#長袖ドレス
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◆FUZZI(フッジ)10%OFF優待参加◆ 開催期間:3月28(木)から31(日)まで 開催場所:Gallery なんばCITY本館1階店 上記期間、FUZZIが10%OFF優待に参加。 国内に1点物の商品を多数揃え、厳選された商品ばかりです。 ブランドの真骨頂に達している珠玉の作品を御覧頂けます。 国内と直接取引は数年のみ。 日本撤退の為、実際に現物を御覧・御試着頂けるのはおそらく当店のみです。 ジャンポール ゴルチェのソフトチュールファンの方は是非この機会に御買い求め下さい。 是非この機会にGalleryなんばCITY店をご利用下さい。 スタッフ一同、心よりお待ちしております。 【ブランド解説】 『フッジ(FUZZI)』社は元来、1954年にアデル バッチアーニ フッジによって設立されたイタリアのニット、カットソーメーカーでした。 1971年に娘のアンナ マリア フッジに事業に参加し、1983年にはジャンポール ゴルチェとライセンス契約が交わされました。 1985年にはファッションデザイナーのジャンポール ゴルチェと共にマドンナのツアー衣装を手掛ける様になりました。 それはやがて1990年の『ブロンド アンビション ツアー』で結実し、ローリング ストーン誌を以って「精巧に作り上げられたセクシャルで挑発的な狂想曲」と評されました。 このトップモードによる巨大なエンターテインメントは「1990年で最高のコンサートツアー」として認知され、その後のマドンナのイメージを決定づけました。 フッジはゴルチェとのコラボレーション以後、多くのトップブランドのライセンス契約、コラボレーションを実現し続けています。 ライセンス契約ではモスキーノ、マルタン マルジェラ、ヒューゴ ボス、ロメオ ジリ、アズティン アライア等です。 サンプル制作に始まり、製品までコラボレーションするブランドではカナダ グース、エミリオ プッチ、エルメス等ヨーロッパのトップブランドの名が連なっています。 社の持つ40,000以上の過去のアーカイヴを基に自社の名前を掲げたブランド、『フッジ(FUZZI)』も設立されています。 ゴルチェの代表作の一つにソフトチュールシリーズがあります。 ソフトチュールシリーズは薄く伸びるレースの上に鮮やかなプリントを全面に施されていました。 通常、ソフトチュールはレース構造なのでプリントが定着しにくく、柄を表現しにくい素材でした。 しかし、それが高度な技術のプリントによって実現すると、ゴルチェはこの素材を最大限に活用しました。 人間本来の肉体を尊重するこのデザイナーはボディにフィットするソフトチュールに世界中のタトゥー、陰影の美しいギリシャ彫像、ポップアートから名画までをプリントしました。 まるで着用した者の肉体そのものが、別の種族、性���、素材へと変化した第二の肌の様でした。 また軽く、透ける特性のソフトチュールはゆったりとしたシルエットにしても今までにない視覚効果をもたらせました。 ギリシャの遺跡のひび割れた石柱、ドラマティックな表情の聖人、重厚な甲冑等が綿密なタッチで大きく描かれてそれがモデルが歩く度に軽やかに揺れる様子はユーモアであり、アートでもあります。全ては軽量で、ストレッチ性があり、着ていてストレスを感じることはないでしょう。 透け感のある素材は軽やかさを表現し、清涼感があります。 FUZZI社製の全面プリントソフトチュール作品。 ゴルチェのソフトチュールファンにとってはこれ以上のリバイバル品はございません。 Galleryでは、フッジの至高の世界観を余すこと無く御見せ致します。 -------------------- ◆10%OFF優待 招待状◆ 場所:Gallery なんばCITY本館1階店 【2024年度 最初の10%OFF優待】【春物出揃いました】 皆様の日頃の御愛顧に感謝を込めて3月28(木)から31(日)まで、「Gallery 全品10%OFF 優待」を開催。 Vivienne Westwood 2024年春物最新作や雑貨をはじめ、その他の全ブランド除外品無し。 この期間のみ店頭表示価格より10%OFF。 通常セール対象外のVivienne Westwoodの腕時計、財布、コインケース、シガレットケース、携帯灰皿、ライター、ZIPPOライター、ベルト、靴、雨傘、日傘、帽子、ストール等の小物類が全品10%OFFで御購入頂けます。 既に70%OFF等のSALE商品や普段SALEにならない商品も期間中のみ更に10%OFF。 御支払い方法は一切問いません。 現金、カード分割払い、シティ・パークス共通ショッピング チケット、ポイント利用、ギフト券併用 等、選択自由。 (但し、御取り置きの内金、既に御取り置き頂いている商品の御精算、修理代、通販は10%OFF対象外) パリ、ミラノ、ロンドン、ベルリン、ニューヨークからレディス・メンズ共に30ブランドの春物厳選200点以上入荷。 2024年春夏物最新作も全て10%OFFになるのは業界でもレアケースです。 【ヴィヴィアン ウエストウッド 腕時計在庫限り】 ヴィヴィアン ウエストウッドの腕時計は国内メーカーが生産終了、さらにメーカー側に在庫ゼロの為、弊社は現在の在庫が無くなり次第販売終了となります。 腕時計は再生産・再入荷・新規入荷の予定も御座いません。 国内ラスト1点のモデルも多数店頭に揃えております。 ヴィヴィアンの腕時計の購入を今迄、御検討されていた方はこの機会に是非、御決断下さい。 【artherapie 新作ネオドラゴン】 artherapie(アルセラピィ)から進化したドラゴンシリーズ、Neo DRAGON(ネオ ドラゴン)の長札財布がリリースしました。 型押しの精度が高められ、より迫力のあるドラゴンになりました。 さらに、ドラゴン部分に陰影を付け、定着に時間を掛け、立体感を出すことにベストを尽くしています。 ジャンポール ゴルチェのドラゴンと全く同じ職人と生産背景で製作しております。 特にこの水準の盛り上げ加工が出来る職人は国内に3人しかいません。その為、希少数しか生産出来ません。 一旦完売すると、約8ヶ月待ちになる為、是非この機会に御検討下さい。 ※期間中一般の御客様には店頭表示価格のまま販売しておりますので、必ずこの御招待状をスタッフに御提示下さい。御連れ様も一緒に御利用頂けます。 (御提示の無い場合は10%OFFになりません)、通販は対象外。 ※この優待セールはGalleryが独自に行っているもので、なんばCITY主催ではありません。くれぐれも御間違えのない様御願いします。 ※期間中の精算は全てポイント加算対象です。 ※他の割引サービスとの併用は出来ません。 ※ポイント10倍イベントより遥かに御得です。 ※店頭にこの優待のPOPや案内は掲示していませんので御注意下さい。 Gallery なんばCITY本館1F階店 〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波5-1-60なんばCITY本館1階 【営業時間】11:00~21:00 【休館日】3月無休 【PHONE】06-6644-2526 【e-mail】[email protected] 【なんばCITY店Facebook】https://goo.gl/qYXf6I 【ゴルチェ派Facebook】https://goo.gl/EVY9fs 【tumblr.】https://gallerynamba.tumblr.com/ 【instagram】http://instagram.com/gallery_jpg 【Twitter】https://twitter.com/gallery_jpg_vw 【Blog】http://ameblo.jp/gallery-jpg/ 【online shop】http://gallery-jpg.com/
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ベルライン ブライダル衣装に最適 ウェディングドレス
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Sarah Àlainn - Celestial Christmas Concert
サラ・オレイン
~ 天使と天上の音楽 ~
念願だった日本の協会でのクリスマス。
11年目でやっと実現できました。
色々なサライブをプロデュースして来ましたが、どれも特別な思い入れがある中。
今回は1番印象に残るステージの一つになりました。
これをきっかけに、また日本の教会でコンサートが実現できれば幸せす。
個人的にはとても長崎に行きたく、、、チャンスに巡り合えることを祈っています!
では、プロデューサラからのライナーノート。
今回のセトリ。デザインさせて頂きました^^
夏のオーストラリアで育ったため、リースのサラは半袖。
寒さにとても弱いものの(昨日のライブでもカイロを貼ってて落ちないかドキドキ)、
クリスマスはやっぱり寒いのがしっくり。
1. Pie Jesu (Andrew Lloyd Webber)
2. Bring the Snow『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』
3. Toccata (J.S. Bach) ~ Shchedryk/Carol of the Bells
4. Eternal Rest 『蒼き革命のヴァルキュリア』
5. Eight Melodies 『MOTHER』
6. Hijo de la Luna
7. Airmail Special Xmas Vers.
8. Hallelujah (Leonard Cohen)
9. Andata (坂本龍一)
10. Merry Christmas Mr. Lawrence 『戦場のメリークリスマス』
11. Joyful Joyful / 第九
12. O Holy Night
ENCORE
13. Ave Maria (Vavilov)
14. Silent Night
15. Nessun Dorma
16. You Raise Me Up
海外の協会や大聖堂といえば、キャンドル🕯️
本物はNGとのことで、こちらに。帰って我が家のツリーの下に🎄
今回のサラスタイルは、一番好きな純白。
1部はサラッと見つけた衣装!今回ネックだったのは、パイプオルガンの弾き語り。
普段はもっと高いヒールを履いてパフォーマンスをしているのですが、ペダルがもちろんキツく不可能。
因みに、ペタンコな靴でも試したところ、これもこれで初心者にはとても踏みにくく、多少ヒールがあった方が演奏しやすかったです。
長いスカートも足の動作の邪魔になるため、とても苦労しました。最終的には普段より低いヒール(これで)に動きやすいドレスに出会えました。オープニング、アンコール、エンディングの演出としてバージンロードを歩きたかったため、
それにしてはカジュアルすぎる姿かなと思い、裾が長い素敵なビジューのケープに出会えました。
アンコールではお世話になってる方々のお衣装:
Instagram
Dress: DRESS SALON Lu:Che @dress_salon.luche
Veil: @paradisewest
Hair & Make up: @west_kuboki
アー写でも着てた一点もののヴェールとウェディングドレス。
華やかな衣装���大好きだけど、普段着も含めて、基本一色でシンプルなスタイルが1番好き。
見えにくかったはずですが、アクセサリーには十字架のネックレス。
Sarah’s Angels
チャーリーズ・エンジェルともちろんかけてます。
ピアニストの宮本貴奈さんは色々な意味で今回救いの天使でした!
Soprano/ SAK.
Mezzo Soprano/ 渡辺磨裕美
Alto/ 会原実希
Tenor/ 大山桂佑
エグイアレンジにも関わらず🙇♀️サラッと歌われて素晴らしかった👏Bravi!
皆さんのシックな衣装が会場にぴったりでした。
実はAngels’のスタイリングもしてたのですが。。なんと、衣装が間に合わず(本番の次の日に到着><)
いつかまたぜひこちらも着て一緒に歌いたいものです!
では、音楽のもう少し詳しい編成や演出について。
聖なる場所で、今回はとても分かりやすいテーマとメッセージがあったこともあり、
MCを最小限にし、音楽中心のコンサートに。
アルバムやテレビと違って、コンサートでは自分の思いを自由に語れる貴重な場なので、
基本話せる時は話したいですが、今回はより音楽に集中できたため(ツアーでは毎回MC=ー「笑い」に命をかけていますw)、こういうコンサートも続けたい。
1. Pie Jesu (Andrew Lloyd Webber)
Takanaのクリスマス・アドリブから始まり、イエスキリストを讃える一曲へと繋がる。
色々な作曲家のPie Jesuがありますが(Faureフォーレのも好きで迷いました)、アルバムに収録されてることと、京都音舞台での思い出もあり(お寺でのPie Jesuなんて、日本の神は心が広い)、Andrew Lloyd Webberバージョンに。
皆さん驚かれたかもしれませんが、後ろから登場し、キャンドルを灯し、歌いながらバージンロードを歩きました。
教会の大きな十字架✝️を見ながら歌う感覚。
色々な感情が心に重く、深く、宿る。
2. Bring the Snow『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』
クリスマスは基本違和感と寂しい思い出しかなかったですが(夏のオーストラリアで、クリスマスを祝わない家族)、
昔からクリスマスソング・キャロル・讃美歌が大好き。とても嬉しいことに、オリジナルのクリスマスソングを歌わせて頂いています。それも、憧れのムーミンの。映画『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』で英語版と日本語版で主題歌を歌わせて頂くクリスマスの奇跡が起こりました。
そんなムーミン一家も、クリスマスはお祝いしません。
クリスマスが何なのかすら、知りません。
でも、「クリスマスさんがやってくる!」
人と勘違いしてる?
ツリーの飾り方も分からず独特。テッペンには薔薇。
そんなムーミンは、何よりも大事なクリスマスのメッセージに気づきます。
そんなハートフルなクリスマスソングを教会でも歌えるなんて。
年に一度しか使えないと思ってゲットした鈴は、今日も大活用。
3. Toccata (J.S. Bach) ~ Shchedryk/Carol of the Bells
さあ、ここからが難関。思いだすだけで冷や汗。
人生初のパイプオルガン演奏。弾き語り。そして途中で指揮。
本来予定してなかったのですが、教会の下見に行った時、オルガンを見て、これは演奏してみたい!、と燃えてしまいました。
どの��器もマスターするのに難しいですが、その中でもパイプオルガン奏者にはリスペクトしかありません。
ピアノ、チェンバロと違って、鍵盤が三段階。それぞれ音色は違いますが、その音色をさらに左と右横にあるストッパーで調整する。演奏中引っ張ったり押したり大忙し。シンセも昔から好きだったので、感覚が似てて、音色を選べるのはとても楽しいです。演奏してる間は別問題ですが^^;そして、私にとって何よりも困難だったのはペダル。ペダルも鍵盤になっているんです!ひ〜
エレクトーンの経験もないので、シクシク家で妄想練習。手書きの鍵盤。
あるピアニストがピアノがなくて紙の鍵盤で練習したという都市伝説を聞いたことがあったけど、
本当だったかもしれない。
最初はオルガンソロのみ予定してて、何が良いかなと思って、冗談で「バッハのトッカータとフーガニ短調BWV 565」なんて!と言ったら、ピアニストの塩入俊哉さんが、「それで良いんじゃない」と真面目に答えられてから、やることになっちゃいました(塩入さん、体調回復されて、元旦でお会いします^^)
どうやって鍵盤を弾きながらペダルを踏んで歌うのだろうか。。。練習ができないため、
今回はずっと足を見て演奏するしかない。
そのため、普通のマイクではなく、ヘッドセットをお願いしました。
ここで合唱が登場したらカッコ良いなと思い、バッハからウクライナの新年の曲「Shchedryk」、別名「Carol of the Bells」(ホームアローンやテーマパークでもよく流れるクリスマスの定番)に繋がる。
ペダルを踏んでない時は指揮。オルガンが大きくて見えにくい位置でしたが、さすが聖歌隊、
Sarah’s Angels見事について来ています。
「Carol of the Bells」 「鐘のキャロル」というだけに、パイプオルガンにも鐘���あるので、このチャイムをペダルと鍵盤でもONに。
今回は合唱のアレンジをさせて頂き、こちらも燃えました。
GLORIA CHAPELだけに、アレンジに「Gloria」(讃美歌)も取り入れました。
ウクライナ語、早口英語(合唱お見事)、脳みそがフル回転に働かされる一曲でした。
足元の動画をとってあとで見返してみると、おそらくこの姿勢で筋肉痛になったかと。
YouTubeにアップしました!
動画編集に苦戦。いくつかのカメラが音と映像がシンクしない。多分カメラの位置とホールの響きの影響も?
また、見返して思い出したのは、音のディレイ。特にオルガンは、鍵盤を弾いてる時と、実際に聞こえてくる音とズレがあります。ゆっくりなところは大丈夫でしがた、早いパッセージは心臓バクバク。
【LIVE】Shchedryk Carol of the Bells /Pipe Organ, Voice & Choir|Sarah Àlainn サラ・オレイン | パイプオルガン弾き語り
<初!パイプオルガン弾き語りinウクライナ語+指揮🎄>
youtube
4. Eternal Rest 『蒼き革命のヴァルキュリア』
ここでやっと普通のMC。
次からは合唱メインの選曲へ。
今回リーダーのSAK.に合唱についてご相談させて頂きました。SAK.とのご縁はゲーム音楽のコンサート。
そんな繋がりもあり、一番最初に合唱とやりたい!と浮かんだ曲は、ゲーム音楽でした。
私の歌のデビューは光田康典さんのゲーム音楽『ゼノブレイド』の「Beyond the Sky」。
よくライブで歌わせて頂いている大切な楽曲。SEGAの 『蒼き革命のヴァルキュリア』でもコラボが実現。
ラテン語で英語で作詞させて頂き、とても好きな世界観。でも、ライブでは一度も歌ったことがありません。
レコーディングでは自分の声を何重に重ねたセルフ・クワイヤー。
ループするようなラインでもないため、ルーパーでも一人でライブでは歌えません。
今日までは!
合唱のおかげで、やっと生でこの歌が届けられる!テーマも「Requiem(レクイエム)」なので教会にもぴったり。
ゲームの中では死神の歌なので、プレイヤーとしてはあまり聞きたくない曲かもしれませんが^^;
さらに、この曲は完全にアカペラ。オリジナルと同じように表現できた喜び。
アカペラが大好きで、合唱の皆さんにまたハードルが高い曲を2曲目に持って来たのにも関わらず、Bravo!
正面向きながらの指揮。
5. Eight Melodies 『MOTHER』
ルーツのvgmが続きます
ご縁があり、作曲家のChip Tanaka(田中宏和さん)の前で彼の作品をいくつか演奏する貴重な機会がありました。私が最初にプレイしたゲーム機はGAME BOY(ゲームボーイ)。唯一入ってたゲームがDr. Mario。今でも完璧に覚えてるあのチップチューン。それがまさかのChipさん作曲。そんなDr.MarioとRPG『MOTHER』をご本人の前で演奏させて頂く夢のようなステージがありました。
その時はサラカルの編成だったため、歌とヴァイオリンはルーパーを使ってました。
この名曲をSt. Paul’s Cathedral Choirが歌われてるバージョンをサラジオでも以前お届けしましたが、
これぞ教会で聞きたい一曲!ゲームでは8つのメロディーが物語のキーとなるのですが、アレンジバージョンには英語歌詞がつきました:
Take a melody, simple as can be
Give it some words and sweet harmony
Raise your voices, all day long now, love grows strong now
Sing a melody of love, oh love…
作詞:Linda Hennrick
作曲:鈴木慶一さん/Chip Tanaka
簡単なメロディーをとって、歌詞をつけて、
優しいハーモニーを当てて、
声をあげて、愛のをメロディーを共に歌おう。
何とも純粋な美しい歌詞。。。
以前のループも生かしつつ、合唱とピアノ演奏を加えた教会バージョンにアレンジ。
Chipさんに映像を送らなければ〜年末は休めるのだろうか^^;
今回は出番が短かったですが、ここでサラ・オリジナル八ヶ岳カリンバが重要なところに登場。
シンプルなメロなので、これもいずれ皆さんとカリンバで演奏するのが夢です^^
6. Hijo de la Luna
合唱がミステリアスなピアノアドリブの中ゆっくり去っていく。
ガラッと雰囲気を変えて、不思議なスペイン語の世界へ。
スペイン語は話せないので、早口言葉がとても難しい一曲です。
子供の時ラジオでも流れてたヒットで馴染みがある一曲なのに、大人になってから歌詞の意味を知り、びっくり:
かなりダークです
当日のセリフをそのまま:
『母といえば、息子が欲しかったお月様の話、ご存じでしょうか?
ある女性の望みと引き換えに、息子を手にした、お月様
女性は望み通り、夫をもらった。
でも、その間に産まれた子は、夫と違い、肌色が真っ白だった。月のように。
あまりの怒りに、夫は女性に怒り、最悪な結末に。
お月様は、こうして母になった。
「お月様、腕がなくて、あなたはどうやって息子を抱くの?」
「三日月になって、息子を揺らすのよ。」
Hijo de la Luna 月の息子』
やっぱり怖い。
ヨーロッパで大ヒットしたMecanoの名曲。オリジナルがとにかくカッコ良い。
Takanaからお借りしたシェーカー(振り方、角度によって音が変わる!欲しい)も登場。
音楽的にはシンプルに1番、サビ、という構成ですが、違和感がある転調があったり、
演奏してみると意外とミスしやすい(そして目立ちやすい)、難関な曲。
7. Airmail Special Xmas Vers.
今回のセトリからカットされそうになった一曲。
でも、リハで試しに一回Takanaとやってみて、これはやっぱり入れなきゃとcome-backしたジャズナンバー。
「天上の音楽」とはかけ離れたイメージだけど、普段のライブなら元気に盛り上がる・アップテンポな曲が入ってからの重ための曲の流れを意識してるので、やっぱり息抜きできる一曲が必要。
炭水化物好きでもたまには野菜を挟んだほうが良い、的な?
ただ、中々息する暇もない、かなりのアップテンポで音かずが多い一曲。
以前ハマジャズで急遽この曲をやることになり、必死にElla Fitzgeraldの音源を完コピ。
バンドが初めて歌ったと信じてなく、嬉しくも複雑な(嬉しい)ライブでした。あんなに必死に歌を覚えたのは初めてです。
ヴァイオリンでは速い曲はたくさんありますが、歌はどうしてもバラードが多く、
こういう一曲を待ってました!
クリスマスネタをあちらこちらにアドリブで飾っていく。
さすがJazz出身のTakana。刺激されて、色々湧きでくる、セッション!
ちょうど次の曲のセットチェンジもあるので、ここで会場に降りました。
ワンピ+ヒールが低いと本当に簡単に動き回れる〜
Airmail Specialと並んでYoasobiさんの「アイドル」が同じ部類のもの。癖になる。
続きはPART 2 で!
#サラ・オレイン#sarah àlainn#sarah alainn#サラオレイン#サラ#サラスタイル#violin#ヴァイオリン#sarah styling#multi instrumentalist#マルチプレイヤー#パイプオルガン#pipe organ#carol of the bells#shchedryk#Youtube
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雨瀬さらさんのオーダーメイドのご紹介です。
海のいきものに包まれた、涼しげな水族館ドレスです。
華奢でスラっとした体つきや、ご本人の上品な物腰などからイメージを膨らましてデザインを考えました。
ハイウエストでスカート丈は長め、袖も長めでシンプルなシルエットが綺麗なボディラインを引き立てます。
水色をベースカラーに、軽やかなオーガンジーや花柄のレースなどの生地を組み合わせました。
スカートの裾は前中心は少し短く、後ろ中心に向けてなだらかなカーブを描いて長くしました。動くたびにキラキラふわふわ舞い踊ります。
袖は一部にストレッチレースを差し込み、腕の上げ下げがしやすいようにしました。
前見頃に銀の魚の群れのプリント🐟🐟
右背中〜腰部分に虹色のくらげの刺繍🪼
気持ちよさそうな浮遊感を意識して刺繍しました🌊
雰囲気にぴったりの清涼感あふれるドレスが完成しました。
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P3 Club Book Ken Amada short story scan and transcription.
