#職場に佇む
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ラーメンセット(みそ)900円
◎元祖札幌や 野川店(川崎市宮前区)
2024/07/27 13:15
*最寄駅なしの川崎市の丘陵部。街道からも外れた住宅地にポツネンと佇むラーメン店。最近少し数を減らしているようだけど都内ところどころで営業しているフランチャイズで、こちらも個人による暖簾分け店らしく40年以上営業しているらしい。地元民以外はアクセスしづらい立地だけどランチどきは車利用の現場職で、休日は家族連れで結構にぎわっている。基本となる味噌ラーメンは麦味噌ブレンドで粒状感ある味噌だれで押してくるタイプ。塩気は強いので夏の塩分補給には申し分ない😁 麺はサクッと歯切れのよい中��ちぢれ。サシの多いロース肉にわかめ、メンマ、卵と具のボリュウムもなかなか。セットの半餃子は野菜あんメインで揚げ餃子に近い焼き上がり。
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4月23日(火)完成披露舞台挨拶付先行上映会オフィシャルレポート!
このたび、映画『碁盤斬り』の豪華キャストが勢ぞろいし、4月23日に完成披露舞台挨拶付先行上映会を開催いたしました!本作は、草彅剛さんが冤罪に貶められた浪人・柳田格之進役に挑み、時代劇を初めて手掛けることとなった『孤狼の血』の白石和彌監督との強力なタッグが実現した感動のリベンジ・エンタテイメントです。本日は、草彅剛さん、清原果耶さん、中川大志さん、奥野瑛太さん、音尾琢真さん、市村正親さん、斎藤工さん、小泉今日子さん、國村隼さんというオールスターキャストと白石和彌監督が登壇した舞台挨拶を実施しました。撮影中のエピソードや、映画の内容にちなんで《リベンジ》したいことなどについてトークが展開され、大盛り上がりの舞台挨拶となりました!
寡黙な武士、柳田格之進を演じた草彅さんは、舞台挨拶冒頭から満面の笑みを浮かべ、充実感を漂わせました。撮影以来となる共演者との再会をよろこび、「みんなのグルーヴがすごくいい!」とニッコリ。自分の持っているものすべてを出し切れたと話した草彅は「幸せな環境で映画が撮れました」と報告し、大きな拍手を浴びました。撮影現場は��品に関わるすべての人、職人のこだわりが詰まっていたとし「みなさんのおかげで(格之進を)ちゃんと演じられました。代表作になったと思います!」と役を演じ切ったと胸を張っていました。格之進の娘・お絹役の清原さんは「現場で草彅さんを見かけるたびに、“父上”という気持ちになって。格之進として佇んでいらっしゃって、とても支えられました」と感謝。父・草彅さんの背中を「追いかけられたらいいな、支えられたらいいなという思いで見つめていました。草彅さんのおかげでお絹ちゃんとしていることができたと思います」との清原さんの言葉に草彅さんは「その言葉、一生大事にします!忘れません」と返し、父娘のほっこりトークで和ませました。萬屋の亭主・萬屋源兵衛役の國村さんは「タイトルにもあるように碁盤を挟んだシーンがたくさんあります。碁がテーマでもありますが、碁のシーンを通して、格之進の性格を伝えていくという意味合いもある作品です。碁のシーンで格之進の中身が変わっていくのを感じられると思います」と笑顔でアピールしました。萬屋の手代・弥吉役の中川さんは「すごくピュアで真っ直ぐな武士の子。小さい時に源兵衛に拾ってもらい、息子のように育ててもらった青年です。映画の中で起きる事件に大きく関わるという役どころ。囲碁がベースになっていますが、とても親近感のある、身の回りで起きるような出来事を描いた作品です。弥吉のポジションは苦しいけれど、応援したくなるような弥吉になればいいなと思いながら演じました」と役作りを振り返りました。音尾さんが演じた萬屋の番頭・徳次郎はトラブルの発端となる役どころでいわばトラブルメーカー。中川さんが「あの人のせいです!」とトラブルを引き起こした音尾さんを指さすと、「トラブルを起こして申し訳ありませんでした」とお詫び。中川さんと音尾さんのトークのコンビネーションで会場を沸かせました。撮影現場で印象的だったのは座らない草彅さんの姿と明かした音尾さんは「神経が研ぎ澄まされているのでしょうか。本番に合わせてググッとフィットしていくために、研ぎ澄まさせている姿を見ていました。今日は現場と違ってかなりふわっとしています」と撮影中とイベントでの草彅さんのギャップを指摘。音尾さんのコメントに「ありがとうございます、高倉剛です」と撮影現場で座らないことで有名だった高倉健さんになぞらえ、キリッとした表情を見せ笑いを誘った草彅さんは、座らない理由について「5秒で眠くなっちゃう(笑)。みんなよく眠くならないよね。僕は夜10時には寝るけれど、座ると眠くなっちゃうんだよね」とマイペーストークを展開し、会場を笑い声でいっぱいにしました。すべてのキャストと絡みがあ���た草彅さんは、撮影中のエピソードを次々と披露。音尾さんについては「ずっと写真ばっかり撮っているカメラ小僧」とニヤリ。「この話でいいの?」と確認しつつ、カメラトークは止まらず、中川さんに至っては音尾さんにすすめられたカメラを購入したことも明かされました。自身のトークの順番だったにも関わらず、どんどん共演者とのエピソードを話し続ける草彅さんに時折ツッコミを入れ笑わせた音尾さんはしっかりと作品に触れる場面も。「いい役をもらいました。今年も白石監督にお歳暮を送ります」と白石監督作品常連の音尾さんならではのおなじみのフレーズで盛り上がりました。國村さんとの共演シーンを振り返ると、「春のシーンだったけれど、実はすごく寒くて。映像では綺麗に映っているけれど本当は寒いんです!」と草彅さんが撮影時の裏話を暴露。國村さんが「きっと寒かったんやろうな、って思いながら観てください」と舞台挨拶後に鑑賞予定の観客に呼びかけると、草彅さんは「僕(格之進)と國村さん(源兵衛)のラブストーリーにも注目してください!」と本作のおすすめポイントを伝えました。格之進と因縁のある武士・柴田兵庫役の斎藤さんは「ずっとかっこいい!」と大絶賛の草彅さん。「佇んでいるだけですごくクール。なんでいつもそんなにかっこいいだ、チクショー!という気持ちを込めました」と対峙シーンへの意気込みを解説し笑わせました。町の親分・長兵衛役の市村さんについては「すごく気遣ってくれる大先輩」と感謝した草彅さん。「いつも元気ですごい。役者として見習いたいので、健康法を教えてくださいと訊いたら、親が元気なので、と言われて(笑)。遺伝だからって。元も子もない!」と大先輩からのアドバイスを期待しましたが、まさかの回答があったことも明かし、笑い飛ばしていました。彦根藩の藩士・梶木左門役の奥野さんについては「ずっと途方に暮れていた」と撮影現場での様子をレポートした草彅さん。共演者全員との撮影を振り返り「僕はみんなと交流があったので!」と一緒のシーンがなく、今日が初めての顔合わせとなるキャストへの気配りで、いろいろなエピソードを公開したと説明しました。「役柄としては非常にクソ野郎です…」と小声で話した斎藤さんの役作りは「正義への考え方」だと解説。正義の反対は悪ではない。もうひとつの正義という気持ちで兵庫なりの悪を演じたとし、格之進役の草彅さんとは「最小限の動きの競技である囲碁と殺陣。静と動、2つの対峙をやらせてもらいました。どんなに熱を沸騰させた状態でいても、格之進と対峙すると水が変わるというのでしょうか。研ぎ澄まされた空間になってしまう。そういう格之進に静かに鳥肌を立てながら撮影していました」と語りました。このコメントを聞いた草彅は「かっこいい…。“静かに鳥肌を立てながら”っていうセリフもらいます!」とニヤニヤ。これまでの斎藤さんとの共演経験を踏まえ「(対峙の)集大成のようなシーンが撮れました。感謝しています」と深々とお辞儀をしました。演じた役柄について奥野さんは「格之進に常につきまとっている役。格之進が実直で、健気で、武士らしい姿を見せてくれるので、全幅の信頼をおきながら、ただただついていく。彼の背中をただただ執拗に追いかける役です」と独特の表現で分析し笑いを誘いました。草彅とは29年ぶりの共演となった小泉さんは「まだ剛くんが20代前半だった頃。少年っぽさが淡く残っていた時にテレビドラマで共演して。放送が始まって剛くんのキャラクターが人気になって、出番が増えていき、キャラクターが大きくなっていったのを覚えています」としみじみ。「当時から演じることを楽しんでいたし、すごく素敵でした。久しぶりにお芝居を一緒にしたけれど、背中が素敵で。主役としてすべてを背負って引き受けている姿に感動しました。この背中の役に立ちたいと思いながら、お庚という役を一生懸命演じました」と話す小泉さんに草彅は「キョンキョン大好きです!」と答え会場を盛り上げました。さらに草彅は17年ほど前に小泉さんからプレゼントされたTシャツにサインをしてもらったエピソードも明かしました。「和柄で、今回の作品に合っていて。撮影中の2週間、パジャマにしてました、洗わずに(笑)」と付け加え、さらなる笑いを誘いました。「春の撮影で花粉症がつらそうだった」と撮影中の草彅の様子を思い出した小泉さん。すると草彅が「かゆいし、鼻をかむと髭がとれちゃう。鼻をかむたびに(メイクの)直しが入って。それが1番大変だったかも」と撮影時の苦労を明かす場面もありました。市村さんとは「いつか一緒にミュージカルを!」という話で盛り上がったみたいで、イベントで草彅がその話を続けようとしたところで「今日は『碁盤斬り』の話をしましょう!」と市村さんが脱線を防ぐナイスなフォローを見せて会場を笑わせました。本作で時代劇に初挑戦した白石監督は「日本の映画史は時代劇とともに発展しました」と切り出し、「スマホの寄りを撮らなくていいなど、(現代劇とは違う)発見がいろいろとありました。今後もぜひ、時代劇に挑戦したいです」と充実感を漂わせました。こだわったのは江戸時代の光源だとし、限られた光源でどれだけの表現ができるのか、かなり攻めたとも話しました。さらに「普段はフレームからはみ出るような荒々しい映画をと思っているけれど、今回は美しい映画をという思いがありました」と初時代劇への見せ方にも触れ、注目してほしいポイントです。作品にちなみ“復讐したいこと”を尋ねられた草彅さんと清原さん。草彅さんは「今日の舞台挨拶をもう1回やり直したい。リベンジしたい(笑)」と少し俯き、「テレビカメラとかいっぱい入っているのに、どこが切り取られるんだろうと急に不安になってきて…」とここまでの自由なトーク展開を苦笑い。「では、私はそのリベンジを応援します!」と気合いを見せる清原さんに草彅さんは「清原さんはちゃんとしてたよ」と優しく返答。「これだけ(キャストの)みんなが集まるのは最初で最後かもしれないのに…」としながらも「映画をたくさんの人が観てくれたらリベンジできるかも!」と、今後もイベントが開催されることを願いつつ、たくさんの鑑賞を呼びかけるというナイスなPRで大きな拍手を浴びました。最後の挨拶では本作の宣伝を務める観客に向けて、SNS投稿時の「#(ハッシュタグ)」も発表。「#碁盤斬り」もしくは「#ごばんぎり」とのこと。「漢字は難しいから、ひらがなでもいいです。ご飯じゃないよ、ごばんだよ。このフレーズ気に入っているけど、いまいちウケなくて…」としながらも、最後までしっかりと映画を宣伝し締めくくりました。
■英語タイトル“BUSHIDO(ブシドウ)”として 4月に開催されるイタリアのウディネ・ファーイースト映画祭のコンペディション部門での上映も決まっております。 さらに、フランスの配給も早々に決定しました。フランスの配給会社、ART HOUSE FILMS(アートハウス・フィルムズ)社の社長エリックさんからコメントをいただきました。 「演出も俳優陣の芝居もとてもいい。この映画は侍映画の伝統を引き継いでおり、とてもエレガントでよくできている」
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2023年 加茂野やや大きいのすべて。
みなさんい、サウナ、こんばんはー。
この1年、俺は頑張りました。本気で。そんな想いを込めて、この一年の活動を網羅的に振り返っていこうと思います。
1/14(土)@高円寺HIGH
In Case vol.9
WRENCH、MOZU、computer fight
痛郎さんからお誘いいただいた。吉祥寺NEPOでの、たしかAKUTAGAWA FUNCLUBとのライブの際に声をかけていただいてからの縁で(違ったらすいません)、それからずっと目をかけてもらっている。本当にありがたい。WRENCH、MOZUという90年代オルタナの大先輩たちの共演を前に何かできることはないかと、チャレンジな取り組みとしてライブ用イヤホンをつけて練習や本番に挑んだりしたが、全然意味がない上に変なミスを招きかねないので辞めた。間近で見る菅野さんのドラムがとにかく強烈で、シンプルなフレーズでも音量やキレが自分とは比べ物にならないほど良かった。
2/19(日) @西荻窪FLAT
「毎日何にもすることなくて啓蒙している」
computer fight、the bercedes menz、din remoter、タオル
同時に、suburban bluesのフィジカルリリースも行った。ベルセデス、ディンリモは既知だったが、タオルのライブには度肝を抜かれた。最小限で、なのに必然性に溢れた音の群れ。俺は甚く胸を打たれ、後日の浜松TEHOM参加の際の動機にもなった。
4/22(土) @吉祥寺NEPO
MYFUNERAL INC. presents【TOKYO SWING special】
PANICSMILE、トリプルファイヤー、[O.A] computer fight
今思うと、ありえんくない?というイベントにOAで出演。いまだに後悔しているのは、次の日、職場のしょーもないイベントに参加するためにPANICSMILEの演奏をほとんど拝見できなかったこと。眼前で凄まじい演奏が行われている中、機材を背負ってライブハウスを出た時、自分は何になりたいんだと混乱した。そしてそんな混乱も、船の出航時間が近づくにつれて睡眠への不安に置き換わってしまうのが嫌だった。
この頃は、島での団体活動の長になり(そうしないと団体が無くなる危機だった)、さまざまな人間の要望を聞いては日夜ペンを走らせてイベントの企画などをしていた。もちろん業務外である。本当に辛かった。
そして、ずっと一緒に暮らしていたデグーのたわしが亡くなった。今でも思い出すだけで涙が出てくる。かわいいかわいい、世界一の相棒だった。最後は家族で看取ることができたが、本当はもっと長く一緒にいられたのに、俺のせいで早くいなくなってしまったのではないかと繰り返し自問して、火葬したお骨を持って家に帰る道中は、自分の不甲斐なさに怒りと切なさでいっぱいだった。島で楽しく暮らしているすべての人間が憎かった。
この件がきっかけで、俺は島での団体活動とは一線を引くことにした。たわしが最期にどう思っていたかは定かではないが、幸せに逝けたことを願う。
5/13(土)@静岡県浜松市TEHOM
「ROOMPARTY」
computer fight、やっほー、SUPERMOURNING、タオル
初の遠征ライブ。TEHOMはすごくソリッドな音のする箱で、我々の演奏と相性が良かったと思う。諦念くんはこのライブを「至っていた」と評していて、俺も今でも聴き直しては、当時の体制での内向性や情動、演奏力を再確認している。やっほーさんのライブがめちゃめちゃ面白くて、シンバルキックを3回やって3回失敗していた。楽曲のクオリティーが高くてしっかり聞けるライブだったことも最高だった。鈍行列車で岡山から浜松まで来たらしい。世の中は広いと思った。
5/14(日)@西荻窪FLAT
ハイパーパンチ自主企画ライブ「���の拳」@西荻窪FLAT
ハイパーパンチ、ヘクトーよるをまもる
ハイパーパンチでも、自主企画を打った。このライブではとにかく対バン探しに苦労した。準備って大事。その中でも出演を快諾してもらったヘクトーには感謝している。我々の演奏としてはかなり荒削りではあったものの、楽曲の持つアイデアやユーモア、ポップセンスは披露できたんじゃないかと思う。
5/18(木)@恵比寿BATICA
RINGOOO A GO-GO
Haze / サトビ / Y's CAMP / ハイパーパンチ / HALLEY / PHOEBE
オーディションに出ましょう!ということで参加、特に思い入れはないけど、とにかくPHOEBEがめちゃくちゃ良かった。なんというか信念が見えるライブというか、背景が滲むライブというか。めっちゃいいねー!とダダンダンと話していたら、りんご音楽祭本戦にも出場していて、自分のように嬉しかった。
5/20(土) @調布Cross
mwmw、SleepInside、Uztama、computer fight、カルト3
5/21(日)@落合 soup
EXECUTE
Pot-pourri 、computer fight
島で所用があり、代役で田辺さんにお願いして出演してもらった。
俺はこの頃、バンド活動と、ペットの治療費にお金を注ぎ込んだ結果、貯金を使い果たして、家族に借金をするほどやばい状態だった。この日は島で用事があったというのもあるが。今現在は、借金も返済してなんとかなったが、当時はなかなかに苦しかった。
この頃、本名くんと実験くんの脱退が決まった。訳あって俺は少し遅れて報告を受けたのだが(これは、本当にちゃんとした理由があって遅れて報告を受けた)、すごく動揺した。受験に落ちたときのような、取り返しのつかない取りこぼしがあったような気持ちになった。2人が辞めて、島で働いていて活動を制限している俺が残っていいのか?と一瞬考えたが、本当に一瞬だった。やめるとか考えられないなぁとぼんやり思うほど、ドラムは、バンドはとても楽しい。みんなおすすめだよ。
