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#花巻空襲
hachikenyakaiwai · 10 months
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【かいわいの時】慶長十一年(1606)十二月十三日:秀頼、生国魂神社を再建(大阪市史編纂所)
家康は、豊臣家の財力を失わせるため、故太閤秀吉の菩提をとむらうためなどと称し、秀頼に対して、さかんに寺社の造営・修復を勧めた(略)当時、秀頼が造営・修復した寺社など方広寺大仏殿、誉田八幡宮、四天王寺、東寺金堂、石清水八幡宮、生国魂神社、勝尾寺、中山寺、叡福寺太子堂、観心寺金堂、常光寺庫裏、宇治橋、鞍馬寺など(柏原市「玉手山物語」)。※原文ママ
石山本願寺建立の際には、この生国魂神社を隣接地に遷座して建立したとも言われるが、だとするならば石山本願寺は生国魂神社の最初の鎮座地に存在したことになる。また、近年の研究によれば石山本願寺は豊臣期の大阪城の詰之丸に存在したとの説もあるが、これがもし事実ならば、生国魂神社の最初の鎮座地は豊臣期の詰之丸付近に相当する、現在の天守閣周辺ということになる。 戦国時代には、石山本願寺に隣接していたため石山合戦で焼失した。天正11年(1583年)、豊臣秀吉が、大坂城を築城する際に現在地に社地を寄進して社殿を造営し、天正13年(1585年)に遷座した。このときに造営された社殿は、「生国魂造」と呼ばれる、流造の屋根の正面の屋上に千鳥破風、唐破風さらにその上に千鳥破風と3重に破風を乗せるという独特の建築様式のものである(いくたま夏祭りみこし会)。
(写真)『摂津名所図会 巻之三』より「生玉神社 其二」(スミソニアン蔵)。
江戸時代には、豊臣秀頼により造営された社殿が慶長20年(1615年)の大坂夏の陣による兵火で焼失したが、江戸幕府により社殿は再興され、社領300石も安堵された。寛永-正保期(1624 - 1648年)の「摂津国高帳」によれば、その社領地は下難波村(現在の浪速区)にあった。また5代将軍徳川綱吉の生母である桂昌院は、黄金若干を当社に寄進したという。『摂津名所図会』では、当時の境内の様子や走馬神事の様子などが描かれている。幕末の『浪花百景』にも絵馬堂、弁天池が選ばれている。弘化2年(1845年)には、社殿の造替がなされた《略》1912年(明治45年)1月には「南の大火」により社殿を焼失し、1913年(大正2年)11月に再建された。しかし1945年(昭和20年)3月13日・14日の第1回大阪大空襲により再び焼失した。1948年(昭和23年)に神社本庁の別表神社に加列され、翌1949年(昭和24年)7月に本殿が再建されるも、1950年(昭和25年)9月のジェーン台風で倒壊してしまった。その後、1956年(昭和31年)4月に鉄筋コンクリート造で再建された(ウィキペディア)。
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moja-co · 13 days
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 やはり、今となっては視聴が困難になっているタイトルが多い。アニメージュの先輩のライターが「OVAは貸本劇画のようなものじゃないか」と言っていた。つまり、中にはよい作品もあるけれど、流行のものでしかなく、月日が経てば振り返られる事はなくなってしまう。そう言われた時には、正直言ってピンとこなかった。「そんなものかなあ」と思っていた。しかし、彼が言っている事は正しかった。認めないわけにはいかない。
1987年にリリースされたOVA
『ダーティペア[未放映版]』(1月1日)
『ペンタゴナドールズ』(1月10日) ※総集編ビデオ『重戦機エルガイムII ファアウェルマイラブリー』の映像特典
『エルフ・ 17』(1月14日)
『DOUGRAM vs ROUND-FACER』(1月21日)
『超神伝説 うろつき童子 —超神誕生編—』(1月21日・成人向)
『魔法のプリンセス ミンキーモモ 瞳の星座 ミンキーモモSONGスペシャル』(1月21日)
『学園特捜ヒカルオン』(1月28日)
『ボディジャック 楽しい幽体離脱』(1月28日)
『DREAM HUNTER 麗夢III 夢隠 首なし武者伝説』(2月5日)
『夢幻紳士 冒険活劇編』(2月21日)
『美少女アニメ くりぃむレモン パート16 エスカレーション3 天使たちのエピローグ』(2月21日・成人向)
『MEGA TOKYO 2032 THE STORY OF KNIGHT SABERS BUBBLE GUM CRISIS』(2月25日)
『夢からさめない』(2月26日)
『トワイライトQ 第1話 時の結び目』(2月28日)
『みんなあげちゃう▽』(3月1日) ※▽=ハートマーク
『戦え!!イクサー1 ACT-3 完結編』(3月4日)
『魔龍戦記』(3月5日)
『るーみっくわーるど 笑う標的』(3月21日)
『森山塔 オリジナル作品 5時間目のヴィーナス』(3月21日・成人向)・
『デジタルデビル物語 女神転生』(3月28日)
『Creamy Mami Perfect Memory』(3月28日) ※一部新作を含む総集編ビデオ
『重戦機エルガイムIII フルメタルソルジャー』(3月28日)
『湘南爆走族II 1/5 LONELY NIGHT』(4月10日)
『超獣機神ダンクーガ GOD BLESS DANCOUGAR』(4月15日)
『Cream Lemon ホワイトシャドウ』(4月15日・成人向)
『マシンロボ クロノスの大逆襲 戦場の記憶』(4月22日)
『Cream Lemon 魔人形』(5月1日・成人向)
『サーキットエンジェル 〜決意のスターティング・グリッド〜』(5月21日)
『スペース ファンタジア 2001夜物語』(5月21日)
『Cream Lemon e-tude 雪の鼓動』(6月10日)・成人向
『BATTLE CAN^2』(5月25日・成人向) ※^2=二乗記号
『花のあすか組! 新歌舞伎町ストーリー』(6月10日)
『[超時空要塞マクロス]Flash Back[2012]』(6月21日)
『くりぃむレモンスペシャル DARK』(6月25日・成人向)
『BLACK MAGIC M-66』(6月28日)
『Cream Lemon ゆめいろ BUNNY』(7月10日・成人向)
『TWD EXPRESS ROLLING TAKEOFF』(7月21日)
『マップス 伝説のさまよえる星人たち』(7月21日)
『ロボットカーニバル』(7月21日)
『DEAD HEAT』(7月21日)
『禁断の黙示録 クリスタルトライアングル』(7月22日)
『魔女っ娘クラブ 四人組』(7月28日)
『Cream Lemon サマー ウィンド』(7月30日・成人向)
『火の鳥 ヤマト編』(8月1日)
『ぷッつん メイクLOVE』(8月14日)
『がんばれ!キッカーズ ぼくたちの伝説』(8月21日)
『迷宮物件 FILE538』(8月28日)
『傷追い人 黄金の復讐者 ゴールデン・リベンジャー』(8月28日)
『LILY-C.A.T.』(9月1日)
『パンツの穴』(9月5日)
『MEGA TOKYO 2032 THE STORY OF KNIGHT SABERS BUBBLE GUM CRISIS BORN TO KILL』(9月5日)
『To-y』(9月21日)
『魔法の妖精 ペルシャ 回転木馬』(9月25日)
『ICZER-ONE[戦え!! イクサー1 特別篇]』(9月25日)
『破邪大星 彈劾凰』(9月28日)
『ザ・サムライ』(11月1日)
『デビルマン 誕生編』(11月1日)
『X電車で行こう』(11月6日)
『風と木の詩 SANCTUS—聖なるかな—』(11月6日)
『GALL FORCE 2 DESTRUCTION』(11月21日)
『たいまんぶるうす 清水直人編』(11月25日)
『オリジナル・アダルト・アニメ ピンクのカーテン』(11月25日・成人向)
『LEGACIAM』(11月28日)
『スクーパーズ』(12月1日)
『魔境外伝 レ・ディウス』(12月1日)
『MEGA TOKYO 2032 THE STORY OF KNIGHT SABERS BUBBLE GUM CRISIS BLOW UP』(12月5日)
『真魔神伝バトルロイヤルハイスクール』(12月10日) ※神=神+人
『大魔獣激闘 鋼の鬼』(12月10日)
『ぼくのオールディーズはオールカラー』(12月10日)
『METAL SKIN PANIC MADOX-01』(12月16日)
『Good Morning アルテア』(12月16日)
『THE INCREDIBLE GYOKAI VIDEO JUNK BOY』(12月16日)
『Cream Lemon 二人の ハートブレイク ライブ』(12月16日・成人向)
『傷追い人 —白髪鬼—』(12月16日)
『戦国奇譚 妖刀伝 —鬼哭の章—』(12月18日)
『火の鳥 宇宙編』(12月21日)
『かってにシロクマ』(12月21日)
『ダーティペア[新]』(12月21日) ※全10巻のシリーズ
※参考資料:「B-CLUB」138号(バンダイ)、「ロマンアルバム Animage アニメポケットデータ2000」(徳間書店)
※『ルパン三世 風魔一族の陰謀』『妖獣都市』等はOVAとして企画された作品だが、ビデオ発売に先行し、劇場で公開されている。ここでは劇場作品とみなし、リストから除外した。
※『戦国奇譚 妖刀伝 ―破獄の章―』は、アニメビジョン連載時を初出として、このリストからは除外した
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kennak · 3 months
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(注意: つらい内容が含まれます) ヨギタ・リマエ、BBCニュース 丘の上、木々の合間に、ミャンマー軍キャンプの廃墟がある。眼下に、特徴的なハートの形で地元で有名な、絵のように美しい湖が見える。足元には、地雷の薬筒や使用済みの弾丸が散乱している。兵舎があった場所では、散らばるトタン屋根の隙間から、黄色い花をつけた野草が顔を出している。キャンプの一角には、急いで掘られた塹壕(ざんごう)がある。 赤、白、青の横じまの中央にサイチョウという鳥が描かれた旗が、曇り空の下で風になびいている。ミャンマーの西部チン州で同国の軍事政権と戦う、民族武装組織「チン民族軍(CNA)」の旗だ。 CNAは7カ月前、地元の武装住民グループとともに、インドとの国境貿易の町リクホーダルにあるこのキャンプと、チン州の他の地域からミャンマー軍を追い出した。チン州の武装勢力は、2021年のクーデターでミャンマーのぜい弱な民主主義を粉砕した軍事独裁政権と戦ってきた。その彼らにとって、前例のない成果だった。 国軍がこの地域で支配権を失ったのは初めてだ。BBCは今回、同国西部で反政権勢力の躍進を目にするという、めったにない機会を得た。 リクホーダルでの勝利は、決して簡単ではなかった。武装勢力は1年以上にわたり、何度も攻勢をかけた。一部の家族は、耐え難い犠牲を払った。 画像説明,武装抵抗運動に加わったラルヌンプイさん ラルヌンプイさんはダンスが大好きな17歳だった。彼女のソーシャルメディアのアカウントは、人気映像のダンスをまねる彼女の動画でいっぱいだった。 「彼女はいつも自信たっぷりに踊っていた。でも、着飾ることには興味がなかった。兵士に憧れ、国のために命を捧げた兵士についての歌を一日中聴いていた。勇敢で強く、怖いもの知らずだった」。ラルヌンプイさんの母ラルサントルアンギさんは、そう話す。 クーデターが起こると、ラルヌンプイさんは両親を説得し、家族が暮らすハイムアル村で武装住民運動に加わった。その理由を、学校で手書きした英作文の中で、次のように説明していた。 「ミャンマーはいま、壊れている。(中略)ビルマ兵は私にとって敵だ。情けがないからだ。(中略)私の将来は国民防衛隊にあって、私はそれが好きだ」 2022年8月、彼女の村の武装住民らは他のグループとともに、リクホーダルの軍キャンプに攻撃を仕掛けた。 「私たちは13日間連続で、相手側にドローン(無人機)の雨を降らせた。爆弾のほとんどは私が作った。私が部隊で一番の溶接工だったので」と、ラルヌンプイさんの父ラルジディンガさんは言う。彼はクーデター前はトラック運転手だったが、ハイムアルで何人かと国民防衛隊を組織するようになった。 この時の攻撃では、軍キャンプを奪うことはできなかった。双方に犠牲者が出た。 ミャンマーの地図 2022年8月14日、ミャンマー軍は報復攻撃としてハイムアル村を急襲した。住民の話では、民家十数軒に火が放たれた。私たち取材班は、そのような家屋の残骸をたくさん目にした。ミャンマー軍は、北部と西部で抵抗勢力を抑え込むため、何万軒もの民家を焼き払ったと非難されている。 この報復攻撃で、17人が軍に人質に取られた。ラルヌンプイさんと、弟のラルルアトマウィアさん(15)も含まれていた。その後、この2人を除いて全員が解放された。2人の父親に軍が仕返しをしたのだと、家族は考えている。 2日後、ハイムアルの外れにある森の浅い墓の中に2人の遺体があるのを、村人たちが発見した。 どちらも残忍な拷問を受け、銃床で殴り殺されていた。ラルヌンプイさんはレイプされていた。弟の胸、腕、性器には熱湯によるやけどの跡があった。BBCは、遺体の詳細な写真と検死報告書を確認している。 BBCはこの件でミャンマー軍に質問を送っているが、まだ回答はない。 ラルヌンプイさんの弟ラルルアトマウィアさんはまだ15歳だった 「子どもたちに何が起こったのか、考える勇気がない」。父ラルジディンガさんはしばらく黙った後、言葉を探すように言った。「子どもたちは殉死者だ。私よりずっと立派だった」。 少しの間を置いて、彼は続けた。子どもたちのことを愛情をこめて語る、誇らしい父親の姿だった。「息子は私より5センチ背が高くなっていた。話し好きで、家の手伝いを何でもいやがらずにやった」、「2人は切っても切れない仲だった。人が集まっているところに娘が行けば、みんな楽しく笑顔になった」。 母ラルサントルアンギさんは、涙を拭いながら末娘のハダシちゃん(4)を抱きしめ、こう話した。 「夫には、子どもたちの死で落ち込まないように言っている。これは私たちだけの問題ではない。将来の世代も自由は必要だ。何の権利もなく、軍の言いなりになるような、そんな状態で暮らすのは正しくない。命をかける価値がある戦いだ���私は自分の子どもたちを誇りに思っている」 私たちはミャンマー滞在中、戦闘服に身を包んだ人たちに会った。半自動小銃などの銃器を携えている人もいた。ただ、職業軍人ではない。野蛮な紛争に直面し、見事なまでに意を決している農民、学生、一般住民たちだ。 国民防衛隊のヴァラ司令官は、ハイムアルの眼下に広がる緑豊かな谷を指さしながら、ミャンマー軍はこの全域から撤退し、最も近い基地でも直線距離で50キロ以上離れていると笑顔で説明した。現地の墓地では、ピンクと白の造花で覆われた新しい墓へと私たちを案内した。 「軍事政権と戦って死んだ人たちのものだ」と、ヴァラ司令官は義理のきょうだいの墓のそばに倒れている花束を戻しながら言った。私たちは、ラルヌンプイさんとラルルアトマウィアさんの墓も見つけた。 私たちが会った住民らのほとんどは、ハイムアルの南にあるチン民族軍のヴィクトリア基地で訓練を受けていた。私たちは、緑深い森と山間部を通る、曲がりくねったでこぼこ道を進み、同基地を訪ねた。 そこでは、制服を着た何百人もの若者が新兵となって、広々とした平原を行進していた。 行進が終わると若者たちは、「私たちの祖国、愛する土地、私たちは血と命をかけてそれを守る」と歌う。 そして、武器の訓練へと続く。銃声が響く。 全員18歳以上だと説明されたが、もっと若く見える人も多い。2011年のミャンマーの民政移管で、大勢が自由を味わった。それだけに、もはや軍事政権は受け入れられないと考える10代の若者たちが、それぞれの夢を捨てて、抵抗運動に加わったのだ。 サン・ダール・リンさん(19)は教師を目指していた。 「クーデター後の最初の1年は、それほど悪くなかった。けれども、やがて軍が私たちの村を砲撃し始めた。私たちの家は壊されて、村に入って来た兵士は家を燃やし、人や動物まで殺した。私たちはジャングルに逃げた。かなりの人数がいたので、ジャングルがそのまま村になった」 「おじは無残に射殺された。私は軍が大嫌い。自分の国と国民を守るため、CNAに加わった」 私たちは行く先々で、ミャンマーの若者たちが革命の波に巻き込まれているのを目にした。 ビルマ国家のために働いていた何千人もの人たちもまた、支持する対象を変えた。 ヴァンラルペクタラさん(22)はかつて警官だった。 母親のモリー・キアンさんは、息子が警察で訓練を受けていたころの古い写真を3枚差し出すと、「彼はそこそこの月給をもらっていた。私たちは幸せで満足していた。そうしたらクーデターで政府が倒され、彼は抵抗運動に参加することを決めた」と説明した。 モリーさん自身は青春時代を軍事政権下で過ごした。「当時は楽しい日なんて1日もなかった。軍がとても怖かった。だから私は息子の決断を支持した」。 息子ヴァンラルペクタラさんは2022年3月に抵抗運動に参加。その6日後に殺害された。 モリーさんは胸と首を指さしながら、「息子はこことここを刺された」と言った。「残忍に襲われた。片足は切り落とされていた」。さらに話を続けようとしたが泣き崩れた。「この話をするのはつらい」。 ヴァンラルペクタラさんが死んだ時、彼の妻は妊娠していた。もうすぐ1歳半になる男の子は現在、遠く離れた難民キャンプで暮らしている。 軍が村から追い出されたときの気持ちを尋ねると、モリーさんは拳を突き上げた。「とてもうれしい。でも完全な勝利が見たい」。 彼女の次男も国民防衛隊の一員となっている。 国軍に比べれば弱い複数の反政権勢力が、この紛争の流れを変え、はるかに強力で装備の整ったミャンマー軍を守勢に立たせた。それができたのは、一般国民の幅広い支持があるからだ。 「最初は軍が勝っているように見えた。しかし、戦争であれ政治であれ、国民の支持がなければ誰も勝てない。軍は武器では優位かもしれないが、民衆を味方につけられていない」。チン州の反政権グループが設立した並行政権の「首相」に指名されている政治家、パ・サンさんはこう話す。彼はアウンサンスーチーさんが率いる国民民主連盟(NLD)のメンバーでもある。 並行政権は、チン州全域の80%近くを掌握していると主張する。しかしミャンマー軍は、州都を含め戦略的に重要な町のほとんどを今も支配している。 それでも、反政権勢力には勢いがある。今週初めにはトンザンという町を奪った。 チン民族軍のフテト・ニー広報官画像提供,AAKRITI THAPAR/BBC 画像説明,チン民族軍のフテト・ニー広報官 「ここは私たちの土地だ。ビルマ軍の土地ではない。私たちは勝利を収めつつある。この土地の隅々までよく知っているからだ」。チン民族軍のフテト・ニー広報官はそう言う。 民族軍側が戦果を挙げている理由は、ほかにもある。国内各地の反政権勢力が協調し、軍が力の入れどころを選ばなくてはならない状況を作っているのだ。チン民族軍によると、自分たちはカチン独立軍やカレン民族解放軍、カレンニー軍と協力関係にあるという。 反政権勢力が直面する最大の課題は、グループ同士の内紛だ。チン州だけでも数多くの派閥が活動しており、その多くは従来から敵対している。 前出の政治家パ・サンさんは、結束を維持するのは可能だと主張。クーデター後に軍によって投獄されたアウンサンスーチーさんが率いる、選挙で選ばれた文民政府を代表する国民統一政府(NUG)の下で活動することに向けて、将来的な計画があると話す。 「私たちは鋭意、法律と憲法を作成している。NUGの一員として、チン州から大臣2人と副大臣1人を出す予定だ。ミャンマー軍が敗北を認めるときに向けて、あらゆる準備をしている」 私たちが会った人たちには、明らかな共通点があった。自分たちは勝てると、全員信じているのだ。 「もう、それほど長くはかからない」とパ・サンさんは言う。「こういう予測をするのは良くないが、私たちがあと2〜3年以上戦うような、そんなことにはならない。そう信じている」。 (追加取材:アアクリティ・サパル、サンジェイ・ガングリー) (英語記事 The devastating cost of fighting Myanmar's military dictatorship)
【ルポ】 ミャンマー軍事独裁政権と戦う人たち その途方もない犠牲 - BBCニュース
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liteyaki · 27 days
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さらば夏
 8月が終わるとともに夏も終わります でもまだ暑い日は続きます なんで?
