zoz11z
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zoz11z · 22 days ago
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春の海
春の予報は誰もできない
女たちは物語を綴ることを禁じられたため
流れるように話し続ける
物語のようには
話しされないため
時に
流れを断ち切るかのような
唐突な語彙
それでも
それは当たり前のように受け止められ
流されていく
どんぶらこ
どんぶらこ
何かを孕んだまま
川下へ
拾われることもなく
育まれることもなく
海へ
だからこそ
春の海はひねもすのらりくらりと
全ての光を受け止めながら跳ね返し
たゆたい
揺れる
水底の地表を
撫でながら
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zoz11z · 3 months ago
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選ぶ時
選択肢は一つしかない
自由で目隠しされていた時
まるでいくつも用意されているように見えた
用意された選択肢は
何かを削り取るように
この身さえも削り取り差し出すように
薄く削り取られたそれは
ふわふわと舞い降り
まるで雪
それともやはり羽根
むしり取られた
何になるため
むしり取られた羽根
または牙 角
少しずつだから
気付かなかった
いつの間にか
飛べない
自分の力を示すこともできず
ただ
笑ってやり過ごす
虎よ
虎よ
雪のように白い
虎よ
選べなかった
お前よ
それこそが気高さの証
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zoz11z · 4 months ago
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ハナ1
心を失くしてしまったんだと思う
うっかりかもしれないし
かなり意図的に失くしたのかもしれない
多分
その方が都合がいいから
センサーだから
それを失くしてしまえば
怖いものなんてなくなるとでも
思ったんでない
その割に
ビビリだけどね
だって
失くした場所は
でしょ
響くわけさ
針を落とした音だって
大きな音になる
でしょ
何を満たせばいい
あの
ぽっかりと
あいた
腔 が
全身
蝕まないよう
おひさまより
暖かい
海よりも深く
山よりも高い
宇宙よりも広い
どこまでも拡がる
ハナ
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zoz11z · 5 months ago
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凧を揚げる
あの
空を舞う凧に
痛みがないことは
この上なく素晴らしく
素敵なことだ
我らは痛みを持って
凧を揚げた
痛みを抱えながら
冷たい風に笑った
痛みを抱えたまま
空��舞う
ただ風を受け
天へ向かう
痛みから離れた
凧を揚げる
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zoz11z · 6 months ago
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体が花火のように
四方八方
飛び散りました
美しい破片たち
地面にたどり着く前にさらに散り散り
美しい破片たち
探しているのです
どう繋ぎ合わせればいいの
かけら
けら けら
け ら け
ら か
探さないで
もう
すべて揃ってそばに
そばにいます
かけらは くれてやってください
地面を
つかさどるものに
もう全ては揃いましたから
探してくれたので
涙一粒
地に染み込めば
それが
在りし日の体
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zoz11z · 7 months ago
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ヘンゼルとグレーテル
檻の中に閉じ込められた
本当は自分で檻に入った
丸々と太った
檻は狭い
丸々と太ったヘンゼル
檻の中のヘンゼル
鍵はとうの昔に開いてた
檻のなかのヘンゼル
食べることをやめられない
少し痩せれば檻の外に出れるのに
グレーテルは冒険に出ます
檻はみちみちだ
魔女は見なかった
ヘンゼルは魔女を見たっていうけど
それは確かに女の姿だったていうけど
見なかった魔女は
ヘンゼルは檻の中にいた
いつの間にか
出ようっていっても
食べ終えた骨を差し出すだけ
グレーテルは旅に出ます
食事の支度は飽きました
あの檻を作ったのが
本当に
本当に魔女なら
あの檻を壊せるのも魔女かもしれない
旅に出よう
旅に
食事の支度は飽きました
ある
月の明るい夜
グレーテルは旅に出る
魔女に会いに
魔女に会いに
ヘンゼルは
怯えながら魔女を待つ
魔女を待つ
怯えながら
はち切れんばかりのこの腹を
満たしても満たしても
食う 空 食う
魔女の顔に見覚えはある
魔女の顔しか
知らない様な気もする
準備はできた
さあ魔女よ
火は燃え盛り
お湯はグラグラ
準備はできた
さあ魔女よ
檻から 折から
降りから から から
宴です
おめでとう
うたげです
歌気です
おめでとう
湯気が昇ります
おめでとう
檻から出て
おめでとう
降りてきた
おめでとう
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zoz11z · 2 years ago
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いし
つるんとした人が外からやってきて
ツルツルしてたっさ
別にぬめってたわけでないけど
なんかこう
ツルって
掴みどこがなくてさ
いやさ
おかしいっていうわけよ
つるんとした音の言葉で
