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#やっぱりアクリルは奥が深い
suisaibeya · 1 year
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絵と額縁を買った話
Twitterで垂れ流すにはちょっと長くなりそうだったのでこちらでお話。 水彩系ブロガーさんの影響を受けて、額縁の大切さを感じた話と、絵を買った話と、それに合う額縁を買った話。
1.前書き(自分語り)
そもそも自分は水彩好きとして、どういう立場なのかというと、 ・水彩の独特の透明感・表現が好き ・水彩で描かれた風景画が大好き ・お絵描きするのも好きだけど、どちらかというと絵を描くよりも塗る方が好き。(元々、他人の絵に色を塗るのをメインに活動していた時期が長かった) という感じ。 だから、風景画を描くこともあるけど、基本的に下手の横好きで、他人様に見てもらうために努力をするとかしてないのである。 ↑そりゃ、見てもらえて、気に入ってもらえたらもっと嬉しいYo
そういう訳で、額というモノには一切興味もなく、自分には関わりのない事だと思ってました。
2.額の大切さを知った話
そもそも、マットという言葉すら知らなかった我が輩。 それを教えてくれたのは、水彩ブロガー、枯葉庭園さんでした。
枯葉庭園さんの記事は技法・画材・色・展示など、様々な分野があります。 文字通り、”色々”影響を受けていますが、額については完全に自分の範囲外の分野だったので、とても刺激を受けました。
額の記事、色々 ←リンク
額は、自分の絵に使うだけではなく、展示されている作品にも当然使用されているのですが、自分はそれに全く見向きもしてませんでした…💦
3.初めて額縁専門店で額とマットを購入した話
一応、簡易的な額はもっていたものの、ガラスやアクリル板ではない薄いプラ板の安いものだけでした。
枯葉さんが新橋の額縁店ファブリさんで個展されたのをきっかけに訪問し、キャビネサイズの額縁に合わせたはがきサイズのマットを作成してもらい、額縁とセットで購入しました。(←うまく説明できてる気がしない😂)
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実際に自分の絵を入れると…… なんということでしょう。
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重厚感が違う!と感動したものです。 自分の落書きの絵でも、額に入れるだけで印象がすごく変わるのがよくわかりました。
4.絵を買って、それに合う額縁を買った話
ちなみに、自分の家には絵はもらい物の絵が飾ってあるけど、家の雰囲気に合わせた絵ではなく、飾っている場所も無理矢理感があって、若干浮いている模様。
そんなさなか、マイナスイオンが溢れる風景画を描かれている水彩画家、小林啓子さんの個展で、なんと技法書に使用された作品が5,000~25,000円で販売されていました。
小林啓子さんの該当のブログ記事 ←リンク
木の1本まともに描けない自分、本物があった方がきっと勉強になるだろう、ということで、5,000~8,000円の木の作品でめちゃめちゃ悩んだ挙げ句、5,000円のシンプルな方の作品を購入させていただきました。
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後で見たところ、SMサイズくらいだったぽいですね。
しばらくこのままお部屋に飾っていましたが、思い切って額を買ってみることにしました。 購入したのは世界堂の額、アイナ<ブラウン>八切(たしか)。 とてもシンプルな額です。 作品を持っていく勇気はなくて、脳内の記憶と照合しながら、  (この色で良いか……?)  (この形で良いか……?)  (この値段なら買えそう……) と売り場をうろうろしまくって購入しました。 めちゃくちゃドキドキしましたw
そして、作品を額に入れたら… マットだけだと、作品がすごいな、という印象だけど、額に入れると額込みで作品、という雰囲気が漂ってきました。
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自分の部屋に飾るのがもったいなすぎて速攻居間に持っていって飾りました。 うちみたいなモノがごちゃごちゃしてて殺風景な家だと、大きくてゴージャスな絵よりも、シンプルな絵の方が映えるんだな、と感じました。
購入するとき、一番安い絵を選んだことで、 (値段で買ってる見たいに感じられたらちょっと申し訳ないな……) と思っていたのですが、うちにはこの絵が一番ぴったりだったんだ!とすごく感じました。
5.絵を買ったことで感じたこと
なんか買おうと思って買うのではなく、ピンと来た絵や、縁を感じた絵ってやっぱり思い入れが深くて、見てると温かい気持ちになります。
あと、居間に飾ることで、本物の植物も雑に何個かあるけど(父親の趣味)、植物とは違った豊かさを感じてお部屋に奥行きが出た気がする!
6.ついでに自分の描いた風景画も額装してみた
前に描いたアイスランドの絵、ガイド線が消えなくて残ってしまった悲しみは残るものの、折角描いたので、とりあえずマットをつけてみました。
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こちらはA4サイズのマット。 ですが、なんとなくSMサイズのマットをつけたら、その分切り取り幅が増えるので、地面を減らして空の面積を増やしたら構図がよくなったので、SMサイズのまま、またしても八切サイズの額(訳あり品で安かった)を購入。
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アクリル板のおかげでほんのり、ガイド線が目立たなくなってる(と良いなぁ)というのと、マット&額パワーでちゃんと絵になってる!と感じられました。 正直、かまぼこ枠よりもアイナのようなシンプルな枠の方がよかったけど、値段で買ったからしゃーないw
というわけで、 ・枯葉さんのおかげで、額の大切さを知った ・絵を購入したことと、絵と飾る場所の相性 ・自分の絵も額装するとちょっとテンション上がる ということを語り倒してみました。
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cyanoooon · 6 months
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[読み物] 古代の記憶ツアー
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読み物です。2006年くらいの記憶です。ほぼ走馬灯です。
好きなものに触れていると、記憶を失ったフィーネのように、ふと、昔のことを断片的に思い出すことがあります。
何かあったような…、と、ピクシブを見に行ってみると、古文書が残っておりました。
文章に当時の若さを感じますが、それも時代を越えてきたということでご容赦頂けますと幸いです。……なんだその顔文字は!(^ω^)
この投稿が2012年近辺、ちょうどBlu-rayが発売された頃になります。時の流れを遡っていくと、もう少し前にひとりゾイドブームで大騒ぎしていた記憶を思い出しました。10周年記念ゾイドエンサイクロペディアが発売されたのが2009年、ジェネシスをリアルタイムで視聴していたのが2005年~2006年。
…2006年付近だ!
我々は倉庫の資材置き場のさらに奥深く、開かずの箱を開けることとなった。
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▲いにしえのたんまつ(au W43S:2006年モデル)
携帯電話に表示される日付は0/0(スラッシュゼロだ…!)表記になってしまいましたが、電源を入れると問題なく起動しました。背面が光っててコンパクトでお気に入りの端末でした。もちろん、DIYキッズなので着せ替えデザインも作りました。(なんと、光るうえに着せ替え出来るんです、この携帯)
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▲波動を感じる…!2007年の波動だ!
当時、携帯にカメラ機能は付いておりましたが、今ほど写真を撮影する傾向はなく、それでも何か面白そうなものは残ってないかと、本体データやメモリースティックのデータを見てみました。
…ありました。発掘しました。
撮影した理由は全く覚えてないのですが、机を掃除して、子供なりにいいディスプレイが出来たぜとか、そのような感じだと思います。それにしても、ツッコミどころが多い。笑って頂けたら幸いです。
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描いた絵のことは忘れがちなのですが、改めて絵を見ると、私が描いたな、と記憶が戻ります。赤い人が多いです。確実にヒルツですね。
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違う写真も残っておりました。定期的に卓上ディスプレイが変化する様子。無印からスラゼロブームに移動した様子が見えます。Blu-rayを順番に視聴したのだと思います。いつぞやの年賀状イラストがビットだったと思うのですが、この時期かもしれない。
そして、デスクライトの麓に何かいる。
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メガラプトルに同梱されてるザイリンのフィギア、小さなゴジュラス(?)、そして問題の鮮やかなコバルトブルー。
件の手作りのデススティンガーになります。写真当時は、ジェネシス放送後でしたが、前シリーズのゾイドは店頭で見かけなくなっており、お小遣いの制限もあったので、少し敷居が高い状態でした。大きなゾイドとなるともちろん価格もサイズに比例してきます。でも欲しい!デススティンガー欲しい!シャカシャカしたい!気が付いたら粘土をこね、小さいデススティンガーが誕生しておりました。しっかりと塗装、ニスも塗られてました。
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不思議とデススティンガーのデフォルメだけ迷いなく描けるな、とは思っていましたが、理由はコレでした。手が古代の記憶を覚えていました。
最後にもう一枚。
とにかくゾイドが欲しくてお店を駆け回りましたが、時期的に売っておらず、リサイクルショップ巡りが日課になっておりました。各機体をよ~く見てみると、フューザーズ時代のゾイドの様子。ライガーの頭の部分が白いのでRD機ですね。(無垢な子供達でしたので、RD機とビット機で塗装がちょっと違うことは最近知りました。)
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塗装途中のケーニッヒウルフがいます。塗装のトの字も知らなかったので、アクリル絵の具でバシバシ塗り上げ、ものすごくマットな仕上がりのウルフになってました。
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その時考えてたウルフとオリジナルウォーリアーちゃんがこちら。作ったことのあるゾイドはスムーズに描けるので、解像度が高いのだとと思います。
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ゾイドサーガDSでもケーニッヒウルフ白でした。ラスボスのギルベイダーとギルドラゴンが中々強く、何回挑戦しても倒せなかったので、執念でひたすら自分が与えた攻撃ダメージをメモして敵の総HPを計算したりしてました。
エナジーライガーは背中のポンプギミックがうまく繋がらなくて、四苦八苦して作り上げた記憶があり、こうして手先の器用さが訓練されていったのだなぁ、としみじみ関心します。
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昔作ったゾイド自体はもう手元にいないのですが、時折、掃除をしていると名残が出てきて、あの頃に思いを馳せることがあります。超合金ゼロ君よ、それはフューラーのシールだよ。
それから長い年月が経ち…
デデーン!
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アニメ4作品がネット配信、加えてなんとグッズも発売されたので、あれもこれも買い、にっこりディスプレイが再建設されました。本当に配信されたり新規描きおろしイラストグッズが出たりするとは思っていなかったので、未来なんてわからないですね。
大変なこといっぱいあったけど、Wild Flowersを歌って乗り越えた!
生きてて良かったー!!!!
古代の記憶ツアー2006、お読みいただき、ありがとうございます。
[to be continued...?▼]
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shukiiflog · 11 months
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ある画家の手記if.99 雪村絢視点 告白
粉々に砕け散って剥き出しの切先を露わに突きつけてくる、無色透明なガラス細工 それでも香澄が関わりたいと願うなら
香澄があの人の家に訪ねてって怪我したって聞いて、家に行ってみたけど香澄は元気そうだった。 香澄が重傷でも元気そうなのは今に限ったことじゃないから、香澄より直にぃの様子を見たほうが香澄の容体の深刻さは推し量れる。…と、踏んだんだけど、 …直にぃが微妙に読みづらくなってる。というか以前は読むまでもない、完全に見たまんまの人だったんだけど。香澄とこれからも一緒に暮らすならこの変化は喜ぶべきか。それでもなんかダダ漏れる体質みたいのは変わってないっぽいからある意味助かる。 そこから察するに、香澄の今回の怪我は事件性は一切なし、悪意や害意もおそらくなし、憂慮すべき人物の影もなし、…とみていいかな、どうかな。 俺は直にぃと香澄はお別れして別々に生きるってのもそれはそれでアリかと思ってたけど、泊まってる間に香澄に軽く聞いてみたら正月に旅行いっただけじゃなくて、直にぃはこれから講師の仕事やめて画家に復帰するらしい。 …どうして画家だったのか、その画家を辞めたのか、本人から(日本語無茶苦茶だったけど)聞いたから、たぶん画家に「復帰」するってのは適切な言葉じゃない。やめてた同じのを再開するってよりは、以前とはかなり違うなにかなんだろうけど、直にぃの場合は素直になればなるほど生き方のレトリックが絵に集約する…そうなるように人生積み重ねたってことかな。
香澄の怪我にひとまず事件性はないとしても、問題はある。壊す意図じゃなく香澄がただ倒れ込んだだけで大破全壊した棚はガラス製だったらしい。 …俺も一度あの部屋入ってるんだけど、あの時は考えるべきこと多すぎたり突然ひっぱりこまれたりで、言われたこととか音声情報のほうが優位なまま残ってて、部屋の様子は正直ほとんど覚えてない。 あの人が、ガラスにこだわる理由。ややこしい理由なんてなくても「好きだから」ってだけも十分理由にはなるけど…例えば透明感のある部屋にしたいならアクリル板でも代替は効くし、安全だ。 …一度会ったかんじ、他者への危険性には思い至れる普通の人だった。嗜好だけで機能性や生活面や安全性を度外視して家具を選ぶほど耽美的な人柄にも思えなかった。まあ見た目だけなら耽美の塊みたいな人だったけど。 もし、誰かが入ることを一切想定されてない部屋なんだとしたら あの人は今回の香澄が負ったような怪我の危険と常に隣り合わせの状況に、好んで身を置いてる。もしくはそうせざるを得ない何かがあるなら、香澄より先に俺がそれを知れたらベストだ。香澄はあの人と今後も向き合おうとしてる。 手っ取り早く直にぃにあの人のこと聞いてみようかと思って、やめた。よくも悪くも直にぃは対象者のよくない面をよくないように受け取ることができない、多分。
次の日、香澄と一緒に菓子折選んで買って、あの人の家まで向かう。 渡して実際食べられるのかよりもこういうときの菓子折は形だけでもあったほうがいいらしい。 「香澄はあの人のこと慧先生て呼んでんの?」 「うん。直人が先生のことそう呼ぶから…」 「じゃ俺も同じにしよかな」 誠人さんにはあれこれバレてるけど、冷泉って苗字を俺が発するのはしばらく避けときたい気がする。 以前と同じマンションのエントランスで、部屋番号押したらすぐ応答がきた。 「突然すみません… 昨日のお詫びにきました」 スピーカーに向かって声を抑えめに話す香澄に向こうから返事がきた。 『あー…急ぎの仕事が入ってな。悪いが今日は出直してくれるか、その件なら俺から日を改めてそっちに出向くよ』 …声は普通だな 仕事を理由に人を追い返せるほど図太くは見えなかったけど 「すみません、ここ来るまで外の風が強くて香澄が熱出してて。タクシー呼んで帰るから少し休んでったらダメですか?」 香澄が隣でもごもごするのを目線でおさえてたら、きた返事はこうだった。 『…わかった。ただし靴のまま上がれよ』 ガラス片付けてないのか。香澄もそれに気づいたのか、エレベーターの中でも心配そうに眉下げてた。 部屋に行ったらインターホン押す前に内側からドアが開いた。 「…よう。今日は雪村くんも一緒か」 フツーに愛想よく微笑まれて聞かれたから「絢でいいです」って言いながら香澄の服の裾引っぱって部屋に上がる、言われたとおり靴履いたまま。この人自分はスリッパ履いてるだけなのに俺らが土足でいいのか。 「香澄は熱があるって? 怪我に響く前に寝室で少し横になるか?」 「えと… いえ、…大丈夫です」 廊下を歩きながら俺の後ろでやりとりしてる二人を半分放置してリビングまで入っていく。 ひらけたリビングに出て最初に目に飛び込んできたのは、足の踏み場もないほどにリビングの床全面に散った、ガラス片だった。 午前の陽を照り返して粉々に砕けた小さな破片の一粒までが眩しく光ってた。 奥の壁にあるほとんど原型とどめてない大破したガラスの棚には今にも���ちそうな危ういバランスで本が崩れて乗ってて、これは香澄が壊してからおそらくまったく手つけずだ。 「二人とも破片に気をつけろよ」 呆然とリビングの入り口のとこで、このやや非現実的な光景を見てたら、後ろから当たり前みたいにからんとした声かけられた。 「先生… 」俺の後ろでリビングの惨状を見た香澄がおそるおそる何か聞こうとしてる。 「業者を呼ぶ時間がなくてな」…察しのいい人だな。つっこんだ質問する前にこっちを安心させるていで先に返された。 「近々ここも越す予定だったし、どうせならそのタイミングで一緒に処分しようかと思ってそのままにしてんだ」 何かをごまかすふうでもない、普通に愛想のいい笑みで、一度も突っかからずに滑らかに喋る。 他人がもっとも受け入れ易いストーリーを受け入れ易い切り口で提供する語り手だ。…先生、美術講師、か。直にぃと深い関係なのに画家とかじゃなくて講師って少し意外なかんじがしてたけど、この人個人と接してる限りじゃ納得しかないな。 リビングに靴で踏み入ると靴の裏から小さなガラス片の悲鳴が上がる。 リビングの棚から一番遠くて棚のまっすぐ真正面に位置する床が、一部だけ少しガラス片がよけられていた。 「香澄の怪我は悪化してねえか? 寝室が三つと応接間があるから、とりあえずそっちに移るぞ」 「ここに居ましたよね」 唐突な質問、っていうか断定口調にしちゃった。じゃないとさっさとここから移動させられるし、うまく方便で躱されて再度話題にしにくくされそう。 「絢…?」 「他の部屋で過ごしてこのリビングだけ放置してたんじゃない、昨日からずっとここにいましたよね」 「……どうしてそう思うんだ?」 俺はやや詰問に寄ったニュアンスで話してるのに、この人は深刻な空気にならないようにかずっと親しげな笑みを浮かべてる。俺の質問の意図に気づいてたとしても、香澄を戸惑わせないようにか。 「…なんとなく。」 この場では無責任な返答しかできない。香澄も聞いてるしな。
パソコンの中にある真澄さんから受け取ったデータ。 本人に会う前にチェックするのは危険度とか直にぃとの関係とか俺が最低限気をつけなきゃいけないこととかだけで、詳細は誰のもすぐはあんまり読まないようにしてた。 事前に情報を頭に入れてたら、会った時の第一印象や直感にそれらが介入してくる。 でも香澄からこの人の部屋で怪我したってメールきて、そろそろ詳しく知っといていいかもと思って読み返してきた。 「………。」
