#靴下猫腰子
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Just got a peek at fb season 5. These new characters look familiar
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A mimic & An Illusionist.
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私は、人生これから好きに生きると決めた瞬間病気になった、体に麻痺が残り、色々悲観していた。やっと少し動けるようになって彼女が、欲しくて、ビアンバーに行ったノンアル飲料を飲んでいたら、隣りの席に素敵な女性が、座って私の動かせない手を観て爪ガタガタだねと、次の手入れをしてくれた、本当に動かせないのと、聞かれて腹筋に力入れてる肘曲げるぐらいかな、指は、ぐーのまま動かす気が無いんじゃないのと、左手を彼女は、パンツの中に突っ込んだ、ひさびさの他人の股だと思い動かない手に動けと、念じた少し指が、動いた、エロになら反応するのか、仕掛けた、女性も、手が、何もしないから呆気に取られてる、手変えていいと聞くと、こっちも、爪の手入れしてからね。右手の爪も、綺麗に手入れされた。
首筋の匂いを嗅いで鼻息が相手にかかる、はいお終いと、右手の爪の手入れが終わった、手入れ替えていいと、聞くと、席変わらないと入れられ無いわよと、席を立ち女性が、背後に立って場所変えようと誘われてわかったと、席を立ち杖を取る、会計を済ませて2人で店を出たタクシー止めてどこ行くのと、聞くと、私の家と、女性が、答える、マンションの玄関回しに着いてタクシーを降りた、女性が、私の動かない腕を組んで歩いて入っていく、エレベーターに乗って女性が、最上階のボタンを押した、エレベーターが止まると、いきなり玄関だった一軒しか無いのと、エレベーターを降りて玄関の中に入って靴を脱ぐのに、椅子無いと、聞くと壁の取ってを引くと椅子になる、椅子に座って靴を脱いだ、女性が、腕を支えて立ち上がらせて、くれた、リビングに入ってソファーに、座らせられて、女性が、飲み物持ってくると、キッチンに、いくリビングを見回すと、棚には、ペットの写真が飾ってある、今は、飼って無いのかな、気配が無い女性が、私に水を持ってきて、女性は、缶酎ハイを持ってきて、ハイ乾杯と、缶とペットボトルをぶつけて乾杯した、ねえ、今さらだけど、なんて呼べばいい私は千種と、女性が言ったあなたは、と聞かれて猫と、答えた、それは、夜の事と聞かれて違います。千種が、ネコでしょうと、言って千種の顔が近づく動く方の手で、千種の顔を撫でるキスして、千種が、シャワー浴びてきていいと、いいよ。トイレの場所だけ教えてと、言うとアソコと、指さすが同じドアが何枚かあるからどれと、聞くと、千種が立ち上がり、トイレのドアを開けた、わかったありがとうじゃシャワー浴びてくるねと、リビングから出て行った、シャワー終わったようでドライヤーの音が聞こえる、バスローブ姿で、千種がリビングに入ってきて、私の膝の上に座った右手を掴んで触っていいよと、バスローブの隙間に手を入れて胸を触る、すべすべだなと、思い首筋を舐めると、千種が、あっと小さく声を出す胸を指で、円を描くように下から撫でている頭頂部に近づいてきて千種が、ああんと、声が出るトップを触ると、千種がもじもじしだす、トップをキュッと摘むと千種の体が反応する、千種こっち向いてと、キスする、唇を堪能していると、口が開く舌を入れて、口の中を愛撫して千種が寝室に行こうと、私を立ち上がらせた、その前にトイレ行くと、トイレに入ってスッキリして
千種がドアの前で、待っていた、腕を組んで歩いて寝室に入る、千種がベッドに、寝転がるネコ好きにしてと、私重いよと、重さも感じたいからとベッドに座って服を脱ぐと途中から千種が手伝う焦ったいようだ。千種にキスして体を半分重ねる右手で、千種の体を顔から撫でる胸で、トップを触り摘む千種の触ってない方の胸をキスする、手はお腹を撫でて下腹部に向かう薄い毛を撫でて鼠蹊部を撫でるともう濡れている、指で穴周りを撫でると、千種が抱きついてくる、千種にキスして耳をしゃぶると、更に声が出るあんと、指が下の硬くなったクリを撫でると、千種がさらに内股になりいいと、声に出すコレとこれどっちがいいと、撫で方を変えたら、最初のがいいと、答えたので、少し皮を剥きながら、撫でると、千種が中もと、欲しがる指を中に入れて撫でいいとこを探す、あっあっそこと、気持ちいいとこを教えてくるから、ココと、中の上を撫でると脚がピーンとなったナカイキしたようだ。千種にキスして体をなんとかして、動かして千種の股に自分のを擦り付けるゴメン重いよねと、言うと千種が両手で顔を挟んでキスしてくる猫体が、治ったら何したいと、聞かれて体バキバキに鍛えたいと、答えたら、千種がふっと笑った、鍛えてどうするの、千種とデートする。鍛えなくても、デート出来るよね、千種と並んで歩くなら格好いい方がいいかなと、思ってね、病気になって体ぶよぶよだからさ、千種可愛いのに隣が、豚みたいなのだと、千種が、ナンパされるから、千種が、私お金は、あるから治療してあげようか、私クリニックの院長なんだよね。だから、治療出来るよ、払うお金がないよ、そこは、惚れた弱味って事で無料で、治験者対応で、やれば問題ないから、腰止まっているよ、ゴメン体上手く動かせない千種を気持ち良くさせたいのに、私が、動かすよと、下から腰を動かしてくれる。猫は気持ちいい千種最高だよ。キスも気持ちいいし。千種そのまま擦ってもう少しで、千種を抱きしめてイク千種が、ふふっ気持ち良かったと、聞く良かった。千種にキスする。私も良かったと、千種が言う私は、本当にと、言った嘘は、言わないよと、ほっぺを摘まれる千種の舐め���いいと聞くといいよ、とニコッと笑う体をイモムシのように下に移動して千種の股にやっと辿り着いた千種の愛液を舐めて綺麗にしていき、陰経を口に含む口の中で、舌で舐める穴に舌が入るように千種の股を広げて舌を中にいれた、中を舌で味わうと、千種の声が大きくなって喘ぐ指で突起を撫でると、腰が浮く脚がピーンとなる。千種がもうダメおかしくなると、千種が止める体が上に逃げた、追いかけると、千種が、体を起こした。私はもういいからと、しつこかったと聞くとイキすぎておかしくなりそうだから、気持ち良かったよ。ゴメンね、経験人数少ないからさ、加減が分からなくて。千種が、私の体をひっくり返した仰向けになった千種が、私の股を触りだした、千種何するのと、猫をネコにすると、クリ撫でられる、体は正直に反応する千種が撫でられるのは、気持ちいいと聞かれていい千種キスしてと、甘えると、可愛いなぁと、キスしてくる私から舌を入れる千種の指に力が入る腰が、もっと強く刺激されるように指に押し当てる。千種とキスしたままイク千種を触りたいけど動く方の手が、反対側で届かない千種体私の上に重ねてと言うと千種が、重なる、これで手が、届く千種の股に手を運び股が濡れている突起を撫でると千種が今私のターンだから、ダメと甘い声で言うけど、穴周りを撫でると
甘い声が漏れる少し体を起こし千種の中に入る千種が、私の体を起こした。指を奥まで入れると顔を胸に押し当てられる口と舌で胸を貪ると、乳首が立っている、キスして唇で摘むと中が、動く、体勢的に動かせないけど、指先だけを動かす、千種が、自ら腰を動かしている。千種がイッタ頭をぎゅっと抱きしめられて、胸に鼻と口を押し付けられて、息出来ない離れようとしても、力が強くて顔が、離れない言葉にしようにも口も塞がれている、指でクリをぎゅっと摘むと千種が、抱きしめる力を抜いたやっと息が出来た千種がなんで摘んだのと聞くから千種に頭抱きしめられてちっ息しそうだったから、千種が、摘ままれたから、疼いたと、イカさてと、指で、クリを擦る千種にキスしてクリを撫でると千種がイクもうエッチなのねそうだよ、ずっと1人エッチしかしてなかったから、反応があると興奮するし、もっと鳴き声聞きたくなる。その割にエッチな事上手いね、インプットは漫画とかで、したからね、その分エッチに貪欲にはなっているかもと、アウトプットを受けてくれると、聞くと余りしつこいのは、無理よと、言われてしょげると無理な時はちゃんと言うから聞いてよね、キスしていいと聞くとキスされる、キスぐらいなら聞かなくても、していいわよと、千種を触ってもいいと聞くと、入れたらダメよと、言われてなんでと言うと明日仕事出来なくなるからと、千種の下の毛を撫でてさらに下を撫でる内股を撫でると千種が、少し反応する千種可愛いってキスしてなんで、明日仕事出来なくなるのと、聞くと、思い出したら、仕事出来なくなるのと、真っ赤になる可愛いとキスしてクリを撫でるダメ明日仕事中思い出してエロい顔になるからダメと、言うが手を振り払わない、過去にそんな事があったのと、聞くと仕事中顔が、ニヤついて周りから彼氏出来たのかと、聞かれて答えるのが、面倒だったのよ。彼女ですとは、言えないから私の職場ほぼ女性だから、彼女とか、言うと変な風に言って来る子もいるのよ、私の事好きだったから優しかったんですかとか、それは、面倒だね。千種濡れてきたよそれは、そうでしょうクリそんなに気持ち良く触られたら、感じるものと、クリだけでイクと中イキしたいと、ワザと聞くと、中イキしたいと答えるキスして穴周りを撫でる入り口を指でなぞると抱きついてきたキスして、ゆっくり中に入れる、さっきは千種が動いてイッタから、今回は、私が動かしてイカせたいなと、中を撫でて千種の反応がいいとこを、しつこく撫でる千種可愛いね、今恋人は居ないのと、聞くと募集中と、私立候補したい。ハンデ持っていて、年寄りだけど、いいかな、千種が、体の相性も良いし、いいよと、言うので、真面目な顔して、千種の左手を持って付き合ってくださいと、左手の薬指にキスした。
千種が、キザだねと、言っていいよ、昔も体から付き合った人がいて、付き合うとは言われてないと言われたから、ちゃんと言って付き合うありがとうとキスする。
明日私のクリニックで、どの治験するか、決めようねと、申請とかで、始めるのは、許可出てから、だから、他と共同研究なら、早めに治験できるかもと、千種が言う本当にいいの。私のクリニックも実績出来れば患者増えるし、上手く行けばウィンウィンだよ。
明日一回家帰ってからで、いい猫こそ誰かいい人いるんじゃないのと、千種に聞かれて居ないよ。千種可愛いねと、キスして抱きしめる。家に猫がいるから、エサと、トイレ掃除しに帰りたいんだよ。気になるなら、付いてきてよ、千種可愛いくて、若いのに、私みたいなハンデ持ちの年寄りでいいの、千種小さくて可愛いから人気でしょうと、言うと、私の金目当てしか来ないのよ。猫みたいになにも知らない人が珍しいもの私のタイプだったから持ち帰ったのよ。光栄です千種私と、付き合ってください左手の薬指にキスする。千種がいいわよ。タイプだから。千種実は結婚してるとか、言わないよね。千種は男もイケる人それは、今はないかな、昔は私自身のせいたいしょうがわかって無かった頃に男と付き合ったけど、女性が、好きなの自認してからは、ないわよ。良かった好きな人また、男に搾取されるのかと、思うと付き合って、いても捨てられるから、千種が、キスしてそんな事しないわよ。こんなに可愛い猫を野良にしないわ。ずっと可愛いがりたいのよ。本当に、千種もっと千種触ってもいいとキスして抱きつく、千種が、いいわよ。明日起きれるぐらいの体力はあると思うから、千種にキスして今までの寂しさを埋めるように千種に甘える。猫は本当の猫みたいね。千種に頬擦りして首筋を舐める汗を舐めとると千種が、お互い色々まみれてるから、お風呂入ってから寝ようかと、千種が携帯で、お風呂を溜める。お風呂が溜まりましたと、機械音声が、聞こえた、千種が、ベッドから立ち上がり私を手助けして立たせて歩くのを補助して風呂にいき、裸だから、そのまま浴室に入る、お風呂のイスに座って千種に、体を洗われる千種は、自身の体も、同士に器用に洗った。私を抱えて湯船に入る、私は、ハンデになってから、湯船に浸かった事がない、滑って立ち上がれなくなると、ヘタすりゃ��れて死ぬ、千種に抱きついて湯船を堪能する、千��にキスして、私の上に千種が座っている。胸を揉んでしゃぶり千種が、お湯入るから中で、弄らないでと、言うので、湯船に座ってもらい、内股を舐めて穴にいく、舌で、穴を舐めて穴の中に舌を入れて中を刺激して、クリを指でクリクリする。千種が入れてと言うけど、千種にキスして千種指しか入れるモノ無いよと、入れて出して子供欲しいと言われて膣液なら入れられるけど、精子は指から出ないよ、子供作ってあげたいけど現在の医療技術じゃ出来ないよ、10年ぐらい経つと変わっているかもね。
ピンポンと一階のオートロックの呼び鈴がなって浴室にある、インターホンに映像が、映る声も聞こえる、ちーちゃん桃だよ。帰って来たから開けてと、前飼ってた、子猫ってヤツサカリが来て家出て行った子と聞くと千種が頷くサカリが終わって戻って来るのは、子供産みにきたんだよ。彼女の顔殴られた後があるから、相手の男に子供できたから養ってとか、言って男は、遊びだったんだろうバカ猫は、いらないよ。千種、私捨てて、あの猫飼うどっちと二択にすると、猫を私が飼うのと、キスしてくる、このノラは警察に引き取ってもらったら、ストーカーが、今玄関に来ているから怖くて落ち着かないです。って電話して理由は痴情の絡れって素直に言ったらサカリの時期に妊娠してまた、人の家に戻ってくる、野良猫もいるからね、元飼い猫だからって引き取って飼う、必要無くないノラ猫も、妊娠しているんじゃないの顔に殴られたっぽい痕があるよ、出来たから結婚してとか、迫って捨てられたたんだろうけど、都合の良く、千種なら、妊娠気づかないで、住まわせて、くれると思ってきたんだよ。鍵渡してないのが、救いだったわ。こんなノラ猫無視して続きしよう。千種に頬をスリスリしてキスする。これ以上湯船にいたら、のぼせちゃうから、上がろうと、千種が、上半身を支えて湯船から出るのを補助してくれる。脱衣所で体を拭いて千種が、バスローブを着せてくれた。千種は、身長150cmぐらいなのに、10cmは身長の高い私を上手く補助出来るなと、思って聞いてみる理学療法士の免許も持っているのと、千種が、私学生時代レスリングしてたから、体格差とかは、関係なく体の使い方がわかるの。凄いね。まだ、下にノラ猫が、いてピンポンしてくる千種が本当に警察に電話した。玄関の様子見ていると、制服警察官が、ノラ猫の肩を叩いて振り向かせて、連れて行く。千種がインターホン越しに電話した者ですが私も、同行した方がいいんでしょうかと、聞くと明日⚪︎⚪︎警察署に来て被害届けを出してくださいと、今夜この人は連れて行きますと、姿が見え無くなった。
千種とベッドに入るうーんと伸びをして千種にキスをせがむキスして千種明日大丈夫、私を家まで連れて行ってクリニックで診察と、警察でしょ、だから今日は手出さないでねと、キスされる。わかったと抱きつき今日はもうしないと、言うと朝とかもダメよと、先に止める。
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柔らかな熱
僕がこの世界に生きている証
体育祭なんて、誰ひとり楽しいと思っていないのだから、とっとと廃止すればいいのに。
痩せた脚のせいで徒競走で転んで、ひとり手洗い場でハンカチで膝の血をぬぐっていた。ああ、またかっこ悪かった。しかもこの中学の全校生徒、先生たち、保護者たちの前で。
冷たい水分が擦り傷に響く。思わず顔を顰めていると、「城木くん、だっせえ」という声がして振り返った。いつもの何人かのクラスメイトがいて、僕はぎゅっとハンカチを握る。
その中のひとりの手が蛇口に伸びて、きしむような音を立てて水音が止まった。
「向こうつまんねえから、つきあえ」
前髪の隙間から目だけ動かして、そう言ったクラスメイトを見る。
こちらを見る目は、嗤ってすらいない。本当に、ただ怒っている。くそつまらない体育祭にいらついている。僕がうざいとか、そんな感情すらない。ゴミ箱や便器に向けるような、汚物を嫌悪する目──
背中を押されて、囲まれて、静まり返った校舎に入った。「かったるいよなー」とか「親は来るなっつったのに」とか、うんざりした言葉と足音が廊下に響く。
一年二組。僕たちの教室にたどりつくと、「また転べよ」と肩を突き飛ばされて、前のめりになった僕は転ばず立てそうだったけど、わざと床に膝について座りこんだ。
擦り傷が痛覚に刺さる。笑い声がぐるぐる降ってくる。
「マジ城木だせえ」
がつっと肩胛骨のあたりを蹴られて、脇腹も鋭く爪先でえぐられる。小さくうめいて、上履きの臭いが染みついた冷たい床に顔を伏せてうずくまった。頭、背中、腰にいくつも嘔吐のように足が飛んで、まだ治っていない軆じゅうの痣を踏み躙る。
目をつぶって、唇を噛んで、こぶしを握って、頭蓋骨に直接響く攻撃に耐える。上履きの臭い硬いゴムの靴底が、全身を強く穿って、本当に軆に穴が開くんじゃないかと恐怖がこみあげる。
虚ろになる頭に、校庭の次の競技の放送がぼんやり聞こえる。熱中症に厳重注意の日射しが、教室に白くあふれている。
いつまで吐き捨てられていたのだろう。気づくと、教室に取り残されていた。
ぐらぐらして取り留めのない声をつぶやいて、ゆっくり起き上がった。体操服をめくってみると、内出血がべったり広がっていた。少しカッターで切れ目を入れれば、血管から破裂しているその血がほとばしるのかもしれない。
ため息をついて、自分の席にまで這いずっていくと、椅子によじのぼって座った。背もたれに寄りかかろうとすると、腫れた感触がずきっと脊髄を刺した。だからつくえに顔を伏せて、丸くなって、乾いていく瞳で日がかたむくのを見つめて教室で過ごした。
緩やかに赤く焼けていく空の下で閉会式が行われたあと、生徒はいったん教室に集まって、参加賞のノートと鉛筆、そして紅白饅頭が配られる。
勝ったのは紅組だった。得点に一番貢献したクラスには、賞品が贈られる。もちろんそれは僕のクラスではなかったし、それどころか僕は先生に不在を知られていたらしく、「城木くんにはこれはあげられません」と参加賞をもらえなかった。
だって、みんなが、僕を。
言いたくても、絶対いつも言えなくて、僕はうつむいて「はい」とだけ言った。先生は教壇で今度作文を書くこととかを話して、すぐ解散を言い渡した。すぐに日は落ちて、怪我した脚を引いてひとりでたどる帰り道は、もう暗かった。
住んでいるマンションのそばにまで着いて、明日回収の生ゴミが積まれたゴミ捨て場の前を横切ろうとしたときだった。不意に泣き声が聞こえた。子供の泣き声に聞こえた。あたりを見まわし、その声はすぐ足元からだと気づいてびくっとする。
