Tumgik
#ぷりんと倶楽部いいね返し
bearbench-3bun4 · 2 months
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「虚無への供物」中井英夫 3311
第三章
31 顔のない顔 
1955年3月1日火曜日の話からです。 木造二階建ての『黒馬荘』というアパートの説明から入ります。
本郷の都電の動坂停留所から追分へ向かって幅広いだらだら坂をのぼりつめると、 “日限地蔵(ひぎりじぞう)”が祀られていて、その角を入った裏通りにあるそうです。 わざわざ本文でも1960年10月の区画整理後、今は面影も見当たらないといっています。
正確な場所を書くことがためらわれたのでしょうか? まあ、現在の地図に当てはめると、駒込病院あたりでしょうか?
ただ、その辺りには、“日限地蔵”は無いようです。 昔あって今はもう無いとも考えられますが、 昭和20年4月の空襲を境に様相を変えとありますから、無くなったとは考えられません。 これも、後から何らかの形で絡んでくるのでしょうか?
さて、『黒馬荘』というアパートの説明から入ります。 六畳一間で、押し入れと洋服ダンスが造り付け、ガス水道を備え小さな台所もついている。
このアパートの持ち主は、職業を問わないがきれい好きの独身男性にのみ貸していた。 二階には、夜の職業の者のもの(寄席(よせ)芸人、ペット吹き、バーテンなど) 階下には、昼の勤めの者のもの(仕立下職、図案家、セールスマンなど) ただ、玄関にはいつも『貸間あり』と板片がぶら下がっている。 それをみても、このアパートの持ち主は、かなり変わり者なんでしょうね。
新聞は部屋ごとに配るようになったが、郵便は、配達員が面倒がって、廊下へまとめて放り出していく。 ということは、それまでは新聞も昔は、まとめて放り出していってたのでしょうか。
さて、この郵便物ですが、気の付いた住居者が受付の窓へ立てかけることになっていて、 最近は、階下の右端の部屋に住む仕立下職の伊豆金造(いずきんぞう)がやっています。 この時間、金造以外に階下に誰もいないからというのもあるけど、他人宛の手紙を見るのをひそかな楽しみにしていたんですね。 封書は、裏表を丹念にひっくり返して差出人の名前を記憶してしまう、葉書は、素早く文面に眼を通し読み上げたりするのが癖です。
3月1日の朝、金造は袖振りの将棋をしています。 この将棋は、特定の手を指すと相手が必ず特定の手を指すルールがある変則的なものですが、一人でやってたのですかね? で、投げ込まれた郵便物にきがついた金造がそれを熱心に調べ始めますが、背後に冷たい視線を感じます。
金造が感じた視線は、去年の10月頃に越してきた三十がらみの眼の鋭い男で、 時々、マスクに眼鼻を描き入れては返している人形絵師です。 その男は、区役所へ行くのが面倒だと米穀通帳の登録もしていないそうです。
ところで、昭和30年は豊作で内地米の供給は配給米、ヤミ米ともに増加していて2割以上の低落となっていたようです。 配給米を手に入れなくても、ヤミ米で何とかなったのでしょう。
やはり感じた視線は、例の人形絵師でした。 その男、赤い靴下に明るいフラノのズボン、煉瓦いろの派手なシャツという格好で、 冷たい眼で威圧するように金造を見下ろしています。 その風体に、殺気めいたものさえ感じてしまいます。
その男、金造を自分の部屋に誘います。 金造は、体が小刻みに顫(ふる)えのを感じながら、部屋へ入ろうとすると、 たまたま、管理人のとろ婆さん(この前まで大分の山の中で牛を追い回していた)が、 預かっている新聞が有ると声をかけるのですが、後で取りに行くと、強引に、金造を部屋に押し込むと鍵をかけてしまいます。 これは、金造でなくても、びびりそうですね。
ところで、理由は書かれていませんが、金造は、例の男の背中には刺青があると、思い込んでいます。 これは、金造が臆病者であることを単にあらわしているのでしょう。 で、倶利伽羅とか滝夜叉とかです。 倶利加羅は、「倶梨迦羅」「古力迦羅」「倶力迦羅」などとも言われて、黒色の龍で不動明王の化身です。この龍が燃え盛る炎に包まれながらも岩上の利剣に巻き付き剣を飲み込まんとする像が倶利加羅不動明王です。 滝夜叉は、平将門の娘で、元の名を五月姫(皐月姫)といいます。自らを新皇と称し、関東を制した父・将門が天慶の乱で討たれると、娘の五月姫は恨みを募らせ、やがて妖術使い「滝夜叉姫」と化します。
無理やり押し込められた状態の金造は、金造は例の男にかけるように勧められ、改めて部屋の中を見ます。 万一の時のために窓の様子をみますが、閉じて鍵がされています。 男世帯にしては片付いていて、薄赤い敷物が敷き詰められ、左手の壁沿いに整理ダンスと本棚、窓際にはテーブルと椅子があり、 右手の狭い台所もきちんと整いガス台にはやかんが湯気を噴きながら煮立っています。
消息通を自負している金造ですが、いずれはこういう破目にだろうと思っていたのか、すっかり観念しているようですね。 というのも、 来客がきた日に、いつも鍵のかかっていない隣の空室から盗み聞きしていたのがバレて、 その後も口をきく機会があっても口も聞かずに済んでいたからです。 さて、例の男は、コップにウィスキーを注ぎ金造のところに持ってきて、話し出します。 上等な洋服地を一巻き取り出し、金造に買い取ってくれないかと持ちかけます。
洋服地は、舶来のウーステッドで、仲間相場でヤール五千円だと金造は見立てます。 ウーステッドは、「梳毛」のことで、原毛の段階で梳られた長くて細いなめらかな感触をもつ糸で織られビジネススーツのもっとも一般的な生地です。 仲間相場は、問屋を通さない取引です。 この当時は、木綿(1反)が250円だそうですから、 ヤール(並幅のことで、1ヤード(91.4cm)である)が五千円だから、かなり高額だという事になすます。
例の男は、急に金がいるからと下手に出ていますが、金造が煮えきらないので、 態度をかえて金造がこの部屋にかってに入ったことを問い詰めます。 なんと、金造はこの部屋に黙って入っていたのですね。 しかも、部屋に転がっていた凹凸だけの白い小さな顔に驚いて、飛び出してしまっています。 白い小さな顔は、人形絵師の仕事に使う材料ですね。 しどろもどろで、怯(おび)えきった金造に、例の男は、また丁寧な口調に戻って、勘違いかもしれないと、無礼を侘びます。 そんなことより金造は、眼の前にあるレモン入りのウィスキーに釘付けです。 それは、ウィスキーにたっぷりレモンを絞って青酸カリの臭いを消すのだと新聞記事で読んでいたからです。 と、金造の妄想はどんどん膨らんで、とうとう泣き出してします。 その様子に例の男は、たじろいで取引の話はやめてウィスキーを勧めます。 そう言われてもウィスキーからまぎれもない青酸カリの匂いがして、金造はますます困惑してます。 まさか、青酸カリなんか入っているわけないですよね。
ちょうどその時、鴻巣玄次を訊ねてくる人がいました。 その人物は、八田皓吉でした。 ここでやっと、例の男は、鴻巣玄次だとわかります。 しかも、八田皓吉を兄さんと呼んでいます。 びっくりな展開ですね。
つづく
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knk-q · 3 months
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#を作った100のコンテンツ
通して見ていくとゲストごとの違いや、あるいは共通点がぼんやりと感じられて面白い。オタク的には東京ホテイソンのお二方の回はめちゃくちゃ好き。最高だし最低(良い意味で)。
以下、私の100個。たまたまこの記事に出会ってしまった人は続きを読まなくていいです。読まないでください。長いし面白くないので。
あ、大島さんの動画は見て。面白いです。
幼少期
1. SLAM DUNK / 井上雄彦(漫画, アニメ) 初めて書いた文字は「SHOHOKU」らしい。後にミニバスを始めるきっかけ。 2. おかあさんといっしょ 家でとにかく歌い踊り狂っていたらしい。 3. リカちゃん人形 姉と幼馴染の姉妹との4人で遊ぶことが多かった。母がオタクだったので服や小物も大量にあった。 4. ライオンキング(アニメ) ディズニーアニメのVHSが家にいくつかあり、姉と2人で繰り返し観た。トイストーリーとか、バグズライフとか。 5. 遊☆戯☆王 / 高橋和希(漫画, アニメ) カードゲームはそこまでハマらなかったけど、ダンジョンダイスモンスターズは買ってもらった。周りは誰もやっていなかったので1人で遊んでいた。同世代男性における中二病の元凶だと思っている。 6. キャプテン翼 / 高橋陽一(漫画) ブックオフでまとめ買いしてもらった。当時から「そんなわけねえだろ」と思いながら読んでいたと思う。一応ドライブシュートは練習したけど全然出来なかった。 7. ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー(アニメ) 主題歌も好きだった。大人になっても笑うやつ。 8. 劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 VHSも買ってもらって繰り返し観ていた。大人になっても泣くやつ。 9. ごきんじょ冒険隊(SFC) 10. パネルでポン(SFC) 11. 64で発見!!たまごっち みんなでたまごっちワールド(N64) 遊び相手が��なので、必然的に姉が好きなゲームで遊んでいた。買い与えてくれた祖母に感謝。 12. 風のクロノア(PS) 1人でハマったゲームといえばこれ。ケモ属性は特にないです。わふー
小学生
13. 和太鼓, 盆踊り 幼馴染たちと一緒に習い事として始めた。先生には10年に1人の逸材と言われたけど中学受験の前にやめてしまった。初めて触った楽器。 14. CASIO PT-80 変わり種のキーボードで、母の持ち物だった。コード感を覚えたのはこれのおかげかもしれない。 15. ハッチポッチステーション これも音楽を好きになるルーツだと思う。中高生になっても替え歌を作って遊んでいた。クラプトンもブルースブラザーズもここで知った。 16. おジャ魔女どれみ 17. デジモンアドベンチャー 姉と2人で観ていた。「デジモンアナライザー」という謎のおもちゃでずっと遊んでいた。 18. 千と千尋の神隠し これも映画館へ観に行った記憶がある。外階段が崩れるシーンでびっくりしすぎて母に笑われた記憶。 19. ソニックアドベンチャー(DC) 20. カスタムロボ(N64) 21. チョコボレーシング(PS) 22. スパイロ・ザ・ドラゴン(PS) 23. ロックマンエグゼ(GBA) 24. どうぶつの森(GC, App, Switch) なぜドリームキャストを買ってもらったのかは覚えていない。小学生になると1人でゲームをすることが増えた。祖母と遊んだ「どう森」。コロナ禍でも「あつ森」に助けられるとは。 25. ジョジョの奇妙な冒険 / 荒木飛呂彦 26. ヒカルの碁 / ほったゆみ, 小畑健 27. 銀魂 / 空知英秋 ジョジョは人生。ヒカルの碁の影響で少しだけ碁が打てた(今は打てない)。銀魂は姉が好きだった。 28. うたばん 29. 力の限りゴーゴゴー!!(ハモネプ) 30. ご長寿早押しクイズ(さんまのからくりTV) 31. めちゃ×2イケてるッ! この頃からバラエティ大好きっ子だった。力の限りゴーゴゴー!!の娘と父がお風呂に入る企画、今考えるとやばすぎる。母の友人に向けて1人4役のご長寿早押しクイズ再現コントを披露して笑わせていたらしい。 32. 笑う犬 33. 内村プロデュース 34. 水10! (ワンナイR&R, ココリコミラクルタイプ) 35. リチャードホール 学校の友達に合わせてエンタの神様も見ていたけど、シチュエーションコント・コメディのほうが好きだった。生きてるってなんだろう。生きてるってすばらしい。 36. TRICK 37. タイガー&ドラゴン 38. 不機嫌なジーン そこまでドラマ好きではないけど、この3つは特に好きだった。コメディチックなものが好き。 39. 2002 FIFAワールドカップ 40. やべっちFC 41. チャビ(FCバルセロナ) 42. ウイニングイレブン9(PS2) W杯はサッカー教室の練習のあとみんなで観た記憶がある。洋画好きな母がWOWOWに入っていたおかげでリーガを観れたのはラッキーだった。大人になって憧れのチャビの姿を生で見れて嬉しかった(選手ではなく監督だしめちゃくちゃ遠かったけど)。 43. Queen 44. スピッツ 45. Mr.Children どれも母の影響で聴くようになった。Queenはほぼ全曲歌詞を見なくてもなんとなく歌える。のちに某ドラマの主題歌になったけどドラマの内容は覚えていない。 46. musiQ / ORANGE RANGE 47. YUI ド世代。
中学生・高校生
48. BUMP OF CHICKEN 49. 椎名林檎, 東京事変 50. 平沢進, P-MODEL CDというよりYouTubeで探して聴くようになった。ヒラサワとの出会いが全てを変えてしまったよね。 51. ゴム(歌い手) 52. パランティス組曲 53. 服話(歌い手) 54. hacchi(ゲーム実況) 55. shu3(ゲーム実況) 56. ひぐらしのなく頃に(アニメ) 57. 涼宮ハルヒの憂鬱(アニメ) 58. 新世紀エヴァンゲリオン(アニメ, 漫画) ニコニコ動画からボカロや歌ってみたにハマり、インターネットにどっぷり浸かることになってしまった中学生時代。両親の離婚もあいまってしっかり拗らせていく。 59. ヨシモト∞(ネット番組) 60. 鳥居みゆきの社交辞令でハイタッチ 61. ラーメンズ 62. バナナマン 63. 君の席 64. ゴッドタン 65. バナナ炎 66. タモリ倶楽部 67. バナナマンのバナナムーンGOLD 68. 伊集院光 深夜の馬鹿力 69. エレ片のコント太郎 70. オードリーのオールナイトニッポン 中高時代を通してお笑い好きが加速していった。あの頃のバナナムーンがなければ色々と無理だったろうなと思う。 71. 池袋ウエストゲートパーク(ドラマ) 72. アキハバラ@DEEP(ドラマ) 73. 時効警察(ドラマ) ドラマでいうとやっぱりコメディっぽい作品が好きだった。ブクロサイコー 74. パコと魔法の絵本(映画) 人生で一番泣いた気がする。内容をほとんど覚えていないけど泣いたことだけ記憶にあって、怖くて見返せない。 75. 蟲師 / 漆原友紀 76. 少女椿 / 丸尾末広 77. TO-Y, SEX / 上條淳士 母の部屋にあって盗み読んだ。BLも含めて母の趣味による影響が大きすぎる。 78. ダンシング・ヴァニティ / 筒井康隆 まったく読書家ではないけど、筒井康隆だけやたらと読んだ。「時かけ」だけなぜか読んでおらず、某アニメ映画のクレジットを見て衝撃を受けた記憶。
大学生・社会人
79. Scoobie Do(バンド) 80. Yogee New Waves 81. 折坂悠太 82. 人間椅子 83. Hiatus Kaiyote 84. Sly & the Family Stone オールジャンルでカバーバンドをやる軽音サークルに入り、多大な影響を受けた。最初はみんなと話を合わせるためにdigっていたけど、徐々に好きな音楽がハッキリしていった。Slyリスペクトのバンドを組むまでになるとは想定しなかった。 85. 今日は一日“プログレ”三昧 3(NHK-FM, 2013/9/13放送) この放送に出会わなければプログレなんて好きにならなかった。髙嶋政宏さんのトークが面白かった。 86. ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル 電車移動の時間、深夜バイトの暇な時間、大学の喫煙所、大学時代のあらゆる暇つぶしはスクフェスだった。にっこにっこにー 87. 乃木坂工事中 ハマったら危ないと思って避けていたけど、一人暮らしを機に見始めてしまった。鈴木絢音推しでした。 88. 何もかも憂鬱な夜に / 中村文則 89. ロミオとロミオは永遠に / 恩田陸 90. 職業としての小説家 / 村上春樹 いまだに読書の習慣がないけど、読むこと自体は好き。こうやってコンテンツを挙げてみて改めてもっと読もうと思った。働いていると本が読めないのよねー 91. 孤独のグルメ(テレビドラマ) 92. 団地(映画) 93. Knockin' on Heaven's Door(映画) 94. ボヘミアン・ラプソディ(映画) 95. シェフ 三ツ星フードトラック始めました 96. ジョン・ウィック ドラマ・映画も詳しくはないけど、サブスクのおかげで社会人になってからよく観るようにはなった。他人の影響はよろこんで受けようというスタンスなので、オススメがあったらどんどん教えてください。 97. RTA in Japan 3 子供の頃からゲーム好きではあるけど全く上手ではない私にとって、上手い人がやっているところを眺めることが幸せなんだと気づいた。仕事中のBGMにも最高。日々を支えられている。 98. ゆるキャン△(アニメ) 99. 徳井video(YouTube) 日焼けと花粉と虫が苦手な私にとって、キャンプは嫌いだけどキャンプしている人を眺めることも幸せだと気づいた。最大限のチャレンジとして庭キャンプまではするようになった。アラサー超インドアマン、大きな進歩。 100. カミナリの記録映像(YouTube) 今一番面白い映像コンテンツだと思っている。ワイズ回はギャラクシー賞クラス。応援しています。
