著無數五色的彩球,陸離光怪、紙醉金迷。」
五光十色
音讀與釋義典故說明用法說明辨 識列印 加入筆記
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成 語五光十色注 音ㄨˇ ㄍㄨㄤ ㄕˊ ㄙㄜˋ漢語拼音wǔ guāng shí sè釋 義形容景色鮮麗複雜,光彩奪目。語本南朝梁.江淹〈麗色賦〉。後亦用「五光十色」比喻內容豐富,變化萬端。
△「五彩繽紛」典故說明「賦」是傳統文學體裁之一,形似散文,但內含詩的韻律,是一種介於詩歌與散文之間的文體。盛行於漢魏六朝,魏晉南北朝時,因應新興的駢偶文風而發展出「俳賦」,此體多採四六對仗的句式,講求嚴格的平仄音律,並喜用典故。江淹為當時著名作家,〈麗色賦〉即其作品之一,內容描繪一位絕色美女的容貌、姿儀。其中一段,文曰:「其始見也,若紅蓮鏡池;其少進也,如綵雲出崖,五光徘徊,十色陸離。」大意是:初見佳人,如見生長於無波如鏡之池中的紅蓮,佳人一動,則如絢爛的雲彩自崖間飄出,色彩鮮麗,燦爛奪目。短短數語,即生動呈顯了麗人的綽約風姿。後來「五光十色」這句成語就從這裡演變而出,用來形容景色鮮麗複雜,光彩奪目。亦用來比喻事物的內容豐富,變化萬端。用法說明一、
語義說明
形容景色鮮麗複雜,光彩奪目。
民俗,就是世代相傳的民間生活風俗。世界民俗,就是關於世界各地的民俗。
五花、八門各指古代兵法中的五行陣、八門陣。 後比喻形形色色、變化多端。 如:「這家超商的食品種類真是 五花八門 。」 《儒林外史》第四二回:「那小戲子一個個戴了貂裘,簪了雉羽,穿極新鮮的靠子,跑上場來,串了一個 五花八門 。」
光怪陸離偵探社
《光怪陸離偵探社》是連載於起點中文網的一部懸疑類網絡小説,作者是吾即正道。[1]
該小説講述了陸離面對一扇詭秘之門,門後邪惡低語,奇異生物蠢蠢欲動。怨念之眼、黏糊粉腦、黃衣觀察者、墨綠污泥等奇異存在競相登場,它們以各自的方式發出邀請,共赴一場瘋狂派對。陸離在誘惑與危險交織中,毅然決然地踏入未知領域。
博客來介紹:
巷說異聞錄:光怪陸離的民國軼事
作者:檀信介
語言:繁體中文
出版社:好讀
出版日期:2019/03/01
【奇幻又真實,是故事也是人生】
本書兼具歷史、名人、志怪、懸疑、推理等多種吸引人的閱讀元素於一身,還能了解到民國初年,民間許多不為人知的神異傳說和風俗習慣。
●深受喜愛的志怪故事,引起廣大歡迎與討論,給熱愛志怪小說的讀者帶來一場文化盛宴。
●腦洞大開的異聞怪談,天馬行空的奇異想像,感受與眾不同的故事閱讀體驗。
●深得中國傳統志怪小說精髓,描繪一個個詭異奇幻的世界,反映人間百態。
●魔幻詭譎的故事反映現實中人們對財、色、長生不老的癡求,極具諷刺意味。
【精彩故事】
〈斬龍角〉:清朝末年,亂世中仍保持桃花源般安靜祥和的袁寨,收留一位能掐會算的「靈卦張」,袁家的運數因此受到巨大影響……
〈既濟壺〉:北宋末年,汴梁城裡有位小韃子,踢得一腳好球,年過四十依然健美英俊。傳說其家中有個寶物「既濟壺」,因此得以青春不老、容顏永駐……
〈陰陽魚〉:明朝末年,張獻忠屠蜀,一隊難民發現一處世外桃源,偌大的村莊只有一對形影不離的男女。圍繞這對男女,譜寫一曲哀婉的亂世悲歌。
【導讀賞析】歷史作家、譯者/廖彥博
檀信介帶著讀者一頭闖進近代史恢弘大敘事裡的小角落,看看那些「魔神仔」如何在辛亥革命、日軍侵華、國共內戰裡存活下來,繼續魅惑人心。
收回
目錄
●破地獄
●斬龍角
●買竹籌
●賣鬼記
●斬鬼嬰
●金簪記
●既濟壺
●陰陽魚
【導讀賞析】近代史縫隙裡的魔神仔:《巷說異聞錄》/廖彥博
序
導讀賞析
近代史縫隙裡的魔神仔:《巷說異聞錄》
廖彥博(歷史作家、譯者、《一本就懂中國史》作者)
對中國大陸的讀者來說,民國是一個既陌生又熟悉的時代。
鴛鴦蝴蝶,旗袍馬褂,上海十里洋場,南京梧桐森森,我揮一揮衣袖,他達達的馬蹄,凡此種種,共同在影視作品裡構成人們心中對於民國風華的美好想像。可是民國也是神秘而落後的,甚至是迷信而妖魔橫行的。原因很簡單:不這麼著,很難突顯出「當今」橫掃一切牛鬼蛇神之後的現代和進步。
對台灣的讀者而言,民國則是一個既熟悉又陌生的時期(注意和前者的排序)。
鈔票硬幣上、公家文書上、報紙刊頭上,民國還是進行式,就在我們生活呼吸之中。可是民國也是截然兩分的:屬於歷史的那一大段,曾經顏色鮮明的、氣壯山河的存在過的民國歲月,四海歸心、堅苦卓絕的激戰年代,大多數台灣人已經不復記憶。
檀信介的《巷說異聞錄》替我們把既熟悉又陌生的歷史連接起來,而且還開啟了一扇魔幻又真實的觀景窗。中國文學的傳統裡,一直有著「志怪文學」的傳統。《山海經》以降,漢晉的《淮南子》、《搜神記》,唐傳奇、宋元話本、明清筆記小說,我們在荒山野嶺,感覺到陰風陣陣,或是捅破紙窗,看見女鬼畫皮,不管你的出身籍貫、政治立場,相信文化基因裡都有著妖怪活躍的身影。
而檀信介則帶讀者一頭闖進近代史恢弘大敘事裡的小角落,看看那些「魔神仔」如何在辛亥革命、日軍侵華、國共內戰裡存活下來,繼續魅惑人心。故事光怪迷離,看官們不禁眼花撩亂,可是驚魂甫定,卻又嘖嘖稱奇:誰能說這些「魔神仔」不存在?
《巷說異聞錄》由〈破地獄〉、〈斬龍角〉、〈買竹籌〉、〈賣鬼記〉等幾則故事組成,故事的舞台,正是清末到民國、抗戰勝利那段熟悉又陌生的歲月,幾個歷史上響噹噹的大人物,比方做過大總統、也登基當過八十三天皇上的袁世凱,還有我們台灣讀者算是相當熟悉的「蔣故總統經國先生」,在故事裡也出奇不意,客串亮相。看他們出場的時機,扮演的角色,起到的作用,一定會讓讀者們會心一笑。
留學蘇聯、篤信唯物主義的「太子」蔣經國,如何運用起茅山道術,去摧破汪精衛政權的秘密金庫?又怎麼會引來一場多年無法偵破的連續命案呢?且讓我們翻開這部《巷說異聞錄》。
維基文庫
麗色賦
作者:富嘉謨 唐本作品收錄於《全唐文/卷0235》
姊妹計劃: 數據項
客有鴻盤京劇者,財力雄倬,誌圖豐茂,繡轂生塵,金羈照路。清江可涉,綠淇始度,拾蕊歲滋,摘芳奇樹。錦席夜陳,苕華嬌春,瑤台吐鏡。翠樓初映,俄而世姝即,國容進,疑自持兮動盼,目爛爛兮昭振。金為釵兮十二行,錦為履兮五文章,聲珊珊兮佩明璫,意洋洋兮若有亡,蹁躚兮延佇,招吾人兮由房。凝釭吐輝兮明燭流注,願言始勤兮四坐相顧,時峨峨而載笑,唯見光氣之交騖。夜如何其夜遲遲,美人至止兮皎素絲,秉明心兮無他期。引鄉何其夜已半,美人至止兮青玉案,之死矢兮無彫換。既而河漢欲傾,琴瑟且鳴,餘弄未盡,清歌含韻。歌曰:「涉綠水兮采紅蓮,水漫漫兮花田田。舟容與兮白日暮,桂水浮兮不可度。憐彩翠於幽渚,悵妖妍於早露。」於是覽物遷跡,徘徊不懌,起哀情於碧湍,指盛年於光隙,擊節浩歎,解珮嘉客。是時也,楊雄始壯,相如未病,複有鄒、枚,藉藉荀令。鹹娛座客,嬉妙情,灑豪翰,動和聲。使夫燕姬趙女,衛豔陳娥,東門相送,上宮經過。���雲合兮金閨暮,紅埃起兮彩騎多,價奪十城之美,聲曼獨立之歌,況複坐弦酌而對瑤草,當盛明而謂何?