でも、そこにいたのは子供ではなかった。口をきつく縛られたビニールぶくろを破って、頭だけ出している焦げ茶の猫だった。
ほっとしてから、しゃがみこんでみた。飼われていた猫だろうか。ほとんど警戒しなくて、頭を撫でると嬉しそうに鳴いた。ふくろに入れて、口を���って、生ゴミと一緒に置いておくなんて──
「ひどいね」と小さく言っても、緑色の瞳は無垢に開かれている。僕は猫をがさがさとふくろから出してあげた。そして立ち上がろうとして、振り返って、また身をかがめてしまう。
猫が哀しそうに鳴いた。ペットは飼ったことがないから、猫のつらい鳴き声がこんなに泣いている子供の声に似ているのは、初めて知った。
ふかふかした軆を抱きあげてみると、連れて帰りたくなったけど、マンションだからもちろんペットは禁止だ。どうしよう、と動くに動けず、ただその猫の頭を撫でていた。とりあえず生ゴミの臭いから離れて、マンションに隣接している公園に行った。
街燈だけ灯って、誰もいない。ブランコで猫の顔を覗きこんだり、胸に抱きしめたりしてると、猫のほうも僕に慣れてきて鳴き声が落ち着いてきた。僕でも知っている、「にゃあ」という鳴き声だ。
このまま、あのゴミ捨て場に置いておくわけにはいかない。心を決めると、猫を抱いたままマンションに入って家に帰った。
鍵をまわしてドアを開けると、おかあさんの声がした。電話をしているみたいだ。「日曜日も私たちのところには帰ってこれないの⁉」──怒鳴っている相手は、おとうさんだとすぐ分かった。
おとうさんは一度、僕を知らない女の人に会わせたことがある。いつも家にいないのは仕事だと思っていたのは、それで崩れた。
おかあさんに気づかれないように、自分の部屋に駆けこんだ。猫はベッドの上に下ろして、部屋をあさって悩んで、口が大きく開くリュックを広げて服を詰めて、寝床みたいにした。ベッドの上を歩いていた猫を抱くと、そこに移させる。
大きくない猫だったから、さいわい大きさが足りないこともなくて、そこに丸くなってくれた。牛乳なら飲むかな、と部屋を出て、キッチンに行くとリビングのおかあさんが僕をちらりとした。でも「おかえり」を言う前に、「切らないでよ!」とケータイ相手にヒステリックに怒鳴る。
僕はコーンフレークの食べるときの皿と牛乳、魚肉ソーセージを素早く抱えて部屋に戻った。
服を着替えると、その夜はずっとその猫を見つめていた。冷房でちょっと部屋を冷ました。猫は牛乳でお腹がいっぱいになったようで、魚肉ソーセージは残して眠りについてしまった。
おかあさんは遅くまで叫んでいて、僕はその声が怖くて小さくなる。うつらうつらしてくると堅いフローリングに横たわって、すぐそばで猫の寝顔を見ていた。
翌日は、代休で学校は休みだった。このままおかあさんに気づかれず猫を飼えたら一番だけど、そんなのうまくいかないのは分かっている。おかあさんが出かけて家が空っぽになった隙に、猫を抱いて外に出た。
九月の白日は、まだまだ暑い。でも、猫の体温は優しいから心地いい。
ひとまず向かったゴミ捨て場は、空っぽになっていた。この猫がゴミと思われて、収集車のあの回転する圧迫につぶされていたかもしれないと思うとぞっとした。
この猫の飼い主は探さないほうがいいのだろう。あんまり僕も会いたくない。だとしたら、新しい飼い主か。どこに連れていけばいいのだろう。
たたずんで猫と見合って悩んで、そういえば、駅までの道にある動物病院が迷い犬を預かっている張り紙をたまに出しているのを思い出した。よく分からないので、僕はそこに行ってみることにした。
猫は僕の腕に抱かれて、おとなしくしている。いつも抱かれていたから、慣れているのだろうか。いつも抱いているような飼い主だったのに、あんなふうに捨てたのか。何で愛したはずのものにそんなことができるのか、どうしても分からなかった。
動物病院の前に着いても、嫌な顔をされたらどうしようとドアを開けられずに躊躇っていた。そうしていると、後ろからビーグル犬を連れた女の人がやってきて、入口のドアを開けて犬を先に中に入らせ、「どうぞ」と僕のことも自然と招き入れた。
僕は挙動不審になりそうになっても、動物のにおいがする病院の中にぎこちなく入った。
その瞬間だった。
「せぴあ!」
突然そんな声がして、おろおろする間もなく、高校生くらいの女の子が僕に駆け寄ってきた。猫はするりと僕の腕を抜け出して床に降り、その子の足元にすりよる。女の子は待合室の床に座りこんで、いきなり大声で泣き出して、ビーグル犬も、その飼い主の女の人も、顔を出した白衣の男の獣医さんも、もちろん僕もぽかんとした。
「ほたるちゃん」
そう呼ばれた女の子は、獣医さんを振り返って「先生、せぴあ見つかったよお」と大粒の涙をぼろぼろこぼす。すると、獣医さんもほっとした表情を見せて、突っ立っている僕を見た。
「君が見つけてくれたのかい?」
「え、……あ、はい」
「どこにいたんですか⁉ 私、昨日の夜からずっと探してて、」
「夜……は、僕が部屋に連れていってました。すみません」
「どうやって連れていったんですか? この子、家猫で外には出ないのに──」
「えっ……と、……ご、ゴミ捨て場に、いたので。マンションの」
「……え」
「ふくろに入れられてて、そのままじゃ、ゴミと一緒連れていかれるかもしれないと思って」
待合室が静かになって、奥から犬の鳴き声だけが響いた。女の子は猫を抱き上げて、「あのくそ親父」と苦々しくつぶやいた。
それから立ち上がって僕を見て、「ありがとうございます」と頭を下げた。
「たぶん、それをやったのは父です。ご迷惑かけてすみません」
「あ、いえ。連れて帰ります、か」
「はい。もちろん」
「大丈夫、ですか」
「……父は普段、家にいないので。ふらっと帰ってきて、この子がいたからそんなことしたんだと思います。昨日、私が留守にしてたのが悪いんです」
「ほたるちゃん、またそんなことがないとは限らないだろう。ここで一時的に預かってもいいんだよ」
獣医さんはビーグル犬の前にかがんで、その喉を撫でてやりながら言う。
「でも」
「来年、高校を卒業したら家を出るって話してたじゃないか。それからまた、せぴあちゃんと暮らすほうが安全じゃないかな」
女の子はうつむいて押し黙った。僕はその横顔を見つめて、ずうずうしいかとも思ったが、「そっちのほうが」と言った。
女の子は僕を見て、「少し考えてから」とせぴあというらしいその猫を抱いてソファに座った。「ゆっくり考えなさい」と言った獣医さんは、ビーグル犬を抱き上げて女の人と診察室に入っていった。
僕はどうしたらいいのか迷い、ここで去るのも冷たい気がして、何となく女の子の隣に隙間を作って座った。女の子は僕に顔を向けて、「この子がいないと」と泣きそうな顔で咲った。
「私、家でひとりぼっちなの」
「……ひとり」
「おとうさんはそんなだし、おかあさんとは血がつながってないし。妹はおとうさん同じだけど、おかあさんに懐いてるから」
「………、そっ、か」
「私なんか、存在してないみたいなの。この子だけ、私にあったかくて、話聞いてくれて、優しいの」
僕はうなずいて、視線を下げた。ふと、彼女がこんな残暑に長袖に着ているのに気づいた。
ちょっと考えたあと、「でも預けたほうがいいと思う」と僕はつぶやいた。何か言おうとした彼女に、勇気を出して先に言ってみた。
「僕が話を聞く」
「えっ」
「あったかい、とかはできなくても。僕が君の話を聞くよ。またその子と暮らせるまでのあいだ。僕でいいなら」
「………、」
「変な、意味とかはなくて。その猫がまた同じ目に遭うのは、僕も怖いし。次も僕が助けられるかなんて分からないし」
「……いいの?」
「うん。あっ、でもすごいこととか、意見とかは言えない。聞くだけしか、できないと思う。それでよければ」
彼女は僕を見つめて、ふと柔らかに咲うと「優しいね」と言った。慣れない言葉に狼狽えて、僕は首をかしげた。彼女はせぴあを抱きしめて、涙の痕がある頬を焦げ茶の毛並みに当ててから、「分かった」と目を閉じてうなずいた。
そうして、せぴあは動物病院でしばらく保護してもらうことになった。
僕は学校が終わると、ほたるさんというその人と待ち合わせて、晴れの日は公園で、雨の日は図書館の軒下で、いろいろ話して過ごした。僕は僕のことをあんまり話さなくて、ほたるさんが空を眺めながら自分のことを話してくれた。
ほたるさんの歳は十九歳。ほとんど記憶にない二歳のとき、本当のおかあさんは出ていった。おとうさんはまもなく再婚した。おとうさんはリストラ以降働かなくなった。義理のおかあさんと妹は結束しておとうさんを疎み、まとめてほたるさんの存在も疎んでいる。家族に嫌われているうち、いつのまにか人間関係に混乱するようになった。自然と作れていた友達との距離が測れなくなった。
もしかして今のうざかったかな。ううん、逆に冷たかったかも。でもどうしよう、目を見て確かめられない。あれ? 人の目の見るのってこんなに怖かった……?
眉を顰めてうつむきがちになって、やがて周りにはひとりも友達はいなくなっていた。明らかなイジメはない。強いて言えば仲間外れ、無視、孤立。
笑い声が恐ろしい。その場にいて申し訳ない。消されていなくなりたい。中学を卒業し、ベッドでふとんをかぶって一年引きこもった。
おとうさんは部屋に怒鳴りこんでくる。おかあさんと妹は蔑んだ目を向けてくる。
ここにいても救われない。この家庭は居場所にならない。どこかへ逃げなきゃ!
気づけば、手首がいっぱい泣きじゃくって、赤く染まっていた。このまま病んでしまわないために、自分ですべて調べて、通信制高校に通うようになった。友達は相変わらずできない。けれど、通信制高校ならそれでもわりと浮かない。
淡々と単独行動で登校し、ついに今度の三月にほたるさんは高校を卒業する。
「ずっと明日が地獄だった」
晴れた冬の日、薄く白くなるようになった吐息と、ほたるさんは公園のベンチに腰かけた。僕も隣に座った。
「でも、やっと春から自由なんだ」
「うん」
「楽になれるといいな。家さえ離れたら幸せになるってものでもないだろうけど」
「そうかな」
「分かんないけど。切ったりするのは治ってほしいな」
「今でも切るの?」
「いらいらするとね。吐きたくなるの。食べ物吐く人と一緒だよ。血を出してつらさも流す」
「……そっか」
僕は自分の無傷の蒼い手首を見る。それに気づいたほたるさんは、「真似しちゃダメだよ」と微笑んだ。僕は小さくこくんとする。
「ずっと、切ることしか手段がなかったけど。せぴあ拾ってから、あの子が気持ちを癒してくれるの。抱っこしたらあったかいことで、すごくほっとする」
「せぴあ、あったかいよね」
「うん。あの子がそばにいるあいだに、人間として立ち直れたらいいな」
冷えこむ指先を握りしめて、そうだな、と思った。せぴあがほたるさんに生涯寄り添ってくれたら安心だけど、そうはいかない。あるいは、せぴあのように思える人間とほたるさんが出逢えたらいいのに。
それを言いたくてもうまく言葉にまとまるか悩んでいると、「ふふ」とほたるさんはおかしそうに咲った。
「何か、いつもだけど。私の話ばっかりだね」
「えっ。あ──いや、ほたるさんの話を聞くって約束したから」
「君のことは訊いちゃいけないの?」
「……僕、は」
イジメられてるから。さくっと言ってしまうのは簡単なのだけど、そのひと言で終わらせるのが妙に苦しい。
「あんまり、おもしろくないよ」
「私の話もおもしろくないでしょ」
「そんなことないよ」
「私は、君の話も聞きたいけどなあ」
「僕の話……」
「無理は言わないけどね」
僕は顔を伏せて考えた。学校や家庭での光景が、またたいて頭の中を走り抜ける。
蹴る。怒鳴りあう。罵る。放り出す。貶める。
僕は学校では生きている価値がない。僕は家庭では存在している価値がない。けれど、それを言葉にしたら、声が空中を引っかいて何かの痕痕になるのだろうか。そう思った僕は、ゆっくり口を開き、「嫌な話だけど」とぽつりぽつりと学校や家のことをほたるさんに話していた。
ほたるさんの地獄は、春になれば終わる。僕の明日にはまだ地獄が来る。クラス替えまでだろうか。卒業までだろうか。死ぬまでだろうか。死ぬまで僕は「みんな」の中に溶け込めず、孤立して心を粉々にしていくのだろうか──
ふと、ほたるさんが僕の頭に冬が染みこんだ冷たい手を置いた。僕はほたるさんを見た。
「泣かないんだね」
「……え」
「泣いてもいいんだよ」
目を開いた。色づく息が震えた。
何、で。何で、そんなこと。
だって僕は、苦しくていいのに。みんな僕に怒りを捨てていくけど。哀しくていい。僕がいなければ離婚できるけど。痛くてもいい。心も軆もぼろぼろだけど。全部全部、慣れてしまったから。
でも、優しくはしないで──
僕の頭を撫でて、ほたるさんの袖の陰が見えた。
「かっこ悪いとか、気にしなくていいんだよ」
優しい声に、視界が滲んだ。そのまま、熱い雫が頬を伝っていた。ついで、どんどんあふれてくる。ほたるさんは袖を引っ張って、その手を僕の手に重ねた。僕の手もほたるさんの手も冷えている。
「この手でせぴあを抱いて、助けてくれたでしょう? 君が拾いあげてくれたから、今、あの子は生きてるんだよ」
「………っ、」
「君がここにいるから、春になったら、せぴあはまた私と暮らせるんだよ」
「……そんな、の」
「君には、そんな温かさがここにあるんだよ」
何も持たないほたるさんの手が、僕の何も持たない手を握った。すると、ゆっくりと微熱が生まれてくる。
ここに、ある。僕も、ここにいる証拠を持っているのだろうか。
ひとつでいい。小さくていい。ここにいる証明。
せぴあを拾ったあの日、当たり前にもらえる参加賞ももらえなかった。でも僕も、生きている参加賞を持っているのだろうか。訊きたくても、もう嗚咽で声が出なくて、ただ手を握りしめていた。その手をほたるさんが包んで握ってくれていた。
春になり、ほたるさんはせぴあと一緒に町を出ていった。僕は春風に桜が舞う中でそれを見送り、ほたるさんと最後に交わした握手で、手の中に残る柔らかな熱を握った。
数日後、新しいクラスで学校がまた始まる。今度はクラスメイトにきちんと挨拶してみよう。死ぬ気になって。どうせ本当に死ぬわけじゃない。なのに何にビビるっていうんだよ。きっと、何も怖いことなんてないんだ。
ほたるさんとせぴあみたいに、僕も新しい毎日をつかもう。伸ばせば誰かに届くこの手で、きっとつかむ。だって、この陽射しの下、僕も確かにこの世界を生きているひとりなのだから。
FIN
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Slash:Aragorn/boromir
作品标题:《烟灰》
等级:NC17
警告和说明:
他要开窗透气,但他把手指按在他指节上,拒绝烟灰的气味从他们的空间里消散。
互攻pwp,性瘾老男人,有感情的性爱。
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红色的火星随着吸气,把陈旧的烟斗中最后一斗烟丝燃成灰烬。
阿拉贡缓缓吐出肺里的烟圈,往堆满烟灰的烟缸上随意磕了几下,仍旧低头握着鹅毛笔的笔杆在羊皮卷上继续书写。他眯着眼,思维仍然全然沉浸在繁务的公文中,大脑飞速运作,下笔斟酌着严谨的用句,用头脑应对他国王的职责。他在自己专门的私人书房兼办公区中投身了不知多少个时日,烟量大得吓人,有几个晚上,他直接在工作间的单人床上过夜,书桌上和床上都堆满了写完和待阅的羊皮纸卷。每天仆役们从他的办公区清理出一堆又一堆的烟灰,再给他送去新的劲大的烟草,捧来他要的能让头脑保持清醒的浓茶——都会悄悄感叹他们国王使用烟草的数量,担心他们国君的肺。
有力的敲门声,在书房厚实的门板上敲了几下,得到许可后门把手才被旋开。他不用抬头,熟悉的袍角,和熟悉的盔甲,熟悉的气味,都能告诉他来人是谁。
他起身给波罗米尔一个回归的用力拥抱,把彼此笼在对方怀中,潦草的几个小亲吻扫啄在他熟悉的干燥唇角,他的统帅刚刚扫平了边境残余势力抬头的一场小型战役,像他所期盼又终于放心的那样,平平安安的归来了,第一时间就来见他的国王。
他看出他整理过仪容,修过了胡子,他来见他前至少用毛巾把征战的痕迹从脸上擦去,和国王自己过分投入工作时的不修边幅的邋遢形象形成了小小的对比。但与他拥抱的时候,波罗米尔身上依旧有铁甲、灰尘和汗水的气味。
���拥抱中他们简洁地交流了一些话,问了战况,宫中事务,在牢牢紧抱的肢体接触中表达了对彼此的想念。阿拉贡愧疚又快速地吻了统帅一下,不带过多情欲的,强迫自己把嘴唇从刚铎之子的唇上拉开,把自己黑漆漆的手指从他脸上挪开,尽管如此,统帅的脸颊边还是不能避免地留下了几个墨水指纹。
阿拉贡略微沮丧地看着一桌的羊皮卷,很抱歉他此时无法给他更多,更长的亲密时光。他匆匆披上那件比较日常设计朴素的王袍,和他一起出去,简短又亲切地向带来胜利的战士们表达祝贺与感激,随后又匆忙回到书房,重新投身地狱一般的公文修改。
波罗米尔不知什么时候又偷偷溜进了阿拉贡的办公间,坐在不远处,一直陪着他,呆在他的书房里,连用餐时间都体谅他,让仆从把可口又能快速吃完的餐点与饮料送进书房里,和他的国君一起在没有过多语言的打扰中,简单的把一顿饭吃完。后来统帅干脆和他一块与那些公文战斗,在国王咬着烟斗忙得头都不抬的奋笔疾书中,和烟雾缭绕的封闭房间里,帮他检查羊皮卷上的错别字,把卷轴上的官方用词修改得更漂亮。
当阿拉贡抽完最后一口烟,在羊皮纸上落下最后一笔,他终于能从一大堆文书中抬起头,把自己仰进天鹅绒的椅背,揉搓一下发出声响的后颈脖,晃头转了一圈僵硬的脖子,从鼻间哼逸出一声解放的叹喟。
窗外已是深夜,一片寂静中,只听得到白色城市夜间窃窃的虫鸣,烛火在银质烛台上燃烧,低落的白色蜡块堆积在桌台上,厚厚一层,书桌上有烟斗里飘落的烟灰。
“都这么晚了…我真是抱歉……”
阿拉贡看向旁边帮他整理文书的高大男人,内心不免感到对他的忽略和亏欠。
统帅无声无息地贴上来,垂下狭长的绿眼睛,用粗糙的大手揉搓国王疲倦的脖子,五只手指捏着阿拉贡僵硬的后脖颈,像揉捏一只大型猫科动物的脖梗一样揉搓他。
在一片缭绕的烟雾与滢滢的烛火中,他的统帅还在房间里,他终于好好注意到,他的爱人连归来的衣物都没有换下,像一只忠诚又无时不刻眷恋主人的大型犬科动物一般,一直执着地留在这个被他忽视的房间。
“这没什么…我很高兴我们终于做完它了……”
统帅低沉的回答里没有什么不满意,但国王还是听出了其中暗藏的淡淡寂寞。
阿拉贡抽了一下鼻子,一直处于焦头烂额状态下麻木的嗅觉开始恢复正常工作了,他终于注意到这个封闭的书房内,堆积多日的浓郁烟味有多难闻。
“这里味道太糟糕了,这地方让我熏得像个毒气室一样……”
而虽然嗜酒,他的统帅却没有什么沉迷烟草的习惯,不像他那样,抽起烟来像个烟囱,几十年来几乎烟不离手。
阿拉贡喃喃自语,把手伸向书桌旁的窗户,欲开窗把那些有毒的气味散掉。
但统帅突然把手指强势的按在他粗大的指节上,拒绝让国王把窗户打开。
“波罗米尔…?我只是想开开窗…你不喜欢闻这么浓的烟味……”
“别开……”
“嗯?”
