#あとちょっぴりしたら京都来て
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moment-japan · 2 months ago
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富山での仕事が終わってそのまま金沢。
(連日、あちこち行ったり来たりでしんどすぎる)
金沢駅は修学旅行の生徒で一杯。
金沢は京都と同じく観光地なので、JRだけではなくローカルの鉄道会社の車内アナウンスも英語がバンバン出てくるのが楽しい。
いつものように近江町で友達とお昼ご飯して、ひがし茶屋街へ行くと尋常じゃないくらい観光���がいてまったく前に進まないので離脱。
(なんじゃこの人の多さは)
今週、約1か月ぶりくらいに米を食べました。
(まじか。笑)
水曜日に富山のローソンで、おにぎりポーク玉子というのを買ってたべたのですが、考えたら1か月ぶりの米だなと。
米を食べなくても全然大丈夫なタイプなので何の問題もないのです。
ひがし茶屋街は毎年のことですが、秋の観光シーズン前に所々で工事をしておりました。
ひゃくまん焼きを買うのを忘れたとか思いながら浅野川沿いを歩くと、柔らかな風が吹いて気化熱効果でちょぴり涼しい。
そのまま歩いて茶屋街から結構近くにある自動車屋で愛車の車検の打ち合わせ。
事務のおばちゃんから金沢一高級な加賀の冷たい番茶(ほうじ茶)を頂きました。
(やっぱ高い茶は旨い)
昨日土曜日は、いしかわ四校記念公園で毎年恒例の「金沢ジャズストリート」を見てきました。
駅の近くの東別院とか、尾山神社とか至る所でやってます。
バンド名は忘れましたがむちゃくちゃ演奏の上手いジャズファンク系のグループが「Starsky and Hutchのテーマ」を演奏してくれていてニンマリ。
しかし、尋常じゃないくらい暑くて3バンドだけ見て帰宅。
散歩とか歩いて行動するのはいろんな発見があって楽しい。
帰宅途中、街中なのに物凄く安く地物野菜を売っている八百屋さんを発見したので友達に教えてあげようと思います。
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kaoriof · 1 month ago
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*受験期の頃に書いた日記です
傷 kiss
友人たちが次々と大学に合格していく事実が今もずどんと馬鹿でかい劣等感と化して心臓の上で横たわっている、昨日も同じ夢を見た。不安な気持ちばかりが先走るけれど、かっかしていても何も変わらなかった。他人と比べて自分の優れているところを必死に探していないと自己を保てない自分がほんとうにほんとうに惨めで、マスクが無ければたぶんぼろぼろ泣いてしまっていたと思う。心の底に横たわるみずうみが氷っていくの、口元が覆われているとそれだけで自分が自分じゃない感じがして冷淡になれた。わたしは自らの足音にだけ集中して、ただ早足で行き交う人々のあいだをすり抜ける。ずーっと頭の中を同じ映像が流れるのをむりやり切り落として、でんしゃを滑らせる線路をじっとみつめる。夕陽の光が錆びたその金をうつくしく縁取る様子が痛々しいくらいにまぶしい。受かった瞬間に内職をぱたんと辞める同級生。せーので問題を皆んな一緒に解き始めるとき、隣の子が必死に解答を隠すように背中を丸めて腕を机の上に伸ばす。そういうのばかり見ているとほんとうに、ほんとうに。言葉もでなくなってしまう。なにをそんなに誰かのことを気にするの?と、母の言葉が反芻する。光がまばらに散らばる街並みをみて、光も照らすものを選ぶのかしら、とかおもった。まいにちずっと罰を受けているみたいな日々、冬が近づくにつれて正気を失ってゆく街の様子にそれはもう痛いくらい同情してしまうし、ひたつやふたつ良いことがあっても誰かのそれと比べて自ら幸福の値段をどんどんさげてしまう。ずっとそばにいてほしい。幸福に値段なんてないよ、とかそんなこと言わなくていいの、わたしだってそんなことはわかっているし、いいの。天使とか悪魔とか神さまじゃなくて、ただわたしはわたしにそばにいてほしいし、そこにすきなひとたちがいてくれたらもっとうれしい。何も着ないでぶるぶる震えるわたしのからだを愛しているひとが白いバスローブで包みこんでくれたこと、カチカチに凍ってしまったアイスクリーム。減ってゆく数字。つめたいのにあつい、霧のカーテンの向こうに浮かぶ満月。目の前を歩いている女の子が落としたカードのようなものを拾い上げて渡す。肌寒くはないよ、いっぱい着込んであるから。舌に吸い付いた生ぬるい塩っぽさを誤魔化すために、瞬きもせずその息を呑んだ。
落ちてゆく流星群
不確かなものに心を揺さぶられながらもそれを掴んで決して離そうとしない自分の必死さに、自分で傷つい���いる。教科書を開いて新しい知識を得るたびに、脳内にびっしりと張り巡らされた細い糸のようなものがぴんと鋭く光って、しずかに緊張する。その感覚をわたしは思い出そうとすればいつでも思い出せるし、べつに勉強が嫌いなわけじゃない。ただ、生きているなあ、と、胸に広がるあたたかさを抱きながらそっと泣いたりする夜が少なくなった。そもそも生きていながら生きているという実感が欲しい、なんてことを考えている時点で可笑しい話かもしれないけれど。
中学の頃、冬になると毎年マラソン大会が開催された。今日みたいな寒い日にふと当時の怠さを思い出したりする。校庭の砂に石灰で大きく楕円が描かれ、その周りをひたすら走るだけの超つまらないイベント。冬の、鼻先をつんとすり抜けるような寒さと冷たい風の乾いた匂い。忍ばせたカイロと、白く上がる息。
このごろのわたしはちょうどその延長線上を生きているような感じがする。毎日同じ景色の中をぐるぐるとまわり続け、いっそのこと軌道から外れてすべてを諦めてしまいたいと思うけれど、そんな勇気も出ないまま、結局は体力と時間だけをひたすら消耗しながらゴールへ向かって淡々と走ることしか出来ない。気を緩めると涙がぽろぽろ溢れてくる。生きているという事実だけでくるしい。日に日に遠のいていく同級生の背中がいつだって意図せずとも視界に入ってきて、やるせない気持ちになる。地に足付かずでいたい、なんてことを随分と昔に書いたような気がするがとうとうそんなことも言えなくなってしまった。未来のことを考えましょうと言う先生の言葉を聞くたび、わたしは勝手に銃口を突きつけられているような感覚になる。もはや自分が果たしてどこにいるかもわからない。
来月には部活の大会を控えているし、予備校の冬季講習に加えて学校の講座を受けないといけない。三者面談と進路選択。期末試験。呑み込めずに舌の裏で転がるC判定という言葉を噛み砕くのにまだ必死なのに。
やりたいことを一つに絞るということは、それ以外を切り捨てるということ。ここから気になる大学を選んでくださいと、大学の名前と学科の一覧が記載された辞書のように分厚い本が配布された。今のわたしには、その厚さの分だけ未来の選択肢がある。そこに記載されている言葉の数だけ莫大なあたらしい世界が。そこから否が応でもたったひとつのものを掬い上げないといけない、その事実が少しだけ重苦しい。けれどそれに値するほどの価値が、これから先の時代を生きるわたしにあるということが同時にちゃん��嬉しい。
疲れた、という言葉にふさわしい努力をしていないのに、毎日すこしずつ疲れている身体はまさに地平線すれすれを生きているような具合で、わたしには喜びのほんの些細な余韻に浸れるほどの余裕もあまりない。なのに、そういうときに限って世界の美しさはいやに眩しい。たくさんのことを書き残したいと思うけれど降ってくる感情をひとつずつ捉えることはそう簡単なことでないし、そのくせして必ず少しの苦しみを伴うのだ。インターネットさえなければ言葉に残せなかったことを後悔することなんて無かっただろうに、それでも縋ろうと踠きながら残すべき自分を探してしまう自分をわたしは可哀想だと思う。わかっている。
もう秋も終わってしまう。寒いね、寒い、とぽつぽつ浮かんでくる言葉を拾いながら、誰かと手のひらを重ねたい。人と比べてしまう限り、わたしはこれからもずっと孤独をひとりで噛み締めないといけないから。胸をきゅうとさせる寂しさにもそろそろ慣れてしまいそうだから、はやくすべてが終わってほしい。はやく好きなことの勉強だけに追われる生活がしたい。そういう思いでひとつずつ過ぎ去っていく毎日の、行き場のないもどかしさも冬の寒さに凍ってしまえばいいのに。ううん、ほんとうはわたしが自分のからだで寒さを耐え凌いで、自分の力だけでもって愛すべきものたちや些細な記憶を守るべきなのだ。だけど、それが出来るほど強くないだけのこと。
無題
銭湯に行きたい。受験して、でもいいところにひとつも合格しなかったら巫女のアルバイトでもしながら京都で浪人生活をしたいな、とかんがえていた。ひさしぶりにおふろで哀しい音楽を聴いた。なんでもない日に哀しい歌をきくと、より一層哀しさが加速されるというよりなんだか心が細く研ぎ澄まされていく感じで今までの日々がきゅうっと音をたてる。雑巾をさいごまで力強く捻って絞り出す汚水、長距離走の最後の2分間、なみだが出る前の喉元になにかが込み上がってくる感じ、そういうの。とてもぼろぼろなんだけど、それと同時になにか澄み渡っていくものがある。だれかのがんばりと比べると劣るかもしれないけれど、ようやく夏も終わろうとしていることに救われる。ふつうの日々が、たくさんあつまって束になる。ぺたぺた歩く、濡れた髪にドライヤーをあてると耳の中に残っていた水があったかくなってきもちわるい。わたしは顔が良いわけでも、精一杯の力で努力できる力量もない。かといって特別な才能だって持ち合わせていないし、たまに数え切れないほどきらきらしたものを抱えている人をみると妬みと自分への劣等感で自らを押し潰れてしまう。だれかの人生で自分自身が、自分のうみだしたものが、かけがえのない財産になれるってとてもうつくしくてズルいと思う。数字��どこでもすべてにレッテルを張るから、それなりのレッテルを貰えなかったらどれだけ美しいものを持っていても誰にも見つけてもらえずにおわってしまう。わたしはそれを未だ求めてしまうほど本当は幼稚で、幼稚で可哀そう。ねえこういうのって黒歴史になっちゃうと思う?今年の夏は滝をみるはずだったけど、それすらまぼろしになっちゃった。ずーっと空白の未来の下準備を重ねているような現実から離れて、すこしはずれた小さな町で虫捕りしたり桃を買って丸噛りしたりしたかった。大学に入ったらどんなひとがわからないけれど、自分がもっているものと同じくらいのものをもっている人がいるのかなと思うとすこし楽しそうかもという気持ちになる。免許を取りたいけれど友だちにありじの運転は危なっかしそうだから乗るのこわい〜と言われた。そういうふうに笑ってくれる友だちがいるだけで、わたしはもうすでに色々な人の中で財産なのかもしれない。そうじゃなくても、かけがえのないものに出逢えるきっかけになれているかもしれないと薄ら感じてしまってまた胸がきゅうってなる。だれにもわからないことがあっても、言葉にされない何かがあっても、それを価値のないことと結びつけることは暴力じみた愚行かもしれない。自分の中にもまたいろいろな自分が内在していて、自分でも翻弄されてしまうことがあるし、文章を書いていても一貫性がなくて凛としない。英文法の参考書をぱらぱら眺めていたら、into the blue というのがあった。遠いところへ、彼方へ、という意味らしい。あーあ、しんじゃいたいね。
無題
予備校が終わって帰ろうと駅へ着いたけれど、次の電車が10分もあとにくるのでホーム内にある明るい禁煙スペースに入る。寒くなってきたので制服のブレザーを卸した。おおきな硝子に自分の閉じた長い足が映る、ひとが一人ずついなくなっていって、さいごには結局がらんどうの箱のなかでひとりただじっと電車を待つことになった。曖昧な形の◯とか△とか、がさがさ、つやつや、さらさらとか、そういうふうに不確かな輪郭だけ残してことばが次々とその形を変える。一つずつ掴んで物語を紡いで美しく完結させたいのにビー玉とか乱射する光みたいに思い浮かんだことすべてが一種の暴力を伴って脳内を猛スピードで駆け巡る。すぐそこにあるのに実態がわかんないし、むかつくむかつくむかつく、自分を飼い慣らすことでさえこんなに疲れる、もうだれとも話したくない、と消化しきれない感情がずっと身体の皮膚の内側のいちばん近いところで叫ぶこともできずにちりちりと火花を放っている。ロックとかやさしさとか愛とかそういうのぜんぶ病名みたいなものなのかもしれない、ひとつの感情にもその後ろに��それをそれたらしめる色〜んな歴史があるし、たぶんこの不甲斐なさもいつかコピーペーストを重ねるうちにすこしずつ美化されてしまう。線路にわざと隙間があるのはとりわけ夏あたりに摩擦熱で鉄が溶けてしまわないようにするため、というのを授業できいた。がちがちに隙間のひとつも有さずに固められたものがいちばん揺るぎないもののように思えるけれど、実はちがくてそういうのが最も脆いものらしい。ともだちにしろ恋人にしろ自分の将来とか自分のアイデンティティも然り、全てに対して揺るぎなさ、安定とか、そういうのをひっきりなしに求めていたけれど、もっと流動体のような観念で受け止めたい。ずっとそこにある月でさえ欠けたり満ちたりするし、花の一つをとってでさえその形や色はすべて毎日かわってゆくけれど、それはそれらが美しくないことの理由付けにはならないし、信用に足らないことの言い訳にもならない。情報として飛び込んでくるいろいろなものを変に調律したり濃く輪郭をなぞったりするのではなくて、ぜんぶ自分のもっているものの周りに飾っていきたい
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ttt-ral-info · 6 months ago
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抵抗と灯火 - Resistance And Lamplight - vol.3 "Dear Palestine... Vibrations of Solidarity"
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抵抗と灯火 - Resistance And Lamplight - vol.3 "Dear Palestine... Vibrations of Solidarity"
2024.6.9 SUN at 高田馬場JETROBOT
📍Address📍 東京都新宿区西早稲田3-28-1 RICOSビルB1F
Open 13:00 / Start 13:30
ADV ¥2,000- DOOR ¥2,400- + 1drink ¥600-
Artists : MKRDTSB / Peace ∈ CaF2 / hirano taichi / ネコダ珈琲 + おしゃべりタイム(適宜)
🇵🇸🍉🕯️
「抵抗と灯火」はあらゆる権力、理不尽、腐敗に抵抗してゆくプロジェクトです。第3回は、第1回、第2回に続き、一市民として、“あいするパレスチナへ連帯するバイブス”を持ち寄る空間を作ります。
🇵🇸🍉🕯️
チケットのご予約は「抵抗と灯火」の予約受付フォーム(⬅︎こちら)よりお知らせください(2024/05/21時点でDMなどでご連絡いただいている方は受付できておりますのでご安心ください)。
25-30人程度で満員の小さな会場のため、ご連絡いただいた時点で満員が見込まれる場合、キャンセル待ちをしていただく可能性があります。人数の都合でご来場を叶えられなかった場合、ぜひ次回以降にお越しいただけるようにがんばります。よろしくお願いします。
🎤出演アーティスト🎤
MKRDTSB(み から でた さび / Bedroom-music) 音楽家・写真家・文筆家。抵抗と灯火主催。この星に生まれて以来、深い枯れた井戸の底に踞っている。2023年12月、井戸からパレスチナがつながる。この星のさまざまな問題が可視化される。希死念慮を抱える傍ら、死ぬまで生きると決めた。自らの存在があらゆる権力・理不尽・腐敗に抵抗を示す。
Peace ∈ CaF2(ぴーす かふつ / ラッパー) 昼は底辺の財政学徒、夜は曲作るマイメン達と。 自分の人生とこの社会にようやく向き合う気になった、 元マセガキの、今はイキった若者。 「俺が社会を変えられなくても、俺に刺激を受けた奴が社会を変える。」 (2Pac, 1994)
hirano taichi(ひらの たいち / シンガーソングライター) 大阪府出身。2010年に上京し、翌2011年に東京で東日本大震災に遭う。反原発のデモなどを行う。2018年、自ら監督、制作し、3.11以降の路上の行動をまとめたドキュメンタリー「TwitNoNukes Presents STANDARD」を発表。その際に音楽制作を行ったことをきっかけに、2019年6月より音楽活動を開始。自身で作詞・作曲・編曲・歌唱を行うシンガーソングライターとして活動する。ライブ活動を続ける傍ら、2020年1月、楽曲「お金で寝る身体」を発表。以降音源を散発的に発表。2023年1stアルバム「via」を発表。
ネコダ珈琲(ねこだこーひー / coffee color eyed soul) 2014年からピアノ弾き語りをしている。主にLaura Nyro Todd Rundgren XTC を愛す。NoHate NoFake。だれもころすな。
おしゃべりタイム イベントの合間、終演後は随時お客さん同士でおしゃべりをしたいひとはしてください。わたしたちはあいするパレスチナへ連帯するバイブスを持ち寄る者たちです。出演者もスタッフもおしゃべりしたいです。わたしたち、あなたとおしゃべりしたいです(もちろん強制ではありません)。インターネットとハッシュタグが得意なひとは「#FreePalestine」、「#アパルトヘイトに抗する文化」、「#artforpalestinechallenge」、「#抵抗と灯火」などをつけて、シェアをしてください。「わたしたちはここにいる」ということを、パレスチナに届くまでいっしょに伝えてください。
🕰️タイムテーブル🕰️
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※当日の進行状況によって変動する場合があります。
✉️お知らせとお願い✉️
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📝グラウンドルール📝
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🕯️そのほか🕯️
紙のチケットや、���子チケットはありません。ご入場時にご予約の際のお名前をおっしゃっていただき、会場奥側でチケット代+ドリンク代をお支払いください(※現金のみ)。
食べものの持ち込みはOKですが、飲みものの持ち込みはNGです(※会場内で持ち込みした飲みものを飲むことはご遠慮ください)。会場/高田馬場JETROBOTはソフトドリンク・アルコールともに幅広いラインナップでわたしたちを迎えてくれます。会場でお買い求めください!ライブハウスに敬意を払うバイブスも持ってきてね〜+直近で札幌へ行ってきたMKRDTSBからおみやげあります
イベント当日、「抵抗と灯火」チームで写真・動画の撮影を行います。お客さまのお顔を完全に映さないことは難しいことをご了承ください。
全出演者が写真・動画撮影OKです!随時SNSなどへぶち上げてシェアしてください。ハッシュタグ【#抵抗と灯火】や【@TTT_ral_info】のメンションをつけていただくと、こちら側で見つけやすいため、ご協力いただけるとうれしいですが必須ではありません。 →写真や画像を投稿していただくときには、ALT(代替テキスト)をつけて投稿を!
体調不良などでご来場が難しくなった場合、キャンセル料は一切かかりませんので、「抵抗と灯火」までご連絡をください。
テイクフリー・物販コーナーにてパレスチナ連帯パッチ、ZINEなどを取り扱う予定です。よろしくおねがいします。
途中から来てもOK、途中で帰ってもOK!
出演者はみんなプロパレスタイン(親パレスチナ)のひとびとです。来てくださる方もプロパレスタインのひとびとです。 6/9はパレスチナへ連帯するバイブスを持つ、四者四様の抵抗する音楽のイベントを予定しています。前回まで行っていたオープンマイクは今回はないですが、そのぶんおしゃべりしていただける時間を多く設けました。おしゃべりしたいひとは安心しておしゃべりしてください。わたしたち、あなたと話したいです。 ご来場と拡散をお待ちしています。
それまでに停戦。今すぐ停戦。
FREE FREE PALESTINE!!
FREE FREE FREE PALESTINE!!!
〈更新履歴〉 ・2024/05/21:各種SNSにアナウンスしていた内容を取りまとめてアップしました(チラシ入稿後のピースさんのプロフィールに誤植があります…(謝罪しましたが謝っても謝り切れねえ…)、本記事から最新のプロフィール文に更新しています)。 ・2024/06/02:タイムテーブルを更新しました。
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chaukachawan · 24 days ago
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役者紹介🚃💨🍩🍗
どうも、らびです。ビアゲ編も書き足したぞ。34期の皆さんは最後まで読んでくれると嬉しいな
【栞編】
今回のキーワードとなる「環状線」にちなんで、おそらくこの中で最も環状線を知ってるであろう私が、皆さんに似合いそうなオススメの大阪環状線の駅を書いていきたいと思います。被っても知らん。
〇園���香莉
大阪城公園
お散歩してそう。あの辺はお散歩にちょうどいいですからね、自然も綺麗でお城もあるし。かなりオススメです。古墳好きな人はお城も好きなんでしょうか
〇近未来ミイラ
寺田町
あの、ほんま、この駅ってなんも無…簡素で素朴なエリアなんですよね。素朴な舞台が好きなみーらのセンスと近しいものがあるような気がしなくもない。それにしてもほんまに何も無いこの駅。でもみーらなら独自の着眼点で何かを見出せそう
〇たぴおか太郎
大阪
キディランドもユザワヤもありますからね。間違いなく大阪駅でしょう。それはそうと、あそこのちいかわらんどって絶対にもっと広くするべきだと思いませんか?
