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#装飾トレーナー
gallerynamba · 2 months
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◇TWINSET ACTITUDE (ツインセット アクティテュード)◇スウェットが入荷しました。 定価:48,400円(税込) 弊社通販サイト商品ページ⇒http://www.gallery-jpg.com/item/643-31-320/ 素材: (本体1)コットン96%、ポリウレタン4% (本体2)ポリエステル100% (装飾)ポリエステル98%、ポリウレタン2% カラー:ホワイト サイズ:XS 総丈約48cm、肩幅約45cm、袖丈約54.5cm、バスト約104cm、ウエスト約100cm (平置きの状態で測っています。) コットン混のジャージー生地のスウェット。 3枚重ねの大きなラッフルフリルが目を引きます。 フリル部分は肉厚、高密度のサテン生地を使用し、異素材感を出しています。 コンパクトな着丈です。 ※ご覧頂いている媒体により、色の見え方が多少変わる場合がございます。 ※店頭でも同商品を販売しておりますので、通販サイトの在庫反映が遅れる場合があり商品をご用意出来ない場合がございます。予めご了承頂きますようお願い致します。 ⠀⠀// 🗣 いいね・保存・コメント大歓迎!ご来店お待ちしております! \\ ━━━━━━━━━■アクセス□━━━━━━━━━         なんばCITY本館の1階     大阪難波郵便局側から入って1軒目        靴のダイアナ(DIANA)の隣 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Gallery なんばCITY本館1階店 〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波5-1-60 なんばCITY本館1階 【営業時間】11:00~21:00 【休館日】8月22(木) 【PHONE】06-6644-2526 【e-mail】[email protected]
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mnx3e · 3 years
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今年は結構いろんなゲームをやったなぁという事で、Switchで遊んだゲームの記録。Games played on Switch in 2021.
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▲Monster Sanctuary・モンスターサンクチュアリ
モンスターを育てて戦わせる。探索やスキルツリーによる育成が楽しいし案外奥が深い。ドットが可愛い。モンスターの解説がえらい読み応えがある。音楽がとても良い、通常バトルの曲がめちゃクールで一聴の価値あり。いわゆるトレーナー戦で詰んでる。
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▲Dungeon and puzzles・ダンジョンとパズル
物に当たるまで直進するキャラを動かしてモンスターを全滅させつつ出口まで導くパズル。剣や盾など効果の違うアイテムを駆使して進む。めちゃ頭使うけど解けるとスッキリ。決まったターン以下で解けた時のドヤ感がすごい。ドットが可愛い。
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▲Cozy Grove
すぅ〜ごいシンプルになったどうぶつの森。箱庭でお使いする日々ちょっとだけやる日課系ゲーム。死んじゃったクマさんたちを成仏させて島から出るのが目標。家具やお花をその辺にデコレーションできる。絵が可愛い、音楽も良い癒し系。もう明確な目的も無くなったのに不思議と今なお続けてる…
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▲Crown Trick・不思議な王冠
不思議のダンジョン。絵が可愛い。運が良いとサクサク進めて楽しいけど、自分にとっては難易度がちと高くて毎回同じ所で詰むw 特有の緊張感。一回始めると黙々とやっちゃう。
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▲Iris and the Giant・イリスと巨人
スタイリッシュカードゲーム。めちゃシンプルな絵だけどそれが可愛い。だいぶ運に左右されるものの、モンスターのパターンを活かしつつ限られたカードを駆使して進むのが楽しい。じっくり考えるので時間泥棒。一部のモンスターは特定のカードが無いと詰むのがちょっとしんどい。
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▲Luna's Fishing Garden
釣りしながら水辺にデコレーションできるまったりゲーム。釣りが思ったよりウーン、装飾も思ったより種類が少なく配置出来る場所も自由度低めでちょっと物足りなかった。ドットが可愛い。
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▲EASTWARD・イーストワード
アクション。ドットが可愛い、というか個人的には正当進化したドット絵ゲームという印象。背景の描き込みや光の表現、表情豊かなアニメなど見心地がとても良い。なんとなくMOTHERの雰囲気に近い…かも?急にドット絵投稿したのもコレの影響(笑)謎深まるストーリーも良し。曲も良し。お料理も楽しい。ただアクション下手なのもあって難易度高めに感じるのと、ある街の滞在期間が長過ぎて中だるみ中。でもクリアまで行けたら良いな…
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▲COFFEE TALK・コーヒートーク
バリスタとしてコーヒーを提供しつつお客さんの話を聞くゲーム。客のリクエストに応えるべく材料を組み合わせて飲み物を作るのが「ゲーム」の部分で基本的には読み物。現代社会の色んな人間模様を種族で表現してるのが秀逸で、ファンタジーなのに妙にリアル。みんな違ってみんな良い。狼男がワイルドセクシー。媚のないキャラデザとドット絵が良い味。
大体詰んでるし大体ドット。だってやっぱりドット絵は可愛いもの…
買ったもののつまんなくて削除したものや、スマホの方でも結構手を出したけどそれらは割愛。でもおそらく触れた数は過去一だったと思う。
来年も色々出来たらいいですな。
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creamcheesecouture · 5 years
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. . MARIE ANTOINETTE Sweat shirt ¥17,380(Tax Included) . 誰もが知っているマリー・アントワネットの肖像画をプリント。 . 肖像画下の 「S'ils n'ont pas de pain, qu'ils mangent de la brioche.」は、かの有名な「食べるパンがなければ、ブリオッシュを食べればいいのにね」のフランス語。 彼女が発した言葉ではないのに、まるで彼女が発したかのように語り継がれている言葉をアイロニックな象徴としてプリント。 . . ———————————————— . ARABIAN Sweatshirt ¥19,140 (Tax Included) . エジプトの民族衣装“ガラビア”をスウェット素材のトレーナーに。 前身頃上段はアラビア語で《開けゴマ!》、下部は《アリババ》、真ん中の( X X X )は童話『アリババと40人の盗賊』でアリババが自宅を紛らす為に、街中の家の玄関に点けた印。 . 後ろ身頃はCREAM CHEESEをコーランの飾り文字風にしたマークと CREAM CHEESEをアラビア語で。 . . ———————————————— . . #الجلابية #marieantoinette #arabian #arabic #souvenir #onlineboutique #couturière #creamcheesecouture #creamcheese #creamcheesebaroque #bouquinistescreamcheese #boutique #autourdumonde #fashion #tshirts #tshirtsdesign #design #sweatshirts #caricature #punk ? #anarchy ? #humor #フランス文学 #読書 #読書記録 #読書好き https://www.instagram.com/p/B37TwNah6su/?igshid=138ejaf6qld6s
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sorairono-neko · 5 years
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勝生勇利の可憐なる愛
『好きなスケート選手は誰ですか?』  画面の中で、幼い勇利が頬を上気させて答えた。 『ヴィクトル・ニキフォロフ選手です』 『目標にしている選手はいますか?』 『ヴィクトル・ニキフォロフ選手です。彼のスケートは実際うつくしいですし、目を奪われます』  すこしだけ成長した勇利がそう答えた。 『あこがれの選手は?』 『ヴィクトル・ニキフォロフ選手です。彼はすべてが輝いています。いつも優雅で、かっこいいです』 『尊敬している人はいますか?』 『ヴィクトル・ニキフォロフ選手です。演技もすばらしいですが、競技にのぞむ姿勢が、厳しくて、鋭くて、崇高だと思います』 『会ってみたい人はいますか?』 『ヴィクトル・ニキフォロフ選手です。会いたいというか……いつか彼と同じ試合に出たいです。同じ氷の上に立ちたいです』 『勝生選手、あなたにとってのヒーローは?』 『ヴィクトル・ニキフォロフ選手です』 『彼のどういうところが好きですか?』 『ええっと……、ぜ、全部です』 『ヴィクトル・ニキフォロフ選手に話しかけるとしたら、どんなことを言いたいですか?』 『えっ……』  大人になった勇利はまっかになって頬を押さえた。 『何も……』 『何も?』 『恥ずかしくて、とても話なんかできません』  勇利は本当にヴィクトルが好きで、ヴィクトルはそれを常々感じており、勇利の愛こそ崇高だと思っていた。勇利は純粋で、打算や計算などを胸に持たず、瞳はいつも澄んでいた。  ヴィクトルは、勇利の昔の映像を見るのが好きだった。勇利はいつでも、誰かひとりの名を挙げて欲しいと要求されると、ヴィクトルについて口にした。ほかの誰のことも言ったりしなかった。画面の中の勇利は、大会のたび、インタビューのたび、ヴィクトルへの深い尊敬と愛情を少ない言葉で語った。ヴィクトルが勇利を知らないころの勇利は、ヴィクトルのことを知っており、そのころからずっとヴィクトルを好きだと言い続けているのだ。背が伸び、頬のまるみが落ち着き、四回転が跳べるようになっても、彼のヴィクトルへの想いだけは変わらなかった。ヴィクトルはその映像を見てはうれしくなり、自分も勇利への愛を感じ、いい気持ちになるのだった。  ノックの音がして、勇利が入ってきた。彼はヴィクトルの洗濯物を抱えており、眉を吊り上げていた。 「もーっ、ヴィクトル!」  ヴィクトルの顔を見るなり勇利は文句を言い始めた。 「洗濯機に入れるときは、ちゃんと表に返してって言ってるじゃん! シャツも靴下も、みんな裏返ってたんだよ!」  勇利はヴィクトルの鼻先に洗濯ものを突きつけながら責め立てた。 「裏返しのままたたんでやろうかと思ったよ! これ言うの何回目だよ!」 「ごめん」  ヴィクトルは素直に謝った。しかし勇利の怒りはおさまらないようだ。 「そうやって毎回謝るのに、ちっとも改善されないよね! ほんとに悪いと思ってる!?」 「それは……思ってるよ」 「なにいまの変な間!」 「いや、思っている。勇利、ごめん」  悪いとは思うのだが、こごとを言う勇利がかわいくて、ヴィクトルはあまり話を聞いていなかった。 「思ってるならちゃんとしてよ!」  勇利はぷりぷりした態度で頬をふくらませた。 「ぼくが怒って、ヴィクトルがごめんって言って、そういうやりとりが永遠に続くようじゃだめなんだよ!」 「永遠……」 「そうだよ! 何回も同じこと言わされて……」 「いいね。勇利と永遠に一緒にいたい」  勇利の目つきがさらに鋭くなった。あ、とヴィクトルが思うと同時に、彼の声が大きくなった。 「貴方本当に悪いと思ってるの!?」 「思ってるよ。悪かった」 「自分が洗濯するときもこうなの? 気にならないの? まったく……。次やったら、裏返しのままたたんで突き返すからね!」 「了解」 「まったくもう……」  勇利はぶつぶつ言いながら部屋を出ていこうとした。丁寧にたたんだ洗濯物を大切そうに抱えている。ヴィクトルの衣装戸棚に片づけるつもりなのだろう。 「勇利」  ヴィクトルは勇利が家にいるという日常にきゅんとし、胸のうずきを感じながら呼び止めた。 「なに?」 「かわいい」 「は?」 「勇利はかわいい」 「…………」  勇利は疑わしそうにじろじろヴィクトルを見たあと、そっけなく言った。 「そういうのいいから」 「本気で言ってるんだ」 「はいはい」 「勇利は清楚で純真でうつくしい。慎ましやかで肌が綺麗だ」 「わかったよ。どうもありがとう」  関心なさそうに勇利は言い捨て、「肌が綺麗って何なんだよ……」とあきれながら出ていった。彼はヴィクトルからの賛辞など気にしておらず、まったくどうでもよいといった具合だった。  ヴィクトルはノート型のコンピュータの中で停止したままの、ナショナルジャージ姿の勇利を見た。彼はまっかな頬で、「恥ずかしくてヴィクトル・ニキフォロフ選手とはとても話なんかできません」と語ったばかりで、ひどくあどけない表情だった。この映像はかなり昔のものというわけではなく、少なくともいまより二年以上前ということはなかった。 「…………」  ヴィクトルは、画面の中の勇利に向かい、閉まったばかりの扉を指さして語りかけた。 「いまの勇利はこんな感じ」  勇利がどんな感じであろうと、ヴィクトルは彼を深く愛しており、昔の映像を見て「勇利がかわいい。可憐だ。なんていちずなんだろう」と感激するのと同じように、そばにいる勇利を見て、「かわいい。しとやかでうつくしい。楚々としたところも身勝手なところも、何を言っているのかよくわからないところも、すべていとおしい」とくびったけだ。ときどき気持ちがあふれ出して止まらなくなり、勇利を抱きしめて彼の抗議も構わずキスすることがあるのだが、そうするだけではもう我慢できないところまでヴィクトルは来ており、いよいよ進退きわまったといった具合だった。 「勇利、好きだ」  ヴィクトルは、ベッドに腹ばいになり自分のノート型コンピュータで練習風景をおさらいしている勇利にささやいた。 「うん」  勇利はあきらかに聞いている態度ではなく、幾度も映像を戻しては演技の確認をしている。 「愛してるよ」 「うんうん」 「勇利、聞いてくれ。俺は──」 「そんなことよりさ」  勇利は熱心に自身を観察しながら言った。 「この演技について何か助言してよ。今日ヴィクトル、練習途中で帰っちゃったから、これ見てなかったよね? 自分ではしっくり来ない感じがあるんだけど、トレーナーはいいって言うし、ヤコフコーチも何が気に入らんのだみたいな態度だったんだよ。気に入らないっていうんじゃないんだけど、なんか……なんかさ……」 「勇利。それは明日にしよう」 「だめ。いま」 「明日だ」 「いま」 「勇利」  ヴィクトルはコンピュータを強引に閉じて勇利を振り返らせた。勇利は「何するんだよ」とくちびるをとがらせながら抗議し、しかし、ヴィクトルの真剣な目を見て口をつぐんだ。 「……なに?」 「いい?」  ヴィクトルは静かに、情熱的に言った。 「何が?」 「わかるだろ」 「……わかんないよ」 「好きだよ」 「それはぼくもだけど、だからなに?」 「わかるだろ」 「わかんないってば……」 「勇利……」  ヴィクトルは勇利を抱きしめてくちづけした。勇利はすこし身構えるように身体をかたくしたけれど、抵抗はせず、されるがままになってじっとしていた。 「好きだ」  ヴィクトルは鼻先をふれあわせてささやいた。勇利は赤い頬をして何も言わない。 「好きだよ」 「…………」 「勇利を愛してる」 「…………」 「きみのことが……」 「もうわかったよ……」  勇利は上目遣いでヴィクトルをちらと見、目が合うと急いでそらしてうつむいた。その愛らしいしぐさにヴィクトルはのぼせ上がってしまい、勇利のコンピュータを押しやって、くちびるを合わせながら彼に身体を重ねた。勇利は、ヴィクトルが寝巻を脱がせても、下着の中に手を入れても怒らなかった。もっとすごいことをしても反対しなかった。彼は熱い吐息を漏らしてまぶたを閉ざし、ヴィクトルにしがみついて、甘えるように頬をすり寄せた。 「いい……?」  ヴィクトルが尋ねると、勇利はうるみきった瞳を上げてとろけるようなまなざしを示し、おぼつかない口ぶりでつぶやいた。 「わかるでしょ……」  翌朝のヴィクトルは、勇利が目ざめるよりさきに起きて、彼のおとなしやかな、清純な寝顔をずっと眺めていた。とくに変わったことはなく、勇利はただ深く眠っているだけだというのに、見ていてちっとも飽きないのだった。やがて勇利は、ヴィクトルがカーテンを開けておいた窓からのひかりに眉を寄せ、わずかに顔をしかめて、それからゆっくりと目をひらいた。 「おはよう」  ヴィクトルはほほえんだ。勇利の黒い瞳が一瞬きらめき、不思議そうにヴィクトルを見た。急に彼は気恥ずかしそうに頬を赤くして、もぞもぞと掛布の中にもぐっていってしまった。 「勇利、どうした?」 「…………」  ヴィクトルは勇利の顔が見たかった。飾らない、ヴィクトルと抱きあったそのままの素顔が見たかった。けれど勇利はしっかりと掛布を握りしめ、ヴィクトルがそれをはぐるのに必死に抵抗した。 「勇利?」 「見ないで……」  かぼそい声がおずおずと答えた。ヴィクトルはぱちりと瞬いた。 「見ないでよ……」 「……なぜ?」 「……恥ずかしいから」  ヴィクトルは笑い出した。まるくなってしまった勇利の身体をふとんの上からぽんぽんと叩き、優しくあやしてやった。勇利はしばらく籠城して口も利かなかったけれど、そのうち、もぐりこんだときと同じように、もぞもぞと身じろいですこしだけ顔を出した。 「ん?」  もういいのかい? とヴィクトルは勇利の瞳をのぞきこんだ。すると勇利は、ぱあっとまた頬を赤く染め、ふとんの陰に隠れてしまった。 「勇利?」 「あぁあ……かっこいい……」 「え?」 「ヴィクトルがかっこいい……しんじゃう……」 「…………」  勇利はしばらく、ヴィクトルかっこいい、どうなってるの、人間じゃない、宇宙人、世の中おかしい、いや正しい、と謎のせりふをぶつぶつとつぶやいていた。どうしたものかとヴィクトルが考えこんでいると、彼はまたそっとヴィクトルの様子をうかがい、今度は隠れてしまったりせず、ヴィクトルの胸に顔をうめて声を絞り出した。 「あぁ……おかしくなりそう……ぼくおかしくなりそう……!」 「…………」  かわいい……。ヴィクトルは目を閉じ、てのひらで口元を覆って、変なうなり声が出るのを押さえた。おかしくなりそうなのは俺のほうだと思った。 「なんかもう生きていけない気がする……。こんなことになって……こんな……ヴィクトルと……こんな……」  勇利が夢見るように言いつのった。 「だって、ヴィクトルだよ……? あのヴィクトル・ニキフォロフだよ……。かっこよくて、優しくて、わけわかんなくて、宇宙人で、でも優しくて、声がすてきで、セクシーで、優しくて、かっこよくて、かっこよくて、���っこいい、あのヴィクトルニキフォロフだよ……」 「ゆ、勇利?」 「そのひとがぼくに……ぼくにさわって……あ、あんな……あんなことや……こんな……」 「勇利」 「こんな……あああ思い出したらやばか!」  