#弦楽器製作
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臨時休業のお知らせ
9月23日から10月6日まで、クレモナ出張のため臨時休業いたします。
その間、メールは繋がりますが電話は繋がりません。
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フリーの楽譜作成ソフト「MuseScore」
MuseScoreは、ベルギーのブリュッセルを拠点に開発されている無料の楽譜作成ソフトウェアです。
楽譜作成ソフトの中で最も有名なのが一般販売されている「Finale」ですが、それにも引けをとらないパフォーマンスを持つフリーソフトがこのMuseScoreです。
サンプル画像は英語表記ですが、日本語で表記・製作できます。
(マニュアルも日本語)
MuseScoreには、調号、拍子、臨時記号、移調、演奏時のアーティキュレーション指定、スゥイング、各種テキスト・歌詞表記(フォント指定含む)、アルベジオ、グリッサンド、スラー、各種強弱等のヘアピン記号、装飾音符、連譜、オクターブ線、繰り返し、ジャンプ反復番号括弧、楽器のチューニングやピッチ変更等、譜面作成に必要な記述系は全て揃っています。
また古典音楽よりも古い音楽である古楽(バロック、ルネサンス音楽)の譜面も製作できます。
(これは結構凄い)
ギター1本の弾き語り用から大編成のオーケストラ譜まで柔軟に製作できます。
弦楽器においてはタブラチュア(TAB譜)も作れます。
タブ譜は初心者用の楽譜指定と思われがちですが決してそうではありません。
弦楽器は弦やフレットの位置によって同じ音でも違う響きになります。 そういったマニアックで細かい指定を生かせるのがタブ譜の利点でもあります。 フォークギター用にカポ指定も出来ます。
このソフトは無料でありながら、フレットボードダイアグラムパレットというのがあり、そこにはダイアトニックスケールトーンが装備されていて、標準でメジャー、マイナー、セブンスコードからなるダイアグラムがあり、それらを譜面に美しく表記できます。
(フレットボードダイアグラムとは、よくギターの楽譜にコードの押さえ方を書いたイラスト表のあれです。)
また、チューニングやピッチの変更表記も可能。
��楽器、鍵盤楽器、ブラス・木管系を問わず、楽器ごとにフィンガリング(使う指)指定もでき、楽器初心者や和楽器にも優しい作譜が可能です。
リズムセクションではドラムセット、パーカッション類の細かい変更・指定もでき、ドラム譜(各種リズム含む)はMIDIキーボードやパッド、PCキーボードからリアルタイム入力もできます。
出来上がったスコアはMIDIでプレイバック再生が出来、ピアノロールエディターも装備、SFZといったサンプリング系サウンドフォント系フォーマットも普通に指定、再生できます。
ミキシングセクションでは譜表途中での音色変更も可能で、DAWソフトで使うような細かい指定をして音を鳴らすことができます。
「Community」といういわゆるクラウドサービスのようなサイトがあり、作成した楽譜をやり取りしあえるということができて、有名な曲をアレンジした作品やオリジナル作品のやり取りが活発に行われているようです。(一部有料)
DAWソフトと同じように覚える部分が膨大にある譜面作成ソフトですが、MIDIデータをインポートして譜面表記と再生も出来るので、市販のデータを読み込んで楽曲の解析・研究も出来る優れたフリー・ソフトウエアだと思います。
上記の楽譜「大きな古時計(おじいさんの古時計)」はこのソフトの楽譜から鳴らしたものです。下のアドレス 「Community」 で聞くことが出来ます。
(製作者にお礼)
https://musescore.com/k_kobayashi/my-grandfather-s-clock
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『「10の足跡」アナログ盤リリース決定』
湯川潮音、7年ぶりのフルアルバム『10の足跡』待望のLP化決定!
(発売日変更のお知らせ : 3/2(木)発売予定でした本作の発売が、製作工程の都合により、3/22(水)発売となりました。何卒ご了承ください。)
前作『セロファンの空』以来、約7年ぶりとなる湯川潮音のフルアルバム『10の足跡』。アナログ盤が完全限定生産でP-VINE RECORDSより、発売されます!
それに伴い、LP発売記念インストアライブも予定されています。
発売日:2023年3月22日(水)
価格:定価:¥4,378(税抜¥3,980)
これまでには無かった“セルフプロデュース”の形がとられたこの作品には、信頼するミュージシャン達とアイディアを出し合い音を重ねながら、歳月をかけて作り上げられた10曲を収録。
���とんどの曲が一発録りによる弾き語りをベースに積み上げられており、ヴァイオリン、チェロ、マンドリン、バンジョー、フルート、サックス、クラリネット、ファゴット、チューバ、リコーダー、ユーフォニウムといった多様な弦、管楽器によるアンサンブルが何とも美しく雄麗な世界観を彩っている。
タイトルには“10の人間を主人公にした物語”の意味が込められ、それぞれの曲の余韻が物語としても味わえる。
ジャケットアートワークもまた信頼するクリエーター達と共に制作されており、アルバムのコンセプトが落とし込まれた写真作品となっている。
収録曲
A1 ポーラ
A2 枯葉
A3 だれがつけただろう
A4 バースデイ
A5 あなたの国へ
B1 サン・テグジュペリ
B2 Jasmin
B3 語られない人のうた
B4 vincent
B5 風のうわさ
参加ミュージシャン:藤原マヒト、安宅浩司、ヤマカミヒトミ、高原久実、片山奈都実、村上咲依子、佐藤綾音、中田小弥香、ゴンドウトモヒコ、関島岳郎、maika(Meadow)
P-VINE RECORDS(株)Pヴァイン 商品情報ページ
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episode 5 - KAWAI K5000W
1988年春、ついにKORG M1発売!!! タメにタメ、待ちに待った救世主の降臨に市場もコルグ社員も湧いた!!! 同時にROLANDも新型廉価版LA音源シンセ・キーボードによるちゃきちゃきのラインナップD-20、D-10、同LA音源モジュールD-110を発売。既に前年に歴史を変えたD-50とともに世界は一気にPCMサウンドへとなだれ込んだ。
そこへ同時デビューしたのはCASIO VZ-1。それまでの人気商品CZ シリーズからさらに踏み込んだ新開発iPD音 源とグラフィックLCDとをひっさげ、事実上のデジタル・フル・モジュラー・シンセとなるも14万8千円というお値打ちな戦略プライス。
しかし不運にしてその新音源iPD方式とは難攻不落のFM 方式をさらに上回る高度な変調方式となってしまい、音創りは超難解。でもそれだけならまだシンセ・ヲタにとって挑戦しがいがあったはずなのだが、タイミング悪くPCMサウンド時代到来にはちあわせしてしまいVZ-1は埋没。PCM波形を使う方が単純明快な理論で仕組みも分かりやすく結論も早くおまけに音が斬新とくりゃ、いくら名機でも相手が悪かったとしか言いようがない。
そしてそれは5年に及ぶ無敵のラインナップを誇っていた鉄壁のFM音源シンセたちと言えども、時代の潮流が��� わったことを思い知る運命の瞬間であった。
♬ ♬ ♬
ついにやってきた本格的デジタル・シンセ時代。上から下まで計5機種に及ぶPCMシンセが一気に発売されたことで堰を切ったようにサンプル・ベースの音色が世界を席巻。最安価のキーボード・シンセはROLAND D-10、メーカー小売価格12万8千円、しかもまだ当時珍しいベロシティ対応鍵盤も搭載。さぁついにキミやボクにもPCM音色をタッチ・センス・フル対応でどうぞ!
と思ったその矢先......!!!
第6のPCMシンセ、ダークホースKAWAI K1、61 鍵ながらに可搬性に優れたコンパクトなボディにたくさんの PCM 波形を搭載しアコピの音もばっちしでお値段きゅっきゅっぱ! しかもベロシティだけじゃないよアフタータ ッチも装備、おまけに鍵盤はクラス初おもりつきで“カワイらしく”タッチもよろしいのよ、さりげなくベクトル合 成までできたのよ♬
まさかのPCMシンセが10万円を切る値札付けて登場、思わぬ伏兵にD-10、D-20、D-50、M1に至るまで親亀コケたら皆コケるが如く足をすくわれ総ずっこけ。しかも相手はKAWAI。よもやこんなにセンスの良いあかぬけたフレンドリーな機種を投入してくるとは誰が予想し得たであろう。ってかそもそもカワイってシンセ作ってたっけ? やんごとなき良家の坊っちゃん嬢ちゃんがお行儀よくヤノピを習うカワイ音楽教室? KAWAIの電子オルガ ンことドリマトーンなんて覚えてる? エレクトーンはYAMAHAの商標ですよ。バブル期のことなんてもう忘れたってか?
しかしその源流は、実は狂乱バブル期どころか日本が焦土と化し灰燼(かいじん)と化し、すべてがただの焼け 野原となりただただ空だけが広く明るかった敗戦の翌年にまでさかのぼるのであった。
♬ ♬ ♬
TEISCOとはTokyo Electric Instrument and Sound Companyの略だという。その前身となるアヲイ音波研究所が設立されたのが敗戦翌年の1946年。その2年後辺りからはテスコというブランドでハワイアン・ギターやアンプを販売。まだ日本が謙虚にもの作りしていたころであり、朝鮮戦争へ行った米兵が買っていったという話もあ り、いずれにせよビザール・ギターとして欧米で知られることに。
1958年、なんと日��初の電子オルガンことテスコ・スーパーエレガン(TEISCO Super Elegan)発売。モノフォニックの真��管式オルガンであり、ここからKAWAIの電子オルガンことドリマトーン・シリーズへとつながる。そしてついに、1964年にテスコは株式会社となり、2年後KAWAIすなわち河合楽器製作所の系列会社になり、電気楽器メーカーとして頭角を現すようになった。
GS(グループ・サウンズ)ブームとともに個性派ギターを連発したTEISCO。映画『エレキの若大将』にも映っているという。有名なのはスプリット・ピックアップを6つも搭載したSpectrum 5シリーズ。なんですかこれは、ピックアップ加算合成方式のギター・シンセですか? いやこれぞまさしくビザール・ギター見参!
だがギター・ブームが下火になるとともに、入れ違いに盛り上がりを見せてきたシンセ・ブームにあやかるべく、1976年テスコ初のシンセ100FをTEISCOブランドとKAWAIブランドの両方にて発売。これが黎明期の混沌にふさわしく機種名すらもが不定で、
・100F ・S-100F ・Synthesizer 100F
などと表記。 100Fは 37鍵のアナログ・モノシンセであり、1VCO/1VCF/1VCA/1HPFという構成で一番最後にハイパス・フィルターが来るのがちょっと面白いが、多分これはEGが暴れて低音ぶっぱなしてアンプぶっとばすのを防ぐためであろう。お値段は9万5千円と、当時としては少し安めな印象もあって興味深い。しかもじつはさりげなくオシレーターでフィルターのカットオフモジュレーションができたのよ♬ まるでプロ5とかOberheimみたいだね!
以来、テスコはカワイの傘下にありながらTEISCOブランドでもって次々とアナログ・シンセを世に送り出 し、YAMAHA/KORG/ROLANDの御三家とはまたひと味もふた味も違う、ビザール・ギター・メーカーにふさわ しいひねりの効いた独自路線でクールな機種展開を魅せる。
そんなふうにちょっと変わった個性派アナログ・シンセを“Sシリーズ”や“SXシリーズ”として輩出したテスコ。 そのテスコがそれまでのアナログから脱してデジタルへと足を踏み出した次世代シリーズが、KAWAIブランドの“Kシリーズ”であった。時に1983年DXシリーズ降臨、デジタル・シンセ台風の暴風圏内、KORG DW-8000が 逆風の中で後出しジャンケン負けの崖っぷち、ROLAND JX-10 "Super JX" がそれでもなんとか踏みとどまろうとしていたとき、突如として出現したみょーなシンセKAWAI K3とは?
