#ジャイジョニ
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draftstrashcan · 5 years ago
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歸途
※劇情有捏 ※同人過度解釋可能OOC。
   那個男人總是在他跟前,流暢的馬蹄聲不絕迴響。但男人仍然會停下馬匹的腳步轉過頭來,一手颯爽地抬起牛仔帽的邊緣,對少年露出和太陽一樣明亮的牙齒。他的笑容從來不會改變,可能是牙齒的印象和感覺,少年一直認為那個笑容是黃金色的,充滿著衝勁和希望,為他的人生帶來無窮的光芒。
   那是旅行途中,一片不起眼的回憶。
   「果然是山脈最讓人自在了!老兄,看這鮮明的景色和山下一覽無遺的開放感。而且爬上山脈讓人很有滿足感又愉快!」他呦呵地笑。喬尼早就習慣他的這個怪異的笑聲,甚至可以說是為他的旅行加上一點色彩。
   「是嗎。我怕冷,所以不太喜歡山脈上的風雪。」喬尼如常地跟在後方悠閒地說。從傑洛旅行的裝束和物品來看,他不太意外傑洛喜愛於山脈地形穿梭。
   「倒是,我無法喜歡海洋。」傑洛露出異常誇張的厭惡表情,他噘嘴後一手抓抓後頸的頭髮,視線放遠。
   喬尼不以為然,他眨眨眼睛,如常聽著傑洛有意無意間的話語。
   「因為啊,你不覺得很可怕嗎?沒有陸地的地方,馬匹到不了的地方。不管怎麼努力使出回轉都會被水流壓抑的區域。而且龐大得看不見目的地的感覺挺讓人噁心的不是嗎。」傑洛流暢地講著一大堆話,一邊抱緊自己,又搭配著生動的表情,讓喬尼覺得有點哭笑不得。
   「我是挺喜歡海洋的。那種東西只是傑洛的獨見吧?我覺得海洋很美麗,而且又清楚能看到���色。說到底既然要到海洋就是會搭乘船隻阿。哪來的笨蛋會想要騎著馬匹過去。」喬尼理所當然地說著。
   傑洛露出一臉「所以我才不受不了這種富家公子少爺」的表情。大概是在想著又不是每個人有辦法搭船到處遊樂,諸如此類的事情。
   「那下一次想要到海上的時候,就靠你了啊老兄。呃,搞不好我還會暈船。」他如此說著,接下來又加快了馬匹的腳步,沒有一息間就開始陶醉地哼唱自創的歌曲,觀賞山脈的模樣歡愉,像是在期待著什麼似的看著喬尼。
   給你抄下來就好了吧,喬尼一臉拿他沒轍。隨著馬匹的搖晃,傑洛奇妙的歌聲在清幽的山中帶點回音,像是在給馬匹打著拍子。
   ──這些景色和表情,喬尼都歷歷在目。
   如今,鹹味隨著海風吹來。這裡沒有馬,沒有回轉,搖晃的只有被波浪衝擊的船隻,響亮的鳴笛表示著目的地是傑洛的家鄉。這片美麗的海洋帶走了傑洛。可是它依舊閃閃生輝,照耀著前方的道路。太陽反射的光讓他想起了傑洛的金牙齒。
   討厭海的話,就帶著喜歡海洋的我一起去吧。即使沒有讓你安心的馬匹,如果是在甲板上唱著你的歌,寫下那些只有你才會想到的笑話,或許便比較不會害怕了。──喬尼曾經想要如此回應傑洛在山脈上的話語。那時的他只是聳肩,並沒有說出口。可是如果是傑洛的話,大概早就知道喬尼會那樣回應他。
   在漫長的航海中,喬尼擁抱著傑洛曾經恐懼的海洋,緊靠著棺木。他吟唱著記不清楚的旋律,靜靜地流淚。淚水和悲傷也被海洋一併幻化成風。
   「傑洛,我有好好地兌現承諾了。」搖晃的船隻讓他依稀憶起馬匹上的拍子,海洋的光芒和山脈上的雪帶來的反射有數分相似,喬尼於棺木旁睡去,夢中的傑洛對他說著無關緊要的笑話。
   不論是海洋還是未來也不會再懼怕。因為他會讓傑洛的生命長存於心中,直到他逝去的一天。
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yu-wataru-blog · 7 years ago
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ジャイジョニ合志の落書 中国語注意
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mizsumashi · 12 years ago
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ジャイロの夢のはなし(終)
前回【http://mizsuadult.tumblr.com/post/54257381773】R-18につきパスワード付き これにて終わりです。まわり回ってやっぱり夢のはなし。+オマケ ーーーーーー 「ジャイロ、ねえ、良かった?」 こちらを見ないままでジョニィがそう尋ねて来るのに、溜息を一つ漏らして、ジャイロは自分のベッドの上に腰掛けた。あんまり認めたくはないが、良かった。男とこんな事をするという事自体が信じられないと思う反面、ジョニィならば全く抵抗がないとも思う自分がいる。自分でもどういう心境なのかはかりかねるのだが、とにかくそうなのだ。その事実だけは、受け止めなくてはならない。 「……あのさ、ジャイロ」 ぽとりと右腕をベッドに落とし、首だけをこちらに向けたジョニィが声を掛けて来る。 「さっきさ……君の事起こした時……真っ青な顔してたから、心配だったんだ」 「そうか」 「元気になったみたいで、安心したよ」 あの時自分は平気な振りをしていたが、やはり顔には出ていたようだ。ジョニィはそれきり何も言わず、再び自身の右手を見詰める。その様子に苦笑を零しながらベッドに横たわれば、古ぼけた天井に浮かぶ染みがやけに気になり、じっと目を凝らした。途端、その染みが血飛沫のように見え、思わず顔を逸らす。その先にはジョニィの両目があって、目が合うとどうにも気まずく、視線が泳いだ。 「……聞いた事無い声色だったから」 「ん?」 「君が寝言でボクを呼んで、その声が……何て言うか、悲しいような、苦しいような、……凄く辛そうな声だった。君の口からそんな声が出るなんて思わなくて、驚いて……声を掛けたんだ」 夢の中でジョニィの名を呼んだ事を思い出す。断頭台に横たわり、静かに首を差し出すその姿。ジョニィは、そうやって受け入れるのだろうか。寧ろ、最後まで藻掻いて、足掻いて、生きる事に執着するのではないだろうか。あの姿は、夢の中で、自身が想像したものに過ぎないのだ。 「……気になるか?」 どんな夢を見ていたのか。さっき、ジョニィの首を見て、どんな想像をしたのか。気になる素振りで話しかけてくるから、てっきり聞かせて欲しいと言うかと思ったが、ジョニィは首を振って、目を眇めた。 「今はいい。