勇利はふとんごともじもじと揺れ動き、ヴィクトルにぴったりとくっついた。彼のけなげな大きな瞳がじっとヴィクトルをみつめた。ヴィクトルは胸が甘く、つらいくらいだった。 「ちいさいころから……ずっと好きだったヴィクトル……」  勇利が駄々をこねるようにヴィクトルに額をこすりつけた。ヴィクトルは、そんなことばっかり言ってると朝から襲うぞ、と思った。ヴィクトルこそゆうべの勇利の愛らしさや儚さ、色っぽさ、いじらしさを思い出すにつけ、おかしな態度になりそうなのだけれど、こんな勇利を見ていると、自分がしっかりしなければという決意がわいてくるのだった。 「勇利、生きてくれ。俺をひとりにするつもりか? 愛する勇利がそんな……」 「ああー待ってください皇帝陛下!」  勇利が遮るように叫んだ。 「愛するとかやめて! 愛するはだめ!」 「なぜ? 俺は勇利を愛してるんだからごく当たり前の呼び方……」 「だめ! それはだめ! ぼくの心臓を止める気!?」  勇利は断固として拒絶し、「それはだめ」と言い張った。 「勇利、ずるいぞ。俺は──」 「ときめきすぎてしんじゃうから!」 「…………」 「しんじゃうからだめ! ぼくヴィクトルのことになるとだめなんだ!」  そんなおまえに俺がときめきすぎてしぬ。ヴィクトルは勇利のかわいらしさに苦しみさえおぼえた。 「はあ……」  一方勇利はひと息ついたのか、ヴィクトルの胸に頬を寄せてぼんやりしていた。 「はあ……」 「…………」 「はあ……」 「……勇利」 「なに……?」 「何か言ってくれ。ゆうべはどうだったのかとか。俺をどう思っているのかとか」 「え。え。どうって……」  勇利はまっかになったあと、両手でおもてを覆った。 「どうってなに!? 何を言えばいいの!? な、なんか具体的な……? どこでどう思ったとか、こうされたときどうだったとか……? えっちって、翌朝そんな試練があるものなの!?」 「いや……試練というか……」 「ごめんそれは無理!」  勇利が申し訳なさそうに、全力という様子で謝罪した。 「無理です!」 「いや、だったらいいけど……」 「ヴィクトルのことで頭いっぱいでどうにかなっちゃいそうなんだから、ぼくのことはほっといて! そっとしといて!」 「…………」 「慈悲を与えて!」 「……わかった」  ヴィクトルはひとりになる必要を感じた。彼は勇利を愛しており、もうこれは以上愛せないと思っていたのに、一夜をともにしたことでその愛はますます深まっていた。こんな勇利を延々と見せつけられたら、いろいろとたまらなくなる。彼とまだ寄り添っていたかったけれど、あまりに愛らしい勇利を過剰摂取し続けると自分がどうなるかわからなかったので、とりあえず冷静になるために離れようと思った。 「じゃあ俺は朝食をつくってくるね。勇利はベッドでゆっくりしておいで。もし起きるのがつらいようならずっといてもいいよ。食事は運んであげる。大丈夫ならシャワーを使って……」  ヴィクトルが起き上がり、シャツを羽織ってベッドから降りようとすると、勇利が裾をきゅっとつかみ、うつむいて引き止めた。 「どうした?」 「…………」 「勇利?」  勇利の赤い頬がりんごのようで、ヴィクトルはふれてみたかった。しかしふれるとそのさきもしたくなるので我慢した。勇利がぽつりと言った。 「……ぼくも行く」 「え?」 「ヴィクトルが起きるならぼくも起きる……」  ヴィクトルは目をまるくした。 「一緒に行く……」 「…………」  ヴィクトルはてのひらを目元に当てた。勇利、それってつまり……「ひとりにしないで」「ヴィクトルと一緒がいい」っていう……そういう……。  ヴィクトルは深呼吸をした。落ち着かなければ。こんなに気持ちをかきみだされたのは初めてだ。いや──ゆうべもいろいろあったのだが、それとはまたちがった感じがある。 「……わかったよ」  ヴィクトルはにっこり笑った。 「じゃあ一緒に行こう。愛する勇利」 「だから愛するはだめだって!」 「……抱いていこうか?」 「いい! いいから!」  ヴィクトルに抱き上げられることは了承しなかったけれど、勇利はヴィクトルの大きなシャツを着、ヴィクトルの服の裾をつかんだまま、ちょこちょことついてきたので、ヴィクトルはまためまいをこらえなければならなかった。俺シャツで俺のあとをついてくる……! 勇利がかわいい……。 「座って」  ヴィクトルは勇利を席につかせた。 「すぐできるものにするね。簡単で悪いけど」 「なんでもいい……」 「よし。じゃあ待っていて」  ヴィクトルはおなかをすかせた勇利のために、てきぱきと朝食の支度にとりかかった。勇利は邪魔をしなかったが、そのあいだじゅうヴィクトルにうっとりと見蕩れ、「ヴィクトル、かっこよか……」「料理するヴィクトルってすてき……」「男らしい背中たまんない……」「ヴィクトルのごはん……」「普通のシャツ着てるのにかっこいい……」「なんであんなにかっこいいんだろ……」「意味わかんない……」「かっこよすぎる……」「スケートしてるヴィクトルしぬほどかっこいい……」「でもいまは別の意味で泣くほどかっこいい……」などとつぶやいていた。 「勇利……」 「えっ、なに?」 「俺も勇利のこと、かわいいと思うよ……」 「ああー、そういうのいいから! いいから!」  勇利は両手の向こうに顔を隠してしまった。ヴィクトルは牛乳をかけたシリアルとヨーグルト、卵料理、スープを勇利の前に並べた。 「さあ食べて。飲み物は紅茶でいいかな」 「ヴィクトルの卵料理! 目玉焼き!」 「ちょっとつぶれちゃって……ごめんね」 「そんなのいい!」  勇利は目を輝かせてきっぱりと言った。 「ヴィクトルの目玉焼き! エンペラーサニーサイドアップ!」 「エン……なんだって?」 「ニキフォロフ食堂のエンペラーサニーサイドアップ!」 「…………」 「いただきます!」  勇利はひとしきり騒いだことでとりあえずは落ち着いたのか、フォークを取ってゆっくりと食べ始めた。ヴィクトルはふうと息をつき、自分も席について、愛するきよらかな子をさりげなく眺めた。黒髪は輝き、黒い瞳は幸福を帯びて、うつくしい食事作法の全体的にきちんとした様子はかわいらしかった。勇利が、たまらなくいとおしかった。 「……ヴィクトル……」  勇利が静かに呼んだ。彼のフォークは空中で止まり、視線はぼんやりしていた。 「なんだい?」 「ぼくたち……、その、ゆうべ、えっ……」 「…………」 「…………」 「…………」 「……ち、」 「…………」 「……したんだよね……?」 「……えっ?」  ヴィクトルは訊き返し、しばらく考えこんだ。あまりに間が空いたのでよくわからなかったが、常識的に組み立ててみれば、「えっち、したんだよね」ということになるのだろう。たぶん。 「……そうだよ」  ヴィクトルは微笑して優しく答えた。すると勇利は勢いよくうつむき、また両手を顔に当ててふるふるふるえながら、「し、信じられないよ」とささやいた。耳まで赤くなっていた。 「本当のことだよ」  ヴィクトルはあたたかく言った。 「し、したんだ」 「そうだよ」 「したんだ……」 「ああ」 「そ、そっか……」  後悔しているのだろうかとヴィクトルはすこし心配したが、勇利の口元はほのかな笑みをふくんでおり、うれしそうだったので、心底からほっとした。 「したんだぁ……」  勇利がほっぺたに手を添えた。彼はこのうえもなくしあわせそうで、頬はばら色に上気していた。ヴィクトルは、絶対おまえをしあわせにするからな、と思った。俺の勇利……。 「……勇利、身体は大丈夫かい?」  ヴィクトルは気遣った。 「俺もいろいろとせっぱつまっていたから、乱暴なことをしたんじゃないかと思うんだけど……」 「そ、そんなことないよ。や、や、優しかったよ」 「そうかな。それならいいんだけど、……痛くしなかった?」  勇利は顔を上げ、ぽかんとした表情でヴィクトルをみつめた。彼はすぐにまたうつむいて、絞り出すような声で答えた。 「だ、だ、大丈夫です……」 「そうかい? だったらよかった。でも、もし何かあったのなら遠慮せず言ってくれ」 「何もないよ。何も……その……」  勇利はテーブルの上でぎゅっとこぶしを握りしめた。 「き、き、きもちよかっ……」 「…………」 「ああー!」  勇利は顔を上げられないようだった。 「なに言ってるんだろぼく。なに言ってるんだろぼく」  彼は羞恥のせいか目をうるませ、そっぽを向いて口早に頼んだ。 「忘れて。いまのは忘れて」 「…………」 「忘れて!」 「……わかった」  ヴィクトルは便宜上笑顔でそう答えたが、一生忘れないぞ、と思った。そうか。勇利は気持ちがよかったのか……。  次はもっと気持ちよくしてやるからな。  勇利は疲れたのか、それ以上は何も話さず、電池が切れたかのように静かになって、もくもくと食事をした。ヴィクトルは洗い物も自分がすることにして、勇利に、「居間でやすんでなよ」と勧めた。 「う、うん。ごめん。ありがとう……」 「いいよ。ゆうべはたくさん無理させたからね」 「む、無理とか……」  ヴィクトルは流しに向かい、シャツの袖をまくって濡れないようにした。「ヴィクトル……」とおずおず呼びかけられたので、もう行ったと思っていたのにと首をかしげつつ振り返った。 「なんだい?」 「……あの」  勇利は近づいてくると、ふいにヴィクトルに抱きつき、背中に顔をうずめた。ヴィクトルがびっくりしているあいだに、彼はちいさくひとこと。 「す、す、好き……」 「…………」 「……です」 「…………」 「……じゃあ!」  勇利はさっと離れ、ぴゅーっと居間のほうへ逃げていってしまった。ヴィクトルは前を向き、スポンジを取って食器を洗い始めた。つるっと手がすべって器がものすごい音をたて、あやうく割ってしまうところだった。 「ヴィクトル、いまの音なに!?」 「だ、大丈夫だ。大丈夫……」  精神的には、ちっとも大丈夫ではなかった。 「ヴィクトル! ヴィクトル!」  勇利が叫んでいる。あの物言いは怒っているときの勇利だなとヴィクトルは思った。どうやら自分はまた何かしでかしたらしい。 「ヴィクトル、ちょっと!」  勇利は洗ったばかりの敷布を抱え、さらに手にヴィクトルの衣類を持って現れた。 「また裏返しで入れたね!」 「ああ……」  ヴィクトルは前髪をかき上げた。 「いつになったらこの癖が直るの? 一生直らないの? 本当に努力してるの?」 「勇利、勇利。そう怒らないでくれ。悪かったよ。ついぼんやりしてしまったんだ。最近はちょっと気をつけてただろう? たまたまなんだよ。いまがんばっている最中なんだ」 「本当かな」  勇利は疑わしそうにヴィクトルを見やった。ヴィクトルは神妙な顔つきで、「本当だ」と誓うようにうなずいた。 「勇利の言ったことをおぼえているようにはしてるんだけど、たまに浮かれたりして上の空になると、どうしても気が抜けてしまうんだよ」 「お風呂に入るのに、いったい何を浮かれる必要があるんだよ」 「それはもちろん、勇利と一緒に入りたいなとか、今日の勇利はかわいかったなとか、そういうことだよ」  勇利はヴィクトルの真剣な甘い言葉に惑わされることなく、厳しい物言いできっぱりと言った。 「そういうのいいから」  彼は指を振りたて、学校の先生のようにヴィクトルに言い聞かせた。 「ぼくのことなんか考えなくてけっこうです。そんなことより、脱いだものを表に返すことに気力を使ってください」 「でも勇利……考えなくても浮かんでくるんだ……勇利がかわいくて……」 「そういうのいいから」  ヴィクトルは溜息をついた。彼は、「今日の勇利はこんな感じ」とつぶやいた。 「なに!?」 「いや、なんでもないよ。とにかく俺が悪かった。気をつけるよ」 「表にするくらいちゃんとしてよ」  勇利はくるりときびすを返し、すたすたと部屋から出ていこうとした。彼はふいに扉のところでぴたりと足を止めると、洗いたての敷布とヴィクトルのシャツを抱きしめてそれに顔をうずめ、かぼそい声でつぶやいた。 「……でも、ヴィクトルがベッドでぼくを表返すときの手並みは見事だと思うし、あれ、……好きだよ」  ヴィクトルは目をまるくして勇利をみつめた。後ろ姿の勇利の耳は、まっかになってかわいらしかった。ヴィクトルはゆうべのことを思い出した。いや、ゆうべだけではない。勇利はヴィクトルと甘く愛しあう夜は、最初、必ず恥じらって背を向け、ちいさくなっているのだが、ヴィクトルはそんな彼の肩に手をかけて、優しく振り向かせるのだ。そして抱きしめてくちづけ、そのあと……。 「そ、それじゃ」  去ろうとした勇利にヴィクトルは急いで近づき、彼の肩に手を置いた。勇利の身体を向こう向きからくるりとひっくり返すと、勇利は洗濯物で顔を隠していた。 「な、なに……?」 「愛してるよ勇利」 「そ、そういうの……いい……から……」 「よくないだろ」  ヴィクトルは勇利を抱き上げた。勇利が慌ててヴィクトルの腕を��かんだ。 「ヴィクトル! まだベッドの支度できてないから!」 「俺が昼間に新しい敷布を出してやっておいたよ」  ヴィクトルはにっこり笑って机のほうを振り返った。机の上にはノート型のコンピュータがあって、画面には、ヴィクトルについて語る、気恥ずかしそうな勇利の映像が流れていた。 「今日の勇利はこんな感じ」
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gkeisuke · 5 years
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191116 腕時計とポケモン
腕時計が届いた。
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ロレックスのサブマリーナという眼球が破裂しそうになるくらい高い時計があるのだけど、色んな意味で買えない(※着けた瞬間、私の本体が肉体からサブマリーナに乗っ取られるため)ので、ややサブマリーナっぽい緑の時計を買った。
ズッシリとした存在感があって気に入っている。
かつて、ずっと階段の踊り場で深夜アニメの話をしていた友人が、一時から、酒、タバコ、バイク、車、時計の話しかしなくなり、変わっちまったな……お前もよ……と嘆いていたが、私も気づいたらめっちゃ腕時計買っとるな……。
なんというか、オタクがオタク的に拘れるファッションアイテムって、お洋服以上に装飾品な気がするんですよね。装備が増えていく感じがよい。
この前、ばんばさんとららぽーとを探索してた時「好きなブランドとかあるんですか?」と聞かれて、ヨシダさんのTシャツですね……と答えたのが割とマジ(パーカーとかトレーナーとかコーチジャケットも作って下さったら私が買います)で、お洋服に関しては、広告で流れてきたのにまんまと釣られて、夏冬に何着か買うくらいになっている。
また、いらんオタクのファッション事情を書いてしまった……。
みんなポケモンをやっているし、みんなポケモンの様子を配信している。
発売前、後輩に「お前が面白そうに遊んでたら買うかも知れん」と告げたので、後輩が配信している様子を観た。なんか、レイドバトルみたいなので、高個体値メタモンをみんなで捕獲してて、めちゃくちゃ楽しそうだった……。
今、ポケモンを始めたら、ただでさえゼロを積み重ねている原稿が確実に原稿が終わってしまうので、少なくとも11月中はステイします……。
さけとめさんのつぶやきを見て、確かにゼロを呟き続けることで、周囲に悪影響を及ぼし始めているのではないか……と疑い始めてきたので、今日は生み出したい……これから……1文字でも……。
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getrend · 2 years
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【ガチ動画】 性的いじめでマ○コに挿入される女子生徒・・・・・
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hiyoko-channnel · 3 years
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【ウマ娘】ウマ娘の世界って結構怪異が多いな
1: 名無しさん ウマ娘の世界って結構怪異が多いな 2: 名無しさん マーベラスが特異点すぎる… 3: 名無しさん ナチュラルに領域展開しやがる 4: 名無しさん フクキタルトレーナーも怨霊の巣窟みたいな山登ってもビビらないどころかめっちゃ自然体だし割とよくあることなのかも知らない 5: 名無しさん ウマ娘自体が世の中に溶け込んでる怪異だろ 6: 名無しさん この子と一緒に生活してるネイチャ凄いな 7: 名無しさん この頃からマーベラスの様子がおかしくなった…       9: 名無しさん 怖い 14: 名無しさん こねこねもげまげってなに…? 12: 名無しさん お○ぱいに目が行きがちだけどツインテールの装飾部カッコイイよね 13: 名無しさん ゴルシのようなわけわからない路線のストーリーになる気がする 節目節目でマーベラス空間に閉じ込められるトレーナー 15:…
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o-mo-chi-diary · 4 years
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おもちくん、保育園の卒園式。
保育園は入園式がゆるい(服装もテキトー)なので、卒園式もそんなもんかと思っていったら、子どもたちみんなバリバリ決めてるでやんの。。いちおう襟付きやけいいね、って来て行った黄緑のトレーナー…はよ終わらんかな卒園式、と思う父…
そういう父もカッターは来たもののジャケットは着ておらず。ってか誰か行ってよそういうもんだってさ!!
ほんとだったら、卒園式は年中さん(園児だけ)参加して、来年どんなかな、って見るはずなのよ。でも去年はコロナの影響で、卒園生だけの参加だったから、おもちくんも当日は見てないのよね。だから、結局、誰も気が付かないまま当日を迎えてしまう。
一応、式本番は、特にイヤな顔もせず(父親自身はすごく嫌だったけど)、つつがなく終了し、せめてもの思いで、昼ご飯はドミノ・ピザにしてあげて。テイクアウトを2人で取りに行くときに、一応聞いてみた。
父『かっこう、なんか言われた?』
も『(服を)買うの忘れたと?って言われた』
父『で、あんたはなんて言ったん?』
も『違うって言った』
ああ、ならまあ大丈夫かな、と思った。
帰ってから、ピザたべたあとも、卒園式のビデオ見るって言って、実際に見たし(父親はすごく見たくなかったけど)、見れるってことは、まあ大丈夫かな、って。
その日は午後にしまじろうの映画(初映画)も見に行ったし、それ以上は特に何もなく。
せめてもの救いはコロナのせいで、参加できる大人は2人までだったこと。これで両祖父母でもいたもんなら、何を言われたか。。(逆に参加できるってわかったら、教えてくれてたかも?)
でもやっぱり気になって、翌日の日曜日、寝る前に、『みんなと同じ服着たかった?』って聞いたら、めっちゃ泣き出して。。すまん息子よ、言い訳はある。
 ・去年の卒園式に出てない(コロナのせい!)
 ・両親ともに幼稚園出身なので、制服があったから、保育園特有の文化に気が付かなかった
まあそんなこんなで、普段は一人で寝るけどお父さんと寝たい、とのことなので、いろいろ話をして、
 ・ちゃんとした服を着て、家で写真を撮りたい
ということが聞き出せたのでよかった。土曜日の保育園休みの日に、ちゃんとした服着て保育園で写真撮る?とも聞いてみたけど、それはやらなくていい、と。まあそんなことしたら、何やってんだってなるっていうのは本人も理解してるんだろう。
スタジオアリスでレンタルする?ってきいたら、それじゃ家で写真撮れんやん、って。当たり前のことを言われてしまった。すこしでも経費を浮かせようとしてすまん息子よ。
なぜならば、行く小学校は『入学を祝う会』程度であり、おそらくスーツが不要なのである。
まあ、今度の休みにはスーツを買って、どこかの写真屋さんと、おうちで写真撮って、飾ろうね、おもちくん。
いちおうご機嫌とりで、欲しいものなにかある?って聞いたら、『そろばん』と『るるぶ鉄道将棋』が欲しいと。
とりあえずその場でヨドバシカメラのwebから注文。そろばんは欲しいものリストに追加。
ここから雑談。
るるぶ鉄道将棋は水曜日に届くのに、なぜ、そろばんは火曜日に届く予定と表示されているのか?
→全国にヨドバシカメラはあまりなく、近くのヨドバシに在庫がないからだよ
サッカー見に行きたい。サッカーって8人制?
