#紅葉もガスで残念
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10月23日の月曜日、山友のKくんと「平標山」に登ってきました。新潟県にある2千㍍弱の標高の山です。
いつものように海老名駅でKくんのクルマに拾ってもらって新潟に。3時間ほどで登山口の駐車場に。苗場スキー場のちょっと先です。
9:14分に登山開始。松手山までは急登が続きます。あえぎながら登りますが、まわりの紅葉はほんとうにきれいです。空気もおいしい。これは山に登る人にしかわからないだろうと思います。
12:05に平標山の頂上着。谷川岳方面はガスがかかっています。ちょっと残念。昼を食べて12:43に出発。万太郞山がりっぱな山容を見せてくれます。
大学生の時、この平標山から谷川岳への縦走を何度かやったことがありますが、山の様子はまったく記憶していませんでした。よい山です。自分が歩く稜線がこれだけはっきり見える山はそんなにありません。
下山は小屋方面に。おいしい水が湧いています。その先も紅葉がきれいでした。14:58に駐車場着。鉄泉の濁り湯につかって帰宅。Kくん。いつも運転をありがとうございます。
錦秋の山 良かったです。写真から秋の山を感じていただけたらうれしいです。
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水と油の冒険欄の投稿に使おう🫨
御茶ヶ滝ウォーターワールド「最上位現実の彼、彼女達は53万歳正統派処女童貞ばかりです😑(👆の画像は完全に真実なので何も言い返せない)」超電波油アンタッチャブル「そんな一族も堕ちていく事がある?だから俺様が霧島04の正統後継者としてジュンコウランキングのトップに躍り出る🥴」御茶ヶ滝「むっつりさんだってバラすよ?😏」超電波油「死なば諸共よ😡」御茶ヶ滝「やんのか?🥶」
Σ(シグマ)の相棒達は、お互いを女の子に売ることを考えだして衝突するようになった まるで火事を呼ぶ冷戦状態のように
放射線汚染地域のど真ん中でライブ配信をしながらある闘いで欠席しているアイエフさんのお弁当箱を広げると、とある馬鹿3人は大き目のはしゃぎ声で盛り上がりながら食べ始めた。本人が居たらアンタ達バカなの?😱?こんな所で食べるんじゃないわよ!!あ〜もう、美味しそうに頬張って〜😫」 と突っ込みをもらう完全な名シーンに繋がったであろう
〜過去〜
ともちん「この世界のルールだからごめんね⭐️、お詫びにサポートするし代謝で何とかなるから💦 恋をする資格なんて誰にでもあるよ❣️、この裏の記録を塗り潰せば大丈夫。優しい人には関係ないんだから」
youtube
映像には誰も気づけない麻酔ガスで眠らされている間中、もどかしそうに顔を紅くしてうめきながらF(フェア):ヴァストローデ達に身体を好き勝手に触られて可愛がられる霊猫蒼海
霊猫蒼海「あなた達にこんな事された真実は変わらない。ここが下位現実でも、お母さんが産んでくれた私の一番大切な身体なの‼️ 血と肉がある内にこそ夢を叶える意味がある、今を一生懸命に生きるプライドがあるんだから。好きな人を騙す事なんて出来ない 分かんないよね、あなたは不幸の連鎖を断ち切れなかった弱い人間だった訳だし」汚い物を見る様に自分の肩を掴みながら引く姿勢
〜今〜
F(フェア):ヴァストローデ「配信みてたよ!目立ちたいの?お姉さんと一緒に大人の階段登らない?😚」 霊猫蒼海「結構です(キッと睨む) 私は気高くて、時代遅れな霧島04とは格の違う最っ強の純粋硬派柱!!!!」御茶ヶ滝「俺も俺も🙃👍」超電波油「てやんでい‼️俺は伝説の純粋硬派柱だぜえ👊😤✊」F(フェア):ヴァストローデ「……そっか……そうだよね………」
F(フェア):ヴァストローデ「やっぱり正しいのはあの子達よ、人前では完璧だったもの…理不尽な盗撮で得た幸福なんて言葉のサラダを押し付けるのも同然なのに」ともちん「私達はあの子達を食い物としてしか知らない、碌に会話もしてないからあの子達が見て欲しい自分を何も知らないまま想像の中で意味なく補ってきた だから去っていく不可逆の友情。身勝手なこと言っちゃった…」
〜新章開幕〜
倒れているゲイムギョウ界の少女
純粋硬派柱SuperPuraguroGhost00 ドンガッチャ「所詮アイエフなんて大した事なかったな、持ち上げられた伝説に呑まれすぎなんだよ。こうして二番煎じをぶち破った俺と言う例外をみろよ雑魚ども」アイエフ「アンタ、今に見ときなさいよ……負けは負けだけど次は本気かもしれないからね」超鬼難ドンガッチャ00「そいつは楽しみだぜ。半端な知識で舐めるやつに教えてやる、俺は超鬼難のステージにたってる(思えば本家を継ぐとか言ってた奴等にもこれで証明できたか)」
〜数十分前〜
メンチース09「アイツは別格なんよ。↑こうして現実の人間も騙す “””数千回自殺しとる時点で赤き真実のついた命乞い以外は全て演技””” リキッドスネークに例えられてきた理由は傲慢(根性)と悪意(絶対優位)が併さって父親2人の弱点が完全に消えとるからなんや。なろう系主人公がぎょうさん集まり追い詰めても笑いながら胸糞悪いのだけ残して死ぬんよ」富豪05「殺せば大切なものを守れると考えて出した倫理的正解はアイツには通じない。自殺マニアの命乞いが見れるのは決まって真の裏ストボスのみだ。それでも最強の純粋硬派柱を自称するなら質問させてくれ 香氣04についてどう思う?」
超鬼難ドンガッチャ00「俺はこう答えた。救う必要がねえwww こいつは人をいじめた事があるしアスペルガーで周囲に迷惑をかけてきた。水商売をしてる女性(守るべき存在)に対して陰口みたいな噂をする時、””””B(バ��)の家族達みたいにあいつら淫乱だよね〜売春なんかしてさー、w””””って歪なストレスのはけ口にするのは本人達も喜ぶ つまり、根が真面目で信念を貫く気高さが正しいとは限らない。全員同じ人間のカテゴリーに入れて純粋な敬意を払っても自殺の記事をみて生命の有無だけを嘲笑ったらやってる事がサイコパスだ。だからこんな奴嫌いだww。いじめっ子だった時の同級生を幸せにして優しい大人になってから切り捨てて当たり散らして、結果的に誰も望まない形のそんなツケを払わせる為だけに好かれる我慢をしてきた軟弱者なんてよ……ギリッ(歯軋り)、俺は違う。ぶつかり合って切っても切れない関係、俺が一番好き勝手するそれが友達だ 純粋硬派柱ランキングの頂点になるのはこの俺だ いつだって邪悪より熱血だろ」ガチャっバタン
富豪05「程度が知れたか?」メンチース09「まだわからんよw、しかし今のアイエフはワンフォーオールで体が不自由な人達を……」
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剱岳、別山尾根テント泊
3回目のアルプスは、春からの目標だった剱岳へ!天候の関係で2泊3日の予定が1泊2日に、それが私の体力面の問題で結局2泊3日で終わるという、ややこしい展開でした…。
新幹線、電鉄富山、ケーブルカー、バスを乗り継ぎ室堂入り。 富山名物の白エビかき揚げの載った立山そば��腹拵え。
外へ出ると雨だったのでレインウェアを着込むも、降ったり止んだりで蒸し暑い…。
みくりが池。 ここの温泉は日本一標高が高いと聞いて、帰りに入ろう!と話していたのですが…。
山ガスがシューシューと音を立て、硫黄の臭いが立ち込めています…。 右奥に見えるのが雷鳥荘ですね。
池塘。少し紅葉が始まっている感じ。
今回は泊まれないから…と、記念に撮っておいた1枚。結局泊まったんだけど。
雷鳥沢キャンプ場が見えて来ました。空も晴れて来た!
清く澄んだ川を渡ります。帰りはバテ過ぎて、ここに飛び込みたい衝動に駆られました…。
またガスって来ました。 この辺までは、まだカメラに向かって笑う余裕があったんですが…。
雨の中、登りの途中でバテてしまい、せっかく軽量化して来た同行メンバーに荷物を手分けして運ばせてしまう事態に…大変申し訳ございません。
その後はバテていたので途中をだいぶ端折りましたが、剱御前小屋の先から見えた雪渓です。
剱御前小屋の前で少しだけ休んで、写真を撮る余裕も出て来ました。
剱御前小屋から劔沢キャンプ場までは下り基調で幾らか回復。
今夜の野営地、劔沢キャンプ場が見えた! テントはサクッと設営するも、雨で冷えたのか今回も低体温症気味。 しかもマットを持参し忘れ、殆ど眠れず…夜中に静かな星空と満月は堪能したものの、完全に寝不足。
夕飯時は雨だったので、テント内で各自自炊。 シーフードカレーメシにウィンナーとチーズをプラスして、コーンポタージュと共に頂きました。 4人で来てるのに、孤独な夕飯…。
朝もテント内で一人。 尾西の五目ご飯、アマノフーズのナスの味噌汁、紀文の切れてる玉子焼き。 こんな時間(2:45)に、食べ過ぎで満腹です。
身支度を整え、未明に出発。 ちょこちょこルートを間違えながら、気付けば既に2番目の鎖。 この先も鎖場には番号の付いたプレートがあるのですが、多いので割愛します。
お、東の空が白んで来た! 「山際少し明かりて ようよう白くなりゆく」ってヤツですね。 春じゃなくて秋だけど。
明るくなって、さっきまでいたテント場も見えるようになりました。 真っ暗で距離感が分からなかったけれど、結構歩いて来たんだな〜。
鎖場も本格化して来ます。
雲海が綺麗!
よそ見してると滑落しそうになるけど、この夜明けの空も見ずにはいられない…
いよいよご来光タイム!
前剱に到着です!
何と、前剱の山頂からは初めて見るブロッケン現象が!しかも二重!
自分の影が映ってる〜!
その後もブロッケンがクッキリと!
今度は鎖場を下ります。楽しい!やっぱり鎖場大好き♬
ブロッケンの興奮冷めやらぬ中、いよいよ噂の鉄の橋へ。
朝日に照らされ、鎖場を移動する皆さん。セピア写真みたいになってます。 渋滞してるな〜。
アレ?何か思ったより怖くなさそう??? 思っていたより幅があるし、短いし。 でも、この写真では分かりづらいですが両側が切れ落ちてるんですよね。
でもまぁ何があるか分からないし、ここからはセルフビレイシステムを活用します。 まだ動作にイマイチ慣れない私…。 ハーネスに掛けたカラビナを外すのにマゴマゴしてます。
上から撮ってもらった写真。 カラビナを鎖に掛けることに夢中だったけど、結構切り立っていたんですね。
さっきの橋の下も、切れ落ちてるのが良く分かる。
でもこの時はとにかく登ることに夢中で周りは見えていませんでした。
振り返ると、さっきまでいた前剱岳が。神々しい…。
今度は岩肌にもブロッケン!こんなに乱発されると、もう祭りだ、祭り!
見えますか?クッキリ二重です◎
ブロッケン現象にも若干見飽きたところで、山頂へ向かいます。
平蔵の頭の始まり。
こういう杭のような��場は初めて。慎重に登ります。
平蔵の頭を越えたら、また鎖で下ります。 同じく鎖場のアップダウンの連続だった、両神山の八丁尾根のようでした。 いや、こっちの方がスケールが大きいんですけどね。
尾根の反対側はガスって���すね〜
平蔵のコルから見た平蔵の頭。ところで平蔵って誰?
あの尾根を歩いて来たのか〜。良い景色!頑張ろう!
平蔵のコルの始まり。だから、平蔵って誰?
こうして写真で見ると凄い所にいるなぁ…。 高さはあんまり気になってなかったカリメロ。
9番鎖場、カニのタテバイ、始まり始まり〜!また杭だ!
タテバイの鎖にカラビナを通しているところ。作業に夢中なカリメロ。 緊張はしていたけれど、思っていたほど怖くはありませんでした。
山頂まではあと少し!疲れてるけど、頑張れ私!
ヘロヘロになりながらも、何とか登頂! もちろんメチャクチャ笑っております♬
万年低山専門ハイカーだった私が、まさかの剱岳に登れる日が来るなんて…。
あちら側は、一般登山者は進入禁止!
山頂からの眺望は無かったけれど、湧き立つ雲が綺麗でした。
さぁ、下山します。ここが本日のメインイベントなのかな?
先ずは右足から降ろすんだよね…と予習して来た事を確認しつつ。
ヨコバイでも、もちろん笑顔。 スマホを出して後ろにいるCLを撮影し返す余裕もありました♬ セルフビレイのお陰で安心感があったのが大きいかも。
長い梯子を降りるCL。 コレ、上で体の向きを変える瞬間がちょっとドキドキしました。
タテバイ&ヨコバイよりも、梯子の後のここの鎖場の方が、手こずったかも…
上から見るとこんな感じ。 短足のカリメロには、足場が微妙でした。
13番、前剱の門。ここへ来て、また登り。
青空も出て来ました!テント場も見えてますね。
歩いて来た稜線を振り返る。
チングルマが風に揺れていました。 白くて可憐な花が、何でこうなっちゃうんだろう?不��議。
劔沢小屋の前から見た剱岳。雄大です。 テント場からこの小屋まで片道10分はあるのに、メンバーのうち二人はビールを買いに昨夜もここまで歩いたそうです。 雨に濡れて寒くても、ビールは飲みたくなるものなのね〜。
テント撤収後、室堂へ急ぎます。 バスターミナル(ホテル立山)が見えて来ました。 あそこまで、結構な距離だけど…マズイ、もうあと2時間も無い!
バスの最終便に間に合うよう頑張ったものの、荷物の重さでスピードが出ず、登頂の疲れで脚がプルプル…。 結局、雷鳥荘前でタイムアウト。 まさに「体力の限界!」で、仕方なく当初の計画通りにもう一泊して翌朝帰宅することになりました。
雷鳥沢に戻ってのテント泊も考えたけれど、疲労困憊でそんな気力も残っておらず…。第一、食糧も残ってないし! 雷鳥荘に空きがあって本当に良かったです(涙
お世話になった雷鳥荘。 ご飯も温泉も楽しめる、とっても良いお宿でした。
当初の計画では体力があったら3日目に立山三山を回る予定でしたが、恐らく私はグッタリで無理だったでしょうね…。 立山三山は来年のお楽しみにとっておくことにして、その時は大日岳にも登りたい! だけど雷鳥沢キャンプ場から室堂までの「万里の長城」みたいなあの石段は、もう当分歩きたくないというのが本音。 それとも、小屋泊でなら頑張れるのかな〜?
大日岳。宿の展望温泉からも見えました。来年はきっと登るからね!
帰りの新幹線では、富山駅のデパ地下で買った秋の味覚弁当で舌鼓。 満腹で夕飯は食べられず。
そして今回も雷鳥さんには出会え〜ず。 今年最後の望みは来月の南アルプス!今度こそ会えると良いな〜♬ (会えなくて悔しかったので、今回はホテル立山で雷鳥手拭いを購入)
当面の課題は体力強化と荷物の軽量化。あとは、どんな環境でもグッスリ眠れる図太さを身に付けなくちゃ!
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2018.10.13 安達太良山
高気圧優勢で好天を期待するも、山の上はガスって残念でした><
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【blog】秋田駒ヶ岳登山
↑今日は秋晴れ。いつも麓から眺めている秋田駒ヶ岳に、村のみなさんと一緒に登山です!
↑登山バスの出発点「アルパこまくさ」に到着しました。
↑お天気がいいので、大勢の登山客のみなさんが並んでいます。秋田駒ヶ岳山頂にはガスがかかっています。晴れるといいなあ。
↑バスに揺られること30分。八合目登山口に到着。なんだか少し晴れてきたみたい。紅葉も始まっています。
↑いざ秋田駒ヶ岳!レッツゴー!
↑登り出して約30分。片倉岳展望台に到着。ここで田沢湖や、我らが秋田黒猫屋田んぼが見えてくる。(田沢湖の右に見える田んぼの一番奥)
↑遠くには岩手山や八幡平。見晴らし最高!
↑片倉岳から眺める男女岳(おなめだけ)。秋田駒ヶ岳の主峰(1637m)です。紅葉が始まっています。曇りがちで、いまいち鮮やかな写真が撮れなくて残念…。
↑画面真ん中に見える金色部分のはじっこが、秋田黒猫屋田んぼ。
↑ここ。拡大するとガビガビだけど、秋田駒ヶ岳からちゃんと我らの田んぼが見えている。周りが全部蕎麦なのではっきりわかりました。
↑男岳(おだけ)山頂。写真で見る「山の字」の真ん中の地点です。お参りしました。ちなみに、住所は駒ヶ岳1番地だそうです。
↑男岳から馬場の小路(通称:ムーミン谷)を臨む。岩手県側はお天気がよい。遠くに早池峰山(はやちねさん)が見えます。
↑雲より高い秋田駒ヶ岳。遠くにうっすら鳥海山が見えます。(画面真ん中)
↑焼森山頂。右奥に見えるのは姫神山。毎年トンプンでお世話になっているケイアイファームさんの方向。大パノラマや!
↑なんと!季節外れのコマクサ狂い咲き! 1株だけ花をつけているのを発見。 (本来は7月頃が見頃)
↑シャクナゲコースを下山。八合目の駐車場が見えてきた。あと少し。
↑麓から眺める秋田駒ヶ岳。また雲に隠れちゃった。 山頂から見た田んぼに来てみました。
今日はとても穏やかで、男岳山頂はいつもは風が強くて寒いので、長居できないような感じですが、風も��く暖かく、山頂から我らの田んぼを眺めながらおにぎりを食べました。んまかた。
ふるさとの山に向かいて言うことなし
ふるさとの山はありがたきかな (石川啄木)
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8/13-15★60 朝日岳~親不知海岸(ツガミ新道)①
60周年記念山行の最終地点、親不知海岸へ!
9月に行く予定の方達が行けなくなり、急遽沢合宿を中止し行ってきました。まったくの想定外で準備期間が一週間なく、とにかく暑さと虫対策だけ注意と! 台風を心配しつつ、月稜会のマークを背にしょって行って来ました。
メンバー:塩崎さん(L)、ヒラさん、アンシェラ
8/13(月)雨時々曇り 親不知観光ホテルしたの駐車場(6:00)タクシーで→北又小屋(7:00-715)→イブリ山(10:50)→朝日小屋(13:30)
8/14(火)晴れ 朝日小屋(5:30)→朝日岳(6:25)→吹上のコル→アヤメ平(9:40)→黒岩山(10:30)→サワガニ山(12:10)→北俣ノ水場(13:30)→犬ヶ岳(14:20)→ツガミ山荘(14:40)
8/15(水)晴れ ツガミ山荘(5:40)→菊石山(7:15)→下駒岳→白鳥山・白鳥小屋(9:30)→坂田峠(11:50)→尻高山(12:25)→道路横断→二本松峠(13:10)→入道山(13:35)→ツガミ新道登山口(14:15)→親不知海岸(15:00)
ツガミ新道は日本海へ向うので、標高が下がっていくため9月に歩くのがお勧めですが、まさかの真夏に歩く事に! (沢合宿メンバーの多々良さんも行きたがりましたが暑さが危険なので断りました。ごめんなさい) この夏既に二度、北アルプスに入っていたので今年の暑さはキツイ!!、真夏のツガミ新道の攻略は軽量化だ!と叫んでいたのが、なぜかグルメ山行になり、暑く苦行の山行でしたが楽しく行ってきました。
アンジェラ記
ツガミ新道登山口の前にある、親不知観光ホテルの下の駐車場に車を置き、タクシーで北又小屋に向います。 朝日岳に登るには一番近いルートですが約6時間の急登を歩きます。
なんと!!塩崎さん夏の泊まりの縦走は始めてかも!?と驚きの発言を! 確かに雪のない季節は沢の中に泊まっている記憶しかない…
北又小屋に着いたら雨が降り出したが、すぐに止み山行スタート。北又ダムの吊橋を渡り「イブリ尾根」へ
登りが続きます。晴れているときより、雨とガスで少しは暑さがましかも?景色は見えませんが…
遠くで雷も鳴ってます
もう紅葉してました。秋の気配です。
「夕日ヶ原」 晴れていればお花畑が見れるはずですがガスで何も見えません。
朝日岳小屋のテント場に着いたときは雨が止んで、濡れたものを乾かそうと干してみましたが、すぐに雨が… 天気が悪いためか朝日小屋はキャンセルが何人かありテント場も空いていましたが、夕方けが人の救助で小屋のスタッフが減り大変そうでした。無事に夜に戻ってきたようです。
塩崎さんは一人ツェルトテント。私とヒラさんはテントと向かい合わせでテントを張りました。小雨なのでテント中と入口で料理! 塩崎さんとヒラさんが食材と出来た料理を渡してくれます。 野菜はヒラさんの畑から自家製です♪
この日の食事のメニューは(塩崎さんよりメニューも記すようにと!)
