#トルコ風呂開店
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herbiemikeadamski · 2 years ago
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. (^o^)/おはよー(^▽^)ゴザイマース(^_-)-☆. . . 2月6日(月) #仏滅(乙未) 旧暦 1/16 月齢 15.3 #満月(3時) 年始から37日目に当たり、年末まであと328日(閏年では329日)です。 . . 朝は希望に起き⤴️昼は努力に生き💪 夜を感謝に眠ろう😪💤夜が来ない 朝はありませんし、朝が来ない夜 はない💦睡眠は明日を迎える為の ☀️未来へのスタートです🏃‍♂💦 でお馴染みのRascalでございます😅. . 今日も予定は午後二時半に本社 で面談があるだけ。今後の矛先が」 それで決まるんですが、東京に居れ ると良いんですね🤣😆🤣でうなる 事やらです✋二度寝して寝坊です。 ってか昨日、アタック二本とパンプで 超グッタリ⤵️1日のアクテビティが500 にも達しましたので猛爆睡で😪💤 . 今日一日どなた様も💁‍お体ご自愛 なさって❤️お過ごし下さいませ🙋‍ モウ!頑張るしか✋はない! ガンバリマショウ\(^O^)/ ワーイ! ✨本日もご安全に参りましょう✌️ . . ■今日は何の日■. #フンドーダイ・煮物の日. 熊本県熊本市に本社を置き、醤油や味噌、調味料などの製造販売を手がける株式会社フンドーダイが制定。 同社では伝統的な和食である煮物の文化を次世代に伝え未来に受け継ぐ「煮物プロジェクト」を立ち上げており、記念日を活用して煮物文化を普及させるのが目的。  日付は2と6で「煮(2)る(6)」の語呂合わせから。 . . #仏滅(ブツメツ).  六曜における大凶日。  「何事も遠慮する日、病めば長引く、仏事はよろしい」ともいわれる。  また『物滅』として「物が一旦滅び、新たに物事が始まる」とされ、「大安」よりも物事を始めるには良い日との解釈もある。 . #大明日(ダイミョウニチ). 民間暦でいう吉日の一つ。 この日は、建築・旅行・婚姻・移転などすべてのことに大吉であって、他の凶日と重なっても忌む必要がないともいう。 . #望(モチ ).  満月のこと。望月。  月の位置が地球を挟んで太陽と反対側にある日で、この日の月は満月になります。 . . #トルコ風呂オープン. 1971(昭和46)年2月6日(土)大安、滋賀県に日本初の「トルコ風呂」が開店しました。 . #フロスを通して歯と口の健康を考える日. . #C1000の日. . #海苔の日. . #抹茶の日. . #御燈祭(和歌山県新宮市). . #お風呂の日. . #ブログの日. . #ニゴロブナの日. . #ディズニーツムツムの日. . #環境エネルギーに取り組むブルーの日. . #ちゅる肌の日. . #プロフェッショナルの日. . #手巻きロールケーキの日(毎月6日). . #メロンの日(毎月6日). . #世界女性器切除根絶の日. . #ワイタンギデー(ニュージーランド). . . ■本日の成句■. #三人寄れば文殊の知恵(サンニンヨレバモンジュノチエ). 【意味】 特別に頭の良い者でなくても三人集まって相談すれば何か良い知恵が浮かぶものだ、という意味。 慣用句。文殊は知恵をつかさどる菩薩。 . . 1981(昭和56)年2月6日(金)友引. #桐山マキ (#きりやままき) 【ファッションモデル、女優】 〔大阪府箕面市〕. . . (東大泉) https://www.instagram.com/p/CoTDndGyh2A3CymBKUt-C51AZul2jw6oeazJIE0/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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8748ch · 2 years ago
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鳥肌実
廃人演説
今朝、私、目を覚ましますと、枕元に夏みかんが4つ置いてありました。
おやおやもうそんな季節かと思い、夏みかんを4つ食べ終えると、思いきってお布団の外に飛び出してみました。
42歳、厄年。
モッズ系猛禽類。
自称、鳥の調教師。
フルーツ好きの日本共産党員でございます。
朝の8時から朝の8時までパン工場に勤務しておる傍ら、休憩時間にアムウェイの勧誘を欠かさず行っております。
月に一度の休日は、創価学会員と激しく殴り合っております。
日本ブーメラン協会会長。
鳥肌実42歳、厄年。
公団住宅在住。
流れ作業に着いて行けない、黒夢のファンでございます。
ワイキキを歩くのが似合うんです。
ラッパのマークしか認めません。
ヤマザキパン、アメリカンフットボール部キャプテン。
鳥肌実42歳、厄年。
イルカセラピー歴5年。
カプセルで育った未熟児でございます。
ホームステイを受け入れたいんです。
現在、生活保護を受けております。
近頃、大勢の前で堂々と話す力が身に付きました。
日本話し方教室在籍。
鳥肌実42歳、厄年。
訴えたいことが無いんです。
メッセージの無い演説家でございます。
自己紹介は得意でございます。
好感度を上げたいんです。
トップブリーダー推奨。
鳥肌実42歳、厄年。
鳥目のクウォーターバックでございます。
尊敬しておるアーティストは池田大作でございます。
好きな女優は松坂慶子と松尾嘉代でございます。
好きなことわざは「焼け石に水」でございます。
トランポリンしてると目眩がするんです。
(株)ヤマザキパン 高井戸工場 サンドイッチ班班長。
ピクルス担当。
ああ、単純作業のおでましだ。
キュウリは2枚だって言ってるだろ。
巨大なジャムパンが攻めてくる。
苦手なパンは無いんだよ。
俺はなぁ、契約社員なんだよ。
アルバイトじゃ無いんだよ。
年下のくせに顎で使いやがって。
ただ今より現場復帰いたします。
終章
長い空想から覚めて、愕然とした。
全ては存在しなかった。
欲望が一人歩きした世界だった。
空想に入る前、かすかにあった向上心。忍耐力。
そんなものが一切無くなっていた。
性欲は、少し増えていた。
会社は辞めないとだめだった。
廃人でも出来る事を探した。
なかった。
タイミングを必ず逃します。
首の骨が一つズレてるんです。
今は時々、舞台に上がって身の上話をしています。
健太と私 其ノ一
10歳になる、健太が私に言いました。
「お父さん、オオクワガタが欲しいんだ」
「おおそうか、よし買ってやる」と、それはそれは勇ましく、私は健太に言いました。
明朝一番、私はスーパーの昆虫売り場へ出向きました。
「すいません、オオクワガタはありますか」
「ございますよ」
鼻毛を出した店員は、自慢げに言いました。
私は抜いてやりたい気持ちを押さえて「かっこいいですね」と言いました。
すると鼻毛を出した店員は「毎週土曜日はデスコに通ってるんです」と言って、意味不明のステップを踏んでおるので、さすがの私も憤慨して「おい、俺は麻布十番マハラジャのVIPだぞ」と、ボーギングを決めてやると、鼻毛を出した店員はキラッキラッした目で私を見つめ、「オオクワガタはこちらです」と。
「おぉぉぉぉぉ、これはこれは素晴らしい。おいくらですか」
「15万円です」と。
「安いじゃないか。だけど、俺の給料はもっと安いからな。もっともっと安いのは」
「メスなら安いですよ」
「おいくらですか」
「3万円です」と。
「なるほど安いじゃないか。しかし、メスを3万円で買うというのもトルコ風呂みたいで嫌だな。さらにさらに安いのは」
「ご予算はおいくらですか」
「3000円です。いや、メロンパンとストロベリー味のジョアを買ったから2800円です」
「お引取り下さい」と。
「ちょっと待ってください」と。
「私が欲しいのは、オオクワガタという名の親父の威厳なんだ」と。
「なんとかなりませんか」とすがりつくと、鼻毛を出した店員はじっとりした目で私を見下して、「ミヤマクワガタはどうですか」と。
「おいくらですか」
「1000円です」
「それ下さい」と。
私はその日、ミヤマクワガタを持って誇らしげに家に帰りました。
「健太、オオクワガタはここにいるぞう!」と。
その晩私は、家内の夏江に飯を抜かれました。
空腹に耐えかねた私は、愛犬ペスの犬小屋に走りました。
ペディグリーチャムを奪う為に。
夏江
人間には、3つの「欲」が御座いますなぁ。
「食欲」、「性欲」、「海水浴」と。
夏江と���めて知り合ったのは、3年前の夏、カムチャッツカ半島へ海水浴に行った時��事です。
忘れもしませんよ。彼女は波打ち際でゆっくりとクリトリスを洗っておりました。
その手つきはまるで私を誘うかのように。
一念勃起いたしました私は、ニワトリ+ペンギン歩きで意気揚々と彼女に歩み寄り、その眼前に立ちはだかり
「結婚して下さい」
「お引き取りください」と。
チッ。俺だってな、貯金ぐらいあるんだよ。
健太と私 其ノ二
10歳になる、健太が私に言いました。
「お父さん、敬語でセックスするのは止めてくれないか」
「おおそうか、タメ口でやってやる」と、それはそれは勇ましく、私は健太に言いました。
その晩私は家内の夏江に猛然と襲い掛かりました。
「この雌豚、菊の門にぶち込んでやる」と。
ところがいざプレイが始まると、どう言う訳か私は夏江の指揮の元四つん這いになって、
「どうですか、ここはいかがなもんでしょう。感じませんか。んー、ブルブルいたしましょう。ブルッ、ブルッ、ブルブルッ。じっとりして参りました。それでは挿入いたしましょう。ウーッ、イッてもよろしいですか?いやもう既に出てました」と言ったボッサリ具合であんぐり口を開けてザーメンを垂らしておると、健太がティッシュを持って歩みより、
「です、ます、しましょ、敬語でセックス。春、夏、秋、冬、敬語でセックス」と、イヤミたっぷりに行進していくので私は、
「コラーッ!のぼせ上がったボーイスカウトみたいなことやるんじゃないよ。いいか健太、セックスと言うのは"奉"って"納"めると書いて"奉納"の精神なんだよ。それに、敬語を使うのはビジネスマンとして最低のマナーじゃないか」
憤慨して言ってやると、健太は何食わぬ顔で
「東、西、南、北、敬語でセックス。南無、阿弥、陀仏、敬語でセックス」と、やっておるので流石の私も一気に沸点に達して
「大人の世界に首を突っ込むんじゃない!ビシビシビシビシビシビシビシッ!ブスッ。」
制裁を加えてやりますと、どう言う訳か次の瞬間私の首が夏江の股座に突っ込まれ、頭蓋骨セックスを強要されました。
翌日私は、気分転換に黒夢のコンサートに出向きました。
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lvdbbooks · 4 years ago
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戦後と喫茶店
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2021年2月23日
【新入荷・新本】
鈴木文代『戦後と喫茶店』(2021年)
価格:1,500円(+税)
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喫茶店から街や人の移り変わりを辿る
街に根付いている喫茶店とそこに集う人々。特別な背景や物語のあるなしにかかわらず、長く続いているお店にはなぜか惹かれてしまいます。ローカルビジネスの一つである喫茶店はその街とそこに住む人を知るための手がかりになります。 本書では現在の街の喫茶店、10数年前にあった喫茶店、昭和30年頃の喫茶店など、時代を区切らずにその時々の喫茶店の在り方を探りました。
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「喫茶店は街の主役ではなく、脇役で背景のようなものだと考えていいます。喫茶店にそれほど興味のない人から喫茶店のどこに魅力があり興味があるのかと問われれば、返答になやんでしまいます」 「たとえば、個性ある内装デザインや鮮やかな色のドリンクは魅力的に視覚に訴えるものですが、喫茶店全体から見ればごく一部の切り取りで、それが喫茶店の大きな特徴とは言えません。インターネットや書籍等で紹介された「昭和レトロな純喫茶」の美しい写真や文章から想像を膨らませながら実際に訪れると、探訪目的の利用客と普段使いの利用客、店主、それぞれの喫茶店に対する意識に温度差があることに、喫茶店“巡り”を趣味とする人なら気付くことがあるのではないかと思います。喫茶店の多くは地域に根ざしたごく小さなコミュニティで、変化を好まないことがあります」 「本書では、喫茶店が持つ時代性と当時の人がもっていた喫茶店への共通認識を意識して、過去の喫茶店の在り方を知ることで見えてくる現在の姿を表そうとしました」 (「はじめに」より)
「東京などの都市部では創業四十年以上の喫茶店がレトロで素敵な純喫茶だと評価され、インターネット上の人気に留まらず、雑誌・単行本に掲載され、テレビでも取り上げられていますとマスターに伝えると、そうした流行は大都市のごく一部のことでしょうねと仰っていた。全国各地にある個人経営の喫茶店のほとんどはその名を全国に知られることもなく、地域に住む人のために今日も店を開けている」 (「園(広島・基町)」より)
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目次
第一章 現在の喫茶店
〈街と喫茶店〉 ふじ(東京・三河島)/コーヒーショップ はなや(東京・曳舟)/デュエット(東京・日暮里)/路(東京・入谷)/珈琲の店ダン(東京・千住大橋)/HOLLYが伝えるナガシマの記憶(東京・向島)/フローラ(東京・東駒形)/園(広島・基町)/和美(岡山・玉野)/シャルマン(東京・上野)
〈クルマと喫茶店〉 ワーゲン(岡山・倉敷)/ベンツ 富 103(茨城・水戸)
〈喫茶店の内装デザイン〉 『東洋』と境沢孝氏/『ナカモト』(今西茂雄氏)/『つるや』(池原義郎氏)/『防風林』(碓井登氏)/『コーヒーラウンジ ペル』
〈山に縁のある喫茶店〉 山小屋風喫茶店の系譜/山の茶屋
インタビュー 様々な喫茶愛好のかたち
第二章 閉業喫茶店
〈この十数年で閉業した喫茶店〉 小さな喫茶室 三つ扇/惠/コーヒーぎんぱ/コーヒー専門店 ファースト/やまさき/カブト/トルコ風呂とACCジュース―ユーミン/幻の喫茶店―えびはら/えびはらの歴史/仔馬/ダボス/グラナダ/ニューセブン/ニューキャナル/レモン/アーニー/ニューライフ/バイオレット/リボン/アトム/エルマーナ/ロリー 北千住店/珈琲舎バン(細井店・増田店・伊勢丹会館店)/クロモン/ライライ/貴奈/六本木貴奈と蒲田田屋/瀬羅夢/エデン/東京珈琲/さんぼんぎ
〈昭和二○~三○年代の喫茶店〉 大衆紙にみる昭和三○年代の喫茶店 『日本観光新聞』「足で集めたガイド 読者のための案内欄」より 〝みちのくの珈琲〟 渡辺 寛/解説 渡辺 豪
〈喫茶店の模型(レプリカ)〉
〈マッチラベルにみる喫茶店〉 かつて配布されていたマッチ箱 神田/新宿/銀座・有楽町/新橋/上野/御茶ノ水/異色喫茶/洋菓子喫茶/同伴喫茶/サービス喫茶・アルサロ/戦前の喫茶店/渋谷・池袋 近年のマッチ箱事情
〈閉店のお知らせ〉
コラム 三信ビルディング内の喫茶店/戦後のコーヒー豆と喫茶店事情/義祖父と喫茶/コーヒー麺/喫茶店の数字/喫茶店の店名いろいろ
資料 喫茶店訪問記録
https://www.matsutakekissa.net/
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xf-2 · 6 years ago
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一時は世界中がその経済的勢いにひれ伏し、参加や協力を表明した中国の「一帯一路」構想ですが、ここに来て黄信号が灯っているようです。台湾出身の評論家・黄文雄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、同構想に乗り気だったEUの消極化を受けた中国がアフリカに頼らざるを得ない現状を紹介。さらに中国内で湧き上がる「習近平批判」を取り上げ、習氏に対する中国共産党長老たちの反乱の可能性を指摘しています。
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年7月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう) 1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【中国】アフリカしか相手にしなくなった一帯一路
● 西アフリカ初、中国がセネガルの「一帯一路」協力文書調印を歓迎─中国メディア
習近平の「一帯一路」計画はまだ健在のようで、相変わらずのバラマキ外交でアフリカ諸国の支持を得ているようです。以下、習近平の歯の浮くような文言が並んでいる記事を一部引用しましょう。
われわれはセネガルが西アフリカ諸国で初めて中国との「一帯一路」協力文書に調印することを歓迎する。これを契機に両国協力の水準を全面的に高めたい。中国側はセネガル側との協力を拡大・深化し、セネガルの自主的発展能力を強化したい。人的・文化的交流を緊密化し、民心の通じ合いを促進する必要がある。法執行・安全協力を強化する必要がある。
中国側はセネガル側のテロ対策、平和維持、安定維持能力の強化を支持する。中国側はセネガル側が国際・地域問題で一層の役割を発揮することを支持する。セネガル側とアフリカの平和と安全、国連、気候変動など重大な国際・地域問題で意思疎通と調整を強化し、アフリカ及び途上国の共通利益を守りたい。
セネガル側も、中国からかなりメリットある話を持ち込まれたのでしょう。以下のようなことを言わされています。
サル大統領は「セネガルは『一つの中国』政策を揺るぎなく遂行し、両国の包括的・戦略的協力パートナーシップの深化に尽力する。インフラ整備、水利、工業化、農産物加工、観光、文化、スポーツ分野で双方の交流や協力を強化したい。セネガルは『一帯一路』イニシアティブを支持する。コネクティビティー強化に積極的に参加したい。中国と多国間問題で意思疎通や調整を緊密化し、より均衡ある公正かつ包摂的なグローバル・ガバナンス体制の構築に尽力し、共に多国間主義を守り、保護貿易主義に反対したい」と表明した。
中国は、資金や技術などの援助をすることを条件に、こうして地道に「一帯一路」の参加国を増やしていますが、これまでもこのメルマガで述べてきたように、国際的にはその実態を疑問視する声もだんだんと上がってきています。
中国のずさんな支援内容を、アメリカの華字メディア『多維新聞』の記事が紹介していますので、以下に一部引用します。
● 中国高速鉄道、国内では建設ラッシュも海外では頓挫ラッシュ
技術・規格・装備が一体となった本格的な中国高速鉄道輸出の第一弾として注目された、インドネシアのジャカルタ─バンドン鉄道は、用地取得の問題により16年の着工式以降全面的な施工に至っておらず、開通のめどが立っていない。コメとの交換と言われるタイ高速鉄道プロジェクトは、タイ政局の混乱で再三遅延している。
そして、この状況は「一帯一路」沿線にとどまらず、米国西部のロサンゼルス─ラスベガス高速鉄道プロジェクトがご破算となり、メキシコからも「不明瞭、非合法、不透明」として高速鉄道協力を破棄された。トルコのプロジェクトは開通にこぎつけたが、大部分の装備や技術は欧州の規格が採用されている。ベネズエラのプロジェクトは、現地の経済情勢��化に伴い建設現場が廃墟と化してしまった。
そして、先週のメルマガで紹介したように、今、中国の皇帝として自身を君臨させた習近平に対して、国内からも反発が出ているのではないかという記事も登場しました。
習近平が周囲を切り捨てて権力を強化すればするほど、人民ばかりでなく中国共産党内での不満はたまり、いつかは習近平時代も終わるだろうとは思っていましたが、それもそろそろかもしれません。
今の段階では、中国内での習近平への批判はゴシップ扱いで、信用性は低いものですが、こうした噂が出てくること自体、そろそろ習近平も限界だということを意味しているのではないでしょうか。文春オンラインの記事によると、中国のメディアに変化が現れたようです。以下、記事を一部引用します。
例えば7月9日、党機関紙『人民日報』のトップページに「習近平」の文字を含んだ見出しが一切出なくなった。加えて7月15日にも同様の現象が観察された。1週間のうち何度も習近平に一切言及しないトップ紙面が組まれるのは政権成立以来はじめてのことだ。
また、7月11日には国営通信社・新華社のウェブ版が『華国鋒は誤りを認めた』という過去の歴史記事を突如として再配信し、中国のネット上で盛んに転載された。
華国鋒は1976年に党主席に就任した後、毛沢東時代の文化大革命式の政治を改めることなく自身の個人崇拝キャンペーンを推進したが政治力が足りずに失敗。経済の失策もあって、トウ小平から批判を受けて失脚した人物だ。新華社の記事は間もなく削除されたが、『文革風』の政治姿勢を見せる習近平を遠回しに当てこする目的があったのは明らかだった。
また、フランスの『RFI』中国語版や香港の諸報道によると、江沢民・胡錦濤・朱鎔基ら党の大物OBグループが近年の習近平への個人崇拝に不満をつのらせ、政治局拡大会議を開いて習近平を失脚状態に追い込むことを画策する動きがあるという。これはかつての華国鋒が追い落とされたプロセスを参考にしたものだとされる。
● 習近平氏にメディアも反乱? 墨汁事件に端を発する動きも
今、中国はアメリカとの貿易戦争の只中にあり、経済成長も頭打ち状態です。トランプ大統領のやり方に不満を表明すべく、大豆のキャラクターを登場させてアメリカの農家に「トランプの政策はあなたたちのマイナスになる」と直訴するような動画の配信もしているそうです。
● アングル:大豆アニメで中国が米農家に直訴、貿易戦争で新戦略
米中関係は、トランプ大統領によって予想外の展開となり、習近平は戸惑いを隠せない感じすらあります。やることが裏目に出てばかりの習近平に対して、もしかしたら今後、中国共産党内の長老たちの反乱があるかもしれません。自身を中国の生涯皇帝として君臨させた習近平の、今後の動向から目が話せません。
東西の文物交流は石器時代から始まっていたことは、考古学の出土品から実証されています。海のシルクロードと陸のシルクロードで交易されていたのは、はじめは東からシルク、陶磁器、香辛料など貴族の嗜好品であり、その後、庶民の必需品へと時代によって変化していきました。
ここで最も重要なことは、かつての「文明の運び屋」であった交易の主役たちは、農耕民族の中国人ではなく遊牧民族たちだったということです。
しかし今、習近平が掲げている「一帯一路」は、ヒトもモノもカネもすべて中国人が取り仕切ろうというわけです。ユーラシア大陸からアフリカまでの世界各地に、「パックスシニカ」という大風呂敷を広げており、その構想があまりに壮大すぎて、蜃気楼とさえ言われるほどです。
中華人民共和国政府のアフリカ進出は、毛沢東の時代から始まっていました。それは、「世界革命、人類解放」という社会革命をめざす世界戦略としてでした。対アフリカ戦略としては、鉄道建設をはじめ、西洋各国の植民地に対するゲリラ支援が主で、ことに文革中は中国は国際的に孤立していたこともあり、積極的にアフリカの独立を支援していました。
また、日本からのODAをアフリカ支援に転用したり、アフリカ各地の留学生を中国各地に受け入れるなどして、黒人留学生を世界革命の前衛として育てていくことを国策としていました。その流れで、改革解放後の上海では黒人と結婚することがブームとなりました。
さらに、刑務所から溢れた中国人の死刑囚や無期懲役の囚人たちをアフリカに送り込み、労働力として提供していたこともありました。
中国とアフリカの間には、そんな歴史的な経緯がありました。「一帯一路」は世界各地で挫折しており、最初は乗り気だったEUも最近では消極的になってきたため、アフリカに活路を見出そうというわけです。
しかし、中国のアフリカ進出はその多くが不評でした。というのも、現地の雇用を産まずに大量の中国人を本国から連れてくるうえに、汚職や環境破壊をはじめ、さまざまな問題を持ち込むからです。
昂進し続けている米中の貿易戦争は、「核心的利益」と「普遍的利益」の対立でしょう。これに対して日本がどう対応するのかも注目すべき点ですが、私は米中の対立はできるだけ長引いた��うがいいと考えています。
戦後史を見る限り、東西冷戦後、名実ともにパックスアメリカーナの時代からオバマの時代までアメリカは世界を牛耳ってきましたが、アジアにおいては、アメリカは後退しつつあります。その空白を中国が埋めようというわけです。
しかし、米中が貿易戦争に突入した後のインドや太平洋地域の変化を見ると、日米印の同盟関係を強化するとともに、台湾と中国にも大きな変化がありました。アメリカのイージス駆逐艦二隻が台湾を巡航することも実現しました。米中の対立は、習近平の権力闘争にも変化をもたらしました。
米中貿易戦争が昂進すると、中国経済が後退するどころか崩壊してしまう可能性もあるため、中国国内でも、海外への覇権主��路線を修正せざるをえないのではないかと思います。
(メルマガより一部抜粋)
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satowdays · 7 years ago
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札幌/Sapporo #0187
吉行淳之介氏の「札幌夫人」という小説。
文庫のカバー写真とだいたい同じ場所で撮影してみた。 「東宝公楽会館」がラウンドワンになってしまうとは、、、市民のススキノでの遊び方が変化した顕著な例だろう。
この小説は、昭和中期の札幌、特に高度経済成長が始まるころのススキノの匂いを感じることのできる貴重な話だ。 戦後しばらくして、札幌の街が大きくなるにつれ、国内大手企業は札幌に支店を置くようになった。 それに伴い、東京本社から札幌に単身赴任するビジネスマンが増え、彼らを指す「札チョン族」という言葉が生まれた。札チョン族とは、「札幌」+「チョンガー(韓国語で独り者の意、らしい)」の造語である。 数年の短期間だけ札幌で仕事をして、ススキノに金を落として東京へ帰っていく彼らに対し、ススキノのホステスたちが多少の皮肉を込めてそう呼んだのだろう。
「札幌夫人」では、東京から単身赴任してきた札チョン族の男性と、彼の現地妻となるホステスの女性の話が描かれているが、その内容はさて置き、小説中で私が興味を惹かれた話があるので引用してみたい。
「薄野の高級キャバレーの並んでいる一郭を歩み抜けたすぐ眼の前に、薄暗い横丁がある。  その横丁では、片側は���相な旅館が軒を並べ、片側は寺院の土塀がつづいている。  その塀の前に、板囲いの四角い小屋が幾つも並んでいる。  (中略)  小屋を覗くと、五十年輩の女が金網の上に小さな貝を並べて焼いている。」
この小屋で年配のおばちゃん焼いているのは「つぶ貝」なので「つぶやき屋」と呼ばれていたそうな。 で、この「つぶやき屋」、当然真っ当な商売だけではなく、おばちゃんは非合法な売春斡旋をしており、客の耳元で「ほかの貝はいらないかな」と「つぶやく」ことからも、その呼び名になったようだ。
さて、こういった「つぶやき屋」は本当に存在していたのか、また、具体的にはどの辺にあったのだろうか。
作者がこの小説を書いたのは昭和37年である。昭和37年というと赤線が消えて数年だが、まだその名残りはあったはずだ。しかし、売春はすでに合法ではなく、代わってトルコ風呂は増えたものの遊ぶには結構な金が必要だった。 当時の状況を考えれば、こういったアウトな店も存在していたであろうことは想像できるが、札幌育ちの私の母も昭和37年当時はまだ子供だったため、さすがに知らなかった。笑
では、場所はどこか。
キャバレーについては、今となっては姿を消してしまったが当時ススキノには大きなキャバレーが20軒以上存在し、「高級キャバレーの並んでいる一郭」は現在のラフィラ裏の銀座通りを差していると思われる。
と、ここで手元にある「札幌昭和ノスタルジー」という本に、丁度昭和35年のすすきの界隈の地図が掲載されているのを思い出したので見てみると、銀座通りを西に抜けた先に寺院のマークがあり、その並びで「このあたり夜な夜なつぶ焼きならぶ」としっかり記載されていた。
ということでここにあったのは間違いないが、現在この場所は東急REIホテル及びレストランプラザになっており、寺院は存在しない。 時代を遡って調べると、東急REIホテルの前身、東急インは昭和55年開業、その前は札幌スケートセンター(昭和40年竣工)、さらにその前は「薄野別院」と呼ばれた「西本願寺札幌別院」があった。 西本願寺は昭和37年に北3条西19丁目に移転し、スケートセンターの工事が始まったため、まさに「札幌夫人」の舞台の時期が、つぶやき屋が存在したギリギリのタイミングだったわけだ。 もし当時の札幌を覗くことができるならば、ぜひ見てみたい文化(?)の一つである。
まったく余談だが、西本願寺札幌別院は移転先の隣接地に昭和39年、札幌女子高等学校(現、龍谷学園)を開校する。私の母は、開校後数年して札女に通うことになるので、上記の話とはうっす〜〜い縁があるような、ないような気もするわけだ。笑
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wasite · 4 years ago
