#妊娠後期
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europiumoooon · 5 months ago
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何年か前私はここでインスタントオナニーの話をした。名前の通り手っ取り早い自慰行為なんだけど、今はその逆でタイパより丁寧さに最近力を入れている。手っ取り早くしすぎたせいで、慣れもあったし、なんせ、行為自体早く終わらせなきゃ悪、みたいな思いが勝手に付いてきていた。セックスレスにも繋がるけど、慣れと手っ取り早さを行為に当て嵌めてはいけない。
最近読み始めた本がある。アンソロジー本で『私の身体を生きる』各著者の性や身体に関することがエッセイとして書かれている。私の知らない部分を見入っては圧巻というか関心というか。20代後半になって性に関することで悩んだり通院することになったり三大欲求であると共に切るに切り離せないものだと思っているので、これを機に振り返ってみようと思う。
私の初体験は知らない男だった。知らないというのは素性をそこまで知らずインターネットで知り合った男だった。私は16、向こうは32。家の縛りや慣習に辟易として早く捨ててしまいたいと思っていた。初めて行ったラブホテルは部屋になぜか自転車が置いてあったので今でも印象に残っている。わからないなりに咥えたり喘いでみたりしたけど挿入時は痛みがあった。出血はしなかったことに安心した。その後、大学進学のための上京で欲が爆発した。行為が好きだった、裏にはいつと贖罪があった。好きにさせてしまった、と思えば身体を差し出して許しを乞うてみたり、可哀想だから、と頭ひとつ出て相手を見下している部分もあった。そんな私を知った母親から「私は純潔で父に捧げた」と言われた時は取り戻せない後悔より、だから?と見下していた。
コロナ禍に学生に戻った時なんてTinder無双をした。チンソムなんてしょうもない事もしていた。
欲だから浮き沈みもあって、修論書いていた時は1年間性行為と無縁だった。っていいように書いてみたものの、無双の中で出会った男に無理矢理犯されて痛みと共に下物の色がおかしくなってその時初めて婦人科に行った。M字開脚に放心になりながらも、異形成と知りコルポスコピーも受けた。癌になるかならないかのグレーゾーン判定を受けた時は人生呆気ないかも、と思った。結局なんやかんやで生き延びているし、最近の定期検診��大丈夫だったので適度に生き抜いていきたい。
再社会人になってからも少し遊んでいたが、ピルを飲み始めたら体調が悪くなった。常に気持ちが悪く、欲もどうでもよくなった。丁度その頃付き合い始めた恋人と燃えあがるような想いと行為だったのに、ピルと具合の悪さが続いて花火のように消化してしまった。ちょっとした興味本位もあったのに、なんだかなぁ。
夜になると欲を消化しないと眠れない日々が続いた。冒頭のようにしていたら、上手く達せられなくて、脚ピンの良くない体位でどうにか、を繰り返した。パブロフの犬。
夫婦間のレスの投稿をXかnoteかはてなで読んだ。行為が嬉しさだと気付いたような文を読んだ時は、幸せの先の嬉しさか、嬉しさゆえの幸せか鶏卵になった。
飲み会や日常で聞く下ネタに嫌悪を抱いている。どうでもええわ。が核心。勝手に私の知らないところで勝手にどうにかしてください。奥ゆかしさこそみたいなものもある気がする。(知らんがな)
29にして常日頃将来を見つめ直し思い悩んでいる。性もそう。このままじゃと思って伝えたけど、家族になり過ぎる前に妊娠出産を得ないと安寧に縋ってしまうかもしれないと自分自身で思う。この脅迫概念に近しいものは、時期やイベントが過ぎれば呆気なかったなと思うかもしれない。わからないが故に時間と共に杞憂して焦っている。女故の性に囚われてしまっている。
消費期限と揶揄されることがあり、焦るにせよみないにせよ人生80年、100年ある中でなんたる微々たるものよ。
私の性は自分のものでいたいけど、世間的にといい家族といいレールに敷かれる上でぞんざいに扱われている気がする。
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ari0921 · 2 months ago
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和七年(2025年)2月23日(天皇誕生日)弐
       通巻第8666号 
 ペンタゴン高官五人を解任、民間業者5400人解雇
  チェーンソーのごとく、無駄の削減に伐採音が鳴り響く米国
*************************
トランプ大統領が言い放った。「ゼレンスキーにはうんざりだ。バイデンの三年間、かれは何をしていたというのだ?」。彼の支持率は4%しかない」
ウクライナは米国の要求した鉱物資源開発権を拒否から承認へと立場をかえた。マスクが「それならスターリンクの提供をやめる」と条件をつけたらしい。
またウクライナのポロシェンコ前大統領は選挙を「10月26日におこなう」とした。なぜ10月26日なのかの根拠は示されないが、ウクライナの選挙の難題は海外にいる数百万の有権者をいかに投票に繋げるかということだろう。英誌『エコノミスト』が「もし、いまウクライナで大統領選挙が行われたら、ザルジニー前司令官が65%の票を集める」と予想したという情報がある。
さてトランプは、統幕本部議長のチャールズ・ブラウン(黒人二番目の大将だった)の解任を発表し、ダン・ケイン退役空軍中将を後任に指名した。
さらに「『ミラー派』に繋がる高官五人をつづけて解任する」とした。リザ・フランテッツテ(女性初の海軍作戦本部長)、ジム・スライフェ(空軍司令)などがリストにのぼっている。またペンタゴンと契約企業の5400人を解雇した。
すでに1月28日、ピート・ヘグセス国防長官は、反トランプのミリーを要人警護の対象から外し、機密情報へのアクセス権限を取り消した。そればかりかミリーの在任中の行動などを調査するよう指示した。
前日にヘグセスはブラウンとあったばかりだった。ペンタゴンの高官らの解任理由は「軍の効率化、戦える軍隊の再建」だが、ミリー前統幕本部長は、トランプを「ファシスト」呼ばわりし、軍内のWOKEに関心が深く、またDEI政策を進めた。つまりトランスジェンダーも入隊させ、アフガニスタンで��無様な撤退を演じた。
潜水艦に乗り込んだ女性兵士は帰還時に多くが妊娠していたり、戦闘現場に女性兵士を送り込むと能率が下がった。あまりのことに、白人の軍人家庭は三代続けて軍人になったが、孫たちを軍に就職させない現象がおきた。能力ではなくWOKEの理解派、DEIが出世の基準となったため、黒人という理由で能力がある白人軍人たちを飛び越えて昇進した。バイデンのDEI政策の狂気とも云われたが、民主党政権の軍認識はそのていどのものだった。
アメリカの多くの有権者はドラスティックな改革を望んでいる。うんざりしたのは「コメディアンではそこそこ成功しただけのゼレンスキー」(トランプ)ばかりではなく民主党の腐敗した執行部だった。トランプは公約したことを実行しているだけである。
ジョン・ダン・ケイン新統幕本部長は、F16のパイロット出身で退役空軍中将。2021年からCIA軍事担当副局長を務めた。それまでにも国防次官補(調達・維持担当)の特別アクセスプログラム中央事務所長、現役時代は統合タスクフォース「生来の決意作戦」の副司令官だった。
ケインはバージニア軍事大学を卒業し、経済学の学士号を取得している。
 面白い世論調査がある。
 YOUGOVという世論調査期間が5000人のアメリカ人に聞いた。トランプとゼレンスキーと、そしてプーチンと誰が『独裁者ですか?』
 
 平均的な回答
 ゼレンスキーが独裁者  22%
 トランプ        41
 プーチン        71
 民主党支持者に絞り込むと
 ゼレンスキー      15%
 トランプ        68
 プーチン        83
 共和党支持者はまるっきり逆で
 ゼレンスキー     33%
 トランプ       11
 プーチン       68
 さてどちらが独裁者かというのは判定基準によるだろう。
 トランプは正式に選挙で選ばれたが、たとえ大統領命令をだしても、一方的に高官を指名しても議会が反対すれば成立しない。軍をかってに動かすわけにも行かず、州兵動員も州法の改正もアンタッチャブル。大統領権限の埒外である。トランプを批判するメディアは健在で表現、報道の自由は確保されている。
 他方、ゼレンスキーは選挙の洗礼を受けていない。かれを批判するメディアはウクライナに存在しないし、野党は11の政党が解散を命じられている。このように最低の民主主義の判断基準から言ってもトランプが独裁者という事実はない。左翼の情報操作ということが分かる。
 ▼土産はチェーンソーだった
ヴァンス副大統領は���守政治行動会議(CPAC)で次の演説を行った。
「若い男性への私のメッセージは、男性だから、冗談を言うのが好きだから、友達とビールを飲むのが好きだから、あるいは競争心が強いからという理由で、あなたは『悪人』だという(面妖な)メッセージを、この壊れた文化から受け取らないようにすることです。文化的なメッセージは、男性であろうと女性であろうと、すべての人を同じように考え、同じように話し、同じように行動する両性具有の愚か者に変えようとします。私たちは、神が男性と女性とを目的を持って創造したと考えています。皆さんが若い男性として、若い女性として成長することを望んで
います。そして、私たちは公共政策を通じてそれを可能にするよう支援します」
大統領選挙では若い男性(18歳から29歳)の49%、男性全体で54%がトランプに投票した。
 恒例の「保守政治行動会議(CPAC)」に登壇したのは副大統領のほかにスティーブ・バノン、イーロン・マスク、ゲストがアルゼンチンのミレイ大統領だった。ミレイは「おみやげ」と言ってマスクにチェーンソーを贈呈した。「斬って斬って斬りまくれ」というわけだ。。
そして斬りまくっている。最初に手をつけたのはUSAID、ついで教育省の幹部55名、この勢いはさらに増した。連邦政府機関のすべての部署に設置されたDEI関連ポスト閉鎖である。すっきりした。
 起業家のイーロン・マスクが率いる政府効率化省(DOGE)のもと、各省庁で政府職員の解雇が進み、波紋が広がっている。
 国防総省は声明で、「効率性を高め、大統領の優先事項と部隊の即応性の回復に再び焦点をあてるため、職員を5~8%減らす」と述べた。
 現在、連邦政府の7万5000人が退職勧告に応募している。
 女性報道官は27歳の才媛キャロライン・リビット女史。CPACに登壇して若い女性に「夢を捨てず自分を信じることが大事」と語りかけた。
 「トランプ大統領が作り上げた素晴らしい内閣を見てください。アイデンティティ政治には関心がありませんが、大統領は米国史上初の女性首席補佐官スージー・ワイルズ氏を任命し、農務長官にはブルック・ロリンズ氏が就任しました。内閣全体を見渡してください。素晴らしい女性がいます。教育省を率いるリンダ・マクマホン氏など、女性の閣僚リストは尽きません。」
 意気消沈の民主党は牙城がカリフォルニア州だが、ロス���火の責任問題が議論されたロスでは、2月23日になってバス市長はレスビアンの消防局長を解任した。バス市長自身は、当日南アフリカへ訪問に出かけていたが、その責任を転嫁するかたちとなった。
左翼メディアも意気消沈している。このトランプ改革の勢い、どこまで続くか?
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apothecaryscript · 3 months ago
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The Apothecary Diaries Season 2 Episode 1 (Ep.25 in total) : Maomao and Maomao / 薬屋のひとりごと 第2期 第1話(通算第25話)『猫猫と毛毛(マオマオとマオマオ/Maomao to Maomao)』
男「これ本当か?」
Otoko “Kore hontoka?”
Man “Is this authentic?”
妓女(ぎじょ)「フフフ…」
Gijo “Fufufu…”
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梅梅(メイメイ)「フフフ」
Meimei “Fufufu.”
やり手婆「ヘ~ッヘッヘッヘッヘ」
Yarite-Babaa “Heehhehhehhehhe.”
白鈴(パイリン)「なぁに?おばば、この量」
Pairin “Naani? Obaba, kono ryo.”
Pairin “What is this huge pile, Granny?”
女華(ジョカ)「猫猫からの注文らしい」
Joka “Maomao-karano chumon-rashii.”
Joka “Maomao ordered it, apparently.”
白鈴「またぁ?」
Pairin “Mataa?”
Pairin “Again?”
やり手婆「いい稼ぎになりそうだ。言われた通りに届けてやってくれ」
Yarite-Babaa “Ii kasegini narisoda. Iwareta-toorini todokete yatte-kure.”
Madam “This’ll be a good business. Just deliver it like you’re told.”
右叫(ウキョウ)「わかりました」
Ukyo “Wakari-mashita.”
Ukyo “Understood.”
―――――――――――――――――――――――――――――――
壬氏「綺麗ですね」
Jinshi “Kirei-desune.”
Jinshi “They’re beautiful.”
梨花妃「部屋に飾ろうと思って」
Rifa-hi “Heyani kazaroto omotte.”
Concubine Lihua “I’m thinking of keeping some in my room.”
壬氏「お変わりないですか」
Jinshi “Okawari-nai desuka.”
Jinshi “Is everything going well?”
里樹妃「あっ、はい…」
Rīshu-hi “A, hai…”
Concubine Lishu “Y-Yes.”
壬氏「園遊会の後、子昌(シショウ)殿から侍女の増員を打診された」
Jinshi “En’yu-kaino ato, Shisho-dono-kara jijono zoin’o dashin-sareta.”
Jinshi “After the garden party, Master Shishou did ask for more ladies-in-waiting for her.”
高順(ガオシュン)「ですが、この人数は…」
Gaoshun “Desuga, kono ninzuwa…”
Gaoshun “This seems like far too many, though…”
壬氏「ああ。これでは、他の夫人たちの矜持(きょうじ)が保てないな」
JInshi “Aa. Kore-dewa, hokano fujin-tachino kyojiga tamote-naina.”
Jinshi “Yes. It’s not a good look for the other ladies.”
壬氏「ごきげんよう。楼蘭妃」
Jinshi “Gokigen-yo. Roran-hi.”
Jinshi “Greetings, Concubine Loulan.”
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鈴麗公主(リンリーひめ)「あう~あ~あう~、うい~、ウフッ…。ハハッ、う~、あ~」
Rinrī-hime “Auuu aaa auu, uii, ufu… Haha, uuu, aaa.”
玉葉(ギョクヨウ)妃「あら?何かお探し?」
Gyokuyo-hi “Ara? Nanika osagashi?”
Concubine Gyokuyou “Oh? Looking for something?”
壬氏「あぁ…いえ」
Jinshi “Aa…Ie.”
Jinshi “Oh, no.”
玉葉妃「猫猫なら医局に行ったわ」
Gyokuyo-hi “Maomao-nara ikyokuni ittawa.”
Concubine Gyokuyou “Maomao is at the clinic.”
玉葉妃「フフフ…春よねぇ…」
Gyokuyo-hi “Fufufu…Haru-yonee…”
Concubine Gyokuyou “It really is spring.”
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虞淵(グエン)(やぶ医者)「ふぅ~」
Guen(Yabu-Isha) “Fuuu.”
壬氏「何をやっている?」
Jinshi “Nani’o yatte-iru?”
Jinshi “What are you doing?”
猫猫「何をと言われましても。香油を作っております。医局を掃除していて、蒸留装置を見つけたので。先日、青薔薇(そうび)を作る際に用意した薔薇の余りです」
Maomao “Nani’o-to iware-mashitemo, koyu’o tsukutte-orimasu. Ikyoku’o soji-shite-ite, joryu-sochi’o mitsuketa-node. Senjitsu, ao-sobi’o tsukuru-saini yoi-shita sobino amari desu.”
Maomao “Why do you ask like that? I’m making scented oils. While cleaning up the clinic, I found a still. I’m using some of the blooms left over from the blue roses we grew the other day.”
壬氏「すごい匂いだな」
Jinshi “Sugoi nioi dana.”
Jinshi “The scent is really strong.”
猫猫「野生の薔薇に比べると、薄いですよ。何かご用でしょうか?」
Maomao “Yaseino sobini kuraberuto, usui desuyo. Nanika goyo-deshoka?”
Maomao “It’s still weaker than wild roses. What can I do for you?”
壬氏「これだけ香りが強いと、誰だって気になるだろう。ここでやるのは、さすがに翡翠宮ではやりにくいからか?」
Jinshi “Kore-dake kaoriga tsuyoito, dare-datte kini-naru-daro. Kokode yaru-nowa, sasugani Hisui-Kyu-dewa yari-nikui-karaka?”
Jinshi “Anyone would grow concerned, given such a strong scent. Are you making it here because you can’t do it at the Jade Pavilion?”
猫猫「それもありますが…(小声で)香油の中には子を流す作用を持つものもあります。よほど濃いものでなければ問題ないと思いますが」
Maomao “Soremo ari-masuga…(kogoede)Koyuno naka-niwa ko’o nagasu sayo’o motsu-monomo ari-masu. Yohodo koi-monode nakereba mondai-naito omoi-masuga.”
