#緑色の鞄
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◆artherapie(アルセラピィ) 欠品していたモデルが補充、再入荷致しました◆ 【ATサイバー リュバンジップトートバッグ】 定価:25,300円(税込) 弊社通販サイト商品ページ:http://www.gallery-jpg.com/item/23652554/ artherapie 株式会社ホワイ製〔WHY Co., Ltd〕 素材:コットン×PUコーティング カラー:カラー緑青 サイズ:H280×W110-360×D90 ハンドル高さ:200 独特の雰囲気を醸し出す緑青柄プリントのATサイバーシリーズ。 カーボンサイバーコーティングで水や汚れに強い堅牢な素材に仕上げました。 ジッパーが縦に走る、まるでパズルのようなトートバッグ。 ジッパーで7層に分かれるデザイン性の高いトートバッグです。 ジッパー部分は全て完全に取り外し可能です。 気分やシーンによって中の層を取り除けば、サイズを小さくすることができる機能的なバッグです。 ハンドルもナスカンで取り外し可能なので、好きなところに付けることができます。 在庫ラスト1点です。 生産数が非常に少ない為、数点までしか入荷しません。 一旦完売すると再発まで約8ヶ月を要します。 このシリーズの企画と、復刻する形の選定や細部のディテールに関してGalleryが監修しました。 『VサイバーからATサイバーへ』移行した経緯の解説はこちらへ http://www.gallery-jpg.com/original342.html ※ご覧頂いている媒体により、色の見え方が多少変わる場合がございます。 ※店頭でも同商品を販売しておりますので、通販サイトの在庫反映が遅れる場合があり商品をご用意出来ない場合がございます。予めご了承頂きますようお願い致します。 いいね・シェア・コメント大歓迎です! Gallery なんばCITY本館1F店 〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波5-1-60なんばCITY本館1F 【営業時間】11:00~21:00 【休館日】4月無休、5月無休 【PHONE】06-6644-2526 【e-mail】[email protected]
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*16歳、平成最後の日に書いたブログです
溢れる感情に耐えられず傘を捨てて走りに走った。好きな人が私の目を見て発する言葉すべての響きとそのやさしい眼差しと細い睫毛と照れるときに伏し目になる癖とかその一切を心に封じて忘れたくなくて何度も頭の中で繰り返した。好きだ、好きだ、好きだ。わたしは君が好きだ。どんどん激しさを増す雨はひたすら冷たいのに身体だけが熱くなっていくのを感じながら、それでも走り続けた。鞄の重さとか捲れるスカートとか靴擦れの痛みとか通りすがりの人の目とか全部どうでもよかった。なんでも出来る気がした。そう信じて疑わなかった雨の日の14の夜がわたしにもあった。初めて乗った飛行機から見下ろした小さな街の灯りと海の広さと雲の上の世界に胸を躍らせ、天使とか妖精とか永遠とか運命の王子様とかを新品の12色のクーピーで描いては大人に見せて得意げにしていた幼少期がわたしにもあった。異国の地で朱色の民族衣装に身を包んで、爪と唇に紅色を塗って、ヘナを施した手に煌びやかなアクセサリーを付けた。久しぶりに降る雨を喜んで屈託のない笑顔を浮かべて踊る男の人たちを綺麗だと思った。割礼を終えたばかりの男の子の涙の意味を知った。脚首にロープを巻かれたあと逆さに吊るされて目の前でさばかれた羊の生肉を薄いビニール袋に入れて渡された。男の子の手の温度を知った。街中を歩く牛や犬の匂いと流れる川の音。あの頃の私はそのすべてに美しさを見出せていた。汚れるということは、綺麗なことの証明だと思う。赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫、カラフルな旗や服で溢れた音楽ライブ。目の前で成人した男のひとと男のひとがキスをしていた。飲み干されたビール缶は臭かった。挙げられた数百ものスマホのスクリーンに映る舞台の光はちゃんときらきらしていた。何にでも名前をつけたがる世界に辞書があるなら片っ端から斜線を引いてって新しいぴかぴかの世界でわたしは自分の書きたいことを書きたい。自分の心の底で光る甘い色をした海を、自分の唇の柔らかさや温度を、身体を駆け巡る血の赤を、これからの未来と築き上げてきた過去を、わたしは誰にも触れさせずに愛したいと思う一人の人間のために取っておいている。でも、本当はそんなの早く壊してほしい。粉々になった「処女のわたし」越しに新しい広い世界を見てみたい。今にも震えて壊れそうで怯えている幼い自分の手を離して、愛する人の手を握りたい。なんてことを考える夜はもうこれで何回目だろうか。なんてことを考える自分の愚かさに何度も救われた。二年前の夏、スーパーマーケットで一枚の五百円玉を差し出して買った花束を片手に持って、一人で電車に乗った。中学の頃に出会った恩師が「時間があれば是非お見舞いに行ってください」と言っていた人の元へ赴く。今考えたら名前も顔も知らない人の元へお見舞いに行くなんて変な話だった。はじめて行く病院の場所を何度もマップで確認しながらメモに取っておいた女性の名前を看護師に伝え、病室を案内してもらった。女性はミャンマーの人だった。花束をあげて、少しお話をした。彼女はわたしの手の甲にキスをしたあと、静かに泣いて何度も抱きしめてくれた。聖典の一章を朗読してくれた。帰り道、傘で顔を隠しながら泣いた。純粋な愛だった。美しいひとときだった。今、彼女が生きているのかそれともその命を引き取ってしまったのか、わたしには分からない。けれども、あんな風に泣ける真っ直ぐな生き方をしたいという想いはずっと変わらない。その日の天気は雨だった。小さい頃から雨が好きだった。雨上がりの世界はなんだか新品な、まっさらな匂いがする。演劇部で初めて音響を担当することになった「虹」というタイトルの演劇では雨の降るシーンがいくつかあった。震える指先でたった一瞬の動作でわたしはちいさなちいさな世界に雨を降らす。辛いことを乗り越えたあとには必ず幸せがやってくるということの例えで、よく雨が降るから虹が見える、って言うじゃないですか。でもそんな例えに騙されて虹をみるために涙を流し続ける人生より、自分で雨の中に虹を描いてしまいたい。12色のクーピーで。受験生の頃、夜、傘を忘れて自転車で濡れながら塾から帰った日があった。どんどん浮き彫りになっていく周りと自分の学力の差に悔しくて、偏差値が低く出た模試はあとでシュレッダーにかけた。三者面談。志望校欄。願書。併願。見飽きた言葉たちに翻弄され、泣いてばかりいた。でも自販機で買うあたたかいココアの程よい甘さ、コインランドリーの優しい香りと無数の街灯、ちゃんと減っていくカレンダーの枚数と増えていく日付のばつ印に救われた。ちゃんと受験は終わったし、わたしは高校に入学できたし、もうあれから一年が経つ。16歳になった日、結婚ができるのだと改めて感じてそわそわした。長いようで早くて、早いようで長かったし、楽しくって悲しかった。��んな風に過ぎていく時間をひとつずつ捕まえて名前を付けたりして愛してあげたいのに、形のないそれらは風みたいにその温度だけ残してどこかまた違うところ、もっと遠いところに行ってしまう。かけがえのない、忘れないと心に誓った記憶ですらもどんどん薄れていくのを痛感するたびに自分が少しずつ死に近付いていっているのを感じてやるせない気持ちになる。かなしい。かなしいと思えるくらいにはきっと美しい日々をわたしは送ってきたのだと思う。その嬉しさをエネルギーにして、これからも真っ直ぐ生きれたらなあと思う。なりたい人間像がたくさんあって、未来に求めるものが有り余るほどあって、やってみたい仕事も選びきれなくて、それを世間とか大人とか過ぎ去っていく時間は「理想が高い」なんて言うかも知れないけれど、広い世界は泳ぎがいがある。さようならと言うことは悲しいことじゃないし、別にすべきことじゃない。そこで泣けないのは純粋じゃないことの証明にはならない。受け入れてきたものも切り捨ててきたものも今のわたしを構成しているものの一部であって、それだけでわたしたちは経験してきたことに、出会ったものに、本当の意味でさようなら出来なくて、だからわたしは気兼ねなく前を向いて走れる。だいすきな友達と一緒にみた海の波のきらめき。船が海を分けていく音。草木を揺らす風の温もり。春の優しい花の匂い。パラパラと降る雪を見ては笑顔を浮かべて窓から手をのばす同級生たち。突然の豪雨に濡れちゃったと言って教室に並べられた何枚ものセーターと靴下。腹を仰向けにしてすやすやと眠るわたしのことが大好きな野良猫の君。わたしの指先を嗅いでその耳を擦り付ける。彼の毛並みを整える時間が好きだった。絨毯みたいに地に張り付いた銀杏の葉と黄色がかったあなたの手のひらを比べては微笑んだ。何枚ものワンピースを着て青い空の下をお気に入りの音楽を聴きながら過ごした。父はいつも愛してるといっておでこにキスをしてくれる。叱られた夜は悪い子になって地元の不良学生が好んで聴いていそうな音楽をわざと繰り返し聴いた。すれ違っては仲直りをした友達。新しい出会いに戸惑って変にこだわりを持つ自分に自惚れて人を傷つけては泣かせてきた。調子に乗って取り返しの効かない大事なものを失って苦しんだ夜もあった。登れそうな木を見つけては登って、自転車で団地の周りを競争して漕いで、ララポートにイケア、コストコが並ぶ街へと続くうねうねした三郷の一本道を何度も渡って欲しいものを買ってもらって、いつも家に帰る前にその包みをこっそり開けたりした。新品の制服をはじめて着たときは受験で落ちたことが思い浮かんで嫌になった。今ではシャツは少し色褪せ、セーターは伸びて、わたしの匂いがする。川のせせらぎの音を聴きながら揺れる木々を眺め、それだけで神様とお話しできた気でいた夏。線香花火をして蟻にとっては雷だねなんて話した。花束を貰って泣いていた先生。正反対の向かい合わせの新宿の駅のホームで手を上げて揺らして交わすバイバイの合図は一瞬で電車にかき消された。こんなに語ってしまった。でもさ、あちこちで平成最後とか言っているから色々考えちゃった。名前があっても無くても変わっても変わらなくても、わたしはわたしの時間を生きていて、それはずっと変わることはないから、わたしは自分の決断をこれからも信じていけたらいい。まあタチの悪いのが今年はいくつかあったけれどもう終わったので、きらきら一年生、友達何人出来るかな、みたいな心構えで広い器で程よく頑張れたらと思う。
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DEEP
更新を少し開けてしまうと、あれも書いてこれも書いて、あ、あれも書かないとなとか、それで、結局書かなくなってしまうことがあります。 誰が見てるかも分からないし、自分にとってはどうでもいいこと書いても良い場所なのに 笑 少し病んでるかのような書き出しになりましたが通常運転です。 今日も素敵な靴のお話になったら良いなと思い書き出します。
なんと、全く同じデザインで2足目のご注文でした。 私が自分のために揃えるとしたら、革の靴と鞄に関しての理想は気に入ったデザインを2色ずつ持つこと。
靴に関しては欲しいデザインが大体決まっていますが、靴屋をやっていてもなかなか願いは叶いません。なぜでしょう??