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WASITE.store 2020.09.06 now OPEN (リフィルのみ) 今日の海 台風の勢力圏内にはありますが、 一応お店で待機。 からの営業を始めました。 リフィルだけの営業になっていますが、 ご用がございましたらどうぞよろしくお願いいたします。 さて、こんな嵐に船を出す人はいませんが、 嵐やトラブルを乗り越えて乗り越えての偉業を達成したのが、 1522年の今日 人類史上初の世界一周です!!! ピースボートじゃないよw この偉業を達成したのはマゼラン提督率いる艦隊5隻の内、 ビクトリア号一隻だけのゴールでした。 そこにマゼランはいない。。。 この旅とゴールを記録したピカフェッタが、 人類史上初の 「日付のズレ」 を体験!!! そう。この旅は西回り。 地球を一周したら日付は1日遅れるのです。 で、提督のマゼランはどうしたかっていうと、 これねぇ〜、大変だったのよ。 もしも、アジアの寄港が日本だったら! マゼランたちがアジアに最初にたどり着いたのは、 フィリピン。 1521年の3月16日の出来事。 まずは無人島で様子を見る。 (グアムに寄った時は、島民が船に忍び込んで盗みを働いていくから  ブチ切れた。ここを泥棒諸島と呼ぶことにする!って) で、次の日、現地人のいる島に行き、接触!!! 「お〜、ものの道理がわかる人間や」 とマゼランにっこり。 きっと王がいて秩序と文化のある社会ができているはず! 期待しながら次の日にレイテ島へいく。 現地人と仲良しになって、 トルコ服と赤い帽子をあげると、現地人から食料をもらう。 「ええやつやん!」 現地人「あんさんら、補給したいなら『セブ島』いきなはれ」 と案内され、行きました!セブ島!!! 到着早々、マゼラン、船から大砲を撃つ!!!!! 「これで島民みんな驚いたろうwww」 いやーそういうのいいから。そういうのやめよー。 これが1521年のフィリピンでの所業です。 これをもしも潮流と風が変わって、 マゼランたちが日本に流れ着いたとしたら、 どうなってた? バッチバチの武闘派・室町時代ですよwww 戦国時代真っ只中! (あ、マゼランは結構バッチバチの腕っ節だったらしいよ) しかし、もしも、マゼランが日本にこの時にきていたら、 歴史は大きく変わっただろうね。 ヨーロッパ人の来航は、 1543年の鉄砲の伝来から歴史の表舞台に! そして 1549年、キリスト教がザビエルたちによって伝来します。 そう!彼らはキリスト教を広めたい! マゼランたちは、1521年にフィリピンのセブ島の王様たちを 改宗させることに成功!!! なんと、フィリピンでミサもやってます。 マゼランの部下は、 「てーとく〜、はやくスパイスの島さがしましょーよー」 なんだけど、 マゼランがなぜかフィリピンでの改宗事業にのめり込む! あんまり熱心に布教活動をしていて、熱くなり、熱いがために、 村を焼く! という激アツな布教活動も展開。武力による布教です。 これに島民は激おこカムチャッカファイヤー。(古いし、カムチャッカはロシアだ) で、 反旗を翻したある島の王様ラプ=ラプ王の軍勢とバトル! そこで「足」を狙われて(マゼランたちの防具は足が無防備)、 マゼランは世界一周の野望の最中、 フィリピンで戦死します。残念! これが本当の「足元をすくわれる」ってやつですよ。 足元から守ろう。 足が地についていなかったからね〜。 スパイス探しに足を伸ばしたのにね〜。 誰かが足をひっぱりやがった!? 生き残った船員は襲撃から足早に脱出。 途中の島でスパイスをたくさんゲットして、いざ帰ろう!で、 浸水です。 積み込み過ぎ。 これは足るを知るなければなりません。 結局270人いた乗り組み員は、18人とたった1隻となり、 スペインでギリギリの状態でゴール!!!。 とまぁ、濃厚なドラマがあったわけです。 濃厚過ぎて、臭い。 大航海時代の船なんて、トイレもなければ、風呂もない。 冷蔵庫もないから衛生面は激ヤバ。 まず、飲み水が腐って黄色い。 これは嫌ですねー。 そこで!神戸! 神戸の六甲には、世界中の船乗りが愛してやまない湧き水があるんだって。 それは、腐らない水。(もちろん、絶対じゃないよ) ブラタモリで見て知りましたが、 他の水よりも腐りにくいから、船旅に重用されたんだってさ。 グレイト!六甲!! 最後は六甲をリスペクトしてお終いという異例のゴール。 今日もよき日を。 #WASITE #ワシテ (WASITE) https://www.instagram.com/p/CEyD6NWjPHc/?igshid=wm1pnz8d3uko
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tacs-handmadejewelry-en · 5 years ago
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ターコイズのピアス . 前回ポストしたフローライトの石違い色違い . 同じデザインでも印象がガラッと変わるから不思議 . . 6,200- . . 6/20,21に開催の横浜マクラメ編みワークショップですが、まだまだお席に余裕がありますので、久しぶりな方も初めましてな方も参加お待ちしてます . アルコール消毒やマスク着用、会場の歓喜など最大限の対策は行わせてもらいますが、不透明な状況下ですので、もちろん無理のない範囲でお願いします . 詳しくはプロフィールのリンクから えん-eN-のHPないの[WORKSHOP]のページをご覧ください . 会場は横浜駅から歩いて5分です . . ------------------------ えん-eN- 個展 『Encuentros -出会い-』 2020/6/26 〜 7/12 (全日在廊) 11:30 〜 19:30 (最終日 18:00まで) シサムコウボウ 京都・裏寺通り店 @sisam_uradera ------------------------ 展示販売会&マクラメ編みワークショップ たいようカフェ 展示会 7/23〜25 12:00〜17:00 (ワークショップは10:15〜14:15 予約制) 愛知県春日井市角崎町28 @taiyou_humanconnection ------------------------ . . #ターコイズ #トルコ石 #マクラメ編み #ピアス #イヤリング #夏色 #シンプル #ワークショップ #ハンドメイド #贈りもの #wirejewelry #wirework #macrame #handmade #14kgf #silver925 #おでかけ #お気に入り #オーダー #一点物 #買い物は投票 #enponpon #ちっちゃい社長にとってお風呂はプール、長い。。。 https://www.instagram.com/p/CBVm6fynB4r/?igshid=11h5lh3sytrg8
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groyanderson · 5 years ago
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ひとみに映る影 第七話「紅一美に休みはない」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。 書籍版では戦闘シーンとかゴアシーンとかマシマシで挿絵も書いたから買ってえええぇぇ!!! →→→☆ここから買おう☆←←←
(※全部内容は一緒です。) pixiv版
◆◆◆
 ただただ真っ白な空と海があった。 天地を分かつ地平線すら見えないほど白いその空間に、私、ワヤン不動という影だけが���っていた。
 未だ点々と炎がちらつくその身体は、浅い水面に大の字に浮き、穏やかなさざ波に流されていく。 ここはどこだっけ、私はどうしていたんだっけ。 そういった疑問は水にさらされた炎と共に鎮静していった。
 遠くに誰かがいる気配がした。軋む身体を起こすと、沖縄チックな紅型模様の恐竜が佇んでいる。 濡れて重たい両足を引きずり、そこに近づくにつれて、段々と海は深くなり、かつ水が温かくなっていく。 立ったまま胸まで浸かる程深くなると、まるで露天風呂に入っているように、頭がぼーっとしてくる。
 恐竜の隣には小さな足場とベンチがあり、可愛らしい白装束を着た金髪ボブカットの女性が座っていた。 丸く神々しい後光がさしていて、顔は逆光でよく見えない。天女だろうか。 ベンチから足だけを温水に投げ出し、足湯を楽しんでいるようだ。私は水中からそれを見上げている。  (ああ…誰だっけこの人。どこかで会ったことがある気がするけど…) 挨拶するかどうか迷う。気まずい。いずれにせよ、何か声はかけよう。 ここはどこですか、とか、あなたは誰ですか、とか…  「…アガルダって、何なんですか」 いや、どうしてそうなるの。私。完全に変な人じゃん。 だめだ、頭が回らない。案の定天女は苦笑した。  「いきなり凄い事聞くよね」
 「知らないんですか?金剛楽園アガルダ」  「あんただって知らないんじゃん。 まあでも…金剛有明団(こんごうありあけだん)っていう、なんかこう、黒魔術師達の秘密カルトがあるらしいよ。 世界中から霊能者の魂を収集してて、何かにつけて金剛、金剛ってウザい喋り方するんだって。それじゃない?多分」  「ああ。それですね」  「てか、そんなの聞いてどうするの」  「滅ぼす」  「ウケる」 天女はコロコロと笑った。
 「ここは何なんですか」  「私の夢の中…それかあんたの夢かも? ま、どうでもいいんじゃない?」  「あなたも金剛の使者?」  「まさか。私だって昔、観音和尚様にはお世話になったんだよ?」  「え…」
 逆光の影をエロプティックエネルギーでどかして、私は改めて天女の顔を見た。 ああ、そっか…金髪にしたんだ。中学の時はさすがに黒髪だったよね。 髪、そうだ、髪だよ。私はその天女…いや、その祝女に問うた。
 「あのさ。どうでもいいけど…ゴムか何か持ってたりしない? さっきから髪がメチャクチャお湯に入ってるんだ」
◆◆◆
 何の脈絡もなく目覚めると朝になっていた。 私は怪人屋敷エントランスのソファで眠っていたらしい。 サイレン��話し声が騒々しい。外光が射しこむ窓越しに、救急車や数台のセダンが見える。  「一二、三!」 救急隊員さん達が、担架からストレッチャーに何かを乗せた。白い布にくるまれた、岩のような何かの塊を… そうか。ああやって外に出せているという事は、全て終わったんだ。 私達は殺人鬼を見つけて、悪霊を成仏させて…たくさんの命を救ったんだ。
 「あ…紅さん」 譲司さんがこちらに駆け寄る。  「紅さん起きましたーっ!」  <ヒトミちゃん!>「オモナ!ヒトミちゃーん!」 オリベちゃんとイナちゃんも…みんなボロボロだ。全身煤埃や擦り傷だらけの譲司さんに比べればマシだけど。 オリベちゃんに肩を借りて立ち上がると…バシン!私は超自然的な力に頬を打たれ、衝撃で尻餅をつく。  「リナ…」
 「アナタ、ワヤン不動になって、何回死んだの?」  「…」  「何人分殺されたの」 殺人被害者達の死の追体験。あの時はハイになっていて恐怖を感じなかったけど、今思い出そうとすると、身の毛もよだつ感覚が鮮明に蘇る。  「うう…数えればわかるけどさ…」  「じゃあ、二度と数えないことね。 アナタは…ちゃんと生きて帰ってきたんだから」  「え?」 宇宙人体のリナは長い腕で私を影ごと抱きしめ、子供をあやすようにぐしゃぐしゃに頭を撫でた。  「良かった…。アナタの精神がアレと相打ちにでもなったら、アタシ観音和尚に顔向け出来ないもの…」 初めて見た、いつも気丈なリナの泣き顔。彼女は涙を流しながら、人間の姿に縮んだ。 それはとても綺麗だった。美人だった。
 その後私達は警察やNICの職員さん達から聴取を受け、昼過ぎにようやく解放された。 水家曽良は表向き被疑者死亡で書類送検とされ、未だ脳細胞が活動し続けている遺体は研究対象としてドイツのNIC本部に収容されるらしい。 待ちに待ったお蕎麦屋さんに私達が到着した時、既にテレビではニュース速報が流れていた。 皆神妙な顔で画面に見入っていたが…
 ぐぎゅるるるる…
 私の腹の虫が重い沈黙を破った。慌ててトートバッグを抱きこんでも、もう遅い。  「くくく…やるなぁ、あんた…」 ジャックさんやリナの表情にじわじわと含み笑いが浮かんでくる。 普段なら恥ずかしいとか、タレントとしてはオイシイだとか思うけど、なんかもうダメだ。 ぐぎゅぅぅぅ���るる…空腹と疲労と寝不足で、私はリアクションの一つも取れない。  「笑うなや。ワヤン不動様昨日飲まず食わずで、あんだけ働いてくれとったんやから。なあポメ?」  「わぅん」 譲司さんとポメちゃんの優しみ。有難い。 でも、すいません。もう限界です。糸が切れたように私はテーブルに突っ伏した。  <や、やだ、ヒトミちゃん!? ていうか何その手、ダイイングメッセージ!?> 霞む意識の中、私はお品書きを指さしていた。 最後の力を振り絞ってオリベちゃんにテレパシーを送る。  <お願い、こ、これを…注文して下さい…!>  <いや、私日本語読めないんだけど。 イナちゃん、これ(鴨南蛮)なんて書いてあるの?>  「アヒルナンバン大盛り」  「かもなんばん!!」 なんかノリツッコミしたら自力で復活できた。 代わりにリナ、萩姫様、ジャックさん、譲司さんが抱腹絶倒した。
 ようやく腹ごなしを済まし、私達は民宿に戻った。 荷物を下ろすやいなや、全員示し合わせたように脱衣所へ直行。 昨日も入った露天風呂だけど、めちゃくちゃ気持ちいい!  「あーーーー!染み入るーーーーっ!」  「本当よぉ!アナタ達バカだわ、せっかく磐梯熱海に来たのに、ちっともお風呂入らなかったんだもの!ねえ萩ちゃん」  「同感同感!イナちゃんは日本の温泉初めて?韓国の方々も温泉好きなんですってね?」  「そです、私達オンセン大好きヨ!気が清められるですねー!」  <うちの風呂もこれぐらい広かったらなぁー。そっちはどう、ジョージ?> すると衝立一枚隔てた男湯からレスポンス。  「pH結構高いなー!」  <いやダウジングしてどうすんのよ!>  「冗談冗談。あのねー!そもそも空気がめっちゃええの! 湯気で保湿されとるし肺まで癒されるわ!なあポメ?」  「あぉーん!」 ポメちゃんも上機嫌のようだ。
 私も男湯に声をかけてみる。  「ジャックさーん!うちのおんつぁどうしてますー?」 おんつぁは会津弁でバカの意。実は、プルパ型に戻った龍王剣をさっき男性陣に預けたんだ。 霊泉と名高い磐梯熱海温泉を引っ掛ければ、あれも少しはマシな性格になりそうだけど、女湯に入れるのはさすがに嫌だったから。  「おう、同じ湯船に入れたくねーからよ、言われた通り洗面器で漬けておいたぜ。 真っ黒なのは治んねえな!ハッハ…うおぉ!?」  「わぁ!」「きゃわん!」 男湯で異変!女子一同がそれぞれタオルや霊能力を身構える。  「ど…どうしたんですか?ジャックさん!」  「い、いや、その…龍王剣の中から…」  「中から…?」  「アー…剣じゃなくて、持ち手からなんだがな…あんたの和尚が馬頭観音になって出てきた」  「はぁ!?」
 そんな馬鹿な。和尚様は成仏されたはず。 まあ、既に観音菩薩になられた和尚様が『成仏���というのもおかしな話だけど…。  「ま、まさか観音和尚、お風呂入ってるの?裸!?」 リナが衝立を覗こうと飛び上がった。私は咄嗟に影手を伸ばし、阻止する。  「こらっリナ!和尚様の前でそっ、そんな破廉恥をっ!!」  「うるさいわね!いいのよアタシはインターセクシャルだから、どっちに入っても! これは美的好奇心であって猥褻な気持ちは一切ないわよ!」  「ヒゲと声以外ぜんぶ女のクセに何言ってるんだっ!やーめーなーさーいってのーっ!」  「アイタタタ、暴力反対!アナタだって本当は見たいんじゃないの?」  「んなわけあるか!!そりゃもう一度会いたいけど…っていうか小さい頃は一緒にお風呂入ってたもん!!」  「ずるい!このスキモノ!!」
 すると衝立越しにヒョコッとポメちゃんが掲げられた。 もみ合っていた私達は不意をつかれて膠着する。 ポメちゃんの口には、何の異変も起きていない龍王剣プルパが咥えられていた。  「ハーイ、ドッキリ大成功!したたびでーす!」 譲司さんが裏声で腹話術する。 私とリナも、いつもテレビでやっているリアクションを返した。  「「…ぎゃーっ!また騙されたーーっ!!」」
 そうこうしているうちに、また日が沈み始めた。 夕方五時。荷物やお土産をミニバンに詰めこみ、私達は民宿を後にする。 本当は猪苗代湖や会津方面の観光案内もしたかったけど、NIC職員のオリベちゃんや譲司さんが警察で事件の後処理をするため、私達はもう東京へ戻らなければならない。 そこでまず、萩姫様を大峯不動尊へ送りに行った。
 「あんな事があったけど、また遊びに来てね」 萩姫様はまた正装である着物に戻っている。けど、帯飾りや例のロケットランチャー型ポシェットといった小物に、オルチャンファッションの影響が残った。  「��ちろん、また来るですヨ。ハギちゃんがバリとか韓国来る時も私呼んで下さいね」 そう言うイナちゃんの耳にも、萩姫様を彷彿とさせる黒い紐飾りピアスが揺れる。 通りがかりに寄ったお土産屋さんで売っていたやつだ。 私達一同と固い握手を交わし、萩姫様はお社へ消えていった。
◆◆◆
 車に戻ると、道路沿いに小さな原付屋台があった。 ポッ、ポポポポ…ガラスケース内で、ポップコーンが爆ぜている。バターの香りが漂う。 その傍らではエプロンを着たジャックさんが、フラスコ型喫煙具を吹かしていた。 彼は私達が戻ってきた事に気付くと、屋台についている顔とお揃いのマスクを被り、スイッチを入れる。 ブゥーン…屋台の顔に仕込まれたスピーカーから、電子的ノイズが漏れる。
 「アー、アー。ポップコーン、ポップコーンダヨ…ヨォ、ガキンチョ共! ポップコーンダッツッテンダロオラ!ポップ・ガイノウェルシー��ポップコーンガオデマシダゼェ!」 ボイスチェンジャー声に合わせて、屋台の顔ポップ・ガイはガコガコと顎を上下する。 何でちょっと逆ギレ気味なのかはよくわからないけど、これが彼の定型口上文なのだろう。  「今日ハ閉店セールダ、トビッキリノポップコーンヲ食ワセテヤル。 マズハオ前ダ、紅一美!」 ガコンッポン!ポップ・ガイの顎が大きく開き、口から焼きたてのポップコーンが一粒飛び出した。 それは物理法則に反して浮遊し、私の手の中に落ちる…あっつ!  「ソラ食エ、騙サレ芸人!アッコラ、フーフースルナ!」  「だ、誰が騙され芸人ですか!…あつつ!」 ポップ・ガイにそそのかされて、私は熱々のポップコーンを口に運んだ。 …結構しょっぱい。そして胸焼けするほど油っこい。けど、麻薬的な美味しさ。 アメリカ人の肥満率が高い原因の片鱗に触れた気がする。
 ポップコーンを嚥下すると、私の足元で、影が独りでに蛇の目模様を描いた。  「これは…」 見覚えがある。安徳森さん…ファティマンドラの種に見られる模様だ。 ジャックさんはマスクを被ったまま、スイッチを切った。  「そいつはファティマの目、トルコではナザール・ボンジュウと呼ばれるシンボルだ。 邪悪な呪いや視線を跳ね返し、目が合った悪しき魂を抜き取る力がある。 あのクソの脳内地獄で、安徳森が俺達タルパを保護するためにばら蒔いてたやつだ。 あんたが本気で金剛ナントカと戦うつもりなら、持っていけ」 蛇の目模様は影に沈んでいった。 つまりジャックさんのポップコーンは、彼の命を構成する欠片だったようだ。  「ありがとうございます」 私はファティマの目という霊能力を授かった。
 ジャックさんが再びスイッチを入れる。  「次ハオ前ダゼ、ジョージ・アルマン!」 ガコンッポン!射出された新たなポップコーンは、譲司さん目がけて飛んでいった。 アルマンは、譲司さんがイスラエルに住んでいた時の旧姓だ。  「あっつ、はふっ…ん? …ポップコーン種総量に対してバターが七〇%、レッドチェダーパウダーが五%、更に米油が…って、嘘やろ!?こんなに油使うん!?」  「バッカ、この野郎!読み上げるんじゃねえ!企業秘密だぞ! 養護教諭になるなら美味いポップコーンの一つも作れねえと、ガキ共にナメられるだろ」  「せ…せやな…?けどこれ、食べさせすぎたらあかんやつや! ほどほどに振る舞わせて貰うわ、ありがと」 譲司さんが授かった魂の欠片は、ポップコーンの秘伝レシピのようだ。 いずれバリ島に遊びに行って、ご馳走になりたいな。
 お次はオリベちゃんだった。  <うわ、確かに凄くジャンクな味だわ。 これは…ああ、懐かしいなあ…!> オリベちゃんは目を煌々と輝かせて、ぼーっと中空を眺める。  「ちょっとアナタ、何が見えてるの?一人で浸��てないで教えてよ、ねーェ」 リナがオリベちゃんの眼前で手を振った。  <ごめんごめん。あまり懐かしいものだから… 私が貰ったのは、これ。テルアビブ・キッズルームの、たくさんの楽しかった思い出よ> オリベちゃんが淡い紫色に発光し、周囲がテレパシー幻影に包まれた。
 オーナメントやおもちゃで彩られたカラフルな家で、様々な脳力を持つNICの子供達が遊んでいる。 人形ジャックさんは、幽霊の女の子とアドリブで物語を話し合い、それを器用そうな男の子が絵本に綴る。 幼いオリベちゃんは、人に感情を与えるエンパス脳力者の女の子と、脳波をぶつけ合いながら睨めっこをしている。 その勝敗を判定しているのは、弱冠八歳で医師免許を持つ天才少年だ。 部屋の奥では彼らの様子を、二人の優しそうな養護教諭さんが暖かい視線で見守る。  「まあ。アナタ、子供の頃から素敵なファッションセンスしてたのね」  <もちろん!なにせテレパシー使いはシックスセンスが命だもの!>  「うふふふ」 こうしてリナと会話するオリベちゃんを見ると、彼女のキラキラした笑顔は子供の頃から変わらないものだったんだとわかる。  『出てこいよ、ジョージ。みんないるぞ』 長い髪のサイコメトラーの少年が、クローゼットの扉をノックした。 すると、中から…分厚い眼鏡をかけた小柄な男の子が、前髪で顔を隠しながら、遠慮がちに現れた。  「オモナ!ヘラガモ先生、とてもちっちゃいなカワイイ男の子だったの!」 イナちゃんが両手を頬に当てた。確かに子供の譲司さんは、精悍な今の顔からは想像がつかないほど可愛い。 というより、先程のサイコメトラーの少年…例の殺された『アッシュ兄ちゃん』の方が、大人になった譲司さんによく似ている。 この二人の少年の魂が混ざりあって、今の彼があるという話を、まさに象徴しているようだ。
 「ねぇジャック、アタシ達にはないの?」  「わう!わう!」 リナとポメちゃんがジャックさんの周りをくるくる回る。  「ア?ドーブツ共ニヤルポップコーンハネエヨ、帰ッタ帰ッタ」  「馬鹿野郎、ポップ・ガイ。宇宙人のお客様なんて上客じゃねえか。無下に扱うんじゃねえぞ」  「ショーガネー、コイツヲ食ライナ!」 器用にポップコーン機構を操作しながらマスクスイッチを切り替え、ジャックさんが腹話術を披露する。 ガコンッポポン!射出された二粒のポップコーンはそれぞれ異なる軌道を描き、リナとポメちゃん目がけて飛んだ。  「先に言っておくとな。リナ、あんたには、水家の中にいたタルパ共の情報だ。 あいつは記憶を失った後も、金剛の呪いの影響で、無意識にあらゆる霊魂を脳内地獄に吸収していた。 人間だけじゃなくて、土地神やら妖怪やら色んな奴を吸い取っていたから、見ていて退屈しなかったぜ。 タルパを作るのがあんたの本能なら、何かの役��立つかもな。だが物騒な怪物だけは作るんじゃねえぞ」  「わかってるわかってるゥ!ああっ凄いわ! ツチノコからゾンビまで…あーっ妖怪亀姫もいるじゃない!」 妖怪亀姫って…猪苗代湖を守る神様の一人じゃん。 まさか、ハゼコちゃんが暴れた時に逃げ出して、そのまま水家に魂を奪われたとか!? 私、昨晩とんでもない方を成仏させちゃったかも…リナが福島の神々を再建してくれる事を祈るばかりだ。  「ポメラー子のは夢の中で発現する。フロリダの農村の記憶だ。 何も無くてだだっ広いだけのクソ田舎だと思っていたが、犬にとっちゃ最高のドッグランになるだろうよ」  「ほんま最高やん!良かったなあ、ポメ。俺仕事さっさと済ますから、今夜は早く寝ような」 譲司さんがポメちゃんの頭を優しくなでた。ポメちゃんは黙々とポップコーンを食べている。 彼女と譲司さんが夢の中の大自然で駆け回る、微笑ましい光景が目に浮かんだ。
 「じゃあ、最後はお前か」 ジャックさんがイナちゃんを見る。でも、イナちゃんは目を逸らした。  「私いらない」  「あ?」 マスクスイッチをオン。  「バカヤロー、オ前。俺ノポップコーンガ食エネエッテカ? 安心シロ、幽体デデキテルカラ、カロリーゼロダゾ」  「いらないもん」  「アァ!?」 スイッチオフ。  「何なんだよ?」  「だって…食べたらジャックさん消えちゃう」  「!」
 ジャックさんとポップコーン屋台は、既に薄れかけていた。 自分の魂を削って私達に分け与える度に、彼は少しずつ摩耗していったんだ。 ジャックさんがマスクを脱いだ。  「あのな、俺は二十年以上前に殺されたんだ。もうとっくにいない筈の人間なんだよ。 だから、そんな事気にするな」  「ウソ。じゃあどうして、ジャックさんずっと成仏しなかった? 本当は、オリベちゃん達が見つけてくれるの待てたでしょ」  「…どうだかな」  「せかく会えたなのに、どうして消えなきゃいけない? これからオリベちゃんの子供育つを見ればいい、これからヘラガモ先生バリで頑張るを、傍で見守ればいい! どうしてあなた今消えなきゃいけない!?」 イナちゃんが握りしめた両手が、ジャックさんの胸を無情にすり抜ける。 ジャックさんは掠れた幽体でその手を優しく掴んだ。  「イナ」  「!」 そして、初めて彼女を名前で呼んだ。
 「霊魂が分解霧散する事を、仏教徒共がどうして成仏だなんて呼ぶか知ってるか? 役目を終えて砕け散った魂は、エクトプラズム粒子になって、自然界に還る。そして、新たな生命に吸収される。 宇宙の営みってやつだ。宗教やってる連中にとっちゃ、それは宇宙や仏と一つになる、尊い事なんだそうだ。 俺は既にジャック・ラーセンじゃねえ。クソ野郎に霊魂を切り貼りされた、人工のクソ怪物だ。 それでも…お前みたいなガキの笑顔に弱い性格は、生前と変わらなかったんだよなあ…」
 ジャックさんの目から涙が零れ始める。彼の霊魂が更に希薄になっていく。  「…オリベ。ジョージ。俺の事…諦めずに見つけてくれて、ありがとう。 おかげで、お前らと遊んだ記憶をまた思い出せた。 歪な関係だったけど…短い時間だったけど…クソ楽しかったよな。 …なあ、イナ。そんな顔するなよ。魂を清めるのが、お前の力なんだろ? だったら祈ってくれよ。俺が世界中に飛び散って、宇宙と一つになって、もっともっと沢山のガキ共を笑顔にできるように。 綺麗な花を咲かせる生命力になって。人間を動かすハッピーな感情になって。…最高に美味ぇポップコーンになって。 スリスリマスリ…って、祈ってくれよ。頼む…!」 ガコンッ!コロロロ…ぼろぼろに涙を零し、声をきらしながら、ジャックさんは最後のポップコーンを作った。 それはポップ・ガイの口から力無くこぼれ落ち、イナちゃんの足元を転がる。  「…頼むよ…」
 イナちゃんはしゃがみこみ、そのポップコーンをそっと拾い上げた。 それはもはや喫煙具から立ち昇る煙のように、今にも消えてしまいそうな朧な塊だった。  「スリスリマスリ。スリスリマスリ」 ポップコーンはイナちゃんの両手に優しく包み込まれ、そのまま彼女の魂に溶けた。  「…それでいい。カナヅチは今日で卒業だ。もう溺れるんじゃねえぞ」  「ウン」
 「イナ」 抱き合って、ぼろぼろに泣く二人。イナちゃんは顔を上げた。 薄れ行くジャックさんが、半魚人から人間の顔になる。 水家に似せられた髪型や背格好。ただ、彼はよりがっしりとした体格で、首が太く、彫りの深い黒い目を持つインド・ネパール系人種の男性だった。  「ジャックさん」  「…おっと、違う。これじゃねえ。これも作られた顔だったな」 魂がほぐれていくにつれ、より深層に眠っていた、彼の自意識があらわになる。 ジャックさんは、ジャック・ラーセンさんは、私達の前で初めて素顔を見せた。
 「アイゴー…!」  「な、諦めがついたか?俺みたいなチンピラにこだわってねえで、もっと良い男を見つけろよ、イナ」
 最後にそう言って、ジャック・ラーセンさんは分解霧散した。 本来の彼は…殺人鬼の言う通り、確かにちょっと魚っぽかったかも。 全身を鱗のような細かいタトゥーで覆い、オレンジ色に染めたモヒカンを側頭部に撫でつけ、ネジや釘が煩雑に飛び出した屋台やマスクと同じようにピアスまみれな… 言うなれば、ポップ・ガイのお父さんみたいな人だった。
 こうして、私達は熱海町を後にした。 リナは千貫森に帰り、タルパ仲間と共に福島のパワースポットを復興する。 オリベちゃんは水家の遺体と共にドイツへ飛び、譲司さんはバリ行きを延期して警視庁公安部に向かう。 その間、イナちゃんは私の家に泊まって待機する事に。私の次のスケジュールは…連ドラ『非常勤刑事(デカ)』のロケで福井へ行くのが、明明後日。それまでは自由だ。 そして明日は私の誕生日!やっとイナちゃんと渋谷や原宿��遊べるぞ。 私はそう思っていた…渋谷スクランブル交差点にあのロリータ服の悪魔が現れるまでは。
◆◆◆
 十一月六日、正午〇時。 ヴー、ヴー…トートバッグ内でスマホが震えた。画面には、『イナちゃん』。  「紅さん鳴ってるよ、ほら出てあげなさいよ」 ディレクター兼カメラマンのタナカDが、ファインダーを覗いたまま言う。 私は不貞腐れて電源を切った。  「二十歳になった���に、まだまだ大人げないなー。ま、ヘリコプターは機内モードってのも正解だけどね」 座席にふんぞり返ったアイドル、志多田佳奈さんが言う。  「私はヘリに乗せられるだなんて聞いてないです。 どうして誕生日にこんな所にいなきゃいけないんですか」
 ここは東京上空千メートル、小型ヘリコプターの中。 だいたい私は非常勤刑事のロケで福井に行くんじゃ…多分、それすら事務所が用意した偽スケジュールなんだろうけど。 今度、ドラマ主演の伶(れい)先輩に言いつけてやるんだから! そもそも、どうしてこんな事になったのか。それは遡ること二時間前。
 私はイナちゃんを連れて、竹下通り(たけしたどおり)でウインドウショッピングをしていた。 あそこはロリータファッションの聖地で、個人的にロリータにはあまり良い思い出がないから、普段足を踏み入れる事は無い。あくまで観光地だから連れて行くんだ。 そう思っていたけど、実際に行くと、普通に楽しかった。 猫の額ほど狭い路地に、各種ファストファッションの直営店から、煩雑なノーブランド品を売るセレクトショップまで所狭しと詰め込まれている。 更に中空には、死後ポップな姿を取るようになった霊魂や、人々の感情の結晶らしき可愛いモンスター、誰かが作ったマスコットタルパなどがひしめき合い、イナちゃんがそれを見て飛び跳ねながら歓喜する。 さながら多感で繁忙な思春期の女子高生の心を、そのまま結界にしたようなカオス空間だった。
 服やアクセサリーなど、両手に戦利品入り紙袋を大量に持って、私達は電車で渋谷駅へ。 (この時、やたらめったら嵩張るロングブーツを二足も買って後悔したのは、言うまでもない。) そのまま観光を続行するのは難しいため、荷物は駅中にある宅配サービスカウンターに預ける事に。 ついでにイナちゃんが、コインロッカーからスーツケースを取り出し、それもバリへ配達して貰えるように手続きしたいと言う。
 「テンピョウ書けました、お願いします」  「はい、少々お待ち下さい」 私はカウンター脇でイナちゃんが送り状を預けるのを眺めていた。 スーツケースの分と、原宿で買った荷物分。  「あと、これもお願いします」  「はい、かしこまりました」 ん、もう一枚?覗きこんでみると、そこにはこう書かれていた。
 『お届け先 ゆめみ台 志多田佳奈様 品名 紅一美 ナマモノ/コワレモノ/天地無用 お届け希望日 今日 したたび通運』
 『ヌーンヌーン、デデデデデン���ヌーンヌーン、デデデデデン!』 天井スピーカーから阿呆丸出しなイントロが聞こえてくると同時に、私は条件反射でイナちゃんを置いて宅配カウンターから逃走していた。
 『ヌーンヌーン、デデデデデン♪ヌーンヌーン、デデッデーン!』 階段を下り外に出る。こんなところで捕まってたまるものか。
 『背後からっ絞ーめー殺す、鋼鉄入りのーリーボン♪』 出口付近にある待ち合わせスポット、モヤイ像が見えた。 …奇妙な歌を垂れ流すスピーカーと、苺の髪飾り付きツインテールが生えている。あのロリータ悪魔のシンボルが。私は血相を変えて更に走った。
 『返り血をっさーえーぎーる、黒髪ロングのカーテン♪』 私を嘲笑うアイドルポップと、ただただスマホカメラを向ける無情な喧騒。 それらはまるで、昨日までの旅を締めくくるエンディングテーマのようだ。 但し、テレビ番組ではエンディング後に次回予告が入る。
 『仕込みカミッソーリー入りの、フリフリフリルブラーウス♪』 そして次回が来たら、また過酷な旅に出なければならない。 嫌だあああぁぁ!行きたくないいぃぃ!! 私はイナちゃんと渋谷で遊んで、お誕生日ケーキを食べて、空港に見送りに行って、お家に帰ってゆっくり寝て、福井で女優をするんだああぁぁぁ!! ていうか考えてみたらイナちゃんもグルだったあああぁぁぁ!!!裏切り者おおおぉぉぉぉ!!!
  『防刃防弾仕ー様の、コルセットーもー巻ーいてる♪』 スクランブル交差点に、爆音を撒き散らすアドトラックが現れた。…天井に、なんか生えてる。  『…ご通ぅぅぅ行ぉぉぉ中の皆様あああぁぁ!!』 渋谷駅に響き渡るロリータ声。諸行無常の響きあり。 ドゴッ!…体が乱暴にすくい上げられたような浮遊感。背後を振り向くと、宅配業者制服の男達が私を神輿みたいに担ぎあげている。  「オーエス!オーエス!」  『こんにちはァー、したたび通運でーーーす!!』 私はあれよあれよとスクランブル交差点へ運ばれ…トラックに集荷された!
