#中途半端じゃ煮えたぎらぬ
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29/07/23
会社の近くペルシャ料理屋があって、そこへいくと必ず幸���な気持ちになれる。店内にある大きなタンドールが放つ熱で店内がほかほか暖められていて(背中向かいの席では熱いくらい)、照明は薄暗くて、食事はおいしくて、なんだか居心地がよくて眠くなっちゃう感じ。ワンプレートメニューが大半だが、基本的な組み合わせとしては、バスマティライス、チキンorラムor両方の炭火串焼き、サラダ、焼きトマト、一欠片のバター、が盛り付けられている。若干酢にくぐらせたような風味のする、炭火で焼かれたチキンがお気に入りで毎回それを頼んでいたが、こないだはものすごくラムを食べたい気持ちになって、ラムはあまり好んで食べないけど美味しく食べられるのか心配半分、ラムが美味しいということになったならばそれはさぞかし美味しいだろうという楽しみ半分で店へ向かい、いつものチキンと、ラム(ミンチにしたラムを小さく成形した、ラム苦手な人にとって一番難易度低そうなやつ)が両方乗っているプレートをお願いして、食べたら、ラムが...とっても美味しかった..!
美容師の友だちに髪の毛を切ってもらうようになってから3ヶ月経つ。今回は彼女のお家にお邪魔して、髪を切ってもらって、ビールとおつまみをいただいた。ヘアカット中のBGMは千と千尋で、おつまみは彼女のシェアメイトが作った夕飯の残り物で、ああいう時間がもっと人生の中にあればいいなと思った。またすぐね。
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金曜日に有給を取って3連休を作り、マルタへ旅行した。イギリスは秋みたいに寒いけど、ヨーロッパには記録的な熱波がやってきており、マルタも例外ではなく、空港を出たら暑すぎて、いっぱい歩くのはやめよう..と危険を感じた。マルタには電車がなくて、移動手段はバスだから、3日間で15回くらいバスに乗った。前回のオスロ旅行で、自分の興味関心に基づいて行きたいところをいくつか選んでおくべきだという教訓を得たため、ワイナリーとかレストランとか色々ピックアップしておいたのに、バスが来なくて閉館時間に間に合わないみたいな理由で立てた予定はほとんど全て崩れ、行きたかったところの9割は行ってない。
立てた予定が全て崩れて向かったバスの終点には、イムディー���という静まり返った美しい城塞都市があった。後から調べてみたらマルタ最古の都市で、かつてはマルタの首都だったらしい。なんか普通のマルタの街に到着したなと思ってぷらぷら歩いていたら、お堀じゃないけどお堀みたいな高低差のある場所へ出て、中へ入るととっても別世界だった。旅をしている時(文字通りの旅ではなく、その場に意識があってその場に集中してわくわくしながら歩いている時)は自分の足音が聞こえる、とポールオースターの友だちが言ってたが、わたしは匂いもする。暑すぎるのか、痩せた雀が何羽か道端に転がって死んでいた。馬車馬は装飾のついた口輪と目隠しをされ、頭頂部には長い鳥の羽飾りが付けられていた。御者がヒーハー!と言いながら馬を走らせた。とにかく暑かった。
ほとんど熱中症の状態で夕食を求め入ったレストランで、ちょっとだけ..と飲んだ、キンキンに冷えた小瓶のチスク(マルタのローカル大衆ビール)が美味しくて椅子からころげ落ちた。熱中症なりかけで飲む冷たいビール、どんな夏の瞬間のビールよりうまい。
安いホステルにはエアコン設備などもちろんついていない。さらに、風力強の扇風機が2台回っている4人部屋の、私が寝た2段ベッドの上段だけ空気の溜まり場になっていた。明け方に頭からシャワーを浴びてさらさらになって、そのまま二度寝する。隣のベッドのイタリアから来たかわいらしい女の子2人組が夜遊びから帰ってきて、わたしは出がけに、部屋で少し話す。8年前に来たコミノ島はプライベートビーチのようで素晴らしかったけど、昨日行ったらツーリズム化されていて悲しかった。耳の裏に日焼け止めを塗り忘れて痛くなっちゃったから、あなたは忘れないように。わたしたち今ちょっとおかしいのよ、と言いながらドレスも脱がずにそのままベッドの上で眠ってしまった彼女は天使か何かみたいだった。扇風機をつけたまま部屋を出て行く。
地面がつるつると滑る。
砂のような色をした街並みが広がるマルタにもイケてるコーヒー屋は存在する。これも近代化・画一化の一途かと思うと、微妙な気持ちにもなるが、こういう場所へ来ると息が深く吸えるので有り難くもある。
マルタは3つの主要な島から成る。そのうちのゴゾ島へ行く。首都のバレッタから港までバスで1時間強、フェリーで20分。
フェリーほどいい乗り物はない。売店でビールとクリス��スを買って、デッキへ出て、なるべく人がいない場所で海を眺める。乗船案内と音楽が止んで、フェリーが作る波と風の音しかしない中に佇むと、これでいいような気がしてくる。ビールはあってもなくてもいいけど、フェリーのデッキで飲むビールの味というのがあって、それはめちゃくちゃうまい。
ゴゾ島へ降り立つと、足音と匂いがした。適当に道路沿いを歩いていたら、また別世界に続きそうな脇道があって、進んだらやっぱり別世界だった。ディズニーランドのトムソーヤ島で遊んでる時みたいな気持ちで謎の小屋へ入り、人で満杯のhop on hop offバスを眺めやりながら、人懐こすぎる砂色の猫と涼む。港とは反対側の海辺へ行きたかったのでバスを待つものの、一生来ないため、バス停近くのローカルスーパーを覗く。これといった面白いものは置かれていなくて、見たことある商品ばかりが並んでいた。バスは一生来ない。
バスを降り、水と涼しさを求めて入った地中海レストランは目と鼻の先に浜があり、今回の旅は下調べなしの出会いが素敵だなあとしみじみする。カルパッチョと白身魚のライススープ、プロセッコと、プロセッコの10倍あるでっかい水(笑)。カルパッチョは、生ハムのような薄切りの鮪が敷かれた上に生牡蠣、茹で蛸、海老が盛られていた。鮪は日本で食べるのと同じ味がした。カルパッチョは旨く、プロセッコはぬるく、ライススープは想像と違った。パンに添えられたバターは外気温のせいで分離していた。水が一番おいしかった。
おいしいものとお酒が好きで楽しい。
ヨーロッパ人の色気の正体ってなんなんだろう?アジア人が同じ格好をしてもああはならない。胸元がはだけていてもスカートが風で捲れてもはしたないと全く感じない。むしろロメール作品のようにさえ見える。そもそも'はしたない'という概念がアジア(少なくとも日本)にしか存在しないのではないか?色気って品かと思ってたけどそれは日本だけかもしれない。
地元料理が食べられるワインレストランを夕食に予約してみたらコース一択だった。お昼食べ過ぎてあんまりお腹空いてなかったからちょっと小走りで向かってみる。ラザニア、ムール貝と魚のスープ、うさぎの煮込みなど。人ん家の料理みたいな美味しさだった。マルタのワインはほとんどが島内で消費されるらしい。ゴゾ島の白ワインの感想:暑い村、お絵描きアプリのペンの一番太い線(色はグレーがかった白で透過度50)。食後のグリーンティーは、TWININGSのティーバッグで、お砂糖をいれる選択肢が与えられて、洋風の装飾がたっぷりついた受��皿付きの薄いカップと共にポットで提供された。カップの底に描かれた静物画のような果物が綺麗でうっとりした。
どこにでもあるような早朝からやってるスタンドでドーナツとオレンジジュースとコーヒー。扇風機に当たり続けていたいが荷物をまとめて宿を出る。行きたい街へ向かうバスが一生来ないため、行きたい街に名前が似てる街が行き先に表示されているバスに適当に乗ったら、行きたい街より30度北へ行くバスだった。でもやっぱり行きたい街へ行きたかったので、30度北の街へほとんど到着してからバスを乗り換え行きたい街へ向かったが、Googleマップの示すバス停へは行かず、行きたい街を通過してしまったため、行きたい街から30度南の街に降り立つこととなった。海辺でチスクを飲みながらメカジキを食べた。暑すぎて肌着1枚だった。店先のガラスに映る自分に目をやると、いわゆるバックパッカーの様相をしていた。
空港行きのバスだけは遅延なくスムーズに来て着く。肌着状態からシャツを身につけ普段の姿(?)に戻ると、途端に具合が悪くなった。日に当たりすぎたみたい。お土産を買ってセキュリティを通過し、充電スポットの近くに座って搭乗を待っていたら、すぐそばにグランドピアノがあることに気がついた。誰か上手な人が演奏しないかしらと思っていたら、青年によるリサイタルが始まった。父親が彼を呼びにやってくるまで、クラシックからビートルズまで5-6曲。思わぬ良い時間だった。
都市に住むと、旅行から帰ってくる時安心する。
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会社の人たち語録 ・やりたいことたくさんあるけど、今はやりたくないです。 ・返事がないのはいい知らせではないので。 ・Are you alright? まあまあ、ぼちぼち。
夕方、商店街へ買い出しに行く時がすごく幸せ。食べたいと思うものしか買わなかった時は特に幸せ。ぱつっと瑞々しい野菜、ちょっといいパスタ、ジャケ買いしたクラフトビール、好きな板チョコ。そんでキッチン飲酒しながらご飯作る。ビールを開けて一口目を飲むまでの間だけは音楽を止めるというのにはまっていて、そういえばフェリーのデッキで乗船案内とBGMが止んだ時の感じに似ていなくもない。フラットメイトが、夜中3時まで友人とリビングで遊んでいたり、土曜の夜にパーティへ出かけたりしているのと比較して、わたしが幸せ感じてるポイントは内向的だ。
やりたいことが浮かぶ。それをやる前に、比較対象の選択肢や判断軸を不必要なほど増やしてしまいがちだが、最適な選択を選び取ることよりも、やりたいと思う気持ちを満たすことの方が幸せなんじゃないか?
色々比べて悩んじゃったら「朝から決めてたことだから」って言うとスッと選び取れる!
食材の買い出しで1週間くらいはもつかなと感じるくらいたくさん買っても実際3日もすれば冷蔵庫空になるやつ、悲しさというかやるせなさを覚えるんだけど、こないだ500gパックの美味しそうなミニトマト買った時に、長く保ち続けること(終わりを迎えないようにする、終わりを想像しないようにすること)よりも、きちんと消費する(終わりを気持ちよく迎えること)を考えるようにしたら明るくなれてよかった。終わりって何事にもやってくるもんね。
食の話ばっかり回。
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六篇 上 その五
伏見の京橋から船に乗った弥次郎兵衛と北八。 急な雨に、船を岸に止めることになった。 弥次郎兵衛と北八は、一旦、岸に上がって戻ってくるのだが、船を間違えてしまう。
さてさて何も知らない二人を乗せた船は、船は右にさおさしひだりに綱引きのぼりはやくも、八幡山の先をすぎ淀川を上って夜明けも近い頃に伏見に着いた。 苫(とま)からさしこむ光は白く、鳥の声が朝を告げている。 船着場に着くと乗り合いは、みなみな目をさまして立騒ぎ出す。
北八と弥次郎兵衛も起き出すと他人の笠と風呂敷包みを手に引きさげて、船頭が船と岸の間にかけてくれたあゆみ板を渡って、岸にのぼり 船宿に入った。 遅れて乗り合いの人々が降りてきて船宿に入ってきたが、見知った顔が一人もない。 弥次郎兵衛は、はてこれは不思議と、そこらをうろうろ見回しながら、 「おい、北八。俺に酒を飲ましてくれたじい様は、どうしたんだろう。」 と北八に聞くと、 「そういえば、あの長崎の者や越後の者もみあたらないようだ。 まあ、おおかたここへよらずに行ったんだろう。 俺らはここで、ゆっくり支度してから出かけようや。」 とのんびりしたもの。 この二人は、まだ、元の伏見に戻ってきたことに気がついていない。 「どなたも、食事あげよかいな。」 と、船宿の女中が人々の間を回っている。
「おい、ここへ二膳たのみます。」 と弥次郎兵衛が女中に言うと、 「はいはい。」 と女中が答え奥に引っ込んでしまう。 女中は、両手に膳を持ってくる。 そこには炊き立ての飯に、豆腐を煮た物を浅く平たい椀に盛ってやってくる。 この料理は伏見では、当たり前の料理なのだが、二人は初めて食べるので当然知らない。 もと���り大阪へ着いたとばかり思っていたので、うまい、うまいとぱくついている。
「さて、今日は、これからどうしようか。 まず、長町の分銅河内屋という宿屋へ行って宿を取ってから、すぐに芝居でも見ようじゃあねえか。どうだい。」 と弥次郎兵衛が飯を食べながら、北八に言うと、 「俺は、新町という遊郭を早く見てえな。」 と答える。 「おお、それもいいな。熱っ、ムチャクチャ熱い汁だ。ぺっ。」 と弥次郎兵衛は、ニヤつきながら考えている様子。
さてこの二人のそばに、船から上がってきていた三、四人連れが、同じように支度をしながら、 「太兵衛さん。お前、大阪の虎屋の饅頭はどうしたぞの。」 「まあ、聞いてくれ。けったいなこっちゃ。ほんまに。 昨日、わざわざあそこへ行って買って来て、とんと、大阪の船宿の大佛屋に忘れたわいの。」 太兵衛は頭をかきかき答える。 又、別の一人が、 「つい、ひとっ走り行って取ってごせ。半日もあれば着いてしまう。」 と冗談交じりに言うと、 「ははは、そないな、無理なことを言いなさんな。ははは。」 と苦笑いしている。
この話を聞くとはなしに聞いていた弥次郎兵衛は、不思議そうに、 「もし、あなた方が今言いなさった虎屋というのは、確かに大阪でございやすね。」 と問いかける。 聞かれた男は、 「さよじゃわいの。」 「その虎屋の饅頭を忘れたとおっしゃった大佛屋とやらは、どこにございやすんで。」 とさらに、弥次郎兵衛が聞くと、 「そりゃ、新町橋の西詰めを南へ行くと、四橋付近に出る。」 と男は答える。
「その新町橋を南へ行くとすると、ここからどのくらいでございやすね。」 「ここから、歩いて半日くらいじゃろ。」 それを聞いて弥次郎兵衛は、 「はてなあ、大阪は、思いのほか広い所だのう。北八。」 と北八の方を見る。 「なに、そんなわけがあるはずない。俺らをからかっているんだろう。 ここから、半日もかかってたまるものか。」 と北八は、その男が二人をだましているのだろうと思った。 「いや、お前さんは、ここをどこじゃと思うてじゃ。 ここは、伏見の京橋じゃがな。」 と男が言う。
「なに、伏見だと。こりゃ、北八が言うとおり貴様たちゃ、人をだますもんじゃねえ。 俺らは昨夜、伏見から船に乗って来たんだ。」 と弥次郎兵衛は、北八の言う通りだったかと男に文句をいった。 「何、言わすんなら。桃山の狐にでも、かつがれたんじゃろぞい。 まあいいから、どいときなせえ。」 と饅頭を忘れた太兵衛も加勢する。 「のいてろだあ。それに俺を狐付きとは、どういうこった。 こちとら、江戸っ子だぞ。ばからしい。」 と、北八もまけてない。
このごたごたの最中この大阪者の連れらしき連中が、二、三人駆け寄ってきた。 「なんじゃい、なんじゃい。なに口げんかしてじゃ。 そんなことより、こっちゃ、どえらいめにあおうたわいの。 こいつらが包みを船で無くしたさかい、つい今しがたまで探しとったんじゃが、���然、見つからんわいの。」 と言いながら、ひとりが弥次郎兵衛のかたわらにある包みを見つけ、 「いや、権助さん、あそこにあるわいの。 そやさかいわしが言うたじゃろ。先に上がった者に問うてみやんせと。」 「ほんまじゃ。これじゃ。」 と権助が取り上げようとすると、弥次郎兵衛はさっと後ろに回して、 「こりゃ、何をする。この包みは俺のだ。」 「なにいうてけつかる。おどれら、けしからんこと、はたらきくさるな。 こりゃ見い。風呂敷の端に、わしの名が書いてあるわい。」 と権助に言われて弥次郎兵衛はびっくりしながら、よくよくみれば確かに、自分の包みではない。