ニコニコ復活
 ニコニコ見れないのが割とストレスだったから復活してよかった 失ってから気づくこともあるんだなぁ YouTubeでも動画は見れるんだけどニコニコで見たほうが面白さが増すとか、コメントが流れるのがいいみたいなのが結構あるからニコニコは大事 ただサーバー攻撃されて個人情報がばんばん漏れた事実は変わらないのでそこはもっとちゃんとしてほしいと思った 防ぎようがないのかもしれないけど ニコニコでくだらない動画見てる時が一番いい
またバイトの面接落ちた
 バイトの面接行ったら履歴書見て僕が社会不適合者なのに気づいて「君には無理かもね~w」みたいなことほざきやがってその場で落とされた ふざけんな まだやってもないのに無理かもとか言う? ありえんわ もうどこも僕を雇ってくれるところはありません 誰か僕を助けてください
『Poppy Playtime』というゲームをプレイした
 最初はあんまり怖くなくて、謎解き中心のゲームで「あれ、このくらいだったら行けるか?」とか思って終盤にたどり着いたらいきなりでかい化け物が出てきて何もできないままそいつに殺されて泣きそうになった まず見た目が怖いし追っかけられるからそれで怖さが増すしもうどうしようもなかった 追っかけ系のホラーゲームまじで無理 なんとかクリアできてよかったです チャプター2もあるらしいですけどたぶんやりません
BBQとかした
 家族で集まってBBQとか花火をしました 人生を満喫してました とても楽しかったです
人生初スタバに行った
 なんか僕の身内は全員スタバに行ったことがあるっぽくて、僕だけスタバに行ったことがないらしいので行きました 店内にはキラキラした人しかいなくて、なんというかオーラみたいなのがあってつらかった あと店内でノーパソとか勉強道具とか広げてる人がいて「都市伝説じゃないんだ…」って思った なんか「キャラメルフラペチーノのトールでっチョコチップ付けてください」みたいなこと言ったらうまく注文できた チョロいぜ 味は普通においしかったです
ムシキングでネブ博士と戦った
 「最弱の状態のカブトムシでネブ博士に勝てるのか」みたいなことをやりました 何回もボコボコにされてすごくつらかった 「本気のカスタマイズで挑んだら絶対勝てるのに…!!」って思いながら必死にじゃんけんしてました バカ
『魔女の家MV』というゲームをプレイした
 魔女の家というゲーム自体は8年くらい前に誰かのゆっくり実況動画で見たことがあったんだけど、いざやってみると謎解きとかほとんど忘れていて初見殺しにはほとんど全部引っかかってた あのゲームPoppy Playtimeみたいな怖さと違ってなんというか内側からじわじわとくる怖さみたいなのがあって怖かったです びっくり要素もあるから油断もできなかった エンディングはめっちゃえぐくて主人公だと思ってた子が魔女でなんというかえぐられるようなつらさがあった 救いはないんでしょうか すっと前から名作のホラーゲームと言われているだけあってやっててとても楽しかったです
『私に天使が舞い降りた!』を見た
 前から気になっていて、8月なんのアニメを見よう?となってルーレットをして止まったのがこのアニメだったので見ることにしました これからもなんのアニメを見ようか迷ったときはルーレットをして決めたいと思います まずこのアニメ全部のシーンがかわいくてすごく癒されます 登場人物の9.9割が女性なので男性はほとんど一切映りません 映ったとしてもまじのモブキャラとして一瞬だけ映ります 星野 みやこが結構やばいやつで会って数秒の女子小学生に「採寸してもいい?」とか聞いてくるので最初ぞっとしました そして採寸しなくても相手にぴったりのサイズの服を作れるというとんでもない技術を持っていてさらにやばい というか服も作れてお菓子や料理も作れて絵も描けるという割とハイスペックなキャラだったりする 新しい服を買いに行く回で「服を買うのがしんどいので服の生地を買って自分で作ろう!!」とかいう結構すごいことを平然と言うからすごい ただ星野 みやこよりも格段にやばいキャラが存在していて、松本 香子っていうキャラで星野 みやこを徹底的にストーキングして勝手に部屋に入ってくるし採寸もしてないのにサイズぴったりの服を作るし勝手に記念日作るし、何よりやばいのは自分のペットの犬に「みやこ」って名前をつけるのがかなり狂気じみていた サザエさんの堀川君的な何かを感じた このアニメすごく魅力的なキャラがたくさんいるんだけど特に好きなのが小之森 夏音っていうキャラですごくおっとりしていてこのアニメの中でも貴重なまともなキャラですごく可愛くて好き何か惹かれるものがある OPもめちゃくちゃ好きで、サビとかが特に好きで
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このダンスしてるシーンがめっちゃ好きで、もうなんというかすごく可愛い ちなみにさっき言ってた小之森 夏音は5枚目のキャラです もうなんか最近こういうアニメしか見たくない 感想を述べてて気づいたんだけど本当に自分きもいな 見てるアニメがアニメだから余計にそう思う あとだんだん星野 みやこと白咲 花が仲良くなってくのが良かった
『私に天使が舞い降りた!プレシャス・フレンズ』を見た
 みんな仲良さそうに旅行を楽しんでてよかったです 1時間が一瞬に感じました 映画館で観たかったです
モンスト まどマギコラボ 完
 降臨キャラは全員運極にしてガチャキャラも死ぬ気でオーブを集めて全員揃えて超究極悪魔ほむらもなんとか2回クリアして報酬をもらって、もう悔いはないです 非常に満足 あと悪魔ほむらコラボ超究極のなかでも結構難しかったらしくまどかαいたとはいえよく勝てたなと思いました
『アンリアルライフ』というゲームをプレイしようとした
 少し進むごとにオートセーブが入って、オートセーブが入るとエラーが発生して…という現象に襲われてまともにプレイできなかったのでやめました とても楽しみにしてただけに悲しい
『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』というゲームをプレイした
 まずタイトルが長いと思った このゲームいわゆるビジュアルノベルゲームというやつらしくて、あまりこういったゲームをやったことがなかったので最初はよくわからなかった というかこのゲームに限ってはクリアしてもよくわからなかった 主人公が精神疾患を持っていて、イマジナリーフレンドと会話しながら牛乳を買いに行くゲームなんだけど考察を見ないとよくわからないところがあったり、考察を見てもよくわからないところもあった バカな僕には少し早かったようだ あとびっくり要素があったのが怖かった
ホクサイの熟練度を5まで上げた
 長かった 本当に長かった 4か月くらいかかった気がする ホクサイとかそういう筆系のブキはあまり触れてこなかったので慣れるまでが本当に大変だった ホクサイを使った理由は、スプラ1で使ってたブキがホクサイだったからという理由でひたすらに熟練度を上げた ホクサイは割と強いのでみなさんもぜひ使ってみてください
ひよ&びびっと!(2)を読んだ
 最終巻です 終わるの早すぎ もっと続いてほしかった 本を開いて1ページ目で久留宮 ひよの顔の形がとんでもないことになってた 表情はめっちゃ固いのに顔めっちゃ柔らかい 新キャラのプリンもなかなか個性が強くて、JK名乗ってるのに本当は20歳の大学生なのもえ?ってなった 投稿してる動画もやばくてあやもりんの盗撮動画ばっかり投稿してて普通にやばいやつだった 久留宮 ひよは表情がほとんど変わらないのに一番動きが激しくてうるさくて、この漫画は動きがめちゃくちゃダイナミックに動くから読んでいて面白かったし飽きなかった ひよ&びびっと!というかあやもりん特有の「イーイイイイン」って泣くところまじで好き 独特すぎる この漫画は「これからもこの子たちの日常は続いていきます」みたいな終わり方で、なんというか悲しさみたいなのはなかった 漫画が終わっちゃったのは悲しいけどそれとは別な感じ ひよ&びびっと!のコマまじでおもしろいコマばかりなのでみなさんもぜひ読んでみてください 2巻完結で読みやすいです
苺ましまろ(3)を読んだ
 話の終わりの後のStrawberry Sportsのイラストがすごく可愛かった 個人的に好きなのが空手とバスケットボールとテニスとバレーボールと剣道と弓道と乗馬(?)と卓球とラグビーが好きです 夢を見る回で茉莉ちゃんの見たウサギと亀の夢が一番意味不明で夢!!って感じがしてよかった あとそのあとのアナの「みねうちで安心だ」っていうセリフで笑ってしまった あとシンデレラ回の歴史改変みたいなのも面白かった 「ねずみは別にいらなかった。それははじめからわかっていた」ってなんだよ リコちゃんハウス回でお父さんの人形を使ってやりたい放題してるところも笑った たぶん3巻で一番面白いと感じたかもしれない
 8月はこんな感じかな
 割と充実してたんじゃないか
 9月も色々できたらいいなと思います
 おうち太鼓注文しました 届くの結構先だと思うけど楽しみ
 鈴虫とかコオロギの鳴き声がうるさいです
 終わり
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shintani24 · 2 months
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2024年7月26日
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8月15日に終わった戦争などない 「平和報道は9月にシフトを」(朝日新聞)
毎年8月にメディアにあふれる風物詩的な戦争・平和報道は、半ば揶揄を込めて「8月ジャーナリズム」とも呼ばれてきた。加害性の視点の欠如や、内容の定型化も指摘されて久しい。そもそも「8月15日=終戦日」という日本の常識自体が内向きの8月ジャーナリズムの産物で、国際的には非常識であり、世界との対話を阻んでいる――。そんな刺激的な議論を世に問うたのが、佐藤卓己・上智大教授(メディア史)だ。それなら本来の終戦日はいつなのか。先の戦争が人々の「記憶」ではなく「歴史」に変わりつつあるいま、私たちはそれをどう論じていけばよいのか。8月ジャーナリズムは乗り越えられるべき過去の遺物なのか。疑問をぶつけた。
「終戦の日」は8月ジャーナリズムの産物
 ――今年も8月を迎えます。8月15日をピークとした日本メディアの戦争・平和報道「8月ジャーナリズム」は、他者の存在と降伏の事実を忘却したものだと指摘し続けてきました。
「1945年8月15日に終わった戦争は存在しないからです。日本が連合国にポツダム宣言受諾を伝えたのは8月14日ですが、15日は、どの前線でも戦闘が続いていました」
「『終戦』は相手国のある外交事項です。米戦艦ミズーリ号で降伏文書に調印した9月2日が国際法上の終戦日であり、翌3日をロシアも中国も対日戦勝日としています。交戦国ではなく、あくまでも『臣民』に向けた昭和天皇による終戦詔書の放送、いわゆる『玉音放送』があったに過ぎない日を節目としていること自体、極めて内向きの論理に基づいています」
「そもそも、千島列島や旧満州は8月15日以降もソ連軍の侵攻を受けており、終戦どころではない。放送局が破壊され物理的に『玉音』体験が困難だった沖縄も同じ。ゲリラ戦を続けていた残存在沖日本軍が降伏文書に調印したのは9月7日で、アジア各地の日本軍が降伏したのも9月2日以降です。『8.15=終戦記念日』は、沖縄や外地の邦人、南方の戦地に取り残された兵士らの記憶を捨象し、周縁化することで成立しているのです」
「8月15日が終戦日と明記されたのは1963年の閣議決定で、その正式名称『戦没者を追悼し平和を祈念する日』が決まったのは、連合国軍総司令部(GHQ)が廃止されてから30年も経った1982年です。今ではそのことを知らない人がほとんどでしょう」
「創られた記憶」に基づくエモい報道
 ――「8.15=終戦の日」という日本人の「記憶」自体、8月ジャーナリズムの産物だとも指摘しています。
「8月ジャーナリズムが確立されたのは戦後すぐではなく、多くの新聞が終戦10年特集を組んだ1955年です。この時の紙面に掲載された、玉音放送を流すラジオの前でうなだれたり泣き崩れたりする国民を写したとする新聞写真は、実は撮影日時や状況が不確かなものや、『やらせ』も含まれていました。宮城(皇居)前でひざまずく人々の姿を伝える1945年8月15日の記事も、見てきたように書かれているものの、多くは予定稿に基づくものでした」
「また日本人の多くは、あの日を『じりじり照りつける太陽の下』の出来事として記憶しています。『暮しの手帖』の花森安治は『あの日は誰でも知っているように日本じゅうがたいへんな晴天で(略)非常に暑かった』と書いています(『一億人の昭和史』第4巻)。ですが、東北は曇りだったし、北海道の一部は雨でした」
「記憶のウソは『8.15』だけではありません。8月6日も、国民的な平和反核運動の起点となるのは戦後すぐではなく、独立回復で原爆報道の統制が解かれた後、1954年の第五福竜丸事件以降です。広島市生まれの私の記憶では、被爆者への差別はかなり後��まで残っており、被爆体験は完全に自由な語りの中にあったわけではなかった。しかし、放射能雨や放射能マグロの恐怖とともに、広島と長崎という地方都市の悲劇が突如、国民的な原水禁運動の『起源』に据えられたのです」
「8月前半に集中する戦争回顧の報道をつぶさに調べてみると、いかに『創られた記憶』が多いかに、驚きます。通常の報道をする際には当たり前の真偽の検証すら不十分という点で、8月ジャーナリズムは『ジャーナリズム』の名にも値しないものが少なくありません。昨今、ネット上の『エモい』記事に対する批判が高まっていますが、伝統芸能化した8月ジャーナリズムの多くも、残念ながらそれに陥ってしまっている」
「戦後長らくメディアが作り上げた『記憶』は、引用や孫引きが繰り返されることで、国民の集合的記憶=体験として歴史化していく。それはもはや『神話』と言えます」
「8月革命論」と「記憶の55年体制」
 ――その「神話」が浸透・定着したのには、戦後の政治・思想空間が大きく作用していたようですね。
「戦後憲法に深く共感した政治学者の丸山真男は、1945年8月15日に日本が国体の呪縛から解放され、人民主権への変革が起きたとする『8月革命論』を唱えました。一方、保守派は天皇の御聖断によって戦争が終結し国体も護持されたという物語を信じてきた。これらは正反対に見えて、左右のイデオロギーが背中合わせにもたれかかる心地よい均衡であり、双方が『降伏』に目を背けることで一致した『記憶の55年体制』とも言うべきものです」
「『8.15』を境に日本に『自由なる主体』が生まれたというのは、明らかに虚妄です。丸山はそれを承知のうえでその虚妄に賭け、8月ジャーナリズム最大のイデオローグとして戦後言論界に君臨しました」
「しかし、戦前と戦後の断絶を設定する『8.15神話』は、両者の連続性を隠蔽する効果をもたらしてきました。その意味で、8月ジャーナリズムは『戦争の記憶』ではなく、『戦後の忘却』の上に存在しているのです」
「戦前」と「戦後」の断絶史観、世界と乖離
 ――世界との対話を阻む障害となっている8月ジャーナリズムではなく「9月ジャーナリズム」を展開すべきだと提唱しています。
「私はメディア論の学者なので、報道や言論の『内容』だけでなく『効果』に関心があります。内容の真偽や善悪を問題にするジャーナリズム論に対し、効果の程度や射程を問題にするのがメディア論です」
「終戦の日に首相や天皇が反省の弁や世界平和を口にしても、靖国神社に閣僚が参拝する報道とともに伝われば、本心では反省していないと世界からは見られます」
「8.15終戦記念日は、周辺国との歴史的対話を困難にしてきました。いくら私たちが戦後の象徴たる平和憲法にコミットする姿勢を示しても、その前提となる内向きの『あしき戦前』と『良き戦後』の断絶史観は外国と共有されていない。外部の他者に開かれていない空間で、いくら自己反省を繰り返しても、対話なきゲームです。『8.15』をリセットタイムとする日本史において、『戦後』は世界史との経路を遮断され、その記憶は自閉化されています」
「本当に世界史への接続を考えるなら、7月7日(盧溝橋事件)や12月8日(真珠湾攻撃)を国家的記念日にしてもよいでしょう。でも、そんな試みはほぼありません。だったら、8月ジャーナリズムを9月にシフトし、世界標準の終戦日である2日、サンフランシスコ講和条約と日米安保条約の調印日である8日、そして満州事変が勃発した18日まで、新学期の教室でも議論できるものにすべきです」
「もっと言うなら、私の提唱する9月ジャーナリズムは、8月29日から始まります。何の日かご存じですか?」
 ――……。
「日韓併合記念日です。この日を国恥日としている朝鮮半島だけでなく、戦後しばらくは日本人もみな覚えていましたが、今やすっかり忘却されています。9月1日の関東大震災後の朝鮮人虐殺も、植民地支配を背景にしたものです。戦争と平和についてさらに広く考えるなら、米同時多発テロが起きた『9.11』や、戦後70年の節目だった安保法制の成立日(9月19日)も射程に入れてもよいでしょう」
戦没者追悼と歴史的対話、記念日の分離を
 ――8月ジャーナリズムは内容的にも、被害や受難の語りに偏重してきたと言われています。
「8月6日や9日、あるいは空襲や引き揚げ、特攻や玉砕の体験は、紛れもなく悲劇の記憶です。それを前提にする限り、報道やドラマの内容が『犠牲』に偏るのは避けられない。侵略や植民地支配の加害性を見つめなくてはいけない、といくら主張しても戦災者には響かないし、この語りの傾向を変えるのは難しいでしょう。お盆の8月15日は、戦前から慰霊と供養の日としても定着していました。宗教的追悼と政治的議論を同時に行うことは、ふつうの人にはなかなかできることではない」
「だから私は、終戦の日を二つに分け、8月15日を『戦没者を追悼する日』、9月2日を『平和を祈念する日』にすべきだと訴えています。8月15日はこれまで通り死者に祈りを捧げ、9月2日は戦争責任や加害の事実に冷静に目を向け、諸外国と歴史的対話をする日にする。政教分離の観点からもそれがよいでしょう。その意味では、9月ジャーナリズムは8月ジャーナリズムの全否定の上にあるわけではなく、その内向きさと情緒性を省みたうえで、理性的で対話的な新たなジャーナリズムを構築する試みです」
歴史対立踏まえ、未来志向のジャーナリズムへ
 ――戦後生まれが人口の85%を超え、戦争の記憶の継承が課題です。「新しい戦前」というきな臭い言葉も飛び交っています。
「今は『記憶の歴史化』の潮目です。平均寿命に近い80年という時間の経過は、生存者の反証を物理的に不可能にします。そのため、『戦争の記憶』は『記憶の戦争』の中で再編されていく。それは、事実関係よりも表現の効果に人々の関心が向けられていく時代に、今後は突入するということです」
「すでに近年、終戦や戦争をめぐる『歴史のポリティクス』は過熱しています。中国は従来、靖国参拝問題などで歴史カードを切れる8月15日を重視してきましたが、日中の経済力が逆転した2010年代以降、改めて9月3日を抗日戦争勝利記念日と明確に定めました。ロシアも昨年、9月3日を『軍国主義日本に対する勝利と第2次大戦終結の日』と名称変更し、ウクライナを支援する日本を強く牽制しました。歴史戦や情報戦という不穏な言葉を使うのは適切ではないでしょうが、私たち自身が内向きな『記憶の55年体制』に閉じこもっている限り、こうした他国の功利的な歴史利用に対峙することはできません」
「情緒的で紋切り型の8月ジャーナリズムがもたらしてきたものは、現代の戦争や安全保障問題に対するイメージの貧困化です。日本人は『豊かで平和な戦後』において、米国の核の傘の下、周辺国との敵対性を無視することができました。しかし、国家利害の対立が深まるなか、現実に目を背けることは、あまりに反政治的です」
「外交とは、敵対性を討議性へと開く技術です。歴史の対立が存在することを前提に、それならどのような対話が可能なのか、私たちは模索し続ける必要がある。戦争の記憶の問題にメディアが果たす役割とは、本来そうした未来志向のものでなければならない。だからこそ、他者と向き合うための9月ジャーナリズムが必要なのです」(聞き手・石川智也)
佐藤卓己 さとう たくみ 1960年生まれ。上智大教授、京大名誉教授。専門はメディア史、大衆文化論。著書に「『キング』の時代」「言論統制」「八月十五日の神話」「輿論と世論」など。
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広島原爆の日の式典、周辺での「平和運動」を締め出しへ 公園一帯で「入場規制」、プラカードやのぼりは禁止(東京新聞)
8月6日の広島市の平和記念式典で、原爆ドーム周辺を含めた平和記念公園の全域に入場規制を広げる市の方針が波紋を広げている。メイン会場から離れたエリアも手荷物検査を受けないと入れず、プラカードやのぼりの持ち込みを禁止。安全対策を理由とするが、法的根拠はなく行きすぎた表現規制との懸念も。背景には近年の平和行政の変質も指摘される。(山田雄之、山田祐一郎)
◆物議を醸した「園内での禁止行為」
広島市は5月、平和記念式典で、入場規制エリアを昨年まで対象外だった原爆ドーム周辺を含む公園全体に広げる「安全対策」を発表した。当日午前5〜9時に入場規制し、6カ所のゲートで手荷物検査を行うとした。
広島市の平和記念公園で、松井一実広島市長(左から5人目)から説明を受けるG7首脳ら=2023年05月
これに加えて物議を醸したのが園内での禁止行為。「式典の運営に支障を来す」としてマイクや拡声器のほか、プラカードや横断幕の持ち込み、はちまきやゼッケンの着用まで禁じ、従わなければ退去を命令することがあるとした。
規制強化の理由としたのは昨年の式典の際、原爆ドーム周辺で市職員に活動家の集団が腕を組んでぶつかるなどした「衝突事案」だ。5人が暴力行為法違反の疑いで逮捕、起訴された。
松井一実市長は記者会見で「参列する市民の安全を最優先に考えての措置」と強調。「原爆ドームや供養塔の周辺で毎年、慰霊に関する行事をしている団体もあると思うが」と問われると、「今までのような集会はできなくなるかと思いますね」と淡々と応じた。
◆「核廃絶の思いを自由に伝えたいと考える人は多い」のに
被爆者たちの受け止めはさまざまだ。広島県原爆被害者団体協議会の箕牧(みまき)智之理事長(82)は「こちら特報部」の取材に「騒動を起こす人がいることも事実。犠牲者を追悼するために厳粛に式典を行いたい。規制は仕方ない」と理解を示す。一方、もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(79)は「祈る場所は必要以上に制限されるべきではない。反戦や核廃絶の思いを自由に伝えたいと考える人は多い」と話した。
6月上旬、日本ジャーナリスト会議(JCJ)広島は「ゼッケンなどの着用禁止は表現の自由に抵触する。取り消すべ��ではないか」と市長あての質問状を出した。JCJ広島幹事の難波健治さん(76)は「そもそも式典を巡る問題は騒音だった。いつのまにか安全の問題にすり替わった」と強調する。
◆「条例は関係なく法的根拠はない」
どういうことか。会場周辺のデモで拡声器が使われたことを受け、市が2019年に参列者に行ったアンケートでは、音が聞こえたという人の約6割が「式典に悪影響がある」と回答。市議会は21年、議員提案された「市民の理解と協力の下に、厳粛の中で行う」と定めた市平和推進基本条例を賛成多数で可決した経緯がある。ただ「厳粛」の具体的な規定はなく、県弁護士会などは「市民の表現を萎縮させる」と懸念を示していた。
公園からの退去などを市民に強制できる根拠はあるのか。市の市民活動推進課の担当者は取材に対し、手荷物検査や禁止行為による退去命令について「条例は関係なく法的根拠はない」と断言。「安全な式典にするための必要最小限の規制。表現の自由を制限するとは思わず、あくまでご協力いただくもの」と述べた。プラカードなどを使って平和や核廃絶を訴えたい人については「規制終了後や公園外でしてほしい」と話した。
◆「ここまであからさまな表現の自由の制限は…」
デモの音量に対する「騒音規制」の問題だったはずが、いつの間にか目的が「安全対策」にすり替わったという今回の出来事。広島大の田村和之名誉教授(行政法)は「別の場所から大音量が発せられる可能性があり、騒音問題の解決になるのか疑問だ」と話す。
「式典が安全に行われることに異論はないが、論理の飛躍だ。差し迫った危険の発生が具体的に予見されるわけでないのに、短時間とはいえ拡声器やプラカードといった表現活動を禁止するのは言論の自由や集会の自由の制限に当たる」と憲法違反を指摘する。その上で「ここまであからさまな行政による表現の自由の制限は最近、目にしたことがない」とあきれる。
松井市長は5月の会見で、衝突事故の再発防止のため、式典会場外の区域も式典会場と位置付けて規制する考えを説明した。田村さんは「式典として使用実態がない場所は自由利用が原則であり、市長の説明は詭弁だ」と批判。都市公園法の原則に反し、正当な理由なく住民の公共施設利用を拒んではならないとする地方自治法にも違反するとした上で「屋外の平和公園で式典を行う以上、騒音は避けられない。行政が必要以上に規制すれば、異を唱える人を排除することになる」と危ぶむ。
◆広島の平和行政が変質していないか
2023年度に差し替えられる前の平和教材の「はだしのゲン」のページ
近年、広島の平和行政を巡っては平和団体が懸念を示す問題が相次いできた。広島市教委は、平和学習教材に引用掲載してきた漫画「はだしのゲン」や、1954年にビキニ環礁で米国の水爆実験で被ばくした「第五福竜丸」の記述を2023年度から削除。市民団体が実施したオンライン署名では、約半年間で削除に反対する声が5万9000筆以上寄せられた。
昨年6月には広島市の平和記念公園と、旧日本軍の真珠湾攻撃を伝える米パールハーバー国立記念公園が姉妹協定を締結。同年9月の市議会で市幹部が、米国の原爆投下の責任議論を「現時点では棚上げにする」と答弁し、被爆者団体などから批判を受けた。今年の式典を巡っても、パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルを招待する方針を表明。ウクライナ侵攻以降、招待していないロシアへの対応との違いを「二重基準」と会見で指摘された松井市長が声を荒らげて否定する場面もあった。
「根拠やプロセスを説明しないという松井市長の政治姿勢が年々、顕著となっている」と指摘するのは広島市立大の湯浅正恵教授(社会学)。「行政は法律や条例の規則に基づいて政策決定をするべきなのに、納得できる説明がない状況が続いている」。7月には突如、来年以降の式典招待国の基準も見直す考えを示した松井市長。湯浅さんは「近年にない特殊な状況」と受け止める。
◆「アメリカのご希望に沿う岸田首相、追従する広島市」
平和記念公園で記念撮影に納まるG7首脳ら=2023年5月
「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」は先進7カ国(G7)広島サミット後の昨年7月、「広島市平和行政の変質を問う声明」を発表し、現状への危機感を訴えた。
共同代表を務める森滝春子さん(85)は「広島市の平和行政の変質は、原爆被害が見えなくなることを望む米国に沿った岸田首相の政策に、市が追従していることによって起きている」と危ぶむ。「G7の広島ビジョンも米国の核の傘の下での核抑止論を肯定する内容。その場所に広島が利用された」と批判する。
今回の入場規制が原爆被害の実相を伝える上での悪影響を及ぼすのではないかと懸念する。「世界や日本から原爆被害者を悼みに来るのに、法的根拠なく入場を厳しく規制すれば、近づかない方がいいという人が出るかもしれない。被爆者が減る中、マイナスの効果しかない。それを止められないのは歯がゆい思いだ」
◆デスクメモ 前に公園内の韓国人原爆犠牲者慰霊碑に足を運んだ。日本は米国の原爆の被害者だが、アジアとの関係では加害者でもある。立場の違いも含め原爆の実相を知り、犠牲者を悼み、核なき世界を願う場と思ってきた。戦後79年の夏空に「NO WAR」と掲げられる公園であってほしい。(恭)
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mobsprooftheweb · 3 months
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『カリコレ®2024 THE FINAL』全上映作品発表!
今夏、開催10回目でファイナルを迎える映画祭『カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション®2024』(略して『カリコレ®2024』)。
まさに映画祭『カリコレ®2024』のファイナルに相応しいヴァラエティに富んだ作品が今年も集結。 新作のプレミア上映はもちろん、日本初上映作品や多彩なゲストを招いての特別上映などで今年も7月12日(金)~8月8日(木)の4週間に渡り、新宿のミニシアター”新宿シネマカリテ“にて『カリコレ®2024 THE FINAL』が開催される。   夏と言えば海! 海と言えばサーフィン! 生きる活力が漲る感動のサーフムービー!
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幼少期にシャークアタックに遭い片腕を失うというハンディキャップがあるにも関わらずサーフシーンの第一線に返り咲き、全世界に衝撃と感動を与えた映画『ソウル・サーファー』の主人公ベサニー・ハミルトンのドキュメンタリー映画『ベサニー・ハミルトン:アンストッパブル』。 家族への密着取材、過去の貴重なライディング映像を織り交ぜながら二児の母親となった現在も映画タイトル通り“立ち止まらず”に限界に挑戦し続ける孤高のプロサーファー、ベサニーの姿を追った感動のドキュメンタリー映画。この夏必見の1本。
アルゼンチンから届いた怪作!
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『クラッシュ』『Swallowスワロウ』に続く、ある女性の危険な欲望を描いた『エレクトロフィリア‐変異-』。 落雷の後遺症で雷が通り抜けた跡に血管が浮かび上がるようになったアダは、電流に性的興奮を覚えセックスでオーガズムに達すると放電のような現象も起きるようになる。彼女はその感覚を共有できる落雷経験者のグループに参加し、そこでリーダーの男フアンと出会ったことから危険な恋に落ちてゆく…! 監督はカンヌ国際映画祭批評家週間グランプリ受賞作『XXY~性の意思~』のルシア・プエンソ、主演はシネマカリテにて2020年公開『エマ、愛の罠』のマリアナ・ディ・ヒローラモが危険な欲望を快演!まさにビビビッ!とくる超刺激的な作品。
韓流ファン必見のラブ・コメ!
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お隣の韓国からは、ドラマ『親愛なる判事様』『ヒョンジェは美しい~ボクが結婚する理由(わけ)~』などで人気のユン・シユン、ドラマ『輝くウォーターメロン~僕らをつなぐ恋うた~』で知られるソル・イナが紡ぐ韓流ラブ・コメディの『私たちの恋が香りとして残る時』。 韓国の映画、ドラマ、バラエティファンにとっては、クスっと笑える要素が随所に散りばめられ、今後期待の俳優ノ・サンヒョン、人気コメディアンのユン・ジョンスやユーモラスな演技で国民的人気を得ているキム・スミ等、豪華な俳優のカメオ出演が話題の1本。 本邦初公開!!
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昨年5月にシネマカリテで公開し大好評を頂いたハンガリーの至宝メーサーロシュ・マールタ監督特集で惜しくも取り上げられなかった『日記』シリーズの第一編と言われる『日記 子供たちへ <4Kレストア版>』が日本初上映となる。 本作品は1984年カンヌ国際映画祭で女性監督としては初めて審査員特別グランプリを受賞した記念すべき代表作。 今回4Kレストア版として蘇った本作がこのカリコレ®2024のスクリーンを飾る。映画ファン必見だ。
秘密の白石晃士監督作品上映!
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日本からは2023年の大ヒット作『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』に続き、今夏には話題作『サユリ』の公開が控える最恐エンターテイメントの申し子、白石晃士監督の秘蔵未公開作品がカリコレ®2024にて独占上映決定! “この作品の内容は秘密ですが、ホラーではあります。しかし今までの私のホラー映画とはまた違った味わいのある、【エレガントな和製ホラー】となっております。敬愛する複数の監督の作品に多数出演された名優との刺激的な初仕事でもありました。果たしてそれが誰なのか?ぜひ劇場でご確認ください!(白石晃士監督)”と予告メッセージも届いている。 情報解禁一切なしの完全独占上映の本作はカリコレ🄬ファンにはたまらない痛快すぎる地獄へのファンファーレは劇場で鑑賞するしかない。
まだまだある新作群!