そのうち、聞かせて」 そう言うと、ジョニィはごろりと寝返りをうち、背中を向け、寝るよ、おやすみ、と小さく呟いた。それきり、ジョニィはこんどこそ沈黙し、こちらを見る事もない。その背中をじっと見詰めながら、ジャイロはあの夢の事を反芻していた。 ジョニィが起こしてくれなかったら、あの後自分は夢の中でどうしていたのだろうか。やはり、今までと同じように、ジョニィの首を刎ねていたのだろうか。それとも、刎ねる事が出来なかっただろうか。……いや、きっと、ジョニィがあの悪夢を中断させてくれたのに、意味があるのだろう。そうやって、無意識に、ジョニィは手を差し伸べてくれる。ジャイロの後ろを付いて来ているようで、ジャイロの事を引っ張ってもくれる。だからこそ、今の自分がここに居るのだ。 並んで設置されているベッドの内、壁側はいつもジョニィの場所だ。両方が壁際なら、より入り口から遠く窓に近い方をジョニィは取る。それは、車椅子を部屋の隅に置いても手が届く場所だからだ。そうやって、無意識��気を遣いながら、ジョニィは二年の歳月を過ごしてきたのだろう。夢についてもそうだ。まだジャイロがあの夢の恐怖を飲み込めていないのを感じていて、だから、そのうちなんて言ってきたのだ。 「……おやすみ、ジョニィ」 ジョニィに聞こえるか聞こえないか分からないくらいの小さな声でそう呟き、ジャイロはシーツに潜り込んだ。 ++++ (……どうしよう、これってヤバイかも) (ジャイロの感触がずっと右手に残ってる……凄く熱くて) (それに、ジャイロのアレ、凄く綺麗な形してた) (キスするのも全然抵抗無かったし) (色っぽい吐息も、もっと聞きたかった) (どうしよう……もっと触りたい、触って欲しい) (これって) (ああ、どうしよう、ドキドキして……止まらないよ、ジャイロ)
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draftstrashcan · 5 years ago
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I say a little prayer
※同人過度解釋可能OOC。   
    從營火零星飛躍而出,斷斷續續的噼啪 ── 噼啪噼啪,啪。熟悉的聲響是他們又得以存活一天的證明。然而只有那個聲響還是太過寂寞了,不羈的那一方總是先開口。他說了點無關緊要的話,有時候不知道是為了支開注意力還是為了緩和緊張。不管怎樣,這絲毫不影響他們的對話。他們就像舊友,並沒有如珠如寶那般珍惜活著的時間,以百無聊賴的內容打發對方。
   不穩定的燃燒之中煮出的咖啡很苦澀。直率的那一方毫不忌諱地說出感想,反正對方會掀起帽子咕嘟咕嘟地舉頭就喝,像喝酒精的乾脆 ── 噢,他才不在意有沒有砂糖。
   「反正是你煮的就好。」他們有時候在不留神之間會說出沒有意圖的稱讚,那幾乎是一種默契。那些說話絲毫不比長頸鹿的舌頭有兩尺長的話題頻繁。不過他們都知道那些不留神之間的語言會流進對方的耳殼之中,像那苦澀得難以入口的咖啡。
   喬尼怕冷,他埋進了傑洛長長的頭髮之中。那並不保暖,至少比他的帽子更不保暖。傑洛把自己頭上的大帽子塞到喬尼的臉上,即使他頭上本來就有帽子。那樣就喝不到咖啡,更本末倒置了。於是喬尼把帽子拿下來塞回去對方頭上,他的手還是很靈活的。
   馬的頭頂會冷嗎?牠們都有像傑洛一樣的鬃毛,但從來沒有長到臉頰上。想要觀察馬匹的喬尼抬頭看,視線卻轉移到清澈的夜空。每一天都能看到的星河直接連接著山脈,紫藍色的光芒讓他出神,入夜後的風吹動照映雙眼的營火,噼啪聲變得倉促,可是他們並不擔心火會被吹熄。
   「傑洛,馬的頭頂會冷嗎?」
   「你把帽子給他不就知道了。」不約而同地,身旁的他也在看天空。傑洛早就看習慣那種景色。不過他第一次不是單獨觀賞優美的星河。
   說到星星,喬尼身上明明就有一顆,其實也不用特意抬頭看。傑洛歪頭嘗試從喬尼的領子窺看��膊上那獨特的胎記,這個人一直有在帶給他幸運。喬尼藍色的眼睛映著星河,認真盯著銀河的樣子很像另一片天空。從一開始他就是屬於傑洛的另一片天空 ── 大概是和小熊差不多重要。
   下午從路上的小鎮撿來喝的白蘭地好像現在才跑到腦袋。覺得喬尼有點像小熊娃娃的傑洛低頭親上他的唇,沒有多餘的動作,只是雙唇輕觸良久。因為在山脈間穿梭的關係,剛才喝過咖啡的唇很乾涸,而且留著黑咖啡那苦澀的味道。不過他才不在意沒有砂糖。
   沒有困擾和迷惑地喜歡上一個人的話,那是喜歡嗎?如此複雜的問題,他沒有仔細思考。畢竟傑洛覺得自己是一個笨蛋。
   「喬尼,你還會冷嗎?」
   「不冷了。可是帽子不會脫下來喔。」喬尼一臉認真,又使勁提起身體往傑洛的唇上回禮。篝火搖曳,傑洛看不清楚喬尼的臉是否有點紅起來,那大概是乾燥引起的過敏而已。
   喬尼在星空下發呆了一會,隨後便轉身拖著行動不便的雙腿爬到帳篷之中。他仔細回想,其實本來就沒有那麼冷。傑洛身上的味道混著白蘭地的酒精,還鮮明留在鼻腔中。
   早上起來看日出的時候,他們會再次於旅途中聊到無關緊要的笑話。即使仰望的天空崩塌下來,或是山岳傾瀉而出。只要有安心的蹄音,也會是美麗可愛的一天。
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mizsumashi · 12 years ago
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ジョニィが照れちゃうはなし
続いてました ーーーーーー 顔を真っ赤にしながら怒鳴ってくるジョニィに説得力はあまりない。だが少しばかり意地悪しすぎたようだとジャイロも「すまん」と反省の言葉を述べた。ジョニィはそれでもまだ困った表情のままで、身体を起こしてベッドの上に座った。 「吸い込まれたって何だよ。またあの、鉛玉になりたいって話?」 「そう、なのかもな。深くは考えて無かった」 「何だよそれ……」 呆れたようにそう呟いたジョニィは、自身の手をそっと背中に回し、そこにある銃創を触った。 「……醜いだろ、この傷跡。皮膚が引き攣れて、歪に肉が盛り上がっててさ」 「そうかな。どう見たってただの銃創だぜ」 「また君は何でもないような顔で、そんな事を言うんだ」 ジョニィが今度は眉を寄せ、困惑をその顔に浮かべる。以前も、感想を述べずただ傷跡を触っていると「……何か、ないのか」と尋ねられた。痛そうだとか、辛かっただろうとか、と、この銃創について皆が口を揃えて言っていたであろう、口先ばかりの同情の言葉を、ジャイロが口にしないのを不思議がっていた。