そして、畠山くんと喉笛くんが加入した。畠山くんはボーカルの公募に応募してくれて、その他応募してくれた皆様と同様に、諦念くんとスタジオに入って面接(?)がてらセッションを行い、その動画を共有してもらったのだが、佇まいというか、フロントマンとしての素質をあらあらと感じたのを覚えている。おまけにトランペットも吹けるときた。楽器こそ違うが、james chanceの文字が頭によぎった。ほぼ満場一致で畠山くんをお迎えすることになったこの数週間後、彼には住む家がなくなってしまうのだが、それはまた別のお話…。
喉笛くんは、実は俺が島に行ってしまう前にも一度諦念くん喉笛くん俺の3人で歌モノをやるバンドをしましょう!ということでスタジオに入ったことがある。その計画自体は頓挫してしまったのだが。その時にもボーカルを公募して、候補者6名に対して1曲ずつ渡せるようにと、喉笛くんが諦念くんのリフをもとに1日で6曲作ってきたのが印象的だった。喉笛くんのベースは、弾くと殴ると削るのちょうど中間を、ぎゅっと束ねて一本にしたような、途切れることなく押し寄せる現象のような音がする。そして諦念くんと同じくらいピッキングが早い。実験くんの時にストロークで弾いていた楽曲の一部は、喉笛くんのダウンストロークでまた違うテイストになったと思っている。
6/23(金) @秋葉原CLUB GOODMAN
【Fantastic Attack Types. 3】
bossston cruizing mania、LOOLOWNINGEN&THE FAR EAST IDIOTS、computer fight、THE WAMEKI、デーメーテール
新生computer fightの初ライブ。ボスクルのカシマさんとMYFUNERAL.INCのハヤセさんはcomputer fightをとてもよく評価してくれていてありがたい。このライブもメンバー交代前にお声がけ頂いたのだが、ライブまでの間にメンバーが変わってしまったものの、快く参加を受け入れてくれた。結成初期なので当然ではあるのだが、かなり演奏が粗かったのを覚えている。ただ、パフォーマンスという意味では今までのcomputer fightとは打って変わって、引き寄せるものからこちらから引き摺り込むようなテイストに変わった、転換を感じさせるライブだった。
7/23(日)@下北沢SHELTER
突然少年TOUR 秘宝2023
突然少年、computer fight、DJ: theodora katz
畠山くんの前身バンド(?)、pine shop時代からの縁で実現したライブ。未来.EPの発売ツアーの初日という、記念すべき場に呼んでもらった。決まった時は奮えたなぁ、俺は突然少年の火ヲ灯スという曲が大好きで、特に離島で暮らすことになって、船や飛行機で内地に戻り、これからライブだ!という時によく聴いていた。そんなバンドと対バンできるなんて、得難い幸福だ。
話は変わって、この夏は俺の住んでいる離島にはたくさんの友達や家族が来てくれた。しかし、なぜか悉く来訪の日程と俺のライブの日程が被ること被ること!突然少年のライブも、前日から親友の夫婦が島に遊びに来てくれていて、リハギリギリに会場に着く飛行機で内地に帰ったりした。これははっきりと原因があって、俺が友人や家族の皆皆様に「おいでよ!東京の離島!」と宣伝をかけたからである。来年は程々にしようと誓った。
8/27(日)@下北沢THREE
New LP "schedars" Release Party
schedars、SPOILMAN、computer fight
DJ:daizo、ueda、chun chun
こちらはschedarsのボーカル、sioさんからお誘いいただいた。schedarsとcomputer fightは音楽のルーツやフィーリングが重なる部分もあり、諦念くんからも「このライブは絶対出よう!」とグッと来られていた。先日のライブ同様、この日は大学の頃の親友たちを島に招いていたのだが、ライブに間に合わせるために彼らを島においての帰省となってしまい、流石に申し訳なかった。
schedars、対バンしてみて改めて思ったけどすごいバンドだ。自由度をもってインダストリアルに奏でるギターベースドラムと枠内で狂うサックス、そしてフロントマンとして責任を全うするsioさんのボーカル(この表現で失礼はないか心配である)は、操り人形のように、バレリーナのように、歪んだ引力を持っていた、と思う。
9/9(日)@法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎地下1階多目的室1
FREE FOR ALL
THE GUAYS、computer fight、5kai
法政大学の企画団体、YADORANGのお誘いで実現したライブ。久しぶりの大学(というか法政大学は入るのすら初めて)はやや緊張した。そして同時に、大学でのライブは歓迎され招かれた上でアウェーで演奏するものであるということを知った。
9/15 EP「gushagushavinyl」リリース
新体制での初音源リリースをした。録音は隙を見て行った。振り返ってみると、よく録音まで行けたよな〜と思う。6月にレコーディングした当時は「新体制を世に知らしめるために絶対必要!!」と意気込んでいた。ちなみにこのEPのうち2曲は実験くんが作曲し、ベースで参加している(NGUYHC、思わない)。このほかにも実験くんの作曲曲はいくつかあるが、どれかは秘密。
10/26(木)@下北沢CLUB QUE
“In Case vol.13”
MOZU、computer fight+山崎春美、SPOILMAN
痛郎さんからのお誘いで実現したライブ。諦念くんから「山崎春美さんのバックで演奏しないかと言われている」と聞いた時、びっくりしたなぁ。バンド加入時に諦念くんから手渡されたガセネタの荒野は彼のバイブルであり、付き合いは浅いながらも彼の信念の一端に触れられたと思った。そんなわけで活動初期は「まあまあ、ビールでも飲んでエンジョイしなよ」の件にあやかって共演者がバコバコ飲酒してるのを指を咥えて眺めてみたり、バンド結成の同期を聞かれた時に「なりゆきで…」などと答えたりしていた。
俺の頭の中の山崎春美は、過激で過剰、時には全てを時にはインタビュアーを問い詰めてしまうような人だった。スタジオでリハをした時に、扉を開けて山崎春美がスッと入ってきた時は、なんと言うか、抜き身の刃物を構えられたようなピリッとした気持ちになって、勝手に身構えてしまった。実際にお会いした春美さんは、想像より何倍も柔らかい物腰の方だった。…冷静に考えた���、俺の引用する山崎春美は30-40年も前の情報なわけで、今現在も全く同じなはずがない、先述の通り冷静に考えればわかることなのだが、それほどに当時の自分は浮かれていた。もちろん浮かれていたのは俺だけではない。リハーサルでも本番でも、諦念玲奈が今まで見たことのない笑顔でギターを弾いていて、こちらまで嬉しくなってしまった。
ライブでは、父ちゃんのポーがきこえる、社会復帰(リハビリテーション)の2曲を披露した。コピー自体はガセネタの4曲全て行っていたが、ライブの尺の関係もあり全部はやらなかった。いつか披露できたらいいなーと思う。楽屋や終演後の打ち上げでは、ガセネタの荒野やTACOの話、書物でのみ見聞きした場所の話を本人の口から聞けると言う貴重な体験をした。そしてこの日、現メンバーに交代してから初めて、ライブでガッチリ演奏がハマった。よくパズルのピースがハマったなどと形容されるそれは、まだ途上の我々の中で何かが完成される感覚があったことを意味する。その完成がこの日であったことは、決して偶然ではないと思う。
10/28(土)@吉祥寺NEPO
ハイパーパンチ自主企画「PRO ACTION REPLAY」
ハイパーパンチ、カタカナ、プールと銃口、Mimi cries
ハイパーパンチ2度目の自主企画。音楽のルーツを同じくする先輩バンドであるカタカナ、ダダンダンの盟友であるジンくんのプールと銃口、大学の先輩後輩で結成されたMimi criesをお呼びして行った。今後活動するにあたって、これまでサポートメンバーに入ってもらっていた農協(chatoe)とセキユウシくん(highty-tighty)から、新たにザッキーとけーさん(ex.the super charm)を招いての活動となった。
ザッキーは大学の後輩で、ベーシストでありメタラーである。俺はメタルに疎いが彼のベースと演奏に対するメンタリティが大好きで、大学の時は快速東京やガガガSPのコピーバンドをした。今年行われた大学軽音サークルでのOBライブでLAST ALLIANCEを披露していたのだが、そこで見せたパフォーマンスが良かったと言うのも、今回お誘いする動機となった。
けーさんは、先述した諦念喉笛やーさんポップスバンド計画に応募してくれた6人のうちの1人である。俺はその歌声に甚く感銘を受けて、何かバンドでお誘いできる場面があったら絶対呼ぼう!と決めていたので、すぐに声をかけた。けーさんがギター以外にどんな楽器をできるかなどは分かっていなかったのだが、歌が500000000点なのでそれ以外は練習すればいけるっしょ!という無責任なお誘いを、快く受けてくれてありがたい。
メンバー交代や新曲の披露と、練習期間も短い中ではあったが、個人的にはめちゃめちゃいいライブができたと思っているが、それは楽曲が素晴らしいと言うことに尽きる。あとは我々のパフォーマンスが良くなればなるほど、もっといいバンドになっちゃうよなぁ!?!?
11/11(土)@桜台POOL
"TOKYO SWIPE“
computer fight 、HAIZAI AUDIO 、HYPER GAL、PICNIC YOU 、Ruins alone、ZVIZMO 、高倉健、DJ :土屋光、SHOP:光るヒナ子
高倉健の企画に出演した。桜台POOLは工場の一部を打ち抜いたようなソリッドな作りで、客席とステージの境目の少ないフロアは、我々の演奏スタイルと合っていた。そして何よりお客さんの盛り上がりが凄まじくて、1バンド目の高倉健から最後の我々まで絶叫と振動、蕩揺が止まらなかった。ギターを弾きながら持ち上げられる諦念玲奈を観れるのはこれが最後だったかもしれない。他の出演者では、吉田達也さんの意味のわからないドラムと、HAIZAI AUDIOさんのパフォーマンスが素晴らしかった。特にHAIZAI AUDIOさんは、日本中のスクラップ置き場と持ち主不在のゲーム部屋を切り貼りして作ったパッチワークをブラウン管のテレビに繋いで、音声だけを無相応にデカいアンプと接続して出しているような、バリバリと響く音楽だった。
computer fight+山崎春美「社会復帰(リハビリテーション)、父ちゃんのポーが聞こえる」ライブ音源リリース
先日のライブを録音した音源を発売した。これはそれ以上でもそれ以下でもない。自分でも良く聞き直すが、1発撮りとは思えないすごいクオリティである、と自画自賛しておく。
12/10(日)@秋葉原CLUB GOODMAN
【Fantastic Attack Types. 6】
bossston cruizing mania、Anderson、H Mountains、左右、SPOILMAN、schedars、酩酊麻痺、computer fight、ギニョルズ、NA/DA
ボスクルのカシマさん、MYFUNERAL.INCのハヤセさんにお誘いいただいた企画。今回も島での業務都合と、ちょっと体調を崩していたこともあって田辺さんにサポートをお願いした。すごくいい対バンだったのでぜひ出たかったのだが…来年はこういう、いいライブをスカしてしまうことは避けるように、なんとか仕事を頑張っていきたいと。
12/24(日)@西荻窪FLAT
computer fight自主企画 終わりなき日常を生きろ
computer fight、TACO (山崎春美+森田潤)
一年の最後を飾る自主企画。1月のライブで(厳密にはもっと前からだが)痛郎さんと共演して山崎春美さんの話を聞き、その後メンバーの変遷を経て、新旧の縁から経験を重ね、10月には憧れの存在と共演することとなった我々が、最後にはTACOとの対バンが実現した。カルト3の疎過くんは「継続することの力を実感した」と呟いていた。ありがとう。
TACOのライブの直前に、春美さんから自分をガムテープや器具で拘束するようにお願いされ、畠山くんがその役割を担っていた。特にその理由は語られなかった(し、わざわざ聞くのは野暮すぎる)が、パレスチナ問題への提起であることは間違いない。恥ずかしながら、10月の共演以降に改めてパレスチナ問題について本を読んだり、解説動画を見るなどして、改めて勉強し直して、この世の地獄があることを知った。ステージで政治について、世界情勢について、語ることの意味や価値を俺はあまり重く考えてこなかったが、春美さんと共演してからその考え��少しずつ改まっている。というか、今のこの景色は何を意味するのか?何を表したいのか?を、この一年で、手探りではあるが自分から考え調べるようになったと思う。それはバンドメンバー、特に諦念くんのおかげであり、共演者の皆様のおかげでもある。
computer fightはこの日のライブで、今年演奏した16曲、新曲2曲の計18曲を披露した。尊敬する先駆者に対して、文字通り今出せる全てを出したつもりだ。45分近くに及ぶ演奏は体の全てを消耗し、past manの直前では腹筋が殴られたかのように痛んだし、終演後は腕は指先から肩の付け根まで全部筋肉痛になった。足の親指の付け根は擦り切れて、脛は夜中の船の中で攣ってしまいうまく寝付けなかった。本当に、いいライブをしたと思う。息をする間もなく、どこ見ればいいのかわからないほど脈打ち痙攣し全てがそこに存在するような素晴らしいライブだった。
俺にとって、演奏とは誠実さが全てで、誠実は後悔しない。準備してきたものを吐き出して、すっからかんになってまた一からやり直す。初めからずっと最後の1曲のように、終わり、終わり、終わりを繰り返す。粉砕機に太い伐採木を繰り返し押し込むように、分厚くつながりのある塊が、俺の演奏を経由して粉々に砕けていく感覚。この誠実を得るために、毎日はかくも苦しく、かくも卑怯で、かくも思い通りにいかなくても、耐え忍び疲弊して摩耗して圧潰されることを受け入れているのだ。それが俺はとても誇らしい。
そして、この日も業務都合でライブが終わった瞬間に船に飛び乗って島に帰るやーさんなのであった。打ち上げで春美さんの話をもっと聞きたかった。トホホ、あたしゃもうイキそうだよ。
以上が2023年の俺の全てだ。この一年、大切な家族を失ってすごく辛かったし、諦念くんとは少なからずギスギスとなった。島と東京を行き来する生活は心身ともにかなり消耗して、体調を崩したことも1度あった(1度で収まっているのがおかしいという説もある)。俺は苦しくなるたびに、andymoriの「愛してやまない音楽を」の一節を思い出す。
「本気になるなら 喧嘩もするし たまに嫌になることもあるだろう」
今年は1年間、バンドに本気だった。来年も引き続き島から本気でドラムを叩きにきます。computer fight、およびハイパーパンチを引き続きよろしくお願いします。
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『麒麟山温泉』
阿賀野川を臨む露天風呂、また食べたくなるお料理に満足。家族団らんの宿
どうもmottoです。
今回は冒頭にあるように温泉の話です。
30歳を過ぎて今まで感じなかった肌トラブルや体調の変化、腰痛、肩こりに悩む今日この頃です。変化を受け入れて自分と付��合っていこうと思います。
さて今回ご紹介するのは新潟県阿賀町にあります『麒麟山温泉 雪つばきの宿古澤屋』さんです。
子供が小さいこともありなかなか宿泊の予定を立てられない中、ご縁で某宿泊予約サイトより前日に予約を取る事ができました。
一泊朝食つきのプランで予約出来ました。
11月の初旬でしたので紅葉🍁も始まりとても素敵な外観、期待感が弾みます。落ち着いた純和風の造りで館内は木造2階建て、昭和10年以来、創業当時の佇まいだそうで、館内も味のある雰囲気。お庭、玄関とお手入れされている感じが好印象でした。フロントを過ぎ長い通路を2、3曲がりながら進みます。黒い玉砂利の洗い出し仕上げに欅の根木が島のように配置された通路を通ります。職人さんは難儀されたんだろうなぁと考えている合間にお部屋に到着。
部屋に入るとお茶の香り。居心地がいいです。
「ほっ」と一息つきながら窓の外を見ると目の前に阿賀野川の絶景。流れの強弱に目をひかれながら野鳥を観察ができます。タイミングが良いと阿賀野川対岸にSLが通るようです。観てみたかった😢 川岸から少し離れてポツンと島が、印象的です。 個人的には中が岩なのか土なのか気になりました。 夜にはライトアップもされるようでした。綺麗です。
高低差がある立地故なのか階段が少し多めです。年配の方や車椅子、松葉杖の方は事前に連絡するなどの注意が必要かもしれません。 しかし客室が12部屋ほどのようでしたので館内はゆったりとした時間の流れです。 私も小さな子連れでしたが周りの目を気にする事なく過ごせました。 また、露天風呂つきのお部屋もあるようですし、プランによれば夕食・朝食がお部屋で頂けそうです。 移動量減らし気兼ねなくすごせそうです。重ねて事前連絡による確認が必要そうです。
それではいよいよ温泉へ!