アクションあり! ハラハラあり! 笑いあり!と人気テレビドラマ『ウェンズデー』などで現在大活躍中のジェナ・オルテガが出演する『カリコレ🄬』ならではのアメリカン・コメディ・ホラー『アメリカン・カーネイジ』。
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そして『007 慰めの報酬』『オブリビオン』と話題作に出演し、昨年カリコレ®2023で大好評だった『ハイ・ヒート その女諜報員』で主人公を演じた女優オルガ・キュリレンコが、ローマ帝国に立ち向かう復讐アクション劇『ブーディカ 美しき英雄』。
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空き家になった夫の実家に移り住んだ夫婦だったが、ある日を境に夫の様子が夜な夜な豹変してゆく驚愕のホラー作! 大ヒット映画『ゲット・アウト』を生み出したブラムハウスの試みにインスパイアされ、ベルギーの製作会社により同じようなシステムの下、ヨーロッパで生み出された『ナイトマン 夜の殺人者』。
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そして、カリコレ®プレミア上映作品として、『SXSW映画祭』で観客賞を獲得し、各地の映画祭を席巻。⽶映画レビューサイトでも⽀持率91%を記録するなどコアなホラーファンはもちろん幅広い層から⾼評価を獲得した本格POVホラー『デッドストリーム』がついに日本上陸! 『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を思わせる不穏な冒頭から始まる本作は、没⼊必⾄の主観ショットとクラシックホラー作品への愛とリスペクトが炸裂するファウンド・フッテージホラー。 主演のジョゼフ・ウィンターが妻のヴァネッサと⼆⼈三脚で監督・脚本・制作・編集まで⼿掛け、ジョゼフの⾳楽に合わせて作り上げられた渾⾝作だ。過激な企画が原因でアカウントを停⽌された崖っぷちの炎上系配信者のライブ配信中に起こる恐怖体験がノンストップで襲いかかる! 本作品の一般公開はこの新宿シネマカリテにて8月16日(金)よりロードショーで、進化系POVホラーを一足先に『カリコレ🄬』で確かめることができる。
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そして、もう1本。鬼才アレックス・デ・ラ・イグレシアの衝撃的デビュー作にして幻のカルトムービー『アクション・ミュタンテ 4K』(93年)が4K版で『カリコレ®2024』のスクリーンに蘇る。 美しい者だけが権力を握る近未来、醜悪な容貌ゆえに迫害を受け、社会に復讐を誓うテロリスト集団<アクション・ミュタンテ>は『美しいものは悪だ』を合言葉に誘拐、略奪、殺人、はては惑星もろともぶっ飛ばす勢いで、奈落の底まで突き進むシュールな映像とアナーキーSFバイオレンス満載の超怪作。 邦題を『ハイルミュタンテ! 電撃XX作戦』さらには『未来世紀ミュータント』からこのたび『アクション・ミュタンテ 4K』に改め、シネマカリテにて8月23日(金)から一般公開も決定している! ホラーファンはどちらもお見逃しなく!
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『カリコレ®2024』のために調達された超特別プレミアム上映企画!
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ファッションアイコン、セックスシンボル、そして、60年代においては女性解放の象徴でもあったフランスを代表する女優ブリジット・バ��ドーが今年9/28で満90歳を迎えるのを記念して9/13(金)から開催される『ブリジット・バルドー レトロスペクティヴ -BB生誕90年祭-』から先行して、『カリコレ®2024』でもバルドーの貴重な2作品…『BB生誕90年祭』でも上映する名作『裸で御免なさい』と今回、本邦初公開(日本初上映)となる新作ドキュメンタリー映画『ブリジット・バルドー 誤解』が特別上映される。
バルドーにまつわる様々な“誤解”を貴重な映像資料を駆使しビデオレターのようなユニークな手法で考察していくドキュメンタリー『ブリジット・バルドー 誤解』は、『BB生誕90年祭』の上映プログラムには入っていないため、『カリコレ®2024』だけの貴重な上映となる。 また8/4(日)12:25の回『裸で御免なさい』上映後には素敵なゲストをお招きしてのトークイベントが予定されちる。どちらもお見逃しなく。
『カリコレ🄬』10周年に花を添える特別企画『アスミック・エース meets カリコレ®SPセレクション』
“自由の国”を目指す命懸けの逃走劇を描いたガエル・ガルシア・ベルナル主演の『ノー・エスケープ 自由への国境』、ポール・ウォーカー主演、リュック・ベッソン脚本の『フルスロットル』、トミー・リー・ジョーンズ監督・主演で贈る『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』、松尾スズキ初監督作品『恋の門』、そして、井坂聡監督と浅野忠信が贈る予測不能なサスペンス『[Focus]』とアスミック・エースが贈る名作が『カリコレ🄬』で楽しむことができる。
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イベント情報!!
今回上映されるイタリアンホラーの巨匠を描いた作品『ダリオ・アルジェント PANICO』では、7/20(土)12:40の回本編上映後にホラー映画ライターの山崎圭司、是空プロデューサーの鈴木淳一を招いたトークショーが実施される!
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さらに、今回の上映に合わせ『ダリオ・アルジェント PANICO』のTシャツ2種、ポスター、そして、ダリオ・アルジェント監督アクリルスタンドのグッズを特別販売! アルジェント監督アクリルスタンド(限定100個):2,000円(税込) PANICOオリジナルTシャツ(白、黒:各M/L/XL):各3,800円(税込) PANICOオリジナルB2ポスター:1,000円(税込)
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ついに今年で最後となる映画祭『カリコレ®2024 THE FINAL』。 10周年を記念する映画祭ラストのメインビジュアルは、『カリコレ🄬』のビジュアルを長年手掛けきたイラストレーター田中梓の描き下ろし。 おなじみのメインキャラクターのアリス達が明るく登場するレッドカーペットを背景に、田中梓が手掛けた歴代の『カリコレ®』メインビジュアルが彩られているフィナーレに相応しい明るく楽しい爽快なビジュアルとなっている。
[カリコレ®映画祭事務局からのお知らせ] 記念すべき10回目の開催を迎えた『カリコレ®』ですが、今年の開催を一区切りに映画祭『カリコレ®』はファイナルとなります。 今後も時代に寄り添い続け、映画ファンの方々に楽しんで頂けるような上映を企画していきたいと考えております。 来月7月12日(金)~8月8日(木)の4週間に渡り開催される魅惑の映画祭『カリコレ®2024 THE FINAL』を是非お楽しみください! 真夏の4週間を彩る最新作、旧作、未公開作が続々上映!1本1本、丁寧に厳選した魅力的でヴァラエティに富んだ選りすぐりの作品たちが、皆様のご来場をお待ちしております。 是非この機会に“ここだけでしか観られない”あなたの1本に会いに来てください!   『カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション®2024』 7月12日(金)~8月8日(木) 4週間! 新宿シネマカリテ (〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目37-12 新宿NOWAビルB1F) 入場料金:新作 1700円均一(リピート割で1,400円)、旧作 1,200円均一 [映画祭HP][シネマカリテ公式X] ©2014-2024  Musashino Kogyo Co.,Ltd  Tm.Musashino Kogyo Co.,Ltd.
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kiriri1011 · 5 months
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血は流れて河となる
 タヴが最後の遺骸にシャベルで土をかけ終えたときには、すでに月が出ていた。
 今は廃墟となった村のすぐ横手にある、荒涼とした墓地にたたずむ仲間たちは、それが最後の作業だったことを知って各々シャベルを下ろし、シャドウハートが土の中に臥せた死者たちに祈りを手向けるのを黙って見た。  影に呪われた地を抜けて、初めて彼らが見た村でのことだった。  ほとんど集落といっても差し支えないようなその小さな村は、おそらく凶賊の手に落ちていた。家畜をほとんど攫われたうえに村民は女子どもの区別なく殺されている。誘拐するよりも殺して無害化したほうが手っ取り早いと判断したのだろう。  見つけた死体はすべて硬くなったばかりで、腐敗はしておらず、事後から数日程度しか経っていないことを教えていた。  まず最初にカーラックが慟哭し、沈痛な面持ちのウィルがその肩を支えた。  彼女は小さな女の子が母親に抱かれて死んでいるのを見つけたのだ。親子は互いに縋るように抱き合ったまま、背中や頭部を矢で射貫かれて絶命している。近くの納屋はすでに木炭と化していたから先にそちらに火をつけられていたに違いない。どこに隠れることもできず、ただ恐怖に竦んでお互いを守るように抱き締め合っていた親子は、さぞ嗜虐を誘う獲物だったことだろう。  カーラックは彼女たちを一緒に埋葬しようと言った。――誰も反対しなかった。  だが、ひとつ付け足すとするならば、アスタリオンだけは内心反対だった。皆一様に悲しみに暮れるムードに水を差しては非難されるだけ損だと思い、軽口を封印していたに過ぎない。  この不安定な時代、人を殺すのは盗賊だけじゃない。ゴブリンもいるし、アブソリュートもいる。犠牲者は増える一方だ。そのたびにいちいち足を止めて、墓を掘って、花を手向けて、祈りをささげてセンチメンタルな情緒に耽っていては旅は進まない。  本当なら、いつもの調子で言ってやってもよかった。  カーラックに殴られるのが怖かったわけではない。  問題はタヴだ。  いつも冷酷なほど理性的で、アスタリオンの皮肉に包まれた真実の提言を多少は理解もしてくれるはずのタヴがこのときばかりは黙っていたからだ。  一見、タヴの表情には怒りも悲しみも浮かんでいない。  あるのはただ沈黙ばかり。  だが、死体を埋葬すると決まったとき、彼女は一番にシャベルを握り、土を掘りだした。  よりによって普段から感傷的とは言えないタヴがそうするので、アスタリオンも文句は言えず、ただ皆に合わせて仕事をするほかなかった。  恋人の知らない一面を見た気がするのは、今夜が初めてというわけではないが、なにかが、たまらなく、変だった。
 シャドウハートの祈祷が終わると、空っぽの村の中で火を囲み、休むことになった。  皆が寝静まる気配がしても、アスタリオンは目を閉じていなかった。ただ寝所から夜空を仰ぎ見、いたずらに起きている。たとえ周りが死体の山でも彼はのびのびとやれるが、今夜は少しわけが違った。  冷たくなった心臓に一本の棘がひっかかっている。  抜こうにも抜けないそれは徐々に深く沈み、心臓の奥に到達して、アスタリオンの一部になってしまいかねない。  昔、好きでもない相手と寝たときはこういう思いをしていた気がするが、それが200年も経つと感覚も麻痺してきてあまり気にならなくなっていた。生きていくためにはそれらはあまりにも不都合すぎたのだ。  だが、拷問部屋の冷たい床で寝ていた生活をようやく忘れつつある頃、アスタリオンは今まで不要だと捨てたはずの感情の多くと対峙しなくてはならなくなった。  たとえばそれは恋人の不穏な心境に気づくことであったりする。  アスタリオンはタヴが何をして生きてきたか、ほとんど知らない。  もとから彼女は多くを語らない性分だったし、アスタリオンも無理強いするつもりはなく、いつか本人が語る気分になったときにそれとなく話してくれればいいと思っていたが、その恋人の明らかではない部分と、今夜の出来事が妙に関係しあってるような気がしてならないのは早計だろうか。  アスタリオンは今までの自分の悠長さを少し後悔する。恋人のことだったら知っておくべきことがいくつかはあったはずじゃないのか。  ふと、気配がする。寝所からするりと音���なく抜け出して、森に向かう人影がある。  その幽霊のような所作にアスタリオンは静かに長い耳を立てて息を殺した。そして、ほかの皆に気づかれないように、いつものように物音を立てず起き上がる。  彼女なら自分が起きていることぐらい気づいていただろう。  それなのにひと言もかけず出ていくなんて、やはりどこかおかしい。  仲間の手前自重したが、今夜ぐらいは抱き締めて眠るんだった、と後悔を重ねながらアスタリオンはタヴの後を追った。
「寝てていいわよ」
 森の中を進んだどころで彼女は振り返った。  少し入っただけなのに、もはや月明かりさえも届かないほど森には草木が鬱蒼と繁り、タヴの表情に影を落としている。  そこからは今のところ何も読み取れない。
「それはお楽しみを独り占めしたいってことか? なんて薄情なやつだ、大事な恋人にはせめて甘美な味を一口ぐらい分けてくれてもいいだろう?」
 アスタリオンはあえて空虚に笑ってそう言った。
「私がどこに行こうとしてるかわかるの?」
「そりゃ、お前が裸になって川でひと泳ぎしたいというならぜひこの目に焼きつけないと……」
「ふざけるなら置いていくわよ」
 タヴは本当にそう言って踵を返すと先に進もうとした。  「待て!」と声を高くしてアスタリオンは呼び止める。  どう考えても、彼女は村を落とした凶賊のもとに向かおうとしている。  あのお人よしの仲間たちのことだから、明日になったら村の仇討ちに行こうという話の流れにもなるはずだ。  なのにタヴは今夜のうちに独りで行こうとする。  それがなぜかアスタリオンには理解できない。
「独りは心配だ。俺も行く」
 いっそ最初から誘ってくれればよかったものを――と内心口惜しく思いながらアスタリオンは懇願するようにタヴを見つめた。  タヴは流麗なまなざしを寄越すと、手にした杖を前方に向ける。
「言っておくけど、仇討ちじゃないわよ」
「じゃあいったい何なんだ?」
 女は無言で歩を進めた。
「虐殺」
 無味乾燥な台詞は却って凄絶に響いた。  それを聞いたアスタリオンはうっすらと唇を三日月のように細める。
「ただ無性に殺しがしたいだけだから、皆を引き連れていくのは気が引けたのよ。……お前はどうだか知らないけど」
「なおのこといいじゃないか。仇討ちよりそっちのほうが俺好みだ。俄然ついていく気になった」
 タヴの後を追って陽気に歩を進めながらアスタリオンは歌うように答えた。
「お前が歩くところに血は流れる。敵の血はみんな美しいお前への捧げもの。だけどお前の血の味を知っているのは俺だけだ――なんてすばらしい夜だろう」
「吟遊詩人でも始める気? それにしては少しフレーズが陳腐ね」
 辛口の評価を下されたが、アスタリオンは気にしない。  恋人とふたりだけの秘密を作るというのは、何百年生きても心が躍る。  腰のナイフの場所をたしかめて、アスタリオンはタヴとともに宵闇の森を進む。  ふたりのエルフの眼は、松明がなくとも夜の闇を見透かせる。  これから殺されゆく運命にある者たちは、それを知らない。
 賊は盗った酒や食料でしばらく宴会続きだろう。奪った家畜を捌けば新鮮な肉もある。  弛みきったところを一気に叩けば少人数でも勝ち筋はある。しかも夜襲に長けたアスタリオンと、集団の殺戮に向いた魔法を得意とするタヴの組み合わせは凶悪と言うほかない。  見張りの男の喉首をナイフで掻っ切って、彼らの住処の洞窟へと堂々と侵入する。その死をほかの連中が知る前に、洞窟の入り口付近に備蓄していたのだろう火酒の樽を蹴り出して、宴会の中心にタヴが炎の魔術を撃った。
 爆発。
 タヴとともに洞窟から逃げるアスタリオンは激しい爆風とそれによって巻き起こる悲鳴を背中に笑い声をあげた。  その不愉快な笑い声を追いかけて、生き残った賊が這う這うの体で洞窟から現れる。  後はもう消化試合でしかない。  アンデッドのように洞窟から這い出てくる連中を、アスタリオンは一方的に弓で射貫き、タヴはなおも炎の光線で彼らを焼く。  そこから後に続く者はいなかった。  洞窟の中は轟々と燃え盛り、死体を焼き続ける。  ちらちらと火の粉が闇を駆け抜け、タヴの静かな横顔を照らした。  その横顔があまりに美しかったので、アスタリオンは思わず彼女の肩を抱いて、口づけた。  タヴは何も言わずに男の首を抱き締め返す。  火の粉が舞って髪の毛や服の端が小さく焦げる匂いがする。だが、その焦げついた匂いの中でふたりは長いキスをした。  息が尽きるまで、キスをした。
「ベハルを信奉するカルト村が私の出身よ」
 熱を冷ますために近くの川に立ち寄ったとき、裸の彼女が白い足を水に浸してそう言った。  焦げた髪の先をナイフで削いでいたアスタリオンは、その台詞にさして手元を狂わせるでもなく、ただ「ほう」とうなずいた。
「……昔、ベハルの落とし子が世間を賑わせたでしょう。何を血迷ったか、村の連中は彼らにあやかった存在を作ろうとしたのよ。選ばれたのは10才になった私」
 その先に続く物語は陰鬱なばかりだった。  疑似的に作り上げた”ベハルの子”を担ぐため、村の連中は彼女に殺人行為を強要した。相手は彼女の両親。  村長を始め村の中枢を担う上位の村民はベハルを熱心に信奉していたが、カースト下位の村人はその信仰を知らされずに生きているものがほとんどだったという。  彼女と家族もそうだった。  村に唯一存在する子どもだったタヴは、ある晩に家族とともに拉致され、儀式の舞台に立たされた。  そして儀式用の仰々しいナイフを握らされ、柱に吊るし上げられた両親を殺せ、と命令されたという。  できるはずもなかった。  だが、従わなければ娘もろとも村の連中に殺されると知った両親は、幼いタヴに自分たちを殺害するように説得した。  お前が生き延びられるならば……。  彼女が聞いた両親の最後の言葉だった。  極限の状況下で、タヴは両親を刺した。  めった刺しにした。  その日の昼間まで彼らは仲睦まじい家族だった――これからもそうなのだろうと幼いタヴは信じていた。  だが、突然わからなくなった。  気づけばタヴは両親の身体のいたるところにナイフを突き立て、彼と彼女が息を止めたことにもしばらく気づかず村長たちを喜ばせていた。  彼女は自分を生かすために命をなげうった両親が憎かった。  そんなことのためにたやすく命を差し出せる優しい人間だった両親が憎かった。  娘を殺人者に仕立ててまで最後まで良い親であろうとする両親が、憎かった。  その夜だけで、タヴは愛と憎悪の違いがわからなくなるまで両親を刺し続け、村にめでたくベハルの子として迎えられたという。
「村で死んでいる親子を見たとき、ああ、私もこうなるべきだった、と思い出したのよ」
 ぱしゃり、と川面を蹴って、タヴはそこで月とともに揺れる自分の顔を見た。
「もう親のことはほとんど覚えていない。ただ優しかったことだけを他人事みたいに覚えてる。子どもの頃の自分と、今の自分は、まるで別物。違う人生を生きているみたい」
 アスタリオンは、覚えているだけ幸運だろうとも思ったが、それは彼女にとってなんの意味も持たない言葉だとも気づいて、口を閉ざした。  今まで、タヴがたとえどんな過酷な過去を持っていたとしても、自分よりはましな人生に違いないと心のどこかで思っていた。  だが、蓋を開けてみたら、そう大差ないように思える。  優しい思い出を人質にとられて、殺人に身を染めた彼女はそれからも村に供物として差し出された贄を手にかけつづけたという。  命令のままに生きてきたが、それがある日、タヴはウィーヴに目覚めた。遠い祖先である竜の血が覚醒した彼女は、荒ぶる魔法の力で村の人間を残らず惨殺し、そのまま旅に出た。  ウィーヴの導きだけを頼りに、流れの魔術師として寄る辺なく生きて、マインド・フレイヤーに侵されて、そして、
「お前と出会ったわ。アスタリオン」
 悪戯っぽいのにどこか儚い微笑だった。  ときどき、アスタリオンはその瞳を覗き込むたび、あまりの奥の深さに呑まれるような感覚に陥ったことを思い出す。  その理由をようやく知った今、恐れるものはない。  壊れものを扱うようにアスタリオンはタヴを抱いた。
「過去に感謝しなくていい。お前が両親を憎んだことも忘れなくていい。お前の両親が望んだことは、たしかにお前にとって世界で一番残酷なことだからだ。一緒に死のうと言ったほうがまだ家族らしいな。お前の親はとんでもない偽善者だったんじゃないか」
「わからない……」
 か細い声でタヴはささやく。アスタリオンはその頭ごと抱え込むように彼女を抱いた。  濡れた素肌を抱き締めると、両手から滑り落としてしまいそうな気さえする。そしてそのまま二度とこの手の中に戻らないことを想像する。  そんなことはさせない。  互いに闇の水底から這い上がってきて、ようやく手を掴んだばかりではないか。
「タヴ」
 彼女を呼んで、アスタリオンは首筋に咬みついた。  さらさらと川の水のように流れる血は吸いだすほどに溢れてくる。  この女の中に流れる命の大河を吸い上げてしまえば、もう彼女の心臓は迷うことはないだろうか。  同じ影を踏むアンデッドとして、この世が終わるまで一緒にいてくれるだろうか?  血を啜れば啜るほどにアスタリオンの夢想は深くなった。  そんな力さえあれば、とっくに彼女を自由にしているというのに。
「……アスタリオン……」
 か細い声でいっそう力なく鳴く彼女に、アスタリオンは血の滲む傷口を舐めると、それでも惜しそうに唇を離した。
「……お前のせいで、これ以上水浴びしてたら凍え死にそう」
 血を失って冷えた身体は小さく身震いした。  アスタリオンは彼女から腕を離すと、今度は手をとり、川辺の草むらまでタヴを誘った。  拾い集めた枝葉に炎の矢を浴びせて小さな焚き火を熾すと、彼女を火の近くに座らせて、ともに火にあたる。  炎の揺らめきに心を落ち着けたのか、タヴは自然に肩にしなだれかかってきた。  彼女の肌が徐々に温もりを取り戻していくのを感じながら、アスタリオンは目を細める。
「責任とって、朝まで一緒にいて」
 夜明けまではまだ時間がある。  やがて首に絡みつく、その腕の頼りなげな軽さを知って、男は黙って唇を差し出す。  ぱちぱちと爆ぜる火の灯りに照らされた、ふたつの影はひとつになる。  その影のシルエットは男とも女ともつかず、ただひとつの存在としてそこにあった。
「死に近づきすぎた者は肉体に縋る。昨夜のお前たちは見事にそれを体現しているといえよう」
 白い朝靄に包まれる野営地に戻ったふたりは、いきなりシナビから忠告を受けた。  まるでふたりが帰ってくるタイミングを見計らったかのように現れた彼は、骨と皮だけでできた貌の中の唇を静かに動かし、厳めしい言葉を投げかける。
「血を流して満足したか?」
 タヴとアスタリオンはゆっくりと視線を合わせ、互いに問いかける。
「まあ、楽しかった……よな?」
「多少のストレス解消にはなったわね」
 ぬけぬけと答えるエルフの男女に、アンデッドの老人は呆れるでもなく、ただ深遠を見透かすような昏いまなざしを浮かべる。
「流れる血の多くに意味はない。お前たちが生み出した血の流れは、お前たちの足元を濡らすだけだ。よって、咎める理由はない」
 思わせぶりな台詞が続くことに若いふたりは露骨に面倒くさそうな表情を浮かべたが、シナビはさらにこう続けた。
「流れた血は、清らかな雨によってすべての罪を濯がれ、やがて河へと至るだろう」
 厳かな言葉は続く。
「お前たちはいずれ知る。その河の深さと広大さを。そして、それを泳ぎ切るには、人生はあまりに短いことを――お前たちは、必ず、知るのだ」
 この老人が言うことをタヴもアスタリオンもあまりあてにしていない。  彼の言葉はいつも確信的だが、常に煙に巻くような曖昧さがあり、意味を咀嚼するのに頭の体力を使う。  夜通し動いて身体に疲労感の溜まった彼らはもちろんシナ��の言うことを深くは捉えなかった。
「やがてお前たちは河へと至る。けして、呑み込まれぬようにな」
 動く屍人の口にした最後の言葉に、タヴは答える。
「たまには、川遊びもいいものよ?」
 そう嘯いて、タヴは隣の男の肩を小突く。  アスタリオンはにやりと笑って、恋人に意味深なウインクを送った。  その悪びれない様子にシナビはようやくため息をつく。  一夜の秘密を共有した恋人たちは、その瘦せこけた呆れ顔を見て敵を討ち取ったときのように笑みを交わしたのだった。
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nvi143 · 7 months
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不燃愛
ぽたり、と鼻から血が垂れる。外に出るのが億劫だね、と家でポップコーンを食べながら映画を見ていた。ちょうどラブシーンで鼻血が垂れた。それがあまりにも単純なエロで興奮する男子中学生みたいで、馬鹿馬鹿しくて、2人して肩を震わせて思い切り笑った。君が丁寧に、優しくテッシュでそれを拭った。「今日はキスできないんだね」と眉を下げたぼくに対して、君は額に唇を落とした。鼻にティッシュを詰めてるとこ「見ないで」というと、「そういうところも可愛いよ」と微笑んだ。じくりと肺の横が痛んだ。これが、ときめきか、と思った。そうして眠った。
朝が来た。ピクニックに出かける予定だった。カーテンから溢れる日差しは眩しく、目を突き刺した。鼻血のせいだろうか、貧血のように体が重かった。隣で眠る君が額に手を当てると、自分の温度の高さに驚いた。試しに体温を測ると体温計は38.2を表示した。ピクニックは今度行こうか、と眉を下げる君に今日行きたかったのに、と怒鳴り拳で彼を叩き、ベットの上で泣き叫んだ。君は眉を下げながら「君のためだよ」と謝った。僕は泣いても涙が止まらなかった。最近不安定みたいだ。体調も、感情も、何一つとしてコントロールできない。情けなくてさらに泣いた。シーツがべちょべちょになった。泣いている間に君は落ち着きなね、と1人でどこかに行ってしまった。僕のことを置いていくなんて、大嫌いだと、叫びながら泣いた。そのうち涙も枯れて、だるさが襲い眠りについた。暫くして目が覚めると、君がキッチンに立っていた。きみはあたたかいお粥を僕に作っていた。ベットに運ばれたそれをゆっくり食べた。味はおいしいとは言えなかったけれど、君の優しい味がした。そのあとみかんゼリーを食べて、歯を磨いて、君に頭を撫でられながら寝た。不甲斐ない自分すら愛されている気がして、またじくりと肺の上が痛んだ。
