#黒龍刺繍
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◇LES COPAINS(レ コパン)◇ニットが再入荷しました。 定価:162,800円(税込)⇒SALE価格:113,960円(税込) 弊社通販サイト商品ページ⇒http://www.gallery-jpg.com/item/D69600-54/ SHOW SAMPLE MADE IN ITALY 素材: (本体)ナイロン100% (ニット部分)毛70%、カシミヤ30% カラー:ベージュ、ブラック サイズ:40 全長約81cm、肩幅約39cm、袖丈約81cm、バスト約92cm、ウエスト約96cm、ヒップ約104cm ウールカシミアのニット地とソフトチュールの珍しい組み合わせ。 チュール部分に極細ラメ糸やビーズ、金属刺繍でドラゴンの刺繍をあしらっています。 非常に手間がかかった繊細な刺繍です。 メゾンの職人技術の高さの現れです。 少し長めのハイネック、袖口、裾部のリブがアクセントになっています。 クオリティが高い1着です。 ラスト1点です。 ※ご覧いている媒体により、色の見え方が多少変わる場合がございます。 ※店頭でも同商品を販売しておりますので、通販サイトの在庫反映が遅れる場合があり商品をご用意出来ない場合がございます。予めご了承頂きますようお願い致しま��。 Gallery なんばCITY本館1F店 〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波5-1-60なんばCITY本館1F 【営業時間】11:00~21:00 【休館日】8月24(木) 【PHONE】06-6644-2526 【e-mail】[email protected]
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1950′s”Souvenir reversible jkt
size (実寸L〜XL程度)
*174㎝ 着用
—
身幅 61.5cm
着丈 59cm
袖丈 63cm(袖先~脇下)
—
¥ 198000(tax in)
old 50’s スカジャン、
zipは、"NO.1”の回転式、
エンドはboxハメコミタイプ
黒ウール×サテン地の両面刺繍入り
とても珍しい、貴重な一着。
ウール面、バックには豪華な双龍に
珍しい、Japan&Koreaの刺繍入り
サテン面は38°cラインが入らない古い柄模様
実寸で、L〜XL程度
身幅広く、ゆったりと着れる貴重な大きめなサイズ感。
条件揃いました、素晴らしい。
この個体、次はウチの店ではもう無いと思います。
お好きな方、この機会に是非です。
写真参照)
サテン側、首、右袖、背中に薄汚れがあります。
ウール面の状態は、首、左袖に、
僅かな生地の弱り見られますが、
その他目立ったダメージ無く、とてもキレイです。
ZIPエンドもしっかりしていて、開閉も問題ありません
used市場、他のスカジャンと比べて、状態良い方だと思います。
古いもので、普段古着慣れしてご理解ある方のみ、ご購入お願い致します。
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遊び心をくすぐる龍の刺繍がユニークなアイテムが入荷しました。 一見コーディネートしにくいネイビーのシャツですが 黒ほど重くないネイビーは パンツの色合いに問わず比較的合わせやすいアイテムです。 ベージュやカーキ、同色でまとめても🙆♂️ 今回はワントーンコーデに 外しのアイテムとして甘めのストローハットを合わせて カッコつけ過ぎずないイメージにまとめました。 色違いでストライプ、デニムもございます。 個々イメージが違うので是非オンラインショップでご覧くださいませ。 着用 Lサイズ 172cm 96kg (TENG STORE OSAKA) https://www.instagram.com/p/B-l-r55FXd7/?igshid=vhm33tvaamsx
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2019/3/29
生理前で甘いもの欲求が強くて、4日前から暴食気味です。今日は、母といつもかかっている心療内科に行ってきました。この間、とある口論がきっかけで、このままじゃあ親子関係がだめになるなと思って、そうならないためにプロの手を借りよう、第三者に介入してもらおうと、二人でカウンセリングを受けませんかと提案したのです。今なら過食も今随分と快方に向いているし、多分春から母と二人暮らしの密室じゃあ、どうしたって私が頑なになるばかりだと思ったから。先生はよく決断しましたね、みたいなことを言ってくれたけれど、いやいやそもそもこういう事態にしてることがアレじゃないですかあって、私の中で私が言った。けれど、決断したことはちゃんと褒めてあげてもいいのかもしれないなあ。それで、帰りの電車の線が違うから、母と別れて即行で食べ物を買って詰め込んだんだ。なにも考えてなかった。ああ、変わることがこわいか、よくなることがこわいか。母と仲良く話している未来がこわいか。母に心を許すことがこわいか。母に復讐できなくなることがこわいか。問題がなくなる自分がこわいか。たくさんの抱えた問題は、私のアイデンティティでもあったもんな。でも、それが私の全部ではない。それがなくなっても、私の価値は変わらないよ?
21:07。��腹いっぱいで気持ち悪いのにまだなんか食べたい気がして、ちょっと家に帰りたくない気もして、ロッテリアとラーメンの誘惑を退けて最寄駅の一つ隣のスタバに入ってノンカフェインのラテとキッシュを温めてもらい、顔がすごく小さいスーツのイケメン風な男の人の隣の席に座って、ああこういう時の為にこの間買った香水を常日頃付けておけばいいんだよなとぼんやり思う。私のテーブルの上には二口フォークで突き刺したキッシュと、トールサイズのラテと、封を切ったナプキンと、それらを載せる黒いトレイ、yonda?の黄色いブックカバーを纏った村上龍の歌うクジラ(上)と、この間一目惚れで買ったタコの刺繍がされた生成りのガマ口、この文章を打つ私の手。
今日職場の先輩と話していて、どうしても陰のあるひねくれた、難易度高そうな人に惹かれるんですって話をしていた。ええなんでよって、聞かれて。こう、山を登りたいんです。困難に挑戦して、だからこそ得られるものを得たいというか、私だけが得られたって価値に重きを置いているというか。そんな話をした。私は、愛って、そういう険しい試練を経ないと得られないって思ってる、というかそういう愛が本物だと思っている、のかな。簡単に手に入るわけないって、そんなのは嘘っぱちだって、試して鍛えて踏みつけても、それでも残るものが本物だって、思ってるのかな。
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#笠森観音 は、黒い#招き猫 が有名だそうで、一対買って来ました😊 #座布団 の色で願い事が変わるらしくて、金色の座布団に龍の刺繍は、ダブルで金運、仕事運らしいです👍 だいぶ前から持っていた、白い招き猫を隣に並べて✋ #キャンピングカー #campingcar #camper #motorhome #caravan #キャラバン #バンライフ #vanlife #adriacompact #アドリアコンパクト #車中泊 #オートキャンプ #camp #アドリア #adria #モーターホーム #終の住処 #隠れ家 #秘密基地 (さぬきファーム オートキャンプ場) https://www.instagram.com/p/CioZe_PP3kw/?igshid=NGJjMDIxMWI=
#笠森観音#招き猫#座布団#キャンピングカー#campingcar#camper#motorhome#caravan#キャラバン#バンライフ#vanlife#adriacompact#アドリアコンパクト#車中泊#オートキャンプ#camp#アドリア#adria#モーターホーム#終の住処#隠れ家#秘密基地
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ACETATE SUKA
皆様お待ちかね、TAILOR TOYOのスカジャンが入荷
しました。
これから楽しみな秋、冬物のシーズンが始ま���ます。
お盆が過ぎて、夏の終わりを感じる気候にもなってき
ましたね。
TAILOR TOYO
Lot TT15173
color: 119 " EAGLE × BLACK DRAGON
¥ 49,000
¥ 53,900 tax in
表は鷹にブルーの富士山が美しい図柄。
裏には真っ赤なボディに黒い龍がシンプルな色合いで
刺繍され、袖はゴールドカラーが珍しい配色のスカジャ
ンです。
chapmanavenue
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DOGTOWN&ミチコロンドンTシャツ追加
本日も13時〜20時までの営業(電話やSNSなど前日までに連絡頂ければ12時〜営業致します)
狭い店内ですので、入店制限は6人まで
マスク着用&アルコール消毒お願いします
少しでも体調の良くない方はご来店をお控えください
本日はDOGTOWN&ミチコロンドンTシャツ等
追加しておりますので、ご紹介☆
DOGTOWN
中国製、おそらく90年代頃のBLACK DRAGON
黒×赤のラグランボディに前面は〝黒龍〟の文字と迫力ある龍のプリント
背面に〝DOGTOWN〟ロゴと炎と龍プリントが格好良いです
メンズXLサイズ
是非♪♪
MICHIKO LONDON JEANS
中国製
ベージュ×ブラウンのナチュラルな配色のリンガーボディ
迷彩背景のロゴプリントに文字刺繍がイカしてます
メンズMサイズ
是非♪♪
MICHIKO LONDON JEANS
タグ欠損
黒×グレーに白のラインがクールなVネックラグランボディ
ロゴプリントも良い感じです
メンズMサイズくらい
是非♪♪
それでは本日も元気に営業致します
よろにくです^ ^
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ひとみに映る影シーズン2 第四話「ザトウムシはどこへ行く」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、 誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。 (シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!! pixiv版 (※内容は一緒です。) ☆キャラソン企画第四弾 牛久舎登「かっぱさん体操」はこちら!☆
དང་པོ་ 洗面所で顔を洗い、宴会場に戻る。時計は丁度六時をまわった所だ。ふと、窓の外から懐かしい歌が聞こえてきた。 『かっぱさん体操第一ィィィ!』『プッペケプッぺップー』 「うー。何だよぉこんな朝っぱらからぁー!」 「ふわあぁ~」 「ああ、かっぱさん体操の時間……」 朝っぱらから近所迷惑な体操音楽によって、佳奈さん、万狸ちゃん、玲蘭ちゃんが同時に布団から出てきた。玲蘭ちゃんと私はカーテンを開け、大音量で音楽を流しながら体操する河童の家教団を眺める。 「牛久の河童はかっぱっぱーのパァー」 「お皿を磨いてツーヤツヤーのツャー」 「「みんなで腹からワッハッハーのハァー、笑顔に勝るー力なし」」 「は? 二人なんで歌えるの?」 歌詞を暗記している私達を、佳奈さんが訝しんだ。 「佳奈さんの地元にはいませんでしたか? 河童信者」 「ぜぇんぜん」 「北関東から東北あるあるなんじゃない? 私も会津にいた時はほぼ毎朝だったのに、沖縄(うちなー)では一度も聞いた事なかった」 影電話で万狸ちゃんにも聞いてみる。 <木更津はどう?> 「一度だけ布教に来た事はあったね……あの体操で大狸様を怒らせちゃって、追い出されてた」 <あはははは> 河童の家、案外ローカルネタなのかな。 「じゃあ、どの学年にも一人はいる子河童も知らないですか? 佳奈さん地元は京都でしたっけ」 「ううん、両親両方京都だけど東京生まれ東京育ち……そもそも子河童って何?」 「そこからですか」 茨城県に本拠地を置く新興宗教、河童の家。元お笑い芸人の牛久舎登が発足し、『笑顔に勝る力なし』を教義とする。そのため宗教活動では一発芸や話術を磨く修行をし、信者は男も女も子供も、皆河童のように頭頂部を剃り上げる。この教団が近所にあると毎朝『かっぱさん体操』という体操曲が爆音でかかり、また近隣の学校には通称『子河童』と呼ばれるお調子者な学生が何人か生息する。そして彼らは将来、教団が運営する芸能事務所『かわながれ興業』に所属するんだ。でも人を笑わせる、そして人から笑われる事も最上の幸福であるという教えを拡大解釈した信者が、パワハラやい��め、体罰を起こして時折問題になっている。 「私が知っている河童の家についての情報は、こんなところですかね」 「へぇ……やけに芸能界に影響力がある宗教だと思ってたけど、そんなだったんだね」 「ああ、東北も多いけど、大阪には芸人養成学校があるから日本一信者が多いんだって」 玲蘭ちゃんがスマホで調べてくれた。 その時、トントン、と襖がノックされる。 「おはよぉございます……。お嬢さん方。河童さんが体操終えて食堂混む前に、朝食行きませんか?」 タナカDだ。 「そうしよっか」 カメラが回るだろうから、私達は各々最低限顔を描く。眉毛面倒だから影で作っちゃった。後で朝風呂に入ってからちゃんと直そう。 གཉིས་པ་ 食堂に行くと、奥の席で既にタナカDが朝食を一品ずつ物撮(ぶつど)りしていた。テーブルには全員分のネームプレートと朝食が配膳されている。 「ぅあ~~~~~~~~……」 席につくなり、佳奈さんからアイドルが一番出しちゃいけないような声が漏れた。 「どうしたんですか佳奈さん、まるで深夜バスにでも乗ってたみたいな顔して」 「似たようなもんだよ……ずっとすごい雷鳴ってたじゃん。しかもなんか救急車の音とかしなかった? それで朝はかっぱさん体操。ほぼ一睡もできなかった」 「救急車、ですか」 「はぁ……一美ちゃんは本当にどこでも眠れるよね……昨晩大雨だった事も知らなかったでしょ」 「うーん……」 本当の事を言うと、眠るどころじゃなかったんだけど。それを説明する事もできないからもどかしい。 「雷雨ぐらい気付いてました。私も全然休んだ気がしないです」 「でも寝てただけいいじゃん」 「嫌な夢を見てたんですよ。