#自家製手打中華そばみの八
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今日は土曜日。お休みだ。
お昼は自家製手打中華そば みの八で中華そば。
2024年54杯目。
#ラーメン
#中華そば
#自家製手打中華そばみの八
#白河ラーメン
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我が国の未来を見通す(73)
『強靭な国家』を造る(10)
歴史から学ぶ「知恵」の適用(その5)
宗像久男(元陸将)
───────────────────────
□はじめに
ウクライナが反攻作戦を展開中の6月24日、ロシ
アで「プリコジンの反乱」が発生しました。民間軍
事会社「ワグネル」司令官のプリンコジンは、かね
てから国防省批判などを繰り返していましたので、
ロシアが“一枚板”でないことはわかっていました。
思い余った結果の決断だったものと推測しますが、
一時はモスクワに向かって進軍したものの、ベラル
ーシのルカシェンコ大統領の説得を受けて、プリコ
ジン氏は進軍を停止させ、ベラルーシに出国して反
乱はひとまず一件落着となりました。まだまだ先行
き不透明ですが、本事件は、今後、様々な形に発展
する可能性もあることでしょう。
そこで、まず不思議に思うことは、ロシアには「な
ぜこのような民間軍事会社が存在しているか?」で
す。現在、“雇い兵組織”はロシアの法律では認め
られていないようですが、このような民間軍事会社
は37あり、ウクライナ戦争には25の軍事会社が
参加しているといわれます。大統領に近いオリガル
ヒ(新興財閥)やショイグ国防相までも民間軍事会
社を立ち上げているようです。国防相が“私兵”を
持っているのですから驚きです。
日本では信じられないですが、これらの民間軍事会
社は何らかの形で国防省や治安機関FSBなど府側
と関わりを持っており、ワグネルに対しては、1年
間で860億ルーブル(約1400億年)もの資金
提供があったことをプーチン大統領が認めたように、
戦車や大砲まで所有しています。
このような民間軍事会社が活動している背景は3つ
あると言われています。まずは、兵員の補充の問題
です。不足する兵員を補充するために「国家総動員
令」を出すと国民の動揺や反発を恐れる政府側が、
その代わりに民間軍事会社を戦地に送り込むのです。
彼らはロシアの平均給与の数倍で雇われていますが、
“使い捨て”です。仮に多数の死傷者が発生したと
しても政府の責任は問われないのです。
第2には、クレムリン内の権力・利権争いです。今
回は、プリコジンがジョイグ国防相やゲラシモフ参
謀総長などの主流派を対立し、権力争い��野心を示
したことが、プーチン大統領の「裏切者」発言につ
ながっています。今回、ワグネル排除に動き出した
のも、プーチンの盟友が率いる国営企業ガスプロム
の“官製”民間軍事会社だと言われています。
そして第3には、プーチン体制が崩壊する時に備え
て、力ある政治家やオリガルヒたちが私兵部隊を整
え、自らの身の安全を確保するとともに、権力や利
権を奪取しようと目論んでいるというものです。
このような背景をよく知らず、日本の“常識”だけ
で、今回の反乱を分析すると様々なことを見落とす
でしょう。ワグネルがモスクワに向かって前進して
いる時、多くの市民が彼らを歓迎していた映像が映
し出されていました。もちろん、プーチン大統領や
政府首脳もそれらの映像を観たことでしょう。
そこから先は、ルカシェンコ大統領の出番でしたが、
まず“沈静化”を最優先したのでしょう。説得が成
功するや、プリコジンとワグネル兵士を“別扱いす
る”深夜の政治声明も発せられました。
今回の「プリコジンの反乱」がウクライナ戦争にい
かなる影響を及ぼすか、について現時点における安
易な予測は禁物ですが、歴史をたどれば、日露戦争
時、明石大佐などが暗躍し、やがてロシア革命に至
るロシア帝国内の動揺(1905年)、第1次世界
大戦時の「ロシア革命」(1917年)、それに冷
戦崩壊後のエリツイン元大統領らによる「モスクワ
騒乱事件」(1993年)など、戦時下などで時の
政府の混乱に乗じて体制が大きく変わるという歴史
を有しているのがロシアであることは間違いないで
しょう。
「歴史は繰り返す」のか、そのような事態を熟知し、
最も警戒しているプーチン大統領は、反乱が拡大す
ることを恐れ、眉間にしわを寄せたまま、2度の政
治声明を国民に向けて発出したのでした。
ここから先は推測ですが、無事にベラルーシに入国
したプリコジンを、KGB残���のプーチン大統領が
そのまま見逃すはずがないとみるべきでしょう。プ
リコジンが生き延びるためには、再びプーチン大統
領に忠誠を誓い、それを証明しなければならないと
考えますが、そのチャンスがあるかどうか不明です。
一枚板ではないロシアの中に、いつか再び「プリコ
ジンに続け!」との“流れ”が拡大する事態もない
わけではないでしょう。そうなれば、ロシア国内の
“内部崩壊”事態が急展開して、ウクライナ戦争の
行く末に決定的な影響を及ぼす可能性は残っている
と考えます。
後々、ウクライナ戦争を振り返る時に、このたびの
反乱がどのような地位と役割を果たしたことになる
か、についても現時点は不明でしょう。私自身は、
何としても政権にしがみつき、本戦争の目的を達成
したいとするプーチン大統領が“さらなる強硬手段
に訴える”可能性がまた一段上がったことを最も懸
念しています。
▼「健全な国民精神の涵養」の必要性
本題に戻しましょう。歴史から学ぶ4つの「知恵」
の4番目は、「健全な国民精神の涵養」です。書籍
でも紹介していますが、イギリスの歴史家トーマス
・カーライルの名言として「この国民にしてこの政
府あり」とあるように、いかなる国であっても、政
府は、国民精神の “縮図”と考える必要があります。
書籍の中で私自身は、健全な国民精神とは、愛国心、
誇り、道徳、文化、歴史などを含む日本の「心」と
表現していますが、一般的な意味での国民精神は、
「民意」と表現される場合が多く、国民の自覚とか
教養とか主義思想とか、あるいは国民のレベルなど
を総称しているものと考えます。
諸外国には、この「民意」などが入る余地がない国
もありますが、特に、国民が「主権者」である民主
主義国家は、制度の違いこそあれ、国民が自分たち
の代表として政治家や政府を選び、国民の負託を受
けた政治家が法律を作り、政府が政治(行政)を行
なうというシステムですから、少なくとも大多数の
国民の精神は即、政治に反映されます。
ただそのような見方だけでは不十分との考え方もあ
るでしょう。もう少し広い意味で、あるいは長い歴
史の中で、国民精神が基軸となって、国家の伝統や
国柄など「国の統治制度」にまで反映されてきてい
ると考える必要があります。
天安門事件をきっかけに中国と縁を切って日本に帰
化した石平氏は次のように述懐しています。「世界
の現実が『国家の興亡』、つまり栄えては滅びると
いう繰り返えしを行う中で、1系の王朝が3千年近
くも続いている国は、最も国家運営に成功してきた
国に他ならない。世界史の中で最も成功した国が日
本である」(『新しい日本人論』〔加瀬英明、ケン
ト・ギルバート、石平共著〕より)。
その上で、「『民主主義は、戦後にマッカーサーが
日本にもたらした』と大それた虚言を弄する者がい
る。とんでもない。日本の民主主義は、高天原の神
々が『天降って』もたらしたものである」(原文の
まま)として、その源流は、日本の神話は「八百万
(やおよろず)」神が共生する世界であり、ものご
とを進めるにあたり、数えきれない神々が「神議り
(かむばかり)」といって、議論をして意思決定を
することにあると解説します。
余談ですが、この「神議り」は、現在は、毎年10
月、出雲地方に全国の神々が集まって人生諸般のこ
とが議論されるという神話になっています(それゆ
えに、旧暦月で10月は「神無月」ですが、出雲地
方では「神在月」と呼称されています)。
そして、このような我が国の建国以来の伝統が、
「神武創業」に立ち返ることを目指した明治維新の
『五か条のご誓文』中で「万機公論に決すべし」と
して復活したのでした。わずか150年ほど前の出
来事ですが、多くの日本人の頭に中に残っていない
ことでしょう。このような「事実」について、帰化
人である石平氏に指摘されることは、改めて恥じ入
るばかりなのです。
石氏は、その根本精神は「平等感」にあるとして、
「栄華を極め、世界の富を集めたような王朝もその
不平等のゆえに滅びの道に至った。搾取される側が、
搾取した者を打倒しようとするからである」と補足
し、「日本の天皇は、蓄財や贅沢をしたことがなく、
常に民衆のことを思って、出来る限りの質素を望ま
れた。だから天皇を打倒しようとする機運はついぞ
国の中からは起こらなかった」と続きます。
このくらいにしておきますが、私たち日本人は、長
い間、このような我が国の伝統や国柄を国民の総和、
つまり「民意」として(少なくとも戦前までは)受
け入れてきたのでした。
さて、現在はどうでしょう。シリーズ「我が国の歴
史を振り返る」の最後の方で紹介したのですが、あ
る時、インターネットで日本人の“現状”を揶揄っ
ている次のような言葉を見つけ、私自身は「あなが
ち間違っていないだけに笑えない」と感じつつ、
「“戦後の日本人はなぜこうなってしまったのだろ
うか”としばらく考え込んでしまった」と補足した
フレーズがあります。
「(1)政局と選挙しか考えない政治家、(2)保身と省
益しか考えない官僚、(3)儲けることしか考えない経
済人、(4)視聴率と特ダネしか考えないマスコミ、
(5)目立つことしか考えない言論人、(6)権利のみ主
張し、義務を果たさない国民、(7)3メートル以内し
か関心がない若者」です。
石氏の主張するような精神が、多くの日本人の根底
に残っていると信じてはいますが、日本人の普段の
「行動原理」として、ここで揶揄されているような
特性を無視することはできないとも考えます。
最近、出生率0.81の韓国について、その原因は
「子供の数が少なければ少ないほど、高い消費水準
と外見的にモダンな生活水準により早く達成できた」
「短期間で先進国のモデルに追いつこうとすれば代
償は避けられない。強いられる近代化の加速が文化
的なひずみを生み、そのひずみの一つが出生率の低
下だ」(『ドット人類史入門』〔エマニエル・ドッ
ト、片山杜秀、佐藤勝共著〕より)とする分析を目
にしました。
しかし、このような“現実”はけっして韓国だけで
はなく、我が国もさほど差がないのでは、考えてい
たところ、本書の中で、ドットは「日本は、『直系
家族社会』がまだ残っているから韓国とは違う」と
の解説していました(細部は省略します)。
ただ、“3メートル以内しか関心がない”と揶揄さ
れるような若者たちの多くは、現在の生活水準や自
分たちの将来などには関心があっても、地域や社会
や国家に対して自分たちが何をできるか、何をしな
ければならないか、などについては、親からも学校
でも教わる機会がなかったこともあって、頭の片隅
にもないことでしょう。
私は、それが我が国の少子化の原因のひとつと考え
ていますが、その延長で、「明日食べる物がなくな
る」とか「エネルギーが枯渇する」との危機意識な
どについて、微塵にも感じたことがないのかも知れ
ません。
“権利のみ主張し、義務を果たさない”国民も巷に
溢れるようになりました。その結果、「愛国心」と
か「自国民であることの誇り」とか「国を守る気概」
などのような、どこの国民でも必ず保有している当
たり前の精神をどこか遠くに置いてきたような状態
になっているのではないでしょうか。
これらから、本シリーズでも再三指摘してきました
が、我が国の未来に立ち込める「暗雲」に対して果
敢に取り組むため、上記のような現代日本人の精神
的特性が“阻害事項”になっていないだろうか、と
どうしても考えてしまいます。
そして、本来、少子高齢化、食料問題やエネルギー
問題などについて、いち早くその本質を解明し、我
が国の置かれた状況を真剣に国民に訴え、国民の自
覚や協力を促すために、国民の先頭に立って「旗振
り役」を演ずべき政府や政治家の行動が、やはり
“政局と選挙が優先する”のか、その熱意や真剣さ
が国民に伝わっていないような気がします。
そればかりか、脱炭素とかSDGsなど、「��連が
先導している」として、その必要性や可能性などに
ついてロクに分析しないまま“垂れ流し”にしたり、
最近の事例では、少子化対策に逆行するような法律
についても政局の混乱の回避のみを優先したまま、
後先を考えずに制定したりしているように見えます。
前回、「部分最適」の話題を取り上げましたが、���
合判断ができないから、それらに対処するための
“共通の要素”があることなどに気がつかない、そ
して優先順位を間違えるから、国を挙げてやるべき
ことから“ずれて”しまう、よって国民は、これら
の問題対処を「自分のこと」として、言葉を代えれ
ば、「国民の義務」として腑に落とすレベルまで真
剣に理解していないような気がします。
少子化対策や農業問題などの解決は、“若者の3メ
ートル以内に、いかにパンチを聞かせ、納得させ、
その気にさせるか”にかかっていると考えますが、
現実はほど遠いような気がします。そこにこそ、我
が国の将来がかかっていると思うだけにとても残念
です。
▼国民が“覚醒”する時来たり
実は、石氏はもっと広く日本のあり方を観ています。
つまり、「日本のあり方が『今後、世界が存続して
ゆけるか』という厳粛なテーマの『解』を示してい
る」として、「世界で最も成功した国・日本がその
『秘密』を内包している」と強調します。
つまり、我が国が「平等感」を基軸にして「万機公
論に決すべし」として3千年近くの長きにわたり国
家運営を成功させてきた、その秘訣こそが、“これ
からの世界の存続に必要不可欠”と説いているので
す。私たち日本の未来に立ちはだかるであろう「暗
雲」を見事に乗り超えることは、日本だけの問題で
なく、世界の存族にまで影響を及ぼすと言えるのか
も知れません。責任は重大なのです。
日本は少子高齢化においては世界の最先頭を走って
いますし、食料やエネルギーの自給率では先進国で
ほぼワーストに位置しています。よって、これらの
危機を乗り越えることは、まさに世界のロールモデ
ルとなることでしょう。事実、『ライフ・シフト』
(リンダ・グラットン他共著)の冒頭でも「世界で
いち早く長寿化が進んでいる日本は、他の国々のお
手本になれる。(中略)世界の先頭に立ってほしい」
と期待が述べられています。
我が国がこれらを見事に乗り超えるためには、何と
しても、大多数の国民の“覚醒”が必要不可欠と考
えますが、“いかに覚醒するか”が難題中の難題で
あり、「任重く道遠し」との感をぬぐい切れません。
数年前からそのような問題意識を持っていた私は、
悩んだ果てに、今の日本人の精神を形成した「出発
点」に戻り、そこから出直すのが最も近道で、かつ
唯一の道ではないか、と考えるようになり、“我が
国の歴史を取り戻す”ことを狙いに、「我が国の歴
史を振り返る」と銘打ってメルマガを発信したこと
をよく覚えています。
戦後70年余りが過ぎましたが、私たちは自らの精
神などについて一度も顧みることなく、手つかずの
まま放置してきました。そのツケが一挙に噴き出し
たのが“今日”であり、我が国の“近未来”であろ
うと思います。
戦後世代の私たちは、長い日本の歴史の中で最も恵
まれた世代であると考えます。多少の天変地異はあ
りましたが、飢餓とか戦争などとは無縁でした。と
は言え、「後世のために、後に続く子孫のために、
必要なことを行ない、必要なことを残しているか」
と問えば、答えは「ノー」でしょう。このままでは
後世に顔向けできないでしょう。国家を挙げて、世
代を挙げて、様々な問題を「自分のこと」として真
剣にかつ全力をもって取り組む時が来た、と私は考
えます。
残された時間があまりないような気がしますが、早
期実現を目指すためにも、次回以降、歴史から学ぶ
4つの「知恵」から離れ、「『強靭な国家』を造る」
その必要性と手段について読者の皆様と一緒になっ
て考えつつ、本シリーズを総括したいと思います。
いよいよ終盤です。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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節目誕生備忘錄
H:三立都會台「艾嘉食堂」,其概念應來自「深夜食堂」「大雲時堂」,
甚至「誰來晚餐」。節目誕生程序,在第一集有介紹,也見證餐廳的誕生時程,人事時地物,各方配合,準備工作於前,14天搞定,20241006W7
網路摘鈔
節目誕生程序
1概念內容
喜歡做菜,早期也做過節目很長一段時間,「希望台灣會有很好的真人秀」。
2資金預算
《艾嘉食堂》耗時4年製作、斥資近億,版權費雖說無法多談。不過整體製作費並無超支。驚人版權費。
3召集人及地點的規劃整理
借用廢墟,重建,拍完留給地主,互利。
4演員的選角及訓練
演員未報前自行練習,拍攝的勤前教育,拍攝中的技術指導及討論。
5拍攝進度的律定,相關人員的進駐。
張艾嘉回憶起14天的拍攝過程,透露留下相當美好的記憶。
6現場的拍攝
「我們在營業!」可見大家是來真的。
7節目的剪輯旁白
8節目的行銷
《艾嘉食堂》2024年10月3日不畏颱風山陀兒,照常舉辦首映記者會。
9現場的解壓方案。
休息時段的餐飲及住處休閒。
10後續的推展
全球首個獲得CJ ENM《尹食堂》官方授權的實境綜藝節目。2024年10月5日(六)在三立都會台晚上八點首播、Netflix晚上十點、華視主頻隔周六晚上八點播出。
網路資料
《艾嘉食堂》由張艾嘉、楊祐寧、柯佳嬿、王大陸領銜,嘉賓林柏宏、(G)I-DLE舒華加盟,為全球首個獲得CJ ENM《尹食堂》官方授權的實境綜藝節目。歷經四年製作期,耗資近億新台幣,10月5日(六)在三立都會台晚上八點首播、Netflix晚上十點、華視主頻隔周六晚上八點播出。
維基百科
《一起吃晚餐嗎?》(韓語:저녁 같이 드실래요?),為韓國MBC於2020年5月25日起播出的月火連續劇,由《Player》的高在賢導演與李秀河作家合作打造。此劇改編同名網絡漫畫,講述因為曾經有過痛苦離別的戀愛經歷,以及受到「單身文化」的影響,漸漸對戀愛冷感,愛情感知退化的兩個男女,通過共進晚餐慢慢找回愛情的甜愛羅曼史。
《深夜食堂》(日語:深夜食堂)是安倍夜郎創作的日本漫畫作品。2006年10月在小學館發行的漫畫雜誌《Big Comic Original增刊(日語:ビッグコミックオリジナル増刊)》初次發表,一次刊登三話,接下來每一期登出兩話。2007年8月開始在《Big Comic Original》連載。
《大雲時堂》(英語:Da Win Dining),是大雲文創製作、MOMOTV監製的談話性節目,場景由中華電視公司美術中心搭建,並以4K解析度規格製播。主持人為大雲文創董事長李四端。2018年10月1日於MOMOTV播出,時段為每週一至週五22:00-23:00。後製導演為沈丹桂。2022年於MyVideo上線。
《誰來晚餐》(英語:Guess Who)是台灣公共電視台製播的真人實境秀及紀錄片,無主持人,目前播出至第十四季。
Quick Facts 誰來晚餐 Guess Who, 類型 ...
概況
節目形式為每集探訪一個台灣家庭,採訪他們的生活點滴,並邀請該家庭成員心目中的夢幻嘉賓。在節目前半,通常會先介紹家庭成員的組成、日常生活,並在節目後半段讓嘉賓登場,與他們一起共進晚餐。
目前擔任《誰來晚餐》嘉賓次數最多的為詹姆士,共4次[註 1]。[1][2][3][4]
2019年,《誰來晚餐》拍攝第11季的第37集,因受訪家庭的男主人謝東寧去世,而取消邀請受訪家庭的神秘嘉賓,是唯一一集因受訪家庭成員去世而無嘉賓[5]。
網路介绍
節目以繪本為核心,每集會找不同的來賓,開展各式各樣的繪本漫談,讓我們一起分享繪本的奧妙! 只有繪本這種書籍,從0歲到100歲都可以欣賞。
今晚吃什麼?:日本主婦和台灣太太的家庭常備菜交換誌
作者:小野慶子 , 謝苹愉
語言:繁體中文
出版社:帕斯頓數位多媒體有限公司
出版日期:2019/06/06
內容簡介
#日式餐桌完全複製術!
#小小的盛情款待
#想和喜歡料理的人緊緊聯繫
#簡單的家庭常備菜是所有主婦的心願
一位是跟隨著日籍先生來台灣生活的日本主婦,另一位則是嫁到日本的心願夢碎,只好回家鄉當台灣太太。兩人兩年多來不間斷地語言交換,雖然約定好要學中文、練日文,但有著「ABC Cooking Studio」講師經歷的慶子,以及身為美食專欄作家的苹愉,卻花了很多時間在吃東西、聊食物、談料理,用美食做好國民外交。
日本主婦慶子第一次來到台灣就是跟著先生「海外出張」(出差),這一待就是三年多,來到台灣生活後,才發現真正的「台灣」和過去以為的「台灣」怎麼差這麼多,「原來台灣人不會自���在家做小籠包啊!」、「原來台灣不只有勾芡的湯品!」、「原來菜瓜布可以吃啊!」(日本人不會把絲瓜當成食材),透過生活在台灣的日本主婦,破除日本人對台灣的刻板印象,也揭開台日之間飲食文化差異。
台灣太太苹愉吃了三十多年的台式家常菜,卻對吃熱食很不拿手,偏好日本的冷菜冷飯,有著日本人的胃,對日式料理有著無限喜愛和探究精神,即使在日本住過一年,但對於日本飲食文化和家常菜色仍充滿很多好奇,透過和日本主婦的交流,以學習的心態,瞭解屬於日本味的美食。
住在台灣的日本主婦發表自家常用的食譜配方,搭配台灣太太對於日台飲食的觀察,讓你在家也能複製日式餐桌,還來一場料理PK,用相同的食材、元素,各自準備一道擁有日台特色的料理,一起探究台日飲食的有趣之處吧!
你也想把日式餐桌搬進你家嗎?跟著做就對了!
Step 1買對日本人愛用調味料
Step 2用對調味料才有美味料理
Step 3煮一壺日式高湯
Step 4常備一罐日式昆布醬油
Step 5跟著食譜做準沒錯
本書特色
日台聯手做好國民美食外交
來自日本主婦的家庭菜譜,和台灣太太的細微觀察,攜手介紹日台美食,一起發掘有趣的飲食文化。
#日式家常菜
日本料理善用燉煮、涼拌、油炸等烹飪技巧,但你知道日式炒麵沾蛋液有多美味嗎?收錄一些你熟悉的,卻有你不知道的意外吃法。
#下酒菜
日本人總喜歡下班後喝一杯,不過在日本居酒屋,下酒菜真的只是配菜,喝的酒倒是比吃的菜還多!儘管如此,料理同樣不馬虎呢!
#和風洋食
當漢堡排不再只配麵包,來一碗白飯更好;吃義大利麵不拿刀叉,改拿筷子,這就是日本人愛的和風洋食。
#中華料理
日本人對於果然中華料理有很深的誤會,才能發展出連我們都認不出來,屬於日本獨有的中華料理,但……仍舊好好吃啊!
#日台料理交換誌
誰說一個廚房容不下兩個女人,看日本主婦和台灣太太來一場料理PK,用同樣的食材做出展現日台特色的美味菜色吧!
名人推薦
Iku老師/人氣YouTuber
江夏啓人/「山江食品」常務董事
泉原俊一/「享櫻和風西洋料理餐廳」主廚
美奈子的。微日本旅行/知名部落客
收回
目錄
推薦序
最簡短而有力的推薦!/Iku老師
帶著盛情款待之心在裏頭/江夏啓人、江夏敬子
充滿著真心也帶著溫暖的家庭料理書/泉原俊一
輕鬆搞懂超市眼花撩亂的調味料/美奈子
作者序
想帶給你日本家庭料理的溫度/日本主婦 小野慶子
台日友好從料理啟程/台灣太太 謝苹愉
# 1 日本主婦在台灣
逛逛傳統市場買菜去
打破小籠包的迷思
早餐一汁三菜太幸福
# 2 搞懂日本人的五味,日式料理不難了
認識基礎日式調味料
飛越2163公里,出國採買日式食材吧!