朝が来た。お互いそれぞれ仕事をこなし、やり過ごす毎日が続いた。パターン化された毎日でも、君と過ごす時間があればそれは幸福になった。少しのスパイスで格段と味が上がるカレーのように、僕にとって君は特別だった。ただ一つ、変わったことがある。よく体調を崩すようになった。心ではなく、体が。鼻血を出した時から段々と体が蝕まれる感覚がする。前より呼吸が浅くなり、足首が誰かに掴まれてるのではないかというほど体が重くなった。ただの風邪だろうと流していたが、君の心配もあり病院に行った。風邪薬を貰うだけのはずが、アルコールの匂いを嗅ぎながら、多くの検査をした。医者に告げられた結果は、悪いものだった。病名は長すぎて頭に入ってこなかった。愛の病だと言われた。最愛の人と一緒にいることで寿命が縮まるらしい。所謂、末期癌のようなものだった。彼との生活を続けると三日ほどで君は死ぬと、そう言われた。治療薬はなく、彼と離れることで長生きできると言われた。その日は家に帰り、君が帰ってくるのを待った。帰ってきた君には開口一番に具合を問われた。「大丈夫だった?」「薬は飲んだ?」「ちゃんと食べないと」と。僕は、「ただの風邪だったよ」と笑った。心配する君の姿が母親みたいで、それがまた愛おしく、苦しくて、すぐにトイレに駆け込んで、君に見られないように涙をこぼした。思わず出てしまう声を必死で殺した。僕は選択を迫られている。君と居れば死んで一緒にいられないし、君と居なかったら生きれるけど君は居ない。どちらも地獄だと、そう思った。その夜、僕たちはシーツの中で深く深く交わった。冷たいシーツと、君の温かい体に挟まれ、君の熱いそれを受け止めた。僕の中でどくりと脈打つそれから、君の心臓を感じた。何度も奥が抉られ、息が上がる。心臓がじくりと痛い。君にこうやって近づく度に、死ぬんだと、それが実感としてあった。君の背中の皮膚に爪を立てて激しくしがみついた。君を離したくない、離れたくない、離れていかないで。涙が溢れるのは、快感のせいにして誤魔化した。君の生温い性液を腹の中で感じるのすら、尊くて、虚しかった。僕を忘れないでという気持ちで、君の首筋に沢山のキスマークを残した。
朝が来た。今日は仕事を休むと君に言い、部屋を出ていく背中を見送った。君がいない時間に、僕は決断を下した。全ての荷物をまとめた。君との思い出のCDや、本、日記帳はゴミ袋に入れた。一冊だけ、君にあげた本だけを本棚に残した。最後の悪あがきだったんだろうか。君に僕を覚えて欲しい、なんて、呪いをかけるような気持ちで残したのかもしれない。夜、君が帰ってくる前に家を出た。僕の痕跡をできるだけ残さずに、僕は君の前から消えた。さようならという言葉も残さずに、温かい場所から自分で去った。飛行機の窓から小さくなる街を指でなぞった。僕の体温が冷たくなる感覚がして、静かな機内で涙を落とした。
何度か朝が来た。君の側から去って、1ヶ月ほど過ぎた。肌にはまだじっとりと、君の温かい感触が残っているのが辛かった。君から離れた場所で、君のことをなんとか忘れようと必死だった。昼間は仕事に追われて平気だった。それなのに夜になると、毛布にくるまっているのに寒くて仕方なかった。医者には離れた時の副作用として、低体温になっていると言われた。耐えるしかないと、そう告げられた。君に会いたい。会いたくて、仕方がない。数少ない君の痕跡を辿った。電話帳から消したはずの連絡先がメモに残っていた。衝動的に10円を握りしめて外に出た。数が減った公衆電話を探し出し、10円を数枚入れて君の番号を打った。ちゃんと君にお別れを言って忘れられれば、僕の体温も戻るんじゃないかと、安易にそう思った。呼び出し音の後に君の声が聞こえる。「もしもし」と僕が口にしただけで、君は僕が誰か分かったようだった。「ちゃんと、さよならを言えてなかったから」というと、君は「そういうの辞めてよ」と怒った。僕はその言葉に動揺して、「また君に愛されたい」と呟いてしまった。君は、苦痛を搾り出すように僕に言った。「僕は、君との恋や思い出をやっと仕舞ったんだ」と。その言葉を聞いて僕は受話器を下ろした。まだ時間は余っていたようで、10円玉がカランと音を立てて数枚返却された。君との物語はもう終わったのだ、というのを理解した。
何度か朝が来た。あれからまた数ヶ月経った。時々病院の検診に行った。レントゲンを見せてもらった。「病気の進行は完全に止まった」と医者に言われた。レントゲンには、心臓や肺に白いツタのような物が巻き付いているのが写っていた。医者曰く、これは骨のような物で、最愛の人の近くにいるとこれを育ててしまい、これが育ち花のように咲く頃には、心臓や肺を締めて止めてしまうと言われた。死ぬ寸前だと言われたのがよく理解できた。僕は君を完全に忘れるために努力をした。夜の街に繰り出しては、孤独を埋めるための恋をして、お酒を飲んで、冷たいベットで肌を寄せ合った。「君は、すごく冷たいね」とその子たちは肌を撫でた。僕の体温は君といた頃の体温には戻らなかった。心臓が高鳴る、痛くなるあの感覚が、恋だったとは思いたくなかった。
朝が来た。朝が来るのが怖かった。何も楽しくなかった。映画を見るのも、ご飯を食べるのも、音楽を聴くのも。自分の中の大事なピースが欠けて、そこの空白がどうしても埋まらない。そんな毎日が続いた。たまたま用事があり、君の住む街に行くことになった。半年だと、何も変わってはいなかった。君と住んでいた街は、温かかった。というより、君との思い出が温かった。気が緩んだ。君を捨てて、僕は傷つかないことを選んだのに、その温かさに許された心地になった。用事を済ませた僕は、自然に君とよく行っていたカフェに足を運んだ。日曜日、いつもの窓際の席。そこに君はいた。君はまだそこに座って、僕があげた、本棚に閉まったはずの詩集のページをめくっていた。横顔を見詰めるだけで、涙が溢れた。声を掛けたい気持ちを抑えて、僕は君が見える離れた席に座った。机にあった紙ナプキンに、ぎっしりと君への手紙を書いた。もし、君がこれを受け入れてくれるのなら、僕は死んでもいいから君に会いたいと、そう思いながら言葉を綴った。謝罪と、君の思い出がどんなに尊いかということ、そして、君への愛。それを一心不乱に綴った。それを君に渡して欲しいとウエイターに渡し、僕はカフェを出た。あの日、ピクニックをするはずだった公園に行った。これで、君が現れなかったら、もう諦めようと、そう思いながらベンチで君を待った。しばらくして、僕の隣に君は座った。僕たちは何も言葉は交わさなかった。ただお互いの手を握り合って、指先で気持ちを伝えた。久々の暖かさに、溶けてなくなりそうだった。
朝が来た。君の腕に包まれながら、僕は目覚めた。「君はあたたかいね、」と笑った。あんなに冷たかった肌は、一晩にして戻ったようだった。帰りのフライトはキャンセルした。君の腕の中で死のうと、そう覚悟した。僕は、彼に逃避行がしたいと懇願した。旅行に行きたいと、君にワガママを言った。近場なら、と君は頷いて、僕たちは昼過ぎから出かけた。車を山奥に走らせて、僕らは現実から逃げた。君の助手席で、思い出の曲をかけて、窓を開けて息を吸い込んだ。心臓と肺が押し潰されて体は苦しいけれど、生きている、という心地がした。僕らはその夜、山奥のペンションに泊まった。焚火をして、思い出や、空白の期間何をしていたかを話し合った。君も君で、僕じゃない人を愛そうとして涙を溢したこと、僕は君じゃないと日常が埋められないと気付いた日のこと、色々語りながら、時に涙を溢した。夜空を見上げると、星が煌めいていた。僕は君に言った。「いつかあの星に、楽園に、2人で行こうね」と。君は優しく微笑んで頷いた。そ��して、僕らは社会から離れた小屋で2人で眠った。僕は君の心臓の音を忘れないように、耳に刻むように、聴きながら眠った。
朝が来た。起き上がるのも、指一本動かすのも、辛くなってきた。息も上手くできず、視界が霞んだ。死が近づく気配がした。顔が青白い僕を見て、君は心配して帰ろうと諭した。僕は行きたいところがあるんだ、と君に頼み込んだ。どうしても最後に君と、最初に出会った場所に行きたかった。君はまた困った顔をした。僕は、一生のお願いだからと、君の手を握った。そうして、僕らは、僕らが出会ったキャンパスに向かった。ここで初めて、彼に出会った。卒業して暫く経ったキャンパスは、少しだけ変わっていた。僕らがよく逢瀬していた秘密基地は、綺麗に整理整頓されていた。授業を受けていた教室に行くと、あの頃の気持ちに戻れた。初めて、振り返って、後ろにいた君と言葉を交わした日を思い出した。君の前の席に座れたことは、僕の人生において1番の幸運だった。そして、屋上に向かった。今にでも倒れそうな僕に帰ろうと、不安そうに諭す君を振り切って、なんとか階段を登った。あの日、ここで、君のことが好きだと気づいた。カメラのシャッターを君に向けて切った時。僕の臓器に埋められた種は、この時に芽を出したのだと思う。ここで、きみとこうして手を繋げていることが、本当に幸せだと思った。そう思った瞬間、心臓が何かに突き刺される心地がして、血を吐き、鋭い痛みに耐えきれず、僕は倒れた。君は「駄目だ」と泣きながら僕を抱いた。朧げな視界の中で、君を目に映そうとして、僕は君の頬に手を伸ばす。暖かい涙が頬に落ちる。この暖かさが僕の拠り所だった。最後に言いたい言葉はたくさんあった。だけど、不思議と、この言葉しか出てこなかった。シンプルでありふれた言葉だけれど、この言葉だけを言いたかった。「愛してる」きみを、世界でいちばん愛してる。急激な眠りに襲われ、僕は瞼を閉じた。幸せだと、心から思った。
君には朝が来て、僕には朝が来なかった。僕の体は燃やされた。けれど、僕の中で育ち、僕を殺した花は綺麗に咲いて、燃えなかった。遺骨のように、その花も残った。僕が死んでも、僕の愛は燃えなかったらしい。生まれ変わっても、この愛は燃えない。僕は、君への遺書にこう書いた。「もし、生まれ変わったら、どんな形であれ、君に会いたい」
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stormfrozen · 9 months
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巨大兵器との激闘・頭脳の間
双拳の塔、7階の「頭脳の間」。そこにいる超能力が強い機体を見つける為、ブリオッシュは1人、だだっ広い部屋を歩く。
…幾ら1人とは言え、ペルピーニャが心配だ。しかしもう決めた事…俺は逃げない。
奥の方に進むと、頭部が大きな人の姿をした機体がそこに鎮座していた。本来ならこの部屋の先にあるエレベーターへと向かえるのだが、この配置の仕方ではどう見ても通せん坊している様にしか見えない。
…もしかして、こいつだよな?
敵の動きに警戒しつつ、矢を抜いたブリオッシュ。そして、彼が近付いた時にその機体は動き出した。
前方…生体反応を確認。データ無し。敵と断定………行動を開始���
このタイプの機体は4機全て、管理者がAIに「刷り込み」を行う事で膨大なデータバンクにアクセスし、更にそこから製作者、機体の管理者等を次々と登録して、敵味方の区別をAIに付けさせている。そして、そこから登録の無い生体反応があれば、基本的には「敵」と断定される仕組みの様だ。
来い。バラバラに叩き壊す。
動き出した機体、その名は「No.OP」。ブリオッシュは弓矢を構えて、早撃ちで敵を牽制する。
エネルギー………充填。目標を捕捉。
大型の頭部から放出された膨大なエネルギーの奔流が、ブリオッシュを襲った。この攻撃こそサイコキネシスであり、これが実にシンプルながらかなり強い。
星を飲み込む闇という奴を…食らわしてやろう。
そう言うとブリオッシュは矢で敵の影を縫いつける。放った矢が機体の動きを封じ、行動を制限させた。
突撃する。
その大きな頭部を使い、素早く突撃して頭突きを繰り出す。思ったよりも動きは速く、逃げるには難しい。
くっ!?
頭突きにぶつかったブリオッシュ。大きく吹き飛ばされ、倒れそうになる。彼が体勢を立て直し、翼で飛び上がろうとすると、No.OPは次の手を打つ。
リミッター解除………重力展開。支配する………
この部屋全体に、大きな重力が掛かる。と言うのも、この部屋の天井には重力発生装置があり、それは機体の方から合図を送る事で起動する物であった。それと同時にこの部屋の床には、足元に宇宙空間にも似た不思議なエネルギーが放出されると言う物で、超能力が高まる効果を持つ。
何っ………!!飛べない………!!
上の方に行く度に体が一気に重くなる感覚があり、ある意味ブリオッシュの持ち味でもある飛行が使えない。だがそれでも、黒い両翼を展開し動き回る。
それでも、これなら!!
一瞬だけ姿を消し、不意打ちの一撃で矢羽根を敵の装甲に貫く。思わぬ闇討ちで、No.OPのエンジンとCPUにダメージが入った。
損傷甚大………衝撃波を放出。
No.OPは数機の小型端末を展開し、突撃させる攻撃でブリオッシュを追い詰める。そして、彼の足元からは範囲の広い衝撃波が放出された。
ぐあああっ!!………ちぃ……っ!
そんな中でも彼は矢を2本放ち、先ずは敵の端末を破壊する。そして無数の木の葉を翼の羽 撃きで巻き上げ、敵を拘束する。
此処で一気にやってやる。覚悟しろ!
翼から数千本の矢を展開し、一斉に撃ち出すブリオッシュ。矢は次々と機体の至る所に刺さり、No.OPを撃ち落とした。
プログラム破損………修復中………ブレード展開。
割と深いダメージを負った敵は無数の刃を生成し、カッターとして撃ち出す。撃った刃は1枚1枚の動きがランダムで、空中を掠める様に飛ぶ物や、真っ直ぐ飛ぶ物、そして地面を削る様にして這う物などが数枚来る。
何とか喰らわしたが………俺もそろそろきつい………
さっきの衝撃波には当たってしまい、耐えるのがやっとと言う場面でブリオッシュの所に飛んできたのは休み無く飛ぶ刃の応酬。
しまった………うわあああぁぁぁっ!!!
逃げる事も叶わず、切り裂かれる体にもがれた左の翼。ブリオッシュは背中に強い傷を負い、真っ赤な鮮血を噴き出して倒れた。そして、そんな彼の頭部には飛び散った黒い翼の羽根が何枚も落ちる。
まずい………仕方無いか。本当は使いたくなかったが………!
直後に、彼の左の背中には白い翼が広がった。翼をもがれても尚立ち上がるブリオッシュに、No.OPは更に解析を進める。
本来のデータに無い、未知のエネルギーを確認。解析中………
あ。言い忘れたな。序でに言うが俺はたとえ翼をもがれても………攻撃手段として使えるぜ。行くぞ。
重力発生装置を破壊する為、もがれた翼を再利用して無数の羽根を浮かび上がらせる。そして、それらを使い…先程撃った「サウザンド・ドラゴンアロー・スコールド」の2射目が天井に向かって飛ばされた。
どがあああぁぁ!!
そしてこの攻撃が重力発生装置を破壊し、自由に動ける様になるブリオッシュ。矢は何本かがNo.OPにも刺さった。
うわっ!と…まだ行くぜ。
噴き出すエネルギーの奔流をかわし、ブリオッシュは再び無数の葉っぱで竜巻を起こす。
敵から危険なエネルギーを確認。防御態勢に突入………
無数の葉っぱを超能力を使って防御しようとするが、彼の狙いは残念ながらこの葉っぱの竜巻をメインの攻撃手段として使っている訳では無かったのだった。
こいつで終わりにしてやるよ………沈め!!
無数の光と闇の矢の応酬。彼の最後の大技「シャイニングシャドーアローズ」がNo.OPを囲む様にして襲い掛かる。
深刻なダメージ………制御不能………
さっきとは比べ物にならない無数の矢が次々と機体を串刺しにして、同時にCPUとAIを共に貫いた。そして、最後の一矢はブリオッシュが飛ばし、コアを破壊する。機体は火花を散らし、最後に大爆発を起こした。
ずどおぉごぉぉぉん………!!!
破壊された機体の残骸が、黒焦げとなりこの部屋に落っこちた。ブリオッシュはそれに見向きもせず、エレベーターに向かう。
………行くか。あの機体とかなりの激闘を…いや、激闘なのか………?だが、そうでなければこの後の奴との戦いが………あっ………。………待ってくれ………ペルピーニャ………今行く。はぁ………はぁ………
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luxen-jp · 10 months
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女優たちの誰そ彼(たそがれ)
『楽屋 ~流れ去るものはやがてなつかしき~』
本当に素晴らしい公演でした。
タイプの違う4人の「女優」が楽屋で吠えまくる。
プライド、怒り、諦め、悲しみ、報われない希望が交差する。
圧倒的な迫力、痺れました。鳥肌立ちました。
これを演じるのは20代の同級生、
それぞれノナカ、ミゾ、ジョニー、オサと呼び合っています。
集まればポテチを食べながら女子会が始まる普通の女の子。
普段はそれぞれの世界で活躍されています。
こんな小さい店でやってくれて、ありがとう!
るくぜんでは公演後にキャストと食事をしながらお話できる時間を用意しています。
今回のお品書きは「女優御膳」!
各女優の個性にちなんだ4種の炊き込みご飯とお重を作りました。
①女優A御膳…ノナカ
戦前の女優が、空襲で焼け死んだ幽霊
4人の役の中では最も年齢が高く、幅広い演技が求められます。
松茸の炊き込みご飯に紫の菊を散らしました。
お重には小茄子の塩漬け、葡萄、玉蒟蒻、紫キャベツのサラダ、黒豆、黒胡麻豆腐など
②女優B御膳…オサ
プロンプターの役に甘んじながら男に振り回され自殺した包帯だらけの幽霊。
女優Aと狂言回しを演じながらも、ビシッと締める姉御肌の役です。
季節の茸の炊き込みご飯にとびっこを散らしました。
お重にはカツオのタタキ、赤大根とタコのサラダ、金時豆、赤カブの酢漬け、苺、プチトマトなど
③女優C御膳…ミゾ
全てを犠牲にして主役に上り詰めた現役舞台女優。
その血みどろの独白が会場全体を揺さぶります。
栗と薩摩芋の炊き込みご飯は黄色い菊を散らしました。
お重では卵焼き、薩摩芋煮、銀杏、南瓜と胡桃のサラダ、数の子の松前漬け、うずらのカレー味玉など
④女優D御膳…ジョニー
女優Cに主役の交代を迫る、心を病んだ新人女優。
この世とあの世をまたぐ背筋が凍る異色の役です。
鯛の炊き込みご飯に柚子とおぼろ昆布を散らしました。
お重は白花豆、大根のレモン漬け、ポテトクリームチーズサラダ、鶏ささみの梅水晶、里芋とホタテの煮物、モッチャレラとラフランスの生ハム巻きなど。
また劇中で出てきた「ままかり」などもご用意しました。
岡山特産でサッパという鰊に似た青魚を酢漬けにしていただきます。。
「ママ(御飯)をカリ(借り)に行くほどおいしい」ということから「ままかり」と呼ばれるようになったとか。
劇中では女優Aがこの「ままかり」を食べて食中毒をおこして主役を取り損ねたエピソードが語られています。
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penn-of-auronrafts · 11 months
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『デルトラのベルト』七つの宝石 ⑦ラピスラズリ 前編
 「デルトラのベルト」の3つ目の石、ラピスラズリは、ほかの石と比べると全然作中に登場しないうえに説明も少なく、今までで一番やっかいな石です。
 一方、「デルトラのベルト」の宝石には、世間で言われるパワーストーンとしての効果や伝承にそった特徴と、作者の創作なのか、どこかにモチーフがあるのか、よく分からない特徴があります。そのなかでラピスラズリだけは、おおむねパワーストーンとしての特徴そのままに描かれています。その点では、そのままあてはめてみると、分かりやすい石でもありました。
ラピスラズリという石
 デルトラ・クエストを読むと、青い石ならサファイアもあるのに、なんでラピスラズリなのか?とちょっと思いませんか? デストラはやや語呂が悪いですが、ラピスラズリよりもサファイアのほうが希少なイメージもあります。
 ラピスラズリは、世の宝石のなかでも特に歴史が古く、人が認知し用いてきた鉱物として最古のものと言われ、世界最初のパワーストーンとされています。「宝石に力が宿る」という思想の元祖ともいえ、デルトラ・クエストには外せない石なんですね。
 そのため、ラピスラズリにまつわる伝承はかなり洗練されているというか、どの情報をあたってみても内容にぶれが少ない印象です。また、もともと中東で好まれた石だからか、洋の東西で共通する言い伝えも多いです。ちなみに、特に質が良いとされるのは、濃い青が均一なラピスラズリだそう。
ラピスラズリの象意…『神力の石』?『幸運』?
 今回はまず、ラピスラズリの象意から考えていきたいと思いますが、またもこの宝石には悩まされる点がありました。それは『神力の石』という二つ名と、『幸運』という象意が出て来たり出て来なかったりするからです。『神力の石』『幸運』の両方とも、ラピスラズリの一般的な伝承で言われる象意なのですが、「デルトラ・クエスト」内では、あいまいな描かれ方をしている……というかラピスラズリ自体の影が薄いです。
 『神力の石』は、シリーズ本編・外伝をつうじて、ラピスラズリの呼び名や象意として登場します。一方で、外伝の「デルトラ王国探検記」でのみ、ラピスラズリの象意は幸運と記されていますが、Ⅲ-2『影の門』に登場するラピスラズリの竜は、自分のなわばりのことを「幸運の領域」と呼んでいます。さらにラピスラズリの領域やその近くに住む人たちが、運を重視していることも、シリーズ本編・外伝の両方からわかります。
 ラピスラズリは『神力の石』なのか『幸運』なのか。結論としてはどちらも、なのですが、まずはひとつずつ見ていってみましょう。
『神力の石』ラピスラズリ
 神力の石は、原語だと「heavenly stone」という言葉です。heavenly stoneという言葉も、ラピスラズリの伝承通りですが、英語で言うheavenは、赤や橙の彼岸花咲く三途の川の岸辺で、先に死んだ人たちが手招きしてる……みたいな情景のことではなく、空の上の神様や天使がいる場所、神の国のことだと思います。それも八百万の神様ではなく、天におわす唯一の神でしょう。
 heavenlyは辞書どおりの訳だと、そもそも仏教での死後の世界は極楽ですから、『天国』はキリスト教文化由来の日本語です。ここでは、教会のステンドグラス(http://www.interior-joho.com/interview/detail.php?id=1312&page=2)を思い浮かべるのがぴったりだと思います。
 そういうわけで、heavenly stoneとは、神様あるいは神のような存在からの力をもたらす、天国とのつながりを開く石、というイメージを指すと思います。
 ラピスラズリがかくされていた『うごめく砂』は、見渡すかぎり殺風景で、生き物の姿もなく、天国にはほど遠い場所にも思えます。しかし、お金のために戦うリスメアを出て、戦いで得た財産を失っても大きな目的のため命を懸け、見えない力に引き寄せられるように何もない砂漠を進んだリーフたちは、俗欲にとらわれない神的な何かに一歩近づき、ラピスラズリを手に入れることができた、と言えるのかもしれません。
 Ⅰ-3『ネズミの街』のリアの声は、邪悪な魔力でしたが、Ⅰ-4『うごめく砂』では人知を超えた力(魔力?)から引き寄せられます。地中で何ものかがうごめく砂丘は、目に見える世界の向こう側を感じさせる場所でもあります。それはさらにいえば、デルトラには<大いなる力>のように、魔力の源となり、すべてを操る大きな存在がいるのかもしれません。デルトラの宝石に宿る魔力は大地で育まれたものであるため、うごめく砂のありさまは、デルトラの地中にひそむ見えない力のようでもあります。
神力の石、<大いなる力>の訳語について
 辞書だとheavenly stone=神力の石という単語は出てこないのですが、日本だとラピスラズリは基本的に神力の石と呼ばれているため、これは文意をふまえた翻訳だといえます。『デルトラ王国探検記』では天空の石と書かれており、こちらも間違いではないものの、ラピスラズリという石の背景やストーリーもふまえると、やはり神力の石のほうがしっくり来る訳だと感じます。
 また、Hevenly Stone/神力の石という言葉そのものは、ラピスラズリが中東生まれということもあり、東西どちらの言い伝えでもこの言葉が使われていますが、「デルトラ・クエスト」内では上記のような西洋風のイメージがよりオリジナルに近いのではないかと考えます。
 ところが、うごめく砂の<大いなる力>という言葉のほうは、英語だと「Hive」、つまりミツバチの巣、ミツバチの群れと呼ばれています。
 4巻『うごめく砂』のストーリーを振り返ると、女王バチのアップルドリンクのりんご畑、ミツバチの群れをしたがえる女王バチのような果樹園主の老婆、リスメアの人びととデル城の衛兵が大好きな女王バチのアップルドリンク。そして、うごめく砂のブーンという低い音、中心の死の塔に群れるミツバチ。塔のなかにいる女王バチのために、Hiveが砂漠から宝物を集めているのです。
 ここはそのままでも良かったような気もしますが、上に書いた『神力』などに含まれる言外のニュアンスは分かりにくいので、ミツバチの巣そのものが<大いなる力>であると、より分かりやすくされたのかもしれません。
幸運のお護り石 ラピスラズリ
 次に『幸運』の象意に関して。強力なお護りであるラピスラズリですが、英語だとタリスマンという言葉で表されています。Ⅰ-7巻で、いましめの谷の番人が「なんだお護り石か!」と言っていますが、あれもタリスマンと言っています。
 お守りをアミュレットと呼ぶこともあるけど、アミュレットは主に邪悪を寄せつけないためのお守り。タリスマンはどちらかというと、幸運を引き寄せるためのお守りです。タリスマンがあれば、神の大いなる力によって、幸運を呼び寄せることができるのです。
 メア族は全身にお守りをジャラジャラつけていますが、言ってみれば、ラピスラズリはそのお守りたちの親分みたいなもの。『デルトラの伝説』でアディンを見つけたメア族の長は、ラピスラズリを首につけていますが、あれが正しい使用法なんでしょうね。
 「デルトラ・クエスト」でのメア族たちのふるまいを見ていると、幸運って主観的なものにも見えますが、これはのちのち考えてみようと思います。
神力の石か、幸運の石か
 さて「デルトラ・クエスト」シリーズでは、文中で宝石の象意がたびたび並べ立てられています。
 特に「デルトラ・クエストⅠ」各巻のエンディングでは、誠実、幸福、希望、神力、名誉……といった調子で、それまで見つけた宝石をふりかえるように象意が地の文で繰り返されています。ラピスラズリは神力の石ですが、神力は日本語では造語じみた言葉ですから、他の宝石の象意と並べればおさまりが悪い気もします。
 しかも、原書で各巻のこのくだりを見ていってみると、Ⅰ-6巻で急に『luck』が登場します。でも、日本語版のⅠ-6巻では、ほかの巻と同様に訳語は『神力』のままなんですね。おまけに、6巻にラピスラズリは登場しません。なのになぜ、こんなことになっているのか?