“别开…不用开窗…阿拉贡…”
统帅把国王的身体圈在自己的怀里,近到他的呼吸里全是他满身难闻夹杂着汗味的烟草味道。
阿拉贡多日批改卷宗的眼中有红红的血丝,在烛光中他靠近他,用鼻子贴着统帅的鼻子,和他亲昵地摩擦了一下,他随手把他暗金色的垂发顺到耳后,泛红的蓝眼定定的望着他,抚摸统帅浮肿的眼袋。
“波罗米尔…你为什么一定要陪我呆在这个��狱一样的房间里……为什么不回我们温暖又舒服的房间好好睡上一觉?那里既没有那么难闻的烟味…又有柔软的床,这会对你更好…”
“……烟味。”他的声音低到几不可闻,阿拉贡忍不住又问了一遍。
“……那里没有你身上的烟味,我根本睡不着觉。”
他埋在他脖子上闷闷地回答,像一只大狗一样,在他的颈脖间埋着自己的鼻子嗅他,要把他全身的烟草味和体味全部吸进自己肺里。没有他味道的地方,他哪儿都不想呆。
“今晚用你喜欢的方式来拥有我,波罗米尔…”
什么都不需要多问了,国王把统帅扯进一个全是烟味的舌吻里,长长的腿别住他袍子下的靴跟,用肢体向他发出邀约,统帅回吻得比他还急,入侵城池一样咬他的下唇,舌头驱长直入攻击他的上颚,托着国王的后脑勺的手指扯痛了他的发根,阿拉贡泄出呻吟,波罗米尔一路追来的狂热亲吻,逐渐变���在阿拉贡咸味的脖子上湿漉漉又充满原始本能的啃咬。
“波罗米尔!让我洗一下,我还没洗……”
阿拉贡推他厚实的肩膀,他身上全是工作的汗臭,陈日的烟味,不修边幅,邋里邋遢的。
波罗米尔的回应是把他捏碎一样的紧拥,灼热的呼吸喷在他毛发浓密的结实胸口,那根舌头舔他胸肌下的肋骨,往下描摩那些肌肉因为他的唇舌贲张与收缩起来的形状,闻他皮肤上残余的烟味,尝他皮肤上的盐,一道道闪亮又扭曲的湿渌痕凝,留在他深色的皮肤上,阿拉贡难耐地喘气,衣袍下的阴茎在这热烈的挑逗中一点点难以抗拒地弯曲隆起,顶出漂亮的硕大弧度,在布料下留下一小圈明显的湿痕。波罗米尔把他的王袍分开,扯下他的亵裤,一点也不惊讶他国王的热情像一支出鞘的利剑,沉甸甸到几乎像一个耳光一样抽打在他鼻子上。他弯腰用手捧住它,把它牢牢掌控在手里,用鼻尖蹭他胯下毛茸茸的一对珠宝,几近崇拜地把整根含进嘴里,一寸寸吞咽到最深,用力地吮吸上面整个海洋一样的盐味。他的国王下意识地抽身往后退,又被一双有力还带着皮手套的钢爪扣住了腰身,统帅吞咽得更深,逼迫他整个留在他嘴里,他的嘴热到像地狱里的熔炉,紧紧地吸吮他,折磨他,逼迫到阿拉贡忍不住往前在他紧窄的喉咙间抽动自己做了几个让统帅闷哼的重挺。
“阿拉贡…连这里都有你的烟味……”
他退出了一会,舌尖抵在他前端的窄缝上,轻轻往上勾,腺液和唾液在阴茎和统帅的下巴上连出一根丝线,波罗米尔抬脸往上盯着他的眼神充满巨大的欲望,里面流露出藏也藏不住的露骨的肮脏,狂热,渴望,痴迷,和毫不掩饰的下流。他亲吻他的双腿,又低下脑袋去拱阿拉贡的腿侧,重新张开嘴吸咬烟斗一样去吸他的阴茎,舌头顺着囊袋钻进那个热烘烘的窄缝,绕着圈去刺激国王从不会展示于他人的私处。
这让阿拉贡全身的汗毛都竖起来,不停的弓腰低喘,他的双腿微微打抖,阴茎在小腹上狼狈地漏着腺液,有力的长腿勾夹住他的脖子,任由波罗米尔欺身而入用嘴和胡茬挑逗他的肛门,把他的臀部放到全是卷宗的书桌上,用嘴把他的前后都彻底打开。
“奖励我…陛下……请求您给我一个好的���励……”
他抖掉身上的长袍,褪下那些不便的盔甲和衣物,庞大的苍白身躯挤进去,分开国王深麦色的膝盖,把阿拉贡强壮的胳膊挂到自己宽大的肩膀上,戴着皮革手套的指头侵入那个全是他唾液的窄道,额头贴着阿拉贡的额头,握住国王的阴茎在拳心里上下套弄。阿拉贡的两鬓都是汗,黑发贴在额间,眼神在浓重的呼气中变得失去节制的狂乱,连抱着他的动作都变成了与统帅纠缠不清得密不通风、唇齿啃咬的狂野。统帅把指头插入得更深,深深地往里推顶,在国王呻吟的时候又故意撤出了一寸,咬住他舌尖直到疼痛,再向上准稳的给与一个狠顶,隔着皮套的指头旋转着勾住了那个熟悉的硬块,往上一小下一小下的顶弄,臀下横放的一只鹅毛笔,被阿拉贡坐着,笔尖膈着国王的屁股扎弄。
“让我操你…陛下…让我插进你里面…深深地满足你…阿拉贡……”
在赤裸裸求欢的语言中,手指从一次次地在肠道中施压,从一根逐渐增加到四根,满满的撑在里面,拉开到极限又拳握到极点,几乎像一个能让阿拉贡发出无声嘶叫的轻度拳交,一个让人疼痛到太过强烈,太过彻底的占有。阿拉贡绷直了自己,仰颈露出喉结,任由波罗米尔的利齿咬住,肠液把皮质的手套指节部分打湿,吸了水的皮革变得更满涨,让挤压他身体内部的空间变得更紧。
他发烫的勃起顶住了他溢出了体液的穴口边缘,阿拉贡下意识伸手去握,勃发的尺寸他整个手握住了还有余,顶端的液体蹭了他一手,统帅的呼吸蒸热他的脸,让他脸红到牙关都在打颤。那根无法忽略的器官在阿拉贡的拳头中,随着统帅欺身往前的躯体,去蹭还在阿拉贡体内的手套,在因充血而涨肿起来的肉圈四周顶戳,贴着他的胡茬贴着他的嘴请求。
“恳求你……”
“进来……!”
阿拉贡仰起脖子把自己分得更开,无声的应允,那些手指短暂的抽出,从身体内部缓慢撤离所带来的虚空几乎让他哽咽,他眼冒金星,自己用手将合不上的穴口拉得更开一些,需要一个彻底的填满,他的统帅阴茎的填满。在他低头喘气的同时,那根阴茎就长贯而入撞进来,撞在他此时无比敏感的体内,让他差点哀嚎着夹紧他提前射出来。
“波罗米尔……”国王的声音都染上了极深的欲望、饥饿和苦闷。
“别着急,这就填满你……”
刚刚吃进去的满实柱身又往后撤回一寸,拖曳他肠肉的同时,再精准的重���撞了进去,把他重新装填得足够满,他的金色耻毛扎蹭过他的会阴,刺激到阿拉贡小腹处贴着的阴茎比之前更硬,一下又一下控制不住欲望的深撞,他把它咬得很紧,几乎是饥渴的欢迎他在他内部像台战车一般横冲直撞,书桌的桌腿在地毯上闷闷地摩擦,国王咬着牙关勾住自己亢奋到僵硬的腿窝,任由统帅狂烈的索求。
“我不能…坐在书桌上不够深…我吃不完……到地毯上……到地毯上…让我像骑马一样骑你……”
他抱着他的脖子,开始了主动的抬腰迎合,急切地要撞吃到他的根上,泄出夹杂了呻吟与喘气的混乱语言,这让波罗米尔停顿了一秒钟后,把国王结实的臀部彻底拉到自己身上,将他的背推到铺满卷轴的书桌中,几乎是把阿拉贡的腰对折到更弯,压身将阴茎埋得更深,像头狼一样恶狠狠的操他。
“是谁在骑你,我的陛下?”
“这是否能比你在地毯上骑我更令你满足?”
不够,不够…还远远不能满足,他需要他更强烈的击打,像锤进肉体深处锻钢一样的冶炼。或许他不算最好的接受方,但他在他自己的情欲中,只容忍这独一无二的一个人对他那么放肆。
“再深一点…再用力一些,波罗米尔…!”
他握住国王的脚踝,拉开他的腿到了极限,每一下的插入都做到大开大合,毫不留情。
“是谁在操你…我的阿拉贡?”
“呃…啊…波罗米尔……哈啊…波罗米尔…”
他发不出像样的声音,只能发了疯一样去吞噬他,结实的腰被统帅钳子一样的大手掐着,最后国王抽搐的小腿勾起来,脚弓兴奋到拱起,紧紧的交叉在他宽阔的背上夹住他的腰,在波罗米尔的狠狠撞击中喷射到一塌糊涂。
“感觉好吗?爱人……”
统帅仍然埋在他体内,将阿拉贡黑色粘满了白色精液的耻毛缠绕在指尖玩弄,摸着阿拉贡汗湿的头发,抱住他的爱人,和国王在高潮的余韵中用舌尖懒散地啄吻。
“……你还很硬。”
他夹了夹自己,发现统帅并没有像以往一般高潮,那根战斗勇猛的阴茎依旧硬着,深埋在他已经变得泥泞的身体里面。国王沙哑的声音带着情事后的微喘,他摸了把自己汗湿的面孔,任由波罗米尔埋在他颈间,舔他汗津津的下巴,嗅闻他黑发上的烟味,汗味,荷尔蒙的味道。
“这真让我挫败,我没能夹射你……”国王汗湿的手摩挲统帅仍然压在自己股间的臀部。
“没有你的疼爱,我很难得到彻底的满足……”波罗米尔撑起自己,从他体内不舍地退出来,给阿拉贡一个懒洋洋的微笑。
“那么我的大人,您要什么样的疼爱呢?”
阿拉贡伸手去抚摸波罗米尔依旧坚挺的骄傲。
“���许需要您,我的国王,像骑马一样骑我……”
“噢……”阿拉贡眨眨眼睛,放在他屁股上的手不动了。
波罗米尔转而把脸上的笑容咧开更大一些,像他们初见时那样,语气故意带上一些挑衅的傲慢。
“但也许您老了,我的王,不如您早几年那般能干得动我。”
意会的国王确定自己没有听错,眼睛故意眯起来,打了一巴掌统帅的臀部,用了点力气揉搓上面的肌肉,如果他不了解也不满足他的性癖好,那他是个不称职的爱人。
“你刚刚傲慢地挑衅了你的国君,这相当的无礼,是会被惩罚的,傲慢的大人。”
“那就惩罚我,给我一个好教训,教会我懂规矩,我的陛下。”
“……我等不到回我们的卧室去爱你了…起来,趴到那边的单人床去,你值得在一张床上享受你的马鞭。”
腿间的不便让波罗米尔几乎不能好好走到床边,他踉踉跄跄,又跌跌撞撞的把自己高大的躯体摔进国王不大的小床上。膝盖刚着陆,阿拉贡威严优雅的声音又在他身后响起。
“跪着,波罗米尔。你必须跪着,把自己抬起来,去领受你的马鞭。”
阿拉贡在地上那堆衣物中捡拾起波罗米尔的腰带,那是一根柔软性和坚韧度刚刚好的皮革束腰,他在自己掌心中试了几下,确定这是适合教懂规矩的一根临时马鞭。
他手掌向下,压统帅健壮的腰,“抬起来,再高点。把腿打开到你肩膀的宽度。”
他一只手将折起的皮带沿着统帅的皮肤从腰慢慢拖到尾椎,一只手按着他的腰向下慢慢施压,直到英武的将军在他掌心的施压下撅到他满意的高度,让他看得到他胯下滚烫笔挺的宽大利刃,以及毫无保留的洞开。
啪的一皮带,抽在统帅挺起的臀部。
“告诉我,你因为什么而被我惩罚?”
“我不敬重我的国王。”
啪,又一皮带交错地抽上去,这次苍白的臀肉带上了浮痕。
“我的大人,那你应该学会怎样尊敬我?”
统帅在皮带所带来的灼热中闷喘一声,拱起胳膊的肌肉,双手拳心曲握在一起。
“用我的一切,竭尽所能,带给他毫无保留的至上快乐。”
又数皮带抽了上去,鞭痕红得更清晰了,统帅的喘息变得又粗又闷,腰在被子里扭动,他不敢轻易碰自己,国王用巴掌无情地拍打他发红的屁股,拍打他腿侧颤抖的肌肉。
“这其中包括一些什么呢?你做到了吗?”
阿拉贡用手将波罗米尔的长度包在手心,用力地握住。
“包括我的心和阴茎永远忠诚于他,我的欲望…��为他燃烧…包…包括我的精液在高潮时应该只射在他深处…!”
更多的抽打落在他身上,落在烧着了一样的臀部上,明天他骑马将腿夹在马肚上的时候,他的屁股一定很难受,在马鞍上因为颠簸疼痛又幸福,在他的座驾上悄悄的勃起到难过,他会因为欲望的腾升而汗流浃背,弄湿他的里衣和软甲,又再次需要他的国王给他更多的抚慰,也许他又会因为硬起来而去操他占有他,也许会主动掰开自己让他操,永远不能不渴望他。
国王的皮带折起来卷紧在他狰狞的勃起上,往后残忍的拉伸,牙龈咬住他大腿内侧抽抖的肌肉。波罗米尔的脑袋顶进被褥里,他的国王在这张床上办公的时候抽过烟,残留的烟草味充盈他的鼻腔,这让他亢奋到脚掌都蜷缩起来,脚趾不停地在床单上向后勾蹬,没有发泄过的阴茎变成激动到极点的紫红,顶端快要溢出的精液带出一些前液,从马眼的细缝挤出滴漏到床单上。
“我允许你高潮了吗?无礼的大人?”
阿拉贡咬他的大腿,灼热的气息喷在他的阴茎上,更残酷地束缚他的阳物,皮带在他根处收紧,让他饱胀的睾丸簇起不能流畅的血红。国王粗糙的拇指揉搓他发烫的洞,压进去,沿着圆洞的周围按揉,直到那些软肉开始分泌出体液沾湿他,吮吻一样吸吮国王赤裸的手指上裂开的指纹。但不那么快给他想要的快慰。
“不……”他咬住酸涩的牙关苦闷地摇摇头,小口小口的呼气,为这欲望而学习忍耐,“我的陛下还没有允许我……”
“继续说,波罗米尔大人…您的高潮应该是什么方式的?告诉我,您应该怎么样射精呢?”
“啊……哈啊…”统帅眼花缭乱,额发和额头在被单上蹭出他脑门上的汗花,他用颤抖的双手分开自己,露出他抽搐的洞,让国王能够看清里面因为对他的渴望是如何的饥肠辘辘,腰伏得足够的低,腿张到足够的大,他的腰部因为冒出的热汗而湿溜,光滑,只需要再往上面添加上一张皮革的戎鞍。
“我的高潮……”他的声音里都是含混的唾液,断续,嘶哑,气息难以连贯,“我的高潮……应该被我的国王当做一匹马一样去骑,让我的国王在我身上,尽兴的驰骋……”
这极大的臣服和取悦,令阿拉贡的不应期都缩短了很多,他甚至没有使用统帅的嘴去给自己重新口交,下身的硬挺就在他的语言中重新勃起,硬热地压在统帅的穴口。
“你还要什么?我的波罗米尔?”箭矢搭在弓上,箭头压住他的靶心。
“我要你插入我……国王……阿拉贡……彻底操开我…让我……啊!”
阿拉贡一下捅了进去,躬身抵住他强壮的腰臀,顶在腺体上开始了一下比一下深的贯穿和律动,按着统帅的���背一下又一下发狠的干他。
在抽插中统帅的肉圈收缩得很紧,张着嘴叫都叫不出来,他用牙齿胡乱咬眼前的床单,把鼻子埋进去呼吸空气一样深闻,国王的汗味体味烟味全部包围了他,在强烈的快感中几乎将他熏呛到窒息,在烟草灰烬的包裹中,阿拉贡没有干他很多下,强力原始的性爱交配,勾着他肉的痴缠,也许是操了十几下,也许是几十下,皮带在阴茎上收到最紧又忽然松开,波罗米尔从喉咙里哀叫,喷涌的精液成束地喷射在床单上,喷射在阿拉贡包裹上来的手掌心,他抽紧的身体同样让国王疼痛,咬住他的后颈将精液喷射在统帅的体内。
嘴里是黄铜味的腥甜,他的脖子一定出血了,阿拉贡将自己埋入得更深,舔他血洞中的伤口,睾丸卡在他肉穴的缝隙,在撑到没有缝隙的饱胀肠道里,小股小股喷射的精液,把波罗米尔填满,在统帅的迷失中,和他交换一个又烟草味又有血腥味的甜蜜亲吻。
“你满意吗…波罗米尔?”
国王的声音沙哑疲倦又温柔,把统帅抱在他的臂弯里。
“不能再多,喜欢你这样爱我……阿拉贡……”
统帅一样的疲倦,脖子埋在国王的心口,声音里有满足而幸福的困倦,在被子里把阿拉贡的阴茎笼在手指中,爱抚上面变干的精斑。
国王挑眉,缓慢地张开了腿,把自己贴近了他的统领,额头也轻轻靠近他,把他们两都包裹在足够暖和的被褥里。
“我想,你今天晚上插在我里面睡……”
他亲吻他红肿的嘴唇,合拢了自己,把爱人休战中温热的肉块一点点纳入自己,手腿并用,摩擦到又稍微的半硬。
“阿拉贡……”波罗米尔吞咽一下唾沫,把你是个我见过最无耻的混蛋的赞誉也一起咽进喉咙里,这句话现在最好不要说。
不过他的国王还有话要讲。
“但是,我不允许你在大半夜射出来,或者硬起来忍不住操我,你的陛下九十多岁了,是个老男人,这对老男人的睡眠并不好,对吧?”