從日式高湯開始做起
從一瓶「麺つゆ」開始,入門日式料理
常備沙拉醬搭配生菜沙拉
# 3 日式家庭料理,日常的和食魅力
乾拌蕎麥麵 和えそば
日式炒麵 焼きそば
味噌烤飯糰 焼きおにぎり
雞飯 鶏めし
親子丼 親子丼
散壽司 ちらし寿司
關東煮 おでん
關西風玉子燒 関西風だし巻き玉子
肉湯 肉吸い
馬鈴薯燉肉 肉じゃが
照燒雞肉 照り焼きチキン
鯖魚味噌煮 鯖の味噌煮
雞肉天婦羅 とり天
炒金平牛蒡 金平ごぼう
# 4下班後,來點下酒菜
紅蘿蔔鮪魚炒蛋 にんじんしりしり
菠菜拌胡麻 ほうれん草の胡麻和え
豆腐白和 白和え
芹菜胡桃味噌 セロリくるみ味噌
揚出豆腐 揚げだし豆腐
雞里肌胡椒起司串 ささみペッパーチーズ串
燉煮牛筋 牛すじ煮込み
油豆腐皮Pizza 油揚げピザ
焗烤千層豆腐 豆腐ラザニア
番茄拌梅肉 トマトの梅肉あえ
甘辛大豆炒 大豆の甘辛炒め
# 5懷念的滋味,和風洋食
漢堡排 ハンバーグ
蛋包飯 オムライス
日式牛肉燴飯 ハヤシライス
菠菜三明治 スピナッチサンド
鯖魚三明治 鯖サンド
# 6別裝了,這不是中華料理
牛肉香菜煎餃 牛肉パクチー焼き餃子
肉醬起司餃子 ミートソース餃子
中華冷麵 冷やし中華
肉味噌拌麵 肉味噌混ぜ麺
黑醋豬�� 黒酢酢豚
棒棒雞 バンバンジー
美乃滋蝦球 海老マヨ
# 7煮婦料理交換誌
◆試試台日蘿蔔乾
蘿蔔絲涼拌胡麻 切り干し大根マヨ胡麻和え
燉煮蘿蔔絲 切り干し大根の煮物
吻仔菜脯豆腐燒
◆日台肉燥飯
日式肉燥飯 肉そぼろ
��菇花生肉燥
◆ 吃韭菜
韭菜涼拌胡麻 ニラの胡麻和え
韭菜花炒豆皮
◆ 我家招牌排骨料理
燉煮小排 スペアリブの煮込み
古早味排骨酥
◆ 好長的台灣茄子
素炸茄子浸高湯 茄子の揚げ浸し
腐乳茄子
◆ 麻婆風
日式麻婆豆腐 マーボー豆腐
白麻婆豆腐 白マーボー
台式家常麻婆豆腐
◆ 茭白筍初體驗
筊白筍雞絲涼拌柚子胡椒 マコモダケとささみの柚子胡椒マヨ和え
筊白筍炒鹹蛋
◆ 等著蛤蜊開口
酒蒸奶油蛤蜊 あさりの酒蒸し
酸菜豆腐蛤蜊湯
◆ 拌飯系
大蒜奶油飯 ガーリックライス
櫻花蝦蔥油拌飯
◆ 日式年糕PK小湯圓
日式年糕湯 雜煮
紅白小湯圓鹹湯
《入侵者們的晚餐》就像一本存在各種驚喜的懸疑小說,高潮迭起卻呈現出平凡卻又讓人有共鳴的女性情誼。三位主角雖失去婚姻,獨自照顧自己,但入侵日一起出生入死,似乎讓三位女子完成了友誼的試煉,展開了一起晚餐的生活,當揮別了一個人吃貼著降價標籤冷便當的日子後,人生似乎也跟著變得溫暖幸福了一點。
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日中戦争には分かりづらいことが多い。「冀東防共自治政府」といって、理解できる人がいまどれくらいいるか……。宣戦布告がなされなかったため、正確には「戦争」ではなく「(満洲、支那)事変」だったのをはじめ、日本の中国侵略の過程が複雑だったことが原因だ。例えば、当時の日本軍のスローガンは「暴支膺懲」。「暴戻支那を膺懲する」の略で、「暴戻」とは乱暴で人道に外れていること、人民をいじめることだ。1937年8月15日に日本政府が発表した声明は、「帝国としては最早隠忍其の限度に達し、支那軍の暴戻を膺懲し以て南京政府の反省を促す」となっている。要するに政府や軍を懲らしめて正道に戻すというイメージで、建前では、敵は中国国民党軍や共産党軍であって、中国の民衆ではなかった。
1931年の柳条湖事件で始まった「満洲事変」は33年5月、「塘沽停戦協定」で表面的にはいったん終結。その際、関東軍の要求で冀東(河北省東部)を非武装地帯とし、中国軍の立ち入りを禁止した。これは、日本の軍部が華北地域を満洲同様、中国から切り離して事実上領有しようという「華北分離工作」の始まりだった。冀東は九州と同じぐらいの面積で人口約625万人。そこに日本の傀儡政権として35年11月に誕生したのが冀東防共自治委員会(のち冀東防共自治政府に)だった。通州はその本拠地で、主席は中国国民党で蒋介石の通訳などをしていた早稲田大卒の「日本通」殷汝耕。37年7月29日の通州事件は、味方であるはずの冀東政府の治安部隊・保安隊が「兵変」を起こし、日本軍駐留部隊や特務機関、在留日本人を襲撃、虐殺したとされた。被害者は本編にあるように200人以上。公式戦史に近い「戦史叢書」などは「223人」としている。うち半数以上が反乱を起こした兵員について、事件に最も詳しい広中一成「通州事件」は、保安隊などの計約7000人としている。
「通州保安隊の叛乱鎮圧」「北平本社特電(廿九日發)廿九日通州城外冀東保安隊二百名は突如叛乱を起しわが軍に対し射撃を加えたのでわが部隊は応戦追撃を加へこれを鎮圧した」。事件を伝える東京日日新聞(東日)の第1報、37年7月30日朝刊2面のベタ(1段)記事だ。第2報の31日夕刊は1面トップで「通州の保安隊暴動化」の見出し。「冀東保安隊の叛乱は丗日午前にいたり遂に暴動化し通州城内もこれら保安隊に蹂躙され、冀東政府並にわが出先機関との連絡全く途絶し一説には城内にあったわが少数部隊並びに細木特務機関は全滅したと伝えられる」と報じた。対して朝日新聞は同じ夕刊で「通州邦人の安否憂慮」と��う段階。以前から東日は陸軍寄りといわれており、その差が出たのかもしれない。
以後、報道はセンセーショナルにエスカレートする。見出しだけ見ても「鬼畜も及ばぬ残虐」(東日7月31日号外)、「恨み深し!通州暴虐の全貌」(朝日8月4日夕刊)、「宛(さなが)ら地獄絵巻」(同)、「敗残兵なほ出没 宛然!死の街」(朝日4日朝刊)、「人生の悲劇をこゝに あゝ鬼畜残虐の跡」(東日5日朝刊)…。本編の安藤利男記者の脱出後の手記が朝日、東日両紙に載っているが、「縛り上げて刑場へ 血に狂ふ志那兵 死の通州脱出談」(朝日8月2日朝刊)、「“死の通州”脱出血涙手記 “邦人虐殺”の銃口下 近水楼屋根裏の恐怖」(東日3日夕刊)とおどろおどろしい。これには理由もあった。
新聞にとって”戦争は儲かるもの”
37年7月7日の盧溝橋事件は現地の交渉で収まりそうになったが、あくまで強硬姿勢をとる関東軍と陸軍中央多数派の圧力で部隊増派が決定され、7月28日に中国軍への総攻撃が始まった。通州事件が起きた29日、日本の陸軍当局は東京の新聞・通信社の編集局代表を内務省警保局に招致。陸軍省新聞班斎藤少佐が31日の官報で新聞紙法第27条(「陸軍大臣、海軍大臣及び外務大臣は、新聞紙に対し命令を以て軍事若しくは外交に関する事項の掲載を禁止し又は制限することを得」)の発動を公布することを通告した。「27条の発動に依って報道機関の使命を阻害せんとの意思は毫もなく、唯、時局を認識の上、国家的協力を俟つものであり、許可ある範囲において、更らに一層の世論昂揚を希望する」と述べた(「日本新聞年鑑」)。報道の取り締まりが強化され、記事は「世論昂揚」するものでなければ載らなくなりつつあった。そして、よく知られていることだが、新聞にとって“戦争はもうかるもの”だった。出征した家族や友人らのわずかな消息を求めて紙面に目をこらす。日清、日露戦争でもそうだったが、「満州事変」でも新聞各紙は部数を大幅に増やしていた。「またチャンス」と考えた新聞人は少なくなかったはずだ。
軍と密着の同盟通信・安藤記者の決死の脱出劇
安藤記者が所属していた同盟通信は、現在の共同通信と時事通信の前身。事件前年の1936年1月1日に発足していた。通信社の新聞聯合社と、広告業と通信社業を兼ねていた電報通信社(電通)の報道・通信部���が統合。「諸外国にならってナショナルエージェンシー(国を代表する通信社)を」という政府の意向に沿った国策通信社だった。国内外80支社局と延長7000キロの専用電話線を持ち、敗戦時の社員・雇員は約5500人。その機能が報道だけでなかったことは「共同通信社50年史」も認める。「外務省や軍が同盟の人事に関与したり、同盟に仕事のやり方を指導・注文するのは日常茶飯事だった。同盟の側も外務省や在外公館に対し、同盟出先の事業拡大などのための資金援助をしばしば要請していた」「同盟のイメージは国家機関に限りなく近い」。里見脩「ニュース・エージェンシー」は「『日の丸の翻るところ同盟あり』をスローガンに約1700人もの社員が国外で活動した通信社は他になく、その評価はともかく、世界最大の規模を保持したのは確か」という。
同盟は「満洲」と合わせた中国大陸に約30カ所の総局・支局があったが、盧溝橋事件後、陣容はさらに強化された。「通信社史」は「(同盟)創業の翌年―昭和十二年七月―には日華事変に直面し、それが空前の大動乱に発展していく過程において、目覚ましい活躍を演じた」「日華事変の報道こそは、『同盟』がそのあらゆる人的・物的能力を傾倒したものであった」と書く。7月30日北平(現北京)発の同盟電は通州の模様を報じた後、「同地にありし各社の従軍記者も昨日来ほとんど消息を絶ち、その安否が気遣われている」と伝えている。「通信社史」にも「通州の反乱事件では、たまたま天津から北京に帰任の途中にあった安藤利男記者が捕らえられ、まさに射殺されようとする寸前、刑場から劇的脱走を試み、成功したという一幕もあった」と、本編を裏書きする記述がある。
今も確定しない「通州事件」の引き金
冀東政府主席の殷汝耕は、当時面談した朝日新聞記者の尾崎秀実(ゾルゲ事件で死刑)が「一世の風雲児」と評価した人物。事件後、主席を辞任。冀東政府は北京で同年12月に成立した王克敏を行政委員長とする中華民国臨時政府に合流して消滅した。戦後「漢奸」とされ、本編に書かれたような最期を遂げる。しかし近年、その政治理念を再評価する動きもある。当時の親日政権の研究を続ける関智英・東洋文庫奨励研究員は、殷を「孫文に先んじて大アジア主義を提唱するなど、多面性がある」とし、冀東政府についても「日本の影響下に成立しながら、日本からは独立した存在たらんとした」として、日本の傀儡という単純な見方には���まらないとの見解を示している。
事件の原因については諸説あり、いまも確定していない。日本軍の総攻撃の中で「関東軍の飛行隊がその際、冀東政権の保安隊兵舎を誤爆した。冀東保安隊は、日本軍が自分たちを攻撃したものと早合点して、日本軍や居留民に対する襲撃を開始した」(古賀牧人「近代日本戦争史事典」)というのが、最も多くいわれる説だ。また、冀東保安隊と国民党軍の間に「通謀」や「密約」があったとする見解も目立つ。東日7月31日朝刊には「冀東政府保安處長張慶余が潜入した廿九軍敗残兵の煽動に乗せられ」とあり、当時から公然たる事実になっていたことが分かる。その張慶余(正確には保安隊第1総隊隊長)は1982年に回想録を発表。「中国国民党第29軍とかねてから接触し、『日本打倒』の密約をし、『通州決起』となった」と告白した。しかし、これにも疑問の声がある。ほかにも、29軍が日本軍との戦闘で大勝したというデマ宣伝を国民党がラジオ放送で繰り返し流したのを信じたという説も。「戦史叢書」は「かねてから抗日戦線参加の工作が進められていたが」「関東軍飛行隊が保安隊兵舎を誤爆したのを憤激し、かつ、第二九軍戦勝の宣伝を信じて反乱を起こし、冀察当局から賞与を得ようとしたものであった」と3つを組み合わせて原因としている。
ほかにも、保安隊に中国共産党軍の兵士が入り込んで謀略工作を行った結果だとする見方もある。興味深いのはアヘンを理由とする説。冀東防共自治政府は、「冀東特殊貿易」と呼ばれた低関税による密貿易と、アヘンの精製・売買で膨大な利益をあげていた。江口圭一「日中アヘン戦争」に登場する日本人麻薬製造技師は「冀東地区こそ、満洲、関東州などから送り込まれるヘロインなどの密輸基地の観を呈し始めたのである。首都は通州に所在したが、この首都郊外ですら、日本軍特務機関の暗黙の了解のもとに、麻薬製造が公然と行われたのである」と語っている。売買には多くの朝鮮人が関わっていた。この麻薬汚染に憤った中国の民衆が襲撃に関与したという見方だ。保安隊の襲撃は周到な計画の下に準備されていた。広中一成「通州事件」は事件の背景について、「保安隊員らがもともと抱いていた抗日意識、または、軍統(蒋介石直属の謀略機関)や中国共産党による謀略工作が大きく影響したと考えた方が自然だろう」と結論づけている。
「南京虐殺」と「通州事件」 無視できない関連性
近年、通州事件を「通州虐殺事件」として、約4カ月半後に起きる「南京虐殺」と関連づける主張が見られる。特に2015年に「南京大虐殺文書」がユネスコの世界記憶遺産に登録されてから、対抗するように、「通州事件関係資料を世界記憶遺産に」というキャンペーンが始まっている。これに対し、大杉一雄「日中十五年戦争史」は「現在、通州事件を『南京大虐殺』と対抗させてとりあげる向きがあるが、両者はその規模も性格もまったく違うことを認識すべきである」とクギを刺している。江口圭一「盧溝橋事件と通州事件の評価をめぐって」は「通州事件は南京大虐殺否定論者による免罪符のように利用されている」と指摘。「通州保安隊その他による日本人・朝鮮人・女性・幼児にいたる無差別虐殺は容認できるものではない」としつつ、事件の評価・位置付けには3点の留意が必要と述べる。(1)日本の中国侵略の拠点とされた通州で発生した(2)アヘン・麻薬の密造・密輸の大拠点だった(3)日本軍の守備責任――で、(3)は保安隊が日本軍の統制下にあったことを指している。
どちらの見解もその通りだと思うが、その上でも通州事件には、南京虐殺との関連を無視できない点がある。南京陥落当時、上海派遣軍と中支那方面軍の兼任参謀だった長勇中佐(昭和陸軍の「皇道派」に属し、最後は沖縄防衛の第32軍参謀長として1945年6月23日、牛島満司令官とともに自決)が1938年に旧知の田中隆吉中佐に語ったところによると、投降してきた中国兵30万人について、軍司令官に無断で殺害命令を出した際、「自分は(支那)事変当初通州に於て行われた日本人虐殺に対する報復の時期が来たと喜んだ」という(田中隆吉「裁かれる歴史」)。津田道夫「南京大虐殺と日本人の精神構造」は、「南京アトロシティーズを通州事件の報復だなどというのは、当時の現地軍高級将校の思考構造をよく示している」と指摘するが。
橋川文三編著「日本の百年7 アジア解放の夢」は「このときの通州守備隊は、その後華中作戦に転じ、報復心にもえて南京虐殺に参加したといわれる」と書くが、はっきりしたことは分からない。古屋哲夫「日中戦争」は、事件は「反日感情が日本の勢力圏でも広く浸透していることを示すもの」との見方を示している。実際、前年36年11月には、綏遠省(現内モンゴル)で、日本の傀儡勢力の軍が中国軍に敗北した「綏遠事件」が起き、中国の民衆が熱狂。抗日の気運が盛り上がった。
いつの間にか書き換えられた「保安隊の邦人虐殺」の報道
当時の新聞紙面を見ると、この時期から、戦争が人々の日常の中に入り込んでいっているのが分かる。この年8月に「国民精神総動員運動」が始まったこともあり、各新聞社は競って前線の兵士への慰問袋の提供を読者に訴え、その反応を連日紙面に掲載した。「千人の女性に一針ずつ赤い糸で縫ってもらった白木綿の布を身に着けると弾に当たらない」という言い伝えの「千人針」が、街頭で普通に見られるようになった。「愛国行進曲」や「海ゆかば」などの「国民歌」「国民唱歌」が作られて人々に歌われ、映画の冒頭に「挙国一致」「銃後を護れ」のタイトルが入るようになった。
「満州事変」勃発からしばらくは、日本兵も「銃後」の日本人も「中国兵はすぐ降参する」とたかをくくっていた。しかし、中国軍は想像以上に頑強で、占領地を点と線でしか抑えられない日本軍の兵士は、戸惑いから徐々に焦りと不安を募らせていく。そこに起きた通州事件。焦りと不安は復讐心と敵愾心に変わる。それにはメディアの責任が重い。事件の模様をセンセーショナルに書くばかりではなかった。死亡した警察官や冀東政府職員の「名誉の戦死をする」「万歳」といった遺書を取り上げ、死亡女性を「叛乱軍と奮戦し壮烈なる戦死を遂げた烈女」として礼賛するなどして盛り上げた。「日本の傀儡である冀東政権の保安隊の行為」を「通州の邦人大虐殺」と言い換え、「中国軍の仕業」として書き立てた。それは日本兵ばかりでなく「銃後」の国民にじわじわと伝わった。国内では、ロシア革命後、赤軍パルチザンが日本人を含む住民を大量虐殺した事件になぞらえて「第二の尼港事件」と呼ばれた。
『支那膺懲』が高まった「通州事件」が南京虐殺をもたらしたのか?
