#珍遊記 ~太郎とゆかいな仲間たち~
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Chinyuki: Taro and his amusing companions (2009) 珍遊記 ~太郎とゆかいな仲間たち~
Director: Kasugamori Haruki Screenwriter: Haruki Kasugamori Starring: Tesshō Genda / Tomoko Kumai / Yoko Matsuoka / Rikimaru Touhou / Yorimitsu Sakamoto / Chie Kamiyo / Kujira / Tomohiro Nishimura / Kiriko Aoyama / Miki Fujitani / Minoru Torihada / Takamasa Nakao / Takahiro Sakurai / Kurumi Mamiya / Kana Asumi / Shoto Kashii / Kozo Dosaka / Hidenari Ugaki / Takaya Kuroda / Thank You Tatsuo / Sakuya Kunii / Shiori Yokoi / Momo Ito / Mai Hirose Genre: Animation Country/Region of Production: Japan Language: Japanese Date: 2009-06-12 (Japan) Number of episodes: 4 Also known as: Chinyuuki: Tarou to Yukai na Nakama-tach Type: Reimanging
Summary:
The original work is a gag manga serialized in Shueisha's ``Weekly Shonen Jump'' from 1990 to 1992. The third original video animation produced as part of the 20th anniversary project of author Man☆Gataro's debut as a manga artist, ``It's 20 years since I fell asleep! It's Man☆Gataro Festival, Bakayaro!!''.
The time is Mansei 2nd year. Genjo, a monk who was continuing his journey towards Tenjiku, is asked by chance to rehabilitate his delinquent son. However, that son is a monster who is causing trouble in the capital! Although Genjo has a hard time against Yamada Taro, a monster with strong magical powers, he succeeds in absorbing Taro's magical energy with his jewel and making him accompany Taro on his journey to Tenjiku, where he has become a monkey. During their journey, the two arrive at a certain town, but Taro, who was walking naked, is picked up by the town's evil gang, the Takeshi Corps. Taro steals Genjo's attention and tries to get revenge on the evil brat, but...?
Source: https://myanimelist.net/anime/6687/Chinyuuki__Tarou_to_Yukai_na_Nakama-tachi
Link: N/A
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15年前、『(Ⅱ)夢の印税生活』読んだ事あったけどコンビニにてビージャン(BJビジネスジャンプ、現GJグランドジャンプ)で。その当時、「若し実写化したら」と考えてたが…まさか実現したとはな。上映当時観たかったから、嬉しい。
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