 原書に関して言えば、英語のタリスマンであれば、いちいち書かなくても幸運の石という意味合いが伝わるんですかね。または、あえて暗喩で表現したかったからでしょうか。
 またⅠ-6巻にラピスラズリは登場しないのですが、夜間リバークイーン号が襲撃されても、ウミヘビだらけの川に投げ込まれたバルダや、暗闇で盗賊と戦ったリーフ��ジャスミンも一命をとりとめています。これはある意味ラッキーですし、お護り石ラピスラズリの力で守られたからなのかもしれません(「デルトラのベルト」の力は持ち主にしかおよばない説���は矛盾しますが)。
 日本語版のⅠ-6巻では、手違いという線を除けば、文中で説明するのは難しいし、そのままにしておくとかえって混乱を招きかねないので、『神力』で統一したとも考えられます。
 というわけで、神力の石で、幸運の象徴でもあるのがラピスラズリ。幸運は隠された象意として、作中に存在していると見ることができるかなと思います。
オパールとラピスラズリのつながり
 『デルトラのベルト』のオパールとラピスラズリには、特別なつながりがあるとされています。
 ここまでおおむね伝承どおりのラピスラズリでしたが、この設定だけは世の中に見当たりません。
 今のところ、これは作者の創作設定なのではないかと思っていますが、ラピスラズリを中心に物語を読み進めているうちに、Ⅰ-3『ネズミの街』とⅠ-4『うごめく砂』の2つの巻にもつながりがあるのでは?と思うようになってきました。
リスメアとヒラはコインの裏表
 Ⅰ-3巻『ネズミの街』でのバルダは、トムのランタンを勝手に触っちゃうなんてポカがありましたが、自由に動こうとするジャスミンとリーフのフォローアップに回っていますし、トムとのマドレットの取引やチュルナイでのトラブル対応も代表しています。しかしⅠ-4巻『うごめく砂』ではジョーカーに負け、さらに『レジスタンス』に勧誘されます。これは、バルダがジョーカーの配下につき、リーフとジャスミンも、ジョーカーの指示のもとにおかれるという意味を持ちます。最終的にはバルダが勧誘を断り、リーフとジャスミンもバルダ側についたので、バルダが一行の保護者的立場を失うことはありませんでしたが、バルダにとっては立場を失いかねない場面でした。
 リーフは、チュルナイでティラを救った優しさが裏目に出て、リスメア競技大会でネリダに負けてしまいます。トムの店で強欲なトムにドン引きしていたジャスミンは、リスメア優勝大会で優勝したけど、血を見る戦いに我を忘れてしまいました。
 ヒラとリスメアという、ふたつの街も対照的です。
 いかにも豪勢に格式張っていて、しきたりが厳しそうなヒラと、人間の欲とずるさがあらわではあるものの、自由なリスメア。影の大王にネズミを送り込まれて滅亡してしまったヒラと、なんだかんだいって、影の大王の支配下でも潰されなかったリスメア。
 平原族とメア族は古くからライバル関係にありました。両者は、切っても切れないくされ縁というか、光と影、カードやコインの表と裏みたいに、表裏一体なものなのかもしれません。どちらかの街での正義は、もう一方での正義ではないし、どちらかが沈めばどちらかが浮かぶ、というつながりが、オパールとラピスラズリだけでなく、ふたつの街や部族のあいたにはあるのかもしれません。
運だのみは神だのみ 見えない希望と見えない神の力
 ラピスラズリは神力の石ですが、オパールは、未来を見せる石です。Ⅰ-4巻『うごめく砂』の冒頭で、オパールが見せたうごめく砂での未来があるから、リーフたちは危険なリスメア競技大会に賭けられた部分もあったと思います。途中退場が難しい大会システムのため、リーフたちは仕方なく参加せざるを得なくなりましたが、この大会で死んだり、動けなくなったりするほどの致命傷を負ったりしないことも分かっていました。
 ただしふつうは、未来に何が起こるかはわからないものです。リーフたちは、オパールで未来が見えたから、自分たちを信じられたのですが、そうでなければ未来などわからないまま。失敗するリスクを背負い、本当にあるか分からない成功を信じて困難に挑戦するには、なんらかの強い意思が必要です。
 『うごめく砂』での見えない力の導きは、「デルトラ・クエストⅠ」の旅における、運命(distiny,fate)に導かれているというリーフの感覚を裏づけるといえます。
 何者かに導かれているという想像は、自分たちの歩む道はどこかにつながっていると信じることであり、苦難においても自分を保つ力のひとつになりえます。本当に導かれているかどうかはさておき、人に困難を乗り越えさせる力にはなるはずです。
 見えない未来を信じることは、祈りに似たものだと思います。讃美歌などを引き合いに出してもよさそうですが、たとえばアメリカンロックの「Livin’ On A Prayer」は、ミュージシャンを目指す男とそれを支えるガールフレンドが、苦境に立たされながらも夢を信じる……という歌詞で、prayerとは祈りの言葉のことですが、同時に強い希望という意味もあります。
 この歌のカップルは、見えざる神の力を信じ、成功を神に祈っているのです。貧困や不運に心折れそうでも、成功への確証が見えなくても、正しい道を進んでいる最中だと信じて希望を持つことで、夢を追いかけつづけられるし、その希望こそが心のよりどころになるのです。
だから神力とは、宗教的な信心に限らず普遍的な言い方をすると、その人なりの信念や、自分や仲間を信じる強い心を持つということでもあるのではないでしょうか。
 Ⅰ-3巻の終盤では、リーフ、バルダ、ジャスミンがネズミの街に乗り込む前に旅の目的を再確認し合いますが、このとき3人が考えた「デルトラのベルトの宝石を取り戻すのは国王のためではなく、自分とその周囲のためである」という信念は、シリーズの終わりまで貫かれます。たとえ困難な旅であっても、それは自分のためであり、他の人のためにもなると信じて強い信念に変えることで、実現のための行動をつづけていけるのです。
 運を天に任せて、不安定な未来を信じるからこそ、希望が生まれます。そしてまた、希望が未来を信じる原動力になるし、転がりこんできた運をモノにでき、また希望が持てる……それも希望と神力・幸運のつながりなのだと思います。
出典-------------------------------------------------------
エミリー・ロッダ著、岡田好惠訳、「デルトラ・クエスト 4 うごめく砂」、岩崎書店、2002年
エミリー・ロッダ著、上原梓訳、「デルトラ・クエストⅢ 2 影の門」、岩崎書店、2005年
エミリー・ロッダ著、神戸万知訳、「デルトラの伝説」、岩崎書店、2006年
エミリー・ロッダ著、神戸万知訳、「デルトラ王国探検記」、岩崎書店、2009年
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satoshiimamura · 1 year
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普遍性なき真実
龍と誠葉の契
4月馬鹿企画テーマ「立場逆転」
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「ひとつ願いが叶うのなら」
僧侶姿の彼はハボダの眼前に近づき、にこやかに問いかける
「貴殿が求めるそれは、例え魔法使いだとしても強欲が過ぎる願いではござらんか?」
人懐こい笑みで、それでいてハボダが立つのもやっとな殺意を振り撒く僧が、人間ではなく龍であるのは自明の理であった
(一)
 発端は、前線に近い集落まるごとが消え失せた報告が人龍連合に届けられたところからだった。確かに集落があった場所に、何の痕跡もなく全てが消え失せているとなれば、例え誠葉を用いたとしても異常である。
 そして、なぜだかトラブル収束名人として名高い(不本意)ハボダが、その調査員として派遣されたのだ。何だって自分が、とハボダは文句を言おうとした。が、しばらく1人行動だから静かだぞ、と上の人間が爆発音を背後に告げたら、もう頷くしかなかった。先日、胃薬を受け取りに行って、あまりの顔色の悪さに睡眠薬を盛られた彼に必要なのは、静寂と平穏だったのだ。
 そんな経緯で集落跡地にやってきたハボダを出迎えたのは、1人の僧侶であった。彼は人懐こい笑みで、ここに尋ね人がいたのだと説明する。こんな前線で、と怪訝な顔をしたハボダだったが、僧侶の手に握られていたのは、誰かの遺品であった。
「弔いを頼まれましたので」
 僧侶の言葉に嘘は無いようだった。
「拙僧、名を玲瓏と申します。天の星を知るために、旅をしている僧侶です。貴殿は、その身なりからして遠い西の方と見えますが」
「西方の民を知っているのか」
「以前に彼の地へ近づいたことが。とは言え、乾期であったため商人に止められました。せめて雨季に向かうべきだと」
「賢明な助言だ」
 西方の乾燥地帯を嫌というほど知っているハボダは、確かにこの僧侶が故郷間際まで来ていたのだと信じた。
「玲瓏殿、確かに俺は西方出身だ。名をハボダと言うのだが、今は人龍連合の一員として晦冥とも名乗っている。どちらでも好きなように呼んでくれ」
 この地域ではあまり馴染みのない握手をハボダが求めれば、すんなりと玲瓏はそれに対応する。
「では、ハボダ殿とお呼びしましょう」
 それで互いに挨拶は終わった。
(二)
「しかし、人龍連合のハボダ殿がここにいるということは、何かしら龍がこに集落を消したということでしょうか」
 玲瓏からの問いかけ。ハボダはその問いにわからないと言って、首を横に振る。
「その調査員として俺が派遣されたのだ。……例え龍がその力を振るったと���ても、こうも跡を消していくのは珍しい。そもそも、前線に近いとは言えここを襲う理由がわからない」
「ここは戦線においての物資補給所、ではなかったと?」
「ああ」
 そこでハボダは玲瓏に、この集落が実は舞を奉納するための舞台があり、その舞台を維持する人々しか住んでいなかったのだと説明した。
「このような戦禍の最中、それでも舞を途絶えさせないと抗っていたのですか」
「それなりに名のある神事でもあったからな。宣言前は、祭りの日は人だらけだった」
 舞い散る春の花、霞のように桃色が視界を覆い、風の姿を写しとる。その中心で一糸乱れぬ舞を踊る女人たちの姿は、荘厳の一言で表せられないものであった。
 ハボダはかつて見た一幕を思い出し、その記憶の一片たりとも重ならない光景に、悲しみ覚えた。一体、この場で何が起きたのだろうか。
「ふむ、なるほど……ハボダ殿。その調査、拙僧も手伝わせていただけませんか?」
 玲瓏の提案に、ハボダはタダビトを巻き込むわけにはいかないと断ろうとした。が、続く彼の言葉に躊躇いが生まれる。
「この遺品は羽衣です。きっと舞に奉仕する女人の物だったのでしょう」
 彼は、と玲瓏が一区切りつける
「最後まで、この衣を手放しませんでした。そして、この地にて供養を頼むとも言われました。拙僧は、何もないこの地を見て困り果てておりましたが、これも何かの縁。ハボダ殿の調査に同行すれば、供養の道も開けます」
 玲瓏の言葉は至極真っ当に思えた。
「……そこまで言うのなら、許可しましょう。ですが、危険なので俺の指示には従って貰います」
「構いませぬ。拙僧は弔いさえできれば何も望みません」
 その純粋な言葉に、他の魔法使いもこうならいいのにと、ハボダは泣きそうになったし、胃痛は和らいだ。
(三)
 何から調査をするのか、と玲瓏から問われた時、ハボダは土を調べると答えた。というよりも、初めてこの地にやってきた時に、彼は奇妙だと思ったのだ。
「痕跡がなくなった、集落がなくなった。この情報に含まれているのは、建物があって人がいなくなったと状態かと思ったのだが」
「実際は建物全てが消え失せていますなぁ」
「ああ、しかも倒壊とかの形跡もなし。ただただ、地面の上の物全てが消え失せている」
「だから地面を調べるのですか」
「そういう事だ」
 ざり、とハボダが足元を撫でれば、変わり映えのない土が指先に着く。数度撫でて砂を退かせば、堅い大地が顕になった。が、やはりおかしいと彼は思う。
「玲瓏殿、できる限り砂を退けてください。なるべく広範囲でお願いします」
「目的は分かりませぬが、砂を退かすのですな?」
 大きめの枝葉を幾つか探して来ましょう、と集落より離れたところに向かい、暫くすると枝葉の束を2つ、玲瓏は手にしていた。
「簡易の箒です。作業はこちらの方が捗るかと」
 ハボダにも手渡された道具が、あっという間に砂を動かしていく。そして、結論が出た。
「ありえないことだが、建物の土台や支柱の跡すら遺されていないようだ」
 顕になった大地には僅かな窪みはあれど、そこに人工物があった跡はない。全て、一様に、変化することなく、全く同じ状態の地面が広がっていた。
「足跡一つ、生活の痕跡一つ、そして火や水の跡すら残していない。異常だ」
「異常というよりも、化かされている気になってきましたな」
 ハボダの出した結論に、玲瓏もまた同意する。が少しばかりユーモアも混ざった言い回しになっていた。
「周囲から見れば奇妙な空白地ですから、場所を間違えた訳ではありますまい。が、その空白に何の痕跡もないとはいやはやこれは」
 一体、どのような魔法なのでしょうか、と玲瓏がハボダに尋ねた。が、ハボダは答えられない。正確には、己の持つ属性や魔法の規模が大きければ可能かもしれないが、それを可能とする龍は滅多にいないという事だ。
 ハボダの契約龍からの情報なので嘘ではない。そして、契約龍はこの件には関わっていない。なぜなら、契約龍はこの規模の誠葉をウタえば、間違いなくもっと甚大な被害を出すし、制御をする概念を持たない。人がいた集落だけが消え失せさせた器用さが、あの龍にはないのだ。
 だからこそ、ハボダは頭を悩ませる。間違いなく龍だ。だが、龍がなぜそんな面倒なことをしたのだ?
「ハボダ殿?ハボダどのー?」
 何回か耳元で玲瓏がハボダの名を呼ぶ。1人考え事をしていたハボダはハッとなって、玲瓏に謝罪した。が、僧侶はケラケラと笑って「ハボダ殿は真面目でございますなぁ」と気にした風でもなく次の話題を出す。
「ハボダ殿は龍の仕業と疑っておりますか」
「ああ」
「では、龍がこれを行う理由があったのですな」
 その玲瓏の言葉に頷こうとしたが、ハボダは思いとどまる。龍と人間は違う価値観で動いている。呼吸と同義で、天災を振り撒く龍もいるにはいるのだ。全てを人間基準で考える訳にはいかないのを、彼は伝えることにした
「龍の価値観……でございますか」
「人には人の、龍には龍の道理がある。確かに龍にとって必要なことだったのかもしれないが、それを俺たち人間が理解できるとは」
 思えない、と続くはずの言葉を玲瓏が止めた。
「ハボダ殿は思い切りが良すぎるようですな」
 人も龍も、生きているという点は変わりませぬ。感情があるのは否定できませぬ。そう、訥々と語る僧侶の言葉をハボダは黙って聞く。
「ですから、龍がここに何を求めたのかから考えませんか?」
 それこそ分からん代表だと、なぜかハボダは言い返せなかった。
「まずハボダ殿にお尋ねしたいのは、なぜ舞が奉納されるようになったのでしょうか。奉納ということは、納める相手がいたはずです」
 その指摘にハボダは、かつて見た神事の発祥を記憶から引き摺り出す
「桃源郷に住む貴人……への奉納だと聞く」
「桃源郷?」
「天上人が暮らす極楽、らしい」
その答えに玲瓏は「異界ですな」と呟いた。
「異界?」
「そうでございまする。こことは違う場所、こことは異なる場所。天国、地獄、あるいは川の向こう、山の向こう、海の向こうにある隔絶された場所。もしくは龍が住む人から離れた地」
「……まさか」
 舞は隔絶した場所に住む龍に奉納する儀式であったのか、とハボダは驚愕した。
「龍が御伽話の存在となっても、龍にまつわる伝承は各地に多く残っております。また、ハボダ殿も承知でしょうが、龍は人の形になれましょう?ならば」
「龍が自らの身を隠して、人と交流してたのか」
「神事として残されたのならば、きっと何か契約をされたのかもしれません。その代価として、舞の奉納が続けられていた。……契約内容を推察できる何かを、ハボダ殿は知っておりますか?」
 質問を受け取る前から、ハボダの脳内はずっと回り続けていた。何だ、何だ、契約内容は一体何だったのだ。
「祭の名は」
 唐突に玲瓏が言った。その言葉にハボダの脳内に閃くものがある
「桜姫懐古祭……懐古!?」
 舞踊る女人たちの姿、朗々と紡がれる祝詞、そして極め付けは
「桜姫という役は、まさか……」
 舞を踊る女性たちの中でも、一際着飾った女性がいる。それを神事では桜姫役と呼び、舞台の中央で1人特別な舞を踊るのだ。それは栄誉なことであり、桜姫役はその年に結婚できるという伝説まであった。
 桜の精だの、春の精だの、散々憶測混じりの蘊蓄を酔っ払いたちが口にしていたが、真実は違う。これは人間の女性と龍の恋愛譚なのだ。
 幾年も幾年も、繰り返し繰り返し、龍に見せるための舞であり、龍に魅せるための奉納であったのだ。そして懐古祭の名の通り、結ばれた契約は龍の慰撫。愛した女性を忘れさせないための契約。そういう時に龍が与える寵愛は、愛した存在が住まう土地の守護が多いのをハボダは知っていた。
「……舞を奉納しなかったから、なのか?」
「……」
「この情勢下で舞を踊れなかっただけで、許せなかったのか!?」
 ハボダの口調が荒くなる。声が張り、わなわなと腕を震わし、視線が険しくなる。怒りが彼を支配した。
「彼らは忘れてはいなかった。彼らは舞を大切に思っていた。今は舞えないかもしれないが、それでも消していい理由ではなかった!」
「ハボダ殿、落ち着いてくださいませ。何も、その舞の奉納相手がここを消したとは限りませぬ」
「だが、龍以外に誰ができると言うのだ!?」
「龍には龍の道理があるとおっしゃったのは、ハボダ殿でございましょう? それに今は戦時中です。龍も十分にそれを分かっておりますよ」
「なぜ言い切れる」
 今度は逆にハボダが玲瓏を問い詰めた。
 龍の動機が分かった。神事の意味も理解した。そこから導き出される答えは、散々を繰り返された悲劇でしかない。だが、
「ここを守護する龍は、龍王には従わなかった。ハボダ殿の契約龍や人龍連合におりまする龍たちと同様、人に寄り添う立場でありました」
 玲瓏の言葉に、ハボダは頭に上っていた血が下がるのを自覚した。
 そして、今目の前にいる僧侶の言葉に、違和感をようやく抱く。
「玲瓏殿は……なぜそれを」
 口にしたのは悪手であったはずだ。何の防御策も打たずに、問いかけるなど普段のハボダならしない。にも関わらず、ハボダはまだ信じられないでいた。人懐こそうなこの少年顔の僧侶が、龍であることを信じられなかった。
 いや、今の今まで気づかないほどに、彼は人の気配しかせず、言動に悪意もなく、人とそうずれたわけでもない感性で持ってハボダと会話を成り立たせていたのだ。それを龍が可能とするには、長く人と共にいなければならない。
「……彼は、人の寿命というものをちゃんと理解しておりました。いずれ消えゆ命、龍とは違う時間の歩み。それでも、僅かな時間を共にいられるだけで良かったと言っておりました」
 ハボダの質問の意図とは異なる答えを玲瓏は紡ぎ始める。そこにあるのは、人と変わらぬ愛しいものへの慈愛であった。
「むしろ足掻こうとしたのは、人である彼女であった思います。あの日、彼が一目惚れした舞をずっとずっと見ていられるように、彼女の舞を受け継がせようと晩年まで躍起になって指導していたそうですから」
 とは言え桜舞い散る中で踊る彼女は、老いてなお美しかったそうですよ、と玲瓏は茶化す。
「かの龍の名が忘れられ、桃源郷の貴人となっても。あの一途な女人の存在が忘れられ、桜や春の精となっても。人々の生活溶け込み、神事となり、祭りとして賑わう中で、あの日の舞が延々と続くその光景は、拙僧からしても美しいものです」
 ですから、龍王の宣言を龍は受け入れず、人を守ろうとしました。
「玲瓏殿は……ここを守護する龍と」
「人にとっては長い付き合いなのでしょうな。あんなにも空を飛び回り、大地が狭いと言っていた彼が、こんな小さな土地の、こんなにも小さな命に全てを捧げる姿は」
「姿は」
「あはれ、でございました」
 その言葉にハボダは絶望的なまでの差を実感する。
(四)
 玲瓏の言葉に、説明に、始まりを知ったハボダは、ふとした違和感を覚えた。
 集落の守護をしていた龍、そして消えた集落、跡形もなく広がる場所とその場に来たおそらく龍の玲瓏。長い話と歴史に逸らされそうになったが『根本的な部分が何一つ解明されていない』点が気になった。
 今度は警戒心を持って、ハボダは尋ねる
「玲瓏殿」
「何ですかな」
「貴殿は弔いたいと言っていた。そして、この地を無くしたのは守護する龍とは限らないとも言った。では、ここは一体どこの龍によって全てを消されたと考えるべきか」
 その瞬間、玲瓏の気配が変わる。
「うむむ、ハボダ殿は流されてはくれませんでしたか。人というよりも魔法使いとしては、大層な人情家をお見受けしたので、これで流されてくれるかと思ったのですが」
 意外と論理的なお方だ、と言って玲瓏はそれまでの柔和な雰囲気をかなぐり捨てた。そこにいるのは、間違えようもなく龍だ。
「改めまして、ハボダ殿。拙僧は玲瓏。時に金緑とも称される龍でござます。これでも龍王軍の一員なれば、この地を守護する龍の説得要員でございました」
編笠を被り、袈裟を纏う少年は、尋常ではない生命力の気配を纏い、ハボダの前に対峙する
「その説得が功を為さず、結果貴殿がこの地を滅ぼしたのか!」
震える声を精神力で正し、ハボダは玲瓏を問い詰める。いつでも誠葉を放てるように距離を取ろうとしたが、それでも身体は恐怖で鈍くしか動かなかった
「拙僧はこの地を消してなどおりませぬ」
「では誰が」
「そも、ここは消えてはおらぬのです」
 何をふざけたことを、と思ったハボダだが、玲瓏は何かしらの誠葉を口にする。ハボダはその瞬間、自らも誠葉を唱え、かの僧侶へと攻撃をした。が、そこで奇妙なことに、誠葉が共に事象を成す前に消えたのだ。
「これはッ」
「先に告げた通り、桃源郷という異界と化した場所に彼は長らくおりました。それが彼の力、彼の誠葉。拙僧相手では、それしか道が残されていない悟ったのでしょう」
 つまりは神隠しですな、の説明にハボダは「馬鹿な」と言いたくなった。
「いやはや、実はちょっと拙僧も困っておりました。龍王軍としてはここの龍には退いて貰わねばならぬのですが、拙僧とは相性が悪く、こうして閉じ籠もってしまうと手出しができぬのです」
 ですが、と嫌な笑いを浮かべて玲瓏はハボダを見る。
「ハボダ殿の力は、ここの龍にとっては最悪な属性でして」
「そんなことを言って、俺が貴殿に協力するとでも思っているのか!?龍王軍に味方するほど落ちぶれてはいないぞ」
 啖呵を切ってハボダが言い返しても、玲瓏は特に応えた様子は見せない。
「ですが、異界に囚われた人は助けられましょう」
 玲瓏の一言にハボダは息を呑む。
「龍の作り出す異界は、龍のためのもの。そこに人間への配慮はあまり為されませぬ。まぁ珍しく人への配慮がある龍なのですが、そもそも拙僧らとは根本的な体の違いがあります故、不具合はありましょう。長くいればいるほど、常人には耐えられないものかと」
「だが、」
「ここの地にいた人々は既に守護の龍の存在を忘れていたのでしょう?いくら彼らを守るためとは言え、龍王の宣言の後に出会う龍となれば、恐怖で精神を摩耗するものも出ておかしくはない」
「それでも、お前たち龍王軍がタダビトを逃すとは」
「では約束をしましょう」
 この地に住まう人々は見逃そう、と玲瓏は告げる。
「守護した龍は」
「龍王に楯突いた時点で、末路は決まっておりまする。流石に彼は見逃せませぬ」
「見捨てろと?」
「全てを見捨てるか、龍見捨てるかの2択でござろう」
 全てを失うよりかは、よほど良いのではないか?の提案のハボダは揺れる。
「それとも、今のこの場でハボダ殿が拙僧を倒して大団円を目指しますかな?まぁ、貴殿の力は少々厄介ですが、それでも器は人間ですからなぁ」
 玲瓏の指摘通りであった。ハボダの属性は陰陽五行の中でも珍しい、陰属性だ。稀有であるし、その中でも攻撃力は高い。が、玲瓏の存在そのものが次元が違う。
「ハボダ殿の意見を拙僧は尊重しましょう。ここの集落の人々を助けて龍を見殺しにするか、龍の願いを聞き遂げて集落の人々を見捨てるか、その命を捨てて美談ぽく終わらせるか」
どう致しましょうか?の言葉に、ハボダは苦悩する。
「俺は」
「ハボダ殿は?さぁさぁ、どうしましょうか」
『そこまでにしてもらおうか、金緑』
 唐突に第三者の声が割って入った。ハボダは周囲を見回すも、声の主は見えない。だが、玲瓏は驚くこともなく「遅かったでございますな、東風殿」と曰う。
 その呼びかけに応えたのか、ハボダの背に龍が現れた。
『相変わらずの悪趣味さに反吐が出る』
「東風殿に言われたくないでございます。かつての戦いにおいて貴殿との策謀談議、どれだけ拙僧らが苦い思いをしたか」
『そのまま返すぞ』
 ぽんぽんと気兼ねなく交わされる会話に、ハボダは目を白黒させる。
 東風と呼ばれた龍は彼に『すまなかった』と言った。
『玲瓏は始めから、貴殿を利用しようとしていた。いずれ私が玲瓏の前に出なければならないように、貴殿に無茶な要求を突きつけたのだ』
「東風殿は人間に大層な情がおありですからね。例え見知らぬ魔法使いと言えども、あの選択を迷う時点でハボダ殿はこの龍の守護対象になりえましょう」
 2頭の龍からの説明で、無意味な選択肢を突きつけられていたのをハボダは実感する。始めから一人相撲だったのかと、ハボダは玲瓏を睨んだ。が玲瓏は特に気にした様子はない。
「さて、東風殿。覚悟がお決まりかと思いますが、拙僧と共に」
「ちょっと待て」
「龍王軍まで」
「だから待てと」
「ご同行を」
「聞け、この陰険龍!」
「酷いでございます、ハボダ殿!拙僧、これでも龍の中では陽気な部類でございますよ!!」
『嘘つけ腹黒龍』
 散々と玲瓏と東風の会話を邪魔し続けたハボダは、ようやっとこちらを見てくれたことに安堵する。対し、玲瓏は頬を膨らませ、いかにも怒っていますと顔に出していた。
 それを呆れた表情で眺めるのは龍なので、いまいち締まりがない。
「もう、ハボダ殿はまだ何か言いたいことがあるのですか!?ちゃんと拙僧、約束は守りますぞ。東風殿も、そこは拙僧を信じているからこそ出てきてくれたのでしょう!?」
