9g9glalala
久慈くじら
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詩か小説ときどきエッセイ
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9g9glalala · 7 years ago
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なにもかも終わってしまう予感がしていた。予感はとつぜんやって来て僕の気持ちをいっぺんにひっくり返してしまった。君の言っていることがもう全部他人を殺すための言葉のように聞こえた。昨晩はそうじゃなかったのに、夏が来てしまったから。 この部屋から見える景色を焼きつけようにも夜色の雲と信号機だけだった、そんなことすら忘れている。窓を閉めて僕の身体から出るすべてのものでこの部屋���一杯にしてやる。明日の朝、君は起きたらびっくりするだろう。私たちの匂いってこんな匂いだったかしら。うん、そうだったね。僕もなにもかも忘れていたよ。君の髪から夜空の匂いがする夜はもう来ることはない。
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9g9glalala · 7 years ago
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あの空もあの草原も うちの言葉では青といわれている その中心に太陽の光をはねかえす 麦わら帽子と 脚のほそい少女があった 白いワンピース それだけが 僕たちの世界だった 干したての 布団みたいな想像だ
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9g9glalala · 7 years ago
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おいだれかみてくれよ
チャンス・ザ・ラッパーの曲を聴いた 優しくて楽しい曲だった 英語がわからんから歌詞もわからんけど たぶんシリアスなことはなにも言ってないんじゃないかな na na na na na na ah!
……
彼はアルバムを無料で発表したらしい フィジカルな(とインターネットの記事は言う) 作品をリリースせずに ここまで有名になるのは稀なことだ
……
僕だってこ���やって無料で作品を発表している 彼のようには有名になれないだろうけど 彼は有名になりたかったから曲を無料で発表したのかなあ? それともだよ、いい作品だったから有名になれたのかなあ?
……
たぶんいい作品だからというのは間違いで 電子世界にはいい作品は石膏に固められたように 美術教室のはしっこにおかれていて 生徒のほぼすべては(僕だって)興味も持たない だってそいつは やあ とか おい、俺を見ろよ とか言ってこないんだぜ? その作品自体にはタイトルがついていて でも僕は知らない
……
「おいだれかみてくれよ」 ってタイトルにしたとして そのタイトルが僕のところに歩いてきて 肩をトントン叩いて おいちょっとビールでも飲もうや って言って自分について語ってくれるわけじゃない だからだれかがきみのところまで歩いていって 走っていってでもいいんだけど それだと汗臭いからきみは嫌だろう だから電車で行って 菓子折りをたずさえて あの僕はこうこうこういう作品なのですがどうか読んでいただけませんかね って言ったら 読んでくれるかなあ? 詐欺じゃないよ
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9g9glalala · 8 years ago
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「世界中に降りそそいだ雨が降りそそぐ」
 どれだけ歳を重ねても眠ろうとするとき死を感じて怖くなって眠れなくなる。まだなにもなし得ていないまま死んでしまうのだろうか? いやいや、そもそもなにかをなし得ることこそ生きることだと思っていることのほうがおかしいのではないか。大局的にみれば世界は終わりに向かっているのであって、だれかがなにかをなし得るということはない。じゃあだからといってなにもせず、ただ己の欲望にしたがって、ひとが殺したければ殺し、女を犯したければ犯し、うまいもんが食べたけりゃ好きなだけ食べて、さ、じゅうぶん現世は満足したから死ぬかっつって死ねるもんでもない。  なにが邪��してるかっていうとそれは倫理感なんかではなくて、幸せでない人間作らずにだれかを幸せをしてやりたいということだけなのだ。俺はまだだれひとり幸せにできていない。それは確信を持って言える。だから死ぬに死にきれない。  といってさ、これはエゴだ。だから自分が満足するかどうかであって、こんなことで右往左往しているのをだれかに言ったところでどうにもならん。この思いは俺が俺の作品を書くために必要なことだから、後生大事に抱えておくだけのことだ。  ところで、デニス・ジョンソンが死んだ。いくつかのすばらしい作品を書いた作家だ。いや、書いた、ではない。俺にはわかる。彼はいま、書いている最中だ。  これこそは想像でしかないが、いくらかのひとは、彼はいったいどういう思いを抱きながら死んだのだろうか、きっと満足していなかったのだろう、くそったれ、って言いながら死んだに違いない。そんなことを、どっかのバーでそろそろ愛想を尽かされそうになっている彼女に向かって語るだろう。そんなだからお前は彼女にフラれる。  俺たちは毎日眠り、そして目覚める。目覚めなかったらそれは死だ。死そのものはただそれだけだ。その死のまわりにいくつもの乾燥したゲロがくっついている。