→プロは11人制、45分×2。Jリーグってのがあって、J1からJ3まである。うちの地元チームはJ2。
プロってのは、それでお金が貰える人たちのこと。(プロ棋士ってのもいるよね?)そうそう、それは将棋のプロ。
野球はセ・リーグとパ・リーグに別れてて、地元はパ・リーグ球団。知ってるチームは?(ソフトバンクと巨人、日本シリーズをおじに見せてもらったから)、今日の巨人阪神戦は7回裏降雨コールドだね、これは雨が強くなったから試合を中止したんだね。(屋根ないの?)屋根あるところとないところがあるんだよ、ないところだと、雨が降ったらビチャビチャになって試合できないよ、目に雨入っちゃう。(目薬みたいでいいんじゃない?)よくないよくない笑
※卒園式前日にものもらいになり点眼してたから
あとは、父がおならしたら速攻空気清浄機が反応して笑ったり、21時過ぎくらいから23時まで話して。最後は力尽きて寝た。
この出来事でひねくれたりしないといいなあ、まあこれだけ話せたし、あとは、写真撮れればいいかな…
コロナ許すまじ。
飲み会がないとか、在宅ワークが増えるとか、全然苦じゃないんですよ、むしろ嬉しいくらい。だから、自分にはコロナの影響なんて無いと思ってましたが、流行りだして約1年。ようやく憎たらしく思いました。
そんな2021年3月14日の夜。
明日は早く起きなきゃ。いつもおもちくんに起こしてもらってて、今日(日曜日)は自分が全然起きなくて、ひとりで1時間くらい暇したから、泣いちゃって。乃木坂工事中とか、日向坂で会いましょうを見てる場合じゃない。寝よう。
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【ヴィンテージライトジャケット特集!】 「NO BRAND(ノーブランド)」ネイビー TALONジップ 70s ワークジャケット [2007008] NO BRAND(ノーブランド)のワークジャケット! シンプルな出で立ちの本格派ワークジャケット! ワークジャケットらしいネイビーの色味は無骨な男のマストアイテムです! ブランドネーム、品質表示等が欠損しており、具体的な情報はありませんが、表地は乾いた質感のハリのあるツイル生地! (おそらく、ポリエステル65%/コットン35%のT/Cツイルだと思われます!) 両腰部分には片玉縁ポケットが配されており、手を入れるには丁度良い位置なのもワーク(仕事)ジャケットならではの配慮! フロントはファスナー開きになっており、無駄な装飾を省いたデザインは汎用性の高さが伺えます! さらに! ファスナーはなんと、「TALON」ジップ(ロケットタロン)を使用しており、ヴィンテージの良さを感じられ、本物の魅力が溢れております! (TALONとは、1893年に世界で初めてファスナーを発明した米国の会社であり、長きに渡り世界のトップ企業として君臨している企業です! 日本を含め数多くのファスナーメーカーがTALONの規格に基づいて複製した商品を供給していることを鑑みても、TALONのファスナーが発売当初から完成度の高いものであったことが証明されています!) そんなヴィンテージの魅力溢れる「TALON」ジップ (涙タロン)をさらに左胸の両玉縁ポケット口にも使用! 非常に贅沢な1品です! 「TALON」ジップは年代を識別する際にもよく用いられ、当商品も70年代の物ということがわかります! 裏地は落ち着いた表面のネイビーとは相反するパキッとした色味の赤を採用! 無骨な印象の表面から、チラッと見える赤色はアクセントになり、1枚でも様になる仕様です! その赤の裏地はなんと、フリース生地になっており、暖かさは抜群! 秋冬に大変重宝するアイテムです! インナーには衿付きシャツやトレーナー、パーカーはもちろん、真冬には当商品の上からヘビーアウターを着込んでいただいても様になる1枚です! 販売価格: 5,900円(税別) 表記サイズ:確認不可(Mサイズ〜Lサイズ相当) 着丈61cm 肩幅50cm 身幅120cm 袖丈59cm ONLINE SHOPへは プロフィール欄のURLからご覧いただけます! 是非、ご覧下さいませ! (Tokyo, Japan) https://www.instagram.com/p/CLTFL6rsQ2I/?igshid=vk2ffws3wj36
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tausendglueck · 4 years
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Hopeless / 20201119
Hopeless、と書くと漫画『LOVELESS』に出てくる敵ペアの名前のように見えてくる。今のところHOPELESSというペアは出てきていないけれど、きっとすごく陰鬱な攻撃を仕掛けてくるふたりとなるのだろうな。ちなみに名前だけで言うならBREATHLESSというペアの名前が好きだった。息もつかせぬ。息もできない。
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とにかく、とてもホープレスな気分でいる。連日記録を更新していくコロナウィルス感染者の数字がそうさせるのかもしれないし、何か近いうちに、とてもよくないことが起きるのではないかという心配が消えない。楽しみにしていたこと、必要だった予定、全てがうまくいかなくなるような気がする。
何の根拠もなく、と言うわけではなく、先日ついに会社の同じフロアに罹患した人が出てしまったのだ。と言っても、決して狭くはないフロアで、誰が罹患したのかも知らないし、その人がどの席に座っていたのかも知らない。話したことがある人だったかどうかもわからない。私にどれほどの影響があったのか、そしてこの先、あるのか、何にもわからない。わからないけれど、ついにここまで追いつかれてきたのだ、と思うと、どうしても絶望の浅瀬に足が向かってゆくのを感じる。浅い絶望。浅薄で軽薄な絶望。けれど確かに、いや本当はずっと前から、2020年になった時からそうだった、見ないふりをしていただけ、けれどもう一切を他人事とは思えないのだ。ここまで、手が届くところまで、入り込まれてしまったからには。
東京もまた街ごと感染の海に浸かろうとしている。東京には従妹が働いている。もちろん友達だってたくさん働いて、住んで、そこで生活している。今までずっと、感染は続くだろうが私の親類や友人たちは絶対に大丈夫と無根拠に信じていた。そんなことはないのに。
私の、実の妹ほどに可愛い、実の妹ほどに愛する大切な従妹に何かあったらと思うと気が気じゃない。あの子が病院にいるところを、ベッドに寝かされているところを、とても想像などしたくない。したくない。可愛いあの子、4月に社会人になったばかりの可愛いあの子、あの子が学校を卒業して早々こんな地獄のような世界に放り込まれてしまったなんて、私の可愛いあの子になんてことをしてくれるの。こんな地獄のような世界、日に日に許せなくなってゆくこの地獄のような世界。
左手を見れば変わらず指先に氷河があって、右手には宇宙が覗いている。 利き手なのでどうしても左手の方に目が行きやすい。私の氷河はだいぶ私の指に馴染んで、ヨレもムラも、まあいいんじゃないと思える。気づけば氷河をぼんやりと眺めている。 お堅い企業風土であっても昔から女性社員の外見にはかなり寛大だった私の会社は派手なネイルをした女性も少なからずいたけれど、今、自分が左手に氷河、右手に宇宙を携えて、上司に資料の説明をしたりすると必然的に指を使ってしまう。上司の目には私の氷河も宇宙も見つかっている。けれど誰も何も言わないのだから、この会社は本当に、人がどう着飾っていようと誰も気に留めないところなのだろう。思えば私の耳にはインダストリアルもインナーコンクも嵌りっぱなしになっていて、見つかっても「すごいところに開けてるね」と言われこそすれ「外せ」なんて一度も言われたことがない。
去年くらいから、男性もスーツ出勤が強制ではなくなった。今ではおしゃれな柄のシャツにジーンズで出社してくる上司もいるし、オーバーサイズのトレーナーにチノパンみたいな、街歩きからそのまま来ましたみたいな人も随分増えた。そのおかげで私も平気でジーンズとスニーカーで出社している。これくらい服装規定がガバガバな会社じゃないともう私は働けない。
私の隣に座る人は圧倒的な経験量と知識量に裏打ちされた鋼のメンタルと生来の強靭な朗らかさを併せ持っていて、その人が明日から今月いっぱい少し眺めの休暇に入る。今日の今日まで働きづめで夏季休暇も取る余裕がなく、少し遅れての長いお休みになる。 とんでもない量をけろりとした顔で働く人で、この人がいなくなる向こう10日間は果たしてどうなってしまうのだろうと不安はよぎり、よぎり、よぎりまくるが、やっと休んでくれたという安心の方が大きい。一日のほとんどを仕事に食いつぶされて水のようにビールを飲んで眠る生活なんて聞くだに恐ろしい。 お試しでエステとか行ってみよう思てるねん、その人はマスクをしたままいつもの朗らかで満面の笑顔で言った。
6月から体調を崩して休んでいた人も来月から復帰するそうだ。働いて、働いて、時には休んで、体を壊すことがあってもやっぱりここに戻ってこようと思う会社なのだから、きっと良い会社なのだろう。私だって体を壊した。同期たちと同じレールには戻れなくなった。けれど何だかんだで戻ってきて、同じ会社で働いている。良い会社なのだろう。だって氷河だろうと宇宙だろうと、銀の棒だろうと大量の指環だろうと全て飲み込んで知らぬ顔を決め込む場所なのだから。私は毎日飲み込まれているのだから。
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mashiroyami · 4 years
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Page 114 : 月影を追いかけて
 静かな空間では、時に、些細な音も雷鳴のごとく響く。ポケギアが鳴り、アランの表情は瞬時に緊迫した。  たった一人登録された、限られた人物からだと画面で確かめ、すぐに回線を繋ぐ。 「もしもし」 『手がかりがありました』  前置きも無く、開口一番端的に告げられたため、アランは一瞬耳を疑ったが、聞き違いではない。息を詰め、耳を傾ける。  次のように続く。  クヴルールの伝を使い町のいたる地点に設置された防犯カメラを確認したところ、キリの中心市街地にて何度か光の輪の残像が発見された。夜間照明に照らされた黒い肢体はまさにブラッキーのものであったという。とはいえ、町をあげた祭ともあり前日から外部から多数の観光客が足を運んでいるため、かのブラッキーであるという確証は無い。しかしそもそも希少価値の高い種族であり、誰も彼もトレーナーの傍を離れて夜の町を疾走しているとは考えづらい。野生である可能性も低い。となれば、あのブラッキーである可能性は自然と高くなる。  問題は現在地である。 『現在作動しているカメラにはどこにも姿が見えません。記録を元に足取りを追うと可能性が高いのは中心街付近となりますが』 「昨日もその辺りは行ったんですが」 『歓楽街の方面は?』  アランは口を噤んだ。  日が沈んで代わりに起き上がる場所、夜の店で煌めき、ネオン色が明滅し、色香が漂い酔い狂う歓楽街はキリにも存在する。特に昨夜は祭の前日ともありとりわけ人通りが多かった。エーフィを従えていたとはいえど、土地勘が無く気圧されたアランは踏み込めなかった。鮮やかな嬌声の纏わり付く賑やかな場所にブラッキーが潜り込むとも考えづらかったということもあっただろう。回り込んで他の場所をあたっていた。  しかし、夜の街は朝に眠る。夜が明けた今ならば、人通りはあっても夜間に比べれば安全だろう。エクトルが傍らに居れば尚更である。 『その付近に居た形跡も残っています。とはいえ、遠く移動している可能性も否定できません』 「勝手な予想ですけど、そう遠くまでは行っていない……行けないと思います」 『何故?』 「むしろ、動き回る姿の方が想像できません、最近の元気の無さを思い返すと。今は例外なんですけど」  エクトルは沈黙した。 「考えが甘いですかね」 『いえ。……いや、甘いといえばそうかもしれませんが、ブラッキーを一番理解しているのは、貴方でしょう』 「そんなことは、ないです」  一つ一つの音に力を込めて弾き出すように、語気を強くした。 『……とにかく、行ってみる価値はあるかと。ネイティオには引き続き未来予知で探らせます』 「分かりました」  まだ部屋にいることを伝え回線を切断すると、アランは身支度をする。身支度といっても、改まってするといえば、うなじを完全に覆うように伸びた髪を小さな尻尾のように括るだけだ。  エーフィと共に部屋を出る。急ぎ足で外へ向かうと、部屋に居ては気付けなかった町の賑わいに足を止めた。  雲一つ無い爽快な空から降り注ぐ白い朝日が町を照らし、白壁は眩しく反射する。大通りの方面から薄らと明るい笑声や音楽が流れてきて、陽光と混じって白壁を反射し町へ浸透している。早朝は誰一人見かけなかったホテル前も、ずらずらと人波が出来ていた。道行く人々は揃って湖へと向かっている。それぞれの傍で種類豊富な羽ばたきが行き交った。もうじき祭の目玉の一つであるポッポレースが開催される。  エーフィに気が付いた人はさり気なく若紫の柔らかな肢体に目配せする。注目自体は既に幾度も経験している。首都の人口密度に比べてしまえば空いているものの、好奇を寄せられる数が、明らかに多い。アランは小さな両の拳を固く握った。 「ブラッキーを、早く見つけなきゃ」  焦燥は滲んでいない。締まった顔つきで呟くと、エーフィも肯いた。  栗色の視線が上がる。エクトルは道路を挟んで向こう側、建物の屋根の下にいた。 「エクトルさん」  器用に立ったままノートパソコンを操作しているエクトルに声をかけると、彼は画面から目を離した。 「ああ。少しは休まれましたか」 「はい、ちょっとだけ」  病的なまでに青白かった頬は僅かに血色を取り戻し、声にも張りがある。頷いたエクトルは、パソコンをひっくり返し、アランに画面を見せる。  画質は悪いが防犯カメラの映像が敷き詰められており、それぞれ蠢く人影がリアルタイムで映し出されていた。アランは目を丸くする。 「こんなの、ここで見ていいんですか」 「さて」  濁した横で絶句するアランをよそに、欠片も悪気を感じていないようにエクトルは淡々と操作し、無数にあるうちの一つの映像を拡大する。 「この時間帯に」  昨晩、二十時十一分。  電灯に設置されているものか、僅かに上空から映した道路を一瞬、黒と黄色の残像が横切って、すぐに停止する。時間を調節して、まさに横切ろうとした瞬間で止めると、その姿形は街灯の下に明らかとなる。  探し求めている姿を画面越しに発見し、アランは息を止めた。 「……良かった」  ぽつんと零して、エクトルは彼女を見た。  顔が綻ぶと思いきや、安堵を示す言葉とは裏腹に緊張は保たれている。 「少しは、安心されましたか」 「はい」アランは言う。「どこかで動けなくなってるんじゃないかとか、誰かに捕まっていないかとか、そういうことにはなっていなさそうで、良かったです」  エクトルは小さく頷く。  確かに、ブラッキーは稀少なポケモンであるが故、野生と勘違いされれば、血気盛んなポケモントレーナーの前に現れれば捕獲に傾くのも可能性としてはある。小規模とはいえ、ポケモンバトルの大会もイベントとして行われるのだから、腕自慢のトレーナーがいてもおかしくはない。だが、捕獲用のボールに入れられ「おや」が認証されているポケモンは、基本的には捕獲できない。ポケモンについて少しでも知識を囓っていれば誰もが知る常識事項である。  一方、例外もある。  トレーナーのいるポケモンが犯罪行為に及んでいる際、現場を抑え込むために特殊なボールを使って強制的に「おや」を上書きし捕獲に踏み込む場合がある。倫理規定の側面からすれば黒寄りのグレーゾーンだが、小さくはない抑止力を持つ。一歩間違えれば犯罪に使われかねないため、普段は首都アレイシアリス・ヴェリントン中央区にある警察庁にて厳重に管理されているとエクトルは噂に聞いている。必要時にはテレポートで各地に飛んでいけるだろうが、今回のような片田舎のたった一匹の脱走劇に使用されるとは考えにくい。  制止し難い行為、たとえば、無差別な殺戮さえしなければ。最も、そのような事態に至れば捕獲というレベルに収まらない場合もある。  幸い、ブラッキーが攻撃行為に及んでいる話は流れてきていない。恐らくは、彼はただ逃げて、どこかに身を隠している。既に理性を取り戻していれば、ひとまずは穏便にアランの元へ帰って���られるだろう。だが、ブラッキーに会わなければ話は進まない。 「比較的人通りの少ない細い道を選んでいるように見えますね。稀少なポケモンですから、近辺に聞き込みをすれば、目撃情報も得られるかもしれません」  エクトルはパソコンを操作し、今度は画面に地図を広げる。色素の薄い画像はキリの中心街を示しており、目を引きつける赤のマーキングが点々とつけられている。ブラッキーの姿を確認した地点である。彼の辿った道筋が浮き上がってくる。  まっすぐ道を疾走しているのではなく、迷うように右往左往としていた。同じ場所を数回通過している様子が窺えるが、二十二時頃を境に足取りが忽然と消えている。既に半日近く経過している。遠方に逃げ去っている可能性も捨てきれないが、中心街を彷徨っている様を汲み取れば、まだ希望は捨てきれない。 「隠れているんでしょうか」 「その可能性もあります」 「行きましょう」  アランが即座に言う。エクトルは頷いた。  場所としては遠くない。徒歩で中心街の方面へ向かう。  大通りに出て彼女達の視界を埋め尽くすのは、朝から活力を漲らせている祭の光景であった。  各地から町を繋ぐ駅を要し活発に人が行き交うそこは、湖畔とは別に、花々の飾り付けは勿論のこと、食事や雑貨の並ぶ出店が立ち並び、香ばしい匂いが漂う。大道芸人が道端でパフォーマンスを披露して歓声が飛び、青空に相応しい金管楽器の華やかな音声が突き抜ける。クラシックギターを使った弾き語りに観衆が聴き入っている横で、人慣れしているのであろうピジョットのような大きな体格の鳥ポケモンが注目を浴びていた。上空の旗には小型の鳥ポケモンが並んで毛繕いに勤しんでいる。駅前から湖畔へ伸びる大通りは朝から歩行者天国となっており、浮かれた子供達が走り回る声に、忙しなく湖畔へ足を向ける町民や観光客の期待を込めた声に、彩色豊かにごった返していた。  仮にあのフカマルがいれば、喧噪に煽られ盛り上がる姿が見られたことだろう。もしかしたらザナトアと共に今頃湖畔で楽しんでいるかもしれない。  晴天の吉日、白い輝きに満ちた町は、アラン達との温度差を明確にする。  活気を膨らませた空気に馴染むことなくアランは周囲を見渡す。首都に負けるとも劣らない熱気ある人混みの中では、ブラッキーの姿は当然のように無い。エーフィに目を配るが、彼女も首を横に振った。  途中、以前エクトルと共に訪れた、アシザワの経営する喫茶店の前を通った。扉には閉店を示す看板がかけられている。赤いレインコートで雨中を踊っていた少年と赤毛の上品な女性を引き連れて、どこかに出かけているのだろうか。  場所を変える。  エクトルに連れられ、アラン達は出店の並ぶ大通りを外れて歓楽街の方面へ足を向ける。人の少ない路地を進み、奥まった建物の入り口や看板の足下、屋根の方までそれぞれ目配せする。壁の隅で蹲り顔を伏せている男の前を通り抜ける。表だった華やかな空気は少しずつ変容する。  夜こそスポットライトが盛大に当てられ多くの人間で賑わう歓楽街は、朝を迎えてしまうと夢であったように静かになる。闇夜に輝くライトは全て消灯し、競うようにひしめきあっている看板はいずれも沈黙している。昨夜は大いに盛り上がったのか、空いた酒の瓶や踏みつぶされた花飾りが道路の端に転がり、ところ構わずといったような吐瀉物を見つけて思わずアランは眉を顰めた。  閉めた店ばかりだが、独特の残滓が漂っている。それは、薄らぎながらも、濃厚な空気感だった。人通りが全く無いわけではないが、通り道に使うのみだったり、帰り際であったり、気怠げに壁に寄りかかって煙草の煙を燻らせている男女がいたり、まばらに気配は佇んでいる。頭上を飛ぶポッポは、巷の賑わいに一役買っていた姿とは裏腹に、閑古鳥の役割を担っていた。  途中、シャッターを閉めかけた夜の店の前、道を陣取るように止まっているトラックの横で二人の男性が話し込んでいる。扉が開けられた荷台には段ボールや瓶のような物体が窺える。店で使う酒を仕入れている最中のようだった。 「失礼」  目を付けたエクトルが、二人の間に割って入る。不審な視線が彼にぶつかったところで、胸ポケットからカードを取り出した。 「クヴルールの者ですが、お聞きしたいことがあります。お時間いただいても構いませんか」  差し出された身分証に目を通して、少ししてから、店員とおぼしき男性の方が顔色を変えたのを、アランの目も捉えた。 「この辺でなんかあったんすか」 「いえ。ただ、何か変わったことが無かったか確認している所です。本日は秋季祭ですので」  はあ、と怪訝に返しながら、男性は出しかけていた煙草をしまう。エクトルも身分証を戻した。 「昨晩、この周辺で不審なポケモンを見かけませんでしたか」 「不審なポケモン?」 「コラッタならいくらでも居ますよ。店の裏でゴミ食って、邪魔なんすよね。なんとかなりませんか、ああいうの」  店の責任でやってくれ、と返したくなるところを抑え、無視する。 「コラッタ以外では?」 「あとはヤミカラスも困ったもんすけど。他は、でも鳥ポケモンは夜は大体いませんし」視線を横に移す。「そんな変わったことあったか」 「知らんよ」  店員に話を振られた傍らの男性はむすっと首を振る。無理も無いが、警戒心を顕わにして隠そうとしていない。 「ま、夕べは祭の前日ですし、見慣れないお客さんも他から来るから、外部のトレーナーが自慢げにポケモン見せるってことはありますよ」 「たとえば、ブラッキーは?」  背後にいるアランがさり気なく視線をエクトルの背に向ける。 「ブラッキー?」  男は眉を潜める。  見覚えが無いというよりも、種族名自体を知らないのだろう。ぴんとも引っかからない表情を浮かべ、隣を見やるが、視線を受けた方も微妙な顔つきをしていた。 「イーブイの進化形ですが」 「イーブイなら解るけどなあ」  稀少ではあるが、愛くるしい外見から愛玩用としてたびたびメディアでも取り上げられる。その進化形も他のポケモンと比較すれば知名度の高い部類に入るが、彼等は興味を持っていないのか、曖昧な返答である。  エクトルは溜息を呑み込み、手に提げていた黒革の鞄から一枚の写真を取り出す。アランのブラッキーかどうかは定かではないが、くっきりと全身が写された画像が印刷されている。  差し出されたものを確認して、二人して声をあげた。 「見覚えがありますか?」 「あ、いや」慌てて店員は首を振る。「こいつがブラッキーかって思っただけで。これならテレビで見た覚えがある」 「俺も。……こんな場所で見るか? 結構珍しいんでしょ」  記憶には引っかからないようだ。エクトルは早々に諦め、二人に礼を告げて別れた。下手に詮索して勘付かれては困る。 「……なんか、おっかなかったな」  遠のいていく背中が、声の届かない範囲まで歩いて行った頃を見計らい、運転手は肩の力を抜いてぽつりと呟いた。 「クヴルールサマってやつだよ。余計なことを言ったら締められる」 「なんだそれ」  真面目な顔で言う店の男をせせら笑ったが、冗談ではないようで、笑うに笑えないような居心地の悪い空気が漂った。 「あの大男もそうだけど、俺はあの後ろの子供もなんか変な感じがして、厭だったな」 「ああ」  図体が大きく、佇まいのみで威圧するエクトルの背後。  大人同士のやりとりを、一歩下がってアランは静かに睨むように見つめていた。殆ど瞬きもせずに、顔の皺の動き一つすら逃さずに記憶に留めておこうとするような小さな迫力があった。ただの子供だというのに、見張られている感覚には、大の男であっても脅迫的なイメージすら持たせた。 「というか、何、知らないのか」 「何が」 「何がって。あのカード見てなんも思わなかったわけ」 「そんな大層な輩だったのか?」 「大層というか」  面倒臭げに頭を掻いてから、店の男は苦い顔で呟いた。 「自警団ってやつ? クヴルール家に害ありと判断したら、誰であろうと容赦無くこう、らしい」  と言って、片手で首を横に切る仕草をしてみせた。