①キュウリの昆布和え②ヒジキ③チョリソーとジャガイモ、ピーマン炒め④麻婆なす⑤トン汁⑥五目寿司
もちろんお酒はビールにワインにウィスキー、日本酒と各自持参してます。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
8/14日 2日目スタート
雨も上がり晴れ予定。朝5時半既にテント場は私たちと、もう一張りのみ。テント泊の登山者は既にみなさん出発した��たいです。
「朝日岳」に向いますが、日が出てきたら虫が! 防虫ネットをかぶり歩きます。
「朝日岳」に登頂。私たちの他、単独の登山者一人だけで、ガスがかかり景色は何も見えません。
ガスが切れてくると、一面のお花畑が現れて感動です。
雪渓がかなり残っているので、日が出てきても快適に歩き「吹上げのコル」へ
だんだんと気温が上がり気分転換にヨガをして心を落着かせてます。ツガミ新道のスタート「黒岩山」まで、まだまだ遠いです。ヨガ経験は私の方が長いのにヒラさんの方が姿勢が良いです。そして発見!!登山靴はヨガには向かないです
照葉ノ池
新しい木道で快適♪ 以前歩いた事があるヒラさんいわく、昔は木道はなくグチャグチャの道で大変だったそうです。
「アヤメ平」手前からアヤメの花畑が。雪渓のためか、この時期にまさかのアヤメが満開♪ 雪渓からの冷たい水を飲んで癒されます♪
あまりの暑さで雪渓からの水を頭からかぶる塩崎さん。「アヤメ平」にはこんな素敵きなベンチが。雪渓の水場で休んだばかりですが、休んでいけ~と言っているような場所で、またまた休憩を♪ 秋だと見れない贅沢な花畑の快適な道を進みます
最高のテント場「黒岩平」 以前吉野さん達がビバークしたと… 今は幕営禁止!です。
いよいよツガミ新道「黒岩山」へ。途中ツガミ新道から来た登山者の方が「ここは天国だよ」と話され、この後は地獄の道のりが… しかし、お盆のシーズンなのに登山者に会いません。結局ツガミ山荘までは単独の二人しか会いませんでした。
それだけこのシーズンのツガミ新道キツイのか?実感しました(お花畑は素敵なんですが…)
10時半「黒岩山」に到着
いよいよツガミ新道です。10時を過ぎると気温があがり歩くのが辛い時間対に突入。既に歩き出して5時間が経過。快適な歩きは終わり、ここからは体力勝負の登山です。
[②に続きます]
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ひとみに映る影シーズン2 第五話「大妖怪合戦」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、 誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。) ☆キャラソン企画第五弾 後女津親子「KAZUSA」はこちら!☆
དང་པོ་
河童信者に手を引かれ、私達は表に出る。小学校は休み時間にも関わらず、校庭に子供達が一人もいない。代わりに何故か、島の屈強そうな男達が待ち構えていた。 「いたぞ! 救済を!」「救済を!」 「え、何……わあぁっ何を!?」 島民達は異様な目つきで青木さんを襲撃! 青木さんは咄嗟に振り払い逃走。しかし校外からどんどん島民が押し寄せる。人一倍大柄な彼も、多勢に組み付かれれば為す術もないだろう! 「助けて! とと、止まってください!!」 「「救済を……救済を……!」」 ゾンビのようにうわ言を呟きながら青木さんを追う島民達。見た限り明確な悪霊はいないようだけど、昨晩の一件然り。彼らが何らかの理由で正気を失っている可能性は高い! このままでは捕まってしまう……その時タナカDが佳奈さんにカメラを預け、荒れ狂う島民達と青木さんの間に入った! 「志多田さん、紅さん、先に行って下さい! ここは僕が食い止めゴハアァ!!」 タナカDに漁師風島民のチョークタックルが炸裂! 「タナカDーっ!」 「と……ともかく行け! 音はカメラマイクでいいから、ばっちり心霊収めてきて下さいよッ……!」 「い、行きましょう! ともかく大師が大変なんです!!」 河童信者に急かされ、私と佳奈さんは月蔵小学校を離れた。傾斜が急な亡目坂を息絶えだえに駆け上がると、案内された先は再び御戌神社。嫌な予感が募る。牛久大師は……いた。大散減を封印していた祠にだらりと寄りかかり、足を投げ出して座っている。しかも、祠の護符が剥がされている! 「んあー……まぁま、まぁまぁ……」 牛久大師は赤子のように指を咥え、私を見るなりママと呼び始めた。 「う……牛久大師?」 「この通りなのです。大師は除霊のために祠の御札を剥がして、そうしたら……き、急に赤ちゃんに……」 河童信者は指先が震えている。大師は四つん這いで私ににじり寄った。 「え、あの……」 「エヘヘ、まんまー! ぱいぱい! ぱいぱいチュッチュ!!」 大師が口をすぼめて更ににじり寄る。息が臭い。大師のひん剥いた唇の裏側にはビッシリと毛穴ような細孔が空いていて、その一粒一粒���キャビアみたいな黒い汚れが詰まっている。その余りにも気色悪い裏唇が大師の顔の皮を裏返すように広がっていき……って、これはまさか! 「ヒィィィッ! 寄るな、化け物!!」 私は咄嗟に牛久大師を蹴り飛ばしてしまった。今のは御戌神社や倶利伽羅と同じ、金剛の者に見える穢れた幻視!? という事は、大師は既に…… 「……ふっふっふっふ。かーっぱっぱっぱっぱっぱ!!」 突然大師は赤子の振りを止め、すくっと立ち上がった。その顔は既に平常時に戻っている。 「ドッキリ大成功ー! 河童の家でーす!」 「かーっぱっぱ!」「かっぱっぱっぱ!」 先程まで俯いていた河童信者も、堰を切ったように笑い出す。 「いやぁパッパッパ。一度でいいから、紅一美君を騙してみたかったのだ! 本気で心配してくれたかね?」 「かっぱっぱ!!」「かっぱっぱっぱぁーっ!!」 私が絶句していると、河童の家は殊更大きく笑い声を上げた。けどよく見ると、目が怯えている? 更には何故か地面に倒れたまま動かない信者や、声がかすれて笑う事すらままならない信者もいるようだ。すると大師はピタリと笑顔を止め、その笑っていない信者を睨んだ。 「……おん? なんだお前、どうした。面白くないか?」 大師と目が合った信者はビクリと後ずさり、泣きそうな声で笑おうと努力する。 「かかッ……かっぱ……かぱぱ……」 「面、白、く、ないのか???」 大師は更に高圧的に声を荒らげた。 「お前は普段きちんと勤行してるのか? 笑顔に勝る力無し。教祖の俺が面白い事を言ったら笑う。教義以前に人として当たり前のマナーだろ、エエッ!?」 「ひゃいぁ!! そそ、そ、その通りです! メッチャおもろかったです!!」 「面白かったんなら笑えよ!! はぁ、空気悪くしやがって」 すると大師は信者を指さし、「バーン」と銃を撃つ真似をする。 「ひいっ……え?」 「『ひいっ……え?』じゃねえだろ? 人が『バーン』っつったら傷口を抑えて『なんじゃカパあぁぁ!?』。常識だろ!?」 「あっあっ、すいません、すいません……」 「わかったか」 「はい」 「本当にわかったか? もっかい撃つぞ!」 「はい!」 「ほら【バーン】!」 「なんじゃッ……エッ……え……!?」 信者は大師が期待するリアクションを取らず、口から一筋の血を垂らして倒れた。数秒後、彼の腹部から血溜まりが静かに広がっていく。他の信者達は顔面蒼白、一方佳奈さんは何が起きたか理解できず唖然としている。彼は……牛久大師の脳力、声による衝撃波で実際に『銃殺』されたんだ。 「ああもう、下手糞」 「……うわああぁぁ!」「助けてくれーーっ!!」 信者達は蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。すると大師は深くため息をつき、 「はあぁぁぁ……そこは笑う所だろうが……【カーッパッパァ】!!!」 再び特殊な声を発した。すると祠から大量の散減がワサワサと吹き出し、信者達を襲撃する! 「ボゴゴボーーッ!」「やめ、やめて大師、やめアバーーッ!」 信者達は散減に体を食い荒らされ、口に汚染母乳を注ぎこまれ、まさに虫に寄生された動物のようにもんどり打つ! 「どうだ、これが笑顔の力よ。かっぱっぱ!」 「牛久舎登大師! 封印を解いて、どうなるかわかってるんですか!?」 私は大師を睨みつける。すると大師は首をぐるりと傾け、私に醜悪な笑みを浮かべた。 「ん? 除霊を依頼された俺が札を剥がすのに何の問題がある? 最も、俺は最初(ハナ)からそうするつもりで千里が島に来たのだ」 「何ですって!?」 「コンペに参加する前から、千里が島には大散減という怪物がいると聞いていた……もし俺がそいつを除霊できれば、河童の家は全国、いや世界規模に拡大する! そう思っていたのだがな。封印を解いてみたら、少しだけ気が変わったよ……」 大師は祠を愛おしそうに撫で回す。 「大散減は俺を攻撃するどころか、法力を授けてくれた。この俺の特殊脳力『ホーミー』の音圧は更に強力になり、もはや信者の助けなどなくとも声で他人を殺せるほどにだ!」 信者達は絶望的な顔で大師を見ている。この男、どうやら大散減に縁を食われたようだ。怪物の悪縁に操られているとも気付かず、与えられた力に陶酔してしまったのだろう。 「もう除霊なんかやめだ、やめ。俺は大散減を河童総本山に連れて帰り、生き神として君臨してやる! だがその前に、お前と一戦交えてみたかったのだ……ワヤン不動よ!」 「!」 彼は再び私を『ワヤン不動』と呼んだ。しかもよりによって、佳奈さんの目の前で。 「え、一美ちゃん……牛久大師と知り合いなの……?」 「いいえ……い、一体、何の話ですか?」 「とぼけるな、紅一美君! 知っているぞ、お前の正体はワヤン不動。背中に影でできた漆黒の炎を纏い、脚まで届く長い腕で燃え盛る龍の剣を振るう半人半仏の影人間(シャドーパーソン)だ! 当然そこいらの霊能者とは比べ物にならない猛者だろう。しかも大いなる神仏に楯突く悪霊の眷属だと聞くが」 「和尚様を愚弄するな!」 あっ、しまった! 「一美ちゃん……?」 もう、全てを明かすしかないのか……私はついに、プルパに手をかけた。しかしその時、佳奈さんが私の腕を掴む。 「わかった、一美ちゃん逃げよう。今この人に関わっちゃダメ! 河童信者も苦しそうだし、きっと祠のせいで錯乱してるんだよ!」 「佳奈さん……」 佳奈さんは私を連れて鳥居に走った。けど鳥居周辺には何匹もの散減が待ち構えている! 「かぁーっぱっぱ、何も知らぬカラキシ小娘め! その女の本性を見よ!」 このままでは散減に襲われるか正体がばれるかの二択。それなら私の取るべき行動は、決まりきっている! 「佳奈さん、止まって!」 私は佳奈さんを抱き止め、足元から二人分の影を持ち上げた! 念力で光の屈折を強め、影表面の明暗コントラストを極限まで高めてから……一気に放出する! 「マバーッ!」「ンマウゥーッ!」 今は昨晩とは打って変わって快晴。強烈な光と影の熱エネルギーを浴びた散減はたち��ち集団炎上! けど、これでついに…… 「かーっぱぱぱ!! ワヤン不動、正体暴いたり! さあ、これで心置き無く戦え「どうやら間に合ったようですね」 その時、鳥居の外から牛久大師の言葉を遮る声。そして、ぽん、ぽこぽん、と小気味よい小太鼓のような音。 「誰だ!?」 ぽんぽこ、ぽんぽこ、ぽん……それは化け狸の腹鼓。鳥居��くぐり現れた後女津親子は、私達と牛久大師の間に立ちはだかった! 「『ラスタな狸』が知らせてくれたんですよ。牛久舎登大師が大散減に取り憑かれて錯乱し、したたびさんに難癖をつけているとね。だが、この方々には指一本触れさせない」 「約束通り、手柄は奪わせてもらったよ。ぽんぽこぽーん!」 万狸ちゃんが私にウインクし、斉二さんはお腹をぽんと叩いてみせる。 「ええい、退け雑魚め! お前などに興味は【なあぁいッ】!!」 大師の声が響くと、祠がズルリと傾き倒れた。そこから今までで最大級のおぞましい瘴気が上がり、大師を飲み込んでいく! 「クアァーーッパッパッパァ! 力が……力がみなぎってくるくるクルクルグゥルゥゥゥアアアアア!!!!」 バキン、ボキン! 大師の胸部から肋骨が一本ずつ飛び出し、毛の生えた大脚に成長していく! 「な……なっ……!?」 それは霊感のない者にも見える物理的光景だ。佳奈さんは初めて目の当たりにした心霊現象に、ただただ腰を抜かす。しかし後女津親子は怯まない! 「逃げて下さい、と言いたいところですが……この島に、私の背中よりも安全な場所はなさそうだ」
གཉིས་པ་
斉一さんはトレードマークである狸マントの裾から、琵琶に似た弦楽器を取り出した。同時に彼の臀部には超自然の尻尾が生え、万狸ちゃんと斉二さんも臨戦態勢に入る。病院で加賀繍さんのおばさまを守っている斉三さんは不在だ。一方ついさっきまで牛久大師だった怪獣は、毛むくじゃらの細長い八本足に八つの顔。頂上にそびえる胴体は河童の名残の禿頭。巨大ザトウムシ、大散減だ! 【【退け、雑魚が! 化け狸なんぞに興味はない! クァーッパッパァアア!!!】】 縦横五メートル級の巨体から放たれる衝撃音! 同時に斉一さんもシャラランと弦楽器を鳴らす。すると弦の音色は爆音に呑み込まれる事無く神秘的に響き、私達の周囲のみ衝撃を打ち消した! 【何ィ!?】 「その言葉、そのままお返し致します。河童なんぞに負けたら妖怪の沽券に関わるのでね」 【貴様アァァ!!】 チャン、チャン、チャン、チャン……爪弾かれる根色で気枯地が浄化されていくように、彼の周囲の景色が色鮮やかになっていく。よく見るとその不思議な弦は、斉一さんの尻尾から伸びる極彩色の糸が張られていた。レゲエめいたリズムに合わせて万狸ちゃんがぽんぽこと腹鼓を打ち、斉二さんは尻尾から糸を周囲の木々や屋根に伝わせる。 【ウヌゥゥゥーッ!】 大散減は斉一さんに足払いを仕掛けた。砂利が撒き上がり、すわ斉一さんのマントがフワリと浮く……と思いきや、ドロン! 次の瞬間、私達の目の前では狸妖怪と化した斉一さんが、涼しい顔のまま弦をかき鳴らし続けている。幽体離脱で物理攻撃無効! 「どこ見てんだ、ノロマ!」 大散減の遥か後方、後女津斉一の肉体を回しているのは斉二さんだ! 木々に伝わせた糸を掴み、ターザンの如くサッサと飛び移っていく。そのスピードとテクニックは斉一さんや斉三さんには無い、彼だけの力のようだ。大散減は癇癪を起こしたように突進、しかし追いつけない! すると一方、腹鼓を打っていた万狸ちゃんが大散減に牙を剥く! 「準備オッケー。ぽーん、ぽっこ……どぉーーーん!!」 ドコドコドコドコドコドォン!!!! 張り巡らされた糸の上で器用に身を翻した万狸ちゃんは、無数の茶釜に妖怪変化し大散減に降り注ぐ! 恐竜も泣いて絶滅する大破壊隕石群、ブンブクメテオバーストだ!! 【ドワーーーッ!!!】 大散減はギャグ漫画的なリアクションと共に吹っ飛んだ! 樹齢百年はあろう立派な椎木に叩きつけられ、足が一本メコリとへし折れる。その傷口から穢れた縁母乳が噴出すると、大散減はグルグルと身を回転し飛沫を撒き散らした! 椎木枯死! 「ッうおぁ!」 飛び石が当たって墜落した斉二さんの後頭部に穢れ母乳がかかる。付着部位はまるで硫酸のように焼け、鼻につく激臭を放つ。 「斉二さん!」 「イテテ、マントがなかったら禿げるところだった」 【なんだとッ!? 貴様ァ! 河童ヘアを愚弄するなアアァ!】 再び起き上がる大散減。また何か音波攻撃を仕掛けようとしている!? 「おい斉一、まだか!」 「まだ……いや、行っちまうか」 ジャカジャランッ!! 弦楽器が一際強いストロークで奏でられると、御戌神社が極彩色に包まれた! 草花は季節感を無視して咲き乱れ、虫や動物が飛び出し、あらゆる動物霊やエクトプラズムが宙を舞う。斉一さんは側転しながら本体に戻り、万狸ちゃんも次の妖怪変化に先駆けて腹鼓を強打する! 「縁亡き哀れな怪物よ、とくと見ろ。この気枯地で生ける命の縁を!」 ジャカン!! ザワワワワ、ピィーッギャァギャァーッ! 弦の一弾きで森羅万象が後女津親子に味方し、花鳥風月が大散減を襲う! 千里が島の全ての命を踊らせる狸囃子、これが地相鑑定士の戦い方だ! 【【しゃらくせェェェェェエエエ!!】】 キイィィーーーーィィン! 耳をつんざく超音波! 満ち満ちていた動植物はパタパタと倒れ、霊魂達は分解霧散! 再び気枯た世界で、大散減の一足がニタリと笑い顔を上げると……目の前には依然として生い茂る竹藪の群青、そして大鎌に化けた万狸ちゃん! 「竹の生命力なめんなあああぁぁ!!!」 大鎌万狸ちゃんは竹藪をスパンスパンとぶった斬り、妖力で大散減に投げつける。竹伐狸(たけきりだぬき)の竹槍千本ノックだ! 【ドヘェーーー!!】 針山にされた大散減は昭和のコメディ番組のようにひっくり返る! シャンパン栓が抜かれるように足が三本吹き飛び、穢れ母乳の噴水が宙に螺旋を描いた! 「一美ちゃん、一瞬パパ頼んでいい?」 万狸ちゃんに声をかけられると、斉一さんが再び私達の前に戻ってきた。目で合図し合い、私は影を伸ばして斉一さんの肉体に重ねる。念力を送りこんで彼に半憑依すると同時に、斉一さんは化け狸になって飛び出した。 【【何が縁だクソが! 雑魚はさっさと死んで分解霧散して強者の養分になればいい、最後に笑うのは俺だけでいいんだよ! 弱肉強食、それ以外の余計な縁はいらねぇだろうがああァーーッ!!!】】 大散減は残った四本足で立ち上がろうとするが、何故かその場から動けない。よく見ると、大散減の足元に河童信者達がしがみついている! 「大師、もうやめてくれ!」 「私達の好きだった貴方は、こんなつまらない怪物じゃなかった!」 「やってくれ、狸さん。みんなの笑顔の為にやってくれーーーッ!!」 【やめろ、お前ら……死に損ないが!!】 大散減はかつての仲間達を振り飛ばした。この怪物にもはや人間との縁は微塵も残っていないんだ! 「大散減、許さない!」 ドォンッ! 心臓に響くような強い腹鼓を合図に、万狸ちゃんに斉一さんと斉二さんが合体する。すると全ての霊魂や動植物を���り込むような竜巻が起こり、やがて巨大な生命力の塊を形成した。あれは日本最大級の狸妖怪変化、大(おっ)かむろだ! 「どおおぉぉぉおおん!!!」 大かむろが大散減目掛けて垂直落下! 衝撃で地が揺れ、草花が舞い、カラフルな光の糸が空を染める!! 【【やめろーーっ! 俺の身体が……力がァァァーーーッ!!!】】 質量とエーテル体の塊にのしかかられた大散減はブチブチと音を立て全身崩壊! 残った足が一本、二本と次々に潰れていく。 【【【ズコオオォォォォーーーーー!!!!】】】 極彩色の嵐が炸裂し、私は爆風から佳奈さんを庇うように抱きしめる。轟音と光が収まって顔を上げると、そこには元通りに分かれた後女津親子、血や汚れにまみれた河童信者、そして幾つもの命が佇んでいた。
གསུམ་པ་
「一美ちゃーーん!」 戦いを終えた万狸ちゃんが私に飛びついた。支えきれず、尻餅をつく。 「きゃっ!」 「ねえねえ、見た? 私の妖術凄かったでしょ!?」 「こら、万狸! 紅さんに今そんな事したら……」 斉一さんがちらっと佳奈さんに視線を向けた。万狸ちゃんは慌てて私から離れ、「はわわぁ! 危ない危ない~」と可愛く腹鼓を叩いた。私も横を見ると、幸い佳奈さんは目を閉じて何か考えているようだった。 「佳奈さん?」 「……そうだよ、怪物は『五十尺』……気をつけて、大散減まだ死んでないかも!」 「え!?」 その時、ズガガガガガ! 地面が激しく揺れだす。後女津親子は三人背中合わせになり周囲を警戒。佳奈さんがバランスを��して転倒しそうになる。抱きとめて辺りを見渡すと、祠と反対側の手洗い場に煙突のように巨大な柱が天高く突き上がった! 柱は元牛久大師だったご遺体をかっさらって飲み込む。咀嚼しながらぐにゃりと曲がり、その先端には目のない顔。まさか、これは…… 「大散減の……足!」 「ちょっと待って下さい。志多田さん……『大散減は五十尺』と仰いましたか!?」 斉一さんが血相を変えて聞く。言われてみれば、青木さんもそんな事を言っていた気がする。 「あの、こんな時にすいません。五十尺ってどれくらいなんですか?」 「「十五メートルだよ!!」」 「どえええぇぇ!?」 恥ずかしい事に知らないのは私とタナカDだけだったようだ。にわかには信じ難いけど、体長十五メートルの怪物大散減は、地中にずっと潜んでいたんだ! その寸法によると、牛久大師が取り込んでいた力は大散減の足一本程度にも満たない事になる。ところが、大師を飲み込んだ大散減の足はそのまま動かなくなった。 「あ……あれ?」 万狸ちゃんは恐る恐る足に近付き観察する。 「……消化不良かな。封印するなら今がチャンスみたい」 斉一さんと斉二さんは尻尾の糸の残量を確認する。ところがさっきの戦闘で殆ど使い果たしてしまっていたようた。 「参ったな……これじゃ仮止めの結界すら張れないぞ」 「斉三さんを呼んでくるよ、パパ。ちょっと待ってて!」 万狸ちゃんが亡目坂へ向かう。すると突然斉一さんが呼び止めた。 「止まれ、万狸!」 「え?」 ボタッ。振り向いた万狸ちゃんの背後で何かが落下した。見るとそれは……まだ赤い血に濡れた人骨。それも肋骨だ! 「ンマアアアァァゥゥゥ!!!」 「ち、散減!?」 肋骨は金切り声を上げ散減に変化! 万狸ちゃんが慌てて飛び退くも、散減は彼女を一瞥もせず大散減のもとへ向かう。そしてまだ穢れていない母乳を口角から零しながら、自ら大散減の口の中へ飛びこんでいった。 「一美ちゃん、狸おじさん、あれ!」 佳奈さんが上空を指す。見上げるとそこには、宙に浮かぶ謎の獣。チベタンマスティフを彷彿とさせる超大型犬で、毛並みはガス火のように青白く輝いている。ライオンに似たたてがみがあり、額には星型の中央に一本線を引いたような記号の霊符。首には首輪めいて注連縄が巻かれていて、そこに幾つか人間の頭蓋骨があしらわれている。目は白目がなく、代わりにまるで皆既日蝕のような光輪が黒い眼孔内で燦然と輝く。その獣が鮮血滴る肋骨を幾つも溢れるほど口に咥え、グルグルと唸っているんだ。私と佳奈さんの脳裏に、同じ歌が思い浮かぶ。 「誰かが絵筆を落としたら……」 「お空で見下ろす二つの目……月と太陽……」 今ようやく、あの民謡の全ての意味が明らかになった。一本線を足した星型の記号、そして大散減に危害を加えると現れる、日蝕の目を持つ獣。そうだ。千里が島にいる怪物は散減だけじゃない。江戸時代に縁を失い邪神となった哀れな少年、徳川徳松……御戌神! 「ガォォォ!!」 御戌神が吠え、肋骨をガラガラと落とした。肋骨が散減になると同時に御戌神も垂直降下し万狸ちゃんを狙う! 「万狸!」 すかさず斉二さんが残り僅かな糸を伸ばし、近くの椎木の幹に空中ブランコをかけ万狸ちゃんを救出。但しこれで、後女津親子の妖力残量が尽きてしまった。一方御戌神は、今度は斉一さんを狙い走りだす! 一目散に逃走しても、巨犬に人間が追いつけるわけもなし。斉一さんは呆気なく押し倒されてしまった。 「うわあぁ!」 「パパ!!」 斉一さんを羽交い締めにした御戌神は大口を開く! 今まさに肋骨を食いちぎろうとした、その時……御戌神の視界を突如闇が覆う! 「グァ!?」 御戌神は両目を抑えてよろめく。その隙に斉一さんは脱出。佳奈さんが驚愕した顔で私を見る……。 「斉一さん、斉二さん、万狸ちゃん。今までお気遣い頂いたのに、すみません……でももう、緊急事態だから」 私の影は右手部分でスッパリと切れている。御戌神に目くらましをするために、切り取って投げたんだ。 「じゃ、じゃあ一美ちゃんって、本当に……」 「グルアァァ!!」 佳奈さんが言いかけた途中、私は影を介して静電気のような痛みを受ける。御戌神は自力で目の影を剥がしたようだ。それが出来るという事は、彼も私と同じような力を持っているのか? 「……大師の言ったことは、三分の一ぐらい本当です」 御戌神が私に牙を剥く! 私はさっき大師の前でやった時と同じように、影表面の光の屈折率を上げる。表面は銀色の光沢を帯び、瞬く間に鏡のようになる。 「ガルル……!」 この『影鏡』で御戌神を取り囲み撹乱しつつ、ひとまず佳奈さん達から離れる。けど御戌神はすぐに追ってくるだろう。 「ワヤンの力は影の炎。魂を燃やして、悪霊を焼くんです」 逃げながら木や物の影を私の姿に整形、『タルパ』という法力で最低限動き回れるだけの自立した魂を与える。 「けど、その力は本当に許してはいけない、滅ぼさなきゃいけない相手にしか使いません。