アイウエオカキクケコガギグゲゴサシスセソザジズゼゾタチツテトダ ヂ ヅ デ ドナニヌネノハヒフヘホバ ビ ブ ベ ボパ ピ プ ペ ポマミムメモヤユヨrラリルレロワヰヱヲあいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよらりるれろわゐゑを日一国会人年大十二本中長出三同時政事自行社見月分議後前民生連五発間対上部東者党地合市業内相方四定今回新場金員九入選立開手米力学問高代明実円関決子動京全目表戦経通外最言氏現理調体化田当八六約主題下首意法不来作性的要用制治度務強気小七成期公持野協取都和統以機平総加山思家話世受区領多県続進正安設保改数記院女初北午指権心界支第産結百派点教報済書府活原先共得解名交資予川向際査勝面委告軍文反元重近千考判認画海参売利組知案道信策集在件団別物側任引使求所次水半品昨論計死官増係感特情投示変打男基私各始島直両朝革価式確村提運終挙果西勢減台広容必応演電歳住争談能無再位置企真流格有疑口過局少放税検藤町常校料沢裁状工建語球営空職証土与急止送援供可役構木割聞身費付施切由説転食比難防補車優夫研収断井何南石足違消境神番規術護展態導鮮備宅害配副算視条幹独警宮究育席輸訪楽起万着乗店述残想線率病農州武声質念待試族象銀域助労例衛然早張映限親額監環験追審商葉義伝働形景落欧担好退準賞訴辺造英被株頭技低毎医復仕去姿味負閣韓渡失移差衆個門写評課末守若脳極種美岡影命含福蔵量望松非撃佐核観察整段横融型白深字答夜製票況音申様財港識注呼渉達良響阪帰針専推谷古候史天階程満敗管値歌買突兵接請器士光討路悪科攻崎督授催細効図週積丸他及湾録処省旧室憲太橋歩離岸客風紙激否周師摘材登系批郎母易健黒火戸速存花春飛殺央券赤号単盟座青破編捜竹除完降超責並療従右修捕隊危採織森競拡故館振給屋介読弁根色友苦就迎走販園具左異歴辞将秋因献厳馬愛幅休維富浜父遺彼般未塁貿講邦舞林装諸夏素亡劇河遣航抗冷模雄適婦鉄寄益込顔緊類児余禁印逆王返標換久短油妻暴輪占宣背昭廃植熱宿薬伊江清習険頼僚覚吉盛船倍均億途圧芸許皇臨踏駅署抜壊債便伸留罪停興爆陸玉源儀波創障継筋狙帯延羽努固闘精則葬乱避普散司康測豊洋静善逮婚厚喜齢囲卒迫略承浮惑崩順紀聴脱旅絶級幸岩練押軽倒了庁博城患締等救執層版老令角絡損房募曲撤裏払削密庭徒措仏績築貨志混載昇池陣我勤為血遅抑幕居染温雑招奈季困星傷永択秀著徴誌庫弾償刊像功拠香欠更秘拒刑坂刻底賛塚致抱繰服犯尾描布恐寺鈴盤息宇項喪伴遠養懸戻街巨震願絵希越契掲躍棄欲痛触邸依籍汚縮還枚属笑互複慮郵束仲栄札枠似夕恵板列露沖探逃借緩節需骨射傾届曜遊迷夢巻購揮君燃充雨閉緒跡包駐貢鹿弱却端賃折紹獲郡併草徹飲貴埼衝焦奪雇災浦暮替析預焼簡譲称肉納樹挑章臓律誘紛貸至宗促慎控贈智握照宙酒俊銭薄堂渋群銃悲秒操携奥診詰託晴撮誕侵括掛謝双孝刺到駆寝透津壁稲仮暗裂敏鳥純是飯排裕堅訳盗芝綱吸典賀扱顧弘看訟戒祉誉歓勉奏勧騒翌陽閥甲快縄片郷敬揺免既薦隣悩華泉御範隠冬徳皮哲漁杉里釈己荒貯硬妥威豪熊歯滞微隆埋症暫忠倉昼茶彦肝柱喚沿妙唱祭袋阿索誠忘襲雪筆吹訓懇浴俳童宝柄驚麻封胸娘砂李塩浩誤剤瀬趣陥斎貫仙慰賢序弟旬腕兼聖旨即洗柳舎偽較覇兆床畑慣詳毛緑尊抵脅祝礼窓柔茂犠旗距雅飾網竜詩昔繁殿濃翼牛茨潟敵魅嫌魚斉液貧敷擁衣肩圏零酸兄罰怒滅泳礎腐祖幼脚菱荷潮梅泊尽杯僕桜滑孤黄煕炎賠句寿鋼頑甘臣鎖彩摩浅励掃雲掘縦輝蓄軸巡疲稼瞬捨皆砲軟噴沈誇祥牲秩帝宏唆鳴阻泰賄撲凍堀腹菊絞乳煙縁唯膨矢耐恋塾漏紅慶猛芳懲郊剣腰炭踊幌彰棋丁冊恒眠揚冒之勇曽械倫陳憶怖犬菜耳潜珍
“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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ダ-ティ・松本 不健全マンガ家歴30年[-α]史 ●はじめに この文章は同人誌「FUCK OFF!7」において書かれたものをベースにして逐次増補改定を加えていき、いずれ歴史の証言として、[というほど大袈裟なものでは無いが…]一冊の本にまとめたいという意図のもと、近年どんどん脳が劣化していくダ-松の覚え書きとしても使用の予定。事実関係は間違いに気付き次第 訂正。同人誌発表時のものも今回自粛配慮して、実名、エピソード等を削除した箇所有り。有り難い事に某出版社よりすでに出版打診があったがまだまだその時期ではない、マンガを描く事が苦痛になったら活字の方も気分転換にいいかも…。 /*マークは今後書き加える予定のメモと心得たし。 ●前史/修行時代・1970 さいとうプロの短くて濃い日々…… 1968年に上京。数カ月後東京は戦場に。熱い季節の始まりだった。 2年後親元を飛び出し友人のアパートに転がり込む。場所は渋谷から井の頭線で駒場東大駅下車、徒歩5分。地図で見ると現在の駒場公園あたり。昼間でも裸電球を付けなければ真っ暗という馬小屋のような部屋。数メートル先には当時の建設大臣の豪邸が…。前を通りかかるだびに警備のおまわりがじろり。 いつまでも友人に迷惑もかけられないのでとりあえずアシスタントでも…と手元にあったマンガ誌をひっくり返し募集を探す。幸いさいとうプロと横山まさみち氏のところでアシ募集があり両方応募。どっちか一つ通れば…と思っていたら何と両方受かってしまい、双方に条件を聞く。当時高円寺 のアパート、風呂無し4畳半の部屋で相場12000円の時代。前者一ケ月の給料10000円、後者20000円との事。給料の方がボロアパートの家賃より安いとは…!どう考えても前者は食う方法がないと判断し、後者さいとうプロへ入社。 ここに居たのはたったの���年に過ぎないけれど今思えばこれだけで本が一冊描ける位の濃い半年だった。