Maomao “That too, but… Some scented oils can cause miscarriages. It shouldn’t be an issue unless it’s extremely concentrated, but…”
壬氏「では、後宮内で使われている香水などは規制しなくてもいいのか?」
Jinshi “Dewa, kokyu-naide tsuka-warete-iru kosui-nadowa kisei-shinaku-temo ii-noka?”
Jinshi “So, there’s no need to restrict perfumes and things like that in the rear palace?”
猫猫「ええ。問題ないかと」
Maomao “Ee. Mondai-naikato.”
Maomao “Right. It shouldn’t be a problem.”
猫猫(やぶ医者は、人はいいが口が軽い。まだ玉葉妃の妊娠は知らせない方がいい)
Maomao (Yabu-Ishawa, hitowa iiga kuchiga karui. Mada Gyokuyo-hino ninshinwa shirase-nai-hoga ii.)
Maomao (The quack doctor is a nice guy, but can’t keep his mouth shut. He shouldn’t know about Concubine Gyokuyou’s pregnancy yet.)
壬氏「これは?」
Jinshi “Korewa?”
Jinshi “What’s this?”
猫猫「ん?酒を蒸留しています。何度も蒸留させると、濃いアルコールが取れるんです」
Maomao “N? Sake’o joryu-shite-imasu. Nandomo joryu-saseruto, koi arukōruga torerun-desu.”
Maomao “I’m distilling alcohol. By distilling repeatedly, I can create a very strong alcohol.”
壬氏「飲むのか?」
Jinshi “Nomu-noka?”
Jinshi “You’re going to drink this!?”
猫猫「消毒用です。小さな公主のいる翡翠宮は、できるだけ清潔にしておきたいので」
Maomao “Shodoku-yo-desu. Chiisana himeno iru Hisui-Kyuwa, dekiru-dake seiketsuni shite-okitai-node.”
Maomao “It’s for disinfecting. I want the Jade Pavilion to be as clean as possible, since we have a small princess there.”
壬氏「そんなことができる��か」
Jinshi “Sonna kotoga dekiru-noka.”
Jinshi “You can do that?”
猫猫「これを布に染み込ませて、拭き掃除をしたり、使い道はいろいろあります」
Maomao “Kore’o nunoni shimi-koma-sete, fuki-soji’o shitari, tsukai-michiwa iro-iro ari-masu.”
Maomao “You soak a cloth in this, and wipe surfaces, among other things.”
壬氏「よく知っているな」
Jinshi “Yoku shitte-iruna.”
Jinshi “You’re very knowledgeable.”
猫猫「西方(さいほう)では、そう使うと」
Maomao “Saiho-dewa, so tsukau-to.”
Maomao “I heard that’s what they do in the west.”
壬氏「あぁ、確かお前の養父は…」
Jinshi “Aa, tashika omaeno yofuwa…”
Jinshi “Oh, right. Your adoptive father is…”
宦官「お荷物お持ちしました」
Kangan “Onimotsu omochi shima-shita.”
Eunuch “We brought your package.”
猫猫「うわっ!」
Maomao “Uwa!”
高順「何ですか?これは」
Gaoshun “Nan-desuka? Korewa.”
Gaoshun “What is this?”
虞淵(やぶ医者)「ああ、それは嬢ちゃんが…」
Guen(Yabu-Isha) “Aa, sorewa jochanga…”
Guen(Quack Doctor) “Ah, the little lady―”
猫猫「シャ~~~ッ!」
Maomao “Shaaaaaaa!”
虞淵(やぶ医者)「ヒィッ!?」
Guen(Yabu-Isha) “Hii!?”
猫猫「壬氏様、お茶を入れますので、椅子に座っていてください」
Maomao “Jinshi-sama, ocha’o ire-masu-node, isuni suwatte-ite kudasai.”
Maomao “Master Jinshi, I will make some tea. Please have a seat.”
壬氏「何が入ってる?」
Jinshi “Naniga haitteru?”
Jinshi “What’s inside?”
猫猫「うわっ!これは実家からの荷物で、大したものではありませんので」
Maomao “Uwa! Korewa jikka-karano nimotsude, taishita mono-dewa ari-masen-node.”
Maomao “This is a package from my family. It’s nothing, really!”
壬氏「ほう、お前の実家から?」
Jinshi “Ho, omaeno jikka-kara?”
Jinshi “Oh, from your family?”
猫猫(何てヤツだ!)
Maomao (Nante yatsuda!)
Maomao (What’s wrong with this guy!?)
猫猫「し…下着が入っていますので…」
Maomao “Shi…Shitagiga haitte-imasu-node…”
Maomao “Th-There are… undergarments inside.”
壬氏「あっ…そうか…」
Jinshi “A…Soka…”
Jinshi “Oh… I see.”
高順「ですが…男二人がかりで持って来るなんて、この下着は何製でしょうか?」
Gaoshun “Desuga…otoko futari-gakaride motte-kuru-nante, kono shitagiwa nani-sei deshoka?”
Gaoshun “But what are these undergarments made of, if they require two men to carry?”
猫猫「チッ」
Maomao “Chi.”
壬氏「��っ!」
Jinshi “Ha!”
猫猫「後宮で問題なのは、性的に無垢(むく)なことが求められ過ぎていることです。後宮に集められる女官は、生娘(きむすめ)がほとんどです。帝のお眼鏡にかなったとして、無知なために粗相があったりしたら、不憫(ふびん)でなりません。事前に学習する必要があるかと」
Maomao “Kokyude mondai-nanowa, sei-tekini mukuna kotoga motome-rare-sugite-iru-koto desu. Kokyuni atsume-rareru nyokanwa, kimusumega hotondo desu. Mikadono omeganeni kanatta-to-shite, muchina tameni sosoga attari-shitara, fubinde nari-masen. Jizenni gakushu-suru hitsuyoga aru-kato.”
Maomao “The problem with the rear palace is that the women are expected to be excessively innocent in matters of sex. Most of the ladies-in-waiting gathered here are virgins. What if the emperor finds a girl to his liking, only to have her fail to perform due to her ignorance? That’s why I thought they need to be educated beforehand.”
壬氏「だから、こんなものを用意したと?」
Jinshi “Dakara, konna mono’o yoi-shita-to?”
Jinshi “So… you had these brought in?”
猫猫(何の書物かと言えば、あれである、あれ。せっかく紅娘(ホンニャン)様にバレないよう医局に届けてもらったのに。愛読する帝のために取り寄せていたものを、少しばかり販路を増やそうと多めに頼んだのだが、間が悪かったか…。…ん?え?)
Maomao (Nanno shomotsu-kato ieba, arede aru, are. Sekkaku Hon’nyan-samani bare-nai-yo ikyokuni todokete-moratta-noni. Aidoku-suru mikadono tameni tori-yosete-ita-mono’o, sukoshi-bakari hanro’o fuyasoto oomeni tanondano-daga, maga waru-kattaka… …N? E?)
Maomao (Books, like the ones from back then. You know, then. After all the work I did to get them delivered to the clinic, out of Lady Hongniang’s sight… I used to order them for the emperor, who loves these, but I increased the order to get more business. Bad timing, though.)
高順「これは…随分綺麗に作られていますね。いい紙を使っています」
Gaoshun “Korewa…zuibun kireini tsuku-rarete-imasune. Ii kami’o tsukatte-imasu.”
Gaoshun “These books… are very well made. The paper is of high quality.”
猫猫(そこか…。実はむっつりなのかと思った)
Maomao (Sokoka… Jitsuwa muttsuri-nanokato omotta.)
Maomao (That’s what he noticed? I thought maybe he was a closet pervert.)
猫猫「こういう本は嫁入り道具にも使われますし、字が読めずとも絵だけで楽しめるので、需要があるんです」
Maomao “Ko-iu honwa yome-iri-dogu-nimo tsukaware-masushi, jiga yomezu-too e-dakede tanoshi-meru-node, juyoga arun-desu.”
Maomao “These books are sometimes used as part of a new bride’s package, and it’s popular because the pictures are enough to enjoy, even if you can’t read.”
壬氏「版画か」
Jinshi “Hanga-ka.”
Jinshi “A print.”
猫猫「木版画ではなく、金属板を使った印刷だそうです」
Maomao “Mokuhanga-dewa naku, kinzoku-ban’o tsukatta insatsu daso-desu.”
Maomao “Not woodblock prints, but ones that use metal plates.”
壬氏「それはすごいな」
Jinshi “Sorewa sugoina.”
Jinshi “That’s impressive.”
猫猫「はい。せっかくいい品ですので、より多くの方に見ていただくべきかと」
Maomao “Hai. Sekkaku ii shina desu-node, yori ookuno katani mite-itadaku-beki-kato.”
Maomao “Yes. Because it’s so good, I wanted as many people to see it as possible.”
壬氏「それとこれとは話が別だ」
Jinshi “Soreto kore-towa hanashiga betsuda.”
Jinshi “That’s a separate issue.”
高順「お気に召したならば、一冊お納めになっては?」
Gaoshun “Okini-meshita-naraba, issatsu oosameni nattewa?”
Gaoshun “If you find this to your liking, perhaps you should keep one?”
壬氏「いや…そういうわけでは断じてない!(咳払い)まぁ、今回だけは見逃してやらんでもない」
Jinshi “Iya…so-iu wake-dewa danjite nai! (Seki-barai) Maa, konkai-dakewa minogashite-yaran-demo nai.”
Jinshi “N-No! That’s definitely not it! I guess I can let you off the hook this one time.”
猫猫「いいのですか!?」
Maomao “Iino-desuka!?”
Maomao “Really?!”
壬氏「これを販売している店を教えてくれ。…はっ!だから違う!印刷技術を知りたいだけだ!」
Jinshi “Kore’o hanbai shite-iru mise’o oshiete-kure. …Ha! Dakara chigau! Insatsu-gijutsu’o shiritai dakeda!”
Jinshi “Tell me which shop sells these. …No! I just want to know about their printing techniques!”
猫猫「フフ」
Maomao “Fufu.”
壬氏「なっ…」
Jinshi “Na…”
猫猫「ええ、わかっております。店の名前ですね」
Maomao “Ee, wakatte-orimasu. Miseno namae desune.”
Maomao “Yes, of course. The shop, got it.”
壬氏「あぁ…」
Jinshi “Aa…”
高順「小猫(シャオマオ)」
Gaoshun “Shaomao.”
Gaoshun “Xiaomao.”
猫猫「何でしょうか?」
Maomao “Nan-deshoka?”
Maomao “What is it?”
高順「きわどいものについては、検閲の必要があるかと」
Gaoshun “Kiwadoi mononi tsuitewa, ken’etsuno hitsuyoga arukato.”
Gaoshun “Perhaps some of the more explicit ones need to be censored.”
猫猫「ですが、帝が今までのでは物足りないとおっしゃっていたので…」
Maomao “Desuga, mikadoga ima-madeno-dewa mono-tarinai-to osshatte-ita-node…”
Maomao “But the emperor said the previous ones weren’t exciting enough, so―”
高順「ダメです」
Gaoshun “Dame desu.”
Gaoshun “No.”
猫猫(ああ…。せっかく、やり手婆に厳選してもらったのに…)
Maomao (Aa… Sekkaku, Yarite-Babaani gensen-shite-moratta-noni…)
Maomao (Sigh… And after I asked Granny to do all that work to pick the best ones…)
―――――――――――――――――――――――――――――――
小蘭(シャオラン)「ハァ…。ああ、綺麗な花が咲くその下に、私は何を求めるのか…。フフフフ。ねぇ、一体何が埋まってると思う?」
Shaoran “Haa… Aa, kireina hanaga saku sono shitani, watashiwa nani’o motomeru-noka… Fufufufu. Nee, ittai naniga umatteru-to omou?”
Xiaolan “Oh, what is it that I seek, beneath those beautiful flowers? Hey, what do you think is buried there?”
猫猫「う~ん。馬糞(ばふん)?」
Maomao “Uuun. Bafun?”
Maomao “Huh. Manure?”
小蘭「ブフ~~~ッ!」
Shaoran “Bufuuuuuuu!”
猫猫「あ~あ、がっつくから���
Maomao “Aaaa, gattsuku-kara.”
Maomao “You ate too quickly.”
小蘭「猫猫のせいだよ!今、大流行なんだからね、この小説」
Shaoran “Maomaono sei dayo! Ima dai-ryuko nan-dakarane, kono shosetsu.”
Xiaolan “No, it’s your fault! This novel is really popular, you know!”
猫猫「小蘭って文字読めたっけ?」
Maomao “Shaorantte moji yometakke?”
Maomao “Can you read, Xiaolan?”
小蘭「読めないよ!でも読める子がみんなに読み聞かせてくれるの。早く続きを知りたいなぁ!フフフフ…」
Shaoran “Yome-naiyo! Demo yomeru koga minnani yomi-kikasete-kureruno. Hayaku tsuzuki’o shiri-tai-naa! Fufufufu…”
Xiaolan “Nope! But one of the girls who can is reading it out loud for us. I want to know the rest!”
猫猫(文字の読めない下女にまで話が伝わっているということは、相当な人気のようだ)
Maomao (Mojino yome-nai gejoni-made hanashiga tsutawatte-iruto iu-kotowa, sotona ninkino-yoda.)
Maomao (If even the illiterate servant girls know the story, the book must truly be popular.)
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猫猫「戻りました。何です?それ」
Maomao “Modori-mashita. Nan-desu? Sore.”
Maomao “I’m back. What is that?”
貴園(グイエン)「主上様が、妃全員に配られたそうよ。読み終わったら、他の者にも見せてあげるといいって」
Guien “Shujo-samaga, kisaki zen’in-ni kuba-rareta-soyo. Yomi-owattara, hokano mono-nimo misete-ageruto iitte.”
Guiyuan “The emperor handed it out to all of the concubines. He said once they’re done reading it, they should show the others, as well.”
桜花(インファ)「猫猫も読んでみる?」
Infa “Maomaomo yonde-miru?”
Yinghua “Do you want to read it too, Maomao?”
猫猫(小蘭が言ってたのと同じもののようだな…大衆小説か。上流階級ではあまり上品なものとして扱われないのに、どうしてこれを…ん?この印…この間、壬氏様に教えたものだ。小説とはいえ帝からの贈り物にふさわしい品質。それも妃全員に配られたとすれば、100は刷られているはず。恐らく壬氏様が帝に頼んだのだろう。仲介料をもらっておけばよかった…!)
Maomao (Shaoranga itteta-noto onaji monono yodana… Taishu-shosetsu-ka. Joryu-kaikyu-dewa amari johinna mono-to-shite atsuka-ware-nai-noni, doshite kore’o… N? Kono in… Kono-aida, Jinshi-samani oshieta monoda. Shosetsu-towa-ie mikado-karano okuri-mononi fusawashii hinshitsu. Soremo kisaki zen’in-ni kuba-rareta-to sureba, hyakuwa surarete-iru-hazu. Osoraku Jinshi-samaga mikadoni tanondano-daro. Chukai-ryo’o moratte-okeba yokatta…!)
Maomao (Looks like it’s the same as the one Xiaolan talked about. A popular novel. These are considered low class in high society. So I wonder why… Hmm? This stamp… It’s from the place I told Master Jinshi about the other day. It might be a novel, but it’s of a high quality, befitting a gift from the emperor. If he gave it out to all of the concubines, there must be at least one hundred copies. Master Jinshi must have asked the emperor to do it. I should have charged a commission!)
猫猫(しかしなぜだ?品がないとされる小説を、わざわざ育ちのいい妃たちに配る理由…)
Maomao (Shikashi nazeda? Hinga naito sareru shosetsu’o, waza-waza sodachino ii kisaki-tachini kubaru riyu…)
Maomao (But why? Novels are considered lowly. Why hand it out to concubines of noble birth…)
猫猫(政(まつりごと)に関係しているのだろうとは思っていたが、やはり何か企んでいたか)
Maomao (Matsuri-gotoni kankei-shite-iruno-daro-towa omotte-itaga, yahari nanika takurande-itaka.)
Maomao (I knew it had to do with politics. He really was scheming something.)
桜花「あ~ん、もう終わっちゃった!早く続きが読みた~い!」
Infa “Aaan, mo owacchatta! Hayaku tsuzukiga yomitaaai!”
Yinghua “Oh no, I finished it! I want to read the rest!”
貴園「高順様が、新しいのができたらまた配ってくださるって」
Guien “Gaoshun-samaga, atarashii-noga dekitara mata kubatte-kudasarutte.”