だぶか私には、そうでもしなきゃいけない敵がいるって事です」 ヴァンッと電流のような音がして、御戌神が影鏡を突破した。私は既に自分にも影を纏い、傍目には影分身と見分けがつかなくなっている。けど御戌神は一切迷いなく、私目掛けて走ってきた。 「霊感がある事、黙っていてすみませんでした。けど私に僅かでも力がある事が公になったら、きっと余計な災いを招いてしまう」 それは想定内だ。走ってくる御戌神の前に影分身達が立ちはだかり、全員同時自爆! 無論それは神様にとって微々たるダメージ。でも隙を作るには十分な火力だ。御戌神の背後を取り、『影踏み』で完全に身動きを封じる! 「佳奈さんは特に、巻き込みたくなかったんです……きゃっ!?」 突然御戌神が激しく発光し、影踏みの術をかき消した。影と心身を繋いでいた私も後方に吹き飛ばされる。ドラマや舞台出演で鍛えたアクションで何とか受身を取るも、顔を上げると既に御戌神は目の前! 「……え?」 私はこの時初めてちゃんと目が合った御戌神に、一瞬だけ子犬のように切なげな表情を見た。この戌……いや、この人は、まさか…… 「ガルルル!」 「くっ」 牙を剥かれて慌てて影を持ち上げ、気休めにもならないバリアを張る。ところが御戌神は意外にも、そんな脆弱なバリアにぶち当たって停止してしまった。私の方には殆ど負荷がかかっていない。よく見ると御戌神とバリアの間にもう一層、光の壁のようなものがあるのが見える。やっぱり彼は私と同じ……いや、逆。光にまつわる力を持っているようだ。 「あなた、ひょっとして……本当は戦いたくないんですか?」 「!」 一瞬私の話に気を取られた御戌神は、光の壁に押し戻されて後ずさった。日蝕の瞳をよく見ると、月部分に覆われた裏側で太陽の瞳孔が物言いたげに燻っている。 「やっぱり、大散減の悪縁に操られているだけなんですね」 私も彼と戦いたくない。だからまだプルパは鞄の中だ。代わりに首にかけていたお守り、キョンジャクのペンダントを取った。御戌神は自らの光に苦しむように、唸りながら地面を転がり回る。 「グルル……ゥウウウ、ガオォォ!!」 光を振り払い、御戌神は再び私に突進! 私も御戌神目掛けてキョンジャクを投げる。ペンダントヘッドからエクトプラズム環が膨張し、投げ縄のように御戌神を捕らえた! 「ギャウッ!」 御戌神はキョンジャクに縛られ転倒、ジタバタともがく。しかし数秒のうちに、憑き物が取れたように大人しくなった。これは気が乱れてしまった魂を正常に戻す、私にキョンジャクをくれた友達の霊能力によるものだ。隣にしゃがんで背中を撫でると、御戌神の目は日蝕が終わるように輝きを増していく。そこからゆっくりと、煤色に濁った涙が一筋流れた。 「ごめんなさい、苦しいですよね。ちょっと大散減を封印してくるので、このまま少し我慢できますか?」 御戌神は「クゥン」と弱々しく鳴き、微かに頷いた。私は御戌神の傍を離れ、地面から突き出た大散減の足に向かう。 「ひ、一美ちゃん!�� 突然佳奈さんが叫ぶ。次の瞬間、背後でパシュン! と破裂音が鳴った。何事かと思い振り向くと、御戌神を拘束していたキョンジャクが割れている。御戌神は黒い煙に纏わりつかれ、息苦しそうに体をよじりながら宙に浮き始めた。 「カッ……ガァ……!」 御戌神の顔色がみるみる紅潮し、足をバタつかせて苦悶する。救出に戻ろうと踵を返すと、御戌神を包む黒煙がみるみる人型に固まっていき…… 「躾が足りなかったか? 生贄は生贄の所業を全うしなければならんぞ」 そこには黒い煙の本体が、人間の皮膚から顔と局部だけくり抜いた肉襦袢を着て立っていた。それを見た瞬間、血中にタールが循環するような不快感が私の全身を巡った。 「え、ひょっとしてまた何か出てきたの!?」 「……佳奈さん、斉一さんと一緒に逃げて下さい。噂をすれば、何とやらです」 佳奈さんに見えないのも無理はない。厳密にはその肉襦袢は、死体そのものじゃなくて故人から奪い取った霊力でできている。亡布録(なぶろく)、金剛有明団の冒涜的エーテル法具。 「噂をすればってまさか、一美ちゃんが『絶対に滅ぼさなきゃいけない相手』がそこに……っ!?」 圧。悪いが佳奈さんは視線で黙らせた。これからこの神社は、灼熱地獄と化すのだから。 「い、行こう、志多田さん!」 斉一さん達は佳奈さんや数人の生き残った河童信者を率いて神社から退散した。これで境内に残ったのは、私と御戌神と黒煙のみ。しかし…… 「……どうして黒人なんだ?」 私は黒煙に問いかけた。 「ん?」 「どうして肉襦袢の人種が変わったのかと聞いているんだ。二十二年前、お前はアジア人だっただろう。前の死体はどうした」 「……随分と昔の話をするな、裏切り者の巫女よ。貴様はファッションモデルになったと聞くが、二十年以上一度もコーディネートを変えた事がないのかね?」 煙はさも当然といった反応を返す。この調子なら、こいつは服を買い換える感覚で何人もの肉体や魂を利用していたに違いない。私の、和尚様も。この男が……悪霊の分際で自らを『如来』と名乗り、これまで数え切れない悪行を犯してきた外道野郎が! 「金剛愛輪珠如来(こんごうあいわずにょらい)ィィィーーーッ!!!!」 オム・アムリトドバヴァ・フム・パット! 駆け出しながら心中に真言が響き渡り、私はついに鞄からプルパを取り出す! 憤怒相を湛える馬頭観音が熱を持ち、ヴァンと電磁波を発し炎上! 暗黒の影炎が倶利伽羅龍王を貫く刃渡り四十センチのグルカナイフに変化。完成、倶利伽羅龍王剣! 「私は神影不動明王。憤怒の炎で全てを影に還す……ワヤン不動だ!」 今度こそ、本気の神影繰り(ワヤン・クリ)が始まる。
བཞི་པ་
殺意煮えくり返る憤怒の化身は周囲の散減を手当り次第龍王剣で焼却! 引火に引火が重なり肥大化した影の炎を愛輪珠に叩き込む! 「一生日の当たらない体にしてやる!!」 「愚かな」 愛輪珠は業火を片手で易々と受け止め、くり抜かれた顔面から黒煙を吐出。たちまち周囲の空気が穢れに包まれ、炎が弱まって……いく前に愛輪珠周辺の一帯を焼き尽くす! 「ぐわあぁぁ、やめろ、ギャアアァアガーーーッ!!!」 猛り狂う業火に晒され龍王剣が激痛に叫んだ! しかし宿敵を前にした暴走特急は草の根一本残さない! 「かぁーーっはっはっはァ! ここで会ったがお前の運の尽きよ。滅べ、ほおぉろべえええぇーーーっ!!!」 殺意、憎悪、義憤ンンンンッ! しかし燃え盛る炎の中、 「まるで癇癪を起こした子供だ」 愛輪珠は平然と棒立ち���ている。 「どの口が言うか、外道よ! お前が犯してきた罪の数々を鑑みれば癇癪すら生ぬるい。切り刻んだ上で煙も出ないほど焼却してくれようぞおぉぉ!!」 炎をたなびかせ、愛輪珠を何度も叩き斬る! しかし愛輪珠は身動ぎ一つせず、私の攻撃を硬化した煙で防いでしまう。だから何だ、一回で斬れないなら千回斬ればいい! 人生最大の宿敵を何度も斬撃できるなんて、こんなに愉快な事が他にあるだろうか!? 「かぁーはははは! もっと防げ、もっとその煙を浪費するがいい! かぁーはっはっはァ!!」 「やれやれ、そんなにこの私と戯れたいか」 ゴォッ! 顔の無い亡布録から煙が吹き出す。漆黒に燃えていた視界が一瞬にして濁った灰色で染まった。私はたちまち息が出来なくなる。 「ぐ、ァッ……」 酸欠か。これで炎が弱まるかと思ったか? 私の炎は影、酸素など不要だ! 「造作なし!」 意地の再炎上! だぶか島もろとも焼き尽くしてやる…… 「ん?」 シュゴオォォン、ドカカカカァン!! 炎が突然黄土色に変わり、化学反応のように爆ぜた! 「な……カハッ……」 「そのような稚拙な戦い方しか知らずに、よく金剛の楽園に楯突こうと思ったな。哀れな裏切り者の眷族よ」 「だ、黙れ……くあううぅっ!」 炎とはまるで異なる、染みるような激痛が私の体内外を撫で上げる。地面に叩きつけられ、影がビリビリと痙攣した。かくなる上は、更なる火力で黄土色の炎を上書きしないと…… 「っ!? ……がああぁぁーーっ!!」 迂闊だった。新たな炎も汚染されている! 「ようやく大人しくなったか」 愛輪珠が歩み寄り、瀕死の私の頭に恋人のようにぽんぽんと触れる。 「やめろ……やめろおぉ……!」 全身で行き場のない憤怒が渦巻く。 「巫女よ。お前は我々金剛を邪道だとのたまうが、我々金剛の民が自らの手で殺生を犯した事はないぞ」 「ほざけ……自分の手を汚さなければ殺生ではないだと……? だからお前達は邪道なんだ……!」 煮えくり返った血液が、この身に炎を蘇らせる。 「何の罪もない衆生に試練と称して呪いをかけ、頼んでもいないのに霊能力を与え……そうしてお前達が造り出した怪物は、娑婆で幾つもの命を奪う。幾つもの人生を狂わせる! これを邪道と言わずして何と言えようか、卑怯者!」 「それは誤解だ。我々は衆生の為に、来たる金剛の楽園を築き上げ……」 「それが邪道だと言っているんだ!」 心から溢れた憤怒はタールのような影になって噴出する! 汚染によって動かなくなった体が再び立ち上がる! 「そこで倒れている河童信者達を見ろ。彼らは牛久大師を敬愛していた。大師が大散減に魅了されたのは、確かに自己責任だったかもしれない。だがそもそも、お前達があんな怪獣を生み出していなければこんな事にはならなかった。徳川家の少年が祟り神になる事だってなかった!!」 思い返せば思い返すほど、影はグラグラと湧き出る! 「かつてお前に法具を植え付けられた少年は大量殺人鬼になり、村を一つ壊滅させた。お前に試練を課せられた少女は、生まれた時から何度も命の危機に晒され続けた。それに……それに、私の和尚様は……」 「和尚? ……ああ。あの……」 再点火完了! 影は歪に穢れを孕んだまま、火柱となり愛輪珠を封印する! たとえ我が身が消し炭になろうと、こいつだけは滅ぼさなければならないんだ! くたばれ! くたばれえええぇぇぇえええ!!! 「……あの邪尊(じゃそん)教徒の若造か」 「え?」 一瞬何を言われたか理解できないまま、気がつくと私は黄土色の爆風に吹き飛ばされていた。影と内臓が煙になって体から離脱する感覚。無限に溢れる悔恨で心が塗り固められる感覚。それはどこか懐かしく、まるで何百年も前から続く業のように思えた。 「ぐあっ!!」 私は壊れかけの御戌塚に叩きつけられる。耳の中に全身が砕ける音が響いた。 「ほら見ろ、殺生に『手を汚さなかった』だろう? それにしてもその顔は、奴から何も聞かされていないようだな」 「かっ……ぁ……」 黙れ。これ以上和尚様を愚弄するな。そう言いたかったのに、もはや声は出ない。それでも冷めやらぬ怒りで、さっきまで自分の体だった抜け殻がモソモソと蠢くのみ。 「あの男は……金剛観世音菩薩はな……」 言うな。やめろ。そんなはずはないんだ。だから…… 「……チベットの邪神、ドマル・イダムを崇拝する邪教の信者だ」 嘘だ。……うそだ。 「あっ……」 「これは金剛の法具だ。返して貰うぞ」 愛輪珠に龍王剣を奪われた。次第に薄れていく僅かな影と意識の中、愛輪珠が気絶した御戌神を掴んで去っていく姿を懸命に目で追う。すると視野角外から……誰かが…… 「一美ちゃん、一美ちゃーん!」 「ダメだ志多田さん、危険すぎる!」 佳奈さん……斉二……さん…… 「ん? 無知なる衆生が何故ここに……? どれ、一つ金剛の法力を施してやろうか」 逃……げ…… 「ヒッ……いぎっ……うぷ……」 「成人がこれを飲み込むのは痛かろう。だが衆生よ、これでそなたも金剛の巫女になれるのだ」 や…………ろ………… 「その子を離せ、悪霊……ぐッ!? がああぁぁああああッ!!!!」 「げほ、オエッ……え……? ラスタな、狸さん……?」 ……………… 「畜生霊による邪魔が入ったか。衆生の法力が中途半端になってしまった、これではこの娘に金剛の有明は訪れん」 「嘘でしょ……私を、かばってくれたの……!?」 「それにしてもこの狸、いい毛皮だな。ここで着替えていこう」 「な、何するの!? やめてよ! やめてえぇーーーっ!!」 ………………もう、ダメだ……。
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一月
土曜日の朝にガス・コンロが爆発をした。日常的に体験できる爆発にしては、ひどく大きな爆発だった。爆発の理由はガスボンベの加熱のしすぎとのことだった。幸いぼくにも飼猫にもけがはなく、台所があたり一面真っ黒になり生き辛い匂いを立ち込めた以外は何も問題がなかった。ぼくはすぐにしかるべきところに通報し、しかるべき人間を呼んで処置やら掃除やらを委託した。処置や掃除を専門とする人々により、台所はそれなりには綺麗になった。一、二時間だった。あっという間だ。しかしぼくの目にはまだ焼き付いている。心臓に響くひどい爆発と、その後に広がった真っ暗闇の宇宙のことだ。優秀な彼らでさえも、それを消すことは出来ない。だから、ぼくはもうガスを使わないことに決めた。 自分に対して自分で料理を振る舞うことができなくなったので、顔見知りのジャックの店に世話になることにした。なにしろそこは家から徒歩五分のところにあったので、行かないという選択肢がなかったのだ。ジャックの店には、実はここしばらく足を運んでいなかった。あまり深い理由はなかったが、旧い知り合いが多く居すぎることを、内心気にしていたことが起因しているように思う。ぼくのそんな思惑からくる行動に対して、あの店は一切の関心を払わない。去っていくものは追わないし、来るものは拒まない。そういう店だった。 「はあ。それは大変だったな。」 店主であるジャックはグラスをふきんで何度も拭きながら言った。気力を失ったぼくが爆発事件の話を細々と語り終えたところだった。そのグラスはもう水滴を拭う必要がない。しかし、ジャックは拭くことに集中していないため、自分自身ではそのことに気が付いていない。 「まあ、金さえ置いてってくれるなら幾らでも居ていいからな。なんだったら、金額とメニューを言っておいてくれれば、それに見合った準備もしておくし。おれ、こう見えてもずいぶん家庭的だろう?」 「そうだね。ずいぶん家庭的だ。」 「でも、独身なんだよなあ。彼女なし三十路、一人で店を切り盛りするなかなかの二枚目……結構いい穴場だとは思わないか?」 「思うよ。」 ジャックはぼくにウインナー・コーヒーを出してくれた。 「おれ、結婚して一緒に店を切り盛りするのが夢なわけ。そういうわけで、おれの夢、半分はもう叶っちゃってんだよね。だから神様はハンデを課しているのか? いやあ、参ったなあ。ほんと。」 「三十路の男が、神様、なんて言わないほうがいいよ。女性と交流ができるようなところに行ってはいるの?」 「おれはこの店で運命的な出会いを果たしたいから。」 「きみがそう言うなら止めないけど。」 ぼくがコーヒーを飲んで、ジャックが乾いた笑いをしたところで、ノラがやってきた。カランコロンとベルを鳴らして入ってきた。あのベルは年の瀬にぼくが直したばかりだ。長年来客を知らせるうちに随分音が悪くなってしまったとのことで、ジャックから修理の依頼を受けたのだ。ぼくは、経年劣化によるその音も悪くないと思っていた。寧ろ、味があるとさえ感じていた。まるでむかしソプラノ歌手だった女性が、見目や内面は少女性を持ったままで、薄く皺を重ねた歌声で楽しそうに音を奏で続けるような尊さがあったからだ。しかしジャックは迷わず依頼をするので、ぼくは修理をするしかなかった。ジャックと言葉を交わしたのは、そのとき約半年ぶりであった。 ノラに関しては、ジャック以上に久々に会った。でも、あまり久しいという感じはしなかった。彼は大抵は薄い茶色のセーターを着ている。人は三年ぐらい経てば違う服を着ていそうなものだが、彼はもう何年もそれを着ていた。毛皮か何かのように。だから、彼のアイコン的なものはずっとずっとそのままなのだ。 「お久しぶりですねえ。」 ノラはまっすぐにカウンターの奥の方にあるパイプ椅子のほうへ歩いていってそこに収まった。座った、とか、腰掛けた、とかではなかった。犬が犬小屋に戻るみたいな流れだった。ぼくは「久しぶり。」と挨拶を返した。 ジャックはグラスを棚にしまうと、代わりに職人芸光る湯のみと急須と茶葉の筒とを取り出して、急に緑茶を淹れ始めた。そんなメニューはこの店にないのだけど、おそらく、犬にやるものだと思われる。緑茶のいい香りがする。ぼくは、一気にそれを飲むことができるノラのことが羨ましくなった。 「最近。さ。ノラ。」ノラに話しかけてみる。彼は薄笑いの表情でこちらを見た。「お嬢さんには会っているの。」 ノラは椅子の上で器用に正座をして、咳払いをひとつ立てる。 「この店にいらっしゃったときは、お会いしますけどねえ。なにしろ、お嬢さんがどこに住んでいるのか、日頃何しているのか、想像つきやしませんで。」 そんなこと、お嬢さんだって、ノラに言われたくないと思う。ぼくはそう思ってコーヒーを啜った。苦味に溶けるミルクの味が調和も喧嘩もせず、ただそこに在った。 「ときに、リュカの旦那。おれが最近、思うことを、聞いてくれませんかね。これは本当に、単純な話です。空が青くて海が青いくらい単純だ。」青い光が散乱するというレーリー散乱の現象を単純と言う人は文系だとぼくはつくづく思う。「いいよ。続けて。」 「これは、おれの唱える説です。便宜上、元気ある人すごい説、とでもします。元気のある人はすごい。とくに、おれは元気がないので、ある人はすごいと思うわけです。持てる人と、持���ない人。これは天性ですから、ない人���あるようにしたら疲れる、ある人がないようにするのは、多少我慢すれば、理論上なし得ると言えましょう。大は小を兼ねるということです。例を挙げます。とある作家の作品を追ってみます。五十万字の大作を十年の構想を経て書き上げたものが代表作となり、その前にも短編は百、長編が十。絶えず文字を連ねていたに違いありません。これ、普通の人でも、厭きます。書きたいことがあったとしても、辞めます。でもその人はきちんとやってきた。これだけで元気があるってもんです。そういう人の作品は、作品を読めばよくわかります。厭きっぽい人の文章はかなり雑ですし、元気のある人は勢いと校正力があります。厭きているものは結論さえ言わず途中で切れているんですね。これは、技術というより気力の問題ですよね。勿論、これは、おれの偏見ですがね。 この説はこれで終わりではありません。じゃあ、元気のない人は悪なのか、というこじつけ極まりない反論に、しっかりノーと言わねばならない。元気のない人は、悪くありません。個性ですから、与えられたカードで勝負するしかありません。でも、それを自分で良しとするかはまた別ですから、元気のある人になりたいなら、演じるか、変身するか、ちゃんと飯食うか酒飲むか、人付き合いを充実させるかクラブにでも行ってみるか……あ。クラブはもう、田舎にしかありませんでしたね。とにかくそんな感じでがんばるしかないわけです。ちなみに���れは、元気がないままでいいです。元気を出そうとすると理性が狂う。おれは狂いたくない。それだけでさ。旦那はどうですか。」 ぼくはノラの話を一応耳に留めておきながら、ほとんど頭で理解しようとせず、ずっと爆発したガス・コンロのことを考えていた。ぼくの頭の中の台所は、未だ、なお、一寸の光も射さない宇宙の闇みたいに真っ黒だった。まるで、ここは世界の涯で、手を伸ばせば違う世界へ行ってしまうのではないかと、思えてしまうほど。「ぼくも元気がないままでいい。」 ノラは、ふうん、と言って、お茶をのみ、それきりしばらく黙っていた。
頬杖をつきながら物思いに耽った。食洗機があったのも、アイ・エイチの電子コンロがあったのも、もう五十年も前のこと。時代は、レトロ再来の時代に移ったのだ。心に余裕があった時代、古きを良しとし、自然に寄り添った慎ましい暮らしを営むこと。最低限の発展は一部の研究機関に委ね、土地・地球に根付いた生活を送ること。想像しやすい便利な日本語でいえば、明治時代と平成時代を足して二で割ったくらいだろうか。最低限の娯楽は残り、精神を消耗する文化は、とくに都会では無くなった。エス・エヌ・エス、とか。田舎と一部の若い人の間では、流行っているかもしれない。歴史の教科書にも載っているくらいだ。 ぼくは、エス・エヌ・エスが発展したときから今と変わらない見た目をしていて、ずっと二十代半ばの風貌で周りをごまかし若者を演じ続けてきた。その特異な体質に対して抱いた、悲しみや苦しみなどは、もうすでに身体に深く染み付いていて取り去ることができない。ノラの言う通り、与えられたカードで勝負するしかないのだと、思う。ぼくみたいな体質の人は公にはならないものの結構な人数いて、その人専用の援助プログラムもあるほどである。そのプログラムは要はギブ・アンド・テイクで、その土地にずっと留まると歳を重ねない不気味さが周りに伝わるので、最高十年でそこを去らねばならない代わりに、その費用と生活援助金は支給される。そのかわり、歴史の重要参考人として、その人の人生の一部は、歴史の記録や書物の編纂に捧げられる。ぼくも、その一部である。 ノラは、「あなた、元気あると思いますけどね。」と、長い沈黙を破って言った。どこまで知っているかわからないが、だからこそ、お嬢さんとは会わせたくない、とぼくは思うのだった。あのひとは、何も知らないままでよいのだ。奇妙な世界の外側のことなんて、何も……。湯気が立ち上っていたはずのコーヒーは、すっかり冷めてしまった。冷ややかなコーヒーを啜り、時の流れの早さを呪った。
この街で過ごす最後の一年とやらに、もう片足を突っ込んでいるらしい。その通達が、今朝方薄っぺらい新聞とともに郵便受けに投函されていた。曇って冷え込んだ一月の空は寒々しく、深い緑の郵便受けをより一層深く見せた。外観ですらその有様だから、中はもっと影を落としていた。手紙はもう一通あった。お嬢さんからの書簡だった。 ぼくはその両方を部屋の中に招き入れ、まずは気が滅入る方から封を開けた。そして、この街での活動期間の終了を思い知る。この通告を受けるのは何回目になるだろう。二、三回目ごろは憶えていたが、四回を超えると段々あやふやになってくる。生まれ年から逆算すれば判るが、判ったところでぼくにとっては虚無感を増す材料にしかならなかった。それに、樹齢のような年月を重ねるぼくのような体質の人間からしたって、十年はそれなりに長い。 お知らせはもう一通あった。移動希望先を届け出てくれというお知らせだった。つまり、次の引越し先をどうしたいか、ということを問うているのである。不本意な経緯で未だに暗闇の宇宙を浮かべているぼくにとって、この問いに対する答えを決めるには億劫さが先立った。だから決断は先送りにし、まるで厄介払いでもするかのように、それらの通告を一度封筒に戻した。 それから、お嬢さんから届いた薄桃色の封筒を丁寧に開封した。コンロが爆発するなんて大変でしたね。そうしたら、お店に行けばリュカさんに会えるのか知ら。そんなようなことと、お嬢さんの近況が細いペンで書かれていた。ぼくはそれを新聞と一緒に折り畳み、小さなボストンバッグに仕舞い込んだ。そしてチェスターコートを羽織り、勤務地のひとつである図書館へ向かった。今日は、小さい子どもたちに「おはなし会」をするのである。