天田乾子供化計画
「別にいいじゃないですか!順平さんには関係ないでしょ!?」
ここは月光館学園の施設、綾戸台分寮の1階。カウンターの方角から聞こえてきた大きな声に、ラウンジでくつろいでいた面々が、何ごとかと目を向けた。声の主は、月光館学園初等部の天田乾。そのそばでは順平が、にやにやと意地の悪い笑みを見せている。
「いーや、関係あるね。いいか、天田。まだまだ子供のお前が、大人ぶりたい気持ちはよぉーっくわかる。オレだって覚えがある」
「別に大人ぶってるわけじゃ······!」
「まあ、聞けって。子供時代にちゃんと子供であることを十分に楽しめないと、やっぱ人間ってのは歪んじまうんだよ」
「······順平さんみたいにですか?」
「うぐっ、そ、そういうとこがガキらしくねえってんだよっ!」
どうやら、いつも大人びた天田の態度に対し、これまたいつものごとく順平が何かいちゃもんをつけているらし��。
「そもそも、順平さんの方が子供っぽすぎだと僕は思いますけどね。真田さんや美鶴さんの落ち着きを見習うべきなんじゃないかなあ?」
「オレはいいんだよ、オレは。つーかな、オレはホントに心配なんだよ······」
「心配?」
いつになく真面目な口調の順平に、不機嫌そうに顔を背けていた天田も、ようやく聞く気になったのか口調を和らげた。
「······どういうことです?」
「いや、お前さ、いつも学校終わってから寄り道もしないですぐ帰ってくるし、どこか出かけたと思ったらひとりで神社に行ってるていうじゃんか。フツーお前くらいの年だと、やっぱ友達と遊びまわったりとかするもんだろ?さすがに心配になってくるって」
「それは······」
順平の心配には、天田自身にも心当たりがあった。確かに、いまの彼には我を忘れて級友と遊ぶような、心の余裕はない。それは、亡き母に対して誓った、悲願を現実のものにするためのストイックな覚悟ゆえ。しかし、それを順平に教えるわけにはいかない。だから。
「別に、心配してもらわなくても平気です」
天田は、そう言うしかない。だが、それでも順平は諦めなかった。
「いかん。いかんよ、キミ!」
「な、なんですか」
「まったく、大人ぶってるくせに、そういうところはガキっぽいんだからな~」
かちん。
その言葉が、天田の心の中の何かを刺激する。
「······わかりました。別に子供っぽいと言われたからって訳じゃないですよ。それに、子供らしくないって言われたって平気ですし。それこそ、その程度でムキになるほど子供じゃないですから。でも、そこまで順平さんが言うなら、歳相応に見えるようやってみますよ。で、いったい僕は何をやればいいんですか?」
つい勢いで、順平に啖呵を切る天田。ラウンジの方では、ゆかりが「あーゆうとこ十分子供らしいよね?」と小声で言い、風花を始めとした面々もうんうんと肯定するが、そのやり取りは天田と順平のもとまでは届かない。 そして。
「よっし!よく言った!」
順平はそう大声を張り上げ、すっくと席を立つ。その顔には、しめた、といった感じの表情が浮かんでいた。ぞわり、と不吉な予感が、天田の背筋をかけのぼる。
「ちょ、ちょっと待······」
「男に二言は、ねえよなあ?」
「うぐっ」
引き返すには、やや遅すぎた。そして天田の予感は、最悪の形で的中していたのだ。
「で······何なんですか、これは!」
「くっくっく、よく似合うぜ~」
ラウンジの真ん中で、天田はすっかりさらし者になっていた。子供らしさはまず形から。そう主張する順平に言われるまま、天田は服を着替えさせられていた。真っ白なランニングシャツに、ちょっと���くなったデザインの半ズボン、頭には麦藁帽子という、昔懐かしの田舎の子ファッションである。どういうわけか、虫取り網に膝小僧のバンソウコという、オプションまでもがちゃっかり用意されていた。
「いや、実はこないだちょろっと実家に帰ったときにさ、オレが昔着てた服が大量に掘り出されてな。天田に着せたらどうなるかなー、とか思ってたもんで」
「要は······順平さんの暇つぶしなんですね? はぁ······満足ですか?じゃ、脱ぎますね」
それこそ子供らしくない深い溜め息をついて、天田はもとの服に着替えようと踵を返した。だが、その両腕をぐっと引き止める者がいた。
「しつこいですよ、順平さ······って、ゆかりさん?風花さん?え?」
引き止める手の主は、意外な人物。ゆかりと風花のふたりだった。何かをぐっとガマンしているかのような、やや紅潮した顔で、ふたりは声をハモらせて絶叫に近い声を出した。
「かわいいっ!!」
「え?え、えっ?」
予想外のリアクションに、天田はすっかり言葉を失っている。だが、盛り上がった女子ふたりのテンションは、間断なく上がり続ける。
「次、これ!これ着てみて!ちょっとストリート風のやつ!」
「ううん、こっちが似合うよ、ゆかりちゃん!ほらお坊ちゃんって感じのブレザー!」
「いえ、あのおふたりとも、落ち着」
「いやーん、何このピンクのベスト!順平、子供の頃こんなの着てたの?もったいない!天田くんに着てもらわないとっ!」
「ゆかりちゃん、ほら!黒のハイソックス、ハイソックス!これは外せないよっ!」
「わ、わ!勝手に脱がせないでくだ」
「た、岳羽······この袖が長めのハイネックなども捨てがたいと思うのだが······」
いつの間にか、美鶴までもが参加していた。
「まったく······ 女性というものは、幾つになっても着せ替え人形が好きなんだな」
「え······ええっ!?」
よりによって、憧れの真田にお人形さん扱いされ、天田の心に絶望感が押し寄せる。だが、脱力するにはタイミングが悪かった。抵抗が弱まった天田に、女性陣がこれ幸いにと群がって、あれこれと服を合わせ始めたのだ。
さすがに天田の人格を考慮してか、下まで脱がされることはなかったものの、次から次へと服を着せられ脱がされて、天田の心にもういいやという諦めの感情が芽生えかけたそのとき。
「ちょ、ちょっと待っててね」
風花がそう言うと、もの凄い勢いで上階への階段へ向かって走り去った。思考能力が鈍った天田が、ここで危険を察知し得なかったのは、一世一代の不覚だったと言えよう。やがてさほど時間を空けずに戻ってきた風花は、いくつかの紙袋を抱えていた。
「こ、これ!これ着てみてっ!!」
そこでよう���く、鈍りきった天田の頭の歯車がカチリとはまった。
風花は女性→風花が服を持ってきた→持ってる服はおそらく女物→その服を着せられようとしている→自分は立派な男の子☆
神経回路がそれだけの情報を伝達し、最悪の事態を避けるために手足を動かす信号が発されようとしたときは、既に事態は終了していた。
「か、か、かわいいっ!!」
「うわ······めちゃくちゃ似合う······」
「あ、天田······写真を撮ってもいいだろうか?」
ややロリータ風味が入った、薄いブルーのブラウスと、それに色を合わせたフレアスカート。腰の部分には大きなリボンが添えられ、裾や袖などいたるところにフリルがあしらわれた、可愛いとしか形容できないドレスであった。
「ほぉ······」
「うわ、マジかよ?」
「山岸······やるな」
どうやら男性陣にも、かなり受けがいいようだが、それは何ら慰めにはならない。そして、無言でプルプルと震えるばかりの天田に、アイギスのひと言がトドメを刺した。
「大変、お似合いであります」
「うわあああああああああんっ!!」
見事な逃げっぷりだった。残像すら見えるかという勢いで、天田は2階の自室へと逃げ出したのだ。不覚にも、目には涙が浮かんでいた。
「あ······やば」
「ちょっと、調子に乗りすぎたかな?」
天田の慟哭に正気を取り戻したゆかりと風花を始めとして、そこにいる全員がやりすぎたという表情を見合わせるが、それは後の祭りである。たまだ、この事態の元凶である順平ひとりだけが、いまだに腹を抱えて笑っていた。
「ちょっと、順平。そんなに笑っちゃ悪いよ」
「くっくっくっく······。これが笑わずにいられるかっての。あの天田が泣いて逃げ出したんだぜ?いやー、あいつの子供らしいところが見れて、お兄さんちょっと安心したぜ」
「ホント、大人げないヤツ······知らないからね、天田くんに仕返しされても」
「ま、子供の仕返しなんざタカが知れてるから大丈夫だって。むしろ、オレにイタズラ仕掛けるくらいになれば、アイツも歳相応で余計に安心ってことなんじゃねえの?」
「そう······かなあ?」
周囲の心配をよそに、順平はまったく悪びれたそぶりはなく、むしろ善行を施したと信じている様子である。だが、順平は甘く見ていた。母の復響を胸に生きる小学生が、本気になったらどれほど恐ろしいことになるか、彼はまったく知らなかったのである。
「······っんだ、こりゃああああ!?」
翌朝、寮の中に順平の絶叫がこだました。あまりの悲痛な叫びに、すでに朝の準備を終わらせていた寮生たちが、いったい何ごとかと順平の部屋の前に集合する。
「順平?開けるぞ?」
代表してドアを開ける真田。散らかりきった順平の部屋が、彼らの前にあらわになる。そして、そこに皆が見た物は���。
色とりどりのペンで、顔中に落書きをされた順平の情けない姿であった。一瞬にして、全員が昨日の天田の悔しそうな泣き顔を思い出す。
「ぷぷっ!れさっそく仕返しされてんの!」
真っ先にゆかりが噴き出した。
「笑ってんじゃねーよ!これ、洒落になんねえぞ ······アイツ、全部油性で書きやがった」
拭いても拭いても落ちない落書きに、順平は心底弱りきった声を上げる。落書きの内容も、へたれ、根性なし、変質者、禁治産者、 などなど小学生としては高レベルなボキャブラリーを駆使している。トレードマークのアゴひげの部分には、矢印でポイントされた上に「カビ」とか書かれていた。センスもなかなかである。
「くっくっく、子供の仕返しはタカが知れてるんじゃなかったっけ?あんたさ、昨夜ひとりだけ天田くんに謝りに行かなかったでしょ?言わんこっちゃない」
「っくしょ〜!天田!天田はどこだ!」
「もう、 とっくに登校したわよ。あ、そうだ。もういい時間じゃない。アホの順平に構ってるヒマないわ。行こ、風花」
その言葉を合図にしたように、皆はそれぞれ登校するために散っていった。順平ひとりが自室に残り、天田に対する恨み言を呟きながら、ごしごしと必死に顔をこすっている。
「あの野郎······放課後に折檻してやるっ!」
逆恨み風味で、そう宣言する順平であったが、その言葉は実行されることがなかった。そう、本番はそれからだったのだ。
「だ、だいじょぶ順平?何が魂抜けてるよ?」
昼休み---ゆかりの心配そうな言葉どおり、順平はすっかり憔悴しきっていた。朝の騒ぎのあと、天田が仕掛けたさまざまなトラップが、連続で順平に襲い掛かったのだ。
まず、服を着てカバンを持ち上げようとしたら、机に接着剤で固定されていた。寮を出ようと靴を履いたら、靴先にマヨネーズが詰められていた。駅に着いたら、遺失物の掲示板に「パンツ 伊織順平様」と書かれ、道行く女生徒やOLが笑いを噛み殺していた。学校に着いて上靴に履き替えたら、今度はケチャップが詰められており、シャーペンには芯に見せかけた針金がつめられ、消しゴムにはシャーペンの芯が仕込まれ、教科書を開くと中に挟まれたエッチな写真が落ち、体操着はしゃがむと尻が破れるような細工がされていた。トドメについ先ほど、別クラスの顔も知らない女生徒から、「あのさ、こういうキモイ手紙やめてくれる?マジ迷惑なんだけど」と、 まったく出した覚えのなラブレターに関して、クラスメイトの目の前でなじられ、ついに順平は根を上げた。
「もう······オレ駄目······死にてえ」
ちょっとだけ、その子がチドリに似ていたのも、順平の落ち込みに拍車をかけていた。と、そのときだった。
「あの······伊織先輩、いますか?」
教室前方の入り口から、仕掛け人の天田本人が姿を現わしたのだ。
「あ、天田!てめえっ······!」
と順平が立ち上がろうとしたとき、 先手を打って天田がこう言ったのだ。
「い、伊織先輩······ご、ごめんなさい!」
「へ?」
「お、怒らないでくださいっ!ちゃ、ちゃんとパン買ってきました······から······ぐすっ」
「え?え?」
うっすら涙を浮かべる天田。予想外の事態に焦ある順平に、周囲からの視線が突き刺さる。
「え?もしかしてイジメ?」「うそっ、あんな小さい子を?」「伊織くんサイッテー」
どう見ても、 順平が悪人にしか見えない。慌てる順平は、急いで天田のもとに駆け寄り、小声でささやいた。
「わかった!オレが悪かった!もう勘弁してくれ!明日から学校来れねえよぉ······」
折檻してやると言った勢いはどこへやら、情けなく順平は許しを請う。それを見た天田は。
「僕······すごく傷つきました」
「う。わ、わかってるよ。マジ悪かったよ」
「······欲しいゲームソフトがあるんですよ」
「なっ!?てめ、こら、ゆする気かよ!」
「ごめんなさいー!ぶたないでー!」
「わ、こら、やめ、ちょっと、わかったよ!」
すっかり天田に翻弄される順平。
「くっそう······めちゃくちゃマジになりやがって······大人げねえぞ!······あ」
その順平の失言に、してやったりといった表情を浮かべて、天田はにこやかに言った。
「僕、 子供ですから」
その笑顔は、まさしく子供らしく、それゆえにけっこう恐ろしいものであった。
結論---天田は怒らせないほうがいい。
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#the great escaflowne queue of 2023#van x hitomi#hitomi kanzaki#van fanel#escaflowne#the vision of Escaflowne#tenkuu no escaflowne
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【こんな時代だぜ】No.161【俺達は止められない】
答え合わせ推しの副流煙で無事過呼吸になったところへ激オモロ本誌展開を浴び こうしちゃいられねぇッッ!!となった次第です。ギュッと圧縮していますが本当に今週面白すぎたので。まだ本誌を読んでいない方は一刻も早く読もうな。
「お前ら帰ってきたばっかでよく食えんな」
ニコ、ジナショの食いっぷりに若さかと言うけれど結局何歳なんですかね。イチコよりちょっと歳上?答え合わせ会話の雰囲気だとクリードの方が更に歳上っぽいけれどそこまで離れてなさそう。20代後半〜30代前半…?しかしそんなクリード=デッカードの前の皿はちゃっかり空です いっぱい食べる推しが好き 食事の痕跡があるだけで満面の笑みになってしまうな……
ファン警戒態勢でも飯は食う出雲風子めちゃくちゃ行儀悪くて笑っちゃった。訝しげなクリード隊長しか得られない栄養素も補給。ありがとうございます。そして今回はしっかりネクタイ締めてる…また好きになっちゃうじゃん……もうダメ(手遅れ)
フィルママやっぱり美人だしフィル君ご飯食べられるの本当に良"か"っ"た"ね"ぇ"ッ"!!となるんだけれどショーン=ダッツの笑顔がUNSEENなのほんともうお前 いいヤツだなお前ほんと…“身を隠したい”ってのが切ないな……ようこそUNIONへは喜ばしい限りなんですけれども。
UMAみたいなもんことファン=クーロンが“20年以上も自分を待っているかもしれない”と思える出雲風子も結構ポジティブ(?)ですよね。普通は20年も姿を現さない相手を想い続けられないよ。
「誰?」
横顔とか身体のシルエットは女子だな…え?チャイナガール??シェンより先にムイちゃん来ちゃうの??
「お手並み 拝見」
ラーヌンッッッ バトルの中で使われちゃったから最後に受け止めて食うみたいなアレは見られなかったですがこういう展開大好きです。もっとやって。風子の新技良いな…となりつつ食うのをやめないジナショの肝が座りすぎ問題。宇宙を経験した10代はちげーな…
「お見逸れしました!!」
「あなたのお力でどうかお助けください!!」
「ファンに土をつけたあなたにしか頼めない!!」
「私ではもう止められないんです!!」
ファンが“出雲風子に負けた”という話を周囲にしているかもしれないという驚愕の事実
「ある武道大会に出て頂きたい…!」
「そこでファンを倒し止めて下さい!!」
「そして兄を…」
アッッッッッ
「シェンお兄ちゃんを 助けてあげて!!」
メイちゃん!!!!!!!!!!
生"き"て"る"ッッ"!!!!!!!!!!!
メイちゃんが生きて…大きくなっている……ループ後のこう…切なさと嬉しさの狭間……メイちゃんの死がシェンを修羅に変え、UNIONに導き、ムイちゃんと出会う、そういうシナリオでは少なくとも無い、ということ……ってことは何?シェンはもう純粋に“天下無双”を目指して師匠とタイマンしようとしているの?ハッ…兄弟子……ロウは!!?ロウは生きていますか!!?!?ロウメイはワンチャンありますか!!?!?!(ドサクサオブ・ザ・イヤー)
[天擂祭][予選当日]
テンポが鬼!!!!!!!
『全世界の“真”武闘ファンの皆様!!お待たせ致しました!!これより…』
『この世界で最強の武闘家を決める』
『天擂祭を開始致します!!』
ウ"オオオオオォーーーッッッッッッッッ!!!!!!!!!!殺せーッッッッ!!!!!!!!(治安の悪い客)
この頁、初見テンション上がり過ぎて見逃していたんですがちゃんとマント羽織ったUNIONメンバーがいるんだよな最高かよ
『武の頂点!!』
『東西南北…いや 天上天下不敗の男!!』
『ファン=クーロンに挑むのか!!』
「くだらん」
「いまここで」
「全員のしてもいいのだぞ」
も〜!!!!?!?何!!!!?一挙一動が今一番面白い男ォ!!!!!!!!
[つまらん]
[オレが求めるのはただ一人]
それもう恋じゃない???????????
『始めッ』風破連勁!!
太ってる&だらしない煽りでブチ切れマッハの春麗風子最高かよ〜〜〜!!?!!!?ファンの表情 初恋の相手が突然目の前に現れたんか?わかるよ 座ってる場合じゃねえわコレ
『いや…ここだけじゃありません!』
『各ブロックで無双している猛者がいる!!』
ビリー
流派:近 接 戦 闘 ( C Q C )
まままままっっっ ビリー様まっ CQC ハァッア…CQC……確かにブロージャでもしれっと対人やってたけどやっぱりできるんか スネークみたいな動きできるんか すき うっかり高所恐怖症盲目おじさん すき 頑なに上着に袖は通さない!!もうここまでくると大したもんだよ 雲雀恭弥かビリー様ぐらいのもんだよ トンファー使う???
ボイド
流派:ボ ク シ ン グ
上脱いでるけどチャイナ=ボルクスありがとうございます 本当に 笑顔でファンサを忘れないボイド=ボルクス元選手 一生好き 貴方のリングは地球だよ!!!!!!!
友才
流派:月 光 流 抜 刀 術
ヒイィーッ!!!!!余裕の飲酒!!!!!!!抱いて……………………全世界抱いてる貫禄 どんな衣装もよく似合う見目麗しき友才様 刀の錆にして ヌンチャクとか使ってるやついるから抜かなきゃ刀もオッケーということ?この人風圧で木を圧し折るけど大丈夫??
風子
流派:真 八 極
「来たか…出雲風子!!」
「やりすぎちゃった」
可愛い顔して何言ってんの!!?許す
ファン=クーロン大歓喜ってレベルじゃねーぞこれ嬉しくて気絶するんじゃない??しかも別の猛者も来てくれたじゃんこれはもう選り取り見取りでヨダレが止まらない案件だろ 武闘派4名揃い踏みの天擂祭編楽しくない訳がない 俺がスポンサーになる!!!!!!!!!!!
