#三味線の恐怖
Explore tagged Tumblr posts
mayamiyamaillustration · 2 months ago
Text
幸せなねこようびを🐾🐾
Have a happy caturday
©️maya miyama 2023
Tumblr media
7 notes · View notes
simamamoru · 5 months ago
Text
汚辱の日々  さぶ
  1.無残
 日夕点呼を告げるラッパが、夜のしじまを破って営庭に鳴り響いた。
「点呼! 点呼! 点呼!」
 週番下士官の張りのある声が静まりかえった廊下に流れると、各内務班から次々に点呼番号を称える力に満ちた男達の声が騒然と漠き起こった。
「敬礼ッ」
 私の内務班にも週番士官が週番下士官を従えて廻って来て、いつもの点呼が型通りに無事に終った。辻村班長は、これも毎夜の通り
「点呼終り。古兵以上解散。初年兵はそのまま、班付上等兵の教育をうけよ。」
 きまりきった台詞を、そそくさと言い棄てて、さっさと出ていってしまった。
 班付上等兵の教育とは、言い換えれば「初年兵のビンタ教育」その日の初年兵の立居振舞いのすべてが先輩達によって棚卸しされ、採点・��価されて、その総決算がまとめて行われるのである。私的制裁をやると暴行罪が成立し、禁止はされていたものの、それはあくまで表面上でのこと、古兵達は全員残って、これから始まる凄惨で、滑稽で、見るも無残なショーの開幕を、今や遅しと待ち構えているのであった。
 初年兵にとつては、一日のうちで最も嫌な時間がこれから始まる。昼間の訓練・演習の方が、まだしもつかの間の息抜きが出来た。
 戦闘教練で散開し、隣の戦友ともかなりの距離をへだてて、叢に身を伏せた時、その草いきれは、かつて、学び舎の裏の林で、青春を謳歌して共に逍遙歌を歌い、或る時は「愛」について、或る時は「人生」について、共に語り共に論じあったあの友、この友の面影を一瞬想い出させたし、また、土の温もりは、これで母なる大地、戎衣を通じて肌身にほのぼのと人間的な情感をしみ渡らせるのであった。
 だが、夜の初年兵教育の場合は、寸刻の息を抜く間も許されなかった。皓々(こうこう)とした電灯の下、前後左右、何かに飢えた野獣の狂気を想わせる古兵達の鋭い視線が十重二十重にはりめぐらされている。それだけでも、恐怖と緊張感に身も心も硬直し、小刻みにぶるぶる震えがくるのだったが、やがて、裂帛(れっぱく)の気合
怒声、罵声がいり乱れるうちに、初年兵達は立ち竦み、動転し、真ッ赤に逆上し、正常な神経が次第々に侵され擦り切れていった。
 その過程を眺めている古兵達は誰しも、婆婆のどの映画館でも劇場でも観ることの出来ない、スリルとサスペンスに満ち溢れ、怪しい雰囲気につつまれた素晴しい幻想的なドラマでも見ているような錯覚に陥るのであった。幻想ではない。ここでは現実なのだ。現実に男達の熱気が火花となって飛び交い炸裂したのである。
 なんともやりきれなかった。でも耐え難い恥辱と死につながるかもしれない肉体的苦痛を覚悟しない限り抜け出せないのである。ここを、この軍隊と云う名の檻を。それがあの頃の心身共に育った若者達に課せられた共通の宿命であった。
 この日は軍人勅諭の奉唱から始まった。
「我ガ国ノ軍隊ハ代々天皇ノ統率シ賜ウトコロニゾアル……」
 私は勅諭の奉唱を���教の読経、丁度そんなものだと思っていた。精神が忘れ去られ、形骸だけが空しく機械的に称えられている。又虐げられた人々の怨念がこもった暗く重く澱んだ呻き、それが地鳴りのように聞こえてくるそんな風にも感じていた。
 勅諭の奉唱が一区切りついたところで、一人の古兵が教育係の上等兵に何か耳うちした。頷いた上等兵は、
「岩崎、班長殿がお呼びだ。すぐ行けッ」
 全員の目が私に集中している。少くとも私は痛い程そう感じた。身上調査のあったあの日以来、私は度々辻村机長から呼び出しをうけた。あいつ、どうなってんだろ。あいつ班長殿にうまく、ゴマすってるんじゃないか。あいつ、俺達のことを、あることないこと、班長殿の気に入るように密告してるんじゃないか。同年兵も古兵達も、皆がそんな風に思っているに違いない。私は頑なにそう思い込んでいた。
 つらかった。肩身が狭かった。
 もともと私は、同年兵達とも古兵達とも、うまくいっていなかった。自分では余り意識しないのだが、私はいつも育ちや学歴を鼻にかけているように周囲から見られていたようである。運動神経が鈍く、腕力や持久力がからっきし駄目、することなすことがヘマばかり、ドジの連続の弱兵のくせに、その態度がデカく気障(きざ)っぽく嫌味で鼻持ちがならない。そう思われているようだった。
 夏目漱石の「坊ちゃん」は親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしていたと云うが、私は生まれつき人みしりのする損なたちだった。何かの拍子にいったん好きになると、その人が善人であれ悪人であれ、とことん惚れ込んでしまうのに、イケ好かない奴と思うともう鼻も引つかけない。気軽に他人に話しかけることが出来ないし、話しかけられても、つい木で鼻をくくったような返事しかしない。こんなことではいけないと、いつも自分で自分を戒めているのだが、こうなってしまうのが常である。こんなことでは、同年兵にも古兵にも、白い眼で見られるのは至極当然内務班でも孤独の影がいつも私について廻っていた。
 あいつ、これから始まる雨霰(あめあられ)のビンタを、うまく免れよって――同年兵達は羨望のまなざしを、あいつ、班長室から戻って来たら、ただではおかないぞ、あの高慢ちきで可愛いげのないツラが変形するまで、徹底的にぶちのめしてやるから――古兵達は憎々しげなまなざしを、私の背に向って浴せかけているような気がして、私は逃げるようにその場を去り辻村班長の個室に急いだ。
 2.玩弄
 部屋の前で私は軽くノックした。普通なら「岩崎二等兵、入りますッ」と怒鳴らねばならないところだが、この前���呼び出しをうけた時に、特にノックでいいと辻村班長から申し渡されていたのである。
「お��、入れ」
 低いドスのきいた返事があった。
 扉を閉めると私はいったん直立不動の姿勢をとり、脊筋をぴんとのばしたまま、上体を前に傾け、しゃちこばった敬礼をした。
 辻村班長は寝台の上に、右手で頭を支えて寝そべりながら、じっと私を、上から下まで射すくめるように見据えていたが、立ち上がって、毛布の上に、どっかとあぐらをかき襦袢を脱ぎすてると、
「肩がこる、肩を揉め」
 傲然と私に命じた。
 私も寝台に上がり、班長の後に廻って慣れぬ手つきで揉み始めた。
 程よく日焼けして艶やかで力が漲っている肩や腕の筋肉、それに黒々とした腋の下の毛のあたりから、男の匂いがむっと噴き出てくるようだ。同じ男でありながら、私の身体では、これ程官能的で強烈な匂いは生まれてこないだろう。私��は、まだまだ乳臭く、淡く、弱く、男の匂いと云うには程遠いものであろう。肩や腕を、ぎこちない手つきで揉みながら、私はふっと鼻を彼の短い頭髪やうなじや腋に近づけ、深々とこの男の乾いた体臭を吸い込むのだった。
「おい、もう大分、慣れて来たか、軍隊に」
「……」
「つらいか?」
「いエ……はァ」
「どっちだ、言ってみろ」
「……」
「つらいと言え、つらいと。はっきり、男らしく。」
「……」
「貴様みたいな、娑婆で、ぬくぬくと育った女のくさったようなやつ、俺は徹底的に鍛えてやるからな……何だ、その手つき……もっと、力を入れて……マジメにやれ、マジメに……」
 辻村班長は、岩崎家のぼんぼんであり、最高学府を出た青白きインテリである私に、マッサージをやらせながら、ありったけの悪態雑言を浴びせることを心から楽しんでいる様子であった。
 ごろりと横になり、私に軍袴を脱がさせ、今度は毛深い足や太股を揉みほぐし、足の裏を指圧するように命じた。
 乱れた越中褌のはしから、密生した剛毛と徐々に充血し始めた雄々しい男の肉茎が覗き生臭い股間の匂いが、一段と激しく私の性感をゆさぶり高ぶらせるのであった。
 コツコツ、扉を叩く音がした。
「おお、入れ」
 私の時と同じように辻村班長は横柄に応えた。今時分、誰が。私は思わず揉む手を止めて、その方に目を向けた。
 入って来たのは――上等兵に姿かたちは変ってはいるが――あっ、辰ちゃんではないか。まぎれもなく、それは一丁目の自転車屋の辰ちゃんなのだ。
 私の家は榎町二丁目の豪邸。二丁目の南、一丁目の小さな水落自転車店、そこの息子の���三は、私が小学校の頃、同じ学年、同じクラスだった。一丁目と二丁目の境、その四つ角に「つじむら」と云ううどん・そば・丼ぶり物の店があり、そこの息子が今の辻村班長なのである。
 私は大学に進学した関係で、徴兵検査は卒業まで猶予されたのであるが、彼―― 水落辰三は法律通り満二十才で徴兵検査をうけ、その年か翌年に入隊したのだろう。既に襟章の星の数は私より多く、軍隊の垢も、すっかり身についてしまっている様子である。
 辰ちゃんは幼い時から、私に言わせれば、のっぺりした顔だちで、私の好みではなかったが、人によっては或いは好男子と言う者もあるかもしれない。どちらかと言えば小柄で小太り、小学校の頃から既にませていて小賢しく、「小利口」と云う言葉が、そのままぴったりの感じであった。当時のガキ大将・辻村に巧みにとり入って、そのお気に入りとして幅をきかしていた。私が中学に入って、漢文で「巧言令色スクナシ仁」と云う言葉を教わった時に「最っ先に頭に想い浮かべたのはこの辰ちゃんのことだった。ずる賢い奴と云う辰ちゃんに対する最初の印象で、私は殆んどこの辰ちゃんと遊んだ記憶も、口をきいた記憶もなかったが、顔だけは、まだ頭の一隅に鮮明に残っていた。
 辻村班長は私の方に向って、顎をしゃくり上げ、辰ちゃん、いや、水落上等兵に、「誰か分かるか。」
 意味あり気に、にやっと笑いながら尋ねた
「うん」
 水落上等兵は卑しい笑みを歪めた口もとに浮かべて頷いた。
「岩崎、裸になれ。裸になって、貴様のチンポ、水落に見てもらえ。」
 頭に血が昇った。顔の赤らむのが自分でも分った。でも抵抗してみたところで、それが何になろう。それに恥ずかしさに対して私は入隊以来もうかなり不感症になっていた。部屋の片隅で、私は手早く身につけていた一切合切の衣類を脱いで、生まれたままの姿にかえった。
 他人の眼の前に裸身を晒す、そう思うだけで、私の意志に反して、私の陰茎はもう「休メ」の姿勢から「気ヲ付ケ」の姿勢に変り始めていた。
 今日は辻村班長の他に、もう一人水落上等兵が居る。最初から突っ張ったものを披露するのは、やはり如何にもきまりが悪かった。しかも水落上等兵は、私が小学校で級長をしていた時の同級生なのである。
 私の心の中の切なる願いも空しく、私のその部分は既に独白の行動を開始していた。私はどうしても私の言うことを聞かないヤンチャ坊主にほとほと手を焼いた。
 堅い木製の長椅子に、辻村班長は越中褌だけの姿で、水落上等兵は襦袢・軍袴の姿で、並んで腰をおろし、旨そうに煙草をくゆらしていた。班長の手招きで二人の前に行くまでは、私は両手で股間の突起を隠していたが、二人の真正面に立った時は、早速、隠し続ける訳にもいかず、両手を足の両側につけ、各個教練で教わった通りの直立不動の姿勢をとった。
「股を開け。両手を上げろ」
 命ぜられるままに、無様な格好にならざるを得なかった。二人の視線を避けて、私は天井の一角を空ろに眺めていたが、私の胸の中はすっかり上気して、不安と、それとは全く正反対の甘い期待とで渦巻いていた。
 二人は代る代る私の陰茎を手にとって、きつく握りしめたり、感じ易い部分を、ざらざらした掌で撫で廻したりしはじめた。
「痛ッ」
 思わず腰を後にひくと、
「動くな、じっとしとれ」
 低い威圧的な声が飛ぶ。私はその部分を前につき出し気味にして、二人の玩弄に任せると同時に、高まる快感に次第に酔いしれていった。
「廻れ右して、四つん這いになれ。ケツを高くするんだ。」
 私の双丘は水落上等兵の手で押し拡げられた。二人のぎらぎらした眼が、あの谷間に注がれていることだろう。板張りの床についた私の両手両足は、時々けいれんをおこしたように、ぴくッぴくッと引き吊った。
「顔に似合わず、案外、毛深いなアこいつ」
 水落上等兵の声だった。突然、睾丸と肛門の間や、肛門の周囲に鈍い熱気を感じた。と同時に、じりッじりッと毛が焼けて縮れるかすかな音が。そして毛の焦げる匂いが。二人は煙草の火で、私の菊花を覆っている黒い茂みを焼き払い出したに違いないのである。
「熱ッ!」
「動くな、動くとやけどするぞ」
 辻村班長の威嚇するような声であった。ああ、目に見えないあのところ、今、どうなってるんだろう。どうなってしまうのだろう。冷汗が、脂汗が、いっぱいだらだら――私の神経はくたくたになってしまった。
  3.烈情
「おい岩崎、今日はな、貴様にほんとの男ってものを見せてやっからな。よーく見とれ」
 四つん這いから起きあがった私に、辻村班長は、ぶっきらぼうにそう言った。辻村班長が水落上等兵に目くばせすると、以心伝心、水落上等兵はさっさと着ているものを脱ぎ棄てた。裸で寝台の上に横になった水落上等兵は、恥ずかしげもなく足を上げてから、腹の上にあぐらを組むように折り曲げ、辻村班長のものを受入れ易い体位になって、じっと眼を閉じた。
 彼白身のものは、指や口舌で何の刺戟も与えていないのに、既に驚くまでに凝固し若さと精力と漲る力をまぶしく輝かせていた。
「いくぞ」
 今は褌もはずし、男一匹、裸一貫となった辻村班長は、猛りに猛り、水落上等兵を押し分けていった。
「ううッ」
 顔をしかめ、引き吊らせて、水落上等兵は呻き、
「痛ッ……痛ッ……」と二言三言、小さな悲鳴をあげたが、大きく口をあけて息を吐き、全身の力を抜いた。彼の表情が平静になるのを待って、辻村班長はおもむろに動いた。大洋の巨大な���のうねりのように、大きく盛り上がっては沈み、沈んでは又大きく盛り上がる。永落上等兵の額には粒の汗が浮かんでいた。
 凄まじい光景であった。凝視する私の視線を避けるように、流石の永落上等兵も眼を閉じて、烈しい苦痛と屈辱感から逃れようとしていた。
「岩崎、ここへ来て、ここをよーく見ろ」
 言われるがままに、私はしゃがみこんで、局部に目を近づけた。
 一心同体の男達がかもし出す熱気と、激しい息づかいの迫力に圧倒されて、私はただ茫然と、その場に崩れるようにすわりこんでしまった。
 戦いは終った。戦いが烈しければ烈しい程それが終った後の空間と時間は、虚しく静かで空ろであった。
 三人の肉体も心も燃え尽き、今は荒涼として、生臭い空気だけが、生きとし生ける男達の存在を証明していた。
 男のいのちの噴火による恍惚感と、その陶酔から醒めると、私を除く二人は、急速にもとの辻村班長と水落上等兵に戻っていった。先程までのあの逞しい情欲と激動が、まるで嘘のようだった。汲(く)めども尽きぬ男のエネルギーの泉、そこでは早くも新しい精力が滾々(こんこん)と湧き出しているに達いなかった。
 「見たか、岩崎。貴様も出来るように鍛えてやる。寝台に寝ろ。」
 有無を言わせぬ強引さであった。