1.序
Kシリーズ初号機K3は、2基のデジタル・オシレーターとアナログのVCF/VCAによる6音ポリのハイブリッド・ シンセ。そのデジタル・オシレーター波形とは、KORGのDWGS音源と同じく、現実のサンプルをフーリエ解析しサイン波倍音加算合成にて再合成したものであった。
なれど正直、K3はなんとも言えない機種であった。音源構造といいUIといい、どう見てもKORG DW-8000を大 いに参考にしているのはさておき、外観デザインがイケてない家具みたい、ホイールなんかピッチ・ベンド用1つしかない。しかしK3にはDW-8000には無いメリットがあった。音源波形が32種類もあって、ハイブリッド・シンセ最大級のバリエーションであったとか、LFOにS/H波があるとか、アフタータッチで波形2つの比率を変えられる などなどといった地味にヲタなアドバンテージがあっただけでなく、一つ明らかに抜きん出たところがあった。
たった1個だけとはいえ、音源波形を自作できたのである。
なんとK3において、33番目の音源波形とはユーザーが作成する波形であった。その実態は128倍音から32個を選び、それらを加算した結果をレンダリングさせ波形メモリーに記憶させ1波ループさせることで音源波形として利用する、つまりユーザー・エディットできるサイン波倍音加算合成であった。当時KORG DSS-1、ROLAND S-50、CASIO FZ-1、E-MU Emax SEのごときサンプラーでもないのにユーザー音源波形を自力で生成できる減算方式シンセというのは寡聞にして聞かない。しかもサイン波加算合成とは理論こそフランス革命直後の18世紀末ジョ ゼフ・フーリエによるフーリエ展開のころからあれど、具現化にはおびただしい数の正弦波発振器をただただひたすら愚直に並列に配置し、愚直にいちいち発振器ごとに周波数だのエンベロープだのなんだのとパラメーターを設定せねばならず、リアルな音を出そうものなら最低でも数十基はサイン波オシレーターが必要となり、デジタルによるシミュレーションの到来まで待たねばならなかった。そんな愚直にもほどがあるシステムを実用化しユーザー に開放すべく、民生機シンセとして本格的に挑んだのがKAWAIのKシリーズだったのである。
当時デジタル化に乗り遅れ、息も絶え絶えだったKORG。瀕死の彼らが力尽きて手が届かなかった音創りへの夢を、実は黙って引き継いでいたKAWAI。奇妙なK3の開発には、実は稀代のプロデューサー佐久間正英氏がかかわっていたとも言う。音創りに賭けたKAWAIの想いはその翌年、大化けすることになる。
2.破
ROLANDが革命的な主砲D-50をファイアしたのと同じ1987年、KAWAI K5ローンチ! D-50と同じ16音ポリでほぼ同じプロ価格、2基の63倍音加算オシレーターでもって最大127ものサイン波倍音をユーザーが設定し加算合成する方式、しかも2オシレーター個別に4基の多ポイントEGで倍音構成を制御したのちデジタル・レゾナン ト・フィルターとデジタル・アンプで加工するという、怒涛のパラメーター群の襲来に飲み込まれてしまう、ガチで恐ろしい超弩級ヲタ・シンセであった。
さらに民生機初グラフィックLCD装備。7ステージEGはもちろん、倍音加算状況をスペアナのように分かりやすく図示してくれるSF映画のごとき進化ぶりに誰もが腰を抜かした。ぐっと外観も当世風イケてるデジタル・シンセ になり、ただプログラマブル127倍音加算合成というDX7すらもが顔面蒼白で逃げ出す膨大な数のパラメーターを設定せねば音創りできず、あまりの道のりの遠きにかかわるのもためらわれるほどで、誰もがK5の存在には気がついていないふりをして布団の中にもぐってしまっていた。だから意外に知られていない(笑)。しかしそれは知られ ざるKAWAIが放つ超弩級音源シンセ、前代未聞の巨大アーキテクチャーを誇る革新的シンセであった。
なお、K5の音源方式はARTS音源(Additive Real Time Synthesis)となっていたが、商標にでも引っかかったのか、後からADD音源(Additive Digital Dynamics Synthesis)となった。
3.急
そして翌1988年、冒頭で紹介した驚愕の廉価版シンセK1見参! なんせタッチ・センス完備の16音ポリデジタ ル・シンセが9万9千8百円。してその音源波形はPCM波形と、DWGS音源みたいなサイン波加算合成で生成し たVM波形なるものとで合計256波形に達し、そのうち4波形を選んでおのおのに音量エンベロープかましてミックスするだけ、あとは必要に応じてAM変調もカマすだけ、ジョイスティックまであってベクター合成ごっこするだ け、これまた壮絶にシンプルな加算合成シンセであった。フィルターすら持たないコロンブスの卵シンセであり、 逆にその限定っぷりが潔く音創りに見切りの早さと創意工夫とをもたらし、��期的コスト・ダウンも実現せしめた。KORG M1がデビューした熱狂の影で、K1もまた人気を呼んでいたのである。
そのさらに翌1989年には16ビット・デジタル・オシレーターにデジタル・レゾナント・フィルターとマルチエフ ェクトとを加えたPCMシンセK4を投入。K1はリバーブ/ディレイを追加したK1 IIへと置き換わり、ここにKAWAI Kシリーズはラインナップ完成。腕っぷしの強いドラマーがたたいたみたいな頼もしい音がするリズム・マシンR- 50シリーズ、メリケン人の熱きご要望に応えたというこだわりのパーカッション・シンセ・モジュールXD-5、庶民の味方シーケンサーの名機Q-80、明らかに“分かってる”人が開発した便利アイテムMIDIミキサーMM-16、明らかに“分かってる”人が開発した4チャンネル・セミモジュラー・リバーブRV-4などなど、KAWAI機種だけを買えば いっちょまえにかっちょええ“分かってらっしゃる”自宅スタジオが、しかも比較的にお買い得なお値段で実現するというシンセ・キッズにうれしい夢が実現、奇跡のようにきらめくデジタル・シンセ音が誰でもお手軽に手にでき るKAWAIシンセ黄金時代を迎えた。
廉価機種で輝いていたKAWAIに対し、当時のKORGはM1とTシリーズという20万、30万、40万円するプロ価格 帯にフォーカスしていたので、KORGとKAWAIとでPCMシンセ市場の棲み分けができていたとも言える。プロからアマまで広くPCMシンセでカバーしていたのはROLAND1社だけであり、YAMAHAはFMシンセの着地点をどう見つけるか決断を迫られていた。してYAMAHAはV80FDという幻のFMフラッグシップ・シンセをデビュー目前にして葬り去り、代わりにSY77というFM+PCM からなる新RCM音源の開祖へと舵を切る。
このときCASIOはVZ-8Mという、冒頭に出てきたデジタル・フルモジュラー・シンセVZ-1の同時発音数を8音 ポリへと半減させた1Uラックの普及機を出したもののそこから広がらず、明らかに時代はPCMシンセのものとなっ ていた。ここへ来てCASIOはプロの音楽文化からは距離を置くようになり、電子楽器全体の民主化へと専念するよ うになる。電卓屋CASIOの本分はテクノロジーの民主化にあり、FZ-1みたいな29万8千円プロ仕様プロ価格サンプ ラーを出すと“CASIOらしくない!”と言われて、10万円安いFZ-1GXへ交代させるなどかわいそうなところもあっ た。その一方、CASIOのおかげで安くなった液晶をニンテンドーが黎明期のゲーム機に使用したわけであり、他方 CASIOシンセの孔を埋めたのはスノッブなプロ文化ともつながりうるKAWAIのPCM/加算合成シンセであった。
4.SHIN
だが1990年代になってからKAWAIはDTMへ方向転換、その数年後GMegaという、音が良い32音ポリGM音源��� ジュールの名機を見た。GMegaをK1のボディに入れたキーボード・シンセ版K11というシンセもあった。デジタ ル・レゾナント・フィルターをシリパラ可変できたが、評判は聞かない。DTMではROLANDとYAMAHAに後追い となって今一歩、シンセも数年間ラインナップを放置したせいか存在感もディケイ。ついにテスコも影も形もなく なって河合楽器に完全吸収。KAWAIシンセは沈黙した。
そのまま数年が経過、他社シンセも数世代が経過、KORG TrinityとROLAND XPシリーズとが世界を席巻してい た1996年、シン・エヴァのごとく突如として新解釈で出てきたプロ仕様シンセが本稿の主役、KAWAI K5000シリーズである。こんにちのピアノ専業っぷりからは想像もできないKAWAIのシンセさしずめ“シン・Kシ リーズ”とでも言うべきか、それは一体どのような機種だったのであろう?
♬ ♬ ♬
“写実派PCM音源の時代に終止符を打つ、印象派『アドバンスト・アディティブ』音源搭載”
K5000シリーズのカタログには、そう書いてあった。そこには以下のラインナップがあった:
・1996年発売 KAWAI K5000S 16万8千円 素のシンセ ・1996年発売 KAWAI K5000W 21万8千円 ワークステーション・シンセ ・1997年発売 KAWAI K5000R 12万5千円 ほぼK5000S の2Uラック・マウント音源モジュール版
プロ仕様の割に比較的お値段がフレンドリー。してその実態は、シンセ・ヲタを黙らせた鬼のフラッグシップK5 をさらに発展させたる前人未到のシンセシスAA音源(Advanced Additive Synthesis)。
それは凶悪な倍音加算合成に飽き足らず、悪魔の128バンド・デジタル・フォルマント・フィルターを追加、さら にPCM音源波形とも組み合わせ今度こそめんどくさいシンセ・ヲタどもを完全に沈黙せしめたるもの。すなわち、
①16基の言わば“倍音加算ジェネレーター”が64サイン波倍音加算合成を行い、2基ペアで128倍音加算も可能 ②26基の128バンド・デジタル・フォルマント・フィルター ③36基のDCOこと、ピッチや波形の概要パラメーター設定部 ④46基のDCFことマルチモード・レゾナント・��ジタル・フィルター ⑤56基のDCA
倍音加算ジェネレーターの代わりにPCM音源波形オシレーターを使うときは上記3から音創りが始まる。こうし て最大6基のオシレーターにて倍音加算サウンドとPCMサウンドとをレイヤーして音創りする。
倍音加算合成にはマクロ・エディット機能もあり、奇数次倍音のみ、偶数次倍音のみ、などと特定の倍音グルー プに絞ってエディット可能なばかりか、さらに驚愕するのは個々の倍音ごとにEGを設定可能。そんな128倍音ごと に個別に多ポイントEGなんか設定してられっか!という至極まっとうな向きには、モーフ・モードを使うことによ り、時間軸上の4点タイム・スライスに128倍音スペクトラムを設定することで、その4点をモーフィングするウ ェーブテーブルを作成可能。つまりAA音源とはウェーブテーブルを自作できる音源方式!! この快挙はほとんど世に知られていない。
それをさらにデジタルならではの最凶128バンド・フォルマントフィルターや、さらに別のレゾナント・デジタ ル・フィルター、デジタル・アンプ、ADDSRという2段ディケイ装備の多段EGなどで加工。
のちのバージョン・アップでは、0.5秒くらいの短いWAVファイルを外部から読み込み、それを逆フーリエ変換 で解析、さらにフーリエ変換でもって整数次倍音のみで再合成、つまりアナリシスとリシンセシスとを行うとい う、空前の機能すら付いてきてゾクゾクさせた。あまりのパラメーター暴風雨ぶりにグラフィックLCDでのエディ ットはもちろん、あとからPC/Mac版エディター・ソフトEMAGIC SoundDiver for K5000が一緒に付いてくるようになった。
“写実派PCM音源の時代に終止符を打つ、印象派『アドバンスト・アディティブ』音源搭載”
このカタログ・キャッチ・コピーは、奇しくもD-50開発者ROLAND菊本氏が命題としてきたシンセのシンセた るゆえんそのものである。鏡写しにリアルな写実主義よりも理想的な音を求める印象派。お手本を忠実になぞり過 ぎるお行儀の良いサンプラーではなく、ハミ出まくるやんちゃ坊主こそ自由を謳��できるシンセ。
リアルよりアイディアル(理想的)そのままに、AA音源では狙ったところに倍音を立てられる便利さにうれしく なる。これがFM音源とかだとレシオだのモジュレーター出力レベルだの、あるいは減算方式だと音源波形選択やカ ットオフ、レゾナンス、各種変調ソースからの変調デプスなどなどのバランスだの、ともかくいろいろ周りから堀 を埋めるがごとく遠隔操作しているようでまどろっこしいことを想起すれば、直接に当該倍音を操作するAA音源に は納得しかない。
しかも和音で弾いたとき音が濁りにくい。多彩なデジタル音も太いアナログ音も出る上にクリーンでクリアで内 蔵エフェクトも高品質。アコピのサンプルに至ってはKAWAIピアノらしい重厚で太くてプログレッシブな音がして 良い。
1990年代も後半に入ったとき、あらためて隆盛するPCMシンセへのアンチテーゼが登場したのである。それは
リアルさばかり求められる時代へ歯向かうデジタル・シンセの聖戦、その布告であった。
♬ ♬ ♬
アゴが外れるほど驚愕させられたのは、その愚直なまでに広大だった音源方式だけではない。シリーズ唯一、か つKAWAI初のワークステーション・シンセとなったK5000Wにはこれまた広大なMIDI シーケンサーが内蔵された だけでなく、APG(Auto Phrase Generator)という一種の原始的なAIみたいなやつがフレーズを自動生成してく れる機能すらあった。
ユーザーがレコーディングしたシーケンス・データをなんとK5000Wが解析、別途ユーザーが指定した音楽ジャ ンルなどに則して勝手にK5000Wが最大8パートのマルチトラック・シーケンス・データを作成。しかもコード進 行を提案までしてくれる! 挙げ句、自動生成したシーケンス・データをご主人様がを気に入らなければ何度でも リトライ、K5000Wが都度違う楽曲データをご提案。最大で8,000通りくらいの場合分けで勝手にデータを作成し てくれる。
ユーザーが指定できる音楽ジャンルはプリセット105、ユーザー2つ。え、ユーザー?......そう、ユーザーが電子 オルガンやアレンジャー・キーボードなどで伴奏スタイル・データを作成し、それを読み込ませることでプリセッ トにない新しいジャンルを追加可能。未知のジャンルに至るまで人間様の感性を見抜いて提案してくれるのです よ、シンセが! プリセットされたジャンルには1990年代らしく“ランバダ”もあったが、APG機能の本質はAI支援 作曲、つまり機械が人間をアシストする時代への一歩二歩であった。さぁほら、落ちたアゴを拾いたまえ。
そうでなくともK5000Wの内蔵シーケンサーは当時のワークステーション・シンセとしては巨大な代物で、40ト ラック/4万ノート記録ができるという、およそ規格外と言っていいくらい大規模なものであった。MIDI��子すら IN/OUT/THRUを2セット計6端子も装備し、もはや広大なMIDIシステムの中核を成すキーボード・コントローラ ーですらあった。いわばKAWAIのPCなんか使わないぞ宣言、なのであろうか? SoundDiverはエディターであっ てシーケンシングじゃないしね。
普通にPCMワークステーション・シンセとしても卓越した素養があり、加えて革命的な目玉機能も目白押し、し かも値段も比較的にいいところを突いており、ビルド・クオリティもさすがのメイン・イン・ジャパン、鍵盤タッ チも素晴らしいところはヤノピの老舗ならでは。ワークステーションではないK5000Sに至ってはノブがたくさん 付いて、例えば奇数次倍音だけをえいや!っとひねって制御。宣伝にはクリヤ・マコト氏を起用、まだ氏がエヴァ のクロージング・テーマを手掛ける前のことである。
主役は最後に現れる。1990年代も後半、ノストラダムス最後の審判が見えてきた世紀末、世も押し詰まったころ 遅れて出てきた意欲作、それはデジタル・シンセ最後の聖戦であった。
デジタル・シンセの時代。
新しいテクノロジーが新しい音と表現をもたらし、技術こそが未来を切り拓く。健全な未来観。シンセは未来。 シンセはSF。技術的センス・オブ・ワンダー。まぶしいくらい無邪気にテクノロジーを信じ、ハイテクで世界が一 つとなり、音楽が世界を一つにするというビジョンに歓声を上げる。約束された未来、痛々しいまでにナイーブな 未来感覚。そしてデジタルだからこそ多彩な音が可能となり、それはスター・ウォーズ異星人のようにチグとハグ の多様性であり、だからこそ多彩たり得た。
かつてCASIOがキーボード業界に乱入してきたとき、彼らのデジタル技術レベルはYAMAHAよりも5年は先を行 くものであったという。すなわち楽器業界にてデジタルはCASIOの独壇場だったのであり、CASIOのおかげで楽器 は初めて民主化しえた。
そこから始まった楽器のデジタル化が15年かけてたどり着いたK5000。ようやくインターネットがお茶の間に入 り込み、新しい世界の足音が聞こえ始めたその時。だが他方、迷いが出てきてどんどん感情的になっていくとき、 なんでもできてしまうデジタルへの疲れから人は限定を求め始めたのか。そして再び人が主役の時代へ、人の出番 が多いシンセへ、それはアナログ・シンセであった。
しかしアナログへの回帰とは、今やギターと同じくらい定番と化したアナログ・シンセ音色への懐古と郷愁でも あり、人は生まれる前の時代に対してすら懐かしさを抱きしめて生きるものであるという真理の追認でもある。デ ジタルもアナログもどちらが古いとかではなく、等しく未来へ向かうテクノロジーではなかったか。それこそFM音 源もMinimoogの同窓生たる古いテクノロジーだったのであり、だからこそ永遠に新しいのではなかったか。定番 と化したアナログ・シンセへ還ることはたやすい。だがシンセはそれで良かったのか? 前を向くのが新しい楽器 ではなかったのか? 楽器のフロンティアを開拓するのは、へんてこなシンセたちではなかったか。
♬ ♬ ♬
テスコのたましい百までも。
K3では、DW-8000が実現できなかったユーザー波形を。K5では、FM音源がなし得なかった倍音のダイレクト 操作を。K1では、ROLAND D-50でのPCMとシンセ波形との組み合せを格安プライス上質キーボードで。K4で は、KORG M1でも実現できなかったPCM波形を加工するデジタル・レゾナント・フィルターを。K11では、ROLAND JD-990と同じくセミモジュラー構成のPCM音源を安価かつ良質なキーボードで。K5000では、優れて 柔軟な音源と、来たるべきAI時代を予見する機械作曲の曙光を。
他社に学びつつも、他社がたどり着けなかったいま一歩最後の詰めをKAWAIのシンセは探求し続け、K5000Xと いうまぼろしの76鍵フラッグシップまで企画されていたという。しかし発売から2年後、K5000シリーズは一斉 に値下げされて在庫一掃セールが始ま��、同年ステージ・ピアノの名機MP9000が入れ替わりに発売。そのまま河 合楽器は本業であったピアノに専念し、ごりごりのシンセの火は消えた。
時に西暦1998年。ついに世紀末が始まろうとしていた。Y2K問題が現実のものとして立ちはだかり、その対処に 翻弄され中小企業に至っては経営に大きな打撃をこうむり、世の中は終末ムードに覆い尽くされ、新しい世紀への 胎動もまた始まっていた。とっくにアナログ回帰への胎動と心音が聞こえてきた中、その過程で既に3年前に史上 初のバーチャル・アナログ・シンセCLAVIA(NORD) Nord Leadがデビューしていた。無名のメーカーから突如 として彗星のように登場するそのさまは、かつてのアナログ名機SEQUENTIAL Prophet-5を思わせた。ハンドメ イド・イン・スウェーデン、ニュー・タイプにふさわしく赤い彗星は高速演算DSPシンセ、感受性豊かな木製ピッ チ・スティックと石製に間違えられたモジュレーション・ホイール装備、EGのアタックが食い付くように激速でク ール!
