#事故は未然に防ぐモノ
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urusura · 2 years ago
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ヒヤリハットを提出するのは分かるけど、軽微な事故を月一で提出しなければならないってのは本末転倒。なんで事故を提出しなければならない、になるのか。それは本末転倒だと思うけど〜
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kotobatoki-arai · 5 months ago
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Invisible奇候
 窓の外は総てたわいない挿話である。熾火が時を経て蛍を遺し鮮明に刻印する思考濃度を確かめる。足を止めたときに憑かれる、いつか。術はまるでひどくおかしいのか、空穂舟はびしょうへと降下するんだって。あからさまで逆さまにしても芝居じみ、おちつかず、微睡み……類似を手繰らせ、急ぎお躾る。〈鉄条網のさきで〉ぐるりとみわたせば花托は煤けたようで拡がってゆく。ただ己の呼吸に縛られカラダをひきづってその場所へ、そのものへむかって、いつまでもなにもできずにいる  拒絶するものでしょう/これらすべては  知っていたか 〝Invisible〟  そのままの意味さ/ごらん。セピアの杜だ  ビニールの淡い色彩を持つ差傘の賑わいだけ延ばして、何処かを浮かべ帯を引く。万物故に大柄のあとにして痺れ、窄んだ水母は輝き出る、そして逃げ腰の風紋。大通りに面したテラス席に座りこみ、しばし往来に視線を預ける。死神の名をこうしてもって想像します  引っ詰める髪を雑に解いて、落日と点滅する生命ひとつずらして、口にした敗は悪びれずに。あなたは普段 壊れやすい一礼をして、未練がましい手首ばかりがわぁと泣き顔を踏む。幸せを願えずどこか不幸をさずけてしまう所があります  ~かたしなぢ仄かやあい聲や、左右によろねくこどしかできづ~ 祖は頷く波風の欠けた姿勢のみ曝し、廃線に沿って正す。頬染める夏模様ばかりが一雨きそうで。ならそうだね 入道雲を垂らした必然。――単純なわたしとは/きっぱり/ある点まで起き上がり、ようやっと続けられるあわい世界で胸に手を当て、気づけばもじょもじょしていた  荒んだ庭を眺めているのはまたあした。うん、この愁い開放の夢も、くねるものながら ザラザラとひらかれたこの翠雨よ。こんな具合 じゃ、結び、置き手紙を奏して 風鈴の訛りに隷シタガい給え。なんて実にひとつの玲瓏をいただく背景はさ 宵の花火まですこし休めると横になり、淡い雫を映してしまうよ  あまり綴られた糸は今にも千切れそうで、切なさを不意に思いだすから弱々しく惚けていて 既にしゃぶりついた白紙の静寂なり。まだ投げかけた気配がないから結局、のろのろと拙い否か応か。あぁ萬畫のような素形だと遠くを看做ミナし、ふくよかな私すら消し去るのでした。 オシマイ。なんて葬するより鮮明な首を切る?  もうすぐこれが手を握るの。だからぎゅっとよかったね、 コレが視野調和の習慣  そこまでの道のりと憶病で柔らかい棘であり、歪んだ小花が微動だにせずに、一冊の手記を携え喫茶店を訪ねたのか。その所為? と口を挟み、どこへでも翔けることが叶うようであった。とはいえ屁理屈は訪れ藍色の海のみなそこを現した、水葬に浮いている擬声と愛されることに、一斉にひぐらしと暗示して、なら。初夏はいま錆色の空に似つかわしくない香炉ひとつが与える情感であった。ほらほら、視覚は主張であり空虚とは気晴らしで。ね? いいでしょう  綺麗事はそれっきりだ。みぎわのにおいと猛言と 熱と肺腑にしみる浮雲を しぃと破片と造り込んでは、その上は短くて堪らなく愛おしい、怯えた仕草も表立つ。虚ろ目で流れ落ちる間隔 無作為に「そうかもしれないなあ」と見守るかたち。空は夜に溶け透明な動脈に従う、足は翼を持つらしい。ほぉ満ちていた、押し当てられたような痛みを伴って。然し、急がなければいけない『伝達』とはこう漂っている。均等にして微笑んでいるとき永久トワ  ――遺体を骨にする。  そう反復するのでした/くりかえし/おちつかないツクリである種は訝しむ策も蒸した柵もない。よって庭は傷ひとつない、それなら芽吹いた先にある一本道の、単にせせらぎが無垢な幾千の防波堤は。ほんとうだ、干渉を嫌い凪と破れ、黄昏に折り重なるばかり。 それでいうことなら―― 月が綺麗ですね (〝奥行の足りない暗渠に冷たく狭まるモノ〟) 雨がやみませんね。 じゃあ「どうすればいいですか。」 ぜいぜい喉を鳴らしながら、 まさに喰みだした彼岸への問いかけにすぎない (まるでつつがない、ふちでおわりはじまる プラネタリウムだろ。あの時刻表ではひかりは呼びかけに答えることなく、跳ねる硝子でのびた魚、鋭利な白樺と、雲雀の幸福はながいあいだ寝冷えしていた)  彼方はどうせひとりで眠る。再会と出発までわずかに割る。どうせ古い果肉だと思った。 ――毒があるのかも痴れない。厭に瑞々しいから/じっと眺めていて。または身を委ねて。もう!! おなじように溢した星あかりは照らされた。薄い肩を震わせ ややこしいので特別だと枯れぬ、嘘ッ……  熱い息を吐く/穏やかな寝顔の柔らかい死に包まれて挟んであり (今を、探している 誰そ彼のワタシハ 神様ではない)  悲鳴をこらえる/もっとも影がなく聞えたらしく流れ星を数えている  玄に歪んだ雲行きが溺れ向こう側が暗い (未成品の手紙を吐き戻す(  恋に熱に雨音がこもり  )死より腐蝕したひかりが旗色に切れて  )今やの飾りを打ち消すささやかな網膜が  港を認識する  、雷鳴を 掻き、毮る仕草  机上の蝋燭は強く揺らめき、闇を待つ。そう!   疎ましい箱庭除法。喉に絡む湿原を捉え深めるんだ  果たして不自由ならいっぺん尋ねる。おもいのほか、身なり背が高く奇数のランプの影はヒマワリひとり湛える境界なのだと、かこつけていった。いつも/とは/ほんとう/に目の前にぶら下がると。得るだけ��季節と空間を憶えたのだ  これら揃えたこの腕はおごそかな事を興せ。たとえば星砂糖を数個入れ、ひたひたの珈琲をこぼしてみる、この口に含んで暫く呆けることは旅路への支度をすることと同じ。PCを閉じ席を立つ/けれど瞑ったまま、つまびらかにかるく押されて緑と光に透かす mama いつかのナデシコを少々足してね。あれら全てちいさく纏めつつ、車窓だけを摘み取る御者がいるらしいが。そうであったのならまるで、さし貫かれ 涙ぐんでむせて、咳き込むとひとみは光と宿していたとも射えるんだよ  つっかけの散らばる玄関などを通り抜け、腥温い風が障る。ただ受け入れた球体の彬しさは熱病の狂気におもう。それはちかちかとみれば、そこには しぶしぶ、どうしようと荒れ放題の皐月のツラがあり。いまやわらかで花を埋イける。指先が咲くからだ  まるで蝕まれる/亘りと 遮る物。閉じこもり悶々する筵そのまま 虚ろな手はない、意思の下に改めるからだばかり(いつも過去を窺え またも未来を奮う 今がまとまらず達する それはがっかりして丸まってしまうからだ。)  私はまなうらにある理想からはひじょうに、詳細は掴めないけど、空論を取り違えた屍は/口から勢いだけ流転させる心臓と蝶形のディテールを/鼓動は横たえた野アザミに押さえ/団居では白くとんで透き通る雨だれがぽろぽろ/つらぬくとともに殺されても好い。 ――時期、宵だとおもっていて  この一幕に手をかける・祈り・かがむ。それだけの縊れたゼロからやり直し、ときに流され 私はくらんでいた。まっしろな帆の尾を騒がせ胸から口許までの腐りや楔を用い、根は腐り繕うこともできず、ありがたくも引導を渡す  栓で結ってもなにも塞がらない、まほう  あのときの理由もなく傀儡もいばら その法楽  なにかわざわざ睨み付け、秘すれば花 そもそも光芒  ためいき ばらばらに髪を梳き、扇と流し込んだ水面はいつか澄みきるの だけど はかない/激しい/はなやかな。タマシイは内向きの銀河だろ  だけどこの瞳に焼き付いた奥ゆかしさを。気がつくだろ皆、遠くの尾根をこさえるあいだ。納棺師はあおいあおいそらにしろく、しろいくもを濯ぎ、すこしずつ紬いでそらに流していく彼方とは、   芙蓉――縮んだ襤褸だよと、 そよ吹いて根も葉もない偽善者だと所詮茶化すもの  だから、さぁ 2024/05/26
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shintani24 · 8 months ago
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2024年5月31日
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メリットも課題も見えてきた! 次世代型電動車椅子 バスに乗る時どうすれば? 誰でも自由に移動できる社会に向けて 県バス協会が研修会 広島(RCCニュース)
オシャレで軽くて操作しやすい…そんな次世代型電動車椅子の普及とともに、困ったことも起きているようです。“バスの町”・広島で研修会が開かれました。
広島県バス協会が主催した研修会には、およそ50人が参加しました。
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注目されているのは、この次世代型電動車椅子。2012年創業のWHILL社が手がけるもので、デザイン性や操作性をウリに販売台数はここ2年で5倍という勢いです。
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ただ、課題も見えてきました。例えば、介助者のハンドルなどがないためにバスの車内に固定するのが難しいこと。
あるいは、こんなことも…。バスに乗り込むスロープの上で前輪が浮き上がって後ろに転倒してしまったのです。
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車椅子が安全を保証する傾斜角度は、最大10度ですが、実際の道路事情によっては、それより急なことがあるためです。幸い、けが人はまだいませんが、関係者は危機感を高めています。
広島県バス協会 事故防止対策委員会 玉田和 委員長「私どもの使命としては安全に運ぶというのは使命でありますので、メーカーのWHILL社様と一緒に安全に運ぶためにどうすればいいかっていうのは今後、ちょっと、いろいろ考えていきたいなと」
WHILL 広報 新免那月 マネージャー「みなさん、ユーザーさんにしっかり乗って、外に行って楽しんでほしいっていう気持ちはすごい。ルートは違えど、最終的に目指すところは一緒なので、もっといい移動ができる社会ができるんだろうなというふうに思っています」
どんな人も自由に移動できる社会に向けて、具体的な模索が始まっています。
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全国で5万店以上あった「魚屋」=鮮魚専門店が1万店を切った。激変する日本の水産流通(東洋経済オンライン)
鮮魚専門店数は今や全国で1万店を切った(写真:PIXTA)
日本の漁業が危ない。生産量はピークの1984年から7割減。輸入金額も増え、海外勢に買い負けている。持続的な漁業を確立しなければ、消費者もおいしくて安全な魚を食べ続けることはできない。
『週刊東洋経済』6月1日号の特集は「全解剖 日本の魚ビジネス」。特集ではデータによる漁業の「今」や、漁師の実情、企業による養殖ビジネスの最前線リポートなどを取り上げた。
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【グラフで見る】「魚屋」=鮮魚専門店数の推移
ここでは激変した日本の水産流通について、北海学園大学の濱田武士経済学部教授が解説する。
日本漁業の発展プロセスにおいて、卸売市場が核となった市場流通が果たしてきた役割は大きい。多様な魚が水揚げされ、卸売市場に持ち込めば何でも販売してくれるし、われわれの食を潤わせてきたからである。
だが今日、その役割に陰りが生じ、市場外流通が拡大している。
漁業生産の現場は漁獲量や魚種構成が日々変動する。水揚げが集中する時期もあれば、しけなどで出漁が限られる時期もある。農業��天候に左右されるが、漁業はそれ以上に自然の影響を受けている。魚の鮮度落ちは農産物より早く、ストックできないことから、漁業者は水揚げ後すぐに販売していくほかない。
市場流通はその特性に合わせ、需要先に素早く流通させる仕組みとして機能してきた。
■産地と消費者の2大市場がある
市場流通は次のようになっている。
全国の主要漁港には産地市場が設置されており、水揚げされた魚がすぐに産地市場の卸業者に販売委託され、競りを通じ高値をつける仲買人に販売されている。仲買人は買い付けた魚について、各地のニーズに合う魚を発泡スチロール箱に詰め、消費地市場へトラックで輸送する。
その荷を受けた消費地市場の卸業者は、競り・入札・相対によって仲卸業者や売買参加者に販売し、消費地市場へ買い付けに来る小売業者や外食業者に販売する。産地と消費地で2段階の卸売市場を介したネットワークが全国の漁業者と消費者をつないでいるのだ。消費地市場しかない、青果や花き、肉の市場流通と異にしている。
卸売市場はさまざまな産地から多様な生鮮品を集荷し、需給バランスを考えて相場形成を図り、短時間で大量の生鮮品を販売。出荷者が取りはぐれないように代金決済を短期間に済ませている。
生産者自らが営業活動して商品を小分けし販売するとなると、短時間で終えることができず、代金回収リスクが生じるうえ、高い価格で売れたとしてもコスト割れする。小売業者や外食事業者自らが生鮮品を必要に応じて、各産地から直接集荷するとなると時間を要し、仕入れコストは高くなる。
にもかかわらず市場流通は多段階で、生産者の売値が安いのに中間コストが高く、「消費者は高く買わされている」と主張する人がいる。流通の量や時間、コスト、リスクを踏まえると、それは的外れな話だ。むしろ市場流通は生産者にとっても実需者にとっても安上がりの仕組みなのである。
■鮮魚店が客に魚の知識を伝えていた
だが水産物の卸売市場の経由率は落ち込み続けている。1980年には80%を超えていたが、落ち込み続けて近年、50%を下回るようになった。これはなぜなのか。
水産物とは、いわゆる鮮魚(生魚)や加工品、冷凍品に分類される。中でも市場の流通機構に強く依存し、わが国の中で水産物消費を牽引してきたのは、鮮魚だった。しかし、この鮮魚流通がだんだん縮小してきたため、卸売市場の経由率が落ち込んでいった。
実は「現代日本の魚食文化」は、もともとあったものではなく、市場流通とともに拡大してきた。その中で鮮魚の需要を喚起してきたのは鮮魚店であった。
鮮魚店は毎日早朝に地元の消費地市場に出かけて、そこで地元の消費者のニーズに合う魚を、仲卸業者から仕入れている。旬でない魚や見慣れない魚は安い。そうしたものでも仕入れ、どうすれば美味しく食べることができるか、仲卸から聴いて研究する。このような蓄積があって、店舗では来客に魚の知識を伝えながら、鮮魚需要を喚起してきたのである。
家計の食材別消費動向と鮮魚店数の推移を見ると、1980年代前半の家庭内における魚介類の消費は肉類や野菜・海藻を上回り、最も高かった。鮮魚店の数も5万店超で大きく減っていなかった。市場流通の末端で鮮魚店が魚の需要を喚起し、現代の魚食文化を育てたのである。
■店に並ぶのは、切り身など加工品、定番の冷凍品
ところが1990年代に入ると、鮮魚店が街中から消え、近年は1万店を切る。スーパーマーケットが台頭し、ショッピングモールの出店攻勢によって、ローカルな小売店の環境は激変。大型店に客を奪われてしまい、鮮魚を扱う専門小売店から消費者が離れていった。それでも大型店で鮮魚需要が喚起されればよかったが、鮮魚店のような対面販売は行われなかった。
店頭で売れ残りリスクを回避するため、商品棚が埋められたのは、主として価格訴求力のあるマグロやサケ、サバなど定番の冷凍品や、バックヤードで調理された切り身や刺し身をパッケージ化した加工品だ。冷凍在庫が可能なこれらは消費地市場に頼らず、メーカーから安定的に直接仕入れればよい。こうして鮮魚売場に需要喚起の場はなくなり、卸売市場の経由率は落ち込んだのだった。
世帯状況の変化も関係している。長引くデフレ不況で可処分所得が減り続け、消費志向もモノからコト、情報へと変わる。核家族化で単身世帯も増え、家族規模が小さくなって、料理の機会は減少。生鮮品の素材よりも総菜や調理済みの食材を買う機会が増えた。
鮮魚においては生ゴミが出るし、消費者が求めるタンパク源として水産物にこだわる必要はない。魚と比べて非可食部がない肉のほうが、摂取カロリーとの関係で見ればコストパフォーマンスがよい。
鮮魚店が街から消え、家計における魚の消費は大きく減り、最も消費金額が少ない食材になった。料理屋やすし屋など外食分野は魚の需要を喚起しているが、鮮魚市場の拡大を牽引するまでの力は持っていない。産地の魚価の形成力が弱まるのも無理がない。
1990年代からの円高やデフレによる内需縮小が決定的となり、食品市場は輸入食品が氾濫して過剰供給状態となった。魚価への下げ圧力も強まり、漁業者だけでなく、卸売業者の廃業も加速した。ただ、近年では円安基調が強まり、インバウンドに���日本食ブームが広がっている。皮肉にも日本の消費地市場から鮮魚、それも高級魚が海外へ輸出される時代だ。
市場流通は鮮魚が生命線。それが多様な魚種を供給する日本漁業を支えてきた。鮮魚流通の復興があれば、漁業の未来は明るいが、残念ながら予兆はまだ見えない。
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祭りやデモ、道路使用に手数料 愛知県警、6月から2500円徴収(中日新聞)
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道路使用手数料6月から祭りなどでも徴収へ 愛知(NHKニュース 5月17日)
愛知県では、全国で唯一、祭りやデモ行進などについて「道路使用許可」の手数料が免除されてきましたが、6月からは手数料を徴収することになりました。
道路交通法では、道路でイベントや工事などを行う場合、警察に届け出て「道路使用許可」を取ることが必要で、警察は手続きに際して手数料を徴収しています。 全国の都道府県警では、申請があった場合は、原則、一律で手数料を徴収していますが、愛知県警はこれまで地域の祭り、デモ行進、演説などについては免除してきました。
こうした中、愛知県が令和2年から進める行財政改革の計画をもとに、県警が業務の見直しを進めた結果、ほかの都道府県警と基準をそろえる必要があることなどを理由に、手数料を徴収することになったということです。 地域の祭り、スポーツの競技会、デモ行進、選挙期間外の演説のほか自動運転車の実証実験などが含まれ、申請ごとに2500円の手数料が徴収されます。
6月1日以降に許可の申請を行った場合に、対象になりますが、国や自治体、公的な団体などが主催するイベントなどは引き続き手数料は免除されるということです。 また、選挙期間中の演説は、申請の必要はないということです。
愛知県警はイベントなどを開催する際は、各地の警察署に確認して欲しいとしています。
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kuro-tetsu-tanuki · 4 years ago
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異海感想
前にツイッターに思わずネタバレ垂れ流してしまって良くなかったなぁと思ったのでブログにしときゃええやろという安直な考えのもと作成されております。 そっちの文章も入ってます。
Sadaさん作 異海 ―ORPHAN’S CRADLE― のネタバレ有感想になっておりますのでお気を付けください。
後、思いの丈を気持ち悪いレベルで吐き出してますのでキモイと思ったらブラウザバック推奨。
まず製作者のSadaさんに感謝を。 こんなにも素晴らしいゲームを、魅力的なキャラクター達を、面白くあたたかなシナリオをありがとうございます。 本当に楽しい。面白い。 おかげでEDFもモンハンもほっぽってずっと異海やっちゃってる。時間が溶ける(誉め言葉)。
語りたいことが多すぎるので思いつくことをガンガン語っていこうと。
取り合えずEDは全部見終わった、んだけどイベントもスチルも回収できてないの多いのでまだまだ周回しなくてはならない。 まぁそんな自分の状況はさておき。 シナリオが!良い!!んですよ!!!! 僕のさっぱりな語彙力では表現できないので割愛。 どのシナリオ読んでても面白い。面白過ぎてスキップできない。 周回の為にスキップもするけどお気に入りのシナリオ来ると読んじゃう・・・また時間が溶けてゆく・・・。 差し込まれるBGMもチョイスが良い。情景にあったチョイスをされてて自然にシナリオに没入できる。 照雄さんや吾郎さんと勝負する時のピアノ曲とか、最終盤の蛭子と問答して裕くんが色々理解した時の切ないピアノ曲とかたまらん。アルペジオがいいんだ。 曲名とかも知りたいくらい良い曲多い。フリー素材なんだっけ?欲しい。 料理、島開発、クラフト要素も楽しい。クラフトとかまだ作れてないの一杯あるんだろうなあ。 ��ニシナリオが充実してるのもすごく良い。 多すぎて作者さんの多大な愛を感じる。本当に凄い。 色々気になる設定もありすぎて設定資料集を見たい。
人物評というか感想というか
裕くん 我らが主人公。基本的に周囲が奇人超人が多い中、貴重な常識人ツッコミポジション。 そんな彼も一皮むけば色んな要素が詰まった子でした。 よく笑い、時に悩み、泣き、葛藤しながらも自分の道を見つけて進むことができる姿はまさに主人公。 優しいというより愛情深い。いや、基本的に異海に出てくるキャラクターは皆愛情深いけれども。 サブイベントで人外にですらその手を差し伸べるその深い愛情は圧巻。 たまに「裕くん絶対母性芽生えてるよね?」とか思った。鬼灯イベとか料理のミニシナリオとか。 その大きな愛情で色んな人達を悉く陥落させていく様は正に主人公。 もうハーレムとかで良いから裕くんは皆を幸せにしてあげて欲しい。 相手と状況によっては(主に後ろが)大変なことになりそうな裕くんの未来はどっちだ。 EDによって色んな状況になるのも流石主人公。海堂さんEDはビックリな成長具合だった。そりゃ海堂さんも驚くわ。
定晴さん 色々デカくて豪快な父性溢れるチートスペック超人その1。面倒見も良い。 そりゃ裕くんじゃなくても惚れるわ。 その裏にある定晴さん自身の事情や葛藤がまた何とも。 そりゃ巌さんから見たらソリ合わないよね・・・。 吹っ切れた後は最初の印象に違わぬスケベェなおっさんでした。 スケベ的な意味で裕くんは体もつのだろうか・・・。 だが男前すぎてつらい。裕くん幸せにしてあげて。 ちらほら描写はあるけど君絶対ただの一般人じゃないよね。
巌さん ヤクザみたいな雰囲気のおっさん。のくせに時たま見せる柔らかな父性がまたニクイあんちくしょう。 勇魚さんとは違った意味でこの人はこの人で色んなことで雁字搦めになってた。 初期印象がガラリと変わる人。シナリオでも言及されてたけど懐が大きく、愛情深い。 お前はどこのエロゲの主人公だってくらい父性愛溢れまくってる。 でも巌さん絶対Sっ気あるよね。 元は真面目な消防士ってんだから色々あったんだよね、多分。ってなる。 しかしこの人も大概ハイスペックだよね。他が飛びぬけてるだけで。
洋一くん チートスペック超人枠その2。 別の意味で初期印象がガラリと変わった人。 寡黙マッチョいいよね!とか思いながら攻略したら死んだ。 死んだ。 個別シナリオはもうボロ泣きした。 ノベルゲーやってて泣いたのなんて初めてかもしらん。 この時点で洋一くん推しが限界突破した。好き。 前半の寡黙な洋一くんも良いけど不器用に感情を表す彼も良い。 タガ外れてエッチ要求しまくる彼も良い。 捨てられた犬みたいな表情で「駄目か」「嫌か」なんて言われたらそりゃあ拒否できないよね。 頑張れ裕くん。
辰馬くん ちょっと天然気味なラガーメン。が最初の印象だった。だった。 ヒーラーでサバイバーでラガーメンで医者志望でタガが外れりゃオオカミさん。 ふとした瞬間に出てくる闇と言うか情報の洪水というか、最早何を言ってるのかわからない。 一途、めっちゃ一途。一途すぎて若干ヤンデレの気配も・・・。 でも、なんというか愛おしい。母性をくすぐるというか、愛される人柄だよね。 でもやる気になればクソかっこいいんだからホントにズルい。 巌さんもそうだけど彼も大概ハイスペック。
千波くん 打波の生んだぴゅあぼーい。 何というか甘酸っぱい青春ルートだった。 いや、ルートとしては葛藤も切なさも苦しさも色々あったんだ。 あったんだけど、「ああ、ちょっと切ない。けど、甘酸っぱい」。 そんな言葉が自然と出てくる。千波くんかわいいよ千波くん。 裕くんとの距離感が絶妙に良い。 支���るようで支えられていて、寄りかかるようで寄りかかられていて。 実に微笑ましい。末永く爆発しろ。
冴さん つよい。 いや、その一言で片づけちゃだめなんだろうけど。 印象としてはサモ〇イのメイメ〇さんポジション。 眼鏡だしお酒好きだし。 勇魚さんルートで彼を叱責する彼女には痺れた。 色んな意味で裕くんの味方をしてくれた人。本当に素敵な女性である。 彼女は彼女で秘密があるみたいだけど結局何者だったのだろうか・・・。
イザナギさん 〇モナイ3でいうハ〇ネルさんポジション。 彼も何者だったのかは正直ようわからんかった。 でも、裕くんの味方で、裕くんを導いてくれてたのは確か。 なんというか、ほっとする感じがして好き。
照道さん 良識枠。イザナギさんと同じでほっとする枠。 色々言うけど裕くんを支え、導いてくれた人。その名前は伊達ではない。 ラストで駆けつけてくれたあの勇ましい姿には痺れた。クソカッコいい。 崇くんとは末永く幸せに暮らして欲しい。 ぬか漬け?・・・ウッアタマガ
崇くん 天使。 もうそれ以上の言葉があるだろうか。 いや、後半のあれやこれやで色々と思うこともあるけれども。 本当に、本当に末永く幸せになって欲しい。 崇くんかわいいよ崇くん。
吾郎さん ギャグ枠と思いきやシリアス部分もがっつり持ってくお方。 月狂いの恐ろしさとその苦悩がよくわかるシナリオでございました。 ぶきっちょな吾郎さんも良いですがあんなオラオラした吾郎さんもよき。 下手すりゃ裕くんあのままMに目覚めていたのでは・・・? 互いが互いを思いやる故の忘れ石。でも、忘れたくない。あんなんズルいわ。そこからのEDへのあの流れ。ズルいわ! EDでのギャップにもやられた。制服はズルい。萌え。 子供たちもかわいい。
潮さん 面倒見がすごくよく、性格イケメン。 実際いい男。というか色男。そして一途。 ED見つけるのにめっちゃ時間かかった。まさかノーマルの先だったとは思わなんだ。 いや、どうなんだろ、トゥルー後にもあるなら全く感想が変わってくる。 ノーマル後の潮さんEDを見た感想としては、せつない。 ただひたすらに、せつない。 裕くんと潮さんのあの関係はそれはそれでいいんだ。 幸せそうで。潮さんも満更じゃなくて。 ノーマルエンド、やっぱ悲しいよなぁ。 照道さんが消えて。あの後、崇くんはどうなったのだろうか。 吾郎さんとか汐音ちゃんがいるから平気だろうとは思うけど、絶対自分責めそうだよなぁ。 やっぱり、皆で幸せになって欲しいんだ。 もし汐音ちゃん√のトゥルー後のEDっていう√があれば、全然感想変わったなぁ。
藤馬さん 皆大好き(?)藤馬さん。 目じり下げて笑うあの表情は破壊力あると思います。 完璧超人かと思いきやまさかのメシマズとは・・・。 えっちスケベにーさんだった。えっち最中も敬語なせいで最早言葉攻めだったよ。プレイかよ。 でもそれ以上に愛情の人だった。 辰馬くんに、父に、そして裕くんに向けた愛が溢れまくってる人だった。 兄弟揃って外見も中身もイケメンだった。知ってた。 ED1はまさかのオチだった。いや、弐鬼さんルートでんなこと可能なのは知ってたけど。 そして藤馬さんやっぱ勾制御できなかったら色々ハジけてるじゃないですかヤダー。 あの場合兄弟とは竿だったのか穴だったのか・・・ゴクリ そして問題児三兄弟って多分吾郎さんとこだよね。 ED2は切ない。でも、あの結末の先に続く物語もありそうな感じがある。 結局、あの場合はどっちが柱になったのだろうか。 にしても兄弟揃って独占欲強めな感じがひしひしと。イイデスネ
勇海さん えっちなとうさん。けしからん。実にけしからん。好き。 父性愛溢れまくってて砂糖どころか蜂蜜吐いた。 裕くんがでろでろに甘やかされてるのを見ると「良かったねぇ裕くん」という気持ちが芽生える。 洋一くんや辰馬くん、千波くん見てると「もっと甘えてええんやで」って思うけど裕くんももっと甘えていいと思う。 それを引き出した勇海さんマジお父さん。爛れているのはご愛敬。 定晴さんとの3Pルートもスケベェで実に良い。 裕くんのお尻が心配にはなる。でも裕くんが幸せそうだからいいか。 しかし、疾海さんを内地に解き放って本当に大丈夫だったのだろうか・・・。
弐鬼さん マッチョ刀鍛冶おじーちゃん。 お世話してたら回春したおじーちゃんとえっちしてた。 おじーちゃんがえっちすぎるのがいけないとおもいます。 EDは世界観の一端が見えてそれも良かった。 いきなりおっぱじめたのには吾郎さんじゃなくてもびっくりすると思います。 このルートの裕くんが一番神秘に満ちてる状態なのかな。 洋一くんの五感が鋭いのも弐鬼さんの血族だからなのだろうか。
泰蔵さん 船長兼細工師さん。 最初はぼんやりと「ああ、裕くん島に残ったら旺海��当主しながら細工師するのかな」なんて思ったりもした。 個人的には裕くんのお師匠ポジションになっている。 絶妙な塩梅で裕くんのこと気に掛けてくれるお方。 絶対弟子みたいな目であたたかく見守ってるよね。 なんでかわからんが凄い好き。
沙夜さん ほんわかお母さま。そしてぬか漬けの女帝。 裕ちゃん呼びは中々にくるものがある。可愛らしいお母さまだ。 色々大変で色々な苦悩を背負ってる。 でも最後にはきちんと向き合い、子を守り、愛にも生きる。女は強かった。 にしても、千波の年齢逆算してもそこそこのお歳の筈だが・・・お盛んっスね・・・。
蛭子 黒幕。加害者でもあり被害者でもあり、サモナ〇3のイス〇ポジション。 彼の願いは所謂「自身の死」だった。 そりゃあんな状況に押し込められて無間地獄状態ならそう望むのも無理はないわ。 けど、色んなEDを見た後に思う。結局彼にとって一番幸せなEDはどれだったんだろう。 正規?√は定晴さんEDぽいけど、個人的には蛭子くん自身が色々学んでいきそう辰馬くんED、藤馬さんED1もありかなぁと思ってしまう。 彼も幸せなれるそんな未来があったのかなぁ。
全然関係ないけど、蛭子はマヒトの姿を模してる。 マヒト登場時に「はいてない」選択肢出てた。 つまり蛭子もはいてないのでは? どんだけシリアス話をしてても君はいてないの??? 3週目あたりでそんなアホな思考が湧いてもうダメだった。
考察とも言えない雑感。 考察何てしたことないから理論も順番もちぐはぐのぐちゃぐちゃ駄文。
辰馬ルートやって思ったのが、「自分の命を顧みず、他の誰かを慈しむ」「負の感情に共感し、それを慰めることができる」。 これをできる人が「柱」の素質の大きさなのではないかと。 そこに血筋とか勾とかは恐らく関係ないのではないかと。 んで、バッド√を見て思った。 あのループの中の定晴さんのあの台詞。 多分、定晴さんもあのループの中での記憶を持ち越してて、「もう少しでお前(裕くん)をこのループから解放してやる」って意味だったのかな、と。 そして多分、その代償として定晴さんが柱になるのではなかろうかと。 禍憑きの骨イベントで崇君と定晴さんが同情、というか共感したことで禍が消え去ったのも、あの2人が柱の資質持ちだからなのではないか?と思ったり。 というかイザナギさん回復イベントで産魂に光を入れられた人って、大なり小なり皆柱の資質あるって事なのでは・・・?
裕くんの父親について 某方がSadaさんと問答してらっしゃったけど、多分これ泰蔵さんだよなぁ。 冴さんのお言葉や鑑定の結果見ても一点ものの髪飾り、星見石は打波で産出する、加工が難しい、泰蔵さんの髪飾りに対する扱い、泰蔵さんは細工師、んでお酒飲んだ時のお話。 うん、やっぱりアレ泰蔵さん作では? よくよく泰蔵さんの立ち絵見ると裕くんに似てる気がする。体格とか髪型とか。あと眉毛。 蛭子も命や魂は生み出せないって言ってたし、真那さんと泰蔵さんの子+蛭子の一部=裕くんなんだろう。多分。 多分泰蔵さんは気づいてるよね。そら何かと気に掛けてくれるわな。 そう仮定して泰蔵さんの台詞を見返すとやっぱそうなんじゃね?って思ってしまう。
裕くん本人について 何かしらの勾を持っており、幼い頃から幽霊とかが見えてる。 旺海の血を継ぐ者。 勾については汐音ちゃんから「幽世を渡る力に優れている」と言及されている。 「幽世を渡る力」は詳細が語られていない為不明点も多い。 おそらくこちらは「蛭子の一部としての旺海裕」が持つ力なのであろう。 幽霊や魂といったものを視認し、時には意思疎通さえ行うことが可能。 視認した相手の死の運命のようなモノも感じ取ることができる。 元々できたのか打波島に戻ってから目覚めたのかは不明だが、霊的な存在を祓う、共感し慰撫することで魂を輪廻の中に還す柱としての力も行使している。 ここら辺は主に攻略キャラに関係ないサブイベで行使している。雪女とか胡麻団子の女の子とか鬼灯とか。 幽世の力に関係するのかは不明だが、水鏡による先視に関する力も突出している。 先視は藤馬さん√にて「超高性能のシミュレーション結果」のようなものと明言されている。 絶対の結果ではないが、高い確率で起こる事象の1つを視るのだと。 この先視に関して、前述した『視認した相手の死の運命のようなモノも感じ取ることができる』という能力にも関わって来るのではないだろうか。 バッド√で蛭子がいくつかの結末をシミュレートして試行を繰り返していることから、蛭子が元々行使していた力。 それが、蛭子の一部である裕くんが『死の運命の視認』という限定的ながらも先視の力を行使できても不思議ではない。 余程裕くんの根幹に根ざす力なのか、打波を離れてもその能力は無くなっていない。(巌EDなど) それと、裕くんの勾に関係するかは全くの不明だが、打波島に来てから彼は黄泉がえりを繰り返していると言える。 桃の花咲き乱れるあの空間はしょっちゅう描写されるが、あれが描写されるときは肉体的に死を迎えようとしているか、あるいは魂が肉体を離れている状態なのではないだろうか。 あの空間を降りきったら死んでしまうよと警告もされるし。 巌√で月読のお守りをなくした時、洋一√で顎岬ダイブした時は明確に一度死にかけて(あるいは死んで)いると思しき描写になっている。 しかも桃の花空間も描写されている。 どうみても助からない筈なのに蘇生している。 この事象に関しては裕くんの勾なのかそれとも蛭子が手助けしているかは不明だが、デッドアンドリバースしているのは確かだろう。 先視や水鏡、黄泉がえりの異能を含めて「幽世を渡る力」なのだろうか。 書き出してても全然わからん。 他、定晴さん√にて蛭子から「君は旺海の勾も継いでいるんだね」と言及されている。 こちらは「旺海真那の子、旺海裕」として持つ力なのであると思われる。 旺海の勾については「��の分割」と作中で明言されており、自分の魂の一部を別個体として存在させるって感じかと思われる。 定晴さん√ではそれを定晴さんの魂でおこなったと。 だからあの場に定晴さんは現れたということだ。 まだある。 条件が揃えば笹神楽を神器として行使することが可能。 この時、裕くんは笹神楽がツール、自身をバッテリーと称している。 この状態に定晴さんソウルが加わると、位相すらも蛭子と同等になる。 これ、限定的にとはいえ限りなく神に近づいてますやん。 いや、蛭子の一部なんだから不思議ではないっちゃないけど。 折れない柱として完成されうるスペックも持ち合わせており、不完全な状態でも柱としての適性は高い。 ていうか弐鬼さん√に至っては一時的ながらも柱そのものとして打波島を支えていた。
定晴さんについて 内地の人間なのに浮き出ていた禍憑きの刻印。 定晴√ラストの裕くんに流れ込む力。 名言されているわけではないが、弐鬼さんEDにて語られる「さる人物の体の中に残っていた海皇の因子」。 さる人物って多分これ定晴さんだよね。 そう仮定すれば定晴さんの謎スペックにも説明はつく。多分。 ていうかスィーフィード〇イトかお前は。好き。
エロについて すごいえっち。 ええ、ええ。すごいえっちでドシコでしたよ! よくこんな量のテキストとシチュエーション思いつくなぁなんて戦慄もちょっとした。 定晴さんの色々溢れまくりなえっちもいい。 巌さんの包み込むような、お互いに色々曝け出すようなえっちもいい。 洋一くんの若さ溢れまくるドチャくそ激しいえっちもいい。 千波くんの青さと若さとやんちゃさ溢れかえるえっちもいい。 辰馬くんのひたすら一途な激し目えっちもいい。 サブキャラの方々もたいへんえっちでございました。 言葉で表しきれないのでまずやればいいと思う。 定晴さんと勇海さんのW雄っぱいサンドで吐血した。いや、吐蜂蜜した。
簡単な総評 めっっっっっちゃ良い作品でした!!!!! そしてめっっっっっちゃ時間が溶けた。 というか回収終わってないスチルもイベもあるからまだやらねば。 あああ、裏設定とか世界感とか凄い気になる! ここまで引き込まれた作品なんて久々だ! Fateやら放サモやらはまだ完結してないから除外。 それ考えたら勝手な考察なんてするほどどっぷり浸かった作品なんて赤松漫画とかハリポタ以来かも。 あああ、一緒に語れる人が欲しい!!あれこれ聞いてみたいし話したい!!
あのボリュームで、プレイ時間で、2000円ちょっとって安すぎない????
お布施はどこにすればいいんです・・・?