他UNIONメンバーも観戦でチャイナファッション宜しくお願いしまあああああぁすッ!!!!!!!!ジーナちゃんは白チャイナが絶対に絶対に合うからね 賭けても良い イチコさんはスリット深めのドレスをくださ…テラーは隊長応援法被着なきゃいけないからソレどころじゃない??クリード=デッカードは袖が破れました
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Crochet Flower Earrings 🌸
thrift storeにて新品で買えた30番のレース糸でお花編んでピアスにしてみました。チェーンやパールやスワロや金具は家にあったものを利用。手持ちの丸カンが全然チェーンの中に入らないのでチェーンを丸カンに入れることは諦めて、左右にぶら下げるようなデザインにしました。手持ちのTピンはちゃんと入るんだけどもね。なんでなんや…
花の部分を葉っぱに変えて、赤い丸いあみぐるみをぶら下げてサクランボみたいにしても春っぽくて可愛いなと思いました🍒とりあえず刺繍糸でやってみよかな。花を編むよりも葉っぱ編むほうがずっと楽かも。
ᙏ̤̫͚
今結婚式につけるアクセサリーをどうしようかと思ってて。
↑このANNA SUIのネオクイーンセレニティのピアスを使いたくて、それに合うネックレスを考えてるんだけども、この公式のチョーカーを参考に、自分でレース編みしてチョーカー作ってみようかと考え中。チョーカーから幾連かのパールを垂らすようなデザインにしたい。バングルとミックスしたようなデザインがいいかなーとか考え中。
あとヴィンテージなレースのグローブを編むことも考え中。
1916年のバッグかわいい♡前に作った自作のウェディングドレスが薔薇の飾りがたくさんでこのバッグに少し雰囲気似てるので、こういうヴィンテージな感じで統一もいいかなーと思っています。
この動画よりスクショしました。これに出てくる全部のバッグが可愛いんだが♡
youtube
ウェディングドレスはこのうさぎちゃんのドレスを真似て作ったんだけども、このイラストよりもっと生成り寄りの色味なのでヴィンテージな雰囲気の小物が合いそう。このうさぎちゃんもグローブしてるので、私はヴィンテージライクなレースのグローブつけようかな。リボンもレース編みして。
こうやって全戦士のウェディングドレス姿見ると、みんな個性的ですごいよなあ。私はウラヌスのドレスも結構好き。ヨーロッパの王族が着てそうなアンティークっぽいデザイン。そもそも長袖のドレスって珍しいよね。ていうか袖があるのとかすら珍しいかも。今はベアトップのドレスが主流っぽいもんね。
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初雪の頃【11】
初めての想い
年の瀬になると、『綾子』もあわただしくなってきた。 三十日まで仕事で、来年三日からまた仕事だ。美希さんとお客さんへのクリスマスプレゼントを買いにいったり、ママの口利きでクリスマスイヴの同伴の予約もひとつ入ったり──本当はクリスマス当日も同伴しろと言われたのだけど。 辞めたいなんて言うヒマもなく、毎日がダムの決壊みたいに流れていった。 クリスマスに着るドレスは、自分で探しておかなくてはならない。来年も必要か分からないのに、高いお金を出して買っておこうとは思えなかった。その頃、ちょうど心斎橋で貸衣装屋をやっている人とメル友になって、オフも兼ねてその人のお店に行くことにした。 そのメル友は女の人だそうだけど、空のことがある私は、ひとりで会いにいくのが怖かった。 そんな頃、ちょうどショウさんに仕事前のお茶に誘われて、ついてきてくれないかそろそろと打診してみた。すると快諾してくれて、私とショウさんはその週末にドレスを選びにいって、そのあとカフェに入った。
「ちゃんとした女の人でよかったな」
喫煙席で相変わらず煙草を吸うショウさんは、正面に腰かけてそういった。私はこくんとして、ウェイトレスにミルクティーを注文する。
「メールで知り合った奴に会うなんて、俺には信じられんわ。別に否定はせんけど。ちゃんと気をつけて会うんやで」 「そ、ですね……」
思いっきり処女を食われたのですが。 ちなみに空とは、あのあともたまにメールや電話をしている。でも、口実をつけてすぐ打ち切ってしまう。潜伏期間があったように、よく知りもしない男に抱かれたのが最近になって気持ち悪かった。
「またメールで会おうとか言われたら、俺に言いや。ついてったるから」 「え、いいんですか」 「変な男が相手やったらどうすんねん。危ないやろ」
私、ショウさんの想像の上をいってるんですけど。 気まずく砂糖とポーションを紅茶に投げこみ、かきまぜていると、ブラックコーヒーをすするショウさんは首をかたむける。
「何かあったん」 「えっ」 「まさか、もう変な男につかまったとか──」
う、と返しにつまり、ごまかしにミルクティーを飲む。 どうしよう。もし、あのことを、ショウさんに話したら。 軽蔑される、かな……。 そう思ったとき、ショウさんの猜疑と不安の混ざった視線に、私は引き攣った笑みをこぼしていた。
「さつきちゃん──」 「……もう、違うんです」 「違うって」 「私、もう──されちゃったから」
ショウさんの視線の雑音が止まる。私は熱いカップから手を引き、テーブルの下で汗を握った。周囲のざわめきが、沈黙をかきたてる。 ショウさんは煙草を灰皿にすりつぶし、一瞬、その匂いが強く立ちのぼった。
「された……って、無理やり?」
恐る恐る、ショウさんに顔をあげる。ショウさんはじっと瞳で瞳を射抜いてくる。私は一度ゆっくりまばたきをすると、息を吐いた。
「……分かんない、です。何というか──」
観念した私は、たどたどしく空のことをショウさんに話した。あまり相槌もなく私の話を聞いているうちに、ショウさんの表情は険しさを帯びてくる。 嫌われたかな。そう思いながら話し終えると、ショウさんは苦々しくつぶやいた。
「何や、そいつ。殴ってやりたい」
予想外の言葉に、目を上げる。すると視線が触れあい、ショウさんはふわりと私の頭を撫で、痛く微笑むと「つらかったな」と言った。
「つらい、というか──」 「つらいやろ。好きでもない奴にそんなことされて。だからこんなこともするんやろ?」
ショウさんは手を伸ばし、私の左腕を静かにつかんだ。思わずびくりと硬直し、目線を長袖の腕に移す。
「さっきの店で、こだわってたから。腕は隠せるドレスがいいって」
ショウさんを見つめ直す。ショウさんは私の手首を引っ張り、テーブルに載せると、少しだけ袖をめくった。 もちろんそこには──
「俺、あかんねんな」 「え……」 「こういう傷痕。見ると、自分も痛いねん」 「自分も……」 「何か、神経が反応すんねん。見ただけで、その傷が自分にもついたみたいに」 「………」 「痛いなー……」
噛みしめるように言ったショウさんの指先が、私の傷跡を優しくなぞる。 ショウさんも、痛い。私が切ると、ショウさんも──
「あかんで、こんなこと」
誰にそう言われても、素直にうなずけなかった。何が分かるの。私が自傷にどれだけ救われてると思ってるの。だけど、ショウさんに言われると、知らないうちにこくんとしていた。 ショウさんは袖を戻すと、もう一度私の頭をくしゃっとして、新しい煙草に火をつけた。私は左手首を引き戻し、きゅっと歯を噛んだ。 どうしよう。 突き刺さるように心臓が疼いた。粉雪のような初めての感情が、さらさらと心に降りつもっていく。 どうしよう。私、好きだ。この人のこと、好きだ。すごく、好きだ。どうしよう── その日は、終電ぎりぎりまでショウさんと過ごした。ショウさんは早く帰ったほうがいいと言ったけれど、じゃあショウさんだけ帰っていいからひとりで適当にぶらつくとか言うと、結局つきあってミナミの人混みを一緒に歩いてくれた。 手もつながなかったけど、確かにショウさんは私のそばにいて、それがすごく幸せだった。
【前話へ/次話へ】
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イリュージョンワークショップ
[Part.1 仁衣那さん] 1. ちょっと挨拶に寄っだけのはずなのに、夕食とビールをご馳走になってオヤジとオフクロはすっかり盛り上がってしまった。 出水さんとうちのオヤジは従兄弟同士、出水さんの奥さんとオフクロは中学高校の同級生。 直接会うのは10年ぶりというから話に花が咲く。 昔好きだった歌手の話題になって、やがて昭和ポップスのカラオケ大会になってしまった。 この家、こんなにデカいカラオケ機があるのか。 カラオケルームの装置より大きいぞ。
オヤジが拳を突き上げて熱唱している。 隣でおばさん二人がダンスの練習を始めた。ピンクレディーって誰? 僕はじっと座っているだけだった。 いつまでこんなのに付き合わされるのだろうか。
「終わりそうにないわねぇ。・・わたしの部屋に来る? 将司くん」 隣にいたお姉さんが声をかけてくれた。 助かった。 僕はお姉さんに連れられてカラオケ会場と化した客間から逃げ出した。
2. 僕は畑本将司(はたもとまさし)、18歳の高校3年生。 お姉さんは出水仁衣那(でみずにいな)さん。年齢は教えてもらってない。 親同士が従兄弟だから、僕から見て仁衣那さんは再従姉妹(はとこ)にあたる人だ。
「わたしのこと覚えてる?」 「いえ、全然」 「わたしは覚えてるよ。10年前の将司くん」 そう言われても困る。 ひい爺さんの三回忌だか七回忌だかで親戚が集まったとき、8歳だった僕もそこにいたらしい。 「可愛いかったなー。それがこんなイケメンになるんだから」 「仁衣那さん、そのときいくつだったんですか?」 「内緒。それ言ったら今の歳が分っちゃうでしょー?」
話しながら階段を上がって2階の仁衣那さんの部屋に来た。 淡い色のカーテンとベッドカバー。ドレッサーっていうんだっけ化粧のための台。 床に籐のカゴがあって中に猫のぬいぐるみが寝ている。 女の人の部屋ってこういう感じなんだな。
「女の部屋が珍しい?」「まあ一人っ子なもので」 「彼女くらいいるでしょ? その子の部屋とか知らないの?」 残念ながら、たった一人だけ付き合った女の子とは部屋に入れてもらえる関係になる前に別れました。 「あらごめんなさい。わたしつい余計なこと言っちゃうのよねぇ」 「いえ、大丈夫です」 「そう? ・・えっと、将司くんは高校2年だっけ」「3年生です」 「そっか。なら進学?」「一応そのつもりです」 「行きたい大学は決まってるの?」「第一志望はJ大ですけど」 「あら、わたしJ大卒だよ」 「そうなんですか」 「そうそう! 自由でいい大学だよっ」 「・・」 「自由過ぎて放ったらかしというか」 「・・」 「将司くん?」
僕は机の上に飾られているペーパークラフトを見ていた。 丸い台座からまっすぐ立った棒とその上に女性の人形が浮かんでいた。 その人形の顔はどことなく仁衣那さんに似ていた。 水着みたいな服。片肘をついて横になったポーズ。やや頭を下にして全体が傾いた構図。 これ、イリュージョンじゃないか。
「あ、それ?」 仁衣那さんは手を伸ばして人形の足を指で押し下げた。 指を離すとそれは棒の上でゆらゆら揺れた。 [動画] 「よくできてるでしょ? これはブルームサスペンション・・って言っても分からないか」 「イリュージョンですよね。こんな風に棒一本で浮くっていう」 「知ってるんだ。将司くん」 「はい。ちなみにブルームは英語でホウキって意味だけど、ホウキを使ってなくてもこんな形だとブルームサスって呼ぶんですね」 「よく知ってるねぇ。ホウキのことなのかぁ。知らなかったよー」
僕は小さい頃からイリュージョンマジックに興味があった。 人体切断や空中浮揚などテレビやネットで見てはタ��を調べたりしていた。
「わたし、イリュージョンやってるんだよ。アマチュアだけどね」 「え、仁衣那さんが?」 「うん。このお人形はね、大学で同好会にいたときのわたしなの。ステージ見た人が作ってくれたんだ」 これは驚いた。親戚にイリュージョンをやる人がいたなんて。 しかもこの人形。この人形は。 「仁衣那さん、あの」 「はい?」 「こんなエロ、いやセクシーな恰好でイリュージョンやったんですか」 仁衣那さんは一瞬呆れた顔をしてから笑った。 「男の子ねぇ。・・確かにこのハイレグに生足だもの。エロいに同意するわ!」
僕は仁衣那さんを見る。ごく普通にTシャツとジーンズの仁衣那さん。 この人がへそ出しのハイレグで生足で。 「そんな目で女の子を見たら嫌われるぞ、少年」 「そこで少年呼びはやめて下さい」 「このときの録画があるけど、見たい?」 「見たいです」 「素直でよろしい」
・・
仁衣那さんのタブレットでブルームサスの動画を見せてもらった。 あのエロいコスチュームで登場した仁衣那さん。 たった一本のサーベルに支えられて空中浮揚。ハイヒールの足が斜め上に向いてすらりと伸びる。 これ、サーベルの先端を受ける仕掛けがあるんだよな。
「こんなこと聞いて答えてもらえるか分からないですけど」 「いいわよ。年齢以外なら何でも教えてあげる」 「太りました?」「うるさい」 「じゃあ別の質問」「めげないのね」 「このイリュージョン、腰から下が大変じゃないですか?」 「あら、分かるの!?」
映像を見る限り仁衣那さんの身体は上半身でホールドされている。腰から下には何もない。 だから仁衣那さんは自力で下半身のポーズを維持している、と思う。 筋肉に力を込めて、まるで体操の選手みたいに。 僕の質問が通じたんだろう。仁衣那さんはにやっと笑ってくれた。
「さすがだね、少年!」 「だから少年は止めて欲しいと」 「イリュージョンはね、アシスタントの汗と涙で成立するんだよ!」 「大雑把な答えですね」 「あっははは」 豪快に笑われた。仕方ないので僕も笑う。
「そうだ! 再来週の土曜日だけど、ヒマしてない?」 「何ですか?」 「イリュージョン同好会の公演があるの。わたしは用事があって行けないけど、将司くん見に来ない?」 行きたい。 でも、知らない大学生の集まりに一人で行くのはちょっと。
「誰でも大歓迎のイベントだから心配ないわ。それに来年は将司くんも入会するでしょ? 今から顔売っといて悪いことないと思うけどなー」 「僕は同好会に入るとは決めてません。だいいちJ大に通るかどうかも分からないっていうか」 「大丈夫大丈夫! きっとうまく行くよ」 「んな気楽に」 「公演会、きっとエロいコスチュームの美女が登場するよ」 「え」 「我がJ大イリュージョン同好会の伝統だからね、女子のコスがセクシーなのは」 「行きます」 「よし! チケット代はわたしが出すから安心して」 「お金取るんですか」 「イリュージョンはお金がかかるからねー。ここはOBとして協力してあげたいのよ」 「何枚買わされてるんですか?」 「え?」 「何枚買わされてるんですか? チケット」 「・・10枚」 「そ、れ、は、た、い、へ、ん、だー」 「もちょっと気持ちを込めて同情してよぉ~」
[Part.2 J大イリュージョン同好会公演] 3. イリュージョン同好会公演の会場は小さなライブハウスだった。 入口で紙切れを渡された。 そこには QR コードが一つあるだけで出演者もプログラムも書かれていなかった。 試しにスマホで QR コードを読んでアクセスしてみると、ただ真っ黒な画面が写るだけだった。
フロア前方の椅子席に座る。 フロアの後ろ半分は椅子のない広場になっていて、そこに揃いの黄色いハッピを纏いメガホンやうちわを持った兄ちゃんたちが群れていた。 うちわには蛍光色の派手な丸ゴシックで『知里』とか『琳琳』とかの字が見える。まるでアイドルの応援グッズだ。
ステージは少しだけ高くなっていて、袖とバックに黒幕が掛かっている。 客席とステージを仕切る幕(緞帳)はないから、開始前からステージの様子が分った。 今、ステージには一人掛けの黒い椅子が置かれている。その隣には大きな造花の植栽。 あの椅子は知ってるぞ。美女の出現椅子だ。 ということはあの中にはもう。
○ 公演会オープニング やがて会場が暗くなり、スポットライトがステージの椅子を照らし出した。 椅子に黒布が掛けられる。ほとんど同時に水色のドレスの美女が登場した。 足を組んで座り、髪をかきあげて微笑む。 ちーりちゃーん! 後ろの方で野太い声が湧き起こった。
続いて、隣の植栽に黒布が掛けられた。 プランターの中に別の美女が立ち上がる。 彼女はピンクのフリルドレス。その場で両手を広げて回って見せた。 りんりーんちゃーん! 再び声援。 お前ら、さっきからちょっと五月蠅い。
それにしても二人とも速かったな。 あの布の下に出現すると判っていても、ほんの一瞬で移動するのは驚きだった。 この後のイリュージョンも期待していいんじゃないか。
ステージにイリュージョン同好会のメンバーが並んで挨拶した。 全部で5人。少ないな。 男性メンバーは3名。全員グレーのスーツ姿。 女性は2名。 「朝比奈知里(あさひなちり)です! 3年で会長です!」 「岩淵琳琳(いわぶちりんりん)、1年生です!」 知里さんは青いドレス。切れ長の目でちょっと知的な美人という感じ。 琳琳さんはピンクのドレス。大きな瞳をしていて可愛い美少女という感じ。 どっちも魅力的だ。 来年こ��人たちと一緒に活動できるのなら、ちょっとは受験勉強も頑張ろうという気になるね。
続いて男性メンバーも自己紹介をしたらしいけど、知里さんと琳琳さんを見ていて耳に入らなかった。 まあ男の名前はどうでもいいわな。 それよりイリュージョンをしっかり見ないと。 できればタネも見破りたい。
男3人は袖に引っ込み、ステージには女性だけが残った。 美女2人で演じるイリュージョン!? 知里さんがマイクを持って深呼吸し、そして叫んだ。 「お待たせしましたーっ。歌いまーっす!!」 うぉお~~!! 待ってましたぁ~っ!!! 怒涛のような歓声が起こる。 え? 何? 「♪あ・な・た~のアイドぉルぅ、サインはビビビ!!」 二人は踊りながら歌い出した。
うりゃおい!うりゃおい! うりゃおい!うりゃおい! ちーりちゃーんっ!! りんりーんっ!! 耳を覆いたくなる音量の音楽と声援。 一斉にコールをかけながら踊る兄ちゃんたち。 椅子席の観客も飛び跳ねながら手拍子。 イリュージョン、しないの?
・・
それから知里さんと琳琳さんは3曲歌い、会場はむちゃくちゃ盛り上がった。 2曲目の途中で衣装の早変わりがあった。 二人は衝立(ついたて)の陰でショートパンツに変身した。 「おおっ」と思ったけど、他にイリュージョンっぽいことは何もなかった。
「10分間休憩でーす!! 握手とチェキタイムは後半の終了後になりまーす!」 チェキまで撮るんかい。
休憩時間中、僕は椅子に座ったまま憮然としていた。 僕は何を見にきたんだろう? ねえ、仁衣那さん。全然エロくないっすよー。 おっと違う違う。 エロは目的じゃなかった、イリュージョンを見に来たんだ。 まあエロいのも期待してるんだけど。
4. 後半の部。
○ マジカルマミーの人体交換 男性メンバーが二人、細長い白布を持って登場した。 二人は左右に分かれて立ち、間に細長い布を掲げて見せた。 それは高さ2メートル、横4メートルほどもある白布で、まるでステージに白い壁ができたように見えた。
右側の男性がくるくる回りながら左に進んだ。自分の身体に布を巻き付けてミイラのようになってゆく。 4メートル分すべて巻き終えて止まると、左にいた男性がその頭と肩の部分を押さえて中身が人間であることを示した。 するとミイラが逆に回って今度は布を解いてゆく。 すべて解き終えて右側に現れたのは男性ではなく知里さんだった。 ハイレグの青いレオタード。兎の耳はないけど付いてたらバニーガール。ハイレグの下は網タイツにハイヒール。 右手で白布を掲げたまま、身をくねらせて微笑みながらウインクしてくれた。 え~!? ちりちゃーん!! 応援団の声援も驚き混じりだ。
続いて左側の男性がくるくる回って布を巻きつけミイラになった。 知里さんがその頭と肩を押さえて中身の人型を示す。 ミイラは逆向きに回転して布を解き、そして琳琳さんが登場した。 知里さんと同じデザインの赤いレオタード。胸の谷間もくっきり。 うわぁ~っ。りんりーん!!
知里さんと琳琳さんは互いの肩と太ももに手を当ててポーズ。 僕は思い切り拍手した。 これだこれ。見たかったのは。 お二人とも文句なしにエロいです。
・・
その後はイリュージョンが続いた。
○ 逆さヒンズーバスケット キャスター付きの台に載って登場したのは台形の籠。ヒンズーバスケットだった。 目隠しの黒布を手前にかざし、その間にハイヒールを脱いだ琳琳さんがバスケットの中に隠れた。 黒布を外すとバスケットの口から琳琳さんが手だけ出して振っている。 これで蓋を乗せるのかと思ったら、細かい��泡スチロールのボールが注ぎ込まれた。 大きなビニールの袋で1杯、2杯。 あーあ、琳琳さん、すっかり埋もれちゃったな。 琳琳さんの手が発泡スチロールの中に引っ込んで、その上に蓋が被せられた。
知里さんが長い棒を振りかざした。 棒の先端を蓋の小穴に刺し、バスケット側面の穴まで斜めに突き通す。 さらに次の棒を刺す。全部で6本。 何箇所かバスケットの穴から白いボールが押し出されてこぼれる。 最後の棒を垂直に刺した。その先端がバスケットの底から突き出るのが見えた。
ヒンズーバスケットはとてもメジャーなイリュージョンだし、仕掛けも簡単だ。 でも発泡スチロールボールでバスケットの中を埋めてしまうとは。 あそこにいる琳琳さんは視界が遮られてやりにくいだろうし、それに閉塞感が増して心理的にも大変だろう。 "イリュージョンはね、アシスタントの汗と涙で成立するんだよ!" 仁衣那さんの言葉が蘇った。 本当だ。頑張っている琳琳さんを想像して少しドキドキした。
全部の棒が引き抜かれ、上面の蓋も外された。 せーの、ほいっ。 男性メンバーが3人がかりでバスケットを持ち上げた。 え? 何するの? 腰の高さまで持ち上げたバスケットを上下逆に向けた。 発泡スチロールのボールがざぁっとこぼれる。 知里さんが下から手を入れて奥の方のボールをかき出した。 さらに4人でバスケットを揺さぶる。逆さに持ったバスケットを何度もぶんぶん揺さぶった。
これはマジで驚いた。 こんなヒンズーバスケットは見たことがない。琳琳さんはどこに消えたのか。 会場もざわついている。
やがてバスケットは元の向きで床に置かれた。 目隠しの布をかざす。バスケットの中から琳琳さんが立ち上がった。 発泡スチロールのボールが纏わりついている。払い落とそうとするけど静電気でくっついたボールは簡単に落ちない。 諦めて琳琳さんはにっこり笑い、皆で並んでお辞儀をした。
・・
○手首ギロチンと切断手首 男性メンバーが床に散乱したボールを掃除機で吸い取っている。 その前で知里さんがマイクを持った。 「次は会場のお客様にお手伝いお願いしましょう」 はいはーい! おれオレ!! 一斉に手を上げる兄ちゃんたちを制して言った。 「ごめんなさい。ここはやっぱり女の子で♥」 えーっ? 仕方ないなー。 知里さんは何人か手を上げた女性の中から一人を指差した。 「はい、あなた。どうぞこちらへ!」 琳琳さんが走って行ってその女性の手を取り、ステージの上に連れてきた。
客席から上がって来たのは元気な感じの子だった。高校生ぽく見える。 薄いピンクのシャツと白いハーフパンツ。シャツと合わせたピンクのネイル。 「お名前は?」 「玻名城(はなしろ)れいらですっ」 「れいらちゃん。今日は生贄になってもらいます」 「はい?」 「この椅子に座って下さいねー」
ステージに小さなギロチン台が登場する。 このサイズは首じゃなくて手首だな。 手首と野菜を同時に切断する、そしたら野菜だけ切れて落ちるってやつだろう。 知里さんは女の子の右手首をギロチンにはめ、外れ止めのフックをかけた。
「準備完了!」 「え? え? えーっ?」 「うふふ。何度やっても楽しいわ。処刑のしゅ・ん・か・ん!」 芝居がかった台詞を言う知里さん。 白いパラソルを持った男性メンバーが二人出て来た。 両側に分かれて屈むと、持って来たパラソルをギロチンに向けて開いた。 知里さんはギロチンの向こう側。 女の子は不安そうな顔をしている。
「ではさっそく♥」 知里さんがギロチン台の紐を引いた。 かちゃん! ギロチンの刃が落ちて手首が床に転がった。 パラソルに赤い飛沫が飛んだ。 「きゃぁ!!」 短い悲鳴を上げて女の子は動かなくなった。 その頭に麻の袋が被せられる。
ええーっ。本当に切ったの? 近くで女性の声がした。 まさか。本当に切る訳ないさ。演出だよ。 僕は密やかに笑った。
男性メンバーがテーブルを押して出てきた。 テーブルといってもそれほど大きくない。花瓶を一つ飾るのにちょうどくらいのサイズ。 テーブルには床まで届くテーブルクロスが掛けられている。 ギロチンから少し離れたところに停めた。テーブルクロスが外される。 テーブルの下は細い脚が4本あるだけで何もない空間だった。
知里さんは床に落ちた手首を拾い上げ、それをテーブルの上に置いた。 手首は切断面が流血して赤くなっている。そこへ白いレースのフリンジ(ふさ飾り)を巻き留め紐で縛った。 手首を覆うようにガラスの箱を置いた。 一辺 30 センチくらいの立方体のガラス箱だった。
透明なキューブの中に安置された女性の手首。 まるで美術館のオブジェだ。近くで見たい。 そう思っていたら、すかさずアナウンスが入った。 「お手元のスマホで QR コードにアクセスして下さい」
わ、見えた! 周囲で声が上がる。 僕もあの紙切れの QR コードを読み込んだ。 スマホの画面に手首のアップが映し出された。 男性の一人がスマホを持ってガラス越しに撮影しているのだった。
それは正に女性の手首だった。 このリアルさはマネキンなんかじゃ無理と思った。 カメラがゆっくり移動する。 ピンクのネイルがはっきり見えた。 切断箇所は白いレースで覆われているのが分かる。 僕は無意識に二本指でピンチアウトして映像を拡大した。 レースの表面にうっすら血が滲んでいた。 全然グロテスクじゃない。むしろ綺麗だと思える。
たぶん会場の全員が自分のスマホを見ていただろう。 きゃっ!! うぉ!? 一斉に悲鳴が上がった。 画面に映る指がぴくりと動いたのだった。 人差し指から中指、薬指と小指から親指まで順に動き出した。 やがて五本の指がテーブルを掻くように動き、それに引きずられて手首全体がわずかに移動した。 何だよこれ!! やだやだぁ~!! 僕はスマホから顔を上げて直接ステージを見た。もしかしたら映像フェイクかもと思ったのだ。 でも客席から遠目に見ても、ガラス箱の中で手首がゆっくり動いているのが分った。
すごい演出だと思った。 プロのイリュージョンでも見たことないぞ。 僕は口をぽかんと開けたまま、スマホの画面とステージを交互に見るのだった。
やがて手首は動きを止め、知里さんはその手首をガラス箱から持ち上げた。 ぐったり動かない女の子の腕に手首を押し付ける。 ギロチン台の拘束を解放し首に被せた麻袋を外すと、女の子は笑顔で立ち上がった。 手首が繋がって元通りになった腕にはレースのフリンジが巻いたままになっていた。
・・
ステージは次の演目のために模様替えされる。 「次が最後のイリュージョンです!」
○ ドラム缶脱出 男性メンバーが3人でドラム缶を担いできた。重そうだ。 直径 80 センチくらい。長さ 120 センチくらい。 ステージの床に立てて置き、梯子付きの台を押してきてドラム缶の後ろに据えた。 客席から見えるようにドラム缶を前に傾けて中に何もないことを示した。
知里さんがハイヒールを脱いで梯子を登った。 ドラム缶の中に降り立って手を振る。客席からは知里さんの胸から上だけが見えている。 男性メンバーが金属の円盤を持って来た。 それはドラム缶の断面に合わせた蓋で、手首が通る丸い穴が二つ開いていた。 上から蓋を被せると、知里さんの姿はドラム缶の中に屈むようにして消えた。 軽くノックをすると蓋の穴から右手と左手が差し出された。その手に手錠が掛けられる。 蓋の周囲にバンドを掛け、外れないよう周囲に南京錠を6個掛けた。 これで完成。梯子が外された。
ステージが暗くなる。 スポットライトの中にドラム缶だけが浮かび上がって見えた。 ドラム缶の上面には手錠を掛けた手が生えていて、交互にグーとパーの形を作っている。 男性メンバーがドラム缶の手前に黒幕を掲げた。 ドラム缶の本体は隠されたものの、知里さんの手は幕の上に見えていた。 仰々しいドラムロール。 知里さんの手がすっと下がって見えなくなった。すかさず黒幕が外される。 おおーっ。 ドラム缶の前に知里さんが立っていた。
ステージが明るくなった。 ドラム缶の蓋を取り外すと中から女性が立ち上がった。 琳琳さんだった。 ええー!? 両手を水平に広げた琳琳さんを男性メンバーが左右から持ち上げた。 ドラム缶の前に全員が並んで頭を下げる。
うわーーーっ。すごい!! ちーりちゃーん!! りんりーん!!! 拍手と声援が終わらない。僕も拍手していた。 今まで見た中で一番面白いイリュージョンショーだと思った。
5. ステージは握手会になった。 1回 500 円で知里さんか琳琳さんと握手とツーショットのチェキを1枚撮影できる。 応援団の兄ちゃんたちだけでなく一般のお客さんたちも並んでいて繁盛していた。
僕はチェキなんて趣味ではない。 荷物を持って帰ろうとしたら知らない人から声を掛けられた。 「畑本将司くんですか?」 背の高い、お兄さんというよりおじさんに近い人だった。 髪がぼさぼさで眼鏡かけて、三日三晩部屋に籠ってアニメ観てそうな感じ。 「OBの酒井です。来年はイリュージョン同好会に参加してもらえると聞いて」 仁衣那さんから伝わってるのか。 「あ、それは僕がJ大に合格できたらの話でして」 「大丈夫。君なら合格するよ」 適当なこと言わないで下さい。仁衣那さんと同じじゃないですか。
「今日はどうでしたか? 本来なら現役のメンバーから伺うべきだけど、あの通りの忙しさなので」 酒井さんはそう言って握手会の列を目で指す。 「そうですね。とても面白かったです。これまで見たどのイリュージョンと比べても」 「ほう、例えば」 いちいち聞くの? 「ええっと、ヒンズーバスケット。発泡スチロールを入れたり逆さにしたり、普通のヒンズーと違ってて驚きました」 「うん、あれはうちのオリジナルだからね」 「中に入ってる女の人は大変ですよね。イリュージョンはアシスタントの汗と涙で成立するって、その通りだなぁ、と」 「ほう」 酒井さんの目がきらりと光った、ような気がした。 仁衣那さんから聞いたのをそのまま言っちゃった��ど、マズかったかな?
