#真瞳術チャンス
Explore tagged Tumblr posts
Text
young royals 覚書
young royalsのことが頭から離れられない。
特に、ラスト6話目で、ヴィルがビデオに映る人物が自分ではないと言う選択を取ったこと、そしてそれを受けたシーモンがどう受け止めたのか、ずっと考えてしまう。
ヴィルがビデオを否定したことは、自分の恋人を否定することだけではなく、自分自身も否定することだ。あのビデオはスウェーデン王子ヴィルヘルムではない。王子ヴィルヘルムではないとすると、では本当のヴィルはど��にいるのか。
考えれば、ヴィルは今まで『ただのヴィル』であったことなどほとんどなかっただろう。ヴィルは今まで兄のエリックの庇護のもとで出来る限り王子的でない存在であろうとしてきた。彼が普通高校にいた経歴からもわかる通り、彼はロイヤル的な場に対する強い拒否感があるのだ。おそらく1話目で語られた『昨年の夏に課された責任』というものがそこに関係しているのかもしれない。(作中1話目で16歳である彼の15歳の夏というのは、進路にもかかわってきてしまうもののことだろうか? 元の言語だと文脈がわかるのだろうか?)
ヴィルはその人生を常に過剰な抑圧と空虚な賞賛と共に過ごしてきた。ヴィルは崇拝されたり傅かれたりすることを避けている。1話冒頭、ヒーレシュカに着いた時にアレックスやアウグストが荷物を持とうとした時それを阻止しようとしたところからもわかる。彼は理解していた。ヴィルを『王子様』として崇拝して扱うことにより、『王子』から欲しいものを与えられようとする取り巻きたちの存在に。そしてヴィルはエリックと異なり、そうした抑圧と賞賛をコントロールする術を持っていない。彼にとって他者とはアンコントローラブルなものなのだ。
1話より以前の普通高校でのヴィルはどんな存在だったのだろう? だれもが近寄りがたい存在だったのだろうか。クラブに遊びに行ったりするくらいだから、そうして彼をただのヴィルとして扱うような友人もいたのだ。そんな友人と別れることを惜しんでいたところからもわかる。ヴィルは、ヴィルとして認める友達がいた。しかし、ヴィルはヒーレシュカに来たことで、ただのヴィルだったペルソナを失う。ヒーレシュカ寄宿学校は彼が王子的であることを求める場であり、彼が最も憎む場所だ。彼は抑圧と共に生きることになる。
そこでヴィルはシーモンと出会う。
二人の出会いはまるで一目惚れのようだ。合唱隊でソロパートを歌うシーモンにほほ笑むヴィル。けれどもヴィルがシーモンに近づいた理由は歌が上手いというそれだけではない。
授業中のヴィルに意見を求める人は誰もいない。なぜなら彼は『学生』である以前に『王子』だからだ。上流階級の学生たちの中で、階級のトップに君臨する王族を批判した唯一の存在が労働階級のシーモンだ。結局のところ、発言としてはほかの学生もシーモンもヴィルを『王子』として見ていることに変わりがない。ほかの学生が彼を羨む存在として見る中で蔑んでいるのがシーモンというだけだ。ベクトルの向きが異なるだけで、ヴィルへ向ける視線のフィルターには「ロイヤル」という文字が刻まれている。
けれど、ヴィルは自分からシーモンと仲良くなろうと近づいていく。王子であることに嫌���がさしていたヴィルにとって、敬われ、傅かれ、特別な存在のように扱われるよりは、そうやって批判的に扱われたほうがまだよかったのだろうか? あるいは、反発を恐れずに発言をしたシーモン、目立つことを恐れずにフラットなままでいるシーモンにどこか憧れに近い感情を抱いたのだろうか? シーモンもヒーレシュカの中では孤独だ。学外からの転校生であり、数少ない通いの学生であり、労働階級に位置した彼は異分子だ。朝食の席、端に一人座るシーモンと上級生の中に一人混じるヴィル。真逆の場所で孤独な二人が、その孤独を埋め合うように友情を深めていくのは必然だろう。ヴィルがシーモンの歌をほめた言葉は、誰に強制された言葉でもなくヴィルがヴィル自信で発した言葉だ。ヴィルにとってのシーモンは、「王子だから」獲得したものではなく、ヴィルがヴィルとして獲得した存在だ。だからこそ、ヴィルにとっての『本当のこと』になりえたのだ。
息苦しいヒーレシュカ寄宿学校で、孤独を分け合える存在のシーモンにヴィルは夢中になる。シーモンはヴィルを抑圧せず、賞賛せず、与えられようとしない。シーモンはヴィルに何も求めない。Ep.6で「秘密の存在になりたくない」という言葉以外は。
シーモンがヴィルと仲良くなっていったのはなぜだろう? ヴィルにとってのシーモンが孤独を分かち合う存在だったという理由のほかに、シーモンにとってもまたヴィルは孤独な学校生活の中での唯一対等としていられる友人だったのだろう。
シーモンも家族の中でケアラーとしての役目を持っている。アスペルガーの妹、シングルマザーの母、薬と酒に溺れた父に囲まれ、彼は無意識・意識問わずその調整役だった。妹が無事に学校に通えるように、母が学校生活を心配しすぎないように、酔った父が吐瀉物で窒息しないように、彼は常にそうした問題を解決しようとしてきた。そんな自らの役目にシーモンは不満をこぼすことなく、妹のためのパーティで楽しそうに笑っている。けれども同時に学校で「良い点」を取り田舎の街から出ていくことを夢見ていた。理解ある家族と仲の良い友人を置いてでも『都会に出て行きたい』という夢は、シーモンの向上心の高さもあるだろうし、向上心があるが故に上流階級の人々に対するコンプレックスもあるのだろう。ヒーレシュカに通うことは、彼のチャンスを増やすことでもあるが、同時にコンプレックスを刺激され続けることに他ならないのだ。
そんな中、上流階級の振る舞いを振りかざさないヴィルはシーモンにとって貴重な存在だ。ヴィルがシーモンに話しかけてくれたことは、どれほど貴重だったのだろう。(おそらく、労働階級に位置するシーモンと友人になろうとする存在はほどんどいなかったのではないか?)
絡み合う、互いの孤独と抑圧。
二人は孤独を分け合うように親しくなる。威圧的なアウグストのことでからかい合う二人の姿はまるで悪友のようだ。互いの前では「王子」と「平民」ではなくただのヴィルとシーモンになれる二人。
彼らは異質な��場の中で、互いに同質なものを感じ取り、友情を深めあっていく。
そして、度々交わされる視線の色の変化に、あるいは触れた指先の熱の高まりに、おそらくヴィルは無自覚で、そしてシーモンは気が付いていた。
親しくなるにつれて、ヴィルがよりシーモンに惹かれていったのは、自分の力に自信を持ち、誰よりも自由で、何にも縛られず軽やかに笑うところだろう。上流階級の子どもたちの中で反抗的な発言をし、上級生であるアウグストだけでなくスウェーデン王子のヴィルにも食ってかかり、一人で朝食を食べていたとしても気にした様子もなく、合唱隊の中で誰よりも上手く歌を歌う。そのどれもが、ヴィルが持ちえない資質だ。誰にどんなふうに見られていても気にしない、そんなシーモンの振る舞いは、ヴィルにとって憧れではなかっただろうか。
ヴィルは常に不安と恐怖と隣り合わせで生きてきた。誰もが彼を見る。見られている。その視線の非対称性の中で、彼は消費される自己に強い恐怖心と不安感を抱いている。求めていないインタビューをされるとき、ヒーレシュカで一人取り残されるとき、兄のもとから離れなければならないとき、幾度となく彼は不安げに唇に触れる。不安の根源にあるのは、彼に自信がないからだ。『王子ヴィルヘルム』として求められるように振る舞う自信がない。そこから王子としての責任・義務を果たせないのではないか、という不安が生まれる。
そんな不安が度を過ぎると、ヴィルは呼吸が荒くなり、それを鎮めるために胸の上で何度も手を擦り不安を解消させようとする。不安と恐怖のジェスチャーはエピソードの中で幾度となく繰り返されるものだ。まさに、己の立場と自我の狭間に立つ緊張を象徴している。
けれどシーモンといるときだけは、ヴィルはそうしたジェスチャーをしない。シーモンはヴィルが反王子的な振る舞いをすれば喜び、親しげにほほ笑む。ヴィルはシーモンの前にいるときは、不安と緊張から解放されるからだ。
反王子的、反上流階級的な振る舞いで、自分を『労働階級』ではなく『シーモン』として、親しげに関わろうとしてくれるヴィルにシーモンが恋に落ちたのは、彼のセクシャリティのことが大きいのかもしれない。友人と恋人、その境界線を引く線はあまりにも細いものだ。
膨れる好意を確かめるように、シーモンはヴィルと指を絡ませ、瞳を見る。からませた指の意図、送る視線の意味を知らないヴィルではないだろう。返すように指を握り、微笑んだヴィルの本心は、明確な形ではなかったとしても、より深くシーモンとつながりたいという欲求だったに違いない。
けれども、そんな二人を見やるフェリスの視線に彼は気が付き、再び思い出す。自分は常に「スウェーデン王子」として見られている存在なのであり、そしてシーモンとこれ以上深く繋がることは「スウェーデン王子」の振る舞いとして正しくない、ということに。そして彼は初めて自分の欲求を自覚したのだ。シーモンとより深く繋がりたい、という欲求を。
映画を見ている部屋から抜け出したヴィルは、初めて抱いた欲の自覚と、そして欲求と両立できない社会的立場との摩擦との中、彼の不安は肥大化し、パニック発作じみた行為――荒れる呼吸を抑えるために胸の上で手を擦り合わせる――をみせる。
そんなヴィルのことを知らないシーモンは、ただ、ヴィルとの好意を確かめるためキスをする。
(そう、シーモンは知らないのだ。ヴィルが不安と恐怖に侵された場所にいることにまったく気が付いてない。なぜなら、ヴィルはシーモンの前では一度もそんな振る舞いを見せたことがなかったからだ。これはヴィルにとっては救いであると同時に、自覚のなかったシーモンにとってこれからの彼の立場を危うくすることにつながってくる)
立場と自我に揺れるヴィルに対し、2度、シーモンは確かめるようにキスをするが、ヴィルはそれを拒否する。それを理解したシーモンが立ち去ろうとするが、ヴィルは引き留め、今度はヴィルからキスをする。
立ち去ろうとしたシーモンをヴィルが引き留めたのはなぜだろう。シーモンへ向ける恋心という欲求の表象だろうか。もしくは、キスを拒否してしまったら学内での唯一無二の友人を無くしてしまうという不安からの打算的な行為なのだろうか。ヒーレシュカから帰ろうとする兄にすがった時と同じような、ただ寂しさからの行為なのだろうか。
ヴィルの内面は定かではないが、結局のところ、どんな理由であれ、ヴィルがシーモンを引き留めてキスをし、シーモンの行為=好意を受け入れることに決めた時点で、彼は友人同士の立場から異なる立場に立つことになる。
そしてこのキスは、不明瞭だった欲求が形を持ち始めるきっかけになった。理由はどうあれ、ヴィルがシーモンと再びキスをしたいという欲を持った時点で、彼の最初のキスは逆説的にヴィルの本心からの欲求の表れだったと言えるのではないだろうか。
3 notes
·
View notes
Text
エドワード王 二巻
昔日の王の一代記、二巻
ファーストホールドでの再会
エドワードは赤い空に目を覚ましました。太陽は西の山々に上ったばかりです。彼らは各面が炎に輝く塔のすぐそばに来ていました。ドラゴンは急に方向を変えて近くに飛び、炎の長い息を吐き出しました。彼らが突然高度を下げると、塔の頂上で何度か光が点滅しました。エドワードのお腹はとても変な感じでした。彼はため息をついて身体を動かすと、モラーリンが右手でエドワードを抱けるように体をずらしました。彼は身体を伸ばしてあくびをしました。
「もうすぐだ。クリスタルタワーからファーストホールドまでは馬で数日だが、アカトシュは1時間以内に連れて行ってくれると思う」
「塔には寄らないの?アイリック―」
「軽々しくその名前を使うんじゃない。私にさえもだ。アーチマジスターは向こう何日かは戻らない。ユニコーンは風の兄弟分で、同じぐらい早く旅をする。荷物があってもな。だが、ドラゴンが飛ぶほどじゃない。エルフの故郷がドラゴンの帰還の始まりを迎えているのがわかるだろう。人類の幸運を祈るんだな」
エドワードの視線は深い森の中と、無骨な丘をさまよいました。人のいる印は見えませんでした。「きれいだね」彼は謙虚に言いました。「でもハイロックほどじゃないや」忠誠心からそう付け加えましたし、それは事実でした。「街も、村も農場もないの?」
「ファーストボーンは森の奥深くに住まっている。彼らは大地を引き裂かないし、新しく植えもしない。だがオーリエルが差し出すものは喜んで受け取る…そしてお返しをする。ああ、成長するものの青臭いにおいだ」
確かに、その空気はエドワードが父のカップからすすったことがあるワインと同じような感じがしました…「お腹空いた」
「そうだと思った」少し体を動かし、モラーリンの左手が小さな葉っぱの包みを取り出しました。浅黒い手は大きくて力強く、人にも動物にも見えませんでした。エドワードは嫌悪しながらその手を見つめ、やがてその手に触れないように極めて慎重に包みを取りました。モラーリンが身体を強張らせるのがわかり、エドワードを抱く手が少しその力を弱めました。エドワードは自分の行動を恥ずかしく感じました。この状況で気を悪くさせるのは、親切でも賢明でもありませんでした。モラーリンは簡単に彼を落とすことができるのです。「僕お風呂に入りたいけど、君もだよね」彼はぎこちなく言いました。モラーリンがわざと彼の反応を誤解してくれたことを、エドワードは知っていました。「ああ、私はとても汚れている」エドワードがケーキをかじると、それは見た目よりずっとおいしいことを証明しました。「母さまはそんな風に僕を見ていたよ―少なくとも、そうだった。でも多分、僕はまずお風呂に入るべきだよね?」
「お前はその選択の必要はないと思うが。ああ、やっとだ!」ドラゴンはその翼を広げて空に舞い上がり、巨大な炎の固まりを吐き出すと、広い空き地に降り立ちました。着陸は急角度で、大きな衝撃がありました。エルフたちが急に現れて、彼と、やっと目を覚まして半狂乱でぐるぐる走り回り、エドワードの足元で喘ぐシャグに腕を伸ばしました。
銅の色の炎のような髪をした背の高いエルフが、礼儀正しく彼らに挨拶しました。「ご機嫌麗しゅう、我が王よ。ご婦人がお待ちかねです。エドワード王子、ファーストボーンの地へようこそおいでくださいました。我が民に成り代わり、歓迎申し上げます。ここでのご滞在が心地よく、実りあるものでありますように」
モラーリンは恭しく頷きました。「ありがとう。��が女王は十二分にお待ちになった。すぐにお目にかかろう」エドワードの肩に置いたモラーリンの手が、彼を見たこともないほど大きな木に導きました。その幹は空洞で、中に入ると上に導かれました。開口部にはさらに階段があり、丈夫な枝に橋が架かっています。彼らは大きなひさしがついた、部屋のように椅子とチェストがしつらえられた台に着くまで、それに沿って前に進みました。金色の肌の女性が彼らに微笑みかけ、手招きをして立ち去りました。背が高くほっそりした、蒼白い肌の黒い髪の人間の女性が彼らに歩み寄りました。彼女の眼はエドワードを捉えていました。エドワードだけを。
「どうしていなくなっちゃったの!」その叫び声は彼の深いところから現れ、彼の全身に響き渡りました。その声は彼の数歩手前で彼女を立ち止まらせました。今度は彼女の目がモラーリンを見上げました。彼はエドワードが聞いたことのないような厳しい調子で言いました。「お母様に敬意を持ってお話をなさい、無作法な子だ!」その瞳の一瞥の衝撃で、彼の目に水が溜まりました。
アリエラは素早く彼に近寄り、両手を彼の胸に置きました。「おかえりなさい、旦那様。あなたと息子を無事に私の下に連れてきてくださったノトルゴを称えましょう」
「竜たちの盟主と盗賊さんにも感謝いたしますわ。彼らなしでは私のぼうやをあれ以上きれいに連れてくることはできませんでした。アーチマジスターもうまくことを運んでくださったのね」モラーリンの浅黒い手がそっと優しく彼女の腕に置かれました。彼は落ち着いて幸福そうに笑いました。でも、彼の胸に置かれた両手は、彼を労わるようでもあり、障壁を作っているようでもありました。
「私は本当に恵まれているわ。でも、息子と話すのは久しぶりなのです。二人だけなら、もっと話がしやすいかもしれません」
モラーリンの笑顔がさっと消えました。「3人でいるより2人の方が言葉が見つけやすいと?まあ、そうかもしれないね。時にはね、奥さん」彼は踵を返して去って行きました。橋が揺れて軋みましたが、彼の足は少しも足音を立てませんでした。
アリエラは彼の背中を見ていましたが、彼は振り向きませんでした。エドワードは、また彼の敵に苦痛を与えたことで、好奇心と満足感と後悔が混ざったような気持がしました。「エドワード、私の坊や。ここにきて座ってちょうだい」
エドワードはその場に立っていました。「お母さま、僕は何年も待って、答えを求めて何リーグも旅をしました。僕はもう待ちません。一歩だって動きません」
「何と言われていたの?」
「父が客の名誉を信頼しながら夜眠っている間に、魔法の助力を得て最も卑劣な方法で誘拐されたと」
「お父さまがそう言ったのね。モラーリンは?」
「完全に自分の意思で来たと言いました。あなたの言葉で聞きたいのです」
「私がなぜあなたのお父さまの下を去ったか、どうして��なたを連れて行かなかったのか、どちらが聞きたいですか」
エドワードは間を置いて考えました。「母上、僕は本当のことが聞きたいんです。ですから、僕は本当のことを知らされなければいけません。あなたが僕を置き去りにしたことを。もう一つの方は、僕は知っていると思います。あなたがそれ以上に、またはほかに話したいと願わない限り、僕はわかっているだろうし、わかると思います」
「真実ですか?真実とは、それを理解している者から独立して存在するたった一つのものではありませんよ。でも、あなたに私の真実を話しましょう。そうすればきっと、あなたは自分の真実にたどり着くでしょう」
アリエラは静かにクッションのおかれた椅子に歩いて戻り、姿勢を正しました。ルビーの色をした小鳥がすぐそばの小枝に停まって、彼女の穏やかな声に伴奏をつけました。
「私の両親が私の結婚を故郷の習慣通りに決めてしまったのです。私はコーサイアを愛していませんでしたが、初めは彼を尊敬していましたし、良い妻でいようと努めました。彼は私を気にかけもしなければ、世話もしてくれませんでした。ですから、彼は私の尊敬を失い、手をかけてもらえない植物が枯れていくように、私は毎日少しずつ死んでいたのです。あなたといる時だけが私の幸福でしたが、コーサイアは私があなたを軟弱にすると考えました。『女みたいに』と彼は言いましたわ。そうして、あなたの3回目の誕生日のあと、私は毎日たった1時間だけ、あなたと過ごすことが許されました。あなたの泣き声を聞きながら、何も考えられずに座って泣いていました。ようやくあなたが泣き止んで私を求めると、私の心は空っぽになりました。私は護衛を一人か二人しか付けずに、長い時間一人で散歩をして、馬に乗るのが癖になりました。そんな時、モラーリンがやってきたのです。彼はロスガー山脈にある黒檀の鉱山を欲しがっていました。彼が使いたがっていた土地は、私の持参金の一部でした。彼は私たちの民に彼の技を喜んで教えてくれましたし、ダークエルフが作った武器を差し出してさえくれました。そのお礼に、私たちの民はゴブリンを遠ざける彼の手助けをして、ハイロックに彼の民の植民地を作ることを許したのです。コーサイアは土地には興味がありませんでしたし、本当に武器をとても必要としていました―最上のものでしたからね―ですから、彼はその申し入れを喜んだのです。話し合い、決めるべきたくさんの細かい事柄があって、その交渉への干渉が私にも降りかかりました。コーサイアはダークエルフを嫌っていましたし、タムリエルで最も優れた戦士として既に名声を得ていたモラーリンに嫉妬していたのです。
「でも、モラーリンは熟練の戦士以上の人でした。彼は読書家で、太陽の下にあるものすべてに興味を持っています。ヤー・フリーとジム・セイから教えを受けたように歌い、演奏することもできました。彼は、私が夢でしか会えないと思っていた、それ以上のお相手でした…誓いますわ。私たちは二人とも外にいるのが好きで、話し合いは乗馬と散歩の間でしたが、いつ��彼の部下とコーサイアの部下が一緒でした。すべてが整った時、コーサイアは条約を祝って大きな宴会を開きました。ハイロックのすべての貴族がやってきて、他の地域からもたくさんの人たちが訪れました。最後に、酔っぱらったコーサイアが血でなければ洗い流せないような侮辱の言葉を漏らしました。私は他の貴婦人たちととっくに席を立っていましたから、それが何だったのかは知りません。でも、私はコーサイアがそのような言葉をため込んでいることを知る程度には、個人的に充分聞いてきました。モラーリンは決闘を申し込み、それまでに彼がウィットを取り戻すかもしれないと、コーサイアに昼までの猶予を与えました。
「そしてモラーリンが独りで私の部屋に来て、何が起きたかを話してくれました。『奥様、彼はあなたの弟君を決闘相手に選ぶだろうと思います。いずれにせよ、もう二度と関わることのできない血の河が、私たちの間に流れるでしょう。私はあなたの愛なしで生きていくことはできます。だが、あなたに憎まれることには耐えられない。共に来てください。妻として、あるいは名誉ある客人として、それはあなたの選択です。そして、ご親族の代わりに、あなたは血の代価として貢献なさるでしょう』
「そして、月明かりの下で、恐れおののいて、眠っている貴婦人たちのそばで、私は彼を愛していることを知ったのです。彼なしで生きて行けるかは疑わしかったけれど、それでも、あなたをそれ以上に愛していたの!『息子は』��は囁きました。『置いては―』『奥様、選ばなければなりません。お気の毒ですが』わかるでしょう、エドワード?もし留まれば、私の弟の死が―彼の無垢な若い血が流れるのです。あるいはあなたのお父さまの血が!あるいは、そんなことは起きないと思っていたけれど、私の愛する人の血が流れたかもしれません。モラーリンの戦闘技術はそれだけでも優れていましたし、この類の出来事には、彼は同じくらい優れている魔法の力も借りるでしょう。『連れて行けますわ』でもモラーリンは悲しげに首を振りました。『私にはそんなことはできない。父と子を引き離すことは、私の名誉に反する』
「愛する者を一人ぼっちにする、私は義務には慣れていました」アリエラは誇らしげに言いました。「あなたを父親から、あなたの大好きなおじさまから盗んで行けばよかったでしょうか?そして、おそらくコーサイアは生き残り、この件で私を責め、私を遠くにやってしまう言い訳にしたはずです。コーサイアは私がいなくなれば喜ぶだろうと考えました。彼が本当に武器を欲しがっていることは知っていました。あなたと過ごす時間を得るために、それで取引することもできると私は考えました。モラーリンが私を見ずに立って待っている間、すべてが私の中を駆け巡っていました。
「マーラ様、正しい選択をお助け下さいと私は祈りました。『本当に私を妻にしたいのですか?私は―私は厄介ごと以外何ももたらしませんのよ』
『アリエラ、私はあなたを妻に迎える。私が求めているのはあなた自身だけだ』彼はマントを脱ぎ、布団を引き剥がしながら私の体を包みました。
『モラーリン、待って―これは正しいことかしら?私がしようとしていることは?』
『奥様、もし間違いだと考えているなら、私は���こに立ってなどいない!あなたに与えられた選択肢の一つは、私には最も正しいことに思えます』彼は私を抱き起して、馬に運んでいきました。そうして、私は彼のマントだけを身に着け、彼の前に座って馬に乗り、あなたのお父さまの家を去ったのです。野蛮な喜びと悲しみが混じって、自分がどう感じているかわかりませんでした。これが、私の真実です」
エドワードは静かに言いました。「でも、彼は結局、僕とお父さまを引き離した」
「本当に渋々だったのです。そして、ドラゴンが、本当には、あなたとお父さまの心は既に離れてしまっていると言ったからです。何リーグかだけのことです。これはあなたの安全を保つ方法なの。モラーリンはここに来ることを決めるのは、あなたの自発的な決断であるべきだと言いました。それと同じに、戻りたい時に戻っていいのですよ」
「モラーリンは僕をただ連れて行こうとした!アイリ―その、アーチマジスターが同意しなきゃいけないって言ったんだ」
「彼は忍耐強い性質ではないのです。そして、彼はコーサイアを傷つけてしまわないか不安でした。彼がその議論をどこかほかの場所で続けられると考えていたことは間違いありません」