しかもまだ追加があるかもしれないというこの・・・。
Sadaさんありがとう・・・ありがとうございます・・・。
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txtmatango · 4 years ago
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坂本龍一「“無駄”を愛でよ、そして災禍を変革の好機に」 文明をバージョン1.5に進化させるために
 全世界の死者が30万人を超えても、コロナ禍の収束が見えません。人類がこのウイルスに打ち勝つにしても、負けに等しい打撃を被る「カドメイアの勝利」になると、誰もが感じています。 私たちがこれまで「日常」と思っていた景色は、すっかり変わりました。コロナ後に到来するであろう「ニューノーマル」についての議論が世界中で始まっていますが、それは多くの場合、単に従来の生活様式が変わるということではなく、世の仕組みや人間と自然との関係をも改変しなければ、という含意が込められています。 コロナショックで変わったライフスタイルや価値観、あるいは見つめ直したことについて、さまざまな立場の方々がつづるリレー連載「コロナ・ノート」。今回は特別編として、ニューヨークに住む音楽家の坂本龍一さんに、コロナ禍で大きく揺らぐ文明や現代社会のありようについて伺います。 「資本主義が行き着いたグローバル経済のあり方を根本的に問い直さなければ、もう人間に未来はない」 かつて学生運動に深く関わり世直しを志す若者の一人だった坂本さんは、いまあらためて、社会変革の必要性について訴えます。 (取材・文 石川智也)
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●「ぬるい」日本の対応 検査受けられないのは人権侵害
コロナパンデミックにより、坂本さんが住むNY州では3月、劇場や美術館のほか飲食店も強制的に営業停止となり、市民には自宅待機令が出された。同様の措置はNY以外のアメリカの都市やヨーロッパ各国でも取られ、入国禁止や制限も課された。いわゆる「ロックダウン」である。多い日には1日800人もの人が亡くなるという、日本とは比較にならぬほど悲惨な状況下にあるNYからは、母国のコロナ対策はどのように映るのだろうか。 「一言で言えば、非常にぬるい。不徹底だし、一貫性がないし、長期ビジョンもない。ここ1カ月、本当に歯がゆい思いで見ていました。といっても、強制的に都市封鎖や行動制限をすべきだということではありません。何よりも、検査数が絶対的に少なすぎます。検査しなければ、感染の実態や広がりがわかるはずがない。対策の目標を設定することだってできないはずです」 NYの自宅から外出する機会もほとんどなくなったという坂本さん。13時間の時差がある現地とのインタビューはSkypeで行った 「医療崩壊を防ぐためという説明は、当初は理解できないものではありませんでした。でも、2月に中国をはじめ隣の韓国で感染が広がり始めた段階で、あるいは遅くとも欧米で爆発的に感染が広がり始めた3月上旬の段階で、あらゆる資源を投下して集中治療病床を増やし、また検査態勢を整えるべきだった。韓国や欧米に比べれば日本にはまだ時間的余裕があったし、先行した諸外国の対策を学ぶことができたはずです。それなのに、クラスター対策や感染経路の解明にばかり人材と時間を費やしてしまった。残念というか、情けないです」 「誤解しないでいただきたいですが、実際に命をかけて治療に携わっている医療者の方たちには、本当に敬意を抱いています。NYでは毎晩7時にノイズを出して医療従事者などに謝意を示す運動が続いていますが、日本でもぜひやってほしい。僕が憤りを感じるのは、国民を一人でも多く救おうと本気で考えているとは思えない政治家や官僚に対してです」 「ぬるい」と言えば、休業要請に対する政策的手当も同様だ。スピード感がないうえに明確な「補償」ではなく協力金や補助金というかたちにとどまる。そして「自粛」の徹底度は、いわば日本的な相互監視に委ねられている。小規模業者や個人事業主からは「もう限界だ」との悲鳴があがる。 「経済活動や移動の自由という基本的価値を、強制ではないとはいえ奪われているわけでしょう。仕事をする自由を事実上奪われ、補償も充分ではない。しかも体調を崩し熱も出ているのに、なかなか感染検査もしてもらえない。検査にたどり着くまでがあまりに大変で、その間に亡くなった方もいた。理不尽としか言いようがない。自分が何��病気に罹(かか)っているのか、誰でも知る権利がある。それが技術的には可能なのに、政策によって遮られている。これは人権侵害だと思います。
●新自由主義が医療崩壊を招いた  日本も危うい
コロナ禍が浮き彫りにしたのは、まさに国による感染拡大抑止策や医療体制の差異だ。優劣と言い換えてもよい。ウイルスは世界中に広がったが、致死率の地図はまだら模様がある。そしてその背景には、グローバル経済の深化とそれに伴う新自由主義の負の側面という問題が横たわっていると、坂本さんは言う。 「他国と比べて感染拡大の抑え込みに成功していると世界的に見られているのが、韓国と台湾、そしてドイツですね。ドイツは感染者数は多いけど、死者や重症者は少ない。それは、イタリアやスペインと違って、ドイツがまだ伝統的な国民国家の医療制度を保つことができていたからだとも言えると思います。逆に言えば、いわば社会民主主義的な福祉体制を維持できていたドイツに対して、イタリアでは、新自由主義的な政策によって病床数の削減や合理化を進めてきた。そのツケを今回一気に払わされ、医療崩壊を起こすことになったのでしょう」 イタリアは1990年代後半以降、緊縮政策によって医療資源や社会保障を大幅に削減してきた。新自由主義的な民営化政策が病床数や医療従事者の減少だけでなく医療水準低下の要因になったとの指摘もなされている。 「そういう意味では、日本も非常に心配です。日本でも80年代以降、特に2000年代の小泉・竹中路線以降、新自由主義的傾向が強まっています。大きな流れで見れば、医療費(の伸び率)抑制政策のなかで病床数と入院期間も減らし、バッファというか余裕のない、まさに重症者が何十人、何百人か発生したら医療崩壊するというぎりぎりの状況を、長期間かけて作ってきた。幸運なことに日本はなぜか今のところ感染者数も重症者数も爆発的に増えていませんが、今後を考えると改善しなければ非常に危ういと思います」 ●今の政策は「棄民」 安倍さんのどこが「保守」なのか
「新自由主義はアメリカ人が考えだしたことで、何よりも世界中をマーケットにして、自分たちの農産物や工業製品や知的財産を自分たちのルールで売りたい、紛争も自分たちの法律で裁くぞ、というものです。自民党政権は戦後一貫してアメリカの利益代表ではあったものの、軍事面はともかく、経済面ではアメリカに抵抗してきたし、日本の農業も守ろうとしてきた。でもその縛りは2000年代にはどんどん外され、市場を明け渡すような動きが進んでしまった。安倍さんはその新自由主義路線に乗っているだけだとも言えます」 「僕から見ても、安倍さんはとても『保守』とは言えない。保守的なそぶりは、トランプ大統領のメキシコ国境閉鎖発言と同じく、ジェスチャーだと思う���その本質は、アメリカ追随とネポティズムと露骨な大企業優遇です。国民はもっと怒るべきです」 アメリカでは俳優やアーティスト、スポーツ選手が旗幟を鮮明にして政治的発言をするのは日常的だが、日本ではバッシングを恐れて口をつぐむ人が多い。その中で、自らリスクを引き受け、原発や安保法制、辺野古問題で真っ向から政権を批判してきた坂本さんの姿勢は際立つ。 「もっと言っていいですか? 福島の原発事故のときにも思いましたが、いまの政権がやっていることは、国民のことを考えているとは思えない、あえて強い言葉を使えば『棄民政策』です。しかも今回は原発事故被害者だけでなく、日本国民全体を棄民しようとしている。なぜこれを多くの人が許しているのか、僕にはまったく分からない。いまはデモは難しいですが、本来なら100万人規模で国会に押しかけたっていい話だと思います」
●強権政治か民主的手法か この国は瀬戸際にいる
コロナ対策では日本も緊急事態宣言を発出し、私権が一定程度制限されたが、罰則や強制力を伴うものではない。そこで自民党などの一部から出ているのが、法律ではなく憲法に緊急事態条項を設けて対応できるようにすべきだとの声だ。安倍首相も憲法記念日の5月3日、「緊急事態において、国家や国民がどのような役割を果たし国難を乗り越えていくべきか、そのことを憲法にどのように位置づけるか、極めて重く大切な課題だ」と必要性を訴えた。 「日本は今回、欧米諸国や中国のような、強制的な措置やロックダウンをしなかった。その際に『法律がないからできません』ということを毎回、強調しています。非常にうがって考えるならば、これは、強制力がないから甘い措置しかとれない、だから憲法改正が必要なのだ、という世論をつくる地ならしの意味もあったのでは。国会のチェックを通さずに法律と同じ効果の政令を出せる緊急事態条項は、閣議決定という手段を多用し重大な法解釈まで変えてきた安倍さんが、まさにずっと目指してきたことですね」 「韓国や台湾、そしてドイツでコロナ対策が比較的うまくいったのは、民主的な情報開示を行い、ITを使った行動履歴の把��に対しても国民の政府への一定の信頼があったことも大きな理由だと僕は思っています。でも今回の対策の総括しだいでは、人権に配慮し情報をオープンにして国民の信頼を得るよりも、国家が強い権限をもつ開発独裁国のような仕組みの方が効率的、効果的に対策を打てる、という方向の議論に行ってしまうこともあり得る。そういう意味では歴史の分岐点にあると思います」
●グローバリズムの破綻は明白 社会民主主義が現実的
世界中の識者たちが「ポスト��コロナ」の未来像を唱え始めている。その主調音は、行き過ぎたグローバリズムへの批判だ。 「今回のコロナ禍で、まさにグローバル化の負の側面、リスクが顕在化したと思います。グローバリゼーションには色々な側面がありますが、ひとつには、先ほど言った過度の合理化の問題があります。生産拠点を海外に移し、最も効率的なサプライチェーンを築き、国外の安い労働力に依存する。そして国内の労働力は、調整しやすい非正規にどんどん切り替える――。こうした新自由主義路線が、いざ感染拡大防止のために各国がモノやヒトの流れを国境で止めた途端、経済自体を立ちゆかなくしています。そして、国内では色々な産業の逼迫と、失業者の増加や格差拡大といった矛盾を呼んでいる。グローバル化のしっぺ返しを受けているわけです」 「これに短中期的に対処するには、やはり、もう少しゆとりというか遊びを持った、効率とは違う原理をもつ社会の分野を、もっと厚くしないといけないでしょう。社会保障を充実させることはもちろん、医療で言えば、人員も病床ももっとバッファを持った体制をつくるべきだし、経済で言えば、国内の雇用を安定化させ、生産も、より自国に戻していくべきです。株価を上げることが正義、という経済合理主義からすれば『後退』と映るかもしれませんが」 「それは、国内的に言えば、新自由主義路線から社会民主主義に舵を切るというか、戻すということです。共産主義がいいと思っていた二十歳ごろの僕からしたら、こんな発想は考えられなかったけど。社会民主主義なんて、生ぬるいプチブル的な思想だと思っていましたから(笑)」 ●今回のコロナ禍の前から、過度なグローバル化への反動は世界中で起きていた。
「アメリカのような国でバーニー・サンダース旋風が起きたことの意味は、非常に大きいと思います。アメリカ経済を牽引してきた中間層の多くは経済的に余裕がなく、子女を大学へ行かせられない、あるいは医療保険もないという家庭も多い。金融偏重の経済政策で資産価値を増やす人がいる一方で、格差は広がり続けています。ウイルス危機は、元から抱えてきた矛盾をエックス線のように明るみに出しただけです」 パンデミックは経済成長の代償 方向転換しなければすぐ「次」が 今回のコロナ禍を、臨界に達した文明に対する自然からの警告の託宣かのように捉える人もいる。坂本さんも、過去のパンデミックや大恐慌の歴史から教訓を引き出すだけでなく、経済の仕組みや専門知の生かし方も含めた、新たな文明の作法をつくるべきだと唱える。 「今回の問題は、単に世界経済の中国依存の脆弱さが明らかになったとか、ヒトの移動が飛躍的に増えたためにウイルスが地球の隅々まで運ばれるようになった、というだけにとどまりません」 「グローバル資本主義が、つまり人間がやってきたことが、今回のような大規模なパンデミックを引き起こしやすい地球環境をつくってしまった。過剰な開発と都市化、そして生態系の破壊が人間と野生動物との接触機会を増やし、未知の病原体に感染するリスクも高めたわけです。言わば感染症は、人間が経済成長の代償として払っているコストです。このまま方向転換しなければ、パンデミックはこれまで以上に頻繁に起こり得るということが、だれの目から見ても明らかだと思います」 「これは、気候変動の問題と同じです。原因は人間の経済活動であり、立ち止まることができない資本主義経済の仕組みが事態を行き着くところまで悪化させている。パンデミックにしても気候変動にしても、現在の経済や産業、あるいは暮らしのあり方を大きく変えなければ、人間じたいが種として生き延びる可能性はどんどん狭まっていくでしょう。文明をバージョン2とまではいかなくても、バージョン1.5くらいに大きく変更していかないと、本当に先がないと思います」
●持続可能な世界のデザインを もはや人間に猶予はない
かつてペストの流行はヨーロッパ近代を準備し、世界史を変えた。前世紀初頭のスペイン風邪は第1次大戦によって爆発的に世界に広がったが、逆に、大戦を終わらせる要因ともなった。今回のコロナ禍は、少なくともグローバリズムを大きく失速させると見られている。そのうえで、新たな日常(ニューノーマル)の地平をひらくきっかけになるのだろうか。 「『ポスト・キャピタリズム』という言葉は一種の流行語ですが、やはり、持続可能な、新しい経済の仕組みをつくっていくしかないですよね。僕は社会学も経済学にも素人なので、残念ながらその回答は持っていないですが、今回のコロナ禍をただ対症療法で処して過ぎ去るのを待つのではなく、世界中の英知が集まって、持続可能な世界のデザインを描いてほしいです。経済学者も政治学者も社会学者も都市デザイナーも、もっと仕事をしろよ、と言いたい(笑)」 「今回、ウイルスのことで各国がここまで経済活動を減速させることができた。もちろん、これによって生活が逼迫する人がたくさん生じましたが、少なくとも、やる気があれば対策を打つことはできるということが証明された。現在は多くの国が国境を事実上閉ざしていますが、ウイルスの解析や情報、医療機器などでの協力はむしろ積極的に行われています。国際的連帯の重要さを各国が身に染みて感じたと思います。気候変動の問題にだって、協力して取り組めるはずです」 「パンデミックも気候変動も、どちらも生存に関わることですよ。根本にある資本主義の問題点を見なおし、早く持続可能な社会を実現しなければ、人間に残された猶予は少ない。世界史に刻まれた過去のパンデミックと同じように、この苦境を好機に変え、文明史的に意味のあるものにしなければいけないと思います」  「芸術なんて役に立たない」 そうですけど、それが何か? 積載量過剰のまま猛スピードで突き進む資本主義文明がわずかなりともバッファを取り戻せるのかどうかは不明だが、そうしたゆとりや遊びという「無駄」をどれだけ抱えているかは、少なくとも社会の成熟度の指標となる。 今回のコロナ禍���あらためて顕わになったのは、この国の文化支援の貧しさだろう。ドイツの文化相が「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、我々の生命維持に必要」とのメッセージを送り、文化施設と芸術文化従事者の支援に手厚い予算を組んだのとは対照的だ。 「政府や行政の支援が乏しい代わりに、クラウドファンディングなどでアーティストやミュージシャンを支えようという動きが広がっているのは、本当にうれしいですね。できれば、フロントにいるアーティストだけでなく、裏方として舞台設置やライティング、音響などに携わるスタッフさんたちも含めて支える動きがもっと広がってほしい。彼らあっての僕らですから」 「でもね、根本的には人間にとって必要だからとか、役に立つから保護するという発想ではダメです。芸術なんてものは、おなかを満たしてくれるわけではない。お金を生み出すかどうかも分からない。誰かに勇気を与えるためにあるわけでもない。例えば音楽の感動なんてものは、ある意味では個々人の誤解の産物です。理解は誤解。何に感動するかなんて人によって違うし、同じ曲を別の機会に聴いたらまったく気持ちが動かないことだってある」 坂本さんは「音楽の力」などという言葉は大嫌いだと以前から公言している。 「僕自身、音楽を聴いて癒やされることはありますよ。でも、それは音楽自体が力を持っているということではない。僕の音楽に力なんてないですよ。何かの役に立つこともない。役に立ってたまるか、とすら思います」 かつてナチス・ドイツはワーグナーの音楽を国民総動員に利用するとともに、ゲルマン精神の涵養に役立つ芸術とそうではない芸術を峻別した。芸術に体制賛美を担わせ目的に沿う作品のみを支援したのは、戦時中の日本や旧社会主義圏の国々も同様だ。 「そういう悪い見本が近い過去にあるんです。文化芸術なんてものは、必要があって存在するわけではないと思った方がいい。だから、行政の側が支援対象を内容で選別することはもちろん、作り手側が、何かに役立とうとか、誰かに力を与えようなんて思うことも本当に不遜で、あってはならないことだと思います」 「芸術なんていうものは、何の目的もないんですよ。ただ好きだから、やりたいからやってるんです。ホモサピエンスは、そうやって何万年も芸術を愛(め)でてきたんです。それでいいじゃないですか」 自らの内に「無駄」を包摂しそれに親しむのか。それとも、余裕を失った果てに更なる効率化・合理化を追い求めるのか。私たちの社会は、どちらへ向かうのだろう。
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xf-2 · 6 years ago
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濱口和久(拓殖大大学院特任教授)(青林堂『日本版 民間防衛』より)
 日本は工作員天国といわれている。日本には世界の国ならどこでも持っている「スパイ防止法」がない。
 工作員にとっての天国とは次のような状態だ。①重要な情報が豊富な国、②捕まりにくく、万一捕まっても重刑を課せられない国のことである。
 日本は最先端の科学技術を持ち、世界中の情報が集まる情報大国でもある。しかも、日本国内で、工作員がスパイ活動を働いて捕まっても軽微な罪にしか問われない。スパイ活動を自由にできるのが今の日本なのである。つまり、工作員にとっては何の制約も受けない「天国」だということを意味している。
 アメリカに亡命したソ連KGB(国家保安委員会)少佐レフチェンコが「日本はKGBにとって、最も活動しやすい国だった」と証言している。ソ連GRU(軍参謀本部情報総局)将校だったスヴォーロフは「日本はスパイ活動に理想的で、仕事が多すぎ、スパイにとって地獄だ」と、笑えない冗談まで言っている。日本もなめられたものである。
 日本は北朝鮮をはじめとする工作員を逮捕・起訴しても、せいぜい懲役1年、しかも執行猶予がついて、裁判終了後には堂々と大手をふって出国していく。  中国が得意とするスパイ活動に「ハニー・トラップ(甘い罠)」という手段がある。ハニー・トラップは、女性工作員が狙った男性を誘惑し、性的な関係を利用して、男性を懐柔、もしくは脅迫して機密情報を聞き出す諜報活動のことだ。中国にとって、ハニー・トラップはサイバー攻撃と並んで機密情報を奪い取るための重要な手段となっている。
 イギリス紙タイムズ(電子版)が2014年11月に報じたところによると、イギリス国防省の諜報機関の上級職員向けに、中国のハニー・トラップ対策マニュアルを策定。マニュアルは中国のハニー・トラップに関して「手法は巧妙かつ長期的。中国人諜報員は食事と酒の有効性を知り尽くしている」としたうえで、「中国の情報に対する貪欲さは広範囲かつ無差別だ」と分析。「中国には諜報員が存在するが、彼らは国の諜報機関の命令によって動く中国人学生、ビジネスマン、企業スタッフの裏に隠れている」と指摘した。
 また、中国でのイギリス製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の汚職疑惑に絡んで、同社の中国責任者が自宅で中国人ガールフレンドとセックスしているところを隠し撮りされ、その動画がGSK役員らに送りつけられた。中国のハニー・トラップの標的になるのは、政府や諜報機関の関係者にとどまっていない。
 中国人女性工作員の“活躍”はイギリスだけではない。アメリカ軍の最高レベルの機密情報にアクセスできる立場にあった元陸軍将校が、国際会議で出会った女性と2011年6月から恋愛関係となり、戦略核兵器の配備計画や弾道ミサイルの探知能力、環太平洋地域の早期警戒レーダーの配備計画といったアメリカ軍の機密情報を伝えたという。この元陸軍将校は国防機密漏洩の罪などで逮捕、刑事訴追された。(SankeiBiz 平成28年1月11日付)
 中国人女性工作員は、日本人男性に対しても、ハニー・トラップを仕掛けてきている。中国の公安当局者が、女性問題をネタにして日本の領事に接近。この領事は総領事館と本省との間でやりとりされる暗号通信にたずさわっている電信官で、中国側は日本の最高機密であるこの電信の暗号システムを、領事に強要して手に入れようとした。だが、電信官は「自分はどうしても国を売ることはできない」という遺書を残して、平成16(2004)年5月に総領事館内で首吊り自殺をしている(上海日本総領事館領事の自殺事件)。
 領事の自殺により、電信の暗号システムの情報流出は防げたが、中国に出張した際、ハニー・トラップに引っ掛かった政治家、企業家、研究者(技術者)は1000人をはるかに超えているといわれている。彼らの中には、中国側が欲しい情報を提供したことがある日本人もいるかもしれない。いや、発覚していないだけで、間違いなく情報を提供していると考えるべきだろう。
 もしあなたが、これらの職業に就いていて、中国人女性が近づいてきた場合は、ハニー・トラップを警戒し、不用意に女性と深い仲にならないようにすべきだろう。また、中国人女性と結婚した自衛官は500人を超えている。その中には幹部自衛官も含まれる。女性から自衛官に接触し結婚したケースが大多数だ。自衛隊の情報が中国側に漏れているとしたら、日本の安全保障上にも影響を与えていることになる。
 実際、平成19(2007)年1月、神奈川県警が海上自衛隊第1護衛隊群(神奈川県横須賀市)の護衛艦「しらね」(イージス艦)乗組員の2等海曹の中国籍の妻を入管難民法違反容疑(不法残留)で逮捕。家宅捜索したところ、イージス艦の迎撃システムなど機密情報に関する約800項に及ぶファイルが発見されている。2005年6月に中国のシドニー総領事館の一等書記官だった陳用林がオーストラリアに亡命した。彼は、日本国内に現在1000人を優に超える中国の工作員が活動していると証言している。
日本国内に北朝鮮の工作員は���れくらい潜伏しているのだろうか。不審船や木造船を用いて不法上陸したり、他人に成りすまし偽造パスポートなどで入国している工作員も間違いなくいる。
 一方、工作員は日本人の協力者や在日本朝鮮人総聯合会(略称は朝鮮総聯)に関係する在日朝鮮人らと共謀して、日本からヒト、モノ、カネなどを持ち出してきたことは周知の通りだ。日本人拉致、核開発関連の研究者の勧誘、ミサイル技術流出への関与、日本製品の不正輸出、不正送金など。麻薬・拳銃売買などの非合法活動にも手を染めているのが朝鮮総聯である。祖国防衛隊事件や文世セ光事件を引き起こした歴史的経緯から、公安調査庁から破壊活動防止法に基づく調査対象団体に指定されている。  北朝鮮で製造されるミサイル部品の90%は日本から輸出されていた(2003年5月、米上院公聴会での北朝鮮元技師の証言)。北朝鮮の核施設元職員で1994年に韓国に亡命した金大虎は、各施設には多数の日本製の機械や設備があったと証言。平成24(2012)年3月、北朝鮮にパソコンを不正輸出したとして外為法違反罪で在日朝鮮人の会社社長が逮捕された。北朝鮮への経済制裁で全面禁輸となった後も、パソコン機器1800台を無承認で輸出。関連機器の輸出総数は約7200台にのぼるとみられている。
 平成29(2017)年秋ごろから日本海沿岸に北朝鮮船籍と思われる木造船が数多く漂着している。以前から同じような木造船が日本海沿岸で発見されていたが、報道はほとんどされてこなかった。同年11月23日、秋田県由利本荘市の船係留場に全長約20メートルの木造船が流れ着き、乗組員8人が警察に保護された。8人は調べに対し、イカ釣り漁の最中に船が故障し、およそ1カ月漂流していたと話したという。
 これ以外にも、北海道や青森、秋田、山形、新潟、石川の各県で北朝鮮籍の漁船と思われる木造船が漂着・漂流している。中には船内から遺体が発見されたケースもあった。だが、一連の漂流・漂着を単なる漁民の漂流・漂着として片づけることのできない事態が起きた。日本は6852の島嶼(周囲が100メートル以上)から構成されているが、そのうちの約6400が無人島で、それに伴う海岸線の総延長距離は3万3889キロメートルに達している。
 24時間体制で海上保安庁が海上から不審船等を監視・警戒しているとはいえ、すべてを確認することは難しい。木造船はレーダーでは見つけにくいという問題もあるなか、北海道松前町の無人島である松前小島に一時避難した北朝鮮籍の木造船が、北朝鮮人民軍傘下の船とみられることが同年12月5日に明らかになったのだ。船体には「朝鮮人民軍第854軍部��」というプレートがハングル文字と数字で記されていた。
 北朝鮮では、軍が漁業や農業などの生産活動にも従事しており、乗組員9人は、北海道警の事情聴取に対して、秋田県由利本荘市の事案と同様に「約1カ月前に船が故障し、漂流していた」と話しているが、信用していいか疑わしいところだ。普通に考えれば、1カ月も海上を漂流すれば、食料や水が底をつき、栄養失調になったり、衰弱していてもおかしくない。
 乗組員が元気ということは、普段から訓練をしている軍人もしくは工作員であると思って間違いないだろう。平成29年12月23日に見つかった秋田県由利本荘市の船係留場に漂着した木造船が、2日後の25日朝に沈没したが、明らかに海保や秋田県警が船内を捜索する前に、証拠隠滅を図ったと考えるのが妥当だ。また、発見を免がれた乗組員以外の工作員が、上陸し潜伏している可能性もある。
 また、日本海沿岸は北朝鮮による拉致事件が多発した場所でもある。拉致被害者の1人である横田めぐみさん(当時13歳)が、新潟市内で学校からの下校途中に拉致されたことを考えれば、一連の木造船が漁業だけを目的とした船とは到底思えない。間違いなく何らかの任務を与えられていると考えなければならない。
平成29(2017)年11月30日の参議院予算委員会で、自民党の青山繁晴議員が「北朝鮮の木造船が次々に漂着している。異様だ。北朝鮮は兵器化された天然痘ウイルスを持っている。もし、上陸者ないし侵入者が、天然痘ウイルスを持ち込んだ場合、ワクチンを投与しないと無限というほど広がっていく」と問題提起したうえで、バイオテロにつながりかねないとの認識を示した。
 青山議員が提起した天然痘ウイルスの感染や生物兵器を使用しバイオテロが現実となれば、日本国内は間違いなくパニックに陥るだろう。韓国国防白書によれば、北朝鮮は複数の化学工場で生産した神経性、水泡性、血液性、嘔吐性、催涙性等、有毒作用剤を複数の施設に分散貯蔵し、炭疽菌、天然痘、コレラ等の生物兵器を自力で培養及び生産できる能力を保有していると分析している。
 アメリカ科学者連盟(FAS)は、北朝鮮は一定量の毒素やウイルス、細菌兵器の菌を生産できる能力を持ち、化学兵器(サリンや金正男氏の暗殺に使われたVXガスなど)についても開発プログラムは成熟しており、かなり大量の備蓄があるとみている。アメリカ国防総省も、北朝鮮は生物兵器の使用を選択肢として考えている可能性があると指摘している。
 そのため、韓国に駐留する在韓アメリカ軍兵士は、2004年から天然痘のワクチン接種を受けている。アメリカはテロ対策のため天然痘ワクチンの備蓄を強化し、2001年に1200万人分だった備蓄量を2010年までに全国民をカバーする3億人分まで増やしている。日本でも天然痘テロに備えて、厚生労働者がワクチンの備蓄を開始しているが、備蓄量は公表されていない。
 ここで青山議員が提起した天然痘ウイルスについて、もう少し詳しく説明したい。日本では、昭和31(1956)年以降に国内での発生は見られておらず、昭和51年にワクチン接種は廃止された。感染経路は、くしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことによる感染(飛まつ感染)や、患者の発疹やかさぶたなどの排出物に接触することによる感染(接触感染)がある。
 患者の皮膚病変との接触やウイルスに汚染された患者の衣類や寝具なども感染源となる。潜伏期間は平均で12日間程度。急激な発熱(39度前後)、頭痛、四肢痛、腰痛などで始まり、一時解熱したのち、発疹が全身に現れる。発疹は紅斑→丘疹→水疱(水ぶくれ)→膿疱(水ぶくれに膿がたまる)→結痂(かさぶた)→落屑と移行していく。ワクチン未接種の場合、20~50%の感染者が死亡する。
 ただし感染後、4日以内にワクチンを接種すれば発症を予防したり、症状を軽減できるとされている。だが、日本では半世紀発生していないため、医師も実際の症状を見たことがない。そのため医師によるスムーズな対応ができず、感染の拡大を招く恐れもある。北朝鮮による天然痘ウイルスをはじめとする生物兵器を使用するバイオテロは、私たちの身近なところで起きる可能性もある。不法に上陸をする工作員によって、日本国内に生物兵器が持ち込まれる可能性は拭いきれない。
「スリーパー・セル」。この言葉をめぐり論争が勃発した。平成30(2018)年2月11日放送のテレビ番組「ワイドナショー」(フジテレビ系)で、東京大学の三浦瑠麗講師が「スリーパー・セル」に言及すると、途端に激しいバッシングを浴びた。
 英語で「潜伏工作員」の意味で用いられる表現だ。平時は一般市民に同化して目立たないように生活しており、有事には組織から指令を受けて諜報活動、破壊工作、テロ行為などに及び、内部から攪乱する。スリーパー・セルの個々の分子は単に「スリーパー」と呼ばれることもある。
 日本において北朝鮮のスリーパーが都心部などに潜伏している可能性は決して否定できない。北朝鮮からの呼びかけに応じて、各都市で破壊活動やテロ活動をする準備をしながら、一般市民に紛れているとみられている。現在、日本に潜伏しているスリーパー・セルだが、その活動内容は、北朝鮮のサポートをすることが目的とみられている。ただ、公安当局も詳しくはつかんでいないようだ。
 スリーパー・セルは、北朝鮮のラジオなどから流される暗号を受信して行動に移ることになっている。現在は目立った活動はしていないが、北朝鮮がいつ、どんな指令を下すのか。それは分からない。スリーパー・セルは銃器も持っているし、もちろん扱える、爆発物や生物・化学兵器なども扱える可能性がある。それに加えて情報操作など��行い、嘘の情報を流すことでパニックを起こさせることだってやりかねない。
 韓国の高永喆元国防相専門委員・北韓分析官によると、日本人を拉致し、そのパスポートで韓国に入国し、工作活動をした辛光洙が代表的なスリーパー・セルだったと。現在も、日本国内には第2の辛光洙のようなスリーパー・セルに包摂された協力者が、約200人は潜伏している可能性があるとしている。
 2017年2月、金正男氏がマレーシアのクアラルンプール国際空港で毒殺されたが、当時、協力者として逮捕された李正哲という北朝鮮人は、現地製薬会社の社員に成りすまして暗躍したスリーパー・セルであることが明らかになっている。スリーパー・セルは、あなたの近くに普通の会社員や学生として潜んでいるかもしれない。また、不審な行動をする人がいたら、すぐに警察に通報することも忘れずに。
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kkagneta2 · 6 years ago
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妹のために、妹のために、妹のために。(推敲中)
ふたなり怪力娘もの。血なまぐさいので注意。
扠、ここはある民家の一室、凡そ八畳程の広さの中に机が二つ、二段ベッドが一つ、その他本棚や観葉植物などが置いてある、言つてしまえば普通の部屋に男が二人顔を突き合はせ何やらヒソヒソと、いや、別に小声で話してゐるわけではないのであるが何者かに気づかれないよう静かに話し合つてゐる。一人は少し痩せ型の、黒い髪の毛に黒い縁のメガネが聡明な印象を与へる、如何にも生真面目さうな好青年で、もう一人は少し恰幅の良い、短く切られた髪の毛に色の濃い肌が健康な印象を与へる、如何にも運動が得意さうな好青年である。前者の名は那央と言ひ、後者の名は詩乃と言ふ、見た目も性格の型も違えど同じ高校に通つてゐる仲の良い兄弟である。二人の間にはノートの切れ端と思しきメモと、丁度半月ほど前に買つた十キロのダンベルが、そのシャフトを「く」の字に曲げ事切れたやうにして床に寝そべつてゐた。
何故メモがあるのか、何故ダンベルのシャフトが「く」の字に曲がつてゐるのか、何故二人の兄弟がそれらを囲んで真剣な話し合ひをしてゐるのか、その説明をするにはもう一つ紹介しておかねばならぬ事があるのであるが、恐らく大層な話を聞かずとも直ぐに状況を何となく分かつて頂けるであらう。其れと云ふのも二人にはもう一人血を同じくする、一五〇センチに満たぬ身の丈に、ぷにぷにとした餅のやうな頬、風でさらさらと棚引き陽の光をあちこちに返す黒い髪、触つた此方が溶け落ちるほど柔らかな肌、此れからの成長を予感させる胸の膨らみ、長いまつ毛に真珠を嵌めたやうな黒目を持った、--------少々変はつてゐる所と言へば女性なのに男性器が付いてゐるくらゐの、非常に可愛らしい中学一年生の妹が居るのである。名前は心百合と言ふ。成る程、ふたなりの妹が居るなら話は早い、メモもダンベルも話し合ひも、全てこの妹が原因であらう。実際、メモにはやたら達筆な字でかうあつた。-----------
 前々から言ってきたけど、こんな軽いウェイトでやっても意味が無いと思うから、使わないように。次はちゃんと、最低でも一〇〇キロはあるダンベルを買ってください。私も力加減の練習がしたいのでお願いします。曲げたのは直すので、これを読んだら持ってきてください。
あと全部解き終わったので、先週から借りてた那央にぃの数学の問題集を���しました。机の上に置いてあります。全然手応えが無かったから、ちょっと優しすぎると思います。新しく買ったらまた言ってください。
心百合より
 このメモは「く」の字に曲がつたシャフトの丁度折り目に置かれてあつて、凡そ午前九時に起床した詩乃がまず最初に見つけ、其の時は寝ぼけてゐたせいもありダンベルの惨状に気を取られメモを読まないまま、折角値の張る買ひ物をしたのにどうして、一体何が起きてこんなことに、…………と悲嘆に暮れてゐたのであるが、そんな簡単に風で飛ぶような物でも無いし、それに落ちたとしても直径二センチ以上ある金属がさう易易と曲がるわけでも無いから何者かが手を加えたに違ひ無く、自然と犯人の顔が思ひ浮かんでくるのであつた。わざわざ此れを言ひたいがためにダンベルを使ひ物にならなくしたのか。俺たちにとつては一〇キロでもそこそこ重さを感じると云ふのに、一〇〇キロなんて持ち上げられるわけが無い、しかもその一〇〇キロも、"最低でも"だとか、"力加減"だとか書かれてゐるので妹はもつと重いダンベルを御所望であるのか。確かにふたなりからすると、一〇〇キロも二〇〇キロも軽いと感じるだらうが、此れは俺たちが自分の体を鍛えるための道具であるからそつとしておいて欲しい。さう彼は文句を言ひたくなるものの、未だ中学一年生とは言へ、本来車でも打つから無ければ曲がるはずも無いシャフトを綺麗に曲げてしまつたと云ふ事実に、ただひたすら恐怖を感じ震える手でこめかみあたりに垂れてきた冷ややかな汗を拭ふのであつた。
一体全体、ふたなりの女の子は力が強いのである。そして其れは心百合も例外では無く、生まれて間もない時から異常な怪力ぶりを発揮してきた。例へば此れはある日の朝のことであつたか、彼ら彼女の父親が出勤しようとしてガレージのシャッターを開けると、何の恥ずかしげもなく無断駐車してゐる車の、後ろ数十センチが見えてゐたことがあつた。幸ひにも丁度車一台分通れるくらゐの隙間はあるし、其れに父親の向かふ方向とは逆の位置にあつたので、何とか避けて車を出せさうではあつたのであるが、如何せん狭いガレージと、狭い通りと、幅のある車であるから、ふとした拍子で擦つてしまふかもしれない。かと言つて警察やらレッカーやらを呼ぶ時間も手間も勿体無い。仕方が無いので父親は、当時十四歳であつた那央と、当時十二歳であつた詩乃を呼び出して、ほんの数センチでも良いからこの車を向かふ側へ押せないかと、提案して自身も全身を奮ひ立たせたのであるが当然の如く動く気配は無かつた。ならばせめて角度だけでもつけようと思ひ、三人で掛け声をかけ少しでも摩擦を減らさうと車の後ろ半分を浮かせようと頑張つたものの、此れまた持ち上がる気配も無くたつた数秒程度で皆バテてしまつた。さうして諦めた父親は携帯を取り出し、諦めた二人の兄弟は数歩離れたところにある壁に凭れ、こんなん無理やろ、何が入つてんねん、と那央が言つたのをきつかけに談笑し始めた丁度其の時、登校しようと玄関から出てきた心百合が近寄つてきて、どうしたの? さつきから何やつてたの? と声をかけてきた。そこで詩乃が其の頭を撫でながら事情を説明して、ま、無理なものは無理だし、今日こそ親父は遅刻するかもな、と笑ひながら言ふと心百合は、
「んー、………じゃあ私がやってみてもいい?」
と言ひながらランドセルを那央に押し付け、唖然とする兄たちを余所に例の車へ向かつて行く。そしてトランクにまでたどり着くと、屈んで持ち易く力の入れ易い箇所を探しだす。----------当時彼女は小学三年生、僅か九歳である。自分の背丈と同じくらゐの高さの車を持ち上げようと、九歳の女の子がトランクの下を漁つてゐるのである。流石に兄たちも其の様子を黙つて見てゐられなくなり駆け寄つて、ついでに電話を掛けてゐる最中の父親も駆け付けて来て、結局左から順に父親、心百合、詩乃、那央の並びでもう一度車と相対することになつたのであるが、那央が、せえの! と声を掛け皆で一斉に力を入れる前に、よつと、と云ふ可愛らしい声が車の周りに小さく響いた。かと思ひきや次の瞬間には、グググ、と車体が浮き上がりたうたう後輪が地面から離れ初め、男たちが顔を見合はせ何が起きてゐるのか理解するうちに、一〇センチ、一五センチは持ち上がつてしまつた。男たちのどよめきを聞きながら、心百合は未だ六割程度しか力を入れてゐないことに少しばかり拍子抜けして、これならと思ひ、
「お父さんも、お兄ちゃんたちも、もう大丈夫だから手を離していいよ」
と言ふと、片手を離しひらひらと振り、余裕である旨を大して役に立つてゐない他の皆に伝え背筋を伸ばした。
「それで、これどうしたらいいの?」
男たちが恐る恐る手を離し、すつかり一人で車の後部を持ち上げてゐる状態になつた頃、娘が其のやうに聞いて来たので一寸だけ前に寄せてくれたら良いと、父親が答えると心百合は、分かつた、とだけ言つてから、そのまま足を踏み出して前へ進もうとした。すると、初めの方こそ靴が滑つて上手く進めなかつたのであるが、心百合も勝手が分かつて来たのか、しつかりと足に全体重と車の重量を掛け思ひ切り踏ん張つてゐると遂には、タイヤと地面の擦れる非常に耳障りな音を立てて車が前へと動き出したのである。そして、家の前だと邪魔になるだらうから、このまま公園の方まで持つて行くねと言つて、公園の側にある少し道が広がつてゐる所、家から凡そ三〇メートル程離れてゐる所まで、車を持ち上げたままゆつくりと押して行つてしまつた。
あれから四年、恐らく妹の力はさらに強くなつてゐるであらう。日常では兎に角優しく、���しく触る事を心がけてゐるらしいから俺たちは怪我をしないで済んでゐる、いやもつと云ふと、五体満足で、しかも生きてゐる。だが今まで何度も危ない時はあつた。喧嘩は全然しない、と云ふより一度も歪みあつたことは無いけれども、昼寝をしてゐる妹の邪魔をしたりだとか、凡ミスのせいでテストで満点を逃し機嫌が悪い時に何時もの調子で話しかけたりだとか、手を繋いでゐる最中に妹が何か、------例へば彼女の趣味である古典文学の展示に夢中になつたりだとか、さういう時は腕の一本や二本覚悟しなければならず打ち震えてゐたのであるが、なんと情けない話であらう。俺たちは妹の機嫌一つ、力加減一つで恐怖を覚えてしまふ。俺たちにはあの未発達で肉付きの良い手が人の命を刈り取る鎌に見える。俺たちにはあの産毛すら見えず芸術品かと思はれる程美しい太腿も、人の肉を潰したがつてゐる万力のやうに見える。……………本来さう云つた恐怖に少しでも対抗しようとダンベルを買つたのであるが、丸切り無駄であつた、矢張り妹には勝てぬのか。直接手を下されたわけでも無いのに、またしても負けてしまふのか。もう身体能力だけでなく、学力も大きな差をつけられたと云ふのに。---------------心百合は元々、小学校のテストでは常に満点を、…………少しドジなところがあるからたまにせうもない間違ひを犯すことがあるが、其れは仕方ないとして試験は常に満点を取り続けてをり、ある日学校から帰つて来るや、授業が暇で暇で、暇で仕方がないからお兄ちゃん何とかしてと言ふので、有らう事か俺たちは、其れならどんどん先の内容をこつそりと予習すると良い、と教えてしまつた。其れから心百合は教室だけでなく家でも勉強を進め、タガが外れたやうにもう恐ろしい早さで知識を吸収したつた一週間か二週間かで其の学年、-----確か小学四年生の教科書を読���終えると、兄から譲り受けた教科書を使って次の学年、次の次の学年、次の次の次の学年、…………といつたやうに、兄たちの言ふ通りどんどん先の内容を理解していき、一年も経たぬ間に高校入試の問題が全て解けるようになつてゐた。かと思えば、那央の持つてゐる高校の教科書やら問題集やら参考書やらを、兄の迷惑にならぬよう借りて勉強を推し進め、今度は半年程度で大学入試の問題をネットから引つ張り、遊び半分で解いてゐたのである。そして此方が分からないと言つてゐるのに答え合はせをして欲しいと頼んで来たり、又ある時は那央が置きつぱなしにしてゐた模試を勝手に解いては、簡単な問題ばかりで詰まんなかつた、お兄ちゃんでも全部解けたでせう? この程度の問題は、と云ふ。そんなだから中学一年生の今ではもはや、勉強をしてゐるうちに好きになつた古典文学を読み漁りながら、受験を控えた那央の勉強を教えるためにも、彼が過去問題集に取り組む前にはまず、心百合が一度目を通し、一度問題を全て解き感想を言つて、時間をかけるべきか、さうでないかの判断の手助けをしてゐるのである。先のメモにあつた後半の内容はまさに此の事で、どんなに難しさうな問題集を持つて行つても簡単だから考へ直すべしと言はれ凹む那央を見てゐると、詩乃は二年後の自分が果たしてまともな精神で居られるのかどうか、不安になつて来るのであつた。
さうすると此の兄弟が妹に勝つている点は何であらうか、多分身長以外には無い気がするが、もう後数年もすると頭一つ分超えられてしまふだらう。聞くところに寄ると、ふたなりは第二次成長期が落ち着き始める一四、五歳頃から突然第三次成長期を迎え、一八歳になる頃には平均して身長一八七センチに達すると云ふのである。実際、那央のクラスにも一人ふたなりの子が居るのであるが、一年生の初め頃にはまだ辛うじて見下ろせた其の顔も今では、首を天井に向けるが如く顔を上げないと目が合はないのである。だが彼らは未だに、こんな胸元にすつぽりと収まる可愛い可愛い妹が、まさか見上げるほど背を高くしないであらうと、愚かにも思つてゐるのであるがしかし、さうでも思はないとふたなりの妹が近くに居ること自体怖くて怖くて仕方なく、心百合を家に残しどこか遠い場所で生活をしたい衝動に駆られるのであつた。
  扠、読者の中には恐らくふたなりをよくご存知でない方が何名かいらつしやるであらうから、どうして此の兄弟が、可愛い、たつた一人だけの、愛しい、よく出来た妹にここまで恐怖を感じるのか説明しておかねばならぬのであるが、恐らく其れには引き続き三人の兄妹の話をするだけで事足りるであらう。何分其処に大体の理由は詰まつてゐる。-------------
ふたなりによる男性への強姦事件は度々ニュースになるし、其れに世の男達なら全員、中学校の保健体育で習つた記憶がどこかにあるから皆知つてゐるだらう。本日未明、〇〇県〇〇市在住の路上で男性が倒れてゐるのを誰々が発見し、現場に残された体液から警察は近くに住む何たら言ふ名前の女性を逮捕した。-----例へばさう云ふニュースの事である。凡そ犯人の側に「体液」と「女性」などと云つた語が出てきたら其れはふたなりによる強姦を意味するのであるが、世の中に伝えられる話は、実際に起きた出来事にオブラートにオブラートを重ね、さらに其の上からオブラートで包み込んだやうな話であつて、もはやお伽噺となつてゐる。考へてみると、大人になれば一九〇センチ近い身長に、ダンベルのシャフトのやうな金属すら曲げる怪力を持つ女性が今日の男性を暴行し無理やり犯せば、そもそも人の形が残るかどうかも怪しくなるのは容易に想像できる。実際、幾つか例を挙げてみると、ふたなりの"体液"を口から注ぎ込まれ腹が破裂し死亡した男や、行方不明になつてゐたかと思えば四肢が完全に握りつぶされ、そしてお尻の穴が完全に破壊された状態でゴミのやうに捨てられてゐた男や、ふたなりの"ソレ"に耐えきれず喉が裂け窒息死した男や、彼女たちの異常な性欲を解消するための道具と成り果て精液のみで生きる男、……………挙げだすとキリがない。二人の兄弟は、ふたなりの妹が居るからと言つて昔からさう云ふ話を両親から嫌と言ふほど聞いて来たのであるが、恐ろしいのはほとんどの被害者が家族、特に歳を近くする兄弟である事と、ふたなりが居る家庭は一つの例外なく崩壊してゐる事であつた。と云つても此の世の大多数の人間と同じやうに、彼らも話を言伝されるくらゐではふたなりの恐ろしさと云ふ物を、其れこそお伽噺程度にしか感じてゐなかつたのであるが、一年前、小学六年生の妹に、高校生二年と中学三年の兄二人が揃つて勉強を教えてもらつてゐたある夜、机の間を行つたり来たりするうちに何故かセーラー服のスカートを押し上げてしまつた心百合の、男の"モノ"を見た時、彼らの考へは変はり初めた。其の、スカートから覗く自分たちの二倍、三倍、いや、もう少しあらうか、兎に角妹の体格に全く不釣り合いな男性器に、兄たちが気を取られてゐると心百合は少し早口で、
「しばらくしたら収まると思うから見ないでよ。えっち。それよりこの文章、声に出して読んでみた? 文法間違いが多くて全然自然に読めないでしょ? 一度は自分で音読してみるべしだよ、えっちなお兄ちゃん。でも単語は覚えてないと仕方ないね。じゃあ、来週までに、この単語帳にある単語と、この文法書の内容を全部覚えて来ること。----------」
と顔を真赤にして云ふと、下の兄に高校入試を模して作つた問題を解かせつつ、上の兄が書いた英文の添削を再開してしまつた。が、ほんの数分もしないうちに息を荒げ出し、そして巨大な肉棒の先端から、とろとろと透明な液体を漏らし淫猥な香りを部屋中に漂はせ初めると、