 あの身上調査のあった日以来、私はちょくちょく、今夜のように、辻村班長の呼び出しをうけていたが、その度に、今日、彼が水落上等兵に対して行ったような交合を私に迫ったのである。しかし、これだけは、私は何としても耐えきれなかった。頭脳に響く激痛もさることながら、襲いくる排便感に我慢出来ず私は場所柄も、初年兵と云う階級上の立場も忘れて、暴れ、喚き、絶叫してしまうので、辻村班長は、ついぞ目的を遂げ得ないままであった。
 その時のいまいましげな辻村班長の表情。何かのはずみでそれを想い出すと、それだけで、私は恐怖にわなないたのであるが、辻村班長は一向に諦めようとはせず、執念の劫火を燃やしては、その都度、無残な挫折を繰り返していたのである。
 その夜、水落上等兵の肛門を責める様を私に見せたのは、所詮、責められる者の一つの手本を私に示す為であったかもしれない。
「ぐずぐずするな。早くしろ、早く」
 ああ、今夜も。私は観念して寝台に上がり、あおむけに寝た。敷布や毛布には、先程のあの激突の余儘(よじん)が生温かく、水落上等兵の身体から滴り落ちた汗でじっとりと湿っていた。
 私の腰の下に、枕が差し込まれ、両足を高々とあげさせられた。
「水落。こいつが暴れんように、しっかり押さえつけろ。」
 合点と云わんばかりに、水落上等兵は私の顔の上に、肉づきのいい尻をおろし、足をV字形に私の胴体を挟むようにして伸ばした。股の割れ目は、まだ、水落上等兵の体内から分泌された粘液で��めり、私の鼻の先や口許を、ねばつかせると同時に、異様に生臭い匂いが、強烈に私の嗅覚を刺戟した。
「むむッ」
 息苦しさに顔をそむけようとしたが、水落上等兵の体重で思うにまかせない。彼は更に私の両足首を手荒く掴んで、私の奥まった洞窟がはっきり姿を見せるよう、折り曲げ、組み合わせ、私の臍の上で堅く握りしめた。
 奥深く秘められている私の窪みが、突然、眩しい裸電球の下に露呈され、その差恥感と予期される虐待に対する恐怖感で、時々びくっびくっと、その部分だけが別の生き物であるかのように動いていた。
 堅い棒状の異物が、その部分に近づいた。
 思わず息をのんだ。
 徐々に、深く、そして静かに、漠然とした不安を感じさせながら、それは潜行してくる。ああッ〃‥ああッ〃‥‥痛みはなかった。次第に力が加えられた。どうしよう……痛いような、それかと云って痛くも何ともないような、排泄を促しているような、そうでもないような、不思議な感覚が、そのあたりにいっぱい。それが、私の性感を妖しくぐすぐり、燃えたたせ、私を夢幻の境地にさそうのであった。
 突然、激痛が火となって私の背筋を突っ走った。それは、ほんのちょっとした何かのはずみであった。
「ぎゃあッ!!」
 断末魔の叫びにも似た悲鳴も、水落、上等兵の尻に押さえつけられた口からでは、単なる呻きとしか聞きとれなかったかもしれない。
 心をとろけさせるような快感を与えていた、洞窟内の異物が、突如、憤怒の形相に変わり、強烈な排便感を伴って、私を苦しめ出したのである。
「お許し下さいッ――班長殿――お許しッ ――お許しッ――ハ、ハ、班長殿ッ」  言葉にはならなくても、私は喚き叫び続けた。必死に、満身の力を振り絞って。
「あッ、汚しますッ――止めて、止めて下さいッ――班長殿ッ――ああ――お願いッ――お許しッ――おおッ――おおッ―― 」
「何だ、これくらいで。それでも、貴様、男か。馬鹿野郎ッ」
「ああッ、……痛ッ……毛布……毛布……痛ッ――汚れ――汚れますッ――班長殿ッ」
 毛布を両手でしっかりと握りしめ、焼け爛れるような痛さと、排便感の猛威と、半狂乱の状態で戦う私をしげしげと眺めて、流石の辻村班長も、呆れ果てで諦めたのか、
「よしッ……大人しくしろ。いいか、動くなッ」
「うおおおー!!!」
 最後の一瞬が、とりわけ私の骨身に壊滅的な打撃を与えた。
「馬鹿野郎。ただで抜いてくれるなんて、甘い考えおこすな。糞ったれ」
 毒づく辻村班長の声が、どこか遠くでしているようだった。
 終った、と云う安堵感も手伝って、私は、へたへたとうつ伏せになり、股間の疼きの収まるのを待った。身体じゅうの関節はばらばら全身の力が抜けてしまったように、私はいつまでも、いつまでも、起き上がろうとはしなかった。 
 班長の最後の一撃で俺も漏らしてしまったのだ。腑抜けさながら。私はここまで堕ちに堕ちてしまったのである。  瞼から涙が溢れ、男のすえた体臭がこびりついた敷布を自分の汁と血で汚していた。
 どれだけの時間が、そこで停止していたことか。
 気怠(けだる)く重い身体を、もぞもぞ動かし始めた私。
 「なんだ、良かったんじゃねぇか、手間取らせやがって」
 おれの漏らした汁を舐めながら辻村班長が言った。
 そして汚れたモノを口に突っ込んできた。
 水落上等兵は、おいうちをかけるように、俺に覆い被さり、聞こえよがしに口ずさむのであった。
 新兵サンハ可哀ソウダネ――マタ寝テカクノカヨ――
        (了)
37 notes · View notes
chaukachawan · 1 month ago
Text
デスゲーム役者紹介
秋公お疲れ様でした。ゆにです。
役者紹介って、何書けばいいのか本当にわかんなくなってきますね。
というわけで、デスゲームに参加した時の皆さんについて考えてみました。
園堂香莉
いきなりでごめんなさい、内通者です。初回から登場し、巻き込まれて可哀想なヒロインのように描かれますが、最終話近辺でデスゲーム主催者と内通し様々な工作を行っていたことが判明します。いちばん身近でデスゲームを感じたかったようです。
近未来ミイラ
2話で脱落します。トラップに怯えつつなんやかんやクリアしていましたが、勇気をだして勝負に出たところで脱落します。後々、彼の手記がデスゲーム攻略の鍵を握ります。親父ギャグを言いながら溶鉱炉に沈んでいくところは、ネットミームとして有名です。
たぴおか太郎
4話で脱落します。独特のワードセンスや、パニックになりながらも奇跡的偶然により数々のトラップをクリアする姿で人気を集めます。しかし、クワッカワラビー神への信仰を捨てきれず、良心を試してくるタイプのミッションに失敗し、姿を消します。
帝京魂
1話で脱落します。主人公が最初に会話する参加者のひとりです。残り少ない命を使い、幼い妹のために大金を狙い参加したことが明かされますが、絶望的シーンを演出するため、冒頭で脱落してしまいます。
錫蘭リーフ
内通者です。主催者の忠実な部下として、参加者に紛れ込み工作を行っています。主人公には6話くらいから怪しまれ始めますが、あまりに人柄が良いので中々内通者と判明しません。最後は主人公を庇って死にます。
森々千入
6話で脱落します。6話くらいから新ステージに突入して、主人公は新たな参加者と対面するんですが、そのうちの一人です。複数の参加者から人気を集め、グループ戦でデスゲームを勝ち残ろうとしますが、不審に脱落します。リーダーを失ったグループは疑心暗鬼に陥り、内部分裂していきます。
最後まで生き残ります。冷静沈着で、周りがパニックに陥っているなか正しく状況を分析し、着々と勝ち進んでいきます。最終話まで特に誰かと行動を共にすることはありませんが、クライマックスで主人公の大きな味方となり、勝利へと導きます。
苔丸
主催者側です。元々は参加者でしたが、素質を見込まれ主催者にスカウトされ運営に回ります。参加者の観察が主な業務です。最初の方は謎の人物として意味深に画面に移りますが、後々その正体が分かってきます。
響夜
最終話まで生き残ります。あまりにギャンブルに出るバーサーカーなので、放送中ずっと考察タグで内通者だと思われていますが、一般の参加者です。賭けに出た時の強運が持ち味で、最後に主催者と相打ちになります。
ミル鍋
毒入りお菓子の差し入れに食いつき、1話で脱落。
あろハム権左衛門
9話で脱落します。登場時はデスゲームに戸惑う様子を見せるものの、着実にコツをつかみ、華麗なテクニックで勝負を勝ち抜いていきます。彼女の成長物語は視聴者の心を掴みますが、最後は小さな女の子を庇って脱落し、涙なしには見れません。
西峰ケイ
5話で脱落します。最初はキツそうな印象から、主人公と敵対するかと思いきや、その姉御気質な性格やギャグセンで人気を集めます。あろハムと友情を築き、共に勝ち上がっていきますが、彼女を庇って脱落します。これにより、あろハムが覚醒します。
アリリ・オルタネイト
主催者側です。人間の参加者たちには冷酷に処分を下していきますが、実は参加者のかっていた猫を大事に保護している一面もあります。ちなみに、主催者側を辞めて一般社会に戻るには、拳銃ロシアンルーレットをしなければなりません。
〆切三日前
主催者側です。初回から主催者の部下として登場し、参加者を恐怖に陥れます。実は家族をこのデスゲームにより亡くしており、復讐のため綿密な計画を練ってゲームに参加し、スカウトされ主催者側にまで登りつめました。
黒井白子
6話で脱落します。序盤から登場し、時折主人公を励ましながら共にゲームを勝ち抜きます。5話くらいで主人公より先にミッションをクリアし、先で待っていると約束して次のステージに進みますが、6話ラストで既に脱落していることが判明するので、約束は果たされません。
中森ダリア
3話で脱落します。情に厚いギャルなので、時々おばあちゃんとか助けながらトラップをクリアします。主催者側の人間がおばあちゃんを騙して脱落させようとしている際、おばあちゃんを庇って口論になり、最終的にルール違反として理不尽に脱落させられます。出番は少ないが、視聴者人気高め。
きなこ
内通者です。癒しキャラとして人気を集めます。7話辺りから���線回収パートに入りますが、そこで衝撃の裏切りが判明します。実は主催者の指示のもと参加者の不審な脱落に関わっていましたが、ほわほわした笑顔でそれを一切悟らせませんでした。
暁レミエル
2話で脱落します。夢を叶えるため大金を獲得することを夢見て参加しますが、人を騙して勝ち上がるタイプのミッションで罪悪感を隠し切ることが出来ず、1枚上手の相手に叶わず姿を消します。ちなみに相手はきなこです。
肆桜逸
4話で脱落します。灘で鍛えた数学力で緻密な計算を行い、生き残っていきます。しかし、得意の数学と大好きなポケモンカードのどちらで勝負するかという選択に迫られ、得意分野よりもポケカへの愛を優先した結果、あえなく敗北。
埖麦
8話で退場します。時には人を騙すことも厭わず、ゲームを勝ち抜いていきます。4話あたりでスカウトを受け、主催者側に。しかし旧知の友人であるらむだ・なつめの脱落に関わったことで気を病み、8話で主人公に情報を提供。契約違反で運営に消されます。
紫苑
6話で脱落します。何となくでデスゲームに参加した猛者。らむだと行動を共にしていたことで、彼がリーダーであったグループの分裂に巻き込まれますが、特に動じずしれっと生き残ります。しかし、主催者側に忠誠心を試されたむぎにより姿を消します。
水琴冬雪
2話で脱落します。最初は気が乗りませんが、ゲームに挑むうちに人を蹴落とす感覚に慣れていきます。しかし��小さな女の子を相手に勝負する際、何かしらポエミーなセリフを残して勝負を放棄し退場します。作中でポエミーになるのはこの人だけなので、若干浮きます。
主催者は誰かな🎶
こふくちゃんかな🎶
以上です。
妄言にお付き合いいただき、ありがとうございました。
2 notes · View notes
tamanine · 2 months ago
Text
2024.10.13
映画『HAPPYEND』を見る。父の時代の学生運動のような雰囲気と、街の風景のクールな切り取り、存在感があり重厚な音楽の使い方から愛しいものとしてのテクノの使い方まで大変気に入り、今度会う人に渡そうと映画のパンフレットを2冊買う。その人と行った歌舞伎町時代のLIQUIDROOM、どんどん登らされた階段。小中学生の時に自分がした差別、あの分かっていなさ、別れた友人、まだ近くにいる人たち。
2024.10.14
銀座エルメスで内藤礼『生まれておいで 生きておいで』、ガラスの建築に細いテグスや色のついた毛糸が映える。日が落ちて小さなビーズが空間に溶けていくような時間に見るのも素敵だと思う。檜の「座」で鏡の前にいる小さな人を眺める。「世界に秘密を送り返す」を見つけるのは楽しい。黒目と同じだけの鏡、私の秘密と世界の秘密。今年の展示は上野・銀座ともに少し賑やかな雰囲気、外にいる小さい人たちや色とりどりの光の色を網膜に写してきたような展示。でも相変わらず目が慣れるまで何も見えてこない。銀座にはBillie Eilishもあったので嬉しくなる。
GINZA SIXのヤノベケンジ・スペースキャットと、ポーラアネックスでマティスを見てから歩行者天国で夜になっていく空を眺めた。小さい頃は銀座の初売りに家族で来ていたので、郷愁がある。地元に帰るよりも少しあたたかい���持ち、昔の銀座は磯部焼きのお餅を売っていたりしました。東京の楽しいところ。
2024.10.18
荷造り、指のネイル塗り。足は昨日塗り済み。年始の青森旅行時、2泊3日の持ち物リストを作成し、機内持ち込み可サイズのキャリーに入れ参照可能にしたところ、旅行のめんどくさい気持ちが軽減された。コンタクトや基礎化粧品・メイク用品のリスト、常備薬、安心できる着替えの量。持ち物が少ない人間にはなれそうにない。日常から多い。部屋に「読んでいない本」が多いと落ち着くような人間は持ち物少ない人になれない。
2024.10.19
早起きして羽田空港。8:30くらいに着いたらまだ眺めのいいカフェが開いておらず、とりあえず飛行機が見える屋上に行く。このあと雨が降るはずの曇り空からいきなり太陽が照り出して暑くなり、自販機でマカダミアのセブンティーンアイスを買い、食べる。突然の早朝外アイス。飛行機が整列し、飛び立つところをぼんやりと眺める。飛行機は綺麗。昨夜寝る前にKindleで『マイ・シスター、シリアルキラー』を買って「空港ではミステリー小説だろう」と浮かれて眠ったのに、100分de名著のサルトルを読み進める。実存主義を何も分かっていないことをこっそりとカバーしたい。すみませんでした。
10:15飛行機離陸。サンドイッチをぱくぱく食べたあとKindleを手に持ったまま眠ってしまい、11:55宇部空港着。
宇部空港、国内線のロビーは小さく、友人にすぐ会う。トンネルを抜ける時、窓が曇り、薄緑色の空間に虹色の天井のライトと車のライトがたくさん向かって来て流れる。動画を撮影しながら「綺麗くない?」と言うと「綺麗だけど本当は危ない」と言われる。かけるべきワイパーをしないで待っていてくれたんだと思う。
友人のソウルフードであるうどんの「どんどん」で天ぷら肉うどん、わかめのおにぎりを食べる。うどんは柔らかく、つゆが甘い。ネギが盛り放題。東京でパッと食べるうどんははなまる系になるので四国的であり、うどんのコシにもつゆにも違いがある。美味しい。
私は山口市のYCAMのことしか調べずに行ったので連れて行ってもらう。三宅唱監督の『ワイルドツアー』で見た場所だ。『ワイルドツアー』のポスターで見た正面玄関を見に芝生を横切ったが、芝生は雨でぐずぐずだった。でも全部楽しい。
広くて静かで素敵な図書館があり、心の底から羨ましい。小さな映画���もあり、途中入場できるか聞いたおじいちゃんが、「途中からだからタダにならない?」と言っていたがタダにはなっていなかった。一応言ってみた感が可愛らしい範囲。