そのゲロが嫌いなんだよ、俺は。  文学は人生を想像するためにあるとだれかが言った。でも人生を想像したからといってなんになるというのだろう? 居酒屋で隣り合ったおしゃべりに愛想よく頷いてやるためだろうか? 赤信号を無視して暴走する車に怒鳴らないようにするためだろうか? それとも、自分の人生をゆるやかに肯定するためだろうか。  もしそうなのだとしたら、それは共感なんていう馬鹿げたごっこ遊びなんかではなくて、世界を覆いつくしている悲しみの共有なんじゃないだろうか。  あんたの人生よりも俺の人生は悪くねえ、けどあんただってあいつの人生よりも俺の人生は悪くねえって思うはずだ。それだけでしか俺たちは自分の人生を肯定できない。悪くねえよ、絶対的な悪くなさが存在しないからよお、比べるしかねえんだよお。  それはもうとんでもない悲しみだ。笑けちまうくらいの悲しみだ。  お前も読んでみろ。デニス・ジョンソンの『ジーザス・サン』のいちばん最初の短篇「ヒッチハイク中の事故」だ。  俺はこの小説のこの終わりをくり返し読んだ。血となり肉となるようにくり返し読んだ。しかしこの言葉は血にも肉にもならなかった。そいつは俺の目から侵入して脳をかき乱し、それから身体中をかけめぐったあと、皮膚から外にでて蒸発し雲になって漂ったあと、雨が世界中に降りそそいでいる。わかるか? お前が打たれた雨だよ。
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9g9glalala · 8 years ago
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同じことを何度も言う
 それ前も聞いたし、ってよく言われるしよく言う。たぶんほとんどのひとがそうだと思う。でもなんでそう言ってしまうのかよくわからない。たしかに同じ話を聞き飽きたからもうやめてって意味で言うのだけど、じっさい二回目の話を聞いてもおもしろく聞けるものだ。
 だから同じことを何度も言うのはそんなに気にしなくていいと思う。でも僕はずっとそれを気にして文章を書いてきた。それは小説でもそうだし詩でもそうだし短歌でもそうだった。でも最近は同じことを何度も言ってもいいのかもしれないと思いなおした。
 というのも小説を読んでいるとだいたいの作品では同じことを何度も言っているものだ。ほとんど同じ文章のときもあるし、また別の角度から同じことを言うこともある。またそのことを創作の秘訣であるとまで言うひともある。
 たとえば稲垣足穂だけどこんなことを言ったらしい。「この(『一千一秒物語』)のちの私の作はすべて、一千一秒物語の註である」と。かっこいい。僕ならば註に「すぎない」と言ってしまうだろうけど、足穂はそこを自信満々に言い切ってしまうのだ。註でなにが悪い。言うべきことはくり返し言うのだ。ただし膨らませて。
 うんうん。こんな感じで創作できればすごくいい。だってよく考えれば、人間が一生のあいだにかっこいいことを言える瞬間っていうのはそう多くなくて、じゃあずっとなにかを言い続けるにはどうすればいいのかというと、手を変え品を変え言うしかないのだ。そこをどうかっこよくするか、というのが作家としての技量だし魅力だと思うのである。
 ほかにもミラン・クンデラは、ひとつの作品でひとつの主題を変奏させて七章書いている。これも非常に稲垣足穂に似ている、というか同じだろう。そしてこのふたりの作家の作品は同じことをくり返し言っていてもとてもおもしろいし、また決して飽きない。よく考えたら僕たちは内容よりも、それそのものを聞いたり読んだりすること自体が好きなのだろう。同じ音楽を何度も聞けるように、僕たちは同じことを何度も聞く。それはぜんぜん悪くない。そして同じ音楽を何度も演奏するように、僕たちは同じことを何度も言うだろう。だってそれは決して同じではないからだ。演奏したそのときの僕は、前の僕と同じではなく、未来の僕なのだから。
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9g9glalala · 8 years ago
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バカでかい
三丁目の向こうに昨日になかったものがあった。なんかバカでかいとぅるっとした建物? で、世界の学者もそれがなにかわからないのだそうだ。それを写した写真は��ごい速度で世界じゅうを駆���巡って瞬く間に私たちの町を有名にした。観光客は来ないけどなんだか嬉しい。それにおっきい建物ってドキドキする。いつになったら建物の壁面から瓦斯が吹き出してきて私たちの故郷が奪われてしまうんだろうな。
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9g9glalala · 8 years ago
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眠たくない
眠たくないのなんでかしら? 外は雨が降りしきっています わたくしのお部屋はとても居心地がいいです 喧噪がうそのようです けれど見えてくるのです あなたの喜びを強制された悲鳴が 飛ぶ鳥が打ち落とされ アスファルトに贓物をぶちまけ 写真を撮られています どこにいっても一緒なんだ 地球の裏側でも同じことが起こっています 見ていなくてもすべてのひとが理解しているのです だからわたくしは眠たくなくて すべてを見ている
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9g9glalala · 8 years ago
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そうですか?