〇錫蘭リーフ
福島
オフィスカジュアル的な衣装がとても似合ってるのでオフィス街でおなじみのこの駅で。でもほんまにあのオシャレなオフィス街歩いてそうなんだよな
〇帝京魂
京橋
京橋怖いよな。特に夜なんて怪しげな人が沢山いるし…でもこの辺色々ラーメン屋さんとかあるイメージですね。でもあんまり知らない。京橋怖いので
〇森々仙入
西九条
ユニバが似合いそう。ということでユニバに繋がってる西九条駅をチョイス。ユニバのクルーにいそう。私もユニバ行く時にしか使ったことないので西九条に何があるかが分かりません。
〇箏
福島
中之島の近くでもあるのですが、中之島のあたりは景色が美しいですねー。川沿いにおしゃれな建物が沢山立ち並んでいて緑も多くて…そんな景色がルーベにピッタリではないかなと
〇苔丸
弁天町
駅に隣接して空庭温泉という大型温泉施設があります。温泉だけでなく写真スポットやらレストランやらが沢山融合していて楽しい場所なので是非
〇響夜
芦原橋
ここには教習所があります。ここの教習所はなかなか難易度が高く、普段から千日前筋など大都会を走ります。ここに最狂のドライバーなびやをブチ込んだら一体どうなるんでしょうか。
〇ミル鍋
桃谷
この辺はオシャレなお家が多いですからね〜お金持ちの凝りに凝った家がちらほらあります。建築巡りしても楽しそうです。
〇あろハム権左衛門
福島
福島には美味しい飲み屋が沢山あるので、オーストラリアのパーリーで初手ジントニックをキメたあろハムならやっていけるでしょう。
〇アリリ・オルタネイト
玉造
住宅街のイメージなので街にいるネコちゃ��と触れ合いますね。あと近くの空堀商店街には猫カフェがいくつかある。オススメです。
〇〆切三日前
天満
商店街があって美味しい飲食店が沢山あります。かなりオススメ。市場もあるから芋も売ってるかも…新鮮な食材が勢ぞろいしてます
〇黒井白子
森ノ宮
森ノ宮には実は漫才劇場があります。ここでよくお笑いライブがやってるんですよねしかもなかなか豪華!あと普通に劇場もある。演劇も観れてピッタリやん
〇中森ダリア
鶴橋
コリアタウンあるからね、間違いない。鶴橋は少々治安が悪いのですが、あのゴチャゴチャ感はアウトロー好きのひらりなら問題ないでしょう。
〇きなこ
桜ノ宮
環状線で春にここを通ると川に沿って桜がいっぱい咲いててすごい綺麗なんですよね。雰囲気的に桜が似合いそうだなぁと思ってのチョイスです
〇暁レミエル
天王寺
放課後の天王寺にいそう〜〜JKが似合うのでJKが沢山いる天王寺です。画材屋さんもあるよ。あとアクセスが良い!でも阪大からは遠い
〇肆桜逸
大阪
都会の眩しさに圧倒されてほしいです。ちなみに大阪駅には「LUCUA1100」って建物があるのですがこの読み方ご存知ですか?
〇埖麦
天王寺
めっちゃ放課後天王寺にいそう2。高校生が似合うからかな。この辺の高校生は放課後天王寺のフードコートやらでたむろしてます。いそう
〇紫苑
新今宮
カオスと混沌の街、新今宮———。こんな場所になつめを突っ込んだらどうなってしまうのでしょうか…そのカオスさを見てみたいですね。でも新今宮に行くのはオススメしません。どっちやねん。オススメしろよ。
〇水琴冬雪
大阪城公園
カメラをやっているので。何と言っても景色が綺麗で撮りごたえのある場所なのではないかなと思います。春は梅や桜が沢山咲いててカメラマンも多いですよ
【BE YOU AGAIN 編】
BE YOU 「揚げ」INということで、みなさんにオススメの揚げ物を書いていきたいと思います。みなさんにオススメのと言いつつも、みなさんを揚げ物に例えると、みたいな趣旨になっているかもしれません。
東愛莉
ごまだんご
おさげ髪がよく似合うので。両手に持ってて欲しい
大良ルナ
ハムカツ
ピンク色がよく似合うので。頬張っててほしい
カキフライ
独特の雰囲気がありつつも魅力的である
うみつき
白身魚のフライ
サッパリしている、ぽい 
統括のフォーニャー 
チーズホットグ
キラキラしているから
緒田舞里
エビフライ
みんな大好きで華がある
大葉��天ぷら
爽やかだが渋さもある
埖麦
ポテトフライ
���者のジャンキーな雰囲気がぽい
岡崎仁美
竜田揚げ
唐揚げではなく竜田揚げ
雨々単元気
ししとうの天ぷら
辛いやつに当たって良い反応しそう
舞原の絞り滓
オニオンリング 
めっちゃなんとなくやけど、ぽい
じゃがりーた三世
串カツ
中身が全然わからない
オーム
コロッケ
声の雰囲気がコロッケの中身の感触に近い感じがするので
テキストを入力
ごぼうのの唐揚げ
細い
縦縞コリー
唐揚げ
唐揚げバカ
大福小餅
揚げパン
甘党すぎるから
叶イブ
チュロス
甘くて可愛いものが似合う
アリリ・オルタネイト
揚げ春巻き
グローバルな感じがするからです
はぜちかきつ
カツ
王道。似合う。
おや…役者紹介の様子がおかしいぞ…
▶︎役者紹介が団員紹介に変化した!
という訳で34期の皆さんには真面目なやつを書いていきたいと思います。
◯たぴおか太郎
稽古日誌とかコラ画像の感じとか見ていたら一見激ヤバな狂人だと思いきや、誰よりも優しくて気遣いの天才で努力家な素敵な方です。なすかさんがいないと成立しなかった事、沢山あるかと思います。あとセンスも大好き。今度の公演も楽しみにしています!
◯岡崎仁美
もはや友達。いっぱい遊びに行ってるもんね〜☺️時にはズバッと厳しい意見も言い場を締める役割は、下手したら嫌われ役になってしまう可能性もあるのに、それが出来るのは普通じゃないです。すごい。ヌピというデカい柱が無くなってしまうことは少し不安もあります。引退しても遊びに行きましょうね!
◯水琴冬雪
オムニに出てなかった私にとっては感謝してもし足りない人です。「らびはもうオレンジ班だからねー」って終礼に入れてくれた事にも大入りを書いてくれた事にも助けられました。嬉しかったです。今役者を出来ているのもベガさんのおかげだと思っています。宣美も、最後にまたベガさん脚本の担当が出来て良かったです。
◯緒田舞里
色んな意味でこうなりたい人。活動内容の特性上でしょうか、ちゃうかを楽しいとは思いつつもその下にはずっとしんどさもあって、でも外公終わりに色々お話しした時にそんな自分がなんかもう色々成仏しました。ありがとうございます。まりおさんは、「この人にそう言ってもらえるなら」と思わされる位偉大で、でもどんな人にも寄り添える素晴らしい先輩です。こうありたいと思う人です。
◯肆桜逸
絶対稽古場作業場吹田にいて欲しい。この人がいれば絶対その場が面白��なるからです。今年入ってから急激に仲良くなった気がします。インターネットの話するの楽しいですね😃引退しても吹田支部(旧)しましょうね。俺は吹田が大好きなんだよ!!
◯児
もう奇怪な動きをしたり美声を響かせてるこたちさんの姿が稽古場から無くなると思うと寂しいですね。自分の中でがっころの演出を出来た事は色んな意味で大きかったと思っていて、その点ではめちゃくちゃ感謝しています。次の公演も楽しみです。
◯らっしー
座長になるべくしてなった方ですね。らっしーさんのホワッとした雰囲気はちゃうかに安寧をもたらしていることでしょう。個人的には私服がカッコよくてめっちゃ好きです。進撃の巨人の服もかっこいいと思ってます。本当です。 
◯統括のフォーニャー
なんでも肯定してくれる優しいネキ。個人的にはもっとお話ししてみたかったし、役者ももっと見てみたかったなと思っています。全然関わりの強い訳でもない私が言うのもなんですが、強くてしたたかな方だなと思っています。
◯舞原の絞り滓
外公で共演できて嬉しかったです。もっとお話ししたいと思ってたので。横から聞こえるまほろさんのクソデカ声、いまだに恋しいです。だーがーしかーし‼️まだまだ知らないこともあると思います。願わくばまたその機会があらんことを…
◯じゃがりーた三世
結局この人のことを何も分からないまま引退してしまいそうです。本当不思議な方です。なんでそんな、後輩にもめちゃくちゃ敬語なんですか…?でも時々芯食ったことを言うので怖い。
◯アリリ・オルタネイト
ボス。舞美のね。猫みたいにフラッとどっかに行ったかと思えばフラッと戻ってきて頼りになる人。かっこいい。よくよく考えたらめちゃくちゃハイスペックなことを思い出してすげぇ…となるやつを何回もやってます。
34期、フォーエバー
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tutai-k · 1 year ago
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休暇。
10月1日~長期休暇だという噂が職場に流れていた。長期の休みなら行きたい場所はたくさんあったが、噂が流れはじめたのは8月の末くらいで、そんな時期から用意しはじめたのでは何も間に合わない。釧路と舳倉島、どちらにするか悩んだが、どちらも現実的ではないのであきらめて、結局長期休暇は取らずに、四連休だけ取ってあとは出勤した。来年も同じ時期に長期休暇があるのなら、半年くらいまえには教えてもらいたいし(一年後の予定がすでに決まっているような生活をしている人間なので)それなら周到に旅に出られる。
とはいえ、せっかくの休暇なので何かしたいと思っていたら、東��のイゼルローンフォートレスでキルヒアイスのアフタヌーンティーへ行けることになった。
東京は文フリで年に多いと二回くらい行くのだが、単純に『遊びに行くだけ』というのは、何年ぶりか……。イベントまえのストレスや緊張、イベント後の疲れのない旅行というのは、もしかしなくても十年くらいは経験していないのでは? という…。
いつもは始発に乗るのをすこしゆっくりの電車に乗って名古屋駅へ。
平日の、しかも朝だからすんなり食べられるだろうと思っていた名古屋駅名物「ぴよりん」のモーニングは、びっくりするくらい人が並んでいた……。とりあえず名前だけ書いて、出かける直前にバタバタしてて買えなかった��土産を探しに行くも、あせってしまいぴよりんのバウムクーヘンを一個しか買えないまま、席へ通される。 そしてぴよりんモーニングを注文して食べる。 当たり前だがこの「カフェ・ジャンシアーヌ」は、ぴよりんを求めているひとがわざわざ並ぶお店なので、みんなぴよりんを食べる。いろんなひとが「ぴよりんモーニング」を注文するのを、「ああこの人たちはみんな、ぴよりんを楽しみにこのお店に朝早くにやってきたんだなあ」という幸せな気持ちで感じることができる。とてもいい旅立ちの朝だった。
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新幹線は少し遅れている便もあったようだったが、わたしが乗るのは大丈夫だった。予定通り東京駅へ着き、約束の駅へ。
休日はとても並ぶというラーメンのようななにかのお店へ連れて行ってもらう。透き通ったスープに、きしめんみたいな麺(麺は10種類くらいからえらべたが、初心者なので先達に従って頼んだらきしめんみたいなのだった)、たくさんのネギとパクチーが浮いている。パクチー大好きなので、追加すれば良かった。とにかくめちゃくちゃおいしくて、スープまで飲んだ。 到着したときにはお店は結構すいていたのに、すぐに満席になって、お店を出るころには人が並びはじめていた。
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皇居まで歩いて行ける距離だというので案内してもらう。 人生で実は皇居に行く(しかも結構奥の一般人が入れないようなところまで入れる)機会があったのだが、一度も行かなかったので、皇居は初体験だった。入り口は閉まっていて、見学はできなかったのだが、かつて皇居へ入る機会があったころからはずいぶん違う道と考え方をしているわたしには、そういうものなのだと思った。偶然だが。 皇居の周りは走っている人がたくさんいた。柳がたくさん生えていて、風が目に見えるので気持ちよかった。 「このお堀、冬は鳥がきそう」と言ったら、案内してくれた人が、「黒くて足がこんな鳥がくる」と指を三本立ててオオバンを表現したのが面白かった。たしかにオオバンは、カモとかと違って、指がわかれていて足がへら状になっていない(指がわかれていてそれぞれに水かきがついている)。
そのあとは、紅茶屋さんへ。いろいろ悩んだけど、暑かったのでレモンティーを頼む。たくさんおしゃべりして、二杯目も。ロイヤルミルクティーを飲む。どれもおいしかったし、カフェはとても居心地が良かった。 いつも東京で誰かに会うときは、イベントの後の打ち上げとかで、疲れとお酒でハイになってたり、時間も時間だから焦っていたりするけれど、ゆっくり時間を気にせずおしゃべりができたのがうれしかった。 だれかに会いに行く旅、というのを久しぶりにしたなあと思った。
その人とは別れて、イゼルローンフォートレスへ。十年来のフォロワーさんと会う。BL短歌の頃に出会っていて、タイムラインでは毎日のようにおしゃべりしているのに、会うのはこれが初めてなのが不思議。 イゼルローンフォートレスは「銀河英雄伝説」という小説のコンセプトカフェ(公式)で、物語の中の陣営で席がえらべたようで、イゼルローンを選んだよ、と言う話だったが、なにが違ったのかよくわからなかった。記念の銀貨・金貨をもらったり、コースターをもらったりした。ドリンクについてくるコースターにシェーンコップが含まれていたのを、ながれるように渡されたのがおもしろかった。 アフタヌーンティーのケーキにひとつめちゃくちゃ酸っぱいのがあって複雑な顔をしていたら「酸っぱいのきらいだもんね」と言われて、「やっぱりいつも一緒にいる人だ!」と思った。 ライチョウのぬいぐるみをもらう。夏羽と冬羽を選ばせてもらう。まだ夏羽��オスにしか出会っていないので、夏羽をもらった。 ひとしく一緒にわちゃわちゃしているフォロワーさんたちにお土産を買う。今日発送したが、よろこんでくれるとうれしいなと思う。 自分用には、箸を買った。迷ったけど、同盟の箸にした。 世界が平和でありますように、この小説の主人公の一人が語るような、健全な民主主義の世界にたどり着き、すこしでも長くそれがつづきますようにと祈る。
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翌日。 泊ったホテルの近くに野鳥のサンクチュアリのような場所があるようだったが、とにかく「緑色のインコ(ワカケホンセイインコ)」と「オナガ」が見たいと思っていたので、目撃情報があり、さらに良く発生するという井の頭公園へいく。何年かまえ、みんなでアヒルボートを漕いで楽しんだ井の頭公園だ。朝早く到着したからか、あの楽しかったアヒルボートを漕いでいる人は誰もいなかった。 カメラを持っている人が何人かいて、鳥への期待が高まる。 池にはカイツブリとカルガモが浮いていた。
一生懸命探すも、オナガの鳴声とシジュウカラの鳴声しか聞こえないので、公園の管理塔で「緑色のインコはどこにいますか?」と聞く。 「夕方に群で飛んでくるけど、昼間はあんまり見ないね」と言われる。好む木とかが分かればそこから探せるのに…と思ったが、そういうのもないらしい。とりあえず玉川上水を遡る。オナガの声がたくさん聞こえるけど、全然見つからない。 ブラインドがもうけられているところがあって、鳥写おじさんがたくさんいたので覗いてみる。池があって、ムラサキシキブが池の周りに生えていたので、鳥は来そう。だけど鳥があらわれなかったので情報収集。ちょっと離れたところにたくさんいる場所があるとわかったので移動。
関東の人は��しかしたら「なんでこいつ、こんなにオナガ(とワカケホンセイインコ)を見たいんだ?」と思うかもしれない��、オナガは関東にしか住んでいないので、三重では見られないのである。
どきどきしながら歩いて行くと、まず見つけたのはオナガ。 「オナガだ!!!!めっちゃいる!!!!!オナガ!!!」もう大興奮である。オナガはしきりに飛びまわり、すぐに木の中に隠れてしまうので、まだ葉っぱが繁っている今は見つけづらいし、写真を撮るのがむずかしい。でもときどき、開けたところへ出てくるのでそれを撮影していると、なんか変な影が……飛んでくる……。なんて言うんだろう、ロケットみたいな……。日本にいるタイプの鳥ではない、形状の……。 目の前にとまったのはワカケホンセイインコだった! 「わーーーーーー!!!本物だ!!本物だ!!!!」 重いカメラとレンズを担いできたかいがあった……。このインコも木陰に隠れるし緑色なので、はっぱと紛れて見つけづらいし写真も撮りづらい……。 こんなトロピカルな鳥がなんでこんなところにいるかというと、外来種である。飼われていたのが逃げ出して野生化しているらしい。とても異様……。 寿命が30年くらいあるらしい。外来種についてはいろいろ思うことがあるし、その存在を全面的に肯定はしないが、かれらをここに持ちこんだのは我々人間なので、「彼ら」が悪だという立場にはわたしは立っていない。存在と言うよりは、「棲みつかせてしまった」構造や、行為を批判したいと思っている。 絶滅危惧種を「この目で見てことほぐ」必要があるとしたら(その行為の根底には人類の営為による贖罪と、その環境の改善への努力への約束が含まれると思う)、等しく外来生物も「この目で見る」必要があるとおもう。たしかに、都会の森の中に、この南国にいそうな姿は異様で、その「違和感」は、環境について考える動機になる。
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とにかくワカケホンセイインコとオナガを見つけて満足する。 どちらも動き回る鳥なので、追いかけて歩いていたら、ひらけた場所に鳥写おじさんがたくさん集まっていたので寄っていく。 エゾビタキとキビタキを撮影していた。 今年はエゾビタキに出会ってないし、なんだかんだキビタキにもほとんど出会えないので見られて良かった。
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名古屋駅でお土産にぴよりんを買いたかったので、はやめに東京を出ようと東京駅にもどる。 スマホリングが壊れてしまっているので、東京駅のちいかわちゃんのショップでちいかわちゃんのスマホリングを買おうと思っていたら、東京駅のちいかわちゃんショップは一時間待ちだった! あきらめて、東京駅にあるというクルミッコショップへ……人が全然いないなあと思っていたら、なんとクルミッコは売り切れ! そんなぁ~~と落胆しながらお土産を物色していたら、普通の総合お土産ショップみたいなところにクルミッコとサブレのセットが売っていた。 「これ、おふくもち(赤福によく似た伊勢のお土産)みたいな……なんかそういうクルミッコじゃないよな?」と不安に思いながらレジに持って行くと、ちゃんと紅谷の袋に入れてくれたので本物のクルミッコのようだった。 崎陽軒のシウマイもほしくて、真空パックじゃなくてチルドのやつを探し回るが見つけられなかったので真空パックのを買って、お弁当も買って電車に乗る。 じつは朝、ホテルのバイキングでしこたま食べてから何も食べていなかったが、腹が減っていなかったので、帰りの近鉄特急で弁当を食べようと思って、新幹線ではもうすぐ車内販売がなくなるというシンカンセンスゴイカタイアイスを食べる。次に新幹線に乗るのは文フリの時だから、もう食べられるのはこれが最後の機会だ。いつまで経ってもやわらかくならないのを待っていたら、いつの間にか静岡を通過していた。豊橋辺りでなんとか食べ終える。そうこうしているうちに、名古屋。
駅で��よりんを買おうと思ったら、めちゃくちゃ並んでいた。とりあえず特急券を買ってからぴよりんの列に並ぼうと思っていたら、いろいろあって列にならばず、特急も乗らないことに。 ゆっくり急行と鈍行で三重まで帰る。
急行と鈍行のベンチシートではお弁当は食べられないので、家に帰ってきてからお弁当を食べた。おいしかった。
良い旅をした。 翌日(つまり今日)伊良子へタカの渡りを見に行こうと思っていたのに、雨が降っていた。 来週からはとても忙しいので、今年は、もうヒヨドリの渡りを見に行けないだろう。
11月の半ばくらいには忙しいのは落ち着くので、そしたら、いつものアフタヌーンティーの秋のコースを滑り込みで食べよう。そしたらすぐに、ハッピーホリデーアフタヌーンティーがきちゃう。
月末に、今度は九州へ行く用事がある。九州では、カササギを探したいと思う。
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kennak · 5 months ago