「あの、えーっと、あの」 「はい?」 そうだ。 「あの歌とダンスは意味があるんですか? その、イリュージョンの同好会なのに」 僕は何を聞いてるんだろう。 「それは朝比奈知里会長の趣味」 「・・趣味、ですか?」 「我々OBは現役のすることにいちいち口を出さず、距離を置いて見守る方針なんだ」 距離を置くって、あなた真っ黄色のハッピ羽織って、背中に『知里』『琳琳』って書いたド派手なうちわ2本背負ってるじゃないですか。
「これをあげよう。握手券2枚」 「え」 「せっかくだから記念のツーショットを撮ってもらうといいよ。あの子たち、ノリノリだから」 「・・はい」 「またの機会に語り合いたいね」 またの機会? 酒井さんは手を振って離れていった。
それから僕は列に並び、知里さんと琳琳さんと握手してツーショットのチェキを撮ってもらった。 二人ともサービス満点だった。 知里さんは並んでピースサインしながら横乳をぎゅっと押し付けてくれたし、琳琳さんはけたけた笑いながら胸の谷間にまぎれていた発泡スチロールのかけらを僕にくれた。
[Part.3 ワークショップ1日目] 6. 二週間経って仁衣那さんから電話があった。 「イリュージョン同好会とOB会で一泊二日の合同ワークショップをやるんだ。メインはバーベキューだよ。将司くんもどうですかって」 知里さんと琳琳さんの網タイツ姿が浮かんだ。 夏休みに入った最初の週末。 オヤジとオフクロは仁衣那さんと一緒なら行ってもいいと許してくれた。
・・
絶好のバーベキュー日和だった。 仁衣那さんと駅で待ち合わせる。 「OBの酒井さんって人と会いました」 「ああ、あの人はイリュージョン同好会の創設者だよ。今も現役の指導してくれてるし」 「そうなんですか」 「同好会にある道具の半分は酒井さんが作ったんじゃないかな」 なんか分る。 ああいうオタクっぽい人って何でも器用に作っちゃうんだな。 「初めて会った時はオタクっぽい感じの人だなーって思ったけどね」 「それ僕も思いました。おじさんに見えるけど案外若いんじゃないですか」 「酒井さんまだ20代だよ」 「あはは」 僕らは揃って笑った。 「そーいや仁衣那さんはいくつなんですか?」 「わたし? って、さらりと年齢を聞くな。うっかり白状しちゃうところだったわ」 「だめか」
「それよりどうだった? 現役の子たちの公演は」 「楽しかったです。知里さんと琳琳さん、セクシーで綺麗だったし」 「そっちかよ」 「りんりんって本名ですか?」 「知らないわ。わたしは知里ちゃんが1年生のとき一緒だっただけだし」
ほう。知里さん1年で仁衣那さん4年だったのね。 ということは、2年経って仁衣那さん今は23か24。歳バレするの嫌がってるからきっと24だな。 僕は頭の中で計算して勝利感に浸る。 性格悪いって思われるの嫌だから、口には出さずしっかり覚えておこう。
・・
郊外の駅で電車を降り、大きなコンビニの前にやって来た。 人気(ひとけ)のない駐車場の隅で待つ。酒井さんが車で迎えに来てくれるという。 「どうしてこんなところで落ち合うんですか?」 「車に乗るところを見られたくないのよ」 「?」
ほどなく酒井さんの運転する車がやって来た。 背の高いバンタイプの軽自動車。 車内は積荷でいっぱいだった。後席シートを畳んで天井まで荷物が積み上がっている。 空いているのは助手席だけ。
「バーベキューの材料やら何やらでいっぱいになっちゃってね」 どーするんですか? 仁衣那さんと僕、二人が乗るのは無理みたいですけど。 「んー」 酒井さんは頭を掻きむしる。その仕草がわざとらしい。 「仕方ないね。一人は荷物ということで」 「え」
バンのリアゲートを開けるといろいろな小物とダンボールが積まれていた。 一番下のダンボール箱は寝かして置かれていて、蓋がこちらを向いていた。 セロテープで簡単に留めた蓋を開けると中は空だった。 「ここに入るのは」 「わたしね」 仁衣那さんはにっこり笑うと、お尻から潜り込んでダンボール箱の中で丸くなった。 「手錠されたい?」「されたい♥」 揃えて差し出された両手に酒井さんが手錠を掛けた。 どうして手錠なんか持っているんだろう? 酒井さんは仁衣那さんの手を箱の中に押し込むと、蓋を締めてガムテープをHの字に貼って封をした。 いったい何ですか、この流れは。
「これでいいね」 酒井さんはリアゲートをばたんと閉じた。 「さ、行こうか」
・・
車の中で酒井さんに聞かれた。 「畑本くんは "拘束" に興味ある?」 「えっと、女性アシスタントが手錠を掛けられるとか、小さい箱に閉じ込められるとか?」 「そうだね。最初に同好会を始めた僕の責任でもあるんだけど、そういうイリュージョンが多くなってね」 「・・」 「女の子たちも自然に受け入れてくれるというか、積極的に喜ぶ子もいて」 「マゾ、ということですか?」 「理解が速いね。皆がそうとは言わないけど、そんな傾向はあるということ」 「ははぁ」
道路の段差を越えて車が大きく揺れた。 後ろから「きゃん♥」という悲鳴が聞こえた。 僕はダンボールに収まって荷物になっている仁衣那さんのことを考える。 仁衣那さん全然拒んでいなかったし、そもそも最初から仕込まれていたのは明らかだ。 そういえば、あの人自分から手錠を希望したな。 もしかして仁衣那さんも・・?
「実は今夜、拘束に関するアクティビティがあるんだ。イリュージョンの一部としてではなく拘束そのもののね」 アクティビティってどういう意味だっけ。 「ま、ぶっちゃけて言えば、緊縛の体験会だね」 「!」 「君に知っておいて欲しいのは、みんな良識ある人たちだってこと。だからそういう場になっても驚かないで欲しい」 「・・はい」 「実は君を招待していいか迷ったんだ。でも来年同好会に参加してくれる子が "そっちの世界" を知ってる子でね」 来年参加する子って、僕と同じ高校3年? 「だから今の会長とも相談して、畑本くんに知ってもらうことにした。個人的には君自身にも適性があると思うし」 「適性ですか?」 「そう。・・もちろん無理強いはしないよ。イリュージョン同好会にはそんな側面もあると理解して、来年加入するかどうか決めてくれたらいい」 「分かりました」
不思議な気持ちだった。 女の子との経験はキスが1度だけだった。 なのに、拘束とか緊縛とか、そっちの世界を先に見るのか。
・・
森の中にぽつんと一軒のコテージに到着した。 2階建ての赤い三角屋根。正面にコンクリートを敷いたテラス。 駐車場には自動車やトラックが何台も停まっていた。 隣の広場ではバーベキューの準備をする人たちの姿も見えた。
車が停まると僕は急いで降りて後方に回った。 酒井さんがリアゲートを跳ね上げた。 ダンボールのガムテープを勢いよく剥がす。 「え!?」 箱に入っていたのは仁衣那さんではなかった。 知らない女の人が手錠を掛けられて、ものすごく色っぽい目で僕を見つめていた。 「あら・・、着いたのね♥」 「紹介するよ。妻の多華乃(たかの)だよ」 !!!!
仁衣那さんは・・? かちゃ。助手席のドアが開いて女性が降りてきた。 その人は両手に手錠を掛けたままだった。 「やっほ! 将司くん」 仁衣那さんだった。 さっきまで僕がいた場所に仁衣那さんが座っていたのだった。
7. 先に来ていた人々が集まって来た。 僕は最後に到着したゲストだったらしい。 「タネ明かししてあげたら? 彼、口ぽかんと開けたまま固まってるわよ」 そう言ってくれたのは知里さんだった。 おお、知里さんっ。来ていて下さったんですね。
「大した仕掛けじゃないけどね」 酒井さんはもう一度バンのリアゲートを開けて荷室を見せてくれた。 多華乃さんが入っていたダンボールを引くと、手前にすぽっと引き抜けた。 上の荷物が落ちて来ない。 すぐ分った。二重床だ。 本来の床の上にもう一枚、合板の床が張ってあるのだった。 工事業者のワゴンなどでよく見るのと同じだから、注意して見ていれば気付いたはずだった。 本当の床と二重床の間隔は 50 センチ。 幅 49 センチのダンボール箱を横に倒してちょうと収まる寸法だ。 このダンボールはリアゲート反対側(室内側)の蓋が密封されていない。 合わせ目に小さな鉄板と磁石が貼ってあって、内側から押せば開くことができる。
二重床の前端には半径 25 センチくらいの半円形の切り欠き穴があった。 運転席と助手席の直後の場所だ。 そして運転席と助手席の背もたれの間は少しだけ開いているので跨ぎ易い。 仁衣那さんはここを通って助手席に移動した。
分ってしまえばシンプルな仕掛けだった。 車が走り出したら仁衣那さんはダンボールの蓋を足で押して開き、二重床の下に這い出る。 待機していた多華乃さんが交代でダンボールに入り、その蓋は仁衣那さんが閉める。 あとは目的地に到着するまで隠れているだけだ。 僕が車を降りるのを待って、前端の切り欠き穴を抜けて助手席に移動した。 リアゲートを開けても荷物が積み上がっているから仁衣那さんの姿は見えない。
「酒井さんの奥さんはいつから隠れてたんですか?」 「んー、東京のマンションを出るときに手錠掛けて、それからずっと入ってたね」 「東京から?」 「隠れるのは直前でいいじゃないかって言っても、それじゃ勿体ないって言うんだよ。うちの妻は」 「うふふ♥」 多華乃さんが笑った。 この人はどうしてこんなに色っぽく笑うんだろうか。 「この人、こんなことするためにひと月かけて新車を改造したのよ。わざわざ商用車を買って。バカでしょ?」 「フルフラットのバンだから何でも使えて便利なんだよ。だいたい、最初にダンボールに詰めて運ばれたいって言い出したのはタカノじゃないか」 「私は誘拐された気分を味わいたいって言っただけ。イリュージョンやるつもりなんてなかったんだから」 ぷ。 何人かが吹き出した。
「俺たち全員、春の新歓合宿のときこのネ��仕掛けられたんだよね」 そう教えてくれたのは公演会に出ていた男性メンバーの一人だった。 「わざわざ一人ずつ呼び出されて、この車に乗せられて」 「まあ驚くわよね。まさか奥様が登場するとは思ってもいないし」 現役の人たちまで引っ掛けられたのか。 騙されたのが僕だけじゃないと分って、少しだけ安心した。
「わたしも巻き込まれたんだよー」 仁衣那さんも笑いながら教えてくれた。 「知らないうちにダンボールに入るって決まってたんだから」 「仁衣那センパイが断るはずないですものね」知里さんが言う。 「あはは、多華乃さんじゃないけど誘拐されたみたいな気分になれて楽しかった」 「いいですよねー、誘拐」 「こら琳琳」「あれ、知里さん。嫌ですか誘拐?」 「いやちょっと憧れる」 その場の全員が笑った。 笑わなかったのは僕だけだった。
酒井さんと目が合ったら、笑いながらウインクされた。 何を言いたいのか何となく分かったけど、おじさんのウインクが気持ち悪くてそれ以上何も考えられなかった。
8. 「カンパ~イ!!」 バーベキューが始まった。 集まったのは僕を含めて男6人女6人の合計12人。 あらためて紹介してもらったので、皆の名前を整理しておこう。
・同好会現役 3年 朝比奈知里さん(会長) 2年 占野(しめの)陽介さん(副会長) 八代亘さん 1年 高浦仁志さん 岩淵琳琳さん ・同好会OB 酒井功さん、多華乃さん夫妻 小谷真幸さん 出水仁衣那さん ・ゲスト 玻名城れいらさん(高校3年) 桧垣梢(こずえ)ちゃん(中学3年)
ゲストのれいらさんと梢ちゃんは、あのギロチンイリュージョンに出ていた女の子だった。 客席から上がって手首を切断されたのがれいらさん。 そして切断された手首を演じたのが梢ちゃんだった。 二人はイリュージョンが好きで酒井夫妻と仲良くしていて、その縁で同好会の公演をお手伝いしてくれたそうだ。 あのイリュージョンはスマホのカメラで中継する演出がすごかったけど、ガラス箱の中でぴくぴく動く手首も迫力があった。 誰かがテーブルの下から手を出しているのは分かっていたけど、まさか中学生がやっていたとは。
「畑本サン、ウチがやった手首見ました?」 「うん、あれは凄かったよね」 「でしょ? 自分でも渾身の演技やった思てますもん。将来手タレになろかて真剣に考えたくらい」 梢ちゃんは関西弁を駆使してよく喋る子だった。 「特殊メイクの専門家に来てもろて手首のメイクに4時間、そのあとテーブルの中半日待機で頑張ったんですよー」 「そんなに!?」 「こら、」れいらさんが突っ込む。 「調子に乗って誇張しちゃダメ。畑本さん真面目そうだから信じちゃうでしょー」 違うの? 「えへへ、メイクは知里さんがぱぱっとしてくれて、ネタ場に入ったんは休憩のとき。その後は放置されてましたけどね」 「あら、直前に入ったんじゃなかったの?」 「だってヒンズーのときは皆さん出演中で誰もおらへんし、一人やと入られませんから」 「そっかー」 「ええんです。ウチは耐えられる子やから。イッくんにご褒美も約束してもろてますしね!」 途中から二人の会話が分らなくなった。 放置で耐えるって、どういう意味なのか?
「梢ちゃ~ん、おいでーっ。一緒に飲もー!!」 琳琳さんの呼ぶ声がした。 「はーい!! ・・すんません、ウチ人気モンで」 梢ちゃんはペコリと頭を下げると琳琳さんのいる輪の方に走って行った。 残されたのは僕とれいらさんの二人。
「・・面白い子でしょ?」「そうですね」 「コミュ力が高いというか、誰とでもすぐに友達になるのよね、あの子」 「一緒に飲もうって、梢ちゃん中学生なのに?」 「乾杯以外は全員ノンアルかコーラよ。後のアクティビティに影響しないように。・・イッくんの指導がしっかりしてるのよね」 「イッくんって誰ですか? 梢ちゃんも言ってましたけど」 「酒井さんのことよ。酒井イサオさんだから "イッくん" って呼んでるの」 あのおじさんが、イッくん・・。
「ね、同じ学年だし、そろそろあたしに敬語は止めて欲しいな。それに "れいらさん" じゃなくて "れいらちゃん" でいいんじゃない?」 「分かりました、じゃなくて分った。れいらちゃん」 「あたしも来年はJ大でイリュージョン同好会に入るから仲間だよね、畑本くん」
"畑本さん" が "畑本くん" に変わって、少し嬉しくて少し残念だった。 もしや "将司くん" って呼ばれるかと思ったのだった。 今日初めて会話したばかりの相手に名前呼びを期待するのは図々しいことではあるけどね。
そもそも僕はれいらちゃんのことを何も知らない。 酒井さんが「そっちの世界を知ってる子」って言ったのは彼女のことだろうか。 僕は隣に座るれいらちゃんを横目で見る。 白いシャツの上にパーカー、デニムのミニスカート。とても可愛いと思う。 この子が拘束や緊縛に詳しい? まさか。
「そんな目で女の子を見たら嫌われるわよ、畑本くん」 うわ、同じこと誰かに言われたような。 「でも今はその目で見てもいいわ。呆れて愛想をつかされるのはあたしの方かもしれないしね」 「どういう意味?」
れいらちゃんは笑ってテラスの方を指差した。 「始まるみたいよ!」
9. ○ ドラム缶水中脱出 「さあさあ、現役諸君並びにゲストの皆様。本日OBが贈るスペシャルイリュージョンへようこそ!!」 酒井さんが芝居がかった喋り方で呼びかけた。
テラスにドラム缶が置かれている。 あの公演で最後のイリュージョンに使われたドラム缶だった。 真上に差し掛かる太い木の枝にワイヤを巻いて滑車が取り付けられていた。 ドラム缶の前にOBの酒井さんと小谷さんが立っている。 黒いタキシードに蝶ネクタイと白手袋。この季節に暑そうな恰好だ。
待ち兼ねたように同好会メンバーとゲストがドラム缶の前に集まる。 OBがイリュージョンをすると知らなかったのは僕だけらしい。 とりあえず後ろの方で見ていたら、れいらちゃんが隣に来てくれた。
「さてここにあるのは容量 400 リットルのドラム缶。先日現役諸君が使ったものだね」 酒井さんは後ろのドラム缶を手で示した。 「実はこれ中古品をたった千円で買って改造したものなんだ。値段より持って帰って来る方が大変だったよ」 現役2年生と3年生が笑った。そのときの苦労はよく覚えているのだろう。
「先のステージで使ったとき、この中は "空気" だった。しかし、」 ドラム缶の側面を手で叩く。 どぅん。重い音が響いた。 「美女をドラム缶に入れるなら、本来その空間は "水" で満たされているべきではないか」 「そうだー!」れいらちゃんが両手を口に添えて叫んだ。 「ありがとう」 酒井さんはにやりと笑った。
「そもそも我々アマチュアに水中イリュージョンはハードルが高い。どうやって現地で大量の水を確保するか。どうやって短時間で注排水するか。重量も満タンで 430 キロ。下手な会場じゃ床が抜ける」 うんうんと頷く現役の人たち。 「しかしここなら問題はない。今しがた水道水をホースで入れたところだよ。1時間かかったけどね」 小谷さんがドラム缶の中に手を入れ水をすくってみせた。 「という訳で、本日はセクシーな美女の水中脱出をみんなで楽しもうと思う」
酒井さんと小谷さんは振り返ってコテージの玄関を示した。 「お待たせしました。美女の登場ーっ!!」 ドアが開いて多華乃さんと仁衣那さんが登場した。 うわぁーっ。ぱちぱちぱち。 きゃあっ!! 色っぽ~い!!
