#実現しないこと��語って結局ウソっぽくなってる
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社会主義の敗北、サヨクがバカにされる、ハリスの敗北、 ざっくり共通点 いいこと言っててもなんか料簡が狭いなー(その理想、実現手段が足りてない感じ、今、実際は無理っぽいなー)、だから
#パーツ不足#不十分#自分でもわかるでしょ#現実全部をちゃんと勘定に入れないと#実現しないことを語って結局ウソっぽくなってる#身近なところで実現しよう#自分が幸せになって見せて#実現あるのみ。議論はその次#言葉だけ#美辞麗句と現実の戦乱混乱#抑えが効かない#現実#抑圧がどういうかたちで必要なのか現実的にとらえないと#抑圧・権威主義、を無視してると、現実の権威主義に負けてしまう#手段不十分#発想貧困#足りない#頭が足りない#バカ#データ不足#パーツ#データ
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エリザベス宮地監督『WILL』東出昌大氏舞台挨拶付き上映@チネ・ラヴィータ_20240309
私は普段肉を食べないのでこの140分は長いと感じる。猟師兼ステーキ店の店主が出てくるあたりで、この映画は問題の核心に迫る。それはいくら害獣駆除の大義名分があっても、それが美味しくなかったら獲らないし、殺っていないという事実に尽きる(調理方法での工夫はみられる)。子孫繁栄という大義名分のもと子���りしても、美味しいモノにありついたら大義名分なんてほっぽらかして、そこにむしゃぶりついていくよね、という文明論などどこ吹く風の論理と同型であり、それは性欲の合理的解釈という映画のトーンと重なっていく。「風の谷のナウシカ」と同じでこの核心部分に迫ると、眠くなる(なぜあんな「ミニ」なのか?)。居酒屋で中年女性たちに囲まれて一緒に写真を撮ったりするシーンが今回抜けていたので、私は瞳をとじてしまったのだろう。
東出昌大氏は人間として生まれたコトがウソのような〝真人間〟なので、自分を鋳型にはめるコトはせず、自分という鋳型に風景をチョイスしていくような巨大遺物である。そこで他者についてふるふる思い巡らせたり、役者として動いてみたり、距離感を欠如させてやらかしたりして生きている。「風の谷のナウシカ」でいう巨神兵のような人物である。それに関わる(迷い込む)とそれについて考えつづけてしまうような危険すら孕んでいるから、結果としてそれから離れざるをえない。
東出昌大氏vsフォーラムフレンズの軽快なティーチインの中で私も本質的な質問をぶつけてみた。あらゆるシーンで東出氏は客人であり、ヒトと打ち解けて会話しているシーンは少なく(一見すべてが打ち解けているかにみえるが)、目の前に次から次に現れるヴィジョン(夢)に対し、独自に編集を行っているヒトのようだった。それはかれ独特の声や、何かの台本をなぞるようなしゃべり方によく顕れている。その答えは結局、かれが夢遊病的に生きているというコトだった。ネットで発達障害やADHDの検査をしてみたが、そのどれにも当てはまらなかったという。並外れた集中力には自信を持っている。それは理路整然として破綻がない。私は「WILL」は原一男監督の「ゆきゆきて、神軍」に似ていると思った。つまり、世間にとって「ゆきゆきて、神軍」は奥崎謙三のWILL(遺言)だったかもしれないが、奥崎謙三のじっさいの姿を映してはいなかった。東出氏のWILL(遺言)は、その問いに答えがないコトを山頂をグルグル車で登っていくように確認して終る。
かれが子供たちについて語る部分(最後に会ったのはいつかなどの近況��を、編集段階でかれが強くカットを所望したという話は、世間がかれに対し間違った見方をしているコトを裏付けている。かれにとって子供を持つコトや親になるコトは文字どおり「夢」だったのだ。それが編集段階で別の風景がザッピングされ、中断した。その夢をかれはまだみるコトができる。だから、他者がまるでそれが叶わなかったかのように、あたかも始めから無かったかのように編集するのは心底心外なのだろう。世界広しといえど、東出昌大氏に匹敵する俳優はM・スコセッシ監督の映画に出てくるL・ディカプリオ氏だけだろう。
(宮崎駿監督「風の谷のナウシカ」の公開日は1984年3月11日らしい。先日亡くなられた鳥山明氏の「ドラゴンボール」が連載開始されたのも1984年だという)
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伊藤詩織氏が告発した山口敬之氏の独占手記
「詩織」と名乗る女性の勇気ある告発!
2017年5月29日、「詩織」と名乗る女性が、東京・霞が関の司法記者クラブで、たくさんの記者とテレビカメラを前に、私から性的暴行の被害を受けたと主張した。
「性犯罪の被害者と主張する女性が顔を出して記者会見を行った」ということで、多くの新聞、テレビ、週刊誌が大きく扱った。この女性は自らの主張を詳細に説明するとともに、2016年7月の検察の不起訴処分について検察審査会に不服申請を行った、と述べた。
この問題は、この会見に先立つ5月中旬、なぜ��『週刊新潮』が「安倍総理べったり記者の準強姦逮捕状」というセンセーショナルなタイトルで報じていた。
私は、週刊誌報道の段階から一貫して疑惑を全否定し続けた。しかしメディアの大半は、「勇気ある告発をした」として女性に寄り添い、私を犯罪者と断定するかのような報道が少なくなかった。
また、複数の野党議員が国会の内外で、女性側に寄り添い、事実認識を誤った質問を繰り返した。そしてなぜか、これら野党の主張に共鳴する集団も、ネット上で女性の主張を鵜みにして私を糾弾し、私や私の家族には「死ね」などという誹謗中傷のメールが殺到した。
事実と異なるあなたの主張によって私は名誉を著しく傷つけられ、また記者活動の中断を余儀なくされて、社会的経済的に大きなダメージを負いました。私は虚偽の訴えに強い憤りを感じました。
しかし4カ月あまりの審理の末、検察審査会は9月21日、「不起訴処分は妥当」との最終結論を出した。「犯罪行為があった」という女性の主張は退けられ、刑事事件としては完全に終結した。
この間、私は様々な判断から基本的に沈黙を守ってきた。しかし、女性が民事訴訟を提起したことで状況が変わった。これまでの沈黙の理由も含め、私は自らの見解を「当該女性への書簡」という形で申し述べることにした。
いままで私が、沈黙を守ってきた理由
詩織さん、
あなたは性犯罪被害者ではありません。そして、自分が性犯罪被害者でない可能性があるということを、あなたは知っています。
検察審査会は、一般国民から無作為に抽出された11人のメンバーによって構成されます。
そして、あなたの「犯罪行為があった」という主張と、私の「犯罪行為はなかった」という主張、さらに当局が収集した膨大な客観的な物証に基づく4カ月あまりの審査の結果、検察審査会は「不起訴処分は妥当であった」という結論に達しました。
これにより、刑事裁判によって私に犯罪者という汚名を着せようというあなたの企ては、最終的に失敗したわけです。
もしあなたが民事訴訟に打って出なければ、私はこれ以上の議論をしないつもりでいました。それは、これまで沈黙を守ってきた判断と同様に、傷ついているように見えるあなたがさらに傷つく危険性があると判断したからです。
しかし、あなたがあえて「不法行為があった」との主張を民事訴訟の場で繰り返すのであれば、無関係な他者を巻き込んで騒動を継続しようとするならば、私は自らの主張の中身を公表せざるを得ません。
それは「あなたの主張が事実と異なっている」ことを示すことを一義的な目的としますが、そのために「全く根拠がないことを事実だと思い込むあなた特有の傾向」まで指摘する��とになります。
残念ですが、あなたが選んだ道ですから、冷静かつ論理的に、私の主張の一部をここに示すこととします。
あなたの主張は、要約すれば「2015年4月3日の夜、抗拒不能な状態で意に反して性行為をされた」ということになります。そしてそれは、「飲食店のトイレから翌朝5時まで継続して意識を失っていた」というあなたの認識に立脚しています。
それは全く事実ではありません。また、あなたは自らの主張が正しいと立証することが絶対にできません。このことは、実は捜査段階ですでに明確に示されていました。
だからこそ検察官は不起訴処分という結論に達し、検察審査会もその判断が妥当という最終結論に至ったのです。私はこれから、その詳細を5つの事象に分けて説明します。
①「デートレイプドラッグ」
②「ブラックアウト」(アルコール性健忘)
③詩織氏特有の性質
④あとから作られた「魂の殺人」
⑤ワシントンでの仕事への強い執着
①「デートレイプドラッグ」――間違った主張のはじまり
あなたの「犯罪被害に遭った」という主張は、「私はお酒ですっぽり記憶を失くした経験はない」から、「山口氏にデートレイプドラッグを混入されたと思っている」という点からスタートしています。
私はそれを聞いて本当に驚きました。私はそもそも、デートレイプドラッグというもの自体を知らなかったからです。しかも、当夜の状況を見れば、私があなたのグラスにいかなる薬物も混入させることなどできなかったことは明白です。
2015年4月3日、我々は東京・恵比寿の2軒の店で飲食しました。1軒目は庶民的な串焼き店、2軒目はカウンターの寿司店。2軒とも、10数人も座ればいっぱいになる、小さいけれども明るいオープンカウンターの店で、客は店主と向き合って座ります。
1軒目の串焼き店はほぼ満席で、我々の両サイドにお客さんが座っていました。2軒目の寿司店もたくさんのお客さんで賑わっており、ほぼ満席でした。
当地で生まれ育った私にとって、両店は20年以上通う行きつけのお店です。あなたも記憶していると希望しますが、私はどちらの店でも、馴染みの店主やその奥さんと親しく談笑しました。
あの夜、あなたはいろいろな種類の酒を飲みましたね。1軒目の店に座ってほどなく、私はあなたの飲むペースが非常に早く、かなり強いお酒をぐいぐいと一気飲みのように飲むことに気が付きました。
少し心配になり、
「大丈夫ですか?」
と訊きました。するとあなたは、
「喉が渇いているので。お酒は強いほうだから大丈夫です」
と答え、その後もハイペースで飲み続けました。
私は少し驚きながらも、いい大人なのだからと、それ以上は警告をしませんでした。もちろん、私があなたに飲酒を強要したことは一切ないこともお認めになりますね?
結局、あなたは2軒の店でビール、サワー、ワイン、日本酒を飲んだ。そして2軒目の寿司店で、当夜1回目のトイレに立って、そこで酔いつぶれた。あなたは記憶を失ったのは2回目だったと主張しています。
しかし、あなたが寿司店でトイレの場所を私に訊いてから席を立ち、その後、戻ってこなかったので私はよく覚えているのです。酔いつぶれてしまった女性が、直前のトイレの回数を正確に覚えているというのも不思議な話です。
あえて2回目と主張しているのは、そう主張することで私に薬を入れる機会があったと主張するためではありませんか?
要するに、あの夜、あなたが飲んだ全てのアルコールのグラスは、ずっとあなたの目の前にあったのです。
百歩譲って、あなたがつぶれたのが2回目のトイレだとしても、ほぼ満席の客でごった返す明るいカウンター席の店で、顔馴染みの店主や従業員のいる前で、女性のグラスに薬品を入れることなどできるはずもありません。
「山口に違法ドラッグを飲まされた」
しかも驚くべきことに、あなたは薬を入れているところを見たわけでも、その後、目撃証言を得たわけでもなく、「私は酒に強いはずなのに、急に酔いが回ったから、山口に薬を盛られたに違いない」と言うのです。
失礼千万な話です。
あなたの言う「デートレイプドラッグ」は、その後、調べてみたところ、町の薬局で手に入るものではなく、ほとんどがインターネットを通じた取引だということですね。
私は所有していたすべてのパソコン、携帯電話、タブレットなど、ありとあらゆる物を警察に提供しましたが、違法薬物の購入や使用に繋がる物証は一切ありませんでした。
もし私が違法薬物を入手したり使用したりしたのであれば、日本の優秀な警察機構は何らかの手掛かりを見つけたはずですが、あなたの主張を聞いたにもかかわらず、そんなものはなかった。
串焼き店、寿司店でも捜査員が証言を集めに回ったことが確認されていますが、そこでも薬物混入を示す証言は一切なかったのです。
当たり前です。繰り返しますが、私はあなたの言う「デートレイプドラッグ」などというものは、聞いたことも見たこともないのです。
あなたはただ、「自分の酒量を過信して飲みすぎた」だけなのです。それはよくあることで、そのこと自体を強く責める気はしません。
しかし恐るべきは、その後のあなたの見解です。自分の飲みすぎを認めないばかりか、何の証拠もなく、「山口に違法ドラッグを飲まされた」という前提で主張のすべてを組み立てている。
記者会見で、デートレイプドラッグを盛られたという主張をした際に、あなたは「他に思い当たる節もある」と述べました。それは何を指しますか? 明確に示して下さい。
そんなものはあるはずがない。あなたの勘違いと思い込みなのだから。ありもしない証拠や傍証を、あたかも存在するかのように記者会見の場で匂わせるのは、卑怯なやり方です。
②ブラックアウト(アルコール性健忘)
繰り返しますが、あなたはいかなる薬物も混入されていません。ただ、飲みすぎただけです。
その一方で、あなたは記者会見で「私は酒に強く、泥酔したり酔いつぶれたりしたことはない」と主張しました。ということは、あのように泥酔してしまったのは人生で初めての経験ということになりますね。
それならば、あなたは酒の過剰摂取の影響下で、自分がどう行動するか、そして、その行動をどこまで記憶しているか、経験がないから類推できない。これが、今回の問題の核心部分です。
寿司屋でトイレに入ったあなたは、長い間出てこなかった。心配になった店の方に促されて、ようやく出てきたあなたは、見るからに酔っぱらっていました。驚いた私は、やむなく急いで会計を済ませました。
店を出たのは22時半から23時頃だったと思います。店を出る段階で、あなたは足元が覚束なかった。そして、店の入り口左手にあった荷物置きの棚から、あなたは自分のショルダーバッグに加えて、他のお客さんのカバンも持って出てしまったことが、あとになってわかっています。
誰が見ても、一人で電車に乗って帰すことは困難な状態でした。
しかし、私は当時、TBS報道局のワシントン支局長を務めていたので、ワシントン時間の午前中、すなわち日本時間の23時過ぎまでに済ませなければならない作業(メール確認やパソコンでの調査・連絡)を複数抱えていました。
神奈川県に住んでいるあなたを送っていったら作業が時間内に終わらない。しかし、あなたは自力では帰れそうにない。私はやむなく、当時逗留していたホテルで休んで酔いを醒ましてもらい、自分の作業を終えてから送って帰るしかないと判断しました。
「意識のない状態で部屋に連れ込まれた」
あなたはタクシー運転手の証言を元に、「『駅で降ろしてください』と言ったのにホテルに連れて行かれた。だからその段階で犯意があったのだ」というストーリーを作ろうとしているが、とんでもないことです。
そもそもあなたは、「寿司店のトイレ以降、記憶がない」と主張しています。あなたが相当程度酔っていたことは、あなたも認めているのです。
実際、あなたはそのタクシーのなかで嘔吐したではありませんか。嘔吐し、朦朧とした泥酔者が「駅で降ろしてください」と言ったからといって、本当に駅に放置すべきだと思いますか?
私が宿泊していた白金高輪のシェラトン都ホテルに到着すると、私は泥酔しているあなたがタクシーから降りるのを手伝いました。あなたはタクシーのなかで嘔吐したこともあって、傍目には少し回復したように見えました。
そして、千鳥足ではありますが、自分の足で歩きました。
このホテルでの移動について、あなたは「意識のない状態で部屋に連れ込まれた」と主張していますが、それはあなたが何と言おうと物理的に全く不可能です。ホテルの1階ロビーは、車寄せからエレベーターホールまで100メートルほどあります。
もしあなたの主張どおり、全く意識がない状態だったとしたら、私はあなたを抱えて、どうやって100メートルも移動したというのでしょうか?
衆人環視のなか、正体不明の大人の女性を荷物のように背負ったり、引きずって歩いたりしたとでもいうのでしょうか?
あのホテルは、車寄せから入り口を入ると、まずドアマンや荷物係が待機しており、正面には24時まで営業している大規模なラウンジ、そして右手に曲がるとホテルフロントがあり、レセプションの人やコンシェルジェ、案内係がズラリと並んでいます。
意識を失っている、あるいは意に反して無理矢理移動させられている女性がいたとして、一流ホテルの訓練された接客のプロたち全員が、それを見逃すということがありうるでしょうか?
しかも、4月3日は金曜日で、ロビー階では多くの宿泊客やレストランの利用客が往来していました。あなたの主張がいかにありえないかは、金曜日の夜11時に、都ホテルに行ってみればすぐにわかります。
実際のあなたは、2つのカバンを自分で持って、自分の足でヨタヨタと歩いたのです。もちろん、千鳥足ではありましたから、私はあなたが転ばないように注意はしましたが、移動を無理強いしたり、あるいは担いだり引きずったりは一切していません。
防犯カメラに映っているのも、「意識のないあなた」ではなく、「酔っぱらっているけれども何とか自力で歩けるあなた」です。
要するにあなたは、犯罪行為が行われたという主張の根幹をなす「意識のない状態が朝まで続いた」という認識の一環として、「ホテル到着時も意識がなかった」との立場をとっていますが、あなたの主張は物理的にありえないのです。
私の部屋がある階でエレベーターを降りたあとも、あなたは自分の足で普通に歩きました。私が部屋の鍵を開けると、あなたは私を押しのけて先に部屋のなかに入り、小走りに窓際に向かいました。そして、いきなり嘔吐しました。
あなたは、いびきをかいて、寝ていた
私は翌朝、アメリカに帰ることになっていたので、パッキング前の荷物を窓際にまとめて置いていましたが、その上にも吐瀉物が飛び散りました。
自分の荷物を汚されて少なからず驚いていると、あなたは今度は踵を返して、無言でトイレに駆け込みました。あなたの吐瀉物をタオルで拭いておりますと、トイレのなかから嘔吐する大きな音が2度しました。
正直に言って、本当に迷惑でした。やらなきゃならない仕事を抱えて、翌日の移動のためにパッキングもしなければならないのに、荷物をゲロまみれにされたうえにトイレを占領されている。
しかし、早く済ませなければならない作業が複数あったので、私はやむなくパソコンに向かいました。仕事が一段落してもあなたがトイレから出てこないので、私は心配になってドアをノックしました。
すると、なかからかすかな声が聞こえたのでドアノブを回すと、ドアは施錠されていなかったため、ドアを開けてなかを見ると、あなたは尻もちをついて、トイレとバスタブの間に座り込んでいました。ブラウスとスラックスは、大量の吐瀉物で汚れていました。
私は吐瀉物が苦手なので自分も吐きそうになりましたが、このまま放置すると喉に物を詰まらせて事故を起こす可能性もあったので、やむなくなかに入って吐瀉物をタオルで拭い、あなたを起こそうと努力しました。
あなたは謝罪ともうめき声ともつかない声を上げながら、なんとか自ら起き上��りました。そしてゲロまみれのブラウスを脱ぎ、部屋に戻るとベッドに倒れ込み、そのまま寝てしまったのです。
私はあなたのあまりの痴態に怒り呆れましたが、翌日着るものがないとかわいそうだと思い、トイレに放置されたあなたのブラウスのゲロを拭って浴室に干しました。
また、バスルームの床面もゲロまみれだったので、シャワーで洗い流すなどして部屋に戻ると、あなたはいびきをかいて寝ていました。
部屋はツインで、シングルベッドが2つありました。前日まで私が寝ていたベッドはあなたに占領され、もう1つのベッドは、ベッドメイキングを壊さないままパッキング前の衣類などを並べていました。
私が全ての仕事を終えても、あなたは相変わらずいびきをかいて眠りこけていたので、私は荷物置き場にしていたベッドの、わずかに空いたスペースに身を横たえました。
下着姿でミネラルウォーターをごくごく。そして――
部屋に入ってどのくらい時間が経ったのか。
私がまどろんでいると、あなたが突然起き出して、トイレに行きました。ほどなくトイレが流れる音がして、下着姿のあなたが戻ってきました。
「喉が渇いたのですが、飲み物をもらってもいいですか?」と言って、あなたがホテルの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、自分でキャップをひねって開けて直接飲みました。
下着姿であることを全く気にしていないのには少し驚きましたが、外国生活が長いせいかなと類推したのを覚えています。
そして、ペットボトルの水を何度かごくごくと飲んだあなたは、私が横たわっているベッドに近寄ってきて、ペットボトルをベッドサイドのテーブルに置くと、急に床に跪いて、部屋中に吐き散らかしたことについて謝り始めました。
面食らった私は、ひとまずいままであなたが寝ていたベッドに戻るよう促しました。
ここから先、何が起きたかは、敢えて触れないこととします。あなたの行動や態度を詳述することは、あなたを傷つけることになるからです。
はっきり言えるのは、私はあの日、あなたに薬物を飲ませたり、いやがるあなたを部屋に連れ込んだりしなかったのと同様に、部屋のなかでもあなたの意思に反する行動は一切していないということです。
もし、あなたが覚えていることがあり、自分で差し支えないと考えるなら遠慮なく言って下さい。
誰も証明できない「密室」での出来事
もうひとつ強調したいのは、トイレから戻ったあとのあなたは、立ち居振る舞いもしゃべり方も正常で、すっかり酔いから醒めたように見えたということです。
それまでに複数回にわたって大量に嘔吐したあと熟睡したので、それで楽になったのかなと思いました。その後しばらくして、あなたはまた眠りに落ちました。
要するに、あなたは「朝まで意識がなかった」のでは決してなく、未明の時間に自ら起き、大人の女性として行動し、そしてまた眠ったのです。
あなたはこのことを覚えていないのかもしれない。あるいは覚えていたが忘れてしまったのかもしれない。あるいは覚えているのに黙っているのかもしれない。
それは私にはわからない。密室での出来事ですから、誰も証言してくれる人はいない。
しかし、1つだけ客観的な事実を示すことができます。私は一時帰国の期間中、1度もホテルの冷蔵庫の飲み物を消費していません。室内のミニバーの飲料はどれも高価で、好みのものもなかったので、飲み物はコンビニで買って持ち込んでいました。
だから、7日間の滞在で、唯一の冷蔵庫の出費こそが、あなたが飲んだミネラルウォーターだったのです。
このことは、ホテルの領収書によって簡単に証明できます。あなたは、未明に自分で起きて、トイレに行ったあと、自ら冷蔵庫を開け、自分の力でペットボトルのふたを開け、飲んだ。
これはあなたの「朝まで全く意識がなかった」という主張とは完全に矛盾します。
その後、あなたが被害届を出して、私は警察の聴取に全面的に協力しました。そのなかで、深夜のあなたの覚醒と再睡眠について何度も質問されました。
ペットボトルのことも含め、私は覚えていることを繰り返し詳細に話しました。おそらく捜査員は私から聞いたことを踏まえてあなたに確認し、その答えを踏まえてまた私に聞き直すということを繰り返したのでしょう。
何回か聴取が繰り返されたあと、捜査員は私にこう言いました。
「あなたの供述は何度聞いても詳細で矛盾がない。他方、詩織さんは朝まで記憶がなかったと言っている。双方の主張は一見矛盾しているようだが、2人ともウソをついていない可能性が1つある。それは『ブラックアウト』だ」
英語でブラックアウトと言えば、真っ先に浮かぶのは停電です。しかし、捜査員の言うブラックアウトは違いました。アルコールの影響で、記憶の一部または全部が欠落してしまう現象のことをいうらしい。
たしかに、酒を飲みすぎてどうやって家に帰ったか覚えていないという話は珍しいものではありません。自力で歩き、自分でカギを開け、部屋まで辿り着いて寝たが、ただその経過の記憶だけがすっぽりと抜け落ちている。
それでも、最初に捜査員にブラックアウトの可能性を指摘された時には、私はにわかには信じられませんでした。
というのは、トイレから戻って再び眠るまでのあなたの行動は所作も会話も全く正常で、のちに記憶を失うような泥酔した状態とは到底思えなかったからです。そのことも捜査員に指摘しました。
しかし、医学的に「アルコール性健忘」といわれるこの現象は、アルコールの過剰摂取によって、脳内で記憶を司る「海馬」という組織の機能だけが低下することによって起きるため、傍から見ると当人の行動は、まったく酔っていないように見えるといいます。
普通に歩き、しゃべり、飲食をしているが、その状況を記憶として脳に保存することだけができない。もし当夜、そういう状況にあったのであれば、「朝まで記憶がなかった」とあなたが主張したとしても、辻褄が合うのです。
(つづく)
(初出:月刊『Hanada』2017年12月号)
【独占手記】私を訴えた伊藤詩織さんへ「後編」
③詩織氏特有の性質――「盗撮されたに違いない」
捜査員が示した可能性は、簡単に言えば「飲みすぎて記憶が飛んでしまった」という、酒飲みにとってはよくあるありふれた話です。
しかし、しかしです。私と同じく、あなたも捜査員からブラックアウトの可能性について説明を受けたはずだ。そして、あなたは記憶がないからこそ、「ブラックアウトではなかった」と断言することは絶対にできない。
しかも、あの夜は人生で初めて自分の酒量の限度を超えて飲んでしまったのだから、な��さらです。
それまでの人生でアルコール性健忘の経験がなかったからといって、その現象が自分には絶対に起こりえないと断定するのは、少し独り善がりが過ぎませんか?
そして、「自分が飲みすぎたはずはない」という無理な論理を補強するために、根拠もないのに「デートレイプドラッグ」などという違法薬物の話を思いついたのではありませんか?
