#友人から21本の赤い薔薇をと
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各地句会報
花鳥誌 令和6年3月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年12月2日 零の会 坊城俊樹選 特選句
氷川丸の円窓いくつ北塞ぐ 昌文 十字架のかたちに燃る蔦紅葉 美紀 倫敦を遠く大使の冬薔薇 佑天 望郷の眠りの中に木の実降る きみよ 女学院に尖塔のかげ冬紅葉 久 冬木立の向かうをつくりものの海 緋路 昏き灯のランプシェードとポインセチア 和子 十字架を解かざる蔦の冬紅葉 光子 凍空や十字架赤き鉄であり 和子 誰も振り返らぬ早過ぎた聖樹 佑天
岡田順子選 特選句
みなと町古物を売りに行く師走 荘吉 窓は冷たく望郷のピアノの音 俊樹 氷川丸の円窓いつく北塞ぐ 昌文 冬館キラキラ星のもれ聞こゆ 美紀 冬日和トーストに染むバタと蜜 季凜 ガンダムを磔にする師走かな 緋路 革命は起こすものかも冬薔薇 緋路 誰も振り返らぬ早過ぎた聖樹 佑天 胼の手の婆キューピーを路地に売る 俊樹 古硝子歪めし冬の空はあを 久
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年12月2日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
神鏡の底まで蒼く冬の月 かおり 右手上げ思索のポーズ漱石忌 修二 綿虫のうすき影負ふ百度石 かおり 戯れにペアのセーターそれは無理 美穂 冬帝の裾に鉄橋灯されて かおり 赴任地は裏鬼門なり漱石忌 美穂 後戻りできぬ吊橋冬枯るる 愛 大枯野則天去私のここに居る 美穂 綿虫のことづてありと君に来る 愛 牝狐の頭に木の葉町娘 成子 憑き物を落とす霰に打たれをり 愛 落葉踏む音を楽しむ童かな 修二
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年12月3日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
亡き父よもう雪囲ひ始めしか 喜代子 百二才冬空へ帰られし 同 眠る山内で動めく獣達 都 年忘れ新入り下戸でじよう舌なり 同 門松の早や立ち初め禅の寺 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年12月7日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
冬菊を挿して祈りの夙夜かな 宇太郎 布教師の顎鬚白し報恩講 すみ子 投薬のまた一つ増え落葉蹴る 悦子 入隅に猫の目青し冬館 宇太郎 三途から戻りし者の年忘 同 闇一枚まとひてよりの浮寝鳥 都 露座仏の思惟の指さす空は冬 美智子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年12月9日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
冬の朝遠くに今日の始む音 恭子 空青く舞ふ白鳥の透きとほり 幸子 塀の猫すとんと消えて師走かな 三無 冬の雲切れて見下ろす日本海 白陶 枯菊のかをり残して括られる 多美女 路地裏に声の弾みし焼芋屋 美枝子 カリオンの音の明るさや十二月 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年12月11日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
寄せ鍋を囲みし人のまた逝きて 秋尚 まろまろと伊豆の山やま冬景色 怜 乾きたる足音空へ冬山路 三無 子離れの小さき寄鍋溢れをり のりこ 床の間に父の碁盤や白障子 三無 ご奉仕の障子新し寺の庭 和魚 信楽のたぬきと見合ふ障子越し 貴薫 煌めきをところどころに冬の山 聰
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年12月11日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
茶の花やエプロンで無く割烹着 昭子 風花にして降るとも降らぬとも 世詩明 ポインセチア抱けば幸せさうに見ゆ 昭子 武生花鳥必死に守る年の暮 みす枝 彩りも音も無く山眠りけり 英美子 雪まろげ仕上げは母の手の加へ 時江 糶終へて皮ジャンパーの急ぎ足 昭子 着膨れて女は手より立ち上がる 世詩明 古暦パリの街角にて終はる 昭子 街師走吹かるる如く人行き来 みす枝
令和5年12月12日 萩花鳥会
冬の月句友ともども偲ばれて 祐子 五羽が風邪萬羽が処分魔の鶏舎 健雄 冬の空めげず生きると決心す ゆかり 一年の抱負も薄れ年の暮 吉之 首かけし手袋母の匂して 美惠子
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令和5年12月13日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
この先は冬雲傾れ込む山路 あけみ 白菜を抱きかかへつつ持つ女 令子 こんなにも長年参じ近松忌 同 オリオンの名残惜しみて冬の朝 あけみ 晩秋や娘の云ふを聞き入れる 令子 さきたま花鳥句会(十二月十五日) 初霜や狭山の畑を曳く煙 月惑 頑なに一花残して冬薔薇 八草 終焉の一ト日のたぎり冬紅葉 紀花 枝折り戸の軋む庵や枇杷の花 孝江 今年酒老舗の店や菰飾 ふゆ子 くちやくちやの枯葉纏ひて大欅 ふじ穂 廃校を渋柿たわわ守りをり 康子 三年間無事に埋めよと日記買ふ 恵美子 何をするわけでも無しに師走かな みのり 落葉積む赤き帽子の六地蔵 彩香 嫁ぎ来て冬至南瓜を五十年 良江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年12月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
口重き男に隣り近松忌 雪 九頭竜の黙が寒さを増すばかり かづを 散る紅葉散りゆく黄葉なる古刹 同 枯菊や香りと共に燃え上がる 英美子 手焙に触れれば遠き父の事 同 賀状かく龍天空へ飛躍せり 玲子 父母の眠る故郷恵方道 やす香 山眠るひもじき獣抱き抱へ みす枝 鼻水をすすれば妻もすすりけり 世詩明 熟し柿つつく鴉は夫婦らし 同 人にやや離れて生きて帰り花 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年12月17日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
黒門の枡形山に裘 幸風 冬蝶を労はるやうに母の塔 同 眠る山起こさぬやうに歩き出す 白陶 隠れんぼ使ひ切れざる紅葉山 経彦 冬帝と対峙の富士や猛々し 三無 笹鳴や少し傾く城主墓 芙佐子 山門へ黄落の磴細く掃く 斉 黄落の野仏は皆西へ向き 炳子
栗林圭魚選 特選句
蒼天に山脈低く雪の富士 芙佐子 空を抱くメタセコイアの冬支度 三無 SLに群がる揃ひの冬帽子 経彦 かなしことうすれゆきたり冬霞 幸子 笹鳴の過ぐ内室の小さき墓 慶月 法鼓聴く銀杏落葉の女坂 亜栄子 古寺の法鼓の渡る師走かな 久子 冬帝や明るき供花を陽子墓碑 文英 笹鳴や少し傾く城主墓 芙佐子 枯芝の広場の狭鬼ごつこ 経彦
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年12月19日 福井花鳥会
赤き玉転がしながら毛糸編む 啓子 住み古りて遺木の数多なる落葉 清女 着膨れてストレス無しと云ふは嘘 同 雲たれて空塞ぎをり十二月 笑子 ささやきを交はす綿虫寄り来たり 同 神殿に大絵馬掲げ年用意 同 毒舌も競り合ふ友や年忘 泰俊 それぞれの色を尽して末枯るる 雪 小説を地で生く男近松忌 同 墨をもて仏描きし古扇 同
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令和5年12月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
母と娘の悲喜こもごもや古暦 雪 大いなる一つの鳥居や神の留守 同 近松忌日有り気の一文箱 同 筆に生れ筆に死す恋近松忌 同 初雪や瓦は白く波打てり みす枝 初雪や誰彼となく首縮め 同 さんざめく市井を抜けて見る聖樹 一涓 神々の眠れる山や風の音 ただし 捨て猫のすがる眼や雪催 清女
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年12月24日 月例会 全選句を掲載いたします。◎が特選句です。 当日の席題は「青」でした。
坊城俊樹選 特選句
二百万余の英霊よ竜の玉 昌文 暦売る神となりし日遠くして 慶月 極月や足踏みかすか男衛士 音呼 ◎聖マリア棘やはらかき冬薔薇 和子 楽団の喧騒を待つポインセチア 順子 幔幕のうちは見せざり年用意 千種 聖夜待つランプの中の空青し 和子 悴んで十字架を小学生仰ぐ 順子 ◎十字架に鳩の休息クリスマス 要 朱き鯉悴みもせず行者めき 軽象 一枚の青空に垂れ冬薔薇 和子 著ぶくれのままカフェオレを飲むつもり 光子 著ぶくれの犬にユニオンジャックかな 佑天 冬帝のふくらませゆく日章旗 和子 ◎冬深む宿痾なる瘤持つ鯉へ 光子 ◎身じろがぬ寒鯉威してはならぬ 慶月 寒禽の寄り添うてゐる像の肩 政江 ◎擬態して聖夜の街に紛るるか 炳子 旧華族らしき猫背を外套に 順子 二の鳥居辺り冬帝在し険し 慶月 寒鯉の鐚一文も動かざる 千種 凍雲に閂かけよ大鳥居 月惑 ◎大鳥居いくつも潜りクリスマス はるか ◎きらめける虚構を踏みぬ霜柱 妙子 オルガンを踏み込むクリスマスの朝 光子 ◎くちびるの端で笑つて懐手 和子 数へ日の水あをいろに神の池 要 外套のポケットに怒りを握る 和子 冬ざれの鯉の影なき池の底 炳子 上野は勝つてゐるか像の極月 慶月 歳晩や動きさうなるさざれ石 眞理子 聖樹の灯巻き込んでゆくボロネーゼ はるか 冬眠の蛇を諾ふ斎庭なる 光子
岡田順子選 特選句
◎神の鳥冷たき影を像に置く はるか ◎極月や足踏みかすか男衛士 音呼 初対面黄色のマフラーして彼女 政江 花柊零るる坂の神父館 要 未知の先あるかのごとく日記買ふ 妙子 聖マリアと棘やはらかき冬薔薇 和子 ◎枯蓮のいのちの水に眠る朝 佑天 裳裾冷たき暁星のマリア像 俊樹 なかなかに僧には会へぬ師走かな 眞理子 十字架に鳩の休息クリスマス 要 鷗外の全集売れぬ隙間風 俊樹 窓越しに著ぶくれの手が師を招く はるか 朱き鯉悴みもせず行者めき 軽象 一枚の青空に垂れ冬薔薇 和子 著ぶくれの犬にユニオンジャックかな 佑天 霜晴や空ラのリヤカー巡回す 千種 ◎英霊の言の葉の外年詰まる 軽象 寒禽の寄り添うてゐる像の肩 政江 年逝くや素木の鳥居乾くまま 要 擬態して聖夜の街に紛るるか 炳子 数へ日の嵌つてしまふ小津映画 炳子 大鳥居いくつも潜りクリスマス はるか きらめける虚構を踏みぬ霜柱 妙子 オルガンを踏み込むクリスマスの朝 光子 ◎くちびるの端で笑つて懐手 和子 ◎手つかずの落��を散らす神の鳥 はるか 数へ日の水あをいろに神の池 要 ◎外套のポケットに怒りを握る 和子 サグラダファミリアみたいな銀杏枯れ 俊樹 風冷た悲しくなけれども涙 政江 二百万余の英霊よ竜の玉 昌文 ◎微動だにせぬ零戦と年忘れ 俊樹
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. 二代目の仕事 . 真紅の薔薇を21本束ねて 添わせた葉は 椿、キヅタ、ハーデンベルギア 大切な方へ 愛を告げる花 友人の結婚式に。 花を添える仕事。 しあわせな仕事。 これまでも、 これからも。 . . . #doux.ce #ドゥセ #しあわせを告げる愛の花束 #友人から21本の赤い薔薇をと @s.tani06272019 https://www.instagram.com/p/B9Xj1EwlHrg/?igshid=h4fxqrczwaej
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十一月後半日記
11/16
今日は結婚記念日。休みを取っていたので家でゆっくりスープを炊いた。朝市で買ってきたかぶらと手羽先をことこと煮て出来上がり。ほろほろに崩れた鶏肉がおいしかった。午後は馴染みのケーキ屋で一人二つのケーキを選んで食べる。
11/17
モヘアは明日届くらしい!うきうき。帰りに綿買おうかな。グロウラーも入れてみたい。でもそうすると「にぎやかなお友達」になっちゃうなあ。少し考えておく。
11/18
さっそくモヘアを切り抜いた。もうこの時点でかわ���い。二体分切ったので結構時間がかかってしまった。さてさて明日から縫製です。
11/19
毛まみれになりながら縫い代の毛をカット。実は裁断のとき、ものすごく頭痛とくしゃみが出るのよね。アレルギーか?ともかく作業は進めるのであった。デュアルデューティのハンドキルティング、意外と色展開が少ない。仕方ないので薄めの色の生地は肌色っぽい糸で縫っています。デュアルデューティはシャキシャキして絡みにくく丈夫なのでおすすめです。
11/20
やっと金曜日にたどりつけたわ。明日はお教室があるので早く寝ますたぶん。もう眠いもの。
11/21
午前はシェービングサロンに行きました。保湿頑張ってるね!この調子!とお褒めの言葉をいただく。顔剃りするとお化粧の持ちも良くなるし化粧水をどんどん吸うようになるし大オススメです。午後はキャンドルレッスンで大きいのと小さいのを二本製作。教室の中がすっかりクリスマスムードになっていました。
11/22
ふと家人に「キャンドルを飾る棚が欲しいなー」と話すとしばらく部屋に引っ込んだあとひょいとあらわれ「こんな感じ?」と設計図を見せられる。ホームセンターで材料を買っておうちで組み立て。ステインを塗るところだけ手伝いました。なかなかおしゃれで良いではないか!
11/23
針仕事を進めねば、と生地と格闘。レッスン用のクロスに刺繍もしたいんだけど、時間あるかなー。薔薇のつぼみを散らしたい気分。つまり赤毛のアンですね。昨日仕込んでおいたクッキーを焼いたり、花の手入れをしたり。
11/24
そろそろシュトレンを買いに行こうとデパ地下情報を調べる。このお菓子も近年定着してきましたね。アドベントが始まる前に買いたい。
11/25
モヘアって縫いにくいところと縫いやすいところがある気がする。さくさく針が刺さると気持ちがいい。今はボディを縫っています。四枚はぎ初めて。ぬいぐるみを作り始めるととにかく早く顔が見たくて夜なべしてしまう傾向がある。(ただし小さい子除く。彼らはちまちましているため途中で休憩期間が必要なのです)
11/26
シュトレン買いました!一本は多いしどうしようかと思ったらカット売りがあるんですね。色んなお店のを四枚買いました。主日に一枚ずつ食べるぞ。キャンドルもあるし今年はクリスマスの当たり年。
11/27
急に在宅勤務に……。しかし、あさイチで宮本浩次が出演していて大喜び。転職してからはじめての在宅ですがオフィスにいないと出来ない仕事ばかしなので、とりあえずいつも使っているExcelの整備をするなど。
11/28
編み物欲とテディベア欲を戦わせています。アンの帽子、絶対今冬中に編みたい。しかしテディベアは〆切まであと一ヶ月。黙って綿を詰めています。ガラスペレットよりステンレスボールかな。腕の中でずっしり重い子が好き。
11/29
第一アドベント。昨年作ったクリスマスリースを押入れから引っ張り出したり、小さなツリーを飾ったり。お楽しみのシュトレンはショコラ味をアッサムCTCのチャイとともに。
11/30
ミトンはZoom編み物教室にてマ��ックループで編む方法を教わったので今冬中に出来上がりそうです。(一生出来上がらないかと思った)一目ゴム編みが8段編めたらまた!