『いや、余計なことをこれ以上出さないようにだが?お前との約束はハボダ殿を人質に取るつもりだった』
「信頼ゼロでしたか」
「いや待て、俺を人質に取るとはどういうことだ?」
『うむ、貴殿の命を奪わない代わりに、こちらの民の命を人龍連合に保護させようと』
「俺はあなたを庇ったのだが?」
『違う。金緑は初めから人流連合の一員である貴殿の命を奪おうとはしていなかった。その力の価値を認めていたからだ』
「東風殿」
 そこで初めて玲瓏が焦った表情を浮かべる。対し東風は余裕そうで、ハボダに説明した。
『金緑の口約束など端から信用などしておらん。だが、こいつはわざわざ貴殿に選択肢を与えた。人龍連合の魔法使いにそれを提示した意味を考えれば、簡単だ。金緑は貴殿に負い目を負わせたかったのだろう』
 そして、と続く言葉は意外なものだった。
『問答を聞いている限り、貴殿はかなりの人情家。貴殿ならば見殺しにした龍の願いを叶えようと足掻くかもしれないし、結果金緑が求めるものを差し出すかもしれない。それは業腹だったので、私が貴殿に無理難題を押し付ける形にしたかったのだ』
(五)
 ハボダは混乱していた。
 消えた集落、おそらく龍に捧げられた舞の奉納、龍王軍と敵対した龍、その龍を排除しに来た龍、玲瓏にとって有益な力を持つハボダの価値。それぞれが、それぞれの立場で話を引っ掻き回し、筋道を見えなくしている。
 何が正しいのか、何を目的としているのか、それが見えない。ならば、とハボダは深呼吸を一つ吐く。深く長く吐き続け、緊張を解き、思考をクリアにし、そして自身の目的を思い出す。
名はハボダ
人龍連合の魔法使い
消えた集落の謎を解き明かし、可能な限り人々を助ける
 それだけだ。それが彼の芯であったのだ
 ハボダの前では、玲瓏が東風に余計なことをと悪態をついている。だが、先程のよう焦りは見受けられない。ならば、まだかの龍の狙いからは離れていないのだ。だからハボダは確認しなければならなかった。確認のために、彼は自分自身へ向けて誠葉を解き放った。
(六)
 ハボダの誠葉を止めたのは、玲瓏だけだった。東風は止めず、玲瓏だけが焦ったようにハボダが紡いだ誠葉の被害を食い止めたのだった。それが三者共に理解した時、次にハボダの命を狙ったのは東風であった。またもや玲瓏が止める。確かに、玲瓏にとってハボダが人質として効くようだった。
「ああもう、厄介なことをしてくれましたな!」
 苛立ち混じりにハボダを抱えて玲瓏は飛び回る。飛び回りながらも東風からの攻撃を全て変化し、無力化させていた。
「それもこれも、ハボダ殿がせっかくまとまりかけてた話に横槍を入れたからですぞ!ああ、あの時無視しておけば」
「そう、それだ」
「どれですか!」
「あの時、俺に与えられた選択肢は龍を見捨てるか、人間を見捨てるかだった。だが結局は龍を見殺しにする道に誘導された」
 抱えられながらも、ハボダは1つ1つを丁寧に考え始める。
「ハボダ殿は割とピンチかと思うのですが、それでも考えるのですか!?」
 ああ、と頷いたハボダは舌を噛まないよう注意しながらも喋り始めた。
「玲瓏殿の目的は、この地を守る龍の排除。ただ、これまでの様子からして、貴殿は攻撃されなければ相手を攻撃できない縛りがある。あの東風と呼ばれる龍は、それに気づいて篭城戦へと切り替えた」
「対し東風と呼ばれる龍の目的は、この地の守備。集落の人間は発狂するかもしれないが、籠城戦をすればこの大地は守れる。つまり、両者とも狙いは土地であり、人間ではなかった」
「…………」
 ハボダの説明に、玲瓏は何も言わない。
「そこにやって来たのが、俺だ。当初玲瓏殿は俺の力を使って、籠城戦の要である異界を壊そうとした。だが、ここで奇妙なことに土地の守護を放棄して東風は集落の人間の保護のために姿を現した。彼の説明だと、俺を使えば集落の人間が助かると思ったからだ」
 しかしこれはおかしい、とハボダは思う。始めから龍たちは人間の命は度外視していた。ハボダの登場で、なぜ人間の命を天秤に乗せたのかが分からない。
 しかし、玲瓏が何らかの狙いでハボダの命を守る動きをしている点を加味すれば、何となくこうではないかと仮説が浮かぶ。
「ただ一つの目的ではなく、優先順位があったはずだ。俺という異端がやって来たことで、当初の目的の優先順位が両者の中で入れ替わったのかもしれない。そこで俺を使うために、双方が人間の命を駆け引きに利用し始めた」
「たかがッ魔法使い1人の価値は重くないですよッ」
 ハボダの言葉を否定する玲瓏だが、その顔の余裕はどんどんと剥がれていく。
「では、二頭の龍の狙いは何か。この土地に何があり、何故ここに両者共固執するのか。俺の力を使うと守護が壊れるのは確か。そして、この土地を欲しがる玲瓏殿にも不具合が生まれる」
 さらにハボダは己の考えを述べていく。
「ここまで考えたとき、そもそも本当に舞の神事は龍の為に行われたのだろうか?という疑問が生まれた。確かに人と龍の交流があったのは事実だろうが、玲瓏殿は舞を踊る女人に一目惚れした龍が彼だった、と。龍のための奉納ではない、龍以外への奉納だ」
 ならば始めから玲瓏は���ボダを騙していたのだ。いや、事実の一部だけを教えて、誤解するように誘導していた。そのために、東風は業腹と言い放ったのだ。
「だが、両者ともに俺に真実を教える訳にはいかない事情もあった。俺が人龍連合に所属しているからだ」
「ハボダ殿、まだ話は続きますかな」
「ああ」
「拙僧、そろそろハボダ殿を庇いきれなくなりそうなのですが」
「嘘だな、何が何でも俺を生かしたいはずだ。陰属性……というよりも、俺が使う重力の誠葉は天の星に関わる」
 その瞬間、玲瓏から表情が消える。
「玲瓏殿はその身を隠しながらも、天の星を求めると言った。東風殿は空を飛んでいたにも関わらず、大地に降りた。そして、春の訪れ、桜の開花に合わせる舞から考えれば、ここで行われていた神事は豊穣祈願。田畑のない土地に固執するとなれば」
 ハボダは誠葉を紡いだが、玲瓏や東風に向けていない。
 真っ黒な球体が地面を抉った。
 誠葉は今度は転移もせずに発動し、大地を抉り、巨大な穴が開くとその下に隠れていたものを顕にする。
 玲瓏は無表情に、東風は焦りを滲ませて、ハボダを睨んだ。
 だが、ハボダの視線は巨大な穴に注がれている。そこにあったのは広々とした空間。
「人には見せたくないもの、龍が奪い合うもの、正確な暦に関係するもの、重力の誠葉で価値が変わるもの」
 もう一度ハボダが誠葉を紡ぐが、東風が止めようとし、玲瓏の誠葉が予想外の現象を引き起こす。結果、その穴の中に記されたものが照らされた
「俺は正確に理解できないが、価値は知っている」
「これは星々の動きを記録し、計算し、予測された結果生み出された『数式』と『公理』だ」
(七)
 ハボダが魔法使いとなったとき、契約龍から聞かされたのは重力というものの可能性だった。
 重さ、質量、体積くらいまでなら分かるのだが、引力や力の釣り合い、果ては光の歪みに時間の伸び縮みなど、到底ハボダには理解できるものではなかった。
 だが、契約龍自身もよく理解できていないらしい。本能でかの龍は身体に刻み込まれているため、特に苦も無く誠葉を紡げるようだった。だからこそ、人間であるハボダには無理だろうという前提で与太話として教えていた。「やろうと思えば星を降らせることも可能だ」と。
 そんな馬鹿なとハボダは否定したが、契約龍は時代が時代ならやれたと豪語する。かの龍は人と龍が別れた頃に誕生した龍だ。存分にその力を振る舞うことはできなかったが、それでも独りで宙を目指したこともあったらしい。
「月に行きたかったが、生憎と誠葉が紡げなくなった。上は音のない場所だったんだ」
 ハボダにとって契約龍の話は、そんな場所があるのかと好奇心が育つよりも、奇怪な御伽噺を聞かされた感覚が強い。
「なら、誠葉が届かない場所に浮かぶ星を落とすことなどできないだろう?」
「星は自らの力で位置を決めるのではなく、蜘蛛の巣のように互いを引っ張るらしい。だから綱引きのように」
 引き込む力を強くすれば、星を落とせるのだ。と酔っ払いの戯言みたいなノリで教えられたのだ。
「だが、それにはどれだけの力が必要なのか確認せねばならない。人間は星を観察して、数で力を表しているとの噂だ」
「数式というやつだな」
「そうだ。誠葉は音として消えてしまうが、数式があれば」
 星が落とせる日も来るかもな、と契約龍は上機嫌に教えたのだ。
 もっとも、ハボダという魔法使いには到底できない力の使い方であったし、契約龍も龍王の宣言に反発していたからこそ今は人龍連合に身を寄せている。両者ともに本気で星を落とすつもりはなかった。
が、まさかである。
(八)
「秘匿されるべき数式と、俺の扱う誠葉への関与。あの契約龍の与太話かと思っていたが、まさか本気で星を落とす式があるかもしれない、などと誰が思うか」
 玲瓏に抱えられたままのハボダの呟きに、今度こそ二頭の龍は沈黙した。
「龍王軍はこの式が欲しく、ここの守護者なら秘匿したい」
 まさにハボダの存在がイレギュラーだったのだ。龍同士の膠着が、龍に対抗できるかもしれない方法を血眼になって探している連合の魔法使いに見つかった。しかも、鍵となる属性持ちだ。
 玲瓏はこの場とハボダが欲しい。東風は例えこの場は放棄してもハボダだけは玲瓏に渡してはならない。
 その思惑が今に至る。これで、ハボダはようやく龍に一矢報いる手段がわかった。
「なるほど、貴殿たちが生み出す策略に泣いたものが多いのも納得だ」
 ハボダの腹の底から沸々と湧き上がる感情は怒り。せっかくの静かで平穏な調査任務。なのに!なのにである!!
「は、ハボダ殿?何を考えているのですか?」
 玲瓏が恐る恐るハボダの顔を窺う。東風もまた、怪訝な顔で魔法使いを見つめた。
「やっっっっっっっってられるかあああああああああああ!!!!!」
 それはハボダ渾身の叫びだった。
 そのまま勢いで誠葉を唱えるが、あまりにも考えなしだったので結果、
「え?ええ?ちょ、ハボダ殿!?うわっ、重力の展開が早い」
『金緑ッ、その魔法使いを離すな!』
「無茶言うなでございます!!こんなネズミ花火みたいな状態で」
『こんな無茶苦茶な使い方があるか!私の誠葉の領域まで歪み始めた』
 ハボダは玲瓏の腕から逃れ、そのまま東風の領域を穴だらけにする。
 予想外の動きにそれまで散々ハボダを振り回していた龍たちは、片方は生け取りにしようと、もう片方は始末しようとした結果、慌てすぎて互いを邪魔し始めていた。
 そしてその隙を逃すほどハボダも阿呆ではない。
「お前たちも目的なんか知るもんか」
 地面に開けた穴から中覗き見る。
 壁に床に彫られた文字、数、図形、記録の数々。その叡智が敷き詰められた空間で多くの人々が倒れ、苦しそうな顔を浮かべて絶命していた。とっくに彼らは発狂していたし、ハボダは遅すぎたのだ。
 尚更彼の怒りが増大する。怒りのあまり、魔法の出力を誤った。
 やめろと叫んだのは玲瓏か東風かは分からない。ハボダにとってはどうでもいいことだ。
 彼は契約して得た力でもって、ありとあらゆる数式を記した壁を、床を、書物を、人を、まとめて押しつぶしたのだ。
 ハボダ自身の身すら危険に晒すほどの重力の塊は、あらゆるものを飲み込む球体となる。
 周囲を飲み込み続けている中、逃れる術が見当たらないことに、ハボダはとっくに気付いていた。そしてそれをくだらない最期だなと思う感性も持っていた。
 とは言え、あの人間の命などどうでもいいと言わんばかりの龍たちが死守したかったものは壊せたのだ。
 ならば良しとしよう、とハボダが思った矢先に別の誠葉が展開される。
「人情家ではなく激情家なお方とは思いませんでした」
 やれやれと言った顔で、玲瓏が再びハボダを抱えて崩れかかった空間からあっさりと脱出したのであった。
(九)
「古代の叡智ぶち壊しは想定外でしたなぁ」
『何千年もの努力を壊すその度胸、逆に敬意を抱くぞ』
 先程まで殺し合いをしていたはずの龍たちは、息のあった煽り文句をハボダにぶつけていた。
 ピキピキとこめかみの血管が浮かぶほどに、それはハボダをイラつかせる。
「うるさい、黙れ、いい加減にしろ、俺は人龍連合の魔法使いだ。龍王軍とは敵対するし、人の命を奪う龍は憎む。それが俺の道理であり、このくだらない争いを止める手段だった訳だ」
 龍には龍の、人には人の道理がある、と再度口にすれば、玲瓏は仕方がないと座り込んだ。
「ちょろいと思っておりましたが、案外頭が回るお方で驚きでございます。今後のために反省会を開きたいのですが、ハボダ殿の都合の良い日を教えてくださらぬか?」
『私も参加しよう。あとハボダ殿も盤上遊戯会は如何だろうか?貴殿ならきっと他の龍たちにも気に入られると』
「茶番はや め ろ」
 ちぇー、つまんなーい、と文句を言う龍たちに本気でハボダは呆れる。
「で、」
「で?」
『うん?』
「何故、俺を助けたんだ?」
「それは弔いのためですよ」
 最初の玲瓏の目的だったはずの言葉に、これまでほぼ全てが嘘だったのを知ったハボダは思わず「嘘だろ」と呟く。
「嘘ではございません。まぁ、確かにハボダ殿を騙す目的もありましたが、この地の慰めは拙僧らの役目ではなかったので」
 何故だとハボダが首を傾げるよりも先に、玲瓏が東風殿と呼ぶ。東風は無言で玲瓏を見つめ返す。
「土地も人も憂いもなくなりました」
『ああ』
「その命を拙僧にお渡しください」
『仕方ない、あがけよ金緑』
 ハボダが止める間もなく、東風は己で自身の命を終わらせる。はらはらと崩れ落ちる身体を目の当たりににした玲瓏は深々と礼をした
「さらばです、東風殿。貴殿との策略遊戯は楽しかったですよ」
 震える声で送った言葉、お辞儀をしたことで見えぬ玲瓏の表情
「なぜ、何故だ!」
「龍王軍に楯突いたのです。当然の帰結でございましょう」
「だが、土地も人もなく、憂いもなくなったのなら共に」
「共に生きれませぬ。拙僧は龍王軍として抗うと決めました。そのためならば、かつての友であっても命を奪うのです」
 しかし自殺だったではないか、のハボダの反論に、玲瓏は初めて敵意を露にする。
「もし仮にひとつ願いが叶うのなら、ハボダ殿は何を願いますか?」
「何を突然」
「それは犠牲なく叶えられると思いですか?そんな、都合のよい、誠葉よりも万能の何かがあると思いですか?」
「だが」
「ひとつ願いが叶うのなら」
 玲瓏はハボダの眼前に近づき、にこやかに問いかける
「貴殿が求めるそれは、例え魔法使いだとしても強欲が過ぎる願いではござらんか?」
 人懐こい笑みで、それでいてハボダが立つのもやっとな殺意を振り撒く僧が、人間ではなく龍であるのは自明の理であった。
「無理なのですよ、最初から。拙僧と東風殿が対立した時から、どちらかしか生きられない程度には追い詰められていました。少しでも時間稼ぎをするために、篭城戦までした。貴殿の登場で僅かな希望が生まれましたが、それも潰えた。ならば、決まりきった決着をつけるしかないでしょう」
 つらつらと続く言葉。
「拙僧には役目があります。それを東風殿は慮り、自ら幕を引いたのです。彼には守護する土地も人も物もございませんから」
 だから、と玲瓏はハボダに告げる。
「ハボダ殿が覚えてくださいませ。この地で、この美しい花があった場所で、誰が舞を送り、誰がそれを受け取り、どうして龍が守護したのか」
「それは嘘なのだろう」
「そうでしたね」
「貴殿が俺を騙すために誘導したもので」
「ええ、もう少し騙されてくれればと思いました」
「そもそも俺は人龍連合の一員で」
「存じております」
「なのに……」
俺に弔えと言うのか、とハボダは玲瓏に尋ねる。
「ハボダ殿は人情家で激情家なお人ですから、きっと流されてくれると思ったのですよ」
 先程までの龍としての圧もなく。出会ったばかりの頃の、どこか人懐こい少年顔の僧侶として、彼は微笑んだ。それでハボダはこれが断れない策略だと気付く。気���いたが、もう疲れていたのでどうでも良かった。
「玲瓏殿」
「はい」
「貴殿ともう二度と会いたくない」
「拙僧としては、また巡り合う日を楽しみにしております」
「勘弁してくれ。……だが、嘘つきで意地っ張りの馬鹿な龍の願いくらいは叶えてやるさ」
「ひどいことを仰る。春だからこそ、愚かな振る舞いをするのですよ」
 お互いにね、と悪戯っぽく玲瓏は笑い、そして誠葉を紡ぐ。その身は空へ、空へと登っていった。ハボダはしばらく空を飛ぶ龍の姿を眺める。が、眩しい光に嫌気がさして、すぐに視線を集落の跡地に向けた。
 やることは山積みだが、まず彼は
「静かだな」
 しばしの平穏を享受したかった。
(十)
 玲瓏の帰還に合わせ、彼の部下たちが出迎える。口々にこれまでの戦果や被害が報告される中、一頭の龍が玲瓏に尋ねた。
「そういえば、あの数式は手に入れられたのですか?」
 玲瓏の古馴染みが守護する土地に、星に関する数式があるのは龍王軍には周知の事実だった。
「いいえ。予想外なことに全部壊されてしまいましたからね」
「おや、それは残念でしたね。あれさえあれば、玲瓏様の研究が大分進むようでしたが」
 ふ、と部下の視線が壁一面に描かれた天体図に注がれる。そこには幾つもの数式もあった。
「ないものはないので、また一から研究し直しですなぁ」
 ああ面倒だ、と言わんばかりに彼は記された文字の幾つかを消す。
「東風殿が拙僧の味方だったら話は早かったのですが……あの方は、拙僧と同じく龍王の存在は嫌いですが、龍王そのものは気に入っていますし」
 残念でしたなぁ、と呟く玲瓏に悲壮感はない。龍王への不敬とも取れる言葉さえ軽い。
「玲瓏様。いくらあなた様が龍王様の腹心、右腕としての地位があったとしても、先程のような発言は慎まれた方がよろしいかと」
「良いんですよ、これで」
「ですが、」
「どうせ龍王は東風殿との一件すら拙僧の悪あがきにしか思っておりませんから」
 慢心して貰わないと、の言葉さえ玲瓏は隠さない。
「拙僧、龍王の思惑を知っております。龍王軍の行末も察しております。だからこそ、龍王軍の右腕として策を練りましょう。龍の未来のために、人の未来のために、何故なら天の星に恋した身なので」
 正気も理性もなくすほどに恋は偉大なのですよ、と恍惚な笑みを浮かべて玲瓏は星の名前を呼んだ。
END
キャラ紹介:ハボダif
人龍連合所属の晦冥の魔法使い
重力を操る誠葉を扱うが、人間のため使用には制限が掛かる
苦労人のツッコミ気質
連合の火消し担当だけど先に爆発物という名の同僚の撤去から始めるべきだと思ってる
頭はたぶん良いはず
キャラ紹介:玲瓏if
龍王軍所属、龍王の右腕であり腹心
変化変容の誠葉を操る古の龍
戦闘能力自体はあまりない。ので戦略特化で軍を従わせている
明るい性格だが腹黒いので、上の年代の龍ほど警戒度が高くなる
龍王概念嫌いと公言しているが、龍王自体は好き。龍王の狙いに便乗して、星の研究をしてる
東風(ゲストキャラ)
固定の誠葉を扱う玲瓏とは同年代の古の龍
空が好きで、星も好きで、玲瓏と飛び回っていたけど、舞を踊っていた女性に一目惚れしてから地上住まいをしてた
龍王の正体にも気付いているし、玲瓏の狙いも薄々察している
数式渡したら破滅一直線なので絶対渡すものかで対立した
立場逆転だと
・ハボダ本来の気性の荒さが全面に出る
・肉体による制限がないので、玲瓏のやっちゃいけない誠葉倫理が吹っ飛ぶ
・正史ハボダは色んな情で右腕として身動き取れなくなってるけど、if玲瓏は1つの情のために他全部切り捨てて暗躍含めて動いてる
な感じかなぁと思いました
たぶんifの方が気質的に本人たちのストレス少ないと思うけど、それはそれとして龍王軍の暗躍と暴走がより酷いことになるので、正史の方がまだ安全ぽそう
 あと玲瓏ifが恋しちゃった天の星は、数多ある星々の中でも一等情のある『彼らが生きる』星です。これ以上告げてしまうのもあれだけど、お題に則したセリフ回しにすると分かりにくいので補足しました
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toshiki-bojo · 1 year
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「虚子への俳話」162
「花鳥」令和5年8月号より転載
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「台風の波」  そろそろ台風がやって来る季節。  台風とは上空であろうが、地上であろうが海の上であろうが、あらゆるところに影響を及ぼすかくも巨大な存在である。その容姿からしても、単なる雲の固まりというものではなくて、巨大な渦を巻いて厚さが数千メートルにも達する雲の化け物である。
 北米大陸を襲うハリケーンということになると、その大きさは日本を丸呑みするほどのものも来るらしい。海上は十数メートルの大時化になるし、陸上も大雨とともに竜巻などが発生して家屋や列車なども巻き上げられるほどであるという。  海の波ともなれば、直撃された海域の波は長時間海上をさまよって来る。台風の風波というものは多重に重なり合って特に大きなうねりとなって海岸に押し寄せてくる。その波高は海岸の入り江や浅瀬などの海底の地形などによってその二倍程度の高さまで到達するものもある。そうなると、最大波高は理論上五十メートル程度のものがやって来る。
 余談だが、もう三十年くらい前に宮崎にやってきたサーフィン(波乗り)の当時の世界チャンピオン、トムキャロルが二十メートルの台風の波に乗った。その写真では六階建てくらいのビルと同じように見えた。  なんでサーフィンの話になるかと言うと、実は私はかつてサーファーであったのである。  と話すと人は理解不能の顔つきになる。まさかこの初老の冴えない俳人が惚けたのかと。ところが全国学生選手権にも出場し、ロングボード大会では湘南で有名なマーボロイヤル大会で準々決勝まで進んだこともある。人は見かけによらないのである。
 台風は陸上ともなれば、太さ数十センチの大木もなぎ倒されてしまう。家々も一度この風が家中に入ってきてしまうと、屋根が持ち上げられて崩壊するらしい。昔は雨戸を閉めて、その撓り具合を見ては内側からそれを家族で押し返していたという。今でこそ頑強なサッシなどで武装されているからまだよくなったが、昔の台風ともなれば停電とともに家そのものの崩壊に恐れをなしながら暮らしているというのが実体であった。
 台風は宇宙船のスペースシャトルからも写真で撮られていた。嘗てはその姿の見事なことに驚いたが、その渦を見ているとどう考えても、自然の雲の動きとは思えない。つまり、その周辺にも雲があるにはあるのだが、いかにもその雲たちとは一線を画した別の生き物に見えてしかたがない。
 台風とは一つの意志を持った、地球的な生物なのではないだろうか。その他の雲を取り込んだり、偏西風に乗ったりはするのだが、大気という空間の中で独自に動くルートを持っていて、そのルートも気が向くとはずれてみたりする。ましてや上陸するということには神経が細やかなくらいに思考して、少し陸に触れてみてはまた海に戻ったりする。そこで小休止をするためである。
 台風は上陸することによって、自己崩壊の道をえらばざるをえないのだが、これはどうやら高気圧という大空気団のせいによるものらしい。それは障害物のようなものなのだろう。その隙間を生物たる台風がじりじりと自身の生を燃やしながら、北上してカムチャッカあたりで壮絶な死を遂げるのではないだろうか。
 だからこそ過去のハリケーンなども「メアリー」やら「ジェーン」やらの人名が付けられていた。そこで日本では「十一号」などとは呼ばずに「源太郎」とか「小夜子」などと付けてみたらどうだろうか。それぞれの台風の性格も現しているようで、観測の上でも記憶に残りやすい。「小夜子」などは夜半にひっそりと来る、せいぜい九百九十ヘクトパスカル程度の小型の台風で庭の小枝をたおやかに折りながら雨を降らせつつ明け方には、きぬぎぬの別れということになる。  なにやら風情がある。
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ichinichi-okure · 1 year
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2023.5.22mon_mie
