#甲斐���風汰
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ご無沙汰しております、tumbler
覚えてますかね、覚えてなくてもいいんですけど、tumblerって所詮お気持ち表明ブログですし、自己顕示欲の塊ですし、でも見たことあるアイコンの人からいいねが来たら生きてることが分かって嬉しくなっちゃう、そんなささやかなものですし、
最近は楽しさの中にいつか終わる寂しさが渦巻いて楽しいのか辛いのか笑えるのか泣くのか、よくわからない気持ちです、この間、親戚の小学生の参観日に行ったんですけどその担任の先生が子どもたちに向かって「緊張してる人?」「緊張してない人?」って聞いた後に「よくわかんない気持ちの人?」って聞いてて、そこで数人手上げてたんだけど、そっか、気持ちってよくわかんなくてもいいんだよね、ってそれも立派な気持ちだよねって思いました、
恋人が出来たんだけど、本当に好きか分からないけれど、セックスしてる時点で告白を断ることも出来ずに付き合ってしまった、でも愛すより愛されたいし、居心地はいいけどこれからどう転ぶか分からなくてそれでも何とかやっていこうとは思っています、でも、それで考えるのは、私の好きも嫌いも幸せなのか辛いのかよく分からない気持ちを何も考えないで済むように恋人が存在しているような気がして、それこそ性欲を発散している時は何も考えずに済んでいるわけで、それが依存につながるのかもしれなくてそれがとても怖い
大人になるにつれ隠していることも増えていってそんな風に周りの人を騙して生きたい訳では無いのに、私が不甲斐ないばっかりに、隠してる間に傷つける人間も増えてしまってそれがやっぱりダメなんだと思う、
全て精算してしまえば楽なんだと思うけど、精算するにはやっぱり私が頑張るしかなくて、よく分からないし、分かりたくもないので相変わらずぬるま湯に使っているような気持ちで生きています
特にオチはないです、今日はM-1ツアーに行きました、お笑いの力ってすごいよね、真空ジェシカくだらない掴みで笑わせてくれてありがとう、ヨネダ2000怒涛の展開で笑いしか考えられなくしてくれてありがとう、ロングコートダディ可愛いネタで笑顔にさせてくれてありがとう
僕ももうちょっとだけ頑張れたらいいな
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2024年の10大ニュース
1月:昭和産業「焼き天ぷらの素」で料理の幅が広がる
元々、料理するのは好きなのだが、天ぷらだけは自宅でやるのは難しかった。とにかく油の処理が大変・・・。ところがこの「焼き天ぷらの素」はその名の通り、衣を絡めフライパンで焼くだけ。なかなかのクオリティで手軽に天ぷらが作れちゃう優れもの。食生活に少なからず変化があった。天ぷらは出来立てが旨いに決まってる。
2月:ぎっくり腰
運動の習慣が付き、日���からストレッチも心掛けていて、もう何年もご無沙汰だった衝��が不意に訪れた。風呂の湯船から立ち上がろうとしたその時、懐かしい響きが腰から・・・すっかり治るまでの2週間は本当に辛かった。運動しようがなにしようが、なるときはなるのだ。
2月:謎のPVの正体が40年ぶりに判明「STAR FLEET」
中学生の頃、移りの悪いTVKチャネルで一回だけ観た謎のPV。インターネット時代になってもその謎を解くことができないでいたのだが、ある日突然YouTubeのリコメンドにその正体を現したのであった。あの謎の外国人がブライアン・メイだったとは・・・
3月:かつてのプロジェクト・チームでお別れ会
サラリーマン人生、それも若いころの全てを注ぎ込んだプロダクトが終了と相成り、かつての関係者が揃ってのお別れ会に参加。20~30代を一緒に過ごした多くの方々と旧交を温めることができ、感慨深い時間であった。
4月:ライン幹部への復帰
上長直々の依頼により、2年ぶりにライン幹部に復帰。ミッションは新組織の立ち上げ&定着。正直、やりたくなかったが、一緒に仕事をすることになった幹部の面々との座組が面白そうだったのでお受けすることに。結果、いろいろトレードオフもあったが、選択して良かったと思う。
4月:コロナ禍明けで初、友人らと中華でお食事会
ようやくの再会。友人長男が高校合格のタイミングと重なり、諸々含めて銀座の回る中華をごちそうした。コロナ禍の時の約束だったので。やはり実際に会えるってのはそれだけで楽しいし嬉しい。
4月:ハンバーグセットが\3,000越えで仰天
場所は横浜。とにかく空腹だったので目に入ったレストランへ。そして何の思考もなくお勧めメニューのハンバーグセットを注文。美味しかったのだが、お会計でそれが\3,000超えだったことを知る。モノの値段が上がってるのは分かるが、ハンバーグで3,000円は驚いた。
6月:母と二人で「法然と極楽浄土」@東京国立博物館へ
母親たっての希望で上野へ。ちょうど、お天気も良くて良い一日になった。なかなか一緒に遠出するのも難しいのだが、ことある機会で、またいろいろ模索してみようと思う。喜んでもらえたみたいで良かった。
6月:能登の親戚��中華でお食事会、従妹との再会
同い年のいとことたぶん20年ぶりぐらいに再会。あんなことがあったにも関わらず、なーんにも変わってなくてホッとしたような。物理的な距離もあるし、更にむやみに会いに行くのも・・・とは思うのだが、大人になり過ぎたからこそ挑んで会う機会を増やさないといけないのかも知れない。
11月:念願の諸橋近代美術館へ
今年はいくつも地方の美術館へ行くことができた。中には泊りがけのケースも。ダリ作品との出会いも嬉しかったが、なによりロケーションが最高、天気も最高で頑張って遠出した甲斐があったというもの。地方美術館は今年も狙っていくぞ。
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[Announcement] 舞台『学園事変』(butai gakuen jihen)
you will be able to watch 4 shows @ Confetti Streaming Theater
price: ¥4.500 (each)
◎ Abe Kaisei (main) & Team B [January 8th, 2021 ~14:00]
◎ Abe Kaisei (main) & Team B [January 8th, 2021 ~19:00]
◎ Kakegawa Ryouta (main) & Team B [January 10th, 2021 ~13:00]
◎ Kakegawa Ryouta (main) & Team A [January 10th, 2021 ~17:00]
the show will be running from January 5th, 2021 to January 10th, 2021 (Tokyo) @ 日暮里d-倉庫 (Nippori’d-Souko)
Cast:
Abe Kaisei as(熊谷直人) [5th, 6th & 8th] Kakegawa Ryouta as(熊谷直人) [7th, 9th & 10th] Watanabe Hikaru as(早乙女悦子) Miyakoshi Manae as(書留見紙) [Team A] Mori Yuuki as(書留見紙) [Team B] Satou Shinsuke as(黒土闇) Yamasaki Reo as(三橋知高) Nakajima Kazuhiro as(本田吾郎)
Team A
Kai Yuuta as(松橋下) Okazato Natsuri as(二木真央) Uchida Masanori as(家弓優) Tominaga Kokoro as(上場成子) Watanabe Momoka as(寒波真人) Makita Yuuki as(坐也蜜) Tabuchi Ayano as(飯田和子) Aoi Haruno as(浅井香織) Ogawa Takamasa as(田中走流)
Team B
Harukawa Mahiro as(松橋下) Aoba Saaya as(二木真央) Minokoshi Ryou as(家弓優) Izumi Kiria as(上場成子) Toyota Kanami as(寒波真人) Nakazawa Noa as(坐也蜜) Aki as(飯田和子) Tamura Ayu as(浅井香織) Yada Tomohisa as(田中走流)
Kawatani Shuuji as(用務員のおじさん)
homepage
#学園事変#gakuen jihen#阿部快征#abe kaisei#��川僚太#kakegawa ryouta#渡邉ひかる#watanabe hikaru#宮越愛恵#miyakoshi manae#森由姫#mori yuuki#佐藤慎亮#satou shinsuke#山﨑玲央#yamasaki reo#中島一博#nakajima kazuhiro#甲斐優風汰#kai yuuta#岡里捺李#okazato natsuri#内田政徳#uchida masanori#トミナガ・ココロ#tominaga kokoro#渡邊百香#watanabe momoka#牧田優希#makita yuuki
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2022/06/24-2022/06/30
6月24日(金)
出勤時間が遅いのと重たい倦怠感で昼あたりまで寝ていた。
昨日は上司が募らせていたストレスが爆発したように、新人さんに大叱責。新人さんとしては、いつにも増してミスを連発した地獄の一日だっただろう。あまりの怒声に、離れたところで聞いているほうもぎゅっと胸が摑まれて潰されそうになる。
夕方で仕事は終わり、まだ明るく、雨も降りそうになかったのでそのままの足で畑へ。もさもさに育ったサンチュや、大きくなってきた茄子やピーマンを収穫。畑はなかなか精力的に行けていないけれども、その間にもどんどんと育っている。枝豆やトマトは実がなりはじめている。雑草を一通りとって、帰った。家に帰ってからは冷蔵庫に残っていた鶏もも肉を焼いてサンチュで巻きながら食べた。茄子は味噌汁へ。ピーマンは後日。たっぷりとお腹が破裂しそうになるくらいまで食べて、わかったのは食欲は大丈夫そうだということ。なによりです。
それから国民健康保険支払いに関する通知がやってきた。去年は月三万くらいの請求がやってきてギョエエエエエと阿鼻叫喚の勢いで翌日役所に乗り込み、同じように白目を剥いているだろう人たちの減免を申し込む列に並び、甲斐あって最大減免してもらったのもいまだ強烈な記憶として残っているのだけれど、月三万とは一体なんだったのか、今年の支払額には逆の意味で目を見張る。前年の収入に���じて変動するそうで、それはもう、失業保険で繋ぎながらの前年の収入といえば微々たるものであったので減額は当然といえば当然なのだけれども、ちょっと驚きの額。急に安堵。でも来年以降はないだろう。
6月25日(土)
ネットのちょっとした怖さを間近に垣間見る。とりわけSNSは、多くの人に簡単に目に付き、世界に向けて裸で歩いている状態であるというのを自覚していないと、どこに影響するかわからない。私も私で、日記を公開しており、時には生活の事象に関して固有名詞を使用したり、読む人が読んだらわかるような内容を書いているので、他人事でもない。 それにしたって、ひどい。
夜中に悩んでいた求人に応募。先日抽選したアジカンのライブの当選通知が届く。
6月26日(日)
ピープルのライブの当選通知が届く。二公演応募して、二公演とも当選だった。遠すぎる存在でないことはありがたい。しかし秋に、急にライブがいくつか。そして、文フリ大阪とライブで日程が被ることに気付く。申し訳ないがライブをとらせていただき、東京に出ようか考えている間に、東京の方の応募数は既に予定数の800ブースを越えたとのこと。コロナ禍以前よりも勢いがあるらしい。何事? 流行? 創作の流行、良きかな。 ついでに面接日程のメールもやってくる。
あまりの暑さとまたも倦怠感で部屋から動けず。暑さが倦怠感に更なる拍車をかけている。でも昨日は映画を観に行きたかった。無性に映画館に行きたかった。なにしろ観たい映画がずんずんと溜まっていて、知らない間にどんどん終わっているからだった。シン・ウルトラマンとか、メタモルフォーゼの縁側とか、ベイビー・ブローカーとか、犬王とか、とか。ダンブルドアの秘密も観たかったが、いつのまにかどこも上映を終了していた、儚い。映画館の上映予定を眺めていると、あんスタのイベントのライブビューイングもあった。すこぶる興味があったが、今スマホをできるだけ控えようとしている繋がりであんスタのモチベーションが下がっているのと、アイドルに対するお客さんたちの猛烈な熱意にたったひとりではついていけるような気がせず、やめる。あんスタはとにかく濃い。その濃さ、きらめきにふれたら、実はめちゃくちゃ元気になったりするんだろうか。アイドルのきらめきを一身に浴びたらどうなってしまうんだろう。
結局あんスタはやめてシン・ウルトラマンを観ようという気になって多少は暑さのやわらいだ外へとふらふら出ていって、夕方のシン・ウルトラマンを券売機で買おうとしたところ2400円と表示されていつの間に映画までそんなに値上げしたのかと震撼していたら、ドルビーシネマだった。そりゃそうだった。悩んで、1回目だし、何もドルビーシネマじゃなくても……という貧乏性が顔を出して、結局もう上映が始まろうとしているベイビー・ブローカーを観た。万引き家族をいつだったかスクリーンで観て以来の是枝作品。パラサイトでも良かったソン・ガンホが相変わらずとても良い演技をする、けれどもみなさんとても良かった。後半あたりはじくじくとずっと泣いていた。時に詩的、ともとれるような、しんと響くうつくしい台詞がかれらの口からこぼれるたびにその言葉の情感だとか背景だとか息づかいだとか視線だとか光だとかさまざまなものがスクリーンから静かにあふれてやってきて、ずるいと思いながら素直に泣いていた。是枝作品は相変わらず仄暗い。暗いけれども優しい。日陰で俯いて生きているひとたちを静かに映す。そうしたところがずっと好きだ。
感化されて家に帰ってから絵を描いた。夕陽。
そういえばケンタッキーで初めてツイスターを食べた。物足りなさを抱える。オリジナルチキンが最強。
6月27日(月)
朝から歯医者に行って歯科衛生士さんにメンテナンスをしてもらう。気楽な会話をするようになり、多少は関係性も良いものになった。口内をいじられているときの、抗いようのない、無力感。好きなようにしてください、とお腹を向けて転がっているような気分はこんな具合に近いだろうか。どうせ抗えないのなら、関係性は良好に越したことはない(抗う・抗わないに限らず、良好が一番、なのだけれど)。治療はあと三回くらいで終わる予定らしく(長かった)、この月一のメンテナンスも来月でひとまず一段落、のはず。それが終わったらどのくらいの頻度で来るように言われるのだろう。今の賃労働は歯医者のためにあると言ってもなんら過言ではない。しかしそれでは寂しいので、またも映画館へ行く。特に他にやりたいことが浮かばなかったので、二本も観た。贅沢といえば贅沢だ。しかしまあ、最近、映画館で映画を観ることはおろか、本も贅沢な品になりつつあると風の噂で聞いたのだけれど、ほんとうでしょうか。確かに、ほんの十数年前と比べても、本の値段は高くなったけれども。あんまり節約だ贅沢だと縄を絞めても仕方ない、なんて、割けるお金があるから言える台詞で。とはいえ、本が贅沢といいだすと、もはや勉強も娯楽も贅沢といっているようなものだし、映画館で映画を観ることも、今、精神的にちょっとまいっているな、という自分の状態とお金を天秤にかけたときに、大事にすべきなものが圧倒的に自分で、観たいわけで、観た。シン・ウルトラマンと、犬王を観た。昨日はベイビー・ブローカー。三作ともそれぞれ違うベクトルの作品が自分の中で往来しあって、不思議な愉快さだった。シン・ウルトラマンのものすごい速度で進行していくストーリーを理解しようと脳をフル回転させる、ちゃんと物語に平行して走ってゆこうとしていた。終わったらけっこうへとへとだったが、その後の犬王はミュージカルパートもあってそんなに頭を使わなくて良かった。しかし圧倒的な歌唱にひたすらおののく。そして時勢は残酷だ。アニメ平家物語を観てからだったらもっと面白かったかもしれないとちょっとだけ後悔。
シン・ウルトラマンを待つまでの30分程度が微妙に空いて暇だったので、開場前にベンチに座って持ってきていた西加奈子『夜が明ける』を読んでいると、まったく見知らぬ6歳くらいの男の子が近くにやってきて、あの、と声をかけてくる。驚いて目を瞬かせていると、彼は緊張しっぱなしで、あ、あの、け、けいたい、が、といった具合にたどたどしい口振りで話している。携帯? どうやら話をきくと、このあたりに携帯を落としたかもしれない、というのだ。顔を上げてみると、その子のお兄さんらしき子が、自分のスマホを耳にあてている。たぶん、弟の携帯が鳴らないかと探しているのだった。けれども私はまっさらなベンチに座っていて、立ち上がってもなにもなく、床を覗きこんでもなにもなく、なんにもなかったけど、と言うと、彼はしゅんとして、とぼとぼとトイレのほうへ向かった。映画のスタッフはちょうど周囲にいなかった。大丈夫かなあ、スタッフさんに聞いてきてあげようかなあ、親御さんは近くにいるだろうか、とこちらまでそわそわしながら、なかなかお兄さんとトイレから出てこず。仕方なくまた本を開き、ちまちまと顔を上げてあの兄弟が前を通らないかうかがったが、結局いつのまにかあたりはシン・ウルトラマンを待つ客が増え、兄弟をもういちど見ることはなかった。携帯が見つかっているといい。安堵して、喜んで、大事に握りしめてくれているといい、のだけれど。
6月28日(火)
あまり人のことを馬鹿と言わないようにしているのだが、あまりにも馬鹿げたことが会社全体に表沙汰になって広まっていた昨日。ちょっと擁護のしようがないし、私も私で、怒っている。そしてもう諦めている。信用を失う状態を実感している。そうはいっても仕事は続く。 なかなか覚えてくれないのはもはや仕方ないとしても、10回教えて下さいとあまりに悪びれもなく言ってのける新人さん。私も忘れっぽい自分にほとほと困っているんですけど、忘れっぽい自覚があるのであればメモをして見返しましょ、数分後、数時間後、明日の自分に伝えるために、やるべきことです、とできるだけ強く伝える。 我慢強くいる。 しかしもうどうしたらいいのか、あらゆる意味でお手上げ状態。 もう既にとても疲れた朝。
6月29日(水)
寝ては起きて寝ては起きて、浅い眠りを延々と繰り返して結局かなりの寝坊。外の熱は狂気的。 夕方で終わった仕事帰りにスーパーに寄るとき、街路樹のほうから蝉の声。俯いていた顔を上げる。短い梅雨は終わった。もう本格的な夏だ。 こらえきれずLINEで愚痴を吐く。
6月30日(木)
感情を殺しても声が震えた。その震撼を明確に自覚した。ああ、怒りというものは表層に存在するものなのか。時に一番、外側に。だから真っ先に顔を出して、人は声を荒げたりするのか。でもそんなことはしない。鈍感で滑稽な裸の王様には、無駄なことだと、対極に位置する虚しさに、くるまれた。何も通用しないのだと、心底、痛感したから。それでも震えた息には、かろうじて絞り出した抗議の言葉には、我慢しきれない、溢れたものがこめられていたか。 その時、私はどんな顔をしていたんだろう。どんな眼をしていたんだろう。それを外側から観察してみたかった。 しかし自分が思っていた以上に、精一杯これまで殺そうとした、あるいは見ないふりをしていた、感情が強烈な濃度で歯の裏までやってきた。確かに、噛み殺していた。 最も深くに見つけたものは、まだ言葉にできない。 沈黙の中に閉じ込める。沈黙の中に存在させる。それは不在ということにならない。言葉にしないことがすなわち無にはならない。いつか時間が流れていくにつれて、他の出来事が、生活が、流れていって、この口の中の汚濁はきっと希釈される。それでも消えてなくなりはしない。
今は、途方に暮れたような思いで���空腹を持て余している。
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橋本環奈のクラスメイトに、小関裕太・瀬戸利樹ら注目の若手俳優集結!生徒を追い込む"最狂教師"に中村獅童!
橋本演じる樫村に密かに想いを��せる、サッカー部一のモテ男・榊蒼汰役に、映画『春待つ僕ら』や NHK 連続小説「半分、青い。」など話題作への出演が絶えない小関裕太、クールな性格の持ち主でクラスメイトたちからは一歩距離を置く和田隼役に、ドラマ「偽装不倫」のピンク髪のボクサー・八神風太役で注目を浴びる瀬戸利樹、そして、生徒を絶望の淵へと追い込む担任教師・下部役には、京都南座「八月南座超歌舞伎」にて初音ミクと共演したことでも話題の中村獅童が務める。
また、生徒役のキャストには、小関演じる榊と同じくサッカー部に所属しキャンプテンを務める仲間思いの西園寺聖也役に、舞台「デスノート THE MUSICAL」の主演が決まっている甲斐翔真、同じくサッカー部所属で内気ながら優しい心を持つ藤春昴役に、ドラマ「あなたの番です」などの中尾暢樹、同じくサッカー部所属でムードメーカーの桐野玄役に、『JK☆ROCK』などの福山翔大、 野球部に所属し彼女思いの羽柴健太役に、雑誌「MEN'S NON-NO」専属モデルとしても活躍する中田圭祐、人と関わるよりも読書が好きなクールな図書委員・園田樹里役に、雑誌「NON-NO」の専属モデルとしても活躍する 山田愛奈、樫村と共にバドミントン部に所属する親友の小泉はるか役に、ドラマ「今日から俺は!!」などの 若月佑美、ダンス部に所属するクラスのお調子者・関克美役にドラマ「あなたの番です」などの前原滉、DJ 部に所属するノリが軽い山本英司役に、ドラマ「ルパンの娘」などの栗原類、身体が弱いながらもマネージャーとして健気にサッカー部を支える箕輪紀子役に、『凪待ち』などの恒松祐里らが務める。
今注目を集める若手キャストたちが、どんな演技バトルを繰り広げるのか?また中村獅童は、生徒たちを奈落の底に突き落とす“最狂教師”をどのように演じるのか?是非ご期待ください。
ーコメントー
◆榊蒼汰役:小関裕太 スリリング作品が大好物な上、原作が大好きなので、出演が決まった時は嬉しくて飛び跳ねました。 何を信じていいのか。何を疑わなければいけないのか。崩れて行く人間関係。1秒1秒のその人の選択するものによって未来が変わってしまう��怖。 そんなスリリング映画を観終わった後僕はいつも、水一滴の美味しさ、生きることへのありがたみ、自分の悩んでいることのちっぽけさを感じます。 『シグナル100』の現場では、予測不可能な展開にリアルに怯える撮影の日々でした。 是非この映画を観に来てくださる皆様には、僕たち生徒36人の「生きよう」とする様を、一瞬も逃さず手に汗握りながらご覧いただきたいです。
◆和田隼役:瀬戸利樹 和田隼役を演じさせて頂きました。 この役は自分にとって挑戦でした!どう演じるか悩みに悩んで挑んだ役です。 自殺催眠にかけられた生徒が生き残りを賭け、足掻いている姿、人間の本性、必見です! 撮影中は狂気的な作品ということもあって刺激的な毎日を過ごさせてもらっていました。 それと同時に毎日学校で撮影だったので、どこか高校時代に戻った気分になりました。 僕にとって初めてとなる、心の中のどこか一部���に小さな狂気を宿しているような 役柄を是非見て頂ければと思います。
◆下部役:中村獅童 教師役というのは、あまり演じる機会がなかったのでとても新鮮でした。 下部の狂気じみた行動は、周りからみれば特異ですが、彼自身はそれが正義だと思っています。何を考えているのかわからない謎めいた不気味さを出せるよう努めました。 撮影現場は、橋本さんを中心に明るく活気があり、束の間でしたが良い刺激を受けました。 ストーリーがとても面白い作品なので、映画館の大きなスクリーンで是非ご堪能いただければと思います。
<バレー部> 何でも話し合える親友のふたり。学校内では常に行動を共にしている。 野島芽衣子役・工藤綾乃:『HiGH&LOW THE MOVIE』 君津早苗役・鈴木つく詩:SUBARU TVCM "Your story with"シリーズ「灯台」編 <不良少年グループ> 先生に楯突くこともある、クラスの問題児たち。 久保田純哉役・中島健: 『HiGH&LOW THE WORST』 堂上真一郎役・市川理矩:『花燃ゆ』 児玉力役・小出水賢一郎:『スマホを落としただけなのに』 <遅刻常習者の自由人> 明るい性格の持ち主だが、何度注意されても遅刻癖は治らず、先生たちには半ば諦められている。 吉川絵美役・三上紗弥:「覚悟はいいかそこの女子。」 <帰宅部> クラスの中ではあまり目立たない優等生グループ。 井沢学役・白石拳大:『いぬやしき』 森聡志役・安田啓人:ドラマ「不甲斐ないこの���性を愛してる」 米村麗華役・真崎かれん:『君は月夜に光り輝く』 渡辺望役・中島来星:ドラマ「西郷どん」 <イケてる女子グループ> クラスの中でも目立つ存在の女子グループ。みんな榊が好きで、あわよくば彼女の座を狙っている。 小宮山澪織役・北村優衣:『黒崎君の言いなりになんてならない』 朝比奈優子役・さいとうなり:『ホットギミック ガールミーツボーイ』 萩野里未役・宮下一紗:舞台「SECW(School entrance ceremony wars)~入学式戦争はモノガタリの始まり~」 佐々木萌香役・駒形咲希:『ハルチカ』 <ラグビー部> 責任感の強い爽やかコンビ。 加藤涼役・神田穣:ドラマ「クロスロード~声なきに聞き形なきに見よ~』 坂本紀人役・黒澤胤也:AbemaTVドラマ「1ページの恋』 <バスケ部> 明るくふざけてばかりいるやんちゃコンビ。 藤田陽太郎役・東啓介:劇場アニメ『薄墨桜 -GARO-』 日野匠役・宗綱弟:浅草軽演劇集団・ウズイチ メンバー <ダンス部> 関(前原滉)と水谷、江崎と小山内は、クラス公認のカップルで、ラブラブすぎて目に余ることも。 小山内夏生役・戸苅ニコル沙羅:ドラマ「相棒 Season16」 江崎大和役・吉田仁人: 『斉木楠雄のΨ難』 水谷雫役・山本彩加:NMB48メンバー <文化系女子グループ> クラスの中でも地味な部類の女子グループ。共通の趣味で毎日密かに盛り上がっている。 津島愛役・大森つばさ:ドラマ「ぬけまいる」 安西桃子役・河井つくし:舞台「some day」 鈴木みのり役・宮本夏花:AbemaTVドラマ 『1 ページの恋」
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2022世足》葡萄牙 vs 迦納 | 世界盃小組賽H組比賽運彩預測分析
2022世足》葡萄牙 vs 迦納 | 世界盃小組賽H組比賽運彩預測分析
葡萄牙團隊 | 卡達世界盃
葡萄牙足球歷史上有過三次輝煌時期,第一次是在1966年由葡萄牙傳奇「黑豹」尤西比奧(Eusébio) 帶領葡萄牙首次闖進世界盃,尤西比奧出身於非洲莫三比克,卻代表葡萄牙參賽,並取得目前為止世界盃最佳成績季軍。第二次則是90年代末期的黃金世代,由 路易斯·菲戈(Luís Figo)領銜,在2004年歐國盃拿到亞軍,差一點拿到第一個大賽獎盃。 最近一次就是大家耳熟能詳的 C羅,其實2004年稚嫩的C羅才剛剛出道,與上一代傳奇 菲戈一起拿到歐國盃亞軍後,變繼承了他在國家隊的重擔,此後便成為葡萄牙的頭號球星。之後葡萄牙一直在國際賽表現穩定但卻缺乏臨門一腳,直到2014年更換現任主帥 費爾南多‧桑托斯(Fernando Santos) 後,終於在2016年拿到歐國盃冠軍,並在第一屆的歐洲國家聯賽取得優勝,終結了葡萄牙缺乏大賽冠軍的時代。
葡萄牙團隊傷病消息 | 卡達世界盃
葡萄牙沒有傷病問題,因為所有 26 名球員都適合比賽。C羅在與奈及利亞的友誼賽中胃部不適,但這位前曼聯球員現在身體健康,也將盡全力打破他的進球記錄。
2022世足》葡萄牙 vs 迦納 | 世界盃小組賽H組比賽運彩預測分析
葡萄牙關鍵人物 | 卡達世界盃
克里斯蒂亞諾·羅納度-C羅(Cristiano Ronaldo) 目前他共獲得5座金球獎、5次世界足球先生及4座歐洲金靴獎,均為歐洲籍球員記錄。球隊獎項方面,他共獲得7次聯賽冠軍、5次歐洲冠軍聯賽冠軍及2次國際賽大賽冠軍。 C羅在2012年5月成為第一位在西甲單賽季對每支球隊都有進球的球員。2013-14賽季,C羅帶領皇馬奪得歐冠及國王盃冠軍,他憑藉本季的出色表現盡攬歐洲金靴、歐冠金靴、西甲金靴獎等榮譽,更以17球創造歐冠史上單季個人最多進球的紀錄。在葡萄牙國家隊,C羅納度超越了前輩保萊塔(Pauleta)和尤西比奧成為第一位國際賽進球數字達到50個的球員,亦是國家隊隊史進球數最多的球員。 拉斐爾·萊昂(Rafael Leão) 這位AC 米蘭前鋒本賽季表現出色,他以驚人的速度和對抗防守隊員的堅定信念,使他成為一名出色的左路球員。葡萄牙似乎有很多新鮮的人才,萊昂也渴望能夠展示他的專業能力,他已經準備好在他的世界杯首秀中給人留下深刻印象。
2022世足》葡萄牙 vs 迦納 | 世界盃小組賽H組比賽運彩預測分析
葡萄牙預測陣容 | 卡達世界盃
科斯塔(Costa); 坎塞洛(Cancelo),迪亞斯(Dias), 佩佩���Pepe), 門德斯(Mendes); 內維斯(Neves), 卡瓦略(Carvalho), 費爾南德斯(Fernandes); 席爾瓦(Silva), C羅, 萊昂
迦納團隊 | 卡達世界盃
迦納足球在非洲其實非常強勢,他們曾經拿下過4屆非洲盃的冠軍,近幾年來他們在非洲盃也表現不錯,這歸功於迦納人天生身材壯碩且爆發性十足。另外,迦納在2008年至2017年間,6屆非洲盃都能拿下保底殿軍的成績,無疑是非洲的傳統強權。相較於在非洲盃的佳績,迦納直到2006年才參加世界盃,其中表現最好的一屆在2010年世界盃,當年他們靠著迦納歷史進球王 阿薩莫阿·吉安(Asamoah Gyan)的好表現衝進四強的致勝絕殺被烏拉圭前鋒路 易斯・蘇亞雷斯Luis Suarez的「撲救」拒於門外,隨後的罰球沒能罰進、PK大戰又敗下陣來,以最痛苦的方式結束了屬於非洲的八強驚奇之旅。 不過,近四年間,迦納的風采不再。2019年非洲盃16強淘汰、2021年更是小組賽便早早回家。本屆世界盃資格賽也走得非常驚險,小組賽與南非同積分、同淨勝球,比到進球數才勉強晉級;附加賽對上奈及利亞,兩場和局,又得比到客場進球才有辦法取得世界盃門票。