事件直後に通州を訪れた加藤久米四郎・陸軍省政務次官(立憲政友会)は帰国後の講演でこう語っている。「駆引、口先で嘘八百を並べると云ふことは支那の国民性だ。日本で正義人道と申しましても、支那人には決して是は分からない。それでありますから、今度の戦さでもそれは十分覚悟してかゝらなければならない」(加藤久米四郎「戦線を訪ねて国民に愬(うった)ふ」)。こうした中国人に対する侮蔑と敵愾心が国民の間に広がって行った。秦郁彦「日中戦争史」は事件を「真相を知らなかった日本国民の中国膺懲熱を煽る好材料として十分に利用された」と指摘。笠原十九司「日中戦争全史」も「日本国民の敵愾心、憎悪心を煽動し、『支那膺懲』熱を高めるために最大限利用された」と述べる。そうした中国人への感情が国民の間に広がり、醸成されて南京虐殺の「素地」になったのではないか。もちろん、虐殺の免罪符にはならないが、私には、日本人の心情の面で、通州事件が南京虐殺の引き金��1つになったように思えてならない。
事件後の10日間、現場処理で通州に入った陸軍大尉(当時34歳)は「当初、中国軍の消極的な戦意を見て、この戦争は1カ月くらいで決着がつくと思っていた。それが8年余りも続くとは、誰が予想し得ただろう。通州で邦人の虐殺死体を目前にして、中国人のただならぬ敵意を感じたあのいやな予感は見事に的中したのだった」と語っている(「決定版昭和史8」)。
本編「通州の日本人大虐殺」を読む
【参考図書】 ▽広中一成「通州事件 日中戦争泥沼化への道」 星海社新書 2016年 ▽「戦史叢書 支那事変陸軍作戦(1)」 防衛庁防衛研修所戦史室編纂 1975年 ▽「日本新聞年鑑1938年版」 新聞研究所 ▽「共同通信社50年史」 共同通信社・関連会社 1996年 ▽里見脩「ニュース・エージェンシー」 中公新書 2000年 ▽「通信社史」 通信社史刊行会 1958年 ▽古賀牧人「近代日本戦争史事典」 光陽出版社 2006年 ▽江口圭一「日中アヘン戦争」 岩波新書 1988年 ▽同「盧溝橋事件と通州事件の評価をめぐって」(「戦争責任研究」所収) 1999年 ▽大杉一雄「日中十五年戦争史」 中公新書 1996年 ▽田中隆吉「裁かれる歴史 敗戦秘話」 新風社 1948年 ▽津田道夫「南京大虐殺と日本人の精神構造」 社会評論社 1995年 ▽橋川文三編著 「日本の百年7アジア解放の夢」 ちくま学芸文庫 2008年 ▽古屋哲夫「日中戦争」 岩波新書 1985年 ▽加藤久米四郎「戦線を訪ねて国民に愬ふ」 東京朝野新聞出版部 1937年 ▽秦郁彦「日中戦争史」 河出書房新社 1961年 ▽笠原十九司「日中戦争全史」 高文研 2017年 ▽「決定版昭和史8 日中戦争勃発 昭和12~13年」 毎日新聞社 1984年
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ざこば・鶴瓶らくごのご お題一覧 1992年 1 過労死・つくし・小錦の脂肪 2 一年生・時短・ニューハーフ 3 レントゲン・混浴・アニマル 4 ゴールデンウイーク・JFK・セクハラ 5 暴走族・かさぶた・バーコード 6 タイガース・母の日・入れ墨 7 目借り時・風呂桶・よだれ 8 しびれ・歯抜け・未婚の娘 9 ヘルニア・目ばちこ・フォークボール 10 造幣局・社員割引・オリンピック 11 父の日・猥褻・丁髷 12 ピエロ・ナメクジ・深爪 13 ミスユニバース・特許・虫さされ 14 魔法使いサリー・祇園祭・円形脱毛症 15 サザエさん・ジャンケン・バーゲンセール 16 ト音記号・北方領土・干瓢 17 妊婦体操・蚊帳・ビヤガーデン 18 身代わり・車だん吉・プラネタリウム 19 ��づれ・追っかけ・男の涙 20 海月・肩パット・鶏冠 21 放送禁止用語・お年寄り・ピンポンパン 22 おかま・芋掘り・大人げない 23 復活・憧れ・食い逃げ 24 蒲鉾・風は旅人・半尻 25 泉ピン子・ヘルメット・クリーニング 26 美人姉妹・河童・合格 27 スカート捲り・ケツカッチン・秋の虫 28 チンパンジー・フォークダンス・いなりずし 29 稲刈り・小麦粉・フランス人 30 日本シリーズ・鶴瓶・落葉 31 クロスカウンター・学園祭・タクシー 32 付け睫毛・褌ペアー誕生・ツアーコンダクター 33 泣きみそ・ボーナス一括払い・ぎゅうぎゅう詰め 34 静電気・孝行娘・ホノルルマラソン 35 暴れん坊将軍・モスラ・久留米餅 1993年 36 栗きんとん・鶴・朝丸 37 成人式・ヤクルトミルミル・まんまんちゃんあん 38 夫婦善哉・歯磨き粉・夜更かし 39 金の鯱・オーディション・チャリティーオークション 40 ひ孫・いかりや長介・掃除機 41 北京原人・お味噌汁・雪祭り 42 視力検査・フレアースカート・美術館めぐり 43 矢鴨・植毛・うまいもんはうまい 44 卒業式・美人・転た寝 45 らくごのご・浅蜊の酒蒸し・ハットリ君 46 コレラ・さぶいぼ・お花見 47 パンツ泥棒・オキシドール・上岡龍太郎 48 番台・ボランティア・健忘症 49 長嶋監督・割引債・厄年 50 指パッチン・葉桜・ポールマッカートニー 51 同級生・竹輪・ホモ 52 破れた靴下・海上コンテナ・日本庭園 53 シルバーシート・十二単衣・筍 54 ぶんぷく茶釜・結納・横山ノック 55 睡眠不足・紫陽花・厄介者 56 平成教育委員会・有給休暇・馬耳東風 57 生欠伸・枕・短気は損気 58 雨蛙・脱税・右肩脱臼 59 鮪・教育実習・嘘つき 60 天の川・女子短期大学・冷やし中華 61 東京特許許可局・落雷・蚊とり線香 62 真夜中の屁・プロポーズ・水戸黄門諸国漫遊 63 五条坂陶器祭・空中庭園・雷 64 目玉親父・恐竜・熱帯夜 65 深夜徘徊・パンツ・宮参り 66 美少女戦士セーラームーン・盆踊り・素麺つゆ 67 水浴び・丸坊主・早口言葉 68 桃栗三年柿八年・中耳炎・網タイツ 69 釣瓶落とし・サゲ・一卵性双生児 70 台風の目・幸・ラグビー 71 年下の男の子・宝くじ・松茸狩り 72 関西弁・肉まんあんまん・盗塁王 73 新婚初夜・サボテン・高みの見物 74 パナコランで肩こらん・秋鯖・知恵 75 禁煙・お茶どすがな・銀幕 76 ラクロス・姥捨山・就職浪人 77 掛軸・瀬戸大橋・二回目 78 海外留学・逆児・マスターズトーナメント 79 バットマン・戴帽式・フライングスポーツシューター 80 法螺貝・コロッケ・ウルグアイラウンド 81 明治大正昭和平成・武士道・チゲ鍋 1994年 82 アイルトンセナ・正月特番・蟹鋤 83 豚キムチ・過疎対策・安物買いの銭失い 84 合格祈願・パーソナルコンピューター・年女 85 一途・血便・太鼓橋 86 告白・ラーメン定食・鬼は外、福は内 87 カラー軍手・放火・卸売市場 88 パピヨン・所得税減税・幕間 89 二十四・Jリーグ・大雪 90 動物苛め・下市温泉秋津荘・ボンタンアメ 91 雪見酒・アメダス・六十歳 92 座蒲団・蛸焼・引越し 93 米寿の祝・外人さん・コチョコチョ 94 談合・太極拳・花便り 95 猫の盛り・二日酔・タイ米 96 赤切符・キューピー・入社式 97 リストラ・龍神伝説・空巣 98 人間喞筒・版画・単身赴任 99 コッペン・定年退職・ハンドボール 100 百回記念・扇子・唐辛子 101 ビクターの手拭い・カーネーション・鉄腕アトム 102 自転車泥棒・見猿言わ猿聞か猿・トマト 103 紫陽花寺・豚骨スープ・阪神優勝 104 三角定規・黒帯・泥棒根性 105 横浜銀蝿・他人のふり・安産祈願 106 月下美人・フィラデルフィア・大山椒魚 107 鯨・親知らず・ピンクの蝿叩き 108 蛍狩・玉子丼・ウィンブルドン 109 西部劇・トップレス・レバー 110 流し素麺・目高の交尾・向日葵 111 河童の皿・コロンビア・内定通知 112 防災頭巾・電気按摩・双子 113 河内音頭・跡取り息子・蛸焼パーティ 114 骨髄バンク・銀杏���木・芋名月 115 秋桜・ぁ結婚式・電動の車椅子 116 運動会・松茸御飯・石焼芋 117 サンデーズサンのカキフライ・休日出勤・ウーパールーパー 118 浮石・カクテル・彼氏募集中 119 涙の解剖実習・就職難・釣瓶落し 120 ノーベル賞・めちゃ旨・台風1号 121 大草原・食い込みパンツ・歯科技工士 122 助けてドラえもん・米沢牛・寿貧乏 123 祭・借金・パンチ佐藤引退 124 山乃芋・泥鰌掬い・吊し柿 125 不合格通知・九州場所・ピラミッドパワー 126 紅葉渋滞・再チャレンジ・日本の伝統 127 臨時収入・邪魔者・大掃除 128 アラファト議長・正月映画封切り・ピンクのモーツァルト 1995年 129 御節・達磨ストーブ・再就職 130 晴着・新春シャンソンショー・瞼の母 131 家政婦・卒業論文・酔っ払い 132 姦し娘・如月・使い捨て懐炉 133 立春・インドネシア・大正琴全国大会 134 卒業旅行・招待状・引っ手繰り 135 モンブラン・和製英語・和風吸血鬼 136 確定申告・侘助・青春時代 137 点字ブロック・新入社員・玉筋魚の新子 138 祭と女で三十年・櫻咲く・御神酒徳利 139 茶髪・緊張と緩和・来なかったお父さん 140 痔・恋女房・月の法善寺横丁 141 ひばり館・阿亀鸚哥・染み 142 初めてのチュー・豆御飯・鶴瓶の女たらし 143 アデランス・いてまえだへん(いてまえ打線)・クラス替え 144 長男の嫁・足痺れ・銅鑼焼 145 新知事・つるや食堂・南無阿弥陀仏 146 もぐりん・五月病・石楠花の花 147 音痴・赤いちゃんちゃんこ・野崎詣り 148 酒は百薬の長・お地蔵さん・可愛いベイビー 149 山菜取り・絶好調・ポラロイドカメラ 150 お父さんありがとう・舟歌・一日一善 151 出発進行・夢をかたちに・ピンセット 152 ホタテマン・深夜放送・FMラジオ 153 アトピッ子・結婚披露宴の二次会・おさげ 154 初産・紫陽花の花・川藤出さんかい 155 ビーチバレー・轆轤首・上方芸能 156 ワイキキデート・鹿煎餅・一家団欒 157 但空・高所恐怖症・合唱コンクール 158 中村監督・水着の跡・進め落語少年 159 通信教育・遠距離恋愛・ダイ��ット 160 華麗なる変身・遠赤ブレスレット・夏の火遊び 161 親子二代・垢擦り・筏下り 162 鮪漁船・新築祝・入れ歯 163 泣き虫、笑い虫・甚兵衛鮫・新妻参上 164 オペラ座の怪人・トルネード・ハイオクガソリン 165 小手面胴・裏のお婆ちゃん・ガングリオン 166 栗拾い・天国と地獄・芋雑炊 167 夜汽車・鳩饅頭・スシ食いねぇ! 168 長便所・大ファン・腓返り 169 美人勢揃い・雨戸・大江健三郎 170 親守・巻き舌・結婚おめでとう 171 乳首・ポン酢・ファッションショー 172 仮装パーティー・ぎっくり腰・夜更し 173 ギブス・当選発表・ちゃった祭 174 超氷河期・平等院・猪鹿蝶 175 コーラス・靴泥棒・胃拡張 176 誕生日・闘病生活・心機一転 177 毒蜘蛛・国際結婚・世間体 1996年 178 シナ婆ちゃん・有給休暇・免停 179 三姉妹・バリ・総辞職 180 家庭菜園・ピンクレディーメドレー・国家試験 181 ほっけ・欠陥商品・黒タイツ 182 内股・シャッターチャンス・金剛登山 183 嘘つき娘・再出発・神学部 184 金柑・恋の奴隷・ミッキーマウス 185 露天風呂・部員募集・ぞろ目 186 でんでん太鼓・ちゃんこ鍋・脳腫瘍 187 夢心地・旅の母・ペアウオッチ 188 (不明につき空欄) 189 福寿草・和気藹々・社交ダンス 190 奢り・貧乏・男便所 191 八十四歳・奥さんパワー・初心忘るべからず 192 お花見・無駄毛・プラチナ 193 粒揃い・高野山・十分の一 194 おぃ鬼太郎・シュークリーム・小室哲哉 195 くさい足・オリーブ・いやいや 196 ダイエットテープ・北京故宮展・細雪 197 若い季節・自動両替機・糞ころがし 198 おやじのパソコン・なみはや国体・紙婚式 199 降灰袋・ハンブルグ・乳首マッサージ 200 雪見酒・臭い足・貧乏・タイ米・コチョコチョ・雷・明治大正昭和平成・上岡龍太郎・お茶どすがな・トップレス(総集編、10題リレー落語) 201 夫婦喧嘩・川下り・取越し苦労 202 横綱・占い研究部・日本のへそ 203 マオカラー・海の日・息継ぎ 204 カモメール・モアイ・子供の事情 205 ありがとさん・文武両道・梅雨明け 206 団扇・ボーナス定期・芸の道 207 宅配・入道雲・草叢 208 回転木馬・大文字・献血 209 寝茣蓙・メロンパン・初孫 210 方向音痴・家鴨・非売品 211 年金生活・女子高生・ロングブーツ 212 エキストラ・デカンショ祭・トイレトレーニング 213 行けず後家・オーロラ・瓜二つ 214 金婚式・月光仮面・ロックンローラー 215 孫・有頂天・狸 216 雪女・携帯電話・交代制勤務 217 赤いバスローブ・スイミング・おでこ 218 参勤交代・ケーブルカー・七人兄弟 219 秋雨前線・腹八分・シルバーシート 220 関東煮・年賀葉書・学童保育 221 バンコク・七五三・鼻血 222 ホルモン焼き・男襦袢・学園祭
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%96%E3%81%93%E3%81%B0%E3%83%BB%E9%B6%B4%E7%93%B6%E3%82%89%E3%81%8F%E3%81%94%E3%81%AE%E3%81%94
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おはようございます 11月9日(火) #西多賀眼科医院 午前9:00〜12:00 午後14:30〜17:00 #ベルリンの壁 崩壊の日 1989(平成元)年、ドイツ・西ベルリンを囲んでいた「ベルリンの壁」が取り壊された。 東西ドイツの統一や東欧の国々の民主化、冷戦の終結のきっかけとなった。 1984年 #えなりかずき の誕生日 (俳優,タレント) 【おすすめ宮城グルメ】 国道4号線沿いは美味しいラーメン屋さんが沢山あり、勝手にラーメンロードと呼んでいます。 その中でも評価の高いラーメン屋さんへ行ってまいりました。 中華そばや月替わり麺など、様々なメニューがあります。 今回は、つけ麺を食べてみました。 手打ちの自家製麺が、もちもちでとても美味しかったです。 今回はお腹がそれほどすいてませんでしたので食べられませんでしたが、チャーハンの評価がとても高く、次回は中華そばとチャーハンを食べてみたいです。 中華そば いぶし 022-290-5370 宮城県名取市上余田字千刈田548-1 https://tabelog.com/miyagi/A0402/A040204/4000291/ 西多賀眼科医院ホームページも、どうぞよろしくお願いいたします↓ https://nishitaga-ganka-clinic.com/ #眼科 #仙台 #白内障 #結膜炎 #緑内障 #ドライアイ #メガネ #眼鏡 #コンタクトレンズ #眼瞼下垂 #太白区 #鈎取 #西多賀 #長町 #長町南 #八木山 #秋保 #秋保温泉 #名取 #誕生日 #今日は何の日 #仙台グルメ #宮城グルメ #仙台ラーメン #宮城ラーメン #ラーメン #つけ麺 (いぶし) https://www.instagram.com/p/CkrMeQzyJjc/?igshid=NGJjMDIxMWI=
#西多賀眼科医院#ベルリンの壁#えなりかずき#眼科#仙台#白内障#結膜炎#緑内障#ドライアイ#メガネ#眼鏡#コンタクトレンズ#眼瞼下垂#太白区#鈎取#西多賀#長町#長町南#八木山#秋保#秋保温泉#名取#誕生日#今日は何の日#仙台グルメ#宮城グルメ#仙台ラーメン#宮城ラーメン#ラーメン#つけ麺
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現金3400万円を残して孤独死した身元不明の女性、一体誰なのか(前編) 「行旅死亡人」のミステリーを追う 2022/2/20 10:00 (JST)2/20 21:28 (JST)updated© 株式会社全国新聞ネット
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📷 2020年4月、ある高齢女性が、兵庫県尼崎市のアパートでひっそりと独りで亡くなった。女性の身元が分かる遺品はなかったが、自宅の金庫には現金約3400万円が残されていた。この所持金の額は、身元不明の死者を指す「行旅死亡人」の中でも10年間で断トツのトップ。いったいこの女性はどんな人物だったのか。限られた手掛かりを頼りにミステリーを追いかけた。(共同通信=武田惇志、伊藤亜衣)▽「不思議な事件なんです」と相続財産管理人残されたアルバムにあった1枚。ほほ笑む女性 📷 昨年6月、ある官報の行旅死亡人の記事に目がとまった。「本籍・住所・氏名不明、年齢75歳ぐらい、女性、身長約133cm、中肉、右手指全て欠損、現金34,821,350円」。2020年4月26日午前9時5分ごろ、尼崎市のアパートの一室で女性の遺体は見つかった、とある。行旅死亡人は、病気や自殺などで亡くなり、名前や住所などが判明せず遺体の引き取り手がない人のことだ。遺体が発見されると、まず警察が死因や身元を調査する。事件性がなく、遺体を引き取る人がいなければ、「行旅病人および行旅死亡人取扱法」に基づき、発見された市区町村が遺体を火葬・埋葬し、遺品を管理する。その後、官報に遺体発見の日時や場所、推定年齢、身体的特徴、所持品などを掲載し、引き取り手を待つ。女性は2010年から官報の死亡記事をインターネット上に転載している「行旅死亡人データベース」で、所持金部門のランキングで1位だった。官報に掲載された「行旅死亡人」の情報 📷 尼崎市に問い合わせると、家庭裁判所の選任で遺産を管理する相続財産管理人の太田吉彦弁護士と連絡を取ることができた。「弁護士を22年やっていますが、かなり不思議な事件なんです。報道の力もお借りできるなら…」。太田弁護士は開口一番、電話口で切り出した。太田弁護士によると、女性は「田中千津子」と名乗り、1982年3月からアパートに住み続けていたが、住民票がなく、保険証や病院の診察券、親族からの手紙や電話帳なども見つからなかった。多額の現金は通帳や貴金属と一緒にダイヤル式金庫の中に収められ、遺体発見時に臨場した警察官により発見された、という。女性が遺体で見つかった当時の室内 右下は現金が入っていた金庫 📷 部屋からは「田中千津子」名義の年金手帳も見つかり、1945年9月生まれとあったことから、死亡時は75歳と推定された。死体検案書によると、死亡したのは2020年4月上旬で、死因はくも膜下出血だった。残されていた労災の書類から、94年4月、当時働いていた尼崎市内の製缶工場で、事故によって右手指を全てなくしたことが分かった。労災年金の給付が決まったが、後に自ら給付を断ったとみられ、97年ごろに打ち切られていた。住民票も95年、理由は不明だが市の職権で削除されていた。自宅に固定電話はあるが、電話をかけた履歴もなく基本料金を支払い続けている状態だった。遺品には、スナップ写真が入ったアルバムのほか、通帳、印鑑、セイコーの腕時計、米1セント硬貨1枚、京都・八坂神社のキーホルダーなどがある程度。部屋は施錠されていたが、不思議なことに鍵は見つかっていない。レシート類はなぜか近年のものはなく、80~90年代のものが数枚あるだけで、身元の特定につながるものはなかった。また、ポリ袋に包まれた韓国の千ウォン札1枚と、内側に謎の数字が羅列された星形のペンダントが見つかり、身元を調べた関係者の間では「北朝鮮の工作員絡みではないか?」といううわさも立ったという。遺品のペンダント 📷 結局、警察が調べても身元が判明せず、女性は市によって火葬された。民法の規定では、身元が判明せず一定期間を経ても相続人が確定できなければ、遺産は国庫に帰属することになっている。「今回は遺産が多額であり、もし国庫帰属後に相続人が出てきたら取り返しがつかない」とし��、太田弁護士は昨年3月、異例ながら探偵・調査会社に委託し、改めて身元調査を行うことにした。探偵は近所を中心に聞き込みなどをしたが、女性を知る人は見つからなかった。太田弁護士は「何らかの手がかりが多少は残されているのが普通。今回は積極的に身元を隠そうとしていたのかもしれない」と推察した。▽「田中〇〇」という名で賃貸契約関心を抱いた私たちはまず現場に足を運んだ。女性が遺体で見つかったアパート 📷 女性が40年近く住んでいた3階建てのアパートはJR尼崎駅から直線約1キロの住宅街にある。近くには商店街があり、昔ながらの個人商店や銭湯などが立ち並ぶ。大手家電量販店や商業施設、新しい高層マンションに囲まれた尼崎駅周辺とは対照的だ。アパートは1階が大家の自宅で、2、3階に計4室の部屋があり、現在は他に男性1人が住んでいる。2020年4月26日、この男性が千津子さんの郵便受けに家賃の請求書が入ったままであることを不審に思い、連絡を受けた不動産会社が警察署に通報。女性は玄関先で左側を下にして横になった状態で倒れていた。大家が顔を確認して部屋の住人であることが確定した。女性が住んでいた部屋。女性が倒れていた 📷 部屋の壁に掛けられた警報アラームは電源が入ったままで、部屋の窓に内側から棒が挟まれ、開かないようになっていたという。大家の許可を得て、女性が住んでいた2階の部屋に入ることができた。家具などはすでに片付けられていて生活感はなく、玄関扉の横に貼られた粘着テープと木製の郵便受けに書かれた「田中」という小さな文字が残されていた。呼び鈴と粘着テープの「田中」の文字 📷 玄関扉を開けると狭い玄関があり、すぐ横には小さな手洗い場が備え付けられていた。台所と奥に4畳半の和室、トイレがあるだけの質素な部屋だった。玄関扉の内側にはチェーンが2つ付いていたが、救急隊が部屋に入る際に壊したという。チェーンは自ら施したとみられる。大家の宮城ヒナさん(93)に話を伺うと、女性は月3万1500円の家賃を毎月欠かさず持って来ていたという。「そのやりとりで会うだけやったけど、上品でおとなしい方やったな」。女性はいつも腕を組んでいた印象で、宮城さんは女性に右手指がないことも知らなかった。アパートの賃貸借契約書は1982年3月に「田中〇〇」という男性名で契約されていた。勤務先を大阪市西淀川区の「富士化学紙工業」(現フジコピアン)とし、電話番号も付していた。太田弁護士によると、兵庫県警が同社に田中〇〇さんの勤務歴を照会したが、該当がなかったという。フェイスブックで同時期に働いていた元社員の男性を見つけ、名前と写真を見せて確認してもらったが、該当する同僚はいないとし、付された電話番号も当時の代表電話で電話帳にも載っていたもの、と証言した。何らかの事情で勤務していない虚偽の社名を書き込んでいたのだろうか。当時、田中〇〇さんと直接契約を交わした宮城さんの夫はすでに亡くなっており、宮城さんは「男性には一度も会ったことがなく、(女性の)独り暮らしだと思っていた」と話した。▽大事にしていたぬいぐるみ女性が遺体で見つかった当時の室内。大切にしていた犬のぬいぐるみも見える 📷 女性の部屋にはアルバムが残されていた。開いてみると、緩くカールした黒い髪が肩まである40代くらいの女性の写真がたくさん入っていた。写真の多くは、背景に写った車や新聞から、1980年代に撮影されたとみられる。女性は白いシャツにジーンズというカジュアルな日もあれば、首にファーを巻きロングコートで赤い口紅を塗った華やかな服装の日もあった。「晩年はだいぶ痩せていたが、田中さんの面影はある」と宮城さんは言う。眼鏡姿の中年男性が写った写真も多くあったが、そちらについては「見たことがない」と首を振る。アルバムには女性が白い乗用車にもたれかかった写真も収められていた。車は三菱自動車の「ギャランGTO―M2」。愛好家という男性に連絡すると、1970~71年に約1万6千台生産され、当時、若者から熱狂的人気を集めていたと教えてくれた。「購入できたのは30~40代のお金に余裕のあるおしゃれな独身者で、家族持ちは買わない」アルバムに残されていた男女の写真 📷 写真の男女はいつも同じペアで、多田神社(兵庫県川西市)や八坂神社、知恩院(京都市)など神社仏閣を2人でよく訪れていたようだ。女性が尼崎市のアパートで犬のぬいぐるみを着せ替えて遊ぶ姿も収められている。女性が亡くなった後、清掃前に撮影された自宅の写真を見ると、部屋にはベビーベッドが置かれ、その上にこの犬のぬいぐるみがあった。サン・アロー社(東京)が82年に販売を開始した「サンディ」という名で、40年近くも大切にしていたことがうかがえた。アルバムの写真はみな色あせ、最近のものとみられる写真は1枚もなかった。最も新しいとみられるのは、富山県南砺市の大牧温泉観光旅館で撮影された男性の写真で、92年7月12日と撮影年月日が唯一、印字されていた。旅館に電話で問い合わせると、当時の宿帳は残っていたものの、関西方面からの宿泊客で「田中」という名は見当たらなかった。大家の宮城さんの証言から、写真の女性は亡くなった田中千津子さんと推定されたが、確証は得られなかった。「このままでは無縁仏。女性が成仏できるように、ご親族が見つかればよいのですが」と太田弁護士はつぶやく。写真=残されていた「沖宗」の印鑑 📷 手がかりは何かないか。これまでの取材結果を整理したところ、突破口になりそうな情報が2つ出てきた。労災事故で入院した際の病院のカルテにあった「『23歳まで広島におり、3人姉妹がいた』と話していた」との記述と、「田中」姓に混じって見つかった「沖宗」姓の印鑑。「女性は広島出身で旧姓が沖宗さんでは?」。私たちは広島方面に取材の足を広げることにした。(つづく)情報提供やご意見は共同通信大阪社会部にお寄せ下さい。メールアドレス:daisha@kyod