***
冷泉慧鶴。 現在39歳。独身。1976年9月6日生まれ。乙女座。O型。身長約170センチ。体重約50キロ。 冷泉美遊が海外滞在中に妊娠した子供。 「………。」 …無計画な子ども。冷泉の家の人でも、俺も会ったことある誠人さんの友達っていうじーちゃんとは、距離感どれくらいなんだろ。慧清じーちゃん。 父親、Ігор Апостол。読み全然わかんねー…イゴール・アポーストル…? ウクライナ人。 結婚後に日本で美遊と夫婦生活を始める。慧鶴が10歳の時に蒸発するまで、父親は日本語が喋れず、読み書きもほぼできなかったため日本語能力が問題になり日本国籍を得られなかった。地域にも冷泉家にもなじめず、職にもつけず、家の中は美遊がとり仕切っており、ほぼ家で美遊の収入だけを頼りに引きこもりに近い生活を送っていた。 現在も父親の行方は不明。それらしき人物の病院受診歴なども今日まで無し、遺体も見つかっていない。 …個人特定が不可能なほど損傷した遺体はおいといて、もし死んでないなら誰かに匿われてんのかな、情報のままなら不法滞在中ってことかな。 あの人の外見、色素から骨格までほぼ完全に日本人じゃなかったけど、半分はウクライナか…美男美女大国じゃん。多民族国家だから色素も容姿も幅広いけど、その中でも父親は色素薄いほうだったのかな… あ、画質悪いけど写真ある、父親の…劇団員でモデルだったのか…だから写真も多く残ってんのか。母親の写真もある。すんごい美男美女夫婦…確かに足して割ったらあの人かも。 今だからあの人のあの色素ってこの国でそんなに珍しくもないけど、俺みたいに染めまくってるやつとかもいるし、…でもあの人が子どもの頃ってまだ2000年にもなってない。成長過程で何か人格形成に影響する程度には目立ったのかもしれない。 父親の蒸発後、母親は慧鶴に異様に執着するようになった。歩いて通えるような距離への場所でも車で送迎したり、慧鶴にGPSを所持させて常に居場所を把握しようとする行為など。のちに母親は心療内科を受診、現在も定期的な通院やカウンセリングを継続、入退院をしている。 …ここまででもその母親ってのがあの人に他にどういうこともしてたか、かなり現実的な想像ができる。それでも想像の域は出ないけど…。 高校入学直後にクラスメイトから集団暴行を受けたとの報告が学校側に一度だけ有った痕跡。しかしその後、いっさいの情報なし。加害者も被害当事者の慧鶴も暴行を否定している。 …否定。受け入れられない、脅されていた、面倒ごとを嫌った、狂言、事実なにもなかった、…可能性も心情も多岐にわたりすぎる、どうともいえないな。 大学在学中にクラスメイトの名廊直人と短期間の交際と同棲。名廊直人は慧鶴の実家で母親の美遊に暴力を振い、軽傷だが昏倒させる怪我を負わせている。 …直にぃ…。やっぱここでもやらかしてた。 名廊直人以外の他の人間との交際歴は無し。…なし? あれだけイケメンでコミュ強でモテそうなのに。美形すぎると近寄りがたくなるとか? そうじゃないなら告られたの全部断り通してるのか? 院を卒業後、美術講師として働くが、どこか特定の大学に腰を据えて所属したことはない。美術雑誌への寄稿文や、美術指南役のような立場でのテレビ出演、美術館併設時にアドバイザーとして参加、知人の芸術家たちの個展やパーティなどの企画の手伝い、海外のディーラーとのやりとりを引き受けるなど、広い人脈を使って多くの仕事を常に兼任している。 極度の潔癖症と強迫性障害を本人が公言している。公私にわたって手袋を着用しての行動が多い。昨年までは常に黒い細身のハイネックを着込んだ姿で目撃されていた。昨年以後、装いに若干の変化あり。 …去年になにかあったかな、香澄に聞いたら知ってるかな。 他人と食事を共にしたり触れ合ったり体液を直視することが困難である。単独の時間になにがどこまで可能なのかは不明。 趣味、乗馬。…潔癖症の荒療治か? 愛馬の名はベルモント。引退した元競走馬で、数頭の馬と馬場を持つ友人の所有する馬。 食事や他人との接触もやむを得ない場合はそつなく可能。あとから体調を崩している目撃例あり。 リウマチにやや似た疼痛で幼少期から複数の病院を受診しているが、原因も病名も未だ不明。 ネットでの風評被害多数。盗撮画像や過去の卒業アルバムの写真などがSNSや匿名掲示板でこれまでに繰り返し拡散され、便乗した真偽不明の噂や加工画像が出回り、身元や職の特定、住居へのつきまといや嫌がらせなどに至っている。事件化されたことはない。 定住を嫌い、定期的にかなりの頻度で引越している。
…こんくらいか。 情報あっても、いろいろと、分かんないといえば分かんない、けど、フツーに考えたらこれは、屈折するんじゃないの。
***
と、一昨日の夜に読んだときは思った。
ぱっと見ではどこも屈折してる風には見えない、なら、より根深い。 前に会ったときはここに直にぃも居た。この人はあのとき、直にぃにはつっけんどんで無遠慮でちょっと仕草も横柄で乱暴で、直にぃには一度も、笑いかけなかった。 直にぃとそれなりに遠慮のない関係を築けててあれがこの人の自然体なのか、それともこの人も情香さんみたいに直にぃに対して世間的な外面が通用しないし無意味だとわかっててああしてるのか。どっちにしたって俺たちへのにこやかな態度がまったくの嘘偽りの演技ってことになるわけでもない、んだけど…
香澄がこの人に菓子折渡して、 全然怒ってないしガラス片ぶちまけられた異様な部屋と乖離するレベルで機嫌も愛想もいいその人にどう探りをいれるか迷ってたら、隣で香澄がふらつきだした。 俺が熱あるって咄嗟に嘘ついたらマジで熱出てきちゃった… 「香澄? 具合悪い?」 額に手を当ててみる。37.5度くらいか。香澄の平熱いくつだっけ…なんにしても普段から体温高い方ではないな。 「平気だよ、あともう帰るだけで予定ないし…」 にこにこしてなんとか普通っぽく立ってる香澄に頭突きでも食らわそうかと思ってやめる。病人に頭突きはないな。 これから急いでタクシーで香澄を直にぃのとこに送り届けて…いや、病院…まだ微熱だし…うーん… 俺が自分が巻いてたマフラー外して、ストールだけの香澄の肩と首にぐるぐる巻いてあったかくしてたら、突然香澄の背後から香澄の体にふかふかの毛布がかけられた。 頭からかぶってオバケみたいになってるのを香澄が隙間からぴょこっと頭のてっぺんを出して後ろを振り返る。 「熱が下がるまで寝室で寝てろ」 当然のことみたいに提案されて俺も香澄もちょっとフリーズする。その人は俺たちの反応に穏やかに笑いながら続けた。 「寝室三つあるからしばらく泊まってってもいいぞ、俺が寝る場所に困るってこたぁねえから」 香澄と顔を見合わせる。…これって潔癖症なのにめっちゃ気を遣わせてる感じ? でもすぐ帰るって流れをこの人の提案がわざわざぶった切ってるし…? 二人で目線だけで会話してたらその人はさっさと寝室整え始めた。整えるほど散らかってもなさそうだけど… 「嫌ならそう言えよ、その時は病院か直人の家まで車出すからな」 香澄はその人と俺を散々交互に見てから、泊まるかどうかはともかく、しばらくここで休ませてもらうことに決めた。
俺も少し脚が痛かったから、香澄についてないでおとなしく家に帰ることにする。 昨日、俺が拗ねてラインのアイコンを絢ちゃんから経口補水液に変えたら親バカ二人が動揺してたから …てのはまぁいつものうちのネタだけど。 俺個人にとってのこの人の脅威がどの程度かはなんとなく把握した。あとは香澄と、ついでに直にぃ。 多分、香澄に危害を加えられることはない。香澄への感情だけがイマイチ読めないけど、無駄なリスクを犯さない人ではあると思う。
タクシーで帰りながら考える。 きっと誰も一生招き入れられることを想定されてなかった生活空間。そこに踏み込んだ香澄と、それを許したあの人。潔癖症の枠から完全に逸脱した香澄への咄嗟の態度。 ここまで予想通りで、完全な不慮の事故なら、自分に対する否定的な感情に呑まれて、今日来た俺たちに応対もできないほどネガティブになっててもおかしくない、でもそうじゃなかった、無理もしてないようにみえた。 データの中で特に考慮に困った一文… ”胎内では双生児だったが、多胎の妊娠・出産に母胎が耐えられず、養育も困難であるなど多くの点から、片方の胎児を胎内で間引くことが検討されていたが、その期間にストレスから母親が心身の調子を崩し、結果的に片方の胎児が胎内で死亡した、生存した方の胎児が慧鶴である” …気にしない人ならこんなの忘れて生きてる。産まれたのは自分一人だから。あの人はどうかな。 生まれる前に死んで自分に吸収された片割れの存在が、あの人に絶対的な自己肯定感を保ち続ける責務を負わせてるのかもしれない。 ーーー自分を苛む常態と、誰からも苛まれてはならない義務感が、あの人を単純に病んだ人格にさせることを拒み続けたなら、 自己の外側のものであって同時に自分だけに常に向く「自室」が、あの状態なのはーーー自然だ。
…直にぃ。前に話しついでにあの人を、ガラス細工のようだって言ってた。 ”無色透明なガラス細工と似てる。…色がないみたいだけど、外からのものを歪めて身に宿して輝く、眩しいほどの美しさは本人の中の精巧で繊細な屈折率で光を内側で反射し合ってるから” 残酷な例えだな。 関係が深いだけあっておそらく結構的を得てそうだし。 壊れやすいものを前にいつまでもその脆さに美しいなんて魅入ってたら、次の瞬間には簡単に壊れて終わりかもしれないのに。 …さすがに香澄に対してはそういうとこは改善されてきてるみたいだけど。顔の傷痕を消してるから。
壊れたガラスはただのガラクタでもある、ゴミでもある、同時に周囲を無差別に傷つけるむき出しの凶器そのものでもある。 香澄が今夜あの人の部屋に泊まってってどうなるのかは、俺にもわからない。
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skf14 · 4 years
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愛読者が、死んだ。
いや、本当に死んだのかどうかは分からない。が、死んだ、と思うしか、ないのだろう。
そもそも私が小説で脚光を浴びたきっかけは、ある男のルポルタージュを書いたからだった。数多の取材を全て断っていた彼は、なぜか私にだけは心を開いて、全てを話してくれた。だからこそ書けた、そして注目された。
彼は、モラルの欠落した人間だった。善と悪を、その概念から全て捨て去ってしまっていた。人が良いと思うことも、不快に思うことも、彼は理解が出来ず、ただ彼の中のルールを元に生きている、パーソナリティ障害の一種だろうと私は初めて彼に会った時に直感した。
彼は、胸に大きな穴を抱えて、生きていた。無論、それは本当に穴が空いていたわけではないが、彼にとっては本当に穴が空いていて、穴の向こうから人が行き交う景色が見え、空虚、虚無を抱いて生きていた。不思議だ。幻覚、にしては突拍子が無さすぎる。幼い頃にスコンと空いたその穴は成長するごとに広がっていき、穴を���める為、彼は試行し、画策した。
私が初めて彼に会ったのは、まだ裁判が始まる前のことだった。弁護士すらも遠ざけている、という彼に、私はただ、簡単な挨拶と自己紹介と、そして、「理解しない人間に理解させるため、言葉を紡ぎませんか。」と書き添えて、名刺と共に送付した。
その頃の私は書き殴った小説未満をコンテストに送り付けては、音沙汰のない携帯を握り締め、虚無感溢れる日々をなんとか食い繋いでいた。いわゆる底辺、だ。夢もなく、希望もなく、ただ、人並みの能がこれしかない、と、藁よりも脆い小説に、私は縋っていた。
そんな追い込まれた状況で手を伸ばした先が、極刑は免れないだろう男だったのは、今考えてもなぜなのか、よくわからない。ただ、他の囚人に興味があったわけでもなく、ルポルタージュが書きたかったわけでもなく、ただ、話したい。そう思った。
夏の暑い日のことだった。私の家に届いた茶封筒の中には白無地の紙が一枚入っており、筆圧の無い薄い鉛筆の字で「8月24日に、お待ちしています。」と、ただ一文だけが書き記されていた。
こちらから申し込むのに囚人側から日付を指定してくるなんて、風変わりな男だ。と、私は概要程度しか知らない彼の事件について、一通り知っておこうとパソコンを開いた。
『事件の被疑者、高山一途の家は貧しく、母親は風俗で日銭を稼ぎ、父親は勤めていた会社でトラブルを起こしクビになってからずっと、家で酒を飲んでは暴れる日々だった。怒鳴り声、金切声、過去に高山一家の近所に住んでいた住人は、幾度となく喧嘩の声を聞いていたという。高山は友人のない青春時代を送り、高校を卒業し就職した会社でも活躍することは出来ず、社会から孤立しその精神を捻じ曲げていった。高山は己の不出来を己以外の全てのせいだと責任転嫁し、世間を憎み、全てを恨み、そして凶行に至った。
被害者Aは20xx年8月24日午後11時過ぎ、高山の自宅において後頭部をバールで殴打され殺害。その後、高山により身体をバラバラに解体された後ミンチ状に叩き潰された。発見された段階では、人間だったものとは到底思えず修復不可能なほどだったという。
きっかけは近隣住民からの異臭がするという通報だった。高山は殺害から2週間後、Aさんだった腐肉と室内で戯れている所を発見、逮捕に至る。現場はひどい有り様で、近隣住民の中には体調を崩し救急搬送される者もいた。身体に、腐肉とそこから滲み出る汁を塗りたくっていた高山は抵抗することもなく素直に同行し、Aさん殺害及び死体損壊等の罪を認めた。初公判は※月※日予定。』
いくつも情報を拾っていく中で、私は唐突に、彼の名前の意味について気が付き、二の腕にぞわりと鳥肌が立った。
一途。イット。それ。
あぁ、彼は、ずっと忌み嫌われ、居場所もなくただ産み落とされたという理由で必死に生きてきたんだと、何も知らない私ですら胸が締め付けられる思いがした。私は頭に入れた情報から憶測を全て消し、残った彼の人生のカケラを持って、刑務所へと赴いた。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「失礼します。」
「どうぞ。」
手錠と腰縄を付けて出てきた青年は、私と大して歳の変わらない、人畜無害、悪く言えば何の印象にも残らない、黒髪と、黒曜石のような真っ黒な瞳の持ち主だった。奥深い、どこまでも底のない瞳をつい値踏みするように見てしまって、慌てて促されるままパイプ椅子へと腰掛けた。彼は開口一番、私の書いている小説のことを聞いた。
「何か一つ、話してくれませんか。」
「え、あ、はい、どんな話がお好きですか。」
「貴方が一番好きな話を。」
「分かりました。では、...世界から言葉が消えたなら。」
私の一番気に入っている話、それは、10万字話すと死んでしまう奇病にかかった、愛し合う二人の話。彼は朗読などしたこともない、世に出てすらいない私の拙い小説を、目を細めて静かに聞いていた。最後まで一度も口を挟むことなく聞いているから、読み上げる私も自然と力が入ってしまう。読み終え、余韻と共に顔を上げると、彼はほろほろ、と、目から雫を溢していた。人が泣く姿を、こんなにまじまじと見たのは初めてだった。
「だ、大丈夫ですか、」
「えぇ。ありがとうございます。」
「あの、すみません、どうして私と、会っていただけることになったんでしょうか。」
ふるふる、と犬のように首を振った彼はにこり、と機械的にはにかんで、机に手を置き私を見つめた。かしゃり、と決して軽くない鉄の音が、無機質な部屋に響く。
「僕に大してアクションを起こしてくる人達は皆、同情や好奇心、粗探しと金儲けの匂いがしました。送られてくる手紙は全て下手に出ているようで、僕を品定めするように舐め回してくる文章ばかり。」
「...それは、お察しします。」
「でも、貴方の手紙には、「理解しない人間に理解させるため、言葉を紡ぎませんか。」と書かれていた。面白いな、って思いませんか。」
「何故?」
「だって、貴方、「理解させる」って、僕と同じ目線に立って、物を言ってるでしょう。」
「.........意識、していませんでした。私はただ、憶測が嫌いで、貴方のことを理解したいと、そう思っただけです。」
「また、来てくれますか。」
「勿論。貴方のことを、少しずつでいいので、教えてくれますか。」
「一つ、条件があります。」
「何でしょう。」
「もし本にするなら、僕の言葉じゃなく、貴方の言葉で書いて欲しい。」
そして私は、彼の元へ通うことになった。話を聞けば聞くほど、彼の気持ちが痛いほど分かって、いや、分かっていたのかどうかは分からない。共鳴していただけかもしれない、同情心もあったかもしれない、でも私はただただあくる日も、そのあくる日も、私の言葉で彼を表し続けた。私の記した言葉を聞いて、楽しそうに微笑む彼は、私の言葉を最後まで一度も訂正しなかった。
「貴方はどう思う?僕の、したことについて。」
「...私なら、諦めてしまって、きっと得物を手に取って終わってしまうと思います。最後の最後まで、私が満たされることよりも、世間を気にしてしまう。不幸だと己を憐れんで、見えている答えからは目を背けて、後悔し続けて死ぬことは、きっと貴方の目から見れば不思議に映る、と思います。」
「理性的だけど、道徳的な答えではないね。普通はきっと、「己を満たす為に人を殺すのは躊躇う」って、そう答えるんじゃないかな。」
「でも、乾き続ける己のままで生きることは耐え難い苦痛だった時、己を満たす選択をしたことを、誰が責められるんでしょうか。」
「...貴方に、もう少し早く、出逢いたかった。」
ぽつり、零された言葉と、アクリル板越しに翳された掌。温度が重なることはない。触れ合って、痛みを分かち合うこともない。来園者の真似をする猿のように、彼の手に私の手を合わせて、ただ、じっとその目を見つめた。相変わらず何の感情もない目は、いつもより少しだけ暖かいような、そんな気がした。
彼も、私も、孤独だったのだと、その時初めて気が付いた。世間から隔離され、もしくは自ら距離を置き、人間が信じられず、理解不能な数億もの生き物に囲まれて秩序を保ちながら日々歩かされることに抗えず、翻弄され。きっと彼の胸に空いていた穴は、彼が被害者を殺害し、埋めようと必死に肉塊を塗りたくっていた穴は、彼以外の人間が、もしくは彼が、無意識のうちに彼から抉り取っていった、彼そのものだったのだろう。理解した瞬間止まらなくなった涙を、彼は拭えない。そうだった、最初に私の話で涙した彼の頬を撫でることだって、私には出来なかった。私と彼は、分かり合えたはずなのに、分かり合えない。私の言葉で作り上げた彼は、世間が言う狂人でも可哀想な子でもない、ただ一人の、人間だった。
その数日後、彼が獄中で首を吊ったという報道が流れた時、何となく、そうなるような気がしていて、それでも私は、彼が味わったような、胸に穴が開くような喪失感を抱いた。彼はただ、理解されたかっただけだ。理解のない人間の言葉が、行動が、彼の歩く道を少しずつ曲げていった。
私は書き溜めていた彼の全てを、一冊の本にした。本のタイトルは、「今日も、皮肉なほど空は青い。」。逮捕された彼が手錠をかけられた時、部屋のカーテンの隙間から空が見えた、と言っていた。ぴっちり閉じていたはずなのに、その時だけひらりと翻った暗赤色のカーテンの間から顔を覗かせた青は、目に刺さって痛いほど、青かった、と。
出版社は皆、猟奇的殺人犯のノンフィクションを出版したい、と食い付いた。帯に著名人の寒気がする言葉も書かれた。私の名前も大々的に張り出され、重版が決定し、至る所で賛否両論が巻き起こった。被害者の遺族は怒りを露わにし、会見で私と、彼に対しての呪詛をぶちまけた。
インタビュー、取材、関わってくる人間の全てを私は拒否して、来る日も来る日も、読者から届く手紙、メール、SNS上に散乱する、本の感想を読み漁り続けた。
そこに、私の望むものは何もなかった。
『あなたは犯罪者に対して同情を誘いたいんですか?』
私がいつ、どこに、彼を可哀想だと記したのだろう。
『犯罪者を擁護したいのですか?理解出来ません。彼は人を殺したんですよ。』
彼は許されるべきだとも、悪くない、とも私は書いていない。彼は素直に逮捕され、正式な処罰ではないが、命をもって罪へ対応した。これ以上、何をしろ、と言うのだろう。彼が跪き頭を地面に擦り付け、涙ながらに謝罪する所を見たかったのだろうか。
『とても面白かったです。狂人の世界が何となく理解出来ました。』
何をどう理解したら、この感想が浮かぶのだろう。そもそもこの人は、私の本を読んだのだろうか。
『作者はもしかしたら接していくうちに、高山を愛してしまったのではないか?贔屓目の文章は公平ではなく気持ちが悪い。』
『全てを人のせいにして自分が悪くないと喚く子供に殺された方が哀れでならない。』
『結局人殺しの自己正当化本。それに手を貸した筆者も同罪。裁かれろ。』
『ただただ不快。皆寂しかったり、一人になる瞬間はある。自分だけが苦しい、と言わんばかりの態度に腹が立つ。』
『いくら貰えるんだろうなぁ筆者。羨ましいぜ、人殺しのキチガイの本書いて金貰えるなんて。』
私は、とても愚かだったのだと気付かされた。
皆に理解させよう、などと宣って、彼を、私の言葉で形作ったこと。裏を返せば、その行為は、言葉を尽くせば理解される、と、人間に期待をしていたに他ならない。
私は、彼によって得たわずかな幸福よりも、その後に押し寄せてくる大きな悲しみ、不幸がどうしようもなく耐え難く、心底、己が哀れだった。
胸に穴が空いている、と言う幻覚を見続けた彼は、穴が塞がりそうになるたび、そしてまた無機質な空虚に戻るたび、こんな痛みを感じていたのだろうか。
私は毎日、感想を読み続けた。貰った手紙は、読んだものから燃やしていった。他者に理解される、ということが、どれほど難しいのかを、思い知った。言葉を紡ぐことが怖くなり、彼を理解した私ですら、疑わしく、かといって己と論争するほどの気力はなく、ただ、この世に私以外の、彼の理解者は現れず、唯一の彼の理解者はここにいても、もう彼の話に相槌を打つことは叶わず、陰鬱とする思考の暗闇の中を、堂々巡りしていた。
思考を持つ植物になりたい、と、ずっと思っていた。人間は考える葦である、という言葉が皮肉に聞こえるほど、私はただ、一人で、誰の脳にも引っ掛からず、狭間を生きていた。
孤独、などという言葉で表すのは烏滸がましいほど、私、彼が抱えるソレは哀しく、決して治らない不治の病のようなものだった。私は彼であり、彼は私だった。同じ境遇、というわけではない。赤の他人。彼には守るべき己の秩序があり、私にはそんな誇り高いものすらなく、能動的、怠惰に流されて生きていた。
彼は、目の前にいた人間の頭にバールを振り下ろす瞬間も、身体をミンチにする工程も、全て正気だった。ただ心の中に一つだけ、それをしなければ、生きているのが恐ろしい、今しなければずっと後悔し続ける、胸を掻きむしり大声を上げて暴れたくなるような焦燥感、漠然とした不安感、それらをごちゃ混ぜにした感情、抗えない欲求のようなものが湧き上がってきた、と話していた。上手く呼吸が出来なくなる感覚、と言われて、思わず己の胸を抑えた記憶が懐かしい。
出版から3ヶ月、私は感想を読むのをやめた。人間がもっと憎らしく、恐ろしく、嫌いになった。彼が褒めてくれた、利己的な幸せの話を追い求めよう。そう決めた。私の秩序は、小説を書き続けること。嗚呼と叫ぶ声を、流れた血を、光のない部屋を、全てを飲み込む黒を文字に乗せて、上手く呼吸すること。
