#犬用プール
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「生まれてこなければ良かった」
一緒に暮らしてから半年、パートナーからこどもについてそろそろ考えたいと相談があった。
お付き合いする際、「私は結婚や出産など現在は考えていません。なので共に過ごしたとしても、その想いは変わらない場合もあると考えています。なのでもし強く結婚や出産などの経験をしたいと感じた場合は、関係を継続するか終焉にするか話し合いましょう」と伝えた上で一緒に暮らしている。
私は、こどもが欲しいと思ったことは一度も無いと言い切れる。それは私自身が29年間「生まれてこなければ良かった」と頭のどこかで考えているからだ。
三兄弟の末っ子として、平成の景気が終わった頃に生まれた。幼い頃から電気、ガス、水道のインフラは基本停められており、夜はロウソクで過ごし、料理は基本カセットコンロを使用し、お風呂は銭湯。ご飯は1日1食で、学校の健康診断では栄養失調と判断された。
幼い頃から周りの生活とは少し異なることは理解していたため、私は物欲がないふりをして過ごした。クリスマスは欲しいものがないと伝え、ゲームも興味がないふりをして、犬の散歩と図書室で過ごすことが好きであるふりをした。正しい表現が思いつかないが、空気の読めるこどもを演じることは出来ていたと思う。
生まれつき心臓が強くないこともあり、医師からは走ることへの制限をされ、プールやクラス対抗リレー、シャトルランなどみんなが出来ることは、私には出来なかった。その影響もあってか、友達は少なかった。
私は次第に学校に行く意味を見失うようになり、週に2〜3回、保健室登校をするようになった。保健室のカーテンの先から聞こえる、廊下を走る生徒、大声で叱る先生、笑う生徒たち、みんなにとっての当たり前で平凡な毎日が羨ましかった。
生まれるときに「あ、やっぱ生まれたくないです」と判断できない。生まれてくるこどもの意思に関係なく、母親と父親が意思決定した結果、生存する。
こどもを授かることができる身体であることを前提としているが、実際にはわからない。その点も含め、私はまだ、こどもを生存させることに対して、判断ができないでいる。
2024/07/06
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久々の投稿です。 とりあえず、1年契約をしたお部屋に引越しました‼️ そして、まだ会社で働いていない🤣 いや、働けないのです。許可証が出るまでのルールが変わったらしい…。 つまり、お給料も出ないので、ちんまり暮らしてます。 * 家具付きではあるけれど、Wi-Fiはなく、収納家具や掃除用品等もなく…教えてもらってネットショッピング(密林のサービスはフィリピンではビデオのみでした…😳)で少しずつ必需品から物を揃えているところです。 * ちなみにペット可物件なので、お庭が毎日ドッグランみたいです。 こちらの人気No.1ブリードは、見ているとシーズーの感じ…。フィズをじっと見てくる人が多い〜。 * 働けないので、当然お給料も出ず😰 引きこもりか?と言う感じで、時間はあるのでコンドミニアムのジムに行ったりプールに行ったり、ここ数年で更に失った筋力と体力を取り戻す努力をしています。 フィリピン、本当に若い人がいっぱい。赤ちゃんも子供もいっぱい。 わんずだけでなく、私達も体力つけとかないといかんです💦 * 東向きの部屋なので、毎朝朝日に叩き起こされてますよー。 * We moved into a condo that we signed a one year lease on. It has a large balcony, and Dogu seems to like it. It is a furnished condo, but we are going to make it our own little by little by signing up for Wi-Fi, buying cleaning supplies, etc. I can't work yet because I can’t get a work permit yet. I can't wait to work and get paid! Now we live sober every day. * Have a good day 😊 #犬かわいい #犬がいないと生きていけません #元保護犬 #ミントとフィズとプリュノ #マルヨーキー #シーズー #ミックス犬 #わんず #フィリピン生活 #移住2ヶ月目 #ケソン市 #doglovers #ilovedogs #nodognolife #malyorkie #mintandfizzandpruneau #rescueddog #mixdog #newadventure #newlife #philippineslife #quezon #shitzu #malyorkie #residenceatcommonwealth https://www.instagram.com/p/CqA10eKvYpR/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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新刊「イサド住み」 冒頭試し読み
おれは怖くてたまらない。おれにどうやら命みたいなものがあって生きているってこと、おれの体の隅から隅まで生き物で、心や記憶まであって、おれという生き物が死ぬまでずっと生きているってことが本当に怖いんだけどうまく言えない。怖い。べそべそ泣いている。おれの言いたいことわかるか。わかれよ。うまく言えなくてもわかってくれよ。あんたは怖くないのか。たまたますれちがった誰かの気まぐれな採点によりおれの発言の価値は決まってしまい、裁定はそうそう覆らない。おれは布団をかぶって絶望している。隠れている。おれの��は誰にも聞いてもらえない。 でも川と川が十字に交差しているところが好きだ。毎晩見に行く。十字の縦も横もとても静かで、川面に団地の明かりが揺れている。夜の運河は油膜を張っているみたいにとろりとして見える。流れているというよりあれはきっと震えている。実際、横軸の小名木川に流れはないようなものだ。隅田川と旧中川を結ぶ水路で、雨の後や風の強い日くらいしかはっきりした流れを見せないし、流れの向きもしばしば変わる。きっとここには始まりも終わりもない。 始まりも終わりもないけど階段がありエレベーターがある。扇橋閘門といって、二つの水門が並んでいる。閘門より東は海抜ゼロメートル地帯で、満潮時の海の高さよりも低い土地。川を遮断して水位を下げてあり、小名木川には段差がある。川底ではなく水面に作られた差。船が通るときは二つの水門の間に船を入れ、水位を上げ下げし、船は差を乗り越える。 夜の運河はにおいが濃い。潮のにおいとどぶのにおいが混ざって、三階のおれの部屋まで届く。水面にちらちら揺れる明かりは銀紙を丸めてまた広げたみたいな光で、夜の黒い水はそれらを飲み込もうとせず震えるだけ。水はとても静かだ。ねっとりと移動している。光もにおいも川の上にとどまっている。 さっき風呂から出たらスマホが震え、ムムくんからのLINEだった。昼間ムムくんからスタンプが飛んできたからおれもスタンプを投げ、スローペースの投げ合いが続いていた。おたがい焦らしあっていたというかはぐらかしあっていたというか、言いたいことはわかっていた。今日はムムくんが先に折れた。 「今くん明日ってひま?」 おれもそれを聞きたかった。ほっとした。続いて自撮りの写真も飛んできた。鏡に向かってスマホを向けていて、美容室の鏡だ。ムムくんのスマホケースはいつもステッカーとかチェキとか挟まっていて、折り畳んだ千円札も見えた。緊急用の金かな。靴の中に入れておくみたいな。ちょっと笑った。鏡の中の鏡には切ったばかりの後ろ頭も見えた。襟足とサイドがかなりさっぱりしていて、指でなぞったら気持ちよさそうだ。 自撮りのムムくんはマスクのゴムを一回くるりとねじっていた。きっともみあげにゴムがかからないようにそうしていて、おれも先月髪を切ったときそうやった。こうするといいですよと美容師さんが教えてくれた。コロナ禍に生まれた工夫、その共有。いつかぜんぶ収束したらこういうことは誰も思い出��ないだろうか。 二〇二〇年が明けてすぐ、あれよあれよというまに世界中みんなが巻き込まれた感染症に関しておれから言えることはあんまりない。恐怖や混乱の波が寄せては返し、定まらない。ここ二、三か月かはなんとなく凪いだ感じになっている。か? わからない。なんとなくの雰囲気でそうだというだけ。慣れ。どうやら常識も見通しも変化し続けていた。おれは少し前の恐怖をほとんど思い出せない。おれは夥しい数の死者を忘れ、配られた十万円と二枚のマスクを忘れ、いまいま分かち合っているささやかな工夫を可愛がろうとしている。これもいずれぶっ壊れるとは知っている。死が数の話でもないのもわかっている。もしおれが、何か、たとえば呼吸器に疾患があったら、とてもこんな雰囲気任せではいられない。それじゃあおれには特権があるってことだ。 頭を拭きながら「髪切った?」と送った。明日がひまかどうかはすぐに返さず、といってもこれ以上拙い駆け引きや意地悪をしたいわけではなかった。なんとなく話の順序をいじくりたくなった。ムムくんとはアプリで知り合った。四つ歳下のゲイで、現状セフレの関係にある。そしてこれについては毎日、毎分検討しているけど、もう腹を括ろうと思う。おれはセフレのムムくんに恋をしている。そうしてムムくんには好きな人がいるからおれのこれは片思いだ。 聞け。おれの話を聞け。いや聞かなくてもいいか。どっちでもいいや。おれがここで話をしているってことだけ、おぼえていてくれたらいいや。べつにすごく話をしたいってわけでもないし、おれは話の糸口をつかみかねている。糸の端っこはここじゃない気がして手近なところをあれこれ手繰っている。とっ散らかっているし絡まっている。声の出し方だってうまくない。あーとかうーとか唸りながらともかくチューニングし続けていて、もうずっと、自分の出すべき声の高さを探っている。長いこと口ごもっている。でもこんなふうに音程にばかりこだわっているうちに歌い方を忘れてしまうんじゃないかってちょっと怖くなった。それでおれは手持ちのはさみで糸を切ってみた。とりあえず、ここから始めることにする。 ここはどこか? ここは運河沿いの歩道で、毎晩川面を見に行くのは犬の散歩のため。緑地公園を抜けて橋の下をくぐった。歩道の一部は艀になっていてこれも水位で高さが変わるが、おれと犬が歩くくらいではぜんぜん揺れない。 「台形、今日はたくさん歩いてるね」 おれは犬に話しかけた。小さい足を懸命に動かし、よちよち歩いている。ときどき立ち止まっておれを振り返り、そろそろ抱っこしてという顔だ。だめだよ台形、もうちょっとがんばろう。おれは話しかける。台形はふんふん鼻を鳴らしている。 台形というのは犬の名前で、���黒模様の狆。鼻ぺちゃ顔のか弱い犬だ。体の形が台形ですと誰かのブログに書かれていたのがなんだか気に入った。どうやって辿り着いたか思い出せない、知らない人の野良ブログで、たぶん「犬 飼い方」とか「狆 飼い方 コツ」みたいに検索していたらたまたま行き合った。 ほかのサイトや本では狆の体型はスクエア型とか四角とか書かれていて台形という語は見かけなかった。どこぞの誰かの語彙と気まぐれがおれの犬の名付けの根拠で、そういうめぐり合わせをなぜか素敵なもののように思った。おれはそういうものをとろうと思った。 そうして艀を歩いていたら、ぱしゃぱしゃぱしゃぱしゃ……と音がした。魚かなと思ったけどぱしゃぱしゃはけっこう長くて、まさか誰か溺れているのかと思ったが、川には何も見えなくてとても静かだった。念のため柵に上って辺りを見回した。水面に乱れたところはなくいつも通りに見えた。人影も水しぶきも見当たらなかった。いつのまにかぱしゃぱしゃの音も止んでいた。 「台形、どう思う?」このどう思うは水音のことでもあったしおれの恋愛の話でもあった。 ムムくんから「髪切った?」の返事はまだ来ていない。といってもまだ何十分も経っていない。でも明日ひまかどうかをスッと送らなかったことを早速後悔していた。ひまに決まってんだろ。台形が立ち止まったのでベンチに座った。おれのために立ち止まってくれた気もした。「明日は夕方からなら平気だよ」とLINEを送り、続けて「早いと寝てるかも。今日はこれから仕事で、今は犬の散歩してる」「明日の夜は仕事休み」と送った。しゅぽん、しゅぽん、しゅぽん。散歩中だから返信が遅いんだよとアピールしたつもり。会話はキャッチボールというよりジャグリングだろうか。空中のお手玉は二つ三つと増えていく。 すぐに既読がついた。「わーい」というスタンプが送られてきた。「前髪短すぎた気がしてきた……」「じゃあ十七時くらいに家行きたい!」しゅぽん、しゅぽん、しゅぽん。しゅぽんのタイミングが心臓の音と重なる気がした。だいぶ間の抜けた音だ。おれの恋はこういう音なのか。 お手玉だからべつに落っことしても気にならないのにちょっとのことで一喜一憂し、いったいおれはどうしちゃったんだろう。明日の夜が休みというのは前回会ったときに話してあった。夕方からならひまだよとすでに言ってあった。ムムくんはそれをちゃんと覚えていて、でもちょっと焦らして、連絡してくれた。