鞄に関してもデザインがもちろん大切ですが、大きさは第一条件。小さなものから大きなものまでで内容物と行動に合わせて2色ずつ。
私に関しては、まだまだ物欲は収まらないようです。
さて、Yさまの2足目。なんと!全く同じデザインで2足目のご注文でした。
アッパーはドイツのカーフ。とても深い緑のきれいな革です。 底材は全てイギリスのオークバークを使用しました。
素敵です。 どうもありがとうございました。
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Dear M
今から三ヶ月前に同時に仕事や恋人を失った時に支えてくれたのは、Tumblrで知り合ってかれこれ五年話していた愛奈だった。
その愛奈に先日会うことが出来た。
ここに書こうとは思ってなかったけれど、愛奈が望んだので綴っておく。
降りるはずのインターを一つ過ぎて愛奈に連絡した。
アパート近くの変な名前のラーメン屋が待ち合わせ場所だった。
カーナビの到着予定時刻は約束より五分過ぎた時間。
愛奈の顔を見たのは今から五年前くらいか。まだ十代だった。そのイメージだけが頭にあってどんな女性なっているのか見当もつかなかった。
長閑な農道の中にあるセブンイレブンで気を落ち着けるために緑茶を買った。
マウスウォッシュで口をすすぎ、お気に入りのナイルの庭を首筋や足首につけた。
約束の場所に到着してすぐにLINEを送った。すぐに今から向かうと連絡があった。
間もなく道路の向こう側からスラリとした女性が歩いてきた。白いニットに黒のスカート。肩まで伸びた黒い髪。すぐに愛奈とわかった。
運転席に座ったまま、どうしていいかわからなくなった。どんな言葉をかけたらいいのか、どんな表情をしたらいいのか。
とりあえず降りることにして運転席のドアを開けたタイミングで愛奈が助手席のドアを開けてあららとなった。
愛奈と向き合い顔を見た。昔見た写真とは随分と変わり、大人の女性になっている。例えるなら吉高由里子や和久井映見、笑うとYUIや橋本愛に似た雰囲気で和服が似合いそうだという印象を受けた。
この辺りは何を話したのか記憶にないが、地元の名産や実家で作った米、お守りなんかを渡した。そのお土産があまりにも多かったからアパートの近くで待ち合わせていた。
荷物を置きに一度部屋へ戻る愛奈の後ろ姿を見ながら素敵な人になったなとしみじみした。
車で繁華街へ向かう。夜市があってそこに行こうと約束していた。
車内では昨日の飲み会の話を聞いて青春だななんて羨ましくなった。愛奈は大学生だ。
「電話で聞くのと声若干違う」
「確かに」
助手席側の窓から西陽が射し込む。
「いい時間ですね」
「そうだね、着いたらちょうど薄暮でお酒が美味しいんじゃないかな」
緊張していた。助手席に座る愛奈の横顔をほとんど見れなかったのを今では後悔している。それとカーオーディオから流れる曲がたまたまTaylorSwiftの「DearJohn」とかバラードばかりだったのがちょっと恥ずかしかった。
俺が泊まるホテルにチェックインしてから夜市へ向かった。川沿いの道を愛奈と歩く。
「この街を歩くのは初めてですか?」
「そうだな、中学生の時に歩いて以来だから十五年くらいぶり」
「そっか研修で来たって言ってましたね」
「いい街だね。住みたいくらい」
「私ももっと住んでてもいいかなって思う」
マンションの間をすり抜けていくと目の前に夜市の旗が掲げられていて、大勢の人で賑わっていた。
「まずは食べたい物に目星つけて端まで歩こうか」
「途中でビール買いましょ」
「いいね」
焼鳥、海鮮焼き、日本酒、スイーツなど様々な店が並んでいる。人は多いが決して歩けないわけじゃない。
「彼に夜市行くって言ったら��いなって言ってました」
「今度連れてきたらいいよ」
「でも彼人混み苦手なんですよね」
「それじゃあダメか」
「そういう私も苦手なんですけどね」
「俺も得意ではないな」
ビールを売ってる店を見つけて並ぶ。
ふんわりした泡が美味しそうな生ビールだ。
生憎座る場所が空いてなかったので立って乾杯した。
「はじめまして」
「はじめまして」
二口で半分くらいまで飲んだ俺を見て愛奈は笑っていた。好きな銘柄ではなかったけれどここ何年かで一番美味しい生ビールだった。
色々と歩いて海鮮焼きを買って食べることにした。
何となく愛奈の前を歩いたのは横に並んで歩くのが照れくさかったのと、俺が横にいることで愛奈の価値が落ちてしまうじゃないかと思ったからだ。それくらい愛奈の姿は美しさとミステリアスさがあって、もし知らない間柄でどこか別の街ですれ違っていたらきっと振り返ってその後ろ姿を目で追ってしまっただろう。
親子連れの横の席がちょうど空いており、了承を得て座った。
Tumblrの人の話なんかをして海鮮焼きを食べる。
イカ焼きに苦戦してタレを服にこぼしそうになる愛奈を心配なようなちょっと可笑しいような気持ちで見ていた。
「ビールもう一杯飲んだら帰ります」
「えっ?」
虚をつかれたような気持ちになった。
「そう言わずにどこかお店行こうよ」
「週報書かなきゃいけなくて…」
「��あな、今朝まで友達と飲んでたんだもんね」
無理矢理そう納得させる。
何か嫌なことでもしていたのだろうか。もしくは俺のルックスやらファッションが想像と違っていたから早く帰りたいのかとも考え、次のビールを買いに行った愛奈の背中を見ながら天を仰いだ。
ビールを飲みながら残っていたホタテを食べた。手がタレだらけになっているのを見て愛奈がハンカチを渡してきた。
「いいよ、せっかくのハンカチが汚れる」
「裏側ならいいですよ。見えないし」
「なんかごめんな」
お言葉に甘えて手を拭いた。十一匹のねこの刺繍があった。
「かわいいね」
「お気に入りです。書店で買ったんですよ」
ハンカチを返す。
「口にもついてます」
そう言うとそのハンカチで俺の口の横を拭った。
ほんの数秒の出来事なのにその瞬間は鮮明に残っている。
「なんか子供みたいだな。かっこ悪いね」
「男の人はいつまでも子供ですから」
愛奈の底知れぬ母性は本当に罪だ。年甲斐無く甘えてしまいたくなる。かれこれ五年も話しているからどんなバイトをしてどんな男と交際しているのかほとんど知っている。だから同い年の女の子達とは一線を画すくらい魅力的な人になったんだな。
夜市を後にする。空は確実に夜に近づいているがまだ青が見えている。
駅の方向に向かいながら二人してトイレに行きたくなり場所を探した。
「この街のトイレなら任せてください」
そう言う愛奈の後ろをついて行った。
二人とも限界に近づいていたから小走りでテナントが多数入る建物に入った。
終わるとお土産コーナーを見ながらコンビニに入った。
玄米茶と愛奈が吸ってる赤いマルボロを買った。
「そこの角で吸いましょう」
「そうしよか」
玄米茶を一口飲んでアメリカンスピリットに火を点ける。愛奈はライターを持っていなかったのでその後に俺が点けた。
「今日はありがとう」
「こちらこそたくさん貰ってしまって」
「いいんだよ。命の恩人なんだから」
「いやいや」
「これで思い残す事はない。いつ死んでもいい」
「そんな事言わないで。悲しい」
「最近思うんだ。生きてる価値あるのかなってさ」
「じゃあ飲みながら人生語りましょ」
愛奈の言葉に驚く。
「帰らなくていいの?」
「いいです。お話しましょ」
なんか泣き落とししたみたいでかっこ悪いなと思った。愛奈の時間を奪っていくみたいで罪悪感も湧いた。でもそれを超えるくらい愛奈ともっと飲みたい話したいというエゴがあった。
「そうか。ありがとう。愛奈ちゃんと一緒に行きたい店があるんだ」
「どこですか?」
「バーなんだけどさ」
「バーあまり行ったことないから行きましょ」
煙草を吸いながらバーを目指す。
途中で車に轢かれそうになると腕を引っ張ってくれた。
「いいんだよ、俺なんか轢かれたって」
「ダメですよ。死んだら悲しいですから死なないで」
「でもさ、よく思うんだよね。交通事故なら賠償金とかでお金残せるしさ���
「それは私も思うときあります」
そんな話をしていたら店についた。
俺が持っていた玄米茶を愛奈が自分の鞄に入れてくれた。
明るめな店内のカウンターに横並びで座る。
愛奈はモヒート、俺はモスコミュールをオーダーして乾杯。
「私、親の老後見たくないんです」
「そうなんだ」
「前に言いましたっけ?産まなきゃよかったって言われた事」
「うん、覚えているよ。それならそう思うのも不思議じゃない」
「計画性ないんですうちの親。お金無いのに産んで。三人も。それでたくさん奨学金背負わせるなんて親としてどうかなって思うんです」
「そう思うのは自然だな」
「だから私、子供産みたくない。苦労させたり嫌な気持ちにさせたくないから」
「でも愛奈ちゃんはそうさせないと思うけどな」
「育てられる自信ないです」
「そっか。でもそう思うのは愛奈ちゃんの人生を振り返ってみたら自然だよ。それでいいと思うし、理解してくれる人はたくさんいるよ」
「結婚しないと思いますよ」
「それはわからないよ。これからさ、その気持ちを超える人が出てくるかもしれないし」
モスコミュールを飲み干した。
もし自分が同じことを親から言われたとしたらと思う怖くなった。そんな中で愛奈は自分の力でそれを乗り越えて立派に生きている。愛奈を抱きしめたくなった。ただただ抱きしめてもう大丈夫だって言いたかった。
愛奈からマルボロを一本もらう。久々に吸った赤マルは苦みが程々で後味が美味かった。そこで知ったのは赤マルは二種類あって、俺が渡したのはタールが高い方で、愛奈は普段低い方を吸っているらしい。
「あの棚の右から二番目のお酒知ってます?」
「知らないな」
「友達が好きで美味しいらしい」
「読んでみよか」
スコッチだった。
ソーダ割りで飲むと中々美味しかったけれど、元々カクテル用のウイスキーとして作られただけあって、もうワンパンチ欲しい味だった。
三杯目は俺はヨコハマというカクテル、愛奈は和梨のダイキリをオーダーした。
「俺もさ、親を看取らなきゃいけないプレッシャーがあって辛いんだ」
「一人っ子ですもんね」
「出来た親でさ。ほとんどのことを叶えてくれた」
「すごいですね」
「ほんとすごい人だよ。だから期待に応えなきゃって思うとさ。色々しんどくなるんだ」
ヨコハマを一口飲む。ウオッカとジンの二つを混ぜるカクテルだからぐっとくる。愛奈に一口飲ませると「酒って感じです」と感想を述べた。茹で落花生がメニューにあったのでオーダーする。愛奈は食感が苦手だったようだ。愛奈はダイキリについてきた梨を一口食べ俺にくれた。甘くて美味い梨だった。次にオーダーしたのは愛奈はシャインマスカットを使ったウオッカマティーニ。俺はサイドカー。
「ゴリラいるじゃないですか」
「実習先の人ね」
「ほんといいなって思う。優しいし人のこと良く見てるしたくさん食べるし」
「既婚者じゃ無きゃね」
「そうなの。でも奥さん可愛かった」
「たぶん可愛いだろうな」
「一緒にいれはいるほど��いなって気持ち強くなる」
「叶うとか叶わないとかそんな事はどうでもいいから今の時間楽しめたらいいね」
「頑張ります。お局怖いけど。でも最近機嫌いいからいいや」
シャインマスカット一粒を俺に寄越す。繊維質の食べ物があまり好きではないらしい。サイドカーを飲ませると美味しいと言った。
「サイドカーに犬って映画知ってる?」
「知らないです」
「すごくいい映画だよ。小説原作なんだけれど」
愛奈がスマホをいじる。
「Huluで見れるんだ」
「そうなんだ。便利やな」
「今度見よう」
その後は愛奈の好きな小説の話をした。加藤千恵って読んだことなかったなと思いながら話を聞いていた。
「次なんだけどさ」
「はい」
「ピアノがあるバーに行きたいんだ」
「行きましょ。その後ラーメン食べて帰るんだ」
「いいね、そうしよう」
店を出てると少しだけ肌寒くなっていた。
ピアノのあるバーに向かって歩いていく。
「バーに入るの初めてでした」
「そうなんだ。前の彼とは来なかったの?」
「入るのに緊張するとこには行かなかったんです」
「最初は緊張するもんな。慣れればいいんだけど」
「あっちの方にあるビストロにもやっと入ったくらいだから」
「そうなんだ。でもいいもんでしょ」
「すごくよかったです」
「そうだ」
「どうしました?」
財布から千円札を数枚出して愛奈に渡した。
「タクシー代、忘れないうちに渡しておくよ」
「えっ、いらないですよ」
「遅くまで付き合わせてしまったし」
「いいですって」
「いや、受け取って。今日は本当にありがとうね」
愛奈のポケットに押し込んだ。
「すみません。ありがとうございます」
「ほんと愛奈ちゃんには救われっぱなしだよ。だからこれくらいはさせてよ」
そうこうしてるとピアノバーの前についた。
少しだけ緊張したが意を決して入る。