出版社は、どこも私の名前を見た瞬間、原稿を送り返し、もしくは廃棄した。『君も人殺したんでしょ?なんだか噂で聞いたよ。』『よくうちで本出せると思ったね、君、自分がしたこと忘れたの?』『無理ですね。会社潰したくないので。』『女ならまだ赤裸々なセックスエッセイでも書かせてやれるけど、男じゃ使えないよ、いらない。』数多の断り文句は見事に各社で違うもので、私は感嘆すると共に、人間がまた嫌いになった。彼が乗せてくれたから、私の言葉が輝いていたのだと痛感した。きっとあの本は、ノンフィクション、ルポルタージュじゃなくても、きっと人の心に突き刺さったはずだと、そう思わずにはいられなかった。
以前に働いていた会社は、ルポの出版の直前に辞表を出した。私がいなくても、普段通り世界は回る。著者の実物を狂ったように探し回っていた人間も、見つからないと分かるや否や他の叩く対象を見つけ、そちらで楽しんでいるようだった。私の書いた彼の本は、悪趣味な三流ルポ、と呼ばれた。貯金は底を尽きた。手当たり次第応募して見つけた仕事で、小銭を稼いだ。家賃と、食事に使えばもう残りは硬貨しか残らない、そんな生活になった。元より、彼の本によって得た利益は、全て燃やしてしまっていた。それが、正しい末路だと思ったからだったが、何故と言われれば説明は出来ない。ただ燃えて、真っ赤になった札が灰白色に色褪せ、風に脆く崩れていく姿を見て、幸せそうだと、そう思った。
名前を伏せ、webサイトで小説を投稿し始めた。アクセス数も、いいね!も、どうでも良かった。私はただ秩序を保つために書き、顎を上げて、夜店の金魚のように、浅い水槽の中で居場所なく肩を縮めながら、ただ、遥か遠くにある空を眺めては、届くはずもない鰭を伸ばした。
ある日、web上のダイレクトメールに一件のメッセージが入った。非難か、批評か、スパムか。開いた画面には文字がつらつらと記されていた。
『貴方の本を、販売当時に読みました。明記はされていませんが、某殺人事件のルポを書かれていた方ですか?文体が、似ていたのでもし勘違いであれば、すみません。』
断言するように言い当てられたのは初めてだったが、画面をスクロールする指はもう今更震えない。
『最新作、読みました。とても...哀しい話でした。ゾンビ、なんてコミカルなテーマなのに、貴方はコメをトラにしてしまう才能があるんでしょうね。悲劇。ただ、二人が次の世界で、二人の望む幸せを得られることを祈りたくなる、そんな話でした。過去作も、全て読みました。目を覆いたくなるリアルな描写も、抽象的なのに五感のどこかに優しく触れるような比喩も、とても素敵です。これからも、書いてください。』
コメとトラ。私が太宰の「人間失格」を好きな事は当然知らないだろうに、不思議と親近感が湧いた。単純だ。と少し笑ってから、私はその奇特な人間に一言、返信した。
『私のルポルタージュを読んで、どう思われましたか。』
無名の人間、それも、ファンタジーやラブコメがランキング上位を占めるwebにおいて、埋もれに埋もれていた私を見つけた人。だからこそ聞きたかった。例えどんな答えが返ってきても構わなかった。もう、罵詈雑言には慣れていた。
数日後、通知音に誘われて開いたDMには、前回よりも短い感想が送られてきていた。
『人を殺めた事実を別にすれば、私は少しだけ、彼の気持ちを理解出来る気がしました。。彼の抱いていた底なしの虚無感が見せた胸の穴も、それを埋めようと無意識のうちに焦がれていたものがやっと現れた時の衝動。共感は微塵も出来ないが、全く理解が出来ない化け物でも狂人でもない、赤色を見て赤色だと思う一人の人間だと思いました。』
何度も読み返していると、もう1通、メッセージが来た。惜しみながらも画面をスクロールする。
『もう一度読み直して、感想を考えました。外野からどうこう言えるほど、彼を軽んじることが出来ませんでした。良い悪いは、彼の起こした行動に対してであれば悪で、それを彼は自死という形で償った。彼の思考について善悪を語れるのは、本人だけ。』
私は、画面の向こうに現れた人間に、頭を下げた。見えるはずもない。自己満足だ。そう知りながらも、下げずにはいられなかった。彼を、私を、理解してくれてありがとう。それが、私が愛読者と出会った瞬間だった。
愛読者は、どうやら私の作風をいたく気に入ったらしかった。あれやこれや、私の言葉で色んな世界を見て���たい、と強請った。その様子はどこか彼にも似ている気がして、私は愛読者の望むまま、数多の世界を創造した。いっそう創作は捗った。愛読者以外の人間は、ろくに寄り付かずたまに冷やかす輩が現れる程度で、私の言葉は、世間には刺さらない。
まるで神にでもなった気分だった。初めて小説を書いた時、私の指先一つで、人が自由に動き、話し、歩き、生きて、死ぬ。理想の愛を作り上げることも、到底現実世界では幸せになれない人を幸せにすることも、なんでも出来た。幸福のシロップが私の脳のタンパク質にじゅわじゅわと染みていって、甘ったるいスポンジになって、溢れ出すのは快楽物質。
そう、私は神になった。上から下界を見下ろし、手に持った無数の糸を引いて切って繋いでダンス。鼻歌まじりに踊るはワルツ。喜悲劇とも呼べるその一人芝居を、私はただ、演じた。
世の偉いベストセラー作家も、私の敬愛する文豪も、ポエムを垂れ流す病んだSNSの住人も、暗闇の中で自慰じみた創作をして死んでいく私も、きっと書く理由なんて、ただ楽しくて気持ちいいから。それに尽きるような気がする。
愛読者は私の思考をよく理解し、ただモラルのない行為にはノーを突きつけ、感想を欠かさずくれた。楽しかった。アクリルの向こうで私の話を聞いていた彼は、感想を口にすることはなかった。核心を突き、時に厳しい指摘をし、それでも全ての登場人物に対して寄り添い、「理解」してくれた。行動の理由を、言動の意味を、目線の行く先を、彼らの見る世界を。
一人で歩いていた暗い世界に、ぽつり、ぽつりと街灯が灯っていく、そんな感覚。じわりじわり暖かくなる肌触りのいい空気が私を包んで、私は初めて、人と共有することの幸せを味わった。不変を自分以外に見出し、脳内を共鳴させることの価値を知った。
幸せは麻薬だ、とかの人が説く。0の状態から1の幸せを得た人間は、気付いた頃にはその1を見失う。10の幸せがないと、幸せを感じなくなる。人間は1の幸せを持っていても、0の時よりも、不幸に感じる。幸福感という魔物に侵され支配されてしまった哀れな脳が見せる、もっと大きな、訪れるはずと信じて疑わない幻影の幸せ。
私はさしずめ、来るはずのプレゼントを玄関先でそわそわと待つ少女のように無垢で、そして、馬鹿だった。無知ゆえの、無垢の信頼ゆえの、馬鹿。救えない。
愛読者は姿を消した。ある日話を更新した私のDMは、いつまで経っても鳴らなかった。震える手で押した愛読者のアカウントは消えていた。私はその時初めて、愛読者の名前も顔も性別も、何もかもを知らないことに気が付いた。遅すぎた、否、知っていたところで何が出来たのだろう。私はただ、愛読者から感想という自己顕示欲を満たせる砂糖を注がれ続けて、その甘さに耽溺していた白痴の蟻だったのに。並ぶ言葉がざらざらと、砂時計の砂の如く崩れて床に散らばっていく幻覚が見えて、私は端末を放り投げ、野良猫を落ち着かせるように布団を被り、何がいけなかったのかをひとしきり考え、そして、やめた。
人間は、皆、勝手だ。何故か。皆、自分が大事だからだ。誰も守ってくれない己を守るため、生きるため、人は必死に崖を這い上がって、その途中で崖にしがみつく他者の手を足場にしていたとしても、気付く術はない。
愛読者は何も悪くない。これは、人間に期待し、信用という目に見えない清らかな物を崇拝し、焦がれ、浅はかにも己の手の中に得られると勘違いし小躍りした、道化師の喜劇だ。
愛読者は今日も、どこかで息をして、空を見上げているのだろうか。彼が亡くなった時と同じ感覚を抱いていた。彼が最後に見た澄んだ空。私が、諦観し絶望しながらも、明日も見るであろう狭い空。人生には不幸も幸せもなく、ただいっさいがすぎていく、そう言った27歳の太宰の言葉が、彼の年に近付いてからやっと分かるようになった。そう、人が生きる、ということに、最初から大して意味はない。今、人間がヒエラルキーの頂点に君臨し、80億弱もひしめき合って睨み合って生きていることにも、意味はない。ただ、そうあったから。
愛読者が消えた意味も、彼が自ら命を絶った理由も、考えるのをやめよう。と思った。呼吸代わりに、ある種の強迫観念に基づいて狂ったように綴っていた世界も、閉じたところで私は死なないし、私は死ぬ。最早私が今こうして生きているのも、植物状態で眠る私の見ている長い長い夢かもしれない。
私は思考を捨て、人でいることをやめた。
途端に、世界が輝きだした。全てが美しく見える。私が今ここにあることが、何よりも楽しく、笑いが止まらない。鉄線入りの窓ガラスが、かの大聖堂のステンドグラスよりも耽美に見える。
太宰先生、貴方はきっと思考を続けたから、あんな話を書いたのよ。私、今、そこかしこに檸檬を置いて回りたいほど愉快。
これがきっと、幸せ。って呼ぶのね。
愛読者は死んだ。もう戻らない。私の世界と共に死んだ、と思っていたが、元から生きても死んでもいなかった。否、生きていて、死んでいた。シュレディンガーの猫だ。
「嗚呼、私、やっぱり、
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yoshikonanbu · 7 years
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新色でデザスカしてみた😊 途中経過! この後ジェルでアート予定💜 #やっぱりアクリルは奥が深い #ジェルはジェルの良さ #技術者として両方ラブ❤️ #アクリル〜このままだとちょっと誤解されたら困るので😵アートする笑 #アクリルネイルセミナー #バレリーナネイルやるよ #アクリルならではの美しいフォルム伝えたい #ミラージュスペリオール #新色 #yoshikonanbu #aclilicnails (NYN キャトルフィーユ)
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ats0101 · 6 years
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ネスターゲームズ(nestorgames)について その2
この記事は ボドゲ紹介 Advent Calendar 2018 の20日目です。
前日はぬん君の「数エーカーの雪」紹介記事でした。相変わらず切れ味抜群で思わずやってみたくなるキャッチーな記事。ぐぬぬ、文才のない自分は………オムニバス形式の物量作戦で対抗だ!
ということで、今回はブログやTwitterでも何度か紹介しているアブストラクトゲームメインのパブリッシャー、ネスターゲームズ(nestorgames)についてたくさん紹介していきます。
nestorgamesといえば1ペンケース1ゲームなコレですね。下の写真だけで50個以上のゲームがあります。小箱カードゲームじゃないのにこの空間効率。日本の狭い住宅事情に優しい!
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よく知らない方は以前の紹介記事を見てもらうといいかも。あと公式サイトに日本語訳を大量に提供させてもらってるので、気になるゲームがあれば大半はルールも確認できます。
さてさて、nestorgamesは一部の比較的話題に上がるゲーム以外はどんなゲームなのかほとんど情報がないのが実情です。なので、今回はあえて有名どころ以外のゲームを紹介したいと思います。
ちなみにこのブログで過去にnestorgamesのゲームについて触れている記事をざっとピックアップしてみました。こちらもお時間あればどうぞ。
コンヘックス(ConHex)、ペントアップ(Pent-Up) マーゴ(Margo) ザイク(Zaic)、錦鯉(Jin Li)、リンケージ(Linkage)、ダカーポ(dakapo) リブラ(Libra) アメーバ(Ameba) オード(Ordo)、アマゾン(Amazon)、カラニッシュ(Callanish)、ヘックス(Hex)、ヴォロー(Volo)、ヤバラックス(Yavalax) ミュルス・ガリカス(Murus Gallicus) アクロン(Akron)、ペントアップ(Pent-Up)、ヤバラス(Yavalath)
ではいきましょう!
ロット (Lot)
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一言で言うなら二重三目並べ。
手番ではコマを1個置くだけです。自分のコマが直線で3個並んだら、その1箇所にコマを乗せて2段にして残り2箇所からはコマを取り除きます。2段が直線で3つ並んだら勝ち。説明1分、やー簡単。
が、実際やってみると一筋縄ではいかないことが分かります。3個並ぶと2個減るので、その時に自分の場の支配が弱まるのを見越して布石を打っておかないと、勝ちに近づいたつもりが遠のいたなんてことが起こります。
とはいえ、ルールが直感的に分かりやすく勝ちまでの道筋も比較的立てやすいので「ちょっとやってみませんか?」と誘いやすいゲームかなと思います。
ちなみに写真はアクリルコマ版。廉価版のプラスチックコマ版もありますが、やっぱりアクリルコマの方が気分もアガるってもんです。
オナガー (Onager)
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投石器をモチーフとしたゲームで、開始時に手前2列(自分側)に並んでいる自分のコマを最終的に一番奥の列(相手側)へ送り込むのが目的です。
特徴はコマの移動方法で、単に1マス隣に移動する以外に「ジャンプ」があります。これは、移動するコマ以外に起点となる自分のコマを指定し、”移動元〜起点の距離”=”起点〜移動先の距離”になるような位置にコマを直線移動させます。起点のコマを中心として鏡写しのような位置までコマを一気に移動させることができるわけです。
一見すると到達系ゲームなのに、一番手前の列からいきなり一番奥の列にジャンプしての大逆転もあり得るというのが面白いところ。気の抜けない展開が続くダイナミックなゲームです。
ここのつ (9tka)
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今回紹介する中では唯一のエリアマジョリティ系ゲームで、2~4人でプレイできます。ボードが各エリア9マスの9エリアからなり、4人プレイ時は各自のコマ数も9個でまさに9づくし。
各エリアに赤のコマ(中立の障害物)を1個ずつ置いてからゲームスタート。
まず手番順に各自1個ずつ自分のコマを外周(9エリアの外)のどこかに置きます。全員がコマを置ききって外周が埋まったら前半戦終了。
後半戦は手番順に各自1個ずつ自分のコマを内側のエリアに向けて移動させます。途中で曲がったりはできず、他のコマか対岸の外周に当たるまで正面に直線移動させるだけ。
全員がこれ以上移動できなくなったゲーム終了です。エリア毎にコマ数単独1位のプレイヤーがそれぞれ1点獲得し、最高点のプレイヤーが勝ち。
これもなにげに説明が簡単で駆け引きも分かりやすく短時間で勝負がつくので、ちょっと出すのに重宝する隠れた良ゲームと思ってます。
スタック-22 (Stack-22)
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nestorgamesの紹介で真っ先に挙げられるゲームといえばペントアップ(Pent-Up)。ルールのシンプルさ、戦略性、見た目、と3拍子揃った人気作です。
これには同一ルールで三角形ベースのカウンタープレイ(Counterplays)と六角形ベースのセブン(Seven)があります。
このシリーズは共通で「全タイル配置後、最上層にあるタイルが多いプレイヤーの勝ち」なのですが、ルールの肝は「タイルは可能な限り上の階層に置かなければならない」という制約です。どこにでも置けるわけではないのがミソで、相手のタイルが土台になるように仕向けてその���に自分のタイルを乗せるのが基本。毎手番自分と相手の残りタイルを見て相手の次の行動を縛るように置いていくのがゲームの醍醐味と言えます。単に自分の置きたいタイルを置いてるだけでは駆け引きになりません。
そんな前提からのコレ、シリーズ最新作のStack-22。タイル数がペントアップの約2倍、セブンの約3倍という多さ!
開始時点で両者合わせて44個のタイル、しかもグリッドの認識に慣れが必要な六角形ベース。これらをぐるっと眺めて各タイルがどの階層に置かれることになるかを毎手番見極める必要があります。ルールブックで「これはカジュアル向けじゃないよ」とわざわざ警告されているのは伊達じゃない!
nestorgamesからの挑戦状とも言えそうなStack-22。シリーズをやったことがある人はこれをプレイしてそのヤバさを体感してみてください。
デュプロライン (DuploLine)
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基本はコマを直線で4個並べたら勝ちの四目並べなんですが、全く違うプレイ感です。
まずディスクとリングの2種類のコマがあり、勝利条件も「ディスクを4個並べる」と「リングを4個並べる」の2種類あります。
手番でやることは、以下の2つを任意の順番で。
新たに自分のディスクを相手のディスク/リングに隣接して配置するか、 既存の自分のディスクを隣接する任意のリングの中に入れる。
新たに自分のリングを相手のディスク/リングに隣接して配置するか、 既存の自分のリングを隣接する任意のディスクにかぶせる。
これに全てのコマがつながっていないといけないという縛りがあります。
この分割禁止ルールと一度ディスク/リングが合体したらもうそのマスには入れないルールで互いに牽制し合いながら、ジリジリと布石を打っていくイメージです。
基本ルールが同じで対辺の接続が目的のデュプロヘックス(DuploHex)もありますが、個人的にはこのデュプロラインの方が断然好みですね。とはいえデュプロヘックスも高評価は多いので人それぞれかと思います。
ラスカ (Laska)
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伝統ゲームであるチェッカーのバリアントで、デザイナーは約100年前のチェスチャンピオン。
チェッカーの基本は、斜め前に1マス進むか、斜めに相手のコマがあれば必ず飛び越えて取り除く、を繰り返し、相手のコマを全部取り除くか手詰まりにさせれば勝ち。コマが取れるなら必ず取らなければならないルールを利用しての肉を切らせて骨を断つ攻防が魅力の一つです。
これに対して、ラスカは飛び越えた相手のコマを取り除かず移動先のマスに道連れにします。なので飛び越えた後は足下にコマが増えます。そして、この際に移動先へ道連れにするのは飛び越えられたスタックの一番上のコマだけなので、その下敷きになっていたコマが復活するというのが最大の特徴。
ぱっと聞いただけだと面白さが分かりにくいんですが、実際やってみるとこれが面白いんですよね。相手のコマが復活するからこの手は打てない!という縦方向のジレンマが加わって、チェッカーとはまた別の楽しさがあります。
アイザック (Isaac)
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nestorgamesの尖ったラインナップの中でも中々の異端児。見た目でどんなゲームか全然想像できないというのはアブストラクトゲームあるあるですが、これもまさにそんなゲームの1つ。
といっても基本的なルールは実は簡単。
まずゲームは前半戦と後半戦に分かれています。 前半戦は、長さに応じて素点が刻まれた棒を2人が交互に置き、全部置いたら終わり。 後半戦は2人が交互に棒を取り除きます(ただし既に取り除いた棒より短い棒は不可)。棒を取り除くたびに得点が入り、合計得点が高い方の勝ち。
棒を取り除いたときは、得点 = (棒の素点) × (その棒の両端の延長線上にある棒の本数) としてスコアトラック上のスコアカウンターを動かします。
スコアトラックはどこに?ボードをよーく見ると端っこの縦横に小さく0~9が書かれています。なんとこのゲーム、ボード自体がスコアトラックです。しかも、カウンターが乗っているコマは取り除けなかったり、取り除く棒の延長線上にカウンターがあると得点が2倍になったりするメタ的ルール。
そして、棒の除去で得られる得点はわざと少なくしてもOK。あえて獲得点数を減らして相手を妨害するなんてことができます。といっても中々ウマいこといかないんですけどね。コツをつかむには何度かプレイが必要なゲームです。
同じコンポーネントで、橋を架けるように棒を置いていくファウンデーションズ(Foundations)と、一度置いた棒をスライドさせて空いたスペースに棒を置いていくハリ(Hari)というゲームも遊ぶことができます。
モレリ (Morelli)
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これも綺麗な見た目して結構独特なゲームです。さっきのアイザックは意外とあっさり塩味ですが、こっちは豚骨。
オセロみたいなコマを最外周(赤の枠)に点対称にランダム配置してスタート。コマを移動していき、中央マス(玉座)を中心として自分のコマが正方形の四隅になるようなパターン(フレームと呼びます)を完成すると玉座を奪取。玉座を互いに奪いつつ、どちらかが手詰まりになった時に玉座にいる方が勝ちです。
各コマの移動はチェスのクイーンと同じなんですが、今いる枠より内側の枠にしか止まれません。つまり中央へ中央へと進みます。さらに、相手のコマ1個を自分のコマで挟むとオセロみたいに反転します(オセロと違ってあくまで1個だけが対象ですが)。
この移動・反転ルールだけでも結構頭を使う上、フレームは45度回転した形でも30度回転した形でも、中央を中心とした正方形ならオールオッケーなので、パターンビルディング系が得意な人に挑戦してほしいゲームです。
相手に気付かれないようにさりげなく布石を打ち、虚を突くようにフレームを完成させられると嬉しいですね。
ちなみにコマがかなり小さいので手の大きい人はちょっと大変かも。
ハロードリー! (Hello Dolly!)