迦納團隊傷病消息 | 卡達世界盃
迦納目前沒有受傷的球員;球隊將派出最強大的陣容,每個球員都可以開始比賽。
2022世足》葡萄牙 vs 迦納 | 世界盃小組賽H組比賽運彩預測分析
迦納關鍵人物 | 卡達世界盃
安德雷·阿尤(André Ayew) 他曾經在2016年8月以大約2000萬��鎊的價錢轉會到英超球隊西漢姆,但在2018年1月回到斯旺西,轉會費約一千八百萬英鎊 阿尤是迦納最年長的球員之一,他也將成為邊路的威脅;儘管她已經 30 多歲,但他的速度仍然足夠快,迦納隊對他寄予厚望,因為他是能夠影響比賽結果的重要因素之一。 穆罕默德·庫杜斯(Mohammed Kudus) 2020 年 7 月 16 日,庫杜斯 以900 萬歐元的價格與荷甲俱樂部阿賈克斯簽下一份為期五年的合同。他在 9 月 20 日對陣 瓦爾韋克的聯賽中首次代表俱樂部出場。主教練 埃里克·滕哈格 隨後稱庫杜斯為一名具有“難以置信的潛力”的球員。他繼續他的強勢表現,在他的前三場比賽中打進一球並提供三次助攻。然而,他在 10 月 21 日主場對陣 利物浦的歐洲冠軍聯賽中的處子秀卻是災難性的。僅僅六分鐘後,庫杜斯就因半月板受傷而被換下,讓他離開幾個月。
2022世足》葡萄牙 vs 迦納 | 世界盃小組賽H組比賽運彩預測分析
迦納預測陣容 | 卡達世界盃
阿緹-基吉(Ati-Zigi); 蘭普蒂(Lamptey), 阿瑪泰(Amartey), 薩利蘇(Salisu), 門薩(Mensah); 帕爾特伊(Partey), 薩姆德(Samed); 蘇萊馬納(Sulemana), 庫杜斯(Kudus), 喬丹・阿尤(J. Ayew); 安德雷·阿尤(A. Ayew)
葡萄牙 vs 迦納預測 | 卡達世界盃
其他國家絕不能低估葡萄牙的陣容;這一次,他們算得上是更好的球隊之一,擁有非常出色的球員,但球隊還沒有團結起來。因此,迄今為止的結果令人擔憂。一旦葡萄牙找到了完美的��合,相信他們就可以在這場比賽中一路走下去。 如果迦納正在尋求取勝的方法,他們可以觀看沙烏地阿拉伯與阿根廷的比賽;且迦納在最近的比賽中表現也令人欽佩,但想要與葡萄牙這支有成就的球隊抗衡還是有些艱難。但正如我們在阿根廷對沙烏地阿拉伯的比賽中看到的那樣,奇蹟是有可能發生的。 更多2022世足賽程、2022世足分析、2022世足新聞以及2022世足明星 Read the full article
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【小説】『朝霧と憧憬』3
盆踊りの会場は幼い頃の青年にとって、広くてたくさんの店があってわくわくするような、なんとなく浮つくようなそんな雰囲気に満ちていた。だから盆踊りへ参加すると決めた時、青年は同じ会場に行けば、同じ高揚感を得られるものだと思い込んでいた。しかし、二十歳のボーダーを踏み越えた青年の目から見た会場はどことなく寂れて見えた。その時青年は楽しかった過去の記憶が幾分か脚色されているかもしれないと気づいたのだった。
「ほら、逃がした魚は大きいってよく言うでしょう?そんな感じで失くしてしまったものの方が美しく見えるってことない?」
「まぁ、あるかもしれない、ですね」
青年は喉がきゅっと閉まるような既視感を覚え、足元を見て答えた。いい加減に選んだスニーカーはズボンの色とあっていない。ふと視界に入った雑草にはまだしずくが光っていた。
「そういえば、昔スケッチブックと色鉛筆を買っていただいたことがありましたよね?」
既視感の正体を手繰って青年は尋ねる。
「あぁ!よく覚えてるわね。確かヒーローのベルトの時でしょ?」
「ヒーローベルト・・・・?」
青年の薄れた記憶の端で赤とシルバーを基調としたプラスチックが安っぽく輝く。
「あれ?そこまでは覚えてなかった?確か壊れちゃったって泣いてたんだよね」
女性は懐かしむように目を細める。
「新しいのを買ってあげるって言ってるのに泣くから、どうしようかと思ったわ。上坂のおばさんがいてくれてほんとに良かった」というのは後日語られた青年の母のセリフだ。母の言うには、壊してしまったおもちゃのことで泣いているのをおばさんがなだめてくれたらしい。青年はぼんやりとではあるが、その時の自分が新しいものが欲しかったわけではなく、壊れたそれが良かった事を思い出した。あの時、おばさんはなんと声をかけてくれたのだったか。青年は首をひねった。
「あの後確か思い出を残しておくために絵を描こうって話をして、それで色鉛筆を送ることになったんだよ。ちゃんと描いた絵も見せてくれてさ。これおばさんだよって」
女性はまるでそこにスケッチブックがあるかのように手を動かした。青年もその手元にスケッチブックの表紙を重ね視る。
「あの、僕、今でも絵を描くんです。そういう学部に行ってて」
詰まった喉から無理やり言葉を絞り出したせいで息が弾む。
「え・そうなの?それはプレゼントした甲斐があったなぁ。もしかして今朝も何か描くものを探して?」
女性は瞳を見開いて、手を打つ。
「えっと、そういう訳では、なんというか気分転換みたいな」
カンカンカンカン
返答に困った青年のセリフの後半は近くでなりだした踏切の音にかき消される。
「良ければまたお見せします」
青年は踏切の音に負けないように声を張った。遠くから電車の音がだんだんと近づいてくる。
「そう?楽しみにしてるね」
ゴーっとすぐ横の線路を電車が駆け抜けていく音に紛れ女性が言う。走り去っていく電車に押されて線路から強い風が吹いた。青年は思わず目を閉じる。次の瞬間、再び瞼を開けると先ほどまで周囲を覆っていた霧は消え去り、女性の姿はどこにもなくなっていた。
その夜初めて上坂にある親戚の家に泊まることになった少年は砂利の如かれた庭が見える大きなガラス窓の隣に敷かれた客人用の布団にくるまって眠った。しかし慣れない環境に落ち着かなかったのだろう。少年はまだ薄暗い内、誰よりも早く目が覚めた。隣の部屋にいる大人たちはまだぐっすりと眠っていて、起きる気配はない。少年は起きようかと考えたけれど、白と黒の垂れ幕に覆われた部屋に楽しいことなんて見つけられそうになかった。だから諦めて布団にもぐり込む。しかしいくら待っても眠気は訪れそうになかった。そこで手持無沙汰になった少年はカーテンの中へ潜り込み冷たい��ラス戸に触れる。
横になって見上げる空は、遠くの山からだんだんと白んで、少しずつ明るくなっていく。どこからか鳥の声も聞こえていた。夜明けがひたひたと近づいてくる様子にざわざわとこそばゆい何かが胸中で駆け回る。しばらくそうしていると、もぐりこんだ少年の呼気で窓ガラスがうっすらと結露した。カーテンでそれを拭った少年の目には庭の草花に下りた朝露がきらきらと反射している。少しするとただゆっくりと光の加減が変化していくだけの硬直した世界に少しの風が吹いて、ほろりと花が落ちた。そしてそのまま車輪のようにくるくると転がっていく。少年は散歩の最中、その花が日日草という花だと教えてもらったことをしっかりと記憶していた。一日咲いたら散って、美しいままどこかへ旅立っていく夏の花。ひたむきに一日を生きる花だった。
下宿する際、わざわざ実家から持ってきた色鉛筆は引っ越し当時からそのままになっている段ボールの中から見つかった。それはヒーローベルトを壊してしまって駄々をこねていた幼い頃の青年に上坂のおばさんが買ってくれたものだ。ガコンと缶蓋を歪めて開けると削った木の匂いがふわりと香る。入っている色鉛筆はどれも使い込まれて短かった。ここにはないが、一緒にもらったスケッチブックも所狭しと埋め尽くされていたはずだ。
「そう?楽しみにしてるね」
もう声が思い出せないおばさんの言葉が頭の中に響く。青年は長らく机の上に放りだしていた、まだ数ページしか埋まっていないスケッチブックを開いた。
つづき
他の話
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わたしを忘れないで(にこまき)
三年生卒業後の捏造。大学生にこと高校生真姫。 にこが卒業して、そうして大学に進学してから、あっという間にひと月が経った。進級しただけで生活習慣などが変わったわけではない真姫に比べ、通学経路すらすっかり変化した彼女は忙しく、気づけばゴールデンウィークまで会うことがなかった。スクールアイドルを介して知り合ってから、これほど会わなかったことはない。いつもいつも一緒にいて、特にふたりは隣同士でいることが多かった。μ'sのなかでもセットのように扱われ、ふたつの年の差は卒業を控えながらもあまり強くは意識されなかった。 いざ卒業を前に、みっともなく全員で泣いたことがもう懐かしい。校内に、にこがいない。一年の教室に顔を出すこともなければ、三年のドアの前まで迎えに行くこともない。部室に行っても、にこはいない。あの、小柄でパワーの塊のような女の子はもういない。いるのは、真新しい制服に身を包んだ見慣れない少��たちだった。 真姫はこのひと月、練習の合間に音楽室に籠ることが増えた。凛や花陽はそれについて何を言うでもなく、好きなようにさせてくれている。生徒会の忙しい三年生たちも、やっぱり寂しいね、と一言いったきり、新しい空気に馴染みだしていた。真姫だけが置いていかれている。くるくると表情の変わる、うるさくて一言余計な友人のいた場所を、真姫は未だ埋められずにいる。寂しいのかと言われればそうなのだろうけれど、もっとずっと、音に乗せることしかできない空洞を感じている。言葉で表現するのが苦手だから、真姫は音楽が好きだった。毎日まいにち、明るくなれない音ばかりを紡ぎだしてはぼんやりと鍵盤を見つめた。 新しいグループのためにつくる新曲は、明るくて元気いっぱいのものにしたいから、出来る限り人のいるところで考えるようにしていた。ひとりでいてはいつまで経っても馬鹿みたいに後ろを振り返りたくなってしまう。大人っぽい絵里や希が卒業して、入ってきたのはにこみたいに元気のいい一年生たちだ。二、三年の元μ’sのメンバーだって、言って見れば子どもっぽさの残る面々だった。だから初めてのライブはとびきり元気のいいものにしたい。新しい自分たちを、出来るならばあの人たちに見て欲しい。元気にやってるわ、と心から笑ってみせたい。 窓の外は快晴だった。薄っぺらい青空を見て、もう五月だ、とそのとき不意に思った。三年生が卒業して、それでもすぐに別れるということはなくて、春休みはたくさん遊んで、歌って踊った。新学期に向けて、鈍らないようにと階段ダッシュだって欠かさなかった。本当に楽しい日々だったのだ。素直になれないけれど、一年の間でつくりあげた絆は真姫のなかで確固として愛おしいものだった。ひとりひとりがきらきらしていて、九人が集まればその輝きは眩しいほどだった。新学期が始まり二年生になった真姫は、改めて五月間近の空を見た。 そろそろ練習に向かわなければ、と椅子を引けば、傍にあったはずの気配を懐かしく思った。五月になる、ひと月が経つ。もう彼女の姿は懐かしいのだ。これを悲しみと表現していいのか、真姫にはわからなかった。こんなに感傷的で後ろ向きな自分はらしくない。今までずっとひとりでだって立ってきたのに、たったひと月で足下が崩れていきそうだ。 その日の放課後、真姫は音楽室に籠らなかったことを少しだけ後悔した。私服姿ではあったけれど、屋上によく馴染んだ姿を見つけたのだった。絵里と希、そしてにこ。もう二度とないと思っていた景色を目にしてしまい、不意打ちのような衝撃を受けた。 「あっ、真姫ちゃん! ほらほら、これ、絵里ちゃんたちの差し入れだにゃー!」 屋上への戸をくぐれば飛ぶように凛が走ってやって来て、大きめのビニール袋に詰まった飲み物や菓子を掲げて見せた。そんなに勢いよく振り回したら破れてしまう、と心配しておいて、その向こうの景色から目を逸らしたくなった。五月晴れの空の下で、新しいメンバーたちと談笑しているにこたちから目を逸らしたかった。 「ちょっともう、危ないじゃない! 配るならさっさとしなさいよね」 「真姫ちゃんそっけないにゃー。いいもん、真姫ちゃんには選ばしてあーげない!」 「勝手にすれば?」 「凛ちゃんも真姫ちゃんも、先に選んでいい���てみんな言ってくれてるよ。ね、食べよう?」 「やったにゃー!」 花陽が間を取り持って、ついでにビニール袋も受け取ってくれた。ドリンクはさすがに二リットルのものを二本と紙コップだったけれど、一緒に入っていたのは二種類の菓子だった。選ぶも何も、と思ったが口には出さず、適当に白っぽい個包装の袋を手に取った。凛も嬉しそうに笑いながら同じものを選んでいた。 「ちょっとぉ、わたしの分はどこよ?」 「えー、にこちゃんも食べるのー?」 「わたしの差し入れなんだからいいでしょ」 「にこちゃんだけのじゃないもんー」 いつの間にか凛の後ろにいたにこは、まるでひと月の時間などなかったかのようにすんなりと輪に入ってきた。在学中、にこと凛はお調子者どうし波長が合うのか仲が良かった。それはひと月で消えてしまうものではない。わかっているのに、真姫はその信頼関係のようなものにすら——嫉妬した。 そうだ、寂しさと嫉妬だ。新しい場所へ行ってしまうにこへの寂しさと、そんなにこと新しく出会える人たちへの嫉妬。そして、離れてしまっても必要以上の寂しさを覚えず、変わらない関係でいられると信じている他のメンバーへの嫉妬。改めて気づかされた感情に、真姫は数回瞬きをして、それから細く息を吐いた。たったひと月なのに、とまた同じ言葉を思い出した。 菓子を配りに凛と花陽が一年生たちのほうに行ってしまうと、屋上の入り口にはにこと真姫だけが残された。そういえば久しぶりね、とあっけらかんと言われ、少なからず真姫はムッとした。人の気も知らないで、とつい言い返してしまいそうになって慌てて口を噤んだ。そんなことはバカバカしくてみっともなくて、恥ずかしいことだ。ぷいとそっぽを向いた真姫に対して、にこはほんのすこしだけ目を細めた、ように見えた。すぐに「寂しかったんならそう言いなさいよね、真姫ちゃんってば意地っ張りなんだからあ」と呆れ顔で笑われたので、気のせいだったのかも知れない。 「そんなわけないでしょ。静かで良かったわよ。にこちゃんこそ寂しくなって来たんじゃないの?」 「あいっかわらず素直じゃないわねえ!」 「どっちがよ」 ひと月ぶりに見たにここそ相変わらずの表情をしていた。小憎たらしいのに童顔のせいで愛嬌がある。本人には絶対言ってやらないけれど、臆面もなくアイドルを目指す様子を馬鹿にできないほど、かわいい顔をしている、と真姫だって思っているのだ。まじまじと見れば肩の近くで揺れるツインテールは記憶よりもやや伸びていて、その代わりのように前髪は短くなっていた。時間の経過は些細なもので、大学生になったからと劇的に変わることはない。ほっとしている自分にすこしだけ嫌悪した。 にこはじっと見つめてくる真姫に居心地が悪そうにしていたけれど、目を逸らすことはしなかった。後ろめたいことがあるとわかりやすく目を逸らすにこはその反面、人の目をしっかりと見て話をするひとだった。にこの丸くて大きい瞳はまっすぐに真姫を映している。ひと月ぶりだと意識すれば、この目と毎日向かい合っていた頃がひどく不思議なように思えた。 「いやー、でも来てくれて嬉しいよ! あっ、そうだ、新曲見ていく?!」 とんでもなく弾んだ声を聞いて、向かい合っていたふたりは反射的にそちらに目をやった。そこには絵里と希を前に、目を輝かせて笑う穂乃果の姿があった。相変わらず元気ね、と妙な空気になりかけたことを誤魔化すようににこが言った。彼女はいつもそうだった。 「いいの? 邪魔にならないかしら」 「とか言って、元々そのつもりで来たんやん?」 絵里と希も嬉しそうに笑い、それからにこに手招きをした。つい数ヶ月前までは、彼女たちもこの屋上で一緒になってダンスや歌の練習をしていたのに、これではまるで余所者だ。OGといえばかっこよくて聞こえもいいけれど、ここはもう彼女たちの居場所ではないかのようなやり取りだった。 凛と花陽がいつの間にか隣にきていて、真姫ちゃん変なかお〜、と頬を突ついた。馬鹿なことしないでと凛を振り払えば、花陽が気遣わし気に微笑んだ。自分の浮かべた表情など見えないけれど、情けないものだったのはなんとなく理解できた。 穂乃果の掛け声に一年生も集まり、一通り踊ってみせることになった。現メンバーにはスクールアイドルを続けていくために必要なスキルを持った者がちゃんといて、だから三年生が抜けても困ることはなかった。まとめ役とバランサー、それからムードメーカーがいなくなっただけだ。それらはこれから自分たちが少しずつ担っていけばいい。 感傷的になっている。こんな気持ちで、今のグループのために作った曲を聞かせたくなんてなかった。はっきりと言葉にすれば未練と言い換えられるこの感情たちは、それでも普段は振り切って練習に励んでいるのだ。そういう姿を見て欲しかった。三人がいなくても、新しいメンバーで楽しくやっていると伝えたいが為の曲だったから。 だから、そんな目で見ないで欲しい。踊り終わった真姫を迎えたのは、にこのまっすぐで強い眼差しだった。絵里も希も気がついてしまったらしく、二人に背を押されたにこがしたことといえば、真姫をつれて音楽室に行くことだった。 「曲は悪くなかったわよ。明るくて初々しくて、元気いっぱいなの」 あんたたちにぴったり。そう言ってにこは屈託なく笑った。 こういうとき、にこは二年間先を生きているのだと思い知らされる。いつもはみんなにからかわれて、凛が事あるごとに口にするように、どちらかといえば年下やマスコットのような扱いをされることの多いにこだけれど、いざというときには驚くほど強い心を持ったひとだった。躊躇しがちな反対意見だってみんなのためになると思えばはっきりと告げたし、実のところ気遣い屋で面倒見がよかった。 大人になりたくてから回る真姫とは、真逆のような存在だった。近すぎて憧れにはならなかったけれど、それに限りなく似た敬意を抱いていた。褒めると調子に乗るし、真姫のプライドも相俟って、決して言わない言葉たちは多かった。 「さみしいの?」 そう小首を傾げられて咄嗟に言葉が出なかった。ピアノの前に座った真姫は、手持ち無沙汰に鍵盤に指を置いた。無意識にゆっくりとメロディを奏でると、流れ出たのは真姫がμ’sのために最初に作った曲だった。 「さみしいなら、そう言えばいいのに」 「……違うってば」 いつかのようにピアノに腕を凭れかけさせてリズムを取るにこは、溜め息を吐いた割に穏やかな笑みを浮かべていた。途端に真姫は自分が彼女の妹か何かになってしまったかのような心地を覚える。仕方ないと許容されている。我が強くて素直じゃないのはお互い様なのに、にこはそうして真姫を許容する。自分たちは年上だからとか年下だからとか、そういうものを排除してやってきたけれど、どうしたって年の差は埋まらない。一年を共に過ごした今も突きつけられる。 「さっきの曲弾いて。明るくよ?」 弾き続ける真姫の手を指先で制したにこがいつもの顔で言った。たったひと月見なかっただけで、真姫の知っているところがなくなるわけではないのだ。 それでも、制服ではない姿をこの音楽室で見るのは、言い得も知れない不安を連れてきた。 進学し、アイドルを続けようとしたのはにこだけだった。絵里も希もごく普通の、ただしほんのすこしだけ顔の知られた大学生として暮らしている。三人は三人とも別々の大学に進学したのだけれど、真姫たちが休日も返上で練習している間にも時折集まっては女子会を開いているらしかった。穂乃果や凛はその会合を仲良しだと言って羨ましがったが、穂乃果は海未とことりと、凛は花陽と同じ大学に進学するような気もするので、そっちのほうが仲が良いのではないかと思うのだった。 大学に通いながらオーディションに応募したり事務所を訪ね歩いたりするにこと違って、彼女たちにとってアイドルは見て楽しむもの、応援して楽しむものになっていた。その差に対してにこは何も言わなかったし、絵里と希もまた何も言わなかった。元々、絵里たちは学校存続のためにスクールアイドルを始め、にこはアイドルが好きでアイドルになりたくて始めたのだ。一年間、同じものを目指していた方が不思議なくらいだ。 彼女たちは幼馴染みという関係でもなかったけれど、利害の一致によって結ばれた縁は、生涯の友人としての絆に変わった。揃って卒業していったことに、真姫は未だに悔しさやもどかしさを覚えるのだった。学生生活のうちの年齢は、社会人になってからのそれよりもずっと大きな壁だ。学年ごとに区切られていて、入学と卒業があって、必ず年ごとに出会いと別れがある。 にこのデビューが決まったという一報がμ’sのLINEグループに投下されたのは、真っ盛りの夏の、そのなかでもまたさらに暑い日のことだった。さすがに長時間ダンスしていたら熱中症になってしまう、といつもよりはやめの解散が告げられていて、真姫はその知らせをひとり自室で見た。とは言え、真姫はたぶんメンバーのなかでいちばん驚きが少なかったのではないかと思う。つい先日、ふたりでお茶をしたときに内々定をもらったと知らされていたからだ。 あの五月の日以来、にこは時間をつくっては真姫に会いにきてくれるようになった。真姫も、練習のない日やスランプに陥ったとき、にこに会うために時間をつくるようになっていた。取り立てて知らせはしないものの、そのおかげで真姫は、おそらく絵里たちよりもずっと高��頻度でにこと顔を合わせているはずだった。 『たぶん、夏休み中にはデビューが決まると思うの』 あどけない童顔を喜色満面に染めて、にこは内緒ねと笑った。その表情がちょっと驚くほどかわいくて、思わず目を逸らしてしまったのを思い出した。にこはオーディションなどを受け始めた頃から、垢抜けたと言っていいほどきれいになった。スクールアイドルをしていた一年の間、マスコットだとかキャラ担当だとか言われていたけれど、ちゃんとアイドルとして���かわいさは備えていた。そのグループのなかでのかわいさが、ひとりでもやっていけるかわいさとしてさらに磨きがかけられたのだろう。 『そうは言ってもグループなんだけどね。まだにこひとりじゃ無理みたい』 結局、にこは四人グループでデビューが決まったようだった。ひとりでのデビューを目指していたにこには厳しい現実となったけれど、それでも、ごまんといるアイドル志望の女の子たちの憧れには変わりがない。LINEの新着通知はとんでもないことになっていて、きっと個人的にメールや電話もいっているのだろうなと真姫はすこし笑った。 おめでとう、にこちゃん。今度奢る。 ひっきりなしに告げられる通知を何とはなしにカウントしながら、顔文字も絵文字もないメールをつくっては消しを繰り返した。本当は今すぐに電話がしたい。でもたぶん出てくれない。今のにこがLINEに返事をするので精一杯なのはわかりきっているし、そのうえで優先されなかったら拗ねるだなんて子どもっぽいことはしたくなかった。 「おめでとう、にこちゃん」 ぽろりと口から零れたのは紛れもない本音で、どこか突き放すような声音になったのもまた本音に違いなかった。 「にこちゃんのデビューを祝してー! かんぱーい!」 穂乃果の音頭で、九つのグラスが打ち鳴らされた。全員未成年なのでグラスのなかにはジュースがなみなみと入っているだけだけれど、テンションはアルコールの入った人間のそれと言っても過言ではなかった。現に穂乃果は思い切りぶつけ過ぎてテーブルにジュースをまき散らしている。 「もう穂乃果!」 「わわわ、ごめーん! でも嬉しくって」 つい、と笑う穂乃果にそれ以上誰も諫言を投げかけることもせず、仕方ないなあとそれぞれに広げられた食べものに手をつけ始めた。各々が好きなものを持ち寄ったので、メンバーによっては明らかにパーティ向きではないものを持ってくる者もいた。かろうじて常識的な人間のほうが多いので笑い話で済むのだ。 集まってにこのデビュー祝いをしよう、と言い出したのは例に漏れず穂乃果で、会場となったのもいつものように真姫の提供する場所だった。今回は真姫の自宅で、両親が留守にしているからとリビングの大きなテーブルを使い、内輪のパーティと相成ったのだった。持ち寄った食べものを広げ、主役を囲ってデビューに関する話を興味深げに聞いている。 にこと四人グループとして共にデビューするメンバーのひとりに、あのA-RISEのリーダーであるツバサもおり、話題はもっぱらそれについてだった。にことツバサはオーディションで出会い、面識もあったことから選考の進むなかで距離を縮めていたという。だから揃ってデビューが決まったとき、実はすこしほっとしたのだ��恥ずかしげに笑った。多分に自信を持ってアイドルだけをひたすらに目指しやってきたにこでも、芸能界という世界は挑み甲斐がある反面で怖じ気づいてしまう世界でもあるのだった。 「同い年だから気兼ねも要らないし、案外とっつきやすいのよ」 すでにレッスンやレコーディングも進んでいて、顔を合わす回数もかなりにのぼるらしいが、そのなかでもふたりはかなり良好な関係を築いているようだった。他のメンバーは二人とも年下で、必然的にリーダーはキャプテンシーのあるツバサが引き受けることとなっていた。一年間活動してきたけれど、にこは年上なのに年上らしくなく、部長と持ち上げられることはあってもリーダーからはほど遠いタイプだった。ふたつ年下の真姫と一緒にいることが多くて、時折三年生らしい包容力を発揮することはあったものの、絵里や希のように常にみんなを見守る立場ではなかった。 みんなからの揶揄い混じりの質問にいちいちつっかかりながらも律儀に答えていく、そんな変わらないにこの姿を、真姫はひたすらに見つめていた。トレードマークのツインテールはそのままに、相変わらず私服はピンク色とフリルのかわいらしいものだった。変わらない、いつものにこだ。そうやって変わらないと思う気持ちに相反して、大学生になってきれいに化粧の施されている顔を見る度、距離を感じていくのだった。 「にこっちは会う度にかわいなってるよね」 アイドルってすごいなあ、とにこの取り皿に食べものを取り分けてやりながら、希がしみじみと口にした。希はにこのことをマスコットのように可愛がっていたけれど、実のところ手綱を離さないようにしていたのか、メンバーのことを手放しで褒める場面は少なかった。 「なっ、なによ突然……! それに、にこがアイドルでかわいいのなんていつものことでしょ!?」 「あははー、にこっち顔真っ赤やん?」 「照れてるにこちゃんかわいいにゃー」 「ううううるさいわねっ」 言葉の通り、突然の褒め言葉に頬といわず耳まで染めて声を荒げる姿はかわいらしいし、揶揄いがいもあるというものだろう。にこを揶揄うことにかけては希と凛の専門というのか、いい反応を返すにこを見る彼女たちは本当に生き生きしていると思う。絵里が呆れて花陽がフォローを入れ、海未は度を超さない限り傍観に徹するし、ことりは仲良しだねえと穂乃果と笑い合っている。 「〜〜っ!」 「褒められ慣れてないアイドルっておかしいわよ。練習しといたら?」 にこが自分に何を求めているのか知らない。それでもこういうとき、真姫は縋るような眼差しを感じるのだった。いつだってそれに応えて助け舟を出してやるつもりはないけれど、真姫が言葉を重ねることで落ち着けるのは事実のようだった。 一体、自分たちの関係は何なのだろう。在学中、気がつけばふたりでいたし、つっかかって喧嘩も多かったくせに、こうして困ったときに助けを求めてしまう仲でもあった。一年間を泣き笑い一緒に過ごした仲間であると同時に、他のメンバーにはない過剰な意識を持っている。おそらく、お互いに。特に最近——にこが卒業してから、更に言えばあの五月の日から、ふたりの距離はぐっと縮まった。その縮まった距離と反比例するように、純粋な友情からは逸れていっているのではないかと思えてならなかった。 頬を赤くして縋るように流し見たにこの表情に、覚えたのは優越感と奇妙なむずがゆさだった。 デビューの舞台はこぢんまりした野外ライブらしかった。ちょうど夏休みだから、とメンバーみんなでチケットを取ることにした。本当は一年生たちも一緒に連れて行きたかったのだけれど、あんまりぞろぞろと連れ立っていても目立つので、今回は元μ’sのメンバーだけでの参戦となった。楽しみだね、と言いながらも皆緊張していたのを覚えている。スクールアイドルとしてアイドル活動をしてきた真姫たちも、今にこが立とうとしている舞台が、紛れもなく本物のアイドルの舞台であると理解していた。 スクールアイドル、という学校というブランドタグをつけられたものではない、一からの勝負のアイドル。小学生もデビューする昨今では、にこもツバサもアイドルとしてデビューするにはすこし年を取ってしまっている。それでも、ふたりは年下を引っ張りながらも芸能界で這い上がっていく覚悟を決めたのだ。 在学中から、にこのアイドルに対する意志は強かった。空まわって馬鹿をすることも多かったけれど、すべてはアイドルへの思い故のことだった。花陽もアイドルに憧れてはいるものの、おそらくにこのようにがむしゃらにデビューをもぎ取ろうとしに行くことはないだろう。厳しい世界だし、何より、人に見られ評価され続けることに耐えられる人間なんてそういない。 ——本当にちいさなステージだった。スクールアイドルとしてラブライブで踊ったときよりも観覧者はずっとずっと少ない。でも、舞台上で歌い踊るにこたちの姿はきらきらと眩かった。一生懸命で、誰よりもかわいかった。始めは気まぐれに見に来ていただけのような客たちが、MCに笑い声を上げ、聞いたばかりの曲に合いの手を入れている姿を見た。真姫は初めて、本物のアイドルの強さを知った。この日の観客たち、他のグループ目当てでやって来て偶然目にした人たちも、きっと四人の名前を覚えて帰ったに違いない。 途中で解散し、真姫はひとり帰路についた。暑いなか陽を浴びながら声を張って楽しんできたのだから、消耗が激しかった。はやく風呂に入ってすっきりしたい。 それにしても、スクールアイドルを始めるまでまったくアイドルに興味がなかった真姫にとって、今日のライブは初めての経験だった。いつも受ける側である熱気は、自分たちのようなファンから発せられるものなのだと改めて知った。口では揶揄いの言葉を吐きながらも、真姫たちにとって応援したいメンバーはやはりにこだった。あの「にっこにっこにー」はやはり健在だったから、MCの自己紹介では思わず笑ってしまった。去り際には既に覚えてくれている客もいて、一緒に声を上げていたのがとても印象的だった。 夢への第一歩だとにこは言っていたけれど、途方もなく大きな一歩だったのではないか。ライブは成功と言える出来だったし、何より、ステージに立つことのできたにこの笑顔は夢の叶った人のそれだった。デビューという夢を叶え、そしてまたそれを夢への第一歩だと言うにこの強さ。 真姫だって、スクールアイドルと学生生活をしっかり両立させて、今と未来のどちらをも掴んでいこうとがんばっているところだ。