「ど、どうしよう、…………いつもは勝手に収まるのに。………………」
と言つて兄たちに助けを求める。どうやら彼女は五〇センチ近い巨大な肉棒を持ちながら其の時未だ、射精を味はつた事が無かつたやうである。そこで、ふたなりの射精量は尋常ではないと聞いていた那央は、あれの仕方を教えてあげてと、詩乃に言ふと急いでバケツと、絶対に要らないだろうとは思ひつつもしかしたらと思つて、ゴミ袋を一つ手に取り部屋に戻つたところ、中はすでに妹が前かがみになりながら両手を使つて激しく自分のモノを扱き、其の様子を弟が恍惚とした表情で見守ると云ふ状況になつてゐる。----------何だ此れは、此れは俺の知る自慰では無い。此れがふたなりの自慰なのか。………………さうは思ひながら、ぼたぼたと垂れて床を濡らしてゐる液体を受け止めるよう、バケツを丁度肉棒の先の下に置くと、そのまま棒立ちで妹の自慰を見守つた。そしていよいよ、心百合が肉棒の先端をバケツに向け其の手の動きを激しくしだしたかと思えば、
「あっ、あっ、お兄ちゃん! 何これ! ああぁあんっ!!」
と云ふ、ひどくいやらしい声と共に、パツクリと開いた鈴口から消防車のやうに精液が吹き出初め、射精とは思へないほどおぞましい音が聞こえて来る。そしてあれよあれよと云ふ間にバケツは満杯になり、床に白くドロドロとした精液が広がり始めたので、那央は慌ててゴミ袋を妹のモノに宛てがつて、袋が射精の勢ひで吹き飛ばぬよう、又自分自身も射精の勢ひで弾き飛ばされぬよう肉棒にしがみついた。-------
結局心百合はバケツ一杯分と、二〇リットルのゴミ袋半分程の精液を出して射精を終え、ベタベタになつた手と肉棒をティッシュで拭いてから、呆然と立ちすくんでゐる兄たちに声をかけた。
「お兄ちゃん? おにいちゃーん? 大丈夫?」
「あ、あぁ。…………大丈夫。………………」
「しぃにぃは?」
彼女は詩乃の事をさう呼ぶ。幼い頃はきちんと「しのおにいちゃん」と読んでゐたのであるが、いつしか「しのにぃ」となつて、今では「の」が略されて「しぃにぃ」となつてゐる。舌足らずな彼女の声を考へると、「しーにー」と書いたほうが近いか。
「……………」
「おい、詩乃、大丈夫か?」
「お、………おう。大丈夫。ちょっとぼーっとしてただけ。………………」
「もう、お兄ちゃんたちしっかりしてよ。特にしぃにぃは最初以外何もしてなかったでしょ。……………て、いうか私が一番恥ずかしいはずなのに、何でお兄ちゃんたちがダメージ受けてるのん。………………」
心百合はさう言ふと、本当に恥ずかしくなつてきたのか、まだまだ大きいが萎えつつある肉棒をスカートの中に隠すと、さつとパンツの中にしまつてしまつた。
「とりあえず、片付けるか。…………」
「おう。……………」
「お兄ちゃんたち部屋汚しちゃってごめん。私も手伝わせて」
「いいよ、いいよ。俺たちがやっておくから、心百合はお風呂にでも入っておいで。------」
このやうにして性欲の解消を覚えた心百合は、毎日風呂に入る前に自慰をし最近ではバケツ数杯分の精液を出すのであつたが、そのまま流すとあつと言ふ間に配管が詰まるので、其の始末は那央と詩乃がやつてをり、彼女が湯に浸かつてゐるあひだ、夜の闇に紛れて家から徒歩数分の所にある川へ、音を立てぬよう、白い色が残らないよう、ゆつくりと妹の種を放つてゐるのであつた。空になつたバケツを見て二人の兄弟は思ふ。------------いつかここにあつた精液が、ふとしたきつかけで体に注がれたら俺たちの体はどうなる? そもそも其の前に、あの同じ男性器とは思へないほど巨大な肉棒が、口やお尻に突つ込まれでもしたらたら俺たちの体はどうなる? いや、其れ以前に、あの怪力が俺たちの身に降り掛かつたらどうなる? ふたなりによる強姦の被害者の話は嘘ではない。腹の中で射精されて体が爆発しただなんて、昔は笑いものにしてゐたけれども何一つ笑へる要素などありはしない、あの量を、あの勢いで注がれたら俺たち男の体なんて軽く吹き飛ぶ。其れにあんなのが口に、お尻に入り込まうとするなんて、想像するだけでも恐ろしくつて手が震えてくる。聞けば、顎の骨を砕かうが、骨盤を割らうが、其んな事お構ひなしにねじ込んで来ると云ふではないか。此れから先、何を犠牲にしてでも妹の機嫌を取らなくては、…………其れが駄目ならせめて手でやるくらゐで我慢してもらはねば。…………………
だが彼らは此れもまた、わざわざ時間を割いてまでして兄の勉強を見てくれるほど情に満ちた妹のことだから、まさかさう云ふ展開にはならないであらうと、間抜けにも程があると云ふのに思つてゐるのであるが、そろそろなのである。ふたなりの女の子が豹変するあの時期が、そろそろ彼らの妹にも来ようとしているのである。其れ以降は何を言つても無駄になるのである。だから今しかチャンスは無いのである。俺たちを犯さないでくださいと、お願ひするのは今しか無いのである。そして、其の願ひを叶えてくれる確率が零で無いのは今だけなのである。
「------もうこれ以上引き伸ばしても駄目だ。言いに行くぞ」
ダンベルとメモを持ち、勢ひよく立つた那央がさう云ふ。
「だけど、………それ言ったら言ったらで、ふたなりを刺激するんだろ?!」
「あぁ。…………でも、少しでも確率があるならやらないと。このままだと、遅かれ早かれ後数年もしないうちに死ぬぞ。俺ら。………………」
「くっ、…………クソッ。……………」
「大丈夫、もし妹がその気になっても、あっちは一人で、こっちは二人なんだから上手くやればなんとかなるさ、……………たぶん。………………」
「最後の「たぶん」は余計だわ。……………」
「あと心百合を信じよう。大丈夫だって、あんなに優しい妹じゃないか。きっと、真剣に頼めば聞いてくれるはず。……………」
「兄貴って、たまにそういう根拠のない自信を持つよな。………」
さう言ふと、詩乃も立ち上がり一つ深呼吸をすると、兄と共に部屋を後にするのであつた。
  心百合の部屋は、兄たちの部屋に比べると少しばかり狭いが其れでも一人で過ごすには物寂しさを感じる程度には広い、よく風が通つて夏は涼しく、よく日が当たつて冬は暖かく、東側にある窓からは枯れ葉に花を添えるやうはらはらと山に降り積もる雪が、南側にある窓からはずつと遠くに活気ある大阪の街が見える、非常に快適で感性を刺激する角部屋であつた。そこに彼女は本棚を此れでもかと云ふほど敷き詰めて新たな壁とし、嘗ての文豪の全集を筆頭に、古い物は源氏物語から諸々の文芸作品を入れ、哲学書を入れ、社会思想本を入れ、経済学書を入れ、そして目を閉じて適当に選んだ評論などを入れてゐるのであるが、最近では文系の本だけでは釣り合ひが取れてない気がすると言ひ初め、つい一ヶ月か二ヶ月前に、家から三駅ほど離れた大学までふらりと遊��に行つて、お兄ちゃんのためと云ふ建前で、解析学やら電磁気学やら位相空間論やらと云つた、一年か二年の理系大学生が使ふであらう教科書と、あとさう云ふ系統の雑誌を、合わせて十冊買つて来たのであつた。そして、春までには読み終はらせておくから、お兄ちゃんが必要になつたらいつでも言つてねと、那央には伝えてゐたのであつたが、意外に面白くてもう大方読んでしまつたし、途中の計算はまだし終えてないけれども問題はほとんど解き終はつてしまつた。またもう一歩背伸びをして新しく本を買いに行きたいが、前回大量にレジへ持つて行き過ぎたせいで、大学生協の店員にえらく不思議さうな顔をされたのが何だか癪に障つて、自分ではもう行きたくない。早くなおにぃの受験が終はつてくれないかしらん。さうしたら彼処にある本を買つて来てもらへるのに。それか二年後と言はず今すぐにでも飛び級させてくれたらいいのに。…………と、まだ真新しい装丁をしてゐる本を眺めては思ふのであつた。
なので那央が大学生になるまで数学やら物理学は封印しようと、一回読んだきりでもはや文鎮と化してゐた本たちを本棚にしまひ、昨日電子書籍として買つてみた源氏物語の訳書を、暇つぶしとしてベッドの上に寝転びながら読んでゐると、コンコンコン、…………と、部屋の扉をノックする音が聞こえて来た。
「はーい、なにー?」
「心百合、入ってもいいか?」
少し澄んだ声をしてゐるから那央であらう。
「いいよー」
ガチャリと開いたドアから那央が、朝に軽いイタズラとして曲げたダンベルと、その時残しておいたメモを手に持つて入つて来たかと思えば、其の後ろから、何やら真剣な表情を浮かべて居る詩乃も部屋に入つて来る。
「あれ? しぃにぃも? どったの二人とも?」
タブレットを枕の横に投げ出すと心百合は体を起こし、お尻をずるりとベッドの縁まで滑らせ、もう目の前までやつて来てゐる兄二人と対峙するやうにして座つた。
「あぁ、…………えとな。…………」
「ん?」
「えっと、………お、おい、詩乃、……代わりに言ってくれ。…………」
「えっ、………ちょっと、兄貴。俺は嫌だよ。…………」
「俺だって嫌だよ。後で飯おごってやるから頼む。……………」
「………言い出しっぺは兄貴なんだから、兄貴がしてくれよ。…………」
あんなに真剣な表情をしてゐた兄たちが何故かしどろもどろ、………と、云ふよりグジグジと醜い言ひ争ひをし始めたので、心百合は居心地が悪くなり一つため息をつくと、
「もう、それ元通りにして欲しくて来たんじゃないの?」
と言つて、那央の持つてゐるダンベルに手を伸ばし、トントンと叩く。が、那央も詩乃も、キュッと体を縮こませ、
「えっと、…………それは、…………ち、ちが、ちがってて…………」
などと云ふ声にならぬ声を出すばかりで一向にダンベルを渡してくれない。一体何が違つてゐるのだらう、………ま、ダンベルを持つて来たのだから直して欲しいには違ひない、と、云ふより直すと書いたのだから直してあげないと、------などと思つて、重りの部分に手をかけると、半ば引つたくるやうにして無理やりダンベルを奪ひ去つた。
「いくらお兄ちゃんたちに力が無いって言っても、こんな指の体操にもならないウェイトだと意味無いでしょ。今度はちゃんとしたの買いなよ」
さう云ふと、心百合はまず手の平を上にして「く」の字に曲がつたシャフトを、一辺一辺順に掴んでから、ひ弱な兄たちに見せつけるよう軽く手を伸ばし、一言、よく見ててね、と言つた。そして彼女が目を瞑つて、グッ…と其の手と腕に力を込め始めると、二人の兄弟がいくら頑張つても、--------時には詩乃が勝手に父親の車に乗り込んで轢いてみても、其の素振りすら見せなかつたシャフトが植物の繊維が裂けるやうな音と共にゆつくりと反り返つていき、どんどん元の状態に戻つて行く。其の様子はまるで熱した飴の形を整えてゐるやうであつて、彼らには決して太い金属の棒を曲げてゐるやうには見えなかつた。しかもさつきまで目を閉じてゐた妹が、いつの間にか此方に向かつて笑みを浮かべてゐる。……………其のあまりの呆気なさに、そして其のあまりの可愛いさに、彼らは己の中にある恐怖心が、少しばかり薄らいだやうな気がするのであつたが、ミシリ、ミシリ、と嫌に耳につく金属の悲鳴を聞いてゐると矢張り、目の前に居る一人の可憐で繊細で、人々の理想とも形容すべき美しい少女が、何か恐ろしい怪物のやうに見えてくるのであつた。
「はい、直��たよ。曲がってた所は熱いから気をつけてね」
すつかり元通りになつたダンベルを、真ん中には触れないやう気をつけながら受け取ると、那央はすぐに違和感に気がついた。一体どう云ふ事だ、このシャフトはこんなにでこぼこしてゐただらうか。---------まさかと思つて、さつきの妹の持ち方を真似してダンベルを持つてみると、多少合はないとは言え、シャフトのへこんでゐる箇所が自分の手の平にもぴつたりと当てはまる。其れにギュッと握つてみると、指先にも若干の凹凸を感じる。もしかして、--------もしかして、この手の平に感じるへこみだとか、指先に感じるでこぼこは、もしかして、もしかして、妹の手の跡だと云ふのであらうか。まさか、あの小さく、柔らかく、暖かく、ずつと触れてゐたくなるやうなほど触り心地の良い、妹の手そのものに、この頑丈な金属の棒が負けてしまつたとでも云ふのであらうか。彼はさう思いつつ、もしかしたらと自分も出来るかもしれないと思つて力を入れてみたが、ダンベルは何の反応もせずただ自分の手が痛くなるばかりであつた。
「で、他に何か話があるんだよね。何なの?」
「あ、…………えっ、と。…………」
「もう、何なの。言いたいことはちゃんと言わないと分からないよ。特に、なおにぃはもう大学生なんだから、ちゃんとしなきゃ」
と五歳も年下の妹に諭されても、情けないことに兄がダンベルを見つめたまま固まつてゐるので、恐怖心を押さえつけ幾らか平静になつた詩乃が、意を決して口を開けた。
「それはだな。…………えっと、……心百合って、ふたなりだろ? だからさ、今後気が高ぶっても俺らでやらないで欲しい。……………」
ついに言つてしまつた、だけどこれで、…………と詩乃はどこか安堵した気がするのであつたが、
「えっ、…………いや、それはちょっと無理かも。………だって。…………………」
心百合がさう云ふと、少し足を開いた。すると那央と詩乃の鼻孔にまで、いやに生々しい匂ひが漂ふ。
「………だって、お兄ちゃんたちが可愛くって、最近この子勝手にこうなるんだもん」
心百合がスカートの上からもぞもぞと股の間をいじると、ぬらぬらと輝く巨大な"ソレ"が勢いよく姿を現し、そして自分自信の力で血をめぐらせるかのやうに、ビクン、ビクン、と跳ねつつ天井へ伸びて行く。
「ねっ、お兄ちゃん、私ちょっと"気が高ぶった"から、お尻貸してくれない?」
「い、いや、………それは。…………」
「心百合、……………落ちつい、--------」
「ねっ、ねっ、お願いっ! ちょっとだけでいいから! 先っぽしか挿れないからお尻貸して!!」
心百合は弾むやうにして立ち上がると、詩乃の手首を握つた。と、その時、ゴトリ、と云ふ重い物が落ちる音がしたかと思ひきや、那央が扉に向かつて駆けて行く様子が、詩乃の肩越しに見えた。
「あっ、なおにぃどこ行くの!」
心百合は詩乃をベッドの上に投げ捨て、今にもドアノブに手をかけようとしてゐた那央に、勢ひよく後ろから抱きつく。
「あああああああああああ!!!!!!」
「ふふん、なおにぃ捕まえた~」
ほんの少し強く抱きしめただけで心地よく絶叫してくれる那央に、彼女はますます"気を高ぶらせ"、
「しぃにぃを放って、どこに行こうとしていたのかなぁ? ねぇ、那央お兄ちゃん?」
と云ひ、彼が今まで味はつたことすら無い力ではあるが、出来るだけ怪我をさせないような軽い力で壁に向かつて投げつけると、たつたそれだけでぐつたりとし起き上がらなくなつてしまつた。
「もしかして気絶しちゃったのん? 情けないなぁ。………仕方ないから、しぃにぃから先にやっちゃお」
ベッドに染み付いてゐる妹の、甘く芳しい匂いで思考が止まりかけてゐた詩乃は、其の言葉を聞くや、何とかベッドから這い出て、四つん這ひの体勢のまま何とか逃げようとしたのであるが、ふと眼の前にひどく熱つぽい物を感じるたかと思えば、ぶじゅっ、と云ふ下品な音と共に、透明な液体が床にぼとりと落ちて行くのが見えた。--------あゝ、失敗した。もう逃げられぬ。もう文字通り、目と鼻の先に"アレ"がある。俺は今から僅か十三歳の幼い、其れも実の妹に何の抵抗も出来ぬまま犯されてしまふ。泣かうが喚かうが、体が破壊されようが関係なく犯されてしまふ。あゝ、でも良かつた。最後の最後に、こんな天上に御はします高潔な少女に使つて頂けるなんて、なんと光栄な死に方であらうか。-----------------
「しぃにぃ、よく見てよ、私のおちんちん。お兄ちゃんを見てるだけでもうこんなに大きくなつたんだよ?」
さう云ふと、心百合は詩乃の髪を雑に掴んで顔を上げさせ、自身の腕よりもずつとずつと太い肉棒を無理やり見せると、其の手が汚れるのも構はずに、まるで我が子の頭を撫でるかのやうな愛ほしい手付きで、ズルリと皮の剥けた雁首を撫でる。だが彼には其の様子は見えない。見えるのはドクドクと脈打つ指のやうな血管と、男性器に沿つて真つ直ぐ走るホースのやうな尿道と、たらりたらりと垂れて床を濡らすカウパー液のみである。其れと云ふのも当然であらう、亀頭の部分は持ち主の顔と同じ高さの場所にあるのである。------まだ大きくなつてゐたのか。…………彼にはもう、久しぶりに会ふことになつた妹の陰茎が、もはや自分の心臓を串刺しにする鉄の杭にしか見えなかつたのであるがしかし、其のあまりにも艶めかしい佇まひに、其のあまりにも圧倒的な存在感に、手が打ち震えるほど惹かれてしまつてもうどんなに嫌だと思つても目が離せなかつた。
「んふふ、……お兄ちゃんには、この子がそんなに美味しそうに見えるのん?」
「………そ、そんな、……そんなことは、ない。…………」
さうは云ふものの、詩乃は瞬きすらしない。
「でもさ、------」
心百合はさう云ふと、自身の肉棒を上から押さえつけて、亀頭を彼の口に触れるか触れないかの位置で止める。
「------お兄ちゃんのお口だと、先っぽも入らないかもねぇ」
と妹が云ふので、もしかしたらこの、俺の握りこぶしよりも大きい亀頭の餌食にならないで済むかもしれない、…………と詩乃は哀れにも少しだけ期待するのであつたが、ふいに、ぴゅるっと口の中に何やら熱い液体が入り込んで来る。あゝ、もしかしてこれは。………………
「………けど、そんなに美味しそうな顔されたら諦めるのも悪いよねっ。じゃあ、お兄ちゃん、お口開けて? ………ほら、もっと大きく開けないと大変なことになるよ? たぶん」
「あっ、………やっ、………やめ、やめやめ、いゃ、ややめ、あが、………………」
………まだ彼は、心百合が途中で行為を中断してくれると心のどこかで思つてゐたのであらう、カタカタと震える唇で一言、やめてくださいと、言ほうとしてゐるのであつた。だがさうやつてアワアワ云ふのも束の間、腰を引かせた妹に両肩を掴まれ、愉悦と期待に満ちた表情で微笑まれ、クスクスとこそばゆい声で笑はれ、そしてトドメと言はんばかりに首を可愛らしくかしげられると、もう諦めてしまつたのか静かになり、遂には顔が醜くなるほど口を大きく開けてしまつた。
「んふ、もっと力抜いて? …………そうそう、そういう感じ。じゃあ息を吸ってー。………止めてー。………はい、お兄ちゃんお待ちかね、心百合のおちんちんだよ。よく味わってねー」
其の声はいつもと変はらない、中学生にしては舌つ足らずな甚く可愛いらしい声であつたが、詩乃が其の余韻に浸る前に、彼の眼の前にあつた男性器はもう前歯に当たつてゐた。かと思えばソレはゆつくりと口の中へ侵入し、頬を裂し血を滴らせるほどに顎をこじ開け、瞬きをするあひだに喉まで辿り着くと、
「ゴリュゴリュゴリュ………! ���
と云ふ、凡そ人体から発生するべきでは無い肉の潰れる音を部屋中に響き渡らせ始める。そして、彼が必死の形相で肉棒を恵方巻きのやうに持つて細やかな抵抗してゐるうちに、妹のソレはどんどん口の中へ入つていき、ボコリ、ボコリとまず首を膨らませ、鎖骨を浮き上がらせ、肋骨を左右に開かせ、あつと云ふ間にみぞおちの辺りまで自身の存在を示し出してしまつた。もうこれ以上は死んでしまふ、死んでしまふから!止めてください!! ———と彼は、酸素の薄れ行く頭で思ふのであつたが恐ろしい事に、其れでも彼女のモノはまだ半分程度口の外に残り、ドクンドクンと血管を脈打たせてゐる。いや、詩乃にとつてもつと恐ろしいのは次の瞬間であつた。彼が其の鼓動を唇に数回感じた頃合ひ、もう兄を気遣うことも面倒くさくなつた心百合が、もともと肩に痛いほど食い込んでゐた手に骨を握りつぶさんとさらに力を入れ、此れからの行為で彼の体が動かないようにすると、
「ふぅ、………そろそろ動いても良い? まぁ、駄目って言ってもやるんだけどね。良いよね、お兄ちゃん?」
と云ひ、突き抜かれて動かない首を懸命に震はせる兄の返事など無視して、そのまま本能に身を任せ自分の思ふがまま腰を振り始めてしまつたのである。
「〜〜〜???!!!! 〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
「んー? なぁに、お兄ちゃん。しぃにぃも高校生なんだから、ちゃんと言わないと誰にも伝わらないよぉ? 」
「〜〜〜〜〜!!!!!!!」
「あはっ、お兄ちゃん死にかけのカエルみたい。惨めだねぇ、実の妹にお口を犯されるのはどんな気分? 悔しい? それとも嬉しい?」
心百合は残酷にも、気道など完全に潰しているのに優しく惚けた声でさう問ひかける。問ひかけつつ、
「ごぎゅ! ごぎゅ! ずちゅり! ……ぐぼぁ!…………」
などと、耳を覆いたくなるやうな、腹の中をカリでぐちゃぐちゃにかき乱し、喉を潰し、口の中をズタズタにする音を立てながら兄を犯してゐる。度々聞こえてくる下品な音は、彼女の陰茎に押されて肺の中の空気が出てくる音であらうか。詩乃は心百合の問ひかけに何も答えられず、ただ彼女の動きに合はせて首を長くしたり、短くしたりするばかりであつたが、��もそもそんな音が耳元で鳴り響いてゐては、妹の可愛らしい声も聞こえてゐなかつたのであらう。
もちろん、彼もまた男の端くれであるので、たつた十三歳の妹にやられつぱなしというわけではなく、なんとか対抗しようとしてはゐる。現に今も、肩やら胸やら腹のあたりに感じる激痛に耐へて、力の入らぬ手を、心百合の未だくびれの無い未成熟な脇腹に当て、渾身の力で其の体を押し返そうとしてゐるのである。………が、如何せん力の差がありすぎて、全くもつて妹には届いてゐない。其の上、触れた場所がかなり悪かつた。
「何その手は。私、腰触られるとムズムズするから嫌だって昔言ったよね? お兄ちゃん頭悪いからもう忘れちゃったの? -----------
……………あ、分かった。もしかしてもっと突っ込んでほしいんだ!」
心百合はさう云ふと、腰の動きを止め、一つ、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになり怯えきつてゐる兄の顔を至極愛ほしさうに撫でる。そして、
「もう、お兄ちゃん、そんなに心百合のおちんちんが好きだなんて早く言ってくれたらよかったのに。昔、精通した時に怯えてたから嫌いなんだと思ってた。…………
--------んふ、んふふ、…………じゃあ心置きなくやっちゃってもいいんだね?」
と変はらず詩乃の頭を撫でながら云つて、彼を四つん這いの状態から正座に近い体勢にし、自身は其の体に覆いかぶさるよう前かがみになると、必死で妹の男性器を引き抜こうと踏ん張る彼の頭を両手で掴み、鼠径部が彼の鼻に当たるまで一気に、自身のモノを押し込んだ。
「~~~~~~~??????!!!!!!!!!!」
「あんっ、……お兄ちゃんのお口の中気持ちいい。…………うん? お口? お腹? ………どっちでもいいや。---------」
心百合は恍惚(ルビは「うっとり」)とした表情で、陰茎に絡みつく絶妙な快感に酔ひしれた。どうしてもつと早く此の気持ちよさを味ははなかつたのだらう。なおにぃも、しぃにぃも、ただ年齢が上なだけで、もはや何をやつても私の後追ひになつてゐるのに、私がちょつと睨んだだけで土下座をして来る勢ひで謝つて来るくせに、私がどんなに仕様もないお願いをしても、まるでフリスビーを追ふ犬のやうにすぐに飛んでいくのに、-----------特に、二人共どうしてこんなに勉強が出来ないのだらうか。私が小学生の頃に楽々と解いてゐた問題が二人には解答を理解することすら難しいらしい、それに、そもそも理解力も無ければ記憶力も無いから、一週間、時には二週間も時間をあげてるのに本一つ覚えてこなければ、読んでくることすら出来ず、しかもこちらが言つてることもすぐには分かつてくれないから、毎回毎回、何度も何度も同じ説明をするハメになる。高校で習う内容の何がそんなに難しいのだらうか、私には分からぬ。そんなだから、あまりにも物分りの悪い兄たちに向かつて、手を上げる衝動に襲われたことも何度かあるのではあるけれども、別にやつてもよかつた。其れこそあの、精通をむかえたあの夜に、二人揃つて犯しておけばよかつた。あれから二人の顔を見る度にムクムクと大きくなつて来るので、軽く手を強く握ったり、わざと不機嫌な真似をして怯えさせたりした時の顔を思ひ出して自慰をし、自分の中にもくもくと膨らんでくる加虐心を発散させてゐるのであるが、最近では押さえが効かなくなつてもう何度、二人の部屋に押し入つてやらうかしらんと、思つたことか。さう云へば他のクラスに一人だけ居るふたなりの友達が数ヶ月前に、兄を嬲つて嬲つて嬲つて最後はお尻に突つ込んでるよ、と云つてゐるのを聞いて、本当にそんな事をして良いのかと戸惑つてゐたが、いざやつてみると自分の体が快楽を貪るために、自然と兄の頭を押さえつけてしまふももである。このなんと気持ちの良いことであらう、那央にぃもまずはお口から犯してあげよう、さうしよう。…………………
と、心百合は夢心地で思ふのであつたが、詩乃にとつて此の行為は地獄であらう。さつきまで彼女の腰を掴んでゐた手は、すでにだらんと床に力無く垂れてゐる。それに彼女の鼠径部がもろに当たる鼻は、-------恐らく彼女は手だけ力を加減してゐるのであらう、其の衝撃に耐えきれずに潰れてしまつてゐる。とてもではないが、彼に未だ意識があるとは思えないし、未だ生きてゐるかどうかも分からない。が、心百合の手の間からときたま見える目はまだ開いてをり、意外にもしつかりと彼女のお臍の辺りを眺めてゐるのであつた。しかも其の目には恐怖の他に、どこか心百合と同じやうな悦びを蓄えてゐるやうに見える。口を引き裂かれ、喉を拡げられ、内臓を痛めつけられ、息をすることすら奪われてゐるのに、彼は心の奥底では喜んでゐる。…………これがふたなりに屈した者の末路なのであらう、四歳離れた中学生の妹に気持ちよくなつて頂けてゐる、其れは彼にとつて、死を感じる苦痛以上に重要なことであり、別に自分の体がどうなろとも知つたことではない。実は、心百合が俺たちに対して呆れてゐるのは分かつてゐたけれども、一体彼女に何を差し上げると、それに何をしてあげると喜んでくれるのか分からなかつたし、それに間違つて逆鱗に触れてしまつたらどうしようかと悩んで、何も出来なかつた。だが、かうして彼女の役に立つてみるとなんと満たされることか。やはり俺たち兄弟はあの夜、自慰のやり方を教へるのではなく、口を差し出し尻を差し出し、犯されれば良かつたのだ。さうすればもつと早く妹に気持ちよくなつてもらえたのに、……………あゝ、だけどやつぱり命は惜しい、未だしたい事は山程ある、けど今はこの感覚を全身に染み込ませなければ、もうこんなことは二度と無いかもしれぬ。-------さう思ふと気を失ふわけにはいかず、幼い顔つきからは想像もできないほど卑猥な吐息を漏らす妹を彼は其の目に焼き付けるのであつた。
「お兄ちゃん、そろそろ出るよぉ? 準備はいーい? かるーく出すだけにしておいたげるから、耐えるんだよ?」
心百合はさう云ふと、腰を細かく震わせるやうに振つて、いよいよ絶頂への最後の一歩を踏み出そうとする。そして間もなくすると、目をギュッと閉じ、体をキュッと縮こませ、そして、
「んっ、………」
と短く声を漏らし快楽に身を震はせた。と、同時に、薄つすら筋肉の筋が見える、詩乃の見事なお腹が小さくぽつこりと膨らんだかと思ひきや、其れは風船のやうにどんどん広がつて行き、男なのに妊婦のやうな膨らみになつて遂には、ほんの少し針で突つつけば破裂してしまふのではないのかと疑はれるほど大きくなつてしまつた。軽く出すからね、と云ふ妹の言葉は嘘では無いのだが、其れでも腹部に感じる異常な腹のハリに詩乃はあの、腹が爆発して死んでしまつた強姦被害者の話を思ひ出して、もう限界だ、やめてくださいと、言葉に出す代はりに彼女の腕を数回弱々しく叩いた。
「えー、………もう終わり? お兄ちゃんいつもあんなにご飯食べてるのに、私の精液はこれだけしか入らないの?」
とは云ひつつ詩乃の肩に手をかけて、其の肉棒を引き抜き始める。
「ま、いいや、お尻もやらなきゃいけないし、その分、余裕を持たせておかなきゃね」
そしてそのままズルズルと、未だ跳ね上がる肉棒をゆつくり引き抜いていくのであるが、根本から先つぽまで様々な液体で濡れた彼女の男性器は、心なしか入れる前よりおぞましさを増してゐるやうに見える。さうして最後、心百合は喉に引つかかつた雁首を少々強引に引つこ抜くと、
「あっ、ごめ、もうちょっと出る。…………」
と云つて、"最後の一滴"を詩乃の顔にかけてから手を離した。
  「ぐげぇぇぇぇぇぇぇ…………………!!!!お”、お”え”ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
一体どこからそんな音を発してゐるのか、詩乃が人間とは思へない声を出しながら体に入り切らぬ妹の精子たちを、己の血と共に吐き出して行く。が、心百合はそんな彼の事など気にも止めずもう一つの標的、つまり壁の側で倒れてゐる那央に向かつて歩みを進めてゐた。
「なおにぃ、いつまで寝たフリしてるの? もしかしてバレてないとでも思ってた?」
「あ、…………え、…………や、やめ。…………」
「えへへ、やめるとでも思ってるのん? しぃにぃはちゃんと私の愛を受け止めてくれたんだよ、………ちょっと死にかけてるけど。 なおにぃはどうなるかな?」
那央は体を起こし、そのまま尻もちをついた状態で後ずさろうとしたものの、哀れなことに後ろは壁であつた。
「お、お願いします、………やめ、やめてください。お願いします。………………」
「んー? お兄ちゃんは自分に拒否権があると思ってるのん? それに、私は今、"気持ちが高ぶってる"んだから、お兄ちゃんがするべきなのは、そんな逃げ回るゴキブリみたいに壁を這うことじゃなくて、首を立てに振ることだよ」
だが裂けた口から精子を吐き出し続けてゐる弟を見て、誰が首を縦に振れようか、ヒクヒクとうごめく鈴口からカウパー液を放出し続けてゐる肉棒を見て、誰がうんと頷けようか。彼に選択権は無いとは言つても、命乞ひくらゐはさせても良いであらう。
「お兄ちゃんさ、情けないと思わない? 妹にハグされただけで絶叫して、妹に軽く投げられただけで気絶して、妹に敬語を使いながら怯えてさ、……………そんなにこの子の餌食になりたいのん?」
「こ、心百合、……………頼む。…………頼むから落ち着いてくれ。……………」
「んふふ、お兄ちゃんって諦めが悪いよね。でも嫌いじゃないよ、そういうところ。------」
「あ、あ、…………や、やめて、…………ああぁ、や、やめてくださ…………………」
「もう、しぃにぃと同じ反応しないで! お兄ちゃんでしょ? 弟の方がまだ潔くて男の子らしかったよ? っていうかさっき私に、犯さないで、って言ったのもしぃにぃだったじゃん」
心百合は土下座のやうに下を向く那央の頭を上げさせ、肉棒の先つぽを軽く口の中へねじ込む。
「あ、あが、………。ひ、ひや。……………」
「だからぁ、………バツとしてなおにぃを犯す時は、遠慮しないことにしよっかな。-----えへへ、大丈夫だって、しぃにぃはまだ生きてるし、大丈夫大丈夫。----------」
さうして彼女は本当に容赦なく、那央の頭を手で掴み固���して、一気に自身のモノの半分ほどを突つ込んだ。そして、前のめりになつて暴れる兄の体に背中から覆いかぶさるように抱きしめると、
「よっ、と。………」
と軽い掛け声をかけ、そのままスツと、まるでお腹にボールでも抱えてゐるかのやうに、何事も無く男一人を抱えて立ち上がつた。体勢としては、妹の男性器に串刺しにされた那央が、逆立ちするやうに足を天井へ向けて、心百合に抱きかかえられてゐる、と云へば伝はるであらうか、兎に角、小学生と言はれても不自然ではない小柄な体格の女の子に、標準体型の男が上下を逆にして抱えられてゐると云ふ、見慣れぬ人にとつては異様な状況である。
「~~!!!~~~~~~!!!!!!!」
「こら、暴れないで。いや暴れてもいいけど、その分どんどん入って行くから、お兄ちゃんが困ることになるよ?」
其の言葉通り、那央が暴れれば暴れるほど彼の体は、自身の体重で深く深く心百合のモノに突き刺さつて行く。が、其れでも精一杯抵抗しようと足をジタバタ動かしてしまひ、結局彼女のモノが全部入るのにあまり時間はかからなかつた。
「もう諦めよっ? お兄ちゃんはこれから私を慰めるための玩具になるんだから、玩具は玩具らしく黙って使われてたら良いの」
だがやはり、那央は必死で心百合の太腿を掴んで彼女の男性器を引き抜こうとしてゐる。なのでもう呆れきつてしまひ、一つ、ため息をつくと、
「いい加減に、………」
と云ひながら、彼の肋骨を拉げさせつつ二、三十センチほど持ち上げ、そして、
「………して!」
と、彼の体重も利用して腕の中にある体を振り下ろし、再び腹の奥の奥にまで男性器を突つ込ませた。
「っっっっっっ!!!!!」
「あぁんっ! やっぱり男の人のお口はさいこぉ、…………!」
心百合はよだれを垂らすほどに気持ち良ささうな顔でさう云ふのであるが、反対に、自分では到底抵抗できぬ力で体を揺さぶられた那央は、其の一発で何もかもを諦めたのか手をだらりと垂れ下げ出来るだけ喉が痛くならないように脱力すると、もう静かになつてしまつた。
「んふ、…………そうそう、それでいいんだよ。お兄ちゃんはもう私の玩具なの、分かった?」
さう云ひながらポンポンと優しくお腹を叩き、そのまま兄を抱えてベッドまで向かふ。途中、未だにケロケロと精液を吐き出してゐる詩乃がゐたが、邪魔だつたので今度は彼を壁際まで蹴飛ばしてからベッドに腰掛けた。そして、
「ちゃんと気持ちよくしてね」
と簡単に云つて、彼の腰の辺りを雑に掴み直すと、人を一人持ち上げてゐるとは思へ無いほど軽やかに、------まさに人をオナホールか何かだと勘違ひさせるやうな激しい動きで、兄の体を上下させて自身の肉棒を扱き出したのであつた。股を開き局部を露出してなお、上品さを失はずに顔を赤くし甘い息を吐き綺羅びやかな黒髪を乱す其の姿は、いくら彼女が稚い顔つきをしてゐると云へ万人の股ぐらをいきり立たせるであらう。勿論其れは実の兄である詩乃も例外ではない。どころか、彼はもう随分と妹の精液を吐き出しいくらか落ち着いてきてゐたので心百合と那央の行為を薄れていく意識の中見てゐたのであるが、自身の兄をぶらぶらと、力任せに上へ下へと上下させて快楽を貪る実の妹に対しこの上なく興奮してしまつてゐるのである。なんと麗しいお姿であらうか、たとへ我が妹が俺たちを死に追ひやる世にも恐ろしい存在であらうとも、ある種女神のやうに見えてくる。そして其の女神のやうな高貴な少女が、俺たち兄弟を道具として使ひ快楽に溺れてゐる。………なんと二律背反的で、背徳的で、屈辱的な光景であらう、人生の中でこれほど美しく、尊く、猥りがましく感じた瞬間はない。------彼はもう我慢できなくなつて、密かに片手を股にやり、ズボンの上から己の粗末なモノを刺激し初めたのであるが、ふと視線に気がついてグッと上を向くと、心百合が此方を見てニタニタと其の顔を歪ませ笑つてゐた。
「くすくす、……………お兄ちゃんの変態。もしかして、なおにぃが犯されてるの見て興奮してたの?」
心百合はもう那央の体を支えてゐなかつたが、其れでも其の体は床に垂直なまま足をぶらつかせてゐる。
「ほら、お兄ちゃんも出しなよ、出して扱きなよ。知ってるよ私、お兄ちゃんが密かに私の部屋に入って、枕とか布団とかパジャマとかの匂いを嗅ぎながら自慰してるの。全部許したげるからさ、見せてよ、お兄ちゃんのおちんちん」
「あっ、………えっ、…………?」
自分の変態行為を全部知られてゐた、-----其の事に詩乃は頭を殴られたかのやうな衝撃を受け、ベルトを外すことすらままならないほど手を震えさせてしまひ、しかしさらに自身のモノが固くなるのを感じた。
「ほら早く、早く、-----------」
心百合はもう待ちきれないと云ふ様子である。其れは年相応にワクワクしてゐる、と云ふよりは獲物を見つけて何時飛びかかろうかと身を潜める肉食動物のやうである。
「ま、まって、…………」
と、詩乃が云ふと間もなく、ボロンとすつかり大きくなつた、しかし妹のソレからすると無視できる程小さい男の、男のモノがズボンから顔を出した。
「あははははっ、なにそれ! それで本当に大きくなってるの?」
「う、……ぐっ…………!」
「まぁ、いいや。お兄ちゃんはそこでそのおちんちん? をシコシコしていなよ。もう痛いほど大きくなってるんでしょ? 小さすぎて全然分かんないけど」
と云つて心百合は那央の体を掴み、再びおぞましい音を立てながら"自慰"に戻つた。そして詩乃もまた、彼女に言われるがまま自身の粗末な男性器を握ると悔しさやら惨めさやらで泣きそうになつたが、矢張り妹の圧倒的な巨根を見てゐると呼吸も出来ないほどに興奮して来てしまひ、ガシガシと赴くがまま手を動かすのであつた。だが一寸して、
「あ、しぃにぃ、見て見て、-------」
と、心百合が嬉しさうな声をかけてくる。………其の手は空中で軽く閉じられてをり、那央の体はまたもや妹のモノだけで支えられてゐる。------と思つてゐたら突然、ビクン! と其の体が暴れた。いや、其れは彼が自分から暴れたのではなく、何かに激しく揺さぶられたやうだと、詩乃は感じた。
「ほらほら、------」
ビクン、ビクンと那央の体が中身の無い人形のやうに暴れる。
「------お兄ちゃんのちっちゃい、よわよわおちんちんじゃ、こんなこと出来ないでしょ」
ベッドに後ろ手をつきながら、心百合がニコニコと微笑んでさう云つてきて、やうやく詩乃にも何が起きてゐるのか理解できたやうであつた。まさか妹は人を一人、其の恐ろしい陰茎で支えるのみならず、右へ左へとあの激しさで揺れ動かしてゐるとでも云ふのであらうか。いや、頭では分かつてはゐるけれども、全然理解が追ひつかない。いや、いや、ちやつと待つてくれ、其れよりもあんなに激しく暴れさせられて兄貴は無事であらうか。もう見てゐる限りでは全然手に力が入つて無く、足もただ体に合はせて動くだけ、しかも、かなり長いあひだ呼吸を肉棒で押さえつけられてゐる。……………もう死んでしまつたのでは。----------
「んぁ? なおにぃもう死にそうなの? ………………仕方ないなぁ、ちょっと早いけどここで一発出しとくね」
男性器を体に突つ込んでゐる心百合には分かるのであらう、まだ那央が死んでゐないといふ事実に詩乃は安心するのであつたが、先程自分の中に流し込まれた大量の精液を思ふと、途中で無理矢理にでも止めねば本当に兄が死んでしまふやうな気がした。
「んっ、…………あっ、来た来たっ……………」
心百合はさう云ふとより強く、より包むように那央を抱きしめ、其の体の中に精を放ち始める。が、もう彼の腹がパンパンに張らうとした頃、邪魔が入つた。
「やめ、………心百合、もうやめ、…………!」
「なに?」
見ると詩乃がゾンビのやうに床を這ひ、必死の力でベッドに手をかけ、もう片方の手で此方の腕を握って、しかもほとんど残つてゐない歯を食ひしばつて、射精を止(や)めさせようとしてゐるではないか。兄のために喉を潰されても声をあげ、兄のために激痛で力の入らぬ足で此方まで歩き、兄のために勝ち目など無いと云ふのに手を伸ばして妹を止めようとする献身的な詩乃の姿勢に、心百合は少なからず感動を覚えるのであつたが、残念なことに彼女の腕を握つてゐる手は自身の肉棒を触つた手であつた。
「お兄ちゃん? その手はさっきまで何を触ってた手だったっけ?」
と云ふと、那央がどうなるのかも考えずに無理やり肉棒を引き抜きベシャリと其の体を床に投げつけ、未だ汚い手で腕を握つてくる詩乃の襟首を掴んで、ベッドから立ち上がる。
「手、離して」
「は、はい。………」
「謝って」
「あ、あぁ、……ご、ごご、ごめんなさい。……………」
「んふ、…………妹をそんな化物でも見るみたいな目で見ないでもいいんじゃないのん? 私だって普通の女の子なんだよ?」
「……………」
「ちょっとおちんちんが生えてて、ちょっと力持ちで、ちょっと頭が良いだけなんだよ。それなのにさ、みんなお兄ちゃんみたいに怯えてさ、……………」
「心百合、…………」
「------本当に、たまらないよね」
「えっ?」
「でも良かったぁ、……………もう最近、お兄ちゃんたちだけじゃなくて、友達の怯えた表情を見てると勃ってしょうがなかったんだもん。……………」
「こ、心百合、…………」
「だからさ、今日お兄ちゃんたちが部屋に入ってきて、犯さないで、って言った時、もう我慢しなくて良いんだって思ったんだよ。だって、お兄ちゃんも知ってるんでしょ? ふたなりにそういう事を言うと逆効果だって。知ってて言ったんでしょ? -------」
「まって、……そんなことは。…………」
「んふ、……暴れても無駄だよ、お兄ちゃん。もう何もかも遅いんだよ、もう逃れられないんだよ、もう諦めるしかないんだよ、分かった?」
「ぐっ!うああ!!!」
「あはは、男の人って本当に弱いよね。みーんな軽く手を握るだけで叫んでさ、ふたなりじゃなくっても女の子の方が、今の世の中強いよ、やっぱり。お兄ちゃんも運動部に入ってるならもっと鍛えないと、中学生どころか小学生にすら勝てないよ? …………あぁ、でもそっか、そう云えば、この間の試合は負けたんだっけ? 聞かなくてもあんな顔して夜ご飯食べてたら誰だって分かっちゃうよ」
心百合はさう云ふと、片手で詩乃を壁に投げつけた。
「ぐえっ、…………」
「-----ま、そういう事は置いといて、中途半端に無理やり出しちゃって気持ち悪いから、さっさとお尻に挿れちゃうね。しぃにぃは後でやってあげるから、そこで見てて」
詩乃が何かを云ふ前に心百合は、ひどい咳と共に精液と血を吐き出し床にうずくまる那央を抱えて、無理やり四つん這いの体勢にする。そしてジャージの腰の部分に手をかけて剥ぎ取るように下ろすと、其処にはまるで此れからの行為を期待するかのやうにヒクヒクと収縮するお尻の穴と、ピクピクと跳ねる那央のモノが見えた。
「なぁに? なおにぃも私にお口を犯されて興奮してたのん?」
「ぢ、ぢが、……ぢがう。………」
と那央が云ふけれども激しく嘔吐しながらも自身のモノを大きくすると云ふことは、さう云ふ事なのであらう。
「んふふ、じゃあもう待ちきれないんだ。いいよ、それなら早く挿れてあげるよ。準備はいーい?」
さながら接吻のやうに心百合の男性器と、那央の肛門がそつと触れ合ふ。が、少なく見積もつても肛門の直径より四倍は太い彼女のモノが其処に入るとは到底思へない。
「だめ、だめ、だ、だめ、………あ”ぁ、ゃ、………」
那央は必死に、赤ん坊がハイハイする要領で心百合から逃げようとしてゐるのであるが、彼女に腰を掴まれてしまつては無意味であらう、ただ手と足とがツルツルと床を滑るのみである。しかし其のあひだにも心百合のモノはじつとりと品定めするかのやうに、肛門付近を舐め回して来て、何時突つ込まれるか分からない恐怖で体が震えて来る。一体どれほどの痛みが体に走るのであらうか。一体どれほどの精液を放たれるのであらうか。妹はすでに、俺たち二人の腹を満杯にするまで射精をしてゐるけれども、未だ普段行われる自慰の一回分にも達してをらず、相当我慢してゐることはこの足りない脳みそで考へても分かる。分かるが故に恐ろしい、今のうちに出来る限り彼女の精液を吐き出しておかないと大変な事になつてしまふ。凡そ"気が高ぶった"ふたなりが情けをかけ射精の途中で其の肉棒を引き抜いてくれるなんて甘い希望を持つてはいけない。況してや先つぽだけで我慢してくれるなど、夢のまた夢であらう。…………あゝ、こんなことになるなら初めからダンベルなど放つておけばよかつた、どうしてあの時詩乃に、云ひに行くぞ、などと持ちかけてしまつたのか、あのまま何も行動を起こさなければ後数年、いや、後数日は生きていけさうであつたのに。あゝ、どうして。-------さう悲嘆に暮れてゐると、遊びもここまでなのか、心百合が自身のモノの先端を、グイと此方の肛門に押し付けて来た。そして、
「んふ、ちょっと痛いかもしれないけど、我慢してね。-------」
と云ふ悦びに打ち震えた優しい声をかけられ、腰を掴んでいる手に力が込められ、メコリと肛門が広がる感覚が走れば直ぐ其の後、気を失ふかと思はれる程の激痛で目の前が真暗になつた。
「ぐごっ、…………ごげっ、ぐぁ、……………」
絶叫しようにも、舌が喉に詰まつて声が出てこない。だけどそんな空気の漏れる音を立ててゐるうちにも妹のソレはどんどん那央の中へ入つて来て、もう一時間もしたかと彼が思つた頃合ひにふと其の動きが止まり、次いで腰を握りつぶしてゐた手の力も抜けていき、たうたう全部入つたんだ、何とか耐えきつた、と安堵して息を吸つたのであるが、しかし心百合の言葉は彼を絶望させるのに十分であつた。
「------ちょっと先っぽだけ入れてみたけど、どう? 気持ちいい?」
「ぅご、………う、嘘だろ…………」
「嘘じゃないよ。じゃ、どんどん入れてくね」
「あがああああああああああっ、がっ、あっ、…………」
那央の絶叫は心百合に再び腰を掴まれ、メリメリメリ、………と骨が軋む音が再びし始めるとすつかり無くなつてしまつた。彼は激痛からもはや目も見えず声も出ず考へることすら出来ない状態なのだが、此れが人間の本能と云ふやつなのであらう、其れでも手を前に出し足を上げ、一人の可憐な少女から逃げようとしてゐるのである。が、いつしか手が空を切り膝が宙に浮くやうになるともう何が起きてゐるのか訳が分からなくなり、心無い者に突然抱きかかえられた猫のやうに手足をジタバタと暴れさせるだけになつてしまふ。そして、さうやつて訳が分からぬうちにも心百合の陰茎は無慈悲に入つて行き、体の中心に赤々と光る鉄の棒を突つ込まれたかのやうに全身が熱くなり汗が止まらなくなり初めた頃、いよいよお尻に柔らかい彼女の鼠径部の感触が広がつた。広がつてしまつた。
「んふふ、どう、お兄ちゃん? 気持ちいーい?」
「………………」
「黙ってたら分からないよぉ?」
と、云ひつつ心百合は腰を掴んでゐた手で那央の体を捻り其の顔を覗き込む。
「あがっ、…………」
「私はお兄ちゃんに気持ち良いかどうか、聞いてるんだけど」
「こ、こゆ、…………」
「んー?」
那央は黙つて首を横に振つた。当然であらう、自分の拳ほどの太さの陰茎を尻にねじ込まれ、体が動かないようにと腰を掴んでゐた手でいつの間にか持ち上げられ、内蔵を滅茶苦茶にしてきた陰茎で体を支えられ、もう今では中指の先しか手が床に付かないのである。例へ激痛が無くとも、腹に感じる違和感や、極度に感じる死の恐怖や、逃げられぬ絶望感から決して首を縦に振ることは出来ないであらう。
「そっか、気持ちよくないんだ。…………」
「はやく抜いてく、…………」
「------ま、関係無いけどね」
気にしないで、気にしないで、ちやんと気持ちよくしてあげるから、と続けて云ふと心百合は再び那央の腰を掴み直す。
「こ、こゆり!!! やめて!!!」
「うるさい! 女の子みたいな名前して、おちんちんで突かれたぐらいで文句言わないで!」
この言葉を切掛に、心百合は骨にヒビが入るほど其の手に力を入れ、陰茎を半分ほど引き抜いていく。そして支えを失つてもはや力なくだらりと垂れる兄を見、
「んふ、………」
と妖艶に色づいた息を漏らすと、彼のお尻に勢ひよく腰を打ち付けた。
「ぐがあぁ!!!!!」
「あぁん、お尻もさいこぉ。……………お兄ちゃんの悲鳴も聞こえるし、お口より良いかも、…………」
さう云ふと、もう止まらない。兄がどんなに泣き叫ぼうが、どんなに暴れようが自身の怪力で全て押さえ込み、其の体を己の腰使ひでもつて何度も何度も貫いて行く。そして初めこそ腰を動かして快楽を貪つてゐたが、次第に那央の事が本当に性欲を満たすための道具に見えてくると、今度は自分が動くのでは無くさつきと同じやうに彼の体を、腕の力だけで振り回して肉棒を刺激してやる。
「あぎゃっ! いぎぃ! おごぉっ!!-------」
「あはっ、お兄ちゃん気持ちよさそう。…………良かったねぇ、妹に気持ちよくしてもらえて。嬉しいでしょ?」
「こ、ごゆぅっ!! ごゆり”っ!!! ぐあぁっ!!!」
「なぁに、お兄ちゃん? 止めてなんて言わないでよね。いつもお勉強教えてあげてるのにあんな反抗的な目で見てきて、悔しかったのか知らないけど、どれだけ私が我慢してたか分かる?」
「じぬっ!! じぬがら!!! ゃめ!!!」
「…………んふ、もう大変だったんだから。毎日毎日、お風呂に入る前の一回だけで満足しなきゃいけなかった身にもなってよ」
「ぐぎぃっ!!こゆっ!!あ”あ”ぁっ!!!」
「でもさ、思うんだけど、どうしてあんな簡単な入試問題すら解けないのん?  私あの程度だったら教科書を読んだら、すぐに解けるようになってたよ? しかも小学生の頃に。入試まで後一ヶ月も無いのに大丈夫?