わかったわけでなくて
言いようでさ
多分おかしいって
そういうことを言おうとしてたんでないべかって
思うんだけども
指を差すんだ
そういう時に有効なのは指差し
そして
片方の頰だけで笑う
効くよ
いや言葉なんて通じなくたって
伝わるから
いやさ
んで
違うべやって思うんだけども
何ってこともねぇんだもの
うん
ただそれは違うの一点張りよ
つるんとした音でさ
一見わかったような感じするのさ
ただあの目つきよ
いや
違和感は特に感じません
そんな
引っかかりもないですよ
摩耗なんていや磨り減ったわけではないんです
磨かれたんですよ 
傷もない
いしぃ
見つかったんだべ
綺麗な
ひかるってな
磨くな 磨くな
磨けばほれ光らなくなるのさ
そこが光るんだもの
あんたが削ろうとしているそれ
そこが光るのさ
光を受けて
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zoz11z · 2 years ago
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しゃもじ
しゃもじは悪くない たくさんの木々たち たくさんの竹たち たくさんのプラスチックたち
柔らかいものでさらに柔らかいものを切り混ぜるということ
水をまとった柔らかさで 水気を含んだ柔らかいものを 切り混ぜるとき立ち上ってくる 小さな粒子
白い粒たち 黄色い粒たち
粒たち 粒のまま混じり合う
しゃもじは 下から上へ 切り混ぜる
上から下へ切り混ぜる 混ぜ返し 混ぜ返しして含まれる
柔らかな熱
ほんの少しだけ反った 楕円型に乗る たくさんの楕円形
まるい まるい まるい
ころがらない 楕円形
運びます しゃもじ みたします しゃもじ
まるいものからまるいものへと
次々に よそいます しゃもじ
楕円の循環
鍵穴のような しゃもじ
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zoz11z · 2 years ago
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いや、いたいんすよね。
いや、いたんすよね。じゃなくいたいんす。
ねてても。
こくし。うーん。まぁ。してるっちゃしてるんすけど。ね。
このごじせい。まぁ うん。らくな商売なほうじゃないすか。
いや。いませんて。
いなかったです。
いたいだけで。
いや、そんなきはないです。
いや、ほんとに。
ええ。みたこともないすよ。
ほんとに。なかったもの。
きであったわけなんて。
枝が切られたって
それで幻肢痛が起こった
あったのよ。そこと、ここと、そこにも
きられてしまって いたみだけのこる
いたみがあったことを いたかったことを
きおくする きお くする
き 臆する
いたいと 全てが億劫
とどまる 丸まって
痛みの中に止まれば
しゅし
いつかは芽生えるの 切られた 枝枝枝
とどまらないで
しゅし
みず たゆたう ゆっくり 
すいこむ いたみは中にだけ 外からはやってこない
みず たゆたう ゆっくり すいこむ
あたたかなものは おおいかくす
えだえだは しゅし あなたの中でのびやかに
そのすがたをとりもどす
しゅし そのすがたをとりもどす
無機物
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zoz11z · 2 years ago
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森と砂漠
鳥は領有する空間を拡大することに貪欲
あんなにどこまでも飛び
あんなにどこまでも声を届ける
あんなにどこまでも声を届けるのは
あんなにどこまでも飛び回るのは
いられなくなったからなんだ
え。
じゃ 私たちは
どこまでもどこまでも
どこまでも延ばす
延伸は合言葉だ
何かの時の 詰まってしまえば
延伸しましょう
それでここもあそこも潤うようになる
どこまでもどこまでもどこまでも
拡大に貪欲だ
鳥よりもタチが悪く
自分の身体を作り変えることすらできないくせに
土地ばかり 
土地の形ばかり
え。
あの 砂漠を作ってるとばかり
思ってたんです よ
え。
いやほら せっせせっせと えんやこらと
いやだって 切ったでしょ
いやだって 丸裸にしたのだってほらあの山
作るためでしょ 砂漠
いやだって ほら適応 してるんじゃないんですか
好きですよ 風がビューて強くて
何もかも綺麗にしてくれるでしょう
赤くて 白くて 美しい
砂漠を作ってるんじゃないんですか
 うん そうっだった うそだった
口実だった そう 砂漠を作りたかったんだ
鳥は 鳥は また森を運ぶだろう
腹のなかの 森をばらまくだろう
その声は 水を呼ぶだろう
呼ぶだろう ���しむことなく
呼ぶものをはっきりとわかっているものは
悲しまないものだ
鳥はどこまでもどこまでも飛ぶだろう
さえずりを交わす森を探し当てるだろう
さえずりを交わす森は鳥たちのさえずりから生える
生えればそこは森
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zoz11z · 3 years ago
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さし木
深く
潜る
きるだけ深く
そのほうが水圧がか
かるから
深くふ かく
水中の深いところ
で 切ってください
細かく 回数を重ねて
で きる だ け 斜めに
面積が欲しいので
ええ
吸い上げる 
面 広いほうが
いいので なる べく
グ ングングン グン
ギュ ウゥン 
ふるえを感じます
手の中で
しおれ 萎びるはずだった のに
水を吸い上げるのを
水が吹き上がるのを
切る 小気味良い
切る切 る切る 切る
枯れるはずだった
それはまず根をはる
根を張るはずだ
水を勢いよく吸い上げ
まず出るのは根だ
深く潜ります
深く 根は
深く潜ります
水脈に届くように
深くふかく潜って冬
春には 芽を出す
ために