しかしこのあと2X年分も書かねばならないことを思えば今回はいくつかのエピソードを書くだけに留めよう。 ダー松が入った時は小池一夫氏[クビ?]、神田たけ志氏や神江里見氏、きしもとのり氏[現・松文館社長]等と入れ替わりの時で、きし氏の女遊びの凄さと神江氏の絵のうまさは伝説になっていた。現在「亀有」「ゴルゴ」が歴代単行本の巻数の多いベスト1、2位だが[ともに100巻を越えた]、3位は神江氏の「弐十手物語」[70巻以上]だという事は知ってる人は少ないだろう。 当時の制作部は、さいとうたかを[以下ゴリ]をトップに石川班[ゴルゴ13、影狩り]、甲良班[バロム1]、竹本班[シュガー、どぶ等]の3つに分かれ、それぞれのキャップにサブ・チーフが一人づついて、ヒラが2~6人いるというシステムで総16名。独立し現在も活躍中の叶精作、小山ゆう、やまさき拓味の3名がそれぞれの班のサブ・チーフ。ダー松は石川班で左右1メートル以内に叶氏とゴリにはさまれ、のんびり出来ない状態で、はなはだ窮屈。叶氏はほとんどマンガ家になりたいとも思った事のなかった人で、設計事務所みたいなところで図面を引いていた人がなぜマンガプロダクションに来たのか不思議だった。格別マンガ好きというわけでもなかったせいか現在まで全ての作品が原作もので、オリジナルは一本もないのはそのせい?祭りなどの人がうじゃうじゃ出てくる群集場面が得意。 やまさき氏は大の競馬好き、現在競馬マンガを多く描くのは当時からの趣味が生きたというべきか。もう一つの趣味である風俗についてはここでは書くのは差し控えよう。小山氏は後日ここの事務の女性と結婚するが、当時はつき合っているとは誰も知らず、スタッフの一人がやめる時その女性に交際を申し込んだら、茶店に呼び出されて小山氏からと凄まれたと聞いたが嘘か本当かは不明。 ここでの生活は新入り[ダー松を含めて3名]は朝の9時前に会社に行き、タイムカードを押し、前日のごみをひとまとめして外に出し、トイレ掃除をして、16人分のお茶を2Fで入れて制作部のある3Fへの狭い階段をふらふら昇り、���ごとに置いて歩き、終れば、一息ついて買っておいたパンと牛乳を3分で食べて、やっとそれから仕事。しかし新入りの3名の内1人折茂は常に遅刻なのでいつも佐藤と2人でやっていた。佐藤も遅れる時はダー松1人で。辞めてから10年位、16人分のお茶を持って階段をふらふら歩きお盆をひっくり返す夢をよく見たものだが、実際ひっくり返したのは折茂と佐藤の2人で、よく茶碗を割っていた。 たまには夕方6時には帰れるが、普通は夜10時までで、アパートに帰って銭湯に行けばもう明日にそなえて寝る時刻、このくり返しの日々。週1日は徹夜で明け方に帰り、その時は当日の昼12時出勤。休日は日曜日のみで忙しい時はそれも取り消し。つまり休みは月3日。[これで給料2万円!]そんな日々の繰り返し。 夕方までは皆和気あいあいと仕事していたが、ゴリが夕方6時頃に「おはようさん」と現れると、全員無駄口がたたけなくなり、仕事場はシーンと静まり返り、以下その日が終わるまでは疲れる時間がただひたすら流れるのみ。 当時石川班は「ゴルゴ13」と「影狩り」を描いていたがゴリは主人公の顔と擬音のみ。マジックで最後に入れる擬音はさすがに入れる位置がうまいと感心。ゴルゴの顔はアルバムに大小取り混ぜてコピーがとってあり、忙しい時は叶氏がピンセットで身体に合わせて「これが合うかな~」といった感じで貼り付けていた。 その頃すでに「ゴルゴ」は近々終わると噂されていたが、現在もまだ続いているとは感嘆ものだ。 ゴリと石川氏が「ゴルゴ」の最終回の終わり方を話しているのを聞いたら、何ともつまらない終わり方。しかしあれから20年以上も経つ事だし、きっともっといい終わり方を考えてあるだろうなと思っていたら、先日TVで本人が最初から考えてある終わり方だと言うのを聞き、がっくり。企業秘密だろうから書かないが、作品の最初の方に伏線が数度出ているのでわかる人にはすぐわかる筈。 辞めた小池一夫氏とさいとうプロに何があったかは知らないが、漏れ聞く話では結構もめ事があったみたいだ。 「子連れ狼」で「ゴルゴ13」と同じ設定の回があった時、「小池のガキャー訴えたるー!」とゴリが吠えていたものだが、結局たち消え。さいとうプロ作品で脚本を書いた本人が辞めた後、他の作品で同趣向の作品を書いても著作権は脚本を書いた原作者のものだ���思うがどんなものだろう。その回のタイトルは忘れたが、ある場所に居合わせた人々が武器を持った集団の人質となり、その中に素人だと思われていた主人公、実は殺しのプロフェッショナルがいて、次々とその集団を殺していく、といったプロットで、ミッキー・ス��レーンの短編に同じような作品があり、本当に訴えていたら恥をかいたと思うが・・・。 そういえば事務の方には山本又一郎という男がいたが、後年映画プロデューサーとして 「ベル薔薇」や「太陽を盗んだ男」等を創る事になるが、この野郎が生意気な男で当時皆に対して10歳は年上、といった感じの振る舞いだったが後日俺と一つしか年が離れてなかった事を知り、そんな若造だったとは、と皆怒ったものだ。以来奴の事を「マタさん」から「クソマタ」と呼ぶようになる。 さて半年後に先輩たちが積もり積もった不満を爆発させる反乱事件が勃発し、2年は居るつもりでいたここでの生活も、辞めるか残るかの選択を迫られる。