 『あーあー♪なんて恐るべきー、チェリー!キラー!アサシンだ!』  「何!?何!?何なんですか!!?」 男達が私に何かを背負わせ、トートバッグごとベルトで固定していく。 目の前では、いつの間にか宅配業者制服に着替えたイナちゃんが敬礼している。  「ヒトミちゃん、したたび通運空輸便だヨ!」  「え?は?は!?」
 『破壊されしーオタサーからー…』 トラック天井に運ばれる。棒とロープが生えたバルーンクッション。 ああ。空輸便って。察した。『…遺族ーのー声はー確かに届ーいたー♪』
…わたし 童貞を殺す服を着た女を殺す服を作るよ もっともっと可愛くて 殺傷力も女子力も高い服を…
 サビに差し掛かったアイドルポップが遠ざかっていく。 私は…飛んだ。逆バンジージャンプで射出されて、渋谷のど真ん中で空を舞った。 あーあ、結局また騙された。ばーかばーか。テレビ湘南に水家曽良の腐乱死体送りつけてやる。ばーかばーか。
 そして無限にも思える長い一瞬の後、私は再び渋谷の地へ…落ちず。 なんとそのまま、上空を旋回していた小型ヘリに空中で捕縛され、拉致されてしまったのだ…。
 「はーい、ドッキリ大成功!毎度おなじみ、志多田佳奈のドッキリ旅バラエティ、したたびでーす!」 放心状態の私をよそに、悪魔的極悪ロリータアイドル、志多田佳奈さんが『ドッキリ』と書かれたプラカードを掲げた。 異常が、事の顛末だ。(これは誤字じゃない。異常なんだ。)  「ちなみに今回のドッキリは視聴者公募で、ペンネーム『ビニールプール部』さんのアイデアをやらせて頂きました!ありがとうございました~!」  「何が視聴者公募ですか。あんた達全員ビニールプールに沈めてやろうか!? だいたい、どうしてイナちゃんまでグルなんですか!」  「あの子はねぇ」 タナカDが画角外から、私と佳奈さんの会話に割って入る。  「昨夜SNSに紅さんと福島観光してる写真をアップしてたから、アポを取ってみたら、あっさり快諾してくれてですね。 今日あなたが渋谷に行く事も洗いざらい教えてくれたよぉ。『カナさん一番好き日本のアイドル!』とか言ってね」 げ、そうだった!忘れてたあああぁ!! 宅配サービスカウンターに行くのも予定調和だったのかあぁぁ!!  「目的地に着いたら電話かけ直してあげなさいよ」  「目的地じゃなくて渋谷に帰して下さい」  「そう言うなよ、一美ちゃん。 今日から記念すべき新企画が始まるんだから」  「新企画?」
 佳奈さんが座席の下からフリップを取り出す。 おどろおどろしいフォントで『調査せよ!綺麗な地名の闇』と書かれたフリップを。  「じゃじゃーん!新企画、『綺麗な地名の闇』!」  「何ですか、物騒な…」  「一美ちゃんはさ、ゆめみ台って行ったことある?」  「ゆめみ台?電車の乗り換えで通った事ぐらいはありますけど」  「ゆめみ台の旧地名は知ってる?」  「知らないです」  「ジャジャン!これです」 佳奈さんがフリップ上の『ゆめみ台』と書かれたポップなシールをめくる。 するとネガポジ暗転カラーで『蛇流台』と書かれた文言が現れた。  「じ…じゃりゅうだい…」  「蛇流台a.k.a.(アスノウンアス)ゆめみ台は、元々土砂崩れが起きやすい場所だったんだって。 だから今は人が住めるように整備されて、ゆめみ台って綺麗な地名になった。 それって涙ぐましい努力の歴史だと思わない?」  「はぁ」  「そこでね!この企画では、そーいう一癖あるスポットのいい所も暗部も、体を張って紹介していけたらなーって思うの! というわけで一美ちゃん、今日はゆめみ台国立公園でロッククライミングね」  「ああはいはい…はい!?」  「大丈夫!もう蛇流台じゃなくてゆめみ台だから崩落しない!」  「それ以前の問題です!ロッククライミングなんてやった事ないですよ!? どーして突然拉致されて、挙句崖まで登らなきゃいけないんですか!? 私まだ一昨日までの疲れが抜けてないんです!!」  「え?一昨日まで何��てたの?」 除霊…とはさすがに言えない。  「…徹夜で…別番組の、廃墟探索ロケ」  「あ、その企画いいね」 しまった!鬼に金棒を与えちゃった!  「い、いえ、私はクライミングがいいな!その方が健康的だし!」  「ひょっとして一美ちゃん、お化けが怖かったのかい?」  「うるさい!」 カメラ外からタナカDにチャチャを入れられた。 怖いも何も、実際は私が分解霧散させちゃったけど。 そんな事より…
 私はフリップ下部に書かれた幾つかのご当地ゆるキャラ達を見ていた。 ゆめみ台の物と思しき台形のパジャマ姿の子や、他にも鳩みたいなもの、犬みたいなものもいる。 その中に一つだけ異質な…毛虫らしきキャラクターを見て、私は戦慄を禁じ得なかった。 灰色の毛、歯茎じみた肌、潰れた目、黄ばんだ舌… 似ている。金剛倶利伽羅龍王に、あまりにも似ている。  「佳奈さん。この下に描かれたゆるキャラ達…まさか、今後これ全部まわるんですか?」  「ん?知ってるキャラがいた?」  どうやら…私に休息の時はないみたいだ。 これもイナちゃんが導いた、『気』の巡り合わせなのかもしれない。
 金剛有明団、きっとすぐ近い将来相見える事だろう。 私はトートバッグの中で、静かにプルパ龍王剣を燃やした。
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thyele · 5 years ago
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2020年3月27日
Daisuke Inoueさん「サウナで凄い事が。更衣室で風呂あがりの外国人男性のおしりに流し残した泡ががっつりついてた。気づかずパンツを履こうとしたら、となりのおじさんが慌てて「ほら、バブル��アスホール!」と叫ぶではないか。喧嘩を売られたと思った外国人に睨みつけられ、怯むおじさん。僕が説明し、3人で爆笑したさ」 https://twitter.com/pianonoki/status/1235893264743456769
Numero TOKYOさん「YOSHIKIが手掛ける着物ブランド"YOSHIKIMONO"が、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で開催中の着物展『Kimono: Kyoto to Catwalk』に展示されている。#YOSHIKIMONO #YOSHIKI @yoshikimonojpn @YoshikiOfficial」 https://twitter.com/NumeroTOKYO/status/1235170876988854273
“北朝鮮 飛しょう体3発発射” 訓練の一環か 韓国軍 | NHKニュース https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200309/k10012320561000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_004 ニューズウィーク日本版さん「北朝鮮、2週連続でミサイル発射 日本のEEZ外に落下 #北朝鮮ミサイル #金正恩 #弾道ミサイル #EEZ」 https://twitter.com/Newsweek_JAPAN/status/1236804675900526594
ロイターさん「将来、本物のネコも来るかもしれない。ポーランドのネコグッズ博物館。」 https://twitter.com/ReutersJapan/status/1236803889308921856
毎日新聞ニュースさん「国際女性デー トルコでデモ排除に催涙ガス、拘束者も」 https://twitter.com/mainichijpnews/status/1236824514811457537
平成を忘れないbotさん「カップヌードル46年目の告白」 https://twitter.com/HEISEI_love_bot/status/1236647318759211008
ニューズウィーク日本版さん「複数のインフルに長期間効果のある「ユニバーサルインフルエンザワクチン」開発間近か ──毎年、季節性インフルエンザで29万人から65万人が死亡している...... #インフルエンザ #ワクチン #季節性インフルエンザ」 https://twitter.com/Newsweek_JAPAN/status/1238424567942610946
毎日新聞さん「マスクをスーパーマーケットから盗んだとして窃盗容疑で現行犯逮捕された男を京都区検は13日、窃盗罪で略式起訴し、京都簡裁は同日付で罰金30万円の略式命令を出しました。」 https://twitter.com/mainichi/status/1238424566843822082
毎日新聞ニュースさん「愛媛知事 花見自粛求めず「何もかも萎縮すると…」 新型コロナ」 https://twitter.com/mainichijpnews/status/1238422449793855488
ロイターさん「韓国、株空売りを6カ月禁止 新型コロナ不安に対応」 https://twitter.com/ReutersJapan/status/1238422951244050432
crazy-shimooon-joeさん「まぁ、別に仕方ないんだけども…ほんまにマスク売って無いね(笑)」 https://twitter.com/Shimooon_joe/status/1238401497487966210
朝日新聞(asahi shimbun)さん「緊急事態宣言とは 医療施設設置に私有地の強制使用も #新型肺炎 #新型コロナウイルス」 https://twitter.com/asahi/status/1238426089409540097
毎日新聞さん「佐賀県で初の感染者 20代男子大学生、仏から帰国後に陽性確認」 https://twitter.com/mainichi/status/1238451231267254272 毎日新聞さん「佐賀県、16日からの学校再開「厳しい」 県内初の新型コロナ感染者確認」 https://twitter.com/mainichi/status/1238451425450946560
読売新聞オンラインさん「「コロナばらまく」…飲食店に出かけた陽性の男、業務妨害の疑いで捜査 #社会」 https://twitter.com/Yomiuri_Online/status/1238451008629608450
ニューズウィーク日本版さん「【加谷珪一の経済ニュース超解説】株価暴落「コロナ相場」の裏で起きている、もっと深刻な構造変化とは……金融市場を襲ったコロナショックが示唆するのは、感染が終息しても経済への悪影響は長引くという暗いシナリオだ #コロナウイルス #新型肺炎 #株価暴落 #新型コロナ」 https://twitter.com/Newsweek_JAPAN/status/1238454767736819713
ロイターさん「仏、100人超の集会禁止 ルーブル美術館も当面閉館」 https://twitter.com/ReutersJapan/status/1238512344822579200
ロイターさん「中国���務省報道官、新型コロナ「米国責任説」巡る質問に回答せず」 https://twitter.com/ReutersJapan/status/1238517830154362888
ニューズウィーク日本版さん「トランプ「非常事態」宣言へ 新型コロナウイルス対応で緊急援助法適用 #トランプ大統領 #アメリカ #非常事態宣言 #FEMA #パンデミック #WHO #新型コロナウイルス #新型肺炎 #COVID19 #コロナウイルス #感染者 #感染確認 #感染症対策 #感染拡大」 https://twitter.com/Newsweek_JAPAN/status/1238519267836014601
ロイターさん「英、コロナ感染者800人弱 前日から約200人増」 https://twitter.com/ReutersJapan/status/1238522874249478144
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版さん「日本で入院中の米国人コロナ患者、ギリアドの治験薬で回復か #新型コロナウイルス #新型肺炎」 https://twitter.com/WSJJapan/status/1238522783736496132
🦊本日卒業するドラマー初台ドアーズ20時きつねさん「本当にコロナ対策のニュース パチンコ屋さんの事 言わないんだなぁ」 https://twitter.com/kitunekyun/status/1238408723028013060
ニューズウィーク日本版さん「マスクが「必須のアクセサリー」になる時代、NYファッションショーにも登場 ――東アジアの文化に根付いていたマスクは、今や世界各国で品切れ状態に。時代を象徴するアイテムに昇格し、ついにランウェイに「マスクファッション」が登場した。 #新型肺炎 #マスク」 https://twitter.com/Newsweek_JAPAN/status/1238596202041614339
ボヘカラさん「英国の首席科学顧問、現実的過ぎないか。 ・英国の公式な新コロ感染者は600人だが、他国から類推するに0.5〜1万人いる ・感染を抑え過ぎてピークが来冬に来ると病院パンクするので、病院が暇な夏にピーク持ってく ・英国はイタリアを4週遅れで追ってて手洗い、自宅隔離推奨」 https://twitter.com/BOHE_BABE/status/1238484142385270786
Dr.ナイフさん「日銀が5,000億円の株式市場への投入を発表。 すでに30兆円を投入しこの下落相場でかなりの含み損を出しています。株のことだから関係ないと思っていたら大変なことになります。コロナ危機で国債が下がり始めたら日銀は債務超過になり円の信用が落ちます。そしたら国民の貯金、現金は大打撃を受けます。」 https://twitter.com/knife9000/status/1238289341153083393
ロイターさん「手をかざすだけで、消毒液を噴射するロボット。」 https://twitter.com/ReutersJapan/status/1238593178741215237
ニューズウィーク日本版さん「新型コロナウイルスをめぐる各国の最新状況まとめ(14日現在) #パンデミック #WHO #新型コロナウイルス #新型肺炎 #COVID19 #コロナウイルス #感染者 #感染確認 #感染症対策 #感染拡大 #イタリア #スペイン #ヨーロッパ #アメリカ」 https://twitter.com/Newsweek_JAPAN/status/1238619438628429826
毎日新聞ニュースさん「「1m以上離れないと…」感染装った男逮捕 駅の業務妨害容疑 新型コロナ」 https://twitter.com/mainichijpnews/status/1238618191909146625
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版さん「米株急反発、ダウは2000ドル近い上げ」 https://twitter.com/WSJJapan/status/1238586849242648576
佳*佳さん「保育園で、ヒトメタニューモウイルス感染症の子が出たので気をつけてって言われた。どんな病気か調べたら発熱や咳、ヒドくなると肺炎らしいの。 このウイルスは2001年に初めて発見されたとかで、歴史浅いのね。1~3歳くらいまでかかるみたいなので、お子さん居る方気をつけて。コロナと間違えそう!」 https://twitter.com/tensai_Okey/status/1238455188853108737 ヒトメタニューモウイルス感染症とは|Meiji Seika ファルマ株式会社 https://www.meiji-seika-pharma.co.jp/hmpv/
ニューズウィーク日本版さん「イタリア、新型コロナウイルス感染者1.7万人超 死者1266人で前日から25%増 #パンデミック #WHO #新型コロナウイルス #新型肺炎 #COVID19 #コロナウイルス #感染者 #感染確認 #感染症対策 #感染拡大 #イタリア #ヨーロッパ」 https://twitter.com/Newsweek_JAPAN/status/1238626902522413058
朝日新聞(asahi shimbun)さん「カナダ、全渡航者に自主隔離求める 国境閉鎖を検討中 #新型肺炎 #新型コロナウイルス」 https://twitter.com/asahi/status/1238626914744451072
朝日新聞(asahi shimbun)さん「デンマーク、4月13日まで国境閉鎖 新型コロナ対策 #新型肺炎 #新型コロナウイルス」 https://twitter.com/asahi/status/1238626920809431045
朝日新聞(asahi shimbun)さん「国連本部、全職員が約1カ月テレワークに コロナ対策 #新型肺炎 #新型コロナウイルス」 https://twitter.com/asahi/status/1238626917802078208
ニューズウィーク日本版さん「前場の日経平均株価は大幅続落、1万7000円割れに 3年4カ月ぶり安値」 https://twitter.com/Newsweek_JAPAN/status/1238625894614339587
とみさん「パンデミックだけじゃないよ。戦争でも経済危機でも、そうなったらまず切り捨てられるのがエンタメや芸術・文化といったものだし、だからこそそういった業界で食ってる人たちは政治や社会に対してしっかり意識を向けてなきゃなのに、近年の日本のそういう人たちはその役割をおもいっきり放棄してきた。」 https://twitter.com/meow164/status/1238064553952284672
朝日新聞(asahi shimbun)さん「新型肺炎で窮地の映画館 「密閉空間でない」嘆く支配人 #新型肺炎 #新型コロナウイルス」 https://twitter.com/asahi/status/1238625401443762176
ソウル・フラワー・ユニオンさん「30億人、自宅で手洗いできず 世界人口40% ユニセフが警鐘「世界人口の40%に当たる30億人はせっけんで手を洗う設備が自宅にない」「世界の学校の47%も同様の設備を欠いており、生徒・児童数では約9億人に当たる」 思ってた以上の数字。これが今の人類社会。」 https://twitter.com/soulflowerunion/status/1238671280699658241
ニューズウィーク日本版さん「中国専門家チームを率いる「SARSの英雄」医師、鐘南山とは何者か ――17年前のSARS禍で共産党と闘い「英雄」と称えられた医師、鐘南山が新型コロナ危機でも注目を集めている。今回は中国政府で専門家チームを率いる鐘は、今も「英雄」なのか?」 https://twitter.com/Newsweek_JAPAN/status/1238674970655502340
朝日新聞デジタル編集部さん「うなぎパイ、コロナで製造休止 新幹線での売り上げ半減 https://t.co/Sj998X7AXD 担当者は「ここまで影響が出るとは思っていなかった。早く終息してほしい」と話している。」 https://twitter.com/asahicom/status/1238668687470735361
読売新聞オンラインさん「中国「戦う外交官」の主張、米が反論「パンデミック起点の批判そらす陰謀論」#国際」 https://twitter.com/Yomiuri_Online/status/1238674978096263170
ロイターさん「クルーズ業界が打撃を受けたことで、旅行・観光業界全体が最悪の危機に。」 https://twitter.com/ReutersJapan/status/1238676225289306112
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版さん「【オピニオン】トランプ氏の最大の敵、パンデミック #トランプ #新型肺炎 #新型コロナウイルス」 https://twitter.com/WSJJapan/status/1238676257828671488
Rolling Stone Japanさん「新型コロナ、多くのミュージシャンの暮らしが崩壊する危険性 #コロナ #コロナウイルス」 https://twitter.com/rollingstonejp/status/1238669436229267456
勝俣範之さん「本文より、「先生によって言うことが違うのですが、何を信じたらいいのですか」と聞かれたことがある。そのようなとき私は、「先生を信じるよりも、データやエビデンスを頼ってください」と答えている。」 https://twitter.com/Katsumata_Nori/status/1238660431389921280
D'ERLANGER Tetsuさん「国内で旅をしているとたびたび感動しちゃってるけど、 いよいよこんなプレートを…(>_<) この国の誇りだよね! https://t.co/Zlabggenu1」 https://twitter.com/GREATZUPPER/status/1238750008100270081 「大変な時にありがとう」 職員のメッセージに称賛 https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000178818.html
日本経済新聞 電子版さん「首相、緊急事態「現時点で宣言する状況でない」」 https://twitter.com/nikkei/status/1238756253720956928
SANA /WorLd United Tourさん「飛行機が7月になっても飛ばない場合は スワンボートをレンタルしてみます。 その際は、MASKのライブ時にはめちゃくちゃ日焼けしてると思うので、よろしくお願いいたします。」 https://twitter.com/sanappleworld/status/1243121065544404993
太三さん「即興 弾きまくりました 開放感ありがとう!!! https://t.co/ko0N91MEUi」 https://twitter.com/taizodiac/status/1243172952436170754
Köziさん「https://t.co/R3g5XCASLe」 https://twitter.com/Kzi_official/status/1243230507598372869
KENZI 関西アンチフェミニズム4・4ライブ中止。さん「週末外出自粛ならスター☆カフェの仲でみんな自粛しょうよ。不安も一緒にいるとかるくなる。しっかり消毒して今日&明日います。お店をやっている皆さん頑張っていきましょう☆ https://t.co/e3R79bwOc9」 https://twitter.com/Antikenzi2000/status/1243347922483175426
VEN☆SkeletonPanties☆風里銃さん「フルセット叩きたい‼️ https://t.co/UDBBXfogUY」 https://twitter.com/VENtheDRUMER/status/1243387786196955136
lucy+peter=esolagotoさん「今月8回目の町田 明日はやっさんrecで9回目の町田。笑 https://t.co/79n6QlmwIg」 https://twitter.com/lucy_peter/status/1243392483058302976
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shibaracu · 5 years ago
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●2月3日 まょうは何の日
●2月3日 まょうは何の日 ◆節分 - Wikipedia  https://ja.wikipedia.org/wiki/節分 節分(せつぶん、せちぶん)は、雑節の一つで、各季節の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日のこと。節分とは「季節を分ける」ことも意味している。江戸時代以降は特に立春(毎年2月4日ごろ)の前日を指す場合が多い。 太陰太陽暦(旧暦)では、立春に最も近い新月を元日とし、月(太陰)の満ち欠けを基準(月切)にした元日(旧正月)と、太陽黄経を基準(節切)にした立春は、ともに新年ととらえられていた。したがって、旧暦12月末日(大晦日)と立春前日の節分は、ともに年越しの日��意識されていたことになる。今も節分を「年越し」「年取り(数え年とは、生まれた日を1歳とし、誕生日に関係なく新年に皆が年を取る数え方)」と呼ぶ地域があるのはこの名残である。 本項目では、立春の前日、およびその日に行われる伝統的な行事について述べる。 一般的には「鬼は外、福は内」と声を出しながら福豆(煎り大豆)を撒いて、年齢の数だけ(もしくは1つ多く)豆を食べる厄除けを行う。また、邪気除けの柊鰯などを飾る。これらは、地方や神社などによって異なってくる   ◆鬼は外! 福は内! 節分の由来や豆まきをする意味 - ヨックモック https://www.yokumoku.jp/pages/295 2019/12/25 2月3日の「節分」は日本に古くから伝わる大切な行事です。節分には、 豆まきをしたり恵方巻きを食べる風習があります。 とくに、豆まきは子どもたちが楽しみにしているイベントの1つですが、 なぜ節分に豆をまくのでしょうか。 節分の由来を紐解き、豆まきをする意味について学んでみましょう。 節分の由来とは?
今では2月3日に定着している節分ですが、本来は「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前日のことを「節分」と呼んでいました。節分は、名前の通り「季節を分ける」ということを意味している言葉です。立春・立夏・立秋・立冬は季節の始まりの日であるため、それぞれの前日は季節の変わり目にあたり、それが節分だったのです。 現代では2月3日だけが節分になっていますが、これは4つの季節の中で 「立春」が最も重視されていたためです。 春の訪れである立春は1年の始まりでもあり、とくに待ち望まれていました。 徐々にこの考えが強まり、立春の前日だけを節分と呼ぶことに なったのが現代の節分の由来だといわれています。 ・節分に豆をまく由来とは? 今では12月31日が大晦日、1月1日が元旦で新年の始まりとなる日ですが、 その昔では立春が新年の始まりでした。そのため、立春の前日である節分が 大晦日だったのです。 1年を締めくくる節分は、その年の中でもとくに重要な日です。 来たる新年に向け、厄や災難をお祓いする行事が行われており、 これが豆まきの由来になったといわれています。   ◆鬼は外! 福は内! 節分の由来や豆まきをする意味 - ヨックモック https://www.yokumoku.jp/pages/295 2019/12/25 2月3日の「節分」は日本に古くから伝わる大切な行事です。節分には、豆まきをしたり恵方巻きを食べる風習があります。 とくに、豆まきは子どもたちが楽しみにしているイベントの1つですが、 なぜ節分に豆をまくのでしょうか。 節分の由来を紐解き、豆まきをする意味について学んでみましょう。   ◆2月3日は何の日?記念日、出来事、誕生日占い、有名人、花言葉などのまとめ雑学 https://netlab.click/todayis/0203 2019/11/03    記念日    出来事    誕生日占い    誕生日の著名人    花と花言葉 等をまとめてみました。 記事の中身をざっと見    2月3日は何の日?            節分にちなんだ記念日        神社本庁設立記念日        他にもある2月3日の記念日            語呂にちなんだ記念日            追悼の記念日            諸外国編    2月3日は何があった日?        大岡越前、南町奉行に就任            大岡越前の日        第11回 札幌冬季オリンピック開幕        他にもある2月3日の出来事    2月3日の誕生日占い    2月3日生まれの有名人    2月3日の花と花言葉        シクラメン、他    2月3日の翌日は何の日?前日は何の日だった?   ◆大岡忠相 - Wikipedia   https://ja.wikipedia.org/wiki/大岡忠相 大岡 忠相(おおおか ただすけ)は、江戸時代中期の幕臣・大名。大岡忠世家の当主で、西大平藩初代藩主。生家は旗本大岡忠吉家で、父は美濃守・大岡忠高、母は北条氏重の娘。忠相の子孫は代々西大平藩を継ぎ、明治時代を迎えた。大岡忠房家の第4代当主で、9代将軍・徳川家重の側用人として幕政においても活躍したことで知られる大岡忠光(後に岩槻藩主)とは遠い縁戚に当たり、忠相とも同族の誼を通じている。   ◆大岡越前守忠相の生涯をまとめてみた - Togetter https://togetter.com/li/1217621 2018/04/13 ◇もえ◇日本史 近代史と手越くん◇ @MoeK20060408 1752年2月3日(宝暦元年12月19日)江戸時代中期の幕臣・大名で享保の改革を町奉行として支えた大岡忠相が亡くなりました。享年75歳。 越前守だった事と「大岡政談」や時代劇での名奉行としてイメージを通じて、現代では「大岡越前守」としても知られています。 #大岡越前 #南町奉行 pic.twitter.com/4F9k1bmTs8 ◇もえ◇日本史 近代史と手越くん◇ @MoeK20060408 1677年(延宝5年)大岡忠相は1,700石の旗本・大岡忠高の四男として江戸に生まれます。1686年(貞享3年)同族の1,920石の旗本・大岡忠真(大岡忠右衛門)の養子となり、忠真の娘と婚約。 1687年(貞享4年)5代将軍・徳川綱吉に初めて御目見します。 pic.twitter.com/cBzGIBvdCE   ◆南町奉行の出世頭 大岡越前守 - 福祉新聞 https://www.fukushishimbun.co.jp/topics/5872 2014/09/29  江戸町奉行所は幕府設立以前からの就任記録があって、初代は天野三郎兵衛、四代は1590(天正18)年、板倉四郎衛門となっている。当初は1カ所であったが、1604(慶長9)年から南、北に分れた。これは地域を区分したものではなく、月番で業務を分担したことによる。1702(元禄15)年には中町奉行所が設けられるが、17年間で閉鎖された。  1717(享保2)年以降は南北奉行所体制となり幕末まで続いた。  町奉行所とは、現在でいえば都庁と警視庁、裁判所を兼ねたもので、奉行は旗本の大身が就任する最高位の三千石(3億円)の役職であった。  奉行所にはおのおの、与力25騎、同心120人が配属されていたが、ほとん ど世襲であった。筆頭与力は年番制で、与力、同心の指揮、予算管理、人事をつかさどった。係りは裁判、物価監視、商業の統制、治安、判例、赦免などに分かれていた。  南町奉行の出世頭は大岡越前守忠相である。1717(享保2)年に就任した。1736(元文元)年に寺社奉行(大名の役職)に就くまで19年間、その職にあった。南北奉行で唯一、大名に昇進した。   ◆2月3日は大豆の日 https://pedant19.com/february-3rd/ 節分に豆をまいたり年の数だけ食べたりして無病息災を願う風習にちなんで、「節分」になることが多い2月3日を「大豆の日」としたのだ。 豆まきにつかう豆は大豆が多いが、東北や北海道の人たちは落花生をつかう家が多いらしい。後片付けや、まいたものを食べることを考えると殻のある落花生のほうが便利なのだ。   ◆チューリップバブルが崩壊 1637年の2月3日にチューリップの相場が暴落し、チューリップバブルが崩壊したといわれている。 チューリップバブルとは、オランダでチューリップの球根の価格が異常なまで高騰し、突然暴落したバブルのこと。 バブルのピークのころは、めずらしいチューリップの球根1つで豪邸が建てられるほど高価な値段で取引されていたのだ。 ちなみに、チューリップといえばオランダというイメージがあるが、原産国はオランダでなくトルコである。   ◆ピクサーが誕生 1986年の2月3日は「トイ・ストーリー」などのCGアニメで有名な「ピクサー・アニメーション・スタジオ」が誕生した日である。 ピクサーの1作目である「トイ・ストーリー」は史上初の長編CGアニメーション映画なのだ。 ちなみに、「トイ・ストーリー」に登場するバズ・ライトイヤーは人類で初めて月に行った宇宙飛行士のひとり「バズ・オルドリン」の名前に由来している。   ◆その他の記念日や出来事など ・乳酸菌の日    2月3日を「2(にゅう)3(さん)」と読む語呂合わせから    カゴメが記念日に制定した。 ・不眠の日    2月3日を「2(ふ)3(みん)」と読む語呂合わせから    エスエス製薬が記念日に制定した。 ・喜望峰到達    1488年の2月3日、バルトロメウ・ディアスがヨーロッパ人で初めて    アフリカ南端の喜望峰に到達した。 ・若乃花が横綱に昇進    1958年の2月3日、大相撲の力士「若乃花」が第45大横綱に昇進した。 ・札幌で冬季オリンピックが開催    1972年2月3日、札幌で第11回冬季オリンピックが開催された。    日本は金、銀、銅のメダルを1枚ずつ獲得。   ◆2月3日生まれの有名人 ・フーゴー・ユンカースはドイツの航空機メーカー「ユンカース」の創設者である。 ・フェリックス・メンデルスゾーン(1809年)作曲家  誰もが耳にしたことのある「結婚行進曲」などで有名。 ・鴨居玲(1928年)画家  「道化師」や「1982年 私」などの作品で有名。 ・矢玉四郎(1944年)児童文学作家  「はれときどきぶた」などの作品で有名。 ・ネイサン・レイン(1956年)俳優  「ライオンキング」のティモン役としても有名。 ・川合俊一(1963年)タレント元バレーボール選手。 ・アイラ・フィッシャー(1976年)女優  映画「華麗なるギャツビー」や「グランド・イリュージョン」に出演。 ・���岡美穂(1980年)タレント ・柳原可奈子(1986年)お笑い芸人・ショップ店員のネタなどで有名。 ・土屋太鳳(1995年)女優・ドラマ「下町ロケット」などに出演。 ・橋本環奈(1999年)タレント・女優・実写版「銀魂」などに出演。
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herbiemikeadamski · 4 years ago
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(^o^)/おはよー(^▽^)ゴザイマース(^_-)-☆. . . 2月6日(土) #赤口(乙酉)  旧暦 12/25 月齢 23.9 年始から37日目に当たり、年末まであと328日(閏年では329日)です。 . . 朝は希望に起き⤴️昼は努力に行き💪夜を感謝に眠ろう😪💤 夜が来ない朝はありませんし、朝が来ない夜はない💦 睡眠は明日を迎える為の☀️未来へのスタートです🏃‍♂💦 でお馴染みのRascalでございます😅. . 6週目最終日✋週末ですね😅💦先週に引き続きマタマタw 二度寝ぶっこいてしまいました。。。_| ̄|○... やっぱり毎日の猛残業の疲れがたまってるのかな? ところが✋面白い夢を見て叩き起こされた様です😅💦 . 何故か場所は下北沢あたりをバイクで散策してる様w 「何なの下北沢で?」デショw それが時刻が14:00頃 なので、ボディアタックのレッスンに間に合わない設定ナノネw それで、次のレッスンのBPのイントラから電話が来ました📞 . それで、いつもの調子の声と言い回しで私に聞くの ですよ💦「レッスンは来られますか?」って🏋️💦💦💦 それで私が「今、下北に居るので急いでイキマスー!」 てな具合で目が覚めたんですね👀そしたら6:11↴↴↴ . お判りですね✋今日もスタジオレッスン予約に「大失敗の巻」 十方暮れ入り二日目の今日は「赤口」で大凶日だす。 そっかそっか✋そう云う事ねと納得。。。_| ̄|○... 今月いっぱいで終了だと云うのにガッカリな朝です↴↴↴ . 今日一日どなた様も💁‍♂お体ご自愛なさって❤️ お過ごし下さいませ🙋‍♂ モウ!🐄頑張るしか✋はない!ガンバリマショウ\(^O^)/ ワーイ! ✨本日もご安全に参りましょう✌️ . . ■今日は何の日■. #トルコ風呂開店. 1971年の今日、滋賀県に日本初の「トルコ風呂」が開店。  「トルコ風呂」と呼ばれる個室浴場の店舗が誕生したのは、1951年4月1日、東京都東銀座に開店した東京温泉である。  しかし、この当時は個室でスチームサウナ施設が主で女性のマッサージもあったが性的サービスなく女性も着衣だったそうです。  滋賀県の「トルコ風呂」は後者のサービスも行うという事で日本初となってるのでしょうか? 現在では「トルコ風呂」という呼称は1984年にトルコ人留学生の抗議運動がきっかけになって「ソープランド」と改称された。  それ以降日本では、「トルコ風呂」は性風俗用語として用いられることは無くなった。 . #C1000の日.  「C1000ビタミンレモン」「C1000レモンウォーター」など、「C1000」ブランドを販売するハウスウェルネスフーズ株式会社が制定。  商品1本に1000mgのビタミンCを配合している「C1000」ブランドは、いつでもどこでもビタミンCを手軽に摂れる人気の商品。  日付は「C1000」シリーズが誕生した1990年2月6日を記念して。 . #海苔の日.  702(大宝元)年1月1日、新暦の2月6日に大宝律令が施行され、海苔が産地諸国の名産として年貢に指定されました。  この出来事を元に、全国海苔貝類漁業協同組合連合会が、1967(昭和42)年に記念日として制定しました。 . #抹茶の日.  愛知県の西尾市茶業振興協議会が西尾茶創業120年を記念して制定。  茶道で釜をかけて湯をわかす道具「風炉」から「ふ(2)ろ(6)」の語呂合せ。 . #御燈祭(和歌山県新宮市).  新年の火を迎える祭り。  元は、旧暦の正月6日に行われていた。 . #お風呂の日.  日本のお風呂文化をユネスコの世界無形文化遺産登録にと活動する「一般社団法人HOT JAPAN」が制定。 . #ブログの日.  インターネット上のサービスのひとつであるブログの普及を目的に、株式会社サイバーエージェントが制定。 . #ニゴロブナの日.  1500年の歴史を誇る滋賀県の伝統的な発酵食品で、郷土料理百選にも制定されている「鮒ずし」は、琵琶湖の固有種であるニゴロブナを使用している。 . #ディズニーツムツムの日. . #環境エネルギーに取り組むブルーの日. . #ちゅる肌の日. . #プロフェッショナルの日. . #手巻きロールケーキの日(#毎月6日). #メロンの日(#毎月6日). #世界女性器切除根絶の日. #ワイタンギデー(#ニュージーランド). . . ■今日のつぶやき■. #遠くの親戚より近くの他人(トオクノシンセキヨリチカクノタニン) 【解説】 血の繋がっている親類であっても、遠く離れて暮らしていれば行き来も少なくなり、情も通わなくなるもので、万が一急を要する出来事があった場合に助けられることはない。 いざというときに頼りになるのは、遠く離れて暮らす親類ではなくて、近所に住んでいる他人の方だと云う事。 . . 1969年〈昭和44年〉2月6日 #福山雅治 (#ふくやままさはる) 【シンガーソングライター、ミュージシャン、マルチタレント、俳優、写真家、音楽プロディユーサー】 〔長崎県長崎市〕 . . (Nerima, Tokyo) https://www.instagram.com/p/CK7kcMtlkL5pZ4rNHu2YbHcX-0CFQt6qWYIvn00/?igshid=xg44bkunmdyx
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ronpe0524 · 6 years ago
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令和になりました、な5月(2019年5月の日記)
■2019/5/1
GW5日目。令和の初日。完全に風邪の症状が出ているので昨夜から風邪薬を飲んでいる。今日は映画を観れないから眠くなっても良いでしょう。朝から奥さんの機嫌がまぁ悪いので刺激しないように頑張る。今日は娘とだいたい工作をしていた。うちの娘は工作が好きである。隔週で通っている絵画教室でもまだ絵を描いたりはあまりしないで工作的なことをよくやっているみたいだけど、それ以外に家でも工作をやりたがる。ディズニーのチャンネルが放送している「アートアタック」という番組がある。もともとはUKの番組で、まぁちょっとレベルの高い「できるかな」という感じの番組です。ニール・ブキャナンという人物がのっぽさん的な人。この番組をいろいろな国がローカライズしていて日本でも放送している。スカパー無料日とかに放送したやつをトルネに録りためているのだけど、娘はこれを繰り返し見ている。今回は中に書類が入れたりできるフォルダー作り。今はだいたいのものが100円ショップで手に入るので、いっしょに買い物に行って、娘がデザインした通りになるべく作っていく。「アートアタック」でよくやるのが木工用ボンドと水を同量で混ぜたものを塗り、そこにキッチンペーパーを細かくちぎったものを張っていき乾かす。乾いたところでアクリル絵の具で塗る、という工程。今回もそれ。乾かすのに時間がかかるので完成はしないで途中までで終わり。とても楽しそうなのでよし。夜はNetflixをかためてる見る。『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』、『ストレンジャー・シングス』S1E3、『アンブレラ・アカデミー』S1E5を見た。
■2019/5/2
GW6日目。午前中は昨日の工作の続き。あとNetflix『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』を見る。娘はかなり好きだったようです。午後から出かけさせていただき有楽町へ。イ���リア映画祭2019『ドッグマン』鑑賞。渋谷へ移動。ユーロスペースで『あの日々の話』鑑賞。アフタートークには玉田真也監督とゲストの山下敦弘監督が。あと『SR3』や『太陽』に出演している結さんが観にきてました。僕モテのガチ話を聴きながら帰る。駒木根さんの「エクストリームな童貞の役」って発言が最高だ。
■2019/5/3
GW7日目。まだ工作を続けたり、図書館に行ったり。10連休もあるとさすがにのんびりできる。夕方から出かけさせていただき王子へ。ほりぶん 第7回公演 『飛鳥山』観劇@北とぴあ・ペガサスホール。またまたとんでもない。新宿へ移動。新宿ピカデリーで『ザ・フォーリナー/復讐者』鑑賞。21:25の回なのに満席だったと思う。TV録画『フラッシュ』S2E17を見る。
■2019/5/4
GW8日目。朝から娘を習い事に送る。娘は習い事終わりで奥さんと奥さんの実家に向かうのでしばしのお別れ。僕は立川へ移動。シネマシティで『アベンジャーズ/エンドゲーム』bスタ極爆と『名探偵ピカチュウ』をハシゴ。渋谷へ移動。代々木公演のカンボジアフェスティバル2019 でKlapYaHandzのLIVEを見る。日本在住のカンボジア人と思われる若者たちが盛り上がってるのを見ているのが面白い。高橋芳朗さんも見にきてた。ロフトでビンゴの景品を買う。新宿へ移動。新宿でうどん旬報の取材(=はじめて行くうどん屋さんでうどんを食べる)。テアトル新宿へ。劇場前には深田晃司監督と今泉力哉監督が本当にいる。深田監督が配っていた『よこがお』のフライヤをもらい「Twitterで見ました!」とお話させていただいたら「よかったら写真撮らせてください」とのことで撮影してもらう。深田監督はガラケーだ。『キュクロプス』鑑賞。上映前に通路を挟んで隣の席がさっちゃんさんだと気づく。上映後トークまで含め面白かった。トークのあとパンフに大庭監督のサインをいただき、少しだけお話しさせていただく。また次の作品も観たい監督だ。途中までさっちゃんさんといっしょに帰る。さっちゃんさんは大庭監督が『太陽』の助監督の人だとはまったく知らずに観にきていたとのこと。明日よろしくお願いします、と別れて帰宅。
■2019/5/5
GW9日目。奥さんと娘は帰省中。僕はまぁまぁ具合が悪い。が朝から立川へ。シネマシティで午前十時の映画祭10『E.T.』極音上映を鑑賞。映画は良かったが具合がさらに悪い。近くの珈琲屋さんでランチパスタを食べてなんとか『エンドゲーム』の感想をまとめていくが気持ち悪いし頭痛がある。お腹も痛い。たぶん風邪である。なんとか新宿へ移動。テキトーな公園のベンチでさらに『エンドゲーム』の感想をまとめる。なんとかまとまった。エクストラシネマトーク東京『アベンジャーズ/エンドゲーム』へ。僕が個人的に立ち上げた、いつものMCTTの番外編的なイベントですが、ネット経由で参加してくれたゲストのペップさんを含め10人で2時間『エンドゲーム』の話をする。思う存分話せて楽しかった。集まってくれた皆さん、本当にありがとう。放課後(二次会)はトルコ料理屋さんでケバブを食べる。MCUビンゴ大会もやる。楽しかったけど体調悪くてフラフラ。帰宅して23時頃には寝てしまった。
■2019/5/6
GW10日目、最終日。体調悪くて起きれないんじゃないかと思ったけど朝5時に目覚めた。なんとか動けそうである。とりあえず新宿へ向かう。電車の中で午前中に観れそうな映画を調べる。ここで観ておきたかった『キングダム』はなんともう残席わずか、最前列の左右しか空いてない。なんてことだ。仕方がないので『名探偵ピカチュウ』吹替を予約。新宿へ到着し歩いていると品川庄司の品川が娘さんと歩いていた。仲良さそう。てわけで新ピカで『名探偵ピカチュウ』吹替を鑑賞。2回目を観ることになるとは。まぁMCTTのお題なんでね。渋谷へ移動。タコベルでランチ。実はスマホのポータブルバッテリを忘れてきてしまったのでタコベルの電源にてスマホの充電もする。ロフト9へ。Gucchi’s Free School のトークイベント。誰か知ってる人来てるかなぁと思っていたらまるゆさんがいた。イベントで紹介される映画はどれも面白そうで、しかも知らない作品が多い。非売品の「みにまよ」も欲しいので真面目にアンケートにも答える。後日郵送してくれるらしいです。イベント中に奥さんからメールを受信。実家から戻ってきたけど奥さんの具合が悪いので娘の夕食も買って帰るように、と指令が。ロフト9のイベント終わりしだいソッコーで帰る。吉祥寺のさとうでコロッケ買おうと寄ってみたらなんと完売!完売ってはじめて見た気がする。しょうがないのでケンタッキーを買って帰宅。娘はむしゃむしゃと食べていた。夜はWOWOW録画『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』を見る。笑った笑った。Dlife『エージェント・オブ・シールド』S5E8を見る。
■2019/5/7
GWが終わってしまった。しかも出勤してみたら上司が1週間海外出張になっていた。いろいろ予定が狂って大変。火曜なので英会話に出てから帰宅。夜はNetflix『ザ・ボーイ~人形少年の館~』を見る。
■2019/5/8
仕事終わりで吉祥寺へ。UPLINK吉祥寺で『月夜釜合戦』鑑賞。なかなか観れなかったこれをここで観ておけて良かった。TV録画『フラッシュ』S2E18を見る。
■2019/5/9
奥さんが本格的にダウン。なんとか娘の英語と朝ごはんと小学校の支度をする。僕もまだまだ体調が悪いです。仕事終わりで吉祥寺へ。松屋で豚ビビン丼食べてからUPLINK吉祥寺へ。『やくたたず』鑑賞。やはり夜だとクラフトコーラが完売してます。帰宅して風呂入りながらジミソラジオを聴く。7月に開催予定のイベントを水面下で進める。
■2019/5/10
やっと病院に行けたうちの奥さんだがインフルではなかったとのメール連絡。とりあえず良かった。仕事終わりで昭島へ。ココイチで夕飯食べてからMOVIX昭島にて『ラ・ヨローナ ~泣く女~』鑑賞。映画終わってから歩いて自宅まで帰ったのですが、久々に腰の痛みがハンパない。夜も鎮痛剤を使う。いろいろ体調不良があって不安である。
■2019/5/11
土曜日。朝から娘を習い事に送り、その後立川へ。はじめて行く街中華なお店に焼きそばがあったので食べる。「焼きそば旬報」で書けそーとか思いオーダしたのだけど量が多くて苦しい。シネマシティで『メカゴジラの逆襲』aスタ極爆、『キングダム』をハシゴ。キングダムはシネマワンの大きなスクリーンであったが、おそらく9割ぐらい埋まっていてすごいなぁと。人気作のわりに観客の鑑賞マナーもとても良かった。映画観終わって劇場を出るとスマホでおそらくシネマシティのスタッフと会話している塚本監督が。監督、『鉄男』はシネマツーですよ。僕は平日に『鉄男』観ます。立川のエキナカでお弁当を買って帰宅。夕方、奥さんと娘は眼科に行っていたわけですが、娘の視力が大きく落ちているとのこと。このままでは眼鏡をかけなきゃなレベルなのですが、まだ回復できる可能性があるということなので、しばらくはそれにトライしてみることに。かわいそうなのは大好きな読書をできなくなること。学校で教科書を読むなどは仕方ないけど、1ヵ月ほどは基本的に目をなるべく休ませるために家での読者はお休み。その期間はできるだけ読み聞かせをすることに。まだまだひらがなが多い娘が読んでいる本を音読するのって意外と難しい。。寝る前にも読み聞かせをして、娘を寝かしつけたのですが、そこの僕の体調が限界。20時ぐらい前だけど寝室へ。そこから寝てしまい、夜中に何度も目が覚めたが、体を起こすことができず、そのまま朝まで断続的に寝てしまった。次の木曜が定期通院日であるがちょっと不安が。
■2019/5/12
日曜日。午前中から娘と実家へ。地元に狭山池という大き目の池があるのですが、その周辺のお祭り。ここ2年ほどはこの日程でディズニーリゾートに行っていたので、娘と遊びに行くのは3年ぶりだろうか。地元には農芸高校があり、ふれあい動物園などをやってくれている。娘はこういうのがとても好き。あと短い時間ではあるが乗馬ができるイベントも。娘が乗馬待ちの列に並んでいるとケーブルテレビの取材が。ペラペラとよく喋りインタビュー答える娘。こうゆうときによく会話できるようになったなぁ。焼きそばやイカ焼き、かき氷など昔ながらの出店も堪能。実家に戻り、庭でボール遊びなどもする。うちの娘はインドアでの遊びが大好きなんですが、ちょっと意識的に外で遊ばせていかないと。夕方に帰宅。夕飯は奥さんがお腹にやさしい感じのもの作ってくれた。食べやすい。娘を風呂に入れて、寝る前はまた読み聞かせ。『かいけつゾロリ』のスピンオフ的な『イシシとノシシのスッポコヘッポコへんてこ話』ってやつを読んでいるのですが、これが寝る前の15分程度に読むには最適な内容なんです。娘が寝てからは録画してたドラマを見たりアニメを見たり。Netflix『ストレンジャー・シングス』S1E4、Netflix『パニッシャー』S2E8を見る。25時ごろ、YouTubeのコンテンツでも聴きながら寝ようかな、と自分の寝室でうとうとしていると枕元に娘が立っていてギョッとする。「もう寝れなくなっちゃたー」と半べそ。そんなわけないだろうと娘を寝室に連れていきいっしょに寝てあげる。なかなか寝ない。そのうち僕の方が先に寝てしまった。気づいたら夜中の3時で、もちろん娘も寝ていた。自分のベッドに戻り再び就寝。
■2019/5/13
月曜日の朝。いつも朝の準備が遅い娘である今朝はとてもテキパキ。いつも家を出る時間より15分も早く準備完了。そして「本読んでー」と。どうやら本を読んでもらうことにハマったようである。おそらくママはやってくれないのでお父さんがいる間(平日だと朝)になんとか時間を作ろうと頑張ったのであろう。仕事終わりで立川へ。「かつや」でトマ玉チキンカツ丼食べてからシネマシティへ。『鉄男』極音上映を観る。
■2019/5/14
6月から直属の上司(いわゆるdirect reportの上司)が変わる。シンガポールの人になる。20年以上働いているけど直属上司が日本人以外になるははじめて。その新上司が出張してきたのでMeetingとかランチしたり。僕でもかなりわかるゆっくりはっきりした英語で話してくれるのでありがたいけど、さらに英会話に力を入れないと、という気持ちでいっぱいです。というわけでいつもより真面目に英会話クラスに出てから帰宅。夜はAmazonビデオで『チェンジ・アップ/オレはどっちで、アイツもどっち!?』を見る。
■2019/5/15
仕事終わりで渋谷へ。シネクイントで『スケート・キッチン』鑑賞。TV録画『フラッシュ』S2E19を見る。Netflix『アンブレラ・アカデミー』S1E6を見る。
■2019/5/16
本日は定期通院のため休暇を取る。血液検査はだいたい問題なし。最近まぁまぁ体調が悪いこと、なんだかとっても眠いことを主治医に相談すると、肝臓の数値がやや悪いのでそれか、あとは精神的な問題であろう、とのこと。後者については仕事について変化がなければ家族についての変化、うちの場合は娘が小学校に入学し、親としてもいろいろと環境の変化があるんじゃないか、とのこと。とりあえず肝臓の薬は先生が出してくれた。血液検査の調査項目も追加して結果はまた2か月後。診察結果を一応奥さんにメールしたら「精神的な問題」の部分は無視されて(あえて挙げるのであれば)やや数値の悪かった「肝臓」の部分について「食事を改善せよ!」という鬼のような文面の返信がきて気が滅入る。お昼は今日から開催されるまんパクに行ったけど、しいたけとかわさびとか食べてあまり肉が食べれなかったよ。渋谷へ移動。イメフォで『主戦場』鑑賞。年配の観客がとても多い。ヒュートラ渋谷で『バースデー・ワンダーランド』『HOMIE KEI チカーノになった日本人』を鑑賞。けんす君にもらったテアトル系映画チケットを使わせていただきましたよ。Netflix『スタートレック:ディスカバリー』S2E5を見る。
■2019/5/17
4年前に新しい測定システムを立ち上げたときにアメリカから数日サポートにきてくれたエンジニアが日本に来るというので2時間ほどのミーティングをセット。仕事できているのではなく、彼の息子さんが現在日本の大学で勉強しているので、息子に会いに来つつ夫婦で日本旅行中とのこと。でせっかくなので2時間ほど僕らのオフィスに来てフェイストゥフェイスで仕事のフィードバックとか最新情報をシェアしてくれた。なんと真面目な人なんだ。元々ハワイ出身の日系ということもあり見た目はアジア人。日本も好きらしく、前日は鎌倉とか江ノ島をまわっていたらしい。素晴らしいですね。仕事終わりで有楽町へ。角川シネマ有楽町で『アメリカン・アニマルズ』鑑賞。HOKUTOさんと同じ回だったので途中までいっしょに帰る。
■2019/5/18
土曜日。娘を習い事に送ったあと神保町へ。とりあえず岩波ホールに行って夜の回の『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』を買う。11時半ごろ買って整��番号3番。ひさびさの「丸香」へ。さすがに土曜の昼、すごい列。30分ほど並んで入店。ただし並んでる間に注文を取ってくれているので着席して1分ぐらいでうどんが出てくる。超人気店でしかできないオペレーションだと思うけど本当に素晴らしい。久々に行くとつい食べてしまう釜たま山(中)を食べる。やっぱうまいです。いよいよ「うどん旬報」に書こう。神保町シアターで特集企画 水木洋子と女性脚本家の世界『もず』、『故郷は緑なりき』鑑賞。古本屋を数店のぞいてから再び岩波ホールへ行き『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』鑑賞。最前列のど真ん中で堪能させていただきました。
■2019/5/19
本日は朝から家族でまんパクへ。まんパクは開催期間の後の方になるととても混雑するのではじまったらすぐに行くのが良い。ただ今回は友人家族にも声をかけたけど行けたのがうちの家族だけ。やはり1家族だけだと買い出しに行くのがとても難しい。まぁキッズエリア(時間制・別料金)でめいっぱい遊んだうちの娘は満足していたようなので良し。帰宅したら僕の方が疲れてしまっていた。休みの日はだいたい僕が娘をお風呂い入れる係なのですが今日は風呂に入ってる間は英語だけで話そう、的なのをやったら娘は脅威的に英会話ができている。これは習ってないかな?的な単語を使っても前後の内容からついてくるし、たまに僕の方が娘の英語を(発音が良すぎて)聞き取れない。幼稚園から英会話をやるっていうのはこういうことなんだな。娘に英会話を習う日も近いと思います(すでに発音が違う!と修正されている)。娘が寝たあとはCS録画『サボテンの花』を見る。町山さんの解説含めてとても面白い。あとAyaさんのツイキャスも途中から。京都の図書館であるという『エクス・リブリス』絡みのイベントが面白そう(さすがに行けませんが!)