スクールアイドル、ひいては音楽に打ち込むために���された時間はあと一年半。後にも先にも、きっとこれ以上に好きなことをして過ごせる日々はもうこない。大学に通いながらデビューをもぎ取っていったにこのようなことはできない。羨ましくもあり、割り切っているが故に素直に応援したい気持ちも大きい。 じゃあ、この言い得のない気持ち悪さは何だろう。そうして考えながら帰宅し、鼻歌を歌いながらシャワーを浴びているときにはたと気がついた。 「……にこちゃんが歌ってるのはわたしの曲じゃないんだ」 にこたちのグループにはきっとそれなりの作曲者がついている。もちろん、その世界でやってきている言わばプロだから、一介の高校生である真姫の曲よりもずっと考えられた曲のはずだ。でも、それでも。真姫は、にこが歌い踊る曲が自分のものではない、という事実に打ちのめされている自分を認めた。 ライブの数日後、にこからふたりでご飯に行こうという誘いをもらった。ふたりで会うのは久しぶりかもしれない、と思って、真姫はほんの少しだけ躊躇した。嫉妬や羨望、敬愛、いくつもの感情が混ざり合って未だ整理しきれずにいる。半日を置いて返事をしたけれど、果たしてこれが正しいことだったのかもわからないままだ。 ひどい言葉をぶつけてしまったらどうしよう。真姫の言葉は、心とは裏腹に厳しくなったり意味を違えたりしてしまうことが多かった。にこもはっきりと告げるタイプなので、そのために起こした衝突は少なくない。それでも今回はまず、何よりも先におめでとうと言わなければ。真姫は結局、デビューを教えられた日に電話もメールも出来なかった。つまり、おめでとうの一言を未だ伝えられずにいたのだった。 にこが指定した日はほんの五日後、夕方からだから晩御飯を一緒にしようということだろう。あのライブが成功したことで、少なからず仕事量に影響が出ているはずだ。そうでなくても売り出しどきなので、もしかしたら貴重な休みを割いてくれるのかもしれない。 にこがデビューしたことで、距離を感じないといえば嘘になる。自分の望んだことに向かって躊躇いなく進んでいく彼女と、学生でしかない自分を比べるのは時折つらい。感情を処しきれなくて、大人になれない自分が嫌いだ。顔を見て、なんの屈託もなくおめでとうと言いたいのに、遠くに行ってしまうようで引き止めたくもなるのだった。 考えていても時間は過ぎていき、にことの約束の日はあっという間に訪れた。去年の一年間も比喩でもなくあっという間に過ぎ去ってしまったけれど、今年も、きっと来年もそうして一瞬で通り過ぎてしまうのだろう。親や教師の言う、学生生活という時間の尊さが今はまだわからないけれど、数年数十年経って思い出すのは強く瞬く輝きたちだろう。 練習のある真姫を思ってか、待ち合わせは学校の最寄り駅だった。用事があるからと言ってみんなよりすこしだけはやめに学校を後にして駅に向かうと、すでに改札口にはにこと思われる人影があった。 「……ちょっとはマシな変装になったのね」 「来るなりそれ?!」 マスクにサングラス、スカーフを頭に巻いてはいるけれど、かつての馬鹿としか言いようのない変装に比べたらずっとマシだ。マシはマシであって、決して良いわけではない。出来ることならば知らんふりして改札口を抜けてしまいた��った。気負っていたのがバカバカしくなって、挨拶よりも前にため息が零れた。 「アイドルさまは大変ね」 「馬鹿にしてることくらいわかるわよ!」 「せめてスカーフとサングラスは外して。一緒に歩くの恥ずかしいわ」 そう言いながらスカーフに手を伸ばした。ごく自然にそれを外してしまってから、ついでとばかりに髪に触れた。さらりと髪を梳いて、その手触りに思わず微笑んだ。意識した行動ではなかったけれど、サングラスの向こうの目が見開かれたのに気づいて、一体何をしているのかと動揺した。 「あの、いまのは」 「おめでとうって言って」 「えっ?」 「ま���真姫ちゃんからのおめでとう聞いてない」 「っ、」 ほんのすこしの身長差で見下ろしたにこの顔は、こちらが恥ずかしくなるくらいに色づいていた。伸ばした手を引っ込めるタイミングを逸して、ひと気のない改札口でふたり突っ立ったまま、合わない視線を探りながら、求められた言葉を口にした。 「にこちゃん、おめでとう」 あれだけ悩んでいたのに、口から零れるのは一瞬のことだった。嫉妬も羨望もなく、ただ純粋におめでとうという感情を伝えられた。言葉を紡いだことで固まっていた身体は温度を通わせ、真姫は殊更ゆっくりと手を下ろした。すると、それと同じくらいゆっくりとした仕草でにこは顔をあげた。真夏のまとわりつくような空気が肌を舐めていく。 「……うん」 そうしてはにかんで笑うその表情は、今までに見たことのないものだった。 途端に胸がぎゅっとして、そのあまりの衝撃に思わず笑ってしまった。何これ、なんて言えるほど鈍感にはなれなかった。 寂しさも、嫉妬も、尊敬も。友情から飽和してしまった感情全部をひっくるめてしまえば、これは当然の帰結といえた。三年生が卒業して、セットとして一緒にいたにこがいなくなって、とても寂しかった。そうして離れた距離に焦って嫉妬して、素直におめでとうの一言も言えなかった。尊敬しているのに、大切に思っているのに、それ以上に『私を忘れないで』という気持ちが大きかった。 じっとりと汗をかいた手のひらを握りしめて、ついさっき触れたばかりの髪の感触を思い出していた。さらさらとして、柔らかくて、たぶんにこの甘やかな匂いがした。弟妹と暮らしているせいか、自分よりも年上なのに、彼女から漂うのはいつも甘くて優しい子どものような香りだった。隣にいることが多かったからよく覚えている。匂いだけじゃない。たった一年傍にいただけなのに、彼女のことで覚えていたいことは数えきれないほどあった。人付き合いの苦手な自覚があるから、それだけずっと掛け替えのない想いでもあった。 「ねえ」 電車に揺られながら傍らのひとに声をかけると、顔をこちらには向けずに「なによ」という応答があった。疲れているのか、すこし眠たげに瞼を伏せている。 「なんでもない」 そう言うと、にこは伏せられた瞼を持ち上げてこちらに視線をやった。それに応えることはせず、向かいの窓ガラスを見つめていた。外はまだ明るいので、ガラスには自分たちの姿は映らない。映っていたら、きっと不細工な顔をした自分がこちらを向いていたことだろう。あまり沈黙を落とすことのないふたりだったから、このときの車輪のゴトゴトという音だけが響く空気はすこし気まずかった。にこのほうは気まずさを感じてい��いようで、のんびりと控えめなあくびをした。そうしてやがて、そういえば、と言葉を落とした。 「次のステージは新曲? 休み明けよね」 「結局新曲になったの。聞く?」 夏が明ければ学校でミニライブをすることになっていた。文化祭前に一度、ということだった。これはμ’sでつくっているLINEグループにも投下されている情報で、にこたちは都合がつけば見に来ると返事していた。音楽プレーヤーを取り出すと、聞く、と答えたにこにイヤホンを片方貸してやった。もう片方は自分が使い、ふたりでほんのすこしずつ肩を寄せ合って新曲を聞いた。どのくらいの音量が良いのかわからなかったから尋ねると、そのままで良いと言うように手をそっと制されて心臓が跳ねた。 四分ちょっとの曲を聞き終わると、緊張とリラックス半々ほどの気持ちだったせいで、なんだか妙に心地の良い気疲れを味わった。息を吐きながら差し出されたイヤホンを仕舞っていると、にこがそっぽを向いたままで「わたし、真姫ちゃんのつくる曲、嫌いじゃないわよ」と言った。 息が止まるかと思った。言い過ぎかもしれないけれど、実際そんな心境だった。 「……なにその言い方。素直じゃない、意地っ張り」 「そのままそっくりお返しするわよ」 「なんでよ」 「なんでも」 他愛のない言い合いの始発点に変えてしまえばなんてことはないのに、やはりどうしてもあの言葉は真姫の心のなかで強く根付いてしまった。彼女の嫌いじゃない、はつまり、好きということだ。今日会うまでに感じていた嫉妬なんか、それだけで溶けて消えていってしまうだけの強さを持った言葉。これ以上の言葉をもらったらきっと泣いてしまう。メンタルは強いほうだし、高校生になって泣いたのはμ’sに関わることくらいだから、……でも、それだからにこに関することで泣いてしまうのは仕方がないのかもしれない。真姫にとって、μ’sは特別なもので掛け替えのないものだけれど、そのなかにいてひと際強く輝いているのがにこだから。 にこは未だそっぽを向いたままだ。頬は赤く染まっていて、真姫のそれよりやや小さい子どものような手はぎゅっと握りしめられている。照れたときのにこはいつもそんな風だった。彼女がそうやって照れてくれるから、真姫だって軽口を叩いて照れた顔を隠していられるのだ。いつもそうだった。お互い意地っ張りなのに、何故か突然照れるようなことを言ってしまって恥ずかしがっていた。見ないで、と言いながら目が合うのは、つまりはそういうことだ。 電車がゆっくりと速度を下げ、向かうのは目的の駅だった。アナウンスが車内に響いて、にこはハッと顔を上げた。そうして止まった頃を見計らって立ち上がると、真姫は咄嗟に隣で揺れる手を握りしめた。にこは驚いたように真姫を見据えたが、次の瞬間には慌てて電車のドアをくぐった。白線の向こうまでそのまま歩き、人気のないホームでふたり立ち尽くした。 やがて口火を切ったのはにこだった。繋いだ手を見つめながら、ねえ、と言った。 「私がアイドルになれたのは、真姫ちゃんの曲があったからってこと、忘れないでおいて」 もちろん私がアイドルにならなくて誰がなるのって話だけど。 そして矢継ぎ早に続いた言葉はいつも通りの照れ隠しだった。泣くかもしれない��と思っていた数瞬前の自分に言ってやりたくなった。にこの言葉は真姫を笑顔にさせるのだ、と薄く涙の張った目を細めながら、言ってやりたい。 嬉しい、と伝えたいと思ったけれど、言葉は出て来なかった。その代わりに、真姫はただ手を強く握り返した。
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narrative
------------------------------------------------------ 牛丼屋さんでサンタに会う話 ------------------------------------------------------
牛丼屋でサンタに出会った。
クリスマスの夜、上司に押し付けられた仕事を片付けるために散々残業をした帰り道。23時45分。家の最寄り駅に着いて、駅前の牛丼屋の明かりに吸い寄せられた。店に入って、入り口すぐ横の券売機で牛丼の並を注文する。 クリスマスなのに牛丼か。俺に仕事を押し付けてきた上司は今ごろ、温かい家で奥さんが作ったごちそうなんて食べて、子どもが寝た後は夫婦でワインを開けたりして、きっとクリスマスらしいクリスマスを過ごしているんだろう。その温かな光景を実現したのは、上司の代わりに残業をしたこの俺だ。全く達成感はないが。 コの字型のカウンターテーブルの、空いた席を探そうと店内を見回す――まあ、探すまでもなく客はまばらだ。どうでもいいから、適当に座るか……。 「え」 店の奥に、派手な赤い服を着た女性が座っていた。背中を丸めて、わびし気に牛丼を食べている。不思議と興味をそそられた。せっかくのクリスマスだ。サンタを肴に牛丼を食べるのも悪くない。俺はサンタから一席開けた席へと腰を下ろした。 食券をカウンターに置くと、店員がそれを覗き込む。注文を復唱し、調理に入る。待っている間、横をチラッと見る。 「……何?」 チラチラと見ていたからか、サンタが横目で睨んできた。 「すみません」 面倒ごとはごめんだ。サンタとはいえ女性だし、騒がれたら警察沙汰になるかもしれない。クリスマスプレゼントが手錠なんて笑えない冗談だ。 「お待たせしました」 その時ちょうど、けだるげな店員が目の前にどんぶりを置いてくれた。助かった、と思いつつ箸に手を伸ばす。 ちょうど箸が入っている入れ物の側に、サンタのものらしい食券が置きっぱなしになっていた。どうやらサンタが頼んだのは、牛丼特盛り、みそ汁付きのようだ。だいぶ華奢な身体をしているのに、特盛りなんて食べるのか。 ついまたサンタのことを見てしまった。真っ赤な三角帽のてっぺんに白くて丸いふわふわのポンポン。縁取りはふわふわの白いファー。赤いワンピースの首元や袖、スカートの裾にも白いファーがあしらわれている。腰に巻かれた黒いベルトは、その体の華奢さを際立たせるかのように赤いワンピースをきゅっとくびれさせている。ワンピースから伸びた脚は色白で細く引き締まり、とても牛丼特盛りを深夜にかっこむよう��体型ではなさそうに見える。 「だから、なんなの?」 サンタは完全にこちらへ顔を向け、俺を睨んでいた。 「……すみません、あの」しどろもどろになりつつ、最善の答えを探す。「俺も量増やせばよかった、と、思って」 「あ……っ!」 俺が食券を指差したのを見て、サンタは頬を赤くした。『特盛り』の文字が燦然と輝く食券を慌てた様子でつかむと、ポケットにつっこもうとして――ポケットが無いことに気付くと、お尻の下にぐいぐい押し込んだ。 なんだ、その反応は。ちょっと可愛くて、こっちまで照れてしまう。 「分けてあげないから。自分で追加注文しなさいよ」 「いや、いくらサンタ相手でも、分けてもらおうなんて発想ないですよ」 「あ……う、サンタいじりするとはいい度胸ね」 サンタはどこか挑戦的に笑う。 「いや……すみません。でも、ほら。まだあと7分くらいは25日じゃないですか。最後の最後でクリスマス気分が味わえてよかったなぁ、なんて思って」 「深夜に店の片隅で牛丼を食べてるサンタを見て、クリスマス気分を味わってるわけ?」と、サンタはくすくす笑った。「変な奴」 「変……はは、そうかも。最近残業続きで、まともに頭が働いてなくて」 「それで、クリスマスに牛丼? しかも並って」 「憐れむような目で見ないでくださいよ……」 300円かそこらの違いで、こんな負けた気分を味わうことになるとは。 会話が途切れた。憐みの目で見られた並盛を、もそもそと食べ始める。汁がしみ込んだ米粒を口いっぱいにほおばると、ささやかな幸福感と、なんともいえないわびしさで胸が詰まった。筋張った牛肉が、口の中でほろほろと崩れていく。舌のうえで、タレと油が混ざり合い、食欲をそそる香りが鼻から抜けていく。黙って牛丼を半分ほど食べた時、ふと我に返った。そういえば、昼から何も食べていなかった。俺は結構腹が減っていたのか。水を飲み、追加注文すべきかどうかを少し悩む。 電車が停まったのだろう、客が4、5人立て続けにやって来た。店員がにわかに忙しそうにカウンター内を歩き回る。タイミングを失した気分で、俺はサンタを横目で見た。サンタは特盛を三分の一ほど食べ、みそ汁で口を潤しているところだった。 「サンタさんはどこから来たんですか?」 「は? それ、どういう質問? バカにしてる? それともサンタ信じてる危ない奴?」 「いや、普通に疑問で」 「……隣町の駅前のケーキ屋。あそこでケーキ売ってたの。店長がコンビニに対抗するとか言って、すごい遅くまで外に立たされて……」その時の寒さを思い出したかのように、サンタは身震いした。「私の呼び込みと営業スマイルの甲斐あってケーキは全部売れたんだけど、バイトの前に『クリスマスケーキ支給』って約束だったのに売り切っちゃったからケーキがなくて。代わりにこの服を貰ったってわけ。悔しいから、着たまま帰って来てやったの」 サンタは険しい表情で、みそ汁の椀を置いた。 「本当ならホールケーキを思う存分ほおばって、ストゼロ飲んで、生クリームに胃もたれしながら気絶するように眠って、それなりにいいクリスマスだったじゃんって思いながら明日の朝には気持ち切り替えて、穏やかな生活に戻るはずだったの。それなのに牛丼屋で特盛って何? みじめすぎて気持ちなんて切り替えらんない」 サンタは怒りを呑み込むように、持ち上げたどんぶりに口をつけ、箸で牛丼を掻っ込んだ。 その姿はたしかにクリスマスらしい穏やかで温かなものではなかったが、したたかで力強い美しさがあった。 「すげーかっこいいです、サンタさん」 「はあ?」 「俺なんて、上司に仕事押し付けられて、さんざん残業して。今ごろ上司は家族でクリスマス祝ってるんだと思ったらなんかしんどくなっちゃって。並盛以上食える気しないぐらい気力がなくなって……だから、堂々と怒って胸張って牛丼食ってるサンタさんはかっこいいっすよ」 言葉にだして、やっと自覚した。俺、疲れてたんだ。怒る気力もないほど疲れて、だからうじうじ上司を呪うことしかできなかった。 「別に、そんな風に言われても嬉しくないし」 サンタはちょっと頬を赤くして、目を逸らした。 「褒めたって、分けてあげないから」 「分かってますって」 「……悪いわね」 サンタは不意に、眉根を寄せた。 「何がですか?」 「こんなかっこしてるのに、愛想がなくて」 「いや、そんなこと……」 「サンタさんには、人に振りまけるような夢なんてもうないのよ。自分のことで精一杯なんだから」 そう言って、はあ、と深いため息を漏らす。 俺はカウンターにある、紅ショウガの箱を開けた。 「いりますか?」 「……? ええ」 俺はサンタの特盛牛丼に、紅ショウガを気持ち多めに盛った。 「サンタにだって、そういう日はありますよ。自分を優先したからって、それに罪悪感を覚える必要はないでしょう」 上司の顔が、一瞬チラついた。自分の幸福なクリスマスのために俺へ仕事を押し付けたんだから、せめて、楽しい時間を過ごしていてくれたらいい。まあちょっとくらい俺に申し訳なく思ってほしいけど、それはクリスマスが終わってからでもいいや。今はなんだか、不思議と穏やかな気持ちでそう思えた。 「……まあ、そうかもね。だってクリスマスだもの」 サンタは笑うと、俺の手から紅ショウガ用のトングを奪った。そして、俺の牛丼へ盛り盛りと紅ショウガを載せていく。 「でもサンタとして、紅しょうがくらいならプレゼントしてあげてもいいわ。乗せ放題って、なんだか幸せな響きだし」 「ありがとうございます」 その後、俺たちは紅ショウガ味になった牛丼を食べ、店の前で別れた。
いまだにあの時の事を思い出し、くすぐったいような幸福な気持ちになる。 牛丼屋でサンタに出会い、残業の原因を作った上司を許せるほど心穏やかになったことは、まぎれもなくクリスマスの奇跡だった。
//
◆お借りしました
>Leslin_LiuによるPixabayからの画像
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【小説】JOKER 第一部
プロローグ
〈1〉
深夜零時。
ロレックスに目を落とした緒方進(おがたすすむ)はブリーフケースを手に、生ぬるい海風を受けながら水銀灯の明かりで照らされた新庄市郊外の公園に立っている。
海に面した絶好のデートスポットなのだが、残念な事に交通の便が悪い上に駐車場すらなく、昼間でも子供でさえロクに遊びに来る事が無い。
緒方の両隣りに二人、公園の入り口と四メートル道路に停めたベンツに運転手代わりが一人貼りついている。
全員原色のスーツに金ネックレスならプロ野球選手の夜遊びと言えない事も無いだろうが、広域指定暴力団矢沢組の組員は落ち着いたビジネススーツが常だ。
そしてブリーフケースには二百万円分のメタンフェタミン――覚醒剤が入っている。
取り引き相手は調子に乗っている街の半グレ。
昔で言うストリートギャングだ。
半グレと言っても若者ではない。若い頃にやんちゃをしたがいいが足抜けに失敗し、ヤクザになる器量も無いチンピラだ。
麻薬が若者に蔓延している、というのは半分正解で半分間違いだ。
昨今の若造は非正規労働などで麻薬に金を渋るどころか、タバコにさえ金を落とさない。
麻薬を使っているのは女を薬で縛って風俗で働かせるか、末端の構成員を薬で縛り付けるかのどちらかだ。
スポーツ選手や芸能人は大金を落とすが、それは表沙汰にしない為の口止め料としての意味合いが強く、普通に流通している薬はそこまで高くない。
そんな価格設定をしたら麻薬依存症患者は年収五千万円以上に限られてしまうだろう。
そしてスポーツ選手や芸能人などの成り上がりはともかく、そんな高所得者は基本的に麻薬など嗜む事は無い。
麻薬というのは貧乏人を貧乏人に縛り付け、思うがままに操る道具なのだ。
緒方がそれでも月収に相当する額のブリーフケースの重みを感じていると、年甲斐もなくスウェットを来た男が軽のワゴンで公園に乗りつけた。
逆向きにかぶった野球帽はヤンキースなのに、スウェットはボストン大学という統一性の無い男の後ろに三人の若造が続く。
間違いなくアメリカのストリートギャングを意識しているが、残念ながらエミネムにもJAY-Zにも見えない。
オーバーサイズの服をだらしなく来た日本人だ。
「緒方さん、金持って来ました」
ヤンキース帽がポケットから雑に札束を出して見せる。
それでクールだと思っているのだからタチが悪い。
「ブツはある」
緒方が顎をしゃくると若い衆がヤンキース帽の札束を確認する。
帯どめしてある訳でもなく、おおよそでしか金額は分からない。
しかし、金額が違っていれば差額を血肉で支払う事になる事はヤンキース帽も理解しているだろう。
若い衆がざっと金を数えた所で、水銀灯の下にトレンチコートの男が忽然と姿を現した。
紫色のどぎついトレンチコートに西洋風のピエロのマスク。
「ハッピー、ハロウィーン」
おどけたような合成音声が響いた時、緒方は背筋から嫌な汗が滲むのを感じた。
遭遇するのは初めてだが、ヤクザや半グレをターゲットにしたハッピートリガーの噂は緒方も聞いた事がある。
トレンチコートに突っ込んだ手が引き抜かれた瞬間、銃声と共に足下と背後の遊具で火花が爆ぜる。
「緒方さん!」
若い衆の一人が銃を抜いてピエロ――ジョーカーに応戦しようとする。
ジョーカーのトレンチコートが開いて、内側から映画でしか見た事の無いショットガンより大振りな銃器――グレネードランチャーが姿を現す。
「ハロウィーン? 失敬、まだ五月だ」
ジョーカーのグレネードが火を噴くと同時に地面が爆発して公園に身体が投げ出される。
半グレがへっぴり腰で公園の外に出ようとした瞬間、ジョーカーのもう一方の手に自動小銃が握られていた。
「屋根よぉーり高い、鯉のーぼーりー」
自動小銃が瞬き、公園の出口付近に無数の弾丸がばら撒かれる。
隙を突いて緒方は裏手に停めたベンツに向かって走る。
初対面とはいえ、こんな火器を狂ったように撃ちまくる狂人を相手になどしていられない。
自動小銃が向きを変え、ベンツの防弾ガラスに傷が穿たれる。
それでも緒方がベンツに戻る間に、半グレの連中は軽のワゴンに向けて疾走している。
ジョーカーのグレネードが���ンツに向けられる。
助手席に転がり込んだ緒方は叫んだ。
「出せ!」
猛スピードで走り出すベンツをジョーカーは追って来なかった。
緒方はあの猛烈な砲火の中、生き延びた事を奇跡のように感じていた。
〈2〉
午後八時。
没個性的なダークスーツに身を包んだ三浦清史郎(みうらきよしろう)は新庄市駅前にある新庄商店街の場末のバー『サイレントヴォイス』を訪れている。
新庄市は首都圏のベッドタウンとして栄えている太平洋に面した、人口八十万の町だ。
駅前の商店街では二百を超える店舗が活況を呈しており、湾岸という事もあり工場地帯も存在する。
耳に心地よいJAZZが流れる中、清史郎がショットを二杯開けた所でパリッとしたスーツを粋に着こなした慶田盛弁護士事務所の慶田盛敦(けだもりあつし)が現れた。
互いに若手と呼ばれる頃に知り合い、今では二十年の付き合いになる。
「待たせたようだな。今幾つか案件を抱えていてね」
慶田盛弁護士事務所は警察の冤罪事件を扱う事で、その道では知られている弁護士事務所だ。
日本では警察が立件した裁判では99%の確率で検察が勝利している。
その検察がでっち上げたものを、証拠を積み上げ無罪に、更には真犯人を警察に突き出して解決する。
それが慶田盛弁護士事務所の仕事であり、清史郎の三浦探偵事務所は裁判の為の情報である事件の調査依頼を受けている。
売れ筋である浮気調査などはしていない為、懐には常に隙間風が吹いている。
「最近はこっちも忙しくてね」
清四郎はスコッチを注文した慶田盛とグラスを合わせる。
『サイレントヴォイス』のマスターは、以前ヤクザに恐喝されていた所をジョーカーに扮して助けたという経緯がある。
もっとも通い続けて十五年だから隠す事もありはしない。
気のお���ない古い友人のようなものだ。
「吉祥寺の死体遺棄事件の件は進展はあったのか?」
吉祥寺の死体遺棄事件とは、富山純也二十五才宅で、川上千尋二十二才が自傷行為で死んでいたというものだ。
死後二日後に近所の人間に通報された事から、警察は富山を死体遺棄事件の容疑者として逮捕。書類送検した。
富山は無罪を主張し、慶田盛弁護士事務所に泣きつき、慶田盛が三浦探偵事務所に調査を依頼したのだ。
「川上は富山と同棲していた。富山の証言では自傷行為など考えられない」
同棲していた富山が被害者の死亡時に出張で家を空けていた事はアリバイとして記録に残っている。
「それは本人から直接聞いている」
慶田盛の言葉に清史郎は頷く。
「川上は都内の建築会社で事務をしていたが、実は裏で足つぼマッサージをしていた。これは歩合給で明細書も無い手渡しだ。小遣い稼ぎには丁度良かったんだろう」
清史郎は店舗の写真を慶田盛に見せる。
富山も都内の広告代理店に勤務していたが収入はお世辞にも良いとは言えず、川上としては将来を考えても副収入が欲しかったという所だろう。
その辺りの事情はマッサージ店の同僚から聴取住みだ。
「富山は言っていなかった。どうやって調べたんだ」
慶田盛が驚いた様子で写真を手に取る。
「足で稼いだんだよ。で、マッサージ店には川上に執着している、大野正則という客がいた。この男は二十歳でコンビニでアルバイトをしていたが、その給料のほとんどをマッサージ店の指名につぎ込んでいる」
清史郎は大野と、彼がコンビニで働いている写真を見せる。
大野という男が川上に執着し、横恋慕していた事は他の店員からも話が聞けている。
「じゃあ、そいつがストーカー化して川上を殺したのか?」
やりきれないといった様子で慶田盛がスコッチに口をつける。
「このコンビニには別に野原椎名という二十五才のアルバイト店員がいる。この女は大野と交際していると公言しており、ストーカーの気質もあるようだ。大野は全面的に否定しているけどな」
清史郎は野原と、野原が大野を尾行している写真をカウンターに乗せる。
追っている者は追われている事は忘れがちなものだが、大野が川上を付け回し、その大野を野原が追い回していたという訳だ。
そして道ならぬ恋に破れた野原は凶行に出た。
「じゃあ、野原が大野と川上の関係を勘違いして……」
話を整理するようにして慶田盛が言う。
「川上の切創は手首と腕に集中している。これは自傷行為というより防御創だ。更に他に傷跡も無い事から自傷行為の常習という事も考えられない。仮に大野が殺したとするなら、体格差から刺殺になった事だろう。つまり傷跡から考えても同程度の体格の相手から切り付けられたと考えないと成立しないんだ」
警察から入手した傷跡の写真には古い傷跡は一つも無い。自傷行為が常習性を持つという事を考えれば自殺の線は消えたと考えていい。
「川上は外に助けを求めに出ようとは思わなかったのか?」
「手のひらも切られていたんだ。普通の神経ではドアノブを握る事もためられただろうし、本人も富山が帰ってくれば助かると思ったんだろう」
富山は残業や出張が多く、帰宅時間は一定していなかった。
富山が出張を被害者に伝えていなかった事も証言から明らかになっている。
清史郎は資料の束を慶田盛に渡す。
「毎度仕事が早くて助かるよ。これで検察の容疑を晴らして真犯人を起訴できる」
慶田盛が満足そうに言う。探偵業をしていて良かったと思える一瞬だ。
「で、娘の学費の件なんだが……」
清史郎は慶田盛に話を切り出す。
大学を卒業してすぐに結婚し、娘ができて半年と経たずに妻が離婚を申し出た。
不倫である事は分かっていたが、彼女の名誉の為に黙って養育費を受け入れた。
とはいえ、慶田盛弁護士事務所の依頼者の多くは金銭的に厳しい者が多く、その仕事を更に下請けする三浦探偵事務所の実入りはとても良いとは言えない。
一年で五十件の冤罪事件を解決した年もあったが、その年の収入でさえ四百万を少し上回る程度だったのだ。
テナント料と養育費を払ってしまえば食費もロクに残らない。
半ば商店街の好意で事務所を置かせてもらっていると言っても過言ではない。
そしてようやく養育費を払い終わったと思ったら、元嫁が娘の学費を請求して来たのだ。
慶田盛いわく法的には支払いの義務は無いとの事だが、娘を大学に進学させてやりたいという思いはある。
「示談にするのが一番じゃないか? 向こうも本気で学費を巻き上げられるなんて思ってない」
「敏腕弁護士が中途半端な事を言うじゃないか」
「君の元奥さんは金が欲しいだけで最初から娘を大学に行かそうなんて思っていない」
慶田盛の言葉に清史郎は石を飲んだような気分になる。
「私が支払うと言えば嫌でも大学に行かせなくてはならなくなるだろう」
元嫁に対する愛情など欠片も無いが、娘に対する愛情は残っている。
「そんな金が君のどこにあるって言うんだ。夕食を場末のバーボンで済ませる男の食生活がこれ以上荒むのは見るに堪えない」
慶田盛の言葉に清史郎はため息をつく。
確かに慶田盛の言う事に間違いは無い。
――あの女のせいで自分も娘も……――
ジョーカーとして稼いだ金を出せば解決可能だが、帳簿に乗らない金を出したなら国税局に乗り込まれる事になる。
結局私生活は何一つ変わっていないのだ。
「しばらくしたら仕事の量を増やすさ」
ジョーカーを演じ始めたのは与党と矢沢組が推し進める新庄市再開発計画を阻止する為だ。
その行方を占う知事選挙が四か月後に控えている。
「もう歳なんだ。いい加減町を騒がすハッピートリガーなんてやってられないだろう」
「これはそこいらの冤罪なんてモンとは次元が違う。新庄市に生きる人々の生活がかかっているんだ」
清史郎が言うと慶田盛が苦笑する。
「相変わらず正義感だけは人一倍だな」
「皮肉を言うならお前も大手の弁護士事務所に転職したらどうだ?」
清史郎の言葉に慶田盛が笑みを浮かべる。
「それこそ真っ平だ」
清史郎は笑みを交し合うとグラスの底に残ったバーボンを飲み干した。
慶田盛も自分も世間で言う所の真っ当な大人にはなりきれていないのだ。
〈3〉
今年で二十七才になる円山健司はマンションの部屋のボタンを適当に押していた。
『はい、どちら様ですか』
「amazon様からの御届け物です」
本物のamazonの箱を抱え、配達員の服装をしているのだから疑う者も無いだろう。
――注文客以外は――