残ればさいとうプロの現体制を認める事となるので、ダー松も退社。 しかし反乱グループとは別行動をとって一人だけの肉体労働のアルバイター生活へ突入。超ヘビーな労働の製氷工場、人使いの荒い印刷所、命綱もない高所の足場で働く建設現場等々。トラックの助手をしていた時は運ちゃんが「本宮ひろしって知ってるか?うちの息子の友達でさぁ、昔、おっちゃんメシ食わしてくれーなんて言ってきたもんだが、今は偉くなっちゃってさー、自分のビル建てたらしいよ。赤木圭一郎みたいにいい男なんだ。」とうれしそうに話してくれたが、運ちゃんには悪いがそいつは今も昔も一番嫌いなマンガ家なんだ。あの権力志向はどうにかならんか。天下を取る話ばかりだもんなぁ。 ところで後日、単行本の解説で高取英が「さいとうたかをのヤローぶっ殺してやる!」とダー松が言ったなどと書いているが、小生はそんな危ない事言った覚えはないのでここできっちり訂正しておきます。 「会社に火ィつけてやる!」位は言ったかも・・・[嘘] 。 悪口は言っても別に怨みなど無い。ところでアシスタントとしてのダー松は無遅刻、無欠勤以外は無能なアシだったと反省しきり。理想的なアシスタントとはどんなものか、それはまた別の機会に。 *入社試験はどんな事を? *さいとうプロには当時ほとんどろくな資料は無かった? *ハイジャックの回の飛行機内部の絵は、映画「大空港」を社内カメラマンが映画館で写してきたものをもとに描く。 *当時のトーンは印刷が裏面にしてあり上からカッターでけずったり出来ない。 *トーンの種類は網トーンが数種、それ以外はほんの3、4種類位しかなかった。 *仕事中のB.G.M.はアシの一人が加山雄三ばかりかけるので大ひん��ゅく。好評だったのは広沢虎造の浪曲「次郎長三国志」、初代桂春団次の落語。眠気もふっとぶ位笑えた。 ダ-松が岡林信康の「見る前に跳べ」をかけてるとゴリは「何じゃー!この歌は!」と怒る。名曲「私たちの望むものは」はこの男には理解不能。 ●1 9 7 1 ~ 1 9 7 4 持 ち 込 み & 実 話 雑 誌 時 代 当時は青年劇画誌全盛時代で、もともと望月三起也氏や園田光慶氏のファンで活劇志向が強く、 主にアクションもののマンガを描いて持ち込みに行っていた。今のようにマンガ雑誌が溢れかえって、山のようにマンガ出版社がある時代ではなく、数社廻るともう行くところがない、という状態で大手では「ビッグコミック」があっただけで 「モーニング」も「スピリッツ」も「ヤン・ジャン」も当然まだない。テーマを盛り込んだ作品を持って行くと編集から「君ィ、うちは商売でやっているんだからねぇ」と言われ、アクションに徹した作品を持って行くと「君ぃ、ただおもしろいだけじゃあねぇ」と言われ 「おい、おっさん!どっちなんだ?」とむかつく事多し。この辺の事は山のように書く事があるが、有りすぎるのでパス。 *そのうち書く事にする。 ただ金属バットで頭をカチ割って脳みそをぶちまけてやりたいような奴が何人もいたのは事実。今年[’97]「モーニング」に持ち込みに行って、断られた奴が何万回もいやがらせの電話をかけて逮捕された事件があったが、そのうちトカレフを持って殴り込みに行く奴が出てくるとおもしろい。出版社も武装して大銃撃戦だぁ!などと馬鹿な事書いてどうする!とにかく持ち込みにはいい思い出が何もない。そんな中、数本だけ載った作品は渡哲也の映画「無頼」シリーズの人斬り五郎みたいな主人公がドスで斬り合う現代やくざもの[この頃の渡哲也は最高!]、ドン・シーゲルの「殺人者たち」みたいな二人組の殺し屋を主人公にした『汚れたジャングル』、陽水の「傘がない」が好きだという編集さんの出したテーマで車泥棒とブラックパンサーの闘士とのロード・ムービー風『グッバイ・ブラザー』、拳銃セールスマンを主人公にした『ザ・セールスマン』、等々10本ちょい位。 さてその頃並行してまだエロマンガ専門誌といえるようなものがなかったような時代で、実話雑誌という写真と記事ページからなる雑誌に4~10ページ位を雑誌の味付けとして描かせてもらう。当時、お手本になるようなエロマンガなど皆無で、エロ写真雑誌を古本屋で買ってきてからみの��ーズを模写。マンガで裸を描く事はほとんど初めてで、これがなかなか難しいのだがエロシーンを描くのは結構楽しい。当時出版社に原稿持って行き帰りにグラフ誌をどっともらって帰るのが楽しみだった。SM雑誌の写真ページも参考になる。なお当時のペンネームは編集部が適当につけた池田達彦、上高地源太[この名前はいけてます。また使いたい]等。その数年後、逆にマンガが主で記事が味付けというエロマンガ誌が続々と創刊される。 *さいとうプロをやめたあと編集や知人に頼まれて数人のマンガ家の所へ手伝いに行く。秋田書店「漫画ホット」で『ジェノサイド』を連載中の峰岸とおる氏の所へ行き、仕事が終わったあとまだ売れてない頃の榊まさる氏も交え酒を飲む/川崎のぼる大先生のところへ数日だけ/3000円たこ部屋/小山ゆうオリオンププロ *当時のアルバイトは記憶によると時給150~200円位/大日本印刷市ヶ谷駐屯地/坂/ *一食100円/どんなに貧しい漫画家もみかん箱の上で書くやつはいない/TV萩原サムデイ *ろくでなし編集者 ●1 9 7 5 ~ エ ロ マ ン ガ 誌 時 代 に 突 入 実話誌は意外とエロは抑え目で描くように口すっぱく言われていたのだが、以前活劇っぽい作品を描かせてもらってたが潰れてしまった出版社にいた児島さんが編集する「漫画ダイナマイト」で打合せも何にもなしに好きに描かせてもらい、ここでエロマンガ家としての才能[?]