先ずは大浴場、入って直ぐに気づきました。「匂いがしない。」 あれ?! 100%天然温泉のはず♨️ 半信半疑で温泉に浸かってみると「ピリッ」とした感じで温泉だと分かります。そして若干の塩味がありました。(⚠️飲泉はできません。) 温度はややぬるめですが効能を堪能するにはもってこいな感じ!
そして透明で綺麗な温泉がなんだか嬉しい。お湯の��れが少ないようで20部屋以下の宿泊施設の最大のメリットと再確認しました。
さぁ露天風呂へ!
露天風呂も温泉が澄んでいて綺麗! そして、阿賀野川の眺望を堪能できます。 こちらの露天風呂は珍しく、下から温泉が湧き出てくる仕様です。 川の音、風や虫の鳴き声、野鳥のさえずりを景色の一端として楽しむという、古澤屋さんの想いあるコンセプト。心身共に癒されリフレッシュできますね。私は宿泊中に5回も入浴しました! 阿賀野川を目の前に四季折々の風情を楽しめる数少ないお宿です。何度でも来たい!その様に思いました。
【泉質等のご紹介】
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉(中性低張性低温泉)
浴用の適応症
★一般的適応症
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔病、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進
★泉質別適応症
きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、動脈硬化症
私個人としては、坐骨神経痛気味なので腰痛、ふくらはぎ、脛などの箇所で痛みや凝りが和らいだのを実感しました。
はぁ〜〜いい湯でした♨️
皆さんもぜひご参考にしてみて下さい。
それではまた!
#麒麟山#麒麟山温泉#温泉#阿賀野川#古澤屋#雪つばきの宿古澤屋#新潟#新潟県#hot spring#onsen#japanese onsen#niigata#Kirinzan onsen#Niigata trip#Onsen trip
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逸脱
トンネルの入り口に蔦が絡み付いている。名前が書かれたプレートはもうすぐで文字が見えなくなってしまいそうで、まるで血脈を広げるように蔦がトンネルの中へと触手を伸ばしているようだった。僕は、いずれこのトンネルごと蔦に飲み込まれてしまう景色を思い浮かべた。
多くの通勤者にとって、このトンネルは都心の会社へとつながる道程だった。車道の横に歩道が整備され、車が通ることはほとんどなかった。僕は、このトンネルに毎朝足を踏み入れるたびに、いつもむくむくと心の中で天邪鬼が燻り始めるのを感じる。それというのも、あまりにも綺麗に、歩行者が左と右に分かれて歩いているからである。無論、それは指示されているわけでもなく、導線がひかれているわけでもない。ただ自発的に左側通行を当然のこととして、おそらく無意識の��ちに自分の体を左側に寄せるように足が動くのである。その結果、長い列が糸を引くように左右に出来上がるのである。
それはルールとして当然だろう、という声が自分の中から聞こえてくる。しかし一方で、その行列の中にいる自分を俯瞰的に見ると、違和感を覚えるのだった。あまりにも秩序だった光景のなかに、己が埋没して窒息してしまうような気持ちになった。靴が地面に当たる音がトンネルのなかに一定のリズムで響く。皆、前を向いて、その秩序を乱すまいとするかのような空気。一列の長い行列を作ってトンネルに進入する僕らは、その出口で完成形の戦力として吐き出される企業戦士だった。僕の中の天邪鬼は「お前、真ん中を歩いてみろ」と囁いてくる。しかし、そうすることが憚られるほど、その空間は秩序だっていて、隙間というものが存在しなかった。
しかし、その秩序のなかに一ヶ所だけ、乱れが生じる場所があった。それは、トンネルのちょうど真ん中あたり。白髪で髭の伸びた男性が、地べたにダンボールを敷いて座っている場所だった。いくばくかの生活の必要なものを詰めたと思われるリュックを横に、いつも男性はじっとうずくまっていた。まるで、一定方向に流れる川の流れが岩にぶつかり、その周りだけ曲線が膨らむように、トンネルの流れは、男性の周りだけ弛緩していた。物理法則のように、男性の周りだけ膨らむ流れは、実際にところは不明だが、多くの通行者にとって男性の存在がその場所にある物のように見えていることを強調しているように見えた。
僕は、その男性の横を通るときいつも、大勢の靴が地面を蹴る音が、彼にはどのように聞こえているのだろうかということを考えていた。その靴の音はまるで、私たちとその男性の間に一本の線を引くように、暴力的にトンネルの中を鳴り響いていたからである。僕には、その音が、仕事をするもの、しないもの、あるいは生産活動に従事するもの、しないものという、ただその一点のみに集約された区分を強迫的に私たちに突きつけているように感じられた。
その男性は、あるときは全く姿を見せなくなったり、そうかと思えば、夜、仕事を終えて駅に向かって歩いていると、またそこに戻っているというような具合で生活をしていた。あるときは、どこかで拾ってきた本を読んでいたり、あるときはどこかで調達してきたおにぎりやお弁当を手に持っていたり、そしてあるときは、見知らぬ誰かが、「食べてください。困ったことがあればいつでも連絡ください」とポストイットとともに食料が置いてあることもあった。男性は姿を見かけるときはいつも、静かにそこに佇んでいた。その姿が、僕には全てを達観している仙人のように見えて、いつしか僕はその男性のことを師匠と勝手に心の中で呼ぶようになっていた。
僕は、師匠が駅の近くで動き回っている様子を見かけたことがあった。車がビュンビュンと走り抜ける通りの反対側で、道端で体を折り曲げ���がら、なにやらゴミ袋のようなものを運んでいたように見えた。それは、暑い初夏の日で、師匠にも容赦なく太陽が照りつけていた。近くで見ていたわけではないのに、額から汗が吹き出して、汗で背中に服が張り付いている様子が目に浮かんだ。師匠にとってはそれが日常だったのだろう。
次第に、師匠は僕の決まり切った毎日の生活のなかで、唯一、僕自身という水面に波紋を引き起こす存在となっていった。師匠は孤独ではないのか、師匠にとって生きるとはいかなる意味を持つものなのか、師匠はなぜ生きているのか。そうした問いが僕の中で生まれてはぐるぐると回って、次第にそれは己の中の奥深い部分へと侵入するかのように、全て自分へと問い返されるのであった。
事件が起きたのは、ちょうどお盆を迎えようかという8月の半ばごろだった。僕がそのことを知ったのは、ネットの記事によってだった。スマホの画面上にいつも歩いているトンネルの遠景写真が載っていた。捜査員が路上で現場検証をしている様子が写っていた。未明に3人の少年によって、ホームレスの男性が襲撃され死亡。師匠のことに間違いなかった。
僕は、翌日、あのトンネルへと足を運んだ。入り口から出口まで、規制線が張られ、警察官が立っていた。誰もいなかった。
師匠は誰によって殺されたのか。
僕の頭から離れなかったのは、少年たちの供述として書かれた一文だった。
「遊びみたいなもんだった。ホームレスの人たちを見下していた」
その一文が僕にとって大きな意味を持った。なぜなら、そうした社会の空気を作り出しているのは、自分がしている仕事そのものではないかと思ったからだった。
ホームレスは視聴率が取れる。そんな言葉を職場でしばしば耳にすることがあった。僕は、テレビでニュース番組を作る仕事していた。ニュースと言っても、ワイドショーと大差ないようなもので、常に映像にインパクトがあるものが求められた。それが高い視聴率をとる上で鉄則とされていた。ホームレスの人たちは、だから格好のネタと認識されていて、先輩たちは、その認識を疑うこともなく口にした。しかし、どれもこれも、まるで私たちとは違う生き物を興味本位で覗き見するかのような内容のものがほとんどで、それらは単なる好奇な眼差し以上のなにものでもなかった。肥大化した大衆の欲望を刺激し続けるメディアにとって、普通から逸脱した存在は、格好の捕食対象だった。それが僕のしている仕事の本質なのかもしれなかった。
僕が日々仕事として生産しているものとはなんなのだろうか。それは果たして社会の役に立っているのであろうか。急に僕の目の前にトンネルの光景が広がった。トンネルを歩く人たちと師匠との間に大きな溝が広がっていた。その溝をせっせと掘っているのは、他でもない自分自身だった。そして、一方の溝の縁に立って、多くの群衆が師匠に溝の中に飛び込むように囃し立てていた。僕はただそれを遠巻きに眺めているだけだった。
師匠を殺したのは誰なのか。
僕の目の前には、いつもと変わらぬ日常がありふれていた。いつものように、スーツを着た無数の人たちが、いつものように駅のコンコースを歩いて行く。
あのトンネルに差し掛かろうとしていた。
「お前、真ん中を歩いてみろ」
天邪鬼が僕に囁いてくる。
しかし僕はいつものように、体を左側に寄せて群衆の中へと引き寄せられていく。師匠がいた場所の周りは弛緩することなく、革靴がトンネルの中を響いていた。間違いなく僕もそのなかの一人だった。
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Stay warm
全国ニュースを見ながら「日本全土よ、真冬の1日北海道体験はどうよ」という気持ちになっている。横断歩道の白線は水捌け悪くて薄氷が張るから滑る、歩く時は歩幅を小さく、足裏全体、土踏まずさえも接地させる意識で歩く。雪国の民は幼少期からこれらを体に叩き込まれているので、雪上でさえも走れる。
職場を出て、そびえ立つ温度計の看板に目をやると-12℃を誇っている。さすがに寒い。藍から紺青に徐々にぼかされる空に佇む三日月、その地球照が今日はよくみえる。日中ずっと降っていたざらめ雪が、大気の塵を掠め取っていったのだろう。だから雪の日の空は、この上なく澄む。ツンと鼻を突き抜ける冷気に、身を縮こませながらも心が絆されていく。
家に帰って、まず45℃の湯を浴槽にいれる。夕飯の下ごしらえを少し進めてから、服をまとめて脱ぐ。洗面所の棚にある色々な入浴剤が入っている箱から適当に一つとって浴槽に投げ入れた。桃色の湯に身をくぐらせると、手がじりじりと痺れる。冷気で収縮した手先足先の血管が広がっていくのを感じながら、こんな冬もあと1ヶ月の辛抱だと思う。
洗い物と弁当を詰めるのは明日のわたしに任せる。せめてもの明日のわたしが少しでも暖かく起きれるように、ストーブのタイマーを6:10に合わせておく。
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--深海人形-- ※ い つ も の
※ザクジムよりも見た連中(※ジェガンよりも出番が多い連中でもある)。
※閲覧&キャラ崩壊注意
※ネタも話題も雑多(※闇鍋)。
※自死ネタあります
--彼女が自らの意志で天国に旅立った理由を考える 2
--我々は、どうしても、あなたに死んで欲しく無かった
貴方が自らの意思で世を去ったと言う訃報を聞いた時、とてつも無い衝撃が走りました。その数日後に、虚無の中、呆然としながら、温泉旅行(そう言えば、あなたは温泉むすめとも深く関わりを持っていましたね)に行って、Film Redを見た後、温泉に入りながら、最後の最後であのような衝撃的な結末を迎えたウタちゃんと貴方の姿をふと重ねた。
……貴方が消え去っても、貴方の描いたイラストも同人誌も鮮やかであり続けている。皆末長く記憶していく。忘れ去られたりはしない。絶対に。
--
それに、草田さん、未成年で脳腫瘍の病気で病死した今は亡き妹に貴方はとてもよく似ているのです。だから、今も、自分の妹に二度死なれた気がして、本当に、悲しいし、悔しいし、口惜しいのです。
----
こんな自分は、彼女達の姉(のような存在)として、不甲斐無いまま死ぬことはできない。いつも、後世のためにも、彼女たちのためにも、何か誇らしい、業績を一つでも多く残して、現在の世を去らねばと思う。少しでも、愛を残さねば。今ここで、愛を持たねば。そして、----その佇まいはとてもささやかながらではあれど----愛によって立つものは、シロッコのように目先の欲望によって立つもの、ガトーのような可也狭い範囲で大義とされる義によって立つものよりも強い。これは宇宙の常識だ。
--睦月型へ��投影
少しナンセンスな説かもしれないが、ここに文章として書かせて欲しい。睦月型は、史実において、性能が凄まじく旧式で不遇だ。短命ではあれど、かの有名な新鋭高性能駆逐艦 島風、あの米軍の精鋭艦隊、航空隊とも互角かそれ以上の戦闘を頻繁に繰り広げた、同じく、新鋭駆逐艦の姉妹達、陽炎型、秋月型、そして、量産型雑木林の艦艇達と比べるのは酷なほど、性能に、開きがある。
それから、その、睦月型以上に旧式の神風型は戦後に生存艦を出しているが、睦月型ではそうはいかなかった。ただ、武勲艦がいるのが救いだ。それでも、彼女達は、帝国海軍から何も武勲と貢献を期待されずに沈んでいった。駆逐艦は、潜水艦他と並ぶ、『菊の御紋』を艦首にいただくことはない消耗品扱いとは言え、それくらいの扱いであった。
そして、----もう一人の睦月型担当絵師さんもそうだと思うのだが----彼女は、自分の立場とイメージを、睦月型の娘達に重ねていたところがあったのではないか?そうして、----彼らだけが痛感する----自分の無力さ、足掻きの報われなさ、哀愁、悲しさに打ちひしがれながら、永遠の眠りについていったのではないだろうか。ですが、あなた方は、決して、底辺でも実力不足でも無かった。
……それなのに、どうして。
--彼女の、金銭面における死に至る病
彼女は、いつも、経済的支援を欲して居た。徐々に、死に向かう頃には「医療費が嵩む嵩む」と言っていて、「このまま、自分は歳を取ったらどうなる?先が思いやられる」と言う感じではあったが、そんな中でも彼女はいつも通りの生活を生きていた。だが、うつ病は甘くない。その日暮らしマインド、ライブ感だけで放埒、無責任、能天気に生きていく精神をうつ病の人たちは保てないし、到底持てない。故に、うつ病は将来を心配し過ぎて世を去る人間を、多く輩出する。その後、それから、しばらくしない内に、彼女は「お金が無い」「お金が無い」と言いながら、自分の意志で死んで行った。
……結局のところ、それはただの『貧困妄想』だったのか?これは、個人情報でもあるし、真相は、闇の中であり、分からない。然し、国際的にも名前が知られ、----至極狭い内であるとは言えど----世間に認められ、名誉ある努力の人、偉大で、栄光を得た絵師であった若く尊い命は永遠に失われた。永遠に。
そして、もう、彼女より前に失踪した絵師さんもそうだった。メリークリスマスツイートの一つ前に、九蓮宝燈を一向聴した、かの人も。
いずれにせよ、これからも、睦月型の新規絵は無い。何か奇跡が起これば別であるが……。
…。
…。
--書き切れなかった分
某動画サイトでの、「とある方の葬式に参列した」と言う報告からしばらく経った後、その故人の跡を追う様に、彼女は世を去った。多分、そのお亡くなりになった方は、彼女の祖父か祖母で、生前、非常に、御世話になったのだろう。似たような状況の方は何人もいる。自らの祖父を看取った後、後憂無く、自ら命を絶って旅立った成年向け漫画家さんも。もしかしたら、彼女もその一人なのかもしれない。
…。
ブアカ絵師界隈が、不倫騒動の末、自ら命を絶った絵師を出したのは記憶に新しいね。ダム絵師界隈で、そう言う最後を迎えた絵師って、相当数居そうだけど、全然話題にならないよね。財団Bが隠蔽工作したのかな(※無いです)?…此れ迄に、100人単位で自らの意志で、旅立ってそうな気がする(※或いは、ブアカ界隈が異常なだけか)。
…。
そして、筆者にも身に覚えがある。
…毒親……、
毒親はその子供の一生を支配する。潜在的に、根本的に、宿命的に。こうして生きている限り、逃れられはしない。…だから、さようなら。
…。
黙れ小僧!お前は分かるのか?三十代目前で、自ら、自分の意志で死を選んだ絵師が私達の推し絵師だ!数々の持病と疾患に苦しんだ末、自死により急逝した末長く愛されるべき絵師だ!もう新作は二度と描かれない!其の自ら死を選んだ絵師を推して来た者達をお前に救えるか!?