私は地元のお寺の尼僧になってて、お御堂のバルコニーが浸水して和尚様が馬頭観音になってすっごい怒ってる夢」 この内容は嘘ではない。そういう夢を見たのは事実だ。 「ば、罵倒観音? なにそれカオス……それはうなされるわ」 「おう何だ何だ、お二人共だらしないですなぁ!」 タナカDが物撮りを終えて席につく。彼は朝から声が大きい。 「まあ冷めないうちに食べようじゃありませんか。『じゅんなぎ』もありますよ」 「へえ、じゅんなぎですか」 手元のネームプレートを裏返すと、朝食メニューが書かれていた。 『朝食 おこんだて イシガキダイのちらし寿司 小松菜とかぼちゃのお味噌汁 わかめの辛子味噌和え じゅんなぎ』 おお、朝からなかなか豪華だ。ちらし寿司は大きな鯛のお刺身がどっさり乗っていて海鮮丼のよう。お味噌汁のかぼちゃもほうとうを彷彿とさせる大きなスライスで食べ応えがある。わかめは勿論新鮮な生わかめ。そして、千里が島で一度は食べてみたかったじゅんなぎ! ���皆さん、これはですね。『蓴菜(じゅんさい)で鰻繋ぐ』、つまり『ヌルヌルした野菜でヌルヌルした鰻を捕まえるような行いは無謀である』という諺が由来の、千里が島の郷土料理なんです。蓴菜と冷製の鰻を湯葉で巻いてあるから、『不可能を可能にした縁起物』、すなわち霊力が上がるパワーフードなんですよ!」 「おぉいおいおい、紅さん。台本もないのに詳しいですなあ! ま、僕はじゅんなぎが無くても今日は無敵ですがねぇ……フフン」 「どうしてですか?」 「いやね? お二人が眠れない夜を過ごしていた間に恐縮ですけど。昨夜、狸おじさんのおかげですごぉく縁起の良さそうな夢を見ましてですねぇ!」 「へ?」 何の事ですか? と言いたげな表情で、隣のテーブルの斉一さんがこちらを見る。 「夢に人語を話す化け狸が出てきて、僕にお酌してくれるんですよぉ。なんかご利益ありそうでしょぉ。しかもただの化け狸じゃない、ドレッドヘアのちょいワル狸ですよ!」 「ぶっ!! げほ、げほ!」 斉一さんが辛子味噌和えをむせた。ていうか、その狸、完全に斉二さんの事じゃないか。 「い、いや、わざとじゃないんだよ!? なーんか俺もタナカさんと晩酌する夢を見た気がしてたんだけど、本当わざとじゃないのマジで!!」 当の本人は必死に否定している。要するに寝ぼけてタナカDに取り憑いたまま寝ていたという事らしい。どうりで今朝あんな事があったのに、斉一さんしか迎えに来なかったわけだ……! 「狸おじさん、風水的にはどうなんですか? ラスタな狸って縁起いいんですかね??」 「ん゙っ、ん゙んっ……き、聞いた事ないですね……あれかな! 昨晩私が張った結界が効いている証拠とか! はい、ぽ、ぽんぽこぽーん……ふっくくく……ぽっ、ぽこ……」 斉一さん、完全にツボに入ってしまったようだ。佳奈さんも釣られて肩を揺らしだした。 「ちょっふっふっふ……��ナカDが能天気すぎるだけだよそれ! てか狸おじさん困ってるし……なにラスタな狸って!?」 「部屋にラスタな狸がいたら報告した方がいいですか?」 「あっはっはっはっは!!」 何故か玲蘭ちゃんまで佳奈さんに調子を合わせる。じゃあ私も。 「玲蘭ちゃん、ラスタな狸はタナカさんに譲るんで、可愛い女の子狸は私が貰っていい?」 「それなら昨夜ずっと一美の隣で寝てたよ」 「きゃー! アハハハ」 皆で和気あいあいと食事していたら、いつの間にかじゅんなぎを無意識に食べてしまっていた。けどなんか、別にもういいかな……という気分だった。 གསུམ་པ་ 食後。手短に朝風呂に入り、軽く荷物をまとめてホテルを発つ。今日はまず主要な観光スポットを幾つか巡って、図書館で資料を見ながら埋蔵金の場所を推理する段取りだ。ロビーを出ると、青木さんが待ってくれていた。 「おはようございます。昨晩は凄い雨けど、ご快眠を?」 「全然だよー。そこの三角眉毛は別だけど」 「おう誰がデブで三角眉毛だとぉ? この極悪ロリータ」 「佳奈さんデブとは言ってないじゃないですか。いいから行きますよ、お二人共。青木さん困ってるでしょ」 手元で地図を見ながら、一行はまず徳川徳松こと御戌神(おいぬのかみ)が祀られる、御戌神社へ。ホテルから海沿いのなだらかな丘を五分ほど登ると、右手に見えたのは『石見沼(いしみぬま)』だ。青木さんが解説をしてくれる。 「中央に大きな岩をご覧で? あれに水切りで石当てるのに成功すると、嫌いな相手が怪我を」 「初っ端から物騒な観光スポットですね!?」 驚く私の背後で、カメラを抱えたタナカDがガハガハと笑った。 「これぐらいで驚いてちゃあ後が持ちませんよぉ紅さん! なにせ千里が島は縁切りのテーマパークですからなぁ。この後はもっともっと物騒な所をお見舞いしていきますよぉ」 「タナカさん、あなた本当にこの島を応援したいんですか? それとも視聴者をドン引きさせたいんですか?」 「ナハハハ、だぶか放送後は調布飛行場に行列が出来ているかもしれませんよ? 『あの紅一美がチビった恐怖の心霊島』と……」 「青木さん、石! 丸い石ください、水切りしやすそうなやつ!!」 「あややや、喧嘩はやめて下さいだぁあ!」 と、こんな所で尺を取っても始末に負えないから、小競り合いを演じたらさっさと移動する事に。暫く進み、御戌神社の鳥居が見えてきた。 「ウゲ……」 それを見た途端、私は絶句。それは鳥居と呼ぶには余りにも不気味な色に見えた。まるで糖尿病で壊疽を起こした脚みたいな……いや、この異常には心当たりがある。 「佳奈さん、この鳥居なんか変じゃないですか?」 「え、普通じゃない?」 思った通り、佳奈さんは平然としている。これは倶利伽羅龍王を討伐した時、地元の神様から聞いた現象だ。倶利伽羅を生み出した邪教、金剛有明団にまつわる物は、信仰心に準じて見た目が変わって見えるらしい。例えば倶利伽羅も金剛信者には美術品のように美しい龍に見え、金剛に恨みがある私には汚物にしか見えない。今回もそれと同じ……つまりこの神社は散減同様、金剛にまつわる領域なんだろう。我慢して入るしかなさそうだ。བཞི་པ་ まずは普通の神社と同様、手を清める。案の定手洗い場も気持ち悪く見えて、正直とてもじゃないけどここの水に触れたくない。ていうか臭い。牛乳を拭いた雑巾みたいな臭いがする。とりあえず口は��けず指先をちょっとだけすすいだけど、後で境外で肌荒れするまで手を洗いたい! 詳しく境内を見る前に、賽銭箱に小銭を入れて手を合わせる。金剛とこれ以上因縁が続いては困るから、小銭がない振りをして五円玉をタナカDからタカった。神様に手を合わせている間は金剛への嫌悪感を読み取られないように、無我を貫いた。 参拝が終わったら、境内を進み御戌神が眠る『御戌塚(おいぬづか)』へ。境内はそこそこ広い割に、随分と殺風景だ。まず社務所がない。青木さんいわく、神社境内に職員が常駐すると現世との縁が切れてしまうからだそうだ。そして狛犬もいない。御戌様が御神体だからだという。 奥へ進んでいる途中、私はふと左手に一際強烈な禍々しさを感じた。見ると竹やぶに覆い隠されるように、傘立てみたいな簡素な祠が建っていた。厳重にしめ縄が巻かれ、星型の中央に一本線を引いたような記号の霊符が貼ってある。 「青木さん、あれは何ですか?」 「大散減(おおちるべり)というオバケを封じた祠ですだ。あまり直視したら良くないかも……ああっタナカさん、撮影など!」 「ダメかい? そんなに恐ろしいオバケなの、そのオオチルベリってやつは」 「モチのロンだから! 体が五十尺もある、八本足にそれぞれ顔がついてて、そのうち本物の顔を見つけて潰さないと死なない怪物で! しかも人間の肋骨食べて、一本足のミニ散減を生み出すとか。だからともかく、大散減は撮っちゃダメですだぁ!」 「一尺って何メートルでしたっけ、なんだか想像つかないですなぁ~」 タナカDは渋々とカメラを逸らした。人間の肋骨から新たな散減を生み出す……昨晩、おばさまの肋骨から散減が生まれた瞬間を私は見た。それに、倶利伽羅龍王も……。 そして私達は御戌塚に到着。平将門公の首塚みたいなお墓っぽい形状の石碑を予想していたら、実際は犬の石像だった。徳松さんご本人は不在のようだ。恐らく既に成仏されたか、どこか別の場所にいるんだろう。 「あれ? 一美ちゃん、これ犬じゃなくない? タテガミがあるよ」 「これはどちらかと言えば狛犬ですね。狛犬は獅子に似ているんです」 「あ。確かに、普通の神社の狛犬も、タテガミ生えてたかも! そういえば、徳川徳松は狛犬の魂を持ってたんだよね。じゃあお犬様の犬種って狛犬なのかな?」 「あはは、そうかもだ。それと、志多田さん。御戌様はわんこの『犬』でなくて、十二支の『戌』という字を」 「へー、どうして?」 青木さんによると、戌という漢字は滅ぶという字が元になっているそうだ。植物が枯れて新たな命に変わる様子を表しているんだ。早逝して祟り神になっ��徳松さんをよく表していると思う。 「御戌塚から伸びる道は、竹やぶで薄暗いのが『亡目坂(なきめざか)』、奥の見晴らしいい方が『足失坂(あしないざか)』で。いずれも嫌な奴を思い浮かべながら歩くと、それぞれ違ったご利益がとか。ちなみに足失坂を途中で右に下ると『口欠湿地(くちかけしっち)』が……」 「青木さん、今は特に切りたい縁はないんで大丈夫です!」 さすが御戌神社周辺は地名が物騒だ。昨晩斉三さんが言っていた、『気枯地』という言葉がしっくり来る。これ以上ここにいても千里が島のネガティブキャンペーンにしかならなさそうだから、私達は次の場所へ移動する事にした。ལྔ་པ་ 足失坂を下り、ザトウムシ記念碑がある『千里が島国立公園』へ。物騒な地名とは裏腹に本当に見晴らしが良い。閉塞的な御戌神社から出た瞬間、空がばっと広がったような感じだ。麓に見える口欠湿地も空の青を反射して美しく輝き、それをタナカDが嬉々としてカメラに収める。千里が島の縁切りや祟りといった暗い側面だけじゃなくて、こういった絶景も収録出来たのは本当に良かった。 国立公園は坂中腹からふもとまでの広い敷地を有する。地面は芝生とシロツメクサで覆われ、外周は桜並木に囲まれている。ただ、やはり気枯地だからか、桜はどれ一本として真っ直ぐ生えていなかった。 ザトウムシ記念碑は簡素な作りで、歌詞と小さなイラストだけ書かれた石碑だ。歌い継がれてきた民謡のため、作詞作曲者は不明らしい。また隣にはザトウムシの生態を説明するパネルもあった。 「ええと、『ぼくはクモに似てるけど、ダニの仲間なんだよ! 八本足に見えるけど、そのうち一本は杖なんだよ! 一人ぼっちよりも、みんなで集まるのが大好きだよ!』なるほど……ザトウムシがワサワサ密集してたらなんかちょっと嫌ですね」 「僕前に公園のベンチで、黒いタワシみたいな塊落ちてて……触ると大量のザトウムシがブワササーと」 「やだー! 青木君やめてよ~」 「わはははは!! それは最悪ですなぁ!」 公園を抜けて市街地へ降りていくと、月蔵(つきくら)小学校と併設する町民図書館が見えてきた。カメラに群がる小学生達に軽くファンサービスしながら、図書館へと急ぐ。私がお目当ての子はみんな「ドッキリ大成功! したたびでーす!!!」と絶叫しながら全力疾走で追いかけてくる。佳奈さんの影響だ。私も期待に応えて校庭をダッシュしたら、地面から急にスプリンクラーが出てきて水を撒き始めた! 「ぎゃー! また騙されたーっ!!」དྲུག་པ་ 何とか濡れずに済むも、息絶え絶えで図書館に入る。トイレを借り、やっと手を洗えた! ��安堵して戻ると、皆は既に資料が並べられたテーブルを囲んでいた。太っているタナカDと大柄な青木さんは、小学生向けの低い椅子で収まりが悪そうにモゾモゾ蠢いている。私も着席するとカメラが回り、タナカDが進行を始める。 「実際に歩かれてみて、お二人何かお気付きになった事はありますか?」 気付いた事か。幾つかあったけど、金剛有明団や霊にまつわる情報は直接共有できない。少しぼやかして話そう。 「斉ぞ……ええと、狸おじさんから伺ったんですが、植物が曲がって生える土地は風水的に不吉らしいんです。それで今日気にして見ていたら、御戌神社がある坂の上に近づくほど木がねじれたりしてて、海沿いの石見地区や市街地である月蔵地区はそうでもないんです」 「御戌様が埋蔵金を守ってるからかな? じゃあ神社の近くが怪しいね!」 佳奈さんが消せる蛍光ペンでコピー地図を囲んだ。 「不吉な場所ですかぁ。だぶか神社から一番遠い南側、竹由……こりゃ『たけよし』で合ってるかい?」 「ですだ」 「竹由地区ね。この辺はまっすぐ生えてるんですかねぇ」 確かに地名に『よし』が入っていて、島の南側は縁起が良さそうではある。私達はまだ行っていない竹由地区の資料を見ると、小さなお寺が一つあるだけで後は住宅街のようだ。 「志多田さんはどうだい?」 「うーん、埋蔵金については何もなかったかなー。ところで青木君、この地図のここ、誤植じゃない?」 「え、誤植で?」 全員で地図を確認する。佳奈さんが指さしている箇所には、『新千里が島トンネル(旧食虫洞)』と書かれていた。昨日、私と青木さんが行ったコンビニの所だ。 「食虫……洞? 確かに変ですね。『虫食い洞』なら虫がトンネルを掘ったような感じで意味が通じるけど、食虫洞じゃ洞窟が虫を食べちゃうみたい」 「でしょでしょ? それともウツボカズラがいっぱい生えてるのかな」 「いえ、『食虫洞(くむしどう)』が正解で。ウツボカズラは生えてねぇけど、暗いから虫を食うコウモリが住んでるかもだ」 「うーん、そういう問題なのかな……? まあ関係ないからいっか……」 佳奈さんは煮え切らない顔のまま、地図を机に置いた。タナカDが仕切り直す。 「じゃじゃじゃあ、まずは今まで埋蔵金探しに失敗した方々の仮説を見てみましょうよ! 青木君」 「はい、こちらを」 タナカDは青木さんが差し出した資料を私達側に向ける。インターネット上で日本各地の徳川埋蔵金に関する情報をまとめたサイト、『トレジャーまとめ』さんの記事コピーだ。これまでザトウムシの歌詞をもとに埋蔵金のありかを探索した人々のレポートらしい。上からざっと目を通す。 ・その一 ザトウムシは座頭、盲目の暗喩だ。歌詞の『ザトウムシ』という言葉の総文字数を歩数として、記念碑から亡目坂を登る。そして到着地点の地面を掘ってみた。 結果 何も出てこなかった。これを試みた探索者の一人が島を出た後(以降は修正液で消されている) ・その二 『水墨画の世界』は白黒、あの世を表している。竹由地区には名前に『虫』がつく虫肖寺(ちゅうしょうじ)があり、そこには墓地が隣接している。その墓地で、黄昏時に太陽が見える西側の井戸内を調べた。 結果 何も出てこなかった。