……………もうお兄ちゃんの代わりに大学行ったげるからさ、このままこんな風に私の玩具として生きなよ。そっちの方が頭の悪いお兄ちゃんにはお似合いだよ、きっと、たぶん、いやぜったい」
傷だらけの喉をさらに傷つけながら全力で叫ぶ那央を余所に、心百合は普段言ひたくて言ひたくて仕方無かつた事を吐露していくのであつたが、さうしてゐると自分でも驚くほどあつと云ふ間に絶頂へ向かつてしまつて、後数回も陰茎を刺激すると射精してしまひさうである。全く、この出来損ないの兄は妹一人満足させることが出来ないとでも云ふのであらうか。本当はこのまま快感の赴くがままに精液を彼の腹の中に入れてやりたい所だけど、折角手に入れた玩具を死なせてしまつては此方としても嫌だから、途中で射精を止めなければならぬ。いや、未だ壁の側で蹲つてゐるしぃにぃが居るではないか、と云ふかもしれないが人の腹の容量などたかが知れてゐて、満杯にした所で未だ未だ此の体の中には精液が波打つてゐる。-------あゝ、ほんの一合程度しか出ない男の人が羨ましい。見ると、なおにぃの股の下辺りに白い点々が着いてゐるのは多分彼の精液なのだと思ふが、なんと少ないことか。私もあのくらいしか出ないのであれば、心置き無く此の情けない体の中に精を放つことが出来るのに。……………
「------そろそろ、……そろそろ出るよ、お兄ちゃん。ちゃんと私の愛、受け止めてあげてね」
さう云ふと心百合は今までの動きが準備体操であつたかの如く、那央の体を激しく揺さぶり始める。そして最後、那央のお尻に自分のモノを全て入れきり目を閉じたかと思ひきや、
「んっ、んっ、………んん~~~。…………」
と、其の身を震わせて精子を実の兄の体の中で泳がせるのであつた。が、矢張り彼女にもどこか優しさが残つてゐたのか数秒もしないうちに、じゅるん、と男のモノを引き抜き那央を床に捨て、どろり、どろりと、止めきれ無かつた精液を其の体の上にかけると、でも矢張りどこか不満であつたのか壁際で自身の小さな小さなモノを扱いてゐたもう一人の兄の方を見た。
「しぃにぃ、おまたせ。早くしよっ」
其の軽い声とは逆に、彼女の肉棒はもう我慢出来ないと言はんばかりに、そして未だ未だ満足ではないと云はんばかりに大きく跳ね床に精液を撒き散らしてゐる。一体、妹の小さな体のどこにそんな体力があるのか、もうすでに男を滅茶苦茶に嬲り、中途半端とは云へ三回も射精をしてゐると云ふのに、此のキラキラと輝くやうな笑顔を振りまく少女は全く疲れてなどゐないのか、これがふたなりなのか。-----------
「あ、えぁ、…………」
「? どうしたの? なにか言いたげだけど。………」
「そ、その、きゅ、きゅうけい。…………」
「--------んふ、何か言った? 休憩? 私、休憩なんて必要ないよ。それにお兄ちゃんも十分休んだんだから良いでしょ。……ねっ、早くっ、早くお尻出して?」
「い、いや、いや、…………………」
起き上がつてドアまで駆け、そして妹に捕まえられる前に部屋を後にする、……………さう云ふ算段を詩乃は立ててゐたのであるが、まず起き上がることが出来ない。なぜだ、足に力が入らない、----と思つたが、かうしてゐる内にも心百合は近づいて来てゐる。其の肉棒を跳ね上げさせながらこちらに向かつて来てゐる。-------もうじつとしてなど居られない。何とか扉まで這つて行き、縋り付くやうにしてドアノブに手をかける。が、其の時、背中に火傷するかと思はれるほど熱い突起物が押し付けられたかと思つたら、ふわりと、甘い甘い、でも決して淑やかさを失ふことの無い甚く魅惑的な匂ひに襲はれ、次いで、背後から優しく、優しく、包み込まれるやうにして抱きしめられてゐた。そして首筋に体がピクリと反応するほどこそばゆい吐息を感じると、
「おにーちゃんっ、どこに行こうとしてるのん? まさか逃げようとしてたのん?」
と言はれ、ギュウゥゥ、………と腕に力を入れられてしまふ。
「ぐえぇ、………ぁがっ!………」
「-----んふふ、もう逃げられないよぉ。しぃにぃは今から私に、……この子に襲われちゃうの。襲われてたくさん私の種を吐き出されちゃうの。------ふふっ、男の子なのに妊娠しちゃうかもね」
「ご、ごゆり、…………あがっ、………だれかたすけて。……………」
と云ふが、ふいにお腹に回されてゐた手が膝の裏に来たかと思へば、いつの間にかゆつくりと体が宙に浮いて行くやうな感じがした。そして顔のちやつと下に只ならぬ存在感を感じて目を下に向けると、すぐ其処には嫌にぬめりつつビクビクと此方を見つめて来る妹の男性器が目に留まる。そして、足を曲げて座つた体勢だと云ふのに遥か遠くに床が見え、背中には意外と大きい心百合の胸の感触が広がる。…………と云ふことはもしかして俺は今、妹に逆駅弁の体位で後ろから抱きかかえられて、情けなく股を開いて男のモノを入れられるのを待つてゐる状態であるのだらうか。まさか男が女に、しかも実の妹に逆駅弁の体勢にされるとは誰が想像できよう、しかし彼女は俺の膝を抱え、俺の背中をお腹で支えて男一人を持ち上げてしまつてゐる。兄貴は心百合のモノが見えなかつたからまだマシだつただらうが、俺の場合は彼女の男性器がまるで自分のモノかのやうに股から生えてゐて、……………怖い、ただひたすらに怖い、こんなのが今から俺の尻に入らうとしてゐるのか。------
「あれ? お兄ちゃんのおちんちんは? どこ?」
詩乃はさつき自身のモノをしまふことすら忘れて扉に向かつたため、本来ならば逆駅弁の体位になつて下を向くと彼の陰茎が見えてゐるはずなのだが、可哀想なことに心百合のモノにすつぽりと隠れてしまつて全く見えなかつた。
「あっ、もしかしてこの根本に感じてる、細くて柔らかいのがそうなのかな? いや、全然分かんないけど」
心百合のモノがゆらゆらと動く度に詩乃のモノも動く。
「本当に小さいよね、お兄ちゃんのおちんちん、というか男の人のおちんちんは。私まだ中学一年生なのにもう三倍、四倍くらい?は大きいかな。…………ほんと、精液の量も少ないし、こんなのでよく人類は絶滅しなかったなぁって思うよ。-----まぁ、だから女の人って��ふたなりさんと結婚していくんだけどね。お兄ちゃんも見てくれは良いのによく振られるのはそういうことなの気がついてる? 女の人って分かるんだよ、人間としての魅力ってものがさ。------」
「こゆり、…………下ろして。…………」
「あはは、役立たずの象徴を私のおちんちんで潰されてなに今更お願いしてるのん? ふたなりに比べて数が多いってだけで人権を与えられてる男のくせに。お兄ちゃんは、お兄ちゃんとして生まれた時点で、もう運命が決まってたんだよ。…………んふ、大丈夫大丈夫、心配しないで。もしお兄ちゃん達に人権が無くなっても、私がちゃんと飼ってあげるから、私がちゃんとお兄ちゃんにご飯を食べさせてあげるからさ、そんな不安そうな顔する必要ないよ、全然。--------」
「こゆ、り。…………」
「だって私、お兄ちゃんたちのこと大好きなんだもん。なおにぃにはあんなこと言ったけど、なんていうか二人とも、ペット? みたいで可愛いんだもん。だから普通の男の人よりは良い生活をさせてあげるから、さ、-----」
と、其の時、詩乃の体がさらに浮き始める。
「…………その代わりに使わせてね、お兄ちゃんたちの体。--------」
さう云ふと心百合は、早速兄の体を使おうと一息に詩乃を頭上へ持ち上げて、彼の尻穴と自身の雁首を触れ合はせる。意外にも詩乃が大人しいのはもう諦めてしまつたからなのか、其れとも油断させておいて逃げるつもりだからなのか。どちらにせよ動くと一番困るのは内蔵をかき乱される兄の方なのだから静かに其の時を待つてゐるのが一番賢いであらう。
「んふ、…………じゃあ、挿れるね。--------」
詩乃は其の言葉を聞くや、突然大人しく待つてなど居られなくなつたのであるが、直ぐにメリメリと骨の抉じ開けられる音が聞こえ、そして股から体が裂けていくやうな鈍い痛みが伝わりだすと、体全体が痙攣したやうに震えてしまひもはや指の一本すら云ふことを聞いてくれなかつた。其れでも懸命に手足を動かそうとするものの体勢が体勢だけにそもそも力が入らず、ひつくり返された亀のやうに妹の腹の上でしなしなと動くだけである。だがさうしてゐるうちにも、心百合は力ずくで彼の体に男のモノを入れていき、もう其の半分ほどが入つてしまつてゐた。
「そんな無駄な抵抗してないで、自分のお腹を触ってみたら? きっと感じるよ、私のおちんちん」
妹に言はれるがまま、詩乃はみぞおち辺りを手で触れる。すると、筍が地面から生えてゐるやうにぽつこりと、心百合の男性器が腹を突き破らうと山を作り、そして何やら蠢いてゐるのが分かつた。
「あっ、……はっ、………はは、俺の、俺の腹に、あぁ、……………」
「んふふ、感じた? 昔こういうの映画にあったよね、化物の子供が腹を裂いて出てくるの。私怖くて、お兄ちゃんに抱きついて見れなかったけど、こんな感じだった?」
「-----ふへ、………ふへへ、心百合の、こゆり、………こゆ、…………」
「あはっ、お兄ちゃんもう駄目になっちゃった? しょうがないなぁ、………」
と云ふと、心百合は腰を引いて詩乃の体から陰茎を少し引き抜く。
「-----じゃあ、私が目を覚まさせてあげる、………よっ!」
「っおごぁっっっ!!!!!」
其のあまりにも強烈な一撃に、詩乃は顔を天井に上げ目を白くし裂けた口から舌を出して、死んだやうに手をだらんと垂れ下げてしまつた。果たして俺は人間であるのか、其れとも妹を気持ちよくさせるための道具であるのか、いや、前者はあり得ない、俺はもう、もう、…………さう思つてゐると二発目が来る。
「ぐごげぇえええっっっっ!!!!!」
「んー、…………まだ目が醒めない? もしもーし、お兄ちゃん?」
「うぐぇ、……げほっ、げほっ、………」
「まだっぽい? じゃあ、もう一発、………もう一発しよう。そしたら後はもうちょっと優しくしたげるから!」
すると、腹の中から巨大な異物が引き抜かれていく嫌な感覚がし、次いで、彼女も興奮しだしたのか背後から艶つぽい吐息が聞こえてくるようになつた。だけど、どういふ訳か其の息に心臓を打たせてゐると安心して来て、滅茶苦茶に掻き回された頭の中が少しずつ整頓され、遂には声が出るようになつた。
「こ、こゆり。………」
「うん? なぁに、お兄ちゃん」
「も、も、ももっと、もっと、…………」
もつと優しくしてください、と云ふつもりであつた。しかし、
「えっ、もっと激しくして欲しいのん? しぃにぃ、本当に良いのん?」
「い、いや、ちが、ちが、…………」
「----しょうがないなぁ。ほんと、しぃにぃって変態なんだから。……でもさすがに死んじゃうからちょっとだけね、ちょっとだけ。-------」
さう云ふと心百合は、今度は腰を引かせるだけでなく詩乃の体を持ち上げるまでして自身の陰茎を大方引き抜くと、其のまま動きを止めてふるふると其の体を揺する。
「準備は良い? もっと激しくって言ったのはお兄ちゃんなんだからね、どうなっても後で文句は言わないでね」
「あっ、あっ、こゆり、ぃゃ、……」
「んふ、-------」
と、何時も彼女が愉快な心地をする際に漏らす悩ましい声が聞こえるや、詩乃は床に落ちていつた。かと思えば、バチン! と云ふ音を立てて、お尻がゴムのやうに固くも柔らかくもある彼女の鼠径部に打ち付けられ、体が跳ね、そして其の勢ひのまま再び持ち上げられ、再度落下し、心百合の鼠径部に打ち付けられる。-------此れが幾度となく繰り返されるのであつた。もはや其の光景は遊園地にある絶叫系のアトラクシオンやうであり、物凄い勢ひでもつて男が上下してゐる様は傍から見てゐても恐怖を感じる。だが実際に体験をしてゐる本人からするとそんな物は恐怖とは云へない。彼は自分ではどうすることも出来ない力でもつて体を振り回され、腹の中に巨大な異物を入れられ、肛門を引き裂かれ、骨盤を割られ、さう云ふ死の苦痛に耐えきれず力の限り叫び、さう云ふ死の恐怖から神のやうな少女に命乞ひをしてゐるのである。だが心百合は止まらない。止まるどころか彼の絶叫を聞いてさらに己を興奮させ、ちやつと、と云つたのも忘れてしまつたかの如く実の兄の体をさらに荒々しく持ち上げては落とし、持ち上げては落とし、其の巨大な陰茎を刺激してゐるのであつた。
「あがあぁぁぁ!!!こゆ”り”っっっっ!!!!ぅごぉあああああっぁぁ!!!!」
「えへへ、気持ちいーい?」
「こゆりっっ!!こゆり”っ!!!!!こゆっ!!!!」
「んー? なぁに? もっと激しくって言ったのはお兄ちゃんでしょう?」
「あぁがぁぁっっ!!!ごゆ”り”っ!!!」
「んふふ、しぃにぃは本当に私のこと好きなんだねぇ。いくら家族でも、ちょっとドキドキしちゃうな、そこまで思ってくれると。------」
腰を性交のやうに振つて、男を一人持ち上げ、しかも其の体を激しく上下させてなお、彼女は息を乱すこともなく淡々と快楽を味はつてゐる。が、其の快楽を与えてゐる側、------詩乃はもう為すがまま陵辱され、彼女の名前を叫ぶばかりで息を吸えてをらず、わなわなと震えてゐる唇からは血の流れを感じられず、黒く開ききつてゐる瞳孔からは生の活力が感じられず、もはや処女を奪はれた生娘のやうに肛門から鮮血を垂れ流しつつ体を妹の陰茎に突き抜かれるばかり。でも、其れでも、幸せを感じてゐるやうである。何故かと云つて、彼ら兄弟は本当に妹を愛してゐるのである。其の愛とは家族愛でもあると同時に、恋ひ人に向ける愛でもあるし、崇敬愛でもあるのである。そしてそこまで愛してゐる妹が自分の体を使つて喜んでくれてゐる、いや彼の言葉を借りると、喜んで頂けてゐるのである。…………此の事がどれほど彼にとつて嬉しいか、凡そ此の世に喜ぶ妹を見て嬉しくならない兄など居ないけれども、死の淵に追ひ込まれても幸せを感じるのには感服せざるを得ない。彼を只の被虐趣味のある変態だと思ふのは間違ひであり、もしさう思つたのなら反省すべきである。なんと美しい愛であらうか。---------
「んっ、………そろそろ出そう。……………」
さうかうしてゐると、心百合はどんどん絶頂へと向かつて行き、たうたう、と云ふより、此れ以上快感を得てしまつては途中で射精を止める事が出来ない気がしたので、さつさと逝つてしまはうと其の腰の動きをさらに激しくする。
「ひぎぃ!!うぐぇ!!ごゆりっ!!じぬ”っ!!!じぬ”ぅっっっっ!!!!」
死ぬ、と、詩乃が云つた其の時、一つ、心百合のモノが暴れたかと思ひきや、唯でさへ口を犯された際の名残で大きく膨れてゐた彼の腹がさらに膨らみ、そして行き場を失つた精液が肛門をさらに切り裂きながら吹き出て来て、床に落ちるとさながら溶岩のやうに流れていく。
「あっ、あっ、ちょっ、…………そんなに出たら、………あぁ、もう! 」
心百合は急いで詩乃の体から男性器を取り出し床に捨てると、本棚に向かつて流れていく精液を兄の体を使つて堰き止め、ついでにもう殆ど動いてゐない那央を雑巾のやうに扱つて軽く床を拭き、ほつとしたやうに一息ついた。
「まだ出したり無いけど、ま、この辺にしておこうかな。………これ以上は本が濡れちゃう。-------」
続けて、
「なおにぃ、しぃにぃ、起きて起きて、-------」
だが二人とも、上と下の口から白くどろどろとした液体を吐き出し倒れたままである。
「-----ねっ、早く起きて片付けてよ。でないともう一度やっちゃうよ?」
と云つて彼らの襟を背中側から持ち、猫をつまむやうにして無理やり膝立ちにさせると、那央も詩乃も一言も声を出してくれなかつたがやがてもぞもぞと動き始め部屋の隅にある、彼女がいつも精液を出してゐるバケツを手に取り、まずは床に溜まつてゐる彼女の種を手で掬い取つては其の中に入れ、掬い取つては其の入れて"行為"の後片付けをし始めたので、其の様子を見届けながら彼女もウェットティッシュで血やら精液やらですつかり汚れてしまつた肉棒を綺麗にすると、ゴロンとベッドに寝転び、実の兄としてしまつた性交の余韻に、顔を赤くして浸るのであつた。
  那央たち兄弟は体中に感じる激痛で立つことすら出来ず、ある程度心百合の精液をバケツに入れた後は這つて家の中を移動し、雑巾を取つて来て床を拭いてゐたのであるが、途中何度も何度も気を失ひかけてしまひ中々進まなかつた。なんと惨めな姿であらう、妹の精液まみれの体で、妹の精液がへばり付いた床を雑巾で拭き、妹の精液が溜まつてゐるバケツの中へ絞り出す。こんな風に心百合の精液を片付けることなど何時もやつてゐるけれども、彼女に犯されボロ雑巾のやうな姿となつた今では、自分たちが妹の奴隷として働いてゐるやうな気がして、枯れ果てた涙が自然と出て来る。-------あゝ、此の涙も拭かなくては、…………一つの拭き残しも残してしまつては、俺たちは奴隷ですらない、人間でもない、本当に妹の玩具になつてしまふ。だがいくら拭いても拭いても、自分の体が通つた場所にはナメクジのやうな軌跡が残り、其れを拭こうとして後ろへ下がるとまた跡が出来る。もう単純な掃除ですら俺たちは満足に出来ないのか。異様に眠いから早く終はらせたいのに全く進まなくて腹が立つて来る。が、読書に戻つて上機嫌に鼻歌を歌ふ妹のスカートからは、蛇のやうに”ソレ”が、未だにビクリ、ビクリと、此方を狙つてゐるかの如く動いてゐて、とてもではないがここで性交の後片付けを投げ出す事など出来やしない。いや、そもそもあれほど清らかな妹にこんな汚い仕事などさせたくない。心百合には決して染み一つつけてなるものか、決して其の体を汚してなるものか、汚れるのは俺たち奴隷のやうな兄だけで良い。-------さう思ふと急にやる気が出てきて、二人の兄達は動かない体を無理やり動かし、其れでも時間はかかつたが綺麗に、床に飛び散つた精液やら血やらを片付けてしまつた。
「心百合、………終わったよ。-----」
「おっ、やっと終わった? ありがとう」
「ごめんな、邪魔してしまって。…………」
「んふ、………いいよいいよ、その分気持ちよかったし。-------」
さう心百合が云ふのを聞いてから、兄二人は先程まで開けることすら出来なかつた扉から出て行こうとする。
「あ、お兄ちゃん、------」
心百合が二��を呼び止めた。そして、
「-----また明日もしようね」
とはにかみながら云ひ二三回手を振つたのであるが、那央も詩乃も怯えきつた顔をさらに怯えさせただけで、何も言はずそそくさと部屋から出ていつてしまつた。
「詩乃、…………すまん。…………」
心百合の部屋を後にして扉を閉めた後、さう那央が詩乃に対して云つたけれども、云はれた本人は此れにも特に反応せず自分の部屋に、妹の精液が入つたバケツと共に入りほんの一時間前まで全ての切掛となつたダンベルがあつた位置に座り込んだ。其のダンベルと云へば、結局心百合の部屋から出る時に那央が持つてゐたのであるが、自室に入る際に階段を転げ落ちてゐく音がしたから多分、兄と一緒に踊り場にでも転がつてゐるのであらう。もう其れを心配する気力も起きなければ、此れ以上動く体力も無い。なのに体中に纏わりつく心百合の精液は冬の冷気でどんどん冷え、さらに体力を奪つて来てゐる。ふとバケツの方に目を向けると、二人の血でほんのりと赤みがかつた妹の精液が半分ほど溜まつてゐるのが見える。-------一体これだけでも俺たち男の何倍、何十倍の量なのであらうか。一体俺たちがどれだけ射精すれば此の量に辿り着けるのであらうか。一体どれほどの時間をかければ人の腹を全て精液で満たすことが出来るのであらうか。しかも此の液体の中では、男の何百、何千倍と云ふ密度で妹の精子が泳いでゐると云ふではないか。…………恐ろしすぎる、もはやこの、精液で満たされぱんぱんに張つた腹が彼女の子供を授かつた妊婦の腹のやうに見えてくる。もし本当にさうなら、なんと愛ほしいお腹なのであらうか。………だが残念なことに、男は受精が出来ないから俺たちは心百合の子供を生むことなど出来ぬ。其れに比べて彼女の子供を授かれる女性の羨ましさよ、あの美しい女神と本来の意味で体を交はらせ、血を分かち合ひ、そして新たな生命を生み出す、-------実の妹の嬲り者として生まれた俺たち兄弟とは違ひ、なんと素晴らしい人生を歩めるのであらう。だが俺たちの人生も丸切無駄では無いはずである。なんせ俺達は未だ生きてゐる。生きてゐる限り心百合に使つて頂き喜んで頂ける。もう其れだけで十分有意義である。詩乃はパキパキと、すつかり乾きつつある心百合の精液を床に落としながら立ち上がると、バケツに手をつけた。
--------と、丁度其の時、妹の部屋の方向から、ガチャリと扉の開く音がしたかと思えば、トントントン…………、と階段を降りていく軽い音が聞こえてきた。さう云へば、ふたなりも男と同じで射精をした後はトイレが近くなるらしいから、階段下のトイレに向かつたのであらう。と、詩乃は思ひながら其の足音を聞いてゐたのであるが、なぜか途方もない恐怖を感じてしまひ、心百合が階段を降りきるまで一切の身動きすら取らず、静かに息を潜めて心百合が戻つて来るのを待つた。----今ここで扉を開けてしまつては何か恐ろしいことになる気がする。…………其れは確かに、今しがた瀕死になるまで犯された者の「感」と云ふものであつたがしかし、もし本当に其の感の云ふ通りであるならば、先程階段を転げ落ちていつた那央はどうなるのであらう。多分兄貴も俺と同じやうに全く体が動かせずに階段下で蹲つてゐるとは思ふが、もし其処に心百合がやつて来たら? いや、いや、あの心優しい心百合の事だし、しかももう満足さうな顔をしてゐたのだから、運が良ければ介抱してくれてゐるのかもしれない。————が、もし運が悪ければ? 此の感が伝えてゐるのは後者の方である、何か、とんでもなく悪い事が起こつてゐるやうな気がする。さう思ふと詩乃は居ても立つても居られず、静かに静かに決して音を立てぬようそつと扉を開けると、ほとんど滑り落ちながら階段を降りて行く。途中、那央が居るであらう踊り場に妹の精液の跡があつたが、兄は居なかつた。でも其の後(ご)もずつと精液の跡は続いてゐたので何とか階段を降りきつたのであらうと一安心して、自身も階段を降りきると、確かに跡はまだあるのであるが、其処から先は足を引きずつたやうな跡であり、決して体を引きずつたやうな跡ではなくなつてゐる。…………と云ふことは、兄はもしかして壁伝いに歩いたのだらうか、------と思つてゐたら、ふいに浴室の方から声が聞こえてきたやうな気がした。最初は虫でも飛んでゐるのかと思つたけれども、耳を澄ますと矢張り、毎日のやうに聞いてゐる、少し舌足らずで可愛いらしい声が、冬の静寂の中を伝はつて確かに浴室から聞こえてくる。そしてよく見れば、兄の痕跡は其の浴室へ向かつて伸びてゐる。------いや、もしかしたら精液まみれで汚れてしまつた那央を綺麗にしようと、心百合がシャワーを浴びせてゐるのかもしれない、それに自分もティッシュで拭くだけでは肉棒を綺麗にした気がせず、もしかするとお風呂にでも浸かつてゐるのかもしれない。…………が、浴室に近づけば近づくほど嫌な予感が強くなつてくる。しかも脱衣所の扉を開けると、ビシュビシュと何やら液体が、無理やり細い管から出てくるやうな音、-----毎夜、妹の部屋から聞こえてくる、兄弟たちを虜にしてやまない"あの"音が聞こえてくる。
「あ、あぁ、…………」
と声を漏らして詩乃は、膝立ちになり恐る恐る浴室の折戸を引いた。すると心百合は其処に居た。此方に背を向け少し前のめりになり、鮮やかな紺色のスカートをはためかせながら、腕を大きく動かして甘い声を出して、確かに其処に居た。-----
「こ、こゆり。……………」
「うん? もしかして、しぃにぃ?」
心百合が此方に振り向くと、変はらずとろけ落ちさうなほど可愛い彼女の顔が見え、そして彼女の手によつて扱かれてゐる、変はらず悪夢に出て来さうなほどおぞましい"ソレ"も見え、そして、
「あんっ、…………」
と、甲高い声が浴室に響いたかと思えば腕よりも太い肉棒の先から白い液体が、ドビュルルル! と天井にまで噴き上がる。
「あぇ、こゆり、………どうして、…………」
「んふ、やっぱり中途半端って良くないよね。もうムラムラしてどうしようも無かったから、いっその事、我慢しないことにしたんだぁ。……………」
其の歪んだ麗しい微笑みの奥にある浴槽からは、彼女の言葉を物語るかのやうに入り切らなかつた精液がどろどろと床へと流れ落ちていつてゐる。……………いや其れよりも、其の精液風呂から覗かせてゐる黒いボールのやうな物は、其れに縁にある拳のやうな赤い塊は、もしかして、-------もしかして。………………
「あ、兄貴、…………」
もう詩乃には何が起きてゐたのか分かつてしまつた。矢張り、良くないことが起きてゐた。其れも、最悪の出来事が起きてゐた。-------射精は途中で無理やり止めたものの合計で四回も絶頂へ達せられたし、其れなりに出せて満足した心百合は、兄たちが"行為"の後片付けをしてゐる最中に読書を再開したけれども、矢張りどこか不満であつたのか、鼻歌を歌ふほど上機嫌になりつつも悶々としてゐたのであらう。何しろあの時妹の肉棒は、惨めに床を拭く俺たちを狙ふかのやうに跳ねてゐたのである。其れで、兄たちが居なくなりやうやく静かになつて、高ぶつた気もついでに静まるかと思つたのだが、意外にもさうはならない、むしろ妹の男性器はどんどん上を向いていく。あゝ、やつぱりお兄ちゃんたちの顔と叫びは最高だつた。あれをおかずにもう一発出したい。………と思つても、兄たちがバケツを持つていつてしまつたので処理をしようにも出来ず、結局我慢しなければならなかつたが其のうちすつかり興奮しきつてしまひ、ベッドから起き上がつて、一体どうしたものかと悩んだ。------いや別に、バケツはあと一つ残つて居るのだから今ここで出してもよいのだけれども、其れだけで収まつてくれる筈がない。お風呂も詰まつてはいけないとお兄ちゃん達が云ふから駄目だし、外でするなんて、夜ならまだしもまだ太陽が顔を覗かせてゐる今は絶対にやりたくない。そもそも外でおちんちんを出して自慰をするなぞ其れこそ捕まつてしまふ。どうしよう。…………さう云へばさつき、さういえば階段からひどい音が聞こえたのは少し心配である。もう二人は歩くことも出来ないのかしらん。可哀想に、歩くことも出来ないなんて其れは、其れは、……………もはや捕まえて欲しいと自分から云つてゐるやうなものではないか。さうか、お兄ちゃんたちをもう一回犯せば良いんだ。どつちが階段を下りていつたのかは知らないが、歩くことも出来ないのだから下の階には二人のうちどちらかが未だ居るはず、いや、もしかしたら二人共居るかもしれない。-------と、考へると早速部屋から出て、階段を下り、下で倒れてゐた那央を見つけると服を汚さぬよう慎重に風呂場まで運んで、そして、----ここから先は想像するのも嫌であるが、心置きなく犯して犯して犯して犯したのであらう。浴室に散乱するシャンプーやらの容器から那央が必死で抵抗したのは確かであり、其れを己の力で捻じ伏せ陵辱する様は地獄絵図であつたに違いない。いや、地獄絵図なのは今も変はりは無い。何故かと云つて心百合のモノは此方を見てきてゐるのである。ビクビクと自身を跳ね上げつつ、ヒクヒクと鈴口を蠢かしてゐるのである。此の後起こることなんて直ぐ分かる。-------逃げなくては、逃げなくては、………逃げなくてはならぬが、心百合がほんのりと頬を赤くし愉快な顔で微笑んで来てゐる。あゝ、可愛い、………駄目だ、怖い、怖くて足が動かない。…………と、突つ立つてゐると心百合の手が伸びてくる。そして、抱きしめられるやうにして腰を掴まれるとやうやく、手が動くようになり床に手を付けた。が、もう遅い。ずるずると、信じられない力で彼の体は浴槽の中へ引きずり込まれていく。どれだけ彼が力強く床に手を付けようとも、どれだけ彼が腰に回された手を退けようとも、ゆつくりと確実に引きずり込まれていく。そして、またたく間に足が、腰が、腹が、胸が、肩が、頭が、腕が、どんどん浴室の中へと入つて行き、遂に戸枠にしがみつく指だけが外に出てゐる状態となつた。が、其の指も、
「次はしぃにぃの番だよ? 逃げないで。男でしょ?」
と云はれより強く引つ張られてしまふと、耐えきれずにたうたう離してしまつた。
「やめてええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
心百合と云ふたつた一三歳の、未だぷにぷにと幼い顔立ちをした妹の力に全く抗えず、浴室に引きずり込まれた詩乃はさう雄叫びを上げたが、其の絶叫も浴室の戸が閉まると共に小さくなり、
「んふ、………まずはお口から。-------」
と、思はず恍惚としてしまふほど麗しい声がしたかと思ひきや、もう聞こえなくなつてしまつた。
  (をはり)
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buriedbornes · 6 years ago
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第23話 『水と油の漂泊者《バガボンド》(3) - 何のため?』 Opposite vagabonds chapter 3 - “What for?”
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世界の崩壊が訪れてから、長い歳月が過ぎ去った。
それでも、多くの人々が密やかにではあるがその営みを続けており、そしてまた、一定以上の規模のコミュニティであれば、当然新たな命を授かる事もある。
『崩壊後生まれ』は、生まれながらに世界によって呪われた哀れな、だがそれであるが故にしたたかな生命であった。
奪い生き残る事を常とした世界に生まれ落ちた彼らは、その荒んだ世界の一部となるべく、戦う事を強いられた。
一方で、崩壊前に生きてきたが、変貌した世界に順応する事を迫られた者達も残されていた。
こうした層は、前者と比較して『崩壊前生まれ』と呼ばれた。
彼らの最大の違いは、「取り戻すべき世界を持つかどうか」にあった。
『崩壊後生まれ』は、彼らを取り巻く世界にいかに順応するかをひたすらに追求し続けていた。
しかし、年老いた『崩壊前生まれ』達は、今もなお「かつての世界」をいかに取り戻すか、その方法を苦慮し続けていた。
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沼地には、古びた桟橋、或いはところどころに土の露出した面が見られ、通行者達はそうした場所を歩いていく。
浅い水面であれば歩いて通る事も不可能ではないが、不意の襲撃を受けた場合、ぬかるみ水に足を取られる不安定な足場は、生存率に大きく関わる。
しかし、手練れた者であれば、あるいは逆に水中を進行する方が、その身を隠すのに適している場合もある。
桟橋の軋む木板の立てる音は、凹凸に乏しい沼地では容易に遠方へ届く。
今日のように風の強い日は、波立った沼の中に身を浸し進む事で、周囲に潜む敵対者にその存在を気取られる事なく進む事ができる。
勿論、そればかりが唯一の方法であるとも限らない。
ビアンカは、平然と桟橋を進む。
しかし、その足音は全くの無音だ。
いや、足音どころか、衣擦れの音すらも聞こえない。
後方すぐをついていく2名も、同様だ。
エルフメイジの行使した秘術が、この3人とその周辺の空間から一切の音が奪っている。
だがそれは同時に、声を介した会話も不可能にしている。
そのため、3人はビアンカを仲介役に立てて、念話、すなわちテレパシーでのコミュニケーションを行っていた。
「本当にこの方向で合っているのか?」
ジョセフは無言で、怪訝そうな表情のまま、直接不満を伝える。
だが、ビアンカの眉目は揺るがない。
「この沼の中で、生命体の反応は数えるほどもないわ。少なくとも"さらった奴ら"には100%たどり着ける」
「さらわれた連中を直接探すなら、逆に屍体を探す魔法を使った方がいいかもな」
ゴードンの言葉は、聞く者によっては怒りを覚えるような発言だが、今この場に、その言葉を皮肉と受け止めて熱くなるような人間は一人もいない。
命の奪い合いが常の世界で、何者かにさらわれた人間を待ち受ける運命のうち、"生還できる"可能性のあるものは極稀だ。
生かすにはコストがかかる。
食事や、逃げ出さないように監視も必要だ。
必要な"用途"に用いた以後、生かす理由など存在しない。
身代金を求めるくらいなら、最初から略奪すれば良い。
わざわざ個々の人間が連れ去られ、そしてその後の音沙汰がないのであれば、それはもう「使われた」事を覚悟するしかない。
それが、この世界の現状で、常識だ。
勿論、その常識を、大切な人がさらわれた者が素直に受け入れるかは、別問題ではあるが。
「屍体は、ただの屍体。肉片でしかないわ。何かに使われていない限りは、感知する術がない。見つけようがない場所に捨てられていたら、お手上げね…」
「ま、それも犯人から聞き出せば済むことさ」
ジョセフは拳に力を込める。
『崩壊後生まれ』としては、彼は優しすぎた。
しかしそうであるが故に、彼を求める者は数知れない。
「情を汲み、それに応える仕事をする」ような傭兵など、崩壊前ですらそうはいなかった。
実力が伴う者ともなれば、もはや稀少を通り越して、彼以外にはもう存在しないのではないかとすら言われている。
命までは期待できない。
だがせめて、亡骸だけでも、家族に帰そう。
そうでなければ、意味がない。
未来の被害を防げるという意味では、意味もなくはないが、それだけでは納得ができない。
請けたからには、亡骸を家族に帰す。
そう、心に決めていた。
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「待って」
ビアンカが左手を払い、2人を制止する。
「…水の中から、何か、来る…」
水面に様子の変化はない。
風に揺られて波紋が右往左往するが、異常は見られない。
ジョセフは剣を抜き、ビアンカの前方に立ちふさがる。
ゴードンは、懐中から杖を取り出し、前方のビアンカに背を向けて構える。
「どこだ?」
ジョセフがビアンカをせっつくが、それがビアンカの焦りをさらに募らせた。
「凄い速さで駆け巡ってる、なんなのこれ!?波紋も起こさずに…」
刹那、水面が盛り上がり、槍のようなものがゴードンめがけて飛び出した。
「ぐッ…」
咄嗟に、杖で払おうとするが、間に合わない。
喉を貫かれた、そう思った瞬間に、視界がぶれて、明後日の方角を向いている。
気がつくと、ジョセフに抱えられ、桟橋の少し離れた位置に引きずられて、横たわっている事に気づく。
元いた位置には、銀色に尖った針のようなものが水面から突き立っている。
と思えば、その針がどろりと溶けて、水中にポチャリと落ちると、また姿が見えなくなる。
「なんだ今のは」
ゴードンは狼狽しているが、一方でビアンカは戦慄していた。
「不定形… どうしてこんな場所に!?」
今度は隠すつもりもなくなったのか、飛沫を上げながら水中を銀色に輝く楕円状の物体が、高速で旋回している。
だが、ジョセフだけは冷静さを保っている。
「出てくる位置がわかっていれば…」
その言葉に呼応するかのように、水面に弾ける飛沫の数が2つ、3つと増えていき、やがて周囲の水面がまるで水揚げされる直前の網のような飛沫の嵐に包まれる。
「ビアンカッ、熱だ!!」
「! …わかった!」
ジョセフの言葉に我を取り戻したビアンカは、短い詠唱の後、杖を桟橋に突き立てる。
瞬時に、彼女の足元の水面を中心に湯気が立ち始め、瞬く間に辺り一面がまるで浴場のごとき熱気に包まれた。
いつの間にか飛沫は止み、気配は消え去っている。
「信じられない間違いない実現してたんだあの怪物…」
ビアンカはブツブツと何かを呟いている。
「ジョセフ、アレは一体…」
「ごー… ドン…」
見知らぬ声。
3人が振り返ると、桟橋から離れた水面から顔を出した木のひとつ、その枝の上に、名状しがたい形状の、光を反射し銀色に発光する、ゲル状の塊がまとわりついていた。
その存在は形をうねらせると、口のような形状を作り出し、そこから声を発していた。
「老いたモノ… お前の、記憶… モラう…」
不定形の生物は手のようなものを伸ばし、木の幹を掴むと、ミシリミシリと音を立てて枝が曲がっていく。
掴んだ手を離した不定形は、まるで弩砲のごとく木の枝の反発力に弾かれて、沼地の遥か彼方の方角に向かって飛び去っていった。
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数秒の静寂を過ぎて、ビアンカがその場にへたれ込んだ。
ジョセフは、不定形が飛び去った方角を、力強く見つめている。
ゴードンは、尻餅をついた姿勢のまま、呆気にとられて動けずにいた。
俺にもできる事がある?
息巻いて足を踏み入れてみれば、現実はこれだ。
結局ジョセフに助けられるのか、俺は。
死にかけた。
いや、奴は俺を狙っていると言った。
むしろこれは、始まりなのか。
なぜ?
理由など、わかるはずもない。
やっぱり金貨100枚だけもらって、立ち去るべきだったのか。
だが、もう遅いのだろう。
乗りかかった船は、もう沖へ出た。
引き返す術はない。
少なくとも今は、生きるために、戦う以外に、道はない。
それだけは確かだった。
~つづく~
水と油の漂泊者《バガボンド》(4) - ”もう一度”
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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atsuya-iwashita · 3 years ago
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エンジョイハックス 9001 - 9500
エンジョイハックス 9001 - 9500
 9001      今までずっとストックしていたモノを思い切ってアクティブに放出してみる。
 9002      DM、チラシは玄関で捨てる。
 9003      同じ曲でも二度と同じように演奏することはできない。
 9004      届いたばかりの本のページをめくるときのドキドキ感がいい。
 9005      家族の誕生日は自分の節目でもある。
 9006      キングは戦うピースである。
 9007      なんでも願い事が叶う駄菓子屋で、自分ならどんなお菓子を買うだろうか?
 9008      やっぱりタイムマシンなんてない方がいい。
 9009      単純な機能の方が使いやすい。
 9010      勇気は自分を正しい道に導く。
 9011      空を見ると自分の心が映っている。
 9012      着るものは自分の「定番」が見つかると安心する。
 9013      才能は、引き出すもの。
 9014      学べば学ぶほど足りなさに気づかされる。
 9015      最小限の装備で闘う。
 9016      目的を見失った空回りな仕事は、まわりにとって迷惑なだけでしかない。
 9017      やはり万年筆は自分の中で最も書きやすい筆記具である。
 9018      身につけるもの、着るものは長く大切にできるものだけを選ぶと良い。
 9019      雲は地面に生えていない。
 9020      ちょっとだけ早起きして好きなことをやってみよう。
 9021      タスクリストはいつもそばに置いておく。
 9022      美意識は人それぞれ違う。あたりまえのことだが・・・
 9023      本質を見失った無意味な活動で振り回さないでほしい。
 9024      生活を見直していくと、片付け作業自体を片付けることができる。
 9025      辞書をひいたらマーカーをしておくと次につながる。
 9026      石の上に「ただ三年」座っていればいいというわけではない。
 9027      小さな問題をきちんと片付けることが大切である。
 9028      人の匂いには敏感で不快感を感じることが多いが、自分の匂いには慣れてしまっていてなかなか気づかない。
 9029      色鉛筆を眺めているだけでもワクワクする。
 9030      前向きに考えるしかない、だって目は前についているんだから…
 9031      手順を覚えるということは、自然な動きを身につけるということである。
 9032      文章を書くときは時間を決めて書くこと。
 9033      片づける基準は人それぞれ持っていていい。
 9034      死ぬ気でやれ、どんなに死ぬ気でやっても決して死なないから。
 9035      先輩たちの言動や行動に反発したくなるのは、かなわないかも知れないと感じている自分の心の鏡への投影である。大丈夫!
 9036      昼寝をしている間にも時間は流れ続けてる。
 9037      リーダーが迷いを隠せないようではまずい。
 9038      商業やマーケットに振り回され続けて生きてきたが、得たものより失ったものが多い。
 9039      人生が今日終わってしまうとしたら、今日の予定はこのままでいいのか。
 9040      消しゴム一つでも真剣に選ぶ。
 9041      人の気持ちって、コロコロ変わる。それでいいのかもしれない。
 9042      大声や威嚇する態度には屈することなく、一段上の対応をする。
 9043      ホチキスは紙をまとめるにはやっぱり便利だと思う。
 9044      大切にとっておいた「黄ばんだノート」をやっぱり使ってみよう。
 9045      型を覚えると美しい所作になる。
 9046      収集日の前日を捨て曜日にする。
 9047      休みの前の日の夜は、夜更かしは1時間と決める。すると翌日がハッピーになる。
 9048      人生いろいろな意味で「飽和点」があることに気づかされる。
 9049      過去の自分から手紙が届いたとしたら、果たしてなんて書いてあるのだろうか。
 9050      自分にできる小さなことを毎日少しずつ続ける。
 9051      写真は小さなタイムマシン。
 9052      人は、不安なときに攻撃的になる。
 9053      人間も生物としての運命から逃れることができない。
 9054      技術やアイテムがどんどん駆逐される世の中の変化に追随してきたが、どれだけのムダをしてきたのだろうか。
 9055      人の出す音はとても気になる。でも自分も出している。
 9056      そんなに多くのアイテムがなくても何とかなるものである。
 9057      「なんとなく」その感覚が命取りだ。
 9058      貢献できることを探そう。
 9059      はさみは使い方次第だと思う。
 9060      今何してる?
 9061      科学は人にやさしい、そして地球にも、宇宙にも。
 9062      朝一番で大切なタスクをこなす。
 9063      チェスは臆病者には向かないゲームである。
 9064      新しいやり方に批判的になるのは、自分が危機感を感じている証拠である。落ち着いてじっくり対処すれば問題ない。
 9065      早起きしたら、ゆったり、じっくり、ていねいにお茶を楽しむ。
 9066      使わない景品やオマケは断る。
 9067      タイムマシンで書き換えた未来は最終的にどうなるのか。
 9068      気持ちさえあれば、大した道具がなくてもいろいろ始められる。
 9069      自分で始めたことにしばられてしまうことがよくある。
 9070      捨てるべきかどうか迷ったときは、一度判断を「保留」する。
 9071      新製品がたくさん出ているが、自分に合っているものを探すのに莫大な時間と労力がかかる。
 9072      みんな本質を見失った議論をしすぎである。
 9073      早口言葉が得意です。
 9074      人と比べた時点ですでに負けている。
 9075      時代をこえた本質があると思う。
 9076      一歩踏み出すことに躊躇しない。
 9077      夜は疲れた心にいつも優しい。
 9078      将棋の駒が盤の上でしのぎを削っているのを見ると応援したくなる。
 9079      技術の進歩はありがたい、でもかならずしも幸せをもたらすとは限らない。
 9080      迷ったら迷わず動く。答えはすでに出ている。
 9081      どんな時でもそばに本を置いておく。
 9082      タイムマシンで幸せになれるのだろうか。
 9083      一杯のコーヒーは自分にインスピレーションを与える。
 9084      ピクチャーフレームは外の景色を取り込むために考えられた素敵なアイテム。
 9085      人生以外はただのゲームでしかない。
 9086      スマホの最新機種で「特に目新しい機能はない」となったら、やっと道具としてこなれてきた証である。
 9087      最初にあいさつするとき、やっぱり緊張する。
 9088      やらなければいけないことに必要以上に自分を縛りつけない。
 9089      いろいろなアーティストの世界観をそれぞれ楽しみたい。
 9090      人生に決まりはない。
 9091      人間、死んだらその後いくらでも休める。
 9092      玉より飛車を可愛がり。
 9093      こんな大学にするために頑張ってきたのではない。
 9094      ゆったりとした空間、時間は人生最高の贅沢である。
 9095      ゴミ捨ては当日の朝ではなく、前の日の夕方に準備しておく。
 9096      「昨日やり残してしまったこと」と考えるのではなく「これは今日やること」なんだと考えると気が楽になる。
 9097      スネークキューブは想像力をかきたてられる。
 9098      空き箱は使い道がなければ捨てる。
 9099      音楽との出会いも素敵だが、生きている音楽家・演奏家との出会いも最高に素敵である。
 9100      若者の動きや考え方に不快感を持つのは、対応できなかったらどうしようと考えているからである。余裕!
 9101      書きたい時に書けない万年筆とは距離を置いた方がいい。
 9102      意思があるところに道は開ける。なければ開けない。
 9103      何かに気づいたとき、スイッチが急に入ることがある。
 9104      睡眠の大切さはもっと広く言われてもいいのではないか。
 9105      時計の針はいつも同じように動いているようにみえるが、時によって感じ方が変わってくる。
 9106      終盤のキングは強い駒となる。
 9107      あまりいろいろ持っていなくても、できることはたくさんある。
 9108      心に��身体にも成長痛というものがある。
 9109      この世の中では決して自分の姿を見ることはできない。見られるとしたら鏡像、虚像、心の中の自分である。
 9110      そばは自分が一番美味しいと思う食べ方で食べればいい。だれかにとやかく言われたくない。
 9111      家電製品と取扱説明書は一緒に処分する。
 9112      厳しい戦いであればあるほど、勝った時の喜びは大きい。
 9113      自分の臨界点を覚えておく。
 9114      本質はいつでもどこでも変わらない。
 9115      掃除した後は気持ちがいい。ただそれだけでいい。
 9116      朝早く、新聞受けから新聞を取り出すときの感覚が好き。
 9117      モノがあふれたら捨てる。
 9118      得意技は惜しみなく使おう。自分のためにも人のためでも。
 9119      どれだけ自分を信じられるかが勝負である。
 9120      若さを保つには、成長し続けることである。
 9121      同じ場所にいても人それぞれ違う時間と人生を生きている。
 9122      朝は心も身体もリセットされている素敵な時間である。
 9123      学び続ける人はいつまでも若い。
 9124      小説はひとときの異文化体験に連れて行ってくれる。
 9125      若い時は「生きる意味」「生きる目的」「生きる理由」などをよく考えたものだが、まあ「後付け」なんだと思う。今では。それでいいのかもしれない。最期に「いい人生だったなぁ」と思えれば最高に幸せだと思う。
 9126      デビューするのに遅すぎるということはない。
 9127      人生を見直してみると、断捨離作業自体を断捨離することができる。
 9128      小さな音の変化から重大事故を防ぐことができる。
 9129      小さな日々の積み重ねを怠らないこと。
 9130      バカになれたら楽になるのになぁ。
 9131      勝負には流れがある。
 9132      旅の途中でどれだけ楽しいことをやれているかが大事。
 9133      雲はひとところに止まっていない。
 9134      必死になって何かをやると、 いつかそれが自分にとって楽しいことに変わる。
 9135      過去の勝利は未来の勝利を約束しない。
 9136      偶然のゆらぎを取り入れ人生を楽しむ。
 9137      子どもは過去も未来も考えない。だから現在を楽しめる。
 9138      なぜこんなに窮屈な世の中になってしまったのだろうか。
 9139      自分の道は自分で決める。
 9140      人にものの食べ方を強制されたくない。自由に食べさせてくれ。
 9141      しんどいことから逃げたいというのは当然のことである。
 9142      10年後にきっと、「せめて10年でもいいから戻ってやり直したい」と思っているに違いない。
 9143      人がやらないことに全力を注ぐ。
 9144      今はほんとの今なのだろうか。タイムマシンで書き換えられた今なのだろうか。
 9145      本をしまう棚は総量を決めてしまう。
 9146      目標を他人から与えられていてはいけない。
 9147      「小さなきっかけ」から「大きな変化」につながることがある。
 9148      立ち止まるから迷うのである。
 9149      何をやり残したら後悔するか」を毎日真剣に考えたい。
 9150      できない人を特別扱いすることが「平等」の意味ではない。取り違えている人が多い。
 9151      案外、なくても大丈夫というものも多い。
 9152      どうせならやりたいことをやって終わりたい。
 9153      腰がひけては前に進めない。
 9154      砂時計の砂が戻ったら、明日はどうなるのだろうか。
 9155      科学は人間の使い方次第で神にも悪魔にもなる。
 9156      葛藤と摩擦のなかで人間は育っていく。
 9157      CDとDVDは○箱分、棚○段分までと決める。
 9158      音楽の時間は、技術や理論よりも「楽しさ」を伝えてほしい。
 9159      空間を整えることは、心を整えることと同じである。でもなかなかできない。
 9160      家は子育てと一緒で、建てたから終わりではない。大切に住み続けてはじめて本当のわが家になっていくものである。
 9161      状況が悪くなり、苦し紛れの無理攻めは決して有効ではない。
 9162      何かに気づいたら、15秒以内にメモを取る。
 9163      ミスをした直後のプレーが大切である。
 9164      感謝の言葉は気持ちいいけど、また言われたいという気持ちがクセになる。
 9165      そろそろ言いたいことを言って、やりたいことをやっていいのかなぁ。
 9166      気持ちを切り替えるのと、考えることをやめることは大きく違う。
 9167      ソフト、アプリ、システムに余計な機能がついているものが多すぎる。そんな機能はいらない。
 9168      「背伸び」をしていると、そのうちそれが自分の「身の丈」になってくる。
 9169      照れない。逃げない。ごまかさない。
 9170      偶然を人生に取り入れる。
 9171      誰かの平等はほかの人の不平等。
 9172      過失の弁解をすると、かえってその過失を目立たせることになる。
 9173      レコードは別に珍しいものではないが、聴いてみると結構いいものである。
 9174      人と人とのつながりが世の中を変える。
 9175      楽しいことを先延ばししない。
 9176      自分が分からなければ、自分らしく生きようがない。
 9177      期待はあらゆる苦悩の元となる。
 9178      過去の自分を否定している間は今の自分も肯定できない。
 9179      向き不向きなんて大したことではない。
 9180      雑誌は発行月の月末までで捨てる。
 9181      好きなことは、最後まで諦めずに、時間をかけてもやり通す。
 9182      今日やるべきことを今日やる、そんな毎日。
 9183      苦悩に負けることは決して恥ではない。
 9184      健康のありがたさは普段なかなか気づかないものである。
 9185      悔しい時は過去を思い出す。
 9186      勝負どころでは、あれこれ考えすぎない。
 9187      ガイドブックなんか持たないで旅に出よう。
 9188      アップデートという強制力で自分にとってムダな機能や作業の押しつけはもうこれ以上やめてほしい。
 9189      逃した時間はいくら探しても見つからない。
 9190      毎日の生活で、やることなすことすべて決まっていたら窮屈である。
 9191      考えるよりも先に感じられる人間になる。
 9192      下段の香に力あり。
 9193      余計なものはほんとにいらないのになぁ。
 9194      空はいつでも自分の味方。
 9195      ホチキスと穴あけパンチは紙をまとめるには便利なアイテムである。
 9196      「真言」というのは「真実の言葉」という意味らしい。
 9197      小学校の徒競走で順位をつけないのは、走るのが得意な子の活躍の場を奪っていることになる。
 9198      私がこれまで思い悩んだことのうち、99パーセントは取り越し苦労だった。
 9199      言葉を惜しむと、後悔が後々まで続く。
 9200      「この一瞬」が限りなく愛おしく感じる時がある。その一瞬を大切にしたい。
 9201      クイーンは相手の残ったビショップと違う色のマスに置く。
 9202      車や機械と同じように年々自分も型落ちしていく。
 9203      タイムマシンがあったら、混乱するだけである。
 9204      人に伝わっていないことのほうがはるかに多い。
 9205      何も意識せず、ただボーっとしている時間が意外と大切。
 9206      人間追い込まれたときにしか出ない力がある。
 9207      自分にとってどうでもいいことが増えているが、まわりはそれに夢中になっている。
 9208      芸術家は精神的に追い詰められている。我々もそうだ。
 9209      人間以外の動物は生き方や生きることをよく知っている。
 9210      時々、自分の辿ってきた道を振り返る。
 9211      「何にでも効く」というクスリは結局何にも効かない。
 9212      自分の好きなものを追求していくと、どんどん自分が変わる。
 9213      支えのいらない人なんていない。
 9214      ちょっとしたことでも自分で決める癖をつけておく。
 9215      高い所へ登った人ほど、落ちた時には大けがをする。
 9216      人生に予行練習はない、毎日が本番。
 9217      「勝ち負けにこだわるのはくだらない」というのは、勝てない人間が吐く言葉である。
 9218      年末になったら一昨年の年賀状を捨てる。
 9219      一杯のお酒は魂の苦悩を取り除いてくれる。
 9220      すべてのことは、時がくればうまくいく。
 9221      答えは本の中ではなく、読んでいる人の中にある。
 9222      チェス盤とその上に並ぶ駒はとても美しい。
 9223      結局どっちを選んでも後悔すると思う。
 9224      人生が人に決められたことばかりではつまらない。
 9225      自分の無知を徐々に発見していくのが勉強だと思う。
 9226      ポイントカードになぜみんな執着するのか、それよりも一つの商品、一度の買い物を控えた方が得なのに…。どうせ買い物をするなら・・・というのは言い訳に過ぎない。
 9227      静寂と自由は、自分にとって最大の財宝である。
 9228      逃げるが勝ち。
 9229      心に余裕を持ちたいと思ったら、まず身の回りの空間に余裕をつくってみるといい。
 9230      無駄なことを当たり前と思ってやっている人間が多い。
 9231      人生は真剣勝負の連続である。
 9232      背筋を伸ばすのは動作であり、気持ちのありようでもある。
 9233      「努力する」か「諦める」か、どっちかしかない。
 9234      過去は旅行の荷物と同じで、全くないと旅はできないが、ありすぎると動けない。
 9235    他人を超えるためには自分独自のやり方、考え方を実行し続けなければならない。
 9236      仕事に楽しく挑戦し、成長できる人がほんとのプロなんだと思う。
 9237      顔をいつも太陽のほうに向けていれば、影を見ることはない。
 9238      アヒルは水中で一生懸命水をかいているが、みんなが見ているのは笑顔で落ち着いた表情である。
 9239      「みんな平等」なんていう不平等はやめてほしい。
 9240      ビジョンは大雑把に、プランは詳細に。
 9241      ノートは逐一細かく取らず、大事なことや気づいたことだけを書く。
 9242      何のために生きているのか即答できなければ、ただ生きればいい。
 9243      みんながんばっているのだから君もがんば���、なんて言葉は無意味である。
 9244      能力の開発よりも能力の維持の方がたいへんかもしれない。なぜなら、想い出や思い入れ、栄光、記憶の美化など過去の自分という高いハードルと闘わなくてはいけないから。
 9245      「今」はもしかしたら、「タイムマシンで書き換えられた過去」の「未来」なのかもしれない。
 9246      自分を犠牲にし、家族を犠牲にしてまで仕事を進めることは人生において本末転倒である。
 9247      弱さを経ていない強さはない。
 9248      「なんでもいい」というのが、いちばん困る。
 9249      無知は危険だが、無責任な知識はもっと危険である。
 9250      努力が効果をあらわすまでには時間がかかる。
 9251      「しないこと」を決めればそこから人生が変わる。
 9252      雲は形が決まっていない。
 9253      負けた悔しさをばねにして勝つ。
 9254      自分の管理能力を超えて物を持つと、結局は使わない物が増えるだけとなる。
 9255      学校では各教科や生活の中でそれぞれのヒーローができていいのである。それを励みに他のことも頑張れるし、他人を尊敬したり、協力したりする気持ちも芽生えてくるのである。その機会をなぜ奪ってしまうのだろうか。
 9256      面白いと思わなければ、この世の中に面白いものは何もない。
 9257      掃除をラクにするように整理する。
 9258      「悩み事」は、大きく二つに分けることができる。一つはどうでもよいこと。もう一つはどうにもならないこと。
 9259      「10年後か、20年後か、50年後から戻ってきたんだよ、たった今」と思ってここからやり直す。
 9260      人の弱さがわからない人間が一番弱い人間である。
 9261      目標の難易度はちょっとだけ高め、というのがいい。
 9262      メイトを狙うときには、慌ててチェックせずに相手の逃げ道を塞ぐ。
 9263      目標は必ずしも達成されるためにあるのではない。
 9264      白黒はっきりつけて人を傷つけるために言葉があるのではない。
 9265      モノはなければないでなんとかなる、なんとかする。
 9266      自分の知っているものを真実だと思いたがる。
 9267      ものを書くときは、楽しく書く。
 9268      ある人にとっては「正解」でも、他の人にとってはまったく正解でないことだってある。
 9269      寿命が長くなったのだから、心も長く成長できるように努力しよう。
 9270      みんな自分だけが悩んでると錯覚している。
 9271      自分にとっての懐メロを聴くと、自然と心がタイムマシンに乗ってその時代へのタイムトラベルができる。
 9272      本気で人の話を聞くためには自分が黙ることが必要なのである。でもなかなかできない。
 9273      人が最悪の想像をするとき、それはたいてい当たらない。
 9274      誰かからの評価にとらわれているから苦しみを感じるのである。
 9275      したいことがあるなら、今すぐする。未来なんてあてにならないのだから・・・
 9276      良いことは長く続く。
 9277      受験にはフライングもスピード違反もない。
 9278      泣きたいときは一人で泣いて。
 9279      過ぎてしまったことを悔やんでも前には進めない。
 9280      サポート切れという暴力で自分の使いやすいシステムをはく奪するのはもうこれ以上やめてほしい。
 9281      誰かに認めてもらうことが人生の目的じゃない。
 9282      自分を楽器にたとえるとなんだろうか?