百度百科
新鴛鴦蝴蝶夢創作背景
在1992年10月的一個晚上,黃安抱着女兒到樓下去散步,突然他聽到一段旋律,黃安趕緊回家迅速記下了這段旋律。這是一段中國五聲音階的旋律,琅琅上口,於是便有了《新鴛鴦蝴蝶夢》的原始素材。有了曲子後還需有詞相配才可以。黃安覺得那段旋律頗有古風,於是他翻開唐詩,一翻便翻到李白與杜甫的詩。在李白的《宣州謝朓樓餞別校書叔雲》中,有這樣一段描述,“棄我去者,昨日之日不可留,亂我心者,今日之日多煩憂,抽刀斷水水更流,舉杯消愁愁更愁,人生在世不稱意,明朝散發弄扁舟”,黃安僅是稍加修改便有了《新鴛鴦蝴蝶夢》的第一段歌詞。[2]
歌曲歌詞
昨日像那東流水
離我遠去不可留
今日亂我心多煩憂
抽刀斷水水更流
舉杯消愁愁更愁
明朝清風四飄流
由來只有新人笑
有誰聽到舊人哭
愛情兩個字好辛苦
是要問一個明白
還是要裝作糊塗
知多知少難知足
看似個鴛鴦蝴蝶
不應該的年代
可是誰又能擺脱
人世間的悲哀
花花世界鴛鴦蝴蝶
在人間已是癲
何苦要上青天
不如温柔同眠
昨日像那東流水
離我遠去不可留
今日亂我心多煩憂
抽刀斷水水更流
舉杯消愁愁更愁
明朝清風四飄流
由來只有新人笑
有誰聽到舊人哭
愛情兩個字好辛苦
是要問一個明白
共2張
歌曲MV
還是要裝作糊塗
知多知少難知足
看似個鴛鴦蝴蝶
不應該的年代
可是誰又能擺脱人世間的悲哀
花花世界鴛鴦蝴蝶
在人間已是癲
何苦要上青天
不如温柔同眠
看似個鴛鴦蝴蝶
不應該的年代
可是誰又能擺脱人世間的悲哀
花花世界鴛鴦蝴蝶
在人間已是癲
何苦要上青天
不如温柔同眠。
博客來介紹:
知足常樂
作者:林高樂
語言:繁體中文
出版社:大拓文化
出版日期:2011/09/08
內容簡介
一花一世界,一木一浮生,一草一天堂,一葉一如來,一砂一極樂,一方一淨土,一笑一塵緣,一念一清靜。
如果你不給自己煩惱,別人也永遠不可能給你煩惱。因為你自己的內心,你放不下。
若能一切隨他去,便是人世間自在人。
禪不清高,穿衣吃飯是禪;
禪不脫俗,柴米油鹽是禪;
禪不深奧,世間萬物皆是禪。
禪,不是要我們放棄責任,出家以求自我解脫。一個人身在俗世,勇於承擔,保持佛心,就是禪;即使身處鬧市,只要心中寧靜,就是佛。
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第一章 一花一世界,一木一浮生
昔時佛祖拈花,惟迦葉微笑,既而步往極樂。從一朵花中便能悟出整個世界,得升天堂,佛祖就是佛祖,誰人能有這樣的境界?佛曰:一花一世界,一木一浮生,一草一天堂,一葉一如來,一砂一極樂,一方一淨土,一笑一塵緣,一念一清靜。這一切都是一種心境。參透這些,一花一木便是整個世界,而整個世界,整個人生也便空如花木。
1.眾生平等
2.慧能收徒
3.達摩是個老和尚
4.老和尚是寶
5.生命如琴弦
6.俗眼無珠
7.聖人無名
8.物極必反,盛極必衰
9.淡泊以明志
10.人生的底線
11.美在靈魂
12.一切皆同
13.玉缽
14.一個無法滿足的人
15.財富、成功、愛
第��章 緣起即滅,緣生已空
佛說:修百世方可同舟渡,修千世方能共枕眠。前生五百次的凝眸,換今生一次的擦肩。今生的一次邂逅,定然孕育前世太多甜蜜或痛苦的回憶。萬發緣生,皆系緣分!偶然的相遇,驀然回首,注定了彼此的一生,只為了眼光交會的剎那。
1.生與死
2.怨也是緣
3.境由心生
4.一切都是緣,要學會包容
5.愛是生命最好的養料
6.心中有路
7.緣起緣滅,泥濘留痕
8.人生有個檸檬就做杯檸檬汁
9.不要為明天的落葉操心
10.因緣
11.一切皆隨緣
第三章 大悲無淚,大悟無言,大笑無聲
生活不一定是轟轟烈烈的,有時平平淡淡才是真!
功名利祿樣樣俱全,固然求之不得,但現實生活中的大部分人,還是與其不擇手段,換取名利雙全,不如平平淡淡,粗茶淡飯來得更真真切切。
1.超越生死的境界
2.忘我,不被世俗所束
3.普化圓寂
4.愛的回報
5.沒有什麼不能做
6.沉默人生最可貴
7.弦緊弓斷,學會放鬆
8.自然是福,自然最美
9.從容是一種人生智慧
10.人生如過客
11.隨遇而安
12.享受平淡的生活
13.過程比結果重要
14.真正快樂的生活
15.幸福是一種感覺
16.生活的境界——順其自然
第四章 心不動,人不妄動,不動則不傷
人生在世如身處荊棘之中,心不動,人不妄動,不動則不傷;如心動則人妄動,傷其身痛其骨,於是體會到世間諸般痛苦。
充滿誘惑的塵世間,你的心是否堅不可摧,是否能抵擋得了這一重又一重的衝擊?