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詩集『青春群像 -Youthful Crowd-』
詩集『青春群像 -Youthful Crowd-』
1.君と初恋 2.後退り 3.もどかしい 4.21世紀生まれの僕らに 5.シティボーイの墓場 6.人生がワカラナイ 7.はるかなる夜に 8.さすらいの宇宙人たち 9.愛してるが言えなくて 10.前職サラリーマン 11.後悔しよう 12.サイダー色の人生
1.君と初恋
今夜も君と……
チーズタッカルビを食べながら Netflixの映画を観たい
あのコミックの話をしながら 瓶ビールで乾杯したい
未来の話でもしながら 最後はぐっすり眠ってしまいたい
全部嘘だとしても 今なら許せる気がする
まるで夢のようだ 人から告白されるなんて 悪戯だと信じてた そう決め込んで放っておいたら 君から連絡が来た
言われた場所へ足を運ぶと 頬を赤く染めた君��いた いつもよりも緊張した面持ちで あの一言を伝えてきたのさ
あれから僕の人生は 薔薇色に変わったわけではないけど 君が傍にいるだけで すべて許せてしまえるよ
いつか君と別れても…… なんてネガティブなことは思わない 僕は僕なりに君を 全力で���してみたいんだ
何度目かの朝が来て 隣を見ると 君が微睡んでいる
あれから僕の人生は 薔薇色に変わったわけではないけど 君が傍にいるだけで すべて許せてしまえるよ
いつか君と別れても…… なんてネガティブなことは思わない 僕は僕なりに君を 全力で愛しているよ
全部嘘だとしても 今なら許せる気がした
恋の魔法に犯されて まだ夢の中 客観的に自分を見つめられない
2.後退り
出張先の街のカフェに 君がやって来た いきなり「会いたい」と言われ 僕は二つ返事で答えた
淋しさに耐えられないとか 愛しさが溢れたとか 甘い言葉ばかりが脳に浮かび その一言で崩れ落ちた
すっかり冷めたホットコーヒーを 飲み干す事しか出来なかった
そうだ数年前の話 君に渡された合鍵を 今もお守り代わりに持っている あの話をしよう
きっと何度も同じ話をして それでも醒めなくて まるで夢のような甘い日々 今でも恋しくて
何度女々しいと言われても 嘆くことしか出来ない 目の前の仕事も手に付かず 今日もまた同じ書類を読んでいる
賞味期限切れの恋愛を 温めることしかできなかった
君はまた次の恋をする 僕はまだ君に縋っている 人間が違いすぎて もともと合わなかったのだ
思い込みでやり過ごそう すべて流してしまおう
愛する意味さえ知らなかった日々よ 僕にもう一度愛を分けてくれ いつかまた逢えるなら もう一度恋をさせてくれ
他力本願な僕に 安らぎの未来を分けてくれ
3.もどかしい
あなたに出逢ってから あなたのことを嫌いになった あなたが好きだったのに あなたのふとした一面を見てから
あなたを許せなくなって あなたの傍にいたくなくなって あなたが出張するって聞いた時は あなたに会わないことを喜んだ
傍にいることが当たり前すぎて いつの間にか見えなくなっていた ふと周りを見てみると もっと良い恋があるんじゃないかと思った
愛が重すぎて愛しすぎて 心が離れていくのを きっと気付かないまま あなたはこれからも生きていくのでしょう
付き合ったばかりの頃は ひとつひとつの思い出が大切だった 今は何にも感じなくなって 倦怠期以上の何かを いつの間にか胸に抱くようになった
私の責任かもしれない 最初はそう思って 直そうともしてみたよ でも幾ら考えても あなたのことが好きになれない それならもう別れてしまった方がいいと 思い切って電話をした
愛が重すぎて愛しすぎて 心が離れていくのを きっと気付かないまま あなたはこれからも生きていくのでしょう
心の距離や見えない傷に 見えないフリをするのは楽しいですか?
あなたを愛することに 疲れ果ててしまったのです
「もう愛せない」とはっきり伝えた時 受け止めきれないような なんとも言えない 表情のあなたがすべてを 物語っていた
4.21世紀生まれの僕らに
【1 - 子どもたちの詠唱(アリア)】
20世紀終わりの狂騒を 僕らは何も知らない 21世紀始まりの歓喜を 僕らは何も知らない
安らかに生まれ 健やかに生きる
希望に満ちた未来へ向かう 子どもたちの声が聞こえるか
【2 - 夜明けの戦争狂交響曲(シンフォニー)】
平和へ向かっていたはずの 人々たちの群れに Shocking!!
崩れ堕ちた平穏に 慌てふためく為政者たち 群衆は熱に浮かされたように 戦争へと足を進める
時は満ち 風は起こり 安らかな日々を求める
群衆は熱に浮かされたように 戦争へと足を進める
独裁者のせいでも 民主主義のせいでも メディアのせいでもない
すべては群衆が求めたこと あまりに無責任だ
他意も悪意も鋭意もなく 無邪気に…… 世界は塗り替えられていく
【3 - 精神科医の輪舞曲(ロンド)】
ニュースは女と子どもに寄り添う 群衆は報道に涙する
本当に目を向けることまで 感傷的な声に惑わされ 大切なことが見えなくなる
性別と年齢の調和が 彼らに武器を持たせた 近隣に住む友人は 国境線の向こうにいる
ふと地面を見ると 転がる死体の群れ 傷ついた首に光るネックレスが 友の面影を語る
もう武器は持てぬ 人は殺せぬ 愛と正義のために
精神科医は夜明けまで 休みなしに働く
この戦争はもう 永久(とわ)に終わらないのか
誰のための戦争か 戦争は何を生むのか
現状打破への焦りが 人類最後の叡智を 隣人へ遣わす!
踊る精神科医 笑う精神科医 嘆く精神科医
【4 - 電子幻想曲(エレクトリック・ファンタジア)】
世界を揺るがす 銀色の箱に 新世界への扉が 開こうとしている
音楽を1$で買えるようにして インターネットの民主化を目論む
その先に何があるのか 誰も知らない
だけど…… 禁断の果実は すでに齧られてしまった
もう止まらぬ 止められぬ シリコンバレー発の革命
世界を揺るがす 銀色の箱に 新世界への扉が 開こうとしている
【5 - スマートフォンの哀歌(エレジー)】
見渡せば スマートフォン 見つめる人の群れ
聞こえない スマートフォン 見つめる人の本音
感じない スマートフォン 見つめる人たちには
味のない スマートフォン 見つめる人が見ているもの
【6 - 正義の小歌劇(オペレッタ)】
独裁者が倒された 正義は勝った
歓喜に沸く群衆に 指導者��主張する
愛する人が傷ついて 目の前に現れる そんな現実の中で なぜ群衆は喜ぶのか
私にはわからない(何故!) 私にはわからない(今!) 私にはわからない(さあ!) 私にはわからない(変えよう!)
戦争は人を豊かにはしない 戦争は偽物の富を国家にもたらす
だから止められない 他人を唆して 都合のいい嘘で塗り固め 愛と平和の名の下に 無名戦士たちを戦場へ送る
私にはわからない(何故!) 私にはわからない(今!) 私にはわからない(さあ!) 私にはわからない(変えよう!)
ここからが本当の 戦いだ
【7 - アラブ奇想曲(カプリッチオ)】
銀色の箱が 塗り替えた世界は 指導者たちの横暴を 決して許さない
片手で収まる 銀色の箱は 写真も撮れるし 声も録れる
ひとりひとりが かつてのマスメディア ひとりひとつの メディアを運営する
あなたの一声が 世界を変えられる 隣の国が出来るんだ 私たちにだって出来るさ
希望を見つけた 群衆は止まらない
影響を持つ人を 誰もが夢見る時代
SNSの海で巻き起こった嵐は 目に見えないままに この国のアンシャン・レジームも 打ち破る!
気概を持て! 勇気を持て! 明日をこの手で創り出せ!
【8 - 群衆の舟歌(バルカローラ)】
安らかな眠りにつく 子どもたちに 平和の意味を尋ねられた時
君はどのように 言葉を紡いでみせるのか
希望に塗り固められた 虚構を伝えるか
それとも現実を素直に 言葉にしたためるか
何れにせよ 大人たちの態度が問われる
安らかな眠りにつけない 子どもたちに 生きる意味を尋ねられた時
君は如何にして 愛情を伝えられるのか
誇張に塗り固められた 誇張を伝えるか
それとも静かなる愛を素直に 言葉にしたためるか
何れにせよ 子どもたちはいつも見ている
【9 - 社会の小即興曲(インベンション)】
未曾有の危機に うねりが生まれて 若者たちは 隙間を見つける
小さな成功が 大きな夢へと導く
大人になって忘れていた 目の前の物事へ 夢中になること
蹂躙されてきた 人々が声を上げる その背中を見て 群衆が時代に乗る
明日なき暴走が 希望の未来を創る
目の前の物事を ひとつずつ変えていく
でも置き去りにされたままの 大人や老人はどうなる?
目の前の物事を ひとつずつ変えていく
時代遅れと糾弾され 存在理由すら若者は否定する
踏み台にされたままの生き物たち 彼らの断末魔が聞こえた
過去と未来を繋ぐ 果てしなき分断の影 そこにあるのは 潜在的現実
何者でもない人に 名前が生まれて かつてない時代の波に 誰もが流されたまま
Fire! Fire! Fire! Fire! Fire! Equally! Equally! Equally! Equally! Equally!
【10 - 21世紀夜明詩(オーバード)】
今こそ! 地球に 目を向けよう
今こそ! 君だけを 愛してみよう
世界を変えるには 目の前の私から この星を守りたいなら 目の前のあなたから
21世紀の始���りに 生まれた僕らの物語は もう一度ここから 愛と希望を胸に旅立つ
世界では この瞬間も 誰かが生まれる
世界では この瞬間も
誰かが死んでいく
戦争を知らない子どもがいるなら 戦争しか知らない子どももいるだろう
空腹を知らない子どもがいるなら 空腹しか知らない子どももいるだろう
今こそ! できることを 私の力で
今こそ! できることを あなたの思うがままに
21世紀生まれを誇りあるものとして 未来の子どもたちに語り継げるように
今何が出来るのか考えてみよう そこから新たな未来が生まれるさ
夜明けはきっと すぐそこに
5.シティボーイの墓場
こんな街に居られるかと 高校卒業を機に上京して 夢や希望もなく 漠然と大学に通ってた
恋人も出来なかったし 親友もいないし 何をしようかと悩んでるうちに 緊急事態宣言
レールに乗ってるだけで すべてがOKな時代は終わり 24時間が永遠のように 心に重く伸し掛かる
いつでもどこでも何度でも もう一度やり直せるなら 戻りたい過去は数え切れないほど 脳裏に浮かぶけど
それでもやっぱり私には この生き方しか出来ないんだと ふと我に返った瞬間 自分の生き方を信じてみようと決めた
喧嘩別れした両親と 数年振りに電話した ヒステリックなニュースの群れが また心を遠ざけていった
結局帰ることも許されず アルバイトも無くなって カップラーメンも底を尽きたのは 夏の始まりだった
マスクが暑すぎて 何もかも嫌になってしまうよ 24時間が永遠のように 生きてることってそんなに良いものなのか?
いつでもどこでも何度でも もう一度やり直せるなら こうすれば良かったという後悔は まるで星のように
それでもやっぱり私には この生き方しか出来ないんだと やっと開き直った瞬間に 未来が少し拓けたような気がした
私には帰る場所はなく ただ息をするだけ こんな人生 もう懲り懲りだよ
ここは現代社会の墓場 大東京
いつでもどこでも何度でも もう一度やり直せるなら 戻りたい過去は数え切れないほど 脳裏に浮かぶけど
それでもやっぱり私には この生き方しか出来ないんだと ふと我に返った瞬間 自分の生き方を信じてみようと決めた
嗚呼…… 小鳥が綺麗だ
6.人生がワカラナイ
過去も未来も興味ない 今さえ良けりゃそれでいい アンタはほんとに満足なのかい 大人たちは声を上げる
ハッシュタグの波に襲われて 私はいつも遭難中 国民皆風見鶏で 自分の意志すらない
将来の夢はなんですか? 弊社を志望した理由を教えてください なんとなく答えを繕ってみたものの 何だかしっくり来ない
幻想を追いかける大人たち 現実に生きる若者たち 見たくない夢を見せられて 現実に打ちのめされた
もう大人の言うことなんか信じない 私と友達が良けりゃそれでいい
100円のブラックコーヒーを 買うかどうかに暫し思案中 アンタが夢見た未来なのかい 大人たちのルサンチマン
ハッシュタグに憎悪を撒き散らし 外では良い人のフリをする 誹謗中傷に反対するくせに 無意識的に人を傷つけている
ああ あんな大人になりたくはない 心では��う思っていても 裏垢に書き込んでいる内容は 彼らが蟻に見えるような殺害予告ばかり
幻想を追いかける大人たち 若者も幻想の渦に吸い込まれて 社会という名の監獄に 一筋の光すら見つけられない
もう大人も友達も信じられない 私さえ良けりゃそれでいい
ある日突然訴状が家に届いて 裁判所に赴く 嫌いだったアイツが得意顔して こちらを見て笑ってた 堕ちてく犯罪
幻想を追いかけてばかりじゃ 何も変わらないと悟った 1969 2015 2020 歴史は何度でも繰り返す
幻想を追いかける大人たち 若者も幻想の渦に吸い込まれて それでも一筋の光を見つけた
もう他人の言うことなんか信じない 私と友達が良けりゃそれでいい 今日も詐欺メールをクリックする
7.はるかなる夜に
いけないことって 知ってても 心はあなたを 求めてる
いまの栄光を 投げ打ってでも 心はあなたと 共にある
七万人から 選ばれたアイドル その重みは 誰よりも知ってる
はるかなる夜に あなたの姿を見た 駆け出したい衝動が 心を支配してしまったよ
I Want You…… 週刊誌が何と書き立てようとも
I Love You…… あなたのことが好きだから
I Hate You…… 過去なんかどうでもいいんだ
疲れ果てて 前を見る勇気も 後ろに下がる強さも 失くしてしまった
やつれ果てて 家に帰る勇気も どこかへ逃げる強さも 忘れてしまった
さよならアイドル さよなら私
8.さすらいの宇宙人たち
私はどこから来たのか 私はどこで生まれたのか 何のために生きているのか 誰の声を聞けばいいのか
急流でカヤックを漕ぐように 時の流れに身を委ねた 幼い頃から夢を見たこともなく ここまで身を任せてしまった
やっと気づいた時には遅かった 舟はとっくに沖に出ていた もう戻れないと悟った このまま生きるしかないんだ
私はさすらいの宇宙人だ
守りたい家族も見当たらず 愛したい人も出逢えず 何のために生きているのか 誰の声を聞けばいいのか
私はさすらいの宇宙人だ
幼少期から愛を感じられずに ここまで生きてしまった 枯れきってしまった大地に 一滴の水を垂らそうともしなかった
やっと気付いた時には遅かった 舟はとっくに傍を離れてた 死にたい理由は無数に思いつくが 生きたい理由は指を折る数しかない
私はさすらいの宇宙人だ
誰かを嫌いになるのは 誰かを好きになるよりも簡単だ 信頼していたはずの人が 信頼できなくなり 気付けば僕も塞ぎ込んだままさ
やっと生きているというのに もっと頑張れと喚く社会よ 天使の顔をして 無責任に背中を押す悪魔よ
私はさすらいの宇宙人だ 私たちはこの宇宙を彷徨っている
9.愛してるが言えなくて
ベッドを分けようと決めた夜は 何も考えもせず ひとりの時間が欲しくて 素直に頷いたけど
ちょっとずつ距離が生まれて キスもしなくなった ひとりの時間が辛いなんて 今更言い出せない
子どものこともあるし 親への感謝もある 離婚するほど醒めてはいないが 隙間風があまりに冷たい
一言が出てこなくて 君を困らせた 僕は何も言えないまま 部屋を去るしかな��ったよ
子どもが大きくなり 反抗期も始まって 僕は僕で係長に昇進し
猛烈な日々を過ごしてた
そんなある日の夜だった 君はいきなり傍に来て 僕の瞳を見つめたまま 数秒ほど時を止めた
もう何年もこの調子で 僕は疲れ果てた 鈍感すぎて気付かなかったけど 君にちっとも魅力を感じなくなってた
一言が出てこなくて 君を困らせた きっと冷たい顔をしてただろう その目には涙が浮かんでた
一言が出てこなくて 君を困らせた それでも僕らは離れられないよ その一言が言えるまで
10.前職サラリーマン
俺は俺なりに誇りに思ってた この仕事 ある日突然放り出されるなんて 想像も出来なかったぜ
会社がいきなり無くなり 俺は呆然 リーマンショックも耐えたのに コロナには耐えられなかった
夕陽の電車に詰め込まれた 人の群れがまるで罪人(つみびと)に見える この現実という名の悪夢で 君はなぜ夢なんか見られるのか?