これはどうしたことかと、 「ありゃ、こりゃ、間違えた。それ戻しましょう。でも、俺のはどこにある。」 と弥次郎兵衛は辺りをみまわす。 権助は、 「あほんだらじゃ。おどれらの包みを誰がしるもんか。」 と言うのに、 「なるほど。おい、北八。俺らの包みをどうした。」 と弥次郎兵衛は、北八に食って掛かる。 「何いってやがる。 お前、俺の荷物もとって、いっしょにしたじゃねえか。 それを自分のそばに置いといて、どうして俺がそれをしるもんか。」 と北八も、弥次郎兵衛のほうをみる。 「はて、おかしいことだ。」 と弥次郎兵衛は腕組みして、権助らに問いかける。 「もし、本当にここは、伏見にちげいないかね。」 「そうじゃ。」 「ははは、なにをぬかしくさるやら。」 「あの、顔見てやんせ。けったいな奴らじゃ。」 と皆は、口々に言う。
北八はそれでも、さっき馬鹿にされたのが気に食わないので、 「いや、こいつらは信用ならね。」 と小さな声で言っている。 権助が、 「信用するも、しねえもなえ。要するに、おどれらが、あほじゃということじゃ。 こうして包みも戻ってきたことだし、許してやるからさっさと、出ていにくされ。」 と言う。
弥次郎兵衛は、腕組みしたまましきりに首を傾け、 「こりゃとんでもない目にあったが、さっぱりわからねえ。 北八よ。いったいどうなってるんだろう。」 と北八に問いかけると、 「うん。俺にもわからねえ。一体全体、昨夜は、何日だっけ。」 「むむ、昨日か。 昨夜はあの頃に見た月からすると、おおかた、二十四、五日だろう。」 北八が、さらに、 「今月は大の月か、小の月か。で、昨日は、何日だ。」 「それを考えてたところよ。ほれ、どこでかとまった時、甲子だといったじゃあねへか。」 と弥次郎兵衛が思い出しながら答える。
「あの宿屋か。あそこの茶飯はうまかった。」 と北八が、全然関係ないことを言うと、 「そうそう、あん時の牛房の大きさは、今思い出してもよだれがでる。」 と弥次郎兵衛も、関係ないことを思い出す。 周りの連中は、この話を聞きながら、 「わははは、こりゃ、どうでも、あいつらは、気が違ってるようじゃわい。わははは。」 と腹をよじって大笑いしている。
この中でも年上の太兵衛が、しばらく考えて、 「ははあ、わかったぞ。 みるからに、あほそうな二人じゃさかい、人の物を盗むほどの頭は持ち合わせてはおらんじゃろ。」 と二人の方に向き直って、 「こりゃこういうことじゃろ。 お前さんがた、昨夜、伏見から乗らんして途中で、船から用たしでもするつもりで、岸にあがらんしたことがあろがな。」 と、弥次郎兵衛らに話しかける。
つづく。
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. . . . _ 年々図太くなっては耐性がついて 必要な痛みさえも感じられなくなるばかりだが、 相変わらず人との距離感はうまく掴めなくて、 むしろ不器用になっていってる気さえする。 合掌。 _ いつか好きになる日が来るといいなあ、なんてな _ 好きになるときに理由は要らないのに、 嫌いになるときは理由を探しつづける。 摩訶不思議アドベンチャ〜おんぷ _ . . . . . _ #桜 #緋寒桜 #さくら #どう思われようと #嫌われようとも #傷にもならないくらい図太くなったけど #勝手に気を遣いすぎて #勝手にふるえてる #なんか申し訳なさがあるんすな #好きも嫌いも直球がいい #中途半端じゃ煮えたぎらぬ #好きに理由作るとてえへんだよ #好きな理由の対義語を探してさ #嫌いな理由を積み重ねてゆき #最後は積木くずしってね #それはただの気分さってね #君の一番疲れた顔が見たい #誰にも会いたくない顔のそばにいたい #って歌詞センスすぎょい #fishmans #わかるかける5000000 #なちゅらるいずべすと #顔が見たいといいつつ #次はそばにいたいってとこが味噌 #見たいはただの口実でそばにいれたらいいよというロマンティコ #それはただの気分さってなんとなくだよ感がずるい #冗談のように愛を撫でるのずるい #偏屈者解釈 https://www.instagram.com/p/BuMv_zcnkrQ/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=lny43vobpmh3
#桜#緋寒桜#さくら#どう思われようと#嫌われようとも#傷にもならないくらい図太くなったけど#勝手に気を遣いすぎて#勝手にふるえてる#なんか申し訳なさがあるんすな#好きも嫌いも直球がいい#中途半端じゃ煮えたぎらぬ#好きに理由作るとてえへんだよ#好きな理由の対義語を探してさ#嫌いな理由を積み重ねてゆき#最後は積木くずしってね#それはただの気分さってね#君の一番疲れた顔が見たい#誰にも会いたくない顔のそばにいたい#って歌詞センスすぎょい#fishmans#わかるかける5000000#なちゅら��いずべすと#顔が見たいといいつつ#次はそばにいたいってとこが味噌#見たいはただの口実でそばにいれたらいいよというロマンティコ#それはただの気分さってなんとなくだよ感がずるい#冗談のように愛を撫でるのずるい#偏屈者解釈
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2022/9/23〜
9月23日 今日はとにかくいろんなものを見過ぎて、 いろんな表情をつくり過ぎて、 いろんなことを喋り過ぎて、相槌を打ち過ぎて、 目と顔の筋肉と喉が痛い。
初めての逗子の町の、観光地と絶えないほどの、リゾートまで華やかではないけれど、海の町特有の小さいお店がある感じの町のつくりを中途半端に体験して、浜辺で波を見ても全然怖くなくて、気がついたら鎌倉で八幡宮のお参りをしれっとしてしていて、ばちが当たりそう。 人とお話し��時間を過ごすことと、自分が街やその空間を楽しむことを両立できる日はくるのかしら。
アレック・ソスの展示は、思っていたのと違ったけれど楽しめた。 フライヤーの写真とデザインが、あまり今回の作品展と合っていない気がして、予告編だけ好きな映画ってあるかも、と思った。 山間部にハンガーかけやミラーボールをセットして生活している人のインタビュー記事の写真シリーズが好きだった。
とにかく長い時間だった気がする。 我に帰ったのは、行きも帰りも、日暮里駅の2階のサイゼリアの窓際のボックス席を車窓から見た時で「こんな時間(と、いうほどおかしな時間ではない)にサイゼリア…」と、思った時だった。 昔、雷雨で中断した花火大会の帰りに、びしょ濡れで入ったファミレスは、このサイゼリアな気がする!
一緒に展示を見た友人は、子供の話と動物の話をいつもしていて、今日も友達が子供を産んだ話をしたので、彼女自身がそろそろ子供を持つのかな〜、と思っていた。それと、動物が可愛いうんぬん、と言っていて、犬でも飼うんだろうか〜、とも思った(今日は子豚の話をしていたけれど)。
私は出産がどんなものなのか経験してみたいけれど、子育てはしたくないので、他人の子を産めば良いのかな、と考えて、でも倫理的にアウト?
帰り、旦那さんと合流して帰る友人と横浜駅で別れる。いつも私と遊ぶ時、私たちが遊んでいる場所の近くまで旦那さんが来ていたり、待ち合わせのラインを仕切りにしていたり、常に影が見え隠れする感じで、彼女との時間を過ごしている。私はいつか、彼女と2人で遊ぶ待ち合わせの場に、しれっと旦那さんもいて、今日は3人で……みたいなことになったりしないかドキドキしている。
9月24日 人付き合いがだめなターンなので、1時間くらいキュッとおしゃべりするだけでよかった。 今日は、クラシカルなメイド喫茶で本格紅茶を飲んで、人の物件探しに付き添った。
メイド喫茶は、電子ケトルで沸かしたお湯を、高い位置からティーポットへ注いでいて、やかんでなくてケトルで可愛い。
物件探しは、楽しそうなので付き添っちゃお!と思っていたのに、結果、不動産屋ってこの世の嫌い空間わりと上位に入るのでは!と気が付いたのと、人の生活に関わっている暇はない!と、自分の生活のタスクをいろいろ思い出して、先に帰ってきてしまった。
駅の広場でちいかわとサンリオのコラボグッズが売られていた。たくさんの女の子達が本当にちいかわを愛でている!と驚き、友人に報告のメッセージを送る。
メイド喫茶から不動産屋までの移動中、マンスーンさんとすれ違ったのかもしれない…でも人違いかもしれない…ちいかわグッズを見にきていたのかもしれない…テンションが上がっている、と久しぶりに実感した。
9月25日 このところの人間関係の悪態を反省して一日を過ごした。 昨日の雨で、川の水が増大していて、いつも野球やサッカーをしているところまで川が拡幅していた。ボートで何かを捜索している様子もあり、土手からたくさんの人が見ていた。
昨日投稿した日記を読み返すと、毎度のことながら誤字だらけ!最近はiPhoneで文字起こしをしているのだけれど、変換の精度が高すぎる(?)。 「うそみたい」→「朝みたい」、「かるいんで」→「辛いんで」、「ぶしょ」→「場所」、「きえないと」→「変えないと」。 読みと異なる変換を一番上に持ってくるのをやめてほしい。でもこれがiPhone的正解ワード。 30歳で変えないと!
9月26日 「落とし物が届いています」と、朝一で内線に電話が届く。ありがとうございます。まるっと落としたパスケース全部が手元に戻ってきた。
文化庁メディア芸術祭の展覧会が今日までだった!毎年、情報収集のために会場へ行っていたけれど、今年はネットで眺めよう、と、マンガ部門の大賞を確認する。北極百貨��?という素敵なタイトルの漫画をKindleでダウンロードしてみた。
9月27日 2日分の洗濯物を溜めて洗濯機を回してみた…!ドキドキ。確かにこちらの方が回し甲斐がありそう。
隣の席の上司から、アメリカのチョコレートをもらう。お姉さんが、アメリカ在住とのことで、日本に一時帰国されているらしい。最近のアメリカは、グルテンフリー 、パレオ、ケト、と健康志向の食事がブーム。マックにはあまり行かない(そもそもマックの値段が高い。ハッピーセットで1000円弱するとか。)とのこと。コーラもみんな飲んでないんだって! プレッツェルのお菓子のパッケージには“BIG TIME FLAVOR”とあり、大きい時間風味…? 大味ってこと?となった。
日本で言う、ハワイアンとかミラノ風とか清涼感とか、味覚以外で食べ物を感じる感覚の表現なのかな。
明日は出張(研修)で、乗ったことのない電車に乗って、行ったことのないところへ行くのでへとへとになってしまうと思う。
9月28日 研修のため、いつもより2時間���い出勤。 朝にいろいろお掃除ができて精神衛生も良くなる。 空港へつながる路線、違う駅名だけど乗り換えできる駅間の30秒くらい歩く町、目印のデイリーヤマザキ、4匹の猫の親子、多分もう全部見ることはないんだと思うものばかりを通過して研修先へ行く。 (帰りに、オンライン研修でしか顔を合わせたことのなかった同期にこのことを話したら、めっちゃわかる、と言ってた。)
幼稚園や小学校の施設のにおいが苦手なので、気持ち悪くなりながら2時間歩き回った。 黒板に、前の授業の板書が残されていて“ゆでる→ものをやわらかくする。ゆで汁は捨てる。 煮る→味をしみこませる”とあり、思わずメモに書き写す。研修の報告レポートには使えない。
“BIG TIME”とは“すげーまじうまい!”的な意味らしい。
乗車駅でメロンくらいの巨大梨が売られていた。下車駅では行方不明の女の子を探すチラシを配っている人がいた。
9月29日 エドワード・レルフの場所性の本を冒頭から読み直し中。目次を見て、興味のある章から読んでいたけれど、ばかみたいに頭から読むと、ちゃんと点と点が繋がるように理解できるところが増えた。 ①物理的なもの②人々の動き③感覚 が、場所を構成していた、①と②は定量的なもので捉えやすいが、③は一概に言えるものがなく捉えにくい。そもそも①②③の相関関係を探ることが重要。 自分を中心とした同心円を描きながら人は移動をし、その円の内にいれるものに人は愛着を持つ。愛着の持てる場所には配慮があり“つつましさ”が、ある。……などなど。
研修のレポートを3枚提出した。 1から自分で文章を作り上げるのは、始めるまで気力がかかるけれど、始まってしまえば添削までずっと楽しいし、良い疲れかたができる。
9月30日 研修のレポートを上司に褒めてもらう。 内容というより、レポートの構成や読みやすさ、伝わりやすさ、独自の視点の効果的な入れどころなど。こういう場の書き物には正解がある気がしていて、それを叩き出してしまった複雑な気持ち。でも褒められるのは嬉しい。
一期下の方とロッカールーム前でおしゃべりした花金の終業後。やっぱり私はこの方がすごく好きなのだと思う。写真を撮りたい!とも思えて、その発見に嬉しくなり帰り道はなんだか明るい気分。
社会の人をみんな嫌いなわけではなくて、その人個人をみてしまって、それでもっと関わりたい!と思ってしまうこともある。
そして、昔からの友人達を撮りたいと思わなくなったのは、新鮮さがなくなってしまったこともあると思う。 たぶん、今日ラインを交換して、「一緒に遊びましょう!」と言い合った時が、一番楽しい時だったかもしれない。 人と関わるときの新鮮さが好きなので、なるべく頻度や距離を、高めず詰め過ぎずにしたい。
やっと粗大ゴミセンターに電話を繋げ予約をした!えらい!
帰り道の遠くの茂みと、私が立っている道の間で、猫が何かを捕食していた。
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九月前半日記
9/1
カレンダーをめくるの儀。今月はコスモスの絵でした。
9/2
長袖ブラウスを下ろした。ハイネックのフリルになっていてかわゆいのじゃ。シウマイブラウスと呼んでいます。
9/3
土砂降りの中おつかいに行ったので帰りに淡水パールのピアスを買いました。バロックパールでかわいいの。傘を買う予定でしたが気にいるのがなくて今日は止した。
9/4
すっかり涼しくなったので花ござからもこもこラグに模様替え。二人で足跡をつけて遊んだ。私はどうやら扁平足になっているようです。
9/5
薔薇の夏剪定をした。ぎりぎりのタイミングですが……。あっちこっちに絡まった枝にぱちぱちと鋏を入れる。秋が深まった頃にお花を見せてね。
9/6
道具屋筋で蒸籠を買ったので色々入れて蒸した。生活のクオリティがワンランクアップだゼ���次は蒸しパン作りたいわね、マーラーカオとかね。白ワインを飲み干して二人で踊りました。
9/7
大好物のファーイーストバザールのドライフィグをとっても久しぶりに食べた。エジプシャンデーツも売っていたけれど何て言う品種なのだろ?ぴょんぬりらさんをフォローしてから棕櫚や椰子に興味が湧いています。
9/8
ぺしょんと疲れたので煙を吸ったり吐いたりした。
9/9
主人がハゼをたくさん釣ってきたので唐揚げと天ぷらでいただく。美味しすぎたのでまた釣りに行ってほしい。真っ赤っかに日焼けしておったけど大丈夫か?
9/10
土曜日は途端に電源が切れる。半日ベッドの上にいた。はよ週休三日にならんかな。
9/11
夜になってから栗の渋皮煮を作り出してしまった。アウトドア用ナイフは面白いくらい切れ味が良い。たくさんできたから栗のおやつを作りたいと思います。手始めにパウンドケーキかな。久しぶりに牧場でソフトクリームを食べた日だった。
9/12
実家から葡萄やピーマンや茄子が届く。新米は収穫が終わって乾燥中らしい。来月にはぴかぴかのご飯が食べられる!