「肝っ玉の小さい王だって呼んだんだ。そして笑ったよ。どうして?ダガーフォールの人の肝臓はエボンハートの人のより小さいの?第一、それに何の関係があるの?父さまはとても怒ってた。きっと戦いたかったと思うな。でも、父さまが僕を嫌ってるのは本当だよ。わかってるんだ。でも、わかりたくなかった。だからそうじゃない風にふるまっていたんだ。モラーリンはそうじゃないと思うけど」
「ええ」
「でも、彼は嘘をついた。彼は僕の父親だって言おうとしてた。わかるんだ」
アリエラは頭を後ろにそらせて、鈴を転がすような声で笑いました。彼は遠い記憶からそれを思い出し、背中がぞくぞくしました。「もしあなたにそう思ってもらえたら、きっとものすごく、心からそう言いたかったに違いないわ。彼はいつでもせっかちなの。そして、彼は誓いの下では決して嘘をつかないし、愛するものを傷つける嘘はつかないわ」
「僕のことを愛してなんかいないよ。僕のことを好きでさえないんだ」
「でも、私は愛しているのよ、私の大切な坊や。あなたは―」エドワードは彼女が大きくなった、と言おうとしているのだと思いました。大人たちはいつでも彼の成長を見てそう言うのです。一週間前に会ったばかりでも。奇妙なことに、年のわりに、彼は小さかったので。彼女はその代わり、「私が考えていた通りだわ」と母の深い満足を湛えて言いました。
「彼はあなたのことを愛してる。でも彼は使いっぱしりの小僧じゃないと言った。でも、あなたは彼がそうみたいに下がらせた」
アリエラの顔と首が真っ赤になりました。
「確かに、私は召使いに格下げされたようだね」うず高く食べ物が積まれたお盆を持って、モラーリンが静かに入ってきました。「椅子を取ってくれないか、少年。私が給仕役をやれるなら、お前も給仕役をやれるだろう。お前はお腹が空いているだろうし、妻が私の欠点の残りの部分を話す前に戻った方がいいと思ったのでね。それを挙げ連ねるのにほとんどまる一日かかるから」彼は鎧を脱いで風呂を浴び、細いウエストの周りに銀のサッシュを巻いて、洗い立ての黒いジャーキンとズボンを着��いました。でも黒い剣は、彼の横で揺れていました。
「まあ、なんてこと。小さな軍隊がお腹いっぱいになるほどの食べ物を持っていらしたのね。それに、私は朝食を済ませましたの」アリエラは小さな手でエルフの腕に触れ、愛撫するように下に滑らせて彼の手を握って力を込めると、それをまだほてっている首に持ち上げ、唇でその手をなぞりました。彼女の美しさに向かい合う浅黒い肌に居心地の悪さを感じながら、エドワードは素早く目を逸らしました。
「これは私用と、少しは坊やのためにね。でも、ご相伴してくれると嬉しいよ。君は痩せてきている。私にとっては針みたいだ、本当にね」彼女の黒い巻き毛の束を指に巻き付け、軽く引っ張ってにやりと笑いました。それから、食べ物に移ると、人間がするように指で食べるのではなく、小さな銀色の武器で飢えた狼のように襲い掛かりました。その食べ物は―素晴らしかったのです。エドワードはもう何も入らなくなるまで食べました。
「立ち聞きしていたんだが」彼は思慮深そうにもぐもぐと言いました。彼は食べている間、モラーリンの欠点を口の中でもそもそと挙げ続けていました。そして、もっと早く大きな声で言えばよかったことがわかりました。
「ゼニタールよ、坊や、君たち人間は、個人的な話を木の上全体に聞こえるような大きな声で叫んでも、私が耳に綿を詰めて聞かないでいてあげると期待しているのかね?」彼は大きなとがった耳をとんとんと叩きました。エドワードは急いで何を話したか思い出そうとしました。嘘をついたと言いました。ああ、なんてことでしょう。彼が聞いていませんように。
「それで、私は嘘つきなんだって?坊や」ヴァー・ジル、彼に救いの手を、エドワードは溺れ死ぬような気持がしました。このエルフは心を読めるのかしら?彼はそれが父親が彼に使った侮辱の言葉ではないことを願いました。「僕―僕は、そのことを考えていると思ったって意味で言ったんだ。口ごもったもの」エドワードは喘ぎました。彼はものごとを悪い方に転がしていました。
「たぶん、私は思い出そうとしてたんだよ…」皮肉っぽい響きが戻ってきました。
「僕のことなんか好きでもないくせに!」エドワードが大きな声で言いました。
「だからって、本当の父親がお前に主張するのを止めることになるようには思えないね」
「モラーリン、やめて!」アリエラが遮りましたが、エルフは片手を上げて彼女を黙らせました。
「わからないんだ」エドワードがちらりと見ました。
「どうしてあんなことを言ったんだね?」
「わからない―ロアンが言ってた―ことなんだよ―そして、僕はちっとも父さまに似てないんだ。みんなそう言うよ。そして話をやめてしまうの」
「言ってたこと―とは何だね?言いなさい、坊や!」
「二人が若かったころ、どれほど母さまがおじさまのことを好きだったかって。母さまが連れていかれたあと、彼がどんなに悲しんで怒ったかって。弟じゃなくて恋人みたいだったって彼女は言った。とってもかわいらしくそう言ったけど、何か他の意味があるみたいだった。口に出すのがとても汚らわしい何かだよ。他の時には、あの人は僕がとてもエルフっぽく見えるって。僕が結婚したあととても早く生まれたことも。あの人の一人目の息子みたいじゃなかったって」
モラーリンは跳び上がりました「何だっ��!戻ってあの女狐の首を絞めてやる!人間は―」彼は悪態をかみ殺しましたが、その赤い瞳は怒りに燃え上がり、筋肉がはちきれるように膨らんで、髪は逆立っていました。「お前はエルフと人間の子供には見えない。私が母上に出会ったのは、お前が母上のおなかに宿ってから4年後だ。どうやらロアンはどちらの嘘を使いたいのか決めかねたのだろうね。だが、近親姦などと!私ができないなら、ケルが代わりに鉄槌を下しますように」背の高いエルフは怒り狂って部屋の中を歩きました。カジートのようにしなやかで、片手は剣の柄を撫でています。その台が揺れて、少し下がりました。
「エドワードに比べれば、彼女は自分の息子たちに大望を持っている。疑問なのは、彼女の話を信じる者がどれほどいるかだ。彼を殺させる計画をしているなら、充分ではないだろう」アリエラのなだらかな眉に小さなしわが寄りました。「あのね、私は彼女を嫌ったことはないのよ。彼女もそう。あの方は私の立場を欲しがっていて、私はエドワードを救うために喜んで譲ったわ」
「僕に王様になってほしいんだね。そうしたら黒檀の鉱山を持てるから」エドワードはパズルを解きました。
「まあ、黒檀なんてどうでもいいの。おそらく彼が手に入れるでしょうし。あなたのお父さまがお亡くなりになったら、ロアンの子供たちと協力するより良いチャンスを持っているの。彼らには感謝する十分な理由がありますし、いい取引よ。そうは言っても、彼らの両親のことを考えると、契約にサインするのに充分なほど、自由に口が利けるかどうかは見込み薄だけれど」
「それじゃ、なぜ?僕のこと好きでもないのに」
「マーラ、お助けを!人を『好き』と思うことは人間の概念だ。ある日、彼らはお前を好む、次の日は好まない。火曜日にはまたお前のことを好んで戻って来る。私の妻は私に対してそうするが、彼女が私を好きじゃない時でも私を愛していると言うよ。彼女がどちらもしない日と、リアナの騎士団に加わる話をする時以外はね。そんな時は、私は彼女が正気に戻るまで狩りに行く」
「大げさね、そんなの一度しかなかったし、よく知っているくせに」
「回復期間は大いに楽しんだのを覚えているよ。もっとあってもいいかもね」二人はお互いににやりと笑いました。
「だけど、どうして僕に王様になってほしいの?」エドワードは食い下がりました。
「言っただろう、それはアカトシュの意思なのだ。それと、アーチマジスターのね。私は遠乗りに付き合っただけさ。彼らに聞いてごらん」
「アーチマジスターに会ったら聞いてみよう」
「素晴らしい考えだ。我々と北に旅立つ前に、お前は2、3週間タワーで過ごすことになるだろう」
「それだけ?」
「お前の母上と私と一緒に冬を過ごす計画がそんなに嬉しくないかね?」
「そんなことは…ないです。でも、アイリックと一緒に行くって言ったんだ」お前じゃなくて、口に出さなかった言葉が、二人の間にありました。
「そうなるだろう、そのうちね。今、そこでの数週間は、魔法の訓練を始めるのにちょうどいいだろう。私はお前に呪文を教えてやれる。だが、お前は強くならなければならない。お前の体が心に追い��かなければいけないんだ。それはアーチマジスターの意思なのだよ」
「戦闘の魔法?僕は他のことを勉強したいな。獣の呼び出し方、癒し方、そして浮き方…」
「それも学ぶだろう、必ずね。それと、お前は戦士は癒せないと思っているのか?それはお前がいちばん最初に学ぶ呪文だ。だが、王は戦い方を知らねばならない」
「得意じゃないんだ」
「ドラゴンの歯だよ、坊や!まさにそれがお前が学ばねばならない理由だ」
「もしできなかったら?」
「お前は勇気があって、澄んだ頭を持っていて、魔法を学ぶ潜在的な力がある。それは大抵の者が持っている以上のものだ。残りの部分は私が教える」
エドワードの頭が、不慣れな賞賛にぐるぐる渦を巻きました。「僕が?本当に?君が?」
「お前はお父上の愚かな王宮の者たちがドラゴンとユニコーンの前に丸腰で向き合って、アーチマジスターとタムリエルの英雄に、彼らの正義を要求すると思うのかね?正義だって!そんなものを前にしたら、彼らはどうにか慈悲を請うのが関の山さ、それだって疑わしいが、口が利けるものならね」
「僕、そんなことした?したのかなあ?」エドワードはすっかり驚いてしまいました。彼は知らなかった、考えたこともなかったと付け加えたいと思いました。
「ああ、したとも。そして、それはここからモロウィンドに向けて歌われる行いだ。私はそのバラードを作曲しよう―昼寝をしたらすぐにね。ドラゴンの背中の上ではあまりよく眠れないんだ」
「僕とシャグに眠りの魔法をかけたね!」
「そして城の他の者にもだ。友人に手伝ってもらってね」
「うわああ。宙にも浮けるの?見せてくれる?」
「そう急ぐな。私はドラゴンの背中に一晩中とどまっているように、動きを固める魔法を全員にかけていたんだ。休むまではマッチを使わずにろうそくに火を灯すこともできないよ」
「ああ、わかった。それでも僕は、戦士よりもアーチマジスターみたいになりたいな」
「はっ!アーチマジスターが戦えないなんて、そりゃニュースになるな!彼がお前に杖の扱い方を見せる時間があることを願うよ。初期の訓練には最適の武器だ。そして彼以上の講師は望めない。さあ、お前が前に見た四人の中で、誰が一番優れていると思う?」
エドワードは数分の間、慎重に考えました。「僕の判断は本当に粗末だけど、それでもよければ、タムリエルのチャンピオンって称号を使う人が一番優れているはずだと思う。でも、アーチマジスターは君の魔法の先生ではないの?そして武器の扱いもよく訓練されているみたいだ。だから、誰が勝っているか?ドラゴンの炎と爪と歯に太刀打ちできる人間がいるかな?それに、とても足が速くて、尖った角と蹄があること以外、僕はユニコーンのことは何も知らないんだ。とってもおとなしかったし。それで、君が尋ねたその質問には、正しく答えられそうにないんだ」
「いい答えだ、坊や!単体の近接戦闘ならユニコーンは簡単に勝てる。人間も、ドラゴンでさえ、あんなに早く一撃を当てられないし、炎で焼くこともできないし、魔法や属性の力も効かない。その蹄は致命的で���その角は一度触れただけで、どんな敵でも殺してしまう。角自体は燃えてなくなってしまうけれどね。それでも、一番強力なのは、それをすぐに再生できることだ。
「そして、4人のタムリエルの英雄は、互いに戦えばおそらく敗者になるだろうが、その称号は馬鹿げた自慢ではない!モラーリンは一流であることに慣れていない。結果として、私の行儀作法は苦しんでいるかもしれないがね」
「わが王よ、あなたには心から感謝申し上げます。あなたは僕に偉大な栄誉と貢献を与えてくださいました。ご恩返しできることがあれば、致しましょう。僕の乱暴な言葉と不躾をご容赦ください。僕は粗野で粗暴な中で暮らしてまいりました。そして、僕には父がないようです。あなたをそう呼ぶことをお許しいただけない限りは」エルフは少年に手を差し出し、彼はその手に自分の手を置きました。エドワードの味気ない気分はすっかり消え…まるで魔法のように…思考が彼の心を漂います…すると彼は手を離して、モラーリンの腰にしがみつきました。エルフの手は黒い髪を撫で、薄い肩を掴みました。
「ありがとう、奥さん。結婚からたった5年で、君は私に9歳のすばらしい息子を贈ってくれた。非凡で、本当に…魔法のようだ」
2 notes
·
View notes
Video
#真瞳術チャンス #バジリスク3 #バジリスク絆 #バジリスク #スロット #上乗せ2個 #さすが #しょぼい #勝ち#スロット #パチスロ#パチンコ (Shinjuku-ku, Tokyo, Japan에서)
0 notes
Text
「<あなた>の物語」について
レポートでも感想文でもない何らかの「何か」。
それを何とか形にしたいと思う。少なくとも私はそのように願う。
少なくとも、それは「私自身の物語」であるだろう。 であれば、他でもない「それを私が書くのだ」。それは間違いようのない事実であるだろう。
書けるかどうかは分からない。お読みいただけたら嬉しく思う。
「初めに、神は天地を創造された。 地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。」
誰もが知るであろう創世記、第一章の冒頭である。
たいして敬虔でもないキリスト教徒である私は思う。
光は、闇と同じものなのではないか、と。
(ある日のメモより)
SMOKE@浅草九劇 2018/10/
*超がいる→書く。 「書くのをやめろ」 コーヒーとレコード・オルゴールは手回し 私のやり方で天才になりたかった N↑照明等/W側↑ピアノ 人並みの暮らしさえできない 鏡の中の鏡像 私の文字を閉じ込めてしまう 僕のことを忘れ去る 君の瞳 もう会えない・見つけられない 痛むの・不安なの・苦しいの 心は裏返し。抜け殻のような ↑今の私とは違う姿 ハクセイ 泣いても濡れない 眠る/ (不明瞭) 僕のものさ ↑そしたら 遠くへ行きたい<夢>←以下丸囲みを<>と記述 ↑あるなら 叶えたいなら棄てるべき時に思い切って捨てる ぬめる目つき 万が一のための「<保険>さ」←以下下線部を「」と記述 サイゴのチケット 最初で最後のチャンス 夢を叶える 姿勢 肩を張る/猫背 人差し指/��� 超:表情 <冗談だよ>←やさしい お前はじっとしてれば(棒読み) どんなに怖かっただろうか←僕なら耐えられない 旅立ちの最後のチケット 「水、水」目隠し←居ない方に話す あなたはきっとイイ人なんでしょ(少し笑う) オネがあ~い・イタァ~イ 目を合わせた時の表情「分かりませんか」 ありがとう 探る目→忘れてる認識 あなたはこんなことをする人じゃないんだもの <どうして>やさしげ 問いかけ 「あなたの海って何なの」 問題を出す先生 青い終わり 赤い始まり ↑期待する目とあきらめ さとす様
絶対に凍ったりしないの 全てが凍り付いても海は流れる →叫び続ける 歌い続ける 笑うみたいに この旨の高鳴りが(不明瞭) 無かったら困るでしょ 怪我をすることも具合悪くなっても 私は生き続けるんだーって。 <才能がない> 表情 語り聞かせる←あなたの事を 愛されたい 分かって貰いたい 語って聞かせる 自分の心 ふくろ いつかその子がもう一度探しに来て 愛しさ・恋しさ くれると信じながら 憎しみ・恨み 思いつめた 叶えたい夢 鏡には入れず 見つめるだけ →私たちは似てる 悲しみを[抱いて/抱えて]いる←以下二段括弧綴じを[/]と記述 出口の見えないこの世界から 煙になって抜け出す あなたが書いたんじゃないの ↑切実 とってもいい詩ね (不明瞭)がどうして気づかなかったんだろう ←動き 恋とは出会って初めて 恋だとすぐに分かった イトシイ人 [美しい面影/今度出会えたなら/離さない] 対角・鏡→ 二人だけの誰も知らない物語 ホシゾラみたいにきれいな物語を ↑客席も照らす あなたはボクの愛しい人 こんなことしなくとも逃げたりしない そいつはお前の何なんだ←確認 ダイジョウブかホン←棒読み どうしてあなたがここに居るの<超> 海、どうしてこの人と誘拐なん��したの
飲む瞬間ため息 もうやめて二人ともコーヒーでも飲まない? コーヒー好きだったでしょ? 初めて会った時変だと思った ↑どうして変だと思った? 分からない 思い出すんだどんな関係だったか どんな感じだったか おまえ中々サイノウあるな どう呼べばいいんだろう 心を明るくしてくれる 降り注ぐ暖かな春の光 急に涙 消せない ソウシツ ナミダ ゼツボウ 倒れた後の淡々とした動き 今度はコーヒーか ねめつける 苦痛でしかない苦しみのカタマリ 海が以前君にしたように。 否定し目を背け 何処までも広くて深いから底が見えない 真っ暗でどこまでも沈んでゆく それが海なんだ あなた どうしたいの 疑わしげ いつもそう{彼を}←以下二重線否定を{}と記述 いっしょじゃない もう耐えられない 越えたかった理想郷 違うあなたじゃなきゃいけないの あなたが言う情熱で書きまくった作品がこれなの 愕然と驚き 全部削除しろ 誰も読めやしない それでも描き続けてる 欲しいなら闘うの 今まで逃げてきた⇔<対立> 俺の言葉には響きが無い 逆行してる 俺には才能がない そうよ あなたには才能がない あなたは怖いのよ 歩いていれば転んだり迷ったり 全然違う道に迷い込み 引き返せなくなる それでも いくと決めたならサイゴまでいくの まがいもの 希望を見せて 動と静 それいじょうの絶望になる←超(不明瞭)
取ったメモを数えてみたら全部で87頁あった。これはそのうちの6頁である。意味のない言葉の羅列かも知れない。
意味のない話をしてしまった。意味のある話をしよう。
書き留めたのは、ひとつには時間というものが止まらない中に在って、私がその瞬間に感じ取ったものもまた「言葉」と同様にその瞬間を切り出さなければ別のものになってしまうという危機感からだった。「言葉」が後から後から湧き出てくるように、その源泉たる人の想いもまたとめどがない。その瞬間に感じたことが、次の瞬間には別の何かに変わってしまう。私たちが「言葉」という道具でもって何かを書きとめようと努力する時、そこには常に「書き留めたかった何か」があることは疑いようが無いことであるように思う。
書き留めたかった「何か」が何であったのかは、今となっては分からない。ただそこに「書き留められたもの」が形として残るのみである。
ミュージカル『SMOKE』は、先にも一度書いたように韓国の詩人・李箱について描いた作品である。「極めて難解ながら、優れた作品を世に残した人物」というのは今日の読者の理解であって、記録に残る彼の歩みを辿ればそれは「不理解への抗い」であったことを恐らく誰もが読み取ることだろう。(彼の人生についてあたるのであれば、恐らく纏まった書物としては作品社刊「李箱 作品集成」が参考になると思われる。)
本作は、そんな彼の人生の一瞬を切り取り、作品として再構築したものであるように私には思われた。
まず、僕自身が感じたことから書いてみたい。本作、東京公演におけるそれは、ひどく「客席に近い」公演であった。その距離、最短にして10センチメートル。手を伸ばせば触れる距離に役者たちが居る、そういう舞台であった。
けれども、と僕は思う。間違えば触れるような距離でありながら、それは絶対的に「触れ得ない」作品世界を生きる役者たちを鑑賞するような時間であった。
本作冒頭。斃れたひとりの若者の姿を目にした。彼は履物も履かず、ただ佇んでいた。
本作は極めて難解な作品であると思う。十数公演を観て尚そのように思う。その理由の一つは、その「佇む姿が身近に観得ながら酷く遠い」ということにあった。
本作冒頭。斃れたひとりの若者の姿を目にした。彼は立ち上がり、机に向かい文章を書きはじめる。そんな彼に向けて、SPを通して様々な人が言う。「書くのをやめろ」。ひどく耳に痛かった。そんな言葉を前にして彼は尚も書き続ける。「私は」。「私は」、「私は…。」彼は書き続けた。私は、それを観て人ごとのようには思えなかった。
本作は、ひとつにはミュージカルである。そしてそれは表現として、とても「贅沢な作品」であったと感じている。
何故か。それは、「別世界の物語をまるで目の前のことの如く近視的に観ることが出来る作品」であったから、だと個人的には感じている。
本作冒頭。そこに佇む役者は手を伸ばせば届くような距離にありながら、そうすることは酷く憚られた。「触れられるような距離にありながらそうは出来ない」。それは、例えていうならば芝居というよりはテレビ越しに或るドラマを見ているような感じがした。カメラがズームで寄せるように、その役者の息遣いそのものが目の前に聴こえる。けれどもそれは、目の前であるにもかかわらず、別世界のもののように見えた。
そういう意味で、本作はとても良く出来た「ドラマ」だったのではないかと思う。ある一点までは少なくともそうであった。僕の友人が観劇後に言っていた、「舞台と客席と双方の緊張感が、まるでそこに壁を作っているかのようだった」という表現は、僕自身の本作に対する認識とも相違がなかったと思う。
「ドラマ」。硝子の向こうのドラマ。それはどこまで行っても「他人の物語」に過ぎない。如何にカメラが寄ったところで、それが「ドラマ」である限りにおいて、そのことを「事実」と捉えることが何人に為し得るだろうか。僕は、それはとても難しい事であると思う。
では、「ドラマ」の話をしよう。
本作は、ひとりの人間の物語であった。難解に様々に織り込まれつつも、それは疑いのない一点であるように思う。
本作の「あらすじ」を表現することはとても難しい。本作には「四人」の登場人物がおり、その折々において本作の物語は全く別物であるように思われるからである。
まず、冒頭に表れる「超」の話をしたい。彼は、李箱の中の「越えたい自分」像として置かれた人物であった。
このあたりがダブルキャストの妙で。彼は、「求められ克服した自身」と「求められつつも克服し得なかった自身」との両方を纏った人物であったように思う。その違いは両演者が見事に表してくれた通りである。どんな人間の中にも「こうあるべき」と望む自身の姿があることと思う。李箱にとって、その理想を体現したのがこの本作における「超」であった。
超の想いを想像することはとても難しい。それは、彼が「願われた表象」としての人物であることに帰結する。誰であれ、己の中に描く「理想の人物」の像はあることと思う。李箱の描くそれこそが超という人物の存在根底であった。
けれども、「理想」を願われたとしたとて、それはひとりの「人間」である。それを形に出来ることも在れば、出来ないこともあるだろう。私は本作ダブルキャストの各々の立ち居振る舞い���中にその両者を見たように思っている。
まず、日野さんの演じる超。彼は私の目には常に超然としていた。時には海に対する優しささえ交えながら、だからこそ紅に対しては真っ直ぐな対立姿勢を見せていた。彼の横顔には「越えて尚思う憂い」のようなものが感じられた。それは、「理想を体現した己であるからこそ、このように在らねばならぬ」という彼自身の縛りごとのようにも思われた。
一方で、小暮さん演じる超。これは、対照的に「超えようとして尚越えられない己」を強く感じさせられた。彼の演じる超は、どこか「強く在ろう」としながらもそう在れない自身に対する苛立ちと嘆きのようなものが感じられる超であったように思う。理想を目指しながらもそうは在れなかった自身。であるからこその苦悩と嘆き、苛立ちが彼の超からは感じられた。個人的にはとても身近に感じられた「超」なのかも知れない。
全く別物のように演じられながら、その両者に共通していた「超」の姿は驚くほど共通していた。それは「嘆き」である。
本作のトリックについて少し話をしておくべきだろうか。本作は極めて重奏的であり、その中には演じられる役各々の「何を知っていて何を知らないか」ということが緻密に配置されている。そのような作品のなかで、「よく知っている人物」が超であったということは疑いようが無い。
例えば冒頭。紅を誘拐した後で海と超が言葉を交わすシーン。ここで超はどれだけのことを知っていただろうかと考える。