そう思うとかなりうれしかった。 台形が歩き出した。チャッチャッチャッチャッと地面に爪がこすれる音が好きだ。小さい体の細い足。まあでもさっきの水音は溺れているような音ではなかったなと思い直す。切迫した気配はなく、プールでゆったりと泳ぐみたいな音だった。背泳ぎのキック、ストローク。誰とも競争していないときの静かなバタ足。ああそうか。おれはむしろ、誰か泳いでいるんじゃないかって期待していた。運河は��つも緑色に濁っていてかなり深い。とても泳げるような川ではないんだけど、一瞬可能性を夢見た。溺れていたら大変だなんてほんとは思っていなかった? 自分の心の中なのにおれは嘘をつきそうになっていた? 「まあ、嘘っていうのもちょっとちがうんだけどさ」 おれは台形に言う。べつに言わなくてもいいようなことだけど声に出して言う。台形はおれの足をすんすん嗅いでいて、体が動くと尻尾もふわふわ揺れる。白くて豊かな尻尾だから暗がりでもよく見えるが、夜の散歩には光るハーネスをつけておく。蓄光オレンジ。リードもLEDでぴかぴか光るからやけに賑やかだ。パレードとかお祭りとか、あるいはクラブ遊び? 台形自身はとてもおとなしくて内気な犬だ。いやおとなしくて内気なクラブ好きはおおぜいいるけど……。ああ。ほらね。おれの思考は訂正と注釈の繰り返しでとんちんかんな思いつきばかりしている。そうして、クラブってもうずいぶん行ってないなと思う。熱心に通っていたわけではぜんぜんなかったけど、人生のある時期になにがしか意味を持っていた場所が、今ではとても遠い。人生が思ったより長い。 さっき声の高さを探っていると言ったけどあれは比喩であって比喩ではなかった。ほんとにおれは声変わりのさなかにあった。ホルモン注射によって声が低くなり、ひげが生え、肌も硬くなった。生理はほぼほぼ止まった。そろそろ声は落ち着いてほしいけどどうも安定しない。 性別移行のいろいろ。この水面にも段差がある。三週間にいっぺん注射を打ちにいくが金がかかって仕方がない。でもおれはこれをやりたかった。高校生の頃からバイトばかりしてきた。いろいろの変化は二次性徴をやり直している感じだなあと思っている。それならばおれはいま思春期をやっているのかもしれない。もうすぐ三十だけど。 おれは何か? 元女子ですという名乗りは正確でない気がしているが、面倒なのでそれで済ませることはあった。女子だったことなんてあったっけ。でも、じゃあ、本来の姿、正しい状態に戻りたいんですという言い方も、それはそれでしっくりこなかった。他の人はどうか知らないけどおれの場合は。うまい言い方がわからない。 十字の縦軸、大横川を下っていくと仙台堀川とぶつかってまた十字に交わり、やがて大きくカーブ、またまた十字路。これを東京湾側に折れて平久川に入ると今度は五叉路になり、網目のように張り巡らされた水だ。大潮の晩、運河はぶよぶよ膨らんでゼリーみたいだ。 台形がにゅうっと体を伸ばしておれのひざにまとわりついた。なんの音かなんてわかんないよと言っている気がした。首の下の白い毛がオレンジの光に染まっている。扇橋水門の赤信号。夜は門が閉まってランプがついている。あれもコンクリートの柱を赤く染めていた。毛の黒いところは��うでもなかった。オレンジの光を黒が吸い込んだ。そうだよな、おれもわかんないよと顎をなでた。 「まあ魚か何かだろうね」 おれは台形に言った。「そうでなければ空耳だよ」とも。台形に話しかけているのか、台形のせりふもおれが一人でしゃべっているのか、自分でもよくわからない。 ああそうだ。おれはわかりやすい語り方をいつも探している。誰かの受け売りをがんばって身につけ、しゃべり、それがときどき屈辱的だ。おれがこのようにあるためにはわかりやすい物語とその語りが必須だなんて、なんだか馬鹿にされている。どうして男になりたいんですか? いつからそう思っていたんですか? やっぱりスカートは履かなかったんですか? ときどきおれはめんどくさくなって「死ぬほど悩んでるんです」とか「死にたいです」とか、可能な限り暗い声で言う。暗い顔もする。会話を遮断する。そうしてそれは、必ずしも嘘をついているってわけでもない。 「でも魚って夜でも起きてるのかな……」 とつぶやいてみたら、すかさず反論を述べるみたいにどこかでからすがぎゃあーっと叫んだ。台形はびくっと震えた。鳴き声は川沿いの倉庫の壁に跳ね返り、わあああんと響いた。両岸に建物が並んでいるからトンネルみたいになるのだろう。川の向こうで誰かがくしゃみしたのも聞こえるくらいで、天井はなくても反響する。あー。はいはい。そうだとも。寝ているやつらが突然目を覚ますことはある。あるいはたまたま夜ふかしの個体はいる。 おれもそういう個体だと言ってみようか。クリーニング工場で委託のドライバーをやっている。ちょっと前から始めた仕事。夜にコンビニやロッカーを回って集荷と配送を請け負い、ほとんど昼夜逆転みたいな生活になった。 ドライバーデビューはAmazonの軽貨物配送だった。これはおもに昼の仕事で、アプリでオファーを選んで好きな時間に好きな量だけ働き、というとなんだか聞こえはいいが、割り当てられた荷物を時間内に配り切るのはけっこう難しかった。小さい箱物ばかりで、物自体はそんなに重たくないが量が多く、積み込みがパズルみたいにややこしい。時間指定に慌てたり、マンションの宅配ボックスで誤配したり、知らない細い道を走るのも怖かった。でも一人でやれる仕事はいいなと思った。車の中は自分一人の空間で、自分の体の延長だ。 それで求人サイトを延々スクロールしていたら、今やっているクリーニング工場のドライバーを見つけた。業務委託。夜勤。けっこうレアな仕事だ。たまたま見つけたおれはラッキーなのだろう。まあ深夜労働の割には大した収入にならないし、がんばればAmazonの方が稼げるんだろうけど、ルートが決まっているので安心感があった。それもコンビニやマンションと工場の往復だから、わりあい運転しやすい道が多いのもよかった。荷物は服で、それなりに重い。ただ持ち方のコツを掴めば腰は傷めないと同���者のnoteやツイートを読んだ。腕の力だけで持ち上げようとしない。両肩と両足を荷物の正面に置く。筋トレと思えばなんとかなると知らない誰かが書いていて、これまた知らない誰かの知識や気まぐれにおれはかなり助けられている。そして深夜の配送はAmazon以上に個人プレーの仕事で、ほとんど人としゃべらずに済んだ。それが何より気に入った。 べつにそこまで人嫌いというわけではなかった。前に働いていた工場で、配置替えやら班分けやらの話の流れで自分はトランスであるとほぼほぼみんなにカミングアウトする羽目になり、なんかもう個人事業主になりてえな、なっちゃおうかなと思っただけ。 いやちょっとちがうか。ホルモン注射を始めたら見た目や声に変化があり、おれの場合はけっこうわかりやすい変化だった。カミングアウトするしない以前になんかもうばればれだよなと思った。ばれるという言い方もなあとは思うし、周囲の人にいちいち事情を知ってもらう必要はないんだけど、何かしら説明が必要なことはあった。それは何か書類の提出を求められるとかではなく、素朴な疑問や世間話に応じ、遠慮のない視線を浴びるという形でだ。マスクをしているからひげは見えない。じゃあ、コロナ禍じゃなかったらもっと目立ったのか。そして思い出したから言うけど、いつかちんこ生えてくるって思ってましたか? って質問はなんだったんだ。 悪い職場ではなかったしあからさまにひどい奴がいたわけでもなかった。なんていうか……、人と関わるとその手のコンフリクトが生じることはままあり、しょうがないよなという気持ちと、くそったれという気持ちは日毎、いや秒単位で入れ替わり、おれに中古の軽バンを買わせた。 一応言っておくけど、どうしておれがこうなのかって話はあんまりしない。たぶんあんたが一番聞きたいことだとは思うけど、きっとおれは話さない。べつに勿体ぶっているわけじゃない。なんていうのかな、いちいち説明しないほうがいいんじゃないかって気がしている。これについてはあとで言う。言いたいことだけ言うから、言ったことだけ聞いてほしい。言ってないことは聞こえてないはずだ。聞こえたとしたら、それはあんたの想像だ。原則としてね。 今はクリーニング工場と、金がないときはAmazonもちょっとやっていて、ほんとにこれでいいんだかときどき不安にはなるが車を買っちゃったんだからやるっきゃない……のか? もうだめだやってらんないと思うたび居場所や人間関係を断ち切るみたいなことを繰り返してきた。おれはずっとこうなのか? 自問自答。決まった振り付けのダンスみたいにいつも同じことを考えている。 からすに驚いた台形はきゅうきゅう唸って伏せてしまった。ほんとに臆病で、前にドッグランに連れて行ったときも周りの犬にびびって縮こまっていた。おれはそういう台形が愛しくてたまらないし、内心ちょっとほっとする。おれも人目が怖いし、大勢の中で過ごすのは苦手だから。 びっくりしたよな、怖かったよなと台形のあたまをなでたらとうもろこしみたいなにおいがした。焼きたての��ンみたいなこともあるし、芝生みたいなこともある。においをかぐと落ち着く。おれも台形もおたがいにそうだ。マスクをちょっとずらして強く吸い込んだ。夜に散歩しているだけなんだからマスクなんてしなくてもいいのかもしれないが、顔を隠している方がリラックスできた。台形が臆病なのはおれの飼い方や生活リズムのせいかもしれないと思うことは思うが、べつに怖がりだっていいじゃんかとおれはおれに反論する。 台形をあやしながらムムくんに「前髪短いの似合うよ」と送った。もしかして明日おれと会うから髪を切りに行ってくれたのかな。さすがにうぬぼれかな。「そういう髪型好きだよ」とも送った。虫が鳴いている。りんりんりんりん、短い叫びを繰り返し、鈴の楽器を振っているみたいだ。 きみのことが好きですと言いたかった。言いたいのだと自覚したらへんにドキドキして、なんでも話してしまいたくなった。さっき川で何かぱしゃぱしゃ音がしたんだ。一瞬、誰か溺れているのかと思った。でもすごく静かなぱしゃぱしゃで、まるで誰か泳いでいるみたいな音だったんだ。せっせと文章を打ち込んでみたがしっくりこなかった。だって音の正体はわからない。それがどうしたって話にしかならない。送るかどうか迷って結局消した。代わりに「夜だけどからすがすごい鳴いてる」とますますどうでもいい話を送ってしまい、送った瞬間後悔した。どうでもいい話以上に、今からすはもう静かになっていて、辺りを騒がせているのは虫だから。べつにうそをついてしまったわけではないけど正確ではないことを言ってしまった。既読になったかどうか見たくもないがこういうときに限って秒だ。すぐにムムくんから「からすって夜も鳴く気がする……」と返ってきて、ほんとに恥ずかしくなった。 さるすべりの枝が街灯に照らされて、ピンクのフリルみたいな花びらが明かりに透けていた。濃いピンク。夏っぽいなと思ったけどもう九月だ。おれは花を見上げ、花を見上げるおれを台形が見上げていた。丸い目玉がつやつやしている。抱っこ用のバッグに入れてやるととすっかりすました顔だ。台形の体とおれの胸がぴったりくっついて、こいつのために今日もがんばろうと思う。やけに殊勝なことを考える。だからおれにとっては夜が朝だった。 やがてムムくんから「あっちがうかも、からすは明け方かも」とLINEが届き、「今度おれも台形の散歩行きたい!」「仕事がんばってね」と来たのでちょっとほっとした。台形の写真を送った。散歩中の写真。おととい撮った写真だから今日の台形ではない。でも今送ったら、今撮ったみたいに見えるのかな。何も言わなければわかんないのかな。 ムムくんからは「カワイイ」というスタンプが二つ飛んできた。きっと大事なことは二回言う。あるいは単に指先のしくじりでダブってしまった。おれにはそれがどっちなのか判別できない。想像することしかできない。じゃあ、言ったことだけ聞いてほしい、言ってないことは聞こえてないはずだというのは、けっこう難しいのかもしれない。やっぱりおれはとんちんかんだ。うまいことが言えない。でも言いたいことはある気がする。意見を述べたいというよりは、おれに声を出させてほしい。長い話をしてみたい。すごくしたいってほどではないけど、しゃべりたい。誰にも聞いてもらえないから勝手にしゃべる。吠える。おれは遠吠えをする。
「イサド住み」
価格・ページ数未定。2022年11月20日文学フリマ東京新刊予定。
文学フリマwebカタログ
冒頭8000字くらいを載せてみました。だいたいこういう感じの語りで、トランス男性が主人公のボーイズラブです。軽貨物ドライバーをやっている主人公と、アプリで出会った年下の男の子・ムムくん。そしてムムくんがベタ惚れしている既婚男性・優人さん。三角関係のお話です。
イサドという��は宮沢賢治の「やまなし」に出てくる言葉で、「もうねろねろ。遅いぞ、あしたイサドへ連れて行かんぞ。」のイサドです。この蟹のお父さんの言うイサドが何なのか、読者のわたしたちにはわかんないですが、この蟹たちにはわかっている……というような話を書いているつもり。
そうなの、なんとまだ書いているんですが…というかごちゃごちゃいじっているのですが、精一杯やっておりますのでどうか見守っていてください〜。文フリ東京のあとは、BASEでの通販、渋谷○○書店での販売を予定しています。イベント参加は1月の文学フリマ京都、4月のJ.Gardenを予定しています。よろしくお願いします…!