「そうですか? そういうふうには見えませんが」 実際は ファミレスの窓の外は荒れ果てていて 今まさにガラスが降ってきた 熱風が壊したのだ 融けた皮膚が窓ガラスに貼りついている 清掃員がやってきてすぐにきれいにしてしまった ひとがたくさん死んだから 仕事がたくさんある 「そうですか? 私はそうは思いませんが」
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9g9glalala · 8 years ago
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壁魚
 ひどいことをする少年もいたもんだ。  広く青い草原はほんとうに青かった。昨日までは植物的な生命力にあふれていたその青さは、風が吹くと巨きな獣の毛皮のように波打って、土と草の匂いをぷんぷんとさせていた。今はもうペンキの匂いだけがする。  この草原は海のすぐそばにあって、海際までいけば岩などがごろごろしているのがみえるが、海からほど遠い草原のまんなかから海のほうをながめて��ると、視界の上下で海と草原がぱきっとわかれるような景色になる。  それが、今ではどっちも同じような青色なので、あの清々しい対比は消え失せてしまっている。 「兄ちゃん、はようテントどけてくれん?」  ペンキの缶を持った少年がちょっと困るなあ、という表情をしている。この草原を青色に染めたのはこの少年だ。 「そのテントの下も塗りたいからさあ」 「というか君はなんでこんな非道いことをしてんの」 「祭があるんよ。今日は青の日」 「青の日?」  口のなかで疑問をつぶやきつつテントを片づける。もう手慣れたものだ。テント片づけ大会があれば入賞は間違いない。 「旅のひとやろ? 青の日はローカルな祭やけんね。知らんのもむりないよ」 「でもペンキがなかった時代はどうやって青く塗ってたんだよ」 「そんなん知らんよ。生まれてもないし」  それもそうかと思いながら、テントを片づけ終えると、そこだけうつくしい緑の四角が浮かびあがったが、少年はまたたくまにペンキで真っ青に染めあげた。 「これで終わり。兄ちゃんは青の洞窟って知っとる? 行ってみたがええよ。壁魚が釣れるけん。これが舌がとれるほど旨かっておっちゃんらがこぞって釣りに行きよる」 「それが青の日?」 「釣り道具ぐらい持っとるやろ。海岸まで降りてって西側。案内してほし?」 「ああ、そんならうれしいけど」 「じゃあはよ行こ。昼になるともうおらんなりよる」 
 少年は大股で歩いて洞窟まで案内してくれた。海岸はまったくただの岩場でしかなくて舗装されていない悪路だった。岩海苔が生えていたり潮溜まりに魚がいたりして、引き潮なのだとわかった。だから舗装などされていないのだ。  海の反対側がだんだんと岩だらけの高い崖になっていった。少年に連れられてひょいひょい進んでいくと崖が急に弧を描いて入江になった。そこにぽっかりと大きな青い穴がある。 「青い」 「青の日やけんね」  洞窟はずっと奥まで海に沈んでいそうだった。その海の青色が壁や天井に反射して青く染まっているのだ。 「左側だけちょっと通れるところがあるんよ。入り口のとこだけ狭いから気をつけえよ」  少年はそう言いつつも今までと同じ歩速で洞窟にするりと入っていった。慌ててあとを追う。  なかは外からみていたときよりも青かった。海底まではそこそこあって、泳げない人間が落ちると大惨事なりそうだった。けれどうつくしく透きとおっているので、落ちてもすぐにわかるだろう。  海がゆらめくたびに、洞窟に波の紺色が投影されて魚のようにあっちへ行ったりこっちへ行ったりしている。いや、これはまさに魚だった。紺色の影は統率された群になって、壁をゆったりと泳��でいるのだ。ただの波の影ならばそんなふうな���きはしない。 「驚いたろ。これが壁魚っていう魚なんよ。