Guiyuan “Master Gaoshun said he’ll hand out the next one when they’re ready.”
猫猫「どうしたのですか?」
Maomao “Doshitano-desuka?”
Maomao “Is something wrong?”
愛藍(アイラン)「翡翠宮の侍女って私達だけじゃない?せっかく玉葉様からいただいても、私たちだけで読み終わるのはもったいないなと思って」
Airan “Hisui-Kyuno jijotte watashi-tachi-dakeja nai? Sekkaku Gyokuyo-sama-kara itadaitemo, watashi-tachi-dakede yomi-owaru-nowa mottai-nainato omotte.”
Ailan “Well, we’re the only ladies-in-waiting at the Jade Pavilion, right? It feels like a waste, having a gift from Lady Gyokuyou like this enjoyed by just us.”
桜花「でも、宮の外の子に渡すのはダメよ。大切に扱わないと」
Infa “Demo, miyano sotono koni watasu-nowa dameyo. Taisetsuni atsukawa-naito.”
Yinghua “But we can’t hand it out to the girls outside the pavilion. It’s too precious.”
貴園「なくされちゃうかもしれないし」
Guien “Nakusare-chau-kamo shire-naishi.”
Guiyuan “What if they lost it?”
愛藍「そうよね~」
Airan “Soyoneee.”
Ailan “You’re right.”
猫猫「フフ、この冊子本体を渡さずとも、書き写せばよろしいのではないですか?」
Maomao “Fufu, kono sasshi hontai’o watasazu-tomo, kaki-utsuseba yoroshiino-dewa nai-desuka?”
Maomao “Instead of handing out the originals, you could create copies yourself.”
愛藍「えっ?」
Airan “E?”
猫猫「挿絵などは難しいかと思いますが、愛藍様は字がお綺麗ですので、写すのは問題ないと思いますよ」
Maomao “Sashie-nadowa muzukashii-kato omoi-masuga, Airan-samawa jiga okirei-desu-node, utsusu-nowa mondai-naito omoi-masuyo.”
Maomao “Maybe the pictures are too difficult, but Lady Ailan, your penmanship is excellent. It shouldn’t be a problem for you to make copies.”
愛藍「そ…そうかな…」
Airan “So…Sokana…”
Ailan “Y-You think so?”
桜花「うわ~、そんな面倒なことやるの?」
Infa “Uwaaa, sonna mendona koto yaruno?”
Yinghua “Yikes, that sounds like a lot of work!”
愛藍「桜花、そんなこと言わない」
Airan “Infa, sonna koto iwa-nai.”
Ailan “Yinghua, don’t say that!”
猫猫���壬氏様たちの考えに沿うなら、たぶんこれが正解だろう)
Maomao (Jinshi-sama-tachino kangaeni sou-nara, tabun korega seikai-daro.)
Maomao (This is probably the correct interpretation of Master Jinshi’s idea.)
猫猫(後宮内に書物が出回れば、文字を読もうとする者たちが増える。それが流行りの大衆小説であれば、なおさら。前に壬氏様のお付きの下女をしていた時、聞かれたことがあった)
Maomao (Kokyu-naini shomotsuga demawa-reba, moji’o yomoto suru mono-tachiga fueru. Sorega hayarino taishu-shosetsu-de areba, naosara. Maeni Jinshi-samano otsukino gejo’o shite-ita-toki, kikareta kotoga atta.)
Maomao (If books became popular in the rear palace, many will want to try to learn to read, especially if the book is a popular novel. Back when I was Master Jinshi’s servant, he did ask me…)
壬氏「薬屋。女官の識字率を上げるには、どうすればいいと思う?」
Jinshi “Kusuriya. Nyokan’no shikiji-ritsu’o ageru-niwa, do-sureba iito omou?”
Jinshi “Apothecary, what do you think we can do to improve the literacy rate of the court ladies?”
猫猫(それにしても、回りくどいことをするものだな)
Maomao (Soreni-shitemo, mawari-kudoi koto’o suru-mono-dana.)
Maomao (Still, he chose a very roundabout way of doing it.)
小蘭「ねぇ、猫猫!字を教えて欲しいの!」
Shaoran “Nee, Maomao! Ji’o oshiete-hoshiino!”
Xiaolan “Hey, Maomao! Please teach me how to read and write!”
猫猫「いきなりどうした?」
Maomao “Ikinari doshita?”
Maomao “Where’d that come from?”
小蘭「いつも小説を読んでくれてた子が、何度も読み過ぎちゃって声が枯れちゃったんだ。代わりに本の写しを作ってくれたんだけど、私、字が読めないから���
Shaoran “Itsumo shosetsu’o yonde-kure-teta koga, nandomo yomi-sugi-chatte koega kare-chattanda. Kawarini hon’no utsushi’o tsukutte-kuretan-dakedo, watashi, jiga yomenai-kara.”
Xiaolan “The girl who read the novels out loud for us wore out her voice by reading too much. Instead, she made copies of the books for us, but I can’t read.”
猫猫「なら、私が読もう…」
Maomao “Nara, watashiga yomo…”
Maomao “Then I could read them to you―”
小蘭「それはダメ!せっかく時間かけて書いてくれたのに、私がそんなズルしちゃいけないよ」
Shaoran “Sorewa dame! Sekkaku jikan kakete kaite-kureta-noni, watashiga sonna zuru-shicha ike-naiyo.”
Xiaolan “No! That girl spent so much time making copies for me. I can’t cheat like that.”
猫猫(偉い)
Maomao (Erai.)
Maomao (Good girl.)
小蘭「も~急に何、何~!?」
Shaoran “Mooo kyuni nani, naniii!?”
Xiaolan “Hey, what’s this, all of a sudden?!”
猫猫「これが名前。真似して書いてみて」
Maomao “Korega namae. Mane-shite kaite-mite.”
Maomao “This is your name. Try to write it yourself.”
小蘭「わかった!む~…私の名前って結構難しかったんだね」
Shaoran “Wakatta! Muuu… Watashino namaette kekko muzukashi-kattan-dane.”
Xiaolan “Got it! I didn’t know my name was so complicated.”
猫猫「書いた方が読めるようになるけど、読み方だけ勉強する?」
Maomao “Kaita-hoga yomeru-yoni naru-kedo, yomi-kata-dake benkyo-suru?”
Maomao “Writing helps you learn to read too, but do you want to just focus on reading?”
小蘭「ううん。せっかくだから書けるようになりたい。後宮を出たら自分で仕事を探さなきゃならないし。文字を書けると便利なんでしょ?」
Shaoran “Uun. Sekkaku-dakara kakeru-yoni nari-tai. Kokyu’o detara jibunde shigoto’o sagasa-nakya nara-naishi. Moji’o kakeruto benri-nan-desho?”
Xiaolan “No, I might as well learn to write, too! Once I leave the rear palace, I have to work on my own. Being able to read and write helps, right?”
小蘭「ウフフ…何、何~」
Shaoran “Ufufu…nani, naniii.”
Xiaolan “What is this?!”
猫猫(小蘭なりに、将来のことを考えているようだ)
Maomao (Shaoran-narini, shoraino koto’o kangaete-iru-yoda.)
Maomao (Xiaolan is thinking about her future in her own way.)
猫猫「じゃあ、少し詰め込み気味でいこうか」
Maomao “Jaa, sukoshi tsume-komi-gimide ikoka.”
Maomao “Let’s go a bit quickly, then.”
小蘭「うん、ありがとう!これは何て読むの?」
Shaoran “Un, arigato! Korewa nante yomuno?”
Xiaolan “Yes, thank you! What does this say?”
猫猫「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」
Maomao “Tochukaso.”
Maomao “Mushroom fungus.”
小蘭「じゃあ、これは?」
Shaoran “Jaa, korewa?”
Xiaolan “And this?”
猫猫「曼荼羅華(まんだらけ)」
Maomao “Mandarake.”
Maomao “Thornapple.”
小蘭「これは?」
Shaoran “Korewa?”
Xiaolan “This?”
猫猫「葛根(かっこん)」
Maomao “Kakkon.”
Maomao “Kudzu root.”
小蘭「ねぇ、それって、普段使うような言葉なの?」
Shaoran “Nee, sorette, fudan tsukau-yona kotoba-nano?”
Xiaolan “Hey, are those commonly used words?”
猫猫「まずは挨拶(あいさつ)からね」
Maomao “Mazuwa aisatsu-karane.”
Maomao “We should start with greetings.”
小蘭「そうして」
Shaoran “So-shite.”
Xiaolan “Sounds good.”
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鈴麗公主「あぅ、あぅ、あぅ、あ~う!ウフフフ…!」
Rinrī-hime “Au, au, au, aaau! Ufufufu…!”
猫猫「鈴麗公主のお散歩の許可が下りたんですか」
Maomao “Rinrī-himeno osanpono kyokaga oritan-desuka.”
Maomao “Is Princess Lingli allowed to go on walks now?”
玉葉妃「ええ。そろそろ宮内だけじゃ狭くなってきたから、お伺いしてみたの。もうあちこち走り回るんだから。猫猫、どう思う?」
Gyokuyo-hi “Ee. Soro-soro kunai-dakeja semaku-natte-kita-kara, oukagai shite-mitano. Mo achi-kochi hashiri-mawarun-dakara. Maomao, do omou?”
Concubine Gyokuyou “Yes. The pavilion has become a bit too small for her, so I asked. She really likes to run around all over the place. What do you think, Maomao?”
猫猫「確かに、公主の健康を考えると、外に出る機会を増やした方がいいと思います」
Maomao “Tashikani, himeno kenko’o kangaeruto, sotoni deru kikai’o fuyashita-hoga iito omoi-masu.”
Maomao “I agree. For the princess’s health, it would be best for her to go outside more.”
玉葉妃「護衛として宦官が二人つくけど、紅娘と一緒に猫猫もついていってくれないかしら?」
Gyokuyo-hi “Goei-to-shite kanganga futari tsuku-kedo, Hon’nyan-to isshoni Maomaomo tsuite-itte kurenai kashira?”
Concubine Gyokuyou “Two eunuchs will follow her as guards. Could you and Hongniang accompany her?”
猫猫「わかりました」
Maomao “Wakari-mashita.”
Maomao “Understood.”
猫猫(今まで帝の子は皆、幼くして亡くなっている。たかだか散歩に過保護な気もするが、それも仕方ないだろう)
Maomao (Ima-made mikadono kowa mina, osanaku-shite nakunatte-iru. Taka-daka sanponi kahogona kimo suruga, soremo shikata-nai-daro.)
Maomao (All of the emperor’s previous children have passed away very young. This seems like a bit of an overreaction for a simple walk, but I guess it’s understandable.)
玉葉妃「猫猫は花や生き物に詳しいから、散歩のときに鈴麗に教えてあげてくれる?」
Gyokuyo-hi “Maomaowa hanaya ikimononi kuwashii-kara, sanpono tokini Rinrī-ni oshiete-agete-kureru?”
Concubine Gyokuyou “Maomao, you know a lot about flowers and creatures. Can you teach Lingli while we’re outside?”
紅娘「あっ、玉葉様、それはダメです。ろくでもないものばかり教えます」
Hon’nyan “A, Gyokuyo-sama, sorewa dame-desu. Roku-demo-nai mono-bakari oshie-masu.”
Hongniang “Lady Gyokuyou, no! She’ll teach the princess all sorts of nasty things.”
玉葉妃「あら、役に立つと思うんだけど。将来どこへ嫁ぐか分からないでしょ?」
Gyokuyo-hi “Ara, yakuni tatsuto omoun-dakedo. Shorai doko’e totsugu-ka wakara-nai-desho?”
Concubine Gyokuyou “Oh? I think it’s useful. Who knows where she’ll get married off?”
猫猫(ま��幼い公主だが、あと10年もすれば、どこかへ嫁ぐ可能性が出てくる。もし他国へと渡った場合、必ずしも歓迎されるとは言い切れない)
Maomao (Mada osanai hime-daga, ato ju-nenmo sureba, dokoka’e totsugu kanoseiga dete-kuru. Moshi takoku-eto watatta baai, kanarazu-shimo kangei-sareru-towa iikire-nai.)
Maomao (The princess is still a baby, but in a decade or so, talks of marriage may arise. If she went to a foreign nation, she might not necessarily be welcome.)
鈴麗公主「あ~う~」
Rinrī-hime “Aaa uuu.”
猫猫(薬や毒の知識は、あって困るものではないと。やはり食えない妃だ)
Maomao (Kusuriya dokuno chishikiwa, atte komaru mono-dewa naito. Yahari kuenai kisakida.)
Maomao (Knowing about medicines and poisons can only help her. She really is a clever concubine.)
鈴麗公主「ウフッ、ハハハ…あぅ~」
Rinrī-hime “Ufu, hahaha…auuu.”
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猫猫(公主を見た者の反応は様々だ。それぞれ、公主に対する考え方が違う。公主もいずれ、その視線の意味がわかってくるだろう)
Maomao (Hime’o mita-monono hannowa sama-zamada. Sore-zore, himeni taisuru kangae-kataga chigau. Himemo izure, sono shisen’no imiga wakatte-kuru-daro.)
Maomao (Reactions to seeing the princess are varied. They represent the differing views towards her. Perhaps soon, she’ll learn what those eyes mean.)
鈴麗公主「あっ、あっ、あぅ~ あぅ~」
Rinrī-hime “A, a, auuu auuu.”
猫猫「それはサクラソウですね」
Maomao “Sorewa sakuraso desune.”
Maomao “That’s a primrose.”
鈴麗公主「あぅぁ~、あぅ~」
Rinrī-hime “Auaaa, auuu.”
鈴麗公主「あ~!ウ~フフッ!」
Rinrī-hime “Aaa! Uuufufu!”
紅娘「あっ、公主様!公主様!公主様、いけません!」
Hon’nyan “A, Hime-sama! Hime-sama! Hime-sama, ike-masen!”
Hongniang “Oh, Princess! Princess! Princess! You mustn’t!”
猫猫「見てまいります」(…子猫?)
Maomao “Mite-mairi-masu.” (…Koneko?)
Maomao “I’ll go take a look.” (A kitten?)
猫猫「ふっ、んっ、うっ……あっ!」
Maomao “Fu, n, u……A!”
鈴麗公主「あっ、なう~!みゃうみゃう!」
Rinrī-hime “A, nauuu! Myau-myau!”
紅娘「公主様!」
Hon’nyan “Hime-sama!”
Hongniang “Princess!”
鈴麗公主「みゃう!」
Rinrī-hime “Myau!”
猫猫(捕まえよと…仕方ない)
Maomao (Tsukamaeyo-to… Shikata-nai.)
Maomao (I have to catch it? Oh, well.)
猫猫「うわっ!あっ!」
Maomao “Uwa! A!”
紅娘・鈴麗公主「あっ」
Hon’nyan, Rinrī “A.”
子翠(シスイ)「見つけた!」
Shisui “Mitsuketa!”
Shisui “Found you!”
猫猫「がはっ。あ、あ、あ…」
Maomao “Gaha. A, a, a…”
子翠「これ、いるの~?」
Shisui “Kore, irunooo?”
Shisui “You want this?”
猫猫「えっ」
Maomao “E.”
子翠「フフフッ。…あれ?捕まえようとしているふうに見えたけど、違った?」
Shisui “Fufufu. …Are? Tsukamae-yoto shite-iru-funi mieta-kedo, chigatta?”
Shisui “Oh, I thought you were tying to catch it. Was I wrong?”
猫猫「あっ…ありがとうございます」
Maomao “A…Arigato gozai-masu.”
Maomao “Thank you.”
子翠「はい。この子、お腹すいてるのかも。後は任せるね。じゃあ!」
Shisui “Hai. Kono ko, onaka suiteruno-kamo. Atowa makaserune. Jaa!”
Shisui “Here. It might be hungry. I’ll leave it to you! See ya!”
紅娘「猫猫、それって…」
Hon’nyan “Maomao, sorette…”
Hongniang “Maomao, is that…”
猫猫「ええ、猫です」
Maomao “Ee, neko desu.”
Maomao “Yes, a cat.”
鈴麗公主「みゃうみゃう~」
Rinrī-hime “Myau-myauuu.”
猫猫「汚れていますし、公主様が触れるのは控えた方がいいかと」
Maomao “Yogorete-imasushi, hime-samaga fureru-nowa hikaeta-hoga iikato.”
Maomao “It’s dirty. The princess shouldn’t touch it for now.”
鈴麗公主「みゃう…」
Rinrī-hime “Myau…”
紅娘「そ、そうよね」
Hon’nyan “So, soyone.”