これを試みた探索者全員が数日後、(以降は修正液で消されている) ・その三 ザトウムシが埋蔵金を表しているなら、食虫洞は金を蓄える隠し場所に違いない。歌詞の通り、黄昏時から逢魔が時にかけての時間、トンネルを調査した。 結果 翌々日、(以降は数行にわたり修正液で消されている。塗りこぼしから微かに『トンネルが永遠に続いて外に出られ』という一文が垣間見える) ・その四 『口欠』『足失』『亡目』など体の欠損にまつわる地名は心霊現象や祟りが多いという。その三箇所いずれかに宝があるとみて、調査した。 結果 それらの地点には共通して護符の貼られた祠があり、護符を剥がした探索者は肋(次の行以降は紙ごとハサミで裁断されている) 「「いや怖いわ!!」」 全部読み終わる前に佳奈さんと異口同音! 「ちょっと青木君、これ元は何て書いてあったの!?」 「すいません、あんまりにも酷いデマなどが。根も葉もねぇので僕が修正を!」 「本当にデマなんでしょうね!?」 「嘘こいてねぇです、本当に事実無根なので! 大体、コトが事実なら普通新聞に載るなど……」 事実なら新聞に載るほどの事が書いてあったのか。これは下手に島を引っ掻き回すと、またとんでもない事になりそうだ。 「まあまあまあ、��嬢さん方。要はあなた方がね、埋蔵金を見つけちゃえばいいんですよ」 「なに他人事みたいに言ってるんですか、この三角眉毛は。祟られる時は全員祟られるんですよ? わかってんですか?」 「そーだそーだ、デブちん三角眉毛!」 「おう遂にちゃんとデブって言ったな!? 今日の僕にはラスタな狸がついているんだ。一人でもしぶとく生き残ってやるぞぉ」 「一美ちゃん、ちょっと今夜御戌神社で丑の刻参りしよっか」 「了解しました。加賀繍さんのぬか床に五寸釘入ってるから分けてもらって……」 ん? 「佳奈さん、今の言葉もう一回いいですか?」 「え? だから、『御戌神社』で『丑の刻参り』」 「……それだ!」 ラッキー! 今の超下らないやり取りで、歌詞の謎が一つ解けたかもしれない! 「おぉ何だい、そんな聞き返すほど僕を呪いたいのか小心者」 「違いますよ。見て下さい、歌詞の一番と二番の冒頭……」 ザトウムシの一番、二番の歌い出しは、それぞれ『たそがれの空を』『おうまが時の門を』だ。 「いいですか? 昔の日本は十二時辰(じゅうにじしん)、つまり十二支で時間を測る単位を使っていました。その単位では、『逢魔が時』と『黄昏時』……つまり夕方から夜に変わる時間帯は、『酉の刻』と『戌の刻』になるんです」 「じゃあ歌詞に当てはめると、一番は『戌の刻の空を』、二番は『酉の刻の門を』に変換できる��て事?」 「はい。ここで思い出しませんか? 御戌塚から伸びる二つの道」 「薄暗い亡目坂と、見晴らしがいい足失坂……あっ、『戌』から『空』が見えるのは足失坂だ!」 「そうです。しかも続きの歌詞が『ふらついた足取りで』、足って言ってるんですよ! 一方二番……酉の門といえば?」 「神社の『鳥居』! 坂からまた神社に戻っちゃってる!?」 「そうなんです!」 つまり、私の説はこうだ。この歌は埋蔵金のありかを一箇所漠然と示しているんじゃなくて、そこに至る道順のヒントが歌詞になっているんだ。御戌塚から始まり、足失坂を通って何らかのルートを経由。やがて神社に戻って、そこからまたどこかへ行く……こうして遠回りをする事自体が、埋蔵金を発見するために必要なのかもしれない! 「なるほど、道順を! それは今まで誰もやらなかったかもだ……それにしても、お若いのによく十二支の時間をご存知で?」 「あはは、青木さんより若くはないですよ~。小さい頃ちょっとだけお寺に住んでた事があって、こういう歴史っぽい雑学にちょっと明るいだけです。ただ……」 残念ながら、歌詞に干支にまつわる描写はそれしかないんだ。そこから先の謎はまだわからない。私が自説をフリップに書き終えると、タナカDが佳奈さんに話を振る。 「志多田さんどうですか? 紅さんがワンアイデア出しましたよぉ」 「急かさないでよー。私まだ食虫洞の謎が頭から離れないんだから。そーいうタナカDこそ何かないの?」 「僕かい? そうですな……このサビの、『月と太陽が同時に出ている』って、日蝕か月蝕って事でしょ? 千里が島で日蝕月蝕が観測された事って歴史的にあるんですかねぇ?」 「え? この歌詞って単純に黄昏時の事じゃないんですか?」 「あ、そうか。そりゃ黄昏時には月と太陽が両方見えますな」 すると今度は佳奈さんが閃いた。 「ちょっと待って、日蝕……?」 佳奈さんは私の手元から地図を取り上げ、食い入るように見つめ始める。 「……しょく、ふき、ぞう、すずり……」 「佳奈さん?」 「あー、そういう事かあ! これ、千里が島の地名ってさ、繋げるとみんな漢字一文字になるんだ!」 「え、そうなんですか?」 「どういう事で?」 青木さんも知らなかったようだ。全員興味津々で佳奈さんの指さす地図に見入った。 「例えばこれ、食虫洞はさ、食と虫を繋げて書くと日蝕の『蝕』になるでしょ。亡目坂は盲目の『盲』、月蔵は臓器の『臓』」 「すごい、本当ですね! 石見は書道の『硯(すずり)』、竹由は『笛』ですか。あれ、でも足失坂は……」 「『跌(つまずく)』。常用漢字じゃないけど」 「つまずく?」 タナカDは自分のスマホで『つまずく』と入力し、跌と変換できるか試みた。 「ああ、跌(つまずく)だ! 確かに跌ですよ跌! いや、よく読めますなあ。ところで佳奈さん、最終学歴は?」 「いちご保育園だってば。何度も聞くなー!」 佳奈さんは国文学分野で大学を卒業しているけど、年齢不詳アイドルである彼女にとってそれは公然の秘密だ。タナカDはそれを承知の上で度々ネタにしているんだ。 「あれ、佳奈さん。それを当てはめたら歌詞解読できるかもしれませんよ!」 「え本当? よーし、やってみよう!」 こうして数十分試行錯誤しながら、私達したたびチームの歌詞解釈はほぼ完成した。それが、こうだ。 たそがれの空を ザトウムシ ザトウムシ歩いてく (御戌塚から始まり、空が見える方向へ進む) ふらついた足取りで ザトウムシ歩いてく (そのまま神社境外に出て、つまずきやすい道、つまり足失坂へ進む) 水墨画の世界の中で 一本絵筆を手繰りつつ (足失坂のふもとから水墨画の世界、硯と水を象徴する石見沼へ進む) 生ぬるい風に急かされて お前は歩いてゆくんだね (石見沼から風が吹く方向、口欠湿地方面へ進む) あの月と太陽が同時に出ている今この時 ザトウムシ歩いてく ザトウムシ ザトウムシ歩いてく (口欠湿地から月が太陽を蝕む場所、旧食虫洞へ進む) おうまが時の門を ザトウムシ ザトウムシ歩いてく (食虫洞を抜けた所から丘を登り、御戌神社の鳥居をくぐる) 長い杖をたよって ザトウムシ歩いてく (神社境内から視覚障害者が杖を頼りに歩くような暗い道、亡目坂へ進む) ここまで考察した段階で、地図に道順を引いていた佳奈さんがペンを止めた。 「何これ……星……?」 蛍光ペンで地図に書かれた道筋は、島の中心に魔法陣のような模様を描いていた。五芒星の中心に一本線を引いたような、シンボルを。 「佳奈さん。まだ、解読できてない歌詞は残ってますけど……これはこの形で完成だと思います」 「一美ちゃんもそう思う? これ以降の歌詞って、対応する地名が見当たらないんだよね……」 「青木さん」 私はさっきの埋蔵金探し失敗談を手に取る。 「この消されている箇所、要するに全部『祟りがあった』って事ですよね?」 「はい……あ! いえ、そんな事は……」 「そうなんですね。つまり余所者が千里が島を検めるためには、正しい儀式か何かを踏まないと祟りに遭う。その儀式の方法こそが、この民謡ザトウムシに隠された暗号の正体だった」 「……」 「私、さっきこのシンボルを見たんです。御戌神社の、祠で……」 もう私の中で謎は核心に迫っていた。霊能者達は今それぞれ除霊活動に励んでいるけど、『ザトウムシ』……恐らくは、怪物の親玉であるそれを倒さなければ島の祟りは終わらないのだろう。 「結論が出ました、青木さん。ザトウムシは、徳川埋蔵金のありかを示している歌じゃありません。私はこれを……八本足の怪物、大散減を退治するための手順を示した歌だと思っています」 衝撃的な結論に全員が呆然としていると、窓の外で何かが破裂するような音がした。更に間髪入れず、河童信者が一人血相を変えて図書館に飛びこんでくる。 「たた、た、大変です! 大師が……大師が……紅さん、ともかく来てください!」 「え? どうして私が……うわあ!?」 河童信者は乱暴に私の腕を掴み、外へ連れ出した。他の皆も続く。牛久大師が私を指名したという事は、また散減が現れたのだろう。けど今はカメラが回っている。玲蘭ちゃんや万狸ちゃん達は別行動だし……私、どうすればいいの!?
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2月の末、冬も終わりかけたこの季節に、消え入る蝋燭の最期の煌めきのような寒さがここ数日続いている。そして、今日は昼を過ぎた頃に強くなり始めた雨の音で目を覚ました。薄暗い部屋を覆う厚い布地のカーテン越しにもはっきりと聞こえる雨の音が覚めかけた意識を再び混濁とした暗闇のうちに沈めようとしたが、喉の渇きがそれを阻止した。重たい上半身を起こしてベッドの上に座ると、目の前のテーブルの上に置かれたグラスを目で探した。
黒い下地に白い薔薇が刺繍された布に覆われた長方形のテーブル、その上辺には枯れかけた花をいけた花瓶が3つ、大きな白い貝殻、鋭い角を持った山羊の横顔が描かれた今は亡き国家の紙幣の上に二つの銀細工の指輪に嵌められた緋色とサファイアのビー玉、錆びた銀色のハーモニカ、濃いピンク色をした霧吹きなどが置かれていた。テーブルの真ん中には空になったウィスキーの小瓶が二つとまだなみなみ入っているウィスキーの小瓶が一つ、空になったチリ産赤ワインの瓶が一つ、飲み残した氷結とビールの缶が一つずつ、ターボライター、金色の小型懐中電灯など置かれ、その隙間に時折硝子のグラスを見つけることが出来る。硝子のグラスは全部で三つあって、二つは空で一つは黒い液体が注がれてあった。黒い液体の入ったグラスを手に取ると、そのままそれを口にして、喉の渇きを舌先で潤した。冷たいコーヒーの苦味のあとにほんのりとウィスキーの香りが鼻先に抜けていった。これは最近、考え付いたカクテルで、まずはグラスにアイスコーヒーを8分目まで注いで、それからグラスの縁から零れない程度にウィスキーを注ぎ込み、スプーンを使ってそれを混ぜる。コーヒーの艶のない黒色にウィスキーの煌めく琥珀色を注入すれば、黒い艶を放つ、この美しいカクテルは完成する。これを飲めばカフェインによる意識の覚醒とアルコールによる沈静という相反する矛盾が一瞬の間に完成する。それは酔っているという状態でもなければ覚醒しているという状態でもなく、かといってこれを飲む前の平常の状態では更にない。明晰な意識を持ちつつも幻想的な夢のなかへ、この感覚を喩えるならばそんな言葉になるだろう。 一杯、二杯と喉元に黒いカクテルを流し込みながら、タバコの煙を吸っては鼻と口から吐き出している。降り続く雨音の休符を縫うように昨夜の記憶が断続的に現れては消え、倦怠を伴った影となって目の前に重たく横たわる今日の姿を浮かび上がらせた。それは巨大な体躯を横たえた豚の死体で、腐りかけ始めた身体からは胸をむかつかせる腐臭を放っているのだった。こいつをどうやって調理し、食べるのか、それもなるべくなら美味しく。一日の命題はそこで始まりそこで終わっていた。しかし調理方法がわからず途方に暮れているというのが現実で、とりあえずアルコールと白い煙で死んだ豚が放つ悪臭を消してごまかしているというのも現実だった。外に出ようか、家に居て本を読もうか、それとも絵を描こうか、いや友達と飲みに行こうか、豚を調理する方法を考えながら一日の大半は過ぎていき、食べきることの出来ない腐った豚に怯えながら眠りに落ちる、すると翌日更に巨大で更に強烈な腐臭を放つ豚の死体が目の前に置かれているのだった。しかし一日を一週間、或いはもっと長い年月で俯瞰してみれば事実は逆で、巨大で豊満な豚の肉体に潰された自分の腐乱死体の山が一枚の絵として浮かんでくるのだった。 部屋の空気が紫煙に満たされ始めたので、厚いカーテンの布地を捲り、窓を開けて外の空気を部屋に入れる。白雨に包まれた街の姿が茫漠と浮かび、網戸の網には張り付いた雨が光の粒となって輝いている。雨の音に混じって鳥の鳴く声が聞こえてきて、「今日は、昼間公園に集まり野を歩いて餌を探す鳩たちも休日だな」と思い、それから駅舎の天井の隅で寒さに震えて身を寄せ合う鳩たちのことを考えた。薄暗く冷たい天井の片隅で鳩たちはただひたすら雨が上がり今日一日が終わり太陽が戻ってくるのを待っている。 テーブルの左隅には文庫本が五冊積まれていた。下から、生田耕作「ダンディズム 栄光と悲惨」内田百間「ノラや」内田百間「第一阿呆列車」ボードレール「悪の華」ヘミングウェイ「移動祝祭日」。ヘミングウェイの「移動祝祭日」を手に取って読んだ。1920年代のパリでヘミングウェイはサン・ミッシェル通りのカフェに座って、カフェオレやラム酒を飲みながら、小説を書いている。キューバの年老いたヘミングウェイが小説家として売れる前の青春時代のパリを思い出を綴るように綴ったヘミングウェイの遺作。削ぎ落とせるだけの無駄つまりは感傷をを削ぎ落とした白く逞しい骨格のようなヘミングウェイの文体という勝手な妄想と1920年代のパリという芸術を愛する者ならば誰もが羨望の��差しを送る時代と場所の幸福な結合点が舞台とあって近所の古本屋で手に入れた本。章ごとに表題があって最初の「サン・ミシェル広場の気持ちのいいカフェ」という章だけを読んだ。「それから、天気が悪くなった。」で始まる出だしは確かに簡潔明瞭で無駄がない。それから天気が悪くなったのだろう。まず、怠惰な芸術家の出来損ないや何をしているのかわからない不潔な身なりをした酔っ払いたちが真昼間から日が沈むまで飲んで騒いでいる不潔で退廃的で賑やかなカフェを描き、それと対比して清潔で静かなサン・ミシェル通りのカフェを描写する。ヘミングウェイは清潔で気持ちのいいサン・ミシェル通りのカフェで、時折目の前に座った黒髪の美女に気を取られたりしながらも、せっせと執筆に励む。一仕事終えてラム酒の酔いも手伝って気持ちよくなりながら、妻と一緒に暮らすホテルへと帰る。訳注は読み飛ばして一気に約20ページの一章を読み終える。途中に出てきた蹲踞式便器という言葉に躓き、頭の中で想像してそれが和式便器のことだと理解し、少し笑った。 ヘミングウェイの小編を読み終えて、その20ページは全部で何文字あるか計算してみたら約14700文字で、400字詰め原稿用紙に換算すれば約36枚。