ここからPCMシンセへのアンチテーゼが続出するようになり、それはKORG ProphecyやZ1、ROLAND JP- 8000やJP-8080、ACCESS Virus、WALDORF Q、QUASIMIDI Raven といった一連の変わりもんシンセた ちとなった。それは既存シンセへのもう一つのアンチテーゼとして独DOEPFERがユーロラック規格を提唱し始める ころであり、実はK5000もその同じ時代の空気を吸って生まれた果実の一つであった。そのミームは2003年 にROLAND V-Synthシリーズとなって結晶化する。V-Synthは売れはしなかったがその怪物性が話題となった現代 のレジェンドであり、楽器店から“ローランドさんやっちゃいましたね♬”と言われたらしい。が、それでももう20 年ほどたつ。へんてこなシンセたちが挑戦するフロンティアは依然としてまだまだ開拓が始まったばかり。
へんてこシンセの挑戦は今やシンセの本流へと還流し、YAMAHAはMontageにて8オペ88アルゴリズムのFM音源へ回帰、KORG はKronos/Nautilusにて9つの音源を同居、ROLANDは変幻自在のZEN-Core音源にてハード/ソフト/モバイルの垣根をクラウドで超える大統一理論的存在になろうとしている。
一方、もう一つのアンチテーゼたるシンセの先祖返りも進み、ついにモノホンのアナログ復権を見た。それを 重々に認めながらもそれでもなお前を向こうとしたSEQUENTIALのデイヴ・スミス爺。そのProphet-5 Rev.4登場 に、Rev.1でもRev.2でもRev.3でもRev.3.3でもない、たった一つ時代の流れに歯向かう橋頭堡のようなビンテー ジ・ノブを回しきったRev.4サウンドに、電子楽器の歴史の縮図と宿命と可能性とを見る。さらにその彼方にある Rev.5サウンド、いまだ見たことも聴いたこともないサウンド、私たちはいかなる音色を次世代Rev.5世代へと贈り とどけるのか? Rev.5、Rev.6、Rev.7、Rev.8、Rev.9、Rev.10、私たちはいまだ4にしか到達しえていないでは ないか。次のRevisionはどんな音なのか、それがアナログであれデジタルであれハイブリッドであれハードであれ ソフトであれアプリであれクラウドであれ、まだ見ぬ全く新しいなにかであれ。
歴史のまにまに運命へと消えたK5000シリーズ、その恐るべき愚直な倍音加算合成はひょっとしていにしえの TEISCOの変態ギターSpectrum 5シリーズに見た“ピックアップ加算合成”に由来するのか? 春の遠雷を聞くか のようにその遠いこだまするエコーなのか? いや違う、多分違うと思うけど、そう想像するのは楽しい。
デジタル・シンセの春、デジタル・シンセ最後の聖戦は、ここに海外からアナログとモジュラーという先祖返り したかのような新しい黒船の到来を迎える。次からはそのルーツとなった海外からの波を俯瞰してみたい。きっと それはここまでの電子立国にっぽんシンセ自叙伝テクノロジー・ドリブンな歴史観とは全く違った、地球人類ならではの必要性と必然性に迫る視座からのものになるであろう。パンデミックにもめげず、ここまでお読みいただき まことにありがとうございました。まだまだWeb連載は続くで。ぜひぜひぜひとも皆さまおすこやかに~~~~! Stay healthy, and stay cool!!!!!!
(2022年2月10日Sound&Recoeding公式サイト初出)
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或る街の群青を演奏してみた
今回はASIAN KUNG-FU GENERATIONの『或る街の群青』をカバーしました。
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実は10年ほど前にも全パートカバーに挑戦していて、音作りやミックスの難しさから"コレジャナイ感"がすごく、リードの録音前にお蔵入りとしていました。 今回は個人的なリベンジといったところでしょうか。 現時点の最大パワーで挑みましたが、リベンジできてますでしょうか?
今回からIRというものを導入しまして、ギターとベース両方に適用して音作りなどをしました。詳細は後半に。 ・ドラム まずはドラムから。ドラムのコピー自体は10年前にやっていたのですが、聴き直してみると全然違っていたので��チから耳コピしなおしました。ドラムセットも初めから組んで、なるべく近い物をチョイスしましたが、なんならスネアの音作りがこの世で一番難しいんじゃねぇか?と最後まで悩まされました。もっとスコン!と鳴ってほしい。。 とはいえドラムはBFD3での打ち込みなので、演奏技量という点では全く苦ではないのです。最大の難関はベースでした。 ・ベース 今回はBEST HIT AKGの音源で耳コピしたのですが、ベースがよく聴こえん...! 土台としてのズッシリ感と存在感はあるのですが、細かいフレーズが両サイドのギターにかき消されていて、特にBメロやギターソロの裏で鳴っているフレーズの聴き取りに苦戦しました。 DAW上のEQで上をバッサリ切ってみたり、映像作品集のライブ音源を参考にしてまとめました。なんか最近見かけた音を分離するアプリみたいなのは知ってましたが、どうせ無理だろと思って試しませんでした。耳も鍛えられるしいいやと思って気合で耳コピしましたが、アプリで綺麗に分離出来てたら泣いちゃいますね。 ベースにもIRを取り入れて音作りしたのですが、かなり迫力が出て生々しい音を作ることが出来ました。後述しますが、Radarという機器に入っているampegの15インチ1発のキャビシミュと、SM58の組み合わせが非常に良くて、テンション上がりました。 ベースの音作りに限界を感じていたのでサンズアンプを買おうか本気で悩んでいたのですが、まだ買わなくて済みそうです。(サンズアンプ買う買う詐欺は10年続けてます) ・Leftギター つづいてゴッチさんパートのギター。 ギターはいつものLesPaul Specialの赤です。 ギター→TubeUlent→MXR Super Badass Distortion→UAFX LION→Mooer Radar→UR44(AudioIF)→PC(DAW)というながれです。 LIONのキャビシミュをOFFにして、Mooer RadarにDYNAX製IRを読み込んで置き換えて音作りをしました。これも後述しますがキャビ自体はBognerの412 slantのIRです。マイクの組み合わせでゴッチっぽい音を探して音作りしました。(本来はFender系のアンプなんですけどね) パワーコードが面で来るような曲なので、その辺意識した音を作りました。めちゃくちゃ分厚い音になって大満足です。 バッキングはイントロ後半やサビ、間奏、ソロで両サイドで鳴っているので、それぞれ録音して左右に振って流しています。サビはライブバージョンと原曲でパワーコードの弾き方が違っているように聴こえたので、左右で少し変えています。複雑な響きが音の厚みを増して迫力が出ました。異次元ヲ回遊~のところは4弦の開放弦に指が当たらないようにスライドするのが超難しくて何度も録り直しました。歌いながら弾くとか意味が分かりません。すごい。。。 先日のYouTube Liveにてゴッチパートの音作りのコツを教えてほしいとコメント頂きました。やはりミドルが肝だなと感じます。音のキャラクターが決まるのはミドルで、ゴッチパートを弾くくらいの歪みでミドルを削り過ぎるとヘヴィメタルで聴くような平らな音になってしまうので、程よくミドルを入れてあげて、ブリブリ言うような歪みを目指すと良いかと思います。あとはP90を使うと一気にそれっぽくなるので、P90搭載のギターを使うのも手っ取り早くてアリだと思います。 ・Rightギター 続きまして建さんパート。いつものLesPaulです。 ギター→TubeUlent→MXR Super COMP→Bogner Ecstasy Blue→UAFX LION→Mooer Radar→UR44(AudioIF)→PC(DAW) こちらもLIONのキャビをRadarで置き換えました。やはりIRの効果は絶大でした。ほんとに音が良くなって、ギターを弾くのが楽しいです。 或る街の群青はギターを始めた頃に一度コピーしていたのですんなりと録音出来ました。とはいえサビが間違っていたりソロの弾き方が違っていたので、そこを重点的に練習しました。 "嫌になって投げだした~"の部分は酔杯2007のライブバージョンを参考にしました。あのディレイのアレンジが格好良くて大好きで、カバーするならあれを再現したいなと考えていました。映像作品集5巻にも同じアレンジの或る街が収録されていますね。 "光だって闇だって~"の部分はウワモノギターが重ねられていて、フィナーレ感が出ていたので、追加で録音しました。アウトロのフランジャーは後々気付いてDAWで掛けています。 ・今回の経緯 さて、なぜ今回或る街にしたか、経緯としては 11月初めの飲みの席にて、店内の有線かなにかで2006~2008年あたりの懐かしい曲のプレイリストが流れていまして。 あー懐かしい曲ばっかりだな、なんて思っていたら"テーントーン"というギターが聴こえてきたわけですよ。 どうしてか、外で偶然聴くアジカンはテンションが爆上げになってしまうんですよね。その日は周りに同世代がいなかったので、ひとり恵比寿顔でノッていました。 それからしばらく或る街の群青を聴いていて、或る街弾きたい...と思いながらも10年前の挫折がチラついて、今の音じゃ難しいかなーなんて思っていたところで新機材を購入しましてね。
先ほどから名前が出ている機材がこちらのMooer Radar
これはキャビネットシミュレーターという機器です。僕が以前使っていたPODや、今使っているUAFX LIONにもキャビシミュは標準装備されていますが、これはキャビシミュだけの専用機なのです。
ギター→TubeUlent→MXR Super COMP→Bogner Ecstasy Blue→UAFX LION→Mooer Radar→UR44(AudioIF)→PC(DAW)
先程も出ましたが建さんパートではこんな感じで、UAFX LIONに装備されているキャビシミュをOFFにしてRadarで置き換えています。 このキャビシミュのなにが凄いかというと、キャビネットから出る音の音響特性と、様々なマイクで拾った時の音響特性をシミュレートしてくれるのがまァ凄いのです。実機のアンプを使った録音ではキャビネットから出た爆音をマイクで収録するのですが、それをせずとも音響特性を適用する事でキャビネットで鳴らした質感が得られるというわけですね。 今まで"アンプ"シミュばかり気にしていましたが、多数のキャビネットから近い音を選び、マイクの種類からも音作りを詰めることができます。PODやLIONに入っていたキャビシミュより多くのパターンが試せるようになり、専用機ならではの質の高いキャビネットシミュにグレードアップ出来ました。凄い時代ですよね。PODを使ってた12年の間にこんなのが出来ていたとは知りませんでした。 (IRについては三井律郎さんとInstantさんのYouTubeで知りました) そして、僕がこのRadarを買ったのにはもう一つ理由がありまして。。 Radarはデフォルトでもたくさんのキャビネットの音響特性(IRという)を収録していますが、この機器は他社製のIRも読み込んで使用できるのです。 そう来たらやはり試したいですよね?Bognerのキャビネットを。
ということで、他社製のIRを探していたところ、 DYNAXのBogner 412 Slant キャビネットIRを見つけました。
建さんが使用しているBogner Ecstasyの下にあるキャビネットと同型のBogner 412 slant キャビネットの音響特性データ。これでどれだけ音が近づくのか、試したかったのです。 結果は動画のとおり、ものすごく音が良くなりました。。 しかもこのIRデータ自体は2640円という安さ。まじかと。 詳細はサイトに飛んでもらえると分かりますが、スピーカーの位置やマイクの種類を組み合わせたたくさんデータが入っており、好みのマイクを選んで音作りが出来ます。 RadarをPCと接続して、アプリ内からIR���ータを読み込ませて使用します。 ほんとに出音の質感が生々しく、迫力が出て、長年求めていた音にかなり近づくことが出来ました。 あまりにも良い音が出来たため、今回は或る街の群青をリベンジしてみようと思えたのでした。 音作りに行き詰った宅ロッカーの方、キャビシミュ、すんごく良いですよ。。
・雑感 或る街の群青は映画『鉄コン筋クリート』のエンディングテーマとして制作された楽曲で、通常の曲よりも音の迫力があるように感じました。音の配置も、バッキングが両方で鳴っていたり空間系で奥行きが出ていたりと複雑で、似せるミックス作業は困難を極めました。 やはりプロの仕事は次元が違いますね。憧れます。 演奏面では以前からコピーしていたこともあり、ベース以外はすんなりと行った気もしますが、シンプルなフレーズを格好良く弾くのが結局は一番難しいなと思いました。 そして今回もYouTube君のContentIDには頭から尻まで原曲音源と判断されちゃいました。原曲はもっと凄い音してるので、ContentID君にはちゃんとアジカンの勉強をしてほしいですね。シングルコレクション送りつけてやろうかな...。なーんて。
それでは、また次回。
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-ご挨拶-
お疲れ様です。ご無沙汰しております、宇宙です。演奏動画を投稿いたしましたので、ご報告させていただきます。とっても、とっても頑張りましたので、もしお時間がございましたら、是非ご覧いただけますと幸いです。
知り合いにもどこにもお知らせしていなかったのですが、半年前に人生初の8弦ギターを購入いたしました。動画デビューするまで秘密にしておこうと強く心に決めていたのですが、まさかここまで長い期間がかかるとは、想定しておりませんでした。録音も丸々2ヶ月もかかってしまいましたから。ギターのネックの調子や、自分のスキルの不安定さが原因で、こんな事態になってしまいました。
この度取り組みましたのは、カナダのテクニカルデスメタル/エクストリームメタルバンドであるArchspireの、4枚目のスタジオアルバム『Bleed the Future』に収録されている「Drain of Incarnation」という楽曲です。大変お気に入りのアルバムで、特に攻撃力の高い楽器陣の音作りが好みです。USA在住のエンジニア・プロデューサーであるDave Otero氏が関わっているようですね。
遂に私も、メタル界のオリンピックとも言われるテクニカルデスメタルに足を踏み入れてしまいました。テクデス道はまさに阿修羅道……。今回も何度テイクを重ねたことか。
しかしArchspireは、例えばJason Richardsonや現代の多くのテクニカルギタリストのように、無茶苦茶(理論的に破綻しているという意味ではなく)な運指およびノートの選択、フレーズは少なく、主にハーモニックマイナーによるネオクラシカル的なアプローチが取られており、ドリアン、リディアン、ディミニッシュスケールなどをコードごとに選択しています。ですのでテクデス界隈では比較的運指が容易に感じられるかもしれません。もっとも、これはn=1の私の感想なのですが。
そのため、アプローチは基本に忠実ではありますが、基礎が圧倒的に積み上げられている印象です。「レベルを上げて物理で殴る」という真理が存在しますが、この楽曲はまさにそれに近いです。16分音符の弦飛びハーモニックマイナーペダルや、6連スウィープタッピングスライド、16分音符&5連符3オクターブの上昇下降フルピッキングフレーズなどが出てきますが、そもそも楽曲のBPMに両手が追いつかないと、弾きこなすどころではありません。この楽曲に取り組み始めてからの半年間は、筋トレ(上腕二頭筋および三頭筋、さらに前腕)や指(正確には手刀の筋肉)、肩甲骨や腕、手首周りのストレッチを行い、基礎練習も並行して続けてきました。目に見える成果が出ている……と信じたいです。圧倒的成長。圧倒的成長?