 9283      今日やることだけに集中し、今日やることだけを考える。
 9284      過去に正しかったことが未来でも正しいとは限らない。
 9285      あまり大きな影響のないことに「偶然」というスパイスを取り入れると、日々の生活がとても楽しくなる。その日の気分によって持ちもの、着る服、履く靴、出かける時間、散歩する場所、乗る電車、ランチの店など。
 9286      勝負は、その勝負の前についている。
 9287      できない人を特別扱いして、できる人の権利を奪うことが「平等」ということでは決してない。
 9288      3つ以上のことを同時にやろうとすると、頭がパンクする。
 9289      誰だって語りたくない過去はひとつやふたつある。
 9290      too muchは迷惑である。
 9291      フルハウスは降りられない。
 9292      自分のためにしたことは自分がいなくなればおしまい。
 9293      人を妬むのは、自分が完全燃焼していないから。
 9294      多様性と言いながら、意味のない画一性を強制されるのは理不尽である。
 9295      何かすることが残っているうちは何も考えないほうがいい。
 9296      どの道を選ぶかじゃなくて、その道でどう生きるかが大切。
 9297      楽しいことは、自然と長く続けられる。
 9298      苦しみを経験するから幸せのありがたみがわかる。
 9299      1週間前の自分、1か月前の自分、1年前の自分をライバルにして、それを超える。
 9300      僕の好きなもの、虹とひまわりと雲、それらは夢と自分と自由なのかなぁ。
 9301      ベストを尽くしたことを後悔した人は誰もいない。
 9302      自分が目指す方向に向かって、最短距離を最速で進む。
 9303      速く弾くのは、ゆっくり弾くよりも実はずっと楽なのである。
 9304      今の自分がいるのは過去の自分が頑張ったから。
 9305      田舎や故郷は人生の原点、心の原点。
 9306      体調が悪くなって初めて健康のありがたさを考える。
 9307      相手のチェックを防ぐ手が、逆に相手へのチェックになる。
 9308      タイムマシンは人間を堕落させる。
 9309      自分をダメだと思えば、その時点から自分はダメになる。
 9310      自分にも他人にも言い訳を許さない。
 9311      整った空間からは、リラックスだけではなく、新しいことにチャレンジする気持ちが生まれる。
 9312      自分に課せられていると思っている創造的課題を全てやり遂げずに、この世を去るわけにはいかない。
 9313      他人に自分の限界を決めさせたくない。
 9314      ものごとは溜めれば溜めるほど嫌になる。
 9315      できる人は失敗から学ぶから有能なのである。
 9316      雲はいつでも自由である。
 9317      人間一人では生きられないが、頼れるのは自分自身である。
 9318      運命が決まるのは、自分が決断する瞬間である。
 9319      現実の社会では厳しい競争が繰り広げられているのに、一部の学校では自分の到達度や全体でのポジションがわからなくなってしまうような評価方法をとっている。急に社会の現実を突きつけられた時のことを考えて早く改めてほしい。
 9320      やるべき時に、やるべき場所にいて、やるべきことをする。
 9321      自分の周りの空間にゆとりができると、自然と心にもゆとりができてくる。
 9322      自己がわからなければ、実現のしようがない。
 9323      標準で暮らせることはありがたいこと。
 9324      去年の自分より今年の自分が優れていないのは恥である。
 9325      機械人間のように機械が体の一部になってしまっていて、機械がなければ人間し生きられなくなってしまった。
 9326      過去を知らないで、現在を知ることはできない。
 9327      明日に必要なものだけ残す。
 9328      自分の人生なのだから、自分自身の期待に応えればいい。
 9329      科学技術の暴走は天の神様が放ったイカヅチなのだろうか。
 9330      泣けばいい、喜べばいい。
 9331      楽しいと思えることから出発する。
 9332      勝負の基本は覚悟と我慢である。
 9333      夜空にぽつんとひとつだけひときわ輝いている星も綺麗だが、満天の空に輝く無数の小さな星たちのそれぞれひとつひとつも綺麗だと思う。夢もそういうものではないだろうか。
 9334      新しい自分が現れて過去の自分を塗り替える。
 9335      今、「もう少し早く気づいていればよかった」と思ったなら、未来の自分がそう思う前に気づいて良かったと考えよう。
 9336      「どちらでもいい」と「どっちでもいい」は大きく違う。意思をもって物事を決めよう。積極的な関与、前向きな思考、行動が大切である。
 9337      今この瞬間もいずれ過去になる。
 9338      私の青春は、今始まったばかりである。
 9339      過去というのは結局、現在の充実度によって評価が変わるものである。
 9340      済んだことはもう済んだこと。
 9341      マルチタスクをしようとすると、一つ一つやるよりも結局時間がかかる。
 9342      現在は過去の行いの結果、未来は今の行いの結果である。
 9343      グーグル、アップル、マイクロソフト、同じような機能で少しずつ違うものをたくさん作るのはもうやめてほしい。
 9344      打たないシュートは100%決まらない。
 9345      他人と比較しても良い事はほとんどない。
 9346      大学は資格取得や就職準備のために通うのではない。
 9347      必要なものは、必要な時に、必要なだけ手に入れる。
 9348      自分の人生を変えられるのは自分だけ。
 9349      携帯電話もそうだったが、スマホもムダな機能でしか差別化できないほど飽和状態となってしまった。
 9350      少し憧れるが、タイムマシンは不幸の道具でしないのかもしれない。
 9351      成長するための難易度は、何とかなりそうなレベルをくり返すこと。
 9352      まず5分ぐらい手をつけると、あとからやる気が湧いてくる。
 9353      勝負できない奴はすでにもう負けている。
 9354      今が幸せであれば、過去はバラ色に映り、今が不幸であれば、過去は灰色に見える。
 9355      休みの日の明け方の微睡みが至福の時。
 9356      虹の橋を渡っていくと、向こうからもう一人の自分がやってくる。
 9357      なぜみんな、ポイントカード、ポイントアプリに大切な時間やエネルギーを浪費するのだろうか。
 9358      明らかにいらないゴミから捨てる。
 9359      最初の判断はたいがい正しい。
 9360      相手のキングをチェックメイトする時は、すぐにチェックするのではなく、退路を断ってから確実にチェックする。
 9361      空がこんなに青かったなんて、今まで気がつかなかった。
 9362      年中行事なんて「今年はやらなくてもいい」ぐらいに考えて、あまりすべてのことに縛られないようにする。
 9363      ダラダラと中身のないオンライン会議を続けるのではなく、会議自体の必要性を見直すことがなぜできないのか不思議である。
 9364      現在の自分は、もはや過去の自分ではない。
 9365      自分の価値観に合わないものは買わない、手に入れない。
 9366      なんでもいいので、家にある楽器で大好きな曲を演奏してみよう。きっと幸せを感じるはず。
 9367      バックギャモンのケースのふたを開けるといきなり戦場が現れる。
 9368      迷ったら最初に思いついた方にする。
 9369      笑顔は10秒で緊張を緩和する武器になる。
 9370      無理して嫌なことなんてやる必要はない。
 9371      死にたいほど悩んでるそのことはいつか笑える日がくる。
 9372      人は過去に生きることはできない。
 9373      なりふりかまわず自分の行きたい道を進むこと。
 9374      多様性を訴えるならまず自分が多様性を受入れ、実践しないといけないと思う。
 9375      悩みは動きながら解決するといい。
 9376      手続きで、電話自動応対の番号操作の時間はムダである。コストがかかってもいいから最初からオペレーターにつながる専用回線を用意してほしい。
 9377      何かに挑戦したら確実に報われるのであれば、誰でも必ず挑戦するだろう。
 9378      仕事以外で、個人でクラウドを使いこなすほどの人間は少ない。
 9379      カメラやビデオは簡易タイムマシンだと思う。
 9380      他人の意見なんて参考程度だ、と思えば気が楽になる。
 9381      リサーチャーはただの「調べ人」ではまったく意味がない。
 9382      人生はため息と涙でできたもの。
 9383      モノって使ってやらないと勿体ないよね。
 9384      時がもたらした結果としての今を黙って受け入れる。
 9385      街によって人々の歩くスピードが違うことが世界を歩いてみて初めてわかった。
 9386      勝負の世界に偶然はない。
 9387      いらないものをバーゲンセールで買うのはばかげていると思う。
 9388      頑張るということは決して無理をするということではない。
 9389      朝起きたら、また違う風が吹いていると信じる。
 9390      シャンプー、ボディーソープ、洗顔フォーム、ハンドソープ、除菌石鹸など、今まで細かく分けすぎていたかも知れない。
 9391    よく考えてみると、あまり使っていないものが身の回りに多すぎることに気づく。
 9392      絶対に生き続ける、家族のために…。
 9393      不要なアップデートが多すぎる。
 9394      地道な努力の積み重ねが苦にならないぐらい好きなことをやる。
 9395      自分のしたことに人が評価を下す、それは自由である。
 9396      手札を過信してはいけない。
 9397    長く生きていると、自分の感覚に合わない仕組みやアイテムがたくさん出てくる。
 9398      ほんとに捨てないで、借り捨ての仕組みを利用する。
 9399      あらゆる出口は、どこか別の場所への入り口なのである。
 9400      どっちでもいいとどちらでもいいは大きく違う。
 9401      ルークはとにかく終盤に活躍する。
 9402      出かける時はなるべく持ちものを少なく、身軽に出かけたい。
 9403      そのことに耐えられない人は無理すべきじゃない。
 9404      「ミッドライフクライシス」は歳をとれば仕方ない。受け入れて、自分のできる範囲でできることを楽しもう。
 9405      女性はだれもが生まれながらにしてプリンセスなのである。
 9406      これ以上便利にならなくてもいいかな、と最近思う。
 9407      体育が得意な子、図工が得意な子、音楽が得意な子、勉強が得意な子などそれぞれあっていいのに、どのぐらい自分が得意なのかをわからなくしてしまうような評価方法はやめてほしい。
 9408      心の中に持っているものは外に出なければ意味がない。
 9409      タイムマシンは存在していいのか。
 9410      大学は用意されたメニューを出されるがままに食べるレストランではない。
 9411      人生の目標を教えてくれるのは直感である。
 9412      学びを行動へつなげる。
 9413      途中であきらめてしまったら、得るものより失うものの方が、ずっと多くなってしまう。
 9414      科学者が科学を疑ってしまったら誰が科学を救ってやるんだ。
 9415      日記は自分の簡易タイムマシンである。
 9416      雲は誰にも縛られない。
 9417      音楽は創造と楽しみを醸し出すワインのような存在である。
 9418      捨てるか悩む服は、着てお出かけしてみる。
 9419      土台がしっかりしていないピラミッドは頂点を結べない。
 9420      無理をしないで今の自分にできることを楽しんだらいい。
 9421      「今咲いている花」は去年の花とは違う、「今の自分」も去年の自分と違う。そう考える。
 9422      人に意地悪をしない。
 9423      つまらない手続きのためにいちいちネットで煩雑なオペレーションをさせるのはやめてほしい。
 9424      「挨拶」とは「前に突き進んでいくこと(挨)」「切り込むこと(拶)」で、禅僧同士が言葉で相手の反応を見て、修行の力量を見定め合うことなのだそうだ。
 9425      レジでのムダなやり取りを無くせないものだろうか。
 9426      時計の針が戻ったら、明日はどうなるのだろうか。
 9427      生まれてからの時間が経つほど、感覚が合わなくなってくる。
 9428      電源とデータ容量の問題がクリアされたら、多くの機能をスマホに集めたい。
 9429      相手にいきなり泣かれると困る。
 9430      他人は何一つ責任を取ってはくれない。だから自分で考え、自分で決める。
 9431      人生のいろいろなデータがコンパクトなアイテムに集約されると便利である。
 9432      勝負に強いか弱いかは、執念の差である。
 9433      昔から、サブスクリプションのような、会員制、定期購入、自動継続、定期配達などだらしのない人間をカモにした仕組みがあった。
 9434    何でも思い通りにしようとすると、人生や自分が見えなくなっしまうことがある。
 9435      本音は信頼できる一人だけに話す。
 9436      人からもらったけど、いらないな……という物は手放す。
 9437      ふと空いた時間をゆったり使うのも贅沢でいい。
 9438      ネットのデータを並べてそれで終わりの資料が多すぎる。
 9439      ポイントカード一枚でも財布を占領されるのはうっとうしい。
 9440      SNSで他人の生活を見てどうするのか、自分と比べてみるのだろうか。
 9441      学生時代、隣の研究室では自動車の自動運転の研究をしていたが、夢物語かと思っていたが、ある程度実用化している現実に時間の流れを感じる。
 9442      トラウマが多い人生だな、自分は。
 9443      人間は働きすぎてダメになるより、休みすぎてサビつくことの方がずっと多い。
 9444      ネットの中でぐらい自分らしく、人目を気にせず、自由に生きればいいのに、なぜ「見た目」や「見栄え」を気にし、「背伸び」「自慢」「自己顕示欲」の波状攻撃になるのだろうか、不思議・・・。
 9445      人間そう簡単には死なないが、意外と簡単に死ぬこともある。
 9446      科学は何も悪いことをしているわけではない。悪いのはそれを悪用する人間である。
 9447      個人向けのクラウドサービスは金儲けのカモのようなもの。
 9448      ゴールがなくても、続けること自体が目的・ゴールである趣味のような事柄もたくさんある。
 9449      タイムマシンがあったら、過去の自分に「飛べ、飛び込め、ツッコめ、思いっきり後先考えずに!」と言いに行く。
 9450      人はみんな、自分の中に大草原や大海原、そして大宇宙を持っている。
 9451      サイバーの世界は別の人格で自由に生きればいい。
 9452      本やCDを取り込んでデジタル化するのは断捨離ではない。
 9453      未来を信じてできるかできないかわからないものに没頭することができるのがほんとの才能だと思う。
 9454      時々、アルバムを見て、プチタイムトラベルをしてみよう。
 9455      第三者の評価を意識した生き方はしたくない。
 9456      今まで自分は頑張りすぎていたのかもしれない、と最近思うようになってきた。
 9457      毎日何もしていないように思えても、必ず何かをしている。
 9458      後悔するのは「アホなこと」だと思うが、まあでも後悔はたくさんあるよ。
 9459      スペースに入りきらない物は思い切って捨てる。
 9460      ツイッターは自分の好きなことをつぶやけばいいのである。人との関係は必要ない。自己満足でいい。
 9461      まわりの雑音に振り回されていると、幸せを感じることができない。
 9462      ムダ遣いも人生の勉強になる。
 9463      そもそも「時間」なんて、人間の頭で考えだしたものである。ほんとにあるのかもわからないし、必要以上に振り回されなくてもいい。でも便利に使いたい。
 9464      玉は囲うようにして寄せろと言われている。
 9465      空に浮かぶ雲は何を想っているのかなぁ。
 9466      焦らない。無理しない。頑張りすぎない。
 9467      後悔するとするならば、「結果が出るかわからないことに自分をかけることができなかったこと」であろうか。
 9468      たいして親しくもないのに本音で話されても迷惑なだけである。
 9469      頑張ることを放棄した時点で未来はなくなる。
 9470      自分自身のことをどうやって残しておこうか、考えている。
 9471      他人からの悪意のある攻撃はスルーしてかわす。
 9472      水は川から海に流れ出る時に自分が「ゴールにたどり着いた」なんて思っていない。蒸発して雲になり、雨になり、また山から川になって海にそそぐ。
 9473      9801、マッキントッシュ、ワークステーション5550、そしてハンドヘルド、ポケコンなどあらゆるコンピュータとともに時間を費やしてきたが、生きているうちにゴールが見えるのだろうか。
 9474      明日世界が終わるとしたら、何をしようかな。
 9475      雲にはたくさんの種類がある。どの雲も楽しそうである。
 9476      タイムマシン、タイムリープ、タイムトラベルの映画をたくさん観たが、どれも必ず不幸になっている。
 9477      人生は、結局自己満足でいい���じゃないのかなぁ。
 9478      良くも悪くも、結局親の教育に何らかの形で縛られながら生きていくのだなぁと感じる。やっと少し自由になったか。
 9479      急がずに、しかし休まずに前に進もう。
 9480      熱中したことを一つ一つ昇華させることが大切。
 9481    インスタを人に見せるためにやるようになったら注意、自分の好きなものを写し、自己満足のために載せる。
 9482      やっぱり紙と鉛筆が一番信用できる。
 9483      磁気テープ、フロッピー、PD、MO、HDD、USB、SDカード、SSDなど多くのメディアで自分の一部を残してきたが、この状態ではどれ一つとして信用できない。このままでは死ねない。
 9484      一度に片付けようとせず、日々少しずつ「捨て習慣」をつける。
 9485      「迷い」は「やる気」のある証拠。やる気がなければ迷うこともない。
 9486      ポイントカードでどのくらい幸せになれるのだろうか。
 9487      家族との時間は、あまり細かく予定ややることを決めず、おおまかにおおらかに大雑把に…
 9488      勝負は7割がメンタルで、あとの3割が運。
 9489      お気に入りの昔のカセットを聴くと、ミニタイムトラベルができる。
 9490    今自分が生きているということは、人類の歴史の最先端にいるということである。
 9491      大学に通う理由を言えない学生は言えるようになるまで自分の頭で考えなさい。
 9492      接続コードや電源コードなど、種類を乱立させることによってどれだけの命の時間を人々から奪ってきたのか、罪悪である。
 9493      ポーカーとは我慢のゲームである。
 9494      悔やむのは、未来に向かって飛び込むことができなかったこと。
 9495      人間はロボットじゃない。
 9496      自分の生い立ちをあれこれ考えても現状は変わらない。
 9497      政策提言ができないリサーチャーは自己満足でしかない。
 9498      機械は使っていることを意識しなくてもいいぐらいにならなければいけない。
 9499      「どんな自分でいたいのか」「どんな自分になりたいのか」なんて自分にしかわからない。自分でもわからないのかもしれない。
 9500      自分を縛っているのは結局自分なんだ。
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recordsthing · 4 years ago
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限りなく桎梏に近い辛苦
晴ちゃんが酷い目にあうお話。普段と作品の毛色が違うから一応閲覧注意で。 
 決して油断していたわけでも慢心していたわけでもなかった。ただ災害というものは、唐突かつ無作為に起こるものだということを起こってから思い知らされる。たとえそれが人災であったとしても。  今になって思えばその兆候は初めからあったのかもしれない。ランドセルの右側つけている防犯ブザーはキーホルダーなんかも一緒についていて、とっさに右手じゃ触れない。それに、普段から仕事で大人と交流があるせいかそういうことに関して危機感が薄い。明朗快活な性格は裏を返せば無防備であるということだ。 「最近防犯ブザーの誤作動報告が多くてさー、いざという時に大事なんだからそういうことされるの困るよな」 あれは誤作動なんかじゃなくて、防犯ブザーが鳴らされたとしても関心を沸かさないようにするためだ。せめてその話が出たときに言っておくべきだった。いや、そういうことは毎回毎回言っていたはずだ。ただその度にあの眩しい笑顔で、心配しすぎだって!って返されていた覚えがある。 後悔はしてもしきれない。だからこそ、未来のことを考えなければならないとわかっているのにあまりにも深く痛く刻み込まれた傷口が許してくれない。傍観者の自分ですらこれなのに、当人はいったいどれだけの痛みを背負ってしまったのだろう。許されるのであれば、自分が全部肩代わりをしたいのに運命というのはあまりにも無情だ。  深夜の病院の廊下はあまりにも静かだ。手術が終わったのは夕方と夜の間だったはずだが、ずっとここから動けないでいる。目の前の病室は個室用で、新しい表札には「結城 晴」と書かれている。ただただそれを眺め続けて、起きてしまったことがどれ程重いことなのかを実感する。色んなアイドルや関係者が言葉をかけてきたものの、何を言われたかも覚えていない。彼女の家族の怒声と泣き声混じりの声も、彼女と一緒に仕事をしていたアイドルの絞りだす祈りのような言葉すらどうでも良かった。ただ医者の言った言葉だけは覚えている。 「手術は上手くいきました。しかし……受けてしまった傷は身体より精神的なものの方が大きいです。こればっかりはどうしようもありません……」  そんなことはわかってる。わかってるから、わざわざ言わないでくれ。手術が終わって、病室で眠っている様子を確認したが頭や腕に巻かれた包帯があまりにも痛々しくて見ていられなかった。願うことなら、ずっとこのまま眠ってすべてを忘れていてほしい。起きた彼女になんて声をかけていいのか見当もつかないから。  どうにかなりそうな気持ちを抑えたいのか発散したいのかもわからないままでいると、不意に足音が聞こえた。目線だけ足音がする廊下の方に向けると、白い白衣の人物が歩いてくる。一瞬だけここの医者か?と思ったが、こんな時間に巡回する医者などいない。医者でもないのに白衣を着てこんな夜中に来る人物の心当たりなど、一人しかいない。 「……容体は?」  一ノ瀬志希……最初に晴が仕事した相手で、良くも悪くもアイドルとして初めて関係築いた相手ともいえる。しかし、わざわざこんなところに見舞いに来るのは意外だ。自分以外に興味がないタイプだと思っていた。 「頭に七針、腕と足に三針ずつ縫って今は眠ってるよ。ケガ自体はなんとかなるらしいが……」 「わかってる、だからあたしが来たの」 「……?」 「あたしがどうにかするから、邪魔しないで」  こちらが静止する前に、晴のいる病室に入っていってしまった。面会謝絶の札も気にしない彼女は、いつもと違う冷えた表情をしていた。薄暗い廊下で顔は見えなかったのにそう言い切れるのは、彼女の言葉があまりにも冷え切っていたからだ。  いや、それだけじゃない。どうにかするから、という言葉にすがっている自分がいる。できることなら���こんなことが起こる前の結城晴に帰ってきてほしいのだ。ガラにもなく、両手を組んでその場に跪く。  神でも悪魔でもなんでもいい。また彼女の笑顔を見せてくれ。
 第3芸能課の小学生アイドル、結城晴が学校の帰り道に襲われたというニュースは瞬く間に広まった。事件の概要はこうである。学校からの帰り道で、友達と別れて一人になったところを20代後半のスーツの男から話しかけられた。この時に、俺の名刺を取り出せたことで信用を得たらしい。その後は仕事の打ち合わせとかで近くの喫茶店まで案内されたそうだが、途中で遠いから車でどう?と誘われた。そこで怪しいと感づいて逃げたが、待ち伏せしていた別の仲間に取り押さえられた。その後、必死に抵抗した晴は男が服を裂くように用意していたナイフで傷つけられた。ただ、斬りつけられた悲鳴を聞いた通行人に発見され、男たちは晴を置いて逃走したとのことだ。通行人は誤解されることか拘束されることが嫌だったのか、警察と救急車だけ呼んでどこか行ってしまったらしい。現場にかけつけた警察から話を聞いたが、服はズタズタにされ、出血した個所を抑えながら小さく震えていたとのことだった。アイドルが襲われたというこれ以上ない事件にマスコミや報道は好き勝手に囃し立て、事務所のアイドルや家族に強引な取材を行っている。数少ない救いなのが、この騒動を晴が知らないということと病院までは騒がしくないことだ。  ただ、今の自分にはそんなことは二の次三の次だった。夜が明けて朝になって昼過ぎになっても、一向に志希は病室から出てこない。防音になっているせいか、何をしゃべっているのかも聞き取れない。  もうすぐ医者か看護士がくるぞ……、と思った直後に病室のドアが開いた。そこには疲弊しきった一ノ瀬志希と病院患者用の青いガウンを着た結城晴が立っていた。 「よお、プロデューサー……って死にそうな顔してるぞ!?大丈夫か!?」 「あ、ああ……いや、俺のことはいいんだ。晴……お前、その……」 「オレ?いや、どうもここ数日の記憶がなくってさ……志希が言うには交通事故に巻き込まれて気絶してたって……」  志希に目線を移すと、小さく頷いている。口裏を合わせろということだろう。 「そう、だが……大丈夫か?本当に?」 「心配かけて悪かったって、でもすぐ退院してアイドル活動とサッカー活動すっから楽しみにしとけよ!」  握手をしようと晴が手を伸ばしてくる。良かった、本当に良かった。これでまた元通りの日常が帰ってくるんだ。眩しい笑顔はいつもの晴だ。晴からさし伸ばされた手を掴もうとこちらも手を伸ばした。しかし、その手は握り返されることなく、晴は小さな悲鳴と共にドアの裏側まで引っ込んだ。 「あ、あれ?おかしいな……なんか怖くて、調子悪いのかな……悪ぃ、もう一回寝る」  そのままそそくさとベッドまで戻っていってしまった。志希が後ろ手にドアを閉めたのを確認して問い詰める。 「どういうことだよ……」 「どうもこうも、あれが限界。なんとか事件の記憶は無くせたけど、身体が辛いことを覚えちゃってるんだろうね」 「なんとかならない……のか?」  俺が手を伸ばして拒否をしたものの、志希の側にはいた。無自覚な男性恐怖症とでも言うのだろうか。それならアイドル活動もサッカー活動も絶望的だ。 「無理じゃないけど、記憶を消すのって相当重いことなの。これ以上やったら大事な記憶が消えて、晴ちゃんの人格すら危ういかもしれない」 「なんで、そんなっ……!」  わかってる。これだけでも充分ありがたいことだって。完璧なことなんてありはしないって。それでも、一瞬だけ見えた光明がすぐに塗りつぶされるのはきついものがある。 「……あたしはもう疲れちゃったから帰るけど、アフターケアは任せるよ。もし事件のこと思い出したら、今度こそどうなるかわかんないから」 「ああ、……ありがとう」  志希は人にぶつかりそうになりながらもふらふらと廊下を進んでいった。何をしていたのかはわからないけど不眠不休でここまで晴のことを回復させてくれた彼女には感謝の気持ちしかわかない。  今の自分には晴のためにできることがある。それがどれだけ嬉しいだろう。この先どうすればいいかを考えながら、一度事務所に戻って相談することにした。
 
 あれから二か月が過ぎた。世間の関心もその頃にはすっかり収まって、対応に追われることはなくなった。ただ、晴の男性恐怖症はどんどん酷くなっていった。本人からの強い希望で、サッカークラブへの復帰は一時中断しているものの、アイドル活動は続けてくれることになっていた。しかし、レッスンはまだしも営業は身体が震えて出来ないし、ライブも歌い終わると視線を意識してしまいその場に蹲ってしまう。 「大丈夫……大丈夫なのに、なんだよこれ……」  そう呟く言葉が痛々しすぎて、聞いていられなかった。何度も止めるように説得したが、原因がわかんないからやるしかないだろ!と言われたら言えることがなくなってしまう。  晴は今家族と離れて暮らして女子寮にいる。男所帯の家族ですら拒否反応が起こってしまうらしい。それを考えると、もし晴がここでアイドル活動をやめてしまったら、なにが彼女の支えになるんだろうか。彼女の世間との繋がりは全く何もなくなってしまう。しかし、このまま無理して活動を続けさせるとこうなってしまった原因を思い出すのは時間の問題だ。  どうしたものか、と一緒に事務所の廊下を晴と歩いていると……いや、3メートルも離れている状況を一緒に言っていいのだろうか。それはそうとして、反対側から歩いてきたアイドルはあの時晴のことを助けてくれた一ノ瀬志希だった。 「……どう?」 「どうもなにも、ずっと酷くなってる」 「そう、じゃああたしに任せて」  俺の横を通り過ぎて、晴を抱え上げる。お姫様だっこのような体勢でそのまま歩いて去ろうとする。 「どこに行くんだ?」 「どこか遠いところ、晴ちゃんが落ち着くまでね」 「待てよ!そんな身勝手が……」 「許される。だって、あたし以外にこれ以上任せておけないから」  その言葉はあまりにも響いた。色々サポートしたとはいえ、結局誰も一ノ瀬志希以上の成果を挙げられた人なんていない。この俺も含めて。誰よりも結城晴を救った彼女を、一体誰が止められるというのだろう。二人が去っていくのを、歩き方を忘れたかのようにその場で立ち尽くすしかなかった。
 あたしはなんにもなくて退屈な地元に戻ってきた。二度と戻ってくることはないと思っていたけど、ここより静かで優しい場所を他に知らなかった。実家はとっくの昔に売り払ってしまったため、旅館とホテルを転々としながら二人で住める場所を探している。  できるだけ静かな場所がいいかな、と思って探してはみるけどやはり何かと不便で結局山奥の静かな旅館で今日も気ままに過ごしている。二人ともアイドルを止めちゃったから、仕方なしに新しい論文を書いたりアイデアや特許を提供したりして収入を得ている。 「なあ、志希」 「な~に?」 「サッカーしたい……」 「ん♪これが終わるまで待っててね~」  ノートパソコンで実験の依頼するメールを素早く打ち込んで畳む。晴ちゃんからの要望であれば、何があっても優先するのが一緒に暮らすために決めた自分なりの最低限のルールだ。  旅館から外に出ると、歩いて五分で公園にたどり着く。公園といっても遊具もなければトイレもない。ただただ芝生が広がってるだけの土地だ。そのお陰か人が全然いなくて、二人でこうやって遊ぶにはちょうどいいのだけれども。  サッカーなんてほとんどやってこなかったけど、晴ちゃんとやってるうちに上達してしまって今ではすっかりあたしが教える側だ。晴ちゃんは悔しそうにしてたけど、PK戦でわざと負けてあげるとすぐ機嫌が直るのがかわいいところだ。  一通り遊んだ後は、旅館に戻って一緒に部屋の温泉につかる。最初はあたしが晴ちゃんの頭や身体を洗おうとしたらすっごい恥ずかしそうにしてたけど、今では頭を洗う時は任せてくれるようになった。……身体は未だに抵抗されてしまうけど。  お風呂でさっぱりした後は、一緒のベッドにはいってなんでもない会話をする。この生活をしてからというものの、一日が酷く長く感じられる。晴ちゃんといられるから決してつまんないわけじゃないんだけど。 「なあ、志希」 「うん?」 「どうしてこんなにオレに優しくしてくれるんだ?今のオレはもうアイドルじゃないし、二度と一緒のステージには立てないのに……」 「……モノは壊れるから美しい。でも、壊れない美の方が、当然、上なわけ」 「だったら!」 「そう思ってたんだけどね、晴ちゃんの美しさがまた見たいと思っちゃった。それっぽく言うなら生きる理由……人生賭けてもいいくらい証明したい実験なの。だから気に病まなくていいよっ♪」 「そっか、じゃあ一緒だな!オレも志希が生きる理由だからさ!」  そう答えてくれることはなによりも嬉しいのだけれど、同時に罪悪感もわいてくる。はたして自分は本当に晴ちゃんが元通りになってほしいと思っているのだろうか。今のような生活がずっと続いても構わない自分を、少しも否定することができない。両手で包み込める温かさを捨ててしまうことなどできないから。  返事の代わりに触れるだけの優しいキスをする。それと同時に翼をもがれた天使と一緒の鳥籠はこんなにも心地いいものなのか、と思ってしまう。
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ari0921 · 7 years ago
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スリーパーセルホイホイに、どんどん引っかかるね。インテリジェンスの世界じゃ至極当然の事、何でアメリカにはCIAが存在するのかな?イギリスのMI6とか、モサドとかの存在する意味は? そもそも日本の公安の捜査方法は対象者を泳がせる方法が用いられる。 例えば監視対象の人間がいたら、その人間を泳がして、 その人間がどこへ行き、誰に会うかを把握すること そうして監視対象者の背後関係を探る そもそも公安は、捜査して逮捕するのは本業ではなく、 日本の国家・国体に危険を及ぼすような組織や人物を把握し監視すること 監視対象者を逮捕してしまうと、 関係する人物や背後の組織が地下に潜ったりしてしまう恐れがあるため、 微罪程度では逮捕することはないです。 ・根拠不明な「スリーパーセル」  さる2018年2月11日に放送された『ワイドナショー』における国際政治学者・三浦瑠麗氏発言が物議を醸している。番組放送中に、三浦氏が「スリーパーセル」と称される北朝鮮の暗殺部隊(工作員)が、日本の大都市部、特に大阪に潜んでいる、と断定したものである。番組中の詳細な発言は以下の通り。 (前略)・・・(三浦)実際に戦争が始まったら、テロリストが仮に金正恩さんが殺されても、スリーパーセルといわれて、もう指導者が死んだ、っていうのが分かったら、一切外部との連絡を絶って、都市で動き始める、スリーパーセルというのが活動される、活動すると言われている。 (同席者)普段眠っている、その暗殺部隊みたいのが・・・ (三浦)テロリスト分子がいるわけです。それがソウルでも、東京でも、勿論大阪でも。いま結構大阪がヤバいって言われていて。 (同席者)潜んでいるって事ですか? (三浦)潜んでます。というのは、あの、いざというときにその最後のバックアップですよ。そうしたら首都を攻撃するよりかは、正直他の大都市が狙われる可能性もあるので。東京じゃないからという風に安心はできない。というのがあるので、正直我々としては核だろうがなんだろうが戦争して欲しくないですよアメリカと。 出典:ワイドナショー(2018/2/11、強調筆者)  北朝鮮の特殊工作員が常に日本の大都市部に潜んでいて、有事の際には事前の想定通り、独自に日本で破壊活動を行う・・・というある種の観念は、小泉訪朝に揺れた、ゼロ年代中盤におけるネット右翼の典型的対北朝鮮工作員観をトレースしたモノで、これを私は「工作員妄想」と名付けている。  小泉政権下、電撃的な二度の小泉訪朝と拉致被害者の部分帰国は、その報道の過程において北朝鮮工作員が拉致被害者を主に日本海沿岸の各県の海岸等から連れ去ったことが明らかになり、世論は身近な日常の中で北朝鮮工作員が存在し、跳梁跋扈して拉致事件を起こしたことに驚愕した。そして実際、「5人生存8人死亡」等の北当局の一方的な発表に、多くの日本人が憤慨したことは記憶に新しい。  1970年代から80年代にかけて、続発した謎の失踪事件と北朝鮮工作員との関わりについて、日本の公安当局は早い段階から一部でその相関を予測していたと言うが、実際に北朝鮮工作員による拉致事件の全容が明るみになり、政治課題として俎上にあがったのはずっと後になってからのことである。  それ故、高度に訓練された北朝鮮の工作員が、現在でも日本の大都市部に潜伏している、というイメージが醸成されていることは間違いが無い。これが「工作員妄想」の遠因である。 ・進歩する公安の監視能力  しかし、日本の公安当局も手をこまねいているわけでは無く、拉致問題が大きく取り上げられるようになって以降、北の工作員や朝鮮総連とその関係者への監視の目を大幅に強化している。試しに、公安調査庁が発表した「内外情勢の回顧と展望」(平29年、最新)では、”金正恩党委員長への忠誠強化と組織の活性化に取り組む朝鮮総聯”と題して、 (前略)・・・基層組織の活性化に力を入れ,3 月には,平成 29 年(2017 年)3 月までの 1 年間にわたり,支部組織の強化や「民族教育」活動の強化などを通じて支部活動の活性化を図る集中運動「支部競争」を開始した。この間,「60 日集中戦」(5~7月),「100日集中戦」(7~11 月)に相次いで取り組み,11 月には,朝鮮大学校(東京都小平市)に活動家らを集めて「分会代表者大会」を開催し,活動が活発な分会を表彰するなど,支部・分会活動への一層の取組を督励した。 出典:内外情勢の回顧と展望(平29年)  など朝鮮総連内部の詳しい動きに逐一目を光らせている。とすると、「ソウル、東京、特に大阪がヤバイ」と三浦氏が断定したスリーパーセルなる特殊工作員の存在も、国際政治学者たる三浦氏が公の場で堂々と発言する位の水準で知っているのだから当然、公安の報告書の中にさらなる詳細記事があると思うのが妥当だが、公安当局による報告書の中には「スリーパーセル」なる特殊工作員や活動家の記述は一切存在していない。  三浦氏の番組放送後のブログ記事によると、この「スリーパーセル」なる北の特殊工作員は、主に英国のタブロイド紙の報道を根拠としているとしているが、くだんの元記事では「大阪」という地名は一切登場しない。そもそも、英国のタブロイド紙が世界に向けて発信しているほど、「スリーパーセル」なる存在が既知であるなら、目下我が公安警察がただの一行も言及しないのは不自然の極みである。この「スリーパーセル」なる北の特殊工作員が韓国や日本に潜んでいると断定する三浦氏の発言は、根拠の無い「工作員妄想」の一種と言わざるを得ないのでは無いか。  現下、我が公安当局によって厳しく監視対象にされている朝鮮総連やその活動家が、公安のあずかり知らぬところで別途、三浦氏にだけその存在が知られている「スリーパーセル」を見逃しているとしたら大問題であるし、また同時に我が公安警察の調査能力をあまりにも軽視している自虐的発想である。  公安警察は拉致事件を未然に防げなかった反省を踏まえて、日々北の動向に警戒監視の目を光らせているのであり、人口稠密な東京や大阪で、「指導者の死亡時に自動的に決起する特殊工作員」が公安警察や所轄の目を盗んで、現在大量に存在していると考えるのはいささか妄想的である。まして「特に大阪」と指摘した理由も、くだんの三浦氏の記述では「第二都市だから」と述べるにとどまり、根拠が無く意味不明である。 ・大阪蔑視の萌芽見ゆ  日本第二の都市は、正確に言うと人口では横浜市になるが、些末なことは良しとしても、なぜ「スリーパーセル」などという実在があやふやな北の特殊工作員が大阪に「潜んでいる」と三浦氏は断定したのだろうか。その背景には、大阪という土地に対する隠せざる偏見が存在しているように私には思える。  大阪は日本最大の日雇い労働者の街「あいりん地区」を有し、在日コリアンが多く住む街として知られる。実際、逃亡を要する犯罪者が、「あいりん」の雑踏の中に一時隠れていたことは事実(リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件における市橋達也受刑者)であり、大阪最大のコリアンタウンである鶴橋を擁する同市生野区等に、在日コリアンのコミュニティが古くから形成されていることは事実である。  このような大阪=猥雑・雑多なイメージが、「犯罪者や工作員が隠れるに都合が良い街」というイメージを形成したのであろう。ネット世論の一部には、「大韓民国」を文字って「大阪民国」などと揶揄する向きがゼロ年代から頑強に存在し、こうした大阪のイメージが、「い��大阪がヤバイ」という観念の下地になったことは疑いようも無い。 ・過去のものとなった大阪イメージ  しかしながら、これは大阪外から勝手に大阪のイメージを逞しくした妄想の一種であり、実際に大阪は犯罪者や工作員が隠れるのに適した無法地帯、警察権力の空白地帯では当然無い。  なぜなら前述あいりん地区も、違法物品の販売などに所轄署が目を光らせているからであり、度重なる暴動に対し、大阪府警が最も注視している重点地域のひとつだからである。大阪において、まるで警察権力の空白地帯が刹那現出したのは、1980年代くらいまでであり、21世紀に入ってそのような兆候は明らかに減衰している。 「指導者の死亡時に自動的に決起する特殊工作員」が公安警察や所轄の目を盗んで、大阪に大量に存在しているというのは、可住地人口で東京よりも密度稠密であり、また高額な保証金が要求され、賃貸物件の初期入居ハードルが高い大阪に存在する合理的整合性が無い。  では僻地ではどうなのかと言えば、実際に昨年、北海道の無人島・松前小島で窃盗を働いた北朝鮮人民が存在したように、むしろ日本のような太平洋ベルトにその人口が密集している国家では、その可能性は高いと言わざるを得ない。それでも我が公安、警察の目を欺いて、「スリーパーセル」などという特殊工作員が今やおそしと、その決起を待っているというのは考えづらい。  地方であればあるほど外部からの闖入者に排外的で、不審者はすぐに通報を受けるのは自明である。欧米のように、多種多様な人種があらゆる地域に流動している国家と日本とでは、テロリストの潜伏に関する根本条件がそもそも違っている。 ・不可解な官憲不信  北朝鮮の工作員は、かつてこの国に存在し、日本人拉致という非道な犯罪を働いた。そして、その残滓は現在でも小なり、存在すると思われる。だが、それに対応する警察力、公安の調査力もかつてに比べれば格段に向上した。  何のために安倍内閣が通信傍受法やテロ等準備罪を成立させたのだろうか。政権が、テロリストに対抗する法整備を行うたびに、「国内における北への包囲網は盤石になり、朝鮮総連は瀕死の情勢である」と血気盛んに言うのに、片方では警察と公安の目をすり抜けて「スリーパーセル」が潜伏しているという。  日本の警察は世界で最も優秀、現場は頑張っている、と称揚する割に、肝心なときには我が公安や警察の実行力を信用していない。この逆転心理は、誠に不可思議である。三浦氏のテロに対する危機意識の惹起は、一般論として正しいだろうが、もっと官憲や政府の「良い意味」での努力に信頼を置いてはどうだろうか。
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judachigeiju · 7 years ago
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二〇〇八年の断片集
これは二〇〇八年の断片を集めたもの。二十三歳から二十四歳の記録。二〇〇九年の断片集もある。
七月
何も読まない人は幸いだ。
眼鏡をかけないとほとんどの女性は美人に見える。
金持ちも貧乏人も、感じられる幸せの容量は同じだ。
長く話す人は思慮が無く、短く話す人は愚鈍である。
法律が増えれば増えるほど犯罪は増える。
男は学問をしないと莫迦になる。女は学問をすると莫迦になる。
真面目に生きようとすればするほど不真面目に生きざるをえなくなる。不真面目に生きようとすれば人は自然と真面目になる。
八月
同期の女の子たちが下宿に来たとき、大きな蜘蛛を見つけ、「早くやっつけなきゃ」と言った。でも私は殺さなかった。全ての命は尊い。だからこそ、それを奪うには快楽を求める心が必要だ。恨みや嫌悪感や投げやりな心で命を奪ってはならない。それが命への礼である。
駅前に昼飯を食べに行って戻る途中で中学生くらいの見知らぬ少女に「こんにちは」と挨拶をされて、私は「おっーす」と返事をした。よく日焼けしてぽっちゃりとした女の子だった。記憶にない。
女性の先輩職員。良く言えば女性的、悪く言えば女性的。
大いなる誤算。知的障害児に興味はあったし、今でも興味はある。しかしそれは文学的な興味であって療育への興味ではない。
もし私が心から愛する女性がいるとすれば千人の男に抱かれた十四歳。
人生は無為だ。日本全土を巡る放浪の旅をするか、インドネシアに移住するか。
日々の生活に倦怠を感じたら何かを創作して形に残す。物語でも、絵画でも、音楽でも。それが子供である必要はない。
もっと野菜を食べよう
電車内での痴漢がなぜ罰せられるのかというと、痴漢は数百円から数千円で買うべき「服の上からの臀部の愛撫」や「下半身への性器の擦りつけ」などといった行為を無銭で楽しもうとしたからだ。すなわち痴漢は窃盗と同じ種の犯罪である。同じ理由で強姦も強盗と同じ種の犯罪であろう。
もし誰かが他の人に「あなたの好きなタイプは何?」と質問した場合、質問者は、回答者が異性のあるタイプ(イデア)を追求するために異性とつき合うもののだと予め規定してしまっている。実際には様々な異性の違いを楽しむために異性とつき合う人がいるというのに。そういう人間にとって「好きなタイプ」を定めてしまうことは無意味で味気のない行為だ。例えば私が「好きなタイプは?」と聞かれて「双子」と答えるのも双子の微妙な違いが好きだからに他ならない。
聞いた話によれば博多は結婚適齢期の独身女性が同年代の男性より多く、若い女性にとっての激戦区だという。或いは独身志向が強いのか。
男は、彼自身に興味のある女を賢いと思い、彼自身ではなく他の男に興味のある女を愚かだと見なす。だから全ての女を愚かだと断定する男は、どの女にも好かれていない、と思い込んでいるのだ。
私は他人の肉体を物質としか見なせない。例えば美女の肉体は何か貴重な物質であり、臭い男の肉体は何か臭い物質である。舌、唇、鼻、耳朶、乳首、陰唇、いずれの他人の肉片も博物館に保管されてしまう。
もし婚約者が元娼婦であっても結婚を完遂できる原動力が真実の愛だとしたら、私は純潔の処女ですら愛さない。
私は思う。仕事が嫌であればあるほど休暇の浮遊感は大きくなる。これは余暇を楽しむ為だけに労働している私にとって、都合の良いことではないか。まとまった休みが定期的にとれて、しかもその余暇が楽しいとしたらこれほど私に合っている仕事は無いんじゃなかろうか、と。
久しぶりに共感できる主人公トマーシュを見出すことができた。彼のように軽く生きたい、その軽さに耐えられないくらいまでに。
どんな社会体制であろうと、それが大勢の人間が集う社会という形式をとる限り、それに馴染めない人間が必ず存在する。そんな人間がとりうる手段は二つ。浮遊するか、絶望するか。あらゆる革命と変革は彼らとは無関係に為されている。
多く��若手経営者は織田信長を崇拝するが、そのうちほとんどの経営者は信長的人物を社員として採用しない。
職場の上司であるA係長は「結婚相手は妥協で選ぶな」と言うが、彼は自分が妥協で選ばれたかもしれない可能性を全く考慮していない凄い奴だ。
文学は少年期の私をどうしようもなく破滅せしめ、青年期においてどん底より救いたもうた。
女性と一緒の職場で、かなり動く仕事なので、よく乳房を触る。私は謝らない、気付かないふりをする。女性が「すいません」と謝ると惚けた顔をして軽く会釈を返す。
娼婦を尊敬できない男はあらゆる女を尊敬できない。
理想の老後。自営業か自由業で京都近郊に住む。東京近郊に、離婚した最初の妻との間に作った娘が夫と住んでいる。一年に一回だけ、娘を訪れる。私は彼女の子供たちから「京都のおじちゃん」と呼ばれ不思議がられている。というのも彼らにとっては三人目の祖父だから。週に一度、五條楽園に赴く。月に一度、長旅に出る。読書は欠かさない。
子供が欲しい、と私が思うときに浮かぶ光景は、一ヶ月に一度、裁判所が許可した時間だけ、まだ幼い娘か息子とレストランで会食し、帰り際にすぐ飽きられることが分かっている玩具を贈る場面。娘であればベッドに並んで忘れ去られる熊のぬいぐるみ。「何であのおじちゃんは熊さんのぬいぐるみばっかりくれるの?」小学生に上がったら絵本にしようかな。
もし私に、成人して未だに童貞の息子がいれば、かつてボルヘスの父がしたように、売春宿へ息子を送ろう。そんな理想の家庭を思い浮かべる。
恥骨が痛い。
美女や美少女をよく見かける街は美人が多いのではない。女性が街を歩いても安全な街なのだ。
人間が知覚できる事象はこの世界の極僅かなことに過ぎない。感覚が鋭敏であればあるほど、その人の知覚世界はより色彩に溢れ音楽に満ちて起伏に富み揺らぎ歪み傾いでいる。現代人が霊的存在について余り語らないのは、現代生活が感覚を鈍くさせているからだ。しかし火はいつまでも物質の揺らぎ、すなわちこの知覚世界の裏側に干渉し続けている。人よ、火を燃やせ、世界を超越せよ。
既に自分が正気と呼ばれるものを喪い、狂気の領域にあることを、数年前から薄々と気付いている。
職場での私は人生の裏を生き、休暇中での私は人生の表を生きる。
私は女性と議論をしない。いくら言葉を交換しても、お互いの思想と志向の違いを再認識するだけだからだ。そしてその段階に至った場合、私はその違いを知ることに興味が持てない。だから私は言う「女性と交換すべきは言葉ではなく、体液のみ」
今一番やりたいこと、中学生のときからの夢。どこからか女児を捕獲してきて、押し入れの中で飼育、調教し、優れた女性に育て上げること。
人間存在の悲劇を噛み締めた。
九月
福祉業は風俗業と同じで、水のような商売である。仕事の結果は形にならずに流れていき、客の記憶の中にだけ残るのだ。
新入社員の陥り易い思想的誤りは、自分に上司を殺害する権利があると思い込むこと。
法律で私の体を罰することができても、私の魂までは罰することができない。
今の仕事を続けるくらいなら、一九四五年四月初頭に大ベルリン防衛地域司令官に任命された方がましだ。
給料とは、働いたがために心を蝕むようになった苦しみと失った幾らかの正気の代償として労働者が得る金銭のこと、サラリー。
子宮のない女性は男性にとって「性の試験管」である。
中絶禁止も同性愛禁止も獣姦禁止も自慰禁止も旧約聖書創世記第三十八章第九節でのオナンの行為に対する第十節での主の怒りに由来する。しかし、人類はもう子種の浪費を許されるほどに殖えたのではないだろうか?