YCAM内にあるのかと思っていたら違う倉庫にスペースのあった大友良英さんらの「without records」を見に行く。レコードの外された古いポータブルレコードプレーヤーのスピーカーから何がしかのノイズ音が鳴る。可愛い音のもの、大きく響く音のもの。木製や黄ばんだプラスチックの、もう存在しない電機メーカーの、それぞれのプレーヤーの回転を眺めて耳を澄ませてしばらくいると、たくさんのプレーヤーが大きな音で共鳴を始める。ずっと大きい音だと聞いていられないけれど、じっと待ってから大きな音が始まると嬉しくなる。プログラムの偶然でも、「盛り上がりだ」と思う。
山口県の道路はとても綺麗で(政治力)、道路の横は森がずっと続く。もとは農地だっただろう場所にも緑がどんどん増えている。私が映画で見るロードムービーはアメリカのものが多く、あちらで人の手が入っていない土地は平らな荒野で、日本の(少なくとも山口県の)土は放っておくとすぐに「森」になるのだ、ということを初めて実感する。本当の森の中にひらけた視界は無く、車でどんどん行けるような場所には絶対にならない。私がよく散歩をする所ですら、有料のグラウンドやイベント用の芝生でない場所には細い道を覆い隠す雑草がモコモコと飛び出して道がなくなってゆく。そして唐突に刈られて草の匂いだけを残す。私が「刈られたな」と思っているところも、誰かが何らかのスケジュールで刈ってくれているのだ。
山口県の日本海側の街では中原昌也と金子みすゞがそこかしこにドンとある。
災害から直っていないために路線が短くなっているローカルの汽車(電車じゃない、電車じゃないのか!)に乗って夜ご飯へ。終電が18:04。霧雨、暴風。一瞬傘をさすも無意味。
焼き鳥に挟まっているネギはタマネギで、つきだしは「けんちょう」という煮物だった。美味しい。砂肝、普段全然好きじゃないのに美味しかった。少し街の端っこへ行くとたまに道に鹿がいるらしく、夜見ると突然道路に木が生えているのかと思ったら鹿の角、ということになり怖いらしい。『悪は存在しない』のことを思う。
2024.10.20
雨は止んでいてよかった。海と山。暴風。人が入れるように少しだけ整えられた森に入り、キノコを眺める。
元乃隅神社、123基の鳥居をくぐり階段を降りて海の近くへ。暴風でiPhoneを構えてもぶれて、波は岩場を越え海の水を浴びる。鳥居の上にある賽銭箱に小銭を投げたけれど届くわけもない。車に戻ると唇がしょっぱかった。
山と海を眺めてとても素敵なギャラリー&カフェに。古い建物の改装で残された立派な梁、屋根の上部から太陽光が取り込まれるようになっていて素晴らしい建築。葉っぱに乗せられたおにぎりと金木犀のゼリーを食べる。美味しい。
更に山と海を眺めて角島へ。長い長い橋を通って島。古い灯台、暴風の神社。曇天の荒れた海も美しいと思う、恐ろしい風や崖を体感としてしっかりと知らない。構えたカメラも風でぶれるし、油断すると足元もふらつく風、窓につく塩の結晶。
山と海を眺めて香月泰男美術館へ。友人が見て良い展示だったからもう一度来て見せてくれたのだ。
全然知らなかったけれど、本当に素晴らしい絵だった。油彩なのだ���ど、質感が岩絵具のようで、フレームの内側に茶色のあやふやな四角が残っているのがとても良い。
フレーミングする、バチッと切り取ってしまう乱暴さから離れて、両手の人差し指と親指で四角を作って取り出したようなまなざしになる。
山口県の日本海側の山と畑と空の景色、荒い波、夜の静けさや月と雲、霧の色を見てから美術館へ連れて来てもらえたから色と色の境目の奥行きを知る。柿はずっしりと重く、花は鮮やかだ。香月泰男やシベリア抑留から帰ってきた画家で、この前読んだ『夜と霧』の暗さと冷たさを思い返した。絵の具箱を枕にして日本へ帰る画家が抱えていた希望、そのあとの色彩。 
夕飯は友人の知り合いのハンバーガー屋さんへ。衝撃のうまさ。高校生の時に初めて食べたバーガーキングの玉ねぎの旨さ以来の衝撃、20年ぶりだ。そんなことがあるのか。
2024.10.21
晴天。海は穏やかで、深い青、テート美術館展で見たあの大きな横長の絵みたい。初めて見た海の光。
海と山を眺めて秋吉台へ。洞窟は時間がかかるので丘を散策、最高。
風光明媚な場所にしっかりとした情熱が無かったけれど、「好きな場所だから」と連れていってもらえる美しい場所は、友人が何度も見るたびに「好きだなぁ」と思っただろう何かが分かり、それは私が毎日毎日夕陽を眺めて「まだ飽きない」と思っている気持ちととても近く、感激する。
今までの観光旅行で一番素敵だった。
道々で「このあと窓を見て」と教えてもらい、味わう。
ススキが風に揺れて、黄色い花がずっとある。山が光で色を変え、岩に質感がある。
山口市、常栄寺、坂本龍一さんのインスタレーション。お寺の庭園が見られる場所の天井にスピーカーが吊るされ、シンセサイザーの音を演奏しているのは色々な都市の木の生体信号だ。鳥の声や風の音と展示の音は区別されない。砂利を踏む音、遠くから聞こえる今日の予定。豊かなグラデーションの苔に赤い葉っぱが落ちる。
宇部空港はエヴァの激推しだった。庵野さん、私も劇場で見届けましたよ。
行きの飛行機は揺れたけれど、帰りは穏やかに到着、家までの交通路がギリギリだったため爆走、滑り込む。
東京の車の1時間と山口の1時間は違う。
何人かの山口出身の友人が通った空と道と海と山の色を知ることができてとても嬉しい。
「好きな場所」「好きな風景」ってどういうものなんだろう。
私が通う場所、好きな建築、好きな季節と夕陽。あの人が大切にしている場所に吹く風、日が落ちる時刻が少し違う、友人のいる場所。
5 notes · View notes
elle-p · 1 year ago
Text
P3 Club Book Koromaru short story scan and transcription.
Tumblr media Tumblr media
虎狼丸の優雅な一日
初夏の爽やかな日差しが心地よい日曜日。今日もなかなかの散歩日和だ。少し早めに出かけて、少し寄り道をするのもいいかもしれない。明確な言葉によるものではないが、だいたいそんなことを考えつつ、その柴犬は神社の石畳から身を起こして軽くあくびをした。
犬の名はコロマル。正式には虎狼丸と書くのだが、本人 (本犬?) は字が読めないので、とくにその違いにこだわりはない。彼がこだわっているのは、毎日の散歩。先日、彼の飼い主である神社の神主が事故で亡くなって以来、新しく神社の主となった人間は、最低限必要な食事は出してくれるものの、散歩に連れて行ったり頭をなでてくれたりはしない。コロマル自身、前の飼い主だけが唯一の主人であると思っており、もし新たな神主が散歩に連れて行こうとしたとしても、以前のルートを変えるなど考えもつかないことだった。なので、今日もコロマルは散歩に行く。まず、長鳴神社からムーンライトブリッジを超えてポートアイランドの駅前まで。その後、再びブリッジから蔵戸台方面に戻り、町をぐるりと巡ってから神社に戻る。これが、毎日の長い散歩のロードマップ。
「わん!」
人間の言葉に直せば、さあ行くか、といった感じだろうか。コロマルは一声鳴くと、いつもののんびりとしたペースで歩き出した。
「あ、コロ助、おはよ!」
ふと、かけられた声に、コロマルは面倒くさそうに顔を向ける。それは、三つ編みの髪を頭の両側でお団子にした、小学生くらいの女の子。いつも、夕方ごろに神社で遊んでいる子だ。
実を言うと、コロマルはこの子が少し苦手だった。嫌いなわけではないのだが、ややコロマルを構いすぎる傾向にあるのだ。大人と比べて体温が高い子供が、気温が高い日にむしゃぶりつくように抱きしめてくることを想像してほしい。毛皮に覆われたコロマルの苦労は、その想像の軽く上をいくものだ。ただし、慈悲深いコロマルは、そんな女の子も無下には扱わない。この子がわりと苦労人であることを、コロマルは知っているのだ。そうしょっちゅうではないが、この子の両親は酷いケンカをするらしく、夕刻の神社で悲しみをこらえるようにコロマルに抱きついてくることがある。群れで暮らす犬族は、それこそ家族や仲間は命に等しい。それが仲良く暮らせない悲しみは、いかほどのものだろうか?そう思うと、コロマルは多少うっとうしくても、彼女に優しくせずにはいられないのである。
「あ、もう時間だ。ごめんねコロちゃん、舞子もう行かなきゃ。あーあ、塾面倒くさいなあ」
そう言って、彼女はコロマルの頭をひとなですると、廠戸台商店街方面へと歩み去った。うん、これぐらいのスキンシップが、コロマルにとってはちょうどいい。少し気分を良くして、コロマルも再び歩み始めたのだった。
潮の香りがする中、コロマルはムーンライトブリッジをてくてく進む。人間は、ここを観光地とかいう扱いでありがたがって見に来るらしいのだが、コロマルにとっては散歩ルート中もっとも退屈な行程である。というのも、橋の手すりが高すぎて、コロマルの体高では絶景と噂の風景も見えないからだ。しかも、やたらとたくさんの自動車が前から後ろから突っ走ってきて、危ないわ埃っぽいわ、嫌な油臭い空気を吐き出すわで不愉快ですらある。
であるからして、コロマルはこの場所を無心で歩く。なるべく潮の匂いにだけ集中し、遠くに見えるポロニアンモー��の丸いドームを目指してずんずん歩く。時おり、ランニング中の人間が立ち止まって手を伸ばしてきたりするが、それも可能な限り無視してひたすら前へ。
しかし、それでも2度呼ばれると、つい立ち止まってしまう。コロマルが行ってやらないと、呼んだ人間は時々えらく傷ついた顔をすることがあるのだ。人間を傷つけることは、コロマルの本意ではない。なので、コロマルはあくまで “仕方なく” 人間に思うさま頭をなでさせる。コロマルはそういう自分の性格を時おり誇らしくすら思っているが、じつはなでられている間、ついつい尻尾を振ってしまっていることには気づいていない。コロマルはそんな犬だった。
「あれー、コロちゃん?こんなとこまでお散歩に来てるの?」
「あ、ホントだ。健脚だね〜」
ポロニアンモールに来たところで、厳戸台あたりでよく見る女子高校生に出会った。いつもの制服姿ではなく私服姿。セミロングの髪の子は、ピンクのタンクトップにデニムのジーンズ、ショートの髪の小さい子の方は、水色のワンピースを着ている。もっとも、犬であるコロマルにとって、服の違いは別にどうでもいいのだが。
このふたりは、けっこうコロマルのお気に入りである。水色ワンピースの子は、動物の扱い方を心得ているのか、コロマルが気持ちいい場所を的確になでてくれる。タンクトップの子は、なでかたこそ普通だが、あまりベタベタしようとしない点で好感が持てる。コロマルに触りたいという気持ちは、たくさん伝わってくるので、むしろもっと触ってくれてもいいのに、と思うことすらある。もし犬の言葉がわかる人がいれば、遠慮しないでいいよと言ってあげたいほどだ。まあ、そうそう都合のいいことはないと、犬ながらに買いコロマルはそう思う。
「あ、コロちゃん、こういうの食べるかな?」
そう言って、水色ワンピースの子が手に提げていた袋から何かを取り出す。赤いビニールに包まれた、棒状の何か。漂ってくるかすかな匂いに、ある期待を抱き、思わずコロマルの尾がぶんぶんと大振りになった。
「あれ?ソーセージじゃん。どーしたの?」
「え?あ、た、たまには自分で料理しようかと思って······さっきデパートで、ちょっと」
「ふーん、風花も料理したりするんだ」
「ま、まあね。あはははは」
ワンピースの子は何か焦った様子だが、すでにコロマルは、想像の中に広がるソーセージの味で心が一杯になっている。ワンピースの子は、そんなコロマルの期待に応えるように、できるだけ意いでビニールをむいてくれた。
「はい、どうぞ」
「わん!」
礼を言うのもそこそこに、コロマルはソーセージにかぶりついた。そういえば、朝食をとってからけっこうな時間が過ぎている。ちょうどいいタイミングの思わぬ幸運に、コロマルの心にじんわり幸せが広がっていく。やはり、何かを食べているときが、いちばん幸せだ。それがとくに、好きな人が手ずから食べさせてくれるとあれば、それ以上何を望むことがあろうか。
欠片ひとつ残さずにコロマルはソーセージをたいらげ、もう一度「わん」と礼を言う。
「どういたしま��て」
とワンピースの子が答え、買い物の続きがあるからと、コロマルをひとなでしてどこかの店へと向かってふたりは歩き出した。ごくまれにだが、このようにコロマルの意思が、人間に通じているように思えることがある。それは単なる錯覚や勘違いかもしれないが、それもまたコロマルに満足感を与えることのひとつなのだ。
ともあれ、コロマルは今日彼女たちに会えた幸運に感謝しつつ、散歩の続きを楽しむことにした。いずれ、コロマルは先ほどの想像どおり彼の言葉を理解できる存在と出会い、この日もっとも幸運だったことは、ワンピースの子がくれた食物が “調理前” だったことにあったのだと知るのだが、それはまた別の話である。
散歩の折り返し点、ポートアイランド駅に着いたときには、太陽は南天を過ぎ、もっとも暑い時間帯を迎えていた。駅そばにあるオープンテラスのカフェは、日曜ということもあって満員。いつもなら、ここで小腹が空くタイミングとなるために、カフェの客に愛想を振りまいたりすることもあるのだが、今日はもらったソーセージのおかげでその必要もない。
とりあえず、涼しい日陰でも探そうかとコロマルが駅前広場を見回したとき、ぞわり、と背中の毛 が逆立つような感覚がした。無意識に、尻尾が丸くなって足の間に挟みこまれる。コロマルは、その感覚に覚えがあった。
--いた。
花塩そばのベンチに座った、白いドレスの少女。手には大きめのスケッチブックを持ち、空ろな目でしばし前を見つめては、手元に目線を移して右手を動かす。その作業を、少女はひたすら続けている。
コロマルは、あまりこの少女に近づいたことがない。別に危害を加えられた訳ではない。ただ、以前1度だけ、少女の前方にいたときにじっとあの目で見つめられた。それだけだ。その目が、コロマルは今も怖くて仕方がない。
言葉を持たないコロマルは、その印象をうまくまとめることはできないが、あえて説明するとしたら、それは生き物としてはありえないほどの、虚無に満ちた視線だった。コロマルの目からは、少女は既に死者に等しく見えた。
だが、そんな少女が。
「······おいで」
なんと、コロマルを認めて声をかけてきたのである。一瞬のためらいののちに、コロマルは少女のほうへと近寄った。丸めた尻尾は、気力を振り絞って常態に戻している。少女に対しておびえを見せることが、何となく申し訳なく思えたからだ。それがなぜかは、わからない。
コロマルが近寄ると、少女は手に持ったスケッチブックを数枚めくり、やがてコロマルにひとつの絵を示した。強弱が定まらない輪郭線、不安定な色彩。正直、犬であるコロマルに絵の良し悪しはわかりはしないのだが、その絵からは何か圧倒されるものが伝わってきた。それは、この世のすべての生き物が恐れるべく定められた、“死” そのもののイメージだった。
「······これ、お前よ」
その言葉に、コロマルは首をかしげて再び絵を見る。よくわからない。だが、コロマルの生き物としての鋭敏な感覚が、その絵にこめられた別のイメージを感じ取った。
これは、憧れ?