Hongniang “R-Right…”
紅娘「とりあえず保護しましょうか。上に話は通しておくから」
Hon’nyan “Toriaezu hogo shimashoka. Ueni hanashiwa tooshite-oku-kara.”
Hongniang “Let’s keep it safe for the time being. I’ll let management know.”
猫猫「はい」
Maomao “Hai.”
Maomao “Yes.”
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虞淵(やぶ医者)「おや珍しい。子猫じゃないか」
Guen(Yabu-Isha) “Oya mezurashii. Konekoja naika.”
Guen(Quack Doctor) “Oh, how rare. A kitten.”
猫猫「拾いました」
Maomao “Hiroi-mashita.”
Maomao “I found it.”
虞淵(やぶ医者)「かわいそうに。震えているね。ちょうどお湯が沸いたところなんだ。ちょっと待ってておくれ」
Guen(Yabu-Isha) “Kawaisoni. Furuete-irune. Chodo oyuga waita-tokoro nanda. Chotto mattete-okure.”
Guen(Quack Doctor) “How sad. It’s trembling. I just boiled some water. Hold on a moment.”
猫猫(しかし、おかしなことだ。後宮には愛玩動物の類いはほとんどいない。動物を飼うには許可が必要で、犬猫の場合、去勢も必要である。一体どこで生まれた子猫なのか)
Maomao (Shikashi, okashina kotoda. Kokyu-niwa aigan-dobutsuno taguiwa hotondo inai. Dobutsu’o kau-niwa kyokaga hitsuyode, inu-nekono baai, kyoseimo hitsuyode aru. Ittai dokode umareta koneko nanoka.)
Maomao (This is strange, though. There are almost no pets in the rear palace. Keeping an animal requires a permit, and cats and dogs need to be castrated. Where was this kitten born?)
虞淵(やぶ医者)「こうやって布で巻いたとっくりに湯を入れて、置いてやるといいんだよ」
Guen(Yabu-Isha) “Ko-yatte nunode maita tokkurini yu’o irete, oite-yaruto iin-dayo.”
Guen(Quack Doctor) “Wrap a bottle of hot water with cloth, and put it next to it.”
猫猫「お詳しいようで」
Maomao “Okuwashii-yode.”
Maomao “You seem to be familiar with this.”
虞淵(やぶ医者)「昔、拾ったことがあってねぇ。かわいい三毛だったよ」
Guen(Yabu-Isha) “Mukashi, hirotta-kotoga atte-nee. Kawaii mike dattayo.”
Guen(Quack Doctor) “I found a cat before, too. It was a very cute calico.”
猫猫「へぇ。…だいぶ痩せていますね。家畜の乳はありませんか?」
Maomao “Hee. …Daibu yasete-imasune. Kachikuno chichiwa ari-masenka?”
Maomao “I see. It’s very skinny. Do we have any livestock milk?”
虞淵(やぶ医者)「ああ、食堂で貰ってこようか」
Guen(Yabu-Isha) “Aa, shokudode moratte-koyoka.”
Guen(Quack Doctor) “Sure, I’ll go ask the kitchen.”
猫猫「あと、家畜の腸も」
Maomao “Ato, kachikuno chomo.”
Maomao “Also, a livestock intestine.”
虞淵(やぶ医者)「ちょっ、腸!?」
Guen(Yabu-Isha) “Cho, Cho!?”
Guen(Quack Doctor) “I-Intestine?!”
猫猫「親猫の乳首の代わりにしようかと。何度か、食事に腸詰めが出たので、厨房になら…」
Maomao “Oya-nekono chikubino kawarini shiyokato. Nandoka, shokujini chozumega deta-node, chuboni-nara…”
Maomao “I was thinking of using it as a replacement for its mother’s teat. We had sausages a few times, perhaps there’s some in the kitchen…”
虞淵(やぶ医者)「わかったよ。聞いてみるね」
Guen(Yabu-Isha) “Wakattayo. Kiite-mirune.”
Guen(Quack Doctor) “Sure, I’ll go ask.”
猫猫(さて、できるなら湯に浸けたかったが、この状態では体力が持たない。仕方ないので、汚れた体は手拭いで拭き、ノミを油につけて殺していく)
Maomao (Sate, dekiru-nara yuni tsuke-takattaga, kono jotai-dewa tairyokuga mota-nai. Shikata-nai-node, yogoreta karadawa tenuguide fuki, nomi’o aburani tsukete koroshite-iku.)
Maomao (It would have been best to bathe it in warm water, but in its current state, it won’t survive. Instead, I’ll have to wipe off the dirt with a cloth, and kill any fleas with oil.”
虞淵(やぶ医者)「お嬢ちゃん、ヤギの乳ならあったよ!腸ももらえた」
Guen(Yabu-Isha) “Ojochan, yagino chichi-nara attayo! Chomo moraeta.”
Guen(Quack Doctor) “Little lady, I found some goat milk! And some intestine, too.”
猫猫「ありがとうございます」
Maomao “Arigato gozai-masu.”
Maomao “Thank you.”
虞淵(やぶ医者)「フッ、ヘッヘッヘ~」
Guen(Yabu-Isha) “Fu, hehhehheee.”
虞淵(やぶ医者)「かわいいねぇ、かわいいねぇ」
Guen(Yabu-Isha) “Kawaii-nee, kawaii-nee.”
Guen(Quack Doctor) “So cute. So cute!”
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猫猫(その夜、翡翠宮に帝が来た)
Maomao (Sono yoru, Hisui-Kyuni mikadoga kita.)
Maomao (That night, the emperor visited the Jade Pavilion.)
皇帝「子猫を飼うことにした」
Kotei “Koneko’o kau-kotoni shita.”
Emperor “We’ve decided to keep the kitten.”
鈴麗公主「みゃ~う!」
Rinrī-hime “Myaaau!”
皇帝「引き続き、世話を頼む」
Kotei “Hiki-tsuzuki, sewa’o tanomu.”
Emperor “Do continue to take care of it.”
猫猫(帝も大概、親ばかである)
Maomao (Mikadomo taigai, oya-bakade aru.)
Maomao (The emperor can be a doting parent, too.)
皇帝「猫猫が子猫の世話とは、名前の通りぴったりだろう」
Kotei “Maomaoga konekono sewa-towa, namaeno toori pittari-daro.”
Emperor “Maomao, taking care of a kitten. It suits your name, too.”
玉葉妃「ウフフ…」
Gyokuyo-hi “Ufufu…”
猫猫「アハハ…」
Maomao “Ahaha…”
猫猫(子猫に体力がついてきたところで、石鹸豆をつぶした洗剤で体を洗った)
Maomao (Konekoni tairyokuga tsuite-kita-tokorode, sekken-mame’o tsubushita senzaide karada’o aratta.)
Maomao (When the kitten grew healthier, I washed it with a detergent made of crushed soap beans.)
猫猫「お~、湯が灰色に…」
Maomao “Ooo, yuga hai-ironi…”
Maomao “Wow, the water went grey.”
猫猫(しばらく乳を与えていたが、元気になってくると、ほぐした鶏肉も食べられるようになった。砂を入れた木箱を置いてやると、排泄(はいせつ)も自らするようになった)
Maomao (Shibaraku chichi’o ataete-itaga, genkini natte-kuruto, hogushita tori-nikumo tabe-rareru-yoni natta. Suna’o ireta kibako’o oite-yaruto, haisetsumo mizukara suru-yoni natta.)
Maomao (I fed it milk for a while, but as it improved, it started to be able to eat shredded chicken. When we put down a box filled with sand, it relieved itself on its own.)
猫猫「公主を引っかいたりしたら大変だ」
Maomao “Hime’o hikkai-tari-shitara taihenda.”
Maomao “We can’t have you scratching the princess.”
壬氏「子育ては順調か?」
Jinshi “Kosodatewa juncho-ka?”
Jinshi “How goes the child-raising?”
猫猫「そろそろ公主に見せても問題ないかと思います」
Maomao “Soro-soro himeni misetemo mondai-naikato omoi-masu.”
Maomao “I think she’s ready to be presented to the princess.”
壬氏「そうか」
Jinshi “Soka.”
Jinshi “Good.”
虞淵(やぶ医者)「小魚ですか?そのままでは少し硬いので、茹でましょうか」
Guen(Yabu-Isha) “Kozakana desuka? Sono-mama-dewa sukoshi katai-node, yude-mashoka.”
Guen(Quack Doctor) “Small fish? They might be a bit tough as-is. Shall I boil them?”
高順「そ、そうですよね」
Gaoshun “So, So-desu-yone.”
Gaoshun “O-Of course.”
壬氏「雌か」
Jinshi “Mesu-ka.”
Jinshi “She’s female.”
猫猫「はい。去勢する必要がなくてよかっ…はっ!申し訳ありません」
Maomao “Hai. Kyosei-suru hitsuyoga nakute yokatt… Ha! Moshi-wake ari-masen.”
Maomao “Yes. I’m glad we don’t have to castrate―My apologies.”
壬氏「いや、気を使う必要はない」
Jinshi “Iya, ki’o tsukau hitsuyowa nai.”
Jinshi “No, don’t worry about it.”
猫猫「お詫びに何か茶菓子でも…ハハ…」
Maomao “Owabini nanika chagashi-demo…haha…”
Maomao “Let me get you a snack as an apology…”
猫猫(さすがにこれを出すのはな…)
Maomao (Sasugani kore’o dasu-nowa-na…)
Maomao (Can’t put these out, I guess.)
壬氏「お前もするか?」
Jinshi “Omaemo suruka?”
Jinshi “You want to try?”
猫猫「あまり猫は好きではありません」
Maomao “Amari nekowa suki-dewa ari-masen.”
Maomao “I don’t actually like cats.”
壬氏「その名前でか?」
Jinshi “Sono namae-deka?”
Jinshi “With your name?”
猫猫「よく言われます。壬氏様こそ、猫が好きそうですね」
Maomao “Yoku iware-masu. Jinshi-sama-koso, nekoga sukiso-desune.”
Maomao “I get that a lot. Master Jinshi, you seem to like cats.”
壬氏「うん…あの二人ほどではない。具体的にどこがいいのかわからない」
Jinshi “Un… Ano futari-hodo-dewa nai. Gutai-tekini dokoga ii-noka wakara-nai.”
Jinshi “Not as much as those two. I don’t really understand the appeal.”
猫猫「私もそうですね。でも、猫好きによると、何を考えているのかわ���らないところがいいようで」
Maomao “Watashimo so-desune. Demo, neko-zukini yoruto, nani’o kangaete-iru-noka wakara-nai tokoroga ii-yode.”
Maomao “I agree. However, according to cat lovers, the fact that you can’t tell what they’re thinking is part of the appeal.”
壬氏「ほう」
Jinshi “Ho.”
Jinshi “Oh.”
猫猫「見ていると飽きず、目が離せなくなり、そのうちに触りたくなるとか」
Maomao “Mite-iruto akizu, mega hanase-naku-nari, sono-uchini sawari-taku-naru-toka.”
Maomao “They’re fun to watch. You can’t keep your eyes off of them. After a while, you start to want to touch them.”
壬氏「うむ」
Jinshi “Umu.”
Jinshi “Hmm.”
猫猫「普段はそっけないくせに、餌を与える時だけ愛想が良くなるのが腹立たしいですが」
Maomao “Fudanwa sokke-nai kuseni, esa’o ataeru-toki-dake aisoga yoku-naru-noga hara-datashii-desuga.”
Maomao “They usually behave coldly, but suddenly become friendly when you feed them, which is annoying.”
壬氏「あ、あぁ…」
Jinshi “A, aa…”
Jinshi “R-Right…”
猫猫「そこまで来ると、もう諦めてしまうらしいですね」
Maomao “Soko-made kuruto, mo akiramete-shimau-rashii-desune.”
Maomao “At that point, they say you just kind of give up.”
猫猫(肉球ぷにぷにしたり、接吻したり、不衛生だと思うんだが)
Maomao (Nikukyu puni-puni-shitari, seppun-shitari, fueisei-dato omoun-daga.)
Maomao (Poking at their paws, kissing them… it all seems very unsanitary.)
猫猫(うわ…)「どうしたんですか、壬氏様」
Maomao (Uwa…) “Doshitan-desuka, Jinshi-sama.”
Maomao “What’s wrong, Master Jinshi?”
壬氏「ハァ…。わからなくもない気がしてきた」
Jinshi “Haa… Wakara-nakumo-nai kiga shite-kita.”
Jinshi “I’m starting to see it, too.”
猫猫「…そうですか」
Maomao “…So-desuka.”
Maomao “Is that so?”
語り「結局、子猫がどこから来たのかはわからず、後宮に出入りする荷車に入り込んだのだろうと結論づけられた。その後、子猫は、皇帝より『盗賊改』という大層な役割が与えられた。要するに医局の備蓄を荒らすネズミを退治するのである」
Katari “Kekkyoku, konekoga doko-kara kitanokawa wakarazu, kokyuni deiri-suru nigurumani hairi-kondano-daroto ketsuron-zuke-rareta. Sonogo, konekowa, kotei-yori ‘Tozoku-Aratame’-to-iu taisona yakuwariga atae-rareta. Yo-suruni ikyokuno bichiku’o arasu nezumi’o taiji-suru-node aru.”
Narration “They never figured out where the kitten came from, so they assumed she must have snuck in with a luggage cart. Later, the kitten… was bestowed the title of ‘Admonisher of Thieves’ by the emperor. In other words, she was tasked with chasing down rats threatening the clinic’s reserves.”
猫猫(しかし…名前が毛毛(マオマオ)になったことだけは、解せないな…)
Maomao (Shikashi… Namaega Maomaoni natta-koto-dakewa, gesenaina…)
Maomao (But… I’ll never understand why they decided to name her Maomao.)
―――――――――――――――――――――――――――――――
愛藍「さぁ、手早く片付けましょう」
Airan “Saa, tebayaku katazuke-masho.”
Ailan “Let’s get this cleaned up fast.”
桜花「そうね。もうすぐキャラバンが来るから」
Infa “Sone. Mosugu kyarabanga kuru-kara.”
Yinghua “Yes. The caravan is coming soon.”
猫猫「キャラバン?」
Maomao “Kyaraban?”
Maomao “Caravan…?”