 エクトル自身ははなから大した期待はしていなかったが、初発は空振りに終わった。その後も注意深く周囲を確認しながら、ブラッキーが映っていた防犯カメラの付近に向かう。どれほど理性的に行動しているか不明な相手に対して、地道に足取りを辿る行為に意味があるかは解らないが、現場の確認はしておくに越したことはない。 「ここですね」  エクトルはそう言って、立ち止まる。三叉路にあたり、左右に分岐する地点に向けて防犯カメラが電柱に設置されている。アランは現場に立ち、ブラッキーが一瞬映った場所に立つ。彼は突き当たりとなっている部分を左側へと走って、画面外へ消えた。  雪道でも泥道でもないのだから、足跡は残っていない。僅かな痕跡を探るように、エーフィは周囲を嗅ぎ回る。  左へ曲がって道を辿ると、両脇を雑居ビルが立ち並び、細い隙間のような路地が通っている。朝の日差しを浴びながらも、昨日の水溜まりが乾ききらない、閉塞感を抱かせる湿り気がある。 「ああいう外付けの階段とか、簡単に昇れそうですよね」  アランはビルの壁に沿うように設置された階段を見ながら呟く。 「屋上の可能性ですか」  エクトルが上空を仰ぐと、アランは肯く。 「上の方も探していないので。ブラッキーの身軽さだったら、屋上を跳んで渡るのもできそうな気がします」 「このくらいの距離なら、可能でしょうね」  隣接したビルならば遠くてもせいぜい二、三メートルの距離だ。建物の間を繋いでいるケーブルや、旗の紐を足場にすればより容易なように見える。 「ただ、ビルの高低差がありますから。ブラッキーの体調が万全でないのならそう簡単なことでもないかもしれません」  と、彼方から小さな花火の音が聞こえてきた。  ぽん、ぽん、と、軽快な響きに、アランは自然と音のした方に顔を向けた。 「ポッポレースが始まりますね」  腕時計を確認しながら、エクトルは呟く。 「ポッポレース……」 「出場する予定でしたか?」  すぐにアランは首を振る。ザナトアが出場することは噤んだ。 「エクトルさんは、大丈夫でしたか」 「何が、でしょうか」  彼にとっては何気ない一言だったが、些細な言動にどこか棘のあるような色が含まれる。尋ね返されて、アランは一度閉口した。 「その、お祭りに、行かなくて」  エクトルは僅かに目を丸くした。苦笑いを浮かべる気にもなれず、静かに首を振る。 「祭に浮かれるような人間ではありません」 「お祭りの仕事もありませんか」 「今は休んでると言ったでしょう。やることも無いんです。お気になさらず」  人の様子を必死に嗅ぎ取ろうとしている、とエクトルは思う。ただ顔色を覗うだけではなく、その奥にある真意も探ろうとしているような目つき。  アランが探りを入れても、エクトルにとって祭に対する思い入れは薄い。  祭もポッポレースも、エクトルに参加した記憶があるのはかすかな少年期のみだった。クラリスに仕えるようになってからは、祭日は屋敷から出ずに、クラリスと共に、窓から遠景に見える鳥ポケモン達の羽ばたきや、花火を眺めるぐらいのものだった。普段は立ち入ることのできないクヴルール家の屋敷の面した湖畔だが、祭日は例外で、かなり接近することができる。それは外敵の侵入を比較的容易にする時間帯でもある。クヴルールはキリで随一の権力を持つが敵も多い。のんびりと目を輝かせているクラリスの傍で、彼女とは異なる意味で目を光らせていた。癖は簡単に抜けるものでも無く、エクトルには秋季祭も気を張り詰める日である認識が強い。その役割が終わってもなお、結局祭の賑わいからは縁遠い立ち位置にいるとは、笑い話にもならない。 「ブラッキーに集中しましょう」  逸れた気を戻すようエクトルが促す。自らに言い聞かせる言葉でもあった。  暫く道なりに進めば、やがてブラッキーが最後に防犯カメラに映った地点に近付いていく。歩いてみれば、先ほどの地点からそう遠くはない。迷うように道を行き来していたのか、休息をとりながら移動していたように予想される。  その途中、ふとアランは足を止めて、左手の方へ視線を向けた。  薄汚れた白壁が立ち並んでいた中、石造の、他より幾分古びた建物が現れる。町の中に追い込まれたようだが、しかし屋根の高い建造物。天に向けて高く伸びていた。緑青色の屋根は長く酸化し続けて変容させてきたような、独特の色合いをしている。 「教会ですね」  見とれていたアランの隣で、エクトルが言う。 「水神様の、ですか」 「はい」  祭日を祝ってであろうか、町に並んでいるような花を模したカンテラが巨大な扉を挟むようにこじんまりと飾られ、硝子に囲まれた炎がちらちらと揺らいでいる。その下には吊り下げられるように青い花が飾られていた。  祭日とはいえ、人は湖畔や大通り沿いの方面に偏っているためだろう、人気は無かった。 「……中に入ってみてもいいですか?」  アランが尋ねると、エクトルは目を瞬かせた。 「ブラッキーが中にいるかもしれない、と?」 「はい……居なくても、何か手がかりがあるかもしれません」  エクトルは小さな教会を改めて見やる。少なくとも、昨夜、この周辺にいたのは間���いない。深夜帯以外は自由に出入りが出来るようになっているが、逆に夜間に隠れるには絶好の場所になる。目の付け所としては悪くないか。水神を信仰する教会は基本的にクヴルールの管轄であり、エクトルの顔も効きやすい。彼は頷いた。  開かれた小さな門を潜り、入り口を隠すような形になっている壁の横をすり抜ければ、すぐに中へと続く玄関がある。冷えた印象を持たせる灰色の床を踏み抜いて、中へ入ると、高い屋根の印象を裏切らない空間が目前に広がった。  古びているとはいえどちらかといえば白の印象を持たせる外観だったが、天井には群青をベースに、人や、鳥ポケモンや湖のポケモンと見受けられる生き物達が躍動的に描かれていた。両脇の巨大な磨り硝子は無色だが、正面のステンドグラスは薄い青の硝子を張っており、入り口から見ると白い陽光と青い陽光が混ざり合うようだった。  建物を支える柱には翼を持つ獣や人の巨大な石造が並び、天井まで意匠は凝らされている。  地上にはいくつもの石造のベンチが整然と並べられ、一番奥は一段高くなっている。目を引くのはその中央を陣取る、獣とも、人間ともとれるような、不思議な石造だった。天を仰ぐ右腕は人のもの、左腕は獣のもので、布を纏った身体には鱗のような模様も窺える。その周囲を鳥ポケモンの石造が豊かに舞い、今にも動き出しそうな実に躍動的な姿が彫られていた。  入り口に立ったまま動かないアランをエクトルは急かそうとはしなかった。軽く内部を視線で探ってみるが、ブラッキーはひとまず見当たらない。 「……水底にいるみたい」  ぽつんと呟いたアランを、エクトルは横目で見やる。 「……昔、水神様と人間は、同じ空間で生活を共にしていたと言われています」  アランは隣に立つエクトルを見上げた。 「しかし、嘗て町を沈めるほどの巨大な豪雨が訪れました。水神様は人間とポケモン達を助けるため、彼等に遠くへ逃げるよう指示し、町を深く巨大な穴のように沈め、そこに大量の雨が流れるように仕向けました。そうして雨水は全て穴に流れ込み、現在の湖になり、水神様はかつての町と共に水底に沈まれたと伝えられています」 「……」 「以来、水神様はいずれやってくる大きな災害を予兆し、民の生活を救おうとされている……そのために、水底から町の未来を視て、地上の民に伝える。その伝達を担うのが、人間と水神様を繋ぐ、噺人」 「それが、クラリス」 「ええ」  アランは、正面の奥に佇む、半獣半人の石造を見つめる。 「あれは……水神様ではなく、噺人を模しているんでしょうか」 「真正面の石造ですか」 「はい」 「水神様ではなく?」  言うまでも無く、信仰対象は水神であり、噺人ではない。 「はい。……水神様は、ポケモンだと、クラリスが言っていました」  するりと出てきた言葉にエクトルは眉を潜め、反射的に周囲に目配せしたが、近くに人は居ない。しかし人が居ないが故に声は通りやすい。 「言葉には気をつけてください」  わざと語調を強めると、アランは俯いた。 「すいません」強制的に話を終わらせるように、アランは不器用に微笑みを浮かべた。「ブラッキーを探しましょう」  微妙な距離感を保ち、二人は奥へと進む。石の床を叩く足音が上へと抜けていく。  エーフィは軽快な身のこなしで動き回り、長椅子に跳び乗ってそれぞれ確認する。  最奥にある一段高い敷居の手前には腰の高さの鉄製の柵が設置されている。明確な区画だが、ブラッキーにとってはあってないような柵だろう。巨大な半獣の石造を中心として、柵の向こうはゆとりのある空間がとられている。アランは青い逆光に照らされている石造を再度見上げてから、柵の前に立ち、装飾の隙間に彼の影が無いか目を凝らすが音も気配も感じ取れない。冷たく整然としていて、虫一匹紛れ込む隙の無いような雰囲気すらある。  ここにもいないのだと、彼等の間を諦念が流れ出す。  と、背後、入り口の方から足音がした。氷のように冴えた沈黙では、音の一つ一つが響く。  弾かれアラン達が振り返ると、月の獣ではなく、漆黒のコートのような、足下まで裾が伸びた服を身につけて玄関口に立つ女性がいた。ザナトアほど老いてはいないが、エクトルよりも年齢は上に見える。深くなろうとしている皺に柔らかな印象を持たせながら、彼女はゆっくりと会釈した。その手には白い綿を実らせている芒のような植物をたっぷりと生けた花瓶を抱いていた。  奥の石造へまっすぐ繋がる群青のカーペットを通らずに、壁に沿って奥までやってきて、柵の手前、端に鎮座する台にその花瓶を置いた。表通りを彩る花々よりも随分と質素だが、静粛な空間に似つかわしい趣深さがある。 「……何か、ご入り用ですか?」  観察するように眺めていたアランに彼女は声をかける。優しく撫でる声をしていて、表情も同じように柔らかい。  それから、既によく知っているのか、エクトルに向けて深々と礼をした。それは目上の者に向けて礼儀を以て対応する姿であった。しかし、頭を下げられたエクトルも深く一礼し、口を開��。 「少し、探しものを。勝手に入り、荒らして申し訳ございません」 「とんでもない。ここは誰にでも門戸を開いていますから。私の目には、何か隈無く目を配っているようにしか見えませんでしたよ」  女性はゆったりと微笑んだ。  彼女はこの教会に常在している司祭であり、サリア・クヴルールと名乗った。秋季祭の間もここに携わり、祈りを捧げているという話だった。床にぎりぎり届かない長さの黒い服装は彼女達の正装なのだろう。  つられるようにアランとエクトルもそれぞれ名乗れば、彼女はエクトルの名はやはり知っている様子であり、存じ上げております、とただ一言穏やかに言った。 「しかし、秋季祭だというのに、湖畔ではなく何故ここに。お手伝いできることであれば、私もお探し致しますよ」  アランとエクトルは一瞬視線を交わし、アランの方から歩み出た。 「ブラッキーを……ポケモンの、ブラッキーを探しているんです。夕べ、この辺りにいたことは解っているんです。もしかして、見かけていませんか」 「ブラッキー……?」  サリアは口許に手を当て、蒼く透いた瞳を丸くした。  手応えを感じ、アランは思わず身を乗り出した。 「知っているんですか?」 「その……はい。皆様が探しているブラッキーかどうかまでは解りませんが、確かに昨晩、ここにおりました」  アランはエクトルを振り返る。エクトルは驚きを顔には出さなかったが、促すようにアランを見て頷いた。  ここにいた、ということは、今はここにいない、という裏返しでもある。しかし、確かな証拠を明らかにすれば、彼へ至る道筋が一つ見えてくる。 「詳しく聞かせてもらっていいですか」  エクトルが言うと、サリアはすぐに了承した。
「秋季祭の前日ということもあり、昨日はこの場所も一日中頻繁に人が出入りしておりました。水神様への感謝と祈りを込め、昨晩は小さなコンサートを催しておりました。キリの皆様は勿論、他所からの方々も来られ、音色に耳を傾けておりました」  弦楽四重奏に独唱を重ねた、こじんまりとした演奏ではあったが、教会全体のすみずみまで音が沁みていく素晴らしい時間であったという。  人々がそれぞれ長椅子に腰掛け、サリアは教会の入り口近くの壁に控えて、演奏を傾聴していた。定期的にこの場に呼ぶ顔なじみの演奏者達が幾重と重ねる音の層は、聴く者を癒やし、そしてどこか哀しみも湛えながら、自然と心に浸透していく。  そうして演奏をしている最中、小さなお客が教会の入り口に立った。誰もが演奏に集中している中、音も無く入ってきたという、美しい身体の獣。  それが、ブラッキーだった。 「はじめは声をあげそうになりました。しかし演奏中でしたので、物音一つ立てるのも憚られて」 「……ブラッキーは、どんな様子でしたか」  アランは尋ねる。 「特に、何もする様子はありませんでしたよ。引き寄せられてきたようにここに入ってきて、……あの辺りですね、私の居た場所の、反対側の、一番端にある柱の物陰に座り込んで、それからは暫く音楽を聴いているように見えました」  サリアは教会の最後方、今アラン達の立つ奥の位置から見て、左側を指した。壁に沿うような柱がいくつか立っており、鳥ポケモンを模したような石造が彫られているが、そのうち、建物のほとんど角にあたる部分にブラッキーは居たのだと言う。  演奏中は奏者の付近のみが照らされ、客席の後ろに向かうほど暗闇は濃くなる。隠れているようで、ブラッキーの放つ小さな光は、よく映えたと言い、些細な動きもよく解ったらしい。しかし、彼は殆ど身じろぎすることなく、静かに長座した。サリアは、きっとあの獣も音楽を聴いているのだと思った。  演奏が終わり教会内全体が点灯すると、ずらずらと人々は教会を後にし始めた。興奮の色濃い中で、隅で黙って蹲る獣に気付く者は誰もいなかった。サリア自身も、教会を訪れた人々に声をかけられたり、演奏者にお礼をしに行っている間は、すっかりブラッキーのことを忘れていた。  演奏者を見送り、教会から人がさっぱり消えて、演奏に震えた心地良さの最中でほっと肩の荷が下りたところ、さてそろそろ教会を閉めようかと見回して、はっと気付いた。あのブラッキーは、どうなったのだろう。 「慌てて見に行ったら、まだ同じところに居たんです」  床に身体を倒し、寛いでいるようにも見えた。眠っているかと思ったが、近付くと、赤い目が動いてサリアを捉えた。無意識に足を止めるような強い視線だった。  その場には、サリアとブラッキーしかおらず、沈黙が続いた。  ブラッキーが野生なのか、人のポケモンなのかは解らない。しかし、サリアは追い出すことも、声をかけることもせず、そっとしておくことにした。どんな獣であれ、ポケモンを労ることは、水神様に祈りを捧げる者として迷いのない行為であった。サリアは裏手に戻り、キリの住民から分け与えられた木の実を持って、ブラッキーから少し離れた地点に置いた。もしかしたら寄ってくるかもしれないと希望を抱いたが、彼はちらと視線を寄越しただけで、やはり動かなかった。  誰も寄せ付けようとせず、ひたすらにその場から動かずにいる姿は、身体を休めているというよりも誰かを待っているかのように見えたと言う。 「ブラッキーは、貴方を待っていたのかもしれません」  おやであるアランを見て、ぽつりとサリアは言った。  アランは甘い言葉に揺れることなく、顔を俯かせ、静かに首を振った。 「解りません。……自信はありません」  その理由を彼女は続けなかったし、サリアやエクトルも深く掘り下げようとはしなかった。アランの言葉に滲む、強い拒絶のような意志を静かに感じ取ったからだった。 「でも、結局その後、ブラッキーはどこかに行ったんですね」 「はい。普段、夜中は閉めるんですが、昨晩は結局一晩中開けていました。夜明け近くになって見に行ってみたら、既に姿は無く」  でも、と続ける。 「置いていた木の実を、一つ食べてましたよ」  サリアは嬉しそうに笑んだ。 「……そうですか」  アランは、優しげな声でただ一言ぽつんと呟いた。  ヤミカラスを襲撃してから、他のポケモンや人を襲うこともなく、完全な拒絶をすることもなく、彼は彷徨っている。たった一匹、慣れぬ土地を渡り、この教会は彼にとってひとときの微睡みの空間となったのかもしれない。  エクトルは沈黙するアランを横目にしながら、考える。仮にサリアの言うように、ブラッキーもアランを求めているのだとすれば、今は擦れ違いを起こしているに過ぎない。会うことさえできれば、元の鞘に収まり、何故今回のような衝動的な事件を起こしたのか、その疑問への追求に集中できるだろう。だが、浮かび上がる懸念事項への警戒を続けるに越したことはない。 「ただ、その後どこに行ったかは解りません。お役に立てず、申し訳ございません」 「そんなことないです。ありがとうございます」  慌てて頭を下げるアランに、サリアは微笑ましさを覚えたようで、にこやかに笑う。 「私はポケモンに詳しくありませんが、草臥れたような様子だったので、時間が経っているとはいえまだこの辺りにいる可能性はあるかと思います。見つかるといいですね」 「はい」  サリアに礼を言い、彼等は教会を後にしたところで、エクトルは不意に呼び止められた。 「……何か?」 「一つだけ。……クラリス様は、ご健勝でいらっしゃいますか」  エクトルは表情を変えず、暫し言葉を選ぶように沈黙してから、顔を上げる。 「元気でいらっしゃいます。先日成人の儀をつつがなく終え、噺人としての責務を全うされておられます」 「ああ、そうですか。安心致しました」  サリアはぱっと喜びを素直に顔に出した。  彼女はエクトルがクラリスの付き人であることを知っているのだ。クラリスの現状を知る者は、クヴルールの中でも限られている。教会を預かる身であるサリアも、大きな枠からすれば末端の身なのだろう。  水神様のご加護を、と手を合わせた彼女の別れの挨拶を受け、外に出れば、天頂に迫ろうとする太陽の光が目を突いた。 「クラリスが、噺人として生きていく。それで、本当に良かったのか、私には解らないんです」  玄関から数歩離れ、サリアを含め周囲に人の気配が無くなったところで、アランは呟いた。独り言のように小さな声だが、エクトルへ向けた言葉でもあった。エクトルはゆっくりとアランを振り返る。 「キリの外に出ることを願っていて、自由を求めていて……最後、クラリスは手紙で、受け入れているように書いていましたけど、それは本当のクラリスの思いだったんでしょうか。私にはそう思えなくて」 「……良い悪いではありません。お嬢様の意志も関係ありません。噺人として水神様に選ばれた、そうと判明した時から、全ては決まっていました」 「でも、何も閉じ込めなくたって。一番大切なのが季節の変わり目なら、それは一年に四回。その間くらい、自由にさせてあげたって、いいじゃないですか」 「噺人は、時と心を水神様に捧げます」  アランはエクトルを見上げる。 「時と心?」 「ええ。生きているその時間。心は、清純でなければ水神様をお言葉を頂くどころか、水神様に辿り着くことすらできないと言われています。だから、噺人は日がな一日、水神様に祈りを捧げ、心を手向ける。そこに余計な感情は要らない、と」 「余計な感情……クラリスが自由を望んだことが、ですか。他の町へ行ったり、誰かを好きになったり、友達を作ったり、キャンプをしたり、ああいうなんでないことを望むのは、余計なんでしょうか」  エクトルの内心にそっと棘が立つ。 「あくまでも、噺人としては、です」 「でも、クラリスにその自由を望ませたのは、エクトルさんじゃないんですか」  エクトルの表情が僅かに歪んだ。 「私が?」  鈍い低音に気圧されるように、アランの目が揺らいだ。 「……はい。クラリスは、外の世界に強い憧れを持っていた。旅の話をよく聞きたがった。旅の話を聞くのが、好きだって。それは、エクトルさんの旅の話を聞いていたから、でしょう?」  流石に強い威圧に怖じ気づいたのか、慎重に言葉を吐いた。対し、エクトルは厳しい視線をアランに刺す。  彼女はエクトルの過去を知っている。ザナトアから聞いたのだろう。どの程度か彼には不明だが、少なくとも、嘗てアーレイスをポケモントレーナーとして旅をしていた事実を知っている。エクトルにとってはとうに遙か昔に追いやって薄ぼやけた記憶。キリに籠っていては感じられない他地方の空気、町、人々、文化。自ら足を運んで見聞が広がる喜び、育成の楽しさ、勝利の達成感、どうしても勝てない苦しみ。縁を切ったはずの家に連れ戻され、顔を突き合わせた、腐敗した狭小な世界に閉じ込められる運命にある憐れで美しい少女。 「エクトルさんだって、できるだけ、クラリスの好きなようにいさせてあげようと」 「クレアライト様」  早口で制す。敢えて呼んだのは、彼女のまことの名だった。アランは眉間を歪める。 「憶測だけで物事をはかるのはおやめください。……お嬢様に旅の話を聞かせたとは、仰る通りです。しかし、私に語るものがそれしかなかっただけ。悩まれた末、お嬢様は自らクヴルール家に戻ることを選ばれました。そうする他なかった」  努めて静閑たる語調ながら、一言一句が刃であった。息を呑むアランの前で、大きな息を吐く。 「それだけが事実です」  ぽつりと、突き放した。  アランは何か言いたげに口を開いたが、すんでで留めた。二の句を告がせるだけの余裕すら潰すエクトルの重圧に、圧し負けた。  と、エクトルは微細な振動を感じ、上着の裾を上げた。ふっと緊張の糸が緩む。モンスターボールを装着できるように設計されたベルトの、最も一番手前に位置したモンスターボールを取り出す。小刻みに震える捕獲器を開放すると、中からネイティオが姿を現した。 「視えたか」  静かに尋ねると、ネイティオは頷いた。 「ネイティオがブラッキーの出現地を視たようです。今は、こちらに集中を」  アランを振り返って言うと、彼女は驚くわけでも喜ぶわけでもなく、覚悟を固めるように首肯した。  常に閉じられた翼が突如開き、ネイティオがゆったりとした動きで飛び上がる。予知した地点へ誘おうというのだろう。天を仰いだところで、アランは目を大きく見開いた。  一陣の冷たい風が吹く。 「待ってください」  向かおうとした一同を制する。驚愕を秘めた栗色の瞳の向いた先に視線が集まる。  上空、正面の屋根の付近を飛んで現れた鳥ポケモンの群れ。白壁に朱色が鮮やかな、ヒノヤコマがぱっと気が付いたように甲高い声を上げ、下降してくる。連れ立つのはピジョンやムックルといった同じ鳥ポケモンで、既に彼女にとっては見慣れた姿であった。ヒノヤコマの背には、なんとフカマルが跨がって手を振っている。則ち、ザナトアの育て屋に集うポケモン達である。 「どうして」  アランの声は明らかに動揺していた。既にポッポレースは始まっているはずだ。レース本番に挑んでいれば、今頃湖畔の上空を疾走しているはずである。特に、ヒノヤコマやピジョンといった進化組はチームを統率する要にあたる。はなから彼等が欠けた状態で出場しているのか、なんらかのアクシデントがあったのか、この場では判別がつかない。  一同がアラン達の正面に集まり、スイッチが入ったかのようにその場は賑やかになる。緊張は嘘だったかのようだ。羽音や鳴き声が彼女達を鼓舞する。エーフィは柔らかく笑んで、アランを見た。  喉がこくりと動き、彼女は唾を呑む。 「手伝ってくれるの?」  信じられないでいるのか、まず問いかけたが、はじめ反応しなかった。しかし、エーフィが通訳をしたように鳴き声を発すると、一様に頷き、頼もしい歓声をあげた。  フカマルがアランの前に出る。ぎゃ、といつもの声を上げて、手を上げた。無邪気な彼を凝視している脇の視線には気付かないで、アランは毒気を抜かれたように微笑んだ。しゃがみこんで小さな青い手を握り、両手で優しく包む。細かな竜の鱗が肌に食い込んでも構わないように、握る手に力が籠る。そして聞き慣れた賑わいを見回した。 「ありがとう、皆」  噛み締めた言葉を絞り出し、アランは立ち上がった。 「行こう。ブラッキーを迎えに」  一斉に翼が広がった。今も行われているであろう、無数の翼を持つ者達が発つ湖畔でのレースに比べればずっと小規模だが、力強い羽ばたきは太陽に向けアラン達を先導する。引力に導かれるまま、彼等は走り出した。 < index >