放浪の旅に出たい。
白地で絵は描かない。すべて黒地の上に描く。
若いときの苦労と快楽は買ってでもせよ。
もし私と結婚して離婚を言い出さない女がいたら、私は彼女の理性を疑う。
「今朝は強姦したかい?」が朝の挨拶代わりになるような都市。その都市でそう挨拶されたのなら私は快活に答えよう「ああ、今朝は女児を二人だけだ」
男根のない男性は女性にとって「お払い箱」だ。
中学生のころはサド侯爵の書く小説の倒錯的な場面を読んでよく興奮したものだが、今読み返してみて、その哲学的記述には感心するが、倒錯性は何も感じなくなってしまった。すなわち、勃たないのだ。
三日に一度は射精しないと健康に悪いそうだ。
女性に懸案事項の説明を請われて私が説明すると、大抵の女性は「私さんは私のせいにした」と非難する。単に私は事実を述べただけなのに女性に内在する被害妄想癖が私を卑怯者に仕立て上げるのだ。ゆえに私は説く「女性と交換すべきは言葉ではなく、体液のみ」
生理痛による発言ならしょうがない。
早稲田大学に通っていたころの記憶が、今は全くない。
私の働くK学園では誕生会と称してその月の誕生者を祝い、誕生カードを送る。先輩職員方はカードに百文字くらいの感動的な文章を綴る。けれど私は、文字は「おたんじょうびおめでとう」と名前くらいで、あとは動物の絵を大きく描く。先輩職員はそれを見て「文字が少なすぎる」と注意する。おかしい。園生は文字が読めないか読めても読み辛い人が殆どなのに、文字を多く書くのは保護者向けに書いているからだ。なんだかんだ偉そうなことを言ったって職員連中は知的障害者のことを考えていないのだ。
産まれるまで気づかなかった。生きることがこんなに大変だったなんて。
少しまともな知能を持っていれば理解できると思うが、この福祉社会は健常者と障害者にとっては生きやすいけれど、その中間に生きる半端者にとってはまことに生きにくい。
放浪に備えて知能指数七十前後の話し方を習得しなければならない。そうすれば同情や施しを得やすくなるだろう。
人の性格はその人の祖先の生業から遺伝を受けると考える。私の祖先は今昔物語にも載せられた鈴鹿峠の山賊であった。すなはち略奪・狩猟・採集・漂泊を生業とする山の民だ。福祉職なんて性分ではない、放浪者こそ最もふさわしい。
職場で大事なことは飲み会や余暇活動などで自分の味方を増やすことであり、それは私が最も苦手とすることだ。むしろ得意とするのは敵を増やすこと。
職場の人間がみな緑色の眼で私を見ている。奴等はまともな人間じゃない。
もしこの学園の職員のまま死んだら、悔やんでも悔やみきれない。
A係長に「やめちまえ!」と罵られたのだから今すぐ辞めても構わないだろう。むしろ辞めた方が有難く思われるはずだ。邪魔な奴がいなくなったと。
「すごい着想力ですね」と言うところを「すごい着床力ですね」と言ってしまった。
失踪を決意した次の日の職場の奴等はなんだか心優しい。
看護婦さんの注射が上手くて、少しも痛くなかった。
心を鬼とせよ。奴等は飢えた猛獣だ。おまえの臀肉を狙っている。
失踪して、日本中の山々を彷徨する。歩兵第三十一聯隊の福島泰蔵大尉が私の師匠だ。
人類は幼形成熟であり全て人類は成形(天使形態)に変態する寸前で死ぬ、という幻想。天使の蝶
地球を覆う現代文明という代物は、依存症ないしは文学的な意味での依存から成立している。
全ての人類が物質的依存から解放され流浪の旅に出た瞬間、現代文明は衰退し、文化とほとんど差の無い放浪文明が萌芽する。
私にとって「衰退」は悪い意味を持たない。なぜなら「進化」と「退化」は「変化」の類義語という認識しか持ちえないからだ。
だって進歩と退歩のどっちがいいかなんて誰にも分からないだろ?
K学園では、遅番勤務上がりの二十二時からミーティングが開かれる。クラスミーティングは三人の担任で開かれ、係長ミーティングは三担任に係長を加えて開かれる。留守録によれば、昨夜ミーティングがあったらしい。でも私はそのことを知らされておらず、その時には疲れ果てて自宅で寝ていた。これが昨今の事態の本質である。同じクラスの先輩職員は新人の私に満足な情報を与えず、それでいて私が「ちゃんとやっていない」と罵るのだ。先輩職員は「分からないことは聞かないとこちらも教えることができません」という態度だが、超能力者でもない私にはいつミーティングが開かれるかなんて知るよしもない。
どいつもこいつも腐りきっている。
九月十五日、新宿駅で下野国住人エーリク氏(「沈黙のソネット」)と出会い、神保町で昼飯を食べて東京駅で別れた。思考する脳と発話する舌の���違の甚だしさが一つの人格を形造る。
たったそのことを理解するだけでこんなにも親しみが湧くというのに。
必ず連絡しよう。
判断を中止してください。理解しようとして下さい。
ひとつの職場やサークルや組織に長くいるということは、陰口を叩かれる人から陰口を叩く人になるということだ。
管理職とは判断しなければならない職務だ。部下の人格さえも、誤解とともに。
仕事をすると人生が色褪せて見える。
曉の空は美しい。夜が怒りと悲しみに溢れていたからこそ
おまえは妊娠したての子宮に夫以外の陰茎を突き立てられて、なんとも思わないのか?
青年は旅の人。道連れは記憶だけ。
映画「Into The Wild」を観た。すなわち「Into The Mind」だった。
新宿を歩く人々は本来の美しさを失っている。
十月
現代文明世界はアリストテレス的人間観の上に立脚している。故に、私のようにポリス的動物であることを捨てて放浪し無宿、社会常識に則った思考は不可能であるために言語的思考のみを行うことで価値の変造をもくろむ「獣」はやがて排除される。
ただし、ディオゲネス的世界市民主義が台頭するのであれば話は変わってくる。
資本主義の豚どもよ、犬となれ!
犬どもよ、広場で自慰をせよ。
本当にエコを実現したいのであれば、冷蔵庫も車もクーラーもあらゆる文明機器を捨ててディオゲネスのように生きればよい。それ以外のエコは全て偽者のエコだ。
真実のエコは全人類の穏やかなる自殺である。
たぶん、文明機器を捨てた現代人は、亡命先で奴隷マネスに逃げられたディオゲネスのようになるだろう。
「おかしな話だよ、マネスのほうはディオゲネスなしにも生きていけるが、ディオゲネスのほうはマネスなしでは生きていけないだろうとすれば」
文明社会とは人間をひたすらに脆弱な動物にさせる機構だ。もう二度と野生には戻れないほどに。ここでは人間はひたすらにちっぽけになるだけだ。
青年よ、常に己の中の獣を調教しておけ。そしていざという時には牙を剥き、爪を立てて、おまえを侮辱した奴らに目にモノを見せてやれ。
かつて大学時代に海驢という女に言い寄られた季節のことだ。ふと私の中に「あの女に会いたい」という感情が起こった。その感情を確かめるために、私は自慰をした。すると面倒くさくなって余りその女に会いたくなくなった。私は重ねてもう一度自慰をした。すると全く会いたくなくなった。二、三日して袋に種が満ちると再び私の中に「会いたい」という感情が芽生えた。ゆえに私は結論付けた。恋愛とは性欲の文学的表現に過ぎないと。
私と彼女とは違う地平に立つ人間であった。前者は「人間の地平」に立ち、恋愛は蔑ろにしても人間は尊んだ。一方、後者は「恋愛の地平」に立ち、人間は蔑ろにしても恋愛は尊んだ。そのため後者は私にメールで別離を告げた上に自意識過剰な主張を何度も送りつけて来た。彼女流の恋愛観ではそれが至極正しく、真っ当なことのように思えたのだろう。それに対し前者はあくまでも人間としての防衛線を保つことしかできなかった。
彼女は自分の精神的あるいは肉体的欲求を充たすためだけに私を利用したにすぎなかった。そのために「恋愛」という文法を用いた。それに対し、私は人間であるという前提の上に立っていた。ゆえに二つの歯車が歯をあわせることはなかった。
『百年の孤独』のブエンディーア一族は愛なくして繁殖した。一族の最後の者は叔母と甥の近親相姦によって産まれたためにその呪いとして豚のしっぽを持って産まれ、蟻のむさぼるところとなった。しかし百年に及ぶ一族の歴史の中で「豚のしっぽ」は初めて愛によって産まれた子供であった。
『百年の孤独』は単行本を三冊買い、合わせて六回読んだ。私が長編小説をここまで繰り返して読んだのは他に例のないことだ。
琉球美人は琥珀色の肌、引き締まった細い肢体と小顔を特徴とするけれど、秋田美人は朱を散らした色白の肌、ふくよかな肉体と顎先を集約点として突き出た面長を特徴とする。
選びがたく、悩ましい。
一夫一妻婚という制度の発明は多くの人間を罪人とした。つまり、一夫一妻婚という制度を継続する限り、社会は姦淫罪を量産せざるをえないのである。
法律の数だけ、罪がある。
あらゆる家庭の災厄は、一夫一妻婚が生んだ。
一夫一妻婚が形作る「家庭」は、ある種の子供たちにとっての牢獄である。
私にとっても、「家庭」は牢獄だった。
ディオゲネスは人間をよく理解していた。ゆえに彼は結婚を否定した。そして、彼は女性の共有と当然の結論としての子どもの共有を主張した。
女が産んだ赤ん坊の父親が誰か、なんてことはどうでもいいじゃないか。
私は沖縄から奄美に至る航路で、仰向けに寝ながら「死の恐怖」を超越した。超越したとき、肩から背中にかけて熱いモノが走った。目からは涙が溢れ、こめかみを濡らした。
そのとき、私は一度、死んだのである。
「死の恐怖」は小学二年生の私を捕え、十五年に及び、私の心を鷲掴みにして離さなかった。それは常に無感覚への恐怖、偉大なる世界が消滅することへの恐怖であった。
死によって他人が私を忘却するとか、そういったことは恐れなかった。「死への恐怖」はきわめて個人的な問題であった。
死後に感覚があるのならば、人間はその新しい感覚で永遠を生きるだろう。もし、死後に感覚がないのならば、死は何ら思い悩むことではない。マルクス・アウレリウス・アントニヌスの思想の私なりの解釈である。
「死への恐怖」は克服した。しかし、私はまだ完全に「死」んだわけではない。
今までは常に捕われてきた人生だった。これからはこちらが捕える人生である。
蟹田駅で特急に乗り、青函トンネルを通って木古内駅で降りた。すると、もう電車がなかった。しょうがないので駅近くの公民館の前で野宿をした。二十三時に寝て五時に起きた。小雨が降っていて、寒かった。吐く息が白い。
北海道では寝袋の下にアルミシートを敷いて大地に体温を奪われるのを防がないと危険だ。今の寝袋は零下十度まで快眠、零下二十度まで生存できるそうだが、零下二十度でも快眠できるようにしたい。
『闇の左手』の、アイとエストラーベンの氷原越えを復習しよう。
北海道の面積はオーストリーより広く、北海道の人口五六〇万人はデンマークより多く、道内総生産額GDP約二十兆円はマレーシアやチェコよりも大きい。また、道内の陸上兵力は三万七千人でベルギー・ポルトガル・南アフリカ。キューバの陸軍と同規模である。そして道内だけの食料自給率は二百パーセントに届こうとしている。
北海道は数値上では充分に一国として独立できる。独立後の国名はもちろん「アイヌモシリ」、人間の大地。
私は、その大地を歩く。
さすがに放浪する資金に先が見えたので札幌市南区澄川にアパートを借りた。
まだ鍵をもらえない夜に、不動産会社の女性社員が自宅に泊めてくれた。北海道の人はやたらと親切だ。
ちなみに私は女性社員宅で、晩飯を食べてから朝までいびき一つかかずに熟睡していたようだ。
どうやら寝言の癖は治ったらしい。
PHSを買った。
もし宇宙の果てまで行けるという宇宙船があるのならば、地球上で想定しうるあらゆる幸福を諦めてでも、私は宇宙飛行士になる。
そして、私の死体は永遠に宇宙をさまようだろう。
ある人が言っていた「全ての女性は男でふさがっており、あぶれた男は彼女たちの体が空くのを待っている」という感覚を今日、はじめて味わった。
那覇の人と札幌の人は語尾に「さー」をつける。なぜ?
ちなみに私は一日の大半を欲情して過ごし、半日は半勃し、四分の一は勃起している。というのも私の神経はズタズタになっていて、脳が異常なまでに興奮物質を分泌するからだ。
物理的に、私は「狂人」である。ゆえに小学4年生の私を「気が違っている」と評したあの女性教諭は正しかったのだ。
まず買わなくてはいけないのは掃除機、それと便座カバー。
尊大な解釈だが、中学生の私は自分のことを「桁外れの出力で凍結してしまった電算機」に喩えていた。今ならさしずめ「お祓い箱」と喩える。
大した運動もしないのに疲れやすい人というのは、たいてい脳内で体力はおろか生命力さえも過剰消費しているものだ。
ハローワークで調べたところ、私の適職は技能職か芸術家だという。
北海道のスーパーでは玉ねぎとじゃがいもがそれぞれ一個十円で買える。食うのには困らなそうだ。
中古パソコンを買った。ネットを繋げば、さぁさ始まる楽しくも愉快なNEET生活。
野菜を凍らせないために冷蔵庫を買った。
近所の澄川若草公園のベンチに男子高生��腰掛け、女子高生が前から枝垂れかかり、野合していた。北海道はおおらかだ。
夕方になると近所でやたらと陸自将校を見る。昨日は将校さんがスピードくじを買っていた。
今、私の中で福満しげゆきが熱い。
『コレラの時代の愛』を手に取った途端に涙が溢れてきた。さすがガルシア・マルケスである。本を持つ者にも訴えかける。ましてや読む者へは。
宇宙の最果てを超え、宇宙化以前空間の有り様を地球に報告する使命を帯びた超光速航宙船「エスペラント」
推進機関は決まっている。原子力だ。
はてさて、膨張しているという宇宙の辺涯はどのようになっているのだろう?
乗組員は地球に未練のなくなった七人の若者、日本国から二十八歳、タンザニア人男性二十五歳、イスラエル人男性二十三歳、フランス人女性二十七歳、インドネシア人女性二十五歳、ペルー人女性二十二歳、国籍不明少女十九歳���それと修理用ロボット三台。
航宙船の大きさ、全長二四〇メートル、幅三〇メートル。乗組員は訓練により、航宙船を自力で組み立てることが可能である。
船内には恒星熱で駆動する五つの栽培室、三つの畜産室、三つの水槽室があり、その他にも食料加工機が装備されている。船内で半永久的な食料生産が可能である。
凍眠室では肉体を凍結することで老化を遅らせることが出来る。しかし完全に止めることはできない。
この銀河は今、宇宙のどのあたりを漂っているのだろう?
船内の娯楽は様々で、読書・運動・遊戯・音楽・絵画など地球上でできることはほぼ船内でできる。
これは娯楽というより使命に近いが、性交が七日おきに違う相手と行われる。ただし自分の遺伝子を継承した異性とは性交しない。
宇宙化以前空間についての報告書をまとめるのは私の何世代か後の子孫になるだろう。
図書室には地球人類の叡智の集約である五十万冊が書籍と電子文書とで保管されている。
本の記述言語も船内共通語も人工言語である。
乗組員は医療知識を身に付けており、簡単な外科手術なら執刀可能である。また薬剤、輸血用血液も完備されている。
酸素は栽培室や庭園内の植物で生成される。水は使用後に循環、濾過、消毒される。糞尿は堆肥となり栽培室に回される。
トイレ、洗濯、洗浄では水を一切使わない。
航宙船は地球に帰還することはない。可能であれば宇宙化以前世界で居住惑星を見つける。
もし、宇宙膨張説が誤りで、宇宙に果てなどなかったとしたら、彼らの人生の意味とは?
いずれにせよ彼らも他の死者と同じように忘れさられるだけだ。
甜菜の糖度は水に浮かべて量る。
もし私が四十年後、人生について語るとすれば、「人生は語りえないこと」と「人生を語るのは恥さらし以外の何物でもないこと」を語るだろう。
大朋めがね、最高。
よく映画などで「この街に知り合いは誰もいない」なんて主人公が出てくるけれど、今の私がそれだ。
「マシニスト」はけっこう凄い映画。
昼下がりの真駒内公園は心地好いが、日が翳ると寒い。
カレーはインド人にとっての味噌汁である。
私の安アパートの一階には若い女が二人の幼女と住んでいる。1Rに女三人、そして幼女のうちの一人は養護学校に通っている。見たところ知的障害ではない、身体的な障害だと思う。
私は酒を飲まないし、酒が嫌いだけれど、時々飲みたくなる酒がある。一つは黄酒、もう一つはサングリア。そして大抵すぐ飽きる。
ローマ帝国時代は葡萄酒を水割りしないで飲むことは下品なことだった。
葡萄酒一に対し蜜柑果汁を三か四の比率で混ぜ、小さく切ったバナナを入れて冷蔵庫で冷やして飲む。これが我流サングリア。底に残ったバナナが一番おいしい。
日本の宗教、寺院や神社が信仰を失った理由は落ち着いて座れる場を市民に提供しなかったからだ。私もそうだが、現代の若者で休日に仏前や神前の座敷へ行き、無料で何時間も座っていられる者は何人いるだろうか?
ポテトチップスを食べながら歩いていたら四羽の烏が数キロメートルも私の跡をつけてきて、途中で烏同士の縄張り争いが始まった。ブランコに乗った女児が、烏の襲撃から走って逃げる私を見て笑っていた。
まだ仕事が決まらない。やはり職業適性診断システムの通り、「工」のつく職業を目指した方がいいのだろうか?
そうだ。私は稼業に生き甲斐は求めないのだから、工場の歯車になることに悔いはない 。
そういえば、小学生のころの放課後は主に炬燵で横になってテレビを見ていた。学校生活で甚だしく疲労していたのだ。
人と向き合う仕事ではどうしても甚だしく疲労せざるをえない。
近所から藻岩山が見えるけれど、どうやらそこで初雪が観測されたらしい。もう札幌は冬だ。
こんな自堕落な生活がいつまで続くのだろう?
「命の続く限りだ」
日能研札幌が私に試練を与えた。小学五年生のテキストを使って模擬授業をして、出来が良ければ私を雇うというのだ。
真冬日の存在にびびり、紅衛兵が被るような帽子と電気ストーブを買った。
夜間の水抜きは十二月から始めよう。
札幌市中央図書館へ行く。蔵書は充分ではないものの悪くはない。
岩明均は古代ギリシャ世界に主題を置いている。塩野七生は中世イタリアが主題だった。赤羊は十九世紀のヨーロッパに主眼を置いているという。私も時代と地域を特定した主題があるといいなぁと思っているけれど特に思い浮かばない。
まぁ私には「帝国」という物語世界があるし。
敢えて言うなら、二十世紀エスペラント運動に携わった奇特人を取り上げると面白そうだ。
母の私への愛情が、一般の母子愛のようなものではなく、所謂「共依存」の一方通行であるならば、これまでの二十四年弱を説明しやすくなる。
十一月
戦争がなくて女性を共有できて食べる物に困らず各成人に満足な住居が割り当てられ、言論と思想と信教の自由がそこそこあり、働けば働いた分だけ暮らすのに困らない給料を貰えて老後は年金が保証され、学費と医療費が無料の国。それが私の政治的目的だ。
つまり空想的社会主義。
それと人類人主義だか世界市民主義だかよく分けられない個人のあり方が私の基幹思想だ。
よって、ここに「空想的社会主義人類人党」を掲げる!
政権交代は選挙によるもの、そして政体の転換は民主的な投票によるものが好ましい。
思想を根拠とした暴力と殺害は厳しく禁止する。
キリスト教的異性独占行為である結婚制を廃止し、十八歳以上の労働者あるいは学生である男女が抽選で定められた相手と三日毎に共同交配所で生殖行為をする交配制を敷く。妊娠から出産までは人類人政府が完全に支援し、交配に因って誕生した父親不明の子どもたちは人類人政府が「人類の子どもたち」(filoj de homaro)として十八歳まで養育する。ただし母親は六歳まで自分の子どもを育てる権利を有する。もちろん義務ではないので育児放棄も可能だ。
同性愛者は「特殊交配所」を利用できる。
「人類の子どもたち」への教育は「人類人主義」(homaranismo)と「性欲の賛美」に基づいて行われる。
資本主義的異性寡占行為である恋愛の宣伝行為や過剰な恋愛賛美は個人的な趣味と芸術的表現以外ではこれを制限する。
いかなる場所であっても人類人は抽選で定められた相手以外の人類人との性交を禁止される。十三歳以上十八歳未満同士の性交、及び十三歳以上十八歳未満の「人類の子どもたち」と人類人との性交は性欲の解消と自己存在の確立のための行為としてこれを許可する。
すべての人類人は共同食堂を有する共同住宅が付与され、その見返りとして都市部では共同職場、近郊部では共同工場、農村部では共同農場にて労働する義務がある。
労働には対価として報酬と七十歳以降(もしくは退労勧告後)の年金が共通通貨ステーロ(stelo)で、そして交配する権利が与えられる。労働者及び退労者は医療費が無料である。
十八歳で全ての「人類の子どもたち」は人類人となる。人類人になった次の一月から、人類人は希望とそれまでの学校成績、そして試験を考慮した上で各種大学校に入学できる。そこで四年間、学問或いは職業訓練などに励む。学費は無償。もちろん、大学校に通わずそのまま労働者となる選択もある。
共同住宅での居住が困難な各種障害者は共同食堂を有する共同施設に入所でき、施設付属の工場や農場での労働を行うことによって労働者と同じく報酬と年金を得ることができる。もちろん交配する権利も与えられ、その対象は障害の程度により共同施設内の異性と施設外の異性とに分けられる。
刑務所では付属の工場や農場で労働している者に限り報酬と年金、そして刑務所内の異性と交配する権利が与えられる。
共同交配所は感染症の恐れがない限り、病院の患者も利用できる。
全ての「人類の子どもたち」はエスペラントを国際補助語として学ぶ。また全ての「人類の子どもたち」は各人の母語によって教育される権利を有し、母語による教師のいない学科は国際補助語エスペラントで教育される。第一外国語、第二外国語以下の外国語は個人の選択によって決定される。
共同住宅は一棟につき三十~五十戸(三十人から五十人)を収容し、共同住宅が十棟前後集まって一つの島を形成する。そして島が幾つか集まって区が形成され、区が幾つか集まって行政単位として、都市部の市、近郊部の町、農村部の村が形成される。区が設けられない場合もある。共同交配所は島単位で運営される。
人類人政府が統治する領域内で、島から島への移動は自由である。すなわち「空想的社会主義人類人共和国、日本群島」東京市世田谷区第三粕谷島第五棟第二十三号から「空想的社会主義人類人共和国、パリ盆地」パリ市第三区第十八島第一棟第十二号への移住は共同住宅の空きさえあれば誰でも可能である。必要なのは法律的処理と引越し作業だけだ。
移住先での行政サービスは母語で行われる。不可能な場合はエスペラントが用いられる。そのため人類人政府が統治する領域であれば善き人類人はどの共和国のどの島へ行っても行政サービスの内容を理解することができる。またどの人類人政府でも共通通貨ステーロ(stelo)が用いられているので、身元証明書と共通通貨を携帯していれば人類人はどの人類人政府へも簡単に旅行することができる。
死ぬと遺体は共同墓地に葬られる。遺産は全て人類人政府が没収し、家財道具は再利用される。
地球があますことなく全て空想的社会主義人類人共和国によって統治されたとき、(自己主張が激しく自意識過剰な反体制者どもは未だに音楽やテロで抵抗しているのだろうが)現生人類は己の種族の性欲の激しさに驚くことだろう。
複十字健診センターで肺のレントゲン写真を撮った。
私は中一から中三までツベルクリン反応は全て陰性で、そのためにひどく膿の出る注射を六回射った。
体育祭の度に注射されたところが膿んでぐちゅぐちゅになるので、体育祭の練習は嫌いだった。
それほど嫌な思いをしたのに、結核にかかっていたら笑える。
子規も啄木も同じ鳥のことを表す漢字だ。その鳥の口の中は赤い。
まるで結核患者の吐血のように。
札幌の地下鉄には網棚がない。
私は幼稚園に年中組から入った。そして最初の登園日に幼稚園のおもちゃを家に持って帰った。もちろん私に悪気はない。誰も「持って帰っちゃダメ」とは言わなくて、家でもそのおもちゃで遊びたかったから持って帰ったのだ。
私はそういう子どもだったし、今も多分にそういう人間だ。これを我が儘と呼ぶのは勝手だが、私は自身を「暗黙の了解のわからない人種」だと解釈している。
悪いのは「暗くて黙っているのになぜか了解している人種」だ。黙っていないで話せばいいのに。
シャルル・フーリエの『四運動の理論』を読み始めた。愉快だ。
十二月
買ってあったのに神聖なるアスパラガスを食べ忘れていたため、尿が臭い。
北海道の靴底は内地と違うらしい。
鶏の心臓と肝臓が半額だったので臓物カレーを作った。まずかったし、臓物である必要性がなかった。
半月弱だけ働いた九月分の給料が六万円だけ振り込まれていた。時給制の契約社員だから当然だが、奇特なことよ。
それでドミノピザを頼んだら、配達員が茶髪で小柄で猫を連想させる女の子、アキモトさんだった。お釣りを数える指先のたどたどしさがバイト経験の薄さを物語っている。思わず「ゆっくりでいいよ」「ご苦労様」などと優しい声をかけてしまった。
これが逆の立場であれば、私はアキモトさんの食べるであろうピッツァの上に己の白濁精子をバタァの如く振りかけたであろうに。
水商売とは「やったことが形に残らず水のように流れていく商売・仕事」の意である。
「福祉業は水商売なんです」と某知的障害児施設の幹部が言っていた。
かつて医師であった渡辺淳一が小説家になると決めたとき、母に「そんな水商売はやめなさい」と言われたという。
しかしよく考えれば、小説家の仕事は文章という形で残される。もし医師が医学研究を行わなければ、接客業である医師の方こそ水商売である。
水商売と非水商売のと境界は生産物の永続性や仕事の複数性について思考せざるをえず、曖昧である。ゆえに水商売の定義は難しく、渡辺淳一の例のように単なる負の意味を持つ言葉としてしか使われていない。
第三次産業はそもそも水商売である。
映画「レッドクリフ」を観た。「赤壁」に非ず。
九月までハリウッドのアクション映画だろうと私が思っていたのは事実だ。
蜀三将が強すぎて、かつ格好良すぎる。
官渡の戦いと赤壁の戦いは三国志の二大盛り場だけれど、まだ三国鼎立はなっていないんだよね。小学生のころは赤壁の戦い時の情勢がよくわかっていなかった。
中村師童(甘寧)が頑張っていた。
八卦陣には身震いがした。
規制が入って乳房は映せない。
前半は戦闘と外交の連続で、主線の通っていない名場面の羅列映画、すなわち駄作かな?と思ったけれど、お茶の場面で一本の線がすうっと引かれた。
赤壁の戦いは三国志版トロイ戦争だったのだ。
趙薇(尚香)の演技が浮いている。喜劇向きだな。
一番良かった場面は、次回の予告。次の主題は火と風だ。
この映画を観たあとの私なら一騎当千である。
滑舌が余りよくないので「公序良俗」と言おうとすると「公女凌辱」となってしまう。
ネットに繋がっていないパソコンはただのゲーム機だ。
電話窓口「私さまは、テレビの地上デジタル移行への対策はどのようになさっておいででしょうか?」 、私「テレビを買わないようにしています」
夜の狸小路は面白い。
まだ二十代も前半なのに、新しいことを始めるのにさえ「腰が重い」とは。
負けたいと願う心は知りたいと願う心である。
小麦は米より必須アミノ酸の量が格段に少ないので、パンだけで必要な栄養を摂るのは難しく、どうしても肉が必要になるのだ。
逆に言えば米は必須アミノ酸を多く含むので、一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べただけで栄養は充分なのだ。
日本人女性が段々と痩せ形になったのは食事の洋風化のお蔭なのだ。
中古冷蔵庫のホース接続部から水が漏れるので調べたら、ゴムが弱くなっていた。仕方ないのでヨドバシカメラで四七二円の替えを買って付け直した。
じゃがいもを四つに切ってサランラップでくるみ、七五〇Wで三分チン。それにマヨネーズと青海苔をかけたものを小腹がすいたら食べている。二キログラムを一九八円とかで売るのが悪い。
札幌の良いところ。東急ハンズとハローワークとブックオフとヨドバシカメラとアニメイトととらのあなとメロンブックスと紀伊國屋書店とドンキホーテとダイソーがお互い歩いて行ける距離にあること。(毎日一巡している)なのに人通りが渋谷や秋葉原よりも少ないこと。
そういえば、私が高校二年生のときはアニメイトとメロンブックスは狸小路の雑居ビルの二階にあったような気がする。
時計台はいつ見てもしょぼい。でも旧北海道庁は素晴らしい。
奄美大島もそうだったけれど母娘や母子をよく見掛ける。
朝起きて、今朝は特にしばれるさーと思ったら、粉雪が降ってたさー。
藻岩山の山頂付近に雪が積もっていた。風が吹くと���膚に刃を当てたように冷たい。
昼になると雪の粒が大きくなって降りしきる。この分だと積もりそう。藻岩山が見えなくなった。
昼過ぎにはまた粉雪に戻った。
ローマ教会は一二八二年に全シチリア島民を破門したことがある。
ガブリエル・ガルシア・マルケスの登場人物は名を替えてあちこちにいる。
ガブリエル・ガルシア・マルケスはノーベル賞受賞講演中に、スペイン語文法の単純化と文法規則の人間化、そして正字法の撤廃を訴えた。
今日、たい焼きを食い逃げした女の子に体当たりされたような感覚を味わった。
国際補助語エスペラントを図書館で借りた入門テキストで復習している。新たな発見もあり奥深い。 ベネズエラの正式名称は「ベネズエラ・ボリバル共和国」である。
将来日本で福祉戦争が起こる。福祉をする側(貧困層)と福祉をされる側(富裕層)の間の闘争だ。
大学二年生のころ、札幌市北区出身の友人が「そのゼミの先輩の彼女は風俗嬢なんだよ」と馬鹿にしたように言っていた。確か業種はヘルスだったと思う。
私はしかし生粋の文学青年であったので、その先輩は「本物の愛とは何かを知る男」だと感心したものだった。
世に云う恋愛には三種ある。一に肉体的征服感、二に精神的連携、三に依存。いずれも正しい。
女性や青年はこれら三種に序列をつけたがるが、本能より出る感情ではない。
もし恋人が風俗嬢の場合、肉体的征服感を主とする者は悶え苦しみ、精神的連携を主とする者は仕事を応援し、依存する者は依存し続けるだろう。
江戸時代、豪商や文人は吉原の高級娼婦を正妻に身請けしたし、仏蘭西にも『椿姫』という高級娼婦との恋愛を描いた小説がある。
何も人生は女性のために生きるのではなく、自分自身のために生きるのだから先進的な近代人たちはあまり妻の過去や職業にこだわらなかったのだ。
ましてや現代人をば。
札幌で諸兄が遊ぶとしたら薄野ではなく、南六条東三丁目の交差点を豊平橋の方へ行って右手にある二つの会館はどうだろう。
少なくともその豊平川沿いの会館群は十九時くらいから薄野の風俗店が閉まる〇時以降も午前三時まで営業している。脱法営業だからだ。今日までなら行くことはないけれど、明日の幕開けとともに始まった空白の三時間でなら行く価値はある。
カネマツ会館と五条東会館とあり、黄色地の看板で飾ってあるのですぐ分かる。共に二階建平屋風となっていて中には小さな飲み屋が軒を連ねている。
坂口安吾は高校生のときに読んで挫折したが、さもありなん。小僧っ子にはわからんさ。
手に職じゃないけれど前の住居からアクリルガッシュを持ってきたのでアクリル画を再開した。
私は全て絵画は部屋の装飾のために描かれると信じ、絵画による自己表現というものを信用していない。
掛軸はそもそも飾るものであるし、ルネッサンス期のアトリエでは壁画を製作していた。
絵画は装飾品であるからこそ芸術であり、美術なのだ。
私の部屋には本棚がなく、また買わない予定であるから、寂しい白壁が広く空いているのだ。
街のあちこちに水色の函がおかれ、滑り止めの砂が満載だ。冬支度である。
これは「常に凡ゆる断片」
私の現在の研修生という立場は気楽だ。職場へ行く義務はない、しかし職場へ行って研修するとただ呆っと座っていただけでも給料が出る。七時間いれば日給は一万を超すが残念なことに交通費は出ない。
結局、履歴書を出して面接したところ、全てに受かっていた。
大学五年間で一度も病院にかからなかったし、四、五年生のときは特に無病息災だった。それは生活が閉塞的であったからだ。しかし小学生どもと触れ合う職場ではいつ伝染されるか怖くて堪らない。
結核ではないことを証明しなければならない。
ミニシアター系の映画は気取った芸術学生や頭の悪い女子大生が「こんな映画を観る自分っておしゃれ!」と観るものと相場が決まっているが、私も観る。今日はシアターキノで「敵こそ、我が友」を観た。
私はフランス人気質でフランス映画がよく合うので、フランス映画を多く上映するシアターキノは選ぶ苦労がない。
政治はえげつない。民主制であろうが、独裁制であろうが国家が人間の集合体である限り、醜い。
クラウス・バルビーは残忍な性格だったろう。しかし悪だったのだろうか? 悪とはきっと温和な性格をしていると思う。
風呂に入らないまでも足だけでもお湯に浸らせるだけで眠り心地が全然違う。
北海道では小学生でも棒を「ぼっこ」、唐揚げを「ざんぎ」と言う。
電車を「汽車」と言うのは分かる。というのは汽車と呼んでいた時代と今とで利便はほぼ同じだし、電車は山手線や京王線こそが呼ばれるに相応しい。
職場を二十一時に出発し歩いて自宅まで帰ると一時間半でつく。もちろん手袋、帽子(フード)、マフラーは必要だが。
「かたわ少女」という障害者の女の子を攻略するゲームが海外で製作中らしい。
しかし知的障害児が登場しないのが残念だ。白痴少女は萌えるのに。
男は女が弱い立場にあるときだけ、女を守ろうとするし、大切にして真剣に愛そうとする。
それは彼女たちが「この人がいないとこの先自分を愛してくれる男が現れないかもしれない」と不安に思っていることを男が知っているからだ。
男は女が自分より弱い位置に立っていないと安心できない。
というのは男は、一度男を知った女は男なしではいられないこと、そして女は常に男を乗り換える機会を伺っていることを知っているからだ。
女にとって男は靴と同じである。足裏は一度靴になれると直接地面を踏む痛さには耐えられないし、履き古した靴は履き替えたいと思うだろう。あるいはまだ新しくても見栄のために違う靴を物色したりする。それにサイズが大き過ぎてもダメだし、小さ過ぎてもダメだ。
だから、賢明な男は、いわゆるまともで競争相手のいそうな女は遊び感覚でしかつきあわないのだ。
つまり、障害を持つ少女或いは女性というのは現代社会では稀に見る「愛され女」なのだ。
死は恐れるに足らず。人間は死なない。なぜなら死ねば人間ではなくなるから。
怒るな、褒めよ。大事なことはチンパンジーが教えてくれる。
日本の大衆文化が幼稚なのは、大衆文化を形成するための大衆、つまり充分に余暇のある人々が生徒と学生に限られていて、成熟した大人は仕事に追われて忙しく文化どころじゃないからだ。
すると数の論理で中学生、高校生、専門学校生や女子大生に受けの良い番組、音楽、小説、漫画があたかも日本中の注目を浴びているかのように見える。或いは情報媒体がそう見させている。
いわゆる恋愛主義が社会を支配する主流思想に思えるのはそういった中学生や高校生の未熟さや幼稚さが大衆文化の前線を陣どっているからだ。
少しでも文化に興味のある人であれば仕事に就いて余暇を奪われることを恐れるだろう。そして無職への風当たりの強さに怯むのと同時に大衆文化の幼稚化を憎まなければならない。
まともな大衆文化を形成するには充分な数の大人が充分な量の余暇を持つ必要がある。そうやって数の論理で生徒・学生文化を日本大衆文化の一分野へと押し戻していかなければならない。
恋愛主義を一派閥へと駆逐し、男女の関係を“人間の地平”に立脚するものにしなければならない。
とりあえず私はキノカフェでフランス映画を観て、市立図書館で坂口安吾と旧共産圏とラテンアメリカの文学を読もう。
皇帝、国王、大統領は偉大で、豪華な外見をしていなければならない。たとえ黒革金銀細工の財布の中身が空であっても。
職場を出ると粉雪。
十一月二十日の札幌市内における最高気温、零度以下。
つまり真冬日。
そして、朝起きると人生でかつて経験したことのないような積雪。
水抜きしないと水道管が凍る。
起床時の室温、三度。
湯たんぽを購入。
氷雪上を歩くため、靴にスパイクをつけた。
そんな晩に狸小路で演奏している音楽愛好家がいる。
零下三度の札幌で、私は豊平川沿いを自宅まで歩き、やっと帰宅する。
帰宅時の室温、一度。
私を雇った職場が入っているビルに北海道で一番有名な政治家が所属する個人政党の本部がある。
だから今日は政治の話をしよう。
狸小路で日本共産党のDVDをもらった。
それはまさに志位書記長のファン・ディスクだったが、つらつらと全編を鑑賞してしまった。
あやうく共産党のファンになりそうだった。しんぶん赤旗日曜版を���期購読して、日本共産党に入党しそうになった。
旧共産圏を生きた人の小説を読むと、共産主義もそれほど悪くはないと思えてくる。
悪いのは共産主義じゃなくて独裁的な指導者と我が儘で自己主張の激しい反体制者だけだ。
けれど、そもそも私は人間集団が嫌いなんだ。
だからどこかの政党に入ることはまずしない。
それに大学時代に身近に見てきた「共産党」は醜悪だったし、第一に私はデモとか行進とかの集団行動が嫌いなんだ。団結しようとするのは現実から逃げているからだ。
もっとやり方がスマートなら、話を聞いてくれるかもしれないのに。やり方が顕示的で、目的へと努力する前から諦念が感じられる。まるで知的障害児や駄々っ子のようだ。
つまり私は共産主義には興味があるが、共産党はあまり好ましく思っていない。
しかし一国を動かすためには何かしらの政治学を学ばねばならない。大学の政治学部に入学するか既存政党に入るか、独学で習得するか?
よし、独学しよう。そして政党は私が自ら創ればいい!
大学四年生の夏、就職活動を諦めたときから生きている感覚に乏しくなってきたんだ。だんだんと。
早口でまくしたてる人は苦手だ。いや、人ではなくて早口が苦手で、早口で喋られると泣きたくなる。特に女性に多い。
早口な人と吃っている人のどちらを選べと言われたら間違いなく吃っている人を選ぶ。
早口な女性は別に頭の回転が速いのではない。なぜなら思考によって、ではなく記憶と憶測だけで話すからだ。
つまり早口の女性は言葉を持たない。彼女たちは壊れかけたテープレコーダーに過ぎないのだ。
職を探す度に共産主義を羨望する。
自動的に職は与えられて然るべきだと思う。
働く時間というのは私にとって死の時間である。
なぜ己の死を自分で探さねばならない?
私は常に余暇か副業が生きている時間なのだ。
これは逃げ、なのか? 或いはそういう生き方なのか?
「辞めさせた、或いは辞めた職場は労働者の次の仕事を見つける義務がある」という法律を作って欲しい。
逃げられた職場も。
「よく働こう」とするのではなく「よく生きよう」とする者にとって資本主義は残酷だ。
ニートさんとかフリーターさんを問題視する人は、まず面接で若者を見捨てる人を問題視した方がいいよ。とブックオフとパン屋チェーンのアルバイト面接に落ちた私が言う。やっぱり大学時代のバイトと同じ業種しか雇ってくれないのか? なんだ、この職業カースト制は?
私だって美味しいパンを作って主婦層や職業婦人からモてはやされたいのに。
生きているのかなぁ、本当に? 自分。
佐賀県からこの一週間、このブログへのアクセスがなかった。
その程度の教養レベルか!佐賀県の教育委員長は職務怠慢により死刑!
或いは佐賀県にパソコンは無いのか?