统帅的表情和阴茎都在阿拉贡咧开的笑容中变得很僵硬。
“来,让我们打一个小小的,小小的,刚铎第一人一定能完成的赌——”
国王摸了摸统帅的下巴,打了个响指,很清楚自己是个什么样的魔鬼。并且相当的满意统帅的呼吸再次变得粗急,掐着他腰部捏着他屁股的手变得用力,将阴茎重新慢慢往他内部捅,国王很配合的把结实又毛茸茸的长腿搭到他肌肉发达的光滑大腿上,就这么勾住了夹住了,用力量不让统帅动弹。
“你插在我里面,能坚持这么硬着,并且到明天我睡醒之前,都能忍耐下来,绝不会射。如果你能坚持到明天,我也还很干燥,你真是个从古至���最了不起的统帅,为此,你的国王会给你一个更棒,更好,更彻底的Fuck…或许是用手,或许是用嘴,或许是用阴茎,或许是用臀部……”
希望他把那些从现在开始一直堵着,喉咙中好听的脏话留到明天,在边操或边挨操的时候,再骂给他听。
他对他绝望的统帅露出了不容置疑的游侠一般的狡猾微笑,也对他应许国王威严的承诺。
Fin
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第一章 惩罚
刀剑铿锵响彻广场。
��莉亚穿着黑羊毛衫,外罩皮革背心和锁子甲,内里汗如雨下。下身的短裙勉强只能遮住臀部下沿,汗水沿着浑圆雪白的大腿,流进金属护膝和长靴里面。
短裙下面的丁字裤早就被汗水湿透,滑动双腿的时候,能够感觉到汗水在臀间滑动,丁字裤后面的细绳已经深深的勒进了屁股深处。
艾莉亚感觉到自己已经失去了耐心,疾步向前进逼,葛兰脚步不稳地后退,笨拙地举剑格挡。他刚举剑,艾莉亚便猛力一挥攻他下盘,击中他的脚,打得他步伐踉跄。葛兰向下还击,头上却挨了一记过肩砍,将他的头盔打凹。他又使出一记侧劈,结果艾莉亚拨开他的剑,然后用戴了护腕的手肘撞击他的腹部。葛兰重心不稳,狠狠地跌坐在雪地里。艾莉亚跟上砍中他的腕关节,痛得他惨叫一声丢下剑。
“够了”艾里沙索恩爵士的话音如瓦雷利亚刀锋裂空。
葛兰揉着手道:“这野种把我手腕打脱臼了。”
“假如用的真剑,野种早已挑断你的腿筋,劈开你的脑袋瓜子,砍断你的双手了。算你走运,我们守夜人不只需要游骑兵,也需要马房小弟。”艾里沙爵士朝杰伦和陶德挥手道:“把这头笨牛扶起来,他可以准备办丧事了。”
其他的男孩搀扶葛兰起身,艾莉亚脱下头盔,结霜的晨气吹在脸上,感觉很舒服。她拄剑而立,深吸一口气,容许自己短暂地享受胜利的喜悦。
“那是剑,不是老人的拐杖。”艾里沙爵士尖锐地说,“雪诺公主,您可是脚痛”
艾莉亚恨透了这个绰号,打从她练剑的第一天起,艾里沙爵士便这么叫她。其他男孩子有样学样,现在人人都这么称呼她了。她将长剑回鞘。“不是。”
索恩大跨步朝他走来,脆硬的黑皮革甲衣发出窸窸窣窣的声响。他约莫五十岁,体格结实,精瘦而严峻,一头黑发已有些灰白,那双眼睛却如玛瑙般炯炯有神。“那是怎么回事”他质问。
“我累了。” 艾莉亚承认。她的臂膀因为不断挥剑而感到酸麻,如今打斗结束,刚留下的擦伤也开始痛了起来。
“这叫软弱。”
“可我赢了。”
“不。是笨牛他输了。”
一个���观的男孩在偷偷窃笑。艾莉亚很清楚自己绝不能顶嘴。虽然她击败了每一个艾里沙爵士派来对付他的对手,却还是得不到应有的待遇。教头的嘴边只有嘲笑和讥讽。艾莉亚暗自认为,索恩一定是讨厌她;不过话说回来,索恩更讨厌其他男孩。
不过,艾莉亚显然想错了,索恩不仅讨厌她,而且更愿意羞辱她,而且是当着众人的面。
“集合,”艾里沙索恩爵士盯着艾莉亚的眼睛,头也不回的吼了一声。
艾莉亚大概知道会发生什么,站着没动。
几十个受训的黑衣男孩快速的冲了过来,叮叮当当的互相冲撞着的站成了一个方阵。空气中弥漫着汗臭和血腥味。这些男孩子虽然还在训练中,没有成为真正意义上的黑衣人,但是他们的训练可是随时都会见血的,所以大部分人都是身穿半甲。
“雪诺公主,出列”,索恩爵士漫不经心的后退了一步,手里的短剑挥舞了一圈。
开始了,虽然只是第三天,但艾莉亚知道自己还是那个被当众羞辱的目标。
“趴在地上,”索恩尖锐的嗓子提高了声音,“俯卧撑五十个。”
“还好”,艾莉亚心里不知道是庆幸还是该咒骂,不过趴在地上的时候,觉得自己酸麻的胳膊和大腿可能撑不了五十个。
把训练用的钝剑平放在身侧,艾莉亚双膝跪倒,趴在地上,耳边传来男孩们吸气和吞咽口水的声音。
艾莉亚穿的上半身穿着皮革背心和锁子甲,下半身只有一条齐臀的短裙,站直的时候勉强可以盖住屁股,稍微运动一下就能露出雪白的臀肉。现在双膝跪倒趴在地上,短裙撩起,露出雪白浑圆的屁股,和屁股中间夹着到黑色皮革丁字裤。
丁字裤前半部分包裹着少女鼓鼓囊囊阴部,节省布料的丁字裤在刚过肉洞的部位就缩减成比手指还细的细绳。还好是皮革材料,足够坚固,不过却在运动之后深深的勒进了艾莉亚的肛门之中。
艾莉亚双膝着地,趴下去的时候,屁股大大的张开,能够感觉到丁字裤的细绳勒紧了肛门深处,站在前排的男孩们能够清楚地看到少女粉红色的肛门褶皱被黑色的皮革细绳分成两半。肛门下面跟丁字裤前档相连的部分,也能够看到粉红色肉洞的边缘,再进去一点就是少女的阴道。
艾莉亚浑身都是汗水,再加上屁股大大分开,空气中马上弥漫着浓重的女人味道。
不过艾莉亚也很快意识到这点,马上压低了身体,双腿并拢,夹紧了屁股,开始做俯卧撑。
“都围过来”,艾里沙索恩爵士漫不经心的盯着艾莉亚夹紧的雪白屁股,里面已经��不见黑色丁字裤的痕迹。
“哗啦啦啦”,后排早就伸长了脖子的男孩们一下子冲了过来,将下身几乎全��,趴在地上的少女围在中间,后面的人,甚至爬上了别人的肩膀。
“黑衣弟兄”,艾里沙索恩爵士把旁边的男孩向后推了推,“在任何情况下都应该保持顽强的斗志。”
“雪诺公主,猫式伸展姿势”,艾里沙索恩爵士居高临下的说。
艾莉亚的双臂早就开始发抖,才做了不到50个,旁边几个男孩还起劲的数着数。
虽然知道猫式伸展就是双膝着地,上半身伏地,高高翘起屁股,但是艾莉亚还是珍惜这个难得的休息时间。反正屁股大大腿早就被男孩们的视线强奸过无数遍了。
所有男孩单薄的裤子下面都撑了了帐篷,好几个忍耐力差的已经在裤子里面射精。不过男孩们的精力旺盛,即使射精之后,很快就再次抬起头来。
艾莉亚停了下来,屁股张开的时候,能够看到少女紧紧包裹下体的丁字裤上升腾起热气,空气中更是弥漫了略微发酸的淫靡气息。
“黑衣兄弟,” 艾里沙索恩爵士在��莉亚的屁股旁边单腿跪了下来,“在最坏的环境里,依然时刻准备着迎接更坏的环境。”
一边说,索恩爵士倒转手里的马鞭,把手柄压在了艾莉亚的尾骨上。
“啊”艾莉亚没有准备,被冰凉的感觉吓得一个激灵,弓起了腰。
“雪诺公主,” 艾里沙·索恩爵士提高了声音,“黑衣兄弟,保持位置,保持!”空着的左手压在艾莉亚的腰上,把少女的上身压了下去,屁股高高的翘起。
于此同事,爵士右手的马鞭手柄已经沿着临冬城公爵奈德史塔克的私生女,艾莉亚·史塔克臀缝向下滑动,顶在了私生女的肛门上。
“啊,”艾莉亚低声呻吟了一声,但是并没有反抗,虽然在艾里沙·索恩爵士的手下受训只有三天,但是她已经很清楚,反抗爵士不会得到任何好的结果。
显然艾里沙·索恩爵士准备把马鞭的手柄插进私生女的肛门里,但是艾莉亚屁股里面却夹着皮革丁字裤,比手指还细的细绳虽然勒进了肛门深处,却成功的阻挡住了马鞭。
“黑衣兄弟,保持位置,保持。”索恩爵士左手离开少女的腰部,探进了艾莉亚的下体,粗暴的掀起了她的丁字裤,撤向一边,粗糙的手指从少女的下体划过,沾满了粘液和汗水。
于此同事,爵士右手的马鞭,“噗嗤”一声,插进来艾莉亚粉红色的肛门。
马鞭的手柄不算很粗,但是也相当于男人普通尺寸的阳具,想要插入少女紧致细嫩的肛门里并不是那么容易。但是艾莉亚的屁股里早就被汗水浸湿,再加上摆出“猫式伸展“,也就是跪在地上高高翘起屁股的姿势。
所以虽然艾丽娅已经夹紧了屁股,但依然没法阻止异物粗暴的插入自己的身体。
“啊!”被粗大的硬物插入毫无准备的屁股,艾丽娅虽然咬紧了嘴唇,但还是呻吟出声。
“黑衣兄弟”,艾里沙·索恩爵士提高了声音,一边用力把马鞭的手柄塞进临冬城公爵女儿的直肠深处,一边向周围涨红了脸,已经开始呼吸粗重的男孩儿们吼道,“只要有一口气,不管是被长矛插进身体,还是被利剑消掉半个脑袋,都要执行命令和完成��务”。
“见习士兵雪诺史塔克,继续完成任务。”,索恩爵士站了起来,居高临下的盯着趴在地上,屁股里面插进一根巨大黑色马鞭的少女。
马鞭的的手柄有三十多厘米长,末端凸起,防止滑落。此刻凸起的末端已经深深的插进了艾丽娅的直肠深处,即使索恩爵士松手,也不会从屁股里滑落出来。
“五十个俯卧撑还有多少个?” 艾里沙·索恩爵士盯着旁边的一个男孩。
“二十,已经做了二十二,不,二十四个。”男孩的眼睛根本没有离开少女屁股缝里的粉红色褶皱,嘴里哆嗦着报了个数字。
周围响起男孩们不满的喧哗。其实谁都没有认真去计数,大部分人都愿意这场受罚永远持续下去吧。
“继续,雪诺公主。”索恩爵士吼道,他也不知道 已经做了多少个。
虽然屁股里传来撕裂的痛楚,艾丽娅知道今天自己做不完的话,恐怕要永远的趴在这里,在众人面前展示身体。
从“猫式伸展”的姿势,俯下身子,艾丽娅马上就感觉到肛门传来一阵巨疼。趴在地上 ,翘起屁股的时候,屁股是大大张开的,粗大的马鞭手柄虽然勉强,但还是有空间能够插入身体的。现在趴了下来,屁股可是夹紧的,一下子就把刚才已经有些撕裂的肛门撕开了更多。
不知道是刚才索恩爵士对于黑衣弟兄的演说起作用,还是史塔克家族的倔强。艾丽娅一声不吭,趴在地上,开始做起了俯卧撑。
“二十五,二十六,二十七”周围的男孩们稀稀拉拉的数着数。
“三十五,啪,三十六,啪”。到了后来,每个数字之间加上了“啪”的一声 脆响。插进艾丽娅屁股的马鞭上下甩动,击打在地上。而马鞭的另外一头,则在少女的直肠深处上下搅动。
“五十”。艾丽娅刚刚做完,艾里沙·索恩爵士一把抓起马鞭的一头,粗暴的从少女屁股里拔了出来。
“今天就到此为止。”拎着马鞭一头,厌恶的盯着马鞭手柄上的血迹,索恩告诉他们。“我对饭桶可没什么耐性。假如哪天异鬼真打过来,你们得到的可不是马鞭,我希望他们带上弓箭,因为你们只配当靶子。”
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余花に吉兆
1. 友人あるいは恋人のようなことを始めたら、もっと分かり合えて親密な空気だとか柔らかな信頼みたいなものが生まれるかと予想していたが、俺らの空間は特段何かが変化することもなく、近すぎず遠すぎずの関係が果てなく伸びていくのみだった。 大切なものを手のひらに閉じ込めるような日々だった。彼の大きな体は存在感だけでもどこか騒々しかったが、無音より心地よかったのだ。
うずたかく積もった瓦礫がようやく街から消える頃、俺は人生初の無職デビューを飾った。事務所は畳んだし復興支援委員会の任期も終わった。警察や公安、行政から相変わらず着信や不定期な依頼はあれど、様々な方面からの誘いを断り所属する場所がなくなった俺はぼんやりと初夏を迎えることとなった。 無職になりまして。とセントラルの定期通院の帰り、待ち合わせた居酒屋で焼き鳥をかじりながら言うと彼は呆けた顔で俺を見た。エアコンの効きが悪いのか、妙に蒸し暑くてふたりとも首筋にじんわり汗が滲んでいる。 「お前が?」 「はい。しばらくゆっくりしてから次のこと考えようと思って」 「お前にそんな発想があったとは」 「どういう意味ですか」 「休���うという発想が。いつも忙しく働いとったろーが。そもそも趣味や休みの過ごし方をお前の口から聞いたことがない」 「それ元SKたちにも言われましたわーー。人を仕事人間みたく言わんでくださいよまあその通りですけど。今までやれなかったこと全部やったろ、と思ってたんですけど10日で飽きました。福岡いるとどうしても街の様子気になっちゃうしホークスだ〜〜♡ て言われるし、どっか旅行でも行けばって言われるんすけど全然そんな気になんないんすよ。来月には引きこもりになってるかもしれねっす」 そしたら会いに来てくださいね♡ と言ったら、彼は釈然としないような、そして何かに耐えるような、そんな顔をした。 店を出ると強い風が頬を打った。まだほんのわずか残っていた春の気配が吹き飛んでいく。じゃあ、と手をあげかけたところでデカい手が伸びてきて顎を掴まれた。「飲み直すぞ、うちで」「ひゃい?」かくて俺はそのままタクシーに突っ込まれ(この人と乗る後部座席は超狭い)、轟邸へお持ち帰りされることとなった。
暗闇の中でうずくまる恐竜みたいな日本家屋。数奇屋門と玄関の間だけで俺の1LDKがすっぽり入りそう。靴を揃えて上り框に足をかけると今度は首根っこを掴まれた。連行されるヴィランそのままの格好で俺は廊下を引き摺られ居間の隣室へ放り込まれる。今夜は何もかも展開が早い。「なになに? 俺には心に決めた人がいるんですけど⁉︎」「使え」「は?」 「この部屋を好きなように使え。しばらく置いてやる」 「もしかしてあなた相当酔ってますね⁉︎」 「あれくらいで酔わん。お前が、ヒーロー・ホークスが行くところがないなんて、そんなことがあってたまるか」 畳に手をついて振り仰ぐ。廊下から部屋に差し込む灯りは畳の目まではっきりと映し出しているけれど、彼の表情は逆光でわからない。 「俺、宵っぱりの朝寝坊ですよ」 「生活習慣までとやかく言わん。風呂を沸かしたら呼びに来てやるからそれまで好きにしてろ」 けれど俺が呼ばれることはなく、様子を見に行くと彼は居間で寝落ちていたのでやっぱり酔っていたのだと思う。デカい体を引きずって寝室に突っ込んだ。風呂は勝手に借りた。
酔ってはいたものの彼の意思はしっかり昨晩にあったようで、そして俺も福岡に帰る気が全くおきなかったので、出会い頭の事故のように俺の下宿生活は始まった。 「うちにあるものは何でも好きに使え」なるありがたいお言葉に甘えて俺は巣作りを開始した。足りないものはAmazonで買った。徹夜でゲームしたりママチャリで街をぶらついたり(帽子をかぶってれば誰も俺に気づかなかった)ワンピース一気読みしたり豚肉ばかり使う彼からキッチンの主権を奪いそのまま自炊にハマったりもした。誰を守る必要もなく、誰かを気にかける必要もない。誰を満足させる必要もなかった。彼が出かける時間に俺は寝ていたし夕飯も好きな時間に食べていたので下宿より居候の方が正確だったかも知れない。誰かとひとつ屋根の下で暮らすことへの不安はすぐ消えた。早起きの彼がたてる足音や湯を使うボイラー音、帰宅時の開錠の音。そんな他人の気配が俺の輪郭を確かにしていったからだ。 ヒーローを引退した彼は事務所を売却したのち警備会社の相談役に収まっていたがしょっちゅう現場に呼ばれるらしく、出勤はともかく帰り時間はまちまちだった。まあわかる。治安維持に携わっていて彼に一目置いていない人間はまずない(治安を乱す側はなおさらだ)。「防犯ブザーのように使われる」とぼやいていたが、その横顔にはおのれの前線を持つものの矜持があった。どうしてか俺は嬉しい気持ちでそれを見ていた。
2. ある夜、俺は玄関で彼のサンダルを履き外へ出た。引き戸を開けると明るい星空が広がっていて、それが妙に親しかった。縁側に腰掛けてぼんやり彼方を眺めると星の中に人工衛星が瞬いている。ほとんどの民家の明かりは消えていて、夜は少し湿りそして深かった。紫陽花だけが夜露に濡れて光っていた。 知らない街なのに、他人の家なのに、帰らんと、とは微塵も思わなかった。俺はここにいる。知らない場所に身ひとつで放り出されてもここに帰ってくる。呼吸をするたびに心と体がぴったりと張り付いていった。 気配を感じて振り返ると、あの人がスウェットのまま革靴を引っ掛けて玄関から出てくるところだった。 「風邪をひくぞ」と言われ何も答えずにいると犬か猫みたいにみたいに抱えられ、家の中に連れ戻された。 それからほとんど毎夜、雨でも降らない限り俺は外に出て彼方を眺めた。そうすると彼は必ずやってきて俺を連れ戻した。ある夜「一緒に寝てください」と言ったら彼は呆れたように俺を見下ろして「お前の部屋でか」と言った。そうかあそこは俺の部屋なのか。「あなたの部屋がいいです」と言ったら視線がかちあい、耳の奥で殺虫器に触れた虫が弾け飛ぶみたいな音がして、目が眩んだ。 「そんで、同じ布団で」 「正気に戻ってからセクハラだとか騒ぐなよ」 彼の布団にすっぽりおさまると目が冴えた。やっぱこの人なんか変。そんで今日の俺はもっと変。分厚い背中に額をあてて深く息を吸った。おっさんの匂いがして、めちゃくちゃ温かくて、甘くて甘くて甘くて足指の先まで痺れる一方で自分で言い出したことなのに緊張で腹の奥が捻じ切れそうだった。 彼の寝息と一緒に家���体が呼吸をしている。眠れないまま昨夜のことを思い出す。俺が風呂に入ろうとして廊下を行くと、居間で本を読んでいた彼が弾かれたように顔を上げた。その視線に斥力のようなものを感じた俺は「お風呂行ってきまぁす」となるべく軽薄な声で答えた。一秒前まであんな強い目をしていたくせに、今はもう血の気の失せた無表情で俺を見上げている。妙に腹が立って彼の前にしゃが��込んだ。「一緒に入ります?」「バカか」「ねえエンデヴァーさん。嫌なこととか調子悪くなることあったら話してください。ひとりで抱え込むとろくなことないですよ。俺がそれなりに役立つこと、あなた知ってるでしょ?」 「知ったような顔をするな」 「俺はド他人ですが、孤独や後悔についてはほんの少し知っていますよ」 真正面から言い切ると、そうだな、と素っ気なく呟き、それきり黙り込んだ。俺ももう何も言わなかった。 ここは過ごすほどに大きさを実感する家だ。そこかしこに家族の不在が沈澱している。それはあまりに濃密で、他人の俺でさえ時々足をとられそうになる。昨日は家族で食事をしてきたという彼は、あの時俺の足音に何を望んだのだろう。 いつぞやは地獄の家族会議に乱入したが、俺だって常なら他人の柔らかな場所に踏み入るのは遠慮したいたちだ。けれどあの無表情な彼をまた見るくらいなら軽薄に笑うほうがずっとマシだった。これから先もそう振る舞う。 きんとした寂しさと、額の先の背中を抱いて困らせてやりたい怒り。そんなものが夜の中に混ざり合わないまま流れ出していく。
3. 涼しい夜にビールを飲みながら居間で野球を眺めていたら、風呂上がりの彼に「ホークス」と呼ばれた。 「その呼び方そろそろやめません? 俺もう引退してるんすよ。俺はニートを満喫している自分のことも嫌いじゃないですが、この状態で呼ばれるとホークスの名前がかわいそうになります、さすがに」「お前も俺のことをヒーロー名で呼ぶだろうが」「じゃあ、え……んじさんて呼びますから」「なぜ照れるんだそこで」「うっさいですよ。俺、けーご。啓吾って呼んでくださいよほら」「……ご」「ハイ聞こえないもう一回」「け、けいご」「あんただって言えないじゃないですかあ!」 ビールを掲げて笑ったら意趣返しとばかりに缶を奪われ飲み干された。勇ましく上下する喉仏。「それラスト一本なんすけどお」「みりんでも飲んでろ。それでお前、明日付き合え」「はあ」「どうせ暇だろ」「ニート舐めんでくださいよ」 翌日、俺らは炎司さんの運転で出かけた。彼の運転は意外に流れに乗るタイプで、俺はゆっくり流れていく景色を眺める��りをしてその横顔を盗み見ていた。「見過ぎだ。そんなに心配しなくてもこの車は衝突回避がついている」秒でバレた。 「そろそろどこいく��教えてくださいよ」 「そば屋」 はあ、と困惑して聞き返したら、炎司さんはそんなに遠くないから大丈夫だ、とまたしてもピンぼけなフォローで答えた。やがて商業施設が消え、国道沿いには田園風景が広がり出した。山が視界から消え始めた頃ようやく海に向かっているのだと気づく。 車は結局小一時間走ったところで、ひなびたそば屋の駐車場で止まった。周りには民家がまばらに立ち並ぶのみで道路脇には雑草が生い茂っている。 テレビで旅番組を眺めているじいさん以外に客はいなかった。俺はざるそばをすすりながら、炎司さんが細かな箸使いで月見そばの玉子を崩すのを眺めていた。 「左手で箸持つの随分上手ですね、もともと右利きでしょ?」 「左右均等に体を使うために昔からトレーニングしていたから、ある程度は使える」 「すげえ。あなたのストイックさ、そこまでいくとバカか変態ですね」 「お前だって同じだろう」 俺は箸を右から左に持ち替えて、行儀悪く鳴らした。 「んふふ。俺、トップランカーになるやつってバカか天才しかいねえ、って思うんすよ。俺はバカ、あなたもバカ、ジーニストさんも俺的にはバカの類です」 「あの頃のトップ3全員バカか。日本が地図から消えなくてよかったな」 そばを食べて店を出ると潮の匂いが鼻を掠めた。「海が近いですね?」「海といっても漁港だ。少し歩いた先にある」漁港まで歩くことにした。砂利道を進んでいると背後から車がやってきたので、俺は道路側を歩いていた炎司さんの反対側へ移動した。 潮の香りが一層強くなって小さな漁港が現れた。護岸には数隻の船が揺れるのみで無人だった。フードや帽子で顔を隠さなくて済むのは楽でいい。俺が護岸に登って腰掛けると彼も隣にやってきてコンクリートにあぐらをかいた。 「なんで連れてきてくれたんですか。そば食いたかったからってわけじゃないでしょ」 海水の表面がかすかに波立って揺れている。潮騒を聞きながら、俺の心も騒がしくなっていた。こんな風に人と海を眺めるのは初めてだったのだ。 「俺を家に連れてきたのも、なんでまた」 「……お前が何かしらの岐路に立たされているように見えたからだ」 「俺の剛翼がなくなったから気ィ使ってくれました?」 甘い潮風にシャツの裾が膨らむ。もう有翼個性用の服を探す必要も服に鋏を入れる必要も無くなった俺の背中。会う人会う人、俺の目より斜め45度上あたりを見てぐしゃりと顔を歪める。あの家で怠惰な日々を過ごす中で、それがじわじわ自分を削っていたことに気づいた。 剛翼なる俺の身体の延長線。俺の宇宙には剛翼分の空白がぽっかり空いていて、けれどその空白にどんな色がついているかは未だわからない。知れぬまま外からそれは��しい寂しい哀れとラベリングされるものだから、時々もうそれでいいわと思ってしまう。借り物の悲しさでしかないというのに。 「俺より先に仲間が悲しんでくれて。ツクヨミなんか自分のせいだって泣くんですよかわいいでしょ。みんながみんな悲壮な顔してくれるもんだから、正直自分ではまだわかんなくて。感情が戻ってこない。明日悲しくなるかもしれないし、一生このままかも。 あなたも、俺がかわいそうだと思います?」 「いいや」 なんのためらいもなかった。 「ないんかい」 「そんなことを思う暇があったら一本でも多く電話をして瓦礫の受け入れ先を探す。福岡と違ってこの辺はまだ残っとるんだ。それから今日のそばはおれが食いたかっただけだ」 「つめたい!」 「というかお前そんなこと考えとったのか。そして随分甘やかされとるな、以前のお前ならAFOと戦って死ななかっただけ褒めてほしいとか、ヒーローが暇を持て余す世の中と引き換えなら安いもんだと、そう言うだろう。随分腑抜けたな。周囲が優しいなんて今のうちだけだ、世の中甘くないぞ、きちんと将来のことを考えろ」 「ここで説教かます⁉︎ さっきまでの優しい空気は!」 「そんなもの俺に期待するな」 潮風で乱れる前髪をそのままにして、うっとり海に目を細めながらポエムった10秒前の自分を絞め殺したい。 彼は笑っているのか怒っているのか、それともただ眩しいだけなのかよく分からない複雑な顔をする。なお現在の俺は真剣に入水を検討している。 「ただ、自分だけではどうしようもないときはあるのは俺にもわかる。そんな時に手を…… 手を添えてくれる誰かがいるだけで前に進める時がある。お前が俺に教えてくれたことだ」 「ちょ〜〜勝手。あなたに助けてもらわなくても、俺にはもっと頼りたい人がいるかもしれないじゃないですか」 「そんな者がいるならもうとっくにうちを出ていってるだろう。ド他人だが、俺も孤独や後悔をほんの少しは知っている」 波音が高くなり、背後で低木の群れが強い海風に葉擦れの音を響かせた。 勝手だ、勝手すぎる。家に連れてきてニートさせてあまつさえ同衾まで許しといて、いいとこで落として最後はそんなことを言うのか。俺が牛乳嫌いなのいつまでたっても覚えんくせにそんな言葉は一語一句覚えているなんて悪魔かよ。 俺にも考えがある、寝落ちたあんたを運んだ部屋で見た、読みかけのハードカバーに挟まれた赤い羽根。懐かしい俺のゴミ。そんなものを後生大事にとっとくなんてセンチメンタルにもほどがある。エンデヴァーがずいぶん可愛いことするじゃないですか。あんた結構俺のこと好きですよね気づかれてないとでも思ってんすか。そう言ってやりたいが、さっき勝手に演目を始めて爆死したことで俺の繊細な心は瀕死である。ささいなことで誘爆して焼け野原になる。そんなときにこんな危ういこと言える勇気、ちょっとない。 「……さっきのそば、炎司さんの奢りなら天ぷらつけとけばよかったっす」 「その減らず口がきけなくなったら多少は憐れんでやる」 骨髄に徹した恨みを込めて肩パンをした。土嚢みたいな体は少しも揺らがなかった。