嵐吹き荒れる朝に 打ち棄てられた未来が飛び交う カラスに食い荒らされたゴミのように まるで未来を待ってるようさ
普段は酔わないビールが やけに胸に響いてる もう一杯行ってみようか 日本酒にハイボール
俺は俺なりに生きてきた この人生 でも初めて絶望に襲われて 何も見えなくなったぜ
社会がいきなり反転し 俺は戸惑う 住んでたアパートを追い出され ネカフェで朝を待つ
大空に向かって手を広げ もしも鳥になれたらと妄想する でも我に帰ると片手に缶コーヒー そしてもう片方の手には催促の手紙
やがて過去から未来へ すべてを忘れてしまえるなら 私の生きてた記憶自体を 何処かへ消し去ってしまいたい
普段は食べない弁当が やけに魅力的だ カップラーメンには飽きたぜ レトルトご飯が食べたい
政治家は寝言ばかり 若者は戯言ばかり 騙し騙され コンピューターの波 全部嘘っぱち
嵐吹き荒れる朝に 打ち棄てられた未来が飛び交う やがて過去から未来へ すべてを忘れてしまえるなら
時の流れるまま 生きてきてしまったのが失敗だった 俺は俺なりに考え 何か始めるべきだと悟った
心に吹き荒れる後悔は もっと上手くやれた自惚 夜明けを待つ前に 何か行動すればよかった
11.後悔しよう
春の花が咲き誇る公園 夏に星空が見えるプラネタリウム
本当のことは誰も口にしない 気づいた時にはもう遅すぎた
僕だけの君と信じて生きてきた 君だけが僕を愛してると信じてきた
星空が涙色に見える そんな夜は 素直に後悔しよう
秋の食が美味しいレストラン 冬に聖夜を過ごしたホテル
周りが見えなくなるような恋をして やっと自分のことがわかった気がした
今だけ良ければそれで幸せさ かつての僕はきっと間違っていた
星空が涙色に見える そんな夜は 素直に後悔しよう
心の中に恋というオーロラが まるでナイアガラのように 美しく煌めいてる
僕だけの君と信じて生きてきた 君だけが僕を愛してると信じてきた
星空が涙色に見える そんな夜は 素直に後悔しよう
恋はいつでも不器用なもの 何度でも後悔しよう
12.サイダー色の人生
もう���張れないって悩むこと きっとあるよね 今のあなたにやってほしいのは 自分を大切にすること
誰かに見つけてほしいと思うなら まず自分から始めよう きっと今も精一杯頑張ってるはずだから これ以上頑張らなくていいよ
時には休んでもいい 昼まで寝てもいい もう一度言うね ほんとに大切なのは 自分自身に誇りを持てる あなたでいること
空に映っている 未来はきっとサイダー色 永遠なんてない人生だから 私はわがままに生きてみたい
無理して背伸びする必要はないよ あなたはあなたでいい
どうして無理なんだろうって思うこと 何度もあるよね 数えきれない眠れぬ夜の先に 今の私は生きている
誰かを好きになりたいなら まず自分から始めよう 自分の好きなとこも嫌いなとこも抱きしめて 私をちょっと変えてみよう
時には泣いてもいい 自分を曝け出してもいい もう一度言うね ほんとに大切なのは 少なくとも自分を嫌いじゃないって 自信を持って言えること
夕陽に溶け込むような 過去はきっとサイダー色 泣いても笑っても一度きりだから 私はわがままに生きてみたい
無理して背伸びする必要はないよ らしさなんて求めなくていい
トレンドを眺めてるだけで 心が痛くなることもあるよね 放っておいたら傷つくばかりだから 時には両手を広げて 芝生に寝転んでみよう
時には想いを叫べ 地平線の彼方にいる 未来のあなたへ向かって いま!
空に映っている 未来はきっとサイダー色 永遠なんてない人生だから あなたとわがままに生きてみたい
無理して背伸びする必要はないよ あなたはあなたでいい
らしさなんて求めなくていい それが私たちの生きる意味
詩集『青春群像 -Youthful Crowd-』
Produced by Yuu Sakaoka Written by 坂岡 優 Written Assisted by C.Martin, M.Evans, K.Takahashi, S.Yamamoto Very Very Thanks to My family, my friends and all my fans!!
2022.6.24 Yuu Sakaoka
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失われた痛みのその先にて
ミニスカートが穿けなくなった。
全身鏡に映る自分のミニスカート姿がちぐはぐだった。その過分に露出した脚のはつらつとした様子が、この世に興ざめしたような顔とあまりにもかけ離れており、見ていられなかった。 脱いで、忌み児を隠すようにクローゼットに突っ込んで、膝丈のものに着替えた。今度は安心して見られた。 変身した自分の姿を見て心底安心したことに絶句した。
一年ほど前に会社の先輩の女性と酒を飲んだ。四十代の女性の先輩。 特に仲良くはない。普段から仕事の話以外はしない。その日も指導のために呼び出され、指導を受けた。 まっすぐな人で、ぐいぐい酒を飲む。私も注がれるがまま飲む。
すっかり酔っ払った彼女はくだをまく。 「スカートが短い!」と言ってワイングラスを振る。 はい、すみません。と返事をする。若いもんで、と腹のうちで思う。 翌日も丈の短いスカートで普通に出社する。 その翌日も。 一週間後、ネットで買った膝丈のスカートが家に届いた。
*
衣替えをしていて、不穏な段ボールを見つけた。こわごわ開けると、古い手帳がいくつも出てきたので悲鳴をあげた。 一つ手に取ってみると、2012年とある。そのころ私は21歳だった。 書いてあることのほとんど全てが、なんのことだかわからない。記憶にない名前や記憶にない出来事が綴られている。とうに終わっている男とぐずぐず続いていて、とてもかわいそう。他人事である。まったく憶えていない。
まったく憶えていないが、「私は他人に求めすぎる」と走り書きしてあるのを見つけて、ああここが転換点だったか、と遠い日を思う。
誕生日の長文のなかに、「大切な人たちに寄生せずに生きていたい。植物のようにひとりで完結していたい」とある。ここから先に進んだ先の今か、と道程に思い馳せる。
「空虚な嫉妬は宛先をもてずに言葉を焦がす。イルムゼン。」とある。イルムゼンとはなんだろう? その日、女友達と、女友達の恋人と、三人で夜中に手を繋いで下北沢から歩いて帰ったそうだ。そんなこともあっただろうか。記憶の底をさぐる。 親友同士の二人組の真ん中に招き入れられて深夜の池袋を歩いた夏のことも記してある。都電荒川線に沿って夜空に揺れる薔薇をなんとなく憶えている。 これが始まりだったのだろうか。二人と一人でいることのどこか寂しい心地よさを今も愛している。
今、とても大切に思っている友人に、身に余るような称賛をもらった喜びが記録されている。 「灼け爛れそうなくらい素敵だと思っています」と言ってもらったそうだ。まるで恋だ。「苦虫を噛み潰すような思いをしながら、それでも真っ向から感情を観察することのできるあなたには、美談に終始するような人には辿り着けない豊かさがあるはずです」と言ってもらったそうだ。 読んでいて赤面する。こんなことを、本当に自分が言われたのか。うまく思い出せない。 けれどこの熱い賛辞が、この今の私の礎を成していることがはっきりとわかる。 忘れてしまったあの頃と私が地続きにある。
*
昔の出来事をさっぱり忘れてしまっていることを、どう受け止めればいいのだろう。 かつての自分が残した記述のうち、前向きな、未来を���向した言葉たちは、今の自分の一部であることがわかる。 痛みはどうだろう。痛みは、悲しみは、苦しみや切なさは、私の一部になっているのだろうか。 それとも、失われてしまったのだろうか。
去年の夏服を引っ張りだして並べてみると、丈の短い服ばかりだった。 これまで夏に長いスカートを穿くたびに、布が太ももに纏わりついて鬱陶しいと感じていた。不快な感覚があざやかに蘇る。 この記憶だって、長い丈に慣れきってしまえば、消え去って思い出せもしなくなるのだろう。 また数枚の長いスカートを買った。
痛みは、忘れ去られ、消え去り、失われる。 しかし決して無かったことにはならない。 痛みは、取り返しのつかないほどに人を変えるのだろう。痛みこそが人の進むべき道を決定するのだろう。 そこに正しさは介在しない。善も悪もない。
私はこれからも痛みによって、自覚もできないまま変化していくのだろう。望みもしない方へ。望んでいなかったとさえ思いつかない形へ。 その変化に応じることができるのが幸なのか不幸なのか、最後まできっとわからないままだろう。 ある日、突然立ち尽くすのかもしれない。ここは一体どこなのだろうかと。 立ち尽くしてしまったら、もう先には進めないのかもしれない。
(2019/04/30 04:00)
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明日のTVアニメ(地上波関東版)06/04
今日の一言:古い歴史。様々な言い分・・・タイムマシンよ早くできてくれ。。思想ではない 私は正しい歴史が知りたいんだ。 発行人より:ムー界隈ではバチカンが映像、音声に関しては任意の時空の情報を取得できる機械のプロトタイプをすでに持っているとかいう噂が……。
※今日の一言を募集しています。アニメと無関係でも全然OKですが、改行は削除して1行にまとめさせていただきますので、予めご了承ください。 投稿は http://form.mag2.com/koutrethec から。
(AD) モチベーション維持のためご協力を!携帯、スマホからもぜひ! http://goo.gl/jSesh7
※メルマガ版ご購読の案内は http://www.mag2.com/m/0000064431.html まで。
~本日のnotes~ ・当番組表は、しょぼいカレンダーさんのソースをもとに編集委員会のメンバーで推敲しました。ですが、当然万全ではありませんので、番組表はあくまで目安と言う事で、あとは購読者の皆さんの側でご確認ください。
※「本日のnotes」はあくまで雑記帳です。私が気が付かなかったことは書けないし、アニメとは無関係に言いたいことを書く時もあります。ご容赦を。
※この番組表は前日以前の発表に基づいて書かれています。正確な情報は当日の新聞や放送局サイトなどでご確認ください。
00:00 ウマ娘 プリティーダービー #11 [TOKYO MX]
00:10 ピアノの森(TV) #9「ワルシャワの胎動」 [NHK総合]
00:30 食戟のソーマ 餐ノ皿(2) #21「荒野を拓く者」 [TOKYO MX]
01:00 甘い懲罰 #10「慈愛」 [TOKYO MX]
01:35 デビルズライン #9「コマンド」 [TOKYO MX]
01:35 美男高校地球防衛部HAPPY KISS! #9「HAPPYダイス」 [テレビ東京]
03:05 フォーカード #10「赤き痕跡!崩れる親友(とも)のアリバイ」 [テレビ東京]
10:15 キャラとおたまじゃくし島 #7「リンゾーさんは蝶々がスキなの!の巻」 [NHK Eテレ]
17:00 ニャニがニャンだー ニャンダーかめん #22「牛乳屋のギューさん/勉強はたのしいニャ」 [チバテレビ]
17:20 うさぎのモフィ #9「ラッキーな1日」 [NHK Eテレ]
17:55 ベイブレードバースト(3) #10「アキレスVSラグナルク!!」 [テレビ東京]
18:00 ロミオの青い空 #18「朝日にとどけ!団結の歌」 [テレ玉]
18:00 わしも-wasimo-(6) #19「まさおの秘密基地」 [NHK Eテレ]
18:25 パズドラ #10「ランキングバトル!」 [テレビ東京]
18:30 金田一少年の事件簿R(2) #33「薔薇十字館殺人事件 File.2」 [チバテレビ]
18:30 コボちゃん [テレ玉]
18:30 ルパン三世(2) #77「星占いでルパンを逮捕」 [TOKYO MX]
19:00 Cutie Honey Universe #9「この世界は二人だけ」 [TOKYO MX]
19:30 実験品家族 #9 [TOKYO MX]
19:30 こどものおもちゃ #29「やって来ました母の母」 [群馬テレビ]
20:55 お前はまだグンマを知らない #10「グンマの運動会(後編)」 [群馬テレビ]
22:00 フルメタル・パニック! Invisible Victory #7「ジ���イアント・キリング」(再放送) [TOKYO MX]
22:30 かくりよの宿飯 #10 [TOKYO MX]
23:00 ゴールデンカムイ #9「煌めく」 [TOKYO MX]
23:30 Cutie Honey Universe #2「あなたに出会えた事の心からの喜び」 [群馬テレビ]
以下、5日
00:00 バジリスク ~桜花忍法帖~ #22「魔、黄泉返りたり」 [TOKYO MX]
00:30 蒼天の拳 REGENESIS #9「赦す者」 [TOKYO MX]
01:00 バジリスク ~桜花忍法帖~ #22「魔、黄泉返りたり」 [tvk]
01:00 宇宙戦艦ティラミス #10「BLACK IMPULSE/SUBARU THE SPEED KING」 [TOKYO MX]
01:10 あっくんとカノジョ #9「松尾と千穂」 [TOKYO MX]
01:15 踏切時間 #9 [TOKYO MX]
01:20 レディスポ #9 [TOKYO MX]
01:40 魔法少女 俺 #10「魔法少女☆ストーキング」 [TOKYO MX]
01:40 キャプテン翼(2018) #10「小次郎あらわる」 [テレビ東京]
02:10 弱虫ペダル(4) #22「3人の強者」 [テレビ東京]
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各地句会報
花鳥誌 令和6年1月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年10月2日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
日本海見ゆる風車や小鳥来る 泰俊 駅近の闇市跡に後の月 同 山門を標とするや小鳥来る 同 師の墓の燭新涼のほむらかな 匠 渡り鳥バス停一人椅子一つ 啓子 紫に沈む山河を鳥渡る 希 ひらひらと行方知らずや秋の蝶 笑 なりはひの大方終了九月尽 数幸
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月4日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
朱の色に蝋涙たれし日蓮忌 ただし コスモスのたなびく道を稚児の列 洋子 抱かれて稚児は仏よ日蓮忌 同 めらめらと朱蝋のうねり日蓮忌 同 ピストルの音轟ける運動会 誠
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月5日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
友の墓秋空の下悠然と 喜代子 棟上げの終はりし実家や竹の春 由季子 菊人形幼き記憶そのまゝに さとみ 長き夜や楽し思ひ出たぐり寄せ 都 強持てに進められたる温め酒 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月6日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
蜜と恋どちらも欲しく秋の蝶 都 八幡の荘園かけて飛ぶばつた 美智子 彼岸花軍馬の像を昂らせ 都 露の手に一度限りの炙り文 宇太郎 杖の歩や振返るたび秋暮るる 悦子 露けしや既視感覚の病棟に 宇太郎 コスモスの乱れ見てゐて老いにけり 悦子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月7日 零の会 坊城俊樹選 特選句
天高く誇り高きは講談社 きみよ 華やかに滅びゆく香や秋の薔薇 和子 秋冷を暗くともして華燭の火 千種 白帝は白い梟従へて きみよ 薔薇は秋その夜会より咲き続け 順子 肘掛に秋思の腕を置いたまま 光子 爽やかや罅ひとつなきデスマスク 緋路 一族の椅子の手擦れや秋の声 昌文 邸宅の秋に遺りし旅鞄 いづみ 洋館に和簞笥置いて秋灯 荘吉
岡田順子選 特選句
栗の毬むけば貧しき実の二つ 瑠璃 流星を見ること永きデスマスク いづみ 正五位のまあるき墓を赤蜻蛉 小鳥 秋天の青は濃度を増すばかり 緋路 月光の鏡の中で逢ふ二人 きみよ 聖堂は銀に吹かるる鬼芒 いづみ 実石榴をロイヤルホストで渡されて 小鳥 石榴熟る女人の拳より重く 光子 秋の灯を落して永久のシャンデリア 俊樹 毬栗を踏み宰相の家を辞す 緋路
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月9日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
コスモスの島にひとつの小学校 修二 檸檬の香そは忘れざる恋なりき 美穂 嫁がせる朝檸檬をしぼりきる 朝子 母乳垂る月の雫のさながらに 睦子 タンゴ果て女は月へ反りかへる 同 護送車の窓には見えぬ草の花 成子 やはらかく眉をうごかし秋日傘 かおり 天と地を一瞬つなぐ桐一葉 朝子 流れ星太郎の家を通り過ぎ 修二 正面に馬の顔ある吾亦紅 朝子 傘たゝみ入る雨月のレイトショー かおり 幾千の白馬かけぬく芒原 成子 古備前に束ねてさびし白桔梗 睦子 糸芒戻れぬ日々を追ふやうに 愛 黒葡萄いつもの場所の占ひ師 修二
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月9日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
新生姜甘酢に浸り透き通り のりこ 風を掃き風に戻されむら芒 秋尚 足音にはたと止まりし虫の声 怜 朝露に草ひやひやと眩しかり 三無 出来たての色の重たき今日の月 秋尚 徒競走つい大声で叫びたり ことこ 秋落暉炎のごときビルの窓 あき子 秋祭り見知らぬ顔の担ぎ手に エイ子 秋霜や広がる花を沈ませて のりこ 面取ればあどけなき子や新松子 あき子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月9日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