中学生のころ、スナッフビデオは都市伝説だと聞いて、「ならば自分たちで作ればいいんじゃないか」と思った。
抑圧された子供は、一人暮らしをすればできるかもしれないことを妄想するものだが、私の場合、その全てが犯罪がらみだった。
さて、私はこの見知らぬ百五十万都市で市民記者に登録した。
仕事における電話の秘訣は、相手に電話したことを後悔させないことだ。
空想的社会主義者の食卓。【切り餅(磯辺か餡)三個と納豆】【玄米フレーク五十グラムに牛乳かけ】【蒸し馬鈴薯と野菜スープ】【インスタント麺と蒸し馬鈴薯】【御飯と魚介缶詰と味噌汁】【ピザトースト二枚と野菜スープ】【カレーライス】【食パン二枚と目玉焼き】
空想的社会主義者の食事への心得。粗食、同一性保持、昼食は朝食と夕食のつなぎ。
空想的社会主義者の主要飲料は【牛乳】で、【野菜ジュース】や【珈琲】や【茶】は嗜好品として飲む。牛乳を多く飲む日は必ず納豆などの大豆食品を食べるべきである。
空想的社会主義者の栄養補給剤は【エビオス錠】である。
これは決まりではないが、豚肉と鰭や鱗のない魚は食べない。肉製品と乳製品を一緒に食べない。血を食べるのはダメ。
イスラエル国歌「ハティクヴァ」は物哀しい。
ラーメン! フライングスパゲッティモンスター。
実家にいたころは飽食気味で、私はやや肥満だった。
母は愛情を食事でしか表現できない人だったからだ。
学園時代はよく食べた。しかしよく戦ったので痩せた。
今は粗食で痩せた。
今日、昨日、一昨日は図書館(徒歩五分)とスーパーマーケット(徒歩三分)に行く他はずっとパソコンの前で過ごした。
おかげでウンコが硬い。
二ちゃんねる系のサイトに今更ながらはまっている。
もう仕事とかどうでもいいや。面接とかで人間性試されるの嫌いだし。
ほら、お外は怖いし。寒いし。
いつの間にか雪降ってるし。
火��に土地でも買って移り住もうかな?
やれやれ
人間は今でこそ呼吸し、食べ、排泄し、寝て、思考している。
しかし数年後か数十年後には思考は消え去り、記憶もなくなるだろう。
私はもしかしたら今までの人生の四倍の時間を生きるかもしれない。しかし決して五倍は生きないだろう。
思考と記憶の消滅、それを人は「死」と呼ぶ。
症例はいくつもあるにも関わらず「死」の問題は医学によっては解決されていない。ただ宗教だけがこれを信仰により解決させようとしている。
人はこう思うだろう。なぜ必ず「死」ぬ人間に思考が与えられたのか?と。思考さえなければ「死」を思い悩むことはなかったのに、と。
私はこう考える。誰かがこう仕組んだのだ「人間よ、その『死』とやらについて思考せよ」と。
で、私は考えた。人間は「死」ぬ、ゆえに有限だ。しかし人間の集合体である人類は半永久的に存在する。この違いに意味が存在する。
人間が「死」ぬのはなぜか?それは人類全体に更新を与えるためだ。つまり個人の人生というのは人類という種族全体の繁栄のためにある。
恐竜は失敗した。しかしあの時代にはあの形態が最適だった。今の時代は人類の形態が最適である。しかしいつ人類の絶滅が訪れるかわからない。
個人やある人間集団の私欲のために人類が犠牲になるとしたら、死んでいった人類はもとよりその個人やその人間集団の人生も無駄になる。なぜなら彼らは人生を無駄なことに使ったからだ。或いはそれも人類の試行錯誤なのか?
ゆえに私は結論付けた。人間の人生を活かすには常に自身のためではなく人類のために生きよ、と。私の宗教的信条でもある。
私が二〇〇七年二月に生み出した「人類意志こそ神」という真理は今もゆるぎない。
その結論ゆえに私は人類人主義と世界市民主義を支持する。
世界連邦を唱えるバハイ教はある意味では正しい。世界中心都市論と世界政府論を除いては。
ゆえに私は「宗教団体に所属しているか?」に関しては無宗教だが、「信仰を持つか?」については有信仰だ。
人類全体へのゆるぎない信仰。
警察犯処罰令第一条第三号「一定の住居または生業なくして諸方に徘徊する者は、三十日未満の拘留に処せられる」。私、危なかったなぁ。
ちなみに昨日は十五時すぎでマイナス三度だった。気温がプラスになることはなかった。
フードか帽子を被らないと顔が凍る。
キブツの子供は母親と離れて暮らす生活を強いられるので就学前は夜尿や指しゃぶりなどの情緒的未発達が見られる。
しかし子供の家での十八年間に及ぶ集団生活を経て、青年期になると非神経症ともいうべき環境適応能力と高い社会奉仕意欲を示すという。
人口の十%にも満たないキブツの人がイスラエルを率い、パレスチナ人どもから国を守ってきたと言っても過言ではない。
キブツはどこかスパルタと似ている。
母親の愛にくるまれてすくすく育ち、教育を終えて社会に出る際に新しい環境に適応できず引きこもりになったり神経症を患ったりする日本とは正反対である。
また家族という、気の違った両親の作る牢獄に囚われることなく、子供は成長することが出来る。そのことの、なんという幸福。
キブツ制度が全く善くて素晴らしいと賞賛するわけではないが、日本人はキブツなどの社会主義制度を少しは見習うべきだよ。
なぜ働けるし、働く意志のある人間が働けないのだ?労働力の余剰をどうして解決しようとしないのか?
ギリシャ的な暴動を起こしたいさね。ヘルメット、鉄パイプ、ナイフ、クロスボウ、火炎瓶を装備してさ。戦うんだ。
見えない何かと。
そのために私は筋トレを欠かさない。
正しい太り方をしよう。正しく太った人は美しい。
正しく太った人は、間違って痩せた人より美しい。
皆さんも親になれば分かると思うが、愚かな親は「子供は家庭にさえいれば良く育つ」と信じ、施設に預けられた子供を見ると「可哀想に!」なぞと言う。
これは親の傲慢であり、怠慢だ。
ある種の家庭に産まれた子供にとって、家庭とは牢獄に過ぎない。
悪しき家庭は普通の施設にさえ劣る。
もちろん、部下に怒鳴りつける上司がいるような施設は失格である。やたら怒鳴りつける父親がいるような家庭が失敗であるように。
家庭は人生の不条理の始まりである。結婚がそうであるように。
不倫の���在は結婚制度の不完全さと失敗を裏付けている。
なぜ男性は一人のやがては醜く老いる女性と共に生きねばならず、女性は一人の頑固で我が儘な男性に肉体を支配されなければならないのだ?
ならば結婚制度をなくし、複数の男性と複数の女性が乱交する交配を制度化すればいい。
そして交配を道徳とする。
これで家庭は消滅し、家庭起源の不幸も消え去る。
女性と子供を家庭という牢獄から解放しなければならない。
これはおいしいぞ
不満があるなら耐えてはならない。叫ばなければ、心弱き者はいつまでも弱いままだ。
INTER LUPOJ KRIU LUPE!
祖父の最初の記憶は航空機である。私は祖父の住む福岡まで航空機で遊びに行った。
両親の結婚式のときに某Hグループのエレベーター専門子会社の社長に就任したと聞くから、その時は既に退職していたのだろう。
それから祖父は奈良の西大寺に引っ越した。奈良での記憶はあまりにも大きい。
遊園地へ車で行く途中で私が寝てしまい、目覚めたら祖父宅の前だった。
祖父は三重県の山奥の出身で、憲兵として猿田彦神社を守っていたら終戦になったという。
カメラ好きで本好きだった。本好きは私まで遺伝したが、カメラ好きは父までの遺伝で止まってしまった。
最近、腰を痛めて歩行困難になったので東京区内に引っ越した。
父から連絡があり、今から急遽、私はAIRDO二十便で羽田空港へ向かう。
明日を迎えるかどうかは、分からないという。
こんなに揺れた飛行はチュニス・カルタゴ空港からシャルル・ド・ゴール空港への飛行以来だ。
連絡から二時間半で私はすでに機上の人だったため、荷物が近所徒歩五分の図書館へ行く際と同じ量である。
東京は雨が降っていることもあるけれど蒸し暑い。
この三ヶ月で私は巨大大陸辺縁にある弧状群島の知床から那覇までを一往復分移動したことになる。
私は行動する直前にはその行動について考えない。そのために行動に躊躇はない。
そのせいで今まで様々な困難があったけれど、今回は良かったのかもしれない。
考えてみれば祖父は昨日で八十四歳である。私があと四日で二十四歳であるように。
まだまだ十分とは言えないが神々に文句はつけられない年齢だ。
容態は少し落ち着いたようだが、まだ危ないらしい。
十二月六日に、大阪の釜ヶ崎で暴動事件が起こっていたという。引き金をひいたのは暴力的で犯罪的な西成警察署による労働者への暴行事件だった。
「連れて行かれた西成署の三階の個室で、四人の刑事に代わる代わる顔を殴られ、紐で首を締められ、足蹴りされ、挙句の果てに両足持たれて逆さ釣りにされた。気が遠くなると、スプレーをかけられたと言う。生活保護を打ち切ると脅かされて、その店に近づかないという始末書まで書かされている。」(西成署警察官の暴行に抗議する!)
年末における雇用問題の原因は、報道をみるかぎりでは労働者の選択肢の狭さに原因がある。
いや、労働者はそもそも選択なんてしたくはないのだ。だって仕事のために生きているわけではなく、生きるために仕事をしているのだから。
経営者はもちろん「仕事にために生きる人」を求めるだろう。已むをえないことだ。しかし従業員もそれに右に倣え、では自分で自分の首を絞めているようなものだ。面従腹背が必要である。
そういう意味で、日本の労働者は正社員も派遣社員も労働意識が低い。
企業が、「お客様のためにある」時代は終わりを告げた。これからは「従業員のためにある」企業が求められている。
労働力の均衡という面から見れば、学業を終えた健康な成人には自動的に職が与えられてしかるべきなのに。
情況の囚人という心理実験によれば、派遣社員も正社員になれば正社員ばりの働きをするし、正社員も派遣社員になればそれだけの働きをする。あらゆる面接や選別は無意味であって、人事が行うべきはしかるべき職を与え、仕事の結果を見て評価を与えるのではなく、「こういう結果であってほしい」という仮定の評価を実際に与えてしまうことだ。
十二月二十二日には札幌に帰る。
トロヤ点への新たなる月の飛来、止まない月震、超未来人類と新興恐竜との共存などについて有機的に考えようとしているが、果たせない。
六百円で大根サラダ・鴨肉三切・味噌汁・鳥肉たっぷりの丼物・アイスが食べられる地下一階のカフェ・ダイニングバーを見つけた。
十二月二十日に開店したジュンク堂へ行った。池袋級書艦だった。エスペラント関連書籍は十冊以上、なんと『百年の孤独』のスペイン語版も置いてあった。
札幌はジュンク堂、とらのあな、アニメイト、ブックオフの並びが熱い。
JRタワーのヴィレヴァンが狭いなぁ、嫌やなぁと思っていたらロフトの中にもあった。でも、ヴィレヴァン下北沢店の足元にも及ばない。
アリストテレスは貨幣を万物の尺度とする資本主義的世界を想定した。その一方でディオゲネスは貨幣を変造した罪でシノペを追放され、世界市民となった。彼は貨幣(常識、慣習)を変造したのだ。
純連のみそラーメンは美味しかった。
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gunosy-news · 4 years ago
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怖くて記憶に残ってしまった怪談…実体験を含む数々のエピソードに戦慄
集計期間:2020年8月20日~8月22日 回答数:16363
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夏の風物詩といえば怪談。古今東西、いろいろな物語が存在しますが、皆さんの心に強烈なトラウマを残すほど怖かった話はありますか?
今回はそんな「怖くて記憶に残ってしまった怪談」について調査を行いました。
続きを読む方はどうかお気���つけて…
怖くて記憶に残ってしまった怪談はありますか?
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回答者16363名のうち、怖くて記憶に残ってしまった怪談が「ある」と答えた方は全体の約34.8%という結果に。
ここからは、怪談の具体例を見ていきましょう…
この恐怖!記憶に残る怪談
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<さまざまな怪談>
・琵琶湖に飛び込む写真を撮りたいといって飛び込む瞬間とったら下から手がいっぱい出てきてってはなし
・近所にある橋の名前がお岩さんの死体が流れ着い事が由来と言われていて子どもの頃はとても怖かったです。
・警察署などの建物の横に事故車などが置かれるけれど、夜中になるとその警察署の壁を、事故で亡くなった人が血まみれの姿で必ずはってよじ登る姿を沢山の人がよく目撃しているとか。
・警察のフリして訪ねてきて、目撃者でないか確認してくる殺人犯。目撃した、と話したら殺されるという話。現実にありそうで怖い…
・赤子をおんぶした母親が宝の入った壺を取りに行くが  中々取れない壺を引き抜いて家に辿り着くと宝の壺は自分の赤子の血切れた首だった
・未だに『おいてけ堀』という怪談の怖さが忘れられません。この怪談を思い出すと、暗いところで後ろの気配が気になって、思わず走ってしまいます。
・『耳なし芳一』字があってるかはわかりませんがミミナシホウイチの話です。耳を千切り取られるのは恐怖のなにものでもなかった
・20歳までに「ムラサキカガミ」という言葉を忘れなければ死ぬという話。聞いてからしばらくは忘れていたのに、20歳の誕生日と同時に思い出して焦った。もうすぐ30歳になるが、未だに思い出すと怖くなる。
・遭難した4人組が山小屋で一夜を過ごす話。寝ないようにそれぞれ小屋の四隅に立ち、隣の隅にたつ人の所まで行って肩を順番に叩いてから場所を交代して、それをぐるぐると一晩中行い無事に夜が明けて下山できた。一巡目、最後に動いた人は一体誰の肩を叩いたの?
・自転車で急いでとある踏み切りを渡ると後ろの荷台に上半身だけの亡霊がドンと降りてくる。振り落としても腕だけで追いかけてくる。パタパタと呼ばれていたけど、昔は怖くて踏み切りを渡れなかった。今は高架線になったからパタパタは居なくなったかも。
・事故物件にすむ人の話で、そこの2階にある部屋に住む人は必ず2週間以内に引っ越すという話で、なぜかというと、毎日人間じゃないものが階段を一段づつ登ってきて、そのアパートは13段しかないので13日目には自分の部屋に来てしまうので2週間しか耐えられないという話。
・20代の頃フィリピンに行った時、知り合いの家で葬儀があり昔の言い伝えで葬儀を終え埋葬したら3日の内に死者の魂(本人)が必ず友人や職場などに立ち寄った後、家に帰って来ると言われその確認の為3日目の昼過ぎから夕方の間、その前に玄関から家の祭壇まで白い粉を撒きます。その間誰も家に入っては駄目だそうです。そして足跡?を確認するそうです。足跡?があれば成仏するそうです。
・心霊スポットに車で遊びに行った4人。その内の1人が数週間後にバイクで2ケツしていたら転落し、亡くなった。残る3人が心霊スポットに行ったせいではないかと不安になり、車でお祓いに行くことにした。神社に着くと、神主さんが車を指差して一言呟いた。「どうして連れてきたの?」3人はその言葉の意味がわからず、車の方に目をやると、ボンネットに人の手の跡が無数についていた。
・学生の頃、犬村という話が忘れられない。その村は四国の方の山奥にあって村人は昼間は普通なんだけど夜になると四つん這いで歩いたり遠吠えしたり生肉を食らうという。実際その村に極秘潜入したテレビクルーがその惨状をカメラに収めたが何らかの大きな力でお蔵入りになったと。
・会社の人から聞いた話です。娘さんに縁日で風船を買ったそうです。家に持って帰り2、3日二階の娘さんの部屋に置いていたそうです。ある日リビングで用事をしていると後ろから気配が。ハッと振り替えるとそこには縁日で買った風船が浮いていたそうです。しかし娘さんの部屋は二階の奥にあり、階段も曲がって降りなければ降りてこれません。怖くなり風船は捨てたそうです
<テレビ番組やマンガでみた怪談>
・幼稚園の頃にポンキッキーズで放送していた、花子さんシリーズ。子供には怖過ぎ、今だにトラウマ。
・花子さんのアニメで枕元にバナナの絵を置かないと足を切られて殺される?みたいな内容の話。幼少期に見たせいで足を布団から出さずに寝るクセがついた。
・小学生の頃、夏休みの昼間にあなたの知らない世界って番組やっていて、トンネルで肝試しした人の話で、車で来て怖くなって逃げたんだけど、窓に幽霊の手のあとがついて、ガソリンスタンドで拭いてもらったら、一つだけ内側にありますっていわれてた話…。しばらく、トンネルが怖かったです。
・本当にあった怖い話という番組の中で、キャンプ場のトイレに女の子がポーチを忘れて、取りに戻ったら、トイレの中からお化けが出てきて、追いかけてきたという…未だに忘れられません。
・友達の家で読ませてもらった漫画で、人参嫌いの男の子が人参食べられますようにとお祈り(?)したら食べ物がみんな人参に見えるようになった話。食べるとたしかハンバーグだったりするんだけど、そのうち本当の人参も知らずに食べてお母さんに褒められる。ある朝、起きたらそばにあった大きな人参を食べてダイニングに行くが、お母さんがいない。お母さんは男の子の部屋でかじられて死んでいる。
・20年以上前にTVで山田邦子さんが��露していた話です。ある夫婦が些細なことで喧嘩して夫が妻を勢いで殺してしまった。焦った夫は床下に遺体を隠した。翌朝、起きてきた子供にママは?と聞かれて誤魔化した。それが1週間ほど続いて、子供に嘘を突き通せなくなった夫が子供に話があると切り出すと、子供も話がある、と。そこで子供の話を先に尋ねると、「パパはなんでずっと、ママをおんぶしてるの?」
<自分の実体験も>
・義理の弟が亡くなった数日後、仏壇から 男の人のお経が聞こえた
・金縛りにあい女の子が耳元にフーと息を吹きかけてきてケラケラと笑いながら走って逃げていった。我が子は成人だし、当時小さな子どもはいない状況だったので怖くてその後眠れなかった。
・シャッター倉庫内で暗室作業時、明るくする為シャッターを開ける途中、回りには誰も居ないのに女性の声で「痛いよ?」との声が聞こえた事。
・テレビを消して、眠りに着こうと思ったらパチってテレビがついて、また消してを3回繰り返して、幽霊だと思って、もうやめてと大声で怒鳴ったら、おさまりました
・心霊スポットに行くと必ず色々ハプニングに遭遇する。慣れた道のはずなのに帰ろうとすると、何故か心霊スポットに戻ってしまうのを30分くらい繰り返してる途中、同乗者の1人に全く知らない子供の声で、「パパ早く帰ってきて」と電話が掛かってきた。(自分含め皆んな10代~20代前半の独身。)
・小学校の時に体調が悪くて保健室で寝てたら布団の上から人の頭の部分が見えてギリギリ顔までは見えなかったけど、怖すぎてしっかり寝れなかった。今でもあの映像はしっかり覚えてる。
・自己体験。神奈川県の丹沢山系を夜間踏破し日の出をヤビツ峠で拝もうと、真っ暗な山道を懐中電灯の灯りを足元に当てながら進んでいると、誰もいない左肩後ろから「チョット、チョット」と���性の声が聞こえてきて、顔は動かさずに眼だけを左横に動かして見ましたら、ボーッとした白い影が見えた経験があります。まだ中2だったので凄く怖かったです。
・3階建ての最上階に住んでいた頃、真夜中の2、3時まで夜更しをしていました。屋上がない建物の筈なのですが、よく天井から足音が聞こえていました。大人の重い足音で、必ず私の真上に来てから足音が消えていました。
・海岸で怪我をしたので、縫合などの処置をした数ヶ月後、なんだかそこが何故か痒い調べてみたらブォーとフジツボがそこに発生していた。その時は嫌でしたが、皆が驚かして遊んでいたのか、そういう話は私の周りは多かったので慣れてしまいました。大抵のことではスルーしてしまう人間になってしまいました。
・学生の寮で、実際にあったことです。毎晩 、1時頃にカツンカツンと音がしました。廊下に出ると誰もいません。しかし、非常口のガラスに片足義足の兵隊さんが杖をついて歩く姿が写っていました。
・20歳頃、当時付き合っていた彼氏の実家に一緒に帰省しました。海の近くで夜のドライブをしていた時に道に迷ってしまいました。お盆の時で全ての家の玄関先に提灯が点いていました。その時、夜遅いのに小さい男の子が浴衣を着て昔の大きな自転車に乗っていて不自然でしたが地元の子かな?と思い道を聞こうと追いかけました。突然、一瞬に姿を消したので曲がったのかな?と思い一本道の先に行くと曲がるような道がありませんでした。近くの家にも自転車が停めた形跡もなく消えたのです。昔、亡くなった子供がお盆で自宅に帰ったのだと思います。行き止まりだったので車をバックして逃げるように道を探したのを覚えています。そして海の防波堤のところで涼んで話をしている時に下からカサカサ音がしたのでスーパーの袋が風で飛んできたのかな?と思い下を見たら人間の笑った白い顔が出てきて逃げるように車に戻り実家に帰りました。お盆の海は、怖いです。
・うちは旅館だったので、子供部屋は屋上にプレハブを1人一つ建ててくれてました。中学3年の夏、窓のほうに横向きに寝ていました。対面にある入り口は、ガラス戸だったので外から見えないようにカーテンをつけてありました。何故か中々寝付けずにいると、扉の外にあきらかに、人がいる気配を感じたんです。すると、顔は窓を向いていたし、カーテンを閉めていたので、外は見えないはずなのに、ガラス戸の向こうに、赤いジャンバースカートに丸襟の白いブラウスを着た女の子が立っているのがハッキリと分かったんです。ただ、首から上がありませんでした。顔がないんです。何故見えているのかわからないし、夢かもと思い自分を叩くと痛いし、ただただ、お経を唱えてやり過ごしました。早朝、お寺の鐘の音が聞こえてきて、やっと顔の向きをかえる事ができました。それが、日航機墜落の夜の出来事でした。
・高校生の頃、吹奏楽部に所属していました。当時の部室はプレハブで校舎外にあり、目が行き届かないこともあって、よく遅くまで残って練習したり、お喋りしたりしていました。ただ、部室は学校の裏手にあり、窓の外には墓地が広がっている…そんなある日、サックスの先輩と2人で残っている時のこと、突然場の空気が変わりました。2人とも異なる方を向き、異なることをやっていたのにも関わらず、2人とも同時にその異変に気づいたのです。後から聞いた所、その時先輩が窓の外に向かって何となく吹いていた曲は、魂を呼び起こすような内容の曲らしく…ただ、その時の先輩は、ただただ部室の入口をじっと睨みつけるように見ており、私はその視線の先にあるであろうモノが怖くて振り向けませんでした。暫くしてから、「今まで入口に白い影が…」なんて言い出すものだから、とにかく荷物をまとめて、2人で速攻帰りました。先輩曰く「ここではもう二度とあの曲は吹かない」。
<真理>
・犬鳴の近所の出身なのでいっぱい。でも結局一番怖いのは人間。
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sutemono · 5 years ago
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「責任」って何だろうって話
せっかくなので(?)
責任: 大人でも説明できない人は(非常に)多い
責任がどういった時に持ち出される概念かを経験上知っている人は多いし、「経験上わかる」人同士の会話で出てきてもまあお互いになんとなく話の筋は理解できるわけだけど……わからない人に「責任とは何?」と訊かれても答えれられる人は非常に少ない。経験上。
自由
「能力があって可能である。何者によっても直接制限されていない」という定義で始めよう。
「責任」とは「自由」と同体である
結論から言うと、責任とは自由をまた別の視点で見ただけのものだ。責任は自由の一部だし、自由もまた責任の一部だ。
責任はよくボール遊びのボールに例えられることが多い(大抵不十分だ):
あなたは道路の近くでボール遊びをしている。
あなたにはボールを投げたり蹴ったりする能力があって、ボールを動かすことができ、またどこに飛ばすかを決めることができる自由を持っている
ボールがもし道路に走る車にぶつかってしまえば車を傷つけてしまうかもしれないし、重大な事故を起こすかもしれない。もしくはそれらによって訴訟を起こされたり刑事罰を受ける可能性もある。
あくまで哲学的に考えれば、それらの内どのような選択肢を取ったとしても、例えばボールで人を殺してしまうようなことがあっても、それは行動を起こす段階では自由だ。本来あなたにはボールが転がっていったら拾いに行くことができる自由があるし、ボールで遊ぶ/遊ばない自由があるし、人を傷つける/傷つけない自由も���っている。
ただし、あなたが持っている自由(もしくは責任)のうち、「人を傷つけてはならない」「人と暮らしていく中で守るべき不文律を守る」「法律を守る」などの選択肢を取ったなら、それによって直接他の行動を制限することになる。これが最もシンプルな自由の対価としての責任だ。
自由においてただ「ボールが転がっていったら拾いに行った」とは異なるのは、他の自由を行使したことによってそれが強制されることになった点である。
原理上は「自由の「対価としての責任」は特別定めない限りいつでも負うことができるし、放棄できる自由の内側にある。
言い換えるなら、責任とは「自由によって他の自由が制限される」自由だ。
「不自由」と責任
とは言え、万人が思いつく限りの行動を実際に起こすわけではない。我々は、
他人と(最も広義の)共同体として生きている限り(自由?)、その他人を傷つけたり殺めたりしたらその制裁・報復を受けるリスクを持つ(責任)
日本やその他の法治国家に暮らしている限り(自由?)、その法律を遵守して暮らしていかなければならない(責任)
もしあなたが未成年で保護者の庇護下にあるのなら(自由?)、あなたの行動の自由と責任の一部はあなたではなく保護者が持っている(責任)
保護者が責任を負うのは、そう法律で定められているのもあるし、子供を育てるという自然の摂理に従っていることでもある
などなど、何も考えず生きててもそれなりの制限を受けている。我々の持つ自由に他の選択肢が無いために、責任が実質的なただの強制力として我々を縛る場合が多いのだ。
もし、これらの強制力を逃れたいのだとしたら、
誰とも共同体として生きていかない。または特定のリスクを持たない人間とだけ暮らす。誰もいない無人島に暮らす(保護者や教師の説教でよく持ち出されるヤツ)。
守りたくない法律が無い国で暮らす。法治国家ではない地域で暮らす。など。
大人になる。行動と逃れるべき責任が保護者に科された法律上の責任と関係がないものであれば、その行動が自らの意思で責任を持ち、コントロールできることを示せばいい。
責任者である保護者を説得し、行動してもらう。
無人島であってもおそらくどこかの国に属しているし、移住のコストを考えればあまり現実的ではないし、急に成人になったりするのは無理なのが明らかだ。
大人になるということは、一つの例として、自分で責任を持てるということでもある
急成長して法律的に大人になることができなくても、「あなたがあなたの責任を自分で持ちコントロールできる」ようになれば、その分大人になれる。
「成人しても、自立せず、誰かに自由と責任を握られたままでは一般に大人としては認めてくれない」、ということでもある。
一般に言われてる責任: 約束
で、誰かが「責任」というワードを使って話をしている時、ここまでのことを全て踏まえてる話してる人なんてあんまり居なくて、実際の所「約束事」ぐらいのニュアンスで話している:
法治国家で暮らしている、法律を守るという自由を選んだのだから、それは「法律を守る」という約束である
誰かと協議して何かの意思決定を行ったり実行したのだから、「それを失敗した場合のリスクを回避したり、任せた人の期待に応える」という約束である
ある目標を約束した上で、それに対して融資や投資を行ってもらったことで経済活動をすることができる: 法人。
これらはさっきまでの「自由の対価としての責任」の考え方でも理解できると思うので、他にも身近な責任について色々考えてみよう!
あなたはどうすればいい?
せっかくの機会なので、身近な、あるいは少し遠い様々な事例について責任という観点から考えてみよう。
あなたが未成年でも成人でも、自分にどんな責任がコントロールできるかを考えて、自由と責任を自分のモノにしよう。
もしあなたが「責任」という言葉を使っている人の言っている意味がわからなければ、積極的に質問してみよう(もしもはぐらかされたら「はぐらかされたんだな」と思って、追い打ちはやめておく)。
例えば超勘のいい人ならここまでの話で「法律、警察、消防、役所などの公務員も何かの責任の下に様々な特別な権限を与えられてるんじゃないか」と気づくかもしれないけど、それらは私たちで決めることができるという自由が選挙という形で与えられている(政治について関心を持とう、選挙権のある人は選挙に参加しよう)。
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hananien · 5 years ago
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【キャプトニ】フィランソロピスト
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ピクシブに投稿済みのキャプトニ小説です。
MCU設定に夢と希望と自設定を上書きした慈善家トニー。WS前だけどキャップがタワーに住んでます。付き合ってます。
ピクシブからのコピペなので誤字脱字ご容赦ください。気づいたら直します。
誤字脱字の指摘・コメントは大歓迎です。( Ask me anything!からどうぞ)
 チャリティーパーティーから帰ってきたトニーの機嫌は悪かった。スティーブは彼のために、知っている中で最も高価なスコッチウイスキーを、以前彼に見せられたyou tubeの動画通りのやり方で水割りにして手渡してやったが、受け取ってすぐに上品にあおられたグラスは大理石のバーカウンターに叩きつけられ、目玉の飛び出るくらい高価な琥珀色のアルコール飲料は、グラスの中で波打って無残にこぼれた。  「あのちんけな自称軍事評論家め!」 スティーブは、トニーが何に対して怒っているのか見極めるまで口を出さないでおこうと決めた。彼が摩天楼を見下ろす窓ガラスの前でイライラと足を踏み鳴らすのを、その後ろから黙って見つめる。  トニーは一通り怪し気なコラムニストの素性に文句を言い立て、同時に手元の情報端末で何かをハッキングしているようだった。「ほーらやっぱり。ベトナム従軍経験があるなんて嘘っぱちじゃないか。傭兵だと? 笑わせてくれる。それで僕の地雷除去システムを批判するなんて――」 左手で強化ガラスにホログラムのような画面を出現させ、右手ではものすごい勢いで親指をタップさせながら、おそらく人ひとりの人生を破滅させようとしているわりには楽しそうな笑みを浮かべてトニーは言った。「これで全世界に捏造コラムニストの正体が明かされたぞ! まあ、誰かがこいつに興味があったらニュースになるだろう」  「穏やかじゃないチャリティーだったようだな」 少しトニーの気が晴れたのを見計らって、スティーブはようやく彼の肩に触れた。  「キャプテン、穏やかなチャリティパーティーなんてないんだ。カメラの回ってないところじゃ慈善家たちは仮面を被ろうともしない。同類ばかりだからね」  トニーは振り返ってスティーブの頬にキスをすると、つくづくそういった人種と関わるのが嫌になったとため息をついた。「何が嫌だって、自分もそういう一人だと実感することがさ」  「それは違うだろう」  「そうか?」 トニーはスティーブの青い目を見上げてにやりと笑った。「僕が人格者として有名じゃないってことは君もご指摘のとおりだろ?」  「第一印象が最悪だったのは、僕のせいかい」 これくらいの当てこすりにはだいぶ慣れてきたので、スティーブは涼しい顔で返した。恋人がもっと悪びれると思っていたのか、トニーはつまらなそうに口をとがらせる。「そりゃそうさ。君が悪い。君は僕に興味なさそうだったし、趣味も好きな食べ物も年齢も聞かなかったじゃないか。友人の息子に会ったらまずは”いくつになった?”と聞くのがお決まりだろ。なのに君ときたらジェットに乗るなりむっつり黙り込んで」  「ごめん」 トニーの長ったらしい皮肉を止めるには、素直に謝るか、少々強引にキスしてしまうか、の二通りくらいしか選択肢がなかった。キスは時に仲直り以上の素晴らしい効果を与えてくれるが、誤魔化されたとトニーが怒る可能性もあったので、ここは素直に謝っておくことにした。  それに、”それは違う”と言ったのは本心だ。「君は自分が慈善家だと、まるで偽善者のようにいうけれど、僕はそうは思わない――君が人を助けたいと思うのは、君が優しいからだ」  「僕が優しい?」  「そうだ」  「うーん」 トニーは自分でもうまく表情を見つけられないようだった。スティーブにはそれが照れているのだとわかった。よく回る口で自分自身の美徳すら煙に巻いてしまう前に、今度こそスティーブは彼の唇をふさいでしまうことにした。
 結局、昨夜トニーが何に怒っていたのか、聞かずじまいだった。トニーには――彼の感情の表現には独特の癖があって、態度で示していることと、内心で葛藤していることがかけ離れていることさえある。彼が怒っているように見えても、その実、怒りの対象とは全く別の事がらについて心配していたり、計算高く謀略を巡らせていたりするのだ。  彼が何かを計画しているのなら、それを理解するのは自分には不可能だ。スティーブはとっくに、トニーが天才であって、自分はそうではないことを認めていた。もちろん軍事的なこと――宇宙からの敵に対する防備であるとか、敵地に奇襲するさいの作戦、武器や兵の配置、それらは自分の専門であるからトニーを相手に遅れをとることはない。それに、一夜にして熱核反応物理学者にはなれないだろうが、本腰を入れて学べばどんな分野だって”それなりに”モノにすることは出来る。超人血清によって強化されたのは肉体だけではない。しかし、そういうことがあってもなお、トニーの考えることは次元が違っていて、スティーブは早々に理解を諦めてしまうのだ。  べつにネガティブなことではないと思う。トニーが何をしようとも、結果は共に受け入れる。その覚悟があるだけだ。  とはいえ、昨夜のようにわざとらしく怒るトニーは珍しい。八つ当たりのように”自称軍事評論家”とやらの評判をめちゃめちゃにしたようだが、パーティーでちょっと嫌味を言われただけであそこまでの報復はしないだろう(断言はできないが)。彼への反感を隠れ蓑に複雑な計算式を脳内で展開していたのかもしれないし、酔っていたようだから、本当にただの”大げさな怒り”だったのかもしれない――スティーブは気になったが、翌日になってまで追及しようとは思わなかった。特に、隣にトニーが寝ていて、ジャービスによって完璧に計算された角度で開かれたブラインドカーテンから、清々しい秋の陽光が差し込み、その日差しがトニーの丸みを帯びた肩と長い睫毛の先を撫でるように照らしているのを何の遠慮も邪魔もなく見つめていられる、今日みたいな朝は。  こんな朝は、キスから始まるべきだ。甘ったるく、無駄に時間を消費する、意味だとか難しい理由なんかこれっぽっちもないただのキス。  果たしてスティーブの唇がやわらかな口ひげに触れたとき、トニーのはしばみ色の瞳が開かれた。  ……ああ、美しいな。  キスをしたときにはもうトニーの目は閉じられていたが、スティーブはもっとその瞳を見ていたかった。  トニー・スタークの瞳はブラウンだということになっている。強い日差しがあるとき、ごく近くにいるとわかる、彼の瞳はブラウンに緑かかった、透明水彩で描かれたグラスのように澄んだはしばみ色に見える。  彼のこの瞳を見たことのある人間は、スティーブ一人というわけではないだろう――ペッパー・ポッツ、有名無名のモデルや俳優たち、美貌の記者に才気ある同業者――きっと彼の過去に通り過ぎていった何人もの男女が見てきたことだろう。マリブにあった彼の自宅の寝室は、それはそれは大きな窓があり、気持ちの良い朝日が差し込んだときく。  けれど彼らのうち誰も、自分ほどこの瞳に魅入られ、囚われて、溺れた者はいないだろう。でなければどうして彼らは、今、トニーの側にいないのだ? どうして彼から離れて生きていられるのだ。  「……おはよう、キャップ」  「おはようトニー」 最後に鼻の先に口付けてからおたがいにぎこちない挨拶をする。この瞬間、トニーが少し緊張するように感じられるのは、スティーブの勘違いではないと思うのだが、その理由も未だ聞けずにいる。  スティーブは、こと仕事となれば作戦や戦略のささいな矛盾や装備の不備に気がつくし、気がついたものには偏執的なほど徹底して改善を要求するのだが、なぜか私生活ではそんな気になれないのだった。目の前に愛しい恋人がいる。ただそれだけで、心の空腹が満たされ、他はすべて有象無象に感じられる。”恋に浮わついた”典型的な症状といえるが、自覚していて治す気もない。むしろ、欠けていた部分が充実し、より完全な状態になったような気さえする。ならば他に何を案じることがある? 快楽主義者のようでいてじつは悲観的なほどリアリストであるトニーとは真逆の性質といえた。  トニーが先にシャワーを浴びているあいだ、スティーブはキッチンで湯を沸かし、コーヒーを淹れる。スティーブと付き合うようになってから、いくつかのトニーの不摂生については改善されたが、起床後にコーヒーをまるで燃料のようにがぶ飲みする癖は変わらなかった。彼の天災のような頭脳には必要不可欠のものと思って今では諦めている。甘党のくせに砂糖もミルクも入れないのが、好みなのか、ただものぐさなだけかもスティーブは知らない。いつからかスティーブがティースプーンに一杯ハチミツを垂らすようになっても、彼は何も言わずにそれを飲んでいるので、実はカフェインが入っていれば味はどうでもいいのかもしれない。  シャワーから上がってきたトニーがちゃんと服を着ているのを確認して(彼はたまにごく自然に裸でキッチンやタワーの共有スペースにご登場することがある、たいていは無人か、スティーブやバナーなど親しい同性の人間しか居ないときに限ってだが)、スティーブもバスルームに向かった。着替えを済ませてキッチンに戻ると、トニーは何杯目かわからないブラック・コーヒーを飲んでいたが、スティーブが用意したバナナマフィンにも手をつけた形跡があったのでほっとする。ほうっておくとまともな固形食をとらない癖もなかなか直らない。スティーブはエプロンをつけてカウンターの中に入り、改めて朝食の用意を始める。十二インチのフライパンに卵を六つ割り入れてふたをし、買い置きのバゲットとクロワッサンを電子オーブンに適当に放り込んでセットする。卵をひっくり返すのは危険だということを第二次世界大戦前から知っていたので、片面焼きのまま一枚はトニーの皿に、残りは自分の皿に乗せる。半分に割ったりんご(もちろんナイフを使う。手で割ってみせたときのトニーの表情が微妙だったため)を添えてトニーの前に差し出すと、彼は背筋を伸ばして素直にそれを食べ始めた。バゲットはただ皿に置いただけでは食べないので手渡してやる。朝食時のふるまいについては今までに散々口論してきたからか、諦めの境地に達したらしいトニーはもはや無抵抗だ。  特に料理が好きだとか得意だとかいうわけでもないのだが、スティーブはこの時間を愛していた。トニーが健康的な朝の生活を実行していると目の前で確認することが出来るし、おとなしく従順なトニーというのはこの時間にしかお目にかかれない(夜だって、彼はとても”従順”とはいえない)。秘匿情報ファイルであろうとマグカップだろうと他人からの手渡しを嫌う彼が、自分の手から受け取ったクロワッサンを黙って食べる姿���、人になつかない猫を慣れさせたような甘美な達成感をスティーブに与えた。  「今日の予定は?」  スティーブが自分の分の皿を持ってカウンターの内側に座る。斜め向かいのトニーは電脳執事に問い合わせることなく、カウンターに置いたスマートフォンを自分で操作してスケジュールを確認した。口にものが入っているから音声操作をしないようだった。ときどき妙にマナーに正しいから面食らうことがある。朝の短時間できれいに整えられたトニーの髭が、彼が咀嚼するたびにくにくに動くのを見て、スティーブは唐突にたまらない気分になった。  「僕は――S.H.I.E.L.D.の午前会議に呼ばれてるんだ。食べ終わったら出発するよ。それから午後は空いてるけど、君がもし良かったら……」 トニーの口が開くのを待つあいだ、彼の口元を凝視していては”健全な朝の活動”に支障を来しそうだったので、スティーブは自分の予定を先に話し始めた。「……良かったら、美術館にでも行かないか。グッケンハイムで面白そうな写真展がやってるんだ。東アジアの市場のストリートチルドレンたちを主題にした企画で――」  トニーはスマートフォンの上に出現した青白いホログラムから、ちらっとスティーブに視線を寄越して”呆れた”顔をした。よっぽど硬いバゲットだったのか、ようやく口の中のものを飲み込んだ彼は、今度は行儀悪く手に持ったフォークをスティーブに向けて揺らしながら言った。「デートはいいが、そんな辛気臭い企画展なんかごめんだ」  「辛気臭いって、君、いつだったか、そういう子供たちの救済のためのチャリティーを主催したこともあったろ」  「ああ、僕は慈善家だからね。現地視察にも行ったし、NPOのボランティアどもとお茶もしたし、写真展だって行ったことがある、カメラが回ってるところでな」 フォークをくるりと回してバナナマフィンの残りに刺す。「何が悲しくて恋人と路上生活者の写真を見に行かなくちゃならない? ”世界の今”を考えるのか? わざわざ自分の無力さを痛感しに行くなんていやだね。君と腕を組んでスロープをぶらぶら下るのは、まあそそられるけど」  「まったく、君ってやつは……」 スティーブは苦笑いするしかなかった。「じゃあ、ただスロープをぶらぶら下るだけでいいよ。ピカソが入れ替えられたみたいだ。デ・キリコのコレクションも増えたっていうし、展示されてるなら見てみたい。噂じゃどこかの富豪が画家の恋人のために、イタリアのコレクターから買い付けて美術館に寄付したって」  「きみもすっかり情報機関の人間だな」  「まあね。絵が好きな富豪は君以外にもいるんだなって思った」  「君は間違ってる。僕は”超・大”富豪だし、べつに絵は好きで集めてるんじゃない。税金対策だよ。あと、火事になったとき、三億ドルを抱えるより、丸めた布を持って逃げるほうが効率いいだろ?」  「呆れた」  「絵なんて紙幣の代わりさ。高値がつくのは悪い連中が多い証拠だな」  ところで、とトニーはスマートフォンを操作し、ホログラムを解除した。「せっかくのお誘いはありがたいが、残念ながら僕は今日忙しいんだ。社の開発部のやつらが放り投げた……洋上風力発電の……あれやこれやを解析しなきゃならないんでね。美術館デートはまた今度にしてくれ。その辛気臭い企画展が終わった頃に」  「そうか、残念だよ」 もちろんスティーブは落胆なんてしなかった。トニーが忙しいのは分かっているし、それはスティーブが口を出せる範囲の事ではない。ふたりのスケジュールが完全に一致するのは、地球の危機が訪れた時くらいだ。それでもこうして一緒の屋根の下で暮らしているのだから、たかが一緒に美術館に行けないくらいで残念がったりはしない。ごくふつうの恋人たちのように、夕暮れのマンハッタンを、流行りのコーヒーショップのタンブラーを片手に、隣り合って歩けないからといって、大企業のオーナーにしてヒーローである恋人を前に落胆した顔を見せるなんてことはしない。  「スティーブ、すねるなよ」 しかしこの(肉体的年齢では)年上の恋人は、敏い上にデリカシーがない。多忙な恋人の負担になるまいと奮闘するスティーブの内心などお見通しとばかりに、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべてからかうのだ。「君だってこの前、僕の誘いを断ったろ? しかも他の男と会うとかで」  「あれはフューリーに呼び出されて……」  「ニック・フューリーは男だ! S.H.I.E.L.D.の戦術訓練なんて急に予定に入るか? あいつは僕が気に入らないんだ、君に悪影響を与えるとかで」  「君に良い影響を与えてるとは思えないのかな」  スティーブはマフィンに刺さったフォークでそれを一口大に切り分け、トニーの口元に運んでやった。呆気にとられたような顔をするトニーに、首をかしげてにっこりと微笑む。  トニーはしてやられたとばかりに、さっと頬を赤くした。  「この、自信家め」  「黙って全部食べるんだ、元プレイボーイ」  朝のこの時間、トニーはとても従順な恋人だ。
 トニーに借りたヘリでS.H.I.E.L.D.本部に到着すると(それはもはやキャプテン・アメリカ仕様にトニーによってカスタムされ、「なんなら塗装し直そうか? アイアンパトリオットとお揃いの柄に?」と提言されたが、スティーブは操縦システム以外の改装を丁重に断った)、屋内に入るやいなや盛大な警戒音がスティーブを迎えた。技術スタッフとおぼしき制服を来た人間が、地下に向かって駆けていく。どうやら物理的な攻撃を受けているわけではなさそうだったので、スティーブは足を速めながらも冷静に長官室へと向かった。  長官室の続きのモニタールームにフューリーはいた。スティーブには携帯電話よりもよほど”まとも”な通信機器に思える、設置型の受話器を耳に当て、モニター越しに会話をしている。というか、怒鳴っている。  「いつからS.H.I.E.L.D.のネットワークは穴の開いた網になったんだ? 通販サイトのほうがまだ上手にセキュリティ対策してるぞ!! あ!? 言い訳は聞きたくない、すべてのネットワーク機器をシャットダウンしろ、お前らの出身大学がどこだろうと関係ない。頼むから仕事をしてくれ、おい、聞いてるか? ああ、ん? 知るか、そんなの。あと二時間以内に復旧しなけりゃ、今後は機密情報はamazonのクラウドに保存するからな!!」  「ハッキングされたのか?」  長官の後ろに影のように控えていたナターシャ・ロマノフにスティーブは尋ねた。  「そのようね。今のところ、情報の漏洩はないみたいだけど、レベル6相当の機密ファイルに不正アクセスされたのは確定みたい」  「よくあるのか?」  「こんなことがよくあっては困るんだ」 受話器を置いたフューリーが言った。「午前会議は延期だ、午後になるか、夕方になるか、夜中になるかわからん」  「現在進行中の任務に影響は?」  「独立したオペシステムがあるから取りあえずは問題ない。だがもしかしたら君にも出動してもらうかもしれない。待機していてくれるか」  スティーブは頷いた。そのまま復旧までモニタリングするというフューリーを置いて、ナターシャと長官室を出る。  「S.H.I.E.L.D.のセキュリティはどうなってる? 僕は専門外だが、情報の漏洩は致命的だ。兵士の命に関わる」  「我々は諜報員よ、基本的には。だから情報の扱いは慎重だわ」 吹き抜けのロビーに出て、慌しく行きかう職員の様子を見下ろす。「でもクラッキングされるのは日常茶飯事なのよ、こういう機関である故にね。ペンタゴンなんてS.H.I.E.L.D.以上に世界中のクラッカーたちのパーティ会場化されてるわ。それでも機密は守ってる。長官があの調子なのはいつものことでしょ」  「じゃあ心配ない?」  「さあね。本当に緊急なら情報工学の専門家を呼ぶんじゃない。あなたのとこの」  すべてお見通しとばかりに鮮やかに微笑まれ、スティーブは口ごもった。  トニーとの関係は隠しているわけではないが、会う人間全てに言って回っているわけでもない。アベンジャーズのメンバーにも特に知らせているわけではなかった(知らせるって、一体どういえばいいっていうんだ? ”やあ、ナターシャ。僕とトニーは恋人になったんだ。よろしく”とでも? 高校生じゃあるまいし)。だからこの美しい女スパイは彼らの関係を自力で読み解いたのだ。そんなに難しいことではなかっただろうとは、スティーブ自身も認めるところだ。  ナターシャは自分がトニーを倦厭していた頃を知っている。そんな相手に今は夢中になっていることを知られるのは居た堪れなかった。断じてトニーとの関係を恥じているわけではないのだが……ナターシャは批判したりしないし、クリントのように差別すれすれの表現でからかったりもしない。ひょっとすると、彼女は自分たちを祝福しているのではないかとさえ思う時がある。だからこそ、こそばゆいのかもしれなかった。  「ところで……戦闘スタイルだな。出動予定があったのか」  身体にぴったりとフィットした黒い戦闘スーツを身にまとったナターシャは肩をすくめて否定した。「私も会議に呼ばれて来たの。武装は解除してる」  スティーブが見たところ、銃こそ携帯していないが、S.H.I.E.L.D.の技術が結集したリストバンドとベルトをしっかりと装着していて、四肢が健康なブラック・ウィドウは未武装といえない。だかこのスタイル以外の彼女を見ることが稀なので、そうかと聞き流した。  「僕は復旧の邪魔にならないようにトレーニングルームにいるよ。稽古に付き合ってくれる奇特な職員がいる��もしれない」  「私は長官の伝令だからこの辺にいるわ。復旧したらインカムで知らせるから、とりあえず長官室に来て」 踵を返して、歩きながらナターシャは振り向きざまに言った。「残念だけど電話は使えないわよ。ダーリンに”今夜は遅くなる”って伝えるのは、もうちょっと後にして」  「勘弁してくれ、ナターシャ」  聞いたこともない可愛らしい笑い声を響かせて、スーパースパイはぎょっとする職員たちに見向きもせず、長官室に戻っていった。
 トニーの様子がおかしいのは今更だが、ここのところちょっと度が過ぎていた。ラボに篭りきりなのも、食事を取らなかったり、眠らなかったり、シャワーを浴びなかったりして不摂生なのも、いつものことといえばいつものことで、それが同時に起こって、しかも自分を避けている様子がなければスティーブも一週間くらいは目をつぶっただろう。
 S.H.I.E.L.D.がハッキングされた件は、その日のうちに収拾がついた。犯人は捕まえられなかったが、システムの脆弱性が露見したので今後それを強化していくという。  スティーブがタワーに帰宅したのは深夜になろうかという頃だったが、トニーはラボにいて出てこなかった。これは珍しいことだが、研究に没頭した日には無いこともない。彼の研究が伊達ではないことはもうスティーブも知っているから、著しく不健康な状態でなければ邪魔はしない。結局、その日は別々に就寝についた。と、スティーブは思っていた。  次の日の朝、隣にトニーはいなかった。きっと自分の寝室で寝ているのだと思い、先に身支度と朝食の用意を済ませてから彼の居室を訪れると、空の部屋にジャービスの声が降ってきた。  『トニー様は外出されました。ロジャース様がお尋ねになれば、おおよその帰宅時間をお伝えするようにとのことですが』  「どこへ行ったんだ? 急な仕事が入ったのか?」  『訪問先は聞いておりません』  そんなわけがあるか、とスティーブは思ったが、ジャービスを相手に否定したり説得したりしても無駄なことだった。乱れのないベッドシーツを横目で見下ろす。「彼は寝なかったんだ。車なら君がアシストできるだろうけど、もし飛行機を使ったなら操縦が心配だ」  『私は飛行機の操縦も可能です』  「そうか、飛行機で出かけたんだな。なら市外に行ったのか」  電脳執事が沈黙する。スティーブの一勝。ため息をついて寝室を出た。  ジャービスはいい奴だが(このような表現が適切かどうか、スティーブには確信が持てないでいる)、たまにスティーブを試すようなことをする。今朝だって、”彼”はキッチンで二人分の食事を支度するスティーブを見ていたわけだから、その時にトニーが外出していることを教えてくれてよかったはずだ。トニーの作った人工知能が壊れているわけがないから、これは”彼”の、主人の恋人に対する”いじわる”なのだとスティーブは解釈している。トニーはよくジャービスを「僕の息子」と表現するが――さしずめ、父親の恋人に嫉妬する子供といったところか。そう思うと、自分に決して忠実でないこの電脳執事に強く出られないでいる。  「それで……彼は何時ごろに帰るって?」  『早くても明朝になるとのことです』  「えっ……本当に、どこに行ったんだ」  『通信は可能ですが、お繋ぎしますか』  「ああ、いや、自分の電話でかけるよ。ありがとう。彼のほうは、僕の予定は知ってるかな」  『はい』  「そう……」 スティーブはそれきり黙って、二人分の食事をさっさと片付けてしまうと、朝のランニングに出掛けた。  エレベータの中で電話をかけたが、トニーは出なかった。
 それが四日前のことだ。予告した日の真夜中に帰ってきたトニーは、パーティ帰りのような着崩したタキシードでなく、紺色にストライプの入ったしゃれたビジネススーツをかっちりと着込んでふらりとキッチンに現れた。スティーブの強化された嗅覚が確かなら、少なくとも前八時間のあいだ、一滴も酒を飲んでいないのは明らかだった。――これは大変珍しいことだ。今までにないことだと言ってもいい。  彼は相変わらず饒舌で、出来の悪い社員のぐちや、言い訳ばかりの役員とお小言口調の政府高官への皮肉たっぷりの批判を、舞台でスピーチするみたいに大仰にスティーブに話して聞かせ、その間にも何かとボディタッチをしてきた。どれもいつものトニー、平常運転だ。しかしスティーブは、そんな彼の様子に違和感を覚えた。  彼が饒舌なのはよくあるが、生産性のないぐちを延々と口上するときはたいてい酔っている。しらふでここまで滔々としゃべり続けることはないと、スティーブには思われた。べたべたと身体に触ってくるのに、後から思えば意図されていたと思わずにはいられないくらい、不自然に目を合わせなかった。スティーブが秘密工作員と関係のない職種についていたとしても、自分の恋人が何かを隠していると気付いただろう。  極め付けはこれだ。スティーブはトニーの話を遮って、「君の風力発電は順調?」とたずねた。記憶が確かなら、この二日間、彼が忙しかったのはそのためであるはずだ。  「石器時代のテクノロジーがどうしたって?」  スティーブはぐっと拳を握りたいのを我慢して続けた。「だって、君――その話をしてただろ?」  「ああ……」 トニーは一瞬だけ、せわしなく何くれと動かしていた手足を止めた。「おもい出した。言ったっけ? ロングアイランド沖に発電所を建設するんだ。もう何年も構想してるんだけど、思ったよりうちの営業は優秀で――何しろほら、うちにはもっと”すごいやつ”があるんだし――そう簡単に量産は出来ないけど――それで僕は気が進まないんだが、州知事がGOサインを出してしまってね、ところが開発の連中が怖気づいてしまったんだ、というか、一人失踪してしまって……すぐに見つけ出して再洗脳完了したけど――冗談だよ、キャップ――でも無理はない事だとも思うんだ、だって考えてみろ……今時、いつなんどき宇宙から未知の敵対エネルギーが降ってくるかもしれないのに、無防備に海の上に風車なんて建ててる場合か? 奴らも責任あるエンジニアとして、ブレードの強度を高めようと努力してくれてるんだが、エイリアンの武器にどうやったら対抗出来るってんだ? 塩害や紫外線から守って次元じゃないんだろ? いっそバリアでも張るか? いっそそのほうが……うーん、バリアか。バリアってのはなかなか面白そうなアイデアだ、しかしそうすると僕は……いやコストがかかりすぎると、今度は失踪者じゃすまなくなるかも……」  スティーブは確信した。  トニーは自分に何か隠している。忙しいとウソまでついて。しかもそれは――彼がしらふでこんなに饒舌になるくらい、”後ろめたい”ことだ。
 翌朝から今度はラボに閉じこもったトニーは、通信にも顔を出さなかった。忙しいといってキッチンにもリビングにも降りてこないので、サンドイッチやら果物をラボに届けてやると、その時に限ってトニーは別の階に移動していたり、”瞑想のために羊水カプセルに入った”とジャービスに知らされたり(冗談だろうが、指摘してもさらなる馬鹿らしい言い訳で煙に巻かれるので否定しない。羊水カプセル? 冗談だよな?)して本人に会えない。つまりトニーはジャービスにタワー内のカメラを監視させて、スティーブがラボに近付くと逃げているのだ。  恋人に避けられる理由がわからない。しかし嫌な予感だけはじゅうぶんにする。トニーが子供っぽい行動に走るときは、後ろめたいことがあるとき――つまり、”彼自身に”問題があると自覚しているときだ。  トニーの抱える問題? トニー・スターク、世紀の天才。現代のダ・ヴィンチと称された機械工学の神。アフガニスタンの洞窟に幽閉されてもなお、がらくたからアーク・リアクターを作り上げた優れた発明家にしてアイアンマン――億万長者という言葉では言い表せないほどの富と権力を持ち、さらには眉目秀麗で頭脳明晰、世間は彼には何の悩みも問題もないと思いがちだが――そのじつ、いや、彼のことを三日もよく見ていればわかることだ。彼は問題ばかりだ。問題の塊だといってもいい。  一番の問題は、彼が自分自身の問題を自覚していて、直そうとするどことか、わざとそれを誇張しているということだ。スティーブにはそれが歪んだ自傷行為にしか見えない。酒に強いわけでもないのに人前で浴びるように飲んでみたり、愛してもいない人間と婚約寸前までいったり(ポッツ嬢のことではない)、��ーソナルスペースが広いわりに見知らぬファンの肩を親し気に抱いてみたり、それに――平和を求めているのに、兵器の開発をしたり――していたのは、すべて彼の”弱さ”であるはずだが、トニーはもうずいぶんと長いあいだ、世間に向けてそれが”強さ”だと信じさせてきた。大酒のみのパーティクラッシャー、破天荒なプレイボーイ、気取らないスーパーヒーロー、そして真の愛国者。アルコール依存症、堕落したセックスマニア、八方美人のヒーロー、死の商人というよりもよっぽど印象がいい。メディアを使った印象操作は彼の得意分野だ。トニーは自分がどう見られているか、常に把握している。  そういう男だから、性格の矯正はきかないし、付き合うのには苦労する。だからといって離れられるわけがないのだから、これはもう生まれ持ってのトラブル・メーカーだと割り切るしかない。  考えるべきことはひとつ。彼の抱える問題のうち、今回はどれが表面化したのか?