文章を書いてみればわかるが、これだけ書くのはなかなか大変な作業で、それが冗漫な文章でなく簡潔明瞭な文章であったら尚更の如くである。その事実に触発されて、こうして文章を書き始めたのだが、今のところ約3000文字、原稿用紙に換算すればまだ7枚弱である。ヘミングウェイには程遠い。 ヘミングウェイに限ったことではないと思うが、ヘミングウェイの小説を読んでいて、段落というものの効用や意味というものについて考えた。段落は、最初の退廃的で不潔なカフェから道に、道からサン・ミシェル通りのカフェに、場所や視点が移り変わったときに設けられる区切りのようなもの。段落から段落への移り変わりはそれだけで小さな旅ともいえる。 テーブルの上に置かれた三つの花瓶の水を替える。三つの花瓶を持って階段を降り、水を替えて、また階段を登るという作業はなかなかに面倒くさい。それでも毎日水を替えている、にも関わらず花瓶にささった花の多くは黒ずみ枯れてきてしまった。全身を蝕まれ、病室で弱っていく患者を毎日世話する看護師のような憂鬱に襲われる。そこに進行する黒い死を間近に毎日見なくてはならない。 しかし、今日は家に人の気配がない。いつもなら誰かはいるはずなのだが誰もいない。猫は毛布にくるまって寝ている。その横で昨夜食べなかった夕飯を食べている。白い大きな皿にはソースで味付けされた肉のカルビとレタスや黄色いパプリカを細かく刻んだサラダが載っている。レンジで温めると器によそったご飯と一緒に食べている。白い湯気を漂わせ、甘いソースと肉汁に包まれた豚の肉は旨く、ご飯を食べる速度も早くなる。サラダには黄色いからしをつけて食べる。お酒は控え、烏龍茶を飲む。物を食べている気配がしているのにも関わらず、猫が毛布から出てくる気配はなかった。起きているならば、皿の置かれたテーブルの近くに顔を寄せて「くんくん」と匂いを嗅ぐのだが、きっと熟睡しているのだろう。 食いしん坊な猫だが、料理の匂いを嗅ぐ以上のことは決してしない猫だった。内田百間の「ノラや」のノラも同じだったので、これは猫全般の特質なのかもしれない。餌を食べる場所、トイレをする場所、眠る場所、爪を研ぐ場所がいつも同じなのもノラと一緒だった。自分の決めた、或いは慣れ親しんだ方法は決して曲げない、ある種のストイックさが猫たちにはあるのかもしれない。百間先生自身も決して走らないという信念から、走れば間に合う汽車に乗り遅れ、約二時間も駅舎で汽車を待ったという逸話を「第一阿呆列車」のなかで披露している。 猫のストイシズムも百間先生のダンディズムも、時間的資源的効率を第一に掲げそれに基づいて暮らす現代人の目には甚だ効率の悪いある意味意固地なある意味怠惰なものとして映るのかもしれない。同じ仕事を完成するということにしても、1時間でそれをやってのけるという人の方が1日かかってそれをやる人よりも尊ばれるというのは現代における自明の理である。時間的効率を上げるということは無駄を減らすということであり、無駄のなかには物事に対するこだわりも這入るのである。こだわり、という言葉を云うとき、それは極めて個人的な感覚を指すだろう。客観的なこだわり、などという感覚は想像することも出来ない。共通のこだわり、ということなら少しわかるかもしれない。だが、それも個人的なこだわりの感覚がたまたま共有出来ているに過ぎない。こだわりの集団も、それに属さずそれを解さない人々にとっては滑稽な姿でしかない。こだわりと滑稽、ストイシズムと滑稽、ダンディズムと滑稽は切り離すことが出来ない。 ダンィズムの祖イギリスのブランメルは徹底した美意識を持ち、ネクタイの結び方について何通りも考案したと云うが、それもブランメル流の美意識を持たない人々にとっては滑稽な姿として映るだろう。ネクタイが美しく結べても何の役に立つこともなければ、そんなことを考えていること自体時間を無駄にしているように見える。しかし、そんなに早く急いで君はどこに辿り着くのか?答えは明白、墓場だ。人間ならば生物ならば死を避けることなど出来るはずもない。速く生きるということは喩えるなら新幹線に乗って墓場に直行するようなもので、それは確かに効率的かもしれない。しかし歩いて行けば見える風景や感じられる感情も新幹線に乗ってしまっては見たり感じたりすることは出来ない。それは目的や結果だけで、プロセスのない人生と云える。要するに中身のない人生。 谷崎潤一郎の短編小説「刺青」の冒頭は「其れはまだ人々が愚かと云う貴い徳を持って居て…」という一文で始まる。愚かとは損得及び利害を越えて人を支配し魅了する状態だと云える。わかっているけど、やめられない、そんな状態とも云える。このわかっているけどにおけるわかっているとは、それをすれば損をする、時間的資源的効率を甚だ害する、という意味に他ならない。愚かであることは滑稽であるし、滑稽なことは愚かでもある。ともに効率を重視する現代社会では避けなくてはならないこととされている。谷崎があの一文を書いたということは谷崎が生きていた時代には既に現代の効率功利主義が社会に根付いていたことを想像させる。 生活は確かに便利になった。百年前、二百年前の生活を考えれば想像を絶する進歩である。しかし、それは愚かさや滑稽さ、つまりはこだわりと美意識を犠牲にして獲得した進歩である。獲得した進歩が最後にもたらしたもの、それは中身のない人生であり、空虚さ、虚無である。そして進歩した人々は埋まらない空虚さを埋めようとして、美意識やこだわりをもった芸術家や職人が作った作品、或いは愚かな人間が話す滑稽な物語を、金で買うのである。それは自ら殺してしまった自分の人生を赤の他人に演じてもらうという、ただの偽装に過ぎない。ブランメルの美意識はあくまでブランメルの美意識に過ぎないし、百閒先生の滑稽さはあくまで百間先生の滑稽さに過ぎない。 もっと言ってしまえば、進歩主義の行く末は昆虫類いやウィルス類の生と云える。効率の良い生という意味ではウィルスや病原菌ほど効率の良い生はない。単細胞生物から始まった人類の生が再び単細胞生物へと還っていくのである。ジョルジュ・バタイユは人間の美しさの定義について「動物からどれだけかけ離れた存在か」ということが一つの基準になると云った。その定義から云えば、効率功利的な人間は単細胞的生物に近く、これほど醜い種は存在しない。しかし、これらの醜い種は数限りなく繁栄している、ウィルス類や病原菌類が繁栄しているように。効率功利を重視する進歩主義者たちが、愚かで滑稽でこだわりをもった美しい種族に、生存競争をして勝つことは当たり前かもしれない。だからこそ、「滅びゆくものこそ美しい」のだ。
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【2018年秋冬NYFW ハイライト8】ウーマンパワー、ダイバーシティ、環境保護など社会的メッセージを放つNYのデザイナーたち
(写真 COACH)
アメリカ社会を反映して、今季はウーマンパワーやダイバーシティ、あるいは環境保護といったテーマを掲げるブランドが目立った。また、そうしたスローガンではなくても、ベテラン勢のブランドはおのれのカラーを明確に打ち出したコレクションを発表する傾向が見られた。カスタマーたちが自分たちのブランドに何を求めているか、ブランドとしての姿勢をはっきり打ち出すことの必要性を感じさせる。ここでは12~13日にかけて行われたショーからハイライトで報告しよう。
◆アナ スイ(ANNA SUI)
アナ スイは2018年秋コレクションを12日夜にニューヨークファッションウィーク(NYFW)のメイン会場で披露した。「私の中で最も自伝的なもの」といい、アナ自身が好きなものを詰めこんだコレクションとして「ビラブド」(最愛)と銘打った。
アメリカの郊外で育ったアナは、毎週熱心にセブンティーンマガジンを読みあさり、その後母親のハーパーズバザーやヴォーグを念入りに見て切り抜き、カタログにしていたという。それからニューヨークにデザイナーになるためにやってきて、当時ダウンタウンにあったクラブに行ったという彼女の精神史がコレクションに反映された。
60年代の音楽が流れる中、ジジとベラの姉妹が歩き出し、きらめくメタリックなブロケードや花柄のドレスやスパンコールのパンツをまとい、ランウェイの途中でくるりと優雅に回転してみせる。
当時のファッションショーのような形式で、ルージュのサテンドレスやメタリックなブロケードのドレスなどデコラティブなルックを提案。さらにベルベットのパンツスーツやライラック色のシャツとパンツに同色のロングコートを着こなしたスタイリングが70年代のクラブを彷彿とさせる。
色調パレットはチェリーレッド、ホットピンク、タンジェリン、パープルといったアナスイらしいカラーが展開された。きらきらと輝くスパンコールやラメなど光りものがたくさん盛り込まれていて、素材としてはメタリックなブロケードが存在感を放つ。マルチカラーや鮮やかなカラーのフェイクファーも多く登場して、まさにアナ スイのシグネチャーともいえる世界を披露した。
◆アリス アンド オリビア(ALICE+OLIVIA)
今季はアメリカを揺るがす#METOOムーブメントを受けて、ウーマンパワーを唱えるデザイナーが多いが、アリス アンド オリビアを手がけるステイシー・ベンデットも例外ではない。今季は明確に「エンパワードウィメン」(力を持った女性たち)というテーマを掲げてプレゼンテーションを行った。
プレゼンテーション会場はいくつかのコーナーに分かれていて、たとえば「知識は力である」という言葉と共にカラフルな図書室の背景になっている場面もあれば、女性の選挙権を求めて戦った初期のフェミニストたち、あるいは南北戦争の頃に力になっていた女性たち、ロココ風のサロン、数式が書かれた黒板といった背景で、それぞれウーマンパワーを示している。日本の平安時代の絵巻と文字がセットになっているコーナーもあり、これは紫式部ら宮中女流作家たちへのオマージュのようだ。
ルックはとてもカラフルでボールドだ。マルチカラーのスパンコールのストライプを施したトップスとパンツ、赤のスパンコールで飾ったベースボールシャツとパンツ、カラフルなフェイクファー、立体的な刺繍を施したピースなど、派手さが際立つ。鋲打ちを施したバイカーズジャケットやクリスタルの飾りを施したドレスなど、どのアイテムもデコラティブだ。同ブランドが得意とするカラフルなフラワープリントのピースはもちろん、ブロケードのシリーズも存在感がある。
毎回カラフルで派手なコレクションを見せるアリスアンドオリビアだが、今季はさらにそれを上まわるカラフルさとグリッター感に溢れていて、ポジティブなウーマンパワーを感じさせた。
◆コーチ(COACH 1941)
(Courtesy of COACH)
コーチは13日にウィメンズとメンズコレクションをマンハッタン内のバスケットボールシティで披露した。広大な会場には、冬の森のような枯れ木が立ち並び、木々や下に敷いた木片にはラメが施されていて、きらきらと光っている。ところどころにビデオモニターが置かれていて、神秘的な森と都会的なイメージが混在しているかのようだ。
クリエイティブディレクターのスチュアート・ヴィヴァースは、毎回アメリカの文化を毎回解釈し直して来たが、今季はアメリカの南西部とニューヨークがイメージソースになったという。
ヘビーなヒップホップに乗ってランウェイに現れたルックは、ウエスタンシャツやフリンジに飾られたウエスタンルックだ。レザージャケット、バンダナプリントのドレス、くすんだ花柄のプレーリードレス、シアリングのコート、ナバホブランケット風コート、カウボーイブーツなどウエスタンのモチーフが展開される。
そこに加えられたのはゴスなテイストで、ダークでロマンチックなマキシドレスがつぎつぎと立ち現れる。色調はブラック、アンバー、レンガ色といった暗めのパレットで展開。ドレスやスカートは透け感のあるデリケートなものが多く、それと相対するハードでボリュームあるアウターと組みあわせている。
ラメや光る素材ものが多く打ち出され、イリディセントな光沢をつけた生地やレザージャケットに飾られたリベット、ゴールドのレザージャケット、ビーズのアップリケなどが放つ淡く光が、ダークな魅力を放っている。ニューヨークという都市を通して見たウエスタンの世界観が立ち上がったランウェイとなった。
◆ヴィヴィアン タム(VIVIENNE TAM)
(Courtesy of VIVIENNE TAM)
ヴィヴィアン タムの今季のテーマは「ユニティ、ホールネス、インフィニティ」(統一、完全性、無限大)。ヒマラヤからチベットにかけてのスピリチャルな旅にインスパイアされたコレクションだという。開幕前のランウェイにも曼荼羅を思わせる映像がマッピングされていた。
そしてランウェイに現れたのは、ヘビーなレイヤードルックで、北方らしいスタイルを強調している。キモノジャケットや、カラフルなフリンジのついたカーディガンなど、ネパールやチベットの民族衣装を彷彿とさせるアイテムが登場し、エスニックな味わいを演出した。タンジェリンとカーキのプリーツスカートに、女神の刺繍のついたフードパーカーを組みあわせて、ヒマラヤのイメージとストリートを融合させている。
印象の強い曼荼羅や龍の刺繍もしばしば登場し、モンゴリアンラムのファーも大きなパートを担った。シルエットはルースで、スカートはギャザーもしくはプリーツを入れた形が多く、パンツはワイドなシルエットだ。アウターはオーバーサイズで、パーカやジャケットはボクシーなシルエットが多い。今季は中国文化とヒマラヤのイメージを前面に押し出したコレクションとなった
Text&Photo by Eri Kurobe Edited by Apparel-web.com
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留守フェス2015 in お茶の間 絶賛開催中
『おるすばん』 作:森洋子
幼いころ、木造平屋建ての家に住んでいました。祖父母の代に建てられたものであちこち古び、家の中のどの廊下を歩いてもキシキシときしみ、風の強い日はどこかに空いた隙間がヒョーオヒョーオと音をたて、風のない静かな日にもパキッ、ミシッと家鳴りがします。木造なので、床から柱、天井までいろいろな木目が浮かんでいます。わたしのお気に入りの一つは、縁側の廊下の、うずまきながら流れているように見える木目でした。
誰とも遊ぶ約束のない雨ふりの午後、縁側に寝ころんで人さし指を船に見たて、木目をたどっていきます。木の節にあたると船がひっくり返るというきまり。もういちど廊下の端にもどってちがう木目をたどり、注意深く進んでいきます。ザアザア聞こえる雨の音や、家の隙間から入ってくるしっとり重たい空気のせいで、目の前いっぱいにうずまく木目が本当に川の流れのように見えてくるのでした。