まず、彼は「紅が三越の令嬢などではない」ということを知っていた。知ったうえで、あれを為したのである。何故か、という問いは彼の最初の歌の中にその答えがあるだろう。「秘密は秘密として知られないように」。紅が三越の令嬢と信じ込んでいる海にとって、その言葉はただ単に端数するだけのものでしかなかった。けれどもそれが「嘘」であることを知っている超にとって、それは全く異なる意味を持つ。「秘密は秘密として」。それは面と向かった海に対する秘密であった。海にとっては単に「向かい合って言葉で確認し合う」シーンが、超にとっては全く異なる意味を持つ。それは「騙す相手であるところの<海>に向けて己の言葉で確認をする」という一場面なのである。このことに気づくだけでも本作を観劇する人はビリビリしびれるような感覚を味わったことだろう。
ちげえ!こんな話をしたいんじゃあない。
本作は、一観客の立場として、痺れるような想いを持ちながら淡々と進む作品であった。
それは、客席と舞台との双方に漲る、「これを見届ける」という緊迫感に支えられた作品であった。
ビリビリと痺れるような気持ちを抱きながら淡々と観劇した。
そこに居たのは、「ただの観客」たる私自身の姿であった。
先に「ある時点までは」と記したと記憶している。
確かに、本作において「ある時点までは」、舞台と客席とは明確に分かたれていたように思う。
それは互いの緊張感によって、「ある時点までは」。それが、何処であったかを僕は記憶しない。
「瞳」。そう言われた瞬間に降り注いだのは、「その舞台を映像のように眺める自身の眼差し」そのものであった。
本作、役者陣は徹底して「その役そのものである」ことに意識を振り向いていたように思う。それは僕自身がよく知るひとりの役者の在り様にもよく表れていた。普通、ライブなどであれば「目が合う」というのは緊張感を伴う何らかの邂逅であるだろう。それはその互いの中に己の姿を見るからだと僕は思う。けれども本作の中において、どれだけ近くで目にしたとしても、それはライブのそれとは異なっていたように僕には感じられた。
「視線がぶつかるのに交わらない」。そのときに僕が感じた印象を丁寧に言葉にすればこのようになる。互いの視線が「交わる」のではなく「ぶつかる」。そういう印象があった。そこに僕が観たのは「役者本人」ではなく、それがそのまま内側に注がれた「役自身」の姿であった。それは「物語の中を生きる人物」の目線であり、従ってそれを鑑賞する僕自身の視線とは「ぶつかる」ことはあっても「交わる」ことはなかったと感じている。
以前から少しではあるけれど感じていた。役者は、「役」足り得ようとすればするほどに、僕らの前からその姿を消してしまう。
何故か。そのようにして臨む役者の姿は、それがその理想に近づけは近づくほど「役者」ではなく「役」自身の姿になるからである。
物語の中を生きる「役」そのものでる役者に対して、物語の外側からそれを観る我々が、視線を交えることが在り得るだろうか。僕は、否であると思う。
今回、本当に間近でそのお芝居を拝見することが出来た。とても嬉しかった。けれどもその視線は決して「交わるもの」ではなかったと感じている。何故ならば、私の見ている相手が「役者」であり、「役者」として「役」足らんとした姿そのものを私が見ていたからである。
互いがそのようにあろうとしたとき、そこに交わる視線はない。何故か。「役」は「役」であるからという他無いであろう。
私自身としては、そういうことを嬉しく思う。視線が交わらない事は「役者が役自身足り得よう」としていることを意味するし、そのようにして臨まれる作品は、よりよい形で作品として私たち観客の中に存在できるだろうなあと思うからである。
けれども、同時に悔しくも思う。
そのようにして役者の手で丁寧に描かれる作品の中に、己の姿は存在しないからである。
先に「ある時点までは」と記したと記憶している。
間違いなく、���の「壁」はある時点までは存在していたと僕は思う。
触れたいと願っても手を差し伸べることさえできない。そういう壁があったと思っている。
「ある時点までは」。僕はそれが嬉しかったし幸せでもあったのだろうと思う。
「ある時点までは」。既にこれをお読みの聡明な諸兄は想定している事だろう。本作の中で「ある時点までは」存在していた硝子の壁は、ある時点において粉々になり、一切を失うこととなった。
それがいつだっただろう、と考えるとこれが中々難しくもある。
少なくとも、本作の中には「硝子の壁」があったと僕は感じている。それは間違えようもなく、舞台と客席との間に厳然と存在していた。僕は、それがあったからこそ、あれだけ近い距離でありながら、「安心」してそれを「作品」として観ることが出来たのだ。
「硝子の壁」。それは、役者が「役足り得よう」とする圧力であり、観客がそれを「鑑賞しよう」と務める圧力であったのではないかと僕は思う。そこには明らかな線があった。あの舞台の上の「四角」が構成する平面よりも確かな手触りを以て、明らかに少なくとも僕には、その存在が感じられた。役者と観客とは、分かたれている。
けれども本作終盤において、その壁は失われることになる。あれを「演出」というのか「芝居」と呼ぶべきなのか、僕には分からない。けれども確かにそれは粉々に砕け散ってしまった。
僕にとってそれは、片手に頼りにしていた支えを失うようなことであったように思う。
「瞳」。そう言われた時に、心の底からどきりとした。そういわれた瞬間、確かにそれを観ている自らの視線が存在していることを感じたからだ。
「瞳」。役者が演じる何らかの物語。そこには常に観客の視線があり、瞳がある。
「瞳」。寧ろ、それが無ければその作品は「作品」として存在することさえ難しいのかも知れない。
「瞳」。けれども、そんなことさえ知らず、僕はそれをただ観ていた。
「瞳」。其処に居合わせた、僕は「作品」を観る観客の一人だった。
「瞳」。それは本作の主人公たる李箱の最も恐れるものであったと本作は解く。その瞬間、僕の中にはこのお芝居を観ていた自らの在り様がどうしようもなく省みられた。「瞳」。それは確かに、「作品」に関わる僕自身の姿であった。「瞳」。本作を観劇するにあたって、氏の詩を読んだ。「瞳」。まるで理解が出来なかった。「瞳」。僕は、それを他人事のように受け取った。「瞳」。僕は、まるでテレビのニュースを見るみたいにして、それを「他人事」のように観ていた。「瞳」。そう呼ばれるそれは、僕自身の瞳に他ならなかった。
「他人事」ではなかった。それは、「他の誰か」ではなく、それを観ていた「私自身」の物語だったのである。
「私自身の物語」である本作について、他人の言葉を借りることは不適当であると思う。従って、以降は私自身の感想を綴る。
思ったのは、『true tears』みたいだな、ということであった。それは、仔細に富み「歩くこと」「飛べること/飛べないこと」が語られたことは勿論ながら、その終わりの姿に表れていたように思う。
本作の終わりを、僕は「希望に満ちた」みたいな言葉で表すことができない。それは、僕にとってとても心苦しく「嘘」をつくことに他ならない。
本作の終わり。それは、一人の藝術家が己の人生を受け入れ、その上で「こうしよう」と定める姿として描かれている。とても印象的だったのは、物語のオープニングでは「今の私とは<違う>姿だ」と願われていたそれが、様々な観点から受容されるようにして自らの内に流されてゆく姿だった。それはその各々に対して、時には切なさと愛情をもって、時には怒りと悲しみをもって、「そうよ」という言葉と共に、そこに苦い想いをも確かめながら歩みを進めようとする人間の姿であったように思う。本作の主要人物3名、<海>、<紅>、<超>には、その其々が内包する苦しみも嘆きも哀しみもあった。本作の序盤はそれらを「克服」しようとする物語であったように僕には思われる。
その「克服」は、今の自身とは<違う>姿として描かれていた。海と紅のシーン、穏やかでありながら胸が締め付けられる様だった。それは、何も知らない海を「導こう」とする紅の姿にであり、導かれるままに行く海が確かにそこに辿りつけるならば、それは幸福な事だろうと思われたからである。けれどもそうはならなかった。何故か。彼には既に「彼自身の歩んできた人生」があり、海はそういう自らの歩みに背を向けていたにすぎないからである。過去が本当に「無」く、全てがこれからなのだとしたら、そこに描かれ得るものは多くあることだろう。けれども、現実にはそうではない。そしてその事は他でもない、海へと向けた紅自身の眼差しに明確に表れていた。彼女の苦しみの多くはそういった部分にあったのではないかと想像する。彼女は李箱の中の「いつかたどり着きたい希望」であり、「素朴な願い」であり、それは彼の母であり、姉であり、妻の姿をしていた。けれども同時にそれそのものが彼を追い詰める端緒にもなったのではないかということが本作の中では語られている。本作冒頭で海が紅に噛みつかれるシーン��、李箱の作品中にも描かれている自身の話である。遠い願い。得られない夢。だからこそ遠ざけようとした、それは彼自身にとってのあたたかな気持ちそのものでもあったのかも知れない。
一方の「克服」され得た姿はどうか。これは先にも書いた<超>の在り方の中に表れていたように思う。役者によって異なる姿ではあったが、彼は一面においては「克服して尚救われない想い」に、もう一面においては「克服しようと努力して尚克服し得ない自身」に苦しめられた人物であったように思う。その強さは主に海と向かい合うシーンに表れ、その弱さは主に紅とぶつかり合うシーンに表れていた。痛いほどに響く。彼の「もう限界なんだ」という言葉だけは、その両者に共通した思いであったように思われてならない。
では、その両者に迫られた<海>はどうなのか。
彼は芝居の上で言うならば、本作の中で最も難しい役柄だったのではないかと思う。彼は3人の中で最もモノを知らず、戸惑いながら、震えながらそれを受け止める役割だった。素朴な少年が、その人生の中で得てきた痛みと喜びとに向き合い、ひとりの「自身」になってゆくような役柄だった。
運よく、彼の豹変する場面を見ることが出来た。「信じられない」と疑いながら、けれどそれを「知っている」という感覚が全身を支配してゆく。そうして振り向いた彼の表情がひどく穏やかで、そのことがとても悲しかった。僕はその表情を知っているような気がした。
李箱という人の歩みを改めて辿ってみると、その何処にも救いがない。貧しく生まれて親に捨てられ、細々と生きながら望む生き方は出来ず、求められるまま官吏となり、そこで見出された文才をたよりに作品を記してみれば「狂人のたわごと」と組み伏せられる。彼の作品で今日まで最も評価されている「翼」を記した翌年、失望の内に日本へと渡り、その先でもまた失望を見て世を去る。それが現在に記録される彼の人生である。その何処に救いがあるのだろうかということを、改めて作品を読みながら僕は思う。
けれども、本作の終わりは決してそうではない。
本作の終わりは、「変わること」への否定として描かれている。「才ある人間でありたかった」という望みも、「誰かに愛されて生きたかった」という願いも、「そう生きては来られなかった」という事実を以て、「それは変えられない」という痛みと共にそれを受け入れてゆく彼の姿が、その中では描かれている。残念ながら僕の87頁の中にそのシーンは殆ど記されていない。ただそれを観ることに精一杯で記す余裕がなかったからだ。けれどもそこで描かれていたものがどんなものだったかは分かる。分かるつもりでいる。
本作の終わり。そこには一切の救いがなかった。変わりたかったひとが変わることも、誰かの想いがそこに届くことも無かった。そこに在ったのはただ一面の<くらやみ>である。けれども、そこに彼は<光>を見る。<くらやみ>だからこそ、<光>を観るのである。それは人間にとって、救いでもなんでもない。ただひとつ、これまでの己を受け入れ、その上で「この先自身がそうしてゆく」と定めること。ただそれだけ。ただそれだけの決意がそこにはあった。
眩しかった。眩しくて仕方がなかった。
本作の中の壁は、本作の途中で崩れて消えた。そこに居たのは、<作品を観る私>自身に他ならなかった。この作品に描かれていることが、まるで私自身に向けて言われているように感じられて仕方がなかった。それはひどく痛く、苦しいものでしかなかった。それは私自身のこれまでを舞台という硝子越しに見せつけているように感じられたからだ。けれども硝子はもう無かった。そこにまっすぐに突きつけられたのは、「あなたはどう生きるのか」ということであった。
私に、僕に、それを選び取ることが出来るのだろうかと僕は、私は自らに問う。自らのこれまでをまっすぐに受け入れ、その上で「そうすることしかできないのだから」と歩みを進めることが出来るのか、と自らに問う。僕にはその自信は全くなかった。けれども、この作品に触れて今、「そうするしかないのだろうな」と思わずには居られない。なぜなら、これは他でもない私の、僕自身の物語だと思うからである。
最後に、恐れを捨てて率直な本作の感想を述べておわりにしたい。
声が聴こえた気がした。
「それが私の翼」
そう聴こえた気がした。
僕が大好きな作品の終わりに置かれたその言葉の意味を、僕はこれまで長い事誤解していたのかも知れないと思った。
それは、「眞一郎がそう信じること」なのだと思っていた。
けれど、それは違ったのかも知れない。
「私はまだ飛べないから、歩いてく」
それは、ただ単に彼女自身がそのことを受け入れて、自らそう決めて歩もうとする背中だった。
「凛々しい」。そう思った背中は、そういう背中だった。
そんな単純なことを、10年間も誤解していた。
正直に告白してしまえば、涙が出た。
心が震えるということは、こういう気持ちを言うことで良いのだろうか。
それは僕にもまだ分からない。
ただ、あの時あの瞬間見えた翼に、あの声が重なって聴こえたことだけは、僕にとって疑いようもなく確かな事だったと思う。
1 note
·
View note
Text
目指すは世界一強い女の子
小学校に入って初めての夏休み、1日目。ドキドキしたことを覚えている。せっかくの夏休みだというのに、私は遊びに行くこともせずに家で本を読んで過ごした。 母が仕事に行く前に、2冊の本を渡してくれたからだ。 「今日の分のワークと漢字練習3ページが終わったら、この本読んでいいからね。」 目の前にあるのは、人生で初めての“厚い本”。学校の図書館に置かれている1年生向けの絵本にはそこまで興味が持てなかったし、私はこの“厚い本”を渇望していた。 表紙にはカラフルなベッドに寝そべる男の子と、親指サイズの小さな男の子が描かれていた。『親指こぞうニルス・カールソン』は、間違いなく私の人生を変えた1冊だ。
数年ぶりに母が上京した。私がごねたためである。どうしても、母と見たいものがあった。 『長くつ下のピッピ展』。大好きな作家・リンドグレーンの作品にまつわるものが一堂に結するという。その情報を目にしたとき、これは見に行かなくては!ということしか頭に残らなかった。そして、母に知らせなくては!とも。 予定というものは、あまりにもふ��わりとしていると断られやすい。会期を確認して、色々と調整して休んでほしい日を指定した。 結果、母は3日も休みを取ってくれて、のんびりと内容濃く過ごすことが出来た。 私とリンドグレーンの作品と出会わせてくれたのは、他でもない母である。母が居なければ、私があのたくさんの作品たちに触れることはなかっただろう。小学4年生のときに学校の図書館に全集が加えられた時、どれほど嬉しかったことか!読み終わったものも、まだ読んでいないものも関係なく、とにかく端から端まで何度も読んだ。 私以外に借りている人を見かけたことはなかったから、私のために入れてくれたと言っても過言ではない。先生分かってる!と感激していた。ずいぶんと都合のいい脳みそである。
小学1年生の夏休み1日目、『長くつ下のピッピ』と『親指こぞうニルス・カールソン』が目の前に置かれた。 そのときの私は、“長くつ下”よりも“親指こぞう”に心惹かれたらしい。ベッドの下にいる小さな男の子の正体が知りたくてうずうずしていた。 出された課題をさっさと終わらせて、興奮で指を震わせながら箱に入れられている本を取り出した。 ベッドの下から姿を現す小さな男の子、キレビッペン、自分の顔くらいのミートボール、ポケットにすっぽりと入る相棒。 どれも幼い私にとっては、魅力的だった。買ってもらったばかりのベッドに飛び出た釘はないか、ベッドの下にもぐって血眼になって探した。 そうすれば、私も小さくなって顔くらいの大きさのミートボールを食べられると思ったから。砂浜で作るトンネルみたいに、端から同時に食べていって貫通させるのである。いいな、いいな。 その本を読んでから、私は毎日自分の部屋に小さな男の子が現れないか、胸を弾ませながら待っていた。 ピッピを読んだあとは、力持ちをアピールしたくなった。ピッピみたいにちぐはぐなくつ下を履く勇気はなかったけれど、いろんなものを持って「力持ちなんだよ!」って言ってみたかった。 しかし、私はひ弱である。残念ながら、どんどん太くなる腕にこびりついているのは筋肉ではなく脂肪ばかり。胸をはって、力持ちだと言える日は遠そうだ。 『やかまし村』を読めば、おままごとへの情熱が燃え滾ったし、落ち込んで下を向いて歩くのも悪いことばかりじゃないと思えた(事実、お金を拾う回数はグッと増えた)。ショウガ入りクッキーへの憧れはやまず、牧草でつくる迷路と秘密基地はまだ諦めていない。チャンスをうかがっているところだ。 『ロッタちゃん』を読んで、家出のための荷造りをしたことだってある。しかし、残念ながら私はチクチクセーターを持っていなかった。相棒のブタのぬいぐるみもなかったから涙を飲んで諦めた。 “夕あかり”の時間は、窓をじっと眺めてしまう。私を夕あかりの国に連れて行ってくれるリリョンクバストさんが来てくれると、今でも待っている。街にぽつぽつと灯りがともっていくなか、私はグッと我慢して彼の訪れを待つ。みんなこらえ性がないから、あの美し��国に行けないのだ。 健康体な私が夕あかりの国に行くにも、まだ少し時間がかかりそうなのだけど。 とにかく、一つひとつの作品への思い出がたっぷり詰まっている。初めて手に持ったときの重さと興奮も。 だからこそ、やっぱり母と話しながら見たかったのだ。 本というものは、人生を形作ってくれるものだと思っている。今の私がいるのは、間違いなく母のおかげ。夢見がちで、妄想が絶えなくて、いつでもミュージカル気分の私は、母から渡された1冊の本がきっかけで作られた。 何を考えていたのか、何に憧れていたのか。リンドグレーンの作品を前にして、母と話したかったのだ。
色々と電車を乗り継いで、待望の美術館の前。ポスターやらと一緒に互いに記念写真を撮りあって、いよいよ展示物たちとの対面だ。 カラフルでパワフルなピッピを前にして、旧友と会ったような、なんだか懐かしい気持ちになって涙がにじむ。私が心から友達になりたいと思った一人の女の子が、目の前にいる。 懐かしいな、という気持ちより先に、久しぶりという言葉が浮かんできた。やっと会えたね、って。トミーやアンニカがうらやましくて、もし私がみんなと一緒にピクニックに行ったら……なんて想像してたっけ。 ふと隣にたたずむ母に視線を向けると、やはり懐かしさでいっぱいらしく、瞳には薄く涙がにじんでいた。 ここまで喜んでくれたら、私もごねた甲斐があったというもの。それから、いろんな思い出と共にそれぞれの作品に触れていった。 母の幼いころの話を聞いて、やけに感心したり、羨ましがったり。ふわふわと夢ごこちで、ピッピたちと一緒に幼い自分に会いにいった。 次に行くならスウェーデンの田舎町がいいだろうか。そして、なんといってもプリンスエドワード島!リンゴの木の並木を、袖が膨らんだワンピースで歩きたい。母と行きたい場所はたくさんある。 一般的に大人と呼ばれる歳になったけれど、私はまだまだ子どもみたいだ。 だって、夕あかりの国にも行きたいし、ベッドの端から小さな男の子がひょっこりと顔を出してくれるのも待っている。隣に、そばかすが魅力的な女の子が引っ越して来ないかなぁと想像することもある。 いつか、世界で一番強い女の子になるために。まずは、お猿のニルソンさんと仲良くすることから始めようかな。
1 note
·
View note
Text
ワクチン2回目完了、な8月(2021年8月の日記)
■2021/8/1 日曜日。いつものように娘の英会話をやったり朝食準備していっしょに食べたりしたあと、僕はひとりで出かけさせていただく。おそらく今年はじめての丸一日フリーに使える日。観たい芝居とかもあったのだけど、とりあえずもう気がすむまで映画を観ることににする。キノシネマ立川で『17歳の瞳に映る世界』『いとみち』『返校 言葉が消えた日』を鑑賞。ほぼインターバルなしで途中、ランチパックひとつをなんとか食べたのみであったけどがっつり映画を堪能。やっぱ映画館で映画観れるの楽しいな。東中野へ移動。「十番」で焼きそばと餃子を食べちゃう。KANGEKI 間隙 vol.13『LUGINSKY』鑑賞@ Space & Cafe ポレポレ坐。トーク込みで面白かった。イベント後haiena監督に、同回を観ていたイシヤマさんといっしょにご挨拶させていただく。『LUGINSKY』続編も作ってるとのことで大変楽しみ。イシヤマさんは車できてて、家まで送ってくれることに。ありがたい。実はイシヤマさんとは実際に会うのすらはじめてだったんですけど。車の中で『LUGINSKY』の感想や、他の映画の話もしつつ帰る。方向的にけっこう寄り道になってしまったと思いますがありがたかったです。娘の就寝前にも帰宅できました。ファイザー打ったところはもうほとんど痛くない。
■2021/8/2 月曜日。1時間近く寝坊してしまった。まぁ娘も夏休みだしいいでしょう。僕は普通に仕事ですが。娘は普段、彼女がかつて通っていた幼稚園がやっている英会話に週3で通っている。もちろん学校が終わってからである。この英会話が本当に素晴らしいので行ける限り続けてほしいと思っている。送迎のバスが家の近くまで来てくれるのでこれも助かるのだけど、まぁこの生き帰りに時間がかかってしまう。だから学校の宿題をする時間なども限定されるし夕食も遅くなる。なかなかかわいそうである。その英会話が、本日から約1ヵ月はZoom開催になるとのこと。あー楽だ。本人も楽だろうけど、限られた時間で勉強やらせたり食事をさせたりしているこっちも楽だ。生活に余裕ができてきます。夜はNetflixで『愛しい人からの最後の手紙』を見る。Diggin' Netflixのラロッカさんからのお題。ほぼ何も知らないで見る。フェリシティ・ジョーンズに似てる人が出てるな、と思ったらフェリシティ・ジョーンズだった。『ダイバージェント』の主演の人に似てる人が出てるな、と思ったら『ダイバージェント』の主演の人だった。たまっている古畑もちょっと見て寝る。
■2021/8/3 火曜日。昨日けっこう時間をかけて準備した資料、今日のMeetingにて5分間ぐらいで���明するためのもの。まぁこんなもんでしょう。娘は着々と夏休みの宿題を終わらせていてえらい。両親が「冷凍庫に入らないから」と冷凍マンゴーと冷凍パインを持ってきてくれた。ありがたいです。僕モテの原稿も送付完了。月初めなので特集号、ヨハン・ヨハンソン特集だ。『最後にして最初の人類』観れてないのが痛恨。夜、娘が寝たあとに1本映画を見ていたがどうしても眠くなってしまい寝る。
■2021/8/4 水曜日。うーむ仕事が大変。いろいろわかんないことがあるときに教えてもらっている会社の先輩が休んでいるのでその影響もある。つらい。その仕事の合間に買い物行ったり、娘の勉強を見たりする。余裕がない。夜は『シュシュシュの娘』インスタライブに根矢涼香さん登場。映画楽しみだー。Netflix『本当の僕を教えて』を見る。ずっしり。
■2021/8/5 木曜日。午後半休を取るので朝から仕事を頑張る。できるだけやる。あとは知らん。僕にも休みが必要である。渋谷へ。とりあえず「や��ま」へ行くが並んでいるじゃないか。残念だがあきらめて「富士そば」で遅めのランチ。ユーロスペースで『名もなき歌』を観る。ペルー映画ってはじめて見たかも。と思ってすこし調べてみたらWOWOWで2013年に放送された『10月の奇跡』という映画を見ているらしい。ぜんぜん覚えていない。。階段でキノハウスをおりていったら試写準備をしている入江監督の姿がちらっと見えた。今度こそ「やしま」に行ったらすいてた。ざるうどんとちくわ天を食べる。ユーライブへ。『シュシュシュの娘』クラファンコレクター向け試写。パンフも早々に買えてうれしい。客席にはさっちゃんさんが。ちょっと話す。入江監督の挨拶のあと『シュシュシュの娘』鑑賞。会場を出ると次の回を観るチートイツさんやけんす君、まるゆさんと会う。キノハウス前でインタビューにこたえたり、入江監督に少し感想を話せたり。やっぱこういうの嬉しいですよね。さっちゃんさんと途中までいっしょに帰る。次はいつ会えるかな。帰宅して娘を寝かせる。U-NEXTで『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』を見る。久々に見たらけっこう面白い。北川景子かわいいな。真木よう子も一瞬出てた。