マンションのオートロックをパスしようと思ったら、住人について行くのが一番手っ取り早い。
しかし、それ以上に手堅いのが郵便物の配達員になりすますという方法だ。
amazonであればほとんどと言って良い人間が利用しており、世帯主では無くてもファミリー向けマンションなら家族が注文している可能性もある。
そしてオートロックをパスしてしまえば、実際にその部屋にものを届ける必要など無いのだ。
健司はオートロックをパスすると非常階段で配達員の服装を箱に収め、ビジネススーツに身を包んだ。
どこに居ても違和感を感じさせないという点で、ビジネススーツはほぼ最強のアイテムと言える。
健司は時刻が二十二時になるのを待って、十四階の廊下にクリスマス用のランプを天井から垂れ下がるように飾り付けた。
全て両面テープで一瞬で剥がせるようにしてある。
更に待つ事一時間、程よく酔ったスーツ姿の男がエレベーターから出て来る。
健司は息を飲んで男の背後につけ、クリスマスの飾りつけを一斉に点灯させる。
男の胡乱な目と意識が飾り付けに向いた瞬間、健司は男の両足を抱えるようにして廊下から外に向かって放り出していた。
悲鳴を上げる間も無く、鈍い音が階下から響く。
八階以下なら死亡の確認も行うが、十四階で生きている事はまず無い。
飾り付けの一方を引っ張って仕掛けを回収し、箱に収めてエレベーターで悠々とマンションを後にする。
明日には会社員自殺の報が流れるかも知れないし、流れないかも知れない。
いずれにせよ、目的を果たした健司は『殺し屋』へと足を向けた。
『殺し屋』は歌舞伎町の風俗ビルの一室にある。
夜更かししてまで仕事をする気は無い為、殺し屋と書かれた看板の電源を入れ、のれんをかけるのは明日の朝九時になってからだ。
ボックス席が二つにカウンターが六脚。
お品書きには殺し方のメニューが書かれている。
客はその中から死因や死体の放置の有無などを選択し、健司は見積もりを出してターゲットを殺す。
ごくごくシンプルなビジネスだ。
今日のターゲットはヤクザに貸し渋りをした銀行の支店長で、死因は自殺で死体は放置で良いという事なので仕事としては楽なものだった。
とはいえ、調査に四日かけて二百万の報酬。
ヤクザが稼ぐ額に比べれば雀の涙だが、踏み倒される事を考えれば前払いでささやかに仕事をする方が余程いい。
殺し屋も楽な仕事ではないのだ。
〈4〉
渋谷のクラブ『クイーンメイブ』で、三浦清史郎は所在無げに立っていた。
本日のDJはKENこと前田健だ。
アップテンポのR&Bと若い男女の支配する空間で、中年の疲れたサラリーマンといった体の清史郎は明らかに浮いている。
健がボックスのVIP席を用意してくれているが、一人でそんな所に座っていても落ち着かないだけだ。
健のパフォーマンスが一段落した所で、清史郎は二十歳過ぎのTシャツにデニムのショートパンツといった服装の女性に声をかけられた。
「ジョーカー、何疲れてんの?」
「仕事とここの空気のダブルパンチだ」
声をかけて来たのは長い髪を茶色に染めた飯島加奈というコンビニの店員だ。
快活な女性で、見ている限り店長より仕事をテキパキとこなしているように見える。
仕事さえ違えば有能なのかも知れないが、このご時世では仕事があるだけでも儲けものだ。
「ノれば楽しいって」
加奈がしなやかな身体を動かしてダンスらしきものを踊って見せるが、清史郎には真似をする事もできそうにない。
「俺の頃、ダンスは学校の授業に無かったからな」
清史郎はカウンターでアーリータイムズを注文する。
酒屋ではボトルで買っても千円程度なのに、クラブではショットで四百円取られるのだから暴利もいい所だ。
「私の頃だって無かったってば」
加奈がカシスオレンジを注文しているとパフォーマンスを終えた健が近づいて来た。
「どォよ、俺のパフォーマンスはよ」
「毎度疲れるよ」
清史郎は肩を竦めて答える。
「釣れねぇ態度、クイーンはどうだった?」
健が加奈――クイーンに話題を振る。
「いいんじゃない? ここではナンバーワンなんでしょ?」
楽しんではいたが加奈もDJの良し悪しは良く分かっていないようだ。
「だろ? 俺、最高にクールだったよな?」
言って健がスクリュードライバーを注文する。
健だけは店舗でDJをしている為にドリンクが無料だ。
「センスがいいのは認めるけど、ここのクラブで一番でも他所で一番って事にはならないから」
ぴしゃりとした口調で加奈が言う。
「これだけで食っていけるとは思ってねぇよ」
悄然とした口調で健が肩を落とす。
DJを優先している為、不規則な生活の彼は普段は日雇いのバイトをしている。
全員が飲み物を手にした所でダンスフロアを横切ってボックス席に向かう。
「に、してもよジョーク、昨日のヤクザ連中のビビりっぷりは最高だったな」
楽しそうな口調で健が合皮のソファーに腰を下ろす。
「エースは機械いじってただけでしょ? 仕込みをしたのはあたしとジョーカーなんだから」
加奈が健――エースを叱責するような口調で言う。
「俺は俺で神経使ってんだって。第一お前らだけじゃWi-Fiのクラッキングもままならねぇだろ」
「その危険地帯にジョーカーが踏み込んで機材を仕掛けてるんじゃない」
清史郎はITに関しては門外漢だが、昔ながらの盗聴や盗撮、ピッキングといった技術は職業柄身につけている。
しかし、大手の情報企業と契約していない為、早いという利点は存在しない。
現在一般的な興信所は大手情報企業と契約しており、端末の通信履歴からクレジットの支払い履歴まで二十万円から六十万円でパッケージで購入している。
ETCの履歴まで買えるのだから、全て現金で賄い、更に携帯電話もスマートフォンも持たないので無ければ市民の生活は筒抜けだ。
だが、情報企業に頼るという事は、利害が密接に絡んでいる対象を調査できなくなるという事も意味している。
従って検察を敵に回している清史郎は情報企業を利用できないのだ。
その清史郎がジョーカーという仕事をするに当たって健をスカウトしたのは、単にDJは複雑な機材を器用に使っているという思い込みだけだった。
最初はヤクザに嫌がらせをするただの乱射魔演出という構想だったのだが、健のITスキルが想像以上に高く、健の元同級生で実務能力に長けた加奈が加わり、神出鬼没のハッピートリガー、ジョーカーが誕生する事になったのだ。
「そこはWINWINじゃね? 俺の真似は二人ともできないんだろ?」
勝ち誇った様子で健が笑みを浮かべる。
「現金回収したの私なんだからね」
封筒を手にした加奈が健に向かって言う。
昨夜のヤクザの取り引きでジョーカーが登場した時、どさくさに紛れて半グレの落とした金を拾ったのは加奈なのだ。
「で、幾らになったんだよ」
「がっつかないの。バラけてたので百十一万。ジョーカーが三十一万でいいって言ってるから四十万」
「あざーっす!」
健が笑顔で加奈から封筒を受け取る。
「に、してもボれぇよな。俺なんて一日工事現場で働いても七千円だぜ」
「私だって八時間みっちりシフト入って八千円行かないんだから。あんたは税金の天引きが無いだろうけど、私はガッツリ取られるんだから」
加奈が小さくため息をついて言う。
「私は確定申告で青息吐息だよ」
清史郎は苦笑を浮かべる。
本業の探偵は労力の割に儲かっているとは言い難い。
その中で臨時でも帳簿に乗らない収入があるのはありがたい事だった。
「ジョーク、辛気臭ぇ話は無しにしようぜ! 今日は俺のおごりだ」
健がバーテンにボトルを注文する。
――今日の所は好意に甘えておこう――
清史郎は明日から始まる地道な仕事に思いを馳せた。
第一章 殺し屋VSジョーカー
〈1〉
「まさかお前まで手玉に取られるとはな」
純和風の邸宅の四十畳ほどの上座から、矢沢組組長矢沢栄作の声が響く。
矢沢は東大出身で大手の組の金庫番をしていた経済ヤクザだったが、手腕を見込まれて盃を受けて新庄市を任された男だ。
大型カジノ施設と契約し、建設費用だけで二千億円を超える大規模開発事業に着手。
地域活性を謳ってケツモチをしている与党の知事を、市民公園を作ると言って与党の市長を当選させ、財務局を握って人口八十万程度の町である新庄市の経済活性としてカジノ施設を呼び込む段階まで運び込んだ。
しかし、新庄市には古くからの商店街があり、カジノ施設に一斉に反対。
この動きを野党が連合して支援した事で、矢沢組の工作虚しく市会議員選挙でまさかの野党大勝与党過半数割れとなった。
そこで組として商店街に圧力をかけ、一方で麻薬や売春で治安を悪化させて風紀を乱すという策に出た。
そこに商店街からの刺客のように出現したのがジョーカーだ。
従って、今回の取り引きでたかだか百万程度の損失を出した事は問題ではない。
手足となる半グレが震えあがり、商店街が盛り返してしまう事の方が問題なのだ。
ジョーカーは確実にドラッグか銃のある時にしか出現せず、空取り引きで警察を使って捕えようとしても決して出て来ない。
支配下にある警察でも公安とマル暴がジョーカーを追っているがかすりもしない。
「完全に俺の失態です」
緒方は畳に額をこすりつける。ジョーカーが来るかも知れないと備えていても、圧倒的な火力を見せられて対応できる組員など存在しなかった。
「お前で駄目なら誰が行っても同じだろう。幸いヤクは複数のルートでさばいている。一か所の取り引きが潰れたくらいでプランに変更は無い」
矢沢の言葉に緒方は頭を下げ続ける。
ジョーカーに遭遇すれば十中八九取引どころではなくなるし、組員の士気の低下につながるだろう。
しかも、ジョーカーの正体はまるで分らない。
ヤクザが取引の現場に発砲魔が現れたと被害届を出せば、警察と幾ら緊密な関係にあるとはいえジョーカー逮捕の前に麻薬取引や銃刀法で御用となる。
警察が味方と言っても、捜査させる理屈が見つからないのだ。
従って、科捜研を動かしてジョーカーを特定するという事もできない。
かと言って、ジョーカーらしき人物は大手の情報企業のデータベースにも存在しない。
そもそも個人が特定できていないのだから、企業から情報を購入しようが無い。
「カジノ施設反対派は金で分断しろ。一億二億なら建設の際に財務局の法で水増しできる」
矢沢の言葉を緒方は脳裏で反芻する。
これは緒方の裁量で動かして良いのが二億円程度という話だ。
商店街含め、新庄市でカジノ施設に反対している事業者は七百に上る。
二十万円づつ配ったところで効果は見込めないし、家業と住み慣れた町を捨てさせるには最低でも二千万は必要になり、十人買収したところで七百の事業者から見れば雀の涙だ。
二億という金をどう効果的に使うか。
麻薬の売買で風紀と治安を乱そうとしたところで、商店街が機能して失業者も少ないという環境にあっては大きな効果を見込めない。
警察は見逃してくれても市民に監視されているようなものなのだ。
――いつまでもこの状況を引き延ばす訳には行かない――
半年後の知事選で知事が敗れ、反対派の知事が誕生すればカジノ施設誘致契約が破談となり、二千億を超える金が利益ではなく損失として計上される事になるのだ。
それは矢沢組の滅亡を意味していた。
〈2〉
午前八時半。
『殺し屋』に出勤した健司は店舗の掃除を始める。
明るく綺麗な店舗は客商売の基本中の基本だ。
『殺し屋』を訪れる客は決して多くはないが、だからと言って手を抜いて良い��由にはならない。
風俗ビルの一室というどうにもならない立地上の限界はあるにせよ、一国一城の主として近隣の風俗店や飲食店と比較して店舗が清潔かつ快適であるという自負がある。
カウンターとボックス席を磨き上げ、店の前に出した看板の電源を入れて暖簾をかける。
健司はカウンターの中で客の訪れを待つ。
健司が『殺し屋』を始めたのは大学卒業から四か月が過ぎてからだ。
在籍中に内定を取る事ができず、無職のまま卒業を迎えて露頭に迷う事になった。
住んでいたアパートも追い出され、頼ったのは風俗嬢になった同級生。
働いているという店舗を訪れ、偶然奥のテナントが空いているのに気付いたのだ。
幸運な事に鍵は開いたままで、住む所の無かった健司はそのままそのテナントを利用する事にした。
しかし、いつまでも居座る訳にも行かず、就職する必要があったが卒業した後では求人がほとんど無かった。
そこでテナントを利用して自営業を始めようと考えたのだ。
偶然町で見かけた『冷やし中華はじめました』という張り紙をヒントに、テナントのドアに『殺し屋はじめました』というビラを貼ったのだ。
それまで人間を殺した事は一度もなかったが、どんな仕事にも初めては存在すると割り切った。
最初の客は風俗ビルで働く風俗嬢だった。
ターゲットはストーカー化した客。
苦労はしたものの、一か月で痕跡を残さずに殺す事に成功した。
以後、口コミで話題となり、多くの人が『殺し屋』を訪れるようになった。
依頼を二百もこなす頃��はだいぶ勝手が分かってきて効率的に殺す事ができるようになってきた。
四年が過ぎた今ではオプションサービスも充実させ、店もリフォームした。
今では年収一千万を超えている。
ヤクザに比べればささやかなものだが、悪事を働いているわけではないから商店主としてはこの不景気にあって良い方ではないかとも思っている。
健司がカウンターに立っていると、一人の客が暖簾をくぐった。
「いらっしゃいませ! ご注文がお決まりになりましたらお申しつけください」
言って冷茶を注いだグラスをカウンターに座ったビジネスマン風の男の前に出す。
男がお品書きを見て目を細める。
「殺しの注文というのは相手の氏名が分からないと無理なのか?」
「素行調査であれば興信所を使われるのが一番です。当店では速やかな仕事を心がけておりますので本業以外の仕事は見合わせております」
健司は男の様子を観察する。一見するとビジネスマンに見えるが、作り笑いに慣れていない、否、笑わない職業である事が見て取れる。
能面のような顔の裏に押し殺した暴力的な雰囲気は、警察か暴力団員かそれに近い者だろう。
「前金で二千万」
男がにこりともせずに言う。
「当店は誠実がモットーでございます。確実に殺せないターゲットをお引き受けする事はできません」
「それなら総理大臣でも殺せるのか?」
「名前と住所どころか一日のスケジュールまで手に入りますから、さほど難しく無いターゲットだと考えております。ただし知られている通り警備も厳重ですから時間も必要となり費用も高くなります」
健司が言うと男が低く唸る。
「総理大臣でも不可能ではないと?」
「もちろん、オーダーが首つり自殺などですと難しい案件にはなります」
「首つり自殺は難しいか……面白い事を言う」
男の口元に小さな笑みが浮かぶ。
「二千万はターゲットの調査費用という事でどうだ? 成功報酬は四千万」
健司は小さく息を飲む。
金払いがいい相手である事は確かだが、それだけの力の持ち主でもあるという事だ。
――失敗すれば命は無い――
しかし、ヤクザを敵に回せばテナントから追い出されるだけでは済まないだろう。
「繰り返しになりますが当店は殺し屋でして、興信所ではありません。ターゲットの補足は素人のようなものです。その二千万円でターゲットを補足されましたら確実に殺させていただきますが、二千万円を頂いてもターゲットを補足できるとは限りません」
「二千万を手に高跳びとは考えないのか?」
「飛んだ先で失業すれば同じ事です。地域の皆様に愛される店づくりが当店のモットーです」
健司の言葉に男が破顔する。
「俺は矢沢組の緒方。二千万はここに置いていく。ターゲットはジョーカーと言われている銃の乱射魔だ。俺はお前が気に入った」
言って冷茶を飲み干した緒方が席を立つ。
――これは大変な事になってしまった――
健司はジョーカーという謎の相手を探るために、出したばかりの看板と暖簾を引っ込めた。
〈3〉
午前五時。
健は薄汚れた作業服を着て、年季の入った肉体労働者の列に混じっている。
ホームレスも珍しくないが、ホームレスでもとび職になると一日に二万円以上稼いでホテルに泊まっていたりするから、定住しないのは税金対策といった事情が大きいだろう。
午前六時半、一台のワゴンが健の前に停車する。
「おい、若ぇの、乗れ」
「うぃっす」
筋肉隆々といった古参の肉体労働者に囲まれていると既にやる気が萎えてくる。
労働者ですし詰めのワゴンで移動する事小一時間、朝日が白々と空を照らす中健は自分には一生縁の無さそうな高級マンションの現場にいた。
現場監督のどうでもいいような話に続き、ラジオ体操をさせられる。
眠いだけならまだいい、ラジオ体操が終わってからが地獄だ。
「コンパネ運んで来い! トラック入れねぇじゃねぇか!」
自分に向けられた言葉と気付いた時には、組まされるらしい土工の目が険悪になっている。
男がコンパネと呼ばれる90cm×180cmの板を十枚程抱えて通用口に出ていく。
健の腕力では精一杯頑張った所で三枚だ。
この板を敷いてその上をトラックが走れるようにするのだが並べるだけでも容易ではない。
健はもともと運動神経が良い方ではない。
高校では情報科学部でLinuxを使用してITの全国コンテストで優秀賞を手にした生粋のインドア派だったのだ。
PCの扱いと音楽好きなのとでDJには一定の技術も知識もあったが、一般科目では赤点スレスレで奨学金がもらえるような成績でも無かった。
そんな中、PCを触れて音楽もできるDJという職種を選んだ。
しかし、一晩パフォーマンスをしても六千円程度にしかならないし、他にもDJはいるのだから毎日入る事などできはしない。
従って一人暮らしのワンルームの家賃を払っていく為には、DJの仕事を妨げない、時間にゆとりのある職業に就くしかなかった。
「チンタラ運んでんじゃねぇ! 三枚しか運ばねぇってタマついてやがんのか」
年配の作業員がヤニの混ざった唾を吐き捨てる。
健が運んだコンパネをトラックの通路に並べていると、いら立った様子の作業員が近づいて来る。
「シャベル持って付いて来い」
「シャベルってどこにあるんスか?」
「ふざけてんのか! テメェで見つけろ! 遅れたら承知しねぇからな」
健は屈辱にも似た気分に耐えながら、建設現場をうろついて乗ってきたワゴンでシャベルを見つける。
今日拾われた工務店はどうやらマンションの裏手に穴を掘っているらしい。
「ここに管通すんだからな、掘れたら石詰めだ」
幅は四十センチ程、深さは六十センチは掘らなくてはならない。
総延長は二十メートルにはなるだろう。
小型のユンボを使って欲しいが、既に他の管と入り組んでおり不可能らしい。
配管の順序が逆になるという事は設計ミスの可能性も高いだろう。
健はだるくなる腕を支えるようにして必至でシャベルで穴を掘る。
要領の良し悪しなど分からない。分かるのは掘らなければ怒号と罵声が飛んでくるという事だけだ。
昼過ぎに作業が終わったと思いきや、
「ネコでガラ片付けて来い」
「ネコって何っスか」
反射的に首を竦めながら健は尋ねる。
「手押しの一輪車だ! この使えねぇボンボンが……」
健は奥歯を噛みしめながらネコを探して歩きまわる。
ネコを見つけてもガラ運びという重労働が待っている。
健は暗澹とした気分で工事現場を歩き回る。
――俺だってジョーカーの一員だってのに――
〈4〉
「暑っつ~い! ったく、エースのヤツ今日は土建屋だなんて……」
加奈がマイナスドライバーで水銀灯にへばり付いたガムを剥がしながら言う。
ガムの中には火薬と小さな信管が仕込まれている。
「休みがお前だけだったんだから仕方ないだろう」
清史郎はシャベルで地面に埋まった火薬を穿りながら言う。
乱射魔ジョーカーには秘密がある。
それは実際にはモデルガンしか持っていないということだ。
そこで、予め花火で集めた火薬をセットしておき、ヤクザが商売をしようという所で爆破して妨害する訳だ。
モデルガンには赤外線カメラが搭載されており、Bluetoothで健の端末とつながっている。
清史郎が引き金を引くと同時に健が火薬にセットされた信管を反応させ、銃撃のように見せかけているというだけなのだ。
だからグレネードランチャーの爆発と言っても、実際には大きな花火が地面の下で爆発しているだけで殺傷能力など存在しない。
とはいえ、撃たなかった方向にも埋め込んだ火薬はあり、子供などがうっかり触って怪我をしてしまう可能性もある。
従ってジョーカーとしての仕事の後は必ず後始末が必要になるのだ。
「まぁ、ジョーカー一人に炎天下で作業��せるわけにも行かないし。歳だし」
加奈の言葉に清史郎は苦笑する。
加奈と健は二十一歳だが、清史郎は四十五歳だ。
肉体的に無理のきかない歳という事は重々承知の上だ。
炎天下でひたすら火薬を撤去する事四時間。
仕事を終え、加奈と一緒にたこ焼き屋の店先で麦茶を飲む。
近年おおだこが当たり前になっているが、清史郎が行きつけにしている昔ながらのたこ焼きはピンポン玉より少し小さい程度で味も良く、言えば店のおばちゃんが麦茶を出してくれるというサービスがついてくる。
「おばちゃん、最近ヤクザはどうだい?」
清史郎は店主兼店員の初老の女性に声をかける。
「あんたに相談したらそれっきりだよ。派手なドンパチがあったみたいだけどね」
おばちゃんの言葉に清史郎は笑顔を返す。
警察や興信所に相談してもヤクザ絡みの事件は解決しないが、しがらみの無い三浦探偵事務所とジョーカーなら不可能も可能になるのだ。
商店街や商工会の中でも事情は不明だが、清史郎に依頼をすればヤクザが引っ込むという都市伝説めいた話が広がっている。
だが、あまりに知られ過ぎると清史郎がマークされ、ジョーカーを出現させられないという事になる。
従って三浦探偵事務所は慶田盛弁護士事務所とは緊密な関係にあるが、地元の商店街とは付かず離れずの関係を続けているのだ。
加奈と一緒にたこ焼きを食べているとスマートフォンが着信を告げる。
健が清史郎が仕掛けた無線wifiのクラックシステムで、ヤクザの新たな取引を察知したのだ。
――健が稼ぎたがるのも分かるがな――
火薬を調達し、設置し、身体を晒す身としては、ヤクザが本腰を入れない為にもジョーカーの出番は抑えておきたいところだった。
〈5〉
健司は朝のラッシュアワーで意図的に駆け込み乗車に失敗した。
健司に乗車を妨害された形のスーツ姿の男性が、苛立った様子で最前列に立つ。
山手線の次の列車が来るのは四分後だ。
健司はポケットからsimフリーのスマートフォンを取り出す。
simフリーではあるがsimも入れていなければ、個人情報にかかわる情報も一つとしてインストールしていない。
健司はスマートフォンを操作するフリをして考える。
ジョーカーは新庄市から出ていない。
矢沢組から健司の得た情報は散文的なものだった。
ヤクザが取引をしようとする、もしくは刀や銃で武装した状態で市民を脅そうとする。
ヤクザが警察に通報できない時に、狙ったようにジョーカーが出現している。
単純に考えて情報が筒抜けになっているという事だろう。
乱射魔と支離滅裂な口調という仮面が狂人を作り上げているが、警察を巧みに避けている事からもジョーカーが充分過ぎる程に理性的な人物である事が分かる。
相手は狂気の人間ではない。恐ろしい程の知能犯だ。
健司は矢沢組から入手したドライブレコーダーの映像を繰り返し『殺し屋』のカウンター内のPCで再生した。
ヤクザが出ていき、しばらくして銃火がひらめき、慌てふためいたヤクザが逃げてくる。
どの映像も流れは同じだ。ヤクザがドライブレコーダーを使っているというのは不思議なものだが、ヤクザも交通事故では警察の世話になりたくないという事だろう。
ジョーカーの紫のトレンチコートとピエロの仮面にはモデルが存在する。
アメコミ最高の悪役とも言えるバットマンに出てくるジョーカーだ。
相手の頭脳から推し量ってもそれくらいの事は分かってやっているのだろう。
敵を混乱させるという意味ではジョーカーは最高の仕事をしていると言っていい。
では、ジョーカーの行動にロジックは存在しないのだろうか。
その最大の理由は新庄市に活動を絞り、矢沢組と戦っているという点に存在するだろう。
ジョーカーの動機が判明すればその正体を絞り込めるはずだ。
健司の後ろに列ができ、周囲が人垣と言っても良い程になる。
ほとんどの人が急いでいるかスマートフォンを操作している。
毎日このような息苦しい思いをするのが分かっていて、どこの会社も出社時刻を一緒にしているのか謎だが、このような状況が起きる事で仕事を円滑に進められるのも事実だ。
駅のホームは渋谷のスクランブル交差点のように混雑しており、点在する監視カメラからも死角になっている。
列車が見えた所で健司はsimフリーのスマートフォンを線路に放り投げた。
「落ちましたよ」
健司の言葉に周囲の人間の視線が線路に落ちるスマートフォンにくぎ付けになる。
健司が乗車を邪魔した男が慌てた様子で胸ポケットに手を当てる。
健司はスマートフォンを拾おうとするかのように踏み出しながら、素早く男の背を押す。
男が線路に転がり落ちるのと列車が到着するのは同時だった。
ブレーキ音と悲鳴が駅のホームを支配する。
――これで今日もお客様を笑顔にできた――
健司は動揺を装いながら駅員の誘導に従って満足感と共にホームを後にした。
〈6〉
潮風が香る深夜の埠頭の倉庫街。
緒方は三十人の組員を伏せさせ、更に暴走族を張り込ませて取引に臨んだ。
捌くドラッグの金額は一千万。
ジョーカーが金を狙っているならこの好機を逃すはずが無い。
半グレの三団体の代表がベンツで乗り付け、ヘッドライトの光を背に向かってくる。
――どうするジョーカー――
傍から見ればこれ以上のカモは無いだろう。
しかし周囲には銃で武装した構成員と、それに数倍する人数の暴走族がいるのだ。
仮に強襲に成功したとしてもこの包囲網を抜け出る事は不可能だろう。
金をアタッシュケースに入れた男たちが近づいて来る。
ジョーカーは金を見せた時に最も多く出現する。
緒方はドラッグの詰まったスーツケースを手にヘッドライトに身を晒す。
「緒方さん、ご苦労様です」
半グレの代表のスーツ姿の男が言う。
アタッシュケースが開かれ、帯どめされた札束が姿を現す。
緒方もスーツケースを開いてロシア経由の最高級品を見せる。
と、緒方は場違いな程騒々しいエンジン音を聞きつけた。
『奢れるヤクザもコンバンハ』
拡声器の声と共に波を蹴ったボートが一直線に突っ込んでくる。
船首に立ったジョーカーが銃を抜いて問答無用で撃ち始める。
緒方の周囲で火花が散り、半グレが慌てた様子でアタッシュケースを取り落とす。
伏せていた緒方の部下がジョーカーに向かって応射を開始する。
ジョーカーがグレネードランチャーを構えて砲火を閃かせる。
ベンツの車体が火を噴いて浮き上がる。
倉庫街の至る所で爆発が起こり、火の手が上がる。
ただの撃ち合いなら警察も黙っているが、火災が発生したのでは消防が動き追って警察も出動を余儀なくされる。
ボートが埠頭の岸壁を掠め、ジョーカーが猛火の中を歩んでいく。
「今宵のコテツは鉛に飢えて、オイラの引き金も軽くなるゥ~」
相変わらずの意味不明な言葉でジョーカーが戦場となった埠頭を蹂躙する。
雄たけびを上げた半グレの一人が鉄パイプを振り上げてジョーカーに向かっていく。
鉄パイプの一撃を受けたジョーカーの動きが鈍る。
「あの世の旅も道連れ世は情け、痛いの痛いの焼死体」
ジョーカーが鉄パイプを奪い取って半グレを路上に蹴り飛ばす。
ジョーカーが怒り狂ったようにグレネードを乱射する。
緒方は炎で崩れ落ちる倉庫を避けて部下のベンツに向かって走る。
この乱射の中では同士討ちが危ぶまれるどころではない。
まずは消防がやって来る前に現場を離脱しなければならない。
取り残される組員や半グレには悪いが、矢沢組としても幹部が尻を蹴飛ばされたままブタ箱に入る訳には行かないのだ。
〈7〉
「……ッ」
清史郎は左腕を押さえたままボートの床に腰かけている。
夜の海から見えるのは照明で浮かび上がる工場の幻想的とも言える光景。
酔狂なカップルなら観光に来るのかも知れないが、現在の清史郎にその余裕は無い。
ボートが揺れる度に左腕が痛み、肩から背中までもが痛むように感じられる。
――腕を折られたか――
折れたと言っても粉砕骨折では無いだろう。
粉砕骨折なら幾ら警察OBの探偵から護身術を習っているとはいえ、鉄パイプを奪って蹴り飛ばす事などできてはいない。
問題なのは常識的に考えて鉄パイプを持った敵に対してなぜ発砲しなかったかという事だ。
客観的に見ればこれほど奇妙な事は無いだろう。
狂気の道化師、ジョーカーなのだからと見逃してくれる輩ばかりではないだろう。
「ジョーカー、大丈夫?」
気遣う様子で加奈が声をかけてくる。
「今回の作戦はリスクは織り込み済みだったんだ。鉛弾を食らわなかっただけでもいいってモンだ」
清史郎は虚勢を張って言う。
健が入手した情報は矢沢組が最も警戒している取引、もしくはジョーカーをおびき出そうとしている作戦だった。
当然もっと楽なターゲットを探す事も可能。
しかし、健がこの難度の高い作戦にこだわり、清史郎もジョーカーの名を上げる為に乗ったのだ。
「ジョークには悪かったけど今日だけで六百万だぜ? 一人二百万ってすごくね?」
ボートを運転しながら健が言う。
百人以上が動員されている取引を強襲する為に海路を選んだのは正解だった。
通常は予め現場に潜んでいるが、今回はヤクザが張り込む事が分かっていた。
脱出の目途もたたないのに予め潜むという手段は使えない。
と、なれば相手が考えてもいない方向から強襲して、対応されるより早く逃げるという方法だ。
「アタッシュケース拾って来るのも命がけだったんだから。あんたは安全な所でPCたたいてるだけだからいいかもしれないけど」
加奈がボートでPCを操作していた健に向かって言う。
清史郎が派手に暴れている隙に半グレが落としたアタッシュケースを回収したのは加奈だ。
ヤクザが銃で応戦して来る中で拾ったのだから、生きた心地���しなかったのであろう事は想像に難くない。
「ジョークだって腕を切り落とされたとかじゃねぇんだし、保険証が使えねぇなら金あんだし海外で手術とかもアリじゃね?」
楽観的な口調で健が言う。確かに健の案もいいが致命的な欠陥がある。
「ジョーカーは左腕を殴られている。保険の記録に残らなくても俺が左腕をギプスで吊っていたら正体を宣伝してまわるのと同じことだ」
「あ、そうか」
「あ、そうかじゃないでしょ! だいたいあんたが怪我してるわけじゃないんだから」
加奈が虚を突かれた様子の健に向かって言う。
「腕は町の獣医に頼んで治してもらうよ。問題は探偵事務所の方だな」
町の獣医であれば顔なじみだし、保険の記録に残る事も無い。
「事務所はほとんど客来ねぇからOKじゃね?」
相変わらず楽観的な様子で健が言う。
「エースってば本当に失礼なんだから」
「本当の事だからいいんだけどな。でも選挙が近づいているからカジノ反対派の人たちが現職知事の裏情報を求めてくるかもしれない」
情報が盗まれたものなら裁判では証拠にならないが、盗み出して内部告発の形をとって匿名でばらまくという事は可能だ。