車に向かって、ふたりで歩き出す。影は昨日より濃く短い。彼が歩くたびに揺れる右袖の影が時々、剛翼の分だけ小さくなった俺の影に混じりまた離れていく。 「ん」 炎司さんが手でひさしを作り空を見上げ、声をあげる。その視線を追うと太陽の周りに虹がかかっていた。日傘。 「吉兆だ」
4. 何もなくとも俺の日々は続く。南中角度は高くなる一方だし天気予報も真夏日予報を告げ始める。 SNSをほとんど見なくなった。ひとりの時はテレビもつけず漫画も読まず、映画だけを時々観た。炎司さんと夜に食卓を囲む日が増えた。今日の出来事を話せと騒ぎ聞けば聞いたで質問攻めをする俺に、今思えば彼は根気よく付き合ってくれたように思う。
気温もほどよい夕方。庭に七輪を置き、組んだ木炭に着火剤を絞り出して火をつける。静かに熱を増していく炭を眺めながら、熾火になるまで雑誌を縛ったり遊び道具を整理した。これは明日の資源ごみ、これは保留、これは2、3日中にメルカリで売れんかな。今や俺の私物は衣類にゲーム、唐突にハマった釣り道具はては原付に及んでいた。牡丹に唐獅子、猿に絵馬、ニートに郊外庭付き一戸建てだ。福岡では10日で暇を持て余したというのに今じゃ芋ジャージ着て庭で七輪BBQを満喫している。 炭がほの赤く輝き出すころに引き戸の音が聞こえ、俺は網に枝豆をのせた。 「今日は早いですね〜〜おかえりなさい」 「お前、無職が板につきすぎじゃないか?」 「まだビール開けてないんで大目に見てください」 家に上がった彼はジャージ姿でビールを携えて帰ってきた。右の太ももには「3-B 轟」の文字。夏雄くんの高校ジャージだ、炎司さんは洗濯物を溜めた時や庭仕事の時なんかにこれを着る。そのパツパツオモシロ絵面がツボに入り「最先端すぎる」と笑ったら「お前も着たいのか?」とショートくんと夏雄くんの中学ジャージを渡され、以来俺はこの衣類に堕落している。遊びにきたジーニストさんが芋ジャージで迎えた俺たちを見てくずおれていた。翌々日ストレッチデニムのセットアップが届いた(死ぬほど着心地がよかった)。 焼き色のついた枝豆を噛み潰す。甘やかな青さが口の中に広がっていく。 「福岡帰りますわ、ぼちぼち」 彼の手からぽとりとイカの干物が落っこ���た。砂利の上に不時着したそれにビールをかけて砂を流し、網の上に戻してやる。ついでにねぎまを並べていく。 「……暇にも飽きたか」 「いや全然、あと1年はニートできます余裕で」 ぬるい風と草いきれが首筋をくすぐり、生垣の向こうを犬の声が通り過ぎていく。いつも通りのなんでもない夕方だ。そんななんでもなさの中、現役の頃は晩酌なんてしなかっただろう炎司さんが俺とビールを開けている。俺らはずいぶん遠くまで来た。 「福岡県警のトップが今年変わったんですけど、首脳部も一新されて方針も変わったらしくて、ヒーローとの連携が上手くいってないらしいんすよね。警察にもヒーローにも顔がきいて暇な奴がいると便利っぽいんで、ちょっと働いてくるっす。そんで、俺のオモチャなんですけど」整理した道具たちに目をやる。「手間かけて悪いんですが処分してくれませんか?」 「……どれも、まだ使えるだろう」 「はあ。リサイクルショップに集荷予約入れていいです?」 「そうじゃない。処分する必要はないと言ってるんだ」 的外れと知っていてなお、真っ当なことを言おうとする融通のきかなさ。その真顔を見て俺この人のこと好きだな、と思う。子どものまま老成したような始末の悪さまで。 「それは荷物置きっぱにしてていいからまたいつでも来いよってことでしょーーか」 「……好きにしろ」 唸るような声はかすかに怒気をはらんでいる。さっきまで進んでたビールは全然減ってないしイカはそろそろ炭になるけどいいんだろうか。ビール缶の汗が彼の指をつたい、玉砂利の上にいびつな模様をつくっていく。 「じゃあお言葉に甘えて。それとツクヨミが独立するってんで、事務所の立ち上げ手伝ってほしいって言われてるんすよ、なんでちょくちょくこっちに滞在するので引き続きよろしくお願いします具体的には来月また来ます♡」 「それを先に言え‼︎」 今度こそ本物の怒りが俺の頬を焦がした。具体的には炎司さんの首から上が燃え上がった。七輪みたいに慎ましくない、エンデヴァーのヘルフレイム。詫びながら彼の目元の皺を数えた。青い瞳にはいつも通りに疲労や苛立ち、自己嫌悪が薄い膜を張っている。今日も現場に呼ばれたんかな。ヒーロースーツを着なくなっても、誰かのために走り回る姿は俺の知ったエンデヴァーだった。腕がなくなろうが個性を使わなかろうが、エンデヴァーを許さぬ市民に罵倒されようが。だから俺も個性なくてもできることをやってみっかな、と思えたのだ。ここを離れ衆目に晒されることに、不安がないわけではないけれど。 疲れたらここに帰ってまたあの部屋で布団かぶって寝ればいい。家全体から、やんわり同意の気配が響くのを感じる。同意が言いすぎだとしたら俺を許容する何か。俺のねぐら、呼吸する恐竜��懐の。 「その……なんだ、頑張れ」 「アザーース」 帰属していた場所だとか、背にあった剛翼だとか。そんなものがごっそりなくなった体は薄弱で心もとない。だから何だ、と思う。俺はまだ変わる。 空があわあわと頼りない色合いで暮れていく。隣にしゃがんだ炎司さんの手が俺の背に添えられた。翼の付根があったあたりにじわりと熱が広がり、そのまま軽く背を押されて心臓が跳ねる。 「来月はそば打ちでもしましょうね」 短い肯定が手のひらの振動から伝わる。新たな命を吹き込まれる俺の隣で、炭がぱちりと爆ぜた。
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霊魂の足: 加賀美捜査一課長全短篇 角田喜久雄
「怪奇を抱く壁」 01
タイトルとどういう関係なんだろうという話が延々と続きますが、後半になってやっと壁が出てきます。 まあ、壁というか物置の扉をコンクリートで塗り固めた壁です。 壁といえばポーの黒猫ですね。 一瞬それが浮かびました。
途中で、終戦後の翌年に復員とありますから昭和21年の話だとわかります。 ちなみに、昭和21年当時は、現在の40分の1程度ということになるそうです。 本文中にいくつかの金額出てきますが、それそれこんな感じですかね。 60万・・・2400万 5万・・・200万 1万8千・・・72万
あと、「尺貫法(度量衡のひとつ)」では、 一寸は約3.03cm 一尺はその10倍(十寸)で約30.3cm 一間は一尺の6倍(六尺)で約181.8cm となります。
で、登場人物です。
加賀美敬介(かがみけいすけ)・・・警視庁捜査第一課長 井手隆一郎 井手洋子・・・井手隆一郎の妻 田所軍治(たどころぐんじ)・・・陸軍大尉
が、主な登場人物です。
刑事の勘とでも言うのでしょうか、『待ち人来ず』で、目撃しまう犯罪。 その後、その犯罪をきっかけに更に別の犯罪に巻き込まれるという話です。
最初の事件が発生するのは、上野駅地階のC食堂です。 巨大な荷物を持った男女がひしめきあいながらしきりなしに出入りする。 いかにも上野駅の風景らしいです。
ただ、そこは戦後ですから、浮浪者の群れがさまよい歩いていたり、 そこら中に葱や白米が落ちていて、誰も見向きもしません。
午後2時10分、 二人の男が隣合わせのテーブルに席をとります。 隣合わせといっても、一人の男へ背を向けてです。 加賀美の席の近くです。
一人は、37,8歳の陽に焼けた肉の厚い顔に、茶色の外套に同じ色のベロア帽で、 もう一人は、28,9歳で乙号国民服に同じ色の外套に眼鏡をかけている。
ベロア帽とは、ビロードやベルベットといわれる毛足の長い滑らかな布地でできた帽子のことです。
国民服は、1940年(昭和15年)に定められ、太平洋戦争中に使用された、日本国民男子の標準服で、 乙号は、背広型仕立てで襟が立折襟専用となっていて、胸と腰に4つのフラップ付きウェルトポケットがありました。
ベロア帽の男はレモンスカッシュをのみほすと、百円紙幣を三枚両替し、 「釣り銭はいらん」 と、十円紙幣を一枚女給に渡します。 十円紙幣ですから、400円くらいですかね。 コーヒー1杯が10円程度ですから、さらに安いだろうレモンスカッシュで釣りはいらない。 ま、妥当ですか?
ここで、 眼鏡の男がベロア帽の男の古トランクと自分のもっていた古トランクをすり替えてしまいます。
これが最初の犯罪です。 それに気がついた加賀美ですが、なぜか行動を起こしません。 普通の犯罪だとは思えない何かがあったのでしょう。 まあ、人を待っていたということもあったのかも知れません。 すり替えた古トランクを持ってる眼鏡の男が、 このあとどういう行動へでるのか知りたかったのかもしれません。
午後2時20分、 三十分遅れた東北線の上り急行がやっとホームに到着します。
戦後の混乱期ですから、急行とはいえ遅れることもあったのかも知れません。 あるいは、待ち人を1時間も待ちあぐんでしまった加賀美の行動を説明したのかもしれません。 つまり、地方警察部から出京する同僚を迎えに来たのだが、一向に現われないということです。
さて、この食堂から、ベロア帽の男が出ていき、眼鏡の男も出ていきます。 加賀美は、結局待ち人を諦めて、眼鏡の男の後を追いかけることにします。 とはいえ、地下道から路面へ出て、眼鏡の男が行く姿をみるだけで、現行犯だと捕らえることはしません。 加賀美は自分のそんな行動を変に感じています。
眼鏡の男は駅前郵便局へ入ります。加賀美もその後を追います。
眼鏡の男は問題のトランクの中から一尺角ぐらいの新聞紙包をとりだし、ハトロン紙と紐で、小包を作ります。 その小包を書留でだします。 加賀美はその様子を確認するタイミングで、差し出し先まで見て驚愕します。 送り先は、「警視庁捜査第一課長 加賀美敬介殿」となっていたのです。 ちなみに、捜査一課長の階級は警視正になります。
と、ここまでの様子を加賀美は反芻します。
眼鏡の男は、ベロア帽の男を尾行して一緒に食堂へ入って、そして計画的に隣りへ席をとった。 計画的なのは、すり替えるために寸分違わぬトランクまで用意していたのでわかる。 すり替えた後、トランクの中味を小包で警視庁あてに発送した。 30センチ四方の大きさですね。
加賀美は、郵便局をでた眼鏡の男の後を、間を取ってつけていきます。 眼鏡の男は、落ち着いた足取りで、一度も振り向かず焼け跡をぬけて闇市場へ出て、 松坂屋前から黒門町まで行くとそこでまた戻りはじめます。 そして「喫茶と洋酒ミカド」という店の中へ入ります。つづいて加賀美もないります。
「ミカド」は、コンクリートの地膚が露出していて焼ビルを改造した店です。 十年も前にはやったパソドゥブル『アルフォンゾ』のレコードがかかっています。
“Alfonso”というシャンソンがあります。 これのことだと思うのですが、パソドゥブルは、何でしょう? 歌手ですかね。それとも、シャンソンにジャンルでもあるのか?
店内での眼鏡の男の様子を改めて確認します。 国民服も外套も古びていて身体に合っていない。 軍靴もすっかり古びて真っ白く埃にまみれています。 復員直後で、お金もないという状況を現しているのでしょう。 しかも、加賀美が眼鏡の男をそれだけじっくり確認できるほど、その男は、そこにじっとしていたのでしょう。
ただ、加賀美は既に三杯目のビールをやっているとありますが、まだ、勤務中なんでは? まあ、時間を潰さないといけないのでしかたないですか?
そんな状況に変化がおきます。
眼鏡の男は、ポケットから新聞を取りだすと、赤鉛筆で線を引きます。 まあ、ポケットに新聞が入っていたのは、まあ、後で読むつもりだったと思えますが、 赤鉛筆もポケットに入っていたのは、都合よすぎる気もしますけど。
その後、眼鏡の男は、トランクと新聞を置いたまま便所に行きます。 そして、そのまま消えてしまいます。 まんまと、逃げられてしまいます。
加賀美は、眼鏡の男がみた新聞をチェックします。
尋ね人 井手洋子の居所又は彼女常用のワニ皮のハンドバッグの所在ご通知下さった方に金三万円進呈す 中央局々留 井手隆一郎
という、広告欄でした。
何と、その新聞広告を、一ヶ月前から加賀美は知っていました。 どうということもない新聞広告ですね。 加賀美の気を引いたのはその金額らしいです。 確かに、3万円だといまなら120万円くらいですか。 ちょっとした金額ですね。
翌日、例の六十万円が加賀美のもとに届けられます。
小包の差出人欄に“井手隆一郎”とある。 これで、加賀美の気になっていた新聞広告と小包がつながることになります。
ここまでで、加賀美は眼鏡の男に仕組まれたと感じています。 確かに、小説的な展開ですから、眼鏡の男が仕組んだとすると納得いきますね。 ただ、理由まではわかりませんけど。
それから、加賀美はもう一つの不可解な点に気が付きます。 ベロア帽の男が、被害届を出していないのです。 ただ、「ミカド」へ置いてた被害者のトランクに名刺が挟んであって、 “陸軍大尉 田所軍治(たどころぐんじ)” と、被害者と思われる人物の名前がここで出てきます。 陸軍大尉田所軍治は、終戦当時九州小倉の部隊に居たのが判明します。
確かに、60万円(今なら2400万)ですからね。 無視するわけには行かないと思う金額ですが、警察に届けることができないお金なんですかね。
加賀美の洞察力の鋭さなんでしょうか? 峰刑事に喫茶「ミカド」を張り込ませています。 すると、 井手隆一郎と田所軍治が会っていて、親しげに話していたというのです。 被害者と加害者が親しげに話しているのです。
どういうことなんでしょう? 加害者は、この状況を理解しているはずですね。 被害者は、理解していなのでしょう。 だとすると、田所軍治は、60万円を井手隆一郎に盗まれたのに、親しく話して居ることになります。 どうして、田所は警察に届けないの��。 井手は何のために田所に近づいているのか。
つづく。
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各地句会報
花鳥誌 令和6年7月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和6年4月4日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
受験の子送りてしばし黙す父母 喜代子 うつうつも待つこと楽し花便り さとみ 初桜幾歳月や句座の道 都 野遊びのノスタルジーを胸に秘め 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月6日 零の会 坊城俊樹選 特選句
野遊の一人は高きハイヒール はるか 春愁の長き耳垂れ犬来たる 光子 譲ること大嫌ひなの半仙戯 同 ボール蹴る子に一瞬の花吹雪 美紀 ぶらんこを替つてくれず漕ぐばかり 瑠璃 花いつもさびしきところより散りぬ 緋路 大使笑ふ南麻布の花の昼 佑天 花冷のベンチに花冷のお尻 緋路 群青の絵の具は春の水に溶け 同 教会の桜は透けるほど白く 小鳥
岡田順子選 特選句
花に息ととのへてゐる太極拳 光子 鞦韆の蹴り寄せてゐる桜色 三郎 純白の肌着吊られて花曇 同 皆遠き目をしてをれば桜かな 和子 花いつもさびしきところより散りぬ 緋路 子の声は残響となり連翹黄 同 花は散るべしと笛吹く裸体像 俊樹 春の野の児らしか知らぬものがたり 軽象 花すみれ遠くの空に戦闘機 美紀 春光の鳩はみどりの首見せに きみよ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月6日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
夕日落つ別離の駅の古巣かな 朝子 冴返る齢八十骨の音 成子 仔犬抱き遅日の船を見送りぬ かおり 菜の花や千の棺より生るる 睦子 枝枝に声転がせて鳥交る たかし いつせいに揺るゝ吊革鳥帰る かおり 煙草屋は古巣残して店仕舞ひ 久美子 陽炎の消えて居座る陰陽師 美穂 地に古巣天に野鳥の窓があり 修二 我先に舫ひ綱解き鰆東風 たかし 朧月十二単衣に逢へさうな 同 しつけ糸解くおぼろ夜の京友禅 美穂 待つといふうれしさ人も桜にも 孝子 永遠の未完でありぬ桜かな たかし
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月8日 なかみち句会
春の海ばかりの駅に途中下車 秋尚 つれづれに雨音聞いて日永かな 廸子 鎌倉や角曲がるたび春の海 三無 石楠花や参道狭し奥の宮 史空 お別れの日に石楠花の紅の濃く 貴薫 また元の話に戻る母日永 美貴 小刻みにきらめく春の海まどか のりこ 寺領にも石楠花紅く小糠雨 ます江 ………………………………………………………………
令和6年4月8日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
娘良し妻さらに良し春日傘 三四郎 母の忌を迎へし朝の春の雪 ただし 風光る千年超えし物語 みす枝 春浅し耳朶柔らかなイヤリング 世詩明 天空へ光を返す白木蓮 三四郎 愛猫に愚痴こぼしをり四月馬鹿 みす枝 初蝶の二つ行先定まらず 英美子 ���の紐噛んでひとりの春炬燵 昭子 ほろ酔ひを名妓支へて大石忌 同 校庭の鉄棒に触れ卒業す 時江 薔薇一本くれる夫ではなけれども 昭子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月9日 萩花鳥会
春一番濁りし川の鯉めざめ 祐子 春愁の情緒一新晴衣着る 健雄 春の宵椿徳利の矢の根寿司 俊文 四月空総出で迎える娘の帰国 ゆかり 遊覧の舟に続くや花筏 明子 教科書に漢字で名前進級す 美恵子 ………………………………………………………………
令和6年4月12日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
山笑ふ札所巡りにの急き 宇太郎 一歩づつ眼下となつてゆく桜 美智子 渡船場に飯蛸釣りて島土産 宇太郎 桃咲いて捨て犬たちの誕生日 都 杖を曳き混じりて遊ぶ花筵 悦子 囀を総て抱へてゐる大樹 史子 初燕無音の青を切り分けて 宇太郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月13日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
としあつ忌修す爛漫卓の上 百合子 信濃路は薄紅に花杏 和代 里は今杏の花に溺れたる 白陶 想ひ出のとしあつ談義飛花落花 亜栄子 竹秋の風を聞かむと句碑に佇ち 三無 白寿なる母満開の花と散る 多美女 句碑古りて若さ溢るる花楓 文英 雨上り杏の花の山家かな 幸風 ふんはりと包みたる香の花通草 秋尚 白き卓都忘れの彩映えて 恭子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月13日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
対岸に人の流れてゆく花見 あけみ 軽貨物春の泥付け走る町 紀子 犬ふぐり自転車の子は風のやう 裕子 烏ども引き連れてゐる田打ちかな 紀子 障子開け全て我が世の花見なり みえこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月13日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
余生をば貪る朝寝でありにけり かづを 一穢なき姿のままの落椿 同 落ちてなほ華やぎ続けゐる椿 同 春風に仰ぎて凜と左内像 同 板木打つ仕草秘かに春そこに 和子 朝寝して咎める人も無き自在 泰俊 春愁や錆びし火の見の鉄梯子 同 蛇穴を出づと云ふ世の一大事 雪
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
咲き満ちし花に静けきある古刹 かづを 芽柳に縁なる風棲み初めし 同 沈丁の闇をつないでゆく香り 同 九頭竜に吐息とも見る春の雲 同 此の花に幾春秋を共にせし 雪 花を見に一人で行ける所まで 同 春休み児ら自転車で飛び廻る 富子 鴬のしきりに啼く日啼かざる日 英美子 川幅を歪めて流る花筏 真喜栄 夜ざくらやいつも打つ寡婦暮し 世詩明 筍や十二単の皮を剥ぐ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月17日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
哀愁の容姿あらはに紫木蓮 数幸 徐に白を極めて花水木 千加江 流されて留まり忘る花筏 同 春場所やふるさと力士負け多し 令子 唐門の昔を語る桜かな 啓子 紫の夜空の中に桜散る 同 二人で見いつしか一人花の道 希子 仮の世にしては見事な花吹雪 泰俊 無住寺は無住寺のまま桜咲く 同 愛子忌やせめて初蝶見たること 雪 落椿踏まるるをもて瞑すべし 同 和尚来たかと散る花に酌まるるや 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月19日 さきたま花鳥句会
たまゆらの時を浮遊し石鹸玉 月惑 春愁や己を鼓舞し逝く句友 八草 花篝名残りの片のうらおもて 裕章 脱ぎ捨てし靴下にある花疲 紀花 掛茶屋へたどりつきたる花疲 孝江 花吹雪渋沢像の頭に肩に ふゆ子 腰痛の愚痴ふき飛ばす芝桜 としゑ 楤の芽の口にひろごる大地の香 康子 春炬燵夫の座椅子のたばこ臭 恵美子 藤棚の真中を風の通り抜け みのり 待ちかねた早朝よりの花見客 彩香 十字架の隣に読経山笑ふ 良江
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令和6年4月21日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
メタセコイアむんずと掴む春の雲 三無 今日も来て舞ひを見せたる春の蝶 ます江 佐保姫を見送る空の雲白く 軽象 蒲公英の真白き絮は飛ばず揺れ ます江 一山をより高くみせ桐の花 斉 僧一人花韮咲かす露地に消ゆ 久子 牡丹の重たく崩れかけてをり 秋尚 桜蘂降つて大地に横たはる 斉 春草の足裏くすぐる田圃道 経彦 観音の御手のやさしく著莪の花 芙佐子 ゆつくりと翅を広げて蝶生まる 斉
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月22日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
昨夜爪を切りたる指に草を引く 雪 十一面千手千眼像朧 同 瞑すべし柏翠踏みし落椿 同 この椿もんどり打つて落ちたるか 同 初蝶や昨日は森田愛子の忌 同 不器用を誰憚からず針供養 同 春愁や文箱に封じたる手紙 同 春愁や此の髪に手を置きし人 同 昭和人昔語らず花の下 昭子 本気度を探るお見合亀鳴けり 同 久々に手に取る修司五月来る 同 しなやかにそしてしたたか単帯 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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扫除日
2023年11月
“有一只野猫对自己的鼻子很感兴趣,正在满世界地寻找……”阿尔奇比亚德,旷土东北部的炼金师、药剂商人、生物学者、独腿老人正在一边背诵《传道法师列传》,一边打扫房间。屋外下着暴雨,他的侄孙正抱膝坐在角落,看向云雾弥漫的茂典阁,黎明之拱仍然安静地横亘在那上空。
论污垢的顽固程度,阁楼这扇三角形玻璃窗尤为突出。每天早上,老人都命令睡在此处的侄孙用魔法伎俩清理窗面,但自从上次庆典,疯法师的火球砸中了它,一些奇妙的��痕出现了。孩子不肯放过观察这些裂痕的机会,久久地蹲伏在窗前,看破碎如棱镜般的街面。他甚至不惜偷窃姥爷的药水,用堪称不检点的方式调和,粘住玻璃边缘。实验事故败露的那天,阿尔奇比亚德一声长叹,捋了捋唇髭,抬起厚达两枚金币的珍禽异兽图鉴,给他的脑门来了一下。
现在,他正站在破损而粘腻的窗前,眯眼打量街道。依据咒法师、位面旅行者、他失踪已久的侄女尤弗哈斯之口,在遥远的被遗忘的国度,这个时节被称作枯萎之月。暴风雨打下了枝头的苹果,一个矮人铁匠窜到露台,收走了原本挂在那儿的围裙。忽然,他动了动耳朵,本就弯曲的脊背加倍拱了起来。
“怎么不念下去?阿尔奇比亚德,你不会忘了吧?”十岁的法师学徒啪地合上书本,投来质疑的眼神。
“急什么!”老人压低声音,“闭嘴,你难道听不见……”
“是药锅在冒泡,你有点神经过敏了。”
“笑话!我活了八十六年,还会被这点动静吓到?”