9/13
メディヒールのティーツリーフェイスマスクを試してみたら、お肌が落ち着く感じで良い。もうちょっと保湿が欲しいかな。朝も夜も使いたいのでこれは!という一品を探している。
9/14
前髪切りたい欲がウズウズしたので美容院予約。ついでにカラーも変えたい。チョコレートブラウンとかマロンベージュとか。秋っておしゃれが捗りますね。フットネイルは血のような赤にしてもらいました。
9/15
蒸籠で蒸すとなんでもおいしいという大発見をしました。三連休、何蒸そうかなー。おうち飲茶がしたい。
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生者に穢されて(下)
「それはつまり、葬儀会社に骨壺の処分を押し付けられたのではないでしょうか」
数日後。調査会議に参加した際に、私はこの様に発言しました。
「骨壺の移し替え自体は、式が始まる前に起こる事もあります。移し替えられた後の骨壺の処理は、葬儀会社が請け負う事が普通ですが、それがうちのゴミ捨て場にあったというのは、つまりは……そういう事だと思うのですが……」
それに周りは、「さもありなん」と、頷き合いました。事実、葬儀会社は、生花業者を下に見る事があり、言葉遣いが粗暴だったり、また使用人の様にこき使ったり、無茶ぶりを言う事も多かったからです。そうだとすれば、骨壺を捨てた人とは、うちの従業員の誰か、という事になります。
幸い、骨壺には名前が記載されていたので、その名前から担当者を突き止める事が出来ました。それを仮にAさんとします。しかし、Aさんはその道二十年のベテランであり、誰にも言わないで骨壺をゴミ捨て場に捨てる、という悪手を取るとは思えず、皆は納得しませんでした。
では、Aさんでないとするなら一体誰なのか――、うつ病が故に、動揺や感情が入らない私の頭は皮肉にも、冷静にそして冷徹にその正体を読み取りました。
「なら、Aさんと一緒に仕事をした、派遣の誰かもしれませんね」
Aさんはベテランで仕事慣れしているだけでなく、人柄が良い事で評判でした。だから、配送部はAさんの付き人として、まだ若い初心者の派遣さんを選ぶ傾向がありました。
「だとしたら、葬儀会社がその不慣れを目ざとく見抜いて押し付ける事もあるでしょうし、初心者だからどう対処すればいいか分からないまま、ゴミ箱にこっそり捨てたのでしょう。そしたら辻褄も合います」
そうした推理の基に派遣会社に問い合わせてみると、その読みは見事に当たり、まだ入社2週間目のアルバイターが骨壺を捨てた事が分かりました。それを仮にBさんとします。
Bさんは若くて小柄な女性で、後日会議室に来て貰った時には、背中を丸めてビクビク怯えていました。哀れにも思いつつ、その臆病な性格もまた、一連の騒動の要因になったのかなと思いました。見守るAさんの隣に座るBさんから、それからの事情を聞けば一件落着と思っていたのですが――、彼女の口からは私でも予想しなかった、更に恐ろしい事実が明かされました。
「ええ……?葬儀会社からでなく、喪主から言われたんですか?」
「はい……看板下の花周りを掃除していた時に突然……」
彼女が泣きじゃくりながら語る経緯は、以下の様なものでした。
その時、視線を感じて斎場の中を見た時、斎場の奥、祭壇に飾られた遺影の前で、一人の老婆が手をぶらんぶらと下げながらBさんを見つめていたそうです。その顔はとても常人といえるものでなく、眉は吊り上げ、目は剥いて、血色の悪い下唇を黄ばんだ上歯でぎゅっと噛んでは、何かにすごく怒っている様でした。どういう事だろう、と、Bさんが老婆と目を合わせた瞬間、老婆はその顔のままずんっと前に飛び出しては、覚束ない足取りで走り寄ってBさんに向かってきたそうです。斎場の入り口を飛び出した時をして――、Bさんは骨と皮しかない老婆の手に、骨箱がぶら下がっている事に気づきました。
「これ、いらない!捨てて来て!」
そして、大声でBさんをけん制し、骨壺をBさんの胸に押し付けてきました。当然の事ながらBさんはパニック状態です。
「うちのね!バカ娘がね!こんなね!便器みたいな骨壺をね!選んでね!!周りの皆さんに恥知らずにも程があってね!移し替えたから!捨てて!早く!」
間近に迫られた時、老婆の薄い髪にはフケがびっしりと張り付いて、その喪服の肩にもフケが散らばっていた様です。そして、身体を洗っていない青酸っぱい臭いも漂っていて、その恐怖で何も応えられないBさんに対し、老婆は頭を振り乱して叫びました。
「何で言ウコトキイテクレナイノオッ!!キャアアアアーーーーアアアアアアアッーーー!!ステロッテイッテンデショオッ!!!ステロステロステロステロステロステロステロオオオオオオーーーー!!!キイヤアアアアアーーアアアアアアーーーー!!!アアアアアアアアアアアアアーーーーー!!!!」
終いには、金切り声で叫んで噛みつかんとばかりに命令した様です。その開いた口の中は真っ黒で凄く臭かった、と、Bさんは涙を流しながら答えました。最初はただの異常者かと思ったら、その胸に「喪主」と書かれた名札があった事に、もう訳が分からなくなった、と。
「そして……受け取ってしまったというのですか……?」
「はい……もう、怖くて……でも、勝手に骨壺を受け取ったら、Aさんに怒ら��ると思って、それも凄く怖くて……もう、どうにもこうにも、どうすれば、もう、分からなくって」
それで、何とか「全てなかった事に」出来ないかと、骨箱をこっそり帰りのトラックの中に入れ、戻った後気づかれない様にゴミ捨て場に捨てた、と、いう事だったのです。中途半端に木材の上に置いたのは、さすがに「骨壺」とあって、普通のゴミみたいに投げ捨てるのもなんか怖かったからだと言いました。
どうやら、計り知れない「恐怖」が、彼女に正しい判断を奪ってしまった様でした。その後、Bさんはあんなおかしい老婆がどうして喪主なんかに、と嘆いていましたが、私は、そしてAさんは「それは充分ありえる」と、説明しました。
「例え本人に喪主をする能力がないとしても、体面を立てるために、亡くなった方の奥様が喪主を名乗る事はよくあるのです。Bさんに叫んだのも、身体が不潔だったのも、認知症が原因かもしれません」
「その様子だと、お葬式の準備は実質娘さんが代わりにやっていたんだろうな……それなのに、バカ娘なんて言われてね……かわいそうにね、娘さん……Bさんもね……大変だったね……」
そうして、Bさんへの教諭は終わり、骨壺が捨てられたのは「喪主からの命令だった」と、分かりました。しかし、その事情を担当していた葬儀会社に連絡し、改めて骨壺を引き取ってもらおうと電話した時、葬儀会社の人から激怒されてしまったのです。
「てめえ、何嘘ついてやがんだ!!」
「え、何の事ですか?」
「あの喪主さんはそんな人じゃねーよ!!ずっとニコニコしていて、すげえ優しいバアさんだったぞ!骨壺を俺たちが引き取ろうって時にも、あのバアさんは大事そうに骨壺持ちながら、これでも大事な主人が入っていたものだから、と、涙零しながらとっておこうって言っていたんだ!!それを派遣のソイツが勘違いして、勝手に持ち帰っただけって事だろう!!」
私はそこで初めて、肝が冷える瞬間を味わいました。つまり、Bさんの証言は……、
「自分の不手際を誤魔化す為の嘘だろ!余計な手間かかせやがって!」
「いえ……!あの様子からは、とても嘘をついている様には」
「ああ!?俺たちが嘘をついているとでも言うのか!?付き合いの長い俺たちより、派遣なんかを信じるってのかよ!」
最早、埒があきませんでした。結局葬儀会社は、「そっちの不手際を尻ぬぐいするつもりはない」と、骨壺の引き取りを拒否し、骨壺はこちらで処分する事になりました。
あの一連の騒動は、最後の謎を残しました。
誰かが嘘をついたというのでしょうか。喪主さんだったのか、Bさんだったのか、それとも、骨壺の処理を面倒と思った葬儀会社だったのか。嘘だったにせよ、または嘘ではなく、全てが本当だったによ、そうした生きとし生ける者の強情が、見栄が、保身が、怠惰が――、自分の親族よりも前に、見知らぬ人の骨を私に被らせました。
いえ、被害者ぶるのも傲慢です。この私も紛れもなく、その方の骨を地べたに付かせてしまいました。今でも非常に申し訳なく思います。
骨の主もまさか、普通に働き、結婚し、家族を作り生きた自分の骨の末路が、草花の腐臭漂う花屋のゴミ捨て場に捨てられ、見知らぬ女のスカートにかかる事になろうとは夢にも思わなかったでしょう。
そして、私は忘れる事はないでしょう。群青色の空の下、どす黒い煮汁が染み込み、ぐちゃぐちゃになったオアシスと草花に積み上げられた木材の上、その真ん中に乗せられていた白い骨箱を。そしてそれがまるで、骨箱の主を飾る「祭壇」の様であった事を。
終
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3月に入ってから御言葉で異性の罪、情の罪についてのお話があったので、なんとなく警戒していたのだけれど、やっぱりというか、案の定というか、異性から告白されるというイベントが発生した。
有料記事を読んでいる方は既にご存知の通り、信仰を持つとサタンが堕落させようと必死で信仰者に恋愛イベントを持ち込み出します。
今までモテと無縁だった人でも謎のモテ状態になる。異性の罪が一番重い罪だとサタンは知っているからです。
異性の罪と聞いて有料記事未読の方は何がなにやらだと思うんですけど、神様と疎通して恋人同士になることが本来人間にとっての「幸せ」というものなんだよという話であり、世の中の男女が上手く行かない原因の根本がこれなのです。
アダムとエバがまだ霊的に成長してないのに身体の関係を持ってしまって、人生が狂った。そして彼らは神様が人類の救いの為に立てた中心者でもあったので、人類の運命も狂った。それを聖書の中では木の実を食べたで表現している。ことを私はRaptさんのブログで初めて知りました。
まあ異性の罪についての詳しい話は有料記事をお読み頂くとして、今回どうやって告白イベントをクラッシュして乗り切ったかを書き出し、分析して、自己反省していこうと思います。
告白されたのはコロナ休校で学校に通わなくてもよくなった休校中でした。
そう。私はつい最近まで通学していました。
その前はアルバイトをしていたのですが(アルバイトする前はポルターガイスト現象に見舞われたりしながら半ば世捨て人というか、ニートみたいな感じで、そもそも社会に参加してなかったんだけど、それは人によっては馴染みのない話だからまたの機会に)、
個性才能を発見したいというか、手に職をつけたほうがいいなとか…
いや本音を言うと、御言葉の中に電気的なことや工学的な話が出てくるから、それを理解できるようになりたいなという理由で学生になることにしたのでした。スマホの中身とか仕組みが分からないし、コンピュータやネットの概念が自分の中でフワッとしていたからです。
私はもともと小さい頃は図鑑を読んだり図工をしたりするのが好きで、小学校では本ばかり読んでいたし(バレエもやってたけど)、中学では美術をやって、高校は霊現象に見舞われてたから中退したけど美術部の先生には入部を誘われていた(寮生で門限とかもあったから入れなかったわけだけど…)所謂どっちかといえば文系人間であった。
でも今回通ったのは理系分野だったので、もう、それはそれは未知の世界だったわけなのですが、意外や意外、文系は設計などのモノ作りの世界に向いてるっぽい?
いや、単に神様がそう導いてくれただけの可能性のが強い?
入学試験の日に面接があって、面接官をやっていた先生たちが「女の人他にいないけど大丈夫ですか?」って訊いてきたので、「え?女の人だと困る事例が今までにあったのでしょうか?」って訊き返したら、「いやそういう話は特にないです」と返されたので、なんだそれは…どういう意図の会話だったのだ…?と疑問に思いました。
一応卒業生に女の人は何人かいるんだけど、学年飛び飛びで発生するからお互いに写真でしか知らない感じです。
最終学年の夏季休暇より前だったかに会社見学先で会った女性の先輩は、2人きりになった瞬間に「女の人1人だけだと大変ですよね…」って切り出してきたから何かあったんだと思う。
そして先生たちには相談できなかったんだと思う。女の人は、いや人は、「この人に相談したところで解決しない」とわかっている相手に相談したりなどしないからである。この先生たちはあまり頼りにならない存在だとみなされていたんだろうなと思う。
私も入学早々話しかけてきた男の人(クラスメイト)相手に頭痛と吐き気を覚えたことがあって、「授業内容に関わること意外で私に話しかけないでもらえますか?何故か頭痛がするんで」と素直に伝えたんですけど(読んでる人は笑ってもいいです)、「え?なんで?いろんな雑談するほうが楽しくない?」みたいにヘラヘラ食い下がってきたし、それから1年くらいはしつこかった。
本当に面倒臭かった。めっちゃ滅びを祈ってた。どうせサタンに主管されてた人だと思ったから。そう、彼が他のクラスメイトと話す内容は大変下品な下ネタか、目下年下の人間を見下す高圧的で卑劣なもので、あと無い学歴で高学歴マウントをとろうとする(たまにいるよねこういう謎の行為するやつ)などの老害行為とか、とにかくこの世の地獄のような思想を煮詰めた煮こごりみたいな人だった。
そんでその下品な男の人は1年くらいして、ようやく私のことを「最初から生理的に受け付けなかったし」と言って避けるように(無視するように?)なってくれた。私はそれまでずっと「好き嫌いという以前に、人として生理的に受け付けないので関わりたくないです」とめげずに伝え続けてきたので、その台詞はパクリでは?と思いながらも、あと最初からそう思ってくれて話しかけないでくれていたなら私も楽だったのに…とか相手の発言に矛盾を感じながらも喜びました。
今まであなたによって発生してしまった無駄な時間はなんだったんだろうな?あとあなたが勝手にメルカリに出品した私が制作したキーホルダーも返してくれると嬉しかったけどそれは返してくれないのな?(追記:返してもらえませんでした)まあいいよ悪人が離れてくれればそれで。この世の物品など平和な生活に比べたらなんてことないぜ。
そんなこんなで、私は紅一点ながらも下心を持った男の人には塩対応する部分をみんなに見せてきたので、その後謎アタックしてくる人や、謎アプローチしてくる人はいなくなりました。他の科の頭のおかしい人が名前を連呼しながら横を通過したりとかはあったけど、その他は概ね平和に過ごせたと思う。
男子生徒と女子生徒で態度変えるタイプの男の先生たちからは「人使いが荒い」と言われていたし、クラスメイトにも「まあ…あの人はクレイジーだから…」とか「誰よりも男らしい」とか言われていたので、まあ大丈夫だろう、みたいな。
まあ大丈夫じゃなかったことが今回発覚したんだけど。
突然の休校が決まったのはニュースで臨時休校が話題になってからずっと後で、その前は周りに建っている小中学校や高校が休みになる中うちの学校はというと、スカイプを使ってのんびり他校とロボットカーレース的なことをしていた。
会社によってはリモートワークの環境作りに四苦八苦していたようだけど、流石は電気系の先生が多めの学校というか、大会におけるスカイプ空間は学校の設備と先生たちの私物によってサクサク構築されていった。やっぱり最近売れてる自撮り用の小さいながらも高性能なカメラは便利そうである。結構高いみたいだし、海外製は当たりハズレもあるみたいだけど。
そんな感じでのんびり過ごしていたのに突然休校することになったのは周り(東京都の偉い人とか)の目を気にして焦ったからなのか?
ちなみに学校から感染者は1人も出ていないし、もちろんインフルすら出てない。
まあコロナはインフルなのでパンデミックの報道はデマなんだけど、学校は男の人ばかりであるせいかみんな基本的に不健康な生活を送っていたので、そういう暮らしを目にすることに私は若干辛みを感じていたので、休暇は素直に嬉しかったです。(なんで男の人は健康な食事にあそこまで無頓着なのだろうか?)
休暇だけど最終学年なので、つまりは卒業であり、ある意味クラスメイト達とはこの先恐らく二度と会わなくなることを意味します。
それでサタンも焦ったのでしょうか?今回は卒業制作を一緒に仕上げた人間から告白されたんですね。
学校最終日、私はいつものように普通に登校しました。
休校になることは突然知らされたので、荷物や教科書を全て持って帰らねばならなくなったこともあり、まあまあ驚きましたが、それ以上に驚いたのがその日はなんとなくカートをゴロゴロ引いて登校してきたので、スムーズに荷物が持って帰れるという偶然でした。(いや、神様は偶然はないと仰っていましたから神様が霊感で持たせて下さったのでしょう。よって私は神様に感謝しました)
それまでの授業ではラズパイでサーバを構築してHPを作る授業が行われていたのですが無事終わったので、持ち込んでたモニタをもって帰ろうと思ってカートを持ってってたんですね。そこで突然の休校です。
午前中は後輩に教室を明け渡す為に作業場を掃除したりして過ごして、午後は後輩たちのプレゼン大会が予定されていて、いつもより授業の始まる時間が遅かったので私は一旦家に帰ることにしました。あとなんか掃除中にヘアゴムが切れてしまってピンチで、そのへんにあった針金で留めていたので、家でまとめ直したかったというのもある。
やばいピンチだ…と針金で留め直してたとき、思い返せば今回告白してきた人が髪を下ろしたらどうなるのか的な質問をしてきて、「どうって、邪魔ですよね。作業するのに」と返したら「そっか」と笑っていたけど、なんか違和感を感じたやり取りだったのだけど、そういうことだったのかね?
思い返せば中学生の頃プールの授業のあとで髪を下ろして乾かしてたら、当時学校にいた私のことを観察する会的な謎の集団がわざわざそれを見にやってきたことがあった。だからそう、こういう髪に関することで注目してくる男の人はもうなんか駄目なんだと思う。そういうことだったのかも。
そんで家に帰ってから髪を留めて、なんとなくハンカチを新しいものに替えて、また学校へと出発しました。
ちなみに家に着いたとき、たまたま祖母が家にいて何故かご飯を炊いていて、「ちょうど出来たから食べていく?」っていうので、いつもはお昼ごはん食べないんだけどその日は食べてから出発したのでした(よってちょっと出���れた)。いつもは一駅歩くのだけど、遅刻は嫌なので駅のホームで電車を待っていたら、若い女の人達が「〇〇駅ってどうやって行くんだっけ?」とワイワイ喋りながらスマホで乗り換え検索しながらこちらに向かってきた。でも〇〇駅は反対方向の電車に乗ってから乗り継がなければならないので声をかけてそれを伝えたら、ちょうど反対側に電車がくるところだったのもあり「ありがとうございます!」と言いながら彼女たちは駆け足でギリギリセーフで乗車していった。(そこで私は思った。ああそうか、それで私は家を出遅れたのかも。神様ありがとう!)
