#出張吹き付け塗装
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kennak · 2 months ago
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都内のメンズ系美容院で働いてるんだけど、ネットでやたらに清潔感について盛んに議論されてるせいか、最近20〜30代の男客からそういうリクエストをされることがすごく多くなった。 ただ、そういった新規のお客を見てきて、髪を整えるだけでは、その人が望んでいるであろう清潔感が手に入ることはほぼないんだろうなと思ってしまった。 髪型や服装みたいな、分かりやすい何か一つを整えることで一発逆転を求めている人が多い印象だけど、それは正直ちょっと難しい。 男の清潔感を異性が求めることの良し悪しはそれぞれ意見があるので、自分の考えを尊重すれば良いとは思うんだが、自分で選んで「清潔感が欲しい」と願った人がまず何をすればいいのか、そのファーストステップを書き置こうと思う。 ※顔の美醜について触れると軸がブレそうなので、ここでは特に肌や髪を手入れをしたことがなく、服装にこだわりのない人のことを全て初期アバターと呼ぶ。 まず、この初期アバターには肌を清潔に整えてみてほしい。彼らの中で肌が綺麗な人はほぼいない。ごく稀に遺伝的に肌質が良いんだろうな、と思う人は見かけるけれど、基本的には毛穴が大きく開き、鼻や額に皮脂が浮いている。 こういう脂が顔に残って酸化すると、毛穴が開く原因になったり、肌色がくすんだりする上、髪も張り付いてしまって、清潔感とは程遠い男が爆誕する。 いきなりメンズメイクをしろだとかは言わないので、最初の行動として、洗顔を見直すことをおすすめしたい。 たぶん初期アバターに限らず、男だとメンズ用のスースーするような洗顔���や、スクラブ入りのを使っている人が多いと思うんだけど、これは洗浄力が強くて顔に必要な皮脂も流れてしまう。ただ相性はあるので、使っていてすごぶる肌の調子がいい、という人はそのままで問題ない。 良くも悪くもない、またはニキビや肌荒れなどが改善されないという人は、ドラッグストアに売ってる女性も使うようなものに変えた方がいいと思う。 あと、洗顔はきめ細かな泡で優しく洗うのが基本だけれど、そもそも泡立てること自体が面倒だと思うので、最初から泡で出てくる洗顔料だとなお良い。売ってなかったら泡立てネットを買おう。 そして、洗顔はとにかく優しく、思ってる時間の3倍は使ってゆっくり洗って、思っている3倍の時間をかけて落としてみてほしい。石鹸を落としきれていなくて、こめかみがニキビだらけになっている人がめちゃくちゃ多い。 洗顔が終わったら保湿をしよう。化粧水やら美容液やら乳液なんて複数のアイテムを使うも選ぶのもハードルが高いだろうから、ドラッグストアで売ってるオールインワンジェルとかでも良い。 あるいはハトムギ化粧水とニベアのようなシンプルなもので充分なので、商品の説明書きにある量の化粧水を手にとって顔に優しく馴染ませて、クリームの油分で蓋をしよう。このクリームは顔につけすぎないように。余ったら体に塗ってもいい。肘や膝など、乾燥しやすい場所に使うと粉吹かなくて良いと思う。 洗顔も保湿も、とにかく続けることが大事なので、商品知識は後回しで大丈夫。面倒な工程や、使う品数を減らすことで習慣にしやすくなるし、これを1ヶ月続けるだけで、とりあえず顔の清潔感の土台の6割は完成するので、コスパも良いと思う。 ニキビやニキビ跡(顔のクレーター状のへこみ)が多い人は、これと並行して皮膚科を受診するといい。肌トラブルは立派な皮膚疾患なので初期アバター状態で行っても恥ずかしがることもないし、大概の場合は市販のニキビ薬なんかよりも病院の薬が1番効くし、なんだかんだと1番安くあがる。 次は髪の毛。男の黒髪は手入れをしていないとフケも目立つし、ツヤがないのも老けて見える。そして以外と汚れているので、まずは30秒くらいお湯だけで予洗いをしよう。その後に何でもいいからシャンプーで洗って、泡立ちが悪い時はまだ汚れが落ち切っていないので、2回洗おう。 髪も肌と同じで、洗顔後は乾燥するので保湿が必要になる。よっぽど髪が痛んでチリチリでない場合は、補修効果のあるトリートメントではなく、コーティング効果のあるリンスかコンディショナーを選ぶといい。ただ、最近は呼び名が違うだけでコーディング+補修の機能を兼ね備えたものがほとんどなので、匂いが良いやつとか、名前にこだわらずにセールとかで選んでも大丈夫だと思う。 そして髪が丈夫な人はいいけど、基本的には濡れたまま放置すると毛根も傷むのでハゲやすくなる。風呂から出たら、とにかく1秒でも早くドライヤーを上から当てて乾かそう。 髪の手をつけるのは、眉毛と髭だ。髭についてはこれだけはケチらずに高い電気シェーバーを選んで欲しい。濃い人はねっとりめのシェービングクリームも使った方がいいけれど、シェーバーを洗うの面倒になると思うので、クリームを使わなくても剃りが甘くならないやつを選ぼう。剃り終えたら、風呂の後と同じように洗顔と保湿をすると良い。 髭が薄かったり、範囲の狭いタイプの人は今後生やすつもりがないならとっとと髭脱毛するのもおすすめだけれど、保湿とか毛の周期の把握とか細やかな手入れが必要になるので、これは初期アバターにはまだ早い。ある程度知識がついてから検討した方が、脱毛クリニックに騙されることも少ないだろう。 そして眉毛については、「まずはプロに頼もう」という意見がネットに多いと思うけれど、これも髪型と同じで、それだけ整えればいいものではないので、いきなり眉サロンに行くのはあまりおすすめしない。 まずは自分で100均で構わないから、眉毛を整えるためのカミソリ(素人にはT字の方が使いやすい)+眉ハサミを購入しよう。 そして、眉毛本体はそのままで、自分の本来の眉毛よりも離れたところにある、明らかに邪魔な毛を処理しよう。両津勘吉レベルで繋がっていて、眉頭がわからないような状態でなければ、眉間の毛も剃ると顔がスッキリする。 眉毛本体をいじると、奇跡的に上手く行ってもそこから定期的に整える必要が出てくる。なりたい眉毛や、知識がない状態で無計画に触れるのは危険なので、ムダ毛を処理するくらいの気持ちで取り組もう。 これで男の顔の土台はほぼ完成だ。その状態が自分の現在のポテンシャルだと思うとちょうど良いかもしれない。 ここでやって欲しいのが、鏡をみて自分を客観的に見る、という行動だ。 唇が荒れていることに気づけばリップクリームを、日焼けに気づけば日焼け止めの習慣化を、保湿で緩和されない肌荒れがあれば皮膚科の受診や食生活の見直しを、歯の色素沈着が気になればホワイトニングを、といった感じで、今までぼんやりとしていた自分の顔の粗と、その対策が何となく見えてくると思う。 ここまで来ることで、あとはインターネットの人がよく言う「プロに任せる」といった行動が活かせるようになるんじゃないだろうか。 たぶんセルフでの手入れの基礎を覚えないと、眉毛���ロンで眉毛を整えても維持ができないし、美容院でイケメン風の髪にしても、翌日には再現ができなくなってしまうだろう。 自分をある程度手入れする能力が備わって初めて、プロの腕が役にたつんだと思う。 清潔感のある男になりたいと願う先にあるのは多分モテとか対人関係の円滑化とかだと思うんだけど、結局はいきなり飛び級はできないというか。 積み重ねたものの上にできる信頼感が表面化したものが、ネットで言われている清潔感なのかなと解釈している。
清潔になりたい男たちへ
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retepom · 1 year ago
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推しが好きだと叫びたい[Vol.007]
 お久しぶりです皆さん。狂気の記事が帰ってきました(約7ヶ月ぶり7回目)。単行本17巻18巻は勿論読まれましたね?そうでなければこんな記事は開かないはずだ。そうだな??改めて今ループの活躍目覚ましく表紙にも連続起用される推し…クリード=デッカード(少尉)について語り散らしていきたいと 思うわけです。これまでの歩みはVol.001〜006をご覧ください。今までも頭おかしくなっちゃうくらい語っていますけれど、今ループの活躍は本当に…大丈夫か?となる。大きく戦争編と宇宙編に分けて話しますが長尺記事になるので連休で暇を持て余している方推奨です。
【戦争編】
ブロージャ紛争における情報量があまりにも多くて毎回毎回フォロワーさんに安否確認をされていたような気がします。それはそう。
▷No.145 IN THE WAR
ボイド=ボルクスの加入で大熱狂の中はじまる否定者戦争編。改めて振り返ると鬼の様なテンポです。今ループ初登場のホウキアタマ&傷跡一本&実は公式初登場の喫煙描写&あまりにも胸板が厚いまだ不減じゃないクリードという情報の洪水に死にかけました。ビリーとクリードの煙草の吸い方はやっぱり意図して描き分けられていると感じる。噛み癖って精神的な不安とかが影響してるって聞きますけれど実際どうなんですかね。前ループでも腕組みが多かったのでそういう警戒心の強さとか神経質さがね わ��ってこう ふふ
▷No.147 RUN−IN
テラーヒロイン回。この悲劇に無慈��な一撃を食らわせるのは隊長…え!?隊長!!?ここで前ループ9巻プロフィールの“部下へのスパルタ教育”が脳裏を過る。それはそうと口元だけでも顔がいい。非道に見える判断と『情でキレた相手程読みやすい敵はいない』『戦争を終わらせるって事ぁこういう事だ』『早く帰りたきゃ心を悪魔に売れ』という台詞の畳み掛け、表情の険しさ。戦争は善悪じゃない…そういう……覚悟が……必要なんだよなァ…………どうして彼は軍人という職業を選んだのでしょうか。いつか話してくれる日が来ますか。ちなみに「不明瞭な報告はやめろ 死にてえのか」がめちゃくちゃにすきです。ずっと言ってますが言葉選びが全体的に好き。
▷No.148 三番目の犬
こちらの回は情報量的に本誌感想読んでもらっても良いかもしれない。Tumblr版以外だとprivatter版(https://privatter.net/p/9820173)もあります。クリード隊の皆さんがジブリのモブっぽくて好きですね…早くプロフィールを知りたい。ミリタリーバイクで飛び出してくる隊長の刺激が強すぎて本誌当時頭がどうにかなりそうでした。思考がワンテンポ早いという公式の出雲風子所見で涙する。優秀なんだなぁ…ハァ……しかしどの台詞をとっても部下の事…デッカード少尉という立場の開示…敬語が使える…攻めてるの髪型だけでは!?上司にしたい否定者ランキング第一位は間違い無いだろう。学歴もありそうだし免許も資格もそこそこ持ってるんだろうな…収入も安定してるんだろ……しかも顔がいい…完璧かよ…?え??UNDER最凶とまで言われたクリード=デッカード……どんな気持ちで核のボタン押してたんですか。何を感じて男子高校生殴ってたんですか。しかしまぁアレはあれで活き活きしてた気がしなくもない。そういうとこも好き………「命は減ったら戻らない」ことを知っている男が闇競売が行われている豪華客船上でマフィアをドンジャカ撃ち殺すシーンがもうすぐアニメで見られるってマジですか???興奮してきたな………
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▷No.149 You see me now?
ショーン・ダッツメイン回。主な内容についてはこちらも本誌感想を参照のこと。多分書いてたと思います。Tumblrのアーカイブ、PC版じゃないと見られないからちょっと不便なんですよね。ナメてかかった10代に反撃されて負けるノルマでもあるのかこの人はまったく…そういうところも好きです……でもここで見せる怒りの感情は最もなんだよなあ。盾の中に何人か手練れがいる、というシーン、その手練れをまとめて相手にしてるアンタは何なんだ??舌打ちしながら手榴弾も『減らない』って気付くクリード隊長ね…もうね……困るよ…弾幕張りっぱなしで投げてきてるの意味がわからないからね………そしてこの回以降上着が行方不明になります。笑う。
▷No.150 No more war!
出雲風子の功夫にも耐えうる身体!最高です。流石にイチコさんに処置してもらったぽいけれど。ホントに上着どこいったんですか?敵味方両陣営の絨毯爆撃に憤怒し、誰より『減らすための戦争』を望んでいた男。信じてついてきてくれた部下たちを思う言葉。何から何までもう…十三人一首の『戦友の悲願』『戦の理を殺めても』という謎の多かった一節を紐解いていく鍵となる彼自身の人間性が見えてきますね。そして部下を助けてくれた恩を返すと言ってくれる隊長…風子との会話もね……こんなん…ね……「風子からのプレゼント」である不殺のゴム弾。抜けない刀で木を圧し折る侍とか拳だけでどうにかしてるっぽい自分ぐらいデカい男とか更にデカい鎧武者とかに囲まれてんの改めてどうかしてるんですけれどきっちり風子の背��を押してくれるの最高なんだよな……あと今後も度々言うかもしれませんがカタカナ表記の「フウコ」呼びが好きです。単行本だとここにビフォアフが挟まります。横傷の原因は多分ビリーなんですがコレは18巻に入る内容ですね。ちなみに17巻最終の次の回では金斗雲に当然のように乗れることがわかる。
さて皆さんそろそろ18巻の準備をしてね。なんと人物紹介にいるんですよクリード=デッカード少尉が!!!
▷No.152 Gun Fight
UNDERクラスタが突然死ぬ回。焼け野原だよ。ディスクも奪われ半ば自棄を起こして戦いを挑むクリードと受けて立つビリー、最初のコピーが不減ってことは解除される条件も含めて何かしらやり取りがあったはずなのでエピソードオブブロージャは一刻も早くスピンオフしてくれ。頼みました。敵だった俺に声かけちまう甘ちゃんのビリー、という台詞めちゃくちゃ好きです。ここでしれっと横傷の追加と髪型変更が行われている理由はわからないままですが瓦礫の中でもスーツというか軍服を着る選択をしているのは何故なんだろう。これはもう前ループからずっと気になってるところですけれどね。会議っぽいシーンは着る主義なんですか?世界の終わりにも着てたね……基地では着る主義…??あとはファンを勧誘している。やっぱり中国語が堪能なんですか?何故ですか??生物としてのスペックが高すぎるのでは???
▷No.153 Fair play
「指揮官がなにベソかいてんだ!!」
「士気が減る!!引っこめろ!!」
全 部 大 好 き
いやもう…読者待望の叱ってくれる大人……こんなん……泣くな!じゃないのがなんか可愛い。引っこめろってのも可愛い。この回、戦争編の大団円なんですがディスクも吹っ飛んじまったって大口開けて笑うクリードが見られるんですよね……なんかもう色々おかしくなっちゃって笑い出す軍人トリオ大好きです………前ループでは見られなかった笑顔なんだ…………軍人が入るんだからキツイの回せって言ってくれる頼り甲斐。でも宇宙って聞いたら流石に驚くのもすき。本当に大好き………ありがとう否定者戦争編……
【宇宙編】
あらゆる面で有能であることが証明されました。この軍人 スケベなだけじゃなくエリートすぎる…推しが推されている世界線で生きていけることに感謝しながら宇宙編、行くぜ!!!
▷No.154 Select
UNION制服の着こなしが高校球児。2m超えしかできないアイコンタクトありがとうございます。突然やってくる推しのモテ期。宇宙に選抜されることが確定している頁で既に死を覚悟したのにもう新装備供給されてて気が狂いそうでした。扉絵だけじゃなかったんかい!!でも扉絵の方見ると既に『5』の数字が。この次点でⅤ席はほぼ確定事項だったんですかね。
▷No.155 お困りのようだな
ジナショ大暴れ!の回です。戦闘員として率先して危険に立ち向かう覚悟…ヒイ……という空気を塗り替えてくれてありがとうジナショ…オマケ頁で怒り狂うニコを取り押さえてるの解釈一致すぎて大喜びしました。
▷No.156 Right Stuff
「処分は?リーダー」という第一声が最高すぎて頭を抱えました。組織に属するものとしてのスタンスが1番ある…立場をわきまえた上で判断を促す言葉をあえて投げかけ『それだけのことをしてしまったんだ』という事実を二人にも暗に解からせるこの……わかりますか!?それはそうと一発一億の武器支給されて「ヒュー!」となる潜在的な茶目っ気も大好きです……ニコがシリアスな考察モノローグしているコマで仕事をやり遂げたショーン=ダッツの頭を撫でてるの隙がない大人!!会話を!!!聞かせてよ!!!
▷No.157 Save You
フィルくんの謎が紐解かれていく回。会話している間通路で見張りしてるのが本当に隙がなくて……役割を徹底して果たせる大人…殿を引き受けながらもシャッターからジーナを遠ざける判断をサッとしてるのもさ…そういうところですよ隊長!!!!
▷No.158 Don't think.Feel
通路に最後まで残って敵の様子を観察している…冷静に分析して……ディスカッションに活かす…え?かっこよすぎませんか??宇宙に来た意味がありすぎる……流石満場一致選抜男………フィルくんの活躍については本誌感想で触れてるのでよければ探して読んでみてね!!次の回で前ループの記憶を手に入れるってことは最後に共闘したのがクリードってこともわかるんだなあって思うと言いようのないエモさが駆け抜けます……
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▷No.160 Welcome to Earth
こちらも主な内容については本誌感想でどうぞ!宇宙船操縦技術をしれっと身につけてんの改めてどうかしてるな……と思いました。ギリギリの状況下で笑うタイプの男…たまんねえよ……地球に帰ってきて一番最初にすんのが喫煙なの戸塚先生の性癖に忠実な描写すぎるから頭おかしくなりそうでした。最高だわ。宇宙で「帰ったら何する」「…煙草だな」「わかる…」って話してたんか!?身体は大事にしてほしいがそれはそうとバカスカ吸ってくれ!!