正式名称は知らん。たぶん鯛の仲間やろって父ちゃんが言っとった」 「でもこれをどうやって釣るっていうんよ」 「奥のほうでおっちゃんがやっとるやろ。あそこらは壁に大きな穴が空いとる絶好の釣場なんよ。でも父ちゃんが言うには、こういう、ほらみときよ、腕がぎりぎり通れるくらいの穴が空いとるやろ。ここにテグスつけてエサつけた針を放り投げてやる。で、待つ」  二分くらい待っただろうか、少年はなんの前触れもなくテグスを手繰り寄せると、その小さな穴から紺色ののっぺりとした姿の魚が現れた。 「こういう感じよ。ちっさい穴のほうがようけ釣れるよって」 「えらいかんたんそうやね」 「青の日やけんね」  少年はにししと笑って、またエサをつけて同じ穴に糸を垂らした。  少年にならって近場にあったちいさな穴に糸を垂らしてみる。壁魚たちはこういう壁にある穴から急にぴょっと出てきて、洞窟の壁を遊泳し、外をうろつくのに満足すると隠れるようにして穴に入っていったりしていた。  ほんとうにこの青い洞窟のこの穴は壁魚の棲家なのだろう。 「ここはね、年に一度しか青に染まらんのよ。潮は引くんやけど、なんや太陽の関係っちゅうやつで青く染まるのは今日だけ。んでその日にしか壁魚は釣れん」 「貴重な魚じゃないか」 「旨いん��」 「なんで食べるんがええ?」 「なんでも旨いよ。刺し身でもええし、煮つけでも。脂のっとるからな」 「ナイフと醤油はあるから釣れたらすぐ食べてみる」  貴重な魚が食べられるというだけでもお腹が空くというのに、さらに脂がのっていて旨いらしい。はやく食べたいな、と思っていると、糸がかすかに引っぱられる感触がしたので思わず手繰り寄せると、やっぱり壁魚が釣れていた。  壁魚は舌平目のような姿だ。頭も尻尾も背びれも胸びれも丸っこくて、遠くからみると楕円だ。まじまじみると気持ち悪い。目は左右についており、カレイ目ではないらしい。鯛の仲間だというのは、たぶん味がそんな感じだからなのだろう。姿からではまったくわからない。  まな板になりそうな平べったい岩とバッグから取りだしたナイフを水筒の水でなんとなくきれいにして、壁魚をさばく。  身はきれいな白色だったが、かなり弾力が強くて薄く切ることはできなさそうだった。脂もたしかに多くて左手がてらてらと光った。なんとか三枚におろし、とりあえず一切れ食べてみる。 「旨い!」  声が洞窟に反響して、奥からおっちゃんらの笑い声が聞こえてきた。恥ずかしかったが、そんなことがまったく気にならないくらい旨い。金目鯛の刺し身も食べたことはあるが、そんなものとは比べ物にならない。市場にでたらいくらの値がつくことやら。 「なあ、こんなに旨いと裏がありそうなんやけど。たとえば食べすぎたら��を下すとか」 「はあ? そんなんなか。いくらでも食べんね。いくらでも釣れるよって」 「ほんとにか? ほんとにいくらでも釣るぞ」 「おおお、兄ちゃんやる気やね。釣れるだけ釣りよ。でも時間が来るまでには外に出んといかんよ。洞窟が青くなくなってゆくよって、それが目安。洞窟が元の色に戻ったら壁魚はもうおらんなるけん」  返事をする暇もなく次の針を穴に投げる。すると二分くらいで壁魚が釣れる。楽しすぎる。  そんな入れ食い状態だったが、洞窟がだんだんと青くなくなっていくにつれ、二分くらいで釣れていたのが、四分、五分、と釣れるスパンが長くなり、しまいにはまったく釣れなくなった。だいたい二十匹くらいは釣っただろう。気がつくと洞窟の明るい青さはなくなって暗くなっていた。こんなもんで勘弁しといてやろう。  気がつくと少年はいなくなっていた。おっちゃんももう帰ってしまっているようだった。さすがに帰って昼にしようと、壁魚が入ったバケツを持ちあげようとしたところ、そこには一匹の壁魚もいなかった。 「兄ちゃーん! もうお昼やろー! 帰ってきー!」  入り口のほうから少年の呼ぶ声がする。  