onews.jp/ツイッター:@kyodonewsosaka
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ひとみに映る影シーズン2 第六話「どこまでも白い海で」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、 誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。) ☆キャラソン企画第六弾 金城玲蘭「ニライカナイ」はこちら!☆
དང་པོ་
アブが、飛んでいる。天井のペンダントライトに誘われたアブが、蛍光灯を囲う四角い木枠に囚われ足掻くように飛んでいる。一度電気を消してあげれば、外光に気がついて窓へ逃げていくだろう。そう思ったのに、動こうとすると手足が上がらない。なら蛍光灯を影で覆えば、と思うと、念力も込もらない。 「一美ちゃん」 呼ばれた方向を見ると、私の手を握って座っている佳奈さん。私はホテルの宴会場まで運ばれて、布団で眠っていたようだ。 「起きた?」 障子を隔てた男性側から万狸ちゃんの声。 「うん、起きたよ」 「佳奈ちゃん、一美ちゃん、ごめん。パパがまだ目を覚まさなくて……また後でね」 「うん」 佳奈さんは万狸ちゃんとしっかり会話出来ている。愛輪珠に霊感を植え付けられたためだ。 「……タナカDはまだ帰って来ないから、私が一美ちゃんのご両親に電話した。私達が千里が島に連れてきたせいでこんな事になったのに、全然怒られなかった。それどころか、『いつか娘が戦わなければいけない時が来るのは覚悟していた。それより貴女やカメラマンさんは無事なのか』だって……」 ああ。その冷静な受け答えは、きっとお母さんだ。お父さんやお爺ちゃんお婆ちゃんだったらきっと、『今すぐ千里が島に行って俺が敵を返り討ちにしてやる』とかなんとか言うに決まってるもん。 「お母さんから全部聞いたよ。一美ちゃんは赤ちゃんの時、金剛有明団っていう悪霊の集団に呪いをかけられた。呪われた子は死んじゃうか、乗り越えられれば強い霊能者に成長する。でも生き残っても、いつか死んだら金剛にさらわれて、結局悪い奴に霊力を利用されちゃう」 佳奈さんは正座していた足を崩した。 「だけど一美ちゃんに呪いをかけた奴の仲間に、金剛が悪い集団だって知らなくて騙されてたお坊さんがいた。その人は一美ちゃんの呪いを解くために、身代わりになって自殺した。その後も仏様になって、一美ちゃんや金城さんに修行をつけてあげた」 和尚様……。 「一美ちゃんはそうして特訓した力で、今まで金剛や悪霊と戦い続けてた。私達と普通にロケしてた時も、この千里が島でもずっと。霊感がない私やタナカDには何も言わないで……たった一人で……」 佳奈さんは私から手を離し、膝の上でぎゅっと握った。 「ねえ。そんなに私達って信用できない? そりゃさ。私達は所詮、友達じゃないただの同僚かもしれないよ。けど、それでも仲間じゃん。幽霊見えないし、いっぱい迷惑かけてたのかもしれないけど」 ……そんな風に思った事はない、と答えたいのに、体が動かなくて声も出せない。 「いいよ。それは本当の事だし。てかだぶか、迷惑しかかけてこなかったよね。いつもドッキリで騙して、企画も行先も告げずに連れ回して」 そこは否定しません。 「だって、また一美ちゃんと旅に出たいんだもん。行った事のない場所に三人で殴り込んで、無茶して、笑い合って、喧嘩して、それでも懲りずにまた旅に出るの。もう何度も勝手に電源が落ちるボロボロのワイヤレス付けて、そのへんの電器屋さんで買えそうなカメラ回してね。そうやって互いが互いにいっぱい迷惑かけながら、旅をしたいんだよ」 …… 「なのに……どうして一人で抱えこむの? 一美ちゃんだって私達に迷惑かければいいじゃん! そうすれば面白半分でこんな所には来なかったし、誰も傷つかずに済んだのに!」 「っ……」 どの口が言うんですか。私が危ないって言ったって、あなた達だぶか面白半分で首を突っ込もうとする癖に。 「私達だって本当にヤバい事とネタの分別ぐらいつくもん! それとも何? 『カラキシ』なんて足手まといでしかないからってワケ!?」 「っ……うっ……」 そんな事思ってないってば!! ああ、反論したいのに口が動かない! 「それともいざという時は一人でどうにかできると思ってたワケ? それで結局あの変態煙野郎に惨敗して、そんなボロボロになったんだ。この……ダメ人間!」 「くっ……ぅぅうううう……」 うるさい、うるさい! ダメ人間はどっちだ! 逃げろって言ったのにどうして戻ってきたんだ! そのせいで佳奈さんが……それに…… 「何その目!? 仲間が悪霊と取り残されてて、そこがもう遠目でわかるぐらいドッカンドッカンしてたら心配して当然でしょ!? あーそうですよ。私があの時余計な事しなければ、ラスタな狸さんが殺されて狸おじさんが危篤になる事もなかったよ! 何もかも私のせいですよーっ!!」 「ううう、あああああ! わああぁぁ!」 だからそんな事思ってないってば!! ていうか、中途半端に私の気持ち読み取らないでよ! 私の苦労なんて何も知らなかったクセに!! 「そーだよ! 私何もわかってなかったもん! 一美ちゃんがひた隠しにするから当たり前でしょぉ!?」 「うわあああぁぁぁ!! うっぢゃぁしいいいぃぃ、ごの極悪ロリーダァァァ!!」 「なん……なんだどおぉ、グスッ……この小心者のっ……ダメ人間!」 「ダメ人間!」 「ダメ人間!!」 「「ダメ人間ーーーっ!!!」」 いつの間にか手足も口も動くようになっていた。私と佳奈さんは互いの胸ぐらを掴み合い、今まで番組でもした事がない程本気で罵り合う。佳奈さんは涙で曇った伊達眼鏡を投げ捨て、私の腰を持ち上げて無理やり立たせた。 「わああぁぁーーっ!」 一旦一歩引き、寄り切りを仕掛けてくる。甘いわ! 懐に入ってきた佳奈さんの右肩を引き体勢を浮かせ、 「やああぁぁぁーーっ!!」 思いっきり仏壇返し! しかし宙を回転して倒れた佳奈さんは小柄な体型を活かし即時復帰、助走をつけて私の頬骨にドロップキックを叩きこんだ!! 「ぎゃふッ……あヤバいボキっていった! いっだあぁぁ!!」 「やば、ゴメン! 大丈夫?」 「だ……だいじょばないです……」 と弱った振りをしつつ天井で飛んでいるアブを捕獲! 「んにゃろぉアブ食らえアブ!」 「ぎゃああああぁぁ!!!」 <あんた達、何やってんの?> 「「あ」」 突然のテレパシー。我に返った私達が出入口を見ると、口に血まみれのタオルを当てて全身傷だらけの玲蘭ちゃんが立っていた。
གཉིས་པ་
アブを外に逃がしてやり、私は玲蘭ちゃんを手当てした。無惨にも前歯がほぼ全部抜け落ちてしまっている。でも診療所は怪我人多数で混雑率二〇〇%越えだという。佳奈さんに色んな応急手当についてネットで調べてもらい、初心者ながらにできる処置は全て行った。 「その傷、やっぱり散減と戦ったの?」 <うん。口欠湿地で。本当に口が欠けるとかウケる> 「いや洒落になんないでしょ」 <てか私そもそも武闘派じゃないのに、あんなデカブツ相手だなんて聞いてないし> 「大体何メートル級だった?」 <五メートル弱? 足は八本あった�� なるほど。なら牛久大師と同じ、大散減の足から顕現したものだろう。つまり地中に潜む大散減は、残りあと六本足。 <てか一美、志多田さんいるのに普通に返事してていいの?> 「あ……私、もうソレ聞こえてます」 <は?> 私もこちらに何があったかを説明する。牛久大師が大散減に取り込まれた。後女津親子がそれを倒すと、御戌神が現れた。私は御戌神が本当は戦いたくない事に気付き、キョンジャクで気を正した。けど次の瞬間金剛愛輪珠如来が現れて、御戌神と私をケチョンケチョンに叩き潰した。奴は私を助けに来た佳奈さんにも呪いをかけようとして、それを防いだ斉二さんがやられた。以降斉一さんは目を覚まさず、タナカDと青木さんもまだ戻ってきていないみたいだ、と。そこまで説明すると、玲蘭ちゃんは頭を抱えて深々とため息をついた。 <最ッ悪……金剛マターとか、マジ聞いてないんだけど……。てか、一美もたいがい化け物だよね。金剛の如来級悪霊と戦って生きて帰れるとか> 「本当、なんで助かったんだろ……。あの時は全身砕かれて内臓ぜんぶ引きずり出されたはずなんだけど」 <ワヤン化してたからでしょ> 「あーそっか……」 砕けたのは影の体だけだったようだ。 「けど和尚様から貰ったプルパを愛輪珠に取られちゃって、今じゃ私何にもできない。だってあいつが、和尚様の事……実は邪尊教の信者だとか言い出すから……」 <は!? 観音和尚が!? いや、そんなのただの侮辱に決まってるし……> 「…………」 <……なに、一美? まさか心当たりあるの!?> 「あの」 佳奈さんが挙手する。 「あの。何なんですか? そのジャソン教とかいうのって」 <ああ、チベットのカルト宗教です。悪魔崇拝の仏教版と言いましょうか> 「じゃあ、河童の家みたいな物?」 とんでもない。 「テロリストですよ。ドマル・イダムという邪尊の力を操ってチベットを支配していた、最悪の独裁宗派です」 「そ、そうなの!?」 ドマル・イダム。その昔、とある心優しい僧侶が瀕死の悪魔を助け、その情け深さに心打たれた悪魔から不滅の心臓を授かった。そうして彼は衆生の苦しみを安らぎに変える抜苦与楽(ばっくよらく)の仏、『ドマル・イダム(紅の守護尊)』となった。しかしドマルは強欲な霊能者や権力者達に囚われて、巨岩に磔にされてしまう。ドマルには権力者に虐げられた貧民の苦しみや怒りを日夜強制的に注ぎ込まれ、やがてチベットはごく少数の貴族と無抵抗で穏やかな奴隷の極端な格差社会になってしまった。 「この事態を重く見た当時のダライ・ラマはドマル信仰を固く禁じて、邪尊教と呼ぶようにしたんです」 「う、うわぁ……悪代官だしなんか罰当たりだし、邪尊教まじで最悪じゃん……」 <罰当たり、そうですね。チベットでは邪尊教を戒めるために、ドマルの仏画が痛々しい姿で描かれてます。まるで心臓と神経線維だけ燃えずに残ったような赤黒い体、絶望的な目つき、何百年も磔にされているせいで常人の倍近く伸びた長い両腕……みたいな> 「やだやだやだ、そんな可哀想な仏画とか怖くて絶対見れない!」 そう、普通の人はこういう反応だ。だからチベット出身の仏教徒にむやみに邪尊教徒だと言いがかりをつけるのは、最大の侮辱なんだ。だけど、和尚様は……いや、それ以上考えたくない。幼い頃、和尚様と修行した一年間。大人になって再会できた時のこと。そして、彼に授かった力……幸せだったはずの記憶を思い起こす度に、色んな伏線が頭を過ぎってしまう。 <……でも、一美さぁ> 玲蘭ちゃんは口に当てていた氷を下ろし、私を真正面から見据えた。 <和尚にどんな秘密があったのか知らないけど、落ちこむのは後にしてくれる? このまま大散減が完全復活したら、明日の便に乗る前に全員死ぬの。今まともな戦力になるの、五寸釘愚連隊とあんたしかいないんだけど> 「私……無理だよ。プルパを奪われて、影も動かせなくなって」 <それなら新しい武器と法力を探しに行くよ> 「!」 <志多田さんも、来て> 「え? ……ふええぇっ!?」 玲蘭ちゃんは首にかけていた長い数珠を静かに持ち上げる。するとどこからか潮騒に似た音が聞こえ、私達の視界が次第に白く薄れていく。これは、まさか……!
གསུམ་པ་
気がつくと私達は、白一色の世界にいた。足元にはお風呂のように温かい乳白色の海が無限に広がり、空はどこまでも冷たげな霧で覆われている。その境界線は曖昧だ。大気に磯臭はなく、微かに酒粕や米ぬかのような香りがする。 「綺麗……」 佳奈さんが呆然と呟いた。なんとなく、この白い世界に私は来たことがある気がする。確か初めてワヤン不動に変身した直後だったような。すると霧の向こうから、白装束に身を包む天女が現れた。いや、あれは…… 「めんそーれ、ニライカナイへ」 「玲蘭ちゃん!?」「金城さん!?」 初めてちゃんと見たその天女の姿は、半人半魚に変身した玲蘭ちゃん。肌は黄色とパールホワイトのツートーンで、本来耳があった辺りにガラスのように透き通ったヒレが生えている。元々茶髪ボブだった頭も金髪……というより寧ろ、琉球紅型を彷彿とさせる鮮やかな黄色になっていた。燕尾のマーメイドドレス型白装束も裏地は黄色。首から下げたホタル玉の数珠と、裾に近づくにつれてグラデーションしている紅型模様が美しく映える。 「ニライカナイ、母なる乳海。全ての縁と繋がり『必要な物』だけを抜粋して見る事ができる仮想空間。で、この姿は、いわゆる神人(かみんちゅ)ってやつ。わかった?」 「さっぱりわかりません!」 私も佳奈さんに同じく。 「よーするにここは全ての魂と繋がる母乳の海で、どんな相手にもアクセスできるんです。私が何か招き入れないと、ひたすら真っ白なだけだけど」 母乳の海。これこそまさに、金剛が欲しがってやまない『縁の母乳』だ。足元に広がる海水は、散減が吐く穢れた物とはまるで違い、暖かくて淀みない。 「今からこの海で、『マブイグミ』って儀式をする。一美の前世を呼んでパワーを分けて貰うってわけ。でもまず、折角だし……志多田さんもやってみますか?」 「え、私の前世も探してくれるんですか!? えーどうしよ、緊張するー!」 「アー……多分、思ってる感じと違いますよ」 玲蘭ちゃんは尾ビレで海水を打ち上げ、飛沫から瞬く間にススキの葉を錬成した。そして佳奈さんの背中をその葉でペンペンと叩きながら、 「まぶやー、まぶやー、うーてぃくよー」 とユルい調子で呪文を唱えた。すると佳奈さんから幾つもの物体がシュッと飛び出す。それらは人や動物、虫、お守りに家具など様々で、佳奈さんと半透明の線で繋がったまま宙に浮いている。 「なにこれ! もしかして、これって全部私の前世!? ええっ私って昔は桐箪笥だったのぉ!?」 「正確には箪笥に付着していた魂の欠片、いわゆる付喪神です。人間は物心つくまでに周囲の霊的物質を吸収して、七歳ぐらいで魂が完成すると言われています。私が呼び戻したのは、あなたを構成する物質の記憶。強い記憶ほど鮮明に復元できているのがわかりますか?」 そう言われてみると、幾つかの前世は形が朽ちかけている。人間の霊は割と形がはっきりしているけど、箪笥や虫などは朽ちた物が多い。 「たしかに……このおじさん、実家のお仏壇部屋にある写真で見たことあるかも。写真ではもっとおじいさんだったけど」 「亡くなった方が必ずしも亡くなったご年齢で現れるとは限らないんですよ」 私が補足した。そう、有名なスターとか軍人さんとかは、自分にとって全盛期の姿で現れがちなんだ。佳奈さんが言うおじさんも軍服を着ているから、戦時中の御姿なんだろう。 すると玲蘭ちゃんは手ビレ振り、佳奈さんの前世達を等間隔に整列させた。 「志多田さん。この中で一番、あなたにとって『しっくりくる』者��選んで下さい。その者が一つだけ、あなたに力を授けてくれます」 「しっくりくるもの?」 佳奈さんは海中でザブザブと足を引きずり、きちんと並んだ前世達を一つずつ見回っていく。 「うーん……。やっぱり、見たことある人はこのおじさんだけかな。家に写真があったなら、私と血が繋がったご先祖様だと思うし……あれ?」 ふと佳奈さんが立ち止まる。そこにあったのは、殆ど朽ちかけた日本人形。 「この子……!」 どうやら、佳奈さんは『しっくりくる前世』を見つけたようだ。 「私覚えてる。この子は昔、おじいちゃん家の反物屋にいたお人形さんなの。けど隣の中華食堂が火事になった時、うちも半焼しちゃって、多分だからこんなにボロボロなんだと思う」 佳奈さんは屈んで日本人形を手に取る。そして今にも壊れそうなそれに、火傷で火照った肌を癒すように優しく海水をかけた。 「まだ幼稚園ぐらいの時だからうろ覚えだけど。家族で京都のおじいちゃん家に遊びに行ったら、お店にこの子が着てる着物と同じ生地が売ってて。それでおそろいのドレスを作ってほしいっておじいちゃんにお願いしたんだ。それで東京帰った直後だよね、火事。誰も死ななかったけど約束の生地は燃えちゃって、お人形さんが私達を守ってくれたんだろうって話になったんだよ」 佳奈さんが水をかける度に、他の魂達は満足そうな様子で佳奈さんと人形に集約していく。すると玲蘭ちゃんはまた手ビレを振る。二人を淡い光が包みこみ……次の瞬間、人形は紺色の京友禅に身を包む麗しい等身大舞妓に変身した! 「あなたは……!?」 「あら、思い出してくれはったんやないの? お久しぶりどすえ、佳奈ちゃん」 それは見事な『タルパ』だった。魂の素となるエクトプラズム粒子を集め、人工的に作られた霊魂だ。そういえば玲蘭ちゃんが和尚様から習っていたのはこのタルパを作る術だった。なるほど、こういう風に使うために修行していたんだね。 佳奈さんは顕現したての舞妓さんに問う。 「あ、あのね! 外でザトウムシの化け物が暴れてるの! で��れば私もみんなと一緒に戦いたいんだけど、あなたの力を貸してくれないかな?」 ところが舞妓さんは困ったような顔で口元を隠した。 「あらあら、随分無茶を言いはりますなぁ。うちはただの人形やさかい、他の方法を考えはった方がええんと違います?」 「そっかぁ……。うーん、どうしよう」 「佳奈さん、だぶか霊能力とは別の事を聞いてみればいいんじゃないですか? せっかく再会できたんだから勿体ないですよ」 「そう? じゃあー……」 佳奈さんはわざとらしいポーズでしばらく考える。そして何かを閃くと、わざとらしく手のひらに拳をポンと乗せた。 「ねえ。童貞を殺す服を着た女を殺す服って、結局どんな服だと思う? 人生最大の謎なんだけど!」 「はいぃ???」 舞妓さんがわかっていないだろうからと、玲蘭ちゃんがタルパで『童貞を殺す服』を顕現してみせた。 「所謂、こーいうのです。女に耐性のない男はこれが好きらしいですよ」 玲蘭ちゃんが再現した童貞を殺す服は完璧だ。フリル付きの長袖ブラウスにリボンタイ、コルセット付きジャンパースカート、ニーハイソックス、童話の『赤い靴』みたいなラウンドトゥパンプス。一見露出が少なく清楚なようで、着ると実は物凄く体型が強調される。まんま佳奈さんの歌詞通りのコーデだ。 「って、だからってどうして私に着せるの!」 「ふっ、ウケる」 キツキツのコルセットに締め付けられた私を、舞妓さんが物珍しそうにシゲシゲと眺める。なんだか気恥ずかしくなってきた。舞妓さんはヒラヒラしたブラウスの襟を持ち上げて苦笑する。 「まあまあ……外国のお人形さんみたいやね。それにしても今時の初心な殿方は、機械で織った今時の生地がお好きなんやなあ。うちみたいな反物屋育ちの古い人形には、こんなはいからなお洋服着こなせんどす」 おお。これこそ噂の京都式皮肉、京ことば! 要するに生地がペラッペラで安っぽいと言っているようだ。 「でも佳奈ちゃんは、『おたさーの姫』はん程度にならもう勝っとるんやないの?」 「え?」 舞妓さんは摘んでいたブラウスを離す。すると彼女が触れていた部分の生地感が、心なしかぱりっとした気がする。 「ぶっちゃけた話ね。どんなに可愛らしい服でも、着る人に品がなければ『こすぷれ』と変わらへん。その点、佳奈ちゃんは立派な『あいどる』やないの。お歌も踊りもぎょうさん練習しはったんやろ? 昔はよちよち歩きやったけど、歩き方や立ち方がえろう綺麗になってはるさかい」 話しながらも舞妓さんは、童貞を殺す服を摘んだり撫でたりしている。その度に童貞を殺す服は少しずつ上等になっていく。形や色は変わらなくても、シワが消え縫製が丁寧になり、まるでオーダーメイドのように着心地が良くなった。そうか、生地だ。生地の素材が格段にグレードアップしているんだ! 「うちらは物の怪には勝てへんかもしれんけど、童貞を殺す服を着た女に負けるほど弱い女やありまへん。反物屋の娘の誇りを忘れたらあかんよ、佳奈ちゃん」 舞妓さんは童貞を殺す服タルパを私から剥がすと、佳奈さんに当てがった。すると佳奈さんが今着ているサマーワンピースは輝きながら消滅。代わりにアイドルステージ上で彼女のトレードマークである、紺色のメイド服姿へと変身した。けどただの衣装じゃない、その生地は仙姿玉質な京友禅だ! 「いつものメイド服が……あ、これってもしかして、おそろいのドレス!?」 舞妓さんはにっこりと微笑み、輝くオーラになって佳奈さんと一体化する。京友禅メイド服とオーラを纏った佳奈さんは、見違えるほど上品な風格を帯びた。童貞やオタサーの姫どころか、全老若男女に好感を持たれる国宝級生人形(スーパーアイドル)の誕生だ!