なので学校に着いた時刻はプレゼン予定時刻ギリギリだったんだけど、予定が押したみたいでまだ余裕であった。神様ありがとうございます。
後輩達は私達の学年より真面目な子達が多いので、プレゼンはとてもクオリティが高かった。んだけど中に仏教かぶれの人��いて若干むむってなった。仏教は悪魔崇拝だからです。まあネタ化されてたからガチではないのかもしれないけど。全ての神社仏閣が滅びますように。
最後はなんか、お別れの挨拶をそれぞれ述べて終了という流れになったんだけど、プレゼンを指導していた外部講師の方が今日で十数年に渡る講師活動を終えるとのことで泣きながら色々と思い出を語っていた。熱血タイプの先生なので涙が思いと一緒に溢れてしまったのだろうと思う。私達も突然で驚いたけど色々とタイミングが良すぎである。もういっそ今日が卒業式ってことで良いのではと思った。
お化粧が崩れるのも構わず泣いている先生を見ていて、「そういえば私何故か新しいハンカチ持ってきてたな」と思い出し、そのハンカチを渡した(この時新しいハンカチを持たせて下さったのは間違いなく神様だと思った)。
彼女は潔癖症なので未使用であることを伝えて渡した。「もう学校最後だから洗って返せない。どうしよう!」と言うので、「あげますよ」って言ったら、「洗わないでとっておこうかな(笑)」とか言いだしたので、潔癖症なのにご冗談をと思いながら「いや洗いましょう。何か繁殖しちゃうかもしれないじゃないですか」って返したら「コロナとか?」と笑われたので、私はその流れのまま「コロナはインフルエンザなんですよ」って話をした。
(私最近会う人会う人誰とでもコロナはインフルの話をしているけれど、まだ誰にも否定されたり拒絶されてない。Twitterの工作員とは随分反応が違うよね)
そんなこんなで授業もおわり、作業室で卒業制作で作ったマシンを班員と二人で動かしたりして遊んだ。校長先生を乗せる約束をしていたのにまだ乗せてなくて可愛そうだという話があったので、久々の起動に様子を見ながら発進させてたんだけど、校長を呼んで乗せてたらしばらく動��てマシンは死んだ。
FETが爆発したりしたわけじゃないから、多分ダイオードが死んだとかじゃん?という結論になったんだけど、調べないとわからん…わからんけどもう時間がないので、あとはもう後輩たちが好きにすれば良いんじゃん?ということになった。大掃除のときにモータドライバの同人誌を託したことだし(次回はデジタルアイソレータとか入れてみてほしい)。
校長先生や担任の先生たちとのお喋りも今日で最後か…というわけで、せっかくなのでコロナの画像がサンゴ礁の写真を加工した画像だった説や、タピオカヤクザの話や、蓮舫議員の闇のお婆ちゃん陳杏村の話をした。私は学級日誌でも毎度こんな話しか書いてなかったので先生たちも慣れていたのもあると思うんだけど、割とスムーズに受け入れてくれました。東京都からお金が出てパーツとか買ったりする学校だったけど、都知事をディスったところで咎める者は誰もいなかった。小池百合子はやはり都の職員からも嫌われているのではないか。
このまま興味を持って色々調べるようになってくれれば嬉しいのだがどうだろうか。調べてくれますように。
そして私の知らないところで同性に伝道されるなり、ネットで伝道されるなりすれば良いと思う。
先生たちには「忘れ物があったら取りにおいでね」と言われたけど、学校まではルート的に結構距離があるので、私は「思い出と一緒に置いていきますね」と答えた。そしたら「じゃあ思い出が欲しくなったらいつでも来て下さい」と返されてしまった。グヌヌ被せボケ…
最後まで一緒に残っていたもうひとりのクラスメイトは「あと2時間くらいお話していたいですね!」とか言っていた。勘弁してほしい。
死にかけのマシンはホールに飾られることとなった。
試作の小型機は班員が夜なべして書いたプログラムのお陰か元気に走ったので、最後に走らせて展示場に到着させた。
班員は小型機にゴリアテと名付けようとか言い出して、私はゴリアテ倒す派なので(ダビデの話参照)その場で反対したのだけれど、その後どうなったのかは分からない。今思えば何かの暗示であったのかもしれない。今回告白してきた人間はこの班員であるからである。
そんなこんなで帰りが遅くなってしまったのが良くなかったんじゃないかと今では思う。
校門を出たら外は真っ暗だった。冬だったので星がキラキラしていて大変綺麗で良かったんだけど「星が綺麗ですね…ってもう寝る時間じゃん!」と焦った。私は早く寝て早く起きて祈ったりしたいからです。
さてさよならするぜと班員に別れを告げるとき、私は特に台詞が思い浮かばなかったので、「とりあえず禁煙したら」と言った。彼は��煙者だったからである。そしたら今までは絶対無理とか言っていたのに、今回は珍しく「禁煙外来に行こうと思う」と言い出した。
喫煙者が減ることは良いことだし、そのことは普通に嬉しかったので神様に感謝して、私は家に帰った。
その日は風が強くて、家の近所の庭的な広場に誰かのTシャツが落ちていたので、風向きから推測したマンションに届けに行った…のはいいものの、どこに置けばいいのか分からなかったから、そこら辺にいた住人らしき方に訊いて、エントランスに引っ掛けてきた。住人らしき方は見ず知らずの私にお礼まで言ってくれて、最近世間がピリピリしているというのに、優しく対応してくれてありがとうと思った。
それから1週間くらい経った頃だろうか。なんだか体が重かった。生理でも無いのに日中眠かった。
勉強したくても頭がモヤモヤするというか、お祈りの時間に起きられてもなんだか体が重かった。そういう日が数日続いた。
そんなある日、制作課題用に作ったSNSルームに置きっぱにしていたファイルをダウンロードしようとPCを立ち上げログインしたら、告白文が踊っていた。
いや、その前から就活どう?的な情報交換はしてた(私の就活はゆっくりでギリギリだったので先生やクラスメイトたちが私の代わりに心配していたというのもある)のだが、まさかこれを使って告白されることになるとは。そういう素振りを相手が見せたことがなかったので余計に驚いた。
読んだ瞬間はいつものごとく目眩と吐き気に襲われた。なぜ私は異性に好意を向けられたと認識した途端に吐き気と頭痛がしてくるんだろう?神様を信じるようになってからそうなるようになったのね。霊魂の苦しみが脳を通して肉体に伝わるからでしょうか?その仕組が知りたいのですががが。
ところで異性の罪は重罪なので、思わず「ブルータスお前もなの…?」と呟いてしまった。
霊魂は肉体と違って異性の罪によって、まるでウジやハエや汚物を飲まされているかのような地獄を味わうのだと、以前主が御言葉の中で仰っていました。
相手にこうして罪を犯させるような行動を私はどこかでしてしまっていたのだろうかとか、なんかそんな感じでショックを受けたついでにそのままブルータスについてググったら、なんと告白された日とカエサルが殺された日が同じ3月15日だったので思わず笑ってしまった。
よくイルミナティたちが日付にこだわって重要人物を殺したりするけど、確かその中に3月15日もあった気がする(そういうツイートを前に読んだ気がする)。
サタンが験担ぎして告白させたのかもしれんな。はっはっは…(真顔)
(そういえば志村けんが死にましたね。やっぱり小林麻央が海老蔵に生贄として殺されたみたいな感じで他殺なんでしょうか?)
告白文の内容は概ねこんな感じであった。
最終日にそちらから告白を受けたが(してないんですが?)、過去に色々あって二股かけて失敗しているのと(なんですと!?)、一緒に住んでる腐れ縁のルームメイトが人生に問題を抱えていてこれからも自分が助けになり支えていきたいので(誰のことだ?)、貴方の気持ちには応えたいが応えるわけにはいかないと思った。けれど前から可愛いと思っていたし称賛する気持ちは絶対に伝えたいと思っていたので今回告白に至ったと。その他、私と会うのを楽しみに学校に通っていたこと、可愛さにため息がとまらない(?)、私が小型機を操縦している様がキラキラして見えた(?)、ここ1週間ほど私のことを考えていた、買い物しに車を出して気付けば学校まで運転しておりそのまま夜空を眺め続けてしまった(重症では?)ことなどが書かれていた。
()は私の感想です。
そんで、うーん…?私そもそも告白してないけど?どういうこと???ってなった。
私としては、突然相手が目の前でサンドペーパーを敷きだしたと思ったらそのまま助走をつけて全裸で一気にスライディンクした挙げ句血まみれになりながら「どうもすみませんね…」とヨロヨロ退出していったような、こちらとしては見てはいけないものを見てしまったような、そんな気分である。
というか、1週間念を送られていたから具合が悪かったのかもしれないな…?
なんか頼もしいとか崇高とかいう文字も文章内に組み込まれていたので一応リスペクトしてくれてたっぽいことは分かるんだけど、恋愛フィルターを通してそう見えてただけだと思うと素直に受け取るわけにはいかないですよね。だって正気じゃないんだから。
校長先生が入学当初、学校の仲間は将来同じ分野の仕事仲間にもなるわけだから仲良くして情報交換していくといいよ的なアドバイスをお話してくれてた気がするんだけど、でもそこで相手に恋愛フィルターがかかっちゃったらさ、相手が間違ってるときに情が邪魔して相手を正論でコテンパンにしてあげられないわけだからもうその時点で良き仕事仲間とは言えないじゃん。
それに男の人って(弟もそうなんだけど)相手を褒めるときもそんないちいち褒めたりしないですよね。あっても一言で終わるじゃないですか。「スッゲ」「ヤベえ」「ウケんだけど」「流石ですな」「かっけえ」みたいな。だからこうやってリスペクトしてますよ感出して長文ぶつけてくるときは告白じゃなくとも下心があると疑った方が良いっぽい。よ。
可愛いに関してもよくわからなかったんだけど(私には可愛げがないという定評がある)、告白文を見るに、どうも頑張っていた姿がいじらしく見えたとかそういう意味での可愛いということであったらしい。ということは、男の人に比べたてまだまだ頼りない部分があったために可愛いに繋がってしまったのかもしれない。ネットで調べたところ庇護欲を掻き立てる女性はモテるらしいので、こいつは一人でもやっていけるなと思わせるキャリアウーマン的な女性にならないといかんなこれはと思ったし、反省した。
しかし腑に���ちないのが私が告白したことになっている部分なんだけど、どうも「星が綺麗ですね」と最終日に言ったことが告白と取られたらしいのね。
でも「月が綺麗ですね」は聞いたことがあるけど「星が綺麗ですね」はちょっと聞いたことがない。
それに夏目漱石が「月が綺麗ですね」と言ったという話はデマであることがわかっているし、それを告白に持ってくる現代っ子がどれくらいいるのかね?
わからん。
わからんので調べたら、出てくるわ出てくるわ…
ちょっとバリーエーション増やしすぎじゃない?
これじゃあ異性の前で景観を褒めてはいけないことにならないかい?
しかも「星が綺麗ですね」はタロットが元ネタだと?悪魔崇拝者共め…なんと迷惑な。(ちなみに占いもタロットも、悪魔崇拝からきた文化です)
なので私は告白してないのでそれは勘違いだし、一応漱石はデマだよと伝えた。
(あとうっかりここにたどり着いてこれを読んでる方で陰謀論よくわからない人向けにお知らせしとくと、夏目漱石の名前の由来はフリーメイソンなので、興味が湧いた方は調べてみて下さい。)
あとキラキラして見えるとかため息が止まらないとか深夜徘徊とか目に余る異常行動が気になったのでそっちも調べたんだけど、人は恋に落ちると脳内麻薬が出て、なんかそういう状態になるらしい。
というか、完全に病気だよね。
脳内麻薬で脳が酸欠になるらしい。煙草でも脳は酸欠状態になるっていうのに、お前さんはこのまま死ぬつもりか?
冷静になあれ。
とりあえずセロトニンが不足するとそういう情緒不安定状態になるらしいので、日光浴をおすすめしといた。
そしてSNSからは重要ファイルをサルベージした後離脱した(Twitter��おけるブロックのようなものです)。
しかし業務用のSNSで告白って公私混同って感じで普通にルール違反だと思う。勘違いとは言え、気持ちに応えるわけにはいかないからと理性で踏み留まってくれたのは、有難いっちゃ有難いけれど、結果告白してしまったのでは無意味なのではないか。それは踏み留まれているとは言えないわけで。
恋は病気。
愛は理知。
冬の星が綺麗な理由は太陽が早く沈むから残照の影響が少なく湿度も低いためにその分光がこちらに届くから。
よって、さらばだブルータス。
というか以前「背中を押すのは友人の特権だ」とか発言してたような気がするのだけど、友達だと思ってくれていたのは嘘だったということか?
まあ私は私で男友達ですら御免だしこの先男とはプライベートで仲良くするつもり無いですって言ってたわけだけど、大事なことだからそれ2回くらい伝えたはずなんだけど、聞いてなかったのかねブルータスは。
ちなみに「ブルータスお前もか」は「月が綺麗ですね」と同じく言ってないのに言ったとされてる言葉の一つなのであった。綺麗にオチまでついてしまったのであった…
実はその後、学校に卒業書類貰いに行かなきゃいけない日があって、ちょっと憂鬱だったんだけど、エンカウントしないように祈って早めに登校したら、早めに書類もらえたし、早めに帰れたのでブルータスには会わずに済みました。
神様ありがとうございます!
あと水筒持ってくの忘れたんだけど何故か先生が自販機の飲み物奢ってくれるっていうのでお水を買ってもらえました。
先生ありがとうございました。
おしまい!
帰りが遅くなった最終日、家族が私の身を案じて祈ってくれていたそうである。私は本当に、神様に、みんなに助けられて生きてきたし、今もそうである。感謝します。どうかみんなの信仰生活も守られますように。
今サタンが絶賛大暴れしているそうなので、他の信仰者の方々もゲリラ告白をされたりしているのだろうか。どうか無事に撃退できますように。
あと恋の脳内麻薬は3年くらい出続けるらしいから3年は会わない方がいいっぽい。先生には悪いけど文化祭も行かないほうが良さそう。
異性の罪を犯したときに3年く��い期間を設ける話はもしや脳内麻薬にも関係しているのだろうか?まだまだ分からないことが沢山ありますね。
しかし思いがけずスムーズに荷物が持って帰れたり、知らない人が電車に間に合ったり、奇跡的なタイミングでハンカチを差し出せたからといってなんだっていうんだろう。神様にとって有益かというと、そうでもない。
結局学校は神様に意識を向けて生活し辛い空間だったことが証明されただけなんだと思う。卒業が早まってよかった。それこそ、神様に感謝すべきことだったのではないか。
唯一連絡手段が残された相手と縁が切れたことも、信仰生活を送るうえでとても有難いことであったと思います。ありがとうございました。
あと私は異性からの好意に気付かなさすぎであるということが発覚したので、これからもっと遠巻きにしてもらえるように頑張ろうと思いました。
そして恋愛コラム的なことが書かれているサイトって、全部占いへ誘導するようなものばかりで、この世の中に恋愛の文化を広めたのがサタンであることがよくわかる構図だなと思いました。
人間との恋愛は人間を幸せにはしません。不幸への入り口です。
占いは闇です。何も解決しません。
何事も神様に求めるべきです。神様に相談しましょう。
今回色々あった中で私にとって良かったことって、コロナはインフルだって話ができたことくらいじゃないでしょうか。もっとディープな話をスムーズに展開できるようになりたいですね。
反省!