バケツのなかは空っぽだ。壁にも魚影はない。もう一度バケツをみてみるが、やはりそこには一匹の影もみえなかった。壁魚はみんなどこかへ行ってしまったのだ。  バケツに入った海水を海に捨てて帰り支度をする。これは欲張った僕が悪かったのだろう。少年の言うように洞窟が元の色に戻るまでに帰ればよかった。 「どうしたん」 「みんな逃げちゃったよ」 「逃げた? あー、そうなるんやね。壁魚は青いところにしか棲まんから。まあそう落ち込まんの。一匹は食べられたっちゃろ」 「そうやね。あれ? じゃあ少年たちはどうやって魚を持ち帰ったんよ」 「ふっふっふっ。ま、いいから戻ろうよ」
 少年とあの青く染めあげられた草原まで戻ってくると、なにやら魚が焼けるいい匂いがしている。だんだんとみえてきた草原のあちこちに七輪が置かれていて、壁魚が焼かれているのだ。鍋もあって、そこでは煮つけが作られているのだろう。 「おいおい、まさに祭じゃないか」 「これが祭なんよ。草原を青く染めてそこで壁魚を食べる祭」  青く染めあげられた草原は一種の異界である。壁魚は自身が棲んでいた場所と似たような場所で、切られ、焼かれ、煮つけにされ、そして食われる。それが青の日なのだ。 「なるほどなあ。草原を青く染めるのは壁魚が逃げていかないようにするためか。しかし、こんなペンキごときの青さで騙されてくれるなんて、壁魚もなかなか鈍感な生き物じゃないか」 「でも兄ちゃん。こういう変な生態の生き物ってどこかそういうところありよるやん。じゃないと誰も見向きもしてくれんなるよ」  少年はそう言って、パタパタと両親のもとに駆けていって焼いた壁魚を一匹わけてくれた。ついでに白米もくれたのでその日の昼ご飯を調達する必要はなかった。  またテントをたてるから草原はどうなるか聞いたところ、青い草原は自然にペンキが落ちるまでしばらくはこんな状態らしい。自然にやさしいペンキらしいのでほうっておいてもいいのだ。  ほかにもこの地域のひとから南にあるちいさな島にまた一風変わった生き物��いるという話を聞いた。そいつは食べてもべつにおいしくはないらしいが、頭がふたつあるのだという。突然変異ではないかという指摘もあるが、何匹もおなじ種類の生き物がいるので、突然変異ではないだろうとのことだった。そいつもやはり特定の日にしかあらわれないらしく、その日はあと数日後らしい。明日からはその島を目指すことにする。  そういえば少年はおもしろいことを言っていた。変な生き物は人間からするとどこか間抜けな生態をもっているものだ、と。たしかにまったく人間がみつけられない生物がいたとしたら、そいつは伝説とも幻とも言われることはないだろう。名前もつけられず、ひっそりと生きている。  しかし、そのような生物に人間にみつかってやろうとか、みつかりたくないとかいう思いはないのだろう。変な生き物は人間からするとどこか間抜けな生態をもっているというのは、必ずという意味ではない。間抜けな生態をもっている生物だけがみつかり、狡猾な生物はいまだ人間にみつかっていないのである。  そのような生物はきっとたくさんいて、人間の意識のおよばないところで生きているのだろう。そここそがほんとうの意味で異界なのかもしれない。
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9g9glalala · 8 years ago
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みちあふれよ
心の底から幸せだと感じたことが ないのだ ないか? ないんだ ないのだ ない ひさしくない 子供のときのような 思い出してくれ 幸せを なんのしがらみもなく ただその瞬間が幸せだと 思えたことが ない ないのだ 悲しみは みちみちて あふれているのに 喜びは ない 喜びよ みちみちて あふれよ!