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「私のガンが再発したんだよ」 最後に岩田氏に会ったのは、わずか数カ月前の2015年3月だった。彼から日本に戻ってきてくれというメールが届いた。ちょうど私の誕生日間近の頃だ。どうも何かおかしい。私は1月に日本に行ったばかりだ。例年通りなら1週間の滞在を年2回行い、その間に会社の経営陣とビジネス戦略と次の製品について話し合う。すぐに呼び戻されるのは、まったく異例のことだった。 この3月の予期せぬ旅について、私は岩田氏にもう少し詳しい理由を聞いたが、彼の返事は曖昧だった。彼が私に訪ねてきてほしいと言った日は、妻のステイシーと祝う私の誕生日とぶつかってしまうのだが、それを言ったところで聞く耳を持たないだろう。3日間だけ特別に京都に来てほしいと言って聞かなかった。 午前8時半に来てほしいというのも変だ。彼はいつも9時に仕事を始めるのだが、それより前に会うとなると、任天堂株式会社の本社に入るのは少し難しい。ガラスとコンクリートの外面に覆われ、大理石の入り口がある本社ビルは、冷ややかで無機質に感じられる。 特に私が到着した早い時間はそうだ。日本の会社はどこもそうだが、任天堂もほとんどの社員に対して厳密な勤務時間を課している。仕事の始まりを告げるチャイムが鳴り、ランチ休憩の始まりと終わりを告げる際も鳴る。だが仕事の終わりを告げるチャイムは聞いた記憶がない。スタッフに帰宅するよう促す必要はないと、会社は考えているのかもしれない。 幸い、岩田氏のアシスタントが早めにオフィスに到着して私を待っていて、扉を開け、エレベーターに案内してくれた。7階の重役エリアに行くには、専用のエレベーターしか使えず、早朝の時間はカードキーが必要だった。 私は小さな会議室に案内された。小さいといっても滞在中に私が使用するオフィスの2倍の広さはあるだろう。私はコートを脱いでWi-Fiシステムにログインした。任天堂はセキュリティが厳重だから、重役の私でも、訪れるたびにログインとパスワードの紙をもらう。私はいつも早めに着いたら、最初のミーティングを始める前に、ちゃんとWi-Fiに接続している��を確認することにしている。 8時半ぴったりに岩田氏のアシスタントが来て、彼の部屋に通された。このとき岩田氏は社長の在任期間が10年を優に超えていたが、先代の3人が使っていた正式な大きな社長室に移ることはなかった。彼が好んだのは、12人を収容できるくらいの長方形の会議室の上座に机が置かれた、もっとシンプルな部屋だ。他にもプレゼンテーションや開発中のビデオゲームを見たりするために、2台の大きなテレビスクリーンが置かれ、キャビネットは本やビデオゲーム、ゲームのアクセサリーやコントローラーであふれている。会社の社長室というよりは、ゲームクリエイターの部屋と言ったほうがいい。 いつもの挨拶を済ませて、岩田氏から座るように言われて、私は彼の顔をじっと見つめた。それから彼はなぜ今回の出張にこだわったのかを話した。「レジー」と彼は切り出した。 「私のガンが再発したんだよ」 私はショックだった。確かに岩田氏は前回の手術と病気との闘いで体重が落ちていたものの、変わらず精力的だった。ほんの数日前、彼は任天堂がモバイルゲーム市場に参入するための大々的な投資を発表したばかりだ。ここまでの状況からいっても、彼がガンに打ち勝ったことが窺えた。そういうことだったのか。直接話すために私を京都に特別に呼び戻したのだと知り、不安を募らせた私は、彼の話す一言ひとことに集中して耳を傾けた。 私たちは彼の病状や今後の治療についてしばらく語り合った。岩田氏はこれから試そうという先端医療について詳しく話してくれた。ハイテク治療の他にも、奥さんが食事の足しにと特製のジュースとプロテインの飲み物を、朝と昼に作ってくれるそうだ。治療の助けになるのなら、どんな小さなことでも選択肢に加えたいようだった。 しばらくして会話のトーンは変わり、岩田氏がこう言った。「レジー、病気のことは、私が君に京都に来てほしかった理由の1つにすぎない。今の話もそうだが、他にも話し合いたいことがある。我が社の新システムの発売が迫っているから、これについて、話し合いたい。君に初期バージョンのゲームと、手元の試作品を試してもらって感想を聞きたい。プランニングに取り組まないと。なんせ任天堂の将来を左右するゲーム機だからね」 このように話題を変えるのは、岩田氏にとってはいつものことだ。彼は自分のことよりもビジネスを優先する。きっと彼の中では、自分の個人的な状況を話したのだから、今度はビジネスについて話し合う時間だと割り切れているのだろう。 せっかく私が日本に来たのだからと、私たちは一連のミーティングを開いて、後にNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)として知られる、ゲーム機の詳細について話し合った。これ���のミーティングはすべてビジネス関連だが、岩田氏と2人でランチを取ったり、夜遅くにミーティングが終わってホテルに戻ったりする際は、友人である彼の病気のことが私の脳裏をよぎるのだった。
【発売記念 無料公開!】『崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男』 序章「岩田聡氏との別れ」①|東洋経済の本
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oka-akina · 1 year ago
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1117-1120
1117
遠出したい。せっかく新刊もできたことだし遠くのイベントに出ようかなと思った。11/26のZINEフェス長野がまだ申し込めるようだった。あずさで行くかかがやきで行くか。うちからだと新宿に行くまでがけっこう遠い��でかがやきの方が速い気はするけどあずさ乗ってみたいよな〜と思った。
むかし妹が長野の男とつきあっていたときしょっちゅうあずさに乗っていた。その後結婚した夫も長野出身だけど場所はぜんぜんちがったと思う。過去の恋愛や人間関係を周囲の人間がずっと覚えているの悪いなあと思いつつずっと覚えている。わたしについてもきっと誰かが覚えている。恥ずかしいかというとわからない。指摘されたら恥ずかしいかも。
電車の料金を調べてみたら思ったより高くてびっくりしたので帰りは高速バスにしようと思った。バカデカ優人さんポスターを連れて遠出するの魍魎の匣っぽいかな。そんなことないか。デカいし。
遠出したくてうずうずして、1月のZINEフェス奈良も行きたくなっている。文フリ京都に出られないのでその代わりとして。文フリとZINEフェスがだいぶちがう種類のイベントだとはわかっている。あんまり小説を売るところではない。でもJ.GARDENもそうだけど、自分にとってどまんなかではない、正直そんなにたくさんは売れないイベントに出るのってそれはそれで気楽な面はある。交通手段とかホテルとか飲食店とか検索した。まだフワッとしている予定未満の予定についていろいろ検索しまくる時間がいちばん楽しいよな…と思った。
1118
パートナーとレッドロブスターへ。なんでもない日にやけにぜいたくした。文フリの打ち上げのつもり。パートナーはわたしの小説読んだことないけど。お店の人が生きているロブスターを一回テーブルに見せに来て、お写真撮りますかと言われたので写真を撮って「バイバーイ」とか言った。あの子はまだ自分が死ぬのを知らないのだ…と二人でつぶやきあった。いやな感じの冗談を言うときわたしたちは本当にイキイキしている。スチームしたロブスターはある程度お店の人が解体してくれるけど、自分たちでほじくったりちぎったりが必要なので、これはごく親しい人と二人で食べるのがちょうどいい食べ物だなと思った。知り合いやほかの家族とこれをやるのはけっこう気をつかいそう。
なんとなく頼んだフライのコンボ、白身魚のフライがふわふわでこんなに美味しいの初めて!と感激した。食べ慣れたもので美味しいものに出会うと本当にうれしい。そしてこれもなんとなく頼んだチーズビスケットが、想像していたよりずっとサクッとふわっとしていて、こういうのがこんなに美味しいことってあるんだ…と驚いた。これテイクアウトあったらいいのにねと話した。検索したらamazonで売っていたけどどうやらそれは1.5kg入りのミックス粉で、自分で作ってくださいというものだった。40個できるらしい。業者じゃん。
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ゴルフの練習。ゴルフを始めて2年になる。レッスンは週一。あんまりまじめにやっていないので当然なかなかうまくならないけどぜんぜんできないことをやる時間というのは新鮮で面白い気がする。先生に言われた��とを言われたようにできない。説明はわかるけど頭でわかるようには身体は動かない。この不自由さ。そうしてそれがべつにぜんぜん恥ずかしくないのは、やっぱり歳をとったからなんだろうか。子どものころの体育の時間はとにかくぜんぶが恥ずかしかったし、演劇のときもそうだった。
集まるクィアの会へ。近くに用事があったので途中からになっちゃうけどちょっと行ってみた。新宿中央公園の芝生の上で、みんなでプラカードを書いたり、何か話したいことがある人は手を挙げてスピーチをしたり。途中参加のわたしは聞いていただけだったんだけど人の話を聞いていると自分もすっかり打ち明け話をしたような気持ちになる。これは本を読むときにも感じることで、胸を開くというか解放感がある。公園はいろんな人が思い思いに過ごしていて、晴れていて気持ちのいい時間だった。こういうところで話をしたり連帯をたしかめあうのはすがすがしい。先週デモに行ったときとはかなり気分が変わっている。これはそれがどういう集まりかということではなくたんにわたしの調子だし、おおまかに体調だと思う。なので、わたしの言うこと(書いた文章)はあんまり真に受けないでください…と思ってしまうけど、真に受けないでほしいからいっぱい書きたいのかもしれない。文フリでブースに来てくれたTANさんに会えてうれしかった。
なむあひさんとゆとぴやぶっくすさんへ行ってねぎで飲んだ。オフラインで話すのやっぱりいいなと思った。あたらよ受賞おめでとうございますのお花を渡した。もっとブーケっぽいのを買おうとしていたんだけど花屋で大輪のダリアを見つけたら思わず…なむあひさんはDAHLIA(X JAPAN)でしょう…と思って。ねぎは古いJ-POPばかり流れている店で、ちゃんとXもかかった。前奏が流れた瞬間なむあひさんが「Xですね…美しい…」と言ったのがすごくよかった。
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渋谷◯◯書店に文フリの新刊などを納品に行こうと思ったのに本を入れた袋をまるまる忘れて家を出てきてしまった。電車に乗って愕然とした。か? わざと忘れたような気もする。売上を紛失されて以来、◯◯書店での活動にやる気が出ない。いや、紛失された直後はそうではなかった。ちきしょう自分の場所を守るぞという気持ちでやる気がみなぎっていたのに、夏を過ぎたあたりでなんだか急速に興味がしぼんでしまった。
えもの家へ。電車の着く時間を伝えたら「コーヒーとおにぎりをあたためて待ってるね」と言われ、それがもうすごくあたたかいよなと思った。晴れているけど風が強くて寒い日。こういう日は冬っぽくて好きなんだけど、長い地下鉄に乗っているうちに日は陰ってしまって、電車が地上に出たらすっかり夕方だった。
展示の作品を見せてもらい、昨日なむあひさんから預かった『aneimo』を渡した。土曜に送った『疎林で寝る』とわたしの本は無事届いていてよかった。レターパックを追いかけるように家を訪ねてしまったなあと思ったが、会えてうれしかった。今日晴れてるからえもちゃんち行っていい?と急に声をかけたらのってくれて、わたしは先々の予定を立てるのが苦手なので急に遊べるのほんとにうれしいな…と思う。展示用の置き物やドローイングが本当によかった。アナログの表現がめちゃくちゃ上手いよなあと感嘆した。
電車の中でキム・ヘジン『中央駅』を読み終えた。ホームレスの「俺」が誰なのか、どこからきてどうしてここにいるのか、何歳でどんな容姿なのかとか、そういう過去やスペックのようなものは一切語られない。あるのはいま現在の「俺」の感情と感触。男女の愛の話だと思うけど「俺」と周囲の人間との関わりはブラザーフッドの話としても読める気がした。ぜんぜんうまくいかないブラザーフッド。
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このくらいの日記を毎日��けてzineにしてみたい気持ちがある。
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crispy-moratta · 4 months ago
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伊勢神宮へ 酔いと音の古殿地
先日、友人のピアニストであるふじいさんと伊勢神宮に行った。初めて観光地で昼間からお酒をのむということをし、今までの観光のなかでいちばん心地よく頭のまわらなさ、とてもよい小旅行だった。またわたしは偶然、京都の伏見と混号になっている伊勢特集のブラタモリを所持しており、これが今回とても役に立った。前の週に予習として読んだときは(ふ〜ん、)というくらいだったが、伊勢までの電車の中で読むと既に実感を伴い、(知識にも入れどきってもんがあるのよ〜)となった。わたしの人生初のお伊勢参りは午前中だったからか観光地としては非常にちょうど良いくらいの人の多さ(多くなく)で、曇り雨予報もお伊勢参り中は全く降られることなくとても良かった。神宮のつくりと見かけ、また観光地としての佇まいはとても美しく、気高く、tidyな賢さのある観光地であった。おおきく見ていてうれしかったポイントとしてはふたつある。
ひとつめは古殿地のシステム。古殿地というのは、伊勢神宮は20年毎に1回式年遷宮という正殿を筆頭にいくつかの社殿を真横にそっくりそのまま建て替えるということをする。古殿地とはそのための土地、要するにholyな空き地である。この20年を節目にして建て替えられるというのは飛鳥時代の620年あたりからで、ここまでのべ62回の造り替えが行われてきたそうだ。社殿に使われる装具品なども全て作りなおされるので、伊勢神宮はトラディショナルだが常に新しいということである。して、それの何がよかったのかというと、完成された社殿に開発できるスペースが常にあると言う状態がこの神宮の格式の高さだと思えたからだ。これをふじいさんに伝えようと思ったときに何に例えると良いだろうかと参道を歩きながら考えた。大抵いつもこういう感動を伝えやすいのはエンジニアの友人であるカイくんで、彼だったらプログラミング、書ききったコードにあらかじめバッファを残すやり方とかそういうものがありそうだな、、とか思ったが、その辺のプログラミングの素養がわたしにはないし、プログラミングに例えてもわたしもふじいさんも納得感が薄い感じ〜となりそうと思うと、ピアノのスケールに例えられる気がした。スケールというのは順当に並んだ音階のこと、単純言うとドレミファソラシドという音列(これはCメジャースケール)のことで、これをたとえば片手で1オクターブ分のスケールを引くときには、(右手で弾く場合)15音に対して指は5本しかないので運指を少し工夫する必要がある。ドレミまで123(親指から番号を振り)の指で引きファの音で指を潜らせて1の指で引いてやると次のドまでの音階を残った2345の指で弾いてやることができる。これを左手で行うと(小指から逆順に番号を振り)5432/1321の運指でありここまではとても美しいシステム、指の運びだなとわたしは思うのだが、わたしが気にしているのは2オクターブ以上引くときの運指である。音の始めはいずれにしても1の指からなのだが1オクターブ上のドに辿り着く指はいずれも345の流れである。つまり2オクターブ以上引くときには間で指を潜らせたり跨がせる所作をさらに加えて行う必要がある。具体的には右手の場合は123/1234/123/12345。左手だと54321/321/321/4321となる。このときの右手の運指に問題がある。1オクターブ引き切る前に2オクターブ目のスケールに向かうための運指の変化があるのだ。つまり1オクターブのスケールを弾くときと2オクターブ引くときの指を流れが違う。1オクターブ弾き切ってから(ア!もう1オクターブいきたいかも)にシステムとしては対応できていない。というようなことをつい先日スケールの練習をしているときにそういうことを考えていたことを思い出した。たとえばクラシックではそんな場面はあまりないかもしれないが、たとえばジャズでインプロビゼーションなどするのであれば土壇場でもう一音階上がりたいという場面があってもおかしくないのではと想像したのだ。前置きが長くなったが、どこまでも上がり下がりする音階をつくるためには一般的な運指ではなくあらかじめ次の音階に上がれる「音(指)の古殿地」が必要かもしれないということ。それを彼女に話すと、よくそんなこと思いつくと言ったあと、でもそういった場合たとえばペダルを併用したりもう一方の手でカバーを入れたりして澱みなく繋ぎ直す方法もあると教えてくれて、わたしはとても愉快になった。ふじいさんはとてもピアノが上手いし、いつも話を聞いているとピアノに対しての甘えのない人だ。そしてこの彼女がシステムを超えるためのアドホックな技巧があること、またそう言ったときの(おそらく演奏というものは必ずしもそういうことではない)というような毅然とした態度に、わたしは増してわくわくした。
ふたつめは終点の標識。伊勢神宮には愛知から名古屋を経由し国道23号線をずっと走ってくると伊勢神宮までたどり着くことができ、そこには国道23号の終わりがある。標識の23の文字の下には白地に黒文字で終点と書かれており、ことは内務省より「東京より伊勢宗廟に達する路線」 として国道9号が指定されたのが1885年、1920年には旧道路法に基づく変更にのり国道1号となり名実ともに日本を代表する幹線道路だったわけだが、終戦後に再び何度かの道路改正があり、一級二級といった区別がなくなり今の一般国道23号線になったのは1965年のことだそうだ。この終点の標識ひとつとっても、当時からの伊勢神宮の位の高さが伺える。神宮としてあり続けるために観光面においても、御司という平安から明治の初めにかけて多くいた伊勢神宮への参拝のための旅行コンシェルジュのような存在や、江戸の街並みを再現したおはらい町など、伊勢神宮の気高さは街全体がつくってきたのだ。そして終点もそのひとつ。観光地が維持されながらも同時にアップデートされていく一端を見れてとてもうれしい心持ちであった。なんといっても「終点」 というのが良い、目的地のなかでも終点と言われてしまえば(真に目指す必要のある場所だ!)と思うのも頷ける。
とりあえず外宮と内宮を見て周り、初お伊勢参りとしては十分及第点だろうといったところで、そのまま横に流れ、おはらい町へ。てこね寿司を食べようと思ったが、ふじいさんがそんなに乗り気ではないように思われたので、とりあえずコロッケのおいしいという店でコロッケとメンチカツを頼んだタイミングで、焼酎をのもうと言われ2号をふたりで飲んだら、すごくきれいに酩酊。わたしは観光地で��いつも専ら学習モチベーションが高く、神宮でも、最高な巨木!美しい五十鈴川。気高き社殿群と、直感的には伊勢の空気に触れつつもしばしばブラタモリを開いてはふむふむしていたお昼まで、初めて旅行先の外でしっかり酔っ払いとても愉快であった。神宮に行く前に伊勢うどんを食べたこともあり、めちゃくちゃ腹減りという感じでもなく、すっかり機嫌の良いわたしたちは観光地とはおおよそ関係の希薄そうなアイスクリームを食べ、こちらは子供サイズというひと巻きかふた巻きほど少ないのが大きさのものがあり、一個は多いが、というニーズにぴったりであった。その後は本店の赤福を食べ、ふじいさんの友人の谷さんいわくお土産の赤福とは一線を画すとの前情報であったが、たしかに、食感においていつもの赤福より餅が柔く、餡も心なしかみずみずしいように感じられた。このあたりでは少し酔いが覚めてきて、非常にちょうど良さではあったが、良さのもう一段上、更なる心地よさへの高みに想像がはたらき(酔いの古殿地)、別のお店であともう一杯だけ日本酒をのむと、それはなんとも贅沢な昼の心地であった。そうこうしているとおおよそ帰路に着く時間に近づいてきていたので、わたしのリクエストでバスで宇治山田駅へと向かう。かく宇治山田駅もお伊勢参りの後援として一役買っている重要な場所である。1931年に建てられたこのモダン調の駅舎は近鉄電車、大阪のなんばから宇治山田駅間を2時間ほどで繋いでおり、関西から参拝にくるひとの多くが利用するルートのひとつである。ちなみにブラタモリには駅舎のテラコッタ色のタイルが印象的であると書かれていたのだが、わたしが見る限りではどこにテラコッタ色のタイルはなく(見つけられず)、それは少し悔やまれたが、しかしそんなことはどうでも良いと思わせるほどのサプライズがあった。なんと宇治山田駅にはストリートピアノなるものが設置されていたのだ。開けた構内には普段であればちょっとピアノ弾くか迷うくらいのひとの多さがあったが、ここで追い日本酒がほどよく効いていたのもあり、純粋に突如現れたグランドピアノにテンションがあがった。思いもしないタイミングでふじいさんの演奏を直に聴くことができるのがうれしい。確実に演奏家として彼女の方がはるかに上手に弾くだろうと思ったので、先に私から演奏する。すこし音をならすと、非常に良い調律というか鍵盤の硬さで(あとでピアノの写真を見返すとYAMAHAであった)、初見でこんなに手に馴染むピアノがめずらしく、また酔いも助けてわたしはとても良いモチベーションで演奏できた。楽しく弾く��とができたし聴き手からしても楽しさ〜という演奏になっていたように思う。あとからあれはBLUE GIANTの2巻でダイが、「音楽はいいな〜音楽はスゲェな〜を吹きます」 のシーンの心持ちだった。それからふじいさんの演奏。連弾用に椅子が二脚あり横に座って聴いたのだが、彼女の演奏はとても流暢で、酔いのなか、彼女としてはどんな出来だったのかは分からないが、とても軽やかで流れのある水を撫でているような心地よさ、砕けたいうにはいささか繊細な粒子の細かいフランクな音でとてもよかった。彼女の手の動きは見ていてもおもしろかったし、途中からは音楽に身を委ねて目を瞑って聴いたのであった。彼女は2曲(だったと思う)弾いてくれ、一曲はラヴェルだと言っていた(もう一曲はなんだったんだろう)そのあとは少しだけふたりでポロポロと弾いたり弾かなかったりした。あらためてとても良い旅であった。
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gobangiri-news · 6 months ago
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全国生中継舞台挨拶オフィシャルレポート!