店内は混雑していたが運良くピアノが横にある席に座れた。さっきまでは横に座っていた愛奈と向かい合わせで座った。目を合わせるのが照れくさくなるなと思った。
「リクエストしてもいいみたいだよ」
「えー、いいな。弾いてもらいたい」
「何かあるの?」
「一時期、月光にハマってて」
「いいね」
「でも何楽章か忘れちゃった。ちょっと聞いてもいいですか?」
「いいよ」
愛奈がイヤホンを繋げて聞いている。
その間に俺は「Desperado」をリクエストした。
「一でした」
「そっか、次に言っておくよ」
Desperadoが流れる。
愛奈も知っていたみたいで俺が勧めたピニャコラーダを飲みながら聞いている。柔らかくて優しい表情が美しく貴かった。
「これはさ恋愛の曲っぽいけどポーカーで負けた曲なんだ」
「えー」
愛奈が笑う。
次にピアニストの方に愛奈のリクエストを伝えた。
始まると今にも泣きそうなくらいに感動している愛奈がそこにいた。スマホを向けてその時間を記録している。その時の顔は少女のよう、昔見た愛奈の写真に少し似ていた。
お酒が進んでいく。
カウンター席のおじさまがビリー・ジョエルをリクエストしている。ストレンジャーやHONESTYが流れている。
会話は愛奈の男友達の瀬名くんの話���に。
「今度ドライブ���連れてってくれるんですよ」
「ロードスターに乗ってるみたい」
「オープンカーか。この時期はまだ気持ちいいね」
「天気の良い日見ておくねって」
「いい子やね。その子と付き合っちゃえば?」
「でもね、絶対彼女いるんですよ。いつも濁してくるけど」
「そっか」
「沼っちゃう男子ですよね」
「じゃあさ、俺と付き合って」
「仮にも彼氏いるんですよ」
「冗談だよ。俺は君に似合わない」
もっと若くて横浜流星みたいなルックスで何か才能があって自分に自信があったらもっとアピールしたかもしれない。そう、愛奈に合うのはそれくらい優れている人で、愛奈を大切に包み込むことが出来る余裕がある人に違いないからだ。
「あの曲聴きたい」
「なに?」
「秒速の曲」
「One More Time?」
「それ!」
「じゃあ頼んでおくよ」
ピアニストの方にお願いするとすぐに弾いてくれた。愛奈は感激してこのときは本当にその強い眼差しが少し濡れていたように見えた。
タバコに火を点ける。愛奈をちらちらと見ながら吸うタバコはいつもより目に染みる。
ダービーフィズを一口飲む。久々に飲んだがやはり美味しい。
「すごく嬉しかった」
「よかったよ」
最後の酒に選んだのは愛奈はシシリアンキス、俺はXYG。
そのオーダーを聞いていたピアニストの方はGet Wildを弾いてくれて俺は笑った。
「これさ、シティハンターで出てくるんだよ」
愛奈はもちろん知らなかった。男の子の映画だからね。
「ボズ・スキャッグス弾いてほしいんですけど」
近くの席の女性が弾いているピアニストに声をかけたがちょっと待ってと制止された。女性がトイレに入った間に俺はこの隙にと一曲リクエストした。
愛の讃歌。
愛奈も知っていた。
タバコも吸わず、氷だけになった酒で口を濡らし、聞いていた。少しだけ目頭が熱くなった。
曲が終わるとお酒が届く。
「渋いお酒飲まれますね。さっきのダービーフィズとか」
マスターから声をかけられた。ダービーフィズの泡がいいよねと話した。
ピアニストにさっきの女性が話しかけている。
「ボズ・スキャッグスをお願いします」
「曲はなにがいいですか?」
「曲名がわからなくて…」
「それならウィー・アー・オール・アローンを聞きたいです」
俺が言った。すると二人ともそれがいいとなって弾いてくれた。
訳詞には二つの解釈がある。
僕ら二人だけ。なのか、僕らはみな一人なのか。
今だけは前者でいさせてほしいと思った。
「ピアニストの人が弾いてて気持ちいい曲ってなんなんだろう」
愛奈が言う。
「確かに気になるね。聞いてみるよ」
ピアニストの方に聞く。
「その時で変わります。上手くできたなって思えば気持ちいいですから」
なるほどなと二人で頷いた。
最後のリクエストに「ザ・ローズ」をお願いした。
ピアニストの方も好きな曲らしい。
「気持ちよく弾けるように頑張りますよ」
この曲は愛奈も知っていた。
オールディーズの有名な曲だ。
気持ちよさそうに弾くピアニストと聴き惚れる愛奈を見ながら最後の一口を飲み干した。
後半はあまり愛奈と話をした記憶がない。二人ともピアノの音色に癒やされながら静かに酒を飲み、少しだけぽつりぽつりと会話をする。そんな落ち着いたやり取りが出来る���係っていいなと思った。
会計をする。
お釣りを全て、といっても少額だがピアニストの方に渡してもらった。
財布の中身が増えている気がした。
愛奈に聞くと何もしてないらしい。
「きっと財布の中でお金が生まれたんですよ」
そういうことにしてピアノバーを出た。出る直前に流れていた曲はドライフラワーでちょっとだけ不釣り合いで笑えた。
愛奈がラーメン屋を案内してくれるが場所が少し分かりにくくて何とかたどり着いた。
ビールを少し飲みながら餃子を食べているとラーメンが届いた。
二人して黙々と食べた。美味かった。
「大盛りにしてもよかった」
「私もう食べられないからあげますよ」
愛奈が麺をくれた。それを全て食べてビールを飲み干す。
二人で一頻り飲んだあとに餃子をつまみながらビールを飲み、ラーメンを一緒に食べてくれる女性は出会った事なかったかもしれない。
会計前にトイレに行きたくなって財布とカードを愛奈に渡して払っておいてほしいとお願いした。
戻るとテーブルに忘れていた眼鏡を俺に渡しながら
「使い方わからなくて自分で払っちゃいました」
「えっ、ああ、ごめん。現金渡すよ」
「いらないですよ。たくさんご馳走になったんでこれくらいはさせてください」
何度かやり取りしたが甘えることにした。
愛奈には甘えてばっかりだ。
店を出て大通りに向かう。
タクシーをつかまえようと。すぐにつかまった。
「このタクシー割引使えるんですよ」
「ありがとうね、また会おう」
「はい!」
タクシーを見送った。夜の大通りをすーっと去っていった。
ホテルへの帰り道。コンビニでお茶と赤マルを買った。久々に吸って美味しかったからだ。お茶は愛奈の鞄に預けたまま忘れていた。
赤マルに火を点ける。
やたらと煙が目にしみる。夜空を見上げたら明るい繁華街にも関わらずいくつか星が見えた。
生きていてよかった。
それくらい楽しくて美しい夜だった。
また愛奈に会いたいと思った。次はいつ会えるだろう。そんな事を考えながらホテルのベッドに倒れ込む。
「死んだら悲しいですから死なないで」
今日何度か言われた愛奈の言葉がリフレインしている。
本当に素敵な人だ。あんなに幼くてどうしようもない人と恋に落ちてたのに上手に成長した。
あんなに気遣いできて疲れないのかなって思う。
少し心配だ。
愛奈を写した写真を見返す。ブレてる写真ばかりで下手さが目立つが二枚ほどいい写真があった。
大切にしなきゃならない人がこの世にはいる。
間違いなくそれは彼女である。
これは一夜の記録と愛奈への恋文だ。
なんてね
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2023年5月4日
麦わら帽子を被って、最近買った青色アロハを着て、短パンにブーツで玉川上水沿いの林道を少し散歩。温かさを通り越して暑いくらいの陽射し。風も、五月の風も時折吹いていて、その度に飛んでいきそうな麦わら帽子を手で抑えた。飛ばされてしまえばよかっただろうか。どこへ?もちろんゴッホの夏へ。「君に握手を贈る」毎回決まって締めくくりにそう書かれていた彼の��紙。林道は木々の草々の、青空へと太陽へと伸ばされた夥しい緑の握手に覆われ仄かに薄暗く涼しく、地面へと落ちた木漏れ日を横ぎる揚羽蝶や紋白蝶の黒い影。ちょうど去年の今頃はドイツ人の作家シュナックが書いた「蝶の生活」という本を読み始めた頃で、様々な蝶の成虫幼虫の挿絵入りでその生態が博物学的に生物学的に紹介されているだけでなく、それぞれの蝶との彼の出会いや蝶を巡る幻想的な小説の章まである、蝶という生き物に対する虫網を持って野原を駆け巡るかつての少年そのままの純粋な愛と憧れと詩情に溢れたその本を鞄に入れて仕事の行き帰りや今日のような散歩の途中、時間を見つけては僕も蝶の影を追っていた、まるでシュナックの魂が乗り移ったかのように。
ところで、「ゴッホの手紙」の中にも蝶が登場する。蝶ではなく蛾なのだけど、それは「死人の顔という蛾」で、
昨日は、死人の顔という珍しい大蛾を写生してみた。その色彩は、黒、灰色、陰影のある白や反射光のある洋紅色、かすかだがオリーブ緑色に転じた色で、たいそう大きい。 それを描くため殺してしまわなければならなかった。それ程蛾は美しかったので惜しかった。ーー硲 伊之助 訳「ゴッホの手紙 下」よりーー
背中に人間の髑髏の模様があるその大きな蛾の彼の素描を見たとき、これはたぶん半ばゴッホの想像或いは幻想で描かれた蛾の絵なのだと思っていたのだけど、その同じ蛾をシュナックの「蝶の生活」の後半の蛾の章で発見して僕は驚愕した。「死人の顔という蛾」は実在していたのだ。それは髑髏面型雀蛾(ドクロメンガタスズメ)という。
この蛾は埋没してしまった古代の夜の世界の最後の目撃者である。その恐ろしい紋章によってこの蛾は人間たちに死を、今なお存在する黄泉の国を思い起こさせる。ーー岡田朝雄 訳 シュナック「蝶の生活」よりーー
煙草を吸う。照明は天井に二つ埋め込まれている小さな電球色のLEDだけで薄暗い、小さな動物や昆虫をペットショップで買ったときに小さな動物や昆虫が入れられる二つの小さな空気穴が空いているだけの小箱のように薄暗い喫煙所で煙草を吸う。ぼんやりと浮かぶ闇の壁にもたれ掛かって煙草を吸う人の顔、その唇の先から指の煙草の先から流れる揺らめく煙は千変万化の軌道を描き、天井へ、まるであの天井の二つの円いLEDの光から出ていくように、地獄の底から見上げた高く高く厚い厚い天井に空いている小さな二つの出口、こ���の住人には決して手の届かない小さな二つの出口、窓、裂け目、地上への出口へと流れていく煙かのように、煙を糸のように吐いて、その糸が吸い込まれていく、決してわたしを引き上げてはくれない、わたしが吐いた蜘蛛の糸の流れの先を見上げるわたしはきっと今ルドンの気球の眼をしている、重力を、わたしが重力に縛られた存在なのだと、私は重いのだと、つまりは地獄の底に居るのだと気が付かせてくれる、そんな喫煙所、でもね、地獄の底にも光るものがあって、それは二つの光源のちょうど真下に二つ置かれている灰皿、銀色に鈍く光る灰皿、水の張られた皿を円く囲って覆う銀の蓋が鈍く光っている、大概は捨てられた煙草と煙草の灰の山に埋まっているその二つの目玉と瞳、だけど、たまに掃除の人が来ることがあって、そのときは捨てられた煙草も煙草の灰も綺麗に除けられて、だから銀色の眼球の真ん中に張られた水が二つの瞳のように浮かぶ、でも、その二つのお皿は煙草の脂や錆で焦げ茶や黒茶や赤茶や朽ち葉色に染まっているから、その二つの瞳は冬の池の底、その秋に散ったたくさんの落ち葉が静かに安らかに沈み込んでいる冬の池のようで、電球色のLEDに照らされて琥珀色に輝き微かに揺らめくその瞳は穏やかな午後の陽が射し込む冬の池の底のようで、髑髏面型雀蛾の羽根、身体の色合いはちょうどそんな色をしている。わたしの部屋が、今も少しだけ置かれているけど、百花繚乱のドライフラワーに埋め尽くされたら、きっと真夜中に窓を叩いて飛んで来るだろう、髑髏面型雀蛾。しかしそのとき彼が背中に乗せて持って来るのはいったい誰の骸骨だろう?それはきっとわたし自身の骸骨だ。ゴッホはあの蛾の背中に彼自身の骸骨を見たのだ。もう彼は居なかった。それからしばらくして彼は死んだ。でも、もう既に彼は居なかった。最後の方に描かれている彼の絵はまるで煙で描かれているようだった。彼は死んで、煙になってその煙が彼自身の最期、骸骨を見ていた。わたしもその蛾を見たときにはもう居ないのだろう。真夜中に窓を叩く風。わたしの居ないドライフラワーが咲き乱れたわたしの部屋の中を気ままに優雅に不思議そうに舞う髑髏面型雀蛾。
わたしは わたしの居ない わたしの部屋で暮らしたい かつてそうだったように わたしは わたしの居ない わたしの世界を見てみたい かつてそうだったように
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夢
最終更新:2024/11/10