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luggagebagscases · 5 years
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これらの7つの靴トレンドは、この春を引き継ぐ予定です
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私たちは、クラシックなアイテム(時の試練に耐え、今後何年も着るアイテム)への投資を全面的に推奨していますが、私たちはあなた自身の個人的なスタイルに合った新しいシーズンのトレンドにいまだに興味を持っています。靴を履くよりも、つま先をトレンドに浸す簡単な方法はありません。 クリンジに値する駄洒落はさておき、私たちはあなたの既存のウェアに一足の靴のようなオーバーホールを与えることができるものは何もないという意見を持っています。そのため、履物ゲームを先取りし、かかと、フラット、サンダル、トレーナー、ブーツの最新の最新情報を常に把握しておくことが理にかなっています。 これが、2020年春夏コレクションのトレンドをお届けするために、数千の滑走路ショットを苦労してトロールするために私たち自身を採用した理由です。 私たちはあなたが何を考えているか知っています:それはまだ冬の深さです!そうかもしれませんが、少なくとも次の7か月間、次の7つの靴がスタイルのアジェンダを支配するように設定されているという事実を考えると、履物は先に進むための賢明な投資だと思います。スクロールを続けて、2020年の春を開始します。 メアリー・ジェーンズ 写真: カロライナヘレラ/ Imaxtree そうかもしれませんが、レトロなメアリージェーンは、メゾンマルジェラ、カロライナヘレラ、マークジェイコブスの滑走路で見られた2020年代のス���ーシューズシルエットになります。 p クリスタル装飾のメアリージェーンヒール (£580) p アンティークローズメアリージェーンヒール ( £570) £258 p ゴスペルメアリージェーンシューズ ( 49ポンド) £20 エスパドリルサンダル 写真: クリスチャンディオール/ Imaxtree さらに1年間の登場は、謙虚なエスパドリーユです。ただし、2020年には、ウェッジの代わりにソールはフラットのままですが、生およびロープレースのディテールが大流行しています。 p スクエアトゥレースアップエスパドリーユ ( 49ポンド) £25 p ティアドロップネックレスエスパドリーユサンダル ( £280) £84 p キャンバスエスパドリーユ (£460) 非対称ストラップ 写真: ティビ/ Imaxtree 昨年のかろうじてかかとのかかとに対する執着は、2020年の春までうまくいくように設定されています。 p ミッドヒールレザーストラップサンダル (£150) p リッツラストサンダル (36ポンド) p ベアレザーサンダル (£650) カラフルなスニーク 写真: Rokh / Imaxtree ホワイトトレーナーがキャットウォークから完全に姿を消したわけではありませんが、新しいスニーカーは大声で、時には衝突する色で構成されたスニーカーです。パパ p DMX Trail Shadowトレーナー (£175) p Air Max 90レザーおよびラバートレーナー (£130) p トリプルSロゴ刺繍トレーナー (£650) フラット 写真: ジャンバッティスタヴァリ/イマックスツリー プラットフォームは2019年の終わりに静かに復活したかもしれませんが、春に関する限り、それはすべてフラットフォームになります。装飾は、サテンとモックワニの仕上げと同様に、スタイルの資格を高めます。 p ウェッジサンダル (£490) p プラットフォームサテンサンダル (£555) p チャンキークロックフラットフォーム (£85) かかとのあるローファー 写真: プラダ/ Imaxtree 平らなローファーは長い間忙しい、外出中の女性の靴でしたが、その姉妹のかかとのスタイルは再びそれを衣服の洗練の高さまで高めるのに役立ちました。かかとのあるかかととつま先のあるつま先は、フラットなものとほぼ同じくらい実用的です。 p レザーヒールローファー (£705) p タンのヒールローファー (£46) p シェリルクロコダイルエフェクトレザーヒールローファー (£530) アンクルチェーン 写真: プロエンツァ・シュラー/ Imaxtree アンクレットは2019年の注目すべき宝飾品であり、デザイナーはチェーンの修正をさらに簡単にしたようです。プラバル・グルン、JWアンダーソン、プロエンザ・シュラーなどがすべてデザインにチェーンを組み込んでいます。 p ストレッチポンプ (£715) p チェーンディテールシューズ (£49) p ネイサンチェーン装飾サンダル (£415) この投稿は以前に公開されたもので、その後更新されています。 オープニング画像:@aimeesong 次に、毎回動作する10のブートとドレスの組み合わせ。
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yuichinishioka · 5 years
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備品搬入第一弾! ようやく体調も回復してきたので、 速攻で準備開始。 11月1日という オープン日が確定したのが今月15日。 2週間ちょいですよ。 お店商売やってる人なら 分かると思いますが、 ありえないスケジュールですf^_^; これから、 備品購入、搬入、店内装飾、 電話開通、クレジット、ネット環境、 予約システム、チラシ発注and配布etc、、、 加えて、 本部の商品開発のお仕事と トレーナーのお仕事。 よく考えたらそりゃ、 カラダ壊れるわな^ ^ 不調な際に、 いろいろありがたいお言葉を頂きましたが、 それでも無理します笑 無理しないと、 たぶんこの先の道は拓けない。 たぶん、わたし程度の資質だと、 今までの自分の ギアを一段上げないと、 自分がやろうとしている事は 実現できない。 と言って、 寝ずにがんばるとか そういうのではなく、 プロの仕事や生き方に 仕上げていかないといけない。 どこかで人にぶら下がったり、 矢印を仕向けたり、 そういうのは、自分も他人も、 もう必要ない。 『渦は中心から撒く』 他人どうのではない。 常に、自分から。 https://www.instagram.com/p/B33UGyvAQ6H/?igshid=19sdxz8h650sr
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sorairono-neko · 5 years
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Oh my happy
 ロシアで暮らす部屋をきめた、とヴィクトルに告げたとき、彼は驚いた顔をした。もしかしたら、彼は自宅に勇利を迎えようと思っていたのかもしれない。あるいは、とりきめの際、自分に頼ってくると考えていたのかもしれない。しかし勇利はひとりでものごとを決定し、契約した。ヴィクトルに甘えれば、彼が便宜をはかってくれることはわかっていた。ヴィクトルは、自分でやれ、とそのあたりをめんどうくさがって避けるひとではない。かえって、相談しなければ、どうして言ってくれなかったんだ、と怒るくらい親身になってくれる。だが、それがわかっているからこそ、勇利は遠慮をした。  ヴィクトルにはこれからたくさんの苦労がのしかかってくるのだ。それは選手とコーチを兼任するという目に見えることだけではない。いろいろな試練が訪れることだろう。しかしもう勇利は彼を解任することはできないし、一緒にやっていくつもりだ。そこを譲れない以上、そのほかのところでは我慢をしなければならない。できるだけヴィクトルに迷惑をかけないようにしたい。ひとりでやっていけるというところも見せたかった。ほうっておいても勇利は大丈夫だとわきまえれば、ヴィクトルも安心感が増して気持ちがやすらぐにちがいない。それに、ひとりの選手としての自尊心というものもあった。自分の身は自分で立てなければ。 「そう……、どこ?」  ヴィクトルは優しく尋ねた。そして言った。 「勇利がそうしたいなら、それでいいよ。勇利の思うようにすればいい」  勇利はほっとした。ひとりで大丈夫なのかとか、おまえにロシアでの暮らしがいとなめるのかとか、心配されることをなんとなく想像していたのだ。だがそんなことはなかった。勇利のことを信頼してくれているのだろう。あるいは──その程度、当たり前のことだと思ったのか。そうだよな。ヴィクトルだってぼくの暮らしぶりをいちいち気にする義務なんてないし……。勇利はそんなふうに考えた。  サンクトペテルブルクでの勇利の部屋は、いささか狭いけれどひとり住まいにはじゅうぶんなところで、古めかしく、雰囲気がよかった。家具は最初からついており、作りつけの衣装戸棚、机と椅子、本箱、床よりすこし高いくらいのちいさなソファ、それにベッドがあった。敷物はいかにも異国的で、勇利が見たこともないたぐいのものだった。勇利は机の上にヴィクトルの写真を飾り、部屋でひとりでいるときもさびしくないようにしておいた。  ロシアは寒いが、暖房設備は行き届いており、寒さでこごえるというようなことはなかった。すでに春だけれど、日本の春とはまるでちがい、外は冷える。体調管理には気をつけないとな、と思った。  リンクにも間もなく慣れた。クラブの人たち全員と話すことはできなかったが、ユーリはもちろん、ミラやギオルギーなど、ロシアのトップにいるような選手は、あちらから積極的に近づいてきて、何くれとなく気にかけてくれた。店の場所や買い物の仕方、息抜きによさそうなところなども教えてくれた。ヴィクトルは仕事で忙しく、なかなかそういうことは頼めなかったので、勇利はとても助かった。しかしもしかしたら、こういうなりゆきは、ヴィクトルが彼らに声をかけてくれたからこそなのかもしれない。勇利はその点は確かめなかったが、ヴィクトルならありそうなことだと思った。彼はそばにいなくても、勇利のことをよく考えてくれるのだ。  ヴィクトルがリンクに来るのは三日に一度くらいだったけれど、彼がいないあいだは、初日に紹介されたトレーナーがつきっきりで指導してくれた。体力作りや基礎固めの方針の説明があり、さまざまなことを勇利の意見もとりいれて決定した。ヴィクトルがきちんとみてくれるようになったらまた話しあおうとも言われた。勇利は、ちゃんとしたところはすごいなとただ感心した。そういえば、デトロイトのスケートクラブもこんな感じだった。なんとなく懐かしい。  スケートに関しては基本をくり返しながら、今季に使いたい曲を探した。ヴィクトルが勇利の相手をできるようになったとき、候補を示さなければならない。いや、「これがいい」とはっきり宣言してもいいくらいだ。ヴィクトルがどう言うかはわからないが、それくらい意思を持っているということを見せなければ。勇利はスケートをするため、金メダルを獲るため、ヴィクトルと同じ場所に立つためにロシアへ来たのである。  ひと月もするとヴィクトルもすこし落ち着き、リンクにひんぱんに顔を出すようになった。ヤコフに呼ばれていろいろ言われているようだ。昨季は、後半は試合に出たものの、その前には八ヶ月もやすんでいるのだし、競技についても、今後のことについても、話しあうべきことが山とあるのだろう。勇利はそのあいだ、じっと待つつもりだった。しかしヴィクトルにその気はないようで──。 「ヴィーチャ! 話はまだ終わっとらんぞ!」 「はいはい、今度聞くよ。俺は自分のかわいい生徒の相手で忙しいんだ」 「こっちをさきにしろ!」 「ヤコフの話なんか、一日二日で終わらないじゃないか。これ以上俺の勇利を待たせられないね。それともヤコフは俺から生き甲斐を奪うつもり?」 「おまえは──」 「勇利、お待たせ」  ヴィクトルはリンクへ来ると、必ず勇利を優先するのだった。勇利が恐縮してしまうほどの態度である。 「ヴィクトル、いいよ、ぼく待ってるよ」 「だめだ。ひどいことを言うな、勇利は。おまえも俺から生き甲斐を奪うのか。ああ、俺は不幸だ。コーチや生徒がよってたかって俺を──」 「わかったよ」  こうなったら、必要な話は済ませてしまって、ヴィクトルを解放したほうがよい。方向性がきまれば、すこしくらいヴィクトルがいなくてもひとりで、あるいはトレーナーと練習していられる。勇利は数日、選んだ曲をヴィクトルに聞かせたり、こういうものをやってみたいと説明したり、ジャンプ構成は高難度で挑みたいと希望したり、そんなことに時間を費やした。ヴィクトルは真剣に聞き、時には勇利の言い分に眉根を寄せたり、それはいいねと喜んだり、もうそんなことをやっているのかと驚いたり、がんばってるねと褒めたりしてくれた。だいたいの話がまとまり、じゃあ振付を考えてみるよと言ったあと、彼はすこしさびしそうに言った。 「俺が知らないうちに勇利が成長していて、なんだか置いていかれた気分だな」 「えっ」  勇利はびっくりした。勇利のほうこそ、ヴィクトルに置いていかれないよう必死になっているのだ。 「いいことなんだけどね。すごく一生懸命なのが伝わってくる。スケートをしたいんだなってわかる。俺の時間を無駄にしないようにしてくれてるのも理解できる。でも……、」  さびしいな。そう言ってヴィクトルはほほえんだ。 「結果だけ聞かされてる気分だ。俺は勇利と一緒に悩んだり、ちいさなことも話しあってきめたいのに」  勇利は慌てた。ヴィクトルをないがしろにしているように見えただろうか。 「ヴィクトル、ぼくは──」 「わかってるよ。俺が忙しかったせいだし、そのあいだ、何もせずにいるようじゃ選手失格だ。勇利のしていることは正しい。優等すぎるくらいさ。だから、これは俺の感情的な部分で、ただのわがままなんだ」  ヴィクトルはくすっと笑った。 「生徒より��ーチ��身勝手だなんて、ヤコフに聞かれたらまた怒られるな」 「あの、ヴィクトルは自分のこともあるし、ぼくできるだけ負担をかけないようにと思って──」 「知ってる」  ヴィクトルは勇利の手を握った。 「ありがとう、勇利。おまえは心優しい、まじめな、��心な生徒だよ。俺の誇りだ」 「ヴィクトル……」 「ヤコフに自慢したいくらいだな。俺の生徒、いい子だろって。うらやましいだろうって」 「ヴィクトル、あの、そういうことを言うと」  リンクメイトにも悪いし、そもそもヴィクトルだってヤコフの生徒ではないか。勇利はなんと言えばよいのかわからず、ただ頬を赤くした。リンクサイドでのふたりのやりとりを見ていたリンクメイトが、口笛を吹きながら通り過ぎていった。  そんなことがあったせいだろうか。ヴィクトルがある日、「勇利の部屋に行ってもいい?」と尋ねたとき、勇利はとっさに返事ができなかった。できれば来てもらいたくなかった。手狭なところだから恥ずかしいし、ヴィクトルが来るような場所ではない。本当なら、すぐに「だめ。外で会おうよ」と言う場面である。しかしヴィクトルが「さびしい」と言ったことで、勇利はもっと彼に歩み寄らなければならないのではないかという気がしていた。確かにこのところ、もとのような親密な交流はしていなかった。リンクでしか会わないのだから当たり前だ。長谷津にいたころのように、何かあれば数歩でお互いの部屋を訪問し、「ヴィクトル、ねえ、聞いて」「勇利、昼間の話だけど」と言うことができない。ヴィクトルはきっと、そういうたぐいのことがしたいのだろう。勇利の私的な領域に入りたいのだ。たぶん。うぬぼれかもしれないが、ヴィクトルの「いいだろう?」という頼みこむような目を見ていると、あながちそうとも言えなさそうだ。 「えーっと、そうだね……」 「だめかい?」 「だめではないんだけど、なんていうか、狭いし……」 「そんなの気にしないよ。勇利の暮らしているところが見たいんだよ」 「何もないよ?」 「構わない」 「ヴィクトル、退屈するかも……」 「勇利がいるのにそんなわけないだろう」  ヴィクトルはかすかに笑うと、「いやなのかい?」と優しく尋ねた。勇利は反射的にかぶりを振った。 「……いいよ」 「じゃあきまりだ。今日は勇利の家を訪問する。楽しみだね!」  練習のあと、勇利はヴィクトルと連れ立って歩いた。考えてみたら、彼とふたりきりで町を歩くのは初めてではないだろうか。勇利はすこし緊張した。変なの。いままではそんなの、当たり前みたいにしてたのに。 「あの……、晩ごはん、どうする?」  勇利はできるだけ明るく尋ねた。 「ぼくんち、何もないんだけど」 「勇利はいつもどうしてるんだい? どこかで食べてるの?」 「ううん、つくってる。簡単なものだけど……。そのほうが安く済むから」 「そうか。じゃあ今夜も何かつくってくれる?」  勇利はうろたえた。ヴィクトルはなんでも美味しいと言って食べるひとだが、これまで手料理をふるまったことはない。彼の口に合うかどうかはわからない。 「あー……店で食べたほうがいいんじゃないかな……。ぼく自信ないし」 「勇利がつくったものを食べることに意義があるんだよ」 「そんなのに意義を見出さないでよ。ほんと、ぜんぜんじょうずじゃないし、ヴィクトルが普段食べてるようなものは出せないよ」 「そうだな」  ヴィクトルはまじめにうなずいた。 「そんなのより、ずっと貴重だな」 「ヴィクトル、あのさ……」 「だめかい?」  ヴィクトルが笑いながら訊いた。勇利は、だめだよ、と言おうとして考え直した。そうだ、今日はヴィクトルと私的な時間を持つときめたのだ。リンクでの事務的なものとはちがう、ふたりだけの親しさは、レストランより自宅のほうがずっと生じやすいだろう。 「……文句言わないなら」  勇利は譲歩した。 「言わないよ。そんなの、あるわけないしね」  ヴィクトルは機嫌よく答えた。 「オーケィなんだね? うれしいな。よし、じゃあ市場へ行こう」  勇利は、いつも練習帰りにひとりで立ち寄る市場へ、ヴィクトルとふたりで行った。幾度か通ううちに顔をおぼえてもらったのだが、今日はヴィクトルを連れてきたので、どの店の主人もみんな驚いていた。興奮気味に何かまくしたてている。 「な、なんて言ってるの」 「ヴィクトルの教え子だったのか、って。言ってくれればいいのにって」  ヴィクトルはくすくす笑いながら通訳した。どこへ行っても長々と話しているので、また勇利は「なんて言ってるの」と訊かなければならなかった。 「俺の勇利をよろしく、っておねがいしてたんだよ。勇利、普段はどうやって会話してたの?」 「片言のロシア語……。ものは手で示せばいいし、欲しい数……っていうか数字もなんとか言えるから。それでも上手く伝わらないときはアプリで翻訳したりして」 「なるほど。みんな勇利のこと、東洋から来た留学生だと思ってたみたいだよ。貧しそうだし、気が弱そうだから、大丈夫かっていつも心配してたんだって。ヴィクトルがついてるなら安心だねって言われた」 「留学生……」  勇利はかるい衝撃を受けたが、幼く見られることには慣れている。まあいいや、とすぐに気を取り直した。 「ところで今夜の夕食はなんだい? 勇利が欲しいものを言われるままに買ってるけど」 「あー、ぼくもまだそんなにできるわけじゃないから、最近よくつくってる野菜煮込みなど……、それからサラダと、焼いた鶏で……」 「いいね」  ヴィクトルは、勇利が「納豆とごはんだけだよ」や「豆腐一丁」や「超激辛カレー」などと言っても「いいね」とうなずきそうな上機嫌でにこにこしていた。あまり期待されると重圧が、と勇利は憂鬱になった。 「帰ったらお金精算するから」  すべてヴィクトルが支払っているので、勇利はそっと耳打ちした。 「構わない。じつは『俺も手伝う』と言いたいんだけど、勇利がつくったものを食べたいから、見てるだけのつもりなんだ。その代わりといってはなんだけど、買うのは俺がやるよ。それと、後片づけもする。それでどうだい?」 「じゃあ、支払いは甘えようかな……。片づけはいいよ」  ヴィクトルに皿洗いをさせるなんて暴動が起きそうだ。勇利はすこし可笑しかった。  勇利の住む部屋は、細長い建物のてっぺんにあった。いちばん上の階はひと部屋しかなく、まるで塔のようで勇利は気に入っていた。 「おもしろいところだね」  ヴィクトルはほそい階段を上りながら褒めた。部屋へ入って勇利が窓を開けると、そばに来て外を眺め、「うん、景色もいい」と感心した。もう空は闇に沈み、きらきらとひかりが輝いていた。夜空が目の前に落っこちてきたみたいで、勇利はこの風景も、来たその日に大好きになった。 「こんなふうに自分の町を眺めることってまずないよ。すてきだな」  ヴィクトルはいたずらっぽく言った。 「俺もここに住みたい」  勇利はくすっと笑った。 「じゃあ、つくっちゃうから待ってて。そのあいだ、何もすることがないけど……」 「いや、勇利を眺めているだけで楽しいよ。部屋を探険していい?」 「いいけど、探険するほどのひろさもないよ」  ヴィクトルはソファから勇利のことをじっとみつめたり、立ち上がって手洗いや浴室をのぞいたり、ベッドに座ってかたさを確かめたりして楽しんでいるようだった。何がおもしろいんだか、と勇利はこっそり笑った。  そのうち、ヴィクトルは勇利の机に寄り、そこに飾ってあった写真立てを取り上げて目をほそめた。