そこで、私が指摘せざるを得ないのが、あなた特有の思考傾向です。
たとえば、あなたは朝起きてテーブルの上に私のパソコンがあるのを見て、咄嗟に「盗撮されたに違いない」と思ったと述べていますね。そしてそれが、警察が強制捜査に着手するきっかけになったとも言っています。
私のような仕事をしている人間は、例外なくパソコンを使っている。部屋にパソコンがあるからといって、自分が盗撮されたと思い込むというのは、あまり普通の思考回路ではない。
実際、そのパソコンは警察に提出され、盗撮映像など一切出てきませんでした。当たり前です。私は盗撮などしていないからです。
それから、あなたは「独自調査の結果、得られた新しい証拠を検察審査会に提出した」とも述べました。そこで例示したのがタクシー運転手の証言でした。しかし警察は、そのタクシー運転手から早い段階で聴取を行っていました。
その証言に基づいて、私は捜査員から何度も質問されている。そのことはあなたも知っている。その証言も踏まえた捜査が行われ、検察官は不起訴という判断を下したのです。
「自分は酒に強いから薬物を盛られたに違いない」
「ブラックアウトは、自分には起こり得ない」
「パソコンがあるなら盗撮されたに違いない」
「自分は初めて聞いたから、新証拠だ」
あなたの思考パターンには、まず強い自意識があって、自分を被害者、私を悪意ある犯罪者と思い込むことによって、全ての事象をそのストーリーにはめ込もうとしているのではないか。
その結果、冷静な判断ができなくなり、結果として事実ではないことや根拠のないことを、自ら信じ込んでしまっているのではないか。そう考えざるを得ないのです。
④あとから作られた「魂の殺人」――「レイプは魂の殺人です」
ここまでは、「~に違いない」というあなた特有の思考パターンから、私を犯罪者と思い込むに至った流れを類推しました。
しかしこれから述べることは、アルコールという外的要因によって起きた、いわば不可抗力的なものではありません。事後、あなたの心の内部で時間の経過とともに深まっていった、不可解な「後付けの被害者意識」についてです。
あなたは記者会見で、「私はレイプされました」 「内側から殺されました」 「レイプは魂の殺人です」と、非常にエモーショナルに訴えた。
しかし、その激しい怒りと憎悪は、最初から一貫したものではなかったことを証明します。それは、事後のあなたの行動と発言を精査することによって、はっきりと浮かび上がります。
あなたは「給水タンクに寄りかかってから朝まで意識がなかった」という前提の下で、自分がレイプされたと朝の段階で確信し、口論の末に逃げるように部屋を出たと主張している。
しかし、あなたの翌朝の行動は、明らかにあなたの主張と矛盾しています。まずは翌朝のあなたの様子について、私の覚えている限り記述します。
1度未明に起きたあと、再び眠りに落ちたあなたは、朝になってもう1度起きた。そして、私とごく普通の会話をし、ごく普通にホテルの部屋を出ていった。途中、1回だけ英語で少し大きな声を出しました。
「I fucked without contraceptives.」(避妊しないでやっちゃったわ)
急に英語で大声を出し���しかもfucked というあまり上品でない単語を使ったので、私は違和感を覚えましたが、あなたがすぐに日本語に戻ったので、特に気にしませんでした。
日本語の会話は、通常の音量で平穏な口調で、その日の予定や今後の連絡の取り方など、差し障りのない雑談でした。「口論の末逃げ帰った」というあなたの主張は、事実とかけ離れています。
なぜ「レイプ犯」のTシャツを着て帰ったのか?
しかし、もしあなたが朝の段階で私にレイプされたと思っていたのであれば、絶対にしないはずの行動をし、絶対にしたはずの行動をしていない。
まず、絶対にしないはずの行動について説明しましょう。
朝起きてトイレから戻ってきたあなたは、浴室に干されていたブラウスを手に、
「ブラウスが少し生乾きなんだけど、Tシャツみたいなものをお借りできませんか」
あなたのブラウスは化繊の薄手のもので、朝までに相当程度乾いていたため、濡れて着用できない状況ではないように見えま���た。
しかし、私としては別に断る理由もなかったので、パッキング途中のスーツケースを指し、
「そのなかの、好きなものを選んで着ていっていいですよ」
と言いましたね。
あなたはスーツケースから、私のTシャツのうちの1つを選び、その場で素肌に身に着けました。覚えていないとは言わせません。
レイプの被害に遭ったと思っている女性が、まさにレイプされた翌朝、レイプ犯のTシャツを地肌に進んで身に着けるようなことがあるのでしょうか?
私はこのTシャツの末についても、捜査員に伝えました。そして、できれば返してほしいとお願いした。
しかし捜査員は、
「いまはまだ捜査の途中だから、物品の返却についてはもう少しあとで考えましょう」
と言われました。
結局、私はそのTシャツを未だに返してもらっていません。そのTシャツの存在を認めると、自分の主張の辻褄が合わなくなるからですか?
あなたは記者会見で、自分が受けたと主張する「被害」について、「レイプという行為は私を内側から殺しました。レイプは魂の殺人です」とまで表現しました。
そこまで言うのであれば、いまのあなたは、私のTシャツを素肌に身に着けることなど、おぞましくて決してできないでしょう。
それならば、「あの朝のあなた」と「いまのあなた」の感情は、全く種類が異なっていることは明らかです。すなわち、あなたの強い被害者意識は最初からあったのではなく、あとから時間をかけて醸成されたものだということになります。
「レイプ犯」に送った「お疲れ様です」メールの謎
そしてもう1つ。「薬物を盛られてレイプの被害に遭った」と思っている人ならば、絶対にしたはずの行動をあなたはしなかった。それは病院での検査内容にかかわることです。
あなたは、ホテルを出て数時間後に婦人科に行ったと証言しているが、そこでどんな検査を受けましたか?
妊娠していないかどうかだけを検査し、ピルをもらったと言っている。ホテルの部屋での、英語の独り言の内容と符合します。
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第二次世界大戦で奇跡の生還を遂げ「戦艦大和の語り部」として講演活動などをしてきた八杉康夫氏が1月11日広島県福山市内で死去した。92歳。誤嚥性肺炎だった。
著書『戦艦大和最後の乗組員の遺言』(2005年 ワック)は筆者の手になる聞き書きである。その生涯と言葉を振り返りたい。
八杉氏は福山市の豆腐店に生まれた。1943年、「街を颯爽と歩く水兵さんにあこがれて」15歳で海軍に志願。秀才の集まる横須賀砲術学校を2番で卒業。17歳で憧れの大和乗務員に抜擢された。
担当は艦橋最上部での敵機の偵察。「司令官ら偉い人たちの居る場で狭い階段で最敬礼の連続でした」。
敗色濃厚となった1945年4月7日、「天一号作戦」と呼ばれる沖縄海上特攻に呉港から出撃する。「温存されていた大和を使わないまま敗戦になれば国民の批判を受けることを軍部は恐れたのです。燃料は片道分と言われましたがそれは嘘で、十分に積んでいたはずです」
乗り込む前夜、母まきゑさんと呉市の旅館で食事をし、当日は港近くまで送られた。「『長い間ありがとうございました』と敬礼し踵を返すと『あんた、元気でな』と言われましたが振り返りませんでした。これで会えないと覚悟していました」。
壮絶な少尉の割腹自殺と救助を拒否した高射長
隠密行動のはずだったが米偵察機マーチンがさっと上空をかすめた。「すぐに察知されていたんですね」。いよいよ、敵機は近い。
「艦橋最上部で5メートルもあるニコン自慢の測距儀のレンズを覗くと米機の編隊で真っ黒だった。自慢の45センチ(内径)の主砲を撃つタイミングを今か今かと測っていると編隊はさっと雲上に消えたのです。真上から攻撃された大和は高射砲で応じましたが300機以上の米機はまるで雲霞(ウンカ)の大群。魚雷、250キロ爆弾などが次々と命中し為すすべもありません。大和は結局、主砲は一発も撃てませんでした」。当時、日本のレーダーはお粗末で基本は目視だが、運悪くこの日は空一面に雲が広がっていた。
ちぎれた手��や首が転がり甲板は血の海。地獄絵図の中、八杉少年は衝撃的な光景を目の当たりにする。可愛がってくれた保本政一少尉が傾く甲板で軍服をはだけ、持っていた短刀で割腹自殺したのだ。「血がホースの水のように吹き出し、少尉は倒れました。私は震えて立ち尽くしました。前夜、褌をアイロンして届けると『ありがとう、明日は頑張れよ』と言われました。彼が秘密の上陸を母に密かに知らせてくれたから母に会えたのです」
八杉少年は横転した大和の艦橋が海面に接する直前に海に飛び込むが大和が沈没し大渦に巻き込まれる。「洗濯機に放り込まれたように水中をぐるぐる回り、人にバンバン当たりました。息ができず苦しくてもう駄目だと思った時、水中がバアーッと黄色く光ったのです」。弾薬庫に引火した大和が水中で大爆発した。その勢いで運よくぽっかりと水面に浮かんだ。
空を見上げるとアルミ箔のようにきらきらと光っていた。「きれいだなと思っていたらそれが落ちてきました。砕け散った大和の鉄片だったのです。近くで漂っていた人は頭を真っ二つに裂かれました」。重油の海で力尽きた仲間が次々と沈んでいった。
沈みかけて思わず「助けてー」と叫ぶと偶然近くを漂っていた川崎(勝己)高射長が「そうれ」と丸太を渡してくれた。「自慢の髭は油まみれでオットセイのようでした。『お前は若いのだから頑張って生きろ』と大和が沈んだ方向へ泳いで消えました。私は高射長、高射長と叫び続けました、川崎さんは救助を拒み、大和が沈められた責任をお取りになったのです」。
4時間の漂流の末、八杉少年は駆逐艦、「雪風」に救助された。「赤玉ポートワインを飲まされ重油をゲーゲーと吐きました。引き揚げてくれた若い男は『お前、よかったなあ』と泣きながら私の顔を叩いていました」
雪風が到着した佐世保は一面、桜満開の快晴だった。「『畜生、これが昨日だったら』と全員が男泣きしました」。40キロ以上飛翔する主砲弾が編隊の中で炸裂すれば米軍機10機くらいは一度に落とせたはずだった。
広島では自爆攻撃訓練
大和の沈没は国家機密。生還者は佐世保にしばらく幽閉された。そして広島へ戻り、母にも再会できたが山中で米軍撃退の「肉薄攻撃」と呼ばれる「自爆攻撃」の訓練に明け暮れた。「棒の先の爆弾を戦車に踏ませるんです。部下は銃の扱いも知らない頼りない兵隊ばかりでした」。
ある朝、空が光ったかと思うとものすごい風が吹いてきた。原爆だった。すぐに広島市内の現地調査を命じられた。水を求める少年に「後でやるからな」と去った。「水を与えるな」が命令だった。「人生、あれだけは心残りです」。
音楽の才能の豊かだった八杉氏は戦後、NHKラジオの『のど自慢』のアコーディオン伴奏なども担当した。神戸で修業し、ピアノの調律師として生きたが、被ばくが原因で階段も上がれないような疲労に襲われることもあった。結婚もしたがすぐに離婚された。ヤマハの技師長にまで出世したが、退社後は楽器工房を営んだ。
みつかった戦艦大和
1980年代に「大和探し」が始まった。調査三回目の1982年5月、指南役になり鹿児島県坊ノ岬沖に沈む大和をNHKスタッフらと探し当てた。戦後長く沈没位置は徳之島沖とされていた。「大和はそこまで到達しないうちに沈んだ。おかしい、という説はありましたが、毎年、徳之島で慰霊祭をやってきた地元出身の有力代議士の力でそのままになっていたんです」。
「潜水カメラの影響でしゃれこうべ(頭蓋骨)が浮かび上がって一回転し、スーッと沈んでいった時は船上の全員が涙を流しました。実は自衛隊の対潜哨戒機が上空から場所を教えてくれたんです」。その後、日本船舶振興会の笹川良一氏などが大和を引き揚げようという計画を立ち上げたが八杉氏は「仲間はあそこで静かに眠らせたい」と反対した。
名作『戦艦大和ノ最期』の嘘を著者に認めさせる
朗らかな人柄だが事実には厳しかった。名著とされた吉田満の『戦艦大和ノ最期』には救助艇の「初霜」について海面から兵隊が這い上がると艇が沈むため、「ここに総指揮および乗り組み下士官、用意の日本刀の鞘を払い、犇(ひし)めく腕を手首よりバッサバッサと斬り捨て、または足蹴にかけて突き落す」とある。
だが八杉氏は「初霜は内火艇と言って羅針盤の磁気に影響するため乗る時は軍刀を持ち込めない。そもそもそんなことする必要もない。艇にはロープが多く積まれ、引き揚げなくてもロープにつかまらせて引っ張ればいい。それにそんな事実があれば幽閉されていた佐世保では『ひどい奴だ』とその話題で持ちきりになったはず。そんな話題は全くなかった」。
筆者は子供の頃、『戦艦大和ノ最期』を読み、這い上がる兵隊の手首を斬り落としたという場面は衝撃的で鮮明に覚えている。八杉氏に会ってそれが嘘と知り、少しほっとしたが迷惑千万だったのは書かれた当人だ。実名は出していないが旧海軍関係者にはすぐに誰かわかる。兵隊の腕を切り蹴り落としたとされた初霜の総指揮は松井一彦中尉。戦後、東京で弁護士をしている松井氏に筆者も会い取材したこともある。松井氏は訴訟も検討したそうだが吉田氏は五十代で早逝した。
作品では大和艦上で兵隊たちが議論していた時、臼淵磐大尉が「���歩のない者は決して勝たない。負けて目覚めることが最上の道だ。日本は進歩ということを軽んじすぎた。(中略)敗れて目覚める、それ以外にどうして日本が救われるか。(中略)俺たちはその先導になるのだ。日本の新生に先駆けて散る。まさに本望じゃないか」と演説している。この「名言」に八杉氏は鋭く疑問を呈した。「戦後民主主義教育を受けなくてはあり得ない。あの時は全員が『見ておれ、アメ公め』と燃えていたんです。敗れた自分たちが愚かだった、反省して国を再建しよう、なんて発想が出るはずもない」と。
吉田満氏は東京帝大出身。大和には電測士として乗り込み、九死に一生を得た。「頭のいい吉田さんは鬼畜米英から戦後民主主義にさっと切り替えて、あたかも大和の乗組員が話したかのようにしたのでしょう」。八杉氏が吉田氏に会って問い糺すと相手はフィクションと認めた。「フィクションならどうして実名で書くんですか」と畳み掛けると黙ってしまったという。『戦艦大和ノ最期』は三島由紀夫、河上徹太郎、小林秀雄ら当代一流の文壇人が「ノンフィクションの最高傑作」とこぞって絶賛した。若い吉田氏は「あれは作り事でした」とは言えなかったのだろう。だが名作の影響は大きい。「徳之島」も吉田氏の著作が根拠だった。
八杉氏は後年、『男たちの大和』の作家辺見じゅんにも「それは嘘です。そうお書きになるなら小説になさい」などと厳しく指摘した。
2005年に『男たちの大和』が角川映画になった際は、反町隆史ら出演俳優らに、高射砲の撃ち方などを実技指導した。その時は「娯楽映画だから主砲をぶっ放したのは仕方がないかな』と笑っていた。
感動的な講演を続け、川崎高射長の場面では必ずしゃくりあげた。一年半前、久しぶりに福山市内の施設で会った時は認知症も進み、いつも「粟野先生」と呼んでくれていたダンディな八杉氏が筆者が誰か判別も付かずショックを受けた。
「敗戦の象徴」の生き証人はいつもこう訴えた。「平和は向こうから歩いてはこない。自ら掴み取るのです」。
粟野仁雄(あわの・まさお) ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」「警察の犯罪」「検察に、殺される」「ルポ 原発難民」など。
週刊新潮WEB取材班編集
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詩集「蜂蜜」
詩集「蜂蜜」 1.「蜂蜜」 2.「全部ウソだった」 3.「貴女こそが僕らの太陽だった」 4.「夕陽に消えたジャーニーマン」 5.「2020年からの挑戦」 6.「まるで蜂蜜の蜜のように」 7.「僕らはラジカル・ティーンエイジャーに憧れていた」 8.「風と涙」 9.「シティボーイが息吹くとき」 10.「グッバイ、ボールパーク。」
蜂蜜
蜂蜜 ― それは、時によって紡がれた想い出。 蜂蜜 ― それは、過去によって紡がれた心の瘡蓋。 蜂蜜 ― それは、詩書きによって紡がれた憂鬱なつばさ。
僕らは生まれた時、左右の手に何を掴んでいたんだろう。 喜び、怒り、哀しみ、楽しみ。 すべての感情が思いのままに秘められていたはずだ。 少なくとも、憎しみなんてエゴはなかったはずだ。
僕らはいつから、人に嫉妬するようになったんだろう。 かわいい、かっこいい、運動ができる、勉強ができる。 「人は顔だけじゃない」というけれど、そんなの嘘っぱちだ。 知らない誰かが敷いたレールがすべてならば、どんなに楽だろうか。
僕らは死んだ時、左右の手に何を掴んでいるんだろう。 自由、希望、挫折、失望。 当たり前で何の変哲も無い日々が、いつからか愛おしくなる。 タンポポの花が踏み荒らされたときのような、言葉にできない淋しさを携えて。
全部ウソだった
ベッドの上で微笑む君も あどけなくはにかむ君も 全部 全部 ウソだった 何もかも 見せかけだった
こっちを淋しげに見る君も 時代をまっすぐ見つめる君も 全部 全部 ウソだった 何もかも 見せかけだった
「冗談でしょ?」
知りたくない真実があって 知らなきゃいけない真実もある 僕らは真実に惑わされながら 真実を追いかけているんだ 僕らはイメージに惑わされながら イメージを追いかけているんだ
全部 全部 ウソでも 何もかも 見せかけでも イメージを追いかけているんだ あの頃の君を追い求めているんだ
貴女こそが僕らの太陽だった
貴女がいたから 僕らは夢を持てたんだ 貴女がいたから 僕らは強くなれたんだ
哀しみに満ちた日々も 優しさに満たされた日々も 貴女がいたから その日々はもっと輝いた 貴女がいたから 僕らは夢を見れたんだ だから 今 ぐっすりと眠れ 不安なく 立ち上がれるまで 貴女はぐっすりと眠っていい
限りない あたたかさ 果てしない ぬくもり 貴女がいたから強くなれたんだ
制服を脱いでも アイドルを辞めても 貴女は貴女のままでいい 貴女がいたから 僕らは夢を持てたんだ
だから 今 次は僕らが貴女に力を与える番だ さあ!
夕陽に消えたジャーニーマン
シャンデリアのあるレストラン 佇む君と僕 二人の間に吹くのは冷たい隙間風
メルヘンな妄想も イカしたドレスも 「禁断の恋は癒されないの」……女は呟く
夕陽に消えたジャーニーマン 明日は何処にいる 酸いも甘いも噛み分けて アバンチュールは続くよ
誰かの十字架を背負い続けているのなら いつか楽にしてやりたい それが別れの言葉
スコールに流されて 思い出にさよなら それでも忘れられないのは二人きりの夜だけ 誘惑のルージュも 恋じかけの媚薬も ダイヤモンドみたく輝いてた あの日々よもう一度
夕陽に消えたジャーニーマン 明日は何処へ行く? 酸いも甘いも噛み分けて アバンチュールは終わらない 誰かの宿命に縛られ自由に生きられない そんな影を感じさせない 風来坊の生き様
夕陽に消えたジャーニーマン 未来は何処にある……
酸いも甘いも噛み分けて アバンチュールは永遠に
後悔だらけの日々
2020年からの挑戦
街の外れの星人館 夜が更けた頃 密かに始まる 宇宙人たちの作戦会議
放課後の教室で語らう若人よ 気をつけろ 顔を上げろ 何処かで誰かが君を狙ってる!
密かに君は笑顔を見せた 隠した牙は 勇士の証明 影の惑星・月は笑うよ
黄金掴み 過去を捨て 笑う若人よ 気をつけろ 振り向けば 見知らぬ誰かが君を見てるかも?
夜明け前の小宴会 星人たちが集い 戦士を労う 宇宙人にも生活がある
UFO夢見て 夜道を彷徨う若人よ 気をつけろ 目の前の君は もしかホントの宇宙人!?
2020年からの挑戦 2020年だからこその挑戦
僕らはまだ負けてない 何度でも立ち上がる
宇宙人は確かにここにいる!
まるで蜂蜜の蜜のように
たった十年間でも。 長い人生で、たった十年間でも。 その時間はあまりに眩しく、あまりに美しかった。 僕は青春が大好きだ。 学ランも、セーラー服も、ブレザーも、現役の時は大嫌いだった。 でも、今ではどれも大好きだ。 芋っぽさも、派手な色使いも、何もかもが大好きだ。 時代は変わっても、きっと、青春の色は褪せないだろう。 もし褪せてしまっても、別の誰かがまた上書きするだろう。 たった一度の恋でも。 長い人生で、たった一度の恋でも。 十代の恋は一生の思い出になる。 ふとしたやり取りも、しょーもない会話で夜を明かしたあの日も。 その仕草だったり、ちょっとした笑顔だったり。 ラストシーンは淡くても、時を重ねるごとに美化されていく。 あの日々の輝き、君と過ごした日々。 結局、終わってからじゃないと気付けないんだ。 何もかも、終わってからじゃないと気づけないんだ。 まるで蜂蜜の蜜のように。 凝縮された日々が大人を苦しめる。
人はいつまでも、青春に憧れるもの。
ぼくはラジカル・ティーンエイジャーに憧れていた
君に���ったのはいつだろう。 過ぎ去りし日々、あなたに贈る愛の歌。 そして、とびきりのラブレター。 この素晴らしき愛のために、今日も歌い続けている。 ぼくらは貴方たちと共に、終わらない夢を追いかけている。 ぼくらは貴方たちと一緒に、永遠の愛の歌をここで歌い続けている。
ひとつ、告白しよう。 ぼくはラジカル・ティーンエイジャーに憧れていた。 貴方のようになりたかった。 貴方みたく素敵な歌を作りたかった。 でも、今のぼくはダメだ。 どこにでもいるような、普通に満足したままの猿だ。 だからこそ、貴方たちの背中を追いかけたい。 届かないかもしれないけれど、適わないかもしれないけれど、せめて…… 同じ時代を生きる歓びを噛み締めたい。
「諦めない夢は終わらない」 確かに、貴方はこう言った。 ぼくもこの言葉を信じている。 どんなに不器用でも、諦めなければ、頑張り続ければ、きっと夢は叶う。 ——創作者になりたい! あの日、ぼくは夕陽に向かってこう叫んだ。 今のぼくは何処にいるのだろう。 どの道を進んでいるのだろう。 先の見えない時代で、ほんとは怖いんだ。 世界をどんなに変えたくても、自由に動いてはくれない。 思い通りにならない、上手く進めない。 だから、ぼくはラジカル・ティーンエイジャーに憧れていた。 ただ、あの時代の熱に、憧れていたんだ。
風と涙
大切な人がいる限り、人は生きることを辞められない。 だから、愛を叫びたくなる。 虹の彼方にある何かを捜したくなる。 たとえ、そこに誰もいなくても。 あなた以上に大切な人に出逢えなくても。 人は自由を夢見ている。
希望の風は止まらない。 嘘と欺瞞にまみれた、人々を惑わせる希望の風。 夢が大好きだから、みんな、みんな。 夢が嫌いなら、エンパイアステートビルなんて買おうと思わない。 出逢ったばかりの人と一夜を過ごそうなんて思わない。 心の何処かで、「思い通りになってほしい」という欲望があるんだ。
僕らの終着駅はわからない。 わからないからこそ、何かに執着する。 終着駅がわかっていたら、きっと、欲なんて発生しない。 決められた運命(さだめ)があるから、それに従えばいいんだ。 だけど、決められてない、何かに従わなくていいから、人は人なんだ。 人らしくある、つまり、それはアイデンティティなんだ。
だから、人間っておもしろいのかな。
シティボーイが息吹くとき
嘲笑われても、後ろ指を指されても、もうどうでもいいや。 僕は僕の生きたいように生きるだけさ。 『我が道を往く』でいいじゃんか。 そんな時、シティボーイたちに再会した。 あの日、パンケーキやフレンチトーストに喜んでいた奴らさ。 彼らはまっすぐに今を楽しんでいた。 瞳(め)は誰よりも輝いていた。 シティボーイが息吹く街は活気がある。 ヒッピーでも、楽観主義者でもない。 ただ、今を自分らしく生きていたいし、ずっとそうありたいだけ。 僕は気付いた。 彼らのような暮らしがしたいんだって。 世の中は甘くない。 自由に生きたいなら、汗水垂らして精一杯働くしかないよ。 でも、ちゃんと変わろうという意志があれば、どうにでもなるはず。 大丈夫さ。 きっと、大丈夫。 僕は僕の生き方をすればいい。 周りなんて、どうでもいい。 結局、全部夢物語なんだけどね。
グッバイ、ボールパーク。
風の便りを聞いた。 もうすぐ、あの球場が取り壊されるらしい。 僕が初めて足を運んだ、あの球場が。 ボールパークは野球を楽しむ為だけのものじゃない。 様々な人の、様々な思い出、輝きが詰め込まれている場所だ。 たとえ、埃まみれになっても、思い出は簡単に棄てられない。 あの名選手も、あのバイプレイヤーも、確かに輝いていた頃があった。 何故だか、棄てちゃいけないものを、人は捨てたくなることがある。 そういう時は、身体に変な虫が取り憑いているかのように、なんでも捨ててしまう。 バラバラになった思い出は、簡単に復元されるわけではないのに。 元の形には絶対に戻らないのに。 わかってないんだな、その辺りが。
【Bonus】創作する嬉び
言葉が好きだった。
物語りが好きだった。
だから、言霊を紡ぎ始めた。
最初はからっきしだった。
上手くいかなかった。
でも、読んでくれる人がいたから、頑張れた。
ここまで創作を続けられた。
いつしか、私は創作に嬉びを感じるようになった。
創作が生きがいになった。
人生の分岐路に差し掛かった時、創作が私を助けてくれた。
私を正しい道に導いてくれた。
今だから言える。
この十年は「素晴らしい青春」だったと。
決して、思い通りになったとはいえない。
失敗ばかりだった。
悔しいことばかりだった。
人を傷つけたり、泣かせたりもした。
いじめたり、いじめられたりもした。
男性か、女性かでも迷った。
生きるのが怖い時もあった。
それでも、私は創作を続けることを選んだ。
どんなことがあっても、創作は手放せない恋人だ。
あの日、私は創作に恋をした。
あの日の熱はそのままに、今も言葉を紡いでいる。
私は創作が大好きだ。
私は生きるために、創作を続けている。
愛している。
夢を見ている。
あなたのために、この詩を贈ろう。
出逢い、友達になり、いつしか離れ離れとなったあなたへ。
大好きだった。
私の創作を好きと言ってもらえて、本当に嬉しかった。
ありがとう。
出逢ってくれて、ありがとう。
私に出逢ったすべての人に、ありがとう。
十代、幸せだったよ。
楽しかったよ。
ありがとう。
また逢う日まで。
いつかの未来で、一緒に冒険したい人。
この指とーまれ!!