…。
常に、私の頭上に、死兆星が自らの存在自体を誇る様に輝きはじめてずいぶん久しいですが、別に心配なさらないでくださいね(※前書きの様な駄文)。
…。
上級まほうつかいプリキュア
キュア賢者
キュア魔界幻士
キュア完徳者
キュア導師
キュア極限流
…。
ガトカスは、割と、初心者向けのヤツだと思います(※逆にコウが中〜上級者向け)。野獣大尉は、初心者〜中級者向け(※扱い易さだけは万人向け)。
…。
拙作の交渉人は、シロカスと同じ上級者向けだモンなぁ(※原作では明らかに中級者向け)。
シロカスと完全同類の、大いなるOも認める紳士では無く、大いなるOもあきれる紳士の時点で、まともな運用を想定して居ないのは(※確定的に明らか)。
…。
交渉人が居ればシロカスは要らないし、シロカスが居れば交渉人は要らないみたいなパワーバランス(※…只単に、其れ位、「キャラ被りしてるだけ。」…とも言う)。
…正直、どっちも『正義の味方面した悪党(※限りなく真の邪悪に近い存在)』だしな…(※何故かシロカスが疎まれ、粗雑に扱われて、対照的に、交渉人は慕われ、丁寧に扱われがちと言う所は正に真逆だけど)。
…。
某無限特殊ルールトーナメントの動画にあった「親戚一同」、「此処のトーナメントの常連は、正月に集まって会食してそう」「俺らの親戚」、「親の顔より見たメンツ」、「もはや実家」、「俺たちの家族」…と言うコメ(※爆笑した)。
…。
拙作内で、シロカス、野獣大尉と仲良しなガトカスは、最早、名誉連邦軍人、名誉ティターンズやん(※畑と田んぼを荒らす鹿が猟師と仲良くして居ると言う愉快な絵面)。名誉ティターンズガトカス(※ 辞 め ろ )。
…。
曼珠沙華風紫陽花(アナベル)と神の侍者風宣教師(パプテマス)。
リリス風モリガンみたいな(※レラ風ナコみたいな)。
…。
もっと生物的で無くて、機械的な性格だったら、調教する手間も省けましたのに(※彼奴等等滅茶苦茶扱い辛い)。…で、拙作に出てるのは調教した結果か?…と言われると……(※遠い目)。
…。
七瀬が紗波音を偽物扱いするのは、ガソダムで言えば、赤いあれがUCの全裸を偽物扱いする様なもの(※其れにしても、fexl公式は無神経だなぁと思う)。
…。
ブルーコスモスですら純粋悪ではないと言うのはややこしい。あれは名もなきナチュラルのコーディネーターに対する怨嗟と悲痛が生み出した存在でもあるから。然し、やってること自体は純粋悪そのものなのでタチ悪い。しかも血のバレンタイン事件の発端はブルーコスモスの構成員らしい(※…其の上、プラントにはプラントでザラ派と其の思想的後継者達が居るので、一体、誰が一番正しいのか?状態になる)。
…。
コーディネーターは、遺伝子組み換え大豆みたいなものだから。遺伝子組み換えを使ってない大豆製品を求める消費者もいれば構わんと言う消費者も居る(※丁度、種製作された時期は、其う言う問題で、皆、荒れて居た)。
…。
あの世界でオーブがやけに狙われる理由も永世中立国でコーディネーターに寛容だからだとか。
まぁ、元々、コーディネーターに対して寛容になっただけで、生体CPU載せたデストロイ差し向けて来る世界だしな()。
…。
種のブルーコスモスは、元々、反コーディネーター主義団体になる前は、自然保護団体であったと言う経緯があって、其う言う背景も種が制作された時代を反映している(※遺伝子組み換え食品を嫌って居たのは、多くは、自然派の消費者だったので)。
ハーフコーディネーターに至っては非遺伝子組み換えとの交雑種だから、随分先進的なアニメだな
…。
※クロスオーバー注意
あれ書いてたら、シロカスは、寧ろ、原作でティターンズの罠に嵌って、銃殺刑か絞首刑にならなかったのが不思議だと思った。
…。
ファンタジーストライクにはガ��ガーと言うロボット作る時計職人上がりの科学者がいて、それが大量生産したロボットを仕掛けて捕まえて処刑台に連れて行った(※ニュータイプはカツ・コバヤシの件見れば分かるけど無機物には反応出来ない ※筈)。ニュータイプの意外な弱点を教えてくれて、ありがとカツ〜〜(※謝々茄子並)。
…。
本当に、無事シロカスを吊るせた展開見たいなぁ(←※書け)。絶対平和になるぞ(※確信)。
…。
あのガイガーを見て、ドゥガチを思い出す読者もいると思う
…。
あの拙作では、シロカスを、オニマルとクインスは、部隊を派遣して迄、絞首刑台から救うので。1stの時点で連邦(無慈悲な強権支配者)vs.公国(連邦を倒す為なら戦法も手段も選ばない独裁軍事政権)だったし、
ティターンズとブルーコスモスでさえ理由があって発生し、純粋な悪では無いと言うのが、非常に機動戦士らしい。
…。
原作ではガイガーは根っからの善玉で、逆に、オニマルとクインスは根っからの悪玉、純粋悪です。割と機動戦士的ですね
…。
大半のフラグストン市民は、現代人で言うと、遺伝子組み換え大豆と非遺伝子組み換え大豆の区別が付かない人達である(※元々、コズミック・イラとは違って、遺伝子云々に興味無いタイプ)。
…。
ブレア御嬢様は、七夕か旧正月の時期に何時もいぢめてる彼奴等の所に押し掛けて来そうだなと思った(※ストシリーズと言うかこfでありそうなノリ)。…最早、彼奴等は、名誉(※…と言うか只の)下僕(※確信)。
…。
ブレア御嬢様と七瀬ちゃんの名誉下僕(※或いは、名誉豚)。
…。
彼奴等がUC勢に逆らえないのは、光線兵器で蒸発されられるか、「やめなさい!」とMSで潰れたフレッシュトマトにされるからだよ(※多分)。
…。
くろろ団長「光学兵器要らねぇ(※近接距離特化)。
交渉人「はぁ????????(※全射程対応バランス型)。
ビゴーくろろ団長仕様案
アークライン 奇襲用。或いは、我道拳と化した波動拳先輩。
クロムバスター 滅多に使ってくれない。
ミサイルパーティー 生命線。何処ぞの富豪とは違い、ケチりながら大切に使うぞ。因みに、に、全方位ミサイルパーティーが理想との事。然し、「それは無理だ」とビゴーも言って居ます。
キャノンパーティー これも生命線。近接戦特化。散弾仕様の時もある。
モビーディックアンカー ロケット機構無し。鎖鎌仕様。低コスト。
サドンインパクト 男ならこれを選べ!!レベルの存在感。実はあんまり団長は使ってくれない。肘撃ち版がある。肘の装甲にある鋼鉄板を攻撃に含めると隙を生じさせぬ二段構えでの肘撃ちが可能。
プラズマギミック ガードキャンセル、リバーサル専用。防御面での使用は度外視されて居る。
Xサンダー Oサンダーでは無い。十字に交差させるように連装砲の如く打つ。弾幕密度を犠牲に弾幕拡散力を保証。
ローラーダッシュ お前は(※某最低野郎達御用達の)ATか。
結論:ビゴー「銃火器光学兵器射程攻守問わずバランス型で、富豪故の豪快な戦法を積極的に取る本来のデュミナスとは違い、全体的に近接射程、銃火器偏重、攻撃特化でケチ臭いと言える(※まるで他人事)。」
どうせ、デュミナスやるなら、航空メガデウスデュオの方が向いてる(※…としか思えない位に噛み合わせが悪い)。
…。
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リスクを恐れず挑戦する者たちが集うバー「Lisktaker」において、28歳の佐藤美咲が予期せぬ入会試験を受け、リスクテイクをテーマに語り合う常連たちと出会います。彼らは転職、起業、海外経験など、リスクを取ることで得た成長や未来へのビジョンを共有。美咲もその姿勢に感化され、自分も挑戦してみようと決意します。日本社会の未来を変えるリスクスキ族が、今、新たな波を起こそうとしています。
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2 0 2 2 . 6 . 1 0
ブログを始めることにした
きっかけは とある人との文通
「文通しませんか?」
もともと人と連絡を取ることが苦手で 既読や未読のない世界で生きたいと思っていた私にとって その一言は衝撃で新鮮でときめきが止まらなかった
日頃 お祝いやお礼などで一方的に手紙を渡すことはあるけれど やりとりをするのはおそらく中学生以来
大人になると紙の素材やペンの太さ 縦書きにするか横書きにするか...など拘れるポイントがたくさんあって考えるだけでわくわくする
会ったことのない人との文通
始める前は何を書けばいいのか...とあれこれ考えていたけれど 「はじめまして」 と一言目を書くと そこから一切迷うことはなく 止まらない筆
どこかで区切りをつけないと永遠に書けてしまいそうだった
普段私は人と会話するとき ゆっくり考えながら話す上に 「あの一言余計だったかな」 「こんなふうに返せばよかったかな」 と不完全燃焼になってしまうことが多い
それが文章となると書きながら伝えたいことがまとまって するすると書き進められるから不思議だった
シンプルに 「たのしい!!!」 と思った。
私は去年 環境を変えたいと思い立ち 5年間住んだ大阪を離れ東京に引っ越した
5月で丸一年が経ち 環境にも仕事にも慣れて変わり映えのない日々に少し退屈していた
"何か新しいことを始めたい"
漠然とした思いはずっとあったものの時間やタイミングを言い訳にして何も踏み出せていなかった
そんな自分に嫌気が差していた
つい先日 久しぶりに関西に帰省することに
前職で一緒にお仕事をさせてもらっていたmaiiちゃんにふと会いたいと思いお誘いさせてもらった
京都の静かな住宅街にひっそりと佇む"woven"というお店でアイスコーヒーを飲みながら近況報告
ひょんなことから数字の話になり"運命数"というものを教えてもらった
生年月日を分解し 1桁になるまで足し合わせると その数字で自分の宿命が分かるという
私の運命数は6 偶然にもmaiiちゃんと同じ
6の宿命は 「人と人を繋ぐこと」 「発信すること」 だそう
どちらも自分には向いていないと思うようなこと...でも文章を書く楽しさに気づいたことを話していたらmaiiちゃんから
「ブログを始めて何か発信してみたら?」
と一言
一瞬ためらったけれど気づけば翌日にはブログに登録していた
思い返してみると
「ねずちゃんの文章は情景が浮かぶ」
「くすっと笑える文章書くよなぁ」
「ねずのおすすめをまとめた本があったら読みたい」
と周りの人から言ってもらうことが時々ある
小学生の頃 自分で一から作ったフィクションの物語が賞を獲り 新聞に掲載されたことも思い出した
今思うと 昔から書くことは得意な方だったのかもしれない
正直 公の場で自分のことを書いたり何かを発信することは消えてしまいたいくらい恥ずかしいし自信がない
語彙力も表現力も乏しい
自己肯定感が海底レベルの私にはなかなかにハードルが高い(ネガティブ要素ばかり並べすぎ、こういう���こ)
でも直感でやってみたいと思い 殻を破った
すでに書きたいことがめちゃくちゃある
これから 何気ない日常や普段私が考えていることをゆるりと綴れたらな...と
文章だけではなく自分で撮った写真も添えて
大した展開のない売れない短編小説だと思って ふっと肩の力を抜いて読んでいただけたら
ブログの名前は"tsudzuri"
漢字で書くと"綴"
"綴る"という言葉には 「詩や文章をつくる」 という意味の他に 「つなぐ、つなぎ合わせる」 という意味がある
上に書いた 「人と人(もの・こと)を繋ぐ」 ようなことが文章を書くことで起こるといいなという思いを込めた
文字のカーブは 書き出すと止まらなくなる躍動感を表したつもり
私の性格上 「こんなん誰が興味あるんやろう...」 「鼻で笑われるんやろうな」とかぐるぐると考えすぎてしまうけれど ここまで読んでくれた人がいたならすごく嬉しい
私のことを知る人でも知らない人でも あたたかく見守ってください
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2024/8/11
「旅の話 その4(富岡製糸場)」
東京から足を延ばし、以前から訪れてみたかった「富岡製糸場」へ。
HP→https://www.tomioka-silk.jp/_tomioka-silk-mill/
明治初期、国を挙げての生糸生産のために作られた本格的な生糸工場。1872年(明治5年)のスタートから操業を終える1987年(昭和62年)まで、100年以上の歴史が詰まった奥深い場所です。兼ねてより古い建物と近代史に興味津々の私みたいな者にはぴったり◎2014年には世界遺産に登録されました。
まずは群馬県の高崎駅から上信電鉄で約40分。富岡製糸場に行く人は「入場券付き往復割引券」なるものをゲットできます。
なんと自動改札機がなく、駅員さんがハサミで切符の端っこをチャキンと切ってくれました(↑画像1番下・左)。30年以上ぶりの体験で一気にノスタルジーの世界へ。
近づくにつれてだんだん乗客もまばらになり、座席シートのオレンジが外の風景に映えてくるのが良い。
・
富岡駅からは徒歩10分ほどで到着。
平日の朝イチだったので混雑もなくゆったり。せっかくなのでガイドツアーにも参加してみました。
総レンガによる素朴な建物がまずはメイン。繭の保管場所や繰糸工場だった場所で、内部も見学できます。
興味深かったのは、フランス人の指導者が設計したというそのレンガ造り。当時レンガ職人は日本にいなかったため、方々から集まった'瓦職人'の手によって作られたらしい。焼くのも積むのも初めての人たちがこれだけのものを作るとはすごい。ただし近年のレンガのような整然としたものはなく、よく見るとちょっと歪んでるんですね。本当に人の手がひとつひとつ積み上げたのがよく分かります。それでもびくともせず、150年経った今でも佇まいは美しい。
繰糸工場の中にあるのは(画像7段目・右)最後に使われた昭和の機械とのこと。繭から糸を繰り出すためのものだそう。ここも明治期には数百人の女工さんが並び、もちろん作業も手で行っていました。色々と圧倒されます。
その他、敷地内には宿舎や社宅だった場所もあり、ガイドさんが丁寧に解説してくれました。ちなみにガイドさん侮��なかれ。70代ぐらいの女性で地元のボランティアの方かな?というゆるい雰囲気でしたが、始まってみるとすごく分かりやすく面白く、私たちの方を向いて後ろ向きに歩きながら建物ひとつひとつを説明していく姿がかっこよすぎました。参加者の質問も全て拾って答えてくれる素晴らしい方でした。皆さまも行かれた時にはぜひ。