田舎に戻ってきて数ヶ月経つ。  帰ってきてからというもの、十数年と都会に晒し続けた身体を、幼いころのそれへと巻き直そうとする強い引力が働きつづけ、一日中異様な眠気に襲われている。  眠ればむやみやたらに夢をみて、父、祖母父、幼馴染やら、死人も生者もないまぜにたち現れては、意味深な事を好き勝手言い放ち、此方がかまおうとすると回転扉のように違う人間に入れ替わっていたりして、距離だけがそこめぐるような疲れに、起きると首が曲がらなくなったりしていた。  この調整の波がいつおさまるのかわからないが、徐々に古い細胞も入れ替わり、抑圧された記憶も整理されつつあるようで、むかしここに住んでいた自分が庭に出て、芽吹いた花に蜂や蝶が群がるのを喜んでいたかつての感覚に気がついたり、山から吹き下ろす風に、木々が葉の細やかさを競うようにいっせいに靡くのに、これが田舎やったなあ、と深い安心を得られるようにもなってはきている。  今日は家に誰もおらず、着替えもせずに横になっていたが、五月晴れの濁りのない陽光が庭に降り注ぎ、窓の外が緑の色彩に充ちていたので、これは外に出るべきだと思い、散歩にむかった。  例え今日が、日曜日であっても、田舎の様子にはなんの特別なこともなく、鳥の鳴き声と風の吹く音がするくらいで、どれだけ歩いてもすれ違う人はいなかった。誰それが移住してきた、誰それが二人目の子どもを産んだ、という噂だけは家にいる母親から時折聞くが、そのような人たちが、ほんとうに存在しているのかすら怪しい。やがて廃村になることは誰の目にも明らかであるこの村に、人が留まる理由がどこにあるのか。  途中、民家の連なりの外れにある石段に小高く区切られた畑に、足を放りだして座りこむ老婆がいた。皺くちゃの寝巻きの格好で項垂れており、車椅子から下ろされそのまま見捨てられされたかのような孤立感に少し心配にもなった。暫くしてもそこを動かず、投げだした両脚先と頭を結ぶ三角の許された我が領域の中だけで、いそがしく手をもぞもぞ動かし、土深くから何かを取り出そうとしていた。それが唯一出くわしたといってよい人で、むかしは少し歩けば、道端で立ち話をしている人たちや、「あら、大弥くん」などと話しかけてくれる人も居たはずだが、その影すらもない。   ここ数ヶ月��、僕のことを知っていたのは、夕飯どきに玄関前にふらふらと現れた泥だらけの作業着の老人ぐらいなもので、足取りも覚束なく、酒気及びの口調で「ああ、格くんの息子さんの大弥くんやな」と僕の顔をみるなり言った。「どうしました?」と聞くと「村の冊子をこしらえてるんやけど、資料になるものはないか」と言い、「そんなものないと思いますよ」と断っていると、「すまんけど、家に上がらせてくれやんか?きっと資料になるものがあるはずやから」と、了解も得ずに、門を跨いでこちらに入ってくる。「そんなものないですようちの家には」と再三断って引っ張り返しても、「きっと資料になるものがあるはずやから」の一点張りで、どうにかこうにか家のなかに入って来ようとするので困った。しかもその冊子というのも、誰に頼まれてる訳でもなく、ただ自分の趣味で勝手にこしらえてるだけの謂わばzineみたいなもので、そんなものに付き合ってる訳にもいかず、十分ほど上がらせてくれ、すいませんの無駄な悶着を続けていると、カーテンに半身を隠しながら怪訝そうに顔だけ覗かせていた母親も、痺れを切らし玄関まで出てきて、二人で宥めるようにしてさらに十分、なんとか帰ってもらった。あとから聞くと、その人は以前からよく玄関前に現れるらしく、毎回同じように訳の分からないことを言い、資料を求めてくるらしい。話し相手であった人がいなくなりおかしくなったのか、人が減るというのは良いことは何一つもないのかもしれない。  とは言え、減るものがあれば、歪んだ均衡を調和するかのように、足らんだろうと湧き出てくるものもあるようで、近くに住む神社の宮司がみたという身丈百九十の大男はその類かもしれない。   夕方ごろに村を下ったすぐのところにある交差点の傍で見かけたというその大男は、まるで水辺の丹頂鶴のように遠く虚空を見つめたまま佇んでいたという。用事を済まして再びその傍を車で通った頃にはもうおらず、あれほど大きな人間があんなところで何してたんやろと思いつつも、暫くしてそこから数週間後、そこを再び通ると、また同じ男が居り、今度は死人が冥土へと向かう際にする白の三角頭巾を頭に巻いていたという。宮司は不審に思い、警察に連絡をしたらしいが、他にそのような報告は来てないと、詳細は未だに謎のままらしい。
-プロフィール- nii 33 三重 古物
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kuroiookami · 1 year
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コード100
ソーラーコード100「大きなダイアモンドの原石が、カッティングの第一工程に送られる」
コードの現象化形態:ネガティヴな状況。自己の強い願望をどうあっても実現しようとする状況。思わぬ形で挫折する危険。一つのことでの挫折や断念と、別の方向での再スタート。出戻り。元いた場所に戻る。振り出しに戻る。仕事面でのネガティヴ。(格式が非常に良ければ)成功や躍進のチャンスが開かれる。(ときに)名声。名声の確立。水、飲料水に不運。白いものに不運。白(か透明)の固いものが粉砕される。中〜大規模の地震や台風や豪雨洪水や土砂崩れなどの災害により建造物や施設やインフラが破壊される。「ダイヤモンドは傷つかない」を心の旨とすること。(ときに)ダイヤや宝石(または貴金属)に関する大きなニュース。(ときに)ダイヤや宝石(または貴金属)に関する不運凶事(たとえば、紛失や破損や盗難や強盗、その他のMNC)。宝飾店。製造業。ソーラーコード100の「ダイアモンド」は「氷」「氷着」「氷結」「凍結」「それらによる被害」の〈絵解き〉。
ルナーコード100「エジプトのミイラのように白い布(包帯)を体に巻いた女性が、静かに横たわっている(死んでいる)」
コードの現象化形態:私生活面での挫折や失敗。悲しみや苦しみを感じる状況。真摯な自己変革を続けることで負のカルマの浄化を果たし、やがては幸福な人生を築くことができる。強烈なサイキックアタック(魔界の攻撃)に警戒する必要。(ときに)悲劇。白いものに関するアンラッキー。(まれに)雪による災難に見舞われる。水害。雪害。生活面でのネガティヴ。水、飲料水に不運。白いものに不運。挫折・失敗・敗北。重病。重症。死。コード100は全720コード中でも最大の「大雪」「雪被害」コード。つまり、「白い布」=「雪」の〈絵解き〉ルナーコード100の「静かに横たわっている」の方は、「雪着」「転倒」「負傷」「死亡」「(人・車・交通機関などが)雪で身動きが取れない状態」「(人・車・建物・施設・動物・家畜などの)雪による埋没、圧壊、崩壊、倒壊、圧死、凍死、窒息死」などの〈絵解き〉。
【コード100】 ■対向コード:280 ■統合コード:260 ■直角コード:190
コード100も、コード86と同じく「厳しい寒さ、寒波、大雪、豪雪、雪害、雪による足止めや立ち往生、雪による転倒や凍結によるスリップ事故」などを表す代表的な冬の〈季節コード〉で、人生が非常に厳しいものになることがはっきりと暗示されています。このコードがそうした気象的な絵解きとして出ずに人生運として出る場合は、「がんなどの大病による死」か「交通事故死」か「殺人事件の被害者」として専ら現象化します。
ルナーコード100「白い布を体に巻いた女性が静かに横たわっている(エジプトのミイラ)」 「体調不良、けが、病気、病床に伏す、闘病、入院、(最悪の場合)死、不運、悲劇」をダイレクトにシグニフィケート。
720ある全コードの中でも1、2位を争う代表的な「死のコード」 それがコード100とコード152。コード100「悲劇的な死、事故死、つらい病死」
コード100[蟹座10度]〜コード101[蟹座11度] コード100+コード101クロスオーバー・フュージョンの代表的現象化形態は、「強い願望の挫折、失敗、敗北」
〈蟹座のゾーン〉(コード90〜コード120の範囲) コード90とコード91、コード100とコード101とコード102とコード103、コード113とコード114とコード115、コード117とコード118の現象化は、かなりスケールが大きく顕著な大事件(大ニュース)として強く現象化しそうです。
コード308の同種共鳴同期作動コード100 コード100のソーラーサイド「カッティングプロセスの第一段階に送られるダイヤモンド」、ルナーサイド「全身に包帯を巻いて横たわる女性(ミイラ)」。このエネルギーは、「振り出しに戻る(これまでのことが0になる)」、「死」の現象化を意味するコード。このコード100は、現在最強力影響圏を進行中の共鳴コード、ルナーコード308「オーストラリアの天文学者が、蛇座の方向(インド、パキスタン等)にダイアモンド(鉱山、宝石、貴石、半貴石、金、銀、埋蔵資源)で出来たツインスター(非常に価値あるもの)を発見する」との絡みで、それに接続しているソーラーコード309「夢見がちな少年が繰り返しノートに描いていた『軍旗の中の鷲』が、非常に長い年月を経た後、旗から脱け出し、大人になって夢見ることに疲れ切っていた少年の前に『本物の鷲』として現れる」の影響により、ダイヤモンドの夢を見た時は、このエネルギーが身近で、特に家族に対して最強活性化していることを意味しますので、そうした場合は特に要注意です。 というのも、ソーラーコード309との表裏一体コードであるルナーコード309は「リビングのソファに座り、積み木崩しゲームに熱中する家族」(身内の不幸)というものだからです。
コード100~コード101は宇宙最大の魔王「アベヤハギヤ」すなわち、最強の悪魔コロンゾンとルシファー、その地上への落とし子たるヒルコ(蛭子、エビス、ビリケン、耳の尖った男の子[イコールコード210])が領する最凶最悪の闇(不吉と災厄と死と絶望)のサタンゲート。
この魔法短歌がソーラー&ルナーコード100「ブラッド・ダイヤモンド(血塗られたダイヤモンド、紛争ダイヤモンド)」に効くので、読んでエネライドしてね
“それは「宇宙最大の秘密」だった…”
夜空から スノーダイヤが 落ちて来て 私のポッケに アルマハート6を 秘未歌
“アルデバラン” ああ アルバ・オラムを往く 災と死で美しい迄に青褪めた馬よ わたしの夢はお前に跨って オードブラン(白の頌歌)を歌いながら 青白い夜の容器の底の絶望から見える きみが目にまたたく星を眺める 秘未歌
十字架は 百と五十二 曼陀羅が 百六さらば 何役立とう 秘未歌
・コード100(死傷者、死)
・コード52(豪雨・浸水・冠水・洪水・津波などの水害、大地震による大津波)
・コード106(島・群島・列島などを襲う地震、絶望的事態) ■コード100+コード52+コード106=コード258(堤防や防波堤の決壊、家屋や建造物の破壊、大地震と大津波)
北海道に中規模〜大地震を含む地震を強力に誘発する最主力コードは、コード92−コード93、コード100−コード101−コード102、コード333とそのイコール対向コード153、コード153から続くメダリオンのコード154−コード155とイコール統合コードのコード204−コード205−コード206です。
【ホルスの言葉】 「100の理論を知っている者よりも、10の実践を行っている者が勝り、さらには100の理論家と10の実践家を合わせたより、1の真実を知解体現している者が勝る」 これはコード100とコード110とコード111についての教えである。
100=生きているように見えて、実は頭も心も体も霊も死んでいる者。そうした者を本当の意味で生き返らせることは、人間にはもちろんのこと、神にとってですら難しい。
110=大壮に見えるが、結局は口だけ、がわだけの者。そうした者は一時の栄華成功を得ても、その内実は空しく、また外側の名声も長続きはしない。もちろん、天も地も、そのような者を愛することはない。
111=断固として行動する素晴らしい才気によって、大成功か、大失敗をする者。そしてその行動がただの自己愛や利欲に基づく場合は、その者は最後はナルシスとして淀んだ水溜りに果てるが、しかしその行動が無私無欲のいと高き神のイデア(理想)に捧げられたものである場合は、その者はたとえ地上で敗北しても、魂は天に咲く花となる。もちろん、その者が後者である場合は、地上においても負けるべきではない、それが理想だ。
100+110=210 この神秘の足し算を見ても分かる通り、「無明(むみょう)」の「虚栄」は「悪魔の業(わざ)」しか生まない。神である私は、最後にはそれらの奢れる人間たちを彼らが誇るバベルの塔の上から大地に払い落とすだろう。
210+111=321 見よ、この足し算の結果を。「人の業(わざ)」はいかにそれが上手くいった場合でも、多くの大衆の尊敬と共感を集めたとしても、賢者ソロモンが嘆いた通り、所詮は空しいだけのものなのだ。しかし知るがいい。この足し算の答えに隠された神秘を。
わが神呼見が語ったように、3→2→1とはまさしく「世界光明化活動」(啓明)のことではなかったか? それに気付いて、それを行う者は、よって先にも告げた通り、わが天に咲く花となるだろう。
だから安心して、地上では雑草となってしぶとく生き、できれば強く逞しく成長して大樹となって広く根を張り、そこに多くの鳥を招き、実を結んで与え、動物たちの憩いの木陰となるべし。
【LOR】コードロジーは巷の「数秘学」「占星術」「スピリチュアル」を完全な骸と化し、その墓上に燦然と輝く《星》である。
【ホルスの言葉】 おお!汝ら、弱き者、知恵に薄き者らよ!汝らは、終わり無きかの如き100と50と6の季節を、地獄の中で過ごすがよい。なぜなら、真の強さと賢さは、地獄の中における忍耐と抵抗を通じてしか身に付かないからである。自らを光明化するには、地獄を避けるわけにはいかないのだ。
須佐之男も 和む春かな 天照 川茂桜の 百とたなびき 秘未歌
すさのおも なごむはるかな あまてらす かわもざくらの ももとたなびき ひみか
この22文字からなる短歌は、ホルス神の討魔のスターゲートコード21から降下する偉大な力を詠む人に引き寄せ、それによってコード22の魔の門を封じ、害を及ぼそうとする悪しきものの力を退けて、はね返した悪の力を、それを発した元の相手に増幅して送り返す、守護と攻撃の霊力を兼ね具えています。ソーラーコード21「リングに上がるボクサー」(別名「敵の心臓を急襲するラプター」)
ルナーコード22「嵐の神であるスサノオの暴力から逃れて、岩穴に隠れていた太陽神のアマテラスが、ついに岩穴の外に出る」(「非常に長い時代を洞窟に閉じ込められていた失われた乙女コレーがユニコーンに乗った王子に助けられ、春の園に輝く光の下に出る」)さらに、この短歌には「百」というワードが入っており、それはコード100に対応しますので、「死と病と負傷と災いと停滞(障害)」のコード100を通って入って来る魔の力をブロックし、そのマイナスの力を「成功、ステイタス」(ダイヤモンド)といったプラスのベクトルに変換する霊験もあわせ持ちます。
コード100が来た日は、白い車に気をつける。または、なるべく運転しない。コード314が来た日は、黒い車に気をつける。または、なるべく運転しない。もし運転する場合は最大限慎重に。コードを知っていれば、あらかじめエピグラムに応じた最善の対策を取ることが可能になります。コード100やコード101は「白」がNGカラー
コード100「白の悲劇」
エピグラム:白いものに関するトラブルやアクシデント、白いものを襲う不運凶事、白・シロが名に付く、または名に含まれるものを見舞う不運凶事。
コード100−コード101−コード102−コード103−コード104の「豪雨・洪水・土砂災害」ライン
コード13とコード106とコード100とコード101とコード113とコード147とコード185とコード293とコード296とコード333は日本国の代表的なシグニフィケーター/エピグラム
X(ニビル)の猛将ラブナインのコード276より秘天使覚醒、出撃。 コード186「ALHTzIN」/コード100「ALHDIN」 アラジンは悪の世に変わる光の世の建設者であり、魔界が光の子に課した不運のカルマを減じて幸福へと導き、悪魔眷属に裁きをもたらす。100は天使護符の呪文。
コード43、コード54、コード95、コード100、コード101、コード201、コード314、コード310は、全コードを代表する最凶の「交通事故、衝突事故、追突事故、玉突き事故、突っ込み事故、ひき逃げ、当て逃げ、物損事故、人身事故」コード。
コード100「死」とコード261「復活」とコード308「ホルスの奇跡」は同期作動イコールコード。
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groyanderson · 2 years
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☆プロトタイプ版☆ ひとみに映る影シーズン3 第二話「現れたイヤなヤツ」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。
→→→☆書籍版発売までは既刊二巻を要チェック!☆←←←
(シーズン3あらすじ) 謎の悪霊に襲われて身体を乗っ取られた私は、 観世音菩薩様の試練を受けて記憶を取り戻した。 私はファッションモデルの紅一美、 そして数々の悪霊と戦ってきた憤怒の戦士ワヤン不動だ! ついに宿敵、金剛有明団の本拠地を見つけた私達。 だけどそこで見たものは、悲しくて無情な物語…… 全ての笑顔を守るため、いま憤怒の炎が天を衝く!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
དང་པོ་
 娑婆に戻ると、一面に緑の木々があった。日本の山林には自生していない植物が多く、人工的な庭園か、あるいは日本国外なのかもしれない。  まずは人がいないか探してみよう。少し歩いていると、開けた場所に誰かが立っていた。魔女みたいにつばの広い帽子を被っているから顔は見えなくて、等身の低さから辛うじて子供だとわかる。その子の前には何故か、屋外じゃなくて家の中で使うようなアンティーク鏡が立っている。 「鏡よ鏡、鏡さん。四一四〇の過去三年の売上高変化率を出してみて」 「はい。四一四〇、養医所製薬の売上高変化率は、三年前年度比マイナス六.二%です」 「十の十一致……っと。アシスタント機能のバグ修正は上手くいったみたいね」  その子……声は低い。声変わり直後の男の子だろうか……は、喋る鏡と会話をしている。童話みたいなシチュエーションで、随分ビジネスライクな話題だこと。邪魔をしては悪いけど、声をかけてここがどこだか尋ねてみよう。私は物々しいワヤン不動から紅一美に姿を変え、霊感がない人にも自分が見えるよう影を濃く取った。そして༼ あの ༽と声をかけようとしたその途端、それを遮るように男の子がまた口を開いた。 「ねえ、鏡よ鏡。どっかの誰かさんがふざけた引退宣言なんてやらかしてくれたけれど、ここの情報はどこにも漏洩してないでしょうね?」  え? 「はい、CEO。リアル株式運用NFTゲーム『白豚姫と七十二の法則』はまだリークしていません」  鏡がよくわからない答えを返しているうち、CEOと呼ばれたその子が振り返った。未就学の子供のように小柄なのに、顔は陶磁器でできた人形のように美麗な大人の顔で……一目で作り物だと理解できた。 ༼ ひょっとしてここ、ゲームの中ですか? ༽  人工庭園どころか、ここはバーチャル空間だったようだ。3DCGにしては随分とよく出来ている、なんなら和尚様の須弥山よりリアリティが高い。CEOさんは白雪姫の魔女を模したアバター姿だけど恐らく男性だ。 「そう。ブロックチェーン技術で仮想通貨や実際の小額投資が運用できる、次世代のゲームを作っているの。最初はお手軽なモバイルアプリとして発表するつもりだけど、世界観を大切にしたいから、開発チームには全員メタバース内に潜ってリアルタイムプログラミングさせているのよ……あ、これ社外秘ね」  CEOはなんだか凄そうな極秘事項を、初対面の私にペラペラと喋る。大丈夫なのか? と思っていると、私の中でドマルが閃いた。この魔女、もしや…… ༼ 失礼、少しよろしいか? あなたは一美のお知り合いと見受けられるが、拙っ……私は本体である紅一美の肉体を悪霊に盗まれて、『ワヤン不動』の記憶以外殆ど思い出せないのです。できれば今一度、あなたや一美の話をご説明頂けないかな ༽ 「えぇ? またまた。……って、マジで私の事、忘れちゃったの!?」  魔女アバターが驚きの表情を作った。よく出来ている。 ༼ マジです ༽ 「勘弁してよ一美ちゃん! 私よ私、平良鴨悟(へらがも さとる)! 平良鴨証券グループ会長、金融アルマゲドンを制し世界長者番付第一位を獲得した億り人の!」 ༼ なるほど、つまり芸能界のタレント仲間 ༽ 「ちっがーう! そりゃ一美ちゃんと初めて会ったのはショービズの世界でだけど、今はもうNIC関係者同士の友達。うちの本社にデグーの霊が出た時だって助けに来てくれたじゃない!」  そんな可愛いイベントあったっけ、ぜんぜん思い出せない。でも、こうして話しているとどこか懐かしさは覚える。……あれ? そういえばこの人、対アンダスキン戦で共闘したNIC出身の超脳力者さんと似ているような…… ༼ ひょっとして、譲司(じょうじ)さんのご家族ですか? ༽ 「なんで兄ちゃんの事は覚えてるのよ!!」  なるほど、彼の弟さんだったみたいだ。  悟さんから情報を聞き、改めてこれまでの経緯を整理してみる。まず私は二〇一三年の夏に如来に肉体を奪われた。以降も一美は表向き、これまで通り芸能界で活躍している。しかし彼女と親しかったNIC関係者が異変に気付き調査したところ、下水道からワヤン不動の魂が宿った金属ペンダントの一部破片を発見。過去金剛の霊障事件の証拠品として保管していたムナル和尚様の遺骨を使い、ワヤン不動の復元に成功した。そうして蘇った私の魂は、NIC本部よりも狙われにくいスポンサー企業、平良鴨証券グループに移送され、まだ世間には未公開の亜空間(メタバース)内に安置されていたという。ちなみに今は二〇一四年十二月末だそうだ。 「うちのローカルサーバーは対霊性も高い特別なセキュリティルームにあるの。機密情報がお化けとか透視脳力者経由でリークしないとも限らないからね。それなのにあんたったら、何千人も生霊を引き込むんだもの。全くとんだ邪尊様よ!」 ༼ す、すいません。まさかそんな事になってるとは知らなくて ༽ 「まあいいわ。ともかくNICも金剛有明団を潰す方針は一緒だから。あなたが目覚めたからには明日から忙しくなるわよ」
 གཉིས་པ་
 NICは正式名称を『国際超脳力研究機関(National Institute of Cerechology)』という。人の脳が百パーセント活性化する全知全脳(ぜんちぜんのう)という現象に着目し、エスパーや霊能力などの超人的な力を研究する医師団だ。ワヤン不動復活と邪尊の引退宣言も当然関係者の耳に入っていて、NIC全支部合同で金剛有明団への対策を話し合う緊急カンファレンスが開かれる事になった。  私達は悟さんの自社用セスナで、カンファレンス会場であるNICアジア支部本部、インドネシアのバリ島へ向かう。アイドリング中の機内で待っていると、悟さんを含めて三人が搭乗した。一息つく間もなく離陸が始まり、セスナは轟音に包まれる。お互いの挨拶が始まるのは雲の上に上がってからになりそうだ。  外は夜だった。見覚えがあるような、ないような、しかしなんとなく日本っぽい夜景が広がっていく。記憶を完全に取り戻したら、ここがどの都市だかわかるのかな。  夜景はやがて灰色の雲に覆われ、機体��地面と平行になる。ジェット音が落ち着くと、悟さんがシートベルトを外して、私のいる後部座席側に向き直った。 「金沢の夜景も綺麗だったでしょ? 東京より上品で。鼓門は見えた?」 ༼ カナザワ? ༽ 「これは重症だわ」  なんとなく日本の地名らしきニュアンスしかわからない単語をオウム返しすると、悟さんはまるで原始人を見るような目をする。 「本当に殆ど戦いの記憶しかないようね。いいわ、みんな改めて挨拶会しましょう。『蟻』は初対面だしね」  セスナの乗員は私と悟さんのほか、小柄な運転手の壮年男性と、ダウンコートのフードを目深に被った身長二メートル越の寡黙な偉丈夫。蟻と呼ばれたのは……運転手さんだろうな。 「まず私。さっきも名乗ったけど、平良鴨悟。NICのコードネームはエイミィ。ヒエロニスト(熱念力使い)で、霊感はチョットだけ。移動費はこっち持ちだから気にしなくていいわよ」  自己紹介しながら、悟さんは細い煙草を取り出す。眉間から一瞬小さなスパークが走ると、煙草が火花を上げて発煙した。彼は自分の脳力を実演し終えると、そのまま煙草を咥えた(自社用機だから喫煙は自由なんだろう)。そしてコードネームというのは恐らく、秘密組織であるNIC内で使われる名前か何かだと推測できる。  次に運転手さんが振り向いた。 「初めまして、ワヤン不動様。私は平良鴨証券CEO秘書、有働義人(うどうよしひと)と申します」  有働さんは年齢の割に背筋がぴんと張った男性だ。眼鏡の右目部に装着されたウェアラブルディスプレイが引っ切り無しに明滅し、時折右目だけギョロギョロと何かを読み取っている。 「私専用の『SSR秘書』よ! マルチタスカーで、重度のソーシャルゲーム廃人。ゲームさえ自由にさせてあげれば、どんな仕事だってこなしてくれる最高の働き蟻なの!」  悟さんに誇らしげに紹介されると、有働さんは奥ゆかしい笑顔で会釈して再び飛行機操縦に戻った。彼はスマートグラスで常に様々なゲームを並行周回しながら業務に従事しているようだ……NICの脳力者並にすごくない? SSR秘書。 「あんたも何か喋りなさいよ、旦那クン。それとも、奥さんに忘れられてるかもしれないのが怖いのかしら?」  有働さんの紹介が終わった後、最後に悟さんに声をかけられたのは偉丈夫だ。彼がのそのそとフードを取ると、中の顔も重たい前髪で殆ど隠れていた。でも、その淡く発光しているような青白い髪にはとても見覚えがある。 ༼ 御戌神(おいぬのかみ) ༽ 「!」  名前を呼ばれたその偉丈夫、御戌神は、僅かに口元を引きつらせた。彼は御戌神。江戸時代に金剛によって生み出された祟り神の生まれ変わりだ。人間としての名前は……何故だろう? ワヤン化している最中も何度も呼んでいたはずなのに。まるで心に鍵がかかっているように思い出せない。 「なに、あんた達夫婦喧嘩でもしてるの?」  私が御戌神と呼んだからだろう。悟さんが茶化す。夫婦と言ったが……よく見ると、御戌神が隠すように握っている左手の薬指には、シンプルな銀の指輪があった。 ༼ もしかして……私の、夫? ༽  一美は結婚していた? そんな記憶は毛ほどもない。しかし会話の流れからすると、私は実の夫の名前すら忘れているのか!? 「……一美ちゃんとは、結婚してない」  御戌神が初めて口を開いた。 「僕が入籍した彼女は、如来に乗っ取られた後ので。嫌で嫌で仕方なかったけど……金剛の変な男に一美ちゃんを取られたら、本当にコトだから」  少し訛った言葉を絞り出しながら、御戌神は左手の薬指を苛立たしそうに掻きむしった。その指先は蕁麻疹のようにぼつぼつと荒れていた。彼は相手が如来だと気付いていながら、私を金剛から少しでも遠ざけるためにプロポーズしたのか。なんて事をさせてしまったんだ……。 ༼ 光(ひかる)君 ༽  自責の念で心臓がきゅうと絞られるような感覚になり、その拍子に私は自然と彼の名前を口にした。すると光君は諦めきったような微笑みを浮かべ、 「今は御戌神で。名前は一美ちゃんが完全に戻ったらだ」  私を遮った。 「僕は御戌神。影法師と対になる、光で戦う犬神。ワヤン不動にゃ及ばないかもけど、ちゃんと戦力に」  皮肉にも、彼の戦闘状態は鮮明に覚えている。青白く輝く巨大な狛犬になった彼と、影の私は連携して大散減を倒したんだった。  しかし彼は初対面時と比べ、とても垢抜けた。柔らかそうなファー付きロングダウンコートが胴をすっきりと見せ、下半身は座っても丈がしっかり足首まである、ストレッチ性が高そうなサイドラインのジャージパンツ。だけど都会的になった彼を見ると、どこか悔しさを覚える自分がいる……。その気持ちの理由を知るためにも、絶対に自分の体と記憶を取り戻さなきゃ!