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【千葉】「ウィズペットイン」
【出川哲朗の充電させてもらえませんか?】本日のお宿『ウィズペットイン』#出川哲郎 #クロちゃん 絶景の千葉縦断 養老渓谷⇒犬吠埼 2024/10/5放送 〒299-4322 千葉県長生郡長生村驚585 #充電させてもらえませんか #オカリナ 詳しく見る↓
ウィズペットイン 愛犬と一緒に快適に過ごせるドッグラン併設の宿泊施設 自然豊かな環境の中で、大切な家族の一員である愛犬と、心ゆくまでリゾート気分を味わえる施設となっている。 約1,000平米の広大��敷地には、愛犬が自由に走り回れるスペースだけでなく、築山やプール、人工滝など、様々な遊び場が用意されており、 フェニックスやガジュマルなどの植樹も点在し、まるで熱帯のジャングルのような雰囲気も楽しめる。 プールでは、暑い夏の日でも涼しく遊ぶことができ、ドッグラン内はリードフリーとなっているため、 愛犬はまるで自分のお庭にいるかのように自由に過ごすことができる。飼い主も安心して愛犬の様子を見守ることができる。 住所 〒299-4322…
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2024年2月28日
「8月6日の式典を厳粛に」 原爆ドーム前の状況に「実効性ある対処」を求める請願を採択 広島市議会(RCCニュース 2月27日)
広島市議会は、8月6日の平和記念式典を厳粛な中で実施するための対応を求める市民団体からの請願を、賛成多数で採択しました。
毎年、平和式典が行われる8月6日には、原爆ドーム前の広場で様々な団体が集会を開いています。
広島市によりますと、去年、警備にあたっていた市職員が、集会の場所を確保しようとした参加者同士の衝突に巻き込まれて、転倒する事態になったということです。
市民団体は請願で、「式典は厳粛な中で行うもの」と規定した市の平和推進基本条例に基づいて、「実効性のある対応」を求めていました。
広島市議会(市民連合・市民の声)若林新三議員「規制的・強制的な手法では平和文化は発展しません」
27日の広島市議会では、一部の会派が、デモ行進の範囲や音量制限などについて、集会をする団体と広島市が話し合いを続けるべきだとして、また表現や思想良心の自由にまで抵触するなどとして反対しましたが、賛成多数で採択されました。
広島市は、引き続き、解決に向け話し合うとしています。
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8月6日原爆ドーム前での刑事事件 対応迫られる広島市(中国新聞 2月29日)
被爆者を悼む「原爆の日」の混乱が刑事事件へ発展した。28日、広島県警は中核派活動家5人を暴力行為法違反容疑で一斉逮捕に踏み切った。ここ数年、広島市の平和記念式典では、原爆ドーム(中区)周辺でのデモ活動を巡り市民団体同士が対立してきた経緯がある。8月6日の祈りの場はどうあるべきか―。市は対応を迫られている。
【一覧】逮捕関係者の家宅捜索、平和記念式典でのデモ活動を巡る主な動き
関係者によると、5人は昨年8月6日、岸田文雄首相の式典参列に反対するため、市民団体「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」主催のデモ行進に参加。集合場所のドーム前には、拡声器の使用自粛を求める市民団体「静かな8月6日を願う広島市民の会」など主張の違う複数の団体が数百人規模で集まり、小競り合いになったという。
市や県警は例年通り、団体間の衝突回避や安全確保のためにドーム周辺で警戒に当たり、市職員約60人が通行人の通路向けにロープを張っていた。その際に、5人の容疑者は共謀し、市職員に腕を組んで体当たりした疑いが持たれている。
市によると、式典時には毎年、複数の団体が拡声器や太鼓を使ったデモを続けており、市民から苦情が寄せられていた。市は2019年から、参列者に騒音が聞こえたかなどを確認するアンケートを実施。同実行委とデモ音量の抑制などで話し合いも続けていた。
一方で、21年には議員提案で式典を「厳粛の中で行う」と定めた市の平和推進基本条例が施行。実効性ある市の対応を求める同市民の会など3団体の請願も今月27日に市議会で採択されるなど、デモ活動への対応強化を促す声もある。
同実行委はこの日市役所で記者会見を開き、宮原亮事務局長(48)が「反戦運動をつぶそうという弾圧だ」と批判。今夏もドーム前をデモの集合先にする考えを示した。
事件を受け、市市民活動推進課は「市民に危害が及んではいけない。再発防止策を県警と連携して協議中」とした上で「表現の自由と鎮魂の場を守るために模索していく」としている。
「原爆の日」に広島市職員に暴行か 中核派の活動家5人を逮捕 前進社の全拠点など全国8都府県14か所で家宅捜索 実行委員会は「不当な弾圧」と主張【動画ニュース】(RCCニュース 2月28日)
去年の「原爆の日」に広島市職員に集団で暴行を加えたとして、警察は中核派の活動家5人を逮捕しました。「原爆の日」の式典前後にはさまざまな団体がデモを行い、騒音などが課題となっていました。
去年8月6日の「原爆の日」に開かれた平和記念式典。これに合わせ「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」が主催するデモ行進が行われました。事件はこの直前に起きました。
警察によりますと午前5時50分ごろ、中核派の活動家5人が平和公園の原爆ドーム北側で式典の対応に当たっていた広島市職員に対し、集団で体当たりし、転倒させるなどの暴行を加えたとみられています。当時、現場には中核派だけでなく保守系の団体も含めて少なくとも百数十人が集まり、混乱した状態でした。
暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されたのは、大阪府に住む男3人と東京都に住む東京都の男2人です。警察は「捜査に差し支える」として5人の認否を明らかにしていません。
隈元大樹 記者「午前7時29分です。捜査員が前進社中国支社の中に捜索に入っていきます」
この事件で警察は広島市南区にある中核派の拠点=前進社中国支社を家宅捜索しました。住宅やマンションが建ち並ぶ周辺は、ものものしい雰囲気に包まれました。
捜索は東京、大阪、沖縄など前進社の7つの拠点のほか、京都の京都大学・熊野寮など全国8都府県のあわせて14か所で行われました。
犬飼さき記者「広島市中区です。現在、団体の事務所内で家宅捜索が行われています」
事件の発端となったデモを主催した「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」の事務所でも捜索が行われました。
実行委員会は「今回の逮捕と家宅捜索は不当な弾圧だ」と主張しています。
一方、広島市は平和記念式典でのデモの騒音について、2019年から市民を対象としたアンケートを実施。市議会はきのう、「厳粛な中で式典を行うための実効性ある対応」を求める市民団体の請願を賛成多数で採択しています。
広島市は今回の事件について「今後の警察の捜査の進展を注視していくとともに、ことしの平和記念式典については県警などと連携し、再発防止策を検討してまいります」とコメントしています。
京都大学 熊野寮
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「グリーンピアせとうち」38年の歴史に幕 広島県呉市(広島テレビ)
利用客の低迷や施設の老朽化などで営業を終える呉市の大型宿泊施設「グリーンピアせとうち」が、2月29日で営業を終えます。2月24日、呉市安浦町で打ち上げられた花火。「グリーンピアせとうち」の営業終了を前に、施設の利用客などにこれまでの感謝を伝えようと、打ち上げられました。会場には多くの人が訪れ、施設との別れを惜しみました。
訪れた人「子どものころから何回も訪れたところなのでさみしいなというのがある。でも最後にこうして花火を見られてうれしかった」
1985年に開業した「グリーンピアせとうち」。テニスコートやプールを備え、自然に囲まれた施設として親しまれてきました。しかし、老朽化や経営難を理由に所有する呉市が閉館を決め、菓子の製造販売やリゾート事業を手がける、「シャトレーゼ」に売却しました。閉館を前に、地元を盛り上げたいと、格安の宿泊プランを用意しました。
グリーンピアせとうち 森山拓也さん「こちらが今回のキャンペーンの夕食メニューですなかでも目玉は安浦産の蒸しがきの食べ放題です」
地元産の食材を豊富に使ったディナーを、手頃な値段で提供。宿泊客らは、最後の時を堪能していました。
宿泊客「身がぷりぷりしていていろんなところでカキを食べているけど一番くらいにとてもおいしくて大満足です」
「親子三代で来てプールも利用して宿泊も還暦(祝い)もここでさせてもらった楽しいばっかりよねここに来たら」
新たに生まれ変わるこの場所に込める思いがあります。
グリーンピアせとうち 森山拓也さん「38年間ご愛顧いただき誠にありがとうございました。広大な敷地にはみなさまの思い出が詰まっている名前は変われど次の事業者にはこの思いと安浦町をぜひ盛り上げてほしい」
38年間の歴史に幕を下ろすグリーンピアせとうち。今後は新たに施設を取得した「シャトレーゼ」が宿泊施設を改修し、地元の柑橘などを使った菓子の工場やリゾート施設などを建設する予定です。
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2024.1.25thu_kyoto
Diary 2024.1.25 in Park City / Sundance Film festival
一年に一ヶ月休暇があるとしたらあなたはどこに行きたいですか?