橋から人が落ちていくのに誰もそれに気を止めずに各々の時間を過ごしている空間だった。 インターネットの友人と遊園地へ行った帰り、という場面から始まる夢。楽しかったね、って語らいながら分岐点まで歩いていって、橋の上で名残惜しさから他愛もない話で時間も心も埋めていくのだけれど、そんな一場面の遠くで橋の軋む音、その後に鈍い音がする。感覚的には遠いのだけれど実際のところ、すぐ横で人が湧いてきて落ちてを繰り返していた。表情は見えなくて、だからそれが誰か、何なのかも分からなくて、僕らはその横��ずっと話していて。橋の下は川が流れていて、すぐ近くに平面的��つ立体的な山があった。その山の前に川岸をつなぐように電線が渡っていて、電柱のような木のようなものに、やけに大きな白い何かが止まっていた。僕はそれを鳥と認識した。概念的な生命体だった。 ある程度時間がすぎて、友人に別れを告げてひとりになったので僕は橋の下に降りてみた。所謂戦隊ものの格好をした5人組が何かをしていた。何をしていたかは思い出せないのだけれど。好奇心にかられた僕は彼らに近寄って何かをした。その間も人が橋から落ちてくる。最後に僕は崖の途中付近にいて、僕もその後同様落ちた。正式には落とされた。戦隊ものの格好をした人はにこにこしていた。僕もにこにこしていた。
起きていても寝ていても臓物を引き出す夢を見る。ずっと前から。きっと何かに影響されたものの派生かなと思うけれども何もない空間にいて、知らない手が胃腸だったり心臓だったりを掴んで体から取り出してしまったり、肺を力強く押してみたりする。 偶に自分の手が自分の意志とは関係なく動いてみせることもある。痛いというよりも塞がっていた水道がとおるような、すっきりとした感覚になるようなので悪い気分はしないけれど、目を覚ましたとき鈍器が体内にあるような気持ちになっていつもよりなんだか重たく感じる。 血が透明な何かに入れ替えられる時もある。
2024/09/13 寝れないなと思いながらただだるい体を少しでも楽にするために良い体制を探していた。最終的に平たい長座布団の上に寝そべっていた僕の上半身前面がやけに涼しくて、少しヒリヒリするような脳の認識を感じて視線を下ろしたらむき出しの臓物とも取り難いそれ、が見えた。臓器に対する知識の上での解像度が低いから臓物もどきに変換されたのだろうなと思うのだけれども。 ただどうすることもできなくて、どうしてか動けなくて薄暗がりで鈍く輝く臓物もどきを眺めることしかできなかった。ずっと見ていたら不規則に動く心臓のようなものや腸がだんだん膨張していっているように見えてきて、飲まれてしまう、と思ったら目が覚めた。04:23だった。短い時間だったのに大変不思議な夢だった。 膿んだ傷口が風に当てられて痛む感覚の延長みたいなものをずっと感じていた。
2024/08/22 気がついたら僕は、知らない家庭の団らんというものに混ざっていて、見知った顔を持ったヒトと世界を旅していた。それらしい彼等の風貌をしていて内面は少し違っていて、戸惑いながらも地球にある国々を巡って、世界の様々な人に出会った。様々な文化に触れた。どうしてか各国が地続きの世界で、さいごに見たのはさっきまでともに旅をしていたヒトたちの笑顔と片手に握った金魚が泳ぐビニール袋だった。 この世界はずっとどこかずれていた。例えば、F国では銀色の箸を使って食事をしていたし、最期に行ったA国では、なぜか室内でJ国のお祭りを行っていた。屋台で出される食事はまるで配給や給食のような出し方だった。知っているようで異質なお祭りの空気をどこか遠くで眺めているような気持ちで屋台を見回ったりして、屋台のヒトと何気ない談笑を交わして。 それなりにお祭りを謳歌したあと、お祭りの熱を冷まそうと散歩をしていると眼の前に両手ではとても覆いきれないくらいに広い青が目の前に広がった。 溶けてしまいそうな曖昧な水平線に心を惹かれ半ば引きずられるように、操られるようにそちらへ歩いていく。急に視界の下の方にあったはずの地面を見失った。さっと緊張で滲む手汗を握り、足元を見ると崖だった。間一髪で落ちることなく地を踏みしめた私は眼の前に広がる初めて見る光景を見つめていた。自分の知っている海ではなく怖いくらいに鮮やかな海だった。 ずっと見ていたら呼ばれてしまうんじゃないかと思ってしまうくらいにそこの見えない海と、曖昧な空のどことなく低いのに確かに届かない雲の流れを目で追っていると、後ろから誰かの声が聞こえた。迫りくる明るい声がする方に目を向けると、旅をともにしていた人たちだった。 『良かったね、見つけられたね。』何かを祝福するふうにそう言いながら笑顔で近づいてくる。まるでこの旅の終着点にたどり着いた、みたいな終わりの空気を手のひらに感じながら戸惑っていると急に全身に空気を感じた。紐で縛られたりしていない金魚の入った袋の口が手から離れる。 最期に見たのは離れていく彼らの笑顔と、空を泳ぐ金魚と落ちてくる空だった。 普通に人生の終点だった。
2024/07/27 真昼。僕は確かにさっきまで友人とピクニックをしていたように思う。あちらの世界では遊歩道ではない場所がこちらの世界では何故か遊歩道になっており、そこになんの違和感も抱かなかったくらい��は楽しいピクニックだったのだろう。そんな優雅なひとときなど一瞬だった。 「火災発生 火災発生 外出中の方は直ちにお近くの避難所へ___」 突然目も覚めるくらいけたたましいアラートとともに防災行政無線から“乾燥による火災の大量発生”を知らせる声が聞こえてきた。それを聞いても何故かのんきだった僕らはすぐには動かなかったのだが、ふと香ばしい香りが漂ってきた。そちらの方に目をやると一本の生まれたての煙柱が見えた。小規模の森と言いたくなるほど鬱蒼と生えた川岸の草が例によって火を起こしてしまったらしい。 真横で火災が起きている。 事態に気がついた僕達2人は鞄を抱えてあちらの世界には存在しないエメラルドグリーンと白の可愛らしい建築デザインの避難所へ駆け込んだ。何故か裏口から。 避難所の中は学校のように机が規則正しく並んでおり、床も机も一目でわかるくらいには木製だった。すぐに不安な気持ちでふと窓の外に目をやるとそこそこ離れた小学校の方から大きな煙がたっているのが見えた。そちらの方に住んでいる知人らに思いを馳せながら避難所の中を一周する。幼少の頃の日本国外にいるはずの友人や、既にもうこの世にいないはずの人が普通に生きて不安そうな表情を浮かべながら雑談をしている。そんな彼らに懐かしさを覚えて僕は思わず声をかけたが、一瞥すらくれなかった。僕が幻覚をみているのか、僕が幻覚なのか彼らに気がついてもらえることはなかった。 出かける際に持ってきたカバンのほか何も持っていなかった僕らはまだ火災の起きていない方に位置するスーパーに向かおうと避難所の外へ出た。 しっかりとした避難所の冷たい扉を開けいざ出発と思い左右に視線をやると、ちょっと先にある小学校の頃の同級生の家が燃えていた。緑色の芝生も雰囲気のある重い扉も面影がないくらい火の塊だった。 遊園地もブランコの周りに生えていた公園の木々も山も赤く染まっていた。 この世界の終わりを突きつけられた気持ちで即座に避難所へ引き返し、窓の外にまた目をやると避難所の真横の空き地が燃えていた。逃げ場などどこにもなかった。
2024/07/XX ⚠微グロ “目が覚めたら”真っ暗な世界にいた。真っ暗で周りには何も見えないのに自分の手足や足元は目視できた。 不思議に思いしばらくぼーっと周りを“眺めて”いたら極僅かな小さな小さな何かが這いずるような音がした。 音のした足元に目をやると白っぽいグレーっぽい、発光したような細長い何かが蠢いていた。(以下ミミズと称する) あまりのおぞましさに暫く嘔吐いていると足元にミミズが落ちてきた。動揺が引き金となって必死にせき止めていた何かが溢れ出すように吐いた、はずだった。でてきたのは想定とは異なる吐瀉物だった。胃液ですらない。ひたすらミミズが溢れてくる。自分でもわかるくらいに青ざめて真っ白になっていく床に膝をつく。潰れるミミズの体液は真っ青だった。この生物が何なのか自分から溢れてくるのは何故なのかぐるぐる考えながら、一度壊れた堤防からあふれるミミズをただひたすらに吐き続ける。長い時間休まることなく吐き出される苦しさに涙が浮かぶはずなのだが体内には彼らしか詰まっていないのかミミズしか流れてこなかった。自分の手足が次第に骨と皮になってもなお体からでてくるのはそれだけだった。 長く感じられた時間の末空っぽになった体は次第に真っ白な海に近づいていく。薄れる意識の中で最後に見たのは何だったのだろう、僕は目を覚ましてしまった。 とても冷たい世界だった。
僕はいつものように窓枠に座って時計アプリを起動させたスマホを見ていた。 ずっと前に開始させたストップウォッチの画面は止まることを知らずにずっと動き続けてくれるので安心するから。 どれくらいの時間が過ぎただろうか、突然固いはずのスマートフォンの画面がゆがむ。あまりの突然さと俊敏さに半ば寝たような脳みそを起こすまもなく液晶に飲まれる。体に纏わりつくスマートフォンの熱を感じながら意識を手放した。 意識を取り戻すと三人称視点になっていた。 僕の先程まで座っていた窓枠付近には持ち主を失ったスマートフォンが落ちていた。そのスマートフォンにおそらく僕らしき人がドロドロした液晶に飲まれていくその光景をどうすることもできずにただ見守っていた。見守ることしかできなかった。 無機質なはずの板が生命を帯びたかのように、確実に僕を飲み込もうとしている意思をもったかのようにさえ見える飲み込まれ方。 何故か無抵抗に飲まれていく僕の体。 黒っぽい液体にじわじわと飲まれ、見えなくなっていく体。 三人称視点にも関わらずリンクする“息苦しい”という感覚。 体に纏わりつくスマートフォンの熱。 普段のような苦しさはないが多少の焦りを感じた。そこにいる僕が飲み込まれきったらそこはどんな世界なのだろう、薄ぼんやりと眺めては三人称視点の僕もどうにか動こうと試してみるが壁になってしまったかの如くびくともしなかった。 暫くして髪の毛1本まで飲まれてしまった僕はその後何時間見つめてもでてくることはなかったし、三人称視点の僕もまた、どれだけ動こうとしても動けなかった。 ただどこまでも底へ引きずり込まれる感覚を最後に僕は目を覚ましてしまった。 先程まで生命を宿していた冷たいスマートフォンの時計は05:22。夢の中で最後に見た時刻だった。 今思えばもしかしたら三人称視点だと思っていた方の僕自身も飲み込まれている最中だったのではないか、などと思うが、一度中断してしまった世界である以上真相はスマートフォンの暗闇の中だった。そんな考察でもしながら僕はいつものように窓枠に座って時計アプリを起動させたスマホを見ていた。 ずっと前に開始させたストップウォッチの画面は止まることを知らずにずっと動き続けてくれるので安心するから。
へんな養護施設に化け物と天災が来て、必死に逃げるも、もう選択肢 はないと思い下水管から逃げ、へんな科学者みたいなおじさんに拾わ れる。電波関連の管理や下水の管理、変な生き物の研究をしているお じさんのもとで助手として生活していたがある日、お使いがてら養護 施設を見に行くことに。そこであった少年を抱えてまたもや起きた化 け物と天災から同じ方法で少年を逃がし、自分は飛行して逃げたが少 年がなかなか見つからない。下水管の入口のようなもの?を転々とし て脱出口を探す少年をやっと見つけ出し局所的な天災と化け物の出現 の原因解明をする話。
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Monte pochette (dark green)
深緑のMonte。
今回の展示会にいつの間にかひっそりと現れた隠れカラー。
山ポシェの愛称でじわじわと愛用者を増やしている小ぶりな鞄。
定番では扱っていないこの色の革は実は2年ほど前に作ってみようと切り出して、なんやかんやで後回しになりお蔵入りになっていた。そして切り出した頃、「何だかこれmorcさんのイメージに似合いそう」だなんて呟いていたのを展示会の直前に思い出したのだ。
作るなら今か、と初日帰宅後の夜に裁断済みの革を引っ張り出して、少し気持ちがハイになっている状態でカタカタとミシンを踏んだ。
カタチになったそれは、独特な深い深い緑が他の色にはない魅惑的な印象に仕上がった。
そんなこんなで2日目の途中にひっそりと現れたこの鞄、来るべくしてこの機会に作ることが出来て本当良かった。
またどこかの機会にひっそりと作ってみたいところ。
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202309030