祖母が近所の人に届け物などで家を空けることがあり、一人で留守番をすることがときどきありました。すぐに帰ってくるから誰が来ても玄関を開けないようにと言って出かけていきます。さっきまで人の気配のあった家が急にしんとなり、わたしだけの世界になります。留守番のときのひとり遊びは、きまって家の中の探検でした。普段、大切なものだから、いたずらすると罰があたるからと、子どもの目から遠ざけられ、大人の領域に隠されたモノを、探しにいくのです。
最初に食料の調達です。椅子に登って台所の戸棚の一番上にしまってあるお菓子を失敬します。食事前にお菓子は禁止ですが、誰もいないのでバレません。パイの実をかじりながら祖父の書斎へ向かい、子どもには早いからといって見せてくれない『文藝春秋』を本棚から取り出します。
おじさんたちがゴルフ場で肩を組むグラビアや、おじさんたちの政治の話や、おじさんたちの戦争の話や、おじさんたちのグルメ自慢やとにかく大量のおじさんが登場する雑誌で内容はよく分かりません。でも、国内外の絵画をカラービジュアルで紹介する連載ページがあり、祖父が外出しているすきに内緒で見るのが楽しみでした。留守番の日は気がねなく見ることができます。岡本神草の『口紅』を知ったのもこのページです。白塗りで目の釣りあがった着物姿の女の人が口紅をぬっている絵で、奇妙にくねった腰や唇からのぞく歯に、ぞくぞくしながら釘づけでした。
つぎに訪ねるのは家の一番奥まった部屋に置かれた祖母の箪笥です。箪笥の表面はぐにゃぐにゃした曲線の木目に覆われ、左右に2つある節が目のように見えるので、宇宙人の箪笥と名づけていました。引き出しを開けると樟脳の匂いがただよってきます。たとう紙に包まれた着物を一枚ずつ引っ張りだしては眺めます。わたしのお気に入りは、お坊さんが馬に乗って山を旅している柄の着物と、黒の地に極彩色の炎が刺繍された帯でした。ほかにも細かい彫りの入った木の扇子や、つやのない沈んだ銀色の指輪などが箱に入れられしまわれていました。
祖母がこれらを身につけたところを見たことはないし、いつもあっさりと質素な服装の祖母にしては意外なセレクトでした。「安物買いの銭失い言うてな、ええもん買うといたら長いこと着られるんやで」が口ぐせだった祖母。もう身につけることのない“思い出のええもん”だったのかもしれません。
最後の訪問地は仏間です。いつもなら、べたべたさわったらあかんと注意される仏壇も、さわり放題です。金色に塗られた仏壇のなかに顔を突っ込んで、仏具を持ち上げたり裏返したりしながら鑑賞します。うずまく雲を背景にいくつも花が咲き、ひらひらのしっぽをなびかせた鳥が飛び、お坊さんたちが木の実をかかげています。二匹の龍が柱に巻き付き、亀の上にのった鶴がクチバシにろうそく立てをくわえています。極楽にすんでいるわりに、人も獣も真面目くさった顔で、ちっとも楽しそうではありません。
つぎに、仏壇の引き出しをあけて紫色の帳面をとりだします。サイン帳や寄せ書きのたぐいだと思っていたわたしは、自分の名前を書きたいと祖母にたのみ、「あんたまだ死んどらんがな」と笑われたことがあります。ご先祖さまの名前と亡くなった日が書かれてあり、祖母の名前もいつかここに書かれるのだと教わりました。たいていこのあたりで玄関が開く音が聞こえてくるので、あわてて残りのパイの実を口に詰めこみ飲みこみ、祖母を迎えにいくのでした。
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あっちゃんが ようちえんから かえって おやつをたべていると、でんわが なりました。 おかあさんは あっちゃんにいいました。 「おばあちゃんの ぐあいが よくないらしいの。 おるすばん できる?」 「うん、できる」
初めてお留守番することになったあっちゃん。静まりかえった家で、ドーナツを食べ、クマとマトリョーシカ人形にお話を聞かせ、積み木で遊んで、本を読んで、それでもまだお母さんは帰ってきません。
不安でいっぱいいっぱいのあっちゃんの顔。いつもすみずみまで明るく照らしてくれる電気の光も、今日は闇をいっそうきわだたせているようです。闇はすぐそばまで迫っています。
のどがかわいたので水を飲もうと台所にやってきたところ......
ぴとん じゃぐちの すいてきが おちたとたん、 どうぐや やさいたちが いっせいに めを あけました。
け、軽量スプーンに目が……たわしにも、おなべにも、ひきだしにも。これぞCool Japan。古い道具が妖怪化した付喪神(つくもがみ)にちがいありません。ガスの元栓のつぶらな瞳がKawaii! そしてダイコンが一番Kowai!
「なんの おとなんだろう」あっちゃんはつぶやきました。 すると ぼく しってるよ」とくまが こたえました。 「どうぐは さびつかないように、やさいはおいしくなるように るすのあいだに たいそうをしているんだよ」 「そうよ」といちばんそとがわの マトリョーシカにんぎょうがいうと、 「そうよ」「そうよ」「そうよ」なかのにんぎょうたちも とびだしてきて じゅんばんに いいました。
いつの間にか、くまも、マトリョーシカ人形もしゃべりだしましたね。一人ぼっちのあっちゃんに心強い仲間ができました。こうなるとあとは楽しむだけ。道具や野菜たちにまじり、みんなでこたつのまわりをぐるぐ���回って踊ります。そして、お母さんが帰ってきました。
がちゃり かぎの あく おとがしました。 みんなは あっというまに もとの ばしょに もどりました。
●●●
お盆に近いある日の午後、祖母とわたしは縁側でお仏壇の掃除をしていました。新聞紙を敷き、鶴がくわえたロウソク立てと台座の亀、足が4本生えた香炉やお輪を並べて、磨き粉をつけた布でこすります。1年のほこりでくすんでいた表面がぴかぴか光りだすのが面白くて、またこの日だけはおおっぴらに仏壇のあちこちに触ることができるので、毎年すすんで手伝っていました。
ひと通り掃除が終わったあと、祖母は畑でとれた野菜を隣の家におすそ分けに出かけました。わたしはお留守番。となりの仏間に寝ころんで、扇風機の風にふかれ、うつらうつらしていたようでした。
ぼんやり光が見えたようで、目をあけました。仏壇の中から青い光がさしています。光は青い帯になって縁側までのび、窓をとおりぬけ、外に流れ出しています。逆に、外から仏壇の中に流れこんでいたのかもしれません。体がうごかないのでそのままじっとしていました。「きょうはお風呂にはいってもいいよ」と、耳元で誰かがいいました。思いきり足を蹴って起き上がると、青い光は消えました。辺りは薄暗くなっていて、外で雷がなっているのでした。
帰ってきた祖母に話すと、「きれいに磨いたから、ご先祖さんが喜んで出てきてくれたんかもしれんな。風邪もなおったから、はよお風呂はいってき」と言われました。数日前から夏風邪をひいていたわたしは、2日ほどお風呂をひかえていたのです。
翌日の朝、祖母と一緒にお墓の掃除に出かけました。石と石のすき間や、彫られた文字の間にたまった汚れを歯ブラシでこすって落としていきます。お墓のとなりに小さなお地蔵さんがたっていて、こちらも一緒に掃除します。お地蔵さんには、生まれてすぐに亡くなった男の子がお祀りされていると祖母から聞いていました。背中をごしごし磨いて、体全体にお水をかけて終了です。
ひとっ風呂浴びたお地蔵さんは涼しい朝風にふかれています。なんとなく、昨日の声が誰だかわかったような気がしました。この子だったんだな、ずっと見ててくれてたんだな、そう思いました。
※文中の太字は本文より引用
『おるすばん』 作:森洋子 福音館書店
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限定 涼月刺繍パーカー、深海双子棲姫フルグラパーカーなど新作アイテム盛りだくさん!
限定「涼月 刺繍ジップパーカー」や「深海双子棲姫 フルグラフィック 裏起毛ジップパーカー」など、新グッズの開発に成功!
「涼月 刺繍ジップパーカー」は、10万ステッチを超える高密度の刺繍で儚くも凛とした強さを感じる秋月型防空駆逐艦 涼月の姿を再現! 刺繍の名産地”桐生市”産の高品質な刺繍が、刺繍ならではの立体感や光沢で、夜空に浮かぶ涼やかな月のように美しい涼月を一層美麗に際立たせる逸品だ。 まるで秘書艦のようにあなたと共に。
また、「深海双子棲姫 フルグラフィック 裏起毛ジップパーカー」は、白と黒を基調にシックなカラーリングで2人の姿がより映えるデザイン。
加えて、速乾性が高く、熱く盛り上がること必至なロックライブにももってこいな村雨改二、コロラドの「両面フルグラフィックTシャツ」、イベントの戦利品もたっぷり入る蒼龍と不知火の“秋の私服mode”デザイン「フルグラフィックラージトート」をはじめ、鎮守府に生息する謎の生物?ボクカワウソやキリン改二のグッズなどラインナップ!
> ★限定★深海双子棲姫 フルグラフィック 裏起毛ジップパーカー > ★限定★涼月 刺繍ジップパーカー > 村雨改二 両面フルグラフィックTシャツ > コロラド 両面フルグラフィックTシャツ > 不知火 フルグラフィックラージトート 秋の私服mode > 蒼龍 フルグラフィックラージトート 秋の私服mode > 浮輪さん サーモボトル > 浮輪さん 扇子 > ボクカワウソ Tシャツ > ボクカワウソ アイマスク > 連装砲ちゃん サコッシュ > 夕立っぽい サコッシュ > キリン改二 サコッシュ >キリン改二 ジップパーカー
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学生服と私 ・ 中学生、高校生時代は校則があったので制服を着ていました。真っ黒い上着にズボン。首回りは詰襟でピチッと締め付けられるので、とても息苦しくかったものです。 ・ 高校生になると制服はあったものの、学校指定のボタンがついていれば各自で好きな学ランを自由に着れる感じでした。印象論ですが、都内出身者は標準的なものか細身のもの。埼玉、千葉出身者は「今日から俺は!!」的なダボダボな変形学生服を着ている人が多かった気がします。 ・ 変形学生服の上着の裏地には大体刺繍がしてあり大体のパターンが3つ位あって「喧嘩上等」といった、おどろしい漢字が書かれているもの、岩の上で猛々しく吠え掛かる虎、そして雲をかき分ける昇り竜でした。 ・ というわけで本日のランチは #登龍 です。麹町方面で打ち合わせがあったので、せっかくだから普段食べないとこに行こうと、こだわりのインスタグラマー部長とともに高級中華料理店へやってきました。 ・ 定食は3500円から。 #ラーメン は2000円から!?新橋のリーマンは震えますが「平成」を装い(と文字の打ち間違いをする位に動揺し)ながら、名物の #担々麺 を注文します。 ・ まず出された、オカキのようなものは何かと思えば #クルミ です。周りが砂糖のようなもので覆われていて上品な甘さとマッチしています。いよいよ高級 #らーめん が運ばれてきました。 ・ 今までの人生の中で食べてきた #タンタンメン の中で一番クリーミー。胡麻は粉末状のものペースト状のものが複数重なった感じで程よい辛さが調和した絶品。 #麺 はこれまたシルクのような滑らかさ。細麺を軽く引き上げれば、たくさんの #スープ をまとって、ちゅるんと入ってきます。 ・ 一緒についてきた肉まんの皮だけみたいなものをスープにつけても、またウマーイ。最後の瞬間を迎えるのが名残惜しい、最高の麺体験でした。デザートの #メロンシャーベット もとても美味しかったです。 ・ #麹町ランチ #半蔵門ランチ #麹町中華 #半蔵門中華 #高級中国四川料理登龍 #高級中国四川料理登龍麹町店 (登龍 麹町店) https://www.instagram.com/p/BvnAX3Hg-dl/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=yw9dvlaqh52o
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台湾旅行3
台湾3日目です。やっと折り返した…。
この日は一番買い物した日!そして一番歩き回った日…。
アラーム通りに起きたけど明らかに体力が回復しきれていないのを感じる朝。加齢…。4日目はほぼ帰るだけで自由行動の時間は大して取れないので、今日全部まわっちゃおう!と朝ごはんをさっさと済ませて9時半には中山駅へ。
と思ったらどこの店もまだ開いてない…。基本的に開店遅くて深夜までやってるお店が多くて、一応分かってるつもりだったけどなめてた~。コンビニとカフェ以外どこも閉まってた。
時間もったいね~~じゃあホテルで寝てりゃよかった~~とか言ってもしょうがないのであてもなく徘徊していた時に見つけためりこんでるピースとホンコンクラブ(日本語)(at台湾)。
あまりにも時間がつぶれないし眠いし寒いので諦めてモスバーガーで飲み物だけ頼んで(昼ごはんをおいしく食べたかった)時間が過ぎるのを待つ…。日本でどうだったか覚えてないので比較できないけどココアがめっちゃ薄かった。ど、泥水…? ついでにトイレも借りときたかったのによりによって改修工事中でつらかった…。
ぼちぼちお店が開き始めたので三越と駅の地下街を散策。個人的に本屋さん見るのが楽しかったな~料理の本がいっぱい売ってた。というか安売りしてた。新品の本が安売りされている光景の違和感すごかったんですけど日本以外だと結構あること???なのか???(無知)
あと三越の化粧品売り場には綺麗なお兄さん(店員)がいる!二人くらい!BAさんなのかな…分からんけどあのデパコス~キラキラ~な��間にしれっと顔がきれいなお兄さんがいるっていうのがなんか、めっちゃよかったです。
こういう看板と室外機がごちゃ~みたいなやつ、台湾来てるわ~って感じで興奮するお昼ごはんのお店までの道中。
店の名前忘れたけど烏龍茶小籠包!ピンぼけしている… スープまで緑色でちょっとお茶の苦みもあっておいしい。
写真がへたくそすぎてゲロまずに見えるけどおいしかった牛肉麺。もっとミシっとした肉かと思ったけどほろほろだった。
小豆の蒸しパン。日本の蒸しパンよりは粉っぽくなくて、ちょっとかるかんに似た感じでもちっとしてておいしかった!中心の黒くて丸いのはこしあん。一瞬で食べきったから写真がないけど炒飯もおいしかった。まじで全部おいしかったしか言ってないな。全部おいしかったです!!!