正直、同情よりも何よりも先に、ジャイロが思った事は。 「けどソレがあるから、今のおまえさんが居るんだろ?」 目の前の、ブルーの瞳が大きく見開かれ、何度か瞬き、そうして呆気に取られたような表情で固まってしまう。ジャイロはその双眸を真っ直ぐに見つめ返しながら、先を続けた。 「そこに弾丸を受けなきゃ脚が動かなくなるなんて事は無かったかも知れんが、脚にハンデを負ってなきゃあ、おまえさんはここには居ねぇだろ。……違うか、ジョニィ?」 「……」 少しの間、黙ってジャイロの言葉を聞いていたジョニィは、やがて、ゆっ��りと俯き、「うん」とだけ、小さく呟いた。その髪の毛の間から覗く耳が赤く染まっていて、ああ、何とも可愛らしい、とジャイロは思う。 「まぁ一つだけ、その傷跡について感想を言うなら」 バッ、と弾かれたように顔を上げてジャイロを覗き込むジョニィに、口角を上げてみせると、ジャイロはベッドへ腰掛け、そのジョニィの顔に自らの顔をぐっと近付けた。 「薄っすら色付いて、綺麗だったな」 「……なっ!」 ほんのり赤く色付いていた頬を更に赤く染め上げて、ジョニィは絶句したままジャイロを見詰める。ニィッ、と歯を見せて笑ってみせるジャイロに少し眉を緩めて、それから、吸い寄せられるように唇を重ねた。ちゅ、と軽く触れ合って離れ、ジョニィはジャイロの身体を引き寄せると、肩に顎を乗せて来た。ジャイロもそれに習い、ジョニィの肩に顎を乗せる。 「ジャイロ、……あのさ」 声のトーンを下げ、何か悪戯でも思いついたかのようにジョニィが声を掛けて来る。ん、と聞き返したジャイロに含み笑いをすると、耳に唇を寄せ、とんでもない事を囁いてきた。 「君の、見せてよ」 コレ、と言いながら、ジョニィの手はボトムの上からジャイロの中心を探って来た。 「おたく、藪から棒に何を」 「だってあの時は、山の中でキャンプ張ってたからダメだって言ったんだろ? 今はベッドの上だし、お互い身体も洗ったんだ、ダメじゃあないよね」 「……っう〜……」 その事は、もう忘れてくれているものだと思っていた。確かに、あのキャンプから今まで、ジョニィがその事に触れて来なかったのは事実だが、それは忘れていたとか諦めてくれたとかじゃあなく、単に切り出すチャンスが無かっただけだったようだ。 寄りかかる身体を離し、ジョニィの顔を覗き込めば、真っ直ぐに見つめてくる双眸が、冗談で言っているのではない事を示してくる。一度こうしたいと思えば、何があっても自分の意志を曲げない、ジョニィがそういう男である事は、今までの旅の道程で嫌という程思い知らされている。 「……男のモン見て楽しいのかよ?」 「うーん、楽しいかどうかは見てみないと分からないけど。自分の以外見たこと無いし」 そう言いながらも、ジョニィの手がそこを撫で、中の形を確かめようとしてくる。参ったな、とジャイロは呟いて、大きく溜息を付いた。ともあれ、そうやって触られているのに嫌な気分がしないのが、何よりも参ってしまう。これは、腹を括るしかない。 「……分かった。いいぜ」 (※この先R-18展開につき、こちらには掲載出来ません。続きは鍵付きにて……)
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mizsumashi · 12 years ago
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銃創を見たいジャイロのはなし
もう少し(少し?)続きます ーーーーー 「……もしかして、起こしちゃった?」 「ん、ああ……」 「名前を呼ばれたから、起きてるのかなと思って。ごめん」 「いい、大丈夫だ。……結構寝てたな」 ジャイロは横たわったままで腕時計を確認する。ベッドに身体を預けてから、二時間くらいだろうか。 「シャワー浴びてくるわ」 そう告げて、ジャイロはまだ重い身体を起こし、ベッドから降りた。 シャワーを浴びながら、ジャイロは先程見た夢の事を思い出していた。 13歳で父親の助手を始めた頃から、誰かと少し親しくなると、必ず同じ内容の夢を見た。それは友を、恋人を、処刑する夢だ。ジャイロは自身が大事に思う者を、夢の中とはいえ、自ら殺さなければならないのだ。初めてその夢を見た時は恐ろしく、断頭台に横たわる親友の顔をまともに見る事が出来なくなってしまった。 それは、現実では全く起こり得ないという訳ではなかった。少なくとも、祖国にいる時は。だから、その夢を恐ろしく感じたのだ。そして、その夢は、その人とこれ以上親しくなってはならないという、警告にも取れた。そ��して、いつしかジャイロは他人と親しくなることを避けるようになっていった。 また、警告されているのだろうか。ジョニィとこれ以上親しくなってはいけないと。 しかし、今までは最後に差し出されたその首を刎ねていた。 ……ジョニィの首は、刎ねる事が出来なかった。 シャワーから戻ると、ジョニィは壁際の方のベッドの上でうつ伏せに転がっていた。寝ているのだろうか、しんと静まり返った部屋にジョニィの息遣いだけが響いている。黙ったままで、ジャイロはベッドに近付いて、ジョニィの隣に立って投げ出された身体を眺めた。ジョニィはシーツに顔を埋めたまま、身動き一つしない。けれど、少し息を潜めたのは分かった。眠っている訳ではないようだ。 ジャイロはと言うと、少しだけはだけているパーカーの裾から目が離せなくなっていた。白い腰のその上に、あの夜に触った傷跡が、ジョニィの身体を深く抉った銃創がある。今は服に隠されていて見えない、けれどそれを少し上にずらせば、きっとそこに、白い皮膚の上に深く刻まれた跡が。気が付くと、ジャイロはジョニィの服を捲り、その先に隠れている銃創を暴いていた。 「ジャイロ、見ないで」 服を捲ろうとした途端、ジョニィはそう言って、身体を捩り抵抗しようとする。しかし、ジャイロがジョニィの肩を押さえて動きを封じようとすれば、すぐに身体の力を緩めた。ジャイロはそのまま裾を少しだけずらせば、思った通りそこには痛々しい傷跡があった。そっと指先で触れれば、確かにあの時触ったものと同じ感触がする。そのまま、ジャイロは銃創へ口付けた。ジョニィの身体がビクリと震える。唇で皮膚の感触を確かめて、次は舌で、キスをしている時のように、優しく、何度も盛り上がる肉をなぞった。 「や、……ジャイロ、う」 どのくらいそうしていただろうか。ジャイロは唇で、舌で、その傷跡を愛撫し続けた。ジョニィは身体を震わせ、少しだけ息を乱れさせて、しかし抵抗する事はなく、動かないままでその愛撫を享受していた。ようやく唇を離し、唾液で濡れたそこを手の平で拭ってジョニィの顔を覗き込むと、潤んだ瞳に困惑と動揺を滲ませて、ジャイロを見上げてくる。 「どうして……こんな事」 「……ここを見てたら、吸い込まれちまって」 再びジョニィの傷跡を指でなぞる。ぴく、とジョニィの身体が跳ね、それはまるで。 「感じるのか? ここ……」 今度は意地悪い程にゆっくりと、触れるか触れないかくらいの力加減で撫でてみる。ジョニィの身体がまた跳ね、やめて、と叫びながら身体を転がしジャイロの指から逃げていった。 「バ、バカ! そんなんじゃあないよ!」 顔を真っ赤にしながら怒鳴ってくるジョニィに説得力はあまりない。だが少しばかり意地悪しすぎたようだとジャイロも反省する。