追記。書き終わったあとに思い出したコンテンツ。
中井正広のブラックバラエティ epoch TV square
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k-bmd2 · 1 year
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ラブリーサマーちゃん厳選曲レビュー②
 2023年9月8日、東京・鶯谷にて、ラブリーサマーちゃん単独ライブ 「ラブリーサマーソニック2023@東京キネマ倶楽部」 が開催された。
 大阪の味園ユニバースと同様、元キャバレーの会場で行われた同ライブは、ラブリーサマーちゃんとバンドメンバーの魂震えるパフォーマンス、スタッフの皆さんのアツいサポート、そしてファンの皆さんの熱量により最高の盛り上がりを見せた。
 同ライブの感想については既にとある形で文章にしたのだが(とは言えまたTumblrとかにも書くかもしれない)、一週間経ってもまだ興奮が冷めやらないため、前回の投稿と同じくラブリーサマーちゃんの曲から4つを厳選し、レビューを行う。
🟧僕らなら
 まず一曲目は、メジャーデビューアルバムである 「LSC」 に収録の 「僕らなら」 について紹介する。ボーナストラックを除けばアルバムの最後の曲にあたり、それに相応しい王道にして至高のロックバラードに仕上がっている。
 コードストロークから始まるイントロは、既にこの時点でこれから始まるグッドメロディの予感をひしひしと感じさせるものであり(前回の 「青い瞬きの途中で」 のレビューでも同じようなことを言った気がするが、実際そうなので多めに見てもらいたい)、ライブでもこのギターが鳴ると会場がグッと引き締まると同時に期待感と高揚感で満ちるのが感じられる。ラブリーサマーちゃんの 「ヒーローズをうたって」 という楽曲の中に
「100円のイヤホンが流したAコードの音」
という歌詞が登場し、これはラブサマちゃんが音楽を自分の人生における特別な存在であると確信した原体験(詳しくはアルバム 「THE THIRD SUMMER OF LOVE」 初回限定版特典のセルフライナーノーツを参照。購入者特典をオープンソースで話すのは良くないと思うので、これ以上の言及は差し控える。初回限定版CDにはコード譜、歌詞カード、セルフライナーノーツ、収録曲 「I Told You A Lie」 の下敷きにもなったUK旅行記 「Lovely In The U.K.」 が同梱されており、パッケージも非常にオシャレでグーなので購入を勧めたい。元々セルフライナーノーツってかなり好きなのだが、旅行記が単純に読み物として面白くてとても良かった)について書いたフレーズだが、この 「僕らなら」 のイントロは、まさに誰かにとって音楽が素晴らしいものだと感じる原体験になるような、非常にかっこいいサウンドである。
 歌詞の内容について言えば、当初はメジャーデビューについてポジティブな印象を持っていなかったものの、当時のレーベルの担当ディレクターさんとの出会いを経て、「この人となら引っ込み思案でできなかったこともできるんじゃないか」 と思えるようになったラブリーサマーちゃんの、いわば決意表明のような曲である。
(CINRAのインタビュー 「メジャーを選んだラブリーサマーちゃん。その理由と背景を語る」 より一部引用。https://www.cinra.net/article/interview-201611-lovelysummerchan)
「今はまだ 小さな幼い羽だけれど 僕らなら 何故か 笑えそうな気がしてる…」
「見に行こう全て この船が終わる日も 君となら良いや 君と居ることを決めた」
という歌詞からは、一人ではなく信頼できる人がいたからこそ抱けた強い決意を感じ、新しく一歩踏み出そうとする人が勇気を貰えるだけでなく、インタビューでも言われているように結婚ソングとしても素敵な曲になっている。中でも筆者が特に気に入っている歌詞は、
「何が大切で どうでも良いのか 少しだけわかる 上手く暮らせても 駄目になっても 受け入れるつもり 毎日が描いたような 月並みなら幸せだけど 見ていたい場所があるのなら」
というフレーズである(絞れなくて2番のAB丸々引用してしまった)。この人となら必ず上手くいくという確信を持っているわけではなく、駄目になる可能性もある中で、それでも今ある日常から一歩踏み出すという決意が感じられる、非常に尊い輝きを放つ歌詞だと思う。
 曲調は、最初にも書いた通りアルバムの最後に相応しいミドルテンポの壮大なメロディで、ライブでも終盤のここぞという時(例えばアンコール前ラストなど)に演奏されることが多いが、それがぴったりハマるような泣けるド名曲だ。
 がっぷり四つといった感じでドッシリと構えるリズム隊の上で左右のギターが叙情的に響き、これでもかと涙腺を刺激するサウンドに仕上がっている。1Aではシンプルでかっこいいコード弾きだったのが、2Aでは切なげなアルペジオに変化し、新しい道へと踏み出す際のエモーショナルさが曲の進行とともに加速していく点や、ラブリーサマーちゃんの本領発揮ともいえる 「歌いたくなるギターソロ」 など、触れたいところは多くあるが、筆者の激推しポイントはBメロのギターだ。絶妙なタイミングでボーカルに寄り添うように鳴るギターが、歌詞も相まって、覚悟を持って一歩ずつ踏み出す自分と、その隣で一緒に進んでくれる人の足音のように聴こえて素晴らしい。サビで繰り返されるリフも根源的な感情を煽ってくるような切迫感のあるメロディで、力強く進んでいく覚悟の強さが伝わってくる。
 また、アウトロでギターの奥村大さんが魅せるギターソロは、ライブでのハイライトシーンの一つとも言えるほどカッコよく、これは是非会場に足を運んで生で体験して欲しい。鳥肌がおさまらなくなること請け合いだ。
 グッドメロディをいい演奏に乗せて歌ってくれるのが1番まっすぐ心に届くんだなと、当たり前のようで忘れがちなことを再確認させてくれる、「誰が聴いてもカッコいいだろ?」 と真顔でオススメできる名曲である。
🟧ファミリア
 続いて紹介するのは、EP 「人間の土地」 に収録されている 「ファミリア」 だ。
 このファミリアは筆者が今1番ハマっている曲(1番好きな曲を選べと言われると物凄く悩むけど、その時々で1番よく聴く曲ってあるよね)で、ストライクゾーンど真ん中に火の玉ストレートでカッコいいものを投げ込んでくるような、「いや〜そんな球投げられたら降参ですよ」 といった感じの、これまたド名曲である。
 「僕らなら」 で文字数を使いすぎたのでサクサク進行していきたいが、どうしても触れざるを得ないほどイントロがかっこいい。一音目からいきなり心臓を鷲掴みにするような始まり方で、Twitterでファンの方が 「シャッフルでファミリア流れ始めてイントロ聴いた瞬間に伝説始まったのかと思った」 と呟いていたが、全くその通りですねという想いを込めて爆速でいいねしてしまった。
 先述の 「僕らなら」 と比べ、こちらはアップテンポで疾走感のあるナンバーになっているが、グッドメロディ・グッドサウンドという王道のかっこよさは共通している。ローファイでカッコいいアレンジがメロディの良さを引き立て、筆者が1番の魅力だと思っているラブリーサマーちゃんの 「声」 が真っ直ぐ届く、ライブ映えする楽曲だ。
 構成としては、イントロ→1A→サビ→2A→ソロ→C→サビ→アウトロとテンポよく進んでいくところも筆者の好みにハマるポイントだ。1Aからサビに入る前のギターの音がめちゃくちゃに気持ちいい。「人間の土地」 のEP全体に言えることだが、「今いる場所からの逃避」 が歌われている中で、曲調としてはアッパーで爽快感があるアンバランスさがとても好きだ。その流れで最後にくるHigh and Dry(Radioheadのカバー)がアクセントになっており、4曲でたまらないカタルシスを味わえる作品になっている。
 サビは2段構成になっており、前半は音の密度が高いテンションのかかるサウンドで、後半は少し落としたところにイントロのリフが飛び込んでくる。サビの中でもメリハリが効いており、非常に引き込まれる。
 一曲通してカッコいいが、特に秀逸なのが2Aからの流れ。叙情的なギターが華を添える中、1Aの半分の尺で切ない歌詞を歌い終えるとギターソロへ。とにかくこの歌うようなギターソロがかっこいいので聴いてみてほしい。ギターソロが終わるとCメロに入るが、ここのリズムコントロールが最高だ。Cも2段構成だが、前半はギターソロから一度テンポを落としてゆっくり大きく縦に揺れるようなリズムで引き込み、「蜘蛛の糸であるような」 からテンポアップして没入感はそのままにテンションが上がっていく。最高潮になったところでラスサビの頭で一気に音を落とし、美しいボーカルが暗闇の舞台上でスポットライトを浴びているように響く。グッと引き込まれたところで再び演奏もフルボルテージに。この曲後半の一連の流れはまさに鳥肌ものだ。
 歌詞については、進んだ場所でやりきれない思いを抱え、帰りたいけど戻る場所はないと、今いる場所から脱したい気持ちについて歌った内容になっている。
「いつかこうなると 分かってたつもり だけど今日になってみたら やりきれないみたい」
というフレーズから始まるこの曲は、どこか 「僕らなら」 の続きであるようにも思えてくる。「上手く暮らせても 駄目になっても 受け入れるつもり」 だったものの、それでもやはり待ち受けていた現実の厳しさに心折れそうになる、というようなストーリーを感じる。
 しかし、2A後のギターソロが終わると、歌詞の雰囲気が変わる。ピックアップして歌詞を引用しようとすると結局選びきれずに全歌詞載せることになる予感がするので割愛するが、逃避を望んでいるのは変わらないものの、このギターソロ以降は、その奥に同時にある 「逃げたくない」 という思いも感じられる歌詞になっている。 「マシにする術もわからない」 中でも、「告げない告げたい愛情を 今もここに宿してるけど」 と歌い、光が何処かわからない中でも、往生際の悪さという天からの糸を、愛という祈りで以て掴んで離すまいとする、切実な葛藤に胸を打たれる。このファミリアは、現状から逃げ出したい思いを抱えた人、そしてそんな中でも逃げずに留まり続ける人を、励ますのではなく寄り添うことで勇気づけてくれるような、そんな優しい曲だと思う。
(長年のファンの方から聞いた話だが、実際に「人間の土地」 のリリース後にラブリーサマーちゃんは一度ステージから離れているそうだ)
 音楽を作ることを生業として行うのは、ビジネスである以上リスナーからは窺い知れないたくさんの柵があるだろうし、そうした中で自分の納得できる楽曲制作を行うというのがかなり大変なことであることは想像に難くない。本来大好きなものである音楽に対してそうした葛藤を抱くこと自体が負担になるという面もあるかもしれない。そうした中で、今こうしてラブリーサマーちゃんの音楽を聴くことができていること、そして他にも沢山のミュージシャンが音楽を生み出してくれていること。生活の中に当たり前のように存在してくれている音楽は、実は全然当たり前じゃないのだということを、いつも忘れないでいたいと思う。
 この 「人間の土地」 から3年後、現行最新アルバムである 「THE THIRD SUMMER OF LOVE」 がリリースされる。各種SNSやライブなどでの発言によれば、今もニューアルバムのリリースに向け、レコーディング等をおこなっているとのこと。ライブ、そしてTwitterやInstagramで時折アップされるデモなどで幾つかの新曲を聴いているが、どれもめちゃくちゃ良い曲で、新譜への期待は高まるばかりだ。無理のないペースで制作してもらい、音源を手に取れるその時を楽しみに待ちたい。
🟧LSC2000
 続いて、「THIRD SUMMER OF LOVE」 収録の 「LSC2000」 を紹介する。書き始める前は、本楽曲がシングルとしてリリースされた時の同時収録曲である 「サンタクロースにお願い」 について書こうと思っていたのだが、この流れで書くならこっちかな…ということで急遽変更してお送りする。
 「LSC2000」 はライブでの大トリを飾ることが多いド名曲(全部にド名曲と言っている気がするが、決して安売りはしていない)で、まさにラブリーサマーちゃんのアンセムの一つと言っていいだろう。ライブに対する心情とそこでのファンとの心の交流について歌った曲であり、いつどこで聴いてもグッとくるが、やはりライブで聴いたときの感動はちょっと筆舌に尽くしがたいものがある。余談だが、「ミレニアム/今は少年のままの君」 のリリース直前くらいにラブリーサマーちゃんを知った筆者は、同シングルからファンになり、既リリースの楽曲群の良さに驚きながらラブリーサマーちゃんに入門したが、この曲の衝撃で 「こりゃ一生ついて行きますわ」 となったのを覚えている。
 この曲もイントロからガッと掴むタイプで、ライブでこのドラムを叩く時の吉沢さんが最高にカッコいい。今イントロを聴きながら書いているが、文章を作るのにかなり苦労するくらいエモーショナルな状態になっている。骨太なバンドサウンドにストリングスが効いたアレンジは壮大で、イギリスの巨大な野外ステージで全員大号泣しながらシンガロングしている光景が目に浮かぶよう。あと20年ほどリリースが早ければ国家になっていたであろう名曲中の名曲である(君が代が法的に国歌として定められたのは1999年)。
 ベースがかなりカッコいいので、可能な限り低音を聴きやすい環境で爆音で聴いてほしい。2Aのゴキゲンさと、サビ終わりの踊るようなフレーズの高揚感が最高だ。そして(全曲そうではあるが)ボーカルも素晴らしい。筆者はラブリーサマーちゃんのボーカルで好きな三要素があり、声質(もうこれはただただ好きなので説明は難しい)、タ行の発音(息が多めなのか?カッコよくて大人っぽく、時に可愛らしい魅力的な声になっている)、語尾あるいはフレーズ中の最高音におけるの発声(独特の余韻があり、より世界観に引き込まれる)が魅力的だと思っている(もっとたくさんあるし、勿論曲によって表現が違うけど、あえて今3つ選ぶならこれらを挙げる)が、「LSC2000」 はこのいずれもフルで楽しめる。ライブから生まれ、ライブで最も盛り上がる曲の一つだけあって、各パートのかっこよさが半端じゃなく、バンドとしてのラブリーサマーちゃんの魅力がこれでもかと溢れた一曲になっているのだ。
 その上でやはり特筆すべきはバンドサウンドとストリングスの融合が最高の形で成されているところ。筆者はスピッツの 「正夢」 やoasisの “whatever” など、ストリングスがピッタリ調和した ロックが大好物だが、LSC2000はその最高峰だ。音楽に上とか下とか無いし比べるものではないと思うが、初めて聴いた時 「whatever超えたわ…」 と思い、呆然としたまますぐ音楽好きの兄にLINEを送った。knebworthで聴きたいな〜〜本当に。
 歌詞については先ほども触れた通りライブでのことを歌っているが、ラストの
「壊せる距離にだけ 愛が届くなら ここにある真摯さは 届くかな心まで 届かせる背伸びして」
というフレーズが非常に印象的だ。この前のライブでも、ラブリーサマーちゃんはMCで
「メンバーだけでやるならスタジオ練と変わらない。ライブをライブたらしめているのはお客さんで、一緒に作るもの。だから、楽しんでいってください じゃなくて、一緒に良いライブにして、楽しみましょう!」