万葉の歌碑一面に曼珠沙華 信子 金木犀優しき人の香りかな みす枝 昇る陽も沈む陽も秋深めゆく 三四郎 廃線の跡をうづめて草紅葉 信子 駅に待つ猫と帰りぬ夜寒かな 昭子 天の川下界に恋も諍ひも 同 ひらひらとバイクで走る盆の僧 同 蟋蟀の鳴く古里や母と歩す 時江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月10日 萩花鳥会
夜鴨なく門川暗くひろごれり 祐子 サムライ衆ナントで決戦秋の陣 健雄 これ新酒五臓六腑のうめき声 俊文 露の身や感謝の祈り十字切る ゆかり 虫食ひのあとも絵になる柿落葉 恒雄 すり傷も勲章かけつこ天高し 美惠子
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令和5年10月14日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
魁の櫨紅葉の朱句碑の径 三無 花よりも人恋しくて秋の蝶 幸子 咲き初めし萩の風呼ぶ年尾句碑 秋尚 女人寺ひそと式部の実を寄せて 幸子 豊年の恵みを先づは仏壇へ 和代 篁を透かし二三個烏瓜 三無 日の色の波にうねりて豊の秋 秋尚 曼珠沙華に導かれゆく道狭し 白陶 二人居の暮しに適ふ豊の秋 亜栄子 林檎好き父と齧つたあの日から 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月14日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
ガシャガシャと胡桃を洗ふ音なりし 紀子 秋日和小児科跡は交番に 光子 歩かねば年寄鵙に叱咤される 令子 稲の秋チンチン電車の風抜けて 実加 不作年新米届き合掌す みえこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月15日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
街騒も葉擦れも消して秋の雨 三無 大寺の風を擽る榠櫨の実 幸風 尾を引きて鵯のひと声雨の句碑 秋尚 水煙に紅葉かつ散る結跏趺坐 幸風 菩提樹を雨の宿りの秋の蝶 千種
栗林圭魚選 特選句
観音の小さき御足やそぞろ寒 三無 絵手紙の文字の窮屈葉鶏頭 要 駐在も綱引き離島の運動会 経彦 小鳥飛び雨止みさうにやみさうに 千種 秋霖や庫裏よりもるる刀自の声 眞理子 句碑の辺に秋のささやき交はす声 白陶 秋黴雨だあれもゐない���の塔 亜栄子 梵鐘の撞木の先や秋湿り 眞理子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
考へる事に始まる端居かな 雪 おは黒を拝み蜻蛉と僧の云ふ 同 道草の一人は淋しゑのこ草 同 朝霧の緞帳上がる音も無く みす枝 秋灯火優しき母の形見分け 同 役目終へ畦に横たふ案山子かな 英美子 孫悟空のつてゐるやも秋の雲 清女 穴感ひ浮世うらうら楽しくて やす香 栗食めば妹のこと母のこと 同 天高し飛行機雲の先は西 嘉和 屋根人を照らし名月たる威厳 和子 秋深し生命線の嘘まこと 清女 蜩に傾きゆける落暉かな かづを
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月18日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
枯れて行く匂ひの中の秋ざくら 世詩明 一声は雲の中より渡り鳥 同 見えしもの見えて来しもの渡り鳥 同 菊まとひ紫式部像凜と 清女 越の空ゆつくり渡れ渡り鳥 和子 秋扇に残る暑さをもて余す 雪 山川に秋立つ声を聞かんとす 同 鳥渡る古墳の主は謎のまま 同 鳥渡る古墳は謎を秘めしまま 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月20日 さきたま花鳥句会
SLの汽笛を乗せて刈田風 月惑 寝ころびて稜線を追ふ草紅葉 八草 残る海猫立待岬の岩となる 裕章 大夕焼分け行く飛機の雲一本��紀花 曼珠沙華二体同座の石仏 孝江 白萩の花一色を散り重ね ふゆ子 秋の野や課外授業の声高に ふじ穂 秋寒し俄か仕立てのカーペット 恵美子 秋空や山肌動く雲の影 彩香 爽籟や赤子よく寝る昼下り 良江
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令和5年10月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
生身魂梃子でも動かざる構へ 雪 古団扇此処に置かねばならぬ訳 同 飾られて菊人形の顔となる 同 亭主運なき一枚の秋簾 一涓 菊の香に埋り眠る子守唄 同 叱りてもすり寄る猫や賢治の忌 同 友の家訪へば更地やそぞろ寒 みす枝 叱られて一人で帰るゑのこ草 同 朝霧が山から里に降りて来し やすえ 隣家より爺の一喝大くさめ 洋子 菊師にも判官贔屓あるらしき 昭子 人の秋煙となりて灰となる 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月27日 月例会 坊城俊樹選 特選句
靖国の秋蝶は黄を失ひて 愛 柿に黄をあづけ夕日の沈み行く 緋路 神池の何処かとぼけた鯉小春 雅春 細りゆく軍犬像や暮の秋 愛 うらがへり敗荷の海のなほ明し 千種 英霊の空はまだ薄紅葉かな 愛
岡田順子選 特選句
秋蝶に呼ばれ慰霊の泉かな 愛 鉢物はしづかに萎れ秋の路地 俊樹 年尾忌も近し小樽の坂の上 佑天 道幅は両手くらゐの秋の路地 俊樹 秋天へ引つ張��れたる背骨かな 緋路 老幹の凸凹としてそぞろ寒 政江 板羽目の松鎮まれる秋の宮 軽象 御神樹の一枝揺らさず鳥渡る かおり
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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各地句会報
花鳥誌 令和5年8月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年5月1日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
葉桜に声まで染まるかと思ふ 雪 葉桜の懐深く観世音 同 葉桜を大天蓋に観世音 同 ふと思ふ椿に匂ひ有りとせば 同 葉桜の濃きに始まる暮色かな 泰俊 葉桜の蔭をゆらして風の音 同 老鶯を聞きつつ巡りゐる故山 かづを 四脚門潜ればそこは花浄土 和子 緑陰を句帳手にして一佳人 清女 卯波寄すランプの宿にかもめ飛ぶ 啓子 蝶二つもつれもつれて若葉風 笑 雪解川見え隠れして沈下橋 天
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月6日 零の会 坊城俊樹選 特選句
五月闇喫茶「乱歩」は準備中 要 だんだんに行こか戻ろか日傘 和子 錻力屋のゆがむ硝子戸白日傘 昌文 空になる途中の空の鯉幟 和子 ラムネ玉胸にこもれる昭和の音 悠紀子 だんだんは夏へ昭和へ下る坂 慶月 だんだん坂麦藁帽子買ひ迷ふ 瑠璃 白シャツのブリキ光らせ道具売る 小鳥 蟻も入れず築地塀の木戸なれば 順子 夕焼はあのアコーディオンで歌ふのか きみよ 谷中銀座の夕焼を待ちて老ゆ 同
岡田順子選 特選句
築地塀崩れながらに若葉光 光子 日傘まづは畳んで谷中路地 和子 ざわめく葉夏の赤子の泣き声を 瑠璃 築地塀さざ波のごと夏めきて 風頭 カフェーの窓私の日傘動くかな 和子 二階より声かけらるる薄暑かな 光子 下闇に下男無言の飯を食ふ 和子 覚えある街角閑かなる立夏 秋尚 谷中銀座の夕焼を待ちて老ゆ きみよ 誰がために頰を染めしや蛇苺 昌文 青嵐売らるる鸚鵡叫びたり きみよ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月6日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
カルデラに世帯一万春ともし たかし 大いなる大地を画布に聖五月 朝子 渚恋ひ騒ぐ厨の浅蜊かな たかし しやぼん玉母の笑顔を包みけり 朝子 乙姫の使者の亀ならきつと鳴く たかし 風に鳴るふらここ風の嗚咽とも 睦子 桜貝拾ひ乙女となりし人 久美子 風船の子の手離れて父の空 朝子 夕牡丹ゆつくりと息ととのふる 美穂 はつなつへ父の書棚を開きけり かおり 鷹鳩と化して能古行き渡航路 修二 風光るクレーンは未来建設中 睦子 人去りて月が客なる花筏 孝子 束ね髪茅花流しの端につづく 愛 悔恨深し鞦韆を漕ぎ出せず 睦子 ひとすぢの道に薔薇の香あることも 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月8日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
戦争は遠くて近しチューリップ 信子 霾や廃屋多き街となり 三四郎 長長と系図ひろげて柏餅 昭子 鞦韆を揺らし母待つ子等の夕 三四郎 代掻くや越の富士山崩しつつ みす枝 氷菓子あれが青春���もしれぬ 昭子 モナリザの如く微妙に山笑ふ 信子 風なくば立ちて眠るや鯉幟 三四郎 観音の瓔珞めいて若葉雨 時江 春といふ名をもつ妻の春日傘 三四郎 もつれては蝶の行く先定まらず 英美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月9日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
金環の眼や神々し鯉幟 実加 テンガロンハットの老夫麦の秋 登美子 筍を運ぶ人夫の太き腕 あけみ 緩やかに青芝を踏み引退馬 登美子 赤き薔薇今咲き誇り絵画展 紀子 自らの影追ひ歩く初夏の昼 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月9日 萩花鳥会
マンションの窓辺で泳ぐ鯉幟 祐子 兜より多産な鯉を子供の日 健雄 山頂に吹き上がるかな春の息 俊文 新緑やバッキンガムの戴冠式 ゆかり 仰向けのベッドに届く風五月 陽子 この日から五類に移行コロナあけ 恒雄 武者人形剣振り回すミニ剣士 美惠子
………………………………………………………………
令和5年5月10日 立待俳句会 坊城俊樹選 特選句
囀や高鳴く木々の夜明けかな 世詩明 すがりたき女心や花薔薇 同 仏舞面の内側春の闇 ただし 菖蒲湯に老の身沈め合ひにけり 同 うららかや親子三代仏舞 同 花筏寄りつ放れつ沈みけり 輝一 花冷や母手造りのちやんちやんこ 同 機音を聞きつ筍育つなり 洋子 客を呼ぶ鹿みな仏風薫る 同 渓若葉上へ上へと釣師かな 誠 子供の日硬貨握りて駄菓子屋へ 同 白無垢はそよ風薫る境内へ 幸只 春雨は水琴窟に託す朝 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月11日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
里山を大きく見せる若葉かな 喜代子 父母座す永代寺も夏に入る 由季子 三国町祭提灯掛かる頃 同 難解やピカソ、ゲルニカ五月闇 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月12日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
ホーエンヤ口上述べて祭舟 史子 暮の春どちの館の椅子机 すみ子 声潜めメーデーの歌通り過ぎ 益恵 手擦れ繰る季寄卯の花腐しかな 美智子 鳥帰る曇天を突き斜張橋 宇太郎 海光も包まん枇杷の袋掛 栄子 葉桜や仏の夫の笑みくれし 悦子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月13日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
菖蒲湯の香を纏ひつつ床に就く 多美女 風低く吹きたる社の陰祭 ゆう子 やはらかき色にほぐるる萩若葉 秋尚 すと立てし漢の小指祭笛 三無 深みゆく葉桜の下人憩ふ 和代 朴若葉明るき影を高く積み 秋尚 メモになき穴子丼提げ夫帰る 美枝子 祭笛天を招いて始まれり 幸子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月14日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
植物園脇に馴染みの姫女苑 聰 近づきて見失ひたる山法師 秋尚 母の日の記憶を遠く置き去りに 同 崩れかけたる芍薬の雨細き 同 若葉して柔らかくなる樹々の声 三無 葉桜となりし川辺へ風連れて 秋尚 白映えて幼稚園児の更衣 迪子 くれよんを初めて持つた子供の日 聰
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月17日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
一人逝き村軽くなる麦の秋 世詩明 水琴窟蔵す町屋の軒菖蒲 千代子 三国沖藍深めつつ卯波来る 笑子 母の日や母の草履の小さくて 同 カーネーション戦火の子らに百万本 同 遠ざかる思ひ出ばかり花は葉に 啓子 麦秋の響き合ふごと揺れてをり 千加江 あの世へもカーネーションを届けたし 同 紫陽花やコンペイトウと言ふ可憐 同 人ひとり見えぬ麦秋熟れにうれ 昭子 永き日の噂に尾鰭背鰭つき 清女 更衣命の先があるものと 希子 春愁や逢ひたくなしと云ふは嘘 雪 風知草風の心を風に聞く 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月17日 さきたま花鳥句会
鯉幟あえかな風も見逃さず 月惑 土間で輪に岩魚の骨酒郷の友 八草 背に茜萌黄の茶摘む白き指 裕章 薫風や鐘楼の梵字踊りたる 紀花 潦消えたるあとや夏の蝶 孝江 初夏の日差しじわじわ背中這ふ ふゆ子 水音のして河骨の沼明り ふじ穂 なづな咲く太古の塚の低きこと 康子 竹の子の十二単衣を脱ぎ始め みのり 薔薇園に入ればたちまち香立つ 彩香
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月21日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
野阜に薫風そよぐ母の塔 幸風 突つ伏せる蝶昂然と翅を立て 圭魚 夏めきて観音膝をゆるく曲げ 三無 谷戸深き路傍の石の苔の花 久子 捩花の気まま右巻き左巻き 炳子 人の世を鎮めて森を滴れる 幸子 水音は水を濁さず蜻蛉生る 千種 夏蝶のたはむれ城主墓に罅 慶月 薫風やボールを投げてほしき犬 久
栗林圭魚選 特選句
要害の渓やえご散るばかりなり 千種 恙少し残り見上ぐる桐の花 炳子 十薬の八重に迷へる蟻小さき 秋尚 野いばらの花伸ぶ先に年尾句碑 慶月 忍冬の花の香りの岐れ道 炳子 水音は水を濁さず蜻蛉生る 千種 谷戸闇し帽子にとまる夏の蝶 久子 日曜の子は父を呼び草いきれ 久 ぽとぽとと音立てて落つ柿の花 秋尚 黒南風や甲冑光る団子虫 千種
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月28日 月例会 坊城俊樹選 特選句
二度廻る梓渕さんかも黒揚羽 秋尚 夏めきぬ膝に一筋擦過傷 炳子 茶席へと鳥獣戯画の帯涼し 要 万緑を黒靴下の鎮魂す 順子 美しき黴を持ちたる石畳 みもざ 霊もまた老ゆるものかな桜の実 光子 薄き汗白き項の思案中 昌文 黒服の女日傘を��ぶ 緋路
岡田順子選 特選句
夏草や禁裏を抜ける風の色 月惑 白きもの真つ白にして夏来る 緋路 女こぐ音のきしみや貸しボート 眞理子 蛇もまた神慮なる青まとひけり 光子 風見鶏椎の花の香強すぎる 要 霊もまた老ゆるものかな桜の実 光子 白扇を開き茶室を出る女 佑天 緑陰に点るテーブルクロスかな 緋路 黒服の女日傘を弄ぶ 同 二度廻る梓渕さんかも黒揚羽 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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各地句会報
花鳥誌 令和2年11月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
………………………………………………………………
令和2年8月1日 零の会 坊城俊樹選 特選句
青山へ八月の雲のし上がる 和子 魂も今蝶と化すてふ墓所の百合 眞理子 雲の峰青山墓地に崩れけり 梓渕 薄闇にラジオときには蚊遣香 順子 蚊取線香みだらに燃えてゐたりけり 公世 からつぽの鳥籠吊つて婆の朱夏 光子 空蟬の破られし背に光満つ 小鳥 白き糸濡れてをりけり空蟬に 和子
岡田順子選 特選句
黒揚羽ぬかづく人へ入れ替はる 要 槙剪つて明るき墓所や雲の峰 梓渕 揚羽来る墓に朽ちたる名刺受 俊樹 草いきれよりマリア仏の上半身 光子 かき氷ひとつに父と娘かな 同 からつぽの鳥籠吊つて婆の朱夏 同 神愛し薔薇を愛せし寝墓とも 俊樹 蟬時雨彼を一瞬隠しをり 久
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年8月6日 うづら三日の月(八月六日) 坊城俊樹選 特選句
秋の夜の澄みし青空何処までも 柏葉 土用干し守る着物に仕付け糸 さとみ 墓参り避けたつもりも鉢合せ 同 天筆に願ひを込めて星祭 都 留守居して語る人なき盆の月 同 七夕や一つを願ひ糸結ぶ 同 客帰り独り帯解く夜半の秋 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年8月7日 鳥取花鳥会(八月七日) 岡田順子選 特選句