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mizsumashi · 12 years ago
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ジャイロの夢のはなし
これからアレな展開にするつもりがちょっと煮詰まって来たので途中投稿して続き書けよお前と自身にはっぱかけとこうと思って ーーーーーー 並んで設置されているベッドの内、壁側に設置されている方はいつもジョニィの場所だ。両方が壁際なら、より窓に近いほうをジョニィは取る。それを知っているから、ジャイロは今日も入り口に近い方のベッドに自分の荷物を放り、自身の身体もシーツの上に投げ出した。 「ジャイロ、シャワーは?」 「あー、後でいいわ。身体洗いたいなら先に使っていいぜ」 「オーケイ」 ジョニィが浴室を覗きに行くのをちらりと見てから、ジャイロはそのままシーツに沈み込むように重い身体に従うように、目を瞑る。ここ数日はルートも平地で、天候も悪くはなく、平穏な走行だったと思うのだが、身体は酷く疲れているようだった。いや、身体よりも、精神的に疲弊しているのかもしれない。3rdステージを終えてから、ジャイロには考えなければならない事が増えた。それは主に、自分自身への問いかけであり、そして答えを知っているのも、自分自身でしかないような事柄ばかりで、しかしまだそれには辿り着いてはおらず、一日中、堂々巡りに思考を巡らせ続けている。泥のようにねっとり纏わり付くような眠りが身体を包み込んでいくのに任せ、そのまま休息を取る事にした。 ジャイロは、王城の地下にある牢獄の、冷たい石壁を眺めていた。処刑服に身を包み、剣を手にすれば、感情などという煩わしいものは心の奥底に身を潜め、ただ使命感だけが全身を支配する。腰のホルスターから鉄球をその手の平に収め、重い鉄格子で仕切られたその中へと歩みを進める。その小さな部屋の真ん中に設置されている断頭台には、青年がうつ伏せに寝かせられていた。 「楽にしろ、一瞬で終わる」 死刑を言い渡された極悪人でも、死ぬのは怖い。いや、そういった罪を犯す者程生に執着する。故に暴れ、手が付けられないこともしばしばなのだが、今日の罪人は暴れる事も、執行人を罵る事もなく、静かに首を差し出した。 「大丈夫、覚悟は出来てる。さぁ、ボクの首を刎ねてくれよ、ジャイロ」 その声に、ジャイロは思わず息を飲み、改めて断頭台に横たわる男を眺める。そんな馬鹿な。 「ジョニィ……何で」 後ろ手に手錠を付けられ、そこに横たわっているのは、共にレースを勝ち進んで来た、友の姿に他ならない。それを確認した途端に、剣がカタカタと音を立て始める。手が、震えて、これでは真っ直ぐに振り下ろすどころか、振り上げることすらままならない。うまく呼吸が出来ず、息が荒くなるのが、自身でもよく分かった。 「ジャイロ。ボクを処刑するのが、君の仕事なんだろう? 早くしてくれよ」 「オレは……」 ジョニィの差し出す白い首の、何処に刃を突き立てればその首が落ちるのか、ジャイロには見える。第五頚椎と、第六頚椎の間。その僅かな隙間に、正確に剣を振り下ろせばいい。だが、それを行うのは、ジャイロにとって酷い苦痛を伴うだろう。友の命を、自らの手で終わらせなければならないのか。たとえそれが使命なのだとしても。 使命。そうだこれは使命だ。ジャイロ自身の感情など、捨ててしまわなければならない。その手に握られている剣は国の意志であり、ジャイロ個人のものではない。剣を操る腕も、もう片方の手の平に収められたままの鉄球も、そして今ここに立っている自身の身体も、すべて国の意志で動くものなのだ。感情など、邪魔なものでしかない。 だが、手の震えは止まらず、何時まで経ってもその腕は動かす事が出来ない。 「ジャイロ」 ジョニィが呼ぶ。呼んで、急かす。剣を握る手の平に力を込め、そして。 「ジャイロ……ジャイロ?」 「……!!」 パチリ、開いた両目にジョニィの顔が大写しで飛び込んできて、ジャイロはそれが束の間に見た夢である事を認識した。
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mizsumashi · 12 years ago
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考えてはみたけど書き切れそうにないので設定らしきものをだらだら書き連ねて放置してみる
舞台は1891年、ネアポリス王国。 ジャイロは反逆罪で捕まったマルコ少年の処刑を経て、正式に父グレゴリオの後を継ぎ、死刑執行人としての仕事をしている。同時に、ツェペリ医院の副院長でもある。少し口が悪く明るいが、どこか心の奥底を隠していて、時折妙に冷めた瞳を見せたりもする。父親の後を継いでからはプレイボーイっぷりもなりを潜め、仕事が休みの日には愛馬ヴァルキリーと遠乗りをして楽しんでいる。ヴァルキリーの事を「彼女」と呼び、遠乗りは「彼女とデート」だと言う。 ジョニィは17の時に撃たれ下半身不随になってから3年間、ずっと脚が元通りになる���法を探していて、ニューヨークにいる医師を最後の望みとしていたが、それがエセ医師で、ジョニィから大金をだまし取ろうとしていたのだと知るや絶望し、誰も自分を知らないところへ行きたいと思い、そのまま大西洋を渡る船へと乗り込んだ。気まぐれでネアポリスに降り立つ。 外国人だからかそれとも車椅子だったからか、その両方か、ジョニィは人気のない路地でひったくりに遭い、カバンを奪われてしまう。そのまま車椅子から転倒して右腕を骨折、倒れているところを、城での任務を終え帰宅途中だったジャイロに保護される。 その時ジョニィはアーモンドのような甘い香りを感じ、自身を助け起こしてくれるジャイロの事を「死神」だと感じる。 ジャイロは英語を話せる為、すぐに意思疎通が出来るが、ジョニィは自身の名前を「ジョーキッド」だと偽り、ジャイロはそれが本名ではないと薄々気が付きながらも追求はせず、自分は「ツェペリ」だとだけ告げる。 ーーーーーー ここまで考えたんですけどこの先この二人がどうなるか想像が