その他、動画に関してですが、楽曲はBandcampで購入し、Sheet HappensでデジタルTAB BOOKを入手しました。バッキングトラックが無かったため、録音はセンターに1本のみとしています。また、映像は朝から夕方まで1日かけて撮影しました。「たかが2点の画角で4分強の動画なのに!?」と思ったでしょう?たかが2点の画角で4分強の動画なのにですよ。
演奏スキルが安定しない、画角を探るのに時間がかかりすぎる(特にヘッド側の画角は2時間くらいかかりました)、映えるようにギターを映像に収めるために、通常よりもフットレストを低くして重心を左に寄せた結果、普段より弾きづらい――こうした理由で、2点しかないのです。本当に疲れました。早くサウナに行きたい!!!
映像は4Kで撮影しました。前回のショート動画でこっそり色味をFinal Cutで調整していたので、今回も同様にカメラでの色味調整はせず、白色LEDをそのまま当てて撮影しています。以前の撮影時の反省を生かし、今回はブルーライト&UVカットのサングラスを着用していたため、眼精疲労はありませんでした。
使用したレンズは25mm F1.4の通称「神レンズ」です。15mmよりもボケ味が強いものが欲しかったので選びましたが、やはり狭い部屋には向いていないかもしれません。
前置きは以上です。
-使用機材-
【Ibanez - RGDMS8】
初の8弦です。実は長年欲しいと思っていました。元オタク後輩君(「元」がついているのは、今は楽器をやっていないためです……)に「8弦は買う前に絶対実機を触った方がよい」と散々アドバイスを受けていたのですが、結局、この竿どころか8弦自体を触ることなく購入してしまいました。だって住んでいる地域の楽器屋には置いてないんですもの……。わざわざ触るために飛行機に乗って都内までいくわけにもいきませんよね。ダブルミーニングです。
現在の円安価格ではKieselを買うほどのお金はありませんし、そもそもKieselなら試奏もできません。お金持ちのオタクがハイエンドを使う世の中ですが、好きなバンドの初期映像を見ると、高くない価格帯のギターを使っていたこともあり、「だったら自分もほどほどのでいいや」と開き直ることができました。条件としては、① 20万円以下 ② 見た目が好き ③ 仕様に納得でき、惹かれるものがある、この3点で探した結果、RG8、SolarA1.8、そして今回のギターの3択となりました。決め手は見た目です。前2つは黒で、いかにも「メタルマシーン」という色合いが気に入らず、シルバー&白&ゴールドに一目惚れしました。価格も一番安く、Fishman Fluence Modernが搭載されており、3wayかつVoice切替とタップ用レバーSWで、計12種類の音が出せる点も良かったです。
音はアクティブピックアップという時点でクオリティが保証されている気がします。ノイズレスで簡単にかっこいい音が出るので、「メタルを弾くギターにはこれで十分なのでは?」と感じています。タップの音はレンジが広くダイナミクスもよく拾いますし、Voice1と2のおかげで別のピックアップを試したい欲も消えます。
※この指板のはみ出しは、海外フォーラムで賛否両論です。
ファンフレット(マルチスケールと、どちらを呼べばよいのかわかりません)は、弾き始めて1週間後には「そういえばこれ、曲がってたな~」と思う程度にはあっさり慣れてしまいました。これまでのギター経験により脳が錯覚して、弾いている最中は真っ直ぐにしか見えなくなっています。とはいえ、そもそもファンフレットやマルチスケールって、正面から見た時よりも構えた角度の方が目に映る「曲がっている」ことのインパクトが少ないものなのでしょうか?
フレットはジャンボですが、ニッケル製なのは残念です。ネックはこれまで触ったギターの中で最も薄いDシェイプ(同社の中でも)で、個人的には非常に弾きやすいです。ただし、ネックは本当によく動きます。悲しい。
弦はElixir Optiweb 09-42にダダリオの54、アーニーの66を組み合わせています。かなりキメラな構成です。今年、Elixirが嫌いになったので、錆びにくくて長持ちする弦があれば変えたいと思っています。巻弦はダダリオがザラザラしていて、アーニーはツルツルなので、これからはアーニーに切り替える予定です。安いですし。
ピックはずっとJP Trinityを使っています。3つのエッジが使えるのと、トライアングルのためグリップが良いところが気に入っています。シールドはこだわりを捨ててCANAREを使っています。「安すぎて使うのに不安だったり、耐久性が低かったりしなければ何でもいい」という境地に到達しました。バッファーも使用をやめました。
【Fractal Audio Systems FM3】
こちらは引き続き使い続けています。今回はUSB録音(D.I)&リアンプをにて音を作っています。音はクリーン(およびリード)、ハイゲインのリズム、リードの3-4種類です。
基本的にはファクトリープリセットの「EJ CLEAN」を使っています。手抜き? いえいえ、有効活用と言ってください。アンプブロックはFenderのVibroluxです。設定はいじっていません。キャビネットはEminence製スピーカーを搭載したFenderのクローズドバックと、Altec製スピーカーを搭載したハーフオープンキャビネットが組み合わされています。UltraRes設定にしています。
また、クリーンパートでもドライブブロックをONにしています。モデリングはXoticのRC Boosterです。リード用にはRCのゲインを上げただけで、他の設定はほぼ同じです。それ以外の変更点はコンプのRatioを上げる、リバーブのクオリティ設定を上げる、ディレイをステレオのテープエコーモデルに変更する等でした。
ギターはVoice 2のタップをONにして弾いています。リード部分もおそらく同じ設定だと思います。イントロのアルペジオを何度もやり直して、リードを先に録り終えてしまっていたので、記憶が定かではありません。ピックと指のアタック音量差を揃えるのに、信じられないくらい苦労しました。なぜでしょうね?
<リズム編>
リズムにはEVH 5150III 50WのBlueチャンネルのモデリングを使いました。やはりハイゲインは5150系が優秀です。実機も気になります。EQではベースとトレブルを少し調整し、ブライトスイッチもONにした程度です。
ブーストはアンプ部のInput BoostでT808 Modを使いました。以前、別の記事で「KeeleyのMod版をモデルにしている」と書いた気がしますが、改めて調べるとFASオリジナルのバーチャルModとのことでした。誤った情報をお伝えしてしまい、大変失礼いたしました。
このブーストは低音をタイトにしてくれますが、カットはせず、ミドルの押し出しもあまりありません。ただトレブルのエッジ感は確保されていて、ブーストとしてのゲイン量も多く、ハイゲイン向けに感じます。低音がズブズブしている音、好きなんですよね〜。
キャビネットにはML Sound Lab製のMEGA OVERSIZE(MESAの4×12オーバーサイズキャビ)のIRから、"Infamous"というマイクミックスを使用しました。その他のキャビネット設定は初期リセットから動かしていません。ML Sound Labといえば、かつてPERIPHERYと手を組んでIRを製作しており(現在は元メンバーNollyが手がけるGGD製を使用していると思われます)、古いIRパックにはMishaが作ったマイクミックスがありました。今回使った"Infamous"は、Mishaの手法に基づいて作られたもので、その手の音楽に最適らしいです。低音が重く、耳障りになりにくいトレブルが抑えられた音作りです。
このIRパックには、購入者に人気の"Almighty"というミックスもあります。こちらはペトルーシ風サウンド(特にSystematic Chaos時代の音)を狙っているようで、どちらを使うか最後まで迷いました。アンプかポストEQでミッドをカットすれば、後者のほうがArchspireに似た音になりますが、今回は似せるよりも、自分が聴いていて好きな方を選びました。
他の候補として、同社のDjent 30 Reflex IR、ML BULB ZILLA、ML USA DJENT(レジェンドIRであるMisha MIX 08)、Ownhammer HHC Vol.1のORANGEも用意してリアンプで比較しましたが、結局MESAのミッドがスクープされた音が一番かっこいいと思いました。
ノイズゲートはInputブロックを使用しています。後段にゲートブロックを置くと設定が多くてわかりにくいので、こちらを使い���した。
※こちらはタイトな刻みの時の設定。
後段のリバーブはIRの箱・部屋鳴りの補正的な役割で、ミックス量は4%とかなり控えめです。正直、細かいことは分からないので気休め程度です。サイズはミディアムルーム、クオリティ設定を上げているので、ブロック数の割にはCPU使用率が高めです。CPUリソースの半分ほど使っていると思われます。
<リード編>
リードの音は、これまでの動画作品と比べて、自分の中で最も「これだ!」と納得できるサウンドになりました。リアンプ作業でアンプを決めてからは一気に進めることができましたが、その前の「何となく作る」段階では、悩みが尽きず、かなり長い時間を費やしてしまいました。PUは全編FishmanのVoice 2を使用しています。
今回のアンプはBognerのUberschall(「超音速」という意味だそう)です。当初の候補としては、5150では100WのREDやBlock Letter、Friedman HBE、Cornford、FAS LEAD2、3+SE、MESA Mark IVやJP-2Cなど悩みに悩んで、最終的にBognerに決まりました。普段はあまり興味がないモデルですが、今回の経験で大好きになりました。ローが多めなのでTSブーストでローカットが掛かっても音が薄くならず、Bognerらしい吠えるようなミッドが魅力です。トレブルからプレゼンスにかけては同じ改造Marshall系メーカーでもFriedmanやSplawnとは異なり、ギラギラ感が少なく暗めなサウンドが非常に気に入っています。
EQは極端な設定になっていますが、実機の高音域側のツマミにはリニアテーパーが使われており、12時の位置でもMarshallの8時と大差ないと言われているため、基本的に大きく右に回すよう設計されています。この状態すらモデリングしているため、画像の通りのEQ設定となりました。それでもリードサウンドとして耳に刺さらないように抑えて調整しました。ミッドをしっかり出し、T808 Modでブーストをかけています。Depthが強いのはデフォルト設定で、ローカットスイッチを入れてタイトにすることがフォーラムでも推奨されています。
キャビネットは、Uberschall純正のもので、T75とVintage 30が2発ずつ入った4×12を使っています。名前の最後に(RW)と付いているので、おそらくAxeが登場した頃にRedWirez製のIRとして作られたものだと思われます。サードパーティ製であることは確かですが、自分で購入したものではなく、FAS製品に初期装備されているファイルを使用しています。ブラックフライデーにはMLかOH製のどちらかを買う予定です。
低音が多すぎるのでローカットをし、耳に刺さらないようにハイカットも行っています。他のパラメーターは初期設定のままです。「T75」といえばMarshallの1960キャビを連想させるため、なんとなく敬遠していましたが、今回で好きなスピーカーの一つになりました。ミッドが豊かでスムーズかつウォームなトレブル特性は、リード向きだと感じました。もちろんVintage 30も好きです。ZILLAのYouTubeチャンネルで、スピーカーオタクのNollyがVintage 30について語っている動画がありましたので、オタクの皆様は是非ご覧ください。Vintage 30には英国製・中華製・90年代・00年代・2002年製、2003年製・Modスピーカーなどがありますね。個人的にはWGS Veteran 30も気になっていますが、これを搭載する実機キャビネットは今のところ所有していません。
リードサウンドに強めにゲートをかけたのは初めてでしたが、
これ、めっちゃズルいですね???