生地を伸ばす人とタネを置く人とそれを包む人の完全分業で見てておもしろい。台湾のお店の人、接客中でも結構自由に飲み食いしてる人が多かった。そりゃお腹すくよな~わかる…
午後からはまた地下鉄で移動して廸化街へ~
小花園に売ってる刺繍の靴がどれもかわいくてよ~~サイズもお金もなくて迷ったけどどうしても手元に置いておきたくて一足買いました…。来たからには中華っぽい刺繡のなにかが欲しかった。お金ないって言っても3000円ちょっとなので普通に安い
ついでに左上は三越に入ってるお茶屋さんで母に買ったオーガニック石鹸。お会計で小銭の判別にもたついてたらお店のお兄さんに「今日が旅行初日ですか?(英語)」って聞かれたけどもう3日目です!!!すみません!!!でも「旅行楽しんで~」って言ってくれていい人だった。
左下のヤバい色の箱は廸化街行く前に中山で寄ったスーパーに売ってたベビーパウダー。容器無しで袋に粉が直接詰められてるのでパッと見ほんとにヤバい粉。
あと店内で迷ってる時に丁度従妹の出産報告LINEが来て、テンション上がって買ったお祝いの赤ちゃん用室内履き(虎)と口紅ケース。
廸化街は布・乾物系の卸店が多いのとバロック式建築で有名なところなんですけど、序盤の靴屋で悩み過ぎた結果散策する時間がなくなって建築見てる暇はほぼなかった。ペース配分ヘタクソか
まだ予定が詰まってるので南京三民へ移動~
ここまでずっとオフィス街とか繁華街ばっかり行ってたけどこのへんは富裕層の住宅街って感じ…マンションと小学生の塾が多かった。あとは空間づくりにこだわってます系のオシャクソカフェも多かった。
画塾?かな(自信なし) モーリス・センダック大好き人間なので大喜び。
お目当てはここです! 琅茶 Wolf Tea
ここもいつか絶対行きたいと思ってたお店で、散々お金ないって書いたけどここで使う分のお金だけはきっちりキープしていた木村。
この茶器と缶のセットが欲しかったんじゃ~~かわいいが過ぎる…。茶葉と缶の色は組み合わせ自由です。茶葉のチョイスにもよるけど大体1500元(5500円)くらい。 茶葉は試飲させてもらった桂香包種(烏龍茶)で、缶は満月イメージで黄色!湯のみの色もデザインも活版印刷+箔押しの箱も全部ツボだ…。財布に余力があれば茶葉もう一種類くらい欲しかったなあ。
ここで木村の元の残金がいよいよスッカラカンになったため(銀行閉まってるしカードもないので)換金もできる中山のお茶屋さんに行って、一旦ホテルに荷物置いてから晩ごはん食べに東山へ移動。さらっと書いてるけど中山を挟むことによってただでさえ疲れてるみんなをめちゃくちゃ歩かせてしまって申し訳なかった(*_*)そしてどう考えてもてめえで調べろよ案件なのに色々と世話を焼いてくれたあっしーに感謝…
また店の名前忘れたけど初日に通りかかっておいしそうって話してたとこに行った。台湾で食べる最後の(ちゃんとした)ごはん!!
台湾ビールパイン味とマンゴー味~。この、缶のままで出てくる感じが中華っぽくて興奮する。台湾ビールは度数が低くて味も日本のよりちょっと薄いのでフレーバー系は特にジュースみたい。はちみつ味もコンビニとかで売ってたけど飲んでない。買えばよかったな~。
皿が台湾の形…。食える食える~って色々注文したものの疲労と眠気で全然箸進まなくて笑った。おいし~~けどねむい~~!!
このへんからはもう全員疲れから笑いの閾値が下がりだしてめちゃめちゃゲラになって帰り道ひたすら楽しかった。
帰りは24時間切符が切れたのではじめて普通に切符買った。トークン!
こんなおもちゃみたいな見た目なのにICでびっくり。でも失くしそう。台北メトロの料金設定、雑というかほとんど20元でどこまでも行けるのですごい…。20元って80円以下なんですけど…小人かよ…。遠くても25元とか。
行天宮(写真)で降りて23時まで空いてるスーパーに寄ってお土産買って、やっとホテルに帰宿。部屋が2階だったので階段使った方が早いんだけどその体力もなくエレベーター…。お風呂入ってからカステラとパンの残りを食べつつ次の日の話して就寝。電気消して3秒で寝た。
明日は朝ゆっくりできるぞ!→4日目につづく
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チャイナトップス追加、本日も「コロナ(567)以外ニクニクルー」
本日も13時〜19時までの営業(電話やSNSなど連絡頂ければ12時〜20時まで)
狭い店内ですので、1組の来店人数は3人まで
マスク着用でご来店ください、少しでも体調の良くない方はご来店をお控えください
本日はチャイナトップスなど
追加しておりますので、ご紹介☆
中国製
光沢のある緑色が目をひく一枚
愛らしい花柄の刺繍が素敵です
白のパイピングラインも良い感じ
レディースXLサイズくらい、Mサイズくらいの男性も着れそうです
是非♪♪
おそらく中国製
光沢のある青色がクールな一枚
金やカラフルな龍と孔雀の刺繍が印象的です
コチラも白のパイピングライン入り
レディースLサイズ
是非♪♪
日本製
黒地にキラキラした銀の尾の様な柄が素敵なチャイナシャツ
ポリ生地で、シースルー仕様
白のパイピングラインが洒落てます(シミあり)
レディースMサイズ
是非♪♪
さて、本日も「コロナ(567)以外ニクニクルー」
5・6・7の付く日以外の日に肉で購入頂いた服着用で来店頂くと店頭古着29%OFF
今月末までの予定ですので、自分のタイミング&肉服でお越し下さい
よろにくです^ ^
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ひとみに映る影シーズン2 第二話「高身長でわんこ顔な方言男子」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、 誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
☆キャラソン企画第二弾 青木光「ザトウムシ」はこちら!☆
དང་པོ་
時刻は十四時三十分。MAL五八便が千里が島に到着してから既に五分以上経過した。しかし乗客はなかなか立ち上がれない。体調を崩して客室乗務員に介抱される人や、座席備え付けのエチケット袋に顔を突っ込んでいる人も見受けられる。機内に酸っぱい臭いが充満してきたあたりでようやく、私達したたびチームを含め数人がフラフラと出口に向かった。 機体と空港を繋ぐ仮設通路は『ボーディングブリッジ』というらしい、という雑学を思い出しながらボーディングブリッジを渡る。ある先輩俳優がクイズ番組でこれを『ふいごのトンネル』と珍回答して笑いを取っていたけど、なるほど確かにこれはふいごのトンネルだ。実際に歩きながら、言い得て妙だと感じた。 空港に入って最初に目についたベンチに佳奈さんが横たわった。ドッキリ企画の時から着っぱなしだったゴシックタキシードのボタンを外し、首元のヒラヒラしたスカーフで青い顔を拭う。 「うぅ、吐きそう……もらいゲロかも……」 「おいおい、大丈夫ですかぁ? トイレまで歩けます?」 一方ケロッとしているタナカD。口先では心配しているような言い草だけど、ちゃっかりカメラを回し始めた。 「やめろー撮るなぁー! ここで吐くぞー……うぅるぇっ……」 「ちょっと、冗談じゃなく本当に吐きそうじゃないですか! 大惨事になる前にトイレ連れてってきます」 私は佳奈さんに肩を貸してトイレへ向かう。タナカDの下品な笑い声が遠のいていった。洋式の個室で彼女を降ろし、自分も二つ隣の空いている洋式個室に入る。チャンスだ。まず壁にかかったスイッチを押し、滝音と鳥のさえずりが合わさったエチケット音声を流す。次にトートバッグから小さなクナイ型の物を取り出す。これは『プルパ龍王剣(りゅうおうけん)』という密教宝具だ。私が過去に浄化した悪霊を封じこめてあり、そいつから何時でも力を吸い出す事ができる。 「オム・アムリトドバヴァ・フム・パット」 口を閉じたまま、他人に聞こえるか聞こえないかギリギリの声で真言を唱える。すると、ヴァンッ! プルパは私から黒々とした影を吸い上げ、龍を刺し貫いた刃渡り四十センチ程のグルカナイフ型に変形した。 「う……うぅ……」 プルパに封印された悪霊、金剛倶利伽羅龍王(こんごうくりからりゅうおう)が呻き声を漏らす。昔こいつは人を呪ったり、神様の振りをして神社を乗っ取ったり、死んだ人の魂を監禁して怨霊に育てたりと悪行の限りを尽くしていた。ご立派な名前に似合わず、とんでもない奴だ。 <機内での騒動を聞いていたな。あの毛虫みたいな化け物は何だ?> 影を介したテレパシーで、私は威圧的に倶利伽羅に囁く。ついでに壁のボタンを押し直し、エチケット音を延長。 「ア……? 俺様が知るわけがぼがぼぼごがぼごがガガガ!?」 しらばっくれようとした倶利伽羅の顔を便器に沈めて水を流した。 <どこからどう見てもお前と同類だったろうが! その縮れた灰毛、歯茎じみて汚い皮膚、潰れた目! もう一度問う。あれは何だ?> 「げ、っほ、うぉ゙ほッ……! あ、あれは散減(ちるべり)……『母乳を散り減らせし虫』……」 <母乳?> 「母乳とは……親から子へ引き継がれる、『血縁』のメタファーだ。母乳を奪えば子は親の因果を失い……他人の母乳を飲ませれば、子とその相手は縁で結ばれる」 縁。そういえば千里が島の旧地名は散減島で、縁切りパワースポットだったか。あの怪物、散減は、どうやらその伝承と関係があるようだ。それにしても、 <ならその散減とお前には如何なる縁がある? またお前を生み出した金剛有明団(こんごうありあけだん)とかいう邪教の仕業か> 「知らん! だいたい貴様、そうやって何でもかんでも金剛のせいにがぼろごぼげぼがぼげぼろこゴゴポ!!?」 流水。 <資源の無駄だ。節水に協力しろ> 「ゲッ、��エェーーッ! ゲホガホッ! 本当に知らな」 <それとも次は和式の水を飲みたいか> 「知らないっつってんだろぉ!! 確かに散減も母乳信仰も金剛の叡智だ。だがそれをこの田舎島に伝来したのは誰か知らん! 少なくとも俺様は無関係だ!!」 残念だけど、こいつから聞き出せる情報はこの程度のようだ。私は影の炎で倶利伽羅を熱消毒して、洗面台でプルパと自分の手を洗った。 「ぎゃああああ熱い熱い!! ぎゃああああああ石鹸が染みるウゥゥ!!」 霊的な炎にスプリンクラーが反応しなくて良かった。 ベンチに戻ると、佳奈さんは既に身軽なサマードレスに着替えていた。脱水防止に自販機でスポーツドリンクを買い、大荷物を待っていると、空港スタッフの方が私達のスーツケースを運んできてくれる。 「ようこそおいでなすって、したたびの皆さん。快適な空の旅を?」 「いやあ、それがとんでもない乱気流に入っちゃいましてね。だぶか墜落せずにここまで運んでくれた機長さんは凄いですなぁ」 「乱気流が! ははぁ、そいつぁコトだ。どうか島ではごゆっくり」 尻切れトンボな口調でスタッフの方がタナカDと会話する。これは『南地語(なんちご)』と呼ばれる、江戸の都から南方にあるこの島特有の方言だ。『~をしましたか?』が『~を?』、『~なのです』が『~ので』、といった調子で、千里が島の人は語尾を省略して喋るんだ。 「佳奈さん、私南地語を生で聞くの初めてです。なんだか新鮮ですね」 「千里が島スタイルでは南地語(なっちご)って読むんだよ」 「へえ、沖縄弁がうちなーぐちみたいな物なので?」 「そうなので!」 「「アハハハハ!」」 二人でそれらしく喋ってみたけど、なんかちょっと違う気がする。案外難しい。それより、佳奈さんがちょっと元気になったみたいで良かった。今日この後はホテルで企画説明や島の情報を聞くだけだから、今夜はゆっくり休んで、気持ちを切り替えていこう。
གཉིས་པ་