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mizsumashi · 12 years ago
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ジョニィがジャイロにキスする話
キスの日ぎりぎり。 「衝動に身を〜」(ジャイロがジョニィにキスする話)の続きみたいです。
———
ロッキー山脈に挑み始めて最初の日が暮れる。ジョニィとジャイロは見晴らしの良い場所を見つけてキャンプを張り、馬のケアを念入りに行った後、豆の缶詰で作ったスープを食べ、一息付いたところだった。何の曲だか良く分からない鼻歌を歌いながらジャイロが自分の荷物を漁っているのを横目で見ながら、ジョニィはいつもと全く変わらない雰囲気のジャイロに対して思わず溜息が漏れた。 昨日の夜、確かに自分はジャイロとキスをした。ついでに口説かれたような気もしていたんだけど、一晩明けて見れば何も変わらない、旅の道程で何日も見てきたジャイロそのままだ。まぁ、ああいう雰囲気になったのはジョニィが挑発した所為も少しはあるだろうけど。 じっとジャイロを観察していると、荷物の中から少し変わった形をした銀色のポットが出てくる。ここまでジャイロと一緒に旅をしてきた今までの間で一度だけ、それで淹れたコーヒーを振舞われた。そう、あれはコーヒーを淹れるためだけのもので、しかも下側に注いだ水が、上側にコーヒーとなって登ってくるという、手品みたいな代物だ。そして出来上がったコーヒーは驚くほど濃くて、コールタールみたいにドロドロで真っ黒だし、おまけに凄く苦かった。でも、また飲みたいと思う程に美味しい。
「食後に一杯、飲むか?」
じっと見詰める視線に気が付いたのか、ジャイロがそう言って微笑み掛けてくる。ジョニィはごちそうしてくれと頼みながら、ジャイロにズリズリと近寄り手元の作業を覗きこむ。ポットは上下の液体が入る場所の間にコーヒー豆を仕込むところがあり、ここに蒸気が通ってコーヒーになるのだと、ジャイロが説明してくれた。 得意げに説明するその横顔に、ムラッとしたのとイラッとしたのが半分づつで、ジョニィはぐっと手を伸ばしてジャイロの頬を捉えこちらを向かせると、その厚みのある柔らかな唇を味わっていた。ガシャン、と音がして、地面にポットが落ちて転がったのが分かる。構わず、ジョニィはジャイロの唇を自らのもので食み、昨日のように挑発してみる。そのまま深いキスに変わっていくかと思いきや、ジャイロは強い力でもって無理矢理にジョニィを引き剥がし、こちらを睨み付けて来た。
「い、いきなり何しや��るんだッ!」
ジョニィの肩を掴む手は震えていて、睨みながらも目は泳いでるし、酷く狼狽えているのが分かる。
「昨日はあんなに情熱的だったのに」 「……! あ、あれは、……ってゆーか挑発してきたのはおたくの方だろ」 「でも先にキスして来たのは君の方だ」
うー、とジャイロは唸り、少ししてゆっくりとジョニィを掴む手を離した。地面に落としてしまったポットを拾い、付いてしまった土埃を払って、改めてコーヒーの粉をセットし始める。その間ジャイロはジョニィを見る事は無かったが、困惑しているというか、寧ろ照れているようにも見えた。
「君とのキスは、嫌いじゃない……っていうか、寧ろまたしたいって思うくらい良かったよ。それに、昨日あんな雰囲気にまでなったのに、結局あれ以上何も無かったからさぁ」
これからポットを火に掛けようという、その直前、ジャイロは喋り続けるジョニィを振り返った。
「ありゃあ、気の迷いだ。忘れろ」 「無理だよ」
ジョニィが手を伸ばすのに、ジャイロは合わせて少し身体を傾けた、ような気がした。届かないようにも思えたその手はジャイロの肩に届き、そのままジャイロの身体と自身の身体を引き寄せて、口付ける。しかし何度突いても開いてくれないジャイロの唇に焦れて、ジョニィは肩を掴んでいた手を下へと滑らせ、ジャイロ自身をズボン越しに握った。びくり、と身体が跳ね、何か叫ぼうとしたのか、開いた唇を逃さず捉え、舌を滑り込ませる。もう一度ガシャンと音がして、ジャイロがまたポットを落とした事が分かった。 舌を噛まれるかも、とも思ったが、そんな事はなく、観念したのかジャイロも応えて来る。と同時に手の平に伝わる感触に、ジョニィは興奮を隠せなかった。
「も、いい加減にしろ……」
唇を離して息継ぎと同時に漏れでた文句の言葉を封じるように、握る手に少し力を込めた。
「昨日もこんな風になってた?」 「……ノーコメント」 「昨日も触っておけば良かったかも」 「おい、手を離せ」 「えー勿体ない」
自分からは無くなって久しいその感触は、普通こうやって触ったりするのは抵抗があったりするものなのだが、今は逆に、嬉しかったりもするから不思議だ。多分、ジャイロの優位に立てているのだという優越感みたいなものがあるのだろう。そういう事にしておこう。
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mizsumashi · 12 years ago
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キャノンシティゴール直後的な