二人とも水着だった。 髪を上げて括り、身に着けているものといえば極端に布地の少ないマイクロビキニとハイヒールのみ。 恥ずかしそうなそぶりはまったく見せない。 堂々と胸を張って微笑みながら、腰に片手を当ててモデルみたいな歩き方でやって来た。 多華乃さんはスレンダーでセクシー。どこかで本当にモデルやってたんじゃないかと思うほど。 仁衣那さんは前に見た学生時代の動画から少しだけ丸くなった感じ。でも大きな胸とお尻はやっぱりセクシーだ。 「キレイ~!」「色っぽいよねぇ」 梢ちゃんと琳琳さんの声が聞こえる。
待ち構えていた酒井さんと小谷さんが二人を迎えた。 タキシードのマジシャンにはさまれてポーズをとるマイクロビキニの美女二人。 エロい構図だなぁ。 「うわぁ、エロいなぁ」 れいらちゃんが同じことを呟いて思わず隣を見た。 「あれ? あたし何か変なこと口にした?」 「変とは思わないけど、エロいって言ったよ」 「あは」 れいらちゃんの頬が少し赤くなった。 「・・あのね、イリュージョンのお約束だから当然なんだけどね、あんな風に正装した男の人の隣で女だけカラダ見せる恰好。畑本くんはケシカラン!って思わない?」 「思う。とんでもなくケシカランね」 「よかった、あたしと同じだ」 「そういうのを喜ぶのは男だけかと思ってたよ」 「女子でも好きだよ。多華乃さんや仁衣那さんみたいに綺麗な人なら」
・・
小谷さんが頭上の滑車にかかるロープを下ろした。 ロープの先は輪になっていた。 「では美女たちがドラム缶に入ります。まずはタカノから」 「はい」 多華乃さんがロープの輪を両手で握ると、小谷さんと酒井さんは二人がかりで滑車の反対側のロープを引いた。
ふわり。 テラスにハイヒールを残して多華乃さんが浮かび上がった。 握力だけで自分を支えながらポーズを決める。 片膝を引き上げて静止。続いて後ろに曲げた脚を反らして後頭部にあてた。美しい逆海老ポーズ。 マイクロビキニの身体を撓らせブランコのように揺れる。 揺れながらゆっくり降下し、やがて爪先でドラム缶の縁を捉えて水の中にするりと降りた。 胸まで沈んで妖しく微笑む。 溢れた水が周囲に流れてテラスを濡らした。
水に入るだけでこのパフォーマンス。 いったいこの人は何者? 「多華乃さんは昔クラシックバレーやってたんだって。恰好いいでしょ?」 れいらちゃんが教えてくれた。 なるほど。それであの身のこなし。
「次は出水さん」「はい」 仁衣那さんがロープの輪を掴んで吊り上がった。 身体を伸ばして静止。それから。 ? 仁衣那さんの笑顔がこわばってい���。 腰だけが前後にばたばた動いて、伸ばした爪先は空中の一点に固定されていた。 どうやら多華乃さんみたいに優雅に動くのは無理そうだった。 そのうち力尽きて落ちるんじゃないか。
「畑本くん、悪いけど手伝ってくれるかい」 酒井さんに呼ばれた。何で僕が。 「そこに立って、彼女を受け止めて」 目の前に仁衣那さんが降りてきた。 「抱いてあげて、お姫様抱っこで」「え」 背中と膝の下に手を入れて支えた。 柔らかい! 腕の中に小さなビキニを着けただけの女体があった。 「ごめんねー」「いえ」 仁衣那さんが謝って視線を下ろすと目の前にふくよかな胸の谷間。
「彼女を運んでくれるかい」 覚悟を決めて仁衣那さんをドラム缶まで運んだ。 そこには多華乃さんが微笑みながら待っていた。 仁衣那さんは僕の腕の中から手を伸ばすと、そのままドラム缶に転がり込んだ。 ぼちゃんっ。 波がたって多華乃さんのときより大量の水が溢れた。
「うふふふ♥」 仁衣那さんと多華乃さんがドラム缶の中に立った。 互いに抱き合ってビキニの胸を合わせた。二人の胸の谷間を波が洗っている。 「・・将司くん、ちょっと待ってくれる?」 仁衣那さんが僕を呼び止めた。
仁衣那さんは微笑みながら両手を背中に回した。 身をくねらせてブラの紐を解くと、多華乃さんと密着した胸からブラを引き抜いた。 「わたしを運んでくれたお礼♥」 親指と人差し指につまんだブラが差し出された。
梢ちゃんが口に手を当てて固まっているのが見えた。 いいのかね、中学生の前でこんなことをして。
「やるわね」「ふふん」 多華乃さんが悔しそうに言うと仁衣那さんは誇らしげに笑った。 「負けられないわね」 多華乃さんは両手を水の中に沈めた。 くねくねと腰を動かす。 え? 「私からもプ・レ・ゼ・ン・ト♥」 渡されたのは脇の紐を解いたビキニのボトムだった。 多華乃さん、下を脱いだんですか!!
こ、これはさすがに高校生の僕にも刺激が強いです。 同好会の人たちは笑い出し、れいらちゃんは手を叩いて喜んでいる。 梢ちゃんは、といえば両手を口に当てたままコロリと倒れ、右に左に転がりながら悶絶していた。 「終わりましたか? ・・じゃあ畑本くんは戻って下さい」 酒井さんが言った。 「美女からのプレゼントはちゃんと持って帰るように」
僕はたぶん耳まで赤くなっていたと思う。 れいらちゃんの隣に戻ると、にやにや笑いながら背中をどんと叩かれた。 仁衣那さんのブラと多華乃さんのパンツは手の中に丸めて握れるくらい小さかった。 これ、どうしたらいいの?
・・
はぁ~っ。ふぅ~っ。 多華乃さんと仁衣那さんが抱き合いながら呼吸を整えた。 大きく息を吸って互いに頷くと、水の中に頭を沈めた。 再び溢れた水がこぼれる。
酒井さんと小谷さんが上から蓋をした。 これは前回のドラム缶イリュージョンで使ったのと同じ、丸い穴が二つ開いた円盤だった。 蓋の穴から濡れた手が2本出た。 よく見るとどちらも左手だった。 多華乃さんと仁衣那さんが左手をさし上げているのだった。 酒井さんは手錠を持ってきて、二人の左手に掛けた。 これで手を下げるころはできない。 小谷さんが蓋の周囲にバンドを掛け、さらに南京錠を6個取り付けた。
・・
コンコン。 ドラム缶の側面を軽くノックすると二人の手の指がひらひら動いた。 「一般に息止めの限界は3~4分程度と言われています。今はまだ1分経っただけだから心配ないね」 酒井さんが腕時計を見ながら話した。 「本来なら次は美女の脱出シーンになるけど、今日は現役諸君のために質疑応答の時間をとろう。まずはこちらへ来て機材をチェックしてくれるかい」 同好会現役メンバーがドラム缶の傍に集まった。僕たちゲストも手招きされて集まる。
2年生で副会長の占野さんが指摘した。 「全体が上下反��になっていますね」 「そう。先のイリュージョンとは逆の向きで置いている。このドラム缶は両方の面が開いたオープンタイプ仕様なんだよ。どちらかに底板を取り付ければ任意の向きで使える」 酒井さんは腰を屈めてドラム缶の底を示した。 そこにはボルトで締めた底板が固定されていた。
「前回はこの底板は逆の側についていたんだ。・・では、なぜ上下をひっくり返したのか? 理由は側面にあるこの隠し扉」 ドラム缶の側面上部に扉が付いていた。 縦 30 センチ、横は缶側面の円弧に沿って約 60 センチ。 ドラム缶本体と同色に塗られて目立たないように工夫されているけれど、近くで見ると存在が分かる。
「君たちのとき、この扉はドラム缶の下の方にあって梯子の台と繋がっていただろう? 朝比奈さんと岩淵さんはここを通って交換した」 知里さんと琳琳さんが頷く。 「でも水を入れてしまうと、この扉は邪魔物になるなんだ。たった水深1メートルでも扉全体に 180 キロの力がかかる。水漏れを防ぐのは大変だし、下手すると扉そのものが弾け飛んでしまう」 なるほどという顔をする一部メンバー。きょとんとしている残りのメンバー。 「まあ、水圧は恐ろしいということだね。海外のタネ明かし動画ではドラム缶の底に水密構造の蓋があったりするけど、あれはプロがお金をかけて作らせたものさ」 酒井さんは学校の先生みたいに説明を続ける。 「隠し扉を最上部にすれば水圧でかかる力は 36 キロ。これなら僕でも何とかなるから最初からその強度で作ったんだ。・・念のために付け加えると、水圧が低くても扉を開けば当然水はこぼれるよ。だから中に水が入っている限りこの扉を開くことはできない」 ポンと手を叩いた。 「以上が上下逆にした理由さ。・・他に質問は?」
「あの、」 次に手を上げたのは知里さんだった。 「この手錠、前に使ったのと違うようですけど」
それは蓋の穴から突き出された多華乃さんと仁衣那さんの手に掛かる手錠のことだった。 同好会現役のイリュージョンのとき、ドラム缶から手を出して手錠を掛けられていたのは琳琳さんだった。 最後の瞬間に琳琳さんは手を引き下げ、そのタイミングに合わせて知里さんが黒幕の後ろから登場した。 あのときの手錠は軽く引けば外れるフェイクの手錠だった。
「よく気付いたね、朝比奈さん。さすが会長だ」 酒井さんは嬉しそうに説明する。 「これはね、正真正銘の本物なんだ。フェイクじゃない」 「は?」 「だから、ここに閉じ込められている彼女たちが自分で外すことはできないんだよ」
知里さんと琳琳さんが目を丸くしてる。 「試しに岩淵さん、その手錠を両側から引っ張ってみてくれる」「はい」 琳琳さんが手錠の輪を掴んで引いた。 「外れません」 「本当に引いてる? もっと強くやってみて」 さらに力を入れて手錠を引っ張った。 と、手錠を掛けられた左手がくいと動いて琳琳さんの手を掴んだ。 「きゃ!!」 皆が笑った。
「上手ねぇ、イッくん。多華乃さんか仁衣那さんか、どっちの手か分からないけど」 れいらちゃんが僕にだけ聞こえるように小声で言った。 そうか、これもイリュージョンの演出なんだよね。 相手に知識がある前提のイリュージョン。こんなやり方もあるんだな。
・・
「いいかい、半トン近くある重量物だからね、途中で傾いたり倒れ掛かったりしても絶対に自分で支えようとしないこと」 酒井さんの説明が続いている。 急いでいるように見えない。
多華乃さんと仁衣那さんは無事なんだろうか。 何か仕掛けがあるのは違いないから、無事には決まってるんだけど。 誰も心配しているように見えないし、れいらちゃんに至ってはにやにや笑っている。
「事故は何でもないときに起こるんだ。僕の知ってる人に倉庫の現場で骨折した人がいて・・」 「おーい酒井よ。そろそろ先へ進んだらどうかな」 小谷さんが催促した。 「おっと、話に夢中になって忘れていた。・・もう12分も経ったのか」 酒井さんは時計を見て大げさに驚く。
蓋の穴から生える二本の手が前に垂れていた。 その指を持ち上げても再び力なく垂れるだけだった。 「これは手遅れかもしれないね」 そう言うと酒井さんはどこからともなく赤いバラの造花を2本出し、ドラム缶の手に持たせた。 「これは美女を復活させる魔法の花」
小谷さんが大きな黒布を持って来て酒井さんに渡した。 酒井さんは両手で布を持ちドラム缶の前に掲げた。 布の上に二本の手が見えた。
れいらちゃんが言った。 「やっとクライマックスだね」 「いつもこんなに仰々しいの?」 「何でも大袈裟にするのよ、イッくんは」
酒井さんがカウントした。 「ワン、ツウー、スリー!」 次の瞬間、二人の美女の手がぴんと伸びて下に消えた。
数秒後。 黒布の後ろから、仁衣那さんが小谷さんにエスコートされて出て来た。 裸の胸を片手で隠しながらポーズをとる。 次は小谷さんが黒布を持ってドラム缶の前に掲げた。 すぐに酒井さんに手を引かれた多華乃さんが布の陰から半身を見せた。 前を巧みに隠しながら布を二つ折りにして腰に巻く。 二人ともたったいま水の中から出てきたみたいに濡れていた。 髪から雫がぽたぽた垂れている。 小谷さんが仁衣那さんの肩を、酒井さんが多華乃さんの腰を抱いてお辞儀をした。
その直後、仁衣那さんがふぅっと息をついて座り込んだ。 大きな胸を押さえて震えている。 押さえようにも押さえられない何かを我慢しているようだった。 小谷さんがバスタオルを肩に掛けると、それを頬に当ててやっと笑った。
多華乃さんは酒井さんの肩に爪先立ちでしがみついていた。 腰の布が下に落ち、セクシーアクション映画のヒロインかと思わせる綺麗なお尻が全員に公開された。 小谷さんがバスタオルを持って来たけれど多華乃さんは離れる気配を見せない。あきらめて二人の上にまとめてタオルを被せた。 やがて酒井さんが腰を屈め、タオルの下で多華乃さんとキスをした。 きゃあ~っ!! 女性陣が一斉に歓声を上げた。
・・
いつまでも離れようとしない多華乃さんをようやく引き剝し、酒井さんは再び皆の前に立った。 タキシードのジャケットが濡れているのが分る。 「最後にハプニングがあったけどこれで演技終了だよ。・・君たちが知りたいと思っているであろうポイントはおそらく次の二つ。美女が水中でどうやって生き延びたのか、そして封印されたドラム缶からどうやって脱出したか」 全員が頷いた。 「まさにその二つがこのイリュージョンの肝だね。ただし、それを説明するのは明日までお預けにしようと思う」 「ええ~っ?」 「勿体をつけるのが好きなんだよ、僕は」 酒井さんはそう言ってにやると笑った。 「イリュージョン好きが揃ってるんだ。皆で考察して楽しんでくれたら嬉しいね」
10. それからバーベキューパーティは知里さんと琳琳さんのアイドルソングで盛り上がった。 アイドル服とかではなくバーベキューのパンツスタイルのままだったけど、僕にはそのほうが二人を身近に感じられていいと思った。 やがて梢ちゃんとれいらちゃんも立ち上がって一緒に踊り始めた。 可愛いな、この子たち。特にれいらちゃん。 気がつけばれいらちゃんだけを見ていて、慌てて目を反らせたりした。
・・
夕方になってバーベキューはお開きになった。 会長の知里さんがこの後のスケジュールを説明する。 「1階の食堂にチェア・アピアランスとヒンズーを置いたから触っていいわよ。アクティビティは20時から。女の子はそれまでにシャワーを使っておくこと!」 アクティビティってのは酒井さんが言ってたアレか。 全員が参加するんだろうか? 中学生の子もいるのに。
バーベキューの片づけを手伝ってから一人でコテージに入った。 1階は2~30人くらいが座れそうなダイニングになっていた。 テーブルと椅子を片付けたフローリングの窓際に一人掛けの黒い椅子があった。 人体出現椅子だ。チェア・アピアランスっていうのか。 その隣はヒンズーバスケット。 ��演会で使ったのを運んできたんだね。
椅子はキャスターが付いていてどの方向にも押せるようになっている。実際に押してみると案外軽い。 中を見たい。でも勝手に開けたら叱られるかも。 躊躇しているところへ知里さんが通りがかった。 「知里さんっ」 ダメ元でお願いしたら笑って椅子の中を見せてくれた。 ・・そうか、こんな風になってたのか。 知里さんここからあの速さで出現。僕ならとても無理だ。
次にヒンズーの蓋を外して中を覗かせてもらった。 それは想像していたのと違った。 内側の壁に沿って細いパイプの梁が張ってあった。もちろんちゃんと剣を刺せるようになっている。 入口裏の四隅、手で握ったり足を掛けたりできるんじゃないか。 そうか。あのステージで逆さになったとき、琳琳さんはここに掴まって。 「このヒンズーはイリュージョン同好会で一番古い資産なのよ。酒井さんが会長時代に魔改造したって聞いたけど、全然壊れないの」 「ここのフレーム、手作りなんですね」 「興味深々ね」「そりゃそうですよ」
「少し時間あるかな、畑本くん」 「はい?」 「酒井さんからキミのこと聞いて、一度お話ししたいって思ってたの」 知里さんと並んで床に座った。
・・
「ドラム缶のイリュージョン、畑本くんはどう思った?」 「凄かったです。説明が長すぎましたけど」 「話が長いのは酒井さんの芸風だから許してあげて」 芸風、ですか。 「最後に出てきた多華乃さんと仁衣那さんを見たでしょ? あの人たちのこと畑本くんにはどう見えた?」 あの時の二人を思い浮かべる。 疲労困憊していて、でも満足してて、エッチな気分になっていて。 「はっきり言ってくれていいわよ」 「はい。エロかったです」 「好きだなぁその答。ウチの1年2年の男の子たち、オブラートで包んだ言い方しかしてくれなくって物足りないのよね」 「そうですか」 「酒井さんのイリュージョンって、ときどき女の子はエロくなっちゃうのよ」 「知里さんは水中脱出のタネを知ってるんですか?」 「知らないわ。でも何となく想像はできるな。聞きたい?」 「はい」
「多華乃さんと仁衣那さん、ドラム缶の中でずっと水に浸かってたと思う。それと楽に呼吸する手段もなかったんじゃないかな」 「それじゃあ、」 死んじゃうじゃないですか。 「落ち着いて意識を保っていたら無事でいられるよう配慮していたと思う」 「僕はシリコンとかゴムのチューブを使って息してるのかなって思ってましたけど」 マ○ク・マジシャンのタネ明かし動画じゃそうだったぞ。 「そうかもしれないけど、多華乃さんと仁衣那さんの様子見て何となく思ったのよね。酒井さん、狙ってるなって」 「何をですか?」 「アシスタント、というより女の子に楽させない。わざと苦しい思いをさせる。それを観客の見えないところでする」 「それ、イリュージョンに必要ですか?」 「要らないよねぇ。他に安全な手段があるなら」 知里さんはそう言って笑った。
「そう思った理由はもう一つあるのよね。それはあの手錠」 「知里さんが質問した手錠のことですね」 「そう。あれは絶対に本物だと思う」 「本物だって言ってましたよね」 「実は本物と説明して、本当の本当はフェイクって、珍しくない方法よ」「そうですか」 「そもそもあの質疑応答がなければフェイクの手錠で十分でしょ? その方が楽に脱出できるんだし」 「そうですね、あれは誰かから指摘されるのを想定して。・・いや違うな。本当の本当はフェイクにすればいいんだから」 「思ったのよね。あの説明は私たちにしてたんじゃなくて、ドラム缶の中の多華乃さんと仁衣那さんにしてたんじゃないかって」 「え」 「あれは二人に思い知らせたのよ。君たちはより困難な方法で脱出させられるんだよって」
「あの、」 「何?」 「酒井さんって、ドSですか?」
「いいわねぇ、ストレートな質問!」 知里さんは楽しそうに笑いながら答えてくれた」 「答はもちろんイエスよ。そんな人の作るイリュージョンだもの、女の子はエロくなっちゃうわよ!」 つまりそれは。 「女性の方もドMになってしまうってことですか?」 「うふふ」 知里さんは笑った。ちょっと不思議で妖しい笑い方だった。 「そうかもしれないわねぇ」 何ですか、急に含みのある言い方。
・・
「誰がドSだって? 朝比奈さん」 「きゃ! 酒井さんっ、いつの間に」 「この椅子のことなんだけど、」 「はい?」
酒井さんはチェア・アピアランスの椅子を指差した。 ドSって言われて叱るんじゃないの?
「これ今年買ったんだよね。中古には見えないけどいくらだった?」 「はい。新品で20万円、くらいだったかしら」 「どうしても欲しいなら中古を安く買ってレストアしてあげるのに」 「そんな、いつもいつもお願いする訳には」 「今年の活動費は残ってるの? 遠征の輸送費は?」 「それは、足りないときは皆で出し合って」 「困ったら僕に連絡して、朝比奈さん。OB会からも援助するから」 「はい、ありがとうございます」 「ところでこの椅子はどんな使い方を考えてるのかな」 「それは出現と消失」「あとは人体交換?」 「はい」 「20万円も使ってそれだけじゃ勿体ないよ。ぜひ新しい使い方を提案して欲しいね」 「は?」 「ムチャ振りのつもりはないよ。皆で相談してみたらどうかな」
酒井さんはそう言うとフロアを出て行った。 「新しい使い方考えて」を言いたかったのね。 予算がどうのとか、回りくどい人だな。 それにしてもムチャ振りされましたね、知里さん。 酒井さん、やっぱりドS。
「む!」 知里さんが唸った。 「出現椅子の新しい使い方。よーし、考えてやろーじゃないの!」 「大丈夫ですか?」 「なせばなる! ・・あーん、どうしよう!?」
[Part.4 体験緊縛] 11. 1階ダイニングの床にイリュージョン同好会の現役メンバー5人全員と、梢ちゃん、そして僕が座っていた。 梢ちゃんも体験緊縛に参加するんだね。 れいらちゃんがいないのは意外だった。絶対に来ると思っていたのに。
梢ちゃんが琳琳さんの方を向いて、口元を手で隠しながら言った。 「ウチ、ノーブラにしました。外した方がいいって聞きまして」 「アタシもノーブラだよ」「私も」 琳琳さんと知里さんも口元を手で隠して返した。 まる聞こえだった。内緒話になってない。 占野さん、八代さん、高浦さんの男性メンバーが顔を赤らめている。
知里さんはメンズのワイシャツ1枚。琳琳さんと梢ちゃんは白いTシャツにショートパンツ。 ワイシャツから延びる知里さんの生足がセクシーだった。 あのワイシャツの下はノーブラで、まさかパンツも履いてない? 知里さんが言った。 「畑本くん、そんな目で女の子を見たら嫌われちゃうわよ」 うわうわうわ! またしても。 「でも私は自分に素直な男の子が好きよ。だから安心して」 知里さんは自分でワイシャツの裾を持ち上げて白いショーツを見せてくれた。 「ほら、穿いてるわよ♥」 皆が笑った。僕も笑った。
・・
OBの人たちが入って来た。 多華乃さんと仁衣那さんは、キャバ服だっけ、身体のラインくっきりの真っ赤な超ミニドレス。多華乃さんのドレスは片方の肩を出してて、仁衣那さんのは脇腹が出ている。 酒井さんと小谷さんは紺の作務衣。やっぱりこの二人が緊縛の担当なんだね。 そのうしろには、れいらちゃんがいた。前の二人と同じ作務衣を着ている。 れいらちゃんも緊縛担当なの!?