【〜最新話まで】
宇宙編のあとはメイちゃん遭遇の食事シーンのあとから暫く大きな出番なく過ごしてい���んですけれど、学園潜入中の留守番組として何してたんだろうとか、15年スキップで誰も連れて行かなかったけれど家族とかはいるんだろうかとか、15年ぶりの部下との再会はどうだったんだろうとか、あまりにも幕間に幻覚の余地がありすぎて楽しいんですがオイオイオイオイオイおなんだその新装備品は!!!!!!!!!!(正気をセーヌ川に投げ捨てる)
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…よし。とりあえず明日の本誌前に頭の中は整理できたかな……ここまで読んでいただいてありがとうございます。これからも元気に推し活していきますので各位よろしくね!!!!そして今月10月20日はクリード=デッカードのお誕生日!!!!!みんなでお祝いしようッッッッ
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kotobatoki-arai · 2 months ago
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ユートピアを考えていた。
 このなだらかなスロープをのぼる体はだいぶ軋んでいた。皆が支える滑車は見事に装飾され様々な色合いを纏い蔦をおおく絡めている。そこのミチを抜けると断層にあたるから、低く照らし尽くした桟道はなんぼもなく、曲線に沿って地下を巡ってください。厳粛な門扉は硝子でできており遠くまで見渡せていたが、ちょうど突きあたりの掉尾を飾るからなんてこともない、そこはゆるりとあればいい。  歩みだすときはどうせ坂道を転げるように自由を求める、いつかの雨晴れ。ひときれ振りまく苦笑いに流れるらしい わたしの日常は、腐った美術館だと畫けば、  fragileをのみこんでいった  無意識の傾げ、やわらかく暗がりを抱擁する低い空に神の皓さは具象する、湿っぽい賢者であろうと叩き壊した少々の本音はやはり馨り、あたりいちめんないような感覚と憂いたすべては酔彩、  (溜息、)羽とすれば咲くがいいか。  四六浮き積と漂う���体、崩してむき出しに沈シンだ柔肌と、ちょうど上澄みの配列をいつかと散り敷かれる、  つまらない祝日がたどたどしく腰をおろして。  どうやら、読みかけの頁 と混じりあい 孤独を拐かしたように感じ、生身の体はまた地に湛む 一夜の姿を見せ/考える/ジオラマだと勝手、わらえばいいけど。しかしだよ。この雨はやまなかったが、あなたはやわらかなかおをして、たまにかがやいてみえる。  繊細は腐静仏と吸い寄せられ  ひとつぶの常ジョウは物換星移  いま暁のことですから  ハンドルNでは風刺画にもなりゃしないが  そうだな これは焼けた砂浜の車をやめて、素足で降り立ち おんなはまた/猥りがましいから胎をさすって。ビーチハットを目深に被り、奥に統べるように干潟を浚い、この瞳もなにもみえやしないが。キャンバス上を、流れてゆく先々を想像したときに。――と、まあそんなしあわせがほしかった。そう、声なき声で。いつかの稚気をそぎおとした某名のひとつとして、  それともなにか適した通勤バスのなかは温室じみて、しばらく床に落ちた水加減が混じり、座席はテンプレートのように日差しが溶け込み、にわかにひっくりかえした特徴は天地に蒼くざわめいた。  決して。軽く蒸れ乾いた沈黙(額縁)を、のそのそと  這い出ると/おおごえで/振り向けば、主張がない/視覚を  片々な素材を塗り重ね、或いは くたくたな結び目の一方に火をいれたばかりのものは、枢ククリ地図を片手に押し開き、この状態を完璧なものだと、一途にあり。こわばる実を幾つか抱いた木々がまたヒトカズに入イる。独自な悪路にさしかかるワダツミの質感までがアサギと可溜り、珠海の鳳獄や銀竜草ユウレイタケと解き、あっちこっちに群生し、おどろくほど弱い罠だとひとつ摘みとり、瞬く間に枯れて、どうせまわりはおだやかに過ぎゆくのですから  もはや風であれ繋がれ、ほつれ目からそれぞれの人相を窺う、あるべきところへ薪は焚べられたのです。  怖気とは苦しみで悲しみで飼い殺した未知不明の蛇行を挟んでここに、種を蒔く。  無遠慮な灌木が芽吹きはじめる。侘しさが降り注ぎ窓に並ぶ。例えるなら眼鏡ごしに平行線の感傷��する。なにを掴み取ればよいのか。なにより御承知のとおり 喜劇覚書など粛々と眠るまえに  ――ここに、延ばして掻きとるだけの今とは、ただただ下る 生活と通過する故に、蝋燭を立てインクを溢すのだから。その質感とあれば消沈の舵は荒廃を取り分け旨は潮流をややこと更け、刻としてうつほと孕む一筋のひかりを掴もうと手を伸ばし、ぬくみだけが輪郭と繊細に沁みて  ……行く先をはじまりとみようが、柔らかな陽が透きとおったリネンのカーテンから現にみちみちて。シンプルないたみばかりが喉元を絞めるから。目覚めているようでどこか夢の最中あり、秒針も忙しない鼓動が重ならずに呼び起こしただけ切り抜きなのです (ひたぶる視覚に沿って包まれていたと、おもわれる、堺はまたどこかで傷付いて、脳裏ではたくさんのオリが生まれては消えていくのだ)  ではやがて十坪に満たない明日になったら、赫々たる尊びも、ね――もう褪せた夏の秘色を解いたばかりの、あれら連中(労働者)はハリツケの丘を一蹴する。タンパク質が絵にかいたようなifの夢 (同時に朝もやと書き置き、手繰り寄せた白湯を啜った)  沖から外を眺め見ることが叶うよう、彫り込まれた深い庇が一夜のように天赦し、ゆるくズレていくと 人生のにぎわいにあたる。のちに複製され、舌の先まで熱い手のひらの流れに、記憶の隅に複雑に追いやられてしまい、なにもないほど、あたりまえになる  このおとこの口から、光沢のある眼球まで感覚を欠けて、斜めから錠を取り付け、(まったく大袈裟な微睡みだと咳き込んでさぁ)  順序よく咀嚼させたものです。  ぬるい愚直なれ、鬱蒼とある なんぼか くねくねと、  まんべんなく虚脱感を肉体に添えるからだと  些細な歴史と覗き込めば銀河の畔もなれはて、一朝の圧倒を縫ってそれほど充てる、澪標の跡は手のひらだけに催涙雨と成す  しかし豊かな光や深い影が情け無いかも知れません。いまやあなたの芝居がかった振る舞いも幅広く、自然という退廃美と永久欠番の黒鍵と奏でる自白なども、いろを混ぜ合わせ、憐れみひとつも感じないから。膿んだほとぼりとはきっと反復する、ほんのつかのまの名画だとして  ではループする7番線の占い��―― 「どうってことねえの。」  ――もしシーラカンスの脊柱は太い中空の管~左右を除する足音が発する。そうしたなかで皆それぞれに閉ざされていて、晴た口吻のまどかに手を付けた展望のあぶき、かろやかに伏し拝みしどき、受け皿を序す貽貝の毒はへばれども堅く。くどくどとそれを憔悴爆撃とすくんでも老いても  あれらはどうであろう《多機能携帯端末と徘徊する》  、と――  並んでいるところに立って おとこは むかっていた、  碑錆びた名残りとある廟のようでも。  天体観望会は、アンタレスだけ満たし、うららかな裏を反して。考える葦であればびくともしない性格で。悠長に眠っているくせに。月蝕のあいだじゅう表情が消える。 (あなたのネグリジェを、黄昏が、さりげなく梳いたという)  にんげんは俯瞰してみれば限りなく小さく、日常の如何にのっぺらとしたことよ。あの手この手も、多少の変化にびくつきながら過ごす、懐かしさもちょっとしたありえない夢も、抄録コラージュしたばかりで  気づけば景観を彫像する箱庭であるのに、ほんのすこしかいま見る窓辺では霧のむこうにある、風景とはひやりとなみだしたり、肖像がほころびたりするけれども、春がまた濡れている  あなただとして 〈枝と花で飾る、ことを。〉  おもいかえしては此等、あるがまま 〝恣意ている〟から ゆらぎ (尾ひれがつく。そう想われるのだ)  すりつぶす星の粒が、ゆがんだ波が寄せては引いて、いつかの桜花を兆すまで闇が浮かび落ちる、わずかな影が同形な足で真直な選を追いたら、すくわれ続ける。うたかたの日は昇り、また沈み、一匹の貧相な観賞魚アナタをおもいえがく  爛れた流星痕とは口遊んだ野火だったから  況して、それからずっとひかりはリビングダイニングに処方箋を継ぎ足す。あなたから仕切られた曲線で、くすんだ指で 蝶尾がそこら中ともしらぬものを仄カタムけ、真っ白に潰されたひかりに値いし、天穹と深海をいずれも結ぼれるように反射した六畳一間に わたしと金魚鉢ひとつ、空蝉と置いてな(筆舌に尽くしがたい) 2024/07/27
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nakaigumii · 2 months ago
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事務員の工事学習⑨
JA紀州統合選果場増築工事②
前回から約半年の7月下旬、再び田中係長にお話を伺いました。
Q:工事の進捗状況は?
田:進捗状況は85%です。鉄骨建方終了後、上棟式を行い、その後、屋根工事・外部建具工事・外壁工事と進み、建物内に雨が入らないようになってから、内部の仕上工事を進めました。この現場は新築と既存選果場改修の2つの建物を施工していくのですが、新築の作業は5月15日に終了し、5月27日の県��検査までいくつか検査を受け、無事に完成・引き渡しました。改修は4月から開始し、まず改修箇所の撤去を行い、各工種の施工を進めて仕上げていってます。
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   鉄骨の溶接工
Q:施工を進める中で特に気を付けた事は?  
田:新築と改修を同時施工している時期は、工程管理の為、各施工業者と設計事務所・発注者との打ち合わせを十分に行い、連絡漏れの無いように中井組社員同士での報告相談には、特に気を付けていました。
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   骨組みが仕上がり、計測器で建ち方に異常がないか確認
Q:現在までの作業��大変だった事は?   
田:大変な作業も多々あったのですが、現場作業以外の事で色々とインパクトのある現場でした(;^_^A
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建設中の選果場2階にて上棟式(当日は寒風吹きすさぶ日だったそうです🥶)
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   工事の安全等を祈願する棟札が取り付けられました
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       選果場1階の床コンクリート打設作業
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           新築選果場の南面
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            新築選果場の東面
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           新築選果場 1階フロア
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           新築選果場2階フロア
Q:今後の作業について教えて下さい
田:建物内部の塗床工事と外構工事の舗装が残っています。どちらも選果機設置の別途工事業者が終わらないと出来ないので、工程がずれても進むように打ち合わせをして、臨機応変に対応したいと思います。
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         改修後の1階選果場フロア
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             改修後の屋根
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            改修後の庇
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          改修後の選果場 西面
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          改修後の洗浄スペース
Q:最後に一言お願いします
田:去年の9月から始まった工事で、もう1年近くこの現場に来てますが、色々な事があり面白い現場でした。現場の応援に来てくれた監督・重機車両部の方々には、大変感謝しています。あと少しで完成ですので、無事に終われるよう気を付けて、頑張りたいと思います。
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standardworks43 · 11 months ago
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BBR Porsche 356 ‘Carrera Panamericana’ #4
ホビーフォーラム前に書いた記事が下書きに残っていたのでせっかくなのでアップしておこう。
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ドアの内張は削り落としてしまったので、真鍮板と丸棒を削って半丸にしたものを組み合わせて再生。
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インナードアハンドルは洋白線を曲げて潰して作りました。
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ちょっとオーバーサイズだけどまぁヨシ。
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バケットシートはFusion360でモデリングして3Dプリント。
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渋いバーガンディはガイアノーツのコンテナレッド(JR貨物のコンテナ色)がドンピシャでした。
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エアブラシを用意したついで(と言ったら怒られる。。)に166のインテリアも塗り始め。こちらもクレオスのタンをそのまま吹き付けました。
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フロアマットをラジエター用のエッチングから切り出します。 ペダル用の穴を開けなきゃいかんです。
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ボディは一旦シルバー塗ってウレタンクリアーまで吹いたのですが、 目立つ箇所にゴミが入ってしまい、 それをゴニョゴニョしていたら取り返しのつかないことになってしまいました。 一度綺麗にリセットし、前々から「ちょっとおかしいんだよなぁ。」と思っていた箇所を修正しておきました。
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サイドウィンドウの上下高を狭めたのとアールの頂点を変えてます。 自己満足です。でもやって良かったと思います。
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サフで下地作ってシルバー塗装。 クレオスのプリビアスシルバーに、ガイアノーツのピュアブラックを2滴ぐらい足してちょっと���度を下げてあります。
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デカールはサイドにモービルのペガサスのみ。 ちなみに元ネタはこちら
こののちウレタンクリア重ねて磨いてホビーフォーラムに持ち込み。
早いもので2023年も終わり新たな年を迎えようとしています。 今年は1台も完成しないという情けない年になってしまいました。来年こそ166MMを終わらせたい(切実)。 それではみなさま良いお年をお迎えください。
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fcgrblog · 1 year ago
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FREEDOM UNIVERSE "冬”
12月になりましたね~
色々とやった様なやっていない様な今年ももうすぐ終わりですね~
25周年もあとちょっとになりましたが 『 Freedom Universe 第4弾 』 のご紹介をします!
前回の 「 Freedom Universe 第3弾 "秋・紅葉" 」 の時にもお伝えした通り、今回は " 冬 " が最初のお題でした。
まぁ何となくわかってらっしゃると思いますが、第1弾を決めたときから今年の Freedom Universe は " 春夏秋冬 " で決まっていたんです(笑)
冬だけだと皆イメージがわかないので何にしようか・・・
今回も弊社営業担当の小野から出た案が 「 オーロラのイメージ! 」でした…(???)
いいとは思うけど・・・、どう表現すればいいか分からないけどやってみるか!ということで、
「 Freedom Universe 第4弾 "冬・オーロラ" 」 に決定しました!!
これまでにHydra LS-22F、Dulake-5st.、Rhino-4st.ときて、
今回の土台となるモデルは " Hydra24F " です!
● Freedom Universe Hydra 24F "冬"
・Color:C.O.オーロラ・グラデーション
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《 ネック 》
● ネック材&指板材:ブラジリアン・ローズウッド
スペックを考えている時に 「 ネック材は第3弾のRhino-4st. FT "秋・紅葉" の時にも使ったローズとかどうかな? 」 って話が出た時に思い出しちゃったんです!
最近発見したやべー奴、 「 ブラジリアン・ローズウッドのネック材 」 を!
で、提案してみたら即決でした。
そして、指板材も同一材からなるべく1Pみたいに見える様に切り出して使っています!
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今回は指板のインレイはお休みしましたが、Freedom Universeですからアヴァロンや白蝶貝の楕円ポジションではなく
マーブルポジションの新色 「 シルバーマーブル+白蝶貝枠付き 」 です!
確かブルー、パープル、レッドに続いて4色目だと思うんですが、まだ違う色もあるのですが・・・そちらはおいおいSNSとかでご紹介しますね。
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そしてヘッドから指板まで白蝶貝のパーフリングを入れてみました。
白蝶貝って見る角度で白だけではなく他の色味がでてオーロラみたいって思ったので!
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《 ボディ 》
● ボディトップ材:キルテッドメイプル
今回もボディトップ材はキルテッドメイプルを使用しました。
オーロラをイメージしてキルテッドの杢が大きめなやつを選んでみました!
*本当はオーロラのイメージが浮かばなかったので杢の大きいやつを選んだだけなんですけど(笑)
でも今回は普通にブックマッチなんてしません。
ボディの写真をよ~く見てください、実は左右違うキルテッドメイプルを使っています。
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片側だけ残っているメイプルトップ材が何枚かあって、何かに使えないかな~もったいないな~って考えていたので今回使ってみました。
だって 「 Freedom Universe 」 ですから!!
ネットで " もったいない " って調べたら、「 モッ��イナイは、世界中のアイコトバ 」 って出てきたし、世の中 " SDGs " ということもあり天然材の有効活用ということで!
*本当はやってみたかっただけなんですけど(笑)
● ボディバック材:ホンジュラスマホガニー1P
ボディバック材は今回もホンジュラスマホガニー1Pを贅沢に使っちゃいました!
だって 「 Freedom Universe 」 ですから!!
塗装後にはうっすら覗くマホガニーの導管&目止めがなかなか色っぽくなりました。
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● カラー:C.O.オーロラ・グラデーション
ボディトップのカラーはオーロラをイメージしたグラデーションカラーに仕上げてもらいました!
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さすがに色々と難しいお題をこなしてきた塗装担当の船越でも、今回はなかなか頭を捻らせた様子…
オーロラのイメージで画像が何枚かきて自分でイメージ画像を作ってから実際の作業に入っていましたが、吹き上がってから皆に 「 オーロラな感じになってる?」 って聞いてましたから、苦労の甲斐もあって見事にオーロラな感じに仕上がっていると思います!
音に関しては難題 「 オーロラのイメージ 」 のお題を考えた弊社営業担当小野に登場してもらいます!
(Impression)
適度なコンプレッション感を感じさせつつ、ブラジリアンローズネック&指板らしい太さとハリ、速さ、分離の良いサウンドが印象的です。
高音弦の美しくもキレのある響きは、クリーントーンでのアルペジオやシャープなカッティングにも適していますね。
ネックの剛性の高さを感じさせる、サスティーンの良さ、音の芯の強さと粘り、クリアなボトムの鳴り方。一つ一つの音・ピッチが " よく見える " 感覚といいますか、「弾いている手ごたえ」を確かに感じさせてくれます。
今回の個体には、ホンマホをボディバック材に使用しているということもあり(通常のHydraはアルダー2pc)、マホ特有のレンジの広さも相まって、どこかの音域がとびぬけて目立ちすぎるということもなく、上手くまとまっている感じがします。クリーンからクランチ、ドライヴサウンドまでチェックしましたが、 一様に「 どの音楽ジャンルに適している 」 という言葉で限定することではなく、この楽器特有の音。
アンプの機種やセッティング次第では高音域のギラっとした部分が際立ちやすいところもありますが、イコライジングやピッキングに対しての追従性(反応)が、顕著に出音に反映される素直さもありますので、この楽器の音の特性を理解・把握した上で音作りやプレイスタイルを合わせていけば、間違いなく自分だけの唯一無二のサウンドを構築できる楽器であり、そういった意味ではどんなジャンルや楽曲、アンサンブルでも、一つの音のピースとしてあてはめることができるギターだと思いました!
今回ご紹介した、
Freedom Universe 第4弾 "冬・オーロラ"
『 Hydra 24F - C.O. オーロラグラデーション 』
は、12月9日(土)、10日(日)に錦糸町のすみだ産業会館で行われる、島村楽器様主催の 「 ギタラバ2023TOKYO 」 に出展しますので、是非とも生で見て・弾いてみてください!
※ なんと、これまで弊社のUniversal Space(ショウルーム)でしか展示していなかった、
Freedom Universe 第3弾 "秋・紅葉"
『 Rhino-4st. FT - C.O. 紅葉グラデーション 』
も出展するそうなのでお楽しみに!
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25周年を機に始めた Freedom Universe の4本や、その他ご紹介したギターやベース、新種のポジションマーク等など、いかがでしたか?
たぶん今年のWebマガジンはこれで最後だと思います。
そろそろ正月休みに向けて頑張らないといけないので!
25周年はもうちょっとで終わり、来年は26周年になります!
*特別何もしませんが(笑)
Webマガジンを書くのが遅くて今年ご紹介しきれなかった物もあるので、今年よりはのんびりになるとは思いますが、またご紹介出来るように頑張ります!
木工長:郷右近
新Shop & Show Room
『 Universal Space 』👈クリック
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apoandbangpo · 1 year ago
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Jungkook Dazed インタビュー 翻訳
自らの道を走り始めたジョングク
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この夏、ノートパソコンの前で眠ってしまったジョングクを600万人のファンが見守った。ポップ界における東アジアのアーティストの扉を吹き飛ばした彼は今、私たちを「驚くべき」ソロ新時代へと誘う。
世界で最も人気のあるK-POPアイドルの一人であり、世界で最も人気のあるポップ・スターの一人であるジョングクが、彼の直感がいったいどのようなものなのかを説明しようとしている。唇の右側にある二重になったピアスをいじりながら「なんというか...」と言葉を詰まらせる。真っ白なTシャツが、右腕に刻まれたタトゥーをより際立たせている。「言葉で表せないような感じです」 と言って笑いながら、軽く額に手を当てる。「鳥肌が立つとかじゃなくて、ただ『これはいけるぞ、これだ』って感じがするだけです」
アメリカ人ラッパー、LattoをフィーチャーしたUKガラージテイストのソロ・デビューシングル『Seven』を初めて聴いたのは、彼の記憶によれば3月のことだった。そして、即座にこの曲の虜になった。「すぐにロサンゼルスでのレコーディングのスケジュールを組み、ビデオ・コンセプトの打ち合わせをしました。すべてがとても順調に進みました」と振り返る。
7月にリリースされたこの曲は、イギリスとアメリカのシングルチャートで数週間にわたってチャートインし(アメリカでは1位を獲得)Spotifyでは、わずか6日間で1億回再生を達成した史上最速の曲という栄冠に輝いた。韓国の女優ハン・ソヒが出演したミュージックビデオは、YouTubeで1日に3,900万回もの視聴回数を記録した。彼が今までに楽曲に対して揺るぎない直感を感じたのは『I Need U』(2015年)だけだという。この曲は、高い評価を得たBTSの3rd EP『花様年華 pt.1』からのファースト・シングルで、彼らをスーパースターダムに押し上げる重要な足がかりとなった作品だと広く認識されている。