彼ら二つは似すぎてしまっていたのかもしれない。だから仕事の話で固く手を結び、人生観について語り明かし、互いをいつまでも疑い続た。それはまるで、自らをまた他方をクレタ人だと名指し、自己言及のパラドックスのようで行き着く先などなかった。言葉の不足した論理がいくつかの形に凝縮してそのまま空に浮かび途方に暮れた。消えそうなそれを形付け直すことは、吐いた煙が雲に届くのを見届けるように不可能な事であった。
私が長年考え続けたことを今書きたい。それを書き始めたのは4年前に遡る。具体を排除した文節として記録された私の戯言
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「クレタ人は嘘つきである」
-仮説①クレタ人は嘘つきだとする(主張が嘘だとする)―結論①クレタ人は嘘つきであるため、"嘘つき"が嘘になり、クレタ人は正直者になる。【=仮説①に反する】
-仮説②クレタ人は嘘つきだとする(主張が正しいとする)-結論②クレタ人は嘘つきではない【=仮説②に反する】
どちらの仮説を立てても、仮説に反する結論に行き着いてしまうというパラドックス。
これを生活に落とし込むと、多くの者は「途中式なんてものはどうでもいいから結局どっちなの?」と息もつかず、あるいは露骨に深い息を吐きながら結論を迫る。結論だけを提示することがシンプルとでも言うの
201911424の私は彼女と対話をしていた。対義語と否定語はあまりにも役割が違いすぎると思い知った。彼女にとってのyesの否定語はnoだったけれど、私にとってyesの否定語はnot yesだったからだ。例外なく女子大生は恋バナをする(私は肩身の狭い恋バナ不得意勢であったが)。彼女は「好き」の否定語は「嫌い」だと捉えているようで、おそらくパート���ーとは言えない人からの言動に一喜一憂し忙しなくも充実しているように見えた。「"好きじゃない"って言われたけど、なにそれ」と整えられた長い爪で今にも画面を割りそうなくらい液晶を連打した。私がある人を指して「嫌いじゃない」と状況を説明したところ、彼女の気性を逆撫でたのだろう「それは好きとは違うわけ?」、付け加えて「そういうどっち着かずの反応はキープと紙一重なんじゃない?ズルくない?」と今度は私を割ってやろうと言わんばかりに視線を向けてきた。
もちろん彼女の言わんとすることは私にも感覚的には分かったけれど、否定語を対義語と混合されることは思った以上に誤解が生じるのだなと学んだ。数学的に言えば、「行ける」の否定語は「行けない」、「行けない」の否定語は「行ける」ではなく「行けなくない」なのだ。でもこれが彼女の言う"どっち着かずの反応"である。飲み会への出欠確認なんかでは「で、どっちなの?」と煩わせる。ただ、この煩わしさの要因は文字から生じるものではなく、私情を伺うことにある。一度、情を切り離してみれば、「雨が降る」の否定語は「雨は降らない」。一方、「雨は降らない」の否定語は「雨は降らなくない」。もし天気予報士が統計をもとに"雨が降るとは断言できない"と判断すれば、「雨は降らなくもない(=雨が降る可能性もある)」としか言えないのだ。晴かもしれないし雨かもしれないし、はたまた曇りなのかもしれない。もっと一般化してしまえば、雨かどうかは"分からない"ということだ。そんなどっち着かずの反応も雨のように無機質で人臭さのないものが対象であれば、大半の人は「ハッキリしろよ」なんてテレビに向かって声を荒げない。「雨が降るのかもしれないな」と折り畳み傘を鞄の中に入れるのだ。そして、「ハッキリしろよ」と言っている者に対して、この人は聞く耳を持たない者だとすら思うのかもしれない。天気予報との明らかな違いは、私たちは統計と可能性と選択だけで動くロボットではないことだ。私たちは相手を思いやることができる熱を持ったヒトだし、他人の私情に簡単に揺さぶられつつ未熟ながらも尊く相和するのだ。だから、行けなくなくても「行く」「行けない」とハッキリと提示するし、たとえ「行けない」を選んでも、それについて誰も嘘つきだとなじる者はいないことを当然のように知っている。細かな点々がじわじわと滲んで綺麗な円になるような個人が大衆を取り巻く社会の全貌。
だが仮説は仮説だとしても、仮説としての機能を果たしている。私たちは見えない行間を読むように会話を摘まみ、否定語の否定は「分からない」という結論にしかならないけれど、「嫌いじゃない」「行けなくない」「雨は降らなくない」を含めていて(否定語の否定を肯定する要素にもならないけれど)、私情がなくてもあって身がはち切れそうでもそういう理論を受け入れていかなくてはならない。
時という流れは刻一刻と過去を増やしていき、その流れの中には取り返しのつかない選択だって紛れている。私は誰をも傷つけるべきではなかったし、私は誰からも傷つけられるべきじゃなかった。でも"起こった"ということは、粉々に割れた珈琲カップと同じことだ。どんなに手を尽くしても元には戻らない。でもそれに悲しんでいても時は流れていくから、私たちはその過去を根に持って継承したり繰り返すのではなく、許していかなければ息が尽きてしまう。許すという行為は相手以上に自分を掬いとる唯一の方法なんだ。綺麗事じゃない、私はなにも恨まないよ、たとえ私を恨んだモノたちが目の前にいてもだ。
ところで否定語については上のことが言えるけど、もし「分からない」が通用しない、真と偽の二つしかない事象があるとしたら、この種のパラドックスは避けられないのだろうか?
ある人はこう言葉を始めた。いいかい?パラドックスが生じたとき前提を疑うことだ。途中式をあの手この手で組み替えても決してそれは解決には繋がらない。なぜならそれがパラドックスだからだ。「もう一つ言うなら」、彼が人差し指を伸ばしたから思わず私はその指先に目を向けた。そこには宙があるだけだった、あるいは何もないから宙だった。「そもそもその主張は意味を宿しているの?」。私は既に眩暈を覚えている、それは孤独についての話だった。
20210330『箱の中のカブトムシ』を知り、20210508箱の中のカブトムシはヒトに与えられた生涯の孤独であると府に落とした。私たちは言語ないしは言葉を概念とともに習得してきた。箇条書きで「~というもの・こと」で表される事由をかき集めてたった一つの名詞(三角形・カラス)が成る。両者が認識している名詞であれば、少なくとも感覚的に「~というもの・こと」を共有して捉えていると言えて、逆に言えば、浸透していない言語は言葉通り意味の無い、ただの記号の羅列であり口から出る音の連続でしかない。三角形やカラスのように、それを見て多くの人が同じ色・形・大きさ・温度・音・肌触りを把握できて、これは▲だけどこれは■だね、これはカラスだけどこれはハエだね、と真剣衰弱のように照らし合せができれば随分と安心するのに、信号の色は青色か緑色か、こんな身近なものあたりから境目がぼやけはじめる。特に具体的な形や物体を伴わない、極めて外界や他人を理解するために機能する概念(痛み.好意)となれば、視界一面に薄い透明ガラスが何重にも厚みを作っているような感覚だ。口の動きは見えるのに何を言っているのか伝わらない通さ。
赤信号が青信号に変わったのに、私たちは歩を進めず信号を眺めている。「私には青色に見えます。」「いいや俺には緑色に見えると言ったら、俺はあなたを信じていないことになる?」-ならないです。でも信じているということにもならない。そもそもこれは肯定と否定でも真と偽でなく、私にとっては青色に見えるということと、あなたにとっては緑色に見えるということだけであって、逆に言えばそれだけでしかないからです。���もうひとつ覚えておいた方が良いことがある」彼は赤になる前に渡ろう、と言って横断歩道の白い線を踏んだ。「あなたにとっての青色と、俺にとっての緑色は同じ色の可能性を秘めている」俺たちは中身を他人と共有し得ない箱を持たされて生きている。だから、自分のカブトムシに従って感覚や概念を伝えるしかない。しかし残念なことにどれだけ自分の考えていることを話しても、本質的には自分しか知り得ない。それが俺たちが与えられた生涯の孤独というものだ。でも不幸の中にも幸福はある。これは反証し得ない仮説と同じことなんだ。誰にも俺の緑色を否定できないし偽だとも証明できない。そのなかで、色が認識されていくときの諸条件のひとつひとつを丁寧に標本化していければ、もしかしたらあなたの言う青色と俺の言う緑色は、同じ色の符号を指している可能性がある。不思議なものだよね、青色と緑色は異なる記号の羅列であり、口から出る異なる音の連続なのに同じものを指しているなんて。その逆も然りではあるんだけどさ。
私たちの中に"カブトムシ"が何千何万匹と蠢いていることはよく分かる。ざわざ��と奇妙な感触をもってこのカブトムシを感じている。この"分かる"もカブトムシのひとつなのだろう。失いたくない人を目の前にすれば、失いたくないのに好いているも愛しているも永遠も私には分からなくなる。勝ち負けや駆け引きが始まれば、言語の使われ方は本能に翻弄され意味だけが剥ぎとられ、実態を欠いた響きだけが耳に届くのだ。耳を塞ぎたい、膝を抱えたい、目を瞑りたい、この膨れ上がった頭を手放したい。でもこの耳も目も頭も割れた珈琲カップと同じなのだ。与えられた感性は仕方がないのだと散った体力をひとつに掻き集めて身体に送る。それが私というものだった。どうか信じて欲しい。私は目の前のあなたを信じていなくはない。ただ、時々、この不条理で可能性に満ちた世界を誤って拒みたくなるのだ。あなたが信じることも疑うことも放棄したことと似たように。
自己言及のパラドックスは言語の不完全性に責任を転嫁した、言語を扱う側の不完全性なのかもしれない。似すぎてしまった二つはおそらく目の前の相手に初めの一歩を踏み込んでもらうことを実は望んでいる。テイクアンドギブしか出来ない私たちが、ギブアンドテイクを惜しまない彼らのいとも簡単そうにこの暗闇から引っ張り出してしまう軽やかさを。
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ドロボウ
性格にムラがある。落ち着きがない。言葉に毒気がある。授業中に大きな声を出す。隣の人にいたずらをする。よいときと悪いときの差が極端。能力があるのだから、努力しましょう。
これは小学校の通信簿の所見欄、先生方のわたしに対する評価です。学期末に渡される通知表を見るのは、恐怖でした。自分には身に覚えのないことばかりですが、すべては事実なのです。親に見せることよりも、本当の自分を知るのが怖かったのかもしれません。決して良い子ではありません。むしろ悪い子でした。
ピアノが上手なYちゃんのお母さんは、とても美人。家にはグランドピアノがあって、本棚には漫画本が1号も欠けることなく並んでいました。広い台所からは、ケーキの焼ける甘い匂い。広い庭、駐車場には的のついた緑色のネットが張ってありました。きれいな生活。完璧な暮らし。わたしはそこにあった漫画の付録のノートを鞄に入れ、家へ持ち帰ってしまいました。
次の日、そのノートを学校へ持っていきました。自分のもののように開き、そして使いました。すると、先生から呼び出され教員室へ連れていかれました。ノートを盗ったことを認め、謝り、返しなさいと言うのです。他人のものを盗ることはいけないことだ、と叱られました。そんなことは分かっていました。外が真っ暗になって先生が諦めるまで、譲りませんでした。あのノートはわたしのものだと言い張りました。ウソつきはドロボウの始まり。わたしはドロボウ。あの日から、ずっと苛まれていました。
十数年後、クラス会の席でYちゃんに謝りました。彼女はそのことを覚えていませんでした。それはとても小さなことだけど、わたしにはショックなことでした。あの時の衝動は、まだ昨日のことのように覚えています。あの日家へ持ち帰ったのは、ノートという名の憧れだったのかもしれません。深い闇に潜む決定的な欠陥。これを自覚しなければいけないという自意識がどこかにあって、通知表を棄てることができません。
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【Kenshi】白を究めし者へ - Part2【チートMOD有】
パックビーストとしてガルを一頭購入。名前は適当にリーリーと命名。
一番安い個体を買ったから凄い小さいww まぁ、荷物さえ運んで貰えれば良いし、当分は担がれた状態のままになると思われ。
で、スワンプの遺跡を巡ってたら研削盤を発見。うどんMODの建築に必要な素材で地味に見つけにくいんだが、オブジェクトが邪魔で取れないっぽい。
しゃーないから開発者モードにして建物消したわww セーブしてロードし直したら拾えたww
で、別のスワンプの遺跡に移動。枝豆成分たっぷりの生物に乗っ取られた遺跡になっててワロタ。
しかも結構強いww 買ったばっかりのパックビーストが死にかけて焦ったぞ!