■2021/8/6 金曜日。午前中が通院なのでいつもより早起き。娘にも早く起きてもらった。通常よりちょっと早く英語の勉強をやってもらう。ごめんよ。病院で検査と診察。診察でなかなか衝撃的なことがあったのだけどちょっと書くのはやめておこう。来月の検査の予約などもする。書類作成にやたら時間がかかり11時までに帰宅できず。11時までに帰宅できれば午前半休も使わずフレックス扱いにするんですけど。午後から仕事。夜はYouTubeで「僕モテFRIDAY」。画伯の知識と記憶力ものすごいな。2021年にキョンシーで盛り上がる僕モテ。オンライン試写でも見れたので『シュシュシュの娘』、早くも再見。
■2021/8/7 土曜日。午前中から娘と吉祥寺の眼科へ。先月ちょっと落ちていた視力が回復していた何より。しかし眼科の待ち時間がかなり長かった。普段ちょこちょこと暇があったら読んでいたジャンプ+の『怪獣8号』と『ダンダダン』を最新回まで読んでしまった。娘の習い事に送ったらもうお昼。僕が映画を観る時間はもうないようだ。トホホ。娘を迎えに行くまでの時間、カフェで暇つぶししようと思ったらイヤホンを忘れていた。悔しいがコンビニでイヤホン購入。めずらしくお昼に配信された藤元監督の監督ラジオを聴く。さらにU-NEXT『ドゥーム・パトロール』S1E2を見る。Apple TV+『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』S2E3を見る。娘を迎えに行って帰宅。夜はブルーハーブの24時間配信YouTubeがはじまる。どうやらアーカイブがないのでできるだけ見る。これは大変だ。途中、『シュシュシュの娘』���インスタライブ見たり、YouTubeで「9時ゆる」見たり。大変だ。
■2021/8/8 日曜日。仮眠ぐらいの時間寝て、またブルーハーブの配信を見る。面白すぎるし貴重すぎる。お昼は両親と娘とスシローへ。前から食べたいと思っていたカレーうどんが終わってしまっていてショック。実家に泊まるので午後はのんびり過ごす。ブルーハーブのYouTubeをできるだけ見る。あとP.O.Pのワンマンも配信で見る。夜、23時からイシヤマさんとPodcast収録する約束をしていたのだが完全に寝てしまっていた。不覚。すいません!約束の時間を15分ほど過ぎて飛び起きる。イシヤマさんにゴメンナサイしてPodcast収録。完全に寝起きでしゃべりました。はー。
■2021/8/9 月曜日で祝日。実家で過ごす休日。U-NEXTで『ワイルド・スピード MAX』と『ワイルド・スピード MEGA MAX』を見る。お昼は裏庭でBBQ。午後、ちょっと娘を見ててもらいMOVIX昭島へ。『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』鑑賞。強風の中すぐに実家へ戻る。夕飯までご馳走になり帰宅。久々のJリーグをDAZNで見てたけどFC東京は敗戦。。あまりに眠くて娘と同じタイミングで寝る。
■2021/8/10 火曜日。早く寝たのにそのまま朝まで寝てしまった。小学生か。安くて2ヵ月契約していたスターチャンネルEXをちゃんと解約。こうゆうのは忘れない。午前中にひとつMeetingがあったが、参加した人みんなぼんやりしていた印象。3連休後だし。夏だし。夜、ラロッカさんとDiggin' Netflix収録。Amazon Prime Video『ブリタニー・ランズ・ア・マラソン』を見る。早めに寝る。
■2021/8/11 水曜日。午前中は仕事を頑張る。午後半休をもらって新宿へ。シネマカリテで『明日に向かって笑え!』鑑賞。ちょっと自分でもびっくりするぐらい久々のカリテ。おそらく2年ぶりぐらい。マジか。渋谷へ移動。やしまでうどんを食べる。早めにユーロスペースに向かう。キノハウスの入り口でチラシくばりをしていた春本監督に遭遇。挨拶。春本監督は赤いスニーカーをだいたいはいているので遠くからでもわかりやすい。さらにキノハウス入ったところで入江監督と遭遇。挨拶。ユーロスペースで『シュシュシュの娘』全国一斉プレミアム試写。ユーロにはチートイツさんやさっちゃんさんなど僕モテ読者、僕モテ執筆陣から伯周さん、名優、かめりさ、編集長が。ミヤカワさんもきてた。全国のミニシアターを繋ぐ舞台挨拶も楽しかったなぁ。イベント終わってから外で入江監督にまた感想を伝えたり。福田沙紀さんにサインをもらったり。チートイツさん、さっちゃんさんと途中までいっしょに帰る。一瞬だけコロナ前の日々が戻ったような感じ。
■2021/8/12 木曜日。午前半休で立川の病院へ。血液検査は異常なし。主治医の先生とちょっと世間話。でも午後からミーティングが複数入っているので急いで帰る。途中、処方箋薬局に寄る。いつも3ヵ月分出してもらっているカロナールの在庫が足りず、一部郵送になるとのこと。まぁいまはワクチンの副反応用でたくさん出てるんでしょうね。夜は藤元監督の監督ラジオを聴いたり。ラロッカさん、otokeiさんが声かけて���れたシネマクティフ関係者オンライン会に途中から参加。僕はMCUクイズを出してみたが難しすぎたかもしれない。難易度設定が難しい。Disney+『ホワット・イフ…?』S1E1を見る。
■2021/8/13 金曜日。もくもくと仕事。上司とのミーティング。9月から部分的にオフィスに復帰しようと予定していたやつは白紙に。とにかく緊急事態宣言が解除されてから再検討となりました。でしょうね。夜は恒例のYouTube「僕モテFRIDAY」を見る。明日使う車を実家に借りに行く。U-NEXT『ニア・ダーク』を見る。U-NEXT『異人たちとの夏』を見る。
■2021/8/14 土曜日。家族と奥さんの実家へ。なるべく行かないようにしていたのでお正月以来だ。お昼は鰻をご馳走になる。うまい。奥さんのみ一晩泊まるとのことで僕と娘のみ戻る。まぁ車を返しがてら僕の実家に行ってこちらでお泊りすることに。娘を寝かしつけつつ「9時ゆる」見ていたら寝落ち。。
■2021/8/15 日曜日。実家でのんびりする。昼からはTOHO立川立飛で『おしりたんてい』の映画を娘と観るか、と思って朝サイトを見たらもう完売している。完全に『おしりたんてい』をなめていた。予定変更、もう夕方まで実家でのんびりする。夜に帰宅。娘が寝てからイシヤマさんとDiggin' U-NEXT収録。
■2021/8/16 月曜日。なんだか急いで対応してくれ!みたいな仕事が多くて地味にイヤです。月曜からとても疲れた。定時で切り上げもう働きませんよ。夜、娘が寝たあとシネマクティフ関係者のお盆リモート会その2に参加。ラロッカさんの映画川柳回。今回は自分で問題を考えてみる、というのもやってみたけどとても難しい。Netflix『ミーシャと狼』を見る。STARZPLAY『ブラインドスポッティング』S1E7、E8を見る。これで完走。なかなか良いドラマ化。
■2021/8/17 火曜日。うーん眠い。朝に1時間ぐらい映画かドラマを見ようとしてるんだけど眠くて集中できず。そろそろ雨の日々も終わるかと思ったらまだ降っている。なんなんだ。WOWOWオンデマンド『マルモイ ことばあつめ』を見る。
■2021/8/18 水曜日。1ヵ月99円期間で契約していたSTARZPLAYとシネマコレクション by KADOKAWAを解約。こういうのは忘れない。夜中にキンザザPodcastの収録に参加。わいわい楽しい回です。U-NEXT『レット・ゼム・オール・トーク』を見る。
■2021/8/19 木曜日。仕事の合間に買い物行ったり、図書館行ったりで忙しい。夜は藤元監督の監督ラジオを聴いたり。けんす君、なんすけ君とDiggin' Amazon Prime Video収録。収録終わってからMCUクイズやったらなんすけ君の指摘で僕の問題の誤りが発覚。しまった。。WOWOWオンデマンド『ハニーランド 永遠の谷』を見る。
■2021/8/20 金曜日。フジロックの配信とか見ながら仕事。夜は入江監督のインタビュー配信とかYouTube「僕モテFRIDAY」を見る。WOWOWオンデマンド『21世紀の資本』を見る。早めに寝る。
■2021/8/21 土曜日。なんと映画が3本観れるチャンス。インタバールがほぼなしになろうと観るしかない。シネマシティで『ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結』と『ドント・ブリーズ2』を鑑賞。キノシネマ立川で『ドライブ・マイ・カー』を鑑賞。満足。夜はFC東京の試合をDAZNで見たり、「9時ゆる」見たり、フジロックのナンバーガールを見たり、またもキンザザPodcastの収録に参加したり。忙しくも楽しい1日でした。
■2021/8/22 日曜日。朝から娘とTOHO立川立飛へ。『映画おしりたんてい スフーレ島のひみつ』『深海のサバイバル!』を観る。モスでお昼を買って帰宅。午後は娘の勉強を見たりしつつ夕方から出かける。ついにワクチン2回目です。ポカリをごくごく飲む。夜、フジロックの電気グルーヴを見ていたら寝落ちしてしまった。。
■2021/8/23 月曜日。フジロックのリピートで電気グルーヴをしっかり見る。とりあえず副反応を想定してこの月曜、火曜は休暇を取っている。娘の勉強などをいつもどーり見る。『お父さんはいつ具合が悪くなるかわからないから、早めにやって」と云ってやらせる。しかし体調はぜんぜん大丈夫なのでWOWOWオンデマンドで『ワイルド・ローズ』、『バッド・スパイ』と昼から2本も映画を見てしまう。夕方、つまりワクチン接種から24時間ほど経ってようやく37度台まで体温が上がった。でもそれ以上は上がらない。一応カロナールを飲む。ちなみに皆さんが飲むかどうかで迷っているカロナールですが、僕は腰痛の鎮痛剤として毎朝飲んでいます。なので飲むことにまったく抵抗がありません。娘を寝かせたあと、とりあえず早めに寝る。
■2021/8/24 火曜日。さすがにちょっとだるい。頭痛というか、眼精疲労のような感じ。いつも6時に起きて娘のことをいろいろやるのですが、今日は7時からにさせてもらった。とはいえ家で映画を見るぐらいなら問題なし。ハンブルク日本映画祭(オンライン)で『FRONTIER』を見る。WOWOWオンデマンド『ミッドナイトスワン』を見る。Netflix『足跡はかき消して』を見る。でもまぁまわりの人の話を聞いてる感じと比べると僕の副反応は軽かったな。そもそも日ごろから体調に問題なし、なんて日はまったくない。2014年の病気治療後からは腰痛があるし、筋力も落ちまくっている。そして2019年の手術後からはガクンといろいろなものがダウンしているのがわかる。頻繁に寝落ちしてしまうのもここからだ。だから自分の正常な状態、というのはもう死ぬまでこないという気はしているので他の人とあまり比較はできないのです。
■2021/8/25 水曜日。仕事に復帰。ミーティングと資料作成で忙しい。夜はDAZNでFC東京の試合を見る。U-NEXT『L.A.スクワッド』を見る。
■2021/8/26 木曜日。今日もミーティングの連発である。まだちょっと眼精疲労というか目が重い感じが残っている。夜はMCTOS『ミーシャと狼』回に参加。ドキュメンタリー映画回もなかなか良い。ラジオ「京浜ネバーランド」でおたよりが読まれて嬉しい。Netflix『うちうちの面達は。』『父の結婚』を見る。
■2021/8/27 金曜日。今日から娘の2学期が開始。コロナ心配ですけど。シネマクティフ東京支部の音声配信外伝『サマーフィルムにのって』回を聴きました、ということだけをここに書いておこう。なんでこんなことをわざ��ざ書いているかは是非本編を聴いて確かめてみてください。娘と夕飯食べてお風呂に入れて、自分もお風呂に入ったあとPCで映画でも見ようかと思っていたら杉田協士監督のスペースがはじまった。聴いていたらまたもスピー���ーでちょっとだけ話すことに。でもマルセイユ国際映画祭グランプリおめでとうございます、という事と、日記がとても面白かったです、ということを伝えられたので嬉しかった。あとシャマランの話もできた。杉田監督に「(シャマラン監督作で)誰も言及しない作品が好きなんですよ。何だと思います?」と聞かれたので「『アフター・アース』ですか?」と答えたら当たってしまった。僕もけっこう好きです。あと某映画についてもいろいろ聴けたのですが「スペースで話した内容は内緒」とのことだったので書かないでおきます(シャマランの話は別に良いだろうと思って書いてしまっていますが)。YouTube「僕モテFRIDAY」には遅刻参加。後ほどアーカイブで最初から見ます。ついにJAIHOにお試し加入、『プティ・カンカン』を見る。U-NEXT『アイアンマン』を見る。『シャン・チー』に向けての準備がはじまった。
■2021/8/28 土曜日。朝から娘を習いごとに送る。カフェで1時間ほどくつろぐ。Disney+『ホワット・イフ...?』S1E3を見たり、PFFのチケットを取ったり。今年のPFFは1本だけ購入です。シネマシティで『オールド』鑑賞。楽しい。シャマラン映画は誰かと話したくなりますね。娘を迎えに行って帰宅。夜はDAZNでFC東京の試合を見たり。「9時ゆる」見たり。ナツノカモさんのスペース聴いたり。ナツノカモさんのスペースは後半、音声がぶつ切りになってしまい残念。何が残念かというと配信中にナツノカモさんがそのことに気づいてなくて、後から知って物凄い恐縮してしまうだろうなぁと(実際にそうでした)。楽しかったしまたやってほしいですが。U-NEXT『クイーン&スリム』を見る。
■2021/8/29 日曜日。今日は1日外出OKの了解をもらっている。娘の朝のことだけやって新宿へ。テアトル新宿で『子供はわかってあげない』鑑賞。シネマート新宿で『クリーン、シェーブン』鑑賞。渋谷へ移動。LOFT9 Shibuyaで僕モテイベント、祝公開!『シュシュシュの娘』を監督の目の前で好き放題に語る会。僕モテの情報コーナーを担当することになって一番嬉しいのは、僕モテイベントに関係者で入れることです。早めに行って執筆陣の皆さんとご挨拶。この前のプレミアム先行でだいたい会っているので久々感はなかったですが、林先生だけお久しぶり。ちょっとプライベートのことを話す。僕は物販のお手伝いぐらいでしたが今回も楽しかったー。ロフトは出演者に飲み物をおごるシステムがあるのですが、どなたかが僕にもジンジャーエールをおごってくれた(あとから確認したらチートイツさんだった、感謝!)。質疑応答のコーナーのみ客席側に行って、僕も聞きたかったポイントを質問。やはりリアルイベントは楽しいですね。イベント終わり、チートイツさん&さっちゃんさんを途中までいっしょに帰る。途中でバイクの炎上事件を目撃しびっくりした。道玄坂を歩くあたりで消防車とすれ違いました。Clubhouseを聴いたり、ちょっと喋ったりしながら帰る。帰宅したら娘がまだ起きていてすぐに寝かせる。もー。僕もシャワーを浴びて、途中だったDisney+『アイアンマン2』を見終え、早めに寝てしまった。
■2021/8/30 月曜日。昨夜のバイク炎上がまぁまぁニュースになっていた。報道されている内容と僕らが目撃した内容はちょっと違っていて、伝わる内容ってこの程度なんだなぁとかも思ったり。夜、根矢涼香さんのYouTubeラジオの最終回。ちょいちょいおたよりも送っていたラジオだったのでさみしい。最近は娘が寝る前に10分とか15分程度、部屋を暗くしてスマホで映画とかをいっしょに見ている。小分けに見ていたU-NEXT『映画おしりたんてい テントウムシいせきのなぞ』がやっと終わった。Netflix『欲張りだけの恋じゃなくて』を見る。
■2021/8/31 火曜日。イメフォフェスのラインナップ発表。観たいやつあるなー。検討しなきゃ。僕モテの原稿も送る。夜、che bunbunさんのスペースを聴く。いろいろメモる。JAIHO『プティ・カンカン2 クワンクワンと人間でないモノたち』を見る。状況が良くなる雰囲気はぜんぜん感じませんが、できる範囲で楽しいこと見つけていかないと身体がもちませんね。そんなことも思いつつ8月も終わりか。
0 notes
Text
ぼくは、ずっとひとりぼっちだった。 生まれた時から本当のお母さんやお父さんは既に居なくて、両親として振舞っていたのは「見知らぬ誰か」だった。 外見も似てないし、ぼくに優しい訳でもない。いつも何処か無関心で、ぼくの話なんて聞こうともしなかった。 具体的に何時からかは忘れてしまったけど、物心付いた頃にはもう「勇者の掟」に従っていた気がする。勇者はみんなの役に立つ存在である事、何かが起こるのは全て村を守れなかった勇者が原因である事、そして……勇者は「決して喋ってはいけない」事。 両親からはいろんな勇者の話を聞かされた、世界を救う勇者の話、人々を守る勇者の話、そして「魔王と戦う勇者」の話も。こんな何もない世界でそんな事が起こったなんて信じられなくて、きっと空想の物語なんだろうなとは理解してた。でも物語の中の勇者は強くて、カッコよくて、ぼくもちゃんと掟を守って勇者として村を守れば、きっとこんなかっこいい勇者になれると信じていた。 そんな訳ないのに。 ひのきのぼう、それよりも小さなただの木の枝。それを振り回して素振りの真似をしてみたり、頑張って「やくそう」を食べる様にもした。とっても苦くて嫌いだけど、少しでも勇者に近付きたかったから。でも……ぼくの目に映るのは、いつも怖い顔をした村の人の顔ばかりで。 村には同年代の子も何人か居て、ぼくはいつもその子達が楽しそうに遊んでいる所を遠くから眺める事が多かった。人が笑っている所を見るのは、そんな時ぐらいしかなかったから。その子達はいつも笑いながら村の中を走り回ってて、日が暮れると自分達の家に帰る。彼等の家からは自分の子供を笑顔で迎える母親や父親が出てきて、……その光景がとても、羨ましいなと思った。 ある日。ぼくはあの子達とどうしても遊んでみたくなって、その為にはどうしたらいいか必死に必死に考えた事がある。三日ぐらいかな、凄く悩んで出した答え。それは「あの子達に話しかけてみる事」だった。勇者の掟を破るかもしれない、でも、それでも……!ぼくはあの子達と遊んでみたい!ぼくも笑顔で誰かと話してみたい!そう思ったから。 だからぼくはその日から両親の寝静まった夜中にこっそり家を抜け出して、村から少し離れた平原で挨拶の練習をする様になった。 「こ……こ……」 最初は、1つの音を発するだけでも精一杯で。でも他の人が喋っている所はよく見ていたし、慣れたら三日程で多少は言葉を繋げて言える様になった。 「こんに……ち……」 繋げて言葉を発音するのはもっと難しくて、いっぱい��っぱい練習した。気付けば朝になっている事もあって、昇る朝日に照らされながら慌てて家に帰った事もある。 「こんにち……わ……、こんにち、は!」 そう初めて言えた時は、思わず自分でも驚いた。 「こんにちは」、「おはよう」、「ただいま」、彼等が言っている言葉を少しずつ真似してみて、ちょっとずつそれが話せるようになって。何日も何日もそれを繰り返していたら、ちゃんと「遊ぼう」って言えるようになった。何も言わない草花相手なら、お話が出来る様になった。それが嬉しくて、ぼくは笑う方法も知ったんだ。 きっとこれならあの子達に話しかけられる、笑って「遊ぼう」って言える。笑い方を覚えた次の日、ぼくは朝早く起きて駆け足であの子達の所に向かった。いつもあの子達が集合している所、村の近くの水車小屋。川の流れる野原の中にポツンと立った、粉を挽くための古めかしい水車小屋。そこがよく彼等の集合場所として使われているのを、遠くからずっと眺めていたぼくは知っていて。ちょっと駆け足でそこへ向かうぼくの心は跳ねる様に踊っていた。 これが、叶わないなら自分から何かを起こそうと初めて思った日。 ようやく誰かと遊べるかもしれない、話せるかもしれない。勇者の掟を破ってしまうかもしれないけど、きっと村の人も一日ぐらい許してくれるだろう。 それが甘い考えだとも知らずに、ぼくは笑顔で野原を駆けていったんだ。 でも。 「何ニコニコしてるんだよ、気持ち悪い」 本当にぼくは馬鹿だった。 「お前『勇者』だろ?勇者には関わっちゃいけないって父さんから言われてるんだ。それに……確か勇者って喋らないんだよな?」 「あ!コイツ『オキテ』破ったんだよきっと!オキテヤブリだオキテヤブリ!」 「村の中でオキテヤブリが出たら『セイサイ』を受けさせなきゃいけないって村長さんが言ってたわ!……ねえ。せっかくだし、大人達がやってるみたいにアタシ達でオキテヤブリの勇者をセイサイしたらいいんじゃない?」 「……え?」 「セイサイだ!」 「『オキテヤブリ』は『セイサイ』だ!!」 そう言って、彼等は手に持っていた棒で笑いながらぼくの事を殴った。まるで遊んでいるかの様に。 「……!いたい……!」 「キャハハ!それそれ!」 「なあ、コイツ確かにオキテヤブリだけどさ……そんなに叩いて大丈夫なのか……?」 「や、やめ、て……!」 「おい!なにかを頼むときは『やめてください』だろ!?下のヤツが人に口を利く時は「ケイゴ」で喋るんだよ!オキテヤブリが俺達に向かって普通に話しかけんな!」 「ちょ、ちょっと待てって!このままだとコイツ川に落ちちまうぞ!?」 「丁度いいじゃない、悪いオキテヤブリなんか川に落としちゃいましょうよ!」 「でも、流石に溺れたら死ぬかも……」 「ちぇっ、急になんだよ。村長の息子だからってエラそうにさ……まさかお前、オキテヤブリに味方しようっていうのか?」 「ち、違う!そういう訳じゃ……!でも……」 三人の子供のうち一人だけ、黒い髪をした男の子が二人の間に割って入る。川のほとりまで追い詰められていたぼくは逃げ出す事もできず、どうしたらいいかわからなかった。だから彼に一言だけ、一縷の望みを賭けてこう言ってみたんだ。 「た……たすけて……!くだ、さい……」 「……!」 うずくまりながら震える様を見て、彼は一瞬戸惑った後ぼくの事を庇う様歩みを進めた。そしてぼくに手を差し伸べようとして、 それは直前で止まる。 「おい。」 「オキテヤブリを庇ったら、お前もオキテヤブリだぞ」 「えっ……」 「当たり前だろ?俺達はただ村のオキテに乗っ取ってオキテヤブリに罰を与えてるだけなんだから!それを止めたって事は、お前もオキテヤブリになるって事だろ?」 「大人達に言ったら、どうなると思う?」 「そ、それは……!」 「わかった、チャンスをあげるわ。アタシ達とその勇者、どっちに就くか今なら選ばせてあげる」 「アタシ、貴方の事好きよ?だからアタシ達と来るなら、村の大人には黙っといてあげる。……ねぇ?一体どうするの?」 一緒に遊んでいた赤茶髪の二人にそう言われた彼は、俯いたままただじっと考えていた。 そして。 「オレは……」 「……?」 「オレは……オキテヤブリなんかじゃない!!」 「わっ……!」 直後、身体に衝撃と浮遊感が襲う。後ろに向かってぐらりと倒れたぼくが見た物は、腕を突き出しぼくを睨みつける彼の姿と、周りで村の大人達と同じ顔をしてぼくを見下ろす二人の顔。 「えほ……かはっ!たすけッ……ゴボッ……!」 もがけばもがく程水はぼくの中に入り込んできて、苦しさで意識が遠のいていく。藁にも縋る思いで伸ばした手は、虚しく空を掴んだ。 「おい、起きろ」 気が付いた時、目の前に見えたのは「父親」の顔。無機質な瞳でぼくの事を見下ろしながら、感情の無い声でぼくに声を掛ける。 「村長さんの息子さんから聞いた。お前は勇者の掟を破ったそうだな」 「……!!」 「それがどういう事か、お前もわかるだろう?これまでずっと口を酸っぱくして教えてきたもんな、勇者の掟を破ってはならないと。『掟破り』は重罪だと」 「起きなさい。『制裁』の時間だ」 「…………」 ハッキリと目を開けた時、目の前に広がっていた光景に愕然とする。 ぼくの周りを取り囲むようにして、怖い顔をした村の大人達が何人も何人も何人も立っていたから。 「制裁だ!」 「掟破りは制裁だ!」 そう言って、村の人達はぼくの事を殴り始める。所かまわず、息ができなくなりそうでもそれは止まずに、ぼくがえずいて飲み込んでいた水を吐き出してもそれは続いた。 「っ、ご、ごめんなさ……い!ごめん、なさい!もう、もっ、ゲホッ、おきてを、やぶったり、なんか、しません!だからっ!っぁ……ゆるして、ください……!」 「だったら二度と喋るな!お前が俺達に口答えするんじゃねえ!ったく、親子共々掟破りの家系とはなァ、まったくどうしようもねえ奴だ!」 「っが……、…………!」 地面に叩き着けられうつ伏せになったぼくは、自分に向けられる視線に気付いてハッと顔を上げる。