という旨の発言をしていたり、度々お客さんへの感謝を口にしていた。普段の発言からもファンへの愛情は感じられるが、やはり1番届くのはライブであり、生でこの歌詞を聴くと、届いてますよー!とこちらもどうにか伝えたくなる。ただし、この 「真摯さ」 はそういったファンとのコミュニケーションだけでなく、ストイックで完璧主義なラブサマちゃんの、楽曲・演奏へのこだわりにも強く感じられる。「一緒に良いライブを作る」 というのは本心だろうが、その前提として自分達がまず良い曲を良い演奏で届けようという意志が節々から見て取れる。東京キネマ倶楽部の公演では特にそれが感じられるシーンがあり、胸が熱くならずにはいられなかった。
 もう一つ触れておきたい歌詞がある。
「もういいかい? もういいよ 今更顔上げたら まだ君が立ってた すすり泣きも拍手の音も 聞こえたよ余さずに 内気な君の目がこっちを見てた」
というフレーズ(というか丸々2番)だ。これはライブでのパフォーマンス後にファンの存在と熱量を感じた場面を瑞々しく描写したとても鮮やかな歌詞だ。ファンとしてステージ上のアーティストを見る時の感情や熱量は自身の体験としてよく理解しているが、逆は意外とというか当然というか普通には知り得ない景色である。心理描写から視覚・聴覚情報までを盛り込んでアーティストの見ている世界をリスナーに垣間見せてくれるこの歌詞は、ライブにおけるアーティストとファンのコミュニケーションの双方向性、両者の間に確かな温度を持った繋がりがあるのだと感じることができ、その後の展開に向けてしっかりとリスナーの感情を曲の世界に引き込んでくれる、素晴らしいフレーズである。このように曲単体の中の一節としても素晴らしいが、「僕らなら」 と 「ファミリア」 について書いた後でこの歌詞を読むと、「曲を作るモチベーションはあくまで自浄作用だけどリスナーからの言動に励まされている」 と色々なインタビューで語っているラブリーサマーちゃんが、ライブが終わり顔を上げた時に 「まだそこに立ってた」 ファンの姿に励まされたことが、様々な苦しい期間があった中でも今こうして活動を続けてくれている一助になったのかなという思いが浮かんでくる。だとすれば、ラブリーサマーちゃんの活動をミレニアム以降からしか知らない自分としては、今こうして曲を聴いたりライブに行けていることについて、もちろん何を置いても1番は活動を続けてくれているラブリーサマーちゃんに対してだが、自分が知るもっと前から長く応援し続けているファンの人たちにも感謝をしたいなあという気持ちになる。
 これからも、「ここにある真摯さ」を受け取るだけでなく、ラブリーサマーちゃんにリスナー側の真摯さも伝わるよう、主体的にライブを楽しみたいと思う(筆者は基本的にめちゃくちゃ表情に出ているタイプらしいので、特に意識しなくてもめちゃくちゃ楽しんでいるのはわかりやすいとは思うが)。
🟧普請中
 最後に紹介するのは、アルバム未収録の新曲、「普請中」 だ。この曲は、Instagramでデモの冒頭のみ聴くことができる。
https://www.instagram.com/reel/CnDoyBvI-_C/?utm_source=ig_web_copy_link&igshid=MzRlODBiNWFlZA==
 全曲についてイントロがカッコいいとレビューしてしまっているので、「初っ端から最高な曲縛り」 みたいになっているが、この曲は世界一入り方がカッコいい曲と言っても過言ではない。ファミリアも世界一だけど、これも世界一です(?)。ラブサマソニ2023東京でこの曲のイントロが始まった時、めっちゃ聴きたかったから嬉しかった+あまりのかっこよさに、雑魚キャラ感溢れる超絶��サいリアクションで仰け反ってしまった。
 曲全体の展開としては、力強い一音目と印象的なギターフレーズで一気に耳と心を掴むイントロに始まり、1Aでは一転して良い意味で力の抜けたレイジーな雰囲気が漂う。そこからBで再び音圧が上がるが、ここの盛り上げ方がかなりカッコいい。このメリハリの効いた展開により、1サビの時点でこれはラスサビなのではないかと錯覚させられるほどのパワーがある。
 また、イントロ、間奏、アウトロでのギターとベースの掛け合いが、聴いた回数はだいぶ限られているのにも関わらず耳から離れずつい口ずさんでしまうほど馴染みが良く、やはりラブリーサマーちゃんの歌えるギターフレーズを生み出すセンスはヤバいと毎度のことながら思い知らされる。そんなカッコいいアウトロが、フェードアウトしていくのではなく鬼のギターソロでテンション最高潮のままキレ良く終わるのが最高にカッコいい。曲中の展開だけでなく、始まりと終わりも0⇔100といったようなメリハリの効いた形になっており、曲が終わった瞬間に心からの拍手がついつい湧き出てしまう曲ランキング堂々の第一位である。
 歌詞については聞き間違っている可能性もあるのであまり具体的には触れないが、どんな人にも覚えがあるであろう 「なんだかちょっと動けない時間」 を、「また歩き出すための必要な準備期間」として肯定してくれるような、優しい内容になっている。個人的な体験ながら誰しもが共感できるであろう瞬間を切り取り曲にする着眼点もさることながら、この期間を 「普請中」 という言葉で表現しているのが本当に秀逸だと思う。普請中という言葉のリファレンスは森鴎外の短編小説 「普請中」 であるとのことで、実際に読んでみたところ、確かに主人公の渡辺は、成長前の日本や登場するレストランについて、これから良くなるのだという弁護的なニュアンスで普請中という言葉を使っている。気になるのは、こういう内容の曲を作ろうとテーマが決まった後で普請中という言葉を選んだのか、森鴎外の普請中から着想を得て曲作りが始まったのか、果たしてどちらなのかということだ。前者であれば、曲の内容にピッタリの言葉を選ぶセンスに感動するし、後者であればモチーフを日常の普遍的なテーマに落とし込む力に感動する。あるいは、日頃からこういう状態を 「普請中」 であるとして捉えているのならば、その瑞々しく素敵な感性に思わず握手を求めてしまいそうだ。「休んでもいいんだよ」 とか 「ちょっと休んだら頑張ろうね!」 みたいな押し付けがましさはなく、「いや〜だっていま普請中なんですよね」 というように肩肘張らず自然に現状を肯定させてくれる歌詞には、(例によってリスナーへのメッセージではなくあくまで自浄作用としての創作活動ではあろうものの)たくさんの人が救われるのではないだろうか。繰り返すが、歌詞を聞き間違っている可能性は全然あるので、正しくは新譜のリリース後にご自分で購入して確かめて欲しい。
🟧まとめ
 以上、ラブリーサマーちゃんの楽曲から4曲を厳選して紹介した。いずれもロック色の強い曲となっているが、それに限らずジャンルレスに様々なカラーの楽曲を生み出しているのもラブリーサマーちゃんというアーティストの魅力の一つだ。そして、遊び心溢れる打ち込みサウンドからアーバンヒップホップ、ゴリゴリのロックチューンまで、多様性あふれるサウンドのどれにも共通して、親しみやすいポップさ・キャッチーさが根底に流れている。このポップセンスと魅力あふれるボーカルが、ラブリーサマーちゃんの音楽は誰が聴いても愛することができるだろうと自信を持って激レコメンドできる、大きな理由になっている。
 そんな多様な形でグッドミュージックを生み出しているラブリーサマーちゃんの魅力を存分に味わえるよう、様々なタイプの作品をどうにかこうにか1時間程度に厳選したプレイリスト(最後に本記事で紹介した3曲も追加してトータル1時間18分)を作成したので、未試聴の方は是非一度聴いてみて欲しい。好みにハマる曲がきっとあるはずだ。
 
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theatrum-wl · 2 years
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【アンケート企画】 「ふりかえる私の2022年」
WLでは恒例のこの1年に見た舞台作品の中で印象に残った3本を観客のみなさんから募るアンケートを実施しました。 WLスタート以来毎年行っているこの企画、8回目の今回は10名の方にご参加いただきました。 ご参加いただいたみなさん本当にありがとうございました。 2022年は継続する厳しい環境の中で舞台芸術が少しずつ新たな動きを始めた年だったように思います。 ここではそんな1年を振り返り、2023年もまたみなさんといっしょに舞台を見守っていきたいと思います。
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矢作勝義( 劇場プロデューサー ) 2022年の観劇本数:150本 鵺的『バロック』(ザ・スズナリ) アマヤドリ『抹消』(アトリエ空洞) 劇団印象『カレルチャペック』(東京芸術劇場 シアターウエスト) 鵺的「バロック」はリアリティとは対局にありながら、本当にありそうな世界を描き、観客をワクワク・ドキドキさせ、その世界の中で人間本来の生き様が描かれた秀逸な作品。アマヤドリ「抹消」は、近年表面化してきた舞台芸術界におけるハラスメント問題とキャンセル・カルチャーについて呼応したような作品。しかし、現実がこの年末にかけて、拍車をかけて混沌としてきた。劇団印象「カレル・チャペック」は、カレルチャペックという人物と、彼が生きていた時代と場所を取り上げながら、現代日本の問題点を見事にあぶり出すことに成功していうた作品である。2022年は、コロナ禍3年目で2020年から続いたコロナ禍の影響によるしわ寄せが色濃く出た年だと言える。そのため、思い切った作品作りができなかっただけでなく、客席における観客の緊張感が高く、本来の舞台芸術を楽しむ環境になりきれず、作品もそうしたことに影響されてか、思い切ったチャレンジが少なかった年だった。
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片山幹生(教員) 2022年の観劇本数:87本 のあんじー『夜を旅した女』(釜ヶ崎野外) ノイマルクト劇場 & 市原佐都子/ Q『Madama Butterfly』(ロームシアター京都) 日本劇団協議会『遙かな街へ』(シアターΧ) 20代前半女性二人の演劇ユニット、のあんじーによる野外移動劇『夜を旅した女』は、今年私がこれまでに見た演劇公演のなかでもっとも強烈な演劇体験だった。大阪府西成区あいりん地区、昭和の時代に取り残されたようなレトロな下町をのあんじーが切り裂いていく。数十名の観客を引き連れて、異装の二人組の女子が、規格外の発想で、釜ヶ崎の風景を情念の物語の舞台に塗り替えていった。『Madama Butterfly』は京都まで足を運んで見る甲斐があった作品だった。西欧人・社会と関わりがある日本人にとって自明のことであり、誰もが気づいていながら、気づかないふりを続けている人種差別と根深くねじれた劣等感が突きつけられた。『遙かな町へ』はスイス人演出家による谷口ジローの名作『遥かな町へ』の舞台化。谷口マンガの繊細なリアリズムを、洗練された象徴主義の空間に展開させ、再現させた素晴らしい舞台だった。
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kiki(地方公務員) ドキドキさせてよ- 別館‐ 2022年の観劇本数:105本 Bunkamura『パンドラの鐘』(シアターコクーン) Mrs.fictions『花柄八景』(こまばアゴラ劇場) オペラシアターこんにゃく座『ルドルフとイッパイアッテナ』(あうるすぽっと) もしかしたら自分は、運���の一本に出会うためにいろんな舞台を観てるのかな、とこの頃思う。ここに挙げた3作は、どれもその一本と言ってもおかしくないくらい魅力的な作品だった。 『パンドラの鐘』:蜷川氏の演出を彷彿とさせるラストの演出、杉原さんらしい和のテイストの取り入れ方、何より戯曲の持つ骨太なメッセージが印象的な舞台だった。初演の一部を当時テレビで観て月日を超えて今回の観劇、それだけで感無量だ。 『花柄八景』:魅力的なキャストを揃え、複数団体の競演する企画公演だった初演とはまた異なる面白さや切なさを十二分に見せた。季節や時間の細やかな変化を感じさせる美術・照明・音響なども含め、珠玉の一本となった。 『ルドルフとイッパイアッテナ』:原作の魅力を生かして、寄り添うふたつの魂の交流を絵本のようなピュアなタッチで見せた。団体の新しいレパートリーとしてこれから何年も上演されていく作品だろう。
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齋藤理一郎(さくりさく企画) 2022年の観劇本数:221本 中野成樹+フランケンズ『EP1(ゆめみたい)』(Sunlight  Studio Shibuya他) 動物自殺倶楽部『凪の果て』(SPACE雑遊) 劇団普通『秘密』(王子小劇場) 毎年3本を選ぶ難しさに苦悶するのだが、今年はこれまでにない表現のインパクトや緻密さを感じたものを選んだ。 2022年���まだまだコロナが収束したといえる状態ではなかったけれど、そんな中でもコトリ会議、ムニ、ぱぷりか、エンニュイ、いいへんじ、中野坂上デーモンズ、小松台東、Hauptbahnhof、東京にこにこちゃん、吉祥寺Gorilla、MCRなどなど、観る側の印象に強く刻まれる舞台が目白押しだった。また、幸せ学級崩壊のリーディング短編集、倉田翠『今ここから、あなたのことが見える / 見えない』、毛皮族『セクシードライバー』、青年団リンクキュイ『あなたたちを凍結させるための呪詛』等、空間に編まれる新たな語り口に目を瞠る作品も数多くあった。 まだまだ逆境の中だけれど、様々に感じられた舞台の新たな歩みが心強く思える1年でもあったように思う。
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薙野信喜(無職) のんちゃんのつれづれ 2022年の観劇本数:100本 東宝『千と千尋の神隠し』(博多座) 松竹『唐茄子屋』(平成中村座) 市原佐都子/Q『妖精の問題 デラックス』(久留米シティプラザ) 2022年もコロナ禍は続き、観劇本数は減ったが、ずば抜けた3本を観られた。 上記以外では、マギー・マラン「May B」(北九州芸術劇場)、神田伯山「寛永宮本武蔵伝 完全通し公演(福岡市科学館)、ヨーロッパ企画「九十九龍城」(西鉄ホール)などの舞台も印象深かった。
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中西理( 演劇舞踊批評・ブログ「中西理の下北沢通信」主宰 ) 中西理の下北沢通信 2022年の観劇本数:200本 ムニ『ことばにない 前半』(こまばアゴラ劇場) 青年団リンク キュイ『あなたたちを凍結させるための呪詛』(アトリエ春風舎) 悪い芝居『愛しのボカン』(本多劇場) 生きていくことの辛さをモチーフにした演劇が若手演劇作家の作品で増えてきているように感じた。綾門優季作の青年団リンク キュイ「あなたたちを凍結させるための呪詛」のようにコロナ禍の世界を直接描く場合もあるが、同性愛者に対する社会的な抑圧を描いたムニ「ことばにない 前編」(宮崎玲奈作演出)、精神疾患をかかえた人たちを描いたいいへんじ「薬をもらいにいく薬」「器」、お布団「夜を治める者」、不況のもと貧困に苦しむ若者を描いた小田尚稔の演劇「よく生きろ!」など作品の多くはコロナそのものを描くのではなく、描かれた世界での生き辛い状況を描き出すことでコロナ禍の閉塞された状況をそこに仮託しようとしているようにも感じた。
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北村紗衣(研究者) Commentarius Saevus 2022年の観劇本数:114本 モダンスイマーズ『だからビリーは東京で』(東京芸術劇場 シアターイースト) まつもと市民芸術館 『KING LEAR -キング・リア-』(まつもと市民芸術館) unrato『薔薇と海賊』(東京芸術劇場 シアターウエスト) 3本には入れませんでしたが、モリエール生誕400年でいろいろなモリエール上演が見られたのは良かったです。
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ウルコフ(自営) 2022年の観劇本数:170本 KAAT神奈川芸術劇場 『ライカムで待っとく』( KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ) モダンスイマーズ『だからビリーは東京で』(東京芸術劇場 シアターイースト) スリーピルバーグス『旅と渓谷』(屋上庭園ふくにわ) 国内で制作される新作戯曲を例年以上に見た2022。その中でベストと思える作品をあげました。複雑なことを複雑なままに表現することが大切だと最近つとに感じているのですが、この3本は、やはり、そのような作品でもあると思います。残念なのは、新国立劇場の新作2本に、小手先の硬直した印象を受けたことでした。