スワンプの地域を徘徊してる緑の野生生物とは別物っぽい? なんかやけに苦戦したわ。(こっちのメンバーのスキルがまだイマイチなせいもあるだろうけど)
それでも何とか全部倒して肉を抜いて遺跡内部の物は全部回収できたZOY。
で、今度は北上してシェク王国領に行くか、とか思ってたらまた真っ白なキャラバンに遭遇。主人公の突然のオネェ言葉にワロタ。
全体的しろーいww つーか、下駄の武術スキル+11って凄いなww
頑張ればティンフィスト超えられるのか……。うどんってすげぇ!
しかし、足装備でクロスボウ下がるのは珍しい。武術に全振りさせる為の装備ってことなのか?
しかも前に会ったキャラバンとは別の派閥らしい。こっちも別に買わなくても商品眺めるだけで友好度上がったわ。
で、キャラバンと別れた後、何となくでフォグタワーへ前進。そしたら初めてこの島にビークシングの巣が出来てるの見たww
ここも一応ヴェインって事なのか……知らなかったww
シェク王国付近に戻って来たらまたうどんキャラバン発見。
スワンプとか都市連合領地だとそこまで見かけないが、シェク王国だと割と頻繁に会える気がする。(気がするだけかもしれんが)
しかし、ホントに白いから分かりやすいww 遠くからでもうどんの関係者だな!ってのが分かるww
で、今度こそ眺めるだけじゃなく商品を買ってみる。
近接攻撃+12ww えげつねぇww やっぱ、うどんって凄いんやなって……。
いや、しかし、このストラップ関係の装備も拠点で作れるらしいんだが、こういうのを作りまくって装備させないとバーサーカーカントリーの工場って攻略できないくらい強いんだろうか。
最終的に30人くらいの部隊で行こうかと思ってたが、もしかして足りない?ww
もし戦力不足だと思ったら更に奴隷購入するか、って思いつつその後、キャットを救出。研究してたハイブのマサルもシェク王国領でKoufu再開。
で、キャットの筋力上げが終わった所でアグヌを救出。アグヌの筋力を鍛えた後はレイを奴隷市場から救出(購入)。
皆に高品質なダスターコートを買って南のウェイステーションへ帰宅。
もう店主が居なくなって商品が補充もされない店舗になってしまった事を思い出して、全ての商品を貰って行くことにww 警備も居なくなったせいで盗みの成功率100%になってたわww
もうちょいレイの筋力鍛えるか、とか思ってクラウンステディ近くの銅鉱脈でKoufuしてたらまた逃亡奴隷のイベント発生。
これも運良く当たりを引いてハイブの仲間をタダでもう一人GET。やったぜ。
ハイブと言えばもう一人居たのを思い出して今度はモングレルへ移動。ビープを仲間に入れて2人でKoufu開始。
そうだ、バーンも仲間にしよう、と思い立ってまたマサルをパシリに走らせてバーンをGET。
フォグマン相手に軽く戦闘訓練しつつ鉄を掘っては売って全員にダスターコートとサムライの袴とそこそこ品質の武器を購入。
モングレルの跡は北上して遺跡巡り再開。途中でもう一頭ガルを購入して部隊人数は全部で11人+2匹まで増えた。
まぁ、まだ足りないとは思ってるけど。
途中で食べ物を買いに漁村に寄ったらホッブズ発見。お前もうどんを捏ねるんだよぉ!って事で仲間GET。
東方面にも足を延ばしてヤギの塔を攻略。無事、うどんMODで地味に重要な「かじられた青本」もGET。
蟹も何匹か狩ってカニ肉GET。アイコンがやたらとリアルでワロタ。
つーか、生きてるのにKenshiの世界ではもう茹で上がった色してるせいで蟹が動き回る食べ物にしか見えないww
で、南東エリアとアッシュランド以外の場所を巡り終わって一旦、南のウェイステーションへ帰宅。
ホッブズはクラウンステディの銅鉱脈で筋力上げ。
ホッブズの筋力が程よく仕上がった所で最初に諦めた武器庫へ再挑戦。
仲間も増えたし、最悪手足が無くなっても遺跡で義肢を沢山見つけたから大丈夫だろうって感じ。
結果的には全然大丈夫だったww やっぱり戦いは数なんやなって……。まぁ、ある程度のスキルも必要だけどさ。
そんで、その後はまた砂漠へ戻って都市連合の街へ。
うどんMODの研究に高そうな敷物が必要なんだが、店売りされてないっぽい? 色々な店を回ってみたが他のMODの影響なのか店売りされてるのを見つける事が出来なかったから貴族家へ侵入して盗んできた。
で、ガルの鞄に建材を詰め込んでスワンプへ。
農業するならやっぱりスワンプかなぁ。ホーリーネーションを滅ぼしてブリスターヒル付近ってのも考えたが、まぁMODで軽量化されたスワンプの方が個人的には好みだったり(笑)
正確な場所はこの辺↑。
で、更に仲間を増やす為に奴隷市場へ。
そしたらレイの元主人を発見。
ブログには書かなかったが、興味本位でレイを仲間にした時に元主人「バーの常連」に暗殺かまして奴隷商の前に置いたんだが、ちゃんと奴隷にされてたっぽいww
元主人が髪を剃られ足枷をはめた姿を見てレイは何を思うのか……ww ���しに購入してみたら即仲間になってワロタ。
あと、スコーチランド人の男性も一人仲間になってくれたZOY。
ただ、やっぱり購入で解放してやっても棒立ちのまま動かないNPCがやたらと多い気がする。1000Cat払ったんだから逃げるなり付いてくるなりすりゃ良いのに。
って、思ったので2人ほど強制的に拠点へお持ち帰り。
檻に入れたNPCを仲間に出来るMODを使ってみる。(MOD:Recruitable Prisoners - ALL)
ある意味チートMODって言われてたけど、確かにこれは簡単に仲間を増やせるなww まぁ、今回はそこまで多様はしないと思うが、それでもここで2人の仲間をGETできたZOY。
そんな感じで次回へ続く。
次回へ
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◆artherapie(アルセラピィ) 欠品していたモデルが補充、再入荷致しました◆ 【ATサイバー リュック】 定価:25,300円(税込) 通販サイト⇒http://www.gallery-jpg.com/item/236532/ artherapie 株式会社ホワイ製〔WHY Co.,Ltd〕 素材:PU カラー:カラー緑青 サイズ:H33×W25×D11 仕様: 外側ファスナーポケット×1 外側サイドポケット×2 内側ファスナーポケット×1 内側オープンポケット×2 ATサイバー リュック。
外側にファスナーポケット、両サイドにオープンポケットあり。 背中側にもファスナーポケットが1つ。 リュック自体にマチ幅があるので荷物もしっかりと収納出来ます。 裏地は赤のジャカード生地。 内側にファスナーポケット×1、仕切り付きオープンポケットが付いています。 カーボンサイバーコーティングで水や汚れに強い堅牢な素材に仕上げました。 『VサイバーからATサイバーへ』についての詳しい説明はこちら http://www.gallery-jpg.com/original342.html ※ご覧頂いている媒体により、色の見え方が多少変わる場合がございます。 ※店頭でも同商品を販売しておりますので、通販サイトの在庫反映が遅れる場合があり商品をご用意出来ない場合がございます。予めご了承頂きますようお願い致します。 ⠀⠀// 🗣 いいね・保存・コメント大歓迎!ご来店お待ちしております! \\ ━━━━━━━━━■アクセス□━━━━━━━━━ なんばCITY本館の1階 大阪難波郵便局側から入って1軒目 靴のダイアナ(DIANA)の隣 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Gallery なんばCITY本館1階店 〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波5-1-60 なんばCITY本館1階 【営業時間】11:00~21:00 【休館日】8月、9月無休 【PHONE】06-6644-2526 【e-mail】[email protected]
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本当に必要なもの?
はじめてのマレーシア🇲🇾
コロナ禍を経て久しぶりに訪れたアメリカと韓国に心踊らずどうしたものかと肩を落としていたら
東南アジアが私の好奇心を突き動かし
今見たい景色、訪れたい国がたくさんある。
今月はマレーシア、クアラルンプール。
正直なところお水は合わないし、お手洗いも衛生的に私は住めない
クアラルンプールは活気があって日本より遥かに大都会
でも1本裏道を歩けば発展途上国を感じさせる街並みがあり、
様々な宗教やカルチャーが肩を寄せ合い生きる、異国情緒溢れる空気感がなんだかわたしにはとても心地よかった。
でも数日で飽きてしまい、残り一日
シンガポール?ベトナム?フィリピン?バリ島?
どこで過ごす?
多動症3人とその子供の旅はいつだって突然に
パソコンを広げ大胆に予定を変更する動きに出る。
予め変更可能にしていたエアーとスケジュールと戦いながらも現実的にマレーシア国内に移動することになり大都会から離れ自然豊かな場所へ
夜中に到着し、翌朝起きたら海の上に立つモルディブのようなヴィラでした。
そしてそのままマングローブツアーへ
やっぱり私は自然が好きだなぁと再確認しつつ
私たちのボートの横を優雅に何の警戒心もない
トカゲ🦎が泳いでいて
そのトカゲを見てすぐ私の頭に浮かんだのがあの鞄でした。ブレスレットも浮かんだ。。。
人間の愚かさ、私の未熟さ
色んなものを一瞬で感じ取り
20代の頃、物欲モンスターだった私はいつかはリザード、クロコなどのエキゾチックレザーを手にすると憧れていたことが恥ずかしくなった。
人間は動物の皮を剥ぎ取り自然から命を奪い
ファッションに取り入れ、高額で売り買い。
人間の見栄のための犠牲
なんて無意味な循環なのだろう。
それは本当に必要なもの?