こうして自分を省みる機会を与えて下さった神様とRaptさんに感謝します。どんなに神様が機会を与えて下さっても、Raptさんの宣布する御言葉がなければ理解できないし、悟れないからです。それから私の為に祈ってくれた方々にも感謝します。本当に命拾いしました。ありがとうございます。
コロナのデマが世界中の人々にバレますように。
あと最近初めて行った公園が心臓の形してる気がした。
そして電車の広告にあった有名テニスプレイヤーの顔がそっくりで、2人は血縁かもしれないと思った。
この春あちこち��歩したけれど、東京都民は都知事の言うことなんて心の底では信じていなくて、パンデミックは演出不足であるなと思った。
だって人がわんさか住んでる団地で1人も感染者出てないし、誰も死んでないし、噂好きなおばさまも誰かが死んだ噂すら聞かないって言ってるし、というか2月も3月も全然救急車来てないし(12月と1月は夜でもバンバン来てたのに。餅かな?)。
都民はみんな訝しがっている。
陽の光を浴びながら元気に遊ぶ子どもたちを見ながら散歩したけど、あれはあれで免疫力がアップしてインフルにかかりにくくなって良いのではないかと思った。
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最近気付くと歯を食いしばっている自分がいる。奥歯と奥歯がガチッと重なって、顎に力が入っている。しかも、ただ歩いているときに気づくのである。あーいかんいかん、こんなところに力入れたって意味ないぞ〜、と、顎を緩める。
そんなことが何度もあったので、少しでも力を抜けたらと、連休に一人で鎌倉に行った。昼過ぎに家を出て、藤沢のホテルに着いたのが16時半。ラウンジの無料のコーヒーをもらって、とりあえずテレビ。エアコンが古くて効きすぎるので、布団にくるまって読書。夜ご飯は、一人で入っても平気なラーメン屋さん。周りは私と同い年ぐらいのスーツ姿のサラリーマンばかり。味玉付きのつけ麺を頼んだら、今日はレディースデイで味玉が海苔が無料でつくと言われる。だったら普通のつけ麺でよかったじゃん、、、と思いつつも味玉2つはいらないので海苔トッピングを頼む。ひまわりの花びらのように海苔に囲まれた麺のどんぶりが届く。海苔をつけ汁に浸すとスープを吸ってふにゃふにゃになるが、つけ麺のつけ汁はしょっぱい。しょっぱい海苔を10枚くらい食べた。
藤沢駅はスーツを着た男の人ばっかりだった。私の住んでいる町は工場で働いている人が多く、ラフな私服で仕事に向かう人が多い。白地のシャツの人をこんなにたくさん見かけるのは新鮮だった。
ホテルに戻って明日の計画を立てる。終わりかけといっても紫陽花の時期だから、人混みを避けるために朝早く出よう。天気予報は雨だけど、江ノ電に乗って海が見たい。
翌朝、6時50分の電車に乗るために6時半にホテルをチェックアウト。予定通りの電車に乗ると、通勤通学の人8割、お一人様観光の人1割、その他1割、といった感じでちょっと安心。江ノ島まで来たら海が見えた。今にも雨が降り出しそうな灰色の空と、同じ色の海に、サーファー多数。そんな居たらぶつかるんじゃないの?ってぐらい居るのだけど、よーく見ていると、波の上でくねくね動く人もいるし、同じ波に3人並んで波に乗ったりしていていて今まで見たサーファーより明らかに上手い。さすが湘南。
鎌倉駅に到着し、コインロッカーに荷物を入れて向かったのは「食堂あさくさ」。7時半に店に行くと、4人分の食べ終えた食器がそのままにしてあるだけで、客はいなかった。羽釜で炊いたご飯と味噌汁、卵のおかずで380円の朝食セット。プラス100円でハムエッグにしてもらった。とにかく米と味噌汁が上手い。英気を養い外へ。雨が降り出していたけど風はなかった。気にせず歩く。
最初に杉本寺という鎌倉でもっと古いお寺へ行く。理由は8時からやってるから。手ぬぐいが可愛かったので1枚買う。近くのお寺があくまでぼーっとする。9時になったので近くの報国寺へ。ここは竹のお庭が有名で、600円払えば竹の庭を眺めながら抹茶も飲める。大学生の頃に姉と妹と3人で鎌倉に行ったときにも来た場所だ。とりあえず庭を眺めてぼーっとする。行く途中に私をレンタサイクルで抜かしていった大学生らしき男子3人組も、綺麗に並んで抹茶を飲んでいる。写経の案内が出ていたので、軽い気持ちでやってみる。薄くお経が印刷された紙を上からなぞっていくのだが、結構疲れる。まだ3行かよ、、足が痺れてくる。ちょこちょこ休憩を挟みながら2時間弱かけて終わらせる(最後は下書きを無視して書いた)。写経には自分の心が表われるらしい。私が書いたお経は、「とにかく無だよ、病気だとか死ぬことだとか不安に思うかもしれないけど、何にもないんだよ、大丈夫だよ」みたいなお経でした。最後に紙をもらえるのかと思っていたら、仏様にお供えすると回収されて終わった。まあ、残ってもいらないか。「願う」とは、と考える。
10分ほど歩いて鎌倉宮へ。中身はあんまり覚えていない。とにかくお腹が空いていたので、鎌倉宮の目の前の蕎麦屋さんでぶっかけそばを食べる。お蕎麦の細さ、ナスの天ぷらの揚げ具合、大根おろしまでとにかく完璧。甘く煮た椎茸とお揚げが美味しかった。わたしもこんな茶色くて地味な煮物が上手い女になりたい。
蕎麦屋さんで時間を潰し13時に合わせて覚園寺へ。覚園寺は入山料が500円で、50分の解説付きという今どき珍しいスタイルのお寺。つまりはお寺の人と一緒じゃないと中には入れないのである。しかも撮影厳禁。それだけ仏像やお庭を守りたいという気持ちがあって、しかも話のネタがあるのだろうと気になって行った。同じ時間帯には80歳前後の女性とその娘さん、カメラを首にぶら下げた40代後半ぐらい男性が一緒だったが、おじさんは撮影厳禁と聞いて帰っていった。結局女3人で案内役のおじさんの話を聞く。明らかにタバコの吸いすぎであろう息切れで、話が聞き取りづらく、途中で途切れる。全部聞こえなくても鎌倉時代の歴史の流れは詳しく知らないので別にいい。長い年月をかけて大きな木で出来た仏像を作ったり、天井に絵を描いた人たちのことを考える。大きな薬師如来の脇に、潰されたお寺から救ってきたという小さな阿弥陀様がいて、川端康成が死ぬ前の日にじっとその像の前で動かなかったらしい。文豪と呼ばれた人たちの作品はちゃんと読んだことがないけど、読んでみようかなと思う。
亡くなった人は、何度も王の裁きを受けて来世の行き先が決まるらしい。そのあいだ、残された人たちは亡くなった人を供養するのだけど、良いことを伝えてあげるといいらしい。「あんなに小さかった子が大きくなりましたよ」だとか。お願いごとをするんじゃなくて、良い報告をしてあげるんだと。その考え方は何だか好きだ。今度お墓で手を合わせるときにはそうしよう。
あっというまの1時間を終えて、駅の方角に向かって歩く。鶴岡八幡宮の前の交差点は渋谷並みに人が居て、引く。お土産を買うために歩いた小町通りでどっと疲れた。どこかでコーヒーでも飲みながら休憩するつもりだったけど一刻も早く鎌倉を出たくなり、東京から出���高速バスの予約を変更し、早めに帰ることにした。
電車の中で寝る。早く家に帰って寝たくてうずうずする。お腹が空いていると車酔いするのでサンドイッチを食べて高速バスへ。事故渋滞でノロノロ動くバスの中で本を読んだ。今回の旅に持ってきていたのは石川直樹さんの「極北へ」と、柳田國男さんのエッセイをまとめた本。直樹さんの本は2回目のデナリ登頂の章が面白かった。直樹さんは、いろんなことを成し遂げているのに屈強な男じゃないところが面白い。そして、自分はそういうのじゃないから、ってわかっていて、自分に合った生き方とやり方で着々と歩んでいるところが尊敬する。やりたいと思うものがあって、うまくいかないときに「自分は向いてない」と諦めることは無いと、この人から学んだと思う。どうやったらうまくいくのかを考えて小さくてもやるだけだと。その気持ちを保つのが難しいんだけど、ふつうにやっている。本当に面白い人。柳田國男のエッセイは、最初の部分で車酔いが始まったので諦めた。
家に着くとホッとする。冷蔵庫にあった野菜を細かく切って鍋に放り込み、ほぼ具で埋まる味噌汁を作って食べた。朝ごはんに食べた味噌汁と味は違うけど、美味しい。あれだけ家に居たくなかったのに今は家に居たい。人間の気持ちは不思議である。直樹さんの本の中に���白夜や極夜がある地域では、自殺者が増える季節があると書いてあった。最近は調子が悪いときにはちょっと休んでもいいなと思う。いままで何を生き急いでいたのか知らないけど、結構身を削ったなと思う。自分が立ち止まっても季節は巡っていく。今年は梅雨もいいなと思っている。去年は晴れの日にこだわり過ぎたし、元気でいることを求めすぎた。もちろん元気でいたいし笑顔でいたいのだけど、無理はしないし楽しくいきたいところ。いまはギアを緩めて自分のいい感じを探している途中だ。
0630
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THREE O’CLOCK
ことしのこと、数字で。
2018は、まだ固いみかんとかわいいタコの色の年。展示は2.8回(3月にsnow shovelingで松樹と「ここにいられてわたしはうれしい」、6月にsunny boy booksで個展「愛を、まぬがれることはどうやらできないみたいだ」、7月に同じくサニーで「ヒロインズ展」参加、new jewelry用の鏡の文言提供)、ジンは3.5冊(「愛を、まぬがれることはどうやらできないみたいだ」、「Smile, when our eyes meet(目が合ったのなら、微笑んでほしいよ)」、「Meet me in the kitchen at 3 AM(もしくは家族の舞台をのぼったり降りたりすることについて)」、そしてスリープオーヴァーイベント用の「our time」)、参加登壇したイベントは3回(『ヒロインズ』のトークイベント、スリープオーヴァー会、zine sonicのマイ・フェイヴァリット・ジン)。翻訳の仕事は大小含めて8つほど(ASAKUSA映画祭用トリン・T・ミンハのドキュメンタリー映画字幕、絵本『see you tomorrow』英訳、female giantブランドコピー英訳 etc)、受けたインタビュー5回(すばる6月号「私たちはここにいるー現代の母なる場所」、ginza「マイルーム特集」、pintscope「DVD棚見せてください」、北欧暮らしの雑貨店「愛しのマイルーム」、朝日新聞夕刊「私、を見せる冊子ZINE」)、旅行に行った回数:4回(那覇・北谷、今帰仁、横須賀、松樹の実家の大分は国東半島、静岡の三島)、公園に行った回数:オンが歩き始めた5月から今日までほぼ毎日(松樹と交代することもあり)、オンの登園回数:4月から週に1回、オンの風邪:高熱出たものは一回、鼻風邪数回、わたしの風邪:オンと似たようなもの、松樹の風邪:オンとわたしよりもひどいのが2回ほど、オンの年の重ね方:0歳8カ月から1歳8カ月に、わたしと松樹:34歳から35歳に。山の上ホテルでの記念日の回数:今年で6回目、松樹のお店ができてから:今年で8年、大勢の友達とわいわい飲み食べした回数:(たった)2回、何度も読み直した本:3冊(『ヒロインズ』4回、『女性、ネイティヴ、他者』3回)、『心は孤独な狩人』2回)、参加したワークショップ1つ(オイリュトミー)、作った人形:わたし1体(ヴォルドルフ人形のナンナちゃん)、松樹1体(小さなヒヨコ)、いろいろもうダメかと思った回数:思い出せるので5回、母親に頼った回数:計り知れず、オンと庭園美術館の庭園に行った回数:15回ほど、初めましての人に出会った回数:大きくは2回(オンのこども園と、展示での出会い)、オンが夜中起きる回数:6月くらいまで一晩に1〜2回、今は0〜1回、三崎に帰った回数0回、Tumblrにアップした回数:今日のをふくめ(たった)7回(たとえば2011年は120 post以上……!)、instagramの投稿回数:135回、酔っ払った回数:1回(ついこの前)、ライヴや公演を見に行った回数:1回(ペルセパッサのオイリュトミー)、映画館で映画を観た回数:(たぶん)2回(「かみさまとのやくそく」、「君の名前で僕を呼んで」)、髪の毛を切った回数:5回(koko manty kissa)、パーマをかけた回数:1回(koko manty kissa)、松樹と二人きりで過ごした時間:総計16時間ほど、林試の森に行った回数:3回、自然教育園に行った回数:2回、オンの1日の食事の回数:3月まで2回、4月から3回(内容は:味噌汁、ごはん、その他1〜2品の煮物等)、わたしの食事の回数:2.5回(昼、夜 + 間食多め)、オンの昼寝時間:平均2時間、オンが冬のあいだに拾った赤い実の数:50粒以上、車を運転した回数:3回(沖縄と大分と静岡)、海に行った回数:1回、高いところに上った回数:1回(森美術館)…….
* * * *
でも、数字に表せることと言葉にしたいことは、ぜんぜん違うものなんだな、とこれを書いてみて思いました。そして言葉にしたいことと、言葉以上の何かにしなくちゃ(わたしの場合は、詩みたいな?おはなしみたいな?さいごには冊子の形になる何か?)、ちゃんと思い出した気にならないことも。たとえば、オンの歯が生えてきたときの不思議な喜びや、指をつっこんだら容赦なく噛まれたときの痛さとおかしさ、個展開催中に来てくれた人たちが、わたしのつくったカベを見上げてくれてるときの顔と、それを見たわたしの心に湧き上がるもの、そのあとに交わした会話のぎこちなさとあたたかさと。刷り上がってきた冊子の紙バンドを解くときの興奮、そして恐怖で一瞬背中に水が走ること(ミスがあったらどうしよう!)、久しぶりの友だちと顔を合わせるときの緊張、数時間過ごしたあとの親密さ、別れたあとのさびしさと気楽さ、トークイベントでしゃべっているときのわたしの精神状態(天井に張り付きすべてを見透かしているわたしと目が合う)、翻訳をしているときのわたしの精神状態(人の靴を履き人の服を着て人のベッドの上に寝転がりながら人の日記帳を開いている)、パーマをかけてもらったあとに、体ががちがちになるあの感じ、オイリュトミーで動くときに、本気で風を巻き起こしているようになる気持ち、オンの食べる味噌汁の味の薄さや、手にべたべたについたごはん粒を拭うときの鬱陶しさ、インタビューを受けるわたしという存在の不思議さとありがたさと唇の端に浮かぶむずむず、変な自負心、オンと松樹と外食するときの緊張感とたのしさとめんどくささ。松樹と喧嘩するときのわたしの声、お腹のなかにたまるもの、瞬間的な勝利と慢性的な敗北感。申し訳なさと、いたたまれなさと、取り返しのつかなさと、それでも続いていくのだという倦怠感と安心感。本を読んでいるときの孤独と読み終わったときの静けさ、充実感、そしてすぐに書きたくてたまらなくなる衝動を抑えてやるべきことをやるときの、なんともいえぬ喪失感と、あっという間にそれを忘れさせる現実というもののつ���さ。車のハンドルの感触、あの温度ない感じ、久しぶりに握ったとき、誰かを轢いてしまうのではないかという思いが必ず頭をよぎること、運転していて、トンネ��に入るときの瞬間にはいつも『ウォールフラワー』を思い出すこと、運転しているときにはいつも一人きりのような気がすること、運転しているときには別の空間に通じる入り口をいつの間にか通り抜けている気がすること、後ろでオンが叫び声を上げている、松樹がそれをあやしている、松樹はとても辛抱強くて、オンの声はすごく高くて、わたしの手のひらには汗がにじんで、このまま道路がめりめりとめくれ上がって少しずつ上に引っぱられ、わたしたちは空に続くスロープをそのまま走り続けている、雲は固形物にしかみえなくて、太陽はいつだって濃いハチミツの色、そのうちにアクセルを踏み続ける右足がしびれて、わたしはつま先の力をちょっと緩める。次の瞬間にはもう地上を走っている。車を止め、荷物を降ろし、エレベーターに乗って部屋に戻る。あとはごはんを食べて、お風呂に入り、くたくたになって眠りにつくだけ。すべてが何かの途端に起きていくような毎日のなかで、わたしが覚えていられること。オンが生まれてから、わたしは夜に書くことがほとんどできなくなった。魂の暗闇、午前3時は、午後3時のさびしい光に取って代わった。オンがベビーカーで眠っている。カップとソーサーが立てるかちゃかちゃかちゃというリズムのなかで(わたしはそれが苦手で、いつもソーサーを外してしまう)。今は冬、その、どんどん弱くなる光のなかでわたしが書き残すことのできるものーー
* * * *
来年も、書いていかれますように。オンといられますように。松樹といられますように。みんなといられますように。わたしがちゃんといますように。
今年はありがとうございました。また、あなたに出会えますように!