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でんないいっこう(自由人) 2022年の観劇本数:25本 彩の国さいたま芸術劇場『TRANSVERSE ORIENTATION』(彩の国さいたま芸術劇場) 彩の国さいたま芸術劇場『May  B』(埼玉会館) ミクニヤナイハラプロジェクト『はじおわ』( 吉祥寺シアター ) 今年は何故だかダンス作品を多く観た。実際の 言語ではなく、声が聞こえてくる様な、しかし自分にとつて都合の良い物語を聞いていたのかもしれない。①光と影による造形の美しさは素晴らしい。②一人が幾人もの人物になり群像にもなり表情が豊か。③衣装が後ろ姿で大きな声を出す。③’『私は幾つものナラティブのバトルフィールド』岡田利規演出。言葉で動く体。うふふと笑えて来る。
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小泉うめ(観客発信メディアWL・舞台感染対策・舞台制作) 2022年の観劇本数:100本 コトリ会議『みはるかす、くもへい線の』( AI・HALL) ももちの世界『あと9秒で』( in→dependent theatre 2nd ) ダンスの後に~ここからはじまる『東山オクラホマミキサー2022』(東山青少年活動センター 創造活動室) コトリ会議は別の作品もあったが、劇団としての強さ、山本正典の作家としての新たな踏み出し、そしてAI・HALLへの思いと言った点で特筆に値するものがこちらにあった。ももちの世界もピンク地底人3号がここ数年取り組んできた手話を交えた劇作がただ新鮮なだけでなく一つの形として成就した作品だった。「東山オクラホマミキサー2022」は20年前の伝説が甦るとともにそのアップデートに再び立ち会えた幸福を感じることができた。何かと創作以外の話題が社会的に取り沙汰されることの多い昨今の舞台芸術界だがこうした持続的で地に足の着いた活動には頭が下がる。
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nststudio · 2 years
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Nstスタジオ 極真空手&沖縄空手拳志會&kickboxing 私の栄養素 それは、甘い物! やば〜い。女性会員様から甘い物をプレゼント めっちゃ沢山🙋‍♂️ローソンコーヒー☕️と共に頂きます 有難う御座います さて、全ては、最高のレッスンで返さねば 座高蹴り🤭ぷぷ 最近は、近くの空手道場でも聞かなくなってきた練習法を復活🫵 しかし、私は、内側側副靱帯を痛めてるので出来ません。現在、足を引きずってます😭痛い しかーし、立派なちびっ子弟子に頼んだ! 次は、逆立ち、ハンドスプリング🙋‍♂️も頼んだ。昔、極真中村道場稽古でやった稽古🥷更に、前回り受け身から胴回し回転蹴り!吉田スタジオ ちびっ子達は、超喜んでいた。また、レディースも大人気なく喜んでいた✌️👩 本日、23日千曲スタジオレッスン終了 最後まで楽しく厳しく元気よく 12月24日〜1月9日休講 沖縄冬合宿&福島県門馬道場合宿で修行に行きます! 来年も永遠に宜しくお願い申し上げます🤲 1月10日から新年スタート NST吉田スタジオ内 来年度、体験会からキッズチアリーディング開講 限定人数に達すると入会制限致します。お早めにご予約下さい!チアは、女の子に大人気です 格闘部門と会費別ですが、入会時特典あり 優しい女性先生が担当↓ スポーツ選手が多い名門長野商業卒👍沢山のご紹介を期待します。 ⭐️長野市千曲市キックボクシング⭐️ 🥋極真空手&沖縄剛柔流拳志會🥋 ※極真勇姿舎 総極真友好締結道場(総極真極真商標保護) 道場スケジュール http://nakagawadojo.net NSTスタジオ http://www.nst-studio.net ⭐️長野県⭐️長野市⭐️ ⭐️千曲市⭐️松本市⭐️ 月火水木金土🏋️‍♀️どこかで活動中! 極真空手&沖縄剛柔流拳志會&古武道(武器術)&kickboxing #極真空手 #長野市キックボクシング #千曲市キックボクシング #武器術 #吹矢 #沖縄空手 #kickboxing #習い事 #教育 #武道 #躾 #長野県 #長野市 #長野市吉田 #千曲市 #千曲市粟佐 #松本市 #長野県空手 #長野市空手 #ボクシング #千曲市空手 #松本市空手 #格闘フィットネス倶楽部NST #長野県極真空手 #長野県沖縄空手 #長野市立/川中島町公民 #長野市立吉田小学校 #千曲市立屋代小学校 #千曲市立埴生小学校 #千曲市立治田小学校 (スポーツカルチャーセンターNST) https://www.instagram.com/p/Cmf-NMUvZTh/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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buzzingonlinenow · 5 years
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HOT or NOT: ・ 星野リゾートエリアのハンモック  ハンモックにのるのは初めてだったから  最初はちょっぴり怖かったけどユラユラ揺れて  心地良かったぁ . #...
HOT or NOT: ・ 星野リゾートエリアのハンモック  ハンモックにのるのは初めてだったから  最初はちょっぴり怖かったけどユラユラ揺れて  心地良かったぁ . #…
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・ 星野リゾートエリアのハンモック🌺✨💕🍹  ハンモックにのるのは初めてだったから  最初はちょっぴり怖かったけどユラユラ揺れて  心地良かったぁ🥴✨🍃💕💗 . #軽井沢#星野リゾート #naturephotography #撮影#モデル#ポートレート#被写体 #東京カメラ部 #写真好きな人と繋がりたい  #写真撮ってる人と繋がりたい  #お洒落好きな人と繋がりたい #ファインダー越しの私の世界 #大阪#六本木 #いいね返し#プリント倶楽部 #サロモ#サロンモデル#アイドル #model#shooting#portrait#miniskirt #脚#太もも #촬영#모델#셀카#얼짱#팔로우
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ruuuchan01 · 3 years
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とっても可愛いパッケージ が魅力的なプラズマ解離水 だよ〜✨ @plasma_kairisui 5月6日より、ボトルが リニューアルして登場💓 美しさを生み出す天然水 美容と健康に効果を生み出すシリカ、バナジウムを含有した水が採用されています💎 実用新案技術により更に良質な水へ 水分子細分化技術により細胞へ浸透しやすくなりました🎀 天然水の微粒子が体の隅々まで行き渡りますよ(◍•ᴗ•◍)❤ 山梨のお水では珍しい天然 ミネラル✨ 美容と健康に効果を生み出すシリカ、バナジウムを含有した水が採用されています💎 両方含有しているお水は 希少です💫 ジュースでは体の乾き、 砂漠化は止められません!! プラズマ解離水は、 水そのものをあらかじめ 水素原子(H+)に解離させて いるので、小腸での解離 作業が必要なく、 瞬時に細胞内に到達👑 たっぷりの潤いを、 すばやく届けてくれます💓 冷やして飲んでも 常温で飲んでもとっても 美味しいプラズマ解離水 あなたも是非、飲んでみて ください🥤✨ #細胞を潤す水 #プラズマ解離水 #コロナ対策 #水分補給 #おいしい #アンチエイジング #フォロバ100 #相互フォロー #置き画倶楽部 #いいねでフォローします #コメント返し #相互いいね #いいね返し #相互フォロー1000 #相互フォロー100 #相互フォロー #東京 #福岡 #関東 #九州 #お仕事依頼#依頼待ってます #コスメ #インフルエンサー #美容好きさんと繋がりたい #オシャレ好きさんと繋がりたい #美容オタク #食べること大好きな人と繋がりたい #食オタク #アンバサダー https://www.instagram.com/p/CO7oXyujfO3/?igshid=eqsqj1ec5ct2
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mmkkmkga · 4 years
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白石一文『僕のなかの壊れていない部分』4
性行為において男と女は愛情とはまったく異質な欲望によって結びついているだけの気がする。それを男女双方ともにそうした単純な正理メカニズムから巧妙に目をそらし、枝里子のように「見据えるだけでは何もわからない」などと理屈をこねて、無理やり愛情関係に接合させようとするのではないか。
長いセックスのあと、枝里子は気だるくなるという。僕も同じだ。そして僕は考える。この破廉恥な人を人とも思わぬ行為の先には一体何があるのだろうと。これは一体何なのだろうと。すると枝里子は言う。その気だるさを否定的に捉えてはならないのだと。そして、そんな暗く湿った後ろ向きの疑問に拘泥すると人間は生きる意欲を失ってしまうのだと。たしかにその通りかもしれないと僕も思う。だが、すぐさま、次の疑問が浮かんでくる。じゃあ、生きる意欲を失ったからと言って何があるのだと。僕が知りたいのは、意欲、慰め、ゆとり、安らぎといった感覚的なことではない。僕は枝里子と会うたびに、一緒に寝るたびに心の奥底でいつも彼女に向かって問いかけている。僕はきみとずっと一緒にいることで、一体どうなるのだろうかと。僕たちは二人でいることで、生きる意欲やゆとりや安らぎや慰めを超えて、生きること本体の深い意味にどこまで近づくことができるのだろうかと。きみはその点について僕にどのくらいの保証を与えてくれるのだろうかと。ー家庭を持ち、ずっと一緒に暮らしていきながら、僕たちは一体どこへ向かって行くんだい。きみにはその行く先がおぼろげにでも見えているのかい。もし見えているのなら面倒臭がらずにどうか教えて欲しい。実は僕にはよく見えないんだ。だから不安なんだ。恐ろしく不安なんだ。大きな海の真ん中で、僕たちの乗ったボートは本当にちっぽけだ。たしかにきみが言うように、空を見上げれば青い光が僕たちを包み込み、あたたかな風が吹いている。それでも、僕はどうしても忘れることができない。このボートの小ささや、そして何がこれから起こるか分からないこの海の存在を。さらにはいつの日か、必ずどちらかが先にこのボートから降りてしまうということを。これはきみが言うような選択の問題ではないんだ。選択する前の、もっと重要で根源的な問題なんだ。愛や憐みや労りといった人間的感情が入り込む余地のない、時間を超越した恐ろしく冷徹で無慈悲な問題なんだ。
女の体は宝物だ。体以外の女はいやなところばかりだ。だから、宝物のためにそのいやなことをどのくらい受け入れるかが、女と付き合うことなのだ。セックスは相手の女のことをモノだと思えばいくらでも上手くなる。そしてこっちが相手をモノだと思えば思うだけ、女はひっついてくる
平凡な家庭、平凡な生活、平凡な少女時代、どれもみんなうらやましい。だけど僕は、そういう平凡な幸福は怖いなーああ平凡ほど怖いものはないかもしれない。平凡は自分に張りついて離れないし。平凡な人間ほど自分を捨てることが難しいからねー大きな不幸は、その不幸に絶望した自分というものを捨て去ることを容易にするし、大きな幸福もまた、その幸福すぎる自身を投げ出したいという衝動を常に伴うものだ。実際、僕は子供の頃、心の底から別の家の子に生まれ変わりたかったよ。もう一度最初からやり直させて欲しいと幾度願ったか知れない。別の人間になりたくて、いまの自分でなくなることに何の未練もなかった。心底幸福な人もきっと同じだと思う。人間は幸福で腹いっぱいになったら、どういうわけかその幸福を惜しげもなく他人に捧げたくなるんだ。だけど、平凡な幸福はそうじゃない。平凡な幸福はいつまでも自分にしがみついて離れてくれない。そのうち腐り始めて、その本人を病気にする。平凡な幸福に浸っているかぎりは、人間は死ぬまで自分というものを変えられないし、捨てることができない。そしてそんな人間は他人の不幸に対して同情はできても決して共感はできないんだ。共感するためには、自分を捨てなきゃいけないから。相手を理解するってことは互いに愛し合ったり、一方的に同情したり、共に喜んだりすることじゃない。自分を捨ててその人間になりきるってことだ。平凡は、それをきっと不可能にしてしまう。きみはいつもわかり合いたいと言うし、人間同士の関係は互いに近づいていくためにあるんだと言う。だけど、僕はただ近づくだけじゃ人と人とは永遠に分かり合えないと思う。ほんとうに分り合いたいのなら、自分を完全に捨てて相手になりきらなきゃいけない。相手の眼や耳や鼻や口や皮膚をすべてを受け止め、相手の胸で呼吸し、相手の頭で考え、相手の心で感じないといけない。そうしたときに初めて人間は他人の幸福を引き寄せて自分自身のものにすることができる。だけど現実にはそんなことは誰にもできやしない。まして平凡な幸福にどっぷりと浸かっている人間にできるはずがないんだ。
<どうして自殺しないのだろう?>それは多分、自分に他人の命を奪う権利や資格がないように、自らの生命を奪う権利や資格もないからに過ぎないと僕には思える。ともすれば人は自分の力で生きていると錯覚しがちだが、そんな力は人間にはない。誕生それ自体が自分の意志や力とは無縁であり、生きているさなかはたしかに思えるその意志や力も、死の前では生まれたときと同様にまったく無力なのだ。要するに人間は、最初から最後まで、自分のことを何も決めることができない。であるなら、自分の生を勝手に終わらせる権利などあるはずもないし、他人の命を奪う権利もあるわけがない。人は生きているのではなく、ただ生きさせられているだけなのだ。それでも、新たな問いはさらに生まれてくるのだ。<どうして人間は新しい生命を生み出そうとするのか?>人間がただひとつ意志を発揮する場があるとすれば、他人の生を創造するということだと僕には思える。しかし、なぜそんなことを人間はやらかしてしまうのか、それが僕にはよく分からない。なぜなら、他人の生を生み出すということは、そのままその他人の死を生み出すことと等しいからだ。人を生むことは、その人を殺すことでもある。僕は触れるでも感じるでもなく、ただ知っていた。自分がいずれかは死んでしまうーという事実の底深い意味を捉えない人間は、必ずや自らを殺すか、他人を殺すかのどちらかを選択しなければならなくなってしまうのだ。この世界のただならぬ無慈悲さの正体は、ひとえにそうした選択を迫られてしまうことにある。そのいい例が女性たちだ。かあちゃんがそうだったように、ほのかの母親がそうだったように、思いつきで子供を作りたいと言いだした大西昭子がそうであるように、勝手に拓也を産んで、パクとの関係は半端なままに僕とつき合う朋美がそうであるように、僕を諏訪の実家に連行し、いずれは結婚へと進みたいと願っている枝里子がそうであるように、そして、生まれたわが子をいずれか四十三日で見知らぬ他人に預けてしまう母親たちがそうであるように、女性たちは我が身の欲望に取り憑かれて、自分を捨て去ることがどうしてもできない。彼女たたちは自身の死を閑却して、安直に他人の生を生み出しつづけている。(私の意見→むしろここまで理解している男性の方が圧倒的に母数は少ない、女の卵子だけで子供ができるのならばこう言った意見は正当だが、むしろ女はここまで理解した上で、それでも子供をうむという決断に至っている方が多いのではないだろうか。むしろ当事者であるのに、精子を女の膣に入れ込む当事者なのに、子どむを物理的に生むのが0100で女のため、ここまでの思考に至っていない男の方が一定数多い)子供を産むということが、その子をやがては死に至らしめる行為なのだと彼女たちは考えもしない。自分たちこそが正真正銘の殺人であることに、おそらく一瞬たりとも気づいたことがない。(私の意見→いや気づいているけど、そこまで考えてしまうと動物の繁栄に関わることだから意識的に無意識領域に飛ばしてるんじゃね?)