“说不定是客人呢。”法师学徒耸耸肩,踮起脚把书本复归原位。
“谁会在阿尔奇比亚德关店扫除的时候贸然来访?除非他情愿吃一记致病射线。有些人总爱尝尝苦头,而他们中的大多数来者不善。”
法师学徒沉默了,他不安地动了动,但眼神中还有一丝机警和期待。跳过堆叠的书山是一件难事,而对经验丰富的阅读者很简单。他两步窜到老人的断腿旁边,拽了拽被炼金药水腐蚀得破烂不堪的衣摆。
“……难道是鬼婆?我昨天又做了梦,还是那片林子,她呼唤我回归血统……”
阿尔奇比亚德睁大了眯缝眼,继而哈哈大笑,“只要你还在阿凯维沃一天,就犯不着担心那帮老东西抓走你。”他脸上的谨慎一扫而空,仿佛把危机感统统揉碎了扔进堕影冥界,换来滔滔不绝的絮叨,“比起这个诅咒,你不如担心担心血脉里的丧心病。瞧瞧这张蔫脸,这瘦弱的鸡爪,和你父亲一个样!我还记得勒菲弗尔氏拿到助手岗位前,发了疯似地捉狮鹫,野生的狮鹫……”
“我也想捉狮鹫。”学徒的眼睛突然光芒四射。
“那你就想吧!”阿尔奇比亚德呵斥道,“好了,快下去,看看到底是怎么回事。”
法师学徒熟练地往前躲了一步,防止被老人的独腿踹到屁股。他吐了吐舌,坐上了楼梯扶手,双手揣兜,借着重力和一颗懒惰的心,一路滑下楼去。
蹭着环形楼梯下降到一层的药剂铺,那种奇异的声音愈发清晰:就像在剪裁纸张,又像一双非人的小脚踩踏在沙地里。刚被列为一号嫌疑人的大锅里咕咚冒泡,一旁的菜板盛放着切碎的鼠尾草根茎,再然后是依据容量大小顺序排列的试管,旁边有一本被热气掀起、纸页忽上忽下的解剖书。
“奇怪?阿尔奇比亚德,你是不是——”
二号嫌疑人应声而动,门板上传来急促而疯狂的敲打声。
法师学徒怪叫一声,像只折了寿的老鼠,向后大跳一步,弓起了背,缩在桌脚下,再不吭声。
笃笃的下楼声没能掩盖住这突如其来的吵闹,雨水的潮味已然从门缝挤进室内,与药草的诡异熏香糅合在一起,对鼻腔形成张牙舞爪的态势。“该死的,一到雨天,义肢就会生锈……”阿尔奇比亚德发出恼怒的嘟囔,搀着断腿缓缓挪动,当他也来到这片区域,忽然打了个激灵,两只老眼瞪得浑圆,几乎把积年的眼翳都给撑开,然后,他像动物那样使劲嗅了嗅,略作一刻的沉默,爆发出了骇人的狂笑声。
“笑……么笑……”门缝里传来被暴雨冲刷着的微弱声音。
阿尔奇比亚德大步向前,穿行在他亲手搭建的三十平方米国土,没有理会桌下探出的两只充满好奇、但又瑟缩不前的眼睛。他轻车熟路地绕过宛如废品堆的材料架,像一具失能的死火山似地趴在地上,低声念叨了几句咒语。过了几秒,他才发出沙哑而得意的轻笑,缓缓站起,手中捏住了逃犯。
一声响亮的呱鸣撕开了空气。老炼金师满不在乎地扔掉手中物,同时做了一个轻快的手势。砰的一声,大门开启,一个发型夸张、长着硕大鼻子、身穿精美刺绣短衣的小个子毫无预料地摔了进来,以脸着地。
几乎是同一刻,完全符合阿尔奇比亚德预料的是,另一道身影从桌下猛窜出来,飞快地扑向了他刚才扔掉的活物——那是一只色泽鲜艳的钟角蛙。
“我为你感到不齿!”炼金师皱紧眉头,“要用魔法!”
“真是费了好一番功夫啊!”侏儒从地上艰难爬起,“还以为你会迎接的是我呢,伯努瓦·勒菲弗尔!”
被喊到名字的法师学徒吃吃地笑起来,全神贯注地盯着闷在掌心的青蛙。阿尔奇比亚德嫌弃地看了他一眼,挥了挥手,一根靠在墙边的手杖飞向老人,他干脆用杖底勾起伯努瓦的后领,把他从地上揪起来。
“是你啊,跛鸭。”阿尔奇比亚德耸耸肩,把手杖平放在膝头,顺势陷进了一张软椅,“我还想谁这么不懂礼貌。暴雨天,关门清客的日子,也不提前写封信来,你就不怕我在地下室?这样谁能听见你的哀嚎?”
“哈!阿尔奇比亚德,臭老头!如果我不是认识了你二十年,又对这条街的风评相当熟悉,我甚至都会相信,你的字典里有‘礼貌’二字了。”侏儒替他小心地合上大门,踏着舞蹈般的步子上前,高举起短短的双手,“久别重逢!你的腰好些了吗?”
“呸!”伯努瓦打了个哆嗦,把舔进嘴巴的泥吐出来。钟角蛙惊恐而无助地看着他。
“糟透了,比以往任何时候都糟糕。我早就嘱咐好了他,如果哪天我突然死了,他要为每件器官找到用处。”阿尔奇比亚德憔悴地笑了,伸出手温柔地拥抱这位矮小的朋友,“跛鸭,多谢你四年前送来的药。”
“我如今带来了一份更好的礼物,你绝对意想不到。”侏儒眯起了眼睛,眼中闪动着狡黠的灵光,“虽然你不像制造金属爆炸时那样癫狂了,但脾气还是个倔老头,我相信你没放弃……”
“我可以拥有它吗?”伯努瓦双手捏着青蛙,打断了这位身高相仿的来客。
“当然,当然!拿去吧,小朋友!”跛鸭用上扬的声调说,露出了热情的微笑,“刚才说到哪儿来着?噢,对,这只黏糊糊的朋友就是我在路上捡的,它落在一个小水坑里,我路过时靴子沾了水,简直要吓掉半条命,生怕把礼物给弄湿了!没错,我这次就是为了带来……”
“可以挖心吗?”伯努瓦又用两枚拇指掰动青蛙的胸腹,展示给跛鸭看。青蛙快速的眨眼就像在求救。
“……最好不要。当然啦,如果哪天它不幸身亡,譬如失足摔进了你们那口大锅,或者一个脚滑躺在了你姥爷的牙签上……反正,只要成了尸体,你当然可以身为朋友,替他处理一下身后事……咳,言归正传……”
忽然他停住了。因为,当他演讲时就会自然闭合的绿松石色大眼睛重新睁开时,跛鸭注意到,有一只小小的坩埚——显然是炼金师制造的人工生命仆从——飞舞在陷入沉思的伯努瓦和面露得意之色的阿尔奇比亚德之间,两只垂落的爪子��攥着一封信件,正是从他兜里不翼而飞的那封。
“阿尔奇比亚德……!”跛鸭忿忿地咬牙,“我早该知道,你这老东西不会白白地给人拥抱!”
那个自命不凡的老头抬起了下巴,露出相当满意的微笑,他脸上的灰斑和褶皱都因此铺展开来,似乎真心实意地为这场恶作剧感到愉快。但在炫耀的言词流出口中之前,他的侄孙就伸出右手,一把将信件夺走了。微笑从他的老脸上转瞬即逝。
“是你不够经验丰富,跛鸭。等你活到八十六岁,身上就会神奇地长出名叫心眼的东西。”阿尔奇比亚德抢回信封,一把推开伯努瓦的脸,“没有落款?”
“没有落款。”跛鸭瞪了他一眼,脸上又复现出柔和的表情,“你快拆开看吧。外面的雨下得可真大,我为了保护它,用皮带把它捆在肚脐眼上,用马甲遮着它,又用外套顶住斜前方的暴雨。这可不,我的靴子泡了脚,裤子都快掉下去,只有它还是干燥的、温暖的、留着墨水味儿的!我这身衣服还是从前那个行会老板的,俗话说,侏儒靠衣装,半人马靠鞍……”
伯努瓦的眼珠转了转,若有所思地瞧着那件沾满水珠的红外套。他想起阁楼的窗户并没有照出访客的身影,也许是碎裂的镜面起了作用,将这个本就瘦小的身形折叠得像只苹果。
“少废话。伯努瓦,拿裁信刀来。”老炼金师用胳膊肘捅了一下侄孙,后者做了两遍手势,才不熟练地从远处取来一把刀,险些弄翻了路径上的一盆番红花。独腿老人嘀嘀咕咕地拆信,仿佛想抵御老朋友的唠叨,但在下一刻,他发出了凄厉的惨叫,捂着门牙蔫蔫倒下。
然而,当他毫无痛觉地睁开眼,却发现眼前一无所变,粗粝舌头包裹的尖牙没有啃向他的鼻子,宝箱怪也没有给他一记老拳。只剩下些许魔法粉末,在光洁的信封表面淡淡发光。
“你暗算我,弗鲁格!如此粗鄙的恶作剧,连我十岁的侄孙都会做!”
“我没学过。”伯努瓦吃惊地说。
“闭嘴!”阿尔奇比亚德愤怒地揪住了自己的胡子。
绰号跛鸭、本名弗鲁格的侏儒幻术师叉着腰,爆发出一阵浑身舒爽的大笑。他脱下湿漉漉的外套,搭在一边,顺势跳上了炼金师面前的桌台,用矮小的身子为他们鞠上一躬,作了一个请的姿势。
阿尔奇比亚德恶狠狠地用鼻孔出气,一边用裁纸刀细致地沿线开封。伯努瓦在一旁啧啧称奇,即使是趁睡觉剪了他半边胡子的那天,也没见过如此大的火气。信封里是一个牛皮纸包裹,牛皮纸里又是一只束口袋。跛鸭弗鲁格趁机把怀中的另一件礼物递给伯努瓦,那是一本《初级魔法学原理》,年幼的法师学徒瞪圆了眼睛,即刻欣喜若狂,把整张脸埋进书里,深深地吸了一口纸浆的气味,露出陶醉的神情。
最后,出现在炼金师几乎腐坏的掌心的,是一片干瘪的树叶。透明密封袋阻止了他用熟稔的手法揉搓干叶,保持了它形状的完整。他莫测地瞅了一眼弗鲁格,后者心领神会,施施然开口。
“不久前,我梦见了古旅人。就是教授们曾经提到的那个庞然大物,有好多条手臂,古怪的眼睛,说着晦涩难懂的话。这些你都知道,可我第一次亲眼见到,所以我跑回了斯翠海文,去翻巨龙们留下的藏品库。就在一阵乱翻中……我找到了她的痕迹,这不就想起你来了吗?”
“尤弗哈斯?”老人用鼻孔喷了口气,“我早把她给忘了。”
侏儒笑了笑,继续说道,“她当然不是一个圣法谕,那些混沌的研究没给她带来处罚都是万幸。况且,她跨越的是位面,而非时空。我想这两件事之间并无关联,梦境带来的启示是我将再次踏上旅程,但在临别之际,既然碰巧找到了你的家人的讯息,我这个老朋友怎能有所隐瞒?”
“论一心二用,没人赢得了你。”阿尔奇比亚德耸耸肩,看上去气消了大半。
伯努瓦把新书抱在胸前,有节奏地捏着青蛙的小脚。听到这里,他一把甩开手中的活物,扑到桌前仰视着侏儒,“弗鲁格!这片叶子是妈妈的研究?”
“想知道?那就摸摸看。”幻术师一屁股坐下,欢快地摇晃着两只灌了雨水的靴子,“包装这么多层,只是为了防范炼金师的急性子。万一当场揉碎了,我的法表里可没写修复术。”
阿尔奇比亚德闷哼一声,由着侄孙将密封袋夺走,而后小心翼翼地拆封。当枯叶落在他的掌心,便显现出真正的奥秘:它的外形平凡无奇,但对一片叶子来说着实太重。伯努瓦合并拇指与食指,用极轻的力道揉搓了一下叶片,其间的叶脉忽然映现出黯淡的光泽,仿佛通入电流。年幼的法师学徒张大嘴巴,恨不得一口将它吃下去;他那留着长长胡子的姥爷也不自觉地揉搓着双手,表露出一种近于纯真的喜悦。
“尤弗哈斯,是她的魔法微粒。”阿尔奇比亚德轻声感叹,“��还活着?”
“不一定。”弗鲁格出声反驳,又像意识到了这句话的无情,尴尬地补充,“捐赠者是勒菲弗尔氏,所以,我想这是他们启程后的收藏品。别看这叶片长相寻常,它所起到的作用绝不只是拿来签名而已。老伙计,我知道你对魔法微粒的嗅觉敏感异常,一如从门缝里闻到了我。这份礼物,送得还算讨喜吧?”
炼金师不发一语地眯起那双促狭的、积攒着厚厚眼翳的老眼。法师学徒则直视着客人,点了点头,重新将其存入密封袋,珍惜地揣在怀里。
“那你呢,跛鸭?”阿尔奇比亚德反问道,“你准备什么时候走?”
弗鲁格一跃而起,拍了拍衬衫,神气十足地开了口,“现在就走。时光不等人,我的老朋友。要不是下定了决心,我又何必挑这样一个坏天气强行出门!”
“凭你的本事,我看是暴风雨娱乐了你。”
侏儒嘻嘻地笑了起来,过了一会,他忽然露出怀念的表情,定定地望着眼前的老人。
“阿尔奇比亚德,我好想和你们再一次踏上旅程啊。”
“我也一样,弗鲁格。”老炼金师泰然自若地说,微微后仰,合上了眼睛。
尽管法师学徒对这段对话感到突兀和莫名其妙,另外两人却显然想起了什么。老炼金师摊出一只手掌,招呼对方靠近。侏儒幻术师耸耸肩,没有顾及前车之鉴,仍旧把胡桃木色的脑袋凑了过去。阿尔奇比亚德于是抬起了疲弱不堪的双臂,在这对窄小肩膀的两边都用力握了握。
借此机会,炼金师的人工生命仆从又将一种魔法物品挂在客人背后。那是一颗水滴状的细小物质,能够凭主人的心意吸收物品表面的水分,简而言之,就是能把暴雨淋湿的衣服迅速烘干。这动作轻巧得出奇,即使从法师学徒的视角能够看清一切,他也只是睁大了眼睛,怀着一种好玩的心态静静凝视。
只有当侏儒幻术师踏出门外,顺着旷土的漫漫长路独行远去,被巨大的启蒙火炬照亮时,也许会突然想挠个痒,继而发现这个迷你的饯别礼。
等到大门重新合上,暴雨倾轧的咆哮声骤然收束,余留下炼金药锅那温热而玄妙的气味。伯努瓦拍了拍手,抱着一刻也没有脱手的魔法书,踏着轻盈的步子,哼着小曲往阁楼上去,突然受到了一股向后的拉扯力,趔趄了半步。钟角蛙咕呱一声,从他的鞋尖险险跳过。
“还愣着干嘛?”阿尔奇比亚德板着老脸,放下手杖,“继续打扫。”
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【驰适衍生】 古猜x麦西拉(古猜x小瓦前提)
《可悲的时代》
2
古猜拧好布巾的时候,正赶上麦西拉把脚从裤管里扯出来。接过布巾,麦西拉还轻快地道了声谢谢。他学古猜的样子,把脸和脖子结结实实抹了个遍。然而,古猜拿回布巾,却抬起麦西拉的小腿,去擦他两腿之间的区域。他的动作让麦西拉往后倒,在抱枕上弹了一下。
麦西拉几乎是不知羞耻地抱住了自己的膝盖,闲适地斜靠着抱枕。尽管古猜正在擦弄麦西拉不该随便向人展示的部位,那副认真垂目的样子却十足地正经。布巾在柔嫩的缝隙柔嫩上轻轻擦动,引起一阵酥麻的痒意,穿过腹腔、喉管,一直蔓延到麦西拉的上颚,令他不自觉地窃笑。
“你这里和常人不一样,有人告诉过你吗?有人因此为难过你吗?”