 トニーに避けられて四日目の朝、スティーブは再びD.C.のS.H.I.E.L.D.本部に出発しようとしていた。先日詰められなかった会議の再開と、クラッキング事件の詳細報告を受けるためだ。ジャービスによるとトニーはスティーブの予定を知っているようだが、��リの準備を終えても彼がラボ(あるいは羊水カプセルか、タワー内のいずれかの場所)から出てくることはなかった。見送りなんて大げさなことを期待しているわけではないが、今までは顔くらい見せていたはずだ。  (これじゃ、避けられてるどころか、無視されているみたいだ)  そう思った瞬間、スティーブの中でトニーの抱える問題の一つに焦点が合った。
 ナターシャはいつもの戦闘用スーツに、儀礼的な黒いジャケットを着てS.H.I.E.L.D.の小さな応接室のひとつにいた。彼女が忙しい諜報活動の他に、S.H.I.E.L.D.本部で何の役についているのか、スティーブは知らされていなかった――だから彼女が応接室のチェストを執拗に漁っているのが何のためなのかわからなかったし、聞くこともしなかった。ナターシャも特に自分の任務に対して説明したりしない。スティーブはチェストの一番下の引き出しから順々に中を改めていくナターシャの後ろで、戦中のトロフィーなどを飾った保管棚のガラス戸に背をもたれ、組んだ腕を入れ替えたりした。  非常に言いにくいし、情けない質問だし、聞かされた彼女が良い気分になるはずがない。だがスティーブには相談できる相手が彼女しかいなかった。  「ナターシャ、その――邪魔してすまない」  「あら構わないのよ、キャップ。そこで私のお尻を見ていたいのなら、好きなだけどうぞ」  からかわれているとわかっていても赤面してしまうのは、スティーブの純潔さを表すチャームポイントだ、と、彼の恋人などはそう言うのだが――いい年をした男がみっともないと彼自身は思っていた。貧しい家庭で育ち、戦争を経験して、むしろ現代の一般人よりそういった表現には慣れているのに――おそらくこれが同年代の男からのからかいなら、いくら性的なニュアンスが含まれていようが、スティーブは眉ひとつ動かさないに違いない。ナターシャのそれはまるで姉が弟に仕掛けるいたずらのように温かみがあり、スティーブを無力な少年のような気持ちにさせた。  「違う、君は……今、任務中か? 僕がここにいても大丈夫?」  「構わないって言ったでしょ。用があるなら言って」  確かにナターシャの尻は魅力的だが、トニーの尻ほどではない――と自分の考えに、スティーブは目を閉じて首を振った。「聞きたいことがあるんだけど」 スティーブは出来るだけ、何でもないふうに装った。「僕はその、少し前からスタークのタワーに住んでいて――……」  「付き合ってるんでしょ。なあに、トニーに浮気でもされたの?」  スティーブはガラス戸から背中を離して、がくんと顎を落とした。「オー・マイ……ナット、なんでわかったんだ」  「それは、こっちの……台詞だけど」 いささか呆気にとられた表情をして、ナターシャは目的のものを見つけたのか、手のひらに収まるくらいの何かをジャケットの内ポケットに入れると、優雅に背筋を伸ばした。「トニーが浮気? ほんとに?」  「ああ、いや……多分そうなんじゃないかと……」  「この前会ったときは、あなたにでろでろのどろどろに惚れてるようにしか見えなかったけど、ああいう男は体の浮気は浮気だと思ってない節があるから、あとはキャップ、あなたの度量しだいね」  数日分の悩みを一刀両断されてしまい、スティーブは一瞬、自分の耳を疑った。音もなくソファセットの前を通り過ぎ、部屋を出て行こうとしたナターシャを慌てて呼び止める。「そ、そうじゃないんだ。浮気したと決まったわけじゃない。ただトニーの様子がこのところおかしいから、もしかしたらと思って――それで君に相談ができればと……僕はそういうのに疎いから」  「おかしいって? トニー・スタークが?」  まるでスティーブが、空を飛んでいる鳥を見て”飛べるなんておかしい”と言ったかのように、ナターシャは彼の正気を疑うような目をした。「そうだよな」 スティーブは認めた。「トニーはいつもおかしいよ。おかしいのが彼だ。何でも好きなものを食べられるのに、有機豆腐ミートなんて代物しか食べなかったり――それでいて狂ったようにチーズバーガーしか食べなかったり――それでも、何か変なんだ。僕を避けてるんだよ。通信でも顔を見せない。まる一日、どこかに行ったきりだと思ったら、今度はラボにずっとこもってる。ジャービスに彼の様子を聞こうにも、彼はトニー以外のいうことなんてきかないし、もうお手上げだ」  ナターシャはすがめたまぶたの間からスティーブを見上げると、一人掛けのソファに座った。スティーブも正面のソファに座る。彼女が長い足を組んで顎に手を当て考え込むのを、占い師の診断を仰ぐ信者のように待つ。  「ふーん……それって、いつから?」  「六日前だ。ハッキング事件の当日はまだ普通だったけど、その翌日はやたらと饒舌で……きみも付き合いが長いから、トニーが隠し事をしているときにしゃべりまくる癖、知ってるだろ」  「それを聞いたら、キャプテン、私には別の仮説が立てられるわ」  「え?」  「来て。会議の前に長官に報告しなきゃ」  ナターシャの後を追いながら、スティーブは彼女が何を考えているか、じわじわと確信した。「君はもしかして、S.H.I.E.L.D.をハッキングしたのが彼だと――」  「最初から疑ってたのよ。S.H.I.E.L.D.のネットワークに侵入できるハッカーはそう多くない。世界でも数千人ってとこ。しかもトニーには前歴がある。でもだからこそ、長官も私も今回は彼じゃないと思ってた」  「どういうことだ」  「ハッカーにはそれぞれの癖みたいなのがあるのよ。自己顕示欲の強いやつは特に。登頂成功のしるしに旗を立てるみたいに、コードにサインを入れるやつもいる。トニーのは最高に派手なサインが入ってた。今回のはまるで足跡がないの。S.H.I.E.L.D.のセキュリティでも追いきれなかった」  「トニーじゃないってことだろう?」  「前回、彼は自分でハッキングしたわけじゃなかった。あの何か、変な小さい装置を使って人工知能にやらせてたんでしょ。今回は自分でやったとしたら? 彼がMIT在学中に正体不明のハッカーがありとあらゆる国の情報機関をハッキングした事件があった。今も誰がやったかわかってないけど――」  そこまで言われてしまえば、スティーブもむやみに否定することはできなかった。  「……ハッキングされたのは一瞬なんだろう。トニーがやったのなら、どうしてずっとラボにこもってる」  「データを盗めたとしても暗号化されてるからすぐに読めるわけじゃない。じつのところ、まだ攻撃され続けてる。これはレベル5以上の職員にしか知らされていないことだけど、現在進行形でサイバー攻撃されてるわ。たぶん、復号キーを解析されてるんだと思う。非常に高度なことよ、通信に多少のラグがあるだけで、他のシステムには全く影響していない。悪意あるクラッカーやサイバーテロ集団がS.H.I.E.L.D.の運営に配慮しながらサイバー攻撃するなんて、考えられなかったけど――もしやってるのがアイアンマンなら、うなずける。理由は全く分からないけど」  ナターシャはすでに確信しているようだった。長官室の扉を叩く前に、スティーブを振り返り、にやりと笑った。  「ねえ、よかったじゃない――浮気じゃなさそう」  「それより悪いかもしれない」 スティーブはほっとしたのとうんざりしたのと、どっちの気持ちを面に出したらいいか迷いながら返した。恋人が浮気したなら、まあ結局は許すか許さないかの話で、なんやかんやでスティーブは許してしまったことだろう(ああ、簡単じゃないか、本当に)。しかし、恋人が内緒で国際平和維持組織をハッキングしていたのなら、まるで話の規模が変わってくる。  ああ、トニー、君はいったい、何をやってるんだ。  説明されても理解できないかもしれないが、僕から隠そうとするのはなぜだなんだ。  「失礼します、長官。報告しておきたいことが――」 四回目のノックと同時に扉を開け、ナターシャは緊急時にそうするように話しながら室内に入った。「現行のサイバー攻撃についてですが、スタークが関わっている可能性が――」  「報告が遅いぞ」 むっつりと不機嫌なニック・フューリーの声が響く。部屋には二人の人物が居た――長官室の物々しいデスクに座るフューリーと、その向かいに立つトニー・スタークが。  「ところで、コーヒーはまだかな?」 チャコールグレイの三つ揃えのスーツを着たトニーは、居ずまいを正すように乱れてもいないタイに触れながら言った。ちらりと一瞬だけスティーブに目をくれ、あとはわざとらしく自分の手元を注視する。「囚人にはコーヒーも出ないのか? おい、まさか、ロキにも出してやらなかった?」  「トニー、君……」  スティーブが一歩踏み出すと、ナターシャが腕を伸ばして止めた。険の強い声音でフューリーを問いただす。「どういうことです? 我々はサイバーセキュリティの訓練を受けさせられていたとでも?」  「いや、彼は今朝、自首しにきたんだ、愚かにも、自分がハッキング犯だと。目的は果たしたから理由を説明するとふざけたことを言っている。ここで君たちが来るまで拘束していた」  ナターシャの冷たい視線を、トニーは肩をすくめて受け流した。  「本当か? トニー、どうしてそんなことをしたんだ」  「ここだけの話にしてくれ」 トニーはスティーブというより、フューリーに向かって言った。「僕がこれから言うことはここにいる人間だけの耳に留めてくれ」 全く頷かない長官に向かって、トニーはため息をついて両手を落とした。「あとは、そうだな。当然、僕は無罪放免だ。だってそうだろ? わざわざバグを指摘してやったんだ。表彰されてもいいくらいだろう! タダでやってやったんだぞ!」  「タダかどうかは、私が決める」 地を這うように低い声でフューリーは言った。「放免してやるかどうかも、その話とやらを聞いてから決める。さっさと犯罪行為の理由を釈明しないなら、この場で”本当”に拘束するぞ。ウィドウ、手錠は持ってるか」  「電撃つきのやつを」  「ああ、わかった、わかった。電撃はいやだ。ナターシャ、それをしまえ。話すとも、もちろん。そのためにD.C.まで来たんだ。座っていい?」 誰も頷かなかったので、トニーは再びため息をついて、革張りのソファの背を両手でつかんだ。  「それで、ええと――僕が慈善家だってことは、皆さんご承知のことだとは思うんだが――」  「トニー」 自分でもぎょっとするくらい冷たい声で名前を呼んで、スティーブは即座に後悔したが――この場に至っても自分を無視しようとするトニーに、怒りが抑えられなかった。  トニーは大きな��を見開いて、やっとまともにスティーブを視界に入れた。こんな距離で会うのも数日ぶりだ。スティーブは早く彼の背中に両手を回したくて仕方なかったが、その後に一本背負いしない自信がなかったので、ナターシャよりも一歩後ろの位置を保った。  「……べつに話を誤魔化そうってわけじゃない。僕が慈善家だってことは、この一連の僕の”活動”に関係のあることなんだ。というより、それが理由だ」 ゆらゆら揺れるブラウンの瞳をスティーブからそらせて、トニーは話し始めた。
 七日前にもトニーはS.H.I.E.L.D.に滞在していた。フューリーに頼まれていた技術提供の現状視察のためもあったが、出席予定のチャリティー・オークションのパーティがD.C.で行われるため、長官には言わないが、時間調整のために本部内をぶらぶらしていたのだ。たまに声をかけてくる職員たちに愛想よく返事をしてやったりしながら、迎えの車が来るのを待っていた。  予定が狂ったのは、たまたま見学に入ったモニタールームEに鳴り響いた警報のせいだった――アムステルダムで任務中の諜報員からのSOSだったのだが、担当の職員が遅いランチ休憩に出ていて(まったくたるんでいる!)オペレーション席に座っていたのはアカデミーを卒業したばかりの新人だった。ヘルプの職員まで警報を聞いたのは訓練以外で初めてという状態だったので、トニーは仕方なく、本当に仕方なく、子ウサギみたいに震える新人職員からヘッドマイクを譲り受け(もぎ取ったわけじゃないぞ! 絶対!)、モニターを見ながらエージェントの逃走経路を指示するという、”ジャービスごっこ”を――訂正――”人命と世界平和に関する極めて責任重大な任務”を成り代わって行ったのだ。もちろんそれは成功し、潜入先で正体がばれたまぬけなエージェントたちは無事にセーフハウスにたどり着き、新人職員たちと、ランチから戻って状況の飲み込めないまぬけな椅子の男に対し、長官への口止めをするのにも成功した。ちょっとしたシステムの変更(ほら、僕がモニターの前に座って契約外の仕事をしているところが監視カメラに映っていたら、S.H.I.E.L.D.は僕に時間給を払わなくちゃいけなくなるだろ? その手間を省いてやるために、録画映像をいじったんだ――もしかしたら。怖い顔するな。そんなような気がしてたんだ、今まで)もスムーズに成立した。問題は、そのすべてが完了するのに長編映画一本分の時間がかかったということだ。トニーの忠実な運転手は居眠りもしないで待っていたが、チャリティーに到着したのは予定時刻から一時間以上は経ったころだった。パーティが始まってからだと二時間は経過していた。それ自体は大して珍しいことではない。トニーはとにかく、パーティには遅れて到着するタイプだった(だって早く着くほうが失礼だろ?)。  しかし、その日に限って問題が発生する。セキュリティ上の都合とやらで(最近はこんなのばっかりだな)、予定開始時刻よりも大幅にチャリティー・オークションが早まったのだ。トニーが到着したのは、もうあらかたの出品が終わったあとだった。  トニーにはオークションに参加したい理由があった。今回のオークションに限ったことではない。トニーの能力のもと把握することが出来る、すべてのオークションについて、彼は常に目を光らせていた。もちろん優秀な人工知能の手も借りてだが――つまり、この世のすべてのオークションというオークションについて、トニーはある理由から気にかけていた。好事家たちの間でだけもてはやされる、貴重な珍品を集めるためではない――彼が、略奪された美術品を持ち主に返還するためのグループ、「エルピス」を支援しているからだ。  第二次世界大戦前や戦中、ヨーロッパでは多くの美術品がナチスによって略奪され、焼失を逃れたものも、いまだ多くは、ナチスと親交のあった収集家や子孫、その由来を知らないコレクターのもとで所有されている。トニーが二十代の頃に美術商から買い付けた一枚の絵画が、とあるユダヤ人女性からナチ党員が二束三文で買い取った物だと「エルピス」から連絡があったのが、彼らを支援するきっかけとなった。それ以来、トニーが独自に編み上げた捜索ネットワークを使って、「エルピス」は美術品を正当な持ち主に戻すための活動を続けている(文化財の保護は強者の義務だろ。知らなかった? いや、驚かないよ)。数年前にドイツの古アパートから千点を超す美術品が発見されたのも、「エルピス」が地元警察と協力して捜査を続けていた”おかげ”だ。時間も、根気もいる事業だが、順調だった。そして最近、「エルピス」が特に網を張っている絵画があった。東欧にナチスの古い基地が発見され、そこには宝物庫があったというのだ――トニーが調べた記録によれば、基地が建設されたと思わしき時期、運び込まれた数百点の美術品は、戦後も運び出された形跡がなかった――つまり宝物庫が無事なら、そこにあった美術品も無事だったということだ。  数百点の美術品のうち、持ち主が明確な絵画が一点あった。ユダヤ人投資家の男で、彼の祖父が所有していたが、略奪の目にあい彼自身は収容所で殺された。トニーは彼と個人的な親交もあり、特に気にかけていた。  その投資家の男がD.C.の会場にも来ていて、遅れてやってきたトニーに青い顔で詰め寄った。「”あれ”が出品されたんだ――」 興奮しすぎて呼吸困難になり、トニー美しいベルベッドのショール・カラーを掴む手にも、ろくな力が入っていなかった。「スターク、”あれ”だ――本当だ。祖父の絵画だ。ナチの秘宝だと紹介されていた。匿名の人物が競り落とした――あっという間だった――頼む、あれを取り戻してくれ――」  (なんて間の悪いことだ!) 正直なところ、トニーは今回のオークションにそれほど期待していたわけではなかった。長年隠されていた品物が出品されるとなれば、出品リストが極秘であろうと噂になる。会場に来てみてサプライズがあることなど滅多にない。それがまさかの大当たりだったとは! こんなことなら、時間つぶしにS.H.I.E.L.D.なんかを使うんじゃなかった。トニーは投資家に「落札者を探し出し、説得する」と約束し、その後の立食パーティで無礼なコラムニストを相手にさんざん子供っぽい言い合いをして、帰宅の途についた――そして、ジャービスに操縦を任せた自家用機の中で、匿名の落札者について調べたが、思うように捗らなかった。もちろん、トニーが本気になればすぐにわかることだ――しかし、ちょっとばかり酔っていたし、別に調べることもあった。そちらのほうは、タイプミスをしてジャービスに嫌味を言われるまでもなく、調べがついた。  網を張っていた絵画と同じ基地にあった美術品のうち、数点がすでに別の地域のオークションや美術商のもとに売り出されていた。
 「これがどういうことか、わかるだろう」 トニーは許可をとることをやめて、二人掛けのソファの真ん中にどさりと腰かけた。デスクに両肘をついて、組んだ手の中からトニーを見下ろすS.H.I.E.L.D.の長官に、皮肉っぽく言い立てる。「公表していないが、ナチスの基地を発見、発掘したのはS.H.I.E.L.D.だろ。ナチスというより、ヒドラの元基地だったらしいな。そこにあった美術品が横流しされてるんだ。すぐに足がつくような有名なものは避けて、小品ばかり全国にばらけて売っている。素人のやり方じゃないし、僕はこれと似たようなことをやる人種を知っている。スパイだよ。スパイが物を隠すときにやる方法だ」  「自分が何を言ってるかわかってるのか」 いよいよ地獄の底から悪魔が這い出てきそうな不機嫌さで、フューリーの声はしゃがれていた。「S.H.I.E.L.D.の職員が汚職に手を染めていると、S.H.I.E.L.D.の長官に告発しているんだぞ」  「それどころの話じゃない」 トニーは鋭く言い放った。「頂いたデータを復号して、全職員の来歴を洗い直した。非常に臭い。ものすごい臭いがするぞ、ニック。二度洗いして天日干しにしても取れない臭いだ――」 懐から取り出したスマートフォンを操作する。「今、横流しに直接関わった職員の名簿をあんたのサーバーに送った。安心しろ、暗号化してある。解読はできるだろ?」 それからゆっくり立ち上がって、デスクの正面に立ち、微動だにしないフューリーを見下ろす。「……あんた自身でもう一度確認したほうがいい。今送った連中だけの話じゃないぞ。……S.H.I.E.L.D.は多くの命を救う。僕ほど有能じゃなくても、ないよりあったほうが地球にとっては良い」  「言われるまでもない」  「そうか」  勢いよく両手を合わせて乾いた音を響かせると、トニーは振り返ってスティーブを見つめた。ぐっと顎に力の入ったスティーブに、詫びるようにわずかに微笑んで、歩きながらまたフューリーを見る。「で、僕は無罪放免かな? それとも感謝状くれる?」  「帰っていいぞ。スターク。ひとりでな」  「そりゃ、寂しいね。キャプテンを借りるよ、長官。五分くらいいいだろう」  言うやいなや、トニーはナターシャの前を素通りすると、スティーブの二の腕を掴んで部屋を出ようとした。  「おい――トニー――……」  「キャップ」 ナターシャに視線で促され、スティーブはトニーの動きに逆らうのをやめた。うろんな顔つきで二人を見ているフューリーに目礼して、スティーブは長官室を後にした。
 「トニー……おい、トニー!」  トニーの指紋認証で開くサーバールームがS.H.I.E.L.D.にあったとは驚きだった。もしかしたらこれも”システム変更”された一つかもしれない――トニーは内部からタッチパネルでキーを操作して、ガラス壁を不透明化させた。そのまま壁に背をもたれると、上を向いてふーっと長い息を吐く。  スティーブは壁と同様にスモークされた扉に肩で寄りかかり、無言でトニーを見つめた。  「……えっと、怒ってるよな?」 スティーブが答えないでいると、手のひらを上げたり下ろしたりしながらトニーはその場をぐるぐると歩き出した。  「きっと君は怒ってると思ってた。暗号の解析なんか一日もかからないと思ってたんだが、���画の落札者探しも難航して――まあ見つかるのはすぐに見つかったんだが、西ヨーロッパの貴族で、これがまた、筋金入りの”スターク嫌い”でね、文字通り門前払いをくらった。最初からエルピスの奴らに接触してもらえばもうちょっと話はスムーズについたな。それでも最終的には僕の説得に応じて、返還してくれることになった――焼きたてのパンもごちそうになったしね。タワーに帰るころには解析も済んでるはずだったのに、それから数日も時間がかかって――」  「何に時間がかかっていようが、僕にはどうだっていい」 狭い池で周遊する魚のように落ち着きのない彼の肩を掴んで止める。身長差のぶんだけ見上げる瞳の大きさが恋しかった。「僕が怒ってるのは、君が何をしていたかとは関係ない。それを僕に隠していたからだ。どうして、僕に何も言わない。S.H.I.E.L.D.に関わりのあることなのに――」  「だからだよ! スティーブ……君には言えなかった。確証を掴むまで、何も」  「何をそんなに……」  「わからないのか? フューリーも気付いたかどうか」 不透明化された壁をにらみ、トニーはスティーブの太い首筋をぐっと引き寄せて顔を近づけた。「わからないのか――ヒドラの元基地から押収した品が、S.H.I.E.L.D.職員によって不正に取引された――一人の犯行じゃない。よく計画されている。それに、関わった職員の口座を調べたが、どの口座にも大金が入金された痕跡がない。……クイズ、美術品の売り上げは、誰がどこに流してるんでしょう」  「……組織としての口座があるはずだ」  「そうだ。じゃあもう一つ、クイズだ。その組織の正体は? キャップ……腐臭がしないか」  「……ヒドラがよみがえったと言いたいのか」  「いいや、そのセリフを言いたいと思ったことは、一度もない」 トニーは疲れたように額を落とし、スティーブの肩にもたれかかった。「だから黙ってたんだ」  やわらかなトニーの髪と、力なくすがってくる彼の手の感触が、スティーブの怒りといら立ちを急速に沈めていった。つまるところ、トニーはここ数日間、極めて難しい任務に単独で挑んでいた状況で――しかもそれは、本来ならばS.H.I.E.L.D.の自浄作用でもって対処しなければならない事案だった。  体調も万全とはいえないトニーが、自分を追い込んでいたのは、彼の博愛主義的な義務感と、優しさゆえだった――その事実はスティーブを切なくさせた。そしてそれを自分に隠していたのは、彼の数多く抱える問題のひとつ、彼が”リアリスト”であるせいだった。彼は常に最悪を考えてしまう。優れた頭脳が、悲観的な未来から目を逸らさせてくれないのだ。  「もしヒドラがまだこの世界に息づいているとしても」 トニーの髪に手を差し入れると、そのなめらかな冷たさに心が満たされていく。「何度でも戦って倒す。僕はただ、それだけだ」  「頼もしいな、キャプテン。前回戦ったとき、どうなったか忘れた?」  「忘れるものか。そのおかげで、今こうして、君と”こうなってる”んだ」  彼が悲観的なリアリストなら、自分は常に楽観的なリアリストでいよう。共に現実を生きればいい。たとえ一緒の未来を見ることは出来なくとも、平和を目指す心は同じなのだから。  「はは……」 かすれた吐息が頬をかすめる。これ以上のタイミングはなかった。スティーブはトニーの腰を抱き寄せてキスをした。トニーはとっくに目を閉じていた。スティーブは長い睫毛が震えているのを肌で感じながら、トニーを抱きつぶさないように自分が壁に背をつけて力を抑えた――抱き上げると怒られるので(トニーは自分の足が宙をかく感覚が好きじゃないようだ、アーマーを未装着のときは)、感情の高ぶりを表せるのは唇と、あまり器用とはいい難い舌しかなかった。  幸いにして、彼の恋人の舌は非常に器用だった。スティーブはやわらかく、温かで、自分を歓迎してくれる舌に夢中になり、恋人が夢中になると、トニーはその状態にうっとりする。うっとりして力の抜けたトニーが腕の中にいると、スティーブはまるで自分が、世界を包めるくらいに大きく、完全な存在になったように感じる。なんという幸福。なんという奇跡。  「きみが他に――見つけたのかと思った」  「何を?」 上気した頬と涙できらめく瞳がスティーブをとらえる。  「新しい恋人。それで、僕を避けているのかと……」  トニーはぴったりと抱き着いていた上体をはがして、まじまじとスティーブを見つめた。 「ファーック!? それ本気か? 僕が何だって? ���しい……」  「恋人だ。僕が間違ってた。でも口が悪いぞ、トニー」  「君が変なこと言うから――それに、それも僕の愛嬌だ」  「君の……そういうところが、心配で、憎らしくて、とても好きだ」  もう一度キスをしながら、トニーの上着を脱がそうとしているうちに、扉の外からナターシャの声が聞こえた。  「あのね、お二人さん。いくら不透明化してるからって、そんな壁にべったりくっついてちゃ、丸見えよ」  スティーブの首に腕を回し、ますます体を密着させて、トニーは言った。「キャプテン・アメリカをあと五分借りるのに、いくらかかる?」  唐突にガラスが透明になり、帯電させたリストバンドを胸の前にかかげたナターシャが、扉の前に立っているのが見えた。  「あなた、最低よ、スターク」  「なんで? 五分じゃ短すぎたか? 心配しなくても最後までしないよ、キスと軽いペッティングだけだ、五分しかもたないなんてキャップを侮辱したわけじゃな……」  「あなた、最低よ、スターク!」  「キーをショートさせるな! 僕にそれを向けるな! 頼む!」  スティーブはトニーを自分の後ろに逃がしてやって、ナターシャの白い頬にキスをした。「なんだか、いろいろとすまない。ナターシャ……」  「いいわ、彼には後で何か役に立ってもらう」  トニーがぶつぶつと文句をつぶやきながらサーバーの間を歩き、上着のシワを伸ばすさまを横目で見て、ナターシャに視線を戻すと、彼女もまた同じ視線の動きをしていたことがわかった。  「……トニーを巻き込みたくない。元気にみえるけど、リアクターの除去手術がすんだばかりで――」  「わかってるわ。S.H.I.E.L.D.の問題は、S.H.I.E.L.D.の人間が片をつける」  ナターシャの静かな湖面のような緑の目を見て、自分も同じくらい冷静に見えたらいいと思った。トニーにもナターシャにも見えないところで、握った拳の爪が掌に食い込む。怖いのは、戦いではなく、それによって失われるかもしれない現在のすべてだ。  「……もし、ヒドラが壊滅せずにいたとしたら――」  「何度だって戦って、倒せばいい」 くっと片方の唇を上げた笑い方をして、ナターシャはマニッシュに肩をすくめた。「そうなんでしょ」  「まったく、君……敵わないな。いつから聞いてたんだ」  「私は凄腕のスパイよ。重要なことは聞き逃さない」  「いちゃつくのは終わったか?」 二人のあいだにトニーが割り入った。「よし。ではこれで失礼する。不本意なタイミングではあるが――ところでナターシャ、クリントはどこにいるんだ?」  「全職員の動向をさらったばかりでしょ?」  「クリントの情報だけは奇妙に少なかったのが、不思議に思ってね。まあいい。休暇中は地球を離れて、アスガルドに招待でもされてるんだろう。キャップ……無理はするなよ。家で待ってる」  「トニー、君も」 スティーブが肩に触れると、トニーは目を細めて自分の手を重ねた。  「僕はいつでも大丈夫だ。アイアンマンだからな」  ウインクをして手を振りながら去っていくトニーに、ナターシャがうんざりした表情を向けた。「ねえ、もしかしてこの先ずっと、目の前で惚気を聞かされなきゃいけないの?」 そう言って、今度はスティーブをにらみつける。「次の恋愛相談はクリントに頼んでよ!」
 ◇終◇
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jap-and-the-world · 5 years ago
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石川雅之『もやしもん』。「見えないウイルス」の世界を覗き見る 新型コロナウイルスの猛威が世界を覆っている。原子力発電所事故以降の放射能に対する過剰反応が示すように、人間は「目に見えない脅威」に弱い。日本政府の対応や情報開示が後手に回っているのもあり、不安が高まるのも無理はない気もする。 では、もし病原体が「目で見える」としたら、どうだろう? そんな思考実験と、菌やウイルスに関する知識を仕入れる教材として、今回は石川雅之の『もやしもん』(講談社)を取りあげよう。2004年から2014年まで長期連載され、手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞してアニメ化もされた快作だ。 主人公は「菌が見える少年」 物語は、日本酒造りに用いる種麹(もやし)を商う老舗の次男坊・沢木惣右衛門直保(そうえもんただやす)と幼馴染の結城蛍(けい)が農業大学に入学するシーンから始まる。基本はこの農大を舞台にアレコレ起きる「学園モノ」だ。 本作を異色作としているのは、「主人公・直保は菌やウイルスを肉眼で見られて、会話もできる」という、なかなか強引な設定だ。この一点突破の「異化」の効果で、読者は2つの世界とその「あわい」を行き来する風変わりな視点を提供される。 2つの世界とは人間界とミクロの世界であり、後者の描写ではコミカルに記号化された菌やウイルスが言葉を交わし、時に直保がそこに絡む。 学園モノとしての『もやしもん』には定評があり、美点は語りつくされているから簡潔に触れるだけとしよう。 農大という特殊な世界とそこに住む奇人・変人が丹念に描かれ、その異界に適度に外界が侵入するストーリー展開や、多様なキャラクターの造形が抜群で、群像劇としてだけ見ても退屈しない。私のお気に入りはトラブルメーカーの美里薫と川浜拓馬の先輩コンビ。女性キャラも魅力的で、作画の密度も高い。 大学という、モラトリアムを許された閉じた時空の「空気」の再現度が高く、『のだめカンタービレ』(講談社)のように、時折、その世界に浸りたくなる中毒性の高い作品だ。 今に続く「ワクチン不毛の地・日本」 これだけで読んで損はないとオススメできるが、もう1つ、このマンガの凄いところは「ウンチク」の分厚さだ。全編通してお酒や食品などの発酵の仕組みや文化、菌、ウイルスについて、過剰なほどマニアックな知識が盛り込まれている。その「ウンチク」が頭にスッと入りやすいのは、マンガという視覚に訴えるメディアの強みに加え、菌やウイルスが「一人称で語る」という奇妙な世界観によるところが大きい。 世間を騒がすコロナウイルスに引き付ければ、菌やウイルスという見えない脅威を「正しく恐れる」ための良きテキストとなる部分も多い。 たとえば序盤に直保が集団食中毒を未然に防ぐシーン。特殊能力で視認した原因菌O-157は、可愛らしい外見で「かもして ころすぞ」というセリフを笑顔で吐く。酸性の環境に耐えるO-157の存在を見抜いた直保は、加熱しても活動を続ける別の菌で自身だけ入院の憂き目にあう。 サークル棟で巻き起こるインフルエンザの大流行では、鳥や豚、人間の間を行き来して変異を繰り返すウイルスの特性や、マスクによる予防法の限界等々、ポイントをおさえた知識がきちんとストーリーの起伏にそって紹介される。 フランスが舞台の美貌の院生・長谷川遥の結婚未遂(?)事件の冒頭では、大航空時代の世界的パンデミックのリスクについても言及がある。 脊髄性小児まひをおこすポリオウイルスのくだりなどは、今に続く「ワクチン不毛の地・日本」の構造問題を鋭くえぐってみせる。 上記の知識は無論、通常の書籍でも入手可能なものだが、これらが菌やウイルスの「一人称の語り」や直保という人間との対話の形で容易に学べる。分厚い伝記より、「ナマの声」のインタビュー記事の方が人間味を強く伝えるのに通じるところがある。 完全「封じ込め」は難しい? ここで少々コロナウイルスの現状について私見をまとめておきたい。私は専門家ではなく、あくまで自分自身の行動指針としての現状判断でしかないのをお断りしておく。 私はすでに完全な「封じ込め」は難しく、季節によって罹患者数が減少する局面もあるだろうが、一定��間をかけて2009年に広がったH1N1型の新型インフルエンザのように、「誰もが人生のどこかで曝露されるウイルス」になる可能性が高いのだろうと悲観的に見ている。 致死率や重症化の割合が高くないことは、感染者にとっては幸いなことではあるが、運び手となるキャリアの行動範囲を広げ、「封じ込め」を難しくするからだ。 この前提に立てば、マクロの目標は感染拡大にブレーキをかけて時間を稼ぐことだ。 目先の爆発的流行を抑えて医療リソースの枯渇を回避し、春から夏に期待されるピークアウトの間に治療法とワクチンを開発する時間を確保する。備えが整えば、秋以降に感染拡大が再燃しても被害はかなり抑えられるだろう。 難しいのは「感染抑制」が経済に与えるダメージとのバランスだ。これは生命とお金を天秤にかけるという単純な話ではない。経済的打撃は、明確に観測できないだけで、ウイルス禍と同じように人の生死を左右する。今後は、この両者のバランスの確保とパニックの抑制が、各国政府にとって難しい課題になっていくのではないだろうか。 「そこまでやるか」 脱線が過ぎたようだ。『もやしもん』に話を戻そう。 ここまで最近の話題に寄せて書いてきたが、このマンガの一番熱い部分は発酵食品、なかでもお酒という文化の掘り下げだ。 主人公が種麹屋の息子なので、日本酒を巡るストーリー展開が主軸になるのは自然だろう。酒造業界の裏話も含めた「ウンチク」は「そこまでやるか」というマニアックさで、私は「なるほど、そうなっていたのか」と日本酒を味わう楽しみが増えた。 この「本筋」と並んで慧眼に驚くのはクラフト��ールについての正確で手厚い目配りだ。 クラフトビールに偏見を持つ酒豪のミス農大・武藤葵が、加納はなという作り手と交流するうち、その可能性に感化されて「農大版オクトーバーフェスト」の開催にまで発展するエピソードは、今日の世界的なクラフトビールブームを予見するような幅と深みをもった一編となっている。 こうした時代を先取りした本作の先見性は、「次のブーム」を当ててやろうという山っ気から生まれたわけではないだろう。 そこにはまず「発酵」という、人間と微生物の醸し出すハーモニーへの純粋な愛着と畏敬の念がある。その一念がテーマへの感度を高め、描かずにいられない思いを結実させたからこそ、読者を引き込む魅力が作品からあふれている。 この我々「ホモサピ(エンス)」と繋がりながらも全く違うミクロの豊饒な世界への窓が開くためにも、「ミクロの世界が見える」という主人公の設定は絶妙なものだ。 「正しく知り、正しく恐れる」ために ここからは本コラムのポリシーを少し逸脱して「ネタバレ」が含まれる。未読の読者は注意願いたい。 「ウンチク」好きの私にとって『もやしもん』はストライクゾーンど真ん中の愛読書だ。 そして、読み返すたび、本作を傑作たらしめているのは、「ウンチク」を超えた世界観なのだと感じる。その世界観は作中、登場人物や「ホモサピ以外」のキャラたちの会話のそこかしこに垣間見える。 もっとも明示的にそれが示されるのは、最終回の対話だ。 菌たちが直保に問いかける。 「君の営み 我々の営み」 「別々のようで同じなんだヨ それぞれの輪ではあるが」 「この世界は全てつながっているんだ 君が知る中で一番大きなものは何だい?」 直保が答える。 「え? は……はくちょう座の何とかって星…?」 菌たちが応じる。 「それが何かは我々にはさっぱりわからないけど それもこの世界の一つなんだろう?」 「我々と君のそれ みんなみんなで一つの和なんだヨ」 このやり取りを目撃した農大の老教授の樹慶蔵に、菌たちはこう告げる。 「何が先生だ この慶蔵が」 「俺らの事をまだまだ全然知らねーくせに」 「偉そうにふんぞり返るにはまだはええぞ」 「君はまだ学びの道の入口にいるにすぎない」 この邂逅を経験した樹教授は、涙を流してこうつぶやく。 「ありがとう沢木君……これからも私と一緒に勉強してくれるかい?」 喫緊の脅威である新型コロナウイルスを含め、我々の微生物やウイルスに関する知見は、「世界の実相」の表面を撫でているにすぎない。 命あるものとして、未知の疾病に恐怖し、最大限の防御策をとろうとするのは当然の反応であり、保健衛生の観点から考えても我々はそう行動するべきだ。 だが、同時に、我々が知る「世界」は極めて限定された知識に基づくものであるという自覚も忘れるべきではないだろう。「正しく知り、正しく恐れる」ためにも、今こそこの世界の重要な構成メンバーである菌とウイルスについて、土台となる基礎知識を身に着けることが肝要だろう。 高井浩章 1972年生まれ。経済記者・デスクとして20年超の経験があり、金融市場や国際ニュースなどお堅い分野が専門だが、実は自宅の本棚14本の約半分をマンガが占める。インプレス・ミシマ社の共同レーベル「しごとのわ」から出した経済青春小説『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』がヒット中。 noteの連載はこちら。ツイッターアカウントはこちら。 関連記事 ルームメイトの女の子から見たイスラム社会:ユペチカ 西森マリー(監修)『サトコとナダ』 「部活マンガの完成形」が問う進歩と停滞:河合克敏『帯をギュッとね!』 「水際」で失敗して「モグラ叩き」:「新型肺炎」医療インテリジェンスで適正な対策を 「風邪」と思ったら今は自宅待機すべし! 「新型肺炎」に「国ごと隔離」北朝鮮の内憂外患 (2020年3月3日フォーサイトより転載) 石川雅之『もやしもん』。「見えないウイルス」の世界を覗き見る 石川雅之『もやしもん』。「見えないウイルス」の世界を覗き見る {$excerpt:n}
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