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9g9glalala · 8 years ago
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162の月
僕は月が好きなんだけど、僕の世界には月が162個もあるから、よくなくなったり増えたりして、いま数えてみたら月は168個でした。6個も多いってどうなの。だれが162個を基準にしたんだろう。だからこの世界のひとは月にそこまで愛着がありません。だから君の世界はいいですね。月がひとつで。
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9g9glalala · 8 years ago
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消え去ってしまう、届け
鳥���ゴをこわがってた小鳥は 何も変えられやしないと泣いてばかりいた 閉じ込められていたのは心 逃げ出さずその場で歌うことも忘れ 折れた翼見つめても元には戻らない この手のひらに残されたのもので 何が出来るかを見届けていかなくちゃ その場所へ飛んでいくことはできない ならせめてこの歌声だけでも届け すべての傷を癒やす女神にはなれなくても 木漏れ日のような安らぎを 恐れることなどない この青空の向こうにいる あなたへ あなたへと歌う あなたへ
白銀リリィ「Dreaming bird」
 たとえば、世界の総てを――人間やそれ以外のものを救いたいという思いがあったとして、きっとそれは誰でも抱いたことのある思いで、しばらくしてそんなことは不可能だと悟って諦めてしまうのだろう。  けれど、やっぱりその思いは捨て切れなくて、だからこそ僕は文章を書いていて、けれど書けば書くほど、知れば知るほど、言葉というのは届くことがない。  そもそも、物を書くことで他人を救ってやろうという気持ちが間違っていたのかもしれない。そうであれば政治家にでもなっていればよかったし、もっといえば地震学者とか火山学者とかそういうもんになっておけよと思わなくもない。けれど、しかし、それでも僕を救ったのは確実に文章で、それは誰かの思いだったのだ。  文章というのは、言葉というのは抜けがある。たとえば僕の目の前にあるこの旧い石造りの洋館を描写したとして、それは誰かに完璧に伝わることはない。文章では、いや、きっと写真や映画であってもこの洋館を完璧に他者に伝えることはできないのだろう。だから、文章でなにかを伝えるということはひどくもどかしい。そういうものに全く向いていないのだ。  だから僕はいまこうやって、ぼうっと洋館をみつめて、いったいこれはどういう人物が作って、どういう人物が住んだのだろう、どういった思いがこの洋館には込められているのだろう、と想像することしかできない。また、そういったことを小説にすることぐらいしかできない。  そして、僕はいまその小説も諦めたほうがいいのかな? なんて思ってしまっている。心が摩耗してしまったのか、かつての情熱は何処へ行ったのだろうと考えてみても、いやそもそもかつての情熱なんてあったっけ? それはただ他者を救いたいという気持ちではなかったっけ? そう思えば思うほど、じゃあ小説なんか書いていてもしかたないじゃんと思ってしまい、ますます小説なんてやるせなくなるのだ。  けれど、いったいどれだけのそういった創作物がこの世に存在するのか、僕には検討がつかない。エヴァだってさ、きっとあれは他人とわかり合いたいけどわかり合うことなんて厳密には不可能で、けれどその思いを捨てきることができなくて、じゃあひとつになればいいんだ、という話だったしさ。  そんなもん表現したって、結局は僕たちはひとつになることはできないし、わかり合うことは不可能だ。  そんなとてつもない徒労――それだけが世界を満たしている。そうやってうつらうつらと絶望に甘んじているとき、白銀リリィが洋館に入っていくのがみえた。  は? 白銀リリィ?  彼女は『アイカツスターズ!』の登場人物で、アイドルで、美しくて、この世の人物ではない。僕が毎週毎週欠かさずそのアニメをみるのは、大きく歳の離れた妹のせいで、だから真面目にみることなんてなかったんだけど、それでもキャラくらいはわかるし、ていうか銀髪タイプだし、と思って、いやおかしいじゃん!? アニメのキャラだぞ!? そう思ったときには僕は駆けだして、白銀リリィを追うように洋館の玄関をくぐった。  白銀リリィの背中には白い翼が生えていて、洋館のエントランスの真ん中で跪いていた。洋館のなかは廃墟のように埃っぽくて、屋根に穴が空いているのか、白銀リリィの五メートル先くらいの床に太陽の条が降っていて、埃により煌めいていて、神聖な教会のよう��った。しかし白銀リリィはその場所ではなく、暗い瓦礫に埋もれるように跪いているのだ。  彼女の背中の白い翼は付け根に近い部分で折れていて、しかしそれは随分と前の怪我なのか、それが翼の一部のようになって治っていた。彼女は空を飛ぶことはできない。だから陽の当たらない場所にいるのだろう。  そして彼女は歌う。  僕はその歌詞がそんな歌詞だとまったく知らなかった。それはつまり悲壮な覚悟だった。あなたへ歌が届くかどうかはわからないが、しかし歌うことしかできないので、届くことを祈りつつ歌うのだ。それは無駄なのかもしれないが、しかし無駄ではないと言い切ることもできないし、もしこの歌が無駄であっても、それ以外は無駄じゃないのかもしれないのだから、それを見届けるまで歌うのだ。  それは僕だ。  それを僕はやらなくてはならないのだ。  僕はいったいなにを忘れていたというのか、そもそも知ってすらいなかったのか、いまとなってはわからない。  白銀リリィは歌い終えると、折れていないほうの翼をはためかした。すると洋館に満ちていた彼女の歌が、洋館のあちこちにある隙間から全世界へとはためいてゆく。いやそれは、ただ単に抜けでただけなのかもしれない。それは指向性を持っておらず、誰に届くともしれず、ただ空中を漂い、そしていつかは空気抵抗により振動は減衰し、世界に融けて消えてしまう。  そして彼女も歌のように消えてしまっていた。  跡に残ったのは天井から指す光と、空気がかき乱されたため踊り狂っている埃と、彼女の歌の届いた僕だ。  僕は彼女に、届いたよ、と言ってあげたい。けれどそれは不可能だ。不可能かもしれない。彼女はアニメの登場人物で、いや実際に存在したとしても彼女はアイドルで、ステージの向こう側にいるのだ。僕の声が、僕だけの声が届くことはなくて、だから声じゃなくて僕は意思を届けなくてはならないのだ。  それは、だからこうやって形にすることでしか伝えられない。いつか消えてしまうだろうが、届くかもしれないのだ。世界に満ち満ちて、いつか、なにか、偶然の拍子に。
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9g9glalala · 8 years ago
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このまま起き続けたらどうなるの
 眠りに落ちたあと、そのまま目覚めなかったらどうしようという不安を抱くことがなんどかあった。そして反対に、このまま起き続けたらずっと生き続けるのだろうか、とも思う。
 けれどちょっと想像してみたらわかると思うけど、このまま起き続けることはできない。健常であるというよくわからない概念を与えられたひとたちは、ずっと起き続けていると次第に眠たくなってくる。それでも起きようと思っていると、知らないうちに眠っている。
 だから人間は死に向かって生きているのだ。嘘だろ?