友の墓訪ふも吾のみ原爆忌 益恵 蟬の穴被爆の眼窩に似て静か 都 八月や浜辺に白き船並び すみ子 抽出しにしまふ西日や能事足る 悦子 蜩の破調に夜明け整へり 宇太郎 油照お濠の亀は泥を負ひ 都 雲の峰サーファー起てば動き出す 益恵 帰り行く友や日傘をまはしつつ 幸子
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和2年8月7日 さゞざれ会 坊城俊樹選 特選句
昨夜の色閉ざしてをりし月見草 かづを 蟬しぐれ故山に溢れをりにけり 同 故山より風渡りくる施餓鬼寺 同 月見草夢に終りしことばかり 雪 炎天下大きくきしみバス停まる 和子 法堂に集ふ百僧蟬しぐれ 笑 暮六つや七堂伽藍の蟬しぐれ 希 母の背に負はれて逃げし終戦日 千代子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年8月8日 札幌花鳥会 坊城俊樹選 特選句
病院の小児病棟星祭 清 ぐづる子を放り入れたる踊の輪 晶子 銀河から金平糖のお裾分け のりこ 魔法めく夜店にかざしみる指輪 岬月 老僧の盆経朗朗たる気迫 同 とび出しもはみ出しもゐる砂日傘 同 搗ち割の角なめらかや蕎麦焼酎 慧子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年8月8日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
やはらかな色に隠元大揃へ 秋尚 ひと頻り法師蟬鳴き風起る 同 空蟬の登る姿勢を崩さずに 同 音の無き蒼茫怖し星月夜 ゆう子 新盆の信女の墓碑の径細し 三無 星月夜野辺山走る小海線 幸風 蜩や夕餉のお菜鉢ふたつ ゆう子 鬼灯の色乾きたる寺の畑 秋尚 隠元の色鮮やかにバターソティー 瑞枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年8月10日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
墓洗ふ母の育てし供華を持ち 信子 サングラス粋なる人と恐き人 みす枝 裸電球に照らされてゐる地蔵盆 上嶋昭子 日もすがら響動もす鐘や盂蘭盆会 時 江 丸き笊丸く並べて梅を干す 信 子 蟬時雨つり橋の子の声消され 中山昭子 神々の光さづかる大御祓 ただし 星祭壺にさしたる笹の竹 錦子 野も山も深く沈みて星月夜 みす枝 蟻の列ラベルのボレロまだつづく 上嶋昭子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年8月11日 萩花鳥句会
秋風や万里の長城行きし旅 祐子 少し愚痴呟きながら墓洗ふ 美恵子 新盆に帰る家なき仏たち 健雄 弟と母住む故郷鰯雲 ゆかり 庭仕事合間に西瓜ご馳走に 克弘
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年8月14日 さくら花鳥句会 岡田順子選 特選句
田舎道兜虫売る小屋に遇ふ みえこ 迫真の演技の子役夏芝居 登美子 幼な子も数珠握りたり墓参 実加 イヤホンを片耳づつに星月夜 登美子 晴天にシーツ洗ふや原爆忌 実加 永遠に在り続くかに花氷 紀子 蜩を聞きつつ帰り仕度の子 裕子 野の花を供へて母の展墓かな 登美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年8月17日 伊藤柏翠俳句記念館 坊城俊樹選 特選句
サングラスかけて犬にも恐がられ 英美子 酒呑まぬ父はお洒落でパナマ帽 千代子 終ならん声を聞き入る秋の蟬 かづを 秋の雲落暉に燃えて消えにけり 同 ギヤマンに盛られ清しき夏料理 みす枝 口紅の朱の沁み出る極暑かな 同 遺骨待つただそれだけの盂蘭盆会 同 無人駅帰省子ホームまで送る 世詩明 羅の女の視野に万華鏡 同 帰省子の戻る車窓に掌を重ね 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年8月19日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
黒髪で顔を隠され西瓜食ぶ 世詩明 口紅が熟れた西瓜を齧りつ�� 同 九頭竜の流れおだやか終戦日 千代子 海凪いで沖行く船に盆の月 同 流行りもの一つ身につけ生御魂 同 終戦日一男優の死すと云ふ 同 炎天や路面電車の軋み来る 美代 これ以上青くなれざる青蛙 雪
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年8月21日 鯖江花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
手枕で昼寝をしたる沈金師 世詩明 虫干や母の袂に恋の文 みす枝 小恙を顔に出さじと踊りの輪 一涓 肉魚を下げて八月大��来 同 虫の世に火取虫とし果つ定め 雪 白と云ふ哀しき色の盆灯篭 同 赤と云ふ色は淋しや盆灯篭 同 煎餅屋ののれんの奥の扇風機 上嶋昭子 捩花のねぢれる時に媚少し 同 美しきことに飽きられ水中花 同 物干の続く町並夜は秋 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年8月10日 なかみち句会(八月十日) 栗林圭魚選 特選句
芭蕉葉に道草を食ふ風ありて 三無 恒例の枝豆届き安堵かな エイ子 海沿ひの蕎麦屋の遠く秋暑し 貴薫 裏庭に風探しけり夕残暑 和 魚 枝豆や父の遺影と酌む忌日 三無 ゆらゆらと芭蕉広葉の青き翳 同 家事とても遣る気奪はれ残暑かな せつこ 公園の要一本大芭蕉 怜 影広げ海辺の宿の芭蕉かな せつこ 枝豆の彩りとなり皿の上 ます江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年8月 九州花鳥会(投句のみ) 坊城俊樹選 特選句
双手上げ銀漢しづく待ちにけり さえこ 天の川渡る媚薬を飲んでより 伸子 黒日傘ひらりと海へ消えにけり 朝子 ゆくりなく女と生まれ天の川 美穂 盆の月透き通るまで踊りけり 愛 その先は有耶無耶なりし道をしへ 伸子 天の川の端より天の川仰ぐ ひとみ 星よりも暗き島の灯月見草 豊子 走馬灯曼陀羅の闇廻しけり 喜和 蟬の殻蹴りし少年黙り込む かおり 天の川尾は聖堂の十字(クルス)まで 志津子 病窓よりビアガーデンの見えるらし 順子 水をくれムンクの叫び原爆忌 喜和 色鳥来ルドビコ踏みし甃 寿美香 難しく考へる鶏頭の襞 伸子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………
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2月の各地句会報
平成29年2月の特選句
坊城俊樹選
栗林圭魚選 栗林眞知子選 岡田順子選
平成29年2月1日
立待花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
古民家の古き時計や初明り 清風
雨だれの雫集めし軒氷柱 世詩明
初春や逢へぬ二人の長電話 秋子
顔洗ふだけの暮しや冬ごもり 道江
老眼鏡ずり落したる置炬燵 世詩明
うつすらと紅残れる寒仏 誠
少年の白息吐くやファインプレー 輝一
畔を焼く離農の話かたはうに ただし
初暦丸めて覗く四方の山 秋子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月2日
三日の月花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
寒の明けためらはず濃く紅を引く 都
おでん屋の隅といふ席去り難く 牧羊
寒晴れや稜線空を裂かんとす 都
蕗のたう大地みなぎる中に出づ 未草
融雪の蛇口ひねりて匂ひ立つ 未草
今朝乱舞ゆるやかにして春の雪 喜代子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月3日
鳥取花鳥会
岡田順子選 特選句
寒雷の猛りを払ひ列車来る 都
大地の香幾重にも詰め蕗の薹 史子
鯉醒ます寒明近き山の水 美智子
除雪車の作る道幅町の朝 悦子
雪沓を履けば蟹股歩きの子 悦子
ゆさゆさと子の引いて来るとんど竹 立子
衝立の向かう姦し春隣 すみ子
手袋の指で差したる七つ星 悦子
冴ゆる夜の人恋しさに焼くケーキ 都
石釜漁寒鮒を突き湖底突き 幸子
春はまだ補陀落��たり道草す 悦子
鳥来ては去る蹲踞の薄氷 和子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月4日
零の会
坊城俊樹選 特選句
ヌードモデル募集とありて春動く 八之助
青ざめて流れ余寒の放水路 彰子
呉服屋の春や小袖の波の渦 慶月
彷徨へる鬼の翳あり路地立春 梓渕
節分の闇の名残りを細き路地 八之助
雨樋の色垂る春の紙問屋 季 凛
遊女の名信女としるし東風低く 久
目貼剥ぐ絵馬ねんごろに納むる日 順子
露地裏の月を知りたる春の猫 緑
春を見に出るかに媼奥戸より 順子
佐保姫をまゐらせ魚藍観世音 順子
だれかれを旦那と呼ばひ目刺売 千種
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月7日
さくら花鳥句会
栗林眞知子選 特選句
大試験首の細きも痛々し みえこ
真夜中の除雪車に耳立ててをり みえこ
待春や娘に選ぶベビー靴 裕子
寄り添うて眠る猫等や春隣 紀子
擦れ違ふ髪は亜麻色春隣 登美子
大寒や福井恐竜吼えてをり 令子
大寒や九頭竜川の深き黙 令子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月9日
県民会館花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
初詣手裏剣のごと賽を投ぐ 龍聲
初髪や似合はなくても似合つても 雪
母様へ逃げて赤鬼鬼遣らひ 天空
一と夜とは鮟鱇鍋の夜のこと 雪
春立つや東の窓の明るき日 和子
抽象も具象もよろし初句会 龍聲
母の忌の仏にともす余寒の灯 越堂
寒晴れや遠山なべて透き通る 八重
水仙の香を八方に向けて活く 雪
滔々と寒流海へ出てゆけり 龍聲
下萌や赤きを召され地蔵様 英子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月11日
枡形句会
栗林圭魚選 特選句
早春の母の試歩待つ大地かな 百合子
初午の幟はためく島暮し 美枝子
春菊の苦さがうまさ年重ね 恭子
鳥の目になって建国記念の日 白陶
建国の記念日パンと目玉焼き 鯨
峡の日のいちばん隅の猫柳 美枝子
猫柳光を溜めて膨らめり 白陶
ますかたの句碑凛として梅花節 文英
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月13日
武生花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
金剛の雫奏でる軒氷柱 越堂
匂ひまで雨の雫となりし梅 昭子
街を籠め山並籠めて雪解靄 昭子
南縁に漲る日ざし春立つ日 越堂
ひたすらに寒鴉てふ声に啼く 雪
牡丹雪利休ねずみの傘のひと 昭女
夜行列車雪を叩きてすれ違ふ 世詩明
女正月とて踊る人唄ふ人 昭子
初鴉千年杉の高きより 時江
寒明けて鴉はただの鴉なる 雪
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月13日
さなかみち句会
栗林圭魚選 特選句
老医師��健康談義春の風邪 和魚
春の風邪芝居がかりし電話なる 美貴
メモになきはうれん草の青を買ふ 三無
大仰に言うて受診す春の風邪 あき子
友と来て団子坂にも春時雨 陽子
春時雨天城の嶺を低くして 怜
春時雨大桟橋の波静か 迪子
一万歩あるきし後の菠薐草 あき子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月14日
萩花鳥句会
里山はうす紫に春立てり 牛子
立春と聞けば山肌色めきぬ 小勇
春の雪尾振りパクパク食べる犬 祐子
古雛の髪整へて飾りけり 孝士
立春と気付かぬまゝに日の過ぎし 七重
大升を抱へよちよち福は内 美恵子
桜見ず遠山金さんスタア散る 健雄
春立つや転居に向けて蝶結び 吉之
紅梅や角隠しめく雪を乗せ 晴子
海苔干場菊ヶ浜より風の恵 泰裕
スペードか婆かトランプ春の雷 圭三
神武のこと知らず建国記念の日 克弘
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月15日
福井花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
海光の断崖鎧ひ野水仙 越堂
一村を風花の綺羅包みたる 越堂
大津絵の鬼が飛び出て豆を撒く 千代子
一ダース鉛筆削り春を待つ 清女
くれなゐの彩を残して冬薔薇 啓子
就中古城の雪解大雫 よしのり
水草生ひ初む漕艇の湖閑か 美代
独房の一つ一つの窓に雪 世詩明
飛びさうでなかなか飛ばず波の華 龍聲
鴉啼く春の鳥にもなりきれず 雪
成る話成らぬ話に懐手 雪
此の辺でついぞ見掛けぬ恋の猫 雪
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月16日
伊藤柏翠俳句記念館
坊城俊樹選 特選句
雪明り雪暗がりに句碑の立つ 雪
ひそと雪降りひそと我が誕生日 雪
雪女やも今すれ違ひたるは 雪
雪山へまたなまなまし獣みち 越堂
冬茜使ひきつての庭仕事 直子
ミシン踏む心のどこか日脚伸ぶ やすか
流れ行く大渦小渦雪解川 英美子
捨てし雪浮き沈みして流れ急 みす枝
一人居に雪解雫の音ひびく 冨美
一人には長きひと日や雪積る 冨美
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月16日・17日
花鳥さざれ会
師の墓前二月礼者として詣づ 越堂
春風が古き暖簾をもて遊ぶ 清女
強東風や海石いくりの波がしら 千代子
能登までと続く砂丘へ青き踏む 千代子
海苔を掻く神の雄島の海女として 龍聲
宿の鯉四温の雨に屯ろして 清女
名湯に寒の硬さの身を沈む 匠
幽かきく真夜の雛の鼓音 千代子
春は曙水色の空ありにけり 越堂
温泉上りの顔てらてらと寒灯下 龍聲
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月19日
風月句会
坊城俊樹選 特選句
雛の家を出で泉水の眩しかり 千種
春寒し黒々眠る池の石 久子
青空はのつぺりとして木の芽時 鯨
歳三も勇も来たり雛の家 佑天
広縁に子の影もなく雛の家 眞知子
春の池泥烟あげ逃げしもの 久子
七段の飾りや膝に沁む余寒 圭魚
東風ゆらす玻璃の奥の間段飾り 眞理子
春塵を鎮める土間を湿らせて 眞知子
森番は拾ひし木の実植ゑにけり 炳子
強東風や父の蹴る球やさしかり 慶月
神鈴はでこぼことして雪解風 鯨
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
奥座敷半分占めて雛の段 眞知子
雛の家を出で泉水の眩しかり 千種
湧水の枯れし祠や蕗の薹 眞理子
磨かれし上り框や雛の宿 眞知子
泥んこの菰の上行く梅まつり 三無
広縁に子の影もなく雛の家 眞知子
日を弾き影を重ねて梅白き 秋尚
ものの芽の窺ふ気配充つる森 眞理子
熊笹に風騒めきて春寒し 秋尚
薔薇の芽や棘のあひ間にほつと紅 芙佐子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月21日
鯖江花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
酒醸すつぶやく音の夜寒かな 越堂
稚児神妙両手合せり二日灸 ただし
粕汁に耳を染めたる女かな ただし
にらみ合ふ愛も有りとや猫の恋 直子
古民家に太く細くの大氷柱 直子
わが仕草ふと母に似て雛飾る みす枝
全身を耳に法聞く涅槃婆 みす枝
雪解急竹はね返る獣径 みす枝
氷柱せる軒を托鉢僧の立つ 一涓
古雛弓もそぼろに右大臣 一涓
如月や水の色めく音を聞く スヱ子
日脚伸ぶ下校のチャイムよく響く 信子
黒板に向きし女教師息白し 世詩明
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月23日
みどりや花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
病む父と共に口あけ寒の箸 秋子
日向ぼこ光集めし虫めがね 世詩明
紅梅も又白梅も炎色 世詩明
着ぶくれて手足短くなりにけり 秋子
飛石に春の雪置く朝かな 越堂
三寒の風に四温の雨の降る 秋野風
薄氷や空気の層と水の層 誠
春愁や居るべき人の居て達者 さよ子
茶屋一つ山の笑ふを待つてをり 清女
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月23日
九州花鳥会
坊城俊樹選 特選句
紅梅に軒を貸したる無人駅 洋子
曲屋のついと鼻先梅白し 富子
三方に春呼ぶ葦矢放ちをり 由紀子
春潮へ声を飛ばして海猫乱舞 富子
検番やトンと春呼ぶ舞稽古 洋子
梅大樹五重の塔の丹に紅を 勝利
野火猛る棒一本で守り抜き 佐和
ともすれば末黒芒に火の香たつ 佐和
恋の猫闇に喧嘩を売りにゆく 豊子
うららかやパンの箱乗せ島渡船 志津子
梅日和畑へ急ぐ背負籠 初子
風止みて香の新しき今朝の梅 桂
忘れ雪舞ひ終へてのち海に消ゆ 桂
大宇宙よりものの芽の舞ひ来る 桂
野火の煤天を覆ひて昏からず 洋子
舞ひ立ちて草に溺るる冬の蝶 富子
チェンソーの音の響ける雪解風 佐和
麦踏むや踏めば蠢く土のこゑ 豊子
異国語の絵馬に春日のやはらかく 勝利
野火の音背に祠鎮もれる 喜和
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年2月26日
花鳥月例会
坊城俊樹選 特選句
リヤカーに子供を乗せて捨頭巾 要
二ン月の礼者や魚臭かすかなる 律子
靖国の野遊めける奉仕団 千種
ものの芽や口答へする女の子 含香
マラソンに余寒の軍靴まざりけり 鯨
憲兵の榊一条風光る みもざ
宮裏の鉄条網にある余寒 要
零戦の助走の道の初桜 梓渕
神鏡も御簾も雛を隠すもの 千種