お嬢さんと出会ったのも、思い返せば「おはなし会」の時だった。 ぼくがまだこの街で大学院生のふりをしていた時分だ。今とはほとんど変わらぬ出で立ちで、ひと月に二回ほど「おはなし会」をしていた。「おはなし会」とは何か。名前から推測できる通り、ちいさい子どもに向け、ためになる話をするというのが趣旨の会である。絵本や紙芝居で読み聞かせをおこなう場合もあるが、ぼくの場合は、自分の目で実際に見てきた思い出せる限りの思い出話を、子どもと話しながら童話仕立てで語るというものだった。 そういう出し物ではあるものの、なぜかおとなも集まって聴いていることが多い。子どもたちの後ろにはたいがい数名の大学生と、休憩中の司書たちが居て、子どもたち以上に耳をそばだてて聴いている。会が終わると、子どもたちは近くのカフェテリアなどで休んでいた保護者たちに引き取られていく。だいたい、子どもたちの保護者というのは、ぼくの話には無関心である。しかし自律的に集まってきた稀有なおとなたちは、残り続け、しばしば追加で話を聴いていくことがあった。その中でひときわ熱心な女学生がいて、それがお嬢さんだったというわけだ。 「蜂蜜が結晶化したはなし。」 あるときお嬢さんに、図書館併設のカフェでスコーンをご馳走してもらったことがある。さっきの話のことでもっと話したい、でもなんにもなしに拘束するのはわるいので、スコーンをご馳走させてほしい。こういう具合だった。スコーン位いいよ、三十分でいいかな。これがぼくの答えだった。しかし彼女は頑としてスコーンの支払い担当を譲らず、おまけになぜか紅茶までつけてくれたので、なんとも申し訳なくなったことを憶えている。貴方は顔立ちが端正だから人生が上手くいきすぎるわ、というのを昔から色んな女性に揶揄されるが、ぼく側の心境はさきほど述べたとおりである。 「蜂蜜が結晶化したはなし。」 大きく膨らんだスコーンは上と下で二つに割られ、サワークリームが添えられていた。白を基調とした器には青と黄色とでうつくしい花の模様が描かれており、うつくしく手入れされているものの少し欠けているところから、蚕の市などで買い付けられてきたアンティークのものとみえた。こういう代物と対面すると、ぼくが先に生まれたのか、それともあなたが先に生まれたのか、と心の中で問いかけずにはいられない。しかしどれだけやさしく問いかけたとしても、返事はいつも「……。」だ。 お嬢さんは、その丁寧に焼かれたスコーンに、サワークリームだけでなく蜂蜜も注いだ。真っ白なクリームの上に垂らされた蜂蜜は、ゆっくりと時間をかけて着地点に落ち、流れ、店内中の光を集め輝いた。お嬢さんはその一連を眺め、「蜂蜜が結晶化したはなし、なんですけど。」と言った。 「湯煎で戻したはなしのこと。」 「そう、蜂蜜が結晶化して、そのあと湯煎で戻したはなしのこと。」 「それがどうかしたの。」 「どうして、そういう風なことと遭遇するんですか。」 ぼくはめずらしく言葉に詰まった。自分で言うのもなんだけど、ぼくの口は冗談の減らない口だから、普段あまり言葉に詰まることがない。だから本当にめずらしいことだった。どうして、って。どうしてだろう? 「考えてみたこともなかったな。」 「しかも、結晶化した蜂蜜を湯煎で元に戻しても、本当の意味では元に戻ってない。」 「そうらしいんだ。またすぐに結晶化したからね。一度結晶化した蜂蜜ってそういうものらしいんだ。その蜂蜜は、もうそういう蜂蜜になってしまった。」 「そのたび何度も湯煎して、湯煎しているその間に、ヨーグルトに一緒に入れるはずだったドライフルーツとナッツのほうが先になくなった。」 「お腹がすいていたから。きみ、よく憶えているね。」 「その逆。忘れっぽいんです。だから、聴きながら手帳に残しました。」 そのときすでに、ぼくはお嬢さんの並々ならぬ念に度肝を抜かれ始めていた。子どもに混じって話を聴きに来るおとなはいる。それはもう、顔を憶えきれないほどたくさん。そして、その後少し雑談をして帰っていくおとなもいた。顔はなんとなく憶えているが、その人のがどんな声で、どんな話し方をして、どんな風に笑ったか、いちいち憶えていられないほど。今回のお嬢さんのように、少し食事を伴うこと。全くなかったわけではない。ただ、なぜだろう、こんな空気になったことは、初めてである。 「正直、狡いなと思いました。」 彼女の念の正体が明らかになった。このときのお嬢さんの表情はよく憶えている。咄嗟に、この光景が一枚の絵画のように感ぜられたからである。やわらかな光の中で、品の良い服の上に白い顔を浮かべている。一見憂鬱そうで、内面は悔しさの渦に閉じ込められている最中だ。瞳の中までには光が届かない。評��家は、この死んだ瞳について、作者がなぜ光を描かなったかで討論するだろう。兎にも角にも、そのように細かく形容したことで、ぼくはこの一瞬のことを一生忘れられないものにしてしまった。 「よく、そう言われるんだ。」 つい、口から出任せになってしまった。そのとき、ようやく彼女の瞳に光が映りこんだ。顔の向きを少しずらしたせいだろう。でも、評論家はこの絵画に対する解釈を変えないほうが良さそうだ。なぜなら、彼女の瞳は光が宿ってもなお、「それなら、尚のこと狡い。」と言っているように見えたから。 それからぼくは紅茶を飲んだ。まだぼくにとっては熱かったので、カップの本体にあまり指が触れすぎないように気をつけながらソーサーに戻した。お嬢さんは小さく溜息をつきながら、乗り出した身を元の位置に戻した。「ごめんなさい。」と言った。 「気にしてないよ。スコーンは美味しい?」 「え? あ、美味しいです。」 「じゃあ、ぼくも戴こうかな。」 しかし、そのスコーンもまだ気持ち熱めだった。「実は。」お嬢さんは口を開いた。「わたしは、小説を書いています。」 趣味で続けた延長か、はたまた初めに筆を持ったときからこうなる運命だったのか。大学に入った年に、新人賞に応募したい、と一念発起した。突然のことだった。それは今までゆとりのあった彼女の生活を一変させた。昼間は大学の講義、夜は小料理店でアルバイトをした後に、出汁の匂いで塗れた自分を叱咤激励しながら書き物に取り組み、シャワーを浴び、八時過ぎには飛び起き、また大学の講義へ行く生活に様変わりした。日々は目紛るしく、エンドレスだった。新しい生活は三ヶ月続いた。しかしそんな闇雲な日々はある日を境に一転する。「おはなし会」との出会いである。 お嬢さんは、「何事も長く続ければ、何かが変わる」と思っていた。そして、確かに変わった。「おはなし会」との出会いによって。ぼくの話が、あまりにも彼女の思うフィクションを超越していたから。あらゆる魅力的な話が、次々と事もなげに語られていったから。その衝撃を、彼女はまだ文章で説明ができないという。きちんと勉強してきている彼女が説明できないと言うのだから、真の意味でそうなのだろう。もしぼくがその困った感情を得てしまった場合、説明できないどころか、息を止めて人生のお終いを願うかもしれない。 それからお嬢さんは、寝床に戻り三ヶ月分の原稿を破ってしまった。泥のように眠り、沈み込んだ沼から顔を上げる��ろには、季節が夏に変わろうとしていた。破れた障子のあいまから、蝉の騒音と、空の青さが部屋に入り込んでくる。 「長い雨は止んでしまった。なら、わたしもここまでにしておこう。」 そうして、ぼくに会いにやってきたということらしかった。
「おはなし会」を終えジャックの店に昼食を取りに行くと、お嬢さんと遭遇した。カランコロン、というベルの音で振り返ったお嬢さんは、長い髪を揺らして微笑んでくれた。いつ見ても、絵画のような人だ。 「よう、リュカ。昼飯なら、そこに。」 ジャックは目線でその場所を示唆した。カウンターの中でも一際雑貨に溢れたスペースに、紙袋は置かれていた。ぼくは彼にテイクアウトのサンドイッチを頼んでいたのだ。料金はすでに一週間分ほど先払いしてある。 礼を言い、立ち去ろうとした。すると、お嬢さんに呼び止められた。 「教会の前の広場に行くんですよね。一緒に行きたいです。」 「うん。止めないよ。」ぼくはそう答えた。 「ジャックさん、ラテのおかわりをペーパーカップで戴けますか。」 「はいはい。小銭はそこに置いといて。」 お嬢さんはくすんだ銀色のトレーに、三百五十円を置いた。ほどなくしてラテは手渡され、ソプラノの少女が別れの曲を歌い、ぼくとお嬢さんは店を後にした。
ぼくは、あらゆることを忘れてはいけない。もっと正確に言うならば、忘れてもいいが思い出さなくてはいけない。そのための技術は、そのための生活習慣によって培われてきた。ぼくは何度でも語り、何度でも思い出す。思い出せるようにでたらめに形容しては、引き出しに丁寧に仕舞いこんでおく。綯い交ぜになることもある。なにしろ、樹齢だ。日記はたまに読み返している。 サンドイッチの中身は料金にあわせてお任せにしているのだが、割に豪華にしてくれることが多い。サービス料の類を善意で免除してくれているのだろう。商売下手な友人のやさしさに感謝しながら、紙袋から取り出す。今日はスクランブルエッグにベーコン、チーズが入っているものと、キウリとツナが入っているものと二種類あった。 「穏やかな一月だ。」 「そう、なんですね。リュカさんにとっては。わたしは寒くてそれどころじゃありませんけど。」 お嬢さんは少しずつカップを傾ける。火傷しないように、あまり穏やかではない一月がさらに穏やかではないものにならないよう、細心の注意を払っているかのようだった。 「でも、新年の落ち着かない雰囲気から解放されて、いつもの日常が戻ってきたのは嬉しいかも。年を越すのは、いつだって落ち着かない。何故だか。」 「わかるよ。人間が決めたただの節目だからね。自然にはないことをしてる。」 でもぼくは、そういう文化を当たり前として生きる人々のことを、心から尊敬している。 「今日も図書館で話してきたんですか。」 カップを傾けるのをやめたお嬢さんが、遠くを眺めながら訊ねた。 「うん。歳末の時計調整の話を少しね。」 「いいですね。行けばよかった。」 「また来ればいいさ。」 そうですね。でも、わたし、忘れっぽいから。と、お嬢さんは遠くを見つめたままはにかんだ。彼女にとって、次の「おはなし会」に行くかどうかはどちらでも良いようだった。だから、次にぼくが子どもたちの前で語るときも、おそらく絵画は見られないだろう。 彼女は、すっかり小説を書かなくなったという。あのとき書いたことはほとんど忘れてしまったとも語った。時期じゃないだけだからまた気が向いたら書いてみては、とぼくは事ある毎に言う。何故なら、ぼくからしてみたら彼女だって、狡い位に魅力的な人生を送っている。機会が許すなら、彼女の瞳が切り取る話を、ぼくはずっと聴いて(或いは、読んで)いたかった。 やさしさで溢れたサンドイッチはすぐになくなってしまった。ぼくは次の仕事場へ向かわなくてはならない。未だに両手の中に溶岩を持て余しているお嬢さんに別れを告げ、ぼくはぼくだけが歩く道のりを、また歩み始めていくのだった。
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『足の踏み場、象の墓場』全首評③(横書き引用ver.)
我妻俊樹「窓を叱れ」『足の踏み場、象の墓場』の全首評
中里さんの塗り替えてくれたアパートに百年住むこの夕暮れから
叱れと言われたら、これはもう、一時的にわずかな理性を取り戻してでも、説明せざるを得ない。 叱るのと��鳴るのは、全然違う。声を張りあげて自分の感情をぶつけるのが怒鳴るだとしたら、叱るのには、もっと理路整然とした秩序が必要になる。叱ることによって、これまでの状況が変化することが求められるからだ。だから、叱る者には、全てを把握するための客観的な視点が必要だ。感情や状況にまつわる現状を、説明という器に乗せて、差し出すために。 叱れ、という命令は、私が理性を取り戻すだけのパワーを持っている。 なぜかというと、これまでの連作に登場したどの歌にもタイトルにもなかった、「命令」が初めて登場するからだ。 ささやかな願望・曖昧な提案・誰に対しても伝えたい感想と感嘆・シチュエーションに対する忠実な状況説明。 上記の4つがこれまでの歌やタイトルの8割を占めている構成要素だった(残りの2割が何なのか、それを説明するほど愚かなことはない)。 ところが、「叱れ」という命令は、誰の誰に対するどのような命令であれ、この歌集の中で異質さを放っている。 その理由は、作者も読者も知りようがないが、個人的に推測するに、それは、この連作が何かに対峙している唯一の連作であり(何かに投影・何かから投影している連作はあるが、もちろん対峙するのとはわけが違う)、そして、この連作の最初の1首目に、中里さんが登場するからである。 中里さんとは誰か。 それを探るためには、残念ながら何かを連れて来なくてはならない。ただ、直接連れて来るのはよそう。 覚えている人は、「世話する光」を思い出してほしい。 私は、この歌集は、ビーカーに水を注ぎながら、ひたすら目盛りを数える歌集だと思っているが、このビーカーに水を注いでいる人こそ、まさしく中里さんなのである。 ビーカーに水を注ぐ速さを調整できるのは、中里さんしかいない。 中里さんの設定した、アパートの耐用年数は百年だ。今まで私はこのアパートに十六年住んでいたが、この築二十五年のアパートは、今度は百年しか持たないだろう。夕暮れをこんなに身近に感じることは、これまでなかった。あったとしても、それは時間の経過を感じるだけのことで、日が暮れるという感傷に浸っているに過ぎなかった。 誰がアパートを塗り替えてくれと頼んだのか。依頼主は誰か。 「そういうのを感傷と呼ぶんだよ」
この話のつづきは箱の中で(いま、開けたばかりできれいなので)
スイスにようこそ! 客車から降り、石炭の匂いを感じながら、私は停車場の短い階段から野草の生い茂る草はらへと下った。駅舎までは多少、距離があった。改札で銀色の箱に切符を落とし、石畳のロータリーに出たところで、その男は大声でそう言ったのだ。 「スイスにようこそ!」 けたたましい警笛と、シリンジやポンプの作動音、蒸気の噴出される細長い音の後、機関車は走り出した。その男は、もう一度、「スイスにようこそ!」と叫んだ。 その男は、ホテルから私を迎えに来ていた。 その男は、ボタン穴の部分に白い花が刺繍された、キルト地の赤いチョッキを着ていた。民族衣装なのだろう。滑稽に見えた。 「スイスにようこそ!」 私が声を発さないせいか、その男はいつまでも叫び続けていた。
思いましょう 世界は果てが滝なのに減らないくらい海に降る雨
わずかな言い換えが、同一性をより担保してくれる。違いではなく、同じであるということに価値があり、光の当たり方が違うという指摘をすることに、この世界の意味があるのだ。 何も変えてはいけないし、そもそも何も変わっていない。 だから、ため息のような破調をため息だと断定するような、理性に支配された言葉や深読みの数々に、どうか、果てしない嫌悪を。
歩いてもどこにも出ない道を来たぼくと握手をしてくれるかい
空き地の真ん中にあるブランコを漕いでいる人はいなかった。しかし、そのブランコはもう2時間以上、揺れ続けていた。風が吹いたり、地震が起こったりしたのだろうか。犯人は誰だろう? ぼくはそんなことを考えながら、空き地から出て行った。夕映えでまぶしい道にも、もちろん誰もいない。
眉を順路のようにならべて三分間写真のように生まれ変わるよ
さっきまでスパゲッティが乗っていた皿だろうか。陶器が割れる音がした。いつ聞いても嫌な気持ちがする。盛り付けにどれだけ時間をかけたか知っているのだろうか。拳大の麺を掴んだトングを円の中心に垂直に下ろし、3°ずつ反時計回りで円を広げていく。麺が尽きたら、今度は尽きた箇所からもっとも近い皿の縁から、時計回りに同じことを繰り返す。規定量の麺がなくなるまで、それを反復し、最後に外・内の間隙に向かってミートソースをかけていくと、もっとも美しい、写真映えするミートソーススパゲッティのできあがり。 それを奴は台無しにしたのだ。 客に謝る声がした。愛想がなく、声が大きいのにこもって聞き取りにくい。 やがて奴が戻ってきた。こんな奴しかバイトに来ない。 怒りがこみ上げてきた。
鰐というリングネームの女から真っ赤な屋根裏を貢がれる
忘れもしない10月15日、三銃士マドモアゼル・リンダとの決戦。 私は地面へと頭から叩き落とされた。筋骨隆々の大女リンダは、背負い投げの途中で掴んでいた両手を離し、私は右側頭部にゴギュという音を聞き、次の瞬間には病院のベッドに横たわっていた。4日間、眠っていたらしい。脳だ。硬膜に、血が溜まってしまった。もう復帰できないだろう。リンダとの再戦では、今度こそ殺されるに違いない。 退院してからも、私の脳裏からゴギュという音は消えなかった。
バス停を並ぶものだと気づくのはいずれ人ばかりではあるまい
カラスの襲撃がはじまった。 毎朝、5時35分発のバスに乗るための列がある。そこで餡パンを食べる男子高校生が、その襲撃がはじまる原因だった。 その列には、イヤホンのつながったMDプレーヤーを持つ会社員らしき男、バスに乗ってからすればいいのになぜか待ち時間でチークを塗るOL、文庫本を読む一見して職業のわからないラフな出で立ちの中年男性が並んでいることが多かった。曜日によって数人増減する日もあった。 カラスは滑空した勢いで餡パンを盗ることもあれば、バス停の近くまでひょこひょこ歩いてきて、飛び上がる弾みに文庫本を掠めとることもあった。日によって、何を盗るのかまちまちで、規則性はなかった。 しだいに、そのバス停の5時35分発の利用者は減った。私の部屋はバス停の真裏の2階にあったが、観察するに、それまでの利用者は35分の前後��バスに変えたようだった。35分発の前は27分発で、後ろは少し間隔が空き、52分発だった。 カラスは35分発のバスに固執していたので、前後のバスの利用者を狙うことはなかった。 私はだんだん、そのバス停の��5分発のバス列に並んでみたくなった。バスに乗らない生活が続いていたが、意を決して餡パンを食べながらそのバス列に並んだ。 並んだといっても、その日、私以外に並んでいる人はいなかった。 カラスが飛んできた。私の背後から近づいてきて、しばらくじっとしていたが、やがて朝焼けの空へと飛び去っていった。 私はバスに乗り、駅に向かった。駅に人はまばらで、なんだか楽しい気分になった。 どこに行こうかな。
拾った本雨で洗ってきた人と朝までつづく旅行計画
歩けば歩くほど、傘が遠のいていった。空き地の中央に突き刺さっている、一本の傘。半透明のビニール傘で、コンビニのテープが持ち手に付いたままだ。 誰もいないのに、傘がゆっくりと開いていった。時が止まる前の、緩慢な動き。 パラボラアンテナのように宇宙へと開いて、雨を受け止めている。 これから先、もうどこにも旅に行くことはできない。そう思うのに、時間は必要なかった。 朝は消滅した。
消えてった輪ゴムのあとを自転車で追うのだ君も女の子なら
自転車で行くには、あまりにも近過ぎた。ペダルを4回漕げば、そこに輪ゴムがある。わかっているのに、絶対に輪ゴムをひき殺してしまう。輪ゴムの断末魔が響きわたる。うんざりだ。
ブルーシートに「瀬戸内海」とペンで書け恋人よ 毛玉まみれの肩よ
瀬戸内海は本州と四国に挟まれ、九州と淡路島によって蓋をされている。こう定義したとき、瀬戸内海を狭いと感じるか、広いと感じるかは、人それぞれだろう。レトリックの差だ。 ただ、そもそもレトリックが生じるには、瀬戸内海に行ったことがあるか・ないか、が関わってくる。 私は瀬戸内海に行ったことがないから、レトリックが有効だ。 瀬戸内海=ブルーシートに座って、花見の場所取りをしていると、茂みからタヌキが顔を出した。私が瀬戸内海にいるので、タヌキが瀬戸内海に侵入することはなかった。 オオカミが来た時のことを考えて、もっと大きく書いておこう。 「おーい。オオカミが来たぞう」
牛乳を誰かが飲んだあとに来る 煙草をきみはねだる目をする
「おーい。牛乳が来たぞう」 「煙草、吸うかい?」 「これで無事に牛になれます」 「あいつは有名な牛なんだよ」 「知らなかったな」
月光はわたしたちにとどく頃にはすりきれて泥棒になってる
TEL「お電話ありがとうございます。ピザッチです」 わたしたち「注文お願いします」 TEL「承ります」 わたしたち「ピザッチの熟成ベーコン ダブルチーズスペシャルで」 TEL「レコードですね」 わたしたち「はい?」 TEL「月光ですね。お届け先を伺ってもよろしいでしょうか」
忘れてた米屋がレンズの片隅でつぶれてるのを見たという旅
夢なのか、旅なのか、映画なのか。 確かなのは、私が1眼レフを構えて、海辺のトタン屋根の小屋にレンズを向けていることだけだ。窓ガラスは割れ、部屋の中には砂が溜まっていた。防風林の木々の間から、風が流れ込んでくる。夢なのか。気がつくと、私は望遠鏡を覗き、宇宙の小さな米を見ている。星の中の、家の中の、米櫃の中の、一粒の米。われわれには、今目に見えているものが、米なのか、星なのか、区別することができない。
顔のなかに三叉路のある絵を描いた凧が墜ちても届けにいくわ
しかし、雲が突然、光を発した。本来見えていたはずの太陽をかすめている、飛行機の排気ガスの軌跡を柄のようにぶらさげた白いかたまりは、ゆっくりとひしゃげた。 私の頭の中と、想像の君の頭の中と、想像の中里さんの頭の中は、どれも凧が真っ青な空の中を落下する映像だけで占められていて、落下地点のことを決して想像することはなかった。つまり、野原で寝転んでいる中里さんの顔に向かって凧が落ちていき、中里さんの顔を凧の布が覆い尽くしたとは、誰も知らなかったのだ。 三者三様に、拾いに行く途中で迷子になり、誰も帰って来なかった。
マサチューセッツ工科大学卒業後 ほんとうの自由にたどり着けるだろう
何も考えたくないという時の「何も」こそが「自由」であり、何もかも達成したという時の「何も」が「ほんとうの」だ。バカ田大学は実在しない大学で、マサチューセッツ工科大学は「ほんとうの」大学だ。
五時がこんなに明るいのならもう勇気は失くしたままでいいんじゃないか
卒業おめでとう。五次会へようこそ。
東京タワーを映す鏡にあらわれて口紅を引きなおすくちびる
自分がどこにいるのか思い出せない、いや、自分がどこにいるのかわからない。東京タワーが映っているということは東京都内のはずだが、もしかするとテレビの中の東京タワーを映した鏡かもしれず、その証拠に東京タワーはゆらゆらしているが、しかしそれはタバコの煙のせいかもしれないし、もしかするとスモッグか黄砂か霧かもしれないし、くちびるは口紅を加えてはっきりするということは、つまり鏡の中の口は自分の口で、くちびるは自分の口のくちびるで、ようするに自分が鏡の目の前にいるということ以外に確かなことはないと思ったが、塗っている自分の指と指は本当に自分の指なのか、「指?」、指ではないだろう、ここはトイレだからテレビはないはずだ、東京タワーは小さいし、自分は口紅を塗っている自分だ。
その森がすべてうれしくなるまでにわたしたちは二匹に減っておく
わたしと、マイケル・ジャクソン。この森はすべてうれしい。
こどもたちは窓のかたちを浴びていて質問してくるようすがない
遠い空を凧が浮かんでいたので、空について詳しくないぼくらには、それがいかに巨大か、近づいてくるまで分からなかった。 凧は風にあおられぐらつき、山の峰に触れた時、周囲の木々と凧の大きさの違いに、ぼくらは驚いた。 もっと遠くに浮かんでいると思っていた。 いや、あれは飛んでいたんだ。 あれは大人かな。 子供じゃないかな。子供が五人、凧の対角線に沿って張り付いている。 貼り付いている、の間違いじゃないかな。彼らは死んでいるよ。 五角形のそれが草原へと着陸した。ずどん、と。 ぼくらはそれに向かって駆け出した。
こうもりはいつでも影でぼくたちは悩みがないかわりに早く死ぬ
もぐらとこうもりは、ぼくたちにとって黒いかたまりだった。猫がもぐらを咥えて夕方の軒下にやってくると聞いたことがあったけど、中里さんはそれをぼくたちに見せてはくれなかった。 ただ、一度、ぼくはその死体を見たことがある。中里さんがどこかに埋めたもぐらを掘り起こしてきたのだ。でも、それは真っ黒に塗りたくられていて、まるで影が空中に浮かんでいるみたいだった。ぼくはそれを手に取った。これがもぐらだとは思えなかった。いや、思おうとする前にもぐらは、ぼくの手からその黒いかたまりをかすめ取り、夕闇の暗がりへと消えていったのだった。 ぼくが幼少期に死について考えたのはそのたった一回だったが、長い時間が経ってから思い出すと、ぼくはつねに死について考えていて、それはぼくたちにとっての共通のテーマだったが、今、捏造した記憶かもしれない。こうもりが、車庫の屋根裏から羽ばたき、ぼくの顔を覆った。苦しくなることが、ぼくはいま溺れているのか、どこで。
けむりにも目鼻がある春の或る日のくだものかごに混ぜた地球儀
バナナと梨とリンゴと葡萄がかごに混ざっていて、実はどれかが地球儀でーす、というクイズ。 正解は、バナナ。よく見てごらん。ほら、剥いてみて。
電球を抜く手つきしてシャツの中おめでとうってどこか思った
エルヴィス・プレスリーは振動を発明し、マイケル・ジャクソンは手つきを発明した。 アンチ・グラヴィティは、特許によって成立しており、靴と床の構造によって無重力を再現していた。なぜ、バスター・キートンやチャップリンとは「違う」のか。 「おめでとう」と言えるのは、マイケルだけだから?