(Continue to Episode 2/Ep.26)
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0500w · 5 months ago
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2024/11/14
気付いたら妊娠して4ヶ月になっていた。夏に実家に帰省して田舎のクソ野郎どもに、子供はまだなのお?と聞かれた後すぐのことだった。
ツワリがひどく、今まである程度満足いくまでやれていた仕事が自分の納得いくまでできず、自己肯定感がダダ下がりで、毎日半べそをかいている。思い返せば幸せなことに私は今まで健康そのものだった。寝込んだ記憶もないし特別病んでしまった記憶もない。そんな経験不足の私が1ヶ月以上体調不良が続いてるので堪えるのもわかる。
こんなしんどくて、仕事はろくにできなくて、満足いく日々を全く過ごせてない中、今は出生前診断の結果を待っている。陽性だったら堕ろすことを夫婦で話し合って決めている。陽性の結果を受け、中期中絶するところまでは一気に進められると思う。そこに迷いはひとつもない。ただ中期中絶をした後に私は果たして立ち直れるのか不安だ。また社会復帰できるのか、辛い妊活を再開しようという気になるのか、少ないながら報告した人たちにはどう伝えようか。最近は中期中絶後のことばかり考えるようになっている。子の心配ではなく自分の心配かと、こんな時でも���分ファーストかと、自分で自分に呆れるが、これが私だから。自分の悩みは自分が1番尊重してあげるべきだと思う。
妊娠してから本当に脆くなった。週数相当の発達を調べ見比べては肝を冷やし、生活費や保険の見直しを早急に行い、住まいの改善を行い、育休後の保育園、障害があった場合の療育、支援等、色んなことを調べて、常に何かにくらっている。妊活している時から考えておけばよかったんだろうけどやはり当事者にならないと身が入らない。今の所残念ながら幸せなマタニティライフは夢のまた夢のような気がする。
準備できるならなるべく準備しておきたい、できることは事前に確認したい、そんな気持ちが働いてしまって、自分が辛くなることをわざわざ想定することが多くなった。PMだからリスクとクリティカルパスを考えてしまう癖が抜けないのか…?とかバカみたいなことも考えてしまう。出生前診断の結果が出たらボチボチ周りの友達にも頼ろうと思っているから、今が1番精神的に不安定になってしまうと思う。あと数週間耐えて、少しで良いから、妊娠できた喜びや、これから子供と過ごす日々に幸せを感じたい。
あともう少し、もう少しだ。辛いけど耐えよう。
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shiri1124 · 1 month ago
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日記
仲の良い友達が妊娠をした。高校生の時から知っている友達。趣味、いや当時、生きがいだったバンドを通じて知り合った一つ上の友達。40代で死にたいとずっと言っていた友達。定期的に連絡を取らなきゃ消えてなくなっちゃいそうなぐらい儚かった友達。容姿端麗で口が悪くて気の強い友達。そんな友達に子供ができた。心底めでたい。他人の幸せを手放しで喜べるのは私にしてはかなり珍しい。子供が生まれたら今までみたいに気軽には遊べないのかなとか、子供が生まれたら話す内容とかも変わっちゃって自然と疎遠になっちゃうのかな、とか、来年また2人で旅行に行こうと言っていた話は今後実現されることはないのかな、などなど思って、心に小さな穴が空いてしまって、そこから少しづつ空気が漏れていくようなそんな感覚。病気で例えるならば気胸。まぁ私は小太り女なので現実ではなり得ない病ですがね。恋人も、就職も、結婚もなにもかも私より一歩先をズカズカと歩いている、心配性の私に物事の良し悪しを鮮明に伝えてくれる友達。母になった友達が私に何を伝えてくれるのか、何を教えてくれるのか、今はそれがとても楽しみです。
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ashi-yuri · 6 months ago
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Mouthwashing 「ある医務室の記録」
アーニャに関するごく短い掌編
<出航1週間前>
「1年ってだいぶ長いじゃない。よく受ける気になったわね。」
「かなり迷ったんですけど、終わったらいい額の臨時ボーナスが出るって。それなら奨学��の返済が楽になるし、今後のことを考えたらいいのかなって。」
「そうなの。まあ、部門縮小の噂もあるし、もらえるうちにもらっとかないとかあ。長期航海は小規模チームでも短期とはまたべつの大変さがあるから、いろいろ気をつけてね。」
「はい、メンバーはベテランぞろいらしいんですけど。自分は長期ははじめてなので、船医としてやっていけるかちょっと不安で。」
「あんまり根詰めないほうがいいのよ。そうだ、帰ってきたらお祝いに、このまえ本社のそばにできた、話題のちょっといいパフェごちそうするね!」
「気が早いんじゃないですか?でも……ありがとうございます、楽しみです。帰って来た時も、まだお店あるといいな。」
「確かにねえ。」
<発見3日後>
「そこ、3号、鼻から血を流してるほうの奴な、バイタル記録みたら二人分らしいぞ。」
「そっすか。」
お得意さんからまわってきた孫請け仕事の事故処理現場は、思ったよりき��いで助かった。ロケットの損傷は軽微、現場の保存状況は良好、内乱で死んだらしい死傷者たちの外傷・腐敗は最小限で済んでいる。空気が漏れた宇宙船の破裂した人体ほど悲惨なものはないから、だいぶ運がよかったものだ。その分、苦悶の表情がよく見える。
けれど、その表情の先を読み取ることはしない。仕事を続けるためには必要なことだ。それが自分の仕事。それで金を受け取っている。3号の顔は物言わず虚ろなまま自分を見つめ返す。この船はもうすぐ爆破処理される。船は会社が抱き込んだ査定員のもとで保険金へと変わり、その金は会社と遺族へ引き渡されるだろう。仕事は終わり、金だけが巡っていく。
あなたは必要なものを受け取った?
<衝突30分前>
銃だけは、ぜったいにあの男に渡してはいけない。
緊急避妊薬の使用期限は過ぎてしまった。どうしてバイタルチェックを見逃してしまったのだろう。ピルは飲んでいたはずなのに。でももう泣き言は通らない。結果だけがすべてだ。妊娠したことを告げたとたん、あの男はふらふらとなにも言わずに立ち去った。
ふしぎと驚きはなかった。期待していたわけじゃない。予想しなかったわけじゃない。けれど、強い失望だけがそこにあった。
不安とさみしさとプレッシャーの中で、あの男と関係を持ってしまったことをどれだけ悔いただろう。こちらを馬鹿にしたような素振りも、身勝手な欲望もイヤで仕方なかったけれど、決して私のことを見ることのない昏い瞳が見つめる先にいるときが、この逃げ場のない宇宙船の中での逃げ場所だった。
でもいまは、それ以上に嫌な予感がする。去る時に見た焦点の合わなかった目は、もうなにをしでかすかわからない気がした。
自分はあの男のメンタル不全の兆候を見逃したのではないか?同じく失調気味で、あの男のことに関してはまったく頼りにならない船長に、彼のメンタルチェックを任せたのは適切な判断だったか?船長の「異常なし」の所見を、本当に信じてよかったのか?精神を崩した患者に、過剰なショックを与えたとしたら……
ドンっ、と強い衝撃が襲う。バランスを崩した身体が床に叩きつけられた。
<過剰投与3日前>
『船医であるあなたが、船員のこころと体を守るの。完璧はむりだけど、せめて船を動かし続けられるように。だから、絶対に医務室では主導権を渡してはだめ。医務室の主はあなた。どんなベテランだろうと船長だろうと、みんな等しくあなたの患者なの。患者の健康管理があなたの責任。わすれないでね。』
先輩の言葉が今さらよみがえる。ここは、医務室は、もう私の場所じゃない。部屋の中央で船長だった肉塊が苦しみの声を上げ続ける。それを聞くことがつらくて、あの男に鎮痛剤の投与を任せたら、ずっとこの部屋に入り浸りはじめた。私のことも、お腹の子のことも、一度も口にせずに、船長の包帯を巻きなおし、薬を飲ませ、甲斐甲斐しく世話を焼き続ける。本当は、あの男を追い出して、私がしなければならないことだとわかっている。船長には船長として、船医には船医としての役割と責任がある。でもその苦しみを引き受ける気には、どうしてもなれない。
船医なのに、自分自身も、船長も、あの男も、この子のことも、だれの健康も守れなかった。
今となっては、この船全体が病んでしまった。船内はどこに行ってもアルコール臭いマウスウォッシュの臭いが漂い、きもちわるくて吐きそうだ。もうずっと、だれにも言えないけれど、気分がわるくてきもちわるい。媚びを売るようにして手に入れた鎮痛剤は、私ではなく船長のためのもの。食事管理もバイタル管理もなくなって、もうこの船に健康なんてどこにもない。
医務室の椅子に座って、うめき声とあの男がなにかぶつぶつ言う独り言を聞きながら、ただ失敗した、責任を果たせなかったという考えだけが頭に浮かび続ける。
<過剰投与3分後>
くるしいくるしいくるしい。
だけど最高に気分がいい!!
ロックのかかった医務室の中、なすすべなく横たわる船長と自分だけがここにいる。
今、ようやく、この部屋の主は私だ。だから私が患者の、自分の生死を決める。
あの男が逃げ出した責任、私の果たせなかった責任、すべてが身を苛んであまりにも苦しい。この身体もお腹にいる子も生きたいと叫び続けているのに、私はもうこの苦しみに耐えられない。
鎮痛剤を船長に分け与えれば、この意味のない苦しみを終わらせられるだろう。けれど私はただ、私に終わらない苦しみを与えたあの男と船長が、より長く苦しむことだけを願っている。希望のないこの場所で、生き続け、苦しみ続けることを!!
……私はどうして、医療の道へ進もうと思ったのだろう。
もう悲しくはないのに涙があふれる。口の中を埋めつくす味のしない薬を噛み砕きながら、食べに行くことのなかった生クリームと果物たっぷりのパフェのことを思い浮かべた。
あとがき
誰にもかえりみられることもなく失われたものと彼女の責任について。
労働SFが好きなので、被害者としてだけでなく労働者としてのアーニャ見たかったなあと思ったので書きました。満足。
被害者としてのアーニャについてはこちらの考察を参考にさせていただきました。深く感謝。
【Mouthwashing】感想+考察|鹿
なお、後半アーニャが自分のことをひどく責める描写になってます��、男女比率の偏った孤立しがちでプライバシーも確保できないろくでもない労働環境(会社がわるい!)と不測の事態のなかで、非熟練者なのに頑張ったと思ってます。
いつかおいしいパフェを食べてほしい。
(おまけ)
ジミーとカーリーに関する所見+Mouthwashing感想
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yutakayagai · 7 months ago
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信也がマンションに戻った時には、裕美の姿がなかった。何処へ行ったのだろうと居間をチラチラと見ていると、一冊の分厚い雑誌を見つけた。その雑誌の表紙には、
『サ◯ソン』
と書かれていた。決してレディース系ではないなと思いながら頁を開くと、太った中年の男二人がベッドで舌と舌を絡ませたり、顔面に相方の愛液を浴びさせられていたりと、先刻真純と寝た時と変わらないグラビアが載っていた。雑誌があった横にはネーム原稿があり、
「◯◯ちゃん、イイ!」
「もっと突いて!」
「こ、壊れちゃうよォ〜!」
と破廉恥な体勢をした、見た目はレディース系らしい美男が描かれていた。この台詞、オレも叫んでたと信也は赤面した。
ウチら夫婦は一体、何をしてるンだか…。そう思いながら雑誌をテーブルの上に戻し、信也は寝室のベッドに倒れ込んだ。両眼を閉じると、憲一や真純が恍惚な表情をしながら、
「信ちゃん、最高!」
と接吻を求める様子が目に浮かんだ。もし異性だったらどちらか妊娠してるよなと、自分の不貞に罪責感を覚えた。でも、二人ともオレと寝たのを喜んでいるしイイやと、そのまま眠りに落ちた。
裕美は、香織を大輔を連れて浅草に来ていた。普段の飲み会も兼ねて六尺褌を締めた男衆を観察する目的もあった。三社祭も二日目だが、三日目の方が雷門通りは「お神輿広場」となるのでそちらの方が参考になるのではと大輔は言ったが、いつもお世話になっているお礼もしたいと裕美が誘ったのだ。
彼女たちは儀式を見物するとそのままホッピー通りに向かった。この時期は単独での来店は、事前に予約していたお客さんが優先となり断られることが多い。特に、翌日は殆んど座れなくなるのを裕美は知っていたので、
「今日は酒盛りよォ〜!」
と気分は上々だった。
二日目は、午前に「例大祭式典」、午後に「子之宮渡御」「町内神輿連合渡御」「巫女舞奉奏」が催される。「一ノ宮」「二ノ宮」「三ノ宮」など、浅草界隈の町内ごとに神輿をお祓いしてもらい、神社鳥居より繰り出すというものだが、一時期は「担ぎ屋」が刺青をした姿で神輿の上にまたぐ行為が警察沙汰となり、問題になったことがあった。近年はコロナ禍により中止を余儀なくされ、一時期は神輿がトラックに運ばれるということもあったが、それ以降はコロナ禍前と同様、盛大に催されている。
三人��ホッピー通りをはしご酒しつつ、途中で半纏に六尺褌という、ほぼ丸刈りで眉毛が太いのが特徴の中年男が反対側の席に座っていた。相方も同じ格好で生ビールのジョッキを片手に彼と談笑していた。儀式の後だろうかと香織は思い、
「ちょっと、お兄さん! 今日はお神輿担いだの?」
と聞いた。すると、その男は外見では想像つかない満面の笑みを浮かべながら、
「いやァ〜ん、『お兄さん』だってぇ〜! うん、今『渡御』が終わって飲みに行たのォ〜! 明日早起きだけど『イイや、飲んじゃえッ!』って思って彼と来たのォ〜!」
と話し始めた。相方も、
「こんな格好だからさ、もうテンション上げ上げなの! ちょっと恥ずかしいけど、仲間も飲みに来てるのよォ〜!」
とやはり女言葉だった。裕美は躊躇なく、
「あらァ、何かラヴラヴじゃなァ〜い!?」
とあっけらかんに二人を誉め、
「あらッ、カワイイんじゃなァ〜い!?」
と香織もはしゃぎ、中年男二人はテンションが「アゲアゲ」だった。その間、大輔はちっともビールがすすまず、しばらく固まっていた。
結局、その中年男二人は今から近くのゲイバーへ行くと、身体を密着させながら人混みの中に紛れていった。本物のゲイに出逢ったと、裕美と香織はすっかりテンションが上がってしまったが、大輔はようやく我に戻り、
「やっぱり、オレには無理ッス!」
と断言した。それに対して香織は、
「大丈夫、何事においても『社会勉強』よ。まずはリアルに体験すればイイのよ〜。セッ◯スと同じ」
と若干酔いが回っているのか目が座っていた。彼は、
「オレ、未だ『チェリー』でイイです!」
と苦笑しながらビールの入ったジョッキを傾けた。
時計の針は午後四時を回っていた。信也は目を覚まし、身体をベッドから起こした。嗚呼、また休みを無駄に過ごしてしまったと後悔しつつ、未だ西陽が掃き出し窓から差し込んでいるのを確認した。これから夏至にかけては昼間の時間が長くなるので、心細くはないなと思った。
二、三日目前に六尺褌が届いたものの、未だ開封はしていなかった。信也は明日着ていく浴衣を取り出し、「たとう紙」から開けた。日本橋の老舗「T」の、藍染めに大胆な水晶の様な柄がろうけつ染めによって施されたものである。М百貨店で誂えたものだが、なかなか着れずにいた。角帯の締め方も、「貝の口」は忘れてしまった。しかし、今から練習をする気にもなれず身体も清潔でなかったので、「着物ハンガー」に掛けて翌朝に「ぶっつけ本番」で着付けをすることにした。
信也は、未だ帰って来ない裕美を気にかけつつ台所��向かい、夕食の準備を始めることにした。
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tokyomariegold · 12 days ago
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2024/11/18〜
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11月18日 今日からお昼休みを挟んだ勤務時間になった。 やっぱりお昼休みは何をすれば良いのか分からなくて、焦ってお散歩をするしかできなかった。
直属の上司はいつまでも私が午前中までの勤務だと思っていたのか、午後も私がいることに少しぎょっとさせてしまった気がする。 午後はすぐに席を立って外に出てしまい、少し早めの私の退勤時刻まで戻ってこなかった。 今日は人がたくさんいたのに、とても職場が静かに感じた。みんな何をそんなに仕事しているんだろう、と思いながらずっと死にたかった。
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明日からとてつもなく寒くなってくる予感をちゃんと感じた1日で、寒さに体力を持っていかれて吐き気と頭痛と目眩祭りな例年の冬を思い出す体感で帰宅している。
昨日の哲学対話が楽しかったみたいで、次回の哲学対話の予定をインターネットで検索したり、永井さんの出演されているポッドキャストを聴き始めている。
半分日が暮れた最寄駅に着くと、もうだいぶ寒いのにバス停のベンチで制服姿の女子高生がチョコモナカジャンボ片手にiPhoneを触りながらバスを待っていた。なんかよかった。もしかしたらバスなんて待ってなくて、チョコモナカジャンボを食べていただけなのかもしれないし、私は自分がお腹が空いているのに気がついた。
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11月19日 職場の方々がみんな揃って咳き込み始めている。
職場の木々は葉の色づきが一段と深まって、朝は赤い葉をつけた木と青空に白い月が出ていた。今シーズン初めてコートの中にダウンを着たけれどそれでも寒くて、明日は手袋を装着しようかな、と思いながらamazonで冬物のズボンを注文した。