そこにはさっきぼくを庇ってくれた彼が居て、酷く青ざめた顔でこちらをじっと見つめていた。 「……、…………!」 もう一度手を伸ばしたその先で、彼はぼくから顔を逸らしじっと俯く。頭を踏みつけられて顔ごと地面に突っ伏したぼくは、この日思い知った。この村の『掟』は絶対なのだと。 そしてこの日以降ぼくは村で何か起こる度に同じ広場に連れてこられて、村中の大人から「制裁」を受けるようになった。 村で起きた苦しい事、辛い事はみんなぼくのせいになって。日照りが続くのも、雨が続くのも、作物が上手く育たないのも、誰かが死ぬのも。 ぼくは勇者だから、村に悪い事が起きるのは全部ぼくの責任だから。だから制裁を受けるのは当たり前で、全部ぼくが悪いんだ。みんなを守る事ができないぼくが悪いんだ。 ぼく一人が全部悪くて、それでみんなが許される。でもそれでこの人達が幸せになるなら、勇者としての使命を果たしてるって事になるのかな? ぼくが犠牲になって誰かが笑顔になる、それが勇者の使命なのかな。 --------------------------------------------------------------------------------- そんな事が何年続いたんだろう。そんな事がすっかり日常になったある日、村の中である事件が起こった。確かあれは十二歳ぐらいの時かな。 「の、のらいぬだぁ!」 一匹の「のらいぬ」が村の松明の灯りにも怯まず、備蓄用倉庫の内に入ってきてしまったのだ。どうやら相当お腹が空いている様で、穀物の袋を漁っている所を見つかったらしい。このまま家畜まで荒らされてしまえば、村の人々は相当な痛手を受ける事になるだろう。 のらいぬ一匹といっても、戦う術を持たない村人にとってその恐怖は相当な物だった。俊敏な動きで急所を捕え獲物に食らいつく、獣の中で最も危険な存在と言っても過言じゃない。大人数人がかりでやっと一匹倒せる程度、それが村の中に入ってきてしまった事で、すっかり暗くなった夜更けの村には慌ただしく赤い火が灯っていた。 「起きな!」 「!」 布団を引き剝がしぼくを叩き起こした母親が、鬼の形相でこちらを見ている。そしてそのまま一本の棒をぼくに押し付けるとこう言い出した。 「そのひのきのぼうでアンタがのらいぬを退治するんだよ!」 半ば蹴り出される様にして家を追い出されたぼくは、家の前で待機していた少年に連れられて倉庫の方へと向かった。 「……こっちだ」 あの時ぼくを突き落とした黒髪の彼、村長の息子だと聞いたのを覚えている。前見た時よりも成長した彼は一瞬だけぼくを見やると、そのまま倉庫の方へ向かって歩き出した。暗い顔をしたままぼくに目線を合わせない彼は、なんとなく何かを察している様にも思える。 倉庫の周りでは、松明を持った大人達がこれ以上村に近付けまいとして赤い火でのらいぬを威嚇していた。流石に火の方には近付かないが、かといって逃げ出す様子もない。低い声で唸るのらいぬは一匹だけで、群れから追い出された時に怪我をしたのか後ろ足を引き摺りながら歩いている。だが食事を邪魔され気が立っている様で、口の間から幾重にも唾液を垂らしながら歯をむき出しにしてこちらを威嚇していた。 「アレを退治するのは……勇者の仕事だ」 「…………」 逃げられない。ぼくは勇者だから。やらなきゃ、この村の為に……みんなを守らないと。そう心の中で強く言い聞かせても、棒を握り締める手の震えが止まらない。ただの犬とはいえどまだ成長しきっていない子供と野生��動物が戦うのだ。 結果が一体どうなるかぐらい、きっと誰にでもわかる。 俯いて何も言わなくなってしまった彼は、ぼくの方を一瞬だけ憐れむような視線で見やると静かにその場から離れた。周りで見ている大人達も、のらいぬ退治に協力してくれる気配は無さそうだ。 「ま、犬に関してはいつも通り勇者がエサになってる間に捕獲なりなんなりすりゃあいい。それよりも、こちとら久しぶりのお楽しみなんだ。せいぜい足掻いてくれよ?なあ勇者サマ……?」 「ハハッ、前はいきなり首元にガブリ!で即アウトだったもんな。今度はどんな風に食われるかな……」 「…………。」 大人達から注がれる好奇の目線。それは明らかに目の前に居るのらいぬではなく、ぼくに対して注がれている物で。そのどれもが勇者の「敗北」を願っていると告げていた。それでもぼくはやるしかない……どちらにせよ、先の運命が変わらないのならば。 棒を構えたままじわりと距離を詰める、右足を擦る様に前に動かせば、向こうもすぐさまこちらの気配を捕えた。低い姿勢のまま変わらずこちらを睨むその眼光は、松明の炎に照らされギラギラと輝いていて、人間には持ち得ぬ野性の光が視界に入り込む度に言い知れぬ恐怖が背を伝う。やらなければ、やらなければ……ぼくは勇者だから、村を守る為にはぼくがやらなければ……! 「…………ッ!」 両手で握った棒を勢いよく振りかぶったその瞬間、驚異的な速さでこちらへと駆け出してくるのらいぬ。それは一瞬でこちらの足元まで距離を詰めてくると、ぼくに向かい鋭い牙を突き立てようと機敏な動きで飛び掛かった。 先程の村人が言っていた通り輝く牙は喉元を的確に捕えたが、肌に届く寸前の所で勢いを阻止される。 「ぐっ……!」 噛みつかれる、そう思った時ぼくは構えた棒を咄嗟に持ち直した。幸か不幸か、先程耳にした情報のおかげで相手の急襲をかわす事ができたぼくは「前の勇者」に感謝しなければいけないだろう。 棒に深く突き刺さった牙は抜ける様子も無いが、勢いのまま押し倒される形になったぼくは眼前にジリジリと迫る棒をただ必死になりながら両手で抑える事しかできなかった。顔の上では血走った眼が剝き出のままぼくを睨みつけていて、獣臭い唾液が口元からボタボタと流れ落ちる。しかしこちらは攻撃を受け止めるだけで精一杯で、このままだといずれ野生の力に押し負けるのは明白だった。 「……、…っ!!」 ぼくは勇者だから、みんなを守る勇者だから、やらなければいけない。そんな言葉を心の中で唱え、無理矢理自分を奮い立たせる。 なんとか両腕に力を込め食らいつく牙を押し返したぼくは、のらいぬの腹に一発蹴りを入れる。「ギャン!」という甲高い声を上げ一瞬相手が退いた隙に体勢を立て直し、ひたすら頭を働かせてこの先の事を考えた。 力では明らかに押し負けている、ならば普通に立ち向かうだけではまず勝てない、先程の一撃は村人の言葉があった為なんとか防げたが、きっと次は無い。であれば、何か他にできる術はないだろうか。考えろ、考えろ、考えろ……! 前を向き考えを巡らせる。既に身体を起こしたのらいぬは光る眼でぼくを睨み付け、一向に引いてくれる気配も見せない。大抵ののらいぬは火が嫌いだ、だがぼくが火を手にしていたとしても、食事の邪魔をされた野生の獣がそれを許す事など無いだろう。ここで逃げ出してもどうせいつか死ぬ。だったら、一か八か…… 息を吐き眼前の「敵」に集中する。再度相手がこちらへ飛び掛かろうと姿勢を低くしたその瞬間、ぼくは全力で駆けだし勢いよく棒を振るった。 だがそれはのらいぬではなく、足元に広がる「地面」へ向けて。 斜めに深く棒を突き立て力任せに土を抉り出す。棒により抉り取られた地面は土埃となって相手の顔に振り掛かり、大きく見開かれた視界を奪った。 急に異物が目の中へ飛び込んできた事で、ぐらりと姿勢を崩す相手の姿をぼくは見逃さない。強く踏み込んだ右足を軸にして腕を振り上げ、渾身の力で、必ず仕留められる様に、自分の今持てる力を全て活用しなんとかこぎ着けた一撃を、ぼくは「敵」の後頭部に叩き込んだ。 「キャインッ!!」 声を上げ倒れるのらいぬは地面に倒れ伏したままピクリとも動かない。頭から流れる赤黒い血と虚空を見つめる見開かれた眼が静かに現状を暗示していて。 「はぁっ……はあっ……」 棒を握ったまま膝から崩れ落ちるぼくに向けられていたのは、驚愕と、そして怒りの瞳だった。 「チッ、せっかく楽しめるかと思ったのによ……」 静かな闇に覆われた夜の空気、パチパチと爆ぜる松明の音に混じって鳴らされた舌打ちはよく耳に響いた。落胆した様な面持ちで続々と解散する村人達の背を見ながら、ぼくはこちらへ驚愕の視線を送る青い瞳と目が合う。 「お前……」 何かを言いかけた所で彼は口を噤み、そしてもう一度下を向くと彼もまた他の村人と同じく自身の家へと戻っていく。 「……」 彼の背中を見送ったぼくは、血の付いた棒とぐったりと倒れるのらいぬをそのままにして歩き出した。自分の家ではなく、前に行った「水車小屋」の方へと。 村の様子など何も知らない川は穏やかに流れ続け、光を放つホタル達が川辺のあちらこちらを飛び回っている。あれ以来彼等はここを待ち合わせ場所にする事は無くなったみたいで、最近この場所に足を運ぶのはいつの間にかぼく一人だけになっていた。 川のせせらぎと、村人の糧となる為粉を挽き続ける水車が回る音。これらが重なって少しぐらいなら音がかき消されるんだ。例えば、ぼくの声とかも。 「……、」 「……ぐすっ……えぐっ……」 静かにすすり泣く声は他の音にかき消されて聞こえない。頬に伝う涙だけがぽつりぽつりと川に落ちて、音も無く水面を揺らす。揺らいだ川面に見えるぼくの顔は涙や鼻水でぐしゃぐしゃになっていて、とても人に見せる事なんてできない。 一人だけで、静かに泣いた。怖かった、本当に死んでしまうのだと思った。足が恐怖ですくんで、手の震えは今でも止まらない。 硬い頭蓋骨を割る感覚が今でも手の中から離れない。命を奪う感覚はこんな物なのかと。よくわからない、でも涙が止まらない。ぐちゃぐちゃになった感情がないまぜになって涙として溢れてくる。この感情は一体何なのだろう、恐怖と、不安と、あと…… わからない。この村の日常に慣れきってしまったぼくにはもうわからない。 これがなんという感情かなんて、誰も教えてくれなかったから。
0 notes
Text
第16話「暗夜のレクイエム(4) - ひとつの答え」 - Short story “Requiem in the dark night chapter 4 - One answer”
まるで野生生物が一匹もいないかのような静寂が、峡谷に根付く森を包んでいる。
本来であれば、この崖を降りるまでに、無数の魔物に歓迎されていてもおかしくはないはずである。
その日の峡谷は明らかに異常であり、普段見られる生物の影はひとつも見られない。
それはいわゆる『人払い』された結果であり、理由のわからない招待は、少なくとも髑髏の男が「イクスに塔まで来て欲しい」と本当に考えている事を物語っていた。
しかし、その事が逆に、イクスにとっては不可解であり、そして不快であった。
「罠なんじゃないの?塔まで着いたら、取り囲まれたりして…」
ヤンネは樹上から周囲を見渡しながらイクスに言った。
「たとえそうだとしても、俺を殺し切れるとは思えんね」
「本当、随分な自信ね… 実際強いけど、そこまで言い切れる?フツー」
どんな敵がどれだけ来ようと、自分は絶対に負けない。
その確信があるからこそ、ここにも、こうして来た。
しかし、ヤツもまた、そんな事はわかっているはずだ。
塔に呼んだのには、何か理由があるはずだ。
それが何であるかは、まだわからない。
しかし、実際に尖塔内部に侵入し、アクェロンにたどり着く事ができるチャンスであるなら、断る道理はない。
必ず、殺す。
この手で…
やがて、石材を積み上げた壁面が目前に現れた。
天を衝きそびえ立つ尖塔。
まるで研がれていない鉛筆のように、壁面には穴ひとつなく、まるでただの柱だ。
「来るには来てみたが…」
イクスは、壁面に歩み寄り、手の甲で叩く。
すると、ひとつひとつが荷馬車ほどもある石材がまるで生き物のように動き出し、奥へと次々と引き込まれていき、階段が姿を現した。
「…やっぱり罠じゃない?」
ヤンネは訝しげに石壁を杖で叩く。
「何が待っていようと、俺はアクェロンを見つけて、殺すだけだ」
それから一刻ほど後、塔の壁面は再び元のように閉じられて、入り口は閉ざされている。
どこがどのように開いたかもわからずに、エトヴィンは立ち往生していた。
壁面を拳で強く叩きつけるが、びくともしない。
「クソっ… こんな事なら、別行動するべきじゃなかったか」
二人の足跡を追ってきたが、どうやら自分は”間に合わなかった”らしい。
イクスとヤンネは、今間違いなく尖塔内部にいる。
いや、そもそもイクスかどうかもわからない。
この場所は危険、なんてものじゃあない、怪物の舌の上のようなものだ。
「是が非でも押し通るぞ…」
懐から火薬臭い袋を取り出す。
たまたま塔までは何にも見つからずに来る事ができたが、爆音と閃光は疑いようなく侵入者の存在を尖塔周囲に周知する事になるだろう。
しかし、そんな事を懸念していられる状況は既に過ぎた。
今この瞬間にも、塔内でヤンネの命が脅かされていないとも限らない。
足元に火薬を長く垂らし、距離を取る。
剣を逆手に持ち、柄頭で火薬の先を強く叩きつける。
弾けるような音とともに、土に盛られた黒い線が焼け走って、その先で塔の壁面が炸裂した。
尖塔内部の外部に面した螺旋階段は、終わりがないかのように上方に伸びてゆく。
螺旋階段の途中には中央に向かう廊下がところどころで伸びており、その先には部屋や廊下や扉が階ごとに全く異なる構造で並んでいる。
二人は入口の階段から道なりに登り続けてきたが、次第のこの塔の"正体"に気づき始めていた。
各階で階段から覗かれる部屋には無数の牢があり、その中には古今東西の様々な魔物や生き物が押し込められていた。
また、半数以上が「人や生物であった」と見られるような奇怪な造形物で構成されていた。
つまるところ、ここに連れてこられた者達は、どのような形であれ、何か別のものに作り替えられる研究が行われていたものと見られる。
人らしき姿も時々見られたが、そのどれもが動かない、おそらくは屍体であったと見られる。
目撃される屍術師、改造された屍体、侵入者を拒む構造と魔物達。
その正体は、"研究所"であったと考えるのが妥当だ。
目的は何であれ、生命への冒涜を、倫理や法の制限なく、余すところなく研究し尽くすための場所。
唾棄すべき邪悪が存在するとすれば、それは地底から這い出す連中か、それともこの塔に身を潜める邪術師達か、そのどちらであるべきか。
イクスは抑えきれないほどの憤怒を内に秘め、階段を急いだ。
どれほど登ったかわからなくなってきた頃、螺旋階段が切れて、広い円形の広間へと至った。
その広さとは裏腹に置かれたものはほとんど何もなく、部屋の中央に据えられた頼りない椅子だけである。
その椅子には、灰色がかった髪を携えた男が、イクス達の向かい側に向けて、うなだれるようにして座っている。
「アクェロン…」
心の中で呟いたのか、実際に口に出たのか、わからない。
剣を振りかざし、飛びかかるビジョンだけが、脳裏をよぎるが、体が動かない。
言いようのない不快感、背筋を震わす寒気、腹の底の方に落ち込んだ何かが飛び出しそうな感覚。
今目の前に、探し求めた仇敵がいるはずなのに、体が動かない。
代わりに動き出したのは、ヤンネだった。
「っだああああアアアアッッ」
懐中から短刀を取り出し、身を低く屈めてまっすぐ椅子に向かって疾走していく。
イクスが止める間もなく、ヤンネはアクェロンの背後に到達する。
しかし、刃先は届かない。
アクェロンの頭上で短刀の刀身が止まり、まるで見えない何かを鍔迫りするかのようにヤンネは動きを止める。
「なに…!?」
パンと弾けるような音と共に、まるで操り人形の糸が切れたようにヤンネの体から力が失われ、その場に膝から崩れ落ちる。
「ヤンネ…!」
駆け寄ろうとする気持ちを、先程の不快感が再び止める。
何が起きている?
俺は何故動けない?
「拒絶が起きているのだ。興味深いな…」
どこからともなく声が聞こえる。
背後を振り返るが、誰もいない?
アクェロン?
椅子の側の空間が歪み、そこから髑髏面の男が顔を出し、降り立つ。
「貴様…ッ」
「やはり、どことも知れぬ場所で肉体を損壊されてしまうよりは、この場に直接来てもらうのが一番だったという事だな」
「何を言っている…」
遮蔽物は何もない。
飛びかかって首を落とす、胴から上を吹き飛ばす、アクェロンごと叩き潰す、この距離でなら、幾らでもやれる。
頭ではわかっているのに、体が言う事を聞かず、指一本動かなくなった。
そればかりではない。
脳に焼き付いた強い殺意まで、どこかふわふわとした実感のないものになって、萎えて��く。
幻術の類か?
しかし、術が行使された際に見られるような非現実感や、"現実と幻の壁"が見当たらない。
それどころか、頭痛が増していく。
「何をした…?」
「何もしていない。お前自身の内面問題で、私は関係ないぞ。だが、非常に興味深い…」
「どういう…?」
「覚えていない事を思い出すには至らないか。それなら、イチから説明しようか?」
髑髏の男は、まるで諭すような口調で語りかけてくる。
「何故アクェロンを殺そうとする?何のために?君とアクェロンの間に、何があったか、思い出せるか?」
「俺は…」
何故俺はアクェロンを殺そうとしている?
それは…
それは?
既に殺したはずでは?
いや、違う…
殺したのは…
殺そうとしたのは、屍者への冒涜を… 止めるため?
屍者の冒涜を研究して…
どこまで?
「ここでなら、どう転んでも、どうとでもなろう。だから見せよう、真実を、ここで」
髑髏の男がひたひたと歩み寄り、イクスの頭部に手を差し出す。
抵抗する術なく、イクスは微動だにできない。
やがて、髑髏の男が軽く詠唱すると、ビジョンが見え始めた。
剣を振るう。
がむしゃらに。
自分は、強くなるだろう。
自分は、強くなってみせる。
兄と一緒に���
兄の力になる。
僕は、兄さんの剣になろう。
にいさんはきっと、えらいがくしゃになるよ。
農園を駆け回った、悪童時代。
原風景の中で誓った、夢、約束。
二人はいつも一緒にいて、兄さんはいつも、突飛な発想でみんなを驚かせていた。
僕は、そんな兄さんが、誇りだったんだ。
体が弱くて、病弱で、同年代の子らには混じれず、いつも僕を相手に難しい話を聞かせてくれていた。
兄さんは、いじめられる事も多かった。
そのたびに、僕が守っていた。
叩かれたり、引っ張られたりしても、兄さんは抵抗できなかったけれど、僕が止めに入った。
兄さんは凄いんだ。
お前達の誰よりも、賢いんだ。
そんな、僕らの思い出。
苦々しく、居た堪れない思い出。
僕の自尊心は、ズタズタだった。
動かない体。
どうして?
どうして僕はこんなに弱いのか?
弟に守られてばかり、そんな兄がどこにいる?
僕は僕が嫌いだ。
だけど、それ以上に、アイツラが嫌いだ。
でも、そんなアイツラよりも、誰よりも、弟が、憎かった。
強くて、たくましくて、僕にないものを持っていた、イクスが。
屍者を冒涜する術の研究なんて、間違っている。
自分の家族が同じように切り裂かれる事を考えたら、そんな事できっこないし、やって欲しくもないんだ。
わかってくれ、兄さん。
わかっているよ、そんな事は。
これは冒涜であり、犯罪であり、誰かを悲しませるような事かもしれないな。
そうであっても、君達に、どうしてそんな事を気にかけて、研究するしないを決めなきゃあいけないんだ?
君らがどれだけ、僕の事を蔑んで、疎んじて、奪ってきたんだ?
何故僕を苦しめてきた連中のために、僕が気遣ってやらなきゃならない?
僕は僕だけのために戦う。
この研究の先には、見たこともないような世界が広がっているだろう。
その世界では、僕が正義で、僕だけが選ばれているんだ。
これ以上の暴挙は許容できない。
掘り返された屍者だけじゃない、もう数えられない程の生者の命を、奴は奪っている。
たとえ刺し違ってでも、止めてみせる。
それが、家族としての、僕らの責任だから。
泣かないで、姉さん。
アクェロンは、俺が止める。
止めてみせる。
振るう剣。
振るわれる剣。
流れる軌跡はまるで風に舞う燕だ。
お前は本当に、昔から、私の持っていないものを、ずっと手に入れてきた。
この技術もきっと、私は、欲していた事もあったのだろうな。
かじっただけで、結局何にもならなかった私の剣術。
それでも、最後の一撃を止めるだけの役には立った。
私の呼び出した獣は剣と剣の間隙を縫って、私の代わりに、イクスの背を裂いた。
崩れ去る、私の思い出と共に。
お前への憎しみが、私の始まり。
お前と過ごした日々こそが、私の全てを…
納屋に隠れて読んだ本。
君と一緒に読んだね。
はしごで屋根に登って見た草原。
君と一緒に見たね。
一晩中見上げて観察した星空。
君と一緒に…
その後、一緒に怒られたんだ。
姉さんに。
二人で…
僕が言い訳をして、君が、その言い訳の突拍子のなさに、吹き出して…
僕が?君が?
その時の僕は、どっちだった?
アクェロン?
イクス?
僕は…
「極めて親しく近しい環境で育った人間に対して魂を宿した時、重複した記憶や共感する感情の多さは対象者との感応を高め、より高い精度の肉体操作も実現できる。これは君の仮説の通りだった」
髑髏の男の声が響いた。
ここは、尖塔。
冒涜者達の、隠れ家。
「私は…」
「だが、強すぎる感応は、結果として自己と対象の間に曖昧さを生む。お前はイクスと重なって、イクスになったのだ」
「だが、これでは、あまりにも…」
「混乱するのも無理はない。君は君だ、君の記憶は君のもので、イクスのものではないぞ」
「思い、出した… はずだが、これは…」
両手で顔を撫でる。
これは俺だ。いや、私か…
「それはイクスの肉体だ。君自身が修復したものだ」
「じゃあ、それは…」
椅子にうなだれる者を指さす。
質問するまでもない。
だが、これは必要な作業だ。
自分で自分を取り戻すための。
「アクェロン、君自身の肉体だ」
Buriedbornesの術の副作用が生み出したもの、それは二人分の記憶を持った精神だった。
それは例えば、幾重にも重複させて一つに束ね上げた精神を人造できることを意味していないか?
あらゆる知や術を集約させた存在、それが地底に眠る古代の支配者の正体ではないか?
同様の手法を、我々は我々の手で同様に実現できるのではないか?
奴を、古代の覇王を、この世から葬り去る手段として…
発想が、仮説が、脳内をとめどなく駆け巡る。
だが、同時に、強い罪悪感と後悔が湧いてくる。
ヤンネは?
まだ、生きているか?
防衛用の装置にかかって電撃を受けたようだが、致死レベルではないはずだ。
だが、私が…
イクスを殺したのか。
屍者への冒涜、エーリカ姉さんは泣いているだろうか。
こんな状況になってもまだ、家族揃ってなんて、言えるわけもなく…
…この感情は、イクスのものか?
感情は、何が生み出している?
経験が人の心を形作るのなら、二人分の経験を持った今の私の感情は、誰のものなのか?
「全く、ここ数日は冷や汗をかきっぱなしだったぞ、アクェロン」
髑髏の男… いや、エメリッヒは冗談めかして言った。
「やはり天才の力なしではな、研究も未だ半ばだ」
エメリッヒは手を差し出す。
「戦闘も申し分ない、知識や技術もお前のものならば、その肉体でやっていくのもひとつの手だろう」
髑髏面の中の瞳が煌めく。
「戻ってきて、お前の力をまた貸してくれ」
俺の、��を…
私は、どうすればいい?
誰のために、これから戦えばいい?
これから…
これからの、ために…
峡谷に佇む尖塔の付近では、今でも行方不明になる者は絶えない。
塔の近くを通った者から、塔の中から、断末魔の悲鳴が聞こえるという噂がまことしやかに聞かれている。
塔の爆破を試みた者もいたが、周辺の魔物の餌食になったと見られ、帰ってきた者はいない。
最近では、腕に覚えのある者でも行方が知れない者が多いと聞く。
特に、名うての情報屋までもが何名か姿を消した事で、仲間の情報屋達は、尖塔付近での仕事を今後受けない方針を固めつつある。
この尖塔の周辺に住む人々も、より危険の少ない"マシ"な地域を探し求めて移り始めている。
遠くない将来、この尖塔の周囲に住んでいる生きた人間は、いなくなるだろう。
たとえそうなったとしても、尖塔は、誰もいない峡谷で、未来永劫、そびえ立ち続ける。
~おわり~
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
1 note
·
View note
Text
20201015
みゆき@miyukimsflora
23:19
蘇るあの光景が 『OSAKA GENKi PARK』2日目オフィシャルライブレポート【Chillin’ Vibes STAGE】――植田真梨恵、GLIM SPANKY、藤巻亮太、ACIDMANが届ける極上の音空間 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイスspice.eplus.jp/articles/276943
とりこ丸@yumeko_22
23:02
@h_permanent そうか、あなたの推しちゃん大阪だったねw いや藤巻亮太見てよ!