生糸生産が国の産業として発展し、衰退していくまでの100年と少し。長いとみるか短いとみるか。どちらにしても、国を大きくしようと皆で頑張っていた時代があったのだと思うと、とても濃い。
これからの100年は何が消えて何が残るだろうか。新紙幣も今回が最後かと言われていますから、時代の流れには逆らえないものもあるでしょう。
興味深く生きていたいと思います。
・
帰りの電車は地元の学生たちでいっぱいの中、ずっと景色を見ながら車窓にへばりつきました。
高崎駅の改札口で切符は回収されるものと思っていたら、「持ってていいですよ」と駅員さんに言われてなんだか今日イチで嬉しく、2か所カットされた切符は今部屋の本棚に飾ってあります。笑
今回の旅は思い出すともう1ヶ月以上前の出来事。まだ梅雨入り前でお天気にも恵まれ、仕事の合間で余裕もあり、体調も良く、行きたかった場所にも行けて、電車や新幹線の乗り継ぎもばっちり。全てが奇跡のようなタイミングでした。そうそう巡ってこない貴重な時間となりました。
感謝して、また秋からの日々に還元していけたらと思います。
最後まで読んでくださった皆さま有難うございました。
(完)
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【夏山日記 その1】
車中、仮眠を経て、AM3:45起床。暗い中、さっそく片付けと支度を始めた矢先、予期せず雨が降り出して焦った。しょっぱな難儀する。どうにか軽く朝食をとり、小雨の中、桂小場登山口へ。着く頃には何とかやんでくれた。今回登るのは、中央アルプスの主峰、木曽駒ヶ岳(標高2,956m)。
駒ヶ根には千畳敷(標高2,611m)まで7分半で行けるスゴい観光ロープウェイがあり、そこからほんの2時間ほどのルートで登頂する登山者が多いが、このたびは敢えてクラシックルートを取った。ロープウェイ以前の古い時代から歩かれていた、伊那の桂小場からの道。登りは情報によると片道7時間。とはいえ、こちらも根強い人気ルートらしく、登山口Pには、全国津々浦々ナンバーの車がそこそことまっていた。
AM5:15入山。雨あがり、時折日のさす緑の森の道を、一歩一歩行く。湿度が高く、汗が吹き出す。山2泊分のザックは重く、急坂も多く、息が切れる。30分に一度は休憩しながら行く。途中、ぶどうの泉と呼ばれるおいしい清水で喉を潤し、木曽へ続く古い峠の馬返し、昭和の落雷事故の石碑、薄暗い小さな避難小屋などをやり過ごしつつ、きつい胸突八丁をへて森林限界。分水嶺にでたのはAM11:00。天気は不安定で、風が強く、ガス(霧)が渦巻き、見通しはあまり良くない。そこからひと歩きして、西駒山荘という赤いきれいな山小屋に着く。ほど近くには天命水という豊かな湧き水。ちょうど晴れてきたので、そこでお昼休憩。冷たくて美味しい水と、コンビニの塩むすびと、自家製梅干し。空腹と筋肉疲労と汗だくの身体に染みる。旨すぎた。 西駒山荘は、大正4年に建てられた歴史ある山小屋らしい。行きは気楽に見るだけだったけども、帰りはこの石室に助けられることになる。
そこから先は稜線(吹きっさらし)の道。右は木曽谷、左は伊那谷。遠くの山頂部はガスで覆われ、見えそうで見えない、晴れ曇り、木曽側からの強風に吹かれながら、足場の悪い険しい岩場とハイマツの道を、必死に歩き歩く。途中、大正2年8月に起きた学校登山の遭難事故現場(校長と生徒11名が暴風雨の中亡くなった)を通る。大きな自然石に文字が彫られており(「聖職の碑」)、稜線上で不思議な異彩を放っていた。時折下山してくる人々とすれ違う。 テント泊地、駒ヶ岳頂上山荘キャンプ場に着いたのは14:00少し前。夏山の午後は荒天になりやすいので、遅くとも13:00目標だったのだけど、結局休憩も含めて9時間ほどかかっていた。。
テント場はほどよく賑わっている。ソロの人も多い。食べたり、本を読んだり、コーヒーを飲んだり、横になったり、ぼんやり佇んだり、めいめいに、静かに過ごしている。晴れ間はあるものの、依然、ガスで周りの山嶺は見えない。 初日でへとへと。木曽駒ヶ岳、甘くない。どうにかテントを張り、アルファ米のドライカレーと即席スープを作って、山小屋で買ったビールで早い夕食。これがまた、身体に染みる。お隣りのテントは、おじいちゃんと孫(10歳くらいの男の子)。時折聞こえてくる二人の会話にほっこりしつつ、明日はまた早いので(というか疲労で自然に)、日没と共に就寝。
つづく
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2024.7.18
女の細長い指が自らの足を這うのを眺めていた。つややかな黒髪が女の痩せた肩口で溜まって、部屋の灯りを反射して光る。わたしの小作りな足の爪が、女の手で鮮烈に赤く塗られていく。彼女とは同い年なのだけれど、あまりに体の造作が違うものだから、我ながらなにか倒錯的な感じがする。
「塗ってみるとなんか、ちがうかも。」
「そお?」
女は俯けていた顔を上げる。ややするどい、きつめな眼差しがやさしげに細められている。これが彼女の好きな女に向ける表情なのだと毎度のように思う。この手の表情のつくりかたをする女ばかり好きになる。わたしには不相応だと感じる。不相応でもほしいものはほしいわけだから、しかたのないことだ。
「じゃあ塗り直すね。何色がいい?」
彼女はきれいに並べられたマニキュアの瓶を指でなぞる。わたしに似合うと思う色。そう答えると、彼女は悩ましげに首を傾げた。
「なんでも似合うもの。困るなあ、……やっぱり、ピンク?」
「じゃあそれで、お願い。」
彼女はわたしの爪を一本一本ていねいにコットンで拭う。彼女の指先はすこし荒れていて、除光液はしみるだろうに眉ひとつしかめない。痩せぎすの体にふさわしい、ひょろりと長い指をした薄い手だ。わたしの力でも折れてしまいそうだと思う。じっさい彼女は、わたしが彼女を害そうとしてもいっさい抵抗をしないだろう。
夜更けのココアにはラム酒を入れるのが好きだ。金色の液体がとろとろとマグカップに注がれるさまが良い。やけどするくらい熱くて、どろどろに濃いココアでなくてはいけない。彼女は明日も早いのに、わたしに付き合って同じものを口にする。
「ありがとう。寝たっていいのに。」
「すなちゃんと過ごす時間が一日で一番大事なの。」
彼女の目が愛しそうに、困ったようにわたしを映す。もちろん嬉しいのだけれど、わたしの小さな、薄っぺらな身には余るわけだ。
「わたし、明日は遅いよ。」
彼女の両の手が、大切そうにマグカップを包んでいる。細く乾いた、節の目立つ彼女の手は、わたしのそれよりは大きいわけだけれど、あまりに華奢なものだから、大きさを感じさせない。疲れた頼りなげな手だ。
「知ってる。待ってるね。」
薄い唇が弓なりに引き伸ばされる。彼女の痛ましい笑顔がわたしはすこ��苦手だ。下がった眉はやさしげなのにわたしを責めているみたいだと思う。弱さの不用意な露出というのは、一種の攻撃だ。彼女はわたしを相手にしているから見せている弱みなのだろうけれど。こっそりと溜息をついた。
わたしの傾向として、健気で愛らしくて、むき身で生きていそうな人を好きになるけれど、わたしとおなじくらいにずるくてだめな人でないと疲弊するということを、それなりに昔から自覚している。
とはいえままならないのが恋である。
マグカップのなかみを飲み干す彼女の華奢な喉仏がうごくのを眺めていた。あとで首でも絞めてやろうと思った。
半地下の薄暗いカフェバーがいまのわたしの職場である。店内にはコーヒーと煙草の匂いがしみついて、はいるたびいくつか歳をとったような気分になる。嫌いな匂いというわけではないのだけれど、不特定多数の副流煙を浴びるというのはけっして気持ちのいいことではない。髪をきっちりと括って、制服のエプロンの紐を縛った。そう賑わっているわけでもなく、常通り暇な夜だった。暇な夜はねむたくて、彼女のことを少しだけ考える。
わたしが仕事を終えて帰るのは4時ごろになるけれど、ちゃんと眠れているだろうか。電気もつけずに暗い部屋で、じいっとその充血した目だけひからせて、ひたすらに佇んでいるのだろうか。2時間ほどの浅い眠りの果てに、音をたてないようにひっそりと部屋を出ていくのだろうか。インスタントコーヒーの湯気に、疲労のにじむ深い溜息を隠すのだろうか。
なぜだか今すぐ彼女に会いたいと思った。
「このケーキ、もし余ったら持って帰ってもいいですか。」
チェリーパイを指し示して言う。そもそもケーキは夜中にそんなに出るものではないし、消費期限に問題がないからというのと、店の華として昼過ぎから出しっぱなしにされているだけだ。
「ああもちろん、そうしたら、佐弓さんのぶん、もうとっておいていいよ。ほかにほしいのあったらとっていいし。」
店長は柔和なほほえみを浮かべた。これで経営をやっていけるものかと思うほどに、ひとの好さそうに穏やかなひとだ。まなじりのしわが照明をうけてじっさい以上に深くみえる。
「夜にあんまり食べると肥っちゃうので……、一緒に住んでる子のぶんもふたつ、頂いてきます。」
パイのそばに添えられたケーキサーバーをつかんで、二切れをテイクアウト用のプラスティックの容器に載せた。裏の冷蔵庫にはこぶ。彼女の好物が余っていてよかったと思った。わたしが特段好きだというわけではないのだけれど、彼女は一緒にとかおそろいとか、そういったことに特別の意味を見出す性質の女だから、気まぐれにすこしでも喜ばせてやろうと思ったのだ。わたしとしては、この店でいちばん美味いのは一切れですっかり酔っ払えてしまうくらいに甘く重たいサバランだと思っている。そのことは彼女も知っている。
常通りの退屈な勤務を終えて、エプロンの紐をほどいた。夜道を歩くのは好きだ。人間じゃない、なにかべつのいきものになったような心地がする。地上でそう感じるということは、かつてわたしがそうであったそれとは確実に違うなにかだろう。酔っぱらいの喧騒を聞きながら、踊るような足をそうっと踏み出して静かに歩いた。涼しい風のなかでアスファルトがやわらかい心地すらした。
鍵穴に鍵をさし入れると、すぐに室内から足音がきこえた。鍵を回す。立て付けの悪いドアは、いつも怒っているのかと思うくらい乱暴な音を立てて開く。暗い玄関に、彼女の白い細面が浮かび上がる。
「おかえり。」
「寝ていていいのに。」
「うん、少し眠っていたみたいで、鍵の音で起きたの。」
よく見れば彼女の唇の端にはわずかに涎のあとがある。髪は無防備に乱れていて、帰って服を脱いだままらしく下着しか身につけていない。骨の構造が一目で窺えるくらいに薄っぺらな胸元があらわだ。
「……ちゃんとベッドで寝てていいのに。」
うん。彼女は童女じみて肯いた。夢の残滓として寝ぼけた口調ながらにうれしそうで、わたしは彼女を少し憐れんだ。こんな女が帰ってきて喜ぶなんて。……いや、好きな相手が自分のもとに帰ってきたら嬉しいし、好きな女の「好きな相手」であることも嬉しいことであるはずだ。
彼女に抱きしめられて、そして居室にはいる。満ち足りている。狭く薄暗い部屋は、かすかにバニラの匂いがする。好きなはずだ。愛おしいとは、思う。
「ケーキもらってきたよ。食べる?」
ケトルのスイッチをいれながら訊く。首肯する彼女を横目に紅茶の缶を覗くと、茶葉はもう���っていなかった。しかたなしにインスタントコーヒーを取り出す。
「牛乳?」
「すなちゃんと、おなじの。」
マグカップふたつをコーヒーで満たして、そのかたわれを彼女に渡す。容器をあけて、キッチンの抽斗からフォークを二本取り出す。コーヒーも濃いほうが好きだ。たっぷりの砂糖とミルクを入れるのが好きだけれど、今日は甘いものだからブラックでいい。
プラスティックの容器のままに、二人でチェリーパイをつつく。
「好きなの、覚えててくれたんだ。」
彼女はパイを頬張りながら、嬉しそうに笑みを浮かべる。笑い慣れていないことがよくわかる、いかにも不器用な笑顔である。彼女は一方的にわたしを好いていると思っている節がある。それならば、それでいいけれど。彼女がどう思うかだなんて、わたしにどうすることができるものでもないから、彼女がいいなら、もう、いい。
「もちろん。」
一緒にシャワーを浴びる。すこし痩せたかと思う。言及はしない。疲れているのはわかりきっている。彼女はねむたげに、しかし優しい手つきでわたしの髪を乾かす。わたしもというと、今日はめずらしく受け入れた。彼女の髪を撫でると、細く乾いたそれがわたしに絡みつくみたいだった。ドライヤーは重たくて好きじゃない。
床に就く。空が白みはじめるころ、彼女にかたく抱きしめられて目が覚めた。閉じられた瞼の下、彼女の瞳はなにも映さずに、ただ眉根が悲しそうに顰められている。
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詩集『Commons』
詩集『Commons』収録作品
1.「戦争しか知らない」 2.「愛なき世代に薔薇の花を」 3.「青春とロコモティブ・シンドローム」 4.「商店街の純喫茶」 5.「広場、それは私の……」 6.「女は微笑むために生きてるんじゃない」 7.「もうすぐ朝は来るだろう」 8.「いくつになってもマイ・フレンド」 9.「断絶の季節」 10.「失墜」 11.「しぼんでいくこの風船で」 12.「自由になろうよ」
1.「戦争しか知らない」
僕は戦争の最中にここで生まれた 僕は戦争のない日々を未だ知らない 大人なら戦争を止められると信じていた 世界は味方してくれると信じていた
でも欧米から遠く離れたこの国に 振り向く人など誰もいない
愛せるものもなく 信じられる人もなく 生と死の狭間を彷徨い 明日が来ることすら 運命に委ねてた
もはや痛みも感じない 昨日も友達が死んだ
いつか大きくなったら銃を取り 憎き兵士に鉛を叩き込んでやると 幼い僕は無邪気に思ってた
でもいざ戦場で相手兵士の顔を見た時 同じ時代を生きる者同士だと気付いた
誰かの思惑で 何も説明されず 生と死の狭間を彷徨い イデオロギーの違いに 正義を委ねてた
もはや痛みも感じない さっきも友達が死んだ
何年待てば戦争は終わりますか? 僕は戦争のために生まれてきたのですか?