「与党の現職知事って矢沢組がカジノ呼ぶ為に当選させたんだろ?」
健の言葉に清史郎は頷く。
元々災害避難地域指定だった公園の指定を解除し財務省に許可を発行させ、企業が進出できるよう実際に動いたのは与党だ。
暴力団が本体か与党が本体かというのは、鶏と卵のパラドクスを解くに等しい。
「でも物的証拠が無い。音声データやメールは改ざん可能だから決定打にはなり得ない」
「手書きのサインの入った書類が無いと証拠にならないって訳ね」
加奈が話を要約して言う。
「それって探偵とかの仕事じゃねぇのか?」
健の言葉に清史郎は痛みを感じながらもため息をつく。
「私はその探偵なんだよ。儲かっていないだけで」
「とりあえず一人二百万入ったし、ジョーカーはひとまずお休みするしかないわよね」
加奈は状況を落ち着いて観察できているようだ。
「でもよ、選挙が終わって反対派が勝ったら出番も無いんじゃね?」
「そもそも反対派を勝たせる為に始めたんだよ。目的を忘れないでくれ」
商店街と探偵事務所を守る為のジョーカーなのだから脅威が消えれば戦う必要は無い。
もともと町を守る為の義賊として、健も同意して始めた事なのだ。
「あ~、キャデラックに乗りたかったぁ~」
船の縁に寄りかかって健が空に目を向ける。
「外車ディーラーで試乗でもすればいいでしょ」
「そういう事じゃねぇんだよ。こう、リッチな気分でパーッとやりたかったって言うかさ」
「気持ちは分からなくも無いけどさ、私らもともと何千円で一喜一憂してたんだからね」
「へぇ~い」
加奈に言われた健がため息をつく。
二人のやり取りを聞きながら清史郎は考える。腕を折られたジョーカーが休養すれば、不死身の化け物のようなイメージが揺らぐ事になる。
双方の総力戦の様相を呈した今回の戦いで、相手もジョーカーが手傷を負った事は分かっているはずだ。
――大人しく休養というわけには行かないか――
清史郎は加奈に目を向ける。
IT機器を素早く操作できない以上、空白期間にジョーカーを演じられるのは加奈だけだ。
〈8〉
ジョーカーは手傷を負った。
店内の観葉植物の葉を丁寧に拭いながら、健司は緒方からの情報の意味を考える。
圧倒的な火力を持ちながら、鉄パイプを手に向かって来る敵に対してジョーカーは無策と言っても良い状態だったのだ。
これはこれまで一人も死者を出していないというジョーカーの姿勢と符合する。
その後の乱射により埠頭は混沌と化し有益な情報は集まっていないが、ジョーカーが現金の入ったアタッシュケースだけを手に海に逃れた事は間違いない。
――ジョーカーは人を殺さないという前提で考えたら――
単純にヤクザを驚かせたいという、愉快犯の姿が浮かび上がる。
だが、愉快犯ならリスクの高いヤクザを狙う理由は少ない。
銃器を振り回さなくても、健司のような一般市民相手に全裸になって見せるだけで充分に他人を不快にする事ができる。
ヤクザに警察に通報できないという弱みがあったとしても、それ以上にリスクは大きいはずだ。
ヤクザに恨みがあるのだとしても、それならば落ちた金だけ拾うという点では実質的にダメージはほとんど与えられていない。
収入として考えているなら猶更ジョーカーの行動は不可解過ぎる。
愉快犯でありながらそれは副次的なものでしかなく、目的の為の手段に過ぎない。
だが、愉快犯である事を手段とする目的とは一体何だろうか。
――僕のような常識人では手が届かないと言うのだろうか――
健司は観葉植物の葉に霧吹きで水をかけながら考える。
矢沢組は一体誰に何をし、その結果ジョーカーを生み出したのだろうか。
健司は店内の照明を切り、暖簾と看板を店内にしまう。
店を出て新宿のチェーン店の居酒屋に向かう。
健司が一杯のビールと焼き鳥を二本腹に収めていると、三人の男が連れ立って店内に入ってきた。
健司は三人組がボックス席に入るのを確認してアタッシュケースを手にトイレに向かう。
三人組が毎回このチェーン店を使う事と、最初にビールを注文する事は分かっている。
健司はスーツを脱ぎネクタイを外してケースに収め、代わりにエプロンを身に着ける。
保冷剤で冷やしておいた缶に入ったビールを、同じく冷やしておいた100均で買ったグラスに注ぐ。
そのうち一つにはシアナミドを混入してある。
シアナミドは無色透明の抗酒剤で、副飲する事でアルコールアレルギー反応を引き起こす禁酒用の薬品。
一言で言えば一口飲む事で急性アルコール中毒症状を引き起こすのだ。
健司は三人の席におしぼりが置かれ、店員が去るのを待ってビールジョッキを手に席に向かう。
「お待たせしました」
健司はターゲットにシアナミドを混入したビールを手渡し、両手にビニールの手袋を嵌めてトイレの傍に潜む。
ややあって鍵をかけていないトイレに青ざめ、脂汗を流したターゲットの靴が覗いた。
健司は入れ替わるようにしてすれ違いながら様子を確認する。
シアナミドにより意識は朦朧としているようだ。
「介抱しますよ」
健司は男を抱きかかえるようにしてトイレのドアを後ろ手に閉じる。
男が便器に前のめりになって嘔吐する。
健司は男の頭を掴んで便器に押し込むと首の頸動脈にシャープペンシルを突き刺す。
男の首から血が噴き出すのに合わせてトイレの水を流す。
音消し水とはよく言ったものだ。
窒息と出血の双方で男が瞬く間に衰弱して行く。
相手がプロレスラーだろうとこの状態で健司に抗する事はできはしない。
健司は男の脈を取って死亡を確認するとエプロンとシャープペンシルを放置し、元通りスーツに身を包んで会計を済ませて店を出た。
殺害方法は分かっても誰が殺したのかは目撃されていない限り分からないだろう。
――小さな仕事でも手を抜かない事が顧客満足度につながるんだ――
第二章 二人目のジョーカー
〈1〉
「矢沢組のヤツら慎重になってやがんな。もう大口取引はしねぇらしい」
清史郎の耳には爆音と左程変わらない音が響いている、クイーンメイブのボックス席で健が言う。
清史郎は獣医に頼んでギブスなしで左腕を固定している。
診断は骨にヒビが入っているとの事で、二週間は安静にする必要があるらしい。
「そりゃ百人集めて失敗したなら、もう大口でジョーカーを誘おうなんて思わないでしょ」
言って加奈がカクテルで唇を湿らせる。
「一回の取引でせいぜい百万円。しかも街中でやってやがる」
健がラップトップを開いて矢沢組の予定表を表示させる。
「儲けが少ないからやらないって話にはしない約束でしょ?」
加奈が健に睨みをきかせる。前回の襲撃は加奈は反対だったのだ。
「でもよ、ジョークは骨折してるし、街中でグレネードはさすがにヤベェだろ」
カクテルをチビチビ飲みながら健が言う。
確かに街中では自動小銃がせいぜいといったところだ。
仮にグレネードを使ったとしても、見た目が派手なだけで破壊力が無い事が露呈する。
「自動小銃でも相手を驚かすような事はできるだろう。演出次第だ」
清史郎は頭を巡らせながら言う。
今となっては拳銃を抜いて撃つくらいではヤクザは驚かない。
下手をすれば一人二人射殺されても驚かないかも知れない。
と、なればどうやって驚かせるかが問題になってくる。
「演出って言うけど、ジョーカーは左手が使えないんでしょ?」
「そこだ。連中は俺が腕を怪我するのを見ている。ここで動きを止めればジョーカーというキャラクターの怪物性が損なわれてしまう。そこで今回は加奈にジョーカーを依頼したい」
清史郎の言葉に加奈が驚いたような表情を浮かべる。
「町の人たちがカジノに反対できているのは、ヤクザがジョーカーを恐れているという漠然として安心感があるからだ。ジョーカーが怪我で動けないとなったらヤクザを恐れて寝返る住人が出てくるかもしれない」
清史郎の言葉に加奈が思案顔になる。
「……そういう事なら……でも策はあるの? 私はジョーカーみたいに相手を脅せないよ?」
加奈の言葉に清史郎は頷く。
「喋るのはマイクで私が担当する。元々ボイスチェンジャーを使ってるからスピーカーから音を出してもヤクザには分からないだろう」
清史郎は矢沢組のリストの一つを指さす。
雑居ビルの屋上での取引。
金額は百万だが人が多く割かれている訳ではない。
そしていざとなれば清史郎も右腕一本で戦うのだ。
〈2〉
「ありがとうございました」
客の手に両手を添えるようにしてつり銭を渡す。
我ながら流れるような動作だと加奈は思っている。
品物は働��出してから一週間で覚えたし、二か月で発注も任されるようになった。
オーナーが発注していた頃に比べて売り上げは八%上昇している。
業者のパレットに乗った商品が運び込まれ、そこに緩慢な動作で大塚という中年女性が向かっていく。
大塚はこのコンビニに長く勤めているが、何をするにも動きが遅く、やる事が雑だ。
加奈は母子家庭ではあったが高校時代は生徒会長を務めていた。
生徒会の切り盛りでは過去最高の生徒会長だったという自負もある。
奨学金を借りて大学に入学したいと何度思った事か分からない。
しかし、その度に返済の目途が立たないという現実で踏みとどまった。
加奈が借りる金額では返済する頃には五十代。
キャリアウーマンとしてバリバリ働いて行けるならいいだろうが、男社会の中で目立っても左遷されるのがオチだ。
奨学金を諦め、近所のファミレスとコンビニの双方を天秤にかけた時、ファミレスの厨房は嫌だったし、発注のような頭を使う仕事がしたかった事からコンビニで働く事にした。
しかし、今現在、視線の先では大塚が商品を手前から、しかも違う棚に並べている。
新しい品物を後ろに、古い品物を前にしなければ賞味期限切れで廃棄になる。
それはコストとすら呼べるものではない。
注意した事は一度や二度ではないが、返ってくるのは「今時の若い子は」という恨みがましい言葉だけだ。
仕方なく業務の合間を縫って品物を並べなおす。
そうすると今度はレジに長蛇の列ができる。
大塚はバーコードの読み込みも遅ければ、テンキーの打ち込みもできない。
公共料金などの支払いも一々店長にやらせている。
店長は一体何の弱みがあってこの女を雇っているのか分からない。
それでも、このリスクを織り込んだ発注で収益を上げたのは自分の手腕だ。
「飯島くん、これじゃ困るよ。お客さんを待たせているじゃないか」
抜き打ちでやって来たマネージャーの言葉に加奈はため息をつきたくなる。
自分がレジにいればこのような現象は起きないのだ。
そして、レジにいれば大量の食品を廃棄しなくてはならなくなる。
「分かりました。棚の商品を並べなおしてもらえますか」
チクリと言い返し、立ち仕事で痛む足を引きずって加奈はレジに向かう。
こんな事をこの先何年続けて行けばいいと言うのか。
少なくとも大塚がクビにならない限りは、ただでさえハードなコンビニの仕事すらまともにこなす事ができないのだ。
――ジョーカーとしてならもう少し有能に働けるのに――
〈3〉
深夜、ビルの屋上に銃声が響き火花が散る。
ビルの給水塔の上で清史郎が見ている下で、四人の男たちが手にしたバッグを胸に抱える。
「迷えるヤクザよコンバンハァ!」
二階分高いビルの屋上から、ワイヤーを伝って自動小銃を乱射しながらジョーカーが降下して来る。
ヤクザの一人が屋内に逃れようとした所でジョーカーの自動小銃が火を噴いてドアを蜂の巣にする。
恐慌状態に陥ったヤクザの前に、床の上で一回転したジョーカーが立つ。
この辺りの動きは加奈の方が本家よりいいと言える。
ジョーカーの自動小銃が火を噴き、ヤクザたちの動きが止まる。
清史郎はありあわせの材料で作った分銅でヤクザの手からケースを叩き落す。
「金は天下の猿回しぃ~、回る回るよ目が回るぅ~」
床を滑ったケースがジョーカーの足元で止まる。
ジョーカーがケースを手に屋上のフェンスを乗り越える。
「それでは諸君ごきげんようそろ、面舵一杯腹八分目ぇ~」
ジョーカーがフェンスを乗り越えてビルの外に姿を消す姿をヤクザたちは茫然と眺めている。
加奈はほぼ完ぺきに、運動神経という面では清史郎以上にジョーカーを演じて見せた。
ヤクザたちがスマートフォンを取り出して連絡を取りながら屋内へと消えていく。
加奈は当初隣のビルの屋上に潜んでおり、ヤクザの取引するビルとの間にはワイヤーが取り付けてあった。
清史郎の合図で火薬を爆発させ、加奈は小型の滑車を使ってビルの屋上に降り立った。
予定通り混乱に乗じて清史郎がヤクザの金のアタッシュケースを叩き落し、それを回収した加奈は予め用意されていた脱出用のワイヤーで一目散に逃げ去ったという訳だ。
清史郎がヤクザの去っていった通用口を見ていると、二人のヤクザが姿を現した。
痕跡を確認するか、ジョーカーを追跡しようという考えかもしれない。
「イナイイイナイバウアアァァァァッ!」
万が一に���えてジョーカーに扮していた清史郎は、咄嗟の判断でショットガンを手にヤクザたちの前に飛び降りる。
銃声と共にドアを吹き飛ばす。
今度こそ恐慌状態に陥ったヤクザたちは階下へと消えていった。
〈4〉
健司は『殺し屋』のカウンターでグラスを磨きながら考える。
ヤクザは取引を分散させるという戦術を取ったが、ジョーカーは確実に一か所一か所を狙い撃ちにしている。
被害総額は大きくないのだろうが、心理的な影響は大きい。
――ここで敵の目的は明らかになったと言っていい――
これは心理戦なのだ。
矢沢組が恐れるに足りない存在だと思わせる為のデモンストレーションなのだ。
実際矢沢組の構成員たちも明日は我が身と必要以上に警戒しており、結果として街中での暴行などで警察に捕縛されるケースも散見し始めている。
警察もヤクザと事を構える事はしたくないだろうが、暴行は立派な犯罪だ。
矢沢組を弱体化、もしくは弱体化して見せている目的。
これは幾つかのケースが考えられる。
例えば同格の田畑組がシマを狙っているケース。
しかし、これでは全面戦争がしたいと言っているようなものであり、そうなれば別の第三の組が弱った二つの組を併合してしまうだろう。
更に言えば『本物』の銃器を使っているのだとしたら、これまでに過失で殺してしまった人間が居てもおかしくはないはずだ。
これまであれだけ派手に銃を乱射していて軽度のやけどくらいしか負傷者がいないというのは、空砲かモデルガンかのどちらかだろう。
そして犯人がヤクザであるなら、モデルガンなどという恥ずかしいものは持ち歩かないだろう。
第二の敵が政治結社だ。
現在矢沢組の推す現職与党の代議士が知事を務めている。
三か月後には知事選が予定されており、野党は連合して対立候補を立てている。
現在新庄市には土地の価値だけで二千億を超える空き地が存在し、そこに巨大カジノカジノを誘致するか、市民公園にするかで市民の世論が割れている。
カジノが実現すれば莫大な金額が動く事になり、矢沢組は軽く数百億は稼ぐ事になるだろう。
一方、野党が勝利してしまえば議会も野党に握られた事から市民公園が確定。
造園業者や、スタンド付きの運動公園を造る建築業者がいくらか儲かるにせよ、利権はほとんど存在しない事になる。
本来矢沢組こそが野党を攻撃しそうなものだが、野党のカルト的な集団ないし、狂信的な人間が矢沢組を狙っている可能性は否定できない。
しかし、カルトや狂信的な人間がここまで綿密な計画を練り、実行に移せるだろうか。
そこが政治結社を敵に想定した場合のボトルネックとなってくる。
第三の相手は想定が難しいがカジノに反対している市民だ。
市民の大半は再開発計画に興味を持っていないが、商店街や商工会は地場産業が脅かされるとして強硬に反対している。
矢沢組はこの商店街の切り崩しを行っていたのだが、その矢先にジョーカーが出現するようになり、商店街を攻略するどころではなくなってしまったのだ。
そう考えると、人のいい商店街の人々こそが実は矢沢組の最大の敵という事になる。
――商店街がジョーカーの可能性――
だが、それなら情報漏洩が少なからずあるはずだ。
――もし商店街の誰かがジョーカーで、他の人間は知らないのだとしたら――
ジョーカーは一方的に守るだけで損をしているように見えるが、最終的には商店街が守られるのだから自分の仕事も守る事になる。
――商店街の何物かが、か――
健司はPCで商店街の店舗の情報を検索する。ほとんどが個人事業主でHPもまともに作れているとは言い難い。
そんな中、健司は気になる存在を発見した。
――人権派弁護士、慶田盛敦――
直接の関与の有無は別にして、慶田盛が商店街や町を守ろうとするのはありそうな事だった。
〈5〉
「急な訪問で恐れ入ります。慶田盛先生の事務所は意外と質素なんですね」
新庄市の雑居ビルの一室を訪れた健司は慶田盛敦に向かって言う。
「君は……殺し屋との事だが……」
当惑した様子で慶田盛が応接用の合皮のソファーに腰かけて言う。
「屋号のようなものです。ただの飲食店ですよ。保健所で営業許可も取っています」
健司は爽やかな笑みを浮かべる。
「で、歌舞伎町の飲食店がここに一体何の相談なんだい?」
敏腕弁護士という割にはお人よしなのだろう、慶田盛が問うて来る。
「店が襲われたんです」
健司の言葉に慶田盛の視線が険しくなる。
「それは警察に訴えるべき案件なんじゃないのかい?」
「歌舞伎町で店が襲われた程度で警察が動くと思いますか?」
健司が言うと慶田盛が思案気な表情を浮かべる。
「相手に目星はついているのかい? 組関係だと厄介だぞ?」
歌舞伎町という事を意識しているのか慶田盛が言う。
「ピエロのマスクに紫のトレンチコート、銃撃で店は蜂の巣です」
慶田盛の表情が一瞬硬直する。
――慶田盛はジョーカーを知っている――
「最近はそういった愉快犯が流行っているようだね」
「慶田盛先生はご存知ないのですか? ジョーカーと呼ばれているようなのですが」
慶田盛の顔がポーカーフェイスに変わるが遅すぎだ。
今更表情を消した所で知っていると言っているようなものだ。
健司はさり気なくソファーの隙間に盗聴器を滑り込ませる。
「噂で聞いている程度だね。でも、弁護士だからといって探偵の真似事ができる訳じゃない」
「慶田盛先生は懇意にしている探偵などはおられないのですか?」
「古い付き合いの探偵はいるけどね。彼を紹介するにはそれなりの理由が必要だよ」
慶田盛が慎重に言葉を選ぶ。
「店が襲撃された以上の理由が、ですか?」
「僕はその破壊された店舗の写真すら見ていないんだよ? 被害実態が明らかではないのに探偵の手を煩わせると思うかい?」
「随分と庇われるんですね。逆に興味が湧いてきましたよ」
健司は切り上げどころと判断してソファーから立ち上がる。
「貴重なお時間を頂きありがとうございました」
健司は慶田盛と握手しながら唇の端が吊り上がりそうになるのを堪える。
――これで慶田盛が探偵に連絡を取ればその相手がジョーカーである可能性は高い――
〈6〉
「いやぁ~俺たちマジ凄くね? もうハリウッドレベルだって」
クイーンメイブのボックス席で健がいつものように能天気な口調で言う。
「たちじゃなくて身体張ってる私たちが凄いの」
「お前PCなんて触れないだろ」
健が加奈に言い返す。
「PCコンビニの使えてるし!」
「ンなの使えてるうちに入らねーよ。な、ジョーク」
健の言葉に清史郎は肩を竦める。加奈と比較すればPCを使える方だろうが、ITというレベルには程遠い。
ヤクザの事務所に仕掛けた盗聴器をBluetoothで飛ばしたり、WIFIでデータを引き抜いたりといった芸当は清史郎には不可能だ。
しかも従来の興信所の盗聴器探知は電波の周波数帯で探っている為、健のカスタムした機材を探知する事ができない。
健は新庄市のヤクザの誰よりも彼らの動きに詳しいと言っても過言ではないのだ。
その中から清史郎が獲物になりそうな案件を選び出し、加奈と下準備を行っているのだ。
「なぁ~んか納得行かない」
加奈が口をとがらせるが、こればかりは健の能力を素直に認めるしかない。
「エースの情報収集能力がなければ火薬を仕掛けにも行けないだろ」
「土建屋の癖に何かムカつく」
「土建屋じゃなくてDJだっつーの」
「DJで食ってる訳じゃないでしょ? なら土建屋じゃない」
「ンだとコラァ!」
声を荒げる健を清史郎は慌てて宥める。
手を挙げるような青年ではないが、つまらない事で耳目を引くのは得策ではない。
「俺は二人におんぶにだっこだ。二人がいなければジョーカーなんてやってられない。そうだろう?」
「私もジョーカーやったしね。やってないのはエースだけ」
「俺がいなかったら起爆できねぇじゃねぇか」
むっつりとした口調で健が言う。
「裏方の仕事があっての晴れ舞台って事もあるんだ。もっとも、舞台役者が良くなかったらどんなに裏方の仕事が良くても芝居にはならない」
清史郎の言葉に加奈がため息をつく。
「ジョーカー人間できてるわ」
「単に口の上手いオッサンってだけかもな」
健が悪童のような笑みを浮かべる。
「多分エースの言う通りだろう。で、いよいよ選挙まで三か月を切った訳だ。矢沢組だけじゃない、カジノ関連の企業が再開発計画に群がってきている」
清史郎は話を本来の筋道に戻す。
「それは分かるけどさ、ヤクザは脅せても民間企業はどうにもならないんじゃない?」
加奈の言葉に清史郎は頷く。
「そこは商店街と市民の手に委ねる。俺たちが考えなきゃいけないのは、矢沢組をあと三か月どう騙し抜くかって事なんだ」
最終的にカジノ施設を選ぶか、市民公園を選ぶかは市民の手に委ねられるべきだ。
ジョーカーはそこに介入しようとする矢沢組をけん制しているに過ぎない。
「一年以上見破られてねぇんだし、今更どうって事も無いんじゃね?」
健が楽観的な口調で言う。
「一年って言っても綱渡りだったじゃない。ジョーカーも怪我したんだし」
常に現場を見て来た加奈が健に向かって言う。
「人生にはスリルがつきものだろ」
「必要ないのにスリルをつける必要ないでしょ?」
「人生にはロマンが必要だよ。なぁ、ジョーカー」
「私の人生にはロマンらしいロマンは無かったよ」
明らかに会話を楽しんでいる健に清史郎は苦笑する。
「人生堅実が一番なの。あんたみたいのが一番ホームレスに近いんだから」
「お前だってコンビニ店員以外何ができるよ」
「ちょっとジョーカー、何とか言ってやってよ」
怒った様子の加奈が話を振ってくる。
「景気が良くなったら事務所で求人でも出すよ。それより今は仕事をやり抜く時だ」
清史郎の真剣な言葉に二人が頷く。
――後三か月――
この凸凹コンビと一緒に駆け抜けなければならない。
〈6〉
「ここの探偵事務所では人探しをしたりはしないんですか?」
健司は三浦探偵事務所の安普請の椅子に腰かけて、所長兼調査員の三浦清史郎と向かい合っている。
慶田盛は健司が面会した翌日に同じく新庄市に居を構えている三浦に連絡を取った。
探られている事を多少は警戒しているだろうが、昨日の今日で会いに来るとは思っていないだろう。
「今の所請け負ってはいないね。知っているかどうか知らないが、日本の年間行方不明者は二十万人。警察が民事だと言ってサジを投げるレベ���だ。うち毎年六千人前後が死体で発見される。これが日本の行方不明の実情だ」
四十五歳、探偵というより疲れたサラリーマンを思わせる風貌だが、どこにでもなじめるという点ではこの風貌は役に立っている事だろう。
「携帯電話の通信記録を探ったりしないんですか?」
「そういう情報は大手の情報企業が握っているんだ。契約していなければ盗み出すしかないだろうし、それをすれば犯罪だ」
「企業が形はどうあれ本人の同意なしに情報を持っている事は犯罪ではないと」
「正当だと思えば契約している、と、答えたら君に私の考えは分かってもらえるかな」
清史郎はかなり真っ当な昔気質の探偵であるらしい。
三浦探偵事務所は商店街の噂では浮気調査などではパッとしないが、事件性のある案件だと警察を出し抜く腕前なのだと言う。
「独り言だと思って聞いてもらえればいいんですが、ジョーカーという男をご存知ではないですか?」
「知っているよ。少なくとも片手には余るほどね」
掴みどころのない口調で清史郎が言う。
――だが、他の商店街の人間はジョーカーと聞けば逆に動揺したものだ――
「ヤクザ相手にモデルガンを振り回す愉快犯。前金で一千万。正体が分かれば更に一千万」
健司はリュックサックから帯留めされた札束の入った紙袋を押し出す。
「これだけ流行らない事務所だ。一千万を受け取って私が雲隠れするとは考えないのかい?」
「見つけられなくても差し上げますよ」
健司は内心で清史郎がジョーカーであるとの確信を強めながら言う。
「そういう事であれば遠慮なく預かろう。所でジョーカーについてもう少し詳しく話を聞けないかな? さすがに名前だけでは調査にならない」
「僕もまた聞きでしか知らないんですが、ヤクザが武装しているか麻薬を所持している時に出現し、モデルガンを利用してあたかも本物のように見せかけて驚かせ、ヤクザが金を落としていけばそれを拾っていく。そういう話です。被害に遭っているのは主に矢沢組で、矢沢組は現職与党知事のケツモチをしている」
「つまり、君の推理が正しければ現職知事と利害関係にある人物が選挙で優位に立つべく矢沢組を攻撃している、攻撃しているように見せかけているという事だね?」
「そう、その人物の特定が難しいんですよ。ヤクザの情報を自分の家のPCのように自在に覗き見て、常に有利な状況でモデルガンによる脅迫を行っている」
そこが健司が最も解せない所だ。
この三浦清史郎という男は探偵としては優れているように察せられるが、ITに強いようには見えない。
情報を買っている訳でも無いのだとしたら、一体どのようにして情報を得ているのか。
更に情報を得たとしてそれを整理し、取捨選択する事も必要になる。
事務員の一人もいないこの事務所のどこに実務を取り仕切る人間がいるというのか。
自分はこの男の何かを見落としているとでも言うのだろうか。
「つまり、ジョーカーという人物にはハッカーとしての側面もあるという事だね?」
「そう考えないと辻褄が合いません」
「では、ハッカーであり、モデルガンでヤクザを脅すジョーカーという愉快犯を特定してほしいという事だね」
「結論としてそういう事になるかと」
「プライバシーに踏み込むつもりはないが、そのジョーカーという人物の特定にどういった動機があるか聞かせてもらえるかな? 参考までにという事で構わないが」
「僕が矢沢組に依頼されたからですよ。でも僕の力だけでは見つけられそうに無い」
健司はチェスを指すかのような心境で言葉を選ぶ。
目の前の男がジョーカーである可能性は限りなく大きいのだ。
「君も探偵なのか?」
清史郎の言葉に健司は肩を竦めて名刺を差し出す。
「歌舞伎町で殺し屋を営んでおります円山健司と言います」
言った瞬間、清史郎の顔に何かグロテスクなものでも見たかのような表情が浮かぶ。
健司はその表情をこれまで嫌という程見てきたのだった。
第三章 殺し屋
〈1〉
清史郎は拙いとは知りつつ、円山健司を尾行していた。
尾行を知られたとしても、探偵が依頼者の事を知ろうとする事に問題は無い。
そもそもがジョーカーなどという得体の知れない人物を探せという無理難題なのだ。
例え自分がジョーカーであったとしてもだ。
電車を乗り継ぎSUICAのチャージマネーが尽きそうになった時、円山は新宿の歌舞伎町にある『殺し屋』という店舗に入っていった。
信じられない事だが、冗談でないとするなら殺人を生業とする人間が看板を出して店を営業しているのだ。
円山は自ら隠れるという事が無い。
本当に殺人が生業なのだとしたら、その手段に余程自信を持っているという事なのだろう。
清史郎は逡巡しながらも暖簾を潜る。
相手にその気があればビルに入った瞬間から監視カメラで自分を監視していても不思議ではないからだ。
「いらっしゃいませ! ご注文がお決まりになりましたらお気軽にお申しつけ下さい」
円山が人が違ったような口調で声をかけてくる。
「さっき会ったばかりだろう? それよりこのお品書きというのは本当なのか?」
お品書きには殺人方法や死体を残すのか残さないのかなど様々なオプションサービスが書き込まれている。
「はい、迅速丁寧をモットーに確実にターゲットを殺させて頂いております」
「例えば、この絞殺で死体を残すというオプションにした場合、警察に犯人特定されやすいんじゃないのか?」
「企業秘密にはなりますが、TPOに応じて柔軟に対応させていただいております」
「ジョーカーはどうやって殺す事になっているんだ?」
「お客様の情報を開示する訳には行きませんが、強いて言うなら殺し方は問わないとの事です」
円山の言葉が事実なら矢沢組はなりふり構っていないという事だろう。
ジョーカーは確実に矢沢組に打撃を与えているのだ。
「じゃあ俺も注文したいんだが構わないか?」
「どのようなご注文でしょうか?」
爽やかな笑顔で円山が言う。
「ジョーカーをオプションサービスで九月三十一日に殺してほしい」
清史郎の言葉に円山の目が見開かれる。
「前金で一千万。不足なら五百万を追加する」
清史郎は受け取ったばかりの一千万をカウンターに乗せる。
「ジョーカー殺害日時の指定は確かにオプションで追加可能ですが……」
「ジョーカーを殺す日時の指定は矢沢組からは無かったんだろう?」
清史郎が言うと円山が顎に指を当てて思案気な表情を浮かべる。
「依頼が重複した事は初めてで、対応致しかねます」
「いや、重複していない。私が矢沢組の手先で、追加でオプションを申し込んでいるとしたならどうなんだ? 君は依頼主の事をどれだけ調査しているんだ?」
清史郎の言葉に円山の表情が曇る。
「お客様のプライバシーを優先して営業しております。業務上必要な情報は収集致しますが……」
「九月三十一日、ジョーカーは新庄市商店街の外れ、たこ焼き屋千夏の前に現れる」
清史郎の言葉に円山の表情が強張る。
「もしお客様がジョーカーだった場合……」
「自分を殺してくれという依頼はこれまでなかったのか?」
円山が何かを試すような視線を向けてくる。
「もちろん、そういった依頼もございました」
「なら問題は無いだろう?」
「……つまり、あなたは探偵としての任務を全うし、殺し屋に仕事を依頼しに来た。そういう事ですね」
「そういう事になるな」
清史郎が笑みを浮かべると円山の口元に笑みが浮かぶ。
「矢沢組がそれ以前の日時を指定して来たら?」
「それこそ二重契約は無効だと言えばいいだろう?」
「矢沢組がジョーカーの正体を教えろと言ってきたら?」
「ここは興信所ではないのだろう? それに私は九月三十一日にジョーカーが現れるとは言ったが、私がジョーカーだとは一言も言っていないぞ」
円山は殺しという商売にプライドを持っている。
そのプライドに反する行為はできないはずだ。
「了解しました。九月三十一日に現れるジョーカーを殺します。しかし、他に機会がある場合もありますので悪しからず」
円山が一千万の入った紙袋を掴んでカウンターの内側に置く。
これで円山の精神には一つのストッパーがかかった事になる。
後はいかに円山を寄せ付けないように立ち回れるかだ。
〈2〉
してやられた。
健司は先制に成功したつもりが、乗り込まれて悪条件を飲まされた事を今更ながらに実感していた。