自分のことを恥ずかしいと思うその直人君を、直人君自身がちゃんと見つめているかぎり、ちっとも恥ずかしがることなんてないのよ。いずれは、直人君も直人君と別れてしまうときがきて、こうやって亡くなった大勢の人たちと混ざり合って、一陣の風になって吹き渡るんだよ。だったら、生きているうちに、できるだけ自分のことなんか忘れて、他人のことを考えられる人間になって欲しいって思う。この世界の何もかもが全部一緒だってお釈迦さまは教えて下さっているの。人間も動物も、そして石や花、空気もすべては一つに繋がった夢みたいなものなのよ。生まれる前も生きているときも、死んでしまってからも、きっと同じなんだろうなと私は思ってる。他人はきっと自分だし、自分はきっと他人で、これから生まれてくる人も自分だし、大昔に死んでしまった人も自分自身なのよ。まだ直人君には分からないだろうけど、石や草や虫や動物も、同じように自分なんだよ。ほんとはね、何も思い煩うことなんてないの。自分が苦しいと思えば苦しいし、楽しいと思えば楽しいの。この世界は、ただそうとしか言いようがないものなの。だから、私も直人君もいつかは死んでしまうけど、それはちっとも悲しいことじゃないし、悲しまなくてもいいの。たとえ私が死んでも直人君は生きてくれるし、直人君が死んでも他の人は生きていくでしょう。そう思えば何にも怖いことなんてないわ。だからこそ、自分を捨ててどんな人のことも大切に思ってあげたいって私は思う。別に直人君のことが私は特別に好きなわけじゃないんだよ。自分がそう信じているから親切にしてあげてるだけ。ぜんぜん感謝なんてしてくれなくていいの。私はただ自分のためにやっていて、それが結局、直人君のためにもなるだろうって勝手に思い込んでるだけなんだから。
(常岡一郎『人は何のために生れたのか』)それはすべての人を見ていますと、育っていきます。身も心も、年毎に育ちます。もし育たないものがあったら亡びます。死にます。死なないものは育っていくでしょう。だから、人は育つために生きさせられたと第一番に考えています。その育つためにはどうすればいいかを第二に考えてみます。育つためには相反する二つを組み合わせて調和をとることですね。空気を吸うたら、必ず次に吐き出す。真夜中もやめず、決して面倒くさがらず、必ず二つを調和させる。食うたら減らす。減ったら食う。起きて、寝る。寝たら起きる。これを元気よく、明るく、とどこおりなく、くり返し、調和させる。これが育つための日々の条件ではないでしょうか。人間の世の中も今日まで育ってきましたのは「生れて、死んで」「死んで、生れて」生死一如。幾度も生れかわって今日の姿まで育って来たと考えられています。こう考えるとす���てが相反する二つの対立と、これを見���に調和させるところに生れさせられて育つ道があるのではないでしょうか。どんな人間でも顔は全部、向こうむいた人ばかりでしょう。顔が自分の方を向いている人は一人もありませんね。向こう向きの人間と人間とがさし向かいになって語り合う、だから話がまとまる。どんな偉い人でも、かしこい人でも自分の顔を自分で見た人は一人もいない。やっと鏡で見て、そこに映ったかげを見て自分の顔を知ることができるに過ぎない。人の顔ならいつでも見えるが、自分の顔は死ぬまで見えない。そこで鏡が必要あるように、自分を知るために反省が必要であり、反省の鏡として宗教的教養がいるわけだと思います。この点をもっとわかりやすくたとえて申し上げましょう。だとえば、大根について申しましょう。大根よ、お前は何のために生れたのか、と聞いたら、私は「ためなしに」生れた。何の目的も決めず、自分の力もなく、全く生れさせられたのです。神の摂理によって生れさせられた。そうして、人間の丹精によって育てられましたと答えるでしょう。それでは何のために生まれさせられ、育てられて来たのだと考えるかと聞けば、多分、それは私を人間に食わせるために生れさせられ、人間はまた私を食うために育てたらしい。どうしてそんなことが言えるのか。それは、私の祖先、大根の一族は代々人間に食われて来た。私もやがて食われるだろう。私の子孫もすべて人間に食われるでしょう。だから、人間に食われるために生み出され、育てられて来たものだと思います、と答えるでしょう。そこで、大根が自分の方を向いて、自分の方の都合だけで考えるとします。俺の先祖も人間に食われた。俺もやがて食われる。子孫も食われる。思えば情けないことである。人間と大根の関係は倶に天を戴かない敵の間柄である。食いつ、食われつの間柄なら五分五分だが、食われてばっかりきた。全くなさけない。この祖先のうらみを晴らし、子孫の禍を絶つために俺が仇討ちしてやろうと考える。そこで物凄いニガ辛い大根になる。食った人間がまったくコリゴリするくらいにニガクなったら、確かに仇討ちはできる。しかしその後に来るものは「こんなニガ辛い大根は二度と作るべからず」となって子孫断絶の運命となる。自分の都合のみから割り出す考え方は亡び行く運命の道であると思います。これに反して、先方の都合のみをよく近いする。相手を生かす考え方をする。「もし人間の努力まごころがなかったら」大根は育たぬ。まったく人間の苦心努力の賜物である。だから、人間にどうして恩を報じようか。人間によろこびをいかにして与えることができるか。こう考えて非常にうまい大根になる。この場合、お家自慢の大根となる。その大根の種は大分県のおばさんに送る。埼玉県の従兄弟にも送る。といった調子で八方に送られる。別に願わず、求めずとも子孫繁栄の道に出る。生と死。吸うこと吐くこと。眠ると起きる。食うのと減ること。自分と他人。生かすことと生かされること。すべて二つの組み合わせでしょう。だから、人を生かす。相手を生かす。伸ばす。守る。ここに全身全霊をつくす修行、訓練が毎日の課業だと私は考えています。ここに私が胸を病んで、また救われた道があったと思っています。「人は何のために生れさせられたのであろうか」というお答えになるでしょうか。結局、自分の一日一日を全力をかたむけつくして自分を空にして相手にささげ、われまた育つ道だと信じますので一言申し上げました。
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siteymnk · 4 years
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The Beatles 完コピ倶楽部の第48弾、アルバム“Revolver”収録の”Good Day Sunshine“、1966年の作品。
ジョンの自宅を訪れていたポールが天気が良い事をそのまま歌にしたという(それでこんな曲が出来ちゃうのだから天才としか言いようが・・・)。ポール曰く、ラヴィン・スプーンフルの“Daydream”(これ名曲)の影響を受けたという。いずれも平和で幸せな雰囲気がいっぱいである。
繰り返される3声コーラスが印象的。ホンキートンク風のピアノなどヴォードビル調の雰囲気があって、以降もポールはそれ風の楽曲を生み出していく事になるのだが、そのきっかけとなった曲でもある。アバンギャルドを突き進むジョンに対して、後世に残る曲を意識したコンポーザー気質のポール、という対抗軸が面白い。
反面、サイケっぽさも含むこのアルバムに於いては「能天気すぎる」と評されることも。まあ、その意見も分からなくはない。いい天気だぜ〜!って曲だしね(苦笑)。一方、ポール自身はお気に入りの曲らしく、自身の映画「ヤァ!ブロード・ストリート」で再録音している。だって良い曲なんだもの!って言うポールの顔が浮かぶ。確かにそれは事実だ。
さて完コピ。とにかくリフレインのコーラスが肝。ジョン、ポール、ジョージの3声が溶け合う感じが・・・まあ、難しいよね。近付けるべく努力はしたのだが。メロのポールの張り切った歌いっぷりや、エンディングのリピートなど良い感じで仕上がりました。
さて次回は大ネタ!、ビートルズ主演映画のテーマ曲に果敢にチャレンジします。
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komyu27 · 4 years
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松岡英明ツイキャスプレミア配信《The One SP Online Edition #04》初回配信:2021年2月28日(日)20時start
現在、松BOWの配信ライブは 3つのシリーズが存在する。 以下 タイトル→解説( 松BOWのツイートより)→ ( )個人的な感想
1《The One 2nd Season》 解説:生ライブではないものの イメージとしては最新の 『The One』のステージ ( 『最新』のガチ『松岡英明の音の世界』を 堪能できる。 凝ったセットリストも楽しみ♪)
2《音楽でおうち時間をハッピーに♡》 解説:過去のライブ映像 (どれもリアルタイムで参加できていないので、 参加されたファンの方や 松BOW、バンドの方々と配信で 追体験できるのがうれしい。 ツイキャスコメントで、 ステージに関する話、裏話も楽しみ♪)
そして今回の配信 3《The One SP Online Edition》 解説:『The One』の魅力を 映像的により遊び心を加えた形 (個人的に一番楽しみ♪ 松BOWの音楽はもともと絵画的なのだけれど、 このシリーズでは 映像でさらに具体的に 彼の描く絵画のイメージを感じられる。 そして、松BOWの想像力、 プロデュース力、 その他彼の才能のすべてが 端々にまで発揮されていると思う。 褒め過ぎかな!? でもホントにそうなんだもん!)
ということで、 遊び心いっぱいの 《Online Edition》シリーズ第4回目のセットリストはこちら。
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おなじみとなったオープニング曲 【Scene from Paradise】とともに流れる映像は 今までのOEシリーズでのさまざまな松BOW。 コメント欄ではすでに「泣きそう」との声も。 そうか、もう過去映像をダイジェストで流せるくらい 回を重ねたのだ。 昨年の3月に初めてオンラインライブを開催して はや一年がたったのだなと、 この一年にふと思いを馳せた。 会場の錦糸町rebirthさんのステージに映像が切り替わると、 カウントダウン。 《The One》の松BOWの声にかかった深いリバーブが 壮大な映画のオープニングのよう。
【01 Fantasy】が1曲目ということに コメント欄は驚きの声。 意外な1曲目! 冒頭は映画で観た近未来的な (《ターミネーター》とか《マトリックス》とか) データのような文字や数字の羅列が映し出されたと思ったら、 画面の隅に『REC』の文字。 カメラの画面をそのまま使っている?? 映し出された松BOWは ステージではないところにいる。 画面はモノクロ(ちょっとセピア色っぽかった) (もともとカメラについている モノクロエフェクトをそのまま使ったそう:松BOWコメント解説より ちなみにカメラマン、そして映像編集は 今回も『神保町昭和歌謡倶楽部』のディレクター 藤沼さん。) 松BOWの衣装は 黒のTシャツにジーンズ(多分)。 シルバーのロザリオ。
登場は楽屋からフロアに向かったそう。 毎回意表を突かれる。
そして、たびたび映される 松BOWの顔のどアップ! 近い近い近い! (ありがたい!(笑))
カメラの動きもアクティブで、 画面に釘づけ。 が、ちゃんと耳にも 音の進化は届く。 ベース、ピアノ…… 回を重ねるごとの進化。 それだけで単純にうれしい。
それにしてもロックだ。 タイトル【Fantasy】から想像するものとは 違った第一印象を思い出す。 今回の【Fantasy】も 熱のこもったボーカルでめっちゃロックだった。
【02 Heaven`s Underwear】 イントロ、黄色の淡い光が漂い 時々挟まれるサイケデリックな模様。 間奏では、 煙のような、 渦巻く水面に絵の具を流し込んだような なんともセクシーで気だるい雰囲気の効果も。 藤沼さんコメントによると、 曲に合わせてのエフェクトを施すのに 苦心した、とのこと。 素晴らしかったです!(拍手)
この曲は、 エロティックな表現に どきりとさせられるが、 『真実』を隠す underwear(下着)、 決して脱がない underwearだから、 悩ましく美しいのかなと、 哲学的な思考に促される 楽曲でもあるなと思う。
【03 泣かないで】 イントロと間奏で 松BOWからキラキラした粒子が放たれたような映像に 素敵!と感激。 すると、藤沼さんから OEシリーズ第1回目で、 ラストに松BOWが魔法をかけたシーン (キラキラをその手から息を吹きかけ飛ばした) にインスパイアされたとのこと。 なんですかその素敵なエピソード! この曲を聴くと Eath, Wind & Fireのとある曲を思い出すのは 私だけだろうか。 ダンスナンバーだけれど、 ちょっぴり切ない。 こんな素敵な曲で 『泣かないで』なんて歌われたら そりゃ笑顔になるしかない���
ここで [インタビュー1] ・配信ライブを始めて感じたこと
松BOW:配信を始めてみて 面白みが見えてきたっていうか、 今まで想像もしてみなかった 面白さが見つかり始めて。 心が動く時に、興奮したりとか 感動したりすると思うんですけど、 配信でも心が動くかどうかが 鍵だと思っていて 心が動いてくれるような 何かをお届けできたら良いなと思っています。
この時、バックには【Kiss Kiss】が流れていたのだけれど、 聴いたことのないアレンジだった。 それについて何人かのコメントが 書き込まれると シングル【Kiss Kiss】のカップリング曲 【One More Kiss】との松BOWのコメント。 ご本人直々にお答え頂けるって すんごい贅沢。 (とても愛らしいアレンジ(バージョン?)だったので 持っていなかった【Kiss Kiss】のシングルを 探して早速手に入れました。 オルガンの音があったかくて愛らしい。 タイトルに(MIX without lips)とあるのも素敵。)
【04 シェリーと夏と僕】 場面変わって、 ソファに座りヘッドフォンをした松BOW。 やさしい笑顔。 ヴェールがかかったような 柔らかな映像。 (コメント欄にて、『ソフトフォーカス』との書き込み。 なるほど。ソフトフォーカスというのね。 ファンの方のコメントで知ることも多い、 有意義な視聴会。) 衣装は白シャツ、ネクタイに 襟もとにラインの入った ネイビーのVネックニット。 パンツはモノトーンチェック。 『おうちでライブ』的な衣装素敵♪ それにしても、距離が近い。 近すぎる!! 近すぎて曲が耳に入ってこない!!! (何の曲かはわかっているけれど(笑)) と、思ったら、別角度からの撮影に切り替わり、 スマホ(iPhon)で自撮りしている松BOWが映し出された。 道理で近いはずだ。 (種明かし映像も画期的。ちょっと笑ってしまった。) 引きの映像で、 自宅の部屋風セットとわかる。 赤いソファ、黄色や赤、 薄い水色のクッション。 テーブルの上には パソコン、機材。 そしてマグカップは 壁の色と同じ薄いブルー。 色合いも工夫されたそう。 そして、ここで松BOWから 『僕の秘密兵器は何でしょう』との問い。 ???と考えていると、 松BOWの後方の カーテンに飾り付けられている 『電飾』とのこと! ライブ前に、 Amszonで何か買い物をしたことを ツイートしていた。 これなのね! とても良いアクセントになっている! 本当に隅々まで考えられているのだなと 感動した。 ともかくそれは、 『自宅にお呼ばれされてのプライベートライブ』のようで ドキドキを楽しんだ。 配信ライブならではの映像、楽しい! が、まだまだ感動は用意されていた。 間奏で 空の映像が挟まれる! 空に流れる光る雲、 大木のシルエットなど、 曲にマッチした映像。 切なさがいっそう沁みる。 松BOWが何も伝えないのに、 藤沼さんが ご自分で用意された映像とのこと。 松BOWのイメージ通りだそうで、 さすが楽曲の事を よくご存知なのだろうなと思う。 冬に聴く【シェリーと夏と僕】 乙だった。
短いギターとドラムのイントロからの 【05 Let Me Alone】もコメントが欄わいた。 人気の曲。 私も大好き! 滑らかなフレットレスベースが印象的。 いつもより少し早いテンポかなと感じた。
すべて松BOWによる打ち込みだそうで、 特にギターもベースも生音にしか聴こえてこず。 さすがだった。
【06 ヒカリの花】 衣装チェンジ。 白いフリルたっぷりブラウスに ネイビーのベルベットジャケット。 こちらもすべてイチから打ち込んだそう。 画面では、色とりどりの花々が 次々に咲く映像。 ボーカルにも一段と磨きがかかって。 まっすぐに伸びる歌声が まっすぐに胸に届く。
[インタビュー2] (バックにかかっていたのは【Emerald Tablet】) ・配信ライブという新しい音楽の楽しみ方 松BOW:僕自身が何か新しいものを見つけ出したいと チャレンジしていることなんですけど、 そのことを見る側の人たちも 実践してくれている感じで 配信って、こんな楽しみ方もあるんだっていうのを 僕も味わっている気がするし、 それが背中を押してくれているんだと思うんですよね。 なのできっと、みんなが楽しんでくれていることがなければ 自分も続けていこうっていう気持ちになれなかったと思うので、 皆さんが楽しんでくれていることが 配信を続けていくことに繋がっていると思いますし、 これからもみんなと一緒に 新しい音楽の楽しみ方を 見つけられたら良いなと思います。 是非皆さんも楽しんでください。
【07 Cute Girl】 場面変わってrebirthさんのステージ。 キャスケットがまず可愛いしお似合い。 白シャツにネクタイ、 ジャケットはジップアップ。 タイトなパンツに厚底シューズ。 (脳裏に浮かんだ『London Boy』という言葉。 ロンドンが似合う、誰よりキュートな松BOW♪) この曲は、おもちゃ箱みたいに 色んなカワイイ音がするのが楽しい。 鐘、トイピアノ、カウベル(?) chu !の音まで! シンセの音もキラキラでワクワク感満載! そしてラストには投げキス♡ 盛り上がらないワケがない!