「今日が初めての人は?」 酒井さんが聞くと、琳琳さん、高浦さん、そして梢ちゃんと僕が手を上げた。2年生以上の人は初めてではないのか。 「分かりました。体験の前にまずは見本として出水さんとうちの妻を縛ります」 「皆さん、固くならずにくつろいでね」 小谷さんが安心させるように言った。
輪になって座った僕たちの中央に、れいらちゃんが 1.5 メートル四方くらいの小さなカーペットを敷いた。 その上に多華乃さんと仁衣那さんが立つ。作業が始まった。 れいらちゃんが縄を手渡し、それを使って酒井さんと小谷さんが縛る。 酒井さんの獲物は多華乃さん。小谷さんの獲物は仁衣那さん。 「これは高手小手縛り」「こっちは鉄砲縛り」 するすると魔法のように縄が掛かる。 胸の上下に縄が掛かると、多華乃さんの綺麗な胸がふっくら盛り上がった。仁衣那さんの大きな胸が一層大きく盛り上がった。 多華乃さんも仁衣那さんも胸の先端がつんと突き出ている。おへその窪みもくっきり解る。 こんなに薄い衣装で縛るから身体の凹凸がはっきり出るのか。 縄で締まる女体、ものすごくエロい。
「はぁ・・」 作業を見ていた琳琳さんが溜息をついた。少し震えているようだった。 知里さんが黙って横から琳琳さんの手を握った。 梢ちゃんは身動き一つしない。目だけが酒井さんたちの手の動きを追っている。
やがて多華乃さんと仁衣那さんは背中合わせで繋がれ、そのままカーペットにお尻をついて両脚を胡坐で縛られた。 新しい縄を二人の口に噛ませながら二周、三周。 ぐるぐる巻いて押し付け合った後頭部が離れないようにした。 最後は二人の頭に巻いた縄に別の縄を直角に掛けて絞る。これは酒井さんの指導でれいらちゃんが施した。
「完成です」 カーペットごと引きずって、多華乃さんと仁衣那さんを窓際へ移動させる。 二人の髪をれいらちゃんがブラシで整えた。 「しばらく置物にしましょう」
ほぇ~。 思わず唸ってしまった。 置物にされるって、どんな気持ちだろう。 隣に座る一年生の高浦さんと目が合ってお互い苦笑した。 高浦さんも初めて生の緊縛を見たんだろうな。僕と同じだ。
・・
「次は、岩淵さんと梢ちゃんに被虐を体験していただきます」 酒井さんが言った。 「岩淵さんはこちらの小谷が担当します。梢ちゃんは僕がお世話するね」
琳琳さんがびくっと震えた。 その後ろに小谷さんが立つ。 「両手を後ろで組んでください」「・・はい」 おそるおそる回した手に縄が掛かった。 「あ・・、っ」 上半身を縛った後、うつ伏せに寝かせて膝と足首を縛る。さらに足首の縄を背中に繋ぐ。 「あ、あ、あぁ、・・」 可愛い声で囀る琳琳さん。まるで歌っているみたいだった。 アイドルソングを元気に歌う時とは全然違う声だったけれども。
梢ちゃんは急に慌て始めた。 「あ、あの、ウチ!」 急に立ち上がって酒井さんに頭を下げる。 「お、お世話になりますぅ!」 「座ったままでいいよ」 「そやっ。ウチの母ちゃ、母もよろしくお願いします言(ゆ)うてました!!」 「お母さん?」
「梢ちゃん、可愛い♥」「本当♥」知里さんとれいらさんの声が聞こえる。
「落ち着いてね。不安なら目を閉じていたらいいよ」 酒井さんはそう言うと縄を持って梢ちゃんを縛り始めた。 「はぁ~っ」 両手を腰の後ろで緊縛。その後椅子に座らせて背中と足首を緊縛。 「あーっ、動かれへん!」 部屋じゅうに聞こえる声で梢ちゃんが叫んだ。 「動かれへんっ、動かれへん! ウチ、縛られてるぅー!! ・・そや写真!」 急に周囲をきょろきょろ見る。 「誰かっ、誰でもええからウチの写真、撮ってくださーいっ。こんなん一生の宝モンやんかー!」
窓の方から「ブファっ」「ンファファっ」という音が聞こえた。 多華乃さんと仁衣那さんが縄の猿轡の下で拭き出した声だった。
・・
れいらちゃんが縄を持って来た。 「畑本くん、体験してみる?」 僕も? 「あたしに縛られるのが嫌だったら、酒井さんか小谷さんが縛ってくれるけど?」 そんなことはないよ。
僕はれいらちゃんに縛ってもらうことにした。 手首を後ろで縛られる。 胸に縄が回された。手首が吊り上がる感覚。 胴と腕の間に縦に通した縄を絞られた。 きゅ。 「うわ」 全部の縄が締まって上半身が固められた。 動けない。動けないけど痛くない。 「どう?」 「すごいよ!」 れいらちゃん、縄師じゃないか。
「高浦さんはどうですか?」 れいらちゃんは1年生の高浦さんにも聞いて縛り始めた。 酒井さんや小谷さんに負けないくらい、れいらちゃんの緊縛は手早く見えた。 「動けないよ!」 高浦さんも驚いている。
初めて味わう感覚だった。 イリュージョンで使う拘束具、手錠や枷なんかとは全然違うと思った。 縄ってすごいな。
12. みんな縄を解いてもらって、体験緊縛は一旦休憩になった。 多華乃さんと仁衣那さんは緊縛を解かれた後しばらく立てなかった。床に手をついて身を震わせている。 泣いてる? ちょっと違う。 二人とも、満ち足りていて、とてもエッチな気持ちに溢れている。 「軽い縄酔いだから心配ないよ」酒井さんが言った。
なわよい? 初めて聞く言葉だけど、多華乃さんと仁衣那さんを見ていて何となく想像はついた。 一度縛られたら解いてもらった後も気持ちいいんじゃないか。まるでお酒に酔ったみたいに。 縄酔いの多華乃さんと仁衣那さん、何となく昼間のイリュージョンでドラム缶から脱出したときに似ていると思った。 そういえば知里さんが言ってたな。 多華乃さんと仁衣那さんはあのイリュージョンで苦しい思いをしたはずだって。 そんなイリュージョンをやったら女の子はエロくなる、とも。 さっきの緊縛も同じなんだろうか?
もう一度知里さんと話したいと思った。 知里さんの姿を探したけど部屋にいない。お手洗いかな?
「将司く~ん♥」 仁衣那さんが這い寄って来て僕の膝に乗った。 「うわ」 「ごめんねー、何だかんだお世話になって」「別にお世話してませんけど」 「そんなことないよー。昼間わたしを抱っこしてくれたでしょ。今もほら、抱っこ♥」 両手で抱きつかれた。 唇を突き出してキスしようとするので必死に逃げる。 れいらちゃんと梢ちゃんがこっちを見て笑いこけているのが見えた。 「に、仁衣那さん! どーしてそんな急にハイになるですか。さっき立てなかったくせに」 「許せ少年そういう癖(へき)の女じゃ、きゃはは」
「今の仁衣那ちゃん、調子に乗ったら何でもしてくれるわよ♥」 いつの間にか多華乃さんが傍にいて言った。この人も縄酔いから復活したみたいだ。 「あら先輩、もう大丈夫?」 「ごめんなさいね。私、あなたより繊細だから」 む。 仁衣那さんの顔が一瞬強張り、それからにやあっと笑った。 「・・わたしをこんな女にしたの、多華乃さんと功さんなのに」 「その言い方、高校生の彼が誤解するんじゃない?」
二人の顔がぐっと数センチの距離まで近づいた。 一瞬女同士でキスするのかと驚いたけどそんなことはなく、仁衣那さんが多華乃さんの肩に右手を当てただけだった。 その肩に刻まれた模様。うわ、縄の痕だ。 仁衣那さんの手首と多華乃さんの肩に縄の痕があった。 二人のキャバ服からむき出しの肩、二の腕、手首のそこかしこにも縄で縛られた痕がある。 柔らかい肌に縄の刻み目。 エロ過ぎるよ。これは。 緊縛って、女性を何もかもエロくするんだなぁ。
「・・パンツ脱ぐなんてシナリオになかったのに、あれは将司くんを誘惑したんですか? 多華乃さん」 「そんなつもりはないわ。ただ彼が可愛かっただけよ」 「それを誘惑って言うんですよ」「うふふ」 僕がお二人のエロに感動しているのに、まだしょーもないマウント取り合ってるんですか。
「多華乃さんって可愛い男の子が好きですよね。功さんもああ見えて実は可愛いし」 「仁衣那ちゃん人のこと言う前に早く彼氏見つけなさい」 「ぐわぁっ」 仁衣那さんがのけ反った。 「人が気にしていることを~っ」 「確かもう25だっけ?」「ああああ~!!」
あれ、25? 計算が合わないぞ。 24だと思ってたのに。 「すみません、仁衣那さんは大学出て2年ですよね。なのに25って」思わず質問してしまった。 「あれ、畑本くん知らないの?」「ああっ。言わないでぇ~っ」 「うふふ。ちょっと道草しちゃったのよ彼女」「え、と、いうことは」 「お慈悲を、お慈悲を~、多華乃さまぁ」 「遊び過ぎて留年したのよね、仁衣那ちゃん」「あらら」 「うわーん」 多華乃さん、普段はMなのにこういうときはSなのね。
・・
休憩タイムが済んで、次は占野さんと八代さんの2年生男性コンビが多華乃さんと仁衣那さんを縛り始めた。 亀甲縛り、は難しいから菱縄という縛り方に挑戦するみたいだ。 小谷さんがつきっきりで指導している。
琳琳さん、高浦さん、梢ちゃん、そして僕の初心者グループはれいらちゃんから "本結び" という縛り方を教わった。 緊縛の世界では腕や足首を縛るときの基本中の基本ともいえる手順らしい。 れいらちゃんが自分の足首を縛ってみせ、それを見本に各自がそれぞれの足首を縛った。 「じゃあペアを組んで、お互いの手首を縛って下さい」 女の子を縛れる! ・・と思ったら、すぐに琳琳さんと梢ちゃんがペアになって縛り始めてしまった。 僕と高浦さんは顔を見合わせて苦笑する。・・男同士で、縛る? れいらちゃんがすぐに察して申し出てくれた。 「縛るなら女の子がいいよね。じゃあ、あたしの手首を順にどーぞ!」
・・
酒井さんが来て言った。 「まだ時間があるから、梢ちゃんと岩淵さん、もう一度縛ってあげようか」 「うわーい!」「お願いします!」
酒井さんの緊縛はとても速かった。 梢ちゃんと琳琳さんをそれぞれ後ろ手に縛る。 二人を隣り合わせで床に膝を崩して座らせた。 梢ちゃんが右側、琳琳さんが左側。足を崩す方向も梢ちゃんは右側、琳琳さんは左側。 やや小柄な梢ちゃんが琳琳さんに甘えているようにも見える。 酒井さんは二人の背中に縄を足して連結した。 梢ちゃんと琳琳さんは互いに横座りで体重をかけ合っているから立てない。 下半身は自由なのに立てない。
「どこか痛いかな?」「いいえ」 二人は首を横に振った。 「君たちの身体のどこにも無理はかけていないはずだよ。どこも痛くないのに拘束感だけはある。・・そんな感覚をしばらく楽しむといいよ」 酒井さんは白布の目隠しを二人に掛けた。
・・
梢ちゃんと琳琳さんが目隠しで過ごしたのは15分くらいだと思う。 その間に酒井さんがやったのは僕も予想外のことだった。 目隠しを外されて、二人は叫んだ。 「えっ、れいらさん?」「れいらちゃん!!」
れいらちゃんが正座で縛られていた。 衣装は作務衣のまま。 後ろ手の縛りは一見似ているけれど、両手が背中の高い位置で直角に交差していた。 女の子ってこんな姿勢で平気なのか。 下半身は脛と太ももをまとめて縛られていて、正座の姿勢から動けないようになっている。
「えへへ、イッくんにお願いして即興で縛ってもらったの」 れいらちゃんは明るく笑って言った。 「あたしも梢ちゃんや琳琳さんと同じ仲間だよ」
僕はれいらちゃんから目を離せなかった。 縛る方と思っていたれいらちゃんが縛られている。衝撃で心臓が止まりそうだった。 作務衣姿で笑顔だから、普通に考えたらエロいはずがない。 エロくないのにドキドキする。どうしてだろう。 れいらちゃんが縛られている。自由を奪われて、それなのに笑ってる。 それだけで興奮するのは何故だろう。
・・
「ねぇ会長は?」 「あれ? そういやどこ行ったんだろう」 緊縛体験会が終わる頃になって、知里さんがいないことに皆が気付いた。 バスルームや2階の部屋を探しても見つからない。
「・・誰を探してるの?」 酒井さんがのんびり聞いた。 「だからさっきから知里さんがいないんですよ!」 「朝比奈さんなら外にいるけど?」 え?
全員で外に出た。 コテージ正面のテラスに昼間のドラム缶が置いたままになっている。 その頭上、木の枝に取り付けられた滑車。 そこから全身をがんじがらめに縛られた知里さんが吊られていた。
白いシャツと素肌が夜目に浮かび上がる。 仰向けで半ば逆さ吊り。 膝で折って縛られた太ももと脛に食い込む縄が痛々しい。 両脚の間の縄、あれ股縄っていうんじゃなかったかな。 くしゃ��しゃになった顔で喘ぎながら振り子のように揺れる知里さん。
「かなり手間かけて縛ったんじゃない? イッくん」 れいらちゃんが聞いた。 「そうだね。僕一人で30分くらいかかったかな」 「いつ?」 「休憩のとき。一緒に抜け出して吊ってあげたんだよ」 酒井さんが説明した。 「朝比奈さんの希望は "吊り" だったんだ。食堂は吊り床がないからここへ来て。そうしたら、ドラム缶に逆さ吊りで沈めて欲しいって言い出されて、いくらなんでもそれは危険だから・・」
「わあ~!!!」 上の方から声がした。 「酒井さんっ。そこから先は言わないでぇ~」 無残な宙吊り緊縛で苦しんでいるとは思えない、大きな声だった。
「知里会長、僕らが思ってた以上にドMだった」 副会長の占野さんがぼそっと言った。他の1~2年男子も頷く。
「いいなぁ、次はアタシも吊って下さいってお願いしようかな」 琳琳さんが言った。隣で梢ちゃんがうんうんと頷く。
「イサオったら、"吊り" なんて私には長いことご無沙汰なのに」 多華乃さんが文句を言った。れいらちゃんがまあまあと慰める。
「あれ? あそこにいるの、知里ちゃん?」 仁衣那さんが初めて気が付いたみたいに言った。 誰もフォローしないから仕方ないので僕がズッこけてあげた。
13. ベッドに入って眠ろうとしたけど眠れなかった。 頭の中に浮かんで消えないのは、ドラム缶イリュージョンの多華乃さん仁衣那さんではなく、宙吊り緊縛の知里さんでもなく、ぜんぜんエロくない作務衣で緊縛されたれいらちゃんだった。
1階に降りてくるとダイニングの灯りが点いていた。 同好会の人たちが人体出現椅子を囲んで何か相談していた。 ダイニングの仕切り衝立(ついたて)を持ってきて、その手前で椅子を何度も左右に押して動かす。
・・分かった。酒井さんのムチャ振りだ。 出現椅子の新しい使い方を考えなさい。 皆さん大変だな。 邪魔する訳にいかないから僕はそのままコテージの外に出た。
・・
森の中に遊歩道があった。 ところどころ照明灯が点いていて歩き易かった。 「畑本くん!?」 れいらちゃんがいた。 小さなタンクトップとショートパンツ。素足にサンダルを履いているだけ。 何その可愛い恰好。
「れいらちゃん、こんなところでどうしたの?」 「梢ちゃんがぐっすり寝ちゃったのよ。今夜はいっぱいお話ししましょって言ってたのにね。・・それで冷たいモノ飲もうと思って降りてきたら同好会の人たちがいるでしょ。仕方ないから出てきたの」 「僕もそんな感じ」 梢ちゃんとれいらちゃん、同じ部屋に泊ってるんだね。
「梢ちゃん、疲れたんだろうね」 「そうね。人生で一番衝撃的な体験をしたと思うわ、彼女」 「聞いてもいいかな。梢ちゃんはどうして体験緊縛なんて」 「あれはね、梢ちゃんが手首のイリュージョンで頑張ったご褒美なの」 「意味が分かりません」 「イッくんを通して出演頼まれたときにね、縛ってくれるなら出ますって言ったのよあの子。・・イッくんの特技が緊縛だって、どこで気付いたのかしら」 「中学3年生を縛ってもいいの?」 「いけない理由って何かある? あたしの初体験は中2だったよ」 え、えええっ。 「あ、誤解しないでね。初体験ってのはキンバクのことだから」 そんな補足されたら、かえって誤解するじゃないですか。
「そんな訳で、梢ちゃんのご両親に体験緊縛のお話したらすぐに了解して下さって」 「り、理解あるご家族だね」 仁衣那さんとバーベキューに行ったら緊縛されたって、オヤジとオフクロに報告したらどんな顔するだろう?
「梢ちゃんのお母さんもすごいのよ。初めて男の子から縛ってもらったのは中学3年のときだったわって」 「それ向こうから教えてくれたの?」「そうよ。オープンなお母さんだわ」 「それは梢ちゃんも知ってるの?」 「もちろんよ。ウチも一緒や!って喜んでたわ」
・・
深夜の遊歩道を並んで歩いた。 こんな可愛い女の子と出会ったその日の夜に二人きりで歩いている。でき過ぎの展開じゃないか。 もう手くらい繋いで、いい雰囲気になって、それから。
「畑本くん、あたしのことどう思った?」 「えっ。そりゃ、明るくて可愛くて」 「違うよ。縄で男の子縛っちゃうような女のことどう思うって聞いたの。・・引いた? やっぱり」 「そんなことはないよ。いきなりだったから驚いたけどね」 「よかった。これでも変なことやってる自覚はあるから、嫌われても仕方ないとは思ってるの」 「・・あのさ、れいらちゃんってドSなの?」 酒井さんみたいに。 「へっ? あたしがドエスぅ!?」 れいらちゃんが目を丸くした。 いけね。またド直球で聞いてしまった。
「ごめん、からかうつもりはないんだ」 「いいよ。あたしは緊縛に興味があるだけだからSにもMにもなるよ。縛るならイッくんみたいに格好良く縛りたいし、縛られるなら多華乃さんみたいに色っぽく縛られたい」 「緊縛って僕にはまだ分からないな。全然動けなくてすごい技術だと思うし、多華乃さんや知里さんの緊縛見て超エロいとも思ったけど」 「酒井さんが感心してたわよ。畑本くん、"イリュージョンはアシスタントの汗と涙で成立する" って言ったんだって?」 そんなこと言ったっけ? ・・あ、仁衣那さんのセリフ。 「素敵よね。そんな風に言える畑本くん、きっと素質があると思うわ」 「酒井さんにも同じようなこと言われたよ。でもイリュージョンと緊縛は全然違うでしょ」 「そりゃエンタメとプライベートパフォーマンスだもんね。あ、これイッくんの受け売りだから突っ込まないでね」 「?」 「目的は違ってもやってることは似てると思わない? どっちもだいたい被虐の役目は女性だし」 「そう言われればそうだけど」
れいらちゃんは急に立ち止まってこちらを向いた。ものすごく距離が近かった。 どきんとした。 「ほら!」 手首を前で合わせ僕に向けて差し上げた。まるで縛られているみたいに。 「本結びの練習であたしの手首縛ったでしょ? ドキドキしなかった?」 「した」 「あたしもドキドキしたんだよ。"縛るなら女の子がいいよね!" なんて今思い出すだけでも赤面することよく言ったと思う」 薄暗がりの中でれいらちゃんの頬が赤くなっているのが分った。 何となくれいらちゃんの言いたいことが解った気がした。
「その役目って、同好会やOBの人たちには普通のことなんだね。女性の方も嫌がってないし、むしろ楽しんでやっている?」 「うん。それが水中脱出でも、縛られて置き物にされることでもね」 「エロくなっちゃうよね」 「なっちゃうねー。だからだいたいマゾに目覚めるし、元々マゾの人はもっとこじらせちゃう」 「それが知里さん?」「仁衣那さんとか」 「多華乃さん?」「あの人はJ大でイッくんと出会う前から超ドM」 「ははは」「うふふ」
・・れいらちゃんは? 聞きたかったけど、面と向かって聞くと引っ叩かれそうな気がしたので止めた。
くしゅんっ。 れいらちゃんがくしゃみをした。 「夜中に薄着過ぎるんじゃない?」 「えへへ、そうかも。・・今何時かしら?」 「分からない。スマホ持って来なかったし。そろそろ戻ろうか」 再び並んで歩き出した。 れいらちゃんの肩がさっきより近いような。
「ね、畑本くんはお付き合いしてる人いるの?」 え、れいらちゃんから聞いてくる? 「いないよ。れいらちゃんは?」 「あたしもいないわ。・・大学に入ったら一緒にイリュージョンやってくれる彼を見つけるつもり」 「それ、僕のことじゃない?」 「あ、言われてみれば」
「僕はれいらちゃんとイリュージョンをやりたい。酒井さんみたいにオリジナルのイリュージョンを作って」 「オリジナル? 畑本くん、あんなすごいの作れるの?」 「それは分からないけど、やってみたいんだ」 「よぉし頑張れ! できたらあたしが一緒にやったげる。・・酷い目に会う役でもいいよ」 「なら逆さ吊りで火炙りとか」 「ばか。死んじゃうでしょ」
れいらちゃんが笑った。 おお、いい雰囲気じゃ���いか。これはもう肩抱いても。 手を伸ばそうとしたらするっと逃げられた。
「こら。男の子ってすぐにこうなんだから」 「メンボクないです」 「じゃあ手だけ繋いであげる」 「やった」「現金ねぇ」 「素直なのがよいと知里会長にも評価していただきました」 「何それ、あはは」
14. コテージの前でれいらちゃんと別れた。 ダイニングでは同好会の人たちがまだ練習をしているようだった。
僕もやって見せたいな、イリュージョン。 立ち止まって考えた。 体験緊縛で習った縄。 頭の中でアイディアを整理する。
・・
酒井さんと小谷さんは駐車場にいた。 あのバンタイプの軽自動車の脇に小さなテーブルと椅子を置いてランタンの灯りでお酒を吞んでいた。
傍に行くなり酒井さんに言われた。 「れいらちゃんと一緒にいたね」 見られちゃったか。もしかして手を繋いだところも? 「心配無用。我々は誰にも漏らさないから」小谷さんにも言われた。 「まあ、梢ちゃんあたりに気付かれないようにね。あの子やたら勘がいいから」 「・・心得ました」
「それで何か用?」 あ、そうだった。 「僕もイリュージョンやっていいですか?」 「え」「ほう」 二人が身を乗り出してきた。