地獄のような日常の中 さすらい続けるのは 空っぽになった良心たち
愛せるものもなく 信じられる人もなく 生と死の狭間を彷徨い 明日が来ることすら 運命に委ねてた
誰かの思惑で 何も説明されず 生と死の狭間を彷徨い イデオロギーの違いに 正義を委ねてた
もはや痛みも感じない 毎日仲間が死ぬ 僕は今日もここで 死を待つ
2.「愛なき世代に薔薇の花を」
レイトショーに微睡み ベランダで佇む恋人 僕たちは星空を見つめつつ 愛をたしかめた
いつしか白髪も増え 日々に燃えなくなった おじさんと馬鹿にされても 何も感じなくなった
愛なき人と呼ばれても 薔薇の花さえあれば 愛なき世代と呼ばれても 薔薇の花さえあれば
いっそ殺してしまえと祈った日 僕はあえて憂鬱を殺してみた
おそらく若い頃は夢を見て 王国でも作ろうとした カブトムシにすらなれないのに 虹を見つめていた
さりげなく大人になり 大仰に歳をとった 会社では役職持ち 部下に媚びを売られる日々
愛なき人と呼ばれても 薔薇の翼さえあれば 愛なき世代と呼ばれても 薔薇の翼さえあれば
いっそ散ってしまえと祈った日 僕はあえて羨望を殺してみた
あんなに泣き虫だったのに もう泣けなくなった レイトショーにはチェコ語の文字 隣で微睡むのは借り物の恋人
愛なき人と呼ばれても 薔薇の翼さえあれば 愛なき世代と呼ばれても 薔薇の翼さえあれば
薔薇があれば生きていける 薔薇があれば生きていける
愛なき時代に生まれても 薔薇の花さえあれば 僕だって生きていける レイトショーは続く 月光に照らされながら永遠に この先も続くだろう
3.「青春とロコモティブ・シンドローム」
十年前の僕は空も飛べる気がした 手を伸ばせば宇宙にだって行ける気がした 僕はいつしか夢を見なくなり 君もいつの間にか大人になったね
数えきれないほどの出逢いと別れを重ねて 青春時代にたしかなピリオドを打つ
ある日突然身体が動かなくなり 新しいことを始める勇気が出ない 僕は必死に今を生きようとするけど 心が何かを無性に止めようとしてるんだ
感覚だけで生きられる そんな季節は過ぎ去った
十年後の僕は何をしてるんだろう 恋も友達も夢もどこへ行ってしまったの? やりたいことがやりたくないことに忙殺され 誰かの意図のままに動く僕が生まれた
いつか見た花は芽が出ずに枯れた 青春時代よ僕に何を伝えたのか
あの日突然身体が動かなくなり すべては幻の中へ溶けていく 僕は必死に今を生きようとするけど かつてのように出来はしない
純情だけで生きられる そんな時代は過ぎ去った
涙が今日も止まらない 何故だかよくわからないけど 心を覆うガーゼは夢を目指した墓標
ある日突然身体が動かなくなり 新しいことを始める勇気が出ない 僕は必死に今を生きようとするけど 心が何かを無性に止めようとしてるんだ
感覚だけで生きられる そんな季節は過ぎ去った
心と身体とシンドローム なりたい自分になるために がむしゃらになれた…… そんな時代は過ぎ去った 僕は花を咲かせられなかった
4.「商店街の純喫茶」
君と僕 ふたりで飲むクリームソーダ 昼下がり 逢いたくなるのは恋じゃない もう何年 続いたのかこの関係 逢えなくなる そう決まって動き出す
遠距離恋愛 幼馴染 不似合いな言葉が 煙草に溶けてく
君と僕 ふたりで飲む��ィンナーコーヒー 夕暮れ時 淋しくなるのは夢じゃない もう何度 憂いたのかこの関係 逢いたくなる そう思って呼び出した
蒼穹の彼方へ 時は行く 君の隣に別の男 想像もしたくない
あの頃僕らは若かった いつか見た夢が 煙草に溶けてく 時は流れた
遠距離恋愛 幼馴染 不似合いな言葉が 煙草に溶けてく 埃混じりの便箋 交わす文字 涙に溢れた 青年の日々よ いつかわかるさ……
5.「広場、それは私の……」
街の片隅の広場には さまざまな風が集まる 散らばったり集まったり 繰り返す星のように
私もここに行くたび いくつか時は重ねても 泣いたり笑ったり 変わらぬ声の響きよ
広場、それは私の…… 広場、それは私の……
いつか土に還っても思い出す まだ見ぬ未来を集めた場所 広場、それは私の……
街の片隅にある広場が もうすぐ月になるらしい 守られたり壊されたり 時の調べの中で
虹を追いかけた頃 正解なんてなくても 話したり話さなかったり なんとなく楽しかった
広場、それは私の…… 広場、それは私の……
かつてここにあったと語り継ぐ まだ見ぬ未来を集めた場所…… 広場、それは私の……
名もなき恋の始まり 語り継がれぬ友情よ 穏やかな家族の団欒 政治やデモクラシー
すべてはここから紡がれ いつか魂を結ぶ
広場、それは私の…… 広場、それは私たちの……
子どもから大人まで 人から石まで すべてが集う場所
広場、それは私の…… 広場、それは私の……
時を繋ぐ場所 忘れないで 失くさないで 広場、そこは私の……
6.「女は微笑むために生きてるんじゃない」
蝋燭を吹き消そうとして 消せなかった まるで恋愛のように 私を憎みたくなる
華やかな夜と穏やかな朝 仮に人形だって もっと上手く生きられるはずだ
何度泣いたのだろう 何度笑ったのだろう 作られた感情の先に 繰り越された本音の傷
女は微笑むために生きてるわけじゃない 偽物の愛に照らされて澱んだ光よ 女は微笑むために生きてるわけじゃない 最期に残したいのはこれ以上ない影
あなたを殺そうとして 殺さなかった ナイフの刺さった痕から 碧い血が流れる
笑う男と哀しむ女 仮にロボットだって もっと賢く犯れるはずさ
何度怒ったのだろう 何度誓ったのだろう 踏み躙られた日々の先に 作り込まれた私の愛
女は微笑むために生きてるわけじゃない すべては周りに穢された果ての叫びだ 女は微笑むために生きてるわけじゃない ほんとうは優しくありたかっただけ
さよならを言う前に……
女は微笑むために生きてるわけじゃない 太陽が昇る前の約束のポリフォニー 女は微笑むために生きてるわけじゃない 月が沈む前の運命のモノフォニー
女は微笑むために生きてるわけじゃない 偽物の愛に照らされて澱んだ光よ 女は微笑むために生きてるわけじゃない 最期に残したいのはこれ以上ない影
さよならを言う前に…… 女は微笑むために生きてるんじゃない
7.「もうすぐ朝は来るだろう」
淋しさと棲んできた 愛しさも喜びも抱きしめて いつか実れと祈ってた 幸せの果実よ
ただ夜明けを待つだけじゃ 何も始まらなかった もう歩み出そうとしたって すべて遅すぎるんだ
踏み出せなかった後悔と 変わらぬ平穏の海で 僕は舟を漕ぐ
恋愛がしたかった ぬくもりもつめたさも抱きしめて いつか出逢えると信じてた 運命の人よ
ただ糸を持つだけじゃ 何も生まれなかった もうやり直そうとしたって やり直せはしないんだ
過ぎ去りし日々への懺悔と 決められた宿命の海で 僕は舟を漕ぐ
遠くに太陽が見える もうすぐ来るのか 何度願ったのだろう?
一瞬のうちに沈んでいく 運命という名の儚さよ 何度祈ったのだろう?
それでも変わろうと 僕はこの舟を漕ぐ それでも生きようと 僕は運命に誓う
変わらなくても やり直せなくても 僕が僕であるために この舟を漕ぎ出す
もうすぐ朝は来るだろう いつか僕は夢を見た 朝は来るだろう
8.「いくつになってもマイ・フレンド」
足腰も弱り言葉も出ない そんな時代になっても 僕たちはマイ・フレンド
放課後の教室で語り合う そんな時代からの 僕たちはマイ・フレンド
すれ違うアベック 走るスポーツマン 夕焼けに照らされて すべてが思い出になる
十年経っても百年経っても 僕たちはマイ・フレンド もう迷わない 何処へだって行けるさ
仕事は残業 夫婦は倦怠期 こんな暮らしになっても 僕たちはマイ・フレンド
何したって変わらないさ こんな口癖になっても 僕たちはマイ・フレンド
走り出せ群青 いなくなれ憂鬱 夕焼けに口笛吹けば すべて無かったことに ……できないか
十年経っても百年経っても 僕たちはマイ・フレンド もう迷わない 何処へだって行けるさ だいじょうぶ
「あの頃は若かった」 そうじゃないだろ? まだ跳べるだろ?
十年経っても百年経っても 僕たちはマイ・フレンド もう迷わない 何処へだって行けるさ だいじょうぶ
いくつになっても腰が曲がっても 僕たちはマイ・フレンド 夢だって見るし 無茶だってするのだ
だいじょうぶだ 僕たちは大人だもの 生きてりゃ
9.「断絶の季節」
大人になったら楽になると思っていました いつかの若かった私にもう戻れません 春も夏も秋冬も繰り返すうちに 何も感じなくなった私がいました
たった一日の違いなのに なぜ私は大人を演じなきゃいけないんでしょう 答えを探しても見つかりはしない 現実という名の虚構の中で
断絶した季節を重ねた人は 人が人でなくなると嘆いています でも自覚的にそれを言葉にできない人は なんて幸せなんだと私は思います
幸せの価値など決められないのに どうして他人を決めつけてしまうんでしょう 人生の意味などわからないのに どうして上下をつけようとするんでしょう
自然体で生きているという人がもしいたら 私は自然って何かと疑ってしまいます それを無意識にしてしまうその事自体が 何て嫌な奴なんだろうと私を嫌いになるのです
断絶した心を持った人は 大切な何かを吐き捨ててしまったのです 痛みも憎しみも優しさも忘れて 自分だけの空間で生きているのです
安らぎや激しさの先に 猛烈な時代が過ぎ去っていくのなら 私はいつ楽になるのでしょう 一生このまま働くのでしょうか
断絶した季節を重ねた人は 人が人でなくなると嘆いています でも自覚的にそれを言葉にできない人は なんて幸せなんだと私は思います
愛とは何かを語らった時代よ 夢をふたりで無邪気に見つめた季節よ すべては断絶の中へ消え去り 時の魔法はいつしか解けました
断絶した心を持った人は 大切な何かを吐き捨ててしまったのです 痛みも憎しみも優しさも忘れて 自分だけの空間で生きているのです
死ぬこともできず 生きることもできない そんな臆病者として 私は明日も生きていくのです
10.「失墜」
クラスで一番人気の男子が学校に来なくなった 最初は噂になったけど今や話題にもならない どんな人も数日で忘れられていく 記憶の怖さを思い知ったんだ
記者会見で疑惑を否定した政治家が逮捕された 大臣にまで登り詰めた人だったけれど 裏金と虚飾に浮かれるうちに 人相すらも変わっていた
どんな人さえも どんな事さえも どんな権力に登り詰めても どんな利益を得られても
人は一夜で失墜する まるでコインの裏表のように 人は一夜で染まってしまう まるでカルトの教示のように
誰もが私は普通なんだと 心の中では信じている
ふたり並び立つ存在と称されたアイドルも 数年後にはそれぞれ別の道を行く ひとりは圧倒的なカリスマと呼ばれ もうひとりは「あの人は今」と囁かれる
有る事無い事書き立てる週刊誌 あんなもの無くなってしまえばいいのに 善意仕立てのプロパガンダ マスメディアは社会を侵略するウイルス
どんな恋さえも どんな愛さえも どんな至高の夢さえも どんな上向きな会社も どんな主張も どんな義務を押し付けられても
人は一夜で変身する まるでコブラの猛毒のように 人は一夜で塗り潰される まるでペンキを浴びたように
誰もが私は世界の中心だと 心の中では信じている
登りゆく太陽があるのなら 沈みかけの斜陽もあるだろう もし私が月というのなら 光だという人もいるはずさ
人は一夜で失墜する まるでコインの裏表のように 人は一夜で染まってしまう まるでカルトの教示のように
誰もが私は普通なんだと 心の中では信じている
宇宙が始まるその時に 運命が決められたといえるなら 昇華も失墜も誰かの書いた筋書き 私たちの普通も誰かに造られた偽物
誰もが私は世界の中心だと 心の中では信じている
11.「しぼんでいくこの風船で」
幼い頃から通い詰めた遊園地が 来週の日曜日で閉園するらしい ここ数年は人もまばらだったけど 久々に訪れてみると人の花が咲く
しぼんでいく風船を 人は膨らませて 明日は誰が創るのか 遺された人たちへ繋ぐ今日
ピエロとぬいぐるみたちが最後に舞い踊る 思い出をみんな語り合いながら どこか淋しげで もう少し君も僕も行ってたら こんなエンディングも あと少し先になったかな?
観覧車もジェットコースターも この後はどこへ行く? 数年後にはここは公園になるらしい こうして街は生まれ変わる
しぼんでいく風船で みんな生きている 最初に君と出逢った日 人はまだ沢山いたよ
陽が沈んだ後にセレモニーは始まる ひと時のサヨナラと また逢う日までの約束 でも皆気づいてる「もう逢えない」って ただ見つめたいんだ 今よりちょっといい未来を
映画の世界をそっくりそのまま 始まった頃の君は今と違っていた いつしかここはいろんな色が交わり そして去りゆく季節の先に 何処にでもある日常が流れていく
もう少し僕がここに行ってたら こんなエンディングも あと少し先になったかな?