その鍵は今から四つかぞえたら夢からさめた私が開ける
なぜ、五や三とは違うのか。 「おめでとう」と言えるのは、四だけだから?
全世界 というとき世界が見おろせる星にかかっている羊雲
トートロジーに照らして考えたとき、全世界とは三角形であり、同時に正四面体でもある。つまり、三角形は四個あり、同時に十六個あるとも言える。 私は羊雲すら把握することができている。
部屋に見えるほど寒々と白旗をひろげなさいって誰に言われた?
凧は裏側の三角形に墜落した。ぼくらはそれを見ることができなかった。羊雲が青空に広がっていた。
犬がそれを尊ぶ「セックスアピールって要するにおっぱいだろ?」という目で
マイケルのそっくりさん「おめでとう」
たくさんになって心は鳥たちの動いたあとの光が照らす
「いらっしゃい」
新聞が花をつつんで置いてある よみがえるなんて久しぶり
長年考えていたのだが、と話をはじめることができれば、この話に説得力や教訓、哲学的な示唆があるのではないか、と耳を傾けてくれる人々が増えるのだとは思うのだが、実際はほんのついさっき考え出したことについて話をしたいと思う。しかし、これからずっと考えつづけていくに違いない事柄についてだ。 いや、私は長年、ずっと考えつづけていたのかもしれない。それを、ついさっき考えはじめた、と韜晦混じりに話している可能性もある。と、話を続けることしかできない。つまり、私には、いつ考えはじめたのか、全く分からないのだ。 いったい、新聞と何の関係があるのかと思うだろう。だが、話には順序がある。 まず、私が話したいのは、まさしく、わたしが陥ったある狂気についてである。 おそらく、世界中どんな場所にも、狂人と呼ばれる人間が必ず1人はいるはずだ。どういった人間かというと、たとえば、あからさまに口調がおかしかったり、あるいは身振りが不審な人間が狂人と呼ばれるのではなく、常識という土台はあるにも拘らず、その常識が生み出すはずの思考が常識とはかけ離れてしまう・少しずれてしまう人間のことだろう。 だが、何が狂人たらしめるのかというと、実際は時代時代の常識から見た「狂気」であり、大部分は、その人間が置かれた状況や環境に対する理解の欠如や、差別意識によるものなのではないか、とも思うが、しかし、土台の上の常識がずれるということについては、多くの人間は狂気と人間(狂人)を峻別し、その上で狂気に見舞われた人間を「狂人」と見做しているのではないだろうか。 ケースバイケースだ。こんなところで結論がでるような話ではなく、そもそも「土台」という考え方が、非常に差別的にちがいない。ただ、私が何を言いたいのかというと、この「土台の上」ではなく、まさに「土台」の部分で、私は狂気に飲み込まれてしまったということだ。 話を始めよう。 私はかつて、池袋で新聞少年だったことがある。しかし、それはほんの2週間でおわってしまった。当時の家庭環境からすれば、私は働きつづけなければならなかったのだが、体力はもちろん、幼稚さゆえの逃避癖から、楽で薄暗い方へと身を沈めてしまった。逃げたのだ。打ちっぱなしの床に、やけに赤いヒーターしかない作業所が苦痛だった。2階から聞こえる怒声が、ただ耳の内側に響き、昼の数時間の睡眠や不規則な生活が、だらだらと続くのに絶望した。 それはともかく、私は2週間の短い経験だったが、新聞、と呼ばれると、広告チラシと新聞を一括りで連想するようになってしまった。私にとって、新聞とは新聞紙のことではなく、チラシがハンバーガーのように挟まっていてこその、「新聞」だ、と言えば少しは分かりやすいだろうか。 そして十六年後、私はあるアパートに住んでいた。チラシを捨てることができず、十六年分のチラシが部屋にはあり、話とは関係ないが、毎日、ダブルチーズバーガーを食べていた。 私が陥った狂気について語ろうと思うが、前置きに比べてずいぶん短くなると思う。なぜかといえば、これは私が現在直面している狂気であり、私は正常と異常、時間の長短の区別がもはや付かなくなっているからだ。ようするに、私は説明することができないに違いない。 話とはこうだ。私はある日、部屋の壁中にチラシを貼る男を夢想した。それは私だったのかもしれないし、今、私がチラシを壁に貼っているのかもしれない。 「新聞が花をつつんで置いてある」 私は「新聞」に包まれている。 私は置かれている。 私は自分が花だとは言わない。しかし、「よみがえ��なんて久しぶり」とは。 私が、自分が狂気に陥ったと考える理由は下句にある。 私は甦っただろうか。「久しぶり」には、世界に対する癒しが含まれている。 癒しは、包まれているのか。包まれていないのか。 文字が塗りたくられた円錐は、床に転がっている。 円錐の先に窓がある。 窓から、光が射し込んだ。窓にもチラシを貼っていたが、紙が薄かったので、窓は光っていた。 「よお」
*
引用はすべて、我妻俊樹「窓を叱れ」(『足の踏み場、象の墓場』、短歌同人誌『率』10号 誌上歌集、2016年)より。
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[国師岳・横尾山・甲武信岳] 金曜の昼休みに山と高原地図を買ってきた。前の週のように17時ちょうどに会社を出ることは叶わなかったが、その日も21時には床についた。
予報では快晴のはずだったが、未明の中央道は雲に覆われていた。今日は勝沼で降りる。降り際、目の前に見える夜景が誘惑的で危ない。オイル交換を渋っているせいか燃費が著しく落ちていた。24時間営業のSSを探して短くない寄り道をした。川上牧丘林道で大弛峠へ向かう内に少しずつ空の色が変わってきた。もっと動物に会うかと思っていたが、鹿のコロニーに一度遭遇しただけだった。走りながら山影に雲がかかっているのが見えた。
峠にCRFを停め、国師岳方面へ進んだ。金峰山へのアクセス拠点として高名だが、ここから登るのは何となく憚られる。国師岳へ行くのも登山という感覚はほとんど無かった。
分岐にぶつかったのでまずは北奥千丈岳を踏むことにした。こんなに簡単に登れるが堂々2,601メートルの海抜は奥秩父の天辺にある。山頂には誰もいなかった。岩の表面が凍っていて慎重に立たないと滑り落ちる。
太陽は感じるものの水蒸気が見事に光を遮っていた。それは北奥千丈岳から数分歩いて着く国師岳でも同じことだった。こちらには機材をもったカメラマンが数人待っていた。
彼らは一体何を知っていたのだろうか。不思議に、突然ガスが晴れ始めた。塵を攫っていってくれるので空気も澄み渡っている。昇ったばかりの太陽がとても綺麗で眩しい。
部分的に晴れていたガスは最後にはぱったり止んだ。カメラマンたちが何を待っていたのかを知る。真っ白な雲海の上に、同じように真っ白な富士山が浮かんでいた。
太陽が高度を上げてもまだそこを去る気になれなかった。富士山の単純な美しさに感心した。帰りにもう一度北奥千丈岳を踏んだ。ガスは止み、こちらは西と北、国師岳は東と南というように景色を分け合っているのを理解した。
大弛峠に戻るとこんな山奥に渋滞が起こって��た。路側に適当に止めたCRFが後続に迷惑をかけていた。林道は長野県側で規制がされていたが、その手前を少しだけ走ってみた。荒れ道をタイヤは拒む。
クリスタルライン、瑞牆林道を経て信州峠へ抜けた。交通量少ない、穏やかな山道だった。峠は広くないスペースを数台の車が埋めていた。しようがないのでカーブ出口の路肩に寄せてCRFを置いた。
どうしてもという訳ではなかったが、無性に心惹かれて横尾山を登ることにした。信州峠から分かりやすいピストンルートがある。中腹のススキの原が展望がよく、楽しい。山頂は老人会で賑わっており足早に去った。
朝の北奥千丈岳からもよく見えていた八ヶ岳は依然雲を寄せつけず、青空に浮かんでいた。登っていたらさぞ楽しかったろうと思われた。山麓の高原野菜の畑の中を徘徊する。コンビニで食料を買い込んで甲武信岳登山の出発点、毛木平を目指した。
毛木平の駐車場は車の数もそこそこ、分かりやすく「キャンプ禁止」と書かれているのが懸念された。単なる幕営、野営だからと強い気持ちで物陰にステラリッジを張る。「車中泊より暖かいし火は焚かないから大丈夫」と、車で来たのにテントを張る登山者がいたので楽になった。
未明、目を覚まし外へ出るとフライシートにびっしりと霜が降りていてゾッとした。CRFもすっかり白色になっていた。セルを回してエンジンはかかってくれるだろうかと不安になる。いつもなら起きたタイミングで撤収作業も済ませてしまうが、手がかじかむので下山してから片付けることにした。空は星が綺麗で、快晴の予感には安堵した。
千曲川の源流を辿るコースから山頂を目指す。安達太良山の時よりも不安で、動物の気配を濃く感じる。月の周期は満月に近く、月明かりは届いていたが、ヘッドライトと時にはキャンプ用のランタンも掲げて道を確かめた。
千曲川の氾濫が記憶に新しく、源流の甲武信岳も登山道が荒れていると聞いていたが、幸い歩くのに大きな支障はなかった。暗い中を歩いていると視覚以外の感覚が鋭くなる。足の裏に感じる道の固さ/柔らかさが何度か判断を助けてくれた。
源流地点を通過する前後でようやく空の色が変わり始めた。尾根上へラストスパートをかける。間もなく、国師岳や金峰山方面への分岐に着いた。薄明の中に今日もまた富士山は堂々立っていた。山頂が近い。
頂上近くにある山荘に前泊していたのだろう、日の出を求めて多くの集団が頂に来ていた。学生グループの喧騒に耳をふさいだ。ご来光に歓声が上がっていた。
日の出を消費しきれば集団は去る。静けさを取り戻した山頂で昨日のように富士と太陽を見比べていた。山頂の標が立つ場所は日の出を見るには開けていない。その代わり浅間山、八ヶ岳、日本アルプスがよく見えた。麓を覆う雲海もまた白眉だった。
下りは三宝山、十文字峠を経由して周回ルートになるように歩いた。フライシートには溶けきった霜の水滴が微かに残っていた。毛木平近くは鮮やかな紅葉が見頃で明るい。
冬の規制前最後の週末を迎える麦草峠を久しぶりに走った。八ヶ岳の向こう側へ出ると、ビーナスラインを走っているのだろう、バイクの音が遠くに聞こえた。小仏トンネルの混雑を嫌って早めに高速に乗ったが、願いは叶わず十数キロの渋滞があった。案の定、小仏を抜けると何事もなかったように流れが回復した。中央道は大月か甲府辺りまで3車線に広げればいい。環七に入るのに失敗して永福町周辺を彷徨い、すっかり夜遅くなってから家に着いた。
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念願の乗鞍
去年、再び自転車に乗り始めてからずっと行きたいと思ってた乗鞍に行ってきました。
今回は大阪駅6時頃発の新幹線で名古屋まで。名古屋からワイドビューしなので松本に9時に到着する便で向かいました。
ワイドビュー高山という手もあったのですが、高山より松本の方が1時間ほど早く到着することを知り松本を選びました。
ワイドビューしなのに乗った瞬間、超ご近所さんのエリートさんが連結挟んで向こう側に乗ってて笑いました。ちょっと挨拶だけ交わして松本駅へ。
一緒に輪行解除して補給食を買って、乗鞍高原への分岐まで案内していただけることになりとてもありがたかったです。坂区間に入った瞬間待たせてしまうことになり申し訳なかったです……
エリートさんと奈川渡ダムにて。
この後トンネルを抜けた一瞬の分岐を抜けた先でエリートさんとお別れ。前を走るエリートさんを追おうと思いましたが一瞬で道の先に消えていかれました。すごいなぁ。
乗鞍観光センターまでもけっこう坂が続き、「後半に体力とっておいた方がいいですよ」というアドバイスに従いインナー+軽いギアで回します。
乗鞍観光センターでエリートさんが出てきはったので手を振ります。あとでTwitterをみるとお昼ご飯を食べてはった模様。つまりご飯時間以上離されていたわけですね。
観光センターはスルーし三本松レストハウスを目指します。レストハウスへもけっこうな登りが続きます。もう少しかなと軽く考えていたのでなかなか現れないレストハウスにちょっと絶望。まだゲートも超えていないのにそろそろ時刻は正午を指します。
三本滝レストハウス着。12:30。
9時半頃に松本出発してるんだぞ、とかなり情けなくなってきます。とりあえずわりと脚も疲れていたのでエリートさんに無事ゲートつきましたよリプライだけ送ってお昼ご飯にカレーを食べながら足休め。
とはいえ帰りの時間もまずいので13時に出発しました。
ゲートを超えるとマイカーのない世界。とても走りやすいです。
もうこの時点で満足して引き返して帰ろうかと思っていたのは内緒。
ゲートを超えてからは坂がきつくなったような気がします。でもこの時点では写真を撮る時以外は特に休もうとも思わず漕げていました。
わりと足が疲れてきたなと思った頃に位ヶ原山荘に到着。
ここで遥か高いところを走るバスを見てかなり絶望します。写真ではわかりにくいですが稜線の真下くらいに張り付くような道が見えます。
さらに休憩していると雲が出てきて山を隠してしまいました。かなりめげかけます。そしてこの時既に14:30。高山側に降りるとすると電車の時間も気になってきました。
急がないとと出発。ゆっくり漕いでいたので脚はそこまで限界ではないですがスピードが出ません。さらに素晴らしい景色が足止めをしてきます。
紅葉、本当に見事でした。
木がなくなってきます。そろそろ森林限界?
完全に低木だけに。
このあたりはほんと、200mごとに止まって景色見て、写真撮ってしてたと思います。ガスってはきていましたが素晴らしい景色でした。
まずい……ガスが……!
最後の方はかなり脚も限界で、google mapを頻繁に開いて「あと何kmやねーーーーーん!」って確認してました。情けない。
ガスも濃くなってきた中稜線が近づいてきます。稜線と合流しそうな左カーブが見えて、その先に……
15:25、県境に到着!完全にガスに包まれている!
でもすごい達成感でした。
その後とりあえずバスターミナルまで。登山客の帰りのバス待ちでしょうか長蛇の列。
余裕あれば山登ってやろうとか思ってた自分を殴ってやりたい。何も余裕なかった。
お決まりの?場所で記念撮影。
畳平でベンチに座って補給食の残りを食べながら「どちらに降りようか」と考えます。基本、来た道を戻るのは好きじゃないので高山側に降りたいと思っていたのですが問題は帰りの電車です。
事前に調べていた大阪に余裕を持って帰れる最終列車は高山18時半頃、松本20時半頃。現在時刻16時前。
悩みます。
余裕を持つならば松本。しかし来た道を戻ることになる+距離が長い。そして「ゲートまでの道、けっこう”下った”よな」という記憶があります。つまり松本に戻るためには疲れた脚で急ぎながら登らなければならないということ。
結局ほぼ下りな高山を目指すべくスカイラインを選択しました。
スカイライン、気持ちいいのですが少し気をぬくとスピードが出すぎて怖かったです。カーブ前に減速しておこうとサイコンを見ると「55km/h」と表示されていた時はとても焦りました。開放感溢れていることも手伝ってスピードが出ていることに気付けなかったのかもしれません。
やがてスカイラインは霧に呑まれ……
交互通行も近付いてやっとわかるレベルに。十分に減速しながら下ります。
スカイラインのゲートをくぐる頃には嘘のようにガスも晴れ、標高が下り高山に近付くにつれてどんどん暖かくなっていきました。
何箇所か軽い登りはありましたがそのまま下り続けて高山到着。17時でした。
適当に見つけた高山ラーメンを出しているお店でラーメンとチャーハン。お腹空いてるのもあってめっちゃ美味しかったです。
高山駅でささっと輪行準備。無事切符も買え、18時前のワイドビューひだに乗り、意外と空いていた自由席でゆったりと帰りました。
新幹線降りて新大阪で輪行解除した時に見覚えのありすぎるバスが通って行ったのがハイライト。
一瞬脳が混乱しましたw
乗鞍、一応私でも1日で行って帰ってこれました。私は登りも弱いし速くない方なので、私が行けたということは大体の人がいけるんじゃないかなと思います。
ただ、前半エリートさんにひっぱってもらえたから後半のろのろでも一応高山からの電車に間に会えたんじゃないかなって思いもあるので、他の人に気軽におすすめすることはできないなとも思いました。
けっこう焦るんですよね。ゲートを越してもないのに正午超えちゃったり、まだまだ道は長いのに14時半だったり、空気も薄くて脚も使ってしまって思うように進まなかったり、畳平で16時だったり、ゲートが閉まるのに間に合うかなとか。そこで焦ってしまって事故ったらほんと乗鞍の下りは崖下に落ちて死んでしまいそうだったので…… 気を付けないと……
��もすっごい景色が良くて、空気が綺麗で、登っていくのがとても楽しかったです。本当に行ってよかったと思いました。今年はもうシーズン終わっちゃいますが、ぜひ来年も行きたいですね。今度は夏がいいかな?
それではまた。
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日向山&7年振りの霧の丸山
緊急事態宣言下で、更に前回から1ヶ月以上空いてしまったので、県内の山で、かつそこそこの距離と高低差のある奥武蔵の日向山〜丸山を歩いて来ました。 これで6回目の��ッチ登山です。
丸山に登ったのは7年振りです。 その時は日向山は通らずに、最短ルートで丸山を目指しました。
駅前から登山口に向かう途中で見かけた「コーヒー&喫茶たけのこ」。 芦ヶ久保と言えば「木の子茶屋」が有名ですが、 ここでも「きのこたけのこ戦争」が勃発しているのかしら?
住宅脇の急坂を登り切ると、駅からも見えた青銅の観音像が! 3年前に二子山に登った時に存在に気付いたけど、いつからあったんだろう…。
観音像の右側に道標があるのですが、その後ろに階段があったので 間違えて登ってしまいました…。 正しい道は、道標の指す方向に真っ直ぐ進んだ先にあります。 ここからだと見えないので一瞬迷いますが。
そう言えばこの広場、小1の遠足でお昼を食べた場所じゃないかしら?