お昼休みに同年代の2期下の方と、9月から入職された方と少しお話をした。 2期下の方から、次の1月から産休と育休に入ることを告げられて「えっ!!」と大きな声を出してしまった。おめでとうございます、と驚いたまま伝えて、みんな人生をしている…といつも通り思って、午後はなんか震えが止まらなかった。
ちょうど自分自身の妊娠や出産のことを(生まれて初めて!)考えたところではあったので、人生合戦だとしたら負けている、と思ってしまった。
「戻るのは再来年の5月なんですけど、それまで◯◯さん(私の苗字)いますよね…?」、「産まれたらまた家に遊びにきてください!」などと言っていただき、きっといるはずです、と答えながら、本当に再来年もこのままだったらどうしよう!と思っている。
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今日は向かいの席の方が春ぶりに出勤していた。
職場に行くモチベーションを少しでも上げるために、きのこの山とたけのこの里のファミリーパックを買ってご自由にどうぞお菓子コーナーに置いてみた。どっちが先になくなるかみてみたかったけれど、こうゆう時に限って、どちらもずーっと残ってる気がする。
とにかく今日も他人の人生の出来事に驚かされてた。 今日の私の人生の出来事といえば“せ”と打ったら、以前は予測変換に“摂食障害”が一番にでてきていたけれど、最近は“摂津本山”になったこと位。
お昼休みにジャン=ポール・エヴァンの紙袋を片手に歩く人とすれ違い、こんなところで!!と、今いるここはジャン=ポール・エヴァンから何キロ離れているんだろう、と考えたりした。
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kennak · 4 months ago
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7月に公開された映画『先生の白い嘘』が、2年前の撮影時に、俳優が求めたにもかかわらずインティマシー・コーディネーター(性的な接触や行動をともなうシーンを調整する専門職)を入れなかったことで話題になった。映画制作の現場が、俳優の安全や尊厳を守る方向へ変化する過程で生じた出来事だったが、風当たりの強さは、世の中の意識変化を逆説的に物語った。 鳥飼茜(43)による原作の同名漫画は、性暴力がいかに人間の尊厳を削り取るかを描く。鳥飼はこの作品以外にも、男女間で認識のずれや対立が生じているテーマを真正面から、しかも多くは青年誌で描いてきた。現在連載中の作品では、10代の予期せぬ妊娠と、いわゆる“射精責任”を扱う。「男の人も女の人もいるなかで言えることを言うのが大事」と言う鳥飼は、漫画で何を伝えようとしているのか。(文中敬称略/取材・文:古川雅子/撮影:馬場磨貴/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 汚い部分もきれいな部分も「全部見せる」 映画『先生の白い嘘』の“炎上”は、原作者である鳥飼をも相当に悩ませた。大勢の人が関わる映画の現場を、原作者の価値観に染め上げることはできない。鳥飼は、のちに発表した声明で、映画になることは光栄だし、完成した映画は真摯につくられていたとした上で、「自分はこの漫画を描くとき確かに憤っていたのだ。ひとりの人間として、ひとりの友人として、隣人として、何かできることはないかと強い感情を持って描いたのだ。それはある意味特別で、貴重な動機づけだった」と綴った。 漫画『先生の白い嘘』は、2013年から2017年まで「月刊モーニング・ツー」に連載された。主人公は、友人の交際相手からレイプされた過去を持つ高校教師。屈託を抱えつつも、その人物の支配から逃れることができずにいる。 「子どものころからレイプがものすごく怖かったんです。漫画にしろ映画にしろ、昔はもっと気軽にレイプシーンがあったんですよ。よくわかんないけど怖い目に遭っていて、女というだけでその可能性があるというのはすごく怖いことやなと思ってて。大人になって、とうとう本当にそういう目に遭った人が、私のまわりに現れるんですね。ある人から相談されたとき、私はむちゃくちゃ憤って、警察に届けるべきだ、絶対に闘うべきだ、私はずっと味方するって」 加害者は顔見知りだった。 「相手は仕事関係の人で、彼女が言うには、自分もよく思われたい気持ちがあって、そういう雰囲気づくりに参加していた部分があるかもしれない、だからどこまで責任があるか、追及されたらわからないって。これか、と思ったんですよ。レイプって、まったく知らない人にボコボコにされるものかと思ってたけど、違うんだって」 被害に遭った女性が抱く、自分に1ミリでも隙や「媚び」があったら、合意がなかったと主張できないのではないか、というおそれ。実際、強姦罪(2017年に強制性交等罪、2023年に不同意性交等罪へ改正)の不起訴率は高かった。 「でも、いや、待てよ、と。犯罪になってもならなくても、起きたことは同じですよね。そういう目に遭っているのは彼女だけじゃないし、起きていることを誰かが記録して、テーブルに載せないといけないと思ったんです」 その憤りが『先生の白い嘘』という作品になっていくのだが、性犯罪被害者や支援者から「よく描いてくれた、ありがとう」と感謝されることは想定していなかったという。 「私はただ、ウエッ!ってさせたかった。見たくないものを見せてやりたかった。仕返しやったんやと思います。のうのうと生���てる犯人(加害者)に向かってツバを吐きたい、みたいな気持ち。そのツバは何かと言ったら、私という一人の女性のなかにある、汚い部分もきれいな部分も、全部見せることなんです。そのためにキャラクターをいっぱいつくって、セックスなんてくだらないけどくだらなくないとか、大事に扱わなかったら大変な目に遭うんだとか、いろんな気持ちを(漫画のなかに)全部出して。そいつが読むわけないねんけど」 青年誌は共学 「男も女もいるなかで言えることを言う」 (撮影:馬場磨貴) 『先生の白い嘘』では性暴力を、現在連載中の『バッドベイビーは泣かない』では10代の予期せぬ妊娠と“射精責任”を扱う。どちらも女性にとって切実な問題だが、連載するのは青年誌だ。男性読者に読まれることをどう考えているのか。 「青年誌と言っても、女性の漫画家も読者もいます。だから、男相手にやってやんよという気持ちはなくて。青年誌は共学、女性誌は女子校みたいな印象です。女子校には憧れがあるんですけど、同性だとわかってもらえることに甘えて、説明をはしょってしまう。漫画はやっぱり仕事だし、男の人もいてようやく社会。男の人も女の人もいるなかで言えることを言うのが大事って感じます」 男性にも届いてほしいから、男性側のことも徹底的に考える。『先生の白い嘘』のときは、当時の担当の男性編集者に本音をぶつけた。 「女は怖い目に遭ったり屈辱的な経験をしたりしてるんだけど、そのことをどう思う? みたいなことを聞きたかったんですよね。漫画のためなら、編集者は相当自己開示してくださる方が多いので(笑)。そうしたら、男性が雰囲気をつくってそっちの(性行為の)方向に持っていくというのは、昭和の男性はみんなやってたことだと思うけど、鳥飼さんと話してたら、ただノーと言えなかったから応じてくれただけで、相手にとってはいい思い出ではないかもしれない可能性に気づいたと、落ち込みだしたことがあって。 その人はそのとき40代でしたけど、ちゃんとした性の話を妙齢の男性とがっつりしたのがおもしろかったんです。彼の感覚と今の20代の感覚もたぶん全然違う。そのときどういう態度を取るのが正解なのかという通念は男にも女にもあって、時代とともに刻一刻と変わるんだってことに気づきました」 人はミスをするもの。それでも人生は続く 7月から連載開始した『バッドベイビーは泣かない』は、女子高生が怪しい業者から経口中絶薬を買う場面で幕を開ける。歌舞伎町で置き引きまがいのことをして金を手に入れようとする彼女と、彼女を助けようとする大人4人。重いテーマだが、テイストはポップなラブコメだ。 「私の漫画って、『暗い』とか『えぐる』と言われることが多いんです。今回は、全然違うテイストにしたいと思いました。他人の目を気にせず、好きなことを好きなように描こうと。気楽な会話劇をやりたくて、最初のネームを切ったんです。そのときは中絶や妊娠というテーマは出てきていませんでした」 編集者と打ち合わせを重ねるうちに、「鳥飼さんのなかに、妊娠や中絶というテーマがあるんじゃないですか? だったらそれを真ん中に据えたほうが、物語に求心力が生まれるのでは」と言われた。 「中絶って命を絶つことだから、嫌悪感を持つのは当然だし、一般的にいいことだとは言えない。一方で、���うせざるを得ない人のために選択肢として残しておくべき、というのも正論。だから、中絶について語るのはめちゃめちゃ難しいんですけど、経験したことのない人にとって、切羽詰まったときに中絶という手段があることのありがたさは、相当想像力を働かせないと共感できないと思います」 10代のころ、生理が来ないことは恐怖だった。相談をしても相手の男性が心から支えになることはなかった。自分1人の心身にのしかかる不安と将来への絶望感は、いまだに忘れることはない。 約20年前の当時、望まない妊娠をした女性が産まない決断をした場合、選択肢は手術しかなかった。それなのに、麻酔のリスクも術後のケアも教わらない。鳥飼さんは、大人になってから、フランスでは経口薬で中絶ができることをフランスの漫画で知って驚いたという。 「それを見るまで(薬で中絶できると)聞いたことがなくて、『そんなことが? いつから? 30年前から!?』って。もちろん中絶せずに済むのが一番だけど、つらい決断の先にある負担は少ないほうが絶対にいい。自分の人生を守るために、選べる未来は多いほうがいい。かつての私のように不安や絶望のさなかにいる人たちにとって、世の中は少しでも生きやすくなっているだろうかと考えると、私にもまだ描けることがあるって。いろんな意見が対立するなかで、中絶は女性の権利だって、どのくらい言えるかなと思って」 鳥飼がやりたいことは、中絶の是非を論じたり、避妊について啓蒙したりすることではない。 「世の中の大多数は、中絶せざるを得ない状況になった人について、愚かなセックスをした愚かな人っていう判断をするんです。そういう、ある種の偏見をどのくらい取っ払えるか。私はそれをやりたいんだと思います。 男の人に毎回必ず100%コンドームをつけてもらうことを、できている人もいるんでしょうけど、できない人もいるやろとか。空気に流されてつけずにしたとか。愚かなことやと思うけど、そういうことってしてしまうんですよ。ある種の人からは、『自分というものが全然ないやん』と思われるやろなと思うけど、好きな人を喜ばせようと思ったら自分なんてすぐなくなるし、機嫌が悪そうだったら言いたいことものみ込むんです。私がそうだった。私だけかもしれないけど、だったら私の話を描けばいい」 これまでも「私」を全部出して漫画にしてきた。そのときそのときに本気で考えたことが作品に刻まれている。右往左往している当時の自分は滑稽でもあるが、そういう自分を描いたことに後悔はない。 「人は絶対ミスるんですね。で、ミスっても人生は続くんですよ。こういうふうにミスりましたというのを表に出すと、黒歴史とかって言われるんだけど、私はミスを恥ずかしいとはあんまり思ってない。中絶とか犯罪被害に遭うとかは、ミスというか、“成功じゃない”出来事だけど、そういうときでも、人は絶対にベストを尽くしているんです。だから、どんなに悲しんでいても、また笑うこともできるようになる。それが生きていることの醍醐味だと思ってて。漫画でもずっとそういうことをやっていきたいし、ちょっとでも何か、人に手渡すことができたらいいなと思っています」 (撮影:馬場磨貴) 被害者はずっと被害者でいなきゃいけないわけじゃないし、失敗にいつまでも落ち込んでいる必要はない。鳥飼作品が「えぐる」と言われながらもどこか希望を持ったラストになるのは、人間の多面性を信じているからだ。 人間の性に真正面から向き合ってきた鳥飼だが、年を重ねるにつれて心境に変化も生じている。 「私たちは、日々膨大な量の映像を目にするなかで、男性が見るという前提でつくられたものを消費してきているんです。例えば、性被害を訴える作品であっても、被害を受けている場面の描写は男性を喜ばせてしまうし、私たちもその景色を受け取ってしまう。男の目線で女性を消費してしまっている。そういう考えがあることを最近知って、反省したんです。考えてもみなかったと思って。 私がこれまで性欲とみなしてきたものも、頭のなかが男になっていて、男として女の人の裸に欲情するような、ねじれた自意識があったと思う。これからは、自分が描いた作品のなかに性描写があることについて、前よりも責任感を持たないといけないと思うし、単純に性描写自体、ちょっと描きづらくなりました。時代的にあんまり求められていない感じもあります」 鳥飼の漫画は、登場人物が多い。その一人ひとりに人生があって、性についても命についても、バラバラの価値観を持っている。社会は多様だ。 「今描いている作品でも、ちょっとでもいろんな人に触れるようにしたいですね。『私のことを言っているのかな』と思ってもらえるような仕掛けをどんどんつくりたい。歌舞伎町にいる10代女性のリアルを見聞きして、どうしてこの子たちはこういう行動に出ちゃうのか、そうせざるを得ない理由があるはずだから、そのことをとにかくいつも考えてる。自分が納得したら、たぶん描けるから。それに、女の子たちがどんどん生きやすくなるようになってほしいとずっと思っているんですけど、そのためにも、男の子たちにもがんばってほしい、変わっていこうよって思っていますね」 鳥飼茜(とりかい・あかね) 1981年大阪府生まれ。2004年、「別冊少女フレンドDX Juliet」でデビュー。2010年、「月刊モーニング・ツー」連載『おはようおかえり』で青年誌初連載。2012年から「BE・LOVE」に連載した『おんなのいえ』で「このマンガがすごい!2014」オンナ編第9位を獲得。そのほかの作品に、『先生の白い嘘』『地獄のガールフレンド』『ロマンス暴風域』『前略、前進の君』『サターンリターン』など多数。最新作『バッドベイビーは泣かない』第1巻が発売中。 --- 古川雅子(ふるかわ・まさこ) ジャーナリスト。栃木県出身。上智大学文学部卒業。「AERA」のスタッフライターを経て独立。同誌の人物ルポ「現代の肖像」に執筆多数。「いのち」に向き合う人々をテーマとし、著書に『「気づき」のがん患者学』(NHK出版新書)など。2024年、Yahoo!ニュース オリジナル 特集「経口中絶薬に関する3回連載」で「科学ジャーナリスト賞2024」優秀賞受賞。
「人は絶対ミスるけど、それでも人生は続くし、また笑えるようになる」──漫画家・鳥飼茜が青年誌で性を描く理由 #性のギモン(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
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blue-aotan · 3 months ago
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ハロー(´ー∀ー`)2025.2.8
地獄の新年会後日談!!!!
私が拒絶している30代前半のポンコツ男通称B。上司Aが「ミニゲームの景品何だった?」と私に聞いてきました。
「水筒です」
「あー、サーモスの?」
「いえ、サーモスじゃない別の水筒です」
「サーモスだったらBくんとお揃いだったのにね!!(ニヤニヤ)」
「お揃いになりたくないので別の水筒にしました( ˙-˙ )虚無」
というクソみたいなやりとりがありました。
このAまじで人をイラつかせる才能あると思う。私が独身ってだけでBとくっつけようとするのがまじで腹立つ◯意湧くレベル←
新年会終わっても尚お前は人を不快な気持ちにさせる天才だよ。休み明けの日の開口一番にそれを言ってくる神経まじでどーにかしてるぜ。
(それに加えてAは若い子好きのエイジハラスメントヤロー)
お前みたいな中年ジジーがいるから下が育たないんだぞ。ババーはこき使って、若い子に楽をさせる老害ジジーは滅んでいいと思う。
そして若い新人Cも相変わらず全然使えない、、、挨拶もしないお礼も言わない仕事もしない…非常識さに加えて、この前遅刻して来たのですが連絡も一切せず来た瞬間に半笑いで「事故で〜」とか言い出したんですよ。
遅刻してすみませんやろが
事故で〜なんだよ
お前が事故ったんか?周りの事故なんか?ハッキリ喋れ
本当非常識で舐めすぎて言葉が出ない
でもこっちの常識が全く通用しないのよねZ世代
ひたすら指示待ち
言われないとしない
言われてもしない
勝手に作業をやめる
体調悪いアピールだけ素早い
すぐ泣く
突然その場に泣き崩れたり倒れたりする
仕事をせずにふらふらウロウロしたりとにかく何もしない
毎日する作業なのにそれすら毎日言われないとしない
誰かに話しかける時はその人の視界に入る所でチョロチョロして話しかけられるのを待つ
すぐ解決した方がいい問題にすぐ取りかからずにそのまま放置する
もうどうしたらいいの😭
こっちが頭おかしくなりそう😭
怖い😭
同じ同性から見たら、テンパってたり困ったり忘れたフリして周りの男に仕事投げたり代わりにやってもらおうとしてるの見え見えなんだけど、異性ってそういうのに本っっっっ当に気づかないのよね。
あんたらが肩代わりして全部してあげるからコイツが成長しないんだろ?
というかそれ全部計算ですけど?
って言っても全部こっちの性格が悪いとかババーが若い子いじめてるとかそういうので終わるんだよね😭
泣き崩れたら「俺が仕事を色々教えてたからそうなったのか?」とか言い出して、もう仕事教えるのとか当然の事なのにそんなので泣いてたらもう仕事できないじゃん働けないじゃん辞めればいいのに😭
それってもう逆ハラじゃね?
まじでモンスター社員なんだけど😭
そいつが仕事できないからって周りに丸投げするのやめてくれ😭
本当世界って理不尽で不公平で不平等だと常々思う😭
時代と共に常識とか一般的とかが変わってきてるよね…なんかもうミドル世代にしわ寄せすごすぎてつらいから自◯したくなる気持ちわかるもん。
だって考えれば考えるほど、生まれた時代の理不尽さとか格差とか将来への不安とか闇しかないもん。
考えてもどーにもならないことは考えない。それしかないのよね。考える=絶望の未来しかないのなら、考えない=幸せ能天気がハッピーでいいもんな。
今を楽しく幸せに生きることを積み重ねていくしかないのさ。
大事なのは今!!!