紙の上にすみずみまで満ち溢れる、死というマイナスイメージの中、ほんのかすかに匂う生への憧れというプラス。それはまるで、地平線まで広がる黒々とした底なし沼の真ん中から、すがるように空に向かって伸ばされた白い手。
「普通は······誰かに見せたりしないけど······お前は、勝手にモデルにしたから、一応······」
目を合わせず、言い訳するように少女は呟き、そそくさとスケッチブックを畳んでしまう。
「く~ん」
と、コロマルは、甘えるように鼻を鳴らす。少女に付きまとう、得体の知れない死のイメージは微塵も薄れてはいないが、それでも小さな小さな助けを呼ぶような気配が気になった。だが、少女にはそんな想いは通じず--。
小さな体に不釣合いな大きさのスケッチブックを抱え、少女は無言で立ち去ってしまった。
自分には、あの虚無から彼女を助けることはできない。それ���本能的に知覚し、コロマルは少し悲しくなる。そしてコロマルは気づく。
--誰かを守れる力が欲しい。
そんな想いが、自分でも意外なほどに、強く強く満ち溢れていることに。それは、愛する主人を突然の事故で亡くして以来、自分の気づかない場所で、静かにっていた火だった。
それから、コロマルは沈んだ気分を晴らすように、ポートアイランド駅近辺をたっぷり散策した。今日はなかなか面白い人間が多く、別に吠えたり呻ったりもしていないのに「ちょっと!アタシは犬って苦手なのよ!犬は悪い人がわかるって言うし、アタシなんか噛まれるに違いないんだからね!しっし!訴えて慰謝料とるわよっ!」と叫ぶ中年男にじゃれ付いたり、なにやら月高の女生徒を付け回す同じく月高の男子生徒を、真似して尾行してみたりした。そして、ほんの少し気持ちが復活したところで、コロマルはポートアイランドをあとにして、行きと同じ道を辿って帰路に着く。
ポロニアンモールで立ち話をする主婦の、買い物袋から漂う匂いの誘惑に打ち勝ち、相変わらず埃っぽくて油臭いムーンライトブリッジをずんずん進み、ほんのちょっと厳戸台駅前に寄り道をする。これもいつものルート。
このあたりに来ると、昼が長い夏とは言え、すっかり日は傾きかけていた。駅前商店街に多数存在する食べ物屋からは、それぞれに違ったいい匂いが漂ってくる。とくに気になるのが、香ばしく焦げたソースの匂い。前に1度だけ食べたことがある、たこ焼きの匂いである。
ちょっとした気まぐれで、店主が散歩中のコロマルに投げてよこしたたこ焼きは、今までに経験のない美味だった。
「ホンマは犬猫にタコやイカはあかんのやけどな。ウチのはほら、タコ入ってへんから」
店主はそんなことを言っていたが、コロマルにとってはどうでもいいことである。ただ、もう1度だけ店主が気まぐれを起こしてくれないかと、このあたりで足を止める癖がついてしまったのが、我ながら���けない。
空腹をこらえながら、コロマルは商店街を進む。今日はあいにく、コロマルに食べ物を恵んでくれる気になる人間はいないようだ。いつも新しい神主が提供してくれる食事は、コロマルにとってはやや物足りない分量である。今日はちょっと疲れたので、もしかするとあれでは足りないかもしれない。今夜は、空腹をこらえて寝るしかないかと、コロマルが覚悟したとき。
「よう、コロちゃんじゃねえか」
後ろからかかる声。
大きく尻尾を振って、コロマルは声の主のもとに走り寄った。亡くなった主人を除けば、おそらくコロマルがもっとも大好きな人間だ。
「ほら、焦るなって」
そういって、その人は懐から容器を取り出し、地面に置いて開けてくれる。中身は何か肉を煮込んだもの。巌戸台商店街やポートアイランドでよく見かけるその人は、いつの頃からか、定期的にコロマルに食べ物を持ってきてくれるようになっていた。口調は乱暴だが、優しい人だ。
「よし、いいぜ。食えよ」
いつものことだが、コロマルは律儀に一声吠えて礼をいい、それから出された食事を食べ始める。あまり味を気にしないコロマルだが、その肉は絶品だった。濃すぎない味付け、適度な歯ごたえ、神社で出されるドッグフードとは雲泥の差である。食べながらコロマルは思う。色々あったが、今日は総じていい日だった。明日もいい日になるだろうか?
どちらにせよ、コロマルは毎日を精一杯生きるだけだし、日課の散歩も変わらないだろう。手が届く範囲の幸せ、それを守ることがコロマルの重要事であり、それは確かに、生き物すべての真理なのである。
9 notes · View notes
bastei · 6 months ago
Text
Kiroku
 晴れた日の夕方4時から6時くらいに家から足を踏み出すとき、私たちは友人が知っているような自分を脱ぎ捨てて、洋々とした匿名の彷徨い人の群れに加わる。自分の部屋で独り過ごした���では、彼らのつくりあげる社会はとても心地いい。その一人ひとりの人生に、私たちはほんの少し身を浸すことができる。自分はただ一つの精神に縛りつけられているわけではない、二、三分の間であれば他人の心身に扮装していられるのだ、という幻想を抱くにはそれで十分だ。
 全国規模の研修に行く機会があり、数年ぶりに東京へ行く。かなり真面目な研修なことには変わりないが、すべて経費請求できるので半分くらいはご褒美感がある。東京駅で降りて、東西線の大手町駅へ向かう途中の地下道を在学中は実家から帰ってくるたびに何度も通っていた。早稲田町に住んでいたころの記憶が急に蘇って、特段忘れようと思っていたことでもないのに、記憶というのは曖昧になっていくのだと思った。というよりも、忘れようと思っていることのほうが却って忘れたい記憶を強化してしまう。忘れたくないことほど忘れてしまう。迷子になろうと思って迷子になる人はいないし、覚えているということは覚えているということを安心させてしまう。地下鉄に乗っているときにはイヤホンも何もしてないのに当時聞いてい���音楽のようなものとか何気ない一瞬みたいなものが、脳裡を流れていくのを感じた。自身の直近十何年かの連続性のある行動のほとんどが、救いようもなくどうでもいいような、例えば特段好きでもない音楽とかうどん屋でした救いようもない会話のような離散的な素材までに分解されていることに気が付く。
 各都道府県から一様に集められた人の前でやはりありがちな自己紹介を強いられる。紹介するような尖った自己の部分などとうの昔に大部分を失っているので、例えば私が今まで暮らしてきた土地、自身の行いが巡り巡ってたどり着いた故郷のことなどの紹介をする。自身の根底に土地への帰属意識のようなものがこんなにも作用しているとは思わなかった。
 私の故郷が話題になることなど、住宅地に現れた熊の被害が全国的に騒ぎになるくらいである。雪解けの頃、なんとなくダムの周りの景色を見るために車を走らせていると、にわかに現れた黒い影がやはり熊だった。ダムの周りといってもそこから少し降ったところには数軒の民家があり、自然と人里の境界としても機能しているようにも感じた。ダムより先は明確に森で、指数関数的に自然が濃くなっていく。木や植物から人間味が無くなっていく。組み上がったパズルのように介入する余地のない強烈な自然の山肌には恐怖を覚える。ひっそりとして日の当たらない闇の土地である。私が目撃した熊は遠目に大きい野犬と思われたが(野犬でも十分危険なことには変わりないのだか)、明確にクマと認識されるや否や、さらにその危険度と私の心拍数が跳ね上がる。大型のサイズとなれば何か装備していても、たとえ車に乗っていようとも運が悪ければ死が明確に肉薄する。直接脳みそを手で撫でられるような恐怖を感じる。クマのプー太郎だって、ハチミツより人の肉の味を覚えれば、悪意のない殺意がさらに冷酷に発揮されるだろう。とにかく一目見れば、人類は狩られる側と感じる。感覚的には、ほとんどエイリアンと戦うような人類の劣勢ぶりを意識する。
5 notes · View notes
onishihitsuji84 · 7 months ago
Text
『ガラスの街』
 五月は読書の月だ。僕は本を読んだ。数多の本を。  最初、それは次の小説のアイデアを得るためだった。頭上の樹々からワインのための葡萄をもぎ取るような、循環を続けるにあたっての摂取だった。いきおい堕落しつつある現実から少しでも意識を逸らすためでもあった。  普段の僕は、本を読んで時間を過ごすことは少ない。長い時間ひとつの文章に集中することができないのだ。  それに読むことよりは書くことのほうがずっと大切だと僕は思っている。読む行為は、現実という制限された枠組みのなかではせいぜい膝丈ほどの優先度しかなかった。  しかし五月ではあらゆるものが落下した。熟れ過ぎた果実が枝との繋がり終え、足元に開いた坩堝に呑み込まれていった。読む行為もそうだ。落ち、煮え滾る器の中で混合した。  いまでは僕の「読む」は混沌としている。それはいまでは長身の僕、その僕以上にのっそりとそびえる一本の巨大な柱となっている。物言わぬ花崗岩の柱。五月、僕はそんな柱を中心にぐるぐると回り続けている。手は文庫本に添えられ、目は9.25ポイントの文字に注がれている。足は僕の意識から離れて交互に動いている。ひたすら歩き、ひたすら読んでいる。柱から少し離れた誰彼にどう見られているかどう言われているかなんてことお構いなしに。
 いや。そんな話自体がどうでもいい。関係ない。  きょう、僕は自分自身が”うすのろ”だということを語りにきたのだ。
***
 五月。  僕はどんなものを読んだのだろうか。   金ができて僕がまずやったことは大学生協の本屋に行くことだった。カウンターで二枚つづりの注文用紙を手に取り、もう何年も使い続けている青のボールペンで書いた。 "9784002012759"  週明け、僕は地下の生協で注文の品を受け取った。『失われた時を求めて』全十四冊。いまは第一巻を読んでいる。僕がふと目をあげると、あの遠い窓の奥で、大叔母が目を爛々と輝かせているというイメージが浮かぶ。泳ぐような精神の移ろいもまた。
 シェイクスピアの『夏の夜の夢』も読んだ。 『MONKEY』のvol.31の三篇、ケン・リュウ「夏の読書」、イーディス・ウォートン「ジングー」、ボルヘス「バベルの図書館」も読んだ。  仕方なく後回しにされていた本を買って読んだのだ。  金銭の自由は、精神という鈍い壁に茂っていた蔓植物のような不足を一太刀で解決した。
『春の庭』も読んだ。『九年前の祈り』も。  ウルフの『波』も読み始めている。  僕の貪欲は、過去に読んだことがあるかどうかなんてものでは選ばなかった。カーヴァーの『象』、春樹の「タイ・ランド」、マンローの「イラクサ」、ヴォネガットの『スローターハウス5』。マラマッドの「悼む人」も読んだ。
 一度の時に、僕はこれらの本を読んだのだった。  こんなに大量のフィクションを仕入れて、いったい何をしようとしているのか?  紛争でも起こそうとしているのか?
 何のためか。それは僕自身にもわからなかった。  僕は特定の目的をもって読んだわけではなかったようだった。五月の読書は「文章の上達」や、「ストーリーテリングの技法」といったそれまでの興味とは別物だった。振り返ればそうだとわかる。
 五月の読書は、それまでの自分を抑制しようとする、極めて機械的な態度とは違っていたのだ。  言えば、それは無垢に機械的な読書だった。  これまでの僕は断じて読書好きではなかった。どんな傑作でも一時間もしないうちに音を上げて投げ出した。ドストエフスキーやメルヴィルと出会ったときでさえ、メインストリームは”書くこと”、そして”生きること”で変わらなかった。この五月に僕は初めてむさぼるように読んだのだ。頭を空っぽにして。堆い小説の亡骸の山に坐すかのようにして。
 それで、僕は何かしら成長したか。  いや。成長なんて一つもな��った。  そこには変化さえなかった。二週間前と、すべては同じだった。僕が着るのは依然深いグレーのブルゾンだった。コミュニケーションもぎこちないままだった。  だからそこで起きたことはシンプルだ。つまり、僕はポール・オースターの『ガラスの街』を読み、ある一つの事実に行き当たった。 「僕はなんという低能なのだ」という事実に。
***
 一昨日から僕はポール・オースターの『ガラスの街』を読み始める。  『MONKEY』でオースターのエッセイを読んで彼のことを思い出し、その夜に丸善に立ち寄った僕は彼の本を久々に手に取った。  三日で読んだ。 「三日で読む」というのは僕にとってほとんどあり得ないことだった。僕のリュックサックには必ず四、五冊の本があった。読むときにはまずそのとき一番惹かれる本を手に取った。そして十数ページが過ぎ、抱いていた軽度の好奇心が満たされてしまうと、浮気性の蜜蜂のようにまた別の小説の甘いのを求めるのだった。  だから、一日目、二日目と時を経るごとに加速度的にその好奇心が勢いを増し、三日目には150ページを一つの瞬間に通貫して読んでしまったのだ。僕の読書体験において、異例中の異例だった。
『ガラスの街』を読んで、僕はうちのめされた。徹底的に。 ”面白さ”、そして”新鮮さ”の二つが、やはり事の中心だった。読書においておきまりのその二つが今回も僕を虐め抜いたというわけだ。 『ガラスの街』を読み終えた瞬間、僕の生きる世界のどこかが確実に変化した。
「祈っている。」  僕がこの最後の一文を読んだとき、曇り空の下にいた。その一節がこちらに流れ込んできたあと、僕は立ち上がった。テーブルがごとりと揺れるほどぶっきらぼうに立った。取り乱していたのだった。僕はそのままであてもなく歩き始めた。 「これ以上座っていることはできない」 「このまま座っていると、僕は頭の先から崩れ落ちてしまう不可逆的に」  そうした、僕という精神を一切合切覆してしまうほどの強烈な予感のために。  僕は予感に乗っ取られないよう、何も考えないと努めていた。何も感じまい、何も見まい、と。  リラックスを意識し、肩から力を抜く。腕をぐんと伸ばし、指をぽきぽきと鳴らした。イヤホンを耳にした。『ベリーエイク』を再生する。いつか足元をくすぐった波のように心地よい、ビリーアイリッシュの声に心をしっとり傾けた。  もちろん、そんなことは無駄だった。とりあえずの形など、何の助けにもならなかった。以前との比較から始まる違和感たちは強権的に僕の感情の戸をこじ開けた。  歩く中、透明の空気が奇妙に凪いでいた。風景からは特定の色が抜け落ちていた。向こうで笑う声、衣擦れの音、靴底の摩擦。音という音がワンテンポずれて聞こえた。  変化は女王だった。彼女は支配的だった。  僕は小説による変化を受け入れ、恭順のように認めたわけではなかった。むしろ、変化は僕にどうしようもなく訪れていた。言わば、言い���しのようにして。  女王を僕は素晴らしい小説を読んだ後の”ゆらぎ”の中に閉じ込めたのだった。何もかもが、僕に合わない形に作り替えられていた。建物を構成する直線はいまやでたらめで恐怖がつのった。頭上の青はこのように汚い灰色では絶対なかった。
――そして、当然、この点についての文章はかたちだけに過ぎない。これらは省略した文章。書く必要がないということ。  なぜなら、あなたたちもかつて同じ経験を経ているからだ。小説を読み終えたあとに来る世界の変質を。  加えて、忘れるなんてことを女王が許すわけもない。これについても言わずもがなだろう。
 そして、重要なのは変化のよろめきではない。   そうなんだ。きょうしたいのは女王の話��は実は違うのだ。ここであなたに伝える言葉は破壊だ。  破壊。  それは”面白さ”と”新鮮さ”のコンビがやったわけではなかった。変化の体験に曝されたゆえのサイコ・ショックでもない。  木々を打ち砕く手斧となり、人体を壊す剣となり、バベルの塔をゼロにする雷となったのは、オースターの書きっぷりだった。
 オースターは、考え抜いていた。  そこで”感じ”は排除されていた。  感覚による言い表しがまるで無かったのだ。僅かにイメージに依拠するものがあっても、それは必ず共感の姿勢だった。テーブルに身を乗り出し、相手の声に耳を澄ませる態度。
『ガラスの街』では、本当に一切妥協はなかった。僕はとても信じられず、街を隅から隅までしつこく歩き回った。しかし、本当に妥協はどこにも無かった。
 オースターは僕とコミュニケートすることを選んでいた。そのへんの宙に感覚という水彩画を描いて「ほらご覧」とする、ごく個人的で他者には見せつけるだけという表現は徹底的にしなかった。チャンドラーを始め、私立探偵ものに由来する例の論理的な高慢さはあった。しかし、確実にオースターは読者と対峙していた。彼は殴る、殴られる痛みを完全に了解した上でリングに立っていた。  彼の据わった眼が僕を揺るがしたのだった。彼は完全の脆弱性を知りながら、完全に書いていた。  それだから、彼を読んだとき、僕は……
 向こうから厚底ブーツの女が歩いてくる。  女は痩せている。薄い、流線形の黒一枚に身を包んでいる。背が高く、ありったけに若い。二十歳前後に見える。二つの瞳はキャップに隠れている。すれ違いざまに見える耳にさえ、カナル型のイヤホンで黒が差されている。マニキュアはあまりにも美しい銀色に染まっており、高まりを誘う。  センスがいい。綺麗だ。  彼女はなんて豊かなんだ。  僕はそう思う。  ほとんど同時に、ガラス一枚を隔てた向こうで本を読む人を見つける。  また女だったが、今回性別は重要ではなかった。その読む人は区切られたブースで、文庫に目を落としていた。化粧や唯一のファッションなどもなく、やはり装飾は重要でなかった。というのも、いまにも涎が垂れてきそうなほどに口をあんぐりと開けて読んでいた間抜けなその放心が、僕の記憶に楔として打ち込まれていたからだ。