日常でなんとなくもやもやしたときは、この質問の答えを考えると、だんだんわくわくしてくる
日本で正社員として働くと、ボーナスがもらえたり安定した給料がもらえて精神的に安心するかもしれないけれど、私にはお給料が安くてボーナスがもらえなくても、一年に一ヶ月休暇もらえるほうが価値があると思って今の働き方を選んでいます。 フリーターとして旅館と南インド料理屋さんの仕事を掛け持ちしているんだけど、この南インド料理屋さんは一年に一度インド研修のための休暇があります。
大体のスタッフは個々にインドの好きなところへ行って、おいしい料理や、まだ日本では食べれないような料理を探しに行っているんだけど、行ってもいいし、行かなくてもいいし、別のところに行ってもいい、っていうとてもフレキシブルな考えなところが大好き。
前回のインド研修で南インドに行ってから、次の行き先をわくわくしながら考えてみたんだけど、何となく今回は西海岸かなと思ってLAに住んでる友達のとこに遊びに来てみた。
そしたら「サンダンス映画祭に行こう!」と言われ流れに身を任せたら、ユタ州の雪山の映画祭に辿りついていました。
今日はサンダンス6日目、そして私たちは明日ラスベガスに向かうので、今日が最終日。
朝、おいしいコーヒーを求めて近所を散歩。 標高2000mを超えるアメリカ随一のスキーリゾート、パークシティ。 見渡す限り雪が��もっていて、今日の最低気温は−5°の予報。京都の寒さから逃れるためにあたたかいLAを選んだと思ったのに、雪山に来てしまった。 時差ゆえに半日未来を生きている京都の友達が、雪が降っていると教えてくれた。 標高が高いから20分も歩くと汗をかくし、日差しも強いので京都よりも寒さを感じない。不思議。
野生のうさぎを横目に歩いていると、すごく大きな温室をみつけたので入ってみた。
温室の中にテーブルがいくつかあって、隣のカフェでコーヒーなど買ってみんなくつろいでいたので、私もそうすることにした。
カフェラテと玉子とチーズのクロワッサンを頼んで、カフェのお客さんが連れてきていた犬と遊びながら出来上がりを待つ。
アメリカではたいていのお店に犬を連れて入れて、犬用のクッキーが売っていたり、お店の外には犬の水飲み場があったり、ペットフレンドリーな環境なのでうれしい。生まれ変わったらアメリカで暮らす飼い犬になりたい��思ったりしている間に、私の顔より大きなクロワッサンを手渡された。
この温室は園芸店でいろんな植物を売っていた。気になる植物があったので見ていると、友達がchat GPTを使って調べてくれた。
この植物は夜に葉を閉じるのでprayer plants(祈り草)と呼ばれているらしい。 もっと色々な情報を教えてくれたのに忘れてしまった。AIはいつもわたしの何倍もかしこい。
サンダンス映画祭はインディペンデント系の映画祭ではアメリカで1番大きいらしく、ハリウッドを中心にアメリカ国内だけでなく海外からも映画業界の人たちが集まってくるお祭りらしい。 車で30分ほどのソルトレークシティの映画館を含めると10こくらいの会場で、朝から晩まで映画を上映していていろんなワークショップも開催されているみたい。
LA滞在1日目に行ったギャラリーにブラッドピッドがいたらしいけど、全く気がつかなかった私は、世界中の映画ファンの皆様ごめんなさいという気持ちで、街をぶらぶらしたり映画を観たりしてすごしています。
朝ごはんを食べたあと、友達が「初めて映画を撮るのに必要なことは?」というテーマのワークショップに参加するのでついていった。 3人の映画監督がそれぞれ映画を撮るのに必要なこととか、参加者の質問を交えて話しているのを聞いてみた。なんせ全部英語だし、専門用語も多いし、そもそも私は映画を撮ろうと思ったことがないので、へぇと何となく聞いていた。全ての映画ファンの皆様すみません。
お腹が空いたので、宿に戻ってタコスパーティをしよう!という流れに。
友達が6人くらい泊まれる2階建の貸別荘を借りて、数人でルームシェアをしています。シェアメイトは私と私の友達と3人の金髪美女。みんなハリウッドで女優をしたり映画監督をしたり本当に美人で、見惚れてしまう。
シェアハウス生活2日目に大量の食材が届いていて、デリバリーサービスの誤配達っぽくない?という話に。管理人さんからも近所の人からもデリバリー会社からも数日たっても連絡はなく、明らかに大量のタコスを作る材料があるので、最終日はタコスパーティだね、とみんなで話していた。
お腹いっぱ���タコスを食べたあと、貸別荘の管理施設にサウナと温水プールがあることがわかったので、みんなで水着に着替えて泳ぎに行った。
8人くらい入れそうな大きいジャグジーと、サウナ、屋外に大きい温水プールと小さい温水プールがあった。 貸別荘に泊まってる人たちは無料で利用できることを最終日に知って、みんなでくそーと笑いながら1週間分全力で楽しんだ。 雪の積もるなかモミの木に囲まれて、満点の星を見ながら、温水プールにぷかぷか浮かぶのは変な気分だった。温泉とは違う贅沢な遊びだなぁ、と全力でクロールをしてはしゃぐ友達をみながら思った。
連日のようにサンダンスではパーティが繰り広げられ、映画業界の人が意見交換をしたりしていた。最終日はパーティにも疲れて、ゆっくりしたかったけど、ブライアンイーノのドキュメンタリーをもう一度観に行くことにした。
初めのシーンと最後のシーン以外はランダムに再生されるように作られていて、数億通りの再生パターンがあるらしい。映画はいつも同じように再生する必要があるのか?という監督のコンセプトと、ただのドキュメンタリーを嫌ったイーノらしい映画だなぁと思う。 DVD化も配信も難しい形態の映画なので、次はいつ観れるのかなぁ、と思いながら出来るだけ脳みそに刻んだ。
明日はラスベガスに向かうので、冷蔵庫に残ったピザを食べながら、荷物をまとめて私のサンダンス映画祭最終日はおしまい。
-プロフィール- yurinx 京都 Super Wooper Looper/SPICE HEAVEN (Spice curry出店) インド食堂タルカ https://www.instagram.com/yurinxox/
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タイ旅行記2019/09/24編③
10時に起床。同室は人気がなく恐らく一番寝坊しているのは自分だと気づいた。
ホテルの予約を全然していなかったので、連泊する旨を受付に伝えた。
ついでにネットから予約した際に朝食付きの内容だったので、どうやって朝食を食べられるのか質問すると、
追加で払ってくれと言われた。予約してるので、そんなことないだろうと戦う姿勢を見せたものの、
やはりダメと断られ、お腹も空いていたので、仕方なく払ってしまった。
まだまだ押しに弱いぜ。
朝ごはんはザ朝ごはんを食べ、目玉焼きとハッシュポテトを食べた。
日本なら和食とか洋食選べたりするが洋食オンリーだったので
洋食の広がりに驚きながら食べた。
地球の歩き方を読みながら寝てしまったので、
ゲストハウスに併設しているプールに浮き輪でぷかぷか浮きながら当日の予定を考える。
BGMは爆音で流れるテイラースイフ��。
ここでもまた洋の広がりを感じた。
ある程度予定が固まったのでプールから上がり、
着替えて部屋へ戻るとジム終わりのアンドリューが汗だくになっており、
「これからプールに飛び込まなきゃ」と言っている。すごい体つきだった。
お土産を買いにカオサン通りへ向かう前に、
タイに着いてからお気に入りになったレストランで昼から飲酒しながら前来た時と同じメニューを注文。
冒険しにきたが、この辺は冒険しない自分を嫌いではない。
昼食をとり終えると、時間があまりないことに気づいたためパタヤーへ向かうことを諦める。
アユタヤ同様、目的意識を持ってしまうとうまく思考ができずまたぼったくられることを
リスクと感じたのた。大人になるとリスクヘッジがうまくなる分、つまらなくなってしまうなあ。
カオサン通りに着いて、まず自分のお土産からと、お香たてを探した。
前回来た時の顔を覚えていたのか、気にしてたお香たてを売ってるおばさんが表示価格より安くしてくれた。
(家について実際に使おうとしたら全く灰落としの長さが足りていなくて使えなかった。)
時間もなかったので一人一人考えるよりもまとめて買った方が楽だと思ったのでそのお店で10着以上のタイパンツを購入。
一着100Bだったが、値切って150Bにしてもらい安く購入できた。
値段の概念がわからなくなってしまう国だ。。
店主のおばあちゃんがなんか前回来たときよりも優しい顔をしていて微笑みの国たる所以を感じた。
衣類を大量に購入したのでもっと散歩しようと思っていた気持ちが荷物の煩わしさに負けてしまった。
煩わしくなったお土産をゲストハウスに置いておくために一度ホテルへ戻ることに決めた。
戻ったゲストハウスではたくさんの利用者がプールでわちゃわちゃしており、
大きめの手提げを抱えていた自分は田舎もの感がでてしまった��とで、少し恥ずかしさを感じながら���屋へ向かった。
現在地から近い距離でタイをたくさん感じるために行くことに決め、
近場にあるワットポーを見に行くために外に出ると露天で190Bのアロハシャツが売っていた。
リゾートっぽいから着て歩きたいぞ!と思い浮き足だって覗いてみた。
結局はタイシャツを購入したのだが、友達にあげることにした。
ワットポーは徒歩圏内だったので、タイ旅行で培った徒歩移動しているとトゥクトゥクおじさんが声をかけてきた。
150Bというので50Bにしてくれというとダメだとの返答。
歩き出すと袖を掴んできて80Bならいいよという。
70Bでどうだいと返すと仕方なく了承してくれた。
おじさんの友達が笑いながら50Bでいいよ、と言ってきたので、
本当に50でいい?と聞くとトゥクトゥクおじさんにはシカトされた。
トゥクトゥクは移動にはコスパ悪いけど、折角だし乗ってよかった。
タイのほどよい暖かさにちょうどいい風を感じた。
次はリモバイクに乗ってみたいなあと思った。
ワットポーはメインだと思われる大きめな涅槃像よりも、寺院内にある大仏の方が趣があって好きだった。
理由は昨夜のレストランで、ライブを見ながら興奮気味にチップを渡して路上で呑んだくれてた青年が寺院内で静かに拝んでいた姿があったからだ。
ちょっとしたヒッピーみの彼の旅に幸あれと胸に秘めながら寺院を散策。
ワットポー内で猫が横になっているのを見つけたので、寝顔を納めようとカメラを近づけると
動物特有の複式呼吸がなかった。
しっかりと確かめなかったが、きっと亡くなってるんだろうと思いカメラを下げた。
ひとり旅はなんでも刺激的で記録として残したかったためいろんな箇所でカメラを向けてたけど
その瞬間ハッとしてしまった。
写していいものと悪いもの、BE HUMBLEしなきゃいけないことが頭によぎった。
(寺院内には至る所にBE HUMBLEという注意書きがあり、恐らくうるさくしないでといったことがメインであるが
生き物を尊重する、ということも含まれると勝手に解釈した。)
ワットポーは社会人1年目の研修のミャンマーで見た涅槃像がファーストインプレッションなので、ワットポーの涅槃像との違いがイマイチわからないかったので
刺激も興奮もなかった。
ただし、寺院内の装飾が素晴らしく、大仏や涅槃像よりも���寺の中の手入れのされ方などがタイの寺院の魅力なんだと個人的には感じた。
ワットポーを見終わった後にワットアルンを見に船着場へ。
船着場の猫がフラフラと天井に上がっていて
猫特有の気ままさが可愛かった。
タイの猫は特に人懐こさがあり、飼い主によく躾されているように見える。
(もしくは野良だけど常識ある猫。)
人の言葉がわかるような印象がある、魔女の宅急便のキキのような佇まいだった。
タイでは犬よりも猫を見る方が多かった。
ワットアルンは厳かで感動した。
白を基調にした場所で、日差しが差し込むことによって言葉に言い表せない感動があった。