ジョングクは直感的なものと無形のものを重要視している。前者は彼の現在を導くものである。一方、彼の未来は後者によって揺り動かされている。少なくとも、彼自身がアーティストとしての自分をどう見ているかという点においては。だが、この話は後にする。というのも、最近26歳になり、この10年間を超有名人として生きてきたジョングクは、今この瞬間、自分が何者であるかについて考えているからだ。「僕は自分の感情に正直なタイプだと思います」と彼は言う。「僕はすぐに変わります。今やりたいことをやらなきゃいけないんです」
HYBEのソウル本社である巨大なビルの中の何の変哲もない一室にいるジョングクとZoomを通して話している。HYBEは、2005年にBig Hit Entertainmentとしてスタートしたマルチレーベル企業で、BTS以前にはK-POPアイドルグループを育成したこともデビューさせたこともなかった。1週間前はロンドン に、その前はニューヨークに滞在していた彼は、重い風邪と闘っていたのだが、テレビの生放送では完璧なパフォーマンスを披露し、どうにかそれを隠していた。
今回の撮影が行われ���ロンドン北部のスタジオでは、ジョングクは辛抱強く、協力的でありながらも非常に静かで、周囲の慌しい動きに視線を注いでいた。もともと内向的な性格の彼だが、撮影現場には、ざっと数えただけでも少なくとも40人がいる。スーツ姿のボディーガード2人を含め、その半分は彼自身の関係者だ。全員の視線が常に彼に注がれ、彼の一挙手一投足、髪型や服装、表情のわずかな変化まで注視されている。何とも疲れそうだ。彼のスタッフの1人は微笑みながら「彼は慣れていますよ」と肩をすくめた。
撮影の合間に、ジョングクが挨拶に来た。私たちは以前にも会ったことがある。2018年、BTSが成層圏に突入し、アリーナで公演していたのがスタジアムを完売させるまでになった頃だ。そのときも彼は静かだったが、精神的にも肉体的にもそわそわした不安げな雰囲気を漂わせていた。依然として彼の内面には掻ききれないような痒みがあるが、以前には欠けていた、と彼自信が感じている大胆さと自信によって、それが和らいでいる。それらは、長い間ステージで体現してきた彼の持ち味でありながら、日常生活にはついてこなかった特徴だ。「ステージに立つと、さまよっていた考えや感情が静まります」と彼は言う。いつも舞台に立っていた彼にとって、その2つの世界にそれほど大きな隔たりはなかったようだ。
パンデミックによってBTSの2020年『Map of the Soul Tour』が中止に追い込まれるまで、ジョングクは2014年以来、毎年グループとともにツアーを回っていた。2021年と2022年には、ソウル、ロサンゼルス、ラスベガスで1週間にわたるレジデンシー公演を行った。その後、2022年10月に、メンバー7人のソロ活動と韓国人男性全員に義務付けられている18カ月間の兵役服務のために、一時的な活動休止を発表した。この休止期間は彼に、自身の一部を解きほぐす機会を与え、ジョングクは内面にある軋轢を解消し始めた。そのひとつが、彼自身が自称するところの「怠け者」 であり、それが野心と競争心を抑えていたという。「以前は自分のそういうところが嫌いでした。そのせいで自尊心が欠けていたんだと思います」 とジョングクは言う。答えは、そんな自分を消し去ろうとするのではなく、違う角度から自分を見ることだった。「見方を変えて以来、自分の中のもっと良い特徴を見つけられるようになりました。逃したチャンスに、くよくよしたり、怠けている自分を責めたりして『なんで、あの時できたのに、できなかったんだろう』と考えるよりも本当の自分を受け入れ、できることに集中するようになりました。自分のペースで物事を進めることで、より多くのことを得られます。一日中ベッドに横になったり、テレビを見たりしたかったら、そんな一日を過ごす��もいいんじゃないかって」
これは、彼が自分の行動やその背後にある理由を理解する上で、連鎖的な影響を与えた。「僕は有名で人気のある歌手になりたかったし、そのためにはファンとアーティストの間に相互作用が必要だと思いました。愛を贈り、愛を受け取らなければなりません。でも、僕はARMY(BTSのファンコミュニティ)に『どうして、こんなにたくさんの愛を贈ってくれるんですか?どうして僕を愛してくれるんですか?』と尋ねていました。僕は愛を受け取るために一生懸命努力したつもりですし、その愛を当然だとも思っていません」とジョングクは言う。「とてもとても感謝しています。でも今は、謙虚に受け入れるべきだと思います。時間が経ったからかもしれませんが、今は逆になったんです。ファンのみなさんから、たくさんの愛と応援をもらっているので、その人たちに僕の存在によってもっと自信を持ってほしいし、もっと自己肯定感を持ってほしいと思っています。それが、僕がベストを尽くそうとする理由なんです」
ARMYの間で長年使われているフレーズがある。「BTS paved the way( BTSが道を切り開いた)」という言葉だ。特にアメリカでは、それまで東アジアのアーティストにとって、ほんのわずかな隙間しかなかった扉を彼らが蹴破ったのだ。あまりに強烈で、急速で、予想外だった彼らの躍進に不意打ちを食らったアメリカのエンターテインメント業界は、ビートルマニアの記憶をたぐり寄せ「BTSマニア」と呼ぶしかなかった。BTSは次から次へと記録を塗り替え、グラミー賞に5度ノミネートされるほどの有名アーティストとなった。アルバムセールスは全世界で1億500万枚を超えると推定されている。
ジョングクは、長年にわたって多くのARMYと会話してきた経験から、なぜBTSが言語、年齢、性別、人種に関係なく人々の共感を呼ぶのか、その理由を正確に理解している。「僕たちの歌やパフォーマンスに込められたメッセージが(人々を)慰めたんです」と彼は言う。「僕たちは、人々が聴く音楽の範囲を多様化することに貢献してきたと思いますし、文化的な観点からも多様性は重要です」 しかし彼は、BTSが壁を打ち破れた理由は、彼らの音楽を広めようとするファン自身の努力でもあるとする。さらに、こう話す「映画、テレビ、ファッション界や世界的なステージで活躍する多くの韓国人アーティストの方々。僕たちだけの力じゃないです」。
カルバン・クラインなどの巨大ブランドの広告塔、柔軟剤からコンブチャまで、彼が使用するものは何でも売り切れる。『Euphoria』などの彼のBTSソロ曲にインスパイアされたタトゥーを誇らしげに入れるファン。こうしたジョングクのスーパースター・アーティストとしての影響力に反して、彼は素朴で謙虚だ。一般的に、大衆文化は幼いスターにとって非情なものだが、15歳でデビューしたジョングクは、然るべき時に彼の襟を正してくれるバンドメンバーたちの注意深い眼差しの下で育った。彼は気配りができ、どこまでも礼儀正しく、好奇心旺盛で、茶目っ気のあるユーモアの持ち主だ。ライター/プロデューサーのAndrew WattとCirkutと共に『Seven』をレコーディングした際、彼はこれまで挑戦したことのないジャンルでうまくやろうと意欲満々で、マイクの前に立つと目に見えて緊張した面持ちだったが、2人から称賛の言葉を浴びせられると、明らかに嬉しそうな表情を見せていた。
「自分の声でどんな音楽ができるか試すために、できるだけ多くのジャンルをやってみたいです」と彼は言う。また、ソロ・デビューシングルの成功が、これからリリースする曲のサウンドに影響を及ぼすことはないと付け加えた。「音楽を聴いて、それが良かったらジャンルに関係なく、そのまま進んでいくだけです。『おお、この人はどんなジャンルでもこなせるんだな』って言われるのは本当に気分がいいので、みんなを驚かせられたら、すごく楽しいと思います」
数年前、彼は自分が書いたものをほぼすべて削除していた。当時を思い出し、笑みを浮かべる彼のピアスに光が反射する。「実は、音楽を作っては捨ててしまう癖を直そうとしているんです。でも、過去に自分が作業した曲を聴くと、今の自分はあまり満足できないんです。完璧だと思えなければ、どんな音楽も発表したくなかったですし、そう思える雰囲気もなかったんです。だから全部削除しました」
BTSが活動を再開する日が来るまで、ジョングクは自分自身の境界線を壊したいと考えている。昨年9月、彼はBTSの『Proof』(Collector's Edition) に収められた手紙にこう書いている「『僕の人生の主人公は僕以外の誰でもない』という気持ちで生きています。どんな環境に置かれても、誰が周りにいても、流されることなく自分を守り、自分をコントロールできるというマインドを持つこと。それを忘れないように生きています」。(余談:ジョングクがDAZEDの表紙撮影でシャツを着用しないという明確な取り決めはなく、どの衣装も事前に計画されたものではなかった。だが、楽屋から出てきた彼は、黒いレザージャケットの下に何も身につけていなかった。これが彼が望んで決めた服装だったのだ。黙ってヴィンテージのメルセデス・ベンツの運転席に乗り込んだ彼の腹筋は、くっきりと割れていた。そして、彼はカメラレンズをじっと見つめた)
BTSの最年少メンバーであるジョングクは、ウサギのようなグループの末っ子という本来のイメージが依然、優勢であることを知っている。「そういうところをすごく好いてくれてる」と彼はロンドンに滞在中、最近頻繁に行っているライブ配信の中でファンに言った。「みんなが、そういうところが好きだとする。それで僕はそれだけについて行く。それじゃあ、僕が変えられるものは何なんだよ?自ら、僕の人生なのに。僕が変えなきゃいけないじゃん?僕のことを愛してくれる人たちに『僕はこうです』って話して、それを強要するわけじゃないけど。僕はいつも新しいものを探して、その次に新しいものを面白く作りたいし、それでもってまたARMYたちに認められたいし」 また、『Seven』のExplicitバージョンの必要性を感じた理由を問う声にも答えた。このバージョンでは「And that's why night after night, I'll be lovin' you right」という歌詞が「And that's why night after night, I'll be fuckin' you right」になる。彼はこう言った「そう感じられたのなら、もう、どうしようもないけど。僕ももう何歳だよ〜(笑)」 (※Weverse Liveでのジョングクの発言部分は@may66669様の翻訳を許可を得たうえで使用させていただきました。引用元:リンク)
ここ数年の彼はボクシングを始め、眉と唇にピアスを開け、耳のピアスも増やした。髪を伸ばし、たくさんのタトゥーも入れた。「極端なことが好きなんです」と彼は笑いながら言う。「いつも人から、丸くて柔らかそうに見えるって言われるんです。僕は鋭くて力強いイメージが欲しいんです」 デビューシングルについてジョングクは、「自分のイメージから脱却しようとしたわけではありません」と語る。彼から見れば、すでに進化は起きており『Seven』は現在の彼をそのまま反映しているのだ。だからこそ、あの核心を突くライブ配信で、彼は毅然とした態度で率直に語ったのだ。「新しい挑戦を通して、ソロ・アーティストとしてどれだけ成長したかを見せることが重要でした」と説明する。「居心地のいい場所に留まったり、慣れ親しんだものに甘んじたりするのではなく。それをファンのみなさんに十分に説明したかったんです」
彼がこうした透明性と誠実さを求めるのは、ARMYとの深い心の絆があるからだ。ジョングクはARMYのことを話すとき目を輝かせる。「ARMYのことを思い出したり、会いたくなったりしたときは、ライブをつけて一緒に遊びます」と彼は言う。彼はHYBEのプラットフォーム、Weverseを通じて、今年だけで20回以上ライブ配信を行なっている。そのほとんどは寝室やリビングルームからで、しかも真夜中であることが多い。真面目なものから笑えるものまで、さまざまなコメントに何時間にもわたって答えている。カラオケをしたり、料理をしたり、お酒を飲んだり、洗濯物だって畳む。6月には、ジョングクが配信中に寝てしまい、それに気づいたスタッフが配信を止めるまでの45分間、600万人がその様子を見守った。
ARMYに「もう寝て」とか「飲み過ぎないで」と言われると、彼はやんわりと拒否するが、「ARMYは僕に関心があって、僕のことを好きだからそう言うんです。だから全然気にしません」と彼は話す。ファンがジムに現れたり、食べ物を家に送ってきたりしたときは、しっかりと、しかし丁重にやめるように言う。「複雑な関係ではありません。僕はARMYに自由に話すし、ARMYも僕に自由に話せます。相手が不適切なことを言ったとしても、それを受け入れるか、無視するかは僕の判断であり、僕の自由です」
2021年の『Vogue Korea』とのインタビューで、ジョングクは自分自身のことを完璧でありたいひび割れた灰色(「まだ何にもなっていない色」)の六角形であり「もっと上にあがりたい」人間だと表現した。だが、彼はそれを淡々と、いくぶん希望的にさえ言った。なぜなら、それが彼の原動力になっているからだ。昔も今も、ジョングクの中で「もっと」とは「もっと優れた、もっとかっこいい歌手になること」なのだと彼は熱く語る。「僕の中では、僕は自分が思い描いていたような歌手じゃない。僕が抱いていた歌手像とは違うんです。だから、もっと上を目指すんです」
しかし、この「もっと」という言葉は、会話において難問を投げかける。なぜなら、それは未来の一部であり、その未来は彼にとって明確な目標よりも、より雰囲気を重視する無形の領域だからだ。だからジョングクは、その想像上のイメージが何なのかを語ることができない。「まだ、はっきりとはわからないけど、何かあるような感じがするんです」 彼は人差し指を空中に突き立てて、上を指さす。「すぐそこにあるんです。ただ、まだ辿り着いていないだけなんです」
2023年のジョングクは、その「まだわからない」状態をよしとしている。彼は今を生き、物事をシンプルに考えることを心がけている。たとえそれが「言うは易く行うは難し」であったとしても。「まったく考えないでいるのは不可能です」と言って彼はため息をつく。「考え事をすると、その考えが延々と続いて、どんどん深みにはまっていくことがあるじゃないですか。それがポジティブな結論につながることもあると思いますが、僕の場合はネガティブな結論につながることもありました。でも、今は自分にある程度、自信が持てるようになったので、余計な考えを排除できるようになってきました」 頭を落ち着かせる術を学ぶ中で、彼は「まだ起こっていないことを心配したり、『自分の期待に応えられなかったらどうしよう』と考えたりすることが少なくなった」という。
しかし、ソロ・デビューアルバムを視野に入れ、さらなる音楽制作に取り組んでいるジョングクは、振り返ってみれば自分がどれほど成長したかを知っている。「(デビューシングルでは)自分の直感を信じて『観客に届くかな、たくさんの人に届けられるかな』と考えていたんです。それが、ある意味、証明できました」 そして、あの曖昧なグレーの六角形ではなく「白になりたいです。どんな色にでも好きなように染められるので」と顔いっぱいに、可能な���りの大きな笑みを浮かべながらジョングクは言った。
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kasayoichi · 1 year ago
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珠玉の友①
老いを是とせず
死を退け
希求するは涯なき生
古より万人は仙薬を追い求めて蓬莱を探し、ときに現世の果てへ消えていった―――
一、
 西に傾く陽の光が弱まり、人がまばらになった市中には濃く長い影が落ちはじめている。伸びた影の先には、天蓋を差し、白衣装に身を窶した一行と、そのうしろから運ばれる真っ赤な龕があった。鳴り続ける鉦鼓と弔いの哭泣を引き連れて干潮の浜へとむかっていく葬列を、静かに見送った。
 大清康熙暦二十一年、冬。
 冬至も過ぎたこの頃、雪こそ降らないこの国だが、陸を吹き抜ける乾いた海風はさすがに身に染みる冷たさにかわっていた。昨年までいた福州に比べればなんとも生易しい気候ではあるが、それでも四肢の末端はすっかり冷え切り、足袋が欠かせない。いつもより厚手の羽織を重ね着て悴んだ指を𠮟咤して筆を動かし、子弟たちを指導しながら漢文の組み立てなどをしていると、あっという間に昼八つ時を大きく過ぎていた。
「今度は丁越市(テイエツシ)だそうです……絶対おかしいですよ」
「まあ、多少気味は悪いが」
 夜詰めをほかの講師に引き受けてもらった己煥は、久米の大門付近で聡伴と落ち合い、ふたりで城下へむけて浮道を歩いていた。このあと城下の近くで朝明と合流し、今夜は漢籍の会読をする予定だ。 数町ほど歩けば座り仕事で冷え切った身体も暖まるだろうと思っていたが、逆に冷え切った夜風が容赦なく吹きつけ歯を鳴らしそうになる。己煥は重ね着をした袖のなかで組んだ己の腕で、辛うじて暖を取っていた。 寒空のもと、ふたりが歩く路肩の松並木のあいだ、その遠く向こうに死者を乗せた朱塗りのそれが目に入ったのはその途中のことである。
 夏以来、 城下とその先へ下った四町や港では、先の旅役にかかわった者たちには災厄が降りかかるという噂が巡っていた。来る年に清からの冊封使節を迎え入れる準備に追われる王府は完全に無視を決め込んでいたが、尾ひれがつき這うように官吏たちのあいだで話が広がる様はなんとなく不気味なものである。
「はじめはちょっとした偶然だと思ったんですけど」
 偶然、先の旅役に同行した某氏が原因不明の病に臥せった。
 偶然、先の旅役で才府を務めた者の室がお産で命を落とした。
 偶然、先の旅役で加子(水夫)務めた者が薩州へ向かう途中、大風で流された。
 そして昨晩、偶然、先の旅役で五主を務めた丁越市が知人と争った末に死亡した―――
「偶然じゃないか?」
「四人が偶然なわけないじゃないですか!四人なんて片手で数えていられるのもあと少しですよ?己煥様は他人事のようにおっしゃいますけど、私たち一緒に船に乗りましたからね!」
「葬式なんて最低でも月一はどこかの村で出ることだろう」
 聡伴は一生懸命恐怖を訴えて喚いてみたが、己煥の反応は今ひとつである。生まれた時分からたびたび生死をさまよっていたと聞くこの御仁にとっては、すべからく平等に訪れるものに対して、何をいまさら、という感じなのだろうか。
「私は帰国以来大きく体を壊したこともないし、朝明は……相変わらずだ。よほど痴情のもつれにでも巻き込まれない限り死にはしないだろう」
「そういう前振りが余計に怖いんですって!」
「―――左様、これから年の瀬にむけて冷え込みますゆえ……調子が良いなど大層なことをおっしゃっておられるとあとが怖いですよ、短命二才様?」
 九町ほど歩いた、寺の門前に続く橋の前、唐突に背後から投げかけられた言葉に、聡伴は顔をしかめて勢いよく首をうしろに回した。
 ―――短命二才、この渾名で己煥を呼ぶ者で碌な奴はいない。
「どこの者だ?」
 うっとおしく思った己煥は、ゆっくりと声のほうへ体を向きなおす。すると、己煥らよりも五、六は歳が上のようにみえる、赤帕を巻いて煙管を吹かしている男と、その脇に付き人らしき振袖の若衆がおり、こちらへ近づいてくる。少し体を横に傾けると、隣の聡伴が、赤冠の青年は某氏某家の子息・茂部之子だと耳打ちしてくれた。その家名は三十六姓のうちのひとつで、己煥にも聞き覚えがある―――同籍の士だ。
 王府に仕える士は、その出自と住まいから籍を四つに分けられている。
 朝明のような王族に縁ある家柄の者が住まうが城下、そこを下った先一帯に広がる四町には聡伴のような中級の士、さらに北側の港町には下級の士、そして四町と北の港のあいだが、己煥らが籍を置いている唐栄の村である。
「貴方より名声は劣りますが、この私も唐栄の出であり進貢使節の一員だったというのに寂しいことをおっしゃいますなぁ」
 吐き出された煙草の煙が、この男の周りを取り囲むように漂っている。
 己煥は深く息を吸い込ぬよう着物の袖で口元を抑えていたが、次第にあたりの空気も燻されたように乾き、咳き込みそうになる。
「なぁにが”使節の一員”ですか。あなたが心汚く縁を頼って船に乗り込んだことくらい周知の事実ですよ?用があろうがなかろうが失礼させていただきます」
 こんなやつと話す必要はありません、と聡伴は己煥をうながして右へ回ろうとした。
「なにか良い薬でもお召しになりましたか?」
「どういうことだ?」
 唐突な問いに、立ち去ろうとしていた己煥と聡伴はうっかり足を止めた。
 道行く人々がこちらの様子を窺いながら通り過ぎていく。���族の子弟らしき若者が路上で剣呑な雰囲気で言い合いをしているのだ。目立たないはずがない。茂部之子の傍で控えている若衆も困り顔で黙り込んでいる。
「いやぁ、不思議なこともあるものですなぁ。あれほど御身体が弱く上天妃の宮で教鞭を執られるのも稀といわれていた貴方が、今年は講解師に任じられたうえ冠船の諸事まで手伝っているというではないですか」
 来年は清から冊封使節が訪れるため王府のありとあらゆる役所がすでに大忙しであるが、海の向こうとの窓口になっている己煥ら三十六氏の官吏はいっとう多忙を極めていた。
「そこの推参な小童は私の縁故を心汚いと宣ったが、短命二才様が口にされたのはとてつもない良薬であらせられるようだ」
 なるほど、と己煥は静かにため息をつく。結局はいつものくだらない突っかかりである。一人のときは適当に口を閉ざしてその場をやり過ごすのが常だった。煙たさが治まってきた己煥は、口元から袖を離す。 この先で待たせているであろう朝明のことを思案して腕を組み直した。
「あなたにもそのうち素晴らしい効能を持った薬が見つかりますよ、多歳赤冠殿?」
「このッ……」
 ふたりを睨みながらも、無理に口の端を釣り上げ表情を取り繕う様は、なんとも品がなくみえる。あれほど分厚くとぐろを巻いていた紫煙は、今や線香ほどのか細い煙のすじとなって漂いながら、大人しく煙管に納まろうとしていた。
 年長の者をためらいなく挑発する聡伴に感心していると、なかなかあらわれない己煥たちに待ちくたびれたのか、朝明が橋を渡りこちらへ下ってくるのがみえる。己煥と聡伴が己のうしろを見やっていることに気がついた茂部之子も、つられてうしろを向いた。
「そうだそうだ。薬なら四町の市のほうが取り揃えが良い。さっさと下って行っちまえ」
 軽快な笑みを浮かべた朝明は、手首で軽く追い払うしぐさを見せる。若年にもかかわらず己より官位が高い聡伴や朝明に逆捩じを食らわされる恰好となった茂部之子は、あからさまに唇を噛みしめ吐き捨てる言葉を探していた。側に控えていた若衆は、これ以上この主人の口を開かせまいと、彼に去り際であることを小声で訴えている。
 茂部之子が動くよりも先に、朝明は己煥の上腕を軽く掴んで橋のほうへ上がるように導く。思ったより力を入れて組んでいた袖下の両腕を解くのに手間取りながら、己煥は朝明に従った。
「……災いは平等だ」
 茂部之子は取り繕ったしたり顔で言い放つ。
「家柄の良い才府も、優秀な五主も、不幸には抗えない。五本目の指を数えるのが貴方がたのうち誰か一人でなければ幸いですな」
「あなたはご自分の心配をなさったほうがよろしいですよ!そろそろ寒さが堪える御老体であらせられますしね!では失礼!」
 聡伴は今度こそ足を止めまいと、慌てて朝明と己煥を追いかける。
 橋を下った先では、大股で容赦なくひたすら前を歩く朝明に引っ張られて、足をもつれさせた己煥が待ったをかけていた。寺の門前を過ぎたあたりには馬を待たせてくれているのだろう。ここから城下へ少し上がったところに、朝明の別邸がある。
「朝明様!」
 ふたりに追いついた聡伴は、時間を取らせてしまったことを朝明に詫びるが、馬に乗りながら垂れ流すのは先程の愚痴であった。
「なんですかあいつ!己煥様が口利きで職位をもらったかのような言い方」
「それなりの位に就けば、私でなくとも下の者からの妬みや嫉妬は誰だってかっている」
 身体が弱く、これまでたいして仕事を抱えてこなかった己の名が聞こえるのが面白くない下級官吏が多いのは致し方ないことだろうと己煥は思っている。
「それでも言わせすぎだ。少しは周りを黙らせる努力をしろ」
「なんだお前まで」
「せっかく才能と実績は折り紙付きなんですから、御身体崩されてたときのことなんて気にしなくていいんですよ」
「この調子じゃあ小賢しい出世の競り合いで潰されちまうぞ。とくにお前んところは」
 同籍同士の出世争いが著しい唐栄に生まれながらも、己煥はどうも控えめで気が柔い。己と立場が逆であったほうが過ごしやすかったのではないかとすら朝明は思ってしまう。
「己の沈黙は是の証で」
「他の妄言こそが真とされるんだぞ」
 お前の将来に係ることなんだから、と朝明は念を押す。
  官吏という職は、謹厳実直に仕事をこなすだけでは立身の道は拓けないし、従順で馬鹿正直では勤めをまっとうすることはかなわない。頭だけではなく、気と口もよく回さなければ生き残れないのだ。己煥とてそれがわからないわけではないのだが。
 強く言い聞かせてくるふたりに気圧された己煥は、結局のところ、朝明しかわからない程度に頬を膨らませてふたりから目を逸らし、相変わらず黙っておくことしかできなかった。
 
「ところで朝明様、あの噂は……」
「いいか聡伴、進貢船の員数は二百余名だ。それが全員死んだら龕は出ずっぱりだぜ?」
 荼毘のさいに遺体を納めて運ぶ龕は、各村にひとつずつしかない大切な共有物だ。月に何度も葬式を出されてはたまったものではない。
「そりゃあ、まぁそうですけど……あ、お刺身美味しかったです」
 すっかり陽が落ちたころに到着した朝明の別邸でふたりに散々窘められ、供される料理に鼓を打っていても、聡伴はどうにも噂が気にかかって仕方がない。腹に流し��んだ汁物の温かさが、少しだけ気を軽くさせた。
「船旅は死に近い。船をおりてもそれの気配はなかなか離れぬだろう」
 そして、その心懸かりは吐き出されるにつれて尾ひれを纏い、村を流れ、町へ飛び、やがて大きな噂となる。
 屋敷の使用人に獲らせてきたのだという玄翁に、 己煥もありがたく一切れ、箸をつけた。 血色の良い白身は厚めに切りおろされ、ほんの少し加えた酢が身そのものの淡い味を引き立てている。
  見目のためにうっすらと残された皮がおびる青い濃淡は、薄明りのなかで鈍く光り、とても美しかった。
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k1kawa · 2 years ago
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ考察① ネタバレあらすじ
来年のアニバーサリーに向けてちまちま書いていきたいシリーズ第一弾です。よろしくお願いします。
こんな超メジャー作品のネタバレあらすじなんて日本語記事だけでも十分なくらいありますが、やっぱ考察はここからでないと始まらないので何番煎じでも行かせていただきます。
ご注意
当然ネタバレだしエクステンデッド版の内容も含みます。
映画本編の内容で、未成年の売春、女性へのレイプ描写があります。すべての性暴力に反対です。
① 青年期、仲間と愛人の死、そしてヌードルスの逃亡