一般的に「FASのゲートは超優秀」とか、「デジタル製品で巧い人が実機のアンプだとちょっと下手に聞こえる」などと言われていますが、FAS製品を10年使ってきて、ようやくその意味が理解できました。「ビタビタに弾けてないな〜、テイクが微妙だな〜、他は良いのにこのフレーズだけ余計な音が気になるな〜、撮り直しか〜」問題が、すべて圧倒的な力の前にねじ伏せられてしまいます。ギターだけの16分ペダルフレーズの入りを録音した際、実はハイブリッドピッキングで余計な音が出ていたのですが、「まあこのまま行くか」と妥協していたところ、ふと世のシュレッダーギタリストに倣ってゲート設定をしているうちに、妥協点が完全に補���されていて笑ってしまいました。(真顔) TSのゲインブーストとコンプレッションもあるため、ノイズ軽減程度にするつもりでしたが、なんだか薬物に似た何かを感じました。常習性と依存度が高すぎます。
コンプレッサーです。見れば分かる。G66に掲載されていたPERIPHERY特集の記事を見ていたところ、過去のMishaの配信動画で音作りをしている際の設定を参考にしました。私の動画では以前も「Ants of the Sky」の際はブースターとして、ODを使わずコンプのみを使用していましたし、「Vantablack」の際もLimetone AudioのFocusを使った位、コンプが好きです。主な目的は、レガート気味に弾くことが多いため、アタック感や音の立ち上がりを確保したり、ハイゲインであるためあまり問題ではないのですが、ゲインの均一化のためであったりします。
今回の動画では、空間系のエフェクトはFM3側でかけています。これまではDAWのステレオ入力設定がうまくできておらず、いつもモノラルでしか鳴らせていませんでした。ちょっと恥ずかしいです。リアンプを使うことでレベル調整も簡単になり、FASの空間系エフェクトのクオリティの高さを改めて実感しました。 ステレオのデュアルディレイを楽曲のBPMに合わせ���1/4と1/4 tripetでテンポ設定を行いました。EQなどの設定もほとんど動かしていません。
リバーブについても、FASでは空間系のシグナルをパラレルに設定し、ドライとウェットを100%ずつにして後段でミックスする方法がありますが、個人的にはブロックをストレートに置いたときのコムフィルターの影響を受けた音の方が、ギターらしい音像の濁りがあって好きです。 今回使ったのはお気に入りのプレートリバーブです。きれいな残響音で癖が少なく、非常に扱いやすいです。サイズはLarge、クオリティ設定は最高値まで上げています。この設定にすると、響きに若干のモジュレーションが加わるそうです。
-あとがき-
毎度のことですが文章が長いですね。これは自分の中に溜まっているものを吐き出すようにタイピングしているので、読んでいただける方に向けてというよりも、自分の頭の整理のために書いているようなものです。それでも、何か面白い部分や興味を引かれる内容があったり、暇つぶし程度に楽しんでいただければ、それ以上に嬉しいことはありません。
次回作については未定です。以前も少し書きましたが、当初の予定から諸事情や心境の変化があり、生活を変えるためにそろそろ本格的に動き始める予定です。あまりプライベートなことを書くとアレなので、ぼかして書いている結果、曖昧なことしか言っていませんが。 特段進行しているプロジェクトはないので、年内は絶対に投稿しません。また、これまでの音楽活動から別の方向にシフトすることも昨年から考えており、そのためにこれからの時間を使っていこうと思っています。ちゃんとした動画投稿は、かなり長期間行わないかもしれません。これは人生の目標というよりは、死ぬまでにやりたいことリストの1つなので、やり遂げるまでは何とか生きていたいですね。「もう全て終わりでいいかな」と思える時が来るまでは。
※ちなみに今回は文章作成後、ChatGPTに校正を依頼し、さらに自分の言いたいことや事実の破綻が無いか、文章がわざとらしすぎないか再チェックをしてみました。そんな感じです。
以上。
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Soundironの「Squiggly-Amejewar」は、独自のバズブリッジと7フィートの長弦を特徴とする4弦カスタム木製楽器プラグインです。
アンビエントや実験音楽、映画音楽やゲームサウンドトラックでの使用に最適で、初心者でも使いやすい設計となっています。
詳細なレビューと使用ガイドを読んで、あなたの音楽制作に新しい可能性を見つけましょう!
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◆SICK HACKイメージギターピック
SICK HACKをイメージしたロゴをプリントしたギターピックを製作しました!ロゴはメタリックパープルでプリントされています。 実際に演奏を想定した仕様で、爪に近い感触の新素材"PPS"を採用しています。厚みは1mm。ギター・ベースその他弦楽器の演奏からコレクション用にも是非!
Image:ぼっち・ざ・ろっく! SICK HACK First distribution:結束グルーヴ (2024.9.7) Event Price:¥300-
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音への不満とブレークスルーできないでいるまどろっこしさ
自分でアンプを製作したり、人が製作したアンプやメーカー製のアンプの音に接したりしているうちに、やがて、出てくる音に限界を感じるようになりました。最初に感じたのは、メーカー製の量産型の普及機では、いくらカタログ・スペックが良好であっても「音として訴える力」のレベルはさほど高くないということでした。それが証拠に、はじめて自作した12AX7とEL34(3結)の簡単な2段アンプの音の方が、私だけでなく家族の評価も高いという現実に直面したのでした。
どのような違いがあったのかというと、ひとことでいえば、弦楽器やピアノに代表される中域の充実感でした。TANGOのU-608という小型の出力トランスを使ったシングル・アンプであったために、低域に関しては、後にどうしても限界を感じるようになりましたが、それでもメーカー製の普及機よりは魅力的な音がしました。この低域の不満は、TANGOの優秀な出力トランス"XE-20S"を使った6B4Gシングルを製作した時に、一旦解消することになるわけですが、どこかブレークスルーできないでいるまどろっこしさがつきまといました。
(http://www.op316.com/tubes/myamp/special3.htm)
オーディオテクノロジーへの提言 「全段差動プッシュプル・アンプの音」
by ぺるけさん
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ラトル指揮ベルリン・フィル/2024.6.2
今日は、現在BRSOの首席指揮者で活躍中のラトルを迎えて、Widmanのホルン協奏曲とブルックナーの6番。前者はベルリン・フィルからの委嘱作。ソロはDohr。スメタナの時にいなかったのは、この曲の準備のためだったのかも。
(20:01) 弦:Polonek, Ito, Grosz, Bruno, Matthew 木管:Jacot, Kelly, Golob, Schweigert Hr:?, Willis, Lamotke, Schreckenberger 他:Guerrier(Tp), Ramsay(Trb), Vogel(Timp), Langlamet(Harp)
Hr 1stは、よく見るトラの人。
どこからともなく、ソロのHrが聞こえる。バンダ?と思ったら、Dohrが歩いて入場。
(20:10) 第2楽章は、Dohrが練習しているかのようなフレーズの後、ややポピュラーっぽい旋律。3rd Flのトラのお姉さんが頭を左右に動かしていたのが印象的。 (20:20) 第3楽章で、Wollenweberがカッコウの鳴き声のする木製楽器?を出したかと思ったら、Hrが口笛を吹いたり、DohrとHrが喋りながら音を出したり、学生がやるような演奏を交える。 (20:22) 「軽騎兵序曲」のフレーズがちょこちょこ出てくる。他にもいくつか、有名な旋律のオマージュが。 (20:24) 第3楽章が終わったところで拍手。何割かの聴衆は、曲が終わったと思ったはず。 (20:30) 第4楽章は打って変わって、静かにゆっくり聞かせる緩徐楽章。しかし、Dohrはやはり、すごいスタミナだな。 (20:32) 第5楽章。Clのベルを叩く奏法は初めて見たかも。 (20:37) 第6楽章。現代的な旋律が続く。 (20:41) 第7楽章。終曲。Hrが4人とも立ったと思ったらWeberの魔笛の有名なフレーズ。最後は、DohrがHrのパートの近くまで移動して、照明が消える演出。
まあ楽しい曲だった。最初から最後まで「なんじゃこれ」という現代曲も多いが、それだと40分以上もやるのは大変。この曲くらい、仕掛けをいろいろ施すといいかもしれない。花束を持ったWillisがDohrにスーパーマンの人形とシャンパンボトルをプレゼント。準備に時間がかかったと思われるので、その労は労いたい。
休憩の後は、ブルックナー6番。
(21:15) 第1楽章はかなり速めのテンポでスタート。ラトルらしい、あっさりした進行で進む。棒がラトルだからか、メジャー曲だからか、みんなあまり顔を上げずに弾いている。 (21:29) 第1楽章最後のTimp、ちょっと速くないか。あるいは、他が遅いのか、自分の耳が悪いのか。多分、自分の耳が悪いんだろう。 (21:30) 第2楽章。あっさり流している雰囲気なのは、今日の1曲目が面倒で、しかも長い現代曲だったからかな。後期ブルックナーとか、ヨーイドンだけ振ってやれば、後は要所を合わせるだけでいいはず。というか、明らかに全体のテンションが低い。 (21:37) 緩徐楽章だからか、Polonekが左を見る頻度が高い。1st Vnがかなり引っ張ろうとしている雰囲気を感じる。Schäferとか。 (21:46) 最後のところ、ItoがちらっとPolonekを見たのは、ラトルの棒にどう合わせるかを確認したのかな。 (21:47) 第3楽章。 (21:56) 第4楽章。かなり速めのテンポ。Vogelが叩き始めのところを棒を見ないでいるのは、テンポにズレがほとんどないからか。 (22:06) 最前列で、おばあちゃんが寝てる笑。 (22:09) Groszが右を見ていたが、視線の先は譜面じゃないような。 (22:10) あれ?次の楽章があったっけ?という雰囲気で終わり。2ndの後ろに座っていた女性が退場。花束でも持ってくるのか?と思ったら、やはり持ってきた。
今はペトレンコが常任だから、大枚をはたいてデジタルコンサートホールを年間契約しているが、ラトルならもう辞めてるな。音楽の作りはいいんだろうけど、面白くない。ラトルの若い頃は、ここぞというところでオケを煽っていたが、もう随分大人しくなって、棒の動く幅も小さくなった。まあ、そんなものか。今日のコンサートにもし行ってたら、「前半終わったら、帰ればよかった」と思ったはず。
来週はアラン・ギルバートを迎えて、オネゲルの「火刑台のジャンヌ・ダルク」。聞いたことがないかも。
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Shaker&Blowzerに新仕様登場!!
4月も後半に差し掛かり、だいぶ暖かくなってきた今日この頃。
今回は2022年に発売を開始した " Shaker & Blowzer " に、新仕様が加わったのでご紹介をします!
先ずは Shaker からいきます。
・Shaker👉https://global.fcgrtokyo.com/ja/instruments,guitars.shaker.shaker.html
Shakerのピックアップは Hybrid Humbucker の2ハム仕様が基本でしたが、今回新たに以下の仕様が加わりました!
*インプレについては、いつものごとく弊社営業担当の小野に登場してもらいます!
① P.U.:TE Neck / TE Vintage Fat ・Model:O.S. Shaker ・Body:L.W. Ash 2pc ・Fingerboard:Rosewood ・Color:C.O. Lake Placid Blue ・Finish:N.C. Lacquer - Played Finish艶* *Played Finish艶…長年の使用感、擦れたような微細な傷を表現した塗装です。 さらに今回こちらのモデルは使用・経年による「色ムラ」まで表現しています!(パーツにもPlayed Finish加工を施してあります)
(インプレ) もはや説明不要のこのレイアウト!(もともとShakerの基本はこれだったんじゃないか!?)というオーソドックスなTEスタイルのコンビネーションです。アッシュ/ローズにTE Vintage Fatのコンビネーションにより、ワイルドでジャキッとした気持ちの良いバッキング・サウンドが魅力です。フロント&リアのハーフトーンも、心地よいコンプ感とキラキラ感が絶妙なバランスで両立できてます!
② P.U.:F-90 / TE Vintage Fat ・Model:O.S. Shaker ・Body:L.W. Ash 2pc ・Fingerboard:Maple ・Color:C.O. Sonic Blue ・Finish:N.C. Lacquer - Played Finish* *こちらも①同様の塗装を採用しております!
(インプレ) 個人的に、音・ルックス共にこの仕様が一番グッときてます!メイプル指板によるブライト&シャープな音の立ち上がり、F-90の太さとレンジ感が絶妙にマッチしており、突き抜ける爽快感がありますね。リアのTE Vintage Fatも結構太くてプッシュ感のあるサウンドですので、フロント/リアの切り替え時にも違和感や使いにくさを感じません!これならフロントでバッキング、リアでソロ、といった感じでもバッチリ使えると思います。TEフリークの方にもっとも受け入れられやすいのではないでしょうか。
③ F-90 / Hybrid Humbucker TypeⅠ ・Model:C.S. Shaker ・Body:L.W. Ash 2pc ・Fingerboard:Rosewood ・Color:2 Tone Sunburst ・Finish:Poly
(インプレ) 何気にグッドバランスで定評のあるこのレイアウト!リアのHybrid HBは、トーンポットをプッシュアップすることでシングルにコイルタップできますので、上記②のような使い方もできます。タップ時のサウンドはTE VintageやVintage Fatとはまた一味違ったシングルコイルサウンドですが、音に芯のあるリアルなシングルコイルサウンドであることに違いありません。ハードに歪ませたドライヴサウンドでのリフ~ピッキングニュアンスを効かせつつも太くサスティーンの良いリードトーンまでこなせます。良い意味でどこかビザールチックなルックスしてますが、中身はけっこう器用なヤツです。
④ TE-Neck / Hybrid Humbucker TypeⅠ ・Model:C.S. Shaker ・Body:L.W. Ash 2pc ・Fingerboard:Rosewood ・Color:White Blonde 2 ・Finish:Poly
(インプレ) 一瞬「おや?何か間違えてない?」と思いましたが、これで正解でした。SSHとか上記②③のパターンはしばしば見かけますが、フロントがヴィンテージスタイルのTEシングル(弊社オリジナルTE Neck)で、リアがハムという珍しいパターン!でもこれがまた意外と使えました。ヴィンテージスタイルのカバードタイプのTEフロントシングルはけっこう扱いが難しい一面もありますが、どちらもカバードタイプということで、ややマイルドになった高域の感じが逆にバランスが良く、同じセッティング(アンプやエフェクター等)でフロント&リアをコンビネーションで使う・切り替える際に、どちらかが抜けが悪く感じる、といったことにはなりにくいですね。むしろこのレイアウトにしたことで、このシングルコイルならではのサウンドを楽しめるようになっている気がします!(もちろん、リアのHybrid HBはトーンポットをプッシュアップでコイルタップできます)
*ハムバッカーとシングルコイルの種類について ・Hybrid Humbucker��TypeⅠとTypeⅡから選択可能です。 ・シングルコイルはTE VintageとTE Vintage Fatから選択可能です。
*ブリッジについて 基本仕様と同様にリアピックアップがハムバッカーの場合は、ブリッジはGOTOH BS-TC1Sをショートサイズにカスタムしたもの(BS-TC1S-SHORT)を使用してますが、リアピックアップがTE Vintageや TE Vintage Fat等のシングルコイルの場合、は既製品(BS-TC1S)を使用しています。
*Played Finishについて Played Finishは現在、Order Styleとしての扱いとなっております。ご希望の方は弊社までお問い合わせください。
*Shakerのオーダーお見積りはコチラ! ⇒ https://global.fcgrtokyo.com/ja/custom-order,shaker.html
次は Blowzer いきます!