が開花する。描いてて実に楽しく眠る時間がもったいない位で、人に睡眠時間が必要な事を恨んだ程。出来る事なら一日中休まず描いていたい気分で完全にはまってしまう。 初の連載作品「屠殺人シリーズ」はこの頃から/『漫画ポポ』。中島史雄氏は大学時代にこの作品を見ていたとの事で、トレンチコートにドクター・ペッパー模様のサイレンサーつきマグナム銃で遊戯人・竜崎一也が犯しまくり殺しまくり、サディスト、マゾヒスト、殺人狂、まともな奴が一人も出てこない性と暴力の祭典。ちなみにタイトルページは描かないでいい、との事でどうするのかと思っていたら編集部が中のワンカットを拡大してタイトルページを創り、1ページぶんの原稿料をけちるというせこいやり方だった。けちるといえば、原稿の1/3にCMを入れる際、原稿料を1/3削った会社もあり。 ●1 9 7 6 ~ 後に発禁仲間となる高取英と出逢い、『長編コミック劇場』で「ウルフガイ」みたいのをやろうと、怒りに震えると黒豹に変身してしまう異常体質の主人公を設定し、獣姦のイメージで「性猟鬼」��るエロマンガをスタート!しかしその号で雑誌が潰れる。この路線は今でもいけそうな気がするがどんなものだろう。 この頃の珍品に「快楽痴態公園」がある。タイガースに11-0とワンサイドで打ちまくられ、怒ったジャイアンツファンのおっさんが公園でデート中の女をずこずこに犯りまくり、その間にジャイアンツは9回裏に12-11とゲームをひっくり返してしまうのである!その時のジャイアンツの監督はもちろんミスター長嶋、先発堀内、打者は柴田、土井、高田、王、張本等々がいる。タイガース監督は吉田、ピッチャー江本、キャッチャーフライを落球する田淵、そしてあの川藤もいる。解説は牧野…… ●1 9 7 7 ~ 上記2作品を含む初の単行本「肉の奴隷人形」が久保書店より発行。後にリングスの会場で逢った佐竹雅昭氏はこの本が一番好きとの事だった。 「闇の淫虐師」もこの年スタート。一話完結でバレリーナ、バトンガール等々、毎回いろんな女たちをダッチワイフのごとくいたぶりまくるフェチマンガとして1979年まで続け、単行本は「堕天使女王」「裂かれた花嫁」「エロスの狂宴」「陶酔への誘い」「終りなき闇の宴」の全5巻。ちなみに今年「闇の淫虐師’97」を『コミック・ピクシィ』にて発表。いつか『闇の淫虐師・ベスト選集』でも出したいところ。 [’98に実現、’99には続刊が出る] ●1 9 7 8 ~ 久保書店より第2弾の単行本「狂った微惑人形」。収録作品の「犯された白鳥」は持ち込み時代に描いた初のバレリーナもの。結構気に入っていた作品なのに、後年再録の際、印刷所の掃除のおばさんが捨ててしまい、この世にもはや存在しない不幸な子となる。[’99に宝島スピード・ブックに本より直接スキャンして収録] エロ、グロ、ナンセンスの会心作「恍惚下着専科」を発表。サン出版より同名の単行本発行。また同出版より「コミック・ペット/堕天使画集」として今までの作品を続々単行本化。全10巻位。これは今でも古本屋で流通しているとの事で、まだまだ世間様のお役にたっているらしい。 この年、「堕天使たちの狂宴」を描いていた『漫画エロジェニカ』が発禁処分、来年でもう20年目となる事だし、当時の人たちと集まってその大放談を収録し「発禁20周年特集号」でも創ってみようかと計画中。さて当時の秘話としてもう時効だろうから書いてみるけど、前述の『堕天使画集』に「堕天使たちの狂宴」は収録される事となり、当然修正をガンガン入れて出版されるものと覚悟していたら、米国から帰国後出来上がった本を見ると発禁になった状態のまま再録されている!以下桜木編集長との会話 ダ/いや~、いい度胸してますね。 編/だって修正してあるじゃない。 ダ/その修正状態で発禁になったんですよ 編/・・・・・ ダ/・・・・ 以下どんな会話が続いたのか失念…… それにしてもサドの「悪徳の栄え」の翻訳本は発禁後20年以上して復刻されたけれど、「堕天使たちの狂宴」は半年もしない内に単行本になっていたとはエロ本業界とは何といいかげんな世界!しかし作品そのものは、今見るとリメイクする気にもならないどうという事もない可愛い作品で、結局あれもあの時代の姑息な政治のひとかけらに過ぎなかったのだろう。いい点があるとしたら一つだけ、それまでのエロマンガになかった瞳パッチリの少女マンガ的ヒロインを登場させた事位か。今の美少女エロマンガは本家の少女マンガもかくや!という位眼が大きいが当時としては画期的だったかも。 ●1 9 7 9 ~ この年の「淫花蝶の舞踏」は「堕天使たちの狂宴」よりずっといい/『漫画ソフト』。今年出た「別冊宝島/日本一のマンガを探せ!」でベスト2000のマンガがセレクトされているが、ダー松の作品の中ではこの作品が選ばれている。教師と生徒、二人の女たちが様々な男たちの手によってに次々ともてあそばれ、闇の世界を転々として再び巡り会う時、女たちは蝶と化し水平線の彼方に飛び去り、男たちは殺し合い血の海の中で屍と化す。