 これらのスケッチが、何かを直截に意味することはない。二つの風景は隠喩ではない。  正直に、上記は僕が受けた印象の再放送だ。  この日記は『不思議の国のアリス』ではない。二つは作為的な意味を持たない。  書いたのは「意味を持たない」ということを明らかにするためだ。  その内容でなく、外側、僕のスタイルという基本的な骨組みを露わにするためだ。
 そう。だから、つまり……僕は痛みから逃げている。オースターとは違って。  きょう、読んで、事実は突きつけられる。
***
”言葉”はもう一度響く。
「大西さんの小説は、けっきょく古典から表現を引用しているだけ」
「僕は彼にもう興味がないんだ。かつて、彼は賢い人だと思っていた。書くものに何かしらの意味があると思っていた。でも、そうじゃないと知った」
「あなたの課題は、独自の世界観を提示できるかということです。海外の小説、そして村上春樹でなく」
***
 そして、このように敗北してもなお、僕は決定的な何かについて述べることはなかった。張りつめた表情で、まやかし、それ自体に必死に祈る。もうそのような生き方しかできないと信じ込んでいるのだ。
「この大地にあるものはすべて、消え去るのだ。そして、今の実体のない見世物が消えたように、あとには雲ひとつ残らない。私たちは、夢を織り成す糸のようなものだ。そのささやかな人生は、眠りによって締めくくられる」
 祈りの文句を何度も何度も口にした。  僕の声はいつも通りにすごく軽くで響いた。  そして一度響いてしまったものは泡沫のようにたちまち消え去った。
4 notes · View notes
kennak · 8 months ago
Quote
【240407編集しました】 当初はベタ打ちの記事でしたが、あまりにも可読性が低いので見出しに記法を用いました。 今見返すと修正したいところは多々あるのですが、明らかな誤記(退学届→退部届)の修正、追記日付の補記を除き、情報が陳腐化している箇所なども含め、そのままにしています。 スポーツ推薦で高校に行く人がどれくらいいるか知らないが、行ったはいいけど馴染めない、中退して想定していたルートから脱落する、最悪の場合自ら命を絶ってしまうという人は(残念ながら)少なからずいる。 私もスポーツ推薦で高校に行った。 中学へスカウトにきた顧問は、週に1日は休み、練習も平日は2時間、勉学の時間も大事にする、著名な大学にも推薦で行けると熱弁した。 私は技量はあったが体力がなく、すぐ高熱をだすようなひ弱な中学生だった。スポーツ推薦なんか到底無理と思っていたが、休みがあるなら、その先があるなら、三年間だけ頑張ってみようと決意した。 結局のところ、顧問の説明は全て嘘で、三年間がんばった先輩たちは浪人か就職で、推薦で大学に行くのは極めて少数、かつ、いずれも著名とは言い難いところだった。 それでも、しばらくは頑張った。もがいた。40度の熱を出しながら罰走を走らされ倒れた。水を被ってまた走った。自分の決断と、それを支持した親の思いを無碍にしたくなかったからだ。 だが、夏頃に怪我で数日通院し、練習に出られなかったことをきっかけに上級生による苛烈なイジメまで始まった。 大学に行きたかったので、高校は辞めるわけにいかない、と私は思っていたが、あの恐ろしい部室に行くと思うだけで、ボロボロと涙が溢れ始める。 夏休み明け、糸が切れたように不登校になった。 推薦で取った生徒の不登校というのは、顧問には痛手らしい。手をかけ品を変え、顧問から登校するよう連絡があった。それでも私が応じないと、両親揃って呼び出され、強い口調での退学勧奨を受けた。 子の不登校に加えて、顧問による叱責がよほど強いストレスだったのだろう。両親まで懇願するように、それが受け入れられないと怒鳴り声をあげて退学を求め始めた。この世に味方はいないのかと絶望した。 が、結局のところ、私は図々しくも高校を卒業した。部活も半分以上ボイコットした。そして大学に通い、やりたかった仕事に就いた。 今思えば辞めても大検を取れば良いだけだったのだが、大人の不当な圧力に負けなかったという経験は、今でも自分を支えているように思う。 数は少ないかもしれないが、同じようにスポーツ推薦で進学するも、クラスや部活に馴染めなかった方と、その親御さんのためになればと、私の経験を書き残しておく。 なお、なるべくなら普通に通学して部活やって卒業した方がいいに決まっている。 それができない我々のための話と思ってほしい。 大学には行きたいなら大検でもいい 大検はそんなに難しい試験ではないが、履歴書に卒業高校が書けないのが嫌なら、なんとかして卒業を目指すことになる。 こだわりがないなら大検とって大学に行けばいい。 卒業したいなら単位はとる 卒業には単位が必要で、単位取得には出席とテストでのスコアが必要になる。 だが、毎日真面目に通う必要はない。 欠席、早退、遅刻の日数を管理しながら授業に出ればいい。 テストのほうは、まあ、頑張って取るしかない。こういう所を読むくらいの「ナード」なあなたなら、スポーツ学級向けの試験で赤点を回避するくらいはなんとかなると思うが、どうでしょう。 クラスで浮いてしまうのは仕方ないと割り切るしかない。授業が始まれば別に気にする必要はないし、休み時間は寝ればいい。だって眠いでしょ? 単位はなんとかなる。では、部活はどうしたらいいのか? 「退部=退学」を信じない 行かなきゃいいのだ。授業に出て、終わったら帰る。 スポーツ推薦入学者は、部活を辞めることはイコール退学だとよく言われる。実際、そういう前提での退学勧奨が横行している。それに応じる人も多い。本人が納得できるなら、それも別に間違いではない。 でも、そんな約束はどんな書類にも書いていないはずだ。 あなたは正当に入学し、保護者は学費を納めている。あなたの進路はあなたが決められる。退学勧奨はあるだろうが、応じる必要はない。 (もし、念書とかを書かされていたのならごめんなさい。でも、そんな念書有効なのかなぁ。) そして、部活に行かないこと、やめたことを理由とする退学処分なんて、通常なら出しようがないはずだ。ナードなあなたは暴力を振るうことはないし、成績も悪くない。わざわざ制服でタバコを吸うこともない。 生徒手帳を開いて校則を読もう。あなたならちゃんと読み取れる。なにか退学に値することをあなたはしているか?していないはずだ。 とはいえ、退部届を出すのはポイントオブノーリターンを超えてしまう。私は退部届けは出さず、部活に出ないに留めた。 時折顧問に呼び出されたが「いじめがあるなか部活には行けません。すみません。」ということを述べ続けた。 顧問はいじめがあること自体を認めたくないので解決に動くこともしない。なので、一生平行線だ。 あなたが学校に行けない状態なら、少なからず精神的にダメージがあるといえる。心療内科などで相談して、その結果を伝えるのも一考と思う。 もし、やりとりのなかで、あまりにも酷いことを言われたら日時とともに覚えておくこと。それはあなたの自尊心を大きく傷つける表現かもしれないが、受け止める必要は一切ない。相手の不当性を立証する強力な武器になるのだから、内心喜んでもいい。 呼び出されたときに一番怖いのは密室での暴力だろう。 顧問はすぐに手を出す人間だったが、私は幸い暴力は受けなかった。ポイントは、表面上反抗しないこと。 無抵抗で頭を下げる人間を一方的に殴っちゃまずい、という計算を大人はしている。クソ野郎ほど損得計算した上で手を出しているのだ。 賢いあなたは内心、大人をバカにしまくっているだろうが、それは心の内にとどめておこう。 万が一、暴力を振るわれるようなことがあれば、それは警察に届け出ていい。仮にあなたの態度が反抗的であっても罪は罪だ。 引退後 多くの部活は3年の夏頃には引退なので、そこまでいけば逃げ切り。あとは高校生活満喫してやろう。 暇なら部活と同じスポーツを部活以外でやってもいい。部活じゃないから声出しを強いられることも、ミスを咎められてランニングさせられることもない。 個人的なオススメは大学に行く準備をすること。 大学は相応の学力があれば入れる。内申点は関係ない。顧問の権力は全く届かない。 大学では、ちゃんと勉強しておくとよい。案外、飯の種を拾���ることがある。捻くれ人間のあなたと馬の合う、もっと捻くれた人間がたくさんいる。楽しいですよ。 そんなんで人生大丈夫なのか? もしあなたが部活をサボれば、顧問は「そんなんでは社会でやっていけない」「人間失格」など言いたい放題いうだろう。言われ続けるとそんな気もしてくるかもしれない。 けど、大丈夫です。私はいま、普通に暮らしている。なんなら、十分恵まれた生活を送れているくらいだ。 正直、一部のブラック企業を除けば、イかれた高校の部活のほうが「社会」よりよっぽど理不尽だ。認めたくはないが、部活で地獄を見た分、多少のことには動じない。それは一つの強みになっている。 あなたも、実はすでに一般人の平均よりも理不尽耐性が育まれているし、一度は推薦を受けるだけの身体能力ないし学習能力があり、こんな長文も読みこなせるのだから、世間からみれば優秀な人材だったりする。 あなたは社会に通用しないわけではない。むしろ活躍の機会があると思っていい。 それから、一度逃げたら逃げぐせがつく、みたいな言説もあるが、逃げぐせ、結構じゃないですか。私は激務で殺されかけたこともあったが、逃げぐせのおかげで死なずに済んだ。より良いポジションをとれた。適切なときに自分を守れるのは恥でもなんでもない。 一度死んで死にぐせがつくよりいいんじゃないですか。 最後に 小学校、中学、高校とくると、高校が世界のすべてのように感じるし、高校でうまくいかないと人生の全てがうまくいかないように感じる。私はそうだった。 でも、実際は高校なんて人生のごく一部にすぎない。思い出せば色々あるが、思い出すこと自体少ない。どうでもいいんですよ。 あなたが真っ当に部活に出なくなると、顧問をはじめ、高校側はあなたに対して色々言ってくる。でも、高校は別にあなたの人生に責任を全うするために何かを言っているわけじゃない。向こうは向こうの都合があり、そのためにあなたを退学させたり登校させたりしたいだけなのだ。 ならば、あなたはあなたの都合で行動したっていい。 正直、イージーではない。同級生に蔑まれたり、恨まれたりすることもあるだろうし、親の協力も得られないかもしれない。 でも、騙されたとはいえ自分で選んじゃった道なので、まあうまくやるしかない。何度も言うけど、高校の知り合いなんか一生会わないこともできるから、適当でもいい。 なんにせよ、スポーツ推薦が体に合わなかった人は、大変だけど、とにかく死なないことは徹底してほしい。 死ぬことに比べれば、一瞬しか関わりのない人間に嫌われるのなど無傷に等しい。常にいい人でいる必要はないんだから、高校時代まるまる、いい人を封印したっていい。 あなたの善性はイかれた部室の中でではなく、将来出会う真っ当な環境で、真っ当な仲間に対して発揮すればいい。今は図々しくあれ。サバイブすることに全力を傾けていい。頼れそうなら親に頼れ。高校と関係ない友達を大事にしろ。 健闘を祈る。 親御さんへ お子さんの状況に心を痛めているのではないかと思います。思うようにいかない毎日に強いストレスを感じていることでしょう。 私も今は二人の子の父親です。親御さんのお気持ちも今となっては察することができているつもりです。 大変ななか心苦しいのですが、ひとつだけお願いがあります。お子さんの人格や将来を否定するような言葉だけは止めてください。 私はいま、十分に幸せな生活を送っていますが、不登校時代、高校を辞めさせたくなった父が絶叫した「お前の人生はもう終わってんだよ!」という言葉が忘れられません。 私が学校に行けず、さりとて辞めることもできなかったのは、私自身が人生をどう打開すべきか、悩み続けていたからです。 そんなことを知ってか知らず投げつけられたそ���言葉はかなりのショックでした。親に叱られることこそあれ、将来を否定されることなど想定もしていなかったからです。 私は全くの無意識に「いつか必ずお前を殺す」と口走りました。 口から出た言葉が己の耳に入った瞬間、私は後悔しましたが、謝罪なり撤回なりの言葉を紡ぐ前に、父は「おう、そうしろよ!やってみろよ!もうとっくにお前は終わってんだよ!」と叫び続けました。 私のなかで父への信頼、敬愛が全く失われたことをよく覚えています。 このやり取りを思い出すたび、未だに激しい怒りに身を任せそうになります。 子供を連れて実家に帰るとき、父は人生が終わったはずの息子が連れてきた孫を心から歓迎して、膝に乗せておしゃべりをしています。 父の心底幸せそうな顔を見ると、今この瞬間、父を殴りつけてあのやり取りを思い出させ、徹底的に謝らせて、痛めつけた挙句に殺めれば、いくらか救われるだろうと思う自分がいます。 こんな頭のおかしな妄想に浸りたくはありません。 しかし、父の笑顔を見るたびに、お前のいうとおりにしてやるよ、と告げたくなるのです。おそらく、私は父が死ぬまで、父を殺す機会をうかがい続けることでしょう。 父と会わなければよいわけでもないのです。 子供たちはしょうもない私に対して無償の愛を向けてくれます。この子達のように率直に父を愛せたのならどれだけ気楽だったのだろうと考えてしまいます。そして、あの日の怒りを思い出してしまうのです。 ベビーベッド、バウンサー、公園の砂場、保育園の帰り道、アイスを食べながら休むベンチ、初めてのランドセル。幸せに満ちているはずの至る所に父への殺意が頭を顔を覗かせるのです。 そして、いずれ私自身が父のように、子供を否定する日が来るのかもしれないと怯え続けています。 結局のところ、私の傷は社会に受け入れられても癒えることがありませんでした。20年近く前の親の一言で、私の人生の一部は壊れてしまっているのです。 親も人である以上、感情も衝動もあります。 しかしながら、どうか、どうか、お子様の人格と将来を否定しないでください。 長文、乱筆失礼しました。 以下追記(240405) (なんかうまくいかず、再投稿してしまっていたようです、ごめんなさい。こちらに改めて記載します。) このような長文、悪文にも関わらず、想定を遥かに超える反応をいただき、驚いています。読んでくださった皆様、ありがとうございます。 疑問点もあると思いますが、身バレはしたくないのでこれ以上の説明は避けます。 スポーツ推薦で入ってもサボれば大丈夫? 温かいコメントや反応が多いことはとても嬉しいのですが、想定外でした。 ここまで好意的な意見が多いと、私の手法がみんなに支持される、定石や必勝法のように思う人(特に危険なのは中学三年生)が出てくるのではないかと、少し不安になってきました。 その点について、もう少し書かせてください。 私の対応はあくまで緊急避難であって正攻法ではありません。私のパーソナリティ、顧問の間抜けさ、高校の意外な寛大さが合わさったという偶然の部分が大いにあります。 また、同じようにスポーツ推薦で入学し、日々理不尽と闘う同級生、先輩後輩からすれば、私のような立ち回りをする奴は完全なクソです。皆さんが顧問に対して抱いてくださった反感と似たような感情をぶつけられる対象になるのが普通です。 必勝法でもなければ、周囲に褒められるやり方でもないのです。 「とりあえずスポーツで行って、ダメならサボればいいか」というのは絶対にやめたほうがいいです。実力で行ける高校に行きましょう。 もしあなたが極限状態にあるなら、私は何度でも「自分本位と言われてもいいからサバイブしてね」と伝えます。これは全くの本音です。大人に迷惑をかけてもいい。生きましょう。一般社会より厳しい世界をあなたは知っている。あなたは人に優しくなれる。あなたの優しさを、まともな世界にまで運びましょう。 でも、あなたがまだ選択の余地を残しているのであれば、最初からこんなことを狙っちゃダメだ。 父とのこと ここで文章にしたことで、少し整理ができた部分があります。 愚かで幼稚な父のために、私と子供達の幸せが犠牲になるなんて絶対におかしい。 高校時代の出来事など、人生のうちの一瞬のことに過ぎない。俺自身、そう書いたではないか。 許すことはできなくても、忘れること、思い出さないことは努力できるんじゃないか。 というところです。話し合いは正直怖いんですよ。年老いた父は幼い孫たちには優しいですが、母や私のきょうだいにはますます頑迷になっていて、本当に手をかける結果になりかねない。 もう一度、最後に 心配してくださったみなさん、労ってくれたみなさん、本当にありがとうございます。 この文章が、必要とする人に届いて、悩む学生さんが希望する進路へ進む契機や、良好な親子関係の構築の一助になれたとすれば、これに勝る喜びはありません。
スポーツ推薦で入学したけど失敗したな、という人と、その親御さんへ
2 notes · View notes
yesusagisanworld · 2 years ago
Text
Advent Calendar Q熱感染を語るぞ!