བཞི་པ་
「まぶやー、まぶやー、ゆくみそーれー」 またしても玲蘭ちゃんがゆるい呪文を唱えると、佳奈さんの周囲に残っていた僅かな前世残滓も全て佳奈さんに吸収された。これでマブイグミは終了だ。 「金城さんごめんなさい。やっぱり私、バトルには参加できなさそうです……」 「お気になさらないで下さい。その霊的衣装は強いので、多少の魔物(マジムン)を避けるお守り効果もあります。私達が戦っている間、ある程度護身してて頂けるだけでも十分助かります」 「りょーかいです! じゃあ、次は一美ちゃんの番だね!」 いよいよ、私の前世が明らかになる。家は代々影法師使いの家系だから、力を取り戻してくれる先代がいると信じたい。 「まぶやー、まぶやー、うーてぃくよー」 玲蘭ちゃんが私の背中を叩く。全身の毛穴が水を吹くような感覚の後、さっき見たものと同じ半透明の線が飛び出した。ところが…… 「あれ? 一美ちゃんの前世、それだけ??」 佳奈さんに言われて自分から生えた前世達を見渡す。……確かに、佳奈さんと比べて圧倒的に少ない。それに形も、指先ほど小さなシジミ蝶とか、書道で使ってた筆とか、小物ばっかり。玲蘭ちゃんも首を傾げる。 「有り得ないんだけど。こんな量でまともに生きていけるの、大きくてもフェレットぐらいだよ」 「うぅ……一美ちゃん、可哀想に。心だけじゃなくて魂も小さいんだ……」 「悪かったですね、小心者で」 一番考えられる可能性としては、ワヤン不動に変身するためのプルパを愛輪珠に奪われたからだろう。念力を使う時、魂の殆どが影に集中する影法師の性質が仇となったんだ。それでも今、こうして肉体を維持できているのはどういう事か。 「小さくても強いもの、魔除けとか石とか……も、うーん。ないし……」 「じゃあ、斉一さんのドッペルゲンガーみたいに別の場所にも魂があるってパターンは?」 「そういうタイプなら、一本だけ遠くまで伸びてる線があるからすぐわかる」 「そっか……」 すると、その会話を聞いていた佳奈さんが私の足元の海中を覗きこんだ。 「ねえこれ、下にもう一本生えてない?」 「え?」 まじまじと見ると、確かにうっすらと線が見えなくもない。すると玲蘭ちゃんが尾ビレを振って、私の周囲だけ海水を退けてくれた。 「あ、本当だ!」 それは水が掃け、足元に残った影溜まりの中。まるで風前の灯火のように薄目を開けた『ファティマの目』が、一筋の赤黒い線で私と繋がっている。そうか。行きの飛行機内で万狸ちゃんを遠隔視するのに使ったファティマの目は、本来邪悪な物から身を守る結界術だ。私の魂は無意識に、これで愛輪珠から身を守っていたらしい。 「そこにあったんだ。やっぱり影法師使いだね」 玲蘭ちゃんがファティマの目を屈んで掬い取ろうとする。ところが、それは意志を持っているように影の奥深くに沈んでしまった。 「ガード固っ……一美、これどうにかして取れない?」 参ったな。念力が使えれば影を動かせるんだけど……とりあえず、影法師の真言を唱えてみる。 (ナウマク・サマンダ・バザラダン・カン・オム・チャーヤー・ソワカ) だめだ、ビクともしない。じゃあ次は、和尚様の観世音菩薩の真言。 (オム・マニ・パドメ・フム) ……ん? 足の指先が若干ピリッときたような。なら和尚様タイプⅡ、プルパを発動する時にも使う馬頭観音真言ならどうか。 (オム・アムリトドバヴァ・フム・パット!) ピクッ。 「あ、今ちょっと動いた? おーい、一美ちゃんの前世さーん!」 佳奈さんがちょんちょんと私の影をつつく。他の真言やお経も試してみるべきか? けど総当りしている時間はないし…… —シムジャナンコ、リンポチェ……— 「!」 —和尚様?— —あなたの中で眠る仏様へ、お休みなさい、と申したのです。私は彼の『ムナル』ですから……— 脳裏に突然蘇った、和尚様と幼い私の会話。シムジャナンコ(お休みなさい)……チベット語……? 「タシデレ、リンポチェ」 ヴァンッ! ビンゴだ。薄目だった瞳がギョロリと見開いて肥大化し、私の影から飛び出した! だけどそれは、私が知っているファティマの目とまるで違う。眼球ではなく、まるで視神経のように真っ赤なエネルギーの線維が球体型にドクドクと脈動している。上下左右に睫毛じみた線維が突き出し、瞳孔に当たる部分はダマになった神経線維の塊だ。その眼差しは邪悪な物から身を守るどころか、この世の全てを拒絶しているような絶望感を帯びている。玲蘭ちゃんと佳奈さんも堪らず視線を逸らした。 「ぜ、前世さん、怒ってる?」 「……ウケる」 チベット語に反応した謎のエネルギー眼。それが私の大部分を占める前世なら、間違いなく和尚様にまつわる者だろう。正直、今私は和尚様に対してどういう感情を抱いたらいいのかわからなくなっている。でも、たとえ邪尊教徒であろうとなかろうと、彼が私の恩師である事に変わりはない。 「玲蘭ちゃん、佳奈さん。すいません。五分だけ、ちょっと瞑想させて下さい」 どうやら私にも、自分の『縁』と向き合うべき時が来たようだ。
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……釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩……。座して目を閉じ、自分の影が十三仏を象る様を心に思い描く。本来影法師の修行で行う瞑想では、ティンシャやシンギング・ボウルといった密教法具を使う。けど千里が島には持ってきていないし、今の私にそれらを使いこなせる力もない。それでも、私は自らの影に佇むエネルギー眼と接続を試み続ける。繋がれ、動け。私は影。私はお前だ。前世よ、そこにいるのなら応えて下さい。目を覚まして下さい…… 「……ッ……!」 心が観世音菩薩のシルエットを想った瞬間、それは充血するように赤く滲んだ。するうち私の心臓がドクンと弾け、業火で煮えくり返ったような血が全身を巡る。私はその熱量と激痛に思わず座禅を崩してしまうが、次の瞬間には何事もなかったかのように体が楽になった。そしてそっと目を開けてみると、ニライカナイだったはずの世界は見覚えのある場所に変わっていた。 「石筵観音寺……!?」 玲蘭ちゃんが代わりに呟く。そう。ここは彼女も昔よく通っていた、私達の和尚様のお寺だ。けどよく見ると、記憶と色々違う箇所がある。 「玲蘭ちゃん、このお御堂、こんなに広かったっけ……?」 「そんなわけない。だってあの観音寺って、和尚が廃墟のガレージに張って作ったタルパ結界でしょ」 「そうだよ。それにあの外の山も、安達太良山じゃないよね? なんかかき氷みたいに細長いけど」 「あれ須弥山(しゅみせん)じゃん。仏教界の中心にある山。だぶか和尚はこの風景を基に石筵観音寺を作ったんじゃない? てーか、何よりさ……」 「うん。……いなくなってるよね、和尚様」 このお御堂には、重大な物が欠けている。御本尊である仏像だ。石筵観音寺では和尚様の宿る金剛観世音菩薩像がいらした須弥壇には、何も置かれていない。ここは、一体……。 「ねーえ! 一美ちゃんの和尚さんってチベットのお坊さんなんだよね? ここにいるよ!」 「「え?」」 振り返ると、佳奈さんがお御堂の奥にある扉を開けて中を指さしている。勿論観音寺にはなかった扉だ。私と玲蘭ちゃんが中を覗くと、部屋は赤い壁のシンプルな寝室だった。中心に火葬場の収骨で使うようなやたらと背の高いベッドが一つだけ設置されている。入室すると、そのベッドで誰かが眠っていた。枕元にはチベット密教徒特有の赤い袈裟が畳まれている。佳奈さんがいて顔がよく見えないけど、どうやら坊主頭……僧侶のようだ。不思議な事に、その僧侶の周りには殆ど影がない。 「もしもーし、和尚さん起きて下さい! 一美ちゃんが大ピンチなんですーっ!」 佳奈さんは大胆にも、僧侶をバシバシと叩き起こそうと試みる。ただ問題がある。彼は和尚様より明らかに背が低いんだ。 「ちょ、佳奈さんまずいですって! この人は和尚様じゃないです!」 「え、そうなの? ごめんごめん、てへっ!」 「てへっじゃないですよ………………!!?!?!??」 佳奈さんが退き僧侶の顔が見えた瞬間、私は全身から冷や汗を噴出した。この……この男は……!!! 「あれ? でも和尚さんじゃないなら、この人が一美ちゃんの前世なんじゃない? おーい、前世さムググム~??」 ヤバいヤバいヤバい!! 佳奈さんが再び僧侶をぶっ叩こうとするのを必死で制止した。 「一美?」 玲蘭ちゃんが訝しんだ。面識はない。初めて見る人だ。だけどこの男が起きたら絶対人類がなんかヤバくなると直感で理解してしまったんだ! ところが…… ༼ ……ン…… ༽ 嘘でしょ。 「あ、一美ちゃん! 前世さん起きたよ! わーやば、このお坊さん三つ目じゃん! きっとなんか凄い悟り開いてる人だよ!」 あぁ、終わった……。したたび綺麗な地名の闇シリーズ第六弾、千里が島宝探し編終了。お疲れ様でした。 「ねー前世さん聞いて! 一美ちゃんが大ピンチなの! あ、一美ちゃんっていうのはこの子、あなたの生まれ変わりでー」 ༼ えっ、え?? ガレ……? ジャルペン……?? ༽ 僧侶はキョトンとしている。そりゃそうだ、寝起きに京友禅ロリータが何やらまくし立てていれば、誰だって困惑する。 「じゃる……ん? ひょっとして、この人日本語通じない!?」 「一美、通訳できる?」 「むむ、無理無理無理! 習ってたわけじゃないし、和尚様からちょこちょこ聞いてただけだもん!」 「嘘だぁ。一美ちゃんさっきいっぱいなんかモゴモゴ言ってたじゃん。ツンデレとかなんとか」 「あ、あれは真言です! てか最後なんて『おはようございます猊下(げいか)』って言っただけだし」 私だけ腰を抜かしている一方で、佳奈さんと玲蘭ちゃんは変わらずマイペースに会話している。僧侶もまだキョトン顔だ。 「他に知らないの? チベット語」 「えぇー……。あ、挨拶は『タシデレ』で、お休みなさいが『シムジャナンコ』、あと印象に残ってるのは『鏡』が『レモン』って言うとか……後は何だろう。ああ、『眠り』が『ムナル』です」 ༼ ! ༽ 私が『ムナル』と発音した瞬間、寝ぼけ眼だった僧侶が急に血相を変えて布団から飛び出した。 ༼ ムナルを知っているのか!? ༽ 「ふわあぁ!?」 僧侶は怖気づいている私の両腕をがっしと掴み、心臓を握り潰すような響きで問う。まるで視神経が溢れ出したような紅茶色の長い睫毛、所々ほつれたように神経線維が露出した肌、そして今までの人生で見てきた誰よりも深い悲壮感を湛える眼差し……やっぱり、間違いない。この僧侶こそが…… 「え? な、なーんだ! お坊さん、日本語喋れるんじゃん……」 「佳奈さん、ちょっと静かにしてて下さい」 「え?」 残酷にも、この僧侶はムナルという言葉に強い反応を示した。これで私の杞憂が事実だったと証明されてしまったんだ。だけど、どんな過去があったのかはともかく、私はやっぱり和尚様を信じたい。そして、自分の魂が内包していたこの男の事も。私は一度深呼吸して、彼の問いに答えた。 「最低限の経緯だけ説明します。私は一美。ムナル様の弟子で、恐らくあなたの来世……いえ、多分、ムナル様によって創られたあなたの神影(ワヤン)です。金剛の大散減という怪物と戦っていたんですが、ムナル様が私の肋骨で作られた法具プルパを金剛愛輪珠如来に奪われました。それでそこの神人にマブイグミして貰って、今ここにいる次第です」 ༼ …… ༽ 僧侶は瞬き一つせず私の話を聞く。同時に彼の脳内で凄まじい速度で情報が整理されていくのが、表情でなんとなくわかる。 ༼ 概ね理解した。ムナルは、そこか ༽ 僧侶は何故か佳奈さんを見る。すると京友禅ロリータドレスのスカートポケットに、僧侶と同じ目の形をしたエネルギー眼がバツッと音を立てて生じた。 「きゃあ!」 一方僧侶の掌は拭き掃除をしたティッシュのようにグズグズに綻び、真っ二つに砕けたキョンジャクが乗っていた。 「あ、それ……神社で見つけたんだけど、後で返そうと思って。でも壊れてて……あれ?」 キョンジャクは佳奈さんが話している間に元の形に戻っていた。というより、僧侶がエネルギー眼で金属を溶かし再鋳造したようだ。綻んでいた掌もじわじわと回復していく。 「ど、どういう事? 一美。ムナルって確か、観音和尚の俗名か何かだったよね……そのペンダント、なんなの?」 僧侶の異様な力に気圧されながら、玲蘭ちゃんが問う。 「キョンジャク(羂索)、法具だよ。和尚様の遺骨をメモリアルダイヤにして、友達から貰ったお守りのペンダントに埋め込んでおいたんだ」 ༼ この遺骨ダイヤ、更に形を変えても構わんか? ༽ 「え? はい」 僧侶は私にキョンジャクを返却し、お御堂へ向かった。見ると、和尚様のダイヤが埋まっていた箇所は跡一つなくなっている。私達も続いてお御堂に戻ると、彼はティグクという斧型の法具を持ち、装飾部分に和尚様のダイヤを埋め込んでいた。……ところが次の瞬間、それを露台から須弥山目掛けて思い切り投げた! 「何やってるんですか!?」 ティグクはヒュンヒュンと回転しながら須弥山へ到達する。すると、ヴァダダダダガァン!!! 須弥山の山肌が爆ぜ、さっきの何百倍もの強烈なエネルギー眼が炸裂! 地面が激しく揺れて、僧侶以外それぞれ付近の物や壁に掴まる。 ༼ 拙僧が介入するとなれば、悪戯に事が大きくなる…… ༽ 爆風と閃光が鎮まった後の須弥山はグズグズに綻び、血のように赤い断面で神経線維が揺らめいた。そしてエネルギー眼を直撃したはずのティグクは、フリスビーのように回転しながら帰還。僧侶が器用にキャッチすると、次の瞬間それはダイヤの埋め込まれた小さなホイッスルのような形状に変化していた。 ༼ だからあなたは、あくまでムナルから力を授かった事にしなさい。これを吹けばティグクが顕現する ༽ 「この笛は……『カンリン』ですか!?」 ༼ 本来のカンリンは大腿骨でできたもっと大きな物だけどな。元がダイヤにされてたから、復元はこれが限界だ ༽ カンリン、人骨笛。古来よりチベットでは、悪い人の骨にはその人の使っていない良心が残留していて、死んだ悪人の遺骨でできた笛を吹くと霊を鎮められるという言い伝えがあるんだ。 ༼ 悪人の骨は癒しの音色を奏で、悪魔の心臓は煩悩を菩提に変換する。それなら逆に……あの心優しかった男の遺骨は、どんな恐ろしい業火を吹くのだろうな? ༽ 顔を上げ、再び僧侶と目が合う。やっぱり彼は、和尚様の事を話している時は少し表情が穏やかになっているように見える。 ༼ ま、ムナルの弟子なら使いこなせるだろ。ところで、『鏡』はレモンじゃなくて『メロン』な? ༽ 「あっ、そうでしたね」 未だどこか悲しげな表情のままだけど、多少フランクになった気がする。恐らく、彼を見た最初は心臓バクバクだった私もまた同様だろう。 「じゃあ、一美……そろそろ、お帰ししてもいい……?」 だぶか打って変わって、玲蘭ちゃんはすっかり及び腰だ。まあそれは仕方ない。僧侶もこの気まずい状況を理解して、あえて彼女と目を合わさないように気遣っている。 「うん。……リンポチェ(猊下)、ありがとうございました」 「一美ちゃんの前世のお坊さん、ありがとー!」 ༼ 報恩謝徳、礼には及ばぬ。こちらこそ、良き未来を見せて貰った ༽ 「え?」 ༼ かつて拙僧を救った愛弟子が巣立ち、弟子を得て帰ってきた。そして今度は、拙僧があなたに報いる運びとなった ༽ 玲蘭ちゃんが帰還呪文を唱えるより前に、僧侶は自らこの寺院空間を畳み始めた。神経線維状のエネルギーが竜巻のように這い回りながら、景色を急速に無へ還していく。中心で残像に巻かれて消えていく僧侶は、最後、僅かに笑っていた。 ༼ 衆生と斯様にもエモい縁を結んだのは久しぶりだ。また会おう、ムナルそっくりに育った来世よ ༽
ལྔ་པ་
竜巻が明けた時、私達はニライカナイをすっ飛ばして宴会場に戻っていた。佳奈さんは泥だらけのサマードレスに戻っているけどオーラを帯びていて、玲蘭ちゃんの口の怪我は何故か完治している。そして私の手には新品のように状態の良くなったキョンジャクと、僅かな視神経の残滓をほつれ糸のように纏う小さなカンリンがあった。 「あー、楽しかった! 金城さん、お人形さんと再会させてくれてありがとうございました! 一美ちゃんも、あのお坊さんめっちゃ良い人で良かったね! 最後エモいとか言ってたし、実はパリピなのかな!? ……あれ、金城さん?」 佳奈さんが振り返ると同時に、玲蘭ちゃんは焦燥しきった様子で私の首根っこを掴んだ。今日は色んな人に掴みかかられる日だ。 「なんなの、あの前世は」 その問いに答える代わりに、私は和尚様の遺骨(カンリン)を吹いてみた。パゥーーーー……決して癒しの音色とは言い難い、小動物の断末魔みたいな音が鳴った。すると私の心臓に焼けるような激痛が走り、全身に煮えたぎった血が迸る! それが足元の影に到達点すると、カセットコンロが点火するように私の全身は業火に包まれた。この一連のプロセスは、実に〇.五秒にも満たなかった。 「そんなっ……その姿……!!」 変身した私を、玲蘭ちゃんは核ミサイルでも見るような驚愕の目で仰いだ。そうか。彼女がワヤン不動の全身をちゃんと見るのは初めてだったっけ。 「一美ちゃん! また変身できるようになったね! あ、前世さんの影響でまつ毛伸びた? いいなー!」 玲蘭ちゃんは慌ててスマホで何かを検索し、悠長に笑っている佳奈さんにそれを見せた。 「ん、ドマル・イダム? ああ、これがさっき話してた邪尊さん……え?」 二人はスマホ画面と私を交互に三度見し、ドッと冷や汗を吹き出した。憤怒相に、背中に背負った業火。私は最初、この姿は不動明王様を模したものだと思っていた。けど私の『衆生の苦しみを業火に変え成仏を促す』力、変身中の痛みや恐怖に対する異常なまでの耐久性、一睨みで他者を黙らせる眼圧、そしてさっき牛久大師に指摘されるまで意識していなかった、伸びた腕。これらは明らかに、抜苦与楽の化身ドマル・イダムと合致している! 「……恐らく、あの前世こそがドマルだ。和尚様は幼い頃の私を金剛から助けるために、文字通り彼を私の守護尊にしたんだと思う。でもドマルは和尚様に『救われた』と言っていた。邪尊教に囚われる前の人間の姿で、私達が来るまで安らかに眠っていたのが何よりの証拠だ。観世音菩薩が時として憤怒の馬頭観音になるように、眠れる抜苦与楽の化身に代わり邪道を討つ憤怒の化身。それが私……」 「ワヤン不動だったってわけ……ウケる」 ウケる、と言いつつも、玲蘭ちゃんはまるで笑っていなかった。私は変身を解き、キョンジャクのネックレスチェーンにカンリンを通した。結局ドマルと和尚様がどういう関係だったのか、未だにはっきりしていない。それでも、この不可思議な縁がなければ今の私は存在しないんだ。この新たな法具カンリンで皆を、そして御戌神や千里が島の人々も守るんだ。 私は紅一美。金剛観世音菩薩に寵愛を賜りし紅の守護尊、ワヤン不動だ。瞳に映る縁無き影を、業火で焼いて救済する!
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今日から三連休です。朝からしたことと言えば、朝飯食って片付けて、朝風呂入って、掃除機回したくらいかな。
お昼は自家製手打ち中華 みの八でワンタンメンです。2024年の福島県での1杯目。
2024年2杯目です。
#ラーメン
#白河ラーメン
#自家製手打ち中華そばみの八
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米中覇権争いと日本
元東部方面総監
渡部 悦和 氏
皆さんこんにちは。ご紹介にあずかりました渡部です。
私は「日米中の安全保障」をテーマとして研究していますが、世界では2018年にトランプ政権が米中貿易戦争を始めて、今や「米中覇権争い」或いは「米中新冷戦」という言葉が踊っています。本日は「米中覇権争いと日本」いう演題で、「日米中の安全保障」の観点からいろいろお話をさせていただきたいと思います。
私は自衛隊在職中、1991年から93年までドイツに留学させていただき、1989年の冷戦終結後間もないヨーロッパで、身をもって国際情勢をはじめさまざまなことを勉強することができました。特に印象に残ったのが、理想を謳う社会主義、共産主義の実態に触れたことでした。第2次世界大戦後同じゲルマン民族のドイツ人が東西に分かれ、片や西ドイツは経済発展を遂げ、一方東ドイツは決して豊かとは言えない状態が続き、その後東西冷戦が終結して東西ドイツは統一したわけですが、統一直後の旧西ドイツと旧東ドイツの人たちの姿を見たときに、その大きな格差に驚いたことを今でもはっきりと覚えています。
そして、自衛隊退職後は富士通システム統合研究所長として、安全保障に関して研究できる機会をいただくことができ、有り難く思っている次第です。
我われは今、平成の終わりの1ヶ月を過ごしております。冷戦終結の1989年に平成が始まったわけですが、この3年間を振り返ったときに、経済同友会の小林喜光代表幹事は「平成は失敗と挫折の30年間であった」と厳しい評価をしています。それに反発する方もおられると思いますが、令和の時代を迎える将来の日本にとって、平成の出来事をしっかり見つめることが大切なことではないかと思います。
一 ハーバードで感じたこと ~見捨てられ、忘れられた日本~
平成が始まってから約10~20年後、2010年にGDPで日本は中国に追い抜かれ、国防費についても圧倒的に引き離されています。私がなぜ中国、特に中国人民解放軍を研究しているかといいますと、2015年から17年にかけてハーバード大学のアジアセンターでシニアフェローとして2年間研究生活を送っていたときの体験が大きく影響しています。ハーバードの研究生活の中で痛感したことは「日本は見捨てられている、忘れられている」ということでした。
アジアセンターには日本の企業が寄付をして建てた立派な建物が2つあります。しかし日本の企業が建設に貢献した建物であるにもかかわらず、今そこを占領しているのは中国の教授、研究者、学生たちです。かつての「東アジア研究センター」が「フェアバンク中国研究センター」に名称が変わって中国研究のメッカとなり、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」で有名なエズラ・ヴォーゲル教授が週に一回、日本ではなく中国関係のセミナーを行っています。そのセミナーにおいては、中国は高く評価され、一方日本については否定的な教育がなされているのです。留学中、そのような体験を通じて「これではいけない」と切実に思いました。
今、アメリカの大学に留学している中国人学生は33万人ほどいますが、日本人は1万9000人ぐらいしかいません。この差は何なのでしょうか。中国留学生に次いで多いのが、16万人のインド留学生、7万人のサウジアラビア留学生、そしてアジアでは韓国留学生でさえ5万人、台湾留学生も2万人以上います。このような状況から明らかなように、将来の国際的発信力において、中国、インド、サウジアラビアに負けて、韓国、台湾にも後れをとっている現実があるわけです。これが平成30年間の結果ではないかと私は思っています。
ハーバードにおいては、世界で昔から語られている格言「無知の知」を実感しました。自分としては自衛隊で36年間日本の防衛に携わり、安全保障について少しは分かっていると自負していましたが、多くの体験を通して「何も知らない自分自身」というものを痛感したわけです。また自分の体験だけではなく実際に、安全保障の研究に関してアメリカと日本の格差も目の当たりにしました。例えば「東アジア戦略報告(ナイ・イニシアティブ)」を提唱したジョセフ・ナイ教授、或いは「ツキディデスの罠」で有名なグレアム・アリソン教授など彼らが講演した後に、安全保障を専門とする「日本の著名な教授」が演壇に立ったとき、彼らはいなくなってしまうのです。大きな関心を引かなかったのでしょうが、このような実態を見せられたときに私はある種の危機感を感じました。日本がパッシングされているとまでは言いませんが、日本の存在感がないのです。そこで議論されているのは中国のことで、中国の政治・経済・軍事が語られています。そこで私は米中関係、特に元自衛官ですから、その中でも米軍と中国人民解放軍を研究しようと決意したわけです。
私がアメリカにいた2016年に大統領選挙がありました。その大統領選挙においてロシアのプーチン大統領が「アメリカ民主主義を代表する大統領選挙に大きな影響を及ぼす」ことを目的として大々的な情報作戦「インフルエンス・オペレーション(影響工作作戦)」を行ってみごとに成功しました。プーチンが狙ったのは「ヒラリー・クリントン候補を貶めてトランプ候補を有利にする」ことでした。ロシアが行ったフェイク作戦は、ヒラリー・クリントン陣営を不利にするため、ヒラリーの個人的生活に関する偽情報をコンピュータで作成してツイッター、フェイスブックに投稿し、さらにユーチューブに偽動画を載せたものです。この作戦ではツイッターなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と云われているメディアを使いながら「ディスインフォメーション(偽情報)」を行ったわけですが、最新の技術を使った情報作戦の重要性を世界は深く認識しました。
中国には国内及び海外の工作活動を行う統一戦線工作部というのがありますが、その工作の実態をハーバードにおいて目の当たりにする機会がありました。皆さん、孔子学院というのをご承知のことと思います。日本にも孔子学院にどっぷり浸かった大学が幾つもあります。中国の文化、中国語を勉強すると言いながら、中国共産党の宣伝機関としてアメリカの国内でも活動しています。そして、ハーバードにおいて私自身もその渦中に巻き込まれ、アジアセンターの中で中国の学生、研究者、教授に取り囲まれる羽目になりました。どうしてかと言いますと、私は毎週水曜日のエズラ・ヴォーゲル教授のセミナーに参加し、前に座ってよく質問をしていましたが、いつも中国に対して厳しい質問ばっかりしていたので、しまいには中国の人たちに囲まれて「招待するから中国に来ませんか、中国の大学で議論しましょう」と誘われたことがありました。しかし、これを真に受けてうっかり乗っかったら大変なことになりますのでお断りしました。
二 重視されるジオテクノロジー(テクノ地政学)~AI(人口頭脳)の重要性~