【Credits】 Written / Produced by Yuu Sakaoka Co-Produced by 檸枳(「全部ウソだった」「貴女こそが僕らの太陽だった」) Respect to THE ALFEE(「僕らはラジカル・ティーンエイジャーに憧れていた」)・平手友梨奈(「貴女こそが僕らの太陽だった」)
Special Thanks to My Family, my friends and all my fans!! 2020年2月2日 坂岡 ユウ
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<デジタルシンセ戦国記 III ; KORG DW-8000>
●メーカー名
KORG
●機種名
DW-8000 Programmable Digital Waveform Synthesizer
61 鍵、ベロシティ・アフタータッチ対応 '85年発表、定価 198,000円
ご覧のとおり、サブタイトル的に「音色メモリー可能なデジタル波形シンセ」という意味の英語で銘打たれているが、ちょっとでもデジタルと言いたかった、つまりデジタルであると言えることが時代の最先端であった当事の世相というか、時代の流れに必死で追いつこうとしていたメーカーの意地のような気持ちが感じられる。
コルグ DW シリーズは ・2基のデジタルオシレーター ・1基のアナログフィルター(VCF) ・1基のアナログアンプ(VCA) による減算方式シンセであり、当時このようにオシレーターのみデジタルな機種は「デジアナシンセ」とか「ハイブリッドシンセ」と呼ばれた。
しかし当時のコルグは、あくまでデジタルであることを前面に押し出すことで、これを最先端の技術をもちいた一種のデジタルシンセ的存在として言いたかったらしい。そんなわけで、この時、倒産しかかっていたコルグの悲壮感を汲み取って、この「デジタルシンセ戦国記」に、ご登場いただく。
ちなみに時代は変わるもので、26 年が経過した 2011 年1月に発表された KRONOS の HD-1 では、デジタルシンセ用アイコンとして DW が、アナログシンセ用アイコンとして 800DV が、おのおのカラー表示されるようになっている。
●音源方式
D.W.G.S 音源 Digital Wave Generator System の略。
これだけでは、ただ「デジタル音源ですよ」と言っているだけで、あまり分からない。ai音源(advanced integrated:M1、Tシリーズ)、HI音源(Hyper Integrated:TRITON「トライトン」シリーズ)も、単に「はげしく集積しました」って言っているだけですよね。
現実の音をフーリエ解析し、その倍音構成を整数次倍音での��再合成。ここから1波のみ取り出し、音源波形としてプリセットし、あとはユーザーが通常の減算方式しかもアナログ回路で処理する。コルグが初めてつくったデジタルオシレーターであり「現実から得たデジタル音をアナログによる減算方式で処理する」という発想は、いうなれば現在のハイブリッドシンセの先がけでもある。
なお、DW-8000 における音源波形は、オクターヴごとにマルチサンプリングされたものがベースであったといわれる。
80年代終わりごろになると、DWGS 音源や PCM 音源は、まとめてウェーヴ・メモリー方式、あるいはウェーヴ・テーブル方式などと呼ばれた。ただしウェーヴ・テーブル方式とは、狭義では PPG-Waldorf が始めた「波形アニメ」的な方式を指すので注意。初代 DW-6000 では8種類あった音源波形も、DW-8000 では 16 種類に増えた。
●同時発音数
8音。
このころは、まだヤマハ DX を除けば最高でも6音ポリのシンセが多かったので、8音というのは微妙にアドバンテージがあった。コルグ Poly-800 なんか実は VCF が1基しかないパラフォニックで「ウソはっぴゃく」とまで言われたのに、それでも8音パラフォで「きゅっきゅっぱ」というコスパに、全世界の少年少女が乱舞したのである。
●内蔵エフェクトの性能と傾向
デジタルによる、ステレオ・モジュレーションディレイ1系統。
最大 512msec。独自の LFO を搭載しているので、モジュレーションかけてコーラスにもフランジャーにもなる原始的なマルチエフェクトとして、コルグは見ていた。デジタルであるということが、ここでも時代の先端を示すものであった。 とはいえ同社の名機 Polysix の、演歌ばりに泣きの入ったコーラス回路などとは、くらべものにならないくらい地味な効き味。ま、京都の薄味みたいなもんで、素材の味を大切にしはるわけどすな、はい京都生まれです私w
●内蔵波形、プリセットの傾向
16種。
普通のサイン波や鋸歯状波なども搭載。それ以外の波形は、現実の音を元にしてはいるので、ややリアルではある。しかし整数次倍音でのみ再現しているため、どこか音が甘い。しかも単に1波ループであるため、VCF / VCAエンベロープをかけないかぎり無表情なまでに一定の波形。つまり、PCM シンセのような、音源波形を出力しただけで完パケの音になるような便利さ安直さは、ない。
波形の元ネタは、生ピ、ベース、サックス、ディストーションギターなどあり、ただし前述のように生き生きとした PCM 波形ではないため、あくまで無表情な1波ループである。
時代なのは、DX エレピを元にしたと思われる波形があることで、たしかによく特徴が出ているが、やはり正弦波合成による1波ループのため、これをそのまま使ってもせいぜい DX エレピの劣化コピーみたいにしかならず、うまく独自の味付けを考えて音創りするほうが良い。
金属ベルを元にした波形などは、非常におもしろく、DX エレピとはまた違った実に情感ゆたかなエレピ、それも DW-8000 でしか出ないエレピにしたり、金属的なパッドにして輝く雲のように演出させたりと、いろいろと使いみちがある。
鋸歯状波などはベーシックな波形のはずだが、やはり DW-8000 ならではの個性があり、はやりの JUNO-106 のような涼しげなストリングスにはならず、どことなく中域に倍音が密っぽいというか、なんとなく暑苦しい音になるのも、プログレにファンが多いコルグならでは、か。
波形メモリーには、256k bit ×4個のチップを使っているそうで、すなわち1メガビット、ということになる。仮にサンプリング周波数が8bit とすると、128 キロバイトの波形容量ということになるが、1波サイクルしか保存していないはずなので、これでも充分であろう。オクターヴごとにさりげなくマルチサンプルされているという噂があるが、聴いているぶんにはスプリットポイントが分からない。
8バンク×8音色= 64 音色メモリー。すべて上書き可能。 プリローデッド音色がどんなであったかは、すべて私の音色となってしまった今となっては知るすべがないが、Polysix のすごいやつを期待すると 「なんやしらんけどヤマハみたいな整った音やな。コルグにしては、ちょっと細いんちゃう?」 という感触をもつかも。
しかも最後はアナログのフィルターとアンプを通るので、どっかダイナミックレンジも狭く、S / N も色あせた、それでいて渋い音になる。
液晶表示による文字表示機能が無く、7セグ LED 数字表示しかないので、音色名も当然ない。しかし意外に簡単につかいこなせる。むしろ「下手にバイオリン���どという名前をつけますと、そのイメージにひきずられて、自由な発想ができません」とまで開き直っていた当時のコルグの恐るべき哲学(いや、ごもっとも!)と、なぜかオプションの MEX-8000(後述)取説に付属してついていた紙1枚だけのプリセット音色一覧表しかも音色に名前つきおまけにネーミングセンスがハズしているという謎の存在とが、過渡期の混沌ぶりをしのばせる。
●エディットの自由度と可能性
パラメーターの解像度は粗い。これはその後しばらくのコルグ製シンセすべてに言える事で、限界値が低いことや、解像度が粗い事もあって、実は緻密なエディットができない。しかしカタログを見ると「デジタルを越えた美しい音」とある。シンセはスペックではなく、実際に出てくる音でこそ勝負が決まる。これがコルグらしいこだわりであるとともに、私のような音色フェチには、ちょーっと寂しいというか「もーちょっと口あけてほしいなぁ」と言いたくなるところでもあり、その一方でカタログ通り美しい音にシビれ、その頑固一徹さに敬服するところでもある。
2 Osc. → 1VCF → 1VCA と、いたってシンプルな構造だが、残念ながら PWM やリング変調、クロス変調、ハードシンクなどのオシレーター変調は一切無い。そのぶん、倍音が豊富な音源波形の組合せとツインオシレーターでのピッチインターバルなどに、命をかけることになる。これが結構おもしろい。双子のメインオシレーターとは別個に、ホワイトノイズジェネレータを搭載しているのも良い。
スプリットやレイヤーは不可能、むろんマルチティンバー駆動も不可。ただし私が毎回はずさないユニゾンモードは、ちゃんとついていて、倍音の多い音源波形で本領発揮。コルグに独特の、異様にキツいフォルマントをもったディストーション系リード・サウンドは、このあたりから頭角を現してきたように思う。 さらに、ポリフォニック・ポルタメントを実現すべく、普通のローテーション・アサインの他に各ボイスを積み重ねる発音方式も用意されているのは、時代。
VCF は、VCA とともにコルグ独自設計のチップ NJM2049 により実現されている。Polysix まではラダー型の SSM2044 だったが、Poly-800 からは、この独自設計の Quad OTA VCF チップに交代。マイナーな DW にあって、アナログ回路部分はさらにスルーされるきらいがあるが、どうしてなかなかまろやかに効く。しかも DWGS 音源によるデジタルオシレーターの音��、この VCF を通すことでアナログらしく色あせてくぐもった感じになり、ダイナミックレンジも狭くなってかえってレトロで良い、味わいぶかい。
このチップは、この次の DSS-1 / DSM-1 でも採用され、サンプリングした音がおもしろいほど変化するところを聴いてもわかるとおり、隠れた名器である。そしてヴィンテ・コルグ時代最後のアナログフィルターであり、アナログ世代最後の音へのこだわりの結晶となった。
ちなみに DW-8000 は8ボイスなので、このチップが8個搭載されているが、Poly-800 では1個しか搭載されないパラフォニック・シンセだったため、前述のとおり当時から「ウソはっぴゃく」と言われるも、誰もそんなこと気にせず、もうあこがれのシンセが手に入るただそれだけですでに嬉しかった。
EG が、フィルターとアンプとに個別にあるのも、当時としてはすばらしい。しかも、ADSR より1点多い ADSSR 方式(Attack、Decay、Slope、Sustain、Release)を初めて採用。上下反転させれば、ちょっとした複雑なアタック・トランジェントも演出できた。当時コルグが、これを誇らし気に DEG すなわち、でぃぢたるえんべろーぷじぇねれぃたぁ、と呼んでいたのが、これまた時代。どこまでも「デジタルシンセ」と言いたかったコルグの悲哀。しかも、極端に遅いエンベロープを組むと、階段状の音色変化が露呈してしまうのがご愛嬌。
またピッチ EG の原型として、アタック時に自動的にベンドアップ / ダウンさせる機能だけがあった。極端に高い音程から、極端に短い一瞬で落下するようにかけると、例えばスラップベースのアタックにて「キュッ!!」と弦っぽい感触が得られてリアル。
画期的なのが、コルグとしては初めてキーベロシティとアフタータッチとの両方に対応していることで、豊かな倍音の音源波形、多ポイントの EG、オシレーターのピッチインターバルなど合わせて、じつは表現力は多彩である。先述の情感豊かなベル波形エレピの音などは、ほんとうに良い音なので、持っている人はぜひぜひ試行錯誤してみて下さい! ネモ秘伝の作りかたを、以下の通り大公開!
『15番の金属波形と13番の波形とを使用。 VCF-EG は、アタックに鋭いピークをつくってから、ゆっくり減衰するように設定。つまりディケイまでをほとんど一瞬で終わらせ、そこからスロープを使ってゆっくりとしたセカンド・ディケイを演出する。ベロシティによる VCF の開閉具合と、この「コツ」っていう VCF のアタックでのピークとの調整が、ほんとうに微妙だが、デジタルなので安心の再現性 笑。エンヤの光輝くピチカートにセカンド・ディケイをくっつけた、くらいに聞こえるほうが良い。強いキータッチで DX ベルを彷佛とさせつつも、上品に倍音を抑えれれば完璧。弦をつまびいているようなデリケートさを兼ね備えた、素朴だが極上のエレピを耳にしたとき、「えー、これ当時はアナログシンセに分類されてたのー?w」と貴方が思うこと請けあい。 ついでに蛇足ながらアタックがカカっと2回聴こえるように内蔵ディレイをひかえめなレベルで設定してみると、さらにアタックが特徴的に思えて効果的。』
あとコーラスギターの音をつくると、バンジョーの明るい風味ありつつも古いギターのように甘いといおうか、デヴィッド・シルヴィアンの曲で使えそうな感じに飴色な夕暮れな感じがでて、なんとも不可思議なギターになって最高。これも手の内をちょろっと明かすと:
『音源波形には6番と10番を使い、VCF カットオフはこもらせ、レゾナンスは少し上げ気味に、フィルター EG デプスは軽く減衰がわかる程度にする。ベロシティでカットオフが大きく反応するように。』
未だにこの2音色を超える音色は、手にしていない。
フロントパネルは、Poly-61 以来の悪しき伝統で、たった1本のデータエントリー・スライダーを除いてツマミを一切排除した設計。この為、昨今のリアルタイムぐりんぐりんには、とうてい向かない。はっきり言って操作性は悪い。 しかし、のちの DS-8 や M1 に始まるワークステーションに受継がれたパフォーマンス・パラメーターと言う機能があり、DW-8000 では任意の1パラメーターのみを、スライダーにアサインしておける。任意の、というところがポイントで、応用すれば MIDI チャンネルすら演奏中にスライダー1本で変えれるため、マルチ音源をスレイヴにするときいい。ここまで出来るのは、DW-8000 くらいなものであろう。
また音色切替のために十の位だけを止めておくバンクホールド機能が、はやくもついていたが、DW-8000 ではこれをエディット中にパラメーター・ナンバー選択時にも使えるのが、気が効いている。フィルター関連は 30 番台、VCF EG は 40 番台、VCA EG は 50 番台、ディレイは 70 番台というふうに、パラメーターがわかりやすく配置されているので、バンクホールドも役立つのだ。
その場かぎりのアルペジエイターも搭載していて、打鍵した順番を忠実にリピート再生してくれるモードには拍手! 最大 64 ステップの簡易シーケンサーとして使えるので、内蔵ディレイと組合わせれば、工夫次第でいくらでも複雑なパターンを演出できた。しかも MIDI 同期可能! このおかげで、「音源波形も面白いし、実質的にはコルグ初のワークステーションなんちゃうのん?」と言いたくなるくらいの実力があった。Poly-800 には、ほんとにシーケンサーがありましたね。
音はどうか? どちらかと言えばカマボコ型には違いない。しかし、自作した音色を聞きかえしても、DWGS ならではの、つまりフォルマントが半端にはっきりした正体不明な音が多い。とはいえ Polysix のような、VCO の出力が過大で VCF 内部でクリップしているような、中域の太い乱暴さはない。無理なく音がでている感じがする。そしてアナログにしては、はんぱに明瞭な音がする。
しかも最後はアナログのフィルターとアンプを通るので、不思議に S/N もダイナミックレンジもちょっとくぐもったアナログシンセの音になる。CZ が VA っぽいなら、DW はアナログっぽいというか半端にデジタル半端にアナログな音色になる。あたりまえながら、デジタルシンセをアナログのフィルターバンクに通した雰囲気。
元の音源波形の由来を、とことん無視して音を作ると面白いが、それでも半端に軽く、半端に明瞭で、半端に太く、結局なにで作ったのか分からない音になるところが、実は一番の特徴。正体不明ながらに個性的で、じつは私がなによりも好きなところでもあった。
●拡張性
あるはずがない。
しかし偉いもんで、あったのである。MEX-8000 という弁当箱のようなサイズと形の周辺機器があり、これがなんとシステム・エクスクルーシヴをためこんで吐き出すだけの、RAM ボックス(!)であった。256 音色までストックできたが、データサイズが小さいので転送時間は一瞬で済む。64 音色バンク単位で送受するので、1音色だけロードとかは不可。おまけに、なんの表示もしない味もそっけもない弁当箱である。私も愛用していたが、どこになにをセーヴしたか、とんと思い出せないまま愛用。しかもバックアップ電池が必要で、��れがまた乾電池であった。これを外すとえらいことになるので、AC アダプターが必須。
なお、この MEX-8000 は、DW-8000、DW-6000、Poly-800、Poly-800II、DVP-1 で使うことができ、相手となる機種を切り替えるには、本体にあるディップスイッチを使う。
DVP-1 って、変なヴォコーダー兼ピッチシフター兼ヒューマンボイス5音ポリ音源モジュールで、じつはおもろかった。
DW-8000 はコルグ最初期の MIDI シンセのひとつなので、Sys-Ex で音色をバルクダンプするにも、1音色ずつしかセーヴ / ロードできない。一括で送受信するには、いちいちプログラムチェンジを送信し、その上で1音色ずつデータセーヴリクエストなどを送信しないとデータを吐かないので、普通のバルクライブラリアンでは対応できないことがほとんど。
よって、むしろカセットテープ・インターフェイス内蔵であることを生かし、そこから出る音声データを DAW などで wav ファイルにでもするほうが、実は手軽だったりする!
●あなたにとっての長所
アナログでもデジタルでもない「これ何で作った?」というような正体不明の音色が、なによりもおもしろい。そして比較的簡単におもしろい音がたくさんつくれて、しかもタッチセンスにより表情がつくところが、また良い。VCF と VCA を通るためか、アナログっぽく S/N も悪いダイナミックレンジも狭いが、それがかえって渋い渋い渋ーい音色になるんですけどね。
私が手にした機材では、もっともつきあいが長かった。さんざん使いたおしたので、120 パーセント使いこなしました、と胸はって言える。
●あなたにとっての短所
今となっては、PCM シンセの方が多芸で音も多彩。さらに DW は、パラメーターの解像度は粗い、鍵盤のタッチも悪い、MIDI 受信したときのレスポンスの遅さは逸品。
せめて片方のオシレーターの直後にアンプ・エンベロープが独自に装備されていたら、もっと使い勝手が良かっただろう。これを克服するには第二オシレーターのピッチを極端に上げて倍音群として扱い、VCF-EG でその倍音群が一瞬だけ目立って聴こえるよう時間軸上のピークを作り、なおかつピーク部以外を削り取ってしまう事で、あたかも VCF-EG で第二オシレーターの音量まで制御しているかに見せる方法があった。見ろ。文句言うだけじゃなくて、ちゃん使いこなしているだろう!
●その他特記事項
中古でもあまり人気がないらしい。PCM ほどは明解な音がせず、かといってアナログにしては整った音がする上に、なんせのっぺりフェイスのせいで、リアルタイムで操作しにくいとなると、中途半端な印象をもたれるのだろう。確かに出音は、軽めのアナログっぽくもある。
発売当時も人気が無かった。なんといっても正真正銘フルデジタルの DX が、人気絶頂だったのだから、無理もない。
そもそも DW-8000 は、ヤマハ DX7によってどうしようもなく劣勢に立たされたコルグが、それでもなんとかして生き残りをかけて開発した機種である。
81年:Polysix 発売、24 万8千円、VCO ×1基、6音ポリ 82年:Poly-61 発売、17 万9千円、DCO ×2基、6音ポリ 83年:ヤマハ DX7 発売、24 万8千円、フルデジタル、16 音ポリ 84年:DW-6000 発売、18 万4千円、ハイブリッドシンセ、6音ポリ 85年:DW-8000 発売、19 万8千円、ハイブリッドシンセ、8音ポリ
Polysix といい Poly-61 といい、発売したての新製品が、たった1年か2年で、それこそもう回復不能なまでに時代遅れになってしまうなど、いったい誰が予想しえたであろう。
だが、それがために DX7対策として開発された DW-8000 は、なかなか完成せず、焦ったコルグは「ぜがひでも早急にデジタルシンセを!」ということで、急きょ、DW-6000 を開発し、先にデビューさせた。
両者��くらべると、こうなる:
DW-6000 ・’84 年 12 月発売 ・18 万4千円 ・6音ポリ ・6種類の音源波形 ・アフタータッチのみ対応 ・コーラスのみ内蔵 ・CPU×2基
DW-8000 ・’85 年9月発売 ・19 万8千円 ・��音ポリ ・16 種類の音源波形 ・ベロシティとアフタータッチとに対応 ・モジュレーションディレイ内蔵 ・CPU×1基
すなわち、定石通り CPU を1基だけで DW-8000 の開発を進めていたが、どうにも開発が遅すぎるというので、後から DW-6000 の開発が始まり、CPU を贅沢に2つも投入することで、重たいままの未熟なソフトウェアでも走るように、とにかくなんとしてでもマッハでデジタルシンセを発売し、世のトレンドに乗り遅れまいとしたのであった。
そんな悲壮な機種 DW-6000 は、当然ながら中つぎもいいところで、デビューして1年たたずに DW-8000 にバトンタッチすることになってしまう。だいたいユーザーはそんな事情を知る由もないから、せっかくお金貯めて買った DW-6000 が、一年たたずして後継機種に引き継がれるというアゴがはずれそうな事態に。
今から見れば、DW-6000 も Poly-61 も、なかなかいい音がする。 しかし、ヤマハ DX シリーズが破竹の勢いで新機種を投入し、鉄壁のラインナップを広げ、DX9という失敗作が出てもぜんぜんへっちゃらなくらい売れまくっていた当時。そうこうしているうちに、カシオという思わぬ新規参入メーカーがあらわれ、お得意のデジタル技術でもって賢い安い CZ シリーズを、これまたラインナップ展開させて売れまくる。時代はすっかりデジタル。フルデジタルでなければ遅れている、とみなされた世の中。その双頭をなすXとZに食い込まんとしたWは、フルデジタルになりきれず、MIDI 対応も中途半端で、それでもなお「デジタル」と言いたかった DW シリーズなのであった。
だが、そんな必死のぱっちの努力もむなしく、頼みの綱 DW-8000 が売れなかったせいもあってコルグは倒産しかかり、遂にヤマハの子会社となった。チップの設計をヤマハに委託したことで、しっぽを掴まれてしまったのだという説もある。
無念。
しかし繰返しになるが、DW シリーズの音色は個性的であるだけでなく、正体不明ですらある。まじめな楽器シミュレーションをめざして作られている以上、気品のある音もつくれて、しかも「これ何?」と言わせる謎めいた感じがする。元来シンセは、正体不明な音がするから面白いのであって、既存の楽器と同じ音がしては、いかんのでは無かったか? 他人と同じアナログではしっくりこない諸兄には、実は DW、うってつけかもしれん。中途半端な太さと輪郭をかねそなえたユニゾンモードでのスラップベースの音とか、そのうちにブレイクせんやろか? TX81Z と重ねると、またおもろかったりすんねんけどなぁ。
事実、海外では DW-8000 や音源モジュール版 EX-8000 を、Sys-Ex でもって外部制御することで、DW の固定観念をくつがえすぐりんぐりんのアナログな操作と音色変化とを実現している人がいたりする。
ジョー・サヴィヌルは prophet-5 を売って DW-8000 を購入したという、いま思えば奇特な方である。一時期のキース・エマーソンは、DW-8000 のラック版 EX-8000 を数台(ちなみに、まぎらわしい EX-800 という機種もあり Poly-800 の据置型モジュールである。これも使ったらしい)、Kurzweil K250、Oberheim Matrix-12、YAMAHA TX816 など、そうそうたる面々と重ねて図太いブラスの音を出していた。Emerson Lake & Powell のアルバムを聴けば、その咆哮に出会える。
そう、DX7よりも DW-8000 のほうがブラスやストリングスなどの音色は分厚いことは、すでにこの当時、誰もが知っていたのである。
その後も DWGS 音源の開発は進み、同社初のサンプラー DSS-1 は、DW-8000 の構造をそのままに音源波形をサンプリングに解放した、まさに DW-9000 とも言うべき構造になっていた。そしてコルグから DSS-1 用に発売されたサンプルライブラリーの中に、しっかりと DWGS で合成した半シンセ波形の数々も、おさめられていた。なんせ1波ループなので、メモリーもディスクスペースも消費しないのが良い。
やがて DW シリーズの設計思想は、今度こそ何度めかの正直として社運をかけて開発された M1 にて、遂にフルデジタルの減算方式しかも二系統駆動可能となって具現化した。その音源波形には、DW-8000 に搭載されていた DWGS 波形の大半である 14 種類が移��され、さらに9種類が新規追加、DW を越える合計 23 種類もの DWGS 波形が、あまたの PCM 波などとともに収録され、結果、M1 の音源波形は 144 種類に達した。かくもぎゅうぎゅうに音色資産を充填された M1 は、待望のフルデジタルシンセというだけでなく、ワークステーションシンセという名の開祖となり、コルグ決死の起死回生満塁ホームランを放ち、たった一機種で十万台以上も売れるという前代未聞の快挙を成し遂げ、コルグがヤマハから株を大量に買い戻すための救世主となった。
XとZという双璧の時代からコルグを救うはずだったWは、ひっくりかえってMとなり、もう一度ひっくりかえって、まさにワークステーションのWとなって、コルグどころか楽器業界まるごとトレンドを変えることになる。 そして今、もはやXもZも現存しない。
その後も数々のコルグ機種に伝統芸能のごとく搭載されつづけた DWGS 波形、最新機種にまで搭載されているのも興味深い。
最後に、DW-8000 そのものは、なにかと不運なシンセだが、ここで初めて搭載された機能は、DWGS 音源のほかにも数多い。 例えば多ポイント EG や、MIDI 同期アルペジエイター、内蔵デジタルエフェクト、タッチセンス、パフォーマンス・パラメーター、原始的なコンペア表示などなど。いずれも未熟とはいえ、その後のコルグ・シンセを形成するに必要不可欠なものばかり。中にはポリフォニック・ポルタメントのように、その後、ひさしくコルグから聴けなくなったものすらある。パラメーターの解像度は粗いが、かたくなに出音の個性にこだわった頑固さにはただただリスペクトし合掌するばかり。人によっては、これが最後のコルグらしい音のするシンセだと言う人すらいる。そして何よりも、全体に貫かれた分かりやすさと親しみやすさへの配慮。まさしく現代コルグ・ワークステーションの原点となった機種であり、永遠にコルグ中興の祖の、そのまた礎となった名機と言えよう。
聴け! 未来のコルグへの胎動は、ここにあり!