・Blowzer👉https://global.fcgrtokyo.com/ja/instruments,basses.blowzer.blowzer.html
Blowzer は4弦・5弦共に、今迄ピックアップはPBのみの仕様とPB+JBリア(PJ) の2種類から選択可能でしたが、今回新たにPB+PBリア(PP) の仕様を追加しました!
*パーツ等には変更はないのでP.U.レイアウトの追加のみです。 *Blowzer PP のインプレは弊社営業担当の民谷に登場してもらいます!
⑤ PB Vintage / PB Vintage ・Model:O.S. Blowzer 4st. ・Body:Alder 2pc ・Fingerboard:Rosewood ・Color:淡麗《響》セセラギ ・Finish:Poly
(インプレ) 2ピックアップ仕様のベースは世に数多ありますが、プレシジョンベース用ピックアップを2基搭載したものに関しましては、過去にも稀に見られたものの、非常にレアな物の様なイメージかと思います。
しかしながら実はこのレイアウトのトーンバランスは非常に秀逸で、僕自身もこの仕様のP-Bassを愛用していたこともあり、ライン乗りの良さを含めた音作りのし易さは経験済みでしたので、この仕様を【 Blowzer 】に投入し、F.C.G.R.流にセットアップいたしました。
完成したプロトモデルをチェックしたところ...
・ネック側1基のみの場合は、もちろん所謂P-Bassサウンド。
・ネック&ブリッジ双方を使用する場合は、中低域の押し出しが強いながらも、アレンジにはまり易い「太いJBサウンド」。
・そしてブリッジ側1基のみの場合は、素早い音の立ち上がりが病みつきになる、太さと鋭さが同居したサウンド。
...「いいね!」の一言でした。
特にP-Bassを愛してやまないベーシストは、あのサウンドに拘りがありつつも実際のアンサンブルの中で、時には少しだけJBの様に2ピックアップのニュアンスが欲しくなることも在ります。
そんな時にはこの1本!と自信をもっておススメできる仕上がりとなりました。
⑥ Original PB 5st. / Original PB 5st. ・Model:C.S. Blowzer 5st. ・Body:L.W. Ash 2pc ・Fingerboard:Rosewood ・Color:半蔵 ・Finish:Poly
(インプレ) " PP " レイアウトはいいけど流石に5弦モデルとなるとねえ...と思いきや、4弦モデル同様にこれまた秀逸なトーンバランスです。
【 Retro PB-5st. 】で培ったノウハウからなる、秀逸な5弦P-Bassスタイルの楽器であることはもちろんですが、ネック&ブリッジ双方のピックアップを使用した際の、心地よいシャープさと太さがバランスよく凝縮されたサウンドが、独特な弾き心地の良さを感じさせてくれます。
特にこちらはボディ材にライトウェイトアッシュを採用していますので、ブリッジ側ピックアップ1基のみで使用するとより鋭さが増し、轟音のバンドサウンドの中でも「見えるベースライン」をアウトプットしてくれますので、ヘヴィな音楽を演奏するベーシストにもピッタリです。
*Blowzer 4st.のオーダーお見積りはコチラ! ⇒ https://global.fcgrtokyo.com/ja/custom-order,blowzer-4st.1.html
*Blowzer 5st.のオーダーお見積りはコチラ! ⇒ https://global.fcgrtokyo.com/ja/custom-order,blowzer-5st.html
今回ご紹介したShakerとBlowzerは、下記のお取扱店様もしくは、2024/5/11-12に大阪で開催される 『 サウンドメッセ in OSAKA 2024 』で試奏&ご購入可能ですので、気になった方はぜひ直接お問い合わせ&実際にお試しください!
① O.S. Shaker S/S_C.O. Lake Placid Blue - Played Finish ≫サウンドメッセ in OSAKA 2024 に出展いたします!(👈クリック)
② O.S. Shaker F-90/S_C.O. Sonic Blue - Played Finish ≫お取扱店:島村楽器 パークプレイス大分店様(👈クリック)
③ C.S. Shaker F-90/H_2 Tone Sunburst ≫お取扱店:島村楽器 ラゾーナ川崎店様(👈クリック)
④ C.S. Shaker S/H_White Blonde 2 ≫お取扱店:島村楽器 吉祥寺パルコ店様(👈クリック)
⑤ O.S. Blowzer 4st._淡麗《響》セセラギ ≫サウンドメッセ in OSAKA 2024 に出展いたします!(👈クリック)
⑥ C.S. Blowzer 5st._半蔵 (Sold) ≫こちらはオーダー参考例となります。
木工長:郷右近
『 サウンドメッセ in OSAKA 2024 』
👉https://sound-messe.com/
Shop & Show Room 『 Universal Space 』 ご予約&アクセスはこちら↓ https://global.fcgrtokyo.com/ja/universal-space.html
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臨時休業のお知らせ
5月18.19日に池袋の自由学園明日館講堂で開催される、日本ヴァイオリン製作研究会 第19回作品展示会2024に出展のため、5月17日から21日まで臨時休業とさせて頂きます。
初めての展示会の参加となりますが、東京で私のコントラバスをご覧いただける機会となるので、ご興味がございましたら是非お越しください。
ご商談もお待ちしております。
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アドミュージアム東京で開催されている「世界のクリエイティブがやってきた!2023展」第1弾、D&AD Awards 2023のコンセプトムービーの音楽を担当させていただきました。ムービー監督は川島真美さんです。ぜひ会場でご覧ください。
**音楽制作への洞察**
日本のインフラが高度に整っていることは、日常生活の中でしばしば見過ごされがちです。
D&AD Awards 2023のテーマと思想を基に、私たちが毎日当たり前に利用している電気(インフラ)への感謝と、目に見えないが重要な役割を果たすデザインへの敬意を込めた音楽を制作しました。
この楽曲では、西洋音楽において通常不協和音とされる音色を意図的に取り入れ、金属の質感や特性を音で表現するために、様々な金属から採取した音を使用しました。実際に私のスタジオ近くにある鉄塔でフィー��ドレコーディングを行いました。
楽曲は以下の3つの部分で構成されています:
1. 鉄塔の無機質なイメージ
2. 静寂と有機的な広がり
3. 無機質なイメージへの回帰と、静かで豊かな環境への意識
このプロジェクトを通じて、鉄塔や電気といったインフラに深く思いを馳せることで、金属というマテリアル自体もデザイン(合金)されていることを再認識しました。
金属の本質的な音や、フィールドレコーディングで捉えた音を楽曲に取り入れる過程で、今回使用した楽器のピアノやギターのメロディが金属製の弦の振動で生まれることに対する意識も深まりました。
私たちの当たり前となっている日常を見直し、再発見をすることは、これからの日本にとって重要な課題です。このような音楽を作る機会をいただけたことを心から感謝しています。
**クレジット**
- ECD: 八木義博
- CD: 筒井晴子
- AD: 加藤寛之、山本明日果
- CW: 飯田麻友
- P: 水谷友紀
- PM: 祇園梨菜、岡田岳士
- 映画監督: 川島真美 (DRAWING AND MANUAL)
- 音楽: 須田伸一 (Twoth)
**展示期間**
2024年2月2日(金)から2月24日(土)まで
**会場**
アドミュージアム東京
皆様のご来場を心よりお待ちしております!
D&AD Awardsは、1962年に設立されたイギリス発の世界的なデザインと広告の賞です。厳格な審査で知られ、革新的な作品に授与される黒い鉛筆と黄色い鉛筆が特に権威あるとされています。この賞は、クリエイティブ産業の卓越性と革新を称え、業界の発展に寄与しています。
#dandad #motiongraphics #music_by_twoth
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4-1
この試合専用のインカムと照準器具を積んだヘルメットは、頭に載せるとずっしりと重く圧し掛かった。だが、この空間を埋める視線の圧が少しでも気にならなくなるのだと思えばそのほうがよほど軽かった。
独特の緊張感が身を包む。それを感じながら、ちらと横を盗み見る。
隣でペアが飛び跳ねている。身体を温めているのだ。
その服装が新しいものに替わっている。……少し寸法のあっていないパーティウェア。
「変だよね、これ」
瑠真はこちらの視線に気づくと、あっけらかんとそう言って裾を持ち上げた。左右非対称なカットになった青いドレスだ。
「いや……」
望夢は口ごもった。ひらひらとした裾は多少邪魔そうだったが、中履きのパンツや足さばきのためのスリットは、明らかに動くために作られていて、この世界に開かれた大会という場にあってはおかしいというものではなかった。
それもそのはず、元は丹治深弦が後半の試合で着るために仕立ててあったものだからだ。
(「どうでもいいけど、試合出るならその超カジュアル服やめなよ」)
指摘されたのは先輩である宝木に、二人まとめてのことだ。
(「俺と深弦の晴れ着あるよ。昨日はまだ試合数多かったから簡単なスポーツウェアでよかったけどさ。今日って多分うちに観衆集まるから……って、高瀬くんすごい嫌そうな顔しないの」)
(「じゃあ、私一人でいいよ」)
瑠真はあっさりと承諾した。
(「どうせ女のほうが撮りたいでしょ。そいつは絵にならんし」)
以前の瑠真なら嫌がって当然だった。協会の広告塔になるという任務は、優等生ペアのものでこそあれ、瑠真の性格にはまずそぐわないものだ。
彼女はやはり変化している。そのことに感慨深いような悔しいような、複雑な感情が少しだけあった。
「お前のじゃないわりには、まあまあ似合ってる」
「あっそ。ありがと」
瑠真は細かくはこだわらない。パーティドレスに不釣り合いなiPodを手に持っていて、試合開始を待つ間またそれを聴いていた。
望夢も備えようと、気を取り直して見渡した。初期状態の会場は観客席に囲まれたのようになっている。、ただしカードの設置されているポイントまで直行できないよう、高さ数メートルの同心円状の壁が視界を塞いでいた。
ただしこれは初期状態の会場だ。
ここに地形カードが切られるごとに、景色は変化する。
「どうする」
調子のいいを切りはしたものの、その後は手続きとパネルディスカッション会場との連絡で精一杯で、こちらの作戦会議どころではなかった。向こうにはホムラグループの他の面々も到着し、莉梨のメッセージの確証は���られたようだ。
「どうもこうも」
瑠真はシンプルな口調だ。
「勝つんでしょ 点取って相手撃てばいいんじゃない」
試合の開始ベルが鳴った。
ペアがスタートダッシュを決めた。
両者ともがしたままゲームが終了しても引き分けにならないように、フィールドの各所にはランダムにバーチャルエネミーが発生する。影のような人型で同じく頭の部分をレーザーで打ち抜くと得点になる。そんなわけで、エネミー狩りの視点でもスタート地点にじっとしてはいられないというのは望夢も同意するところだし、まして彼女のスタイルからすれば当然のことなのだった。
ただし相手チーム構成員の撃破ポイントのほうが圧倒的に大きく、エネミーを数十掃討したところで相方が撃破されれば逆転される可能性もある。防御という観念が頭からすっぽ抜けているペアを好き勝手に走らせておくわけにはいかないのだった。協調性のなさに内心呆れながら望夢はペアを追いかけた。
そして、概ねの指針は向こうも同じだった。
さすがにこちらより落ち着いている。
会場高くに掲げられた得点板がバタリバタリと立て続けに更新された。アメリカ側のものだ。手近なエネミーを撃破して煽っているのだろう。早い。また、気分を盛り上げるためのものなのか他の意味もあるのか、アメリカチームのほうから小さく音が聞こえる。ここまで届くのであれば元は大音量だろう。ラウドロックだ。アンドリューの選曲か。
私物の持ち込みは一回戦のモニカがそうであったようにある程度許されている。あらゆる解釈を許容する建前上、それが直接的な武器でない限り能力のサポートアイテムなどを拒否できないのだ。
アンドリューは音楽家。新野に言われていたことをふと思う。協会式であれば、使い方は自己バフか、音圧による物理攻撃がいいところか。
瑠真はすでに最初の壁の手前まで走り、増強をかけた脚に力を溜めていた。──さては壁の上に飛び乗って戦局を把握する気だ。瑠真と違って増強を使わない望夢はすぐに追いつくことはできず、確認手段を持たない。
いや。
立ち止まって目を閉じた。バーチャルの壁に手を触れ解析を走らせる。望夢の解析は自然科学を基準点にするから、それがただの映像である限りバーチャル空間そのものの探知はできない。
しかしこの大会のバーチャル風景には、参加者の無意識レベルのペタルを取り込んだ光術の基本が仕込まれている。望夢のように基本的な能力ではペタルを発散しない者ならともかく、協会式の超常師の位置取りとやっていることは、概ねプロットできる。会場を織りなす糸の乱れを探知すればいいのだ。
「……来てるか」
やがて目を開けた。
銃を構えた先に泡がはじけるようにバーチャル人形が姿を現した。ノータイムでその額を撃ちぬいた──得点板に「Ghost 1」のパネルが回る。
Japan Player: 0 Ghost: 1
USA Player: 0 Ghost: 2
こちらは本題ではない。
同じ人形を狙って壁の向こうから飛び出した青年とばちりと目が合った。
音楽はまだ遠くで鳴っている。攪乱のためにスタート地点で鳴らし続けるか、シオンに持たせでもしていたのだろう。青年は笑った。
「Good job, boy」
望夢は構わずにその額に銃口を向ける。
アンドリューは挑発するように笑顔を作った。そして手元にあったカードを切った。
景色が切り替わる。一瞬で壁の迷路が崩れた。辺りは高低差のある崖の連なりのようなフィールドに変わる。