緊縛の縄を1本借りれますか。7メートルくらいの柔らかい縄があったら嬉しいんですけど。 「10メートルの綿ロープがあるから切ってあげるよ」 針金のクリップ2~3個。できるだけ太目のやつで。あとラジオペンチを貸して下さい。 「クリップってゼムクリップ? 工具箱に入ってるかな」 最後にもう一つ。本結びを習いましたけど全然自信がありません。もう一回特訓してもらえませんか? 「もちろんいいよ」
本結びで誰を縛るつもりでいるのか、酒井さんにも小谷さんにも聞かれなかった。 もうバレバレだとは思うけど。
[Part.5 ワークショップ2日目] 15. ○ チェア・アピアランスのバックステージ 明朝。 朝食の後、知里さんたちによるイリュージョンの発表があった。 お題は "チェア・アピアランスの新しい使い方"。
1階ダイニングに現役メンバー5人が整列する。 ステージ衣装を用意していないから、バーベキューのときと同じ服装だった。 僕たち観客は手前で一列に座って見ていた。その真ん中で酒井さんが腕組みをしている。 知里さんが挨拶した。 「バッ���ステージ(backstage)というカテゴリのイリュージョンがあります。今皆さんは舞台の奥にいてイリュージョンを後ろから見ています。向かい側に仮想の客席があると思って下さい」 自分の後ろを手で示した。 「客席から見えない秘密が皆さんにだけ見える。・・それではチェア・アピアランスのバックステージイリュージョン、よろしくお願いします!」
2年の占野さんと八代さんがチェア・アピアランス=人体出現椅子を押して来た。 知里さんが足を組んで座る。その上から大きな黒布。 数秒後、黒布を外すと知里さんは消失していた。 占野さんと八代さんは椅子を左側に押して行き、僕たちの反対(=仮想客席がある側)を向けて置いた。 僕たちからは椅子の背中が見えるだけになった。
・・
琳琳さんが出てきた。腰に手を当ててお尻をくねくね振りながら歩いている。本人はモンローウォークのつもりなんだろう。 ステージ中央で立ち止まると僕たちにお尻を向けて(=仮想客席を向いて)手を振る。
高浦さんがダイニングの仕切り衝立を運んできて、琳琳さんの向こう側(=仮想客席の側)に立てた。 衝立の高さは2メートルくらい。 僕たちからは琳琳さんの後ろ姿が丸見えだけど、仮想客席からは衝立の陰になって見えない想定だ。
・・
左側にあった椅子を占野さんと八代さんが押して出てきた。僕たちからは相変わらず椅子の背しか見えない。 衝立の手前(仮想客席から見ると衝立の陰)に椅子を停める。 その直後、椅子の背もたれの陰から知里さんが立ち上がった。 交代して琳琳さんが背もたれの陰に入って消える。 占野さんと八代さんは椅子を押して右側に移動して行った。 ほんの数秒の交換だった。
高浦さんが衝立を外し、知里さんが(仮想客席に向かって)手を振る。 仮想客席からは琳琳さんが消失して知里さんが出現したように見えるはずだ。 再び衝立が戻されて、知里さんを(仮想客席から)隠した。
・・
右側にあった椅子が押されて戻って来た。 衝立の手前(仮想客席から見ると衝立の陰)で椅子を停める。 今度は椅子から琳琳さんが立ち上がり、椅子の中へ知里さんが消えた。 椅子は再び左側に押されて移動する。 高浦さんが衝立を外し、琳琳さんが(仮想客席に向かって)手を振った。 さっきとは逆の交換だった。
・・
占野さんと八代さんが三たび椅子を押して出てきた。 衝立は脇に退けたままだから、適当な場所に椅子を停めた。
椅子に黒布が被せられた。 脇に立っていた琳琳さんが駆け寄って椅子を指差す。 布を外すと・・、 「じゃーん!」 そこに座ってポーズをとっていたのは知里さん、じゃなくて梢ちゃんだった。
・・
酒井さんが立ち上がって拍手した。 他の観客・・小谷さん、多華乃さん、仁衣那さん、れいらちゃんと僕も拍手した。 観客の中に梢ちゃんがいないのは最初から分かっているから、ラストで梢ちゃんが出現したこと自体には驚かない。 それでも拍手したのは、イリュージョンとして素晴らしい出来だったからだ。 これなら実際のステージでも通用するんじゃないかな。
「えっと、講評の前に、」 酒井さんが椅子を指差して聞いた。 「よく二人も入れたねぇ」 「梢ちゃんとなら入れるんです。アタシと知里さんじゃ無理でした」琳琳さんが説明した。 「えへへ。ちっちゃい女の子が要るときはいつでも使(つ)こて下さいっ」梢ちゃんがおどけて言った。
「朝比奈さんはどうしたの?」 「あれ?」「会長っ」「知里さん!」 現役メンバーが椅子を開くと、知里さんが中で動けなくなっていた。 「ふにゃぁ~」 「大丈夫ですか?」 「成功したと思ったら、腰が抜けて」 「じゃ、そこでそのまま聞いてくれるかい」 「ふわぁい」
酒井さんが講評する。 「チェア・アピアランスのスピード感とバックステージの面白さ。両方を楽しめる素晴らしいイリュージョンだったよ。同好会連合の交流会辺りでやったらウケると思う。ただし通常のステージに出すのは難しいかもしれないね」 え、駄目なの? 「このバックステージのコアキャラクターは椅子そのものと二人のアシスタントだね。観客がその動きを追ってくれることが前提になっている」 皆が頷いた。 「だから最初の朝比奈さんの消失シーケンス。あれは "消失" ではなく椅子の内部への "移動" だと客が自然と思うように仕向けなけばならない」 「そうか。僕らは当たり前のように "移動" と捉えてた」占野さんが呟いた。 「その通り。チェア・アピアランスは最近よく見るとはいえ、まだまだ新しいイリュージョンだよ。椅子に腰かけた美女が一瞬で消える。それだけで驚く客が大半だろう。その先まで考えるのはプロかマニアだけじゃないかな」 「それなら、布で隠さずに椅子に入ったら?」高浦さんが聞いた。 「そんなシーンを見せるのはオリジナルのチェア・アピアランスに対して敬意がないと思うね、僕は」 酒井さん、厳しい。でもその通りだ。 「アイディアはあるよ。椅子の背中に丸い穴を開けて朝比奈さんが手を出して振るんだ。それなら中に女性が入っていることは誰にでも理解できるし、椅子に入る方法そのものは秘密にできる」 ああ、なるほど。それなら。 「でもね。それをはっきり見せてしまったら、次に普通の人体出現や消失で驚けると思うかい?」 「無理でしょうね」
「・・整理しよう。このバックステージの面白さは、椅子に潜む女性の姿は見せず、出入りを後方から見せることでお客を騙すところにある。だから最初に女性が椅子の中へ移動するシーケンスは欠かせない。でもそのシーケンスを理解してもらうのは容易でない」 「ダメかなぁ」八代さんがぽつりと言う。 「僕は決してダメ出ししてる訳じゃないよ。本当に面白かったし、現役諸君がこれを一晩で考えてくれたことを賞賛するよ。・・ただ、あのバックステージは少し未来に行き過ぎてる。そう感じただけなんだ」 「その未来は、いつでしょうか?」 琳琳さんが聞いた。 「申し訳ないけど、分からない。・・あの "あたまグルグル" とか "ウォーキングテーブル" くらい誰でも解るようになったとき、かな」 「その二つ並べるんですか」 「僕はウォーキングテーブルについてはそろそろ次のブレークスルーが欲しい段階と思っていて、その理由はあれ見て大げさに悲鳴上げる観客がスタジオ収録のマジック番組だけになったから、なんだけど」 「イッくんその発言ヤバいからもう止めよう」
・・
知里さんの救出は難航した。 本当に力が入らないらしくて、男性二人がかりでようやく引っ張り出してあげることができた。 「ふにゃあ、私このままでいい~」 「しっかりして知里さん!」 「もう、私、何されてもいいよぉ」 「会長いつの間にドMモード」
知里さんが平静を取り戻すまで30分くらいかかった。 その間に次のイベント "ドラム缶水中脱出のタネ明かし" の準備が進められたのだった。
16. ○ ドラム缶水中脱出 タネ明かし 正面テラスのドラム缶は水を入れ替えて再び満水になっていた。 酒井さん、小谷さん、そして多華乃さんと仁衣那さんがその前に立つ。 多華乃さんと仁衣那さんは昨日と同じセクシーなマイクロビキニ。
「今日は不要な演出を止めて、閉じ込めと脱出のプロセスだけを再現します。近くて見てもらって構わないよ」 酒井さんが言って全員がドラム缶の傍に集まった。 「これはUSBの水中カメラ」 酒井さんは小さな装置を皆に見せた。長いケーブルの先に丸いカメラが付いている。 「直径2センチ、長さ2センチ。レンズの回りにLEDが点くから暗くても撮影できるよ。これに磁石をつけてドラム缶の内側に貼れるようにした。ケーブルの取り回しが面倒だけどね」 水の中にカメラを入れてドラム缶の内側に貼った。 「こんな風に見える」 ケーブルを繋いだタブレットに映像が映った。水面から射す光に照らされてドラム缶の内部が明るく映っている。
「じゃあ、早速始めよう」 多華乃さんと仁衣那さんが水に入った。 前みたいにロープにぶら下がって入ることはなくて、酒井さんと小谷さんがさっと抱き上げて入らせてしまった。 また仁衣那さんを抱っこさせてもらえるのかと一瞬期待したけど、仕方ない。
溢れた水が周囲に流れた。 多華乃さんと仁衣那さんがドラム缶の中に立っている。 「昨日と違うのが分るかい?」 昨日と違う? 前回の光景を思い出そうとしたけど分からなかった。
「あ!」叫んだのは梢ちゃんだった。 「お腹が見えるっ。前はもっと沈んでました!」 え、そうだったっけ?
「その通り。前はこうだったんだ。・・やってくれるかい」 「うふふ」 多華乃さんと仁衣那さんが妖しく笑った。 互いに抱き合って胸を押し付け合う。 二人の背がすっと低くなった。 ドラム缶の縁からさらに水が溢れる。
ああ! 皆が声を上げた。 思い出した。胸の谷間を洗う波。
「せめて将司くんには気付いて欲しかったなー」仁衣那さんが言った。 「わざわざサービスしてあげたのに」 「も一回、脱いだら?」多華乃さんも言う。 「そうね、やっちゃおっか♥」
「あ、それは止めてくれるかな。また皆の目が惑わされてしまう」 「皆の目じゃなくて男性の目でしょ?」れいらちゃんが突っ込む。 「いいえ、私も惑わされました。仁衣那センパイのおっぱいが立派過ぎて」 「知里さんもですか? アタシも」「ウチも」 この同好会、女同士でこんな会話が多すぎるぞ。
「・・ええっと、」 酒井さんが続ける。調子が狂ったようだ。 「まあ、もう分かったと思うけど、前回は膝を折って屈んでたんだ。そうしなければならない理由は」 「上げ底なんですね」占野さんが指摘した。 「その通り。まっすぐ立ったら底が浅くなっているのが分ってしまうからね」
このドラム缶の深さは約 120 センチ。しかし 30 センチ底上げされていて実際の深さは 90 センチだという。 その 30 センチの部分は? 「金属の容器が置いてあるよ。中身は空っぽで入っているのは空気だけ。水圧で潰れないよう補強して底板にボルトで留めてある」
酒井さんは水中���メラを外して多華乃さんに持たせた。多華乃さんがカメラを底まで沈める。 タブレットの画面に多華乃さんと仁衣那さんの足元が写った。 水中で組み合わさった膝と足先、丸いお尻も見えている。 そして底に小さなペダルがあった。
「0.5 秒だけ押して」「はい」 多華乃さんが身を沈め右手でペダルを押した。 ぼこ。 卓球の球くらいのサイズの泡が浮かび上がった。 「ペダルを手で押すか足で踏むかすると、容器の栓が開くようになってる。栓が開いている間は水が流れ込み、同じだけ空気が出てくるんだ」 「その容器に空気はどれくらい入ってるんですか?」占野さんが質問する。 「だいたい 100 リットルだね」 「100 リットルの空気で呼吸できますか?」 「密室に 100 リットルの空気だけで二人が生きていられるかという質問なら答えはノー。前に調べてみたんだけど酸素濃度の低下と二酸化炭素濃度の上昇が原因でほんの2分くらいで呼吸が苦しくなる。4~5分で命の危険が生じる」 それじゃ無理��ゃないか。 「この容器の目的は呼吸のための空気を提供することじゃないんだ。水を流し込むことでドラム缶内部の水面を下げることなんだよ」
酒井さんは多華乃さんから水中カメラを受け取ると、ドラム缶の内側に再度貼り付けた。 カメラのケーブルを蓋の手首用の穴に通しタブレットと再接続した。
「ここから先は実際にやって見せよう」
・・
多華乃さんと仁衣那さんが大きく息を吸って水の中に頭を沈めた。 上から蓋が閉められる。 蓋の穴から付き出された二人の左手に手錠を掛ける。 さらに蓋にバンドと南京錠を取り付けた。
「カメラの映像を注意して見ていてね」
タブレットの画面に多華乃さんと仁衣那さんが写った。 フィルター越しに撮ったみたいな青みがかった映像だった。 水中撮影だとすぐに思い出した。
二人は抱き合った互いの肩に頭を乗せてうずくまり、左手だけを真上に上げていた。 多華乃さんの顔が見えた。目を閉じてじっと呼吸を我慢している。 仁衣那さんの顔は陰になって見えない。
「・・案外狭いな」占野さんと八代さんが話している。 「上下 90 センチでしょ? 横はドラム缶の直径 80 センチだもの。ほとんど動けないわ」知里さんも言う。
ぽこぽこ浮かび上がる泡が見えた。 多華乃さんか仁衣那さんのどちらかが容器のペダルを踏んでいるのだろう。 泡は二人のお腹に当たり、そこから胸と肩を伝ってさらに上へ浮かんで行く。
画面の上方に水面が見えた。 さっきは水面なんてなかったのに。 その水面がゆっくり下がって多華乃さんと仁衣那さんの後頭部に掛かった。 なるほど、下の容器に水が流れ込んで水面が下がっているのか。 酒井さんの言った意味が分かった。
水面が下がって顔面が、いや鼻か口さえ水の上に出たら、後は呼吸ができる。 狭いドラム缶の中でも手首の穴の空隙から新鮮な空気が入ってくる。 それまで頑張れば窒息して死ぬことはないんだ。
ぽこぽこ浮かび続ける泡。 仁衣那さんが右手をぎゅっと握った。 二人の顔面はまだ水の中だ。 しまった、時間のチェックを忘れてた。 多華乃さんも仁衣那さんも、水中に沈んでから一度も呼吸をしていない。許されていない。
ゆっくり、ゆっくり、水面が下がる。 うつ伏せの顔面の端から空気に触れる。 多華乃さんが眉を寄せている。鼻と口はまだ水の中。 頭を捩じる。どうにか口が水面に出た。 わずかに空気を吸う。
顔が水面に出た。 二人の肩が揺れている。苦しそうだ。 多華乃さんと仁衣那さん、どれくらいの時間苦しんだろう。
「・・容器の空気が水と入れ替わって満タンになるまでの時間は容器の栓の直径で決まるんだ。直径 10 ミリだと 820 秒かかるけど、50 ミリなら 30 秒くらいで済む。通り道が広い方が速いということだね」 酒井さんが説明してくれた。 「じゃあ、できるだけ大きな栓にしてるんですね?」知里さんが聞いた。 「逆だよ。できるだけ小さな栓にしている。今使ってるのは直径 20 ミリで 205 秒」 「3分半? どうして!?」 「鼻口が水面に出るまでの時間はその半分くらいだよ」 「それでも・・」 「美女が苦しむ時間は長い方がいいと思わないかい?」 「!」 知里さんの顔色が変わった。
「絶対安全な方法なら外から空気管を引いて咥えればいい。でもそれは安易過ぎるとみなすのが僕の美学なんだ。・・イリュージョンはアシスタントの汗と涙で成立する」 酒井さんはドラム缶の上に出た多華乃さんと仁衣那さんの手を取った。 「幸い、ぼくの美学に賛同してくれる美女が今もこの中で頑張ってくれている。・・朝比奈さん、」 「は、はい」 「誰かが僕のことをドSと言ったみたいだけど、僕が見る限りそのドSが考えたイリュージョンに君も賛同してくれていると思うな」 「あ・・」
「公開調教♥」僕の隣でれいらちゃんが言った。 「嬉しそうだね。れいらちゃん」 「だって知里さんドMだって、みんなもう知ってるじゃない」 「そりゃそうだけど」
「・・はい、苦しい役、私も興味・・あります」 「OB会に入ったら是非、ね」 「はい」 知里さん、チョロい。
・・
ドラム缶の中では多華乃さんと仁衣那さんの肩まで水面が下がった。 「下の容器が満杯になったとき上端から水面まで約 40 センチ。ここまで下がれば隠し扉が水の上に出るよ」
酒井さんはドラム缶をノックした。 蓋の上にで出た多華乃さんと仁衣那さんの手が振られた。 その手首には手錠が掛かったままだ。
「では脱出のプロセスに移ります。映像をよく見ていて下さい。・・ワン、ツウー、スリー!」 二人が手を引き下げた。 ドラム缶の蓋に大きな穴が開いて、二人は手錠で繋がったまま手を下げたのだった。
多華乃さんが仁衣那さんの左手の手錠を解錠した。 同時に仁衣那さんが右手で隠し扉を開ける。 隠し扉はドラム缶の内壁に沿ってスライドするように開いた。 仁衣那さんが隠し扉を抜け出た。外で小谷さんが仁衣那さんを受け止める! すぐに多華乃さんが自分で手錠を解錠した。 隠し扉から脱出した多華乃さんを酒井さんが受け止めた・・!! ドラム缶の前に並んだ4人に皆が拍手した。
「いくつか補足説明します」 酒井さんが手錠を見せた。 多華乃さんと仁衣那さんが掛けられた手錠だった。 「これは本物だから引っ張っても外れない。だから細工するのは当然蓋の側になる」 ドラム缶の蓋の手を通す部分はダンボール製で裏にカッターで筋が入っていた。 手錠のまま手を下げれば筋の箇所が割れて開くのだった。 手錠の鍵は最初からドラム缶の内側に貼ってあって、多華乃さんはそれをずっと右手に握っていたのである。
「はい」占野さんが手を上げた。 「隠し扉が開いたままですが」 「そうだね。コテージから丸見えになるから後で閉めておいたよ。蓋の上から手を入れて」 「手を入れたのはダンボールの穴を通してですか?」 「もちろん」 「だったらその穴は、開いたままですか?」 「誰も覗き込まなかったからね。アイドルソング大会の間に蓋を外して水も抜いたから、それで証拠は消滅さ」
17. 水中脱出のタネ明かしが済んで、これで終わりという雰囲気になったとき。 酒井さんと小谷さんが僕を見てニヤリとした。 ・・やるのかい? やります。 僕は立ち上がって言った。 「皆さん、僕にもイリュージョンをさせて下さい!」 え? 皆の目が集まったところで追加して言った。 「相手は、玻名城れいらさんにお願いします」
・・
○ ロープイリュージョン 同好会とOB、梢ちゃん。 にこにこしながら僕とれいらちゃんを見ている。 多華乃さんと仁衣那さんなんてビキニのままで笑ってる。
「あたしでいいの?」 「れいらちゃんがいいんだ」 おおー。 歓声が上がったけど僕は怯まない。 「やってくれるかな」 「はい。喜んで・・。あたしはどうしたらいいの?」 「あの木の前に立つだけでいいよ」
テラスの近くに生えるハルニレの木。 その木の幹は、れいらちゃんが背中をつけて立ち、前から僕が抱きつけば反対側に余裕で手が回る太さ。 早朝から手頃なサイズを探して決めた木だった。 れいらちゃんがその前に立ってくれた。 白いシャツとデニムのミニスカート。 恥ずかしそうな笑顔。
「ようこそ皆様! これより世紀のイリュージョン。これなる美女を縄で縛り上げてお見せします!」 酒井さんの真似をして口上を述べたけど、全然決まってないのが自分で分る。 まあいいや。大切なのは勢いだ。 よーし、行くぞ。
酒井さんから借りた7メートルの縄は、前後 3.5 メートルずつまとめて、互いに繋がった二つの縄束にしてあった。 両手に握り、真ん中の縄をれいらちゃんの胸の上に当てた。 れいらちゃんの肩の両側から木の後ろへ縄束を送る。 前から抱くみたいにして手だけ木の後ろへ出し、手さぐりで縄をクロスさせる。 れいらちゃんの顔が近い。本当に抱いているみたいだ。 クロスさせた縄はそのまま反対側かられいらちゃんの腕の外に掛けてお腹の前へ。 縄はハルニレの幹の凹凸に掛かっているから自重で落ちることはないと思うけど、それでも少しきつめを意識する。 「痛かったらゴメン」「平気だよ」
お腹に来た縄はまたクロスさせ、手首の外から再び後ろ側へ。 前と後ろでクロスを繰り返しながら、れいらちゃんの身体とハルニレの木をまとめて縛って行く。 今、僕はれいらちゃんの身体を縛ってるんだ。 胸がばくばくして息が止まりそうだ。
身体の前だけで4回クロスさせた縄が足首に達したところで、クロスさせずに縛った。 足首はわざと縛らない。上から降りて来た二本の縄を本結びで縛り合わせるだけだ。 酒井さんに特訓してもらった手順だった。 体験緊縛で教わった手順は腕や足に縄を巻くことから始まるから、同じ本結びでも手順が違う。 これで完成。 れいらちゃんはまっすぐ立って両手を脇に添えた姿勢で縛られている。
・・
木の回りを一周してチェックした。 後ろでクロスする縄のうち、実は上から2番目と3番目はクロスしていない。 針金のクリップを曲げて作ったフックを掛けて、"クロス" じゃなく "折り返し" になっている。 OK。ぶっつけ本番で我ながらよくやったよ。 「さて、これからがイリュージョンっ。一瞬で縄抜けする美女をお見せいたしまぁす!」
「え、え、」 れいらちゃんが焦っている。 「あたし縄抜けなんかできない」 本気で困っているらしい様子が可愛い。このまま困らせておきたいね。 「ワンツースリーで力を込めて腕を左右に開いてくれる」 「それだけでいいの?」 「大丈夫。僕を信じて」 「はい」
"僕を信じて" なんて言ってしまった。 恰好いいじゃないか、僕!