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JGmomentⅡ
twitterのモーメント移植
戯言(JG)
自分の頭の中と、知識前提でこぼしてるからはたから見たら伝わらないし齟齬しか生まれそうにない
剥製、標本だらけで死んだものしかないけど植物園とかで鮮やかな植物の中に紛れる機関員もいい、見たい
コレクションルームと機関員みたいなのもみたいな~~~~~書庫と機関員でもよい…インターメディアテクにいってくれ…http://intermediatheque.jp
生前葬、献花、花ネタ…ベール、霞、吹雪
霧の濃い森に突如として現れるアンティーク家具(廃家具・廃墟でも可)と機関員とかの図もみたい(形態不問
カバーといってるけど、そうね、「人格」
かれらは多重人格者…意識的だからカバーといえるのだろうけれど。耄碌してきてから自分が「誰」なのか混乱してほしさある
機関員たちも「永遠の夢」から醒めないでほしい、
機関員の呼吸とか鼓動はとても静かだといいしきっと手首を切ろうと僕から流れる血などない、みたいなの描きたい
本当の偽物、真実の嘘
素顔の化粧、本性の芝居
すべてが嘘だってことを知らない世界線ですぱいのお兄さんたちに「嘘だよ」って言ってほしいね!!
さっきの「嘘だよ」は、眠りに落ちる瞬間の夢か現かはっきりしない時、煙草の煙を吐く瞬間、すれ違い様、さよならの後とかにいってほしい。それまでの会話か、最後に交わした言葉か、そのときの感情か、彼の仕種か、それとも彼の全てか、或いは「嘘」そのものか。何に対してなのかが分からない「種明かし」
文字通り「血も涙もない」彼ら
小田切さんの心臓はえぐって?しまったけどあれは心を捨てきれなかった的な皮肉のような絵だったのです
小田切さんの胸元(心臓付近)に、こう、いじるのすきなんですよ…
月に再生を祈る……意図せずして小田切さんに月……すぱいから軍人へと戻る……新月か満月に咲くことが多いとされる月下美人が「満月」で咲いてるの���選んだのは、闇に潜む彼らが嫌う「明るい夜」だからです
私の脳内には舌だけ肥えてる料理できない美食家三好と、漬物だけあればいいじゃないか!って悟ってる三好がいます。
忍者のたまごの5年生げんぱろで、三郎の顔は雷蔵の顔なんだね(変装してた顔)っていうネタが鉄板???なんですけど、機関員たちのばあいは結局「三好」か、みたいなことになるんですよねきっと
はちやさぶろうの場合→「はちやさぶろう」の顔は消えて変装していたふわらいぞうの顔になっている 三好→「三好」自体が機関員の「三好」というカバーであり、機関員になるまえの過去の本人でもなく、その後任務中でつかったどのカバーでもなく「三好」として現代にいるんだね、っていうことだわ
まつげが長い&まっすぐ&伏せがちな人の目にはハイライトが本当に入りにくいのでみよさんはそんなイメージ
風船を過去とか自由とか未来だと考えて、それを貸してくれないかってかつての幼い自分にいうんだけど「お兄さんそういって割っちゃうんでしょ」って断られる機関員さん
骸骨は生と死の象徴
小田切さんを描くときはなるべく、中性的にならないように気を付けています。清潔、精悍さに宿る可愛らしさや色気がでているとうれしいのですが……(突然の語り。三好は女顔ではあるけれど男性を感じられるようなバランスをめざしたい、実井くんは青年でありながら少女のような可憐さを匂わせる雰囲気で、波多野は強い少年らしさの中に成熟している側面がちらつく感じです……(外見のはなし。福本さんは「無」になれる人だと考えてるので封じ込めてるというよりは何もない感じのミステリアスさ、あまりんは余裕がありつつどこか翳る笑顔、神永さんは人と話す時だけ表情豊かっていう勝手なイメージ、田崎さんの天然さはカバーなだけなのか素なのか図りかねてます(掴みきれてない。
オペラたべてるすぱいのお兄さんか魔王をかきたいきもちあります!あり……ま、す……
顔面に線描いてある機関員さんもかきたいなぁ…
あまりんは優しい皮を被った冷血漢・残虐非道がいいな…にじみ出てる気がしますけれど
忘れられないのに思い出せないのが彼ら
見てるのは屠った過去か、捨てた未来か、死にゆく彼か、それとも
それにしても片目ずつで化物と人間にわけるの描きすぎである、(片目ずつで表情変わるのも)
みよさんが鏡をずっとみてるのは設定上は自己愛としているけれど、実際は装うことにとてつもない不安を感じていたらいい。完璧を確認しているけれど、完全なる自分をみているのではなく不完全ではない自分をみてる、
それが記憶無し転生D組設定で 何故か鏡をずっとみてしまう。自分の顔などほんとは好きではないのに。 とかさせたい
慣れきった「自分」に慢心せぬよう気を付けなければ。なにせ細胞はすぐ生まれ変わってしまうのだから。
公式ばりばりハイライトあるよ自尊心の塊だよ生き抜けるに決まってるだろガハハ!みたいな顔してるんだけど自分的には生き急いでるのか死に急いでるのか分からなくて血の気を感じられない彼らが標準なんですよね。そうなんだよなぁ、原作及び公式はちゃんと生に執着あると感じるのよ…なにがどうしてこんなにひねくれたのかは分からぬ
にんじゃのたまごたちは(創作ですけど)思春期に色について学びますけど、成熟した(おそらく)すぱいのお兄さんたちが色について学ぶのってやっぱりどこかちがいますよね…???無垢のままそれを全てうけいれるのと時代背景とで…
「ポーカーフェイス」ってほんと彼らの言葉…ポーカーフェイスの裏でどう思ってたのかなぁ…拙宅のじついくんさんは花街の産まれなのでお気になさらずですけど(?)
ぶん彼らの主張がないからなんだよね…だからマネキン/モデルになれる
「ねぇ」「何。」「貴様は「己」のことをどれほど理解している?」「…またくだらないことを。俺自身、なのだから全てだろうが」「ウソ。俺は貴様以上に「貴様」のことを知ってるよ」「なんだ、貴様が「俺」なのか。」「さて、ね。」「まァ、俺自身はこの世からいなくなったぞ。」「…そうなんだ」
if:機関員のカバーが機関員たちそれぞれの過去のシャッフルだったら 最終までに脱落した機関生に、自身の過去がいればその時点でこの世からいなくなってしまう。とても頭をつかいそうなお話。でも読んでみたい。 会話してるのはおすきな二人でどうぞ。
半年に1回ほど考える機関員の「カバー」は彼らの「過去」のシャッフル…飛崎によって完全に死んでしまった「小田切」は誰なのだろう、と。
役者さんが自分の役以外で演じてみたいのは?っていう質問がすごくね、、、訓練と機関員(最終試験)時点でカバーを変えていたら機関員8人のなかのシャッフルかもしれないけれど、訓練からだったら「過去」を見送った輩もいるのだなぁ…��ぽやぽや
かつての「俺」を見るのが楽しい俺は、かつての「彼奴」かもしれない。
化物の自覚があるのか、化物と言われたことがあるのか、化物を何と心得るか、化物でいることの自負心、反対に化物でいることの羞恥があるのかとかとか
機関員のお兄さんたちがどこまでカバーでどこからが素なのかは深淵すぎるのですけど、みよさんの猫嫌いが素としてはめっちゃすきで顔がゆるんでしまうから三好としては触れあわないとかだったらすき。よい。
神国なんて春の夢だよ。
なぁ、お前はいつ神の正体に気づいたんだ? ─さぁな。「俺」が生まれた頃じゃないか? ─そんなの、神が救ってくれなかった時に決まっているだろう。
エマちゃんがもしにほんで育ったとして女学校に通っていたとしたら学校の憧れのマドンナに絶対なると思うんですけど(自己解釈強め)、私生活が謎な感じのマドンナだと思うんですよ(日本語不自由かな?)友人の考察の影響があるので自己解釈かといわれると微妙なんですが甘利とエマのその後は①親と子として嫁ぐまで面倒を見る②孤児院(或いは寄宿舎)に預けて甘利があしながおじさん的ポジにフェードアウト③一緒に暮らしているが「親子」ではない認識を徹底という√分岐かな…今回はふたつめです?
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焼きそばハロウィンはいかにして無敵のアイドルになったのか(2)
ごうごうと音を立てて裏庭の果樹園が赤く蠢いていた。永遠に収穫されることのなくなったりんごたちは次々に燃え落ちていった。光線を歪めて通すガラス窓がちらちらと女性の顔に炎を落としていた。質素なドレスからむき出しになった上腕を伝い、デスクの上へとおびただしい血が流れていた。その女性はみずから三重四重にナイフで切り口を開いて、金属のボウルに血を溜めていたのだった。ふわりと娘の方を振り向いた彼女のかんばせは、尊い使命を神から与えられて、地獄に遣わされた人の純真を示すヴェールのように白く輝いていた。最も高い天にたなびく雲よりも美しく結われたプラチナ・ブロンド。晴れた日のエーゲ海の上下を混ぜ合わせてしまったような知性に溢れたブルーの瞳。 ボウルから血をおさない娘に何口か含ませると、「絶対に声を出してはだめよ」とその女性は言った。腕の痛みで眉はひどく歪み、額には乱れた前髪が数本張り付いていた。娘はこくこくとうなずいた。母親が言うことを忠実に守るために、口元には両手が当てられて、目には涙が浮かんでいた。母親が「いい子」と言って微笑んだのを見て、ああ、愛しいママ、とその娘は思った。ママが苦しむのを、見たくない。ママが喜んで、嬉しい。 その娘は、かつての志希だった。 そうだ、これはあたしの物語だった、と志希は思った。志希はその鉄臭い液体を口いっぱいに含み、母親の言う通りベッドの下に潜り込むと息を殺した。そこにはカビ臭い本が何冊もあって、それは志希が数ヶ月前にそこに隠したあと、忘れてしまった本たちだった。志希の母親は「いい子だから。きちんと、隠れていてね」ともう一度言いながら、悲痛な表情で彼女の手を握った。血でいっぱいのボウルが横っちょに押し込められた。志希は本の内の一冊を大事に抱えて、ついでボウルを脚の下に隠した。 こく、と血を少しだけ飲んだ。 「ごめんなさい」と彼女は言った。 「許してね。力のない私を許してちょうだい」と、囁いた。 そうして彼女が足早に去っていくのを志希は見送った。 自分の息がうるさすぎて、ごうごうと知恵の実が燃えていく音は遠くなった。 やがて重々しい足音で、数人の兵士たちがやってくる。全員が、統制された動きで部屋を荒らし回った。クローゼットに整然と並んでいたお気に入りのドレスたちは床にぶちまけられ、踏みつけられた。ベッドシーツはめちゃくちゃに切り裂かれ、本棚の本も同様にすべてが投げ捨てられた。がしゃんと窓が割れる騒々しい音がして、家具たちが外に放られているようだった。 志希はそれらをすべて、そのベッドの下の小さな隙間から見ていた。こく、と血を飲む。ボウルの血を口に含めば、まだ少しは、保つはずだった。誰に祈ればいいのか、志希にはもう分からなかった。 そして、母親が戻ってくる。 母親は自分の脚で歩いていない。 つま先はずるずると引きずられている。二人の兵士たちが彼女の両脇をきっと抱えている。そして、彼女は木でできた床に打ち捨てられる。志希の愛したドレスと同じように、本たちと同じように。死の直前、ひどい苦悶に喘いだであろうその美しかった顔や目に、もはや生命のしるしは無く、志希は約束を破って、「ママ」と小さな声で呟きながら、ベッドの下からその死体に手を伸ばした。志希の周囲で、正体のわからない激しい火がぼうぼうっと燃え盛っている気がした。 伸ばされた彼女の手は、炎の向こうで、親しい人にそっと取られた。 「志希」と美嘉は言った。涙で歪んだ視界の奥で、志希は母親の代わりに美嘉を見つけた。 すべてはかつてあった真実が夢に溶けた姿だった。 友愛に満ちた顔には、不安が滲んでいた。ベッドから離れて光るデスクライトだけに照らされて、美嘉の尖った鼻が作る陰翳は、記憶の中の母親のそれに少しだけ似ていたが、おさなさが濃かった。 志希はじっと美嘉の輝く瞳を覗いて、微笑んだ。「泣いちゃった」と、くすくす笑った。そのまま、ぐす、と鼻を啜って、「あー」と意味なく呻きながら人差し指で目の下を拭い、 「美嘉ちゃん台本見てたの? 今何時?」 「一時過ぎ」 「明日も撮影なんだから、早く寝ないとだめだよ」 ふ、と美嘉は笑って、「いつもとなんだか、逆だね」と静か��言った。 そっと美嘉が手を離したとき、志希の手はわずかに空を掻いて、去っていったそれを求めた。求められた美嘉の温もりは、デスクライトをか、ち、とゆっくり消したあと、志希のベッドへと戻ってきた。 志希は美嘉の胸元に抱かれて、少し恥ずかしそうに「ちょっと、美嘉ちゃん」と言った。「お母さんの夢を見ていたの?」と美嘉は聞いた。短く迷って、志希は柔らかな美嘉の胸の中でうなずいた。 「志希のお母さんは、どういう人?」 「……よく、覚えてない」 「そう」 美嘉はそのまま黙って、腕の中の志希の頭を撫でていた。 いつまでも、ゆっくりと撫でていた。 やがて、発作がやってきた。悲しみの発作が作る苛烈な嵐に、志希はほとんど息ができなくなった。ぎゅうっと美嘉のシャツを握りしめて、志希は激しく嗚咽した。その泣き方には、激しい生命の力が込められていた。生きるためには、そうするしかなかった。 「ママ」と、志希は母親を求めて泣き続けた。 結局のところ、志希はそういう星の下を選んで、産まれてしまったのだ。
* * *
何時間も回り続けるように精巧に作られた独楽が回転しているとき、巨大な運動エネルギーを秘めたまま一見静止しているように見える。それと同じように、美嘉は志希の方を向いたあと、口をくっと結んで動かなかった。心中の感情がこれほど苛烈に渦巻いているひとを見たことがなかったから、志希はその熱量の凄まじさに気がつくと、食べかけのゼリーが載っていたスプーンを咥えたまま、動くことができなくなった。 やがて、野生の動物の子どもが襲われた瞬間の母親のように、美嘉は素早く立ち上がると一言も言葉を発さずにベンチから立った。「え」と志希は小さな悲鳴めいた声を上げると、「ゼリー……」と呟いて、手元のそれを大事そうに両手で持ち、そのまま焦ったようすであとを追いかけた。 きめ細かい乾いた土の上を早足で歩く美嘉に小さな歩幅で走って追いつき、志希は「美嘉ちゃん、ゼリー」と言ってそれを差し出そうとした。美嘉は「いらない」と言うと、「着いてこないで」と表情のない声で彼女を拒否した。志希は「う」とひるんで、それでも「美嘉ちゃん……」と呟きながら美嘉の肘をそっと取ろうとした。 ばし、と腕を払われて、志希が持っていたゼリーが土の上にカップごと飛び散った。二人の向いからちょうどやってきた室内犬が低い声で唸りはじめ、その飼い主の子どもは慌てて犬を抱えると、足早に去っていった。 「どうせ、アタシがなんで怒ってるかもわかんないんでしょ」 美嘉に言われて、志希は答えを探そうと必死に頭を巡らせた。志希は半年ほどの彼女との付き合いの中で、何度も何度も美嘉を怒らせたことがあった。ふざけてわざと怒らせたことも、意図せず怒らせたことも、怒っている理由がぼんやりとわかるときもわからないときもあった。しかし今日ほど彼女を怒らせた理由が知りたいと思ったことはなかった。彼女がその魂の底から真剣に怒っていることがわかったからだった。 ほとんど一番に大事な友人にどうしても何かを言わなければならないはずなのに、なんと言っていいのかわからずに志希は下を向いた。 美嘉は、ふっ、と鼻で笑った。「……ごめんねも言わないんだ」と、掠れた声で言って、志希を見つめた。志希は何も言えずに眉を寄せて、何か見るべきものを探し、しばらく地面の上で飛び散ったゼリーが一列の蟻に運ばれていくのをじっとなぞっていた。やがて視野の端をかすめた何かに気づくと、ゆっくりと顔を上げ、その視点は美嘉の手に留まった。 志希は美嘉に駆け寄ると「ちょっと!」と美嘉が振りほどこうとするのに構わず、彼女の手を引いて近くにあった水飲み場まで連れて行った。蛇口を捻って水を出すと美嘉の左手をその下に寄せた。美嘉の手のひらは、文香に倒されたときに傷ついて、皮膚が人差し指の爪ほどの範囲でめくれていた。その傷口に、美嘉は冷たい水が触れたときに初めて気づいたのだった。桃色の皮下組織が乾いた土の下から現れて、「いつっ」と小さな声で美嘉は呻いた。志希は何も言わないまま、大事そうに傷口を水の下で何度か拭うと、綺麗になったその手に顔を近づけてよく確かめてから、美嘉を見上げた。 「なに?」と美嘉が言うと、志希は「バンソウコー、ない」と悲しそうに言った。美嘉はため息をついてタオルハンカチで傷口を拭いながら近くのベンチまで歩いていき、バッグを片手で探ると絆創膏を取り出して志希に渡した。それが自分の親指の付け根へと丁寧に貼られるのをじっと待った。 すべてを終えると、志希はほっと息を吐いた。美嘉は手を引いて「ありがとう」と言った。志希は美嘉におびえているかのように、何も言わずそのまま地面をつま先で軽く擦っていた。 「なんで今日、レッスンに来なかったの」と美嘉は言った。 志希はびくりと身を固くした。数秒のあとにもう一度、拗ねたように土をかき回し初め、やがて「……忘れてた」と一言言った。 はああ、と長いため息を美嘉はついた。 「……ちょっと勘弁してよー、ほんとにもー……あのさ」 美嘉は立ち上がると、ずっと地面を向いていた志希の視線をひらひらと治療の終わった手のひらで遮って上を向かせた。「何回も何回もチャットで言ったでしょ。明後日は最終確認だよー、明日は最終確認だよー! って。志希は全部振り覚えてるかもしれないけど、アタシは不安なの。文香さんは……」 美嘉は一瞬言葉を区切って、何か痛みに耐えるかのような表情をした。志希が不思議そうにそれを見つめているのを無視して、 「文香さんはかなりダンスが不得意だし、三人で合わせる機会はすごく大事だと思ってる。明日からの本番で、失敗しないように」 新たなため息が美嘉の口から音もなく出ていった。 「……ま、ほんとは志希もちゃんと分かってるよね……」 美嘉は志希の青い目を覗き込んだ。「なんで、忘れたの? なにかすごく大事な用事があったの? それでいつもみたいに頭からスポーンって抜けちゃったんでしょ」 はく、と志希の口が動いた。「怒らないから、言ってみな」と美嘉は小さな笑みを口元に浮かべて言った。 長い沈黙があった。 「……マ、ママ、に……呼ばれたの」と、志希は途切れ途切れに言った。 「……どういうこと?」 「……あの、ママ、今日東京に出てきたから、それで……最近はどうしてるのって、何か変わったことない、って、電話で……言われたから……あ……」 志希はベンチに座ったまま、美嘉を見上げていた。彼女の顔が変わっていくのを、どうすることもできずに見つめていた。そして、「死ね」と彼女に言われたとき、もともと白かった顔色はまっしろに変わって、口元は悲鳴の形を作り、首だけが二、三回、静かに振られた。 「馬鹿みたいじゃん」と美嘉は言った。 「アタシ、馬鹿みたいじゃん!」と、叫んだ。絆創膏が貼られたばかりの握りしめられた拳が、ぶるぶると震えていた。 「ほ、ほんとに呼ばれたんだよ! ほんとだよ!」と志希が必死の声で言うと、「アンタアタシにお母さんは死んだって言ったでしょ! それも忘れたって言いたいの!?」と美嘉は叫んだ。 小さく風が吹いて、二人の頭上を覆うクスノキの枝がざあっと揺れた。激しい太陽の光が木々の間から顔を出し、呆然と立ち尽くす志希の姿をつかの間、真実を暴くかのようにぎらっと照らした。怒りのあまりに美嘉の声は震えて、両眼には今にも溢れ出しそうなほど涙が溜まっていた。 「志希、マジ、なんなの? 全部ウソなの? ……沖縄で同じ部屋、泊まってさ、アイドル楽しいね、ずっとやっていきたいねって語って……あの夜……」 光る瞳を残酷な形に曲げて、志希を睨みつけたまま、ぐ、と言葉に詰まり、また口をひらいた。 「アタシだけが本当のこと言ってたの? アタシだけがアンタに騙されて馬鹿みたいに身の上話して……ねえ、志希」 美嘉は笑った。途轍もない悲しみを隠して、涙を零しそうになりながら笑っているので、志希はその凄惨なようすにほとんど耐えられなくなり、く、と唇を噛んだ。 「志希、アタシのこと馬鹿にしてるでしょ」 「してない」 「馬鹿にしてる! アタシの何もかもを、志希は絶対馬鹿にしてる! 馬鹿だ、馬鹿だ、真面目に人生語っちゃって、アイドルなんて真面目にやってって、馬鹿だって!!」 「馬鹿になんかしてない!」 「もういい! 志希なんか死ね!」と言って踵を返すと、美嘉はそのまま早足で歩き始めた。 「……なんでそんなこと言うの……」 志希がそう声をかけたとき、美嘉はついに両腕のすべてを使って志希からは見えなくなってしまった顔を拭った。とうとう溢れ出した涙を、どうにかしようと努めながら、その場から消えゆこうとしているようだった。去っていくその背中を見つめて、「ほんとなのに!」と志希は叫んだ。ぐっと涙をその瞳に湛えて、「あたし、ママいっぱいいるんだもん、ほんとだもん。い、今のママに呼ばれたんだもん!」ともう一度叫んだあとも、美嘉が脚を止めないのを見た。 そして、何もかもが決壊した。 「美嘉ちゃんの馬鹿ー!」と大声で詰ったあと、志希は子供のように泣き出した。嗚咽しながらぽたぽたと地面に落ちていく涙の粒をどうにかしようともせずに、ぎゅっとカーディガンの袖口を握りしめたまま志希は泣いていた。ああーという長い泣き声は公園の隅々まで響いて、遠い通路から脚を止めて彼女を見ている人々が何人もいた。志希はそのまま泣きながら立ち尽くし、葉の間の小さな隙間から漏れる燦然とした光を全身に点々と受けていて、やがてそのままどこかへとふらふら歩き出した。美嘉とは違う道を選び、泣き声のトーンをまったく落とさないまま十メートルほど歩いたところで、早足で戻ってきた美嘉が志希に追いつくと、その両手を握って「ほんとなんだね」と言った。 「ほんとだって、言ってるのに!」と志希は言って、振りほどこうと少しだけ暴れた。 「わかった」 美嘉はもう泣いてはいなかった。しゃくりあげる志希を、前からぎゅっと抱きしめて、後頭部をやさしく撫でながら「ごめんね、信じなくて」と耳元で囁いた。そのまま火を放ち続ける石炭のような志希の感情が落ち着くまで、目をつむって抱き続けていた。
子どもたちの陽気な声が空へと抜けていった。美嘉と志希の二人は疲れ切って、出口近くの噴水の縁に座り込み、一歩も動けずにいた。志希は赤い目をして、ぼうっと噴水がきらきらと落ち始めた太陽の光を反射するのを眺めていた。時折、彼女はきらりと美しく輝いた。美嘉はじっとその顔を見つめながら、 「志希のお母さん……いっぱいいるのね」 さらさらとした水音に、志希は沈黙を乗せて答えた。 「何人いるの、お母さん」 「……わかんない。もう数えてない」 はあーっと、美嘉は呆れてため息をついた。「ちょっとそれホントでしょうね……」と呟いたあと、テレビヒーローの真似をしながら追いかけっこをしている小さな子どもを眺めながら、「アタシにはわからん世界だなー」と言った。 「お母さんと、何の話してたの?」 「今度、焼きハロでやるライブ、インターネットとかで流れるかもしれないよって。だから見てねって」 「おーっ、いいじゃん」 「言おうとして……なんか怖くて、話せなかった」 がくっと下を向いて、「すっぽかされ損じゃん、アタシ……」と、美嘉は軽く笑った。 拗ねたようにずっときれいな水の流れを見ている志希を、美嘉はもう一度見上げた。きっとこの子は、どこかの喫茶店でお母さんと話しているときもこうなんだろうなと思った。目の前で起きていることに、とことん興味のなさそうなその視線。たどたどしい返答。退屈そうにほうっと吹かれる、ただ生きるための微かな吐息。だがその中心で、何かを求めようとする強い願いが燃え盛っているのを、少なくとも美嘉だけはもう知っていた。 「美嘉ちゃんはさー」 「ん?」 「美嘉ちゃんがアイドルやってるのをすごーく見てほしい人っている?」 「んー、このアタシを日本中に見せつけてやろう! とは思ってるけど」 「うまくできてる?」 「どうだろうね」 美嘉はくすくす笑った。「努力はしてるよ。マジで」 「……あたし、アイドルやっててほんとにいいのかなー」 「���んで?」 志希はゆっくりと美嘉の方を向いた。水面が彼女の顔を怪しく照らしていた。 「ママ、あたしがアイドルやってるってこと、知らないんだ」 またそのパターンかー! と美嘉は思った。くうー、と下を向いて、ガシガシ頭を右手でかきむしったあと、 「あのさ、実は文香さんも――」 ぐううう、ととてつもなく大きな音が美嘉の声を遮った。着崩したシャツのおなかのあたりを抑えて、志希は少し悲しそうに美嘉を見た。美嘉はしばらく目をぱちぱちとさせていたが、にこりと笑うと、「アタシの家、行こうか!」と陽気に言った。 「美嘉ちゃんのアパート? 手料理?」 「手料理は正解。アパートは不正解」 美嘉は勢いよく立ち上がると、志希に手を差し出して「行こ」と言った。志希は吊るし売りの人形のように美嘉を見上げたあと、弱々しくその手を取った。