■2019/5/20
まだいろいろと体調が悪いがとくにお腹の調子が悪い。まぁ下痢ぎみなのである。とても困る。プレイボーイ掲載の『キン肉マン』を立ち読み。熱い、熱すぎる展開だ。仕事終わりで東中野へ。「焼きそば旬報」の取材をしてからポレポレ東中野で『沈没家族 劇場版』鑑賞。上映後は加納土監督の挨拶あり。パンフにサインをいただき映画の感想をちょっとだけ伝える。
■2019/5/21
朝から土砂降りの雨。娘は学校まで行けただろうか。うちから小学校まではすごい近いのですが、遠い子は大変だろうなぁ。雨も凄いけど、風がとにかく強い。通勤で右半身がびしょ濡れ。火曜なので英会話に出る。英会話の先生に『エンドゲーム』でよくわかんなかった台詞について質問。帰宅して夕飯食べながら奥さんのFGOの話を聞く。僕は『キン肉マン』最新回の激アツさを熱弁する。風呂入ってからAmazon Prime『ザ・ヒーロー』を見る。後ろで見ていた奥さんは途中で寝息をたてていたので興味ないジャンルだったのであろう。ちなみに僕は最近、家で映画やドラマを見るとき、作品内で気になる曲が流れたらShazamして、それをSpotifyで検索してシェア(Tweet)する、というのをやっている。なので僕がTwitterで夜にSpotifyリンクをTweetしてるとき、音楽に詳しい人なら何を見ているのかが予想できるのではないでしょうか。
■2019/5/22
まだ体調が悪いのですが、主にお腹の調子が悪い。朝起きてから家を出るまでに便意があって4回ぐらいトイレに行くのですが、毎回しっかりと出る。お腹の調子が悪いというか、逆に快便すぎるという云い方ができるぐらいだと思うのですが、まぁ外出するのがこわくなるレベルであります。仕事終わりで新宿へ。MCTT『名探偵ピカチュウ』回。参加者が集まるか不安なお題だったけど8名集まってくれて嬉しかった。変なテンションの回でそれも良し。ラロッカさんが『SR』の1と2の脚本が掲載されている月刊「シナリオ」を借してくれた。本当に脚本を勉強してたんだなラロッカさん。帰宅しながら僕モテメルマガを読む。実は先々週ぐらいに映画『焼いてはいけない』を僕モテで上映会やってくださいよー的なメールを送っていたのだけど、同じことをメルマガ内で入江監督が書いていてびっくり。小規模でもいいからやってほしいなぁ。
■2019/5/23
朝から録画した『カメ止め』の「アナザーストーリーズ」を見ていたら、奥さんから濱津さんに顔が似ていると云われた。他にも過去に顔が似ていると云われたことがある著名人は、奥田民生、遠藤保仁、ガチャピン。なんか共通点がありますね。水面下で準備をしていた「GBW in Tokyo Vol.2」の告知を発表。イラストはラロッカさんが去年描いたやつをそのまま使いつつ僕が「Vol.2」を加えた。一応『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.2』と同じフォントを使ってます。今年もみんな集まってくれー。仕事終わりで渋谷へ。かなり久々のclub asiaでP.O.P「いつもSTREET」発売記念ワンマン。会場には僕モテ執筆陣、僕モテ読書さん多数。P.O.Pのがっつりワンマンは久々で楽しかった。LIVE終わってからイベント登壇者として渋谷にきていたペップさんと合流。目当てのお店には行けなかったけど、みんなで焼きとりを食べに。ペップさんとチートイツさんは初顔合わせで、別のアースのキャラクタが出会ってる感あり。チートイツさんとけんす君からは誕生日祝いに映画チケットをいただく。感謝。
■2019/5/24
というわけで誕生日であり、娘から手作りの誕生日カードをいただく。「作るのに5日もかかった」と云うわりには「色は自分でぬれるよ」とか云って着色なし。ありがたい。娘に昨夜こっそり(?)撮影したP.O.PのLIVEを見せてあげる。うちの娘が好きな楽曲は「Summer Back Again」「夜夜夜」「Watch Me」。仕事終わりで昭島へ。昭島大勝軒でワンタン麺を食べる。あきらかにここ数年でラーメンを食べる回数が減った。そんな中でここは今でも年に数回は食べている。MOVIX昭島で『神と共に 第一章 罪と罰』鑑賞。こういう上映館が少ない作品をカバーしてくれるのがMOVIX昭島、ありがたい。MOVIX昭島からは徒歩で帰れる。映画を観終わりぼんやり家に向かい歩いていると、ぼんやりしすぎていたのかつまずいて本当に派手に転んでしまった。リュックを背負い直そうとしてタイミングだったこともあり見事におでこを地面にぶつけたらしい。左目の上を触ってみると明らかにたんこぶができている。この年になってたんこぶって。。あわてて自販機で飲み物を買い、たんこぶを冷やしながら帰る。僕の自宅の周辺は横田基地に近く、アメリカ大統領が来日することもありものすごい数の制服警官がその辺を歩いている。おでこを缶飲料で冷やしながら歩く中年男性はさぞ怪しかったと思うが、自宅まで呼び止められることもなく帰宅。帰宅して奥さんに説明するとあきれられたが湿布を出してくれた。たんこぶに気をとられていたが右手首もかなり痛い。明日が心配である。
■2019/5/25
土曜日。あきらかに左目の下が黒い。まぁすごい寝不足の人に見えなくもないであろう。本日は娘の小学校の運動会。なんでこんな暑い日になってしまったのか。朝から娘とご飯食べたりして、奥さんは小学校へ場所取りに向かう。小学校はとても近いのでありがたいが、去年までの幼稚園の運動会はシートの位置(区画)があらかじめ抽選で決められていた。本当にあのシステムは良かったなぁと思う。さて娘にとってははじめての小学校の運動会。うちの娘は勉強はできるけど運動はイマイチ。まぁ転んだりしなければそれで良い、という感じです。なんか自分の小学校時代を思い出しつつ、奥さんと自分の小学校はこうだったああだったと話す。やはり高学年のリレーや騎馬戦は見ていてけっこう面白い。騎馬戦の大将が騎馬を崩され(チームとしては勝ったのに)泣いていたりしてグッときちゃう。しかし暑かった。運動会終わって帰宅。僕は休みなしで図書館へ。本を返したりまた借りたり。さらに明日使う車を実家まで借りに向かう。両親に娘の運動会の様子を報告。車を借りて帰宅すると夕飯はそうめんだった。さっぱりしてちょうど良い(明らかに今日の運動会で前のシートに座っていた家族のお弁当がそうめんだったのでそれの影響)
■2019/5/26
早起きして家族と車でおでかけ。学生時代の友人家族がこの6月からマレーシアに引っ越してしまうので、その前にみんなで集まってBBQをやろうという企画。しかし場所が浦安なのでこれはもう車で行くしかない。中央道で首都高に向かうが「新宿ー三宅坂 通行止め」の表示が。トランプめ。新宿から山手トンネルを使い板橋JCT経由でぐるりを上の方の外環をまわるように葛西を目指す。これが大正解でまったく渋滞なしで浦安までたどり着く。設営組、買出組に分かれて準備。最終的に7家族が集まり、大人15人、子供11人だったかな。学生時代の友人で、社会人になってから毎月のように集まっていたメンバーだけど、それぞれが結婚して、子供も持つようになるとそれほど集まれなくなったし、ここまで大集合するのは本当に久々。子供もそのうちいっしょに来なくなるだろうし、この人数が集まるのは最後かもしれない。僕はBBQについては他に人にまかせ、ほぼ子供たちと遊ぶ係。子供たちがたくさん集まると本当に手におえない。でも楽しそうで何よりだった。友人が持参したかき氷機が大活躍で、子供たちは何回も並んでいた。若い頃は買っていった食材の半分も食べれないこともあった(買いすぎ)僕らなのに、今はほぼ食べきるぐらい��絶妙。いろいろな意味で大人になったのだな。帰りの高速はどうかなぁと思ったけど、はやり箱崎あたり車が動かなくなってしまい下道へ。日本橋や東京駅あたりを通過して、また首都高に乗り直し。そこからは渋滞もなくすいすい。家の近くまできてデニーズで夕飯食べて帰宅。娘を寝かし僕の体力は限界。奥さんに「ちょっと寝る」と云い寝室へ。そのまま朝まで寝てしまった。
■2019/5/27
月曜日。あー朝まで寝てしまった。いつものように娘と朝食を食べて、着替えをさせて、とやっているのだが娘も奥さんもなんだかぜんぜん急がない。なんなんだ、と思っていたら本日は運動会の振り替えで小学校がお休みとのこと。なんだよ。まずは借りていた車にガソリンを入れてから実家へ返却。親にお礼を云い会社へ。なんだかとても疲れている月曜であります。TwitterのTLも昨日ほぼ見れていないのでいろいろ情報を追いきれていないかも。仕事終わってから一度帰宅、奥さんの電動アシスト自転車を借りてイオンシネマむさし村山へ。自転車で30分もかからない距離なのだけど、微妙に坂になっていて普通の自転車ではけっこうきつい。5年前の病気以降あきらかに筋力(もしかしたら骨の問題かも)が落ちてしまったのでムリはしないようにしている。イオンシネマむさし村山は年に数回お世話になっております。今回は『プロメア』鑑賞。シネマシティとMOVIX昭島がやらない作品をカバーしてくれるのは本当にありがたい。月曜は1100円だし。帰りにローソンに寄ってニトロのLIVEの支払い。やや遅れていてアトロクのLIVE&DIRECTを聴くのがやっと追いついた。
■2019/5/28
何度かここで書いていますが、朝は一駅分を運動のために歩いております。基本的に玉川上水路に沿った道を歩いているのですが、今朝はその道にモンシロチョウが大量発生していてなんかこわかった。フランス映画祭の詳細が出た。うーん2本ぐらいは観たいな。英会話に出てから帰宅。Netflix『パーフェクション』を見る。
■2019/5/29
朝からフランス映画祭のチケットを確保。2枚だけ。午後半休をいただき三軒茶屋へ。シアタートラムでイキウメ 『獣の柱』観劇。同回にギリジンが観にきてた。ギリジンがトラムでやる絵本の朗読のやつ、子供と行きたいな。せっかく三茶にきたので濱田家でパンを買う。夜の用事まで時間があったので本郷三丁目へ。リニューアルOPENしたうどん屋さん「TOKYO LIGHT BLUE HONGO 3」、うどん旬報に書けるかな。新木場シティに移動。ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION@)新木場 STUDIO COAST。久々の新木場はなんか人が増えててびっくり。ZAZENは新曲も聴けて楽しかった。そして久々の友人N君と近況もいろいろ話す。TV録画『フラッシュ』S2E20を見る。
■2019/5/30
いろいろ予定が変更された一日。まず夜は海外のエンジニアと協力して測定器の検証をする予定で、終了予定がわからなかったので映画とかは行けないはずだった。のだが、その測定器が壊れてしまい修理が必要となり検証は延期に。UPLINK渋谷に観たかったやつが観に行けるなぁと残席を調べてたのだけど、土曜に観ようと思っていた『嵐電』のことをふと調べたら舞台挨拶が追加されていてすごい勢いでチケットが売れている。チートイツさんにもらった前売りを使いたかったのだけど、当日だと難しそう。予定を組み替えて今日のうちにテアトル新宿の窓口で指定席を買うことに。そうなると新宿で何か観る作品を探さないと、となりカリテで『ガルヴェストン』を観る。やや鑑賞を諦めかけていた作品をこうやって観ることになるのも巡り合わせ。
■2019/5/31
6月から仕事のチームの編成が変わることもありいろいろと忙しい。が仕事終わりで立川へ。シネマツーで『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』鑑賞。初日夜のaスタ極爆の雰囲気って最高。同回を観ていたさっちゃんさんの車で家まで送ってもらう。感謝。近況を話したり、僕が本当は今日、どう考えてもこの先のスケジュールを考えると『さよならくちびる』を観なきゃいけなかったのにもかかわらず『ゴジラ』を観てしまったことを力説。TV録画『フラッシュ』S2E21を見る。そんなこんなで5月終わり。
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kiyotakamoriuchi · 7 years ago
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今日水曜日は京都シルバーウイングスで。 大変な時期ですが、できるだけ通常営業で、がんばっていきます! お馴染みのジブリの楽曲たちをタンゴとブラジル等の楽しいリズムを使った南米アレンジでお届けするプロジェクト"ジブリズム” 子供から大人まで楽しめるライブのお知らせ! 今回の演奏者は 悪魔が作ったと呼ばれる、蛇腹楽器-バンドネオン-を操る日本屈指の奏者【仁詩】 次世代ジャズギタリストとしてアルゼンチン・ブラジル音楽をも歌いきる【薮下 学】 古今東西の世界の打楽器を扱うマルチ・パーカッショニスト【熊本比呂志】の3人に 今回はゲストとして 現代的奏法で打楽器の新たな境地を切り開く新進気鋭のダルブッカ奏者【森内 清敬】 をお迎えしてさらに中近東のエッセンスも交えつつお送りします。 世界を巡る音とダンサブルなジブリをお楽しみください。 【演奏動画】➡︎ https://www.youtube.com/watch?v=VzvO9-oYKko 【演奏予定作品】 風の谷のナウシカ となりのトトロ 天空の城ラピュタ 魔女の宅急便 紅の豚 ハウルの動く城  など珠玉のジブリ映画作品の名曲を中心に存分にお楽しみいただけます。ご来場心より、お待ちしております。 ☆ 6月20日(水)<京都・祇園> Bandoneon 仁詩 Guitar 藪下学 Percussion 熊本比呂志 ゲスト Darbuka 森内清敬 会場:シルバーウイングス http://www.limekoubou.com/ 開場:18:30 開演:1��:30  入場料:前売 3500円 + 1ドリンク制 当日 :4000円 + 1ドリンク制 ご予約はお店 or メンバーまで。 https://www.facebook.com/events/1035541609948514/ #darbuka #ダルブッカ #ダラブッカ #トルコ音楽 #アラブ音楽 #percussion #打楽器 #パーカッション #worldmusic #音楽 #ジブリ #ジブリ音楽 #バンドネオン #ギター #silverwings #京都 #祇園 (祇園SILVER WINGS(シルバーウイングス))
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csijaki-blog · 7 years ago
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欧州旅日記
6月12日(日)
成田→(アムステルダム)→(ジュネーブ)→ベルン
 成田からアムステルダム経由でジュネーブに到着。すべて順調。オランダ航空のスチュワーデスさんたちは体の大きい人が多かった。はきはきした応対が気持ちがよい。機内で11時間。アムステルダムに着く直前に、隣の男性が声をかけてきた。村上春樹の「海辺のカフカ」なんて読んでいるから、ちょっと気取った奴かなと勝手に思っていたが(ゴメンなさい!)、海外のITがらみの投資企業に勤め(ニューヨーク在住)、ロンドンや東京を行き来する、気心の優しい国際ビジネスマンだった。私がNPOの仕事で電磁波問題の海外取材に行くのだと話すと、素直に「それは大事な仕事をなさっていますね」と共感してくれた。名詞を交換して「よい旅を!」と声をかけあった。
 ジュネーブからベルンに行く電車にぎりぎり間に合った。外国で電車に乗るときはいつもどぎまぎする。チケットの扱い、路線、行く先……どれも日本と要領が違うし、標識もわかりにくいものが多いからだ。途中、ローザンヌを通ってベルンに向かったのだが、レマン湖の周辺の景色のきれいなこと! 迫った山の連なり、点在する石造りの家々、湖面の深い青……これらがなんとも見事に調和している。スイスは観光で生きていける国だと感じさせられた。車窓から見る限り、路線に沿って家々はまばらで、企業のスマートなビルや中規模の工場が時々姿を現す以外は、畑と牧場だった。牛の姿を久しぶりに見たが、その数は決して多くはない。観光以外では、スイスの人たちは主に何で生計を立てているだろう?