 まず登場するのが主人公ヌードルスの恋人であるイヴ。彼女は主人公をどういうわけか追っている男たちに殺害されます。その次に出てくるすでに血塗れながらも暴力を受けているのが、主人公たちの馴染みの店主であるファット・モー。「仲間を売るようなやつだぞ、居所を吐け」と拷問されています。銃口を突きつけられ命の危険を感じ、ヌードルスの居所を吐いてしまいます。
 場面が変わってチャイニーズ・シアター、という名の阿片窟。そのままの通り、違法薬物である阿片が吸える中国系移民が経営する施設です。ここでやっとこさ登場するのが主人公ヌードルス。阿片を吸って虚脱状態にあったようです。そばにあった新聞を手に取るヌードルス、その内容は「違法酒類の取引現場で警察と犯人が衝突、犯人の三人は全員死亡」というものでした。横たわるヌードルスの回想が入ります。彼が思い出す人物の中に、新聞に載せられた写真と同じ彼らの姿がありました。ヌードルスはその日のパーティ���最中、密告の電話を警察にしていました。それが原因で仲間たちが死んだのです。
 その最中、ファット・モーから居所を聞いて追っ手たちがやってきます。しかしからがらシアターの店員にヌードルスは逃がされます。入れ違いになりヌードルスはファット・モーのところへ。見張りがいましたが機転で殺害、モーと少し話したあと彼は時計から鍵を取り出します。「金が必要か」とモーに問われるも、ヌードルスは鍵を見せて「余るほどある」と告げて去っていきます。
 ヌードルスが向かったのは、おそらく駅構内のロッカー。あの鍵はどうやらロッカーキーで、ヌードルスは件の扉を開きスーツケースを取り出します。彼は中身をすぐ確認しますが、中にあったのは古新聞の束。ヌードルスは動揺こそしている様子でしたが取り乱しはせず、スーツケースを放置してその場を後にします。駅の切符売り場で彼はバッファロー行きの片道切符を購入、ここら辺りで最初の青年期のシーンは終了します。
② 老年期、モーとの再会と帰郷の理由
 舞台は引き続き駅構内。しかし①のシーンから35年が経過。年代は1968年に移り、主人公ヌードルスも禿げ上がった初老の男性になっていました。ヌードルスの背後にあるビッグ・アップルの絵が、ここがニューヨークであることを示します。ヌードルスは久々のニューヨーク、もとい生まれ育った街ロワー・イーストサイドをレンタカーで回り、35年前に別れたきりのファット・モーと再会します。
 ヌードルスの帰郷に驚きながらもほっとした笑顔を見せるモー。二人はしばらく話すと、やはり「なぜ帰ってきたか」に話題が移り、ヌードルスは一通の手紙を見せます。ユダヤ人墓地の改装の案内でした。モーの店にある六芒星でわかる通り、彼らはユダヤ系移民のアメリカ人です。ヌードルスは逃亡の身なので当然ヌードルスではない、おそらくはユダヤ人でないことになっていたでしょう。そんな彼にその旨の内容の手紙が来るのは、ヌードルスの正体も居所もとっくにばれている証左です。加えてヌードルスはその手紙がきっかけで、35年前に死んだ三人の仲間、マックス、パッツィー、コックアイの遺体が立派な墓地に弔われていると知りました。
 モーの店に泊まることになったヌードルス、寝所には過去に撮った写真が貼られていました。友人たちと撮った写真と、同一人物であろうバレリーナの少女のそれと、美しい女性のそれを見つめるヌードルス。曰く大スターとなったモーの妹だそう。モーに就寝の挨拶をしたあと、ヌードルスはおもむろに部屋を出ます。向かったのはずいぶん古い様子のトイレ個室。彼は便座に足を載せ、壁の木片を取り外し向こう側を覗きます。その先には件の写真にあったあの少女が踊っていました。
③ 少年期、デボラとマックスとの交流
 壁の向こう踊っていたのはモーの妹、デボラ。そして覗いていたヌードルスもいつの間にか少年の姿に。舞台が1968年はもちろん青年期よりも前に移りました。覗くヌードルスに気づいていたデボラは彼を「ゴキブリ」と言い放ち、ヌードルスは彼女と口論しますが言い負かされます。そのまま合流していた仲間、パッツィー、コックアイ、そしてドミニクと、ここらを牛耳るバグジーから依頼された仕事を片付けに行きました。
 仕事をこなしたヌードルスたちは報酬として、バグジーの店で飲んだくれた客をカツアゲする権利を得ます。さあやるぞとなったとき、タイミング悪く警官ホワイティが外に出ていました。しかしこれまたタイミングよく、荷物を大量に積んだ馬車がやってきてヌードルスはこの陰で実行しようとします。ですが酔っ払いを捕まえようとしたとき、馬車の荷台にいた背の高い少年がヌードルスたちの前からターゲットを掠め取ってしまいました。
 消化不良のまま自宅のアパートに帰ったヌードルス。トイレで読書をしようとしますが色々あって、同じアパートで同年代の、それもケーキひとつで売春しているペギーという少女をトイレ内で誘いますが断られます。また消化不良のまま外に出るとヌードルスは、道路の向こう側で引越しの荷物を整理している、あの酔っ払いを掠め取った少年を見つけました。少年と言い争いになるヌードルス。彼の戦利品であろう銀時計を盗みますがそれは警官ホワイティに不当に没収されてしまいます。しかしこれがきっかけで例の少年、つまりマックスとの交流が始まりました。
 場面が変わって、ペギーとケーキひとつでセックスできると知ったパッツィー。なけなしの金でケーキを買いペギーを待ちますが、待ちきれずケーキを食べてしまいます。ですが彼女が屋上に上がると同時に、パッツィーは同じく屋上に向かうホワイティを目撃。彼は未成年のペギーを買春していました。その現場をパッツィーはすぐさまヌードルスに報せ、彼はマックスとともに動かぬ証拠写真を激写。それを使ってホワイティを買収し銀時計も奪還。おまけにペギーとのセックス代金も二人揃って支払わせました。
 時間が少し経ち、季節はユダヤの大きな催事である過ぎ越し祭の時期に。大多数がシナゴーグに向かう中、デボラはひとり留守番すると知ったヌードルスは彼女の元へ。デボラは彼を招き入れ雅歌を贈り、二人はキスをします。ですがせっかくのいい雰囲気に邪魔が。その正体はマックスでした。マックスは曰く「泥棒のチャンスだから」と迎えに来た様子。しかしやっとデボラと想いが通じ合えたヌードルスは誘いを断ります。マックスは諦めて去ろうとしますが、そのときちょうど彼らの前に現れたのがバグジーたち。大物である自分を差し置きひと稼ぎするヌードルスたちが気に入らないバグジーは、彼らをリンチ。金を奪い取り去っていきます。ぼろぼろになったヌードルスはデボラに助けを求めますが、結局彼はチンピラなのだとデボラは見限り鍵を閉めて拒絶しました。
 バグジーに頼らない稼ぎ方が求められたヌードルスは、元の頭の良さを駆使して、当時取引を禁止されている酒、それも見つかって海に捨てられたものの回収方法を考案、これが大当たり。成功したヌードルスはマックスと海に飛び込んでしまうほどはしゃぎます。大金を稼いだ彼らは少年ながらもスーツを着込み一端のギャング気取り。ここで例のロッカーキーが登場し、あそこにしまわれていたのは彼らの共同基金だったと判明します。
 改めてギャングとしてスタートを切った彼らは上機嫌で街を闊歩していました。しかしそこに現れたのは銃を携えたバグジー。稼ぐ少年たちを自ら始末しに来た彼は銃口を向け、ヌードルスたちは物陰に隠れます。ですが逃げ遅れた一番の年少だったドミニクが凶弾に倒れ、ヌードルスの腕の中息を引き取りました。
 バグジーはいまだ少年たちの命を狙います。次に狙われたのはドミニクの次に背が小さいパッツィーでした。彼が見つかった瞬間、ヌードルスはナイフを持ってバグジーに飛びつき、殺害しました。けれどもちょうど巡回中だった警官が駆けつけ、すでに冷静さを失っていたヌードルスは警官の一人も刺してしまい、そのまま逮捕されました。
 おそらく刑務所に連れていかれるヌードルス。彼は車の格子から見送る仲間たちに手を振りました。これを最後に少年期のシーンは終了します。
④ 老年期、リバーデイル墓地にて
 時系列は1968年に戻ります。ヌードルスは件の手紙で知った、仲間が弔われている墓地にいました。扉を開くと仲間の一人であるコックアイがよくフルートで吹いていたフレーズが流れていました。また、三人の仲間も立派な棺に収められている様子です。しかしその中にあった、建てた人物を記したプレートが問題でした。曰く建てたのはヌードルス本人であると。そしてそのプレートにはロッカーキーらしきものが下げられていました。
(エクステンデッド版のみのシーン)ヌードルスがその鍵を取ると、この墓地の担当という女性が現れました。ヌードルスはこの墓地を建てた人物について彼女に問いかけますが、よく知らないとのこと。ふとヌードルスが周りを見ると、不審な車が彼らを伺っている様子でした。ヌードルスはその車のナンバーをメモします。
 ヌードルスが次に向かったのは例のロッカーでした。あの鍵は、かつて自分たちの共同基金が収められていたロッカーの鍵穴にぴったり当てはまりました。中を開けるとかつてのようにスーツケースが。しかしその中身は古新聞でなく本物の金でした。それも中にぎっしり。札束をまとめる帯にはこう書かれていました。「次の仕事の前金」と。
⑤ 青年期、仲間たちとの再会
 また舞台は過去に。少年期の次なので青年期に。刑務所から出てすっかり成長したヌードルスを出迎えたのは、同じく成長したマックス。彼は禁酒法の元、酒類を違法に取り扱うビジネス、それを隠すために葬儀屋を始めており社用車も持っています。その社用車でヌードルスを出迎え、その中に娼婦を潜ませる嬉しいサプライズも用意していました。
 マックスが向かったのはファット・モーの店。元々経営していた彼の店を改造し、豪華なもぐり酒場に仕上げていました。そこでヌードルスはかつての仲間と再会、何よりその場にはデボラがいました。彼女曰く「自分の意志で来たわけではない」とのことですが、ヌードルスは彼女と二人かつての想いを寄せます。しかしいい雰囲気をまた邪魔したのがマックス。仕方なくヌードルスは彼女の元から離れます。
 マックスは仲間との再会だけでなく、会わせたい人物がいるとのことでした。その名はフランキー・マノルディ。バグジーとは比べ物にならない大物です。それに併せていたのがその兄貴分らしいジョー。彼は「デトロイトの宝石屋からダイヤを強奪する」という内容をマックスたちに依頼しました。ですがユダヤと自分たちを馬鹿にするような物言いをするジョーの依頼なので、ヌードルスはどこか乗り気でありません。
 そのまま葬儀屋はデトロイトの宝石屋を襲撃。ヌードルスは暴れたその店主の妻を拘束しますが、どうも彼女の様子がおかしい。彼女はヌードルスに「自分を殴れ」と言い、彼が困惑すると激昂。仲間の「言われた通り殴ってやれ」、「犯してしまえ」という言葉通りヌードルスは彼女をレイプします。
 依頼を完了し、ジョーたちに宝石を届けます。しかし取引の最中、パッツィーがジョーたちに向かって発砲。マックスたちもすかさず銃火器を取り出して彼らを撃ちます。ヌードルスは戸惑っていましたが、一人逃亡したのを見てすぐに行動、殺害します。本当の依頼はジョーの殺害だったと悟ったヌードルスは帰還後マックスを問い詰めます。「フランキーは次には自分にお前を殺せと依頼してくる」と、ヌードルスはマックスを説得し、彼も受け入れます。ちょうど海が見えてマックスが「泳ぐか?」とヌードルスに問うと彼も同意し、なんとアクセル全開で車ごと海に飛び込みました。
⑥ 老年期、爆破事件とベイリー・スキャンダル
(エクステンデッド版のみのシーン) 1968年、ヌードルスは墓地で見た車を追ってロングアイランドにやってきました。そこにはいっとう大きな屋敷が。そこの車がヌードルスを尾けていたものでした。しかしヌードルスが車のナンバーを見ていると、なんとその車が爆発したのです。
 モーの店で目撃した爆破事件のニュースを眺めるヌードルス。どうやらあの車と屋敷の持ち主は、クリストファー・ベイリー商務長官なる者とのこと。その政治家は今現在スキャンダルの渦中にあり、先の爆破事件に限らず他にも不可解な飛び降りなどがあった様子。次にニュースに出てきたのがスキャンダルに関わっている疑惑のある労働組合のリーダー、ジミー・オドネル。ヌードルスは彼と知り合いだった過去がありました。
⑦ 青年期、葬儀屋と労働組合、恋の終わり
 ジミーとの出会いから始まります。経営者側にとって労働者の権利を主張するジミーは邪魔者以外何者でもありません。経営者はギャングを雇いジミーを脅迫、しかし彼は屈しません。いざ殺されそうになったところ駆けつけたのはマックスたち葬儀屋でした。彼らはギャングたちにとって人質になり得るクラウニングという男を盾に、ジミーを解放させます。
 次の葬儀屋の仕事は、経営者側に味方する警察署長をどうするかでした。警察署長は初めての男の子に恵まれ有頂天。おそらくはヌードルスのアイデアで、病院内の件の赤ん坊を、他の乳幼児と入れ替えることで「行方不明」に。入れ替えた番号を教えるのを引き換えに、警察による労働者ストへの攻撃をやめさせます。
 ひと仕事終えた葬儀屋。ちなみに場所は成長したペギーが経営する売春宿。彼女はいわば「ショバ代」として葬儀屋に金を渡していますが、コックアイは店の娼婦を金の代わりにしています。そんな彼が娼婦を見繕っていると懐かしい顔が。そこにいたのはあのデトロイトの宝石屋夫人でした。
 マックスは面白がり彼女、キャロルを呼び出します。初めキャロルは彼らが誰かわかりませんでしたが、襲撃時にしていたマスクをするとすぐ思い出しました。彼女は葬儀屋たちに「挨拶」し、中でもマックスを気に入ります。
 キャロルとマックスは睦み合いますが、ヌードルスは何やら面白くない様子。呆れた風に、彼は先約で出て行きます。その先約とは、デボラとのデートでした。
 デボラとのデートで海の見えるレストランを貸し切ったヌードルス。いい雰囲気ですがマックスの話題を出してデボラを不機嫌にさせたり。それでも取り直し、ダンスをしてその後海辺で横たわり、ついにヌードルスはデボラに愛を告げます。しかし彼女の返事は「(女優になるため)明日ハリウッドに発つ」というものでした。ショックを受けたヌードルスは、帰りのタクシーで彼女をレイプしてしまいます。
(エクステンデッド版のみのシーン)ところ変わってどこかの酒場。ヌードルスは飲んだくれていました。そんな彼に話しかけてきたのがイヴ。イヴはヌードルスが簡単に大金を渡してきたので彼の誘いに乗り、そのアパートで一夜を過ごします。といってもヌードルスは飲み過ぎていてそのまま寝たみたいです。ヌードルスが起きるとイヴの電話番号が書かれた置き手紙がありました。
 起きたヌードルスが髪もあまりセットしないまま向かったのは駅。デボラが出発しようとしているところでした。二人は目が合いますが、デボラは窓を閉じてヌードルスを拒絶しました。
⑧ 青年期、友情の亀裂(インターミッションが挟まれるので区切っています)
 おそらく二日ぶりに葬儀屋のオフィスに出向いたヌードルス。彼を迎える仲間の視線は冷ややか。あとキャロルもいます。何でもヌードルスが失恋のショックで酒と阿片に溺れている間、彼抜きで労働組合関連でひと争いしたとのこと。マックスもさすがに「女で仕事にまで支障をきたすな」と怒りますが、ヌードルスは「職場に女を連れ込んでるのはそっちだ」と話をすり替えます。するとどういうわけかキャロルがマックスに怒鳴られ退出させられます。彼女が出ていくとマックスは機嫌を一変させますがちょうど電話が。ジミーからでした。しかし電話の向こうで、ジミーはかつて自分を脅したギャングに襲撃されます。それを聞いた葬儀屋はすぐさまそのギャングを始末しました。
 結果労働組合の問題は瞬く間に解決。葬儀屋はジミーの入院先でシャンパンを開けます。そこには彼らだけでなく、議員のシャーキーも同席していました。ジミーが手術に行くと、シャーキーはビジネスの話を始めます。曰く禁酒法はもうすぐ終わる、と。彼が提案したのは禁酒法が終わって不要になったトラックの回収。それをジミーたち労働組合と連携して新しいビジネスをする、という内容でした。マックスは乗り気でしたが、ヌードルスは一蹴して断ろうとします。ヌードルスを止めるマックス。ですがもう二人の意見は合いませんでした。ヌードルスは自分を捨ててもいい、のようなことを告げ、「それまでフロリダにいる」を最後に病室を出て行きます。
 しかしマックスはすぐにヌードルスを追いかけました。追いかけたマックスにヌードルスは微笑み「泳ぐか?」と問いかけます。マックスは快い返事をし、二人は病院を後にします。その直後なぜかフランキーが、病院のエレベーターに乗り込みました。
 フロリダでマックスはキャロルと、ヌードルスはイヴとのんびり過ごしています。人がいっぱいの浜辺を駆けてイヴが号外を持ってきました。内容は「禁酒法廃止の決定」。つまり違法酒類の取引がメインである葬儀屋の廃業を意味していました。なので次のビジネスを考えなければいけません。マックスには案があるとのこと。それは連邦準備銀行の襲撃。国が運営するものなので、一筋��じゃないどころか無謀な計画です。しかしマックスは希望に満ちたように「お前とならできる」とヌードルスに語ります。対しヌードルスの放った言葉は「狂ってる」というものでした。その言葉にマックスは激昂し、一人離れて浜辺を歩いて行きました。
 連邦準備銀行を偵察するキャロルとヌードルス。キャロルもこの計画が無謀で命を捨てる行為だとわかっていました。彼女もまたマックスを止めようとしましたが聴く耳持たずとのこと。そこでキャロルはヌードルスに「いっそ軽い罪で逮捕されて刑務所で頭を冷やさせる」と提案します。そして「彼と離れたくないなら一緒に捕まればいい」と付け足されました。
 ついに禁酒法が終わる日がやってきました。モーのもぐり酒場としては最後の日ということで、店内は盛り上がっています。葬儀屋にはまだ仕事が残っていました。違法酒類を抱えた業者からの回収です。散々儲けさせてもらった禁酒法下では最後の仕事なので、マックスはパッツィー、コックアイと乾杯します。ヌードルスは一人離れたところで乾杯しました。めでたい日なのに元気がないヌードルスを見てイヴは心配げです。彼は意味深な言葉を告げイヴから離れ、会場でない別室の電話のダイヤルを回します。その先は警察でした。ヌードルスは告げます。「情報がある」と。
 ヌードルスが電話し終えたあと、マックスが部屋に入ってきました。マックスはヌードルスの体調が悪そうだからと先に帰らせようとします。ヌードルスはマックスに告げます。「お前がどこへ行こうと俺はついていく」と。しかしマックスの返答は「シャーキーの言う通りお前を捨てるべきかもな」という冷たいものでした。それに対しヌードルスは再び「狂ってる」と言ってしまいます。フロリダの時以上に激昂したマックスはヌードルスを殴り、彼を気絶させました。
⑨ 老年期、真実
 この老年期のターンで全てが明らかになります。ヌードルスが向かったのはニュースを賑わすベイリー長官が運営する病院。そこにいたのは勤めているのか入院しているのかは不明にせよ、年老いたキャロルでした。キャロルは「私たちはマックスに騙された」とヌードルスに話します。彼女の話によると、マックスの父親は精神病院で自殺し、マックス自身もそうなることを何よりも恐れていたということでした。彼が「狂ってる」と言われて激昂した理由です。ヌードルスはキャロルと話している途中、飾られている写真に目を向けます。その中にデボラが写っていたからです。キャロルは、「パトロンと、女優さん」と答えました。
 次にヌードルスが赴いたのは劇場。デボラが主演の劇が催されていました。彼は楽屋にてデボラと再会します。二人はとりとめもない会話をしていましたが、ヌードルスは聞きたいことがある、と一通の封筒を取り出しました。それは現在取り沙汰されるベイリー長官からのパーティへの招待状でした。それを見てデボラは動揺します。さらにノックの音と若い青年がデボラを呼び、彼女はさらに取り乱しました。しばらくして落ち着き、デボラはベイリーについて簡単な略歴をぽつりぽつりと話しましたがヌードルスは「長官の愛人なんだろう」と問いました。デボラは答えず、パーティには行かないようにと、彼に声がした方の扉から出ないよう忠告します。しかしヌードルスは出ました。扉の先には、ありし日のマックスにそっくりな青年がいました。デボラは背後から、「彼は長官の息子で、名前はあなたと同じデイビッドだ」と告げました。
(エクステンデッド版のみのシーン)友人たちと楽しく喋るベイリー長官の息子、デイビッド。彼は窓から見下ろす父に気づき、手を振ります。ベイリーも手を振って返しました。部屋に向くと、椅子には年老いたジミーが腰掛けています。ジミーはカメラの前でこそ労働組合の潔白を主張していましたが、実際はかなり深く食い込んだ関係でした。おそらくシャーキーの言った案を実行した結果が、今のベイリーとジミーなのでしょう。これまでの爆破事件もジミーたちの仕業だとベイリーは確信しています。そして次にジミーが死んでほしいのはベイリー自身なのだとも理解しています。彼はジミーの望むまま、死後の財産分与についての書類にサインせざるを得ませんでした。
 ヌードルスはパーティにやってきました。驚いたような表情のデボラと目が合いました。声はかけず、ヌードルスはベイリーの元へいざなわれます。ついにベイリーと相対する時がやってきました。ベイリーはゆっくりとヌードルスに振り返ります。その顔は、言い逃れようもなくマックスでした。
 一方ヌードルスは素知らぬようにベイリーに、ロッカーにあった依頼について尋ねます。ベイリーは銃を渡してきました。そう、依頼とは「ベイリーの殺害」でした。
 35年前のあの日、マックスは死んでいませんでした。それどころかヌードルスの密告に気づき、逆にそれを利用したのです。結果彼は生まれ変わり、仲間の共有財産だった金、地位、ヌードルスが愛した女、何もかもを手にしたのです。ヌードルスを裏切ったことで。
 ベイリーはそれを話してヌードルスに復讐させようとしたのでしょう。逃げ道まで用意しているくらいです。ですが彼は銃を受け取ろうとはしませんでした。ヌードルスは彼を「ベイリー」と呼び続け、依頼を断りました。ベイリーは問います。「これがお前の復讐か」と。ヌードルスは答えます。「いや、俺の考え方だ」
 ヌードルスはベイリーの用意した逃げ道で帰路へと着きます。ベイリーの屋敷を出ると、大きなゴミ収集車がライトをつけ発信しようとしています。ヌードルスが歩き続け、ふと後ろを見るとベイリーらしき人影がこちらに近づいていました。ヌードルスは立ち止まってそれをじっと見ます。しかしゴミ収集車が走り出し、その影を隠しました。ゴミ収集車が走り去ると、もう人影はありませんでした。
 すると、ゴミ収集車とは逆方向に1968年には見合わないクラシック・カーがゴッド・ブレス・オブ・アメリカを流しながら走り去って行きました。ヌードルスはそれを眩しそうに眺めていました。
⑩ 青年期、笑み
 時代は再び35年前、1933年へ。阿片窟です。ヌードルスがいました。ポケットには新聞が入っています。彼は店員が用意したパイプを吸いました。そして仰向けになり、奇妙な笑みをこちらに向けてこの物語は終わります。
 
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wozequi · 1 year ago
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【情報・モラル】①2年弱前「刑事」「民事」から思うこと(gooブログカテゴリー見直し等)、②一つのきっかけ、新聞記事(送検見送り)
23/08/10 08:10
今日は【情報・モラル】面で、2つの内容を引用し、今後の方向性(gooブログのカテゴリーの再編成)を投稿します。
①2年弱前の「刑事」「民事」騒動から振り返り思うこと(今後gooブログのカテゴリーを見直したい、等)
まず、私のFacebook投稿(2023.8.8.火曜)
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid0EdmjsT83kfwuk9Ndw2daLcW2N31k1tdVqqR3jqr3cdc3BssmWQFVmwjDW1c5cmNCl&id=1507730726 を、
画像で引用したく思います。
上記をテキスト化します。
***
下記のように中学生の皆さんの素敵な吹奏楽活動を鑑賞し(頑張りを拝見し)、私も頑張らなければ、と思う今日この頃です。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=10230225267324776&id=1507730726
さて、最近いくつかの案件から波及して、2年前の大垣市教育界の情報モラル問題が世間で少し話題に出るようになりましたが、ソレはソレとして、私は淡々と先を見て進んでいきたいです。
たまたまの前立腺炎?の痛みが、いま万事停滞の理由の一つで厄介なところではありますが、ソレを乗り越え、遅れを取り戻していきたいです。身辺整理(自宅、実家の思い出の品々)がありますが、2年弱前に情報モラル問題で「刑事」「民事」を言われましたので、ソコに関係しそうな部分は「証拠隠滅」にならないよう、ブログデータ、ペーパーの取り扱いには気を付けていきます。その他、ボクシングトレーニング、語学(今はフランス語、秋からはアラビア語再開?!)、草屋根手入れや柱塗装、教育関係、憲法・法律関係、行政関係、…など、イロイロです。
***
上記がFacebookからの引用でした。
基本的に方向性を転換しつつありますが、備忘録的に、過去のブログ(特にgooblog)について、情報は残したまま(削除すると「刑事」「民事」をちらつかされた私としては周囲から証拠隠滅と受け取られる恐れがあるため)、カテゴリー分けを見直す(&可能な場合はキーワードを新たに付与する)ことができると良いように考えています。
また、カテゴリー名の変更、統廃合もできると良いように思います。
日々の投稿内容のカテゴリー分けは、多分、次の方向に見直すことになります。
【日記】の中で、具体的なカテゴリーに分類できるものは、そのカテゴリーへ。
【教育界】の中で情報モラル関係については、【情報・モラル(小説感想等を含む)】へ。
そうすると、【情報・モラル(小説感想等を含む)】の内容が充実することになるかもしれません。
情報モラルを取り巻く状況の全体像が掴みやすくなるように思います。
すると、次のブログは【情報・モラル(小説感想等を含む)】に入ることになりますが、画像右側のような2年前(2021年秋)の誹謗中傷ブログの投稿(地域への誹謗中傷ビラまき)は、何の目的で誰がやったのかを解明することが一つの課題である、ということ分かるようになるのではないでしょうか。
誹謗中傷関係は、以前、複数の方から断片的ながら、捜査機関に情報提供があったとされますので、問題発生から約2年が経ちましたが、情報が消えゆく中、真実の把握が進められることを願っています。
一つ知りたい点があります。
それは以前情報提供された内容がおそらく真実の把握に十分に展開されていない可能性がありますが、それは、なぜ?ということです。
水面下で誹謗中傷関係で調査(捜査)が進んでいるなら良いと思いますが…
教育界が関係する情報モラルについて(外国語3つで投稿挑戦) - Wozéqui - soleil ブログ
إلىاليسار:اليوم(2021.10.12.)الطبعةالصباحيةمنGifuShimbunكانهناكمقالحولأخلاقياتالمعلومات.علىاليمين:فيالآونةالأخيرة،كانتهناكمدونةإهانة.اريدانافكرفياخلاقالمعلومات.#أ...