1.天堂地獄一念間
2.放下包袱
3.保持一顆寧靜的心
4.快樂是自己的事
5.放下是一條解脫之道
6.「偷」來快樂
7.愛的責任
8.心境不同
收回
序
前言
一方古剎、一尊佛像、一襲衲衣;化緣為生、清貧孤獨、無慾無求,青燈木魚常伴左右。世人心中禪者的佛門生活就是這樣的不食人間煙火。
如果你也這麼想,那麼,就大錯特錯了。
佛曰:「普度眾生。」眾生為何意?很簡單,就是全人類。自從釋迦牟尼創立佛教到達摩初祖歷盡艱難曲折將佛教帶入中國的那一天起,它就與我們的生活息息相關。
禪不清高,穿衣吃飯是禪;
禪不脫俗,柴米油鹽是禪;
禪不深奧,世間萬物皆是禪。
禪,不是要我們放棄責任,出家以求自我解脫。一個人身在俗世,勇於承擔,保持佛心,就是禪;即使身處鬧市,只要心中寧靜,就是佛。
沒有錢的時候,我們煩惱;有了錢,我們空虛。——窮得只剩下錢。
沒有愛情的時候,我們失落;有了愛情,叫人頭疼。——愛情價雖高,自由更可貴。
不出名沮喪,出了名鬱悶。——人怕出名,豬怕壯。
近在我們身邊的禪,能幫你化解所有這些問題。
菩薩心腸,有容乃大。
再厚的寒冰,太陽出來都會溶化;再冷的飯菜,柴火點燃都會煮熟。要做太陽,溫暖別人;要做柴火,成熟別人。遇事學會換位思考,你會發現,你的人緣會越好,你也會越快樂。
知足常樂,無慾則剛。
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関羽vs信長![時空]を超えたif三国志対決
関羽vs信長![時空]を超えたif三国志対決 #関羽 #織田信長 #三国志 #はじめての三国志
三国志(さんごくし)の武将と日本の戦国時代の武将が同じ時代に登場したらいったいどうなるだろう?というIfは想像してみるとなかなか面白いものです。今回は三国志を代表する義の武人・関羽(かんう)と戦国時代の革命児・織田信長(おだのぶなが)を同じ時代にタイムスリップさせてみましょう。 旧石器時代にタイムスリップ それでは思い切って旧石器時代(きゅうせっきじだい)までタイムスリップさせてみましょう。およそ2万5千年前です。この頃の日本は本州・九州・四国が陸続きで、冬には津軽海峡(つがるかいきょう)が凍り付き北海道まで徒歩で渡れました。北海道と樺太(からふと)も陸続きで、さらに大陸とも繋がっています。朝鮮半島も水路の先といった距離感です。ちなみに現生人類とは別の人類・旧人類も別に存在しています。我々ホモサピエンス・サピエンスとは異なるクロマニヨン人などですね。 敵か味方か…
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「晴る」の季節の装いに - amachi. "Gateway - Worker Jacket (×Elise Gettliffe)"
こんばんは。
・
3月も折り返しを前にして、まだ肌寒い日も多いけど、それでも少しづつ春らしさを感じるような日も増えてきた。
春の語源。
以前もお話をしたことがあると思うけど、芽が張るの「張る」が春の語源になったという説だったり、田畑を墾るの「墾る」が語源になっているという説だったり、諸説あるそうなのだが、個人的には「晴る」が「春」の語源になったという説を推したい。
根拠などはもちろんない。
これはあくまでも僕の願望である。
春の麗かな昼下がり。
冬よりは色が濃くなって、でも夏よりも淡い空の色。
そんな空の青は、これから開花を迎える桜を始め、彩りに満ちた花の色を一層美しく見せる。
そんな訳で、今回はそんな春の始まりにオススメの1着をピックしたいと思う。
amachi. : Gateway - Worker Jacket (×Elise Gettliffe) ¥110,000 (tax in)
すっきりとした構築的なシルエットに心を奪われたジャケット。
名前にもあるように、ワークジャケットをベースとしながらも、野暮な雰囲気は一切感じられず美しい。
襟元を開いてジャケットのように着用しても、前を閉じてライダースのような雰囲気で着用しても。
その日の気分やお好みで使い分けていただくことができる。
素材はコットンとリネン。
太いコットンの糸を経糸(たて糸)に用いて、緯糸(よこ糸)にリネン。
異なる素材、異なる太さの糸を用いて、かなりギュッと密度の詰まったテキスタイルになる。
先ほど野暮ったさは感じないというお話をしたけど、素材にはワークらしい、ちょっと土臭さのような部分���見ることができる。
話を聞くと、使い込むと風合いも増すそうだ。
そんなことを聞いたら、一層ときめいてしまうではないか。
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元々ワーク系の古着が大好きで、昔からヴィンテージのアイテムもワーク系ばっかり集めてしまっている僕。
使い込むことで、自分の身体に沿って成長するジャケット。
想像したらワクワクして来ないだろうか。
少しライダースの面影を残したジャケット、
袖口はヌメ革の切り替えも。
僕はレザーの中でもヌメ革に弱い。
使い込むごとに深みが増す革の色。
僕が使っている財布もヌメ革のものになるのだけど、使い始めて2年弱で深い茶色へと変わり始めている。
柔らかくクタッと変わっていくベースの素材に、この袖口のレザーが深い茶色へと。
このジャケットを羽織るたびに、そんな成長を楽しみにしてしまう1着だ。
ボタンは陶器ボタンに。
"amachi."が長年コラボをしている、フランスの陶器アーティストのボタンだ。
なので、この陶器ボタンを使ったアイテムにはタグも2つつく。
このボタンですらアクセサリーのような役割を果たし、美しい青のジャケットにアクセントを添える。
着用したら見えない部分にはなるのだけど、パイピング処理が施されていて、裏側を見ても美しい。
なお、内側の見開き部分にはコットンのタイプライターという素材を用いており、内ポケットも。
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細かな部分にまで一切抜かりのないジャケットになるのだ。
そして、そんなジャケットの一番のポイントは背面のデザインになる。
背面の丸い穴が空いたようなデザインが目を引く。
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"Gateway"
直訳すると出入り口。
季節の移り変わりの出入り口とも受け止められるようなデザインだ。
ちなみに、この穴の空いたようなデザインは、見た目のデザインとしての機能はもちろんのこと、アクションプリーツとしての役割も果たしており、可動域を広げ、着用時のストレスを軽減する効果も担っている。
非常にすっきりとした印象を受けるかもしれないけど、実際に着用すると、非常にゆとりを持って着用できる1着なのだ。
この感動は実際に手にした本人にしか分からない。
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素材、ボタン、シルエット、デザイン。
どこをとっても抜かりがない、素晴らしい1着。
しかも、これ、家で洗えてしまう。
ここまでくると、正直感動を超えて、びっくりで笑えてくる。
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現在オンラインショップでもこちらはご覧いただけるので、併せてご覧いただけると嬉しく思う。
さて、春の青空。
冬より濃くて、夏より淡い。
そんな季節に、空のような色のアイテムを纏って、街にお出かけをする。
もう少しするとお花見の季節だ。
そんな満開な桜の下で。
桜が散った後も、初夏に向けて様々な色に溢れる季節。
春の「晴る」日の装いに。
ぜひこんな素敵な1着を纏ってお出かけを楽しんでもらえると嬉しく思う。
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それでは次回もお楽しみに。
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入院してステロイド点滴始まって、咳楽になった。
腫瘍詳細はまだ検査中。
せやけど、院内カフェ、タリーズで買ったドリップコーヒー飲めたり、
体凄く楽になったよ。
院内コンビニのキーコーヒーのドリップ詰め合わせも買っとこう。
タリーズのドリップ、200ml淹れられてありがたいけど、お昼頃に150ml位飲みたく���るやん。
自分の体や境遇が楽やと、
もっと苦しんでる人見て来たし、食事制限の人とかにも会って来たし、
そんな人が楽になる様に、祈る。
真言数珠で、不動明王真言、稲荷真言。
喉楽になって真言唱えられる様になったら、
かなーり違う!