とりこ丸@yumeko_22
22:54
藤巻亮太がよしもとのイベントにでるだと?!w
そ よ か@soyoka9216
22:43
3月9日 / 藤巻亮太 cover 瞳を閉じればあなたが まぶたのうらにいることで どれほど強くなれたでしょう あなたにとって私もそうでありたい YouTube→youtube.com/channel/UCG-xd…
Eggs→ eggs.mu/artist/ssandyr… #藤巻亮太 さん #弾き語り #3月9日 #アコギ女子 #音楽好きな人と繋がりたい #cover pic.twitter.com/CZmf25vCJS
かほ @kirakirakaho
22:39
@amaama_yksthgin 残念ですねでも来年には藤巻亮太さんもMr.Childrenも観客入れてのライブが実現することを祈ってますよ生歌聴きたいですもんね
ROBINLYNNE@robinlynnemabin
22:33
『OSAKA GENKi PARK』オフィシャルライブレポート【Chillin’ Vibes STAGE】2日目――植田真梨恵、GLIM SPANKY、藤巻亮太、ACIDMANが届ける極上の音空間spice.eplus.jp/articles/276943
@
spice_topics
#glimspanky
あに@iri11ne
21:38
『OSAKA GENKi PARK』2日目オフィシャルライブレポート【Chillin’ Vibes STAGE】――植田真梨恵、GLIM SPANKY、藤巻亮太、ACIDMANが届ける極上の音空間 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス GLIM SPANKYを生で観れたのは、ホント良かったhspice.eplus.jp/articles/276943
mikako@Rmikako
20:48
『OSAKA GENKi PARK』2日目オフィシャルライブレポート【Chillin’ Vibes STAGE】――植田真梨恵、GLIM SPANKY、藤巻亮太、ACIDMANが届ける極上の音空間 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイスspice.eplus.jp/articles/276943
redfaru@RedfaruDoit
20:48
藤巻亮太 ライブ 府中の森芸術劇場 6月が延期になり 11月13日が もうすぐだー!!と 楽しみにしてたのに中止 さじき席… こんなに近くで見れるチャンスは 2度とこないでしょうhpic.twitter.com/ctxw2bUrEB
Masato Takino@takino
20:36
『OSAKA GENKi PARK』2日目オフィシャルライブレポート【Chillin’ Vibes STAGE】――植田真梨恵、GLIM SPANKY、藤巻亮太、ACIDMANが届ける極上の音空間 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイスspice.eplus.jp/articles/276943
う~る⌬る⌬る⌬@K10c01
19:56
@neko_no_nezou @emi_vanillala 落ち着け!! 1枚目だっつの 藤巻亮太くんだ ACIDMANとじゃない でももっと引きで撮ってくれてたら、ACIDMANと同じ画角に入れたかも
愚かな風@idiotwd
19:53
『OSAKA GENKi PARK』2日目オフィシャルライブレポート【Chillin’ Vibes STAGE】――植田真梨恵、GLIM SPANKY、藤巻亮太...spice.eplus.jp/articles/276943
まおママ♪@maoricomama
18:55
『OSAKA GENKi PARK』2日目オフィシャルライブレポート【Chillin’ Vibes STAGE】――植田真梨恵、GLIM SPANKY、藤巻亮太、ACIDMANが届ける極上の音空間 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイスspice.eplus.jp/articles/276943
KAZU()@vtrsh
18:08
『OSAKA GENKi PARK』2日目オフィシャルライブレポート【Chillin’ Vibes STAGE】――植田真梨恵、GLIM SPANKY、藤巻亮太、ACIDMANが届ける極上の音空間 spice.eplus.jp/articles/276943
ほっしー@ta7cr5rm
17:57
『OSAKA GENKi PARK』2日目オフィシャルライブレポート【Chillin’ Vibes STAGE】――植田真梨恵、GLIM SPANKY、藤巻亮太...spice.eplus.jp/articles/276943
ミュージックマン@musicman_net
17:56
『OSAKA GENKi PARK』2日目オフィシャルライブレポート【Chillin’ Vibes STAGE】――植田真梨恵、GLIM SPANKY、藤巻亮太、ACIDMANが届ける極上の音空間musicman.co.jp/artist/349129
keitaer@keitaer
17:16
『OSAKA GENKi PARK』2日目オフィシャルライブレポート【Chillin’ Vibes STAGE】――植田真梨恵、GLIM SPANKY、藤巻亮太...spice.eplus.jp/articles/276943
Oliオリバー@wildthing_san
17:10
『OSAKA GENKi PARK』2日目オフィシャルライブレポート【Chillin’ Vibes STAGE】――#植田真梨恵、GLIM SPANKY、藤巻亮太...spice.eplus.jp/articles/276943
あまあま@amaama_yksthgin
12:51
あぁ亮太くんの11月のAcoustic Live延期になっちゃったかぁ せっかく苦労してお休み取ったのにな でも嫌な予感はしてた 9月中にチケットの再販売するって言ってたのに販売なかったし でも中止じゃなくて延期 チケットは払い戻しになっちゃうけど来年の秋に行けたら良いな #藤巻亮太藤巻亮太
rui@Ruy1219_wt
10:23
マジでMt.FUJIMAKIでCreepy Nutsと藤巻亮太さんの絡み見たかった
八女市民会館おりなす八女@orinasuyame
10:02
11/29開催予定の「藤巻亮太Acoustic Live 2020」は、新型コロナウィルス感染症対策のため再延期となりました。 楽しみにお待ちいただいていた皆様には誠に申し訳ございませんが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。 詳細はおりなす八女HPにてご確認ください。 orinasu-yamecity.jp/event/detail_2…
pic.twitter.com/lXktqXfgyK
藤巻亮太_official@Ryota_Fujimaki
10:00
【重要】 2020年11月に開催を延期していた「藤巻亮太 Acoustic Live 2020」につきまして、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を考慮し、公演ごとでの再延期および開催の判断とさせて頂きます。 チケット払い戻し等、詳細は下記サイトをご覧頂きますようお願い申し上げます。 fujimakiryota.com/news/?id=413
手を洗おう RAZOR RAMON KG@razorramonkg
8:40
#大阪文化芸術フェスpresentsOSAKAGENKiPARK @#万博記念公園 #大阪文化芸術フェス #OSAKAGENKiPARK #osakagenki #10月11日 #大阪春夏秋冬 #milet #ハンブレッダーズ #マカロニえんぴつ #ベリーグッドマン #SHES #藤巻亮太 #キュウソネコカミ #アメブロ ameblo.jp/razorramonkg/e…
miya_miki@@miyamiki1992
8:33
@shunjyu999 持田香織、藤巻亮太など多数のアーティストが出演する 直方の音楽イベントと比べると 失礼ながらショボいような…
0 notes
Text
翻訳記事:エンカウンター・オヴ・ザ・ウィーク「テーロスでの遭遇:せっかちな謎かけ」
原文はこちら
注:シナリオの翻訳記事となります。DM以外が読むと大きなネタバレとなります。
著: James Haeck
翻訳:つくも
今週の遭遇は古典的な神話的クリーチャーを基軸にした「エンカウンター・オヴ・ザ・ウィーク」の初回だ。この神話は西方のギリシャ・ローマ神話として最もよく知られているが、地中海や小アジアの古代文明に存在していた文化の神話も含まれている(紀元前8世紀~紀元後6世紀までの長い期間のものだ)。このような文化や神話には、エジプト、ペルシャ、フェニキア、カルタゴなどのものが含まれる。
これらの遭遇は、古代の地球を舞台にしたファンタジー世界観でそのままプレイすることもできるし、次のサプリメントである『Mythic Odysseys of Theros』で解説されるテーロス次元に合わせて調整することもできる。
テーロスのスフィンクス
テーロス次元におけるスフィンクスは、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で描かれるそれと同じものだ。彼らは定命の者を弄ぶことを楽しむ謎かけの達人である。さらに、彼らは神々の奇妙な力を用いたり、神々の命じによってアイテムや強大な力、聖域などを守っていることもある。
この遭遇のスフィンクスはカラキアという名のギュノスフィンクスでである。彼女はかつてスリルを求めて怪物と戦った強大な戦士であり、左のこめかみから左目とライオンの口を横切り顎の右まで続く長い傷を含む、多くの傷跡が長年の戦いの証として刻まれている。
彼女は神々の一人から、このダンジョンの伝説の遺物を彼女を打倒できぬ侵入者から守るように命令されていた。
彼女は1000年近くこの命令に忠実であり続けたが、時が経つにつれて退屈で飽き飽きしてしまった。過去100年間でも、ダンジョンの手薄な部分に巣を作ろうとした不作法なマンティコアがいたくらいだったので、娯楽を探し求めていたのだ。冒険者たちが彼女の領域に入るやいなや、自らの人生に娯楽の潤いを与えるためだけに彼らをとらえ、謎かけに答えるように強いる。謎を解くことに成功した冒険者は彼女を「打ち負かす」わざを持っていたことになり、自分の責務が果たされたことになるのだ。
遭遇を調整する
この遭遇は冒険者の社交性とプレイヤーの謎解きの実力が試されるため、どのレベルのキャラクターにも向いている。ただし、謎解きを間違えた場合には戦闘になる可能性が高くなる。その場合は、以下のリストのレベルに応じたクリーチャーに変更することで、遭遇を高レベルや低レベルのキャラクターに対応させることができる。これらのクリーチャーはダンジョンの他の住人であり、スフィンクスは彼らと友好的ではないかもしれないが、彼らは互いを傷つけないことに同意している。
等級1 (2レベル): ギュノスフィンクス1体, インプ5体 等級2 (5レベル。記載通り):ギュノスフィンクス1体、マンティコア10体 等級3(11レベル):アンドロスフィンクス1体、キメラ10体(各キメラは異なる色のドラゴンの頭を持つ);この遭遇セットとは、長さ1000フィート以上、高さ2000フィート以上の洞窟の部屋で遭遇する。 等級4 (17レベル): エンピリアン 1体、 デーヴァ5体、プラネター 3体; 長さ2000フィート以上、高さ500フィート以上の疑似次元で遭遇する。
これはまだ序章にすぎない。D&D Beyond Encounter Builder を使用して、あなたのパーティの人数や強さに合わせて、この遭遇をさらにカスタマイズすることができる。もしあなたがその等級でも強力なパーティでプレイしているのであれば、より高い等級の遭遇と対戦させるのではなく、その等級のクリーチャーの数を増やすことを選ぶようにせよ。
社交的な遭遇:せっかちな謎かけ
遭遇の調整ガイドラインに従っている場合、この遭遇はあらゆるレベルのキャラクターに適している。
キャラクターは墓所やダンジョンの新しい部屋に入ると、すぐに荘厳なスフィンクスの存在に気がつく。以下を読み上げるか、読み替えて伝える。
君たちは両側に高い壁がある短い上がり階段がある部屋に入る。階段を上っていくと、青い炎が燃える光でかすかに照らされた、砂が敷かれた闘技場に到達した。扉は君たちの背後で閉じて鉄棒がそこに滑り込む。君たちの前には、長く無造作なたてを金の装飾で飾った荘厳なスフィンクスが立っていた。割れんばかりの歓声と野次の波が君たちの周囲で沸き起こり、君たちは部屋の周囲の円形劇場型の座席に鎮座する10匹ばかりのマンティコアに気が付く。
「ようこそ墓荒らしたちよ」とスフィンクスは唸りを上げる。「我が名はカラキア。我が背後には汝らが求むる宝物がある。しかし神は我に、我を打ち倒したもののみにこの宝を与えよと命じられておる」彼女は大きくあくびをし、前足を交差させる。「だが、我はここであまりにも長い間見張りをしており、退屈至極であった。汝らは我の謎かけに答え、我をこの責務から解放してくれる者であるか?」
カラキアが足を踏み鳴らすと、この部屋を照らす青い炎が明るくなり、部屋の壁全体に無数のレリーフが現れた。それらのレリーフには、神々、神話の舞台、怪物、呪文、そして強大な英雄が振るう魔法の武具が描かれている。
このギュノスフィンクスの背後には墓所の内部の聖域に続く扉があり、入口と同様に閉じられている。この部屋にいる10体のマンティコアは荒々しいひげと手に負えない怒りを抱えている。これらの粗暴なクリーチャーは長年にわたってカラキアの唯一の娯楽であり、マンティコアたちも同様に退屈を抜け出すための“新顔”を求めている。
カラキアが攻撃を受けた場合、彼女はその牙をむき出しにし、無慈悲に襲い掛かる。一人の冒険者を殺したのち、彼女は目に炎を灯らせ残りの冒険者に向き直り、「定命の者たちよ、我を怒らせるな。我よりも謎を解く方がはるかに簡単であるぞ」と告げ��。
カラキアの謎かけ
カラキアは冒険者たちに5つの謎かけを用意している。それぞれの謎に答えることができるのは一度だけで、自信ありげに答えを漏らした者がいればそれを答えようとしたとみなす。
不正解の場合、観客席にいるマンティコアから攻撃を受ける(後述の「不正解」を参照)。キャラクターが正解すれば、彼女は嬉しそうに正解であることを告げ、報酬を与える(後述の「正解」を参照)。
キャラクターがどの謎も正解できなかった場合は、彼女は謎かけを最初からもう一度繰り返し、パズルを解くための追加の機会を与えます。
謎かけ:
1:我は定命の者を超えた魔術であり、いにしえに忘却された神話や物語を明らかにする神聖な知識である。我の名はいかに?(答え:レジェンド・ロア呪文)
2:我が翼は空を横切り太陽の戦車を牽く。我は太陽のしもべであり、英雄の友。我は無数の伝説の中を飛び回る。我の名はいかに?(答え:ペガサス)
3:銀の女狩人(テーロス次元が舞台なら新緑の女狩人)とは我であり、我は欺瞞を象ったものを貫き音もなく殺す光である。我の名はいかに?(答え:ムーンビーム呪文)
4:全ての道の最後にある都市は我。水を渡ってのみたどり着ける。6つの瞳を持つ門番が我が門を監視しており、昼も夜もなく警戒を続けている。我の名はいかに?(答え:地獄)
5:我は定命の者が神々への崇敬によって作り出した武器であり、空を切り裂く力を持った槍。幼きいとこたちは運動選手や戦士によって投げられるが、我は魔法の柄をもとに作られている。我の名はいかに?(答え:ジャヴェリン・オヴ・ライトニング)
手がかりを与える
キャラクターが謎を解くのに役立ちそうな情報を思い浮かべるため、【知力】判定を行うことができる。この判定の難易度は何段階かあり、より高い難易度で成功すれば追加の手がかりが得られる。複数のキャラクターが同じような判定結果だった場合、その判定の結果で参照できるすべての手がかりを得るまでの間は、低い難易度の手がかりのみを受け取ることになる(訳注:全員で判定を行った結果が似たり寄ったりだったとしてもボーナスはないということと思われる)。
キャラクターの世界観的知識ではなくプレイヤー当人の謎解き技術に頼るようにさせたい場合には、難易度25の結果を削除することを検討せよ。または、これらの難易度を(キャラクターレベルが11以上の場合には)5、(キャラクターレベルが17以上の場合には)10上昇させ、これらの結果を手の届きにくい場所に置くことを検討することもできる。
部屋の壁は神々、怪物、魔法、魔法のアイテム、神話の舞台など、キャラクターが謎に答えるために調べられるものを描いた無数のレリーフで覆われている。
謎かけ1:「レジェンド・ロア」 ・難易度10:この謎かけは呪文の説明をしているようだ。 ・難易度15:この呪文はおそらく占術の類であり、定命の者たちの記憶から消えた情報を明らかにする非常に強力な呪文であろう。 ・難易度25:知識の神々を崇拝する聖職者には「レジェンド・ロア」と呼ばれる呪文が与えられることが多いことを思い出せ。
謎かけ2:「ペガサス」 ・難易度10:この謎は不思議なクリーチャー、おそらく本物の翼をもつクリーチャーを説明しているようだ。 ・難易度15:説明から判断すると、この謎かけのクリーチャーはおそらく偉大な英雄の物語と神々についての神話の双方に登場しているだろう。 ・難易度25:ヘリオス神の戦車(テーロス次元を舞台にしているならヘリオッド神)は翼のある馬によって牽かれていることを思い出す。これらのペガサスは太陽を東から西に引き寄せ、彼らの種族はしばしば神話の英雄の活躍に役立ってきた。
謎かけ3:「ムーンビーム」 ・難易度10:この謎が説明している現象は、殺す力を持つ呪文のように聞こえる。 ・難易度15:ここで言及されている銀の女狩人は、おそらく月に関連付けられている女神アルテミスであろう(テーロス次元を舞台にしている場合は、「ここで述べられている新緑の女狩人とはおそらく月の円環のドルイドに崇拝されている女神ナイレアであろう」と読み替える)。 ・難易度25:ムーンビームの呪文が銀色の光を呼び覚まし、それが音もなくシェイプシフターを殺し真の姿を明らかにするであろうということを知っている。
謎かけ4:「地獄」 ・難易度10:この謎が描写している場所は超自然的で、定命の者の世界ではないように感じる。 ・難易度15:6つの目を持つ1人の門番については、それが3つの頭を持ち、それぞれに1組の目があることを意味するのではないか。 ・難易度25:全ての魂の最終的な到達地点は地獄界であり、その門は三つ首の犬ケルベロスによって守られている。そこに到達するには冥府の河(三途の川)を渡らねばならない。
謎かけ5:「ジャヴェリン・オヴ・ライトニング」 ・難易度10:これはおそらく魔法のアイテムであり、雷の力が付与された手投げ武器である。 ・難易度15:これが何であれ、それは戦士や運動選手の両方によって使われた。ジャベリンは戦争とスポーツの両方で使用される武器である。 ・難易度25:あなたは、巨大な神ゼウス(テーロス次元を舞台にしているならケラノス神)が投げた稲妻を模倣するために作られた、稲妻に変身する槍の話を聞いたことがあるだろう。それらはジャヴェリン・オヴ・ライトニングと呼ばれている。
不正解の場合
キャラクターが謎かけに正しく答えられなかった場合、カラキアは「ああ、それはかなり的外れだ」(もしくは「惜しいな」)と言い、マンティコアたちはキャラクターを愚弄し野次を飛ばす。そのうち一体は急降下してキャラクターを攻撃し、唸りながら「まったく高尚なゴミくずめが! 血をよこせ!」と言う。マンティコアたちはそれを促すうなり声を上げ、カラキアは中途半端にそれを止めようとする。彼女は片方の前足を無気力に振り、「止まれ、待て、席に戻れ」と疲れたようにつぶやく。
マンティコアに殺意はなく、ただ仲間を楽しませ、キャラクターよりも強いことを証明したいだけである。近接攻撃でキャラクターのヒットポイントを0にした場合、それはキャラクターを気絶させるにとどまる。マンティコアの最大ヒットポイントが半分まで低下したならば、観客席に退却して傷口をな��る。
間違った解答が出されるたび、さらに1体のマンティコアが降りてくる(つまり、2つめの間違った解答は2体のマンティコアの攻撃を誘発し、以降も同様に増えていく)。最初はヒットポイントが最大のマンティコアが攻撃を行うが、群衆が怒り狂うにつれて負傷しているものも攻撃を始める。
正解の場合
キャラクターが1つでも謎かけに正解すると、スフィンクスはあくびをし、彼女の前足を振って扉の鍵を解除する。彼女は不満げに「汝らは自由にここを通ることができる。……だが、我はとても退屈しておる。長きに渡りこの扉を守ってきた我にとって、汝らは神々が見捨てた時代に見た最初の娯楽だ。ここに我があつめた小物がいくつかあるゆえ、今しばしの時を我の謎かけに費やさぬか?」とつぶやく。
キャラクターがその場に残りたい場合、彼女は最大4つの魔法のアイテムを持っており、より多くの正解を出した場合にそれらを与える。1つの謎かけを解いた後には、そのほかの謎かけに回答するチャンスは1度だけ与えられる。カラキアはこの時点から、5つの謎かけを最初からやり直させることはない。これらのさらなる報酬はあなたが選んだ魔法のアイテムであ��。例を下記に示す:
・スカイブレンダー・スタッフ(訳注:Guildmaster's guide to Ravnicaに収録) ・リング・オヴ・アニマル・インフルエンス(DMG収録) ・ジャヴェリン・オヴ・ライトニング3本(DMG収録) ・ホースシューズ・オヴ・ア・ゼファー(DMG収録)
魔法のアイテムを付与する代わりに、彼女の超自然的な力としてリムーヴ・カースやディスペル・マジック、レジェンド・ロアなどの呪文を唱えることを報酬にすることもできる。
結末
キャラクターたちがカラキアの謎の少なくとも1つを正解できたなら、彼らは自由に部屋を通り抜けることができる。スフィンクスの部屋の先にあるものがなんであるかは、あなた次第となる。もしキャラクターたちが謎を解くことができずこの部屋の中で倒れてしまったならば、ゲームの雰囲気や難易度に応じてスフィンクスは彼らを追い出すか、容赦なく食べてしまうかもしれない。
****** ギリシャ神話とマジック・ザ・ギャザリングのテーロス次元にインスパイアされた神話的な設定での冒険をもっと楽しみたい方は、2020年6月2日にデジタル版が発売されるD&D Beyond Marketplaceで『Mythic Odysseys of Theros』をプレオーダーしよう! お近くのゲームストアで『Mythic Odysseys of Theros』をいち早く予約注文された方には、D&D Beyondのデジタル版が50%オフになるコードをプレゼントします!(訳注:日本では開催されていないキャンペーンです。残念ながら)
この遭遇は気に入りましたか? 「エンカウンター・オヴ・ザ・ウィーク」シリーズの遭遇をチェックしてみてください。また、私がDMs Guildで書いた冒険、例えば、マインドフレイヤーの悪役が登場するサスペンスフルな異界ミステリー『The Temple of Shattered Minds』などを見つけることができるでしょう。私の最新のアドベンチャーは、プラチナ・ベストセラー『Encounters in Avernus』に収録されています。これは、ギルドの達人たちによって作成された60以上のユニークな遭遇を集めたもので、アヴェルヌスや九層地獄の他の場所でのキャンペーンを強化するために使用できます。プラチナベストセラーのタクティカルマップもチェックしてみてください。これはギルドの達人たちが作成した88のユニークな遭遇のコレクションで、『Tactical Maps: Adventure Atlas』の美しいポスターバトルマップと組み合わせて使用することができます。
著者紹介:James HaeckはD&D Beyondのリードライターであり、Waterdeepの共著者でもあります。Dragon Heist, Baldur's Gate. Guild Adeptsのメンバーであり、Wizards of the Coast、D&D Adventurers League、その他のRPG会社のフリーライターでもあります。ワシントン州シアトルに婚約者のハンナと動物の仲間のMeiとMarzipanと一緒に住んでいます。Twitterでは、@jamesjhaeckで時間を潰している彼の姿を見ることができます。
また、DMのJasmine "ThatBronzeGirl" Bhullar、ToddとMeagan Kenreck、Lauren Urban、B. Dave Waltersが出演する新しいD&Dストリーム「Silver & Steel」の最新エピソードもチェックしてみてください。 ******
0 notes
Text
一帆のはなし 中編
店を潰し背後にある組織を洗い出すために、我々は内部に協力者を作ることにした。協力者の存在は建物の構造、日々の様子、経営者など外から見えない情報を手に入れるためには必要なことだ。そして、劉と世宇が目をつけたのが目の前にいる男娼、李白こと蔡一帆だった。
一帆の正面に男が座り、斜め後ろにレオンと呼ばれた青年が立った。仕切り直しの煙草を吸いながら、劉が口を開いた。
「さて、蔡一帆。我々は君と取引がしたい。この店について、あらゆる情報を君から提供してもらいたいと考えている。」
「目的は?」
「この店の解体」
それを聞いて、一帆は笑った。
「俺たちを解放するのが見返りっていうわけか、そんなの失敗した時の俺のリスクが大きすぎるんじゃないか」
「君は頭の回転が早くて助かるよ。もちろん報酬は他にあるとも。協力者の君には戸籍をやろう」
あまりにも滑らかに提示された報酬に、一帆は耳を疑った。戸籍。それは金では買えない価値のあるものだ。特に花街で生を受けた人々とっては、喉から手が出るほど欲しいものでもあった。中国政府も、英国政府も干渉しない無法地帯、香港。この街を管理するのは特別政府である。政府は市民に個人番号を振り分け、最低限の管理を行なっている。裏を返せば戸籍の無いものは、個人管理番号から逸脱している。それは国家の監視下に置かれていないこと、ある意味で自由な存在であり、そして不安定な存在だった。管理番号を持たない者は、身を売る他に生きる術はなく、最悪の場合は人身売買の餌食となる。この香港で身を守るために、戸籍は必要なものだった。
「……それは本当か」
俄かには信じられない話である。しかし、本当ならば願ってもない話であることは明白だった。軽く握った拳の内が、しっとりと濡れていた。
「先生は約束は必ず守る方です。報酬の有無は、あなたの働き次第ですが」
レオンが冷たい口調で言った。一帆はその青年の顔を、その時初めてまじまじと見た。帽子を被っていたために、顔がよく見えなかったが、下から見上げてみると、驚くほど整った顔をした男だった。いや、黙っていたら性別の判断がつかない様な、中性的な美形だった。世の中の穢れなど何一つ知らないというような澄ました顔が、一帆の癇に障った。
「女みたいな顔した、いかにも苦労知らずの人間の言うことなんて、何を根拠に信じろって言うのさ!!」
感情のままに毒を吐いたとき、空気が凍りつくのを感じた。レオンは相変わらず表情を変えなかったが、その瞳は黒曜石の様に鋭く光った。
「私���苦労知らず?笑わせる」
青年は突然手袋を外し、左手の甲をぐいっと一帆に見せた。その手を見て、一帆はハッとした。白い肌には不相応な刺青。二匹の蛇が���み合ったその紋様は、一帆も以前見たことがあるものだった。
「あなたも裏社会で育った以上、この印が何を意味しているか知っていますね」
青年は手を引いて、手袋をはめた。
「品物だった私は運良く逃げ出し、道で倒れたところを拾われて以来、先生は私の面倒を見てくださっています。名無しの孤児を引き取るくらい器量が大きい方ですよ。あなたに戸籍を与えるなど造作もない事です」
青年は淡々と述べた。裏社会で育った一帆にとって、この青年が語ったことは信用に値する内容であった。臓器売買、人身売買を行う組織として悪名高い「 風琴幣」。子供を買い取り、あらゆる労働力として酷使した後、取引先の提示した内容―骨髄型や血液型などーが一致してから、その商品は健康状態を万全にされ出荷される。そこから逃げ出すことができたこの青年を引き取ることは、「 風琴幣」を敵に回すも同じこと。彼の手に刻まれた刻印は、決して消すことが出来ないのだから。一帆はレオンの目を見て言った。
「あんたの傷は説得力がある……わかったよ。引き受ける。でも戸籍以外に一つ条件がある」
初老の男は、肘を椅子の乗せ、手を顔の前で組みながら、薄っすらと満足げな笑みを浮かべた。
「何かね」
「それは、あんた達がこの店を潰した時に言う」
レオンはあからさまに不満そうな顔をしたが、初老の男は良いだろうと答えた。
「内容によっては不可能な事もある。それでも良いならな」
「後出しだからな。そんなことは承知の上さ。で、これから俺は何をすればいいんだ?」
一帆は何かが吹っ切れたように思えた。この地獄から抜け出すまたとないチャンスだ。そして、それが成功するか否かは一帆の手に掛かっている。己の力で己の人生を切り開く。やってやろうじゃないか。俺は本物の月を掴むのだ。そんな一帆の心持ちが変わったのを察したのだろうか、レオンは至極丁寧に計画を説明した。初老の男は、煙草を吸いながらその様子を静かに眺めていた。
レオンが支払を済ませ、手配した車に乗り込んで香港の街に紛れて行く様子を、一帆は控え室の窓越しに眺めていた。そんな一帆の背後に、支配人が近づいてきた。
「李白、さっきの客はどうだったかな」
シャワーを浴びてしっとりと濡れた一帆の肌に触れながら支配人は言った。その手をやんわりと退けながら、一帆は「李白」の仮面を被る。
「僕のこと、随分気に入ってくれたみたい。また来週も来るって言ってた」
「そいつは上々。久しぶりの上客だ、くれぐれも失礼の無いようにな…」
「ふうん、そんなに羽振りがよさそうには見えなかったけど。じゃあ来週に向けて準備しないといけないね」
一帆は支配人に向けて華やかに微笑んでみせた。これから一週間、客を取らせるなと案に示したのだった。「李白」の売りはその美貌と、白い肌だった。その肌に跡を付けたがる客は多い。上客のために他の客を取らず肌の純潔を守ることも、ある種の商法である。
「わかってるさ。一週間かけて真珠に磨きをかけたまえ」
支配人はそう言って部屋を出た。扉が閉まるのと同時に、肩の力がふっと消えた。
早くここから抜け出したいと、強く願う自分がいた。
それから3ヶ月ほどの間、男とレオンは毎週店に通った。一帆は一週間の間に建物の地図、日々の動き、カメラの位置、内部の人数などを調べ、メモを渡したり口頭で説明した。。少しずつ少しずつ、店の内情は立体的なものになった。一帆の情報を元に、レオンは計画を立てた。店の責任者が必ずおり、かつ客が一番少ない時期帯を導き出す。あらゆる出口に人員を配置し、関係者を取りこぼさないようにする。働かされていた人々には干渉しないこと。あくまで経営陣を取り締まるのが彼らの目的だった。
今日も同じ曜日、同じ時間帯に二人がやってきた。3ヶ月も通えば、流石に顔も覚えられる。受付の者もクラブのフロアを通さず、直接部屋に案内するようになっていた。一帆はいつものように、彼らの待つ部屋に向かった。
「李白、ここに客として来るののは今日が最後になります」
レオンが言った。遂に時が来たのだ。一帆は実行日はいつになるのかと問うた。
「6日後。あなたは、新しくやってもらいたいことがあります…」
レオンは計画の概要、そして一帆の仕事を伝えた。内容を聞いて、一帆は驚いてしまった。
「警察が来るのか?あんた達にとっても厄介な奴等だろ」
「我々と警察は協定を結んでいるのだよ」
初老の男が言った。レオンが続けて説明をする。
ここ「香港」は特別自治区として、本土からも英国からも干渉を受けない独立した自治政府が存在する。しかしながら、ここは自由貿易によって経済が回る不安定な社会。人も物もなにもかもが流動的である。そこで政府は最低限の社会保障を行うために戸籍のあるものには個人番号を与え、ほぼ自動化した管理体制を敷いた。この小さな政府においては、人員削減のために警察の体制も手薄となる。しかし、ここでは犯罪が日常茶飯事であり政府だけでは手を回しきれない。そこで政府は、黒社会の組織である黒龍会と協定を結んだ。黒龍会が裏社会の管理をし、行き過ぎた問題があれば警察と連携して取り締まるのである。黒社会に属しているとはいえ、黒龍会は売春麻薬などの法に触れることに直接は手を出さない。勿論、組織間の闘争は日常茶飯事であるが、それは黒社会の中での落とし前であり、表の社会とは無縁のものである。そもそもの問題、身元が割れるような殺し方をしないのが黒龍会のやり方であるが……
「兎にも角にも、李白。あなたには仕上げをしてもらわなければなりません」
レオンから渡された箱を持つ手に力が入った。一帆が渡されたのは、この店の近くにある評判の洋菓子屋の箱だった。ここ1ヶ月の間、彼らはここを訪れる度に差し入れを持ってきた。はじめの2回ほどは、店の連中に中を確認されたが、未開封の菓子である事がわかったために最近は特に止められる事なく部屋に持ち込める。
「その中に録音機が入っています。あなたは、控え室で蝶たちの会話を録音してください」
それが一帆に与えられた最後の仕事だった。箱を見ても、いつもと同じ菓子の箱に見える。封も空いていないし、重さも変わらない。
「この菓子箱の中にどうやって入れたんだ?未開封だろ」
「封をする時に、一緒に入れてしまう。簡単な話です」
レオン曰く、この菓子店は彼らの組織の管轄にあるらしい。黒弊の人間は菓子ビジネスにも手を広げているのかと、少し不思議に思った。
「控え室で彼女たちは客の愚痴やら何やらを言っている、と前に言っていましたね?それを録音してください。くれぐれも気をつけて。これが証拠の一つになります」
機械を気付かれずに裏へ持ち込めれば、簡単な任務だ。未開封の箱に入れられていれば、それも難なくこなせそうである。
「決行日は、普段ならば私たちが来る前日です。あなたは普段通りに過ごしていればよろしい。何が起きても、知らない振りをし、驚き慌て、抵抗しなさい。あなたの最後の任務は、協力者である事を隠し通すための迫真の演技です」
最後の任務が一番面倒じゃないか、と内心思いながら一帆は頷いた。あと1週間でここともおさらばだ。緊張感と、少しの高揚感を覚えながら、一帆は二人を見送った。
0 notes
Text
先日、楽しみにしていた、三菱一号館美術館で開催中の『ラファエル前派の軌跡展』に行って参りました。19世紀の中頃、イギリスで活動していたアーティストたちの間で結成された『ラファエル前派兄弟団』は、当時のアカデミズムが規範としていた古典主義に異を唱え、伝統や権威を嫌い、聖書や神話、伝説、文学作品などから着想を得た、素朴で自由な、ロマンティックかつドラマティックな美を、心の赴くままに追求した作品が多いのが特徴です。そんな絵本の挿絵のような彼らの作品の前に立つと、細密に描かれている自然や、様々な表情や仕草の人物たちが今も変わらず、静かに物語を紡いでいるのが伝わってきます。
この展覧会では、他にもウィリアム・モリスが主導したアート・アンド・クラフツ運動についても触れ、モリスによるデザインの椅子やステンドグラス、タペストリーや壁紙なども展示されていて、見ごたえ十分です。
ラファエル前派の信条は、以下の通りです。
1. 表現すべき本物のアイディアをもつこと
2. このアイディアの表現の仕方を学ぶために、自然を注意深く観察すること
3. 慣習、自己顕示、決まりきったやり方でみにつけた型を拒絶するために、過去の芸術のなかの率直で、真剣で、誠実なものに共感を寄せること
4. 最良の優れた絵や彫刻を制作すること
この展覧会は、ラファエル前派のパトロンであり、思想家、美術評論家であり、自身もアーティストであったジョン・ラスキンの生誕200年を記念して開催されています。ラスキンはスピリチュアリズムの研究者でもありました。また、『不思議の国のアリス』のモデルである、アリス・リデルの美術の家庭教師もしていたという、とても興味深い人物です。
嬉しいサプライズだったのが、ラファエル前派の理想像とも言われ、モリスの妻であり、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティのミューズでもあったジェーン・モリスの絵や写真が何枚かあった事でした。(写真1枚目:右端、写真2枚目:左上・右下)意志の強そうな瞳のエキゾチックな顔立ちと、豊かなブルネットの縮毛が麗しいこのモデルは、画家たちに様々なインスピレーションを与え続けました。去年の夏、オックスフォードの小径を散策中、ジェーンの生家のブルー・プラークを偶然見つけ、彼女の足跡を辿る事が出来たのが嬉しかったです。
前回、ミディアムとして新たなハードルに挑戦し、新たな展開が楽しみと書きましたが、早速霊界から次のハードルが与えられました。それは、英語でのカウンセリング。ロンドン郊外にあるスピリチュアリストのための学校、アーサー・フィンドレイ・カレッジでのワークショップで、英語でのデモンストレーションやカウンセリング、サイキック・アートを体験済みですが、あくまでも練習にすぎませんでした。先日、ある国の方から、アイイスに興味があるので訪問したいとのお電話を受けた翌日、簡単にご案内するつもりでいたら、急遽カウンセリングのリクエストを受け、初の英語カウンセリングに挑戦いたしました。いつかやってみたいと思っていた事が、また一つ実現しました。真摯な気持ちでお願いし、委ねていると、霊界は頃合いを見計らってチャンスを与えてくれるようです。
現在準備中のワークショップでは、私がミディアムになるまでの様々な体験や、今まで出会ったり、カウンセリングを受けたスピリチュアリストやミディアムの方々のお話もしたいと思います。お申し込み、受付中です!