 ベルンに到着し2日間滞在することになるホテルにたどり着いた。予約しておいたホテルの部屋がやたら大きいことに驚く。洗面と風呂場がひとつになった部屋がなんと6畳はおろうかという広さだ。これでもユニットバスと呼んでいいの?? トイレで用を足しながら妙な気分になった。
 明日は一日をかけてベルンをじっくり歩きまわる。
6月13日(月) ベルン  昨晩は早く寝たので、今朝は朝4時に起床。驚いたのは、朝5時、つまり夜が明けてくる頃に、3種類ほどの鳥の声が聞こえてきたことだ。首都のど真ん中のホテルでこんな感じだとすると、市のいたるところに小さな森がたくさんあるのかもしれない。午前5時から7時までの2時間、「電磁調理器使用に伴う低周波磁場の被曝量計量モデル」を考える。朝食をホテルでとって8時半に出かける用意ができた。朝食に出たパンがやたら美味しい。ついついたくさん食べてしまう。ベルンの中心街は地図で見る限り2時間もあれば一周できそうな感じだったが、ホテルから出て歩き始めて、それが本当だとわかる。道に沿って並んでいる建物や家屋のきれいなこと!  1階部分はアーケードで連なっていて(全部あわせると長さが6キロにもなって、ヨーロッパで最長とのこと)、しゃれた感じのお店が延々と続く。大聖堂や時計台をはじめとする背の高い中世の建物、そして道路に点在する噴水や彫像がアクセントをつけ、どの建物も全体と調和を保ちつつ一つ一つが目を引く要素ももっている。まるで一人の人間が設計したものが長い時間を経て熟成したかのような落ち着きとしっくり感がある。世界遺産に登録されるのも、むべなるかな。午前9時半頃にあいにく雨が降り出し、バラ園を訪れたときにはずいぶん降られたが、その後はさっと雨が引き、少々暑く感じるほどに晴れ上がった。  道行く人々を見下ろす位置にあるレストランのテラスで雨上がりの涼しい風に吹かれなが��昼食をとり、午後にはベルン自然史博物館に出かけた。(ベルンの施設は月曜日は休館、もしくは午後2時からの開館となっていて、この自然史博物館もそうだった。)動物の剥製が多いことは前もって知っていたが、いやー、この博物館はすごい。ロンドンの自然史博物館をある面では超えていると思う。剥製技術の精巧さは言うに及ばず、網羅的に生物の種を示そうとする収集へのこだわり、内部の解剖や骨格、運動の様子なども含めて、生きている身体の様子や周りの環境とのやりとりをあの手この手を使って再現させようという点など、面白い博物館のお手本のような展示がいくつもあって、びっくりした。蟻を何千(何万?)匹も飼って巣を作らせ、その活動の様子を見せるために透明なチューブで結んだ3つほどの大きな透明なケースに住まわせて行き来させるやり方には圧倒された(人によっては猛烈な数の蟻が蠢く姿を見て、気持ち悪くなるでしょう)。生きたカブトガニも初めて目にすることができた。アンモナイトや羊歯類の化石の数や大きさも半端ではない。巨大な哺乳類、非常に多数の鳥類、そして超精巧な製作技術を要するようにみえる両生類など小さな生き物の剥製や骨格標本……いずれも作る者の執念を感じさせるこだわりの品々だった。(説明がドイツ語しかなかったのは残念。)  ベルンの街の主だった通りを歩きまわってすごした一日だったが、東京の繁華街のどこと比べても人の数がうんと少なくて、混雑した感じがまったくないのは、うらやましい限りだ。アーレ川が中心街全体をぐるっと取り囲むようにU字型に流れ、その外側にはまた街全部を覆うように、小高い丘(というか山)に緑鮮やかな木々が生い茂る。至る所に赤いゼラニウムの花が咲き、家々の屋根はすべて赤茶けた色の煉瓦屋根に統一されている。落ち着いた時間の流れを感じるのは、こうした中世の風情が残っているためだろうか? こんな街に住んでみたい、と思わないでは��られない。
6月14日(火) ベルン→ジュネーブ  今日は午後から「スイス健康局」(スイス連邦公衆健康局)に取材に出かける。これは日本の厚生労働省に相当する政府の省庁だ。事前に申し込みをしていたMartin Meierさんにお話をうかがう。  午前中少し時間があったので、昨日月曜日は休館だった「ベルン市立美術館」に入る。パウル・クレーの作品が2000点以上も収められていると聞いていたので、大いに期待して入ったのだが、なんとなんと、少し離れた丘の方に6月20日に開館する新設の「クレー美術館」へ、1点を除いて全部移したのだとこと。残念でならなかった。ただ、アンケルやホドラーといったスイスの画家やドラクロワ、セザンヌ、モネ、ムンク、ブラック……など、どれも1点か2点ずつであるものの、重要な作品が展示されていて、じっくり眺め入った。帰りにクレーの絵の絵葉書を2つ買う。  その後、正午までの時間で、ベルンの大聖堂の中に入り、長くて細い螺旋階段を延々と上ってすばらしい展望を楽しむ(足元から急転直下の切り立った所からの見晴らしなので、ほんとのことを言うと、かなり怖かったです)。高さ100mのこの大聖堂はほぼ500年をかけて造られたのだという。礼拝堂は20mはあろうかと思える高さのドーム状の天井を持ち、後期ゴシック様式の彫刻とステンドグラスがじつに見事だ。美しく装飾された巨大なパイプオルガンもあり、静かな音楽が奏でられていたが、それが礼拝堂全体をなんとも美しい響きで満たしていた。造られた当時に音響設計の複雑な計算などなされたとは思えないのだが、これほど美しいオルガンの調べと響きは耳にしたことがない。職人が自身の感性を研ぎ澄ませたところに成立する技術は、奇跡的なことを可能にするものだという気がする。  午後は健康局に向かった。連邦政府の官庁なのだが、コンクリート打ちっぱなしの飾り気のない箱のような建物が郊外のだだっ広いところにポツリポツリと建っているという感じなのだが(研究都市のつくばを連想させました)、中に入ってびっくり。きわめて斬新なデザインで、個々のオフィスがガラス張りになっているところが多く、外から中の様子が眺められる。扉も開けっ放しにして誰でも出入りできそうなオープンな感じが全体に漂っている。カフェテリアで約束の時間が来るまでを過ごしたのだが、職員や研究員たちは背広を着ている人はほとんどいなくて、みなとてもカジュアルでインフォーマルな姿だ。なんと言っても若い人が多い。大学の自然科学系研究室の仲間たち、といった感じだ。  Meierさんが迎えに来てくれて、彼のオフィス(研究室)に通される。30歳半ばくらいに見える男性で、柔和な表情が印象的。生物学と物理学のPhDを持つ。私がなげかける質問に「国の政策についてはそれほど詳しくはないのだか」と断りながら、電磁波規制に関する取り組みや現在の問題点について丁寧に語ってくれた(話の中身は別のところで詳しく取り上げる)。貴重な資料もコピーをいただいたいり、情報源を教えていただいたりした。  公衆衛生・健康に関して予防原則の尊重を法的に規定しているため、個々の環境問題で予防的措置をとることに、日本とは比較にならないほど前向きである。ほとんどまったく普及していないIH調理器についても、家庭内の熱システム全体からの電磁波被曝を調べようとするプロジェクトの中で調査対象のひとつと位置づけられていることからも、それは伺える。  バスでベルン中央駅に戻り、鉄道ICでジュネーブに向かった。夜の(といっても明るいのですが)7時にホテルに到着。明日からWHOのワークショップだ。
6月15日(水) ジュネーブ  ジュネーブの中央の中央駅であるコルナバンからバスに乗って10分のところに、国際機関が集中して立ち並んでいる一角(アッピア通り)がある。不覚にも、今朝はいくつもあるバス停-しかもかなり距離的に分散している-のどれからその通りに向かうバスが出ているのか、4人ほどの人に尋ねたのだが、みんなはっきりわからず、ワークショップの開始時間のこともあったので、やむを得ずタクシーを使う。  10階ほどの巨大な建物だが全体がガラス張りで細長い直方体の形をしているので威圧感はない。周りに緑が多い。入り口でパスポートを示して参加証となる名札をもらい中に入る。昨年のワークショップでもお目にかかった日本からの参加者SさんとOさんの姿が見えたのでご挨拶する。今回は他にも日本人が4,5人参加している。中央に円卓を配して、その周りを正方形状に囲むように机が並ぶ。TVで映る国連の会議場の雰囲気とやはり似ている。  ワークショップのテーマは「携帯基地局と無線ネットワーク」だ。主たる話題は、携帯基地局からの高周波電磁波が人体にいかなる影響をもたらしているか、科学的にどこまでわかったかを検討しようというもので、1日目は「携帯通信革命」「高周波電磁波の被曝量計測」「基地局電磁波の健康影響研究の評価と今後求められる研究」……といった話が続く。30分のプレゼンで濃い内容をつめこもうとほんとんどのスピーカーがかなりの早口でまくし立てる感じだ。こちらは聞き取るのに必死。やはりあまりに専門的な内容になるとわからない部分も出てくる。幸いパワーポイントの大きな画面がスクリーンで映し出されるので、おおよそのところは把握できるが、的確な質問を瞬時に返せるくらいに聞きながら内容をつかみとるのが難しい。これは英語圏に属さない参加者にわりと共通した悩みなのではないだろうか。というのは、やはり質問する人がかなり限られているように思えるからだ。ワークショップの中身については、講演予稿集もあるので、別の機会に詳しく紹介することになる。(帰国して間もない26日に簡単な報告をする機会もある。)  日本でワークショップ形式の専門家会議を行うときと比べて、少し違うなと思えるのは、ブレイクの時間が長いことだ。昼食(1時間半)を別にして、午前に1回、午後に1回、30分の休憩が入る。コーヒーなどの飲み物とスナック類が用意される。会議中に質問の時間が十分とれなかったことを、これで補おうとしている感じさえする。  1日目の会議が終わって、簡単なレセプションパーティーがあった。数人の参加者といろいろおしゃべりした。台湾の2人の研究者(毒性学、環境アセスメント)、ドイツの社会学者、オーストリアの政府で環境関連の仕事をする女性……なかなか楽しかった。こちらがNPOだと言うと「どのようにして資金を得ているのか」という質問が必ず出てくる。オーストリアの女性はどうも私と年が同じくらいで、しかも生物学を専攻していて途中で方向転換したところも似ているので話が弾んだ。「大学に入りたてのときは、よし分子生物学を研究して癌を撲滅させるための画期的な発見をするのだ、と息巻いていたわ」と語っていた。私が発生生物学を専攻したことを述べると、「それこそ生物学で一番興味深くて核心的な分野ね」と反応してくれた。女優のジョディ・フォスターによく似た美人で、にこっとするときの知性的な笑顔が素敵だった。
6月16日(木) ジュネーブ  WHOのワークショップの2日目。  今日のテーマは携帯基地局のリスクアセスメントやリスクコミュニケーション。一番興味深かったのは、各国の事例紹介の中でスイスが予防原則をそう生かして高周波の規制を行っているか、という点とイタリアがはやり独自の規制を設けていて、それが現実に守られているかどうかをモニタリングする方法を編み出している点だ。イタリアは全国に100箇所を超えるモニタリングポイントを設け、環境中の電磁波を定点計測していると同時に、を全国で「青バス」という名をつけたバスをいくつかの都市部などで街の中を走らせて、気になる環境に赴いての計測も行っている。この2つの国は携帯基地局の問題で紛争がないわけではないのだが、それを解決していくために賢明な政策的対応をなしていこうという姿勢が著しいように感じた。  一昨日スイスの健康局でインタビューした際に紹介されたバウマンさんがスピーカーとして話をされたので、ブレイクの時間につかまえてお話をした。スイスでは家電製品からの電磁波漏洩の問題は“環境問題”として扱わないので、電磁波規制をしていく対象としてとらえていないが、全部の家庭に共通する要素(たとえば熱供給システム)や職場に固有の要素については“環境”として扱うので、規制の対象としてとらえていく傾向がある、との指摘をされていた。  会議は夕方5時半まで続き、様々出た意見をどうまとめるのか、なかなか明確にみえないまま、幕を下ろした。WHOの電磁波プロジェクトがこの問題に一定の見解をfact sheetとして示すのがいつになるのかはわからないが、世界各国でもめている携帯基地局設置の問題だけに、メディアからも大いに注目されるだろう。  昼食の後に、各国の状況を伝えるための自発的なショートプレゼンテーション���受付けがあった。日本人の参加者の中から某国立研究所に所属するある若い方が5分ほど発表をしたのだが、あまりにお粗末で筋違いな発表だったので、唖然としてしまった。「各国の報告」とは、基地局をめぐる状況を伝えることだ。何を考えているのか、総務省のホームページの紹介そのままといって過言ではない、「日本には電波防護指針があり、その中で規制をしている。生体電磁環境推進委員会があり、各種の研究をしています」といった類のことを述べただけ。基地局の設置に関する問題点や紛争のことは一言たりとも触れない。日本は他の国と比べても基地局のことでは解決すべき課題を多く抱えているはずだが、この人はとにかく上司から「日本のことを伝えてこい」と言われて、総務省のスポークスマンになればよいと考えたのだろうか。英語も非常につたなかったけれど、それ以前の問題として、他の参加者をポカンとさせることを自分がしゃべっているという事態がわかっていない。それが恐ろしい。  ワークショップを終えて、夕方の涼しい風に吹かれながら、レマン湖の突端にあたる場所(「英国公園」があるあたり)を歩きまわった。ベルンと違ってやはり大都会だ。道行く人々も様々な国籍の人がいるように見受けられる。テラスにテーブルを構える店が軒を連ねるあたりを見つけ、1軒を選んでテーブルにつき、注文する。メニューがすべてフランス語なのでよくわからなかったが、あたりをつけて3品を頼む。ここのところ野菜不足だったので少し大き目のサラダと、オムレツ(なぜか量が少ない!)とパスタ。そしてビール(これも量が少ない!)とグラスワイン(同様!)。スイスは物価が高いと聞いていたいが、これら全部をあわせて日本円で4500円もしたので驚いた。 
6月17日(金) ジュネーブ→(パリ)→ブリュッセル  今日は移動の日だ。ジュネーブからパリを経てブリュッセルに向かう。鉄道での移動は初めての旅で一番不安を掻き立てる要素だ。電車の指定席を手に入れても、ちゃんと出発の時刻までにその駅にたどり着けるか、ヒヤヒヤすることがあるからだ。今日も、パリでいったん地下鉄に乗ってブリュッセル行きの電車に乗り換えることになったのだが、この地下鉄、どれがどこ行くのかがわかりにくい(パリ駅のインフォメーションセンターのお姉さん、こちらが英語で尋ねた内容がわかっているくせに、英語で返事しないでフランス語のメモ書きをポンと渡すだけ、というのはやめてよね)。荷物も抱えているし、載り損ねたら大変だし……と、どうしても焦ってしまう。でも無事ブリュッセルに到着。朝10時に電車に乗って、待ちや乗り継ぎを経て、夕方4時20分に到着。長い車中旅行だった。面白かったのは、ジュネーブからパリに向かう列車から見た風景だ。ジュネーブを出てすぐにフランスに入ったはずだが、そこからパリの直前まで特急延々2時間半ほどの間、見渡す限り農場と牧場が広がっていたことだ。「フランスは農業国」とはよく言われることだが、それを実感させる光景ではあった。  ブリュッセルの街は立ち並ぶ建物こそ中世風の造りをとどめているといえ、軒を連ねる店舗やオフィスはモダンだし、駅の周辺や中央広場付近には高層のビルがいくつもそびえている。ホテルにはタクシーで向かったが、いったん街に繰り出してみると方向がわからず、そもそも手元に地図を持っていないので(ベルギーだけの観光マップを手に入れることができなかった)、とにかく街に掲げてある大きな地図を見つけて、どこをどう歩けばいいのかを把握しようとやっきになった。車が多くて、けっこうスピードを出しているものもある。歩道はやたら広くて(スイスでもそうだった)、これに慣れると日本に戻ったときつらく感じるだろうなと思う。広大な植物公園がホテルから歩いて10分くらいのところにあった。中をぐるっと回りたかったが、どうもいくつかの部分はもう閉まっているらしい(夕方6時)。そこをあきらめて、目抜き通りを歩く。銀座に雰囲気がよく似た通りだ。大きく違うのは、道往く人々の国籍が多様であるという点(どういうわけだか、トルコやイランンなど中東から来ているとおぼしき人が多い)、そして通りのうんと先が見通せてそこには巨大な宮殿が控えているという点だろう。  期待のベルギービールを2種類飲んだが、どちらもきわめて美味しかった(ひとつはすごく甘みの強いビールだった)。お店の給仕の男性もがっしりとしているのに動きが軽やかで、無口だけれど笑顔が素敵な、まるで映画俳優のような雰囲気を漂わせた人だった。ベルギー人とフランス人やドイツ人を見分けるのは難しい(というよりたぶんできない)が、全体として日本人よりやや大柄といった背丈で、少し北欧系の肌の白さが強い(そして目が青い人が多い)という印象を持った。  明日は憧れの街、ブルージュを訪れる。 
  6月18日(土) ブリュッセル→ブルージュ→ブリュッセル  今日は土曜日。ベルギーのブリュージュを訪れた。ブリュッセルから電車で2時間弱。素晴らしい晴天に恵まれて、期待に胸が膨らむ。駅前の広場から街に聳え立ついくつかの聖堂や塔が見える。街の中央部に到るいくつもの道があるようだが、とにかく一番高い聖堂を目指して歩くことにした。  歩き始めて直ちにここが「屋根のない美術館・博物館」と呼ばれる理由がわかる。  車と観光客がいなければ、中世にそのままタイムスリップしたと錯覚するような光景。どの道もどの建物もすべてが一つに溶けあっている。美しい川と馬車と至る所に生い茂る大きな樹木と小鳥たちの囀り……。石造りの家々が石畳の道に沿ってどこまでも続く様は、これは映画のためのセットではないかと目を疑いたくなるほどだ。電柱や電線は一切ない(あたりまえか……)。観光客を乗せたボートや馬車がゆったりと行き来するのが、なんとものどかだ。  昼食はベルギーの名物ムール貝と美味しいビールをいただいた。  歩き疲れて川べりで寝そべり、空を見上げた。たくさんの葉っぱが太陽をさえぎったり透かされたりしながら、川の水の流れを映して刻一刻と変化する微妙な緑のグラデーションを生じている。風に吹かれて枝がゆっくりと揺れ、それがまた陰影の変化をもたらす。聞こえるのは水が流れる音、風に吹かれて葉がすれあう音、小鳥の声だけ。僕自身もこの街に溶け込んでしまいそう……。  心ゆくまでのんびりとこの美しい街で一日を過ごせたことは、一生忘れられない思い出となるだろう。 
  6月19日(日) ブリュッセル→デン・ハーグ  今日は国境を越えてオランダに移動する日。そう言うと大そうに聞こえるが、実際はブリュッセルから特急で2時間ほど乗るだけ。電車待ちの時間が1時間近くあったが、もし前もって時刻表など読めるようになっていれば、その待ち時間も短縮できる。ブリュッセルの駅もそうだったが、デン・ハーグの駅も1つではない。つまり「中央」があり、「北」があり……で3つも同じ名前で始まる駅名であったりする。これが混乱のもとなので、ホテルを予約する際は要注意だ。デン・ハーグのホテルは特急が到着した駅から近いのかなと思っていたが、まず中央駅まで一駅電車で向かう必要があった。そこからインターネット入手していた地図を手がかりにホテルに向かったのだが、この地図には駅が示されていないので、まず方角で迷う。ドイツと同じでオランダにはすべての通りに名前がついているので、一つだけでもその通りが認識できれば後は大丈夫。しかし、大きな地図に細かな道がたくさん記されていると、求める名前を探すこと自体が大変だ。大きな荷物を抱えながら目的のホテルにやっとのことで到着した(初めから路面電車のルートが分かっていれば、もっと楽だったろう)。  デン・ハーグの街は日曜日であるせいなのか、とても閑散としていた。駅前に超近代的な高層のビル(デザイン的にすぐれている)があると思えば、宮殿風の非常に大きな古い建物が運河沿いに続いている。(後で分かったのだが、オランダの国会議事堂だった。なんと立派な!)自転車道路、路面電車道路、車道、歩道と4つがきれいに分かれていて、道路が全体としてとても広いせいか、街の見通しがよく、気持ちがよい。花壇や街路樹も到るところに目にするし、洗練されたショーウィンドを持つお店などが並ぶ路地も面白い。なぜか書店、ギャラリー、古本屋が多い。日本人が着ても似合う人は少ないだろうなと思える、いかにも高級で見栄えのするスーツやドレスのお店も目に付く。もちろん、教会の聖堂や塔もある。  ただ、日曜日だということでレストランがほとんど閉まっていて、探すのにちょっと苦労した。1件見つけて入ったのはおよそ午後4時半。夏の盛りに入っているのだろうか、非常に日差しが強く、かなり暑い(蒸し蒸しはしないけど)。美味しいビールを飲んで、まったくわからないオランダ語のメニューを見ながら給仕の人にひとしきり説明を受けて、海産物の取り合わせがいろいろある品を注文した。海老やイカの揚げ物や炒め物が中心だったが、なかなか美味しかった。いつものうように、店の外にテーブルを並べているテラス風のスペースで(正式にはなんて言うのでしょう、こういうスペース?)食べたが、60席くらいあるところに数組しかおらず、日本だったらかかっていそうなBGMもまったくなく(これは街全部がそうです)、なんとも静かでさんさんと明るい夕方だった。こちらのカラスに相当するのか、日本のカラスの半分ほどの大きさのカラスが、もの欲しそうにテーブルのまわりをちょっと高めのトーンの「カァ」という鳴き声を出しながらうろついているのがおかしかった。  夜は9時半頃まで明るいので、食後もデン・ハーグの街をぶらつきながら、明日のインタビューや明後日の「被曝モデル」の相談、そして日本の友人たちのことを考えた。国際電話をかけてみようかなと思ったが、時差が7時間ほどあるので、日本は真夜中。さすがにあきらめました。
6月20日(月) デン・ハーグ  デン・ハーグでの取材の日。  朝一番に、取材先である「オランダ健康評議会」が入っている建物を探す。駅からホームページにあった指示通りに歩いてみると、なんと昨日デン・ハーグの駅に着いてすぐに通りがかった巨大でモダンな建物の中にあることが分かった。この建物自体は「健康、福祉およびスポーツ省」という政府の省庁であり、その中に健康評議会が入っている。  今日も朝から相当暑かった。部屋には冷房が欲しいほどだったが(ちょうど朝の日差しが部屋に入ってくる位置だった)、安いのホテルの悲しさで、空調はなく、トイレとシャワー室も共用。少し落ち着かない感じでシャワーを浴び、インタビューの準備をする。  お昼の2時頃に永瀬ライマー桂子さんが宿に到着。1年ぶりに再会する。今日と明日のインタビューの通訳していただくためだ。本日のオランダ健康評議会は英語でのインタビューも可能であると知らされていたが(というより、オランダ人にとってドイツ語を使われることはむしろ若干嫌われる傾向がある、第二次大戦でのドイツによる支配の歴史があるから)、相手にドイツ語で話を進めてみることを承諾してもらえるようならそれでいき、専門用語などで差し障りが生じるようなら英語を随時使うという方針にした。  インタビューの時間(午後4時半)を迎えて建物の中に入っていったのだが、ベルンの時にもまして、とても省庁とは思えない見事なデザインと構造になっていることにまず驚かされる。入口で電子入館証となっているカードをもらい、目的の部屋まで歩いていったが、階段といい、各部屋といい、資料が並べてあるスペースといい、モダンな博物館・美術館といった雰囲気がしてならない。健康評議会の入口には、何ゆえか日本の着物とおぼしきもの(ただし人が着るものの2倍くらいはありそう)が飾ってある。秘書さんが待ち構えていてくださって、部屋に通され、冷たい飲み物をすすめられた。普段から打ち合わせに使っていると思えるそのオフィスのものも、明るくて落ち着いたオレンジっぽい色調で統一されている、広くて清潔感にあるれる部屋だった。  インタビューに応じてくださったのは、健康評議会のヘッドの地位に相当すると思われるExecutive DirectorのPasschierさん。白髪の60歳ほどのお年にみえるいかにも厳格な学者を思わせる感じの方だ。マースリヒト大学のリスク分析の特任教授もしておられる。105年の歴史を持つこの健康評議会が、公衆衛生や健康にかかわる政策決定をなすにあたって必要な専門的情報や判断を政府や国会に提供するための研究機関であり、かつ審議・諮問機関でもあることから話が始まった。200人ほどの専門家(科学者、公衆衛生関係者)を擁して、政府からは独立しながらも、科学技術政策のためのブレインとして機能する極めて重要な機関だ。 Passchierさんの話は脳死臓器移植や環境問題、予防原則の一般論にも及び、驚くほど守備範囲が広いことを伺わせたが、さらに驚いたのは、おそらく扱う領域の一部でしかないはずの電磁波問題に関しても、こちらが言及した、国際的にある程度知られた報告書やデータのことはどれもよくご存知で、「日本にはこういうタイプの専門家はほとんどいないのではないか……」と感じないではいられなかった。Passchierさんは「予防原則は科学的根拠に立脚しつつ適用することができるものだ」との考えを示されていたが、オランダが予防原則をどう政策に適用していくかの方針に関わる報告書を現在まとめておられるとのことだった。年末に英語で報告書がまとまるらしい。私の直感だが、これは世界的に見て、予防原則に関する重要な文書になるのではないだろうか。インタビューの詳しい内容は、また別の機会に紹介する。  取材を無事終えて、永瀬さんが前もって教えてくれていた「オランダはインドネシア料理が美味しいのですよ」という教えにしたがって、ホテルの近くのインドネシア料理店に入る。食べ物が美味しかったのはもちろんだが、お店の店主やウエイトレスさんたちが大変フレンドリーで、思いっきりくつろげた。店を出た後もホテルの軒下のカフェ・スペースで引き続きビールをいただき、気づいてみれば4時間ほども楽しいおしゃべりに興じたのだった(次々と面白い話題が飛び出してきて、笑いすぎてお腹が痛かったです)。 
6月21日(火) デン・ハーグ→ケルン→フランクフルト  昨年も訪れたnova研究所(nova-Institute)でのインタビューのために、デン・ハーグからユトレヒトを経てケルンに向かう。ユトレヒト行きの電車が、通勤に利用されているのか、けっこう混雑していた。途中の駅で電車が何かのトラブルのために止まってしまい、「どうしたのだろう?」と思っていると、「ドアが開きません。今開けようとしています」とのことで、都合1時間近くも遅れることになった。でも乗客たちはそんなに焦っているふうでもなく、車内アナウンスが流れたときに苦笑している人が多かった。  ユトレヒトからケルンに向かう電車では、指定席のコンパートメントは4人が2人ずつ向かい合う形の座席だったが、同席したアメリカ人のビジネスマンが、同席のよしみで声を交わすうちに、なんと永瀬さんが学んだのと同じオランダの大学の同窓生であることが判明。ひょっとして同期かもしれないと、話が盛り上がった。彼は物理学を専攻して、情報系の会社、自動車メーカーと勤め、今は放送関係企業のIT関連の部署で働いている。一流のビジネスマンであり、極めて頭がよいように思われた。私が「電磁波問題でWHOのワークショップに参加した」と言ったら、俄然興味を示し、電磁波リスクのことやモバイルのシステムや規格のことなどで矢継ぎ早に質問を投げてきて、ひとしきり議論してしまった。日本では乗り合わせただけの他人とここまで話が弾むことはなかなかないので、これも国境を越える旅だからこその体験かなと思った。  電車のトラブルはあったものの約束の時間に10分遅れほど駆け込むことができそうなので、ケルンの駅について駅前の超巨大な大聖堂に見とれる暇もなく、すぐさまタクシーに乗り込んでnova研究所に向かう。  1年ぶりに再会したスタッフのPeter Nieβen博士およびMonika Bathow さんのお二人は、素敵なアパートメントの2階つながりの部屋を使った事務所で私たちの到着を待ち構えてくださっていた。「この1年の活動はどうでしたか?」と聞いてくださったので、食プロジェクト、ナノテクリスクプロジェクト、生命操作プロジェクトのことなどとともに、電磁波プロジェクトで行った、関東の鉄道会社13社への「電車内の携帯電話使用に関する公開質問状」のことなどもお話した。  nova研究所は、電磁波、過疎地域援助(EUから資金援助を受けて、旧東ドイツの産業不振地域などを対象に)、代替原料(ディーゼル→菜種油、木綿→麻などエコロジカルな原料の推奨・普及)の3つのテーマに取り組むNPOで、専属スタッフ20人、うち電磁波チームは4人でそのうちの2人が電磁波問題専属だ(インタビューに応じてくれた二人が専属である)。  このたびは、市民科学研究室の「電磁波プロジェクト」がIHクッキングヒーターの調査研究をすすめるにあたって、いかに被曝モデルを設計して有効な計測データを得るのか、そして得たデータをリスクの評価にどうつなげるかを相談するのが目的だ。ドイツではIHはほとんどまったく普及していないが(逆に「日本ではなぜ普及するのですか? 電熱器ではダメなのですか?」と訊かれました)、nova研究所が様々なところから請われて精密な電磁波計測(低周波ならびに高周波)を行っているので、私が考案した「IH被曝モデル」が妥当かどうかを議論していただこうと考えたわけである。  近くのレストランでの庭先のテーブルを囲んで、私が用意した資料などにも目を通してもらいながら、熱心に意見を述べてくださった。計測にあたっての具体的なアドバイスもいくつかいただき、本当に来てよかったと思った。2時間半に及ぶ話し合いが終わり(永瀬さん、通訳お疲れ様でした!)、お二人はアップルパイを私たちにおごってくださった。いやー、そのパイの大きいこと! お二人の心の広さ、暖かさに似つかわしい、大きくて美味しい手作りパイだった。  nova研を後にして、ケルンの駅で永瀬さんと別れ、フランクフルトに向かう。昨年泊まったのと同じ駅前のホテルを予約しておいたのだが、その場所が変わっていて、戸惑ってしまった。この欧州旅行の最後の夕食を、喉越しに気持ちよいビールとともにいただいた。ひと時の夕立も涼しい夜を招いてくれる恵みのように感じられた。
6月22日(水) フランクフルト→(アムステルダム)→成田  11日間の欧州取材旅行を無事終えて、11時の飛行機に乗るためにフランクフルトに向かった。フランクフルトは欧州最大の空港で、成田空港も作る際に日本から視察団が訪れて参考にしたといわれる。オランダ航空の便に南米からの一行が乗り合わせたのだが、陽気で騒がしく、この人たちもし12時間も飛行機で隣同士になったら大変だろうな、と思った。��継はアムステルダム空港だったが、これがまた大きい。トランジットで1時間半ほどあったので、御土産の買い物がてら時間をつぶしたのだが、「寿司バー」(カウンターで寿司とワインがいただける)あり、インターネットカフェあり、大きな書店あり、高級ホテル風のレストランあり……で飽きさせない。チーズを数種類買ったが、その際に搭乗券の提示を求められ、バーコードが素早く読み取られるシステムになっていた。  11時間のフライトは、窓際の座席の上の蛍光灯が始終点いたままになっていたので、快適とはいいかねたが(私は外が明るかったり、電灯が点いていたりすると、眠れないのです)、途中で延々と広がる雲の“大海”のはずれから太陽がゆっくりと昇る、極めて美しい“日の出”を眺められたのは嬉しかった。驚いたのは、機内でヘッドホンで聞ける音楽のうちクラシックのチャンネルをひねったら、ずいぶんと通(ツウ)向きの曲が流れていたこと。私が愛してやまない、ベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲たちの嚆矢、第12番の第一楽章が、久しぶりに聞けた。雲上で体験する“日の出”とボンの巨匠の流麗な音楽。ヨーロッパの旅の締めくくりにふさわしいな、と思った。
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羊飼いの王様は夜霧の中2
あくまでわたくしのパロディです。ところどころと言うか、殆ど話を変えながらも、オペラの要素を取り入れています。恐らく、オペラを知ってる人には先読まれる(笑)
夜になり、辺りは真っ暗になった。アミンタの簡素な家の中も蝋燭の灯りのみで薄暗い。勿論昔の事だから蛍光灯やL.E.D.などと言うものはない。静まり返った寂しい部屋の中で、アミンタは一人ホットミルクを飲んでいた。もう夜も更けている。
アミンタは飲みながらそっと小さな戸棚に目をやった。戸棚の上には小さなレリーフが飾られており、そこには中年の男性の肖像が刻まれていた。
「パパ…」アミンタは寂しげに肖像を見ると小さく呟いた。そう、肖像の主はアルチェーオと言う男でアミンタの父親だった。しかしアルチェーオはアミンタがまだ幼い頃にシドンの暴君、ストラトネによって殺されてしまい、一人残されてしまった幼いアミンタは、知り合いである羊飼いの家に引き取られて育てられていたのだが、軈てその知り合いも亡くなってしまい、ついに一人ぼっちになってしまったアミンタはこの地でたった一人暮らしていく他なくなってしまったのだ。村人たちの羊、自分に残された財産である羊を放牧して過ごしてはいたものの、まだわずか12歳の男の子一人、食べて生きていくのはやっとの生活だった。アミンタは幸い父の死の理由を知らなかった。もし彼が死の真実を知ったならば幼い心は深く傷を負ってしまうだろう。
ただこの仕事をやっているお陰で彼には友達も出来た。同じ羊飼い仲間のアジェノルとタミリだ。そして、エリーザ。エリーザとはつい先程喧嘩別れをしてしまったのだが、彼女はアミンタにとって一番初めの友達で、幼い頃からの付き合いがあった。アミンタが一人ぼっちになったときに、辛いとき悲しいとき、どんなときにも支えてくれる理解者だ。アミンタも彼女が好きで、エリーザもまたアミンタが大好きだ。それなのに時々いつも下らないことで意地を張り合って喧嘩してしまうのだ。
夜になるといつも辛くて寂しい…一人ぼっち、とても怖い。アミンタは後悔した。今からでも謝りに行こうか…?アミンタの友、この近くにいる友と言えば彼女しかいない。助けをすぐに求められるのは彼女しかいない。
アミンタは一気にミルクを飲み干すと、立ち上がって家を出ようとした。変な意地をいつまでも張っているだなんて男らしくない。潔く素直に謝ろう!ーその時だった。アミンタは背後に何か妙な気配を感じて振り返った。
「何かある」
目を凝らしてまじまじ見ていると、モヤモヤした何やら霧のようなものが家の中に渦巻いていた。
「何?」まだ幼いアミンタは好奇心を持ってそれを面白そうに見つめる。もやもやもやもや…子供心にはいつまで見ていても飽きることはなかった。
こうしてアミンタはエリーザの家に行くことも忘れて一晩中それが消えてなくなるまで見入ってしまった。
***
その頃、またもところ変わって現代。アミンタの家とは真逆で、人々で賑わい音楽や踊りも耐えない酒場の一郭…。先程の悦とアンネン、ティフィーがどんちゃん騒ぎをして飲んでいた。劇の本番目前にして前夜祭で盛り上がっていると言うわけだ。
「飲みすぎで明日歌えませんとか言うなよな。」ティフィーがぐでんぐでんになりながら言う。もはや呂律は上手くまわっていない。
「大丈夫よ!大丈夫!」悦もアンネンもすっかり出来上がっている。二人とも酒瓶を握りしめ、おかわりをしながらそう言うが、端から見れば全然大丈夫には見えない。ティフィーは明らかに自分よりも酔っぱらっている女性たち二人を見ながらあきれ笑いをした。
ーどれくらい時間が経ったのだろうか?すっかり夜も更け、居酒屋も流石に店を終う頃、小さな田舎道をティフィーが歩いていた。両側にはアンネンと悦だ。二人とも泥酔状態で、時々吐きそうになりながらティフィーに支えられて歩いている。
「おいおい、大丈夫か?だから僕がやめろと言ったときにやめときゃいいものを…」
「うるさい!」酒のせいで狂暴になった二人が声を揃えていった。「うぅ…」そして途中途中で立ち止まっておえぇ…と吐き気を催す二人の背をティフィーが擦る。…毎度の事だ。そんなこんなで家までたった数百メートルの道を何時間もかけて歩き、ティフィーはやっと二人を家まで送り届けたのである。公演は明日の夕方からだ。だから朝から総練習がある。
「きっと二人とも明日の朝は最悪な二日酔いで目覚め、げっそりしているんだろう…」他人事ながらそんな事を心配しながらティフィーはそれぞれの自宅を後にした。
さて、翌日。劇場にやって来たアンネンと悦はまさにティフィーの予想した通りのげっそりとした青白い顔をしていた。どうも公演とその練習は出来そうだったがかなり辛そうだ。
昨日あれだけ飲んで次の日にこうならない方がおかしいいよ。そういうティフィーを二人は慰めの言葉の一つもないのかと言うように睨み付ける。
こうして何だかんだで公演の練習が始まった。衣装を着けての本番さながらの練習、アンネンは古代の衣装に身を包み、いつもならかっこよくビシッと決めるのに今日は同じ衣装でも、同じ歌を歌っていても全く映えず、寧ろ青い線がどんよりと彼女の周りを取り巻いているようだ。それは彼女だけでなく、悦も同じであった。マケドニアのアレクサンドロ王を演じるティフィーはこんな調子の二人を見て本番が不安で仕方がない。
夕方4時になった。メインホールには少しずつお客さんが入場し始めている。舞台袖にはアンネンたち。幸いこの時には二人の体調も戻りつつあった。二日酔いには効くと言われ、ネリーから梅干しグァバジュースを無理矢理飲まされていたからだ。
4時半…序曲から入り、公演が始まった。アンネン演じるアミンタのアリアから入り、悦演じるエリーザが登場。劇は順調だった…その時までは。
劇もクライマックスに差し掛かり、悦がアリアを歌っている時だった。悦は夢中になって役に入り込みすぎたせいか、あまりにも興奮して舞台を飛び回り、舞台の縁から足を滑らせてしまい、���ーケストラボックスに向けて落ちそうになった。客も他キャストも息を飲む。
***
悦は目を開いた。どうも落ちた衝撃で気を失っていたらしい…公演はどうなったのだろう?急遽中止だろうか?それとも誰か私の代役が続けてくれているだろうか?それで私は?家?楽屋?それとも病院?悦はキョロキョロする。 見慣れない景色…どうも外みたいだった。春のような心地よい風が悦の長い髪を撫でる。どこだろう?まさかここは黄泉の国ではないでしょう?まさか私ってもう死んでるんじゃないわね?もしそうだとしたらかなりマズイ、どうしよう…焦って悦は歩き出した。でもどこまで歩いても続く緑の牧場、森の木々、いつまでたっても見慣れた景色が出てこない…遠くの方に建物はあるが、日本にこんな場所はあったろうか?
そんな事を考えていると、数十メートル目の前に子供がいるのが見えた。男の子だ。ふさふさした栗毛色の髪、みすぼらしい着物の後ろ姿。
「誰?」ここが何処なのか聞いてみるつもりで悦は彼に近付いていった。彼もキョロキョロとしている。まるで誰かを探しているみたい。悦がもう一歩近づこうとしたとき、男の子はこちらを見た。アミンタだった。なぜアミンタがここにいるのだろう?
「エリーザ!」アミンタは大声で叫ぶと突然悦向けて突進してきた。驚いたのは悦である。一目散に今来た道を引き返して全速力で逃げるが、アミンタも全速力で追いかけてくる。とても子供の足の早さとは思えない、陸上選手並みだ。
「エリーザ待てよ!なんで逃げるんだ?」そう叫んで追いかけているのだが、悦が聞いたこともない外国語だったために全く言葉は通じない。不審者である私を捕まえて誰かに身柄を引き渡すつもりでいるのだわ。悦はそんな事を思って逃げ続けている。
しかしすぐにアミンタが悦に追い付いた。ひょいと小さな右手を伸ばし、悦の手を掴もうとする。
「あぁ!」もうダメだ…悲鳴を挙げ、覚悟を決めた瞬間ー
パチパチパチパチー大きな拍手が起きた。
「え?」キョロキョロ、気がつくと悦は元いた公演中の舞台の上に戻っていた。劇は何事もなかったかのように続いている。しかも、「あぁ!」という悦の悲鳴こそがアリアの最高の見せ場だったらしく、見事な狂いない高音で最後が締められ、観客の心を打ったらしい。
「ブラーヴァ!」そこら中から歓声がとぶ。悦は何がなんだかわからなかったがとにかく何事もなかった様で良かった、全てはみんな私の心の中だけで作り上げた幻だったんだ。
こうして、羊飼いの王様…初日公演が終わった。
***
「悦、今日良かったよ。」帰り道、アンネンがにこにこと悦の肩を叩きながら言う。そう言われても悦には自覚がないため喜ぶと言っても素直に喜べない。彼女だけには事の次第を話そうか…悦は口を開き、アンネンに公演中にあったことを全て話した。
アンネンはポカーンとして聞いていたが、話が終わると大笑いをした。悦もこの反応は予想をしていた。
「何よそれ?あんた起きながら夢でも見てた?」ソフトクリームをなめながらアンネン。「見知らぬところに行ったって言っても悦、ずっと舞台の上にいたじゃない!」
「え、でも私アリアの時に舞台から競り出してオーケストラボックスに落ちたでしょ?」
アンネンがまた笑う。
ーじゃあ落ちたことも本当に全ては私の心が作っていた幻なのか…
いいのやら悪いのやら、悦は複雑な気持ちだ。
時はもう夜の9時を廻っている。途中の道でまた明日とアンネンと別れ、悦も自宅に帰った。
悦は独り暮らしだ。家は2DKの小さなアパートで女性一人で住むには丁度いい大きさだ。
「ただいまぁ…って言っても誰もいないか。」いつもの口癖だ。悦は灯りをつけて奥の部屋へと進む。小さなキッチンがあり、こっちには寝室があり…そして…
ダイニングの灯りをつけた、時ー悦は凍りついた。足元から頭まで一気にゾクゾクゾクと冷たい戦慄が走る。
ダイニングにおかれているソファーの上、12、3歳くらいの少年がちょこんとおつくべをして座っていた。
「あんた誰!?」思わず初めに口から出た言葉だ。「人の家で何してるのよ。」
ーでもこの少年、どこかで見たことがあるような気がする…。はて?悦は考える。確かについ最近…
「エリーザ。」少年が口を開いた。「見れば分かるだろう、ここにこうして座っているのだ。」
そんなの見りゃ分かるわよ!キレそうになるところをグッとこらえて大人の振るまい…。
「エリーザ、さっきはどうして私から逃げたんだ?酷いじゃないか、ちゃんと謝ったのに。」
謝った?エリーザ?さっき?いったいなんの話だろう?
どこから入ってきたの?と聞くと少年は知らないと言う。気がついたらここにいたらしい。先程の悦とまるっきり話が似ている。
「それよりここは何処なのだ?」少年が尋ねる。知らない場所にいて不安そうと言うよりかは若干上目線っぽい言い方に聞こえる。どこって…私の家に決まっているじゃないの?悦は少し怒り気味に言った。それよりあんた、プライベートでは私の事を役名で呼ばないでくれる?悦はてっきり彼が公演を見に来ていた悦のファンだと思っているらしい。
「そいのストーカーって言うのよ。女優の家に無許可で上がり込むだなんて!」
「女優?」少年は笑い出した。「君が女優って、何女優だ?喜劇でも演じるか?それとも道化か?大体いつそんな女優になった?」
年下相手にむきになって腹を立てるなんて何て大人げない!とは思いつつも悦も少年のその態度がいただけなくなり、食って掛かった。
「エリーザ、一体どうしてしまったんだ?いつもの君らしくないよ!どうしてそんなに狂暴になるんだ!」いい加減少年も怖じ気づいて腰を引いてしまっている。さすがの悦も少年がかわいそうになり、手を止めた。
「まず、君が誰なのかを教えなさい?」静かに言った。「君みたいな学生さんがこんな夜に、親御さんだって心配しているでしょ?送っていってあげるから。」
少年は少しキョトンとしていたが、私の名前はアミンタだ。といった。顔の感じで何となく分かったがやはり日本の子ではないらしい。
それよりも…アミンタ!?悦は大きな声をあげた。アミンタは悦の声にビクリとなる。
「劇の見すぎ!」大笑いした後にアミンタを睨み付け「違うわよ!本当の名前を言いなさい!」
アミンタはキョトンとした。本当の名前と言われても、これが彼の本当の名前なんだから他に言いようがない。
仕方なく悦は次の質問にいく。
家は何処?と聞くとシドンだと答えた。ーこれも劇と同じ、もうふざけているとしか思えない!