真言はサンスクリット語の音写やから、意味は秘伝でも「音」に力が籠もっとるからさ。
マントラは良いのよ。
祝詞も神様に捧げる「歌」らしいの。
カトリック教会好きで(プロテスタントも行ってた)、教会行ってた時期は讃美歌歌うの大好きだったから。
祝詞や真言は合うとるねん。
ヨーガマントラもね。
あ、入院中にベイビーのカーディガン届いて感動。
このロココドレスっぽい開きなんやけど、見た時、滅茶苦茶着たい!…でもデザイン着にくいかも…
思たけど、
実際、手に取ってみると、流石のベイビークオリティ。
綿100%で滅茶苦茶、肌触り良い、
前リボンまでサテンかと思ったら、多分、綿をサテンに見える様な加工で、すっごい柔らかいリボンで、手触りナチュラルなのよ。
めっちゃ着やすそうなの実物(今入院着やから試着まだやねん)。
これ普通ーに、ワンピースの羽織や、ボトムジーンズでも合うやーんこれ、て感じ。
中、ブラウスだとせっかくのデコルテ見せロココ風デザインが崩れるから、カットソーとか、デコルテ開いてるブラウスのが良いかなと。
スカート、ベイビーのパステルブルーか、アリパイのベージュ系柄か、シンプルに黒かな。
普通メーカーのチュールスカートや、ラベンダーのシフォンロングスカートめっちゃ合いそう。
靴、ダイアナのビジュー付いたピンクパンプスか、他のパステルブルーパンプス、パステルグリーンパンプス、フォーマル黒でも何でもOKかも。
ロココな感じでコーディネートやとネックレスはチョーカーやね〜。
チェーン短めのネックレスとか。
ヴィンテージのオレンジムーンストーンのが良いかな💕✨
チョーカー、エルメスのジャンボ好きだけど、あれゴシックになるのよ。
黒コルセットとかだと合うんやけど。
フランス革命後のレカミエ夫人とかの様なシュミーズドレスにスパイスにサディスティックなチョーカーと言うコーディネートなら良いんだけど。
レカミエ夫人とかのチョーカーはギロチンラインの意味(怖ッ、超ゴシック、参考文献、中野京子「怖い絵」)。
ロココやともっと甘いチョーカーやね、
サテンリボンで作れるよ。
ピンクのサテンリボンで作ろ〜、ラベンダーも良い。
ロココ風コーディネートのアイデアいろいろくれるのは、
ソフィア・コッポラ「マリーアントワネット」。
コッポラは父ちゃんコッポラのファンなんだけど、父ちゃんコッポラも「地獄の黙示録」全員、非正規ばりばりのミリタリーファッションお洒落やからね…。
この監督親子、お洒落好きよ…。
ソフィア監督「ヴァージンスーサイズ」好きで。
「マリーアントワネット」ね、適度に現代的な感覚をファッションに入れてて充分参考になるの、実は。
マノロブラニクの靴、日本メーカーで履きやすくて手が出る価格でデザイン似てるのダイアナでした(爆)。
ダイアナ良いよ…めちゃ履きやすい。
メイク用品もあのピンクのチーク可愛くて、…キャンメイク…?やったかいの…、
今持ってないからどこのか忘れた、プチプラでああいう発色するの見つけました、薔薇ピンク。
キルスティン・ダンストの出待ちアントワネット、普通に可愛いんだが。
休憩のお煙草、この格好だと異様にロックでパンク。
私は減煙したので、1ミリを朝晩、たまに昼、家でしか吸わなくなった。
今入院中、特に無くても平気。
「少年メリケンサック」みたいに飴で良いよー。
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◆VLAB(ヴィラボ)◆レザージャケットが入荷しました。 定価:71,500円(税込) 弊社通販サイト商品ページ⇒http://www.gallery-jpg.com/item/SP42402/ SHOW SAMPLE MADE IN ITALY 素材:羊革 (裏地)コットン100% (袖裏地)ポリエステル100% カラー:ライトグリーン サイズ:S 総丈約56cm、肩幅約37cm、袖丈約64cm、バスト約94cm、ウエスト約82cm (平置きの状態で測っています。) 上質な羊革を使ったレザージャケット。 前立て部分はヴィンテージ加工されたスナップボタン。 袖口はライダースジャケットのディテールを用いたファスナースリット入り。 鮮やかなグリーンが目を惹きます。 ご覧頂いている媒体により、色の見え方が多少変わる場合がございます。 ※店頭でも同商品を販売しておりますので、通販サイトの在庫反映が遅れる場合があり商品をご用意出来ない場合がございます。予めご了承頂きますようお願い致します。 ━━━━━━━━━■アクセス□━━━━━━━━━ なんばCITY本館の1階 大阪難波郵便局側から入って1軒目 靴のダイアナ(DIANA)の隣 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Gallery なんばCITY本館1階店 〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波5-1-60 なんばCITY本館1階 【営業時間】11:00~21:00 【休館日】年内無休 【PHONE】06-6644-2526 【e-mail】[email protected]
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假期第壹天,外出遊玩,這些健康提示得帶上
今天是元旦假期第壹天,也許您和其他許多人壹洋,計劃在這個假期中外出遊玩,憧景過壹個美好的假期。掌握好下面這些健康提示,您的假期將會快樂又安全。
01充分了解行程中
及目的地氣溫
充分了解行程中及目的地氣溫,選擇合這的衣物,注意保暖,保證在旅途中既舒這又能避免凍傷,預防感冒及其他疾病。
在比較寒冷的北方地區,衣物宜選擇保暖性好、透氣性好、質地較輕軟的羽絨服或棉服。如果是前往東北地區,更應備足保暖衣物。汗馬精力糖 悍馬糖 G28Q79 37F82K 日本金馬糖 飛馬糖 hercules大力神
避免穿過厚、過重、彈性差的衣物;准備好帽子、手套和口罩。
鞋子宜選擇合腳的運動鞋、旅遊鞋或休閑鞋,要特別注意鞋子的防滑性。壹般來說,鞋底比較澀而不光滑、有比較粗大的橫向花紋的鞋防滑性能好。從材質上來說,TPR材質鞋底較EVA材質鞋底更防滑。
02保持規律的飲食習慣
避免過饑過飽
早餐、午餐要吃好,以保證白天較多活動所需要的能量。可以攜帶壹些小零食和飲料,隨時補充能量和水分。
晚餐注意節制,尤其是有胃病或消化功能差的人,避免飲食過多造成腹脹不這。
旅行中飲水應充分,食物葷素比例應這當,充分的飲水和蔬菜類食物可以避免發生便秘。
進食辛辣刺激性食物應節制。避免吃過期食物。
品嘗當地美食要注意食物衛生,避免吃生食、生海鮮,避免到衛生條件差的飯店、小吃攤就餐,防止發生食物中毒。永春糖 馬來西亞永春糖 B糖 Candy B Candy B+ Complex 永春糖功效 永春糖效果
03注意旅遊環境安全
防止發生意外事故
活動中、休息時要注意與他人保持這當的距離,避免因擁擠、碰撞或推搡導致摔倒、擠壓、拉傷、落水等意外事故。
注意行進路線上的各類情況,避免被道路上的突出物拌倒或被尖銳物體紮傷腳部,避免被低垂的山石或石鍾乳碰傷頭部。遵循“走路的時候不觀景,觀景的時候要止步”的原則。
攀爬高處時,要注意防止跌落。在濕滑的路面上行走時,尤其是有雪的山道、木棧道或冰面,要特別注意防滑,謹防跌倒。
04行程安排應得當
行走或乘車、船的時間不應過長,中途要這當休息或慘觀,使旅行不至于勞累、無趣。
患有膝骨性關節病的人應避免登山活動。
旅遊中要“學會走路”,勻速行走最省力。爲趕時間而疾走容易勞累,旅遊體驗差,甚至發生下肢關節損傷或其他意外。
三步並作兩步地連續上台階容易疲勞甚至發生心悸;快速上下台階加重下肢關節、軟組織負擔,容易導致損傷、疼痛。上下山時走台階比走斜坡更安全省力。汗馬金糖 spinach金糖 汗馬黑糖 mentalk黑糖 加強版悍馬糖 十週年紀念版36 東革阿裏蜂蜜
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Quote