あ、と思って勇利は赤くなった。演技中のヴィクトルの、いちばん好きな写真を入れているのだ。  ヴィクトルは静かに、ことりと写真立てを戻した。彼は何も言わなかった。 「ヴィクトル、できたよ……」 「ああ、ありがとう」  料理はなかなか上手く仕上がり、勇利はほっと安堵した。低いソファに座り、ちいさなテーブルいっぱいに料理をひろげて食べるのはとても楽しかった。いつもは勇利ひとりで、静かに食事をしているのだ。とくにひとりぼっちを強く感じたことはないけれど、ヴィクトルがいるだけでまるでちがう場所のように思え、胸がときめいた。彼の存在は、勇利の見るものを一変させるのである。ヴィクトルがいるだけでぱっとその場が明るくなる。勇利の気持ちもはずむ。 「どう?」 「美味しいよ。勇利、そんなにじょうずじゃないなんてうそだね。まあ、スケートほど上手くはないけどね」  勇利は、ヴィクトルが冗談を言っているのか真剣な評価をくだしているのか、よくわからなかった。そんなことはどうでもよかった。ヴィクトルが隣で食事をしている。それだけで泣きたいくらいうれしかった。長谷津では当たり前だったことが、どうしてこんなにいとおしいのだろう。──当たり前だったからこそか。 「俺の部屋にも勇利の写真があるよ」  ヴィクトルは穏やかに言った。 「ただ、俺も一緒に写ってるけどね」  彼が優しく勇利に笑いかけたので、勇利はぼうっとなってしまった。 「……ぼくがいないほうがいいと思うよ」 「俺に、自分だけの写真を飾れっていうのかい?」  ヴィクトルは愉快そうに言った。 「うん……いいと思う……」 「あきれたね」 「長谷津ではしてたでしょ……」 「そういうことじゃない」  どの写真だろう、と勇利は考えた。ぼく変な顔してなきゃいいけど。  ヴィクトルとたわいない話をし、笑いあった。久しくなかったことなので、勇利は感激しっぱなしだった。ヴィクトルがここにいるのが信じられなかった。異国の地で、それもサンクトペテルブルクで、ヴィクトルは勇利の部屋を訪問し、勇利の手料理を食べて笑っている。不思議でときめかしいなりゆきだった。とてもすてきだ。 「勇利、さびしくないかい?」  ふいにヴィクトルが尋ねた。やわらかな口ぶりだったが、瞳は真剣だった。 「え、なんで?」  勇利は明るく答えた。 「ヴィクトルがいるのに、さびしいわけないじゃん」 「いや、いまの話じゃなくて……」  ヴィクトルは何か言いさし、それからちいさくほほえんでうなずいた。 「そうか。ならいいよ」 「あ、マッカチンはどうしてるの? ごはんは……」 「今日は管理人に任せてあるんだ。古くからの友人だし、マッカチンのこともよく知ってるから安心して頼める。そこにはマッカチンの友達もいるしね」 「そうなんだ」  勇利はほっとした。 「マッカチン、元気?」 「元気だよ。勇利に会いたがってる」 「そっか。ぼくも会いたいなあ」  言ってから勇利は慌てた。これではヴィクトルの家に行きたがっているみたいではないか。ずうずうしい……。しかしヴィクトルは気にしなかったようで、「勇利、マッカチンと仲よしだもんね」などと納得していた。  食事が終わると、もうすることがなかった。もうすこし話していたいけれど、からの食器を前にして話し続けるというのも妙だ。こんなことなら何か飲み物でも買っておくんだった、と勇利は後悔した。勇利の部屋には、嗜好品というものがまるでないのである。飲むのは瓶入りの水ばかりだ。  殺風景な、何も出てこない部屋で、ヴィクトルがっかりしただろうな、と思った。この部屋でいいところは、全体の雰囲気と窓からの景色くらいだ。ヴィクトルは食事を美味しいと言ってくれたけれど、そんなのは社交辞令にきまっているし、ほかに感心するようなものもない。ヴィクトルは勇利に会いに来たのだろうが、勇利自身も、おもしろいすてきな会話が提供できるわけではない。ヴィクトルはそんなことは気にしないだろうし、ただ勇利との親睦をはかりたかったのだろうけれど、上手く彼を接待できなかったことで勇利は急に恥ずかしくなった。市場の人たちは勇利を学生と勘違いしていたようだが、確かに子どもという点ではそれくらいの年齢かもしれない。 「そろそろ帰るよ」  ヴィクトルがそう言ったとき、勇利はさびしいような、ほっとしたような、妙な気持ちを味わった。 「うん」  勇利が送っていこうとすると、「玄関まででいいよ」とヴィクトルは優しく言った。 「でも」 「いいんだ。それより、何か困ったことがあったらすぐ俺に話すんだよ。ひとり暮らしはいろいろあるからね。勇利、気をつけて。誰か来ても、簡単に扉を開けたりしちゃだめだよ。ここは警備員も管理人もいないし……」 「そういうところ、高くて、無理で……」  勇利は頬を赤くした。 「ああ。でも、いい部屋だね。建物もすてきだ。そういう意味では、勇利にぴったり合ってるよ。俺が住みたいくらいだからね」  ヴィクトルは笑って言い、勇利の頬にふれた。 「じゃあ、また明日、リンクで。おやすみ、勇利」 「おやすみなさい」  ヴィクトルは勇利の額に紳士的に接吻すると、かるく手を上げて帰っていった。勇利は二重になっている鍵をかけ、ふう、と息をついて戸にもたれかかった。  ヴィクトルが来てくれたのはうれしかった。しかし、彼はつまらなかったかもしれない。また遊びに来てくれるだろうか? 勇利は目を伏せて頬に手を当てた。  翌日は、午前中はヴィクトルはリンクにいたけれど、午後は取材だとかで、昼食に出たあとは戻ってこなかった。勇利は帰り道、ひとりで市場へ寄り、昨日はあんなに買い物楽しかったのにな、とぼんやりした。すると、勇利をヴィクトルの生徒と知った店の人たちが笑顔で声をかけてき、これを持っていけ、これもおまけしてあげる、といろいろなものをくれた。それで勇利はヴィクトルの存在を感じて喜びをおぼえ、元気になった。我ながら簡単な性格をしているな、と可笑しかった。  明るい気持ちになった勇利は、もし次ヴィクトルが来てくれたら、と想像し、紅茶の葉や、日持ちのするお菓子などを見つくろった。もう来てくれないかもしれない。でも、もしかしたら……と期待をこめた。よくわからないので、すこし高めの葉とクッキーを選んだ。ヴィクトルが来てくれたとき美味しいものを出したい、と考え、新しい料理にも挑戦することにした。  その夜は、ヴィクトルの動画を見ながらおむすびのぬいぐるみを抱き、昨日はここにヴィクトルがいたんだよなあ……と夢見ごこちでくつろいだ。  だんだん勇利は気が大きくなってきて、ヴィクトルが何も言わなかったら自分から誘ってもよいのではないかという考えを持った。なんて言おう? ごちそうつくったから来て、とか? ──ごちそうなんてつくれないからこれはだめだ。ヴィクトルは「さびしくない?」と訊いていた。さびしくなったから、と頼んでみるのはどうだろう。しかしそれではいかにも頼りないし、ヴィクトルに心配をかける。甘えているようだ。これもよくない。  うんうんうなっていたら、翌日、ヴィクトルのほうから声をかけられた。 「勇利」 「えっ、なに」 「今日も勇利の部屋、行ってもいいかな」  ヴィクトルはにっこりした。 「じつはね、今日はマッカチンを連れてきてるんだ」 「え、そうなの?」 「ああ。事務所のほうでのんびり寝てる。マッカチン、勇利に会いたがってるから、どうかと思って」 「もちろんいいよ」  勇利はほっとしてうなずいた。 「うれしい」 「勇利」 「うん?」 「俺も勇利のところに行きたかったんだよ」  その日も一緒に買い物をして帰り、勇利のつくった食事をふたりで食べた。ヴィクトルはちゃんとマッカチンのごはんと皿を持ってきていて、マッカチンも喜んで夕食にありついていた。 「もともと狭い部屋だけど、ヴィクトルとマッカチンがいると余計狭く思える」  勇利は笑って言った。 「でも、こっちのほうがいいな」  ヴィクトルは「本当かい?」と目をきらきらさせた。  一昨日とはちがい、食事が終わっても勇利は肩身の狭い思いをしなかった。彼はいそいそと食器を片づけると、紅茶を丁寧に淹れてクッキーを出した。あ、ごはんのあとにクッキーっておかしいかな? まあいいや。 「ヴィクトル、これ……」 「ワオ、いい匂いだ。紅茶だね」 「うん。買ったんだ」  答えてから勇利は頬を赤くした。これでは、「貴方が来るのを待っていました」と言っているようなものではないか。勇利が紅茶やクッキーを買いそろえる習慣なんてないと、ヴィクトルはじゅうぶんに承知しているだろう。  ヴィクトルがじっと勇利を見た。勇利はソファに勢いよく腰を下ろした。 「早く食べて」  勇利は怒ったように言った。 「ぼくは太るから食べられないんだ」 「……ありがとう。いただくよ」  黙って紅茶を飲みながら、勇利は心配になってきた。そういえば、ロシアでは紅茶にはジャムを添えるのではないか? ヴィクトルの国のことならたくさん調べたのに、どうしてこういう肝心なときにその知識が抜けてしまうのか。 「あ、あの……ごめんね」 「何が?」 「ジャムとか、そういうのいるんだよね? ぼく気づかなくて……」 「…………」  ヴィクトルは何も言わなかった。彼は勇利をみつめ、それから勇利に頬を寄せて、低い声でつぶやいた。 「勇利が俺のことを考えて、こうして支度してくれたことが、とてもうれしい」  勇利はまっかになった。ヴィクトルは優しいまなざしを勇利に向け、「そろそろ帰るよ」と言った。 「う、うん」  勇利はぎくしゃくとうなずいた。  ヴィクトルはそれから、ほとんど毎日のようにマッカチンを連れ、勇利のところへやってきた。ふたりで買い物をして帰り、勇利が食事をふるまう、ということが続いた。勇利は楽しかった。すこしもめんどうだと思わなかった。ひとりでいるのは苦痛ではないし、長谷津にいるときもヴィクトルと毎夜過ごしていたわけではなかった。ヴィクトルはふらりと出掛けることも多く、それをさびしいと感じたことはなかった。けれどもいま、ヴィクトルがこうして幾度も部屋へ足を運んでくれるのがうれしい。異国の地だから心細くなっているのだろうか? いや──ヴィクトルと離れた、という事実が?  どっちでもいいや……。 「明日から三日、モスクワなんだ」  ある日の夜、食後の紅茶を飲んでいるときにヴィクトルが言った。もうちゃんとジャムもある。ヴィクトルに教えてもらって、美味しいものをひと瓶買ったのだ。 「そうなんだ」 「おみやげ楽しみにしててね」 「いいよ、そんなの。気をつけてね」 「勇利はその次は休みだから、会えるのは五日後だね」 「ああ、そっか」  まるで永遠のように長く感じられ、勇利は驚いた。そんなにヴィクトルに会いたいのだろうか、と疑問だった。ここのところはずっと練習のあとも一緒だったし、たまには静かに時間を過ごすのも悪くない。  しかし、翌日、部屋にひとりでいると、勇利は何かが欠けているような、不思議な気がして困ってしまった。特別にさびしい、ヴィクトル帰ってきて、とは思わない。そんなせっぱつまった感情ではない。だが、ただ、とらえどころのないせつなさのようなものが、常につきまとって離れないのだ。 「何なんだろう……」  よくわからない。でもこういうものかもしれない。ずっと一緒にいたのだから、急にひとりになったら調子が狂ったりもするだろう。明日になれば慣れるにちがいない。 「今日はヴィクトルのプログラム見よっと」  しかしその翌日も、さらにその翌日も勇利は奇妙な静けさを感じ続け、四日目の休日にははっきりと溜息をついてしまった。あきれる。コーチに会えなくてさびしいなんてどうかしている。子どもではないのだから。 「……明日には会えるし」  勇利はほとんどふてくされて午前中を過ごした。ぼんやりしすぎて、ぼんやりしていることさえ忘れるくらいだった。午後になって早い時間に玄関の呼び鈴が鳴った。勇利はソファから動こうとしなかった。配達の予定はないし、ここへ尋ねてくる者など、ヴィクトルくらいしかいないのだ。きっと部屋をまちがっているのだろう。いま勇利には、見ず知らずの相手に、ロシア語で「その部屋はこの階じゃありませんよ」と説明する気力がなかった。しかしベルはしつこく鳴り続ける。勇利はうんざりした。こんなにうるさくされるくらいなら、出ていって早々に追い払ったほうがよい。  勇利は玄関まで行き、しぶしぶ戸を開けた。目の前にヴィクトルが立っていた。 「ずいぶん遅かったね。留守かと思ったよ。寝てたの? スリーピングビューティ」  彼は笑いながら入ってきて、手に抱えていた荷物をテーブルに置いた。 「相手を確かめてからじゃないと出ちゃだめだって言っただろう?」 「ヴィクトル!」  勇利はようやく口が利けるようになり、高い声で叫んだ。それと同時に、ヴィクトルに抱きついていた。 「おっと」  ヴィクトルが笑いながら勇利を受け止める。信じられなかった。どうしてヴィクトルが? 「モスクワじゃなかったの?」  勇利はヴィクトルの胸に顔を押しつけてささやいた。 「三日だと言っただろう? 昨日帰ってきたんだよ。明日には勇利に会えると思ったけど、待ちきれなくてね。こうしてやってきた」  勇利はうれしくてたまらなかった。それでますますヴィクトルにすり寄ったのだが、ふいに我に返り、子どものようにはしゃぐ自分をヴィクトルはどう思ったことだろうと赤くなった。 「えっと、ごめん……」  勇利はそろそろとヴィクトルから離れた。 「何が?」  ヴィクトルはにこにこしている。ふと視線を落とすと、足元にマッカチンが行儀よく座っていた。 「あ、マッカチン。こんにちは」  勇利はかがみこんだ。 「一緒に来たんだ。三日も留守にしたし、マッカチンに訊いたら、勇利に会いたいって言うから」 「そっかー」  マッカチンを撫でながら、勇利は思いついて顔を上げた。 「あ、ごめん、今日何も用意してないんだ。食事……」 「いいよ。いつも食べさせてもらってるから、たまには俺がごちそうしようと思って材料を買ってきた」 「えっ、ヴィクトルがつくるの」 「そうだよ。何もそんな心配そうな顔をしなくてもいい。俺だって、説明書きを読んでその通りに調理するくらいはできる。ただし、時間がかかると思うよ」 「手伝おうか?」 「いいんだ。今日は俺がふるまいたいんだからね。勇利はマッカチンとくつろいでいて」  それで勇利はマッカチンと一緒にソファに座り、ヴィクトルの料理姿を眺めていたのだが、見ているだけでちっとも退屈しなくて、ただただうれしかった。ヴィクトルがいる。ここにいる。ヴィクトルが料理してる。ヴィクトルでも料理するんだ。そんなことを考えていた。 「勇利はいい顔をするよね」  合間合間に勇利を振り返ったヴィクトルは、笑いをこらえるようにして言った。 「え、何が?」 「いや……」  ヴィクトルのつくった夕食は、極上の味とは言えなかったけれど、勇利にとってはそんなことはどうでもよかった。仕事のあと、三日も勇利に会えなかったからとこうしてやってきて、一緒に食べようと手料理を支度してくれたということだけで、興奮したし、刺激的だと思った。 「モスクワはどうだった?」 「そうだな……、いいんじゃないかな」 「何が?」  ヴィクトルは、モスク���であったことをおもしろおかしく話してくれた。勇利は目を輝かせ、うんうんとうなずきながら聞き入っていた。もともとヴィクトルのことは尊敬しているけれど、こうして仕事の話をされると、いかにもしっかりした大人の男という感じがして、ますますうっとりしてしまった。 「勇利は三日間、どうだった? どんなふうに過ごしてた?」 「えっと、リンクでは……」  勇利は練習について丁寧に説明した。明日からまたヴィクトルに教えてもらうので、そのための下地のようなつもりだった。ヴィクトルは熱心に聞いてくれたが、じゃあそれについてはこんなふうにしよう、という話はせず、勇利が口を閉じると、「よくわかったよ。では次は、勇利の私的な時間について教えてくれ」と言った。 「え?」 「家ではどう過ごしてた? もっと個人的なことを知りたいな」 「えー……、あ、そのほうがプログラムつくりやすい?」 「そうじゃなくて」  ヴィクトルはほほえんだ。 「ただ勇利のことを知りたいだけなんだよ。俺の感情的な理由だ。言いたくない?」 「そんなことはないけど……、でもたいしたことしてないよ。ヴィクトルの動画見たり、ヴィクトルのこと考えたりしてた」 「そうか」  食事のあとは、また紅茶をふるまった。たわいない話をたくさんして楽しかったけれど、そろそろヴィクトル帰っちゃうんだな、と思うとさびしかった。勇利はマッカチンに抱きついた。時計ばかりが気になった。 「ねえ、勇利」  ヴィクトルが口をひらいた。 「今夜、泊まっていっちゃだめかい?」 「えっ」  勇利は仰天した。泊まっていくって──つまり明日の朝までヴィクトルがここにいるっていうこと? 「久しぶりだし、離れがたくて」  ヴィクトルが率直に言った。 「もっと一緒にいたいんだけど、勇利はどうかな?」 「えっと……」  勇利はよく考えもせずにうなずいた。 「もちろんいいけど……」  答えた瞬間、赤くなりそうだった。うわあ、と思った。こんなふうに飛びつきそうになって了承するなんて、なんてみっともないのだろう。ヴィクトル、あきれたかも。おまえ、前のめりだなって驚かれたかも。 「でも、あの……、ベッドは狭いし、ひとつしかないし、ヴィクトルに貸せるような服もないし……」 「べつに気にしないよ。着替えはリンクのロッカーに置いてあるから、一日くらいどうにでもなる。勇利さえよければひと晩過ごさせてもらいたいな。マッカチンも一緒にいたそうだしね」  ヴィクトルは、勇利にべったりとくっついているマッカチンを見てくすっと笑った。 「ふたりがいいなら、ぼくは構わないよ……」  遠慮がちに答えながら、大歓迎のくせに、何が「構わないよ」だ、と勇利は自分を罵った。まったく、恥ずかしいやつだな。 「あ、じゃあ、お風呂入る……? あと、歯ブラシくらいは新しいのがあるよ」 「ありがとう」  ヴィクトルが入浴しているあいだ、勇利は、信じられない、という思いでいっぱいだった。泊まっていくというのは、ただ遊びに来て帰る、ということとはずいぶんちがう。長谷津では私室が隣同士だったし、試合に出れば同じ部屋で過ごしているけれど、ここは本当に勇利の私的な空間で、そこにヴィクトルはやってきて、同じベッドで眠ることになるのだ。こんな経験、いままでしたことがない。  ぼく、ソファで寝たほうがいいかな、と思案し、そこで勇利は、最初にそのことを提案せず、「ベッドは狭いし」などと言った自分はおかしいのではないかという気がした。ヴィクトルがよく「一緒に寝よう」と言っていたので、当然のようにそう受け止めたのだが、一般的に考えれば、どちらかがソファを使うというのはいかにも自然ななりゆきだった。  ど、どうしよう。ヴィクトル、「一緒に寝るつもりなのか……」ってびっくりしたかも。うわあ。  勇利はほとんどとりみだした。飛びつかんばかりの勢いで了承してしまったし、ベッドはひとつだと思っているし、ヴィクトルはもしかしたらいまごろ、しらけきっているかもしれない。マッカチンが帰りたくなさそうだから言ってみたものの、そんなに歓迎されても困る、と溜息をついているかも……。 「勇利、さきに使わせてくれてありがとう。新しく湯を溜めておいたよ」  ヴィクトルが浴室から出てくると、勇利はまっかになって彼に駆け寄り、「あ、あの!」と声をかけた。 「ぼく、ソファで寝ようか!?」 「え?」 「毛布ならあるし、ヴィクトルそのほうが寝やすいかもって思ったんだけど!」 「…………」  ヴィクトルはきょとんとして勇利を見た。勇利は一生懸命にみつめ返した。ヴィクトルが笑った。 「一緒に寝るの、いやなのかい?」 「えっ、そんなことはないけど、やっぱり狭いし、よく考えたらソファがあるんだよなって思って」 「そのほうがいいなら別々でいいよ。ただし、そうするなら俺がソファのほうを使うから、そのつもりで。お風呂に入ってゆっくり考えてごらん」  えぇ、そういう言い方されると困る……。勇利は困惑しながら湯に浸かり、きまじめに思案した。どうすればいいのだろう? ヴィクトルをソファに寝かせるのはだめだ。でも一緒に寝るのも……。だって……ぼくは……ヴィクトルったら……その……。  風呂から上がった勇利は、ソファでマッカチンとくつろいでいるヴィクトルの前に立ち、しゃちほこばって言った。 「マッカチンの寝床も必要なので、マッカチンにはソファが最適だと思うし、するとヴィクトルとぼくはベッドで一緒に寝るのが適当ですので、ヴィクトルとふたりで寝ます」  ヴィクトルはにっこり笑うと立ち上がり、うなずいて、「そうしよう」と勇利を抱擁した。  そういうわけでその夜は、狭いベッドにヴィクトルと一緒に入った。寝巻がないので──あっても着たかどうか──ヴィクトルは下着一枚で、勇利を抱きしめて眠った。勇利はどぎまぎしたけれど、これくらいしなくちゃお互い窮屈な思いをするばかりだし、仕方のないことだと自分に言い聞かせた。最初はどきどきして眠れなかったが、そのうち、ヴィクトルの体温がなじみ、匂いは眠りを誘うようで、自然に寝入ってしまった。  朝はぱっと目がさめた。まだ眠っているヴィクトルの整った面立ちをみつめ、一緒に寝たんだ、と赤面して、勇利はそっとベッドを抜け出した。マッカチンがソファから起きてしっぽを振った。 「おはよう、マッカチン。ヴィクトルまだ寝てるから静かにしてようね。ごはんはどこかな? ヴィクトル、持ってきてたよね」  勇利はヴィクトルの荷物からマッカチンの食事を出し、それを深い皿にあけてやった。かがみこんで、しばらく、マッカチンがごはんを食べるのを見ていた。それから自分たちの朝食を支度するため、忙しく立ち働いた。朝は食べないか、食べてもシリアルで済ませることが多いのだが、ヴィクトルがいるのならそういうわけにはいかない。卵料理をつくったり、スープを用意したり、たまたま買い置きしていた果物を切ったりと、勇利にしては豪華な朝食になった。  さてそろそろヴィクトルを起こそうとベッドへ行こうとしたところ、すでに彼は目をさましており、肘でまくらをつくって、勇利のことを物穏やかなまなざしで眺めていた。 「あ……、お、おはよう」 「おはよう」 「ちょっとなに、もう……、起きてるなら声かけてくれたらいいのに」 「一生懸命働いてる勇利がかわいくてね」 「早く顔洗って服着て。冷めちゃうよ」 「オーケィ」  ふたりは朝のひかりを浴びながら、笑いあって食事をした。夕食はともにしていたけれど、朝は初めてだ。早朝の空気の中にヴィクトルがいるのはとても不思議で、勇利はなんだか感激してしまった。勇利の部屋で朝食をとるヴィクトル、というのはなんだかすごい。一緒に家を出て、まっすぐリンクへ向かうというこのなりゆきも。 「急に泊まってごめんね。迷惑だったかな」  目指すスポーツクラブがだんだんと大きく見えてくると、意気揚々と歩くマッカチンを見ながら、ヴィクトルが静かに言った。 「え、べつに……、そんなことないよ」  勇利はできるだけ普通に聞こえるように答えた。 「そうかい?」 「うん」 「よかった」  ヴィクトルは更衣室に着くと、置いてあった洗濯済みの衣服に着替えた。それを視界にとらえながら、なんかえっちだな、と勇利は思った。着替えが、ではない。勇利の家に泊まり、そのためにここで着替える、という次第がなんとなく大人びて思われたのである。  いや……べつに、普通のことだけど。たまたま泊まって、たまたま着替えがなかったから、きちんと置いてあるところで新しいものを身につける。平凡なことなんだけど。 