ところで雪の話。
突然の積雪によって電車通勤になったりと、いつもより早起きしたり早く出発したり色々と大変ですよね😵‍💫今週は特に疲れました。
雪かきしないといけない地域とか本当に大変でしょうね…。ニュースで大寒波とか最強最長大雪とかの文言を耳にする度に寒さも増します🥶
また私も冬眠モードに入りつつあります笑
すぐ眠くなるし気を抜くとすぐ省エネモードになって思考が止まります。この冬はたくさん寝るようにしてます😪
あとねー、プチぎっくり腰になったので毎日ストレッチしてるんだけどプラスしてぎっくり腰系のストレッチもプラスしたりしてどんどん時間がなくなっていってゲームする時間がない←
40代は何もせずに体型維持できたり美容維持できたりする訳がないんだよね。努力を重ねないと細胞を若返らせたり身体管理もままならないって事を知りました。やはり努力を怠らない人が初老でも輝いている人なのでしょうね〜。
ここで映画の感想〜⭐︎
「バック・イン・アクション」
キャメロンは何歳になっても可愛いよね!あの眩しい笑顔が可愛い。元CIAのスパイの夫婦が子供ができたのを機に引退して普通の生活になるんだけど、結局またそういう裏組織から追われる身になって、娘との関係に悩んでる母親キャメロンの苦悩とかが面白おかしく展開していくアクションコメディです。
旦那はジェイミーフォックスですが、やはりキャメロンの眩しさに比べると見劣りしてしまいますね←
何も考えずに見れて楽しかったです
「死霊のはらわたライジング」
現代版ホラーって感じの演出盛りだくさんに感じました!ホラー題材としてはありきたりで王道な感じでもありました。内容はとあるアパートの地下から見つかった古い謎の本とレコード盤。レコード盤を聞くとこの本は「死者の書」で絶対に開いてはいけないとのメッセージが。ですが聞き進めるうちにレコード盤からは呪文が聞こえてきて、悪霊に取り憑かれた人間達との格闘劇の始まり始まり〜笑
母親と子供3人のアパートへ訪れた母親の妹は予期せぬ妊娠をしてしまい悩んでいました。そこで呪文解放からの1番に取り憑かれてしまった姉の存在。
これが強烈すぎてね笑
もうこの姉が人間の時にどんな顔してたか思い出せないってくらいの変貌ぶりで恐ろしかったです。
ちょいちょい「???」なシーンもあるんだけど、総合的には楽しめました。
ホラー映画なんだけども、ホラーゲームかな?って要素もかなり感じました。
思った以上に犠牲者が多すぎて悲しかったけど、、、この呪いはもう解けないって事なんだろうな←
えらいものを解き放ってくれたな←
解き放った張本人は死んだけど。
生き残れた人が居ただけすごいよね。
そしていなくなった父親の話なんやったん?なりましたけども←
「必ず帰ってきてくれる」とか言ってたフラグ何やったん?←
死霊のはらわたライジング2で出てくるんか?笑
そして最終形態がまじでバイオハザードww
とそんなこんなで、今期のドラマは「クジャクのダンス誰が見た」のみ見ております。松ケンがとっても良き😍🫰
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ari0921 · 1 year ago
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 米社会の病い、性別違和に苦しむ少女達
   櫻井よしこ
日本ルネッサンス 第1094回
今日、4月9日の産経新聞に『トランスジェンダーになりたい少女たち』の広告が掲載されていた。米国人ジャーナリスト、アビゲイル・シュライアー氏の『IRREVERSIBLE DAMAGE』の邦訳で、出版元は産経新聞出版だ。
広告には「あの“焚書”ついに発刊」の字が躍る。「皆様の激励に御礼申し上げます」「Amazon総合1位」の文字が誇らしくも嬉しくも輝く。それはそうだろう。本書の出版に際して産経新聞出版も同書を扱うと推測される大手書店も、放火予告というとんでもない脅迫を受けていたのだから。
同書は当初、大手のKADOKAWAが出版する予定だった。しかしわが国の一部左翼勢力が「トランスジェンダーに対する差別を助長する」として抗議し、KADOKAWA本社前で集会を開くなどと警告した。国際社会に名を馳せる大手出版社でありながら、KADOKAWAはジェンダー思想に染まった左翼勢力の恐喝に屈した。斯(か)くしてその時点で、言論の自由も出版の自由も踏みにじられた。出版界の名門がそんなことを許したのは痛恨の極みだ。
本書の内容は後述するが、ジェンダー思想に染まっている人やWokeの人々にとっては、確かに気に入らないだろう。かと言って、それを出版禁止にせよというのは無茶にも程がある。そんな圧力に屈すれば自由と民主主義を基盤とするわが国の社会の根底が揺さぶられる。出版社の存在意義も吹き飛ぶ。KADOKAWAの情けない姿勢を見て、弱小の産経新聞出版、瀬尾友子氏が名乗り出た。するとそこに先述した放火の脅迫が降りかかったのだ。それでも産経新聞出版は遂に刊行に漕ぎつけた。しかもAmazon総合1位、だ。
日本社会も捨てたものではない。
奇妙なのはいつも言論、表現、思想・信条の自由などを金科玉条の如くに持ち上げる朝日などのリベラルメディアが同件にきわめてよそよそしいことだ。報道もしない。安倍晋三総理に対して行った「報道しない自由」をここでも発揮しているのだ。
ナブラチロワの抗議
シュライアー氏の著書は実に読みごたえがある。取材対象の当事者は200人、50家族に上る。意見を聞いた専門家の数、調べた専門書の幅広さにも感心する。彼女は驚いた。思春期に突然「性同一性障害」を発症し、「生物学的には女だけれど実は男だ」と主張する少女たちが急増していることに。2016年から17年にかけて米国では、女性に生まれついた人で性別適合手術を受けた人の数が4倍に増えた。英国ではジェンダー医療を望む10代の少女の数が過去10年で4400%増えた。
シュライアー氏は以下のように分析している。ここ10年でトランスジェンダーが目立つようになり、対照的に女性と少女が目立たなくなった。アメリカ全土の高校で最高水準にある女子選手たちは、女性を自認する生物学上は男子の選手に圧倒されている。その多くは男子チームでは月並みの選手だったのに、である。
文化面でも少女たちは支持を失った。女性専用だった場所は男女共用になり、スポーツの記録は先述のように不公平となり、抗議をすれば偏見だとどなられる。レズビアンを公表しているテニス選手のマルチナ・ナブラチロワは「トランスジェンダーの選手に女子スポーツで競技させるのは生物学上の女子に不公平だ」とサンデー・タイムズ紙に書いた。するとトランス嫌悪(フォビア)だとレッテルを貼られ、スポンサーから放りだされた。
世界でもっとも有名な同性愛者の女子アスリートであるナブラチロワが少女たちのために立ちあがったことで反トランスジェンダーの偏狭な人物だというレッテルを貼られたのなら、無名の女子選手たちが反対することはなおさら不可能だ。
そしてトランスジェンダー活動家は女性の生物学的な独自性を完全に否定しようとする。たとえば妊婦(プレグナント・ウィメン)は次第に“#妊娠中の人(プレグナント・ピープル)”と表現され、“膣(ちつ)”は“#前方の穴(フロント・ホール)”という忌まわしい言葉で表わされてしまう。トランスジェンダーを包括する語彙では、生物学的な女性は“養育者”あるいは“出血がある人”などと表現される。トランスジェンダー活動家はこのほうが繊細な言葉であり、より正確に表現することができると主張するのだという。しかし、とシュライアー氏は問うている。
「ほんとうの少女はどう感じるだろうか」と。
少女たちは女性であることに意味を見出し得なくなり、或いは居心地が悪くなり、自分はトランスジェンダーだと思い始める。そのような傾向をスンナリ受け入れて助長するのが昨今の大学だとして、幾つもの事例が記されている。
「抑うつ、自傷、薬物依存」
たとえばカリフォルニア大学ロサンゼルス校などである。そこでは、両親にはぜったいに知らせずに、キャンパス内だけ、あるいは法律上も名前を変更できるように簡単な説明と申込用紙を提供しているという。アイビーリーグをふくむ百を超える大学でトランスジェンダーのためのホルモン剤に健康保険が適用されているともいう。
こうして少女たちは男性になっていくが、その世界のことを21歳のヘレナ(米シンシナティのポーランド移民の娘)はこう語っている。
「トランスジェンダーのコミュニティにはあまりにも多くの抑うつ、自傷、薬物依存が存在しています」
ネットでトランスジェンダー・アイデンティティについて知った思春期まで性別違和を抱いたことはなかったヘレナは、途中で何とか引き返した。引き返した人をディトランジショナーと言うが、そのほとんどの人々が後悔に苦しんでいると、シュライアー氏は次のように指摘する。
テストステロンは数カ月摂取しただけでも、男性のように驚くほど声が低くなり、それは摂取をやめても元に戻らない。もっと長く摂取した場合は、通常とは異なる秘部を“肥大して小さなペニスに見えるクリトリスを”恥ずかしく思うだろう。夕方になると目立つひげや体毛もいやかもしれない。手術まで行ってしまった場合は胸に走る傷跡と一生つき合わなければならない。
シュライアー氏は、自分が語り合った全員が、自分の人生に関わった大人、とりわけ医療専門家が性別移行を促して助長したことを非難したとも書いている。
多くの少女たちがSNSでトランスジェンダーを知る。暴力的なポルノを見て正常なセックスもできなくなる。新しい傾向をもてはやすメディア、大学医療関係者がトランスジェンダー化への動きを無責任に後押しする。
トランスジェンダー問題はこうした思いやりに欠けた世界で運動家らによって尚も推進される。少女たちは回復不可能な傷を負い、少なからぬ家族が崩壊しているのがシュライアー氏の伝える現実である。この本は多くの貴重な教訓を与えてくれる。是非、わが国の政治家全員、最高裁裁判官たちにも読んでほしいものだ。
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dolcissimamiavita · 6 months ago
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題詠100首 2024
「短歌は奴隷の韻律」と喝破した小野十三郎の短歌否定論を読んだあとで、それでもここに戻ってきてしまうのは、やはりこの詩型が好きだからなのかもしれない。
五十嵐きよみさん主宰の「題詠100首」に参加しました。ありがとうございました
2024-001:言 言ひかけたそのくちびるをくちびるでふさげば夜はすみれのにほひ
2024-002:置 置く露の消ぬべきものと思へどもなほなつかしき鬢のほつれ毛
2024-003:果 白鳥のゆくへ知らずもさびしさの果てなんくにへ飛び去りぬらむ
2024-004:吸 くちづけは甘き陶酔蜜を吸ふみつばちににて飽くことのなき
2024-005:大切 大切なものこそ目にはさやかなれこの目この肩このふくらはぎ
2024-006:差 差しみづするやうにして息をつぐ逢瀬のまへの胸の高鳴り
2024-007:拭 足拭ふそのくるぶしの白さゆゑねむれぬ夜をすぐしてけりな
2024-008:すっかり もうすっかり秋なのですね江ノ電に待ち合はすれば日影のながく
2024-009:可 不可分のふたりなりけりかんづめの鰯のやうに身を寄せあつて
2024-010:携 天の���白しと言ひて仰ぎみつ手を携へて川わたるとき
2024-011:記 ツンドクをツンドラと読みまちがへてガリア戦記に雪のふりつむ
2024-012:ショック あの夏の藤の木かげをおもひいづルドルフ・ショックのあまき歌ごゑ
2024-013:屈 身を屈め砂に字を書く主イエスは赦したまふやこのふかなさけ
2024-014:外国 マラケシュへ脱出したしサフランとなつめの香る外国(とつくに)の果て
2024-015:見 あひ見てののちのおもひはすみれいろ日の出のまへのひさかたの空
2024-016:叡  あさぼらけ比叡のやまにたつ霧のふかくぞひとを思ひそめてし
2024-017:いとこ 豆好きの子の記念日につくりおくかぼちやとあづきいとこ煮にして
2024-018:窮 窮鼠にも朝は来るらし鎧戸のすきまより洩るひかりひとすぢ
2024-019:高 抱きあげて高いたかいをするたびにはじけるやうにわらひたりけり
2024-020:夢中 青春は夢中のうちにすぎさりぬめざめていまは白き秋風
2024-021:腰 腰骨の上に手をおき抱きよせる サルサのリズム 波うつ体
2024-022:シェア イヤフォンをシェアしてバッハ聴きをりぬ予定日すぎて子を待ちながら
2024-023:曳 ひかり曳くものこそなべてかなしけれ流るる星もほたるのむれも
2024-024:裏側 いかにせんうかがひしれぬものありて人のこころは月の裏側
2024-025:散 知られじな夜もすがら吹く木枯らしに散るもみぢ葉のつもる思ひを
2024-026:頁 世界史の頁を閉ぢて夢見をり講義のをはりとこの世のをはり
2024-027:おでん 二日めのおでんのやうにしみてくるやさしく気づかふあなたのことば
2024-028:辞 言霊の幸ふ国に聞き飽きる 美辞も麗句も誹謗も揶揄も
2024-029:金曜 泣きぼくろつついておこすとなりの子金曜五限睡魔のきはみ
2024-030:丈 つり革にとどく背丈となりし子の腋窩の白く夏さりにけり
2024-031:けじめ ひるよるのけじめもつかぬ薄明かりいのちの果てのけしきとぞ見る
2024-032:織 経糸も緯糸もなき鳥たちの声の織りもの聞けども飽かぬ
2024-033:制 制限字数こえてあふるるわが思ひたぎつ早瀬となりにけるかも
2024-034:感想 「感想を十四字以内で述べなさい」「あいたいときにあなたはいない」
2024-035:台 灯台のやうに照らせよぬばたまの無明の闇におよぐこの身を
2024-036:拙 目をとぢてなにおもふらん古拙なる笑みをうかぶる半跏思惟像
2024-037:ゴジラ 清涼水ささげまつらん着ぐるみをぬいでくつろぐゴジラのひとに
2024-038:点 夕されば宵宮に灯の点されて稲穂をわたる風かぐはしき
2024-039:セブン 響きあふセブンスコードやはらかくスイスロマンドかんげんがくだん
2024-040:罪 罪深きものと知りつつやめられぬ午前零時のキッシュロレーヌ
2024-041:田畑 とり入れををへし田畑に雀らのさわぐを聞けば秋更けにけり
2024-042:耐 陣痛に耐ふるつまの手にぎりをり痛みを分かつすべあらなくに
2024-043:虫 別れきて秋の夜長をなきとほす虫の息にもなりにけるかな
2024-044:やきもち 黒い怒りもしづまるでせうやきもちにきなこまぶして頬張るならば
2024-045:桁 花ごろも衣桁にかけて待ち遠し色とりどりに咲きみつる春
2024-046:翻訳 ふさふさのしつぽを立ててあゆみ去るねこのことばの翻訳もがな
2024-047:接 おたがひの足音のみを聞いてをり話の接ぎ穂見つからぬまま
2024-048:紐 「結んでよ後ろの紐を」あらはなる背中見せつつ言ひたまひける
2024-049:コロナ かろやかに走り抜けたり太陽のコロナのやうに髪なびかせて
2024-050:倍 この仕打ち受けても七の七十倍赦しなさいと命ぜらるるや
2024-051:齢 少女らのもはや倦みたる遊具あり遊具にもまた適齢期あり
2024-052:圧力 ゆつくりと圧力かけて皺のばすアイロン台に湯気は立ちつつ
2024-053:柄 春の夢見させてください花柄のスカートのうへに膝まくらして
2024-054:朧 朧なる記憶の底にきこゆなり赤子のわれを呼ぶ祖母のこゑ
2024-055:データ データなぞ改竄するのが前提といふひとあれば美しくない国
2024-056:紋 わがうたにいまだ紋章なきことも恥ぢずこよひも豆腐が旨い
2024-057:抑 「好きといふきもちは抑へられなくて」読みかへす午後ひざしうつろに
2024-058:反対 環状線反対まはりに乗せられてはじまりしわが大阪時代
2024-059:稿 ブルックナー第八初稿で祝ひたり生誕二百周年の宵
2024-060:ユーロ ふらんすはあまりに遠し「赤と黒」原書にはがすユーロの値札
2024-061:老 生ましめしのちのよふけのしづもりに老助産師のたばこくゆらす
2024-062:嘘つき どうせならうつとりさせて狂はせる目覚ましい嘘つきなさいませ
2024-063:写 ちちははの結婚写真色あせてアルバム白く夏は来たりぬ
2024-064:素敵 はにかんでものいふときの片頬にゑくぼをきざむ笑顔が素敵
2024-065:家 家ひとつこぼちて三つ家を建つなんのふしぎもなしとはいへど
2024-066:しかし 焼き魚ほぐしつついふもしかしてわたし妊娠してゐるかしら
2024-067:許 胸許にきつつなれにしスカーフあり柩のひとの息あるごとく
2024-068:蓋 きみがため抜山蓋世のますらをも恋のとりことなりにけらしな
2024-069:ポテト ベークドポテトふたつにわればふうはりと湯気立ちのぼるバター落して
2024-070:乱 黒髪の乱れも知らずうちふして幾何証明にゆきなやむ吾子
2024-071:材料 材料はグラム単位ではかりませう恋の女神にささぐるお菓子
2024-072:没 ひそやかにゐなくなりたし没年齢しられぬままに墓標もなしに