次の日に僕は遊園地を訪れた 昨日の狂騒はまるで嘘みたく 他と変わらない空気に覆われてた 遊園地は人と時を繋ぐ場所 思い出の栞にたしかに刻まれている
しぼんでいくこの風船で僕らは いくつかのおはようとサヨナラを…… ダンスは続いていく そして愛を遺して新たな夢を携え 生まれ変わる
12.「自由になろうよ」
私がまだ制服を着ていた頃 貴方には出逢ってなかった クラスの輪にも入れず なんでもない日々をやり過ごしていた
そんなある日ふと入った公園で ギターを爪弾く青年がいた 私は思わず声をかけて ふたりで歌った「花はどこへ行った?」
たとえば貴方が白ヘルを被り あの連中と入り浸っていたとしても 私が貴方を好きでいる限り なかったことに出来るわ
自由になりたいと願ったのは 世代の声だ��ら 大人に押しつぶされたままで 私は生きていけない
大学がロックアウトされた朝 隣を見ると貴方はいなかった 寝床にあったモーリスを手に取り ひとりで歌った「グァンタナメラ」
たとえば貴方が季節の炎に包まれ 他の女と抱き合っていたとしても 貴方が私を諦めない限り 見なかったことに出来るわ
自由になるために若者が集った この公園を私は見渡し 桜の木に残したイニシャルを そっと指でなぞる
ひとりで歌った「風に吹かれて」 こうして私たち ヒッピー気取りから足を洗う 幸せの終わり
自由を夢見て 自由を愛した 私たちの夏は歴史に残らない
失ったのは恋人の命と私自身の魂 政治と闘争の季節は終わった
たとえば貴方よりも良い人で 誰もが好きになるような魅力があっても 貴方以上に愛せる人は現れないだろう ひとりで歌う「結婚しようよ」
自由になるために若者が集った この公園を私は見渡し 桜の木に残したイニシャルを そっと指でなぞる
Bonus.「いつかまた「おはよう」を言うために」
何もかも思い出になっても 私のこと憶えててくれるかな? いつかまた逢う日まで 風の中に溶けていく
キミのこと忘れないから 私のこと憶えててくれるかな? きっとまた逢える日まで 風の中で見てるからね
はじめてステージに立った日のこと 今も忘れられないドキドキ それでも手を振ってくれるキミがいたから ここまで歩いて来れたんだ 夢を追いかけられたんだ
私たちがたとえ空気になっても 「こんな人がいたな」と時々思い出してね それだけで十分すぎるくらいだけど 出来たら名前も憶えててほしいな
ふたりから始まった旅路で 私たちは変われたのかな? いつかまた逢う日まで それぞれの旅は続くはず
キミが追いかけてくれた日々を 私は青春と呼んでいいかな? きっとまた逢える日まで 絶対に忘れないから
はじめてステージに立った日のこと 今も忘れられないトキメキ 私たちを好きになってくれたキミがいたから こうして大人になれたんだ 夢を追いかけられたんだ
私たちの魔法が解けても キミにかけた魔法は解かさない 仮に私たちを忘れても どこかでキミが幸せにいられますように とっておきのおまじない
アイドルに憧れ アイドルになった アイドルと呼ばれて アイドルを愛した
私たちが愛した日々 夢中になった日々 思うがままに走り続けた 私色の青春
私たちがたとえ空気になっても 「こんな人がいたな」と時々思い出してね それだけで十分すぎるくらいだけど 出来たら名前も憶えててほしいな
私たちの魔法が解けても キミにかけた魔法は解かさない 仮に私たちを忘れても どこかでキミが幸せにいられますように とっておきのおまじない
キミに出逢ってよかった 好きだよ いつまでも
詩集『Commons』Credits
Produced / All Words Written by Yuu Sakaoka(Sakaoka Project)
Co-Authored / Co-Producer: Yurine(「青春とロコモティブ・シンドローム」「いつかまた「おはよう」を言うために」) TORIMOMO(「商店街の純喫茶」) Koharu Takamoto(「断絶の季節」「失墜」) Sakura Ogawa(「しぼんでいくこの風船で」)
Written at Yuu Sakaoka Studio, Mikage House, JR West Japan Series 225 Train, STUDIO U
Respect to ザ・フォーク・クルセダーズとすべての戦争に参加する人々(「戦争しか知らない」) ムーンライダーズ(「愛なき世代に薔薇の花を」「女は微笑むために生きてるんじゃない」「しぼんでいくこの風船で」) ガロと山上路夫(「商店街の純喫茶」) Yellow Magic Orchestra(「広場、それは私の……」) あの頃夢を見た若者たち(「自由になろうよ」)
Designed / Edited by Yuu Sakaoka Photo by YAT(PAKUTASO) Special Thanks to Koharu Takamoto, Yurine, Sakura Ogawa
Dedicated to My Best Friends
Management by SAKAOKA PROJECT
Very very very thanks to my friend, my familly, and all my fan!!
2024.2.7 坂岡 優
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コメント
〈信じられない…多分全漫画家は芦原先生の言い分はわかってた。わかってたよ。悲しい…〉(漫画家・稚野鳥子さんのXより)
日本テレビ系列でドラマ化された「セクシー田中さん」などの作品で知られる漫画家の芦原妃名子(本名・松本律子)さん(50)の突然の死が報じられたのは1月29日夕方のこと。渦中の人気漫画家の訃報は衝撃を与え、SNSでは同業者やファンによる悲しみの言葉が広がっている。
公式HPより
全ての画像を見る(11枚)
1994年にデビュー、ヒット作多数の人気漫画家
社会部記者が話す。
「芦原さんは栃木県日光市の川治ダムで遺体で発見されました。1月28日午後4時頃、関係者が警視庁大崎署に芦原さんの行方不明届を提出。栃木県に行っているとの情報があり、栃木県警と連携して捜索していたところ、29日に遺体を発見した。身分証が見つかり、親族に確認してもらったところ本人と確認。自宅からは遺書が見つかっており、自殺を図ったと見られています。遺書は数行で行方をくらませた理由などが書かれていたそうです」
芦原さんは兵庫県出身。1994年、「別冊少女コミック」(小学館)に掲載された「その話おことわりします」でデビューした。「砂時計」(小学館)は第50回小学館漫画賞少女向け部門を受賞。累計発行部数700万部を超える大ヒット作となり、ドラマ化、映画化もされた。
芦原さんの「砂時計」(DMMブックスより)
2017年から「姉系プチコミック」(小学館)で連載を開始したのが「セクシー田中さん」だ。
「容姿端麗でモテるOLの倉橋朱里は本来の自分を隠して婚活に励み、ジレンマが燻りながらも世間一般の“幸せ”を願っていた。そんなところに地味で引っ込み思案な経理部の独身OL・田中京子と出会う。夜はベリーダンサーという秘密の顔を持つ田中との出会いで互いに新たな一面を見出していく——こうした大人の生き方を描いた物語です」(出版関係者)
主演の木南晴夏(公式HPより)
2023年10月には日本テレビ系列でドラマ化。田中を木南晴夏、倉橋を生見愛瑠が演じた。口コミで「面白い」と広が���、12月10日に放送された第8話のコア視聴率(13歳~49歳)は3.4%を記録し、同日に放映されたTBS日曜劇場「下剋上球児」第9話の3.2%を超えた。
ところが、12月24日に迎えた最終回の放映後に“異変”が発覚する。
「エンドロールで『脚本・相沢友子(第1話~第8話)、芦原妃名子(第9話、最終話)』と記されていたのです。さらに放送当日、脚本家の相沢氏が自身のインスタグラムに〈過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました〉と投稿。一部で『何があったんだ?』と囁かれていました」(ドラマライター)
波紋を読んだ「脚本」のクレジット(公式HPより)
そして今年1月26日、芦原さんは自身のXで脚本をめぐるトラブルを打ち明けた。
〈色々悩んだのですが、今回のドラマ化で、私が9話・10話の脚本を書かざるを得ないと判断するに至った経緯や事情を、小学館とご相談した上で、お伝えする事になりました〉
こう書き出した芦原さんは、3本にわたる長文のポストで、経緯を説明した。
〈改めて時系列にそって事実関係を再確認し、文章の内容も小学館と確認して書いています〉
〈私達は、ドラマの放送が終了するまで、脚本家さんと一度もお会いすることはありませんでしたし、監督さんや演出の方などドラマの制作スタッフの皆様とも、ドラマの内容について直接、お話させていただく機会はありませんでした。ですから、この文章の内容は私達の側で起こった事実ということになります〉
原作の「セクシー田中さん」1巻(DMMブックスより)
芦原さんの一連の投稿によれば、原作漫画は未完で結末も決まっていないことから、ドラマ化にあたっては「必ず漫画に忠実に」、作品の今後に影響を及ぼさないよう「原作者があらすじからセリフまで」を用意すること、「原作者が用意したものは原則変更しないでいただきたい」こと、「ドラマオリジナル部分については、原作者が用意したものを、そのまま脚本化していただける方を想定していただく必要」があること、「場合によっては、原作者が脚本を執筆する可能性もある」ことなどを条件として版元の小学館を通じて日本テレビに求めていたという。
だが、この条件は守られなかったとして、芦原さんはこう綴っていた。
〈毎回、漫画を大きく改編したプロットや脚本が提出されていた〉〈よくある王道の展開に変えられてしまう〉〈個性の強い各キャラクターは原作から大きくかけ離れた別人のようなキャラクターに変更される〉〈粘りに粘って加筆修正し、やっとの思いでほぼ原作通りの1~7話の脚本の完成にこぎつけましたが…〉
第8話から第10話まではドラマオリジナル脚本だったが、当初の条件は守られず、〈大幅に改変した脚本がまとめて提出され〉たという。特に第9話、第10話の脚本はベリーダンスの表現も間違いが多く、小学館を通じ日本テレビには芦原さんからの申し入れが繰り返された。
公式HPより
そして、最終的に第9話と第10話はドラマのプロデューサーの要望を取り入れながら芦原さんが脚本を執筆し、日本テレビと専門家で内容を整えるという解決策となった。
だが、出来上がりに満足がいかなかったとも打ち明けている。
〈素人の私が見よう見まねで書かせて頂いたので、私の力不足が露呈する形となり反省しきりです。漫画『セクシー田中さん』の原稿の〆切とも重なり、相当短い時間で脚本を執筆しなければならない状況となり、推敲を重ねられなかったことも悔いてます〉
〈9話、10話の脚本にご不満をもたれた方もいらっしゃるかと思います。どのような判断がベストだったのか、今も正直正解が分からずにいますが、改めて、心よりお詫び申し上げます〉
行方がわからなくなった28日、芦原さんはXにこう投稿した。
〈攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい〉
そして、一連の経緯を明かした投稿は削除されたのだった。
芦原さんの最後のポスト
ドラマを制作した日本テレビは29日夕方のニュースで芦原さんの訃報を伝えた。それと合わせて、以下のコメントを発表した。
〈芦原妃名子さんの訃報に接し、哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。2023年10月期の日曜ドラマ『セクシー田中さん』につきまして日本テレビは映像化の提案に際し、原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております。本作品の制作にご尽力いただいた芦原さんには感謝しております〉
実はこのコメントに日テレ内部からも疑問の声があがっている。
日テレ関係者が話す。
「亡くなったタイミングで『我々は悪くない』と言わんばかりのコメントを出すのは下劣すぎる。ドラマ制作部の連中が報道フロアに乗り込んできてコソコソと打ち合わせをしていた。幹部がこっそり公式コメントまで用意しており、訃報はプロデューサーやデスクもオンエアまで知らされていなかったのです。フロアでは『えー!』と悲鳴があがっていました」
◆◆◆
都内の閑静な住宅街に佇む集合住宅。外観はコンクリート打ちっぱなしでスタイリッシュなデザインになっており、夜になると共有部の木々がライトアップされる。
芦原さんの仕事場
芦原さんがここに居を構えたのは約12年前のことだ。近隣住民が語る。
「パッチリ二重で実年齢よりも若く見えて綺麗な人でした。気さくで家の中にも一度お邪魔したことがあります。当時、家具はあまり置いてなかったけれど、室内の階段のデザインに凝っていた。芦原さん自身もオシャレでセンスが良いなーって。職業は隠していなくて私が仕事はなにをしているんですか?と聞いたら『漫画家をしているんですよ』と。2012年に芦原さんの『Piece』がドラマ化されたときは有名な漫画家さんなんだと住民みんなで驚きました」
芦原さんの「Piece」(小学館HPより)
しかし、ある異変が起こる。
「数年前、住宅の敷地内で痴漢の被害に遭ったと芦原さんから聞きました。防犯カメラを玄関前に付けたんだけど、『やっぱり怖い』とここを出ていき、別のところに住み始めた。それからはアシスタントさんが出入りする仕事場になりました。芦原さんが来るのは5ヶ月に1回くらいのペースでした」(同前)
この仕事場から約140キロ離れたダムで芦原さんは自ら命を絶ったのだった。
遺された芦原さんのXアカウントには、今この瞬間も追悼のコメントが寄せられている。
◆◆◆
本件について情報を募集しています。文春リークスまで情報をお寄せください。
文春リークス:https://bunshun.jp/list/leaks
◆◆◆
【厚生労働省のサイトで紹介している主な悩み相談窓口】
▼いのちの電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)、0120-783-556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▼こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▼よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120-279-226(24時間対応)
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二次創作
真宵街 @rust1cana
兄を元気づけてやりたいすよ、と 依頼人が言った。
いわく、
兄には一人娘がいたが、最近亡くなってしまった。
娘の声で兄を元気づけてやりたい。
要点としてはこの二つだけの依頼である。
問題は…、と、声色遣いは依頼人の様子を正面からじとり、見つめた。
オドオドと掘り深い目で声色遣いを見据える男は、布の少ない安価な洋服を着ている。痩せて隈の目立つ面立ちをしていた。そして今、妓女もつけずに遊郭の一室を借りている。
「……ただそれだけの依頼にしちゃあ、随分と金をかけてくださるんですね」
声色遣いはこの依頼を受ける気でいたが、なぜかといえば金が弾むからだった。多少のリスクがあろうとも金額の大きな仕事は受ける。しかし、聞く限り今回の依頼に「多少」もリスクもなかった。
不釣り合いに金額ばかり大きい。
「何か保険をかけておくべき事情でも?」
「そりゃあ、うちは大きな家だ、親族は…よそ様に顔向けできないことなどするなと…兄を騙したと知られたらまずい、誰にもだ。こう見えて、うちは結構金がある。兄を騙すことを思えば、安いもんだ」
「は��あ。そいつは失礼。こんな生業をしてるんで、騙しに慣れ過ぎてそれ自体が危ない橋なのを忘れていたようです」
にっこりとそう返した声色遣いに、依頼人は苦笑いを返してきた。
ーーー馬鹿正直に裏事情を話されたら、断ろうと思っていたが。
どうやらちゃんと小狡い依頼人らしい、と理解して、声色遣いは「承りましょう、手付金を先払いで四割」と手を差し出した。
さて依頼自体はいともあっさりと遂行された。
自働電話から依頼人が電話をかけ、何事かボソボソと話したのち、外で待たされていた声色遣いを招き入れ。声色遣いは電話口を代わったあと、あらかじめ仕上げていた声色で、決められた通りのセリフを言い、言い終わるや依頼人が受話器を取り上げた。それで仕舞いだったのである。
「これでご満足いただけたんで?」
「ああ。兄も喜んでた…生きてると思い込んで、はぐらかすのがちと大変だったが、まぁそういう落とし所にしとかねえと…。世話んなったな。残りの金は近日中に、使いのものが持って行く」