途中揉め事が近くで起こっていたけど、何が起きてるかは分からなかった。
(恐らくゲイのカップルが面白がられて写真撮られたりした雰囲気だった。そしたら最低だと感じる。)
ワットアルンを一通り楽しみ、ワットポー側の岸に着い��とき
次のワットアルンへ向かう船の列に並ぶ日本人がちんたらと歩いており、欧米系の人に抜かされていた。
抜かされた日本人が日本語で「白人ってこういうことするよね」って言っており、
とてもイラついた。
海外に来ている以上、お前の常識ではないんだぞ?思った。
少し腹が立った状態でワットアルンを後にし、名所と思しきルンピニ公園の入り口を眺めながら、
歩きたくない病によりバスを待つことにした。
となりの欧米系の若いカップルがバスに乗ろうとするがタイ独特のパワープレイアピールでないと
バスが止まってくれないらしく、なんどもトライしていたが結局乗れず、諦めてバス停から去っていった。
俺もトライしようとしたが、まずこの路線のバスはどこへ行くのか調べてみようと思い、
地球の歩き方に書いてあったバンコクのバスアプリをダウンロード。
最寄りのバス停を調べるため目的地までの移動手段をグーグルマップで検索をかけると歩いて最寄り駅に行って、
メトロに乗れとのことだった。
(デジタルデトックス言うてる場合ではなく、インターネットさまさまになってしまっていた。)
サンセットが近づいており、フォトジェニックな風景を撮りたいと思い、
最寄り駅からメトロに乗ってリバーサイドレストランへ向かう。
一杯引っ掛けながら、日没を見ようと楽しみにしていたが、
到着すると船着場しかなくてレストランやバーが見当たらない。
残念がりながら駅周辺を探索をしてみた。
映画ハングオーバー!で使われていたスカイタワーがあるため、そこで飲むか!高いところの景色綺麗だし!と調べてみると
ドレスコードが存在し、サンダルがNGのためバカンス気分でサンダル短パン姿の俺はスカイタワーに行けなかった。
(次回リベンジしたい。)
目的地だったリバーサイドレストランも
タクシー、バスに乗ろうにも交通量が多く、結局向かっても日没は車内で迎えると判断して諦めた。
駅付近を探索してるとシャングリラホテルという有名なホテルの近くで見つけた「chill」の文字が書いてあるバーで
そろそろチルしたいと体が悲鳴を挙げていたため、
タイに着いてからずっと飲んでいるレオビールのブラックを注文し、少しのチルタイムを迎えた。
特にすることもなく、手持ち無沙汰になったため、お土産を買いにサイアムへ向かう。
サイアムへ向かう途中で汗疹?もしくは蕁麻疹が出てきて、
悪いもの食べたかなと思い返しても直近はビールだからきっと疲れが原因だと思った。
サイアムに到着し、MBKセンターで買い物。
これは紛い物ばかりだー、ワハハ!という品揃えだったので全然魅力を感じない。
安いからとかそういうことじゃないだろう!と思いながら一種のエンタメを味わった。
MBKセンターではトムヤムクン味のプリッツを購入し、お土産ミッションをコンプリートしたので
MBKセンターを後にした。
流石にもうサイアムからカオサンまでは歩けないと思い、タクシーを捕まえる。
50Bでどうです?とタイ慣れてます、アホな日本人ではないです、というアピールを兼ね備え
交渉とメーターだよ、アホと言わんばかりの態度をされた。
(タイでは交渉式とメーター式のタクシーがあり、メーター式はある程度しっかり金額管理されている)
メーターならまだ安心かと判断し、乗せてもらった。
昨日のアユタヤからの帰りとほぼ同じ道中をタクシーで通った際に、この距離を歩いたんだなあと物思いに耽っていると
あっという間にカオサン通りに着いてしまった。
乗り物すげーな。と思いながら、徒歩でしか味わえない街の空気と、ドラマも楽しいよなと自分を正当化した。
カオサンに着くとメーター通りの70Bを請求されたので100Bを出すとお釣りが25Bで帰ってきた。
あれ?という大袈裟なリアクションをして再計算していると
運転手から早く降りろと言わんばかりの態度をされた。
5Bと10Bは似てるから単なる間違いだよなと思い、
100B出したから30Bのお釣りのはずだけど、5B硬貨だよ、これ、と渡すと「はて?」という顔をされた。
失敗から学び続ける気持ちで、折れてはいかんと思い、はい、5B!って運転手の顔の前に出すと
タイ語でブツブツ言われていたが、結局10Bのお釣りを返してもらった。
カオサン通りに着くと、連泊しているからか、もはや安堵感が生まれた。
相変わらず、賑やかな街並みを通り、お土産を置きにゲストハウスへ向かう。
昨日ついたばかりと言っていた、アンドリューがほかの宿泊者と仲よさそうに話しており、
アンドリューにとって第一ゲストハウス村人だった俺は謎の「一番の友達だよね、俺ら!」感を持ってた自分に羞恥心を感じながら
こうやってゲストハウス過ごすもんだよね!びびってるよね、俺!と反省した。
(転校生と一番最初に仲良くなったけど、そいつは別の友達と仲良くなった時の気持ちみたいな)
一息ついたのでシャワーを浴びた後、最終夜のカオサン通りに繰り出す。
さすがに今夜は行き慣れたレストランとは違うレストランに入ってみようとトライしたが、
きっと同系列のお店だった。なぜならメニューが同じだった。
タイ最後の晩餐はトムヤムクンとビール。
翌日の空港へ向かうタクシー代を考えると、あまり豪勢な食事はできなかった。
(あまりタイ料理で豪勢というのもイメージつかないが。。)
これで満たされるかと不安があったが、スープは意外にも腹にたまりビールがなかなか進まなかった。
ひとり旅だし、解放的になった俺は”なんか街で歩いている人みんな可愛く見える病”にかかりながら
カオサン通りを歩いていくバックパッカーや観光客を眺めていた。
持ってきていたブラッドベリの短編を読みながらビールを流し込んでいく。
しばらく過ごすことができたのだが、流石にビール一杯とトムヤムクンで
長時間居座るのも、居心地が悪くなりゲストハウスに戻ることにした。
翌日のタクシーを予約するため、受付脇に置かれていた”taxi”と書かれたシートに記帳していたため、
タクシー来るまでの段取りをゲストハウスの受付に確認すると
「カープールは同じ方向に向かう人を集うシートであって、タクシーを予約するやつではない、自分で調整してくれ」と言われ、
無知って怖いなあと勉強できました。英語で書かれているんだから文字もちゃんと読むべきだよな��、という反省。
どうしようかと考えあぐねていたが、まあ明日考えようという持ち前ポジティブマインドになってしまったので
お酒が買えな��なる24時前にビールとお水を買いに外に出た。
ゲストハウスへ戻ってくるとロビー内のテーブルが片付けられていたので
フロントでビールを飲みながらぼーっと旅の思い出を整理しながら時間を過ごした。
コンビニでも買うくらい、お気に入りとなったレオビールを飲み干し、最後の夜を無事に終えた。
あとは空港までの移動のみだ。
翌日のタクシーのことは明日の自分に任せて、ベッドに入った。
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【2023-11-27】 A〜Zのタトゥー
【 zshingoの日記 】 【気まぐれ日記】
曇り。午前七時過ぎ起床。テレビをつけ、顔を洗い歯を磨く。セカンドストリートで、500円で購入した無名のジャケットに、カッパのジャージパンツ(セカンドストリートで購入。セットアップで1000円。)に、バンズのスリッポンを履き、アパートを出る。今日は、「KーTATTOO」で、11:00に、TATTOOを入れる予約を入れている。腹に、アルファベットの「A〜Z」まで入れるのだ。文字の書体は、ギャング文字。デザインは、彫師さんに任せている。彫師さんは、以前、私の腕に「聖母マリア」を入れてくれた方だ。とても腕のいい彫師さんだ。つくづく、思うのが、「彫師」という職業は、「神」の力がやどっている。何故なら、「ミスの許されない職業」にも関わらず、いまだかつて、「タトゥーを入れて、彫師さんに失敗された」という話を聞いたことがないからだ。勿論、入れ終わったあとのデザインが、自分が想像していたものと違っていた、などはあると思うが。それは、あくまでも、タトゥーを入れる側の掘る前の想像していたイメージと、実際に墨が入ったあとの、イメージが違うだけであって、決して失敗ではないのだ。それに比べて、家電製品や、洋服を購入して、買ってすぐ、家電製品が動かなくなったり、買った洋服にシミや汚れが目立たない場所についていた、などの話しはよく耳にする。あと、食材も、腐っていた、裏返してみると傷んでいたなどの話も耳にする。タトゥーに関しては、私は、いまだかつて「彫師さんへのクレーム」という話を、一度も聞いたことがないのだ。これだけ、タトゥーが、全世界で一般化されているのだから、そんな話しの一つや二つあってもいいはずなのに。地下鉄で天神へ向かう。電車内、福岡市総合図書館で借りた、荻原魚雷著「書生の処世」の続きを読む。今回で三度目の再読だ。一回目、二回目に読んだときは、何も感じなかった文章が、時が経てば不思議と胸に刺さる箇所が出てくる。これはつまり、私がそれだけ、人生経験を積み、過去の自分から成長しているという証だ。本を出版する著者が、読者に対して、切実に望んでいるのは、自分が書いた本を繰り返し読んで欲しいという願望を持っている。これは、大抵の著者が願っていることである。適当に、飛ばして、流し読みされることを嫌う。勿論、村上春樹先生も。他人が書いた本を繰り返し読むという行為は、ただ単に、他人の考え、言動を「知る」ということ以外に、他人の「人生を自分の体内に入れて生きる」という行為にもつながる。文学科の大学教授が生徒に口を揃えて言う言葉は、とにかく、自分の気に入った作家の「全集」を読めと言う。いろんな作家の書いた本をちょこちょこかいつまんで読む読書も勿論、悪くはないが、それでは、一人の作家の人生を「知る」ことはできない。一人の作家の書いた「全集」をすべて読破するという行為は、その作家の人生を知ることでもあり、それプラス、その作家の「生き方」を、「自分の人生に取り入れる」という行為でもある。そう、その作家の「血肉」を自分の体内に「吸収」する行為そのものなのだ。そう、意識しなくても、一人の作家が書いた本を突き詰めて、繰り返し読んでいけば、それを書いた作家の性格に、「知らず知らず」自然と似てくるのだ。これが、書いた作家の「血肉」を「吸収する行為」と言える。私の場合��村上春樹先生の書く、小説の主人公に、「ものの考えかた」が「似ている」と自分で思っている。勿論、特に「意識」してそうなったわけではない。読み続けていくうちに、「自然」とそうなったのだ。勿論、悪い気はしない。むしろ、嬉しい。何故なら、村上春樹先生の小説に出てくる主人公は、「何一つとして、間違ったことを言っていない」からだ。つまり、これは、何を意味しているかと言うと、村上春樹先生の書く小説の主人公は、現代の「イエス・キリスト」だからだ。つまり、私のことである。(再臨)村上春樹先生の出版された本は、すべて現代版の「聖書」なのだ。あと、元、「ブランキージェットシティ」のボーカル、「浅井健一」さんの書いた曲の歌詞も、「現代版の聖書」だ。浅井健一さんの書いた「詩」には、「ヒッピー」や、「ホームレス」や、「麻薬常用者」や「売春婦」や「動物愛護団体」や「純粋な心を持った子どもたち」などの、いわゆる、社会の底辺で生きる、アウトサイダーたちが、いろんな歌詞の中に散りばめられている。そして、よく歌詞の中に「神」が登場する。そう、私にとって、村上春樹先生の書く「小説」に出てくる「主人公」や、その他の「登場人物」や、浅井健一さんの書く「詩」の中に散りばめられている「アウトサイダーたち」は、ただ単に、「詩」や「小説」の中だけの人物ではなく、生きているのだ。話を戻すと、「全集」には、小説以外に、その作家の書いた、日記、随筆、ある日、ふとひらめいた考えが、ノートの角に走り書きされた、ちょっとした内容の文章まで記されているものもある。