「おはよう! さっき見かけたんだけど、今日、ヴィクトル、自分の家じゃない方角から来なかった?」  リンクサイドへ行くと、ミラが明るく声をかけてきた。勇利はどきっとした。 「そうなんだ。ゆうべ勇利の部屋に泊まったんだよ。それで一緒に来たんだ」 「やっぱり。仲いいわよね」 「ああ」  ヴィクトルがごく普通に返事をしているのを、勇利は赤くなりながら聞いていた。隠すことでもないし、しごく自然な会話だ。何もおかしくはない。……おかしくはない。 「さ、勇利、やろうか。まずは基礎練から。一緒にね」 「はい」  それからも、ヴィクトルはひんぱんに勇利の家に寄り、ふたりで夕食をともにした。「今夜も泊まっていい?」と彼が尋ねてきたのはその五日後のことで、勇利は思わずヴィクトルをみつめたが、「だめかい? だめならいいよ」と笑顔で言われたので、「だめじゃないよ」と答えてしまった。そうなると、夕食をともにしていたのと同じように、泊まるのもきわめて当たり前のことになるのに時間はかからなかった。ヴィクトルは、二日にいっぺんは勇利の部屋に泊まっていくようになった。 「ヴィクトル、今日はどうする? 泊まっていくの?」 「ああ、そうだね」 「そっか……」  勇利は一度だけ洗濯した真新しい湯上がりタオルを、「じゃあ、これ使って」と差し出した。ヴィクトルがおらず、ひとりで帰ったとき、迷った末に買ったものだった。 「これは?」 「ヴィクトルいままでちいさいの使ってたし、不便で困るでしょ」 「…………」  ヴィクトルは笑って勇利を抱きしめ、「ありがとう」とささやいた。  勇利はだんだんと、着替えとかもうちにあったほうがいいんじゃないかな、とか、ヴィクトルの手まわり品のために場所をどこか空けようかな、とか考えるようになったのだが、さすがにそういうことを言い出すのは恥知らずだし、ヴィクトルのほうが迷惑するかもしれないので黙っていた。泊まっていって当たり前、というようなそぶりを示したら、ヴィクトルが自宅に帰りづらくなるかもしれない。こんなに狭くて自分のものなんてない場所にとどまるより、ひろくて快適な自宅でやすむほうが何倍もよいにきまっている。 「ヴィクトル、今夜はどうする?」  ヴィクトルは、マッカチンを連れてきたり、連れてこなかったりと、そのときによってまちまちだった。その日は連れてきていない日で、マッカチンは例のヴィクトルの知り合いの管理人と、彼の飼い犬である優しいゴールデンレトリバーとともに過ごしているということだった。 「ああ、そうだね。泊まっていこうかな」 「わかった。じゃあタオル出しておくね」  ヴィクトルのタオルは二枚に増えていた。二日続けて彼が泊まると、一枚では間に合わないときがあるからである。 「ごめん、ここのところ掃除できてなくて。簡単にやっちゃいたいから、そのあいだ、ヴィクトル、夕飯つくっててくれるかな」 「いいよ。買ってきたもの片づけておこうか。ほら、今日は日用品も買いこんだだろ?」 「あ、おねがいしていい? 場所わかる?」 「わかるよ」 「ありがとう」  ふたりで練習帰りに買い物をしてくるのは前と同じだが、いまはもう、どちらかだけが料理をするのではなく、ふたりで一緒にしていた。家のこともヴィクトルがずいぶん手伝ってくれる。最初は遠慮していたのだが、「泊めてもらってるんだからこれくらいさせてくれ」と言われると断れず、だんだんとそれが日常的なことになっていった。寝るときも、マッカチンがいないおりはどちらかがソファを使えるはずだが、そうはせず、いつもふたりで身を寄せあって眠っていた。 「勇利。勇利、起きてくれ」  早朝に揺り起こされ、勇利はうすく目を開けた。時刻を確認すると、いつもより一時間も早い。 「ヴィクトル、時間まちがえてるよ……あと一時間寝られる……」 「ちがうんだ。すっかり忘れていた。今日は俺は練習に行けない」 「え……?」 「撮影があるんだった。すぐ出なくちゃ」 「ええっ」  勇利は飛び起きた。急いでベッドから下り、ソファに置いていたヴィクトルの衣服を抱えて戻る。そこで気がついた。 「ヴィクトル、この服で行くの?」 「ほかにないから」  それは、リンクへ行くときのままの、機能的な衣服だった。撮影というからにはモデルをするのだろうし、先方でブランドものの何かが準備されているのだろうが、それにしても、そういう場にこのかっこうで出向くというのは、ヴィクトルの心情としてはあまりよくないのではないかという気がした。しかし勇利が服を貸すわけにもいかない。 「ごめんね、慌ただしくて。じゃあ行ってくるよ。練習はヤコフかトレーナーに訊いて」 「わかった。ぼくのことは気にしないで。あ、ヴィクトル」  勇利は、朝食のためにと買っていたサンドウィッチの包みをヴィクトルに持たせた。 「よかったら移動中に食べて」 「ありがとう」  ヴィクトルはほほえむと、じっと勇利をみつめ、「じゃあね」とあたたかい声でささやいた。 「いってきます」 「いってらっしゃい」  その日の練習帰り、勇利は道を折れ、知らず知らずのうちにきちんとした衣料店に入り、シャツを手に取って眺めていた。勇利は我に返ると、こんなことをしてどうするのだと赤くなり、シャツを棚に戻した。店を出ようとして、しかし振り返り、ためらってから店内へ取って返した。勇利はシャツを二枚と、ほかにもいくつか買い物をした。 「これはなに?」  数日後、ヴィクトルが部屋へ来たとき、勇利は黙ってシャツを差し出した。 「ヴィクトルの」  勇利は胸をどきどきさせながら、表面上はそっけなく言った。 「前みたいなことがあったら困るから」 「前みたいなことって?」 「だから……、いきなり朝思い出して仕事に飛び出すっていう……」  勇利は恥ずかしくなってきた。だからなおさらつれない態度になった。 「ヴィクトルがちゃんとおぼえてて、支度してくるならいいけどさ。そもそもおぼえてるなら、仕事の前日にぼくんとこに泊まったりしないだろうけど。でも貴方は異星人だし、常識的な判断や行動を期待しても無駄だってわかってるからね。リンクならともかく、仕事へ行くのにあんなかっこう、よくないでしょ? ぼくならいいけど、ヴィクトルは気にするひとじゃん」 「それはそうだね」  ヴィクトルはほほえんだ。 「だから……、せめてそういうちゃんとしたシャツはうちに置いておくべきじゃないかと思ったんだよ。それなら練習用の姿で行くよりはいくらかましじゃない? おしゃれじゃないけど、きちんとしたシャツっていうだけでだいぶちがうでしょ。ヴィクトルはもっといいものを普段着てるんだろうけど、そんなのはうちに置かれても困るんだよ。だって普通に洗濯していいのかわからないし、ちょっとでもほころびができたらぼくは青ざめるし。せいぜいその程度で我慢してもらわないと。ジャージやパーカーを着て出ることを思えばずっといいでしょ。さすがにボトムスは用意できないから、それは自分で持ってきてよ。洗濯も自分でして。ここをヴィクトルの使う場所にしていいから」  勇利は作りつけの衣装戸棚を示し、ヴィクトルのために空けた空間を見せた。 「ひきだしもこの段はヴィクトルの。それと……」  勇利は紙包みを取り出して、ヴィクトルのあぐらの上に押しつけた。頬が熱くなった。 「これはなんだい?」 「それは下着です」  勇利はぶっきらぼうに言った。 「あと、靴下。着替えがあるならそういうのもないとおかしいでしょ」 「…………」  ヴィクトルが紙袋をのぞきこんだ。勇利は赤い頬でそっぽを向いた。 「下着を持ってこいなんて言えないし」  ヴィクトルは顔を上げ、勇利のおもてをじっと見た。 「……いろいろ言ったけど、ヴィクトルにそういうつもりがないならいまのは聞かなかったことにしてくれていいよ。ぼくが勝手にやったことだし。かえって迷惑かもしれないしね。シャツもぼくが着るからこっちにちょうだい。ただし、下着は持って帰ってよ。ぼくそんなの使えないから」  ヴィクトルはしばらく黙っていた。彼は包みをそっと置くと、勇利のほうを向き、ソファの上で優しく抱きしめた。 「勇利、ありがとう……」 「…………」 「そんなふうに考えてくれていたなんてうれしいな。勇利の言う通りにしたい。いいかい?」 「……そりゃ、ぼくが提案したんだから、いいけど」 「あそこが俺のひきだしだね。了解。家からいろいろ持ってきていいかな?」 「好きにすればいいよ。ヴィクトルの場所だよ」 「勇利」  ヴィクトルが勇利に頬ずりをした。勇利はとにかく気恥ずかしく、出過ぎたことをするなと言われなかったことにほっとしていた。つい怒ったような口ぶりで言ってしまった。 「黒のビキニなんて、買うの恥ずかしかったよ。支払いのとき、ずっとうつむいてた」  ヴィクトルが笑い出した。  ヴィクトルが勇利の家に泊まる頻度は変わらなかった。しかし、以前に増して親密になったような気がした。勇利の部屋にヴィクトルのものがある。ヴィクトルがいなくても、それは必ず存在しているのである。その事実は、勇利を落ち着かない気分にさせた。ヴィクトルが来ない日でも、前日に彼が泊まっていれば、勇利は彼の衣服を洗濯することになる。ヴィクトルが次に来たとき、ちゃんと着られるようにと気遣う。そういうことをするようになれば、自然と、ヴィクトルが来たら気持ちよく過ごせるように、ということを考え、ここちのよさそうなクッションを買ったり、新しい味の紅茶をためしたり、牛乳を切らさないようにと注意したりする。勇利の頭の中は、スケートと、コーチのヴィクトルと、私生活のヴィクトルとでいっぱいだった。  玄関の呼び鈴が鳴った。今日はヴィクトルはリンクではなく、別のところで仕事をしている日だった。勇利はもしかしてと思いながら玄関へ行った。 「ただいま」  ヴィクトルが笑いながら入ってきた。 「勇利、夕飯は食べた?」 「食べたよ、もう。何時だと思ってるの?」 「これ、帰り道で見かけて、美味しそうだなと思ったんだ」  ヴィクトルの差し出したお菓子の包みをのぞきこみながら、勇利はあきれたように言った。 「なんでこっち来るの? 練習の帰りにうちに寄るのはわかるよ。でも、今日関係ないじゃん」 「こっちのほうが近かったから」 「いくら近いっていっても、何時間も変わるわけじゃなし。自分のひろい家に帰って、好きなものに囲まれて、ごろごろだらだらしたほうが、ずっとくつろげるんじゃないの?」 「なんだ、勇利、俺が来たら迷惑なのか? 何か用事があった? 俺に言えないこと? 誰か来る予定でも? それとも、誰かと過ごしていたけど、俺が来たから、慌ててその衣装戸棚に隠したのか? 中を調べてあげようか」 「くだらないこと言ってないで座ったら? お風呂入れるよ」 「ありがとう」  勇利はヴィクトルのお菓子をひとつだけ食べ、いつものように彼と身を寄せあって眠った。ヴィクトルに抱きしめられて眠るのは気持ちがいい。狭いよね、とヴィクトルがくすくす笑いながらはしゃいだように言うのが可笑しい。まるでひみつ基地にふたりで隠れているみたいだ。 「こんなんじゃ疲れ取れないんじゃない?」 「疲れを取るために来てるんだよ」  ヴィクトルはそのことがあってから、昼間どこに用事があっても、当たり前のように勇利のところへ帰ってくるようになった。毎日ではないけれど、ヴィクトルがいないほうが違和感をおぼえるほどに勇利は慣れてしまった。アパートの住人たちも、最初ヴィクトルを見かけたときは「えっ、ヴィクトル、なんでここに?」と言っていたのが、いまとなっては「あらこんにちは」「やあ、カツキのところ?」と親しげに話している。勇利は冗談で、「自分の住所を書くとき、まちがえてここを書かないでよ」と言った。ヴィクトルは「あり得る」と声を上げて笑った。  いつものように練習帰りに買い物をし、ふたりで帰宅して食事をつくった。ここのところはいつでもマッカチンがついてきていたのに、今日は管理人にあずけているようで、ふたりきりだった。夕食後、仕入れたばかりの茶葉で紅茶を淹れ、ヴィクトルの買ってきたジャムを添えて飲んだ。明日はふたりともやすみなので、すこし遅くまでお互いの演技の動画を見たり、いろいろなことを話しこんだりし、すっかり満足したあと順番に入浴して、習慣通り、狭いベッドに並んで入った。勇利はこのところ、なんとなくヴィクトルに正面から抱かれるのが気恥ずかしくて、背中を向けて寝ていたのだが、このときもそのようにした。ヴィクトルが背後から抱きしめるのが最近のふたりの流行だった。  いつもなら、すぐにそれぞれ寝息をたて始める。しかしこの夜はちがった。しばらくの沈黙のあと、ヴィクトルの手が動き、勇利の寝巻の中に入ってきたのだ。 「ヴィクトル」  勇利はびっくりした。寝惚けているのかと思った。叩き起こして、ヴィクトルでもえっちなことするんだーとからかってやろうと考えた。彼の手を押さえようとしたら、反対にその手を取られ、しっかりと握られた。 「勇利……」  勇利は息をのんだ。なんという艶っぽい声……。勇利はこれまで恋人がいたことはなく、性的なことはいっさい知らなかったけれど、そんな彼でもはっとするほど、ヴィクトルの声音にふくまれた情熱と性愛は色濃かった。勇利は何も言えなくなった。  身をかたくし、薄闇の中で緊張しきっていると、ふいにヴィクトルが勇利の肩に手をかけ、ぐいと身体を反転させた。勇利は差し入ってくる月明かりで、ヴィクトルの瞳が欲に濡れてひかっているのを見た。くちびるが重なってき、きつく抱きしめられた。勇利は抵抗しなかった。 「俺、勇利が好きなんだ」  ヴィクトルが真剣にささやいた。勇利は答えられなかった。心臓が、どこか具合が��いのではないかと疑うほどめちゃくちゃに打っている。 「大好きなんだ」  ヴィクトルはくるおしく打ち明けた。 「愛してる」  なおも勇利は口が利けなかった。 「勇利を抱きたい」  ヴィクトルは熱心に言った。彼の瞳は、疑いようもなく本気だった。 「いいかい?」 「…………」  勇利は目を伏せた。彼はちいさくこくんとうなずいた。 「勇利」  寝巻も下着も、すぐに脱がされてしまった。初めてなのでどうすればよいのかわからなかったけれど、ヴィクトルは丁寧にいろいろなことを教え、すてきなやり方で経験させてくれた。戸惑いはあったが、ヴィクトルを信じていたし、彼を愛しているので、喜びのほうが大きかった。こんなことするんだ、と思うこともたくさんあった。気恥ずかしかった。しかし、ヴィクトルは最初から終わりまで優しく、勇利を気遣い、愛をささやいていた。それで勇利は安心できた。最後の瞬間の大人になるための痛みも、ヴィクトルとひとつになるんだ、と思うとかえって歓迎したい気持ちで、勇利にとってはすばらしい体験だった。幾度も「大丈夫かい?」と尋ねるヴィクトルのほうがつらそうだったくらいだ。勇利はヴィクトルのおかげですぐに痛みなど忘れてしまった。ヴィクトルの愛ははかりしれない。  すべてが済んで、ヴィクトルの腕に枕をしてもらい、天井を見上げて彼に寄り添った勇利は、世界でいちばんしあわせな気分だった。 「疲れただろう?」  ヴィクトルが、勇利の額に張りついた髪をすくい上げながら低くささやいた。 「大丈夫?」 「うん……」  勇利はうっとりと答えた。 「どこも痛くないかい?」 「ちっとも……」 「よかった」  ヴィクトルは幸福そうにほほえんだ。 「乱暴なことばかりして、このへたくそ、って裸で部屋から叩き出されるかと思ったよ」  いたずらっぽいヴィクトルの物言いに、勇利は思わず笑い出した。 「ヴィクトルは……?」 「うん?」 「ぼく初めてで、何もできなかったし、つまんなかったんじゃないかと思って……」 「最高だった」  ヴィクトルは短く答えた。いろいろなことをたくさんの言葉を使って話す彼が、反対に端的にそうとだけ言ったことがかえって現実的で、勇利は胸がときめいた。 「すごくよかったよ……」  ヴィクトルは陶酔したようにささやいた。 「俺はいま、世界でいちばんしあわせな男なんだ」 「……それ、たぶんぼくだよ」 「いや、俺だ」  ふたりは顔を見合わせ、くすくす笑った。くちびるが自然にふれあった。  それが勇利の初めての夜で、感想は、「ヴィクトルと愛しあうってこんなに気持ちいい、すてきなことなんだ」というものだった。  それから勇利は、ヴィクトルとたびたび愛しあった。ヴィクトルは、勇利の部屋を訪問すればほとんど泊まっていくようになっていたが、そのたびに勇利を抱くわけではなかった。せいぜい週に一度、多いときで二度、といった程度だ。その代わりのように、ヴィクトルは、勇利の寝巻を脱がせる夜はひどく情熱的だった。明け方まで離してくれず、ずっとくちづけを交わしていることもあるくらいだ。いつもやすみの前夜なので、次の日勇利は怠けて過ごし、ヴィクトルがにこにこしながら勤勉に立ち働いた。ヴィクトルの愛は深く、貴く、いつだって勇利にまっすぐに向いていた。勇利のほうが照れて「もういいから」と遠慮したくなるほど、ヴィクトルはどんなときも疑いようもなく真剣だった。  勇利は行為のことを話すのが苦手だったけれど、ヴィクトルにばかりまかせているのもよくないという気がして、ある日、おずおずと提案した。 「あの、ね、ヴィクトル……、いつも夜、その、使うものだけど……」 「夜? なに?」 「えっと……、ベッドで……」 「ああ、ローションとかスキン?」  勇利はたちまち赤くなり、もうこの話をやめたくなった。しかしそういうわけにはいかない。ヴィクトルと勇利、ふたりですることである。 「そ、それ……」 「うん、どうかした?」 「あの、ヴィクトルいつもどこから出してくるのかわからないんだけど、もし不便なようなら、ここに入れておいていいから……」  勇利はまくらべのちいさなひきだしを示した。 「そうかい? わかった、じゃあ今後はそこにしよう。取り出しやすくていいね」 「う……うん……」  それでそのひきだしにそれらのものはしまわれることになったのだが、ヴィクトルはいつ補充しているのか、彼は「あ、切らしてる」ということがまったくないのだった。きっと、勇利が恥ずかしがるから、勇利の知らないうちに買い足しているのだろう。勇利はもうひとつ提案することにした。 「ヴィクトル、あの、夜使うもののことだけど」 「スキンとローションね」 「それ……、それね……」  ためらってから、勇利は思いきって言った。 「どういうふうに、どこで買うのか教えてくれたら、ぼくも買ってくるから!」  ヴィクトルが目をまるくした。 「それから!」 「なんだい?」 「ゴムって、サイズあるって本当!?」 「…………」  ヴィクトルはずいぶん長く笑っていた。勇利は、ぼくそんなにおかしなこと言った? と拗ねてしまった。 「ごめんごめん。勇利があんまりかわいいから……」  ヴィクトルは勇利を抱きしめ、頬ずりをしていとおしんだ。 「すごくうれしいよ。でも、勇利はそういうこと気にしなくていいよ。恥ずかしいだろ? その気持ちだけでもうどきどきして俺はみちたりたよ」 「ぼくが子どもだから買い物もできないと思ってるんだろ」 「そうじゃない。子どもにあんなことはしないさ。それから、」  ヴィクトルはささやいた。 「スキンにサイズがあるっていうのは、本当だよ」  ヴィクトルはマッカチンを連れてきたり連れてこなかったりしながら、相変わらず勇利の家に通い続けた。ヴィクトルはいまではもう「今日は行っていいかい?」と訊いたりせず、来ない日だけ「今夜は自分の家に戻るよ」と言うのだった。そのことに勇利はまったく違和感を持っておらず、じつに自然に受け止めていた。  ある夜、激しく抱きあい、愛しあったあと、勇利はヴィクトルの胸につむりをのせ、ヴィクトルのほうは勇利の髪をいつくしむように撫でていた。 「明日からしばらく仕事なんだ。泊まりで帰ってこない」  夢見ごこちだった勇利はぱちりと目をひらき、「そうなんだ」と上目遣いでヴィクトルを見た。 「ああ。おみやげを買ってくるからね」  ヴィクトルは遠出をすると、必ず勇利に何か買ってきた。 「どれくらいのあいだ?」  ヴィクトルは溜息をついた。 「二週間だ」 「二週間!」  勇利は目をまるくした。ずいぶん長い。ロシアへ来てから、ヴィクトルとそんなに会えないなんて初めてだ。 「長いだろう?」  ヴィクトルは口をとがらせ、勇利を抱きしめてぶつぶつ言った。 「断ろうかと思ったんだが仕方ない。利害関係というものがあるからね。でもそんなことももう終わりだ。そろそろ本格的にプログラムについて考えるころだし、いつまでも愛想よくする仕事ばかりはしていられない」 「じゃあもうどこかへ行ったりしないの?」 「しないよ。これが最後だ」  ヴィクトルはほほえんだ。 「もうずっと勇利のそばにいられるんだ」 「そっか……」  勇利はほっとした。 「ああ、さびしいよ。二週間も勇利と離れて俺は生きていられるだろうか」  ヴィクトルがぐりぐりと額をこすりつけてくるので、勇利は、おおげさだな、と苦笑を浮かべた。 「仕事がんばって」 「勇利はつれないな」  ヴィクトルはまた溜息をついた。 「……二週間も勇利にさわれないんだ。もっとたくさん補充させてくれ」 「ちょっと……」 「いいだろう? もう一度……」 「あ……」  情熱的な愛を交わし、翌日、ヴィクトルは出掛けていった。勇利は、ヴィクトルって意外とあまえんぼうなんだよな、とおもしろかった。  ヴィクトルがいないあいだ、勇利はとにかく練習に打ちこんだ。帰ってきたときに彼を驚かせてやろうと、それはまじめにいそしんだ。あまりに勇利が稽古熱心なものだから、リンクメイトたちがうわさをするほどだった。  帰りに夕飯の食材を買った。いつもしていることだ。ヴィクトルが来ない日はひとりぶんしかつくらないので、それと同じことをすればよいだけだ。しかし勇利は、なんとなく買う量をまちがえたり、ふたりぶんおまけをすると言われれば、「ありがとうございます」とそのまま受け取ってしまったりした。帰ってから、あ、ヴィクトルいないんだっけ、と思った。  日が経つにつれ、ヴィクトルはいないんだな、と実感がわいてきた。マッカチンもいない。勇利はひとりだ。ひとりでいることは嫌いではないし、静かな環境も気に入っている。しかし勇利は、窓からの大好きな眺めを見たとき、もっとうつくしかったような気がする、と思えてならないのだった。  一週間が過ぎても、勇利はまだひとりでの暮らしに慣れなかった。その日も市場に立ち寄ったのだが、その際、つやつやした赤い果実を見て、あ、あれ、ヴィクトルが食べたいって言ってたやつ! と駆け寄ってたくさん買ってしまった。ヴィクトルはいないのだと気がついたのは、帰宅し、テーブルにそれを並べたときだった。  ヴィクトルが隣にいなくても、でも明日は来るだろうから、と思ってしまう。彼が快適に過ごすための支度をしてしまう。自分はどうかしている。脳の判断力が鈍っているのだ。何か妙な病気ではないだろうかと勇利は本気で心配した。  勇利は冷凍食品を買いこみ、買い物をするのをよした。そして、市場がしまってしまうような時刻までリンクにいることにした。勇利は毎日遅くまでとにかく練習した。スケーティングをみがきたかった。ひと目見ただけで「あの選手のすべりはちがう」と思ってもらいたかった。そのためにいつまでも居残った。ヤコフに「疲れているときに練習しても意味がない」と叱られたが、「疲れているときでもいつも通りすべることができるようになりたいんです」と返して自分の意思を曲げなかった。 「ヴィーチャの言った通りだ。ヴィーチャと同じくらい言うことを聞かん。あいつとちがって従順そうに見えるのに」  ヤコフはぶつぶつこぼした。  勇利は練習をした。毎日練習をした。