アドベントカレンダー!! に見せかけたお正月記事になりました。遅くなり大変申し訳ない。
というのも、なんということでしょう。投稿が消えてしまいました事件が起きていたのでした。
山梨ロスト――……
からの復活。 もう一度文章を作ってみました。頑張ったね!私よ!!
そして今回はQ熱感染について語りたいと思います。
昨年も沢山の方に遊んでいただけました。
また、Q熱感染はさておき、少しずつ呪印感染そのものの認知度も上がってきているようにも、Twitterなんかを見ていると思います。 プレイ人口が増えるの、とっても嬉しいね!
その中でタマミさん経由で、箪笥ルールが少々特殊だったり、独自の進化を遂げているようだったりということが判明したりなんかして。始めてから3年?くらいになるのに、まだまだ新しい発見もあったゲームでした。愛しているよ!
さて、話題を戻してQ熱感染です。
箪笥発呪印感染シナリオの三作目であります。 (pest氏こと先生の全十作→たまみさんのあざら印感染全十作→Q熱の全十作! Takanashi→Azarashi→Yamanashiって、韻を踏んで覚えていってね!ちなみに、お二人の影響を受けた部分やシナリオ中のオマージュがあるんだけど、ネタバレになってしまうのでここでは言えないよ!)
そして、Q熱ってなんなの?ということで、よく���問される名前の由来は至って普通!
Q熱とは
Q 熱は重要な人獣共通感染症の一つで、1935年オーストラリアの屠畜場の従業員の間で流行した原因不明の熱性疾患として発��され、のちにリケッチアの一種Coxiella burnetii による感染症であることが明らかにされた。Q熱という病名は、「Query fever =不明熱」に由来している。
うさぎ作のシナリオだったので、ウサギ・ヒト共通感染症の名前からとりました。それ以上の意味は現状ありません。
むやみに意味をこじつけるとしたら、QuestionのQとか?それでAnswerができたらA?と考えましたが、A熱は存在しないので、そのこじつけは恐らくしません!数日後にやっぱその路線でいきますとか言い出したら私の掌ドリルを面白がっていただけますと幸いです。
とりあえず言いたいことは「うさぎ作」ということ。
そしてなんと本作、ステージが山梨ではないのです。
政令指定都市があると良いな(なぜならダイス表の「都市表」を使用するから)と思って……設定したのは…………
静岡県です。 魂は売っていません。 被害となった地として選んだだけです!!!!!
では、ここからはネタバレのお時間!!!!!
まだ十話分プレイしていない人&プレイ予定がこれからの方はここでバックだ!
プレイしていないけれども、呪印感染に興味があるよ、という方はぜひ去年の記事を読んで貰えると嬉しいな。 お付き合いありがとう!!
⚠ スクロールしたらネタバレがくるぞ~ ⚠
--------------------------------------------------
このくらいでいいか!?
良さそうだね!では!
--------------------------------------------------
【Q熱感染 黒・ストーリー】
6年前に流行した『感染』というタイトルの連続短編小説。 十人の新人作家たちによって作られた十話のオカルト話。
それは『呪印』という20世紀末ごろに出回ったオカルト話を元としたストーリーであり、さらには怪異を生むための設定集そのものであった。
呪いは、怪異は、尾ひれはひれ付き、ゆっくり姿を変えていきながら、ついには現代の〈呪印者〉たちの目の前に、利き手の甲に、現れる。日常は徐々に恐怖に侵食されていく。
その中で過去の存在である、『喪服の男』こと『1』にエンカウントしたり、 キーマンである『七海 享』から過去を聞いたり、 その他諸々の怪異の存在や『零泉月詠』を調べたり……、
最終的に〈呪印者〉たちはこの世界を玩具にしている『天帝』という存在(PL・GMそのもの)にたどり着き、 そしてこの世界(呪印感染の世界そのもの)の未来をPLでもGMなく、PCである〈呪印者〉自身が決定していく。
という感じになります!
展開としては、
前半は世界観と『うさぎ性癖ホラー』、さらにゲームシステムに慣れてもらい、 後半でメタフィクション要素をはじめとするオリジナル要素・ルールをぶち込んで、 最終的に[呪印]そのものがなくなり、全てから〈呪印者〉たちは解放されて自由になる。すべて解決!大団円!
みたいな流れとなっております。
プレイ済みの方は、だいたい思い出していただけたでしょうか……?
そして!
【全十話 タイトル・怪異名一覧(正規ルート)】
一人歩きするはじまりの怪異 ・1 二人といない大切な君へ   ・二人静の妄執 三界に咎は無し       ・三尸の紙魚 四大空に帰す        ・四つ辻の名無し 五線譜は知っていた     ・Victoria Theatre 六芒星の加護の中で     ・六臂の土蜘蛛 七回忌           ・七編版『感染』 / 七海 享 八首を産みし嘘八百     ・八卦見 九曜の棄捨せし最終稿    ・九相図の垂乳根 拾遺の名前と呪印感染    ・十さん
全話タイトル・怪異名がこちらになります!
もうお気づきだと思うのですが、タイトルの最初の一文字が漢数字で一〜十(「拾」は「十」の大字)となっております。
また、登場する怪異にはそれぞれ怪異名という物が設定されており、そちらも数字縛りの名称となっています(第五画目についてはローマ数字の「V」)。
結構言葉遊びというか、ダジャレ的なネタも含めながらのタイトル・怪異名で、いつもこねくり回しながら作るのが楽しかった記憶があります。ただ全部オリジナルなので、大変難しかったけれどもね!
また、いつもおなじみの『導入前導入』。
回のはじめに必ず読み上げられる部分があり、その後にまともな導入が入る作りがデフォでした。
この[呪印感染]の世界がすべて小説からつくられた設定であるため、連続短編小説『感染』該当回の冒頭数行を『導入前導入』として設定していたという小ネタがありました。(もちろんタイトル・怪異名の数字縛りもこの連続短編小説『感染』が前提にあるからこその縛りです!)
こちらはタイトル・怪異名以上に難産で、頭にすっと入っていきやすい文章ってどうやって作るんだろう??といつも唸りながら書いていた部分です。
文字書きさんってわかってはいたけれどもやっぱりすごいのね……。
そして、
ここまでは、物語の大筋に関わってくる連続短編小説『感染』についての小ネタやら、設定していた理由やらでしたが、
ここから先は、完全に制作裏話。ストーリー作りで考えていたことやら、全十話の順番やらについてのざっくりした話をしたいと思います。
【全体のストーリーづくりについて】
なんと最初に内容が確定した画数は第七画目でした!!
最初から画数ごとのタイトルと画数の数字で遊びたいと考えており、 とってもシンプルにちょっと不気味な過去の話をするとしたら、どういうタイトルの話がいいかな?と考えて出てきたのが「七回忌」。
数え年のため六年前から現代に続く、不気味な話をすることができるのでは?というところから書き始めました。
そして勿論七回忌なので、最低でも死者と生者の2人が必要になってくることで、生者(語り手)として『七海 享』がつくられます。
さらに、七画目は後半戦半ばなので、それまでに登場した怪異を死者側でしたよ、という伏線回収をしたいと考え、第一画目に人の形をした怪異を連れてくることに決定した。
というのが……すべての発端でした。
その後に考えたことは、
「十画すべて終わって、ひとまずは解決したけど、これ再度[呪印]が現れる可能性があるのでは?」
という、[呪印感染]の世界そのものに対しての不安感。
でもこれってジャパニーズホラーだから、そういう「まだ続いてしまうかも……」といった、 いつ非現実に導かれるかわからない理不尽さが残る展開ってよくある上、個人的に好きなものなんですが、
「それら全部を解決してみたくない!?ならどうしたらいいのかな!?」とハッピー頭による疑問がわきました。
出てきた答えが「PL・GMがいるからどうしようもないですね!」 → 「なら第四の壁が見えるようになって逃れる術を持てば良いのでは!」
これによって、メタフィクション要素がガッツリ搭載される流れとなりました。
ここで、第十画目の内容が「PL・GMを敵に回す」とざっくり確定。
同時に第七画目の内容もメタフィクションのために「この世界はフィクションに則っています」ということがわかる話=小説家『七海 享』による過去の小説の話、と方向性が確定。
ここで、全部の画数をそれぞれ別の人が書いている、とかにしたら面白いのでは?と考え、第七画目と、さらにQ熱黒の世界がカチッと決まりました。
そしてところどころに、フィクションと現実にまつわる話(第五画目)や、PL・GMの存在をちらつかせる伏線回(第三画目)や、うさぎ性癖なんかを散りばめつつ書いている中で、
《伏線》ってなんでこんなに問答無用で強いんだ?小説の話だからか!?と、誰でもお持ちの過去と秘密の《伏線》関係の話を混ぜ込みたくなり、第八画目、第十画目、なんなら第一画目の『喪服の男』周りにセットしておきます。この辺で『喪服の男』の特異性を考え、それを恐れる人間をつくることを考え始めまして、『一宮 朔』の存在はなんとここで決まります。『七海 享』のがずっと先にいたという……。
最後に残るは二・四・六・九画目で、
序盤に『七海 享』が登場しなければという登場回として第二画目(捨てられた女として自覚している伏線回)、
忘れた頃に『ガーデンハイツ八河』を登場させたい&第六画目・第八画目に登場する『祠』の伏線のための第四画目、
中ボス回として&オリジナル《正体》に慣れ始めたPLへの登龍門、第六画目、
最後にラスボス前に気持ちを嫌でもすべてを清算していけPvP回&『零泉月詠』メイン回、第九画目……
の順番で決めていきました。
なお、こちらの記事ではわかりやすさのために上の文章の該当画数に数字を振っていますが、 当時は一画目・七画目・十画目以外はこの数字!とカチッと決めておらず、 前半のこのくらいに〜、後半のこのくらいに〜という配置だけなんとなく決めていました。
順番を決めるために最初は適当に並べてみたんですが、しっくり来なく、そのため、 「伏線をどうやって維持させるか」という観点から、順序をかちっと決めることにしました。
なぜ「伏線をどうやって維持させるか」という観点なのか、 もう少し詳しく書くと、
[呪印感染]というシステムの中でのPC・〈呪印者〉たちはあまりにも簡単に死にやすい!
Q熱黒は全十話で、どこかで話が途切れた途端に、大事にしていた伏線が全滅してしまう!という課題がつきまとうのです。
それを解決するためにはどうしたらよいのか??
→死んでも大丈夫なように外付けハードディスクをつけましょう!
→PCの生存をずっと維持し続けるのは難しいため、必ず一定期間までは死なないNPCをちょいちょい登場させて維持させてみては?
→『七海 享』だ!!!
ということで、『七海 享』は早めの第二画目からの登場、次いで第四画目の確定助っ人NPC・第六画目の冒頭で会議を行う・第七画目(メイン回)以降はずっと出ずっぱりにすることに。
[呪印感染]はシステム上、時間切れではない限り必ず1人は生還できるため、 2人プレイで、PCが交互にロストするとかいう器用なことをしたとしてもぎりぎりなんとかなるように、『七海 享』は(序盤は)偶数回にだけ登場するように設定させることにし、 『七海 享』が入り込めそうな隙きのある画数だけピックアップして偶数画数として並べることにすることで、解決&順序を決定するという荒業に出ました……。
が、なんだかしっくり来て個人的にとても満足。
外付けハードの『七海 享』の配置によって順番が決まり、 あとはそれぞれの画数にあった��イトル名と怪異名を〜という、決め方をしました。
(で、これを考えながら同時に白をねりねりしていた。)
といった形での制作裏話でした!! 『七海 享』に全体的に助けられて作られたわけだ……。 どうもありがとう……。
あんまり参考にならないかもですが、 これから[呪印感染]のシナリオを書きたい人の為に、こんな感じで考えていたよ〜程度のメモとなります。
読んでくださってありがとう!
全部で十話もありますが、
本当に順番ぐちゃぐちゃに作ったので、 順番通りに作る必要ないと思います!
とだけは力強く主張できます。
そして、シナリオを新しく作ったよという方がいらっしゃったら、 是非私にプレイさせていただけると幸いです!
そして、ここまで読ん��くださった皆さん。
改めまして、
あけましておめでとうございます。
あの例の一件からおよそ一ヶ月経った頃。 あの事件以来、利き手に痛みが走ることはなく、安心した人もいれば、寧ろ拍子抜けした人もいるかもしれない。
そしてそのままやってきたお正月。何はともあれ貴方達は久しぶりの長めの平和な休日に入った。
幸運なことに、今年は7日までが休みであり、貴方達は本日までの正月休みをゆっくりと満喫できたことだろう。
それにしてもお正月とは賑やかなものである。
どこでも浮かれたように初売りと称したバーゲンセールが行われ、大きな袋に詰められた商品は福袋と名付けられぽんぽんと売れる。
田舎では獅子舞なんかも家を回るのだろう、神社では破魔矢やらお守りやらが売られ、その隣では昨年買われたものが天に帰されるために燃やされるのだろう。
餅付きのイベント、冬休みの今しかやらないであろう、コマ回し、凧揚げをする小学生たち、混雑する新幹線。
あけおめことよろメッセージ、朝早くに郵便局から出発する赤いバイク。そのバイクのエンジン音に目覚めて騒がしく吠える玄関先の犬。
何度も言うが、お正月とは賑やかなものである。
どこか貴方の家の近所でも正月を祝う祭りでもやっているのか、祭囃子のようなものが微かに聞こえてくる。
微かに聞こえる日本人の慣れ親しんだ美しい和音。笛の音、太鼓の音。
神社だけでなく、この時期はテレビでも流れていそうな短調で雅な音色だ。
その祭囃子のテンポに合わせて足音のようなものも聞こえる。随分と賑やかな祭りのようだ。
笛の音に負けず劣らずの美しい歌声も複数聞こえてくる。
ここで貴方達は気がつく。
最初に祭囃子に気がついた時よりも、音が鮮明に聞こえているということに。
移動しながらの催しなのだろうか?獅子舞のように、家々をまわり、道路を練り歩くような催しが近所で行われているのは聞いたことがない。
そんなことを考えている内に、遂に美しい歌声が聞き取れるほどに近付き……
「天まで届けやしずやしず」という女の囁くような声と、
ぴぃ
と、か細い笛の音が。 耳元で聞こえたかのような、不気味な感覚におそわれる。
同時に貴方達の利き手の甲に、しびれるような痛みが走った。
…………
………
……
.
本日、ちょうどお目出度い第二画目の日となっております。
『七海 享』とみんなはもう会えたかな??