もう途中とはいえないくらいの文章でもどんどん流してしまおうかしらって……思ったんですけどこれは明らかにイミフですねすいません。でも流す ------ ゴール後、一気に身体の力が抜け、転がり落ちるようにヴァルキリーの背から降りたジャイロに、ジョニィが近づいてきた。すぐ隣で馬の足が止まったのを確認して、話しかける。 「まさかおたくが差してくるとはな」 「君の追い上げだって凄かったよ。ボクはその隙を付かせて貰っただけさ」 見上げる顔は笑顔で、それにほんの少しだけ安堵を覚えた。ジョニィもまた、同じような事を思っているのだろう、少しだけ眉尻を下げる。分かっている、あんな風に炊きつけてくるのは、ジャイロに本音で向き合ってくれている証拠なのだ。そして、二人はもうこんな事くらいで壊れてしまうような安い間柄では無くなっている。 「なぁ、ジョニィ。水くれないか?」 さっきの追い上げで身体の水分を絞り出してしまったから、とても渇いていてしかもそれが原因で動けずにいる。そして、肝心の水筒はさっき荷物と一緒に捨ててきてしまったのだ。ジョニィもそれを察しているのか、ぽいと水筒を投げて寄越した。中の水を浴びるように飲むと、少し身体が動かせるようになる。 ひとまず、水のある場所へ行かねばならない。 街の一角に設置されていた手押しポンプから水を浴び、鉄球の回転で再び水分を身体に戻し、ようやくいつも通り動けるようになる。井戸の水で水筒を一杯にして馬上のジョニィに返��と、ジョニィはすぐにその冷たい水を飲み干した。 「……さて、まずは荷物を拾って来ねぇと」 「その必要な無さそうだよ、ほらあれ」 ジョニィが指さした先に、大会運営委員が荷車を引いてやってくるのが見えた。大会運営委員は先程ジャイロが馬上から捨てた���物が乗った荷台を指し、コース上にあると危険ですのでこちらで拾わせて頂きました、足りないものはご自身で探しに行ってください、荷車は後で返しに来て下さい、と早口に言い残し去っていった。確認をしたが、足りないものは無さそうだ。 「今日はさすがにヴァルキリーを休ませてやりたい。おたくはどうする?」 「ああ、ボクも馬を休ませたい。ここで一泊していこう。この街なら、運営委員が宿を手配してくれるしな」 「後は、次の街までの食料も調達しねぇと」 「車椅子借りれるかなぁ」 「駄目だったらこの荷車に乗ってくか?」 「それも楽しそうだね」 他愛のない会話を交わしながら先ずは運営委員へ宿の手配を頼み、厩舎へと向かう。ヴァルキリーは先程の石でかすり傷ながら怪我をしていて、まずはそれの手当から。その後、丁寧にブラシを掛けて、たっぷりの飼葉と水を用意してやる。ジョニィも、運営委員が用意した車椅子に乗り、同じようにスローダンサーに餌と水を用意してやっていた。
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mizsumashi · 12 years ago
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ミルウォーキーの夜にイタリア語で告白
次第に酷くなる雪を避けるように、今夜の宿をミルウォーキーで取る事にした。先程の豪遊っぷりとはまるで違う、簡素な宿の、簡素な一室。しかし部屋はストーブで暖められており、今まで吹雪の中に居た二人にとっては、とても有り難かった。 そこは二人部屋だからか広めの作りになっていて、窓際に設置されているベッドはダブルサイズのものが一つだけ。それを見たジョニィはクスクスと笑い、ジャイロを見上げる。 「ボク達、カップルだって思われてるぞ」 「……まぁ、あながち間違いじゃねえけどな」 旅の道中でそういった行為には何度も及んでいた。互いに好きだの愛してるだのと囁いた事は一度もないし、改めて気持ちを確かめた事も無いが、カップルだと言われればそうなのかもしれないと、ジャイロは思う。 受付には、宿を取るのが遅かったせいで、ダブルベッドの部屋しか空いていないと言われていた。一つのベッドに二人で寝ても、道中のキャンプでは冷えないよう身を寄せ合う事も多かったし、少なくともジャイロにとって都合の悪い事は何一つ無い。ならばジョニィにだって都合が悪い事などないはずだ。 「早く濡れた服を脱げ、風邪引くぞ」 荷物を置き、ジョニィに毛布を放りながら、ジャイロは部屋の設備を確認して回った。ここのバスルームにはバスタブがある。ならこれで身体を温めるのが手っ取り早いだろうと、湯を注いだ。入れるまで溜まるのには少し時間が掛かるだろう。 カジノで撃たれた右腕は、後で改めてゾンビ馬の糸を使って縫った。完治はしないまでももう薄皮が張り塞がっている。ジョニィの傷も同じ位には回復しているはずだ。なら湯に浸かるくらい問題ない。 腕時計で時間を確認しながら部屋に戻ると、ジョニィはまだずぶ濡れの服を着たまま、車椅子に座って項垂れていた。 「どうした」 「ジャイロ、……さっきは」 「別に、気にしてねーよ」 それは本心だった。ジョニィが命を掛けてでもその遺体を欲しがっているのは、今までの旅の行程で良く知っているし、しかも一度、奪われてさえいる。そこで迷いが生じるのも、仕方のない事だ。まさか、と思ったのは確かだが、同時に、それでも仕方がないという諦めもあった。ジョニィがそれを望むなら、仕方ない事だと。 「ボクは失うのが怖かったんだ」 「分かるさ、その気持ち」 「違う」 ジャイロが項垂れたままのジョニィに手を伸ばそうとした時、ジョニィが強く首を振った。 命がけで手に入れようとしたものを、手放したくないという気持ちはジャイロにも痛い程よく分かる。全く同じ気持ではないにしても。 だが、ジョニィの否定の言葉は、「分かる訳が無い」ではない。「違う」と言ったのだ。何が違うと言うのだろうか。 「失いたく無かったのは……君だよ、ジャイロ」 ジョニィの手が、肩が、細かく震えている。雪で濡れて、かなり冷えてしまったから、震えが止まらないのだろう。それだけでは無いのかもしれないが、伏せられているジョニィの顔を見ることは叶わない。 「君を見捨ててしまったら、ボクはきっとこれから先、……一生、独りぼっちで生きることになっただろう。遺体と共に猜疑心も抱いて、誰も信用出来なくなって……ボクは」 ぱた、ぱた、と、ジョニィの握りしめられた手の甲に雫が落ち、小さく啜り上げる声が聞こえる。少しの沈黙の後、ぐい、と上げられたその瞳は潤み、この旅で幾度と無く見てきた涙が、頬を伝って落ちていった。紫色に変色した唇がわなわなと震えて、しかし一度きゅっと結ばれれば、そこにもう迷いは見られない。 「ボクは、君を失わずに済んだ……失わずに済んで、凄く安心しているんだ。その感情は、遺体を差し出さなければならなかった悔しさよりも、大きい」 「ジョニィ」 「こんなにも、君がボクにとって大切な存在になっているなんて」 ジョニィが涙目のままジャイロを見上げる。ぽろり、眇められた目から一滴溢れ、頬から顎へと伝って落ちた。 「君が初めてなんだ、ジャイロ。いつも隣にいて欲しいと思うのは」 優しく、丁寧に、大切なものを扱うようにゆっくりと言葉を紡ぎ、その綺麗な顔を涙でぐちゃぐちゃにしながら、ジョニィが微笑む。