All About ミディアムシップ
日時:4月17日(水)・ 4月21日(日)どちらも10:00〜17:00、両日同じ内容です。
参加費:一般料金10,000円・会員料金8,000円
会場:アイイス東京本部
この1日ワーク(6時間・お昼休憩1時間)はミディアムを目指す方や、霊界との繋がりを強化したい方に最適です。
このワークでは、講師が日本とイギリスで学んだミディアムシップに関する知識、日本とイギリスのデモンストレーションやカウンセリングの特徴や相違点、イギリスやアメリカのスピリチュアルチャーチでの経験など、グローバルな情報をシェアします。また、講師が今までに行ったデモンストレーションやカウンセリングを通して学んだミディアムシップのメカニズムについてもレクチャーします。さらに、クラスやサークル以外の日常生活においてミディアムシップを体験し、練習する方法もいくつかご紹介します。
実習では、まずスピリットガイド(指導霊)との繋がりを再確認して強化することから始め、デモンストレーションやカウンセリングなど、実践的な経験を深めていきます。何度も失敗を経験し、たくさんの練習を積み重ねていくことで霊界との繋がりが深まり、霊界に信用され、霊界の道具となることができます。そこには決して近道はありませんし、自分自身で考え、気づくことが期待されます。
このワークで霊界とご自身の絆をさらに深め、失敗から学びながらより光に近づき、よいミディアムとして霊界のアンバサダーとなり、そしてその光を次世代へと照らしていけるようにナビゲートいたします。
【主な内容】瞑想(Sit in the Power)・レクチャー・ミディアムシップ各実習
誘導瞑想経験者なら、どなたでもご参加いただけます。
スピリチュアルリーディングのご案内
ワークショップのご案内
デモンストレーションのご案内
プロフィール
0 notes
Text
スノーベリーのクロスタータとミルク
旅の連れが出来て、食べる物が変わった。
何か高価なものを買う訳ではないのだが、樽の底に捨てられた古い野菜を食べることはなくなった。最初に出したリンゴとキャベツとヤギ足肉のシチューの正体が「樽から出てきたリンゴとキャベツ、山賊の隠れ家から奪い取ってきたヤギ足肉を盗品のエールで煮込んで」だったと知ったらさすがのルマーリンも顔を青くするだろう。私の食生活は他者にはあまりお勧めできない。とかく常に襲ってくる飢餓感を満たすためには、人肉だろうと木の皮だろうとベニテングタケであろうと食べ続けていないといけないのだ。野菜の出自をどうこう言っている場合ではない。
さて、最初はルマーリン、この召喚師の癖に剣と弓しか喚べないアルトマーの青年(三百は生きている私から見れば彼は十分青年だ)とは別々に食事をしようと思っていた。ところが向こうは違ったらしい。初めて会った次の日、しなびた上に一度凍り付いて解凍されたウリをかじっている時に不意にルマーリンが聞いてきたのである。金色の明るい瞳を興味深げに輝かせて。猫髭めいた戦化粧を本物の猫のごとくひくひくさせて。
「デザートから先に食べるのも悪くないですが、今日の昼御飯は何ですか? 私、ずっと考えていたんですけれど。昨日のシチューはヤギの足肉ではなくウサギの肉を使うのも良かったと思うんですよ。ああ、でも朝パンを刻んだものを鍋に入れて粥にしたのは悪くなかったですね。パサパサしなくて済みますから」
それから私のウリをちらりと見て、
「あ、そのウリはやめておきます」
と言った。
「自分の分はないのか」
「ハニーナッツのおやつじゃおなかは膨れないと思いますよ。もう一つしかありませんし」
「……山の中でどうやって生きていくつもりだったんだ」
「ウィンドヘルムに戻ろうかと思っていたんです」
それじゃあ何かあった時に餓死するだろうと思って呆れ、それから私は「この男、見ず知らずの旅人に夕飯をたかったのか」と思ってさらに呆れた。多分本人はたかった気はしていないだろうからさらにさらに呆れた。そして料理を作ると言い出したのは私であったわけで何とも言えない顔になった。
「というわけで何かありません? さっきのウリや最初に見た栄養剤とは……こう……違う何か」
少し考える。私の背嚢の中の食物は大体が奪ったものかくすねた物で品質は度外視だった。腐りかけているものもあるはずだ。
「ないな」
「そうですか」
「このウリのような物なら沢山あるが」
「遠慮しておきます。あまり、その、私からは美味しそうには見えないので」
私の「物を美味しいと感じる機能」は無くなって久しい。甘味苦み等は感じられるが、それが美味しさと一致しないのである。ただ、ああ、味だなと通り過ぎていくだけだ。擦り切れて消えてしまったのだろう。生きていくうえで無くても困らない。一部の宿屋の主や食事をふるまってくれる輩には怪しまれるが、その時は「甘みと酸味の比率が合わさっている」やらそのようなことを言っておけばアルトマーの奇癖だと思われるのか特に深くは扱われない。少なくともここ二百年はそうだった。元々アルトマーは親類のボズマーにこそ負けるが奇矯な所があると他種に思われることが多い種族であった。オブリビオン動乱直後のシロディールにも変人のアルトマーは多々いた。有名なところではニルンルート研究で有名なシンデリオン師も実際に会った「先生」の談によると「面白いエルフ」であったらしい。なお現在は諧謔に富んだアルトマーは生真面目なサルモールに駆逐されて久しい。支配の下では、誰も心からは笑えない。そして、一度飛び去ったかろやかな笑いは、かつての形では二度と戻ってこない。私に残されたのは残酷な笑いのみだ。最も笑いも味覚と同じように無くても困らないのだが。おそらくは。
ともかく、ルマーリンは昼食をご所望らしい。
「もう少し行けばウィンターホールドだ。昼飯とおやつを同時に取ればいい」
ルマーリンは自分のローブをちらと見た。そして魔術師の集まるウィンターホールド大学と自分の偽大学ローブの関係性について何か言おうとした。
「行くぞ」
遮って先へ行く。ルマーリンは何も言わず付いてきた。
海岸線に沿ってウィンターホールドへ。道中オオカ���や氷の生霊に襲われ、時折保存食の為にホーカーを襲いながら進む。空腹だというのに(空腹だからか?)ルマーリンの冗談は止まらず、私はそれを聞き流しながら歩いていく。
やがてウィンターホールドにたどり着く。空は昼だというのに暗く、雪は止むことを知らない。かつては威容を誇ったらしい街も今は見る影なく寂れ、廃墟より少しマシ、というありさまである。店と言えば宿屋と雑貨屋が一軒ずつある程度。
「選択の余地が無いので気楽ですね。入ってもいいですか? このままだとエルフの氷像が二つ出来上がります……アルトマーの平均より数インチ背が高いのと、一インチ低いのと」
皮肉なんだか本気なんだかと思ったものの、確かに打ち付ける雪と吹き付ける風は体温を確実に奪っていく。ちなみに私は背が高い。娘時代はそのことを気にしていたものだ。曰く、ドレスが似合わない、口づけする相手より背が高いのはロマンティックではない、と。傭兵、山賊時代はこの背の高さが役に立った。相手を威圧するのに十分だったのと、歩幅が大きいので歩く速度、走る速度が増すためだ。
物思いにふけっている数拍の間に、先に入りますよ、という顔をしてルマーリンは宿へと入っていった。私も後に続く。中に入ると典型的なノルド様式の宿で、内気の温かさがこれまでの旅の疲れを強制的にほぐしていく。子供達が遊んでいたが、セリフから察するに「悪いエルフを退治する」という内容だったせいかいきなり入ってきたアルトマー二匹を見て顔を見合わせ、別の遊びをはじめた。大学関係者だろうか、他にもアルトマーの男が一人居て研究の余波ですごい臭いがしたことでああだこうだ言われていたが、やがて部屋に戻っていった。
宿の主人とその妻がルマーリンの本物とは見分けのつかぬ偽大学ローブを見て少し複雑な表情を浮かべたが、いらっしゃい、とどこにでもある宿屋の対応をした。どうやらここでは大学関係者は微妙な位置にあるらしい。
適当に座り、喉を潤すものと胃に溜まるものを、と注文する。その横でルマーリンはせっせと注文をしていた。
「ラベンダーのパイとホーカーのシチュー、それとパンに鶏肉のパイ、温めて蜂蜜とバターを落としたミルク。あ、パイは一切れずつ」
そんなに食べられるのかと心配しかけ、別に腹痛に困る羽目になっても宿屋に転がしておけばいいと割り切る。私の目的は呪文書の購入であってこの若いアルトマーの世話をすることではないのだ。
店の主人は頭を振り、
「ラベンダーのパイと鶏肉のパイは扱ってないね。ホーカーのシチューに使う分でラベンダーは精いっぱい、鶏は卵をとる分で精いっぱいだ……見ればわかるだろう、ここは物資がいつでも足りないんだ」
確かにラベンダーは比較的温かいホワイトランではよく見たが、雪深いこの辺りには生えそうもない。
「なら、何か肉っぽい物と甘いものでいいですよ」
「ホーカーのパイとスノーベリーのクロスタータならあるが」
「ああ、いいですね。それでお願いします」
満足げな猫の顔をして、ようやくルマーリンは椅子に座った。
待つことしばらく。予想外だったのは「ホーカーのシチューとパンにホーカーのパイ、温めて蜂蜜とバターを落としたミルク、それとスノーベリーのクロスタータ」が二人分来たことだった。どうやら宿屋の主人の頭で注文は都合よく解釈されたらしい。幸い私は量も取る方であったので問題はなかった。財布に余裕もある。連れのアルトマーの財布事情は知らないがさすがに「払ってください」というほど面の皮が厚いとは思わない。多分。
「ミルク飲みは馬鹿にされますけどね、こうやって温めたのにパイの皮を浸すと楽しいんですよ。知ってました?」
ルマーリンはパイを解体しては皮をミルクに浸して食べるというマナーとは真逆の行為に耽っていた。私はああ、と空返事をしてホーカーのシチューにパンを浸してたべる。ラベンダー臭が少し、肉の臭みは少なく、塩分は適量。温度も適温。これが私の認識できる味覚の限界であり、美味しいに結びつくことはない。
ホーカーのパイを解体し終わったルマーリンはせっせとスノーベリーのクロスタータに手を付ける。パイとは似ているがクロスタータはクッキー生地のタルトと言った方が近く、パイと同じ気持ちで手を付けたルマーリンの目の前で見事に崩壊した。
ルマーリンがどうしましょうね、これ、といいたげな顔でこちらを見た。
「それこそ���ルクで流し込め。胃に入れば同じだろう」
「なるほど、至言です」
クロスタータの残骸を掻き込んで、彼はミルクを口に含んだ。
その後、黙々と私は食べ続け、ルマーリンはホーカーについての冗談三つ、スノーベリーについての冗談を五つほど飛ばしながらせっせと食べ続けていた。
「はあ、食べました! ホラアナグマに襲われそうでももう動きたくありませんね」
見事に平らげられた皿の前でフォークとナイフを並べたり横にしたりしながら満足げにつぶやくルマーリン。今やサマーセットでは見かけられないであろう心からの笑みを浮かべたアルトマーがそこにいた。それを見て私は思わず下を向いた。
同胞にこの笑みがある未来を与えられなかった――結局は守れなかった。
敗北に逃走、そして「緑炎の夜」の大虐殺。捨て去ったはずの感傷と後悔が、悪夢を思い出すかの如くふと浮かび上がる。
「どうしたんです難しい顔をして。別に動かなくてもいいんですよ」
「いや、なんでも。動けないならここにいろ。私は大学に行く。宿賃は折半だ。互いに気がないなら、別に同じ寝台でも構いやしないだろう」
しばし彼は目をぱちくりさせ。
「ベッドの大きさにもよりますね」
そう言って相場の半分の宿賃を取り出して払った。宿の主人は複雑な顔になった。アルトマー二人からふんだくれると思っていたのだろうか。残り半分を私が払い、満腹のルマーリンを残して大学への道を急いだ。
呪文書を買い(この年になって入学する羽目になったのは予想外だったが)、晩飯にまたホーカー尽くしを食べる。私は背嚢の中の凍った野菜でよかったのだが一人宿屋で別行動をして怪しまれるのは勘弁だったのでルマーリンに付き合う。そして特にロマンチックなこともない一夜を過ごして朝を迎える。寝台は狭くなかったが、さすがにアルトマー二人が並んで寝るとなると予想以上にきつかった。
「次からは別々に寝よう」
「ええ。背中のあたりがぱりぱりになりました」
そういえば道連れのいる旅はどれ位ぶりだろうか? ぼんやりとそんなことを考え、朝食を選ぶ。
「クロスタータ、まだありますか? あとヤギのチーズ」
「はいよ。焼きたてとは言わないが、まだあるな」
ルマーリンはスノーベリーのクロスタータがずいぶんお気に召したらしい。もしくは新しいメニューを開拓するのが面倒だったのかもしれない。
「同じのを」
私は頼む。昼晩朝とまともな食事をとったことになる。我ながら珍しい。
「ああ、そうだ。少し食材を分けてもらえないか。これからドーンスターとモーサルを通ってソリチュードに行く。この連れが良く食べるみたいだから、「まともな食材」が必要なんだ」
店の主人に話しかけると商売のチャンスと思った彼は交換に嬉々として応じてくれた。ルマーリンは何か言いたげにこちらを向いたが、残念ながら口にクロスタータを頬張っていた。
背嚢の傷んで凍った食物類はこっそり宿の裏に捨てていくことにした。
昼は最後のクロスタータとニンニクで臭みをとって焼いたホーカー肉。
夜は牛乳抜きクラムチャウダーとパン。(これは不評だった)
朝はその残りに刻んだ野菜を突っ込んだもの(ルマーリンはまずまずの顔をした)
こんな具合でドーンスターに着き、また食材を買って進む。モーサルを経由し、また様々な食材を買い込む。朝食にはマッドクラブのスープを食べ、昼には塩漬けの鮭を焼いた。
「いろいろ作れるんですね。どこで覚えたんですか」
意外だとばかりに、ルマーリンは聞く。
「娘時分に一通りの家事と錬金術を叩き込まされてね。あとは魔法と隠密も」
「変わった家の方針ですね」
「教わった人間が冒険者上がりだった」
エルフイヤーリーフを振った鮭を切り分けながら、「先生」の胡散臭い顔を思い出す。よくもまあ、こんな昔のことを覚えていたものだ。ルマーリンは切り分けた側から鮭を平らげていく。
「……味は、おかしくないか?」
「まずまずですよ、まずまず」
私はしかめっ面になった。何故この男が「まずまず」と言うたびに不満げな気持ちが沸き上がるかがいまいち分からなかった。美味しさのわからぬ奴が作った料理などまずまずで当たり前だろうに。
「地図が正しければ、日が沈むまでにはソリチュードに着くだろう」
「私、ソリチュードは門までの坂がきつすぎると思うんですけどどうです?」
「行ったことがないから分からん」
「そうですか。あ、でもスパイス入りワインはいいですね。温めて飲むと寒気が吹き飛んで踊りたくなります」
「そうか」
私も鮭を口に含んだ。塩気と鮭特有の油の味がし、エルフイヤーリーフの香りが口にあふれた。
それだけだった。
*
これの続き。TES5の心が乾いた味覚不全アルトマー、ジンジェレル&Interesting NPCsのユーモアにあふれたアルトマー、ルマーリンの二次……ですが多大に想像で書いてます。ルマーリンがミルク嫌いだったらどうしよう。
0 notes
Text
The Fate of the Phoenix 53
“With the medallion you could do more,” Omne said. “You could attempt to merge minds with me and take over. You would have my recent memories to gain, and the body which was once yours. It is not a negligible asset” “I am tempted,” the Other said. “It is my body. The memories would be of interest, and there would be a certain justice in it, since you have claimed the right to repossess mine. However, I have not time at the moment to fight you for control. There is a fast-moving galactic situation. This body is adequate to my purposes for the present For certain things, it is even useful and interesting. Spock of Vulcan and of the Enterprise can go certain places, do certain things, influence certain decisions which Omne’s body cannot do. Besides, I have begun to become accustomed to it, and a part of me is quite at home. The Omne body is recorded and I could reclaim it at some time through the Phoenix. But the life-to-life transfer process will serve me much better now. The continuity process will reconstruct this body in its original form, without the destruct. That will suit me.” “Even presuming that I would believe you,” Omne said, “why would I agree?” The Other hefted the little weapon. “Consider the alternative.” “Death?” Omne said. “Now that the base dead-man switch tracer has picked me up, the automatic Phoenix machinery would operate. Death would be no more than a serious inconvenience.” “There is the override,” the Other said. “I could leave you locked in the machine. It is a considerably smaller prison than a universe.” “Why would you not do that in any case after I gave you the medallion key?” Omne said. His Other smiled. “Are you saying that we are not a man of honor? I will not strain your trust,” the Other said, “nor trust you unduly. You will have to set the medallion key to work properly for Trevanian. I will use the same setting. And at the same time I will set the transporter circuit to send you off. You will be able to see that the transporter is set for the Vortex, not for death.” Omne smiled. “I have no objection to the existence of Trevanian. He is decorative and enterprising and appears to have possibilities as an enemy. But why would I go to such lengths for him?” “Your actual plan for the Empire depends on the Doyen. You would prefer to use her as a political force, rather than a berserk machine of vengeance for a lost Trevanian. However, that is not why you will do it. Do you not know why?” “Name it,” Omne said with sudden ferocity. “I will not name it for you.” The Other turned away from Omne and went to face Spock, who was standing beside Jim. “Mr. Spock, have you wondered why I brought you here?” “I had wondered why you kept me alive,” Spock said, “when you had killed me at the reception. However I believe that is becoming much clearer to me.” The Other smiled the wolf smile with Spock’s face. “Indeed, Mr. Spock. Explain.” Spock straightened and met the identical eyes levelly. “You killed me because you could not fight both your own selves at the same time.” “Excellent, Spock.” “And perhaps—you had a use for a recording,” Spock said, a little hollowly. “Even better, Mr. Spock,” the Other nodded. “Then you are a murderer,” the Commander said with finality, turning on the Other. “Am I?” he said. “Is it murder to make a recording? Perhaps it is merely conferring the benefit of immortality. You see, the Phoenix changes everything—even the morality of murder.” “It is still murder,” Kirk said. “You are the man who set a trap for me, and killed me,” the Other said. “Was it murder?” “No,” Kirk said firmly. The Other shrugged. “It was death. My second death’ which you intended to be final. You planned it in cold blood, almost an execution. Neither the current Omne nor I have settled with you for that, and I do not advise you to give him a chance.” “Nor you?” “Nor me. But I will not give you any option. However, the nature of the Phoenix has altered the nature of your act, and of mine, irrevocably. It is now possible for a man to come back to punish you for killing bun. And it is now possible to kill a man without wishing him dead—nor keeping him dead. That is war. But is it murder?” Kirk looked into the Vulcan eyes which held the soul of Omne. “What has stopped me is that I did not think the man who had been Omnedon would be a plain murderer. A warrior, yes, perhaps responsible for death, as I have been, too, and even in ways which I would not condone. An outlaw, but one who would claim a hell-busted ideal or two, and a purpose of freedom. The wolf, but not the wolf in sheep’s clothing. Not hiding. Not striking by night without warning, against a conference of lambs. You are Omne, and part of you is even Spock—and yet you did kill Spock. Are you saying—you made a recording? That was why you did it?” Jim’s eyes were wide. The Other shook his head. “As it happened, Omne transported him into the force field just before the moment of death. But that was my intent. Mr. Spock is far too interesting to destroy irrevocably, unless as a last resort.” Jim straightened. “I do not begin to forgive you Spock’s death or that risk. But I do see that you have a certain point. The Phoenix alters every morality we have had about life and death. You killed the Old Hegarch, but he did not die, finally. You knew he would not. He has a new life, and his grandson a new lease on life. Is that murder? Spock forced you to kill yourself. I killed you. Omne put you under the gun of a death sentence and thought he could reabsorb you. None of us are dead. If you did not intend irrevocable murder of Spock, I do not forgive, and I do not wish to share the universe with you, but I might not shoot you out of hand like a mad wolf.” The Other bowed mockingly. “Thank you, Captain. I cannot tell you how that relieves my mind.” “Accept your own offer from Omne,” Kirk said firmly. “I believe he would gladly cancel the destruct if you accept exile.” “And you would gladly share the universe with him?” the Other said. “No,” Kirk said. “He is far too dangerous, but not so lethal as you have been. He has only to wait while your time runs out. You may kill him, but even that, here, is not irrevocable, and it does you no good. You need the code from him. He is as stubborn as you are, and he has everything to lose. So do you. But you have no options if he does not yield.” The Other shook his head. “I have one.” He looked at Spock. “I believe your logic has arrived at it, Mr. Spock. Would you care to name it?” Spock looked at him bleakly. “You believe that the resonance of our bodies and the similarity of a portion of our minds will make it possible for you to subdue my consciousness and take over my body—by mind link, without need for the medallion or the equipment.” “Spock!” Jim said and James turned slowly to look at Spock. The Commander could feel the sudden metaphysical horror spreading through the room, and she knew that they all believed it—that even Spock believed it was possible. ”メダリオンによって君にはさらに多くの事ができる ” オムネが言った。 ”君は私の身体を手に入れ精神の併合を試みる事ができる。 私の最近の記憶を手に入れ君の肉体となる。 それは無視出来ない資産だ ” ”惹かれているさ ” もうひとりが言った。 ”それは私の身体だからな。 記憶も興味深い、そして私が自分の物を手に入れるのだという君の主張には確かな正義がある。 だがしかし、私には支配権を巡る争いをする時間が今はない。 銀河の状況の動きは迅速だ。 当面の私の目的にはこの身体で足りるのでな。 有用な事は確かで興味深くもある。 バルカン人のスポックとエンタープライズであれば行ける場所、オムネの身体では出来ない影響力のある決断もある。 それに慣れ寛いでいる部分も確かにあってな。 オムネの身体は記録されているそして私はPhoenix でいずれ取り戻すことができる。 ライフ.トゥ.ライフプロセスの方が今の私には貢献度が高い。 自爆を除いたこの身体をオリジナルとして再建するプロセスになるからだ。 それは非常に好都合だ ” ”私が君を信じると仮定して ” オムネが言った、”同意する理由はなんだ? ” もうひとりが小さな武器を持ち上げた。 ”選択肢を考えてみる事だ ” ”死か? ” オムネが言った。 ”ベースにある dead-man スイッチトレイサーが私をピックアップし、自動的にPhoenix 機構が働く。 死は深刻な不便以上のものではない ” ”無効化できる ” もうひとりが言った。 ”私は君をマシンにロックし立ち去る事ができる。 宇宙よりもかなり小さな監獄だ ” ”私がメダリオンを与えた後でそのいずれもが行われないとする理由はなんだ? ” オムネが言った。 もうひとりの彼が微笑んだ。 ”君は私たちが名誉を重んじる男ではないと言っているのか? 私は君の信頼につけこんだりなどはせんよ ” もうひとりが言った、”君を過度に信用したりもな。 君にはトレヴァニアンの為にきちんと機能するようにメダリオンをセットしてもらう。 私が使うのは同じセットだ。 そして同時に私は君を送り出すトランスポーター回路をセットする。 君は死へではなく、Vortex へとセットされたトランスポーターを見ることが出来るという事だ ” オムネが微笑んだ。 ”トレヴァニアンの存在に私は意義を挟まない。 彼は芸術的で意欲的で、敵として頭角を表す可能性がある。 だが何故私が彼のためにそこまでする必要がある? ” ”君の帝国への実際の計画はDoyen に依存しているからだ。 君はトレヴァニアンを失い怒り狂った復讐マシンより政治権力として彼女を使う方を好むからだ。 だがしかし、それが君の理由とはならんな。 君に理由がわからないか? ” ”何でも良い ” オムネが突然獰猛さを剥き出して言った。 ”君の為に私がそれを行う理由は無い ” もうひとりがオムネからジムの側に立つスポックに顔を向けた。 ”Mr.スポック、君は私が君をここへ連れてきた事を疑問に思ったか? ” ”私が疑問に思ったのは私を生かしておく理由だ ” スポックが言った、”カンファレンスで私を殺した君がだ。 だがしかし、私にはそれが明らかになったと考える ” もうひとりがスポックの顔に狼の微笑みを浮かべた。 ”確信があるようだ。Mr.スポック。 説明したまえ ” スポックが背筋を伸ばし、同じ瞳を真っ直ぐに見つめた。 ”私を殺そうとしたのは君自身であるふたりと同時に戦う事は出来ないからだ ” ”素晴らしいね、スポック ” ”そして恐らく -- 君はレコーディングを行った ” スポックが言った、僅かに虚ろな声で。 ”ますます素晴らしい、Mr.スポック ” もうひとりが頷いた。 ”では貴様は殺人者だ ” 指揮官がついに口を開き、もうひとりへと向いた。 ”私が? ” 彼が言った。 ”レコーディングを行った事が殺人に? それは不死の利益の授与となるだろう。 知っての通りPhoenix は全てを変える -- 殺人の道徳性さえもだ ” ”だとしてもそれは殺人だ ” カークが言った。 ”君は私を殺すために私を罠にかけた ” もうひとりが言った。 ”それは殺人か? ” ”違う ” カークが確りと言った。 ”もうひとりが肩を竦めた。 ”それは死だ。 君が最後だと見込んだ私の二度目の死。 君の計画は冷酷でほぼ遂行された。 現在のオムネも私も、その事について君と和解をするつもりはないし彼にチャンスを与えるように私がアドバイスすることも無い ” ”君もか? ” ”私もだ。 私がどの様な選択肢も与える事はしない。 だがしかし、君の行動、そして私の性質によって変えられたPhoenix の性質は取り消せない(However, the nature of the Phoenix has altered the nature of your act, and mine, irrevocably ) 殺された事に怒った男が君を罰する為に戻ってくる可能性はある。 今、彼の死を願わずとも男を殺せる可能性がある -- 彼を死んだままにしておく事もない。 つまりは戦争だ。 それは殺人か? ” カークはオムネの魂を持つバルカンの眼を見つめた。 ”私を止めているのはOmnedon であった男が分かりやすい殺人を犯すとは考えられない事だ。 戦士として、そう、私同様死の責任を容赦なく負う筈だ。 自由を目的とし、ひとり、もしくは二人、地獄の様な理想を主張するアウトローだ。 狼は、狼は羊の皮を被れない。 隠れることはできない。 羊たちのカンファレンスに夜、警戒されず目につかず相対する事はできない。 君はオムネだ、そして君のいちぶはスポックでさえある -- そうでありながら君はスポックを殺した。 君の言うように -- 君はレコーディングを行ったのか? それが君の理由か? ” ジムの眼が大きくなっていた。 もうひとりが頭を振った。 ”あれは偶然だ、死の一瞬前にオムネが彼をフォース.フィールド内へ転送した。 だがあれは私の意図した所でもある。 Mr.スポックは非常に興味深い、破壊しつくすのは最後の手段として取っておいた ” ジムは背筋を伸ばした。 ”スポックの死、もしくはそのリスクを犯した事で君を許す事はできそうにない。 だが私は君が確かなポイントを持っている事に気づいた。 Phoenix はあらゆる道徳性を変える。 君はOld Hegarchを殺した、だが彼は死んでしまったわけではない。 彼がそうならないと君は分かっていた。 彼は新たな生を得た、その命で彼の孫と再出発を果たした。 それは殺人か? スポックは君に自殺を強要した。 オムネは君を死刑宣告の銃の元に置き、君を再吸収できると考えた。 私たちは誰も死なない。 君が意図したのでないとしても、スポックを殺したことは変更できないし私はそれを許さない、そして私は君との宇宙の共有を望まない、だが君を手に負えない狂った狼として狩る事はやめるだろう ” もうひとりはからかう様に頭を下げた。 ”ありがとう、船長。 私の心がどれだけ救われたか言い尽くせない ” ”オムネからのオファーを受け入れるんだ ” カークが確りと言った。 ”君が追放を受け入れるなら彼は喜んで自爆をキャンセルするだろう ” ”そして君は彼と喜んで宇宙を共有すると? ” もうひとりが言った。 ”いいや ” カークが言った。 ”君程ではないが彼も充分に危険だ。 彼はただ君の時間が過ぎるのを待つしかない。 ここで、君は彼を殺すしかないが変更出来ないものではない、それは君に有用ではないだろうが。 君は彼のコードを必要としている。 彼は君同様に頑固だ、そして彼はあらゆる物を失っている。 君同様に。 彼が譲らなくては君に選択肢は無い ” もうひとりが頭を振った。 ”私にはひとつある ” 彼はスポックを見た。 ”君の論理はそれに追い付いたと私は考えるんだがね、Mr.スポック。 君がそれに名をつけないか? ” スポックは彼を厳しく見つめた。 ”貴様は私たちの身体と精神の類似性からくる共鳴により私の意識を征服し、私の身体を奪う事が可能であると考えている -- マインド.リンクを使えばメダリオンも機材も必要ではなくなると ” ”スポック! ” ジムが言い、ジェームズがゆっくりとスポックへと向いた。 指揮官は感じた言い様の無い恐怖が部屋を行き渡るのを、そして悟った皆がそれを考えていたと -- スポックでさえそれが可能であると考えていると。
1 note
·
View note
Quote
メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ 04月06日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新) 新着記事一覧へ  スクラップブックMYキーワード天気文字サイズ機能・サービス目次 Language総合ガイドお客様サポートログイン中 トップニューススポーツカルチャー特集・連載オピニオンライフ朝夕刊紙面・beMY朝デジ 新着社会政治経済・マネー国際テック&サイエンス環境・エネルギー地域朝デジスペシャル写真・動画 朝日新聞デジタル > 記事 カルチャー出版有料記事 黒木瞳さん「私は、谷川俊太郎先生に一方通行のエロス」 司会・構成 赤田康和 2017年4月5日16時40分 シェア49ツイートlistブックマーク6 スクラップメール印刷 続きから読む 対談を終えた谷川俊太郎さんと黒木瞳さん=東京都杉並区、飯塚悟撮影  詩人の谷川俊太郎さんと、小学生の頃から詩を書き、3冊の詩集を出している女優の黒木瞳さんが、東京都内の谷川さん宅で対談した。谷川さんに私淑してきた黒木さんが、谷川さんと対談するのは今回で3回目。黒木さんが詩のモチーフにしてきた「恋愛」、谷川さんのデビュー作以来の主題「宇宙的存在」など、幅広い話題で盛り上がった。 ――恋をモチーフにした詩を黒木さんはたくさん書いてきました。 谷川 恋は何回くらいしているの? 黒木 片手よりは多くないです。 谷川 始まりはどんな感じ? 好きな相手のそばにいるとぼーっとなる? 黒木 ぼーっとはしない。シャキッとなります。自分の感性の全体、すべての皮膚が呼吸しているみたいな感じ。私は谷川さんの『二十億光年の孤独』にすごく影響を受けているので、ちっぽけな自分の命は宇宙の中にあって、その中で人を好きになっているという感覚があります。 谷川 たしかに人を好きになるのは宇宙的。ただ人間関係をどう作っていくかという意味では社会的な営みだから、そこが難しい。僕の場合、詩も発注を受けて書いてきたけど、恋愛も「発注」されて、してきた感じで、自分から「好きで好きで仕方ない」というふうになった記憶がない。 黒木 それはおモテになったからでは。 谷川 このごろは「死ぬ」ということも「発注」されていて、それに応えて一生懸命死なないといけないという感じを持っている。 黒木 ここに生まれてきたことも誰かに発注されているという感覚ですね。 ――エロスについては? 谷川 人生のすべてですよ。エロスしかない、大事なものといえば。ビートルズだってそう歌っている。 いろんなエロスがある。幼い頃、父親が中国の硯(すずり)をなでているのを見たことがある。それがすごくエロチックだった。 黒木 想像するだけで、すごくエロチック。 谷川 僕は小学生の頃は男の子のことが好きだった。第1ラバー、第2ラバー、第3ラバーって順位をつけていたが、全部男の子。ぱたっと中3くらいでなくなった。ただ社会人になって彼らと再会すると感じが変わっていて、どこが好きだったんだろうって戸惑います(笑い)。 黒木 私の場合は、谷川先生に一方通行のエロス。同じ空気を吸っているだけで天にも昇る気持ち。先生の詩を朗読することで、私の中に入れている感じ。 谷川 俳優になって何年? 黒木 初舞台から36年です。谷川先生もお変わりないですね。 谷川 小学校に講演に行くと、子どもたちに「あれ? 生きている!」って言われる。教科書に載るような人は死んでいると思っているみたい(笑い)。 注文を受けて書く「受注生産」で多忙を極めてきたけど、最近は少し余裕が出てきた。好きだった車も乗らないし食事も一日一食。どんどん捨てる方向。詩を書くのが生きがいで、他に楽しみがない。ぼくは最近、子どもになって子どもの言葉で詩を書くという試みをしている。読者に飽きられちゃうから、過去と違う詩を書かなきゃというのもある。そもそも自分で自分の詩に飽きちゃうので。 黒木 小学6年生で詩を書き始めた頃から、谷川さんを勝手に自分の先生だと思ってきました。谷川さんの詩集『愛について』を読んだ時の衝撃は忘れられない。禁断の世界、エロス、男と女、未知の世界で、これが大人の女性になっていく上での登竜門なんだと思った。 谷川 責任を感じますよね(笑い)。詩を書くことで食っていくのは難しいし、詩人の現実認識は小説家より甘く、思想的、抽象的に捉える。萩原朔太郎は素晴らしい詩を書いた人だけど、ごはん食べるときに全部ぽろぽろこぼしちゃったんだってね。詩人は現実生活がうまくいかない人。 黒木 何か欠けている。 谷川 そう、心ここにあらずというかね。詩の仕事と女優の仕事の関係は? 黒木 演じる役のキャラクターについて、どんなふうに話をし、どんなふうに笑うのだろうと考えているうちに、詩の言葉がふと出てくることがあります。 例えば「この人は『風のように話す』人なのでは」と。詩は私の中に息づいていると自負しています。詩は読むのも本当に好き。言葉の羅列なのに、宇宙まで連れて行かれてしまう。 谷川 詩には、言葉が持つ意味以外の力、エネルギーみたいなものがある。 黒木 過去の対談では、谷川先生に「二足のわらじ」なんてやめて、詩は書かず、女優に専念しろと言われました。でもめげずに書き続けていきたい。いつか褒めてもらえる詩を書けるようになるまで。「谷川教」の信者ですから。 谷川 おさい銭ください(笑い)。(司会・構成 赤田康和) 関連ニュース 谷川俊太郎さん・片岡義男さん 電子書籍化、決断のワケ手塚治虫「秘蔵」のエロス 仕事場に眠る遺稿を初公開女2人の濃密エロス ロマンポルノ「長すぎ」ラブシーン園監督流の反ロマンポルノ 「郷愁でしかない」ばっさりイバンカ氏、日本大使公邸桜祭りに登場 PPAPに笑顔 PR情報 あなたの家の今の価格は?約60秒の簡単入力で今すぐ無料査定/ソニー不動産35歳会社員、夫婦+小さな子2人、この時代にあった家の選びかた トップニュース 朝日新聞デジタルのトップページへ 【動画】バーの中にリング今村復興相、「自己責任」発言を陳謝 衆院復興特別委(12:35)「マンホールカード」が熱い ご当地限定、高値取引も(11:24)リベンジポルノ、相談1063件 20代の被害突出(13:13)東京五輪の野球「千葉マリンでも」 連盟会長が切望(14:59)乳がん、肝機能を下げる恐れ ATRなどが解明(14:21)117人の日記紛失、コンテスト応募装う 姫路の小学校(13:09)ギャンブル依存は不要なリスク取りがち 前頭葉活動低下(14:35)D・ジョンソン、階段から転落 ゴルフ世界ランク1位(10:32) 注目の有料ニュース 一覧 黒木瞳さん「私は、谷川俊太郎先生に一方通行のエロス」カワウソ、ロープくわえ高速回転 技磨かれた悲しい理由 「国の本音が出た」自主避難者ら、復興相発言に反発 新着ニュース 一覧 14:57御影公会堂の改修完了 「火垂るの墓」にも登場 神戸13:26将棋名人戦「午後は長考の応酬」 鈴木九段が解説13:21「共謀罪」法案、審議入り 衆院本会議で論戦始まる13:12日経平均、一時250円超値下がり 今年の最安値下回る12:53イチロー、今季初打席は空振り三振 大リーグ 注目キーワード 一覧 北朝鮮ミサイル弾道ミサイルを再び発射 フィギュアスケート世界選手権V羽生が帰国会見 那須の雪崩事故「典型的な危険地形」 森友学園問題自民、安倍昭恵氏の喚問拒否 注目の動画 一覧 注目の動画羽生「みんなで戦う」 フィギュア国別対抗、出場者決定 おすすめ 大阪桐蔭センバツ優勝 初の大阪勢対決を制すあのときの、ラジオ 秀吉も楽しんだ?名所で花見 少年が熱狂、あの自転車 手のひらサイズで高音質 賛否あるキャンプ車のトイレ 銀座・由美ママが語る「粋」 モデルハウスでボルダリング 中嶋一貴が語るF1の異次元 器選びの極意と「俺の銘器」 京の宝、守って次世代へ 北欧の皮革製品づくりを体験  地球を食べる清明節の食べる宝石「青団」 上海でも草花が芽吹いてきた。街中で花に負けないくらい目にするものがある。それは「団子」だ。  おあがりやす抹茶を広げるきっかけに 抹茶本来の味を生かせる商品ができないか。家族経営の森田製茶が試行錯誤しチョコ菓子を完成させた。  &w住まいのヒントは、西新宿OZONEで リフォームや部屋の模様替えを検討する人なら、“住まいの情報発信地”OZONEに出かけてみませんか?  &w五感で味わう、ハーブの楽しみ方 暮らしへのハーブの取り入れ方を、ハーブの専門家・フローレンスめぐみさんに聞きました。 山里「僕は何もやってない」ベッキー、ゲス極再開に…有村「ひよっこ」19・7%市村正親「ギャラは…」桜田淳子の復帰に反対声明マツコ&有吉、新番組でも… 朝日新聞のウェブマガジン 男性向けマガジン、アンドM女性向けマガジン、アンドwアンドバザールアンドトラベル あわせて読みたい 日本人はなぜ「居眠り」をするのか? 自民・伊吹氏「陛下のご譲位、ぺらぺらしゃべるな」 「この体が嫌なんよ」胸かきむしり嗚咽、命絶った我が子 (教えて!年金改革:2)将来いくら受け取れる? Promoted「君の歌はひどい」歌の途中で曲を止められた少年。審査員からもう一度チャンスを与えられると!?サイクルスタイル 「この世界の片隅に」あれ?完成版と違う…客指摘で発覚 Promoted尾崎豊の息子・尾崎裕哉、生歌をテレビ初披露!名曲「I LOVE YOU」を歌唱サイクルスタイル NHKが美保純に指示「ごごナマ」で真面目になるな 10頭身ボディーの香川沙耶が世界一 宇多田ヒカル「恥ずい」ウィキペディア記載身長修正 平沼ファナ、大人のフェロモン放出 宮根アナ仰天!島田紳助さん貯金額は県予算レベル Recommended by 新聞宅配申し込みデジタル申し込み  将棋名人戦をタイムラインで 佐藤天彦名人に稲葉陽八段が挑む七番勝負を時系列で追います 紙面にプラスデジタル限定  PR注目情報  わが家、意外と高いかも? 約60秒簡単入力⇒不動産無料査定で 概算価格をチェック!<ノムコム> 鉄人とミスター赤ヘルのトークショーも 2500人が日本橋に集まったフェス 日本農業を変えるイノベーション スマート農業の未来 元AERA編集長 浜田敬子と考える 女性の安全の為に確認したいコト 元AERA編集長 浜田敬子が語る 相手に安心感を与える服選びとは? テリー伊藤が日本で一番好きな温泉宿? 全国のホット温まる温泉情報が満載! 朝日新聞文化・芸能取材班 朝日新聞将棋取材班 ※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。 アクセスランキン��� もっと見る 読まれています昨日のトップ5 「パンこそ日本らしい文化では」 パン屋さんたちの憤り  高架下、熱狂のプロレスバー 著名団体ない名古屋で  ピーポくん、30周年でムキムキに 警視庁のマスコット  埼玉)「マンホール」人気沸騰 14日に川越でサミット  黒木瞳さん「私は、谷川俊太郎先生に一方通行のエロス」 ソーシャルランキング もっと見る フェイスブックはてなブックマーク1 「行政文書ではない」4774 2 自主避難は「本人の責任」2962 3 詩人の大岡信さん死去1713 FacebookTwitter記者ページ 注目コンテンツ ご案内  【&BAZAAR】鉄腕アトムを自分で作る! AI対応の対話ロボ  【&TRAVEL】色彩の魔術師が愛した島 極上のワイルドジャーニー  【&M】連載「お金のセオリー」 投資信託ってなに?  【&w】和食給食応援団、活動中 川島蓉子のひとむすび  ブック・アサヒ・コム「館」の主人が新刊 単行本未収録作品を集めた  WEBRONZA若手女優が事務所を去る理由 引退がタブーだった芸能界  ハフポスト日本版人類が滅ぼした絶滅動物 文明社会の功と罪 野菜だけでなく農業の潜在能力までを引き出す 大地震への備え あなたの住まいは大丈夫? MBA、夢じゃない 社会人大学院 映画「たたら侍」ノベライズ毎週更新中! イオンスタイル碑文谷のうれしいこと3つ 心とからだを癒す、ハーブの楽しみ方 共生社会ってなんだろう?神奈川県の取り組み 国際社会の動きの中、変化する大学を読み解く 加藤夏希が考える理想の住まいとは? NEC特別対談 パラスポーツの未来を考える 独立を意識したら 朝デジ会員なら簡単登録! 【入会特典付き】 三井住友トラストカード ママ必見!子供の安全の為に気をつけたいコト 大特集/勉強法 勉強時間は短い方が好成績? HVユーザーが充電いらずのEV、日産NOTEに試乗 大学受験 2017年度私立大学一般入試をふり返る 厳選した求人情報をお届けします!マイナビ転職 テイ・トウワ アナログとデジタルの音を楽しむ マーケティングのノウハウと事例が満載! 朝デジ就活ニュース 転職情報 朝日求人ウェブ 動画 長崎・針尾瀬戸に渦潮奄美大島で海開き 子ども飛び込むカワウソ、ロープくわえ高速回転世界遺産・二条城に桜舞う「ケーキみたい」雪の回廊てぃ先生 男性保育士つぶやき人気長崎・針尾瀬戸に渦潮奄美大島で海開き 子ども飛び込むカワウソ、ロープくわえ高速回転世界遺産・二条城に桜舞う 写真 フォトギャラリー写真地球儀 冬のダンスの祭典「ダンスドリル2017」中学大会東京オートサロン2017宮廷文化の美を撮る自然豊かな奄美群島第68回さっぽろ雪まつり京都の秘宝、春の特別公開61チーム、高い技術披露150年前の神戸港の姿は?冬のダンスの祭典「ダンスドリル2017」中学大会東京オートサロン2017宮廷文化の美を撮る自然豊かな奄美群島 ページトップへ戻る 朝日新聞デジタルの関連サイト有料会員(フルプラン)は追加料金なしでご利用可能。詳しく≫GLOBE(グローブ)WEBRONZA(ウェブロンザ)天声人語・社説法と経済のジャーナル Asahi Judiciary 朝日新聞社から会社案内CSR報告書採用情報記事や写真利用案内新聞広告ガイドデジタル事業からデジタルサービス一覧携帯サービスAstand(コンテンツ販売)法人向け配信写真の購入案内記事データベース案内朝日IDグループ企業朝日新聞出版の本朝日新聞出版(dot.)朝日インタラクティブ朝日学生新聞社各国語サイト (News in various languages)The Asahi Shimbun Asia&Japan Watch (ENGLISH)Asahi Weekly (ENGLISH/JAPANESE)朝日新聞中文網(繁體字)朝日新聞中文网(简体字)The Huffington Post 日本版 (JAPANESE)CNN.co.jp (JAPANESE)日本購物攻略 (CHINESE) サイトポリシーサイトマップ利用規約web広告ガイドリンク個人情報著作権お問い合わせ・ヘルプ 朝日新聞デジタルに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。 Copyright © The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
http://digital.asahi.com/articles/ASK43439HK43UCVL00Y.html
1 note
·
View note
Text
【東京モーターショー2017】シェフラーブースでフォーミュラE王者ルーカス・ディ・グラッシが来日イベントを開催
2017年10月28日(土)、東京ビックサイトで開催中の「東京モーターショー2017」のシェフラーブースで、2016/2017年フォーミュラE 3rdシーズンでシリーズチャンピオンに輝いたルーカス・ディ・グラッシ選手の来日イベントが行われました。 シェフラーはディ・グラッシ選手の所属するABTシェフラー・アウディスポーツの技術パートナーとして、世界最高峰のEVレース「フォーミュラE」のパワートレインの設計、開発、製作をしており、ブース内には実際にレースで使用したモーターやフォーミュラEマシン(ショーカー)が展示されていました。 イベントには世界初の小学生でFIA認定F4ドライバーとなったプロレーサJuju選手、元F1ドライバーそしてJuju選手のお父様である野田英樹さんも登壇しました。 「たくさんのファンの方が見に来ていて、緊張します」と少し緊張気味のJuju選手。3歳でカートを始めたきっかけについて「お父さんの走りを見てかっこいいなと思い、乗ってみたくなりました。カートに乗ったら凄く楽しかったので、レースにも興味がでました」と語りました。 笑顔がとっても可愛いJuju選手ですが、最高速度240kmを出したことがあるというからビックリ! 「小さい頃からカートに乗っているので、怖いと思ったことは一度もありません」との発言に「逆に抑制するのが大変です」と野田さんも苦笑い。 トークショー中、司会者の質問に気が付かないほど、ぼーっとただ一点を見つめている野田さん���一体どうしたのでしょうか。 「写真を撮ったり、メモを取ったりしてくれているファンやメディアの方がたくさんいて、ありがたいなと思って……」と感慨深そうに話す姿に、会場が温かい雰囲気に包まれました。Juju選手の話をする時は「レーサー野田英樹」ではなく、大事な娘を想う「父の顔」になる野田さんが素敵でした。 そしていよいよ、皆さんお待ちかねのディ・グラッシ選手の登場です! スタイル抜群で、かっこいいー!! ディ・グラッシ選手を一目見ようと会場に詰め掛けたたくさんのお客さんから、大きな拍手が送られました。 悲願のフォーミュラEチャンピオンとなったディ・グラッシ選手は、2016/2017シーズンを改めて振り返りました。 「今年は大変な1年でした。でも決して諦めませんでした。ライバルのセバスチャン・ブエミ(ルノーe.ダムス)と43ポイントの差があり、多くの人が『チャンピオンはブエミに決まった』と言っていたけれど、それでも努力をし続け、集中しました。そして最終戦で逆転し、チャンピオンになることができたのです」 さらに続けます。 「他の人達がどういう事を考えているかに関わらず、目標をしっかり持って努力すること。そしてチャンスがまだ残っているのであれば、周りも巻き込んでモチベーションを高め集中すれば、目標が達成できるんだということを学びました。この教訓は一生忘れません」 「10代でF1とフォーミュラEに参戦することが目標です」と夢を語ったJuju選手に、「感銘を受けた」と言うディ・グラッシ選手。 「モータースポーツは主に男性のスポーツですが、その環境の中で女の子ながら頑張っているのは凄いなと思います。将来何をやりたいか、明確に目標を抱いているのはとても素晴らしいことですね。彼女の未来は明るいよ!」 また、イベントの途中にはブースに設置されているフォーミユラEシミュレーターによるデモンストレーションも行われました。 舞台は六本木市街地コース。実際に東京で開催したらこんな感じなのかなと、夢が膨らみます。近くで走りを見ていた野田さんは「ステアリングの操作が細かいですね」とディ・グラッシ選手のドライビングテクニックに興味深々でした。 走行を終え、39.625秒という好タイムを叩き出したディ・グラッシ選手は「僕より速いタイムを出せる人は現れるかな?」と、少し得意げな表情(笑)。 こちらのシミュレーターは身長150cm以上であれば誰でも体験可能なので、フォーミュラEチャンピオンの記録にチャレンジしてみては? なお、シミュレーター体験希望の方は、当日配布される整理券が必要なので、早めにブースに行く事をオススメします。 そして最後に日本のファンに、嬉しいメッセージが届けられました。 「最近インタビューで、次にフォーミュラEを開催するならどの街でやりたいか聞かれたことがありました。母国ブラジルや、家族の故郷イタリアではすでに開催されている……だったら次は『日本でやりたい!』と答えたんです。日本には熱心なファンが多いので、今まで日本でレースをした時は本当に楽しめました。今年は日本でレースができず寂しかったので、フォーミュラEの開催を実現し、また日本でレースができるようになればいいなと思います」 イベント終了後には自らファンのほうに向かい、サインを書いたり一緒に写真を撮ったりと、とっても優しいディ・グラッシ選手。会場にいた方、最高の思い出になったのではないでしょうか。 そんなディ・グラッシ選手に、個別取材をさせてもらいました! レーサーになったきっかけ、休日の過ごし方、仲良しなドライバーなどなど、いろいろな話を聞いてきましたよ。その模様は後日改めてレポートしますので、お楽しみに!! (yuri) 【関連リンク】 シェフラージャパン公式サイト あわせて読みたい * 【東京モーターショー2017】3階までバスで上がっちゃう会場内移動はシャトルバスが便利! * 【東京モーターショー2017 コンセプトカー・デザイン速攻インタビュー】マツダ VISION COUPEは日本人の感性 * 【東京モーターショー2017】ドライブシャフトの進化を体感できるシミュレーターを設置したベアリングメーカーのNTNブース * 清楚で元気!BOSCH美女が、たいそうカワイイ【東京モーターショー美女めぐり】 * 大きな瞳のシトロエン美女、なんと「二代目」だった!?【東京モーターショー美女めぐり】 http://dlvr.it/PyfMfT
0 notes