“我当然知道别的男孩都没有,但也没碍着我干活儿。”麦西拉咬住下唇,问:“你不喜欢吗?”
古猜还是维持着一贯的耐心。他把布巾随意地扔到一边,说:“我无所谓。”他用口水打湿中指,探进麦西拉的阴穴,才放进去一节手指,内壁就抽搐着掐紧了。然而麦西拉还是维持着平静的样子,不愿让古猜察觉到他心中的慌乱。
很快,手指加至两根,不太体贴地撑开了狭窄的膣腔。古猜的指甲虽然很短,指腹却有些粗糙,而麦西拉的穴肉是第一次打开,里面嫩得不像话,几次抽插已经令他感到一丝疼痛。他怀疑要是古猜一晚上都把手放进他的屁股里,内壁就要磨破皮了。好在古猜察觉到他的不适,决定换种办法。
没有任何预兆,古猜便抬起麦西拉的腰,在下面又垫了一只抱枕。他伏下身,让麦西拉把两条腿歇在自己肩头,仿佛他是仆人,麦西拉才是被招待的客人。
还没等麦西拉喘口气,一阵湿软的触感就从身下传来,令他难以抑制地惊叫。他赶紧捂住嘴。也不知道古猜讨不讨厌噪音。他想要坐起身,却又想起县长的话,“乖乖照办”,于是,尽管腹部已经开始不自觉地抽搐,他还是强迫自己躺了回去。但麦西拉依旧忍不住低头,从他的角度看去,只能看见古猜的上半张脸。古猜的头发许多天没剪,长到了耳后,随着他的动作,不断在麦西拉的大腿内侧骚弄,引起一阵阵无助的颤抖。
麦西拉原本以为自己不怕痒,可眼下的痒是从古猜的舌苔和嘴唇直接在身体里面引起的,从那张狭小的肉穴钻进他的下腹,在皮肤深处、内脏之间游走,一直贯穿了他的指尖和上颚。他一手捂嘴,另一只手想减轻瘙痒,可无论怎么在皮肤上抓挠,肉体内的痒意却根本无法得到缓解。麦西拉大致了解做爱是怎么一回事,可以前他从未听说过这档子事居然还能和舌头搭上干。
虽然眼睛看不见,他的小穴却清楚地知道是古猜的舌头伸了进来。舌苔比手指上的老茧更柔软,每一次磨过穴口上方某个奇怪的地方,麦西拉的双腿都不由自主地想要夹紧。他努力分神控制身体,却总是被古猜的舌尖在内壁打转的触感摁进快感的池水之中。他惊恐地发现一阵仿佛尿意不合时宜地高涨,像是要冲破他的下身。可现在古猜还贴在那儿,要是在客人脸上尿出来,就算献出金山银山,县长也休想做成武器生意。
在古猜的舔弄下,麦西拉的肉穴比刚才潮湿许多。为了忍住所谓的尿意,他身上几乎每一块肌肉都在颤抖,每一块皮肤都被汗水打湿。几丝黑发贴着他湿漉漉的脸颊,在上面画出蜿蜒的细线,颈后的长发搭在锁骨上,发梢随着饱满的胸膛上下起伏。就在他以为自己终于要闯大祸的时候,肉穴的内壁传来一阵违背他意志的剧烈抽搐,哀鸣从紧紧合拢的指缝钻出,那声音简直不像他能发出来的。麦西拉的皮肤突然间敏感异常,令他忍不住用后腰磨蹭抱枕上凹凸不平的绣花,膝盖和小腿在古猜的衣服上蠕动,只有这样才能稍微舒缓遍布全身的酥麻感。
缓解了一小会儿,麦西拉稍稍清醒,发现自己竟然把客人当作垫脚凳子使用,慌张地把腿滑下去,这么一动,两条腿门户大开。麦西拉撑起身体,打量起古猜的裤裆,那里有布料的褶皱,还看不清状况。
“可以了吗?”他问,虽然并不完全清楚问的是什么。
“还早呢。”古猜摇摇头。他的下巴反着水光,只用袖子草草擦了一下。他在毡房自带的匣子里翻找,拿出一盒蓝珐琅制的小圆铁盒。
感觉到古猜又要用指头给自己扩张,麦西拉阻止了他。倒不是出于腼腆,而是因为他习惯了忙活,受不了大半天躺在枕头上无所事事。
“我该做些什么?教教我。”
古猜的视线在他汗津津的脸上扫过,像是在怀疑他是否故意说出这些话。但他吓不住麦西拉。
他坐到麦西拉身边,解开腰带,拍了拍大腿:“过来。”
年轻人丝毫不为古猜用招动物似的方式叫他过去而生气。他纤长的身体坐了起来,偎着古猜的一侧。古猜炙热的掌心扶着麦西拉的后脑,年轻人便顺着他的力量俯下身。
扶住古猜的阴茎时,麦西拉的手指尖还有些冰凉。古猜用手指仔细地掰开麦西拉的嘴,教他如何收住牙齿,然后把他的嘴巴当作套子一般套上了阴茎前段。那一刻麦西拉的心里涌起一股恐惧,他感到自己仿佛变成了毡房门口挂着的皮酒囊一类的东西。但他依旧惦记着县长交代的事,较着劲往喉咙深处吞,难以抑制的呕吐感很快就逼迫他抬起头。
麦西拉嘴里还含着津液,口齿不清地说:“再让我试试。”
他说得非常急切,依旧害怕古猜随时会将他赶出毡房。但古猜只是轻笑着叫他别着急,然后用食指和中指撑开他的嘴巴,扶着他的脖颈一点点往下放。如此一来麦西拉更加强烈地感到他的口腔和喉管变成了一条软管,似乎已经不属于他自己,他全身止不住地颤抖,手指紧紧抓住古猜的裤子。他努力地避开牙齿,忍住生理性呕吐反应,可是这具凶器把他的喉咙撑得很涨,而且仿佛永远没有尽头,要一直捅到肚子里。
就在他慢慢适应口中异物,恢复呼吸时,阴穴里又放入了古猜沾着膏油的手指。膏油进入温热的肉穴,和里面的淫液混合、化成水状,在麦西拉的大腿内侧积成浅浅一滩,每次稍微动弹一下,他都怕把身下的毯子弄脏——这些绣着繁复花纹的毯子价值连城。他空出一只手,抹起腿上的淫液,涂回自己的穴口,也抹在了古猜的手背上。他脑子里只有别弄脏毯子一件事,完全没想到在古猜眼里会是什么光景。很快,麦西拉觉得口中的巨物抽动着似乎又涨大了些许,还没来得及搞清楚状态,古猜便抓着他的头发,令他吐出被含得水淋淋的茎身。
“你就那么想让巴彦拜做成他的生意吗?”
麦西拉听到古猜的语气里带着愠怒,费力抬头和古猜对上视线,只希望自己看起来十足地诚恳。
“千真万确。”说着,透明的腺液从嘴角滑落。他赶紧把液体舔走,吞了下去。
“你真的不是第一次?”古猜把手指伸到麦西拉跟前,“我指头都泡皱了,你还是这么紧。”
古猜的指头上,除了膏油的香气之外,还混杂了一种甜腻的气息。这是麦西拉第一次闻到自己肉穴里的气味,他一时间不知道该做何反应,再加上心虚,全身冒出一层细汗。
“那只是因为……我有点紧张。其实已经可以了。”
为了表现得游刃有余,麦西拉跨上古猜的腿,扶着他的阴茎,寻着刚才被手指开拓过的位置往穴里放。他才发现他想得太简单,每进一寸,他都要强迫自己放松。从未感受过的酸痛在小腹乱窜,快要把他劈成两半。但他把这当作必经的考验,就算痛得头晕眼花也要逼自己坐下去。
古猜看他装模作样了半天,掐住他的腰把人往上抬:“别太用力,我也会不舒服的。”
听到这话,麦西拉终于老实了。他哪里敢让古猜不舒服?他稍稍抬起已经开始酸痛的大腿,试着轻轻晃动,看这样是否能让小穴吞得更顺利点。古猜大概是终于发了善心,托着麦西拉的腿根往两边掰。这动作令麦西拉的身体毫无准备地往下坐,一下把古猜的东西吃进大半,他这才忍不住拧起眉头、痛呼出声。
麦西拉只想着他绝对不能露馅,直到古猜抚平他的眉心、拨开他凌乱的长发、捧着他脸颊,他才���现自己不知何时已经趴在古猜结实的胸膛上。
“别忘记呼吸,麦西拉。”他在他耳边说。
古猜的吻落在麦西拉的耳边、鼻尖和嘴角。他的手又掐进麦西拉的腿根,掰开狭窄的肉穴,和他的阴茎相比,这条小道就显得更局促了。但是随着每一次抽插,他都能进到更深的地方。麦西拉感到胯间的骨架仿佛都涨开了几分。
现在他已经跪不住,只能伏在古猜的肩头,任由他一寸一寸地凿开自己的内壁,擦过他的膣腔的每一个角落。有时候他真的忘记呼吸,古猜便会咬咬他的耳朵,拍拍他的背,提醒他别再憋着气。
古猜的呼吸平稳而粗重,把麦西拉的耳廓吹得滚烫。难道他也像自己忍着肉体的疼痛一样,在忍受着某种痛苦的东西吗?麦西拉用他汗津津的手指,学着古猜安慰他的样子,也拍了拍古猜的手臂、扭过头去咬古猜的耳垂,亲吻他新刮的胡茬。
突然,古猜握住麦西拉的下巴,把他扭到自己面前。麦西拉果然发现古猜的眼睛正泛着水光,但他并不能理解古猜的烦恼,也搞不懂为什么古猜的眼中还掺杂了困惑。他仿佛要问麦西拉一个重要的问题,却又不知道该如何开口。麦西拉贴过去,将额头抵在了对方的额头上,这是他安慰害怕的羊羔的举动。他渐渐地适应了古猜彻底埋进他身体里的器官,便小幅度地在上面起落,他感到自己的下体像个柔软的口袋套弄着古猜,而麦西拉还没学会为此害臊。
他总觉得趁古猜心里难过的时候讨好他有那么一丝卑鄙,可是他太过于想要达成目的,况且,他开始对古猜和他脖子上的夜明珠好奇,也许等他们熟悉之后,能听到古猜多讲讲他的故事。
麦西拉的动作对两人来说都只是隔靴搔痒,真正让麦西拉尝到浑身发麻的滋味,是古猜主动的挺腰,他的动作并不大,却不知道从哪里来的力气,撞得麦西拉整个腹部的内脏都在颤动。尿意般的感觉令麦西拉头皮发麻,可是古猜的挺动还在继续。他先是狠狠地撞了几下,大概因为麦西拉叫得可怜,便把动作放得更轻,然而速度加快了。
麦西拉努力记起呼吸,但是呼气会让他的小腹放松,再难憋住鼓涨的感觉。这股羞耻的感觉令他眼花缭乱,指尖僵硬颤抖。他勉强撑着古猜的胸口拱起背,像被吓到的猫。汗水沿着下巴低落在古猜半敞的衣服上。
毡房里没有点燃炉火,温度却越来越高。古猜利落地脱掉上衣,用衣服给麦西拉擦擦汗水,又细心地帮他把汗浸湿的发丝拨到耳后。这空档总算给了麦西拉一点喘息的时间。他回过神来,发现古猜依旧游刃有余,还特地为了照顾他而停下来,不禁为自己不中用而羞愧。
“你还痛吗?”古猜问。
“不痛了……没,没觉得痛。”麦西拉改口说。
他当然知道在古猜面前装蒜是没用的,可是话已经说出口了。古猜为他的幼稚笑了,但并不是让人难堪的嘲笑,况且他笑的一点也不难看。麦西拉也想报以微笑,却被古猜的动作打断。他抱着麦西拉调整方向,好让麦西拉的脸摆脱头发的影子,在灯光下一览无余。这个角度下,灯光跃过古猜的眉弓,像初晨的太阳临照湖水一般照在古猜的眼睛上。麦西拉不自觉地朝那片湖水靠近,他的吻落在古猜的眼角。他听见古猜吞咽的声音。
古猜稍微抬起身,吻住了麦西拉。他的手臂禁锢环着麦西拉的腰,而且还绰绰有余,在他的臂弯里,无论怎么抽插、顶撞,麦西拉的身体都不会歪倒。他的手不安地将麦西拉的身体往他的身上摁去,只有在尝到麦西拉喉咙里的呜噎,他才会稍稍清醒过来,放松力气。
麦西拉的呼求声里夹杂着他们的语言,古猜一时间没听明白。他把耳朵贴到麦西拉柔软的唇边,勉强听到他用汉话问:“这事儿还要多久?”
“你要是觉得难受,我就停下。”不过,既然麦西拉还没喊过难受,古猜根本没有停下的意思。
“不难受……我能坚持。”
“真的没事?”
麦西拉气恼地摇头,别人越不信任他,他就越想证明自己。见他嘴硬,古猜便掐住他窄细的腰,一只手的拇指紧紧扣进他的肚脐眼,固定住他的身体后,猛地冲撞起来。
麦西拉毫无准备,肉穴里蚂蚁爬动般的酥痒迅速朝身体深处汇聚,刺激着那阵尿意。他想要躲到一边去缓缓,却逃不开古猜的钳制,只能扶着铁一样的手臂告饶,完全没注意到他说的全是古猜听不懂的语言。膣腔又在撞击中抽搐起来,可是古猜依旧没有停下。阴茎出入的动作把麦西拉的哀求切得零零碎碎,淹没在肉体拍打的声音中。
不一会儿,麦西拉陷入静默。他什么也说不出了。小腹里的器官不受控制地跳动,硬是把古猜的肉刃挤了出去。臀后像是被人推着一样收紧,他只能抓住古猜的手臂以免朝后倒去。最可怕的是他的下体喷出透明液体,全溅到了尊贵的客人的肚子上,更多液体从刚接受过巨物的小穴淅淅沥沥地落下,打在古猜的小腹和阴茎上,在他的大腿间积成一小块水洼。
一滴汗水越过眉毛落进麦西拉眼中,混着他的泪水渗出眼角。他仿佛失去了对身体的控制,每一块肌肉都在惊慌中颤抖。他把眼睛躲到额前凌乱的头发后面,不敢去看古猜的反应,也不敢想绣花的毯子被糟蹋成什么样子。
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Just got a peek at fb season 5. These new characters look familiar
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ある画家の手記if.89 告白
『大トトロと中トトロと小トトロに会ったよ』
香澄が帰ってしまってから、年末まであと数日。
ケータイの待ち受け画像になってるぬいぐるみと香澄のツーショット写真をじっと見る。 喜んでくれたみたいでよかった。
普段は働いてる成人男性が持ってたらよさそうなネクタイピンとか時計とか万年筆とかをあげてるから、ぬいぐるみは子供っぽすぎるかなって思ったりもしたけど、香澄はうちのかいじゅうくんと仲良しだし、やっぱりあのいぬでよかった。並んで写ってたら香澄の白い肌や髪の毛がよく映えて綺麗。 本当は仔犬か仔猫を飼ってあげたいと思ったりもしたんだけど、僕らは日中は二人とも働きに出ちゃうから動物の世話はできないかなと思って、それでぬいぐるみにした。 住んでるマンションはペット可で、それも大型犬とかちょっと変わったペットでも脱走なんかに気をつけて飼えばいいみたいだったから、いずれ本当に動物とか香澄と育てられたらいいな。 今は僕と香澄の二人の生活だから、一緒にいないときはお互いに家ではひとりぼっちになる。 僕はもともと一人の生活が長いからそれで平気だけど、香澄が一人の時についててくれる強い番犬がいてくれたら頼もしいな。 『ぬいぐるみ、絢も直人に似てるって』って香澄からきたときはちょっとびっくりした。いぬ…僕と? 『次に会うまでに名前を考えてあげてね』って返した。 会いたくなっちゃうからなるべくスタンプだけとか一言で短めのやりとりだけして終わらせるようにしてる。
年末年始の旅行のプランは今回は香澄が仕切ってくれるみたいだったから、僕はそれまで大した準備ができない。 せめていいプレゼントでも見つかれば買おうかと思って、仕事着のスーツを着てコートを羽織ってホテルを出る。今日は天気のせいかちょっと左脚と肩あたりの調子が悪いから、腕に杖を引っかけて持った。 部屋はスイートから元の一人部屋にまた戻してもらってる。
クリスマスが過ぎてしまったら街は完全にお正月に向けての色に塗り変わっていて、みんな切り替えが早いなぁ。僕はまだ香澄と一緒に過ごしたクリスマスの余韻から抜けきれてない。 余韻でとめておいてあんまり細かいところまで思い出さないようにしてる。何度思い出しても恥ずかしい… 言わないできてたことだだ漏れになって香澄に知られちゃって、普段ならあんなこととてもじゃないけど言えない、引かれそうだと思ってたけど香澄はなんか嬉しそうだったような…? …やめておこう。一人ですることになるのは嫌だし。
デパートの中を特に目的もなく物色して回る。 香澄と一緒にくれば服とか靴とかいろいろ選ぶのも楽しいけど、僕一人じゃすることもないし味気ないな…。 情香ちゃんが香澄のところに時間見つけて行ってくれてるみたいだからお礼になにか買いたい…んだけど、似合いそうな装飾品とか小物とか靴とかあげてもまったく喜ばれなくて、僕はいまだに情香ちゃんを喜ばせるポイントを知らなかったりする。人の気持ちや物を粗末にはしないから、使ってはくれるんだけど…。 付き合いが長いから、変にチープな安いキーホルダーとかをあげたら喜ばれるというか面白がられるのは知ってるけど、この建物の中にそういうものはなさそうだし、チープだったら全部ツボに入るわけでもない。パーキングエリアで売ってるようなのが一番ウケがいい。 そういえば香澄から絢と二人でおそろいのパジャマ着てる写メが送られてきて、かわいいなぁと思って見てたら瞬時に情香ちゃんから僕に『かわいい』って一言送られてきた。 伝えたいことなら情香ちゃんは香澄本人に直接送信するだろうから、僕だけに送ってきたってことは同意を求められてる…って思って、少し笑ってしまった。ほんとに香澄が好きだね。 『そうだね』って僕も一言だけ返した。
付近にいくつかある本屋の中で僕の好きな本がありそうなお店に入る。 人気作家の新刊とかは置いてないけど、バイブルのように読み継がれてる文学とか画集とかが棚に並んでる。 僕が仕事で教えてるのは実技だし、実際はなにも教えたりなんてしてないに近いんだけど、生徒たちの中には勉強熱心な子もいて、絵画論とかの話をたまに振られたりもする。 そういうのは僕じゃなくて冷泉みたいな美術史の先生と話したほうが面白いと思うけど、ちょうどホテルには何も本を持ってこなかったし、買って少しは僕も勉強しておこう。
結局本を数冊買っただけでお店を出て、街の中を歩き回る。年末にさしかかって人通りが多い。 遊園地では香澄を見てれば酔わなかったけど、今はどこに焦点をあてようか迷って少し酔いそうになる。 人混みをすり抜けてひらけた公園に出た。 薄曇りの空の下でベンチに浅く腰かける。体に負担をかけないように右手で買った本を開いて読み始める。 しばらく読んでたら同じベンチの僕が腰掛けてる位置から遠いところに、一人の女の子が座った。 艶のある黒髪を三つ編みにしてる、俯いたら三つ編みが顔の横で揺れた。 家族と一緒のようでもないし、荷物ひとつ持ってない。この辺に住んでる子かな。 僕が本を閉じてベンチから立とうと思ったときに、女の子から急に声をかけられた。 「人間を高次に導くのは見返りのない積極的な消費だと思う?」 「…………え。」 一瞬ほんとうにその子が発した言葉なのか疑った。冷泉が言いそうなこと言ってるけど…今のって僕に聞かれた、んだよね… しっかり僕のほうを見て目を合わせて言ってるし 女の子は僕が持ってる本を指差して言った。 「その本よんだんじゃないの?」 「……まだなんだ。さっき近くのお店で買ったばかりだから」 「そういう本がすきなの?」 「分からないな…この手のことには詳しくないし、よく知らないから」 「なにもしらないのに急にバタイユ買ったの?」 女の子は僕のいるほうに向かってベンチに両手をついて身を乗り出してきた。馬鹿にしてる感じのニュアンスじゃないな…ものすごく興味深そうに大きな目で僕をしげしげと見てる。瞬きのたびに黒くて長い睫毛がパチパチ大げさに開閉する。 中学生か、背丈だけならまだ小学生くらいに見える… 通じるのか分からないけど、ちゃんと返事をする。 「この本にはマネについての絵画論もあるみたいだったから、バタイユは名前しか知らないけど絵画論だけでも読んでおこうかと思って」 「絵がすきなの?マネってエドゥアール・マネのこと?」 間髪入れずに質問がくる。ベンチに座って地面から完全に浮いた両脚を交互に揺らしながら。目がキラキラしてる。親御さんがこういう学問を教えてるとかなのかな…? 僕はベンチから立ち上がってコートの埃を払った。 「今は学校で教えてるだけで、特に好きではないかな…。マネの絵ならアスパラガスのが好きだよ」 「せんせい! 絵のせんせい?」 女の子はスカートのポケットから取り出したスマホを素早くいじって僕に画面を向けた。カメラロールにたくさん四角い箱の写真がある。 「これぜんぶわたしが作ったの。どうおもう?」 以前はこういう、作品への意見を求められるのは相手が子供でも関係なく苦手だった、僕に言えることなんて特にないから、僕ならこうする、ってくらいのつまらないことしか言えないし。 でも最近はそういうことを仕事で言わなきゃいけないことが多くて、少し慣れてきたというか、…どこかの誰かみたいに無神経に一蹴して笑い飛ばすような横暴な真似はさすがにしないけど。 写真を拡大したりしてちゃんと見る。箱の中にいろんなものが綺麗に配置されてる。箱の中の小宇宙…小さな箱庭ーーーージョゼフ・コーネルを思い出した。ボックスアート…作風がよく似てる。 「……君はコーネルを知っててこれを作ったの?」 女の子は首を傾げながら呟く 「…その人はしらない…。」 「知らないで作ったんならバランス感覚がいいね。どうして箱の中に入れようと思ったのかな」 仕事のおかげで絵や作品に関するやりとりが結構スムーズにできるようになった。 女の子は僕のほうに掲げて見せていたスマホをポケットにしまいながら言った。 「いやなものは箱にいれてとじこめておいたらいいかもって。大事なものもしまっておけるし」 「………。」 閉じ込めておく、か… 「父はわたしの箱をガタクタって言って捨ててた」 「ガラクタも美しいよ」 「なるほど。そうかもしれない。…えっと…」 言い淀むその子に名乗る。 「直人。名廊直人、です」 「なおとくん。わたしは光。Lumièreって意味の。」 こんな小さい子にくん付けで呼ばれたの初めてだ。lumière…ってフランス語か、懐かしいな。絢も英訳と仏訳でこれから仕事するって言ってたっけ。 「光くんは今日はお父さんとお母さんは一緒じゃないの?」僕もくん付けで合わせてみる。 「…うん」 ひと呼吸おいてから彼女は続けた。 「いっしょに買い物にきたんだけど、夫も息子も迷子になっちゃったからここで待ってるの」 それはつまり君が迷子なんじゃないかな… 夫と息子?!