2024-073:提 下駄ならしなつまつりよりかへりきぬゆかたの子らは金魚を提げて
2024-074:うかつ 「もうすこし一緒にゐたいな」うかつにもつぶやきしゆゑ底なしの沼
2024-075:埒 ひとり舞ふほかにすべなしもろびとの大縄跳びの埒外なれば
2024-076:第 しんしんと肺蒼きまでしみとほるかなしみふかき第二楽章
2024-077:オルガン オルガンの裏にひかへてふいご踏み風を送りし労苦を思ふ
2024-078:杯 願はくはおなじ杯よりのみほさん媚薬なりとも毒薬なりとも
2024-079:遺 「きらひなのさういふところ」といはれたり不貞寝して聞く遺愛寺の鐘
2024-080:なかば ランウェイに踏みだすやうなあひびきはのぞみとおそれ相なかばして
2024-081:蓮 さきゆきは見通さずともしろたへの酢蓮を食めばこころはなやぐ
2024-082:統一 姿見のまへでくるりとひとまはり「青で統一秋色コーデ」
2024-083:楼 春高楼の花のうたげはまぼろしか廃墟の城を照らす月かげ
2024-084:脱 管弦のとよもすホール脱けだせばしんとしづもる明きフォアイエ
2024-085:ブレーキ ブレーキのきかぬくるまかすこしづつあなたの方にかたむくこころ
2024-086:冥 冥府よりプロセルピナはもどりたり野の緑もえ春のおとづれ
2024-087:華やか 華やかに開幕ベルは鳴りしかどせりふおぼえずお化粧もまだ
2024-088:候 姸を競ふ花嫁候補に目もくれず選びたまふは桐壺の姫
2024-089:亀 わたつみの底の浄土の住みごこちいかにと問ひぬ青海亀に
2024-090:苗 十年後ジャスミンティーの再会は苗字かはりて人の子の母
2024-091:喪 青き花好みたまひしひとなれば青き旗もて喪章となしつ
2024-092:休日 窓ごしに別れを告げる新幹線休日なんてあつといふ間ね
2024-093:蜜 乳と蜜ながるるところといはれたるカナンの地いま血潮ながるる
2024-094:ニット 置きわすれられしニットのセーターに顔うづむればにほひなつかし
2024-095:祈 祈るやうに手をあはせたりめづらしき蝶見つけしと馳せきたりけり
2024-096:献 妻あての訳者の献辞見返しにあり「罪と罰」古書あがなへば
2024-097:たくさん ひとつぶのあかい木の実をかみしめるあしたまたたくさんとぶために
2024-098:格 格変化となへつつ夜ぞふけにけるロシヤ語講師の赤き唇
2024-099:注 ちらぬまま朽ち果ててゆくあぢさゐのはなのをはりにふり注ぐ雨
2024-100:思 さめやらぬ夢のほとりに置く露のかわくまもなくもの思ふころ
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jaguarmen99 · 6 months ago
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235:↓名無し:24/10/09(水) 23:55:09 ID:um.yz.L1 仕事のことで夫と大喧嘩した 子供が欲しくて妊娠したけれど、外傷が原因で母子ともに危険な状態になり、子供は諦めなくてはならなかった 私は大きな後遺症を負って、内部疾患を抱える障害者になった 妊娠したときは正社員として働いていたけれど、復帰の目処が立たずに入院中にリストラされた それから2年 治療とリハビリでようやく就労の許可が出た 前職が特殊な技術系だったために就活をしたら比較的すぐに複数内定が出た ただその過程、面接の際に面接官から 「前職を辞められてから2年も経ちますよね。二年間何をされてたんですか? 復職に向けて新しいスキルを習得しようとはしなかったんですか?」と聞かれたことがあった 私は退職に至った理由、二年間続けてきた治療とリハビリ、やっと出た医者からの就労許可 そのあたりを面接で隠さず話した直後だったから、心身ともに疲弊して辛かった時期から就労許可が出るまで、 メンタル的にガタガタになりながらも治療し、なんとか立ち直り、リハビリしていた二年間を 学び直しができるような暇な期間であり、怠けて過ごしていたように受け取られたことに思った以上にメンタルがやられた 伏せてたけど加害者との裁判もこれからで、ここまでくるのに弁護士に丸投げではあったけど、それも相当に負担だった その企業には面接直後に結果が出る前にすぐ辞退を申し入れたけれど、思った以上に深い傷として残ってることを 突きつけられる結果となった そのことを夫に伝えたら、 「俺も二年間完全に職務から離れていた障害を抱えたお前が正社員としてまともな戦力になれるとは思わない、 今のお前はコンビニのアルバイト以下に思える、仕事を舐めすぎている」と言われ大喧嘩 大学卒業してから3年間ではあったけれど、私だってプライドを持って働いてきた 夫は3歳年上で専門卒で私が妊娠して休職したあとも働き続けてたから、ブランク無しで10年以上働いてる 確かに夫から見たら3年しか働かずニ年間も無職だった私なんて使い物にならないと思う だけど大学時代から理系の専門分野一本で学んで働いて得たスキルを夫がはかれるとも思えない それなのに畑違いの夫に私の戦力がアルバイト以下と切り捨てられたことが辛くて仕方ない そして散々喧嘩した末に言われたことが 「そんなに働きたいの?働けるようになったならもう一度(子作り)頑張るべきじゃない?」と言われたこと なんかもう、本当に自分の性別が心底嫌になったし、 男性という立場では仕事かキャリアか、妊娠してからの働き方、妊娠中の不安や体の負担、出産後の負担、色々、 口では理解してるよって言って思いやっている風でも 妊娠しない性別だから根本的なところで何も分かってないし、結局のところ究極に他人事でしかないんだろうなとわかって、 ただただ辛くて悲しかった 夫も夫で男性なんだから理解できなくても仕方ないだろうと今はもう開き直っている 「どうしてほしいの?何を察してほしいの?察したらなんか変わるの?お前がアルバイト以下なのも年齢重ねるほど リスク増えるのも変わらない事実だよね?」 ってずっと正論叩きつけられてる 私はただ、前と同じように働きたいってだけなのに、働くだけのことでどうしてこんな辛い思いしなければならないんだろう
236:↓名無し:24/10/10(木) 00:50:12 ID:Hi.wv.L1 >>235 あのね、正論ていうのはね 「その夫はマジでクズだ。妻を��れない、結婚式の誓いを破った契約違反者。殴って良いなら俺は今から殴りにいく!」 こういうのを言うんだよ? あなたが辛いのは、夫が意識してあなたを傷つけているからだよ。 私は妊娠も出産もしたことないけど、いじめられて辛かったことならある。そこで学んだことは まっとうな優しい人間というのは、いじめられたことがなくても、転んだら痛いし、 殴られたら痛いと想像することは可能ってこと。 理解できなくてもまずあなたの辛さを知ることはできる。知ったあとに想像することはできるんだよ。それを学んだよ。 だからあなたの夫は、知ろうともしないし、想像もしないし、その上であなたを傷つけようとしてくる。
それでね、傷つけようとするっていうのは、夫はコレ言ったらあなたが傷つくだろうな~という想像は たくさんシてるてことなんだよ。 すごく卑怯だよ。想像する力はあるのに、あなたのためには全然それを使わないでいるんだよ? もう、捨てようよソレ
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lastscenecom · 11 months ago
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共産主義ルーマニアは、政府が強制的に介入して出生率を上げようとすると何が起こるかを示す、ある種、意図しないケーススタディのような、際立った例である。自由主義社会では、ルーマニアのやり方の厳しさは政治的に実行不可能であり、道徳的にも大いに疑問が残る。 1967 年、ニコラエ・チャウシェスク政権下のルーマニアは、人口と労働力を増やすためのより大規模な戦略の一環として、出生率を上げるための厳しい政策を実施しました。これらの措置には、中絶と避妊の禁止、子供のいない個人やカップルへの独身税の課し、妊娠の順守を確実にするために出産年齢の女性に定期的な婦人科検診を行うことが含まれていました。さらに、政府は、金銭的給付や住宅割り当ての優先など、大家族向けのインセンティブを導入しました。出生率は当初上昇しましたが、これらの政策は最終的に、孤児の数の増加や、極端な場合には死亡につながる違法で危険な中絶の急増など、深刻な社会的および健康上の問題を引き起こしました。 タイムズ紙の記事は、地下中絶ネットワークに参加していたルーマニアの婦人科医の娘へのインタビューを通じて、妊娠を望まない女性が直面した悲惨な状況を捉えています。 血を少し取って、できれば牛肉の血の方が色が濃いので、下着を汚して、その血を股間に塗りつける。「何が起こっているのか分からない、出血がひどい」と説明する。すると医師は、すでに流産しているからこの処置で命が救われると主張し、病院で中絶手術を施す。 シーガル医師は、質問の答えが見つからない場合、女性たちを追い払い、その多くは「台所のテーブル」で行われる中絶手術に委ねられた。後に、シーガル医師は、こうした処置の結果、つまり出血、子宮穿孔、そして死亡を目の当たりにすることになる。「シーガル医師が助けられなかった女性がたくさんいました。シーガル医師は、闇の中絶手術で本当にひどい傷を負った女性たち、さらには死亡した女性たちを目にしました。シーガル医師にとって、それは生きていくのに辛いことだったと思います」と娘は語った。 シーガルの戦術は繊細さを欠いていたが、社会的地位のおかげでシーガルは無傷で済んだ。彼はルーマニアの秘密警察の愛人たちに中絶手術を施し、その警察から保護されていた。
Culture over Policy: The birth rate decline
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iamnothizanourahayao · 5 months ago
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2024/11/29
ずいぶん間が空いてしまった。
この間の状況を説明したいと思う。
まず、先だって息子に贈る手紙を書いたように、実はハムちゃんは妊娠している。予定日は1月の終わり頃だ。子どもが(生物的には)男の子であることも判明している。おれの子どもらしく、ぐるんぐるん動き回っていてハムちゃんはあまり眠れていない。
また、おれもハムちゃんの支援と遠距離通勤による仕事で知らず知らずのうちに無理がたたり、10月の頭に予定通りの時間に起床できなくなり、主治医からうつ状態と診断され休職している。正確にいえばまだ傷病休暇期間中だが、復帰する前に育休予定期間に入る可能性が高く、手続き上の都合により休職として整理される可能性が高い。
ということで、奇しくも、自分史上最長の休みをとっている。主治医からは、睡眠のリズムを作り、時間をうまく整理しろと指示があった。そういうわけで、今は22時に就寝し、朝5時半に起きることをしばらく行っている。ハムちゃんとは寝る場所を別にし、22時におれの寝室は消灯する。ハムちゃんはリビングで寝ているので、おれが起床するとちょっと目を覚ましてしまう。この家の構造上、布団が敷けるのがこの2部屋だけなので、こうするしかない。
おれの基本スケジュールは、朝起きたら通勤の練習がてら周囲を散歩し、駅周辺のどこかの店でモーニングの軽食をとる。始業時間近くになったらハムちゃんの朝食をコンビニで買うなどしながらいったん帰宅して予定を整理する。つまり、2-3時間くらいを自分の時間として整理するようにしている。
最初のうちはとにかく仕事を休んで、睡眠をとりできるだけ何もしないようにしていたが、空いている時間はゲームをしたりするようになり、今後のための荷物整理をしたりしているうちに睡眠のリズムが崩れていき、最終的に午前中をほぼ睡眠で過ごすようになってしまった。
その辺からおれの体調はさらに悪化していき、猛烈な抑うつになってしまったので、主治医から「夫婦で一緒に寝ることはあきらめて、普段通勤する時間に起きられるようにすることを第一とすべき」との助言のもと、少し離れた場所のビジネスホテルを1週間弱ほどとって、22時就寝5時半起床を厳守し、好きな時間を過ごすようにしてみた。もともと前述による休暇中であることやそもそも時間外労働がほとんどできなくなり収入がかなり減ったうえで、さらに買い出しが困難であるためコンビニや出前館などを駆使し支出が増えていった結果、資金繰りが非常にシビアになっていたところ、この出費をねん出するのはかなり手痛かったが、仕方がなかった。
前述の通り、その睡眠修行から帰ってきてからはどうにかそれを維持できてはいる。しかし、同時に服薬のセットを変えるということをやっており(おそらく主治医はこれがやりたかったのだろうと思っている)、これの影響か思考力が極端に落ちていて、やはり年内の復帰は難しいだろうという診断となっている。
まあ、職場に自分がいないのはもとよりある程度覚悟していたことであったのが不幸中の幸いだし、正直残りの同僚がどうなろうが知ったことではない(その調整をするのは上司の仕事であると思っている)ので、とにかく職能が回復するまで休ませてもらうが、おそらく年初に復帰したところで、手続きだけとってすぐ育休になるのは目に見えており、なんだか微妙なものを感じる。
ただ、どちらにせよこの半年の中で職場で働くのは長くても1カ月程度だと思えば、近いうちに職場に忍び込んで机の環境を整理したほうがいいように思う。
あと、距離が遠すぎるし、給料が落ちることが確定している(これはおれが休職したからではなく、業界全体の理由であるが)ので、さすがのおれも今回ばかりは転職を考えないとまずいような気がしているが、当然ながらそんなことを言っている場合ではなさすぎるので、まずは現状を整えることに専念するしかない。
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moko1590m · 13 days ago
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こうして残った一握りの精子が受精する場所にたどり着きますが、実はレースとは違って早い者勝ちではありません。なぜなら、精子はそこで最終的な成熟をしなければならないからです。成熟を待っている間に精子はどこかに流されてしまうかもしれませんし、自分より遅くやってきた別の精子に先を越されてしまうこともあります。 このようにして残った数少ない精子は、できるだけ奥に進んでから、卵管の壁に付着して卵子がやってくるまで待ちます。���こでも精子の選別が行われており、ミラー氏によると見た目が正常な精子ほど壁と結合しやすいとのこと。首尾よく壁にへばりつくことができた精子は、代謝が有利になるので寿命も長くなります。そして、卵子が到着すると、卵管は健康そうな精子だけが壁から離れられるようにします。 親の遺伝病が伝わることを踏まえると、この選抜システムは完璧とは言えませんが、女性の生殖管はあらゆる段階で適性の低い精子を排除し、健康そうな精子だけが卵子に届くように最善を尽くします。 この仕組みを、ミラー氏は就職面接になぞらえて、「仕事に就くには一定の資格が必要です。しかも、有資格者の精子は卵子が排卵される瞬間、つまりポストが空いて求人が出るちょうどその時に資格を持っていなければならないのです」と話しました。 この記事のタイトルとURLをコピーする ・関連記事 10代の少女がオーラルセックスの後に妊娠した「経口受精」の症例報告、先天的に膣がない女性が処女懐胎する奇跡 - GIGAZINE 「神が人間を創造したので凍結胚も完全な人格権を有する子どもである」と裁判所が認定、人工授精で余った胚を壊すとその死に責任が生じる可能性も - GIGAZINE 精子と卵子の受精は無作為に行われているのではない可能性を示す研究が登場 - GIGAZINE 科学技術の発展で「男性の卵子」「女性の精子」が作れるようになった時に直面する課題とは? - GIGAZINE 胎児のIQを遺伝子で選別する企業が出現し専門家が道徳的・倫理的・医学的問題を提起 - GIGAZINE ヒト受精卵へのゲノム編集による遺伝子改変にアメリカの研究チームが成功、一体何を実現できるのか? - GIGAZINE ・関連コンテンツ 「働きアリが跡目争いに勝利して女王アリになると寿命が5倍に延びる」という不思議なアリの謎が明らかに 精子の90%は右回りに泳ぐということが明らかに メスのカエルは望まない交尾を避けるために「死んだふり」をするという研究結果 兄のいる男性は同性愛者である確率が38%も高いという研究結果 培養幹細胞から「発生2週間後のヒト胚のほぼ完全なモデル」を作成することに成功、謎の多い発生初期の研究に役立つ可能性 あまりにも奇妙な「クモの交尾」の世界 人類がキスをするようになったのは、ウィルスを広め免疫をつけるため 科学技術の発展で「男性の卵子」「女性の精子」が作れるようになった時に直面する課題とは?
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