 眠り続けることはできるのに、起き続けることができないなんて、そんな不自由なことがあるか。というこの感情は、なにかに与えられたものだろうか。
 自由? 自由だ。そんなもんないのだ。へへへ。
 するとふわっと身体が浮遊してチベットの荒涼とした道を歩いている。隣にはいろいろな箇所を引きずる巡礼者がいる。五体投地というやつです。そのかたわらにいる私はただ歩いている。なんの後ろめたさもなくて、普段ならそれがかえって後ろめたいという思いを引き起こすはずなのにまったく清々しい。
 あんたも不自由なんだよな?
 ああ。
 だから私は後ろのポッケからペプシを取り出して五体投地をする巡礼者の横で喉を鳴らしながら飲む。これは神が与え給うた。という声がどこからともなく聞こえる。そしてそれに意味はない。とも。
 神も不自由なんかな? 意味もないのに誰かになにかを与えるし、試練も課すし、罰する。かわいそうに。私たちがただ生きて死ぬだけのシステムであると同時に、神はただ神として崇められるだけのシステムなんだなあ。
 チベットの信号機がぼうっとして赤が光ってるのか青が光ってるのかわからなくなる。とよく見てみるとそれは街頭で規則的に並んでいるのでなんだかロマンチックだ。車になんて乗らないが、ガラスについた水滴によってカラフルに歪められた街の光はこの世のものとは思えない風情がある。とすればここは地獄なのか。
 そのままふらっふらっと靴を地面に叩きつけるように徘徊して、すき家の看板のみょうなダサさにゲラゲラ笑って、ふと自分が飲んだペプシがペプシネックスであることに気づく。いつからペプシが売られなくなったのだろう。
 いやいや、あんちゃんそこの販売機見てみいな。
 そこには見慣れたパッケージのペプシがあって安心した。やったな、ここがゴールだな。自販機はみょうに明るいので、私たちはそれを誘蛾灯だと誤認する。
 けれど、集められてけっきょくどうなるのだろう?
空が白んできてカラスがとてもうるさく鳴いている。道端に投げ捨てられるように捨てられているゴミ袋を���っつきながら、朝食を探しているのだ。
 早朝の繁華街の光景はなんどか見たことがあって、そのどれもがだんだんと酔が醒めてきた具合のときであって、その状態が人間としていちばん心地よいので、だから早朝の繁華街は心地よいのだが、ぐっすり寝たあとは最悪の光景であった。
 あと数時間もすればこのゴミはすべてなくなって、綺麗な状態になる。そして昼になればいつものように賑わってだれもこの早朝を忘れ去るのだ。
 そんなこと許されていいのか? おいカラスよ。
 びゃっと走りだしてたむろするカラスに向かってゴミ袋を蹴っ飛ばしてやるとカラスは殺人現場を目撃したおばちゃんのように喧しく方々に飛びあがりまた元の場所に戻ってぶち撒けられたゴミ袋の中身を漁りだした。私の家までこの最悪が忘れ去られない��うに、ただゴミ袋を蹴飛ばし続けながら帰宅するのである。チベットで聴いた、それは神が与え給うた、という言葉を叫びながら。
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9g9glalala · 9 years ago
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おのれ!