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このたび、映画『碁盤斬り』の公開を記念して全国生中継舞台挨拶を開催いたしました!公開2日目を迎えたこの日の舞台挨拶は、全国47都道府県327の劇場に生中継。満席の会場を笑顔で見渡した草彅さんは「全国のみなさーん、見えてますかー?こんにちは!」とカメラに向かって手を振りました。「昨日公開で今日は2日目。昨日と変わらず、ずっとドキドキしていて、朝からエゴサーチしてました(笑)」と報告。「みなさんよろこんでくれたり、楽しい時間をすごしてくださったようで、うれしいです」と反響に感謝した草彅さんは「今日は、マスコミが入らない舞台挨拶なので、より深くおもしろい裏話ができると思います」とニヤリ。会場からは貴重なトークに期待を込めた大きな拍手が沸き起こりました。「映画では僕の新しい顔が見られると思います。みなさんに支えられて役を作り上げることができました」と共演者に感謝した草彅さんは「ひとりでも多くの人に観てほしいと思っています。よろしくお願いいたします!」と呼びかけました。萬屋源兵衛役の國村隼さんは「タイトルにもあるように、囲碁のお話です」と切り出し、「囲碁というものは打ち手の品性や性格、手筋などいろいろなものが出てきます。打ち手同士が影響し合う、お互いがお互いにインスパイアされるような関係性です。それでいて、人が変わっていくある種の成長譚でもあり、物語が進んでいくと復讐譚にも変わっていく。そういうところを観て楽しんでいただければと思います」と囲碁の性質に触れながら映画の注目ポイントを語りました。長兵衛役の市村正親さんは「どうもー!全国のみなさーん、会場のみなさーん、舞台俳優の市村正親でーす。今回は白石監督の映画に出させてもらいました!とてもうれしいでーす!」とハイテンションで挨拶。「いい親分(役)ができたと思います」と出来栄えに自信を滲ませ「全国のみなさーん、観てくださーい!」と会場の隅々まで届く声量で観客を圧倒しました。お庚役の小泉今日子さんも市村さんのテンションに釣られて大きく手を振り、会場と生中継先に挨拶。「お庚は廓(くるわ)の女将で、世の中の表も裏も見て来た貫禄のある女性。格之進と(清原果耶さん演じる)お絹ちゃんを優しく見守っているのか、厳しくしているのか、そのあたりが見どころだと思います」と役と見どころを説明。初日舞台挨拶の参加は叶わなかったが、格之進とお絹の二人を見守る役の気持ちが続いていたのか、「昨日はずっとエゴサーチ(笑)。評判もよろしかったようで、よかったです」とホッとした様子の小泉さんは、「(書き込みを)見ているので、ハッシュタグをつけてつぶやいてください!」と感想の書き込みを促していただきました。「朝から観てくださってありがとうございます」とお礼を伝えた白石監督は「念願の時代劇。草彅さんをはじめ、本当に素敵なキャストのみなさんと、京都という伝統ある場所で今もずっと働き続けているクリエイターのみなさんと一緒に映画作りができました」とニッコリ。続けて「扮装にもセットにもひとつひとつに感動しながら映画を撮っていました。僕の感動のすべてがスクリーンに詰まっています」と充実感を滲ませました。格之進を演じる草彅さんは、スクリーンで普段とは違うかっこよさで魅了します。『碁盤斬り』の舞台挨拶ではたびたび草彅さんのギャップが話題に。「かっこよさにもいろいろあるんでね(笑)」と話した草彅さんは「僕の顔(映画のポスター)を貼り付けたバスも運転したりして」と都内5箇所を周遊中(5月27日までの予定)の本ポスタービジュアルをラッピングしたロンドンバスについて言及。「僕が運転しているわけじゃないけれど」と笑いながら、「僕に見えないとか、誰だか分からないというのは褒め言葉だと思って(感想を)受け取っています。それだけ役に入り込んでいたと思うようにしています」と反響への思いを語り、「僕も(映画を)観た後に僕じゃないって思いました。芸能生活の中で、1番大人な顔を撮ってくれたんだと思います」と白石監督の方を向き深々とお辞儀。新しい顔を引き出すことができたのは、共演者の存在もあったとし、「みなさんと共にお仕事をして来た、(これまでの)いろいろなつながりもあってできたのかな」としみじみ。「自分が観てもかっこいいって思うし、1番気に入っている作品になっています」と新たなお気に入りができたと報告し、大きな拍手を浴びました。
「笠(かさ)姿がかっこいい!」という小泉さんの言葉に、「そう!自分でもそう思います!」と満面の笑みを浮かべる草彅さん。「今、笠をかぶったら世界1じゃない?」との小泉さんの褒め言葉に、「日本を飛び越えて。国際的な。ワールドナンバーワン笠!」とキャッチフレーズをつけ会場を笑い声と拍手でいっぱいにした草彅さん。小泉さんからの大絶賛にご機嫌の草彅さんは「先輩方に囲まれて、(映画の中で)ちゃんと仕事しています!」と、かっこよさのギャップが堪能できるのは、真剣にお芝居に向き合っていたからと胸を張る場面もありました。國村さんは「格之進という人はものすごく几帳面な人。この人の碁に僕が演じるキャラクターは心酔しちゃう、そういう関係性です。そこからいろいろなことが起こってくる」と物語の流れを解説。「四角四面でカチカチの格之進が源兵衛をはじめ、いろいろな町人たちと関わる中で、いろいろなものを見るようになって…」と國村さんが格之進の変化に触れると「『おっさんずラブ』なんですよね」とニコニコの草彅さん。「本当にそれに近い!」と國村さんも反応。草彅さんは「性別を超えた人間愛の物語」と補足。國村さんが「まさにそう。碁敵っていう言葉があるけれど…」と話し始めたところで、「ごがたき?」とポカンとした草彅さん。「碁敵。碁を挟んだ敵同士」との國村さんの説明に「あー、その碁ね。なんかことわざなのかと思っちゃった“百聞は一見にしかず”みたいな」と苦笑いの草彅さん。「碁敵はイコール恋人に近いかな。人間としてのリスペクトから始まる物語なので」との國村さんの指摘を受け、草彅さんは「まさに。なるほど、碁敵、碁敵」と復唱し、格之進と源兵衛の関係性を表す言葉を取り込んでいました。「市村さんとも『おっさんずラブ』がある!」と、格之進と長兵衛の関係性にも“ラブ”が存在するとした草彅さん。「そうそう!」とうれしそうに身を乗り出す市村さんの隣で、「親分とも『おっさんずラブ』があるね」と笑顔の國村さん。「つよぽんは、綺麗な格好で出てくるけれど、だんだん汚くなっていく…」と映画の中での格之進の身なりの変化を説明する市村さんに「1番汚いときに出会って…」と2人の出会いを振り返った草彅さん。「そこに何かを見つける、キュン!ってね」と指ハートを作った市村さんに大爆笑の草彅さんだったが、「僕はずっとキョンキョンにラブし続けている」と突如、役を離れ、個人的なキュンを告白。小泉さんは「いつも本当にありがとう」と自分への愛を語る草彅さんに感謝。「マジでずっとラブ。だからキョンキョンと國村さんが仲がいいのにかなり嫉妬していて…」と草彅さんの話題はラブから嫉妬へ。「ヤキモチ妬かない!」との市村さんのツッコミに「だってずっと話してるんだもん!」と拗ねる草彅さん。「京都でもごはん一緒に食べに行った!」との小泉さんの報告に「ズルい!」と草彅さんのジェラシーはメラメラ。「どうやったらキョンキョンとごはんに行けるの?どっちが誘うの?」と矢継ぎ早に質問する草彅さんに小泉さんは大笑い。「僕が誘うんだよ」とサラッと答えた國村さんに「えーーー!!」と叫ぶ草彅さん。小泉さんが「國村さんは京都に詳しいから、“どこかおいしいお店ないですか?”って訊いて」と経緯を話し始めると、國村さんが「知ってるよ、一緒に行く?ってなる」とニヤニヤ。2人のやりとりに「なるほど。國さんからか。あ、昨日から國さんって呼んじゃってるけれど…」と話題が逸れそうになるも、小泉さんとの食事を実現したい草彅さんは「大人としていろいろ知っておくことが大事なのか。まずは京都のおいしいお店とか」と頭に叩き込むような仕草を見せる。すると小泉さんが「だって、古着屋さんしか行かないでしょ?」と草彅さんの京都での過ごし方に触れると、「ちょっと狭いんや!」と興味を持つ範囲に國村さんからもダメ出しが。「確かに、狭いな」と納得した草彅さんは「テーマはそこだな」と頷き、笑いを誘いました。
MCから小泉さんの興味のあることを知ることが大切とのアドバイスも。すると小泉さんが「韓国語を覚えたい。教えてください」とコメントし、草彅さんを優しくリード。「いいですね」とまんざらでもない草彅さんだったが小泉さんから「チョナン・カンさんに教えて欲しい!」と具体的にリクエストされると、「少しは教えられるかも…」とちょっぴり遠慮気味に。「具体化されると引くんだよね(笑)」との小泉さんの鋭い指摘に、「國さんついてきて!」と國村さんにすがるような仕草を見せた草彅さんに一同大爆笑。「韓国語でけへんで」と答える國村さんだったが「國さん、韓国作品たくさん出てるから大丈夫」と答えた草彅さんに「それは関係ないで〜」と返し、流れるようなトークで会場を笑いの渦に包み込みました。撮影現場も舞台挨拶のように和やかで笑いが絶えなかったのかとのMCからの質問に「監督が穏やかな方なので。『孤狼の血』のようなバイオレンスを撮る方とは思えない!」と白石監督自身と作品とのギャップに触れ、草彅さんらのトークに大笑いしていた白石監督が「現場ではもっと集中していたはず」と話��と、小泉さんも「寡黙にやってましたよね」と。すると草彅さんは「そういうところはちゃんと保っておかないと、仕事なくなっちゃう(笑)。あいつ、ずっとふざけてるなってなっちゃうと商売あがったりなので。先輩方に比べたらまだまだだけど、芸能界でちょっと長くやってきたので、“侘び寂び”というのは意識しているつもりです」と草彅節を展開。侘び寂びではなくメリハリかな…といった声が会場からも漏れ聞こえていましたが、草彅さんのトークはさらに続き「京都の撮影所は銀幕のスター、高倉健さんも入り浸っていた場所。毎日、映画を観に行くように撮影所に通っていたそうなので、そんなことを思いながらやっていました」と撮影中は役に、作品に没頭していたこと、さまざまな思いや過っていたことも明かしました。笑いいっぱいのトークの中に、こういったエピソードをサラッと挟むのも草彅さんらしさであり、舞台挨拶に足を運ぶ醍醐味です。長兵衛の寡黙さについて訊かれた市村さんは「僕は全然寡黙じゃない。寡黙(火・木)というより月水金!」と回答し、真面目なトークが続くと思いきや、今度は市村劇場の時間に。「すごいね、市村さん!」とウキウキの草彅さんに市村さんは「こういうことを言ってないと居心地が悪くて」とギャグを言わずにはいられない理由を明かす場面も。「今日は記者の方がいなくてよかったです」と笑いながら話す草彅さんに市村さんは「ほんとに。いたら“またやってる”って書かれちゃう」と大笑いした後、流れを変えようと「全国のみなさーん、観てますかー?」と中継先に手を振り始め、「旅公演っていうのがあるけれど、ここにいて全国に行ってるような気分になる」とさらにテンションを上げて大きく手を振り続けました。「327館ってすごいよね」としみじみした草彅さんが「大型映画じゃん!今気づいた。『ミッドナイトスワン』のときはこんなになかったもん」と振り返る場面も。MCから「結構たくさんやってましたよ、中継で」とのフォローも。市村さんが「海外でも賞を獲っているし…」とコメントし、日本だけでなく海外からも注目度が高い作品だと話すと、白石監督が「イタリアで(第26回ウディネ・ファーイースト映画祭」)批評家賞(ブラック・ドラゴン賞)をいただきました。イタリアの方たちも侍映画を観たいんだな、って思いました」と好感触だったことを明かしました。「いずれ、全世界の映画館で(生中継)!」と目を輝かせた市村さんが「全世界のみなさーん!」とカメラに手を振ると、「いずれね。目標は高いほうがいい。(受賞は)すごく誇らしいし、幸先のいいスタートになりました」と草彅さんも一緒に世界に向けて手を振り、2人で「今のカメラはすごいね、みんなの顔が見えるよ」などとミニコントのようなやりとりで笑わせました。脱線気味のトークにハッとした草彅さんは「月水金や寡黙の話。今日は自由に話していい、ここでしか聞けないトークになっているのでいっぱい拡散してください」と、楽しい舞台挨拶のお裾分けも促しました。
舞台挨拶とは全く違う雰囲気の映画が楽しめるとのMCのコメントに「こんな雰囲気の映画だったら、お客さん入らないよ」と笑いが止まらない草彅さん。市村さんも「僕が出てきたら、月水金の人出てきたーってなったら嫌だな」と発言を後悔するような表情を見せたが、会場の笑い声と拍手はより大きいものとなりました。拡散を意識してか、再び映画についてじっくり語る場面も。役作りのこだわりについて草彅さんは「僕は、あまりやらない。みなさんのオーラとグルーヴ感っていうのかな。みなさんの顔を見たらその役になれるというか。(芝居は)1人で作業するものではないと思うので、やっぱりみんなで作り上げていくものだし。いくら台本を読んでも、実際に目の前に役者さんがくると、台本を読んだときとは違う感覚がたくさん出てくる。その場その場で感じたことを表現するのがフレッシュだし、伝わるものがあります」と解説。アドリブはしないそうで、「セリフは台本通りにちゃんとやります。でも、台本に書かれてないものが湧き出ていいものになるとは思っているから、そうなりたいなと心がけてやっています」と丁寧に語りました。國村さんは「カメラが回っている間、考えているのはいかに自由でいられるかどうか。相手を感じながらリアクションが出る。それがお芝居というもの。10テイク撮ったら、10テイク違うものが撮れる。同じものは2つとないですよね、監督?」とのフリに白石監督は「まさにその通りです」と返し、「もちろん(10テイクの中から)チョイスはするけれど、ここにいる人たちは俳優としてはもちろんですけれど、人としてもいろいろな経験をされて、いろいろな意見を持っている。そういう懐の深さ、大きさがスクリーンに焼きついています。そういう形で大きく映画に貢献してくれるすごい俳優が集まってくれたすごい映画です!」と太鼓判。衣裳を着て、かつらをつけることで役になりきれるという市村さんは「役の気持ちが入った状態で、いざ、格之進と対峙したときに、つよぽん演じる格之進が僕が演じる長兵衛を見ることで役が出来上がる。格之進とのやりとり、呼吸をする中で、芝居というものは生まれてきます」と真面目にコメント。小泉さんも相手とのやりとりで芝居が生まれるとし、「さらに今回は時代劇。自分のセリフを言うための説得力として、知らない情報を埋めていくという作業はみなさんしていると思います。そんな中で古い映画に出会ったりして。この映画に出てくるまあるい橋が出てくるかっこいい映画にも出会いました。そういうふうに(役のための情報を)埋めていく時間も楽しかったりします」と語りました。小泉さんが挙げた映画に登場する橋には白石監督のこだわりが詰まっています。「吉原大門の前の橋は『緋牡丹博徒 お竜参上』(加藤泰監督)にでてくる橋。京都(撮影所)にその図面が残っていたので、映画的な表現を使って、ドラマチックに表現しています。映画の知恵が詰まったシーンなので、そんなところにも注目してほしいです!」と白石監督がおすすめすると小泉さんも「今回、初めて京都の撮影所に行って。やっと(映画俳優に)仲間入りした感じ。美術もプロフェッショナルでとても素敵でした」とよろこびを噛み締めました。白石監督は貧乏長屋の障子紙の貼りものにもこだわりが詰まっていると話し、小泉さんも「江戸と関西での様式の違い。そういうものもちゃんと美術さんが作ってくれたことにも感動です!」と京都撮影所のこだわりにうなっていました。
最後の挨拶で草彅さんが「キョンキョンとは29年前に共演して、市村さんとはドラマ『ホテルビーナス』以来20年ぶり。國村さんとはドラマ『ペペロンチーノ』以来3年ぶりで。今朝はそんな御三方と会うんだなっていろいろと思い出していて。僕はこの映画で何を伝えたかったのかなってちょっと真面目なことも考えている中で、僕と格之進の決定的な違いって何だろうって思ったときに“覚悟が違う!”って気づいて。生きる覚悟が僕にはない、格之進にはある」と話したところで、「あるよ」「覚悟だらけじゃない!」との言葉が登壇者から飛び、すると草彅さんは「ネガティブじゃなくて。切腹とか生きる覚悟、すなわち死ぬ覚悟。そういう覚悟を持って格之進は生きている。覚悟の度合いが違うって思ったんです。でも、シンプルに考えたら、毎日生きているってことは毎日命がけってこと。格之進から“お前は覚悟を持って生きているのか…”みたいに言われているように感じて。覚悟を決めて生きていく人生ってかっこいいじゃないですか。何気なく過ごしている日も覚悟を決めて命をかけて生きているわけだから、そういうマインドを新しく格之進に書き換えてもらったのかなと今日、思いついちゃって(笑)」と最新の発見に満面の笑みを浮かべた草彅さんは、「僕の作品を観て心を動かしてもらいたい。そういうことに命をかけてこれから生きていこうかな、ということを格之進から教わりました」と語りました。そんな気づきも、共演者との出会いがあったからとし、「みなさんと長くおつきあいしてきた中から生まれたのかなって。便利な時代だけど、自分が何に命を燃やしているとか、少し考えてもらえるきっかけになればいいな、なんて、最後にそんなことを話したかったんです!」と自身の思いを真摯に伝える草彅さんに、この日1番の大きな拍手が贈られました。
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baksliquidlab · 7 months ago
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新フレーバー"Don Piccolo"詳細
前略。
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ドンピッコロといいます。ぴっころと呼んでください。
前作のHesterから3か月しか経ってない!すごい!えらい!
完成したのは3月末なので実質2か月。天才なのか…?
「天才なのか…?」に辿り着くまで、100回の「おれはもうなにをやらせてもだめ」があり、1週間ほど毎日ハローワークのページを眺めていた期間がありました。創作活動なんてそんなもん。
前作Hesterはネコちゃんで今作はワンちゃん!イラストはおなじみKAYO AOYAMAさんです。
ジャマイカダークラム・フルボディの葉巻を主軸に、鼈甲飴と蜂蜜の甘さとスモーキーで暗いアロマを加えたアロマティックタバコフレーバーです。
フルーツやメンソールを使わないタバコ系フレーバーはなんとPerique以来!Periqueに勝るとも劣らないクリティカルな出来だと自負しています。
Don Piccoloに使用している葉巻・煙草香料は今までのラインナップで使ったことのない全く新しいものなので、新鮮に感じていただけると思います。新しく20種類ぐらい試して3種類のみ厳選したので自信はあります。
このリキッドを吸っていると、葉巻を蜂蜜に浸透させたものをラムに溶かして飲んでいるようなイメージが浮かんできます(そんなものは実在しませんが)。フルーティなラムは瑞々しくスムースなタッチを全体に与え、そこに加えてレザー(革)の香り、牧草のニュアンスなど語ることが尽きない奥行きがあります。灰感のあるフレーバーは使用していないので吸いやすいですよ。
フレーバーテキストだけ見れば「ズシン」と来るような重さがありますが、配合としては軽めに仕上げているのでガンガンにチェーンしてもしつこくありません。私自身がヘビーチェーンスモーカーなので自ずとそういう傾向になります。
開発環境がBishopRTA(初代)0.6Ω/17.5Wなので似たようなビルドだと狙った味が出やすいかも。でもDon Piccoloはちょっと炊き気味で吸っても満足感あります。相変わらず多数の香料を使っているので、ビルドごとに違うニュアンスを感じて頂けると思います。
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販売情報です。
2024年5月1日(木)より東京都新宿区3PCS様の8周年記念イベントにて先行発売致します。WEB通販もして頂けるようです。
その後5月18日(土)より全国同時発売致します。
久しぶりの純粋な煙草フレーバー、ぜひ味わって欲しいです!
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4月からの価格改定の件でお客様、販売代理店の皆様にご負担をかけてしまい申し訳ございません。
数年前から続くロシアウクライナ戦争、怒涛の円安により原材料費が30%ほど値上げされています。今回のリキッド販売価格の値上げは約4%ほどですが、今後段階的に価格を上げていくことを余儀なくされていますので、何卒ご理解頂けるようお願い申し上げます。
今後も皆様に満足して頂けるものを作っていきたいと思います!
よろしくお願いします。
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takahashicleaning · 1 year ago
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TEDにて
デビッド・バーン:いかにして建築が音楽を進化させたか!
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
CBGBからカーネギー・ホールまでキャリア環境の広がりにつれ、デビッド・バーンは、さまざまな場所で演奏してきました。さまざまな場所である会場が音楽を作るのでしょうか?
野外ドラムからワグナーオペラハウス、アリーナロックまで。いかに、音楽のおかれた環境が音楽自体を進化させていったか!を探っていきます。
ヨハン・ゼバスティアン・バッハは、18世紀のドイツで活躍した作曲家・音楽家で、バロック音楽の重要な作曲家の一人。
日本では、音楽の父とも言われている。このバッハは、建築による環境や場所の制約をうまく活用して名曲を創造しました。ゴシック式の大聖堂も同様です。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、オーストリアの作曲家、演奏家で、古典派音楽の誰もが知るひとりであり、ハイドン、ベートーヴェンと並んでウィーン古典派三大巨匠のひとりである。
このモーツアルトも装飾的な曲を限定的な部屋から紡ぎだしました。反響音が響く環境では、曲は複雑ですが、うまくいっています。Jazzも同様です。
これはその少し後、こういう場所でモーツァルトは曲を書いてました。確か?1770年あたりだったと思います。
空間が小さくなり、反響音も少ないので本当に装飾的な音楽が書けました。複雑ですがうまくいってます(曲:ピアノソナタ第13番 作:モーツァルト)
空間にぴったり合っている。これはスカラ座です。ほぼ同時期の建物です。1776年に建てられたと思います。
これらのオペラハウスが建てられた頃��観客は、歓声をあげるのが普通でした。飲食をしながらステージに向かって歓声を送りました。
時代は、20世紀になり、演奏機器にイノベーションが起ったため、テクノロジーによるマイク録音。
電波の発見もあり、放送機器にもイノベーションが起こりました。ラジオの登場で、フランクシナトラやチェットベイカーなどの演奏方法を可能にしました。
マイクの存在が、ミュージシャンや作曲家。そして、特に歌手たちに全く違ったタイプの曲を書く事を可能にさせたのです。
ラジオで掛けられる曲の多くは生演奏でしたが、フランク・シナトラのようなシンガーには、マイクなしでは絶対出来なかったようなことが出来るようになりました。
シナトラ後のシンガー達には、変化はさらに顕著でした(曲:マイ・ファニー・バレンタイン 作:チェット・ベイカー)チェット・ベイカーです。
こういう風に歌うことは、マイクなしでは不可能でした。録音技術なしにも不可能だったでしょう。彼の歌声は右側から聞こえてきます。
彼のささやきが耳に入ってきます。この効果はマイクによるものです。まるであなたの横に座っているかのようにささやきが聞こえてきます。
ここから、ライブミュージックと録音ミュージックに分かれてきます。
そして、今、この写真のような会場もあります。ディスコですね。バーにはジュークボックスがあって、そこではバンドはもう必要ありません。
生バンドの演奏の類は、もはや必要ないのです。音響システムはいいですね。そして、ディスコや音響システムに特別に合わせた音楽が創られ始めました。
また、ジャズのようにダンサー達は、曲のある一部分を他の箇所より気に入ってました。初期ヒップホップが、曲の一部を繰り返すようになった所以です(曲:ラッパーズ・ディライト 作:シュガーヒル・ギャング)
ジャズ・ミュージシャンが即興演奏したように、MCも即興でラップするようになりました。また、ここで新しい音楽が生まれたのです。
その後、U2などのアリーナロックも創造されていきます。
ライブが人気を博すようになるとキャパ的理由から、音響的に地上最悪のスタジアムやバスケットボールアリーナ。ホッケーアリーナなどで演奏する羽目になります。
そうなったミュージシャン達は、全力を尽くしました。今では、アリーナロックと呼ばれるミディアムバラードを書き始めたのです。
彼らは曲作りに最善を尽くそうとしたのですね。ミディアムテンポで壮大に聞こえる曲です。これは音楽的状況からというより、社会システム的状況に迫られたものです。
こういった会場のために書かれた曲は、彼らの状況にもぴったりなわけです。そして、さらに新しい空間が出来ました。車の中もその一つですね。私はカーラジオと一緒に育ちました。
しかし、今はラジオも進化しました。車はライブ会場そのものですね(曲:フーユーウィズ 作:リル・ジョン&ザ・イースト・サイド・ボーイズ )
私は、この音楽は車向けに作られたと言いたい。バッチリはまってますよね。家の中で聞きたいとは思わないかもしれないけど、車の中で聞くにはすごくいい。
周波数スペクトラムが広範囲で大きなベース音とハイエンドボーカルは、ミドルレンジで留まってる車で聞く音楽は友達とシェアできますからね。
今では。iPodなどや多種多様なMP3の情報圧縮テクノロジーのイノベーションが起こったためにその配信方法もミュージックプレーヤーなどのMP3に合わせて創造されています。
<おすすめサイト>
マット・ルッソ:宇宙の音を探る音楽の旅
バーニー・クラウス:自然界からの交響曲
スティーブン・ジョンソン:音楽がもたらしたコンピューターの発明
ジョン・グラハム=カミング:かつて存在しなかった最高のコンピューター
<提供>
東京都北区神谷の高橋クリーニングプレゼント
独自サービス展開中!服の高橋クリーニング店は職人による手仕上げ。お手頃50ですよ。往復送料、曲Song購入可。詳細は、今すぐ電話。東京都内限定。北部、東部、渋谷区周囲。地元周辺区もOKです
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ignitiongallery · 1 year ago
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きくちゆみこ 個展『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』
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12月13日より、twililightにて、翻訳・文筆家のきくちゆみこによる個展『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』を開催します。
17日には安達茉莉子さん、21日には淡の間さん、22日は中村佑子さんをお迎えしてのイベントも企画しました。
ぜひ足をお運びください。
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会期:2023年12月13日(水)〜2023年12月25日(月) 会場:twililight(東京都世田谷区太子堂4-28-10鈴木ビル3F&屋上/三軒茶屋駅徒歩5分) 営業時間:12:00〜21:00  休み:12月19日、20日
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わたしがやることなすこと、すべてがわたしとあなたとわたしたちの喜びのためじゃなかったらいったいなんなんだろう?