この緩〜い芝生の坂道が、意外と滑る…。 バランスを崩して左脚をグキッとくじいてしまいました。 特に捻挫とかはしなかったから良かったものの。
突き当たりで橋を渡ります。
あまり人が通らないマイナールートなのか、草が伸び放題。
後ろから来た男性に追い抜かれました。 速いなぁ…でも、誰かが歩いていると、それだけで安心。
しばらく行くと、道幅の狭い生活道路に出ました。 正面に見える森に日向山のへと続く道があるようです。
右手に見えるのは、丸山でしょうか? 霧に飲み込まれてますね…。
綺麗な御手洗いと櫓の右隣に
琴平神社の入口があります。
階段を上った先に社があり、その右手に獣害防止用ネットがあるので 中に入ったらしっかり締めて紐を縛ります。
で、入ったらいきなり木の階段。 角を曲がると更に急な階段。そしてまた階段が続きます。
階段地獄を終え、しばらく登ると日向山の展望台が見えました。
日向山の山頂、633m。 これと言って何も無いですが、休憩するには良さそうなポイント。
展望台からの景色。二子山(右側)は見えますが、その先の武川岳や 伊豆ヶ岳などは霧(と言うか雲?)に飲み込まれていて、よく見えません。
今度は丸山に向けて、長い階段を下って行きます。
「山の花の道」を抜け、林道を登って丸山の登山口を目指します。
途中に咲いていたクサギ(臭木)の花。 花が臭い訳では無く、葉っぱを千切ると臭いから付いた名前だそうです。 お花は甘くて良い香り♫
臭木の更に先に咲いていたクレマチス・ビタルバ。 こちらも可憐な花です。
林道が二股に分かれた箇所の右側に、登山道の入口がありました。
熊さん、日本語が読めると良いんだけど…ホント、襲わないでね〜!
登山道の途中にあった鳥居と祠。
果樹園からの登山道と合流しました。
この道沿いにはヤマジノホトトギス(山路の杜鵑)が咲いていました。
あ、前方に登山者発見!ホッとする〜
ここを登った先は遊歩道になっていて、
少し広がった箇所が「出会いのテラス」という休憩所になっています。 特に景色が良い訳では無いですが、一休みするには持って来い。
ここにはヤマハギ(山萩)が咲いていました。
さらには野生のホオズキ(鬼灯)も。
遊歩道を横切り、登山道を進んで行くと、左手に案内版と東屋が。
東屋方面に進んで行くと「県民の森」。 私は右手の丸山方面へ。
あれ?また遊歩道に出ました。そして御手洗いもあります。 どうやら先ほどの遊歩道はグルッと1周しているようです。 私がテラスで休憩中に一組のご夫婦が遊歩道を進んで行かれたのですが、 思いがけずま��ここで再会しました。
また遊歩道を横切って、山頂への登山道へと進みます。
前回来た時に子熊を見掛けてハラハラした箇所を無事に通り抜け、 無事に丸山の山頂に到着!標高960m。
山頂には展望台があるのですが…
残念ながら真っ白〜!そう言えば7年前もこんなだったなぁ。 展望台から下りて、ベンチでサクッとランチを済ませました。
帰りは電波塔のある道から大野峠を目指します。
道の先もガスってました…。
マシューアザミ。そこかしこに咲いていました。
杉の苗畑。 静止画では分かりにくいですが、向こうの山を隠すように雲が流れています。
白石峠への分岐まで来ました。ここで右折。
熊笹の道。ここで熊が出て来たらどうしようと思った記憶が蘇りました。
突然現れる、パラグライダーのテイクオフ場。 視界ゼロで無風のため、飛べずに待機中のようでした。
芝生広場の右奥にある長〜い木の階段をひたすら下って行きます。
階段を下りきると、東屋があり、その先の林道に 案内版と道標があるのですが、この右脇にある階段を進んではいけません!
芦ヶ久保駅に戻る下山道は東屋の正面、 下りて来た階段と並行して走る林道を横切った向こう側にあります。 私はこれを見つけられなくて、数分ウロウロしてしまいました。
さてと、気を取り直して谷道を下って行きましょう!
しばらく下ると左手が沢になっており、苔むした巨岩も見られます。
渡渉箇所も2箇所ほどあります。
登山道の右脇に、人が1人入れるぐらいの洞穴がありました。 真っ暗でちょっと怖い…。
小さな滝も数カ所ありました。
そろそろ下界かな、という辺りに杉のベンチ。 下り続きで膝が笑っていたので、ここで小休止。ありがたや〜
養蜂場を過ぎた辺りに、最後の道標がありました。
国道299号をひたすら歩いて、芦ヶ久保駅の下にある道の駅で 名物(?)紅茶のソフトクリームを食べて帰りました。
今度こそ晴れた日に景色を堪能するぞ〜!
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103 Promise
空は青く澄み渡り、アストラは静かで穏やかだった。絹のように地��薄く張った水面はまぎれもなく天を映しながら、その鏡面にはさらにひとりの、現実にはすでに存在しない人影が、大いなる戦いを終えたフェレスの主らを見守りつつたたずんでいた。ストラーラだった。淡い青みがかった銀髪と左右の均整のとれた美しい姿を持ち、だが今ならば、その身裡にはまったくの未知の力、無秩序の根源である混沌の資質を宿している者なのだとバルナバーシュには分かった。虚無と対をなして七つの資質を少しずつ持ち、そのカオスの不合理をはたらかせて変則と放縦のパターンを織りあげながらも、我々とともにロジックを生みだし、同じ結果にも到達しうる者……。予知を拒み、冷笑的でたわやすく心を開くことのないあやうい背理のなかで、彼女はなにを願い、なぜ円環の終わりに抗いながらフェレスのかけらに力と希望を与えようとしたのか。
バルナバーシュは、おそらく彼女のようなものの力こそが虚無と同様に、私たちヒトにとって最大の宿敵となり、またなくてはならぬ存在にもなるのだろうと漠然と感じとった。
ディオレが混沌の少女の幻影に歩み寄って、数歩離れたところにひざまずき、唇にあてた指を口づけを介した儀式のように水面に触れさせる。すると規則的な波紋が音もなく広がって、うっすらと輝き、水面に映っていたストラーラは反転しながら彼らのいる次元へ実体をともなって顕現した。その場にいる全ての者の視線が向けられたが、彼女は意に介さず、人も無げに口を開いた。
「……私はあなたたちの誰よりも、世界は夜に満ち、いつかはかならず終わるものと思っていた。私はひどく退嬰的な世界に生まれた、血も薄い不具の子だった。まるで滅びゆく時代を模した申し子のように。ゆるやかな絶望が落とす影を感じながら、ただひとりであることや、自然の営みだけに心を安らかにして、ヒトの可能性というものは露ほども信じていなかったし、願いや欲望などは冷笑すべきものだった。ときに不全のからだに苦しみ、ときに御しがたい衝動に振りまわされながら、それでも自分がなぜ世界に生きようとするのかさえ判然とはしない……。そんな私のもとにも、フェレスが目覚め、けれど自分の願いなどなにも分からなかった。〈可能性〉ではなく、〈運命〉のまにまにただ任せてイススィールへと来た。何よりフェレスの力が、私の短かった命を永らえさせてくれたから」
思いに沈んだ目で、長い溜息のように少女は淡々と、己れの来歴を語った。憂鬱に満ち、病的な気風のただようこの振る舞いが、心を取りもどした本来の彼女のありようなのだろうか。差し出した両手のなかがにわかに青白い光であふれると、小さなゼンマイ式のオルゴールがそこに現れる。ストラーラのフェレス――可愛らしい草花の彫りが入った木箱からは、悪夢めいて迷えるものがなしい歌が奏でられ、同じ旋律が切れ目なく続くさまは、彼女にとっての永遠を象徴しているようでもあった。
「私はあるひとりの魔族の男と、島の波止場で出会い、なかば連れられるようにしてリギノの神殿を訪ね、そうして七つのパワースポットをも巡っていった。あなたたちのように、さまざまな人々、さまざまな思い、さまざまな記憶に触れて、一歩一歩、少しずつ、世界の中心へと進みながら……。どうしてかは分からないけど、そんな旅や冒険は楽しかったし、景色は美しく、パートナーは得がたい友だちで、こんな私に命をかけて良くしてくれて、私もやがて、彼を守るためなら危険を冒してもよい思いを強めていった。彼は私と違って楽観的だったけれど、魔族らしく混沌的なところは似ていて、お互いがお互い以外の者には飽いていたから、長く続いたのかもしれない。そしてミュウにもグッドマンにも味方せず、まるで親に楯つく子供みたいに、無邪気に私たちははざま���道を進んでいった。………」
どこか悔いるように、ストラーラはかたく目を閉じる。
「あんなことになるなんて思わなかったの。人間になったアンドロイド、ユキルタスの導きでアストラで戦ったはてに、ミュウとグッドマンはさしちがえ、クレスオールは無念のなかで消滅し、要石であるユテァリーテは砕かれた。ユキルタスは物語は終わると言っていたけれど……それでもヒトに希望がある限り、いつか新しいイススィールは生まれるはずだった。そう、イススィールとエターナルデザイアーの伝説は多くの次元と結びつきながら、女神の意思さえも超越した永遠の円環〝だった〟から。でも私たちは、より大きな、もっとも上位にある絶対的な運命をその時に感じたわ……。『もう二度と、伝説はよみがえらない』のだと。島を形成するイメージはただ薄れて消えるのではなく、みずから燃えあがり、過去から未来へ、時そのものがはてるまで……すべての次元、あらゆる世界と存在のなかへ駆け抜けるようにして、全てが灰と化していった。喪さえ拒む仮借なき滅びによって、この神秘の島を知るわずかな人々に、鮮烈な記憶の痕を、秘密として残しながら。本当の、本当の終わりだったの。火をまえにして、私は――ひどく悲しかった。流したことのない涙さえ流した。でも、何も言えなかった……あまりに突然のことで、信じられなかったから。自分のその嘆きの正体は、今でも分からない。世界はいつか終わるのだと、あんなにも強く思っていたのに……。パートナーも、私とまったく同じ気持ちだった。そして私と彼は、イススィールでの思い出をレリックとしてフェレスに刻みながら、燃えさかる世界のなかであることを願い、また約束を誓った」
バルナバーシュのとなりで、かすかにディオレが息を呑む気配があった。幸星の民を束ねるこの戦士すらも知りえぬ事実が言い連ねられているのだろうか。
「もう一度だけ、かりそめでもかまわない……私のフェレスを要石にしてイススィールのイメージをつなぎとめて、この地を残し、エターナルデザイアーをまだ必要とする者たちを受け入れつづけること。それが、この島で生まれてはじめて生きる希望を抱いた、私の願いだった」 「私たち幸星の民の父祖が約束したというのは、ストラーラ、あなたとだという。パートナーとする魔族の男が、私たちの父祖なのか」 「そうよ、ディオレ。彼はもともと、黒魔次元からのはぐれ者で、次元から次元を海のように間切ってわたる旅人でもあった。名はエイデオン。いつか心を失うはずの私――偽りながらも、繰り返されるストーリーや志半ばで果てたフェレスのかけらを受け入れつづける私に、終わりをもたらす約束を交わした。そうして永い時が流れ、彼と私の物語も忘れられて、あなたたちのなかで掟に変わって残るだけになったけれど」 「父祖はあらゆる次元で落伍者や居場所のないものたちを集めながら、最後にオルトフの次元を見いだし、そこを彼らのためのささやかな住処と定めた。そしてフェレスを持つものが人々のなかから現れはじめると、彼らを鍛え、オルトフの次元からデスァ闇沙漠へつながる隧道を開き、あの場所のイメージをとらえながら進む案内人になることを掟にしたという。だが、父祖も長寿だったが定命の者であり……最期に自身の古い約束を、後世の者たちの手で果たしてほしいと言い残して現世を去っていった。約束ははざまの道の先にあるのだと」
ディオレが継いだその話に、ストラーラはいくらか満足したらしい顔をみせ、「昔話はもうおしまい」と首を小さく振る。
「それにしても彼、私と冒険した思い出や、約束にこめた想いなんかは、きっと誰にも話さなかったのね。おかげでディオレや後世の人達は、私をただの倒すべき敵かなにかのように思っていたようだけれど」
ディオレは言葉を詰まらせたが、ストラーラはそこではじめて、ヒトとしての笑みを浮かべ、すこし嬉しそうに含み笑いをもらした。そうして視線を、今度はルドへ、さらにバルナバーシュとフェリクスにも向ける。その瞳はいま、あらゆる人々の面影が去り、本来の赤みがかった黒玉の色に艶めいていた。
「最後のパワースポットを開放するわ。私のフェレスの力を、あなたたちに託します」
ストラーラがオルゴールをかざすと、その場に青白い光の泉水が生じ、イススィールの最後の力が滔々とあふれだして輝いた。オルゴールは見る間に朽ち、木箱がほろほろと崩れると、中にあったシリンダーは茶色く錆びてしまっていた。
「きみのフェレスが……!」
ルドは嘆いたが、ストラーラはそれに首を振った���
「私にはもう必要のないものよ。目的はすべて果たされたから。かつて、ユキルタスのフェレス――かなめのビスも同じようになったけれど、そのわけがやっと分かった気がする。彼もきっと、かなめからの決別を最後には望んでいたのかもしれない」
パワースポットの前に、ルド、バルナバーシュ、ディオレ、フェリクスが集い、目と目をかわしあったが、たがいに何も言わなかった。彼らの後ろでは、獣人の娘ナナヤと猟犬のマックスが固唾を呑んで背を見つめている。
ルド以外の者がフェレスをかざすと、光は柱のように広がって立ちのぼり、彼らの意識と五感を包みこみながら新たな力を伝えてきた。それはいにしえより脈々たる、〈運命〉を帯びながら世界の定常を守ってきた数多くの英雄たりし者の極めた力と生涯の技、そして記憶――決戦の地アストラに到達しうる戦士だけに継承を許された、偉大なる頂きの光だった。そして四人もまた、継承を経てその伝説にいつか連なっていくのだろう。光の向こうに、かつてまことのイススィールで神秘の旅を経験した冒険者の何千という影が往還している。ある者は夢の化身を晴らし、ある者は魔王の破壊を乗り越え、ある者は女神の支配を砕いた……。鋭く冴えたリズムが鳴りわたり、続いてもうひとつ、またひとつと加わってゆき、イススィールの天と地に複雑で精妙なこだまを響かせた。意志に鍛えられた心身と霊的に研ぎ澄まされたセンス、内外を問わぬあらゆる攻撃をはねかえし、世界を切り分ける言説といかなる脅威にもひるまず目的を完遂しうるモラルの集中、そして調和への約束の歌が過去から未来へ、無限のかなたへと広がっていく。冒険者たち、いにしえの英雄たちの影をも越えて、世界の中心に立つある一人の、甲冑を鎧った者が力強いまなざしを四人に送っていた。その鎧はサークによく似ていたが――空櫃ではない。
「リギナロ!」
ルドが何かをさとって、その名を呼ばわった。リギナロは神殿で決意を示された時と変わらぬ気高さで、ヒトの心の深奥より、この世のすべての冒険者たちを祝福しているように思えた……。光が薄れていく。宇宙と個人がひとつとしてたがいを映し、ふくみあう深遠より浮かび上がり、秘密の回廊を抜け、四人の意識は現次元へ、アストラの地へと戻ってきた。
彼らの帰還を見届けて、ストラーラはもろく微笑んだ。
「約束を果たしてくれてありがとう……そして、さようなら。開眼人、極致にいたり、真理を悟ったひとたち。あなたたちが世界に流れる一筋の希望となることを祈っているわ」
ストラーラが大気に溶け入るように消えると、途端に天はふるえ、大地は荒ぶる巨人の肉体のごとく震撼した。要石の少女がつなぎとめていたイメージが崩れ去り、偽りのイススィールもまた消え行こうとしているのだ。不穏な喧騒に揺らぐ世界で、太陽は脈打ちながら色あせ、空は混沌と暗く濁り、地平は赤と黒の狂おしくうずまく煙と化して、大波をなしながらこちらに押しよせてくるかに思える。一行は地響きにひざをついておののいたが、恐怖を踏みしめどうにか立ち上がった。
「偽りの所産ゆえか、伝説に聞くよりも崩壊の速度が早い。ありあわせのイメージで持ちこたえているだけの脆さだったか……みなで旅の終わりを讃えあう時間も与えてはくれないようだ」
焦った様子のディオレが、目配りしながらみなに脱出をうながす。悲鳴と破壊がふりそそごうとするなか、バルナバーシュははっと思い出して、急いではいたが用心深い足取りで、咆哮する地平に向けてその場から駆け去った。ルドが追おうとしたが、魔術師は目的のものを見つけると立ち止まり、掴みあげる。それはフェリクスとの戦いで斬り飛ばされた、ルドの機械の右腕だった。
「バルナバーシュさん、それは……」
戻ってきたバルナバーシュの持つ己れの腕に、ルドは不安げな声をもらした。
「約束する。この島を出たら、私がかならず君の腕を治してみせる。たとえ長い時がかかったとしても――」
バルナバーシュは使命感から言い切ったが、それはかつてリギノの神殿で交わした「ルドに希望のありかを示す」という約束と同じく、ひどく不確かな未来で、なんの保証も持てぬ思いでもあった。ただ何も考えず、自分自身のするべきことへの直感を、もう知っているものとして今は信じるしかなかった。実現への困難を表したけわしい表情がバルナバーシュをかすめすぎたのをルドは見たが、何も言わなかった。
「フェリクス! あなたも私と一緒にくるんだ」
ディオレの警告が聞こえ、ルドたちもフェリクスのほうを見た。古代人は、いまはもう鉄塊に過ぎぬイブの亡がらに膝をつき、安息の膜のかかった瞳で彼女を見つめながらその場を離れようとしない。その背は頑なであり、見かねて腕を無理やりつかんで立たせようとしたディオレの手は乱暴に、にべもなく振り払われた。バルナバーシュとルドもまた、生存を望んで説得を試みたが、ときに彼の身勝手なまでの意志の強さは二人も知るところであり、そのほとんどが聞き流されているようだった。
「フェリクス。イブはお前がここで終わるのを望むはずがない。お前にはまだ島の外でなすべきことがあるんじゃないのか」 「バルナバーシュ殿、頼むから放っておいてくれないか。私は貴殿らとは逆しまに、これですべて���失ったのだ。夢も現実も、過去も未来も、生きる希望さえも……。鉱山でともに過ごしたあの日、イブは私のすべてだと語ったろう。それは今も変わらぬ。一心同体の者として私がこの時に願うのは、彼女と同じ墓の穴へ葬られることだ」
埃に汚れた眼鏡の奥からバルナバーシュに向けられたルベライトの瞳は、光を失ってはいない。絶望も自棄もなく、心の底から強く望んでいるのだと、宿敵だった相手に打ち明けていた。もはや打つ手なしと嘆息するルドたちのもとに、ひとり近づく者があった。赤毛と尾と肩を剣幕とともにすさまじく怒らせ、憤懣やるかたなく目を吊り上げたナナヤが、ずかずかと、消滅に瀕した大地を大股で横切り――とめだてさせる隙もなくフェリクスの胸倉をつかむや、精魂を握りしめた拳で思いっきりその頬に一発食らわした。唖然とするルドたちの前でフェリクスは口を切って突っ伏し、眼鏡は数歩離れたところに吹っ飛んで片側のレンズに罅が入った。
「この頓馬が、いい加減に目を覚ましやがれ。この機械はあんたの命を守って死んで、そしてあんたはこの機械を愛していたんだろう。だったら、生きるんだよ。それがあんたにふりかかっちまった、どうしようもない運命なんだ――どうしてそれが分からない?」 「ぐうっ……この小娘……ッ」
最後になって運命と戦うのではなく尾を巻いて逃げだそうとした己れの図星をこうもはっきりと指され、怒りをあらわに食いしばった歯の間からフェリクスは罵倒を押し出そうとしたが、荒い呼気とうなりにしかならず、結局なにも言えずによろよろと眼鏡を拾ってかけなおし、ふたたびイブの前にひざまずいた。彼女の頬に手をやり、側頭部から親指ほどの銀色のチップを抜き、それから銀空剣に突き通された胸の中へ、心臓を掴みとらん勢いで腕をねじ込んだ。絡みつく電線や器官から引きちぎるようにして拳大の青い正八面体のコア――永久にエネルギーを生みだすという遺失文明の結晶を取り出すと、チップとともにベルトに下げた鞄に仕舞いこむ。フェリクスと機械種族のルドだけが、そのチップが、イブのこれまでの経験や記憶を、稼働する頭脳とは別にバックアップとして写しておく記録媒体であるのを知っていた。ルドは、自分が銀空剣で致命傷を与えたあとの記憶――〈イムド・エガト〉で戦うフェリクスを地上から見届け、彼の言葉によってイブの願いが叶った瞬間のこと――は、破損し、完全にはその中に残されていないかもしれないと考えた。
「ふたたびお前に会いにいく。かならず」
フェリクスはイブの亡がらにそう言い残し、立ち上がった。ディオレの先導のもと、ルド、バルナバーシュ、ナナヤ、フェリクス、猟犬のマックスは、次元の瓦礫と無をたたえた黒い穴ばかりの――それさえも塵に帰して���えていこうとするアストラの地を急ぎ駆け去っていく。一度だけ振りかえったフェリクスの視線の先では、イブの機体はまだ眠れるように捨ておかれていたが、それも巨大な結晶となって降りそそぐ空の破片の向こうに埋もれ、見えなくなった。
アストラから幅広い階段を下りていくうちに、あたりは発光する色のない濃霧につつまれ、肌や喉に刺すようにまつわり、彼らの向かうべき方角や意志力をも狂わせようとした。たがいの顔を探すのもままならぬなか、「立ち止まれ」とディオレが言い、続くものらはぞっとしながらも従った。霧にまったく覆われた世界では、空を渡る火も大気も、地を流れる水も土も、形をうしない、すべての元素が曖昧になってひとつに溶け合っていくようで、それに巻き込まれかねない危機感、そして異様な悪寒が身裡に走るのを一行は感じていた。ディオレは幻妖として霊的に発達した感覚をめぐらしたが、尋常ならぬ霧はあらゆる観測をしりぞけて、イススィールとこの地にまだ残る者たちを〝どこにも実在せぬもの〟として呑みこみつつあった。このままでは肉体と精神は切れ切れの紐のようにほどかれて分解し、宇宙に遍満するエネルギーのなかに取り込まれて、諸共に自我も跡形もなくなるだろう。いずれ死の果てにそうなるのだとしても、今ここで己れを手放すわけにはいかない。
「ディオレ、進むべき場所のイメージをとらえられないか」
バルナバーシュがディオレの肩と思われるところをつかんで言った。蒼惶と声を張ったが、霧の絶縁力にはばまれて、ディオレにはほとんどささやくようにしか届かなかった。
「やってみてはいる。だがこの霧はあまりに強力だ」