「なんか、幼稚園みたい」と志希は言った。 『児童養護施設 飛翔』と書かれた看板の横の壁に、子どもたちがペンキで描いた絵が連なっていた。志希はそれに顔を近づけながら「美嘉ちゃんはどのへん描いたの」と聞いた。 「その壁建て直したのけっこう最近だから、アタシのはないよ」 「なあんだ」 つまんないの、と言いながら、志希は熱心に横歩きをして、壁をじっと見つめていた。美嘉は腰に手をかけると、ふふ、と笑って、何棟もの宿泊棟へと視線を移した。裏庭で遊んでいるのだろうか、姿の見えない子どもたちの声が建物に反響していて、美嘉は活気を感じた。 「おっ、美嘉ねえじゃん!」 遠くから声をかけられて、美嘉は志希の先から歩いてくる少年のほうを振り向いた。志希もそれに気づいて、壁から離れると美嘉の後ろにさっと隠れた。 「トオル、今部活終わり?」 「そうだよもー、めちゃつかれた」 巨大なバッグを背負い直すと「昨日ぶり〜」と言ってトオルは美嘉に上腕を差し出した。ごつ、とぶつけて「いえい」と二人は親しげに声を合わせた。 「美嘉ねえの友達? こんちは」と、トオルは子供らしさの微かに残る笑顔を志希に向けた。 「トオルは志希の二個下だよ、バドミントンがうまいんだ」と、美嘉が志希に紹介すると、志希は「こんにちは、一ノ瀬志希です」と小さな声で挨拶した。差し出された大きな手を恐る恐る握る。 「志希はねー、アイドル仲間」 「うおー、マジか!」 トオルはぱあっと顔を輝かせると、「一ノ瀬さん、お会いできて感動っす!」と言うと、握ったままの手をぶんぶん振り回した。志希はあうあうと焦ったあと、さっと美嘉の背後にもとのように隠れてしまった。 「ちょっとアンタ、あんま乱暴しないでよ。つうかアタシも一応アイドルなんだけど、なんだと思ってんの?」 「やー、本物はやっぱ全然違うね! めちゃかわいい!」 「あんま調子乗ると彼女に言いつけるよ。昨日ライン交換したんだから」 「すみません、やめてください」 神妙な言葉とは裏腹にあははと笑うと、トオルは口元に手を添えて、小声で「ほんとは初彼女のことみんなに自慢しにきたんじゃないの〜?」と美嘉に囁いた。 「初彼女……」 志希は目を丸くした。数秒ほど固まった美嘉は全身を真っ赤にして「んなわけないでしょ! バカ!!」と叫び、既に宿泊棟のほうまで逃げていたトオルを追いかけていった。 「昨日のお返し〜! 美嘉ねえのアホー!」 トオルが宿泊棟に駆け込むと、はー、とため息をついた美嘉はとぼとぼと戻ってきて「ごめんね、バカで」と志希に謝った。 「美嘉ちゃん、昨日も来てたの? よく戻ってきてるんだ」 「ん? んー、今日はほんとにたまたまだよ。アタシは家が場所的に近いからすぐ来れるっちゃ来れるけど、フツーは一回外に出たら、あんまり戻らないかな」 「なんだか、不思議な家だね」 志希の正直な感想に、美嘉は少しの間黙った。黄金に色を変えつつある太陽光線が、ピンクに染められた髪を掠めて志希の瞳を焼いたので、志希は微かに目を細めた。「そうかもね」と言って、美嘉は猛烈な光の中心で笑い声を上げた。 「さて……チサはどこにいるかな……」 美嘉は志希を促して敷地の中を歩いていった。何人もの子どもたちが美嘉を見つけると親しげに挨拶をして、志希はそのたびにたどたどしく自己紹介をした。女の子たちばかりが遊んでいる場所をいくつか通ったあと、美嘉はついにちいさな図書室の暗がりで、赤い絨毯の床にぺたりと座って図鑑を読んでいる女の子を見つけた。 「チサ」 図書室の中にはほかに誰もいなかった。からからと引き戸を大きく開けながら、小声で美嘉が彼女の名前を呼ぶと、チサは顔を上げて、「美嘉ちゃん」と嬉しそうに言った。 「あさ、起きたら美嘉ちゃんいなくて、悲しかった」 「あはは、ごめんね。お仕事があって忙しかったんだ」 「そっかー……」 チサは下を向いて、「わがまま言って、ごめんなさい」と言った。「昨日の夜、アタシに帰るなってみんなが言ったこと?」と言いながら、美嘉は靴を脱いで中庭から図書室へと上がった。 「大丈夫、遅刻とかはしなかったから」と、チサの頭をぽんぽんと叩いた。チサは悄然として床を見ていた。美嘉は苦笑いを浮かべながら「さて」と言った。 じゃじゃーん、と、美嘉は大きく手を広げて志希を指し示した。 「アタシが連れてきた、この子は一体誰でしょう!」 「……知らないおねえさん」 「や、まあ、見たことないだろうから、そうなんだけど」 「美嘉ちゃん」 志希も訝しげに美嘉を呼んだ。美嘉は志希に向かって笑みを浮かべ、 「覚えてない? 夏休み子供アイドル相談室で、石鹸のつくり方を聞いてきた……」 あ、と志希は声を出した。 「そうか、キミはあの子か」と、靴を脱ぎながらふふ、と笑うと、急に自信に満ちた態度で図書室に上がった。膝で立って目線を合わせ「こんにちは」と挨拶をすると「一ノ瀬志希です。夏休みのラジオ番組で、キミの質問にこたえたのは、あたしだよー」と言うと、床に置かれていたチサの手にそっと触れた。 チサはぼうっと志希を見ていたかと思うと、ぱあっと顔を輝かせた。「石鹸、できました! あぶないって言われたところは先生たちに手伝ってもらって――」と、流れる川のように喋り始めた。やがていくつかのあらたな質問が溢れ出て、志希はそのひとつひとつに丁寧に答えていった。美嘉は微笑みながら二人のようすを見ていたが、志希に「ご飯作ってくるから」とひとこといい添えて、図書室を出ていった。 中庭を楽しげな長い影が、小さな鼻歌と共に横切っていった。
「ハンバーグ美味しかった? 時間かかっちゃってごめんね」 「ううん。みんなとお話してたから、楽しかったー」 皆に挨拶を済まし、二人は施設をあとにしていた。日はすっかり暮れて、薄暗い中に街灯がぽつぽつと点いていた。志希はカーディガンのポケットからセロファンの袋に包まれたマーブル模様のきれいな直方体を取り出すと、街灯にかざしてほうっと息を吐いた。 「いいなー。それ半分に切ってアタシにもちょうだいよ」 「絶対だめ」 「ええー」 けち、と言いながら、美嘉はとても嬉しそうに笑った。志希は赤く細いリボンを少し緩めて、すっとその香りを鼻腔に満たした。 「ダージリン、ヘーゼルナッツ、ハニー。このブラウンはココアか……」 しばらく余韻に浸ると、大事そうにそれをポケットに戻して、 「きっとこれで身体を洗ったら、お菓子みたいになっちゃう」と言うと、泡だらけになった自分を想像したかのようにふふふ、と笑って、くるっと回った。 「美嘉ちゃん、ありがとう!」と美嘉の目を見て言い、また歩き出した。美嘉は驚いてしばらく立ち止まっていたが、「びっ……くりしたあ。志希がお礼を言うなんて……」と、あとを追った。 「次はごめんねが言えたらもう一歩成長かな……ていうか、元気が戻ってよかったよ」 「んー、どうだろにゃー」 志希は機嫌の良い子どものように大きく手を振って歩く。しかし、目を細められ、口元は��い冷笑を作っているのがわかった。いつまでも消えないそのアンバランスさがひどく哀れに思えて、美嘉は悲しくなった。 「ママ……ママたちね、きっとみんな、あたしのこと嫌いだと思う」 「……なんで?」 「みんなあたしがほんとうの子どもじゃないということを、おなかの底からよくわかってるんだと思う。だから嫌いなの」 「……そうかなあ」 言葉を区切ると、近くの草むらで秋虫が鳴く声がはっきりわかるようになった。美嘉は次の街灯が自分の身体を照らし始めるところまで黙って歩いた。 「アタシは逆に血縁のことなんて信じてないから、もっと大きなつながりのほうを強く信じてるよ。だから志希は大丈夫だと思うんだけど」 「大きなつながり?」 「愛だよ、愛」 「うっわ」 恥ずかし、と茶化すと、にゃははと笑った。 「まー、よくわからないけど、今日のあたしは、アイドルできてた! すっごく嬉しかった!」 たたっと走って、次の街灯に先にたどり着くと、 「だから、あたし、アイドルを馬鹿になんかしてないよ。美嘉ちゃんのこと、馬鹿になんてしてない」 「もー、わかったから」 その街灯に美嘉が歩み寄ったので、二人はお互いがはっきりと笑っていることを知った。 「早いとこお母さんに言いなよ」 「努力しまーす」 「ったく、保護者の同意書どうやってくぐり抜けたのよ」 「署名のギゾー」 何かを言いかけた美嘉はぴた、と止まって、数秒してから「忘れてたあ……」と座り込んだ。 「なになに、なにかトラブル?」 「今日の練習、文香さんも来なかったんだよ」 「ほほー」 「午後に文香さんち行ったんだけど、『親にやめろって言われたから、アイドルやめる』って言われちゃって」 「あは〜ん、で、それを今の今まで忘れていたと」 志希はふむふむ、と何かを考える振りをしながらくるくると視線を動かしていたが、やがて、「美嘉ちゃんは、馬鹿なのかにゃ?」と言った。美嘉はゆっくり立ち上がると、思い切り振りかぶった拳を志希の頭に振り下ろしながら、「お前が言うなっ!」と叫んだ。
その駅のホームに降り立ったとき、志希はすうっと一息空気を吸い込んで、立ち止まった。「どうかした?」と美嘉が聞いて、志希は首を振ってこたえた。炎が暴れ狂う匂いだ、と志希は思った。どこかでだれかの財産と生命が、燃えているのだ。蛍光灯に照らされながらとんとんと階段を降りていく、志希の顔は暗い。 東口を出ると、美嘉は「ちょっと、とりあえず作戦立てよ、作戦」と言った。 「ファミレスはそこにあるけど、えーと……」と、スマートフォンを取り出して操作していると、志希は「美嘉ちゃん」と遮った。 「文香ちゃんの家って、あっちのほうだったりする?」 「ん、んー? 多分そうだと思うけど……」 志希が指さした方で、空や建物が恐ろしげに赤く照らされているのが美嘉にもわかった。遠く、何台もの緊急車両のサイレンが聞こえた。「行こう」と、微かに不安の滲む声で、美嘉が言って走り出したとき、志希はその場で過去の体験がぐわあっと自分を追い越していくのを感じた。あの燃え盛るりんごの木々、てんてんとボウルに血液が落ちる音、本に生えたかびの臭い、錆びた鉄の味、床に捨てられたママの美しかった瞳が、恐怖に歪んであたしを見ていて、彼女はその口を開き「いい子」と――。 「志希!」と激しい声で呼ばれて、はっと顔を上げた。「くっ」と声を漏らすと志希は美嘉を追って走り始めた。 やがて、二人はその家にたどり着く。 「嘘でしょ……」と美嘉は最後の角を曲がると呟き、志希は「ああ」とその激しさに絶望して、声を上げた。 分厚い人垣の向こうで、鷺沢古書店は燃えていた。屋根は柱を何本か残して既に落ち、二階にあったはずの文香の居室は跡形も無くなっていた。一階の店舗部分からは今もめらめらと恐ろしい勢いで炎が吹き出し、庭木のいくつかはすべての葉を落としていた。太い電線がまさしくちょうど焼け切れて、ばぢん、という何かを切り落としたような音が辺りを裂いていった。何もかもが燃え尽きていく凄まじい臭気が空間を満たしていた。 美嘉がだっと駆け出して人混みをかき分け、そこに近付こうとすると、すぐに警察の張った黄色い規制線に遮られた。開けた周囲をぐるりと見渡し、救急車、消防車、警察車両がすでに到着して、必死の消火活動が行われていることが分かった。 「すみません!」 美嘉はテープを広げようと忙しく働く警察官に声をかけた。「危険だから、少し下がって!」と強く言われた。 「友達が、住んでた家なんです! けが人とか……どうなったのか教えてください!」 「なんだって……近所の人には、持ち主が帰ってこない空き店舗だと聞いたけど」 その警察官が無線でどこかへ連絡し始めたとき、美嘉はぎゅうっと両手を胸の前で組んだ。文香がまだ見つかっていないということがはっきりと分かったからだった。 「お願い……」 美嘉の開ききった目は燃え盛る火宅をじっと見つめ、震える喉からは悲しい祈りが漏れ出た。そうやってぼうぼうと踊り狂う炎が何もかもを奪っていくのを、力無く見守っていた。祈ることしか、彼女にはできなかった。 志希は、そうではなかった。 志希は美嘉が背中を丸めて、全霊で何かに祈っているのを見つめていた。やがて、ふ、と踵を返すと、元来た道を走って戻った。冷���い空気が肺で暖められて、彼女の周りに形無くたなびいていた。いくつもの街灯が、規則的に彼女の冷静な顔を明滅させていた。角へと立つたびに、彼女は、すん、と鼻をうごめかした。 四つの角を曲がり終わると、彼女は人通りの少ない道へと出た。誰も目にすることのない狭いビルとビルの間で、やがて志希は目的のひとを見つけた。 かちゃ、と、ノブが回される音が鳴った。 乱れた呼吸を、ふ、ふ、と戻すように努力して、志希はその奥を見つめながら、ふ、と自嘲気味に笑った。 通る者のいない路地を囲む植木鉢と、枯れた植物の奥、トマソンと化したドアの奥、ブゥーンと低い音で鳴る室外機、ゆっくりと回るガスメーター、なにかよくわからない液体の汚らしい流れと、何年もの間繰り返し捨てられて拾うもののいない缶や瓶のごみのさらに奥に、まさにそこに、文香はいた。 焼け焦げて濡れたストールに身を包んで、服も炭で汚れていた。背を壁にぴたりとつけ、地面に座り込み、小さな空間で彼女は一心不乱に広げた本を読んでいた。角が焼けてしまったその青い表紙のソフトカバーを、文香はまるで数日ぶりの食事をしているかのように、大事そうに一行一行をなぞっていた。志希が目の前に現れたことにも気づかない様子で、時折その文を小さく声に出して読み上げていた。 そして、今や彼女がふつうの人間ではないことは明らかだった。その頭で、猫のような大きな耳が揺れていたからだ。 文香が感覚の一切を集中してその本に身を投じているのに、その耳だけが別個の意志を持っているかのようにく、く、と動いた。志希がちり、と音を鳴らして耳に下がっていたピアスを片方外すと、文香の右耳がこちらの方を向いて、あたかも獲物を凝視する一匹の肉食獣であるかのようにそのまま止まった。志希はピアスについていた小さなアンプル状の装飾をぱきっと砕いて開けながら「キミも、そうだったんだね」と文香に向かって言った。 瓶の中で、ぬらりとした液体が怪しげに揺れていた。 パトカーが一台サイレンを鳴らしながら現れて、志希の姿をばあっと照らした。その光を志希は一瞬眩しそうに見つめて、そのまま猛スピードで通り過ぎていくのを目で追った。 文香のいる谷間に一歩入りこんでから、志希は液体をこくりと飲み干した。志希の身体は、それで仄かな緑色に光り輝きはじめ、両側の壁面を美しく照らした。 ぴちゃ、ぴちゃ、とローファーで汚水を踏みしめて、志希はその隙間のもっとも奥へとたどり着くと、文香の頭をやさしく撫でた。彼女の頭で、ぴ、ぴ、と大きく動いていた耳は、志希が両手でそれをそっと包んで、何事かを唱えながらゆっくりと触っていると、やがて透明になっていき、消えた。 「あたしたちみたいなのが、アイドルだなんて、笑えるよ」と言って、志希はほんとうに笑った。 文香は志希のやわらかな光にようやく気づいたのか、顔を上げると「志希さん」と言った。 猛烈なスピードで近づく電車の前にみずから佇む人は、頭の中が後悔でいっぱいになり、自分がなぜそこにいるのかついには理解できなくなる。それと同じように、文香は何もわからないようすで志希の表情を反射するかのように笑みを浮かべた。口元は笑っているのに、すだれのようにすべてを覆い隠す前髪の奥で、ロシアンブルーのそれのような瞳が彼女の魂を映しているかのように悲しげに瞬いていた。
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『万引き家族』の感想
今回は是枝裕和監督の『万引き家族』。カンヌのパルム・ドール受賞ってこともあってミーハー心をくすぐられたオレはさっそく先行上映で観にいきました(1回鑑賞)。 自分の是枝チェック度というと、『空気人形』『そして父になる』『海街diary』『三度目の殺人』は観てて、どれもそこそこ好きって感じです。 で、この『万引き家族』なんですけど、役者さんの演技もいいし、映像もいいし、いつもどおりの抑制の効いた感じというか、ジリジリするあの感じも好きで、良い作品…のような匂いはする…、と思いつつも、なんだか腑に落ちないところがいろいろあるなぁ、って感じで(これは『三度目の殺人』でも似た印象)、観終わった後あれこれ考えれば考えるほど、不満が出てくるという(よくある)タイプの映画。 なので、軽く褒めつつも、そのひっかかるところを消化してみようと思ったしだいです。書いてるうちに考えがまとまることってあるからね。
▽いちおう軽いあらすじと人物/キャストおさらい 東京の下町の超ボロボロの家に暮らすとある底辺一家。おばあちゃんの年金と、わずかの労働、そして万引きによる食料・日用品の調達による合わせ技で暮らしていた。ある日、近所の団地の廊下で部屋から締め出されている幼い女の子をみかねて連れ帰ってしまうが…。 ・おばあちゃん 初枝/樹木希林 ・治/リリー・フランキー ・治の“妻” 信代/安藤サクラ ・信代の妹 亜紀/松岡茉優 ・治の“息子” 祥太/城桧吏 ・連れてきた女の子 じゅり/佐々木みゆ
▼家のよさ 劇中で一家が身を寄せ合って暮らすガチでボロボロの家。映画を観ながら「このガチで汚ぇ感じは美術スタッフのエイジグじゃなくてガチかな」と思ったら、やっぱりスタッフが都内で探し当てたガチのボロボロの家だそうです。セットじゃない、と。このちょうどいい家が見つかったってのが、この映画の見た目的な部分での成功に大いなる貢献をしてるし、「こんな家入ったら絶対めちゃめちゃ臭そうだな」っていう、ふすまの汚さ、風呂の汚さ。うっそうとした庭木が秘密の家庭を隠している感じ。どれも良好。なんというか、こんなボロ汚い家が都内にまだ残ってるし、「空き家問題」なんてものありますけど、そういう日本が抱えてる、まだ解決し切れてない負の遺産みたなのの象徴っつーか、それを映画のセットとして実際に使うことができたってこと自体がひとつ象徴的な出来事みたいにも思えます。
▼で、演技の良さ なんといっても、保護された女の子「ゆり/じゅり/りん」役の佐々木みゆちゃんの、あのなんとも言えない“顔”の感じがめっちゃ良いですよね。あと、髪型も。「マジでどこかで拾ってきたのか!」という感じもある。みゆちゃん最高です。めちゃめちゃかわいい。 あと、ババア役の樹木希林。入れ歯ナシモードでの参戦ということで、���ジでいつもより数倍老けて見えるし、目つきのヤバみもいつもよりも数段上って感じで、観てて本当に「マジでボケてて、マジですぐ死にそうだな!」という感じ。観る前は「映画でババア出てくるときは全部樹木希林かよ、またかよ」って正直思っちゃったところもあったけど、観終わったあとでは「ババアの完成形だな!」というよくわからない感想を抱きました。(それでもやっぱりまたかよ感はあるんですけど…) あと、安藤サクラ。劇中で、警察との会話シーンとか、クリーニング屋の同僚に「バラすぞ」の話をされるときとか、カメラが真っ正面から安藤サクラを捉えて、とてもデリケートで説得力のある芝居をしなきゃいけないシーンを、ちゃんとやってて(当たり前だけど)、素直に、うーんよくやり遂げたなぁ、えらいなぁと思いました。“リアル”と言っていいのかわからないけど、是枝映画全体の雰囲気からして、そこいらの映画とは一線を画した、生々しくてジリジリする演技をしなきゃならないわけで、それをちゃんと受け止めてやり遂げられる役者さんってことで、すごいなと思いました。 あと、池脇千鶴の太り具合がよかったです。
▼で、けっきょくイマイチ じゃあ自分的にいい映画だったのかと言われると、やっぱりイマイチだと思ってて、それは、けっきょく何が言いたいのか、なにを提示したかったのかがボンヤリしてる印象があるから。『そして父になる』の方がまだ明確でよく伝わってくるものがあったのに対して、この映画って、なんだろう、「万引きはいけません」ってことが言いたいわけじゃないでしょう?「罪でつながる家族があってもいいじゃないか」という方面のメッセージを伝いたい部分もあるのかもしれないけど、そんな気持を喚起させるような描写、つまり、観客が罪を重ねる登場人物たちに“同情”する、まさに“情状酌量”する部分がちゃんと伝わってこないからだと思うんです。あの境遇に追い込まれる不可抗力の感じが伝わってこない。 そもそも、あの夫婦(実際には夫婦じゃないけど)の子ども「祥太」は、自分が理解した範囲だと、 「ある日、パチンコ屋の車を車上荒らししたら、中に幼子が放置されているのを発見。子どもが居ることを知らせると自分が車上荒らししたことがバレるし、治と信代は、子どもが欲しいけど子どもができない状態なので、つい連れてきてしまった」 ということだと思ってます(違ってたらごめんなさい)。 ある程度はその心情もわかります。車に放置するような親のとこにいるよりもマシだろう、って言い訳なんですけど、それはそれで誘拐だし、もっと不可抗力的な状況で二人が追い詰められているなら同情の余地はあるんですけど、自ら行った犯罪であるし、むしろ子どもが、夏のパチ屋の駐車場で熱中症で死にかけていたから、というのをひとつの“自分たちへの言い訳”として誘拐を正当化してしまうという心の弱さが発端で、あんな窮屈な暮らしをしているわけで。リリー・フランキー効果もあって、一見そんなに憎めないような存在に描いてはいるけど、実際はほんとうにただのヤバい奴なんですよね。だから、同情の念が起きにくい、と。 「二度目の誘拐」であるじゅりちゃんの保護も、たしかにいっぺん返しに行ったし、じゅりの家庭は���グレクトというかほぼ虐待状態でめちゃくちゃ、それは確かにわかるけど、それも結局、自分たち、とくに信代の側の、子ども欲しい欲(美しく言えば、どうしても捨てきれず、抑えきれない母性)により、リリー・フランキーはけっこう返す気持が強そうだったところを、半ば強引に連れ帰ってきてしまったわけで。 確かに、じゅりちゃん自身も、あの万引き一家の方を選んだってことで、実の親がヒドい場合は別の家庭で生きていくほうが全然マシ、─その辺は『そして父になる』の変奏でもあるんですけど─、それは確かにそうだとは思うんだけど、判断力がちゃんと育ってない子どもへのむちゃくちゃな2択だけで“選んだ”ってことにしちゃうのは、かえってとてつもなくヒドい無責任さの表れであって、だってあのまま育てたとして、じゅりちゃんの将来どうすんの? 信代のセリフで「選んだ絆の方が強いんじゃない?」と言うけど、いや、ただの誘拐なんだし、そんなニコニコしながら爽やかに言うセリフでもないからね…って感じがして。 治と信代がもっとちゃんと育てるならわかるけど、万引きさせて、身分もちゃんと名乗れない状態になって、将来性ゼロじゃないですか。一時避難的に元の虐待家庭から遠ざけたとしても、ただたんに「別の種類の地獄」に変化してるだけでね。それを映画ではなんとなくリリー・フランキーと安藤サクラの人の良さそう感でどうにか取り繕ってるけど、地獄には変わりないからね。そこは結局大人のエゴで振り回してるだけって意味では変わらないんですよね。だから不快に感じる人もきっと多いはず。 じゃあ、万引き一家にある程度の正当性を見いだすための対比として、“じゅりの家庭”がどれくらいヒドいのかについて考えたいんですけど、そのヒドさが映画としてちゃんと伝わってない(自分にはね)という感触があって、虐待受けてるならもっと火傷の跡とかあってもいいし、じゅり家の描写がほっとんどないから、「どう、どのくらいヒドいのか」がそれほどちゃんと伝わってこないんですよね。 そりゃまあ、火傷させたり、冬の日に部屋の外に出しといたりは、ヒドいですよ、でもかといって万引きさせて、犯罪者として今後生きていかせるのもいいのかよってことですよね。そもそも、一度でも児童相談所とか警察に連絡しようと思ったのかよって話。匿名でもいいじゃん連絡は。結局、あの一家を、本当の意味で救うのは、罪をちゃんとかぶることなわけで、警察に捕まってよかったねって話なんですけど、警察、とくに池脇千鶴をちょっと悪い人的に演出するあたり、是枝さんちょっと、印象操作ヒドくない?って思います、率直に。 というわけで、普通は(?)「万引き家族だけど、そんな家族になってしまったのは、いたしかたない状況によるものだし、それを除けば良い面もあるよね。かわいそう。。。」的なふうに受け止める映画なのかなーと思うじゃないですか。でもどうやらそうでもなくて、実は結局、「どっちの家族もクソ」という状況の映画なんですよね。そのくせに、あの一家をどこか一種の楽園的に描いているので、結果として何が言いたいのかよくわからない映画になってしまっている、と。 で、最後にこの万引き一家を破壊するのが、祥太くん。この映画の唯一の希望というか、本人曰く「わざと捕まった」ことで、万引き一家のすべてを崩壊させた、ラピュタで言うところの「バルス!」効果を発動させた男の子で、このコの存在がこの映画のキモというか、唯一腐りきっていないのは、ピュアな子ども。しかも、妹のような存在ができたことで、いつも自分がしている万引きという犯罪行為をちゃんと客体化して見ることができて(駄菓子屋のおじちゃんのこともあって)、それにより、このままじゃいけないって思ってくれたっていう、救いのあるヤツ。ちゃんと更生していい大人になって欲しい。 この「唯一正気なのが若いコドモ」ってあたりは、昨今の日大アメフト問題なんかがどうしてもオーバーラップしちゃって、結局大人はダメダメな人ばっかりだし、そんな中、若い人のピュアさが結局世の中を浄化していくんだっていう点が、僕がこの映画をみて唯一しっくり来たメッセージです。でも、だからこそ、映画よりも現実の方がわかりやすく善悪がわかれてたりするんだなぁって思っちゃって、よく映画とかでは「善悪はそんなに簡単にわけられないんだっ!」みたいなことを言いたがるけど、いや、現実の方がわかりやすく、ダメなやつはダメというか、日大の広報とか、紀州のドンファンの嫁さんとか、ものすごくわかりやすい漫画っぽいキャラじゃないですか、なんてことを最近のニュースを見て思います。映画という創作物の方がそれに負けてる。