空港出入口の自動ドアを開いた途端、島のいやに生ぬるい潮風が私達を出迎えた。佳奈さんがまた気分を悪くしそうになり、深呼吸する。私も機内の騒動で平衡感覚がおかしくなっているからか、耳鳴りがする。 「ともかくお宿に行きたいな……」 そう独りごちた矢先、丁度数台の送迎車がバスターミナルに列をなして入ってきた。特に目立つのは、先頭を走るリムジンだ。白く輝く車体はまるでパノラマ写真のように長い。 「わぁすっごい! 東京からテレビが来たってだけあって、私達超VIP待遇されてる!」 「いえ、佳奈さん、あれは……」 ところがリムジンは大はしゃぎする佳奈さんを素通り。入口最奥で待機していた河童の家一団の前に停車する。すかさず助手席からスーツの男性がクネクネしながら現れ、乗降ドア前に赤いカーペットを敷き始めた。 「どうもどうもぉ、河童の家の皆様! 私めはアトムツアー営業部の五間擦(ごますり)と申します。さあさ、どうぞこちらへ……」 アトムツアー社員は乗車する河童信者達の列に跪いて靴を磨いていく。全員が乗りこむと、リムジンはあっという間に去っていった。 「……あーあ。やっぱ東京のキー局番組じゃないってバレてたかぁ~。リムジン乗りたかったなぁ」 「ただの神奈川ローカルですからね、私達」 「こう言っちゃなんですけど、さすがカルト宗教はお金持ってますなあ」 「タナカさん、今の台詞はカットしなきゃダメですよ」 「あっ一美ちゃん! 私達の、あっちじゃない?」 リムジン後方から車間距離を空け、一糸乱れぬ隊列を組んだバイク軍団が走ってくる。機体はどれも洗練されたフォルムの高級車で、それに乗るライダー達も全員眩しくなるほど美少年だ。 「「「千里が島へようこそ、お嬢様方! アトムツアー営業部ライダーズです!」」」 彼らは私達の目の前で停車すると、上品なダマスク柄の相乗り用ヘルメットを取り出し白い歯を見せて微笑んだ。 「えーっ、お兄さん達と二ケツして行くって事!? やーんどうしよ……」 佳奈さんがデレデレと伊達眼鏡を外した瞬間、 「きゃー!」「ライダー王子~!」「いつもありがとぉねぇー!」 加賀繍さんのおばさま軍団が黄色い悲鳴を轟かせ、佳奈さんを突き飛ばしてイケメンに突進! 一方イケメンライダーズは暴れ牛をいなす闘牛士の如く、キャーキャー飛び跳ねるおばさま達にテキパキとヘルメットを装着し、バイクに乗せていく。ところがおばさま軍団の殿を堂々たる態度で歩く加賀繍さんは、彼らを見るや一言。 「ヘン。どれもこれも、モヤシみたいのばかりじゃないか。コールもろくに出来なさそうだねぇ」 イケメンライダーズには目も合わそうとせず、一番大きなバイクにどかっと着席。バイク軍団は颯爽とリムジンを追いかけていくのだった。 「……あーあぁぁ。やっぱ小心者モデルじゃイケメンバイクはダメかぁ~」 「腹黒極悪ロリータアイドルじゃダメって事ですねぇ」 「加賀繍さんも稼いでるもんなあ。コールですって、きっとホスト狂いですよぉあの人」 「タナカD、その発言OA(オンエア)で流したら番組打ち切りになるよ」 三人で管巻いていると、少し間を置いて次の送迎車が現れた。トココココ……と安っぽいエンジン音をたてて走る小型シャトルバスだ。私としては別に河童の家や加賀繍さん方みたいな高級感はいいから、さっさとホテルで休ませて欲しい。ランウェイを歩いていた午前中から色んな事が起こりすぎて、もうヘトヘトなんだ。「あ、あの……」しかしバスは残酷にも、私達の待つ地点とは反対側のロータリーに停車。玲蘭ちゃんと後女津一家を乗せて去っていった。「あの、もし……」小さくなっていく『アトムツアー』のロゴに、佳奈さんが中指を立てた。私もそれに倣って、親指を 「あの! お声かけても!?」 「ふぇ!? あ、は、はい!」 声をかけられた事に気がつき振り返ると、背の高い男性……を通り越して、日本人離れした偉丈夫がいつの間にか私達の背後に立っていた。しかも恐縮そうに腰を屈めているから、まっすぐ立ったら少なくとも身長二メートル以上はありそうだ。 「遅くなっちまって失礼を。僕は千里が村役場観光事業部の、青木光(あおきひかる)です。ええと、したたびさんで?」 「ええ。しかし、君が青木君かい!? 大きいなあ、あっはっは!」 タナカDが青木さんの胸のあたりをバシバシと叩いた。青木さんはオドオドと会釈しながら後込む。身体が大きいから最初は気がつかなかったけど、声や仕草から、彼は私と同い年か少し年下のようだとわかる。 「あ、あのォこれ、紅さんがいつも髪にチョークされてるので、僕も髪色を。ど、どうです……派手すぎで?」 「あ、ヘアチョークご自分でされたんですか? すごくお似合いですよ!」 「い、いえ、床屋のおばちゃんが! でも……お気に召したなら、良かったかもだ」 青木さんは全体をホワイトブリーチした目隠れセミロングボブを、毛先だけブルーにしている。今日は私も下半分ブルーだからおそろいだ。ただ、このヘアメイクに対して彼の服装はイマイチ……素肌に白ニットセーター直着、丈が中途半端なベージュカーゴパンツ、ボロボロに履き古された中学生っぽいスニーカー。確かに、『都会からテレビが来るから村の床屋さんが髪だけ気合い入れすぎちゃった』みたいな情景がありありと目に浮かんでしまう。もうロケそっちのけで青木さんを全身コーデしたくなってきた。 「それより青木君、私達の車は?」 佳奈さんが荷物を持ち上げる。 「え。いえその、言いにくいんですけど……」 青木君は返答の代わりに、腕を左右にスイングしてみせた。まさか…… 「徒歩なんですか!?」 「すす、すみません、荷物は僕が! 役場もコンペに予算とか人員を削がれちまって、したたびさんのお世話は僕一人などと。けど僕、まだ仮免だから……」 「「コンペ?」」 首を傾げる佳奈さんとタナカD。私は飛行機内で聞いた除霊コンペティションの話をかいつまんで説明した。 「困るよぉそれ! 除霊されたらこっちの撮れ高がなくなるじゃんかよ!」 「ゲ、やっぱり! 聞いて下さい青木さん。この人達、宝探し企画とか言っておきながら、本当は私を心霊スポットに連れて行く気だったんですよ!?」 「ええっ肝試しを!? 島のお化けはおっとろしいんだから、それはちょっとまずいかもけど!」 目隠れ前髪越しでもわかるほど冷や汗を流しながら、青木君は赤べこみたいにお辞儀を繰り返す。 「そら見なさい、触らぬ神に祟りなしですよ。私達だけ徒歩になったのだって、きっと罰が当たったんだ」 「そーだそーだ! 青木君に謝れタナカD!」 「なんだと? あなただって紅さんを地��波で失禁させるって息巻いてたじゃないか!」 「佳奈さん!!」 「そこまでは言ってないし!」 「ややや、喧嘩は!」 「あ、気にしないで下さい。私達これで平常運転ですから」 この罵り合いはホテルに到着するまで続く。したたびロケではいつもの事だ。私達は良く言えば忌憚なく話し合える仲だし、悪く言えば顔を合わせる度に言葉の殴り合いをしている気がする。それでも総括的には……仲良しなのかな、どうなんだろう。 空港からホテルへは、石見サンセットロードという遊歩道を行く。海岸沿いの爽やかな道とはいえ、心霊スポットという前情報のせいか海が陰気に見える。船幽霊が見えるとかそういう事はないけど、島の人も霊も全く外を出歩いていなくてだぶか不気味だ。 到着した『ホテル千里アイランドリゾート』はそこそこ広くて立派な建物だった。それもそのはず。青木さんによると、ここは島で唯一の宿泊施設だという。但し数ヶ月後には、アトム社がもっと大規模なリゾートホテルを乱造するんだろう。玄関に到着すると、スタッフの方々が私達の荷物を運びに…… 「って、玲蘭ちゃんに斉一さん!?」 「あっ狸おじさんだ! ……と、誰?」 そうか、普段メディア露出をしない玲蘭ちゃんを佳奈さんは知らないんだった。 「この方は金城玲蘭さん、沖縄の祝女……シャーマンですね。私の幼馴染なんです」 「初めまして志多田さん、タナカさん。金城です。こちらの彼は……」 玲蘭ちゃんが話を振る直前、斉一さんの中にさりげなく、ドレッド狸の斉二さんが乗り移るのが見えた。代わりに斉一さんらしき化け狸が彼の体から飛び出し、 「どうも、ぽんぽこぽーん! 幸せを呼ぶ地相鑑定士、毎度おなじみ後女津斉一です!」 彼はすっかりテレビでお馴染みの風水タレントの顔になっていた。芸能界で活躍していたのはやはり斉二さんだったみたいだ。 「あの、どうしてお二人が?」 客室へ向かいながら私が問いかけると、二人共苦笑する。 「一美、実は……私達、相部屋だったんだ」 「え!?」 すごすごと玲蘭ちゃんが襖を開けると、そこはまさかの宴会場。河童の家や加賀繍さん達で客室が埋まったとかで、したたびチームと玲蘭ちゃん、後女津家が全員大部屋に押しやられてしまったのだという。 「はぁ!? じゃあ私達、川の字で雑魚寝しなきゃいけないワケ!? 男女分けは……まさか、えっこれだけ!?」 「すみません、すみません!!」 佳奈さんが宴会場中央の薄っぺらい仕切り襖を開閉するリズムに合わせ、青木さんはベコベコと頭を下げる。 「やめましょうよ佳奈さん、この島じゃ誰もアトムには逆らえないんですから」 「ぶっちゃけ俺や金城さんも、半ばアトムに脅迫される形でここに連れてこられたんだよねぇ……あ、これオフレコで」 「いやいや狸おじさん、もう全部ぶっちゃけたっていいんですよ。うちのタナカが全責任を負って放送しますから」 「勝手に約束するんじゃないよぉ! スーパー日本最大手の大企業に、テレ湘なんかが勝てるわけないんだから!」 「「「はあぁぁ……」」」 全員から重たい溜め息が漏れた。
གསུམ་པ་
簡単な荷物整理を終え、したたびチームはロビーに移動。改めて番組の企画説明が始まった。タナカDが三脚でカメラを固定し、語りだす。 「今回は『千里が島宝探し編』。狙うはもちろん、徳川埋蔵金ですからね。お二人には明後日の朝までに、埋蔵金を探し出して頂きます」 「見つからなかったらどうなるんですか?」 「いつも通り、キツい罰ゲームが待っていますよぉ」 「でしょうねぇ」 埋蔵金なんか見つかりっこないのは分かりきっている癖に。完全に出来レースじゃないか。 「もちろん手掛かりはあるよ」 佳奈さんが机に情報フリップを立てかけた。書かれているのは簡略化された千里が島地図だ。 「山の上にあるのが噂の縁切り神社、��御戌神社(おいぬじんじゃ)』。そこから真下に降りたところ、千里が島国立公園のところに書いてあるこのマークが『ザトウムシ記念碑』。一美ちゃんは、民謡の『ザトウムシ』は知ってるよね?」 「もちろん知ってますよ。お店で閉店前によく流れる曲ですよね? あれって千里が島の民謡なんですか」 「そうなの。そしてザトウムシの歌詞は、一説によると徳川埋蔵金のありかを示す暗号だと言われてるんだ!」 「へえ、そうなんですね。じゃあ暗号は解けてるんですか?」 「それはこれから考えるんだよ」 「はぁ……」 なんだか胡散臭い手掛かりだ。 「だいたい、埋蔵金なんて本当にあるんですか? そもそも、千里が島と徳川幕府に関係性が見えないんですが」 「じゃあまずは千里が島の歴史を知るところからだね。青木君ー!」 「はい、ただいまー」 佳奈さんが呼びかけると、大きなホワイトボードを引きずりながら青木さんが画角内に入る。実はさっきから、彼は私達の真横でずっとスタンバイしてくれていたんだ。青木さんはホワイトボードにゴシック体みたいな整った字で『千里が島と徳川家の歴史』と書き、解説を始めた。 千里が島、旧地名散減島。ここは元々江戸時代に都を脅かした怨霊を鎮めるためだけに開拓された地で、その伝説が縁切りや埋蔵金の噂に繋がる起源なのだそうだ。 事の発端は一六七九年。徳川幕府五代将軍、徳川綱吉が男の子を授かった。名を徳松という。しかし徳松は一歳を過ぎても母乳以外なにも飲み食いできず、見るからに虚弱だった。これを訝しんだ綱吉が時の神職者に相談してみると、徳松は江戸幕府征服を目論む物の怪によって、呪われた悪霊の魂を植え付けられていたと判明する。 「物の怪は徳松の体のミルクから、縁を奪ってたんですだ」 「ミルクから……縁?」 既に倶利伽羅から軽く説明を受けていたけど、番組撮影のためにも改めて青木さんから話を聞く。 「昔の伝承じゃ、おっかさんのミルクにゃ親子の縁が宿るなど。ミルクをとられた子は親と縁が切れて、バケモノになっちまうとか。だから徳松は、本能的にいつまでもミルクを」 「へえ、そういう信仰があったんですね」 神職者が提示した儀式は、三歳、五歳、七歳……と二年毎に分けて行われる。魂が完全形成される前の三歳の時に悪霊を摘出し、代わりに神社の聖なる狛犬の魂を素材として魂を作り直す。五歳になったら身を守るための霊能力を与えて修行を積ませ、七歳で悪霊退散の旅に向かわせる。それが幕府と神職者が本来描いていた運びだった。 「ちなみにこれが七五三参りの起源なんだよ……だがしかしィーっ!」 佳奈さんがフリップに貼ってある付箋を勢いよく剥がす! 「デデン! なんと徳松は五歳で死んでしまうのです!」 「えぇ? 七五三参りの起源になった子なのに、七歳まで生きられなかったんですか!?」 「まあ現在の七五三参りは、男の子は五歳しかお参りしませんけどね」 タナカDが画面外から補足した。徳松は修行の途中物の怪に襲われ、命を落としてしまったんだ。それでも彼は物の怪を体内に封印し、二年間耐え抜いた。しかし物の怪は激しく縁に飢え、徳松の精神をじわじわと狂わせる。そして一六八五年、人の縁を完全に失った徳松の魂は大きな狛犬のような怨霊となって江戸中の縁を貪った。徳松に縁を食われた人々は不幸にみまわれ、家族や仕事を失ったり、人間性を欠きケダモノめいて発狂したりと大パニックだ! ついに諦めた幕府と神職者は、徳松を江戸から追い出してしまう。彼らは江戸中の女性から母乳を酒樽一斗分集め、それを船に乗せて江戸から遥か南の無人島に運んだ。徳松も船を追って海を渡ると、そのまま神職者は島に神社を建て、徳松の魂を神として奉った。以降徳松は悪縁を食べてくれる縁切り神として有名になり、千里が島は今日も縁切りパワースポットとして名を馳せているんだそうだ。 「では一美ちゃん、ここでクイズです! 怨霊事件から更に二年後、一六八七年。怨霊がいなくなった後も徳松の祟りを思い出してノイローゼになっていた綱吉は、ある法律を制定しました。それはなーんだ?」 「え、法律!?」 急に佳奈さんがクイズを振ってきた。歴史は得意でも苦手でもない方だけど…… 「ええぇ、徳川綱吉で法律といえば、生類憐れみの令ぐらいしか……」 「ぴんぽんぴんぽんぴんぽーん!!」 「え、生類憐れみの令でいいんですか!?」 「その通り! 綱吉は犬畜生を見る度に徳松を思い出してしまう! そして祟りを恐れて動物を殺さないように法律を作った。それが生類憐れみの令の真実なのだあ!!」 ババババーン! と、オンエアではここで安っぽい効果音が入るのが想像に難くない。しかし七五三参りだけでなく、あまつさえ生類憐みの令まで徳川徳松が由来だったなんてさすがに眉唾な気がする。 「徳松さんってそんなに歴史的に重要な人だった割には、あまり学校じゃ習わないですね」 「今青木君と佳奈さんが説明した伝承は、あくまで千里が島に伝わる話ですからな。七五三も生類憐れみの令も、由来は諸説あるみたいですよ」 タナカDが蚊に食われた腕を掻きながら再び補足した。すると佳奈さんが反論する。 「でもだよ! もし千里が島の伝説が本当なら、法律にしちゃうほど当時の江戸の人達が徳松を恐れてたって事だよね! だったら幕府は、だぶか大事な物は千里が島に隠すと思うんだ。まさに埋蔵金とか!」 「うーん、百歩譲ってそうだったとしても、それで私達が埋蔵金を���つけて持って行っちゃったら、徳松さんに祟られませんか?」 「もー、一美ちゃんは相変わらずビビりだなあ。お化けが怖くて埋蔵金がゲット出来るかっ!」 「佳奈さん。そんな事言ってると、いつか本当にとんでもない呪いを背負わされますよ」 「その子の言う通りさね」 「え?」 突然、誰かがトークに割り入ってきた。私達が顔を上げると、そこにいたのは加賀繍さんと取り巻き��おばさま軍団。なんてことだ。恐れていた展開、ついにアサッテの霊能者に絡まれてしまった。