ダー松作品にはこのように男根が女陰の海に飲み込まれてに負けるパターンが多い。[性狩人、遊戯の森の妖精、美少女たちの宴、人魚のたわむれ・・等々] この年からスタートの「性狩人たち」シリーズ[劇画悦楽号]はバレエ、バイオレンス、SEXの三要素がうまくからみあい、それぞれが頂点まで達する幸福な神話的作品だ。ここから派生した路線も多く、美少年路線は’83の「聖少女黙示録」へ。身体障害者路線は’80の「遊戯の森の妖精」、’84からの「美姉妹肉煉獄」へと繋がる。’81の最終話「ハルマゲドンの戦い」ではせりふなしで24ページ全てが大殺戮シーンという回もあり、中でも一度やりたかった見開きで銃撃戦の擬音のみという事も実現。こんな事がエロマンガ誌で許される時代だった。ちなみにこの回は[OKコラルの決闘・100周年記念]だが、何の意味もない。単行本は最初サン出版より、その後久保書店より「白鳥の飛翔」「少女飼育篇」「ヘラクレスを撃て!」「眼球愛」「海の女神」の全5刊。現在入手出来るのは後の3刊のみ。[「海の女神」も最近在庫切れ] この年出た「人魚のたわむれ」の表題作は性器に{たこ}を挿入するカットを見た編集長が「・・・[沈黙]・・・頭おかしいんじゃ・・ブツブツ・・気違い・・・ブツブツ・・・」����れてつぶやいていたのを記憶している。たこソーニューは今年出た「夜顔武闘伝」で久しぶりに再現。なおこの作品は’83にマンガと実写を噛み合せたビデオの珍品となる。水中スローモーションファックがなかなかよい。 ●1 9 8 0 ~ なぜか「JUNE」の増刊として作品集「美少女たちの宴」がサン出版より出版され、その短編集をもとに脚本化し日活で映画が創られる事となる。[「花の応援団」を当てたこの映画の企画者・成田氏は日活退社後「桜の園」等を創る。]その際、初めて映画撮影所を見学し、せこいセットがスクリーン上ではきちんとした絵になってるのを見て映画のマジックに感心。タイトルはなぜか「性狩人」で、’96にビデオ化された。監督・池田敏春のデビュー第2作となり現在までコンスタントに作品を発表しているが、出来のいい作品も多いのになぜか代表作がない。初期の「人魚伝説」が一番いいか。 この映画に合わせて「美少女たちの宴」を2~3回のつもりで「漫画ラブラブ」で描き出すがどんどん話がふくらみ、おまけに描いてる出版社が潰れたり、雑誌が潰れたりで雑誌を転々とし条例による警告の嵐がきた「漫画大飯店」を経て、「漫画ハンター」誌上で完結したのは’83になる。この作品でクリトリスを手術してペニスのように巨大化させるという人体改造ものを初めて描く。 この年の「遊戯の森の妖精」は身体障害者いじめ鬼畜路線の第2弾!森の中の別荘に乱入したろくでなしの二人組が精薄の少女の両親達を虐殺し、暴行の限りをつくすむちゃくちゃな作品で、雷鳴の中、少女の性器に男達のペニスが2本同時に挿入されるシーンは圧巻!しかしこのとんでもない男達も少女の性のエネルギーに飲み込まれ、朽ち果てていく・・・。 ●1 9 8 1 ~ 美少女マンガ誌のはしり「レモン・ピープル」誌創刊。そこで描いたのが「白鳥の湖」。虚構の世界のヒロインを犯すというコンセプトは、アニメやゲームのヒロインをずこずこにするという今の同人誌のコンセプトと同じかも。バレエ「白鳥の湖」において悪魔に捕われたオデット姫が白鳥の姿に変えられる前に何にもされてない筈がないというモチーフにより生まれたこの作品は、悪魔に男根を植えつけられたヒロインが命じられるままに次々と妖精を犯して歩き悪魔の娘となるまでを描くが、あまり成功したとは言えない。ただ人形サイズの妖精をしゃぶりまくり淫核で犯すアイデアは他に「少女破壊幻想」で一回やっただけなのでそろそろもう一度やってみたいところ。「ダーティ松本の白雪姫」はその逆をいき、犯す方を小さくした作品で7人の小人が白雪姫の性器の中にはいり、しゃぶったり、処女膜を食べたり、と乱暴狼藉![ちなみに両者をでかくしたのが同人誌「FUCK YOU!3」の「ゴジラVSジュピター」]この童話シリーズは意外と好評で続いて「ダーティ松本の赤い靴」を上記の単行本に描き下ろして収録。童話は結構残酷なものが多く、この作品も切られた足だけが荒野を踊りながら去って行くラストは原作通り。 *近年童話ブームだがこの頃もっと描いておけば「こんなに危ない童話」として刊行出来たのにとくやまれる。 「2001年快楽の旅」もこの本に収録。快楽マシーンを逆にレイプしてしまう、珍しく映画「2001年宇宙の旅」風のSF作品。 掲載誌を決めずに出来る限り多くのマンガ誌で描こうというコンセプトで始めたのがこの年スタートした「怪人サドラン博士」シリーズ。「不死蝶」シリーズや「美少女たちの宴」シリーズの中にも乱入し、「漫画ハンター」最終号では地球をぶっ壊して[その際地球は絶頂の喘ぎ声をあげ昇天する!]他の惑星へ行ってしまう。今のところ10誌位に登場。いつかこのサドラン・シリーズだけ集めて単行本化したいところ。ちなみに「サド」と「乱歩」を足して「サドラン博士」と命名。作者の分身と言っていい。 [後年、「魔界の怪人」として全作品を収録して刊行、04年現在品切れ中] この年描いて’82の単行本『妖精たちの宴』に収録の「とけていく・・」はレズの女たちが愛戯の果てに、肉体が溶けて一匹の軟体動物と化す、タイトルも内容も奇妙な作品。