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
落ちてより日ざしの中の赤椿 千種
まんさくの躍り疲れしねぢれかな 秋尚
春泥に子の足跡の遊びをり 斉
すめらぎの苑に堂々犬ふぐり 梓渕
その後といふ日々があり桜の芽 日出子
野蒜生ふ大内山のそこここに 芙佐子
近づけば離るるかをり沈丁花 みもざ
拝殿の少し暗きを雛の宿 眞知子
落ちてなほ威儀は崩さず紅椿 淸流
ももいろの稚のあくびや春灯下 日出子
(順不同 特選句のみ掲載)
補稿(昨年の句会報)
平成28年11月12日
札幌花鳥会
坊城俊樹選 特選句
たわいなき遣り取りいつか日向ぼこ 和加
良く遊び良く転ぶ子の雪だるま 和加
凩に吹かれ吹かれて相集ふ 和加
木枯が浚つて行きし靴の音 佳峰
紺碧の空へ撃ち込む威銃 佳峰
小春日や背中反らせて天主堂 のりこ
うちの子は大きすぎる子七五三 のりこ
大根引くすんなり抜けてより重し 美江
藁の香を残して終へる雪囲 美江
電停に木の葉降るなり異邦人 慧子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成28年12月10日
札幌花鳥会
坊城俊樹選 特選句
離島せる決断の炉を焚き納む 岬月
温もりのなき柏手や神の留守 岬月
一枚の板子に懸けて鮪追ふ 岬月
雪晴の空に道旗と日章旗 親子
膝元に冬日をためて縫ひ急ぐ 親子
一本の道譲り合ふ深雪かな 和加
豆腐屋の笛近づくや深雪道 和加
太陽に影伸ばされて冬木立 のりこ
雪吊の放物線の強さかな 寛子
雪が降る空から山から地面から 登美
ためらひつ化粧ひて出でし吹雪中 慧子
(順不同 特選句のみ掲載)
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5月の各地句会報
平成30年5月の特選句
坊城俊樹選
栗林圭魚選 栗林眞知子選 岡田順子選
平成30年5月5日
零の会 坊城俊樹選 特選句 大判の水茎掠れざる重五 光子 延々と長き地下道熱帯魚 梓渕 越後屋を貫き天女夏空へ 眞理子 銭青し武士の汗にて錆びき 光子 ヤップ島の石貨は白し風薫る 和子 一貫の銭を持ち上げ子どもの日 はるか ザッハトルテにめり込む銀の匙涼し 小鳥 三越に売つてゐるのかあつぱつぱ 佑天 殷賑は暖簾にとほく片陰り 耿子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月7日
さくら花鳥句会 栗林眞知子選 特選句 茶会終へひとりとなりし春炉の間 寿子 柏餅しみじみ見入る喉仏 登美子 花冷や写経の文字も滲みがち 令子 往き交す蟻を踏むまじ石の段 寿子 草刈るや農業高校一年生 登美子 まつしぐら山車過ぎ喝采は空へ 登美子 星降れる祭の後のふるさとに 実加 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月7日
鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句 海の風捉へ砂丘の松の蕊 俊子 春の夜学生溜りに月赤く 都 ガラス瓶手折りし十二単挿し 幸子 たんぽぽやぽつぽぽつぽと絮飛ばし 佐代子 野遊や空きし小腹に握り飯 幹也 げんげ田に寝ころびゐるは家族らし 和子 子の来る日待つ朝顔の種蒔いて 栄子 裏山に藤どつさりと養蜂家 悦子 街薄暑肩危ふげな服を着て 史子 徒長枝の一本もなし梨の花 益恵 諦めず俳句を続け五月来る 立子 葉桜や演歌聞こゆる公民館 すみ子 若葉雨信号青しことさらに 美智子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月8日
萩花鳥句会 遺句集を読みつゝ春を惜しむかな 牛子 麦秋の豊前街道南下中 美恵子 春潮の瀬戸内潜り逃避行 健雄 満開の牡丹の花の重さかな 圭三 軽暖の木陰にしばし憩ひけり 克弘
平成30年5月10日
三日の月句会 坊城俊樹選 特選句 水音の流れの先や若葉燃ゆ 都 望郷や色濃く捏ぬる草の餅 都 新茶とて袱紗捌きの変りなく 由季子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月12日
枡形句会 栗林圭魚選 特選句 初鰹たたきの縞の香ばしき 文英 結界の竹青々と安居かな 多美女 車前草の踏まるるほどにたくましく 清子 二滴一滴しづく惜みて新茶汲む 美枝子 新茶の香商店街を抜けるまで 白陶 黒潮のどんと届けし初鰹 ゆう子 樹々の影くぐり高みに安居寺 ゆう子 まろやかな甘味の新茶萩の碗 三無 鐘一打遠くのどかに夏霞 美枝子 池の水わづかに震へ安居かな 白陶 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月14日
武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句 春潮や岩隠したり浮かしたり 世詩明 摘み足してみても勿忘草淋し ミチ子 春の泥除けて跳ぶため手をつなぐ 世詩明 落椿女を踏むと言ふ憾み 雪 蛙田の恋の讃歌の夜もすがら 越堂 母の日に猪垣の中の墓を訪ふ 文子 どんな音かと踏んでみる落椿 雪 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月14日
なかみち句会 栗林圭魚選 特選句 快速の通過待つ駅夕薄暑 三無 遺されし芍薬育て猫と生き あき子 けんけんぱけんけんぱの路地薄暑かな 美貴 大輪の芍薬似合ふ門構へ エイ子 松蟬や森がうたつ���をるやうな 和魚 闘病の髪整へて薄暑来る 美貴 夕薄暑洋灯灯るカフェテラス あき子 芍薬のまんまる蕾すつと立つ ことこ 夕薄暑老舗茶房のドア重き あき子 松蟬や淋しき峠賑やかし エイ子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月16日
福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句 粽解く遠き昔を話しつつ 和子 馬子唄は浅間になびき風光る 嘉子 薄衣まとひし像や風光る 昭子 二の腕を光らすをみな街薄暑 よしのり 桐の花遠き甍の波の上 よしのり 淋しさを二人静の花として 雪 蚊喰鳥路地には路地の空の色 雪 春深し笹の匂の笹団子 雪 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月16日
伊藤柏翠俳句記念館句会 坊城俊樹選 特選句 能登の鯖火越の鯖火と燃え連ね 越堂 蛇が出て長き九頭竜橋渡る ただし 麦秋の風が背の嬰眠くせり 信子 足音に牡丹崩れてしまひけり みす枝 風乾き色の焦げゆく麦の秋 みす枝 大植田足入れて水汚しけり 世詩明 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月17日
花鳥月例句会 坊城俊樹選 特選句 万緑や無機質として大鳥居 小鳥 巴里遠し褪せし日除けのカフェミエル 炳子 絶叫の形に伸びて蚯蚓死す 斉 忽として消ゆ夏蝶の水陽炎 炳子 群青の追憶あぢさゐの小径 和子 白人の肌透け灯心蜻蛉飛ぶ 千種 完璧な空や泰山木の花 圭魚 硝子踏む破片は万緑の色に 和子 セルを着て一族郎党引き連れて 炳子 鋲一つとて弛ぶなく朱夏の門 眞知子
栗林圭魚選 特選句
鋲一つとて弛ぶなく朱夏の門 眞知子 はつなつの風や天守の無き城に 梓渕 なめくぢりつひに結界越えゆけり ゆう子 少女腹這ひ神池に蜻蛉生る 千種 絶叫の形に伸びて蚯蚓死す 斉 木洩れ日も影も濃き日や鴨足草 眞知子 蜻蛉生る池に青空閉ぢ込めて 秋尚 裏門に耳を澄ませて立葵 斉 新緑の奥の昏きに水の音 淸流 はるか見て樹下に仰ぎて山法師 芙佐子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月20日
風月句会 坊城俊樹選 特選句 細波の右へ左へ代田風 芙佐子 釣糸のきらと空裂く若葉風 野衣 夏蝶の無数無音の森を舞ふ 圭魚 シーサーの薄暑の目玉鼻の穴 千種 しばらくはしほからとんぼの真昼なり 幸子 (順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句 むじな池青鷺昏き影となり ます江 老鴬や丘の起伏に風溢れ 三無 朴の花錆びて一山寂しめり 斉 花びらを上げ雲にとけ山法師 貴薫 緑陰の入口として朱の鳥居 野衣 磴数へ合ひて登る子夏来たる 野衣 桑の実の思ひ出つまむ甘酸つぱ 斉 代掻きや青空に足踏み入れて 三無 万緑や木霊は黒き翼もち 千種 隠沼の空を乱舞や夏の蝶 芙佐子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月21日
鯖江花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句 野良犬も飼へば愛犬星月夜 ただし 山頂は青天に浮き若葉風 一仁 花馬酔木翳す手水の鉢暗き 一仁 月光に濡れて重たき夜の新樹 越堂 万緑や池へ影曳く石の貌 八重 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月30日〜6月1日 九州花鳥会
平成30年5月30日
第一回句会 坊城俊樹選 特選句 涅槃像谷の万緑欲しいまま 勝利 老鶯や年尾の句碑は英彦山へ向き 眞理子 青蛙英彦山の深さを嘆き合ふ 美穂 奥の院蟻初めての人に会ふ 千種 下闇の祈りの径を久女句碑 かおり 山伏の坊そそけ立つジギタリス 千種 山伏の去りたる跡の九輪草 要 滴りの戻る大地や坊の跡 かおり 蛇苺敷いて祀れる仏かな 千種 万緑の泰然として神祀る 孝子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月31日
第二回句会 坊城俊樹選 特選句 白蓮の三行半や庭に蛇 千代 奈落より舞台に凝る五月闇 千種 白蓮の恋を偲べば蛇の来し 乱水 地の底に坑道ありて草茂る 千代 京紅に青き五月を入れ化粧ひ 慶月 愛尽くし贅尽くされし夏館 志津子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年6月1日
第三回句会 坊城俊樹選 特選句 万緑の錆とし煙突が二本 千種 裏窓の光零るる母の日に かおり 薔薇の窓開かれぬまま解かれをり 久美子 寝返りを打つや春月窓にあり 阿佐美 夏草の窓に届きて主なし 勝利 堂堂と干す母の日の割烹着 寿美香 白蓮の吐息の出窓梅雨曇 久美子 霊山の気に色あらば九輪草 千種 母の日やチラシの裏の母の文字 寿美香
平成30年5月
県民会館花鳥句会 夏草となるべき色を急ぎをり 雪 学校も山も映して植田かな 陽子 紫を墨で描きし花菖蒲 世詩明 夏痩せの兆しの友の集ひ来し ただし この堤小判草もて埋めたる 雪 大川に流る月日と卯波かな 和子 猫の春恋の鞘当てすさまじき 越堂
平成30年4月14日
札幌花鳥会 坊城俊樹選 特選句 坂の街より春泥のお客さん のりこ じやんけんで石段あがる春日かな のりこ 囀や指が覚えしドのシャープ のりこ 春の潮滴る網の北寄貝 秀夫 大いなる海を鰊にあけて待つ 岬月 野に寝れば聞く音すべて春の音 佳峰 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年4月4日
立待花鳥俳句会 日野の嶺の襞を深めて残る雪 越堂 巡錫の道元の道土筆生ふ 越堂 特攻に出願せしも花の頃 越堂 さくらには散る日人には去る日あり 世詩明 うららかや猫寺へ僅かな寄進 清女 尻振つて歩む山鳩遍路道 誠
花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句 白山を逆さに映し水温む 天空 影も又散りし牡丹のありにけり かづを 雨の葉桜男とし濡れ染まる 数幸 大甕に日傘雨傘安養寺 龍聲 夏山の倒れかゝるを支ふ寺 龍聲 春愁や髪形いつも耳隠す 雪 渦を解く時牡丹のかく匂ふ 越堂 残りしか残されゐしか鴨一羽 匠 (順不同 特選句のみ掲載)
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1月の各地句会報
平成30年1月の特選句
坊城俊樹選
栗林圭魚選 栗林眞知子選 岡田順子選
平成30年1月6日
零の会
坊城俊樹選 特選句
門松をくぐればロック座の坩堝 順子
餅花へ吉原よりの風届き 彰子
冬の日は阿像のふくらめる腹ヘ 小鳥
歌手恋を唄ふ悴む人集め 順子
大正の春著ひらりと六区へと はるか
にんまりと媚を売るなり福達磨 三郎
エノケンで笑ひ初めせし六区かな 佑天
幇間塚固く添ふなり冬の梅 眞理子
ぼんやりとただ春を待つ半七像 三郎
たくましくくさめしてをり俥夫の背 和子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月9日
武生花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
とべらの実はじけて赤し日本海 ミチ子
期するとは鬼となること初句会 越堂
地に穴を開けるが如く椿落つ 世詩明
淋しさは衿元あたり初鏡 ミチ子
大鳥居の扁額を背に初日かな 昭子
寒芹を巻く新聞の湿りかな 昭女
ありのまま今を映して初鏡 昭子
金粉の入りたる屠蘇をなみなみと みす枝
遺句集に忙中閑と云ふ師走 雪
法堂へ入れば固まる寒さかな ただし
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月9日
萩花鳥句会
飛び降りてはづんで一声初鴉 小勇
初句会娘のファックスを待つひと日 祐子
初鴉一ト声吐いて翔ちにけり 孝士
核論議揺れ止まぬ世の古暦 健雄
発憤の二文字を刻み去年今年 吉之
日短闇を分け入る山のバス 晴子
額に当てラグビーボール立てにけり 圭三
厨より七種粥の香のほのと 克弘
平成30年1月10日
さくら花鳥会
栗林眞知子選 特選句
大きめの椀ふる里の雑煮食ぶ 実加
手際よく雪囲ひする母娘かな 紀子
病む子にも等しく澄める初御空 登美子
吹始譜面に深く一礼す 同
最後まで見守つてゐるどんど焼 光子
月出て新玉の年歩み初む 紀子
浅黄色湯どのへと射す初日かな あけみ
戌年も買ふは猫の絵初暦 紀子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月11日
三日の月花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
初詣祈りそれぞれ違へども 喜代子
小春日や弥勒菩薩の瞳にも 牧羊
鏡餅よろづの神に供へけり 由季子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月11日
鳥取花鳥会
岡田順子選 特選句
ビル街の空の青さよ風冴ゆる 俊子
年礼や奏づるごとく手話の指 都
味気なき小路を寒木瓜の主張 幸子
同世代の訃報や霰地を叩く 佐代子
看護師の赤ちやんにまで賀詞を述べ 幹也
鈴の音もかそけき末社冬椿 和子
初針やちよつと子の物を繕うて 栄子
煮凝やどこより入るる利休箸 悦子
アンネてふ薔薇や一月を咲いて 史子
病人になるなの一語賀状来る 益恵
畑見舞ふ急ぎし息の凍ててをり 立子
遠き日に通ひし岬野水仙 すみ子
末吉を高枝に結へば初鴉 美智子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月12日
芦原花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
大荒れに女礼者は傘傾げ よみ子
松納め芸妓素顔で朝の温泉へ 孝子
歌留多取る子らの手さつと宙を切り 久美子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月13日
札幌花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
御降は山の頂だけのこと 晶子
骨董の並ぶ階段日脚伸ぶ 晶子
寒行の僧の祈願の凄まじや 岬月
人形を乗せたる橇を曳いてをり 慧子
アルプスの山並高し初暦 佳峰
明日ありと思ふ心の日記買ふ 寛子
去年今年振り向き様に一転び 登美
寒星やもう透明に近き友 のりこ
まだ残る昭和の家の軒氷柱 清
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月13日
枡形句会
栗林圭魚選 特選句
凧揚げや天翔ける風指に受け 三無
新妻の破顔一笑今朝の春 瑞枝
母見舞ふ海に虹立つ浅き春 教子
歴代の墓の剥落冬深し 三無
春を待つ人ら親しく集ひけり 陽子
蝋梅や蒼穹渡る鉦響く 三無
身の丈の一寸極め福寿草 亜栄子
神木の走り根太し霜柱 三無
句碑裏に光届きて蕗の薹 亜栄子
車窓より富士を拝みて去年今年 多美女
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月15日
なかみち句会
栗林圭魚選 特選句
蓋とればふるさと見ゆる雑煮かな 有有
御手洗の昏さにこもる淑気かな 和魚
凪までを年の港に待つ心 有有
虚子の句を掲げ静もる床の春 陽子
点訳の校正済みて初昔 有有
お年玉貰ふしぐさのをさをさし 聰
近江より氏子に届く掛蓬菜 陽子
初空や町の甍の波静か 美貴
薄昏き社より漏る初諷経 ます江
初鏡背筋伸ばして笑ろてみて ます江
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月16日
伊藤柏翠俳句記念館
坊城俊樹選 特選句
咲きつげる山茶花愛しきまで赤し 越堂
鐘楼の闇をはなるる除夜の鐘 冨美
初明り九頭竜の闇脱ぎゆけり かづを
臘梅に壺は備前と覚えたる 雪
バス停の雪野の人を拾ひゆく 世詩明
山小屋の山の男は雪讃歌 世詩明
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月16日
さくら花鳥会
坊城俊樹選 特選句
さつきまで雪掻いてゐし割烹着 順子
子の髪に水玉模様描く雪 ゆう子
宵寝して厨の母の手毬唄 登美子
尻餅の息子が笑ふ初日記 実加
愛子居の火鉢の語る物語 三郎
雪を掻く腕に夜は猫を抱き 順子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月21日