なんのために書き、なんのために生きるのかといったら、やっぱりあなたと仲良くなりたいからだ。わたしはあなたにやさしくしたい、あなたにもやさしくしてほしい。そんな気持ちでものを書き、そのあいまに生きてきた。書くことが、自分について書きつづけることが、ひとにやさしく、自分にやさしくいることの最後のよすがみたいに思って――。
(『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』「あとがき」より)
twililight web magazineで連載していたエッセイ「だめをだいじょぶにしていく日々だよ」が本になりました。刊行を記念して、エッセイの世界を目で見てさわって感じられるささやかな個展を開催します。お会いできたらうれしいです。
きくちゆみこ
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《プロフィール》
きくちゆみこ
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文章と翻訳。2010年よりパーソナルな語りとフィクションによる救いをテーマにしたジンを定期的に発行、言葉を使った作品制作や展示も行う。主なジンのタイトルに『愛を、まぬがれることはどうやらできないみたいだ』、『内側の内側は外側(わたしたちはどこへだって行ける)』、訳書に『人種差別をしない・させないための20のレッスン』(DU BOOKS)などがある。現在はルドルフ・シュタイナーの人智学をベースに、心とからだと言葉を結びつけるための修行をあれこれ実践中。
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《会期中イベント》
1.きくちゆみこ+安達茉莉子『書くこと、裸足でかけること』
日時:12月17日(日)開場:10時 開演:10時30分 終演:12時
会場:twililight(東京都世田谷区太子堂4-28-10鈴木ビル3F&屋上/三軒茶屋駅徒歩5分)
参加料金:2000円+1ドリンクオーダー
定員:14名さま
書くことは、自分をほどくことだと、きくちゆみこさんと安達茉莉子さんの文章を読んで感じることがあります。それはある種、自分の剥き身を曝け出すようで勇気が必要なことだとも思いますが、だからこそ多くのひとりひとりの深い部分にまで届き、共感を生む。
お二人はどのように文章を書いているのでしょうか。そしてどのようにジンや作品集を作っているのでしょうか。
日曜日の朝、書くことについてのワークショップのような時間を設けます。ぜひご参加ください。
“書くというのは、生きるというのは、あらかじめ与えられたひとつひとつの言葉を、より小さいものへと、自分ぴったりのかたちへと、つくり変えていく地道な作業なのかもしれない。”
(『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』「あとがき」より)
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*定員に達したため、キャンセル待ちの受付になります!
件名を「きくちゆみこ+安達茉莉子『書くこと、裸足でかけること』」
として、お名前(ふりがな)・お電話番号・ご予約人数を明記の上、メールをお送りください。
*このメールアドレスが受信できるよう、受信設定のご確認をお願い致します。2日経っても返信がこない場合は、迷惑フォルダなどに入っている可能性がありますので、ご確認ください。
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安達茉莉子(あだち・まりこ) 
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作家・文筆家。東京外国語大学英語専攻卒業、サセックス大学開発学研究所開発学修士課程修了。政府機関、限界集落、留学などを経て、言葉と絵による作品発表・執筆をおこなう。著書に『毛布 – あなたをくるんでくれるもの』(玄光社)、『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』(三輪舎)、『臆病者の自転車生活』(亜紀書房)、『世界に放りこまれた』(twililight)ほか。
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*淡の間さんが体調不良のため中止になりました!
2.きくちゆみこ+淡の間『星のめぐりとわたしたち』
日時:12月21日(木)開場:19時 開演:19時30分 終演:21時
会場:twililight(東京都世田谷区太子堂4-28-10鈴木ビル3F&屋上/三軒茶屋駅徒歩5分)
参加料金:2000円+1ドリンクオーダー
定員:16名さま
『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』の第4章「わたしにとってのわたしたち」に登場する占星術師「淡の間」さんにご出演いただき、きくちゆみこさんの星座について公開星読みをしながら、参加者の皆さんと語り合います。あえて「すべて星のせい」にしてみることで語れることがある。
“占星術と出会ったことで、わたしは自分のことをもっと大きな視点で見つめるやりかたを知った。それは自分の運命をただ受け入れるというよりも、「わたしに与えられたわたし」とこの先どう付き合っていけばよいのかという、大まかな見通しみたいなものをもらったような感覚だ。そしてこれはきっと、自分自身にやさしくするという、わたしにとっての難題とも分かちがたく結びついている。”
(『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』「わたしにとってのわたしたち」より)
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件名を「きくちゆみこ+淡の間『星のめぐりとわたしたち』」
として、お名前(ふりがな)・お電話番号・ご予約人数を明記の上、メールをお送りください。
*このメールアドレスが受信できるよう、受信設定のご確認をお願い致します。2日経っても返信がこない場合は、迷惑フォルダなどに入っている可能性がありますので、ご確認ください。
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淡の間(あわいのま)
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西洋占星術、タロットカードを使う占い師。人智学、ヨーロッパの自然療法や魔術、自然哲学にま��わることなど、色々なことに興味があって勉強中。活動は2019年〜、オンライン講座の運営や各種媒体での執筆、オンラインと対面での個人鑑定、毎年オリジナルダイアリーの出版を手がけるなど。毎朝Instagramのストーリーで1日の流れ(日報)を更新。
Instagram / X
 @ aynoma.jp
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3.きくちゆみこ+中村佑子『世界はいいところだと信じたい。』
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日時:12月22日(金)開場:19時 開演:19時30分 終演:21時
会場:twililight(東京都世田谷区太子堂4-28-10鈴木ビル3F&屋上/三軒茶屋駅徒歩5分)
料金:来店参加:2000円 / 配信参加:1000円
来店+『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』¥2090=4090円
来店+『わたしが誰かわからない』¥2200=4200円
来店+『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』¥2090+『わたしが誰かわからない』¥2200=6290円
配信+『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』¥2090=3090円
配信+『わたしが誰かわからない』¥2200=3200円
配信+『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』¥2090+『わたしが誰かわからない』¥2200=5290円
*すべて見逃し配信(1ヶ月間)付き
予約:https://peatix.com/event/3779010/view
きくちゆみこさんの『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』(twililight)と、中村佑子さんの『わたしが誰かわからない』(医学書院)のW刊行記念イベントを開催します。
きくちさんは、わたしが誰だか知りたくて、書いて書いて内面に潜っていきます。
そして『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』「あとがき」では以下のように書いています。
“わたしがやることなすこと、すべてがわたしとあなたとわたしたちの喜びのためじゃなかったらいったいなんなんだろう?
なんのために書き、なんのために生きるのかといったら、やっぱりあなたと仲良くなりたいからだ。わたしはあなたにやさしくしたい、あなたにもやさしくしてほしい。そんな気持ちでものを書き、そのあいまに生きてきた。書くことが、自分について書きつづけることが、ひとにやさしく、自分にやさしくいることの最後のよすがみたいに思って――。”
これを読んで、中村佑子さんの『わたしが誰かわからない』を思い浮かべました。
中村さんは『わたしが誰かわからない』の「はじめに」で、以下のように書いています。
“わたしはまず、母に付き添って過ごした精神科病院で出会った女性たちのことから書きはじめ、前作と同じように当事者への聞き書きとして進めていった。しかしそこには、ヤングケアラー特有の困難があったのだ……。その詳細は本論を読んでいただきたい。  筆をとったり、筆を置いたりするわたしの右往左往、迷いともども、すべてをここに書いている。わたし自身の感情や思考のドキュメントとしての部分も大きいが、その道行きの困難さも含めて、書くということが孕(はら)む問題に向き合うことだったのだろうと、いまはそう思っている。  書きはじめてから二年あまりかかったが、最後に別の風景が見えてきた。そのことに、ありがたいような、感謝したい気持ちがわきおこる。  書くということは、洞窟を手で少しずつ掘っていくようなことだという醍醐味を味わった。ときに爪にやわらかい土が入って不快に感じたり、息が切れて壁によりかかって暗い天井を眺めたりしながら、ようやく最後に、指の先に少しだけ光が見えた。”
どこか共通点を感じるお二人に、わたしについて、世界について、お互いの本について、思う存分語り合っていただきます。
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中村佑子(なかむら・ゆうこ)
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1977年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒。テレビマンユニオンに参加。ドキュメンタリーを多く手がける。映画作品に『はじまりの記憶 杉本博司』、『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』、テレビ演出作にNHK-BSプレミアム「幻の東京計画首都にありえた3つの夢」など。シアターコモンズにて、AR映画『サスペンデッド』脚本・演出などがある。
2020年、初の単著となる『マザリング 現代の母なる場所』(集英社)を出版。立教大学現代心理学部映像身体学科兼任講師。
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jinsei-pika-pika · 1 year ago
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「君たちはどう生きるか」宮崎駿監督が、新作映画について語っていたこと。そして吉野源三郎のこと
 宮崎駿監督の10年ぶりとなる長編アニメーション映画「君たちはどう生きるか」が、7月14日から全国で公開される。吉野源三郎の同名の著書とはまったく違うストーリーが展開されるという以外、詳細は伏せられたままだ。とある縁で宮崎監督に面会した筆者が、新作について監督が語っていた言葉や、鑑賞して感じたことなどを振り返った。(文:吉野太一郎)
「私自身、訳が分からない」  「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」。
 2023年2月下旬、東京都内のスタジオで上映された、「君たちはどう生きるか」の初号試写。米津玄師の歌うピアノバラードが流れ、エンドロールが終わった瞬間、灯りが点き、宮崎駿監督のコメントが読み上げられた。
 客席から軽い笑い声が漏れた。私もその一人だった。あまりの展開の速さと、盛り込むだけ盛り込まれた情報を消化しきれず、茫然と座り込んでいたが、その言葉で我に返った。
 これは「宮崎アニメ」の集大成なのか、吉野源三郎の著書『君たちはどう生きるか』の再解釈なのか。とにかく、1回見ただけではとても全容を把握できなかった。
「自分のことをやるしかない」  今回の作品は、公開前のプロモーションも、メディア関係者向けの試写も一切ないまま公開日を迎えた。異例の態勢の中、内容は無論、見たことすら口外無用のキャスト・スタッフ向け試写に、なぜ私と両親が呼ばれたのかといえば、父が『君たちはどう生きるか』の著者・吉野源三郎の長男で、私が孫にあたるからだ。
 その5年ほど前の2017年11月、父と私は東京・小金井のスタジオジブリに招かれ、宮崎監督と対面していた。さらにさかのぼること半月ほど前、とあるイベントで宮崎監督が突然、次回作のタイトルが「君たちはどう生きるか」だと明らかにし、ニュースなどで話題になっていた。親族としては寝耳に水だったのでかなり驚いたのだが、宮崎監督は「うっかり喋ってしまいました」と詫びた上で、作品について語り始めた。
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2017年11月、次回新作について父に話す宮崎駿監督。手元に、古びた吉野源三郎作『君たちはどう生きるか』が置かれていた=吉野太一郎撮影  小学生のとき、教科書に載っていた『君たちはどう生きるか』の冒頭部分に強い印象を受けたという宮崎監督は、年季の入った同書をスタジオに持参していた。若い制作スタッフにも読むよう勧めたところ「この本はまだ生きているね」と好評だったといい、作品のタイトルを決める段になって、一人が「『君たちはどう生きるか』がいい」と提案したのだという。制作は当時まだ始まったばかりだったが、映画の序盤とラストシーンにこの本が登場することも、宮崎監督は既に決めていた。
 宮崎監督によれば、引退宣言を撤回して臨んだ今回の作品は「ずっと自分が避けてきたこと、自分のことをやるしかない」という思いだったそうだ。「陽気で明るくて前向きな少年像(の作品)は何本か作りましたけど、本当は違うんじゃないか。自分自身が実にうじうじとしていた人間だったから、少年っていうのは、もっと生臭い、いろんなものが渦巻いているのではないかという思いがずっとあった」
 「僕らは葛藤の中で生きていくんだってこと、それをおおっぴらにしちゃおう。走るのも遅いし、人に言えない恥ずかしいことも内面にいっぱい抱えている、そういう主人公を作ってみようと思ったんです。身体を発揮して力いっぱい乗り越えていったとき、ようやくそういう問題を受け入れる自分ができあがるんじゃないか」
 時は太平洋戦争中の1944年、東京を襲った空襲で入院中の母を亡くし、父が経営する戦闘機工場とともに、一家は郊外へ疎開する。出迎えたのは父の再婚相手となった母の妹。お腹に新たな命が宿っている新しい母を、眞人は受け入れられず、転校先でも孤立する。そんなある日、疎開先の屋敷で眞人は偶然、1冊の本を見つける。
 屋敷の庭の森には、廃屋となった洋館が建っている。眞人の母の「大おじ」にあたる伝説の人物が建てたという。やがて眞人の前に「母君があなたの助けを待っている。死んでなんかいませんよ」と人間の言葉を喋る青サギが現れ、導かれるように、眞人は洋館の中へと進んでいく――。
 ここから先は「宮崎アニメの集大成」のような不思議ワールドの冒険が描かれるのだが、少年の成長というテーマが共通するからか、宮崎監督が吉野作『君たちはどう生きるか』を再解釈したのではないかと思わせる場面も登場する。
 『君たちは~』の主人公「コペル君」こと本田潤一少年は父親を亡くしており、親代わりでもある「叔父さん」との会話や交換ノートを通じて成長していく。映画の中で交わされる眞人と大おじの対話は、コペル君と叔父さんの対話を思い起こさせる。大おじが眞人に伝える「お前の手で争いのない世を作れ」という言葉は、戦中生まれの宮崎監督が次世代に託すストレートなメッセージだろう。
 そういえば中盤に登場する「ワラワラ」というキャラクターは、宮崎監督が小学校時代に読んだ『君たちは~』の冒頭部分に登場する、銀座のデパートの屋上からコペル君が眺めた群衆にも見える。ではあの場面は、この場面は……次々と出現する謎めいた仕掛けに、まったく分析が追いつかないまま、2時間4分はあっという間に過ぎる。
祖父・吉野源三郎と私  試写からの帰り道、ふと思った。眞人少年が、遥か世代の離れた大おじと対話したように、私も今、祖父と直接対話できたら、どんな言葉を交わすだろうか。
1978年5月、祖父母宅で私の誕生祝いをした時の写真らしい。右から当時5歳の私、弟、祖父・吉野源三郎、祖母  私が小学校に入る前、祖父は2軒隣に住んでいて、訪ねて行くと絵本を読んでくれたり、似顔絵を描いてくれたりと、孫の私をかわいがってくれた。既に80近い高齢で、およそ3回に1回は床に伏せっていて「今日は具合が悪いからごめんね」と追い返されたが、やがて入退院を繰り返すようになり、近づくこともできなくなった。肺や喉の疾患が悪化し、最期は話すこともできなくなった祖父は、私が小学校2年のとき、82歳で死去した。
 祖父は戦前、陸軍を除隊後に治安維持法違反に問われて投獄され、軍法会議にかけられたが九死に一生を得た。釈放後に作家・山本有三の少年少女向け書籍編集を手伝う中で執筆した1冊が『君たちはどう生きるか』だった。戦後は岩波書店の雑誌「世界」の初代編集長などを務め、父には「反骨の背筋は伸びているか」「謙虚に堂々と」など、言論人の心構えを折に触れて説いていたというが、もちろん私は祖父から壮絶な半生を聞いたり、薫陶を受けたりしたことはない。
 祖父の死後も『君たちは~』は岩波文庫に収録され、多くの人に読み継がれてきた。誇らしくもありつつ「偉大なお爺さまをお持ちで」などと言われるのがやや重荷でもあり、積極的には明かし��こなかったが、新聞記者やウェブ編集者になってから時折、祖父の残した他の著作を読み返すようになった。『職業としての編集者』(岩波新書)に収録された、戦前戦後の混乱を経て「世界」を創刊した回想録などは、親族が登場することもあって他人事とは読めず、時代が変わっても守るべき価値や教訓があることを教えてくれる。著作を読むという限定的な形��がら、これも祖父と交わす一種の対話なのかもしれない。
包装紙の裏に祖父が描いた父と私(中央)、弟。鉛筆でサラサラと似顔絵を描くのが上手だった。  『君たちは~』は2017年に漫画化され、21世紀らしい出で立ちで再び現れた。そして約6年の制作期間を経て、別作品とはいえ、宮崎駿監督の同名の映画が公開された。この間の出来事は「やさしいおじいちゃん」しか覚えていない孫に、祖父が思いがけない贈り物を届けてくれたようでもある。どこかでずっと、孫の私を見守ってくれているのではないか。そして何かを問い続けているのではないか。眞人を見守る「大おじ」のように。将来の息子に1冊の本を託した眞人の母のように。