【08 Catch】 曲が始まったとたん、 画面には送られた花火やクラッカーなど、 アイテムが賑やかに映し出される。 アガる! 間奏部分では、 舞台狭しと走り回る松BOWが可愛い。 と、アンプの陰に 隠れる松BOW。 かくれんぼ!? 追うカメラ。 見つかった! …までの仕草、その表情。 まるで少年のよう。 (何度も見返した。アーカイブに感謝。) 【09 Study After School】 奈良部氏が、当時最先端のハウスを取り入れた アレンジで、人気のヴァージョン。 やっぱりカッコ良い。 松BOWによると、ハウスでも ヨーロッパ寄りのアレンジだそう。 そして、【07 Cute Girl】からここまでの 3曲は、アルバム《Kiss Kiss》と同じ曲順と、 松BOWコメント。 ホントだ! だからなんだか既視感あったのか!
【10 恋はあせらず】 松BOWMC:ありがとうございました! 楽しめましたか? 最後はこの曲で盛り上がって下さいねー! え!もうラスト? 時間が経つのが早過ぎる! やだやだやだーーー!!!!とコメントしつつ 盛り上がらなきゃね! 藤沼さんの秘密兵器、 ドローンを使ったカメラアングルが 松BOWのパフォーマンスと相まって 躍動感増し増し! 恋のようなドキドキ感さらに煽られた。
終了後、松BOWからのメッセージ。 (バックには【Light and Colour】が流れ、 スタッフロールが映し出されていた。) 『なかなかまだ生のライブが 再開できないのもちょっと寂しいし、 皆さんもおうち時間が長引いていて ストレスもたまっているかもしれませんが、 こんな感じで僕らなりの楽しい配信を これからもお届けしようと思っていますので、 是非、次回も楽しみにしていて下さい。 またお会いしましょう。 今日はどうもありがとうございました♪ またねー』 手を振る松BOW。 (両手で手を振る様子が超可愛い。いちいち可愛い。 いちいちキュンキュンするこちらの身にもなって欲しい(笑)) と、ちらり目線を手元に落とし 何やら操作。 カメラが回っているのに何を?と思っているうちに 鳴り出すイントロ。
わお! アンコールだ!!! 【11 Dual Personality】!!!! 大好きな曲にテンション爆アガリ!! 終わったと見せかけてからのアンコール。 (曲をスタートさせるのに、 iPhoneで操作したそう。) 来るかな?と内心期待はしていたけれど、 やっぱりうれしい!! (【Dual Personality】のPVも何度も観たなぁ。 白シャツ松BOWは個人的ツボ) アイテムの花火、クラッカー、 松爆(本来『お茶爆』。松BOWデザインなので『松爆』)などが 画面に次々に送られ賑やか華やか! 生の声援や拍手を届けられない分、 こういうアイテムで盛り上げられるの ホント良きアイデアだと思う。 カメラも松BOWに負けずアクティブな動き。 楽しい!
フロアから、楽屋、そしてステージへと 移動しながら歌う松BOWを追うカメラ。 オープニングの黒いTシャツ姿と、 先ほどのキャスケットの ロンドンボーイが交互に映し出されるのも楽しい。 何より楽しそうな松BOWの笑顔が うれしくて、最高にハッピー!!
今回も アレンジ、ボーカル、パフォーマンス、演出、 映像、そして、全体的な音。 細部にまでこだわった、素晴らしいライブ配信だった。 映像が加わった『松岡英明の音の世界』 素敵だった。 次回のOnline Editionシリーズも楽しみ!
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今回の配信がきっかけとなって 購入した【Kiss Kiss】の8cmシングル。 (8cmシングル懐かしい!) 松BOWの楽曲に限らず 今までシングルは買わないできたので、 ほとんど持っていなかったシングル。 カップリング曲は、 アルバム未収録で 素敵な曲もたくさん。 【One More Kiss】もそのうちの1曲だった。 これからも、手に入るものは探してみよう。
それにしても、 松BOWって、 CDジャケットにしても、 雑誌のグラビアページにしても、 本当にアーティスティックでため息が出る。
色んな素敵要素が詰まった 『松岡英明の音の世界』 もっともっと深く知りたいし 追いつけないほど進化していく様子も 楽しみにしている。
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miwapooh · 4 years
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ぷーさん。 仕事から帰ったら片方の耳が腫れてて、ちょっと触ったら「キュー💦」って鳴いちゃいました😭 膿も出てきたので急いで病院へ🏥💨 外傷性の傷からバイ菌が入っちゃったみたい。。。お耳擦っちゃったか、ハチと戯れて傷ついちゃったかな🥲 膵炎の治療中なので、色んな薬は飲めないから、お注射してもらいました💦薬の飲み合わせで、痛み止めは処方出来ないようで💦痛みが強くて食欲が落ちたら、膵炎の治療を中断して痛み止めを優先します、と��われたけど、ご飯モリモリ食べてくれて安心しました🥰�� 財布に全然お金無くてwゆうさんから1万円借りた母🤣 行く時は「お金なんか返さなくて良いよ❗️」って言ってくれてたのに、大事にいたらなかったら、「明日返してよね」と言われてしまった😅😅😅ははは。 #buhi #bulldog #frenchbulldog #ブヒ #ブヒ倶楽部公式 #フレンチブルドッグ #13歳ワンコ #頑張り屋さん https://www.instagram.com/p/CK6DyFAJ0Xb/?igshid=yox8imsp8d6s
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rmanigga500 · 4 years
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Click the #linkinbio and get a bar. Ft. San Quinn, King Rell 87, AdrianaHatch, Young Rocket, and Squint-Lo. 10 tracks of fire. You know the vibes nigga.. .. . . . . . #HipHop #hiphopmusic #hiphopculture #hiphophead #undergroundhiphop #worldstarhiphop #hiphopjunkie #hotnewhiphop #HipHopLife #bayarearap #ぷりんと倶楽部いいね返し #hiphopheads #oldschoolhiphop #indiehiphop #ukhiphop #hiphopdx #hiphopweekly #hiphopblog #radiopushers #kimkardashian #cardib #geazy #realoakland #realeastoakland #fuckdistrokid #bayarearap #gangstarap #nipseyhussle #ripnipseyhussle https://www.instagram.com/p/CCL69RYMw94/?igshid=1auk7logdoizn
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arara1212 · 4 years
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長野市「かくれ麺家 SAREDO 忍ばず」タンメンの思い出 場所 長野県長野市稲葉中千田2115-1 1F 電話 026-285-0160 ジャンル ラーメン バリアフリー △ 入口に段差あり URL https://original-intention.co.jp/post_shop/kakure/  東京生まれ東京育ちだから身内はほぼそちらに固まっている。私のみ長野へと脱出したわけだから当たり前だが。だからといって学生でも若くもない。したがってあまり彼らのところへ赴く事も少ない。なにかの都合でかの地を訪れたときに、顔を出す程度か。年に数回、あるいは今年は行かなかったなぁなどという事もあるくらいだが、あまり行かないのも気になってならない。  だいたい、現代は携帯もある、メールもLINEもある。やろうと思えばテレビ電話あるいはZOOMなんてものもあるから、わざわざ行かずとも用はすむのだ。とはいえ、顔をみにいかねばと思うのは直接的なコミュニケーションが必要と思うからだ。電話の声だけでは母の状態はわからないし、日ごろ迷惑をかけている兄ども、というよりも兄嫁たちへのご挨拶は欠かせない。なにやかやと理由はついているが、要は会いたいから行くという事となる。  本音を言えば会いたい人は別にいる。 人妻との秘密の逢瀬、という艶っぽいことであったらそれはそれでよい事ではあるがまったく違う。本当の本当に会いたいの母の姉、すなわち伯母となる。父親不在の5人姉妹という絵に描いたような家庭の長女次女として育ち、互いを支え合ってきた間柄だ。1歳違いだから結婚、出産もほぼ同時期だったから余計であろう。  その伯母がもっとも溺愛したのが私だ。 生家の稼業も母親も多忙になったので、私の世話を伯母が買って出たという事だ。1歳から幼稚園に入る直前までの数年間、伯母宅でほぼ過ごしたとの事だ。ふたりの従兄弟も手が離れたし、私も可愛かったしという事だ。現在も可愛いけどね。 その伯母と会いたくてたまらない。しかし、かなう事がないのが哀しくてならない。マザコンと言われても、はい左様でございますとしか返しようがないが。   幼稚園に上がるころからはさすがに実母の元で過ごすようになったが、それでも長期の休みとなれば伯母のところに遊びに行ったり泊まりに行ったり。その度ごとに映画(おもにゴジラ)を観に行ったりご飯を食べに行ったりという生活を中学くらいまでは続けたのではないか。  伯母と出かけると必ず立ち寄るのが新宿伊勢丹地下の食堂だった。私はハンバーグだの生姜焼きだのを、伯母はタンメンを決まって注文したが、その大半を私が食べてしまったという、親不孝この上もない小僧でもあった。   「かくれ麺家 SAREDO 忍ばず」 稲葉の、というか母袋陸橋の麓というか。焼肉屋としゃぶしゃぶ屋の間にひっそりとあるように観えるがじつはもっとも個性的な存在かもしれない。前回は昨年初めくらいだから1年半近くご無沙汰している。先だってこちらの新メニューを知りいそいそと出かけてきたわけだ。  「極濃肉湯麺」850円 タンメンといえば塩スープに細麺、たっぷり野菜でさっぱりというのが常道であろう。これも基本は同じだが決定的に違うのは豚骨ベースである事。名の通り濃厚まったりな世界が繰り広げられる。細麺・太麺を選択出来るという。豚骨なら太麺が基本であろう。そして大量のトッピング類、モヤシ、キャベツ、にんじん、キクラゲ、ネギ、豚バラ肉が世界観を華々しく彩り、柚子胡椒の和がすべてを引き締める。素晴らしい。   伯母が亡くなって30年近くになる。健在なら85になるのか。生きていれば今でも映画や食事に連れ出してくれるかな?と、長兄に訊ねたら「おばちゃんは絶対に変わらない」との事だ。なるほど、そうかもしれない。あちら側にいったらまた連れて行ってもらおう。まだしばらく行く予定はないが。   #長野  #長野市ランチ  #長野県  #長野市  #長野グルメ  #ラーメン  #ラーメン好きな人と繋がりたい  #ラーメン大好き  #ラーメンインスタグラマー  #ラーメン部  #ラーメン巡り  #ラーメン倶楽部  #ラーメンパトロール  #ラーメン好き  #ラーメン好きと繋がりたい  #ラーメン食べ歩き  #ラーメンインスタグラム  #ラーメン屋  #ラーメン食べたい  #タンメン  #濃厚  #野菜  #野菜たっぷり  #野菜炒め  #太麺  #飯テロ #美味しい #コロナに負けるな #좋아요_한국 #좋아요_일본 http://araralunch.work (かくれ麺家 Saredo 忍ばず) https://www.instagram.com/p/CByed3WgOON/?igshid=18g2tt0vl14ym
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ruuuchan01 · 3 years
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今年も @freshtutiyama さんの アンバサダー始動開始🍊❣️ みかんと言えば冬⛄️❄️✨ でも、今の季節でも みかんはあるよ〜🍊💕 みかんはビタミンC たっぷりで、柑橘系の 香りがとっても癒される🍀 最近はダイニングテーブル の上にみかんをモンステラの器に入れて飾ってるよ(*ฅ́˘ฅ̀*)♡ ダイニングテーブル が良い香りになる🥺✨ 私の家には年中を通して ミカンがストックして あるんだけど 冷凍保存しているから とっても長持ち🥰 美味しいから小腹が 空いた時にパクパク 食べちゃう😘 朝昼晩、気づいたらみかん 食べてるかも🤣🍊 フレッシュ土山さんの ミカンは美味しいのが 沢山入っていてコスパ 良き🙆‍♀️❣️ ミカンのふるさと 吉田からの贈り物で 有名なFRESH土山さんの みかん、皆も是非 食べてみてねー 🍊(*˘︶˘*).。.:*♡ @freshtutiyama さんの インスタグラム内では みかんを使ったアレンジ レシピを沢山紹介しているよ✨ #蜜柑#freshtutiyama#新鮮蜜柑#みかん#pr#PR#商品pr#商品PR#PR商品#pr商品#フォロバ100#相互フォロー#pr活動#置き画倶楽部#日常#豊かな生活#便利な生活#置き画#いいねでフォロー#いいねでフォローします#コメント返しします#フォローでコメントします#いいね返し#コメント返し#フレッシュみかん#フレッシュフルーツ https://www.instagram.com/p/CbRNdlXPRuY/?utm_medium=tumblr
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ann2018-suzalelou · 7 years
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「あけましておめでとうございます。枢木さん」
ソファに横並びで『ゆく年来る年』を眺めていたルルーシュが、日付の切り替わりと同時にこちらへ向き直り、座面の上で正座になって三つ指を突いてくる。白無垢を纏った幻影が見えるほどの流麗なお辞儀に新年早々、文字通り本当に早々、心臓が鷲掴みにされる心地だ。
「あけましておめでとう、ルルーシュ。今年もよろしくね」 「はい、お願いします。……ふふ、平成三〇年の枢木スザクは男前ですねえ」