▼「わざと捕まった」? …えと、でもこの祥太の「わざと捕まった」ってセリフも受け取り方がちょっと微妙なのがくせ者で…、捕まって家族に転換点を与えるのが最初から目的だった…、という解釈が基本ではあるんだけど、だとしたら、店を出てすぐに捕まってもよかったはずだし、わざわざ橋?から落ちて足をケガする意味がよくわからなくなってくる。じゃあ、「じゅりちゃんを庇うためにわざと」という限定的な意味に受け取るのだとすると今度は、治たち家族のことを本当に考えて、“コレではいけないと思ってワザと”捕まったっていう解釈で生まれる「美談の度合い」が弱くなってしまう、と。んー、どの段階でわざと捕まろうと思ったんだろう? じゅりを庇うためにとっさに店員の気を引いたのは確かだと思うけど、あんだけ疾走して逃げるんだから、その段階では逃げる気マンマンだったはずだし、ケガ覚悟で飛び降りたんだから、本当に最後まで逃げ切るつもりだったのかもしれない、ってことは、「わざと捕まった」っていう語りそのものが、治に反省をうながすためのウソなのかい?っていう風にも、考えることができちゃうし…、結局、是枝監督の見せ方が、ちょっと曖昧なために、なにをどう感動していいのかよく伝わりきらずにぼんやりしちゃってるところがあるんじゃないですか、っていう感想なのです。
▼お前はそれでも万引きのプロか そもそも、ディテールに対してのツッコミとして、まず生活の一部になってるぐらい万引を日常的にやっている“プロ”の万引き犯なら、万引きする前にあんなジェスチャーしない、と。これは観た人全員不自然に思うんじゃないかなー。あの指回しをしておでこに手をチョンってやるおまじないみたいな仕草ね。アレなに? 監督の配慮として「これから万引きしますよ~」っていうのを観客に周知するための装置なのかなんなのか知りませんけど、なんかすげー余計なことをやってしまったなって感じする。なくても別に映画としては成立するはずだし。店員の目を盗んで一瞬でヤらなきゃいけないことなのに、あれで3秒ぐらいムダにしてるし、万が一、人に見られてたら余計に不自然だし。映画全体がある程度リアルに、生々しく撮られているだけあって、そこだけ妙に浮いたムダな装置だなって感じ。あれで万引きシーンの緊迫感が削がれてると思う。もっともっと自然にササッと盗む方が、「完全にあの罪深い生活が体に染みついてしまっていることの悲しさ」みたいなのが出るんじゃないかという気もあるし。万引を日々行っているという設定のわりに、なぜか慣れてない感じが出ちゃってるし、どっちつかずなんだよ、そこも。
▼ごめん松岡茉優 どうやら松岡茉優のキャラクターは元々、もっとポッチャリしたキャラクターの予定だったようだけど、なんか知らんけど、普通にかわいい松岡茉優になっちゃったみたいです。そこは絶対に普通にちょいデブ(ブス?)のいかにもダメそうな女の子の方が悲哀があって良かったでしょう。ブスでメンヘラだから普通の仕事ちゃんとできないけど、とりあえずJK風俗で働いてます、根はすごくおばあちゃんコで優しいです、って方がよかったのになああああ。日和ったな。代わりのちょうどいい太めの女優が思いつかないので、これは無名な女優さんでも全然いいから、もっと哀愁ある女子の方がよかった。松岡茉優って普通にすげーかわいいだけじゃないですか。あの家庭からもわりと浮いた存在になっちゃってるからね。実際のところ。 あと、そのJK風俗に現れる4番さんこと、池松壮亮の描き方の雑さはなによ?具体的なエピソードなどなんもなしで、ただ泣いて「えー、あとは観客が各自に悲しい背景を想像するように」って、さすがに適当すぎる。なんだろう、この『万引き家族』って映画は当然、世の中のいろんな映画とかドラマの監督さんも観るだろうけど、「え!? あの是枝さんが手がけて、その程度でいいの?!ズルくない?!」って絶対に思うはず。意外と適当なところもある映画だな〜という感じ。
▼なにがダメだと思ったかのまとめ 「万引き一家も社会の被害者」と言うのであればその説明が不足だし、 「万引き一家はただの悪い奴」と言うのであればそのわりにポジティブな雰囲気で描きすぎだし、 結局、万引き一家って「そんなに万引きする必要がなさそうな境遇でもあるのに、臆面もなくヘラヘラと罪を重ねすぎ」ている存在って感じで、ただのヤバイやつらにしか思えない、そのくせになんだかいい人そうな雰囲気もある、と。 つまり、 祥太があの一家から抜け出すというクライマックスが観客に喚起できる感情として2つの方向性があって、 (1)クソダメな家族から抜け出せたという、“嬉しさ”のベクトル=観客にとってのカタルシス (2)良い家庭から引き剥がされてしまうという、“悲しさ”のベクトル なんだけど、あの家族は「クソダメ性vs良い人性」という、互いに打ち消しあってしまう要素がうまくミックスもせずにただ並列してるだけなので、(1)と(2)、どちらのベクトルの感情をも高めきることができず中途半端に終わってしまった、という感じです。 で、しかも、その矛盾ぷりが登場人物の実在感も下げていて、映画全体としては説得力がない。せっかくいろんな社会問題へと想いが広がっていきそうな要素を散りばめていながらも実はリアリティ不足で、ただの「是枝的要素を寄せ集めたただの作り話」って感じになっちゃてる印象。 この「(やってること��)悪い人だけど、(根は)良い人」っていうのをちゃんと成立させるためには、「やっている悪いことが、それ以外の選択肢がない、本人たちにとってどうしようもない境遇・不可抗力によるものである」という設定が必要になってくるんですけど、この映画ってそれを感じさせる部分があんまりないんですよね。治も信代ちゃんと仕事探して働けばいいし、じゅりちゃんのことも樹木希林とか民生委員を通じて通報でもすればいい。
▼次は全然違うテーマの映画でおなしゃす よく言えば、是枝さんはテーマが一貫してるってことなんだろうけど、「多様な(家族の)絆」映画ってもう何度もやりすぎって感じがするし「また、樹木希林とリリーさんか…」って内輪で廻してる感じ(福田組かよみたいな)も含めて、是枝さんが自分の過去作の要素を繋ぎ合わせただけみたいにも見えちゃうし。。。カンヌでの評価とは裏腹に、反復とコラージュで作られた惰性のようなものも感じちゃう。そうなると、やっぱりそのコラージュ元である『そして父になる』あたりの方が、作りが純粋なぶん、強度があるというか、自分としては断然、メッセージがちゃんと伝わってくるし、作品としてのまとまり感も高いと思います。なので、次回作はいっぺん全然違う方向性のやつをやってリフレッシュしてほしいっす。 ──────────────────── 『万引き家族』 http://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/ 監督・脚本:是枝裕和/撮影:近藤龍人/音楽:細野晴臣 出演: リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美、柄本明、高良健吾、池脇千鶴、樹木希林 (C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
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203 名前:名無しさん@1周年[] 投稿日:2015/12/04(金) 01:40:37.72 ID:zr42+0iR0 [5/8] 【おくちの恋人】 ロッテのもう一つの顔 ①http://ift.tt/1QjYROf
日本のニュースを見ていたらロッテの創業者の長男で 将来の総帥と見なされていた重光宏之(以下「長男」と略) が今月末にロッテ建設の社長の座を失う予定だとのニュースが出ていた。
さらに長男は去年からグループ十数社の役職を外されていて、 その理由は組織の再編とか言われているが、本当のところは誰にもわからない・・ などとはっきりしない記事の終わり方をしている。
これを見た筆者は「まだ日本のメディアは知らんぷりを決め込んでいるのか!」と呆れてしまった。
ロッテ長男が日本から韓国への巨額の不正送金に関与した罪で 韓国の検察当局から起訴され これがロッテの裏の顔が露呈する切っ掛けになるかもしれないため 父親の重光武雄会長がトカゲのしっぽ切りをしていることは 韓国では既に衆知の事なのだ。
ところが日本のメディアはこの一大疑惑に完全に沈黙しているばかりか 国民の目をあらぬ方へ向かせようと読者を馬鹿にした記事を書いてお茶を濁しているのである。
まったくグーグルの翻訳機能のおかげで世界中の情報が簡単に読み取れるようになったと言う事実を 日本のメディアはちゃんと理解してんのかね・・と思わず笑ってしまう。
今回はロッテの創業時期、つまり戦時中に重光重雄青年が 早稲田の理工学部(の前身の学校)に留学生として渡航し そして1950年には新宿百人町に巨大なロッテ本社工場を設立してから 10年くらいの期間にロッテは何をやっていたのか? について書くことにする。
全ての答えはここにあるからだ。
終戦から5年後の1950年には新宿区百人町にロッテの本社工場を設立したのだ というところで重光会長の創業時のエピソードが締められているのだが はっきり言うとこれらは全て脚色されているかウソッパチなのである。
そしてロッテの最初の10年のウソを剥ぎ取って見れば 何故ロッテは戦後ずっとアンタッチャブルな存在だったのかが自ずと見えてくるのだ。
その答えを言うと、それは彼の同郷の志である朝鮮人たちが 戦勝国民として新宿や上野の闇市の一部を仕切っていたからであり そして何よりも重光会長が化学屋だったことに大きく関係しているのである。
もちろん闇市で売られた芋や闇米、カストリと言われた粗悪な酒などを 大学卒の化学屋が作るわけもなくて もう少し専門知識が必要でもっと金になるもの、つまり 覚せい剤の製造がロッテ創業時の収入源だったのである。
236 名前:名無しさん@1周年[] 投稿日:2015/12/04(金) 01:44:44.68 ID:zr42+0iR0 [6/8]
【山手線車内にまで漂う異臭】 ロッテのもう一つの顔(2)http://ift.tt/1lBn0nJ
ロッテが新宿百人町に工場を構えたのは ちょうど覚せい剤取締法が施行される直前であり 終戦直後の隠匿薬物の大放出で日本中にヤク中が一気に増えていたから 覚せい剤の密造は大変美味しいビジネスであった。
ただし重光武雄はあくまで実業家になるのが夢であり、 覚せい剤は副業としか思っていなかったのだが 当時日本の銀行は朝鮮人に金を貸すことはまず無かったので 資金の手当てのために他に選択肢が無かったようである。
なおこの百人町工場の土地は正式に購入したわけでは無くて 海城学園と言う海軍士官学校の予備校の敷地の一部を不法占拠してそのまま居ついただけ なのだが、この実行部隊は重光の覚せい剤ビジネスの元締めである東声会という 朝鮮ヤクザである
会長は町井久之と言って度胸と才覚で部下数千人を構える大物組長だが 町井はもう一つ南朝鮮を支持する在日本大韓民国民団(以下「民団」)の幹部と言う別の顔も持っていた。
北朝鮮系の朝鮮総連の悪評があまりに高いため民団については余り知られていないが 思想主義を別にすれば権利闘争と脱税などやってる事は朝鮮総連とほとんど同じである。
当時の在日朝鮮人はまともな仕事���付けなかったから ヤクザと民団と如何わしい業者は一枚岩のようなものであり 父ちゃんはバッタ屋で母ちゃんは民団の活動家、 息子はヤクザで娘は上野のキャバレーのホステスなんてのはザラにあったのだ。
チューインガムでそここそ成功を収め始めた重光も 町井の元締めヤクザの勧めるまま民団の商工人として活動していくことになるが 反日でコチコチに頭が凝り固まっていた李承晩大統領が失脚し 少しばかりごたごたが続いた後で1961年に親日派で軍人出身の朴正煕が政権を奪取すると これまで韓国政府から裏切り者と見なされていた民団が俄かに脚光を浴びることになる。
朴正煕が真っ先に手を付けたのは 立ち遅れた韓国経済発展のために日本との国交を結ぶことであった。
255 名前:名無しさん@1周年[] 投稿日:2015/12/04(金) 01:47:06.22 ID:zr42+0iR0 [7/8] 【新大久保異臭】 ロッテのもう一つの顔http://ift.tt/1lBn0nJ
朴正煕の本音は日本から賠償金をせしめることであった。 そして実際に当時の韓国の国家予算の3年分という莫大な金額で合意するのだが その際に日本政府に対するロビイストとして暗躍したのが町井ら民団のボスたちと、 同じく在日であった児玉誉士夫である。
当時すでに日本国内は警察の取り締まりが厳しくなっており 覚せい剤を製造できるような状態ではなくなっていたのである。
それでロッテは生産を韓国に移し 売人組織から受け取った覚せい剤の上がりを 韓国工場に送金するようになったのだが この送金ルートは日韓両国ともノーチェックであったため 民団の他の商工人達も脱税でため込んだ金を ロッテの送金に混ぜて送るようになっていた これが現在まで続くロッテの地下銀行ビジネスの始まりである。
終戦直後から日韓基本条約あたりまでに重光武雄が築いた人脈は その後も日韓両国の背後でうごめき続け 製菓業からホテル、百貨店、リゾート施設など日韓両国合わせて売上高数兆円の巨大企業となり 日本の野球球団を持つまで公人となった現在でも ロッテは昭和の時代同様にアンタッチャブルな領域で有り続けている。
昨年発覚した地下銀行の件はおそらく朴正煕の娘の反対勢力が暴いたのだろうが 日本のメディアが全く沈黙してしまっていることが何よりの証拠である。
さて筆者がなんでこんな話を知っているのかと言うと 筆者の非常に親しい人間がこの会社に勤めていて、 しかもど真ん中の職場で長年仕えているからである。
” - 丁寧語とか、礼儀正しく書いてみる日記2:151204 【靖国トイレ爆発】 毒の入った皿もちゃんと食べてるんだろうね? (via bochinohito)
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14Mar2020
倶知安のお家を出て3日が過ぎてしまいました。わたしは目下北海道旅行中です。
初日から旅行記書いていこうと思っていたのに、人生とはまこと、ままならないものですね。
今、現在、札幌におります。そしてここにこのあと2泊する予定です。
これまでの3日間は、小樽→札幌→紋別→札幌という感じです。
1日ずつ細かく遡って書いていくことは面倒なのでしませんが、ハイライトをちゃっちゃっちゃと書いていこうと思います。
まず、11日に家を出ました。背中に荷物をパンパンに詰めたバックパックプラス、古着屋デイユースしていたリュックをドネイションしたかったので、それら不用品の入った小さい段ボールを手に抱えていました。もうとにかくわたしはぎりぎり耐えているっていう感じでどっかバランスが崩れれば倒れてしまうだろう、そんな重さを体いっぱい使って支えていたのです。だから絶対に最寄りのバス停からバスに乗らなくてはだめでした。そしてそのバスで一本で倶知安駅まで行く楽勝最短コースじゃないと絶対に、この時ばかりは、ダメな状況でした。しかし、お気づきでしょうか、こともあろうに、わたしはバスの時刻表を読み間違えて(そんな自覚はいまでもない)、大切な、1日に4本くらいしかないバスのうちの1本を、逃したのです。
うそだうそだうそだうそだ・・・・
何度そう、頭の中で繰り返したでしょう。幸先わる。プチ絶望。雨みたいな雪まで降っているしああああ。
どうにもこうにものっぴきならない状況なので、最寄りの次のバス停まで歩きました。そこのほうが止まるバスが多いのです。
結局、家を出てからトータル1時間半ほどの足止め。乗り換えのバス停の目の前にあるカフェに飛び込みました。Cafe Cubanos。ヒラフエリアの中心地にあって見るからにGood Vibes的なお店。Cubanosする日が訪れるなんて。しかもヒラフ最後の日に。
お店に入ってみると素敵な女性がお出迎え。内装も素敵で店内は思っていたよりずっと狭く、注文をするカウンターの向こうに数席イートインスペースがある。そして特筆すべきはここ。全編英語。メニューもオーダーも何もかも。そして店内も漏れなくネイティブイングリッシュスピーカー。こんな世界が日本にあるなんて。バスが思うように来てくれないこんな片田舎に。
ヒラフ最後の日に、一番ヒラフらしいお店に入れたような気がしたのでした。
その後、バスに乗ってドネイションして、小樽へ。
小樽では昆布屋さんを再訪して、お土産昆布をたんまり購入。店員さんが、こんな時にきてくれてありがとう、と一袋、昆布のお菓子をサービスしてくれました。こんな時だから北海道にお金を落とすのが、健康なわたしの役目だと勝手に使命感を感じてこの旅行を始めたのです。あぁ、こんな風にお金の使い方で気持ちをやりとりできることがあるんだなと思って、うれしい気持ちになりました。お金は汚らわしいものではなくて、便利なものなんだ。
この間、小樽に来た時に訪れた、小樽文学資料館はコロナウイルスの影響で、臨時閉館となっていました。あの時に来ておいてよかったと思いました。
あぁ、レトロ小樽。ラブ小樽。
そのあとはバスで札幌へ。札幌駅方面へ向かう道すがら、白い恋人パークの前を通り過ぎました。残念ながらこちらも閉館中とのこと。開いていても行ったかどうかは定かではありませんが何だか寂しい。
札幌でも土産を買ってくるようにと言付かっていたので、母の要望通り、佐藤水産 二条市場店へ。いかの塩辛等購入して、昆布と一緒に郵送しました。ところで、サッポロクラシックです。ビール好きが軒並みうまいと評する北海道限定、サッポロクラシック。わたしはこの(内地の人々にとっては)、幻のビールを故郷の父母に買ってやらんと勇んでいたわけです。昆布、塩辛そしてビール!最高のお土産セットだと。計画では、佐藤水産で塩辛を購入後、ドンキにて驚安価格のビールを12本ほどつかみ、その後はヤマト運輸に行って自分で梱包して送ろうと。しかし、わたしはそうはしなかった。ドンキヤマトの黄金ルートを辿らずして、佐藤水産で事を終えてしまったのです。そう、佐藤水産に幻があったから。6本パックが。ちょうどいいやと思ったわたしはそこで欲しかったものをすべてそろえて一気に実家へおくったのでした。その時までは、順調に物事進んでわたし史上最強にラッキーじゃん☆なぁんてあほみたいに思っていたのですが、ドンキの酒売り場を流し見して、わたしが犯したミステイクに自分自身で気づくこととなったのです。
6パック¥1,077 の文字。
ん?
1缶 約180円 の文字。
ええぇ?
何を隠そう、先ほどわたしは佐藤水産にて6パック350円のビールを買ったのです。かったの、です。かった、と、思い込んでいたのです。
よくよく考えたら、ビールがそんな安いはずがない、ということはつまり、さっきのビールは、まさか、うそだろ、1本350円ということ????
明細を見てみると、ビール4200円の文字。
驚高!!!!!!!!!!いや、狂高!!!!!!!!!!
ほんでドンキやす!!!!!!!!!!これこそ激安の殿堂ドンキ!!!!!!!
自分の世間知らずさ、そしてドンキのウソのなさに感服した次第です。
あまりにショックだったのでちゃんぺに慰めてもらいました。絶対に慰めてと最初に言って、慰めてもらいました。彼のことがもっと好きになりました。(笑)
さて、ところ移って紋別です。
札幌からバスで5時間超。北海道内の移動なのに片道5時間て。北海道の広さを改めて思い知らされます。
札幌から紋別の道のりは、淋しい景色で、わたしの中の雪国のイメージそのものでした。どこまでも白。ぽつぽつと人が住んでいるのだか住んでいないのだか分からないような民家があって、もちろん人の気配はなく、走る車さえも少ない。どうやってここで暮らしていけるだろうかと思うほど厳しい冬が目の前にあって、でも確かに人々の営みはここにある。そのことがとても尊く、素晴らしいことに感じました。自然と共に生きている人々。それも全部含めて北海道って魅力的だなと感じます。札幌を歩いているおしゃれな若者も、街の出身とはいえど、この冬のなかで育ってきた人たちなんだなと思うと魅力的に見えます。雪国出身はわたしにとったらセクシーです。変なこと書いてると自分でも思います。でもそれが今日発見したこと。雪国出身は特別です。セクシーです。
紋別では流氷を見るためにガリンコ号に乗ったけど、昨日今日の風で流氷大河沖合に流され、見ることができませんでした。
絶対にまた行きます。
ガリンコ号の船員のおじさん、あづまの店員さんとマスター、そしてかつうら旅館のおじさんとお話��できて楽しかったです。一人旅なのでだれかと話すだけで楽しい。みんな素朴で人が良くて。また来てねと言ってくれたから、これだけでも紋別来た甲斐があったなと思いました。観光地の経済は人がつなぐ。
どんどん北海道のことが好きになっている自分がいます。
多くの人がここに魅了されて移住する理由が分かる気がします。
ハイライトだけ、と思って書き出したけど、やっぱり長くなります。
次からはこまめに書こう。
明日明後日は札幌ー!
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2倍と0.5倍
金曜日に映画デートした。先々週からその話の前々作、前作をテレビでやっていて 見たよ〜って話をしたらじゃあこれで!ってなった。
午前中は勉強しようってなって、朝10時に集まった。彼は私が行くより先に毎回教室にいて、暖房つけて待っていてくれる。今日は「いつものところ」ではなかった。
テストは前の日に終わっていたが4日に模試がある。前回の模試は難しくて得点率の平均が3割だった。次の模試も同じような感じだったらモチベーションめちゃ下がるな。
昨日のテストどうだった?
解剖学がな〜
1限のやつ結果出たかな?
と話をして研究室に向かった。前日に友達に結果出てたら写真送って〜とお願いしたが、彼と2人で見に行った。研究室のドアに紙が2枚貼ってあり、昨日のテストの結果がもう出ていた。落ちている人は少なく、2人とも受かったっぽい!中間テストも今回のテストも再試なくてよかった〜!
で勉強2時間して、近くのショッピングモールに向かった。運転どっちする?って話をこないだしたけど、私も彼も怖い!ということで私が運転して行った。運転中って慣れてるとはいえ、集中しているので何喋っているか記憶にあまりないよね〜
着いてすぐステーキ食べて、メモ帳買って、チケット先買って、ガチャガチャした。彼はあまりガチャガチャしないらしく(まあ21歳はガチャガチャそんなにしない)、なんか、「ガチャガチャを買う」って表現しててまじ?って思った。ガチャガチャに続く述語は回すじゃない?