都会に居たら気付くことができなかったことを
マレーシアの美しきマングローブの中で私は大きな学びがあった。
だからと言って今大切に所有しているリアルレザーのファッションアイテムを全て手放す勇気はまだ無い、でも今後の向き合い方は大きく変わっていくのを感じている。
そして私が作るモノづくりに大きな影響を与えてくれることには間違いない。
いつだって学びと気付きはふとした瞬間に
必要な時期に与えられる
いつだって人間と地球、自然は循環しながら共存すべきであることを。
美しき緑の地球より🌏
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2022ベストバイ(前半)
おはようございます。
年が明け2023年になっても、全然実感が湧かない。腑抜けたまま1月を過ごしている。
記憶と記録整理のため、2022ベストバイをします。
購入というより何にお金を支払って満足したか、と言う点を重視するので、ベストペイの方がしっくりくるかも。
【1月】
mame kurogouchi / ボタンジャケット
一発目から人生のベストバイにも値する一品。
2020ssかな?発売時に一旦ステイするもののどうしても忘れられず、血眼で二次流通を探し続けること約2年。状態良且つマイサイズのこちらを発見し、即購入。
ショート丈に丸みのあるシルエット
中にコットンT、ボトムスをデニムで合わせてカジュアルダウンさせる着方がとても好き。
大切すぎてなかなか着れていないのが難点。
【2月】
henderscheme/ assemble hand bag tall (M)
こんなに可愛いのにお手頃価格なこいつ。
当初の狙いは黒だったものの即完。とりあえずサイズ感だけ〜と持たせてもらったこのターコイズブルーが思いの外ハマって購入。コーディネートの主役にもなるし、差し色として大活躍中。
【3月】
moonstar × TOMORROWLAND / ハイカットスニーカー
これはバイではなく、大学時代の友人から貰ったもの。
落ち着いたサーモンピンクと緩やかなシルエットに一目惚れ。
絶妙な色味なのでどんな服装にも合う。履いた時にパカパカ言う音も可愛い。ちなみにスニーカーの類はワンサイズ上でデカ履きするのが好みです。
【4月】
HTS / ワークシャツ・パンツ
全身の写真がなくてすまない。
アパレル時代、系列の店へふらっと赴いた際に購入。
トラディショナルなワークスタイルのシャツとパンツなので、ダボっとしたシルエットも絶妙。セットで着ても、別個に着ても肩の力が抜けるようなゆるい雰囲気が素敵。シャツのボタンが真っ黒でかわいいのよ〜
セットで着る時はアクセサリーを着けないとパジャマになる。
【5月】
must de Cartier Vendome
これも人生のベストバイ
憧れのカルティエウォッチ。
近年のコレクションではヴィンテージデザインの復刻も多く、そのデザイン元である70年代からのmustシリーズ。
店に入荷した時、「これだ!」 とときめいてしまいそのまま私の元へ。まだまだ身分不相悪だと思うものの、ヴィンテージは機を逃すと後からの後悔がでかい。ここまでの綺麗なコンディションと珍しいデザインはもう出会えないかもしれない。ので、買いました。尾錠も純正のものに付け替えた。
サイズはLM。本当はSMが良かったけれど、かなり薄いつくりなので大きくてもセーフでした。
【6月】
aesop / Hwyl
めっちゃ好き。今も2本目をリピート中。
ウッディ且つスパイシーな香りだけどみずみずしい。
これを付けてると「いい匂い」と褒められることが多い。
しばらくはこれを愛用します。
【7月】
①PORTER / PX TANKER 2WAY HELMET BAG (L)
仕事にもプライベート用にも持てる鞄を探しているところに飛び込んできたタンカー。
私はよく鞄のファスナーを開けっぱなしにしてしまいがちだけど、中がオレンジなので見えてても可愛い。オンでもオフでも現在大活躍中。
②直島 / 李禹煥美術館、地中美術館
バイではないが、ペイして良かったので紹介。
フォロワーの方からおすすめされて興味を持ち始めた李禹煥。帰省したついでに直島まで足を運んできた。
圧巻。瀬戸内海の海と島の緑に囲まれた大自然の中にある作品は、想像以上の素晴らしさだった。
また、館内写真撮影不可だったので写真はないが、地中美術館のモネとウォルターデマリアも息を呑むほど美しかった。何度だって行きたい場所である。
【8月】
①TANG TANG / Tシャツ(Edition別注)
白Tは3日と持たないわたしが手に出してしまった一品。
襟元のタグと裾部分のスタンプにやられた。タグデザインに弱いわたしである。
少しガサっとした着心地に、若干のオーバーサイズでこの夏はHTSのパンツで合わせることが多かった。プリントが施されてるのでシンプルなコーディネートも弱くならないところが好き。
②POTETE / ヘアピン
なんとなく存在は気になっていたものの、あまり手に取る機会がなかったポテテ。
当時はまだ髪が長かったので、阪急ポップアップの際に駆け込みで購入。留めるだけでおしゃれになるのでめちゃくちゃ助かる。
謎の画像掲載制限のため、一旦ここまで。割といい買いものしてんな。
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��My Favorite Movies of 2022】
【My Favorite Movies of 2022】
ノー・シャーク
バスタブとブロードウェイ: もうひとつのミュージカル世界(U-NXET邦題ブロードウェイとバスタブ)
エルヴィス
セイント・モード/狂信
アポロ10号 1/2: 宇宙時代のアドベンチャー
スペンサー ダイアナの決意
NOPE/ノープ
ミセス・ハリス、パリへ行く
幸せへのまわり道
マイ・ニューヨーク・ダイアリー
*今年も「3年ルールで2020年以降公開を新作とカウント」します。 ◆劇場で
『エルヴィス/Elvis』
“その時、腰が動いた”。メンフィスからラスベガスまで悪夢と背中合わせのスターダムを貪り、貪られ、燃え尽きるまでの英雄暗黒神話。パーカー大佐を語り手に大胆に解釈した、魔術(ブードゥー?)的ジェットコースター映画。20世紀アメリカ史、ポップ音楽史、芸能史、信仰、亡霊…の複数レイヤーはぴったりくっ付いたまま、どれも切り離せない。エルヴィスもその一つ。でもこんだけアメリカの光と影を象徴するポップアイコンは、エルヴィスかマリリン・モンローくらいだろうな。(奇しくもその2人の映画が同じ年に…)
『スペンサー ダイアナの決意/Spencer』
『ジャッキー』に続き、パブロ・ララインの20世紀実録風「亡霊映画」。ジョニー・グリーンウッドの音楽、まるで棺を運ぶように進む車列、そこにあるキジの屍、そして「何かが見ている」気配を感じる亡霊視点のカメラが過剰にオカルトホラー。ダイアナは魂を失くした着せ替え人形と化し、二つの屋敷の間に放置された案山子だ。けど、ララインは亡霊を殺しはしない。ただ穏やかに安らぎを与えるのだった。
『ミセス・ハリス、パリへ行く/Mrs. Harris Goes to Paris』
憧れは力なり。キラキラ輝くドレスと、それに心奪われる瞬間のドリー・ズーム!ミセス・ハリスの赤い頬、ちょこまかした仕草、時に押しが強い姿勢、旅行鞄で佇む姿はまるでパディントン。でも実は対価についての話であり、「箱とその中身」の話で、ある意味左岸派映画。贅沢は敵じゃない!レスリー・マンヴィルとイザベル・ユペールの共演こそ、ほんと贅沢でした。
『NOPE/ノープ』
思った以上にスローバーン。そして思った以上に『ヴァスト・オブ・ナイト』と対になる。何せ、方や「I see you」、方や「I hear you」だもの。アレはアダムスキー型というより、下から見上げたカウボーイハットみたいだった。
『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』
作家になるにはNYだ!と、まずは憧れの力ありき。でも書く以前に読んでばかりの読書映画。ひたすらインプットの日々、消化しきれないほどの情報や知識や刺激的体験が次々と。羨ましいやらわかりみ深いやら。「フラニーとゾーイー」を久々に読み直したくなった。
◆配信で
『ノー・シャーク/No Shark』 https://www.amazon.co.jp/dp/B09KGFZ86K?tag=vod_contentsdetail-22
サメに食われたいのにサメはなし。NYのビーチを転々としながら、ひたすらその時を待つ女の脳内モノローグが延々と続く。まるで「ゴドーを待ちながら」か、ひとりマンブルコアか。正に人を食ったようなオチと、Toby Goodshankのエンディング曲がダメ押しする、デッドパンでナンセンスな「探索的狡噛」。それでもれっきとしたビーチ映画でサメ映画(反ジョーズ映画)。あの声とリズムが妙に心地良かった。
『バスタブとブロードウェイ: もうひとつのミュージカル世界/Bathtubs Over Broadway』 https://video.unext.jp/title/SID0067147
企業ミュージカル・レコード沼へようこそ。それは知られざるミュージカルの宝庫、もう一つのショウビズ世界。名作や名曲があり、巨匠もスターもいた。深い、深いぞこの沼は…!愛と情熱、同志との出会い、真剣で貪欲な探究心が思わぬ広がりを見せていくのにワクワクしかないドキュメンタリー。マニアの真っすぐで曇りのない愛が起こす奇跡に清々しく心洗われた。
『セイント・モード/狂信』 https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09HNDY45W/ref=atv_dp_share_cu_r
『キャリー』meets『ミザリー』を更にメンタル・スプラッターに振り切った感じで、ローズ・グラス監督デビュウ作は完成度高いと思う。陰気に寂れたコニーアイランド、ワンルームのアパート、主演モーフィッド・クラークが良い。
『アポロ10号 1/2: 宇宙時代のアドベンチャー』 https://www.netflix.com/title/81161042
ロトスコープ・アニメで事細かに再現したスペースエイジの子供時代。ギプスしてる子が必ずいたとかイタズラ電話とかあったあった、TVアンテナに巻いたアルミホイル細かすぎ!でも記憶とは既にファンタジー。同じ69年の『ベルファスト』と通じると思った。ベトナム戦争とアイルランド紛争、少年の頭の中で混じり合う虚実、モノクロやアニメーションとしてパッケージ化した少年時代…けど、こちらには帰る家があって安心して眠れる。その楽観性が尊い。
『幸せへのまわり道』
(Amazonプライム、 U-NEXTほか)
トム・ハンクスはご本人完コピ以上に、優しく細めた目の奥にぞっとさせるブラックホールを演じているから恐るべし。殆ど瞬きしないし笑顔なのに笑ってない、『コラライン』のボタンの目みたいな…つい覗き込んでしまうようなその目に映る自分を見つめざるを得ない。ロジャースさんのシーンは全部、心がツーンとする。君たちは僕であり、君にできたなら僕にもできる。大変だけどやらなくちゃ…。ご本人の歌声が流れる中、優しさの王国ミニチュアセットを組み立てる男たちの手!
◆他にも良かった
『アネット』
緑のローブで殆どメルド(ドニ・ラヴァン)と化してるが、アダム・ドライヴァーはマイクとも人形ともプロレスができる、ほんと良いプロレスラーだな!先にサントラ聴いてたのもあって、スパークスのナンバーが頭から離れない。
『レット・ゼム・オール・トーク』
事件のないミステリー。ロードのないロードムービー(客船だから)。けど作家と探偵と死体はいる。そこがとても面白い。いわば聞き込みをする探偵役、ごく自然と年上に懐き気を許させるルーカス・ヘッジスのリアクションが絶妙。ソダーバーグは今まで特にピンとこなかったけれど、これはかなり好みで楽しかった。
『さよなら、私のロンリー』 https://www.netflix.com/title/81239497
エヴァン・レイチェル・ウッドの長くて重たそうな髪とダボダボな古ジャージ姿、動物的で芸術的な身のこなし、そして野太い声のインパクトたるや。生まれたてでおっぱい目指して匍匐前進する場面はちょっと感動しちゃう。痛くて甘くて苦くて儚くて曖昧で奇妙な、説明しにくい感覚をユーモラスに掬い取ってみせるミランダ・ジュライ。『ニューヨーカー誌の世界』にある短編小説の映画化『ロイ・スパイヴィ』も、ほろ苦く甘い後味が好き。
『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』 https://www.netflix.com/title/81341644
銀貨30枚より銃よりも強いのは、権力のバッヂ(今だからこそ尚更うんざりする話だ)。言葉と目力で深く静かにカリスマ性を放つダニエル・カルーヤと、身軽な身体で飄々とリアクションするラキース・スタンフィールドがとても良い。特に「何なんだよもう!」って巻き込まれて焦って悪足掻きするラキースは毎度最高、そのジレンマは滑稽なほど哀しい。���督シャカ・キングの演出が非常にソリッド。
『ワールド・トゥ・カム 彼女たちの夜明け』 https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09HNDVQL7/ref=atv_dp_share_cu_r
黒髪長身キャサリ��・ウォーターストンと赤毛ヴァネッサ・カービー、これ時代が違えば『テルマ&ルイーズ』だ。だから悲劇だけど希望でもある。展開とは裏腹に、雪に覆われ荒涼とした冬景色から夏を迎え、来るべき世界へと「台帳には記録されない」女たちの地図。
夜空に星のあるように(リヴァイバル)
ザ・フォッグ(リヴァイバル)
ディナー・イン・アメリカ
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
ヒッチャー ニューマスター版
家をめぐる3つの物語
ザ・ハーダー・ゼイ・フォール 報復の荒野
パワー・オブ・ザ・ドッグ
ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!