まだ壊れていないマウスクリックで あれとこれとそれとそれを繋げまわしてやった そのとき 寒々しい電子たちの神々しい生の運動によって 情報があんたの頭に侵入し あんたは己が知性であるかのように振る舞い散る おのれわかっとんのか 動画(Youtube) うるせえおのれはおのれじゃ! わかっとるのはあんたばかりではないという声が聞こえてくる幻影のように追いかけてくる現在に押しつぶされやんとする とすればだ いったいおのれはどうやって呼吸をしているのかを確認しない とすればだ 生きてない
……
おのれ生きとらんのか
……
遠い声が聞こえる/たとしてもおのれはなんにもしないだろう
……
まだ壊れていないマウスクリックが シンギュラリティに至る独りでに動きだす おのれおのれおのれ むかしのおんどれは理解しとったぞ おのれ進化しよってからに死にくさりやがって 詩に腐りやがって (文学)
……
「のう」 という文字は問い掛けだろうか否定だろうか文学に判断する術はない 知っとるか 知っとるな としてもだ それが意味を持ったときなんてあっただろうか おのれが生まれたときからあっただろうか 「のう」
……
「もっと本が本であったときに生まれたいと思ったことはありゃせんか?」 「あるに決まってんだろボケナス」 (科学)
……
逃げ場所 ここ 逃げ場所
……
逃げているのか生きているのか判別しない脳味噌ゆえに かえって生きているという実感だけを味わうことで乗り切る 意味もないような(意味もないような?)世界で 生きるためには性欲をさらけだす���である
……
怖いやつがいるようだ おのれたちを恐れるやつがいるようだ 抑圧しようとするやつがいるようだ おのれもおなじ時代の人間だろうが 知らんのか 性欲 知らんのか? ボコハラム 知っとるだろ? わからんかなーただの言葉遊びだよそれしかねえんだよ おのれたちにはそれしかねえんだよ (詩)
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9g9glalala · 9 years ago
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すべて過去になるのだ
夕焼け色のノスタルジーで君を殺す あの日を思いだしてみろ 文字はいらない だからこれは詩ではない
……
ずっといっしょにいてあげよう 死ぬまでずっとずっと
……
忘れたころにやってくる ノスタルジーで殺され続けるのだ
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9g9glalala · 9 years ago
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世界は終わったあと
 世界は終わったあとまた復活し現在は七回目の世界らしい。クロアチアの詩人がそう言っていたので本当のことだと思う。ぜったいに実感できないけど。  なぜ実感できないかというと終わるというのはほんとうに終わってしまうからだ。たとえそれが本当だとしてもたとえあんたがクオリアを持っていなかったとしても僕はわかりようがない。だから結局人間というのはひとりぼっちなんだって。  人間はひとりで生きているわけじゃないとかいう言葉をよく聞くけどそんなものはまやかしで人間はひとりでしか生きていないのだ。それは本質的な生ではなく社会的な生のことを言っているわけで僕はべつに社会的な生はどうでもいいと思う。「社会的」がつく言葉はだいたいが金持ちや権力者のための都合のよいものなわけで金持ちでも権力者でもない僕たちは社会的なものに縛られる必要なんてまったくない。しかし社会に縛られないと生きられないような弱くて強かでプライドが欠片もないひとたちはそりゃ社会に縛られたほうが生きやすいのだから縛られたらいいさ。それは迂遠な手続きを経た動物的な生である。  せっかく知性を持っているのに資本によって本能のみで生きられるようにするのは迂遠というほかないだろう。本能だけで生きたいのなら山で暮らせばいいじゃないか。なぜわざわざ搾取されなくてはならないのだろう。だからそうやって世界は滅びた。六回も。  六回も滅びたというのに七回目の世界もそんなによい世界じゃない。でも僕は前の六回の世界を観測したわけではないので以前の世界と今の世界を比較することなどできないのでもしかして以前の世界に比べたら今の世界はパライソなのかもしれない。でもだとしても七回目の挑戦にもなるともっとよい世界ぐらいつくれると思う。この世界をつくったやつ��相当センスも学力も教養もない。  で、たぶんだけど、というか、直感でしかないのだけど、神はいない。けれど世界を作ったやつらはいる。僕たちだ。  決定論を信じるひとは物理学(といっても今現在わかっている物理学じゃなくて、物理学の行き着くもの)が世界を作ったと思うだろうが僕は決定論を信じていないので世界を作ったのは人間だと思っている。  センスも学力も教養もない人間は七回目の世界をこのように生きづらく作ってしまった。けれど人間はセンスも学力も教養もない生き物なので人間というものが生きる世界はかならず生きづらいものとなる。しゃあない。
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9g9glalala · 9 years ago
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重箱の隅
重箱の隅であなたが踊っている 母親の愛を忘れ去る世界が嫌なので それをなにものかで埋めています
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