三浦の期日を守れば選挙は終わってしまうだろう。
矢沢組は選挙で勝利する為にジョーカーを殺したいのだから、仮に殺せたとしても契約違反と言いかねない。
そもそも条件は問わないという話だったのだから構わないと言えば構わないのだが、ヤクザがそのような道理を飲むとは思えない。
――そもそも乗り気な仕事では無かったのだ――
とはいえ、呑気に構えていてはヤクザに消される事になる。
九月三十一日に殺せたとしても、それは報復の意味しか持たない。
そして九月には三十日までしか存在しない。
十月一日を無理やり九月三十一日と解釈できない事も無いが、完全に手玉に取られたとの感を禁じ得ない。
緒方が猶予として見るのは何週間だろうか。
幸い緒方は健司が三浦と接触した事を知らない。
まだジョーカーを探していると言えば時間稼ぎはできるだろう。
最悪二千万はドブに捨てたのだと言うくらいの器量は緒方にはあるだろう。
しかし、それでは殺し屋の看板に傷がつく。
創業四年、地道に仕事を続けて来た実績に泥がつくのだ。
――三浦清史郎を殺すか――
それを考えて健司は三浦の余裕が気にかかる。
三浦がジョーカー本人だというならそれで構わないだろう。
しかし、ただの連絡役だったり複数犯だったりした場合はどうなるだろうか。
ジョーカーは死んでも蘇る。
その事の方が矢沢組にとって脅威だろう。
ジョーカーのテンプレートが商店街で共有される事にでもなったら、矢沢組は人的物量的に無数のジョーカーに襲われて新庄市を撤退しなくてはならなくなるだろう。
その時、ジョーカーを殺せと依頼されたなら、一体何人を殺せばよいのか分からず、それだけの数を連続で殺せば証拠を残す事になりかねない。
そうなれば警察に捕らえられて全てが水の泡だ。
――そう、殺すのは三浦清史郎ではなくジョーカーである必要がある――
その為にはジョーカーの仕事の実態を掴まなくてはならない。
これまでのジョーカーの襲撃箇所と状況を再確認する。
ジョーカーは神出鬼没のように見えるが、確実な逃走経路のある場合以外は出現していない。
ジョーカーは矢沢組の取引の全てを俯瞰し、最も有利な形を作り出している。
と、なれば健司も事前に情報を収集しなくてはならない。
���前緒方が入店した時、店内のシステムでスマートフォンはクラックしてある。
緒方のスマートフォンを経由して矢沢組組長矢沢栄作の端末に潜入する。
ホストを掌握して矢沢の端末から矢沢組の取引データを吸い上げる。
半グレたちは無料WIFIに接続している者が多く、セキュリティも糞も無い。
健司は新庄市の地図を広げ三浦の心理を読もうとする。
正面切っての対決の後で、あの食わせ物が仕掛ける事は間違いないのだ。
〈3〉
始発電車で歌舞伎町を訪れた清史郎は街路を歩き回りながら、人通りの少ない場所や人目につかない場所にトランプのジョーカーのカードを置いていく。
『殺し屋』がテナントに入ったビルの前の壁にはスマートフォンと接続したラズベリーパイの監視カメラを設置した。
監視カメラの映像は近場の喫茶店でタブレット端末で見ようと思ったのだが、歌舞伎町には静かに端末を見る事のできるような喫茶店が見当たらなかった。
仕方なく新宿駅前のコーヒーの不味いチェーン店に足を向けた。
電波は良好、通勤前の客も訪れておりタブレット端末を見ていても不審には思われない。
スマートフォンを操作して朝のニュースをチェックするが、特に気になるような情報は無い。
八時二十四分、円山が風俗ビルにスーツ姿でやって来た。
一見地味なスーツ姿に見えるがバーバリーにリーガルのシューズといったいで立ちだ。
見る人間が見れば逆に趣味が良いと答えるだろう。
屋内の監視カメラを警戒して清史郎はビルには監視カメラを仕掛けていない。
九時きっかりにスーツ姿にアタッシュケース姿の円山がビルから出てくる。
清史郎は円山が新宿駅に向かったのを見て小走りに店を出る。
円山を捕捉し、充分に金をチャージしたSUICAで改札を潜る。
円山を尾行する事二十分、新庄駅で円山は列車を降りた。
チャージマネーで改札が通れて良かったと思える一瞬だ。
昔なら駅によっては乗り越し清算をしなくてはならないところだ。
円山は商店街を突っ切り、三浦探偵事務所にほど近い喫茶店に入っていく。
清史郎は更に離れた喫茶店で画像を喫茶店のものに切り替える。
商店街の店にはセキュリティの名目で三浦探偵事務所の監視カメラが取り付けられているのだ。
円山が注文するより早く、店員がコーヒーにトランプのジョーカーを添えて差し出している。
円山の表情が一瞬硬直する。
清史郎は商店街の店に予めジョーカーのカードを配り、前払いで商品を出すよう話をつけておいたのだ。
これで円山は自らが監視対象である事を知る。
コーヒーを飲み干した円山が喫茶店を出て周囲を見回す。
――追われる気分はどうだ、円山――
円山は午後六時になると歌舞伎町のビルに戻り、吉祥寺の自宅であるらしいマンションに帰宅した。
清史郎は吉祥寺界隈の店に金とトランプのジョーカーを配り、路地裏などにカードを仕掛けて帰路についた。
〈4〉
「って事は正体バレちまったのかよ」
相変わらず騒々しいクイーンメイブのボックス席で健が声を上げる。
「殺し屋って名刺出してる殺し屋って狂ってるとしか思えないけど」
「腕に余程の自信があるんだろう。今の日本じゃ老衰や自殺や病死や事故死以外の異常死が毎年十七万件発生しているんだ。死体なんかあった所で警察の手が回る状態じゃない」
「ジョークと話してて思うんだけどさ、警察って何してんだ?」
「総資産一億円以上の人間の事は守ってるだろうさ。後は交通違反の取り締まりだな」
清史郎は答える。実際警察が殺人や行方不明を事件化する基準は分からないのだ。
確かなのは毎年日本では殺人事件は百件前後しか起こってはならず、検挙率は96%を下回ってはならないという暗黙の了解があるという事だ。
「どっちみち最初から警察は味方じゃないでしょ。矢沢組が商店街に嫌がらせをしても見て見ぬふりだったんだし」
「だよな。俺たちジョーカーが正義の味方なんだ。そうだろ」
「多少稼がせてもらってるけどね」
健も加奈もジョーカーという仕事には少なからず誇りは持っている。
士気が高いという点では矢沢組と戦っていく上で大きなアドバンテージになるだろう。
殺し屋円山健司がジョーカーの核心に近づいたとは言っても、健と加奈まで特定している訳ではないのだ。
そして健のITを見て警戒していた為、あの新宿の風俗ビルにはスマートフォンも時計も持ち込んでいない。
顔は間違いなく撮影されているだろうが、顔認証は広範なエリアから自在に情報を引き抜けるようなものではない。
いつ、どのカメラに映っているのか分からなければどのカメラをハッキングすれば良いのか分からない。
本当の所は分からないが、公には警察でも店舗など個人のカメラの映像は捜査協力や令状で記録を閲覧しているのだ。
健のIT技術にした所でカメラを特定し、通信可能な距離で『物理接触』しない事にはデータを閲覧する事などできないのだ。
「円山って野郎の鼻を明かしてやろうぜ。こっちは天下御免のジョーカーなんだ」
「でもさ、ジョーカーを探り当てたって事は相当の切れ者なんじゃない? 殺し方だって一つや二つじゃないからこれまで捕まってないんでしょ?」
加奈が慎重論を述べる。この慎重さがチームの要になっていると言ってもいい。
「じゃあどうするってんだよ。まさか止めるとは言わねぇよな」
「多少趣向を変える必要はあるだろうな」
清史郎はカバンからジョーカーマスクをのぞかせる。
「マスク……一体何枚あんだ? 量産して成功すんのは北朝鮮のモロコシくらいだろ」
「そっか……これをこれまで被害に遭った半グレに匿名で送り付ければ……」
ITには弱くても頭の回転の早い加奈には分かったようだ。
「確実な取引情報を手にした本物の銃を持ったジョーカーが出現するんだ」
清史郎の言葉に健が唖然とした表情を浮かべる。
「さっすがジョーカー。でもよ、俺たちと鉢合わせにはならねぇのか?」
「一応発信機は取り付けてある。合成音声のスイッチを入れれば起動する仕組みだ」
「じゃあ信号がなかったら作戦決行って訳ね」
「それに送り付ける相手はこっちが選べるんだ。事前に動きを掴む事も難しくないだろう」
清史郎はこれまでの取引の状況から矢沢組に逆らいそうな半グレをリストアップしている。
表立って逆らう事はしないだろうが、ジョーカーとしてなら薬をガメるくらいの事はしかねない連中だ。
「でも、それって少ししたら矢沢組に露見するんじゃない?」
「ああ。でも矢沢組は確実に疑心暗鬼に陥るし、本物の銃弾が飛んでけが人でも出ればジョーカーに対して慎重にもなるだろう」
「最高にクールだぜジョーカー! ジョーカーが犯罪者だったら今頃大金持ちだぜ」
健の笑みに清史郎も笑みで答える。
「じゃあ今日の仕事もクールに決めましょ」
加奈の突き出した拳に三人の拳がぶつかる。
本家ジョーカーは最高のチームなのだ。
〈5〉
自宅まで嗅ぎつけられたとは。
午前七時、健司は朝食を食べようと吉祥寺の喫茶店に入った所で、ジョーカーのカードと対面する事となった。
もっとも、ずっと尾行されていたなら自宅が特定されるのは不思議でも何でもない。
一番の問題は探偵に四六時中張り込まれたらジョーカーどころではなく、他の仕事も一切できないという事だ。
動揺を押し隠し、それでも周囲を警戒しながら歌舞伎町の店舗に向かう。
ドアに挟んだ髪の毛が落ちた様子は無く、侵入者はいないようだ。
店内に入り、一通り掃除を終えると鋭利に削ったシャープペンシルをカウンターから取り出す。
殺しの方法はいくらでもある。
相手が尾行しているなら、人通りの少ない所に誘い込んで始末するという方法も取れるのだ。
健司は尾行のプロである三浦を警戒する事を止め、路地裏へと足を踏み入れる。
一定歩いた所で振り向き、シャープペンシルを引き抜く。
が、そこには三浦の影も形も無かった。
四六時中張り込んでいるという訳ではないという事だろうか。
健司が安堵しかけた瞬間、路上に落ちているトランプのカードに気付いた。
――ジョーカー!――
三浦はこちらの考えを見抜いて行動に出ているのだ。
と、言う事は人通りの少ない所は三浦本人に監視されない反面、ヤクザを監視しているような遠隔装置で監視している可能性が高いだろう。
――この僕が身動き一つ取れないと言うのか――
健司は拾い上げたトランプのジョーカーを握りつぶした。
〈6〉
深夜の路地裏、半沢芳樹はジョーカーマスクと紫色のどぎついトレンチコートに身を包んで、汗が出るほどにトカレフを握りしめている。
部下二人が矢沢組とヤクの取引をする事になっており、そこをジョーカーのフリをして襲撃するのだ。
成功すればタダでドラッグが手に入り、失敗してもジョーカーのせいだ。
うだつの上がらない半グレの四十代、ヤクザに昇格できる見込みも無い。
忠義を示せと言う方が無理というものだ。
視線の先には金を手にした部下の姿、ヘッドライトで周囲を照らす矢沢組のベンツがある。
部下が金を出し、組員がスーツケースを開いてドラッグを見せる。
半沢はそのドラッグを見ているだけで身体にアドレナリンが駆け回ったような気分になる。
「動くんじゃねぇ! こっちにヤクを寄越せ」
取引成立の寸前に半沢は銃を手に飛び出す。
矢沢組の構成員がスーツの内側から銃を抜く。
「金もヤクも俺のモンだっつってんだ!」
半沢は先制して引き金を引く。轟音が響き矢沢組の構成員が気圧されたように見える。
立て続けに引き金を引いて距離を詰める。
矢沢組の構成員が引き金を引き、半沢の頬を掠める。
ジョーカーの姿で出ていけば怯むと思っていたのだが、反撃は想定外だ。
それでもここが正念場と半沢は引き金を引く。
一発の弾丸が矢沢組の構成員の鎖骨の辺りを貫く。
凶悪な一瞥をくれて矢沢組の構成員たちが引き上げていく。
半沢は両手でヤクを掴んで高笑いする。
こんなにチョロい商売にこれまでどうして気付かなかったのだろう。
――ジョーカーを続ける限り俺は無敵だ――
〈7〉
事務所に次々に凶報が舞い込む中、矢沢組の緒方は状況の変化を理解していた。
ジョーカーの模倣犯は自然発生的に生まれたものではない。
本当に模倣する脳があるなら金や麻薬を要求する訳が無い。
と、すれば中身は町の半グレや暴走族と察しがつく。
とはいえ、数は厄介であり、ジョーカーの真似をすれば処刑だと言った所で本物のジョーカーもどこかにいるのだろうから半グレは高をくくって矢沢組の命令に従おうとはしないだろう。
そして更に厄介なのはちゃんとジョーカーを模倣できている者もいるとい���事だ。
ジョーカーを見たら撃てというのは簡単だが、半グレが連合して矢沢組に反旗を翻したら手足を失った矢沢組に抵抗する術は無い。
矢沢組は権力と金と麻薬は持っているが、マンパワーが多いという訳ではないのだ。
ジョーカーはその弱点を的確に突いて来たのだ。
「緒方、考えは無ぇか?」
電話越しの矢沢の言葉に緒方は頭を巡らせる。
「ジョーカーマスクに百万の懸賞金をかけてはいかがでしょう?」
マスクをつけている人間の罪を問わず、マスクを差し出せば百万やると言えばわざわざ危ない橋を渡ろうという連中は少なくなるだろう。
その上でジョーカーの撃滅を図ればいいのだ。
「その手は使えそうだな。問題はマスクがどれだけ出回っているかだが」
「数は多くないと考えます。そもそも同時多発的にジョーカーが出現したという事は、誰かが創意工夫して模倣されたのではなく、何者かが意図的に行ったと考える方が自然です」
言って緒方は組員たちに通達を出し、ついでに警察にも懸賞を知らせておく。
公権力が銃刀法で取り締まりを開始すれば半グレは震えあがってジョーカーの真似などしていられなくなるだろう。
〈8〉
健司は新庄市のホテルの床に落ちた髪の毛を拾いながら、事態の急変と自分の読みが正しかった事を知る。
三浦は健司に捕捉された事で作戦変更を余儀なくされた。
健司も身動きできなくなったが、それはお互い様なのだ。
そこで今回のジョーカー量産化計画を演出したのだろう。
しばらくの間町中にはジョーカーがあふれる事になる。
矢沢組が引き締めを行っているものの、偽ジョーカーの模倣犯も出現し本来の偽ジョーカーより多くのジョーカーが出現しているのが現状だ。
――でもこの狂騒はすぐに終わる――
健司は日が暮れるのを待ってアタッシュケースを手にホテルを出る。
三浦が四六時中張り付いている訳ではない事も分かっている。
いずれにせよ仕事を迅速に済ませれば証拠も残りはしないのだ。
深夜の人気の消えたオフィス街を歩きながら手に手術用のビニール手袋をはめる。
靴のサイズは自分の標準よりワンサイズ大きく、髪型は大きく変えていないが頭にはカツラをかぶっている。
一般で売られているカツラには、インドの仏教徒やヒンズー教徒が出家する時の髪の毛が使われている。
そして、インド人の髪の断面は日本人が楕円であるのに対し正円に近い。
仮に髪が現場に落ち、科捜研が調査したところで出てくるのは謎のインド人という事になるのだ。
健司は予定していた地点にたどり着くと、持ってきたボルトを電柱の穴に差して二・五メートル程の高さにまで登って電柱に寄り添うようにして立つ。
予定通りスポーツバッグを手にしたジョーカーが走ってくる。
中身は半沢という三下の半グレだ。
正面だけに注意を向け、自分の身長より上には注意が向いていないらしい。
健司はボルトに引っ掛けたテグスを引っ張る。
ジョーカーの首にテグスが食い込み、仰向けに倒れかかる。
アイスピックを手にした健司はジョーカーに圧し掛かるようにして飛び降りる。
アイスピックがジョーカーのマスクと頭蓋骨を貫き、脳を攪拌する。
健司はアイスピックをその場に放り捨てて、テグスもそのままに歩き去る。
アイスピックもテグスも殺人犯を特定する決定的な証拠とはなり得ない。
少し歩いた所で歩きやすい靴に履き替え、手袋を脱いでしまえば何一つ痕跡は残らない。
意識していたが三浦に行動を監視されていた様子は無い。
三浦はマスクをばらまいた事でジョーカー業を一定退いたのかも知れない。
それならそれで……
――ジョーカーを名乗れば問答無用の死が訪れる――
それでもジョーカーを続けられる者がいるだろうか。
健司の受けた依頼はジョーカーの殺害であって三浦清史郎の暗殺ではないのだ。
〈7〉
緒方は苦い気分で事務所でTVを見ている。
一週間で九人のジョーカーが殺され、四人のジョーカー、三人の組員が射殺された。
ワイドショーは死体にピエロのマスクをかぶせる愉快犯として報道している。
常識的に考えればそうなのだろう。
だが、現実にはジョーカーの模倣犯が跋扈し、殺し屋円山がジョーカーを殺しまくっているのだ。
この問題の裏が表ざたになれば矢沢組に捜査の手が伸びる。
組長が事情徴収という事にでもなれば、知事選敗北は必至だ。
この銃弾飛び交い殺し屋が闊歩する状況は、客観的に見れば矢沢組の内部抗争なのだ。
――やってくれたなジョーカー――
日用品を用いて鮮やかに殺しを遂行する健司に対する恐怖は広がっており、それなりの数のジョーカーマスクが届いてもいる��、それでも自分だけは大丈夫と考えるのが人間の性であるらしい。
「兄貴、県警本部長が来ています」
部下の言葉に緒方は舌打ちしたくなるのを堪える。
何人か人身御供に出す必要はあるだろうが、それでジョーカー問題が片付く訳でも無い。
今の新庄市はさながらギャングの蔓延る六十年代のニューヨークだ。
このネガティブイメージの中ではカジノ施設の誘致も集客の為だなどという言葉で誤魔化せない。
――だが、商店街も打撃を受けているはずだ――
緒方は次善の手を考えながら県警本部長を待たせてある応接室に向かう。
「緒方です。この度はお騒がせしております」
「いや、そうかしこまらんでくれたまえ。私がこうしておれるのも矢沢組あっての事だ」
県警本部長の茨木義男が本革張りのソファーから腰を上げて言う。
茨木は東大卒のキャリアで矢沢の後輩に当たり、同じゼミを受講していた間柄だ。
「殺人事件は起こせない。それが警察の不文律でしょう?」
「今回のカジノ施設建設は内閣肝いりでもあるんだよ。情報操作で反対派が工作しているように演出する事は可能だろうよ」
転んでもタダで起きないのが政治家やエリートというものであるらしい。
「つまりはカジノ施設反対派が、賛成派の人間を殺してピエロのマスクをつけていると?」
「そういう報道になっているだろう?」
茨木の言葉に緒方は唖然とする。
当事者としての立場で見ていた為に気付かなかったが、一般視聴者の目線で見るとそういう風に見えるのだ。
「で、私の在任中にこれだけの死者を出しているんだ。票は囲い込めているんだろうね」
「固定票は押さえております」
実際の所、矢沢組は内紛に近い状態で票を囲い込めるような状態ではない。
大手のチェーン店などでは本部通達で票の取り込みができているが、個人事業主は依然として反対の姿勢を崩していない。
――やる事成す事裏目に出る――
「死人は出る、カジノ施設はできないでは私の本庁復帰が危うくなるんだよ。その意味は分かっているだろうな」
「はい」
不満げな茨木に緒方は短く答える。
――県警本部長が殺害されれば流れが変わるかもな――
緒方は脳裏にあのとらえ所のない殺し屋の姿を思い描いた。
第四章 トリックスター
〈1〉
「最近俺たちが出てもヤクザもビビらねぇのな」
クイーンメイブのボックス席で健がぼやく。
本物の銃を撃つジョーカーもいれば、ジョーカーを狙い撃ちにする殺人鬼も存在する。
実際に死人も出ているのだから今更驚かす程度ではヤクザも怯みはしないだろう。
「銃で撃たれるって不安。前より遠慮なく撃たれてる感じ」
加奈が沈んだ様子でカクテルに口をつける。
「おいおい、私たちの本来の目的を忘れたんじゃないだろうな。私たちの目的はカジノ施設誘致の妨害だ。今の状況でカジノ施設がオープンしたとして誰がテナントに入るんだ? 暴力がこれだけ蔓延る状況を許した現職知事は窮地に立たされている。住民の安全と地域の活性に誠実に取り組む人物が取って代わらなければ市民が納得しない」
ショットのバーボンを口に運んで清史郎は言う。
「いや、確かにジョーカーの言う事は分かるんだけどさ、昔は良かったっつーか、実入りが少ないのは我慢するとしてもよ」
「私たちの本当の目的に近づいているんだから喜んでいいはずなんだけどね」
「選挙の公示まで三日、世襲できそうな人間がいない以上与党は今更候補者を変更できないし、現職のまま選挙を戦う事になる。野党には追及の材料が掃いて捨てるほどある。これで負けるようなら本当に世の中が腐りきってるってだけだ」
健と加奈の気持ちを察しながらも清史郎は言う。
「もう少しで全部終わっちまうんだよなぁ~。何か微妙だぜ」
「コンビニも忙しいって言えば忙しいんだけど、税金は取られるのに退職金も無いし年金のアテもないし」
健が仕事にやりがいを感じられないのも、加奈がお先真っ暗だと言うのも理解できる。
「そうは言っても九月三十一日にはジョーカーは死ぬんだ」
「してやられましたよ。九月に三十一日なんて無いじゃないですか」
ボックス席に当たり前のように現れた円山が言う。
「誰だテメェ!」
健が身を乗り出す。
「歌舞伎町で殺し屋を経営している円山健司と言います。ここが三浦さんの本当の事務所だったんですね」
「まさか一週間で九人も殺したのって……」
「やだなぁ~僕はもっと殺してますよ。警察だって報道内容には気を遣うんです」
涼しい表情でグラスを手にした円山がボックス席に座る。
「人殺しだってバラすぞ、テメェ」
健が円山に向かって噛みつきそうな声と表情を向ける。
「ご自由にどうぞ。何か一つでも証拠が存在するならね」
「で、その殺し屋さんがここに何の用?」
「いや、本家のジョーカーはどうしているのかと思ってね。偽物でもこれだけ殺せば本家も仮面を捨てるんじゃないかって思って」
「おたくの言う通りだ。こんな凄腕の殺し屋がいるならジョーカーなんてやるだけ損だ」
「本当にそう思っていますか? 本家はまだ何か隠し玉を持っているんじゃないかって思うんですけど」
「随分と余裕かましてんじゃねぇか。ジョークを殺ったらテメェを殺す」
「殺しはしたくないけどジョーカーを殺させる事は絶対にしない」
「人望があるんですね。いっそ事務所でこの二人を雇ったらどうです? 今より金回りはよくなるんじゃないですか?」
「殺し屋より儲かるとは思えないね」
「それはリスクを負っていますから」
「テメェは嫌味を言いに来たのか。悪いが俺たちはテメェになんざ負けねぇ」
頭に血の上った健が言う。
「そうそう、一つプレゼントがあるんです」
「あんたがくれるものなんてロクなものじゃないと思うんだけど」
「野党連合の候補を殺すように県警本部長から依頼を受けたんです」
笑顔で言った円山がグラスを空ける。
突然の事に健と加奈が硬直する。
選挙期間中に候補が殺されてしまったら票が分散して現職が有利となる。
どれだけ黒い噂があったとしてもだ。
「それは俺たちに守って見せろと言っているのか?」
「さぁ、気まぐれですよ。僕はこれでもあなたの事が嫌いではないんですよ」
言った円山が席を立って去っていく。
加奈と健が茫然とその背を見送る。
「私たちと候補者をまとめて葬るつもりか……」
清史郎は思案する。候補者を守る為に張り付けば二人まとめて殺される可能性がある。
しかし、候補者を放置しておけば間違いなく殺されるだろう。
具体的な殺人予告という訳ではなく、あったとしても警察はアテにはならない。
市民は自衛するしか無いのだ。
――どうする……――
「なぁ、ジョーク、どうすんだ?」
「あんたも少しは考えなさいよ」
「考えてるって。頭の中じゃあの野郎を三十回は殺してる」
非生産的な事を考えている健が言う。
「ジョーカー、私、どうしていいか……」
加奈は追い詰められた様子だ。
「こうなったらお望み通りにしてやろう。ジョーカーの最期を見せてやるんだ」
清史郎は一抹の寂しさを感じながら笑みを浮かべて見せた。
円山を前にして取れる手は一つしか無いと言っていい。
――あの男はこの結果を望んでいたのだろうか――
〈2〉
『……皆さん、この町の惨状は突然起きたのでしょうか? その根幹には市の中央にある広大な県の土地があります。この土地は江戸時代に火災の延焼を避ける為に作られた防災の為の土地でした。しかし新庄市が栄えるに従い、土地の価格が上がり莫大な利益が生まれる事が分かってきました。ヤクザやギャング、財界の人間はその利権に群がっているんです。もし、彼らの思い通りにさせるなら彼らの存在を容認する事になります。二百年前の先人の知恵に従い、ここを防災を兼ねた市民公園にする事こそが行政の成すべき事です……』
夕暮れの新庄市の駅前で野党候補の峰山春香が声を上げる。
聴衆はさほど多くはないが商店街や青年団が集まって盛り上げようと四苦八苦している。
清史郎はオープンカーのハンドルを握りながらタイミングを計っている。
『ジョーカー、スタンバイOKよ』
イヤホンから加奈の声が聞こえてくる。
『警察は野党の候補に人は割いちゃいねぇ、殺るなら今だ』
健の声を受けて清史郎は紫のどぎついトレンチコートを羽織り、ピエロのマスクをかぶる。
「そこのお前……」
演説を警備していた警官が警棒を手に近づいて来る。
「制服ギャングも久しからず」
清史郎は銃を引き抜く。
警官の足元で火花が爆ぜる。
聴衆だけでなく、夕暮れの帰宅ラッシュの人々の足が止まる。
「綺麗ごとでマニィをロンダリィ! 俺はハッピーにトリガー、堅実な人生が諸行無常!」
清史郎は自動小銃を抜いて選挙カーに銃弾を浴びせかける。
銃声が響き至る所で火花が散る。
ガードマンに守られて逃れようとする峰山の背に向けて引き金を引く。
血を噴出させた野党候補が倒れる。
「こんな時には正露丸! キャベジンがあれば国士無双ゥ! ユンケル飲んだら夜金棒!」
峰山が選挙カーに運び込まれ、現場から離脱しようとする。
『ジョーク、サツが動いた。射殺してもいいって言ってやがる』
健の言葉に清史郎は生唾を飲む。想定してはいたが、想像以上に警察もなりふり構っていないらしい。
清史郎はオープンカーで選挙カーを追い、グレネードランチャーで後ろ半分を吹き飛ばす。
煙を上げた選挙カーが路肩で停止する。
清史郎は高笑いしながら選挙カーの脇をすり抜け、オープンカーで町を駆け抜ける。
無数のパトカーが清史郎のオープンカーを追う。
『ジョーク、法定速度は無視してくれ、俺がナビゲートしてんだし、今更ネズミ捕りが怖いって訳でもねぇだろ』
健のナビゲーションでパトカーを避けて清史郎は埠頭へと向かう。
銃声が響き、音速より早く飛んだ弾丸がオープンカーに襲い掛かる。
警察が矢沢組の懸賞を狙っている事は健のハッキングで知っている。
制止する警官の声と銃撃を受けながら、フルスロットルの���ま岸壁から海上へと車体を躍らせる。
肩と背中に銃弾を受けた清史郎は冷たくなり始めた海の中へと沈んでいく。
清史郎が意識を失いかけた時、淀んだ海の中にウェットスーツに身を包んだ加奈が姿を現した。
〈3〉
警察が捜査した結果、海で手に入れる事ができたのは一台の盗難車とピエロの仮面と紫色のトレンチコートだけだった。
知事候補が襲撃された事もあり、今後清史郎がジョーカーの扮装をすれば正体が露見する可能性は極めて高くなるだろう。
――本家ジョーカーは死亡した――
健司は病院の廊下を歩きながらポケットの中のビニール手袋の感触を確かめる。
野党候補は銃創を負って病院に入院している。
実際には銃創など負っていないのだろうが、ジョーカーと候補が一芝居打つのだとしても病院は避けて通れない。
――悪いけど僕は殺しの依頼は完遂する――
健司は候補の部屋の前のボディガードの様子を観察する。
「すみません。新庄市後援会の青年団の円山と言います。先生はご無事でしょうか?」
「先生はご無事だ」
鉄面皮のボディガードが返答する。
「それを聞いて安心しました。一言無事をお祝い申し上げたいのですが構いませんか?」
「十分だ」
ボディガードの言葉に笑みを返して健司は一人部屋に足を踏み入れる。
両手にビニール手袋をはめ、小銭袋を握りこむ。
「やぁ、先生、ご無事なようで何よりです」
「無事なものか。ポリの弾丸を四発も食らったんだ」
そこで見た光景に健司は言葉を失った。
「お陰で選挙が終わるまで退院できそうにない」
三浦が笑みを向けてくる。
「バカな……あなたは……」
身を隠さなくてはならないはずだ。
治療する為にも……。
――治療する為に候補に成りすましたと言うのか――
入院している間は世間の目は避けられる。
それでは候補はどこに消えたと言うのか。
「お前は野党候補を殺せというオーダーを受けたはずだ。今彼女は立候補しているが、生死不明で野党の統一候補ではない。今は慶田盛弁護士事務所で事務の手伝いはしているが選挙活動はしていない。それでもお前は殺すのか?」
健司は清史郎の言葉に笑いがこみあげてくるのを感じた。
「詭弁にも程がありますよ。ほとんど屁理屈じゃないですか」
「屁理屈でも君は依頼に忠実なんだろう? あと面会は手短に頼むよ。これでも歳でね、銃創って言うのは堪えるんだ」
銃創が堪えているのは本当らしい。
「それでも最後には候補は復活しなきゃならない」
「死んでいなければね」
カーテンの影から姿を現した女性がグレネードランチャーを構える。
「まさか……」
「ジョーカーは死んだ、ヒットマンは来た。これで充分だ。なぁ、ジョーク」
ラップトップコンピューターを小脇に抱えた青年が言う。
「ゲームオーバーだ」
清史郎が不敵な笑みを向けてくる。
健司は小銭袋を窓に投げつける。
砕けたガラスの破片を拾い上げて身構えながら退路を探る。
ガラスの破片で候補の命を絶つつもりだったが今三浦を殺した所で意味が無い。
今は割れた窓の外に逃れる隙さえあればいい。
女性の指がグレネードランチャーの引き金にかかる。
猛烈な爆音と閃光が室内に満ちる。
健司は窓の外に身体を躍らせた。
――これで知事候補が殺された事になるのか――
健司は地面を転がり、人目を避けながらバッグから出した白衣を羽織る。
――僕は最期までジョーカーに踊らされたって訳か――
敗北感より、どこか清々しさを感じながら健司は病院を後にした。
〈3〉
「慶田盛弁護士事務所では峰山候補を歓迎しますよ」
新庄市にある、冤罪に強いと噂の弁護士事務所で峰山春香は未だに自分の身に起きた事が信じられないでいる。
峰山が候補に決まったのは公示二日前、そこから慌ただしく野党の党首などと会談を交わし、選挙戦の流れになったのだが、その直後に慶田盛敦という弁護士が現れたのだ。
慶田盛の噂は峰山も聞いており、信頼できる人物であるとは感じていたが、話の内容は想像のはるか斜め上を行くものだった。
新庄市の乱射魔ジョーカーの本家は、冤罪事件の解決を主に行っている三浦探偵事務所の所長三浦清史郎だったのだ。
三浦は知事選を前に町に大量のジョーカーマスクをバラまいて一時的に身を引いた。