アンドリューの背後にも大きな谷が生まれる。彼は軽やかにその中に飛び込んだ。照準を失った望夢は深追いせずに銃を下げる。不要になった金属製のカードはアンドリューの手を離れ宙を舞う。光を伴う景色の変遷にその縁がきらきらと光るのが見える。
壁が無くなって開けた視界で、発生しかけていたエネミーがばちんと消えた。おそらくランダム発生の位置調整のため一旦生成がキャンセルされたのだろう。無慈悲なことに、撃たれてもいないそのエネミー背後にも、アンドリューの撃墜マークのランプが点き、全体で二体そういうものがいたらしくアメリカの「Ghost」得点版は「2」になった。。そういえばそういうルールだった。
そこへ向けて銃を構えた状態で、足元を急に失った瑠真が踏み外してよろめいているのが見えた。高いところに立っていたのだから当然だ。
そちらに素早く向かう金色の影││シオン。
彼女もまたスタート地点を離れ、地形変化で視界が開けると同時に一気に距離を詰めていたのだ。
おそらく瑠真は気づいていない。「るっ……」インカムで声を掛けようにも、鳴り響くラウドロックが邪魔をする。それ反則じゃないのかと望夢はちょっと怒る。
瞬時に思考した。レーザーガンは光だから遠距離で邪魔するのには向いていない。
時間稼ぎの大会といえど、足掻きもせずに負けてやる気はさらさらない。
目の前に金色の縁がきらきらと光りながら落ちていった。
それだ。
宙を舞うカードを手に取って思い切り投げた。縦に投げるのには丁���いい重みだった。瑠真のヘルメットの後頭部にそれは当たって地に落ちた。痛て、と言うように瑠真がこちらを振り向く。その瞬間にシオンが飛び出し、瑠真に照準を向けていた。
ポイントの入る赤い部分はヘルメットの前面だ。急に振り向いた動きのせいで瑠真を狙い損ねたシオンがちっと舌打ちした。望夢はその間に相方の頭越しにシオンに狙いを定めている。こちらを確認したシオンが小さく笑って近くの段差に飛び込む。ひとまずの狙撃は防げた。
その動作でようやく瑠真も気が付いた。大きく距離を取ってこちらも物陰に飛び込む。
望夢は走り寄ってペアに合流した。
「勝手に飛び出すな」
「事前に作戦会議なんて悠長なことしてる時間ないでしょ」
瑠真はふんと笑った。好戦的ではあるがどうやら落ち着いている。この場慣れた落ち着きだけは高瀬式門下生に指導してもらった恩恵かもしれない。
「で、どうしよっか」と呑気に今頃瑠真が訊く。
「連中がどういう超常術を得意にしてるかも分かってない。シオンは多分お前と傾向似てる」
望夢は早口に言った。崖の縁から眺めながら感知のために神経を研ぎ澄ましている。
「……キングのほうは多分絡め手だ。俺と近い。つまりお前とは相性が悪い。お互い似た属性を担当したほうがいいと思う」
「は、アンタがシオン苦手なんでしょ」ペアは生意気にもそう言った。「お得意の干渉使えないもん、あのやり方じゃ」
その通りだった。協会式超常術は効果発現までの時間が短いせいでそもそも解析と相性が悪いが、肉体増強を中心とする瑠真やシオンが相手だとなおさら望夢にはどうしようもできない。こちらが相手に干渉できる時には、相手もよほどこちらが射程内だからだ。
瑠真はふいに銃を構えて撃った。ランダム発生していた人型が遥か背後で弾けた。││落ち着いている。話しながら周囲を観察して得点源を狙っていたようだ。
「選手控室で聞いてたよ。シオンはアイドル的なパフォーマンスが得意なんでしょ。いつも癖で見栄え重視で戦うから隙を突くならそこ」
その場馴れた動作に加えて、瑠真が分かったように言い出すので望夢は意表を突かれた。今回に限っては出場する気の無かった望夢よりまともに情報収集していたらしい。
「アンドリュー・キングだっけ あいつはカバーバンドマン」
「知ってるのか」
「ほら」
ふいにギターの低音が耳に届いた。
振り向けば、少し離れたところにアンドリューがいた。
どうやらお互いに狙える位置取りではないが、体勢の視認はできる。レーザーガンを下ろしている代わりに小さなiPodを携えている。最初に鳴っていたのもこれだろう。
にやりと青年が笑った。選手間通信用インカムに相手の声が入ってくる。
「Do you like Nirvana Are they known in Janan」
「ニルヴァーナって言った あいつ。バンド名」
瑠真も対してiPodを握った。「お」持ち込んでたのか。控室で勉強していたと言ったのはたぶんこれだ。
「何だっけ、このイントロ。探してる暇ないけど、多分有名」
歌詞までを聴き取るのは難しい。ただ、アンドリューの外面の印象によく似た陰気な声がiPodから低音質で響いている。
何が来るか││と思った瞬間、ガクンと体が重くなった。
「││」
陰気な声が同じフレーズを繰り返している。呼びかけに聞こえる。ハロー、ハロー、ハロー……。
フレーズがわんわんと頭の中に響き、視界が曇る。まるで音に下に向けて引きずられているようだった。
それから一気に曲調が変化した。
「わ」
体の重さも変わった。腹から突き上げられるような感じだった。曇っていた視界が一気に別のものに染め上げられた。小さなiPodから出ているはずの音が、いつしか会場全体を支配しているのだ。
キング。この小さなステージの王。
考える余裕もなかった。アンドリューを中心に「それ」は生じていた。アンドリュー自身も心地良さそうに音に合わせて床に足をタップしている。その──心象が投影されているのだ。
生じる効果は単純。否応なく音楽に引きずり込まれるのだ。ありていに表現しよう。『乗ってしまう』。実際に周囲の景色や条件が変わったわけではない。なのに音楽に気分が乗せられざるを得ない。
これは協会式にとっては致命的だろう。こちらの超常想像図を描くことができない。
隣を見る。案の定だった。瑠真は魅せられたように動きを止めている。
「瑠真ごめん、貸して」
iPodをひったくる。自分のためではない。望夢はこと協会式に関しては解析さえ終わればいつでも打ち消せる。
瑠真のiPodには瑠真が普段聴くのだろう日本人のアーティストがずらっと並んでいる。
その中から当て推量で曲を選んだ。タイトルから予測して今流れているのとは違うだろう曲調。ドンピシャ。場違いな女性ボーカルのポップスが、アンドリューのアメリカンロックに重ねて流れた。
「はっ」
瑠真が隣で意識を取り戻す。それを横目にインカムの集音部にもiPodを近づけた。
やったことは単純だ。違う音を流してステージを台無しにしただけ。それぞれのファンが会場にいれば今頃大ブーイングだろう。
アンドリューがこちらへ向かう足を止めた。
こちらへ向かう足を止めた││これまでこちらに近づいていたのだ。堂々たるもので、障害物に隠れもせず真っ直ぐにこちらへ向かっていた。ひやりと背筋が冷える。もうすぐ射程内だった。認識はしていた。しかし、完全にその世界観に横槍を入れるまでの数十秒、望夢もそれすら音楽の一部のパフォーマンスとして受け入れてしまっていたのだ。
「Dirty」
青年が顔をしかめて呟いた。そして身をひるがえして近くの壁に引っ込む。
「No way」
詰られている、ということだけは理解できる。彼の耳元にもインカム越しに瑠真のiPodからの歌は届いただろう。
このとき、急に会場アナウンスが入って試合が小休憩になった。見るとアンドリューが審判席に向かって手を振っている。何やら選手側からのタイムのようなものを取ったらしい。邪魔されたのがよほど腹立ったか。選手側からのタイムが取れるのを望夢は今知ったがきっとどこかでは説明があったのだろう。初日から出場しているアンドリューたちにはわかっていることだったのだ。
横から手が伸びてきて瑠真にiPodをひったくられた。
「最悪」
「どうも、なんとでも言ってくれ」
言われたままに受け入れる覚悟で肩をすくめる。瑠真はレーザーガンを持ち直しつつ、iPodを回収した手を振り回して暴れている。
「他人の音楽の趣味無理やり見るのって覗きみたいなものよ、わかってる」
まず怒られたのはそこだった。望夢自身はプライベートの観念を捨てているので感覚は違うが、そういう人間がいるのを知ってはいる。わかってやったのだから怒られて当然だろう。瑠真は元々プライベートスペースが広い。ただ、
「うんまあ、一般的には……でも今の状況だとしょうがなかっただろ」
言った瞬間、試合中だというのに横から物理的に足を踏まれた。
「いって」
「アンタのそういう判断は信用してる」
踏んだうえで何故か認められた。
「だから不問にしてあげる。この試合世界放送なんだからね。そこでよっちの歌勝手にミックスジュースみたいにしたのも今は不問。ただ後でちゃんと聴きなさいよ」
謝りなさいよ、ではなく、聴きなさいよ、だった。
「お前結構音楽好きなんだな……」
「そう 普通だと思うけど……あ 思い出した、スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」
踏んだ足を放すなり、瑠真が話題を変えて元気に言う。
指を立てている動作からするに、アンドリューが流しているこの曲のことなのだろう。最初にも知っている曲だと言っていた。
「どういう曲なの」
「童貞っぽい曲」
今度はこっちが勢いで頭を叩く番だった。
「お前もこれ世界に放送されてるつもりで喋れよ」
「いったい。いや、そういう曲なんだってばホントに」
瑠真はくちびるをとがらせ、
「ニルヴァーナってバンドのボーカルが彼女に振られたときの悪口かなんかだよ、曲の由来」
「有名なのか」
「さあ、洋楽だと普通に有名なんじゃない 私は知らないから深弦ちゃんと隼二くんに聞いた」
さっきも思ったが、年上の優等生ペアに対して瑠真は完全に名前呼びだ。
「アンドリューの好きな曲傾向って調べればわかる。世界大会で出してきそうなのっていうと、会場ウケ的にももっと絞られてくる。だからヤマ張ってたんだよ。ぶっちゃけ、曲がわかったところで対戦相手的にあんまりやることは変わんないけど」
「そうなのか」
望夢は目をしばたく。歌で戦う、というと思い浮かぶのはやはり帆村莉梨だったのだ。莉梨は歌の内容と紐づけた異能を使うから、曲を識別できるに越したことはない。アンドリューは変わらないのか。
「うん。アイツがやるのはただ好きな曲を流すだけ。こっちは勝手にるけど、撹乱され方にそんなに違いはない││」
瑠真が身振り手振りを交えてそう言ったとき、
「││そうだね。アンディはただみんなに好きな曲を聴いてほしいんだ」
ふいに違う少女の声が割り込んだ。
反射的にそちらに顔を向ける。そこには金髪カチューシャの少女がいた。シオン。
「おい、今試合止まってるだろ」
望夢が思わず身構えて声をあげると、シオンは「当たり前じゃん」と目を丸くした。
「だから話せるかなって思って来たんだよ。アンディのこと詳しいみたいだね」
「この子日本語話せるの 知り合い」
瑠真は怪訝な顔をした。ペアはシオンとはまだ話していなかったらしい。
望夢は内心、なぜシオンは自分にばかりと思いながら瑠真に向かって頷いて、それからまたシオンに向き直る。
「自分のチームの解説してくれるとは親切だな」
相手はつんと顎をあげた。
「あたりまえのこと言うけど、解説したとこで負けないからね。それにワタシたちは世界で有名だよ。きみたちが知らないのはただ不勉強なだけで、そのまま倒したって試合的につまらないし」
「……」
それは言えている。何度も繰り返すがこの試合は世界放送だ。
「アンディもそんな態度で聴かれたってつまんないだろうしね」
話がアンドリューに戻り、望夢は苦い顔をした。
「デバフに使われて、いい気持ちで音楽聴く奴いないと思うけど……」
「あは、デバフだって。それはつまり、きみは音楽に興味がない、ってことだよ」
シオンは首を傾げて笑った。望夢はむっと眉根を寄せる。瑠真も撹乱と言っていた。音楽に意識を取られて戦えないのは十分にデバフだと思うが。
「ワタシもアンディの曲の趣味には詳しくないけど、好きな人はすっごく好きなんだよ。アンディもそう」
「そりゃ、有名な曲はそうだろ……」
「アンディは、自分の好きな曲をただ、自分の思うように聴かせて、それを周りの人が受け取ってるの。アンディの想像が聴き手の感覚になる。だけど得る感情まで強要するのは無粋だから、そこには手を触れない。アメリカチームの子たちの中でも感想は違うよ。モニカはわかんないって言ってたけど、嫌いじゃなさそうだった。ドミニクは趣味が違うって言ってた。シルヴェスタは結構好きみたいだね、初めて模擬戦したときから喜んでた」
シオンは一人ひとりを示すように虚空に指を立てる。感情は強要しない��という言葉に少し含みを感じた。多分、感情の共有を軸にするヒイラギ会のやり方への当てこすりなのだろう。
「シルヴェスタはもともと自分で戦うほうはそれほど強くないのだけど、その模擬戦のときは積極的に飛び出してたの。わかる 好きな人なら、あれ聴いてすごい高揚するってこと。バフって思う人もいるんじゃない」
「高揚させられて普段通りに戦えないなら、それはやっぱりデバフじゃないか」
「お固いなぁ、まあそれでもいいか」
シオンは眉尻と一緒に手を下げた。
「こっちから楽しめって言うのもヘンだしね。ちなみにシオンはわかんなかったクチ」
説教しつつもシオンも同好の士ではないらしい。そこまで話したところでアンドリューが戻ってきて、身振り手振りでシオンに何か言う。
「おっと、そろそろはじまるみたい」
シオンはぺろりと舌を出した。
「じゃあ、最後までよろしくね」
元来た地形の隙間にシオンは身を隠す。望夢も壁に張り付いて息を整え、銃を構え直した。瑠真が顔を突き出してくる。「どこで仲良くなったのよ、アメリカ代表と」「さぁ……」話しかけてきたのは最初から向こうだ。
「あ、始まる前にあと、次アンドリューが同じことしてきたら私のiPod使うの禁止ね」
「いいけど、俺は解除できるけどお前どうするの」
「乗る」
瑠真は断言した。
「ん」
「話聞いてたでしょ こっちも乗ればバフになるんだって。私そのために予習してたんだから。知ってる曲のほうがライブはアガる」
ペアがよくわからない自信で言い切った瞬間に、再び試合開始のブザーが鳴った。
シオンが引っ込んだその場所から飛び出してくる。休憩中に自分で自分の位置を堂々と知らせていたことになるが、そのまま全く躊躇がなかった。さっきよりアップテンポなロックが遅れて掛かり始める。瑠真が少し笑って目を閉じ、入れ替わるように音の鳴る方向へ飛び出した。打ち合わせを無視して、明らかにアンドリューがいる方向だった。すでに「乗せられて」いるのだろうか。
望夢には理解しがたいが、ペアがそう言うなら止めるほどのことではない。望夢はちらりと横に視線を向けてからシオンに向き直った。
シオンは目が合うと同時に含み笑いする。
シオンが即座に銃を取り出して撃つ。引っ込んでやり過ごし、レーザーが途切れたすきに返す刀でこちらも銃口を向ける。
「あれ」