時間になったので映画館に行ってポップコーンLを買った。さっきご飯食べたばっかりなのにL。やっぱ男の子はたくさん食べんだね。
映画デートで一番大事なのはエッチなシーンの有無だと思ってます。今日見る映画はギャンブル!酒!という感じだが いままでの傾向だとエッチなシーンはないね!!と安心してた。が、映画��予告で恋愛映画が出てきて、キスシーン、壁ドンシーンがあって変な汗めちゃ出てしまった。きも(笑)。親と見るキスシーンは全然平気になってきたけど、男の子とそういうの見るの緊張するね〜
映画中は特に意識することもなく、フツーに見入ってしまった〜 久しぶりに映画見たから面白かったネ
帰る頃になって彼が「手繋がない?」と聞いてきた。 キャー 今日手繋ぐの無かったら一生無いかもねと思っていたが、いざとなったら緊張してまう、、。手汗止まらなくなって無理無理と拒否した。ハンカチで拭きまくっても、手ギューって握っても、汗、汗、汗、、、意識すればするほど汗、汗、汗、、、
私は昔から手汗がやばくて 何回か病院にも行った。全然治んないからほぼ諦めてたけど、やっぱりこんな日が来てしまうと治したいな〜と思ってしまうね。
結局、外出て車までの道を手を繋いで歩いた。こんなんでこんなドキドキしてて大丈夫か?まじ手デカくて最高〜、、、 ずーっと手フェチだったけど、実物すごいっスね〜、、、
帰りに家の近くまで送って行ってバイバイした。 ほんとは家誘われたんだけど、こんな調子だから行ったら空気飲まれてダメだなって思ってウソついて断った。けどめちゃ行きたいよ〜 手もっと見せて^_^
2020/02/03 (mon) 01:12
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やあ。
ついこないだまで、Willy Bが配信してる「Ghost Recon Breakpoint」の実況にどハマリしてたんだけど、いまは山ん中でログハウスを建てる男たちの実況(いわば、「作ってみた」)にどっぷりはまっているワタシです。こんばんは。
にゃんたこさんの「フォートナイト」実況で、ちょっとゲームに気持ちが揺らいでいる頃に「Ghost Recon Breakpoint」の実況が始まって、すっかり虜になっていた(ゲーム買おうか、いっそPS4買おうか、まで真剣に考えた)わけですが、結局、熱しやすく冷めやすい気質は何年経っても変わることなく、いまはリアルにログハウス建築動画を手に汗握りながら(ウソ)観漁っている日々です。
きっかけは2時間を越える超大作の「One Year of Log Cabin Building / One Man Odyssey Building His Dream House」(https://www.youtube.com/watch?v=E_6b_cwuB6A)。 環境ビデオ(流しっぱで放置する)のつもりでクリックしたら、いわゆるミイラ取りがミイラになってしまったわけですね。
ただこの動画、ログハウスの建設だけじゃなくて、映像がむちゃくちゃ綺麗なんですわ。大自然の中でしかお目にかかれない映像美というか。 配信者もそれをわかっているっぽくて、ほぼ「語り」がないのね。人里はなれた山ん中で、淡々と木を切り倒し、建設現場に運び、枝を落とし樹皮を剝ぎ、あっけに取られるくらい膨大な丸太を集積して、今度はこつこつとそれを組み上げていくという、まるでドキュメンタリー、というかまさにドキュメンタリー。
テレビ番組と違ってアクシデントもなく(おそらくカットしているんだと思う)、陽が差し陽が暮れ、雪が降り雨が降り風が吹き、周囲の木々は色づき落葉し芽吹くという、当たり前のサイクルをバックミュージック代わりに、ただただNik Rijavecさんがログハウスを建ててるんだけど、いやあ、2時間以上がっつり堪能いたしました。
おそらくある種の標準的な手法に則って建てているのだろうけど、その標準を実現するためのアタマの使い方がハンパなくて、人間の創意工夫ってのは、やっぱりいろいろ凌駕するものなんだなあ、というバカみたいな感想を、とりあえずお伝えさせていただきます。
Nik Rijavecさんのログハウス、まだ完成はしていないので、これから先、完成までがすごい楽しみです。
[追記] どうでもいいけど、2019年11月8日にアップロードして、12月9日現在、4,001,638ビューって、すごくね?
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うしろ前さかさ族のダークネスアファメーション発売記念全曲解説インタビュー
「パンクとは自ら考えて行動する事」という先人の教えのもと、考え過ぎてこんがらがった思惑による"知恵の輪ハードパンク"あるいは"恐怖のパワープログレバンド"うしろ前さかさ族による2ndアルバム『うしろ前さかさ族のダークネスアファメーション』完成を記念し、全曲解説インタビューを決行。 聞き手:ヤミニ(サイドカーレコード)
↑右上から時計回りに関口マーフィー、歯垢太郎、渡辺周、わだしんぺい
1.ダークネスアファメーションのテーマ
関口マーフィー(以下、マ):アルバムの題名が『ダークネスアファメーション』ということで、暗黒の自己肯定というところがテーマなんですね。 ――そもそもアファメーションって言葉をこれで知った口なんですけど。 マ:「肯定文による断言」の意味ですね。だから、歪んだ願望を肯定しましょう、自分を否定するな、という強烈な生のメッセージ。 ――……性!? (一同爆笑) マ:セクシャリティのほうも、ちょっとある(笑)。生きることへの愛です。その辺のことをわかってもらいたくて、すべての曲を録音し終わった後に入れました。 ――実はかれこれ1年近く前、2017年の8月末にベーシックな録りは終えていたという。 渡辺周(以下、渡):そっから結構かかりましたね。この曲は最後に、三鷹のタンジェリンスタジオのミキサーを使って録ったっていう。 ――これリアルタイムでミキサーで掛けたエコーなんだ。 歯垢太郎(以下、歯):サンレコ的な話になってる。 わだしんぺい(以下、わ):元は1分半くらい長さあったんですけど「長くないすか?」ってことで短くしましたね。 マ:ノンオミットバージョンは3rdアルバムの1曲目にね、『ジ・エンド・オブ・ダークネスアファメーション』っていうタイトルで入れる構想があるので、楽しみにしててください。 ――終わるんだ(笑)。ピーズの復活1発目のアルバムの最後の曲が『グライダー』で、その次出たアルバムが「アンチグライダー」の流れですね。 わ:あと『Soldier Side』みたいな。 渡:ああ、System of a Downの。 ――System of a Downって俺、空耳アワーでしか聴いてない。 歯:僕も空耳アワーで知って聴き始めましたよ。 ――『Fuck the System』って曲、System of a Downでしたっけ?「はーいみんなバカでーす!」ってやつ。 歯:あ、先生がテストの答案に「5点」とか付けてるやつですよね! マ:この話はなんなんですか……? 歯:でも、この話後につながるんで。 ――つながるんだ(笑)。 マ:まあ入れてよかったですよねこの曲。1曲目でアルバム全体のコンセプトをちゃんと演出するのが重要だと思うんですよ。「人を救うバンド」であることをみんなに示しさないと。 渡:いやー、俺は別に救済しようと思ってやってないですけど……。 マ:僕は、そう思ってる。 渡:そっすか。 マ:お前のことも救って��るからな! 渡:いや自分のことを救ってやってください(笑)。 ――じゃあ次行きますか。
2.君の復讐は失敗
マ:事実上、これがアルバムの1曲目ですね。曲調としては「俺の中のBLACK FLAG」を全部、ここに詰め込みました。 ――やっぱBLACK FLAGってデカいと思うんですよね。何回目かにライブを観たときに、BLACK FLAGのあのデタラメやけくそな“性格の悪いパンク”っていう、あの感じがすごくにじみ出てて、素直に好きになった。 マ:ありがてえ話ですよ。やっぱり、不穏さ、不協和音、そしてどこまで行ってもパンクの暴力性という、グレッグ・ギン大先生のギターを私はずっと大学時代から追い続けて、その集大成としてできたのがこの曲。 わ:この曲は何年前くらいにできたんですか。 マ:これはねえ、会社入ってからだから、2012年~2013年。作ったときにね、さんざん昔のメンバーにバカにされました。 ――今ここにいない人ですか? マ:……いる人もですぅ~!! (一同爆笑) 歯:僕はね「リフが認識しにくい」って言ったの。 マ:そう。でもね、この人は褒めてもいました。「何度も弾いてくうちにだんだん、代表曲的な感じになるだろう」という予測も立てていて……見事そうなりましたぁ~! ――してやったりが出ました(笑)。 渡:代表曲になったかどうかはよくわからないですけど(笑)。 歯:いやまあ、なってるでしょ。あと、わだくんが最初に聴いたときに「サルガッソー・コア」っていう感想を。 ――ははは(笑)。 渡:なんすかそれ。 わ:メインのリフが、別に変拍子じゃなくて4拍子なんだけど、拍がズレ込んでる感じが……。 マ:一応、変拍子のつもりで作りました。 渡:まあ、ちょっとポリリズムというか、食ってますよね。 歯:ディシプリン感がある。足元に絡みついてくる感じ。 マ:でもメインリフのテーマは、あっぱれグレッグ大先生の不穏な音作りと、それを高速に弾くことによる暴力性の両立。これがテーマ。 ――単音リフに対する執着というか、自然にそうなってしまうっていうジレンマも含めて、そこに対するアティチュードみたいなのがめちゃくちゃ含まれてる曲ですよね。 マ:それが何故かというと、その裏にあるのがグレッグ大先生ですよ。 ――あと俺これ聴いたときに、中学生棺桶だと思ったんだよね。 歯:あ、これタイトル上がってきたときに、『君を必ず沈める妖怪の名は後悔』じゃないすか、って言った。 ――俺も連想した。その辺は意識してない? マ:実はあんまりしてなかった。 ――それがいいよね~。身内褒めになってるけど(笑)。サウンド的な面は。 渡:半音で動く感じが多い。ああ、なんか『ROCKET DIVE』っぽいですよね(笑)。 (一同爆笑) わ:この曲も、もともと長かったよね。 歯:そんなにではなくない? わ:1番目のサビがひと回し分短くなった。まあそれだけだけど。 ――これ、大塚くん(初代ベーシスト。結成時~2016年秋まで在籍。現在育休中。)がいた頃からやってた曲ですか? 歯:いたときからやってた曲ですね。 マ:ベースは2番のサビのとこで、こうギターとクロスするところがドラマチック。(手をX字に交差させる) わ:ギターのコードは半音ずつ上がっていってるのに、ベースは半音ずつ下がってる(笑)。最初にスタジオで練習したときに、まさかそんなふうになってないだろと思って、ふつうにギターとユニゾンで弾いてたら、二人から「いや、それは違うんだ! こういう感じなんだ!」って、その動きをされましたね(笑)。 マ:この前ムチオさん(現サポートドラマー)が、その部分が素晴らしいよって言ってくれまして。 渡:さすがX(笑)。 ――この動きに関しては一家言ある(笑)。 マ:あと歌詞はね、このアルバム、ダークネスアファメーションの壮大なるテーマのね、メインに位置するテーマを歌ってると思ってる。これは肯定の歌なんですよ。 渡:いや肯定の歌じゃないでしょ(笑)。 ――失敗つってる(笑)。 マ:結局ですね、やっぱパンクなんてねどこまで行っても否定しなきゃダメ。否定が肯定です。 わ:禅問答化してきた(笑)。 マ:何を否定してるかだよ。本当は何かを欲しがってるのに「いらない、俺いらない」っていうポーズとってる人間に「失敗でしたね! おめでとうありがとうございました!」っていうための曲。 ――肯定ではない(笑)。 マ:だからね、決して否定はしてない。ここは講釈垂れますけどね、ホントに心の底から「別にそんなものはいらないです」って思えてる人間をディスってるわけじゃないんですよ。ただ僕の中では、そういう人のほとんどは本当の意味で「戦い」を超越できてないんですよ。負けたり恥かいたりするのが怖いだけ。で、一生懸命頑張ってる人間に対して横槍入れちゃう感じ、根底にはほぼ全て嫉妬があります。ホントに質が悪い。そういう人に対して「ざまあみろ~!」と。まあ私から言いたいのはね「欲しいものは欲しいと言え!」と。で、勇気やら才能やら、情熱がないやらで「モテる・売れる」ができないからと言って、「無価値なものこそがカッコ良い」なんてうそぶかずに、ちゃんと戦って負けて死のうよと。そういうことです。
3.Zangetsu
渡:もともとは歯垢さんのSoundCloudに上がってる曲ですよね。あれノーマルチューニングなんすか? 歯:そうだね。 ――うしろ前より先にあった曲? 歯:いや、2013年~14年くらい。当時新曲をやる時は、基本的には曲を作った人がほぼ完璧にデモを作って、それをメンバーに渡すって感じでやってたんですけど、SoundCloudにあるのはそのデモですね。 マ:『底止』と『ささくれ』が同じくらいにできた曲で、『Zangetsu』と『復讐』が第二波ってくらい。 歯:そうすね、で、もともと僕が2012年くらいに作った元曲があって、それはなんか全然こういうパンクじゃなくて、ハッピーハードコアなんですよ。 渡:カービィコア。 歯:そう。まあジャンルとしてはハッピーハードコア。音源は「星のカービィ」から取ってるんだよ。 わ:そうなんだ(笑)。 渡:SoundCloudに上がってるやつはほんとにカービィですよ。 歯:その元曲の途中のコード進行を1フレーズ引っ張ってきて、その続きを別の流れで作ったら、これパンクっぽい曲にできるなと思って、サクッと作ったのがこの曲なんすよ。 ――大本の曲があって、そっから派生してできた曲。 歯:そう。なんで、SoundCloudにある曲には『Zangetsu(AKEBONO True Appearance Edition)』って書いてあるんですけど。 わ:申し訳ないけど、どこを引っ張ってきてこの曲にしたのかまったくわからない。 渡:俺もわかんない(笑)。 歯:イントロの部分が一部分だけ出てくる。 わ:この進行あったかな? 関口さんわかります? マ:わからない。 歯:『AKEBONO』の序盤に出てくる。 渡:もっかい聞かないとな。 歯:Zangetsuを探せだ(笑)。 https://soundcloud.com/fxkx/zangetsu
https://soundcloud.com/fxkx/akebono
――これレコーディング入る前に、ライブで観てて印象に残ってた曲ですね。マーフィー曲があって、歯垢曲がある中で、多分ルーツが全然違うと思うんですけど、その中で変な一致というか、統一感みたいなのがあるのが不思議で。ルーツみたいなのはあるんですか? マ:最終的に二人ともメタルとかハードコアとか、そういう攻撃的なところに落とし込むっていうのが割とあったのと、やっぱり「日本語パンクです」っていう認識は共通であったんじゃないかな。 ――やっぱりそういう共通言語があるってのがデカいですよね。これはレコーディングする側の意見なんですけど、ミックスで音の感じをどうするかって段階になったときに、歯垢くんから「アレルギーの「El Dorado」みたいに」って要望が出てきて。俺はガッツポーズを取ったんですけど(笑)。 歯:これですよ(アレルギーのロゴ入りスマホカバーを取り出す)。 ――え? あ、そうそうそう!! 歯:ああいうパンクのバンドが、メジャーの資本でやったときの音質の違和感みたいな(笑)。実はこのアルバムに入れる曲を今度録る、って思ってる段階で、頭の中にアレルギーの「ElDorado」があって。 ――あのスネアとかドラムの、80年代風のゲートリバーブがかかってる感じですね。歯垢くんの曲はそういうミックスになってます。 渡:この曲に関しては、あさきの曲の引用なんでしたっけ? 歯:そう。あさきっていうのは「BEMANI」の作曲家なんですけど、『Zangetsu』を作ってたときに自分がゲームで攻略していたあさきの曲のフレーズを、無意識に引っ張ってきてる。 わ:歌詞とかは。 歯:割とすんなり出てきた歌詞で、その時に観てたアニメだったか映画だったかで、裕福な家が急に破産しちゃったかで、使用人とかもみんないなくなっちゃって、子供だけ取り残されて。で、今までみんな遊んでくれてたけど、誰もいなくなっちゃったってシーンがすごく頭に残ってて。そのモチーフを記憶頼りに、いろいろ再構築して入れたってイメージ。 マ:それをご自身に投影したと。 わ:なんでそんな聞き方なの(笑)。 歯:あとね、この曲をP-IPLEのコンピに入れたりして結構やってた時期に、なべしゅうが参加して「これは自分自身のことを歌ってるんじゃないか」と。 渡:イオロス(早稲田大学のバンドサークル。歯垢、わだ、渡辺がかつて在籍。)って割とOBが跋扈してるサークルなんですけど、最近は歯垢さんくらいしかライブに出なくなっちゃったので。 歯:ライブは全然出てないよ(笑)。 渡:歯垢さん出てるイメージありますけどね。 歯:顔は出してる。 マ:いや~俺から紹介させてもらうと、この曲は老害ソング。 渡:かなと思ったという話です(笑)。
4.24歳
歯:初めてデモ聴いたときに、ベースがすごいYBO2っぽいなと。YBO2 vs CONVERGEみたいな。 マ:CONVERGEは意識しました。やりたかったのは、ポスト・ハードコアとかカオティック・ハードコアみたいな感じで、歌詞はナゴム系。 ――これ、ナゴムかなあ? 渡:そんなにカオティックでもない。 マ:まあ、アメリカとかの乾いた感じっていうか。 歯:イギリスではない。 マ:イギリスは湿ってますからね。 ――アメリカですよね完全に。 マ:ボストンとかの屈折した感じもあるじゃないですか。そういうのに日本語の歌詞入れたいなっていうコンセプトが昔あったんですよ。それを割と体現してるのがこれだなと。 ――で、歌詞は……。 渡:24歳で何があったんですか(笑)。 マ:これはね、歌舞伎町の路上で寝ている女性を連れ込んで、肉だるまんじゅう二人前追加、その日がたまたまお誕生日だったと。24歳おめでとう。っていう歌詞。 わ:私小説なんすか? マ:さあどうでしょうね。 ――(笑)。 マ:まあこれでこの曲は大体語り尽くしましたね。深夜二時くらいに歌舞伎町の奥行くと、私は個人的に「蝶々の死骸」って呼んでるんですけどね、みんな寝てるわけですよ。その死体回収業者の話。 わ:明大テニスサークルみたいな感じね。 ――ありましたねそんなの。え、そういう場面に遭遇するような学生生活を送ってた? 渡:回収したって話でしょ(笑)。 ――あ、業者の方ですね(笑)。 マ:私はでもそういう、団体に属したりはしなくて個人事業主だから。 ――一人親方だ(笑)。 マ:今度は26歳とか、シリーズ物にしましょう。 わ:三十歳やりましょう。人間椅子。 渡:ビートルズにもね、64歳になってもって曲ありますからね。 歯:『DON'T TRUST ANYONE OVER 30』だ。 マ:次行こう!