粛々とした顔つきを即座にふにゃりと緩ませ、胸の前で小さく拍手をするルルーシュの頬はほんのり、を通り越してなかなかに赤い。そこらの大学生よりも酒に弱い白人が存在するのだという事実を、スザクは目の前の可愛い同居人を通じて初めて知った。飲み慣れていないせいもあるのだろうか。なにせスザクが気合を入れたレストランで二十歳の誕生日を祝ったその席まで、ルルーシュがアルコールに口をつけたことは一度たりともなかったというのだから驚きだった。ルルーシュを見ていると事あるごとに、育ちが良いとはこういうことかとしみじみ思わされる。芸能界に足を踏み入れ立てでおまけに自分のファン、いかにもチョロそうだからさくっと抱いてモノにしてやろう、などと謀っていた三年前の自分を殴り倒しに行きたい。もっとも、ふわふわと心地良さそうにスザクの両手を取って無意味に振り、挙句ぽすんと胸元に倒れ込んでくるこの懐き具合に対して、これまでの戦績が口先だけのごく軽いキスひとつという今の体たらくの方が、過去の自分から張り倒されて然るべきといった話なのだが。
「眠いの? 寝るならちゃんとベッドに行かないと」
揃いのパジャマの胸元に顔を埋められ、こんなことでも童貞のように爆発寸前の下心を抑えながら頭を撫でる。さらさらとした黒髪の指通りを、指先から伝い全身全霊で愉しむことくらいは許してほしい。同じシャンプーを使っている筈なのに、どうしてこんなにも甘くやわらかな匂いがするのだろう。
「ルルーシュが寝るなら、俺も寝るし。明日のお雑煮作りも手伝うから」 「おぞうに……枢木さんは、おもち、何個食べますか?」 「んー、五つくらい? ほら、ルルーシュ立って」 「いつつかあ。いっぱい食べますねえ。いっぱい食べるひとはいいひとですよ」 「そうだね。ありがとう」
この瞬間もこれまでにも、襲ってしまおうと思えば容易に襲える場面がいくつもあった。今までベッドを共にしてきた女優なりモデルなりアイドルなり、凡百の相手であればとっくに抱き飽きている頃だろう。それをこの、五歳年下の男の子に限っては、酔ってふらついた身体を支えて唇が近づいた瞬間の、衝動的な一度の口づけしか為せていない。しかもそれを、同じ状況である今再び、今度こそは舌まで入れて奪ってやろう、などという気も臆病風で起こせない。あのキスの直後、真っ先に感じたのは圧倒的なまでの罪悪感だった。ルルーシュが嫌がっていない、というよりも「酔ってふざけてキスなんて大人だな、それも枢木スザクが相手なんて役得だ」程度にしか捉えていないのが丸分かりであったことで、「枢木スザクに生まれて良かった」という天から光射す気持ちプラス「どうして俺は枢木スザクなんだ、いっそただの顔が良くて才能と金のある一般人だったなら」という気持ちプラス「でも俺が枢木スザクでなければルルーシュはこんなに気を許してはくれないんだ」プラス「そうだ少なくとも俺はルルーシュにこんなに懐かれてるんだぞ見たか世界!」、イコールでこうして今もただの良い人、ルルーシュを愛し愛されるお兄さんポジションに甘んじている。与えた自室のベッドまで手を引いて先導し、布団を胸元まで掛けてやったルルーシュが「おやすみなさい」とこれ以上なく安心しきった声で言うのを聞いて、ようやく勃起を許した股間を開放すべくトイレへ向かった。二〇一八年の自慰初めだ。
 9:00
「はい、熱いから気を付けてくださいね。いっぱいおかわりしていいですからね」
椀を手渡すルルーシュが着ている割烹着は、この日のためにスザクが購入した卸し立てだ。いつものエプロンももちろん至高だが、新年の朝には真っ白な割烹着と三角巾でお玉を片手に微笑むルルーシュがどうしても見たかった。今年の正月休みは三日の午前中まで、ルルーシュよりも半日分短いがその間はずっと一緒にいられる。どこにも行かず、何にも邪魔されることなく、ルルーシュの作った食事を三食食べて酒を飲んで――この世の春とはまさにこのこと。にやにやしながら雑煮の椀を片手にソファへ座ると、ルルーシュも後を追ってにこにこと身を寄せてきた。期待たっぷりに輝く瞳は、スザクがもう片方の手に持つお神酒の瓶へ向けられている。弱いと言っても酒好きの度合いにおいてはスザクどころか、『コードギアス』の打ち上げで目の当たりにしたシャルルのそれと並ぶほどのようだった。流石は親子、いや親子ではないのだが。シャルルとの共演回数はスザクの方が遥かに上回り、またルルーシュの実の両親ともそれなりに顔を合わせてきているというのに、未だに時折『ギアス』の世界が現実を侵食するような心地に襲われる。映画総集編の新規カットや宣材写真の撮影で仕事が継続しているから、という理由もあるがそれだけではなく、要はあまりにも強烈な体験だったのだ、『コードギアス』という現場は。あのドラマがスザクの人生を、比喩でも大袈裟でもなく変えた。思えば正月らしい正月を過ごしたいと考えたことなど、ほんの幼い頃以来ではないだろうか。
「お雑煮って、作るのも初めてだったんですけど、考えてみたら食べたこともほとんどないかもしれません。給食で出たかな……?くらいで」 「そっか、いつもはイギリスで過ごすんだもんね。イギリスの正月料理ってなんかあるの?」 「特にないですね……うちだと、ちょっと良い朝ご飯を食べるくらいです。あの、あれです、ラピュタのパンみたいな」 「あ、いいなあそれ。っていうかルルーシュ、ラピュタ見たことあるんだ?」 「映画という意味なら……」 「城本体は俺もないかな」
「ふふ、すみません」と、楽しくて仕方ないといったように笑い、角餅の端に齧りついて熱さに少し眉根を寄せるルルーシュをうっとり眺める。香り立つ湯気の向こうにルルーシュ、新しい年の陽射しに黒髪が透けて綺麗な茶色に映るルルーシュ、ああ今食べたのはスザクが型を抜いたお花のにんじん、椀を傾ける仕草もほんのり血色に染まった唇も完璧だ。
「そんなに意外ですか? 俺とジブリの取り合わせって」 「うーん、割と。なんか国内アニメとかって全然見ないで育ってきてそうな」 「それはそうですけどね。でもジブリは後学のためにも一通り観ましたよ。あ、あと、最近は移動中にあれとか観てました。けものフレンズ」 「なんだっけ、聞いたことあるなそれ……すごーい! ってやつだ」 「そうですそうです、すごーい! たのしーい! ってやつ」
かわいーい。心の中でしみじみ呟く。
「枢木さんとも観たいなあ、ラピュタとかトトロとか。ジブリって配信ないですもんね、借りてきますか?」と、雑煮のおかわりを取りに立ちながら提案してきたルルーシュに「えー、『正月は外に出ない計画』じゃん」と返す。「そうでしたね。あ、それじゃあそろそろ頼んでた神社が……」とルルーシュが言ったとほぼ同時、マンションコンシェルジュからのコールが鳴り響いた。
「わあ、ジャストタイミング。出ますね。……はい、枢木です。あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします……え? ……はい、ええ。少々お待ちいただけますか?」
空の椀を持ったまま、壁から取り上げた受話器を器用に押さえて「大きい荷物だから、配達員の方をそのまま上げてもいいか、って」と、ルルーシュはやや困惑顔でこちらを振り向く。頷いてやると、不思議そうながらも「……すみません、はい。お願いします。ありがとうございます」と丁寧に対応し、キッチンではなくスザクの傍に戻ってきた。
「そんな大きいもの、頼んでましたか? なんだろう、ゲンブさんからとか?」 「ないない。ああ、ハンコ押したらそのままでいいからね。俺が中まで運ぶから」
ますます首を捻るルルーシュだったが、ややあって聞こえたドアチャイムで弾かれるように再び立ち上がりインターホンまでぱたぱたと駆けていく。残りわずかだった雑煮を食べ終えてからゆっくり後を追えば、玄関にスザクが着いたときには配達員の姿がドアの向こうに消えたところで、ルルーシュが頬を紅潮させてスザクの方へ振り向いた。
「枢木さん、枢木さんこれ! これ、kotatsu!」
興奮のあまりかイントネーションが非日本語のそれになっているのを思わず笑いながら、「うん、炬燵。注文してたんだ。ルルーシュ、本物見たことないって言ってたから」と意識してさらりと伝える。ああ注がれる「枢木さんすごい! かっこいい!」の眼差し。
「すぐ組み立ててあげるから。炬燵でみかん食べてさ、おせちも食べて、一緒にテレビ見て、ごろごろしよう?」
さあ来い! 飛びついてハグ! 顔には出さず、しかし期待ではち切れんばかりの胸を脳内で大きく開く。ルルーシュの瞳がきらきらと輝き、勢いよく広げた両腕をがばりとスザクの首へ回して――近づく温度! 触れ合う胸!
「枢木さんっ、ありがとうございます! 大好きです!」
やったーーーーーーーーーーー!!!
  15:00
予定通り炬燵と一緒に届いた神社のジオラマを組み立てるのには、予想以上に骨が折れ時間がかかった。ルルーシュと二人、お互いに細かい作業は得意だと自負していたが、出来上がったときにはどちらからともなくぐったりとした溜息が漏れたほどである。
「紙製だとは思えないですね。すごくしっかりしてる」 「そうだね、ちゃんと狛犬もいるし」
しかしジオラマと目線の高さを合わせ、炬燵の天板に顎をついて感嘆するルルーシュの美しい目瞬きと、その度に音を立てそうな睫毛を見ているだけでかなりの回復を感じるのだから安いものだ。否、この至近距離でルルーシュの素の表情を凝視できるという立場はどれだけの維持費がかかろうとも手放せない。このジオラマなんて二千円ほどの代物なのだ、むしろ神やら運命やらに莫大な額の値引きをしてもらっていると言える。
「でもちょっと、結構疲れましたね……今年の疲労初めだ」 「俺らジオラマを舐めてたね。あ、横になるならいいよ、膝」 「いいんですか? じゃあ、お言葉に甘えて」
炬燵に入ったまま横たわろうとするルルーシュに好機とばかり、だが極めて何気なく誘導をかけて、自身の膝に頭を置かせることにも大成功した。改めて見下ろせばなんて小さな頭、形の良い頭蓋だろう。そして髪の間から覗く、耳のやわらかく真っ白なことよ。指先でふにふにと耳殻を揉めば「くすぐったいですよ」と笑いながらの抗議が来た。
「ごめんごめん」
永遠にこの時間が続けばいいのに、と思うもルルーシュは早々に身を起こし、「だけどようやくこれで初詣が出来ますね。ほら、枢木さんも」と傍らに用意していた小箱を引き寄せる。中に入っていたのは賽銭箱を模した貯金箱で、スザクが「神社は混むし、どこに行っても人目が多すぎるから家で初詣をしよう」と提案したことに想像よりも遥かに喜んだルルーシュが買ってきたものだった。大学の友人に連れられて行ったヴィレッジヴァンガードで見つけたのだとか。前半は気に食わないが(男であれ女であれルルーシュと買い物をすることにデートの意味を見出さない人間などいるものか)、未だに場慣れしないという猥雑な雑貨店でおずおずとはしゃぐルルーシュの姿は想像するだに素晴らしいマスターベーションの供になる。
「二礼二拍手一礼、ですよね? お賽銭は先でしたっけ、後でしたっけ」 「合ってるよ。賽銭はよりけりだけど……まあそもそも手水とか鈴緒もないし、タイミングとかは気にしなくていいと思う」 「これね、見てください枢木さん。綺麗なのを用意したんです」
いそいそとルルーシュが取り出したのは五円玉が九枚で、「四十五円でしょう? 始終ご縁がありますように、って」とどこか自慢げに教えられる。
「すごいね、よく知ってるね」
チャンスとばかりに頭を撫でると、ルルーシュは一転して照れた笑みを満面に浮かべた。積もりに積もった欲望はもはや己の武器ともなっている。人間は進化する生き物だ。
「ご縁って、誰との?」
だが心温まっているだけの場合ではなく、ここはしっかり聞いておきたいところだ。これだけこちらからの想いを重ね、圧を込めておきながら、ルルーシュの恋愛観や好みのタイプといった情報を聞き出せたことはまるでない。ルルーシュの側からスザクに聞きたがることは多々あれど、反対にこちらからそうした話題を振るとルルーシュは本当に困ったようになってしまい、反応に窮してわずかに落ち込んでしまうのだ。
「そうですね、俺は特定の神を信仰している訳ではないんですが、何か大きな、上位存在のようなものはあるのかなと、ぼんやりですけど。それがもたらす運命だったり、チャンスだったり、そういうものとの良縁を、と思って」
ルルーシュは当然、性愛に無知というわけではない。仮にも二十歳の男子なのだ。この仕事をしている以上、扇情的なアピールを行うこともある。だがそれとは別の次元で、性の部分に希薄さを感じる、というのがこの三年間ルルーシュをじっとりと見てきた人間の所感だった。本人に確かめては勿論いないので、あくまで所感に過ぎないのだが。育ちの良さが影響しているのか、パーソナリティで片付けられるものなのか。ともかく、そのまっさらに見える惚れた腫れたの大地に芽吹きの気配があるのなら、早めに熟知し傾向と対策を――と思ったのだが、この様子ではまだ「優しくて大好きな枢木さん」に甘んじていられそうだ。
「――あとは、その。当たり前ですけど、枢木さんとのご縁も、ずっと続きますようにって」
枢木さんは何円入れますか? あっ、小銭って持ってないですよね。枢木さん、キャッシュレスの人だから。じゃあ、俺と一緒にこの四十五円、入れましょうね。半分ずつ二人で持って、せーのって。九枚だからどっちか一枚少なくなっちゃいますけど――ルルーシュの楽しそうに話す声を聞きながら、思わず目頭が熱くなったのを慌てて堪える。 炬燵の一辺に並んで座り、小さな神社を前にして二礼、二拍手、一礼。それぞれに目を閉じ、しばしの無言で願いを捧げる。神様、俺をずっと、ルルーシュの隣にいさせてください。セックスなんて出来ないままでもいい、いや今のは撤回、ルルーシュのおちんちんも見たいし舐めたいし触りたいし触ってほしいです。出来れば今年中にご査収願います。何卒。
「そうだ、おみくじもあるんですよ。初詣といえばおみくじですよね、今持ってきますね」
うきうきとした語調ながら名残惜しそうに炬燵を出てどうやらキッチンに向かい、バスケットを手に戻ってきたルルーシュがまた素早く炬燵に潜り込む。バスケットの中には人間の形をしたふわふわのパンが四つ、レーズンの目やボタンをつけられて可愛らしく鎮座していた。
「これって、あのラジオで言ってたやつ? えーと、��� 「そうです、マナラ。美味しいですよ。では枢木さん、���の中から好きなのをひとつ選んでくれますか?」
これがルルーシュの用意した「おみくじ」なのだろうか。なにやら誇らしげな顔で見守られ、カラフルなチョコレートで靴を履かされている一体を選んで手に取る。「裏返してみてください」と囁かれ、パンをひっくり返せばそこには、筆にチョコレートを取って書かれたと思しき、この手の装飾には異様なほど達筆な「大吉」の文字。
「おめでとうございます! 大吉ですよ! 枢木さんの二〇一八年は良い年になりますよ」
心底嬉しそうに楽しそうに、自分の食べるマナラを持って手を振るように動かすルルーシュ。こんな、スザクにおみくじを引かせるために、わざわざパンを焼いて、裏面に文字まで仕込んでわくわくと待っていたのか。抱き締めたい、猛烈に抱き寄せて深く深く口づけてしまいたい。可愛らしく振っていた手の部分から早速食べている唇を奪いたい。でろでろに愛しさで蕩けながら、スザクは大吉パンの頭に齧りつく。