「いた!!!!!」
遠くから綺麗に通る聞き慣れた声がしたと思ったら、絢だった。いつの間にか睫毛も金色になってて、ますます星の王子様みたいになってる。 駆け寄ってくるから僕のことを言ってるのかと思ったら、絢は走り寄ってきて彼女の前に片膝をついた。 絢は光くんの首に自分のマフラーを巻いて、片腕に持ってた彼女のものらしい小さなケープコートを彼女の肩にかけて前を合わせてる。 光くんは絢の髪の毛を撫でながらにこにこして僕に言う。 「この子が迷子の絢。わたしのむすこ。」 「光さんが迷子ね。またなんか追っかけられた?どっか怪我とかしてない?」 「しつれいな。わたしはそんなにドジじゃないぞ。」 まじめな顔した女の子に絢は笑ってから、僕と彼女を見比べて難解な顔をした。 「えーと…これどういう取り合わせ?直にぃはここで何してんの」 「僕は買い物にきただけ、そろそろ帰ろうかと…」 僕をじっと見ていた彼女が急にくるっと背後に振り向いた。 低いフェンスを跨いで公園に入ってきた人のもとへ光くんが走り寄る。嬉しそうに笑いながら彼の手を引いて絢と僕のところまで戻ってくる。
彼を知ってる
一年前のちょうど今頃 突然居なくなった香澄 クリスマスに香澄から紹介された「兄でも親子でも夫婦でもあるような関係で 父親がわり」 絢を引きとってくれた人 僕は絢を信頼してるし、僕よりよっぽど人を見る目があるから その絢が信頼している人 絢の…家族 「ーーーーお久しぶりです。絢がそちらでお世話になっていると聞きました。込み入った事情のある家からこの子を連れ出してもらえたことを感謝しています」 ……他にも聞きたいことや言いたいことはある。って前に情香ちゃんに話したら「それは私に任せてお前は何もするな」って言われた。確かに一年前の僕ならもうここで警察がくる喧嘩沙汰になってるだろう。 昔はそれでよかった。今はそれではだめだ。守りたいたくさんの人も同時に傷つける。 「いえ 僕は何も」 短くそれだけ言った彼の片手を光くんが手遊びみたいに握って、自分の小さな両手で包んで白い息を吐きかけてあっためようとしてる。彼の長い前髪が冷たい12月の風に少し浚われていく。 目線がちょうど同じくらいで逆に少し首の据わりが悪い。だいたい僕より小さい他人の目を見て話すとき、少し顎を引いて俯きぎみにするのが癖になってるから。 彼に…僕がここで今伝えたいことはなんだろう 「………どれだけ助けたくても…僕にできることが何もなかったとき、香澄とあなたが助けてくれた。絢は聡明な子だから、どうにか僕が匿って養えたとしても僕と居ては苛立たせるばかりでしょう。…僕でなくてよかったと思っています、絢の新しい家族が。」 僕の隣にいて僕を見ていた絢の頭を撫でてから、コートの内ポケットから名刺を一枚取りだして笑顔で彼に差し出した。 「何かお力になれそうなことがあればいつでも連絡してください」 彼が名刺を受け取ろうとする前に僕と彼の間を光くんが踊るように素早くすり抜けて、僕の手から名刺を掠め取った。 「ありがとうございます」 名刺を読んでる光くんを置いといて彼のほうが僕にお礼を言った。 「あいにく今日は名刺を持ち歩いてなくて。��渡しできず申し訳ない」 「いえ…そちらの連絡先が明記されたものを僕は持っていないほうが絢に…「ほんものの絵のせんせいだ!」 彼のまわりをくるくる回って三つ編みとケープコートの裾を宙で衛星みたいにひらひら揺らしながら、光くんが名刺を見て大きな目をさらに大きくした。 「光も挨拶した?絢の母ですって」 「ううんまだ」 光くんは彼の隣でピタッと回るのをやめて僕に今さら丁寧に深々と頭を下げた。小さくてまん丸な頭が地面につきそうなくらい眼下に見える。 「絢の母です。このひとは雪村真澄。わたしのだんなさん。なおとくんは絢の友だちなの?」 これって迂闊に答えていいことなのかな。どうやら光くんは本当に彼の妻で絢の母親らしい。結婚できる年齢よりは上なのか、今は婚約だけしてる状態なのかな。家族なら絢の事情も知ってるかな。 「僕は絢のいとこのお兄さんだよ」 「ほう。つまりわたしのとおい義理のむすこ。」 謎の結びつけられ方で僕は光くんの義理の息子になった。
そのまま立ち去る彼に絢も光くんもついていく。 絢は通り過ぎざまに「Elle est ma mère, Vraiment.」って僕ににやっと笑って言っていった。 光くんは後ろ向きに歩きながらにこにこ笑って「バタイユよみおわったら感想おしえてね」って言ったと思ったら彼の長いコートの裾の中に素早く潜りこんで見えなくなった。コートから小さな手だけがにゅっと出てきて、僕に手を振ってる。
見えてないだろうけど、僕も笑って小さく手を振り返す。 僕は去っていく三人の後ろ姿を見送ってから、香澄にメッセージを送った。
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現代日本クトゥルフ小説、最新話公開いたしました。
「タグ=クラターの逆角度」ではニュージーランドまで飛ばされた真名。
星美のお陰で無事に戻って来たのはいいが、次なる騒動は持ち上がる。
光紀の実家に、思いがけぬ訪問者が?
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ハロー(´ー∀ー`)2022.9.10
わたくしの2番目の姉が最近「モリモリスリム」という便秘解消のアイテムを購入したらしく。
(私は便秘ではないんだけども)感想よろしくねーーとグループトークで会話していたところ
「モリモリスリム飲んでないけど便意きて出たのよね」
というズッコケな流れがありました。
それはもうモリモリスリムはお守りなんよ←
そして長女からは
「アテニゲ?…
アテラレ?みたよー!」
アオラレな←
おすすめした映画すぐ観てくれるのは嬉しいけど、適当〜笑
通じればオッケーよね←
って感覚、身内ならあるあるですよね🥹
今回も少しだけ映画ブログです〜
「ファナティック ハリウッドの狂愛者」
トラボルタの閉ざされた森からのキャラの振り幅でかすぎてどーしちゃったのその髪型?ってなりました😂
演技は凄まじいです←
まるで別人。ハリウッド俳優の大ファンのトラボルタがどんどんストーカーになっていく物語です。
怖いんだけどさ…
ムース何でなの?
何でそんなクズのファンなの?
ってなったよね←
ベッドに俳優を縛り付けて話すシーンとか、もうさっさと殺されればいいのに、とすら思ってたよ←
ファンあってこそとかどの口が言ってるの?
そりゃムースは完全に頭おかしいストーカーになっちゃったけど、この俳優も人間としてかなり色んな部分が欠如している←
暴力的な人とか喧嘩腰とか本当イヤ。
あとサイン会でのセキリュティがばがば問題ね←
少しだけジョーカーを思い出しちゃったよね。
周りの人から浴びせられる言葉の暴力で歪められていく部分なんか、共通してるかなーと思った。
元々そういう素質あったんでしょ、って部分もあるだろうけども。
「ゴーストランドの惨劇」
ホラー作家になりたい女の子が主人公で、姉とは仲が悪いんだけど(母親が末っ子ばかり可愛がるというのが原因)ある家に引っ越してきてそこでよくわからない変な人達に襲われて殺されそうになるんだけど、母親の渾身の無双で殺人鬼をやっつけます😂
だけどその事件のショックで姉のメンタルは崩壊、妹は家を出て結婚し作家としても成功しているんだけどある日姉から「助けて」という電話がかかり久しぶりに実家へ帰る事に…。
これはホラーなのか、スリラー要素強めで色んな仕掛けのある映画でした。
ネタバレは避けますが、伏線ホラーが好きな人にはいいのかな?私の評価は★★☆☆☆星2.5と低めw
ただお姉ちゃんがとにかくすごいと思った。一人でずっと闘ってたのかと思うと胸が痛い😭生きてるだけですごいよ…私だったらとっくに諦めて死を選んでるかもしれないので👻
最後に。
アリスのイボと腫瘍の件ですが、とりあえず採血しに動物病院へ連れて行こうと思っていたのですが…ちょっとそういう訳にもいかない事態が起きてしまいました…
突然アリスが攻撃的になってしまって、ものすごい顔で私を睨みつけ唸って喚き威嚇するようになってしま��ました…
こんな事初めてでもうどうしたらいいかわかりません😭
アリスの近くを通ろうとしても、ものすごい勢いで激怒し私の後ろを追いかけてきたり飛び掛かってくるくらい攻撃的に暴れます。
この間は怒りで興奮しすぎて失禁してしまいました…😞本当にどうしてしまったのか…
高齢だからボケてしまって、私の事忘れてしまったのでしょうか。
本当に辛すぎて毎日心が折れるし、もう触れないかもしれない、抱っこもできないかもしれないと思うと涙が出ます。
飛び掛かってくるのが怖すぎてバスタオルとかで足元をガードしながら歩くしかなくて、その間はずっと威嚇され続けるしショックすぎて枕を濡らすしかない毎日です…
厚手の靴下で足をガードするしかなくて恐怖と悲しみの日々を送っております←
悩みが次から次に尽きません😭猫の言葉が分かったなら…私が悪いことをしたのなら謝罪したいです。
アリスは元々神経質タイプで臆病なので、かなりデリケートでわがままな猫だと分かっていたけど。
15年も一緒に居た私に突然攻撃してくるなんて、これが病気だとしたらこんな悲しい病気もあるんだと現実を受け止めないといけないし。
病院に連れていこうにも触るのも怖いのでキャリーバッグにも入れられないし😭
それに目つきが全然違うんですよね。
私の行動に常に目を光らせているし、姿を目で追ってくるし、近づこうものなら警戒心バリバリっていうのが見た目でわかるんですよね。
辛いですが様子を見るしかなさそうです。
食欲もあるし、トイレも通常なので。
ネットでシニア猫についてとか病気とか色々調べたけれど、病気であれば甲状腺機能亢進症(でも私だけに威嚇してくるのはなぜ?)や認知症(18歳くらいで発症する子が多いそう)や激怒症候群(若い猫ちゃんに多いそう)も考えられるかなーと思いました。
てんかんや脳の異常も考えられそうですが、一度発症したらもう治らないのだとか…
ちゃんと獣医さんにみてもらいたいけど、連れていくのも一苦労😔
あとはストレスの爆発。
そして私が何かをしでかしたか。
(何か憑いてる?)
毎日ブラッシングをして、毎日触ったりご飯あげたりいつも通りだったはずなのに…
突然の豹変にはショックしかありません。
だけどめげずに生活するしかありません。
また何か変化あればブログに書こうと思います。
アリスに「私の事忘れちゃったの?」と言ったら
「シャーーーー、ぅぅうううぅぅぅぅ」
と唸られました←
失恋よりも辛いわ←
ここ一週間はずっと動悸がしてて心臓がきつくて、なるべく安静にしていようと思ってはいるのですがアリスのことが気がかりすぎて安心できません笑
ただただ後悔のないように過ごしたいものです。
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猫は知っていた プロローグ
7月4日(土)から7月9日(木)までのたった6日間の話です。
それよりも数日前から始まります。 これから惨劇の起こる箱崎医院(外科病院)と主な登場人物の紹介というところでしょうか。 仁木雄太郎の友人、牧村の世話で箱崎という医院の病室を借りることになって、訪ねて行くところです。
地図のせいか道に迷っている仁木兄妹が偶然声をかけた青年が、これから下宿することになる箱崎医院の長男の箱崎英一で���箱崎幸子にピアノを教えるということがこの時点でなんとなくわかります。 そのまま、箱崎英一と箱崎医院に行くことになります。
氷屋の角を曲り、公衆電話とラジオ屋の前を通りすぎ、電信柱の角を曲がってすぐという表現ですけど、氷屋、公衆電話、そしてラジオ屋です。 ラジオ屋って何でしょう? その頃は、ラジオが主流だったので、ラジオや無線機、真空管などの関連部品を扱う店が多くあったようです。 それが、いわゆるラジオ部品販売の「ラジオ屋」だそうです。
箱崎医院は、門から玄関まで、白っぽいきれいなじゃりが敷いてあり、どっしりした木造の二階建て、右手に別棟で古びた平屋があります。左の方が病院で、右手の平屋がはなれで皆こちらに住んでいます。
当然ように、英一は、はなれの玄関に入っていきます。 出てきたのは、幸子の祖母で桑田ちえでした。箱崎敏枝夫人の母親です。 そして、お茶を運んで来たのが桑田ちえの孫で、両親に死なれたためにこの家の世話になっている桑田ユリです。 英一たちの従妹ですね。 で、桑田ちえの身の上話が有りますが、このあたりは本編と関係あるのか、ないのか?
そうこうしているうちに、敏枝夫人と幸子ちゃんが帰ってきます。 そこに、小さな黒ネコが登場します。「チミ」ですね。 この小説のタイトルでもある猫の登場です。 人なつこいネコで、人の行く所、行く所とついて歩くとありますが、いかにも伏線らしいいですね。
この猫なのか、別の猫なのかいったいどう猫が絡むのか楽しみですね。
さて、「医院」の方の棟の説明です。 図が付いているから関係あるんでしょう。
廊下の右側にならんだドアの上には、それぞれ、看護婦室、レントゲン室、診察室、手術室とあり、左側は応接室と薬局および玄関になっています。 玄関をはいった所に籐のテーブルや長いす、雑誌類をのせた小机が配置されて待合室に利用しているらしいです。 二階へ上がる途中で、院長の兼彦氏にあいます。 敏枝婦人と幸子ちゃん、そして兼彦が二階を案内してくれます。
二階は、広い廊下が中央をつらぬき、その両側に入院用の病室が並んでいて、つきあたりのには「ふとん部屋」があります。 病室は、左側に3つ、右側に4つあって、仁木兄妹は一番西側の8号室に案内されます。 病室が7つしかないのに8号室まであるのは、4号室がないからです。 イメージとしては、病室に下宿しても生活できるのかどうか不思議でしたけど、この当時は、こういうことは結構あったのかしれませんね。
8号室は案外広々として、明るい感じです。 窓に近い方に白ぬりのベッド、反対側の壁に畳が一畳、ベッドは患者用で畳は付添用だと思われます。 また、部屋の中には、小さいテーブルといす、腰ぐらいの高さの戸棚もあります。
ここを購入したのが昭和24年となっていますから、それから4年後の昭和28年というよりも、10年後の昭和34年の7月4日からの出来事と考えたほうがいいのかもしれませんね。
そこへ野田看護婦が兼彦氏を呼びに来ます。 それで、兼彦が出ていきます。 はっきりとは書かれていませんが、敏枝夫人と幸子ちゃんそれから「チミ」がそこに残っていたみたいです。
そのまま玄関まで降りてきて、はなれから入ってきたことを思い出します。 そこで、敏枝夫人がはなれに靴等を取りに行��ている間に、平坂という患者のことが話題に上がります。 靴がないから待たされる。そこに、平坂という患者の話題。 このあたりはかなり伏線ぽいですね。
これで、プロローグは終わりです。
7月4日 土曜日に続きますが、推理小説として、犯人は最初に出てくるというのが有ります。 そのためのプロローグだとすると、この中に犯人がいるかも。
このプロローグで紹介されている登場人物です。
仁木悦子(にきえつこ)…主人公です。17、8の桑田ユリと1つ2つしか違わないらしいとあるので、20歳くらいですか。箸が転がってもおかしい年頃は、2年半前に卒業したという表現からもそんな感じですね。音楽大学の師範科に行ってるみたいです。 仁木雄太郎(にきゆうたろう)…主人公の兄です。大学生で植物学を専攻しています。 牧村…仁木雄太郎の友人です。
箱崎兼彦(かねひこ)…医院長 箱崎敏枝夫人…医院長の奥様で、小太りの気のよさそうな人です。 桑田ちえ…夫人の母親、幸子の祖母。65、6で小太りの世話好きそうな老婦人です。 箱崎英一(えいいち)…長男で医科大学に行っています。21、2で、きれいな一重まぶた、青白い顔と注意深い目をしたやせ型の引きしまったタイプで、頭はいいが、気さくにつきあえる相手ではなさそうです。 箱崎敬二(けいじ)…次男、医科大学に行っています。(厳密には登場していませんね) 箱崎幸子(さちこ)…幼稚園に通っているおかっぱ頭の女の子です。 桑田ユリ…17、8の少女。私立高校に通っているちょっとキツネに似た顔立ちのやせた少女です。桑田ちえの孫で、両親に死なれたためにこの家の世話になっていて、英一たちから見れば、従妹(いとこ)にあたります。
平坂氏(患者)…四十に近くかた幅の広いたくましい体格をしています。目も口もなみはずれて大きく、鼻は肉が厚く、まゆ毛は墨でぐいと引いたように濃く、一種独特な印象を与える精力的な顔です。 平坂夫人(患者の奥さん)…小柄で、目も口もこまこまと性質も内気そうに見えます。整った可憐な顔立ちにもかかわらず、疲労のせいかあまり生気がありません。
家永看護婦…細おもてですらりとしていて、度の強い近眼鏡の中の目を光らせています。 野田看護婦…ほんの子供といってもいいような少女で、左右の目が思いっきりとび離れた、人のよさそうな丸い顔をしています。
チミ…黒ネコ。人の行く所、行く所とついて歩きます。
登場人物はあまり多くありません。 じっくり追っていけば比較的かんたんにわかるかもしれませんね。 楽しみです。
つづく。
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