しかし、ジョーカーと野党知事候補は確実にターゲットを仕留める円山という男に命を狙われているのだ。
更には矢沢組がジョーカーに懸賞首をかけており、警察も生死を問わないという条件でジョーカーを狙っているという。
そこで三浦が出して来た案がジョーカーに候補者が襲われて入院、ジョーカーは警察に追われて死亡、更に候補者の運び込まれた市民病院に現れる円山を三浦が撃退するというものだったのだ。
三浦は警察に追われて手傷を負う事は間違いなく、それならば知事候補と入れ替わって入院してもゆっくりと治療ができる。
一方春香は慶田盛弁護士事務所で投票日三日前まで、事務職として短期採用される。
円山のターゲットは知事候補であり、事務員殺害ではなく、その一線を越えてこないのも円山という男なのだという事だった。
「何もかもが信じられないわ。生死不明で選挙戦を戦うなんて……」
「野党の党首が連日新庄入りするって話になったじゃないですか」
春香は慶田盛弁護士事務所の安普請の椅子に腰かける。
「それはいいとしても、いいえ、大きな借りを作る事になりますし……」
「市民に対して不誠実だと?」
春香の心中を察した慶田盛が言う。
「その通りよ。三日前に復活なんて話が良すぎるし」
「でも、実際問題あなたを救う手立ては他に無かった」
事務所の電話が鳴り、慶田盛が受話器を手に取る。
ボタンを押してスピーカーに切り替える。
「私だ。円山が知事候補殺害に現れたよ。こっちで見かけだけは派手な爆薬を爆発させて追い出した。これで知事はテロリストにまで襲われた事になるわけだ。しばらく身を隠さなきゃならない理由が増えたんじゃないか?」
「三浦さんですね? あなたが身体に銃創を負ったという話は聞いています。あなたはどうしてここまでやったんですか?」
「若い連中と付き合いがあると、柄にもない正義感なんてものも持つものなのさ」
三浦の言葉に春香はため息をつく。
実際の傷はどうあれ、体面上知事候補は集中治療室にかくまわれるだろう。
「市民病院が告発したらどうするつもり?」
「それは無いさ。与党の市長になってから予算を削減されて、市民病院では上から下まで味方しようなんてヤツはいないんだから」
慶田盛が肩を竦めて見せる。
「あと、仕事柄マスコミの相手をするのは苦手じゃないんだ」
「ああ、こいつは口先だけは有能だからな」
二人の言葉を聞いていた春香は苦笑する。
悪だくらみのような作戦だが、この二人にとってはこれは健全な正義のスポーツのようなものなのだ。
〈4〉
野党候補の入院先で爆破テロが起こった事で、与党候補に対する疑惑は大きなものとなった。
野党候補は生死の境を彷徨っていると報道されている。
清史郎は病院で何不自由なく治療生活を送っている。
のだが……。
「なぁ、ジョーク、ここで寝てるってのは何かの冗談だろ?」
「怪我してるのは事実なんだから無茶言わないの」
健と加奈は連日競うようにして病室を訪れている。
「お前ら、もうジョーカーの出番は無いんだぞ? 知事選も候補が無事を表明すれば一発で決まる。もうやる事は無いんだ」
清史郎が言うと健が叱られた犬のような表情を浮かべる。
「いやさジョーク、俺、土建屋辞めたんだ」
「私も……その、コンビニ辞めたんだ」
清史郎は二人の言葉に唖然とする。
このご時世に仕事を自ら捨ててどうしようと言うのか。
「ジョーク、儲からないっつってるけどよ、俺が手伝ったら何とかなんじゃね?」
「先に言わないでよ。採用するなら私の方が得なんだから。多分」
清史郎は額に手を当ててこみ上げてくる笑い声を抑える。
傷に響くが笑いたくなるのだから仕方がない。
「お前ら、馬鹿じゃないのか? こんなオッサンと組んだって心中するようなモンだろ」
「それでもいいくらい楽しかったんだよ」
「またスリル、くれるんでしょ?」
清史郎は笑い声をあげて身体を起こす。
傷が引きつるが痛みなど気にならない。
「資本金はお前らと合わせて裏金三千万円。社員は三人。一人はオッサン。ジョーカー探偵事務所とでもするか」
「何かダセェ。中年は変に英語にするから逆にカッコ悪いんだよ。三浦探偵事務所でいいだろ」
「中年のセンスが悪いのは今に始まった事じゃない」
清史郎は憮然として健に言い返す。
「じゃあ新しい門出に」
加奈がバッグからワインのボトルを取り出す。
若い二人は自分に老ける暇を与えてくれないらしい。
清史郎はコップに注がれたワインを掲げる。
「乾杯」
紙コップが音もなく打ち合わされ、新しい何かが動き始めた。
エピローグ
清史郎は健と加奈を引き連れて病院の廊下を歩いている。
向かいからスーツ姿の峰山春香が歩いてくる。
握手しようと峰山が手を差し出してくるのを無視して清史郎は右手を軽く上げる。
峰山が応じて右手を挙げてハイタッチすると、清史郎と峰山は入れ替わるように方向を変える。
清史郎の背後でフラッシュが瞬き、峰山が光とシャッター音に包まれる。
生死不明から無傷での生還。
これほどの宣伝も無いだろう。
ジョーカーはカジノ施設を阻止するというその使命を果たしたのだ。
選挙戦は野党党首が連日交代で訪れるという形で、野党が攻勢を強めていた。
そして投票日三日前に野党候補が無傷で出現。
暗殺者に狙われていた事を告げ、改めて支持を訴えた。
緒方は事務所で出来の悪すぎる茶番劇を見せられたような気分を味わっている。
ジョーカーという乱射魔が出現、殺し屋に依頼をしたらジョーカーの模倣犯が大量に出現。野党候補を狙ったら本家ジョーカーに命を狙われ、生死不明から一転蘇った。
市民の心理を考えるまでもなくこの選挙は完敗だ。
何処で何を間違えたのかなど分からない。
否、最初からこの町には矢沢組を受け入れない何かが存在していたのだ。
近々上層の組から矢沢更迭が告げられるだろう。
だが、緒方は矢沢にとって代わろうなどとは思わない。
――この町にはジョーカーという化け物��存在するのだから――
十月一日、健司はいつものように殺し屋のカウンターの内側にアルコールを吹きかけている。
もしも、九月に三十一日が存在しているならジョーカーが殺されてやると言っていた日。
新庄市では市民の支持を得た新知事の誕生でお祭り騒ぎらしい。
と、殺し屋の戸口に宅急便の配達員が現れた。
「殺し屋様ですか? Amazon様からのお届けものです」
記憶には無いが健司は笑顔で箱を受け取り、伝票にサインする。
ナイフで慎重に箱の封を開けるとそこにはピエロのマスクが収まっていた。
健司は口元に笑みが浮かぶのを感じた。
――確かにジョーカーは死んだ――
健司はその自然な笑みを機械的な笑みの後ろに隠し、カウンターを磨き始めた。
今日も新たな客がやって来るに違いないのだ。
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08.ぱんてつ feat.asia,Ed
(HOOK) てつのいたぁ(てつ!) てつのいたぁ(ぱん!) てつのいたぁ(てつ!) てつのぱんぱん!
(asia) 物陰からテーマ性 ゴミ山の作業員 お面が狐 この世の革命 いまだ現役 爪隠す口先 おぼろげに 溢れそうな悪口 なんもわかってねーとか言っとく? 年功序列を説得しとく? いやいや俺は俺だろうactors M.e.t.h.o.d 具現化するイメージ 弘前方面から市街地 閃きの神が避雷針 呼んでぶっ飛んでマジダメージ 次の信号あたりを左折し 灯りの飾りを撃ち抜く境地 憧れよりまず自分を鍛えるんだ それが自己流
(Sasyu) このご時世 お国柄 公務員がラップ 俺もそうですが何か? 周りはゲスばかりさ こー言やーあー言う 揶揄する 抑揚つけてよくYo!とか言う カッペの「Who are you?」 「リアルじゃない」とか「b-girlじゃない」とか 「家族がいるから身軽じゃない」とか 気が知れんが皆ジレンマ抱えてるもんでしょ だからスタイルでウォーズしよう 社員・教諭・坊主Show よく言われた「生き方が正直すぎる」 だからこそ真っ当なフロウとスキル ヤノマスティーロ 非喫煙者で下戸 ワインでゲロ しない賭け事とマネーファイト ホワイトカラーでもネクタイがブラック 行儀良くハンドクラップ 助けてアフラック quack!quack! ひけらかすな未完成品 不細工ライカみかん星… おっとNGワード 20years ago
(GUILD) 兄さん!出番ですPartyでばってラップせん ぱんてつぱんてつ 断然(クラァァシックス) だばって社会人秘めた二面性 アフター5常連ラッパーの証言 ジ・エンドの文字が浮かぶ前に出たエンドロール途中の映画館 (ガキをかへねばね) 足で稼ぐマネー 腹たててばかりじゃ落ちるだけ 足りない懺悔 あんべ悪ぃばって ノーペインノーゲインどんでん返しのドラマ 呼び込むラップゲームかだれマイメン再見 会えない関係 でもまだうちらが繋がってるわけ (country attack) あの日の確かな音楽体験 生きる糧 家庭とぼくの安定をなすサウンドカテーテルことターンテーブル
(HAMNIBAL) 昔々あるところに カラオケから始めた試み に飽き足りない連中の目論見 今や貴重な人生の喜び 継続出来なきゃしょうがねぇが 継続だけでも能がねぇな 第何章? 関係なくLike this yo 感傷に浸るのは止めるときでしょ WANDERERイズム 地で行くアマチュアリズム 大館中で耳する 言葉を紡ぐ 冒険は続く 俺らを結ぶ 信念貫く 互いを繋いだカラビナが証だ ライフワークと既に割り切ったからには 極めろ自己満 意気がってナンボ これが正に生き甲斐ってもんよ
(Ed) Check俺のパンテツ 大館on my mind 小さい町の実際の話 カフェみなみの残党はずっと野放し 風を通さない倉の中の酔っぱらいが 懲りず参上 (from above) Rep 孤立半島の様な最後のジャンル棚 いわしやもイレブンも今は真っ暗だがまだ立つ 朝市ジャンクloverラップ馬鹿 俺なりの、いや俺らなりの、御成座界隈の転んでも折れない音楽 7号ローカル チープなフォーカスポーカスは淘汰する ロータスに胡座道楽をどう描くか 正しい事は叫ぶ鉄の精神 ただ良い言葉は絶命 掻き出す 未だ竹箒だけ装備 片手に掲げ行進する三十路の影法師
(HOOK)
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12強/26安大亂鬥 日本險勝韓國
記者黃泓哲/綜合報導
12強複賽日本隊16日在最終戰遭遇宿敵韓國,雙方打擊大爆發,韓國隊敲出12安,拿下8分,但日本隊更勝一籌,靠著3局攻下6分大局奠定勝基,最終揮出14安打下10分,拿下複賽第4勝。17日兩隊將再度於東京巨蛋對決,爭奪2019世界12強棒球賽的冠軍金盃。
▲日本隊複賽最終戰以10:8擊敗韓國。(圖/翻攝自WBSC臉書。)
比賽剛開始日本隊就突破韓國隊20歲先發投手李承鎬,2局下會澤翼2出局後敲出二壘安打上到得點圈,菊池涼介相中內角139公里速球,一棒掃到左外野形成二壘安打,送回壘上的會澤翼,幫助日本隊率先開胡。
韓國隊反攻也來得很快,黃載均3局上一上場就敲出左外野陽春報扳平戰局,但日本隊3局下大爆發,坂本勇人率先敲出二壘安打上壘,丸佳浩試圖短打但韓國隊李承鎬處理不當,造成一、三壘有人的局面,日本隊彷彿開啟絕殺模式,鈴木誠也、浅村榮斗和吉田正尚串連3支安打攻下3分擠成滿壘,老將松田宣浩選到保送再擠回1分,會澤翼敲出中外野安打再下一城,菊池涼介游擊滾地球雖然造成一壘往二壘跑的會澤翼出局,但也護送三壘上的吉田正尚跑回本壘攻下日本隊第6分,且仍舊維持一、三壘有跑者局面,山田哲人補上左外野高飛犧牲打幫助日本隊再添1分,總計日本隊3局下靠著6支安打與1次保送、1次高飛犧牲打攻下6分大局,3局結束以7:1遙遙領先韓國隊。
不過4局上高麗軍團越挫越勇,朴健祐、金宰煥、朴炳鎬連續3支打安打追回1分,日本隊先發投手岸孝之雖然及時三振崔廷,但年輕小將姜白虎又敲出安打追回韓國隊第3分,三振黃載均後,朴世爀、金相豎連續2支安打得到韓國隊第6分,韓國隊追到6:7僅剩1分差。
日本隊先發投手岸孝之主投4局被敲出7支安打包含黃載均的紅不讓,失掉6分全都是自責分。
5局下日本隊攻勢再起,替補上場的甲斐拓也率先敲出安打上壘,3局下代跑菊池涼介的外崎修汰犧牲觸擊將跑者送到得點圈,山田哲人大棒一揮形成左外野二壘安打,打回日本隊第8分,丸佳浩再補上右外野二壘安打,攻下日本隊第9分。5局結束日本隊以9:6領先。
7局上韓國隊再度點燃攻勢,面對日本隊中繼投手山岡泰輔,李政厚先敲出中外野安打上壘,山岡泰輔雖然連續抓下金賢洙與朴炳鎬,但許敬民擊出游擊滾地球,坂本勇人接到後選擇傳二壘出局,但經過電視輔助判決後,改判為內野安打,形成一、二壘有跑者局面,姜白虎敲出中外野飛球,丸佳浩試圖滑接但漏了出來,韓國隊攻下2分追到8:9,日本隊緊急換上嘉彌真新也才成功三振代打的梁義智化解危機。
7局下日本隊再添保險分,趁著韓國後援投手高祐錫不穩,外崎修汰、山田哲人連續選到保送上壘,原田壯亮犧牲觸擊將跑者送到二、三壘,丸佳浩再選到保送形成滿壘,近藤健介纏鬥到2好3壞滿球數,被高祐錫觸身球擊中右腳,日本隊添得第10分。
9局上日本隊田口麗斗上場後援,雖被金賢洙敲出安打,但隨即回穩抓下3個出局數,終場日本隊以10:8險勝韓國,奪下複賽第4勝。17日晚間6點兩隊將在東京巨蛋進行世界棒球12強賽最終決賽。
更多三立新聞網報導 日、韓戰攸關兩國面子 稻葉篤紀下達必勝令 面子、裡子都要贏! 日本武士打線搬風戰高麗軍 挖洞給墨西哥跳? 韓媒韓、墨賽後頻問『對日籍主審看法』 韓媒暴走狂批12強賽 怒嗆根本菜市場盃
文章來源:三立新聞網 setn.com
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#チャタロウニッキあしあと 2016年9月12日 画像1 おはよー ボク チャタロウだよ。 予報は今日も雨なんだ。 今は、ほんの少しだけポツリだから、チャタん歩出発だよ。 日の出🌅が随分、遅くなった。 まだ虫達のオーケストラが公演中だよ。 わー むこうから真っ黒い雲が立ち込めて来てる💦 これは嵐が来るよ。 茨城は昨日から7~8度も気温が下がって、朝方は肌寒いんだけど、シドさん 風邪をひいたらしいよ。 昨夜から下痢と頭痛、倦怠感があって、眠くてしょうがないみたい。 河口湖でボクの為に、頑張り過ぎて疲れもでたかな? 昨日は、シドさん 自分のベッドでゆっくり寝たんだよ。 ちゃー子が、一緒のお布団で、お腹を丸まって暖めてたんだって。 そういう気遣いは、女の子ならではだよね。 ボク 今日は通院日なんだ。 検査の結果が良ければ、抗がん剤投与するよ。 ボク まだシドさんと行かなきゃならない所が沢山あるし、出来るだけ、ボクを大好き❤で居てくれる人にも会わなきゃだから頑張るよ! 焼き物も届くの待たなきゃだしさ。 湘南・江の島を巡って『おっくん』 @oekakiya にも逢いに行きたいなー。 二人で並んで笑顔の写真を取れるかな? でも、ボク 芝犬の男の子と相性が悪いんだ…💧 お友達になれるかな~。 あとね、シドさんの旧くからのお友達でシドさんを『兄』と慕ってくれてる妹みたいな存在の人にも、会わなきゃ! 日比谷公園って、所に行こうかって、話してるんだって。 ワクワクいっーぱいだよ。 画像2 マックちゃーん💓 おはよー チャタロウだよ。 ご無沙汰しちゃったね。 ボクねー 富士山🗻っていうの見に行ったんだ! ボクのご先祖が生まれた土地なんだって。 甲斐の里とかってね 看板でてたんだ。 ボクは勿論、始めて行ったんだけどね。 富士山🗻は頭の先しか見えなかったけれど、ロープウェイって乗り物にのって高い所に登ったんだよ。 もう犬も人間も判らない位に高い所だったんだ。 シドさん ボクに高い所からの景色が見せたかったんだって! シドさんがねー 車を運転しながら、片手で撫でてくれるの。 『男の二人旅、チャタロウと出掛けるのは大変だけど、その何倍も楽しいな!』って、言ってくれるのが、嬉しいんだ。 マックちゃんは、ノラの頃に車に跳ねられて命の危機な目になっている所をマックちゃんママに救われたから、車が大キライで乗れないんだけど、マックちゃん 車でのお出掛けは、楽しいんだよ。 画像3 カーブミラーに写る二人。 今朝はチャタロウ フルコース走破目指して歩いてます。 肌寒い位の陽気が、チャタロウには心地よいようで、足取りも軽快です。 う⚫ち💩も出ました! 下痢はしてません。 画像4 これ見てよ! 金曜の夜にシドさんが綺麗に片付けたのに、もう捨てられてるんだよ! これさー袋を不燃ゴミのにすれば、回収日に出せるでしょ。 なんで、たったそれだけの事をやれないだろ… チャタロウ おこだよ! 動画1 チャタロウ プレゼントで戴いた 🍔ハンバーガー状のオヤツをパクパク。 もう一個食べそうだったけれど、お爺さんが歩いて来て、気を削がれたようです💧 画像5 オレっち 源ちゃんだー! みんな pic上げでんだがら、オレっちも上げでくれー✨ もしかしだら、一人か二人… いや…三人位は、オレっちのファンが居るがも しんねーだ。 だがら たまには変顔しねーで、可愛いぐ💠撮って貰うだー! #肥満細胞腫 #パラディア #闘病 #保護犬 #殺処分 #野良犬 #フィラリア #笑顔 #犬 #わん #ワンコ #余命宣告 #dog #愛犬 #散歩 #甲斐犬 #断脚 #3本足のワンコ #3本足の犬 #3本足 #闘病 https://www.instagram.com/p/B2SgQt7hsvP/?igshid=steh0uk5bhiq
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利口な女
教会に隣接した駐車場は昨晩の雨の影響で水溜りが点在している。梅雨の時期で長雨が続き、天気は晴れたり曇ったりとはっきりしない。湿気にむせぶ雨の合間、出口に一番近い駐車ラインを跨いで赤いコンバーチブルが停車していた。 「今月に入って二度目。二度目ですよ!」 車のテールランプが割れている。修道服姿の老婦人が男に向かい、怒りを顕わにしていた。 「シスター。私は気にしてませんから」 その隣に若い女が立ち、申し訳なさそうに男を窺っている。 「いけません! このままにしておいたら相手がつけ上がるだけです」 老婦人は女の言葉を中途で遮った。 「それにね、加奈子さん。この圭介は探偵なんです。犯罪のことならお手のもの。何でも知ってるの。そうよね?」 「探偵?」 加奈子と呼ばれた女は目を丸くしている。 「まあ、はい」 鈴木圭介は仕方なく頷いた。
ジャンクフードの臭いとともに助手席へ乗り込んできた田原は、さっそく袋からハンバーガーを掴み出す。田原は圭介と同年代の中年男だが、ベルトの穴は五つか六つ緩かった。 「シートにケチャップを落とすなよ」 圭介の警告に田原は顔をしかめる。 「どうせ合皮だろ? それより、アレ」 圭介は懐から封筒を取り出した。封筒を受け取った田原は中を覗き込みながら、ペーパーフォルダーを圭介の膝へほうる。 「これって相場か?」 田原は封筒の紙幣を三回、数えていた。 「俺が知るわけがない。悪徳警官とお近づきになったのは初めてだ」 「誰が悪徳警官だ」 武装強盗の頭に風穴を開けて以来、田原は椅子を尻で温めるのが業務のすべてである。つまり、��料課の課長補佐代理へ異動の決定を下された。出世を望む警官に射撃は御法度である。銃は自ら撃つものではない。他人に撃たせるものだ。 書類の間から写真が一枚、滑り落ちてくる。高価なスーツを着た白髪頭の男が若い女の腰を抱いていた。女はシスターから紹介された加奈子である。ピントは男に向けられていたが、女の顔を判別するのに問題はなかった。 「この女」 田原が圭介のほうへ身を寄せてくる。巨漢の田原のせいでブルーバードの車内は、いつにも増して満杯だ。 「見かけた覚えがあるんだが」 「どこで?」 田原はこめかみの辺りを揉みながら唸っている。 「それが、どこだったか」 老眼鏡をかけた圭介は内偵の資料に目を通した。粉飾決算で、どうにか体面を保っているが、写真の男の資産状況はスーツの値段に見合わない。出資者からかき集めた金を返す当てはなさそうだ。 「なんだか雑だな」 空欄だらけの資料を一瞥し、田原に目を向ける。 「署員の半数が国際会議の警備に駆り出されてる。市民生活の安全は一時お預けだ」 「田原、おまえは? 行かなくていいのか?」 「公安が俺の経歴にケチをつけてきた。なんでも俺は『職務遂行能力に欠ける』らしい」 他人の話でもする顔で田原は答えた。 「あいつら全員、ヘルペスになればいい」 加奈子の詳細も未記載である。警察は、この件を通り一遍の書類仕事で済ませているようだ。 「雨の中、車を尾行することになったら、どうする?」 田原は質問を図りかね、圭介の顔を窺う。 「昼と夜。どっちだ?」 「夕方から夜」 メモを取り終え、圭介は老眼鏡を外した。資料を田原に返すついでに写真を素早く袖の内側へ納める。 「テールランプを割るかな」 圭介も同意見だ。
若い美人であることと雨上がりの日差しを受けて輝いていたダイヤモンドの指輪が加奈子の第一印象である。年齢の割に大振りな石だったから圭介の目を惹いた。圭介の薬指に嵌っている安物のプラチナと比べて桁は三つほど上だろう。 加奈子と一緒にいた男がやっていると思われるのは、よくあるマルチ商法だ。ただ小金を持った一般投資家の他に消費者金融が会社の資金繰りに関わっている。彼らは一般投資家と違い、損失を税金対策に流用する気は更々なかった。なぜなら仲間内での面子に拘るからである。 圭介の依頼主である金融業者は借金を棚上げして姿をくらましている男の行方を金銭と自尊心、両方の問題で追っていた。圭介は暴力沙汰には関与しない条件で調査に携わっている。 駐車場近くで張っていた甲斐があり、加奈子の車が動き出した。圭介は信号待ちを利用して袖に隠した写真を背広の内ポケットに移す。またぞろ降り出した雨の中、手前を行く車のテールランプから光が漏れていた。カバーを適度に破壊されたテールランプの光は他の車と差別化できた。視認性も高まる。 巡回の警察車両に遭遇しないよう祈りつつ、圭介は赤のコンバーチブルを追った。
圭介は路上駐車しているコンバーチブルに目をやりながら、双眼鏡を取り出す。四階の窓に加奈子の姿が見えた。車内で化粧を直したのだろう。加奈子の唇は昼間に会った時より鮮やかである。 目前の貸しビルは七階建てだが、建築法改正前の代物らしくエレベーターはなかった。加奈子のハイヒールは踵が七センチはある。階段の昇降は相当な重労働だ。 二時間弱で加奈子が一人で出てくる。所持品は降車時と同じ小さな手持ちのバックだけだった。圭介はスマートフォンを操作する。通話の相手は、すぐに電話を切った。 圭介は再び、加奈子の車を尾行する。車は道順を逆に辿り、今度は都心のマンションに到着した。さすがにエレベーターが設置されている。彼女の後を追って圭介も無人のロビーに入った。だが、圭介は衝撃を受け、マンションの床へ昏倒する。背後から後頭部を思い切り殴られたからだ。 冷たくて柔らかいものが顔に触れる。香水の匂いに惚けていた圭介は激痛に呻いた。突如、五感が戻ってくる。 「動かないほうがいいと思います」 加奈子が横から圭介を覗き込んでいた。どうやらマンションの室内に寝かされているらしい。下から眺めても彼女は変わらず美しかった。 「おじさん。気が付いた?」 痛みがぶり返さないよう圭介は目玉を動かす。圭介が横になっているソファの向かいで子供がスマートフォンに目を落としている。 「重くて大変だったんだよ」 漏れてくる音から察するにゲーム画面のようだ。 「正くん。圭介さんに謝るのが先でしょう?」 加奈子は子供を咎める。 「どうして?」 「圭介さんに怪我をさせたのは、あなたじゃない」 驚いた圭介は身を起しかけ、またもや痛みに襲われた。 「だけど、このおじさん。加奈子の後をつけてたんだよ。悪者だと思うじゃないか」 「圭介さん、本当?」 圭介は苦笑いしながらソファに座り直す。 「誤解です。偶然、加奈子さんの車をお見かけしたのでテールランプの件についてご相談しようかと」 冷やしたタオルを加奈子から受け取った。大きな瘤のふくらんだ後頭部にタオルを押しあてる。子供の足元にエナメル加工をしたショルダーバックがあった。半分開いたジッパーから金属バットが見える。 圭介は凶器を特定した。 「そうだったんですか。でも、もう解決ですね。犯人は彼だったんですから」 加奈子は正を示す。 「私の車を自転車で追いかけてきたらしいんです」 ゲーム画面を見つめ、正は盛んに指先を動かしていた。 「警察が教えてくれたんだよ。尾行しやすいって」 「警察? どこの警察かな?」 正は圭介のほうへ顔を向け、所轄の警察署の略称を口にする。 「そこにすごく太った刑事がいて聞いたら教えてくれた。エビのチリソースを食べてたよ」 「チャイニーズのテイクアウト? 紙の箱に入った?」 「うん、それ」 後頭部の殴打とは別に圭介は頭痛を感じ始めていた。 「誰か、ご存じなんですか?」 「いえ、まったく。見当もつきません」 圭介は加奈子の質問に愛想笑いを返す。困窮している圭介の耳に玄関の呼び出し音が響いた。 「来客の予定はあるんですか?」 「ええ。さっき連絡して来てもらったんです」 加奈子は笑顔だが、圭介は彼女の行動を読み兼ねている。正の存在を見て荒事はないだろうと踏んだ。
「正!」 入室してきたのは中年の女だった。 「お母さん?」 正は目を丸くしている。 「何をやってるの、あなたは! 来なさい!」 母親は無理やり正を立たせ、腕を引っ張った。 「ご連絡をいただいて本当にありがとうございました。申し訳ありません。二度とこんなことは」 加奈子に向かい頻りに頭を下げる。正にも詫びを入れるよう母親は彼の頭を押さえた。 「嫌いだ!」 母親の手を振り払い、正は叫ぶ。加奈子をにらみつけていた。 「大嫌いだ!」 加奈子は頷いて正を見つめている。 「そうね。私も、そう言うと思う」 金属バットの突っ込まれた鞄を正に差し出した。正は鞄を無言のまま乱暴に奪い取る。 「失礼じゃないの! すみません、本当に」 母親に腕を引かれて正は部屋を出て行った。
「正くんとは、教会のボランティアで知り合ったんです」 教会が行っている就学児童の一時預かりが二人を取り持ったらしい。 「私の髪が欲しいって言われて。最初は断ったんですけど、どうしてもって聞かないから、つい」 加奈子は自分の髪を指先で摘まんだ。ウェーブのかかった栗色の髪は艶々と輝いている。 「一本だけならいいかなと思った。でも、間違いでした」 正の母親は所轄の生活安全課に駆け込んだ。過剰だが、加奈子の行動もグロテスクではある。二人は他人には理解し難い感覚を共有した。少なくとも正は、そう感じた。成人した男であっても些細な女の行動を特別な好意と結びつける誤謬は頻繁である。一概に愚かと圭介には笑えなかった。 加奈子はボランティアを辞め、教会の礼拝に通うのみとなる。 「正くん。お金はあるから心配ないって言ってました」 運命の相手との邂逅を求めて正は加奈子の車を追った。 「まだ子供なのに大人と同じことを言うんだなって驚いた」 スマートフォンのマナーモードが唸る。加奈子に断りを入れ、圭介は電話に出た。 「わかった」 依頼者は債権の回収に成功したようである。圭介は通話を切断し、懐から写真を取り出した。 「一応の解決を得られましたので、ただちに危険はありません」 警察の資料に添付されていた写真である。 「正くんの話は本当だったんですね」 加奈子は圭介を初めて見たような顔だ。
エレベーターの中では圭介も加奈子も無言だった。地下へ到着したアナウンスとともに機械音が響く。自動ドアが開いた先は屋内駐車場だ。 「私の髪を正くんは指輪みたいに丸く束ねていたらしいんです」 加奈子はスーツケースを押している圭介の手にダイヤモンドの輝く指を滑らせる。圭介の指には結婚指輪が光っていた。 「どうして奥様が亡くなったのに外さないんですか?」 「誰から、その話を?」 「シスターです」 圭介は額を押さえる。加奈子のコンバーチブルに向かって二人は歩いた。 「奥様を忘れないため?」 加奈子が開いたトランクに圭介はスーツケースを押し込む。 「そんなに格好のついた話じゃありません」 彼女の視線に辟易しながら���ランクを閉じた。 「そう、私にしたのと同じ。奥様にも嘘を吐いていた。だから指輪を外さない。違いますか?」 図星を突かれて圭介は言葉に詰まる。 「自分の罪を数えている」 加奈子は運転席側のドアを開けて車に乗り込んだ。 「お元気で」 圭介の挨拶が終わらぬうちに加奈子はエンジンをかける。走り出す車を見送り、圭介は駐車場の外に出た。 頭痛に悩まされながら、朝日に目を細める。路上に停めたブルーバードは無事だったが、フロントガラスに駐車違反の切符が貼付されている。圭介はため息混じりに確認標章を剥ぎとった。
※お題「光」
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レオそふぃレオ同人誌総まとめ2017
対象: 2017年1月1日~12月31日までに発行された同人誌(+筆者が確保できなかった2016年の同人誌)
pink pink magical (mintjulep)
2015年あたりから目が出てきたふたなりそふぃ攻のそふぃレオの流れにおける代表選手であるmintjulepの栄えある一発目。自分のチンコのサイズに悩むレオナがそふぃと比べっこをし、その流れで……という筋書き。二人称が違うのだが作者コメントによればメガドレインの流れを採用したようだ。徹頭徹尾そふぃ攻でありレオナが彼女に挿入することはない。話の分かる逸品である。レオナにおける受け入れる愛の形を一番強く描ける形なのは確かか。
レ雄ナ・ウェスト (れおな屋P)
基本線はドロレオだが二次性徴を通じてそふぃを異性として意識してしまう彼の姿を描いている。ドロシー相手にも勃起してしまうのでそこだけでも話は通じそうだがそれでも彼女を持ち出したのは血がつながっていないが故か。レオナの二次性徴にどう向き合うかは重いが重要なテーマなのでぜひ読んでみてほしい。
WONDERPURI MUSICAL WORLD! (きー)
イラスト集。レオナとそふぃのモチーフはローマの休日。24時間の恋ってやつだ。
いとおしいのはきみのせい (スプリット)
大学生になったレオナとそふぃの同棲生活を描いた一作。こういう何気ないながらもかけがえのない日常がきわめて似合うのが彼らだ。こういう未来に思いをはせるのもいい。いつまでも幸せに。
ぴりっとペッパー (プロジェクトM)
レオナが大好きなペッパーは今日も彼のもとへ行く。しかし彼の心はそふぃの方にあり、そふぃもまた……という筋書き。ややシリアスめな三角関係ものとして描かれる三人の心の交差が美しい。読後感も清涼としているので機会があるならぜひ。
くんくんペッパー (プロジェクトM)
まだオナニーまでなんだね……そうだよね…… (???????)