本日の講演で特に強調したいのは科学技術、先端技術の重要性ということです。安全保障を考えるときに、地理的条件��環境要素を重視した「ジオポリティックス(地政学)」、経済的な要素を中心とした「ジオエコノミクス(地経学)」ということは皆さん聞かれたことがあると思います。トランプ政権はジオエコノミクスを重視して、今中国に対して経済制裁を行っています。軍事力ではなく経済的な手段を使って中国と戦っているわけです。実はオバマ前大統領もそうでした。ロシアがクリミアを併合したときにオバマ政権は経済制裁を徹底的に行って効果をあげ、いまだに制裁が続いていますからロシア経済は大変な状況になっているわけです。また今回、トランプ大統領が北朝鮮に対し経済制裁を国連と共同して実施しましたが、これも大きな効果をあげています。
近年、安全保障に影響を与えるものとして、ジオポリティックス、ジオエコノミクスと並んで先端技術を重視した「ジオテクノロジー(テクノ地政学)」が重視されてきています。本日はこれについてお話ししたいと思います。最先端技術が今日の世界の安全保障に直結する重要な要素であるということをお分かりいただきたいと思います。
世界では今、「AI(人工知能)」の重要性が注目され、米軍も中国人民解放軍もAIを軍事のすべての分野に適用しようとしています。その点、日本の自衛隊はAIの重要性をまだまだ深く認識していないようにも思えます。昨年の防衛予算では「AIを人事業務で活用する」とありました。私も人事の補任課長をしていましたので、膨大かつ複雑な人事作業にAIを使って短時間・少人数で処理しようというのはよく分かりますが、人事だけではなく他の分野にも積極的に、例えば兵站業務で、装備品の故障確率を予測して「どのような部品が必要か」を見積もる作業などにもどんどん適用していってもらいたいと思います。
サイバー戦が今非常に重要な分野になっています。サイバー戦には「攻撃的サイバー戦」、「防衛的サイバー戦」、「サイバーを使った情報活動」の3つがありますが、AIはいずれにも適用することができます。例えば中国の過去のサイバー攻撃に関する膨大なデータをインプットして、それに基づき中国がどのような攻撃をしてくるかを予測して防御要領を検討します。向こうもAIを使っていますから、互いに相手の出方を考慮しながら、無数の組み合わせの戦い方に対処していくわけです。
日本の防衛省情報本部においては今まで、一人の担当者が膨大な情報を集めて整理、分析して多くの時間を要してきましたが、AIにテーマを与えて任せれば極短時間で同じ作業を行うことができます。これは情報、人事、兵站、作戦の分野でも同じです。今日本は少子化で人手不足が深刻で、自衛隊でも隊員の確保に四苦八苦しています。人がいないとすれば何をしなければならないかははっきりしています。省人化と無人化、この分野を無視しては将来の自衛隊は組織として成り立っていきません。「AIを軍事に適用する」ということが如何に大切かということを、声を大にして言いたいわけです。
中国の人民解放軍は「AIによる軍事革命」、これを狙っています。かつて米軍が「軍事革命(Revolution in Military Affairs)」を掲げ、IT情報技術を使って軍事革命を達成しました。その結果が湾岸戦争の大戦果につながっていくわけです。米軍が行ったITによる情報革命を、今度は中国人民解放軍がAIを使って行おうとしています。
AIの軍事適用の代表例としてはロボットが挙げられます。日本では原子力発電所の事故でお馴染みになったカメラを搭載した無人キャタピラー、運送会社の倉庫で荷物自動選別運搬ロボットなどが活躍していますが、今や世界では人間と同じ形をして、人間よりもはるかに運動能力の優れたロボットの開発が進んでいます。早く走ることができ、高く跳びあがりながら障害を越え階段を登る、そしてダンスなど繊細な運動もできるロボットなど、すぐにでも軍事に適用できる状況になってきています。AIを活用していますので、ロボット自身が周囲の環境を認識しながら移動していくことができるわけです。
空の世界においても同様です。今年の3月、ジェット戦闘機の無人機が初めて空を飛びました。「ヴァルキリーXQ-58」というステルス戦闘機です。これは本当に優れもので偵察用にも使いますが攻撃もできる無人戦闘機です。自ら判断して行動することができます。そしてネットワークで結びつけてF-35或いはF-22と連携をしながら、有人機と無人機のコラボレーション作戦ができるというわけです。これは1機3億円ぐらいですが、最新鋭機のF-35Aは100倍くらいの値段ですので経済的にも効率よく運用することができます。有人機であれば破壊されてしまえば機体のみならずパイロットも損傷を被ります。しかし、有人機が行く前方に先駆けとして無人機を飛ばすことによって、敵のレーダの状況、通信の状況、或いは兵器の展開状況を確認して情報を後方から追随する有人機に教えて人的損害を軽減し、作戦を有利に展開するということができます。また、このバリエーションとして無人の空中給油機を作っていますし、機体を大きめに設計すれば無人爆撃機も可能になります。
三 5G(第5世代移動通信システム)をめぐるアメリカと中国の角逐
5Gをめぐっては安全保障や経済の面から、世界はアメリカのブロックと中国のブロックに分かれていこうとしています。アメリカのブロックには日本、オーストラリア、イスラエルなどが入っており、これらの国々はアメリカの意向を受け「中国製の5Gは購入しません」ということを宣言しています。
5Gについては、中国の「ファーウェイ(華為技術)」が世界一の技術を持っています。技術に加えてコスト面など、トータルパフォーマンスで比べると誰が考えてもファーウェイの5Gを導入するというのが最も合理的な選択です。しかし、日本はアメリカから「ファーウェイは使用しないで欲しい」という要請を受けて導入を拒もうとしています。日本のソフトバンクはファーウェイの製品を一番多く導入していますので、これを日本がシャットアウトするということになると大きな打撃を受けます。
ところが今、5Gの世界においてはアメリカによる同盟国をまとめる力が弱くなってきています。例えば「ファイブアイズ」というアメリカを中心とするアングロサクソンの五つの国の情報機関の集まりがあります。アメリカの他にはイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどですが、この中で、5Gで明確に反中国の立場を取っているのは2カ国だけです。イギリスもカナダもはっきりとは中国製を排除するとは言っていません。NATO諸国においてもそうですから、ましてやNATO以外の東欧諸国或いは中東、アフリカ、アジア諸国などは、安くて品質のよい中国製の5Gを導入するに決まっているのです。私は5Gの戦いにおいては、アメリカのブロックは非常に難しい状況に陥っていると思っています。
ファーウェイはアメリカから拒否されたとき、トランプ政権の「ファーウェイを排除しようとする政策は合衆国憲法違反」と訴えてアメリカで裁判を起こしました。この会社は現在、情報通信では世界一の会社ですがAIの分野でも力を付けてきています。中国は半導体産業全体としてはアメリカにまだまだ敵いませんが、AI用の半導体チップに関しては、ファーウェイの子会社の「ハイシリコン(海思半導体)」という会社がアメリカのクアルコムにも匹敵する技術レベルを有していると言われ、半導体を他の会社に供給せずファーウェイだけに供給しています。
平成の30年間の衰退は半導体産業を見たら一目瞭然です。1991(平成3)年、私は留学先のドイツで世界の留学生を前にして「世界の半導体会社のベストテンに日本の会社が半分以上入っている」と胸を張ってスピーチしました。しかし今や、日本にその面影はありません。AIを考えるとき、頭脳となる半導体チップが不可欠になりますが、それを作れる会社は今やアメリカ、中国の会社などに限られてきています。
中国ではファーウェイをはじめとして、会社は中国共産党の命令に従わなければいけません。国防動員法と国家情報法第7条に規定されています。国防動員法には「いかなる人、会社も中国共産党が指示する動員に従わなければならない」とあり、もちろん中国国内にある日本の会社も対象となります。もうひとつの国家情報法第7条は「いかなる組織・個人も国家の情報活動に協力する義務を負う」というものです。これは厳格に実行されていて、日本がファーウェイの5Gネットワークを導入した場合、情報は全部持っていかれるわけです。
四 中国の「一帯一路」の現状と「デジタル・シルクロード(DSR)」構想で目指すもの
中国の「一帯一路」構想は習近平国家主席が展開した「大風呂敷」です。これほど雄大な戦略を描ける国は世界でも中国しかありません。この「一帯一路」戦略は中国の影響圏を拡げようというのが元々の発想です。海のシルクロード、陸のシルクロード、中国を起点として影響をアジア、アフリカを越えてヨーロッパまで及ぼそうという考えです。その構想の中では「重要な港、高速道路、空港などインフラ整備を中国が行います」といって、さまざまな発展途上国にインフラを提供しています。しかし皆さんご承知のとおり、これについては非常に評判が悪くなっています。結局「債務の罠」ということで、中国は発展途上国が払うことができない債務をインフラ整備という名目で意図的に作り、完成した港などのインフラ設備を中国の管轄下に置こうとしています。ですから現在、世界各国で反発され、中国と仲のよかったパキスタンでさえ問題視するようになり、マレーシア、スリランカなどアジア諸国、そしてヨーロッパの国々も警戒感を持って「一帯一路」の行方を見ている状況です。
この「一帯一路構想」の中で、私が「成功するであろう」と思っているのが「デジタル・シルクロード構想」です。デジタル・シルクロードというのは海陸のシルクロード沿線国に対して、光ケーブル、Wi-Fi、5G通信ネットワークなどを構築し、インターネットの世界、デジタルの世界で主導権を確立しようとするものです。
そして今国内で行っているデジタル監視社会というシステムを海外に普及することを考えているのでしょう。デジタル監視というのは社会主義国として、国民を監視しコントロールできる理想のシステムなのです。世界に対して「中国のデジタル網を導入することにより、国民を管理するデジタル監視社会が可能になります」と言って影響力の拡大を図っているのです。今、世界には独裁者が増えてきており、彼らは「国民を管理し易いシステムを如何にして構築するか」ということに大きな関心を寄せていますが、そのお手本ともいうべきものを中国は作り上げているのです。監視社会ではAIも徹底して活用されています。皆さんご承知のように、中国では国民一人ひとりが個人情報を含めて完全に把握、評価されています。評価ランキングの上位の人たちにとってはこれほど住みやすい世界はありません。就職するときも有利ですし、海外旅行など私生活面でも大変便利です。一方、ランキングの下の方に設定された人たちは、再び浮かび上がれないような不利益を被ります。敗者復活などはありません。国民はDNAレベルまで管理されます。例えば小学生のときに学校の身体検査で唾液を採取してDNAを解析します。そうして最終的には14億国民のデータを全部把握しながら、一人ひとりを管理していく恐ろしい社会、これを習近平は作り上げようとしているわけです。
中国はデジタル覇権を狙っています。サイバー空間や5Gの建設、ブロードバンドの拡大と質の向上、ビッグデータの導入などから始まり、最終的にはシルクロード沿線国をコントロールするために電子商取引を主導してデジタル化経済での覇権獲得を狙っているのでしょう。そしてこれらが「スマートシティ」の建設につながっていくわけです。「自動運転」の開発は世界的な競争になっていますが、元々はグーグルが先行し、今や中国の企業がどんどん追い上げてきています。スマートシティにおいては自動運転の車が走り回ります。アメリカの自動運転は既存の道路、道路標識などのインフラをそのまま使用していますが、中国のスマートシティにおける自動運転は人が使いやすい道路など、インフラを全部新しく作り直していますから、そこでは極めて精密に自動運転車を走らせることができるわけです。このように中国のデジタル優勢についていろいろ見てきましたが、中国版のデジタル監視社会、スマートシティなどが世界に波及することをアメリカは恐れ、阻止しようとしているのです。
ここで中国の量子技術についてお話ししておきたいと思います。最先端技術においてAIの重要性は言うまでもありませんが、このAIと切っても切れない関係にあるのが量子技術です。量子コンピュータはスーパーコンピュータより遥かに能力の高いコンピュータで、なぜこの量子コンピュータが必要かというと、AI開発のためには今のスーパーコンピュータでは十分対応できないのです。量子技術による量子コンピュータの開発、これが今世界で大きな競争となっています。また、量子レーダの開発もあります。量子レーダはF-35とかF-22といったステルス性能をゼロにします。これらについて中国は国を挙げて取り組んでいるのです。
そして特筆すべきことは、中国は宇宙衛星と地上局との間で量子暗号を使った量子通信を世界で初めて達成しました。従来の無線は簡単に傍受して解読することができますが、量子暗号は解読できないと言われています。「暗号を制する者は世界を制する」という言葉もあるように、情報収集の分野ではこれまで、暗号傍受の分野も含めて圧倒的にアメリカが進んでいましたが、中国の量子通信技術の進歩により今やアメリカの優位が崩れようとしているのです。
五 中国のデジタル覇権を断固として拒む、国を挙げてのアメリカの決意
中国のデジタル・シルクロードによる世界秩序の再構築に対するアメリカの恐れ、警戒感は相当なものがあります。ですから、トランプ大統領は中国に対して米中貿易戦争を仕掛けているのです。最初はZTE(中興通訊)を目標にして倒産寸前まで追い詰め、今はファーウェイがこれ以上拡大成長しないようにと徹底的に叩いています。
現在の中国の躍進には、経済建設優先の鄧小平の改革開放路線が大きく貢献しています。私が習近平を見ていて「まだまだだな」と思うのは、中国の躍進を支えてきた、鄧小平が掲げた「韜光養晦(自らの力を隠し蓄える)」という考え方をよく理解していないのではないかというところです。
習近平が国家主席になったのは2012年ですが、彼は従来の「韜光養晦」をかなぐり捨てて中華民族の偉大なる復興というアドバルーンをあげました。即ち、中華人民共和国建国100周年の2049年までに「アメリカを追い越して世界一の国家になる」という目標を掲げました。それ以降習近平は、「海洋強国として太平洋を二分する」、「宇宙強国として宇宙衛星で世界を支配する」、「航空強国としてボーイングを追い越す」、そして「2030年までにAIで世界トップになり、2049年までに世界一の科学技術強国になる」などの目標を公表しています。
そして「中国製造2025」、即ち「2025年までにAI等の半導体製造において自給率70パーセントを目指す」ということを具体的に世界に宣言したところで、それに対するアメリカの反発を買っているわけです。「アメリカに追いつく」ことから大きく踏み出し、「アメリカに挑戦する」という露わな姿勢に対してトランプ大統領が怒りを爆発させたのが米中貿易戦争、ひいては米中覇権争いになっているのです。
ここ数年、米国における反中国感情はトランプ大統領だけではなく、共和党も民主党も超党派で凄まじい勢いで湧き起っています。私がハーバードに行った2015年にはこれほどの反中国感情はアメリカ国内には見られませんでした、オバマ大統領からトランプ大統領に替わり劇的に中国脅威論が高まりました。民主党の議員たちも中国に関しては、共和党と共通の脅威認識を持っています。トランプ大統領の対中国強硬政策、米中貿易戦争は超党派の支持を受け、アメリカの多くの国民が中国の覇権を認めてはいけないと思っているのです。
アメリカはいろいろなシステムが整っていますので、例えばUSCC(米中経済安全保障調査委員会)という議会の超党派の調査委員会がありますが、中国の脅威に関して事細かく調査報告を行っています。アメリカのCIA(中央情報局)、FBI(連邦捜査局)、DIA(国防情報局)、NSA(国家安全保障局)など16の情報機関とこれらの人事・予算を統括する国家情報長官(DNI)のみんながこぞって中国の脅威というものを訴えているのです。
「対米外国投資委員会(CFIUS)」は、アメリカに投資をする外国企業をしっかりと審査しています。かつては、アメリカをはじめイギリス、ドイツの企業が中国に買収されて最先端の技術が随分流れました。しかし今は、CFIUSが厳しく中国によるアメリカ企業の買収を監督しています。またそれだけではなく、CFIUSは中国企業が日本の会社を買収するときに、その日本の会社が「アメリカの安全保障に関係していないか」についても審査をしています。例えば、中国、台湾に買ってもらっているジャパンディスプレイも、これからはCFIUSの審査により難しい局面を迎えるのではないかと言われています。このように中国の最先端技術に対して、アメリカがさまざまな手段を使って妨害する傾向はこれからも続くでしょうし、米中の派遣争いは日本にとっても無関心ではいられないことなのです。
今、中国経済が危機的な状況にあると言われていますが、国防費だけは増大しています。経済の動向にかかわらず、社会主義、共産主義の独裁国家は国防費を下げることはありません。中国の「覇権の追求」は止むことはないと私は思っています。
中国は簡単には倒れません。トランプ政権がなぜあれほどまでに中国に対して厳しい態度を取っているかというと、中国の実力を認めているからなのです。習近平が築き上げてきた独裁体制はある面から見れば危機に対して迅速、効率的に対応できるシステムとも思われます。我われが価値を置いている民主主義や自由は確かに大切ではありますが、それに勝るとも劣らないメリットを独裁体制は持っているかも知れないわけです。この問題は、これから我われが心してかからなければいけないことだと思います。いずれにしろ冒頭にお話ししたように、私は社会主義、共産主義による独裁体制は最終的には悲惨な結果を迎えると思っていますので、現在の米中貿易戦争、米中覇権争いの行方を注視しながら、最悪の事態をも想定して対応策を検討していかなくてはと思っています。
六 米中の狭間で日本が生き延びる道 ~原点に戻り、国を挙げて国力をつけること~
それでは結言に入りたいと思います。サミュエル・ハンチントンは「文明の衝突」の中で「日本はアメリカ側につくか、中国側につくか決断を迫られる」ということを言っています。彼が「文明の衝突」を書いたのは1990年代ですが、その時点で「中国はアメリカの強敵になり覇権を争う」ということを予言しているのです。そしてその中で「日本は蝙蝠のようにどっちつかずの対応にならないように気をつけなければならない」ということを警告しているのです。もちろん私は「日本はアメリカ側につくべきだ」と思っていますが、中国は力のないものは軽蔑して「力のあるもの」しか尊敬しません。日本がこれから米中覇権争いの中にあって存在感のある国家として生き延びるためには、日本自身がもう一度国力を復活させなければいけないと思います。それは政治力、経済力、科学技術力、国防力、人口など広範に亘りますが、国を挙げて日本の国力を上げる努力をしない限り、米中覇権争いの中で日本は埋没してしまうでしょう。「失われた平成の30年」を取り戻すことさえできない事態になるかも知れません。
日本は戦略的に思考する努力をしなければいけません。日本は国家安全保障戦略を策定していますが、今回の防衛計画の大綱、あるいは中期防衛力整備計画を策定する段階において国家安全保障戦略を改定しませんでした。私が一番危惧するのは、国家安全保障戦略では「中国が明確な脅威だ」とは書いていないことです。脅威を明確にしていない国家安全保障戦略に基づいて、防衛計画の大綱或いは中期防衛力整備計画が今回改定されました。明らかに限界があります。中国を脅威だと明確に言えない日本、これに私は限界を感じるわけです。日本の防衛費はGDPの2パーセントまでは増大すべきです。毎年7パーセントずつ日本の防衛費を増やしていくと6年後には1.5倍になります。10年後には2倍になります。10年かけて防衛費をGDPの2倍にする努力は絶対必要なことだと思っています。しかし、防衛力を如何に整備するかという議論をするときに「中国は脅威でない」と言ってしまえば説得力は全くなくなってしまいます。中国を脅威と言わずして、日本の防衛力はこれ以上強くなりようがないのです。
日本の人口はこれからどんどん減っていきます。このまま時が推移すれば、日本の国力は低下するばかりです。何よりも「失われた平成の30年」から脱皮する特段の努力が必要になります。このように考えると、これからの日本はAI、量子技術、5Gなど最先端の技術分野において、過去そうであったようにもう一度中国を追い越し、アメリカにも負けない意気込みで突き進んでいかないと、日本の将来はないのではないかと思います。
日本では「働き方改革」について議論が盛んですが、私はこれを「働かない改革」と言っています。ファーウェイの強さは何かというと、軍隊的な経営方針なのです。任正非は人民解放軍の元将校で、ファーウェイを軍隊式に経営してきました。甘さはそこにはありません。日本の1970・80年代には猛烈社員という言葉がありましたが、このエネルギーが「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、経済的にもアメリカの脅威となるぐらいに発展していった原動力となったと思います。そして今、日本から失われた「猛烈に働く精神」は中国の会社、特にファーウェイに見られるわけです。
今、防衛産業を見てみますと大変な状況になっています。これから国を挙げて「防衛技術イコール最先端技術」、「最先端技術イコール成長産業」と位置づけて開発を進めていかなければなりません。考えてみてください。アメリカの最先端技術は「国防高等研究計画局(DARPA)」をはじめとする国防省のさまざまな研究開発によって発展してきました。コンピュータ、インターネット、半導体、自動化の技術などすべて、国防産業、国防技術と連動しながら発展してきたものです。最先端技術の開発は軍事技術と切り離すことはできないのです。そして、最先端の技術において活路を見出さない限り日本の将来はありません。
中国人民解放軍は今、徹底的に最先端技術を導入した戦い方を追求しています。日本の防衛にも赤信号が点ろうとしています。中国の経済力、技術力、軍事力、このような手ごわい相手を前にしたとき、これまでのやり方で勝負することはできません。国を挙げての努力が必要なのです。
本日は皆さんに日本の明るい材料を提供できなくて申し訳なく思っていますが、明るい未来は閉ざされているわけではありません。そこに至る道は未知の世界でもありません。何よりも国民一人ひとりの意識改革、そして30年前の日本の黄金期を築いたファイティング・スピリットを取り戻すことが必要なのです。
以上で私の話を終わりますが、ご質問があればお受けしたいと思います。
どうもありがとうございました。
平成三十一年四月十日 公益財団法人日本国防協会 国防問題講演会講演録より
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香川旅行記
ゴールデンウィーク後半を使って香川を旅行した。計画したのは出発前日の夜中で、今回のテーマはうどん巡りと温泉だ。私は昨年末に二泊三日で高松、琴平、直島、豊島を巡り、うどん7杯を食べて大満足で帰ったのだが、以来香川のことが忘れられず、また行きたいと思っていたところだった。
1日目(5月2日)
午前4時という、朝がひどく苦手な私にとっては信じがたい時刻に友人の車で出発。9時ごろ善通寺に到着し、食べログ一位のうどん屋、長田 in 香の香へ。巨大な駐車場と50mにも及ぶ行列を目の前にして一軒目ながら若干ひるむ。待ち時間を使って宿探しをするも、さすがGWだけあってどこも満室。無計画な私たちも悪いが、10軒ほど電話して空いていたのは一室のみだった。しかし結局宿泊料があまりにも高かったため断念し、並んでいた他のお客さんに健康ランドに泊まれることを教えてもらったので、最悪の場合そこにすることに。一時間弱待った後入店し、釜揚げ大と冷やし大を一杯ずつ注文。各1.5玉で350円だ。つゆはいりことかつおのダシがよく利いており、もちもちの麺からは小麦の香りが強く感じられたいそう美味かった。皆うどんだけ食べてさっさと出るおかげで回転率がかなり良く、11時ごろには食べ終えることができた。
続いて二軒目のはなや食堂へ。地元に愛されるおばあちゃんのお店といった印象。冷やしとタコ天を注文。うどんは200円、天ぷらは300円と安い。小ぶりなタコを丸々一匹揚げた天ぷらは衣が黄色くふわふわの食感。うどんも無論美味い。食後に宿探しを再開し、栗林公園近くのところに電話するとあっさりOKが出た。電話口の主人の対応が少し気になったが、一人一泊2600円、ガッツポーズだ。��んべい布団でも座布団でも部屋でゆっくり寝られるだけありがたいので、即座に予約した。
腹ごなしがてら金蔵寺(こんぞうじ)を覗く。お遍路さんが多くおり、皆お堂の前で一心に真言を唱えていた。友人曰く「水曜どうでしょう」に出ていた寺とのことで、ファンである彼の記念写真を撮った。ここに至るまでの道端の電柱には、八十八か所巡りの巡礼者を図案化した標識があった。小さなところにご当地感があってほんわかした。
次はこんぴらさんにお参りすることに。 暖かくなったのと休暇も重なったことで人がごった返している。登り口にあるアカボシコーヒーで一服してからほぼ休みなしで駆け上がる。中腹では神馬2頭を見た。その隣には大型船のスクリュー(直径6m)とアフリカ象の像があった。前者は94年に今治造船が奉納したそう(今治造船HPより)で、当社が海の神を祀っていることやお座敷遊びのこんぴらふねふねでお馴染みの金比羅船に因むことが予想できたが、後者の意図はわからず、奉納品であれば何でも良いのかと思った。関連するとすれば、この山の名が象頭山であることぐらいか。