深くふかく潜ります
春には めをふくため
春には
しずくのような 
め 柔らかで 伸びやかな
まなざし
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zoz11z · 3 years ago
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きねん日
いのりねんずる
なんつったっけ
いやさ 忘れたのさ
いや うん ���べたんだけれども
いやうんと 調べようとしたんだけれども
読み方さ なんつったっけ
出てこねーのさ うん たいして使う言葉でもねーしさ
でも うん いや大事なんだよ 
大事なのに忘れちまってさ
出てこねーのよ 読み方が
出てこねくても
いのればいいよな ねんずればいいよな
読み方さ忘れても
いのり方わかんねくても
いやさ
わかんねのさ
みんな忘れてる
おれだけ 覚えてる
だから祈るよ
いのる
念ずるよ
ねんずる
なんもさ
空見上げんのさ
やり方なんて知らねもの
おれだけ
あの大勢
空の向こうのあの大勢
あの知らせ
あの鈴の音
旗を振り近づく
いつもおもう
おれん中にある
あの大勢
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zoz11z · 3 years ago
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남편
狼煙をあげてください
すぐに行きますから
その方法は正しくない
正しく伝わらない
距離をとって
狼煙をあげてください
その拳を下ろして
この場をさりなさい
安全な場所へたどり着くにはまず
その拳を下ろしなさい
仲間よ
男の仲間よ
その拳を下ろして あの洞窟を目指して
なんでもあるから
そこで暖かな火を焚いて
炎があなたを温めて
熾になる頃 
あなたが暖かな眠りにつく頃
私はたどり着くでしょう
あなたとともに
自由な眠りにつくでしょう
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zoz11z · 3 years ago
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ミトコンドリア
ミトコンドリアの呼応する
あ��� 隠れていたのね
ミトコンドリアの呼応する
アスファルトを破り 萌え出づる
ミトコンドリアの呼応する
呼応 する
こえ それは確かに
わたしの中へ 響く
そこまで 伸びてきた こえ
ミトコンドリアの呼応する 呼応する
敷き詰められた それは ローラーで踏み固められた それらは
圧し おし し しししゅ
種 小さいから
案外潰れないのね ほら隙間 案外
いくらでもあるの ねね ね
根 こえを潜めて
つぶされずに済めば ね 根が
最初にでるでしょう ふふ根は びっくりするほど細い
潜り込むからね ね 根は
音を 潜ませ ミトコンドリア
ミトコンドリアの呼応する
湧き出ずる ミトコンドリア
あなたのミトコンドリアに
照り映えるミトコンドリア
それは声 呼応するおと
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zoz11z · 3 years ago
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忘却の火で燃されたそれの
灰はのこるだろうか
のこるだろう
灰はのこって
河に 
あなたの手はそこで
ひらかれ
灰は河面に 浮かぶか
流れるか
それとも
沈むか
沈んだそれを
のぼってきたもの
が ほり
安全な窪みのために
ほり
灰は巻き上がり
また しずみ
安全な窪みを
埋めもどす
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zoz11z · 3 years ago
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焚きつけ
ぽぽポポポポおおおぽぽ
炎が消える音がします
お湯が沸く音ではない
あの音は炎が消える音だ
そのままにしておこうかと
思いもしますがでも
ここはあまりに寒い冷たい
そこで私は
問題集を手に取り
国語のだ
国語なはずだ引きちぎる
ページを
そこには
「お母さまがいうところなら良いところだと思います」
と娘らしいヒトがいうのはなぜか
ページはとうの昔に引きちぎられ
その前には何があったかもわからず
その後に何があるかは
問題にもされず
娘のように描かれる人は
「お母さまがそういうなら私はそこに参ります」
私は引きちぎれます
おお おお おお
これは焚きつけに良い文句だ
ごお ごおオオオオ
これは焚きつけに良い文句だ
私は 焚きつけられます
よかった よかった
私自身がほのおになった
これで行きたいところに行けるだろう
煙になって行けるだろ
わたしは本当に消えるだろう
行きたいところに行けるだろう
焚きつける母はお湯を沸かしながら
灰を少し
かき集める
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zoz11z · 3 years ago
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カニ2
言葉がプクプクと泡立ち
昇りくる
呼吸困難を起こしているのです
だから
泡になる
呼吸が
言葉が
泡になる
水の中に
いるときは 泡
アワなんて吹き
フキませんでした
言葉なん
て て いらなかった
海の底は
わたしの庭で 
わたしの体が
わたしの羅針盤
何もかもはっきりと
感じられる
わかっている
言葉なんて知らない
いらない
少しの間なら
ええ
いられるの
この言葉は 水
わたしの命
乾かないように
わたしの命
わたしの水
それが言葉に見えるなら
わたしのあぶくはわたしの命
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