我こそは恐るべき人類 (ゴリラマウンテン四国)
レオそふぃR-18の代名詞といえばここ。1か月ご無沙汰だった二人が欲求不満を全力で晴らすように徹頭徹尾セックスする。レオナ君のアナル攻めもあるぞ。どのページを開いても使えるレベルで凄い。
愛ドルを取り戻せ!~そふぃ×レオナ版~ (七色旋風児)
ぷちゅうのアレである。レオナ君がまたアナルを掘られておるぞ。2017年の流行ジャンルか!?なお完成版は電子版で配布されている。
RELUX☆MUSCLE (正義のヒーロー)
好きな人の理想が今の自分と違うときにどうするか……というのは重いテーマである。しかし無理をしても仕方がないのだ、という結論はレオナのテーマである「あるがまま」の大切さであろう。実在人物の名誉という別問題もあるが。
しおんぱぱのいちにち (ゆメーター上昇中)
赤ちゃんになってしまったドロシーとレオナの世話をするシオンのドタバタ4コマ。すぐにレオナを構いに行くそふぃや赤子と化してもそふぃに反応するレオナという実質アレ要素がある。という点を差し置いてもオールキャラ本として極めてよくできているのでぜひ。
らくがきをテキトーに詰めた本 (ゆメーター上昇中)
体育倉庫で事に及ぼうとするシオドロのところになぜかレオナがそふぃを連れてきて……という。全体としてはドレシ向け。
ゆめかわ 白米禁止生活 / レオそふぃ派遣前夜 (プロジェクトM)
二本立てのうち二本目が該当。神アイドルとなりプクオカへ派遣されることとなったそふぃに対してレオナは彼女に……という筋書き。真似事とはいえプロポーズってこう、いいよね、いい。男子中学生っぽさもあいまって。
はじまりの1ページ (エンドレスジレンマ)
やっぱり水族館デートなんですよ。そしてやはり18話のやりとりは特別で。
ハートとハートがchu!! (深海くらげ流星群)
ドロレオを描くうえでそふぃをどう使うか、という観点といえる。どっちに行くにせよ外せない人物だからだ。先々の三角関係を思わせるラストがいい。
ちっちゃいドロシーとママとパパ (とろっとぽにー)
流行のシステムエラーで子供になるドロシーを世話するレオシオ本である。その一方でレオナの気配を遠距離から敏感に察知するそふぃの姿が。仲の良さを思わせる。
ナノミカンうすくち (すけろく堂)
表紙イラストの右上で同調行動しているぞ。ちゃんと例の目をしているあたり"""理解って"""いるといえよう。(???)
STORY of Your LIFE (魔界戦線)
無印3年間を振り返る評論本である。レオナとそふぃを似た者同士として触れているが、やはりそらみとドレシのつながりを論じる上で欠かせないと言えよう。
恋のみれ×②キューピット (せいんと♡まろん)
シオみれ本であるが、作者の過去作から前提CPがある。それがわかる一コマがあるのだが……どこかわかったかな?
緑風ふわりVSワンクリック詐欺 (海鮮帝国)
アイドル激似AVの中にレオそふぃ激似AVがあったりする。煽り文からタイトルまでひどいのでぜひ見てほしい。本筋としてはとても教育的なワンクリック詐欺の話なのでとても勉強になるぞ。
Wind Climbing (くらげ農家)
風に遊ばれて……じゃなくて、二人が付き合いだしたことで揺れるドロシーの心を描いた一作。トラブルメーカーになりながらも一歩前進して見せるあたり良くドロシーが描けていると思う。ゲスト原稿もあるがこっちは凄くアダルティなイラストに初々しいところから��スピード合体などとても楽しいぞ。
Sophy Satisfuction Vol. 2.0 (fool fusion)
イラスト集。一発目がそふぃに血を吸われるレオナだ。♡目っすよ。
Pink splash!! (mintjulep)
mintjulepふたそふぃレオ2連続ジャンプ目。遠恋からの再会とくればやることはひとつしかありませんね。波にさらわれた先でどことなく幻想的にアナルセックスだ(情緒がないなこの書き方)。最後のおまじないがカヅキの「ぷりぷりぷりずむ~」なのはプリズムツアーズをよく見ている証ともいえるプロの仕事だろう。(????)
私のお姉ちゃん。 (スズリンゴ)
北条姉妹とウェスト姉弟の交差を本文6Pで見事に描き切った一発。とにかく最後のセリフが強く重い。
クラゲは寂しくても死ねない (スプリット)
レオそふぃ二次創作だと比較的珍しい、レオナがそふぃの背中を押すタイプの話であり、アニメ2期の補完の意味合いを持つ。いかにも年頃の少年らしいレオナがかわいらしくも頼もしく、また元気をもらったそふぃとのやりとりがかわいらしくもある。こういうほんわかした二人の姿を描かせたら天下一の人でもある。ラストの"危うさ"すら感じさせるレオナが裏の見どころだったりもする。
ドロシーおばたん2 (ゴリラマウンテン四国)
レオそふぃ一家&おばたんが動物園行ったり息子が父方の実家にお泊りしたり。読んでると肉玉そばが食べたくなるぞ。グランマと化したドロレオママも美しい。あと息子のショタチンコ。豪華ゲスト陣でちょっとした合同誌感覚でもある。前作で息子が親のセックスを見た甲斐あって最後には……次回はなんとあの人らしくいろいろな意味で次回が気になる一冊。
オオサカ・プ・プタリタビ (sapo)
成長後レオそふぃ西のオオサカへゆく。二人きりでいつもと違う場所へ行くことで新しいことに気づき、そして……。コスモお姉さまもわかってて送り出した感がある。旅行っていいよねって。ラストで触れたピロシマのお好み焼き……八昌かなあと思いつつもうずしおに入ってしまう二人もちょっと見たかったり。
雨過天晴 (オモダカ)
レオそふぃからシオドロにつながる黄金パターン。スターターとして妙に優秀といえよう。自棄に落ち着いたレオナの姿を見ると先に大人の階段上っちゃったカンジにも見えたり。
1/4ドロシー (志葉犬)
やっぱり流行ジャンルのシステムエラーで子供になるドロシーの話。こちらは小さくなったドロシーをダシに二人が下の子談議に花を咲かせる。あと家族になればいいと思う。
ナノミカンお徳用パック (すけろく堂)
レオナ君……ナニがすぐ終わるのかな……あと上かな、実は下かな……
cafe style* (peco)
レオそふぃでいっぱいのイラスト集。今年もかわいいコーデいっぱい出ましたね。プリ×プリしつじボルドーとメイドボルドーをどちらに着せるかはさまざまな思想があるだろうがこの本ではレオナがメイド、そふぃがしつじ。マイデザインもかわいい。
ヘコヘコレオナくん (にためはちD)
いつも通り(?)に北条家でセックスに励む二人。しかしある人物による罠が……レオナ君の乳首がすごく自己主張強くていい。逃げたりしないレオナ君も男気があるというか先走り過ぎというかいろんな意味で中学生っぽくていい。(???????)
あれパラ5 -アイドル専用性処理係アイドル- (あれ屋)
レオそふぃみれ3Pという極めて貴重なものが見られる。それぞれとの一対一もあるがそふぃとのときだけお互いに名前呼び合うのが意味深。あと達人レーザーとかソルジャーブレイドの青めいた3way射精が好きです。(???)
二人の時間 (パンダコアラ社)
レオそふぃ前提のみれそふぃというお互い遠距離恋愛を抱える二人の話。レオナとの話をするそふぃに翻弄されるみれぃのかわいさと最後に見せる強さがミソであり、レオナの話をするときふと見せる物憂げな顔のそふぃが美しくもあり。こちらの方のレオそふぃは結構かわいいことして過ごしていたようである。別作品では森の木陰でチンコしゃぶってたが。みれぃが妄想たくましくした触手攻めされるレオナはある意味今年の流行を表していたとも。
ホップ♡ペアライブ! (mintjulep)
もはやふたそふぃレオの大家と化したmintjulepの3連続ジャンプ目。ペアライブ報酬であるスウィングドットコーデ(タイム3弾と思われるが表紙のコーデはスウィングド��トペットとスウィングドットチューバ)を二人で手に入れてさっそく着たもののチンコが押し付けられたことでそふぃが不意勃起してしまい……となればセックスしかない。レオナのそふぃエスコートもあるぞ。あとプリ×プリしつじ(多分)ボルドーそふぃがきわめて性的。
プリパラ乳業web合同誌 PRIPARAMILK (よだか超新星)
プリパラ乳業を題材にした合同企画。レオナ君のミルクが絞られまくってる中そふぃさまも大参戦だ。直飲みするぞ。妊娠を必要とするそふぃのミルクは絞られないので母体保護の観点からも安心だ。ドスケベ牛水着を見て「きれい」って言えるレオナの言葉選びも好き。
まとめ
今年は以上33作を取り上げた。相変わらず様々な人が描いてくれています。今年もたくさん楽しませていただきました。本当にありがとうございます。
2015年クリスマスから確認されていたふたそふぃレオだが、2017年は本格的にその流れが加速した……といっても1サークルのみだが、他サークルでもペニパンで掘られたり指でほじくられたりしているので今年はレオナアナルの年だったのかもしれない。あと目立つとすれば成長後、特にレオナがそふぃの身長を追い越した時代の話。やっぱり未来予想図っていいよね。
新潮流を得て2018年がどうなるか。なかなか難しい局面だが楽しみにしたい。
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Text
--深海人形-- 世界の果て〜The World of End.
※Twitter自垢より全て引用(※一部修正&改変)。
ーー私は権力や武力を軽蔑しているわけではないのです。いや、じつは怖いのです。権力や武力を手に入れたとき、ほとんどの人間が醜く変わるという例を、私はいくつも知っています。そして自分は変わらないという自信を持てないのです ーー銀河英雄伝説 シトレへヤン
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…『言語学習』、『語学』とは、其の言語の話者・使用者である民族の偉大さ、或いは素朴さと文化と歴史と心、もしくはたましい、そして其の古典を学ぶ事を言うのである。
…少なくとも、女だけ楽したいみたいな自己中フェミ女��りは、よっぽど幸せだと思うよ、そう、丁度、そう言う、『それこそ、安いエゴイスト』よりはね?(※…矢張り、此の手の人間は、自己中心的価値観と虚栄に塗れた、あの臆病者のように虚しく悲しい人生しか生きられないのか)。>嫁業は女を安い労働力にしてなんぼ
…最終的に、自然淘汰されて、適者として生存出来ずに死ぬから、そりゃ放置だわな(※…又は、自浄作用による死とも言う)。>嫁の才能が無い女は、どう昔は生きていたのか
…フェミ問題でギャーギャー言う人、結局、暇で退屈なんだね?(…それでも、正しく死ねば良い …人間の人生儚くて、たださえ、人間には『時間が無い』のに、其んな事で浪費してて良いの?人生を()
…自分が暇で退屈な、弱い人間であるのを、『アベを許すな!』とか『フェミ問題』、『人権思想』、『LBTGの人々を守れ!』、『反差別社会を目指して〜』で、時間を潰して、埋め合わせようとする人程、『あの漫画』の鬼のように悲しくて、虚しい生き物も中々居ない気がする(※…だから、狩られる鬼みたいに)
…自分の自由の為に、他人に不自由を強いる奴は、云う迄も無く最低だ。…本当に、自由の為に戦う者は、他人をも同じように自由にする。
…人間には、冒険と言う本能と使命がある。リスクを取ってでも得るべきもの、得たいものは普遍的に常に存在する。例え、それが、『母親』であったとしても同じだ。
…世の中に居る腐ェミさんへ、何故、貴方は、男を女と同じ様に扱いたがるのか、分かりますか?それは貴方が弱い女だからです。弱い女だから男のように強い存在が許せないのです。人はそれを『ルサンチマン(※弱者の強者に対する恨み嫉み 』と云います。だけど、そんなんどうでも良い。正しく死ねれば
…最初から正しい死も正しく無い死も無い、ただ、其の人自身にとって、納得の行く死であればそれが『正しい死』だ。
…おパヨ達は都会で外国から来た人たちとシェアハウスして暮らしたいんだろうね。霊長園と言う所は割とそんな感じらしいぞ(東方)。
…ベートーベンは、ゲーテにも並ぶ、偉大な人間だ(※…それに、矢張り、悲劇よりは喜劇の方がマシだろう)。…悲劇が終わるより、喜劇が終わる方が氏にとって喜べただけの事だろう。
…父親はすぐに「男は家事を義務付けられていない(※男は働くだけで良い ※全部女がするから)。」と言って逃げる。母親は何とか時々させるけど、祖母も「男は家事しなくて良い(※男にさせるのは駄目)。」…と言う、女は、例外的に、特別で偉大な存在でない限り、そう言う立場でしか無い(※そう言う地域が故郷)。
…盆正月には、盛大に宴会があるから、料理を用意し、皿を片付けなければならない。女だけで。嫁げない、家庭を築けない女の肩身は一生狭い。築けても、親戚、一族の男と年長勢に、ヘコヘコ謙り続けなければならない。それがヒトが生きる上で、理想的な環境である(※それを一族と故郷が教えてくれた)。
…だが、こんな地域の社会システムに逆らう気も抗う気も無い。ただ生きて死ぬ。ただそれだけ。これ以上此の人生に要望も望みも無い。…無闇に都会に出て来て、のべつ幕無しに軽薄な人間達と共に、リベラルに生きる方が愚かである事を知れ!これが我が人生だ!侮蔑したければ大いに侮蔑しろ!(※シリアス)
…笑いたくば笑え、「…御前の人生は、犬死の人生だ(※嘲笑)」と(※どんなに莫迦にしても構わんぞ)。
…それでも、嫁ぐ女は盛大に祝われ、何百万円もするであろう結婚式が必ず行われる。一族総出で、夫婦仲を保証する。本当の所は悪くない筈だ。先祖が敢えて、変えなかったくらいだから。今の人間が、エゴで自分たちの良いように変えるのは、先祖の生き様と遺産を踏み躙る事だ(※…故に、パヨクとBAKA層共を許さない)。
…それどころか、自然淘汰原理の無い社会の方が、…よっぽど、病気で退廃的だ。…パヨクどころか、現代人は、大衆なら誰でも、此の『常識』が抜け落ちて居る。自浄作用がなければ皆腐る。適者以外が生き残るような社会は確実に衰退する。…『生成の無垢(ニーチェ著 』にも同じ様な記述あり(←ついで)、
…当たり前の事をして偉そうにしてるのが『真の無能』、…と言って差し支え無い(※…つまり、野党)。
ーー幼年期の初期にわれわれを養育・教育するのに女が向いているのは、ほかならぬ女自身が子供じみて、たわいがなく、浅はかだからだ。 ーー『女について』ショーペンハウアー著 より
…ショーペンハウアー先生は、偉大なので、是非、思う存分、御本人執筆の著書と後代の解説書等を参考にして欲しい(※特に腐豚とフェミと腐ェミにオススメ笑)
…教育は、どんなに良くても、それを受ける側が莫迦だと、教育の無駄である(※…あたりまえだが)。それでも、 莫迦には、これが分からない(※知性が底辺だから見抜けない)
…『間違いを垂れ流す』覚悟のある物だけが、公共の場で、意見を申し、喋るべき(…そして、此の人生自体が全て間違いでも構わない。犬死で、さっさと若い内に死ねて、死んで良かった人生でも良い 間違いの人生から、如何しようも無い間違いが生まれた)、
…こちとら、ゲーテ・ニーチェ寄りなんですよ、女性観(※…ゲーテ、ニーチェは、実は男尊女卑では無い!!)!
…『女について(※ショーペンハウアー著)』は凄い(※賞賛)…正に、女性蔑視そのもの(※叩き甲斐を得たい人は頑張って此の名著を叩いてくれ)。
…『理想の社会』など無い。人間は前を向いて現実を生きなければならないのだ(※…だから、死=救済)。
……諸君は、『神々の黄昏(※ラグナロク 』を望むか?(※……時の宣伝宰相、ゲッベルスによる諸君は総力戦を望むか?のパロディ)。
…『精密暗殺兵器(※区分的にはどうやら対人兵器)』と言う『人殺しの兵器(まごう事無く 』なのに『(※巻き添えが減るので 人道的兵器()』だってさ。ニンジャボム(※まさにHell fire……)。
…日本軍もナチも狂ってるけど、それ以上に此奴等は此奴等で狂ってるだろ?!…等と皆時々思うしか無いのが米軍と英軍(※丁度鬼畜米英 ※…戦争になるとどの国も後世、そこから目を逸らさないと生きていけないくらい狂気染みて行くのは変わらない)。
…但し、英軍については、『…むしろ、頭可笑しいのが正常だから()』と言う説があります(※英国面参照)。
…日本の基地外は、確かに、凄いから『神風特攻だの特攻兵器(※敵からBAKA扱い)』だのが出て来る(※これはガチで)。
戦争は間違い無く悪いものだ。テロリズムも言うまでも無く同じく。
…歴史が、丁度我々の目の前で動いて居るんに誰も気が付かない。
…無人ドローンが、大量虐殺を、世界各地でやるような時代になって来たね(※ミリオタにわか並感)。
…『今真っ只中な香港の動乱』は、大多数以上の人間は、誰もこれを、近年、稀に見る、歴史的事態とも、確実に歴史に残る事柄だとも、何一つ露にも思って無いのが……(※…最高に、有象無象だねっと、)。
…うちの場合、妹が病気で死にました(※定期)。
…親が子を失うのは更に重いよな。しかも何人も一緒に(※…昔は、乳児死亡率もべらぼうに高かったし、病気戦争等で良くあったが)。
…沖縄戦では、一家丸ごと全滅した例が多過ぎて、生き残り自体は居ても、後世に伝える人も居なくて(※察して)、…まだ、沖縄戦自体の全貌が分からないらしい(※こう言う歴史もある)。
…聖書を焼いてクリスチャンをも焼き殺す者が居るなら、逆に聖書の教えに従って、不品行の者を焼き殺す者も出て来るだろう。それが歴史だ(※…いずれ、特定の人々が、昔と同じように、社会の為と謳って焼き殺される未来が来る ※予言)。
…聖書を焼く者は、いずれ、クリスチャンを火に焼べて殺すだろう(※予言)。
Q,…何故、オタクは表現規制に反対するのですか?(※重要な話)A,…表現規制の段階から進んで、出版物と表現の自由を焼き殺されたら、ゆくゆく自分達(※作者所持者等の区分問わず)も焼き殺されるので、それが嫌だから(※…ですよね? ※オタクは此の話を焼き殺される前に自分式で流布した方が良い ※推奨)。
…流石に、戦略爆撃、原爆等で焼いたりはしないだろう(※…但し普通に、いつもの手段と核ミサイルで焼��)。
…自家製ハンドサイズナパームで火刑とか言う奴も出て来るんだろうな(※それ火炎瓶では?)?
…同じく、皆様の事もね。ずっと見護って居る。天国で、神の御国で……そして、セイラムで。ずっと(※…そして、それ等の場所は、親と黙示録:22:15に書かれた者共が居ない所)。
ーー人々は、諸国民の光栄とほまれとをそこに携えて来る。 しかし、汚れた者や、忌むべきこと及び偽りを行う者は、その中に決してはいれない。はいれる者は、小羊のいのちの書に名をしるされている者だけである。ーーヨハネの黙示録 21:26-27
…まじないには、占いも入る。まじないも占いも悪魔に伺いを立てる行為だからだ(※…人を守る為に、神が人間に与えた、それを何としてでも、守らせたのが、律法の筈で、)、
ハンニバル「ローマはワイが殺す(ローマが全盛期なので殺せなかった)。」
キリスト教「ローマはワイが殺した(ローマが落ちぶれに落ちぶれてたので殺せた)。」
…さて、これから、米国を殺せる者は現れるのか?(…本人等は、殺せる物なら殺して見ろやけどな
…かの、ローマとアメリカって、似てるよね?(※パックス〜仲間やし??)…キリスト教(※プロテスタント系原理主義)。によって勃興した国が、キリスト教から離反に離反を重ねた挙句、ハンニバルめいた将軍が(※多分沢山)居る国家の誰かに殺される未来は来ないかな??(※…割と、日本がなるかもしれないけどさぁ……)、
…翔鶴瑞鶴飛龍あたりは、まだ自衛艦の名前になって無いよね?(※…アメリカか特亜かどっかに配慮しとるんやろうか?)
…結構、日本人が、絶滅か限りなくそれに近いまでに追い込んだ生物種は多いけどな?(※…それでも、外人はそれの比では無いと言う……言う迄も無く、英米系中国系は酷い)。
…人間の数を増やすより、質を上げた方が、社会の役に立たぬ個体は、全て、さっさと殺した方が良い。
…無人殺戮ドローンが、大量に、人を殺処分して行く未来が非常に近い(※…現実と戦争の行き着いた先)。
…やがては、歩兵ですら、何れ、全て『無人』になる。…そうなる前に、人類が、種として、滅んでいますように。
…AI搭載の無人機が、人を無邪気に殺害していく。…そんな、優しい未来(※何て明るい世界、未来)。…結局、ガレみたいな話ね(※虚無感)。
…人権社会が社会の全てを駄目にする。
…親の介護は、親を殺す絶好のチャンスやぞ(※満面笑)。
…本当に親を憎んで、殺す意志のある子供程、親が老衰していくのを、心温かく見守って居る存在も居ないだろうね(…だから、親の介護は絶好の好機
…子供引き篭もり化現象は、親が子供を勝手に私物化するから起こるんだよね。或いは、普通の、子供に融通の効く配慮をさせるような教育がなされてない。親が無能だからね。
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