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逃げ出した羊を小屋に連れ帰るのがテーマのゲーム。
アブストラクトのイメージが強いnestorgamesですが、実はこういうテーマ性があるゲームも結構あったりします。といってもルール的にはいわゆるアブストラクトストラテジーな、運要素なし、非公開情報なしのゲームが大半なのは間違いないんですが。
そしてこのゲーム、かわいい顔してプレイ感は中々シビア。間違っても「これカワイイねー」と言ってきたアブストラクト初心者に勧めてはダメです。やるならある程度アブスト慣れしてる人同士でやった方がいいかと。
概要ですが、まず羊と羊飼いのコマがあり、羊は一番外側の三角形の頂点からスタート、羊飼いは茶色い円形の道の初期位置からスタートです。羊は線の交点を移動し、羊飼いは道に沿って三角形の中を順に移動します。羊は点を、羊飼いは面を移動する感じ。つまり羊と羊飼いはぶつかりません。
手番の移動の結果、羊飼いのいる三角形の頂点3つが羊で埋まっていたら、色に関係なくその3匹が小屋(ボード上段のマス)に帰って行き、自分の羊を5匹以上帰せたら勝ち。
そしてこのゲームが難しめな点。まずプレイヤーが直接動かせるのは羊だけです。しかも羊は途中で止まれず、他の羊か突き当たりまで直線移動するのみ。得点に絡もうと中央に羊を近づけるだけでもスライドパズルやハイパーロボット(Ricochets Robots)のような思考が必要です。
さらに羊が移動した距離(交点数)だけ強制的に羊飼いが時計回りに移動します。羊飼いの周りに3匹集まったら自分の羊だろうが相手の羊だろうがGo homeなので、これも考慮する必要があります。
この羊と羊飼いのままならない移動を制してようやく勝てるわけですね。やりたくなってきましたか?そう思ったあなたは中々のアブスト脳なのでぜひやってみてください。(こんな書き方してますけど個人的には好きなんですよ)
渋 (Shibumi)
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最後はミニマルさが最高に渋いShibumi。
Shibumiという単独のゲームがあるのではなく、一定の基本ルールを規定したゲームシステムを指しています。使うのは(最大で)16個×3色のボールと4×4の穴が空いたボードのみ。
ルールブックは80ページ以上の大ボリュームで、Shibumiのゲームシステムに則った35個のゲームが紹介されています。これらは過去に開催されたShibumi Challengeというルールコンテストから選りすぐられたもので、デザイナーも様々です。(現時点でまだ公式は英語のみですが)
基本的に4×4のピラミッド型スタッキングゲームなんですが、N目並べ、コネクション、パターンビルディング、パズルなどなど、ゴールやメカニズムが多種多様で「こんなミニマルな枠組みからこんなに広がるのか!」と感動すら覚えます。ルールブックはカテゴリで分けられていて、各カテゴリ冒頭にあるメカニズム説明も読み物として面白いので、その手のが好きな人にはオススメです。
まさに読んで楽しい遊んで楽しいの一石二鳥。短時間で終わるゲームも多いので、取っ替え引っ替えプレイしてみるのもいいですね。
ちなみにShibumiにはいくつかエディションがあります。 写真はShogun Edition。ボールがビリヤードの球と同じ材質で高級感があり、小さいのに持つと重量感があってずっと触っていたくなる感じです。箱も総アクリル製でインテリアの域です。そしてShogunと同じボールで箱がないのがSamurai Edition。 玉がプラスチック、ボードがウレタンになった廉価版がNinja Editionです。見た目はかなりチープになりますがはるかに安いです。コンポーネントの数は一緒なのでプレイに支障はありませんしね。
おわりに
そんなこんなでnestorgamesのゲーム紹介でした。
改めてこの数を記事にすると結構大変ですね。。。いちnestorgamesファンとして、一人でも興味を持ってくれたり興味が深まった人が増えてくれると嬉しいです。
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kusodream · 4 years
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2021年2月の夢
- 2021年2月28日 日曜日 7:22
夢 誰もいない家で甘い緑茶を飲む 証明書に名前を書くようにIさんに言われる 黒板の前で授業を受ける 男の子に向かってかわいい色のリップですねって言ってる人がいる ものすごく歩きにくい木靴。 おしゃれな靴屋だが買い切りではなくサブスクで靴を高額で貸している 歩いているがなんとなく自分の服装が気に入っていない感じがする 髪型が変わっている
- 2021年2月27日 土曜日 7:07 夢 どこかの地元の祭り。 白っぽい仕切りを覗くとハッピの人が踊っている。 山を登る。家族で。 かなり長い距離。 御神木らしきものがある。痩せていて曲がったうろが印象的。 登り切るとかなり小さい飛行場がある。 室内へ入る。薄暗く、でかい画面が映し出されている。 いつの間にか一人で、知らない女性が入ってきたり出ていったりする。 車に別れて乗る。 母の運転する車。 対向車とぶつかりそうになり怖い。 右折すると路面にエイが落ちているのが見える。 交差点の角にはアクリルの水槽がありトラックのタイヤ部分を洗っている。 服屋に入ろうとする。知ってる服屋。先客がいてなかなか入れず諦めて出る。 テイクアウトできるケーキのことを考える。かつて玉造にあったイギリスケーキ屋の丸いスマイル型のケーキ。 違う店の商品を見ている。ボトルに入った希釈用の飲み物。 店員の男性が話しかけてくる。
- 2021年2月26日 金曜日 7:22 夢 赤いラジカセ 液晶画面にゲームみたいなものが表示されている 前が見えないほどの大雨。ロの字の擁壁を雨水が流れ落ちる様子を見る。 置き去りにしていた人のメガネとノートを拾って戻る 置き配の出前を自転車のカゴ受け取りにしたら一部を知らん青年グループに食べられ、揉め、でかい声を出す
- 2021年2月25日 木曜日 6:45 夢 たいらのかみ 的な名前のめちゃくちゃでかい柑橘。色はスウィーティーと同じ。 田んぼの畦道みたいなところで農家の一家が剥いた実を食べている。おばさんが剥き、子供らが抱えるようにして食べている。道の向こうには泥の中に寝転がった人が食べたりしている。これは誰でも食べていいわけではなく本家の人間しか食べられないので分家の子供は我慢している。掘っ立て小屋があり、誰もいないはずだが白い布のようなものが見える。中に何かいるようだが、そう言ってもいないと言い張られる。
フォロワーが飼っていた犬。パグ。生皮がずるっと全部剥けて脱皮したようになった。その皮がスーパーの入口に置いてある。犬はその皮の中身がどこにいるのか気にしているみたいだ(きみのことだよ)、というほほえましい光景。
夜市のような食べ物屋ばかりのところにいる。 いろんな種類のジュースを飲む。 本屋の前を通る。 過激なケモロリ絵がpopになっており、おいおいと思う。一応という気持ちで写真を撮る。 FANBOX経由で送ったものらしい。恐山がそれについて軽く言及している。作者のアカウントを見つける。驚くほど詳細な自己紹介を載せている。製薬営業の仕事を半分趣味で初めたあと病気になって辞めたとのこと。 アナルプラグみたいな形のグソクムシみたいな生き物がいて、食べる物が悪いとこれが体内に詰まるみたいな話を聞く。弁の部分のつくりが恐ろしい。 人の部屋の机の前にいる。私の部屋に似ているが少し違う。 ピアスとか自分の置いていたものを全て回収する。17時少し過ぎたくらいだ。 部屋を出ようとするとふっくら気味の女性(ゆなさん?)と草彅剛が食事を終えてきた感じで入ってきてバッティングする。 空き巣がバレたかのような気分になり、あと数分早ければ合わずにすんだのにと考えるが、気を取り直して挨拶して去る。
- 2021年2月23日 火曜日 5:59 夢 コーラルの日々 母からのお年玉4000円 麻雀の試合 ドゥビさんが大麻を吸っている 大号泣して起きる
- 2021年2月21日 日曜日 8:47 夢 のぎへっぺんさんは女性だったとわかる。 二人現れる。
- 2021年2月20日 土曜日 9:08 夢 本を50部刷り、49部余る(リアルな数字だ) 社長が知らない人になっている。 青緑色のメトロタイルが貼られた室内の奥、オートロックがあるが番号がわからないらしい。初期設定なら1111か1234じゃないですかと言おうとしてやめる。 高く飛び跳ねながら資材を運ぶ。 白壁、とても晴れている。 潰れて廃墟と化した喫茶店にかつて売っていた皿。 寺院のようなところ。 高いところに金色〜白の蛾の模型が飾ってある。
- 2021年2月19日 金曜日 7:21 夢 何かの部品。 Kからはてなブログのアドレスが送られてくる。私のことをどこかから見つけだしたのかなと思うが自分のを送ってきたということらしい。
- 2021年2月18日 木曜日 6:25 夢 船か電車の、排水のひどい空間で溺れる。地上から上の階へ逃げるのが正解で、地下三階へ逃げてしまう。 昔バイトしてた雀荘の常連のおじさんがいる。 水はけの悪い土地で何かしている。カラフルな蛙がいる。 鳥を2匹飼っている。一羽は青っぽくて大きい鸚鵡。なぜかカゴから出てきてしまう。 電車の中で三人の学生が何かの問題集を解いている。菱形の中に三つの菱形が入った問題。それについて話すが、学生の一人が今はそんな暇はない、今も監視されていると言う。
- 2021年2月16日 火曜日 4:02 夢 Tさんの事務所を片付ける。 べとべとした酒瓶、カルピス原液のパックなど。 真空管みたいなもの、イヤホンみたいなもの。 出てきたまだ使えるものはその場で紙袋などによけておくと良いですよと言う。 刺繍をするように。 バレーをやろうかと言われる。 体育館のようなところ。 活発な子たちは時間はないがバレーがしたいらしい。 20分の長い試合を2回はどうかと指導の先生が提案
- 2021年2月15日 月曜日 6:57 夢 氷川きよしが昔やっていた散髪屋が近くにあった。 青いビニールのれんにクリーニング店っぽいカッティングシートで古臭い店。
- 2021年2月14日 日曜日 9:00 夢 どこかの海沿いの旅館のような建物。 もう一人と自分たちの部屋を探している。 該当の部屋は食堂のようなところだった。部活終わりの高校生たちが食事をとっている。ビニールタイル張りでテーブル三つくらい。建物の角を利用した感じの食堂。 連れがこんなところの床で眠るのは無理だ、おかしいと食堂の人に言う。 しかし何となく風景がきれいだ。
- 2021年2月13日 土曜日 8:05 夢 しっとりマクド、しとりドという商品を注文する。 単品で569円くらい。 商品と家にあるようなマヨネーズを渡され、つけて食べるよう促される。 揚げマクド という商品のポスターも貼ってある。 席につく。若いストレートヘアの女の子が向かいに座る。 フォロワーが一人になる。 Kに太極拳の本を捨てるつもりだが読みたいなら送ろうかと打診される。
- 2021年2月12日 金曜日 7:13 夢 深澤直人に会う 万博会場の海外エリアみたいに広い無印を見ている ゼミの先生が石のスライスを利用した家具を探している ばねで図を拡大して描けるもの、粗悪な紙の子供向けジャーナルなど(リンゴの絵を描くようにすすめたり ほぼ日手帳的なTIPSが所々書いてある) 元恋人が白血病患者の治療薬を健康体なのに飲んでいる、そういう自傷行為の自助組合みたいなのに属している 車の中に仲間がいるらしいが全員ポン中だ
- 2021年2月11日 木曜日 3:11 夢 チキン南蛮のネギは手でちぎる派なんです、と語る男。セクシーな感じの語り口。 縦の器具に電卓のようなものを挟む作業を二人でしている 隣の部屋から交際相手(夢オリジナルの見た目)が口汚く言い訳する声が聞こえてくる 僕はニョロゾが好きなんでニョロゾのグッズを買いに行ったんですよ!!と怒っており、好きなポケモンまでダサいなと思っている
恋人のためにイチゴ柄のプリントをするだけで身を立てた男 こうやって全部口で言うんだ、おはよう僕のかわいい小鳥ちゃん。チュッチュル。 前は彼女が強すぎてDV案件だったけど今は彼氏の方が盛り返して良い関係を築けているらしい。
昔懐かしいアイコン。映画パロディのもと。 部屋の隅のクロークの中にいる女性がそう。
スイカの皮でつくったカブトとコテをしている人 文鳥がそれをかじる カブトを割ると断面が腐っている 女性がどこかから完全に腐っているメロンを持ってくる。鼻を覆うほど臭い これはいったい何個目のメロンなのかしら、色は緑色だし汁も垂れてる(大黒摩季が歌っている曲が流れる)
- 2021年2月10日 水曜日 8:46 夢 わすれた
- 2021年2月9日 火曜日 8:08 夢 なぜか文鳥に雛が2匹できている。 親戚の結婚式のような寄り合いがある。叔母がその関係の中で疎外感を感じている。手を握る。 勇作さんとペアで語られる知らないキャラクターがいることを知らされる。鳥羽俊太郎みたいな名前。
- 2021年2月8日 月曜日 7:48 夢 イヤミにルーターをつける
- 2021年2月7日 日曜日 7:46 夢 駅構内で南が走ってるのを見かけ、写真を撮る。 ピンク色のステッキのようなものを入手する。 バスに乗って帰る予定だが、間違えていつもの乗り場よりも奥に行ってしまい、迷う。 狭いワンルームだが、奥に広いことに気づく。どんどん進むと廊下、浴室など。床がとにかく傾いている。シャワーの水出しっぱなし。中年の女の幽霊がいる。
- 2021年2月6日 土曜日 4:44 夢 四角いロッカー なんか可愛い雰囲気の似ている三人組。
残したお弁当箱。 男の子二人。ネオ原宿みたいな感じの。 けみおみたいな喋り方。 赤い鳥居のある廃施設に入る。 ゴミがたくさんあり写真を撮る。コーラのびんなど。 遠くにいる。 追いつき、和解する。ボイスチェンジャーで声を変えて喋っている、異音はそのため 閉鎖されてる墓を開けようという話をしている 怖いので辞退し、鍵を返す役をやるという 赤いヒヤシンスが咲いている 施設を管理する側の人々が来る 好戦的
部屋を掃除する 注文した本が届く、AKIRAと同じサイズの漫画本で矢沢あいの作品っぽい感じ、殺ダニのため本に布団乾燥機をかけようとする
- 2021年2月5日 金曜日 7:07 夢 レポートを一本出し忘れており、え?え?と思う。あと半期伸びることは理解しているのだが、現実世界の安心感がまだ残っていて焦りが湧いてこない。 模型を作っている。広い中庭のある低層のコーポ。Macでベクターを使っていることを後ろに座っている青年にダサいと指摘される。
- 2021年2月4日 木曜日 7:18 夢 二重のアラーム オモコロ製ステッカー テルラウールキットキャッチタワー
- 2021年2月3日 水曜日 9:05 夢 徐さんってどこの人なのか聞かれる フジタがいる。紙製のポストを直す
- 2021年2月2日 火曜日 7:15 夢 船のようなものに乗っている 一段高い板の間に寝椅子を置いて外の景色をみている 風が強い。いいかんじの橋が見える。 本2冊。白表紙。破いて使う。 途中で人々を降ろしていく。
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furoku · 4 years
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【開封レビュー】美ST(美スト)2020年9月号≪特別付録≫BONOTOX(ボノトックス)の人工皮膚コスメ
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  BONOTOX(ボノトックス)の人工皮膚コスメはどんな付録?
  塗って剥がす人工皮膚クリームと、肌の弾力がアップする風船クリームがそれぞれ2回分入っています! 美容成分タンパク質で作られる膜が密閉し、保湿環境を保ち、美容成分を深部まで届ける新素材の高機能性クリーム。セカンドスキンクリーム 美容成分を低分子多重層カプセル化し肌の奥まで浸透させ、ハリや弾力に特化したスペシャルクリーム。マルチパーフェクションクリーム 美st 公式WEBサイト より
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■□■ 全成分 ■□■ 【セカンドスキンクリーム】 水、カフェイン、ヒアルロン酸Na、アロエベラ液汁、カルボマー、アクリレーツコポリマーNa、キサンタンガム、グリセリン、ミリストイルペンタペプチド-11、セテアリルアルコール、カオリン、ベントナイト、コレステロール、レシチン、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、カプリリルグリコール、ヘキシレングリコール、リンゴ果実培養細胞エキス、ミリストイルペンタペプチド-8、エチルヘキシルグリセリン、グレープフルーツ種子エキス、シルクアミノ酸、フラーレン、アルブチン、アセチルヘキサペプチド-8、合成ヒト遺伝子組換ポリペプチド-11、合成ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1、リシン、グリシン、プロリン 【マルチパーフェクションクリーム】 水、PG、シクロペンタシロキサン、グリセリン、セテアリルアルコール、DPG、ステアリン酸PEG-100、ステアリン酸グリセリル、ナイアシンアミド、ジメチコン、オリーブ油脂肪酸セテアリル、オリーブ油脂肪酸ソルビタン、水添レシチン、ステアリン酸、セラミドEOP、セラミドNS、セラミドNP、セラミドAS、セラミドAP、フィトスフィンゴシン、コレステロール、合成ヒト遺伝子組換ポリペプチド-11、合成ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1、デカペプチド-6、オクタペプチド-7、オリゴペプチド-28、オリゴペプチド-29、オリゴペプチド-30、オリゴペプチド-31、合成ヒト遺伝子組換デカペプチド-7、合成ヒト遺伝子組換オクタペプチド-4、合成ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-9、合成ヒト遺伝子組換ペンタペプチド-19、アスコルビン酸、アデノシン、パンテノール、加水分解ヒアルロン酸Na、EDTA-2Na、酢酸トコフェロール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ヒアルロン酸Na、デシレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、ヘキシレングリコール、BG、トタロール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、ダイウイキョウ果実エキス、ポリアクリル酸Na、トリデセス-6、PEG/PPG-18/18ジメチコン、香料 ■□■ 製造国 ■□■ 韓国 光文社セレクトショップkokode.jpより   【マルチパーフェクションクリーム (風船クリーム) 】 毎日の洗顔後に使う美容液のような位置づけのようです。 【マルチパーフェクションクリーム】 1.洗顔後の清潔なお肌に使用します。 2.朝、晩、洗顔後、乾いた手の平に適量(朝はパール2粒位、夜はパール3粒位)を取り、 額・両頬・鼻・顎にのせます。 3.顔全体から首元にかけて、顔の中心から外側へ向かってマッサージするようにやさしくのばします。 4. 仕上げに手の平で顔全体をやさしく包み込みそっと押さえて馴染ませます。 ●目元・口元等の特に気になる部分には、指先で軽くタッピングするように念入りに馴染ませます。 光文社セレクトショップkokode.jpより
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  【セカンドスキンクリーム(人工皮膚クリーム)】 こちらは、毎日のスキンケアの終わりに使用するようです。顔にまんべんなく塗布し、乾かしてから剥がします。 【セカンドスキンクリーム】 1.洗顔後の清潔なお肌を化粧水等で整えます。 2.手の平もしくは専用のスパチュラに適量(4~5プッシュ)を取り、額・両頬・鼻・顎にのせ、顔の中心から外側に向かって顔全体にやさしくのばし、仕上げに専用のスパチュラで均等にまんべんなくのばします。 3.顔の表情を固定した状態で15~20分間完全に乾燥させた後、短くても30分以上おくか、そのまま睡眠をとることをおすすめします。 4.乾燥後、30分以上経ってからセカンドスキン膜を指先でやさしくはがし、顔に残った膜は充分に水またはぬるま湯で洗い流します。 洗顔フォームを使用した洗顔は不要です。 セカンドスキンクリームは3日に1回のケアがおすすめです ●他のスキンケアと併用することができます。 その場合は、セカンドスキンクリームを塗る前に行い、 最後にセカンドスキンクリームを使用します。 ●セカンドスキン膜は水溶性なので、 水またはぬるま湯で洗い流すことができます。 光文社セレクトショップkokode.jpより
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  原産国は?成分は?   付録パッケージには、日本製とありましたが、公式サイトには韓国製と記載があり(当サイト上記 ”全成分” 欄参照)、個包装されたパッケージにも韓国製とあります。 <製造国> 韓国
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  付録ではどれくらいの容量入り?   【マルチパーフェクションクリーム (風船クリーム) 】 <容量> 1ミリリットル/1個 50mℓ定価7000円(税込)の製品ですので、サンプル1個当たりの金額は140円。付録は2個セットなので、280円分の計算になります。
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【セカンドスキンクリーム(人工皮膚クリーム)】 <容量> 3ミリリットル/1個 30mℓ定価8000円(税込)の製品ですので、サンプル1個当たりの金額は800円。付録は2個セットなので、1600円分の計算になります。これはおトク!
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付録を試してみた感想は? 【マルチパーフェクションクリーム (風船クリーム) 】 手のひらにのせてみると、色は半透明なのでジェル状なのかと思いきや、意外と重みがあり、どっしりとした質感。これはやはりクリームです。 香りは花のような薬草のようなさわやかなふんわりとした香りがします。顔全体にまんべんなく伸ばしてみると、しっとりとしつつも、表面はつややかな滑らかさを残していきました。
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【セカンドスキンクリーム(人工皮膚クリーム)】 さて、こちらは期待の人口皮膚クリームです。一体どんな感じなのかワクワクします。 手のひらにのせた様子が下の写真です。手のひらからこぼれ落ちそうになるほど、かなりたっぷりの容量がありました。感触は、とろりとしたテクスチャーです。水糊やボンドよりももっと水っぽいですが、粘りっこいテクスチャーでした。 香りは爽やかなスーッとした香りでした。 顔全体にタップリのせても大丈夫なほどの容量がありましたので、手のひらで顔全体に伸ばしていきます。乾いた肌にじんわりとしみわたっていく感覚です。塗っているそばから乾燥してだんだんと固まっていきますので、産毛や手のひらが、なんとなくぱりぱりした感じに変化していきます。 子供のころ、水糊を肌に塗ったり乾かして剥がしたりして遊んでいたことを思い出しました。 塗って10分ほどするとほぼ完全に乾いていきました。その間、成分が肌にしみていくのか、スース―する感じがありました。乾いてからは何も感じません。
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乾いてからさらに30分ほどおいたあと、顔に残ったパック成分をはがしていきます。 どんな感じなのか、わくわくしながら剥がし始めたのですが、イメージしているように、ダイナミックにするっとは剥がれてくれません。パリパリの皮膚状のパックを少しづつ剥がしていきますが、とにかく時間がかかるので、ある程度のところで綺麗にはがすことはあきらめ、ぬるま湯で洗顔してフィニッシュとしました。
この付録、アリ?ナシ?