そのときシオンは気がついたら目の前にいた。「おっと」距離の測り方を間違えていたらしい。アンドリューのデバフのせいで、音楽のテンポに狂わされでもしたか いや、そちらの解析はさっき済んでいる。
「よっ」
シオンがウィンク、間近から狙ってくる。望夢は思わず直接腕をあげてレーザーを防いだ。本物の熱線ならともかく協会式光術ベースの銃だ、怪我はしない。
協会式光術。
腕をあげたことでこちらからの狙いは完全に逸れてしまい、シオンが角度を変えて狙ってくる。望夢はよろめきながらシオンを正視した。──微妙な違和感。
そうか。
捉えた。即座に解除式を叩き込む。
「あっ」
シオンが『思っていたのと少し違う場所で』目を輝かせた。やっぱり。シオンは敢えてこちらに錯視を仕掛けていたらしい。
距離感も狂って当然だ。シオンの路地裏や開会式のダンスを思い出す。彼女は光を操る。それは協会式の象徴としての華やかなものももちろん、光の屈折や反射も守備範囲なのだ、おそらく。こちらの目に映る光を捻じ曲げて距離感や角度を狂わせていたのだろう。
「ねえねえ、ノゾムのそれ、どうなってるの」
一度距離を取り直しながらシオンが無邪気に聞く。無言。答える義理はない。いつの間にか名前を覚えられていたらしい、ついに補欠から本番に出たのだからその際か。なんにせよシオンが見た目に華やかなだけでなく、小手先の小賢しい工夫をしてくるのであれば望夢はそちらのほうが相手として向いている。
「やっぱり黙る。つまんないの。シオンは教えたのに」
少女はくすくすと笑う。
「きみの話、聞きたくて教えたのになぁ」
「なんでもいいだろ」
「よくないよ」
シオンは妙に落ち着いた声で答える。望夢はふと違和感を抱いて銃を下ろした。……シオンも完全に銃を下ろしている。
──それはなんのためのパフォーマンスなのか。そこはかとなく、嫌な予感がした。
試合の前に感じた予感とどこか通じていた。そして思い出していた。最初に路地裏でシオンと会ったとき、彼女の足音に感じた陰のことを。
「アンディがなんて言ってタイムを取ったか、教えてあげようか」
今のシオンの声は空間に響く、きれいな声だ。そう感じた理由を考える。……人に聞かれる前提で話す少女だ。彼女はアメリカの星だから。
この試合は、全国放送だから。
「不思議だなあ」
少女の碧眼が、美しく空を映していた。
「君達は、八式にはない技術を使っているみたいだ」
その碧い瞳が、細められた。
「は」
完全に、望夢は硬直する。彼女の言うことは事実だ。望夢の異能は協会式ではない。異能の打ち消しは八式で一般的ではないのは確かだろう。でも、協会式を逆算しているだけで、それほど目立つことをしているつもりはない。そういう応用なんだね、で済む範囲のはずだ。
何故それを、今さら言うのだ 脳が警鐘を鳴らす。シオンの次の言葉には、何かがある。
「いつから協会の所属者を名乗ってるの 『ヒイラギ会さん』」
バタンバタンバタンと、連続で得点板が落ちる音がした。同時に景色が変わった。視界の外でアンドリューか瑠真かがフィールドカードを使い、発生キャンセルゴースト分の点が入ったのだ。周囲は岩場と水辺に変わっていた。
望夢はその瞬間に全てを理解した。
この大会が公平な競い合いだと思ったのがそもそもの間違いだった。
これは──この蜜を孕んだ巨大なリンゴは、『日本の』協会をつるし上げるための罠だったのだ。
×××
「どういうこと」
現行ヒイラギ会のリーダーのくせに、力関係や陰謀といった面をほとんど理解していない赤髪の少女がこてんと首を傾げた。
『あーあ、こうなると想ってたから止めたかったのに』
一方で理解した口調で頬杖をついている、少年の姿もある。ただしその口調はどこか電子音のケロケロした響きだ。また身体も透けている。なぜなら彼は電子媒体で意思疎通できるように再現された幽霊だからだ。
『つまりこういうことだ。アメリカチームは最初から日本を嵌めて、そのつもりでこの大会を持ちかけたんだよ』
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【JWST M57 環状星雲】ウェッブ宇宙望遠鏡の驚異的な眺め!宇宙の眼を見つめる鮮やかな「こと座」惑星状星雲
⭐️環状星雲「M57」ってなんですか?⭐️
環状星雲M57は、私たちからとても遠くにある、カラフルな宇宙のドーナツのようなものです。それを見ると、リングのような丸い形が見えます。だからリング星雲とも呼ばれています。しかし、このドーナツは私たちが食べるおいしいドーナツとは違い、ガスときれいな光でできています。この天体が特別なのは、私たちが夜に見る大きくて明るい星とは違うからだ。
このドーナツは、昔は明るい星だったのですが、星が古くなってガスが吹き出した形なのです。ドーナツの真ん中には、輝く小さな星の残りカスがあります。残りカスといっても超小型で本当に熱いのだ。
ドーナツの中の光は虹の色のようだ!このドーナツを見るのに、超ド級の望遠鏡は必要ない。手のひらほどの大きさの望遠鏡でも、丸い形を見ることができる。もう少し大きな望遠鏡を使えば、円を引き伸ばしたような形に見え、少し大きな望遠鏡を使えば、真ん中に少し暗い点が見えることさえある。本当に大きな望遠鏡があれば、真ん中の小さな明るい星を見せることができる。
特殊なカメラではドーナツリングの写真を撮ることができ、その写真にはさらに多くの色を写しだすことができる。まるでドーナツが、内側と外側で色合いの違うカラフルなドレスを着ているようだ!
今度、夜空を見上げるときは、遠くにドーナツがあることを思い出してください。 ドーナツは、夏の大三角のこと座にあるから簡単に見つけることができるんだ!
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リング状に見えることで超有名な惑星状星雲「M57」の全容が明らかになろうとしています。わたしたちの太陽がその役目を終える未来の姿を見ているとも言われています。ウェッブ宇宙望遠鏡は、その元の中心星が何であるのか?どのようにして驚異的な複雑な星雲を形作ったのか?詳細な解明に乗り出しました!
さきに公開された近赤外線画像に加え、中間赤外線装置「MIRI」による星雲マジックをどうぞご覧ください!
また、ウェッブによる5つの初フルカラー画像で公開された南のリング星雲「サザンリング星雲」の中心星の最新研究情報もご紹介しています。
▼南のリング星雲はこちらから▼ 【JWST 本格始動】ウェッブ初のフルカラー画像公開:サザンリング星雲特集 https://youtu.be/v0iN5hG-auw
📝目次📝 --------- 0:00 M57環状星雲とは 0:50 南のリング星雲の比較 1:26 ウェッブ近赤外線で見たM57 2:50 元の中心星とは 4:00 中間赤外線装置で見たM57 5:05 M57の3D立体構造 6:27 サザンリング星雲の追跡観測 8:30 ガイア衛星データの中心星 9:00 サザンリング星雲の5つの中心星 12:00 総まとめ 12:40 M57の中心9連星シミュレーション
どうぞ、最後までお楽しみください。
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日々の星空ライフを充実したものに。 今後、人類のさらなる宇宙への挑戦を見守っていきましょう。
📣割愛・こぼれ話📣 ------------------ ▼まとめると、これらはM57や環状星雲と呼ばれる特定の惑星状星雲に関するものです。 カタログや観測者によって、同じ天体を指すのに異なる名前が使われています。
●M 57 リング星雲としても知られるM 57は、こと座にある惑星状星雲である。 「M」はメシエ(Messier)の略で、フランスの天文学者シャルル・メシエが編纂した天体リスト「メシエ・カタログ」のこと。57という数字は、カタログでの番号を示しています。
●ドーナツ星雲 M57環状星雲の別名。中央に空洞のある丸いリング状の構造で、ドーナツや煙の輪に似ていることから、この名がついた。
●NGC 6720 M57としても知られる環状星雲の NGC (New General Catalog) 名称である。NGCカタログは、天文学者によって観測され、カタログ化された様々な天体をまとめたものである。
●惑星状星雲 赤色巨星から放出された電離ガスの殻が膨張したもの。名前とは裏腹に、惑星とは何の関係もない。「惑星」という言葉は、初期の望遠鏡による観測で、遠くの惑星と大きさが多少似ているように見えたことから生まれたが、両者はまったく別の天体である。
●環状星雲 M57またはNGC 6720として指定されている星雲の通称。この名前は、中心核を囲む明るいリングや円形の構造として見えることに由来する。中心核は、星雲を形成するために外層を脱ぎ捨てた星の残骸である。
●リング星雲 円形またはリング状の外観を持つ星雲を指す一般的な表現である。特定の天体を指すものではありません。M57や環状星雲など、より具体的で、それらの特徴を持つ個々の星雲を特定するために使わ���ます。
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📘資料・出典📘 -------------- ・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ・天文学辞典:天体に関する用語を3,000語以上収録・解説。 https://astro-dic.jp/ 【公式】公衆のためのWebbホーム https://webbtelescope.org/ 【公式】ハッブル宇宙望遠鏡ホーム https://hubblesite.org/home 【公式】ガイア衛星ホーム https://www.cosmos.esa.int/web/gaia JWSTがとらえたリング星雲 - アストロアーツ https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13153_ring
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ウィーンの空港で書いた下書が消えたー。。。ということで、ハンガリーから無事、帰国しました。友人夫妻には甘やかされまくり、多分、かなりデブになって帰国です。貴腐ワインで有名なトカイ地方(Tokaj)地方へも、Editの運転で、1泊2日の小旅行で、連れて行ってもらいました。そこで、ワイン評論家のEditさんオススメのワイナリーを訪ねて、ワインになる前のブドウを食べ放題で食べ尽くす。
ハンガリーの7区に暮らすEditさん夫妻は、定めし赤坂に住んでいるような感じ。全ての観光地に徒歩20分以内で行けます。ヨーロッパ最大のシナゴーグや、世界三大オペラハウスの一つや、バシリカにまで行きましたが、ブダ城とドナウ川下りなどせず、リストとバルトークの名を冠した音楽学校の側で、下手くそだなーなどと笑いながら音楽を聞いていたり、リストホールでラジオ放送用に収録していた四重奏を聞いたり。
市内でのハイライトは、リストホールの近くで偶然見つけた本家パガニーニで、おじいちゃんの代からバイオリン製作とリペアをしているRacz Palさんの工房で、弱音器を買い求めただけだったはずなのに、Palさんの勧めるままに、彼の製作したストラディバリウスのコピー作品、弦の元の部分や、一個一個の調音キーにまで彫刻が施してあった!、を始め、様々な楽器の試し弾きをさせてみらった。結局、Palも私も、そう思ったのだが、私はイタリア楽器と相性が良く、それも、Palが扱っている楽器で一番高い楽器が、私と良く歌う。弓はフレンチ。やっぱり、イタリア楽器にはフレンチボーだ。Palが作った楽器は少し、製作者本人に似て、取っつきは癖があるのに、慣れると、慣れすぎて、楽器としての面白みが急に欠ける。御しにくそうなのに、御しやすい楽器。
イタリアの子は、ブダペストオケのコンサートマスターが生前御愛用のソロ用バイオリンで、4弦のバランスといい、響きといい素晴らしいが、Sdeltiの繊細さは無く、大きく、男のバイオリンって感じ。Palを信用して、遺族が、楽器に相応しい方が出るまで売らないでほしい、という遺言を守って、店に展示してあるらしいが、Palのお眼鏡にかかる演奏家は少ないとの事。やっぱり私は、手が小さいし、もっと繊細な音を好むのか、Sdeltiが懐かしい。
Palは、4歳からバイオリンを弾く。私が試し弾きする曲を、全て言い当てるのには、舌を巻いた。Bartokの一節を弾いただけで、直ぐに、あーバルトーク、と呟く。ワシはド緊張。色々な楽器を渡されるままに引き、何かの試験を受けていたようだ。60代後半か70代前半位だろうか。Palさんは、仕切りにお昼を食べようと誘ってくれたが、Editママとのお約束があるので泣く泣く帰宅した。Palは、別れ際に、このバイオリンを引きこなしたのは、あの亡くなったコンサートマ���ターと、次にお前だ。日本に送ることもできるからな!と、ウィンクしながら念押ししてくれた。
ハンブルグでは音楽才能玉砕だったが、ブダペストで、Palに絶賛されて、そのほうが、つまり、音楽をファッションとしてではなく、生活の糧でありながら、こよなく愛する人に絶賛された事が嬉しい。Birsen先生を思う。先生も多分、この店に足を運んでいただろう。7区はお金持ちユダヤ人地区だったし、Palのおじいちゃんの代からあるのなら、Birsen先生は、Palを知らないとしても、Palのお父さんは絶対に知っていたはずだ。泣ける。Palは知らないかもしれないが、Palのお父さんとBirsen先生を介して、Palと私は、実に心楽しい豊かな一時を共に過ごした。神に感謝。Birsen先生の作っていた料理は、グーラッシュだったんだなぁとも実感。先生の、my dear little Maki! と言いながら、大きなお腹で抱きしめてくれる、あの優しく温かく大きな手を。。。あの日が先生に抱きしめて貰える最後の機会だと知っていたら、私は先生から離れられ無かっただろう。だからきっと、あの時の私は、知らなくて良かったんだ。
どんなバイオリンとも、すぐ心を通わせられるのが、本当のviolinist,マキはfiddlerじゃなくて、violinistになりなさいと。楽器と心を通わせられるから、人の心をも動かす音楽が奏でられるかもしれない。そんな音楽家を、先生、私は目指していました。そして、そうなれるようになるためには、人間性の成長が必要とも会得しています。先生、私の音楽は、天の貴方の心を打てるようになっていますでしょうか。先生がくれた愛情、厳しい優しさは、一生の宝物です。だから、また、いつかPalに会いに行こうっと。。。
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