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
うさぎ
9 notes · View notes
mayamiyamaillustration · 6 months ago
Text
Have a happy caturday 幸せなねこようびを🐾🐾
©️maya miyama 2023
Tumblr media
10 notes · View notes
tanakadntt · 2 years ago
Text
三輪秀次と嵐山さんの小説(二次創作)
オールラウンダーズ イン ザ ボックス
「万能手同士の親交を深めよう」
 という馬鹿げた話になったのはやはり馬鹿げた理由だ。
銃手は銃手で、狙撃手は狙撃手で、攻撃手は攻撃手で、よく訓練もするし、対戦もする。訓練はスポーツのような感覚があるから、部活のようなノリもある。
 射手は少々事情が異なる。隊員のほとんどがシューター用のトリガーをセットするなかで、わざわざ射手と名乗る彼らは飛び抜けて高い能力を持ち、またはセンスの塊なので合同訓練するほどもいない。数が少ないのだ。が、それはそれで仲良くしている。
 では、オールラウンダーと呼ばれる万能手はどうだろうか。アタッカー用トリガーとガンナー、シューター用トリガーの両方の個人ポイントが六千ポイント以上となる隊員を指すが、彼らは合同で訓練はしない。
 万能手と一言で言っても、
①規格外の大容量トリガーを使う玉狛第一
②スコーピオン+アサルトライフルの中距離型
③スコーピオンW使い+拳銃またはアステロイドの攻撃手型
④スコーピオンまたは弧月+拳銃の近距離型
 と様々である。
「皆の試行錯誤の結果だな」
 しみじみと言うのは、柿崎国治である。
 柿崎はアサルトライフルと弧月を使う中距離型だ。
 オールラウンダー同士で訓練しても意味はない。元々がガンナーであったり、アタッカーであるからだ。皆、それぞれのポジションで訓練している。
 一番、万能手らしいと言えば、①の多彩な攻撃ができる玉狛第一だろうから、ボーダー本部とはなじまないし、同じ部隊だから既にお互いわかっているはずだ。
 それなのに、なぜ本部の一室を使って、無茶な交流会が開かれているかといえば、やはりメディア広報室の仕業である。
 ボーダーの情報をソフトに発信していく広報誌『月刊ボーダー』で、次の特集が『万能手って何をするの?』であるからだ。
 しかも、アタッカーやシューターを差し置いての一番手の特集だ。順番的におかしいだろう。そう三輪は思うが、ちまたで圧倒的人気を誇る広報部隊嵐山隊の戦闘員は一人を除いて、全員のポジションが万能手なのだ。
 交流会というより、既に取材の一環だ。動画も流すのかカメラも入っている。
 しかし、それなりに盛り上がっている。先ほど、柿崎が言ったように、万能手はほとんどが創意工夫の末にたどり着いたスタイルなので古株が多い。気心の知れたメンバーだ。柿崎しかり、嵐山しかり、木崎しかり。彼らに合わせる形で柿崎隊、嵐山隊、玉狛第一の他のメンバーも万能手となっている者が多い。どこも器用なメンバーが集まっているのが特徴だ。そうでないものも器用という言葉がしっくりくる者ばかりだ。
 三輪も古株の一人であったが、どの系統にも属さない。もちろん器用ではない。だから、隅で空気になっている。早く作戦室に帰りたい。
 部屋の中央では嵐山が広報のインタビューに明るく答えている。周りには人が集まっている。
 嵐山のことは苦手だ。いや、嫌いだ。昔から嫌いだ。迅と仲がいいのもうなずける。二人で寄せて集めて高い高い砂の山を作っているようなところが嫌いだ。守りたいという決意はきれいだろう。尊いだろう。しかし、砂粒を一粒もこぼれないようにすることなどできるものか。「市民の皆さんを必ず守ります」という彼の本気を疑ってはいない。しかし、だからこそ嫌いだ。そんな恐ろしいことを言って、彼は笑っている。手のひらに何粒残るのか。手のひらから何粒こぼれ落ちるのか。三輪はこぼれ落ちた砂の一粒だ。死ぬも生きるもままならないのはよく知っている。三輪は誰にも守るとは言えない。
「暇そうですね、三輪先輩」
 声をかけてきたのは玉狛第一所属の烏丸京介だった。彼のトリガーは公表しにくい。取材からは外れている。三輪と同じく暇なのだろう。
「暇だ」
 烏丸は玉狛支部に異動になる前にはA級太刀川隊に所属していた攻撃手だ。現在の三輪隊ではなく、かつての東隊メンバーとしてランク戦で戦ったことがある。
「帰っちゃだめですよ。このあと写真撮影があるんですから」
「集合写真に一人抜けても構わないだろう」
「違います。俺と三輪先輩と嵐山さんで写真をとるんです」
「は?」
 聞いていない。
「スポンサーの服飾メーカーさんの企画で、ボーダーコラボでその写真をスエットにプリントして売り出すんです。狙撃手では荒船さんのトートバッグが一番人気らしいですよ」
 恐ろしい話だ。
「死んでもごめんだ」
 すぐさま逃げ出す算段をしている三輪を烏丸は無表情のままちらりと見た。ボーダーで随一モテる男だ。端正な顔に表情がないと作り込んだCGのように見える。
「嘘です」
「……相変わらずだな」
「先輩こそ変わらないっすね。嵐山さんが苦手なの」
 そういう問題ではないが、
「…誰にも迷惑をかけてない」
「木虎が気にしてましたよ」
「木虎が? どういうことだ」
 あまり接点がない。嵐山を避けているだけで嵐山隊に何かをした覚えはない。
「ほんと、先輩変わらないっすね」
「?」
 そのとき、暇そうな二人に気遣ったのか、インタビューを受けていた嵐山から声がかかった。
「三輪、近距離でバイパーをセットする理由を話してくれ。烏丸もアドバイスがほしい」
 そんな気遣いはいらない。そんな細かい趣旨の特集でもない。ほうっておいてくれ。嫌そうな顔をしたはずだが、堪えていない。待っている。視線が集まる。隣にいる木虎の目が怖い。あきらめて壁を離れ、三輪は烏丸と会場の中心に近づいた。嵐山は笑顔で迎える。
終わり
3 notes · View notes
mxargent · 1 year ago
Text
"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
アイウエオカキクケコガギグゲゴサシスセソザジズゼゾタチツテトダ ヂ ヅ デ ドナニヌネノハヒフヘホバ ビ ブ ベ ボパ ピ プ ペ ポマミムメモヤユヨrラリルレロワヰヱヲあいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねの��ひふへほまみむめもやゆよらりるれろわゐゑを日一国会人年大十二本中長出三同時政事自行社見月分議後前民生連五発間対上部東者党地合市業内相方四定今回新場金員九入選立開手米力学問高代明実円関決子動京全目表戦経通外最言氏現理調体化田当八六約主題下首意法不来作性的要用制治度務強気小七成期公持野協取都和統以機平総加山思家話世受区領多県続進正安設保改数記院女初北午指権心界支第産結百派点教報済書府活原先共得解名交資予川向際査勝面委告軍文反元重近千考判認画海参売利組知案道信策集在件団別物側任引使求所次水半品昨論計死官増係感特情投示変打男基私各始島直両朝革価式確村提運終挙果西勢減台広容必応演電歳住争談能無再位置企真流格有疑口過局少放税検藤町常校料沢裁状工建語球営空職証土与急止送援供可役構木割聞身費付施切由説転食比難防補車優夫研収断井何南石足違消境神番規術護展態導鮮備宅害配副算視条幹独警宮究育席輸訪楽起万着乗店述残想線率病農州武声質念待試族象銀域助労例衛然早張映限親額監環験追審商葉義伝働形景落欧担好退準賞訴辺造英被株頭技低毎医復仕去姿味負閣韓渡失移差衆個門写評課末守若脳極種美岡影命含福蔵量望松非撃佐核観察整段横融型白深字答夜製票況音申様財港識注呼渉達良響阪帰針専推谷古候史天階程満敗管値歌買突兵接請器士光討路悪科攻崎督授催細効図週積丸他及湾録処省旧室憲太橋歩離岸客風紙激否周師摘材登系批郎母易健黒火戸速存花春飛殺央券赤号単盟座青破編捜竹除完降超責並療従右修捕隊危採織森競拡故館振給屋介読弁根色友苦就迎走販園具左異歴辞将秋因献厳馬愛幅休維富浜父遺彼般未塁貿講邦舞林装諸夏素亡劇河遣航抗冷模雄適婦鉄寄益込顔緊類児余禁印逆王返標換久短油妻暴輪占宣背昭廃植熱宿薬伊江清習険頼僚覚吉盛船倍均億途圧芸許皇臨踏駅署抜壊債便伸留罪停興爆陸玉源儀波創障継筋狙帯延羽努固闘精則葬乱避普散司康測豊洋静善逮婚厚喜齢囲卒迫略承浮惑崩順紀聴脱旅絶級幸岩練押軽倒了庁博城患締等救執層版老令角絡損房募曲撤裏払削密庭徒措仏績築貨志混載昇池陣我勤為血遅抑幕居染温雑招奈季困星傷永択秀著徴誌庫弾償刊像功拠香欠更秘拒刑坂刻底賛塚致抱繰服犯尾描布恐寺鈴盤息宇項喪伴遠養懸戻街巨震願絵希越契掲躍棄欲痛触邸依籍汚縮還枚属笑互複慮郵束仲栄札枠似夕恵板列露沖探逃借緩節需骨射傾届曜遊迷夢巻購揮君燃充雨閉緒跡包駐貢鹿弱却端賃折紹獲郡併草徹飲貴埼衝焦奪雇災浦暮替析預焼簡譲称肉納樹挑章臓律誘紛貸至宗促慎控贈智握照宙酒俊銭薄堂渋群銃悲秒操携奥診詰託晴撮誕侵括掛謝双孝刺到駆寝透津壁稲仮暗裂敏鳥純是飯排裕堅訳盗芝綱吸典賀扱顧弘看訟戒祉誉歓勉奏勧騒翌陽閥甲快縄片郷敬揺免既薦隣悩華泉御範隠冬徳皮哲漁杉里釈己荒貯硬妥威豪熊歯滞微隆埋症暫忠倉昼茶彦肝柱喚沿妙唱祭袋阿索誠忘襲雪筆吹訓懇浴俳童宝柄驚麻封胸娘砂李塩浩誤剤瀬趣陥斎貫仙慰賢序弟旬腕兼聖旨即洗柳舎偽較覇兆床畑慣詳毛緑尊抵脅祝礼窓柔茂犠旗距雅飾網竜詩昔繁殿濃翼牛茨潟敵魅嫌魚斉液貧敷擁衣肩圏零酸兄罰怒滅泳礎腐祖幼脚菱荷潮梅泊尽杯僕桜滑孤黄煕炎賠句寿鋼頑甘臣鎖彩摩浅励掃雲掘縦輝蓄軸巡疲稼瞬捨皆砲軟噴沈誇祥牲秩帝宏唆鳴阻泰賄撲凍堀腹菊絞乳煙縁唯膨矢耐恋塾漏紅慶猛芳懲郊剣腰炭踊幌彰棋丁冊恒眠揚冒之勇曽械倫陳憶怖犬菜耳潜珍
“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
185K notes · View notes
elle-p · 1 year ago
Text
P3 Club Book Persona 2 Innocent Sin pages scan and transcription.
Tumblr media Tumblr media
ペルソナ2罪 INNOCENT SIN
「自分の携帯電話から自分の携帯電話をコールすると、普通なら話し中になるはず。でも、ジョーカー様が出ることがあるんだ。ジョー カー様に理想を伝えれば、それが叶うらしいよ。でも、理想を言えないと、心を奪われて、影人間にされちゃうんだって······」
それは、理想を求めながらも、未来への不安に惑う若者を中心に流布する願望的都市伝説。だが、それは単なる噂ではなかった。
噂が現実化するという奇妙な現象により、世界がその在り様を変えていく中、出現したジョーカーは、主人公たち少年少女に、「過去を思い出せ」と迫る。過去を思い出したとき、復讐が果たされる、と。主人公らは、その言葉をきっかけに、封じられた過去の記憶と対峙していくことになる。そこに秘められた罪とは、いかなるものか······。
そして、ジョーカーを戴く仮面党と名乗る組織が引き起こす復讐の物語に巻き込まれていく少年少女らは、その背後に蠢く集合的無意識に潜む悪意の存在に気づいていく。
さまざまな噂が現実化し、日常が変貌していく。ブティックは防具屋となり、カイロプ ラクティックは回復所となり、レストランが武器屋となる。そして、日常の変貌は、加速度を増し、ありえない噂までもが現実化し、ついに日常は崩壊する。かつて地球に訪れたという宇宙人の遺跡が動き出し、ヒトラーが蘇り、全地球規模の崩壊という奇怪な予言までもがその成就に向け現実化していく。
暴走する噂に翻弄される主人公らは、そのすべての原因となる過去の記憶を探り当て、その罪を消し去るために、悲しみの決断をする。そして、そのとき、世界はひとつの終わりを迎える······。
スペック
ジャンル
RPG
プラットフォーム
プレイステーション
開発元/発売元
アトラス
発売日
1999年6月24日
価格
6,800円(税別)
2,800円 (PSベスト版、税別)
Being the most imortant can't be seen in the eyes
忘却と罪
『ペルソナ2罪』は、あらゆる事柄が内包する「原因」というものの存在に焦点を当てる物語である。現在は過去によって左右される。前作の成長というテーマをさらに深く解釈した本作の魅力を、ここで考えてみたい。
逃れられぬ報い
前作『女神異聞録ペルソナ』 で描かれた成長の物語を、さらに突き詰めて描くために、2部構成で作られた『ぺルソナ2』、その前段階に当たるものが『ペルソナ2罪』である。
主人公らは、過去に味わった悲しみと罪の意識から逃れるために、その記憶を封じていた。しかし、記憶を封じようとも、現実は変わりはしない。過去の亡霊の���うに、復讐の影が、ひたひたと主人公らに迫る。その不気味さ。
人は、忘却する力を持っている。忘却そのものは罪ではない。未来を見つめるために、過去を忘れていくことは悪ではない。しかし、過去の出来事を共有する者の中には、その忘却を許さぬ者もいるのである。
あなたの過去の中にも、あなたの忘却を許さぬ者がいるかもしれない。逆に、あなたもまた、一生忘れられぬ憎しみを抱いてはいないだろうか。
噂による
現実変容の快楽と危険
人は、世界を、情報によって認識する。世界はこうあるものだ、と認識することによって、その人にとっての世界が成立する。主観的な世界の成立である。意識が認識する世界こそ、その人にとっての現実の世界である。そして、集合的無意識に潜む者によって、仕組まれた嘲りに満ちた戯れとして、噂の現実化という現象が引き起こされる。
主人公らが流す噂によって、街の人々が変化していく。同時に、悪意に満ちた噂や予言までもが現実のものとなる。すべては、その噂を信ずる人の人数によって決まる。事実は意味を持たず、あらゆるものは多くの人々が信ずることで、現実のものとなる。主人公 (=プレイヤー) は、情報操作によって世界を作り変えることができる。それは、万能感を与えると同時に、現実を不確かで危ういものに変えていく。根も葉もない噂すらも、当事者にとってはすべてを否定されるだけの恐ろしい力を持つ。情報化社会の恐怖が描かれる。
ジュヴナイルの目線
今作は、周防達也 (=プレイヤー)、三科栄吉、リサ・シルバーマン、黒須淳という高校生らを中心に展開する。それゆえ、世界をジュヴナイルの視点から眺めたものとして語られていく。
70名を超える人物らが持つ濃密なキャラクター設定は、この物語のみで語りきることのできないものである。それは、高校生らが世界のすべてを知ることができないという現実をも表している。人は、あくまでも自分の視点でしか、世界を眺めることができない。
主人公らを取り巻く人々が抱える過去もまた、それぞれが人生をかけた物語なのである。そうした語られぬ物語は、もうひとつの側面である『ペルソナ2罰』にて、明かされることになる。
ふたつの物語の関連付けることによって、『ペルソナ2』は相互補完され、物語の全体像が浮き彫りになるのである。
だが、しかし、それらは単なる続編や、『女神異聞録ペルソナ』で描かれた、同じ時間軸を共有する別の立場からの物語ではない。
噂の現実化現象によって引き起こされる人類崩壊の予言と、過去に秘められた罪の物語は、あくまでも独立した物語として完結する。
受け継がれる人々
物語としては独立しながらも、世界の連続性を味わうための要素として、『女神異聞録ペルソナ』で活躍したキャラクターが、その後の姿として登場する。前作から3年の時を経て、彼ら彼女らがどのように成長したのか。その姿を見ることができ���。パーティキャラ クターとして重要な存在となる黛ゆきのも、前作に登場した人物である。
彼ら彼女らの学生時代を共にしたプレイヤーならば、また違った立場での再会を楽しむこともできるだろう。人は成長していく。だが、成長したさきでも、また新たな悩みにぶつかることを、この再会をとおして見ることになるだろう。
金子氏コメント
『ペルソナ2罪』は、因縁の物語。噂を流すという原因を作ることで、結果として現実が変わる。未来を変えるために、今の生活を変えていこう、という話。だからこそ、未来のために現実を見つめる高校生らが主人公となっている。前作よりも掘り下げた人物設定も、楽しめると思う。
10 notes · View notes
armazenamentoscans · 27 days ago
Text
Tumblr media
宣伝ポイント Marketing Points 一、先づ「ゴジラ」と云う不可思議な名称と説明を必ずサブタイトルの如く使用して下さい。一二、今や全世界の恐怖の的となつている水爆実験によつて、二百万年の叱りをさまされた想像を越える巨大な怪獣が、死の放射線を発し乍ら大東京を襲撃し、更にこれを迎え撃つ全人類との必死の攻防戦は、映画のみが表現し得る特殊撮影の効果によつて、大人にも子供にも楽しめる興味満点のものだと思います。三、本篇の主人公は飽く迄も怪獣ゴジラでありまますから、奇想天外なスペクタクル巨篇で売ることは勿論ですが、これと共に科学者の苦悩、父娘の美しい愛情、更に若い人々の恋愛等を絡ませてメロドラマ的な面を織り込んで売ることも一考かと思います。四、キャストが非常に弱いと思いますので、特に新人(宝田、河内、平田)の売り出しを工夫すると共に、スクーバリューをカバーする意味に於て、過去には「ハワイ・マレー沖海戦」近くは「大平洋の鷲」「さらばラバウル」等で特殊技術を担当した円谷英二が陰魂を傾けて監督の本多猪四郎と協力、アメリカ映画をも圧倒する成果を挙げていること、更に大東宝が全機能を結集して贈る映画史上始めて以来の(莫大な製作費や延人員等を並べる)スペクタクル怪獣映画であること売って下さい。First, make sure to use the mysterious name “Godzilla” along with its explanation as if it were a subtitle. Now, due to the global fear caused by nuclear tests, a gigantic monster beyond imagination, awakened after two million years of slumber, is attacking Tokyo while emitting deadly radiation. The desperate battle between this creature and all of humanity is something that only a film, with its special effects, can bring to life, offering an exciting experience for both adults and children. The main character of this story is undoubtedly the monster Godzilla. While selling it as a grand, extraordinary spectacle is a given, it may also be worth incorporating a melodramatic aspect, involving the scientists’ struggles, a father-daughter’s beautiful love, and the romance of young people. Since the cast is quite weak, a special effort should be made to promote the new actors (Toda, Kawachi, Hirata). Additionally, to compensate for the lack of star power, emphasize that Eiji Tsuburaya, who worked on special techniques for films like “Battle of the Pacific” and “Farewell to Rabaul,” has teamed up with director Ishiro Honda to create something that surpasses even American films in terms of achievement. Moreover, highlight that this is the first ever high-budget, large-scale monster film in movie history, backed by the full resources of Daiei Studios.