goo blog
https://blog.goo.ne.jp/wozequi/e/775ec7f04794f2a1a4921f2829a23d99
上記、ブログ内の分類見直しですが、gooブログ以外で、例えば、AmebaやNoteは分類分けを見直す予定はありません。
海外系ブログ「Tumblr」に分類分けがあるのかどうかは分かりませんが、私はそこでは(そこでも)gooブログを貼り付けているだけのため、Tumblrブログを見直す予定もありません。
そう、最近しばらく、上記文中にもありますように、前立腺炎?で痛い思いをしてきましたが、おかげさまで、昨日午後あたりから、少し和らいできました。
なので、このまま痛みから解放され、快方に向かえば、作業は進むように思います。
今朝、さらに安心感があります。
以下の事情を知ったことがその理由の一つかもしれません。
***
②上記流れのきっかけの一つとなった新聞記事(2023.8.10. 木曜、中日新聞さん、朝刊、岐阜総合面)
この記事に関係すると思われる方について、先日の新聞では少なくとも新聞2紙で(インターネット記事も含めて)、実名報道がありました。
記事で名前を見た時、「えっ」と思いました。
今回の記事では、この案件は「不起訴」となり、対象者は「男性」という表現になりました。
私は当事者ではありませんので、一連の事情は分かりませんが、何らかの事情で(調整され?)、不起訴になったのだろうと思います。
想像の世界になりますが、この男性におかれては、まずは良かったように思います。
前回の報道が実名記載であったことから、次のブログの内容を改めて考えています。
文部科学省HP「一度流出した情報は永遠に残ってしまう」の紹介、パート2 - Wozéqui - soleil ブログ
「一度流出した情報は永遠に残ってしまう」(情報元=文部科学省)について、最近のFacebook投稿https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=102261344...
goo blog
https://blog.goo.ne.jp/wozequi/e/276e15274d01f9740572fe71cbb5fc62
私は、ブログ(goo、Ameba、Note、Tumblr(海外系))、SNS等(Facebook、Instagram、X(旧名Twitter)、TikTok、最近はPinterestやYouTubeも)を利用していますので、「一度流出した情報は永遠に残ってしまう」ことから、私は、各種投稿で「うまく伝わらず」とならないよう気を付けていきたく、考えています。
***
少し余談で…
今朝の草屋根:新たな花が咲きました。嬉しいです。
以上、このブログにお付き合いくださり、ありがとうございました。
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【日記】1年前、2022年8月7日のブログの振り返り
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【日記】①吹奏楽コンクール(岐阜県)中学校の部を鑑賞、②草屋根の可愛い花
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kawasakiworks · 3 years ago
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Tumblr media
完全に持ち時間が無くなりお茶も飲まずにノンストップ さっさと下塗りして中塗り→フラットベース入れたクリア迄吹き終わりました。 速乾シンナー使ってなんとか乾かしました。 養生バラしてさっさと片付けたらもう日が… そこから新しく打ち合わせ→オリジナル庇製作依頼頂きました。 現場出18:30🎃 工場に戻ったら600mlのカップと謎に虫回しが5本 家にあるの入れて8本… この際各車に備え付け🔥❗️ #有限会社川﨑製作所 #三鷹#杉並#中野##町工場#製作所#出張門扉修理#出張塗装#出張ガン吹き#出張吹き付け塗装#アネスト岩田#w101#w100#wider1l#低圧スプレーガン#現場塗装#パテ剥離 #塗膜剥離#塗膜剥離補修#現場塗装#艶消黒#pgハイブリッドエコ#レタンpg80#ロックフラットベース#ウレタン塗装#コンプレッサー持込 #出張#出張塗装#ステンレス門扉#アルミ門扉#パリパリ (Suginami-ku, Tokyo, Japan) https://www.instagram.com/p/CV-UIHrjweU/?utm_medium=tumblr
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thereareonlydeer · 3 years ago
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後足で砂をかける
バイトの給料が出たので前の家の清掃費を支払いに銀行までチャリを漕いだ。先日の引っ越しの後始末だ。
引っ越しのとき、ずぼらなボクはギリギリまでまったく準備をしていなかった。必要な物から順に車に詰め込んで残りは捨てていけばいいだろうと、ずぼらな人間特有のずぼらな計画を立てていた。ずぼらな人間が繁忙期の引越し業者とやりとりできようはずもない。軽バンを借りての独力での引っ越しだった。
それでボクは引っ越し前日から荷造りを始めた。読み通り準備はさくさく進んだ。前の引っ越しで使った段ボールが中身の入ったまま放置されていた。それを閉じてその日の朝にコンビニで買ったガムテープで封印した。嵩張りそうな食器や書籍、スーツやコートはゴミ袋に詰め込んだ――どうして日雇い労働者がそれらを持つ必要がある? 夕方ごろから始めたので、さくさく進んだとは云っても夜通しの作業だった。外観的には夜逃げだった。本質的にも多分に夜逃げだったような気がする。住所と紐づいたあらゆる支払いを、あわよくば踏み倒そうと思っていた。家賃とか光熱費とか学費とか。
そうして予定日になって、ボクは一人車を走らせた。実際のところ引っ越しの日がその日である必要は特になかった。前にも後にも・誰とも何処とも予定はないから何時まででもその家に住み続けることができた。家賃を滞納して強制退去命令を喰らったとて、それから半年は居住する権利があることをボクは知っている。 ただ、片付けの途中で面倒くさくなってしまった。最低限の衣服とPC、分解した自転車を車に積んだ時点でなんかもうどうでもよくなった。とっ散らかった汚い部屋を見るのが嫌になった。
どうせ暖かくなるし布団はいらないか。炊飯器は年単位で洗ってなくて汚いしなくてもいいだろう。洗濯はコインランドリーで済む。冷蔵庫には腐って緑色になった牛乳しか入っていない。
ボクはほとんどのゴミを見て見ぬふりして目を瞑って――ここで云う「目を瞑る」は比喩であり、視覚情報なしに車の運転はできない――家を出た。自分が認識していなければ実質的にゴミは存在しない。失敗も、汚点も、後悔も。もし物質宇宙が人間の思考によって創造されたのであれば、それを仮想現実より上に位置づける特別な理由はないのだ。
立つ鳥跡を濁す。 考えてみれば、ボクは今まで他人に迷惑をかける立ち去り方ばかりをしてきた。小中高と卒業式には出たことがないし、ついていけなくなった部活は総体前に辞めた。ありとあらゆるバイトを連絡なしにばっくれた。大学を辞めたときだって誰にも何も話すことなく唐突に退学届だけ郵送で送り付けた。ゼミの先生からの電話や数少ない知人からのラインは着拒とアプリ消去で解決とした。未納の学費の請求書だけがしつこく追いかけてきた。
悲しいことに、唯我論にふけってみたところで現実は思い通りにはならない。今回だって同様だ。 引っ越して1週間後、前家の大家から清掃費の請求書が届いた。6桁あった。当然だった。いくつかの粗大ごみ、冬物の服とコート、その他大量の日用品、それらすべてを置いてきた。掃除も一切していない。風呂場には髪の毛が溜まったままだし、シンクは生ゴミでどろどろだった。 しかしながらレンタカーを借りた時点でボクの全財産は4桁になっていた。いくら大家が迷惑を被りその補償を求めたところでない袖は振れない。請求書は適当なダンボールの中に放り込んで再度ガムテープで封をした。みなかったことにした。一度身についた思想の様式はなかなか覆らない。
それから1ヶ月立ち、催促状が届いた。玄関に赤い封筒が落ちているのを見た――新居のポストは玄関ドアに付いている――ときは一瞬心臓が止まった。赤単色というのは非常に攻撃的なカラーだ。これ以上知らぬ存ぜずは通用しないなと流石のボクも観念した。速やかに銀行へ行くことにした。外は豪雨だったけれどそれを気にする余裕はなかった。つい前日バイト代が入金されていたのが幸いだった。
都会に住んでいる人には分らないだろうけれど、田舎の道はたとえ舗装されていようとも出所不明の土に塗れている。そしてクロスバイクには泥除けがついていない。 雨の中往復6キロの道程を走ったボクは、家に帰りついたときにはびしょびしょだった。シャツの背中の真ん中には一筋の泥汚れが出来ていた。自転車の後輪に巻き上げられた泥が飛んできたのだ。車輪が1回転するたびに。まっすぐ正確に。
この背中につく泥汚れを初めて見たときの困惑はよく覚えている。まったく心当たりのない汚れだったから小一時真剣に頭を抱えた。朝からの行動を振り返り、いったい何があったのか頭をフル回転させて考えた。結局原因が自転車の後輪だと分かったのはそれから数回同じ経験をした後だった。
クロスバイクはときに持ち主に唐竹割の太刀筋を残す。そう気づいたとき、ついでに長らくの疑問も氷解した。 ボクはずっと、雨の日にズボンの後ろ側の裾ばかりが汚れるのを不思議に思っていた。雨の中を歩くと必ず踵が集中的に濡れそぼる。傘のサイズと角度の問題かと思って傘の傾け方を色々試してみたけれど効果はなかった。いつもふくらはぎ~踵の部分が汚れた。サッカーの練習のとき着るピステなんかでは顕著だった。嫌で嫌で仕方なかった雨の日のクレーコートでの練習。泥が体に付いたそばから流されるほどの雨でも、しっかりとこびりつくアキレス腱まわりの汚れ。
その正体は自分が巻き上げた土だった。意外と気づかないけれど、歩くときの人の脚の動きは回転運動に近い。特に膝から下は二重振り子のように小さな弧を描き激しく動く。自転車の後輪のように。人間のふくらはぎが作り出す力のモーメントは結構大きいのだ。 脚が回転運動しているということは、自転車の後輪と同じように泥を巻き上げるということだ。そして足の裏についた土や水のベクトルは長ズボンの裾に向かっている。ボクは自分で自分に泥を吹っかけていたのだ。
清掃費を支払ったことでボクの預金はついに3桁に突入した。後足でかけた砂はいつだって自分に返ってくる。次は誰からどんな書状が届くだろう。
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grossherzigkeit · 3 years ago
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【謎の女の省略された人生】  西部開拓時代のアメリカ西部に、実際のところ何があったのかを正確に知ることは難しい。  というのも19世紀後半のアメリカには、いわば“自叙伝ブーム”のようなものが訪れていて、当時の名のある人々は大抵自伝を書き、しかもそれが結構売れていた。中には南北戦争時の北軍総司令官、ユリシーズ・S・グラントの自伝のように、虚飾を排した簡潔かつ率直な、アメリカ文学史にも燦然と残る貴重な記録もあるのだが、やはり少なくない割合の自叙伝は、言い訳や自己宣伝に明け暮れたような、今日の目から見れば、読むに堪えないものばかりであった。西部開拓地で名を売ったアウトローや保安官たちにも、豊富な自叙伝があるのだが、ご多聞に漏れず、内容の多くは無茶苦茶である。しかもそうしたホラ話を元に、ダイム・ノベル(「ダイム」とは10セントのことで、意訳すれば「三文小説」)という文芸ジャンルが興り、誇張された西部開拓史の物語に、さらなる虚飾���調味料を振りかけていく。20世紀に入り、そうした荒唐無稽の塊を映像技術をもって作品化したものが、いわゆる「西部劇」であって、まったく真実の西部開拓時代の様相は、現代のわれわれには容易につかめない。  現在では西部劇などと言うと、「=ジョン・ウェイン=白人男性至上主義のマッチョイムズ」などといった図式で、リベラル系から批判される場面もあるが、例えば実際のカウボーイの3割近くは黒人だった、などという歴史的事実を提示されたとき、「白人だらけの西部劇」しか知らない現代人は、ある種の新鮮な驚きの感情を持つのではないだろうか。繰り返すように、それくらい西部開拓地に実際何があったのかは知られていないし、また今となっては知りようもないことも多いのである。  さて、カラミティ・ジェーンという人物がいた。本名、マーサ・ジェーン・カナリー。カラミティとは「災い」「疫病神」といった意味の言葉で、1856年に生まれ、1903年に死んだ、アメリカの女性ガンマンである。著名なガンマンだったワイルド・ビル・ヒコックの相棒で、また西部開拓地においてインディアン対策に当たる米軍の斥候役などを務めていた、ともされる人物。いわば「西部の女傑」的な扱いで、生前からダイム・ノベルなどの格好の題材となっていた。そして、例によって彼女にも自叙伝があるのだが、これもまた内容はメチャクチャで、史料的価値には乏しいとされている。  そんなカラミティ・ジェーンの幼少期のころの姿を描いたのだというフランス製のアニメ映画、『カラミティ』が現在本邦で公開中で、映画館へ足を運んだ。カラミティ・ジェーンが幼少期に具体的にどこで何をしていたのか、信頼できる史料は多くない。よって本作も、カラミティ・ジェーンの生涯を正確になぞった歴史映画というより、カラミティ・ジェーンというキャラクターに仮託してつくり上げられた、娯楽フィクション映画とするほうが正確だろう。  ストーリーはいたって単純明快である。19世紀中ごろの西部に生まれ育った男勝りの少女が、周囲の白眼視にも負けず、馬を乗りこなし、力仕事に挑み、まったくの“自助”でたくましく成長していく、という物語だ。筋書きには何のひねりもてらいもないが、それゆえに堂々としてまっすぐな少女の成長譚であり、多くの人が鑑賞後、健全なカタルシスを得るだろう。教育委員会あたりにでも持っていけば、「とても健全で教育的な物語だ!」として、太鼓判でも押してくれるのではないだろうか。  ただし、あえて挑発的な物言いをしてしまえば、この話は結局、「男だらけのマッチョイムズ空間」たる西部開拓地において、男装した少女が膂力と胆力を鍛えて、その空間の中で認められ、成り上がっていくという、“おとこおんな”か“名誉男性”のサクセスストーリーだ。先に本作を「多くの人が鑑賞後、健全なカタルシスを得るだろう」映画だとは書いたが、例えばジェンダーフリー的な観点から見れば、この映画を手放しで称賛するほど、現代のフェミニズムは単純な価値観ではあるまい。  ただしあえてかばえば、本作とはそれほどまでに「男女は平等であるべきだ」との価値観が自明なものとして浸透した現代社会において、手垢にまみれた感があるほどに「王道の物語」たりえているのだ。「桃太郎が鬼退治に行って財宝を持って帰ってきた」くらいに、「どこかで見たよくある物語」であり、フェミニズム的観点などはまた別として、「安心して見られる模範的な映画」ではあると思う。そういう意味でもまた、「何のひねりもてらいもないが、それゆえに堂々としてまっすぐな」映画であるように、私には感じられた。  そういう「可もなく不可もない物語」たる本作を、平均点以上の映画に仕上げているのは、筋書きよりもその表現力である。前述のように、本作はフランス製のアニメ映画だが、最近の日本でつくられているアニメとは、まさに文字通り“絵面”が違う。本作に登場するキャラクターなどは輪郭線が描かれず、色づかいもいわゆるベタ塗り。この表現はゴーギャンのフォービズム(写実主義を排し、心の感じるままの色彩表現などを重んじた画法)に影響されたものらしいのだが、確かに写実ではなく、例えば荷馬車の車輪のスポークのような、細かい絵画的表現を必要とする劇中の存在物は、そもそも描くことを省略されている。よって本作は、字義通りの「細かい描き込み」などといったものとは無縁の作品なのだが、しかしそれでも、大胆な表現と色づかいによって描かれた西部の草原や夜空は、凡百の写実主義を吹き飛ばしてしまうくらいの雄大さをもって、われわれに迫ってくる。  意図してか否かは分からないが、この「大胆な省略」はストーリーそのものにも表れていて、正直、カラミティ・ジェーンがさまざまな試練に出会って成長していく筋書きには、鼻白むレベルのご都合主義も見え隠れする。またメイン・キャラクター以外の登場人物の動向などは、これまた実に大胆に、あっさりと片付けられ、そういう意味では「キャラクターの深み」などというものはほとんどない。ただ、それゆえに本作のテンポは非常によく、わずか82分の上映時間のうちに、ほとんど無駄を感じさせない引き締まった進行で、観客を満足させて終わる。  言うまでもないことだが、省略とは抜群のセンスと技術の上にのみ成立する高度な作業であって、手抜きや妥協、低レベルの上に成り立つものではない。本作はストーリーにおいても表現技法においても、表面上「緻密」とはなかなか感じられない映画なのだが、しかしその省略の美は、極めて厳格な計算と技術とに支えられていることが、見れば見るほどわかる。かつ、その省略、言い換えれば大胆さは、カラミティ・ジェーンという、実際にはどういう人物だったのかまるで分らない女傑の、特にスカスカな少女時代の生き方のなかゆえに、スッと入り込み、成り立ちえたものだったのかとも感じ、少なくとも独立した1本の映画としては、なかなかの力作に感じたのであった。
2021年10月1日 小川 寛大
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kurihara-yumeko · 4 years ago
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【小説】The day I say good-bye (1/4) 【再録】
 今日は朝から雨だった。
 確か去年も雨だったよな、と僕は窓ガラスに反射している自分の顔を見つめて思った。僕を乗せたバスは、小雨の降る日曜の午後を北へ向かって走る。乗客は少ない。
 予定より五分遅れて、予定通りバス停「船頭町三丁目」で降りた。灰色に濁った水が流れる大きな樫岸川を横切る橋を渡り、広げた傘に雨音が当たる雑音を聞きながら、柳の並木道を歩く。
 小さな古本屋の角を右へ、古い木造家屋の���宅ばかりが建ち並ぶ細い路地を抜けたら左へ。途中、不機嫌そうな面構えの三毛猫が行く手を横切った。長い長い緩やかな坂を上り、苔生した石段を踏み締めて、赤い郵便ポストがあるところを左へ。突然広くなった道を行き、椿だか山茶花だかの生け垣のある家の角をまた左へ。
 そうすると、大きなお寺の屋根が見えてくる。囲われた塀の中、門の向こうには、静かな墓地が広がっている。
 そこの一角に、あーちゃんは眠っている。
 砂利道を歩きながら、結構な数の墓の中から、あーちゃんの墓へ辿り着く。もう既に誰かが来たのだろう。墓には真っ白な百合と、あーちゃんの好物であった焼きそばパンが供えてあった。あーちゃんのご両親だろうか。
 手ぶらで来てしまった僕は、ただ墓石を見上げる。周りの墓石に比べてまだ新しいその石は、手入れが行き届いていることもあって、朝から雨の今日であっても穏やかに光を反射している。
 そっと墓石に触れてみた。無機質な冷たさと硬さだけが僕の指先に応えてくれる。
 あーちゃんは墓石になった。僕にはそんな感覚がある。
 あーちゃんは死んだ。死んで、燃やされて、灰になり、この石の下に閉じ込められている。埋められているのは、ただの灰だ。あーちゃん��灰。
 ああ。あーちゃんは、どこに行ってしまったんだろう。
 目を閉じた。指先は墓石に触れたまま。このままじっとしていたら、僕まで石になれそうだ。深く息をした。深く、深く。息を吐く時、わずかに震えた。まだ石じゃない。まだ僕は、石になれない。
 ここに来ると、僕はいつも泣きたくなる。