あり! 風船クリームはなんとなくイメージ通りのクリームでしたが、人工皮膚クリームは、なかなか珍しく、楽しい体験ができたので、「あり!◎」です。 体験し終わってみると、肌も落ち着いた感じが良かったです。 付録ではいろいろなコスメが気軽に楽しめるのがいいですね。その後いつも体験したコスメを購入したくなってしまうので、物欲と戦うのが大変ですが‥‥  
購入した付録つき雑誌/美ST(美スト)2020年9月号
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誌名 美ST(美スト)2020年9月号 出版社  光文社 価格 870円 発売日 2020年7月17日     Read the full article
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t82475 · 5 years
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多華乃の彼氏
1. 「あの、すみません」「はい?」 「僕、経済学部の酒井っていいますけど」 彼に話しかけられたのは、大学生活もようやく慣れた5月の半ばだった。 イサオは、当時は酒井くんと名字で呼んでいたけど、ダサくてぜんぜんイケてなくてオタク臭がぷんぷん漂う男の子だった。 彼が言うには、子供向けのイベントで手伝ってくれる女子学生を探している。 ヒマなら一緒にやらないか。 これはナンパかしら。それとも真面目にお手伝いを探しているのかしら。 「いったい何人の女の子に声かけたんですか?」 「んー、32人。キミで33人目」 私は笑った。 ナンパだったら、どう考えても彼に目はない。 30人以上ダメでも諦めないとは、よほど一生懸命なのか、それとも馬鹿か。 こういう男性、嫌いじゃない。 友人から好事家(こうずか)と呼ばれる私の特性がむずむずと顔を出した。 「私、国際文化1年の後藤多華乃(ごとうたかの)です。イベントって、何するんですか?」 2. そのイベントは小学生の造形作品展だった。 彼は小学生のときに通っていた地元の造形美術教室を大学生になった今も手伝っている。 その教室でもうすぐ年に一度の作品発表会があるという。 今年のテーマはトリックアート。 トリックアートとは、目の錯覚を利用したちょつと不思議なオブジェのことだ。 近くの物と遠くの物が逆転して見えたり、まっすく立っていても斜めに傾いて見えたり。 「知ってます。エッシャーの絵とか」 「そう。あれもトリックアートだよ」 「それで、私は何をお手伝いするんですか? 子どもたちの相手?」 「後藤さんには作品になって欲しいんだ」 発表会ではOBの彼も作品を出すことになっていた。 子供たちに負けない本格的なものを、ということで鏡を使ったトリックアートを作るつもりでいる。 彼はパソコンで描いた図面を見せてくれた。 丸いテーブルに人の首が載っている。テーブルの下には何もない。 トリックはテーブルの脚の間に張った鏡だ。 鏡に左右の壁が写って、テーブルの下に座る人の身体を隠す仕掛だった。 「簡単なトリックだけどね。これで結構ダマされるんだ」 「私、ここから首を出すんですね?」 「そう。題して "美女の生首" 」 「ベタな名前ですねー。ま、私が美女であることは確かですけど、あはは」 「・・」 返せよ。 「後藤さんはずっと座ってるだけで、ときどき子供たちの相手をしてくれればいい。イヤかな?」 「いいえ、ぜんぜん大丈夫です」 「よかった」 彼はほっとしたように笑った。 笑えば可愛い男の子ね。 「子供たちは人が入って動くモノが大好きなんだ。去年はロケットパンチを発射できるロボットの着ぐるみがウケたし」 「酒井くんって子供が好きなのね」 「まあね、あいつらと一緒にモノを作ってる間は自分も子供になれるし」 好感度アップ♥ ニブくて、見た目はオタクだけど、いい人、・・じゃないかと思う。 作品展は6月の最初の日曜日。 私は生首を引き受けることにした。 3. 某私鉄の駅前にある小学生向けの造形美術教室。 彼が子供たちに囲まれている。 一緒に作っているのは、トリックアートのオブジェ。 前から見たら三角形だけど横から見たら星形。 木のブロックを組み合わせて形を考えて、接着して色を塗って。 何でも聞いてくる男の子。どうしても形が決まらずに悩んでいる女の子。 彼はどんな質問にも面倒くさがらずに答え、困っている子は助けてあげる。 工具の使い方が危なっかしい子は怪我させないように気遣いながら手伝っている。 ものすごくいいお兄さんだ。彼が子供たちに慕われているのがよく分かった。 私の中で彼のポイントがどんどん上がる。 分かってるわよ。自分が惚れっぽい女だってことは。 でも本当にいい人なんだもん。 「イッくんっ。この人、イッくんの彼女?」 おませな女の子が私を指して聞いた。 4年生くらいかな。目をきらきらさせて、そういうことに興味深々なんだね。 私もこの頃はこんな感じだったかな。 「違うよ。このお姉さんは作品展を手伝ってくれる人さ」彼が答える。 「えー、恋人じゃないのぉ?」 「あははは。僕はまだまだ自由を謳歌するのさ」 「よく分からないー。・・お似合いなのになぁ」 女の子は私を見て言った。 しかたなので、私は「ご期待に添えなくてごめんね」と言って笑った。 4. 子供たちを帰した後、いよいよ "生首" の製作にかかる。 材料は直径1メートルほどの中古の丸テーブル。 折り畳み式の脚が壊れているけど、鏡をはめ込んだ脚に交換するから問題ない。 彼は電動ジグゾー(ノコギリ)を持つと、テーブルの端から切り込んだ。 並行して2本の切れ込みを入れ、先端を曲線切りで繋いで落とす。 ものすごく手慣れていて、感心した。 サンダー(やすり)で滑らかに仕上げる。 テーブルの端から中心に向って長さ40センチ、幅8センチの切り欠きができた。 私の首がぴたりとはまる幅だ。 「できた。この丸椅子に座ってくれる」 私が椅子に座ると、彼は正面から私の首にテーブルをあてがった。 切り欠きに首を通し、一番奥まで押し込んだ。 「どこか引っかかる?」 「ううん、ぴったり。すごいねー」 「木工は慣れてるからね。・・塞ぎ板をはめるよ」 別に作った塞ぎ板を首の後ろにあてがって切り欠きにはめ込んだ。 どうやって固定したのか分からないけど、塞ぎ板はぴたりとはまり込んで外れなくなった。 首の回りがきゅっと締���った。 「鏡とかない? どんな生首か見たい」「写真撮ってあげるよ」 彼がスマホで撮ってくれた写真を見て喜んでしまった。 テーブルに女の子の首が載って笑っている。 まさに生首だった。 首と穴の隙間は1ミリもない。これを一回で切り出すなんて素人の私でもすごい工作精度だって分かる。 「・・ね、酒井くん。思いついたんだけど、」「何?」 「生首に箱を被せたらどうかしら? 正面に扉をつけて、開けたら中の首が見えるっていう」 「いいね、そのアイディア、もらおうかな」 「えへへ、どうぞ! ついでに口から血でも流しましょっか? 血みどろの生首とか♥」 「血?」 彼が私の顔を見た。 あっと、調子に乗り過ぎたかしら。 「ごめん。血みどろはやりすぎよね。忘れて・・」 「後藤さん、血みどろになってもいいの?」 「え?」 5. 三田静子先生が入ってきた。 この人は元、中学校の美術教師で、今はこの造形美術教室の代表者だ。 綺麗な人だけど、歳は50をとうに過ぎた感じ。 「あら、可愛い生首さん」 「テーブルの方はだいたいOKです。後は鏡のトリックですね」 「それなんだけど、イッくん、実は問題があって」 「?」 「鏡を買おうとしたら1枚3万円するの。このサイズになると高いのよね。これが2枚でしょ、厳しいわ」 「そうですか」 「アクリルの鏡なら3千円だけど」 「ちゃんとしたガラスの鏡でないと駄目です。アクリル板はべこべこ曲がって像が歪むし、クリアに反射しないし」 「ガラスの鏡も小さいのだったら安いんだけとねぇ」 ありゃ、お金の問題? 「仕方ないですね。別のを考えます」 えー、生首止めるんですか? 私、ヤル気マンマンだったんですけど。 6. 「お疲れ様でしたーっ。カンパーイ!! そこは静かな住宅街に建つアパートの2階。 私たちは彼の部屋で乾杯していた。 生首がボツになった帰り、彼のアパートが近いと聞いて私は残念会をやろうと言った。 「男の部屋だよ? 女の子一人で構わないの?」 「ぜんぜん平気。ムラムラしたら襲ってもいいわよ」 「あのねぇ」 駅前のコンビニで焼きそばと缶チューハイ、おつまみを買ってきた。 ぺちゃくちゃ喋りながらチューハイを空ける。 「・・酒井くんは本当に彼女いないの?」 「いないね」 「こんなに器用で何でもできるのに」 「器用っちゃ器用だけど、それでなびく女の子はいないよ」 「えーっ、私はなびくよー」 「後藤さんってさ」「はいはーい?」 「後藤さんって、変った子だね」 「え?」 「まあ、いいや。・・そういやさ、昼間の話でさ、血みどろって言ってただろう?」 「うん、言った。ごめんね、引いちゃったでしょ」 「あれ、本気だった?」 「まあね。私、ホラーとか結構好きだから」 「僕も結構好きなんだ」「お♥ 気の合うトコロが見つかったね」 「それで、生首の替りなんだけど」 「うんうん」 「 "血まみれの首なし美女" ってどうかな?」 彼はパソコンで動画を見せてくれた。 機械が並んだ実験室のような部屋で女性が椅子に座っていた。 彼女は肩の出たドレスを着ている。その肩の上には首がなかった。 首の替りにパイプがたくさん生えて横の機械に繋がっている。 もちろんマネキンじゃない。手や足が自由に動いていた。 どんな仕掛けか判らないけれど、首のない美女の身体は生きた人間だった。 「これもトリックアート?」 「どっちかというとイリュージョンだね。生首美女も元はイリュージョンだし」 「イリュージョンって手品」「そう」 ちゃららららら~♪ と頭の中で “オリーブの首飾り” が流れた。 「イリュージョンにもいろいろあってね、僕はダークなイリュージョンに興味があるんだ」 「ダークって?」 「例えば、美女をベッドに縛りつけて回転ノコでお腹を切る。内臓がどばーと出て、美女はそのまま死ぬ、みたいな」 「うわ、グロい。・・マジックって美女は普通生き返るんじゃないの?」 「生き返らない演出もあるんだよ。でもプロの公演でも過激なのは減ってるんだ。・・グロいのだって立派なエンタテーメントだと僕は思うけど、後藤さんはどう?」 「アリよ、というか、私も好き。美女が口から血を吐いて死ぬのを見たい」 「よかった。好きって言ってくれて」 「私たち、気が合うね!」 彼はにっこり笑ってくれた。 その笑顔がとても素敵で、思わず抱きつきたい衝動にかられたけど我慢した。 いくらなんでも出会って三日で抱きつくのはマズイよね。 「じゃあ、さっき言ってた血まみれの首なし美女っていうのは?」 「後藤さんにはこの動画と同じタネで首なし美女になって欲しい。ただ、全身血まみれで、できたら衣装もぼろぼろで、ちょっとセクシーにして」 「きゃあ♥」 「どうかな? 三田先生がOKしてくれたらだけど」 「いいっ。やる!!」 私は彼に抱きついた。 やっぱり嬉しいときは、出会って三日で抱きついてもいいよね。 6. あっという間に日は過ぎて、造形美術教室の作品展。 会場は教室近くの市民会館の一室。 テーブルに子供たちの作品が並んでいる。 先日作っていたトリックアートのオブジェもあった。 他には、壁の額から飛び出してくる動物や、真っ直ぐなのにぐにゃぐにゃ曲がって見える棒など。 会場の一角にカーテンで囲んだスペースがある。 これが私の出る "血まみれの首なし美女" のコーナー。 私は子供たちが来る前にカーテンの中に入ってスタンバイしている。 衣装はドンキで買ったドレスを破いて、赤インクで染めた。 肌も血糊と血飛沫で汚した。これは三田先生が手伝ってくれた。 先生は首なし美女をとても面白がってくれている。 子供たちの前で血まみれになって大丈夫ですかと聞いたら、からから笑って「問題なし!」と言ってくれた。 カーテンは自動的に開閉する仕掛けだった。 手前のテーブルにボタンが置いてあって、それを押すとカーテンが開いて首なし美女が登場する。 30秒経つと自動的に閉まって、30秒待たないと開かない。 開けっ放しにできないのは、トリックを分かりにくくするためと、子供たちの侵入防止のため。 もちろんこの仕組みも彼がたった1日で作ったものだ。 「酒井くんって、何でも作れるんですねぇ」私は三田先生に言った。 「ほんと、イッくんがいてくれて助かってるわ」 「どうして皆さん酒井くんのことをイッくんって呼ぶんですか?」 「何でかしらね。小学1年生のイッくんが教室に来てから、今もずっとイッくん」 開場時間の10分前。 彼が首から上にヘッドギア(被りモノ)を被せてくれた。 首なし美女のトリックは、生首のときと同じく鏡だ。 ヘッドギアには鏡が2枚ついている。小さな鏡だからお財布に優しい。 ただし鏡が動いて変なモノが写ると困るから、ヘッドギア全体が動かないように固定されている。 椅子に座って背筋を伸ばした姿勢で頭を固定されると、動かせるのは手と足だけになる。 その上視界を閉ざされてるから何も見えない。ちょっと被虐的。 ドキドキしながら出番を待つ首なしオンナ。 本性はマゾだって、彼は気づいているかしら? 7. 子供たちが入ってきた。お父さんお母さんと一緒の子も多い。 どの子もまず自分の作品を見つけて大喜び。両親に説明したり写真を撮ったり。 私はカーテンの中で待機している。 何も見えなくても、声で大体のことは分かる。 誰かがカーテンのコーナーに気づいてやってきたみたいだ。 『ボタンをおしてね』と書かれたボタンを押す。 ぶーんっと音がしてカーテンが開いた。 そこには椅子に座った首なし美女。 「きゃあ~!」「わーっ」悲鳴と歓声が響く。 子供たちが一斉に駆け寄ってくる。 「これ、なーに!?」「生きてるの?」 「ちゃんと生きてるよ」横に立った彼が説明している。 「血だらけだよ!」 「うん、この女の人は事故で首がなくなったんだけど、生命維持装置を繋いで死なないようにしたんだ」 「セーメーイジ装置、カッコイイー!」「すごーい!」 「中に入っちゃ駄目だよ。入ると機械の調子が狂って死んじゃうから」 ぶーん。 あっという間に時間が過ぎてカーテンが閉まった。 「えーっ?」「閉まっちゃったぁ」 「外の空気に一定時間触れると安全装置が働いて閉まるんだ。しばらく待ったらまた開けられるから」 「開かないよー!」 「だから待つの! こらタカシっ、中を覗くなー!!」 私は中で笑う。 子供たちの相手は大変だ。 彼は子供たちの素敵なお兄さんなんだなと実感する。 ぶーん。 カーテンが開く。 「うわー!」 「はいはい。中に入らないでねー!」 「ねぇ、本当に生きてるの?」 「生きてるよ。よく見てごらん」 私は片手をあげて振ってみせた。 「動いた!」「ホントだ!」 足を組んでみせる。 「わー!」「すごーい!!」 何をしてもウケるので面白い。 ぶーん。 再びカーテンが閉まった。 「え~、またぁ~?」 あははは。 私は声に出さずに大笑いした。 何度もカーテンが開いたり閉まったりする。 いろいろな子供たちが前に来て私を見た。 お父さんとお母さんも驚いて見てくれている。 とても楽しくて、自分で胸を持ち上げてみせたり、スカートの裾をわざとめくったり、いろいろサービスしてしまった。 後で彼に叱られるかな?
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8. 「ねぇ、お姉さんはイッくんの彼女?」 突然質問された。 この声は、あの、おませの女の子! 「お姉さんは、イッくんのためにやってるの?」 どうしよう? とりあえず、違うよーと手を振ってみせた。 「あ、やっぱり聞こえてるーっ。首がないくせに!」 しまったぁー!! まんまとしてやられた~。 「はいはい。この人は機械で声が聞こえるんだよー」彼がフォローしてくれた。 「ほんとぉ?」 女の子は不満そうだ。 「ね、そうでしょ? タカノちゃん」 うんうん、と首を振ろうとしたら、ヘッドギアが固定されていて動かなかった。 右手の親指と人差し指を合わせてOKと応える。 「タカノちゃんっていうの? この人」 「そうだよ。他の人には内緒だよ」 「うん、分かったっ。内緒だね!」 ほっとする。 名前をばらされたけど、まあ構わないか。 9. 作品展が終わった。 途中でメンテナンスと称して何度か休憩させてもらったけれど、カーテンの外には出ていない。 トイレに行きたーい! ヘッドギアはパイプを抜いてもらわないと頭から外せない。 待っていたら、カーテンの前で話し声が聞こえた。 「多華乃ちゃんって、いい子ねぇ」三田先生の声。 「本人に聞こえるように言ってませんか、先生」 「もちろん。彼女にしちゃいないよ、イッくん」 先生ありがとう。 もうすっかり彼女にされちゃう気でいますよー。 「ん、・・はぁ」 突然、色っぽい声。何? さっとカーテンが開いた。 「お疲れ様」 ヘッドギアが持ち上がって視界が開けた。 眩しい! 目が慣れると、そこにいるのは彼だけで三田先生の姿は見えなかった。 10. それからしばらく、私と彼の間には何もない期間が続いた。 彼は大学で出会っても会釈するだけ。 講義の後は急いでどこかへ行ってしまう。 映画や食事に誘っても、何だかんだ理由をつけて受けてくれない。 これはその気ナシなのかしら。 相思相愛だと思ってたのに。いい人だなと思ってたのに。 こんな美女の彼氏になれるチャンスだったんだぞ、このヤロー。 私は落ち込んで、ほんの少しだけ泣いた。 11. 彼からSNSで呼び出���れた。 頼みたいことがあるという。 ホテルのロビーで待っていたのは、彼と三田先生だった。 「多華乃ちゃん! 元気そうねっ」 私はぎこちなく会釈する。 三田先生も一緒ということは、また造形美術教室の何か? 「ウチの教室のれいらちゃんがね、」「れいらちゃん?」 「後藤さんのことを僕の彼女じゃないかって詮索してた子だよ」 ああ、あの女の子。れいらちゃんっていうのね。 「そのれいらちゃんがね、首なし美女はあのお姉ちゃんだって言ってきかないのよ。その上名前はタカノちゃんだって」 あらら、やっばり内緒にできなかったかー。 「だから、ウチの教室ではイッくんの彼女はタカノちゃんってことで確定しているの」 三田先生は隣に座る彼の頭をがばっと押さえる。 「こいつ、イッくん、多華乃ちゃんのことほったらかしにしてるんだって?」「あ、それは」 「大好きなくせに放置したりして、ごめんなさいね」 大好き? 私のこと? 「可愛い女の子にはすぐに別の男がつくって、分かってないのよイッくんは。・・それで多華乃ちゃん、新しい彼氏はできた?」 私は笑った。 三田先生、ずばずば喋ってくれて話が早い。 「いいえ、残念ながら」 「なら、決まりっ。あなたたち、今日から恋人同士になりなさい」 「いや、あの先生・・」 彼が何か言いかける。 「これだけお膳立てしてあげてるのに、まだ不満?」 「いいえ、そんなことじゃなくて、今日の本題は」 「わかったわ。じゃあイッくんから頼みなさい」「はい」 彼は私を向いてソファに座り直した。 「えっと、後藤さん」 私も座り直して姿勢を正す。 「はいっ」 「イリュージョン同好会に入って下さい」 「へ?」 目がテンになった私に彼は慌てて追加する。 「あ、その、イリュージョン、やっぱりやりたくて、でもJ大にはそういうサークルがないから、作ろうと思って」 「・・」 「最近、同好会の準備にばたばたしてて、その、後藤さんには申し訳なかったと思う」 「それだけ? お願いすることは」三田先生が言う。 「あと、その、こんな僕だけど、一緒にイリュージョンをやりながら、付き合ってもらえますか」 順番があべこべな気もするけど私は気にしないことにした。 「はい。こちらこそ、よらしくお願いします」 私が答えると三田先生がぱちぱち拍手をした。 「よかったわねぇ~、イッくん!!」 そのまま彼を抱きしめると、ぶちゅうっとマウスツーマウスでキスをした。 ええ!? 「あぁ・・、はぁん」 先生は色っぽい声で喘ぎながら、自分の胸を両手で揉みしだいている。 「な、なんなんですか!?」 「これ先生の癖なんだ。気にしないで」 気にしないでって、そんなの無理だよぉ。 「ごめんなさいね。嬉しいと我慢できないのよ」 三田先生はそう言うと、やおら私にも抱きついて、ぶちゅうぅっ~っとキスをした。 「あぁん、はあ・・」 セクシーな声。 かぁ~っと顔が熱くなった。 この人、おばさんなのにキス上手。 同性相手にどうしてそんなキスができるんですか 全身の力が抜けて、甘~い感覚がじわじわじわ~っと広がる。 ロビー中の人がこちらを見ていた。 