5.フィックション大魔人
マ:問題の曲ですよ。このアルバムにおける討ち果たさないといけない敵はこれですよ。このアルバムのコンセプトは「夢じゃない、あれもこれも」なんで。 ――はっはっは(笑)。 わ:なんでB'zなんすか。 マ:ノンフィクションじゃないんですよってこと。じゃなかった、フィクションじゃないんですよってこと。それを真っ向から否定するフィクションを討ち倒すことで、ノンフィクションをこの世に取り戻すのがこのアルバムの物語なので、大事な曲ですよ。 歯:だから僕は、この曲が入ってアルバム全体のテーマがそうなるっていうことは、かなり不本意。 (一同爆笑) 歯:「全部ウソだ!」って言いたい。常に。 渡:戦いが始まった(笑)。 歯:これがさかさイズムだ。 ――でもこれ曲としてはだいぶ前からやってますよね。 マ:不本意ながらね、結構やってますよ。 渡:YouTubeに上がってる秋葉原グッドマンの動画とかね。 マ:あれ、よかったよね。 歯:あれが一番よかった。これ、Twilogを遡ると、作ったの2011年なんですよ。グッドマンでやってる映像は2013年なんですけど、つまり演奏として完成するまで2年くらいかかった。 ――全フレーズに元ネタがあるという話ですけど。 わ:えっ、全部あるの? 歯:いやまあ、元ネタから思い浮かんだ流れっていうか。なるべく全部デタラメにいこうと。歌詞もなるべくデタラメなこと言おうと思って作った曲。 渡:この曲、CDに歌詞が載ってないっていう(笑)。 わ:これ耳コピした歌詞があるんすよ。
わ:これ、精度はどれくらい? 歯:う~ん、8割位かな。 わ:(しばしの間)…あっ……。 渡:なんの間なんすか(笑)。 わ:意外とダメだった……。 歯:8割、これもまたウソ。 ――ややこしくなってきたぞ(笑)。 歯:まあ、筋はあってる。 マ:そういう自分を解読させようとしてるとこがダサいんだよ(笑)。 歯:いやだから、ちょっと言わせてくださいよ。僕はやせ我慢してポーズつけてるのが一番かっこいいと思ってるから。 マ:いらねえよ。みんな楽になれよ(笑)。まあでもこの曲でね、アルバム全体のコンセプトがわかっていただけたと思いますよ。 歯:結局敵役みたいな形に回収されちゃったけど、そういうこと。パプテマス・シロッコみたいな位置づけですよ。 マ:まあジ・Oのイメージはある。ささくれ問答はジオングなんですよ。僕ね、一個だけこの曲に言うとしたらね……。 歯:もうさんざん言ってるじゃん(笑)。 (一同爆笑) マ:こういうツーツーの話ができなくなったのは寂しい。 歯:で、まあいろいろネタが有るという曲なんだけど、なんだっけな。 渡:最初、Gang of Four から System of a Downに行きますよね。 歯:そう、さっきSystemof a Down の話がつながるって言いましたけど、イントロに『Chic 'N' Stu』ぽいフレーズが入ってるってだけなんすよ。 わ:あ、確かに。言われて初めて気づいた。 マ:ああ似てるかもね。 歯:で、その次は「花子さんがきた!!」のフレーズ。 マ:俺さあ、最初聴いたときに「ホワホワホワホワ花子さん」だと思ったんだけど。 歯:大正解。で、それを無理やりホールトーンに置き換えて弾いたと。その前の「ゲゲゲの~」とか言ってるところのギターフレーズは、いろんな童謡。『証城寺の狸』と『ハトポッポ』と『めだかの学校』とか、4つくらい同時再生したらこうなるかなとかそういう、人力サンプリング曲みたいな感じ。ヒップホップですよ。あるいはJohn Oswaldみたいな。 ――ミックス時の要望として、後半は「幻の名盤解放歌集」みたいなリバーブを掛けてほしいってのがあったと思うんですけど。 歯:想定したのは、『蒸発のブルース』ですよ。あれの「あなたなしじゃ、だめ~」ってところが「だぁだぁめ~」みたいに。 渡:そんなに遅れて聞こえてくるんすか(笑)。 ――俺、『スナッキーで踊ろう』のイメージだったんすけど、���こは不正解だった(笑)。 わ:大塚くんが一番暴れてるのがこの曲なんすよ。練習するときにまず、歯垢くんからデモ音源とTAB譜が送られてきたんすけど、グッドマンの動画観ると、大塚くんが弾いてるベース、まず一音目から音程が違う。 ――(笑)。 マ:あのね、Aという演奏を完璧に演奏しきれる人がやるA’って演奏はすごくいいと思うんですけど、Aという演奏を覚えない人間がするBとかCとかを、私は信用してませんからね。 ――俺、それけっこうやっちゃうんだよな(笑)。 歯:この曲に関しては、それを見越して作ってる。 わ:大塚くんの演奏聞きながらやったんですけど、まあ6割くらいですよ。再現できてる部分。あとね、大塚くんのコードの順列組み合わせみたいなの、すごいなと思うもん。 渡:順列組み合わせ? わ:例えばさ、ギターがABABみたいな進行で弾いてるとするじゃん。大塚くん、AABBみたいな感じでずらしてくるから。あと、関口さんが大塚くんのベースを「違法改造」つっててね。 ――プロアクションリプレイ(※ゲーム改造ツール)? (一同爆笑) 渡:完全にバグったフレーズ(笑)。 わ:いやでも、プロアク使わないとできない面白い現象ってあるじゃない(笑)。 ――何の話だ(笑)。
6.お前がキャッシュインしている時に
――これ、割と思いつきみたいな感じで録ったんですよね。その場の流れで。 関:ヤミニさんにギター弾いてもらって、なべしゅうドラムだけど、うまいことまとまってるよね。 渡:俺がドラムで入るとは思わなかった。いや~これねえ。俺自慢していいっすか? わ:どうぞ(笑)。 渡:俺、これヴァイオラ伊藤くん(amalakamala、曇ヶ原など)に初めて聴かせたときに、「これムチオさんが叩いてるの?」って。 (一同爆笑) 渡:ヤッターッて思いましたね(笑)。別にツーバス叩いてないのに。 ――彼は何を思ってムチオさんだと思ったの? 歯:普段あんな近くでムチオさんのドラム聴いてる人がね。 わ:ヴァイオラくんの適当さがいい方向に作用した例だ。 歯:一曲目もですけど、こういうプロセスでできた曲があるのが、アルバム全体としてはすごくいいと思うんですよ。グルー(接着剤)になってる。 マ:まあサンドイッチ構造にしなきゃいけないって意識はあった。 わ:「腹ふり」でいうと。 ――『言うてるやんか』(笑)。 渡:最初はこれのバック演奏に『ダークネスアファメーション』を入れるってアイデアもありましたね。 ――一緒に録ったらボーカルが音割れするくらい大きかったから、インストで録り直したやつの上に、ボーカルを後回しにして入れましたね。ギター弾いてる側としては何も考えずにやってるから、ガセネタですよね。 マ:そう、ガセネタできましたよね。 ――これギターはアンプ直ですからね。 渡:それでもこんなかっこいい音が。 わ:ベースも借りたやつだった気もする。 ――馬場のゲートウェイスタジオでね。ちなみに歌詞のモチーフは? マ:もともとSFC版ウルトラマンのベムラーステージの曲をカバーしてて、それに載せる用の歌詞。だから一人称はウルトラマンなんすよ。ハヤタ隊員です。 ――怪獣と戦ってる間に、第三者はバイトしてたと。 マ:おっぱい揉まれてたと。自分は自己犠牲してるのに、まわりの人間は自分に感謝なんか一切せずに、のうのうとおっぱい揉まれてやがる。俺が守ってやってるからお前の未来があるのに。っていうその、恨めしい感情ですね。 ――そんなテーマが。 わ:ちょっとそれは聞き捨てならねえぞ、ハヤタはそんな狭量なやつじゃねえぞ! ――HERE COME THE NEW CHALLENGERだ(笑)。 マ:いや、俺の中でのハヤタっていうか、ヒーローの悲しみ像ね。まあでも、そんなにおっぱい揉まれてる女を否定してるわけじゃなくて、やっぱりヒーローたるものそういうやせ我慢的苦悩が大事ですよね。という、これもアファメーションです。みなさんも肯定してください。
7.nonation
――割と、どパンクな曲ですよね。 わ:これベースけっこう変えましたよね。 ――最初、どんな感じだったんですか。 歯:AメロがDビートだったんですよ。 わ:このテンポでDビートで弾くの無理! ってなって今のどパンクな感に。 歯:これはけっこう古い曲で、原型は2009年ぐらいにもうあった。 マ:『ささくれ問答』に対する『nonation』、『底止』に対する『三男坊』みたいなもん。 歯:確かに『三男坊』くらいのポジション。これもまた引用フレーズがあって……ていうか、後から気づいた。中間部のフレーズが、SLAYERの『RAINING BLOOD』。 渡:最近気づいたんでしょ。 歯:そう、レコーディングでボーカル録ってる時に気づいたんですよ。 渡:俺は初めて聴いた時から「これ完全にSLAYERじゃん」って思いましたけど(笑)。 歯:その後、悪ふざけ的なノリでテトリスも入れちゃえと。ホントはここにも歌詞があった。ハンナ=バーベラの「スーパースリー」ってアニメがあるんですけど、それの曲で「ラリホーラリホー ボヨヨのヨン」っていうのを。 渡:なんすかそれ(笑)。 ――ハンナ=バーベラってあれですよね、「チキチキマシン」とかの。 歯:ああいう感じのアニメですよ。でも弾き語りしてたら、キメのフレーズが決まらなくなってきたんで、歌抜いてテトリスに落ち着いたと。 ――すげえ曲だな。 歯:あと、歌詞なんすけど、これは国歌なんすよ。昔、この歌詞を書いてたときのmixiの日記が出てきて、これはタイトルから連想されるような、いわゆる「♪~(※ここには『IMAGINE』(John Lennon作詞・作曲の歌詞を掲載する予定でしたが、事情により掲載することが出来ません。『IMAGINE』は国境や戦争や宗教を否定し、すべての人々が兄弟として平和に、世界を分かち合って生きることを願った曲です)」的なことじゃなくて、ちゃんとそういう、解放された人の国みたいな。 マ:Bad Brainsに正面から喧嘩を売ってる曲。 歯:そうなんすか(笑)。 マ:なんでかっていうと、『Build a nation』って曲があるから。 歯:いやだから、no の nationを作ってるんですよ。 マ:……禅問答ですよ! 歯:つっかかりたがる(笑)。 渡:まあ「no の nationを作る」ってのは禅問答ですよ(笑)。 ――“Build a nonation”だと。 渡:mixiの日記にはどういうことを書いてたんですか? 歯:落葉焚の歌っていうのは、稀人の人たちが外側からやってくるときの歌なんじゃないか、っていう。 ――稀人こぞりて的な。 歯:的な歌ですね。コスモポリタン讃歌みたいな。ニュータイプです。 マ:コスモ・バビロニアってことですね。 歯:だから、重力に引かれた人々と、重力から解放された人々の歌。 マ:彼はねえ、カロッゾ・フナという別名がありまして……(以下、機動戦士ガンダムF91の話が続く)
8.ねむれねむれ
歯:最初は僕がギター弾いてて、関口さんがドラムボーカルだった。 ――逆だった。作曲は? 歯:関口マーフィー。元はもっと短い曲だったんすよ。 マ:なんだろうなあ。ジャパコアともふつうのハードコアとも言えない感じの。 歯:もともとすごい中学生棺桶っぽい感じのリフだったんすよ最初は。 マ:ツービートの上に乗せて、けっこう短いハードコアの曲だったよね ――この位置にあるからってのも含めて、このアルバムのハイライト感は出てますよね。 マ:自分が出した中では一番構成がきれいにまとまってる曲、これなんじゃないかな。 歯:ポップチューンの曲ではありますね。 マ:歌詞はね、私の部活動の苦しみを歌ってます。 ――何部だったんでしたっけ。 マ:陸上競技部。中距離走。やっぱり肉体が痛い競技ですからね、怖いんですよ。 ――でも重要なファクターっていうか、こういうことやってる人で体育会のとこに首突っ込んでるのって珍しいじゃないすか。 マ:それよく言われるんですよね。どっぷり体育会系なんですよ。 渡:話を聞くとみなさん、スポーツは全然。 ――からっきしですね。 歯:ぼくテニス部だったよ。中学。 わ:なべしゅう柔道部でしょ? 渡:僕は柔道部です。 歯:アイアンリーガーみたいになってきましたね。 ――けっきょくそういうとこに落ち着いちゃうんだ(笑)。 マ:(主題歌を歌い始める)。 ――そういう曲なんだ(笑)。 歯:この形になってより棺桶感は増しました。 渡:今はロックマンっぽい。 マ:なべしゅうにギターでロックマンフレーズ弾いてもらおうと。 ――ロックマンみんな好きですよね。でも不思議なのがね、みんなカービィとかロックマンとか音楽聴いてますけど、俺ゲームはやってたけどそういうのないんだよね。 渡:えっ、口ずさんだりしないんですか? ――全然ない! FFとかクロノトリガーとかもやってたけど、BGMがどうとか思ったこと一度もないから! マ:ホントに? 渡:俺、トイレで口ずさんだりして親に怒られたりしましたよ! わ:あっはっは(笑)。 マ:歯垢くんねえ、ロックマンX1、X2、X3に関しては、俺達は何ステージって言われたら大体口で真似できるよね。 歯:じゃあ言ってくださいよ、今一緒に歌いますよ! マ:まずランチャー・オクトパルドからいこう! 歯:ワンツースリーホイ! 関口&歯:(歌い始める)。 ――それいつの? 歯:X1です。 マ:(歌い続けている)。 ――俺X1もやったけど、BGMまで覚えてない(笑)。 マ:(歌い続けている)。 歯:え、アーマー・アルマージとか覚えてないすか? ――いたのは覚えてる。 マ:ワン、ツー。 歯:ちょい待ってください、あれはDビートですよ。はい、ワン、ツー。 関口&歯:(歌い始める)。 ――はっはっは(笑)。おっさんの宴会だよ! 歯:僕、記憶してる意識はなかったんですけど、高校大学くらいのときに、昔こういうのあったなと思って聴いてみたら、当時遊んでた頃の記憶がワーッと蘇ってきて。で、一回全部聴き直そうと思って。 渡:この前、曇ヶ原の人たちと飲んでて、ショウタさんが昔のスーファミの話とかしてたんですけど、みんな昔やってたゲームの曲をYouTubeとかで掘り起こして記憶を確かにしているみたいな感じが……。 ――それがフェイクだと。 渡:いや(笑)。フェイクだとは言ってなくて、なんでうがってるんすか(笑)。 マ:今日は攻めますね(笑)。まあこんなもんすかね。 わ:ねむれについてほとんど何も言ってない(笑)。あ、ベースソロのところ、大塚くんは無理やり変拍子にしてた。 ――ポリリズム的な? わ:6拍子のフレ��ズを最初だけ5にして最後を7にするみたいな。 マ:やってたね。 歯:そういうのは全曲あるからね。 マ:まあロックマンXが背骨にあって、スポーツは糞だなって曲です。ニュースポーツセミナーが必要だと。 ――3rdアルバムに繋がると。
9.チャーチベル
歯:この曲はもともと大塚くんが弾いてたフレーズが元。だから一番大塚くんのエッセンスが生きてる曲。 マ:最初は完全インプロだった。「ドンッ ドンッ ドンッ ダカダカダーンッ」っていうドラムをやったら、すごく大塚のフレーズにハマって。それで、ちゃんとした曲にしようって話になって、俺と大塚だけでスタジオに入って、二人で原型となる曲構成を作った。で、そのあと歯垢くんがサビみたいなとこを作って完成形になった。 わ:最初はもっとグルーブで押すみたいな曲だった。 渡:大塚さんのときの音源は残ってないんですか? わ:YouTubeにライブ動画あるよ。 歯:断片的にだけどね。 わ:僕もそれ見て、この曲いいじゃん、やりたいつって。 マ:で、やってたら「なんかちょっとのっぺりしてない?」みたいな話をして。元はサビのところは「ドンガンドドガン」みたいな感じだったんだけど、そこを「ガンガンガンガンガン」みたいなブラストに。 渡:ブラックメタル感が出たのはいつくらいですか? わ:その時期じゃないですか? マ:そう。 ――じゃあ割と最近。 わ:レコーディングする3、4ヶ月前くらい。 歯:抜き差しみたいなのは何回もやってて、そういうのも含めてみんなで作った曲。それで、最終的になべしゅうのボーカルが入り。 渡:なんか「教会の鐘の前で死にそうになってる人を表現してくれ」とか言われて。レコーディングのときには2回目のサビの時に裏声になるんですけど、それは歯垢さんから「SILENCERをやってくれ」っていう指示が(笑)。 マ:ボーカル入れたの正解だったよね。 歯:うん。 マ:一番異文化コミニュケーション、人種のるつぼ。 ――これ全体一致みたいな。挙げ句メロトロンまで入る。実質この曲がラスト曲みたいな位置づけですよね。 歯:ホントはこれ最初にしようって案もあった。ライブで1曲目にやったりしてましたし。 マ:めんどくさいフィクションは全部淘汰した後に、残った焼け野原の上でみんなが祈ってるっていうね。 渡:(笑)。 マ:あの鐘を鳴らすのはあなた。CDカセットの前のあなた。人はみな悲しみの中。 歯:そして目が覚めると、実はそれが始業のベルだったと。 マ:そういうフィクションに落とし込もうとする……。
10.陰口専門学校校歌
歯:最初は、関口さんがスタジオで「もう『陰口専門学校』っていう曲ができてるんだ」って言って、いきなり歌いだしたりしてたんです。「じゃあ今度僕が採譜して、大塚くんにも送って、こういうふうに歌うっていうのを決めます」って言ってて。それで、ある日関口さんが電話してきた時に「じゃあ、今からちょっと録音しましょう」つって、電話口で歌ってもらったんですけど(笑)。一回歌ってもらったら、レコーダーが動いてなくて(笑)。 (一同爆笑) 歯:「すいません、もっかい歌ってください」「ふざけんなよ!」みたいな会話をしました。 ――幻のファーストテイク。 歯:「じゃあ次は風呂場行くからな!」つって、風呂場で歌ってもらった。それで最初の形の、全員同じラインで歌うオリジナルバージョンができた。 ――これ、俺がうしろ前を初めて観たライブですでにやってましたね。 歯:『復讐』『フィックション』よりもうちょっと後くらいにできた曲ですね。2012~13年くらい? で、これ歌詞は3番まであるんですが、最初にライブでやったときには、すでに3番あったんです。 マ:でも実際ライブでやったら、「長くねえ? 2番までにしよう」と。 歯:で、2番までのライブエディットができた。 ――レコーディングのために3番作ったと思ってました。 マ:3番以降も公募してるんで。 渡:わださんが作ったのが。 わ:「おもしれえからたくさん作るか」つって勝手に作ったのが7番まである(笑)。 ――(笑)。 渡:わださんのやつ自己批判し始める。 マ:内省的になってきてた。作る人の精神性をあぶり出す。 渡:作家性がすごく出る(笑)。 マ:ちなみに3rdは英語版ですね。 歯:インターナショナルバージョン(笑)。 ――あはは(笑)。 マ:ウィーア~、シャドウワーズ。シャドウワーズ……サーコォー。 ――あと、みんなで歌おうってのいいですね。 歯:これメンバー4人とヤミニさんとで、5人で歌ったテイクを多重録音して。6回分、一クラス分やったんですけど、5テイク目ぐらいで色んな人が憑依してきて。 ――そうすね、ベンジーがいたり、ショコタンがいたり。ウィーアーザワールドですよね。 マ:で、最終的にみんなアファメーション完了と。 渡:わださんが間違えるとこも。 歯:あれも入ってる。 わ:我ながら笑の神が降りてきてた。 ――完璧なタイミングで完璧に間違えてましたからね。転校生って感じの。俺も、初めて録音した時みんな歌い慣れてるけど、俺だけ歌い慣れてないからすごい転校生感出てた。4回目くらいには慣れてましたけど。 渡:今はムチオさんが転校生ですからね。 マ:ちなみにムチオさんは「喧嘩で入院してて、結果的に留年しちゃった不良の怖い人」って設定。 歯:テクニカルなとこも話すと、この曲のオケは僕がFairlightのモデリングの音使って作ってるんですけど、レコーディングのときはもうちょっと、プリセットの音使ってたのを、最終的に全部音源差し替えて。 ――TR-505? 歯:いや、リズムは707。そこからカシオトーンの音に差し替えたんですけど、タイミングも僕の手打ちに変えて。それですごいなんかうねりが出ていい感じになったんです。でも通しで聞いたらゴージャスになりすぎたなって感じがしたんで、今ライブで使ってる2番までのオケは、レコーディングのときのペラペラでかつリズムがすごく硬質なオケを再現してます。 ――それも再現なんだ(笑)。 歯:っていう感じで作ってますので、ぜひライブにも足を運んでください。
アルバム全体(総括)
マ:総称させていただきますと、アルバムの中で多彩な楽曲が並んでますけど、忘れないでもらいたいことは、アルバムのテーマです。「夢じゃないあれもこれも」。 ――……それ? マ:ノンフィクションじゃないんです。じゃない、ノンフィクションなんです。 歯:(笑)。否定したいがためにひっくり返っちゃってる。 ――メッタメタになっちゃってる(笑)。 渡:心理学的にありますよね、何回も間違えるってことは、本心ではそう思ってるみたいな(笑)。 マ:まあね、最後にまとめさせてもらうと「これもまたウソ」。 歯:おあとがよろしいようで。 渡:仲良くしてくださいよ(笑)。
ライブ情報: 11/3(土)新宿モーション、11/24(土)中野ベースオントップスタジオ、12/14(金)大塚ミーツ
twitterアカウント→ @sakasazoku
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しりあがり寿・よしひろまさみちが感じる・ドS深田作品の魅力! ファントークイベント報告
この度、深田作品の大ファンと公言する『真夜中の弥次さん喜多さん』等で知られる漫画家のしりあがり寿さんと映画ライターのよしひろまさみちさんがイベントに登場!お二人の深田監督との出会いや、最新作となる本作の撮影方法など裏話について語っていただきました。
◆日程:6月11日(月) ◆場所:テアトル新宿 ◆登壇:深田晃司監督、しりあがり寿、よしひろまさみち
しりあがりさん「観終わって、ここを(映画最後のシーンのように)駆けたくなりますね」と映画上映終わりの観客と興奮冷めない様子。監督「蝶のシーンなどCGもありますが、最後の海を駆けるシーンは力わざで橋を作って潮が満ちる前にCGなしで撮影しましたね。あと、花を生き返らせるシーンもアナログなのですが、花を枯れるまでずっと撮影し続けて逆再生したんですよね。」と撮影の裏話から冒頭はスタート。
二人のご関係について しりあがりさん「深田監督の『歓待』をきっかけに、私が毎年行っているさるハゲロックフェスティバルを行っており、その映像記録をお願いしているんですよね。」とまさかの関係によしひろさんから「カンヌ(受賞)の監督にですよ!(笑)」とツッコミが。
『淵に立つ』について聞かれ、しりあがりさん「大好きですが、嫌な気持ちになりますよね(笑)」と同じく監督の作品が好きなよしひろさんも「言葉を許していただけるのであれば、深田監督の作品はすべてド変態だなと思っております(笑)監督はすごくいい人なのですが、映画はドSですよね。今回の作品ではインドネシア語と英語が話せるおディーンさんが喋らないなんて(笑)こんなドSなことありますか!」と今回の作品にもツッコミが。 監督も「ディーンさんにせ喋らせないなんて贅沢だと葛藤しながら、会見のシーンも中国語をもっと増やそうかと思ったんですが、結局インドネシア語と英語のみにしましたね。」
他、共演の太賀さん・鶴田さんの語学も聞かれ、監督「太賀さん・鶴田さんには2か月インドネシア語を勉強してもらい、鶴田さんは上手くなりすぎないように気を付けてもらい、太賀さんはネイティブに見えるようにしていただきました。また、太賀さんはリアクションが上手くて、ちょっとしたしぐさも現地の人も認めるくらい自然で、現地のキャストとも仲良くなっていたので、リアルなリアクションが撮れたと思います。」と太賀さんの演技を絶賛。 それを聞いたしりあがりさんも「僕も太賀さんが現地の人に見えました、演技っぽくなく、そのおかげで作品がよりリアルに見ましたね。」 と会場の観客も納得の様子。
また��影は本作ほぼノーアドリブで、太賀とアディパティ・ドルケンのハンドシェイクを太賀からの提案で追加し、映画後半のシーンで歌も追加したそう。しりあがりさん「その若い子の意見など、どんどん取り入れるのが追加するのが、素晴らしいですね。」 歌を追加した経緯について監督「インドネシア人スタッフは休憩の度に歌っていて、それがどんどん広がり、皆で合唱するんですが、日本人スタッフは皆が歌詞を知っているような歌がなくて、(長淵剛の)『乾杯』を歌ったりしてましたね。一生懸命iPhoneで歌詞を探しながら(笑)」と撮影も朗らかな雰囲気だった様子。
監督のSNSでの反応に対して話を振られ、監督「今回SNSのキャンペーンで「#海を駆けてきた」のハッシュタグで感想が見れるので、観てしまいますね。あまり深追いすると地雷を踏んでしまうので、ほどほどで。」と実際SNSでも、多くのコメントに反応し、観客の感想が気になってしまう様子。 よしひろさんからも「みなさんもツイートしていただければ、(本日風邪で声の枯れ気味な監督に対し)声の枯れていないネット上の深田監督が降臨しますよ!」と告知も。
最後にも撮影裏話で、最後の海を駆けたシーンでキャスト4人が同時に海に落ちるシーンに対し、監督「橋を走っていたあと、本当に落ちるリアクションが欲しかったので、(バラエティ番組の)落とし穴みたいに一気に下を開けて4人同時に落としましたね(笑)」と笑顔の監督に、しりあがりさんとよしひろさんからは「人がわるい~」とツッコミがあるも、だからリアルさがあると納得の様子。 監督「映画はいかに上手くウソをつくか、だと思うので、このぐらいが丁度いいんじゃないでしょうか。」
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自分を愛し続けることが出来るかどうかの旅なのかも。
本来は存在自体が既に完璧です。 しかし生まれて成長するとエゴが(無明)現れ、私が完璧だということを忘れさせようとする。 ⇒エゴが真実と思い呑み込まれ流される
⇒エゴの主張通りのエゴに支配された現実が延々と展開するループ
⇒エゴは騙したいだけ。 私が完璧 だってことを思い出させないように。
それに気づいたらエゴは消えてしまう。
巧妙なエゴのホログラムにだまされないで。ウソだと気付くこと。
物質世界がどんなことを仕掛けてこようが、それに惑わされずに自分を信じ貫くこと。愛し抜くこと。 どんな状況下でも自分は完璧であること・創造主であることを忘れない。
いつも自分は完璧であること・創造主であることを思いだすだけ。
人生はどんな状況下でも宇宙で1人だけの自分を愛し抜けるか、信じ貫くことが出来るかどうかの旅なのかも。
不都合な現実を見るのはなぜだろう。 「現実は内面の投影」だから。
内面:あたしは完璧じゃない・愛されるには条件をクリアーしないとダメ・成功するのは一握り=現実:完璧じゃないと思わされる現実・愛されるために条件が必要な現実・成功するのは一握りな現実
「どうや?不都合やろー。お前は愛されてないぞー完璧じゃないぞー創造主なんかじゃないぞー。ただのちっぽけな人間だぞー。現実をみろよーほれほれ」って現実とエゴが次々に決意を揺るがせる邪魔みたいに出てきてます。
そこで創造主である私の在りたい在り方を(宣誓)するのです。 自分がどうありたいか。そこだけははっきりとして心に決める。
物質世界がどんなことを仕掛けてこようが、それに惑わされずに自分を信じ貫くこと。愛し抜くこと。 『 現実からの挑戦 』 が来た時点で、実は全て叶いつつあるというサインなので 「 しめしめ 」 と思って 『 招待状が来た 』 と思って喜んでいいんです。 完璧なこと・創造主であることを忘れさせられるから、、生まれたとき泣いてるのかな。。
★現実からの挑戦状 byマカロン あまりにも簡単すぎたらこの世はミリオネアだらけですよね。 ですので 「 あなたは本当に信じているの?」 って試されます。 私は自分の体験から語っているので全ての人に当てはまるか分かりませんが、 実現前に嫌な現実が襲ってくる んですよ。 片思いの彼が���約しちゃうとか、 応募した会社からお祈りメールが来るとか、周りのモテない?友達が立て続けに5人結婚が決まるとか・・・
私は 「 現実からの挑戦 」 って呼んでいる んですが、これをガン無視して相変わらず 「 成って 」 いられますか?ということです。
わざと出てきてるでしょこれ?と傍観できてる自分に気づいたので 以前と違い振り回されなくはなってますがネガは相当きますので自分との戦いです。
全部が無意味映像であろうと未来と関連してなくても 自分がネガる映像は次々に決意を揺るがせる邪魔みたいに出てきてます。
全部が全部「快」映像ならばメンタルは 相当楽だと思います。でもそうはいかない感じに見えますねw 途中途中で真逆映像は挟まってくる。
だから108さんは意図だけ必要と仰るのでしょうね。
自分がどうありたいか。そこだけははっきりとして心に決める。
途中経過の真逆映像に振り回されて脳内破壊したわけだし
願いを叶えたいのはなんで? 自分を自分で愛せない 認められないからそれを周りに求めていただけ 誰かを通して 何かを通してでないと自分に価値を見出してやるもんかっ!と本音ではずっと思っていたんです 目からウロコでした
小さい私が「ねえねえ、こんなん出来たよ。すごいやろ。だから愛してくれる?」って許しを請い続けてた
願望は私が私に愛されるための、好きでいてもらうための、材料・手段集めだった。
●TOEIC900点以上獲ったよ、すごいでしょ。だから、愛してくれる? ●彼氏出来たよ、モテモテだよ、すごいでしょ。だから、愛してくれる? ●結婚したよ、大切にされてるよ。だから、愛してくれる? ●歌で成功した、だから、愛してくれる?
結局ね 私が一番私を雑に扱っていたんです 自分を自分で愛せない 認められないからそれを周りに求めていた
最初 これに気付いた時 少し思考停止したんです
「あ、 なら今までのこの現実 全部繋がるな」って
まさに「現実は内面の投影」を実感
こんなに忠実に叶えられた自分 すごくない? これ 修正していけば なんでも叶うんじゃない?と一気に実現化への確信が高まります 自分への信頼感も得られる
そこから面白いように現実は変わっていきます
願いを叶えられない自分に価値などない 叶うまで誰も私を愛するなそうだ私すらも私を許すな!
叶えられたらようやくそこで私を認めてあげよう
そりゃそんな現実がそのまま返ってきます笑
その当時は辛くて辛くて死にそうだったですけどね
自愛のisaさんも はげどうさんも
自分を愛せば現実なんて変わってくれる むしろそこに愛しかない
私こそが創造主 世界は完璧だった
自愛が進むとどうなるか。今の君が欠けている(と思っている)この世界が(実は)完璧だったと気付く。 君が嫌がっている、変えたがっているこの世界がだ。変えようとは思わなくなるんだ。そう思おうとしなくてもだ。
四六時中やるのは何故だ?抜け出したいからだろ? 君は君を完璧だと認めろ、だ。彼がいなくても、負けても、完璧なんだ。彼がいない君をまるごと愛してやれ、だ。
不本意な事と君の内面。分離を採用してるだけだよ。
君が楽な事をしてあげるのが自愛だよ。君が自愛だと思っている行為を止める事こそが自愛だろ。
自愛するっていうのが何か不思議に感じるよ。 多分自然にできないから、自分を愛さなきゃってなるんじゃないの? 自愛しているとか言ってる人って、無理に自分を愛そうとしているだけのように感じる。 まぁ昨日教えられてできないからそう感じてるだけなんだけどね。
自愛、という言葉に囚われる必要はない。 ただ自分を甘やかす。自分を大切にする、だ。責めない。
君が認めたら良い事は、自分を愛し切れていなかったという事だ。 受け入れろ、だ。再配達はくる。 108さんのだが 「私は今まで感じた全ての感情、経験など、私の全てを受け入れます。私の全てを受け入れ、丸ごと愛します。」というのも勧めるよ。
出来事と君が君を愛する事は一切関係ないだろ? 君は無償の愛に包まれた事があるか?どんな君でも愛される。 君が存在しているだけで愛される。何故泣く?
たとえ愛しきれずに何か嫌なことが現象化しても、あなたを愛し続ければいいんだよ。「どんな自分でも愛する」って、そういうこと。 最悪責めなきゃOKだと思ってるw自分に責められるのが一番辛いからなぁ・・・・それも愛でしょう^^怖がらなくていいよ。大丈夫^^
望まない現象化だと思うと怖いかも知れないけど、 「気付いて」って言ってる小さなあなたかも知れないんだよ。
「自分が愛せなかったせいで嫌な現象化が起きた」と、自分を責めなくていいんだよ。
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