厳格だった。神様みたいな人だった―。 磁気治療器販売会社「ジャパンライフ」の創業者、山口隆祥(たかよし)(78)の印象を、消費者庁元課長補佐の男性はそんなふうに覚えている。 男性は2015年7月に、同社に天下りした。夏でも白のワイシャツとネクタイが欠かせない社風で、山口の前では、社員は直立不動になったという。 ジャパンライフは1975年、群馬県伊勢崎市で産声を上げた。山口は「健康革命」と称して羽毛布団販売を手掛けたが、83年に脱税の疑いで国税庁から告発され、翌年4月に起訴、同8月に懲役2年(執行猶予4年)の有罪判決を受けた。 ◆脱税告発見越して?元警察官僚ら大勢引き抜き 告発の数カ月前、自らは社長を退き、後任に警察庁で「ねずみ講」捜査の陣頭指揮を執っていた元警察官僚を迎えた。他に10数人の警察官僚や署長を引き抜き、ジャパンライフ代理店(営業所)の指導係に据えた。 社史には「大組織を作り上げたプロを放っておく手はない」と記されている。だが、山口の幼なじみの男性(89)は「脱税もしていたし、捜査の追及のお目こぼしを受けるためではないか、と地元では言われていた」と明かす。 それだけではない。山口は社長辞任の数日前に、政治団体「健康産業政治連盟」を設立。官報によると、83年度の収入は1億8100万円、84年度は2億2400万円で、元首相の田中角栄の政治団体「越山会(えつざんかい)」を上回った。 ◆顧客から吸い上げた資金は政治家へ 中曽根康弘や亀井静香、石原慎太郎、森喜朗…。当時影響力があった政治家の名が献金先として記載されており、顧客から得た資金の一部が流れていたとみられる。 献金を受け取っていた元労働相の山口敏夫は「もしもの時に政治家を利用したかったのだろう」と語る。政治家人脈の1人には前首相の安倍晋三の父、晋太郎の名も残る。85年に日本武道館で開かれた創立10周年記念パーティーに祝電を送っていた。
中曽根、森喜朗…献金リストに元首相の名 権威を笠に肥大化<ジャパンライフ山口元会長>:東京新聞 TOKYO Web
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ある画家の手記if.90 名廊情香/雪村絢視点 告白
絢に簡単に語った、私と直人との馴れ初め話。 端折ってるってことも言ったはずだ、あれじゃあ私のほうがヤバい人間だってことも。 なにせ不穏な話だから絢の不安感ばっか煽っても話す意味がないかと思って、直人のことを教えるつもりで話した。私のことは誰も知らなくていい。
あのあと慧と会って直人の様子なんかを聞いたけど、どうやら直人にもまだ私の知らないものがあった、それで本人もきっと知らないまま生きるだろうって慧は言ってたか。記憶の抜け。 聞いた感じの第一印象は解離性同一性障害、慧もそんな把握でいた。病名ってのはてっとり早いもんだな、注意点や問題点がもうはっきりしたみたいだ。 って慧にも言ったら 「俺はお前ほど強くねぇからな、心細いから言葉になおす、よすがが欲しくなる」 …そう言っていた。 慧は言葉で武装してる。誰にでも通じる理解しやすい万人へ向けた話し方をする。講義を仕事にする人間としては最適なんだろう。社会的な場でのコミュニケーションにおける強者。 実態は、他者と肉体で関われない分の空虚をそうやって宙に吐いた言葉で補ってる。補うつもりが虚しくなって、言葉にすればするほど、人と人の体が離れていく。…慧はそういう、話し方をする。 誰もが慧に“他人”として適切な距離感からしか触れられなくなる。言葉の通じない直人にそれはまさしく通用しなかった。それで直人は大学時代、慧に躊躇せず踏み込んだ。 悲惨な結果に終わったし、慧は誰も愛せないと自認してるけど、私はそうは思わないな。正確には、それで終わってほしくはないな。 私の願望だ。 人生に愛の要らない人間もいるだろうが、平然としてるふりが板についてるけどあれで直人以上に寂しがりなのは充分わかるよ、あのガランとした冷たい部屋に一人で居てシェーズロングに腰掛けずに寄り添うように床に座って寝てる そういうとこ見てると そう思うよ
今日会う人間にも、肩書きから入るつもりはない。 私は名廊情香だけど、姓も名も大した意味はない。だから名廊香澄の母親としてでもない、名廊直人の妻としてでもない、私の感じた不快感とただ守りたいもののために。 相手が手段を選ばないんなら私も武装する必要があるんだろうな。 チューイングガムを噛みながら服を着替えて、自室の棚からそういう時のものを出す。よくしなる頑丈な皮のベルト、腕時計の中に刃物、シャツの襟やブラの中に薄いのを一応入れておく、水に溶ける薬も。要らないならそれでいい。 ほとんどの道具は置いてきた。 絢から聞いた感じ世間的にはカタギらしいからテーブルの裏から拳銃が出てくるなんてことはないだろうし、ならなるべく身ひとつのほうが私の気が楽だ。いざとなれば素手でもいけるし、生活空間なら相手の部屋の中になんか使えそうなモンはあるだろ。 シャツの下にデニムを履いてベルトを締めて、長めの丈のコートを羽織った。人間の頭蓋骨を殴っても折れない頑丈な素材にヒールの部分だけ変えてもらった編み上げブーツの革紐をしっかりくくって締めていく。噛んでいたガムを口から出して奥歯だけに着けるマウスピースに仕込む。 ここまでの警戒がかえって非礼にあたるような相手なら、その方がいい。そういう可能性もある。 不快感を薙ぎ払いたいのか、なら私は薙ぎ払って得られる快感のためにこうするのか、…そういうことを考え始めると、慧の在り方は少し羨ましいよ。こんなときは特に。武装なんて初めからできないほうが。すべてが言葉で済むならそれが一番だ。
車に乗る。 私の愛車はメルセデスベンツだ。それも少し古い型で、頑丈さに定評がある。普通の日本車に車体をぶつければほぼ100パーセント相手の車のほうが潰れる。 簡単に潰れるのは中の人間を衝撃から守るためだ。潰れなかった硬い車に乗った人間が車内でどうなるか。私は車種を選ぶときそこに重きを置かなかった。これまでこの車に乗るのは私一人だったから。 強くあればよかった。そのための健康と、鍛えた体、リズムの整った衣食住、バランスのいい食事、動きやすい服。 脆いから周りを壊してしまう、力だけ持ってる直人。関わりたきゃ必要なときはあの巨躯を圧倒できる程度にはしておかないと。 でもそういう部分も少し改めなきゃいけないんだろうな。 一年前にはコイツを直人に貸したし、この前は香澄と絢を乗せた。…守り方を、変えていかなきゃ守れない人間もいる。
絢と電話で打ち合わせて決めた時間に間に合うように相手の家まで車を走らせる。 絢も同席すると言ってた。 私がむこうの家に直接訪ねるのは絢の事情を考えればリスキーなんだろうけど、あいつはあいつで無茶するからな…。慧が少しなだめるようなことを言ったらしいけど。
***
時間が近くなってきてからは、部屋の窓から外を見てた。 情香さんがそろそろ来るはず。 見てると近くのパーキングエリアに黒いベンツが停まって、情香さんが降りてきた。 不審じゃない程度の早足でうちに歩いてくる。黒のレザーコートがこんなに似合う女の人いるの… 俺がよく見知ってる女性って桜子さんとか桜とか歴代彼女とか、みんななんかふわっとしてる感じの人が多かったから、情香さんはいまだにちょっと未知の生き物感ある。 「あやー、もうくる?なおとくんのかのじょ」 俺の背中に飛び乗ってきた光さんをおんぶしながら、この人のほうがもっと未知の生き物だった…とか思う。 情香さんが34歳とか言ってたっけ…? 光さんのほうが歳上じゃん。 「ん。もう来るみたい。姿見えたし。あと彼女じゃなくて奥さんね」 「そのひとも絢の友だち?敵じゃないひと?」
光さんにも俺は、前の家のこととか話した。
詳しくは話してないけど、光さんが人質にとられたり危害を加えられたり…とかは、あの家で誠人さんが感知してる範囲では起きないと思うけど。 でも俺と真澄さんならどうにか切り抜けられる場面でも、光さんは体格的にどうにもならないようなことが多そうだから。 話したら光さんは正座して真剣な顔で向かいあって聞いてくれた。 「なるほど。絢にはかえりたくない家があって、敵に追われて逃げている。それでここにせんぷくしている。」 って言った後で、光さんは眉を下げて滅多にしないような泣きそうな顔して聞いてきた。 「…じゃあ追われなくなったら絢はどこかにいっちゃうの? ここにいるのはそのためなの?」 光さんはすぐ後ろのソファに座ってた真澄さんのほうにも振り返って、俺と真澄さんを交互に見た。不安そうに彷徨う視線に、真澄さんは何も言わない。 だから俺が言った。 「安全になっても俺はずっとここにいるよ。ここにいるのは隠れるためだけじゃなくて俺の意思だから」 本当のことだ。死ぬまで一生ここに居るかどうかは誰にも断言できないことだけど、今は、今の話をすればいい。 「絢も真澄のことがすき?」 真正面から聞かれる。光さんはこういうとこ物怖じしないというか、一周して逆に気遣われてんのかなとか、まだ謎だったりする。俺は笑って答えた。 「うん」 泣きそうだった光さんの目がぱっと開いて笑顔になる。そのまま笑って後ろにいた真澄さんの膝の上によじ登って、真澄さんの頰を小さな手で挟んで至近距離から顔を覗き込んでる。 「真澄も絢のことがすきだよね」 「うん」 ………。なんかすごいこと訊かれてたし簡単にすごい返事された気がする… 光さんは「真澄がいいこだ!」って真澄さんの首にぎゅっと抱きついてた。