【大人と子どもと、もしくはそのどちらでもない存在として。Dec. 2018. photo by M】
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逃避旅行 Pt3
ドイツへ向けパリを出発、夜八時。 すでにピールを何杯か入れていたが約10キロの荷物のおかげで全然酔えなかった。パリを少し歩き回ってみたが、大きな町過ぎて何も掴めないままパリを出発した。今度こそと力を振り絞りドイツへ向かった。
乗り換えでOffenburgで待機。一時間ほど。 夜の十一時に駅に到着し、そこから一時間の空き時間。駅を出てみると駅前の店に若者グループとおじさん二人組が飲んでいた。取り敢えず、おじさん二人組の横の机に座り、酒を飲む。ちょっと国境を超えるだけでこうも言語が変わるものかと毎回思う。
そこからフランクフルトで乗り継ぎし、Leipzigへと一直線。 朝九時、中央駅から街に出るとホームに帰ってきたと安心。ただただ嬉しかった。その頃は9€チケットいうものがあり、さっそく買う。チケット一枚で一ヶ月間乗り放題のチケット。とにかく体を休めたくて、日本の家に向かう。Eisenbahn通りに入り、家まで歩いているとエスターとばったり会う。いつも何かと気にかけてくれる優しい姉さんだ。開口一番、「ここで何してる」。これからボクシングに行くというエスター。「もう会わないと思ってたわ」と帰ってきたことを喜んでくれ、自分もうれしい。 日本の家の家に着くと、イクちゃんが待ってくれていた。会いたかったイクちゃんにようやく辿り着きようやく家に帰ってこれたことも嬉しく、眠さも吹っ飛んだ。そこからジョージアの話だったり、どういった経緯でヨーロッパにやってきたのかを話した。十二時前、マユちゃんとエスターがボクシングから戻ってきた頃に力尽きるように眠りに落ちた。
目を開けると懐かしの光景。壁際に設置されたソファから向かいの壁を眺める。遂に家に帰ってきたことを感じ、とても喜ばしかった。懐かしの通りに出るかと勢い良くドアを開け放ち、通りに椅子を出して座っていると、上の階からブルーノおじさんがゴミ出しに出てくる。「ブルーノ!」二、三回名前を呼ぶと振り向く。僕がだれなのかわからない時間3、4秒。おお!と驚きながら帰りを喜んでくれた。 「どれぐらいいるんだ」ブルーノは聞いてくる。自分は二週間と答えた。まだ持っていたチョコを一緒に吸い、また家でくつろいでいると今度はスリグさんがやってきた。「ヤモト!」こうスリグさんからは呼ばれている。「よく帰ってきた。よく帰ってきた。」と喜んでくれる。一服するぞと巻きだすジョイント。ほぼ毎日やってきてくれ、一緒に吸う。二年前とほぼ変わらぬいつもの安定感がまた安心させてくれるいいおじちゃんだ。 一緒にベンチに座って吸ってるとカタモトさんが自転車に乗ってやってくる。二年前より頬がやせていた。カッコいいおじさんになってきたなと思った。懐かしの面々に自分も初日から会うことができて、とても幸せだった。
そんな感じでドイツの滞在がスタートした。会いたかった人にも会え、喋れるドイツ語をペラペラと話す事の気持ち良さ。もう通り丸ごと家だった。どこに行けば何があるのか知っているし、頼れるおじさん達もそこかしこに点在している。
基本、引きこもりの自分は日本の家から出ない。逆に毎日人も来てくれるし出なくていいことが多い。 ご飯も昼ご飯を色んな人と食べた。ブルーノは毎日チェックに降りてきてくれる。大体十二時過ぎた頃に食材と共にやってきてくれる。ほぼ毎日昼ご飯はブルーノと一緒に食べた。四時頃になると今度はスリグさんがやってくる。一服するぞと遊びに来てくれる。スリグさんと一緒にいるのは心地良い。汚いEisenbahn通りで雄一安定しているおじさんだと思われる。その安定感が転がっているおじさん達とは違う安心感を与えてくれる。
Eisenbahnは高級化が進み、家賃は高騰。以前は3€で食べれた物も今では5€に値上がりしていた。おまけにロシアからのガスが止まり、生活はより一層苦しそうに思えた。
そんな中でもEisenbahnの色んな人達は子供な自分に世話を焼いてくれた。ブルーノとはよく一緒にご飯を作って食べ、ティノおじさんとは一緒にパスタを食べた。ちょうど前々日くらいにポルトで海鮮を食べられなかったことを悔しくぼやいていたのを覚えてくれており、簡単な海鮮クリームパスタを作ってくれた。スリグさんは毎日来ては一緒に時間を過ごしていく。二人で楽器を鳴らしたり、ただぼーっとしたり、たまには長話することもあった。 バフラムというイラン人のおじさんのところではイラン料理をお昼ご飯に。トマトソースに鶏のもも肉を煮込んだ物。イクちゃんのところではカツ定食と翌日の昼にカツ丼。焼肉パーティーもあった。Tobiさん家では担々麺を。スリグさんとはモスクのお祭りでもらってきてくれた夜ご飯を。ロレンス兄貴の家ではパスタを。エスターはケーキを焼いて持って来てくれ、悠さんと耕三さんには「滅茶苦茶」ご飯を食べに連れて行ってもらった。Halleではニノさんの所でラドさんが作ってくれたスパゲッティを食べ、翌日、一時期住まわせてもらっていたアンドレアスの所でオムレツを頂いたり、耕三さんとドイツ料理屋に行ったり。 ジョルトというお兄ちゃんの所でも朝ごはんを食べたり。シャバーンというエジプト人とも朝ごはんを食べた。元カノのオルガとも晩御飯を食べた。 とにかく色んな人が構ってくれた。こんな自分と時間を作って過ごしてくれた。別に面白い人間じゃないし、思い出話も面白おかしくできる自分でもない。だけれども皆自分を何処かに連れ出してくれた。
LeipzigでもHalleでも湖に入った。トビリシは交通の便の悪さが原因で一度しか入っていない。ドイツの自然は自転車で行って帰って出来る所にあり、通算一ヶ月の中、三度泳ぎに行った。 Halleで耕三さんと行く湖はいつも気持ちの良い所。二年前に連れて行ってもらった巨大な池もとても綺麗だったのをよく覚えている。その後、ジョージアで出会った音楽家ヒロキさん・サラさん達のコンサート、自分が住んでいたスクワッドハウスへ聞きに行った。この時、23時から始まるコンサートで酒を飲みながら待っている間、ジョージアの事、ポルトガルでの非日常一週間、ポルトガルに連れて行ってくれたカナさんの事を頭の中を流れるように思い出した。ジョージアでの事は何にも決まっていなかったし、そもそもまだまだ帰りたくないという気持ちが強かった。この心地良いドイツが楽しくまた新鮮だった。ポルトガルでの一週間は正に夢のような思い出として残っている。実際、ポルトガルにいたという実感さえなく、言語もポルトガル語よりも英語やドイツ語と日本語がほとんどだった。お祭りの為に集った家族たちと共同生活し、終了とともに解散。途端に一人ぼっちになったのは衝撃過ぎて心が崩れ落ちそうだった。それでもたまに引き戻されるあのお祭り。カナさんは元気にしているだろうか。現地で別れるとき、運命共同体をするのが煩わしくて解散したのだが、一緒に居れば良かったかと後悔したりもした。
ある夜のバカ騒ぎも楽しかった。 その日は夕方から悠さん、耕三さん、晃さんと集って日本の家前で飲んでいた。直前まで元カノと二年ぶりに再会していた。二年ぶりに見た彼女はとても綺麗だった。初めて出会った時が向こうが20、自分が17の時だった。二度目に顔を合わせたのが今から二年前、彼女が22、自分が19。そして今回、24と21。ずっとずっと綺麗になった彼女を見つけ、ひさしぶりにドキドキした。その日は一時間ぐらい話して、自分は飲み会に向かった。 夜十時頃まで飲み進め、途中で夜ご飯も食べに行き、悠さん晃さんが帰っていく。耕三さんと二人で彼らを見送った直後ブルーノさんが降りてやってくる。途端にドリームチーム結成で夜はどんどん更けていく。十二時頃ショットを三人で飲み干し、一晩中飲み歩いた。途中、耕三さんは眠ると言い出し日本の家に引きこもり眠る。その間、ブルーノと自分は霧が立ちこむ通りを闊歩し、暗闇の公園を突っ切り、街中を歩き回りホームパーティーを見つける度に乗り込めるかどうか話し合った。最後はいつも乗り込まない選択で終わった。
ジョルトとは二度クラブへ一緒に行った。金曜の夜。12時から中に入り、家に帰ってくるのは6:30とか。その後、朝ご飯を食べゆっくりしてから犬一匹連れてサイクリングへ。途中ラシャも合流してリンデナウ地区を流れる運河沿いに森の方へ。この人たちはドイツの兄貴分の人たちである。毎度遊んでくれる。
ドイツでもラーメンスープを作った。結果は最悪に終わったのだが。前日仕込みの段階では最高にうまいスープができたのだが、そこで冷やさなかったのが駄目だった。一晩経つと既に匂いが変なのだ。おまけにうまみは酸性に代わってきており、もう逃げ出したかった。 この時ばかりはもう二度とラーメンなんて作らんと決め込んだし、もう何もかも嫌だった。
少しずつ気分が落ち込み始めてきた頃、飛行機のチケットも延長し当初の滞在予定はとっくに過ぎ去った。元カノともう一度会いたかったのも一つの大きな理由だった。半分以上の割合で。その他はジョージアに戻る理由をずっと探していた。
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「おかえり」
開かれた扉の向こうで待ち構えた最愛の彼の表情に、肩の力が抜けた。
『ただいま』
インターホンを鳴らしたほんの一、二秒後。玄関のドアが開いた瞬間に、美味しくて懐かしい匂いが漂った。その心当たりはすぐに見つけられた。夕方五時のチャイムを合図に友達にまたねと手を振って、駆けて帰る道中、あの子の家から流れるあの香り。そして、ドアを開ける前にもう半分靴を脱ぎながら玄関に飛び込んだ時、その言葉とほとんど同時に届くあの香り、だ。 彼が一瞬、俺の両の瞳をじっと見つめて、それから眦を下げて微笑む。
『飯作ってくれたの』
「うん、簡単なやつだけど。食べるでしょ?」
スリッパをぱたぱた鳴らしながら彼が先を歩く。キャップを脱ぎながらその背中を追いかけた。
『食べる。何?』
「味噌煮込みうどん」
「ちゃんとしてくれてんな」
IHコンロの前に戻った彼の背中に張り付き首筋に口許を寄せると、「危ないでしょ」と小言を言われたが聞こえなかったことにした。ほんの少しだけ高い肩口に顎を乗せて覗くと、柔らかく食欲を唆る香りが立ち上って来た。
「いや、適当飯だよ。冷凍うどんぶち込んだだけだし」
『いやいや、実に丁寧過ぎる暮らしだわ』
「エ、なんか馬鹿にされてる気がするんだけど」
『なわけないじゃん。俺、御前が作る飯ならなんでも好き』
わざとらしく怒った風の声を作った彼に、肩をすくめてわざとらしく芝居がかった声を作って返せば、彼はけらけら笑った。
『あー、腹減った』
「俺も。もうできるから手洗いうがいしてきて」
『はあい。ね、たまご落として』
「お、いいね」
軽やかな口笛を吹くその唇の先へもついでにキスのひとつでも落としてやろうかと思ったけれど、そんな一瞬の魔でこの大事な男に何処の馬の骨とも知らないウイルスが付き纏ってしまったら堪らないので、大人しく洗面所へ向かった。
きっちり指の根元や爪の間まで洗い上げ、泡を水で流した。清潔な白いタオルで水分を拭っていると、ふと見遣った鏡越しに疲れた顔をした男と目が合って、つい、溜息がこぼれ落ちた。閉じ切らなかった洗面所の扉の向こうから乳白色の明かりが漏れていた。食器の音が聞こえる。人の気配とは温かいものなのだな、なんてことは、彼と過ごすようになってから気が付いた。
『ごちそうさまでした』
「ごちそうさまでした」
揃って手を合わせてから、二人分の器を持って立ち上がった。「ありがとう」と言いながら、箸休め用にと出していた浅漬けの皿に彼がラップをかける。作る方と片付ける方、特段取り決めを交わしたわけでは無いのに、気が付けば役割分担がなされている。ときどき逆にもなるけれど、お互いが自然とそのように動く事実が俺はなんとなく好きだった。自然な流れの中にも毎回きちんと感謝の言葉を紛れ込ませる彼のことも、それに紛れて『ありがと、おいしかった』と素直に言える自分のことも。シンクで洗い物を片していると、彼が隣でケトルのスイッチを入れた。
『なに?』
「コーヒー。照も飲むでしょ」
『御前の愛情がたっぷり込められたヤツなら飲む』
「ドリップバッグだけどスタバの社員さんの愛情なら存分に込められてると思うよ」
『まあ、及第点』
「いや及第点貰えちゃうの。嘘だよ、込めとくよ愛情」
『ふは、ありがとう』
シンクの底を打つ水を止めて濡れた指先を拭いた。仕事の早い電気ケトルさんを手にしたその肩に顎を乗せて後ろから腰に腕を回すと、彼はくすぐったそうな声で「なあに」と甘く言った。
「照、ブラックでいい?」
『んー、牛乳あったよね。うんと甘いやつがいい』
「了解」
じゃあおれもそうしよー、と努めて朗らかな声で彼が言った。腰に回した手に、彼の手のぬるい温度が重なる。慣れた手つきで、彼はドリップバッグの備え付けられた二人分のマグにお湯を注いだ。刹那、ほろにがく豊かな香りが空間に広がる。それを鼻腔に吸い込んでから、彼のグレーのスウェットの肩口に顔を埋めて、長く吐き出した。コーヒーのそれと混じり合う君の匂い。ケトルを戻した右手は俺の頭に伸びて、さらりと髪を梳く。ぽたり、焦茶色の雫が水面に落ちる音が聞こえた気がした。
『聞かないんだ?』
「何が?」
とぼけたように彼が言う。あちち、とドリップバッグを指先で摘み上げると三角コーナーに放り、小洒落た白いシュガーポットに手を伸ばす。それぞれのマグに角砂糖をふたつずつ、甘党の俺好み。
『分かってて甘やかしてくれてんだろ?』
「今日の照さんはお疲れなのかな、って思ってただけよ」
背中にひっついた俺ことはそのままに、彼は数歩先の冷蔵庫にえっちらおっちら辿り着き、そこから牛乳のパックを取り出した。並べて湯気を燻らせているマグに注げば、どちらも等しく白が溶けて混ざり合っていく。
今日の仕事は、ずいぶん長引いた。同棲し始めて以降、将来の為と大幅に増えた仕事には、もうとっくに慣れたつもりだったけれど、今日はなんだか、ひどく空回った、気がする。接待の場での上司からの手酷いイジりにうまく笑えなかった。自分や友達、彼のことを馬鹿にされるのは、本当はすごく嫌いだった。それでもいつもなら適当に聞き流せていた程度の言葉だったのに、何故だか今日は喉の奥に刺さった魚の小骨みたいに引っかかって、飲み込めなかった。求められている返答を返せなかった。それでもなんとか体裁を取り繕ってかわしたつもりだったけど、接待も終わり帰ろうとした時、先方が薄く笑いながら俺の肩に手を置いた。
「大人になんなよ。もういい歳でしょ」
かっと頬が熱くなるのを感じた。すみません、と小さく答えるのがやっとで、今思えばその態度すらも社会人らしからぬそれだ。自分が迷惑をかけたのだから、もっときちんと頭を下げるべきだっただろう。長く同じ会社に身を置いていて、こういう類いの笑いに乗っかり相手方との親睦を深める事が新人の俺の役目で、いちいちそれをまっすぐ受け止めていたらキリがないことくらい、それこそ大人になる前から知っている。そういう世界で生きてきた。でも何故だか、今日はうまくいかなかった。思えば今日は、昨夜仕事が終わるのが遅く睡眠時間があまり取れないまま臨んだ昼間の会議から思うようにいかず、それもあって気分が落ちていたのだろう。すなわち、俺の問題だ。自分のモチベーションの問題。何の反論もなく、大人なら、こなせないといけない仕事だった。自分の大事なものを馬鹿にされても、大人なら、作り笑顔を貼り付けて求められる言葉を発しなければいけなかった。いつもはもっと鈍感に、それができるのに。
その腰に回した腕に、つい、力を込め過ぎた。彼が「ウ、照くん、流石に苦しいかも」と音を上げて初めて気付く。
『ごめん』
ぱっと拘束をほどくと、彼が振り返り、俺と同じ香りのする髪が鼻先を掠める。黒い瞳が覗いた。
「照が話したいなら聞くよ。だけど、そうじゃないんでしょ?」
そう言った彼の声があんまり優しいから、ぐっと胸の奥が詰まって、何も答えられなかった。シンクの縁に軽く腰掛けた彼は、うんともすんとも言わない俺の腕を引いて、 己の腕の中に導いた。斜め下に位置した彼の胸に収まる。
「いいよ、言わないで。照が今それを口にすることで、もう一度傷付く必要なんかない」
彼の無骨な手が、俺の後頭部をぽんぽんと軽く叩く。肩口に額を押し付けながら、はあ、と吐き切った息は湿っていた。同じ部屋に居る人間に隠し通せないほど気持ちが落ちていることくらいは、さすがに自覚があった。タクシーの窓の外を流れる見慣れた光の街にさえいやに感傷をかき立てられてしまって、あ、なんか無理かも、と思った。だけど、そうか。俺は傷付いていたのか。言い当てられて気が付くなんてまぬけだなあと思うし、気が付いてしまえばそれはじんじん痛かった。
「良いよ。俺のことハンカチにしても」
『泣いてねえよ』
「んは、はいはい」
泣いていなかった。本当に、そのときまでは。けれど、それを許されるとやっぱりちょっと涙が出た。彼のスウェットはグレーの生地だから、水分を含むと痕跡がよく目立った。確かに痛みを伴って存在を主張する傷が体の奥の方にあって、だけど同時に、それを癒そうと甘やかな何かが沁みていた。
『なあ、』
「うん?」
『俺、平気だから』