「左様ですか。よろしいですよ、お身内も伺っておりますしね」
依頼人の兄だとかいうその一族は、実際大層な富豪だった。身元ははっきりしている。
「では、ご依頼ありがとうございました」
「…この件は、よくよく内密にな」
「…ご心配なく。ご依頼人に関することは、すべて他言無用ですから」
最後に振り返りざま、念を押してきた男に、声色遣いは笑顔で答えた。
すっと笑みを引っ込め、軽く振っていた手を下ろす。
「そんなうまい話がありますか」
先程まで纏っていた軽薄な雰囲気は消え、だるそうにため息を吐くと、声色遣いはきびすをかえした。スタスタと。向かう先に迷いはなく足をはこぶ。
「近日中に口封じされちゃたまりません…先約になっておきましょう」
さっさと目当ての店に辿り着くと、ドンドンと普段ならしないような粗野な音を立てて戸を鳴らした。
「…はぃ…て、あんたかよ。何の用?」
カラリとすぐに戸が開いて、顔を出したのは、縫術師。
在宅だったことに内心ほっと安堵しつつ、声色遣いはまた軽薄な笑みを浮かべる。
「今日もお美しいですね、紡姉さん」
「いつになく雑な軟派文句だな。さようなら」
「紡姉さんにお尋ねしたいことがありまして」
閉められかけた戸をガッ!と片手で掴んで止める声色遣いに、縫術師は露骨に舌打ちした。
「なんなのよ…」
「賛辞がそぞろになってしまったのはご容赦を、今日は暇つぶしではない用件があるんですよ」
「早くそれを言ったら?」
「…中に入れてくださらないんで?」
「ここで済まないほどの面倒ゴトなら持ち込むんじゃないわよ」
すげない返答にため息をつき、気持ちばかり小声に落として、声色遣いは言った。
ーーー依頼人に関することは、他言無用。
ーーーただしそれは「職人同士」を除いての話だ。
「伏見、というお家から私との縁切りの依頼が入ったら、お断りしてくださいな」
「…伏見?」
「本日仕事で支払いに不安のある客が来たんですよ。踏み倒そうと思ったら私との縁を切りに姉さんに縋る可能性も…」
「そいつなら、先日既に依頼を受けたわ。伏見初子という女から」
「…なんですって?」
予想外の返答に、声色遣いは目を瞬かせた。この街に出入りする者で、身分なども加味して同姓の別人という可能性は、まず無い。
「伏見初子…当主の奥方ですね」
当主は依頼人の男の兄、という話だった人物だ。
「奥方ご本人がこちらへ?」
「ええ。しかも護衛一人だけを連れて、こっそりとね。けど、あんたとの縁切りじゃないわよ」
「そりゃあ先日切れてたら今日まで続いてるのはおかしいですものね。…誰と誰を切ったんで?」
「主人と娘の縁を」
「主人と…娘」
声色遣いが指先を口元にあてて思案顔になると、縫術師も今にも閉めようと構えていた戸から手を離して向かい合った。
「勿論、忠告はした。縁切りはどのように縁が切れるかわからない、とね。…まぁ奥方はご自身の縁を操作したわけでは無いから、他人事かもしれないわ」
「…その、主人と娘がどうなったか、姉さんはご存知で?」
「知らないわ。興味ないし」
この人はそういう人だったな。と思い、声色遣いは一度頷いた。
「ありがとうございました。まぁ、私の縁をいじろうとする輩がいたらあしらっていただけるようお願いしますよ」
「それがあんたの依頼なら、依頼料を持参することね」
言って、今度こそ声色遣いの鼻先でピシャンと戸が閉められた。
はたして、金はいつまでも支払われる様子が無いものの、声色遣いが自分の身に異変を感じることもなかった。
数日、数週待って、やれやれと重い腰を上げる。久方ぶりに街の外へと出かける支度をし、行き先は一方的に時間屋に押しかけて端書きを置いた。
いざ料金の徴収である。
伏見といえば名家であるので、人力でも頼めば住所を知っている。前払い分の四割を惜しみなく使い、屋敷の前まで運ばせると、立派な開き門の前へ立った。
一歩踏み入ればすぐ、使用人らしき者を見かけた。
「ごめんください」
声を掛けるとその人物は振り返り、何か用かという旨を丁寧な言葉で台本のように述べた。声色遣いもそれに倣い、丁寧に
「このお屋敷のご主人から頼まれた仕事の、見返りをまだ半分ほど受け取れずにおります。お取次をお願いしても?」
と述べる。
すると、使用人は顔色を変えて、目を伏せた。
続けて口にされた言葉にはこうだった。
「ご主人様は、先日身罷られました」
「…なんですって?」
「ちょっと、そこの者」
と、そこでまた別の人物の声が割り込んでくる。
妙齢の女声、そちらを見れば着物姿に結い髪の奥方が佇んでいた。手に手を繋いで、幼い少女も共にいる。
「何者です、この多用な折に」
「…。お初にお目にかかります、ご当主様の弟様よりご用命を受け、先日共に勤めさせていただいた者です」
「弟…旦那様のご兄弟は随分昔に出奔し、それきりでございます。その者といかなることを為そうと、私共には由縁のないことでございますわ。お引き取りください」
「…左様でございますか。では、失礼を」
食い下がっても心象を悪くするだけであろうと察し、声色遣いは一礼を残してその場を後にした。金が入らないのは少々不服ではあるが、実のところ、予想のついていたことであった。
街に戻って早々、縫術師の元へ訪れると、彼女は店の方に出ていた。
「姉さん」
「…いらっしゃい。今日は客として来たの?」
「いいえ、少々お伺いしたいことが」
声色遣いの言葉にチッ、とあからさまに舌打ちをしたものの、期待はしていなかったようで「で、何?」と縫術師はすぐに切り返した。
「また縁切りの話?」
「ええ。あれから、伏見の家の者は依頼をしてきませんでしたか?」
「…してきたよ」
「ほう」
驚いていなさそうな声色遣いの反応に、縫術師はうん��りしたように顔を背けながら言った。
「全く、あれから後になって伏見の奥方が文句をつけてきたのよ。夫と娘の縁が切れていないって…聞けば、電話越しに二人が会話したとか。…嘘つき屋、あんたのせいね?」
「あら、それは申し訳ない。私も予定の半額もいただけなかったんで、それで痛み分けということでお願いしますよ」
「痛み分けじゃないわそんなの。あんたが自業自得で私はとばっちりじゃない」
恨み言もなんのその、ニコニコと目を細めるばかりの声色遣いを一睨みした後、縫術師は
「今度は当主がやってきたわよ」と、
「娘と拐帯犯との縁を切って欲しい と言ってきた」
娘が拐かされて大層な額の身代金を要求されたそうよ、と。
答えた。
「…それで、切ったんで?」
「できなかったんでお引き取りいただいたわ」
「え?」
今度はしっかりと、驚いた様子で声色遣いの目が見開かれた。
「そうなんですか?できないとかあるんです?姉さんに」
「だってその当主様、犯人のことを一切知らなかったもの。私は依頼人が切ってくれと差し出した縁(いと)を切るだけよ。誰ともわからない相手との縁が切れるもんですか」
「それじゃあ、ご当主はなぜ亡くなったんでしょう」
「は、死んだの?あの人」
「そのようです。先程…」
と、声色遣いは伏見の宅へ訪れた出来事のあらましを語った。
「…ふぅん。ま、縁切りして一月経たないうちはどうだかわからないしね。良家のことだから、そのうち噂が耳に入るでしょ」
と一度背を向けた後で、そういえば、と縫術師はこう付け加えた。
「伏見の家の人間からじゃないけど、当主との縁を切りたいって依頼ならもう一件あったから、そっちのせいで死んだのかもしれないわ」
「かくかくしかじか、金が半分以上入らなかったわけなんですけれど、まぁ四割でも結構な大金を頂戴しましたし、落とし所ですかねえ」
「四割っていくらだったんだ」
ちゃぶ台に肘をついて行儀悪く茶菓子を摘む声色遣いに、時間屋が訊く。円台の縁をズイと乗り出して、声色遣いが耳打ちすると、時間屋の目が見開かれた。次に眉間に皺がよる。
「きな臭いにも程がある」
「でしょう。愉快です」
「こんな書き置きをしていきやがって」
ひらひらと、時間屋が指先で小さな端切れを揺らした。今朝出かける前に声色遣いが置いていったものである。
「内容の不明瞭な書き置きをするな」
「おや、気にかけてくだすったんです?お人がよろしいこと」
「茶化してないで、とっとと茶飲んで帰れ」
…追い出しもしないあたり、本当に人がいい、と思いつつ、声色遣いは湯呑みに口をつけた。
『出かけてきます、昼過ぎまで』ーーーと、書き置いたからには戻っている旨を知らせようと、時間屋の店に寄ったのだった。
「それで?表向きの話はもういい。どんな仕事だったんだ。茶の共にでも話せ」
悪ガキを咎めるような視線を送られ、声色遣いはわざとらしく台から身をそらして両手を上げた。
依頼に関することは他言無用。
ただしそれは「職人同士」を除いてだ、…この街で、能力者たちは皆が皆、共犯者であり共同体なのである。
「私は何も聞いちゃいませんよ。事情を知ってちゃ、幇助になっちまうでしょう」
「…幇助だのと言ってる時点で察してるだろうが。もったいぶらずに話せ」
「…拐かしですよ」
「…拐かし?」
「おや、拐かしをご存知でない。随分と平和ボケした…」
「茶化すなと言っている」
睨まれ、一度肩をすくめて声色遣いはまず
「姉さんが言ってました、ご当主からのご依頼で『娘と拐帯犯との縁を切って欲しい』とね」
と言った。
「でもできなかったそうです。相手が誰なのか差し出せるものが無さすぎたと。…しかしこれで娘の所在がわかりますでしょう」
「お前の依頼人は、その拐帯犯か」
「そうです。犯人は、拐かした娘を死なせてしまったから、生きているよう偽装したかった。でないと、身代金を要求できませんからね。それで私のところへ来たんです」
「なるほどな。大金を支払う積りがあったのは事実慮のある故と…身代金が入れば余裕な額だったということか」
「ええ」
「それが支払われなかったということは、身代金は受け渡されなかったのか?」
声色遣いは首を振った。
「いいえ。まず、そもそもね。誘拐犯の計画は初のうちに破綻してたんです。伏見の家は娘を見捨てていましたから」
「見捨てて…?」
時間屋は首を傾げる。
「金を払う気がなかったことを言ってるのか。娘と犯人との縁切りを頼んだとかいう」
「まぁそれもありますが…娘を真に切り捨てたのはご当主ではありません」
ご当主は、身代金より縁切りの方が安いと考えたものの、娘を取り戻す気はあったのだろう。縁切りは要求されたであろう身代金の額よりは、まだしも安価だ、と 声色遣いは考える。
金しか勘定ができないとは、命運のついていなさそうなご当主だ。ああ死んだんだったな。
「娘を見捨てたのは母親です。母親である奥方は、あわよくば人質がそのまま帰ってこなければいいと考えた」
「根拠は」
「奥方は娘と当主との縁切りを姉さんに依頼したそうですよ」
聞いて、「縁を安く勘定するとは…」と、声色遣いと似たようなことを考えたようで、時間屋の眉間の皺が濃くなった。
「伏見の現奥方は後妻だ。…継娘を切り捨てようと目論んでも、不自然ではないな。しかし縁は切れたものの、当主が死んだと…」
「え?いいえ、そこは順序が違います」
「順序?」
今度は声色遣いは、頷いた。ここが今回の要、というようにすっと人差し指を伸ばし、空を遊ばせてから己の唇へ触れる。
「そもそも、娘が死んだのが縁切りのせいなんですよ」
拐かされた娘、要求された多額の身代金
到底用意できない金額に頭を抱える当主、それをみて気を揉む奥方
後妻である奥方には実娘がおり、誘拐された継娘をこの機に切り捨てようと考えた、…
「拐かされた娘は縁切りをされて死んだ。全部ここからが始まりです。身代金を要求していた誘拐犯は、娘が切り捨てられたとは知らず、死んでは金が入らぬと思い私に依頼してきた。娘の声を電話口で聞かせるように…」
そしてご当主も、娘が死んでいるとは知らない。「拐帯犯との縁切り」を依頼していたのがその証左だ。奥方は奥方で縁を切ったはずの娘が電話口につながって驚き、縫術師に苦情を入れた。
結局、多額の身代金は支払われることになったのだろう。誘拐犯は、それを持って逃げた。
「全く、私への支払いも踏み倒すとは。けしからん輩です」
口先ではそう言いつつ、声色遣いの表情は軽薄に笑みを浮かべている。その表情に、時間屋は「まだ何かあるな…」と思いつつ疑問を口にした。
「…本当に、逃げ仰せたのか?金を払ったのに娘が帰ってこないとなれば、そこは大きな家なのだから、近隣に触れ込んで…あ」
言っている途中で気付く。声色遣いも何の気なしに外の景色を見るふりをして、視線で応えた。
平穏な夕焼けの街。
「なんの騒ぎにもなっていませんよね。娘が帰ってこないのに」
「…そいつも、縁切りをしたのか」
「ええ。仕上げです。先程、姉さんが教えてくれました」
ーーー当主との縁を切りたいって依頼ならもう一件あったから、そっちのせいで死んだのかもしれないわ…
「詳しく訊いてみたところ、姉さんにご当主との縁切りを依頼した人物は、私が記憶している『当主の弟』を自称した依頼人と同一人物です」
逃げおおせるために、誘拐犯がご当主との縁を切った。
「そっちはできるのか。当主が依頼した際は、拐帯犯との縁は切れなかったと」
「ご当主は誘拐犯のことを知らず、娘との縁切りができなかった。しかし誘拐犯はご当主のことを知っている」
そうしてご当主の死という結果に結びつき、現状の出来上がり。
「はい、これが私の出かけてきた未払い金の案件ですよ」
「胸糞悪い案件だな。人の縁を弄ぶにも程がある」
「案外、一番人を想うことを勘定に入れてたのは誘拐犯だったかもしれませんね」
それをカタに換金せしめんとしたわけだから。
「…だとしても、せっかく結ばれた縁を切るんじゃ 泡銭だろう」
時間屋が言って、声色遣いが湯呑みを空け、その場はお開きとなった。
後日。さして高くもない小さな崖の下で、男の死体が見つかったらしい。
大金をあたりにばら撒き倒れ伏した男は、足取りを遡るとどうやら伏見の娘を拐かして殺した極悪人だと判明した。
恐ろしいことよと噂する人々の声を、通りすがりに聞き取りながら、声色遣いは関心なさげに今日も遊郭へ入り浸り、縫術師は我関せずと着物の綻びを繕い、時間屋は機会がつつがなく時を刻むよう、調整に勤しんでいる。
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※縁切りの能力は必ずしも縁を切った者同士が死ぬ能力ではありません
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【 終了しました 】 写真家・三輪卓護 個展 『Dilute』 2024.02.14 WED - 02.25 SUN @ PARK GALLERY
▼ 2024年2月14日(水)より、東北を拠点に活動する若き写真家・三輪卓護による初個展『Dilute』を開催します。
—
イギリスから帰国後、埼玉から東北に移り住み、その大自然の中で自身の病と向き合いながら美しい風景やそこに暮らす人たちの営みを撮り続けてきた三輪氏。しかし、いつしか彼がカメラを向ける先は認知症を患い衰えていく祖父の姿へと移り変わる。建具職人だった祖父の背中、思い出の土地、季節で表情を変える街の様子、そして彼を支える祖母。
時折、子どものように佇む祖父の姿と、幼少期の自分が重なる。少しずつおぼろげになる祖父の記憶。同時に湧き立つ愛しさ。希釈された関係に「家族」では言い表せないつながりを感じ思わずシャッターを切ると、あらゆる緊張や言葉にできない「何か」がほどけていくような感覚があった。この展示は、その正体を探す旅のはじまりでもある。
—
今回の展示では、三輪氏が長年にわたって記録し続けてきた祖父と、祖父をとりまく東北の風景写真が並びます。
東北の美しい風景や営みはきっと訪れたみなさんの日々の活力になると思います。そしてここに並ぶ言葉からは、その力を未来に向けるためのコミュニケーションが生まれるはずです。
社会問題とも言える「認知症」を通じて、家族や愛という単位でははかれない幸せのカタチや、つながりの意味をみんなで一緒に考えていけたらと思います。
写真家・三輪卓護 個展『Dilute』 2024年2月14日(水)~2月25日(日)
場所:PARK GALLERY(東京・末広町 / 湯島) 東京都千代田区外神田3-5-20
<入場無料> 営業時間:13時〜20時 定休日:月・火曜
最寄駅:東京メトロ 銀座線・末広町駅(徒歩約5分)千代田線・湯島駅(徒歩約7分) JR 秋葉原駅 / 電気街口(徒歩約10分) JR 御茶ノ水駅 / 聖橋口(徒歩約12分) —– 三輪卓護(みわたくご) 1993年 埼玉県出身。 イギリスの大学を卒業後、母の出身地である秋田に移住後、フォトグラファーとして独立。写真を中心としたクライアントワークの傍ら、映像制作や地域のアートプロジェクトに参加。 https://www.otan-photography.com https://www.instagram.com/otanphotography
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