「今日来る人は敵じゃないよ」 背中の光さんに言ったら警戒心より好奇心のほうが上回ったみたいに目をきらきらさせてた。 インターホンが鳴った「俺が出る」「わたしも」 光さんも一緒に玄関まで行った。 「情香さん、いらっしゃい」 扉を開けて情香さんを出迎える。お土産にお菓子もらった。 「お邪魔します。長居はしないから」 この前会ったときと何も変わらない、ちょっとだけ服装がかっちりしてるけど、他人の家に初めて訪問するときってそんなもんかな。 「なんかかわいい服着てんな。部屋着だといつもこうなのか?」 情香さんが俺の服を見て言う。 「これ、ジェラートピケってやつ。光さんが買ってくれた。俺に似合うって」 「光さん?」 「わたしです。」 俺の背中にきれいに隠れてた光さんがくるっと体を翻して情香さんの前に出た。 玄関で靴を脱いで端に揃えて上がる情香さんは光さんを見て目を瞬かせてる。そういえば光さんが居ることはまだなにも話してなかった。 光さんはじっと情香さんを見つめて「ジョーカちゃん。なおとくんの奥さん。」って言った。 「初めまして。お邪魔します。あなたは直人を知ってるの?」情香さんは優しい目で光さんに話しかける。 「なおとくんはわたしの義理のむすこで、人間を高次に導くものを探求するなかま。」 こういうことにこにこしながらも真面目に言うから、俺は慣れてきたけど、情香さんはさらに目を丸くして首を傾げてた。
情香さんをリビングに案内したら真澄さんはお茶いれて待っててくれた。 促されて情香さんは軽く会釈をしながらコートを脱いでソファに座って、コートは俺が受け取ってハンガーにかけといた。 真澄さんと向かい合って座った情香さんが先に挨拶した。 「初めまして。名廊情香と申します。突然の一方的な申し出を快諾していただいて、ありがとうございます」 情香さんの話してたことからして微妙に剣呑な空気になるのかと思ってたけど、情香さんは普段より優しく穏やかに笑ってる。真澄さんも空気感を合わせるみたいに返す。 「初めまして。私が雪村真澄です」 真澄さんのとなりに光さんが座ったから、真澄さんは少し顔を傾けて光さんのことを示す。「妻です」 「こんにちは。」 笑顔で情香さんにもう一度ちゃんと挨拶する光さんに情香さんは微笑みで返す。すぐに真澄さんにまっすぐ戻された視線に応えるように真澄さんが切り出した。 「直人さんとは何度か面識がありますが貴女にお会いするのは初めてですね?」 「ええ、そうなります。戸籍上は直人の妻で香澄の母ということになりますが、今回は個人的にあなたにお聞きしたいことがあってこうしてお訪ねしました。ただ、絢の身の上を考えるにあたって私がここに長居するのは好ましくないのではないかと思います。失礼ですが、当たり障りのない話は省いて、早速本題に入ってもよろしいですか?」 …情香さんの聞きたいこと。俺はまだ真澄さんにそのことはなにも訊いてない。俺の事情について俺が独断で情香さんに勝手に喋ったことは真澄さんに全部報告した。誰がなんの情報を持ってるかは共有しといたほうがいい。 「はい」 「では。今からちょうど一年ほど前、自宅に居た香澄が突然行方不明になりました。香澄のケータイから追って一人の該当人物に行き当たりました。該当者の名前は香澄のケータイの表示では雪村真澄となっていましたが、これはあなたのことで間違いありませんか」 「ええ」 表情は変わってないのに情香さんの目が一瞬だけ光ったような気がした。 「直人に連れ帰られた香澄は満身創痍と言っていい状態でした。山中で逃走するためにかなり無茶をしたようで、その怪我もあったでしょう。ただ、香澄の首には人為的に絞殺されかけた痕がありました。香澄に問い質したところ、それはあなたの行動によるものだと。それは事実ですか」 人為的に、殺されかけた痕 絞殺。…痕が残るほどの 「満身創痍…」 真澄さんの言葉に微動だにせずじっと聞き入る、いまだに穏やかな笑顔の情香さんが少し怖い気がした。 「事実ですよ。…いや、…」 真澄さんが一度口元を手で覆って、言葉を途中で彷徨わせた。…珍しいな。話してて言い淀みそうなときはいつも最初から黙ってるのに。 「満身創痍という表現では食い違いがあるかも知れませんね。全身打撲と身体中に裂傷、筋肉の断裂、低体温症、裸足で走った足の裏は肉が抉れていました。足を骨折していて手術をしています。しばらく発熱が続き、意識が混濁した状態で直人に会おうと入院した院内を歩き回り、ベッドに拘束される処置を施されました。満身創痍とは、このような状態でした」 まだ詳しく聞いてなかったことがどんどん出てくる。俺が聞いたのはどっちかというと直にぃの行動とか体に残った後遺症のこととかだったから。 ーーーー殺されかけて 逃げ延びた … 「あなたにされたことから逃れるための行動としてはごく自然に思えますが、あなたはどう思いますか。…いえ、行動するとき、あなたはどうお考えになりましたか」 「自然でしょうね。私はあの子の話を聞こうとはしませんでしたから」 真澄さんが…香澄の話を聞かなかったのは 香澄が意思を持たないと…自分ではなにも判断できないと思ってたからなんじゃないか …横から口を挟もうかと思ったけど、情香さんは俺のほうを一度も見ない、それだけで、「お前は今は黙ってろ」って言われてる気がした。そしたら真澄さんが言ってくれた。 「私はその自然な反応をあの子ができると思っていませんでした」 …よかった。自分をちょっとでもフォローするような言葉を真澄さんは避けがちだから 「…絞殺されかけた…ことを、あの子は自分の口でそう言いましたか」 「言っていません。香澄は、首を絞められた、とだけ言いました。それも私が問い質してようやくです。香澄の中に絞殺という言葉は今も浮かんですらいないでしょうね。夫の直人にもその発想はないかも知れません。ただ、首に痕が残るほどの締め方は本来ならお戯れでは済まないことのはずです。ただでさえ人体の急所を集中して狙っているのですから、そこに死という結果と殺意がないというほうが、無理があるかと私は考えましたが。何か見当違いな部分があったら忌憚のない答えをいただければと思います」 情香さんは…落とし所を探しにきてるのか。真澄さんを極悪人だと決めつけてきたわけじゃ…なさそうだ。多分。 「いえ…納得しました」 目を伏せた真澄さんはしばらく黙ってた。光さんがソファに置いてる手のすぐ横にあった真澄さんのシャツの袖を小さくぎゅっと握ったのが見えた。 「話を遮って申し訳ない。どうぞ続けてください」 「…少し私の疑問からは話が逸れますが、これもあなたの口から聞いておかなければいけません。事が起きる前に、香澄は夫にあなたのことを簡単に説明していたようです。曰く、あらゆる家族関係を包括したような、自分を庇護してくれる存在であったと。香澄が行方不明になったとき、直人はそのことに憤っていました、なぜあなたがいながら自分のような存在に関わらせたまま香澄は今日まで放置されたのか、と。…何故ですか。事の顛末や絞殺未遂を一旦脇においてお尋ねします。香澄を救助する目的の誘拐であったなら、何故あのタイミングだったのですか?」 「香澄を救助…ね」 それから真澄さんはいつも以上に言葉にすることを吟味するみたいにして話し出した。 ーーーー私は直人さんのことをほとんど存じておりません…直人さんが香澄に具体的にどのような態度で関わっていたのかも。知っていたのは直人さんと関わってから香澄が入退院を繰り返すようになったこと…だけ あの子を救助するとは思っていませんでしたよ。それはそうだったらいい…というだけの私の勝手な願望でしかありませんでした …浚ったのは彼らが家族になったからです。