その微笑みは、今まで一度も見たことが無い位に輝いていて、美しい顔だと、ジャイロは思った。美しくて、大切にしたくて、でも狂おしい程に掻き立てられる。 ああ、何て顔をするんだ。……そんな顔をされてしまったら。 ジャイロはジョニィを無言で抱え上げた。ジャイロが何をしたいのか分からず戸惑うジョニィの身体はやはり冷え切っていて、細かく震えている。 そうだ、まずは風呂だ。身体を温めてやらないと。それから、抱き締めたい。今も抱き上げてはいるが、そうじゃない、もっと強く、一つになってしまう位に。それから、それから。 ジャイロは、己の内に一度に吹き上げて来る感情を抑え切れないまま、ジョニィを抱えバスルームへと行き、そのまま、服を脱がせないままで、ジョニィを湯の張ったバスタブへと落とした。ばしゃん、と勢い良く湯が飛び、バスタブの中で上手く体勢を整えられないジョニィが藻掻く。ジャイロも着衣のまま急くようにバスタブへと入り、藻掻くジョニィに馬乗りになって、溺れるパーカーの襟元を掴んで引き上げた。 「ジャイロ!? 一体何す……」 抗議の言葉を最後まで言わせず、それさえも喰らい尽くしてしまうように、ジョニィの唇を奪った。��られてしまった抗議を繰り返すようにジョニィはジャイロの背中を叩いていたが、程無くしてその手はしがみ付くような形になり、強引なキスに応えてくる。唇が離れれば、まるで溺れている者が息継ぎをするように大きく息を吸い、そしてまた窒息しそうな程のキス。何度もそれを繰り返し、時を忘れる程に互いの唇を貪った。 「オレだって、お前に隣に居て欲しい」 唇が触れ合ったままで、ジャイロは叫ぶようにそう言った。ゆっくり顔を離すと、ジョニィがきょとんとした表情でこちらを見ている。ジャイロがそんな事を言い出すなんて思っても見なかったのだろうか。構わない、自分だって伝えなきゃあならない、湧き上がるこの思いを。ジャイロはジョニィの顔を覗き込み、視線を合わせたまま続ける。 「お前を独りになんてさせねぇし、オレだってもう独りになるなんて考えられねー。お前が隣に居るのが当たり前になっちまった。お前がどうあろうと、オレはずっと側にいる。誰かに対してこんな風に思うのは、お前が初めてなんだ。ずっとそれが何なのか分からなかったが、今ハッキリと気が付いた。……ジョニィ」 照れ臭さか、早口になってしまったが、ジョニィは真剣に耳を傾けてくれている。少し間を開けて、深呼吸をして。じっとこちらを見つめ続けてくれているジョニィに、一番大切な一言を告げる。心からの気持ち。 「愛している」 「……ああ、それならボクにも分かる。I love youだ」 「……?」 ジョニィとの会話が噛み合わず、思わず首を傾げるジャイロを見て、ジョニィが吹き出した。 「ジャイロ、さっきからずっとイタリア語で喋ってたよ。気が付かなかったのかい?」 「……マジで?」 「うん、マジで」 興奮していたからか、全然気が付かなかった。という事は、さっきジョニィが真剣な表情をしていたのは、科白の内容に聞き入っていたのではなく、言葉そのものを何とか聴きとって理解しようとしてくれていたのだ。 「ねえ、だからもう一度、今度はボクに分かる言葉で言って」 「……イヤだ」 「何でだよ」 「あんな恥ずかしい事、もう言えるかっ」 「そんなに恥ずかしい事だったの?」 「……うっ」 ニヤニヤしながら揚げ足を取ってくるジョニィの顔を見ていると、思わず笑いが込み上げてきて、狭いバスタブの中で二人ぎゅうぎゅうに詰まりながら、腹が痛くなるまで笑い転げた。完全にいつも通りの二人の空気に戻り、気持ちが緩む。緩んだ途端にジャイロは「Ti amo」だけ通じた事を思い出し、急に照れ臭くなって、ふいとジョニィから顔を背けた。少しだけ雰囲気が変わった事を察したのか、ジョニィは含み笑いをしながらジャイロの耳元に顔を寄せる。 「I love you, too」 優しく囁かれた言葉は、先刻の告白に対する返事だった。 それを聞いた途端、ジャイロを満たす気恥ずかしさが一気に喜びへと変わり、ぎゅうとジョニィを抱き締める。その動きによって体勢を崩し、二人は再び湯の中へと沈んだ。慌ててジャイロは身体を起こし、ジョニィを引き上げる。そのままもう一度深くキスを交わした。 「ジャイロ、ねえジャイロ」 唇を離してすぐに、ジョニィが囁く。 「ジャイロお願い、今日は最後までして」 「ジョニィ」 「ボクの身体じゃあ直接感じられないかもしれないけれど、ボクは君が欲しいんだ」 ※ここから���有ry いやマジで書いてないんですみません後で鍵付きのとこに上がるかもしれません。たぶん。
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mizsumashi · 12 years ago
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ジャイロ・ツェペリは飢えを知らない
書いてたんだけどこれからどうしたらいいのかわかんなくて取り敢えずここにぶち込んでおこうと思う。
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ジャイロ・ツェペリは飢えると言う事を知らなかった。 勿論その言葉の意味は知っている。目の当たりにした事も一度ならずある。 ただ、飢えるという事を、自身で体験した事がないのだ。 彼は常に満たされた状態で生きてきた。厳格な父と貞淑な母、弟達、誇りある家柄の嫡子で、将来までも約束されていた。医者として、死刑執行人として生きる事を決められ、先祖の培ってきた技術を学び、完成された人生のレールをただ進むだけの、そういう人間��った。 勿論、ジャイロは24年間、お気楽に生きてきた訳ではない。自身の心で何度も苦悩し、時には逃げ、立ち向い、自身の運命を喉を焼きながら飲み込んだ。筈だった。 全てを体内に収め、消化する事が出来たのなら、ジャイロは今ここに立ってはいないだろう。 アメリカ大陸という広大な大地、祖国で共に遊び駆けた愛馬と共に、この土を踏みしめている事が、彼が自身の前に敷かれたレールに疑問を持った何よりの証拠だった。 キャノン・シティ前のデッドヒートで勝利を掴んだのは、結局はジョニィだった(レース順位は一位ではないが)。「飢えなければ勝てない」そう説教され、意地でもあのクソガキを見返してやろうと思ったが、実現は出来なかったどころか、逆に刺されている。それが何とも言えず悔しい。 飢えなければ。