「うん」
『本当だよ』
頭の後ろに添えられていた手は背中に滑って、���どもを寝かしつけるときのそれみたいに、静かに一定のリズムを打った。
「うん。たぶんね、大丈夫なんだと思う。照が大丈夫って言うなら」
『うん』
「だけど、もし本当にやんなっちゃったときの逃げ場くらいになら、俺、なるからね。覚えておいて」
『うん』
ふっと息が抜けた。明けない夜はないとか、また朝日は登るよとか、そんなことは言わない奴だ。だから好きになったし、守りたいと思った。不確かで曖昧で無責任な言葉に呼吸が楽になって、そして、体を離して顔を上げて、驚いた。
————御前、なんて顔してんの。まるで、自分が傷付いたみたいな。その表情を目にした途端、ぎゅっと胸が締まった。痛かった。そして、ああ————なるほど、理解した。俺たち二人の痛みは、厄介なことに、どうやら伝染するらしい。
「ということで今日は、あったかいもん飲んで甘いもん食って、ふかふかの布団で、寝ろ!」
俺の鼻先にまだ湯気が揺れるカフェオレを突きつけて、彼はくるりと表情を作り替えて笑った。甘くて優しくて温かい香りが面前でふわり流れる。彼のもう一方の手には、きちんと俺の分もある。 こつん、と控えめな音を立ててマグの上部を合わせた。なんだかちょっとくすぐったくて、小声で『お疲れ』と言うと、「お疲れ様!」と彼はやたら楽しげな声で応える。
『てか、甘いもんもあんの?』
「えっとね、アイスと、あとなんか貰い物のロールケーキが一本ある」
『うは、男と同棲してる男にロールケーキまるまる一本贈るの何者? それ俺のことバレてんじゃないの?』
「バカ言わないで怖い怖い、深く考えないようにしよう。照くんの恋人である俺がロールケーキ切りますよー」
『んは、お願いします』
一口だけ含んだカフェオレのマグをケトルの隣に置いて、冷蔵庫の扉に手を掛けようと後ろを向いた彼の背中が視界に映った。見慣れた背中。綺麗な首筋。だけど、その瞬間だけは何故だか少し小さく見えて、思わず飛び付いた。
「オワッびっくりした、何?ていうかカフェオレこぼれるよ?」
『なあ、』
「なによ」
『有難う、大好きだよ』
痛みは、伝染して、そして分散するのだ。何も言わなくても勝手に一緒に背負ってしまって、そして軽くしてくれてしまう君は、骨格から逞しく見られがちだけど存外華奢なその背中に、きっとひとよりちょっぴり多めの荷物を載せている。そして、どうやら俺にも彼とお揃いのその痛覚共有機能が備わっているようなので、今度ぴぴーんとセンサーが察知した暁には、そうだな、俺はキムチ鍋でも作ってやるか。
友達と喧嘩をして帰った日。何も言っていないのに、なぜだか母はいつも自分が怪我をしたみたいに痛そうな顔をして、その日の晩ご飯は俺の分のおかずだけ兄弟より一切れ多かったことを、思い出していた。本当はあの頃から、何にも変わっていないのかもしれない。大人になったなんてとんだ思い上がりだ。だけど、もらったものにちゃんと気付けるくらいには、もう子どもじゃないから。
「ふは、なんか照いつもと違うね?」
『今日は素直な日だからさ』
振り返った彼と小鳥が啄むみたいな短いキスをすると、口の中に含んだ息を転がすようにして嬉しそうに笑った。
彼の言ったとおりにあったかいもん飲んで甘いもん食って、あとついでに一本ずつ缶ビールも飲んで、ふかふかの布団に包まれて抱き合ってたくさん寝たら、翌朝は二人揃って顔がすこぶる浮腫んだ。指を差し合って大笑いしていたら、あ、大丈夫だ、と気が付いた。
もう大丈夫、今日からはまた御前のこと俺が守ってくから。
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四篇 上 その一
大阪出身の由縁斎貞柳(ゆえんさいていりゅう)が詠んだ歌に、 『ほら貝の 出た昔は 知らないが 今吹くはよき 追風なりけり』 と、いうのがある。 その歌で詠んだのが、目の前にあるこの東海道でも、有名な今切の渡しだ。
その昔、大地震が頻繁にあって、津波も頻繁に起こり、海を行くのもままならなくったことがある。 この近くの山に、ほら貝がごろごろ転がってたほどだ。 それで、さきの奉行の命令で、海上に数万のくいを打ち、護岸工事して、行き渡る船の心配事を取り除くことにした。 そのおかげか、今は、風も和らぎ、波も低くて、穏やかである。
かの弥次郎兵衛と北八は、そんな話を思い出しながらそこを渡り、荒井で、名物のかばやきを食べ腹をふくらし、ちょっと休憩していた。 そこから見える風景に、忙しく行き来する人々が見える。
船着場に急ぐ旅人は、今しも就航しようとする船の船頭の声に、宙を飛ぶかのように、走っている。 また、運送荷物に付き添って行く男は、問屋へうるさく何やら言っている。 役人らしき男は、馬方に威張り散らしている。 旅館の亭主らしき男は、はかまを両手に持って走り、茶屋の女中は、前掛けを横っちょに持って動き回っている。 長持ち人足は、荷物の横に立って、鼻歌を歌っている。 そのすぐ側で、馬方が後ろをむいて、歌を歌いながら小便をしだした。 「俺のぉ~、女のぉ~、心の中は~、浜名の橋よぉ~、今は~、音沙汰もなくてぇ~、音もせぬよぇ~、ドウドウ。」
これを聞いていた茶屋の女中は、馬に乗っている侍を見つけて、 「お休みなさりまし、お休みなさりまし。 ほれ、馬方さん。お客さんが疲れていなさる。お休みなさいな。」 と、馬方に話しかける。 そう言われて、馬方は、馬に乗っている侍の方を見ると、侍が小さくうなずいたので、 「おっと、旦那様、それ、頭が軒にあたる。あぶない。あぶない。」 と、茶屋の軒下へ馬を引いれる。
さて、この侍、木綿の細かな模様が一面に染め出されているねずみ小紋に、背に三角形の黒じゅすを縫い付けた羽織を着ている。 そのまま、茶屋の女中に促されて、弥次郎兵衛と北八が休んでいる向こうの床机に腰をかける。 さっそく、女中が、 「お茶をどうぞ。」 と、持ってくると、その女中の顔をじろりと見て、やおら湯呑みを取り上げ、 「さて、今は、何時じゃろうか。」 と、問いかけてきた。 女中は、さっきまで忙しかった昼の様子を思い出しながら、 「もう、1時をまわった頃でしょう。」 と、答えると、侍は大げさにうなずいている。
横合いから、馬方が、 「おおかた、昨日の今ごろだろう。へへへ。」 と、ちゃかすと、侍は、 「食事をして行こうか。」 と女中の方をちらっと見る。 「何が出来る。」 と、侍は、女中に横柄に聞いている。 女中はニコニコしながら、 「おうなぎの蒲焼きがございます。」 と、答えた。 「なんじゃと、お内儀(奥さんの事)の蒲焼きか。」 と、侍がちょっと洒落をいうと、馬方も 「御亭主のすっぽん煮は、ないのかな。ハハハ。」 と、洒落を言う。 女中は、ニコニコしながら、奥に引っ込んでいく。
「ところで、旦那様。お荷物は、ここに置いておきますよ。 小さな荷物がちょうど五つ。」 馬方が言うので、侍は荷物のほうを見て、 「そのお金は、こちらへ貰っておこう。」 と、荷物といっしょにしていたお金を指し示している。 馬方は、お金を渡しながら、 「で、旦那様。ちょっとばかり、お願いがございます。 へへへ、さっきからのどが渇いてしかたがありません。 お酒を一杯飲みとうござります。」 侍は、受け取ったお金を側に置きながら、 「ほう、お前は、酒が好きか。」 「はい、飯より、好きでございます。」 侍は、馬方の方を見て、 「何を遠慮があるものか。勝手に飲めばよかろう。 自分が飲めるなら、振舞ってやれるが、下戸だからしかたがない。」 それを聞いて、馬方は、ちょっと驚いたが、 「はあ、旦那様が飲まなくても、ええ、いただきたいです。」 侍は、ポンとひざを打つと、 「ははあ、解せた。お前は、酒代を寄越せというのじゃな。いやいや、それは出来んぞ。 東海道中の公定の賃銭がある。そのきまりを破るわけにはいかぬ。 酒代など、払うことは出来ん相談じゃ。」 馬方は、あわてて、 「それはそうでございますが、どうぞそこをなんとか。」 侍は、腕を組んで、 「うぬ。どうしてもというのなら、考えんでもないが。そうだ、領収書を書け。 私が、帰国した際に、おぬしらの問屋へ届けよう。」 馬方は、益々あわてて、 「公定の賃銭の事を言われるなら、この荷物の重量は、公定の重量制限を越えております。 これは、どうするんで。どうぞ、考えてくださいよ。」 侍は、荷物をちらっとみて、 「なるほど、それなら、その分、金を出そう。」 と、八文ほど、馬方に渡してやる。 馬方は、お金を受け取ったが、しぶい顔をしている。 「旦那さま。せめて、十六文下さりませ。」 「それなら、あと、四文やろう。」 と、侍は、錢をほうりだしてやる。 馬方は、不承不承受け取って、馬を引きながら行ってしまう。 その様子をしばらく見ていた侍は、ふと自分の足元を見て、 「こりゃ、いかん。私の大切な草鞋を馬につけたままだ。 なむ、あやつ、もうどこへか行きおったようだ。 残念なことをした。江戸まではかれる草鞋じゃものを。」 と、ぶつぶつこごとを言っている。
北八は、おかしく思って、つい尋ねた。 「もしもし、あなた様は、お江戸へ、行くのでござりますか。」 「そうじゃが。」 と、侍が答えるのに、北八は、 「今、聞くとはなしに聞いておれば、草鞋、一足で江戸までお行きなさると聞きましたが、非常に、歩き方が上手でございますね。」 侍は、少し顔を上げて、 「ああその事か。いや、私��自分で作った草鞋で、それが一足あると、いつも、江戸までいって戻ることができおります。」 北八の側で聞いていた弥次郎兵衛が、 「本当に、草鞋が切れるのは、歩き下手でございますが、手作りということもあるでしょうが、やはり、あなた様は歩くのが上手なのでしょう。」 と、侍の事を持ち上げてから、また、ほらを吐き始める。 「しかし、私もこの草鞋を、一昨年、松前へ履いていったが、帰ってきても何ともなかったので仕舞っておいて、去年は、長崎へも履いていったし、そして、今はここに履いて出ましたが、見てみなせえ。まだ、何ともなっていねえ。」 侍は、弥次郎兵衛の足元を見ながら感心して、 「ほう、おぬしは、私より歩くのが上手いようだ。 どうのように歩けば、そのように、長いこと草鞋がもつんだ。」 弥次郎兵衛は、 「いやなに、草鞋は、履きづめでも、全然切れませんが、その代わりに、どうしてか、脚半がよく切れます。」 と、聞くと、侍は、 「それは、また、どうして。」 「私は旅へ出ますと、必ず、馬に乗づめですから。」 侍は、ポカンとしている。 「ハハハ、おもしろい。」 と、北八。 「さあ、行こう。あなたさま、御ゆっくり。はい、お世話様。」 と、侍を残して、弥次郎兵衛と北八は、さっさと、ここの勘定を済まして、出て行く。
この、宿場の端から、二人は、ともにかごに乗った。 かごに揺られて行くうちに、二人は早くも、高師山を北にみる橋本についた。 弥次郎兵衛は、例のごとく狂歌を詠む。
鳶(とび)が生む 高師の山の 冬はさぞ 雪に真白く 見違るほど (とんびが鷹を生むように、冬はここの景色も全然違っているのだろう。)
この辺りで、向うよりくる二川のかごと行き合った。 二川のかごかきが、言う。 「どうじゃ、ご同業、換えていこう。」 「なんぼでじゃ。」 「ちょうどでどうじゃ。」 「しかたねえ。それで行こう。」 と、かごの相談をする。 この頃のかごかきは、行き合ったときに、目的地まで行かずに、途中で客を入れ替えその距離によってお金を決めることがあった。
両方のかごかきが、それぞれに言う。 「旦那様がた、かごを換えますから、乗り換えて下さりませ。」 北八は、新しいかごに乗りながら、 「二川の先まで、行こうと思っておるが、それでもいいのか。」 かごかきは、うなずいている。 さらに、北八を乗せたかごかきは、 「旦那様は幸せじゃ。このかごは、宿屋かごでおざりますから、蒲団がしいてある。 さっきまで乗っていたかごを返したのは、正解だ。」 「本当にそうだ。」 と、北八は言いつつ、かごの中に敷いてある布団を見ていたが、その布団の一部が、高くなっているのに気づいて、なんとなくそこを探ってみると、布団の間から、穴の開いた四文銭を紐に通した一本錢が出てきた。 これは、四百文ある。 さては、さっきまで乗ってきて、自分と入れ替わった男が、置き忘れたのだろうと、勝手に思い込み、これは、黙って貰っておこうと、北八そっと、一本を自分の懐に差し込んで、そしらぬ顔をしておる。
さて、かごは、早くも白須賀に着いた。 ここの茶屋の女中が、表にでて、呼び込みをしているのを見て、弥次郎兵衛が一首詠む。
女中らの 地黒の顔も 名のごとく 七難隠す 白すかの宿 (色の白いは七難隠すと言う諺をもじったもので、女中の顔は黒いのだが、宿場の名と同じで、七難隠して、いい女に見える)
この宿場を通り過ぎて、まもなく、汐見坂にさしかかった。
つづく。
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転がる岩、君に朝が降る
カップリング/ReS。・・・敬人&零
参考ストーリー・・・クロスロード
「坊主、目がいいよなぁ」 その時俺は、唐突に発せられた言葉の不当さに、一秒と経たず眉をひそめた。声の主を見やると、積まれた書類に手もつけず、のんびりと頬杖をついている。魔物のような赤い目が俺をじっと見る。意図は読めない。あるいは意図などなく、ただ単に俺が眉をひそめる姿を楽しんでいるだけなのかもしれない。 「そう言うあんたの目は一体どうなっている? 仕事もせずに暇そうに寛ぐくらいなら眼科で視力でも測ってきたらどうなんだ? ……見ての通り、俺はドがつく近眼だ。眼鏡がないと、自室ですら不自由する」 「視力のこと言ってんじゃ��~んだよ。お前、よく見えてるよ。他人のことも、自分のこともな」 そういうの、その歳じゃ貴重なんだぜ。 一つしか変わらない癖にそう言ってのけた朔間さんは、細めた両目で俺を見てから少し笑った。おそらく本人は褒めたつもりなのだろう。うん、と確かめるように頷くと、上機嫌に足を組み、また椅子の背に沈み込んでしまった。 「さっすが、この俺様ちゃんをこんな仰々しい席に座らせるだけのことあるよな~」 「……あんた滅多に座らないだろう、その椅子」 「趣味じゃねーもん、座り心地は悪くね~けど」 「分かったから、早くこっちの書類に判を押してくれ。珍しく座ってるんだからちょうどいいだろう」 へーへー、と適当に返事をする朔間さんを横目に、中指で眼鏡を押し上げため息をついたのは春先の事だったろうか。確かに、審美眼という意味合いであれば己のそれは比較的上等のものだろう。だが、だからといってそれが俺に一体何をもたらしてくれたというのだろう。むしろこんなもの、ない方が幸せだったかもしれない。 俺は今、あの時あの人に褒められた自分の見る目を少しだけ恨んでいる。