鯖江花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
境内に別の風湧くどんど焼 ただし
虫くひの臼を磨きて飾りけり ただし
豪雪や横一列の兵の墓 ただし
越前の五箇谷百戸紙を漉く 越堂
万葉苑雪間雪間に歌碑いくつ 越堂
畳なはる山に里置き女正月 一涓
火事見舞戻りて通夜の列にあり 一涓
マスク取り口笛吹いてゐる子かな 昭子
冬ざくら五欲の心花になし 昭子
まあこんなものかと覗く初鏡 雪
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月21日
風月句会
坊城俊樹選 特選句
大寒や口一文字の虚子の像 三無
大寒の虚子像の目のやはらかき 貴薫
水音の今年の川でありにけり 炳子
微かなる水音曲る春隣 秋尚
寒林に俯くもののなかりけり 斉
雪吊を乱して鯉の尾鰭かな 炳子
枯野人ゆつくり空に立ち上がる 三無
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
大寒や口一文字の虚子の像 三無
名札まだ所在なきまま枯野かな 秋尚
蒼天の梅へ突つ込みゆく機影 千種
虚子像の冬日にそつと触れてみる 秋尚
臘梅の日をすべらせて空青き 秋尚
微かなる水音曲る春隣 秋尚
園ひとつ大寒の逆光の中 千種
枯野人ゆつくり空に立ち上がる 三無
人声に花弁の弛む寒牡丹 久子
早梅の香を見上げれば行き止まり 眞知子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月25日
九州花鳥会
坊城俊樹選 特選句
葉牡丹に円心力のやうなもの 豊子
葉牡丹や芯に尊きものを抱き 桂
葉牡丹の渦に影生む日差しかな 由紀子
葉牡丹の渦に沈みし暮色かな 久美子
鶴唳を残し雲間の棹となり 志津子
鰭酒や酔はぬ女の赤き爪 睦子
花街や雨のち雪の蛇の目傘 恭子
年新た胸に手を当て聴く鼓動 桂
折りたたむ法被にどんど匂ひけり 勝利
寒風に追はれ紙屑角曲がり 順子
湯豆腐の湯気のをどりて子らが来る 洋子
濃淡の墨の流れを初硯 喜和
葉牡丹や母は思ひ出くり返す 睦子
百捨てて寒の一句をあたたむる 豊子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成30年1月28日
花鳥月例会
坊城俊樹選 特選句
紅涙の目に早梅はなほ紅く 小鳥
松羽目のずつしり昏き寒さかな 圭魚
寂光の苔でこぼこと霜柱 光子
凍てし道割る金棒の響きけり 野衣
一歩踏み大崩落の霜柱 芙佐子
零戦に触れて悴む指の先 炳子
雪踏めば国といふもの想ひけり 順子
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
戦経し翼や凍雲の遥か 俊樹
寒鯉の彩をかさねて群れ眠る 光子
酷寒を石垣が吐き出してゐる 梓渕
凍川を押す対岸の軋むまで 野衣
氷柱墜ちては靖国に散りゆける 俊樹
折れし枝に莟の梅の乾びけり 眞理子
魂魄の籠る本殿より氷柱 梓渕
緑青の青引き締めて凍曇 野衣
一歩踏み大崩落の霜柱 芙佐子
大寒の水蒼く鯉しづめたり 和子
(順不同 特選句のみ掲載)
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12月の各地句会報
平成29年12月の特選句
坊城俊樹選
栗林圭魚選 栗林眞知子選 岡田順子選
平成29年12月2日
札幌花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
銀行の相談役や十二月 岬月
ひと時化に秋ひと時化に深まれり 岬月
島捨てる決断の夜の虎落笛 岬月
縁側は仮のアトリエ日向ぼこ 晶子
笑顔なき人の群れ来る師走かな 晶子
お菓子屋に生れし子にもクリスマス 晶子
鈍行に乗り換へ冬の夜の別れ 慧子
極月の車内に封を切る手紙 慧子
冬ざれの木々に荒野の果て思ふ 佳峰
鴉には鴉の会話冬夕焼 寛子
手袋は失ふものと思へども 清
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月2日
零の会
坊城俊樹選 特選句
プレスリーを大きく貼つてクリスマス 炳子
冬晴や一ミリ回る観覧車 佑天
クリスマスツリー板チョコ風のドア 千種
極月の酒肆の提灯川へ吊り 彰子
冬の太陽油膜に見えて川黒く 和子
灰皿は洗はず膝掛は乱れ 千種
ソープランドのロビーに青き雪だるま 佑天
冬帝やピンクのドアに会員制 ラズリ
蔦紅葉頼りなければ川へ垂れ 彰子
裘に傷ありヴァイオリン抱く 久
冬帝の日がスナックの裏に差す 光子
極月や会員制と煤汚れ 千種
冬灯の運河に映るまで待てず 眞知子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月4日
鳥取花鳥会
岡田順子選 特選句
山茶花の神妙に散る神の庭 俊子
有り余る小春の日差列車待つ 都
寮生や里の荷を解き餅を焼く 幸子
しぐるゝや暗記の古典子に教へ 幹也
庭寂し満天星紅葉廟を守る 和子
谷奥は線刻古墳山眠る 栄子
手にとりて帰る扉となる冬帽子 悦子
明け方の寒さ頭皮に辷り込む 史子
その上に冬の紅葉や亀趺の墓 立子
海を見る我が足元に冬の蠅 すみ子
空落ちぬやうに冬木の力瘤 美智子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月6日
立待花鳥句会
客泊めて驚かしたる鰤起し 世詩明
着膨れて他人の言ふには耳かさず 清女
梟の我を見入るや首傾げ 誠
冬紅葉少し焦げ目の文殊山 誠
名月や名もなく生きて俳ごころ 秋子
あぶく世の赤札多き歳の市 秋子
忌を修す冬日やはらぐ里訛 秋子
年の瀬や相変らずの鍋焦がし 秋子
寒風にカチャカチャカチャとランドセル 信義
平成29年12月6日
さくら花鳥句会
栗林眞知子選 特選句
一両の電車ことこと冬銀河 登美子
和紙も筆も写経する身も底冷に 令子
袖無の恐竜柄に花柄も 裕子
冬の蠅夜には命尽きてをり 紀子
店先に主待つ犬冬夕焼 登美子
庭先にどつかと届く土の葱 寿子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月7日
うづら三日の月句会
坊城俊樹選 特選句
姿見に惚れ合つてゐる木の葉髪 牧羊
開戦日海軍特幹兵卒寿 牧羊
年忘れ星の銀座に迎へられ 牧羊
百歳に三つ足りない年忘 柏葉
婆達が笑ひ転げて年忘 都
おでん食むネオン映せる水たまり 都
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月9日
枡形句会
栗林圭魚選 特選句
息白したしなめながら子と歩して ゆう子
登校児見送る母の息白し 三無
石州の寒鰤ぎゆつと身の締まり 瑞枝
橋の灯の星より遠く息白し ゆう子
落葉掃き左右に溜めて客迎ふ 三無
残業を終へて夜更けの蕪汁 白陶
小流れを跳ねて小鷺の十二月 文英
畝の角みな崩したる霜柱 美枝子
大檸檬師走句会の賑々し 瑞枝
冬田みち小さき影はみち外れ 白陶
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月11日
武生花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
根回しに出歩いてゐるちやんちやんこ 昭女
煮凝りの目玉を二つ取り出しぬ ただし
一枚の暦にひそみゐる師走 雪
夫に無き月日を生きて木の葉髪 文子
巫女の髪奉書に束ね年用意 みす枝
野水仙天へ峙つ千枚田 靖子
冬ぬくし神の座れる石一つ ただし
一挙手が一投足が老師走 清女
水仙の崖降りて来る背負籠 昭子
焼藷の指楽しげに熱さうに みす枝
寒鯉も人も沈めば浮かぶとも 世詩明
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月11日
なかみち句会
栗林圭魚選 特選句
番犬の尾と耳硬く冬の月 美貴
電飾の並木の途切れ冬の月 三無
星落ちてゆく島の夜に湯ざめせり 貴薫
後より足音せまる冬の月 あき子
ふとん屋の錆びたる看板冬の月 美貴
稜線の影くつきりと冬の月 せつこ
冬の月出でし港に汽笛の音 貴薫
杜深く出づるや冬の月煌々 聰
湯冷めとは髪の先より始まりぬ 貴薫
仰ぎ見る鉄塔の先冬の月 せつこ
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月12日
萩花鳥句会
枝折戸を押せばたまりし落葉鳴る 小勇
猫の眼の一の字になる日向ぼこ 祐子
抗すべて鵜が占領す冬の川 孝士
遠方の友も戻りて納句座 美恵子
銀杏の後生茶碗の蒸し地獄 健雄
これまでの私を忘れ日向ぼこ 吉之
そのうちに日向ぼこして読書して 陽子
かいつぶり思ひもよらぬ所より 晴子
楽器みなみがきあげられ冬休 圭三
忘年会いつもの顔の揃ひけり 克弘
平成29年12月15日
芦原花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
時雨れるや喪中のハガキ手に重く 由紀子
冬晴れの光遍く田を渡り よみ子
雪雲とわかる早さで迫りくる 由紀子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月16日
伊藤柏翠俳句記念館
坊城俊樹選 特選句
雨静か故山の眠り深めゆく かづを
築城の哀史と語る虎落笛 かづを
冬帝の意のままとなる越路かな かづを
聖夜劇吾子は鈴振り台詞なし みす枝
背負籠の水仙刈女転げさう みす枝
聞き返し頷き合ひて日向ぼこ みす枝
夕時雨読めぬ扁額色失せて やす香
雲一つなくて始まる障子貼り ただし
幾度も引返し鳴る鰤起し 雪
知りつくす村の隅々木の葉髪 世詩明
田の中の蟬丸塚にどかと雪 世詩明
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月17日
風月句会
坊城俊樹選 特選句
縄文人よりの馳走と鬼胡桃 眞知子
丸窓に白き日のあり日短 炳子
焼藷をほほばる空の青さかな ます江
炉けむりに噎せ茅葺に畏まる 炳子
火の神へ捧げるやうに狩のもの 眞知子
胡桃割る石器のごときものをもて 眞知子
落葉しきり少女と踊る一輪車 久子
遺跡野の焚火や青き煙立て 圭魚
冬帝を背ナに負ひつつ火を起こす 眞知子
焼藷の湯気縄文の野に放ち 圭魚
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
榾の火を整へ森番語部に 亜栄子
焼藷をほほばる空の青さかな ます江
いきり立つ榾の炎を見詰めをり 秋尚
冬薔薇日差重たく彩揺らす 亜栄子
川の字に並べし榾の良く燃えて 淸流
磨かれし明治のガラス隙間風 亜栄子
端正な鼻に皺寄せ榾火吹く 炳子
人の輪が焚火大きくしてゐたる 千種
少しづつ魂ほどく日向ぼこ 秋尚
湧水も涸れ鎮まれる森の中 貴薫
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月20日
福井花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
吉凶を占ふ如く狂ひ花 世詩明
大棉の消え村人の一人消ゆ 世詩明
年忘星の銀座に迎へられ 牧羊
三姉妹身の丈印す古暦 嘉子
埋火を炎となせる女かな 令子
饒舌が嚔一つで止みにけり 千代子
憂き事の無きと云ふ嘘年の暮 清女
枝川に黒影映し枯尾花 啓子
柱時計時をつげをり古暦 よしのり
水仙を挿せば野の香と潮の香と よしのり
鰭酒が待つてゐるてふ古き文 雪
綿虫の飛んで木曾塚芭蕉塚 雪
木枯や海の裏声表声 龍聲
冬帝の下に三川海へ出る 龍聲
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月21日
鯖江花鳥俳句会
考へる如く傾きゐるりんご 雪
棍棒にでもなりさうな山の芋 雪
家毀つ音極月の路地奥に 雪
解脱せし聖者の如し一枯木 越堂
海鳴りが山鳴りを呼ぶ寒さかな 越堂
灯台の白より白し野水仙 信子
雪吊の天辺風の絡まりぬ 信子
これよりは冬帝まかせ北国路 みす枝
本堂の刃の如き隙間風 みす枝
雪嶺に谺す音やたたき漁 みす枝
編みあげて被るあてなし冬帽子 紀代美
夜咄す爺在すかに囲炉裏端 一涓
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月21日
九州花鳥会
坊城俊樹選 特選句
クリスマスその足音に耳澄まし 朝子
聖夜餐ラストダンスの余韻なほ 美穂
聖堂の火影に揺るる冬薔薇 久美子
一人居に足音もなく聖夜来る 由紀子
竜の玉聖なる青き彩こぼす 阿佐美
聖樹とし大都会へと伐り出さる 光子
胎動のよろこび指にクリスマス 朝子
クリスマス記憶にいつも父の留守 久美子
聖夜劇星が跳んだり歌つたり 豊子
炉話の恋に及びて火の爆ぜる 孝子
花柊まなうらにある聖ガラシヤ 美穂
聖堂の屋根聳え立つ冬銀河 朝子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月24日
花鳥月例会
坊城俊樹選 特選句
軍馬像水を請ふやも冬ざれに ゆう子
雨すらも降るものとして聖夜待つ 小鳥
大前に煤逃の人畏みて 要
冬帝や濠の底なる根の眠り 慶月
十字架を残して��の凍ててをり 眞知子
軍馬軍犬星凍つる夜を立てり 政江
冬帝に押し潰されて池昏し 梓渕
氷魚めきしものきらきらと冬ざるる 炳子
祈る手に葱の香や降誕祭 眞理子
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
祈る手に葱の香や降誕祭 眞理子
巫女の風ささと過ぎゆく冬ざくら 順子
歳晩の影うすくして能舞台 て津子
日輪を雲に滲ませ枯蓮 斉
十字架を残して雲の凍ててをり 眞知子
大絵馬の白木すがしや春支度 和子
まんさくの冬芽まあるく刻を待つ 眞理子
極月のチャペルへ坂の岐れけり 順子
凍雲や重き扉の櫓門 秋尚
曇天へ紅く尖りて冬木の芽 芙佐子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月
県民会館花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
漣を褥に鴨の陣浮寝 越堂
赫々と九頭竜河口冬に入る 龍聲
亡き子の背記す柱や十三夜 雪
鴨番屋砲列を敷く遠眼鏡 越堂
菊師来るみちのく訛りなつかしき 雪
白山を序章としたる冬初め 龍聲
思ふ様に動けなくても十二月 清女
還らざる十一月の日を呼べり 龍聲
眉墨の深く刷くなり年用意 数幸
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月
花鳥さざれ会
坊城俊樹選 特選句
海は荒れ山は眠りに入りけり 越堂
漱石忌眩しからざる御堂の灯 匠
御製二首諳じてをり寒灯下 清女
女には女の老や近松忌 雪
弥陀様に観音様に年惜しむ 千代子
シベリヤの棒を咥へて雁渡る 天空
炎踏む如くに踏める櫨紅葉 雪
星空に投網せしごと大枯木 越堂
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年11月1日
立待花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
漁舟今宵は月の客を乗せ 越堂
振り返るときに穂先の風光る 越堂
天台の古刹の闇を木菟鳴ける 越堂
石榴皆弾け笑へど村貧し 世詩明
山粧ふ野仏飾る袈裟新た 輝一
(順不同 特選句のみ掲載)
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10月の各地句会報
平成29年10月の特選句
坊城俊樹選
栗林圭魚選 栗林眞知子選 岡田順子選
平成29年10月4日
さくら花鳥句会
栗林眞知子選 特選句
いただきし短冊見つめ月の秋 光子
昼時の赤子泣く声秋うらら 登美子
冬支度ぐづり泣く子を宥めつつ 実加
パラパラと譜面を送る律の風 登美子
秋寒に老猫の早や丸まりぬ 紀子
夜の空広がりてゐる刈田かな 紀子
十月や影となる場所変はりたる 紀子
祖母の手が小さく見ゆる熟柿 裕子
秋雨や窓を見る子の背中かな 裕子
待宵の雲の流るる松の影 みえこ
新米の減らぬ単身赴任夫 実加
名月や君は黄蘗色に浮く 登美子
図書館に小説虹あり秋の昼 令子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月5日
鳥取花鳥会
岡田順子選 特選句
声上げて萩のトンネル潜る子ら 俊子
虫の音に呼吸合はせて聞いてをり 都
女子寮に移りし勤務秋惜しむ 幸子
寺号碑の肩に零れて式部の実 幹也
青天や熟して石榴の笑ひをり 和子
館に入る青き瓢に声かけて 栄子
朝より微熱続くに鳥渡る 悦子
遠景と近景踏まへ松手入 史子
爽やかに引退宣し措く鋏 益恵
水底の芥絡みて澄める水 立子
栗ゆでる少し間のあり俳誌読む すみ子
木犀や彼女のゐなくなりし家 美智子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月5日
三日の月句会
坊城俊樹選 特選句
四阿も時に小鳥の乱舞場 牧羊
大空に楽の音こぼし小鳥来る 牧羊
紅葉燃ゆ奥に俳句の神在す 牧羊
帰り来る猫の背濡らす秋時雨 喜代子
乾きたる音のみ残し桐一葉 都
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月5日
県民会館花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
中天に魂浮かむかに十三夜 和子
方寸の窓開け放ち城小春 龍聲
神の留守空欲しいままアドバルーン 清女
団子喰ふ女と我と小春かな 天空
囲碁教室俳句教室秋灯 雪
五ケ浦を守る神島神の留守 千代子
十三夜兎の足のかけてをり 清女
諸友に住む北国の萩と月 龍聲
邯鄲や鳴く声床し闇淋し 千代子
御句碑に届くや秋の潮頭 和子
俳人の顔で今宵の月を見る 和子
赤とんぼ頭に止まる師の写真 雪
一輪の菊ふくよかなにじり口 雪子
水澄める流れに影し花白し 秋野風
川霧の底より晴れて鴨の声 龍聲
渡り鳥大九頭竜を遡る 秋野風