��に生活をし始めたから… 香澄が人生の一部になってしまうのは…危ういと思った、一時ならば構わない、あの子は直人さんを助けたかもしれない…けれど… 要領を得ずすみません…ただの勘だった…とも、経験則だったとも言える、あそこが限度だろうと私が勘でそう思った…そういうことにさせてもらいますーーーー 「……。」 ぜんぶ、一年も前の話だ。今と違うから、筋の通った説明は…事情を知らない相手にはできない… 「限度、ですか」 情香さんはまっすぐに見つめていた真澄さんからふと視線をはずして、穏やかに笑うのをやめた。少し目を伏せてぼんやり遠くを眺めるような目をしてる。 「……私の話になりますが、私は夫…直人と夫婦らしい共同生活をした事がありません。夫の現状もほとんど把握していない有り様で、香澄といつからどのように関わり始めたのかも、直人から聞いたに過ぎません。 ただ、あなたの経験則という言葉を借りるなら、ーーー私ははじめにあなたと同じ判断を下しました、直人に対して。誠実さと暴力性の境界線を弁えろと諭しましたが……それでも二人は紆余曲折を経て家族になる道を選んだ。 養子縁組の話が持ち上がって、初めて私は香澄に会いました。家族になるにあたって香澄のこれまでの略歴や自分についてを香澄自身に尋ねましたが、問い詰めてもほとんど曖昧模糊とした返答しか返ってきませんでした。…私が香澄と家族になる覚悟と決意を固めたのはその時です。これも言葉を借りるなら、香澄を直人と居させたいだけにしておけば「限度を超える」と。おそらくは双方に言えることです。 正式な家族になれば、私が堂々と二人に立ち入る口実ができます。…私はまだ香澄のことをあなたほど深く把握しているわけではありませんが…奇しくも逆の方法で、守ろうとしていたと これは…そう考えて、いいものでしょうか」 情香さんは、香澄を守るために家族になったのか。…直にぃと家族になったときと、少し似てるな。これが情香さんのやり方ってことなのかな…。 「…あの子が大事なんですね」 「どうでしょう、私の動機を言葉にすればそういう表現になるのかも知れませんが、私に持ちうる手段が他になく無力だったというだけでもあると思いますよ」 絶対に揺らがない軸をもって行動してるように見えたけど、ただ独善的なわけでもない。…それはこの前の話からも、わかる。 「手段は動機の後にある、必要な力も」 コーヒーを口に運びながら真澄さんが言った。 「貴女は香澄を大事に思って…守ろうとしている…のかもしれませんが、僕についてはあいつを守ろうとしてたとは、思わない方がいいですよ」 「それなら守ろうとする以外で、絞殺しようとした理由は …なんだったんです」 その後に真澄さんが言ったことは 俺の想像の範囲内にあったけど、何度も否定してきた そのものだった
「殺そうか迷ったんですよ」
「もう何度も…何度も、迷った」
「あの子はいつものことだなんて…言わなかったでしょうけど」
ーーーーかわいそうだと思うよ…。
「殺すって なんで…?」 口をついて出た 黙ってられなかった なんで… 「絢は香澄が生きる方へ向かっていたんじゃないかと話してたね。そういう人間も居るだろう。僕も可能性くらいは知っていた…だが香澄はそうじゃ無かったんだよ」 そうじゃなかった …そうじゃなかった? なんで それを知ってるんだ 誰も 誰かのことなんて 「なんで真澄さんがそれを知ってるの?」 誰かの本当のことなんて 自分の本当のことだって 「僕が…あの子に何かある度生かし続けたというだけだ 以前の香澄は守るべき自我を持ってなかった、そう話したね。あの子はどれほど痛め付けられても尊厳を踏みにじられても自殺する意思すらなかっただけで…死ぬ寸前で僕が遮っていた」 「………」 「僕のせいで生きているなら僕があの子に死をあげるべきなんじゃないか …そう思っては首に手を掛けた」 ……… 「生きていてほしいのと同じくらい死んでほしかった 僕のことも僕とは認識せずにされるがままで 香澄はもう自分から死にたいとさえ言えなかったからね」
「でも僕は結局いくら関わっても自分が責を負わなくて済むことを知っていてあの子の傍にいました」
「迷ったまま…香澄が逃げ出すまで何もできませんでした」
「ーーーー誰も誰かの本当のことなんて分からない、一生、どれだけ長く一緒にいても、どれだけ注意深くその人を見てたって、どれだけその人を深く愛したって、憎んだって、誰も誰かのことなんてわかるはずない、なのに そうじゃなかったって? 自我がないのも意思がないのも香澄の外側を見てそう考えただけの真澄さんの妄想だ 遮られなきゃ死んでたかどうかだって誰にも分かるもんか、香澄は生きてる、起きなかったことなんて全部ぜんぶただの妄想だ 希望も理想も抱かないから良いほうに事が運んだときにそれが奇跡だなんて滑稽な言葉になるんだ 周りがそれを担わないで終わらせることばっかり考えてなにが良いほうにいくもんか
誰かを終わらせる権利や資格が誰かにあってたまるか そんなものあってたまるか!!!」
最後のほうは叫ぶみたいな口調になった 泣きそうだと思ったからその前に立ち上がったそのまま書斎に駆け込んだ
***
珍しく…というかまだそんなに接したことがあるわけじゃないけど、感情を剥き出しにするのをなるべく避けてるような印象があったから、今の絢の言葉と行動は少し意外だった。 絢のあとをあの小さな女の子…光さん、か、が「わたしがいく。」って追いかけてった。 「…絢もこの場に居た方がよろしければ呼んできますが」 絢が駆け込んでった部屋の扉を見るともなしに見てたら向かいから言われた。 「必要ありません。私が聞きたいことはあと一つだけでしたけれど、今のお話をお聞きして、もうお尋ねする必要はないと思いました。あとはこちらのご家族の問題でしょうから」 そう言ったあとで、絢も女の子も居なくなったリビングで軽い話を振る。 「随分若い奥さんですね」 「光は僕より年上です。… 一応」 「………不思議なこともあるもんだな…」 つい普段の口調が出た。 一呼吸置いて、シャツの上に着てた薄手のジャケットを脱ぐ。シャツの襟やあちこちに仕込んでた物を全部その場で出してベルトを腰から引き抜いて、シャツの背中からアーミーナイフを取り出す。 それらをひとつずつテーブルの上に並べていく。 「ティッシュかなにかお借りしても?」 訊くと「どうぞ」って箱ごと渡されたから遠慮なく大量に引き出して手で口元を隠しながらマウスピースとガムを取り出してティッシュの中に丸めて包み込んで、ゴミ箱が見当たらないからジャケットのポケットにとりあえず突っ込んだ。 洗面所だけ借りて手を一度洗ってからリビングに戻る。 ずらっと並んだ物騒な物を前に、膝に手を置いて相手に頭を下げて謝罪する。 「最悪の事態のために最低限の備えをしてきました、非礼をお詫びします」 「いえ」 道具を全部かき集めてまとめてジャケットの上に放って、風呂敷みたいに包んで持つ。 わざわざ晒す必要もないんだろうが、こうしとかなきゃ勘付かれてた場合に私が信用を落とすからな。 ソファから立ち上がって、コートを肩に引っ掛けて持つ。 「それじゃあ、私はそろそろ失礼します。どうも私が引っかき回したようで…絢は放っといて大丈夫ですか」 「…光がついてますから大丈夫でしょう。一声掛けます?」 「今は結構ですが、帰る前にひとつだけ。絢が、直人のことを調べて回ってますね?」 「そうなんですか? 知りませんでした。絢が何をしているかまで干渉していないもので」 ガリガリ頭をかいてセットしてた髪型を崩す。滑らかに嘘をつくタイプか…?…直人とは逆に難儀なやつだな。深く関わらねぇならこんなもんなんだろうけど。 「……どちらにせよ知っておくべきことですから。絶対に関わらせてはいけないしあなたも極力避けるべき人間についてです。中郷稔という、直人の…まぁ恩師のような存在なんですが。関われば死人が出るのを避けられない厄介な人種です。もうご存知かもしれませんが、被害当事者とし��の警告です。直人を辿れば早い段階で行き着いてしまう。いつ誰にむけて何をするかはまったく読めないと思って、警戒を怠らないようにお願いします」 「…どうも」 「まってまって!まだかえらないで!」 絢の入ってった部屋から女の子…光さん、が出てきて、私を呼びとめた。 その子はポケットからスマホを取り出して画面を操作しながら言う。 「ジョーカちゃん、メアドこうかんしよ。」 まだこの子にどう接するか定まらないまま言われた通りに私もスマホを取り出して連絡先を交換した。 「よし。ともだちがふえた。…あとでききたいことあるからメールするね…。」 語尾にむかってだんだん声が小さくなってる。聞きたいこと? まぁいいか。