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mizsumashi · 12 years ago
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ジャイロがジョニィにキスする話
ジャイロは気が付��と、ジョニィとキスをしていた。 モニュメント・バレーを抜けた、その日の夜の事だ。山岳地帯を目の前に控え、明日からの厳しい山越えに備え、馬の脚を休める為にキャンプを張る事にした。食事を摂り、焚き火を囲んで眠くなるまで談笑する、そこまではこれまでの道程と何ら変わりはない。ただ、砂漠越えを果たしジョニィが「スタンド」を発現させた頃から、ジャイロがジョニィに心を開き始めたのは確かな事実であり、またジョニィもそうなのだろう。二人が交わす会話にはジョークや時には下世話な話も増え、その話題は尽きることが無かった。距離は確かに縮まっている。だがこういう事では無かった、筈なのだ。 火を消しテントに潜り込んで横になる。少し遅れて、脚を引き摺りながらジョニィがやってきて、ジャイロの隣に落ち着いた。腕の力だけで身体を動かすのは大変そうに見えたが、こういう時に本人が望まない手助けをしてはいけないと、祖国で医療に携わっていたジャイロは知っている。ジョニィもまた、何でも一人でこなす事に慣れているようで、手助けを乞う事は決してしなかった。 隣でゆっくりと目を伏せる、その顔が綺麗だとは思ったかもしれない。でも目の前に居るのはれっきとした男性であるとジャイロは理解しているし、一つのテントに二人で眠るのも、特別な事ではない。どんな衝動がそうさせたのか全く分からないが、とにかく気が付くと、その形の良い唇に、自分のものを重ねていた。ただそれだけの事なのである。 唇っていうのは男も女も関係なく柔らかいんだな。などと考えていると、不意にパチリとジョニィの両瞼が上がった。心臓を跳ね上がらせ、言い訳を考えようとしていたジャイロの思考は、ジョニィに唇を食まれた事で、真っ白に吹っ飛んでしまった。ぬるりと伸びた舌がジャイロの口内に侵入し、絡まってくる。温くて柔らかい、久方振りのその感触に、ジャイロはただ酔いしれた。何より、ジョニィはキスが上手かった。騎手時代、何人もの女と付き合ったという話は聞いたし、経験値で言えばジャイロよりも上なのかもしれない。絡み付いて離れない舌に翻弄されながら、ジャイロはジョニィの腰へと手を回した。細く、途中から急速に痩せていくその腰は、ジョニィの下半身が機能していない事を表している。執拗に指を滑らせていると、ジョニィの手が絡んで、「そこ」へと導いた。指先に感じる肉の隆起は、見ずとも弾痕であると分かる、円形に抉れた痕。 「これを、探していたんだろう?」 それは感情の篭らない、平坦な声だった。ジョニィの下半身が動かなくなった経緯は人に聞いて知っている。銃で撃たれたのだと。深い傷は身体に刻まれて、一生消える事はない。それが名誉を伴うものでも、不名誉を被るものであっても。 ジャイロは離れた顔をジョニィの首筋に埋め、指で引き攣った皮膚を何度もなぞり、目を瞑って想像を巡らせる。その傷跡をジャイロは見ていない、だから想像するだけだ。それはどのくらいの大きさで、皮膚の色はどうなっているのか。それはどんな角度から、どのように撃ち込まれて。 夜風に吹かれたテントが軋む。静かな息遣いが二つ、それと心臓の音、それ以外には何もない、狭い空間で、ジャイロはただひたすらに想像をしていた。沈黙に包まれてもなお。 「……何か、ないのか」 沈黙に耐えられなくなったのはジョニィの方だった。 「何か、って?」 「何かは、何かだよ。……痛そうだとか、辛かっただろうとか」 顔を覗きこむと、ジョニィは目を眇めて覗き返してくる。自嘲で歪になったその顔は、それでも綺麗に整っていると、ジャイロは思う。 「想像をしていた」 でもそれは、痛みや辛さの想像ではない。痛いのも辛いのも、それは感じる者の主観であってそれ以上もそれ以下もなく、ただ傷口をナイフで抉って赤い血を眺めるだけの、残酷な行為にとても良く似ている。そんな想像なら、今までいくらでもしてきた。そしてその想像が正しいものではないという事も、嫌という程思い知らされてきた。そんな想像ではなく。 「ここに弾丸が当たった時、どんな風に皮膚を破ったのか、そして肉にめり込む時、どんな感触がしたのか……筋肉の繊維を裂いた時どんな音が鳴ったのか、そして腰椎にブチ当たった時、どうやってその神経が引き千切られたのか……鉛玉になって、撃ち込まれる想像だ」 ジョニィの歪な表情がくしゃりと崩れる。困ったような、呆れたような、そんな時によくする顔だ。 「おかしな事を考える奴だと思っていたけど、本当に君は」 「変か?」 「ああ、物凄く変だ」 両腕が伸びて、ジャイロの身体が捕まえられる。そのまま引き寄せられて、密着して。 「でも、凄く興奮する想像だ」 囁く声は、少し掠れて響いた。 「そんな風に君は、ボクを犯したいと思ってるんだろ。どうせ下半身は動かないんだ、ボクは君のなすがままさ」 「そういうんじゃねぇよ」 「キスしたろ?」 「それはなんつうか、衝動的にだな……ああ、無理矢理っていうのは性にあわねえんだ、何事も同意がねぇとな、同意が」 何を言っているのか自分でも良く分からない。これってもしかして、ジョニィを抱きたいとか思ってるんだろうか、でもジャイロにはそういう性癖はないし、ジョニィだってノーマルな筈だ。何せ沢山の女と付き合って来たのだから。自分だってそうだ、そんなに沢山ではないが。でも何故かは分からない、もっとくっついていたいと思う。もっと、皮膚を破り肉を裂いてめり込む弾丸のように、深く中へ入り込んで。ジョニィの身体に爪痕を残した狂気の鉛玉が、羨ましくて仕方がないと思える程に。 「はは、同意ね……生憎だけど、ボクは合意のソレが出来るのかどうか分からないよ。試した事もない」 「じゃあ今から試す?」 そう言いながら、熱を持ち始めている下半身を押し付けてみるが、恐らくジョニィは感じていないだろう。もし駄目なら駄目な���までもいい。衝動に身を任せ傷跡を付けるのも悪くないが、今はそれよりも、ジョニィの見たこともない表情を見てみたい、ジャイロはただそれだけを思っていた。
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