アミンタと名乗るこの少年を警察に連れていこう!悦がアミンタの手を握って彼を連れ出そうとすると、キューっと鈍い音が聞こえた。彼のお腹だった。アミンタは赤くなってばつが悪そうに悦を見上げる。
「仕方ないわね…」悦だって人情くらいある。いくら生意気な見ず知らず子であろうと、こんなに小さな男の子がお腹を空かせているのを放っておくことなんて出来ない。
「ちょっとここで待っていなさい。」悦は再びアミンタをソファーに座らせて自分は台所に立った。
「何をするつもりだ?」
「お腹が空いているんでしょ?」冷蔵庫や戸棚を漁りながら言った。しかし困ったことに直ぐに食べられるような食材は何もなかった。唯一戸棚には、悦が楽しみにとっておいたカップ焼きそばトルコ風があるだけ…。
はぁ…ため息をついてカップ焼きそばを作り始めた。この際仕方がない、自分のはまた買ってくればいいんだから…。
ーふたを開けて、お湯を注いだら3分…そしてお湯を捨てたらかやくとソースを投入!
と、その時そこに電話がかかってきた。
今作っているから、これ食べたら警察に行くわよ。悦は電話に走っていく。
悦が電話を取りに行くとアミンタが台所にやって来た。勿論アミンタにとってカップ麺なんて見るのは初めてだからとても珍しい。確か悦はこれが食べるものだと言っていた。この中の物を食べるのだろうか?どうやって?どんな味がするのだろう?
軈て悦が電話を切って戻ると、アミンタはソファーに座ってじっとしていた。ごめんよ、今作るわ。とカップ麺のお湯を捨てようとしたとき…
「?」カップが軽いことに気がついた。確かに私はお湯を入れておいたはず…それともまだ入れてなかったか?それにしても軽いような…。中を開けてみてみた。するとそこには驚いたことにお湯はおろか、中身の麺すらも何もなかった。
「え?え?どう言うこと?この子のご飯が…」焦った。これがなくなったと言うことは他にはもう食べるものが何もなくなったの言うこと。この子に食べさせてあげられるものが…アミンタを見た。
「ごちそうさまでした。」
見るとアミンタの目の前には空のカップ、そして満足そうなアミンタは頬に食べかすをつけている。
「あんた…」悦は呆れて目を丸くした。「ひょっとしてこれ…」いや、ひょっとしなくてもそうだろう。アミンタはもうこれをペロリと食べていたのだ。しかもお湯も捨てずスープ焼きそばとしてお湯も全て飲んでしまったのだ。しかもしかも…かやくもソースも何も入れていない。もう悦はそれ以上何も言えずにアミンタを見つめていたが、黙って彼の手をとって立たせ、家を出た。
もう12時近い。アパートを出ると田舎の夜は暗く、車の通りなんてない。ガス灯の明かりすらない中、悦はアミンタの手をしっかり握ったまま歩いていく。アミンタも黙って悦に着いてきた。この夜にとてもアミンタ一人でこんな外に方っておけない。
「何処に行く?」しばらくしてアミンタが久しぶりに口を開いた。
「警察だっていっているでしょう?」悦が言うが、アミンタは警察を知らないみたいだ。説明に困る。罪を犯した人が出頭するところだと言ってもアミンタを怖がらすだけだろうし、第一彼はそんな罪を犯していない。犯したとしたら住居侵入くらいだが、これは見逃してやるつもりだった。手を繋ぐ悦とアミンタ…多分周りから見た人は、二人を兄弟か親子だと思うに違いない。恋人同士には到底見えないだろう。
さて、悦が着いたところは警察ではなく茅野の駅だった。財布から5000円札を出してアミンタに握らすと、返さなくていいからこれ使ってお家に帰りなさいと一人、彼を駅の改札に残して悦は一人家へと引き返した。
駅から悦の家は歩いて数キロである。家に帰ってきたのはもう2時近くなっていたが、やはり駅に残してきてしまったアミンタが気になって仕方がない。あのような調子できちんと帰れただろうか?あるいは迎えに来てもらえただろうか?布団に入ってもそんな事ばかりで眠る事が出来ない。
「仕方ないわねぇ!」どうしようもなくなって再びベッドから飛び起きると、パジャマの上にガウンを羽織り、バッグを持つと、今度は車を走らせた。アミンタの事がどうしても気になったのだ。
ーもし、駅にいないのならきっと帰ったのだろう。でももし駅にまだいるようなら、事情を聴いてみてどうしてもなのなら私の家にしばらくいさせてあげればいい。
悦は駅のホームに入った。東口に車を止め、渡り廊下を走り、左手にある駅の改札に駆け込んだ。確か私はあの子をここに…いた。
改札ホームに設けられている待合室にアミンタがいた。ちょこんと行儀良く椅子に座っている姿はまるで、ご主人様を待っているハチ公のようだった。
「まだ帰ってなかったの!?」驚いたり安心したりのような顔で待合室の扉を開けて側に走り寄るが…アミンタは疲れてしまったのか、その場で座ったまま眠ってしまっていた。こっくりこっくり、頭だけが動いている。
悦はふんっと鼻を鳴らすと軽く微笑んで眠るアミンタをおぶると、元来た道を戻り、彼を車に乗せた。年は小学6年生くらいに見えるが、見た目以上に体は痩せ、とても軽かった。一体どんなものを普段食べているんだろう?
悦は運転席に座り、一気に車を加速させた。車が動いて、酔ってしまいそうな酷い砂利道を走ってもアミンタは熟睡したまま起きない。
��に到着してもまだ尚、眠るアミンタ。悦は彼をおぶり、アパートに入った。
本当はさぁ、あんたの身の上を話しなさい!と事情聴取したいところだが、気持ちよく眠るアミンタを起こすのも可哀想…明日にすることにし、彼をそっと自分のベッドに寝かし、悦自身はアミンタの座っていたソファーに毛布を持ってきてソファーに横になり、一晩を明かした。
翌朝、アミンタがうっすら目を覚ました。とても香ばしい言い香りがする。眠い目を擦りながら鼻をクンクンさせた。
「おはよう、目が覚めた?」悦が前掛けをつけて台所からお盆を持って現れた。
「朝食よ。」と食事を卓袱台の上に並べ出す。どれも見たことのない料理ばかりと、アミンタは珍しそうに目を丸くして朝食を見る。
「何そんな顔しているのよ?早くトイレ言って、手を洗ってきて。食べるわよ。」
そんなことを言われてもいつもの生活スタイルと全く違うんだから、アミンタはどうすればいいのか分からない。
何て変な子なんでしょう!悦はそう思いながらも、アミンタにトイレと洗面所を教えた。何処を見ても不思議そうにキョロキョロと落ち着かない彼…まるで初めてご主人様の家に着た猫だ。
そして洋便器の蓋を開けると
「ここはなんだ?」の一言。
だからトイレだっていってんでしょうが!怒りながらも静かに言う。
「トイレ?」トイレを知らないらしい。彼は便器の中に頭を突っ込もうとしたので、悦が慌てて止めた。
ー一体なんて言う子なんだ! もう呆れるしかない。そしてアミンタにトイレの正しい使い方を教えた。アミンタはそれを知ると恥ずかしそうに顔を真っ赤にし、扉をバタンと閉めると、
「いいから朝食にしてくれ。」と言って、悦に教えて貰った通りに手を洗った。  朝食は、焼き魚と大根おろし、魚の味噌汁、それにミスマッチな白パンだった。アミンタは焼き魚の香りにそそられる。
「さぁ食べなさい。」
そう言って悦が食べ始めると、アミンタ、今度は箸の使い方を知らないと言う。
(外国の子だからこれは仕方ないわね。)
アミンタに箸の使い方を教えつつ、フォークとナイフ、スプーンも用意した。
しかしアミンタは物覚えが抜群だ。悦から聞くと直ぐに箸を器用に使い出して、魚もきれいにみどり始めた。悦は目を丸くしてそれを見入る、しかも箸使いと魚のみどり方は悦よりも器用で上手い。
アミンタはよほどお腹が空いていたのか掻き込むようにご飯を食べた。特に焼き魚は彼のお気に入りのようだ…食べてしまうともう一匹おねだりされたが、急遽二人分の食料を買ってきたためお代わりなんてあるはずがない。それを言うと、アミンタは少し不満そうだった。確かにこんな食べ盛りのような子には二人分くらい必要なのかもしれない…でも今の悦にこの子を養っていけるだろうか?
こうして二人の朝食が済むと、悦は後片付けをしてからアミンタを居間のテーブルの椅子に座らせ、自分は合い向かいに座った。スタンドライトも置かれ、まるで刑事ドラマか何かのようだ。しかもアミンタの目の前にはカツ丼の代わりにデザートのプリンと来ている。
「今度は何を始めるのだ?」相変わらず上目線にアミンタが言う。
「あんたの尋問をするのよ。」
「尋問!?」
「いくわよ。」悦はメモ帳とボールペンを用意して、アミンタの返事も聞かずに尋問を始める。
「まず名前は?」
「先程も申したであろう?アミンタだ。」
「アミンタぁ!?」悦はまた雄叫びを挙げた。アミンタは少し驚いたように、また不機嫌そうに悦を見て
「その反応はなんだ!?」と怒ったように言った。そして「質問を続けろ。」これだ。
「年齢は?」
「っ…」
悦はアミンタが答えようとする前に答えを遮り、
「えーと…」とアミンタをまじまじと覗き込む。アミンタは少し仰け反って身を引いた。
「あんた見た目は小学生くらいね。6年生でしょ?」
「は?」
6年生っと…と悦は適当なことを書く。
「ご家族は?」
「パパとママ。でも二人とももういない…死んだからね。」
一瞬空気が重くなった。アミンタが心なしか俯き、切なそうな表情をしたように悦は感じた。
「ご…ごめん、辛いこと思い出させちゃったわね。」
アミンタは無表情のまま首を振って“大丈夫、気にするな”と呟くと、続けてくれと悦を促した。重い心でアミンタに申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも
「生まれは?今までは何処に住んでいたの?」
この質問で更に彼を傷つけてしまわないだろうか…悦は恐る恐る言った。一応は聞いておかなければ、本当に場合によってはこれから悦がこの子を引き取って養っていかなければいけなくなるかもしれない。
「それもさっき言ったであろう?シドンだよ、フェニキア。」アミンタは変わらず棒読みのような無表情のような感じで呟く。
「本当に?」
「誰が嘘を言うか!」
アミンタの瞳を覗き込んでも、冗談や嘘で言っているようではないらしい。と言うことは本当にシドン、フェニキアから来たのだろうか?でもこんなお金も持っていない子供が一人でどうやって?
それよりも…シドン、フェニキア、アミンタ。信じられないような話だが、悦にはこの子の身元に関して心当たりがあった。ひょっとしてこの子は、この時代の子供ではないのかもしれない。ひょっとしたら紀元前のシドンから来た、アルチェーオの息子のアミンタか?いやいや、そんな筈はない。
「次はなんだ?」
悦が混乱したような顔をしていると、上目線っぽく手足を組み、アミンタが尋ねる。こんな憎らしい態度なのに、口のまわりにはちゃっかりと完食してあるプリンのかすをつけて…
「次は…」悦が質問を続けようとしたときに、呼び鈴が鳴った。
誰よ、この忙しいときに…悦がイライラしながら玄関に出ると、アンネンが立っていた。アンネンもイライラしている様子だ。
「どうしたの?」と尋ねると
「どうしたのじゃないわよ!」アンネンの甲高く黄色い声がとんできた。「私、もう一時間も待っていたのよ!それでもあんたがなかなか来ないから何かあったのかなって心配してきてみたのに…」
ー忘れてた!
悦は青ざめる。今日は朝一から公演二日目のリハーサルがあったのだ。
「みんなもうかんかんよ。」アンネンから聞くと、“ごめん!”悦は慌てて謝り、急いで準備を始める。
「準備するから、暫くここで待ってて。」と彼女を家に上げ、お茶だけでも入れて出した。
アミンタは突然の来客と慌ただしくする悦に動揺をしている。初めてアミンタが混乱したような困った顔を見せた。
「!?」
その時、アンネンもアミンタの存在に気づき、彼と目があった。
「君、誰?」アンネンの最初の一言だ。
「君こそ誰だ?」アミンタはアンネンに対してはひどく警戒をしているようだ。
「悦ー?」アンネンは悦を呼ぶ。そして悦とアミンタを交互に見ると、
「まさかと思うけどさ…隠し子?」あり得ない誤解だ。
「はぁ!?」
んな訳ないでしょうと、悦はアンネンをこずく。訳を話すと長くなるのよと、簡単に昨日の出来事を話し出した。
「警察に届けた方がいいんじゃない?」��アンネン。しかし、それは悦も特区に考え済みだ。警察に届けるには彼の身元も不十分だし、第一保護された場所を説明するのに困る…。だから暫く、この子の事が何か分かるまでは私が面倒を見るしかないだろう。そうアンネンに言うとアンネンはそれに更に驚く。
親友が驚くのも無理ない、だって悦はまだ20歳、しかもまだ結婚もしていない…そんな悦がいきなり小学生の男の子の保護者になるだなんて、悦本人でさえ信じられない。まぁ、今、一番混乱しているのはアミンタ本人だとは思うが。
そして相談の末仕方なく、彼も一緒に職場である劇場に連れていくことにした。ただし、アンネンにも口止めをし、まだ落ち着くまでは誰にも、悦の彼であるティフィーにさえこの事は喋るなとお願いした。
二人はアミンタを連れて家を出る。アミンタは黙って二人の真ん中で手を引かれていた。その様子はどう見ても幼い弟を連れて歩いているか、母親とその友達か誰かが息子を連れて歩いているとしか思えない。
劇場に着くと、悦は控え室にアミンタを入れ、私が戻ってくるまではここを絶対に動かないこと、じっと待っていなさいと言い、部屋に閉じ込めると練習に行ってくるからとアンネンと二人、控え室を後にした。
しかしアミンタはまだ12歳の子供だ。好奇心旺盛なこの年頃のアミンタが、大人しくしていろと言われ、黙って大人しくしているわけがない。
悦とアンネンが出ていったのを確認すると、アミンタは辺りを伺いながらそっと部屋から抜け出て、スタッフルームの廊下を歩いた。アミンタにとって何もかもが初めて見るものばかりだ。
アミンタは右左が何も分からないまま廊下をうろうろする、時々すれ違うスタッフや役者は、まるで舞台衣裳のような姿のアミンタを“小さな役者さんもいるものね”と言うように見ていく。
やがて、歩いていくとアミンタは大きな扉に突き当たった。
(なんだろう…?)
中からは何か音楽や声が聞こえてくるが、どうやって中に入ればいいのか分からない。困っているとちょうどそんな時に、アミンタの元へ人がやって来た。助かった、この人と共に入ろう!
その大人の人は、黙ってアミンタの横を通り、ドアを開ける。そしてアミンタを見ると
「君の入るのかい?」
アミンタが大きく頷くと、男はひゃっひゃひゃと高笑いをして、アミンタを先に中に入れた…
男も男で妙な格好だ、一体誰なのだろう?まるで中世貴族のような赤いコートに身を包み、やはり貴族のような奇妙な髪型をしている。背は割りと低く、顔は割りとハンサムで男前だった。
アミンタは、男の身分も聞かずに一緒に中に入る。中は劇場のリハーサルホールになっていて、まさに悦たちメンバーによる羊飼いの王様のリハーサルが行われていた。アミンタは夢中になって見る。その中に悦がいることに気がつくと
「本当にあいつは女優だったんだ」と心の中で呟き、そのまま黙って悦の演技を見ていた。
アミンタは今まで故郷でも何回か劇は見たことはある。しかし、高音で歌い、台詞も歌のように読む…こういった形のものは初めてだったためとても新鮮だった。
アミンタの隣では男もそれを釘つけになって見入っている。
軈て、男は劇から目を離し、興味をアミンタに移した。そして、
「君は誰かね?」と尋ねる。アミンタも負けじと
「お前こそ誰だ!?」少し喧嘩腰で強く言うと、男はまたあの高笑いをし、僕か?という。聞いて驚くなと言うように
「僕は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトってんだ。」という。普通の現代人なら驚いただろう、或いは信じずにバカにしたろうが、少なくともモーツァルトの時代よりも古いアミンタにはこの有名作曲家が誰なのかも知らない、ましてや自分を題材にした劇の産みの親だってことも。その名を聞いても全然ピンと来ないアミンタ…。するとモーツァルトが再度聞く。
「君の名は?」
「僕はアミンタだ。」
アミンタ、ほぉ…モーツァルトは何か物思いげに、興味津々にアミンタに近寄る、アミンタは後ずさり…。
とても奇妙で奇跡的な組み合わせの二人がここに揃ってしまった。これから一体どうなっていくのだろう?というのか、大体このモーツァルトは一体何処から来た何者なのだろうか?
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shinysongfestival-blog · 8 years ago
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手術幻情(98枚)
                                                                 杏 土呂夢(あん どろむ)     夜明け前の湖周道路をぶっ飛ばすのは、人影はもとより、車影もなくて、気ままで、爽快である。 このあたりまで来ると、道は湖岸に沿って、ゆるく蛇行して進んで行くのだが、湖の所々に突き出ている丘陵に差し掛かると、雑木林の中を急なS字のカーブの連続を登って、峠の頂上に着くこととなる。  見透の全然効かない急坂を右に切り、左に切って、すぐにまた右に切ろうとした峠の頂上付近で、路肩に立っている凸面鏡に、対向車の車影が見えたと思った刹那、道路の左側の茂みの中から、狐か鼬(いたち)かが、地面にへばりつくようにして、這うように、男の車の左前に飛び込んで来た。男は咄嗟に、それを避けようと、ハンドルを右に切ったのだが、車はセンターラインを割ってしまい、峠の頂の急カーブを曲がって、いま、姿を現したばかりの対向車に、急ブレーキを踏み込んだものの、スピードを出し過ぎていたためか、男の車はスリップし、右のライトのあたりを、派手にぶつけてしまった。ポーンという、衝突の凄まじい音と共に、ライトのガラスが砕け散った。  大き目の、半透明の、黒色のサングラスをかけた背の高い女が、現われ、男の運転席を覗き込む。「どうしますか?}  男は、女が事故処理の仕方について、訊いているのだろうと思う。  「電話は?」女が訊く。男は、女が、警察か保険会社への、電話連絡のことを言っているのだろうと思う。  男は、ギアをバックに入れ、緩くアクセルを踏んでみる。女の車に喰らい付いた男の車は、感じ悪くスリップをし続けるだけで、離れようとしない。  大き目の、半透明の、黒色のサングラスをかけた背の高い女が、現われ、男の運転席を覗き込む。「どうしますか?」  男は、女が事故処理の仕方について、訊いているのだろうと思う。  「電話は?」女が訊く。男は、女が、警察か保険会社への、電話連絡のことを言っているのだろうと思う。  男は、ギアをバックに入れ、緩くアクセルを踏んでみる。女の車に喰らい付いた男の車は、感じ悪くスリップをし続けるだけで、離れようとしない。  「連絡は?」女が訊く。  「じゃ、免許証…」と女が言う。  男は、免許証を、女に渡す。名前か何かでもをメモるのだろうと思っていると、女は男の免許証を見もしないで、肩に引っ掛けていた、黒い、細い、長い革紐のついた小っちゃなレザーのバッグの中に、そのまま仕舞い込んでしまった。変わったことをする女(ひと)だな、と男は思った。しかし、男は、ひと言もしゃべろうとしなかった。  何回目かに、男が、思いっきし強くアクセルを踏み込むと、ひと揺れした後、やっと、二台の車は離れた。  男は工具の鉄棒で、女の車のフロント右の車輪のあたりを二、三度、力任せに捏ね上げた。走行は充分可能だろう。車はドイツ車で、ダークグリーンのロードスターだった。  女は、小さく一つうなずくと、「急いでいるので」と言って、急発進し、タイヤを軋らせ、去って行ってしまった。  峠を下り始めると、男は、ぶつけたあたりのフロント右に、かす��な異常を感じた。そこで、車を止め、女の車にしたと同じように、鉄棒をかまして、二、三度乱暴に捏ね上げた。そして、この時初めて、男の頭に、想いが一つよぎった。美女だ…揺るぎない…正真正銘の…なんという、…。男は、この時まで、狐か鼬(いたち)かの飛び出しと、回避、衝突のショックで脳味噌が凍て付いてしまい、きっと、失語症みたいになっていたに違いない。    「坊ちゃん、あなた免許証がどのようなものか、分っているんでしょうね」〈センセイ〉が、電話で、言っている。「信じられないようなヘマですよ。…ヘタすると、あなた、一巻の終わりにすらなりかねない…相手の…つまり、手合い次第では…。どこか、ヤバイところへでも持って行かれてごらんなさい。…どうするつもりなんですかねェ、今後?…」  男も、内心不安がないでもない。時間が経つにしたがって、むしろその念は増大して来ているみたいだ。しかし、男は言っている。「あの女(ひと)は、そんな女(ひと)じゃない。…あなたは悪く解釈し過ぎている…」  「解釈も何もありませんよ…わたしは一般的のことを、客観的に、ただ、亡き父君の顧問弁護士としてですな、言っているまでですから…当然じゃありませんか…なら、訊きますが、相手の名前は?相手の電話番号は?…尋ねていますか?…あなたも相手の免許証を預かりましたか?…それごらんなさい…全然、何もしていない…ただ一方的に、されるがまま、なされるがまま、つまり、奪われるがまま、といった体(てい)…どうです、図星でしょう…腑抜け同然じゃありませんか、極めて失礼な言い方を敢てさしていただければですよ…」  「ま、結果的には、そのようにみられても、仕方ない節(ふし)が…。しかし、本当は、それとは、ちょっと違う。まあ、全然違う。しかし、他人(ひと)に言っても仕方ない。理解されないだろう。うまく、口にはできないような、デリケイトな問題がね。つまり、手っ取り早く言えば、感情、みたいなもの。物事には、法律以上があり、法律的があり、法律以下がある。あの女(ひと)のことは、超法律、超日常、超打算、つまり、特別、不合理、不公平、即ち、一切、全て、なのだ。おれは、信頼している。また、目下、そうせざるを得ない。そうしないと、すべてが倒壊する可能性が出てくる。とはいえ、何か法律的の問題でもが起これば、仕方ない、あなたにお願いせざるを得ないでしょう。だが、万が一にも、そのようなことは起こらないし、…あの方はそんな方じゃないからだ。それに、もし、そのようなことが起これば、あなたの勘の方が、わたしの勘より、優(まさ)っていたというようなことになりかねない…そんなことはあり得ないし、また、あってはならない…それに、金など…慰謝料か…もし求められるのなら、即座に、いくらでも払ってしまったらいい。躊躇わず、払ってください。おれは、我慢するよ。任せるから、よろしく…」  「そんな、気違いじみた、無茶苦茶な、ほんとに、もし父君(ちちぎみ)がいらしたら、もし、父君がご存命なら、あなたなんぞ、鐚一文…お金お金といっても、父君のご遺産なんですからね、父君の残された。…わたしは、あなたの父君に管理を頼まれ、そのお約束を誓った者として、法律家としてですな…ですから、坊ちゃん、健全なる、…ご遺産だけで、その配当と金利だけで、何もしなくても、ただ健全に、配当金とお利息だけで、人並みのリッチな生活が…。もし、元金さえ目減りさせなければ、ですよ、ずっとずっと、保障できるのですから。…ほんの少しでも、元金に手を付けちゃいけません。そんなことをすれば、立ちどころに、生活に困り、仕事につかなければならないような羽目に、働かなければ生きていけないような状態に…」  「仕事か、おれは仕事なんぞ望んでおらん。仕事は人間よりもコンピューター、つまり、ロボットか、ロボットに、より、向いている、ふさわしい…」  「そんな、もう…わたしはそんなことを言ってるのじゃありません…わたしは、坊ちゃん…」    「あなた?あなたですか?」電話に女の声がしている。T道路のB大橋近くの喫茶店にいるから来ないかと女は言っている。「五分で来られるでしょうね?」  「それは、無理でしょう…」  「なら、もう居ないかもしれないわよ…」  「いくらなんでも、それは無理でしょう」  「ぶっ飛ばしなさい、ぶっ飛ばしなさい、もし、あたしに逢いたいのなら」  『これは、困ったことだ』と男は思う。しかし、男は、諦めようなどとは毛頭思っていないみたいだ。  アクセルを踏み込む度に、タイヤがスリップして軋む。男は、アクセルペダルと、そのペダルを支えている細くて丸い鉄棒との溶接部分でもがヘシ折れはしないかと危ぶまれてくる程度にまで、アクセルを、極度に、乱暴に、踏み込む。そして、そのあげくは、急ブレーキー、そしてまた、急加速…男は運転席にあって、まるで、馬の曲乗りをでもしているみたいな体(てい)だ。  喫茶店に着くと、ボーイに名前を訊かれる。「そう」と男が言うと、三階の専用の個室に案内された。男の期待は裏切られ、女は独りではなく、いま一人の男と一緒にいた。「それでは…」とか「それでは、また、お電話を…」とか、いま一人の男が言っている。部屋には、黒い革張りの長椅子や肘掛け椅子とテーブルや数多くの観葉植物が置かれている。鉢に立っている名札には、大鉢で、パキラ、アラレヤ、ドラセナ・コンシンナ、それに、中鉢では、クロトン、カラテア、ストロマンテとなっている。壁には数枚額が掛かっている。ヒンドゥー教の石窟寺院やそこにある神像の写真みたいだ。『トリムールティー像 エレファンタ石窟寺院奧殿本尊』『パールバティー女神 エレファンタ石窟寺院奧殿前室浮彫』『宝輪 コナラクのスールヤ祠堂前殿基部の浮彫』『カンダリヤー・マハーデーヴァ寺院』…  「免許証を手掛かりに…」と女は言っている。そしてしばらくの間、小さく柔らかく声を立てて笑っている。なぜそう女が、にこにこ、にこやいでいるのか、男には理解できない。しかし、上機嫌の女を、輝くばかりの美女を、ほかに誰も居ない部屋の中で見つめることができるということは、激しい苦しみであると同時に、この上もない心地よさでもあった。  「…社の者に、あなたのことを、ちょっと、調べさせました」女は、また、小さく笑った。「変わっていますのねえ…珍しい方ですわねえ…」女が部下の者に調査させた、男に関するメモの一節は、大略、以下のごとくだったらしい。  「独身…無職…《一体、男は、時間をどう過ごしているのか。退屈じゃないのか。まるで仕事無しで…どんな金持ちでも、四六時中、働く。きっと働かないことに極度の不安を感じるからなのだろう。働かないことに不安を感じない者など一人もいない。働かない者は尋常ではなく、異常であり…そうではないのか…》…資産**億、主として有価証券、それに山林《すべて土地成金の一人息子として相続したもの》…教育は一応一流《一応、というのは、実のところは、分らない。大学をただ卒業したと言っても、ある種の面においては、特に、品性の点においては、極めて劣等、かつ異常なものが皆無ではない》…目下のところ、艶聞、醜聞、一切なし。かつてのことは不明。《これは調査機関の探偵たちのいうことだから百パーセントは信用できない。ヒドイ場合には、直接、当の本人からコメントをもらってデタラメを作文する探偵がいるくらいだからだ》」女の部下が、女にした報告は、大略、以上の様なものだったらしい。  ここで女の顔から微笑みが消え、女は言った。「免許証もっと大切にしなければ…わたしのクルマのこと、もういいから。…忙しいので、それでは、これで、ね」  女は、免許証を男に返した。白くきらめく長い女の指が…爪のマニキュアの銀色が…     エンドレスに流れ続けるCDからは、『悲惨な戦争』が聞こえている。女性の声が、「No,my love. No.」と歌っている。CDを切ると、自動的にラジオに変わり、株式市況で「イタガラ、****円、**円安…」と言った具合で、「総じて売り一色、小甘い程度ではない」らしい。いま、岸辺はハーバーらしく、遠目にはクルーザー級のヨットやモーターボートが湾内をびっしり埋め尽くしているのが眺められ、こちらへと登ってくる陸���おか)の上にも、台車の上に乗せられた流線型の船体が、次から次から、現れてきては、後へと流れ去る。リゾート地帯特有の傾向で、往き交うクルマは外車の比率が異常に高い。     「あなた大変な女にぶっかっていますよ」〈センセイ〉が電話で言っている。「もうこれは非常なことです」一体、何のことだか男には、さっぱり、分らない。「あの女のこと調べてみましたが、かなり手強い、と言うか、もうほとんど完全に強力な…パワフルな…トップレディって言うのか、なんて言うのか、医者のくせに医者にならず、つまり大学は医者の大学、医学部か、医学部を、それも、外科、外科…信じられない…出ておきながら、医者にならず、…不自由ならしい、医者は自由業だけれど、不自由ならしい。つまり、時間を縛られ、また、病人相手にあまりにも責任が重過ぎる、と女は考えているらしい。つまり、裏を返せば、かなりズボラな性格の女と言える…もちろん、よく言えば、自由な女、だ。…社会性のない、自己中心的な…そこで何か、経営、つまり商売、輸入会社か、絵画関係の、美術…しかも、その一方で、趣味で、どこかの大学で講師をやり、インド美術…なかでも、特に、ヒンズー教寺院の石窟レリーフか…何かに特に興味があるらしい。要するに、それを大学では講じているらしい。しかも一番いけないのが、大変な、異常なまでの、美女ときている。Face & Body において、極度に…もう一目見ただけで、ただでは捨てて置けない衝動に、どうかしなければいけないという運命みたいなものの暗示に…何がどうなろうとも、もう知らない、つまり命懸けででも…気狂い…この女のために人生を狂わされた男は大学生時代から、何百人と束になって、数知れないらしい…勿論、狂う方が勝手に独りで狂っているだけなのだから、一切の責任は男達にあり、極めて迷惑なのは女の方に決まっているのだろうけれど…彼女は人目の多いところには近寄らないらしい。それは恐ろしい電気メスのような我を忘れた男達の視線に次から次と連続的に身をさいなまれているようなものだからであるらしい。アイクチのような視線が、おびただしく、刹那刹那、すれ違いざま、路上で犯しにくるのだ。美女の憂鬱どころの騒ぎじゃない。美女の悲劇だ。からだが目立ち、自然と挑発的な上に、顔がまた非常に悩ましいまでに艶やかな…ということは、心もまた、あるいは、大変な、好色女で…」   「もう結構、センセイ、わかりました。しかし、調査と言っても、それらは、ブリキみたいに平板な、誤った伝聞記事…調査会社社員の、一定時間内における一定の、つまりノルマのために、あえて作られた単調無能なブリキ作文にしかすぎない。ホラだ、ズボラなダボラだ。それにひきかえ、おれはすでに彼女と衝突しており、…事故か…衝突を通じて、彼女がどんな脳味噌コンピューターをしているのか、つまり血液コンピューターだな…感じ取っているはずだし…大切なのは、目の色、だ…彼女の目の色の意味…しかしそんなことは、いくら考えたとて分るものではない…われわれは何も理解できない。訳もなく感じ、ただ漂うだけだ…それに、もうすべては落着した。事故は無かったのだ。女神は去られたのだ。一切は、束の間の、幻影か、まぼろしか…ただ、心には、おびただしい、飢渇だけが…心臓の締め付けられるような痛みだけが…悲しみの念、だけが…どうにもならない、莫大な悲嘆が…」  「坊ちゃん、そのようなことは、そのような生々しいことは、心の奥に押し込めて、蓋をして…押さえつけられまして、抑圧に抑圧を重ね…決して口外など…それにしても、もしそれが事実なら…儲かると言うか、損せずに済むと言うか…慰謝料、修理費の点、よかった、よかった…何もかも、失われること無く、無傷でよかった。無事円満解決。これほどよいことが…」     暗闇に、ヘッドライトの光芒の中に、白く、雪が吹きつける。CDは『沈黙の音』『花はどこへ行ったの』『風に吹かれて』と続き『トルコ風ブルーロンド』『テイク・ファイブ』タンゴで『夜のタンゴ』『オレ・グァパ』ときて、ガーシュインで『ラプソディ・イン・ブルー』『パリのアメリカ人』…時は、エンドレスにCDから流れる音楽によって刻まれているみたいだ。時刻は、すでに、完全に真夜中を過ぎ、おそらく、丑の刻、丑三つ時頃、だろう。 湖周道路には、この辺りまで来れば、すでに人家は無く、一切の建物も無く、車影も無く、いま、闇と雪と孤独だけが…雪はフロントグラスに、暗闇の奥から、次から次から、盲滅法に、永遠の狂気みたいに、ぶち当たって来る。左手は、闇の奥に、湖面だろう。右手は、同じく、闇の奥で、葦の生い茂る、湿地、沼、荒れ地…ときに河口、ときに水門…湖周道路は、いま、丑の刻、人気(ひとけ)も無く、光も無く、無際限の闇と、無際限の孤独と…スピーカーはガンガンと耳をつんざくばかりの音を繰り返し…フロントグラスには、群れなし狂う雪片が…車は闇に突き刺さり…  路面は、いま、ヘッドライトに照らされて、艶やかに黒い。それは、いくらぶっ飛ばしても終わりが来ない。夜の、闇の中の、黒く濡れた、アスファルトの、直線の、起伏もない…車の左右では、事物が、猛烈なスピードで、きっと、飛び去っていっているのだろう。それは、左手は、湖面であり、右手は、荒地、葦原、沼地…だろう。  車に、遠心力が…カーブだ…左側にふくれようとする…厭な気分だ。ライトに照らし出された前景は、物凄いスピードで左に流れて行く。一体何が見えているのか定かでない。きっと、藪、雑木林、下生えの茂み、といった類(たぐい)なのだろう。道は昇っている。カーブは連続的なS字だ。湖面に、またも、岬でもが突出しているのだろうか。きっと、地形は、そんな具合なのだろう。やがて路は下りに、平地の直線となり、またも、沼、荒地、葦原(よしはら、あしはら?悪し原?)と続くのだろうか、どうなのか…  仕方なく、脇道に入り、男は車を止める。ドアを開くと、冷気が薄着の身にしみる。雪は、後から後から舞い落ちてくる。雪片は、ここでは大きく見え、牡丹雪だろう、雪はすぐに溶け、髪の毛を濡らす。巨大な、無限と連結した闇の中、ただ、ヘッドライトの光の筒の中だけに、へら雪が後から後から舞い落ちる。  男は、やがて、いま立っている前方は湖面だろう、という朧な予見みたいなものを心にもって、無謀に、前へ、暗闇の中へと進んで行く。