 その問いかけにどう答えるか。つまり私は、どう生きるか。とりあえず、一度見ただけでは回収できなかった伏線を探しに、もう一度、劇場に足を運ぶことにしよう。祖父との新たな「対話」の糸口が見つかるかもしれない。
吉野太一郎(よしのたいちろう) 「好書好日」副編集長。大阪、東京の社会部、ネットメディア「ハフポスト日本版」などを経て2020年2月から「好書好日」編集部員。2022年3月から9月まで休職し、韓国・慶南大学極東問題研究所フェローとして北朝鮮問題・脱北者をテーマに研究。
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manganjiiji · 1 year ago
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桜くつ器
「くつ」というのは今自分で考えた動詞で、その場に固定するみたいな意味です。くくりつけるとか、打つとか、木槌で叩いてぴんと固定させる感じ。なにかいい漢字がないかなと思ったけど、思いつかなかった(と思ったが、「繰つ」というのがいいかもしれない、口が3つもあって硬そうなところがいい)。桜くつ器というのは、桜が固定されて飾られている器の意。
カウンセリングに行ってカウンセラーの先生に3ヶ月ぶりに話をしてもらい(ずっと予約の電話をかけることができず、3ヶ月ぶりとなってしまった)、さまざまなことが整理され、やっと、ここ数週間のうつ状態からすこし回復したように思われる。とくに一秒ごとに噴出していた希死念慮は無くなった。帰りに蔦屋書店に寄ってしまい、まさかここで本を買うとは思わなかったのだが、文庫本4冊をレジに持っていっていた。まだ前に買った本を読み終わっていないのになぜかこのようなことをしてしまう。これは23歳くらいからずっとそう。恐ろしい書籍購買依存症だ。「本を買う」という行為にのみ意味があり、読むことは全然しない。たまには読むが、1冊を頭から終わりまで読み切るということは殆どない。最近はその事に罪悪感も苦悩も呆れも何も覚えなくなってきた。この数ヶ月本を買うことをやめられていたのに、いきなりこのように浪費してしまい、衝撃もあるが、まあいつもの自分だなと思った。『京都SFアンソロジー』『貝に続く場所にて』『クララとお日さま』『実力も運のうち』の4冊。京都SFは暴力と破滅の運び手さんの「ピアニスト」が読みたくて買った(まだエチ小賞アンソロも読み終わっていないし、ブラームスの乳首も読み終わっていないのだが)。貝に〜は、書店で見て、芥川賞と群像新人賞の受賞作で、言語に関する物語とあったので、かなり気になって買ってしまった。講談社文庫はビニールが最初からかかっていて中が見えないのだが、帰宅してビニールを破って(この作業、省略したい。講談社は早く正気に戻って文庫本にまでビニールを掛けるのはやめてほしい)中を見たら、かなり余白の多い組版で、行間もひろく、見た目のうつくしさに拘りを感じた。いかにも芥川賞受賞作という感じで良い(組版への拘りというと黒田夏子の『abさんご』を思い出す。あれもかなり好きだった)。クララとお日さまは、ことこさんに内容を教えてもらった時に読みたいと思い、文庫化もしたことだし、と買っておいた。ひじょうによい子のAIの一人称で、カズオ・イシグロのいつものあれですよ、と言われたので(語り手の認識と世界との齟齬というかズレが特徴的なことが多い)、そして立ち読みしたところクララ(AI)にかなり好感を持ったので、読もうと思った。マイケル・サンデル(実力〜)は、かなり西洋哲学やキリスト教的価値観を引いて解説している(おそらくアメリカ人の状況を)と感じたので買った。『資本主義の〈その先〉へ』(大澤真幸)を読んでいるところなので、かなり内容に惹かれた。昔からだが、やはり「アメリカ」というものの面白さが私の冒険心を掻き立てる。同じくらい「日本」というものも面白いのだが、日本には一見してわかるような一貫性がない。だからこそ歴史の追いがいもあるのだが、やはりプロテスタントの「理想国家」として作られた人工物のアメリカのほうが理解しやすく、直截的なエキサイティングが得られる。昨日観劇したミュージカル「ラグタイム」で���、二十世紀初頭のアメリカのフランス系アングロサクソン、ラトビア系ユダヤ、アフリカ系黒人の三つの民族の交わりがえがかれており、面白かった。私はスウィング・ジャズが好きなので、音楽としてのラグタイムにもっと言及があるのかしらんと思ったが、そこは特になかった。ミュージカルとしては、クラシック、ラグタイム、スウィング、ポップスと、割とオーソドックスなラインナップだったので、音楽的にはそこまでラグタイムに特化していたわけではなかった。そもそもこのラグタイムという語の、本来次の音が来るであろう箇所(次の拍)ではまだ音が来ず、ラグがあって少し拍より遅いところで次の音が来るシンコペーションのことを表している本来の意味とともに、さまざまな人種や民族がアメリカに絶えず流入し、立場がさまざまに変わりながら、「アメリカ人」になっていくまでのラグタイム(過渡期、猶予期間のようなイメージ)を描いているということなのかもしれない。私は音楽的なラグタイムは、クラシックとジャズを繋ぐ時期のもの(リズム、シンコペーション)という認識なので、まさにラトビア(欧州、クラシック)から移民としてアメリカ(新大陸、ジャズ)へ渡って、映画監督として「アメリカ人」として認められるまでのターテ(俳優は��丸幹二さん)の不遇の期間のことと考えると自然だ。音楽を、ジャズを主体としたミュージカルというのが見てみたいと思う(映画でも)。そういう作品はたくさんあるので、そのうち出会えるといいなと思う。そういえば前回日生劇場で見た「ジャージーボーイズ」はジャズを通り越してポップス…というかブルー・アイド・ソウル(白人がアレンジしたR&B)またはロックの話だったが、アメリカの商業音楽の世界を存分に楽しめた。ジャズのミュージカルとしては誰に焦点を当てるかだが、誰に当てても大物だらけの舞台(要素がもりだくさん)になってしまい、かつミュージカル・ナンバーもジャズにしないと成り立たなさそうだが、日本のミュージカル俳優はジャズ・シンガー(の歌い方)ではないので、なかなか難しいのではないかと感じる。「ラグタイム」ではサラ(黒人女性)役の遥海さんの歌唱が圧倒的で(彼女だけミュージカルの発声ではなく、全編通してソウルの歌い方だった)、歌だけでいえば主役の3人を凌駕していたのではないかと思う。完全に自分の声を縦横無尽に舞台全体で走り回らせ、かつコントロールも完璧だった。ミュージカルの歌い方では、ああいう芸当はできないというか、そもそも方向性が違うのでなんとも言うべきではないが、ソウルやジャズの歌い方もできるミュージカル俳優というのがもしいたら最強だろうな、ということを夢想した。クラシックの基礎の上にジャズの歌い方もマスターしているとなると、日本では平原綾香やKOKIAが私などは浮かぶが(上の世代だと美空ひばりや森山良子だろうか)、芝居も歌も極める上に、歌は2種類も、というのはやはり難しいのだろうか。我らが東啓介氏(私が舞台刀剣乱舞のバックステージ映像で好きになり一時期ガチで応援していた俳優)に関しては、私は今回もあまり納得が行かなかった。同行した友人は「28歳だし、そんなにすぐに変わる(成長する)ものではなく、熟達を求めるのは10年後とかかなあ」というようなことを言っていて(記憶違いがあったら申し訳ない)、私は東啓介にあまりにも多くを求めすぎているのだろうか、と思う。応援していることは応援しているのだが、追っていた頃の急成長と比べて、本格的なミュージカル俳優となってから、舞台上で分かりやすい「成長」というのが感じられないため、刺激に飢えているのかもしれない。演技もいつも同じに見えるし、発声の仕方も特に試行錯誤するでもなくいつも変わらず、なんかこう、変化…バリエーションが無い。それがつまらなく感じる。育ちが良く上品な所作、という当て書きのような役柄を続けて見てしまっているせいもあると思う。5DAYSの時みたいな、もっとしょうもない若者とか、マタ・ハリの時の恋に狂った青年とかの、本人の育ちの良さを封印するような役の方が見てみたいなあと思う。もっとヘドロの中を生きてきたような役を与えられた時に、果たしてどこまで生来の「品の良さ」を封印できるのか。というのは、彼を起用する演出家やプロデューサーが、どこまで東啓介の演技に期待してくれるのか、という問題も関わってくると思う。舞台上の発声はもっと先輩俳優の声の響きを聞いて試行錯誤してみてほしい。声が小さくても響かせるための発声。歌い方も最初の子音の破裂音というか呼気が入りすぎているが、これも前回から変化なしで、歯がゆい気持ちになった。歌はロングトーン以外でも「聴かせ」なければならないが、今のところロングトーンがないと東啓介の歌声はあまり目立てないというか、ほかの歌声との差別化が為されない。これに関してはどうすればいいのか素人にはわからないが、とにかく今までの練習や方向性を踏襲するのではなく、さまざまなやり方、歌い方、技法、発声方法を試して、もっと声に色をつけてほしい。ファンレターに書けばいいことを長々と書いてしまった。ファンレターに書きます。
夜、じゅんえん先生と話していたら赤森さんが来訪し、最終的に2時過ぎまでウエルベックの小説や文化や価値観の違いについて話してしまった。私は『ある島の可能性』を見つけて買って持っているだけでまだ最初の3ページしか読んでいないのだが、今日あらすじを聞いて、中身を結構拾い読みして、どんどん読んでいきたいと思った。ウエルベックを紹介する時の赤森さんは「とにかく中年男性主人公がキツい(見ていてキツい、キショい)」ということを語るのに非常に活き活きとしていて面白い。赤森さんはもともと面白い方なのだが、ウエルベックを語る時の赤森さんは「主人公のここが無理」ということを鮮烈に話してくれるし、ストーリーの面白さもきちんと伝えてくれるので、凄いなあと思う。ちなみにファフナーをTwitter上で語っている時の赤森さんもかなりのエンターテイメント性がある。
じゅんえん先生は酒が飲めない、かつ所得の低い私のことを気遣って、飲みに誘わないでいてくれたのだが(とても優しくて感動した)、今後は数回に一回は混ぜてくれるらしい。私があまりにも拗ねすぎたなと思ったのでやや反省した。
2023.9.19
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t82475 · 1 year ago
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梢ちゃん、初めてのイリュージョン
1. 大阪から東京へ引っ越して、あっという間に1学期が過ぎた。 新しい学校で仲良しの友達もできたし、まあどんな環境にもすぐに適応するのがウチの強みやな。 弟の湊(みなと)は転校先の小学校に慣れなくてちょっと苦労している感じ。 それで母ちゃんが新聞の折り込みチラシで見つけた小学生向けの造形美術教室へ行ってみたらどうか、と提案してきた。 湊はウチと違(ちご)て繊細やもんね。 ゾーケイとかビジュツとか、そういうんは向いてると思う。
母ちゃんは教室へ電話を掛けて見学の予約をした。 土曜日午後のクラス。 「梢(こずえ)も一緒に来て」 「えぇー、ウチも?」 「湊は小2やし一人で行かされへんでしょ? いつもママが付き添えるとは限らへんし、そのときはあんたが連れてくの」 「あーん、貴重な週末やのに。母ちゃんのいけずー」 「そろそろ『お母さん』かせめて『ママ』って呼んでくれへん? いつも成○石井で母ちゃんって大声で叫ばれるの恥ずかしいんやけど」 「『おかん』って言われるよりええやろ? それに高級スーパーやゆうて恥ずかしがるんは田舎モンやで。だいたい成○石井くらいアベノ橋にもあったやんか」 「あ、そうか」 「分かったらよろしい、母ちゃん」 「そうやって親を煙に巻くの止めなさい」
2. そんな訳で3人で見学に来た造形美術教室。 三田さんというおばちゃんの先生が教えていた。 生徒は10人ほどで、それに保護者のパパとママが何人か来ている。 この日はカラーキャンドルを作っていた。 使い古しのろうそくとクレヨンを削って湯��んにかける。 何色か溶かして好きな順番で型に流し込めばカラフルなキャンドルが出来上がる。
「桧垣湊くんね? よかったら一緒に作らない?」 先生に誘われて湊は頷いた。 「あのっ、ウチもやらせてもらっていいですか!」 「こら梢!」 母ちゃんが止めようとしたけど、先生は笑って許してくれた。 「湊くんのお姉さんね? もちろんどうぞ」 「桧垣梢ですっ。中学2年です! ヨロシクお願いします!!」 だってキャンドル作り、すごい面白そうなんやもん。
「うわぁー、綺麗やん!」 どや、この色のチョイスはなかなかのもんやろ? 「水色を入れたいの? ええで、お姉ちゃんが一緒に削ったげる」 クレヨンを削るのを手伝ってあげた。この教室、こんな小っちゃい子にもナイフ使わせるんか。 「ボク! そこ指入れたらあかんっ。熱いでぇ~!」 湯せんの中に指を入れかけた男の子を止めた。ホットプレートの扱いも注意させんとあかんなぁ。
気が付けばウチは子供たちの輪の中にいてあれやこれや世話をしていた。 先生は後ろに立って笑っていた。
3. 「この娘が一番楽しんだようで申し訳ありません」 他の生徒さんたちが帰った後、母ちゃんが謝った。 ま、ウチを連れてきたらこうなるのを予想せんかった母ちゃんのミスやな。 「いいんですよ。よかったらこれからも毎週来てくれたら助かるな、梢ちゃん」 「ええんですか?」 「子供、好きでしょ?」 「ハイッ、好きです! ・・母ちゃん、ウチの分の月謝もお願い」 「あのねぇ」 「月謝なんて要らないわ。むしろお給料払わないといけないくらいよ」 「えぇ! お給料もらえるんですか!」 「な訳ないやろ」 母ちゃんがウチの頭を小突いた。
「ところで、」 母ちゃんは先生に向かって聞いた。 「三田、静子先生ですよね?」 「はい」 「覚えてませんか? 30年以上前ですけど京都の中学校で」 「京都? 確かに昔、京都で教師をしていましたが」 「私、美術部でお世話になった鈴木です」 鈴木っちゅうんは母ちゃんの旧姓やな。
「・・鈴木純生(すみお)さん? あの、捻挫して松葉杖の」 「はい!」 「きゃあ~っ」「きゃあ~っ」 母ちゃんと三田先生は両手を握り合った。 それからハグして、その場で跳ねながら一回転する。よお息が合うもんやと感心した。
「チラシでお名前見て、もしかしたら思ってたんです」 「懐かしいわ!」 「よかったら、あらためて昔のお話させてください」 「そうね、そうしましょう!」
・・後ろのドアが開く気配がした。 「先生、これも倉庫に置かせてもらっていいですか」 振り返ると背の高いお兄さんが立っていた。 その後ろには可愛いお姉さんもいる。 お兄さんは大きな丸いモンを抱えていた。 イケてない兄ちゃんやな。この、もさぁっとした感じ。 ウチの見立てやと30は超えとるな。もちろん彼女いない歴イコール年齢や。 それと比べてお姉さんはずっと若くてキュート。きっとピチピチの女子高生。
「ああ、まだ生徒さんがいましたね。出直します」 「いいのよ。もう済んでるから。���・それで何を置きたいの?」 「このボールです」お姉さんが答えた。 「くす玉なんだって」 「正確には人間くす玉です」 人間くす玉って、いきなり謎のワード。
「くす玉っ!?」 素っ頓狂な声を上げたのは母ちゃんだった。 「まさかそれ、S型の人間くす玉・・」 「よく分かりますね」 お兄さんが言った。 「あなた何者ですか?」
母ちゃんは両手で胸を押さえて深呼吸して、それから一人で叫んだ。 「きゃあああ~!!」 さっき三田先生とシンクロして叫んだときよりずっと大きな声だった。 皆が驚いて見守る中、母ちゃんだけが絶叫しながらぴょんぴょん飛び跳ねていた。 46歳の母ちゃんが急に若返ってハタチになったみたいに見えた。
4. 次の土曜日の教室。 ウチは一人で湊を連れて来た。 母ちゃんは前の晩からどこかへ出かけ、朝になって上機嫌で帰って来てグーグー寝ている。 ええ歳の主婦がそないな夜遊びしてええんか? 父ちゃんは笑ってたから許してるんやろうけど。
今日の造形美術教室の題材は千切り絵だった。 いろいろな色の和紙をハサミを使わずに裂き、糊で貼って綺麗な絵にする。 子供たちは一生懸命。ウチも一緒に絵を作る。 やっぱり楽しい。 ウチには造形美術の才能があるんやないか。
「みんなーっ、クッキーだよ! あたしの手作り!!」 れいらさんがお菓子を持ってきてくれた。 玻名城(はなしろ)れいらさんは先週出会ったあの高校生だった。 造形美術教室の卒業生で、ときどき子供たちに差し入れしてくれる優しいお姉さん。
「イッくんは二日酔いらしいです」 「男のくせに駄目ねぇ」 れいらさんが報告して三田先生が笑った。 イッくんとはあのお兄さんのことで、本名はえーっと、酒井功(さかいいさお)さんやったな。 れいらさんと同じく造形美術教室のOBで今もいろいろお手伝いしてくれているらしい。
「いったい何人で飲んだんですか? 先生」 「5人ね。イッくんと桧垣純生さんと私。それに桧垣さんの知り合いっていうモデル事務所の社長さんと、京都から来たイベント会社の社長さん。イッくん以外は全員女性よ」 「えっ、ウチの母ちゃんも一緒やったんですか?」 「そうよ。昔のお話が沢山できて楽しかったわ」 「社長するような人と母ちゃんが知り合いとか、知らなかったです」 「面白い人たちだったわ。皆さんお酒もぐいぐい飲むし、盛り上がっちゃった」 「先生もぐいぐい飲んだんでしょ?」 「おほほほ」 「イッくん可哀想。おばさんたちに飲まされて」 「んま、れいらちゃんったら失礼なこと言うわねー」 「ウチにも分かります。30過ぎのおじさんでも、おばちゃんたちから見たら若い男の子ですもんね。そら可愛がられますわ」 「梢ちゃんまだ中学生でしょ? 何でそんなことが分かるの?」 「えへへ、そうゆうんは得意なんです」 「でも30は可哀想よ。彼25歳だもの」 「うわぁ、ホンマですか~! ウチが言うたってチクらんといてくださいっ」 「あはは」「きゃはは」
5. 家に帰って、ウチは母ちゃんから若い頃の話を聞いた。 母ちゃんは京都の会社でイベントの司会やイリュージョンのアシスタントをしていた。 イリュージョンって、あのマジックのイリュージョンなのか。 二十歳のときの写真と言って見せてくれたのは、チャイナ服の母ちゃんが透明な箱の中に出現したところだった。 腰まで割れたスリットから生足出して、きらきら輝く笑顔で手を振っている母ちゃん。 今の母ちゃんと同じ人とは信じられないくらいに綺麗だった。
謎の『人間くす玉』についても教えてもらった。 人間くす玉は同じ会社のアトラクションで、中から女の子が飛び出すくす玉なんだって。 先週イッくんが抱えていたのは一番小さなサイズのくす玉。 「彼がクレクレしたから無料であげたって社長が言ってたわ。意味分からへんよね」 ウチにも意味が分かりません。
夜、れいらさんから LIME のメッセージが届いた。 『明日イッくん家に行くの。梢ちゃんも一緒にどう?』 『行きます!』 『イリュージョンを見せてくれるんだって』 またイリュージョン!? 後にして思えば、それはウチが新しい世界に足を踏み入れるお誘いだった。
6. イッくんのマンション。 「いらっしゃいませ!」 ドアを開けて迎えてくれたのは綺麗な女の人だった。 「あなたが梢ちゃん? 酒井多華乃(たかの)です。よろしくね」 「多華乃さんはイッくんの奥さんだよ。先月結婚したばかり!」 ほぇ~。ばりばりの新婚さんやないですか。 多華乃さんは七分丈スパッツの上にニットのサマーセーターを着ていた。セーターの襟ぐりが大きくて谷間がちらちら。 こんなセクシーな奥様がいるやなんて、この間は「彼女いない歴イコール年齢」とか思てゴメンナサイ!