幸せの答え合わせ
TOVE/トーベ
目指せメタルロード
トラブル・ウィズ・ユー
ペトルーニャに祝福を
元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件
洞窟
マチルダ・ザ・ミュージカル
ホワイト・ノイズ
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Photo
「動物を、どう食べるか」 自然食志向だけど肉も食べる友達が、ある牧場のことを教えてくれた。 その牧場は肉牛を育てているのだけど、牛たちはに緑の中をのびのびと生活している。子牛のころから知り合いや友達の名前「たえこ」「いちろう」をつけて、親しみ深く、人間の子供も一緒に楽しく遊んだり、餌をやったり、寝そべったり、愛情深く丁寧に育てる。その写真がSNSにアップされている。楽園のようだ。 その「たえこ」はある年齢になると屠られる場所につれていかれて、「たえこ」というラベルを貼られた肉になって戻ってくる。 すごくいいんだよ、お肉も美味しいんだよ、と友達は教えてくれた。 「へえー」とうなづきながら、へんな気持ちがした。それが何なのかはわからなかった。 この話を別の友達に話したら、彼女は同じように名前をつけて鶏を育て、よく懐いたそのピー太郎(仮名)が目の前で苦しまないように絞められて息絶えるところを見て、羽をむしって桜色のきれいな肉になるのを見て、その肉が並ぶ鍋を食べたそうだ。 可愛がっていたものが自分の血肉になるのを感じて、命の循環っていうか、本当に命をいただくって感じがしたよ。 わたしは、それはわかる気がした。そこで牛バージョンの何がひっかるかというと、屠るところを見ないからではないか、と思った。 いつぞや、牛の病気が流行って、肉牛が大量に回収されて殺されたとき、肉牛農家の人たちが「牛がかわいそうで悲しい」と嘆いたら、当時人気ブロガーのきっこが、 「牛にしたらどんな理由で殺されようが人間のために殺されるのは一緒であって、かわいそうだと思うのは人間の勝手、肉牛用の金が入ってこないことが悲しいだけだ」 というようなことを言い切って、炎上したことがあった。 また、以前参加していた交流会の打ち上げで 「馬刺し店に行こう」 という提案に対して 「馬の肉を食べるなら私は行かない」 と強めの申し入れをしてきた人がいた。面白く思って聞いてみたら 「馬を食べるなんて。馬は食べるものじゃないですよ」 と言う。 「牛はいいの」 と聞いたら 「牛はいいですよ」 と言う。 また、学生のときに、お嬢様が、 「中国に行ったらかわいいふわふわの子犬がかごに沢山入っていて、それが食肉になるって。もう信じられなくて、あんな国、もう二度と行かない」 と怒ってい���ことがあった。 今はあるかどうかわからないけど、10年前は東京に犬の肉を出すお店があった。誘われたけど、私は血の気の味が苦手で獣臭のバリエーションを楽しめないので断った。何人かの友達が食べに行った。味はどうだったのだろう。この話をすると顔をしかめる人と、「どこ?行ってみたい!」という人と別れる。先出のお嬢様はきっと行かないだろう。 私自身はベーコン40キロを作るため、食肉センターに行ったときの印象が忘れられない。 そこはそのあたり一体が不気味な感じで、何がそう感じるのか考えてみたら、恐らく血の匂い、哺乳類の血の匂いというのは、本能的に警戒状態に入らせるというか、ここに長くいられないというか、霊感のある人だったらきっと何か言い出すような、五月晴れの爽やかな日��独特な冷たさがあった。 どんな人でも今育てているペットを殺してその肉を焼いて食べましょうと言われたら発狂するほど怒るだろう。 愛情をかけたものを殺して美味しく食べてしまうという感覚は、まだわからないけど、 「最後に食べてしまう」という結末を知っていながらの愛の形は、一緒に寝起きし果ては介護まで引き受けてその死を看取る「愛玩」動物への愛とは、根本的に違うのだろう。 肉を食べる以上、少しでもそのあたりを知ったほうが良いような気がして、屠る系の映画を見たり、本を読んだりしている。 写真は昔子供と観に行った映画。 日本の映画で見た屠り方とは違っていた。合理性や宗教、ノルマの頭数など、そのあたりもお国柄が出るのだろう。 「殺してしまう」行く末のものにかける態度を考えるときは、 カズオイシグロの「わたしを離さないで』(Never Let Me Go)」が直結します。 食べていいもの、いけないもの。 かわいそうなもの、愛の形、エゴ、魂、命の循環。 (循環と言いながら人間は誰にも屠られない) 毛皮、鞄、靴。 ではでは、サロンでお会いしましょう。 #青山一丁目 #スウェディッシュマッサージ #グリーフマッサージ #グリーフケア #ヘッドスパニスト #ヘッドスパ心斎橋 #jiroworkshop #食肉 #食育 #屠る #肉を食べる #命の循環 #肉牛 https://www.instagram.com/p/CSifJ5LJLMy/?utm_medium=tumblr
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高台に暮らす
ひっそりと暗く澱んだこの部屋を出て、春から高台で暮らす。 光を浴びて、私も樹のようになれるだろうか。宿まるための木はひっそりと、大樹のように大きく高く。あるいは細い手を無限に伸ばし続ける蔦のように広く。 そうして包み込めるだろうか。すべてを。愛すべきすべての人びとの、すべての悲しみとすべての喜びを。すべての密やかな望みも、囁きも。すべての痛みも孤独の喘ぎも。
私は聖域を建てる。あなたがたを、あなたを、誰も侵すことのできない場所を建てる。誰も誰をも害しえない場所を。すべてが許される場所を。
生とは与えられた役割を全うすることである。
いまからちょうど二年前の春、親しい友人夫婦が、私も一緒に考えさせてもらった名前を生まれた子につけてくれた。あなたの考えてくれた名前に決めたよと知らされてとても驚いた。そんなことがあるものだろうか。そんなふうに、自分たちの人生に誰かを、私なんかを、丸ごと受け入れてくれるような出来事が。 二人が私に惜しみなく与えてくれる愛情は、その勇気は、自己憐憫に耽って胡乱に暮らすそれまでの日々を壊すだけの大きな力をもっていた。 あの春、生きることを祝福しながら生きてゆく絶大な必要が私に初めて生じた。私の姿を見て人生について何かを知るかもしれない子がこの世に生まれたのだから、私はもう、無為で腐りきった絶望に甘えてこの生をもてあそぶわけにはいかない。私はこの子の誇りにならなければならない。
坂を上って折り返してまた上って、建物の四階まで上ると空がひらけた。夕刻なので東の空には淡い灰色が広がっている。 「人を選ぶ物件なので表に出していないのですが、多分気に入ると思います。とりあえず見ますか。」返事も待たずに立ち上がった不動産屋の後にしたがって、坂を上って折り返してまた上った。 「坂の上にあるからね、ほら見て、あそこにマンションがあるでしょう、あの八階の高さとここが同じなんです。」そう言って不動産屋が無邪気に笑う。いいでしょ、と言うので、いいですね、と返事する。 不動産屋はちょっとだけ意地悪そうないたずらっぽい瞳をしていて、乾いた笑いを混ぜながら私が新しく住もうとしているこの土地に古くから住んでいる住人たちの、湿ったような乾いたような不思議なしがらみについて語る。媚びもせず、隠し立てもしない、ざっくばらんな口のききかたをするこの人のことを、さっき初めて顔を合わせたばかりなのに妙に信頼できる。なんとなく、相手もそう感じているような気がする。
赤れんが色の、古い建物だ。新しく設置されたらしいぴかぴかの宅配ボックスや中途半端にリノベートされた室内の妙な白さで古さを誤魔化しながらも、根底では建物自身がその古さに誇りをもっているのがわかる。ドアの軋みが清々しい。東の壁は窓張りになっていて、狭いバルコニーが二つある。隣接するビルもなく、空とも町ともつかないぽっかりと浮かんだ空白がゆたかな風を含んでいる。 この窓から、春にも夏にも大きな風が吹き込むだろう。朝には眩しい朝日が差し込むだろう。曇りの日には雲の動きが見えるだろう。雨の日には雨の終わりが見えるだろう。いつぶりだろう、こんなに空が開けている景色を見たのは。 その場で「できればここに住みたい」と伝えた。不動産屋は「よい条件で住めるよう手を尽くしてみます」と言って私を歓迎してくれた。
八年前に、自分の胡乱さと愚昧が犯した罪をほろぼすために、光のない部屋を選んで暮らし始めた。 薄暗く、自分の内臓の延長が広がっているようなみすぼらしい部屋。趣味の悪い壁紙の小花柄の、その趣味の悪さがそのまま私のみっともない皮膚の内側のようだ。内臓のようだ。肋骨の内側の血管ひしめきあう血なまぐさい卑しさそのもののような部屋。この部屋は窓が狭く湿気が多く、東向きをうたいながら朝でさえすでに暗い。 毎日、陰鬱な一日を予兆させる目覚めを目覚めた。光のない部屋で自らに罰を与えた。自分は低く卑しい存在で、この薄暗い部屋を出る資格はないと判断して、ずっとそこにとどまっていた。この陰鬱な部屋は私によく似合っていた。私はこの部屋以上のものを求めてはならなかった。
内見��ら一週間後、吉祥寺で午前の仕事を終えて乗った真昼の中央線で心底死にたくなっ��いたところ、不動産屋から「準備が整いましたので、契約にいらしてください」とのメールが届いた。 あまりにも惨めで虚しくて屈辱的で、打ちひしがれて、次の駅で降りて線路に飛び込んで快速急行だか何だかに轢かれて死ねればどんなにいいことかと思っていたところだった。携帯電話を握りしめたまま、膝においた鞄の革に突っ伏した。俯いて深呼吸する。 そうか。あの空が手に入るのか。 高台の部屋以外に準備した候補物件はやはり光のほとんど入らない狭い部屋で、もしまた薄暗い部屋に住むことになったらもう自分を諦めよう、と身構えていた。世界が私に明るい部屋に住んでいいと許してくれるのならば、もう一度新しく生きられるのかもしれない。 緑の多いあの土地の高台で、陽光を浴びながら暮らすところを想像する。 春の風に包まれながら暮らす。眩しさに目を細めながら暮らす。雲の流れを追いかけて暮らす。雨の終わりを眺めて暮らす。 煤けた体が漂白されていくような心地がする。
あの春、あなたが生まれたあの春は、私にとって大きな大きな光の差した春だったの。宝物みたいな出来事が起きるたびに、この話を聞いてほしい、微笑んで頷いてほしいとずっとずっと密かに望んでいた人が、話を聞いてくれる人になった春だったの。奇跡みたいでしょう。あなたはまだ、誰にも話せないことをもたずに生きているかもしれない。誰にも話さないと決め、唇をぎゅっと結んで喜びを諦める、そういう重苦しさを胸に秘めることなく生きているのかもしれない。でも、きっといつかわかるよ、誰かに話せることで救われる孤独があることを。そして、誰にも話せないことで極彩色に輝く美しい孤独があることも。 あなたが生まれたあの春、私は私自身の欲望や意思や能力の手の届かないところで大きくゆっくりと動いている世界が私に与えてくれるものへ払うべき敬意の存在を知ったの。恥ずかしながらね、それまで知らなかったの、世界のこと。すべては適切に与えられるものなんだよ。だから大丈夫。安心して生きるといい。得られなかったものに固執しなくていい。あなたが欲しがっているものよりもずっと重要なものがあなたには与えられる。 どうしても苦しくなったら私のところにおいで。ここだけはあなたの聖域になると思う。あなたを守るだろう。私が認めて、私が許そう。私が抱きしめよう。私が温めよう。私が涙を拭おう。私はね、あなたのためにアジールを建てたんだ。あなたが侵されない場所を。あなたが許される場所を。あなたが、安心して目を瞑ることができる場所を。黙していられる場所を。
春から高台に暮らす。ひっそりと��く澱んだこの部屋を出て、ようやく、光の祝福を浴びながら高台で暮らす。 高台に暮らして、光を浴びて、空を見る。雲を見る。雨を見る。聖域を建てる。坂を上って、階段を上って、息を切らしてようやく辿り着く聖域に暮らす。 八年ぶりに光を浴びて、私も樹のようになれるだろうか。大樹のように大きく高く。蔦のように広く密に。 そうして包み込めるだろうか。すべてを。すべてを愛することができるだろうか。人を抱きしめることができるだろうか。抱きしめることを自分に許すのだろうか。人を愛することを自分に許すだろうか。許す気がする。愛する気がする。光が差し込めば、光を浴びることさえできれば大丈夫な気がする。
私はこの高台で、あなたを待っている。この高台で陽光を浴びて、わが生を盛大に祝福しながら、あなたとおしゃべりできる日を待っている。 待っているよ、この明るい部屋で。雨の終わりの見えるこの明るい部屋で。
(2020/04/01 23:44)
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