作者の頭もとけていた? ●1 9 8 2 ~ 1 9 8 3 ’83年に「美少女たちの宴」が完結。全てが無に帰すラストのページは真っ白のままで、このページの原稿料はいりません、と言ったにもかかわらず払ってくれた久保書店、偉い![明文社やCM頁の稿料を削った出版社=某少年画報社なら払わなかっただろうな……と思われる……]この作品以外は短編が多く、加速度をつけてのっていく描き方が得意のダー松としてはのりの悪い時期に突入。また10年近く走ってきてだれてきた頃でもあり第一次落ち込み期と言っていい。マンガがスタンプを押すように描けないものか、などとふとどきな考えまで湧いてくる。思えば一本の作品には、いったい何本の線を引いて出来上がっているものなのか。数えた馬鹿はいないだろうが数千本は引いている筈。一ヵ月に何万本とペンで線を引く日々・・うんざりする筈です。 この頃のめぼしい短編をいくつか書くと、少女マンガ家の家に税務調査にきた税務署員が過小申告をネタにねちねちいたぶるが、アシスタントに発見された署員は撲殺される。そして板橋税務署は焼き討ちにあう、といった作品「[タイトル失念]xx税務調査」。[後日読者よりこのタイトルを「色欲ダニ野郎」と教えていただく。ひどいタイトル *編集者のつけるタイトルはその人のセンスが実によくわかる。しかしサイテ-の題だなこりゃ…。 果てるまで「おまんこして!」と言わせながら処女���やりまくる「美処女/犯す!」はラスト、狂った少女が歩行者天国の通行人を撃ちまくり血の海にする。「嬲る!」はパンチドランカーとなった矢吹ジョーが白木葉子をサンドバッグに縛りつけ、殴って、殴って、殴りまくる。段平おっちゃんの最後のセリフ「・・ブスブスくすぶっちゃいるが・・・」「打てッ!打つんだ!ジョー!」「お前はまだ燃えつきちゃいねえ!」とはエロ・ドランカーの自分自身に向けて発した言葉だったのかも。トビー・フーパーばりの「淫魔のはらわた」は電気ドリルでアナルを広げてのファック!とどめにチェーンソーで尻を切断!いまだに単行本に収録出来ず。[’98の「絶頂伝説」にやっと収録]「からみあい」は夫の愛人の性器を噛みちぎる。「危険な関係」はアルコール浣腸をして火をつけ尻から火を吹かせる。この手は『FUCK YOU!2』の「セーラー・ハルマゲドン」で復元。そういえばこの作品の序章と終章だけ描いて、間の100章位をとばすやりかたはこの頃の「禁断の性獣」より。女性器にとりつき、男性器に変身するエイリアンの侵略により地球は女性器を失い滅亡する、といったストーリーで当時聞いた話では谷山浩子のD.J.でこの作品がリスナーの投書でとりあげられ、ダー松の名はダーティ・杉本と読まれたそうな。ヒロインの少女がひろ子という名前なのでこのハガキが選ばれたのかもしれないが、作者は薬師丸ひろ子からとったつもりだったのだが・・。[別にファンではない。] 「女教師狩り」は映画館で観客に犯される女教師とスクリーン上の同名のエロ映画の二本が同時進行し、一本で二本分楽しめるお得な作品。 ’83は’80に「漫画エロス」にて描いた「エロスの乱反射」の最終回の原稿が紛失したため単行本が出せないでいたのを、またまた「仏の久保さん」に頼んでラスト近くをふくらませて「漫画ハンター」に3回程描かせてもらい、やっと’85に出版。見られる事に快感を覚えるファッション・モデルが調教される内に、次第に露出狂となっていき、街中で突然裸になって交通事故を起こさせたり、最後はビルの屋上でストリップショー。そしてカメラのフラッシュの中に飛び降りていき、ラスト1ページはその性器のアップでエンド! 本格美少年・ゲイ・マンガ「聖少女黙示録」も’83。レズの姉たちの手によって女装に目覚めた少年がホモのダンサーたちに縛られなぶられ初のポコチンこすり合いの射精シーン。そして性転換して女となった主いるが、その中の’84の「白い肌の湖」はタイトルで解る通りのバレリーナものだがポコチンを焼かれた男が、一緒に暮ら人公が手術で男になった少女と暮らすハッピーエンド。この作品は単行本「美少女ハンター」に収録されてす二人の女と一人の男に���讐するエンディングがすごい!まず男の性器を切り取り、片方の女の性器にねじ込んだあと、その女の性器ごとえぐり取る。そしてその二つの性器をつかんだまま、もう一人の女の性器にフィストファック!のあげく、その二つの性器を入れたままの女性器をナイフでまた切って、ほとんどビックマック状態でまだヒクヒクうごめく血まみれの三つの性器を握りしめるとんでもない終り方!全くダー松はこんな事ばかりやっていたのかとあきれかえる。もう鬼畜としか言い様がない!しかし「ウィンナー」を二枚の「ハム」で包むなんて・・GOODなアイデアだ、又やってみよう。 ●1 9 8 4 ~ 「漫画ハンター」で「闇の宴」前後篇を描き、後日これをビデオ化。雪に包まれた六本木のスタジオで痔に苦しみながらの撮影。特別出演として中島史雄氏が絶妙の指使い、東デの学生時代の萩原一至が二役、取材に来たJITAN氏もスタジオに入ってきた瞬間、即出演で生玉子1000個の海で大乱交。カメラマンが凝り性で照明が気に入るまでカメラを廻さず、たった二日の撮影はやりたい事の半分も出来ず。撮影が終ると痔はすぐに完治。