(ただし、昔の人が書いた「全集」に限る。)比較的最近の人が書いた「全集」であれば、ノートの角に書いたちょっとした走り書きは、うまくぼかして「雑記」の中にまとめられているのだろう。ちなみに、村上春樹先生の出版されている「雑記」というタイトルの書物も面白く読ませてもらった。イラストは、もう亡くなられたが、「安西水丸」先生と、なんとか「誠」先生だ。(たしか、「椎名誠」先生という名前のイラストレーターだったような気がするのだが)村上春樹先生は、安西水丸先生と特に、仲良くされていたのが、「村上朝日堂」や「村上朝日堂の逆襲」を読めばわかる。「zshingoの日記」に話を戻す。天神に着き、少し、腹が減ったので、マクドナルドへ向かう。名前は覚えていないが、肉肉しいマクドナルドの朝メニューを食べ、SNSを閲覧、投稿する。気づいたら、十時二十五分になっていたので、KーTATTOOへ向かう。少し、早めに着いたので、KーTATTOOの裏の駐車場のアスファルトにしゃがみこんで、SNSを閲覧、投稿する。約、十分前になったので、KーTATTOOへ入る。担当の彫師さんがデザインした用紙を見せてもらい、腹に下書きのインクを転写する。インクが乾くまで、上半身裸で待機。寒い。彫師さんのスタートしましょうの合図で、ベッドへ仰向けに寝る。いざ、タトゥーマシーンの針が皮膚に刺さった瞬間、チクチクとした痛みを感じる。最初は、右腹からスタートしたのだが、腹の中央にくるにつれて痛みの強さがましてくる。痛みのあまり、終始、しかめっ面。結局、N〜Z、13このアルファベットしか入れることができずに終わる。そう、途中で、私は、彫師さんに、あまりにも痛みが強烈なので、これ以上、入れることができません。これでやめにしてくださいとお願いしたのだ。ただし、バランスよく、ヘソの上を、アルファベットがきれいにアーチするように入れてはもらった。しかし、アルファベットの枠だけで、中は黒く塗りつぶされてはいない。痛くて、とてもじゃないが、これ以上、彫り続けることができないのだ。でも、それはそれで逆にカッコいいんじゃないかという考えも浮かんできた。(昔、東京に住んでいる時に、渋谷区道玄坂のクラブエイジアで働いていた、「マサさん」という人が、アルファベットの枠だけ腹に入れているのを見て、カッコいいなと思った記憶があったため)実際に、鏡で見てみると、カッコよく仕上がっていた。勿論、アルファベットの枠だけではあるが。痛さのあまり、彫りを途中でやめてしまった私に対して、店のオーナーさんに、「しんごちゃん、一度、彫ると決めたものを、途中で断念して辞めるのは、あまりにもカッコ悪すぎるから、せめて、残りのA〜Mまでのアルファベットは、腹じゃない別の場所に入れようよ」と持ちかけられたので、次回、A〜Mまでのアルファベットのタトゥーを背中に入れることで話がまとまる。次回の予約をしてタトゥーショップをあとにする。(明後日)ブック・オフへ行き、トミーヒルフィガーのブルーのジャケットを1200円で購入。地下鉄で帰宅。電車内、荻原魚雷著「書生の処世」の続きを読む。近所のコンビニで、タルタルフィッシュバーガー、醤油味のカップラーメン、コーラ、カルピス、ポテトチップスうすしお味を購入。アパートに帰り、シャワーを浴びて、洗濯機をまわす。テレビをつけ、コンビニで購入した晩飯を食べる。食後、ポテトチップスを食べる。一袋たいらげたら、気持ち悪くなったので、胃腸薬を飲む。普段、服薬している薬も飲む。歯を磨く。YouTubeで、数年前に読んだ山本周五郎著「季節のない街」の朗読を聴く。突然、無性に「季節のない街」を調べてみたくなったのだ。そしたら、たまたま、YouTubeで朗読している動画を発見したのだ。「季節のない街」は、短編小説で、私が、どうしても、もう一度聴きたいと思う、短編小説のタイトルが思い出せなかったので、Amazonサイトの説明書きされた、タイトルでそれっぽいタイトルのものをYouTubeで、検索してみるも、なかなか出てこない。結局、5回目ぐらいでようやく見つけることができた。「プールのある家」というタイトルの短編小説だ。話しは、路上生活者である父子二人の物語。浮浪者だが、博識な父親の話に、耳を傾ける息子。しかし、息子は、路上生活者の大半がそうなるように、死ぬ。残された父親一人の描写がしばらく続くが、途中から、犬に「転生」(てんせい)した息子が父親の前に現れ、父親のあとを、ついてまわるところで、話しは終わる。「プールのある家」視聴後、あのちゃんのラジオ番組をYouTubeで視聴。洗濯物を、洗濯機の中から取り出すのを忘れて、深夜一時四十分ぐらいに眠剤を飲み就寝。取り出すのを忘れた洗濯物は、結局、次の日の夕方気づき、再度、洗濯機をまわす。菌が繁殖しているからだ。
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土曜日、新しい出窓を取り付けました。 そしてそれは、私が決して経験したことのない、夢のようなことでした。 土曜日はサッカーの練習、 試合が終わっても、彼らは決して勝てないので、私は彼らに小さなケーキを詰めます。 そして人生は裕福な人たちの罠で満ちている そして、視界を遮るためのシャッターを買いに行きながら、人生は続いていく。 そして、それが私のものであれば、人生はうまくいきます。 でも、一度だけなら私が注目の的になるだろう。 一度だけ、人生とは何なのかを思い出してください。 一度だけ、内側の光、ろうそくの炎を感じます。 一度きりの人生、 ただ生きるために―― 39、慎重な化学療法を受けて髪を失う そして私は不幸ではなかった、私が捕まえた注目について 私を判断する それはうまくいきました、私はここでクソです、彼は彼女とセックスしています がっかりだよ 浴室にはまだカーペットが敷かれています そして二人のうち、どちらの方が磨耗が悪いのか 自分 私たちは犬、特にキャプテンを愛しています 彼はでたらめの組み合わせです(へー) プールがなくなって、近所の人たちが急いで来る モーリーは子供たちのほうが好き そして世界は中年になると舞台になる でも一度だけ、私の人生���私が望んでいたものになるかもしれない たった一度だけ、かつて知っていた輝きを感じてみる たった一度だけ、心の中で戦いを感じてみたい、ろうそくの炎を 私の手に余る何か 一度だけ 今バーガーをひっくり返したほうがいいですか 内側ではなく外側がうまくできているか再確認したほうがいいでしょうか おお 石炭は燃え尽きるまで放置すべきでしょうか? 彼の前で年月を経て私の体がボロボロになるのを許すべきでしょうか。 ああ、ああ 一度だけ 一度だけ 一度だけ 先日、ジョンソン家が私のタップシューズを借りました 長女がタップを始めています 面倒ではありませんでした。一度も使用しませんでした。 私はよく踊っていました 私はよく踊っていました
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世界の映画祭のポスタービジュアルの中から世界一に。
門真国際映画祭2020の公式ポスターが「Best Film Festival Poster of 2020」 最優秀映画祭ポスター賞をいただきました。
(受賞インタビュー記事) https://www.film-fest-report.com/home/interview-saeko-komiya-kadoma ※日本語訳は下に掲載
__________________________________
(日本語訳)
こんにちはさえこ。 自己紹介をお願いします。 (あなたがどこから来たのか、何をしているのか、人生で何が好きなのか…)
日本の大阪府和泉市に住んでいます。小さな頃から絵を描くことや物作りが好きです。3人の息子と犬と猫と生活をしています。2014年頃からフリーでグラフィックデザイン/イラスト制作/町の人たちとアート制作をするお仕事をしています。
どのようにしてデザイン/イラストを始めましたか?
じつは自分の好きなことが仕事にできると思っていない子供でした。なので、小さな頃から絵を描くことは好きでしたが、我が子を生んでから通信教育でイラストレーションの勉強を少しした程度。家の仕事と家事と育児をしながらずっと独学で好きなように絵を描いていました。今思うと離婚をしたのが転機だったかもしれません。自分の心地よいことを仕事にできるところを子どもたちに見せたいと思ったのがきっかけでフリーの仕事をしながらいろんな経験をして学ばせてもらっています。
あなたのスタイルを説明できますか?
自分は絵がうまいと思っていません。世の中にはわたしより精密な線を描き、調和のとれた色彩調整をする人は数多くいます。そことは別の次元で自分が心地よい世界観を表現することがただ楽しいのです。同時に自分以外の世界観や技術に触れることは、より自分を豊かにしてくれている感覚でいます。一つの手法にとらわれずに好奇心をもって古いことにも新しいことにもチャレンジすること。私は、絵を描くことが大好きな、目を丸くした女の子であることは忘れません。
あなたが誇りに思っている作品(門間まつりのポスターとは異なります)を共有し、それがあなたのスタイルをどのように代表しているかについてコメントしていただけますか?
今年(2020)の3月末まで開講していた子どもアート教室の子どもたちとNYにすむこどもたちとコラボしたJoshin電機 和泉中央店に設置いただいた壁面イラストレーション『RAKUGAKI』(横幅10m)です。自分の足下から少しずつ豊かにしていこうと思ったのがきっかけで、自分だけでなく、人と、町と関わって生み出すアートプロジェクトの機会が増えだしました。その中でもこの作品は自分が行ったことのない海外の町に住む子どもたちとの接点をもったもので。たくさんの人が関わり感謝した作品です。
門真映画祭で働くことになったきっかけは? コラボレーションはどのように始まったのですか?
解体される予定のプールで子どもたちが全身で絵を描く企画『アートなプール開き』のお手伝いスタッフとして参加していた時に、その様子を撮影しに来ていた門真国際映画祭の理事長とそのメンバーに出会いました。現場で愉しんで撮影されている様子がとても印象的に残った方々でした。その後、門真国際映画祭の理事募集のお話を知ったときに思い切って手をあげました。そのときはポスター制作をすることは考えていなかったのですが、コミュニケーションをとっている中で理事長からお声かけいただいたのがきっかけです。
ポスターのデザインを始めたとき、与えられたガイドラインは何でしたか? あなたの意図は何でしたか?
出品される自由な映画作品ひとつひとつを大事に尊重する門真国際映画祭と同じく。制作するポスタービジュアルの世界観を自由に表現することを許されました。その中でわたしに与えられたガイドラインはポスターのサイズの指示のみです。与えられるガイドラインが少ないと言うことが私に愛と責任を持たせてくれました。
ポスターについて説明していただけますか?それは何を表していますか? それは何を伝えますか? あなたのインスピレーションはどこから来たのか、そしてあなたが使用したテクニックはあなたの意図にどのように役立つのか教えてください
私は映画が好きですが、映画を作った事はない人間です。ですが、物語は好きで絵本をたくさん読んでいました。ポスタービジュアルを制作することになり自分の中でのコンセプトや素材集めをしている中で、絵本に物語があるように、映画にも物語があると感じ。映画という動画の世界を二次元のポスタービジュアルの中で表現するのに、絵本の世界の力を借りようと思いました。ポスターには、わたしが子供の頃に読んだ絵本にでてくるようなヒロインたちを集合させました。その自由な世界観は結果的に映画の作り手や映画を観る人たちにも共有してもらえる子ども時代の色彩を思い出す門真国際映画祭の彩りになったと感じています。
この作業の後、どのような種類のフィードバックがありましたか?