 ここに来ると、僕はいつも死にたくなる。
 一体どれくらい、そうしていたのだろう。やがて後ろから、砂利を踏んで歩いてくる音が聞こえてきたので、僕は目を開き、手を引っ込めて振り向いた。
「よぉ、少年」
 その人は僕の顔を見て、にっこり笑っていた。
 総白髪かと疑うような灰色の頭髪。自己主張の激しい目元。頭の上の帽子から足元の厚底ブーツまで塗り潰したように真っ黒な恰好の人。
「やっほー」
 蝙蝠傘を差す左手と、僕に向けてひらひらと振るその右手の手袋さえも黒く、ちらりと見えた中指の指輪の石の色さえも黒い。
「……どうも」
 僕はそんな彼女に対し、顔の筋肉が引きつっているのを無理矢理に動かして、なんとか笑顔で応えて見せたりする。
 彼女はすぐ側までやってきて、馴れ馴れしくも僕の頭を二、三度柔らかく叩く。
「こんなところで奇遇だねぇ。少年も墓参りに来たのかい」
「先生も、墓参りですか」
「せんせーって呼ぶなしぃ。あたしゃ、あんたにせんせー呼ばわりされるようなもんじゃございませんって」
 彼女――日褄小雨先生はそう言って、だけど笑った。それから日褄先生は僕が先程までそうしていたのと同じように、あーちゃんの墓石を見上げた。彼女も手ぶらだった。
「直正が死んで、一年か」
 先生は上着のポケットから煙草の箱とライターを取り出す。黒いその箱から取り出された煙草も、同じように黒い。
「あたしゃ、ここに来ると後悔ばかりするね」
 ライターのかちっという音、吐き出される白い煙、どこか甘ったるい、ココナッツに似たにおいが漂う。
「あいつは、厄介なガキだったよ。つらいなら、『つらい』って言えばいい、それだけのことなんだ。あいつだって、つらいなら『つらい』って言ったんだろうさ。だけどあいつは、可哀想なことに、最後の最後まで自分がつらいってことに気付かなかったんだな」
 煙草の煙を揺らしながら、そう言う先生の表情には、苦痛と後悔が入り混じった色が見える。口に煙草を咥えたまま、墓前で手を合わせ、彼女はただ目を閉じていた。瞼にしつこいほど塗られた濃い黒い化粧に、雨の滴が垂れる。
 先生はしばらくして瞼を開き、煙草を一度口元から離すと、ヤニ臭いような甘ったるいような煙を吐き出して、それから僕を見て、優しく笑いかけた。それから先生は背を向け、歩き出してしまう。僕は黙ってそれを追った。
 何も言わなくてもわかっていた。ここに立っていたって、悲しみとも虚しさとも呼ぶことのできない、吐き気がするような、叫び出したくなるような、暴れ出したくなるような、そんな感情が繰り返し繰り返し、波のようにやってきては僕の心の中を掻き回していくだけだ。先生は僕に、帰ろう、と言ったのだ。唇の端で、瞳の奥で。
 先生の、まるで影法師が歩いているかのような黒い後ろ姿を見つめて、僕はかつてたった一度だけ見た、あーちゃんの黒いランドセルを思い出す。
 彼がこっちに引っ越してきてからの三年間、一度も使われることのなかった傷だらけのランドセル。物置きの中で埃を被っていたそれには、あーちゃんの苦しみがどれだけ詰まっていたのだろう。
 道の途中で振り返る。先程までと同じように、墓石はただそこにあった。墓前でかけるべき言葉も、抱くべき感情も、するべき行為も、何ひとつ僕は持ち合わせていない。
 あーちゃんはもう死んだ。
 わかりきっていたことだ。死んでから何かしてあげても無駄だ。生きているうちにしてあげないと、意味がない。だから、僕がこうしてここに立っている意味も、僕は見出すことができない。僕がここで、こうして呼吸をしていて、もうとっくに死んでしまったあーちゃんのお墓の前で、墓石を見つめている、その意味すら。
 もう一度、あーちゃんの墓に背中を向けて、僕は今度こそ歩き始めた。
「最近調子はどう?」
 墓地を出て、長い長い坂を下りながら、先生は僕にそう尋ねた。
「一ヶ月間、全くカウンセリング来なかったけど、何か変化があったりした?」
 黙っていると先生はさらにそう訊いてきたので、僕は仕方なく口を開く。
「別に、何も」
「ちゃんと飯食ってる? また少し痩せたんじゃない?」
「食べてますよ」
「飯食わないから、いつまでも身長伸びないんだよ」
 先生は僕の頭を、目覚まし時計を止める時のような動作で乱雑に叩く。
「ちょ……やめて下さいよ」
「あーっはっはっはっはー」
 嫌がって身をよじろうとするが、先生はそれでもなお、僕に攻撃してくる。
「ちゃんと食わないと。摂食障害になるとつらいよ」
「食べますよ、ちゃんと……」
「あと、ちゃんと寝た方がいい。夜九時に寝ろ。身長伸びねぇぞ」
「九時に寝られる訳ないでしょう、小学生じゃあるまいし……」
「勉強なんかしてるから、身長伸びねぇんだよ」
「そんな訳ないでしょう」
 あはは、と朗らかに彼女は笑う。そして最後に優しく、僕の頭を撫でた。
「負けるな、少年」
 負けるなと言われても、一体何に――そう問いかけようとして、僕は口をつぐむ。僕が何と戦っているのか、先生はわかっているのだ。
「最近、市野谷はどうしてる?」
 先生は何気ない声で、表情で、タイミングで、あっさりとその名前を口にした。
「さぁ……。最近会ってないし、電話もないし、わからないですね」
「ふうん。あ、そう」
 先生はそれ以上、追及してくることはなかった。ただ独り言のように、「やっぱり、まだ駄目か」と言っただけだった。
 郵便ポストのところまで歩いてきた時、先生は、「あたしはあっちだから」と僕の帰り道とは違う方向を指差した。
「駐車場で、葵が待ってるからさ」
「ああ、葵さん。一緒だったんですか」
「そ。少年は、バスで来たんだろ? 家まで車で送ろうか?」
 運転するのは葵だけど、と彼女は付け足して言ったが、僕は首を横に振った。
「ひとりで帰りたいんです」
「あっそ。気を付けて帰れよ」
 先生はそう言って、出会った時と同じように、ひらひらと手を振って別れた。
 路地を右に曲がった時、僕は片手をパーカーのポケットに入れて初めて、とっくに音楽が止まったままになっているイヤホンを、両耳に突っ込んだままだということに気が付いた。
 僕が小学校を卒業した、一年前の今日。
 あーちゃんは人生を中退した。
 自殺したのだ。十四歳だった。
 遺書の最後にはこう書かれていた。
「僕は透明人間なんです」
    あーちゃんは僕と同じ団地に住んでいて、僕より二つお兄さんだった。
 僕が小学一年生の夏に、あーちゃんは家族四人で引っ越してきた。冬は雪に閉ざされる、北の方からやって来たのだという話を聞いたことがあった。
 僕はあーちゃんの、団地で唯一の友達だった。学年の違う彼と、どんなきっかけで親しくなったのか正確には覚えていない。
 あーちゃんは物静かな人だった。小学生の時から、年齢と不釣り合いなほど彼は大人びていた。
 彼は人付き合いがあまり得意ではなく、友達がいなかった。口数は少なく、話す時もぼそぼそとした、抑揚のない平坦な喋り方で、どこか他人と距離を取りたがっていた。
 部屋にこもりがちだった彼の肌は雪みたいに白くて、青い静脈が皮膚にうっすら透けて見えた。髪が少し長くて、色も薄かった。彼の父方の祖母が外国人だったと知ったのは、ずっと後のことだ。銀縁の眼鏡をかけていて、何か困ったことがあるとそれをかけ直す癖があった。
 あーちゃんは器用だった。今まで何度も彼の部屋へ遊びに行ったことがあるけれど、そこには彼が組み立てたプラモデルがいくつも置かれていた。
 僕が加減を知らないままにそれを乱暴に���い、壊してしまったこともあった。とんでもないことをしてしまったと、僕はひどく後悔してうつむいていた。ごめんなさい、と謝った。年上の���人の大切な物を壊してしまって、どうしたらよいのかわからなかった。鼻の奥がつんとした。泣きたいのは壊されたあーちゃんの方だっただろうに、僕は泣き出しそうだった。
 あーちゃんは、何も言わなかった。彼は立ち尽くす僕の前でしゃがみ込んだかと思うと、足下に散らばったいびつに欠けたパーツを拾い、引き出しの中からピンセットやら接着剤やらを取り出して、僕が壊した部分をあっという間に直してしまった。
 それらの作業がすっかり終わってから彼は僕を呼んで、「ほら見てごらん」と言った。
 恐る恐る近付くと、彼は直ったばかりの戦車のキャタピラ部分を指差して、
「ほら、もう大丈夫だよ。ちゃんと元通りになった。心配しなくてもいい。でもあと1時間は触っては駄目だ。まだ接着剤が乾かないからね」
 と静かに言った。あーちゃんは僕を叱ったりしなかった。
 僕は最後まで、あーちゃんが大声を出すところを一度も見なかった。彼が泣いている姿も、声を出して笑っているのも。
 一度だけ、あーちゃんの満面の笑みを見たことがある。
 夏のある日、僕とあーちゃんは団地の屋上に忍び込んだ。
 僕らは子供向けの雑誌に載っていた、よく飛ぶ紙飛行機の作り方を見て、それぞれ違うモデルの紙飛行機を作り、どちらがより遠くへ飛ぶのかを競走していた。
 屋上から飛ばしてみよう、と提案したのは僕だった。普段から悪戯などしない大人しいあーちゃんが、その提案に首を縦に振ったのは今思い返せば珍しいことだった。そんなことはそれ以前も以降も二度となかった。
 よく晴れた日だった。屋上から僕が飛ばした紙飛行機は、青い空を横切って、団地の駐車場の上を飛び、道路を挟んだ向かいの棟の四階、空き部屋のベランダへ不時着した。それは今まで飛ばしたどんな紙飛行機にも負けない、驚くべき距離だった。僕はすっかり嬉しくなって、得意げに叫んだ。
「僕が一番だ!」
 興奮した僕を見て、あーちゃんは肩をすくめるような動作をした。そして言った。
「まだわからないよ」
 あーちゃんの細い指が、紙飛行機を宙に放つ。丁寧に折られた白い紙飛行機は、ちょうどその時吹いてきた風に背中を押されるように屋上のフェンスを飛び越え、僕の紙飛行機と同じように駐車場の上を通り、向かいの棟の屋根を越え、それでもまだまだ飛び続け、青い空の中、最後は粒のようになって、ついには見えなくなってしまった。
 僕は自分の紙飛行機が負けた悔しさと、魔法のような素晴らしい出来事を目にした嬉しさとが半分ずつ混じった目であーちゃんを見た。その時、僕は見たのだ。
 あーちゃんは声を立てることはなかったが、満足そうな笑顔だった。
「僕は透明人間なんです」
 それがあーちゃんの残した最後の言葉だ。
 あーちゃんは、僕のことを怒ればよかったのだ。地団太を踏んで泣いてもよかったのだ。大声で笑ってもよかったのだ。彼との思い出を振り返ると、いつもそんなことばかり思う。彼はもう永遠に泣いたり笑ったりすることはない。彼は死んだのだから。
 ねぇ、あーちゃん。今のきみに、僕はどんな風に見えているんだろう。
 僕の横で静かに笑っていたきみは、決して透明なんかじゃなかったのに。
 またいつも��ように春が来て、僕は中学二年生になった。
 張り出されていたクラス替えの表を見て、そこに馴染みのある名前を二つ見つけた。今年は、二人とも僕と同じクラスのようだ。
 教室へ向かってみたけれど、始業の時間になっても、その二つの名前が用意された席には、誰も座ることはなかった。
「やっぱり、まだ駄目か」
 誰かと同じ言葉を口にしてみる。
 本当は少しだけ、期待していた。何かが良くなったんじゃないかと。
 だけど教室の中は新しいクラスメイトたちの喧騒でいっぱいで、新年度一発目、始業式の今日、二つの席が空白になっていることに誰も触れやしない。何も変わってなんかない。
 何も変わらないまま、僕は中学二年生になった。
 あーちゃんが死んだ時の学年と同じ、中学二年生になった。
 あの日、あーちゃんの背中を押したのであろう風を、僕はずっと探してる。
 青い空の果てに、小さく消えて行ってしまったあーちゃんを、僕と「ひーちゃん」に返してほしくて。
    鉛筆を紙の上に走らせる音が、止むことなく続いていた。
「何を描いてるの?」
「絵」
「なんの絵?」
「なんでもいいでしょ」
「今年は、同じクラスみたいだね」
「そう」
「その、よろしく」
 表情を覆い隠すほど長い前髪の下、三白眼が一瞬僕を見た。
「よろしくって、何を?」
「クラスメイトとして、いろいろ……」
「意味ない。クラスなんて、関係ない」
 抑揚のない声でそう言って、双眸は再び紙の上へと向けられてしまった。
「あ、そう……」
 昼休みの保健室。
 そこにいるのは二人の人間。
 ひとりはカーテンの開かれたベッドに腰掛け、胸にはスケッチブック、右手には鉛筆を握り締めている。
 もうひとりはベッドの脇のパイプ椅子に座り、特にすることもなく片膝を抱えている。こっちが僕だ。
 この部屋の主であるはずの鬼怒田先生は、何か用があると言って席を外している。一体なんの仕事があるのかは知らないが、この学校の養護教諭はいつも忙しそうだ。
 僕はすることもないので、ベッドに座っているそいつを少しばかり観察する。忙しそうに鉛筆を動かしている様子を見ると、今はこちらに注意を払ってはいなそうだから、好都合だ。
 伸びてきて邪魔になったから切った、と言わんばかりのショートカットの髪。正反対に長く伸ばされた前髪は、栄養状態の悪そうな青白い顔を半分近く隠している。中学二年生としては小柄で華奢な体躯。制服のスカートから伸びる足の細さが痛々しく見える。
 彼女の名前は、河野ミナモ。僕と同じクラス、出席番号は七番。
 一言で表現するならば、彼女は保健室登校児だ。
 鉛筆の音が、止んだ。
「なに?」
 ミナモの瞬きに合わせて、彼女の前髪が微かに動く。少しばかり長く見つめ続けてしまったみたいだ。「いや、なんでもない」と言って、僕は天井を仰ぐ。
 ミナモは少しの間、何も言わずに僕の方を見ていたようだが、また鉛筆を動かす作業を再開した。
 鉛筆を走らせる音だけが聞こえる保健室。廊下の向こうからは、楽しそうに駆ける生徒たちの声が聞こえてくるが、それもどこか遠くの世界の出来事のようだ。この空間は、世界から切り離されている。
「何をしに来たの」
「何をって?」
「用が済んだなら、帰れば」
 新年度が始まったばかりだからだろうか、ミナモは機嫌が悪いみたいだ。否、機嫌が悪いのではなく、具合が悪いのかもしれない。今日の彼女はいつもより顔色が悪いように見える。
「いない方がいいなら、出て行くよ」
「ここにいてほしい人なんて、いない」
 平坦な声。他人を拒絶する声。憎しみも悲しみも全て隠された無機質な声。
「出て行きたいなら、出て行けば?」
 そう言うミナモの目が、何かを試すように僕を一瞥した。僕はまだ、椅子から立ち上がらない。彼女は「あっそ」とつぶやくように言った。
「市野谷さんは、来たの?」
 ミナモの三白眼がまだ僕を見ている。
「市野谷さんも同じクラスなんでしょ」
「なんだ、河野も知ってたのか」
「質問に答えて」
「……来てないよ」
「そう」
 ミナモの前髪が揺れる。瞬きが一回。
「不登校児二人を同じクラスにするなんて、学校側の考えてることってわからない」
 彼女の言葉通り、僕のクラスには二人の不登校児がいる。
 ひとりはこの河野ミナモ。
 そしてもうひとりは、市野谷比比子。僕は彼女のことを昔から、「ひーちゃん」と呼んでいた。
 二人とも、中学に入学してきてから一度も教室へ登校してきていない。二人の机と椅子は、一度も本人に使われることなく、今日も僕の教室にある。
 といっても、保健室登校児であるミナモはまだましな方で、彼女は一年生の頃から保健室には登校してきている。その点ひーちゃんは、中学校の門をくぐったこともなければ、制服に袖を通したことさえない。
 そんな二人が今年から僕と同じクラスに所属になったことには、正直驚いた。二人とも僕と接点があるから、なおさらだ。
「――くんも、」
 ミナモが僕の名を呼んだような気がしたが、上手く聞き取れなかった。
「大変ね、不登校児二人の面倒を見させられて」
「そんな自嘲的にならなくても……」
「だって、本当のことでしょ」
 スケッチブックを抱えるミナモの左腕、ぶかぶかのセーラー服の袖口から、包帯の巻かれた手首が見える。僕は自分の左手首を見やる。腕時計をしているその下に、隠した傷のことを思う。
「市野谷さんはともかく、教室へ行く気なんかない私の面倒まで、見なくてもいいのに」
「面倒なんて、見てるつもりないけど」
「私を訪ねに保健室に来るの、――くんくらいだよ」
 僕の名前が耳障りに響く。ミナモが僕の顔を見た。僕は妙な表情をしていないだろうか。平然を装っているつもりなのだけれど。
「まだ、気にしているの?」
「気にしてるって、何を?」
「あの日のこと」
 あの日。
 あの春の日。雨の降る屋上で、僕とミナモは初めて出会った。
「死にたがり屋と死に損ない」
 日褄先生は僕たちのことをそう呼んだ。どっちがどっちのことを指すのかは、未だに訊けていないままだ。
「……気にしてないよ」
「そう」
 あっさりとした声だった。ミナモは壁の時計をちらりと見上げ、「昼休み終わるよ、帰れば」と言った。
 今度は、僕も立ち上がった。「それじゃあ」と口にしたけれど、ミナモは既に僕への興味を失ったのか、スケッチブックに目線を落とし、返事のひとつもしなかった。
 休みなく動き続ける鉛筆。
 立ち上がった時にちらりと見えたスケッチブックは、ただただ黒く塗り潰されているだけで、何も描かれてなどいなかった。
    ふと気付くと、僕は自分自身が誰なのかわからなくなっている。
 自分が何者なのか、わからない。
 目の前で展開されていく風景が虚構なのか、それとも現実なのか、そんなことさえわからなくなる。
 だがそれはほんの一瞬のことで、本当はわかっている。
 けれど感じるのだ。自分の身体が���けていくような感覚を。「自分」という存在だけが、ぽっかりと穴を空けて突っ立っているような。常に自分だけが透明な膜で覆われて、周囲から隔離されているかのような疎外感と、なんの手応えも得られない虚無感と。
 あーちゃんがいなくなってから、僕は頻繁にこの感覚に襲われるようになった。
 最初は、授業が終わった後の短い休み時間。次は登校中と下校中。その次は授業中にも、というように、僕が僕をわからなくなる感覚は、学校にいる間じゅうずっと続くようになった。しまいには、家にいても、外にいても、どこにいてもずっとそうだ。
 周りに人がいればいるほど、その感覚は強かった。たくさんの人の中、埋もれて、紛れて、見失う。自分がさっきまで立っていた場所は、今はもう他の人が踏み荒らしていて。僕の居場所はそれぐらい危ういところにあって。人混みの中ぼうっとしていると、僕なんて消えてしまいそうで。
 頭の奥がいつも痛かった。手足は冷え切ったみたいに血の気がなくて。酸素が薄い訳でもないのにちゃんと息ができなくて。周りの人の声がやたら大きく聞こえてきて。耳の中で何度もこだまする、誰かの声。ああ、どうして。こんなにも人が溢れているのに、ここにあーちゃんはいないんだろう。
 僕はどうして、ここにいるんだろう。
「よぉ、少年」
 旧校舎、屋上へ続く扉を開けると、そこには先客がいた。
 ペンキがところどころ剥げた緑色のフェンスにもたれるようにして、床に足を投げ出しているのは日褄先生だった。今日も真っ黒な恰好で、ココナッツのにおいがする不思議な煙草を咥えている。
「田島先生が、先生のことを昼休みに探してましたよ」
「へへっ。そりゃ参ったね」
 煙をゆらゆらと立ち昇らせて、先生は笑う。それからいつものように、「せんせーって呼ぶなよ」と付け加えた。彼女はさらに続けて言う。
「それで? 少年は何をし、こんなところに来たのかな?」
「ちょっと外の空気を吸いに」
「おお、奇遇だねぇ。あたしも外の空気を吸いに……」
「吸いにきたのはニコチンでしょう」
 僕がそう言うと、先生は、「あっはっはっはー」と高らかに笑った。よく笑う人だ。
「残念だが少年、もう午後の授業は始まっている時間だし、ここは立ち入り禁止だよ」
「お言葉ですが先生、学校の敷地内は禁煙ですよ」
「しょうがない、今からカウンセリングするってことにしておいてあげるから、あたしの喫煙を見逃しておくれ。その代わり、あたしもきみの授業放棄を許してあげよう」
 先生は右手でぽんぽんと、自分の隣、雨上がりでまだ湿気っているであろう床を叩いた。座れと言っているようだ。僕はそれに従わなかった。
 先客がいたことは予想外だったが、僕は本当に、ただ、外の空気を吸いたくなってここに来ただけだ。授業を途中で抜けてきたこともあって、長居をするつもりはない。
 ふと、視界の隅に「それ」が目に入った。
 フェンスの一角に穴が空いている。ビニールテープでぐるぐる巻きになっているそこは、テープさえなければ屋上の崖っぷちに立つことを許している。そう。一年前、あそこから、あーちゃんは――。
(ねぇ、どうしてあーちゃんは、そらをとんだの?)