「では行きます! ・・ワン、ツー、スリー!!」 れいらちゃんが腕を開いた。 後ろで針金のフックが開いて、折り返しの縄が外れた。 全体の絞め付けが緩み、巻き付いていた縄がばらばらと足元に落ちた。
おーっ。やった!! パチパチパチ。 僕はれいらちゃんの傍に行くと手をとってお辞儀をした。
・・
「いきなり頼んだのに受けてくれてありがとう。どうしてもれいらちゃんとやりかったんだ」 「こちらこそ。畑本くんが指名してくれて嬉しかったわ」 「本当はもっとすごいのをやりたかったんだけどね。昨夜考えた方法だし、あれが精一杯だった」 「あれ、畑本くんのオリジナルだったの?」 「まぁね。でも似たのはたくさんあるよ、きっと」 「すごい!! ・・実はね、」 れいらちゃんは周囲を見て近くで誰も聞いてないことをチェックした。
「ちょっと期待しちゃったの。畑本くんが縄を持ってあたしの前に立ったとき」 「期待?」 「うん。もしかして本当にあたしに酷いことするんじゃないかって」 「する訳ないだろ。れいらちゃんに酷いことなんて」
「昨夜あたしが言ったこと覚えてる? あれ半分は社交辞令だけど、半分は本気だったんだよ」 「何のこと?」 「忘れちゃった? 畑本くんと一緒にするイリュージョン、"酷い目に会う役でもいいよ" って言ったこと」 思い出した! ということは、つまり。
「次はJ大で一緒にやろうね、イリュージョン!」 「え」 れいらちゃんは僕が返事をする前にコテージの方へ走り去ったのだった。
18. 帰りは皆が乗って来た車でそれぞれ帰ることになっていた。
れいらちゃんと梢ちゃんは知里さんの車。 他の現役メンバーは八代さんの車。 イリュージョンの機材は小谷さんの2トントラックに積んで大学の倉庫へ運ぶそうだ。
ドラム缶は今まではOBからの貸し出しだったけど、水中脱出を教示したので��式に寄贈して同好会の所有品になる。 ということは、次は知里さんと琳琳さんが水の中で頑張るんだろうか。 酒井さんが説明していたように実際のステージで水を使うのは難しいから、できるのはこんな郊外の合宿だけかもしれないけどね。 僕としては知里さんの次の代、つまり琳琳さんとれいらちゃんの水中脱出に期待したいところだ。
知里さんと現役メンバーに挨拶する。 「お世話になりました。来年からまたお世話になりますけど」 「畑本くんは期待の星よ。楽しみにしてるわ」 「弱小サークルだけどよろしく!」「待ってるよ!」 「一緒にイリュージョンやりましょうね!」 「いつでも顔出してくれよな。歓迎するよ」
そうだ、これだけは伝えておかないと。 「僕はイリュージョン同好会に入ったらオリジナルのイリュージョンを作りたいと思ってます」 「おお、いいじゃないか」「どんなイリュージョンを作りたいの?」 「ここへ来て酒井さんのイリュージョンに驚きました。作るならあんなイリュージョンをやりたいです。・・その、」 僕は知里さんと琳琳さんの顔をうかがう。 「知里さんと琳琳さんがOKしてくれたらですが」 知里さんが察してくれた。 「・・女の子がエロくなるイリュージョン?」 「はい」 「会長何ですかそれ」占野さんが不思議そうに聞く。
「うふふ。私は大賛成。琳琳ちゃんも大丈夫よ。でもれいらちゃんにも聞かなくちゃダメよ」 「もちろんです」 実はれいらちゃんの答はもう知っている。 ・・酷い目に会う役でもいいよ! でもここで僕がそれを言うのは反則だね。 一緒に同好会に入って、皆の前で本人が賛成してくれたら、僕は自分の望むイリュージョンを作ろうと思う。
「あ、もしかして」占野さんが声を上げた。 「ドラム缶のタネ明かしで知里会長がドM全開になったアレ」 「ああ、アレね!」琳琳さんも分かったみたいだった。 「知里さん、アシスタントが苦しいイリュージョンをやりたいって言ったんですよね!」
知里さんの顔がぶわっと赤くなった。 「ち、違うわっ。あの、あの、あのときは」 「会長っ、落ち着いて下さい!」 「あのときは、苦しい役に興味ある、って言っただけ!」 「・・同じじゃん」高浦さんがぼそっと言った。
知里さん、後輩の前でもM女を隠せない。 可愛い人だね。 J大に入ったらどうぞよろしくお願いします。
・・
「畑本くんっ」 れいらちゃんから声を掛けられた。 まさか最後に告白? 「秋の学園祭でイリュージョン同好会も模擬店やるんだって! 行くでしょ?」 おお、学園祭デートのお誘い! もちろん行きます。絶対に行きます。 カレンダーにマルしておかなくちゃ。
「ウチもおりますよー!!」 梢ちゃんが割り込んだ。 「ウチも忘れんと連れて行って下さいねっ。それともウチがおったらジャマですか?」 そうか、梢ちゃんがくっついて来るのかー。 「邪魔なはずないでしょう? 梢ちゃんも一緒よ」 「そやかて畑本サン一瞬イヤって思たでしょ? ウチの勘は外れないんですよー」 梢ちゃんの勘、侮りがたし。
僕はれいらちゃん、梢ちゃんとJ大学園祭での再会を約束して別れた。
・・
同好会の人たちとれいらちゃん梢ちゃんの乗った車、そして小谷さんのトラックが出て行った。 後に残るのは僕と仁衣那さん、そして酒井さん夫妻の4人。 僕たちは酒井さんの車で帰ることになっている。 酒井さんの軽バンは二重床。荷室は荷物で一杯。 後席はない・・。
ここは譲るべきだよね。 「多華乃さんが助手席に座って下さい。僕は後ろに行きますから」 「偉いぞ少年。でも今はそんなマナー、どこかへやっちゃえ」
仁衣那さんが寄ってきて右側に密着した。重ねた掌を右の肩に乗せ、耳元で囁かれた。 「狭い場所に押し込まれるも美女の務めだよ♥」 多華乃さんも寄ってきて囁かれた。 「男性は前のシートでゆったりお寛ぎ下さい・ま・せ♥」 囁くなり多華乃さんは僕の耳を舐めた。耳穴に舌を入れられた。 うわぁっ。
「二人とも、遅くなるからそろそろ用意して」 酒井さんが止めてくれた。た、助かった・・。 「畑本くんは助手席に座ってくれるかい」 「は、はい」
「うふふふ」 多華乃さんと仁衣那さんは楽しそうに自分でガムテープを口に貼った。 互いに後ろ手錠を掛け合う。 それからバンの後ろから二重床の下に這って入っていった。 酒井さんがバタンとリアゲートを閉めた。
「東京まで乗って行くだろう?」 「はい。お願いします」 当たり前のように聞かれて答えた。
車が走り出した。 「驚かせて悪かったね。妻はああいう悪ふざけが好きなんだ。今日は出水さんも一緒だから余計に悪乗りして」 「大丈夫です。僕にはむしろ奥さんが何やらかしても動じない酒井さんの方が驚きです」 「そうかな」
・・
溜息をつきながら流れる景色を眺める。 僕を取り巻く世界、昨日と今日で激変したな。 イリュージョン、緊縛、そしてれいらちゃん。 今だって手錠掛けた女の人を荷物みたいに積んだ車で走ってるだぜ。
いろいろ変わり過ぎてしばらく混乱しそうだけど、迷いはない。 僕には目標ができた。 イリュージョン同好会に入って新しいイリュージョンを作ること。 れいらちゃんに正式な彼女になってもらうこと。 もちろんその前に絶対に達成すべき目標。それはJ大合格だ。 死ぬ気で勉強する。れいらちゃんと一緒にJ大に行く。
「畑本くん、大学に入ったらうちに遊びにおいで」 酒井さんが言った。 「イリュージョンの話をしよう。それから縛り方も教えてあげるよ」 「いいんですか?」 「ああ。昔はJ大にも緊縛研究会があって僕もタカノも世話になったんだけどね、最近は活動停止しているらしい。うちに来たらタカノを受け手にして練習できるよ」 「ありがとうございます!」 「畑本くんはれいらちゃんを縛りたいんだろう?」 「!!」 「そのつもりじゃないのかい?」 「はい! もちろんそのつもりです!!」
そうだ。もう一つ目標があったんだ。 それはれいらちゃんを一人前に縛れるようになること。
「僕はあの子が小学生の頃から知ってるんだよ。大きくなってまさか緊縛に興味を持つとは思わなかったけどね」 「れい、いえ玻名城さんの緊縛の師匠は酒井さんですか?」 「そうだよ。れいらちゃんもタカノを縛って練習したんだ。縛られる方は僕が経験させてあげた。あの子は縛る方も縛られる方も適性があるよ」 そうか、やっぱり。 「畑本くんが縛れるようになったら、れいらちゃんにきちんと申し込んだらいい。緊縛でもパートナーになって下さいって」 「普通のパートナーになってもらう方が先だと思いますけど」 「ええっ、まだだったの!?」 珍しく大きな声で驚く酒井さん。
「ヌフ!」「ンフフ!!」 後ろで変な声がした。 振り返ると、二重床の切り欠きの下に仁衣那さんの顔があった。 ガムテープの猿轡の下で器用に笑っている。 あ、多華乃さんも笑ってる。 後ろ手錠の身体をひくひく揺すりながら笑っている。 よく盗み聞きできるもんだね、そんな狭いところに転がってて。
・・
「ちょっと五月蠅いね」 酒井さんが運転席の横のレバーを引いた。 かしゃ。 二重床切り欠きのシャッターが閉じて、仁衣那さんと多華乃さんの姿が見えなくなった。 笑い声も途絶えた。 まるで鮮やかなイリュージョンの幕切れのように美女が消え去った。
「何すかこれ!!」 「こんなこともあろうかと作っておいたんだ」 「真田班長ですか」 「誰だい、それ」
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~登場人物紹介~ 畑本 将司 (はたもとまさし): 18歳(高3) イリュージョンに興味がある高校生。 朝比奈 知里 (あさひなちり): 20歳(大3) J大イリュージョン同好会会長。アイドルコスで歌うのも好き。 占野 陽介 (しめのようすけ): 20歳(大2) 同好会副会長。 八代 亘 (やしろわたる): 19歳(大2) 同好会メンバー。 高浦 仁志 (たかうらひとし): 18歳(大1) 同好会メンバー。 岩淵 琳琳 (いわぶちりんりん): 19歳(大1) 同好会メンバー。 酒井 功 (さかいいさお): 26歳 同好会OBで初代会長。特技はイリュージョン製作と緊縛。 酒井 多華乃 (さかいたかの): 26歳 同好会OB。功の妻。身体が柔らかい。 出水 仁衣那 (でみずにいな): 25歳 同好会OB。将司の再従姉妹(はとこ)。巨乳。 小谷 真幸 (こたにまさき): 26歳 同好会OB。功と共に緊縛ができる。 玻名城 れいら (はなしろれいら): 18歳(高3) 酒井夫妻の友人。功から緊縛を習っている。 桧垣 梢 (ひがきこずえ): 15歳(中3) 酒井夫妻の友人。大阪出身。
酒井功・多華乃さんが関係するお話もずいぶん増えましたので、関連する過去作を一覧にします。 本話だけ読んでも楽しめるように書いていますが、これらもご覧いただけば一層楽めると思います。 『体験イリュージョン』 (功くん、多華乃さん、仁衣那さん登場) 『多華乃の彼氏』 (功くんと多華乃さんの出会い、小学生のれいらちゃん登場) 『多華乃の彼氏2』 (イリュージョン同好会設立) 『美術モデル』 (れいらちゃん高校生) 『梢ちゃん、初めてのイリュージョン』 (梢ちゃん登場) 上の流れとは独立していますが、こんなお話もありますのでよろしければどうぞ。 『アネモネ女学院高校文化祭マジック研究会公演記』 (仁衣那さん高校時代) 『キョートサプライズ・水色の思い出』 (梢ちゃんお母さんの中学生時代)
今回は本文だけで4万5千文字の巨大サイズになりました。 イリュージョンの数も多く、そちら方面に興味のない方には読み難いと思います。 一部のイリュージョンには見出しをつけましたので、���当に読み飛ばしてもらってもストーリーは追える、かな?
新キャラは主人公の畑本くんと、J大イリュージョン同好系現役の面々です。 畑本くんはイリュージョン好きでネットで情報収集するタイプ。 SNSや動画サイトはもちろん、無料で見られるなら英文のイリュージョンブック(イリュージョンを演じるための説明本)まで探して読む、まあ私や皆様^^と仲間です(笑。 そんな彼も功くんが作る 変態的 マニアックなイリュージョンを初めて知って 道を誤る 新たな道を選ぶことになりました。 畑本くんの設定を考えていたら、偶然れいらちゃんも同学年。となれば若いモン同士でいい雰囲気になって���まうのはもうお約束ですよね!
同好会メンバーでは知里会長が可愛らしいM女になってくれました。下級生にもバレバレなのに本人は隠そうとしているところが私の好みです。 琳琳ちゃんもM性たっぷりですがまだ1年生。彼女には男性メンバーの誰かをボーイフレンドにしたいと思っていましたが描けませんでした。
それでは登場したイリュージョンを順に振り返ります。 作者オリジナルのイリュージョンがいくつかありますが、どれも実現性を考えたガチです。今回ファンタジーのイリュージョンはありません。 ネタバレ/タネ明かしがあるので、本文未読の方は先にそちらをお読みになることを強くお勧めします。
1) ブルームサスペンション人形 仁衣那さんの部屋にある人形を畑本くんが見つけたことからお話が始まります。 私も欲しくなって簡単なペーパークラフトを作ってみました。やじろべえ構造にしたので本当に揺れます。 (実物のブルームサスはこんな揺れ方はしません) 使ったのは手持ちの古ハガキ、プラ板、ナット。台座は 100 均で見つけた「ミニ王冠と杖」です。 製作期間1日以内のお手軽作品です。 参考までに 裏面はこんな感じ です。
2) イリュージョン同好会公演オープニング 一人掛けの椅子と巨大造花からそれぞれ美女が出現します。どちらも現実にあるイリュージョンです。 特に美女が出現する椅子(チェア・アピアランス)は最近よく見かけるイリュージョンで Amazon でも買えてしまったりします(笑。
3) マジカルマミーの人体交換 巨大な布を人間にぐるぐる巻いて、再び解くと別の人間が出てきます。 たぶん昔からあるイリュージョンです。 私は同じ布の左右で2回巻くアレンジをしてみましたが、すでにどこかで演じられているかもしれません。
4) 逆さヒンズーバスケット 美女が入ったまま上下を逆にできるオリジナルのヒンズーバスケットです。 『多華乃の彼氏2』でイリュージョン同好会初代会長の功くんが出来合のヒンズーバスケットを魔改造しました。 あまりに丈夫で壊れないので、7年経った今も使われ続けている設定です。 本話では発泡スチロールのボールを流し込むバリエーションをやりました。
5) 手首ギロチンと切断手首 首が落ちるギロチンイリュージョンはよく見かけるので手首でやってみました。 落ちた手首をガラス箱の中に収めること、その手首が動くこと、それをカメラで接写して観客のスマホに中継するのはオリジナルです。 実は倉橋由美子さんの『怪奇掌篇』に含まれる『カニバリスト夫妻』のエンディングにインスパイアされたのがこの手首です。 『カニバリスト夫妻』で女性の手首はアクリルキューブに入っていましたが、ここではガラス箱に変更。 切断面を覆う白いレースが洒落ていたので真似させていただきました。
6) ドラム缶脱出 千円で買った中古の 400 リットルドラム缶を改造して作ったオリジナルイリュージョンです。後述の水中脱出にも使用する前提で改造されています。 隠し扉の追加などでドラム缶本体よりはるかにお金がかかっていると思います。
7) 軽自動車ダンボールの人体交換 イリュージョンというよりイタズラです。 助手席に座る人物一人を騙すためにばかばかしい手間をかけています。こういう遊びが大好きなんですよね。 (言わずもがなですが、本当にやったら乗車積載方法違反になりますよー^^) 想定車種はズズ○のエ○リイ。床面フラットの軽バンというだけで、車に詳しい方ならお判りかも。 図面をダウンロードして調べましたが、エ○リイの収容力はすごいですね。床面から 500mm の二重床の下に(女性を詰めた)490×730×630mm のダンボール箱を3個収納できます。 功くんがわざわざ選んで買って多華乃さんに呆れられるのも分かりますね(笑。
8) ドラム缶水中脱出 功くんこだわりのイリュージョンです。 「女の子に楽させない。わざと苦しい思いをさせる。それを観客の見えないところでする」(知里さん談)を実現するため無茶をやってます。 ドラム缶内の水面が下がることでアシスタントが呼吸可能になる構造です。呼吸菅はあえて設けません。 水面が下がる速度はできるだけ遅く、時間をかけて・・(笑。 詳細の構造/効果については作中で功くんが長々と語っていますので、そちらを参照して下さい。
今回このイリュージョンの検討ではいろいろ楽しい計算をしました。水圧、水栓の直径毎の通水時間と水深変化、限られた空気での限度時間、etc. こういうとき ChatGPT は便利ですね。 「XX 立方メートルの密室(換気なし)に成人女性N名を閉じ込めた場合、酸素濃度と二酸化炭素濃度の変化を計算し、時間毎の健康影響を示せ」なんて指示にも「お前何するつもりやねん」と疑わず親切に答えてくれますから^^。
9) チェア・アピアランスのバックステージ 美女が出現する椅子(チェア・アピアランス)について、単純な出現/消失に留まらない使い方ができるはずという話題を X(Twitter)でしたことがありまして、本話でそれをやってみました。 バックステージとは、観客に向けて演じるイリュージョンを後ろ(観客の反対側)から眺めさせる、という手法のイリュージョンです。途中まで仕掛けを見せて「なるほど」と思わせておき、最後は「あれ?」と驚かすのがお約束。 自分では面白いプランができたと思っていましたが、「椅子の中に女性が隠れている」ことを暗黙のうちに分かっているから成立するバックステージだと執筆中に気付きました。 功くんに「面白いけど未来に行き過ぎている」と講評させたのはこの理由です。 椅子を使わなくても、キャスター付の箱やスーツケースで(一定の大きさがあれば)近いことができるでしょうね。 あと、功くんが違うイリュージョンのことをいろいろ言ってますが、ネタで言ってるだけですから突っ込まないで下さいね。
10) ロープイリュージョン 主人公の畑本くんが一人でできるネタとして選びました。 ストーリー上は重要なイベントですが、イリュージョン自体は特に珍しくありません。 仕掛けにクリップを使ったのはオリジナルです。 ちなみにロープを使うイリュージョンとしては「ジプシーロープ」が有名ですが、まったく別のものです。
イラストは今回すべて(ペーパークラフト原図も)AI出力です。 自分の過去絵を i2i して時短しました。
さて、J大イリュージョン同好会やOBの功くん多華乃さん、れいらちゃんや梢ちゃん、(本話では未登場ですが)三田先生の造形美術教室 が登場する一連のシリーズをこの先どうしようか思案中です。 新しいお話のたびにキャラを追加して過去の登場人物と絡ませるのは楽しいです。キャラの成長や人生の変化(結婚・出産など)を描けるのもよいですね。 しかしお話の数がずいぶん増えてしまいました。毎回イリュージョンと緊縛の似たような内容になるのも避けられません。 ゆっくり考えて結論は X(Twitter)で報告することにします。
それではまた。 長文お読みいただきありがとうございました。
[Pixiv ページご案内] こちら(Pixiv の小説ページ)に本話の掲載案内を載せました。 Twitter 以外にここからもコメント入力できますのでご利用ください。(ただしR18閲覧可能な Pixiv アカウント必要)
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◆TWINSET (ツインセット)◆ドレスが入荷しました。 価格:64,900円(税込) 弊社通販サイト商品ページ⇒http://www.gallery-jpg.com/item/643-101-315/ SPRING&SUMMER 素材: (本体1)ポリエステル95%、ポリウレタン5% (本体2)ポリエステル95%、ポリウレタン5% (本体3)ポリエステル95%、ポリウレタン5% (本体4)ポリエステル100% (本体5)ポリエステル96%、ポリウレタン4% (ベルト部分)ポリエステル95%、ポリウレタン5% カラー:レッド×ピンクベージュ×ホワイト サイズ:40 総丈約100cm、肩幅約38cm、袖丈約62cm、バスト約96cm、ウエスト約74cm、ヒップ約116cm (平置きの状態で測っています。) 鮮やかなレッドカラーのドレス。 肩のラインから袖口に向かってピンクベージュとホワイトがカラーブロッキングされ、袖口はリブ仕立て。 上身頃はツイル生地。 スカート部分はクレープ生地を使用しアコーディオンプリーツ加工を施しています。 ツイル生地のサッシュベルト付きでウエストマークしていただけます。 普段使いして頂きやすいカジュアルなドレスです。 ※ご覧頂いている媒体により、色の見え方が多少変わる場合がございます。 ※店頭でも同商品を販売しておりますので、通販サイトの在庫反映が遅れる場合があり商品をご用意出来ない場合がございます。予めご了承頂きますようお願い致します。 ━━━━━━━━━■アクセス□━━━━━━━━━ なんばCITY本館の1階 大阪難波郵便局側から入って1軒目 靴のダイアナ(DIANA)の隣 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Gallery なんばCITY本館1階店 〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波5-1-60 なんばCITY本館1階 【営業時間】11:00~21:00 【休館日】10月無休 【PHONE】06-6644-2526 【e-mail】[email protected]
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真似してみた
初の長岡
中越弁、怪しいところもあったかもしれないけど(あっきゃー)、「なじらね?」は通じた
ちょっとお久しぶりの稲垣潤一さんとのクリスマス🎄
お互い水に弱くて溺れそうになった経験や、地声は低いのに歌うと高いという共通点でトークも楽しく盛り上がりました。稲垣さんの歌声は、どの音もそのど真ん中に刺さるので、なんともクリアでピュアで、ベルのような響き🔔
オーストラリア育ちの私は、クリスマスは違和感しかなく(南半球なのに飾りもツリーも基本変わらず暑苦しい)、基本お祝いして来なかったため、クリスマスキャロルが流れる頃には憂鬱マックスでしたが、日本に来て、もう稲垣さんの声が流れないクリスマスは想像しにくいです🎄
1st Stage はお着物関係👘
リクエストされた大河ドラマ『西郷どん』で参加させて頂いた「我が故郷」を振袖ドレスで表現
本物も真似してみた
和風編
最後は皆さんも真似してみた
(ご協力、ありがとうございました)
相変わらずハートフルなピアノ演奏をはじめ、
いつもこのメンバーの時のセトリや衣装のプロデュースをされてるのは塩入さん^_^
New Otani Nagaoka の入り口のすぐ隣の素敵なお店。ショーウィンドウに折り鶴が。🇦🇺の国旗も。
毎日頑張ってる自分へのご褒美。贅沢なクリスマス。人生を豊かにするそんな瞬間に、心躍りますね。
世界の誰もがそんな贅沢なクリスマス、安心できるクリスマスを過ごせる権利があるべき。なのに、現実は違う。
平和を願うクリスマス。そんなメッセージを込めて尊敬する教師、坂本龍一氏の『戦場のメリークリスマス』を歌って演奏させて頂きました。
一度きりの人生。思いっきりエンジョイして、自分を大事にして、周りの人も同じように人生を自分らしくエンジョイできるサポートをして行きたい。
贅沢なクリスマスだからこそ、そんな当たり前なことを毎回考えさせられます。
では、最後に、良かったら、笑って下さい🤭
この人、見たことある
feat. 稲垣潤一、塩入俊哉、サラ・オレイン
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お祝いの席のためのスペシャルドレスのオーダーのご紹介です。
オーダー者様の体型、好みのシルエット、イメージのスタイルを話し合いながら長い期間かけてデザインしました。
首周りはすっきりしつつ肌はあまり見せ過ぎない絶妙なラインに。シルクバイヤスリボンのフリルをさりげなくあしらいました。
胸元の切り替えは高めの位置で上品でストンとした印象に。
様々な国、いろいろな年代の民族衣装の素材を集め、組み立てる時もドキドキするほど贅沢なパッチワーク✨
プレミアムな生地は貼り、艶、発色、動き、どれをとってもピカイチです。裏地にソフトチュールを仕込んだので着たらフワッとします。
袖もパターンを工夫し、ボリュームが綺麗に出るような形を追求しました。
テニスカフスに取り外しできるボタンで折り返しても楽しめます。
ヴィンテージのシルクリボンのスペシャルネームタグ。
刺繍は明時代の宮廷服の補子(※ほし、服につけて官位を表す飾り布)を使った龍の刺繍。皇帝の象徴である龍を鮮やかに刺繍しました。
可能な限り、思いつく限りの贅沢な要素を隅々まで詰め込んだ最強なドレスが完成しました。
丁寧に作り上げる時間が至福の極みでした。
素晴らしいオーダーをありがとうございます🦚
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韓国の長袖妖精ドレス
Hello! 👋 How can I assist you today? If you have any questions or need information, feel free to ask.
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ウェディングドレス LS+20302(オフホワイト) シルクミックスのミカドを使用した上質なモノマテリアルドレス。 構築的なクールさの中に程よい甘さを加えたウエディングドレス。 袖付きのブラウス、BCトレーンは着脱可能で1着で印象を大きく変化させられます。
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