ポスタービジュアルを見た人からたくさんの嬉しい言葉をいただきました。絵本を作ってほしいとも言われていて。このポスタービジュアルがきっかけで、いつか映画になるような絵本を作れたらいいなと考えだしています。
「映画は世界をつなぐ」と言えば、「視覚表現は一般的に世界をつなぐ」と言えますか?
わたしの中で世界というワードは物理的な地球全土というようなものだけでなく。ひとりひとりの心の中で感じ見える世界だと捉えています。映画という視覚表現によって、作り手の心の世界を垣間見ることはもちろん、受け手がさらに“映画で観た世界“を消化するたびに世界と世界が繋がっているような感覚でいます。
今後、どのようなプロジェクトに取り組みたいですか?
「自分自身の中から創造する心地よさ」を感じられる事は物怖じせずに挑戦したいと思っています。今は、(人の手元に届く作品)を制作したいと感じています。そしてそれが自分自身を説明できるツールになるぐらいのものにできたら最高です。
光と風と草花の光と影を感じながら、それぞれの個性に反応し新しい自分を見つける喜びを原動力に。
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映画『アンダー・ザ・シルバーレイク』
U-Nextでデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『アンダー・ザ・シルバーレイク』(2018)を見ました。
全く予備知識なしに見たのですが、随分変わった映画です。デヴィッド・リンチ監督の映画と似ているなと思っていたら、あにはからんやネットではリンチの『マルホランド・ドライブ』と似ているという声がたくさんありました。
私はこの手の映画は嫌いではありませんが、この映画に関しては嫌いなところもありました。
主人公はハリウッドのシルバーレイクに住むサムという青年です。彼は会う人ごとに「仕事はどう?」と聞かれますが、一体どういう仕事をしているのかさっぱり分かりません。
サムは中庭にプールがあるアパートに住んでいますが、お金はないようで家賃を滞納して出ていくよう言われています。
でも、サムは何もしません。日がな一日ゴロゴロして向かいのアパートに住む中年の女性がトップレスでベランダに出てインコの世話をしているのを双眼鏡で眺めています。
ある日、サムは犬を連れた若い女性がプールサイドにいるのを見つけます。サラというその女性と親しくなったサムは早速ベッドインーー随分お手軽な話だと思いますが、それがハリウッドスタイルなのでしょうか。
でも、すぐに客人が来て、サムは「明日の午後また来て」と言われて追い出されてしまいます。
で、翌日サラの部屋へ行くともぬけの殻ーーアパートの家主に尋ねると引っ越したと言われてしまいます。
そこからサムの探索が始まり、それにセヴンスという富豪の失踪事件や、イエスとドラキュラの花嫁たちというロックバンドの話や、『アンダー・ザ・シルバーレイク』という同人誌を作っている作家の自殺や、近頃近所で頻発している犬殺しが絡んでいくわけですが、これがどうにも訳がわからない……というか、ちっとも真相に近づいている気がしません。
[この辺りからネタバレに入ります。未見の方はご注意を]
えーっと何から言えばいいかな……同人誌を作っている作家は陰謀論者で、全てのものには裏があり、我々はそれに踊らされているだけだと言い、イエスとドラキュラの花嫁たちの曲には暗号が隠されていると言います。
サムはイエスとドラキュラの花嫁たちの歌詞を分析し、「ディーンの頭を撫でニュートンの下で待て」というメッセージを解読します。
ハリウッドのプラネタリウム(『ラ・ラ・ランド』に出てきたプラネタリウムですね)に行ったサムはそこでジェームス・ディーンの胸像の頭を撫で、ニュートンの像の下に腰を下ろします。
するとどこからともなく王冠を被った老人(!)が現れ、「ホームレスの王」だと名乗り、サムを洞窟のようなところへ連れて行きます。
サムは老人と別れて洞窟を奥まで進み、最終的にショッピングセンターの従業員専用口のようなところに出ますが、だからどうという話でもありません。サムのすることといえば、ただ売り場に並んでいる牛乳を勝手に飲むことだけです。
なんじゃこれは。どこまでが「現実」でどこからがサムの「幻想」なのかよく分かりませんが、物語はずっとこんな調子で進みます。
イエスとドラキュラの花嫁たちのボーカルの男からあの曲を作ったのは自分ではない、作曲者は他にいると聞いたサムは、捜索の過程で知り合った女性(映画女優ですが、同時にエスコートガール、つまりデリヘルのバイトをしています)の案内で作曲家の家に向かいます。
作曲家の家はとんでもない豪邸です。サムは塀を乗り越え中に入ります。作曲家はサムが来ることを知っていたような様子で、ピアノを弾きながらサムを迎えます。
作曲家は「君たちが熱中した曲はみんな私が作ったものだ。君たちは踊らされていただけだ」というようなことを言い、ピストルを取り出してサムを撃とうとします。サムはその場にあったえギター(カート・コバーンが使っていたもののようです)で作曲家の顔がなくなるまで殴って殺します。
えーっと、それから……自殺した陰謀論者の作家が残した地図を解読しハリウッドの山に登ったサムは、そこで三人の女性に囲まれた男と出逢います。
男は自分たちはこれから一旦死んでより高いステージに転生する準備をしている、これは大金持ちだけに許されたことだというようなことを言い、サラは失踪した富豪セヴンスと一緒にすでに転生の準備のために密閉された地下室にいる、そこで半年間優雅な生活を送ったのち彼らは死ぬことになると言います。
サムがあまりに残念そうな顔をしているので、男はサムにサラとテレビ電話で話す機会を与えます。サムはなんとかサラを引き止めようとしますが、サラの決意を覆すことはできないまま電話を切ります。
サムは男に勧められてお茶を飲みますが、中には睡眠薬が入っていたらしく、三人の女も男もサムも眠ってしまいます。
目覚めるとサムは椅子に縛られています。目の前にはホームレスの王を名乗った男がいます。ホームレスの王はサムがポケットに犬用のビスケットを入れていたことに腹を立てています(え? なぜ?)。しかし、サムがサラと再会できたらサラの犬にやろうと思って持っていたというと、サムを解放してくれます(え? なぜ?)。
自宅に帰ったサムは母親から送られてきたジャネット・ゲイナーの映画『第七天国』のビデオを見ます。それからふと思い立ったかのように向かいの中年女性(トップレスでインコの世話をしていた女性です)のところへ行き、ベッドを共にします(これまた随分とお手軽ですね)。
サムが中年女性の部屋のベランダから自分の部屋を見ていると、家主が立ち退きのために警備員を連れて入ってくるーーというところでオシマイ。
こういうわけのわからない映画、どこまでが「現実」でどこからが「幻想」かわからない映画、謎を解明しようとしながら同じところをぐるぐる回っているような映画、一応解決はするものの最後まで解明されない部分が残る映画を、私は嫌いではありません。
でも、陰謀論は好きじゃないな。金持ちや有名人は自分たち庶民の知らないところで何かとてつもない企みをしているという考え方は、私にはついていけません。それって「きっと奴らは自分たちだけええことしとるんや」という妬み、嫉みにすぎませんし、私自身はより高いステージに転生するために死ぬことが「ええこと」には思えません。
また、この映画に出てくる人物たち、ハリウッドに住み、パーティーやコンサートに出かけ、文化人を気取り、成功者のそばをうろついて一攫千金を夢見ながら、その実何もできず何もしない人間が、私はどうも好きになれません。
私にとってこの『アンダー・ザ・シルバーレイク』は好きだけれど嫌い、嫌い���けど好きという不思議な映画でした。
デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督はこの映画の前に新感覚のホラー映画として評価が高い『イット・フォローズ』(2014)を撮っています。近いうちにそちらも見てみるつもりです。
追記: 納得できるものかどうかはともかく、この映画では一応謎は解明されます。ただ、犬殺しが横行していることだけは最後まで見ても一切回収されません。 あれはサムが犬を殺してまわっていたという解釈でいいのかな。 まあ、いろいろな解釈ができるというのは私は嫌いじゃありません。
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夏とかいう最悪の季節
・夏がすぐそこまで迫ってきていて俺は発狂しかけている。発狂は目頭のところにずっとあって、そこに、まるで今にも泣いてしまいそうな鈍痛がずっと響いている。一回は部屋の中で本当に叫んでしまった。このアパートは管理にうるさいからあと二、三回やったら追い出されてしまうかもしれないね。
・やだよやだよやだよやだよー
・気分は本当にひどい。俺は誰にも恨みはないし、人間というものに憎しみを感じたことないけれど、もしそうだったら人だって殺せそうだ。でも実際のところ想像の中で人を殺すことさえ難しい。ここ数年イマジネーションが死んでいて、この前あまりに眠れなくて透明人間になったらどうやってお金を稼げるか考えていたんだけど、一時間近く(体感でね)考えても歌舞伎町で酔っ払いの財布を盗むことくらいしか思いつかなかった。それじゃあ数十万くらいしか稼げない。透明人間という特権に比してあまりにもみすぼらしいね。高校生の時の友達は体育教師が嫌いで口の中に棒を突き刺してかき回してやりたいということを頻繁に言っていた。それ以来俺は人を殺す想像する時いつもそれを援用している。イマジネーションが貧困だと怒りでさえ人のものを借りてくることになる。でもけっこうありがちな話ですね。俺たちの楽しみや喜びが文化的な背景を持つように,憎しみや怒りも習うものには違いない。だから俺たちはいつも俺たちをここに連れてきたそれを見つけられずにそれらしくあるものに拳を振りかざしては力を浪費している。
・俺は誰にも恨みはないし、人間というものに憎しみを感じたことないけれど。
・歌舞伎町という町は好きでもないのだけれど、昔の友達が歌舞伎町が好きだったからよく行っていた。別に特筆することのない場所だと思う。土地や文化の与える傾向があり、その傾向によって人が集まっている。東京で俺がいちばん嫌いな街は上野だ。上野には名状しがたいひどさがある。本当に嫌な街という感じがする。
・暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑いよー。
・幼い子供の頃からプールが大嫌いだった。プールのことを考えると、頭がおかしくなりそうになる。人間というのは長い間水に浸かるようにできていない。でも風呂や温泉はまだ許せる。多少は理性的だから。プールはまじで意味がわからん。その施設もそこにいる人も全て気が狂っている。あの狭い水の中に所狭しと人が寄り集まって垢やら汁やらを垂れ流し汚れた水に浸かっては嬉しそうにはしゃいでいる。水に浮いたり泳いだりして重力から解放されるのが楽しいんだろうか。それなら死ねばいいのにね。潜水して息苦しさを感じたりするところを見ると、プールで得られる体験はほとんど臨死だと思う。俺は本当に本当に絶対に死にたくない。もし少しでも死にたいのなら今すぐに死んでいる。それだって習ったことだよ。10代の頃に憧れた人はみんな希死念慮を持っていた。だから俺もそうした。習った憂鬱では死ねないし、いつでも俺は良い生徒ではなかったから結局はたいして身に付かず、今はもう憂鬱になる方法さえ忘れてしまったね。ただ発狂だけがある。発狂はもっと動物に近い。だから俺はトムとジェリーの猫のように、あたりそこらじゅうをものすごいスピードで駆け回り天井まで飛び上がって壁に頭をぶつけしわくちゃになったあとで倒れてきたタンスの下敷きになり、最後にはぺらぺらになってしまいたいのだ。
・プール、プール、プール。