 僕の脳裏を、いつかのひーちゃんの言葉がよぎる。
(あーちゃん、かえってくるよね? また、あえるよね?)
 ひーちゃんの言葉がいくつもいくつも、風に飛ばされていく桜の花びらと同じように、僕の目の前を通り過ぎていく。
「こんなところで、何をしていたんですか」
 そう質問したのは僕の方だった。「んー?」と先生は煙草の煙を吐きながら言う。
「言っただろ、外の空気を吸いに来たんだよ」
「あーちゃんが死んだ、この場所の空気を、ですか」
 先生の目が、僕を見た。その鋭さに、一瞬ひるみそうになる。彼女は強い。彼女の意思は、強い。
「同じ景色を見たいと思っただけだよ」
 先生はそう言って、また煙草をふかす。
���先生、」
「せんせーって呼ぶな」
「質問があるんですけど」
「なにかね」
「嘘って、何回つけばホントになるんですか」
「……んー?」
 淡い桜色の小さな断片が、いくつもいくつも風に流されていく。僕は黙って、それを見ている。手を伸ばすこともしないで。
「嘘は何回ついたって、嘘だろ」
「ですよね」
「嘘つきは怪人二十面相の始まりだ」
「言っている意味がわかりません」
「少年、」
「はい」
「市野谷に嘘つくの、しんどいのか?」
 先生の煙草の煙も、みるみるうちに風に流されていく。手を伸ばしたところで、掴むことなどできないまま。
「市野谷に、直正は死んでないって、嘘をつき続けるの、しんどいか?」
 ひーちゃんは知らない。あーちゃんが去年ここから死んだことを知らない。いや、知らない訳じゃない。認めていないのだ。あーちゃんの死を認めていない。彼がこの世界に僕らを置き去りにしたことを、許していない。
 ひーちゃんはずっと信じている。あーちゃんは生きていると。いつか帰ってくると。今は遠くにいるけれど、きっとまた会える日が来ると。
 だからひーちゃんは知らない。彼の墓石の冷たさも、彼が飛び降りたこの屋上の景色が、僕の目にどう映っているのかも。
 屋上。フェンス。穴。空。桜。あーちゃん。自殺。墓石。遺書。透明人間。無。なんにもない。ない。空っぽ。いない。いないいないいないいない。ここにもいない。どこにもいない。探したっていない。消えた。消えちゃった。消滅。消失。消去。消しゴム。弾んで。飛んで。落ちて。転がって。その先に拾ってくれるきみがいて。笑顔。笑って。笑ってくれて。だけどそれも消えて。全部消えて。消えて消えて消えて。ただ昨日を越えて今日が過ぎ明日が来る。それを繰り返して。きみがいない世界で。ただ繰り返して。ひーちゃん。ひーちゃんが笑わなくなって。泣いてばかりで。だけどもうきみがいない。だから僕が。僕がひーちゃんを慰めて。嘘を。嘘をついて。ついてはいけない嘘を。ついてはいけない嘘ばかりを。それでもひーちゃんはまた笑うようになって。笑顔がたくさん戻って。だけどどうしてあんなにも、ひーちゃんの笑顔は空っぽなんだろう。
「しんどくなんか、ないですよ」
 僕はそう答えた。
 先生は何も言わなかった。
 僕は明日にでも、怪人二十面相になっているかもしれなかった。
    いつの間にか梅雨が終わり、実力テストも期末テストもクリアして、夏休みまであと一週間を切っていた。
 ひと夏の解放までカウントダウンをしている今、僕のクラスの連中は完璧な気だるさに支配されていた。自主性や積極性などという言葉とは無縁の、慣性で流されているような脱力感。
 先週に教室の天井四ヶ所に取り付けられている扇風機が全て故障したこともあいまって、クラスメイトたちの授業に対する意欲はほぼゼロだ。授業がひとつ終わる度に、皆溶け出すように机に上半身を投げ出しており、次の授業が始まったところで、その姿勢から僅かに起き上がる程度の差しかない。
 そういう僕も、怠惰な中学二年生のひとりに過ぎない。さっきの英語の授業でノートに書き記したことと言えば、英語教師の松田が何回額の汗を脱ぐったのかを表す「正」の字だけだ。
 休み時間に突入し、がやがやと騒がしい教室で、ひとりだけ仲間外れのように沈黙を守っていると、肘辺りから空気中に溶け出して、透明になっていくようなそんな気分になる。保健室には来るものの、自分の教室へは絶対に足を運ばないミナモの気持ちがわかるような気がする。
 一学期がもうすぐ終わるこの時期になっても、相変わらず僕のクラスには常に二つの空席があった。ミナモも、ひーちゃんも、一度だって教室に登校してきていない。
「――くん、」
 なんだか控えめに名前を呼ばれた気はしたが、クラスの喧騒に紛れて聞き取れなかった。
 ふと机から顔を上げると、ひとりの女子が僕の机の脇に立っていた。見たことがあるような顔。もしかして、クラスメイトのひとりだろうか。彼女は廊下を指差して、「先生、呼んでる」とだけ言って立ち去った。
 あまりにも唐突な出来事でその女子にお礼を言うのも忘れたが、廊下には担任の姿が見える。僕のクラス担任の担当科目は数学だが、次の授業は国語だ。なんの用かはわからないが、呼んでいるのなら行かなくてはならない。
「おー、悪いな、呼び出して」
 去年大学を卒業したばかりの、どう見ても体育会系な容姿をしている担任は、僕を見てそう言った。
「ほい、これ」
 突然差し出されたのはプリントの束だった。三十枚くらいありそうなプリントが穴を空けられ紐を通して結んである。
「悪いがこれを、市野谷さんに届けてくれないか」
 担任がひーちゃんの名を口にしたのを聞いたのは、久しぶりのような気がした。もう朝の出欠確認の時でさえ、彼女の名前は呼ばれない。ミナモの名前だってそうだ。このクラスでは、ひーちゃんも、ミナモも、いないことが自然なのだ。
「……先生が、届けなくていいんですか」
「そうしたいのは山々なんだが、なかなか時間が取れなくてな。夏休みに入ったら家庭訪問に行こうとは思ってるんだ。このプリントは、それまでにやっておいてほしい宿題。中学に入ってから二年の一学期までに習う数学の問題を簡単にまとめたものなんだ」
「わかりました、届けます」
 受け取ったプリント��束は、思っていたよりもずっとずっしりと重かった。
「すまんな。市野谷さんと小学生の頃一番仲が良かったのは、きみだと聞いたものだから」
「いえ……」
 一年生の時から、ひーちゃんにプリントを届けてほしいと教師に頼まれることはよくあった。去年は彼女と僕は違うクラスだったけれど、同じ小学校出身の誰かに僕らが幼馴染みであると聞いたのだろう。
 僕は学校に来なくなったひーちゃんのことを毛嫌いしている訳ではない。だから、何か届け物を頼まれてもそんなに嫌な気持ちにはならない。でも、と僕は思った。
 でも僕は、ひーちゃんと一番仲が良かった訳じゃないんだ。
「じゃあ、よろしく頼むな」
 次の授業の始業のチャイムが鳴り響く。
 教室に戻り、出したままだった英語の教科書と「正」の字だけ記したノート��一緒に、ひーちゃんへのプリントの束を鞄に仕舞いながら、なんだか僕は泣きたくなった。
  三角形が壊れるのは簡単だった。
 三角形というのは、三辺と三つの角でできていて、当然のことだけれど一辺とひとつの角が消失したら、それはもう三角形ではない。
 まだ小学校に上がったばかりの頃、僕はどうして「さんかっけい」や「しかっけい」があるのに「にかっけい」がないのか、と考えていたけれど、どうやら僕の脳味噌は、その頃から数学的思考というものが不得手だったようだ。
「にかっけい」なんてあるはずがない。
 僕と、あーちゃんと、ひーちゃん。
 僕ら三人は、三角形だった。バランスの取りやすい形。
 始まりは悲劇だった。
 あの悪夢のような交通事故。ひーちゃんの弟の死。
 真っ白なワンピースが汚れることにも気付かないまま、真っ赤になった弟の身体を抱いて泣き叫ぶひーちゃんに手を伸ばしたのは、僕と一緒に下校する途中のあーちゃんだった。
 お互いの家が近かったこともあって、それから僕らは一緒にいるようになった。
 溺愛していた最愛の弟を、目の前で信号無視したダンプカーに撥ねられて亡くしたひーちゃんは、三人で一緒にいてもときどき何かを思い出したかのように暴れては泣いていたけれど、あーちゃんはいつもそれをなだめ、泣き止むまでずっと待っていた。
 口下手な彼は、ひーちゃんに上手く言葉をかけることがいつもできずにいたけれど、僕が彼の言葉を補って彼女に伝えてあげていた。
 優しくて思いやりのあるひーちゃんは、感情を表すことが苦手なあーちゃんのことをよく気遣ってくれていた。
 僕らは嘘みたいにバランスの取れた三角形だった。
 あーちゃんが、この世界からいなくなるまでは。
   「夏は嫌い」
 昔、あーちゃんはそんなことを口にしていたような気がする。
「どうして?」
 僕はそう訊いた。
 夏休み、花火、虫捕り、お祭り、向日葵、朝顔、風鈴、西瓜、プール、海。
 水の中の金魚の世界と、バニラアイスの木べらの湿り気。
 その頃の僕は今よりもずっと幼くて、四季の中で夏が一番好きだった。
 あーちゃんは部屋の窓を網戸にしていて、小さな扇風機を回していた。
 彼は夏休みも相変わらず外に出ないで、部屋の中で静かに過ごしていた。彼の傍らにはいつも、星座の本と分厚い昆虫図鑑が置いてあった。
「夏、暑いから嫌いなの?」
 僕が尋ねるとあーちゃんは抱えていた分厚い本からちょっとだけ顔を上げて、小さく首を横に振った。それから困ったように笑って、
「夏は、皆死んでいるから」
 とだけ、つぶやくように言った。あーちゃんは、時々魔法の呪文のような、不思議なことを言って僕を困惑させることがあった。この時もそうだった。
「どういう意味?」
 僕は理解できずに、ただ訊き返した。
 あーちゃんはさっきよりも大きく首を横に振ると、何を思ったのか、唐突に、
「ああ、でも、海に行ってみたいな」
 なんて言った。
「海?」
「そう、海」
「どうして、海?」
「海は、色褪せてないかもしれない。死んでないかもしれない」
 その言葉の意味がわからず、僕が首を傾げていると、あーちゃんはぱたんと本を閉じて机に置いた。
「台所へ行こうか。確か、母さんが西瓜を切ってくれていたから。一緒に食べよう」
「うん!」
 僕は西瓜に釣られて、わからなかった言葉のことも、すっかり忘れてしまった。
 でも今の僕にはわかる。
 夏の日射しは、世界を色褪せさせて僕の目に映す。
 あーちゃんはそのことを、「死んでいる」と言ったのだ。今はもう確かめられないけれど。
 結局、僕とあーちゃんが海へ行くことはなかった。彼から海へ出掛けた話を聞いたこともないから、恐らく、海へ行くことなく死んだのだろう。
 あーちゃんが見ることのなかった海。
 海は日射しを浴びても青々としたまま、「生きて」いるんだろうか。
 彼が死んでから、僕も海へ足を運んでいない。たぶん、死んでしまいたくなるだろうから。
 あーちゃん。
 彼のことを「あーちゃん」と名付けたのは僕だった。
 そういえば、どうして僕は「あーちゃん」と呼び始めたんだっけか。
 彼の名前は、鈴木直正。
 どこにも「あーちゃん」になる要素はないのに。
    うなじを焼くようなじりじりとした太陽光を浴びながら、ペダルを漕いだ。
 鼻の頭からぷつぷつと汗が噴き出すのを感じ、手の甲で汗を拭おうとしたら手は既に汗で湿っていた。雑音のように蝉の声が響いている。道路の脇には背の高い向日葵は、大きな花を咲かせているのに風がないので微動だにしない。
 赤信号に止められて、僕は自転車のブレーキをかける。
 夏がくる度、思い出す。
 僕とあーちゃんが初めてひーちゃんに出会い、そして彼女の最愛の弟「ろーくん」が死んだ、あの事故のことを。
 あの日も、世界が真っ白に焼き切れそうな、暑い日だった。
 ひーちゃんは白い木綿のワンピースを着ていて、それがとても涼しげに見えた。ろーくんの血で汚れてしまったあのワンピースを、彼女はもうとっくに捨ててしまったのだろうけれど。
 そういえば、ひーちゃんはあの事故の後、しばらくの間、弟の形見の黒いランドセルを使っていたっけ。黒い服ばかり着るようになって。周りの子はそんな彼女を気味悪がったんだ。
 でもあーちゃんは、そんなひーちゃんを気味悪がったりしなかった。
 信号が赤から青に変わる。再び漕ぎ出そうとペダルに足を乗せた時、僕の両目は横断歩道の向こうから歩いて来るその人を捉えて凍りついてしまった。
 胸の奥の方が疼く。急に、聞こえてくる蝉の声が大きくなったような気がした。喉が渇いた。頬を撫でるように滴る汗が気持ち悪い。
 信号は青になったというのに、僕は動き出すことができない。向こうから歩いて来る彼は、横断歩道を半分まで渡ったところで僕に気付いたようだった。片眉を持ち上げ、ほんの少し唇の端を歪める。それが笑みだとわかったのは、それとよく似た笑顔をずいぶん昔から知っているからだ。
「うー兄じゃないですか」
 うー兄。彼は僕をそう呼んだ。
 声変わりの途中みたいな声なのに、妙に大人びた口調。ぼそぼそとした喋り方。
 色素の薄い頭髪。切れ長の一重瞼。ひょろりと伸びた背。かけているのは銀縁眼鏡。
 何もかもが似ているけれど、日に焼けた真っ黒な肌と筋肉のついた足や腕だけは、記憶の中のあーちゃんとは違う。
 道路を渡り終えてすぐ側まで来た彼は、親しげに僕に言う。
「久しぶりですね」
「……久しぶり」
 僕がやっとの思いでそう声を絞り出すと、彼は「ははっ」と笑った。きっとあーちゃんも、声を上げて笑うならそういう風に笑ったんだろうなぁ、と思う。
「どうしたんですか。驚きすぎですよ」
 困ったような笑顔で、眼鏡をかけ直す。その手つきすらも、そっくり同じ。
「嫌だなぁ。うー兄は僕のことを見る度、まるで幽霊でも見たような顔するんだから」
「ごめんごめん」
「ははは、まぁいいですよ」
 僕が謝ると、「あっくん」はまた笑った。
 彼、「あっくん」こと鈴木篤人くんは、僕の一個下、中学一年生。私立の学校に通っているので僕とは学校が違う。野球部のエースで、勉強の成績もクラストップ。僕の団地でその中学に進学できた子供は彼だけだから、団地の中で知らない人はいない優等生だ。
 年下とは思えないほど大人びた少年で、あーちゃんにそっくりな、あーちゃんの弟。
「中学は、どう? もう慣れた?」
「慣れましたね。今は部活が忙しくて」
「運動部は大変そうだもんね」
「うー兄は、帰宅部でしたっけ」
「そう。なんにもしてないよ」
「今から、どこへ行くんですか?」
「ああ、えっと、ひーちゃんに届け物」
「ひー姉のところですか」
 あっくんはほんの一瞬、愛想笑いみたいな顔をした。
「ひー姉、まだ学校に行けてないんですか?」
「うん」
「行けるようになるといいですね」
「そうだね」
「うー兄は、元気にしてましたか?」
「僕? 元気だけど……」
「そうですか。いえ、なんだかうー兄、兄貴に似てきたなぁって思ったものですから」
「僕が?」
 僕があーちゃんに似てきている?