གསུམ་པ་
 バリ島に到着すると、まず通常の旅客機と同様ングラ・ライ国際空港に着陸する。そこから先は一般客と異なる動線へ誘導され、いかにもVIP待遇といわんばかりのトントン拍子で入国審査が完了。あっという間にインドネシア入りしてしまった。  入国後は有働さんがチャーターしたロールなんとかという車で、アジア支部本部がある港町パダンバイへ向かう。時刻は既に深夜一時過ぎ、酔った外国人観光客を乗せたタクシーの大群で道路は埋め尽くされている。でも信号がほとんど無いから、意外と早く目的地に到着した。  世界規模の秘密組織の支部と聞いた時、私は二種類の外観を想像していた。政府関係者しか入れないような厳重な門がある施設か、あるいは地下室など一般人に気付かれないようカモフラージュされた見た目だ。その答えは実際どちらでもなく、よくありがちな総合病院の別棟に構えられた関係者向けフロアだった。御戌神も私と似たような思索を巡らせていたようで、「意外と普通だ」とつぶやいていた。  入口で名前と指紋を登録して本部に入館する。心霊扱いの入館手続を行う私だけ、指紋代わりに魂からエクトプラズムの一部を採取されるようだ。 「わぁ、シャドーパーソンの方なんですか! 私、この採取で幽霊さん以外のお手続き初めてなんですけど、痛かったら言って下さいね~」  心霊担当の事務員さんが親切に声をかけながら、注射器に似た機器で私の魂を採取した。特に痛みはない。私は彼女に快く会釈して入館した。  エントランスは二フロア吹き抜けのホールになっており、端に来客用のソファがある。そこに座っていた恰幅のある黒人男性が私達を見ると、立ち上がって出迎えてくれた。 「ワヤン不動様ご一行、ようこそいらっしゃいました。NIC総本部長のヴァーヴィアポワです、よろしく」  ヴァーヴィアポワ氏と挨拶の握手を交わす。その手はじっとりと汗ばみ、少し震えているように感じた。私に続いて悟さんも彼の手を握る。 「やだぁ、固くなっちゃって。そりゃ彼女はワヤン不動だけど、私の友達だから緊張しなくていいのよ、『オニイサマ』」 「えっ!?」  ヴァーヴィアポワ氏がギクリと硬直した。お兄様? 「い……いやぁ~! だって、その。仏様を前に緊張しない人はいないぜ、エイミィ! あ、あはははは……」 「?」  どういう関係かは解らないけど、二人は旧知の仲のようだ。秘密組織トップと大スポンサーのCEOだから、当然といえば当然かな。悟さんは私に内緒話をするように身を寄せるも、ヴァーヴィアポワ氏が振り向いたらそのまま離れていった。  私はカンファレンスルームに、他のみんなはラウンジに通された。カンファレンスルームは非常灯や天窓がくっきり見えるほど薄暗く、広さや内観がわかりにくい。ただ奥の壁にある窪んだ飾りスペースに、やけに気味悪い黄色い顔の人形が飾られているのだけ見えた。なんだかやけに陰鬱な雰囲気だ。  長い一本の机に等間隔に並ばった椅子には、既に数名の男女がズラリと座っている。彼らが世界各地域の支部長だろう。その最奥、上座というかいわゆるお誕生日席にヴァーヴィアポワ氏が着席。私の席も彼の横に用意されていた。背後から不気味な黄色人形の視線を感じる。 「改めて皆さん、お集まり頂きありがとうございます。こちらがこの度ご復活なさったドマル・イダムの憤怒尊、ワヤン不動様です」  まばらに拍手が起こる。 「本題に入る前に、皆さん簡単な自己紹介をお願いします。まずは僕、総本部長のヴァーヴィアポワだ。専門は脳神経外科、脳力はチャネリング(精神交信)。よろしく」  薄暗くて読みづらいけど、机にはそれぞれ名札が立てかけてある。ヴァーヴィアポワ氏のは「Vurviapois(ヴァーヴィアポワ)(Ralf Haenel(ラルフ・ヘイネル))」、上がコードネームで下が本名か。私のは「Wayang Acala(ワヤン不動)(Hitomi Kurenai(紅一美))」となっている。 「EU支部長、耳鼻科医のトミスです……体内に、特別な放線菌(バクテリア)を飼ってます。感染症でお困りの時、力になれますです」 「やあワヤン不動! 僕ぁ欧米一のカリスマ美容外科医、ストイコル。脳力はもちろん、プリシジョン(超緻密動作)さ!」 「アタクシはセントプリーア。幽霊だけど、歴とした南米支部長の産婦人科医よ。これから生まれる胎児ちゃんとお話したり、カワイソウな子に才能を与えてあげる仕事をしてるの」  そういえばNICは医師団。ここにいる支部長さん達も、みんな様々な分野で活躍するお医者さんのようだ。EU支部長は控え目な若いヨーロッパ系の女性で、欧米支部長は絵に描いたようなガタイのいい白人アメリカ人男性。南米支部長は痩せ細ったヒスパニック系の幽霊女性だ。引き続き、時計回りに机の向かい側の方々も挨拶する。 「アフリカ支部長のナサモー、職業は軍医です。脳力はありませんが、一族伝統の整体術を心得ています。その効力を現代医学で解明するのが我が使命です」 「やーあ支部長諸君、そしてワヤン不動君! 私は中東支部長のコネンティンだ! 私の予知脳力は、小児科病棟のちびっ子諸君に大人気なんだぞ!」 「Hey Yo! 俺はベェフェ、アジアの妖神(アヤカシ) 牛の身体に一本足 音楽療法士! カウンセリング 患者の話はシカッティング 着ぐるみ疑惑? それすら俺のブランディング!」  ……こっち側の人達、みんなキャラが濃い。アフリカ支部長はアフリカっぽいフェイスペイントをした男性で、何故か会議の日にも関わらず迷彩服を着ている。ユダヤ教徒ルックな中東支部長はこの中で最年長のおじいさんなのに、一番声が大きくてハツラツとしている。アジア支部長はなんというか……牛だ。角があって可愛い女の子声の、性別不明の牛。ドマルの記憶知識によると、古来から音楽を通じて人間と関わってきた中国の神様らしい。  それにしてもさっきから、ずっと薄暗い部屋にいるせいかどうも具合が悪い。以前は動きが鈍くなりこそすれ、こんな風にはならなかった。復活したてで本調子じゃないのかな。 「全員挨拶したね。そうしたら金剛有明団対策会議を始めるけど……実はワヤン様、僕達はあなた方が来る前に既に結論を出しているんだ」 ༼ 結論? ༽ 「ああ。僕達は……」  彼が答えようとしたその時、突然私の魂に直接テレパシーが届いた。 『逃げて、ワヤン不動! 僕達は操られてる!!』 ༼ へ? ༽ 「……僕達は金剛側につく。そしてここで君を始末する事に決めたのさぁ!」  ガタガタッ! NIC支部長達が一斉に立ち上がり、薄暗かった部屋の電気が完全に消えた。しまった、これは罠だ!
བཞི་པ་
 突然の不意打ちから始まった戦闘、相手は世界を代表する七人の超脳力医師! 漆黒に包まれた最悪のコンディションで、私は迷わず非常口のライトに影体を滑らせる。ところが危ない、何か鋭利な刃物を持った欧米支部長が突撃! ༼ おっと! ༽  間一髪で回避! しかし取り囲まれてしまった。私が光源の近くでしかまともに戦えないのを全員知っていたようだ。 「君の弱点はお見通しさ、ワヤン不動!」  夜目を凝らしてよく見ると、得物は硬化した彼の爪だ。全身を細胞レベルで自在に動かせる彼の脳力、プリシジョンによる技だろう。爪ならティグクで折れそうだ、こちらも武器を捻出して……うっ!? 「多勢に無勢だと忘れてませんか?」 「うふふ、カワイソウ……そそるわ、その苦しそうな表情……!」  その声は、放線菌を飼っているEU支部長と幽霊の南米支部長! 体が重い。私は菌と霊障に感染してしまったようだ。動きの鈍ったところでアフリカ支部長に関節技をかけられて拘束される。普通の敵ならここで影炎で一掃が可能、けどさっき『彼らは操られている』って声が聞こえたから火傷をさせるのはマズい! ༼ それならこうだ! ༽  非常灯の僅かな光源を編み、メロンバリアを張る! 押し出されたアフリカ支部長を影踏みで拘束し、壁伝いに天井へ這い上がる。非常灯より暗いなりにも外光がさしているし、天井付近は飛べない人は近寄れないはず! 「はっはっは、天窓に向かうのも想定内だ!」  予知脳力者の中東支部長が高笑い、天窓には既にラッパー妖怪アジア支部長が待ち構えていた! この最悪コンディションで牛一頭と闘えっての!? 『落ち着いて。ベェフェ君は僕より運動音痴だから!』  再びテレパシー! いや、いくら運動音痴とはいえ牛! 「怖気づいてるぜ明王!」  牛突撃! ……いや、めっちゃ遅い! 普通に避けて、そのまま影踏みで足止めを……ん? 動けない!? 「俺はツイてるぜ衝動!!」  牛激突! 体感した事のない鈍い衝撃が全身を貫き、私はカンファレンスルームの最も暗い角に叩きつけられた! 影体がバリバリと電気分解し、気の遠くなるような感覚に襲われる。何だ、さっきの……体を硬直させる脳力者はいなかったはずじゃ!? 『あわわわ、どうしよう、ワヤ……「いや、さっきからうるさいんだけど! 邪魔しないでくれる!?」  ヴァーヴィアポワ氏が自分の頬をバシンと叩くと、唯一私に味方してくれていたテレパシーが遮断された。そうか、彼はチャネリングの脳力者、操られながらも僅かに残った意識で警告してくれていたんだ。でも、私は既に支部長達に取り囲まれて万事休す。金剛を倒すため蘇ったワヤン不動も、もはやここまで……この場の誰もがそう確信したその時! 「ガルァァァ!!!」  カンファレンスルームを突如切り裂く青白い閃光! それは一直線に私の影体を攫うと、その広い背中にヒョイと乗せて威嚇体制を取った! ༼ 御戌神! ༽ 「話は全て聞かせてもらったわ。どこの豚だか知らないけど、NICと私達に喧嘩を売るとは見上げた根性ね」  目や指先を鉄のように赤く熱した悟さんも入室! 実はさっき、悟さんに背中に何か付けられた感触があった。取ってみると、それは霊声やテレパシーも拾える小型の高性能盗聴器だった。 「い、いや、違うんだエイミィ! これは……」 「NICコードネームは脳力者職員同士が敬意をもって呼び合う。しかし家族やプライベートな間柄は本名で呼ぶ事が殆ど……あらぁ? 妹の夫である私の事は下の名前で呼んでいらっしゃってましたよねぇ、『ラルフ』義兄(ニイ)さま?」 「ぐッ……いやいや、最初から見抜かれてたとはね……。いや! でも形成は変わらないよ。君らに支部長共は攻撃できないからねぇ!」  攻撃特化の二人、欧米アンドアフリカ支部長が出る! 欧米支部長は爪を通り越して肘下全体を硬化し御戌神へ、アフリカ支部長は見たことのない一族伝統格闘技の構えで悟さんへ! 「黙れ焼豚!」  ブァホオオォォオ!! 悟さんのヒエロニズムでアフリカ支部長炎上! 私も光君の輝きを借りて回復そして武器発現、欧米支部長の両腕を炎のティグクで容赦なく切断! 「ギャアアアアア!!」 「いや、なッ、お前ら人の心ないの!?」  操ってる奴ドン引き! すると相変わらず片目でゲームをしながら有働さんも入室。 「ここは病院ですから、介抱なら後でいくらでも可能です。そしてワヤン不動さんは本来癒しの仏。彼女がお力を取り戻せば、皆さんの感じる痛みも和らげてくれるでしょう。それから……」  有働さんが斜めに半歩下がると、彼の後ろから一人の女の子が現れた。少女が支部長達に両手をかざすと、 「スリスリマスリ!」  シュパアアァァァ! 突然辺り一帯にパステルカラーの雲霧が立ち込め、次の瞬間支部長達は全員気絶! この力……そして、この子は! 「お久しぶりです、ヒトミちゃん。オモナ! かわいいワンちゃんね!」 ༼ イナちゃん!? ༽  彼女はパク・イナちゃん。私と同じく愛輪珠如来に因縁のある、巫俗(巫女)の女子高生だ。どういう経緯かは思い出せないけど、アンダスキンを退治した時一緒に戦った仲間だ! 「譲司兄ちゃんの弟さんに呼ばれてびっくり、パジャマのまま来ちゃたヨ。ここのみんな、気が乱れてた。でも私治したからもう大丈夫! ねえワンちゃん触っていい?」  イナちゃんの霊能力は理気置換術(りきちかんじゅつ)、人や霊魂の乱れた気を正す、儒教に伝わる気功療法だ。支部長さん達はとりあえず憑き物が取れ、全員動かなくなっているが命に別状はなさそうだ。心なしか部屋全体も明るくなった。しかしイナちゃんは御戌神を撫でながら首をかしげる。 「オモ? ヘンね。この人達操ってたお化けいないヨ? 理気置換術当たったら、いい子ちゃんになてるのに」 「逃がしたかしら? そんな気配はなかったけど」  悟さんと有働さんも周囲を見渡すが、それらしき気配はない。ところで、私にはなんとなく敵の正体がわかる気がする。敵は大人数を操っていたにも関わらず、一人か二人ずつでしか攻撃してこなかった。本人の気配も少ないし、術を使っていたのは一人である可能性が高い。特徴としては、暗い場所に関わらず正確に行動でき、乗っ取りを解除されたら室内が明るくなった。そして何より、最初から影法師が暗闇に弱いと知っていて、幽霊や脳力者の金縛りは通常効かない影体の動きを止められた。それに当てはまる人物は…… ༼ ひょっとして、相手も影法師か? ༽  そう。同業者である可能性が高い。すると有働さんが何か閃いたようにタブレットPCを取り出した。 「インドネシアで影神(ワヤン)と申しますと……私が愛好しているソーシャルゲームに、このようなキャラクターがいます」  一同でモニターを覗くと、そこには黄色い肌のアニメ調美少女キャラクターがいた。格闘家の道着に似た格好で、足元から伸びた黒い触手が体の周りを漂い、額には黒い大穴が空いていて、そこからさらに小さな顔が覗いているデザインだ。右下には銀色の文字でNと書かれている。 「これはバドゥクン・サンテット、インドネシアに古来から伝わる暗殺呪術師です。未確認生物シャドーピープルを生み出した開祖とも言い伝えが……」  すると有働さんが説明している最中、どこからか声が聞こえた。 「……いやレア度ノーマルかよ!」 「ん?」  全員が周囲を見渡す。やっぱり誰もいない。 「気のせいですかね。ともかく、そういう神様がいるんです。非常に狡猾で好色、風見鶏のような事大主義者と言われています」 「いやいや悪意ありすぎ! 人間は賢いボクたまに嫉妬してるだけっしょ!」  今度ははっきりと聞こえた。声の方角にいたのは……あの不気味な黄色い人形だ。私は悟さんに目で合図し、ヒエロニズムの遠隔発火攻撃を頼んだ。 「イヤあっちゃちゃちゃちゃ!!?」  人形が炎に包まれると同時に、黒々とした大量の帯電エネルギーが溢れ出す。それはたちまち部屋中の影を吸収しながら人形の炎を鎮火し、その体を人型サイズにまで肥大化させた。 「いやいやいや~。キミたち如きカスどもが、このボクたまを見つけるとはイヤ恐れ入ったよ! いやそれにしても、そのキャラクターちょっとは可愛く描けてるね。いや、本物のボクたまには到底及ばないけど!」  妙に否定から入る口癖のソレは、どうやら有働さんの読み通り。これが全ての影法師(シャドーピープル)の開祖とは眩暈がするが…… 「いやあ、ボクたま優しいからちゃんと名乗ってあげる。大神影(ワヤン)、バドゥクン・サンテット。可愛ぃ子ちゃんには弱いけど……ボクたまが一番カワイコチャーン!!」 ལྔ་པ་  バドゥクンも影法師なら闇には弱いはずだ。となるとさっきの暗い部屋は、恐ろしい事に全て彼の術下だったのだろう。だからさっきやけに具合が悪かったんだ。 ༼ 待て、バドゥクンとやら。お前も金剛の手先か? ༽ 「いや、あいつらとは関係ないね。けどあいつらすっごく強ぇから、ボクたまうーんとゴマ擦ってあやかってやるのさ!」 ༼ なるほど、伝承通りのゲス野郎。なら容赦する必要なし! カハァーーーッハハハハァーーー!!! ༽  ティグク発炎! 私は嬌声を上げながら御戌神の背中を跳躍しバドゥクンに迫る! 最近ずっと恩師とか味方の人とばっかりで本気で戦えなかった鬱憤を晴らしてくれるわ!!! 「イヤアァあっちぃ! いやんもぉ、ボクたまの超キュートなお顔が燃えちゃうだろ!?」 「ぜんぜんかわいくないヨ! お顔キモいヨ!」  オルチャンガールの辛辣なツッコミ! バドゥクンは外殻である人形の体を盾にしながらちょこまかと動き回り、影法師術の数々で私の体力を削ろうと試みる。影踏み、影移し、影鏡、メロンバリアー……だがそれらは全て私も使える技だ! 応酬! 「いやね? 金剛有明団はアガルダっていう楽園を作るのにお前が邪魔らしいけど、それはボクたまにとってどーだっていい。でもワヤン不動、ボクたまはお前の事が個人的に気に入らないんだ!」  するとバドゥクンが見た事のない構えを取る! 「せっかくボンキュッボンのクセにぜーんぜん色気のない戦闘狂いって感じでさぁ、しかも前世が邪尊で引退宣言!? いやいやふざけんな! 世界的に神影(ワヤン)のイメージが悪くなっただろうが!」  チュタタタタ! 突如バドゥクンの手元から光と影を練った小弾が射出される! 私は一歩下がってそれを回避。するとその瞬間既に間合いを詰めていたバドゥクンが私を掴み、 「死ね、『影縫い』ッ!!」  ブレーンバスター! 吹っ飛ばされる! しかし間一髪、壁に叩きつけられる直前に柔らかい光のクッションが私を守った! 「援護は僕が。反撃を!」  背中に私を受け止め、御戌神は跳躍状態のまま空中で翻り激しく発光! バドゥクンへと続く光のトンネルを作りそこへ私を振り落とす。 ༼ こちらにも奥の手はあるぞ! ༽  空中無敵ゾーンで体制を整えた私はそのまま突進すると見せかけ直前で停止。相手の反撃ビームを一度かわしたのち、光の壁に隠して這わせた灼熱神経線維でバドゥクンの全身を爆破! 「いやああぁぁ!?」  ヴァダダガガァン!!! 須弥山をも砕く衆生の怨恨で外殻人形は瞬く間に灰塵と帰す! 現れた中の本体は……人形と寸分たがわぬ同じ顔! どれだけナルシストなんだこいつは!! ༼ 念彼観音力ィィーーーッ!!! ༽  本体一刀両断! スタングレネードの如く光と影が爆ぜる!! 「チクショオォォーーー!! ……いや、まだだぁ!」  明暗錯綜するカンファレンスルームの中で未だ闘志衰えぬバドゥクンは必死に影体を練り上げ、天井に黒々とタールのような不定形塊を捻出した! まさに影法師開祖の意地! 「喰らいやがれ究極奥義、影影無窮(えいえいむきゅう)……」 「お黙り焼豚!」「ガルルァァ!」「スリスリマスリ!」 「イヤアアアァァーーー!!?」  必殺キャンセル!! まさかの仲間三人同時攻撃でバドゥクン再破裂! さしもの開祖様もあえなく墜落。丁度落ちていた人形の灰の山にスルリと入魂すると、もはや再び動き出す体力は残っていなかった。 དྲུག་པ་  最古の神影(ワヤン)はしぶとく、バドゥクンは消滅は免れたようだ。水をかけて冷ました灰にイナちゃんのお札を貼って封印し、みんなで荒れたカンファレンスルームの机や椅子を片付けていると、NIC支部長さん達が目を覚ました。 「うう……酷い目に遭いましたです……」 「やれやれ! 天下のNIC支部長軍団が全員乗っ取られるなんてな」  EU支部長は菌達の無事を確認するように全身を見回し、欧米支部長は崩れた髪型を直す。一方アフリカとアジアの支部長達は自分の身なりには目もくれず、弱体化したバドゥクンの灰山をペンなどで刺して仕返しに興じている。中東支部長は、引っくり返って一人で起き上がれなくなったヴァーヴィアポワ氏……もとい、ラルフさんを手伝っている。 「ふぅ、��めんねワヤン不動。NIC職員は自分の脳力を過信しすぎちゃう悪い癖があるけど、ここのセキュリティはもうちょっとしっかりしないとね」 ༼ ��え。ラルフさんに送って頂いたテレパシーのおかげで、悟さんに一早く異変を伝えられました ༽ 「ああ、サトくん! 久しぶり! 金融アルマゲドン、お疲れ様。カスプリアもサトくんが一位で喜んでたよぉ」 「まあラルフお義兄様、お体は大丈夫? ヘルニアやってるんだから、少しは痩せなきゃだめよ!」  正気に戻った総長と悟さんが内輪の話を始めたので、私と御戌神、イナちゃんはバドゥクンに尋問を行う事にした。 ༼ さっきお前が言っていた究極奥義とやらは、どんな技だったんだ? ༽ 「イヤ……誰がお前なんかに……」  圧。 「ヒェッ! い、いやだなー、御冗談ですって不動の姐御! いやね、影影無窮というのは、つまりあのメロンみたいな結界をもっと強固に張って、中の暗黒空間で影武者や影写しした傀儡を好きに操るっていうか」 「よくわかんないヨ!」 「イヤぁん!」  イナちゃんに小突かれて涙目になるバドゥクン。まあ、専門用語が多かったがメソッドは理解できた。NIC支部長さん達を操り、あの部屋全体を自分の術下に置いていた技が影影無窮か。かなりエネルギーを消費しそうだけど、御戌神と一緒なら私もできそうだから練習しておこう。 ༼ もう一つ。さっきお前が言いかけた金剛の楽園アガルダとやらは、どこにあるんだ? ༽ 「へへぇ、それはですね……」  バドゥクンが言いかけたその瞬間、目の前に急に柱のようなものが立った。……いや、違う。これは……これは、散減!? 「いっ……ゃ……ァ……!?」  パシュン! 散減に食われたバドゥクンは溶解と破裂の中間のような音を立てて分解霧散、完全に逝去してしまった。金剛に因縁深い御戌神とイナちゃんも戦慄する。 「ああ、カワイソウ、カワイソウ。弱くて惨めなお人形さん……壊れちゃった」  その時、散減が発する白濁乳と同じ悪臭を纏っていたのは…… 「南米支部長、セントプリーア?」  ラルフさんが驚愕する。まさか、NICの中に金剛の人間がいるなんて。 「それに比べて、ワヤン不動。囚わ���の仏じゃなくなったあなたってぜぇんぜんカワイソウじゃない!」  私は考えるより先に動いていた。南米支部長の幽体にティグクを振りかぶる。ズンと物を斬る感触! が、それは南米支部長を庇って飛び出た散減! 「きゃあああぁぁーーーーーーーっ!!!!!」  つんざくような悲鳴! 散減の断末魔か……違う! 南米支部長だ! 「ついにッ! ついにワタクシに手を出した……暴力を振るったわね! 繊細でか弱いこのワタクシを! 卑劣な加害者め、あなたを絶対に許さない!」  南米支部長は私を軽蔑に満ちた目で睨む。な、なんなんだこの、被害者意識の塊みたいな女は!? 「フゥ、フゥゥ……ワタクシはこれから代理母のお腹から生まれ変わるわ。そうしたら仏のあなたはもうワタクシを傷つけられない! 衆生になるんですものね。それともワタクシを殺して殺人鬼になる方が、邪尊さんにはお似合いかしら? ウフフフフ、それじゃあね」 ༼ ま、待て! ༽  裏切り者の南米支部長はそのまま消えてしまった。バドゥクンは消え、敵の本拠地ももうわからない。何もかもが振り出しに戻り、カンファレンスルームは再び陰鬱な沈黙に包まれた……。
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