程なくして本宮へ到着し、参拝の列に並ぶ。普段神社で手を合わせる時は何も祈らないようにしているが、今年に入ってからずっと精神が低調なままので、久しぶりに願をかけてみた。神様はこういう時の心のよりどころなのでありがたい。どうか届きますように。今回は、前回その存在を知らなかった奥社まで行こうとしていたが、道が閉鎖されていたためあえなく断念、またまた次回への持ち越しとなった。さて、全785段の石段往復は少々足に応え、途中で石段籠を見かけた時には思わず乗せてくれと言いそうになるくらいだったが、良い運動になったと思えば悪くはない。籠は参拝客の会話によれば片道3000円程だそうだ。乗っていたのはお婆さん、担いでいたのはお爺さんだった。
麓に下りてから、こんぴらうどん参道店でとり天ぶっかけを食べる。一杯690円だ。二人とも腹が限界で、なぜここまでしてうどんを食べているのかわからなくなっていた。最早それはこの旅のテーマとして設定したうどん巡りの義務感からでしかなかったと言える。満腹中枢が刺激される前に片付けねばならないと、タケル・コバヤシ(※フードファイター)並みの速度でかき込んだ。とり天はジューシーで、麺にはコシがあって美味かったが、胃の圧迫で心臓が止まりそうになり、「うどん死(デス)」という言葉が頭をよぎった。
疲労が甚だしかったため、喫茶店でまたも一服。琴平駅周辺には、「カキ三(さん)コーヒー使用」を看板に掲げた店が多くあり、前回の旅行でもそのオタフクソースのパッケージのようなオレンジと黒の色合いに親近感を覚えつつずっと気になっていた。おそらくそのカキ三を使ったであろうアイスコーヒーで意識を保ちながら、風呂にでも入ってリフレッシュしようということに話がまとまり、近くにあったこんぴら温泉湯元八千代へ。屋上に市街が一望できる露天風呂があるのだ。塀が低く、少しでも浴場のへりに近づけば周囲からは丸見えとなる(といっても建物より標高が高い所からだけだが)ため、内心ヒヤヒヤしていたが、やはり最高に気持ち良かった。受付で混浴と聞いて下品な期待もしていたが、二人組の女の子が少し覗いて引き返していったくらいで、終始客は私たちだけであった。なお、内風呂はごく普通の湯船がひとつあるだけだった。
体力をわずかばかり回復し、瀬戸内の眺望を求めて五色台を目指す。16時半頃、大崎山の展望台に到着し、青空から海へと沈む夕日を眺めた。なんとも雄大なパノラマだ。遠くを見やると、薄水色の瀬戸大橋があやとりの糸のような慎ましさで陸地を繋いでいる。カメラで何枚も写真を撮った。ふと、ここ数日間で覚えた個人的な悲しみに対して、目の前に開けた海は、その豊満な胸で以て私を迎え、倒れ掛かる身体を圧倒的な光景によって生に押し戻してくれているような気がした。そうして下を見れば、山と山に挟まれた湾内の湿地に、草の生い茂る田んぼのようなものが広がっていた。これは木沢塩田跡地といい、秋頃にはアッケシソウという好塩性植物が紅葉することで一帯が赤く染まるそうだ(大崎山園地の説明看板より)。一度そんな不思議な絵を見てみたいと思った。この日は風が非常に強かったため、目だけでなく全身で自然を感じられて嬉しかったが、そのせいで体が冷えたのと日没直前に雲がかかったため、18時半頃に引き上げた。
高松市内中心部に車で乗り入れ、今宵の宿へ。見るからに怪しげな建物に三友荘という傾いた看板がかかっている。隣の広東料理屋の前に中華系とみられる男が3、4人たむろしており雰囲気が悪い。中に入ると、フロントというよりは雑然と物が置かれた生活スペースが大きく広がっており、その山の中から主人が顔を覗かせて、一言いらっしゃいと言った。それから、かなり雑な態度で駐車場を案内され、やべーところに来てしまった、と思う間もなく会計を済ませて鍵を受け取り3階へ。廊下は廊下で床がはがれていたり、アメニティが散乱していたりとさながらお化け屋敷に入ったような気分になる。部屋に入ると、これまた昭和から時間が止まっていると思われるほど古くカビ臭い和室で、その異様さに一瞬たじろいだ。とにかく寝られれば良いのだと割り切ることにして、外へ風呂に入りに行った。
車を20分ほど走らせて向かったのは、市内中部にある仏生山温泉だ。前回も訪れて、その泉質と洗練された建築様式が気に入っていた。町の歴史が古いため、ここも昔からあるのかと思いきや、2005年開業と比較的新しい温泉らしい(仏生山温泉FBより)。入浴施設とは思えない白い箱のような建物入り口の外観が特徴だ。中に入ると、ドーンと奥行きのあるシンプルな休憩スペースがお出迎え。端には小洒落た物産品が並んでおり、また壁伝いには文庫本の古本が並べられている。客がひっきりなしに出入りし、脱衣場と浴場はまさに芋の子を洗うような状態であった。なんとか湯船の空いたスペースに身体を沈め、一日で溜まったとは思えないほどの疲れを癒す。とろりとした湯で肌がツルツルになり気持ちが良い。露天風呂のある広い空間は現代的な中庭といった印象で、入浴体験を一段上のものへ引き上げてくれる。インスタレーション的な、「空間そのものに浸かる」といった感じだろうか。内部はそのように隅まで配慮が行き届いており、とても面白く楽しめた。
さっぱりした後、宿に車を停め、土地の名物である骨付鳥を食べるために歩いて片原町近くの居酒屋蘭丸へ。本当は一鶴という店に行きたかったのだが、長蛇の列を目の前にして断念、ここに並ぶこととした。小一時間ほど待って入店し、とりあえずビールと親鳥・若鳥、それから鰆のタタキ、造り4種盛り、サラダを注文、香川の味覚に舌鼓を打った。特に親鳥は肉がぶりんぶりんの食感で旨味が凝縮されている。スパイシーな和風ローストチキンといった感じで、下戸なのに否が応でもビールが進む。皿にはたっぷりと鶏油が溜まっているが、それにキャベツをつけて食べるとまた美味いのだ。この骨付鳥の他にうどんと言い今日の行程と言い、なかなか歯応えのある旅だと思った。最後に親鳥をもう一皿と焼酎水割り、注いだ先から凍る日本酒を追加し、11時半頃ほろ酔いで宿に戻った。部屋では撮った写真を整理した後、もう一杯酒を飲んでから眠りについた。夜通し風がごうごうと窓を揺らしていた。
2日目(5月3日)
7時半、なぜか小学校の廊下でスーフィーの集団と象に追われるという夢を見て飛び起きた。昨日神馬の横で象の像を見たせいか。しかしスーフィーは全くわからない。2か月ほど前に蠱惑的なズィクル(※スーフィズムの修行)の動画を見たからなのか。とにかく旅にはふさわしくない目覚め方だ。最近何かに追われる夢をよく見るのだが、おそらく疲れているのだろう。今日もよく眠れなかったようだ。他の理由としては強風もそうだが、宿が高架下にあるため電車が通るたび振動で部屋が揺れるのだ。夜中と朝方に何度か覚醒した気がする。昨日20時間近く活動した身体は、子供騙し��ような睡眠では回復しきれなかったようだ。
さて、今日は9時出発の船に乗り、犬島へ渡る予定だ。重い身体を叩き起こし、さっさと準備を済ませて高松築港へ。船の時間が近づいている。車を停めてから本気ダッシュで駅のそばにあるうどん屋味庄へと向かうも定休日だったため、近くにあったさぬきうどんめりけんやに入る。待ち時間にやきもきしながら冷肉ぶっかけ小を注文。430円だ。しっかり美味い。ここでも前日のごとくモリモリ腹に押し込み約3分で退店。ひょろい男の異常な食いっぷりに他の客は少なからず引いていたことだろうが、そんなことには構っていられない。再度、悪心を催すほどの全力疾走でフェリーの切符売り場へ。出航3分前、なんとか間に合うことができた。やる時はやる男なのだ、私たちは。などという安堵感も束の間、ここで無情にも定員オーバーが告げられる。肩で息をしながら愕然とする私たち。あーやってもうた、としか言えず、無意識に抑え込んでいたであろう胃の中で暴れるうどんに気付き普通に吐きそうになる。ただ次の便でも行けることが判明したことで難を逃れた。そうでなければ危うく待合所の床にBUKKAKEするところであった(読者よごめん)。そんなこんなで泣く泣く次便のチケットを買い、待つ間しばしの休憩タイムとなった。負け惜しみを言わせてもらえば、朝の海を見ながら飲んだコーヒーと吸ったタバコは格別に美味かった。これも良い思い出だ。
10時過ぎの便に乗り込み、豊島の唐櫃港に到着。レンタルサイクルを借り、次便の出航する家浦港まで急ぐ。豊島美術館に寄ろうとしたが、1時間待ちと聞きパスした。せっかくの機会にもかかわらず無念だ。前回は誰も客がいなかったというのに、やはりGWは恐ろしい。立ち漕ぎで先を急ぐ。山のてっぺんまではギアなしの自転車と寝不足のエンジンにはかなりきつい坂が続いたが、なんとか越えることができた。途中、唐櫃聖水という空海伝説もある井戸に沸く、不思議なほど青々とした水を拝んでから家浦へ。初便に乗ることができていればこのように複雑な乗り継ぎも必要なかったが、私の性格上致し方ない。人生はエクササイズ��と考えれば万事ハッピーだ。そうして無事チケットを買い、物産品店を冷かす。豊島の民謡集に熱を感じ、買おうか迷って結局やめた。そしてしばらくして船に乗った。
13時前に犬島着。昼飯に港すぐの在本商店にて犬島丼なるものを食べた。白飯に甘辛く煮た大根や人参とともに舌平目のミンチを乗せ、甘めの汁をかけた瀬戸内の家庭料理だ。これに舌平目のフライと犬島産テングサを使用したコーヒーゼリーが付いたセットで1000円。どれも田舎風の優しい味わいで満たされた。出てから他の店も覗いてみたが、どこもコーヒーゼリーを出していた。単にさっきの店のデザートというわけではなく、これもご当地グルメのひとつのようだ。
そしてようやく楽しみにしていた犬島精練所美術館へ。ここはかつて銅の精錬を行っていた跡地で、美術館内部は入り口から出口まで一定方向に自然の風が流れるように設計されているという。詳細は省くが、三島由紀夫の作品がモチーフになっており、意表を突くような仕掛けが多く、かなり強烈な印象を受けた。しかしその中でも悔しかったのが、便器の枯山水と銅製の文字が文章となってぶら下がる部屋があったことだ。この二つは自分の内に展示のアイデアとして全くと言っていいほど同じものを密かに温めていたのに、こんなにも堂々かつ易々と先を越されていた。やはり所詮は人が考えること、どんなにオリジナリティを確信していたとしても結局は似てしまうのだ。しかしちゃんと形にした人はすごいし、その点素直にあっぱれと言いたい。やや興奮した状態のまま外に出て周辺を散策する。レンガ造りの廃墟にノスタルジーを感じ、その歴史を想像した。少し歩いて砂浜へ行き、海を眺める。風が強いので瀬戸内の海といえど波が高く荒れていた。夏に来て本来の穏やかさを取り戻した海を一度泳いでみたい。その後、定紋石や家プロジェクトという名のギャラリー数軒を見て回る。F邸にあった名和晃平「Biota (Fauna/Flora)」が個人的にグッと来た。発生は常に見えない、と私は詩に書いたことがあるが、言いたいことがそのまま形になっていた。2つの小部屋にはそれぞれ植物相と動物相のバイオモーフィックなモニュメントが数点あった。シンプルな発想ながらそこから湧き出す観念とイメージ喚起力の豊かさに驚かされた。創作において見習いたい点だ。
船の時間が迫っていたため、港まで早歩きで向かった。全体的に時間の流れがゆるやかで静かな島であった。ここからは直島を経由して高松まで戻る。船内では景色も見ずに二人で眠りこけていた。直島に着くぞ、との声で飛び起き、本村港のチケット売り場へ猛然と走る。乗り継ぎ便が10分後に出るためだ。しかしここでも昨日と同じく定員オーバー、30分後に出る次便を待つこととなった。大型フェリーの前にはゆうに200mを超える列ができており、この島の人気の高さが伺える。そうして、ふと並んでいる時に自分のカバンが思ったより軽いことに気が付いた。はてなと思い中を探るとカメラがない。目の前が真っ白になった。置いてきたのは犬島か、船の中か、それとも盗られたか。考える間もなく、カメラ忘れた! と友人に叫びながら乗ってきた高速船乗り場へとダッシュした。出航していたらどうしようかと思ったが、一条の光が見えた。まだ停泊したままだったのだ。息も絶え絶えに駆け寄る私を見た人民服風の上下を着た船員が、カメラの忘れ物ですかあと声を上げる。良かった。あったのだ。すみませんでしたあ! と謝って相棒を受け取る。ほっと胸をなでおろした。どうやら寝ぼけて置き去りにしていたようだ。私は普段あまりものをなくさないので、こういう時必死に探して見つからなければひどく狼狽してしまう。特にカメラのような高価なものだとその後の旅に影響が出るほどだったのではないかと思う。今回は本当にラッキーだった。友人に詫びてから並び直し、島を後に。航行中は展望デッキからモノクロで日を撮った。夜のような昼の写真が撮れた。
16時頃高松に着いた。後は帰るのみだ。最後にご飯を食べようということで、屋島を過ぎたところにあるうどん本陣山田屋本店へ。大きな屋敷を改築した店構えは壮観だ。本陣と名付くのは屋島の合戦ゆえか。前回の旅で、仏生山で終電を亡くした時に乗ったタクシーの運転手が、うどんならここらが本場だと言っていたため期待度が高まる。ざるぶっかけと上天丼を注文。うどんは570円、丼は720円だ。麺はもちもちとしており、良い塩梅にダシの利いたつゆと絡んですこぶる美味い。天丼にはサクサクの天ぷらがこれでもかと乗っており、ご飯が足りないほどだ。今流行りのロカボの逆を行く、ハイカーボダイエットにより思考が停止するほどの満腹感が得られた。これでコシの強いうどんともお別れかと思うと寂しい。京都の柔いうどんも薄味のダシがしみて美味いのだが、やはり一度讃岐のものを食べると物足りなく感じる。またすぐにでも来よう。次はざっくりと計画を立てて。それでは、さようなら香川。
高速道路は予想通りところどころで渋滞が起こっていた。運転は最初から最後まで友人に任せっぱなしだったため大変な苦労を掛けた。ここに感謝したい。約5時間かけて京都に到着。0時半頃に岡崎で蛸安のたこ焼きを食べた。京都の味だ。ようやくカーボ地獄から抜け出すことができたと二人して喜んでいたが、よく考えなくともたこ焼きは炭水化物であった。うどんのオーバードーズのせいで腹だけでなく思考能力さえもやられてしまったようだ。喫茶店はなふさでマンデリンを飲み、旅費の精算をして解散となった。
今回の旅も、弾丸(もはや散弾)にしてはうまくいった方ではないだろうか。休みに行ったのか疲れに行ったのかわからないが、気を紛らわすには最適な強行軍であった。うどんは5杯も食べられたし、その他のグルメも満喫できた。全ては偶然尽くしだったが、無計画だからこそ楽しめたものもある。私の場合は、ある程度見たいところを決めるだけで、そこに行っても行かなくても良いのだ。というよりはその方が楽だから、皆そうすればいいのにと思う。そこには予想もしない出会いがきっと多くあるはずだ。ただ、GWの人出を完全に舐めていたため、宿に関してだけは事前予約の必要性を痛感した。あと、食べ過ぎは単純に苦しいのであまり���すすめない。今回の旅でもうしばらくうどんは結構だ。などと思いつつ、翌日の昼には冷凍うどんを食べていた。どうやら脳までうどんになっていたようだ。しかし季節はそろそろ梅雨(つゆ)に入るので、ある意味おあつらえ向きなのかもしれない。
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2021
滋賀県大津市の天台宗総本山・比叡山延暦寺です。 標高およそ800メートル。冷たく澄んだ空気が辺りを包んでいます。 毎年、大みそかに行われる鬼追い式です。怒り、ねたみ、むさぼり。 人間の煩悩を鬼に見立て邪気を払う行事。 新型コロナウイルス感染防止のため 参拝者は例年より間隔を空けて、見守ります。 4月、緊急事態宣言を受け 比叡山では1か月にわたって拝観を停止しました。 最澄が山を開いた 1200年前も疫病や災害が多い時代でした。 人々の苦しみを取り除こうと彫られた薬師如来。 織田信長による焼き打ちなど 幾多の苦難を乗り越え現代に祈りをつないでいます。 ことしも除夜の鐘が打たれます。 (鐘の音) (鐘の音)
香川県高松市。 街を見守る弘法大師、空海です。 四国八十八ヶ所霊場の一つ八栗寺(やくりじ)。 ことしは新型コロナウイルスの影響で お遍路に来る人が8割減りました。 久々のにぎわいを見せた大みそか。人が密集しないよう スタッフを増員するなど感染対策を講じています。 (お経) お遍路をもてなしてきた地元の人々。 ことしは、そのにぎわいが失われました。 人々が感染の終息への願いを託したものがあります。100巻の写経です。 かつて空海が写経で疫病を治めたという逸話にならいました。 外出自粛が呼びかけられる中多くの人が自宅で書き写しました。 逆境の日々をみんなで乗り越える。 離れていても同じ思いが込められています。 (お経) 街に、にぎわいが戻りますように。 (鐘の音) (鐘の音) 2人≫こんばんは。 高瀬≫2020年は感染の拡大によって日常が大きく変わりました。 石橋≫東京では、きょう新たに1300を超える人の感染が確認されています。 帰省や初詣を控えているという方も多いのではないでしょうか。 高瀬≫そういうときだからこそ全国各地の様子をお届けしながら一緒に新しい年を迎えたいと思います。 石橋≫ここは、東京・調布市の深大寺(じんだいじ)です。 奈良時代に開かれ、厄よけや疫病(えきびょう)退散の御利益があるとして 信仰を集めてきました。 高瀬≫ことしは列に並ぶ人が密集しないようさい銭箱を2倍以上の大きさにしました。 石橋≫さらに一度に300人が集まっていた護摩祈祷(ごまきとう)も一組ずつ祈祷を受け速やかに離れるようにしています。 (お経) 高瀬≫信仰の中心になっているのは実在した僧侶元三大師(がんざんだいし)です。平安時代疫病に苦しむ人々を救うため鬼に姿を変え疫病神(やくびょうがみ)を追い払ったと伝えられています。 石橋≫その元三大師は秘仏としてこの鏡の奥に祭られています。 今回、特別に撮影が許可されました。 高さは、およそ2m。 鎌倉時代に作られた鎌倉時代に作られた日本最大の僧侶の像とされています。
来年、感染拡大の終息を願って205年ぶりに寺の外で開帳が行われる予定です。
高瀬≫誰も想像しえなかった一年の終わりに穏やかな日々への思いをはせます。
石橋≫それでは年越しを迎える各地の様子を見ていきます。
華やかな夜景が広がる横浜です。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスでの集団感染から大きく揺れた一年になりました。 600ほどの店が軒を連ねる中華街。
ことし初め中国で感染が広がると街から感染者が出ていないにもかかわらず差別や風評被害にさらされました。
対策を徹底してきた中華街では密を避けるために年越しの神事も見物客を8分の1に制限しました。
「苦しいときこそ皆で華やかに年を越したい」。
思いを込めて舞います。
舞がささげられるのは媽祖廟(まそびょう)です。媽祖は災害や疫病などから人々を守るとされる女神。世界各地に建てられ華僑の心のよりどころになってきました。
感染拡大の終息。そして、商売繁盛への願い。苦難を経て年越しを迎えることができたことに感謝する中華街です。
原田≫雪の降りしきる大みそかとなりました鳥取市の白兎(はくと)神社です。因幡の白うさぎのけがを大国主命(おおくにぬしのみこと)がこの地で治したという神話から病気平癒の御利益があるといわれています。初詣を待つ人々の中にはこんな方もいます。こんばんは。
≫こんばんは。
原田≫なんとロボットです。
手を振っていますね。これ、実は離れた場所にいる人が操作をしているんです。
鳥取市の中山美智子さんです。中山さんは、全身の筋肉が��々に動かなくなる難病で入院しています。
目の動きでパソコンを操作することでロボットを自分の分身のように動かします。
この1年、新型コロナの影響で家族との面会が難しくなりましたがこのロボットによってようやく、それがかないました。
実はもう一台ロボットがあります。これは夫・和夫さんが操作しているんです。和夫さんも難病を患っていて外出が難しい状態です。
ロボットを通して、2人は久々に再会することができました。 ロボットのレンタルを行う代理店の協力で念願だった、お二人での外出が実現したんです。
では美智子さんにお話を聞きます。 声を出すのが難しいので合成音声でお答えいただきます。
美智子さん久しぶりの2人での外出ですけれどもどんなお気持ちですか?
ロボット(美智子)≫夫と離れていて体調が気がかりでしたから久しぶりに話ができてうれしいです。来年は夫の体調がよくなりコロナも落ち着いて家で一緒に生活できるよう願っています。
原田≫和夫さん何を祈られますか?
ロボット(和夫)≫一日も早くよくなって皆さんに助けられてまた2人で暮らせますようにとお祈りしたいと思います。
原田≫お二人ありがとうございました。
離れていても同じ景色を見ていたい。2人の思いが詰まった初詣です。
7月記録的な豪雨が襲った熊本県。65人が犠牲となり今も2人が行方不明です。特に大きな被害を受けた人吉(ひとよし)市にある青井阿蘇神社は「青井さん」と呼ばれ親しまれてきました。国宝のかやぶき屋根の楼門(ろうもん)など5つの建造物が被害を受けました。
球磨(くま)川が氾濫し境内には1mを超える高さまで水が押し寄せました。復旧作業を行ったのは地域の人々でした。地域のよりどころがよみがえりたみ、むさぼり。人間の煩悩を鬼に見立て邪気を払う行事。
新型コロナウイルス感染防止のため参拝者は例年より間隔を空けて、見守ります。
4月、緊急事態宣言を受け比叡山では1か月にわたって拝観を停止しました。最澄が山を開いた1200年前も疫病や災害が多い時代でした。人々の苦しみを取り除こうと彫られた薬師如来。織田信長による焼き打ちなど幾多の苦難を乗り越え現代に祈りをつないでいます。
ことしも除夜の鐘が打たれます。
(鐘の音)
(鐘の音)
香川県高松市。街を見守る弘法大師、空海です。四国八十八ヶ所霊場の一つ八栗寺(やくりじ)。ことしは新型コロナウイルスの影響でお遍路に来る人が8割減りました。
久々のにぎわいを見せた大みそか。人が密集しないようスタッフを増員するなど感染対策を講じています。
(お経)
お遍路をもてなしてきた地元の人々。ことしは、そのにぎわいが失われました。人々が感染の終息への願いを託したものがあります。100巻の写経です。
かつて空海が写経で疫病を治めたという逸話にならいました。外出自粛が呼びかけられる中多くの人が自宅で書き写しました。 逆境の日々をみんなで乗り越える。離れていても同じ思いが込められています。
(お経)
街に、にぎわいが戻りますように。
(鐘の音)
2人≫こんばんは。
高瀬≫2020年は感染の拡大によって日常が大きく変わりました。
石橋≫東京では、きょう新たに1300を超える人の感染が確認されています。帰省や初詣を控えているという方も多いのではないでしょうか。
高瀬≫そういうときだからこそ全国各地の様子をお届けしながら
一緒に新しい年を迎えたいと思います。
石橋≫ここは、東京・調布市の深大寺(じんだいじ)です。奈良時代に開かれ、厄よけや疫病(えきびょう)退散の御利益があるとして信仰を集めてきました。
高瀬≫ことしは列に並ぶ人が密集しないようさい銭箱を2倍以上の大きさにしました。
石橋≫さらに一度に300人が集まっていた護摩祈祷(ごまきとう)も一組ずつ祈祷を受け速やかに離れるようにしています。
(お経)
高瀬≫信仰の中心になっているのは実在した僧侶元三大師(がんざんだいし)です。平安時代疫病に苦しむ人々を救うため鬼に姿を変え疫病神(やくびょうがみ)を追い払ったと伝えられています。
石橋≫その元三大師は秘仏としてこの鏡の奥に祭られています。今回、特別に撮影が許可されました。高さは、およそ2m。
ことしも「青井さん」で年を越すことができます。拝殿には全国から大量の支援物資が届きました。新型コロナの影響でボランティア活動が制限される中寄せられた復興へのエールです。
「がんばれ熊本」。
熊本では今も4000人以上が避難所や仮設住宅などで暮らしています。
「青井さん」とともに復興の道を歩みます。
石橋≫再び、東京・深大寺です。
高瀬≫各地の様子を見ていますと離れていても心はつながっていたい一つでありたいという気持ちが伝わってきます。
皆さんにとって、2020年はどんな年だったでしょうか。
石橋≫さあ、新しい年を知らせる除夜の鐘です。
(鐘の音)
(花火の音)
(汽笛)
(爆竹の音)
横浜港の汽笛と魔よけの意味が込められた爆竹。新年を迎えた中華街です。ステージには色鮮やかな獅子が現れました。
(獅子舞の音)
頭を噛(か)んでもらうと厄(やく)を祓(はら)い福が来るといわれる獅子。中華街の祝い事に欠かせない人気者です。
2人≫明けましておめでとうございます。
高瀬≫2021年令和3年の幕開けです。
石橋≫新年を迎えここ深大寺でも人々が初詣に訪れていますが例年より、その数は少ないようです。
高瀬≫ことしは混雑を避けるため旧正月に当たる2月中旬までを参拝期間として分散初詣を呼びかけていくということです。
石橋≫皆さんはそれぞれの場所でどんな思いを抱きながら新年を迎えているのでしょうか。全国各地の様子を見ていきましょう。
ことしは、うし年。4時間ほど前に生まれたばかりの子牛も新年を迎えました。こちらの子牛が着ているのはちゃんちゃんこ。体温調節が難しい子牛を元気に育てるための習慣です。北海道・足寄(あしょろ)町の牧場です。
現在の気温はマイナス17度。北海道でも、とりわけ寒さが厳しい、この町では寒さに強い乳牛が人々の暮らしを支えてきました。今夜も数頭の牛が出産を予定しています。牛たちを見守るのは牧場主の山下和洋さんです。
牛を育てて40年。僅か2頭から始め今では830頭になりました。
山下≫おいで、おいで。
新型コロナウイルスの影響で牛乳や乳製品の消費は大きく落ち込みました。「どんな困難に直面しても牛の歩みのように一歩ずつ進んでいく」。 新年を迎え決意を新たにしています。
再び、比叡山延暦寺です。最澄が亡くなって1200年という節目の年を迎えました。国宝根本中堂(こんぽんちゅうどう)
では今、10年がかりの大規模な改修が行われています。屋根を覆っていた銅の板はすべて剥がされました。横40m、高さ25mの屋根は新たに葺(ふ)き直されます。貴重な木造建築の今しか見られない姿です。
建物の彩色はいったん、落として創建当時の姿に塗り直されます。山が開かれて以来守り伝えられているものがあります。最澄がともしたと伝わる不滅の法灯(ほうとう)です。
「一隅を照らす心」、つまり「一人一人が今いる場所で最善を尽くす心」を持てばよりよい世界につながると説きました。