私のファーストキスだった。女の人との、だけど。 「落ち着いて、後藤さん、って無理かな」 ぐったりした私の肩を彼が抱いてくれる ほにゃあ~、気持ちいい~。 「はい、これ使いなさい」「?」 三田先生が渡してくれたのはホテルの部屋の鍵だった。 「明日まで、あなたたち二人の部屋よ」 「ええ~!!」思わす叫んでしまった。 「安心して多華乃ちゃん。イッくんのファーストキッスは4年前にあたしがもらったけど、筆おろしはまだよ」 「うわっ、先生何を」今度は彼が叫んだ。 12. その夜。 三田先生が用意してくれたホテルの部屋で私たちは結ばれた。 彼は私を抱いてくれた。 ちょっとぎこちないけど、男らしかった。 あいにく私はバージンじゃなかった。 でもバージンみたいに涙を流して彼に甘えることができたと思う。 それ以来、私たちは「タカノ」「イサオ」と呼び合う仲になった。 13. 「・・それでさ、イリュージョンに限らずミスディレクションってのはマジックの基本で」 彼は一生懸命喋ってる。 「意識の対象を他に反らすことで本質を見えなくする。うまくやれば何を意識していたのかすら分からなくできる」 「ちょっと待ってね、イサオ」 私は立ち上がって冷蔵庫を開けた。 「一本もらっていい?」 ここは彼の部屋。 私は窓際に座り、冷蔵庫から出した缶チューハイをぷしっと開ける。 ミスディレクションもいいけど、そろそろ私を食べて欲しいな。 彼はイリュージョン同好会の立ち上げで走り回っている。 仲間は何人か集まったようだ。女の子は私一人でスタートするみたい。 他にもしなくちゃならないことが多くて、相変わらずデートする暇もない。 だから今夜は久しぶりに二人でゆっくりと、ううん、過激にエッチしまくろうと期待してるのに。 シャワーを浴びた私はクローゼットから勝手に彼のワイシャツを出して羽織っていた。 ワイシャツの下は裸、ではなくブラとショーツを着けている。 裸の方がベッドで手っ取り早いけれど、ここは女の子の下着を剥ぎ取る悦びも覚えて欲しいものね。 彼は優しい。優し過ぎて、これまで肉食系男子とばかり付き合ってきた私にはちょっと物足りない。 優しさも大切だけど、やっぱり男性には女に対して獰猛でいて欲しいのよね。 そんな訳で私は彼を理想の男に育てようと画策している。 この間、緊縛に興味があると言ってくれて、これだと思った。 高校じゃ縛ってくれる相手はいなかったから、緊縛にはすごく憧れている。 緊縛できる男性ってかっこいい。無条件にかっこいい。 どんな女もささっと荷造りするみたいに縛り上げる。 喜ばせたり、苦しませたり、息も絶え絶えに狂わせたり、縄一本で女を意のままに扱う。 イイわ♥ もう何されても服従する。 私の計画。・・彼を凄腕の縄師にすること。 器用な人だから、ロープワークだってすぐにマスターするわ。 イリュージヨンで女の子を縛るのもアリね。目の色変えるはず。 そして私は、もちろん彼に縛られる。ぎちぎちに縛られる。 頭の中にアダルト映画のポスターみたいな光景が浮かんだ。 がんじがらめに縛られた女の子たちがゴミの山のように積まれていて、その前で腕組みしている彼と、足元に転がされて彼の足に踏まれている私。 身動き一つ、指一本動かすこともできない緊縛で転がされたい。 猿轡もいいな。涎がぐずぐず零れるやつ。 そして踏まれるなら、頭を、靴のまま、ぐりぐりと。 むふふふふ、一人ニヤけてしまった。 ほんと、私って、こういうのが好きだ。 「・・イリュージョンの機材を学生向けに貸してくれるところが見つかったんだ」彼が話している。 「できるだけ自作したいけど、ある程度は揃えないと何もできないからね」 ふぅ。溜息をついて私は現実に戻った。 目の前に彼シャツの美女が待ってるんだぞ? まずはこの鈍感男をベッドに引き込まないとね。 「ね、イサオ。そろそろ私も見てくれない?」 彼は初めて私が待っていることに気づいたようだった。 「ごめん。自分のことに熱が入り過ぎたね。僕の悪い癖だ」 「いいわ。そういうところ男の子らしくて好きよ」 「ありがとう」 私は立ち上がった。 何気なく窓の外を見る。 開け放しの窓から見下ろす深夜の道路は人通りもなく、静かだった。 2階だし電気消したらカーテン閉めずにエッチして大丈夫かな。 そのとき、天啓のごとくアイディアが浮かんだ。 やれるかな? 私。一瞬迷って決心する。 「そうだっ。私もイリュージョン、やっていい?」 13. 「イリュージョン? ここで?」 「そこに座っててくれる」 キッチンのイスに座った彼の前に立った。 微笑みながらワイシャツのボタンを一つずつ外す。 彼は表情を変えない。 脱いだワイシャツをはらりと落とし、ブラとショーツだけになってその場で一回転。 「マジックの美女って肌も露わで色っぽいでしょ? 私だとお目汚しになるかもしれないけど」 「そんなことない。タカノは綺麗だよ」 「ありがとっ。じゃ、イサオの目の保養にサービス♥」 その場で両手を広げて、左足で爪先立ち。 右の足を後ろに伸ばして水平に。そのままぴたりと静止する。 これはバレーのアラベスク。 続いて、爪先立ちのまま上体を反らして右の膝を曲げる。 両手を頭の後ろにまわして足首を掴むと、そのまま身体全体を大きく反り上げた。 これはコントーション(柔軟芸)のバックベンド。 そして、右足をまっすぐ真横へ伸ばす。 そのまま斜め上へ、150度以上開脚してY字バランス。 どちらの膝もぴんと伸びてるし、ずっと爪先立ちの軸足はくらりとも揺れていない。 けっこう自慢のポーズなのだよ。 「すごいな。タカノは体操部だったの?」彼が感心してくれた。 「中学までクラシックバレーしてたの。柔軟のトレーニングは今も続けてるわ」 「小柄で身体が柔らかい女性はイリュージョンのアシスタントに向いてるんだ。タカノを小さな箱に入れたいと思ったよ」 「素敵ね、私も入れて欲しいわ。・・どう? もっと見たかったら、次は床で開脚して柔軟するけど?」 「そろそろイリュージョンを見たいな」 「はいはい、慌てないで」 窓のカーテンを閉めた。 それからくるくる身体を回してカーテンに身を包んだ。 片手でカーテンの端を押さえ、顔だけ出してみせる。 身体をくねらせながらブラの背中のホックを外した。 胸からブラを外すと彼に向かって投げる。 「まだ脱ぐの?!」 「うふふ♥」 次はショーツ。 腰を振って下し、片足ずつ脱いだ。 頭の上でひらひらさせて、これも彼に向って投げた。 まだ脱ぎ足りないな。もう脱げるモノがないのが残念ね。 カーテンの隙間から片足をにゅっと出した。 思いきり突き出して、太ももの内側のきわどいところまで見せつける。 私、ストリッパーの素質があるみたい。 彼は表情を変えずに座っているけれど、眉がぴくぴく動いていた。 意外と、ううん、予想通りのむっつりスケベめ。 「えっと、そうね。目を閉じて10数えてからカーテンを開いて」 「分かった」 私はカーテンの中に全身を隠した。 「いち、に・・」 彼の声が聞こえる。私は行動した。 14. ・・ピンポーン。 玄関のベルが鳴る。 ドアの鍵を開けて彼が顔を出すと、そこへ全裸の私が両手を広げて抱きついた。 「タカノ! どこへ消えたのかと思ったよ」 10まで数えた彼がカーテンを広げると、そこに私はいなかった。 近くに隠れたと思って探したけど、見つからない。 押し入れやトイレを開けても私の姿はない。 窓の外はベランダもなくて、そのまま地上4メートルの空間だ。 慌てているところへ玄関のベルが鳴って、ドアの外に私がいた。 「どうかしら? 私のイリュージョン」 「すごいよ! でも、いったいどうやって」 「簡単よ。窓から出て玄関に回っただけ」 「ここ2階だけど?」「窓から顔を出してよーく見て」 彼は窓から身を乗り出して外を見た。 すぐ下の道路にアルミバンのトラックが駐車していた。 ほんの1メートルほどの距離に銀色の荷台の屋根。 「あそこに飛んだの。それから前に伝って降りて、階段を走って上がって」 「その恰好で?」 「大冒険だったわ。誰かに見られたりしたら、私、もう、」 「すごすぎて何も言えないよ。でも、無茶してケガでもしたら・・」 ホントにもう、このトーヘンボクのオタンコナス! 「んなことはもういいの!」 彼の前に立ち、後ろを向いて全裸の背中を彼の胸に密着させた。 彼のズボンの前が固くなっていて私のお尻に突き当たる。 素直じゃないんだから。 「・・お願い、私に触れて」 彼の左手をとり自分の左の胸に乗せた。 それから彼の右手をとって下腹部に導いた。 「!!」 彼が息を呑んだ。当然よね。 私のそこは、アンダーヘアの上から触れるだけで分かるくらいにぐっしょり濡れていたのだから。 「ものすごく覚悟してやったんだから。心臓がドキドキしてるの、分かるでしょ?」 「タカノ・・」 「もうじらさないで、イサオ」 「ごめん、って謝ってばかりじゃダメだね」 私を抱く彼の左手と右手が同時に動いた。 きゅ。 乳首と股間の両方に電流が走った。 「ひぁっ!!」 その場に崩れ落ちそうになった私を彼が支えてくれた。 「あ、・・んっ。・・もっと、もっと触って」 彼の指が肌を弄る。とろけそうだった。 ああ、イサオっ。大好き! 命がけのイリュージョンから生還した美女を抱き上げるマジシャンのごとく、彼は全裸の私を横抱きにしてベッドまで運んでくれた。
~ 登場人物紹介 ~ 後藤多華乃(ごとうたかの): 18才。大学1年。造形美術教室の作品展で "血まみれの首なし美女" をやる。 酒井功(さかいいさお): 18才。大学1年。造形美術教室を手伝っている。後にJ大イリュージョン同好会を発足する。 三田静子: 52才。元中学校の美術教師。小学生向けの造形美術教室をやっている。 れいらちゃん: 小学校4年。造形美術教室の生徒。 『体験イリュージョン』で登場した後藤多華乃さんが大学生になったばかりの頃のお話です。 明るく自由奔放で男好きのする多華乃さんと、手先は器用だけど女の子には不器用な酒井くん。 二人はこれから内なる被虐性と嗜虐性を開花させ���(彼女の方は十分開花してますがww)、2年後にはダークな緊縛イリュージョンを公開することになります。 "首なし美女" は古典的なディスプレイ型(命名 82475、美女の不思議オブジェを展示するタイプ)のイリュージョンです。 出現型(箱などから美女が出現するタイプ)のイリュージョンが好きな私ですが、事前にネタに美女を仕込んで準備するという点ではディスプレイ型も魅力的です。 頭部のパイプのデザインが秀逸ですよね。 マジシャンが講釈を垂れながら勿体ぶってカーテンを開ける、でも少し見せたら隠してしまうのはこのイリュージョンのお約束なので、お話の中でも自動開閉のカーテンにして、しばらくすると勝手に閉まってしまうことにしました。 イラストは血まみれが過ぎたような気がします。苦手な方はすみません。 血を塗る前の版 も置いておきます。 話は変わりますが、大阪城の天守閣前にあるイリュージョンミュージアムを紹介します。 というのは、ここの展示室には常設でディスプレイ型のイリュージョンがあるんですね。しかも2種類も! マネキンを使ったダミーなんかじゃありません。 ちゃんと生身の女性が演じる本格的なイリュージョンが、手を伸ばせば届きそうなところ(届きません^^)にディスプレイされているのですよ。 ステージショーではなく展示だから好きなだけ見られますし、話しかければ会話もしてくれます。 どんなイリュージョンかはここでは書きませんので、ネットで調べてみて下さい。 休暇を取って訪れた平日の午前。たまたま来館者は私一人でした。 お客のいないときにも展示のネタの中でじっと待ち続ける彼女たち。 とても感動したので、皆様是非ご来訪を。 他にも様々なマジックやトリックアートの展示、別料金でステージイリュージョンもありますヨ。 最後に、多華乃さんが彼の部屋で見せた即興のイリュージョンについて。 全裸で窓際から消えて玄関に移動という展開は、ご記憶の方がおられるかもしれません。 これは2003年(16年前!)某イリュージョン掲示板で、実際にやった女性ご本人が報告されたものです。 拙小説では珍しい脱衣イリュージョンですが、多華乃さんにぴったりだったので再現させてもらいました。 この場でお礼させていただきます。ありがとうございました。 なお、掲示板の元ネタでは1階の窓でしたが、多華乃さんなら大丈夫だろうと2階からの脱出に変更しました。 それではまた、 ありがとうございました。
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seisauid · 4 years
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 ん、とぶっきらぼうに差し出された彼女の拳から、わたしのてのひらに、ころんと転がりおちてきたのは、真っ白い彼女の乳歯だった。 「ここの歯。……みえる?」 わたしがなんで? と訊く前に、彼女はおおきく口をひらいて、その歯のかつてあったところを指し示した。白い人差し指が、唾液にひかる肉色の口内によく映える。行儀よくならんだ歯列のなかで、彼女のひとさしゆびの先にある空間だけがぽっかりと空いている。 「歯の抜けたあとの歯茎の、肉のかんじ、自分で触るとなんかきもち悪くない?」 彼女は口をとじてからそう言った。わたしは躊躇いながら、肯定とも否定ともつかない声を出す。たしかにそうだったかもしれない。もう覚えていないけれど。わたしの歯はおそらくすべてもう生え変わってしまったはずである。永久歯はすこしいびつに、わたしの口の中で生えそろっている。 「触ってみる?」 彼女はわたしのあいまいな返答が気に入らなかったのかそう続ける。言うが早いか、彼女はわたしの、彼女の歯を載せていないほうの指をつかんで、彼女の口内へと導く。やわらかな唇にわずか触れてから、わたしの指先のはいりこんだ彼女の口のなかはひどく熱く感ぜられた。つるりとして硬質な、しかしながら唾液をまとってあたたかな歯に触れる。唾液はわたしの指にまとわりつく。どぎまぎとする。なにか、いけないことをしているような気分だった。歯茎に触れる。肉だった。繋がっていたものを失った、浮ついた肉がわたしの指先を甘受する。その奥には新しい歯がたしかに収まっている。 「ね?」 彼女はわたしの指を離す。わたしは彼女の口にわずかのあいだのみ収まっていた、その指を立てたままぼうっと見つめていた。ぬらぬらと濡れ光って、西日を反射する。ただの、水より粘度がたかいていどのただの液体であるのに、妙に妖しい光にみえた。わたしはどきどきと胸を鳴らしながら、首肯した。 「……だけど、でも、ええと。なんで?」 わたしはようやく、言い淀みながら最初に浮かんだ疑問を彼女にぶつけた。 「なにが?」 「歯。」 彼女は不思議そうな顔をした。瞳の表面で、わたしの姿がそのまるさにあわせてゆがんでいた。一見黒い瞳は、よくみるとごく暗い焦げ茶いろをしている。ダークチョコレート。わたしにはまだ苦い。 「ん。それ、あげる。」 彼女はなんでもないことみたいにそう言う。さも当然のことであるみたいに。 「だから、なんで、」 「要らないなら、捨てていーよ。」 じゃあ。彼女はそう言ったきり踵を返して、下駄箱のほうへいかにも身軽そうな足取りで歩いていく。真っ赤なランドセルは終わりつつある昼の光のなかであかくあかく、わたしの瞳を刺すようだった。わたしは彼女の乳歯を隠すみたいに握りしめて、いまだ濡れたままの人差し指をみつめている。てのひらのなかで、歯の根のするどさを感じながら、彼女に噛みつかれているみたいに錯覚した。  というのが、彼女と、その歯にかんしてわたしのもっている記憶である。  彼女はわたしとおなじ中学校に入学して、しかしながら当時よりもずっと疎遠になってしまった。彼女は利発的で、かわいらしい顔立ちをしていた一方で、わたしは冴えなくて目だたない一生徒であったからだ。おそらく住まう世界というものが違ったのだ。生徒数が増えれば、一緒にすごす人間の選択肢も増えるわけで、わたしみたいなくだらない人間とつるむ必要もなくなったのだろうと思う。わたしにだってわたしと似た気質の友人がいたし、特段気にすることもなかった。だけれど、彼女の歯だけは、いっとうきれいなハンカチにくるまれて、わたしの机の抽斗の奥底でたしかに眠っている。たまに取り出して眺めてみると、心許ないほどの小ささをしている。彼女とのかかわりはそれきりで、しかしながら、たしかにわたしのなかで質量をもったものであった。彼女とこれほどに関わることはもうないのだと思っていた。 発端は、人物画のコンクールに出品しないかという、美術教師の言であった。  わたしは美術部に所属していた。部の規模は小さくて、部員も不まじめなものだから、ろくな活動がされていなくて、放課後の美術室というのはもっぱら部員らの溜まり場となっていて、絵を描く姿がみられることなんてまれなくらいであった。そのなかで、わたしはすこしばかり絵が上手かった。中学生にしてはという枕詞がはずれることはけっしてないていどの、ごくささやかなものである。そうして、すこしだけ気が小さくて、まじめなほうだった。それだから、生徒による絵が必要とされるたびに教師らに声をかけられた。面倒に思う反面、体よく押し付けられているだけだというのに、わたしの絵が認められているみたいな優越感に浸ってもいた。そのなかのひとつで、今回は人物画のコンクールに出す絵が必要なのだという話だった。サイズは六つ切りで画材は不問、かならず人物がメインに描かれていること。条件はそれだけだった。頼める? 美術教師は、彼女より背の低いわたしの顔を覗き込むようにしてそう問うた。ぶあつい眼鏡ごしに輪郭がゆがんでいる。 「はい。」 わたしは首肯する。わたしの描きたい人。わかりきったことだった。学校でかわいらしいと評判で、わたしの世界ではいっとううつくしい。人物といわれた時点で、わたしの頭にはもう彼女のことしかなかったのだった。彼女に断られたらなんてことは考えてすらいなかった。  帰りしなに彼女の家へと赴いた。久方ぶりのことだった。インターホンを押すと、やや間をおいて気だるそうに彼女が出てきた。まだ帰ったばかりらしく制服姿で、つねは耳の下でふたつに結わえた栗毛が、すこし結び癖をつけたまま肩口に広がっている。おろされた髪が肩の曲線に沿ってゆるやかに曲がり、そのまるみに西日が反射して金いろに光っている。わたしは嘆息してその光景を眺めていた。完成されていると感じた。 「なに?」 「あっ、ええと。あのね。わたし、人物画のコンクールの絵をたのまれて。でね、モデル、やってくれないかなって。」 無言のわたしを訝しがったのか、彼女のなかば苛立ったような問いかけにわたしは我に返った。つっかえながら要件を伝えると、彼女はん、とだけ頷いた。 「それだけのためにうち来たの?」 彼女の瞳も金いろに輝いていた。とおいとおい太陽の燃える炎をうけて、彼女の瞳まで燃えているみたいだった。太陽は実際のところ燃えているわけではないらしいけれど。彼女の瞳に映り込んですべてはゆがむ。彼女にくらべたらどれもこれもちっとも美しくなんかなくて、正しくなんかないから。彼女だけが唯一この地面にひとり直立していて、光を全身にうけて生きていく、正しいいきものだから。 「……そうだけど。」 だから、彼女といるのはけっして心地よくなんかなくって、むしろいつだって苦しかった。心臓は激しく拍動し、血が全身へとめぐる。つねならば冷えたゆびさきもあしさきも、すべてぽっぽとあつくなる。すべて彼女のため、彼女のための鼓動で、彼女のための生だ。 「ふうん。」 彼女はわたしを見定めるように見つめたまま、そう頷いた。唇がわずか動く。彼女の一端が、わたしのための、わたしのものになる。 「じゃあ、あしたの放課後に美術準備室で、いい?」 「うん。」 じゃあ、またね。わたしは顔を熱くしたままに踵を返す。夕陽のなかで誰にもわからない。夕陽はすべてを赤い上等な紗で覆って、それのすぎてしまったのちは夜闇がひっそりとあたりを浸す。すべては暗がりのなか。魑魅魍魎と、そして、彼女に魅せられた如何わしいわたしだけがとぼとぼと歩いている。  久方ぶりに彼女のことを考えながら床に就いた。夢のなかで、彼女の口のなかはただただびろうどのように艶めいた深紅に満ち満ちており、きらきらと一本一本の白くひかる歯は一本も存在しなかった。ふとわたしが自分のてのひらに視線を落とすとと、そこには真珠のごとき歯が実に二十八、きちんと収まっているのだった。彼女はそのひとつを可憐なゆびさきでつまみ上げると、懐から取り出した鑢で器用にまあるく磨き上げて、削られた粉をふうと唇をまるめて吹いた。彼女の手の内にのこるまるいそれはまさしく真珠であって、彼女はそれを自らの首筋にあてがって満足げに頷いた。  美術室が部員らの溜まり場になっているから、作業につかわれているのはもっぱら準備室のほうだった。