すると、背筋がぞっとする。どうやら、一つならず、二つならず、古びた墓石が…よく見ると、なんと、墓石だらけである。ここはもしかすれば、すでに捨てられてしまった、昔の墓場みたいなところなのか…よりによって、また。…信じられないことだ。男は、今度は、反対側を…まさか、と願いつつ、恐る恐る闇の中を覗いてみる。しかし、やはりこちらも…しかも、こちら側は、湖面側よりも、もっとおびただしい数の、ほとんど闇の奥へと、いま、無限につながっているようにさえ見える古い古い墓石が…完全な、古い墓場のど真ん中に、男は…いま、丑の刻、舞い散る雪の中で…  「墓場へ、墓場の中へ…墓場で、だ…よくよく、だ」男は思う。「真夜中過ぎに、だ。暗闇の、見捨てられた、古い古い墓石の群れの中で、だ。雪は、後から後から舞い落ちてきて、だ。…おれは一体どういう運をしているのだろう。偶然迷い込んだとはいえ、どうもこの種のものが付き纏う」男の頭に、この時、車で!、だ、すぐにも脱出!という思いがよぎる。しかし、まさにその刹那、遠くに、一条の光が…光の揺れが…その光は、見る見る、こちらに近づいて来て…車のようだ。車のヘッドライトみたいだ。これはいけない。ただ事ではあるまい。時刻が時刻だけに、何か犯罪じみた。どうにもならない不自由に巻き込まれ…犯罪は、うるさいぞ。何しろ強制的だからな。自由の真反対だ。時間を、完全に、奪われてしまう。…男は、一瞬、墓場の墓石の群れの中へ逃げ込み、隠れようかと思う。しかし、車を、そこに残したままでは、かえって不自然だ。遅すぎる。すでに捕らえられている。厭な思いで、男は両のこめかみの辺りに、ヒヤーと痺れみたいなものが走るのを感じる。男は、いまでは、近づく車のヘッドライトを真っ正面から身に浴び、まばゆい光にさらされ、棒立ちしている。諦めて、すっかり観念したのだろうか、どうなのか…  ヘッドライトが消され、車は止まり、エンジンが切られる。男の車のフォグライトの淡い光の中に、舞い散る濃い雪の群れの奥に、人影が、コツコツとリズミカルな足音が、…両の肩に黒い毛皮のコートを引っ掛けた、凛々しくて高貴な、素敵なあの女の姿が…  「どうしたんです?」  「どうもしないわよ」女はほほ笑んでいる。  「人気(ひとけ)もなくて、寂しくて、まるで、荒涼とした、地の果てみたいな、ここで…」  「嫌いなの?」  「いや、嫌いでも好きでもないけれど、ちょっと怖かった…濡れるといけないから…雪…車に…」  「あたしは時々ぶっ飛ばすわよ。真夜中、頭が冴えた時…」  湖面が見てみたい、と言って、女は先になって湖側の墓場の方へ、歩み始めようとしていた。しかし、すぐに立ち止まると、男の手を、ぎゅっと、握りしめてしまった。  「親しくなりたいの」女は言った。  男には、信じられないことだった。男は一瞬とまどった。しかも躊躇いは許されないようにも思われた。男の脳味噌コンピューターは一瞬のうちに気違いみたいにフル回転した。多くの、数知れない演算が刹那のうちに行われた。女が、おおよそ、どんな罠に、二人して掛かろうとしているのか、見当がつかないでもなかったが、突然、選択を迫られると、幾分、恐ろしいことのように思えた。新しい口づけをする度に、どうしても、いままでの自分では居られなくなるだろうし、否応無く未知の世界に歩み入らねばならない不安や苦悩や、時には、恐怖すらが待ち受けているだろうし…新しい口づけには、恐怖が…それでも男は女に口づけせざるを得ないだろう…それは、とろけるような、不自然な味の全然しない、違和感の無い完全に許し切った、柔らかい、ふっくらとしてふくよかな、夢の中でのように軽やかな、べっとりとして甘美な、一度その味を覚えてしまったら二度と後戻りすることができないような、天国で居るみたいな…その口づけは、まさに成熟し切ろうとしている女の自然から湧き出る、一切のためらい��無い…それはきっと、いま丑三つ時、闇へととろけ去る数知れない墓石の群れの中…しかし一方冷徹なものでもあった。女の毛皮のコートのお陰で、男は女を、何か抱きしめにくく、抱きしめ切れず、抱きしめても抱きしめても、その分、毛皮が反発し、長くて腰の強い毛皮の毛がつっぱっているみたいで、まるで女の体には、いつまでたっても到達できないみたいな…しかし、女の顔は、火照っていて熱く、吐く息も熱く、それは闇の奥から、いま舞い落ちてくる白い雪を溶かし、男の顔に心地よい熱を…女の脚から力が抜けていくのか、その分、いま男の腕に重みが増して来たみたいで…  雪は容赦なく舞い狂い、女の頬を打ち、髪の毛を濡らす。夜の闇は深く、時は停止してしまったみたいに、まるで時は…そして、時は…  しかし、やはりそれでも時は過ぎ、西の空の雲は切れ、星々は輝き…プレアデス星団が、ヒアデス星団が…牡牛、オリオン…ヴェテルギウス、シリウス、プロキオン…懐かしい冬の空の星々が…しかし、瞬く間に、またも、いったん蹴散らされた雲は逆巻き群がり連なり、厚く厚くとろけ合い、闇が、分厚い闇が、またしても雪片が…     「写真等データ見せてもらったんだけれど、あなたには、悪いところがありますよ」車のシートに寝そべったままの女が言っている。「手術なさい。…できれば、一つくらいは、あたしが直接してあげてもいいのだけれど…可能なのか、どうなのか…」  「悪い…?」  「まず、肺。それから、肝臓。それにきっと、性交後に痒みを感じると言っていた、陰嚢」  「インノウ?」  「陰嚢。…詳しく診てみなければ、定かな判断はできないけれど、きっと、切ってしまった方がいいでしょう。何もかも悪いところは、切り捨ててしまった方が…完治するためには。肉体がすっかり改善されるためには。心配しなくても、すぐに新しいものが生えてきます」 男は、もしかすれば心に悪いところがあるかもしれないとは思っていたけれど、からだにまで悪いところがあろうなどとは思ってもみなかった。朝であれ夜であれ夜中であれ、眠ろうが眠るまいが、疲労はひとつも感じられず、自分は不死身であるとさえ、内心、思っていた。しかし、彼女がとても好きだし、彼女を尊敬しているし、彼女の言うことに、できれば、訳もなく逆らいたくはなかった。彼女の長い、ひんやりとして冷たそうな、美しい指が、自分の内臓を良い方に、良い方にと、すばらしい敏捷さでもって、改善していってくれるのだと思うと、思ってみただけでも、極めて有意義、というよりは、むしろ甘美かつ魅惑的、最高、だとさえ思われた。しかし反面、また、冷静に考えるなら、それだけ切って切って切りまくるのだから、それは相当な手術になるだろう、信じられないような、手術に。…だから、万が一にしろ、運悪く、もしかすれば命を落とすようなこともあり得るのではないか。…しかし、そのようなことに仮なっても、すべてのことを一切合財考え合わせれば、やはり、ひとの命というものは、定かならぬものなのだから、仕方ない、仕方あるまい…とも思われた。  「おなかが減ったみたい」ほほ笑みながら女が言う。「夜明けが近いのかしら」  「そうですねえ」と男は言う。「でも、ここには何もないですよ」 「それなら何もない方がよい…気分いいのに、あなたはどうしてそんなに、おとなしいの。…助けてあげるから、安心なさいね…まだまだ手遅れではないんだから…」  女は、いま、やや横寝になって、腋のラインからはみ出ているたわわな乳房のすっきりとした弧の線が目立つ。いくら口づけしても飽き足りない。可愛い乳首が勃起する。  車の中は暖かく、暑いくらいで、女の薫りが、かすかにしている。それは、表面、あっさりとして爽やかな香りなのだが、裏に、奥の方に、濃密な、濃厚な、しかし嫌味は全然感じられない、どうにもならないような、悩ましい、蕩けるような魔力のある、不思議な、…きっとフランス製かイタリア製か(あるいは、オマーン製かもしれない)の香水に彼女の強烈な体臭が、微妙にミックスされて出来た独特な香りなのだろうか、どうなのか。 男は、女の汗の匂いが、特に好きだ。それを嗅ぐと、果てしない魅惑を感じ、頭がクラクラして、すぐにキスしたくなる。  闇がかすかに白み、東方に光が…東の空が茜色に…。前方には、広々と、青く湖面が広がり、その彼方上方に、真っ白に雪化粧しているH山系の、信じられないような、見上げるほどの間近な姿が…まだ昇りきらない、わずかに赤味を帯び始めたばかりの太陽のこの日の最初の光に、神々しいまでに輝く峰々…無数の山襞は、刻々昇り刻々その射す光の角度を変えて行く陽の光を浴びて、微妙に異なった輝きを反映する無数の面に…山襞は一つ一つ襞毎に、白、銀色、灰色、オレンジ、ピンク…と色付き輝き…それらは、また刻々と色を移し変え…  女は、いま、まどろんでいる。男はその女の顔を、まじまじと、見つめる。そして、その美しさに、あらためて感動し、納得し、満足する。長い、細いうなじのライン。いくらキスしても飽き足りないような、か弱そうな可愛いうなじ。顔は細面。鼻は高く、鼻筋は、すっきりと、通っているが、小鼻がなく、頂上から二つの穴へのラインが可愛く緩やかな幾分丸味を帯びているので、威圧感は全然ない。いまは閉じられているが、両の目、もし見開かれれば、一目見ただけでも容易に忘れがたい深い印象を残す黒目の輝き。まぶたの下のラインは、ほぼ、真横だが、目尻の最後のところでわずかに上方に切れ上がっている。上のラインは大きく孤を描き、もし目蓋が開かれれば、そこに黒くて大きい輝く不思議な魅惑をたたえた愛らしい力強く高貴な両眼が見られることとなるだろう。口は小さく、上唇は細く一直線で冷たく理知的であるが、下唇は幅広くふくよかで、真ん中のところが、やや、平べっちゃく、少しへこんだ様な感じさえ与える。もし口づけすれば、そこは耐え難い快楽へと誘う吸盤のような感触となるだろう。そして下唇のラインは上反りなので、いかにも肉感的で挑発的であると同時に親しみやすい感を与える。下唇は、まるで、無数の果てしない、心地よい悦楽を約束しているみたいだ。長い髪は、いま、アップで、女神のように、気位高く、つむじのあたりで小さな低い塔のように、やや無造作に、束ねられている。そのヘアスタイルは、また、うなじのラインの可愛らしさと透き通るような肌の初々しさと横顔の愛らしさを際立たせているみたいだ。男は、女の化粧なしの素肌なのが好きだったし、装身具皆無なのも好きだった。  『女。自分には身に余るような高貴な女…』男は、独り、思い続ける。     「まるで、ドラキュラに愛されたみたい」女は、いま、車のバニティ・ミラーで、首筋の辺りを調べながらほほ笑んでいる。そしてスカーフを固く固く巻きつけて、首筋のそれらの傷跡を隠してしまう。  「忙しいから、あたし、今度いつ会えるかわからない」女は言っている。「でもその時は、また連絡してあげるからね、あたしの方から」  男は非常に悲しく思う。男はもうこのまま、永遠にずっと女と離れずに一緒に居たく思う。男は、いま、急に女を見失ってしまったような気分になり、苦しみの念に満たされる。ひとつの山を征服し、印に山頂に旗を掲げたつもりだったのだが、霧が晴れてよく眺めてみると、なんと、その頂は山全体の頂ではなく、より高い峰が霧の奥の遥か彼方に、意気高く、高貴に聳え立っているではないか。男は、屈辱をすら感じざるを得ない。しかし女は、スパッと、まるで平気なみたいに、去って行こうとしている。男の車のドアを、後ろ手にバタンと力強く閉めると、自分の車の方へと去っていく。その姿は、凛々しく美しい。エンジンを掛けると、左手でハンドルを握り、右手を上げて別れの合図をし、ほほ笑む。こんな悲しい時に、よくも平然と美しい微笑を浮かべていられるものだ、と男は思う。女は左いっぱいにカーブを切りながら、大胆に、滅茶苦茶に、一気にアクセルを踏み込んだみたいだ。それも、ここ、湖岸の砂地で…。だから、車は激しくスリップして、そこに残っている男の車に、一面もろに砂塵を撥ね掛けて…     今日は、土曜日なのか、それとも日曜日なのか、湖周道路には、遠方からの〈遊び車〉が氾濫し、またもT道路は渋滞している。CDは、いま、エーロン・コープランドで『エル・サロン・メヒコ』だ…しかし、もしCDを切れば、自然とラジオに切り替わり…そしてまたも、それは株式市況で…《売り一色、陰の極》とでも来ているのか、どうなのか…もっとも、もし、今日が、本当に、土日なら、勿論、相場は休みとなり、市況のアナウンスもあるはずがないのであって…真ん前を行く車は見慣れない。イタリア車くらいなのかもしれない。横に美しいラインで膨れ、上にもかなり盛り上りのある、見事な尻、をしている。多分、ヨーロッパの車なのだろう…     女からの連絡で、公的なものではないが、なにか人間ドックみたいな所へ入るように言われた。各種の検査をしたり、何より、禁酒、禁煙し、体力をつけるためらしい。部屋は、個室で、三階の南向きの広々とした清潔で、調度類は簡潔な部屋だった。白衣を着ているわけではないが、明るいカラーの制服を着た娘達が、入れ代わり立ち代わり、部屋へ出入(ではい)りしていた。各種のデーターを揃えているのだろう。中には、素手で男の胸にさわり、撫で回し…男が我慢していると見て取る��、クスクス笑う娘がいた。「検査のためなのだから我慢して」と娘は言っている。それから指で胸の肉を摘んで引っ張り上げ、男が「痛い痛い」と言うと「脂肪の層を測っているところなの」と言って笑っている。変わったことをするもんだ、と男は思う。食事はやたらと肉料理が出てきた。缶入りタバコも葉巻もワインも、全部禁止された。これはもう、男にとっては、拷問みたいなものだった。しかし、女(いや、女神)への愛のためには、これくらいの苦しみには耐えなければ…とも思えた。約一週間、タバコが欲しくなるたびに、隠し持っていたジンを一口喇叭飲みした。冷えてもいないし、カクテルも作れなかったが、この際、贅沢は言っておれなかった。こうして、タバコは、必死の意志力の下、止まったのだが、その分、アルコールの量がやけに増えた。しかし、禁酒より、むずかしいだろうと思っていたタバコが止まったことはうれしかった。  〈センセイ〉からの電話は、惨憺たるものだった。男を頭から馬鹿にし、ほとんど気違い扱いしていた。  「あなた、どこが悪いのです。どこも悪くないじゃありませんか。…だるい?…放蕩が過ぎてるんじゃないですか、放蕩が。…放蕩皆無?…なら、それは気持ちのせいでしょう。持ち株の…株価の暴落とか、なにか…なにっ!金にも一切興味ない?…無頓着?…もし本当にそうだとしたら、それこそが、まさに、病気なんですよ。カネを寝ても覚めても、とことん追求する、そうしないからこそ、病魔にも…あなたは常々、わたしがカネのことを考え過ぎるといって軽蔑なさっていますがね、考えないあなたの方こそ精神に、どこか異常があるのです。ですから、坊ちゃん、必要なのは、あなたの場合、外科手術ではなくて、精神科…きっと、どこか脳味噌の電気反応にでも異常が…」  「そりゃ違う、まったく。肺に癒着があるんですよ…肺と肋膜?…胸膜?まさか、腹膜じゃないだろう、全然、そのあたりは、詳しくは分らないがね…癒着が…それを、アノヒトが…」男は、女の事は〈センセイ〉には、もう内緒にしていた。「あのひと?」「いや、その診てもらった、掛かりつけのお医者が…」「ますますもって、坊ちゃん、あなたはおかしいんじゃありませんか。…何か夢、悪夢にでも…しかし、癒着なんぞというものは、誰にでもという訳ではありませんが、そんなもの…何が手術です、放って置けば、どおってことないじゃないですか…なにか、誰かの、術中に…陥って…悪徳医の、切り切り魔にでも…なにかそんな…」「そりゃ違う、とんでもない。疑られては困る。いっさい、わたしを信じるよう。…ただ、費用の支払いの方は、この際万端、ひっくるめて、すっかり頼んでおくからね、すっぱり手落ちのないようにね…」     女から、連絡があった。そして外出が許された。迎えの車が来るらしい。  車は、旧い型のデボネアだった。「骨董もんだね」と運転していた男に言ってやると、その男は苦笑していた。しかし、口など利かなかったらよかった。運転手の男は、やがて女の陰口を利き、男はつい我慢できなくなり、拳骨でストレートを一発、運転手の頬骨目掛けて食らわした。「本当に事実を知っているのか」と問い詰めると、いや、ひとから聞いた噂だ、と言っていた。「噂だけで、ひとを傷つけるようなことを、そうそう簡単に口にしていいのか」と怒鳴り付けてやると、いいえ、とその男は言っていた。その後は、案外素直な喋り方をするので、男は、かっ、とした自分を後悔した。男は途中で車を降りてしまった。しかし、降りると同時に、しまったことをした、と思われた。第一、行き先が分らない。第二に、誰とであれ、トラブルなど起こしてしまって、きっと作用は反作用を呼び、結局は、巡り巡って、彼女に不利な力となってはね返って来るのでは…いま、男の心には、いやな想いが、後から後から噴出して来た。…「本当のところは、嫉妬したんだろうな…」と男は思う。しかし、実際、仕方ないことだった。他の女たちと比べて、彼女はあらゆる点で、はるかに魅惑的なのだから…男は女に連絡をとってみた。女は留守で、次から次へ、回された。「**番へ損にして掛けてみてください」こればかりである。…しかし、到頭、女の声に巡り会えた。運転手のことを謝ってみると、すでに「知っている」と言っていた。     ラブホテルは、なおも続き、終わりが来ないみたいだ。それは〈メルヘン〉、〈ドリーム〉、〈2番館〉…〈ベルローゼ〉、〈セント・ジェームズ〉、〈OZ〉…〈サン・クリスタル〉、〈トレンピア〉、〈セルベーヌ〉と連なり、〈エンセラー〉、〈ミシガン〉、〈アルテミス〉そして〈シルビア・ルーム〉…といった具合である。要するに、切りがない。一画は、市街地からはかけ離れた、湖と内湖に挟まれているような感じのところだった。  女の車は、とある建物の中庭へと入って行った。そこには、手入れの行き届いた欅の並木があった。車は噴水べりに止められた。その円形の池には、錦鯉が泳いでいた。それらは、三毛(さんけ)、金兜、銀兜、秋水、紅白…中には、ドイツ鯉も混じっているようで…  「錦鯉、好き?」女が、言っている。  「いや、好きでも、嫌いでも…」と男が言う。  女が幾分身を前傾にして池を覗き込むものだから、ただでさえドギツイからだの凹凸(おうとつ)のラインが、より挑発的に魅惑的に男を刺激する。男は、恐る恐る、女の腰のくびれに手を置く。男は燃えるような恋の想いで、いま、心がとても不安定だ。その点、女がゆったりとほほ笑んでいてくれているのは非常にうれしい。しかし、その女の心も、いつ急変するか知れたものじゃないと思うと、安心など、いつになってもできるものではない、と男には思えた。男は女の腰に置いた手を、もう一歩進めてスカートの中へ、いま、池の中の鯉を見るために、半ば縦に開かれている女の太ももと太もものあわい、つまり、陽毛、陽唇、陽核のあたりへ…やりたい…あるいは、やるべきかどうか、つまり、そうすることが、女への敬意、ないしは、女への愛に違反しないのか、どうなのか、思い迷っていた。しかし、もしそうすると、女のいまあるほほ笑みが、消え去らないまでも、幾分薄れたり歪められたり、…いや、それは、やはり完全に消え去ってしまうだろう。そして、それは苦しみの表情に、たとえ表面だけにしろ…しかも、表面以外に一体何が分るというのだろう。分かるということと、推測できるということとは別のことである。つまり、表面は、…表面もまた…。  女は、「いらっしゃい」と言って、男を建物の中へ誘った。     ブザーが鈍く鳴った。小っちゃな電子レンジのドアみたいなところを開くと、注文したCD四、五枚とワインと���ードブルが届いていた。ここには、束縛がなかった。自在空間だった。コンピューターは怖くない。怖いのは人間だ。特に人間の目なのだ。  二十四時間くらいならもつでしょう、と言って、女は笑っている。モーゼル・ワインとニンニク入り豚の腸詰(少なくとも、オーストラリアかドイツ産の、中国、朝鮮のものも、うまかったように思うが…)さえあれば、いくらでも…と男は思う。  「もうこれで、最後になるかも」と男は思う。「手術がうまくいけば、永遠に、永遠みたいに幾度も、このひとと逢えるかもしれないけれど…うまく行かなかった日には、今日が、これが、いまが最後となる…」  CDからは、『ジーラ・ジーラ』が聞こえている。演奏は、もしかすれば、ホセ・バッソ楽団かもしれない。女は男に、すっかり裸になるよう言っている。湖岸の自転車道で、毎日、雨さえ降らなければ自転車を楽しみ鍛えた男の体は、全身太い筋肉で起伏に富んでいる。男は、ダブルベッドに、仰向けに横たわった。  女はまず、男の首筋に指先を当て、リンパ球でもを調べているみたいだった。「どうです?」男が訊いてみた。ううん、と女医さんは言っている。しかしそれ以上は何も言わない。そして、ほんの少し、軽く、両の耳たぶを親指と人差し指で摘んでひと撫でし、(彼女の指先の感触は、とても心地よい。頭の芯が、すううっ、として来て、男は心地よく感じる。彼女の指に触れられていると、自然と、なにか、心が和んでくる、そういった感じのものだった)…それから、乾いて、いま、かさかさになっている、緊張した男の唇を潤すみたいに、そっとキスをし、今度は、男の胸を調べにかかった。肋骨と肋骨の間へ指先を立てて押していくのである。まるで、最良の指圧でもをされているみたいな感じだ。  「確かに、癒着があります。右肺下葉です。それに、穴の開いているところ、つまり空洞ですね、空洞があります。しかもこの空洞の影は、断層、ならともかく、普通のレントゲン写真には出ないでしょう。いや、写るのは写るのですが、少なからぬ医者が、もしかすれば、まあ十中八九見落とすかもしれません。それに鎖骨の真下になっているから、この間の平面写真では鎖骨の影に重なって、見辛くなっていたのです。早晩、断層写真を撮ることでしょう。…右、上葉、ですね。…検査の結果では、まだ開放性ではないみたいだけれど…」  男は、全身の皮膚が非常に敏感にできているので、愛する女(ひと)の接近と触診で、もうすでに我慢できないくらいになっていた。…男は、腕を伸ばし、リモコンでライトを消した。CDのボリュウムも、リモコンで下げた。タンゴは『ガウチョの嘆き』が終わって、いま、『オー・ドンナ・クララ』になっている。ボリュームは極度に絞られ、もう殆ど聞き取ることが出来ないくらいにまで絞られ、そして早晩、それは完全に消え去���だろう。そして、タンゴが薄れ消え去っていくのに連れて、女の吐息が、喘ぎが…ああ、と泣き叫ぶ悲しい悲しい女の叫び声が…「これは、本当に悦楽なのだろうか…ひとはこれを悦楽と呼ぶのだけれど…あまりにも、ぎりぎりの女の叫び声を耳にしていると、何が何だか…一体、これは…」  「こんなこと急に仕出かして」と女医さんが、穏やかに、微笑みながら言っている。「まだまだ診察は、すっかりすっかり終わっていないんだから…」  女の、ゆったりとした、安らいだ表情を目にして、男は、はじめて、自分も仕合せな気分になる。いま女は、男の腕に身を任せ、男の脇に寝ている。  「ほら、ここもいけませんね」女医さんは言っている。男の脇っ腹のあたりに女医さんの関心は移っているようだ。手のひらの先半分くらいを使って、非常に柔らかく、また優美に、男の右肺下葉の、いま少し下の付近を、押したり緩めたりしているのだが、時々、ふざけて、ちょっと摘んでみたり、爪先を、わざと、たててみたりもして楽しんでいる。  「これはアルコールが原因です。ずい分と飲むでしょう。…最初のうちは、ま、いいのです。しかし、あなたの場合は、その段階をとっくに通り過ぎてしまっているのです。アルコール性だけのものなら、アルコールを断ち切れば、それだけで、もうよくなるのです、やがては。しかし、あなたの場合は、その段階を通り過ぎてしまっていて、どうしても切り捨てざるを得ないところ、つまり、すでに肝臓としての機能を果たしていない、血行の悪い単なる脂肪塊が…固く固くなった単なる繊維質の部分が…かも知れませんね…」  「ぼくは、非常に元気なんですが…元気そのものなんですが」と男は言う。「それでもやはり、いけないんでしょうか」  「それはいいことです。元気なのは、いいことです。それは、かけがえのない素質です。それだけでも、もう十分とさえ言えるくらいです。…しかし、このままでは、早晩死ぬでしょう。ですから、試みです。一つの、…」  男は、いまだに、ぴんと来なかった。自分が長生きする、ということに関しては、ほとんど興味がなかった。野生の動物のように、生きるだけ生きて、それでも、なおかつ死ななければならないのなら、そのまま、死ぬ。それだけのことである、と男は思っている。また、元気なのだから、病気など無いと同然、と判断すべきか、病気があると言われているのだから、いくら元気でも、医者の言うことに従うべきなのか、結局、男の場合、女への愛に帰するように思われる。愛していれば、命など惜しくない。信じ、任せる。ましてや科学的真偽という風な簡潔な次元での悶着など…気風(きっぷ)、というものである、一切、お任せしたい。勿論、これは、やせ我慢、ないしは、愚かな独断主義、とも考えられる…、のか、どうなのか。男は、いま、自分が躊躇っていることを知っていた。しかし、やがて今まで同様、一直線に前進を始めるだろうとも思っていた。それにしても、一旦疑り始めると、愛は、地獄である。  「まあ、まあ、どうしたの?」と女が言っている。「いけませんよ、なんという、動悸です。わたしにはあなたの考えていることが、手に取るように分りますよ。しかし、わたしもまた、あなたと同じ…そっくり同じ恋人で…恋をしている人間に、ほんの少し先でも、何かその恋について理解することができるでしょうか。あなたは、あたしの本当に大切なひとではなかったんですか…」…分った分った、と男は思う。ごめんごめん、気が弱ってしまっている。これは本当に病気なのかもしれない。第一、もし彼女が平穏で、かつ苦にならないような女だったら、そしてわたしを本当に愛してしまったりしていたら、後にどんな魅力が残っているというのだろう。きっと、退屈してしまうこととなるだろう。魅力などあるはずがないのである。だから、もしそうであるとするなら、常にまた、疑念というものは、付き物であって…。結局、すべては自在である。楽しむ自由があり、苦しむ自由がある。お前は、いま、彼女が欲しいのかどうか。もし欲しいのなら、それはそれでもう充分なのだ。お前も彼女のために命でも何でも、一切合財、くれてやればよいのである。それ以外に、恋などしようがない。もともと、何か不都合な極度の矛盾でもがなければ、恋など起こり得ようがないのだから。…美が…そして悦楽が…である。…あなたは美しい、あなたには気位がある、気高さがある、いい頭をしている、心地よい肉質の唇をしている、潤沢で繊細なくせに極度に引き攣る膣壁をしている。何よりも、悩ましく死にたくなるほど苦しめてくれて有難う。  女は、ワインを口移しに男の口に注ぎ込んだ。からだが火照っているせいか、それは特別に冷やっこく感じられ、とてもおいしかった。女は、片脚を男の片脚に引っ掛け、半ば開かれた股を男の脇っ腹に、ちょうど肝臓の真下辺りに擦りつけ、こぼれる様に、朧に蕩ける様に、消そうにも消しようがないほほ笑みを浮かぶにまかせて…  「腸にも少し…つまり、スリップが…しかしこのような異常はむしろ捨てて置いた方が得策でしょう。あるいは、精管の異常を改善する際に、どのみち下腹を開けなければならないので、その際にでも…だから、手術のプランとしては、まず、陰嚢、そして肺、と行きましょう。陰嚢に関して言えば、…」いま、彼女は、極めて巧みに、陰嚢の触診を始めていた。それは不思議な感触で、きつくもなく緩くもなく、しかも丹念なもので、内部構造に無知なものでは到底行い得ない体の指捌きだった。「陰嚢に関しては、やはり、いま直ちに症状が出ているわけではないのだけれど、つまり精管外に漏れた精子が、比較的微細な量で即座に吸収されているので何の症状も無いみたいだけれど、やがてこのバランスが崩れると、特に激しいクライマックス、クライマックスが激しければ激しいほど、その性交による横溢が激しくなる。すると、かゆみ、痛み程度の症状には留まらず、やがては、瘤(りゅう)、つまり精子の瘤、精瘤となるのです」  「セイリュウ?」  「そうです、陰嚢精瘤、です。陰嚢が、精管から溢れ出た精子で、段々段々いくらでも、ますます大っきく、いくらでも大っきく膨れ…」  男は笑ってしまった。狸の焼き物のことを想ったからである。  「笑い事なんかじゃ全然ないですよ」彼女はなおも平然としている。だから男はド狸のことを言ってみると、とうとう、やっと、女医さんも我慢できずに笑い出した。「後々、どんな苦しみが来るかも知らないで、よく馬鹿な冗談言っておられるわね」  「それにしても、そもそも、何でそんな馬鹿な事態に陥るのでしょう?原因…?」  「滅多にないでしょうね?非常に珍しいケースです。外国の稀な症例では、なにか男性が無理矢理複数の女性によって強姦?、連続的に、輪姦?って言うんでしょうか、された、繰り返し…その際に…そんな例があります。戦時のことですがね」  「男が?…される?…無理矢理?…そんなことが肉体的に可能なんでしょうか?…厭なら勃起しないでしょうに?」  「ペニスの付け根を縛りあげ、静脈の血流を遮断するのです。そうすると動脈からは、なおも、血液が流れ込もうとするのに、静脈からは流出しにくくなり、勃起に似た状態になるのだそうです。すっかりすっかり信じ切るわけにも、行かないのだけれど…」  「そうですねえ…」  「戦時の、苛酷な状態下でのことだったのでしょう…それと、もう一つの例は、あまりパートナーにやさしくし過ぎてもいけないようです。パートナーにあまりにもせがまれ過ぎて、幾度も幾度も、幾分無理して射精を続けたような場合です。瞬間的に、精子が尽き果て、精管内に真空状態でもが生じるのかもしれませんね。その際に、精管の破損が…」  「分らんですね…一体に、そんなに意識的な性交なんて…」  「全然、気にしなくっていいのです。結局は、相対的な強度の問題だと思われます。クライマックスの射精の激しさから生じる力とその際の精管の肉質の強度、その二つの相対関係でしょうね、結局は」  男は、完全には、納得出来なかった。そして憂鬱な気分に満たされた。  しかし、こうしている間にも、時は流れ、過ぎ去って行き…またも、闇が、虚空が、悲しみが、悦楽と言う名の死のような気違いじみた虚無が…女はかすかな声で何かを言い続け、また可愛い声で何かを唱え続け、心は高まって高まって遂には肉から逸脱してしまい、朝焼けの空を羽ばたく水鳥のように飛翔し、また海鷲のように急降下し、一瞬身を翻し、急上昇し、あがき、喘ぎ、悲しさのあまり泣き、叫び…神経系統、このシステムが、その痺れ、幻影が…それらは、ひとに思い知らせるだろう…存在のこの不可解と無のあの気違いじみた莫大を。  このようにして、男と女は、闇の中で、タンゴの曲とワインとまどろみの生活を、まるで無限の時の間みたいに、続く限り、無頓着に(実際には、およそ百時間くらいのことだったのだろうけれど…それとも、そうではなかったのだろうか)…そして、到頭、「さあ」と女が、もうすでに十辺も繰り返した、おそらくは、すでに二十四時間も前から空しく発せられているであろう掛け声を…(男はこの点、底なしである。時のこのような事態がまるで価値だと信じているみたいで…それとも、ただ泥沼に…ただただ燃え尽きて落ちるしかない隕石みたいに…なのだろうか、どうなのか)  女は、今度こそ自分に打ち勝ったみたいだ。男は、いま、まどろんでいるところだった。置手紙の最後は、「…あなたの可愛い女より」となっていた。もっとも、可愛い女、の四文字には、傍点が付されてはいたのだけれど。     手術室で、最初に一番に気をひかれたことは、まばゆさである。真上の天井全体が、まるで、蜂の巣のように見える正六角形のライトの集まりからできているみたいだ。  ベッドの足元のところに、両眼以外を、すっぽり、白布(緑色ではない)で覆った医者(あれこれ指示を出しているところからすれば、そう思われる)が一人いる。その脇に、もう一人の男がいる。医者の言いなりになっているところからすると、見習い、インターンの男、つまり、病院実習の医学生なのだろうか、どうなのか。(医者は、彼女ではない。彼女はどうしたのだろう。彼女が恋しい。彼女が、専門外だから、専門医に依頼してくれたのかも知れない。あるいは、全然そうではないのかもしれない。物事には、道理���言うものがあるのだから、やたら疑り、悪い方に悪い方に疑り、邪推、あるいは、悲観の誤謬、か、…疑るだけが能ではない。…しかし、それにしても、彼女は、一体…)  男の頭部すぐのところには、女看護士が一人いる。(入室前に、男の陰毛をすべて剃り落とした女看護士と同じなのか、違うのか。顔全体、今は、すっぽりマスクをしてしまっているので、分らない。おそらく専門違いで、別人なのだろう。それにしても、あの陰毛すべてのカミソリでの剃り落としは大変な作業だった。人気(ひとけ)の全然ない、静かな広い部屋で、産婦人科用の開脚ベッドに開脚して寝かされた。剃っている間中、柔らかい指で、陰茎中心に、そこら中触られまくり続けるのだから堪ったものではない。しかも、あまりにその女看護士が若く(見習いのまだ看護学校の生徒だったのかもしれない)しかも、清純な感じの綺麗な娘だったので、その間ずっと最初から最後まで、男の陰茎は、馬鹿みたいに、きつく勃起したままだった。男は、見つめられ触られ続けるままなので、なんとも具合が悪く恥ずかしく、どうにもならず、死ぬ思いがした。あれだけ女と過ごした直後なのだから、すっかり空になってしまっていて、音無しくしてくれていてもよさそうな筈だったのに、と男は思う。不意を突かれると、人間の道徳とか倫理とか意志とか精神などというものも、どこかへ吹っ飛んでしまっているのだろうか、一切何の役にもたっていない。それにしても、病院側も、もっと刺激の少ない、老看護士をでも、そのような仕事には配置しておいてくれれば、男も、長時間、その間中、赤恥をかき続ける被害に遭わずに済んでいたのかも知れない…)  男の頭部のところの看護士は、いま、男の額に触ったり、手に触ったりしている。