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月7日
武生花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
風誘ひ風を吐き出す秋桜 みす枝
綱引きに引つぱり出され秋高し 昭女
越前の菊人形に歌劇団 世詩明
秋灯下一瞬光る麻酔針 ただし
一勢に蕾火を噴き曼珠沙華 雪
コスモスに車体触れゆく小浜線 昭女
どこへ行くともなき杖のふと秋思 八重
夜霧込め裏日野眠り深かりし 越堂
美しき頤のぞく踊り笠 昭女
曼珠沙華志功の菩薩立たせたし 昭女
山の端をくぼめ名月煌々と 時江
名月を背負ひて尊徳像立てり 信子
山の端を月白なぞり染めて来し 時江
茜雲失せ徐ろに月現るる 信子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月7日
零の会
坊城俊樹選 特選句
秋霖や口角を上ぐマリア像 ラズリ
国賓の残り香として秋気満つ 三郎
シャンデリア鏡の中に長き夜を 光子
ミサを待つヴェールに秋の灯の白く 和子
噴水の音ぬれながら秋澄める 伊豫
秋灯のひとつぶまでも磨かれて 千種
ゴブランの金風として花鳥の間 三郎
宮殿の窓より秋の日章旗 順子
神の子を抱くかひなの露けしく 要
国賓をもてなさむとて鳴く虫よ 淸流
大いなる鏡に吾のうそ寒く 千種
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月9日
なかみち句会
栗林圭魚選 特選句
秋澄みて枝ふんはりと雁草 せつこ
小刻みに釣舟草の揺れる沼 ます江
穏やかな声となりけり秋の蟬 白陶
色かへぬおろちの松の鱗かな 有有
蜘蛛の網を避けて揺れをる芒かな 有有
吟行や美男葛と空の青 エイ子
名にし負ふ松の影置く池の秋 怜
茶の花の静かに残る蕊美しき あき子
砂利道に紛れる木の実きゆつと鳴り 三無
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月10日
萩花鳥句会
洋服を着て靴を履く案山子かな 牛子
新米の銀に輝く塩むすび 孝士
台地にはバイク走りて天高し 七重
かはいいと指差す野菊背の高さ 美恵子
秋彼岸いつしか父の話題なく 吉之
来し方を思へばドラマめく秋夜 陽子
花芒風の光となりにけり 圭三
下校児の野菊の径を遊びつつ 克弘
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月14日
枡形句会
栗林圭魚選 特選句
稲刈の畦に酢飯の曲げわつぱ ゆう子
秋の野を句座に移して静かなり 瑞枝
秋日和船人となり初島へ 多美女
山茶花や枡形城址道標 亜栄子
忌の近き句碑懇ろに烏瓜 文英
八十路なる夫の秋思を思ひけり 清子
うす雲のただなかにして十三夜 美枝子
新蕎麦に少し背筋を伸ばしをり 白陶
日々こなすただそれだけに秋深む 教子
コンバイン大地のみ込む田刈かな 多美女
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月15日
風月句会報
坊城俊樹選 特選句
秋霖をなだめるやうに鎖樋 圭魚
秋声や広縁にある虫の穴 久子
花芒縄文の世の枝折りとす 炳子
雨脚の隙間はありや秋薔薇 ゆう子
薄紅葉未だに水には映らざる 佑天
鴨渡り来て蹼にじつと座す 斉
無表情のうつぼかづらと秋惜しむ ゆう子
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
秋雨にじんわり溶けてゆく煙 秋尚
雨だれの軒にしばしの秋惜しむ 炳子
枝をつまむ指の先まで末枯れて 俊樹
秋声や広縁にある虫の穴 久子
深秋の客なき店に雨とジャズ 千種
雨に色磨き直して式部の実 秋尚
流し場に禿びた束子やうそ寒し 眞知子
秋雨やコーヒーの香にジャズ溶し 秋尚
秋のばらかをりに仄と疲れ見ゆ ゆう子
燃え殻の白く烟つて秋深む 政江
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月16日
伊藤柏翠俳句記念館
さんざめく虹屋の昔浮寝鳥 雪
野良生えの冬瓜ごろと一つかな 雪
人形の身形直して菊師去る 英美子
コスモスの揺れても匂ひなかりけり 富子
空海の沖高々と鳥渡る スヱ子
欄干の底黒々と十六夜 八重
赤い羽根つけてバイクの僧走る 文子
望月をかかげて寺苑静もれる 富美
名月や往きと帰りは別の径 世詩明
平成29年10月18日
福井花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
鰯雲東尋坊の沖遥か 牧羊
秋深し軒端に増ゆるものの影 嘉子
門灯に夫待つ影の秋深し 昭子
棹のばし母の生家の柿を捥ぐ 昭子
虫の夜や家に父母在はすかと 令子
鵙高音碧天に伸ぶ枝の先 美代
十六夜を雲の重たくして居りぬ 雪
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月21日
鯖江花鳥俳句会
花野ゆく舟に揺られてゆく如く 越堂
昼の虫ほしいままなる廃寺跡 越堂
忌を修す出水汚れの石田橋 ただし
名月を星遠まきにしてをりぬ 信子
廃校の錆びし鉄棒赤のまま 信子
ふと何に目覚むや闇を見て秋思 一涓
不動明王の剣に秋日濃き 雪
築山と云へば築山虫しぐれ 雪
銀漢の雫の如く山の灯 世詩明
平成29年10月22日
花鳥月例会
坊城俊樹選 特選句
台風裡図太く立てる大鳥居 梓渕
秋雨の垂るるをめざし蠕動す 眞理子
雨しとど菊の匂ひの消ゆるほど 悠紀子
博士への供花秋雨に色を増す 小鳥
拝殿の冥きの動く秋黴雨 眞知子
大菊のかすかに揺るる遺族へと 慶月
秋雨や神門甘く匂ひたる 和子
晩秋の零戦を背にナチスの話 小鳥
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
雨おもく宿し暗みの薄紅葉 悠紀子
台風裡図太く立てる大鳥居 梓渕
神鏡に目瞑り祈る秋思かな 眞知子
街白く沈めてをりぬ秋の雨 和子
秋霖の音も香もやさし神の杜 眞理子
拝殿の冥きの動く秋黴雨 眞知子
菊御紋のみ耀へる台風裡 俊樹
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月26日
九州花鳥会
坊城俊樹選 特選句
鵙高音空を濁して翔ちにけり 豊子
底ぬけの空を賜り小鳥来る 孝子
谷深き隠れの裔の里神楽 喜和
朝市に買ひしさるぼぼ小鳥来る 由紀子
刈田にも揺れる空あり潦 桂
夜の長し母郷の話母にして 由紀子
虚空蔵は守り本尊小鳥来る 光子
からくりの唐子くるりと秋祭 由紀子
蜑人も知らぬ涯まで鰯雲 豊子
糶屑の雑魚に稚魚群れ葉月潮 佐和
野分立つダビデの星の墓碑の文字 睦子
海彦を恋うて傾るる蜜柑山 洋子
名月を落して青し水鏡 孝子
失くしたる花野に花の耳飾 豊子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月
芦原花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
芦の花そろそろ家に戻らうか 由紀子
鉄塔をさけて名月上りゆく 久美子
橡の実の拾はれぬまま神の杜 よみ子
秋彼岸さがしあぐねし父の遺書 孝子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年10月
花鳥さざれ会
坊城俊樹選 特選句
産湯の井守る路地人佐内の忌 和子
天高し大樹に添ひて佐内像 笑
弱法師に横川は遠し西虚子忌 越堂
佐内へと今日の柏手秋高し 松陰
白山も時雨れて今日は佐内の忌 天空
獄中吟ふと口ずさむ佐内の忌 越堂
断罪の佐内に今朝の鵙猛ける 松陰
(順不同 特選句のみ掲載)
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6月の各地句会報
平成29年6月の特選句
坊城俊樹選
栗林圭魚選 栗林眞知子選 岡田順子選
平成29年6月1日
三日の月句会
坊城俊樹選 特選句
九頭竜の瀬音も春を惜むかに 牧羊
初蝶の二つ戯れ九頭竜に 牧羊
薫風や少し嗜む酒もまた 柏葉
友逝きしこの夕焼の麓かと 喜代子
葉桜や義理ある人の通夜にゆく 都
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月1日
県民会館花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
峠茶屋黒不動守り夏炉守り 越堂
朴散華一揆亡びし古戦場 越堂
黒南風や熊の出さうな峠道 和子
音もなく水光らせて蛇泳ぐ 信子
千尋の谿より湧いて橡の花 千代子
文明に少し遅れて更衣 和子
聖五月腰くねらせて観世音 昭子
十一面観音様も薄暑中 秋野風
新緑の濃淡抜けて来し風に 和子
柳絮とぶ余呉に天女の物語 昭子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月1日
零の会
坊城俊樹選 特選句
ペイントの匂ひの中に三尺寝 彰子
禅林の裏より風鈴の路地へ 小鳥
色町の奥へ薔薇など今様に 順子
朱夏の翳曳く纜の齢かな 三郎
能舞台裏のバイクの梅雨晴るる 三郎
白壁に白き日傘の過ぎるかな 和子
炎天や遊郭跡のてるばうず 彰子
旧道のいはくありげな石涼し 梓渕
鯨塚より風鄙び鬼百合へ 順子
黒南風の九間一尺てふ鯨 美紀
ががんぼはががんぼの影かもしれず 鯨
スケボーは梔子の香をかきわけて 含香
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月6日
さくら花鳥句会
栗林眞知子選 特選句
夏服や傷跡見ゆる膝小僧 登美子
老鶯の里山包みこみて鳴く 紀子
たまにはと母へもてなし新茶汲む 実加
バス待つ間立ちのみコーヒー夏に入る 令子
色褪せし湯飲みに新茶注ぐ母 登美子
万緑の足羽に神の在しけり 寿子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月9日
鳥取花鳥会
岡田順子選 特選句
彩雲を見てをりし間に消える虹 悦子
夏帽の鍔折りあげて沖��見る 美智子
辣韮切る高校生の清し顔 すみ子
読下す教室の声立葵 栄子
浜昼顔群れ海を向く人も向く 悦子
父の日に祝ふ最も合ふ帽子 立子
葉裏にも宿りし光柿若葉 都
夫見取る夾竹桃の赤倦みつつ すみ子
夏霞湖は眠たさうな面 幸子
吾は朝茶月見草は紅さして 悦子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月10日
花鳥花菖蒲俳句会
坊城俊樹選 特選句
花菖蒲平家訛の伝ふ村 千代子
万緑を湖に映してゐる夜明け 嘉子
畝毎に間合のありて花菖蒲 松陰
黒南風が廻す風車とさざ波と 清女
百畝に百の源氏名花菖蒲 越堂
追伸に骨接とあり梅雨じめり 孝子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月10日
枡形句会
栗林圭魚選 特選句
枇杷噛めばぽろりぽろりと種こぼれ 陽子
雲よりも風の兆しの入梅かな 百合子
入梅やスウプの湯気の揺蕩ひぬ ゆう子
子規庵の風を受け���つ梅雨に入る 和代
見納めてふ病院跡地姫女菀 三無
集まりし子等の中心かたつむり 百合子
堂裏のかそけき音や竹落葉 百合子
七七日終へてふる里梅雨に入る 多美女
でで虫の幼な螺旋の色にあり 文英
枇杷剥けば滴り伝ふ香の甘き ゆう子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月10日
風月句会・花鳥月例句会合同句会
坊城俊樹選 特選句
奥山の闇の控へし夏椿 千種
梅雨空を背に黝き軒の鳩 野衣
紫陽花の触るる乳房や法の道 律子
徒花のひとつとてなく七変化 千種
木の蔭の深さを四葩あをき程 野衣
大樹いま青あぢさゐの海流れ 幸子
梅雨寒を溜め骨董の薬瓶 野衣
大棟をしのぐ千古の緑かな 炳子
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
飴色の籐椅子ひとつござれ市 芙佐子
鉄瓶の錆みがく香具師梅雨曇 政江
紫陽花に猫消えてゆく法の山 三無
黴の香にシャムの仏の笑まひかな 眞知子
紫陽花のまだ雨足らぬ色をして 秋尚
梅雨雲を法鼓打ち抜く連打して ゆう子
あぢさゐの藍濃し茎をたわませて 鯨
影引いて重たく揺るる濃紫陽花 秋尚
目も鼻もなき野仏の梅雨湿り 亜栄子
梅雨寒を溜め骨董の薬瓶 野衣
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月12日
武生花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
和紙のれんくぐれば揺れる風知草 昭子
病葉の吹き寄せられて休館日 ミチ子
免鳥も布良も村の名若布干す 雪
終電の棚に夏帽忘れあり 英美子
虫塚に蝶を放ちて虫供養 雪
夏館辞して通るや蓮如道 錦子
雲低く蛇の轢死に出会ひけり 昭女
黒南風や湖面に向きて大風車 錦子
風に消え水に消えさう糸とんぼ みす枝
無住寺の僧を恋しと蟇の啼く 文子
山長者跡と伝へて草茂る 文子
櫛一つさして浴衣のひととなる 昭女
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月12日
なかみち句会
栗林圭魚選 特選句
著莪叢に導かれ来し古寺無住 和魚
胡蝶花林道入口示しをり エイ子
昼寝する犬の鼻面蟻渡る 美貴
蟻の曳くもの縦になり横になる 陽子
ぽんぽんぽん勝ち馬首を叩かれて 和魚
ダービーのウイニングラン空青し 和魚
ダービーの万の響動めき馬は待つ あき子
蟻の道槙の大樹を登りをり 秋尚
木漏れ日のとどきて美しき著莪の花 ます江
勝馬の息に乱れのなかりけり 秋尚
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月13日
萩花鳥句会
四五匹の生れてすぐの目高の子 牛子
天皇の見付けしナスオオギアヤメ 祐子
鵜舟まで設へくれし日田の宿 孝士
ほととぎす時々鳴きて杜若 七重
裏山にほととぎす聞く登り窯 美恵子
皇后の御給桑食み繭に入る 健雄
伴奏のごとき川あり蛍の夜 吉之
万緑に見え隠れして朱の鳥居 晴子
燕の子見守る家主も親心 泰裕
虫たちの楽園となる栗の花 圭三
光琳の屏風絵のごと燕子花 克弘
平成29年6月16日
伊藤柏翠俳句記念館
坊城俊樹選 特選句
緑蔭に銀河と名付く石一つ 雪
一ト木もて大緑蔭をなせる椎 雪
石に又生々流転夏落葉 雪
鷺一羽思案顔して青田中 英美子
草笛の音色の違ふ兄弟 文子
青々とパン工場の蔦の這ふ 美智
閼伽桶の屋号探せる木下闇 一仁
かずら橋一人の身巾川涼し ただし
青山河石に坐れば山動く 世詩明
噴水の風の華燭はざんざ降り 世詩明
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月17日
花鳥さざれ会
坊城俊樹選 特選句
青嵐微動だにせぬ観世音 秋野風
左手は犬の枕になる昼寝 清女
ががんぼの脚辛うじて踏ん張れる 雪
黒南風や精舎を昏め黒仏 秋野風
青空の下に五月の横たはる 龍聲
国神のかみさぶ庭の七変化 龍聲
黒雲の西をとざして麦を刈る 匠
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月21日
福井花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
梅夜干し空に水なき天の川 世詩明
滝壺へ身をのり出してエメラルド 嘉子
滝を見る人に交りて盲導犬 嘉子
続く水信じて落つる滝にかな 昭子
やまかがし鉢植の木となつてゐし 令子
白ゆりを顔のみのこし蓋を閉づ 令子
門灯に群れて乱舞の火取虫 よしのり
白糸の滝百条の水落す よしのり
風鈴に喜怒哀楽を聞くことも 龍聲
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月21日
鯖江花鳥俳句
坊城俊樹選 特選句
橋の上に今日も一人の蛍見る 雪
必殺の草矢一本あれば良し 雪
千畳敷てふ藩廟や夏木立 信子
葦切のひがな大河をほしいまま 一涓
蝿帳を捨てたり母の忌を終へて 一涓
篠笛の音も条々と梅雨に入る 一涓
月光に名残りとどめり甕の墓 ただし
滝壺の割れぬばかりに水落下 ただし
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年6月22日
みどりや花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
満天の星に地上は夏灯 清風
唇なめて祭笛ふく男達 ただし
植田はや風に応へてをりにけり かづを
夕焼に祈らんミレーの絵の如く 越堂
美人画を抜けいでしごと花あやめ 越堂
涼しさや百一歳の絵筆もて 清風
滴りの山の冷気や糸とんぼ 誠
石ころは地球の記憶夏の雨 誠
(順不同 特選句のみ掲載)
5月の句会(追記)
平成29年5月10日
立待花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
水底の天日暗し蝌蚪のひも 越堂
電工夫宙で呼び合ふ五月晴 ただし
花御堂四隅にたれて藤白し ただし
湖の風工房に入れ糸を取る 越堂
新糸の束は真珠の艶もてる 越堂
観世音祀り糸とる村十戸 越堂
どうしても草をひく気になれぬ日も 清女
青くさき思ひ出なりし夏は来ぬ 清風
馥郁と楠の薫るや青揚羽 誠
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年5月13日
札幌花鳥会
坊城俊樹選 特選句
前垂れを更衣して石地蔵 和加
たんぽぽやベンチに残る髪飾り 和加
異国なる沖を犯して烏賊火焚く 岬月
廃校にさくら静かに散りにけり 佳峰
百葉箱塗りなほされて夏めける 美江
書き込みの多き五月の農暦 親子
早起きの牛の寝そべる牧の夏 晶子
鉄骨のぐんぐん伸びて雲の峰 のりこ
初夏の森の彫刻まぶしげに 独舟
チューリップに歌ひかけをり女の子 寛子
(順不同 特選句のみ掲載)
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