0 notes
oyasumimataatode · 2 months ago
Text
この間の続き書き上げろって話の前に、やってきました。この日が。いつの間にか稜雅との関係性に名前がついてから、10ヶ月も経ったらしい。最初こそ俺は関係に名前を付けると、途端に終わりが見えてしまうような気がしてたし、トラウマもまだ拭い切れてない時期に出会ったから、どうなんだろう、無理に関係を始まらせる事もよくねえのかなあ、なんてことも正直少しは考えてたりして。始まってもない杞憂に頭を悩ませながら、でも稜雅が歩み寄ってくれたからあの日から本当に俺の世界は広くなって、久しぶりに本気で誰かと向き合いたいって思わせてくれた。もう10ヶ月なんだってよ。早くない?俺と稜雅の季節が三つも過ぎてったってことですね。
今日は稜雅になんの話をしよう。ん〜〜。改めて話すのって死ぬほど恥ずかしいんだよな。トレタリのモノボケ選手権でしぬほどしらけた時の方がまだ照れ臭くないまである。そうだなあ、おまえが思うより俺はきっと稜雅のことが好きってことでも語っておくか。まあ、はずかしいので読み返すことはしませんが。そう。そんで。稜雅は、俺がいつも疑心暗鬼な恋愛を積み重ねてきたとは思えないくらい俺でも実感できるほどの、ありったけの愛をくれる。それは仕草にだって伝わってくる。仕草は、俺の前を歩こうとしてくれるところ。危ないところは通らないよって違う道に連れてってくれるところ。危ないからねってすぐ手を差し出してくれるし、眠る時は俺を強く包んで何かから守ろうとしてくれる。愛おしさが込み上げると俺の頭を抱えてぎゅうとしてくれるし、帰りが遅くなったり朝に雨が降ってるとタクシーを使いなさいってお金を投げてくれる。今どこにいるのって本気で心配もしてくれる。日々の仕草でこれだけ好きが伝わるなんて俺は生きてて初めてだし、向けられるたびにそわそわして仕方なくなる。仕草だく毛じゃなくて、俺が不安になっていると同じ目線に立って心配してくれたり、寝る間際まで俺の頭を撫でて、大丈夫だよって寝てくれる。俺の事を考えて、寝る間際まで考えながら寝てくれるところも新発見した。なんというやつだ。書き出しても溢れちゃいそうなくらいには、俺のことが好きって伝わってくる。ただ。ただ、俺だって同じように好き。きっとどっちが上とかじゃなく、俺らは本当に同じくらい思い合えてるよ。
俺は、稜雅の事を考えると二つの意味で胸がきゅっとする。一つ目は死ぬほどはずかしい事を言うと、好き過ぎて胸がきゅっとする。おまえの事を思い出すと今まで俺にしてくれた仕草や言葉がぶわ〜って駆け巡るの。あの時差し伸べてくれた手の温もりとか、その日の朝に掛けられた嬉しい言葉とか。その時その時に思い出すことが違くって、いろんな愛しいが頭の中に駆け巡って、胸がきゅっとなる。寝る前の目を閉じた時はされて嬉しかったこととかそのまま考えながら寝ると夢の中までついて来てくれるから、毎日ひっぱりこめるように考えて眠る。この間、嫌な夢をみた時。久しぶりに追いかけられて、黒いもやもやが俺のところに迫ってきて、起きたら体が動かなくて。必死に汗かきながら稜雅の名前呼んで、寝香水振り撒いて必死に稜雅のこと考えてたらそのうち胸がきゅっとしてそのままぽかぽかしてきていつの間にかぐっすりしてた。俺にとっての胸のわずかな痛みは恐怖とか嫌な気持ちじゃなくて、稜雅の事を思ったときに生じる甘い痛みであればいいのにって思うし、怖くてザワザワする様な痛みは稜雅への思いで上回れるんだなって感じられた。ちなみに二つ目のきゅっとするのは、稜雅が何かしらで心を痛めてたりさ、言い合ったときに言い過ぎたなって反省して、おまえの事を思い返したときに生じる痛みだったりする。どんな痛みでも、四六時中俺の心臓は稜雅基準で忙し無く動いてるってことだ。痛いのも甘いのも、どうせだったら稜雅がいい。どんな胸の痛みも受け入れるからさ、俺の心臓を動かしていてね。どうせ寝ても覚めても一人だけで、あまりにも想いが募っていくから本当に10ヶ月なのかっていつも自問自答してる。新鮮にどきどきして、あまくて、いつだって恋して。最近は愛するってどういうものなのかも俺なりに感じるくらいには、おまえが好きらしいよ。ほら、お互い頭抱えたくなるくらい好きだろ?稜雅のことが好きでたまらなくて、どうにかなりそうな俺のこと、責任持って末長く好きでいさせてよ。来月はきっともっと寒くなってんのかな、14日。俺と稜雅の好きな冬が来るね、きっと来月も、いい日になりますように。いつもありがとう、今月もだいすきです。
Tumblr media
1 note · View note
djcyberspace · 3 months ago
Text
仮に憲法9条2項を改正しても、日本が侵略国家になることは不可能だという話。
最近、国内の政治界隈で定期的に話題に上がる「憲法9条改正」。与党第1党である自民党にとっては結党以来の党是であり、ロシア-ウクライナ戦争や中国の軍事的圧力の強まりといった安全保障環境の悪化により、政治家の口からこの話題が語られること���しばしばになっている。
結論から言うと、自分は憲法改正には賛成の立場だ。それも、今の自民党が掲げる「自衛隊明記案」では無意味であり、きちんと今の自衛隊を国内法上も軍隊として位置づけるべき、という考えを持っている。
現状の自衛隊は法律上、有り体に言えば「見た目だけは軍人っぽく整えた公務員の集まり」であり、それを有事の際に相手国の「本物の」軍隊にぶつけるのは安全保障上不安であるということ。国際法上は既に軍隊として扱われている以上、もしもの際に十全に実力を発揮してもらうためにも、国内法と国際法上の取り扱いを統一すべきと考えていることがその理由だ。
そもそも、憲法改正自体に否定的な考え方を持つ方々から見れば、「戦争したがっている危険人物だ」とでも見えるかもしれない。
ただ、どうか安心して欲しい。たとえ日本が今後憲法改正をして、よしんば本当に自衛隊が正式な軍隊組織になったとしても、それを以て日本が「侵略戦争をするような国」になることは、絶対に出来ないからだ。それも、これは単に「政治家にその決断をする胆力がない」とかいう話ではない。それよりももっと現実的な障壁の話だ(まぁ、今の日本の政治家にその胆力があるかと聞かれたら、ぶっちゃけないと思うけどね)。
まず第一に、今の日本にはそもそも侵略戦争を仕掛ける動機がない。今の日本は、尖閣諸島・竹島・北方領土の問題を除けば、基本的には諸外国との外交関係は概ね良好だ。欧米諸国と中東諸国、それぞれ全く異なる文化や世界観をもつ勢力のいずれとも友好的な関係を持てているのは、誇張ではなく日本くらいのものかもしれない。
そして、エネルギー資源の乏しい日本は海外から物資を輸入し続けることで経済を回す必要があるが、ウクライナ戦争勃発以降の物価高を見ても分かる通り、安定的な貿易を続けるためには世界秩序の安定は必要不可欠。つまり、わざわざ今の日本が自分から戦争当事国になりにいくことは、全くもって意味がないどころか国益を損なう行為でしかないわけだ。
じゃあ、仮に何かしらの侵略の動機を曲がりなりにもでっちあげられたとしても、今の日本には侵攻作戦を仕掛けるための軍事的能力はない。これが第二の障壁だ。
「侵略戦争」を成り立たせるにあたっては、歩兵による相手国の領土の占領を伴うことが必要だ。領土の占領がなければ、仮に相手国がダメージを受けたとしてもいずれは回復し、反攻する余地を与えてしまうからだ。
そして、日本は四方を海に囲まれた島国、仮に他国を侵略するならば、その橋頭堡を築くための上陸作戦が必須になる。そのためには、実際に海から敵国領土に上陸する部隊と、上空から航空支援を行う戦闘機部隊の両方を運用できる船、すなわち強襲揚陸艦が必要だ。
だが、今の日本国自衛隊は強襲揚陸艦を一隻も保有していない。おおすみ型輸送艦と呼ばれる似たような機能を持つ艦艇は持っているが、この船に戦闘機部隊の運用能力はなく、保有数もたったの3隻しかない。敵国への侵攻作戦を形にするには、あまりにも数が少なすぎる。
そもそも、専守防衛を旨とする自衛隊の装備体系は、その方針を逸脱しないように厳しく能力が制限されてきた。過去には「航続距離が伸びるのは侵略につながる」などという謎めいた理由で、航空自衛隊の戦闘機から空中給油能力が一時的にではあれオミットされたことすらある。今の自衛隊が保有する装備はそういう議論の積み重ねの上にある、ということを忘れてはいけない。
ハード面はもちろん、ソフトの部分も足りない。今の陸上自衛隊においては、ピラミッドの最下層に位置付けられる陸士の数が足りていない。彼らは階級においてこそ最下層ではあるが、民間における平社員と同じで有事の際は最前線で手足となる立場だ。それが不足しているということを甘く考えてはならない。
現状の陸自は、陸士の人数不足の問題から防衛戦闘においてすら作戦遂行に不安がつきまとう状況だ。まして、防衛戦以上に攻撃側が人数を割かねばならない侵攻作戦など、とてもではないが出来る状況ではない。もちろん、専守防衛を掲げてきた以上、そのような作戦を遂行するためのドクトリンもない。常識的に考えて、装備も戦術も戦力の頭数もない軍隊に、侵略戦争など不可能だ。
で、仮にその障壁を人外レベルの根性で乗り越えられたとしても、第三の、そしてある意味最大の障壁が待っている。今の世界秩序においては、侵略戦争は違法行為として禁じられているということだ。
現在の国連憲章においては、自衛権(個別的あるいは集団的の別を問わない)の行使あるいは国連決議に基づく武力制裁以外の、全ての武力行使が違法行為として禁止されている。それに背いた国は少なくとも経済制裁に晒されることになるし、ロシアがウクライナ相手に開戦した際は、日本も対露制裁に加わったのは記憶に新しい。
それでも、ロシアは世界屈指の資源国だからまだ辛うじて耐えられてしまっているけれど、前述の通りエネルギーを輸入に頼っている日本はそうはいかない。日本が仮に制裁を受けるようなことがあれば、日本行きの物資は合法的に輸出を止められることになる。そうなればその影響はたちまち経済や国民生活を直撃するだろう。よしんば侵攻が何かの間違いでうまくいったとしても、本国の経済が潰れてしまったら本末転倒だ。
そして、日本は基軸通貨・円を保有する国であり、G7の一員という世界をリードする立場の国でもある。そういう国の経済が制裁によりぶっ壊れれば、それは即ち世界経済がぶっ壊れることを意味するわけだ。仮にそうはならなかったとしても、戦後一貫して力による現状変更を否定してきた日本が自らそれを否定するムーブをすれば、日本に対する外交上の信用や尊敬は無になるだろう。日本や日本人が今のように世界から受け入れられるようなことは、二度となくなると思う。
長々と書いてしまったけれど、敢えて乱暴な言い方をするなら、「たかが憲法改正ごとき」で日本が侵略国家になることなどあり得ない。たとえ憲法を変えたとしても、それ以外にも越えなければならない障壁は山ほどあり、そしてその中の少なくない数は「日本政府の都合ではどうにもならない」ものだからだ。
過去には日本だって侵略をやってたじゃないか、という人もいるだろう。確かに大日本帝国の時代に、我が国も実際に海外への侵攻をやっていたのは事実だ。ただ、あの時の日本には帝國陸海軍という軍事的能力、そして当時の植民地獲得競争に勝ち、自国の権益を守るという動機があった。そして、帝国主義の時代にそのような軍事力行使が容認される時代背景もあった。今とは真逆の状況である以上、それは今の日本国も同じことをするという根拠にはならない。
戦後の日本では軍事についての議論がタブー視されてきた背景もあり、よく知らない分野に対して恐怖感を抱くという人もいるだろう。それはそれぞれの価値観であり否定はしない。ただ、安全保障は自分たち自身の命の問題でもある以上、現実がどうなっているのかをきちんと知って、自分が抱いた恐怖感が思い込みでないのかどうか、検証する必要があるんじゃないだろうか。それをやらずに感情的に喚き散らかすのは、分別のある大人のやることではないよ。
0 notes