そこには、汗でもが、すでに、にじんできているのだろうか。  「横寝してーッ」医者が言っている。低音で、慣れた落ち着いた口調で、いやに語尾を長く引っ張っている。何か、ひとを催眠にでも掛けようとしているみたいな感じである。男は、ボオッ、としていて、医者の言葉に反応しない。そこで、枕元の看護士が手伝って、男の身を横寝にする。すると、陰茎の先っちょ、つまり、亀頭か、…亀頭が手術台の固いざらざらしたシーツに触れるのが感じられる。  「海老のように背を曲げてーッ」医者が声を張り上げている。海老のように背を曲げて、と口調は全然違うけれど、女看護士が医者と同じ文言(もんごん)を繰り返し、男の首や頭や手に触って、仕向ける。医者の手が男の足首のところを握っている。インターンの男は大きな針のようなものを掴んでいるみたいだ。六、七センチはあるように見えたが、実際には四、五センチ、もしかすれば、三、四センチだったのかもしれない。握りのところは、注射針みたいに太くなっているみたいだ。  「もっと、腰のところを突き出してーッ」医者が、相変わらずの口調で、言っている。  インターンの男が、男の腰のあたりの背骨に針を突き刺す。医者が男の足首のところを押さえつけ、女看護士が男の肩と手首のところを押さえつけている。その圧迫する力が、いま、一段と強くなる。男の脚は、くの字に、折れるだけ鋭角に、きつく折り曲げられている。ここまでくると、男はもう、自分がもはや人間ではなくなり、なにか本当の海老にでもなっていくような錯覚に襲われる。海老だ、伊勢海老、車海老…伊勢志摩、鳥羽に、大王崎…ギリギリと背骨が痛む。何回繰り返しても、背骨に針は突き刺さらないみたいだ。インターンの男は、きっと、腰椎麻酔の壷をはずしたままで、むやみと男の背骨を、幾度も幾度も、突き刺しているに違いない。針を、腰椎と腰椎の間へ(そこは軟骨ででもできているのだろうか、…それとも、単なる隙間が?)針を、そこへ、…しかし、全然、うまくはいっていないのだろう。男は、大変な痛みを感じる。しかし、じっと、我慢している。騒いだとて、誰も、どうにもなるまい。医者は、それにしても、インターンの男の不手際に、幾分、苛立ってきているように見受けられる。男の額には、脂汗でもがにじみ出ているのだろうか。看護士が、ガーゼでぬぐう。男の背骨に、いま突き刺されているのは、単なるせいぜい四、五センチの針なのだろうが、男には、実際には、太い何かネジ釘でもがねじ込まれているように、とても痛く感じられる。それでも男は、全身の力と気力を振り絞って、我慢を続ける。すると、脂汗が、額に…そこで看護士がガーゼで、またも汗を…勿論、インターンの男が拙く針を男の背骨に壷を外して突き刺すその瞬間には、看護士もガーゼで男の汗を拭ったりしている余裕はなく…つまり、看護士も医者も、男の手首と足首のところを精一杯押さえつけて、男の体を海老型に固定して置くのがやっとである。  医者は「力を抜いてーッ」と言っている。そこで、それに従って男が力を抜くと、今度はすぐに「腰のところを、もっと、突き出してーッ」とおいでる。しかし、これは矛盾しているように思われる。突き出せば筋肉に力が入るし、力を抜けば、筋肉は緩み、腰は自然にへこむだろう。まあ普通なら、実際には、そうこうしている内に、うまく行くのが常ということなのだろうけれど…異常にも、二十回前後も、突き刺されたのではなかろうか、そして、遂に、針の先が、腰椎の中を行く神経にでも触れたのだろうか(それとも男は医者の暗示にでも掛かり、すっかり催眠状態にでも…あるいは、疲労困憊の末の泣き寝入り状態にでも…)男に、痺れ、酔い、眠気みたいなものが…そして、やがてはうわ言でもが…心は肉体を離れ、天翔(あまが)け…もはや、苦痛も苦悩も遠く去り、まるで天国にいるみたいに、かってそうであり、やがてそうなるであろう、まるで虚空を漂う粒子みたいに、無みたいに、つまりは、死みたいに…  「感じるか?」ピンセットに挟んだ、アルコールをたっぷり滲みこませた脱脂綿で、男の下腹部を無造作にこすりながら、医者が男に訊いている。しかし、男はいま、すでに眠り込んでしまったような状態になっていて、何の反応もない。  「感じるか?」医者は、今度は、金属(メスの握りの部分の角?)で男の下腹を左右に引っかきながら、訊いている。しかし、医者は、大声でそう言いながらも、小声では、すでにインターンの男に、「行けるぞ。…ぼつぼつ行けるぞ」などと、囁いているのか、どうなのか。…いずれにせよ、やがて、すぐに、男の下腹(正確には、鼠蹊部(そけいぶ)?)は、メスで、引き裂かれることとなるだろう。そして、陰嚢が捲(めく)られ、白膜、精細管、睾丸、副睾丸、精管…それから、鼠蹊輪、直腸管…と調べ、いじくられて行くこととなるだろう。…しかし、そのうち、もともと不十分だった腰椎麻酔も切れてきて(見習いの男が、何かと処置に、時間を余分に取り過ぎたのだろうか、どうか)男は夢見心地の雲上から地上に落下し、痛みや、悩みや、苦しみが、またも始まる。「ヤブ…ボンクラ…我利我利…能なし…馬鹿医者…拷問、まるで生体実験じゃないか」と男は思う。「痛い痛い」と男は心の中で叫ぶ。しかし、声には出さず我慢する。そして、我慢した分、目つきが悪くなり、脂汗が滲み、身がよじれる。きっと、声に出して弱音を吐くことは、男の自尊心が許さないのだろう。いわゆる、やせ我慢みたいなものか、どうなのか。(彼女がしてくれているのなら、痛い痛い、と言って甘えてみたくもなるのだろうが…)痛い痛い。またまた脂汗。そして、看護士のガーゼ、である。下腹を切開して、めくったり、めくり返したり、また元に戻したり、切る、つまむ、削る、針を刺す…要するに、むやみといじくり返しているのである。しかも麻酔は切れてしまっているのであるから(医者は、この事を、信じていない。つまり、インターンの男の突っ込んだ針は、最初からうまく、つまり、充分には、効果をあらわしておらず、通常の時間よりは大幅にはやく、腰椎麻酔は切れてしまっている…医者は、この事実を理解していない。また、一番いけないことは、理解しようとする態度を持っていない。硬直している。たとえば、鈍感な大臣。これは、そう珍しくなく、あり得るだろう。しかし、副大臣、ないしは、お取り巻きの官僚がしっかりしておれば、それはそれで、もつかも知れない。別段、大過なく過ぎ行くかもしれない。しかし鈍感な手術医(この際は、泌尿器外科医?)、これはもう困ったものだ。人の腹を引っかいておきながら、どこが悪いのかも、どう治せばよいのかも予想していない。まったくの、泥縄、である。…しかし、こうも考えられる。男の症例が非常に珍しいもので、前例皆無で、いかなる医者にとっても、開(あ)けてみなければ分らない…過度な、または異常な、類(たぐい)稀な悦楽への耽溺が、新たな病の誕生の土壌となるのかも知れない。しかし、それにしても、実際これは、生体実験、ないしは、すっかり切腹を体験しているようなものだ、と男は思う。いくら二人掛りで押さえつけようとしても、筋肉が痛みで反射的に自動的に暴れ回るものだから、今ではどうにもならない。意志などとは関係ない。意志が有効なのは、ある種の系が平穏無事の際でのことであろう。ここまでくると、収拾がつかない。肉の反乱、である。…  やっと、医者は、諦めにかかったのだろうか。それとも、「無理です」と、男の苦悶を見るに見かねた看護士が一言もらしでもしたのだろうか。(しかし、看護士が医者に口出しなどしようものなら、それこそいっぺんに…なのだろうか、どうなのか)看護士には全ての事実が(麻酔が、まず、充分にはかかっていなかった、ということ。いまでは、麻酔は切れてしまっていること)が分っているのかも知れない。どのあたりで、この男の腰椎麻酔が切れかけていたのかも。(看護士の方が、男の頭部に近い分、医者より情報量は豊富なのかも)…あるいは、医者も、本当の事態を、勿論、知ってはいるのかもしれない。しかし、もしそうであるのなら、にもかかわらず、捨てておくその理由は?…そんなことは、分らない。邪推、というものかも知れない。  いま、もう一人の医者が現れる。これは麻酔医かもしれない。マスクを持っている。ここまできて、やっと、全身麻酔をやるというのだろうか。男の手術前の希望通り、初手から全身麻酔にして���いてくれればよかったのに、と男は思う。もし、疑れば、インターンの男に、残酷すぎて最近では患者には全然人気のない腰椎麻酔を練習させる場を与えるためにのみ…つまり、男は、インターンの男の修練の実験材料として…と考えられなくもない。もしそうなら、大学の付属病院でもないくせに…もちろん、大学の付属病院であろうが、なかろうが、生体実験の道具になど、誰一人賛成などするものか…、男の頭に、怒りがキイーッ、とくる。練習実習なら、インターン同士が交互に患者になり合って、医者のアドバイスを受けながら、納得のいくまで繰り返し練習すればよいのである。(実際には、腰椎麻酔にも、長所は多々あるのだろうから…)それにしても、今度は、全身麻酔だ。またもや、そして、今度こそより完璧に、離脱、飛翔、暗黒、無限、つまり、死の予行演習が始まるのだろうか、どうなのか。  ガラガラ、と音がしているのが聞こえる。ベッドが勢いよく動いているのだろう。手術は終わり、手術室から廊下へ…なのだろうか。一切が輝き、歓喜に満ち満ちている。全身が、心地よい。「ああ、いい。…気持ちいい」と男は思う。しかしすぐに、これは夢かもしれない。あまりにも、苦痛が皆無であり過ぎる。〈天国チック〉であり過ぎる。霊魂がうわずっている。フワフワしている。浮き、飛び、酔い、痺れ、…麻酔の麻薬の仕業かも。(それにしても、彼女は、一体…下界が恋しい…湖、湖周道路…リゾートは、今日も、〈遊び車〉で渋滞し…それにしても、おれは本当に治るのだろうか…二度とあの悦楽の味を味わえなくなったのではなかろうか…使い物になるのだろうか…そもそも睾丸はあるのだろうか…)  「睾丸は、あるのか」と言うべきところを、「キンXX」はあるのか、と言ってしまったものだから、(男は麻酔でまだ幾分頭が弱くなっていたのだろう)、看護士たちは、大笑いだった。麻酔呆けのした人間など正面からは相手にしていない。「大丈夫ですよ。安心安心ですよ」まるで子供扱いである。自分の手で直接触ってみれば分るかもしれないのだが、股全体に大きくて分厚い傷への当て物がされているのであろう、全く接近不可能である。しかも、まだまだ、付近の神経は痺れてしまっているので、結局何も分らない。     女が現れる。麻酔後のまだ酔いの心地よさの幾分残る男の脳味噌には、彼女の美が、より一段と、艶に、鮮明に、身に沁みる。目、鼻、唇、髪、項、首…全部好きだ。全部に、いくらでも、キスしたい。  「痛がり屋さん、それにしても、よく頑張ったわね。先生も感心していたわよ」彼女が、ほほ笑みながら、言っている。麻酔呆けした男を、幾分からかっているのかもしれない。あんな鈍感なボンクラ医者に感心されても、何もうれしくない、と男は思う。むしろ今でも、思い出すと腹が立つ。自棄(やけ)のヤンパチで、顎に一発、パンチでも喰らわしてやりたいくらいだ。(勿論、このような感情を持つということは、そのこと自体、すでに自らの精神の劣等を意味しているに違いないのだろうけれど…なぜなら、素人に、専門医の配慮などは理解できる筈はないのである。邪推である。ましてや、恨むにいたっては…まともな患者、標準の人間、正しい心の持ち主、とはどうしても言えないだろう…)  「結局は、厳密には」と彼女は言っている。「悪いところがどこだか、傷口が分らなかったみたい…」  何という事だ、と男は思う。あれだけ時間を掛け、あれだけ苦痛に耐え、ひとを切腹同然の目に遭わせて置きながら…。しかし同時に、そんなことがあっても不思議はないのかも、とも思う。医者自身の資質のせいも大いにあろうけれど、手術のみならず、概して人間の試みることといえば、当て外れが多いものなのだ…と男は思う。  いま、何がしてほしい、と彼女が訊くものだから、仕方なく、恐る恐る、あれがしたい、と本当のことを言ってみると、彼女は、最初ほほ笑んでいたのだが、急に顔を真っ赤にした。 病室には、医者も看護師も居た訳ではないのに。男は一瞬困惑した。プリンがほしい、とか、りんごを下ろしてほしい、とか言っておけば、無難だったのかもしれない。実際、手術にともなった微熱が出ていたのである。こういう時には、冷やっこいものを言うのがよかったのかもしれない。それにまだまだ、頭には麻酔が残っているのか、ボオーッとしている。  そんな馬鹿なこと、と言って、彼女はプンプンしている。  まあ、勿論、その通りなのだが、それでも、そうしたく思ったのだから…彼女の顔、特に、目とか鼻とか唇をみていると、すぐにしたくなるのだから、困ったものだ。…自由、放埓、滅損…自由、放埓、破損…自由は放埓に変じ、放埓は破滅へと至る…男は考える。しかし、自己破滅だけなら、何も自分からは望みはしないが、誰にでも起こりうる一つの確率的事象にしか過ぎないのではないのか、前もって恐れる必要もない。一方、女には、この男の愚かしい激しさは、この分では、きっと、最後には自らの命に損傷を加える程度にまで至るのではなかろうか、と思われる。  男の、つまり病人の、余りにも執拗な願望のため、拒否し続けることの健康への不利益の方が、かえって、より大きいのではないかと判断し始めた女は、それでもためらいながら、服を着けたまま、ベッドの中へ、男の脇へ入っていった。男の、この愚かしさの原因は、まだ残っている麻酔のせいだろうと、女には思えた。「ほら入ったわよ。いい女でしょう」女は、冗談を言っている。男は、望みが叶い、にこにこと笑い、笑いが一向に止まらないといった風だ。勿論、少しでも賢い平均以上の男なら、平均どころか大多数の男なら、もしかすればこの男以外の全ての男性が、こんな時に、こんな事を望む、しかも衷心よりそれを喜ぶ、そんな馬鹿なことは、望みようもないし、考えようもないし、いわんや実行に至っては、あまりに法外な、愚の骨頂、痴の極、痴れ床虜情、と考えるだろう。当然である。それが、尋常、穏当、賢明、無事、というものである。ところが、この男と来た日には、事ここに到っても、まだ普段の悪癖から抜け切れないのである。隣接、近接、交接…要は、美の深奥への接触である。勿論、目下は、それは不可能だろうけれど…それでも、男は、ねえ、ねえ、と、ねだっている。ねえ、はやく…女の柔らかい肉体が自分の脇に横たわっていてくれてこそ、初めて男は心の安らぎを覚える。心のうちのどこかに潜む、不安や苦悩や、苦痛はすっかり消え去り、空は青く青く澄み渡り…「麻薬の後に、また麻薬」男は女の頬に、眼に、鼻の穴に、首筋に、そこら中に…恭(うやうや)しいキスをしながら、そう思う。しかし、この麻薬には、実(じつ)がある。まるで麻薬ではない麻薬みたいだ。  「また何か、変なこと考えているでしょう。…わたしにはすぐ分る」小声に、まどろむ様に、耳元で、女が囁いている。  「なにも」男は、うそぶいている。  女は、手の平を男の額にあてがい、強く押して、男の上体をのけ反らす。そして、目の奧底を覗き込む。まるでその一瞬で、男に、すっかりすっかり身を任せるか任せないかを決めにかかっているみたいに。  男の腕が女のからだに巻きつく。それは蔦のようでもあり、小動物のようでもある。女は、顔を、男の胸に埋めている。その唇は、ときに男の首筋に口づけし、ときに熱い息を吐きかけ、やがては、狂おしく、その肉を噛み締めるようなこととなるのだろうか、どうなのか。…女は、あえぎ、苦しさに身もだえし、小さく悲しく泣き声を漏らし、最後には、やはり男の肩の肉を噛みしだくこととなるのだろうか、どうなのか。男の肩には、突き刺さった女の歯の痕が赤黒い色をして残り、そして、ずっと後になっても、もし、バスにでも浸かれば、そこには湯がしみて、ピリピリと、きっと、痛みを感じることとなるのだろうか、どうなのか。  …女は、ときに髪を振り乱し、首筋をのけ反らし、背骨は弓なりに反り返り、膣の肉はリング状に、万力みたいに、圧倒的に、恐ろしいまでの力で…締めつけてしまうのだろうか、どうなのか。底揺れする大地。奥の奥、果ての果てから、おびただしい洪水が押し寄せてくるまで、どうしようもないこの悲しみみたいな絶無の時が…  女は、いま、男の指を握りしめ、狂おしく口づけする。「美しい指、あたしの指…信じられないくらい、鋭いものなのね…」     女は去り、男には、苦悩の時が始まる。それは、女の自由からもたらされるものに違いない。しかし男は、愚直にも、すべての女は自由でなければいけないと思っている。結局は、自分の苦しさから、彼女と別れなければならないようなこととなるのだろうか。女の自由は、男の不自由であり、もし男が自由の方に近づこうとすれば、きっと今ある女の自由を束縛することとなるだろう。これは望めないだろうし、望みたくもない。彼女のいまある自由は、そのままにしておいてあげたい。(もしかすれば男は、少年時代に、自由を奪われた完全に悲惨な女を目の当たりにして育ってきたのかも知れない。そしてその結果として、一つの決意、固定観念みたいなもの、つまり、女を不自由にするようなことだけは自分は一生絶対にしてはいけない、ということが自然に心に決まってしまっていたのかも知れない)しかし、それにしても、自分も自由でありたい。しかし今や、それはどうも不可能なように思えてくる。不自由は嫌いだ、束縛も嫌いだ、と男は思う。未来は、百パーセント自由に取って置かなけばならない。もしそうでなければ、借金をしょい込むようなものだ。未来を食い潰してはいけない。それにまた、彼女の自由も、ほんの少しでも傷つけてはいけない。なぜなら、彼女は自分よりも、ずっと、優れた人間なのだから。だから、論理的には、もはや、どうにもならない。どん詰りみたいなものだ。ばら色の、無心の、朝焼けみたいな時は、すでに終わって過ぎ去ってしまったのだろうか。純なる時も、もはや終わってしまったのだろうか。愛の時も恋の時も、すべての好ましい時は、知らぬ間に、過ぎ去ってしまったというのだろうか。しかし、それにしても、耐えられない。苦しい。この苦しみが彼女との関係に必要な要件だとは分っていても、やはり苦しく、苦しみからは逃れたくなる…どうもここはむずかしい。実際、時によって、気がいろいろに変わっていけない。それは事態が正確に理解できていないからか、あるいは、自分の心がは��きりしていないからなのか、おそらくは、その両方なのだろう。事実というものも、個別の意識と無関係には存在し得ないのだから、可変的、ないしは、正確には、無限に深化し得るものとして捉えられなければならないのだろう。だとすると、それは、男には、どうしても不確定なもののように思えてくる。だから実際の決断に当たっては、事実と言えども、それは確固とした容易なものではなく、実に厄介な悩ましい事柄に映ってくる。弱い人間は苦しみ、そして苦しみからは、なりふり構わず、ただ逃れようとする。そもそもは、口づけなのだ。あの時、墓場で、あの口づけをせずに、我慢してさえおれば、こんな苦悩は味わわずにすんだだろうに。しかしその口づけも、今思い返してみても、どうにも仕方なかった事のようにも思える。今でも、やはり、あのような事態になったら、自分という男は、同じようなことをしていたのだろう。それは、最初の最初の事故のとき、彼女を一目見て好きになってしまったのだから、もうどうにもならない。考えてみれば、もう最初の最初からどうにもならなく、がんじがらめになっていたのである。因果の理法、つまり、因果関係の稠(ちゅう)密性、即ち、無限の因果関係の網目としての、つまりは、宿命、である。うまく、逃れる。うまく、逃れる。今となっては、これ以外に道はない。『逃れる』これが、自分のためだ。『うまく』これが、彼女のためだ。やみくもに、逃れる、ではいけない。うまく、だ。さて…     看護士が勢いよく入って来た。医者も、後に続いて入って来た。回診みたいだ。やっと、男の苦しみの時も、しばし中断されるみたいだ。  「どうです?」医者は言っている。手術をした医者とはまた違う医者みたいだ。若く、痩せて背が高く、誠実そうな感じだ。外科一般を受け持っている医者との事だ。看護士は、男の毛布を威勢よくひっぺがし、トランクスも当て物も、慣れた手付きで、何の躊躇いもなく、取っ払ってしまう。男の股ぐらは、見てる間に、丸出しだ。医者は手際よくちょっと睾丸に触れてみたり、左下腹の傷口の糸を調べてみたり、その接触は、素早く軽やかだ。  「一週間以内に退院でしょう」医者は言っている。  「大丈夫でしょうか?」  「大丈夫です」  「化膿などは?」  「大丈夫」医者は、いま看護士が準備している、ど太いリンゲルを指す。化膿止めの薬剤でもが、たっぷり入っているとでも言っているのだろう。  一週間。要するに、一週間、だ。     車のCDから、いま、『ジーラ・ジーラ』が聞こえている。…バンドはコンチネンタルだろう。行き交う車は、赤、黄、緑…ドイツ、フランス、イタリア…ヨーロッパの車が目立って多い。…時はタンゴ・リズムが刻む。このような時こそ、本来の時、つまり、我が時、真の時だと男は思う。  しかし、もし音楽を止めれば、即、自動的にカー・ラジオに切り替わり、それはまたも懲りずに、株式市況をやっているのか、どうなのか。陰の極か、それとも、陽の極か…悲観の誤謬か、楽観の誤謬か、そこのところは知らないけれど、他愛ないというか、微笑ましいというか、浮きつ沈みつ、この不確実性の上に、この純然たる大博打の上に(もし望めば、やり方にさえよれば、賭博以外の何者でもない事象にだってしてしまうことが十分可能だろう)この軟弱な動態の上に、まさにこの世は乗っかろうとしているのだろうか、どうなのか。現にある、この世の、純にして聖なる一切のものも、それのみでは、絶対的には、もはや存在しえない、とでもいうのだろうか。(現実は、人々が考えていた計画性(観念)を越えていた。計画性を遥かに超えたものとしてこの世は常に現れる。世は、望ましく、豊饒なのかも知れない)信じられないような軽薄さと共にしか、あるいは、それと抗(あらが)いながらしか、純正が存在し得ない。善きも悪しきも、その存在を主張する。すべてが在り、すべてが抗う。自由は永遠になく、にもかかわらず、ないしは、それゆえに、希求され続けられ…  〈センセイ〉からの連絡である。「やあやあ」と、ちょっと、普段とは違った感じの話しぶりだ。「株、駄目ですよ…目減り、目減り…半減しています、半減以下?厳密には…。…山林も、馬鹿落ち…含みは、吹っ飛んでしまいそう。…もう、坊ちゃん、大変、大変…。…公定歩合さえ、下げてくれれば、すぐにもまた上昇が…。…ポートフォリオ理論などというものも、下降期にあっては、何の役にも、屁の突っ張りにも…ニューヨークでならいざ知らず…下がる日にゃ全部が全部、一様に下がる。打つ手など何もない。何でもかんでも下がりまくる。自棄自棄(やけやけ)に下がる。頭に来るといった程度じゃすまない。勿論、頭にも来るが…。動悸、胃炎、便秘下痢、痔痛…ドタマのみならず、心臓、胃、腸…もうすっかりすっかり全身だ。全身打撲。まるで、大木の…椋(むく)の木のてっぺんから落下して直接地面に叩きつけられた様な…殿様蛙がアスファルト道路に力いっぱい叩きつけられたみたいに…ところで、話が、おっとっとっとう…しかし、坊ちゃん、これは本当はチャンスなんです。売り買いさえ、あなたが許してくれればですよ。下がり切る前に売っ払ってしまい、下がり切ってから買い戻しゃいいんです。大儲けです。ところが、あなたは売買を許してくれない。禁止している。滅茶苦茶ですよ、これは。インカムゲインなど、定額預金とは違いますよ、株式は。キャピタルゲインこそが、目下の東京市場の…実際、無茶苦茶です。信じられない。売り買い禁止。何ですこれは?まったく馬鹿げた事です、これは。…」  「株は、おやじのものだ。おれが買ったものではない」  「それは、言い逃れです…相続してしまえば、その瞬間、あなたの責任です」  「今は、忙しい。何と言っても…」  「その内その内で何年経っている��です」  「生活費は?大丈夫?」  「それは、まあ、いくら下がったといえども当たり前のことでして。おそらく、二、三百年がところは、きっと…配当と含み益とでですな…まあ、ほとんど永遠分くらいの生活費がですな、無茶使いさえしなければの話ですよ…つまり遊蕩無比…マカオ、モナコ、ラスベガス、バーデンバーデン、ここいらで派手にやりまくれば、一夜の夢で、全部が全部吹っ飛ばそうと思えば吹っ飛ばすことだって出来ないことはないでしょう…永遠にですな…」  「まあ、管理の方は、いろいろ手続き等、手間も大変だろうけれど、今後とも、よろしく、お願い、ね」  「お任せお任せ…任せといてくださいまし。…ときに、坊ちゃん、傷口の方は?その後、いかがです?」  「痛い、痛い、まだ痛む。手術医が変なことしやがって…ヤブだ、何か肉より硬いものを、プラスチックか何かだろうな、勿論、硬質の物ではないだろうが、合成もん?軟質の、埋め込んだみたいな感じだ。漏れ口が分らなかったものだから、ヤマ勘で、その辺り一体の精管をカバーするためにだ。だからそれが周囲の肉に突っ張って…」  「痛む?」  「痛い痛い、痛くって…うまく肉になじまないようなことになって水でも溜まると、またまた切開だろうな、これは。まだ固まっていない、ぶよぶよの肉を、だ。また切開…ヤブだ。ボンクラ。真のヤブ。真っ暗闇だ。もっとも、こちらも悪いのは悪いらしい。つまり、この種の傷は名医といえどもなかなか分らない場合が多いらしい。ヤブならずとも…どこから精子が漏れているのか、発見できない場合が珍しくないみたいだ。これは別の医者の意見だがね。それにしても、どんなところでも、事実あんなところでも、使い過ぎ、肉の使い過ぎ、無理、酷使、こいつは怖い…肉は弱く、極度に弱く…されど、肉以外には、人生、何も無いと来ているんだからな。分らない。生きているということは、まったくの無明みたいにも、思えてくるが…」  「またまた、弱気を…急速に。…急変するんだから。しっかりしなきゃ、坊ちゃん、腐る程あるんだから、少し海外旅行にでも。憂さ晴らし。今のままでは、もったいない。猫に小判だ。実際、今日日(び)、大多数の者が、遊蕩三昧、やってるんだから…」  「まあ、それは、しかし、平凡、かつ、安易、…と違うか…カネで出来る事と言えば、すべて、ありきたり、単純かつ陳腐、本当は退屈なのと違うか。旅行会社、航空会社、ホテル、の仕組まれたカラクリの餌になっているだけと違うか。窮屈と余裕。悦楽は余裕にこそあるのであって…そうではないか?自他共の余裕。余裕のあるもの同志。相手あっての悦楽なんだから」  「またまた、格好付けちゃって。格好付けた小難しいことおっしゃって。坊ちゃんのこと思って言ってあげているのに…」  「ああ、ごめんごめん。キン玉のせいかな。イン(陰)でゴタゴタ起こされて…インの反乱だな。車に乗っただけでも痛むんだから、やりきれない。まるで何かに復讐されてるみたいな感じだ。早く万端すっきりとしてくれなくては、困る困る」     「どう?…痛みは?」女が訊く。暗闇の中で、男の肩の辺りに擦りつけていた女の顔が、少し、いま、蠢いたみたいだ。男は、仰向けに寝て、真っすぐに身を伸ばしている。  「ほとんど、痛まなくなった。段々良くなっている。痛みというより、いまは、違和感が少し、といった程度」  「よかった」  「うん」  「今度は、胸」  「うん」  「あまり乗り気でないみたい」  「うん」   男の、胸の上に乗っていた女の手も離れて行き、すっかり、男と女の身は離れてしまう。  「全然、乗り気でないみたい」  「うん」  「しっかりなさいよ」  「うん」  「ねえ…」  「苦しい」  「何?」  「全部が、苦しい」  「苦しくっても、切るべきものは、切らなきゃ」  「ううん」  「厭になったの?」  「…そんな…。苦しい。苦しい。要するに、苦しい。…ただ、苦しい」 「弱いのよ」  「そうかも知れん…」  「わたしから見れば、信じられないくらい。強いところは、またヤケに強すぎるくせに…」  「そうかも知れん…」しばし沈黙。静寂の時が流れた。それから男が言った。「ねえ、…」  女は何も言わなかった。男は、しまった、と思った。どうして別れることなど出来るだろう。嘘をついているのだ。もう何も無くなってしまうだろう。彼女こそが、この世なのだ、と男は、いま、思う。彼女の有する一切の価値のこと、彼女の美と愛らしさのことを考えれば、彼女と別れるなどということは、嘘である。虚弱。能無し。卑劣。卑怯。…まあまあそう堅苦しく考えないで…恋をしてるんだろう。恋などというものは、もっといい加減に、軽やかに、まるで風の中の羽根のように…できることなら、もっともっと軽妙に、恋というものの本質に似っかわしく…しかし、俺には出来ない。俺は、まるで、男と女のことを、なにか行(ぎょう)か修行か苦行か…まるで人間関係の研究題目、分析対象…実際、堪ったものでないだろうな、パートナーは…。これは野暮というものかも知れないぞ、相手の身にもなってみろ、愚物、うすのろ、脳足りん… 「物凄いテレパシー…」 「至近距離だものね」 「我慢できないの?」 「理屈では、分っているつもり。しかし何か余分な、はみ出たところ、仮、分ってもどうにもならない脳味噌内の暗闇…そのことを思うと非常に苦しくて…。勿論、あなたのせいではない。少なくとも、あなたにどうこう出来る問題ではないでしょう。どうにもならない事。あるいは、結局は、ぼくの頭、考え方…。もう二度と、あなたのような美しいひと、魅惑的なひと、強力なひと、愛らしいひと、可愛い人…一生あなたのようなひととは、二度と会えない…きっとそうだろうと思う。でも、いま、それでも、愚かにも、薄情にも…」  「わたしは、一瞬のうちに、見つけたの。そしていままた、一瞬のうちに、見失おうとしてるんだわ。わざわざ、墓場まで、跡をつけたというのに…」  「それで、墓場で、出会えたの?」  「そう」  「ね」と女は言う。「あなたに、いい女(ひと)できてもいいから、ときどき、あたしたち、一生、会いましょう…」  「うん」と男は言う。しかし、内心、それはできないだろう、と男は思う。     男が、この年上の女と別れるにあたっては、この会話から、なお九年という膨大な刻々の快と苦の稜線でのさ迷い、が必要だったのだろう。そしてその別れの結果はといえば、女は、単に一人の男を失ったというに過ぎないのだが、男は、一生心がひん曲がる程の、ほとんど全快不能ともいうべき程の深手を…。もっとも、男の鼠蹊部の手術の方の傷跡は、きっと、今ではすっかりすっかり黒々とした陰毛に覆われて、見た目には、手で直接触れてでも見ない限りは、跡形も無く快癒しているのだろうけれど。  それとも全然そうではなくて、別れ話など一切無く、男は女のすすめに忠実に従い、肺の手術も受け入れることとなったのだろう。しかし、手術後、その日の夜半、不意の水道事故により、使用中の医療機器(右肺上葉切除並びに下葉癒着剥離手術後の出血を体外に吸出するもの(ベルヌーイの定理でもを利用しているのだろう))が停止するという極めて稀な突発事故に見舞われ(また、加うるに、このような際には、水道水使用機器から、直ちに電気使用機器に交換する定めになっているのだが、当直の看護士も予想だにしなかった事故だったので、真夜中過ぎから夜明け頃までの機器停止の事実に気付かなかったというミスも重なり)不運にも、男は、予想外に短かかった生涯を、閉じることとなってしまった。  死の間際の男の想いに関しては、定かなことは一切何も分っていない。手術室へ入って、手術台の上に横たえられ(男は、裸で、空色のタオル地のブリーフだけを身に着けて、触れるとヒヤッ、と感じられるステンレス張りの平板そのものといった風の、手術台に横たわった)次いで、麻酔医がマスクで男の鼻と口をすっぽり覆い、男に深呼吸を促す。麻酔医が数を数える。ヒトーつ、フターつ、ミッ、くらいまでは男の意識も確かだったのだが、しかし、その後はもはや何も…またもや、無、死のような無、完璧な無、が…。おびただしい、メスによる肉の切断と出血の数時間(癒着剥離に手間取り予定を2時間以上もオーバーしたらしい)その間にも、想いなどというものは、男には何も無い。皆無。手術が終わってリカバリ(リカバリー・ルーム)へ移されてからも、何も無い。無であり、死同然である。多量の血痰も、口許までは無意識に押し出される。まだ自律的に肉ないしは神経系統は作用しているのであろう。しかしそれ以上は、すべて看護士の努力によらなければならない。男の意思とか努力とかは全く関与していないのだ。機能しているのは、たかだか、無意識の、自律反射的なものだけなのだ。しかし、こんな不十分な意識の状態にある男にも、この世の最後の最後、この一瞬、つまり、真際、今はの際(きわ)、ともなれば、脳に、信じられないような、異常に急激な変化が起こり、ほんの束の間とはいえ、意識が、閃光のごとく、明々(あかあか)と甦り、照り、映え、映え反(か)える。男は、ここに到って、女への想いを馳せるのだろうか、どうなのか。もはや、苦しみも、悩みも…悪の想いはすべて過ぎ去ってしまい、今では、ほほ笑みだけが、愛の想いだけが、完璧な充足が… さよなら、愛しいひと、ぼくの女友達…片割れであり、相棒であり、深い時を、ときに珍奇な時を、共に分かち合った懐かしいひと…ご機嫌よう、好敵手、美しく高貴な、ぼくの大切な大切な大切な…男の想いは、なおも、明々と燃え上がり、その輝きの、照り返しのうちに、こうして、いま、生きて在ること自体への驚異と感動の念が、すべての存在物への共生感が、共に存在するものとしての、砂利道でダンプカーに轢かれて行く、そこに転がっている、石ころ達への友情が、すぐに、男もそうなるであろう、宇宙を漂う一つ一つの塵への、粒子への、永遠に共に存在していることへの充足と無としての完全な安泰の念が、男の身の内に込み上げて来たのだろうか、どうなのか。…このような意識の状態で、つまり、光輝のうちに、男は最後の息を引き取れたのだろうか、どうなのか…
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