བཞི་པ་
ホテルロビーの椅子と机はフロントより一段低い窓際に位置する。フロント側に立つ加賀繍さんとおばさま方に見下ろされる私達は、さながら熊の群れに追い詰められた小動物のようだ。 「あんた、志多田佳奈だっけか? いい歳して幼稚園児みたいな格好して、みっとみないね。ご先祖様が泣いてるよ」 「ですよねぇ先生、大人なのに二っつ結びで」「嫌ーねー」 初対面で早々佳奈さんを罵る加賀繍さんと、それに同調するおばさま軍団。 「これはゴスロリっていうんですーっ」 佳奈さんがわざとらしく頬を膨らませた。こんな時でもアイドルは愛想を振りまくものだ。 「ゴスロリだかネンネンコロリだか知らないけどね。あんた、ちゃんとご先祖様の墓参りしているのかい? この島は特別な場所なんだから、守護霊に守って貰わなきゃあんた死ぬよ。それこそネンネンコロリだ」 出た、守護霊。日頃お墓参りを怠っていると、ご先祖様が守護霊として仕事をしなくなり不幸になる。正月の占い番組でよく聞く加賀繍さんの常套句だ。更に加賀繍さん直営の占い館では、忙しくてお墓参りに行けない人に高価なスピリチュアルグッズを売りつけているという噂だ。現に今も、おばさま方が怪しい壺やペットボトルを持って、私達をじっとりと見つめている。 「それから、そっちの黄色いの。あんたはちゃんとしてるのかい?」 黄色いの? ……ああ、アイラブ会津パーカーが黄色だから私の事か。佳奈さんは芸名で呼ばれたのに、ちょっと悔しい。 「定期的に帰ってますよ。家のお仏壇にも毎日お線香をあげてますし」 実家では、だけど。ここは彼女を刺激しないようにしたい。 「ふぅんそう。けどそれだけじゃあ、この島じゃ生きて帰れないだろうさ。仕方ないね、今回はあたしが特別にエネルギーを分けてやるよ」 そう言い加賀繍さんは指を鳴らす。するとおばさま方が私達のテーブルからフリップや資料を勝手にどかし、怪しい壺とペットボトル、銀のボウルをどかどかと並べ始めた! 慌ててタナカDが止めにかかる。 「ちょっと、加賀繍さん! 困りますよぉ、撮影中です!」 「はあ? 困るですって!?」 「あなた! 加賀繍先生が直々に御力添えして下さるのを、まさか断るってんじゃないでしょうね?」 「あ、いえ、とんでもございません」 「もー、タナカD~っ!」 しかしおばさま方に気圧されてあっさりと机を譲ってしまった。佳奈さんがタナカDの頭をペチッとはたいた。おばさまの一人がペットボトルを開け、ボウルに中身を注ぎ始める。ボトルには『悪鬼除滅水』という何やら物騒な文字が書かれている。横で加賀繍さんも壺の蓋を開ける。何か酸っぱいにおいが立ちのぼり、佳奈さんが私にしがみついた。 「エッヤダ怖い。あの壺、何が入ってるの!?」 小声で佳奈さんが囁く。加賀繍さんはその壺に……手を突っ込んでかき混ぜ始めた! グシュ、ピチャ、ヌチチチチ。まるで生肉か何かを攪拌しているような不気味な音がロビーに響く。 「やだやだやだ! 絶対生モノ入ってる! まさか、ご、ご、ご先祖様の……ご、ご、」 「ご遺体を!? タナカさん、カメラ止めにゃ!」 気がつくと青木さんまで私にしがみついて震えていた。かく言う私はというと、意外と冷静だ。あの壺や水からは、なんら霊的なものは感じない。強いて言うなら加賀繍さんご本人の中に誰かが宿っている気がするけど、眠っているのか気配は薄い。それより気になるのは、ひょっとしてこの酸っぱいにおいの正体は…… 「ぬか漬け、ですか?」 「そうさ」 やっぱり! 加賀繍さんは壺から人参のぬか漬けを取り出し、ボウルの悪鬼除滅水でぬかを洗い落とした。 「あたしん家でご先祖様から代々受け継がれてきたぬか床さ。これを食えばあんたらも家族と見なされて、いざという時あたしの強力なご先祖様方に守って貰える。ほら、食え」 加賀繍さんが人参を佳奈さんに向ける。でも佳奈さんは受け取るのを躊躇った。 「うわぁ、せ、先祖代々って……なんか、それ大丈夫なんですか?」 「なんだって!?」 「ひい!」 「し、しかしですねぇ加賀繍さん、お気持ちは有難いんで大変申し訳ないんですが、演者に生ものはちょっと……」 「カメラマン、あんたも食うんだよ」 「僕もですか!? いえ、僕はこないだ親戚の十三回忌行ったばっかだから……」 「美味しい!」 「一美ちゃん!?」「紅さん!?」 誰も手をつけないから私が頂いてしまった。これは普通に良い漬物だ。塩気や浸かり具合が丁度よくて、野菜がビチャッとしていない。ぬか床が大切に育てられている事がよくわかる。 「美味しいです加賀繍さん! 福島のおばあちゃんの漬物を思い出しました。佳奈さんも食べてみればいいじゃないですか」 「一美ちゃん案外勇気あるなあ……。じゃ、じゃあ、いただきます……エッ美味しい!」 「でしょ?」 「はははははっ!」 私は初めて、ずっと仏頂面だった加賀繍さんがちゃんと笑う所を見た。 「あんたは本当にちゃんとしているんだね、黄色いの。よく墓参りをする人は、親や祖父母の実家によく帰るだろ。だから家庭の味ってやつをちゃんと知っている。人にはそれぞれ家族やご先祖様がいて、それが良縁であれ悪縁であれ、その人の人生を作るのさ。だから墓参りはしなくちゃいけないんだよ。この島の神様は縁を切るのが仕事のようだけど、あたしゃ自分に都合の悪い縁を切るなんて愚かだと思っているのさ」 「そうなんですね。ちなみに私、紅一美です。覚えて下さい」 「あ? 紅? じゃあ何でそんなに黄色いんだい。今日から黄色ちゃんに改名しな! ハハハハ!」 どうやら私は加賀繍さんに気に入られたようだ。地元を引き合いに出したのが良かったみたいだ。それにしても、彼女の話はなかなか説得力がある。どうする事もできない悪縁を切るために神様を頼るのが間違っているとまでは思わないけど、そうする前に自分のご先祖様や恩人との縁を大切にする方が大事なのは明白だ。彼女がアサッテだからって偏見の目で見ていた、さっきまでの自分が恥ずかしくなった。ところが…… 「じゃあ、これ御力添え代ですわ。ほい」 おばさま方の一人がタナカDに請求書を渡す。するうちタナカDは「フォッ」と声にならない音を発し、冷や汗を流し始めた。あの五百ミリリットルサイズの悪鬼除滅水ボトルに『¥三,〇〇〇』と書かれたシールが貼ってあった気がするけど、人参のぬか漬け一本は果たしていくらなんだろう。それ以外にも色々な手数料が加算されているんだろうな……。 「加賀繍さんにパワーを貰えてラッキー! 果たして埋蔵金は見つかるのか!? CMの後、急展開でーす! はいオッケーだね、じゃ私トイレ!」 佳奈さんは息継ぎもせず早口でまくし立て、脱兎のごとくホテル内へ去っていった。 「あっコラ極悪ロリータ! 勝手に締めて逃げるなぁ!!」 「青木さん、私ぬか漬け食べたらお茶が飲みたくなっちゃったなー!」 「でしたらコンビニなど! ちぃと遠いかもけど、ご案内を!」 「おい青木と黄色! この裏切り者ーーーっ!!」 私と青木さんもさっさと退散する。まあタナカさんには、演者への保険料だと思って何とかして欲しいものだ。でも私は内心、これで番組の予算が減れば今後大掛かりなドッキリ演出が控えられるだろうと少しほくそ笑んでいた。
ལྔ་པ་
新千里が島トンネルという薄暗いトンネルを抜けた所に、島唯一のコンビニ『クランマート』があった。アトム系列の『プチアトム』ではなくて良かった。私はカフェインが苦手だから紙パックのそば茶を選び、ついでに佳奈さんへペットボトルのピーチサイダーを、タナカDへは『コーヒーゼリー味』と書かれた甘そうな缶コーヒーを購入した。青木さんも私と同じそば茶、『おおきなおおきなエビカツパン』、梅おにぎりを買ったようだ。青木さんが持つエビカツパンは、なんだかすごく小さく見えた。 外は既に夕日も沈みかけて、夕焼け空が夜に切り替わる直前になっていた。黄昏時……そういえば、童謡『ザトウムシ』の歌い出しも『たそがれの空を』だったな。私はコンビニ入口の鉄手すりに腰掛け、先程タナカDから渡されたペラペラのロケ台本をめくる。巻末の方に歌詞が書いてあったはずだ。するとタイミング良く、クランマートからも閉店ミュージックとしてザトウムシが流れ始めた……。
【童謡 ザトウムシ】 たそがれの空を ザトウムシ ザトウムシ歩いてく ふらついた足取りで ザトウムシ歩いてく
水墨画の世界の中で 一本絵筆を手繰りつつ 生ぬるい風に急かされて お前は歩いてゆくんだね
あの月と太陽が同時に出ている今この時 ザトウムシ歩いてく ザトウムシ ザトウムシ歩いてく
おうまが時の門を ザトウムシ ザトウムシ歩いてく 長い杖をたよって ザトウムシ歩いてく
何でもある世界の中へ 誰かが絵筆を落としたら 何もない灰色を裂いて お空で見下ろす二つの目
ああ月と太陽はこんなに出しゃばりだったのか ザトウムシ歩いてく ザトウムシ ザトウムシ歩いてく
「改めて読むと、確かに意味深な歌詞だな……」 私が独りごつと、隣の鉄手すりに座ってエビカツパンを咀嚼していた青木さんが口を拭った。 「埋蔵金探しは、したたびさんより前にも何度か。大体皆さんザトウムシ記念碑からスタートされて、『ザトウムシ』という歌詞の数だけ歩くとか、夕焼けの時間にどっちの方��を向くなどと……。けど、それらしい物が見つかったのは一度もだ」 「そうなんですね」 「そもそもどうしてザトウムシを……徳松さんに縁があるのって、どちらかと言えば犬では? けど何故か、島ではザトウムシを特別な虫だなどと」 「言われてみれば、生類憐みの令といえばお犬様! ってイメージがありますね。……ていうか、なんか、すいません。余所者のテレビ局が島のお宝を荒らすような真似して、島民の青木さんはいい気持ちしないですよね」 「そ、そ、そんな事! だぶか!」 青木さんは慌てた様子で私の方を向き座り直した。 「僕は嬉しいんだから! だって今まで、おっとさんらは島のこと僕に何も教えてくれないし、何もさせてくれなくて。けど今回は、社会人として初めて仕事を任されたので……ので……」 緊張したような様子で青木さんの姿勢が丸まる。コンビニから流れるザトウムシのメロディに一瞬振り返った後、彼はパンの袋を両手で抱えて更に縮こまった。 「……僕だって縁切りやお化けなんか、ただの迷信と。だけどこの島の人は実際、内地に比べてよそよそしいかもだ。何も言わず友達が引っ越してたり、親戚がいつの間にかおっ死んじまってたりなど……。それで内地の人と関われる役場の観光課に入ったのに、アトムさんがリゾート開発おっ始めて公務員は御役御免。僕は島に縁を切られたので?」 「青木さん……」 私も会津の田舎町で育ったから、彼の気持ちはわかる。狭いコミュニティに住む人々は、距離が近いようで時にとても排他的になるものだ。それは多かれ少なかれ互いを監視し、情報共有し合っているから当たり前の事だけど、縁切りで有名なこの島は特にそういう土地柄なのかもしれない。 「したたびさんのおかげで、やっと僕にバトンが回ってきたんだから。僕達で絶対埋蔵金を見つけにゃ。それで島のおっとさん方もアトムも、お化けも霊能者の先生方も……」 青木さんは腰を上げ、猫背をやめて私の前にまっすぐに立った。 「僕達の縁で、みんなを見返してやるんですだ!」 その瞬間、風が彼の重たい前髪をたくし上げた。彼の子犬みたいな笑顔を見た私は初めて、以前雑誌のインタビューで適当に答えた『好きな男性のタイプ』と青木さんが完全に一致している事に気がついたのだった。
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