ともし火とともに最澄の思いは受け継がれてきました。ことし、不滅の法灯から分けられた、ともし火が全国を巡ります。
不安な時代を照らす光が各地に広がります。
静岡県熱海市です。毎年およそ300万人の宿泊客が訪れる観光の町です。古くから旅人を守る神社として知られる來宮(きのみや)神社です。新年を迎え静かに参拝が始まりました。
(祝詞)
本殿では祝詞が読み上げられています。参拝者たちの願いを届ける神事です。氏子の多くが携わる観光業は大きな打撃を受けました。温泉旅館を経営する藤間崇史さんです。従業員とともに熱海の魅力を紹介する動画を配信するなど模索を続けてきました。
町に活気を取り戻すためできることはすべてやる覚悟です。境内の奥にあるのは国の天然記念物のクスノキ。樹齢は推定2000年です。高さは20m以上。長年、風雪に耐え今も成長を続けています。その生命力にあやかろうと人々は周りを一周します。
新たな年もこのクスノキが見守っています。
原口≫群馬県前橋市のアパートです。こちらの部屋にはことしこそはという思いで新しい年を迎えられた方々がいらっしゃいます。
皆さん明けましておめでとうございます。 選手たち≫おめでとうございます。
原口≫東京オリンピック・パラリンピックに出場するアフリカ・南スーダン共和国の陸上選手団の皆さんです。事前合宿のために1年あまり前に来日されたんですが去年、大会は延期。さらに新型コロナウイルスの影響で帰国が困難になったこともあってここで共同生活を送っています。こちらはふだんの練習の様子です。ホストタウンの前橋市では近くの運動場を無償で貸し出すなどして練習に集中できる環境を整えてきました。
多くの選手が日本に来てから自己ベストを更新しているそうです。選手たちは地元の人たちとも交流を重ねてきました。市内の幼稚園や小・中学校へは10回以上、訪問しました。そして、こちらは地域のお祭りに参加したときの写真です。
皆さん、今では前橋を第2のふるさとのように感じているそうです。 この一年間、皆さんは日本語の勉強もされました。書き初めをしていただきました。 「金」「メダル」そして「平和」。 母国、南スーダンでは長く紛争が続いてきました。
スポーツを通して平和をもたらしたい。そんな気持ちを込めたそうです。
男子1500mに出場するアブラハム選手です。ことしこそ晴れの舞台に立って家族に活躍する姿を見せたいそうですね。
アブラハム≫メダルを取って南スーダンと前橋の皆さんを喜ばせたいです。 原口≫ありがとうございます。
遠く離されたふるさとそして前橋のために選手たちは新たな一年のスタートを切ります。
高瀬≫ことし、大きな節目を迎える場所があります。復興への道を歩み続ける東日本大震災の被災地です。
真っ暗な海に沿って再建した町の明かりがともります。東日本大震災の発生から10年を迎える宮城県石巻市洞源院(どうげんいん)です。
(太鼓の音)
被災地を望む本堂では新年の祈祷が始まっています。あの日から5か月の間ここにはおよそ400人が避難し共同生活を送っていました。壁には今も当時の約束事が貼られています。
「元気よく挨拶をしましょう」。
(太鼓の音)
人々は支え合いながら復興への険しい道を歩んできました。亡くなった人々の魂を鎮めるお焚(た)き上げです。全国から送られてきた千羽鶴も節目のことし 火にくべることにしました。避難所、仮設住宅そして、暮らしの再建。
いつもそばにあった千羽鶴を感謝を込めて焚き上げます。被災地の将来を担う子どもたち。人々に見守られ元気に育っています。
東日本大震災からまもなく10年。未来への希望の鐘です。
(鐘の音)
石橋≫ごく普通の日常のありがたさそして人々のつながりの大切さ改めて感じますね。
高瀬≫私たちも皆さんとつながっています。変わってしまった日常。だからこそ
新しい年を、このことばとともにスタートさせようと思います。2021年が皆さんにとって…。
2人≫すばらしい年になりますように。
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◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成30年(2018年)4月16日(月曜日) 通巻第5673号 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 孫政才の裁判で再び浮上した温家宝(前首相)一族の闇 段偉紅という謎の女政商が、悪名高きインサイダー取引の裏側で何をしたのか **************************************** 簫建華が香港で拉致されてから一年以上になる。消息はまったく途絶えており、北京に拘束されているのか、或いはすでに消されたか? 中国共産党は拉致の事実さえ認めておらず、香港の主権を侵した事実を消した。この簫建華なる男は「明天証券」という金融の旗艦企業を拠点に、中国市場で、ほとんどのインサイダー取引に絡んだ元締めだった。 しかも簫建華は江沢民派と強い絆で結ばれていた。共産党幹部の子弟らが依拠する太子党のビジネスに深くコミットしてきた。かれの背後にいたのが、米国へ亡命し、盛んに習近平、王岐山らの秘密を暴露している郭文貴であり、その黒幕は江沢民の右腕、曽慶紅である。郭文貴はブレア首相夫妻と親しくなり、英国政界にも深くコミットし、そのコネを利用して中東の大金持ちとも親交があった。 4月12日、突如失脚して拘束されていた孫政才(前重慶書記、政治局人)の裁判が開始された。うなだれて法廷に立った孫は嘗ての栄光の雰囲気は消えうせ、悄然として孫は収賄の罪を認めた。 この裁判で再び浮かび上がってきたのが温家宝(前首相)一族との裏での繋がりであった。温家宝一家の腐敗ぶりは米国のメディアがとくに熱心に取り上げた。夫人は中国の宝石ビジネスの黒幕といわれ、また平安保険の本社ビルの大きな部屋をあてがわれて、多くの利権に絡んだ。息子はインサイダー取引にせっせと手を出していた。 この温家宝一家のスキャンダルを追っていくうちに、突然消えた政商がもう一人いることが判明したのである。 大富豪で実業家を自称する段偉紅女史は簫建華と同じく、拉致されたのか、逮捕拘束されたのか視界から消えて、まったく所在不明となっていた。 この段偉紅(49歳)は個人資産が60億ドルともいわれた。何をしているか分からない投資グループ「開封財団」を率いて、米国の教育関係の「アスペン財団」に多額の寄付をしつつ米国社交界でも有名な存在だった。 彼女は米国などで文化財、骨董などを買い集め、NYとロンドンにも私邸を保有し、謎の女傑政商として、欧米のメディアにもよく登場した。 段偉紅の出世物語も、温家宝一族と絡んでいた。 北京五輪前に不動産開発に乗り出し、北京空港周辺の土地を買い占め、さらには平安保険の株式を上場前に3%取得した。購入金額は6500万ドルだったが、上場後、この株式の時価は37億ドルに跳ね上がっていた。 JPモルガンは中国進出にあたり、この女性を2006年から二年間、どのような役割を担ったのか曖昧な「顧問」として契約し、月給を7万500ドル支払っていたとNYタイムズがすっぱ抜いた(同紙、2018年2月7日)。 こうして簫建華と段偉紅という「行方不明」だった二人の動静が、孫政才の裁判を通じて明らかにされ、二人の裁判も近く始められるとの予測が香港情報筋からあがり始めたのだ。 ○◎▽み□△◎や◇◎□ざ▽◎○き○□□ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ビットコインの投機的な暴騰、そして直後からの暴落が何を意味するか 仮想通貨は「ネズミ講」が基本スキーム、誰も最後には得をしない「暗号資産」 ♪ 渡邊哲也『今だから知りたい「仮想通貨」の真実』(ワック) @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ ウォーレン・バフェットは、自らが主催するバークシャー・ハザウェイの年次総会のあと、テレビに出演し「仮想通貨はろくな終わり方はしない」と明言した。 その記憶が鮮明な頃、評者(宮崎)はラオスに取材に行った。首都ビエンチャンの中心地のレストランの看板に「ビットコインの支払いOK」とあって、驚いてしまった。金融システムの未整備なラオスで、しかも自国の通貨が信用されていない国で、はやくも仮想通貨決済が進んでいるとは! 日本政府、中央銀行は仮想通貨の導入に前向きだった。ブロックチェーンの研究と開発、実践化に意外と積極的であり、またメジャーな銀行も大商社と組んで仮想通貨発行に意欲を燃やしていた。 正反対にビットコイン規制に乗り出したのが中国と韓国だった。 韓国は甚大な被害に見舞われ、おそらく北朝鮮のハッカー集団と見られる犯行グループにあらかたの資産を強奪された。中国の場合は、狂信的なブームを前に一党独裁の中国共産党が、人民元の価値が、政府のコントロールの行き届かないところで下落したり、いや大暴落を演じるリスクを恐れたからである。あくまで経済の末端までを管理支配しようとする独裁メカニズムがさきに働くからだった。 さてビットコインを仮想通貨と翻訳したのは印象操作の類いで、英語圏では、これを「暗号通貨」と読んでいる。事実、3月にブエノスアイレスで開催されたG20で、ビットコインを含む仮想通貨を「暗号資産」と呼ぶことになった。 基本スキームは「ねずみ講」である。日本でも安愚樂牧場、トヨタ商事、等々、高利で資金を募って回転資金に回していた詐欺行為の悪例がやまのようにあるが、ビットコインの基本概念も、これと同じと考えて良いだろう。 今後、ビットコインに前向きの姿勢を取るのか、規制を強化するのか、日本の最終的な態度はまだ決まっていない。 日本の財務省はブロック・チェーンの普及に前向きである。この政府の姿勢が曖昧なため、コインチェックをマネックス証券が買収すると報じられるや、後者の株式が異様に上昇するという不思議な現象も市場では起きた。 しかし政治経済学の基礎に戻れば、通貨とは「主権」の問題であり、米国はドル基軸態勢を脅かす仮想通貨を敵視するスタンスを変えることはないだろう。 著者の渡辺哲也氏は、この面妖なる通貨の将来についてこういう。 「通貨としての価値を保証する資産の裏付けがなく、国や公的機関による利用者保護もほとんど期待できず、一日に20−30%の値動きも珍しくない投機性の高い仮想通貨は、ハイリスク、ハイリターンのマネーゲームを煽っている面が強く、それを保有することで、日本国民の多くが得をし、幸せになる要素はほとんどない」 基本を理解する上で、本書はこのうえない参考書である。 ◇◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇◇ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ♪ 樋泉克夫のコラム @@@@@@@@ 【知道中国 1717回】 ――「支那人の終局の目的は金をためることである」――廣島高師(6) 『大陸修學旅行記』(廣島高等師範學校 大正3年) ▽ やがて遼陽の地を離れ、「熱い満洲の日を右頬に受けて長春線の線路を歩」み、「愈深く滿洲の廣野と高粱の美を感じ」ながら奉天へ。清朝発祥の地である奉天でも清朝ゆかりの地を歩くが、その多くが「幾世の風雨に曝されて丹朱も剥げ、柱楹も蟲喰み、?金色した瓦も落ちて、いたましい程に草が生へて居る」。ここで再び日本式漢文口調の詠嘆の辞に続いて、彼らを案内した「支那通の梅森氏」の「支那人は廢滅と云ふ間際でないと修繕などは加へませぬ」と解説が記されていた。 やはり「支那人は廢滅と云ふ間際でないと修繕などは加へ」ないのである。 2種の「旅行日誌」の後に「第五 ?育状況の一般」「第六 大連中央試驗所参觀記」「第七 通信部報告」「第八 衞生部報告」「第九 會計部報告」「付録一 殖民地?育と南滿洲(講演要領筆記)」「付録二 殖民地?育展覧會概況」と続くが、そのなかから興味深い記述を拾っておきたい。 先ず「第八 衞生部報告」の「上海及び南京衞生雜感」から、 「城内は街幅狹く馬車人車等相會する時は實に困難を感ず。道は石を敷きあれどもか甞修繕を加へざれば一凸一凹頗る歩行に難む。不潔なる事は言語に絶し異臭鼻を打ち一たび此地に足を入れば再びするの勇氣なし斯く不潔汚穢のありたけを盡して流行病の傳播せざるこそ不思議なれと思へば決して然らず。コレラ赤痢の流行は珍しからず只支那人市街に隠匿して世に知られざるまでと聞きて尤の次第なりと思へり」―― 次いで「第九 會計部報告」。旅行中の諸費用を含めじつに子細な会計報告がなされているが、殊に興味深いのが「會計係所感」だが、そのなかの「支那人と金錢」から以下に引いてみたい。 「支那人の終局の目的は金をためることである。と言えば何だか彼等を侮辱したようであるが實際に於て支那人の大部分はこの金を得んが爲めには如何なる手段をも敢えてするのである」。「思慮の淺い目先ばかりを見る者どもは物を僞り人を瞞かして小利を得ようと」し、「遠き慮をなす者は眼前の利に迷ふことなくよく大局を見とゞけてあくまで忍耐刻苦して目的の貫徹を期するのである、故に支那人の中にはどうしても信用の置けない人間も多いがまた取引等に於て甚だ堅い大商人も少なくないのである」。かくして「何にしても金の儲かる所には如何なる苦しみにも耐へてよく勤めるといふのが支那人の特質」となる。 続いて「支那人と金錢」の視点から辛亥革命と反袁世凱の第二革命を論じている。 先ずに辛亥革命ついては、「其名目は如何にも花々しく支那民族覺醒の聲を聞くようであるが(中略)丸で是れ利慾の輩の暴動である、銃劍や衆力を以て強奪を試みようといふのが彼の革命の動機の一半であるらしい」。 次いで第二革命における反袁世凱勢力が敗北した原因は、「砲の響の威嚇よりも財布のチャランチャランの魅力」が袁世凱軍に「比して遥に劣つて居たからだ」。 総じていえることは、支那三千年の?史を見れば随分偉い人物も出て居る、併し彼等が率ひる萬衆は皆利の爲めに動くといふ輩であるからしてこれに啗はすに少ない利を以てすれ���忽ち背を向けるといふ有樣だ、で彼等史上の偉人物の生涯には波瀾が非常に多く光明の後には必ず暗憺の影の添ふのを見るのである」。 以上は「只觀察見聞によつて痛切に感じた」ことだが、「旅行中尤も五月蠅く感じた」「車夫馬丁の賃錢をねだる事」から「彼等の金錢に對する執着心」を身を以て知っただろう。 やがて廣島高等師範學校を卒業し先生となった彼らが、実際に教室で生徒に接して隣国の状況をどのように教えたのか。旅行中の体験を、必ずや熱く語ったに違いない。 《QED》 ▽□◎ひ▽□◎い□▽◎ず□◇◎み▽□◎ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ♪ (読者の声1)貴誌6672号「シリア情勢」ですが、私は馬淵睦夫先生のユーチューブでのお話を聞いたり、著作をよく読ませていただくのですが、氏によれば、トランプ大統領が中東撤退の意思を示している今、シリアが毒ガスを使う理由はなしし、その証拠もない。証拠を出しているのは「人権団体」という最も信じてはいけない組織だけとおっしゃっていました。 さらに言えば、メインストリームメディアは、フェーク写真(例:油まみれの鳥、土座衛門の子供、911同時テロも?)や、フェークニュース(慰安婦、ロシアゲート、アベゲート等々)で世論をコントロールしてきた実績がありますし、証拠が無ければ南京虐殺ねつ造問題と同じことです。 また、メディアは挙証責任をシリア側に転化しています。 参考: https://www.youtube.com/watch?v=VWN9ZZmrDNs 株式市場については、私の見立てでは、日本株市場は短期的にシクリカルな上昇トレンドに入り、アメリカ株下落も一段落したようにみえます。 但し、長期的な世界株式市場全体には、1)米金利上昇、2)メルケルの今後とEURO、3)シナ経済崩壊(シナ共産党がドイツ大企業株主)という巨大時限爆弾が潜んでいますから、中期長期は見込み薄とみています。 宮崎先生が掛かれているようにシナと関連の深い東南アジア市場(マレーシア、タイ、シンガポール、インドネシアなど)も影響は深いと思われます。結局長期的には、世界経済の大矛盾は中規模の(短期間の)戦争によって終わるのではという悲観的な予感がしています。 トランプ大統領がツイッターしたミサイル攻撃は共和党主流派のガス抜きと米ロ会談への口先効果を狙ったものではないでしょうか。 前回のミサイル攻撃のように、ロシアに事前に連絡のうえでロシア軍とは関係のない地点へミサイルを撃ち込むという国内向けデモンストレーションはありえますが、ロシアは地中海艦隊を死守する腹だろうし、シリアを破壊すれば難民がEU圏へ入ることになる。ネオコンにはメリットあるかもしれませんが、トランプ大統領(アメリカ)にメリットはありません。 トランプ、プーチンの両大統領の認識は一致しており、日本伝統の「腹芸」を世界的規模で繰り広げているような印象を受けます。 (R生、ハノイ) (宮崎正弘のコメント)シリアの子供達が化学兵器でやられている映像、どうしてあの「現場」に居合わせ、迫力ある画像を撮影できたのか。あれほど劇映画のように立ち会えたのでしょうね? 欧米露中、そして中東の政治とは、このような手口は常習です。 トこう書いている間に米国はシリアを英仏と共同でミサイル攻撃し、地上軍を派遣することはせずに、「作戦は終了した」としました。 ♪ (読者の声2)貴誌前号のシリアの化学兵器ですが、軍事評論家の鍛冶俊樹氏の「軍事ジャーナル」(4月13日)に「シリア化学兵器は北朝鮮製か?」と題して次の考察があります。 (引用開始)「シリアがまたしても化学兵器を使用したとかで、米軍がシリア攻撃を検討している。奇妙なのは、4日にトランプ大統領がシリアからの米軍撤退の準備を指示した3日後にシリアで化学兵器が使用されている点だ。シリアのアサド政権にしてみれば、シリアの反体制派を支援している米軍が撤退してくれることは、この上ない僥倖である。化学兵器などを使用しないでいれば、米軍の撤退は目に見えている訳で、ここで敢えて米軍を挑発するような行動を取る理由が不可解であろう。 米軍の駐留の継続を望むのは、シリア反体制派であるから反体制派の仕業と言う見方も成り立つ。同胞を犠牲にする筈はないと思うのが常識だが、常識の通用しないのが中東である。また一口に反体制派と言っても色々な派閥があり、必ずしも同胞とは限らないのである。 米軍が攻撃に慎重な姿勢を示すのも、この辺を見極めようとしているのであろう。ところが昨日、フランスのマクロン大統領が「アサド政権が化学兵器を使用した証拠を掴んでいる」とテレビのインタビューで述べた。シリアはかつてフランスの植民地であり、現在でもフランス情報部のシリアへの浸透は米英独を上回りロシアと並ぶ。そのフランスの大統領が断言した以上、この情報は信頼できる。つまりアサド政権は化学兵器を使用したのである。 昨年4月にもシリアでは化学兵器が使用され、トランプ大統領がフロリダの別荘で習近平との会談の最中に、シリアにトマホーク59発を撃ち込んだのは記憶に新しい。この時もトランプ政権がアサド退陣を求めないと声明した4日後に化学兵器が使用された。つまり今回と同様、アサド政権が化学兵器を使用するメリットがないのである。これについては昨年4月9日号「シリア化学兵器は北朝鮮製」で詳述したから参照されたい。 http://melma.com/backnumber_190875_6512306/ 要するに、前回の化学兵器が北朝鮮製だとするならば今回も北朝鮮製だと見るのが当然の理である。北朝鮮の狙いは米軍を中東に釘づけにして対北攻撃を回避する事だ。一方米国は英仏をシリアに代理介入させて、米軍主力を予定通り東アジアに振り向ける算段であろう」(引用止め) 以上です。 (NK生、茨城)
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納豆まぜそば。 新たにステンレス製の麺棒を導入。加水率47%とは言え、カンスイ使うと麺生地が固くなっちゃって、ちょっとやそっとで延びてくれない。そこでステンレスの重い麺棒を導入してみた。八丁堀「麺や七彩」もステンレス製の重そうな麺棒使ってたので、真似っこ。結果、多少薄くできて、中華麺っぽくなったかな? 但し、疲れる。直径3センチ×長さ60センチのステンレスの塊を動かし続ける必要があるので、想像以上に筋力が要るようだ。製麺エクササイズ。 納豆+ひき肉+豆板醤+甜麵醬+熊本ホシサン醤油+オイスターソース+ごま油。薬味に、ニラとネギ。色味の問題で、卵黄もトッピング。 美味い。 #まぜそば #納豆 #自家製麺 #手打ち #手打ちラーメン #ramen #油そば #noodles #homemadenoodles #pasta #japanesepasta #chinesepasta #homemadepasta #natto #leeks #chives #garlicchives #eggyolk #kyodo #tokyo #japan #dinner (世田谷区経堂)
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(^o^)/おはよー(^▽^)ゴザイマース(^_-)-☆. . . 6月18日(木) #赤口(壬辰) 旧暦 ※閏4/27 月齢 26.4 年始から169日目(閏年では170日目)にあたり、年末まであと196日です。 . . 朝は希望に起き⤴️昼は努力に行き💪夜を感謝に眠ろう😪💤 夜が来ない朝はありませんし、朝が来ない夜はない💦 睡眠は明日を迎える為の☀️未来へのスタートです🏃♂💦 でお馴染みのRascalでございます😅. . 25週目の木曜で週の下りw週末の始まり💦になります。 梅雨の晴れ間は昨日まで今日から天気も下り坂です✋ 昨日は現場の下見と打ち合わせで六本木まで行ったの ですが、新型コロナウィルス感染したくない信者でウヨウヨでした💦 . 久しぶりに丸の内線に大江戸線にと地下鉄を利用したの ですが、お見事なぐらい殆どと云うかほぼ全員がマスク姿w こんなに居るなんて💦観ていると私も心が病んで来ます。 そんな私も同僚と一緒でしたので仕方なくマスクしてました✋ . 打ち合わせが終わり現地解散して直帰する筈でしたが 本社に一旦、戻ろうと新宿経由でブラッとししました😅💦 六本木から本社まで到着する迄の間にマスクをして無い方 が何人居るだろうと数えたら僅か16人しか居ません↴↴↴ . 今日一日どなた様も💁♂お体ご自愛なさって❤️ お過ごし下さいませ🙋♂ モウ!頑張るしか✋はない!ガンバリマショウ\(^O^)/ ワーイ! ✨本日もご安全に参りましょう✌️ . . ■今日は何の日■. #海外移住の日. 1908(明治41)年、ブラジル第1回移民として158家族781人が笠戸丸でブラジルのサントス港に到着したのがこの日です。 それを記念日として、総理府(内閣府)が1966(昭和41)年に制定、国際協力事業団移住事業部が実施を開始しました。 . #考古学出発の日. 1877(明治10)年、大森貝塚を発見・発掘したアメリカの動物学者、E.S.モース博士が来日しました。 6月20日、モース博士が汽車で横浜から新橋へ向かう途中に貝殻が堆積しているのを発見し、まもなく発掘調査が行われました。 これが日本で初めての科学的な発掘調査で、日本の考古学の出発点となりました。 . #防犯の日(毎月18日). 日本で初めての警備保障会社として1962年に創業したセコム株式会社が制定。 セキュリティのトップカンパニーとして社会の安全化に努めてきた同社の、企業や家庭、個人の防犯対策を毎月この日に見直して「安全、安心」に暮らしてもらいたいとの願いが込められている。 日付は18の1を棒に見立てて「防」、8を「犯」とする語呂合わせから毎月18日とした。 . #おにぎりの日(毎月18日). 1987年11月に石川県鹿島郡鹿西町(ろくせいまち=現在の中能登町)の杉谷チヤノバタケ遺跡の竪穴式住居跡から日本最古の「おにぎりの化石」が発見されたことから、当時の鹿西町が「おにぎりの里」としての地域おこしのために制定。 日付は鹿西の「ろく(6)」と、毎月18日の「米食の日」と合わせたもの。 中能登町では日本最古のおにぎりにちなみ、古代米を生産している。 . #森のたまごの日(毎月第三木曜日) コクとうまみ、鮮度と栄養価で人気の鶏卵「森のたまご」を製造販売するイセ食品株式会社が11月18日と毎月第3木曜日に制定。 ブランドたまごの定番と称される「森のたまご」の素晴らしさを多くの人に知ってもらうのが目的。 日付は11月で「いい」、18日を「森のたまご」の「森」と読むことからで、「森」の字にある「木」を分解すると「十」と「八」となるため18日とし、「森のたまご」の「森」の字には「木」が3つあることから第3木曜日したもの。 . #618商戦(#中華人民共和国). 元はECサイト京東の割引セール日(京東618)だが、同業他社も対抗した結果、全国的になEC割引セールの日となった。 典型的には、6月1日からこの日まで続く。 京東の創設記念日(法人設立日)の1988年6月18日に由来。 . #自閉症プライドデー(#国際デー). 自閉症は、病気ではなく特有な個性であり、そのプライドを尊重し守っていこうという日。 . #モニク前王妃誕生日(#カンボジア). シハモニ国王の母(#シハヌーク前国王の妃)・ノロドム・モニニヤット(モニク妃)の誕生日。 . #セーシェル建国記念日. . . ■今日のつぶやき■. #逃がした魚は大きい(ニガシタサカナハオオキイ) 【解説】 三寸ほどの鯛でも、釣り落とせば目の下一尺の鯛に思えてくることから。 一度手に入れかけて失ったものは、実際よりも大きく(素晴らしく)見えるものだということ。 . . 1991年6月18日 #岡本玲 (#おかもとれい) 【ファッションモデル、女優、タレント】 〔和歌山県〕 《元『nicola』専属モデル》 . . (Nerima, Tokyo) https://www.instagram.com/p/CBjP_N9HBZCe18cQL5tG9hT19D6CCo0h0g8Ugc0/?igshid=3nksfamgj1yz
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