美術準備室の鍵は必要なときだけ必要な生徒に貸し出される。いま、放課後の美術準備室はわたしと彼女のものだった。翳りはじめるやわらかな日差しのなかで、彼女とわたしは押し黙って相対している。挑戦的なまでに何の工夫もない、少女がこちらをまっすぐに見つめる構図。ただ、わたしの対面に座った彼女を描いているだけだ。窓辺を背にして、薄らと影を纏わせた顔は妖しくほの白い。わたしがどれだけ絵がうまくたって、彼女の一欠片も表現できやしないのだろうと思った。その諦念で心はひどく静かで、わたしは透き通って、ただ手だけが画用紙のうえを滑っているような心地だった。紙上でも現実にも、彼女はわたしを見つめている。ダークチョコレート。ほろ苦さに指を伸ばす。食む。表面はつるりと硬く、わたしの唇をわずかへこませる。舌に触れると、その熱さで、唾液で、とろりと蕩ける。  放課後は無言のまま美術準備室に集まって、無言、部活動の終了時間を示す校内放送が流れる頃にようやく一言二言言葉を交わして席を立つ。それがわたしたちの日課のようになっていた。彼女の絵はもう完成間近だった。これが終われば彼女と過ごす時間がなくなるという寂しさよりも、わたしはなかば取り憑かれたように、これを完成させるということばかりを考えていた。    わたしは抽斗をあけて、彼女の乳歯を取り出した。いまだ制服で、髪も結ったまま、夕暮れの薄あかりのなかだった。久方ぶりに触れた彼女の歯は変わらず乾いて小さく軽く、しかし鮮烈に在りし日の光景をわたしに思い出させた。わたしはそれを密閉袋にいれると、うえからその場にあった彫刻刀の柄で叩いた。経年の劣化もあろうけれど、幼子の歯というのは簡単に粉々になってしまった。ていねいにていねいに、こまかくこまかく潰し続けると、わたしは粉になったそれを豆皿にあけた。日本画に使われる岩絵具というものは、膠で溶くことではじめて絵具としての体をなす。わたしの描いているものは日本画ではない。お金がかかるからといって、小学生時分に買ってもらった水彩絵具と、美術部の備品にあったアクリル絵具ていどしかわたしは使ったことがない。これはなかば賭けみたいなものだった。だけれど、ふしぎにうまくいくという確信にわたしは満ちていたのである。豆皿に膠液をすこしずつ出してゆく。いちばん小さいサイズのものを買ったから、もとよりそう入っていない。ゆっくりとそれを混ぜ合わせてゆくと、彼女の歯は、白い絵具になったのだった。  わたしは持ち帰った絵を取り出す。あとすこし。足りないのは、ほんの少しの、彼女を照らすあわい光輝だけである。絵具を筆にとって、慎重におく。むろんただの水彩紙に、なじみがよいはずがなかった。しかしながら、色のつかないことはない。彼女の肌の白さ、瞳にたたえる光、髪の艶。ごくわずかな筆運びが、永遠みたいに長かった。それを終えると、わたしは宿題もやらずに昏昏とねむった。    明くる日の放課後に、わたしはいちばんに彼女に絵を見せた。彼女はそのながい睫毛を伏せて、しげしげと画紙をみつめた。ずいぶん長いこと、彼女は絵の前に佇んでいた。そうして、ようやく顔を上げると、その目を細めて、婉然と微笑んだ。睫毛の濃さと黒目の大きさがよく見えた。昼と夕暮れのあわいの薄あかりは、彼女の身体のうえでぼんやりと静かだった。
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ronpe0524 · 5 years
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令和になりました、な5月(2019年5月の日記)
■2019/5/1
GW5日目。令和の初日。完全に風邪の症状が出ているので昨夜から風邪薬を飲んでいる。今日は映画を観れないから眠くなっても良いでしょう。朝から奥さんの機嫌がまぁ悪いので刺激しないように頑張る。今日は娘とだいたい工作をしていた。うちの娘は工作が好きである。隔週で通っている絵画教室でもまだ絵を描いたりはあまりしないで工作的なことをよくやっているみたいだけど、それ以外に家でも工作をやりたがる。ディズニーのチャンネルが放送している「アートアタック」という番組がある。もともとはUKの番組で、まぁちょっとレベルの高い「できるかな」という感じの番組です。ニール・ブキャナンという人物がのっぽさん的な人。この番組をいろいろな国がローカライズしていて日本でも放送している。スカパー無料日とかに放送したやつをトルネに録りためているのだけど、娘はこれを繰り返し見ている。今回は中に書類が入れたりできるフォルダー作り。今はだいたいのものが100円ショップで手に入るので、いっしょに買い物に行って、娘がデザインした通りになるべく作っていく。「アートアタック」でよくやるのが木工用ボンドと水を同量で混ぜたものを塗り、そこにキッチンペーパーを細かくちぎったものを張っていき乾かす。乾いたところでアクリル絵の具で塗る、という工程。今回もそれ。乾かすのに時間がかかるので完成はしないで途中までで終わり。とても楽しそうなのでよし。夜はNetflixをかためてる見る。『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』、『ストレンジャー・シングス』S1E3、『アンブレラ・アカデミー』S1E5を見た。
■2019/5/2
GW6日目。午前中は昨日の工作の続き。あとNetflix『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』を見る。娘はかなり好きだったようです。午後から出かけさせていただき有楽町へ。イタリア映画祭2019『ドッグマン』鑑賞。渋谷へ移動。ユーロスペースで『あの日々の話』鑑賞。アフタートークには玉田真也監督とゲストの山下敦弘監督が。あと『SR3』や『太陽』に出演している結さんが観にきてました。僕モテのガチ話を聴きながら帰る。駒木根さんの「エクストリームな童貞の役」って発言が最高だ。
■2019/5/3
GW7日目。まだ工作を続けたり、図書館に行ったり。10連休もあるとさすがにのんびりできる。夕方から出かけさせていただき王子へ。ほりぶん 第7回公演 『飛鳥山』観劇@北とぴあ・ペガサスホール。またまたとんでもない。新宿へ移動。新宿ピカデリーで『ザ・フォーリナー/復讐者』鑑賞。21:25の回なのに満席だったと思う。TV録画『フラッシュ』S2E17を見る。
■2019/5/4
GW8日目。朝から娘を習い事に送る。娘は習い事終わりで奥さんと奥さんの実家に向かうのでしばしのお別れ。僕は立川へ移動。シネマシティで『アベンジャーズ/エンドゲーム』bスタ極爆と『名探偵ピカチュウ』をハシゴ。渋谷へ移動。代々木公演のカンボジアフェスティバル2019 でKlapYaHandzのLIVEを見る。日本在住のカンボジア人と思われる若者たちが盛り上がってるのを見ているのが面白い。高橋芳朗さんも見にきてた。ロフトでビンゴの景品を買う。新宿へ移動。新宿でうどん旬報の取材(=はじめて行くうどん屋さんでうどんを食べる)。テアトル新宿へ。劇場前には深田晃司監督と今泉力哉監督が本当にいる。深田監督が配っていた『よこがお』のフライヤをもらい「Twitterで見ました!」とお話させていただいたら「よかったら写真撮らせてください」とのことで撮影してもらう。深田監督はガラケーだ。『キュクロプス』鑑賞。上映前に通路を挟んで隣の席がさっちゃんさんだと気づく。上映後トークまで含め面白かった。トークのあとパンフに大庭監督のサインをいただき、少しだけお話しさせていただく。また次の作品も観たい監督だ。途中までさっちゃんさんといっしょに帰る。さっちゃんさんは大庭監督が『太陽』の助監督の人だとはまったく知らずに観にきていたとのこと。明日よろしくお願いします、と別れて帰宅。
■2019/5/5
GW9日目。奥さんと娘は帰省中。僕はまぁまぁ具合が悪い。が朝から立川へ。シネマシティで午前十時の映画祭10『E.T.』極音上映を鑑賞。映画は良かったが具合がさらに悪い。近くの珈琲屋さんでランチパスタを食べてなんとか『エンドゲーム』の感想をまとめていくが気持ち悪いし頭痛がある。お腹も痛い。たぶん風邪である。なんとか新宿へ移動。テキトーな公園のベンチでさらに『エンドゲーム』の感想をまとめる。なんとかまとまった。エクストラシネマトーク東京『アベンジャーズ/エンドゲーム』へ。僕が個人的に立ち上げた、いつものMCTTの番外編的なイベントですが、ネット経由で参加してくれたゲストのペップさんを含め10人で2時間『エンドゲーム』の話をする。思う存分話せて楽しかった。集まってくれた皆さん、本当にありがとう。放課後(二次会)はトルコ料理屋さんでケバブを食べる。MCUビンゴ大会もやる。楽しかったけど体調悪くてフラフラ。帰宅して23時頃には寝てしまった。
■2019/5/6
GW10日目、最終日。体調悪くて起きれないんじゃないかと思ったけど朝5時に目覚めた。なんとか動けそうである。とりあえず新宿へ向かう。電車の中で午前中に観れそうな映画を調べる。ここで観ておきたかった『キングダム』はなんともう残席わずか、最前列の左右しか空いてない。なんてことだ。仕方がないので『名探偵ピカチュウ』吹替を予約。新宿へ到着し歩いていると品川庄司の品川が娘さんと歩いていた。仲良さそう。てわけで新ピカで『名探偵ピカチュウ』吹替を鑑賞。2回目を観ることになるとは。まぁMCTTのお題なんでね。渋谷へ移動。タコベルでランチ。実はスマホのポータブルバッテリを忘れてきてしまったのでタコベルの電源にてスマホの充電もする。ロフト9へ。Gucchi’s Free School のトークイベント。誰か知ってる人来てるかなぁと思っていたらまるゆさんがいた。イベントで紹介される映画はどれも面白そうで、しかも知らない作品が多い。非売品の「みにまよ」も欲しいので真面目にアンケートにも答える。後日郵送してくれるらしいです。イベント中に奥さんからメールを受信。実家から戻ってきたけど奥さんの具合が悪いので娘の夕食も買って帰るように、と指令が。ロフト9のイベント終わりしだいソッコーで帰る。吉祥寺のさとうでコロッケ買おうと寄ってみたらなんと完売!完売ってはじめて見た気がする。しょうがないのでケンタッキーを買って帰宅。娘はむしゃむしゃと食べていた。夜はWOWOW録画『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』を見る。笑った笑った。Dlife『エージェント・オブ・シールド』S5E8を見る。
■2019/5/7
GWが終わってしまった。しかも出勤してみたら上司が1週間海外出張になっていた。いろいろ予定が狂って大変。火曜なので英会話に出てから帰宅。夜はNetflix『ザ・ボーイ~人形少年の館~』を見る。
■2019/5/8
仕事終わりで吉祥寺へ。UPLINK吉祥寺で『月夜釜合戦』鑑賞。なかなか観れなかったこれをここで観ておけて良かった。TV録画『フラッシュ』S2E18を見る。
■2019/5/9
奥さんが本格的にダウン。なんとか娘の英語と朝ごはんと小学校の支度をする。僕もまだまだ体調が悪いです。仕事終わりで吉祥寺へ。松屋で豚ビビン丼食べてからUPLINK吉祥寺へ。『やくたたず』鑑賞。やはり夜だとクラフトコーラが完売してます。帰宅して風呂入りながらジミソラジオを聴く。7月に開催予定のイベントを水面下で進める。
■2019/5/10
やっと病院に���けたうちの奥さんだがインフルではなかったとのメール連絡。とりあえず良かった。仕事終わりで昭島へ。ココイチで夕飯食べてからMOVIX昭島にて『ラ・ヨローナ ~泣く女~』鑑賞。映画終わってから歩いて自宅まで帰ったのですが、久々に腰の痛みがハンパない。夜も鎮痛剤を使う。いろいろ体調不良があって不安である。
■2019/5/11
土曜日。朝から娘を習い事に送り、その後立川へ。はじめて行く街中華なお店に焼きそばがあったので食べる。「焼きそば旬報」で書けそーとか思いオーダしたのだけど量が多くて苦しい。シネマシティで『メカゴジラの逆襲』aスタ極爆、『キングダム』をハシゴ。キングダムはシネマワンの大きなスクリーンであったが、おそらく9割ぐらい埋まっていてすごいなぁと。人気作のわりに観客の鑑賞マナーもとても良かった。映画観終わって劇場を出るとスマホでおそらくシネマシティのスタッフと会話している塚本監督が。監督、『鉄男』はシネマツーですよ。僕は平日に『鉄男』観ます。立川のエキナカでお弁当を買って帰宅。夕方、奥さんと娘は眼科に行っていたわけですが、娘の視力が大きく落ちているとのこと。このままでは眼鏡をかけなきゃなレベルなのですが、まだ回復できる可能性があるということなので、しばらくはそれにトライしてみることに。かわいそうなのは大好きな読書をできなくなること。学校で教科書を読むなどは仕方ないけど、1ヵ月ほどは基本的に目をなるべく休ませるために家での読者はお休み。その期間はできるだけ読み聞かせをすることに。まだまだひらがなが多い娘が読んでいる本を音読するのって意外と難しい。。寝る前にも読み聞かせをして、娘を寝かしつけたのですが、そこの僕の体調が限界。20時ぐらい前だけど寝室へ。そこから寝てしまい、夜中に何度も目が覚めたが、体を起こすことができず、そのまま朝まで断続的に寝てしまった。次の木曜が定期通院日であるがちょっと不安が。
■2019/5/12
日曜日。午前中から娘と実家へ。地元に狭山池という大き目の池があるのですが、その周辺のお祭り。ここ2年ほどはこの日程でディズニーリゾートに行っていたので、娘と遊びに行くのは3年ぶりだろうか。地元には農芸高校があり、ふれあい動物園などをやってくれている。娘はこういうのがとても好き。あと短い時間ではあるが乗馬ができるイベントも。娘が乗馬待ちの列に並んでいるとケーブルテレビの取材が。ペラペラとよく喋りインタビュー答える娘。こうゆうときによく会話できるようになったなぁ。焼きそばやイカ焼き、かき氷など昔ながらの出店も堪能。実家に戻り、庭でボール遊びなどもする。うちの娘はインドアでの遊びが大好きなんですが、ちょっと意識的に外で遊ばせていかないと。夕方に帰宅。夕飯は奥さんがお腹にやさしい感じのもの作ってくれた。食べやすい。娘を風呂に入れて、寝る前はまた読み聞かせ。『かいけつゾロリ』のスピンオフ的な『イシシとノシシのスッポコヘッポコへんてこ話』ってやつを読んでいるのですが、これが寝る前の15分程度に読むには最適な内容なんです。娘が寝てからは録画してたドラマを見たりアニメを見たり。Netflix『ストレンジャー・シングス』S1E4、Netflix『パニッシャー』S2E8を見る。25時ごろ、YouTubeのコンテンツでも聴きながら寝ようかな、と自分の寝室でうとうとしていると枕元に娘が立っていてギョッとする。「もう寝れなくなっちゃたー」と半べそ。そんなわけないだろうと娘を寝室に連れていきいっしょに寝てあげる。なかなか寝ない。そのうち僕の方が先に寝てしまった。気づいたら夜中の3時で、もちろん娘も寝ていた。自分のベッドに戻り再び就寝。
■2019/5/13
月曜日の朝。いつも朝の準備が遅い娘である今朝はとてもテキパキ。いつも家を出る時間より15分も早く準備完了。そして「本読んでー」と。どうやら本を読んでもらうことにハマったようである。おそらくママはやってくれないのでお父さんがいる間(平日だと朝)になんとか時間を作ろうと頑張ったのであろう。仕事終わりで立川へ。「かつや」でトマ玉チキンカツ丼食べてからシネマシティへ。『鉄男』極音上映を観る。
■2019/5/14
6月から直属の上司(いわゆるdirect reportの上司)が変わる。シンガポールの人になる。20年以上働いているけど直属上司が日本人以外になるははじめて。その新上司が出張してきたのでMeetingとかランチしたり。僕でもかなりわかるゆっくりはっきりした英語で話してくれるのでありがたいけど、さらに英会話に力を入れないと、という気持ちでいっぱいです。というわけでいつもより真面目に英会話クラスに出てから帰宅。夜はAmazonビデオで『チェンジ・アップ/オレはどっちで、アイツもどっち!?』を見る。
■2019/5/15
仕事終わりで渋谷へ。シネクイントで『スケート・キッチン』鑑賞。TV録画『フラッシュ』S2E19を見る。Netflix『アンブレラ・アカデミー』S1E6を見る。
■2019/5/16
本日は定期通院のため休暇を取る。血液検査はだいたい問題なし。最近まぁまぁ体調が悪いこと、なんだかとっても眠いことを主治医に相談すると、肝臓の数値がやや悪いのでそれか、あとは精神的な問題であろう、とのこと。後者については仕事について変化がなければ家族についての変化、うちの場合は娘が小学校に入学し、親としてもいろいろと環境の変化があるんじゃないか、とのこと。とりあえず肝臓の薬は先生が出してくれた。血液検査の調査項目も追加して結果はまた2か月後。診察結果を一応奥さんにメールしたら「精神的な問題」の部分は無視されて(あえて挙げるのであれば)やや数値の悪かった「肝臓」の部分について「食事を改善せよ!」という鬼のような文面の返信がきて気が滅入る。お昼は今日から開催されるまんパクに行ったけど、しいたけとかわさびとか食べてあまり肉が食べれなかったよ。渋谷へ移動。イメフォで『主戦場』鑑賞。年配の観客がとても多い。ヒュートラ渋谷で『バースデー・ワンダーランド』『HOMIE KEI チカーノになった日本人』を鑑賞。けんす君にもらったテアトル系映画チケットを使わせていただきましたよ。Netflix『スタートレック:ディスカバリー』S2E5を見る。
■2019/5/17
4年前に新しい測定システムを立ち上げたときにアメリカから数日サポートにきてくれたエンジニアが日本に来るというので2時間ほどのミーティングをセット。仕事できているのではなく、彼の息子さんが現在日本の大学で勉強しているので、息子に会いに来つつ夫婦で日本旅行中とのこと。でせっかくなので2時間ほど僕らのオフィスに来てフェイストゥフェイスで仕事のフィードバックとか最新情報をシェアしてくれた。なんと真面目な人なんだ。元々ハワイ出身の日系ということもあり見た目はアジア人。日本も好きらしく、前日は鎌倉とか江ノ島をまわっていたらしい。素晴らしいですね。仕事終わりで有楽町へ。角川シネマ有楽町で『アメリカン・アニマルズ』鑑賞。HOKUTOさんと同じ回だったので途中までいっしょに帰る。
■2019/5/18
土曜日。娘を習い事に送ったあと神保町へ。とりあえず岩波ホールに行って夜の回の『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』を買う。11時半ごろ買って整理番号3番。ひさびさの「丸香」へ。さすがに土曜の昼、すごい列。30分ほど並んで入店。ただし並んでる間に注文を取ってくれているので着席して1分ぐらいでうどんが出てくる。超人気店でしかできないオペレーションだと思うけど本当に素晴らしい。久々に行くとつい食べてしまう釜たま山(中)を食べる。やっぱうまいです。いよいよ「うどん旬報」に書こう。神保町シアターで特集企画 水木洋子と女性脚本家の世界『もず』、『故郷は緑なりき』鑑賞。古本屋を数店のぞいてから再び岩波ホールへ行き『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』鑑賞。最前列のど真ん中で堪能させていただきました。
■2019/5/19
本日は朝から家族でまんパクへ。まんパクは開催期間の後の方になるととても混雑するのではじまったらすぐに行くのが良い。ただ今回は友人家族にも声をかけたけど行けたのがうちの家族だけ。やはり1家族だけだと買い出しに行くのがとても難しい。まぁキッズエリア(時間制・別料金)でめいっぱい遊んだうちの娘は満足していたようなので良し。帰宅したら僕の方が疲れてしまっていた。休みの日はだいたい僕が娘をお風呂い入れる係なのですが今日は風呂に入ってる間は英語だけで話そう、的なのをやっ��ら娘は脅威的に英会話ができている。これは習ってないかな?的な単語を使っても前後の内容からついてくるし、たまに僕の方が娘の英語を(発音が良すぎて)聞き取れない。幼稚園から英会話をやるっていうのはこういうことなんだな。娘に英会話を習う日も近いと思います(すでに発音が違う!と修正されている)。娘が寝たあとはCS録画『サボテンの花』を見る。町山さんの解説含めてとても面白い。あとAyaさんのツイキャスも途中から。京都の図書館であるという『エクス・リブリス』絡みのイベントが面白そう(さすがに行けませんが!)