「顔のつくりとかは、もちろん違いますけど、なんていうか、表情とか雰囲気が、兄貴に似てるなぁって」
「そうかな……」
 僕にそんな自覚はないのだけれど。
「うー兄も死んじゃいそうで、心配です」
 あっくんは柔らかい笑みを浮かべたままそう言った。
「……そう」
 僕はそう返すので精いっぱいだった。
「それじゃ、ひー姉によろしくお伝え下さい」
「じゃあ、また……」
 あーちゃんと同じ声で話し、あーちゃんと同じように笑う彼は、夏の日射しの中を歩いて行く。
(兄貴は、弱いから駄目なんだ)
 いつか彼が、あーちゃんに向けて言った言葉。
 あーちゃんは自分の弟にそう言われた時でさえ、怒ったりしなかった。ただ「そうだね」とだけ返して、少しだけ困ったような顔をしてみせた。
 あっくんは、強い。
 姿や雰囲気は似ているけれど、性格というか、芯の強さは全く違う。
 あーちゃんの死を自分なりに受け止めて、乗り越えて。部活も勉強も努力して。あっくんを見ているといつも思う。兄弟でもこんなに違うものなのだろうか、と。ひとりっ子の僕にはわからないのだけれど。
 僕は、どうだろうか。
 あーちゃんの死を受け入れて、乗り越えていけているだろうか。
「……死相でも出てるのかな」
 僕があーちゃんに似てきている、なんて。
 笑えない冗談だった。
 ふと見れば、信号はとっくに赤になっていた。青になるまで待つ間、僕の心から言い表せない不安が拭えなかった。
    遺書を思い出した。
 あーちゃんの書いた遺書。
「僕の分まで生きて。僕は透明人間なんです」
 日褄先生はそれを、「ばっかじゃねーの」って笑った。
「透明人間は見えねぇから、透明人間なんだっつーの」
 そんな風に言って、たぶん、泣いてた。
「僕の分まで生きて」
 僕は自分の鼓動を聞く度に、その言葉を繰り返し、頭の奥で聞いていたような気がする。
 その度に自分に問う。
 どうして生きているのだろうか、と。
  部屋に一歩踏み入れると、足下でガラスの破片が砕ける音がした。この部屋でスリッパを脱ぐことは自傷行為に等しい。
「あー、うーくんだー」
 閉められたカーテン。閉ざされたままの雨���。
 散乱した物。叩き壊された物。落下したままの物。破り捨てられた物。物の残骸。
 その中心に、彼女はいる。
「久しぶりだね、ひーちゃん」
「そうだねぇ、久しぶりだねぇ」
 壁から落下して割れた時計は止まったまま。かろうじて壁にかかっているカレンダーはあの日のまま。
「あれれー、うーくん、背伸びた?」
「かもね」
「昔はこーんな小さかったのにねー」
「ひーちゃんに初めて会った時だって、そんなに小さくなかったと思うよ」
「あははははー」
 空っぽの笑い声。聞いているこっちが空しくなる。
「はい、これ」
「なに? これ」
「滝澤先生に頼まれたプリント」
「たきざわって?」
「今度のクラスの担任だよ」
「ふーん」
「あ、そうだ、今度は僕の同じクラスに……」
 彼女の手から投げ捨てられたプリントの束が、ろくに掃除されていない床に落ちて埃を巻き上げた。
「そういえば、あいつは?」
「あいつって?」
「黒尽くめの」
「黒尽くめって……日褄先生のこと?」
「まだいる?」
「日褄先生なら、今年度も学校にいるよ」
「なら、学校には行かなーい」
「どうして?」
「だってあいつ、怖いことばっかり言うんだもん」
「怖いこと?」
「あーちゃんはもう、死んだんだって」
「…………」
「ねぇ、うーくん」
「……なに?」
「うーくんはどうして、学校に行けるの? まだあーちゃんが帰って来ないのに」
 どうして僕は、生きているんだろう。
「『僕』はね、怖いんだよ、うーくん。あーちゃんがいない毎日が。『僕』の毎日の中に、あーちゃんがいないんだよ。『僕』は怖い。毎日が怖い。あーちゃんのこと、忘れそうで怖い。あーちゃんが『僕』のこと、忘れそうで怖い……」
 どうしてひーちゃんは、生きているんだろう。
「あーちゃんは今、誰の毎日の中にいるの?」
 ひーちゃんの言葉はいつだって真っ直ぐだ。僕の心を突き刺すぐらい鋭利だ。僕の心を掻き回すぐらい乱暴だ。僕の心をこてんぱんに叩きのめすぐらい凶暴だ。
「ねぇ、うーくん」
 いつだって思い知らされる。僕が駄目だってこと。
「うーくんは、どこにも行かないよね?」
 いつだって思い知らせてくれる。僕じゃ駄目だってこと。
「どこにも、行かないよ」
 僕はどこにも行けない。きみもどこにも行けない。この部屋のように時が止まったまま。あーちゃんが死んでから、何もかもが停止したまま。
「ふーん」
 どこか興味なさそうな、ひーちゃんの声。
「よかった」
 その後、他愛のない話を少しだけして、僕はひーちゃんの家を後にした。
 死にたくなるほどの夏の熱気に包まれて、一気に現実に引き戻された気分になる。
 こんな現実は嫌なんだ。あーちゃんが欠けて、ひーちゃんが壊れて、僕は嘘つきになって、こんな世界は、大嫌いだ。
 僕は自分に問う。
 どうして僕は、生きているんだろう。
 もうあーちゃんは死んだのに。
   「ひーちゃん」こと市野谷比比子は、小学生の頃からいつも奇異の目で見られていた。
「市野谷さんは、まるで死体みたいね」
 そんなことを彼女に言ったのは、僕とひーちゃんが小学四年生の時の担任だった。
 校舎の裏庭にはクラスごとの畑があって、そこで育てている作物の世話を、毎日クラスの誰かが当番制でしなくてはいけなかった。それは夏休み期間中も同じだった。
 僕とひーちゃんが当番だった夏休みのある日、黙々と草を抜いていると、担任が様子を見にやって来た。
「頑張ってるわね」とかなんとか、最初はそんな風に声をかけてきた気がする。僕はそれに、「はい」とかなんとか、適当に返事をしていた。ひーちゃんは何も言わず、手元の草を引っこ抜くことに没頭していた。
 担任は何度かひーちゃんにも声をかけたが、彼女は一度もそれに答えなかった。
 ひーちゃんはいつもそうだった。彼女が学校で口を利くのは、同じクラスの僕と、二つ上の学年のあーちゃんにだけ。他は、クラスメイトだろうと教師だろうと、一言も言葉を発さなかった。
 この当番を決める時も、そのことで揉めた。
 くじ引きでひーちゃんと同じ当番に割り当てられた意地の悪い女子が、「せんせー、市野谷さんは喋らないから、当番の仕事が一緒にやりにくいでーす」と皆の前で言ったのだ。
 それと同時に、僕と一緒の当番に割り当てられた出っ歯の野郎が、「市野谷さんと仲の良い――くんが市野谷さんと一緒にやればいいと思いまーす」と、僕の名前を指名した。
 担任は困ったような笑顔で、
「でも、その二人だけを仲の良い者同士にしたら、不公平じゃないかな? 皆だって、仲の良い人同士で一緒の当番になりたいでしょう? 先生は普段あまり仲が良くない人とも仲良くなってもらうために、当番の割り振りをくじ引きにしたのよ。市野谷さんが皆ともっと仲良くなったら、皆も嬉しいでしょう?」
 と言った。意地悪ガールは間髪入れずに、
「喋らない人とどうやって仲良くなればいいんですかー?」
 と返した。
 ためらいのない発言だった。それはただただ純粋で、悪意を含んだ発言だった。
「市野谷さんは私たちが仲良くしようとしてもいっつも無視してきまーす。それって、市野谷さんが私たちと仲良くしたくないからだと思いまーす。それなのに、無理やり仲良くさせるのは良くないと思いまーす」
「うーん、そんなことはないわよね、市野谷さん」
 ひーちゃんは何も言わなかった。まるで教室内での出来事が何も耳に入っていないかのような表情で、窓の外を眺めていた。
「市野谷さん? 聞いているの?」
「なんか言えよ市野谷」
 男子がひーちゃんの机を蹴る。その振動でひーちゃんの筆箱が机から滑り落ち、がちゃんと音を立てて中身をぶちまけたが、それでもひーちゃんには変化は訪れない。
 クラスじゅうにざわざわとした小さな悪意が満ちる。
「あの子ちょっとおかしいんじゃない?」
 そんな囁きが満ちる。担任の困惑した顔。意地悪いクラスメイトたちの汚らわしい視線。
 僕は知っている。まるでここにいないかのような顔をして、窓の外を見ているひーちゃんの、その視線の先を。窓から見える新校舎には、彼女の弟、ろーくんがいた一年生の教室と、六年生のあーちゃんがいる教室がある。
 ひーちゃんはいつも、ぼんやりとそっちばかりを見ている。教室の中を見渡すことはほとんどない。彼女がここにいないのではない。彼女にとって、こっちの世界が意味を成していないのだ。
「市野谷さんは、死体みたいね」
 夏休み、校舎裏の畑。
 その担任の一言に、僕は思わずぎょっとした。担任はしゃがみ込み、ひーちゃんに目線を合わせようとしながら、言う。
「市野谷さんは、どうしてなんにも言わないの? なんにも思わないの? あんな風に言われて、反論したいなって思わないの?」
 ひーちゃんは黙って草を抜き続けている。
「市野谷さんは、皆と仲良くなりたいって思わない? 皆は、市野谷さんと仲良くなりたいって思ってるわよ」
 ひーちゃんは黙っている。
「市野谷さんは、ずっとこのままでいるつもりなの? このままでいいの? お友達がいないままでいいの?」
 ひーちゃんは。
「市野谷さん?」
「うるさい」
 どこかで蝉が鳴き止んだ。
 彼女が僕とあーちゃん以外の人間に言葉を発したところを、僕は初めて見た。彼女は担任を睨み付けるように見つめていた。真っ黒な瞳が、鋭い眼光を放っている。
「黙れ。うるさい。耳障り」
 ひーちゃんが、僕の知らない表情をした。それはクラスメイトたちがひーちゃんに向けたような、玩具のような悪意ではなかった。それは本当の、なんの混じり気もない、殺意に満ちた顔だった。
「あんたなんか、死んじゃえ」
 振り上げたひーちゃんの右手には、草抜きのために職員室から貸し出された鎌があって――。
「ひーちゃん!」
 間一髪だった。担任は真っ青な顔で、息も絶え絶えで、しかし、その鎌の一撃をかろうじてかわした。担任は震えながら、何かを叫びながら校舎の方へと逃げるように走り去って行く。
「ひーちゃん、大丈夫?」
 僕は地面に突き刺した鎌を固く握りしめたまま、動かなくなっている彼女に声をかけた。
「友達なら、いるもん」
 うつむいたままの彼女が、そうぽつりと言う。
「あーちゃんと、うーくんがいるもん」
 僕はただ、「そうだね」と言って、そっと彼女の頭を撫でた。
    小学生の頃からどこか危うかったひーちゃんは、あーちゃんの自殺によって完全に壊れてしまった。
 彼女にとってあーちゃんがどれだけ大切な存在だったかは、説明するのが難しい。あーちゃんは彼女にとって絶対唯一の存在だった。失ってはならない存在だった。彼女にとっては、あーちゃん以外のものは全てどうでもいいと思えるくらい、それくらい、あーちゃんは特別だった。
 ひーちゃんが溺愛していた最愛の弟、ろーくんを失ったあの日。
 あの日から、ひーちゃんの心にぽっかりと空いた穴を、あーちゃんの存在が埋めてきたからだ。
 あーちゃんはひーちゃんの支えだった。
 あーちゃんはひーちゃんの全部だった。
 あーちゃんはひーちゃんの世界だった。
 そして、彼女はあーちゃんを失った。
 彼女は入学することになっていた中学校にいつまで経っても来なかった。来るはずがなかった。来れるはずがなかった。そこはあーちゃんが通っていたのと同じ学校であり、あーちゃんが死んだ場所でもある。
 ひーちゃんは、まるで死んだみたいだった。
 一日中部屋に閉じこもって、食事を摂ることも眠ることも彼女は拒否した。
 誰とも口を利かなかった。実の親でさえも彼女は無視した。教室で誰とも言葉を交わさなかった時のように。まるで彼女の前からありとあらゆるものが消滅してしまったかのように。泣くことも笑うこともしなかった。ただ虚空を見つめているだけだった。
 そんな生活が一週間もしないうちに彼女は強制的に入院させられた。
 僕が中学に入学して、桜が全部散ってしまった頃、僕は彼女の病室を初めて訪れた。
「ひーちゃん」
 彼女は身体に管を付けられ、生かされていた。
 屍のように寝台に横たわる、変わり果てた彼女の姿。
(市野谷さんは死体みたいね)
 そんなことを言った、担任の言葉が脳裏をよぎった。
「ひーちゃんっ」
 僕はひーちゃんの手を取って、そう呼びかけた。彼女は何も言わなかった。
「そっち」へ行ってほしくなかった。置いていかれたくなかった。僕だって、あーちゃんの突然の死を受け止めきれていなかった。その上、ひーちゃんまで失うことになったら。そう考えるだけで嫌だった。
 僕はここにいたかった。
「ひーちゃん、返事してよ。いなくならないでよ。いなくなるのは、あーちゃんだけで十分なんだよっ!」
 僕が大声でそう言うと、初めてひーちゃんの瞳が、生き返った。
「……え?」
 僕を見つめる彼女の瞳は、さっきまでのがらんどうではなかった。あの時のひーちゃんの瞳を、僕は一生忘れることができないだろう。
「あーちゃん、いなくなったの?」
 ひーちゃんの声は僕の耳にこびりついた。
 何言ってるんだよ、あーちゃんは死んだだろ。そう言おうとした。言おうとしたけれど、何かが僕を引き留めた。何かが僕の口を塞いだ。頭がおかしくなりそうだった。狂っている。僕はそう思った。壊れている。破綻している。もう何もかもが終わってしまっている。
 それを言ってしまったら、ひーちゃんは死んでしまう。僕がひーちゃんを殺してしまう。ひーちゃんもあーちゃんみたいに、空を飛んでしまうのだ。
 僕はそう直感していた。だから声が出なかった。
「それで、あーちゃん、いつかえってくるの?」
 ��して、僕は嘘をついた。ついてはいけない嘘だった。
 あーちゃんは生きている。今は遠くにいるけれど、そのうち必ず帰ってくる、と。
 その一週間後、ひーちゃんは無事に病院を退院した。人が変わったように元気になっていた。
 僕の嘘を信じて、ひーちゃんは生きる道を選んだ。
 それが、ひーちゃんの身体をいじくり回して管を繋いで病室で寝かせておくことよりもずっと残酷なことだということを僕は後で知った。彼女のこの上ない不幸と苦しみの中に永遠に留めておくことになってしまった。彼女にとってはもうとっくに終わってしまったこの世界で、彼女は二度と始まることのない始まりをずっと待っている。
 もう二度と帰ってこない人を、ひーちゃんは待ち続けなければいけなくなった。
 全ては僕のついた幼稚な嘘のせいで。
「学校は行かないよ」
「どうして?」
「だって、あーちゃん、いないんでしょ?」
 学校にはいつから来るの? と問いかけた僕にひーちゃんは笑顔でそう答えた。まるで、さも当たり前かのように言った。
「『僕』は、あーちゃんが帰って来るのを待つよ」
「あれ、ひーちゃん、自分のこと『僕』って呼んでたっけ?」
「ふふふ」
 ひーちゃんは笑った。幸せそうに笑った。恥ずかしそうに笑った。まるで恋をしているみたいだった。本当に何も知らないみたいに。本当に、僕の嘘を信じているみたいに。
「あーちゃんの真似、してるの。こうしてると自分のことを言う度、あーちゃんのことを思い出せるから」
 僕は笑わなかった。
 僕は、笑えなかった。
 笑おうとしたら、顔が歪んだ。
 醜い嘘に、歪んだ。
 それからひーちゃんは、部屋に閉じこもって、あーちゃんの帰りをずっと待っているのだ。
 今日も明日も明後日も、もう二度と帰ってこない人を。
※(2/4) へ続く→ https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/647000556094849024/
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nakatateyama · 4 years ago
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『Day1768-4-055』 My 24-year-old Nissan Rasheed has his history that I don’t know. 僕の右脛に古傷があるように、わがラシーンの右フェンダーにも僕の知らない過去の傷があったようだ。 ある日、ピキンと塗装が割れ、今回の在廊行脚中(走行中)、割れた部分が風で吹き飛んだ。 塗装の下には、板金の跡。 傷を発見したときはなんかもう、あおが転んで膝を擦りむいて泣いているのをみつけた感じ。傷も含めて愛でるしかないか。 お母ちゃんの在廊に付き合うあおは当然、画廊で静かにしている訳もなく、お父ちゃんが車屋に連れ出したり絵を描いたり。 今日は、昨日初めてその存在を知ったガンダムの絵を描くと言って、僕のスマホで画像を見ながらガンダムを描き描き。 目を細めるとガンダムにしか見えない、赤や青、黄色の線たち(最後の画像は元ネタ=無断拝借ごめんなさい)。 しっかり母ちゃんの血を引いている。そんなふたりに引っ張られて、お父ちゃんの画力と工作力も向上中。 #rurallife #slowlife #notslowlife #countrylife #snowcountry #田舎暮らし #スローライフ #ノットスローライフ #4歳 #fouryearsold #あおの棚田米 #棚田 #移住 #コーヒーとタープ #自家焙煎 #microroastery #microroaster #十日町市 #雪国 #豪雪地帯 #ラシーン #rasheen https://www.instagram.com/p/CKqUd1AsnMF/?igshid=10amooi20fns4
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tsuntsun1221ts · 4 years ago
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2021.02 唐松岳
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厳冬期の立山連峰。真ん中に剱岳がそびえる。人を寄せ付けない自然の威厳を感じる。
雪山を始めて3シーズン目を迎えたが、唐松岳には過去2回挑戦し、2回とも悪天候のため敗退している因縁の山である。当然今シーズンも挑戦しようとずっと思っていたのだが、なぜか週末は天気が悪くなるばっかりで、ようやく穏やかな日がやってきたのが2月。
夜行バスで白馬八方へ、東京駅の鍛冶屋橋駐車場から出発するのだが、京葉線降りたホームからたった5分でいけた(2番出口使用)。これ地味にすごい、京葉線ホームの唯一といっていい長所だな。八方Infoセンターで準備を整えゴンドラへ向かうと、登山客の数が多すぎ!ゴンドラ営業開始の30分以上前に並んだのだが、チケット購入の列にすでに100人以上並んでおり、しかも半分かそれ以上が登山者。ちなみに自分の後ろは200-300人くらい並んでるおり、スキー・スノボ客のほうが少なく見える。今日は晴天微風なので絶好の登山日和だから、みんな同じように狙ってきたのかも。
【コースタイム】山頂駅(0915)→八方池(0950)→丸山ケルン(1045)→唐松岳頂上山荘(1135)→唐松岳(1155-1220)→唐松岳頂上山荘(1235)→八方池(1325)→山頂駅(1350)
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コロナの影響もあり、ゴンドラは定員までのせるのではなくグループ単位で乗せていた。つまり1人グループの場合は1人だけしか乗車しない。このためチケットを買った後にゴンドラに乗るまでまた時間がかかった。さらにリフトを2本乗り継いで登山口のある山頂駅に着いたのは8時の営業開始から1時間以上も経ってしまった。ただしこれは予想しており、余裕をもって計画していたので問題なし。リフトで移動中、左前方に見える五竜岳が厳つくてまたカッコいいんだよな。
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山頂駅で準備して出発。ゴンドラ・リフトでかなり標高を上げたはずなのに、全然寒くない。まだ朝なのにも関わらず雪が少し溶けて緩いかも。スキー・スノボにとっては悪い雪質だが、アイゼンはめてるこっちにしても同様によろしくなく、砂の上を歩くように足が安定しない。もっと雪が締まって硬い方が刃がささって登りやすいのだが・・・。厳冬期の北アルプスということで装備をしっかりしてきたのに、結局下着とかなり薄い上着の2枚だけで十分だった、これはもう春山。
しかし登山者多いな、山頂駅で自分と一緒に準備してる登山者だけでも周囲に30人くらいはいるのに、自分の後ろでチケットとか並んでた人もたくさんこの後来るから、今日はいったい何人入山したんだろう。ざっと200-300か、こんなに大勢の人たちがいる雪山は初めて。
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お隣は左から白馬鑓ヶ岳、杓子岳、そして北アルプスの女王白馬岳。この白馬三山は一昨年縦走したけど懐かしい。白馬岳は麓の雪渓から山頂の光景やらすべてが素晴らしい山だったな。
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遠くまで登山者の列が見える。天気が良く照り返しが非常に強い、そして無風。多くの人は薄着になるという想定をしておらず日焼け止め塗ってないからか、顔を真っ赤に焼いて登ってる。自分は極寒の場合でも日焼け止めは一応塗っている。
ちなみに上の写真からでもゴールの唐松岳が見えている。写真ほぼ中央の岩が露出して黒く見える一番高い峰。
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それにしても登山道が広すぎる。これだけ広いとホワイトアウト時には道迷いの危険が高いな。
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お隣が八方池(雪の下)、ここまで約30分。その先に見えるちょっとした樹林帯が「下の樺」。樺の木が生えているからそういう名前なのか?
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下の樺通過中。前回来た時は腰くらいまで雪に深く沈み、水平ラッセルをしたのを今でも覚えている。あのときはスノーシュー持っていなかったけど、あそこまでふかふかパウダーで深いと装備していても結局沈むる気がする。今回は、前回と積雪量は少なく?また踏み固められており余裕でアイゼンで通過。
その先に見える上り坂、前回はあそこらへんから本格的なラッセルだった。先行していた元気なお爺さんと2人だけでやったのが懐かしい。あの坂を通過するのに30分も経過したんだよな、本来なら5分くらいで通過できるのに。実際に登ると見た目以上に角度きつい。
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先程の坂を登りきり、その先の樹林帯が「上の樺」。
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上の樺の先にある坂が、これは見た目通りの急な傾斜。前回はこのあたりから後続者が到着し、6人くらいで交代しながらラッセルした場所。通過にやはり30分以上かかったっけ、今回は特に測っていないけど5-10分くらいかな。雪山は登山道のコンディションで時間も体力も数倍必要になるという、とてもわかりやすい例である。てかこの傾斜でラッセルって、改めて見てみると地獄だな。6人いてやっとだ。
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しばらくは傾斜がゆるくなる。しかし前方にみえるコブの手前は再び傾斜がキツイ。
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登山者が列をなすと傾斜の具合がわかりやすい。ご覧の通り、けっこうある。ここまでの傾斜ランキングだと上の樺の先>この写真>下の樺の先かな。
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1時間半で丸山ケルンに到着。前回はここまで来るのに3時間半以上かかり、タイムオーバーで撤退した場所。コンディションがいいとこんなに早く到着できるんだなー。
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丸山ケルンから先は未踏の領域。まだいくつか緩急織り交ぜた道が控えているのと、ピークに達したら大きなアップダウンを経て山頂(写真中央やや右の鋭い先鋒)に達する。見た感じまだ遠いな、ここから山頂まで1時間かかった。ここらへんまで来ると山頂に人がいるのも確認できる。
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右が山頂。
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一つ前の写真の左の峰から来た道を振り返る。奥に見えるのが妙高戸隠連峰。戸隠の方は夏に登ったな。写真中央のが高妻山で、左の雪をかぶっているのが妙高火打かな?
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唐松岳頂上山荘に到着。左下に屋根が写っている。ここから視界がひらけ、前方には立山連峰が姿を現す。この景色を早く山頂から見たい!
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頂上山荘から山頂までは先程の写真でも見たとおり大きなアップダウン。雪が全然積もっておらず(溶けたのか?)アイゼンの歯が嫌な音を立てる。
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登り始めて約2時間半で山頂に到着、やっと頂きを踏めた、冬季3回目の挑戦である。山頂はやや広く30人くらいはいる。2696mは雪山で登った中では最も高い、次点は2020mの上州武尊の剣ヶ峰か?しかしたった2時間半とは・・・3時間半くらい歩いていた感覚なのだが。とにかく全装備10kgは重すぎる!もっと軽量化できないものか、体力を結構消耗する。
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なんといってもこの光景でしょう!剱岳を中心とした立山連峰。生物を全く寄せ付ける気配のない凍てついた荘厳の峰々が眼前に広がる。あちらに入山している猛者はどれくらいいるのだろうか。
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剱岳アップ
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北方はお隣の白馬岳。白馬から唐松岳への縦走も結構大変そうだなぁ、来年あたりやりたいけど。白馬~唐松間は日本3大キレットのひとつ不帰キレットがある。たぶん見えていると思うのだが。どこだかはわからない。
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南方、 目の前にはお隣の五竜岳。 自分が立っているのが後立山連峰で、右から写真中央に向かって連なるのが立山連峰。2つの連峰が交わるくらいのところに槍ヶ岳などがある。写真でも一応見えているが・・・(小さすぎてわからないだろう)。
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ずっと薄着だったが、山頂はさすがに風が吹きすさびハードシェルを着用、といっても風速5~8メートルくらいか、冬の北アルプスにしてはまだ静穏な方だろう。風はあるが割と過ごしやすいので、冬の山頂では基本休憩しないんだけど、今回は別。この景色を見ながら行動食を頬張る。3回目でようやく登頂できたご褒美。
しかし、今回はあまりにも天気が良すぎてむしろ拍子抜け感はある、せっかく雪山に来たのにその厳しさという醍醐味は何も無かった。20分ほど山頂で休憩し下山。
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意外と下山が厄介、とにかく先が延々と続いているのが見えるが、ゴールのリフト乗り場だけは見えないのでしんどい。おまけに重い荷物で来ただけに疲れている。雪が柔らかく歩きづらい。ようやくゴールのリフト山頂駅が見えてきた。
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そんなこんなで1時間半くらいで下山完了。行動時間4時間とは短い方だが、体感的には6時間だった、後からタイムを確認してビックリしてる。レベルとしては谷川岳と似ているかな、谷川岳よりかは疲れるけど。登山というか傾斜のあるハイキングという感じ。
なんか知らんがとにかく疲れた。雪が柔くて歩きづらいのと重い荷物、本格的な雪山は今シーズン初めてだったし。帰りは温泉入るつもりでタオルとか用意してきたんだけど、特急あずさの松本発千葉行きという1日1本しか出ていない激レアに乗れそうだったのでパスした、おかげで白馬駅から���原まで乗り換えたったの2回で帰れ、とても楽ちん。特急あずさの中で3時間半って笑。
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