リビングに案内してもらうとイッくんが待っていた。 ちゃんとお話しするのはこれが初めてだった。 「お招きありがとうごさいます! ・・あの、ウチも『イッくん』って呼ばせてもらってええですか?」 「いいけど?」 「実はどう呼ぶか寝ないで考えました。『イッくん』はちょっとナレナレしい、『イサオさん』はヨソヨソしい、そやかゆうて『イッさん』やと大阪のおっちゃんみたいで」 多華乃さんがぷっと笑う。 「なんでやっぱり、れいらさんと同じ『イッくん』で行かせてください!」 「梢ちゃんって面白いね」 よっしゃ、ウケてくれた! ウチは心の中でガッツポーズをする。
「イッくん、二日酔いは治った?」 れいらさんに聞かれてイッくんは頭をかいた。 「ああ、酷い目にあったけど、タカノがいてくれたから・・」 「熱いねーっ」 大喜びで冷やかすれいらさん。 いつものウチなら一緒に囃し立てるとこやけど、さすがに初対面で遠慮したのは我ながらエライと思う。
「・・んじゃ、さっそくやろうか」 「イリュージョン!?」 「うん、新作だよ。この場所に招かれたゲストだけが見れる限定イリュージョン。そして記念すべき最初のゲストが君たちだよ」 ぱちぱちぱち。れいらさんが拍手した。 今度はウチも一緒に思いきり手を叩いた。
7. 小さなテーブルを挟んで4人がソファに座った。 手前のソファにウチとれいらさん。 向かい側にイッくんと多華乃さん。 こちらから見て向かって左にイッくん、右に多華乃さんが座っている。
イッくんは多華乃さんの腰に左手を回すと、ぐいっと引き寄せた。 多華乃さんがイッくんに密着する。 ニットの襟がでろんと伸びて白い肩が出た。その肩にブラ��はなかった。 あの、それはお客さんが男性のときに目を惑わすための演出ですか。 女でもドキっとするんですけど。
「これはサテンの袋。長さ2メートルあるのでうちの妻が全部入ります」 イッくんは多華乃さんを左手で抱いたまま、床の袋を右手で拾い上げた。 紫色でつるつるした光沢のある袋だった。 それを多華乃さんの頭から被せる。もぞもぞと右手だけで身体全体を覆ってゆく。 ・・そやから、わざわざ密着してそういう作業をするのは何でですか。 すごくエッチに見えるやないですか。
足先まで袋を被せた。 「足あげて」 多華乃さんの膝がぴょんと伸びて、目の前に袋の先が突き出された。 「れいらちゃん、袋の口をくくってくれる」 「これでいい?」 れいらさんはサテン袋の口を絞って結んだ。
「ありがとう」 相変わらずイッくんは袋に入った多華乃さんを左手で抱いたままだった。 つるつるしたサテンの袋を右手で撫でる。 多華乃さんのボディラインがはっきり分かった。 膝、腰、頭。 うわ、そこは多華乃さんの胸。 いくら奥さんやからゆうて、人前でそないに揉みしだいたらアカンでしょ。
「次はこのシュラフ(寝袋)。梢ちゃん、シュラフって知ってる?」 「ええっとキャンプとかで使うモンですよね」 「そう、携帯用の寝具だね。綿が入ってて暖かいんだ。・・これを被せるから手伝ってくれるかい?」 イッくんに指示されてシュラフを今度は多華乃さんの足の方から被せた。 腰の下を通すとき、イッくんは左手に抱いた多華乃さんを持ち上げて通し易くしてくれた。 頭まで被せ終えると、脇のファスナーを上まで閉めた。
「こっちは縄で縛るよ。・・ん? どこかな」 右手で足元をまさぐった。 「れいらちゃん、そっちに紙袋が置いてない?」 「ええっと・・、あった!」 ウチとれいらさんが座るソファの後ろに紙袋があった。 「そこに縄が入ってるから、それでここを縛って。できるだけきつく」 れいらさんはイッくんのソファの後ろに回り、言われた通りにシュラフの口に縄を巻いて縛った。
「二人ともご苦労様でした。後は座って見てね」 ソファに座ったイッくん。 ウチとれいらさんはその反対側に座っている。 イッくんの左手はシュラフ(の中の多華乃さんの腰)を抱いたまま。
「いま、タカノは二重の袋の中。暖かい、というより暑いだろうね。呼吸するのも辛いかもしれない」 右手でシュラフを押さえた。多華乃さんのちょうど顔にあたる部分。 「この中で美女が苦しい思いをしていると考えたら、・・ちょっと興奮するよね」 「イッくん! そういうフェチな妄想してる場合じゃないでしょ! 梢ちゃんも見てるのに」 「え、ウチ? 何のことですか?」 分からないふりをしたけど、二人の会話は何となく理解できた。 じっと我慢してる多華乃さん。たぶん本当に苦しい。 そんな多華乃さんを抱きながら「興奮する」と言ったイッくん。ドSやんか。
「ごめんごめん。イリュージョンに戻ろう」 イッくんは右手でシュラフの口を縛る縄を掴んだ。 「いくよ。・・それ!!」 手前に引いた。 シュラフは腰の位置で二つに折れ曲がった。 「もう一回!」 すぐにシュラフの足先を掴んで持ち上げた。 二つ折りのシュラフが四つ折りになった。
「え」「え」 ウチとれいらさんは揃って声を上げた。 「二人で上から押さえてくれるかい」 言われた通りシュラフを押さえると、空気がしゅうっと抜ける音がした。 シュラフは四つ折りのまま潰れて平らになってしまった。
「えーっ、どうして!?」 「多華乃さんは!?」 二人で騒いでいると多華乃さんの声がした。 「お疲れ様、お茶にしましょ♥」 リビングに隣り合ったキッチンに多華乃さんがいた。 紅茶とケーキを乗せたトレイを持って笑っている。 少しだけ乱れた髪。少しだけ紅潮した頬。 とても色っぽかった。
8. 「いったいどうなってるの!?」 「それは内緒。今のところお客さんが来た時に見せられるのはこのイリュージョンだけだからね」 イッくんはタネを教えてくれなかった。 「あんなにたくさんあったイリュージョンの機材はどうしたの?」 「ほとんど人にあげるか倉庫に入れちゃったんだ。これからまた新しいのを作るよ」 「新居に汚いものを置くなって、三田先生に言われたみたい。私は気にしないんだけどね」 多華乃さんが補足してくれた。 「まあ彼のアパートにいろいろ怪しいモノがあったのは確かね」 「怪しいモノはないだろ、タカノ」「うふふ」 「イッくんはね、何でも自分で作っちゃうんだよ。イリュージョンの道具から吊り床まで」 「スゴイですね! 吊り床って何ですか?」 「あ、ゴホンごほんっ」「・・ちょっと早いかな? 梢ちゃんには」 「???」
いろいろ話をしてイッくんと多華乃さんのことを教えてもらった。 二人は同じ大学で知り合って、一緒にイリュージョン同好会を設立した。勤めるようになってからも仲間と活動を続けている。 マジックの競技会にオリジナルのイリュージョンを出して賞を獲ったこともある。 たまに造形美術教室の子供たちにもイリュージョンを見せてくれているんだって。
「最近はれいらちゃんも参加してくれてるんだ。梢ちゃんはイリュージョンをしてみたいって思わない?」 「やりたいです。ウチもあんなすごいイリュージョンができるようになりますか?」 「できるわよ。私も最初は何も知らなくて始めたんだもの」 「ならウチの親が許してくれたら。あ、日曜日しかダメですけど、いいですか?」 「ぜんぜん大丈夫」
「梢ちゃんを誘おうと思ったのは訳があるの」 れいらさんが説明してくれた。 「三田先生、10月に還暦を迎えるのよ」 「カンレキって?」 「60歳のことだよ」 「先生そんなお歳やったんですか」 「だからお誕生会を企画してるの。そこでイリュージョンも見せようって」 「ははぁ」 「いつもだったらイッくんが多華乃さんとやるんだけど、たまにはサプライズもいいでしょ?」 イッくんと多華乃さん、れいらさん。3人がウチを見て笑っている。 まさか。 「れいらちゃんがものすごく推すんだ。新しく来た梢ちゃんっていう中学生がとてもいい子だって」 「あのウチそんないい子では」 「僕も梢ちゃんと会って思ったよ。是非、誕生会のイリュージョンをやって欲しい。・・タカノはどう?」 「大賛成よ。私も���ちゃんのことが大好きになっちゃった」 「決まりね。マジシャンはあたし、アシスタントは梢ちゃんだよ!」 れいらさんが宣言した。 どうやらウチはいつの間にかイリュージョンに出ることが決まっていたらしい。 母ちゃん、ウチ、母ちゃんと同じイリュージョンのアシスタントするんやで。怒らんといてな。
「実はこんなのを設計しているんだ」 イッくんはノートに描いた図面を見せてくれた。 スーツケース?の中に膝を曲げて入った女の人のシルエットが描かれていた。 「タカノ用に描いたんだけど、梢ちゃんなら問題ないはずだよ」 「もしかしてウチがこれに入るんですか?」 「そうだよ。それで外から剣を刺すんだ」 「えええ~っ!!」
9. 還暦祝いなんて勘弁してちょうだい。 はじめのうち三田先生はお誕生会を嫌がった。 それでも造形美術教室の卒業生がたくさん来る、保護者の皆さんもお金を出し合って準備してくれると聞いて抵抗を断念した。 「ありがとう! ・・でも赤いちゃんちゃんこなんて着せようとしたら、その場で逃亡するわよ」
母ちゃんはウチがイリュージョンするのを嫌がるどころか大喜びしてくれた。 「三田先生のお誕生日にイリュージョン? 素敵やないの!! それであんた衣装はどうするの?」 「んー、まだ何も決まってへん、と思う」 「マジシャン役はあの高校生の女の子ね? よーし、母ちゃんがまとめて面倒みたげる!!」 母ちゃんはイッくんの携帯の連絡先を聞いていたらしい。 勝手に電話して衣装製作の了解を取り、るんるん楽しそうに準備を始めたのだった。
10. 「スーツケースが手に入ったんだ。サイズをチェックしたいから来てくれる」 次の週、連絡があってウチは一人でマンションへ来た。 イッくんと多華乃さんが迎えてくれた。
さっそくスーツケースを見せてもらう。 「メ○カリで買った中古品なんだ。これをイリュージョンに使う予定」 それは思ったより小さかった。 立てて置いたら腰くらいの高さしかない。 「入ってくれるかい。梢ちゃん」 「あ、はい」 いきなりですか。 ええですよ。そのつもりでスカートやのうてショートパンツ穿いてきましたし。
イッくんが広げたトランクの中にお尻をついた。 「両手は後ろに回してくれるかい」 「後ろですか?」 「そう。手錠掛けるつもりだから」 「てじょう?」 「うん、後ろ手錠。動けないように」 !!
「イサオ! イリュージョン初体験の女の子にそんなストレートな言い方はダメっ」 多華乃さんが叱ってくれた。 「梢ちゃんフリーズしてるじゃない。・・心配しないで、梢ちゃん。マジック用の手錠だから自分で外せるわ」 「身の危険を感じました。ウチは生還できるんでしょうか?」 「んー、大丈夫だと思うよ。しらんけど」 イッくんがのんびり答えた。 ウチの関西人アンテナが反応する。 「あ、今『しらんけど』言いました? ウチも使うチャンス伺ってたんですけど」 「一度言ってみたかったんだよ『しらんけど』。今の使い方でいい?」 「グッドです。イッくん大阪でやっていけますよ」 「ナニアホナコトイッテンネン」 今度は多華乃さんが言った。 「多華乃さん、それは東京のヒトがやると割とスベるんで止めた方がええです。あとイッテンネンやのうてユーテンネンです」 「難しいのねぇ」「ドンマイです」 「ねえ、そろそろ続きをやらない?」 「イッくん人の��ャグには冷淡ですねー」 「うふふ。冷たいのも彼の魅力よ」 はいはい、ごちそう様です。
トランクの中で横になった。 身体を丸くして両手を後ろに回す。 「もっと顎を引いて頭を下げてくれる」 「はい」 「あぐらを組む感じで。もうちょっとお尻下げて。・・OK、そのポジションをよく覚えておいてね」 「了解っす」 外にはみ出した髪を多華乃さんが直してくれた。 「大丈夫だね。では蓋するよ」 カチャ。 トランクの蓋が閉じて真っ暗になった。 頭の後ろが押し付けられて痛かった。 ぎゅっと折りたたんだ膝と脛、足の甲も前に当たってキツイ。 狭いやん! 「起こすよ」 ぐらり。 お尻に体重が乗った。 すっと身体が��んで後頭部に余裕ができた。 足は全然動かせないけれど、少しだけほっとした。
「肩を捩じって、片手ずつ前に出してみて」 ごそごそ。 あ、出せた。 「右手で左の壁、左手で右の壁。触れるでしょ?」 はい、触れます。 「あとはまた両手を背中に戻す」 ごそごそ。 戻せました! 「ここまでできたら問題ないよ。ちゃんと生還できるから安心して」 はい! 「何度も練習して慣れてね。出してって言ってくれたらすぐに開けるから」 分かりました!
11. 「・・梢ちゃーん、大丈夫?」 声が聞こえた。 この声は、れいらさん!? 「はーい、大丈夫ですぅ。れいらさんですかぁ?」 「そうだよー。もう15分くらい経ったっていうから開けるよー」 え? 15分も?
ぐらり。 ウチを閉じ込めていた空間が横向きになった。 カチャカチャ音がして蓋が開く。 イッくんと多華乃さん、それにれいらさんがウチを見下ろしていた。 あ、えーっと。 「じゃーんっ、たった今、囚われの美少女が救出されました!」 あかん、誰も笑てくれへん。 仕方ないので、自分で「えへへ」とごまかして起き上がった。
「大丈夫みたいだね。静かなままだから、ちょっと心配になって」 イッくんが言った。 「ぜんぜん大丈夫です。・・何か馴染んでしもて、ぼおっとしてただけです」 多華乃さんとれいらさんが安心したように微笑んだ。
本当は、女の子を閉じ込めるってこういうことなんかと考えてた。 ちょっとえっちな妄想もしてドキドキした。 でんもそんなん恥ずかしくて言われへんやんか。ウチ純真な中学生やのに。
「そういえばれいらさん、いつの間に来てたんですか?」 「遅れてごめんね。梢ちゃんのお母さんに衣装の採寸してもらってたんだ」 「れいらさんちに行ってたんですか、ウチの母ちゃん」 それで朝からウキウキ出かけて行ったのか。 「面白いお母さんねぇ。あの人から梢ちゃんが生まれたのなら納得だわ」 「変な納得のしかた、せんといてください」 「そうだ梢ちゃんのお母さん、イリュージョンやってたって教えてくれたよ」 「え、そうなの!?」 多華乃さんが驚いた。 「らしいです。ウチも詳しくは知らんのですけど」 「むかし京都にいた頃、かなり本格的なイリュージョンをやってたらしいよ」 「なんでイサオが知ってるのよ」 「前に飲まされたときに聞いたんだ。・・あ、別にわざと教えなかったんじゃなくて、僕は余計なことは喋らないだけだよ」 「む」 多華乃さんはイッくんの首を肘で絞めて押さえ込むと、その耳の後ろをゲンコツでぐりぐりした。 「あれはスリーパーホールド。多華乃さんの得意技だよ」 れいらさんが教えてくれた。
その後イッくんがスーツケースイリュージョンの仕掛けを説明して、皆で進め方を相談した。 途中でれいらさんが「あたしもスーツケースに入りたい」と言い出して入ることになった。 「何時間でも閉じ込めていいよ」なんて言うもんやから「なら駅のコインロッカーにでも預けましょか」って返したら「うわーいっ!」と喜ばれてしまった。 多華乃さんまで「あらそれ素敵」なんて言う始末。 「手錠は?」「いいですねー」 「DID♥」「ですっ!」 もうやっとれんわ。 でも、これだけあけすけに話せるんは羨ましいな。 ウチもさっきスーツケースの中で興奮しましたって素直に告白したらよかったかな。
12. お誕生会前日の造形美術教室。 子供たちがみんなで飾り付けをしていた。
ウチは湊と一緒にケーキを作っている。 ケーキと言っても食べられない飾りのケーキだった。 ダンボールの大きな筒に模造紙を貼って、その上から色紙で作ったクリームやフルーツをつける。 「姉ちゃんっ。そこはローソクやんか」 「あ、ゴメン」 「ここのチョコプレートはボクがやる」 「ならまかせるで」 「うん」 造形美術教室に来るようになって湊はずいぶん積極的になったと思う。
立ち上がって周囲を見渡す。 手伝って欲しそうな子は・・おらへんな。 それなら部屋の隅に座り込んでちょっとひと息。 明日はいよいよイリュージョンの本番か。 昨夜見た夢を思い出した。
スーツケースに入っている夢だった。 何故か学校の制服を着ていて、後ろ手に手錠を掛けられていた。 この頃、何度も同じような夢を見る。 ウチはいつもスーツケースに閉じ込められていた。 ・・またか。 夢の中で考える。 ・・それやったら、楽しまな損。
イリュージョンと言われてスーツケースに入ったウチ。 そのままどこかへ運ばれる。 街の雑踏が聞こえる中をごろごろ転がって、静かな場所に置かれた。 コインロッカー!? スーツケースごと、コインロッカーに収納されたんか。 あの、このスーツケース、女の子が入ってるんですけど。
囚われのヒロイン。DID。 ずっと前からDIDの意味は知っていた。ウチはおませな少女なんや。 おませなウチは絶対絶命のピンチにも憧れる。 もう逃げられへん。どこかに売られてしまう。 そうや、可愛い女の子は拉致られて売られる運命にある。 諦めるってキモチ、ちょっとええと思う。
小さく折り畳んだ身体が動かせない。 もどかしい。もどかしくてウズウズする。 そやけど、このもどかしさに耐えるのが乙女の務めや。 身体じゅうが熱くなる。
「・・梢ちゃん!」 誰かに呼ばれて我に返った。 ウチの顔を覗き込んでいるのは、れいらさんだった。 「梢ちゃんがヒマそうにしてるのは珍しいね」 「ちょっと休憩中です。れいらさんはどうしはったんですか?」 「さっきね、衣装を試着してきたの」 「お~っ、どんなでしたか」 「セクシー! 自分でもびっくりしちゃった」 「母ちゃん、ウチの衣装よりもヤル気出してましたもん」 「恥ずかしいけど、あんな恰好めったにできないから頑張って着るよ。梢ちゃんの衣装は?」 「それは明日のお楽しみです。・・ええっと、あの、つかぬ事を伺いますが」 「はい?」
思い切って聞くことにした。
「れいらさん、こないだスーツケースに入ったでしょ? イッくんのところで」 「入ったねー」 「失礼なこと聞くって怒らんといてくださいね」 「うん、怒らない」 「れいらさんと多華乃さん、やっぱりマゾの人ですか?」 「へ!?」 「あのときのお二人、ドMトークで盛り上がってたやないですか。コインロッカーに預けてほしいとか手錠掛けられたいとか」 「そ、そんなこと口ばしったっけ」 れいらさんが顔を赤らめるのを見たのは初めてやないかな。 「『ICレコーダー梢ちゃん』の異名を持つウチですから間違いありません。あのトーク、なんぼかはノリで言わはった思うんですけど、羨ましかったです。あんな風に性癖を発散する女の人を見たのは初めてでしたから」 「中2のくせに性癖なんて言葉使うのね」 「ウチはおませな少女なんです」 「あははは」 豪快に笑われた。 「いいよ、教えてあげる。マジレスすると多華乃さんはドMだよ。自分でも公言してるわ。旦那様のイッくんはS」 「分かります分かります」 「あたしはMとS両方あるな。お相手によってどちらでも。・・あ、お相手って男性に限らないからね」 れいらさんはそう言ってウインクした。 「梢ちゃんはMだよね」 「あ、ウチはまだ・・」 「スーツケースに詰められて感じてるじゃない。もうみんな気付いてるわよ」 ぶわ。 冗談やなしに顔に火が点いた。
しばらくけらけら笑ってから、れいらさんは言った。 「それでいいんだよ! SとかMとか恥ずかしいことじゃないんだし」 「それやったらお願いがあるんですけど」 「何だって聞いたげるよ」 「これからはウチも多華乃さんとれいらさんのドMトークに参加していいですか? ウチもエロいこと言いたいです」 「そんなこと!? あはは、大歓迎!!」 「ありがとうございます。何かすっきりしました~」 「梢ちゃんて本当に面白くっていい子ねぇ。ますます好きになっちゃった。あたしが三田先生なら絶対にぶちゅ~ってしてるところね」 「ぶちゅう~!?」
13. 三田先生のお誕生会が始まった。 造形美術教室の生徒さん、保護者のパパとママたち、卒業生が何十人も集まっている。 イッくんと多華乃さん、それにウチの母ちゃんもちゃんと揃っていた。
司会のれいらさんが開会を宣言した。 続いてイッくんが卒業生代表として挨拶。・・その直後。 ぱーん! 正面にあったケーキからクラッカーが弾けて紙吹雪が舞った。 「三田先生っ。はっぴぃばーすでーぃ!!」 ケーキが上下に割れて、中から立ち上がったのはウチやった。 母ちゃんの作ってくれた白い衣装を着ていて、手には花束。 ケーキから出て花束を三田先生に渡した。、 子供たちは大喜び。他の人たちからも大きな拍手。
ウチが飛び出したのはケーキの形をしたびっくり箱。 その正体は前日に湊が作ったダンボール製のケーキだった。 これをイッくんがたった一晩で改造してくれた。 クラッカーを取り付けて紙吹雪が飛ぶようにした。 上下に分離できるようにして内部を補強し、小柄な女の子なら収まる空間を用意してくれた。 ホンマ、イッくんって何でもできるスーパーマン。
「ご苦労様!」 花束を渡して戻って来たウチをれいらさんが労ってくれた。 「ケーキの中でドキドキした?」 「はいっ。次にパーティするときは一緒にびっくり箱しましょ!」 「いいわね!」 ウチは皆が集まる前からケーキの中にずっと隠れていたのだった。
お誕生会はそれから子供たちが歌ったり踊ったり、造形美術教室の昔のビデオを上映したりして進行した。 そしてメインイベント。ウチとれいらさんのイリュージョンの時間になった。
14. れいらさんが衣装を着替えて出てきた。 「うわあ」「れいらちゃーん!!」 「すごーい!」「キレイ!!」 大人も子供もみんなびっくりしてるなぁ。 「みんなー! お姉ちゃんこれから頑張ってマジックするよー。立ち上がったりしないで見てねー」 「はーい!!」
れいらさんは真っ赤なボディスーツとその上に短い黒ジャケットを着ていた。 ボディスーツはハイレグで胸のカットも深い。 バニーガールみたいにも見えるし、白いブーツを履いているからレースクイーンのようにも見える。 エロくて恰好いい。 母ちゃんが「萌える~!!」と雄叫びを上げながら作ったコスチュームだけのことはある。執念がこもってるわ。 何人かのパパが見とれてしまってママから叱られているのもお約束。 さすがにこれを���子高生に着せて小学生の前に立たせるんはええのかと心配やけど、三田先生が手を叩いて喜んでるから構へんのやろうね。
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れいらさんが手招きした。さあ出番や。 「マジックをお手伝いしてくれる梢お姉さんです!」 「よろしくーっ」 ウチはスーツケースを引いて出て行く。 あの中古のスーツケースはイッくんが改造して外観が変わっていた。 正面と裏側に細長い穴が6つ。 これはサーベル(剣)を刺すための穴。 ギミックの都合でキャリーハンドルは上げたまま固定。
ウチはお客さんの方に背中を向けると両手を後ろで組んだ。 その手首にれいらさんが手錠を掛けた。 左右に引っ張って手錠が外れないことを示す。 それが済むと、れいらさんはスーツケースを倒して蓋を開いた。 スーツケースの中は仕切り類が全部外されていた。 代わりに蓋の裏に剣刺しのギミックがついて、少しだけ狭くなったけどウチが入るのには問題ない。
うちは靴を脱がせてもらって裸足になり、スーツケースの中に横になった。 膝を引き寄せて身体を丸くする。 簡単な所作やけど、一発で決まるように何回も練習したんやで。
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れいらさんはスーツケースの蓋を閉じようとする。と、中身が大きすぎるのかなかなか閉まらない。 蓋にお尻を乗せて座って閉めた。パチンとロックを掛ける。 キャリーハンドルを両手で握り、重そうにスーツケースを立てた。
れいらさんが次に手に取ったのはサーベルだった。 これもイッくんの手作りで、長さ1メートルほど。 銀色のブレード(刃)と手元が束(つか)になっている。 れいらさんはブレードを指で撫でて痛そうな顔をした。 「怖い人は目をつぶってねー」 スーツケースの後ろに立ち、一番上の穴にサーベルの先端をあてがった。 何人かの子供が自分の手を目の前にかざした。
15. カチャリと音がしてスーツケースが閉ざされた。 ウチはもう外へ出られない。 ぐらり。 スーツケースが立てられて世界が90度回転した。 いよいよここから本番。 ウチはスーツケースの中で深呼吸する。 こんな姿勢やから本当の深呼吸は無理やけど、大切なんは気持ちやからね。
スーツケースの中で身体を捩じった。 背中で手錠を掛けられていた両手を前に回した。 そんなことができるのは、左右の手錠が分離できるからだった。 手錠の鎖は紐で繋がっているだけで、その紐はリールで伸びるようになっている。
前に出した右手で左の壁をまさぐり、そこに6個並ぶレバーを探し当てた。 蓋の裏にはサーベルの一部、ブレードの先端だけが隠されている。 レバーを動かすとスーツケースの蓋の穴からその先端が突き出る仕組みになっている。 一方、れいらさんが持つサーベルは、スーツケースの穴に押し込むとブレードが縮んで束の中に収まる仕掛けになっているのだった。
「・・スチール製のメジャーがあるだろう? あれと同じ構造だよ。ブレードは硬いように見えて実は巻き取られてるんだ」 「?」「?」「?」 ウチもれいらさんも、一緒に聞いていた多華乃さんも、イッくんの説明はさっぱり理解できなかったと思う。 理屈は分からんでも、効果は分かった。 後ろからサーベルを押し込むのに合わせてレバーを操作したら、お客さんにはサーベルがスーツケースを貫通したように見える。 大切なのは二つ。 二人のタイミングを合わせること、それから6個ある穴の順序を間違わんようにすること。 それさえ守ればバッチリのはずや。
れいらさんが最初の穴に1本目のサーベルを押し当てた。 コツン。 スーツケースの中に音が響く。 ウチは1秒待ってレバーを下げた。 これでサーベルの先端がにょっきり顔を出したはず。
2本目、3本目。 ウチは順番にレバーを操作した。 後で聞いたら子供たちとパパママたちはビックリしていたらしい。 ウチが本当に刺されたって思った子が多かったんやて! うわぁっ嬉しいぃ、って叫んでしもたよ。 4本目、5本目、6本目。 全部のサーベルがスーツケースを突き通った。 れいらさんはそのスーツケースをくるりと回してお客さんに全体を見せた。
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今度は後半。サーベルを抜く演技になる。 レバーを逆の向きに動かせばブレードの先端が引っ込み、同時にれいらさんがサーベルを引き抜いたらええんやけど、実はこれはけっこう、ちゅうか、かなり難しい。 前半でサーベルを刺すときは、れいらさんがサーベルを押し当てる音を合図に、少し遅れてレバーを動かせばよかった。 「・・でも、抜くときに少し遅れるのは困るんだ。ちょっと考えたら判ると思うけど」 「?」「?」「?」 またしても女性3人はイッくんの説明を理解できなかった。 「後ろで引き抜いてるのに、前に出ている先端がそのまま残っているのは不自然だよ。あれ?って思われてしまう」 「そうか」 れいらさんが気付いた。 「前も後ろも同時じゃないといけないんですね」
イッくん細かい。でもその通りやな。 ウチとれいらさん、スーツケースの中と外でタイミングを完全に合わせないといけない。 何か合図が要る。でもどうやって? イッくんのアイデアは単純やった。 「それならお客さんに合図してもらおう 」
16. 子供たちに向かってれいらさんが呼びかけた。 「みんなー、梢お��さんが穴だらけになっちゃいました! 助けてあげたいですか?」 「助けてあげたーい!」 「じゃあ、この剣を抜きまーす! 何本抜かなきゃいけないかしら?」 「ろっぽん!!」 「1本ずつ抜くから一緒に数えてくれるー?」 「はーいっ」「数えるー!」 「数え間違ったり、声が揃っていなかったりしたら、梢お姉さんは死んじゃうかもしれないよ?」 「だめー!」「やだあっ!!」 「じゃあ練習しよう! いい? せーのっ、いーち、にぃーい・・。あ��ぁっ、ダメダメ揃ってないっ。もう一回!」 全員が揃って1から6まで数えられるまで練習させた。 「いくよ? せーの!」 「いーっち!」 れいらさんがサーベルを引き抜くと同時にブレードの先端が引っ込んだ。 「にぃーい!」 子供たちの声が響く。リズムもペースも綺麗に揃っていた。 「さーん!」 どんどんサーベルが抜けて行く。 「しいー!」 あと2本! 「ごぉー!」 これで最後!! 「ろぉーっく!!」
「はーい! 全部抜けたねー! 梢お姉さんは無事かなー?」 スーツケースを横に倒して、ロックを解いた。 カチャリ。 横になっていたウチが身を起こした。 「うわー!!」「あれー!?」 白い衣装がピンクに変わっていた。 立ち上がって一回転して見せた。 どうかな? 母ちゃんの作ってくれた早変わり衣装。 可愛いでしょ?