そのとき、近くからナナヤの短い悲鳴――はっきりと聞こえる――があがり、青白い光があたりに差して、見れば彼女の手にはハインから贈られた〈沙漠の星〉が握りこめられているのが分かった。ただただ驚く彼女のまえで、宝石はやわらかな光を輝かせながら球状に、周囲の濃霧を晴らし、またひとすじの細い光線が、ある方向を真っ直ぐにさしながらのびていく。霧のなかに溶け入っていた足元はいつのまにか階段ではなく、新緑色の草地からなる野原に変わっていた。
「その石が足場のイメージをとらえているのか」
精巧な羅針盤の針のようにぴたりと途切れぬ光の先をみとめながら、フェリクスが言った。彼らは思いを同じくしながら、光のさすほうへ進んでいった。ルドとバルナバーシュは、暖かな草土の感触を踏みしめ、灌木の梢が風でこすれあう音を聞き、獣のにおいがかすかに混じる大気をかぎながら、ハインが多く時を過ごしたであろうエイミリーフ広原を思い起こし、またナナヤの持つ〈沙漠の星〉が、新たに生まれし希望――フェレスとしての産声を上げたのかもしれないと考えた。
(お願いだ、ハイン。あたしたちを導いて)
ナナヤがそう祈った直後、光のさきから獣の吠え声がした。
「アセナ?」
聞き覚えのある鳴き声にナナヤが呼びかけると、思ったとおり、応えるように白い雌狼が霧のなかから現れ出た。家族のしるしにマックスと顔を近づけあい、その後を追って、大柄な人物も飛び出てくる。正体にディオレが驚きで声を上げた。
「ああ、グレイスカル!」 「ディオレか!」
節々を覆う灰色の鱗と側頭部からねじ曲がる二本の角、二メートル近い体格を持つ竜族の男だった。瞳は白目の少ない血紅色で、まさに竜のごとく筋骨隆々とし、見るからに屈強な戦士であったが、まとう装甲は血と土埃に汚れ、外套は焦げ落ち、武器であるナックルは籠手ともどもぼこぼこにへこんでしまっている。むき出しになった頬や黒髪の頭部、鱗がはがれた隙間からは流血のあとが見てとれた。ディオレは彼の腕をひしとつかみ、引き寄せて抱きしめ、幸星の民だけにしか分からぬあらんかぎりの言葉で喜びをあらわした。察するに、はざまの道を進んでいた時には彼に会えなかったようだ。
「エソルテル砦を守る騎士――クァダスたちにやられそうになったところを、間一髪、アセナが助けてくれたんだ。ハインが仕向けてくれたに違いないが、して、あいつはどこに?」
グレイスカルは同行者だったナナヤをみとめ、顔ぶれのなかにハインを探したが、彼の顛末を伝えると快活な面立ちははや深い悲しみに沈んだ。誇り高い友を襲った死への罵倒、そして生前の彼をほめそやす呟きがこぼれる。
「あのような好漢が先に逝ってしまったのはまこと残念でならん。そして我らの友、イラーシャも。だがこの周囲の有りさま、ついに偽りのイススィールに終わりをもたらしたのだな。俺は砦で負った怪我がひどく、階段を登るのはあきらめていた。ディオレ、それにフェレスの戦士たちよ……よくぞ果たしてくれた。死んでいった者たちの無念も、お前たちの戦いで弔われたならばそれに如くはない……」
グレイスカルとアセナを連れて、彼らはさらに道なき道を進んでいった。〈沙漠の星〉はあらゆる辺境でヒトを導く不動の星であり、現次元と星幽が交錯するただなかにある冒険者たちのため、行くべき道を絶え間なく照らしつづけている。いまこの時の、唯一の希望と変わって。やがて重々しいとどろきが遠くから聞こえ、より耳を澄ますと、それは大海にどよもす海鳴りだと分かった。一行は島の涯、神秘の冒険のはじまりの場所だった海岸に近づきつつあるようだった。
靴底が細かな砂を踏むと、そこで〈沙漠の星〉の光は役目を終えて消えていった。霧は完全に晴れ、砂浜に立つ一行の前には、暗く怒号して荒れる海が果てしなく広がっており、暗灰色の重く垂れこめる雲から打ちつけるのはささやかな糠雨だったが、騒擾としてやみがたい大波と風の群れがこれから臨む航海を厳しいものにするだろう。
「蟷螂の斧だな」
バルナバーシュが浜辺に残されていた一艘の頑丈そうな木製の小舟を見つけると、うねりやまぬ海を横目に船底や櫂をあらため、まだ使えそうなことを確かめた。これに乗るのは四人が限度といったところか。
「諸��、我らはここで別れとしよう」
灰色の竜族、グレイスカルが高らかに告げ、ディオレも肩を並べると感慨深く仲間の顔を見渡した。「君たちはどうするんだ」バルナバーシュが幸星の民らを案じて問い、ディオレがそれに答えた。
「私たちはもどって闇沙漠のイメージを探し、そこからオルトフの次元へ帰ろう。大丈夫だ、あとは自分たちのフェレスが道を拓いてくれる。闇沙漠でも伝えたが、君たちをなかばだますような結果となってしまったこと、まことにすまなく思っている……だが君たちが辿り、乗り越えてきた冒険――思索、探求、そして神秘の数々――は、偽りとはならない。決して。なぜならイススィールは、つねにあらゆる時代、あらゆる人々の心のなかに存在しつづけ、世界が滅びに迷えるとき、天末にあらわれ、はるかなる果てへといたる門を開くのだから。その永遠の営みのなかで、私たちは君たちとの冒険譚とともに、後世に役目を継いでいくとしよう。いつかまた、終わらせるものが必要とされる時のために」 「君たちは何ものなんだ。オルトフ、あの地は現次元ではあるまい」 「時空の流れつく浜、魂の森、あるいは闇沙漠に集う夢のひとつ――そこに住まう者たちとでも言っておこうか。では、さらば! 縁があれば別の次元で会おう」
幻妖と竜族のふたりの戦士は、故郷をさして早足に駆け去っていった。その背を見届け、彼らが砂浜に繁る森のなかへ消えると、ルド、バルナバーシュ、フェリクス、ナナヤの四人は協力して小舟を波打ち際まで運び、そのあとを猟犬のマックスと白狼のアセナが忠実な足取りで付き従った。嵐の海は調和の象徴たる海流が正体を失ってないまざり、遠洋では硫黄めいた未知のガスが蒸気のようにあちこちで噴き出して、寄る辺となる次元や生命のしるしさえも見いだせぬ。いくつもの黒い波の壁がうめきつつ落ちてはまたそそりたち、水飛沫を散らして強く吹きつける潮風にルド以外の目や肌はひりついて痛んだ。水はわずかにねばっこく、塩ではない、いまわしいものの枯れた死骸を思わせるような、悪心をもよおすにおいがした。ルドは身をふるわせ、ナナヤの顔には恐怖が張りついている。
「この海を渡りきれるだろうか」
バルナバーシュがおぼつかなげに海をみやった。フェリクスだけが頓着せず、つねよりも鹿爪らしい面差しで出帆への備えを進めており、バルナバーシュもその片言のほかは何も言わなかった。この砂浜も近く虚無のなかへ消滅し、それまでにイススィール周辺の乱れた自然律や概念の撹拌された海が都合よく鎮まってくれるとは到底思えなかったからだ。小舟を波間に浮かべると、四人は悲壮感をもって乗り込み、二匹の獣もまた船べりを踊りこえて飛び乗った。
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2020.08 戸隠山
2日目より
夜は雨が降ってきたけど朝は気持ちの良い晴れ。心配なのは岩場が濡れて滑らないかどうか。0700朝食、朝ご飯も美味しいなあ!出発の準備を整え、車で登山口まで送ってもらう。
【コースタイム】奥社入口(0740)→戸隠奥社 (0805)→百間長屋 (0850)→胸突岩 (0915)→蟻の塔渡り (0920)→八方睨 (0935)→戸隠山頂 (0950)→九頭竜山(1020)→避難小屋 (1055)→滑滝 (1120)→戸隠キャンプ場 (1155)
まだ8時前ということもあり、奥社入口にはほとんど人気がない。静かな参道を真っすぐ進んでいく。
途中にある随神門という赤い門を通過すると、
樹齢700年と言われる巨大な杉並木となる。
約30分進むと奥社に到着し、ここから登山道へと分岐する。
登山口からは早速急登、もうここら辺の山は全部そうなのか?一昨日、昨日、そして今日と驚かなくなった。かなりの斜度で、平坦な道は皆無。
途中景色が開け戸隠山が見えるはずなのだが、完全に雲の中。今日は景色ではなく、山頂までの道が重要なので気にしない。
岩壁にぶつかる少し手前くらいから鎖場が出てくる。
百間長屋という平坦な道に出る。岩壁が登山道に沿ってえぐられているのだが、ここから先は再びひどい急登(というか崖)になる。
高くて垂直に近い岩壁をいくつも乗り越えていく。印象的なのは写真の鎖場。60-70度の斜面を登り(手前)、5mほどトラバースして(中央)、再び60-70度の斜面を登る(奥)長い鎖場。写真ではあまり伝わらないだろうが・・・
登りきったところから見下ろすと、ビル3-4階分くらいの高度感。浮石はほとんど無いので落石の心配はないが、鎖が長すぎるため遊びが発生してしまい結構ブラブラ揺れる。むしろ鎖使わないほうが安全なんじゃ?と思うが、全く鎖に頼らないのもこの高度では万が一のことを考えると不安があるのでどっちつかず。とにかく遊びを発生させないように適切な長さで鎖を掴みながら慎重に。鎖を両手で掴むのは危険(片方の手は岩)。
ちゃんと数えなかったが、鎖場は5箇所くらいあったか。そのラスボスが胸突岩というこの長い岩壁。斜度はやはり60-70度くらいか。ただ岩がゴロゴロしているので鎖は使わなくても登りやすい。
胸突岩をクリアするといよいよ蟻の塔渡りなのだが、その前にこんな表札が・・・不謹慎だが、これから最も危険な登山道に挑むというのに縁起でもなさすぎて笑いがこみ上げてきてしまう。
蟻の塔渡り(ありのとわたり)は幅50cmくらいの非常に痩せた20mの尾根で、しかも両側はすっぱり切れ落ちた断崖絶壁。年々崩落が進んでおり、また年に何人も命を落としているんだとか。落ちたら滑落ではなく”墜落”して死ぬんだと。また蟻の塔渡りの先は連続して剣の刃渡り(5m)が続く。撤退する勇気も必要。
見えている大部分は蟻の塔渡りだが、ご覧の通り非常に薄い岩の尾根である。両側は90度の絶壁、滑る余地はまったくなく「墜落」するのは容易に想像できる。
いざ進んで見るとさすがに立って進む勇気は無く、四つん這いになったり跨ったりして進んだ。一部幅に余裕が出てきたので立って進んでみようと立ち上がったのだが、どうしても最初の一歩が出なかった。本能的に危険を察知して体が動かない。
片側からガスが湧いてくる。怖さ半減で残念!ガスってゴールが見えない。ちなみに右側に写っているのは鎖で、蟻の塔渡りを巻く鎖場ルートが存在する。けど道を見る限りあっちのほうが怖いと思うんだが。
蟻の塔渡りの中間くらいから進行方向を。
剣の刃渡りに入り、ゴールは目前。(最後は鎖で登っていく)
剣の刃渡りの一部は幅30センチくらいに減少する箇所も。下に黒くちょこんと出ているのが靴の爪先。
その後垂直に近い鎖場があり・・・
ピークの八方睨みに到着する。
周囲はそこそこ晴れている。ようやくまともな休憩ができる場所かな。ここからは晴れていれば蟻の戸渡りも見えたと思う、ガスの中でその方角から後続者の声してたし。八方睨みまでは登山口から1時間半。過ぎてしまえば体感的にはあっという間であっけなく終了した感じである(たぶん、集中してたからだろう)
八方睨みから高妻山方面への稜線を進み、戸隠山の山頂へ向かう。基本下り坂だし平坦なのでラクなのだが、何回かはピークを超えなければならないため、その都度急登となる。
八方睨みから戸隠山頂までは15分の平行移動で到着。とくに休憩せずさっさと通過する。
ちょっと驚いたのは、危険箇所はさっきまでかと思いきや、ここも半分蟻の塔渡りみたいに右側が断崖絶壁となっており、歩ける幅も結構狭い(とはいえさっきとは違い立って歩くことは問題ない)。
同じような箇所が結構あり、ぼーっと歩いて踏み外しでもしたら命はない。右側は常に牧場とキャンプ場が見えていたのではないかと思われる。
途中の谷間も迫力がある。
しかしすごい絶壁だ。もしかしたらキャンプ場から双眼鏡など使えば、戸隠の岸壁の上をずっと歩いてる登山者(自分たち)が見えるのかもしれない。景色良かったらもっと怖いだろうな、けどその分凄そう
戸隠山頂から30分で九頭龍山(くずりゅうざん)に到着。キャンプ場から見ると、双耳峰��左が戸隠山で右が九頭龍山(2日目の写真参照)
昨日高妻山へ向かうのに通った、避難所付近の道。右上まで進むと六弥勒に着き、そこから左折して高妻山へ向かうルート(ガスってる)
戸隠山から約1時間で昨日も通った避難小屋に到着。昨日は沢の道をここまで登ってきたけど、本日はここから牧場へ下る。
帯岩。
前日から未明にかけて雨が降っていたが特に増水はなかった。
滑滝。
避難小屋から下降を開始して30分で登山道入り口に到着。本日出会った登山者は10人くらいで、かなり静かな山行だった。
ちょうどお昼時であり、またバスの出発まで1時間以上はあったので、キャンプ場内にある蕎麦屋さんとカフェで食事を摂ることにした。戸隠に来たら戸隠蕎麦しかないでしょう!・・・まぁ昨夜も食べたが。蕎麦屋さんはその名も「岳」。ガスって日差しはほとんどなかったとはいえやはり夏場の登山であり、注文するとまず冷たいそば茶とお通しが出てくるのがとても嬉しい。
「戸隠季節の天ぷらそば」。蕎麦湯は普通に出てくるのだが、最後に超濃厚な蕎麦湯がおちょこ一杯だけ追加で出てきて、これは初めてだった。塩を少し加えて飲むのだが、すごいドロッとしてた。信州そばもそうだけど、長野県のそばはめっちゃ美味い!!
昼食が終わったらカフェにハシゴして、昨日に引き続きやはり牧場の牛乳と、ブルーベリーのケーキを注文(計800円)。優雅だ。
バスに乗り長野駅に戻ると駅前は35℃あるらしい笑。長野ってもっと涼しいイメージなんだけどなぁ。
戸隠山総括:八方睨みまで登ればあっけないのだが、それまで鎖場の連続ほぼ垂直、かなりの高度感、ひとつの鎖場でビル3-4階は登ったりする。 剱岳のほうがまだしっかり鎖が固定されてるのに対し、ここのは遊びがあって鎖だけを頼りには危険なときもあった。いくつもの鎖の先に蟻の塔渡りと剣の刃渡りが控えるが、こちらはとても立って渡る勇気はおきない。
3日間総括:普通の登山がしたくなってきた・・・普通の道、普通の傾斜。今回の山は全部色んな意味で尖っていた。最近の暑さが異常なのかこんなもんなのか、戸隠山以外は夏��登るのは避けた方が良い。(紅葉の時期は人気らしいね)
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17.04.01 ハッピーナイトメア・ドライブ
※ルージュの過去捏造が暗いです
人里離れた静かな大屋敷。外観に飾られた不釣合いなネオン。安っぽいクリスマスセールみたい。 中に入れば、赤い顔をした奴らがワイングラス片手に、荒唐無稽なダンスでお祭り騒ぎ。楽しいパーティがアタシたちを歓迎する。ハッピーな気分でずうっと踊ってなさい、って心の中で毒づいた。 「都会からはるばる、よくぞお越しくださいました、ミス・ジェニー。おや、そちらの男性は」 「パートナーよ。今夜はアタシ、彼から離れないから」 「ええ勿論、ボーイフレンド様も歓迎いたします。さあお二方、中にお入りください。ご主人様があなたたちを待っております」 「けっ、暢気にダンスパーティしてる場合じゃないぜ。この女は、今からな……」 ヒールで思いっきり男の革靴を踏みつけた。赤いハリモグラは目ん玉充血させてもっと真っ赤になる。ふん、いい気味よ。背を向けた屋敷の執事には見えないように睨み合う。 「邪魔すんじゃないわよバカモグラ」 「お前こそ足引っ張ったら承知しないぜ、コウモリ女」 「合図したら、わかってるわね?」 「遅れんなよ」 史上最悪の悪巧みの打ち合わせは浮かれたパーティ会場の騒がしさに溶け込む。アタシは颯爽とヒールを鳴らし、悪い顔をリセットする。アタシはここではジェニー。本物のジェニーは、さあ、どこへ行っちゃったのかしら? 今頃街はずれの倉庫で、素敵な夢でも見ている頃じゃない? ナックルズはまだアタシの顔をじろじろ。なーんか期待してた視線と違うから胸糞悪いわ。今夜のためにドレスも化粧も気合入れたっていうのにウブな男、いえ無神経な男はこれだからね。まだ許してないわよ、ここへ来る前に言われた「化粧の上に化粧ってできるもんなのか?」っていう台詞をね。悪気がないから余計に神経を疑う。 広間の奥には参加者たちにただ見せたいだけの赤いシャンパンタワーが、きらびやかなルビーの壁を作っている。その下でダンスに不釣合いな羽つき帽子をかぶったマダムと握手する、銀色のお髭のミスターがいて、アタシは彼を顎で示す。ナックルズが周囲に聞こえないくらいの溜息をつく。そして苦虫を噛み潰すような顔で、 「今のオレらじゃエッグマンの悪事も咎められねえな」と言った。 「今なら、逃げ出すのも間に合うわよ。コソドロになりたくないなら帰っちゃえば?」 「盗みが目的なのはお前だけだろ。オレには別の目的がある。ちゃんと奴のところに案内してくれるんだろうな?」 「もちろん。アタシの盗みを黙視するっていう条件でね」 「癪だぜ」 「お互い様でしょ」 恰幅のいいミスターが歩み寄ってくる。口端だけはナックルズに向けて吊り上げる。「あんたは乗ったのよ。個人的な恨みを晴らしたいっていう、アタシが宝石盗むのと同じくらい綺麗じゃない目的のためにね。やるんでしょ?」 あんたは瞳をぶどうみたいにしっとりさせて、何も言わないのね。
「許せねえよ」 えずくみたいだった。 恐ろしい計画を口にするとき、人もケモノもまるで血を吐くように吐露するものなんだと知った。何を言われているのか最初はわからなかった。つまりはこいつがそんな風に、喉をわななかせながら恨み辛みを込めた声を出すなんて思わなくて――寒気が走った。エンジェルアイランドに吹く風がいやにべたべたと、まとわりついた。ビル風はおろか、どこかのハリネズミの坊やの風も滅多に吹かないまっさらな島なのに。こんなに不快な風が吹くの。ここにずっと居付いている、一族の最後の生き残りは、自分が目尻に不必要なシワをいっぱい作っていることに気づいているのかしら。それは印象のよくない表情だと教えてやるのを、ついに忘れた。 辺境の地に住むからこそ、冒険心に唆されて危険な場所へ赴くトレジャーハンターだからこそ、街の新聞には絶対に載らない事件を彼はいくつか知っていた。その中の一つ、少女誘拐事件のことをアタシに話してくれた。そしてその犯人は人間ではなくロボットだということも。 有能なロボットが主人の手を離れて一人歩きし、意思を持つなんてことは、オメガの存在をはじめ、アタシたちの身には痛いほど染みている事実。けれどロボットが無力な女の子を襲うなんて、そんな嫌な時代が到来していたなんてね。子狐ちゃんには口が裂けても教えられない。だからナックルズは、アタシに話すしかなかったんだわ。 奴の主人も沈黙を決め込んでいる。巨大な電力会社の重役だっていうから、これまた厄介。��ボット産業にも手を出しているが、躾がなっていないのか、過去に会社の職員に怪我を負わせたという話もあるから手に負えない。可愛がっているロボットの一人が犯罪を犯したことに彼が関係があるのか、はっきりしたところは定かじゃない。 問答無用で破壊すべきだ。主人が処分しないならオレが壊す。ロボットは普段、自宅にいる。「主人の前では忠実なのに、どうして?」少女を襲った夜、一時的なシステム障害を起こしたんじゃないか。ナックルズは長いようで短く、分析した。 「随分と事件についてお詳しいのね」 ナックルズの横顔には険があった。顎の内側、歯を食いしばっているのか、ギリリと音がした。 「神様って何でこう、タイミングを巡り合わせるのが上手いのかしら。彼の自宅の金庫には、前から狙っていた宝石があったのよ。でも彼は大手会社の重役。今の時代、ロボットを従えているくらいのお屋敷で、セキュリティのぬるいところはないわね。事を荒立てると、遠方でも気づかれるわよ。自宅と連携したセキュリティアプリをロボットに搭載するくらいやってるはずだわ」 「侵入だけでも気づかれないようにできる方法はないのか」 「鍵を開けて堂々と入るしかないんじゃない? 警備ロボットのお出迎えからは逃げられないでしょうけど。どうする?」