「どうした、怖じ気づいたか、坊主」 消灯された生徒会室に脅すような声色が響く。 明かりがないこと以外、普段とそれほど変わらないはずなのに、まるで世界から切り取られた異空間のようだ。それもこれも、全て目の前の人物から発せられる異様な空気によるものであることは明白だった。 「見くびるなよ、怖じ気付いてなどいない。……俺の尽くした最善が果たして最適解なのかというと、不安は残るがな」 「ハハ、そういうことを正直に言っちゃうところが、お前の愚かで愛おしいところだよな」 からかうような口調でそう言うと、朔間さんは釣り上げていた両目を細めてから、少し肩で息をして、いつものように柔らかく俺を見た。 「そんじゃあ、ここは俺に任せてさ。さっさと帰ってよく寝ろよな。お前死ぬほど早いもんな、朝」 あんたが遅すぎるんだ、という反論を飲み込んで、夜目を凝らした。月の薄明かりが生白い肌を照らし出す。数秒して、朔間さんは足下に散乱させた書類を一枚拾い上げた。紙の触れる音が静かに鼓膜を揺らす。 「……朔間さん、本当に今晩ここに残るのか。確かに俺の名前で申請は出してあるので問題はないはずだが」 「あー、まあそうだな。……言ったろ、感傷だって。正直仕事なんかもう片付いちまったよ。褒めてくれよな、坊主」 ビリ、と書類を破く音が再び鳴り始めた。この短い間に、一体どれだけのものを処理してしまったと言うのだろう。俺が一晩かけて、せめて半分ほどは片付けようと思っていた紙の束は、もはやほとんど細切れになって床に降り注いでいた。 こんな人を相手に、俺は明日、何をしようというのだろう。 「そうだ、途中まで送ってやろっか、蓮巳ちゃん。夜道は危険だし」 それでもやるしかない。 あの日のように逃げ出すことはもう出来ない。 そもそも初めからこの世界に逃げ場など、ありはしないのだから。 「……いらん、年頃の女子じゃあるまいし」 「だから言ってんじゃねーか。やることは終わっちまったんだ。俺様の暇潰しになれよ、光栄だろ?」 重たい体を引きずって、それでも進むしかないんだ。 生に飽き飽きしたあんたが、なおもこの世界に縛られたままでいるように。 「夜はなげ~んだ。お前が思うより、ずっと」 窓の外で、月が輪郭を濃くしていた。 朔間さんは散らばった紙屑を踏みながら俺の横を通り過ぎると、キイとドアノブを回して廊下へと出た。俺は、何も言わずに後に続いた。 校内に俺たち以外の生徒は見受けられなかった。まるで人除けを施されたかのようだ、などと非現実的なことを思う。実際は職員室に明かりがあるし、先刻俺は当直の椚先生に申請書類を出したばかりだった。それでもそう思わせるのはこの人の、人ならざる雰囲気のなせる技だろう。昔もそうだった。あんたはまるで物語から出てきた美しい魔物で、あんたに会う時、俺はいつも高揚していた。 今でもその印象は変わらない。ただ俺一人だけがさめてしまった。 物語からも、憧憬からも、何もかも。 「朔間さん、バイクは」 「んー?」 靴を履き替え、そのまま正門に直進する朔間さんを呼び止める。変な話だ。俺は先日、この人の校則違反を咎め、やめるように言ったはずなのに。 「今日は置いてきた。歩こっか。いいだろ、敬人」 歩こっか。 あの日、初めてライブハウスへ向かった時も、同じ言葉を聞いた。 朔間さんは、まるで何か特別な儀式でもするかのような丁寧な仕草で、俺を自分の隣へと招き寄せると、ゆったりと歩き出した。 深い深い夜に、それでも地面へふたつ濃い影を落とすほど、月が目映い。御伽噺に出てくる月は、きっと今日のような姿をしているのだろう。異世界の入り口として描かれることも数多くあるほどだ、加えてこの人の横を歩けば現実味が希薄になっていくのも無理はない。大昔も、自分以外の人間が朔間さんと話しているところを見るまでは、その存在を信じられなかったほどだ。 今もこんな不気味なまばゆさの下、よりいっそうその美貌を増しているように見えるのだから、やはりこの人は人間などではなく、神か魔物の類ではなかろうかと勘ぐってしまう。 でもそれは違う。 この人は人間だ。 俺と同じ世界に生きる、同じ生き物だ。 だからこそ絶望は深いのだと、俺はうんと前から知っていたはずだろう。 「お前、さっき言ったよな」 濃い夜の紺に映える、凛とした声が路上に響いた。遠くで車のヘッドライトが、アスファルトを照らしては過ぎ去る。 「最適解なのか分からない、不安だ、って。そんな浮ついた武器で本当に俺様に勝てると思ってるのか知らねえけど、まあさ、それはいいよ。そういうお利口そうで意外と無鉄砲なところがお前を気に入った理由の一つでもあるし。解せないのは、なんでお前が柄にもなく急いてるのかってことだ。今回のことで思い知ったろ。時間がない中で、使える頭は限られてんだ。魔法や奇跡でもない限り、今日明日のことで革命なんて起こせやしない。本当は分かってんじゃねえのか」 珍しく、よくしゃべる。 そう直感したのは間違いではなかった。雄弁は銀、沈黙は金。そう言ったのは朔間さんだった。 「答えを聞かせろ、敬人。お前が大事だから言う」 だから名を呼ばれて目を合わせたことを、後悔した。 「辞めちまえ、他人のための革命なんて」 その真っ赤な瞳の奥には、不安と祈りが、隠しきれずに浮かんでいた。 「……他人の、ため……?」 ふつふつと、煮えたぎるような、怒りにも似た感情が胸の内に渦巻いて熱を生む。 英智。脳裏によぎった幼馴染みの、苦しそうな、恨めしそうな横顔を想う。一体どれだけの怨念がそこにあるだろう。そして同じようにもがき苦しんで、散っていった人間が、この一、二年の間だけでどれほどいることだろう。明日は我が身だ。 それらは決して。 「他人事なんかじゃない」 ようやく喉から捻り出した言葉に、眼前の流麗な眉毛が僅か歪む。 「これは……凡人が、自分たちの足で、この世界を歩くために必要なことだ。こんな、正直者が馬鹿を見るだけの残酷な世界で、あんたのように軽々と、難関難問を飛び越えていける奴ばかりじゃない、そうじゃないんだ、こっちは。あんたいつだったか俺の目を褒めてくれたよな。だが中途半端にそんなものだけ良くたって、何の力にもならない。いっそ底抜けの馬鹿でいた方が、俺はあんたから目を逸らさずに済んだ」 一息に言ってしまうと、空になった肺が軋んで痛む。喉が、頭が、割れるように熱い。冷えた晩秋の空気を大きく吸い込むと、この酷くうねる炎の正体がうっすらと見えてきた。心底嫌な目だ。ここまで理解していながら、俺は俺の口に、戸を立てられないのだから。 「昔の俺がどうしてあんたに会いに行くのを辞めたか、あんた、分かってないわけないだろ」 ああ、そうだ。 これは『不甲斐なさ』だ。 「知ってるよ」 でもそれでよかった。 耳を疑うような台詞に、荒くなった呼吸がすうっと凪いでいく。 「お前が賢い奴で、よかったんだよ。……知らず知らずのうちに、壊しちまう前に、離れてくれて、本当によかった」 遠い遠い目をしながら、突き当たりの道路に行き交うヘッドライトとテールランプの赤を、朔間さんは眺めていた。 「敬人」 もう顔を上げることは出来なかった。 「駄目か。このまま、俺と、愉快に一年過ごすってのは」 あと一度でもその目を見てしまったならば、気付かなかった振りなど、俺には出来なくなってしまうから。 「……その答えも、分かってるんだろう」 顔をわずかに伏せたまま、俺も道の先で行き交う白と赤の光を目の端に捉えていた。 「俺は、そっちへは行けない」 俺自身を、俺とよく似た偏屈な幼馴染を、そしていつか、俺たちの後ろに現れるかもしれない「輝きたかった誰か」をも出来���ことならば俺は救いたい。俺のようなありふれた人間でも、真剣に足掻いて、舞台の真ん中で光を浴びて許される、そんな世界を俺は見たい。 だから、あんたと一緒に、緩やかな死は待てない。 「……やっぱお前は、連れて逝けねぇんだな」 やろうと思えば俺をそそのかして自分のものにする事ぐらい簡単に出来ただろうに、何故それをしなかった? 疑問に思う俺に応えるように細められた赤い双眸に、気付かれぬよう息をのんだ。 ああやはり俺は今、この目が憎い。 じゃあな、と消え入るような声を残して、朔間さんは夜闇の中へ溶けてしまった。瞬きの合間に、街灯の薄らぼんやりとした光が点滅する。 あんたの想いの丈に気付かないような愚者であれたならよかった。あんたを利用して世界を変えたいなんて、大それたことを考える頭がなければ。純粋にあんたへの憧れだけでこの腐った世の中を生きていけたなら。いや、それではきっと、あんたは俺の愚かさにすぐ飽きてしまうだろう。結局のところ、俺が人の領域を超えるしか、方法はなかったんだ。 お別れだ、朔間さん。 交わることのない線を引き続け、明日、俺たちは信念を以て殺し合う。 朝日が昇る頃、あの薄暗い生徒会室の玉座で、あの人は一体何を思うだろう。
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62
2022.07.07 木曜日
昨日は早めに就寝したはずなのに6時の目覚ましでは起きれず7時20分の起床(最終起床の目覚ましもかけているここ最近、結局この時間。)、今日は顔面の調子がよろしくない。そんな日は本当にテンションが下がる。買ったばかりのTシャツを着るか悩んで、結局クリンク(この前モデルさせてもらった洋服屋)でもらった黒ティーに袖を通した。中途半端な気持ちのままいつものごとく遅刻スレスレで仕事へ向かう。8時50分までに打刻をしなくてはいけないのに8時49分の打刻。相も変わらず普段とは似つかわしい明るいキャラを無事に演じ切って定時であがる。無駄に周りに愛想振りまいている自分が意味わからないし、後輩に仕事を教える時の例えでいつも『好きな子に対してさ』とすぐに恋バナにもっていく自分にわらけてしまう。なんなん、まじ。いつも深夜まで働いているから明るい時間での退勤はなんだか悪いことをしている感覚に陥る。早い時間の退勤は無性に外食をしたくなるもので、先週は仕事終わりMUSHSのgtのりんちゃんと春日亭の油そば(中盛り)と卵かけご飯大盛りを決めてしまったというのに今日という日も激珍ららズの大樹さんとライムシロップスのかずいくんで吉祥寺の海鮮丼(特盛)を食らってしまう。ハモニカ横丁の中にある店で初めて行ったけどこれは無茶苦茶うまい。穴場。今度誰かを得意げな顔して連れていきたい。お会計の際に「おまえら、財布しまえよ。」っていう大樹さんに甘えて奢ってもらってしまう。いつも奢ってもらってしまってすんません。出世払いしますんで、なんて。お店を出てすぐに二人と解散、「あっさりしてるところもいいよね、謎にこの短時間だけ会う感じも」とか思いながらバンド練習のためにスタジオへ向かう。今週はもうライブがないので新曲を煮詰める。多分非常に良い。終わって軽くミーティング。ここで死ぬほど頭がパンクして夕方食べた海鮮丼の幸せが薄れてしまっていることに気がつく。考えなくてはいけないこと、決めなくてはいけないことが多過ぎて帰宅してすぐに缶ビールを開けて現実逃避。本当はよくないことなんてわかっている。飲み切って焼酎の水割りを飲み始めた頃、友達から電話がかかってきてほんの少しだけ話し込む、弱音を吐きかけながら味噌汁をすする。そんときなんかいいことも一緒に吐いたのでタンブラーに書いてやろうと思ったのに電話を切った今は何も思い出せなかった、チクショウ。一昨日からタバコの本数が増えた。今月お金がなのはそのせいな気がする。なんもかんも悪循環な気がする毎日を受け入れながら、認めながら過ごしてしまう。タスク過多な癖して向き合うことに逃げたくなるので本当によくない。忙しくないふりをしてしまうのも良くない、向き合え自分。しょーもないことで考え過ぎてしまうことも悪い癖だと電話口で呟いたことは覚えている。一喜一憂は躁鬱病だった頃の名残なのか、でも明日には忘れてしまうんだろうし、いつだって時間が解決してくれることを知った。まあそうは言ってもそれは表面的にだ���れども。しょうもないクソ野郎に乾杯、明日も6時に目覚ましをかけるけれどきっと起きられないんだろうな。絶ったはずの自宅での一人飲酒も再び。クソなくらいがちょうどいいのかもしれない、本当に勘弁なんだけど。きょうもネガティブちゃん、さようなら、すんなりと寝れるようにだけはなりました。二杯目の焼酎水割りを飲みたくなっている、まあやめておこうね。結局カラーコンタクトは1ヶ月以上使い続けているな。明日には買いに行こう。おやすみね。
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Aさんへ ⑱
Aさんこんばんは
先日はわざわざお電話くださりありがとうございました
タイミングを逃してしまいお���できずとても残念でした
でもメールにてお元気そうなAさんを感ずることができとても嬉しかったです
ドライフルーツの天然酵母パン
いつか必ず頂きにうかがいます
その際にはAさんがお好きなクリームチーズと私が好きなカマンベールを持参いたします
ワインもいきましょう
楽しみです
またメールさせていただきます
お電話も
Sより
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『インサイト』
弔いがてらビールを飲みたくなる。
タカシが好んだドライを。
ずぶ濡れのドブネズミような後ろめたさで、傘をささず雨のなかに立ち自分のなかに蓄積した愚かさを打たれる雨に洗い流して欲しいと願うような今のきもち。たとえば今すぐ懺悔箱に入りたい。
リョウはジャスミンティーの円柱グラスにはりついた水滴を見つめる。
水滴を人差し指でなぞり、湿った指先でカウンターの木目をくるりくるりとなぞる。
「横取りね」
オギの、無装飾を装う平熱より微々高い優しい温度の声がリョウの耳に静かにストンと届く。優しい温度。きっとそれは思い遣り。だからこそ「横取り」の言葉は優しい音として聞くと一層重みを増す。トゲがなくまろやかだから染み入るようにストンと耳に届く。耳から心に届く否応なしに。
優しい温度、優しい音、優しい言葉。
昔観た映画の教会の片隅にあった懺悔部屋。懺悔箱。静かな鎮魂歌。胸の前で両手を組み目を閉じ項垂れる男。箱の外から神父が優しい言葉をかける。
ほの暗い照明の、狭い店に充満する音楽と酔狂な騒ぎと肉が焼ける匂い。ジャスミンティーのグラスにびっしりはりついた水滴。優しいオギの優しい言葉。
届いた言葉は心に到着すると鉛のように重くなり消化できないヘドロのように胃を重くする。ためいき。
反省、伝えきれなかった感謝と謝罪、後悔、自責、もしもボックスで過去に戻りたい、尽きぬ懺悔。
どれだろう。どれも全部か。「虫酸が走る」とタカシの目を見つめ吐き捨てた。けれどタカシを好きだった。宝物でお守りで存在そのものがマンケーブだった兄。好きだった。最後の日まで。今も。指でなぞる木目がアリ地獄に思える。
「まあいいや。その話。面倒くさいから。
俺、お前に女盗られたことないし。それに生前彼女に手を出したわけじゃないだろ。中途半端に悪者ぶるな気持ち悪い。反吐が出る。何にせよ過去には戻れない。タカシくんはもういない。前を見るしかない。
そんな話どうでもいい。んでさ、女ってさ……」
運ばれたばかりのグラスに唇を当て、真新しい泡を飲み込む男友達の横顔をリョウはまじまじと眺める。ここは懺悔箱ではない。耳障りがいいその場しのぎの付け焼き刃的慰めは皆無。旧友であり親友でもあるこの男の、彼女の気持ちがわかる。彼女の横に立って肩を叩き同情したくなる。「そりゃ惚れるよ。男の俺でさえも惚れてしまうよ。」と。
腹の中だけで呟き否応なしに顔が綻ぶ。
笑ってしまう。笑うしかないと思わせる男友達の声。つまり、今夜はビールを何杯でも奢りたくなるほどリョウは神父でも神でもないただの親友に救われてしまう。
「……ていうかさ。これ、ハイロウズの方だよな。ブルーハーツじゃないよな。」
オギが思案顔で音を読む。シャララとヒロトは歌う。堪らない。優しくて優しくてやってられない。下を向きずぶ濡れで木目をなぞりながら永遠に日曜日に居たくなる時だってあると優しくされてしまう。
リョウはジャスミンティーをゴブリと大きく飲み込む。冷たいジャスミンティーは喉を冷やしながら通過し胃にとどまる。
とても旨いと思う。
久々に会った男友達は元気で優しい。冷えたジャスミンティーはヘドロが張りつく体内を爽やかに鎮静する。鎮痛。飯はうまいし明日も仕事がある。明日も仕事だと奮起することができる。家に帰れば冷蔵庫のなかにソノコお手製のケーキがある。自分が産まれたことを祝福してくれる人。「おかえりなさい。」と笑ってくれる人。その胸に顔を埋めればきっと頭を包んで抱きしめてくれる。疲れた?眠い?リョウくん好きよ。
「お前、この歌が似合うな。ハイロウズ。滅茶苦茶似合う。お前にピッタリだよ。」
「は?歌に似合うとか似合わないとかあんの?全くわかんねえけど。でさ、エサだよ。エサの話。女ってさ一緒にいられるだけで幸せ、的なやつ?あれ嘘な。」
「嘘?」
「嘘じゃないにしても最初だけよな。月並みだけどさ、特別なことなんてなくてもあなたといられるだけで幸せとか最初だけでさ3ヶ月くらいしたらやたら記念日が増えてるんだよな。特別な日だらけよ。毎日がスペシャル。誕生日やらクリスマスやらホワイトデーはまあいいとして。出会った日記念だの付き合い始めた記念だの、喧嘩したけど復縁した記念とかさ。
お前覚えられる?
月のほとんどが記念日になってくぞ?月命日だって月一回よ?
特別な日なんだから記念にどっか連れてけとかプレゼントだとか……ただの口実だよな。んなー、もー、面倒くさい。全力で、全身全霊で面倒くせえ。もうさ、どさくさに紛れて月2回誕生日祝ってんじゃねえかな、俺。
あいつの誕生日聞かれたら正直すぐ答えられないもんな。んで、俺の誕生日はさ、雑なんだよな~、扱いが。あからさまに雑よ。」
「誕生日。」
「あとさ、厄介なのがサプライズと手紙な。お手紙。ラブなレターよ。」
「手紙?」
「女はなんだかんだ気持ちのこもったお手紙が嬉しいもんだとか言ってさ。お前そんな繊細な情緒持ち合わせてねえだろって話なのよ。毎日何回ラインしてると思ってんだよ。そんな今さら手紙で伝えることもねえっつうの。この前さ今日は天気が良かったね。パスタおいしかったよって書いたら本気でキレてさ。小学生の日記じゃねーとか言って。
これ旨いな。
お前んとこ料理上手いんだよな?
いいよなー。心底羨ましいわ。うちこの前カルボナーラ作ってさ。玉子ボッソボソ。これそぼろ?って聞いたらまじでキレてさ。
苦手なら高度なとこに手を出さなきゃ良いと思うんだけどな。大してうまくないやつに限って難易度高いとこに手を出すのよ。スペアリブとかいって。やばかった。ササミの甘辛煮?って言いそうになって寸止めしたかつての自分を俺は全力で褒め称えたい。スペアリブて。言いたいだけだろ。わたしスペアリブ作れますて。カラオケと一緒よ。音痴に限って難しいとこ手だすのよ。大散らかり。アレンジにもほどがあるわ。聴き終えたころには完全に原曲を思い出せなくなってる。」
深刻み皆無の愚痴を一通り吐き出し、艶々光るオイルを纏ったカルパッチョのタコをフォークに刺して持ち上げ、旨そうに咀嚼するオギの横顔をリョウは見つめる。タコからミニトマト、タイ、再度タコ、ビール。
「旨い?」
「旨い。俺いまなに食っても旨い。旨い���ハードルが相当低くなってる。」
「うん。おいしい?」
「は?だから旨いよ。おいしいです。なに?なによ気持ち悪いな。お前は俺の女か。おいしいを強要すな。なによ。お前も食えばいいだろ?」
「ん、うん。いや、おいしくてなにより。」
おなかすいたでしょ。
またつくり過ぎたわ。
無理しなくていいのよ。
リョウくんおいしい?
そう。よかった。
またつくるわね。
これ、タカシくんもお気に入りだったのよ。
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