  21:00
「小腹が空いた気がします」
シャルルからの頂き物だというオリジナル日本酒『ルルーシュ』を大事そうに呑みつつ、毒にも薬にもならないような正月特番を微笑んで眺めていたルルーシュが突然、真剣な顔つきで報告してきた。
「枢木さん。俺は小腹が空きました」
むしろ宣誓と表現してもいいくらいの真面目な申告だった。「おせちのローストビーフ、確か残ってましたよね。枢木さんも食べますか。食べますよね」と静かな口調ながら言い募られ、「そうだね……ちょっとつまもうかな」とわずかに気圧されて答えると、ルルーシュの表情がぱあっと明るくなり、「にっこり」の図解として辞典に採用されそうな満面の笑みが浮かんだ。毎度思うがあまりにも顔が良い。
「取ってきますね! ローストビーフと、みかんのおかわりと、あと、ビールと」
浮き足立っているというよりほとんど千鳥足、これはかなり酔い始めているな、とキッチンへ向かう綿入れ半纏(こちらも着ているところが見たくて買った)の背中を目で追う。そして頬が緩む。炬燵机の上に置かれた、みかんの皮を広げて作った蛸にも口元がにやける。スザクが作ってみせてやったのを意気揚々と真似していたが、今見ると足が七本しかない。
「おせち、何が一番美味しかったですか?」 「一番? えー、難しいな……生春巻きかな。えびのやつ」 「あれは特にうまくいきましたね。もっとたくさん作れば良かったかな」 「また作ってよ。この前の餃子みたいにさ、大量に。次のおせちにも入れてね」
右手にローストビーフの皿、小脇にクッキーの細長い箱を抱え、左手に缶ビールの六缶パックをぶら下げつつみかん入りのネットを胸で抱えるという器用な格好で戻ってきたルルーシュへ、早々とかつ当たり前のように来年のリクエストを申告する。せっかく手作りするのだから互いの好きなものだけを入れたお重にしよう、とルルーシュからおせち料理の提案をされたときは自分でも度が過ぎていると思うほど大喜びしてしまった。大晦日の朝から並んで台所に立ち、ルルーシュのいつもながら鮮やかな手際に見惚れつつ、包丁捌きを褒められたり共に味見をして頷きあったり、あの楽しさはまるで子供の頃の自分までもが優しい手で抱き上げられたような心地だった。ただでさえ五つも年下で同性の相手に、ただ懸想するだけでなく母性まで求めるようになってはいよいよ終わりの始まりだと自覚してはいる。だが「あ、これたぶん甘いですよ。これもそうかな」とみかんを選別してこちらに寄せてくるルルーシュに、高鳴りとはまた違う、震えるほどの胸の衝動を覚えない男が果たしているだろうか。
「ミスターイトウのバタークッキーが昔から好きなんですよね。ムーンライトとかも美味しいけど、俺はやっぱりこの赤い箱に胸がときめく」 「ね、ルルーシュ」 「はーい。なんですか?」
酒に酔っていることもあり、出会った頃では考えられないほど気安くなってくれた反応。少し濡れたように瞬く睫毛、何にというでもなく、場の雰囲気に緩く笑んだ美しい唇の端。
「今年も、良い年になるといいね」 「はい。二人で、素敵な年にしましょうね。……あっ桃鉄! そうだ桃鉄やりませんか! 俺ね、結構いろいろ勉強したんですよ」
スザクの感傷を吹き飛ばさんばかりに勢いよく立ち上がり、「Wiiリモコンってこっちのチェストでしたっけ?」とわくわく探し始める姿に、思わず吹き出すように笑ってしまった。準備を手伝いに腰を上げ、「勝利パターンとか、カードの対策と使い方とか。もうやられっぱなしの俺じゃありませんよ、なんなら枢木さんに一泡吹かせてやりますからね」と意気込むルルーシュを軽くからかう。
「威勢がいいねえ。じゃあ罰ゲーム制にしよっか、ルルーシュが勝ったら何でも言うこと聞いてあげる。そのかわりあれだよ、負けたら俺にキスだからね」 「えっずるい! 俺もそれがいいです!」
明らかにふざけているとわかるような声色を作って言った台詞を食い気味に主張され、予期せぬ反応と勢いにぎょっとする。「俺が勝ったらー、枢木さんは俺に勝者のキスですからね」と続く語尾のふわふわした口ぶりは、完全に酔っ払い特有の様態。
「えっ……えっ、いいよ、うん」
鼻歌を歌いながらディスクを本体に飲み込ませるルルーシュには、自分が言ったことにどれだけ重みがあるか、いかに今スザクが動揺しているかもわかってはいないのだろう。スザクが勝ったらルルーシュとキスができて、スザクが負けたらルルーシュとキスができる? いや違う、負ければスザクからのキスだが勝てばルルーシュからのキス、両者は似て全く非なるものだ。恐らくルルーシュの中ではダチョウ倶楽部的な認識か下手をすればそれ未満だが、スザクにとってみれば瓢箪から駒の超特大級お年玉だ。
「何年でプレイしますか? 三十年……いや、五十年かな」 「三年決戦でいこう」
三年で片をつける。そして絶対に、ルルーシュの方からキスしてもらう。「えー、北海道大移動は起こさないんですか? そこも研究したのになあ」と可愛く不満を述べるルルーシュにクッキーを咥えさせて誤魔化し、スザクはリモコンを握る手にじっとりと汗を滲ませた。 結果として、我欲は人間を驚くほど弱くするもので、かのイカロスもただ飛ぶだけなら良かったものを太陽に届かんとしたその途端に翼を溶かしたというわけで、ものの見事にスザクは敗北を喫したのである。流石ルルーシュの「研究」は伊達ではなかったということか、いや運の部分ばかりはどうしようもない要素であって、やはり天がスザクの下心に味方をしなかったということなのだろうかしかし結局キスはできるのだから抜かったな天よ! なにせ前回の偶然から一ヶ月もせず再び巡ってきた、しかも今回は完全同意のチャンスである。酒に酔っての言動を同意とするのは人としてどうなのかという後ろめたさも小さじ程度ありつつ、もはやそんな理性を働かせてはいられないほど状況は切迫しているのだった。リモコンを静かに床へ置き、勝利に拳を掲げているルルーシュに向き直る。別にこれを機に関係を進めようだとか、ましてやそのまま押し倒してやろうだなどと思っているわけでは決してないのだ。ただ、人生に少しばかりのご褒美が欲しいだけ。ルルーシュという奇跡の存在と寝食を共にして、あまつさえその唇に触れるという極上の果実を「少しばかり」と形容するなどまさしく天をも恐れぬ所業だと自覚はしているが、それでも。
「ルルーシュ……」
好きだよ、と続けて甘く囁いたとしても、それが愛の告白だと受け取ってはもらえないこの身の切なさが、少しくらい報われてもいいじゃないか。
「あっ、そうですね! やったあ、じゃあお願いします」
――弾む口調で目を軽く閉じ、ルルーシュが自身の頬をとんとんと指差したことで、夢から醒めたように気付いた。そうだ、何もマウストゥマウスで、と指定されてはいなかったのだ。勝利のキスを頬に、というのは最近までやっていた番組名物のビストロコーナーでもお決まりの行為だった。なるほど、それならルルーシュが、いくら酔っているとはいえ自分からねだってくるのも理解の範疇内である。浮かれきっていた自分を内心、自嘲で笑い飛ばそうと努めながら、いやでもそれにしたってご褒美はご褒美に違いない、もうルルーシュのほっぺの感触を味わいつくしちゃうもんねとルルーシュの両肩に手を置く。近づく肌のきめ細かさと、香る黒髪の甘い匂い。はやる心臓が着地点を間違えないように、慎重に近づいて、
近づいて?
唇が。
ルルーシュの唇が、ルルーシュが瞼を一瞬開いて、またすぐに閉じて、顔を。
顔の角度を、変えて、スザクの唇に。
唇が、くちびるに。 「――ふふ、びっくりしました? この前のお返しです。なーんて」
放心しているスザクに、ルルーシュは悪戯が大成功したという笑顔で言う。「……あ、すみません、嫌だったですか?」と表情が翳りかけたのを慌てて勢いよく首を横に振り、「いやいやいや違うすごいびっくりしただけ、えっだってすごいブラフ……えっ待ってどこから?」と無意味にルルーシュの半纏の紐を結び直しながら返した。ルルーシュはほっとしたように頬を緩め、そしてまたにんまりと笑ってWiiリモコンを手遊びに振る。
「最初からです、最初に言ったときから。枢木さんが勝ってもそうしようって思ってたし、俺が勝ったら先制攻撃の不意打ちで、って。俺あのとき、誕生日のとき、すごくびっくりしたんですよ。だからお返しです。目には目を」
こんなところでハンムラビ法典を聞く試しがあるとは思わなかった。などと冷静に言ってはいられない。否もう、まるで冷静ではない。「そっかーいやほんとすごいびっくりした俺も、ルルーシュすごいねほんと良い役者、あー本職、俺も本職」と早口で並べ立て、無意味に手を握っては開き開いては握り、してやったり顔のルルーシュに爽やかな笑みを見せる。
「完全に騙されちゃったな。ああごめん、俺ちょっとトイレ行ってくるね」 「はい。すみません、俺も結構もう、眠くなってきたので……歯を磨いてきますね」 「オッケー。寝る前に声掛けて」
めいめいに立ち上がり、洗面所の前で別れて、ルルーシュが立った鏡越しの視界に映らない場所まで進んだところでトイレへダッシュする。短距離走者の本気の走り方だ。音が立ち過ぎないよう気をつけつつ急いでドアを閉め、息をつき、個室の中でしゃがみこむ。ぐうう、という音とも声ともつかないものが自分の喉の奥から漏れた。
「無理……好き……あー無理、超好き……どうしよう……好きです……」
ついに独り言が敬語になってしまった。ジーンズを下げてぼろんと飛び出す、元日にしてすでに今年最高ではないかという隆起を見せつける我が陰茎。そうだ今年は射精をする度に、赤十字社へ寄付をしよう。みなさんの二〇一八年が、どうぞ良きものでありますように。                
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furoku · 5 years
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おともだち 2020年1月号《特別付録》スター☆トゥインクルプリキュア おしゃべりタイマーほか【購入開封レビュー】
スター☆トゥインクルプリキュア おしゃべりタイマーはどんな付録?
スター☆トゥインクルプリキュア おしゃべりタイマー が付録だよ! おともだち12月号 | 講談社こども倶楽部
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おしゃべりタイマーの使い方 ボタンをおすとタイマーが流れます。好きなカードを入れて、カードと同じボタンを押して使います。
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・左の十字ボタン・・・カウントダウンタイマー/ストップボタン ・1ぷん・・・てあらい・うがいモード ・2ふん・・・はみがきモード ・3ぷん・・・おきがえモード
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原産国は?素材は? <製造国> 中国 MADE IN CHINA <素材表記> 本体:ABS シール:紙、PP 絶縁シート:PET <使用電池/対応カートリッジ> ボタン電池※交換不可
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サイズはどれくらい? タイマーは交通カードぐらいのサイズです。
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付録を使ってみた感想は? ほどよい厚みと重みがあり、子供の小さな手でもしっかり持てそうなサイズとフォルム。 タイマーには最初から電池がはいっていました。裏面のシートをひっぱって外せばすぐ遊べます。
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タイマーのカードは4種類。カードは本誌から切り離して使います。
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早速、おしゃべりタイマーを使ってみましょう。 「はみがきモード」にチャレンジ! ピンクのボタンを押すと「ひとりではみがきできるかな?」というかけ声や「シャカシャカ」「ブクブク」というリズミカルなメロディーが流れます。 プリキュアが応援してくれるので楽しく歯がみがけました。残り時間が少なくなってくると「あと30秒」などとカウントダウンが始まり、時間の流れもわかりやすかったです。 しっかりできたら本誌についている「プリキュアおやくそくポスター」に、シールをぺたっ!
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達成感もバッチリ♪ わくわくすごろく 「プリキュアおやくそくポスター」をひっくり返すと「わくわくすごろく」になります。本誌についているサイコロやこまを組み立てれば、すごろく遊びも楽しめます。
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プレイえほん ケーキやさんあそび 本誌には「プレイえほん ケーキやさんあそび」でケーキやさんごっこも♥ ケーキのたねやトッピングは切り離して使います。
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てっぱんをにケーキのたねを入れて……
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ページをめくります。
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オーブンのとびらを上にあげて……
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前にぱかっと開くと……ケーキが焼けた~~♪
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お皿にケーキをのせて好きなトッピングをしたらかわいいケーキの出来上がりです!
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この付録、アリ?ナシ?
あり! 毎日の習慣にしたい手洗い&うがい、はみがき、おきがえ。我が子はたまに「いや!」「お母さんがやって!」といって私が手伝っていることが多く悩んでいたので早速活用したいと思います。 プリキュアが応援してくれる&ゲーム感覚でチャレンジできるので、これで習慣が身についてくれれば……と思います。おやくそくポスターで目に見える達成感があるのも嬉しい。
購入した付録つき雑誌/ムック
おともだち 2020年1月号
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発売日:2019年11月29日(金) 価格:980円 講談社 Read the full article
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