補足しておくとここは、イケてるミスターであり誘拐ロボットのマスターであるおじ様の別荘なのよね。遊ぶための場所だから自宅から然程離れていない。屋敷を出れば海に囲まれた山沿いの道路を臨める。つまり道路沿いにあるお屋敷で、無駄に広い駐車場には車がいっぱいだった。もちろん、コンビニの駐車場に停まっているような普通のじゃない。売ればウン千万の高級車ばかり。 ジェニーは今日のパーティに呼ばれた、取引先の会社の重役の、女性部下だった。最低ね、取引先の社員に手を出そうなんて。ジェニーの上司はワイングラス片手にダンスホールで踊っていたわ、千鳥足で。彼女は男運がないみたい。ほんと、ロクでもない男に囲まれて可哀相。 でも、ミスターはジェニーの顔を知らない。だから彼の前でも、アタシはジェニーに成り代わることができた。 挨拶もそこそこに、ミスターに連れられて二階に上がる。 この屋敷は一階に大広間があって、いつもはファンタジー小説に出てくる魔法学校の食堂のような、ながーいテーブルに椅子を並べた食卓風景が広がっているらしい。でもこういう賑やかな夜は、それらを撤去して巨大なダンスホールにしてしまうんですって。ダイヤモンドの欠片のようなものがじゃらじゃら下がったシャンデリアが揺れてしまいそうなほど、ダンスホールでは人々が踊り狂う。異様な光景と言っても差し支えない、やばい夜には、やばい奴の周りにやばい連中が集まる、その法則を反映したようだった。見下ろしながら舌打ちを堪えた。嫌なフェロモンを漂わせる男の背中を追った。 螺旋階段を上ると、ある部屋に通された。 そこにはムードのあるソファーや、本棚、思わずドキッとするアロマが焚かれていて何とも居心地がよかったけれど、アタシはもう壁の電気スイッチしか見えていない。目端に飛び込んで来たのは男の指先だった。胸元に手を伸ばしてくるミスターを、軽くウィンクして一度落ち着かせて――パチン! 素早く部屋の電気を消した。 さて、ドレスの胸元に隠した小型通信機にこの模様が聞こえているはず。驚いて声を失うミスターの股間をスペシャルなキックを打ち込んだのはその直後だ。踏みつけたカエルのような声を上げさせ、ズボンのポケットから鍵束を引き抜いた。 ドアを蹴破ると屋敷全体が闇に落ちている。一階は騒然とした様子で、暗闇で慌てふためく人々の頭上を急いで飛んだ。そっと玄関を開けて、外へ身体を滑り込ませる。僅かな脇汗が瞬時に冷えた。 「奪えたわよ。ラッキーね、愛車の鍵まで一緒みたい。大事な鍵を全部持ち歩いているって噂、本当だったのね」 「うっとりしてる場合か。早くしないと誰か追ってくるぜ」 「わかってるわよ」 屋敷の電気を消したのはもちろんナックルズだった。ミスターの周りの執事までみーんなアタシが惹きつけちゃったから、彼が行方を眩ますのは他愛もないことだったわ。 「あーあ、おじ様たちに気を遣うの本当疲れた」 屋敷の脇に停めてあった真っ赤なオープンカーに飛び乗った。アクセルを踏み、勢い込んで車道に出る。 海沿いの道は死の王国のように真っ暗で静かだった。助手席のナックルズが遠のいていく屋敷に振り返って、「あばよ」と呟く。 「本当はあのオヤジもぶん殴るつもりだったんだぜ」 「彼が警察に連行されるときまで我慢しなさいよ。ねえ、本当に壊しちゃうの? ロボットの身柄を拘束して警察に突き出せば、指紋とか調べてくれるんじゃないの」 言ったあとで、拘束などしなくても破壊されたボディの方が隅々まで調べるには効率的だと気づく。今までドクターのロボットは飽きるほど壊してきたのに、何で今回ばかりは、まるでこの男の殺人を手伝うような気分になるのかしら。多分、隣で風に吹かれるナックルズを突き動かすのが、確かな殺気だからだ。 アタシはハンドルに力を篭める。篭められずにいられない。 メイクはケーキをデコレーションするのに似ている。スポンジにクリームを塗って、飾りつけして。年の数だけ立てるロウソクは決して実年齢と一致させない。 まずクレンジングオイルで乳化した素顔にファンデーションを塗る。パウダーを含んだタイプのファンデーションの方が早いけれど、きめが粗いから、ファンデーションとパウダーは別でつけた方がいい。 リキッドライナーで瞳のフレームを自然に強調して、シャドーはお気に入りのマリンブルー。前に一度ピンクで攻めたことがあるけれど、アイシャドーは瞳と同系色が基本っていうし、アタシらしさがばっちり出るのはこれ。彩ったら、マスカラに持ち替えて、睫毛を掬い上げる。 口紅はいつも丸みのある描き方だけど、今夜は鋭角的に。唇の輪郭を描いたあとに中を塗っていくのは爪と同じ、これで形がくっきり出る。ルージュ、この名に恥じぬ色気は唇から作り上げたものなのよ。メイクの仕方さえ知らなかった頃、鏡の前で大人っぽいグロスをなめては拭いて、を繰り返していた。 鏡よ鏡、この世で一番美しいのは? いつか鏡が「それはあなたです」と答えながら、素敵な女になったアタシを映してくれる。そう夢見てた。 本当に応えてくれるものね。本気でメイクした自分と見つめ合いながらそう思った。 そこには大人になったアタシがいる。子どもの頃、着せ替えゲームが好きな時期があった。インターネットのフリーゲームなんかでよく見る本当に単純なやつ。当時は自分の好みさえよくわからなかったのに、限られた服やアクセサリー、メイクの選択肢から可愛いと思うものを一生懸命選んで、遊んでいた。当時の自分には何一つ手に入らないものだったわ。だから束の間でも、自分がオシャレしているみたいで楽しかったの。今じゃすっかりオシャレや、自分の美を磨くことが、生活の一部になった。 ネイルサロンでジェルネイルしてもらった指先は華やいでいた。白いラインストーンのついたネイルチップをつけてもらっちゃったせいで、香水を吹き付けるたびにきらきら光る。エステにだって行った。あったかいオイルにまみれて、頭から胸元までのマッサージを堪能したわ。 紫のドレスはボディラインが余すところなく出るミディアムタイトスカート、目的はパーティじゃないからパンプスのヒールは低め。胸元には宝石のついたネックレスでアクセント。 宝石は、幼い頃からお守りだった。吸い込まれそうな輝きに魅了されたあの日から、アタシは宝石を愛してやまない。磨けば磨くほど光を増す、自分もそうなれるんだって信じてた。やがて恋をした今でも、そう信じてる。 オシャレは魔法の鎧。メイクは魔法の仮面。 「彼氏でもできたか?」 待ち合わせのとき、ついに言わせたの。何で? と、すましたアタシから目を逸らして「べ、別に」ととぼけるあいつの立派なタキシードの裾にわざと、口紅たっぷりのキスマークを刻み付けたくてたまらなかったわ。素敵なガラになったわよ、きっと。 でもねそのままでも、「あんた」みたいな男がいいの。 趣味悪いわよね? 「もしかしてジェラシー?」つん、と裾をつついてあげた。そしたらぷんぷん怒り出しちゃって。 「んなわけねえだろ! い��、だからさ」目を泳がせて。「いつもと違うなって……」 「あら、意外と察しがいいじゃない」 「化粧の上に化粧ってできるもんなのか」 「何ですって? 呆れた」 たまには乙女心ってものを考えて気の効いた褒め言葉でも返しなさいよ! 「ふーん彼氏じゃないのか」 「い・ま・せん。次に言わせたらスクリューキック」 「じゃあ、何でそんな気合入れてんだ」 このハリモグラは鈍いってレベルじゃないから泣けてくる。 でも当然よ。だってこいつにはあの誘拐ロボットしか見えていないんだもの。 屋敷に侵入すると案の定警備ロボットたちが一斉にアタシたちをライトで囲んだ。パトカーよりも攻撃的な光線が身体を貫いてきた。当然、すぐさま武力で反撃した。ドレスじゃ動きづらくてスピードは衰えるけど、タキシードのナックルズは何故だか衰えなかった。 砕いていった。次々と。吹き飛ばすんじゃない、砕くのよ、文字通り。中のコードがはみ出て、派手に機体が倒れる。足を引っかけそうになる。 ロボットたちのライトは少しずつ消えていって、やがてナックルズの横顔は――。熱を、咲かせて。もう一度いつもの暑苦しさを見せて、と思わず叫びそうになる。あんたの冷たくなった顔を、どこかで見学しなきゃいけない場面が来るんじゃないかと不安だった、その不安は今、的中した。でも今のあんたは、あんたじゃない。 「どうしたの?」 肩をすくめて、とぼけた。 「興奮しやすいクセして今日は随分無口じゃない」 まるで噴火前の火山が、そこにいる。 コウモリの耳は不愉快な超音波をキャッチする。怒りが、空気を通して、天井を床を電撃のように駆け抜ける。 アタシたちは闇の中で視線を合わせた。アメジストの双眸が、煌いた。 「何か言いなさいよ!」 アタシの潤んだ唇とナックルズの腕からそれが響いた。 彼はずっと腕輪をつけている。細くて目立たないけど、その正体はパーティ会場で役立った通信機。アタシは胸元から自分の通信機を出して、「応答しなさいハリモグラ。レディに無視決め込むなんてサイテー」と命令する。ナックルズはさすがに狼狽したようだ。 「驚いたじゃねえか、いきなり何だよ!」 「こっちの台詞よ。あんた何考えてんの、さっきから顔がマジすぎるってば」通信機をドレスの胸元にしまうと彼は仰け反った。「あら、胸ポケットに大事なものを入れるのは女スパイの基本よ」 「胸ポケットじゃねえだろもはや」 「ふふん、ならブラポケットね」 「ふざけんなっ!」 「ほーら、ちょっと肩の力抜けた?」 固かった表情筋を僅かに和らげたのには成功したけど……ナックルズは機嫌悪そうに鼻を鳴らして、ずかずか進んでいく。 「あんたこそガールフレンドでもできたのかしら? もしかしてその誘拐事件、好きな子が巻き込まれたとか」 「そんなんじゃねえ!」 警備ロボットの残骸に溢れた床に吐きつけるようにして彼は否定してみせる。――あからさまだった。 「そんなんじゃねえよ」 誰のためなの? あんたの頭をいっぱいにするのは誰なのよ。嫌よ。 ナックルズは勝手に奥へ奥へ進んでいく。追っているうちにアタシは自分の顔をどこかで落としてきたような錯覚に陥りかけた。 ある部屋に入って、彼が止まる。さっきまで彼を茶化していたはずのアタシはもう冷静じゃなくなりかけている。 ここだ、ここだ、ここだ。 電気の一つも探さずにここまで来た。拳でぶち破られたドアの向こうに広がるのは寝室か。キングサイズのベッドがある。家主は独身のはず。ずっと、配置もサイズも変わっていない、十年前から。人間の男の臭いを微かに探り当て、咽びそうになりかけて、アタシは――涙目で、顔を上げた。 時という概念が消え失せたのはそのときからだ。 およそ何分この部屋に滞在しただろう。まったく覚えていない。 そこに白いゴツいロボットがいるのは不気味以外の何物でもなかった。オメガよりは小さく、カラーリングももっとシンプル。だからこそ得体が知れず、後ずさるアタシと入れ替わりでナックルズが動いた。 「ちょっと待ちなさいよ……」 輪郭ごと、闇と一つになって今にもロボットを頭から食らわんとする何かの化物になるような気配をナックルズは背負っている。彼が一歩ロボットに近づくたび、心音がドンッと鳴る。 このロボットが犯人だって、どうしてあんたは気づいたの? 普通の家庭用ロボットじゃない。お掃除とか、身の回りを世話してくれるそういうタイプの奴よ、これ。 「こいつじゃないわ」 口を出していた。ロボットは四角い足を揃えて、何も言わない。ただアタシたちを見ている。突然喚き出したアタシにナックルズは怪訝な素振りを一切見せない。 まるで最初から……本当のことが、わかっていたかのよう。 誘拐事件。数多くの被害者の女の子たち。そのうち一人の名前は。 「命令に従っただけよ、こいつは」 「黙ってろルージュ」 「だって知ってるんだから!」 そのうち一人の名前はルージュ・ザ・バット。当時八歳。 「ねえ見たでしょ? あのオヤジ! ド変態はあっちよ! そのロボットはね、誘拐された女の子を世話するためだけに十年間ここに閉じ込められてるの! 被害者の子たちよりずっとずっと長く! アタシは――」 何言ってんの。 「アタシは幽閉されている間そいつと遊んでた! 家の宝石、たくさん見せてもらった……! 本当は監視役だってわかってたけど、それでも、こんな風に真っ暗で不安な夜、こいつの液晶でゲームして、くっついて一緒に寝てたの。だから、壊すのはちょっと待って……」 ああ。変よね。子どものアタシが乗り移っていたのを確かに感じた。壊さないで、じゃなくて、ちょっと待って、とか慎重ぶるところなんか特に。 ませた子どもだったの。そのくせ世間知らずだったから、このハリモグラみたいにホイホイ騙されて、ついていった。まさか十年もこんなこと続けてるとは思わなかった、ナックルズの話を聞くまで。 ナックルズのぶどう色の瞳は、怒りと悲しみを行き来していた。わざわざ深く息を吸ってから、白い八重歯で、下顎をすり潰していた。大袈裟に俯いて。やり場のない感情で両腕を厳らせて。 クソが、と咆えて。 その隣でアタシは「知られていた」と声に出さず泣く。 今すぐ逃げ出したい。知られていた。知られていた。もしかして、と怖くはなっていた。どうしてかわかんないけど知られていた! アタシが十年積み上げたプライドがゆっくりと倒壊していく。 「……アタシのためだったなんて粋なサプライズね。ハリモグラのくせに」 「だめなのかよ」 ガスの抜けた声だった。 「お前の苦しさをぶっ壊したら、お前ごと壊れんのかよ」 瞬間、崩壊が止んだ。とびきり大きな力に腕を引き上げられたような気持ちが、迸る。暗く沈んでいた世界を一閃する。 「噂好きなトレジャーハンターが、お前のことを話してた。真相を確かめるためにわざと連れてきたんだ、悪かった。そして真実なら、お前の目の前でぶっ壊してやろうと思った。オレには……それしかできないからよ」 「ハリモグラのくせに……アタシにカマかけたの……!?」 「悪かったよ」 「いいわよ、もう! あんたに謝られると気持ち悪い!」 「きもっ……おいふざけんな!」 「そんなんじゃねえ、とか強情なままでいりゃよかったのよ! 何よ、アタシのためって!」 唇を噛んだ。 「優しくしないで……!」 口紅の味が広がっていく。そういえばアタシは、オシャレを覚える前は口紅の味が大嫌いだった。 突然、腕の関節が外れたようだった。強引に引っ張り上げられたみたいで、犯人は当然、ハリモグラだ。目尻をくしゃりとさせたハリモグラだった。 「聞けよ、ルージュ。お前は綺麗だぜ。顔はな」 泣きそうにも見えた。パウダーをたっぷり乗せた頬にグローブを添えられる。 「けど目がキツい。おまけに口が悪い」 「あんたに言われたくないわ」 「あと、素直じゃない」 そればっかりは、ぐうの音も出ない。食い入るように真剣に、ナックルズはアタシの瞳を眼差し一つで縫いつける。いやだ。逸らせない。身体が、シビれそう。 「強情なままでいたってな、可愛くねえぞ。ちったあ、か弱い乙女の部分とやらを見せやがれ」 悔しくて、息も飲めなかった。 子供の頃か、いつか夢見てた王子様に――こんなガサツな奴が、一瞬でも重なったのが悔しい。ドレスで隠した胸が張り裂けそうなほど。その桃色に破れてしまったおっぱいをこいつに見せたいほど。 「決着つけるなら、ここでつけろ」 「わかった、から、ちょっと待ってて」 やがてハリモグラの肩を、そっと押し退けた。白い塊の前に立つ。 「覚えてる? アタシを。十年前にここにいたの。可愛い真っ白な白雪姫よ。今夜は泥臭い赤ニンジンをつれてきたわ」 「赤ニンジンってオレか?」 「元気にしてた……?」 ロボットは人間みたく小首をかしげる。とうに記憶はデリートされちゃったかしらね。 こっちはよく覚えているわ。主人の私物からこっそり持ち出してくれた宝石や、アクセサリーまで全部。絶対に手に入らないけれど、眺めているだけで幸せだった。いつかこんな綺麗なものが似合うコウモリになりたいって思った。アタシがもっと見たいと言ったら、もっとたくさん持ってきてくれた。もちろんマスターには内緒で。 『あたし、これ欲しい。眺めているとドキドキするの。ねえ内緒にしててくれない?』 「皮肉よね。誘拐がきっかけで、自分も宝石専門の泥棒になっちゃったんだから」 ロボットの胸部には小さなモニターがあって、ドット文字が表示された。懐かしい。タッチ式でゲームができるの。飾り気のないパーツのロボットにしてはこれだけは優秀だった。画面はカラーだし、アクションゲームとかパズルとか、着せ替えゲームとか色々――。 オヤジは嫌いだったけど、あなたは結構好きだった。怖がるアタシと遊んでくれた。 「他の誰が噂したって、関係ない。何とでも呼ぶがいいわ。アタシは這い上がったの。死ぬ気で脱出して死ぬ気で生きてきた」 ロボットは何も言わない。瞳が時々、チカリと光る。この子は今でも喋れない。感情も示してくれない。ただ目の前の少女を喜ばそうと、 宝石を、両手で差し出してくる。 「ナックルズ」 彼のグローブがすでにロボットの首筋に当たっていた。 「――壊して」
それから少しだけ。 彼の胸の中で、泣いた。素敵にか触れられた翼が、いやに彼のグローブの厚みと微かな体温を伝えた。 赤い宝石は素敵に輝く。 今夜は星降るいい夜だと思っていたのに、よく見上げると、汚らしい曇天がはびこって一雨来そう。アタシは何を見ていたんだろう。 「エンジェルアイランドまで飛ばせよ」 「……命令しないで」 「じゃあお願いだ」 「断るわ。あんたわかってる? 今回の件、バレたらシャレにならないんだからね! エンジェルアイランドなんて一発で嗅ぎつけられる場所に潜伏するは論外!」 高級車は海沿いを走る。この男はアタシを帰さないつもりだ。上等、そのつもりでこっちも派手に決めたのよ、今夜。でもタキシードの男にドレスの女の逃走劇って、どこの映画の世界ってカンジ。 世間じゃアタシたちが悪人になる。今頃パーティは滅茶苦茶でしょうね。とにかくジェニーが無事に発見されることを祈るわ。アタシたちは地の果てまで逃げるから。 スリル満点の人生は誰もが望んで手に入るものじゃない。アタシは幸せ者なのか、それとも悪夢からずっと目覚められないでいるのか、わかんないけど、この際考えたってしょうがない。考えたってわからない。人生はゲームみたいに、リセットボタンがないんだから。でも、いくらでもコンティニューはできる。 反して助手席のナックルズは暢気なもの。ふんぞり返って、曇天の隙間で僅かに光る星を数え始めてる。さっきまで怒り心頭に発してロボットを破壊した姿と同じとは思えない。 星に飽きると、最後にロボットがくれた赤い宝石を夜空に透かして眺めていた。不思議な宝石に見えるのはアタシの錯覚かしら。カオスエメラルドより一回り小さいけれど、角度によって吸い込まれそうな透明感が現れたり、まるで水分が閉じ込められたかのような深みが出現したり、何だ���万華鏡みたいにくるくる印象の変わるの。光に当ててみたらまた違った輝きを放つのでしょう。 また一つコレクションが増えた。感謝するわ。 加速する夜の海がぼやける。拭って、風を切るくらいの大声で話しかけた。 「ところでマスターエメラルドどうするのよ」 「カオティクスに預けた」夜に塗られて、赤いドレッドヘアが褐色に沈んでいた。三日月形に連なるそれらは風を受けて、独立した旗のようにぱたぱたなびく。たくましく盛り上がった胸板。アタシがさっき全部を預けた場所。 アタシだけの場所。そう信じていいのよね? 「最初からこの予定だったわけ? 用意周到すぎてムカつく。涙出そう」 「いちいち馬鹿にしやがってお前は!」 「馬鹿にするわ! アタシみたいな女に惚れた時点でね!」 それに、本当は馬鹿にしたんじゃない。幸せすぎて涙が出たのよ! 「ああ寒い」怒鳴りながら会話する。「早く逃げたい!」 「どこへだ?」 「どこまでも、よ!」 「これじゃ、オレが攫われちまう」 悪びれた様子もなくナックルズはあくびをする。手の中で宝石が、星よりも明るく輝いている。二人の未来を示すように。
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クルマで行ける紅葉スポット・東北編(八甲田・十和田湖)【車中泊女子の全国縦断記】
紅葉・黄葉がより鮮やかに色づくには寒暖差が重要になります。だからこそ山岳地帯の紅葉が美しいのですが、登山はちょっと厳しい・・・という方のために、クルマで行ける紅葉スポットをご紹介するシリーズ・東北編です。 東北・青森県を代表する紅葉スポットといえば、やはり八甲田山系ではないでしょうか。 眼下に城ヶ倉渓流を望む【城ヶ倉大橋】(標高約600m)。全長360m/高さ約120mの上路式アーチ橋で、アーチ支間長が255mというのは日本一の長さを誇ります。 山脈の彼方まで、どこまでも続く紅葉! これぞ絶景!(残念ながら渓流へ下りる遊歩道は現在、落石のため立ち入り禁止となっています。) 城ヶ倉大橋から国道394号線〜国道103号線を走ること約3km、【酸ヶ湯(すかゆ)温泉】(標高約900m)に到着。 江戸時代前期の1684年(貞享元年)の開湯と伝えられ、昭和29年には全国温泉のモデルケースとして国民温泉第1号に指定されました。源泉は5つもあり、泉質はどれも酸性・含硫黄泉。名物は総ヒバ造りの巨大な「千人風呂」、しかも混浴! 男女別の内湯もありますが、そちらはかなり小さい造りです。 酸ヶ湯温泉と国道を挟んだ斜向いに【酸ヶ湯公共駐車場】があり、公衆トイレも完備しています。ここから散策スタート。1〜2分も歩けば、かつての爆裂火口の跡【地獄沼】が見えます。 火山活動の名残りの噴気口からは今なお硫黄を含んだガスと温泉がゴボゴボと噴出しており、周辺には硫黄のにおいが漂っています。 【まんじゅうふかし(ふかし湯)】は95度という高温の出湯で、桶にかけた木の蓋に服を着たまま腰をかけるスタイルでお尻から温まります。酸ヶ湯公共駐車場からここまで徒歩10分程度。景観を眺めつつ、温まって戻っても30分くらいと手軽な散策コースです。 八甲田山系には睡蓮沼や谷地湿原などたくさんの高地湿地があり、木道が整備されているので気軽に散策できます。また、八甲田ロープウェー山頂公園駅にも自然遊歩道が整備されていて、30分から1時間ほどで手軽に紅葉トレッキングを堪能することができます。 紅葉スポットとして名高い景勝地としては【奥入瀬渓流】もそのひとつとして挙げられます。しかし、奥入瀬渓流一帯で駐車場を確保するのは、なかなか難しいところです。 【石ヶ戸(いしげど)休憩所】から十和田湖畔の【子ノ口(ねのくち)】までの散策コースが、よくテレビ���組やガイドブックなどで紹介されるポイントなのですが、とにかく駐車場が少ないのです。 紅葉シーズンともなれば大渋滞必至なので、【奥入瀬渓流館】や【渓流の駅おいらせ】などを利用して、そこから歩き、またはレンタサイクルで廻るのが無難でしょう。(※自転車で遊歩道を走ることはできません) 子ノ口にもレンタサイクルがあり、どちらも相互乗り捨てOK。遊歩道に沿ってバスも運行しているので、行きは徒歩/レンタサイクル、帰りはバスを利用するのもいいですね。 奥入瀬渓流は子ノ口から焼山(やけやま)まで全長14kmにも及びますが、歩くのは体力・時間的に無理!という方でも国道102号線と平行しているので車窓からでもじゅうぶん紅葉が楽しめます。酸ヶ湯温泉から奥入瀬渓流館までは国道103号線で十和田湖方面へ約20kmです。 ラストは十和田湖。子ノ口にはお土産屋さんやお食事処があり、遊覧船も出航しています。奥入瀬渓流館から十和田湖・子ノ口まで国道102号線で約13kmです。 御倉半島と中山半島に挟まれた中湖を望む瞰湖台(かんこだい)からの眺めも素晴らしいです!子ノ口から瞰湖台までは、約8km。わざわざ寄りたい穴場スポットです。 十和田湖周辺で唯一、休屋(やすみや)の駐車場だけは有料(普通車500円)。ここから遊覧船やクルーザー、屋形船、またジェットスキー、カヌー、手漕ぎボート、スワンボートなどなど湖上に繰り出せる手段がたくさんあります!もちろんお土産屋さんやお食事処も多数。有名な「乙女の像」もここにあります。 森々と冴えた空気、神秘的なムードがただよう湖畔の遊歩道【開運の道】で十和田神社へ参拝。道すがら、溶岩にできた穴それぞれに神様が祀ってあったり巨木が立ち並んでいたり、湖とはまた違った雰囲気に浸れます。 見どころがたくさんありすぎて、もっと写真も載せたいのですが今回はこの辺で。次回は岩手〜秋田にまたがる八幡平(はちまんたい)をご紹介します。 (松本しう周己) あわせて読みたい * 高梨沙羅選手を育てた!? 「ラーメン日本一」を宣言する町でラーメン食べ歩き!【車中泊女子の全国縦断記】 * 北海道の紅葉がはじまった! クルマで行ける紅葉スポットをご紹介します【車中泊女子の全国縦断記】 * 旅の醍醐味は「ここにしかないもの!」 むかわ町で生シシャモを食す【車中泊女子の全国縦断記】 * 厳選!夏の海辺を走るのにピッタリなドライブ・ミュージック♪ * 恐竜の楽園が富士スピードウェイに誕生!「富士ジュラシックウェイ」がオープン http://dlvr.it/Ppv8CT
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