さて これで言うべきことも聞くべきことも済んだ。 私の憂いが晴れただけなんだけど、今日はこれで満足するしかないな。
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映画『儀式』
Amazon Primeで大島渚監督の映画『儀式』(1971)を見ました。
「古い」、「若い」と思いました。「登場人物たちはみな非常に複雑な人間で、小難しいことばかり言っている」とも思いました。そして「そこがいい!」と思いました。
私は大昔、この映画をビデオで見たはずですが、ほとんど記憶にありません。でも改めて見ると傑作です。
物語は主人公のマスオ(河原崎健三)がテルミチなる人物から電報を受け取り、リツコ(賀来敦子)と東京からはるか南の島へ行こうとしているところから始まります。
マスオはリツコに「僕たちの関係は何なのだろう」と言います。リツコは「親戚の人。結婚式やお葬式の時にだけあう関係」と答えます。
そこからマスオとリツコの旅を縦糸に、マスオやリツコやテルミチが出席した葬式や結婚式を横糸にして、彼らの物語が語られます。
タイトルの『儀式』とはそういう意味ーー親戚が集まる結婚式やお葬式を意味しているわけです。
マスオは子どもの頃、母親と命からがら満州から引き上げ、財界の大物である祖父・桜田の家に身を寄せ、そこで桜田(佐藤慶)や祖母(乙羽信子)、いとこのテルミチ、リツコ、タダシやリツコの母でマスオの叔母に当たるセツコ(小山明子)と一緒に暮らすことになります。
マスオは母親と満州を去ったとき、まだ赤ん坊だった弟を葬った、弟はまだ息があったのに土の中に埋めた、今でもその息遣いが聞こえると言って地面に耳を当てます。
リツコやタダシも興味を持ち地面に耳を当てますが、当然ながら何も聞こえません。マスオより一つ年上のテルミチは「この話は誰にもしてはいけない。リツコやタダシも誰にも言うな」と言います。
次の「儀式」はマスオの母親の葬式ーー19歳になり一高で野球をしているマスオは野球の全国大会に出場していたため母親の死に目に遭うことができませんでした。
彼はバットやグローブを燃やして、もう野球はやめると言います。そこへ叔母のセツコが現れ、マスオが成人したら渡してくれと言われたと言って、父親の遺書を渡します。
するとそこへ祖父・桜田が現れます。桜田はマスオを下がらせ、セツコと二人で話をします。その話の中で一家の秘密が少しずつわかってきます。
もともとマスオの父親とセツコは恋仲で結婚するつもりでした。しかし、桜田は結婚に反対し二人の仲を裂いたばかりか、セツコを自分の愛人にしてしまいました。
マスオの父親は別の女性と結婚し満州に渡り、マスオが生まれました。しかし、父親は定期的にセツコと会っていたようです。そういう事情があったからマスオの父親は自殺を決意したとき(なぜ自殺したのかこの段階ではまだわかりませんが、映画の終盤では天皇の人間宣言にショックを受けて自殺したということが明かされます)セツコに遺書を託したわけです。
桜田は「最後の決着をつけようじゃないか」と言って、セツコを仰向けにして喪服の着物の裾に手を入れます。
この映画の紹介によく使われる場面ですが、実に官能的な場面です。
マスオはその場面を隠れて見ています。マスオはセツコに恋心を抱いているのですが、それでも飛び込んでいく勇気はありません。するとそこへ今度はテルミチ(中村敦夫)が現れます。
テルミチは襖を開けて中に入り、「お祖父さん、これが教育の始まりですか」と言います。桜田は「お前にはわからんだろうが、ある教育の終わりなんだ」と答えます。テルミチは「ではここで見学させていただきます」と言って座り込みます。
いやあ、名場面、名台詞ですね。
桜田はセツコの着物を脱がそうとしますが、セツコはその手を振り払い、自分から着物を脱ごうとします。それを見た桜田は「これをもって決着としようか」と言って部屋を出ていきます。
テルミチは横たわったセツコに近づき「僕の最初の先生になってください」と言い、二人は体を交わします。
二重の意味でたまらない場面です。一つはその匂い立つような官能美ですが、もう一つはそれを見ているであろうマスオの心中の葛藤ーーマスオがしたかったことをテルミチにされてしまったというその気持ちを思えば、たまらないものがあります。
いかん、この調子で書き続けるといつまで経っても終わりません。少し端折ることにしましょう。
そのあとの「儀式」は、叔父(小松方正)の結婚式ーーこの叔父は共産主義者という設定で、新婦(原知佐子)もそうなのでしょう、座敷でみんなが一人ずつ歌を披露していく場面でインターナショナルを歌います。
それほど大事な場面ではありませんが、原知佐子が若くかわいらしく、私は好きでしたが、それはともかくその夜、マスオ、テルミチ、タダシが部屋で呑んでいるところにリツコがやってきて、母親つまりセツコが死にたがっていると言います。
戦犯として中国で抑留されていた父親を殺したがっているタダシが日本刀を持って部屋を出たあと、マスオとテルミチはリツコと一緒に布団に入ります。
「え? なぜ?」と思わないではないですが、まあわからないでもありません。若い頃はそういうことがあるものです。私も似たような経験はあります。
しかし、マスオは何もできません。セツコが死にたがっているというのが気になるのでしょうか、彼は布団を出てセツコの部屋へ行きます。
セツコは眠っています。マスオはずっとセツコの寝顔を見ています。やがて目を覚ましたセツコは「死にたいなんて言ってません」、「リツコが適当なことを言ったんでしょう」と言います。
すごすごと部屋に引き上げてきたマスオはそこでテルミチとリツコが同じ布団ですやすや眠っているのを見つけます。二人は肉体関係を持ったということでしょうね。ここでもマスオのしたかったことをテルミチがしてしまったわけです。
翌朝、裏の山でセツコの死体が見つかります。彼女の体には前夜タダシが持ち出した日本刀が深々と刺さっています。何が起きたのかはわかりませんが、桜田は自殺として処理します。
次の「儀式」はマスオの結婚式ーーマスオは桜田が選んだ相手と結婚するのですが、花嫁は盲腸炎で急遽入院、なんと花嫁抜きで結婚式をします。財形の大物である桜田は要人たちを式に招いているので、今更中止にはできないということなのですが、その滑稽なことと言ったら……
タダシはその頃警察官になっています。右翼革命を目指すタダシは披露宴で檄文を朗読しようとして取り押さえられ、ホテルを出るとき交通事故に遭い死んでしまいます。
その夜は花嫁抜きの初夜でありタダシの通夜でもあります。泣き続けるタダシの父親(渡辺文雄)の横で、枕に羽織を着せ花嫁に見立て抱こうとしたり、棺桶からタダシの遺体を出し、上半身裸になって棺桶に入り、さらにリツコの手を引っ張って棺桶の中に入れようとしたりするマスオの姿は、異常といえばこれほど異常なものはありません。
えーっとそれから桜田の葬式があって(マスオは心ならずも喪主になります)、ようやくマスオとリツコは目的地の孤島につきます。
そこでようやくマスオが受け取った電報の文面が明かされます。そこには「テルミチシス」テルミチ」とあります。つまりテルミチ自身が自分の死を知らせる電報をマスオに送ったのです。
そこからは……まあ、いいや。決して悪い終わり方ではないのですが、それまでがあまりにすごすぎたので、個人的にはこのラストには不満が残ります。
とはいえ、この映画が傑作であることに変わりはありません。
昔の私はどうしてこのよさがわからなかったんだろう。歳をとって少しは賢くなったということなんでしょうか。
『儀式』は素晴らしい映画です。ぜひご覧下さい。
追記: ふと思ったのですが、昨日ぼろかすに貶したサルトルの『アルトナの幽閉者』とこの『儀式』は、戦後の社会を財界の大物��その家族の観点から描いている点、非常に複雑なイプセン風の家庭劇である点で似ていますね。 それなのになぜ私は『アルトナの幽閉者』を嫌い、『儀式』を高く評価するのかな。きっと私にとって『アルトナの幽閉者』は家庭劇として成立していないが、『儀式』は見事なまでに成立しているということなのでしょうね。 それに加えて、常に先を越され、人生の傍観者でしかなかったマスオに自分自身の姿を見たからかもしれません。
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