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れいらさんに手錠を外してもらう。 小声で言われた。 「知らなかったよ。びっくり!」 「えへへ。黙っててスミマセン」 二人並んでお辞儀をした。
三田先生が駆け寄って来た。 「すごいすごいすごい!! どきどきしちゃった! ありがとう!!」 イッくんも来て握手してくれた。 「やられたよ。衣装チェンジとはね」
もう一度拍手を浴びながら皆でお辞儀した。 お客さんの中に母ちゃんと湊が座っているのが見えた。 湊は黙ってサムズアップしてくれた。 あんた、どこでそんなゼスチャー覚えたの。格好ええやんか。 ウチも笑って親指を立てて返す。 すると母ちゃんまで指を立ててウインクした。 母ちゃんっ、指が違う. 立てるのは中指やのうて親指やちゅうねん。
17. それから二週間経った夜。 ウチと母ちゃん、れいらさん、イッくんと多華乃さん夫妻、そして三田先生がレストランの個室にいた。 三田先生がお誕生会のお礼にと招待してくれたのだった。
「ウチ、フレンチなんて初めて」「あたしもです!」 「お箸で食べるフレンチ、いいですねー」 「友人のお店なの。形式張らずに楽しんでちょうだい」 ワインとノンアルコールのスパークリングで乾杯。 「あら、あなたたちもノンアル?」 先生がイッくんと多華乃さんに聞いた。 「僕らは後でいただきます。今は、ちょっと」 「彼、リベンジする気なんです」 多華乃さんが言った。 「タカノ、いきなり言う?」 「いいじゃない。頑張るのは私だよ?」 「あ、ぴぴっと来たっ。イリュージョンするんでしょ!」 れいらさんが言った。 イリュージョン!?
「この人、梢ちゃんの衣装チェンジに全部持ってかれたこと未だに根に持ってのよ。子供みたいでしょ? うふふ」 「そんなことはないよ。僕は」 「うん、イッくんってそうだよね」「分かるわ」「イッくん、ホンマですか?」 「ぼ、僕は・・」 「あまりイサオを苛めないであげて。その分、私が彼に苛められるんだから♥」 謎めいた微笑の多華乃さん。 他のみんなは笑っている。母ちゃんまでウンウンって頷いて。 まさかこの二人、ムチとローソクでSMプレイしてたりする?
18. 「ええっと、やろうか」「はい!」 イッくんと多華乃さんは席から立ちあがった。 一度出て行って戻って来た。 持ってきたのはあのスーツケースと紙袋。それからサーベル、ではなくて金属の細い棒。 「先日とは趣向を変えたスーツケースイリュージョンをやります。・・これは」 イッくんはそう言って金属棒を持って水平に構えた 「ステンレスの丸棒です。直径5ミリ、スーツケースの穴をぎりぎり通る太さです。先端を円錐形に削り出しました」
イッくんはスーツケースを床に倒して蓋を開いた。 れいらさんが黙ってウチの肩を叩いた。それから開いた蓋の裏を指差す。 !! あの剣刺しのギミックがない。 蓋の裏に張り付けられていた黒いパネルのような仕掛けがなくなっていた。 6個の穴がはっきり見えた。
多華乃さんがさっとシャツを脱いだ。 ブルーのスパッツ。その上は黒いブラだけ。格好いい!! スーツケースの中に入って膝をついた。 そのまま身体を逆海老に反らしてスーツケースに収まる。むちゃくちゃ柔らかいやないですか。 イッくんが多華乃さんの肌を撫でる。ああ、また。 「あら♥」「まぁ♥」 嬉しそうな声を上げたのはウチでもれいらさんでもなく、三田先生と母ちゃんだった。
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イッくんはにやりと笑うと蓋をぱたんと閉じた。 すかさずスーツケースを立てて起こす。 紙袋から縄束を出してスーツケースに巻きつけ、荷物みたいにきりきり縛った。
れいらさんがウチの耳元でささやいた。 「多華乃さん、頭下向き」 ホンマや! あのポーズで逆立ち?
イッくんはスーツケースの後ろでステンレス棒を水平に構えた。 「前後の穴を一発で通すのが難しいんだ。・・練習の成果をご覧あれ」 息を整える。 いきなり穴に突き刺した。合図も何もしなかった。 反対側の穴から棒の先端が飛び出す。 すぐに引き抜き、別の穴に突き刺した。 抜いては刺してを何度も繰り返した。 むちゃくちゃ速かった。
今度はステンレス棒を6本、スーツケースの横に並べた。 まず1本を突き刺した。 すぐに次の1本を持って突き刺した。 立て続けに全部の棒を刺してしまった。
「・・おっと失礼」 テーブルにあった紙ナプキンで、一番下の棒の先端を拭いた。 ナプキンが血に染まったみたいに赤くなった。 ひょえー。 ウチらのイリュージョンより迫力ありまくり! 多華乃さんがどうなっているのか想像できなかった。 ぎちぎちに縄で縛ったスーツケースの中で、無理なポーズで逆立ちで。
「では助けてあげましょう。彼女が無事でいるかどうか心配です」 ステンレス棒を全部引き抜き、スーツケースの縄を解いた。 床に寝かせて蓋を開ける。 入ったときと同じポーズの多華乃さんが現れた。 ぐったりしているみたいやった。 イッくんが多華乃さんの背中に手を当てて起こした。
血!! 多華乃さんの胸と脇腹から真っ赤な血が流れていた。 ええ!! まさか、大怪我!? れいらさんも驚いて固まっている。 「・・ええっと、残念ながらイリュージョンは失敗したようです。妻は天国へ旅立ちました」
ガタ! 立ち上がったのは母ちゃんやった。 自分のナプキンを掴むと、二人に近づいて多華乃さんのお腹をごしごし擦った。 「ひ、・・きゃはははっ」 多華乃さんが身を捩って笑いだした。 「あーん、ごめんなさい!!」
「あんたら、やりすぎ! これ、ケチャップでしょ?」 母ちゃんが言う。母ちゃんの目も笑っていた。 「恐れ入りました」 イッくんが謝った。 「最後まで騙せると思ってたんですけど、さすがですね」 「昔よく使ったわ。匂いで分かるからお客さんと近いときは注意が必要なの」 「勉強になります」
19. 食事が済んで、三田先生がイッくんに聞いた。 「さっき、もし桧垣さんに見抜かれなかったらどうするつもりだったの?」 「そのときは蘇生措置をして生き返らせる予定でした」 「ウソ。スーツケースに入れて持って帰るって言ってたじゃない、イサオ」 「そっちの方がよかったかな?」 「そうね。私はまる1日詰められてもイサオのためなら耐えるわよ♥」 「多華乃ちゃん」「はい?」 三田先生がいきなり多華乃さんの頬を両手で挟んでディープキスをした。 「ん! んんん~っ!!」 「素敵よ、その心がけ。でも新婚だからってサービスしすぎると、彼、図に乗るわよ」 「はぁ、はぁ、・・はい」
「次は、」 三田先生が顔を向けたのは・・、ウチやった! 「一番頑張ってくれた梢ちゃん♥」 「は、はい」 ウチは顔を近づけてくる先生から逃げられなかった。 「本当に、一番お礼を言いたかったのはあなたなの」 「うわ♥」れいらさんの歓声が聞こえた。 「これからも、お願いね」 ちゅう。 マウスツーマウスでキスをされた。 女の人相手で快感やったというと変態みたいやけど、本当に気持ちよくてうっとりしてしまった。 ウチは皆が見ている前で60歳のおばちゃんにファーストキスを奪われたのだった。
・・それからウチは長いことイリュージョンの活動をすることになった。 イッくん夫妻とれいらさんにはまだ秘密があったけど、それを知るのはずっと先のことだった。
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~登場人物紹介~ 桧垣梢(こずえ):14歳、中学2年生。一人称は『ウチ』。 桧垣湊(みなと):8歳、小学2年��。梢の弟。造形美術教室の生徒になる。 桧垣純生(すみお):46歳。梢と湊の母ちゃん。旧姓鈴木。 三田静子:60歳。小学生向け造形美術教室の指導者。嬉しいと誰が相手でもキスする癖がある。 玻名城(はなしろ)れいら:17歳、高校2年生。造形美術教室の卒業生で教室を手伝っている。 酒井功:25歳。造形美術教室の卒業生。趣味でイリュージョンをやっている。通称イッくん。 酒井多華乃(たかの):25歳。功の新妻。身体が柔らかい。
4年前に書いた 多華乃の彼氏 と 多華乃の彼氏2 での仕込みをようやく回収しました。 仕込みとは、造形美術教室の先生の名前を三田静子にしたこと、そしてイッくんが京都に行って人間くす玉をクレクレしたことです。 大抵の場合、回収方法はまったく考えずに執筆時のノリだけで仕込むので、そのまま放置で終わることも多いです。 今回はAIで作成したイリュージョン絵(=スーツケースに女の子が入って笑っている絵)が中学生のように見えたことから、この女の子を純生さんの娘にして仕込みを回収することにしました。 純生さんと三田先生のエピソード(純生さん中学3年生のとき)は『三田静子』をサイト検索すれば出てくるはずなので興味のある方はお読みになってください。
今回のイリュージョンは3つ。 イッくんのマンションでやった袋詰めからの脱出は、現実に演じることが可能と想定しています。 ただし���あの部屋(正確にはソファと隣接してキッチンがある)かつ観客が少人数でないとできないので、舞台で演じるには向きません。 袋の上から多華乃さんのボディを撫でまわすのは夫婦のイリュージョンだからできることですね。
梢ちゃんのスーツケースイリュージョンは、前記の通りスーツケースに入った女の子をAIに描かせたので、それなら剣を刺してしまえと考えたものです。 ダンボールの剣刺しはよく見かけるイリュージョンですが、スーツケースは珍しいかもしれません。 サーベル回避のギミックは、これならできそう?というものをイッくんに考えてもらいました。 刺すときと抜くときのタイミングの相違は作者のこだわりです。お読みの皆さまには面倒くさかったら申し訳ありません。
梢ちゃんのスーツケースで仕掛けを凝ったので、多華乃さんのスーツケースは一切ギミックなしの命がけです(笑)。 ダンボールよりはるかに狭いスーツケースの中、軟体ポーズでその上逆立ち。いったいどうやって6本のステンレス棒をすり抜けたのでしょうか? 最後に母ちゃんが止めたのは本当はルール違反です。 元プロだから分かっているはずですが、レストランで血まみれは悪乗りが過ぎましたね。
本話の最後で梢ちゃんの今後を示唆しました。 イッくん夫妻とれいらちゃんの秘密とは、もちろん 前話 で描いたあの趣味です。 梢ちゃんがどんなM少女に育って行くのか作者の私も楽しみです。
挿絵は今回もすべてAIで生成して一部手修正を施したものです。 一番うまくできたのはれいらちゃんのマジシャン姿。やはりAIは単純な立ちポーズなら簡単です。 ここのところAIに描かせた絵にストーリーをつける小説が続きましたが、次回以降はストーリーを先に考えて挿絵をつける従来の手順で進めたいと思います。 しばらく時間が開くと思いますが気長にお待ちください。
最後に小説ページの体裁について。 tumblr の入力エディタが更新され、従来の入力方法(HTML入力)が使いモノにならなくなりました。 大きな変化がないように努めていますが、一部違和感があるのはお許し下さい。 (例えば、後書き前の区切り線が引けない~泣)
それではまた。 ありがとうございました。
[Pixiv ページご案内] こちら(Pixiv の小説ページ)に本話の掲載案内を載せました。 Twitter 以外にここからもコメント入力できますのでご利用ください。(ただしR18閲覧可能な Pixiv アカウント必要)
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kennak · 7 months ago
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◆報道後も3億円かけ100トン除去 都は、2019年以降も2度にわたって、さらに計17トンのカキを除去。2021年夏の東京五輪は乗り切った。 ただ、カキ問題はこれで終わりではない。 都は、五輪後も4回にわたって計83トンのカキの除去を余儀なくされた。4年前に東京新聞がカキの大量発生を報じた後も、カキの除去に計3億円の経費がかかっていた。 このままだと、またカキが付着してしまう。 海の森水上競技場は、五輪のレガシー(遺産)として、五輪閉幕後も解体せず活用。一般に開放するほか、国際大会や全国大会の誘致を目指していた。 五輪会場の後利用のために、カキ対策は避けては通れなかった。 ◆「カバーに効果」でも20年間で14億円 都は2021年7月から専門家を招き、抜本的な対策を検討し始めた。 候補に挙がったのは、 ①海水を電気分解して貝の付着を抑える次亜塩素酸を発生させる ②装置にカバーを取り付ける ③定期的に装置をワイヤーで吊り上げる ④消波装置を石積みで下から支える の4つの案。 5回にわたる検討会議の結果、消波装置にカバーをかけてカキの付着を防ぐのが最も費用対効果が高いと結論付けた。装置の編み目をビニール製のカバーで覆うことで、稚貝をくっつきにくくする狙いだ。 専門家が「最も経済的な案」と判定したカバー案。それでも消波装置のうち316基に付けるとなると、その費用だけで1億5000万円がかかった。 これでカキ対策も万全と思いきや、「カキの発生を完全には防げない」(施設の運営を担当する東京都スポーツ施設部)というのだ。 カキの幼生は肉眼では見られないほど小さく、カバーの隙間から消波装置に付着する可能性が高い。東京都スポーツ施設部の浅田宗(そう)・前施設整備担当課長(3月当時)は「今後も年に1回は装置を陸に引き揚げて清掃する必要がある」と話す。 すでにカキ対策に6億円を投じている都だが、カバーを設置��ても2042年までの20年間で計14億円かかるというのだ。 試算額に、浅田課長は「正直、決して小さな額ではない」と認める。「当初想定しなかったカキの大量発生があった中で、健全な競技環境を整えなければならない。必要最低限の費用で、効果的な対策をとるよう知恵を出して努力している」と理解を求める。 ◆「負の遺産」強化合宿は今も戸田で 「すごい、そんなにお金がかかるとは…」 カキ除去に14年間で20億円かかるとの都の試算に、埼玉県ボート協会の和田卓理事長は一瞬、言葉を詰まらせた。 和田氏は、海の森水上競技場の建設前から「風や波が強く、競技に不向きだ」と疑問を投げかけてきた。 和田氏の指摘に、「波や風の対策を講じるので問題ない」と言い張ってきたのが東京都だった。その結果、五輪が終わっても莫大な維持コストが都民にのしかかることになった。 和田氏は「当時、懸念していたことが、そっくりそのまま現実になった。競技に適さない場所なのに無理やり作ったツケだ」と憤る。 和田氏によると、海の森水上競技場ができた今も、1964年東京五輪のボート会場だった「戸田漕艇場」(埼玉県戸田市)で強化選手の合宿が行われているという。 都は、海の森水上競技場を戸田漕艇場に代わる新たな「ボートの聖地」にしたい考えだ。しかし、五輪後、海の森が一般開放されても、首都圏の大学や社会人の練習拠点は戸田漕艇場に残ったまま。 和田氏は「海の森水上競技場は、海水なので舟が傷みやすいし、消波装置があっても波が高い。使えない上に、たくさんの税金を垂れ流すだけの負の遺産でしかない」と言い切る。 波を防ぐ装置に発生した大量のカキを除去するため、今後も20年間で14億円かかることが判明した海の森水上競技場。一方、波とともに懸念されていた強風対策でも毎年、費用がかかることに。そのコストたるや…。 ◆100年前は東京産が全国��ップ カキの産地といえば、広島県や宮城県が有名だが、東京にそのイメージはない。農林水産省の統計では、東京都の養殖カキの収穫量はここ20年ほどゼロが続く。 なぜ大量発生したのか。明確な原因は、都も分からないという。 文献を調べてみると、意外な事実が分かった。 実は古くから、東京湾の台場や葛西、大森周辺には多くの天然ガキがいた。明治期には養殖も盛んになり、昭和初期にかけて、東京都がカキの生産量や金額で全国トップだった時期もあった。 「東京都内湾漁業興亡史」にまとめられた東京都のカキの生産高。明治~昭和初期には全国トップだった時期もあった 「東京都内湾漁業興亡史」にまとめられた東京都のカキの生産高。明治~昭和初期には全国トップだった時期もあった 東京都漁連内の団体が1971年に発行した「東京都内湾漁業興亡史」によると、東京都は1905(明治38)年に養殖カキの生産量が全国1位。1926(昭和元)年と1931(昭和6)年には、天然カキの販売金額も、それぞれ全国1位だった。 東京都水産課の担当者は、「隅田川や荒川、江戸川、多摩川をはじめ多くの河川から水が流れ込む東京湾は栄養が豊富で、本来は漁場としての生産性が非常に高い。 高度経済成長期に海面を埋め立て、都市開発を優先して漁業権を廃止するまで、東京都はアサリやハマグリ、ノリなども含めて漁業が盛んでした」と説明する。 漁獲されていなかっただけで、これまでずっと東京湾の至る所にカキは存在していた。 海の人工構造物にすみ付きやすいカキにとって、突如出現した海の森の消波装置は表面の編み目がくっつくのにぴったりだった。 陸揚げされた消波装置の編み目に付着したカキ殻=東京都江東区で 陸揚げされた消波装置の編み目に付着したカキ殻=東京都江東区で ◆新しいご当地グルメに? 今回大量発生したのは、カキの中でもマガキと呼ばれる種類。国内で一般的に流通し、生食やフライ、鍋物などでよく食べられている。 予期せぬ事態を逆手にとって、ご当地グルメとして売り出すことはできないのか。 カキの衛生基準に詳しい、日本牡蠣協会オイスターズジャパンの三村大輔代表(41)は、「健康上の懸念から、難しいでしょう」ときっぱり言う。 「東京湾には水質がきれいで現在も漁業が行われているところもある。あくまでも競技場周辺のエリアの話だが、埋め立てで水質が悪化したことに加え、大雨などでオーバーフローした下水が河川を通じて流れ込むことがあります。病原性大腸菌の数が多く、食用には適しません」 味に関しても、評価は厳しい。 「そもそも国内で流通するマガキはほぼ100パーセント養殖物で、味や形を整えるために生産工程が管理されたもの。カキは海中の浮遊物を取り込むので、そのエリアの海のにおいがそ��まま食べたときの香りやにおいになる。佃煮にしたらまだごまかせるかもしれませんが…たぶん、おいしくないですよ」
まだ続いていた東京五輪の戦い…相手は「カキ」 東京都が億単位のカネを投じて延命する「負の遺産」:東京新聞 TOKYO Web
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