・この日のことは今でもよく覚えているんだけど、13歳の夏に太陽の光を反射するうざいアスファルトの上を友達の家まで歩きながら、俺はこれから誰にも理解されないし誰のことも理解できないんだろうと考えた。これが最初の誤謬だった。その時俺はそれを何か天啓にも似たような感じ、これが全ておしまいなんだという感覚によって受け取った。たぶん暑かったせいだろう。実際、ものすごく暑い日のことだった。熱は人間の機能を不調をもたらすのだ。実際のところ、理解すること、何かを言葉ではっきりとわかることは必ず身体的な感覚の後についてくる。さらに、他人を理解する、ということを考えるには、まず他人の全容というものを考えなければならず、実際のところ他人の全容なんてものは存在しない。人間は個々の現象の集積として考えるべきで、人が怒ったのなら怒ったら理由があるし、笑ったのなら笑った理由がある、それがこっちと同じ感性かどうかは別としてそこには連絡があり、その連絡を理解することはできる。でもとりあえず怒られて見ない限りはその理由もわからない。理解するということは身体的な感覚をまず通じないとわからない。その意味で理解とは俺たちの身体についてまわる尻尾のようなもので、13才の夏に俺はそれをちょんぎったせいで、平衡感覚を失い、今もまっすぐ歩けない。夏には悪いことばかり起きる。
・俺が人生の中でいちばん愛したものの5つ、犬と犬と猫とぬいぐるみとぬいぐるみの中の猫は途中で引きちぎられたみたいな惨めな尻尾をしていた。そのうち三匹とひとつにはもう二度と会うことができない。死に目にさえ会えなかった。俺は本当に最低だとおもう。
・ごめんね
・扇風機は使わなくなると邪魔になるから買いたくないと思っていたけれど、さっき買ってしまった。
・もうじき本物の夏がやってくる。本物の発狂が訪れる。
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1月11日 今日も病院へ補液に行きました 体重1.98kg 体温37.6℃ 尿 206g 今日は自分でベッドを出てトイレに 行きました 昨日お昼寝ていたので30分程留守にしていたら 起きて徘徊していて狭い場所や壁などに 向かって進んで行くので何がいいか 考えてました サークルはありますが金属だし何かいい物が ないか病院の先生に相談 飼い主さんが留守の間子供用のプールに入れている人いる、空気が入ってるからいいと 教えてもらいました 実家に甥っ子がまだ1〜2歳くらいの時に 使っていたのがあったから取りに行きました とりあえず少しの留守時はここに居てもらおうと思います #腎不全#マルチーズ#まるちーず#マルチーズ好きの人と繋がりたい#マルチーズ部#マルチーズ愛好家#マルチーズとの暮らし#マルチーズのいる生活#マルチーズ17歳マルチーズシニア#マルチーズシニア17歳#マルチーズハイシニア#マルチーズハイシニア17歳#奇跡の童顔犬#クーピーちゃん#痴呆症 https://www.instagram.com/p/CnTmMuXvOyI/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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1ヶ月に1度の恒例のツイッターやブログで出せなかったワールドを紹介しましょう。
紹介されたものはすべてPC&Quest両対応となっております。
「Apartment #781」
元々、ツイッターで紹介しましたが、4枚の画像の一部に「まずいもの」が映ってしまい、慌ててそのツイートを削除してしまいました。
どうしても綺麗なワールドだったのでこの写真だけになりました。
「Ice Scream˸ Rod's Factory」
海外のワールドですね。夜と廃れたような工場でインパクトのあるビジュアルが特徴です。
塗料の剥がれ落ち具合と、腕が動くオブジェは恐怖感をそそります。
一見ホラーワールドかと気になり、工場の中に入ろうと思ったら、なかなか入れず、どうやって中に入るのか分からないままでした。
「Luculia-ルクリア-」
紫と黒を基調としたシックなお部屋ワールド。
大変クオリティーが良く、ホームワールドに設定するのも良い場所です。せっかくいい所なのにストックで使おうかと迷い、ツイッターで紹介できなかったのに勿体無くて後悔しています。
「エビぞり - shrimp sledding」
名前の通り、エビとソリのワールド。
海老反りと聞くとバーチャルで無理な体勢をとってしまうネタワールドなのかと思われるが、犬ぞりのように走るものでした。そこじゃないだろ・・・。
このワールドはエビのアバターを試着できます。
「Highrise Pool」
この構図、見たことはありますね・・・?あのプールと逆でしょうか?
ネットで生まれたミームの産物でしょうか。海外のワールドなので出来栄えは良さそうです。
「Pizza Zone」
赤紫のグラデーションに映える夜空をバックに映し出す、ピザ屋のワールド。
肉眼ではっきりと見えるネオンの映り具合が、80年代感のエモさを表現しています。写真映えには良さげでしょう。
「Drama Hall with CatsUdon」
最近見覚えあると思う方が結構居るじゃないかと思いますが、VRミュージカル「マクベス」のワールドの一部です。
PCVR限定のイベントなのに何故PC&Questのワールドなのか、疑問に思う人がいるでしょう。
このワールドは衣装が展示されているそうですが、一部Quest単機だと見えないかと思います。アバターのペデスタルはありますが、PC限定専用なので、ほぼQuest単機非推奨ですね。
12月からブログの記事と企画の編集作業があり、大変忙しくなる時期になりました。師走の季節ですね。
紹介できなかったワールドがある程度溜まったらTumblrで紹介し���う。
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こんばんは😊 ようやく梅雨明けした感じの蒸し暑さになって来ましたね😵 しっかりと水分補給して下さいね🐶 お留守番わんこさんのクーラーの温度って皆さん何度くらいに設定されてますか? 省エネ的には28度と言われてますが、多頭飼いや中大型犬には、ちょっと暑い温度ではないかと感じます🥵 ウチのワンズをお留守番させる時の温度は26度弱設定でしてます😊 愛犬の状態に合わせて温度管理して暑い夏を乗り切りましょうね💪 先日ドッグハイドロセラピーに来てくれた子供達💕 今回は夏近しという事で浮き輪シリーズにしてみました😊 皆さんとてもキュートでしたよ💕 お疲れ様でした❤️ #toypoodle #minichuaducks #frenchbulldog #doghydrotherapy #dogheart #k9rehabilitation #ドッグハイドロセラピー #ドッグハート #犬のリハビリ #暑さ対策 #トイプードル #ミニチュアダックス #フレンチブルドック #肩関節脱臼 #犬のヘルニア #犬の運動 #犬用プール (ドッグハート) https://www.instagram.com/p/B0S9c4EgmyG/?igshid=8d09r7na72vw
#toypoodle#minichuaducks#frenchbulldog#doghydrotherapy#dogheart#k9rehabilitation#ドッグハイドロセラピー#ドッグハート#犬のリハビリ#暑さ対策#トイプードル#ミニチュアダックス#フレンチブルドック#肩関節脱臼#犬のヘルニア#犬の運動#犬用プール
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BACK TO WEST 1 - Geraskier modern AU
Chapter 1 黄色のゴミ収集車
「ジーザスファッキンクライスト!」 シドニーの街に、良く通る声が響いた。 街中でファッキンなんて汚い言葉を叫ぶもんじゃないという事は分かっていたけれど、今のヤスキエルはそんな事を気にしている場合じゃなかった。 鮮やかな黄色をしたゴミ収集車は、財布とスマートフォンの入ったヤスキエルのリュックを飲み込んだまま、無情にも目の前から走り去っていった。唖然として、ヤスキエルはその場に立ち尽くした。 「ウソだろ…」 遠のいて行くゴミ収集車をただ口をあけて眺めていると、沿道に出されたキャスター付きのゴミ箱の前で、その黄色の車体が一時停止したのが見えた。住人が出した家庭ゴミを回収しようとしているのだ。 ヤスキエルは全力で走り出した。まだ間に合うかもしれない。もしゴミ収集車に追い付いたとしても、自分のリュックを取り出すにはその中のゴミのプールに飛び込まなければいけないだろうが、構ってはいられなかった。昨日オーストラリアに着いたばかりなのに、金も連絡手段もない状態でどうやってこれからの二週間を過ごせというんだ。それに、あのKANKENのリュックはお気に入りだったんだ。限定ものでもう買えないやつだ。 ヤスキエルはなりふり構わず走った。 ゴミ収集車はまだ停車している。収集車は車体の横から先が二股になった鉄製のアームを突き出すと、緑色の蓋のゴミ箱をそのアームで器用に挟んで持ち上げ、車体の上の大きくあいた口に勢いよくゴミ箱の中身をぶちまけた。重力で開いたゴミ箱の蓋が大きく揺れる。今さっき運悪くゴミ箱に落ちてしまったヤスキエルのリュックは、全く同じ方法でこの走る有能なゴミ収集マシーンに取り込まれてしまったのだった。オーストラリアのゴミ収集車がロボットみたいで格好良いと興奮したのはつい五分くらい前の事だったけれど、今はその鋼鉄のアームが憎くてしょうがなかった。 必死に走った。歩道を歩くタンクトップの若い女の子が驚いた声をあげてヤスキエルをかわした。ゴミ収集車だけを見つめながら無我夢中に足を動かす。こんなに本気で走ったのは九歳の時に犬に追いかけられて以来だった。真っ黒な体の怖い顔をしたドーベルマンだった。足の裏がジンジンと痛み出し、太ももが限界を迎えそうだったが、それでも走った。 もう少しで追い付きそうだと思った瞬間、急に誰かの腕がヤスキエルの身体を遮った。 「危ない、轢かれるぞ」 「あー!でも、でも!」 ヤスキエルの前を猛スピードで車が走り抜ける。身体がびくりと跳ねた。胸の前に出された腕を振り払おうとしたが、その筋肉質な腕はびくともしなかった。 更に何台か通り過ぎ、ハアハアと肩で大きく息をしながらそれを見送っているうちに、ゴミ収集車がその車体を震わせ発車するのが見えた。 「あー、行っちゃう…」 黄色いゴミ収集車はヤスキエルのリュックをその腹に収めたまま、角を曲がり、見えなくなってしまった。 「あー…」 崩れるようにヤスキエルはその場にうずくまった。 「信じられない…」 信じられなかった。自分がこんな目に遭うなんて思いもしなかった。この旅の途中で、飛行機に乗り遅れたりデート詐欺にあったりそのせいで全財産の半分を失いそうになったりと大変な事は色々と起きたけれど、これが一番最悪だと言えた。 あと二週間だった。あと二週間で、ヤスキエルはオーストラリアのパースから飛行機に乗って、ロンドンに戻るはずだった。この四ヶ月にわたる、ヤスキエルが社会人になる前の最後の旅が、それで終わる予定だったのだ。なのに、今ヤスキエルは無一文になり、それを家族や友達に連絡することも出来ず、この残りの二週間を生き延びる方法どころか自分の国に帰れるかすら分からなくなってしまった。この旅は、最後の最後で悪夢へと変わったのだった。ジリジリと熱を放つアスファルトをただひたすら見つめる事しかできなかった。 ヤスキエルの打ちひしがれた心とは裏腹にオーストラリアの空はからりとした快晴で、そんなのは大したことじゃないと笑うように元気よく太陽光を降り注いでいた。 後頭部が熱くなるのを感じた。 夏も終わりに近づく季節だったが、それを全く感じさせないほど日差しは強かった。 聞いた事のない鳥の鳴き声が、シドニーの街のビルの間にこだました。 「終わった…ぜんぶ終わった…」 しゃがんだ両膝の間に顔をうずめたままでいると、ヤスキエルの目の前に人型の影が差した。 「大丈夫か?どうしたんだ?」 顔を上げると、今さっきヤスキエルが車にぺしゃんこに轢かれてしまうのをその逞しい腕で防いだ男が、ヤスキエルを覗き込んでいた。嘘みたいに端正な顔をした、それと同時にワイルドな雰囲気も感じさせる、白い髪の男だった。
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オーストラリアが舞台の現パロGeraskierです。ロードムービー的なお話になる予定。完結できたらラッキーくらいの気持ちで、気ままに書いていきます。
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