■2019/5/20
まだいろいろと体調が悪いがとくにお腹の調子が悪い。まぁ下痢ぎみなのである。とても困る。プレイボーイ掲載の『キン肉マン』を立ち読み。熱い、熱すぎる展開だ。仕事終わりで東中野へ。「焼きそば旬報」の取材をしてからポレポレ東中野で『沈没家族 劇場版』鑑賞。上映後は加納土監督の挨拶あり。パンフにサインをいただき映画の感想をちょっとだけ伝える。
■2019/5/21
朝から土砂降りの雨。娘は学校まで行けただろうか。うちから小学校まではすごい近いのですが、遠い子は大変だろうなぁ。雨も凄いけど、風がとにかく強い。通勤で右半身がびしょ濡れ。火曜なので英会話に出る。英会話の先生に『エンドゲーム』でよくわかんなかった台詞について質問。帰宅して夕飯食べながら奥さんのFGOの話を聞く。僕は『キン肉マン』最新回の激アツさを熱弁する。風呂入ってからAmazon Prime『ザ・ヒーロー』を見る。後ろで見ていた奥さんは途中で寝息をたてていたので興味ないジャンルだったのであろう。ちなみに僕は最近、家で映画やドラマを見るとき、作品内で気になる曲が流れたらShazamして、それをSpotifyで検索してシェア(Tweet)する、というのをやっている。なので僕がTwitterで夜にSpotifyリンクをTweetしてるとき、音楽に詳しい人なら何を見ているのかが予想できるのではないでしょうか。
■2019/5/22
まだ体調が悪いのですが、主にお腹の調子が悪い。朝起きてから家を出るまでに便意があって4回ぐらいトイレに行くのですが、毎回しっかりと出る。お腹の調子が悪いというか、逆に快便すぎるという云い方ができるぐらいだと思うのですが、まぁ外出するのがこわくなるレベルであります。仕事終わりで新宿へ。MCTT『名探偵ピカチュウ』回。参加者が集まるか不安なお題だったけど8名集まってくれて嬉しかった。変なテンションの回でそれも良し。ラロッカさんが『SR』の1と2の脚本が掲載されている月刊「シナリオ」を借してくれた。本当に脚本を勉強してたんだなラロッカさん。帰宅しながら僕モテメルマガを読む。実は先々週ぐらいに映画『焼いてはいけない』を僕モテで上映会やってくださいよー的なメールを送っていたのだけど、同じことをメルマガ内で入江監督が書いていてびっくり。小規模でもいいからやってほしいなぁ。
■2019/5/23
朝から録画した『カメ止め』の「アナザーストーリーズ」を見ていたら、奥さんから濱津さんに顔が似ていると云われた。他にも過去に顔が似ていると云われたことがある著名人は、奥田民生、遠藤保仁、ガチャピン。なんか共通点がありますね。水面下で準備をしていた「GBW in Tokyo Vol.2」の告知を発表。イラストはラロッカさんが去年描いたやつをそのまま使いつつ僕が「Vol.2」を加えた。一応『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.2』と同じフォントを使ってます。今年もみんな集まってくれー。仕事終わりで渋谷へ。かなり久々のclub asiaでP.O.P「いつもSTREET」発売記念ワンマン。会場には僕モテ執筆陣、僕モテ読書さん多数。P.O.Pのがっつりワンマンは久々で楽しかった。LIVE終わってからイベント登壇者として渋谷にきていたペップさんと合流。目当てのお店には行けなかったけど、みんなで焼きとりを食べに。ペップさんとチートイツさんは初顔合わせで、別のアースのキャラクタが出会ってる感あり。チートイツさんとけんす君からは誕生日祝いに映画チケットをいただく。感謝。
■2019/5/24
というわけで誕生日であり、娘から手作りの誕生日カードをいただく。「作るのに5日もかかった」と云うわりには「色は自分でぬれるよ」とか云って着色なし。ありがたい。娘に昨夜こっそり(?)撮影したP.O.PのLIVEを見せてあげる。うちの娘が好きな楽曲は「Summer Back Again」「夜夜夜」「Watch Me」。仕事終わりで昭島へ。昭島大勝軒でワンタン麺を食べる。あきらかにここ���年でラーメンを食べる回数が減った。そんな中でここは今でも年に数回は食べている。MOVIX昭島で『神と共に 第一章 罪と罰』鑑賞。こういう上映館が少ない作品をカバーしてくれるのがMOVIX昭島、ありがたい。MOVIX昭島からは徒歩で帰れる。映画を観終わりぼんやり家に向かい歩いていると、ぼんやりしすぎていたのかつまずいて本当に派手に転んでしまった。リュックを背負い直そうとしてタイミングだったこともあり見事におでこを地面にぶつけたらしい。左目の上を触ってみると明らかにたんこぶができている。この年になってたんこぶって。。あわてて自販機で飲み物を買い、たんこぶを冷やしながら帰る。僕の自宅の周辺は横田基地に近く、アメリカ大統領が来日することもありものすごい数の制服警官がその辺を歩いている。おでこを缶飲料で冷やしながら歩く中年男性はさぞ怪しかったと思うが、自宅まで呼び止められることもなく帰宅。帰宅して奥さんに説明するとあきれられたが湿布を出してくれた。たんこぶに気をとられていたが右手首もかなり痛い。明日が心配である。
■2019/5/25
土曜日。あきらかに左目の下が黒い。まぁすごい寝不足の人に見えなくもないであろう。本日は娘の小学校の運動会。なんでこんな暑い日になってしまったのか。朝から娘とご飯食べたりして、奥さんは小学校へ場所取りに向かう。小学校はとても近いのでありがたいが、去年までの幼稚園の運動会はシートの位置(区画)があらかじめ抽選で決められていた。本当にあのシステムは良かったなぁと思う。さて娘にとってははじめての小学校の運動会。うちの娘は勉強はできるけど運動はイマイチ。まぁ転んだりしなければそれで良い、という感じです。なんか自分の小学校時代を思い出しつつ、奥さんと自分の小学校はこうだったああだったと話す。やはり高学年のリレーや騎馬戦は見ていてけっこう面白い。騎馬戦の大将が騎馬を崩され(チームとしては勝ったのに)泣いていたりしてグッときちゃう。しかし暑かった。運動会終わって帰宅。僕は休みなしで図書館へ。本を返したりまた借りたり。さらに明日使う車を実家まで借りに向かう。両親に娘の運動会の様子を報告。車を借りて帰宅すると夕飯はそうめんだった。さっぱりしてちょうど良い(明らかに今日の運動会で前のシートに座っていた家族のお弁当がそうめんだったのでそれの影響)
■2019/5/26
早起きして家族と車でおでかけ。学生時代の友人家族がこの6月からマレーシアに引っ越してしまうので、その前にみんなで集まってBBQをやろうという企画。しかし場所が浦安なのでこれはもう車で行くしかない。中央道で首都高に向かうが「新宿ー三宅坂 通行止め」の表示が。トランプめ。新宿から山手トンネルを使い板橋JCT経由でぐるりを上の方の外環をまわるように葛西を目指す。これが大正解でまったく渋滞なしで浦安までたどり着く。設営組、買出組に分かれて準備。最終的に7家族が集まり、大人15人、子供11人だったかな。学生時代の友人で、社会人になってから毎月のように集まっていたメンバーだけど、それぞれが結婚して、子供も持つようになるとそれほど集まれなくなったし、ここまで大集合するのは本当に久々。子供もそのうちいっしょに来なくなるだろうし、この人数が集まるのは最後かもしれない。僕はBBQについては他に人にまかせ、ほぼ子供たちと遊ぶ係。子供たちがたくさん集まると本当に手におえない。でも楽しそうで何よりだった。友人が持参したかき氷機が大活躍で、子供たちは何回も並んでいた。若い頃は買っていった食材の半分も食べれないこともあった(買いすぎ)僕らなのに、今はほぼ食べきるぐらいで絶妙。いろいろな意味で大人になったのだな。帰りの高速はどうかなぁと思ったけど、はやり箱崎あたり車が動かなくなってしまい下道へ。日本橋や東京駅あたりを通過して、また首都高に乗り直し。そこからは渋滞もなくすいすい。家の近くまできてデニーズで夕飯食べて帰宅。娘を寝かし僕の体力は限界。奥さんに「ちょっと寝る」と云い寝室へ。そのまま朝まで寝てしまった。
■2019/5/27
月曜日。あー朝まで寝てしまった。いつものように娘と朝食を食べて、着替えをさせて、とやっているのだが娘も奥さんもなんだかぜんぜん急がない。なんなんだ、と思っていたら本日は運動会の振り替えで小学校がお休みとのこと。なんだよ。まずは借りていた車にガソリンを入れてから実家へ返却。親にお礼を云い会社へ。なんだかとても疲れている月曜であります。TwitterのTLも昨日ほぼ見れていないのでいろいろ情報を追いきれていないかも。仕事終わってから一度帰宅、奥さんの電動アシスト自転車を借りてイオンシネマむさし村山へ。自転車で30分もかからない距離なのだけど、微妙に坂になっていて普通の自転車ではけっこうきつい。5年前の病気以降あきらかに筋力(もしかしたら骨の問題かも)が落ちてしまったのでムリはしないようにしている。イオンシネマむさし村山は年に数回お世話になっております。今回は『プロメア』鑑賞。シネマシティとMOVIX昭島がやらない作品をカバーしてくれるのは本当にありがたい。月曜は1100円だし。帰りにローソンに寄ってニトロのLIVEの支払い。やや遅れていてアトロクのLIVE&DIRECTを聴くのがやっと追いついた。
■2019/5/28
何度かここで書いていますが、朝は一駅分を運動のために歩いております。基本的に玉川上水路に沿った道を歩いているのですが、今朝はその道にモンシロチョウが大量発生していてなんかこわかった。フランス映画祭の詳細が出た。うーん2本ぐらいは観たいな。英会話に出てから帰宅。Netflix『パーフェクション』を見る。
■2019/5/29
朝からフランス映画祭のチケットを確保。2枚だけ。午後半休をいただき三軒茶屋へ。シアタートラムでイキウメ 『獣の柱』観劇。同回にギリジンが観にきてた。ギリジンがトラムでやる絵本の朗読のやつ、子供と行きたいな。せっかく三茶にきたので濱田家でパンを買う。夜の用事まで時間があったので本郷三丁目へ。リニューアルOPENしたうどん屋さん「TOKYO LIGHT BLUE HONGO 3」、うどん旬報に書けるかな。新木場シティに移動。ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION@)新木場 STUDIO COAST。久々の新木場はなんか人が増えててびっくり。ZAZENは新曲も聴けて楽しかった。そして久々の友人N君と近況もいろいろ話す。TV録画『フラッシュ』S2E20を見る。
■2019/5/30
いろいろ予定が変更された一日。まず夜は海外のエンジニアと協力して測定器の検証をする予定で、終了予定がわからなかったので映画とかは行けないはずだった。のだが、その測定器が壊れてしまい修理が必要となり検証は延期に。UPLINK渋谷に観たかったやつが観に行けるなぁと残席を調べてたのだけど、土曜に観ようと思っていた『嵐電』のことをふと調べたら舞台挨拶が追加されていてすごい勢いでチケットが売れている。チートイツさんにもらった前売りを使いたかったのだけど、当日だと難しそう。予定を組み替えて今日のうちにテアトル新宿の窓口で指定席を買うことに。そうなると新宿で何か観る作品を探さないと、となりカリテで『ガルヴェストン』を観る。やや鑑賞を諦めかけていた作品をこうやって観ることになるのも巡り合わせ。
■2019/5/31
6月から仕事のチームの編成が変わることもありいろいろと忙しい。が仕事終わりで立川へ。シネマツーで『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』鑑賞。初日夜のaスタ極爆の雰囲気って最高。同回を観ていたさっちゃんさんの車で家まで送ってもらう。感謝。近況を話したり、僕が本当は今日、どう考えてもこの先のスケジュールを考えると『さよならくちびる』を観なきゃいけなかったのにもかかわらず『ゴジラ』を観てしまったことを力説。TV録画『フラッシュ』S2E21を見る。そんなこんなで5月終わり。
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kawajiri-design · 7 years
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素材?色?テレビ台選びの意外な落とし穴 素材?色?テレビ台選びの意外な落とし穴 | テレビボードおしゃれランキング|北欧、フロート、コーナースタイルなど via kwout テレビ裏の掃除を諦めるか、フローリングの傷を諦めるか   世は地上デジタルの移行に伴い、ブラウン管から薄型テレビに買い替える、いわゆるテレビ戦国時代。 我が家も例にもれず買い換えました。ブラウン管のままテレビを見続けるより、その時は買い替えてしまったほうが簡単に思えたのです。 まずテレビを買って、前までブラウン管テレビが置いてあった台の上に設置。うーん。せっかくの最新テレビなのに、なんだか垢抜けない。やっぱり台も新調しないと、高さも広さも微妙な感じだね、という話になり早速テレビ台を購入することに。 しかしいざ家具屋さんに入ってみたら、その種類の多いこと多いこと。アクリル製に木製、金属製なんてものもあり、とにかく目移りしてしまい��す。唸って唸って探した中で、我が家が見つけたのはガラスと金属でできたテレビ台。ガラスの下には黒いアクリルがはまっていて、重厚感があり洗練されている、かなりおしゃれな代物でした。別におしゃれでもなんでもない普通の木造の家なのに、そんな場違いなものを買ってどうするんだ。 今ならそう思います。だけど当時は自分の家の最新テレビに対する愛と誇りが深く、これしかない!と鼻息が荒くなっていたのです…。盲目になっていた私たちは、それを買って、業者さんにお願いをして設置してもらいました。高さ、奥行き等はちゃんと測っていったので申し分なし。 木造の我が家には場違い感がはなはだしいけど、上に置かれたテレビは心なしか誇らしげに見え、なかなか決まっています。 私たちは大満足で地デジ生活を楽しみ始めました。ところが。しばらく経って掃除機をかけようとすると、とんでもない事実が判明。 このテレビ台、すごく重くて動かないな…。引用:素材?色?テレビ台選びの意外な落とし穴 | テレビボードおしゃれランキング|北欧、フロート、コーナースタイルなど
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mamincosm-blog · 7 years
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ワクワクらくがき Vo58 『まみんちゃんたちは とてもしあわせだから サンタさんからのプレゼントはいらないよ と、いってくれました それから、他のプレゼントが必要なお友達に まみんちゃんたちのプレゼントも 贈ってくださいといってくれましたね サンタさんは そんな優しい心が嬉しかったです でも、トナカイさんが なにもプレゼントをおいていかないのは 寂しいといって 流れ星のように早く 夜空をかけぬけて 星屑の欠片をあつめて 金平糖にしてしまいました 金平糖をプレゼントにおいていきます 金平糖はひとつひとつ味がちがうんだよ とても甘くて ワクワクになれるもの すっぱくて切なくなるもの ほんのり甘くて穏やかになれるもの ピリッとして カッカと頭や体が熱くなるもの しょっぱ甘くて涙がポロポロ 流れてしまうものなど ひとつひとつは てんでばらばらに思えるかもしれないけど 全部をいっぺんに 口の中にほぉりこんだなら なんともふしぎな奥深い味になるはずだよ そう、それが 心というものなんだよ どの味もたいせつな気持ちをあらわしてる そうどれも大切な心なんだよ それを忘れないでほしいんだ でもね 全部を一緒にたべた時に ワクワクできるような味になれるように サンタさんはプレゼントを みんなにとどけるね この金平糖はその約束のしるしの金平糖で マフラーを作ってくれた みんなへのありがとうの金平糖だよ 来年には 沢山のワクワクな思い出も プレゼントにもってくるからね』 #しうづきまみん #ワクワクらくがき #イラスト #チンチラ #精神病 #絵画  #illustration  #illustrate #赤いハート #ア-ト  #ウサギ #ぽぽん #カムイ #えす #ペン画 #アクリル絵の具 #メリークリスマス #クリスマスプレゼント #サンタさん来るかなぁ
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tsubutsubutsubu · 7 years
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マンバ
「マンバ」のプレゼン大会が漫画サロン「トリガー」にて開催され、その際のお食事を担当させて頂きました。その様子はコチラ
アクリル板の下に漫画を敷かせて頂き、お料理越しに見えるようなセットにさせて頂きました。お料理もパクッといけるような形で。
漫画って親しみやすいけど、ものすごく幅も広いし奥も深いですよね。私は最近あんまり読めてないな〜。面白そうなのいっぱいです!!読みたい!
スタッフ様に撮影して頂きました。綺麗なお写真ありがとうございます!
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micromegas · 8 years
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遠隔操作
菱野時江は自身初の写真展を開催するギャラリーの入口そばに立ち、受付台の上に積み重ねられたカラー刷りのチラシを一枚取って、その裏面を真剣な面持ちで眺めた。「剃りマンジャロ――かくも美麗なる恥丘――」と本人直筆の題字が掲げられた下、写真家自らがここ三年ほどにわたって、本業たる看護師の傍ら、陰毛処理におけるアーミッシュ的態度に基づき、決してブラジリアンワックスや光脱毛器など用いず、脱毛サロンにも足を向けず、ただ研ぎ澄まされた剃刀のみを巧みに操り、細心の注意を払って剃毛した恥丘の、その自画撮りに鋭意邁進してきたことが簡潔な文章で説明されている。自宅や旅行先の宿において、様々に設置したデジタル一眼レフの無機的な眼差しに恥丘をあられもなく曝しながら、それと無線接続した携帯端末の遠隔操作によって、手ずから激写したという撮影方法もそこに記されていた。「あたかも何か自身ならざる存在の意志によって、指先がシャッターを切る。私はその時、神の視点から自らの恥丘を眺めていた。あるいは宇宙から地球を見下ろす衛星のカメラのような視点から……」と下部の囲み欄には時江の生の声も綴られている。「何も処理せよなどという押しつけがましいメッセージ性はない。下の毛というのは剃るもよし剃らぬもよし、現生人類の女性にとって、もはや何ら本質的ではない、言わば偶有性をそなえている。しかし生い茂るままでも有り得た、その秘部の森林という自然が、何の偶然か、あるいは必然か、剃られてしまったというこの圧倒的な不在の存在感――私はその剃毛された恥丘というものに、あるいはそのふもとに通ったひとすじに、オッカムの剃刀によって簡潔にされた論理のごとき、透徹な美しさを見出したのかもしれない……」  時江はその文言に我ながら同意するように小さく頷き、写真入りの表は一部モザイク処理の施されたチラシを重なりに戻して文鎮を置くと、次に携帯端末を取り出して、スケジュール帳を確��した。今日は午前中に搬入及び設置、十八時より内覧会、そして明日から六日間にわたって本式の開催期間となっている。現在時刻は十六時半を回っていた。
 受付の奥の階段を下り、薄桃色の暖簾をくぐって地下展示室に入ると、そこは窓のない白塗りの空間となっており、特に仕切りなど設けず、出入口以外、四方の壁にずらりと時江自身の接写された恥丘の、実物よりもかなり拡大された鮮やかな写真パネルが三十点飾られている。それぞれの写真の下にはごく小さなプレートが添えてあり、チラシの一節を借りれば「恥丘それ自体がひとつの言語となる」ようにどれも題名は付けられていないが、作品の大きさ、使用機材、施したデジタル修整及び加工などが記されていた。剃り跡の毛穴や血の滲みを敢えて生々しく際立たせたものもあれば、そうした現実を綺麗に取り去って、崇高な神々しいまでの柔肌、なめらかな視覚的触感を作りだしたものもあり、ひとすじの割れ目にぱりっとした海苔が一枚挟まれているもの、二本指でくっきりと露出させた陰核のところに画像加工ソフトを用いて光り輝く大粒のダイヤモンドをはめ込んだものなどもあった。それらの作品群は見るからにそれぞれ異彩を放ちながら、ある種の曼荼羅的な効果をもって、女体の恥丘という部位の興味深い多面性を一堂に表現しており、個々としても全体としても、芸術家としての時江の驚くべき美的センスをきわめて明瞭に提示していた。しかもそれのみならず、部屋の中央にはガラスケースをのせた台があり、その中には剃り落とされた陰毛が一度分ずつ、ワイングラスに入れて並べられてもいる。すべて日付の入った紙片が添えられており、時江がまだ茂りかけの段階で早くも剃った時、鬱蒼と生い茂らせてから剃った時といった折々の違いが毛の量として、まざまざと「見える化」されていた。鑑賞者に不快感を与えぬようにか、適切な洗浄と乾燥を経た旨の注意書きもあった。  その時、時江の携帯端末が振動した。見るとギャラリーの担当者からのメールで、集英社の文芸誌「すばる」から取材の申し込みが来ているという。「またか……」と時江はつぶやき、手もとを操作してメールボックスに戻るとここ数時間のうちに、同じ担当者から「……より取材の問い合わせです」という件名のメールが既に十数通も届いている。硬軟の別なく各種新聞雑誌から、そして有象無象のウェブメディアからも。時江はやれやれとばかりに溜息をつき、その場で担当者のアドレス宛てにメールを綴った。「午前中は業者の方と設置ご苦労様でした。ニュースリリースってこんなに効果があるんですね(私の写真展がインパクト大のせいもあるでしょうけれど……)。でもお手数ですが、やっぱり事前の取材依頼はすべて断ってください。話題性ではなく、まず現物を見てから判断してもらいたい気持ちが強いので。菱野時江拝」
 それから時江は展示室中央のガラスケースの傍らにたたずみ、四方の壁を埋め尽くす自身の恥丘写真ひとつひとつに冷徹に舐めるような視線を送りながら、じっくりとひとまわり眺めていった。恥丘たちはどれももっこりとふくよかで、ふもとに通��たひとすじもその量感にまろやかに沿った切れ込みとなっている。それは誰しも魅了されずにおれない極上の形態美であり、色気と無邪気、迫力とユーモア、欲望と静謐、解放と秘密、悟りと舌なめずりをすべて等しく包含していた。まこと素晴らしいとしか言いようがない光景だった。 「時江」と不意に背後から声がした。  うっとりした眼差しのまま振り返ると渋崎咲子が入ってきて、怪訝そうに時江を見つめた。 「何でそんな、エクスタシーの余韻みたいな表情になってるの?」 「だって素敵じゃない? 自分で言うのも何だけど」と時江は微笑交じりに言って、またねっとりと自らの作品群を眺めやった。「それにとうとう、実現するんだなって思って。初めてで色々大変だったし、ボーナス一年分丸ごと飛んじゃったくらい、お金もかけてるし」 「お客さん、いっぱい来るといいね」 「ううん、そういうのは求めてないの。もちろんあんまり少なかったら残念だけど」と時江は既にある程度達成感の滲む微笑みを浮かべた。「それより、今日は有給を取ってまで準備を手伝ってくれてありがとう」 「気にしないで。私と時江の仲じゃない」と咲子はにこやかに言って、ぽんと時江の肩をかるく叩いた。その手からほんのり香料のにおいが漂った。咲子は心なしか眩しげに目を細めながら、どこか神聖な雰囲気すら漂う白い光に満ちた白塗りの空間を見渡した。「それにしても、いいギャラリーを借りれたよね。今行ってきたら、トイレもすごいお洒落だったし」 「うん、オーナーもさすが芸術に理解のある人で、一緒に逮捕されようって言ってくれたの。この国の文化は信じがたいほどに幼稚かつ低劣だから、さざ波程度でも起こしていかなきゃ何も変わらないって意気投合して」  拡大された三十の恥丘たち、しかも各々多様な顔を見せながら結局のところ一人の秘部の複写群に取り囲まれるうちに、咲子は改めて目を惹かれた様子でしみじみとそれらを眺めやった。 「それにしても、ポルノだね」 「咲子、それは違う」と時江は鼻先に苦笑を漏らした。「これは芸術なの」  たしなめて物知り顔で両腕を組んでみせる時江をよそに、咲子は受け流す笑みを浮かべてまたひとつの作品、正面やや下のアングルから、ぱっくり切れ目の入った肌色のビワのような、蠱惑的な恥丘を接写したものをじっと眺めた。とりわけ綺麗に撮れたものらしく、陰唇はごく薄い褐色と淡い桃色のあわいに滲んでおり、優美で瑞々しく、可憐であると同時に色っぽかった。 「そう言えば、あの写真パネルってアクリル加工だっけ、何か表面にそういうのが施されてて、触っても大丈夫って業者の人が言ってたよね?」 「うん、汚れがついたりしても拭けばいいの。劣化しにくいし、立体感と透明感も出るってお勧めされて」 「たしかに、すごい綺麗だよね……」  感嘆のつぶやきを漏らして眺め入ったのも束の間、咲子はちらとガラスケースの上に置かれていたマイクロファイバーのハンディワイパーに目を留めて、それを手に取り、めざましい美しさの恥丘写真にすたすたと近づいていった。そして巨大な猫じゃらしのようなそのハンディワイパーでもって、正面やや下のアングルから接写された麗しの恥丘の、ひとすじの割れ目をそっと撫で上げた。咲子は肩越しに妖しげな流し目を時江にくれて、そのまま繰り返しゆっくりと割れ目を撫で上げ始めた。 「ちょっと、何のつもり?」  時江は仁王立ちで両腕を組んだまま、冷ややかな目つきでそれを眺めた。 「別に」  咲子はこともなげに言って、割れ目まわりを緩やかに焦らすように撫で回したり、右側、左側と交互に撫で上げたり、そうかと思うとフサフサのマイクロファイバーを横に寝かせて、恥丘一面を余すところなく舐め上げるように動かしたりする。時江は両腕を組んだまま肩で溜息をつき、後ろのガラスケースの台の縁にかるく尻を寄りかからせ、ミモレ丈のスカートから伸びる両脛を交差させて、いよいよ冷ややかな目つきでそのさまを眺めていた。ときおり両腕をほどいて片手の指先で前髪を流した。 「そういう下品なことはやめてよ」 「これもまた芸術よ。こういうパフォーマンス的要素を取り入れてみたらと思って」  咲子は棒にフサフサのついたそのハンディワイパーに次第に生々しい動きを与え、先っぽの方からくいっとしゃくり上げる感じで割れ目を何度もゆっくりなぞり、それからその先端でもって、割れ目上部の一点をしきりにつんつんと突いた。 「どう、感じる?」 「馬鹿じゃないの、変態」  時江はそう吐き捨てるなり顔をそむけ、あまりの露骨さにほんのり頬を赤く染めながらも、またじろりと横目に睨みつけた。咲子はさらに生々しくハンディワイパーを動かして、触れるか触れないかの繊細な接触でじっくりと恥丘を撫で、すすっと割れ目をなぞり上げ、はては上部の一点に先端を突きあてると、強く刺激するように振動させたりまでする。時江はうっすら頬を紅潮させたまま、なおも冷ややかに目を細めて静観していたが、心なしか落ち着きなく両脚の交差を組み替えたり、背筋を伸ばすようにしたり、髪を耳にかけて撫でつけたりするのだった。咲子はいよいよ熱が入り、割れ目に沿って縦にフサフサをあて、くすぐるように微妙に揺らしてから、何かお祓いめいた手つきで、右、左、右、左とそれを両側に開かせるように交互に撫で始めた。  時江はチッと舌打ちを響かせ、呆れ返ったように髪を掻き上げながら溜息を漏らすと、ぷいとそっぽを向き、とうとう展示室から足早に出ていった。そしてその歩調のままギャラリーも出て徒歩二分弱のコンビニに赴き、買い物袋を提げて戻ってくると、トイレに入って品物の包装を破り、その新しいパンツにそそくさと穿き替えた。
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