十三日め、明日ヴィクトルが帰ってくる、と思うと気力がわいてきて、また練習をした。  荷物をまとめ、バックパックを背負ってようやくリンクをあとにしたのは、ずいぶん遅い時刻だった。勇利は走ってアパートまで帰った。お風呂を沸かして、冷凍食品をあたためて、と算段しながら階段を上りきり、鍵を探って顔を上げたとき、彼は棒立ちになった。奥にある自分の部屋の前に、ヴィクトルが座りこんで笑っていたのだ。 「ヴィクトル!」  勇利は驚いて彼に駆け寄った。勇利がそうするあいだにヴィクトルはゆったりと立ち上がり、両手をひろげて待ち構えた。勇利はヴィクトルに飛びついた。ヴィクトルは勇利の勢いそのままにくるっとまわり、それから勇利を床に下ろした。勇利はヴィクトルの首筋にきつく抱きついた。 「帰ってくるのは明日だと思ってたよ!」 「その予定だったんだが、勇利にすこしでも早く会いたくて、急いで仕事を終わらせたんだ。ぎりぎり今夜の便に間に合いそうだったから。いい男だろう?」  ヴィクトルは勇利にキスをした。笑顔で勢いよくくちびるを押しつけて、それから二度三度とついばんだ。 「待って、鍵を開けるから」  勇利は急いで戸を開け、いそいそと中に入った。 「どうしよう、何もないんだけど。ヴィクトルは晩ごはん食べてきた? 冷凍したやつしかなくて。もう、前もって連絡してくれればいいのに。どうせ驚かせたかったとかそういう──」  勇利の声は途切れた。玄関に足を踏み入れるなり、ヴィクトルが勇利の背からバックパックを下ろし、ひょいと抱き上げてベッドへと走ったからだ。 「ヴィクトル──」  ヴィクトルはうれしそうに笑いながら勇利の服を脱がせた。勇利もはしゃいでヴィクトルの上着を投げやり、彼の重みを受け止めてベッドにあおのいた。ふたりは歓声やちょっと色っぽい声を上げながら、一度目は騒々しく抱きあい、そのあと静かにじっくりと愛しあった。勇利が幸福にひたりきってぼうっとしているあいだにヴィクトルは冷蔵庫へ行き、水の入った瓶を持ってきて勇利の隣に横たわった。ふたりはそれを分けあって飲んだ。 「俺の好きな果物が置いてあった」  ヴィクトルがうれしそうに報告した。 「ああ、それ……」  勇利はわずかにはにかんだ。 「店でみつけて、ヴィクトルが食べたがってたなあって思って買ったんだ。帰ってきてから、そうだ、いまヴィクトルいないんだって気がついてもう自分にあきれちゃったよ」  勇利はヴィクトルに子どものように抱きついた。ヴィクトルは笑って勇利の髪を撫で、額の生え際のところにキスして目をほそめた。 「会いたかった」  ヴィクトルがぽつんと言った。勇利はほほえんだ。 「まっすぐここへ来たんだ。勇利の顔が見たくて」 「遅くなってごめんね」 「いいさ。じつはおみやげを買えなくてね。とにかく急いだから。ごめんね」 「おみやげもうれしいけど、ヴィクトルが帰ってくるのはもっとうれしいよ」 「勇利を待っている時間も楽しかった。もうすぐ会える、と思えばね。勇利はどんな顔をするだろうってそんなことばかり考えてたよ」 「想像以上だったんじゃない?」  寄り添うふたりの指先がからんだ。くちびるが下りてきて、勇利のそれを覆った。ヴィクトルがぎゅっと勇利の手を握った。 「勇利……」 「ん……なに……?」 「……一緒に暮らさないか」  ヴィクトルが熱心にささやいた。勇利は目をみひらき、どきどきしながら聞いていた。 「俺はどこかへ行ったら、勇利のところへ帰ってきたいんだ。勇利が待っている場所へだよ」  勇利はなおも黙っていた。ヴィクトルはさらに熱意をこめて言いつのった。 「こんな長い不在のときはもちろん、普段もだよ。いつもだよ。毎日毎日だよ。そして勇利がどこかへ行ったときは、俺が待っていて出迎えたい。そういうのはどうだろう」 「…………」 「俺の家……」  ヴィクトルは勇利の頬を撫でた。 「俺の家にも、勇利の場所がつくってあるんだけど……、そこにこの部屋にあるものを持っていって置くっていうのは、いい案じゃないか?」  彼は勇利の瞳をのぞきこんだ。 「俺のところはここからの眺めほどすばらしいものは見えないけど、あの景色を見ているときと同じくらい勇利をいい気分にすると約束するよ」  勇利はきらきらと輝く目を上げてじっとヴィクトルを見た。 「勇利、返事をしてくれ」  勇利は口をひらいた。 「いいよ」  そのあっさりとした言葉に、ヴィクトルが拍子抜けしたような顔になった。 「そんなに簡単に答えて大丈夫かい?」 「もうちょっと考えたほうがいいかな……」  勇利がおおげさに思案深そうな顔をすると、ヴィクトルは大慌てで「いや、簡単でいいと思うよ!」と言った。勇利はくすくす笑った。 「うれしい」  ヴィクトルが本当にうれしそうに言うので、勇利も胸がいっぱいになった。キスされて、キスを返して、それから勇利はつぶやいた。 「おなか空いた……」 「あのね……」 「何か食べたい」 「ちょっと待ってくれ」 「なに?」 「俺も我慢できないよ。うれしすぎてくるおしいこの感情、わかるだろう?」  ヴィクトルは勇利にのしかかり、差し迫ったようにくちびるをむさぼった。もう、と思ったが、勇利は喜んで彼を抱き寄せた。  移り住むことはさほど大変ではなかった。勇利はもともと荷物の少ないほうで、まとめるものなどあまりなかったのだ。ヴィクトルが迎えにやってきて、車にトランクと箱をいくつか積み、さきに運んでいった。勇利はひとり、部屋に残って最後のお別れをした。  家具はもとのままだけれど、勇利のものがなくなり、がらんとしていた。そんなに私物は持ちこまなかったのに、そのわずかばかりの何かが減っただけで、ひどくさびしい、せつない感じがした。  勇利は窓辺に立った。ここからヴィクトルを想い、いつも景色を眺めたものだった。ヴィクトルと一緒に並んでそうしたこともあった。窓のそばの机にはヴィクトルの写真があって、勇利は飽きず彼の姿をみつめていた。ちいさなソファではマッカチンが寝ていたり、ヴィクトルとくっついて食事をしたりした。料理をする勇利に、ヴィクトルがここからいとおしそうなまなざしを向けていることもあった。台所にはヴィクトルとふたりで立ち、料理を成功させたり失敗させたりした。ベッドではいつも一緒に眠り、あたたかく幸福な時間を過ごした。ヴィクトルと初めて結ばれたのもここだった。彼が「一緒に暮らそう」と言ってくれたのも。ヴィクトルがいない夜、ひとりで寝るのがどれほどさびしかったことか。彼への想いを勇利はこの場所で思い知った。  うれしさも幸福もせつなさも、すべてこの部屋にあった。勇利が初めてサンクトペテルブルクで過ごした、慕わしい、なつかしい時間がここにつまっていた。ヴィクトルは、「狭いけれど、かえってそれが家庭的ですてきなところだ」と言ってくれた。「ここに住みたい」と彼は笑っていた。  サンクトペテルブルクへ来たばかりのさびしい気持ちと、ヴィクトルが毎日のようにかよってくれたうれしい気持ちにいろどられたこの部屋を、勇利が忘れることは生涯ないだろう。  勇利は部屋に鍵をかけた。そして、ヴィクトルとふたり、はずむような足取り��幾度も駆け上がった階段を、一段一段、大切に下りていった。外へ出た勇利は振り返った。薄暮の中で、その建物は、ひっそりとそこにたたずんでいた。てっぺんの向こうに見える空は珍しく晴れており、星と三日月がほのかに、おぼろに、情緒的な輝きをはなっていた。 「さよなら。いままでどうもありがとう。愛してるよ」  勇利はほほえむと、自分が帰るべき場所へ──ヴィクトルのもとへ、まっすぐに駆け出した。勇利は一生懸命に走った。  ヴィクトルは、勇利が遅いからか、心配そうにマッカチンと通りに出ていた。彼は勇利の姿をみつけると目を輝かせ、両手をひろげて大きく招いた。 「勇利!」 「ヴィクトル!」  勇利はヴィクトルに飛びついた。ヴィクトルがぎゅうっと抱きしめた。 「来たね!」 「うん、来たよ!」  マッカチンがうれしそうに吠えた。ヴィクトルは勇利にキスしてから手を取り、家の中へとはしゃいで導いた。 「今日からここが勇利の帰るところだよ。俺と勇利の家さ」 「ただいま! どうぞよろしく!」  勇利は元気に挨拶した。  ヴィクトルの書斎の机の上には、彼が言った通り、勇利と一緒に写っている衣装姿の写真がある。勇利はそれを取り上げ、微笑して、「最高にしあわせそうな顔してる」とつぶやいた。 「ゆうりー、ちょっと来てー」  ヴィクトルの声が聞こえた。 「はーい」  勇利は写真立てを置き、いそいそと部屋をあとにした。 「なにー?」  ヴィクトルに問いかける彼の表情は、写真の中の勇利とまるで同じだった。
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karasuya-hompo · 6 years
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Skyrim不動産案内番外編:The Rise Of The Ebony Warrior
 また今回も、ちょっとばっかしメタだからって、おじさんが案内人だよー(ㅍ_ㅍ)  とかジト目してたって仕方ないので説明すると、えーっと、今回のおうちはセヴェリン邸の改築だね。だったら本当ならにゃーくんが担当なんだけどねぇ。紆余曲折の末に所有してるの、おじさんたちの身近じゃにゃーくんだけだし。でも見に行ってみたら、一度入ってるのがまずいのか、家具なんかがかぶって配置されてたらしくてね。  そんなわけで、少なくともセヴェリン邸に入ったことのないおじさんに、一度見に行ってくれって話が回ってきたわ・けー。まあ、この島にしかない錬金素材もあるし、ついでにちょっと採取して回ってこよっかなーってなわけで、はい、やってきましたソルスセイム!٩(ˊᗜˋ*)و  場所はまんまセヴェリン邸だけど、おじさん、あの人たちがらみのあれやこれや、やってないんだよね(´・ω・`)
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 そんなわけで、普通にお宅訪問になってまーす(๑•̀_•́๑)  ちなみに内側の壁ね。本来はつるっとした石材……かなにかよく分かんないけど、つるっとした壁なんだけど、「このほうがしっくり来る気がする!」てことで、変更されてるよ~。  さて、このおうちの一番の特徴は、なんといってもフィギュア!! そんなわけで説明しなきゃいけないんだけど、
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 左端のアルゴニアン、フィギュアだね。  椅子に腰掛けてるバ……ご婦人、この家の奥さん。  その右に立ってる人、追加された宿屋系の商人さん。  そして右端にちらっと見えてるのが……
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 なんか大変なことになってるけど、片手剣のトレーナー兼フォロワーのおじさんだねぇ:( •ᾥ•):  たぶんこれ、本来身につけられない装備を着せられてるとかなんじゃないかって気がするんだけど、おじさん、「仕立屋のメジャー」持ってないんだよね(´・ω・`) あれがあれば好きに着せ替えられるから、試してみることくらいできたんだけど。  ともあれ、なんか派手な黄色い火が燃えてる暖炉には調理鍋、その脇にオーブン、そしてホールの左右にはズラリと祠!! アーリエルからメファーラとかまで全部揃ってるから、いつでも好きな祝福ゲットできちゃうよ!٩(。•ω<。)و
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 さて、下に降りて左は、なんと自室に変更されてるんだねぇ。  左の壁際にあるのはウェアウルフ用のトーテム3種。ちなみに、入ってすぐ右側、ベンチの脇に、吸血鬼用の聖杯も置いてあるよ。
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 なかなか大迫力なフィギュアですな(。 ー`ωー´)  ただ、これかなり画像補正して明るくしててね(´・ω・`) もともとはけっこう暗めなんだよねぇ。  せっかくだから、雰囲気にあった明かりなんかをANA’s interior Editorで追加しても面白いんじゃないかな。全体的に、広さの割に装飾が少ない印象だから、少しばかり好みにカスタマイズしてもいいと思うよ~(´ω`*)
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 で、ベッドは二つあるから、フォロワーさんを泊まらせることもできるね٩(。•ω<。)و  ……え? 人様んちじゃないのかって? まあ、元の持ち主なんて(ピー)して手に入れるんでしょここ? それにもともといる追加NPCたちは、人数分のベッドなんてないんだから、寝ないんじゃないの?  ちなみに、人間の子供も一人、勝手に住み着いてるね、ここ( ತಎತ)
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 さて、階段の脇、右側は大型制作室のままだけど、杖付呪の器具があるのと、ここにもやっぱりフィギュアがあるよ! 左の杖装備な魔法使いに、右のターゲットのところでは練習してるっぽい感じの戦士2人。
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 で、この椅子に座ってるのはフィギュアじゃなくて、武器防具商人、兼フォロワーさん。  溶鉱炉はもちろん、蜘蛛製作マシーンまであるねぇ。
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 奥の左右の小部屋は、元の錬金、付呪のままだけど、装飾とかは変更されてるのかな。  椅子に腰掛けてる目隠しのじーさまは錬金屋さんだね。  ちなみに左の薬棚は、こういう見かけの収納ってわけじゃなくて、この薬全部、普通にゲットできちゃいます(´・ω・`) 収納は器具の脇にあるテーブルのポシェットに大きな宝箱と、全然不自由しないんだけどね。
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 付呪側はこんな感じ。  アリクルのおっさんはフィギュアで、椅子に座ってるダンマー吸血鬼のおば……おねーさんは魔法系の商人さんね。  さて、じゃあ一番の奥の大きい部屋、もともとのセヴェリン邸だと自分の部屋になってたはずの場所はどうなってるのかというと、
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 じゃーん、玉座の間みたいになってまーす٩(ˊᗜˋ*)و  って、座ってる奴いるじゃん!?( ゚д゚) ってなるけど……そろそろこのMODのタイトルに触れようか?  実はこの家、複数のフォロワー、商人の追加よりむしろ、玉座にエラそーに腰掛けてる黒檀の戦士がメインなんだよね。どうも彼はここが定位置らしく、にゃーくんが見に来たときもここで踏ん反り返ってたんだってさ( ತಎತ)  ちなみに、その左に立ってるデイドラは、おじさんどうしてだか話しかけられなかったんだけど、たぶんフォロワーあるいは商人、それとも兼任でなにかしてくれると思うよ。フィギュアじゃないのは確かだから。
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 で、部屋の左側にはでっかい机。  この椅子にオークの本屋さんがやっぱりエラそーにふんぞり返ってまーす( ತಎತ)  ちなみに、この机の右下のほうに「セヴェリン家の金庫」はちゃんと存在してるから、クエストはこのままでも進行するんじゃないかな。  というか…一度入ると家具かぶりが発生する以上、クエスト進める前に導入しておくしかないんじゃ……? ただ、MODって「古いバージョンのデータが残るせい」でこうなることもあるから、「MODを一度削除したデータを読み込んでセーブし、改めてDLしてからやり直す」って方法で解消できるのかもしれないね。
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 最後に右側はこんな感じ。奥の本棚脇にいる変な仮面の変な人はフィギュアだね。  金貨の山は調べると取得して消えちゃうんだけど、これはリスポーンするのかなぁ(´・ω・`) あ、ちなみに、セヴェリン一族がいる間は、ここにあるもの全部「盗む」ことになるんだけど、この金貨の山だけは普通に取得できたね。  あと、この大きな宝箱の中にはけっこうレアな武器・防具なんかがいろいろはいってるんだけど、これもおじさんが今見てる状態では「盗む」ものばかりだよ。
 こんな感じで、おうちとしてはシンプルで、特別デザインとか家としての装飾に凝ってるわけじゃないんだけど、とにかくフィギュアが面白いよね~! それぞれの姿勢に合わせて配置されててさ(´ω`*)  それに、商人、フォロワーも充実してるし、どうやら彼等は動きまわらず特定の場所にじっとしてるみたいだから、使い勝手もいいと思うんだ。  もし同居人がいるのがイヤだと思ったら―――言うまでもないよね?(ㅍ_ㅍ) そうだよ、Relocate NPCでどっかにすっ飛ばしちゃえばいいんだよ(ㅍ_ㅍ) 商人はほしいけどフォロワーはいらないとか、見た目の好みで取捨選択したりとか……このあたりはご自由に、だね(ㅍ_ㅍ)
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sunshinenocturnal · 6 years
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映画「ロッキー」の主人公はエイドリアンである
などと言い切っていますが、もちろん寝言です。銀行強盗が南米に高飛びを要求するくらいの飛躍がある。「ゴジラ」の主人公はゴジラ。「ロッキー」の主人公はロッキー。しかしこの正月、雑に気づきました。ボクシング映画のサブストーリーとして恋愛エピソードを構築するための単なるお飾りではなく、主人公と表裏一体となって作品テーマを追求するという重要ポジションに置かれたヒロイン、それがエイドリアンなのだと。
70年代後半、折しも「ロッキー」が公開された少し後から、女性の自立を主題にした作品がハリウッドで量産されるのですが、本作を裏から透かして眺めて見れば、あるいはその先駆けと無理やり言っていい気がする。うんそういう気がする。きっとそうだ。そういうことにしておいてください。一人の女性が自分を取り戻すというただその一点において。
ここでいったん脱線すると、あまりにも有名になり過ぎて特定場面の印象が一人歩きしてしまった映画は、(私の中で)少なからず陳腐化してしまう傾向にありました。ヘプバーンの「ローマの休日」(1953) しかり、ジーン・ケリーの「雨に唄えば」(1952) しかり。でも、ちゃんと通しで観るとその人気も知名度もダテではなく、切り取られただけの場面からは推し量れない細やかな人間描写に満ちていて、非常に良くできている事に驚かされます。良くできてるなんて生ぬるい表現では追っつかないくらい、心の琴線をジャンジャカかき鳴らされる。久々「ロッキー」を観て、同じような事を感じています。(1976年公開のシリーズ一作目の話なので、二作目以降のことはとりあえず忘れてください)
ボクシング世界チャンプに挑戦してアメリカン・ドリームを体現する主人公ロッキー・バルボアが、無名俳優からスターダムにのし上がった主演・脚本のシルヴェスター・スタローン(特に脚本最高)の姿にそのまま重なるのも入れ子的でグッとくるわけですが、ボクシング映画に対してあえて極論を、あえて極論を持ち出せば、本作のボクシング場面はとても上手な伴奏のようなものであって、自己の尊厳を失った人々の葛藤こそが主旋律。そういう意味では記憶していたよりはるかに暗くて泥臭い作品でした。それでも、地味ながら見応え抜群!なんて生ぬるい表現では追っつかないくらいに琴線ジャンジャカです。そして最後はやっぱり盛り上がります。
有名なラストシーンやビル・コンティ作曲の偉大サントラはテレビ等でも散々引用されてきたし、内容をご存の方も多いでしょうが、以下ネタバレ付き感想なので一応お断りしておきます。(ここまで前振り)
場末のリングで試合を終えた三流ボクサーのロッキーは、アパートに戻るなりペットのカメに餌を与えて語りかけます。いかつい風貌にもよらず彼がイイ奴だと分かると同時に、逃れようのない孤独が伝わってくるこの一石二鳥感。そしてロッキーが想いを寄せるエイドリアンは、カメを売ったペットショップの店員さん。つまり彼の中ではカメ=エイドリアン(暴論)。日々店に通っては冗談を飛ばしてみせるけれど、内気な彼女の反応はかんばしくない。そんな展開とカメの存在がすんなり繋がって、なんとも美しい冒頭の流れ。「幸せの黄色いハンカチ」の倍賞美恵子みたいにスーパー店員の設定でも行けそうなんだけれど、まさか試合から戻ってネギや大根に話しかけるわけにもいきません。それだと、今日の試合で頭打たれ過ぎた感じになってしまう。
やがて心を開くエイドリアン。孤独な者同士、社会の片隅でひっそりと肩寄せ合う姿が胸を打ちます。他人に寄りかかって生きても長期的にはうまく行かなかったりするものですが、ときに人生、互いの傷を舐め合うやさしい時間も必要です。コンプレックス丸出しな言い草ですけれど、美男美女が演じるドラマチックなロマンスとはひとあじ違うリアリズムに、我々一般ピープルの皮膚感覚と近いものを感じる。一年後に巨大隕石が落ちてくるという世界危機のさなか、モンマルトルで偶然出会った女子アナが抱えた紙袋が破れて散乱したオレンジを拾ったら手と手が触れ合って恋が芽生えて通りがかりのインド人が一斉に踊り出すなんて体験、この先絶対にあり得ないことに自信があります。(念のためですが、女子アナ好きとかではありません。まずもって家にテレビがないし。)
何の話だか忘れそうですがロッキーです。劇的な結末の印象に惑わされて今まで忘れていたけれど、これは無力感に苛まれる人たちがロッキーを触媒にして自尊心を取り戻す物語。チンピラ風情のロッキー本人はもちろん、状況に抗えもしないエイドリアンも、閉塞感に押しつぶされている彼女の兄ポーリーも、過去の栄光にすがる老トレーナーのミッキーも、彼の挑戦を契機に自分で自分を救い出す。(演じる役者たちの名演がまた泣ける)
その最も分かりやすい象徴がエイドリアンその人で、ペット屋の初登場時は地面色だった服装が次第に垢抜けていく様子にも内面の変化が見て取れるし、何よりもクライマックスの試合場面における彼女の描写が見事です。苦闘の果てに顔面を腫らしたロッキーから思わず目をそらすも、勇気を振り絞って試合を見つめる決意のまなざし。彼女もまた闘っている。その姿はロッキーの映し鏡。そして試合後、互いの名を呼びあいながら群衆をかきわけてロッキーに駆け寄るあの名場面。この時のエイドリアンは、もはや心の隙間を他人に埋めてもらうより生きる術のない無力な存在ではありません。自身の中に溢れる愛で裏打ちされた信念の女。主人公ロッキーよりもチャンプのアポロよりも、誰よりも強いエイドリアンの姿が最後まで余韻を残すラストシーンなのでした。(琴線ジャンジャカ略)
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