どうもプレッシャーからくる神経性だったみたいでこれに懲りてビデオは一本のみ。 この年の「肉の漂流」は親子丼もので、近所の書店のオヤジからこの本はよく売れたと聞いたが、一時よく描いたこのパターンは最近では「FUCK YOU!3」の「母娘シャワー」のみ。熟女と少女の両方が描けるところが利点。「血の舞踏」は久しぶりの吸血鬼もの。股間を針で刺し、噛んで血を吸うシーン等々いい場面はあるが、うまくストーリーが転がらず3回で止める。短編「果てるまで・・」は核戦争後のシェルターの中で、父が娘とタイトル通り果てるまでやりまくる話。被爆していた父が死んだ後、娘はSEXの相手を捜して黒い雨の中をさまよう。 またリサ・ライオンの写真集を見て筋肉美に目覚め、マッチョ女ものをこの頃から描き出す。しかしなかなか筋肉をエロティックに描くのは難しい。 ●1 9 8 5 ~ くたびれ果ててすっかりダレてきたこの頃、8年間働いてくれたアシスタント女史に代わってパワーのかたまり萩原一至、鶴田洋久等が東京デザイナー学院卒業後加わってダーティ・マーケットも第2期に突入!新旧取り混ぜておもしろいマンガをいろいろ教えて貰って読みまくる。「バリバリ伝説」「ビーバップハイスクール」「ペリカンロード」「めぞん一刻」「わたしは真悟」「Be Free!」「緑山高校」「日出処の天子」「吉祥天女」「純情クレイジー・フルーツ」「アクター」「北斗の拳」「炎の転校生」「アイドルをさがせ」「綿の国星」「いつもポケットにショ��ン」「バツ&テリー」「六三四の剣」永井豪の絶頂期の作品「バイオレンス・ジャック」「凄之王」「デビルマン」等々100冊以上とても書ききれない位で、う~ん・・マンガってこんなにおもしろかったのか、と感動! そこで眠狂四郎を学園にほうり込んで、今まであまり描かなかった学園マンガをエロマンガに、というコンセプトで始めたのが「斬姦狂死郎」。「六三四の剣」ばりに単行本20巻を目指すものの、少年マンガのノリは今では当たり前だが、当時はまだエロマンガとして評価されず、ほんの少し時代が早すぎたかも。’86に中断、今年’97に「ホリディ・コミック」にて復活!果たしていつまで続けられるか? →後に「斬姦狂死郎・制服狩り」、「斬姦狂死郎・美教師狩り」として刊行完結 前年末から始めた「美姉妹肉煉獄」は身障者いじめの鬼畜路線。盲目の姉とその妹を調教して性風俗店等で働かせ、娼婦に堕していく不健全・不道徳な作品で、肉の快楽にひたっていく盲目の姉に対し妹も「春琴抄」の如く己の眼を突き、自らも暗黒の快楽の世界にはいり、快楽の光に目覚めるラスト。 また、これからは女王様物だ!となぜか突然ひらめき「筋肉女」シリーズの延長としてフィットネス・スタジオを舞台に「メタル・クイーン」シリーズも開始。これは単行本2冊分描いたが、連載途中でヒロインの髪型を歌手ステファニーのヘア・スタイルにチェンジしたり、レオタードもたっぷり描けてわりと気に入っている。 10年近く描いた「美蝶」先生シリーズもこの年スタート!こうしてみるとマンガを描く喜びに満ちた大充実の年だったかも。 ●1 9 8 6 ~ この年は前年からの連載ものがほとんどだが、「エレクト・ボーイ」は空中でファックするシーンが描いてみたくて始めた初の超能力エロマンガ。コメディ的要素がうまくいかず2回で止める。この路線は翌年の「堕天使輪舞」で開花。 「夜の彷徨人」は自分の育てた新体操選手が怪我で選手生命を失ったため、その女を馬肉のごとく娼婦として夜の世界に売り渡した主人公という設定。しかし腕を折られ、女にも逆に��てられ、そして事故によってその女を失ったあげく不能となってしまう。失った快楽を取り戻すため無くした片腕にバイブレーターを取りつけ、夜の街をさすらい次々と女たちをレイプしていくというストーリー。がっちり設定したキャラだったのにまったく話がはずまず、男のポコチンは勃起しないままに作品も不発のまま終る。 「斬姦狂死郎」が不本意のまま終わったため学園エロス・シリーズは「放課後の媚娼女」へと引き継がれる。当時見ていた南野陽子のTV「スケバン刑事・」とS・レオーネの「ウエスタン」風に料理。ラストの「男といっしょじゃ歩けないんだ」のセリフは一番好きな映画、鈴木清順の「東京流れ者」からのもじり。単行本は最初司書房から出て、数年後ミリオン出版から再販、そして’97久保書店より再々販ながら結構売れて今年また再版。この作品は親を助けてくれる有難い孝行息子といったところ。 ●1 9 8 7 ~ さいとうプロOBで那珂川尚という名のマンガ家だった友人の津田が「漫画ダイナマイト」の編集者になっていて、実に久しぶりに同誌で「堕天使輪舞」を描く。超能力エロマンガの第2弾。今回はエロと超能力合戦とがうまくミックスされ一応成功といっていい。この路線は「エレクト・ボーイ」とこの作品、そして’96の「夜顔武闘伝」も含めてもいいかも。一時、この手の作品は数多くあったが最近はめったに見かけない。しかし、まだまだこの路線には鉱脈が眠っているとにらんでいるがどんなものだろう。 ●1 9 8 8 ~ 「放課後の媚娼女」に続いて抜かずの凶一無頼控え「放課後の熱い祭り」を2年がかりで描く。’89に完結し司書房より単行本化。そして今年’97に改定してめでたく完全版として復刊!この頃が一番劇画っぽい絵で、たった2~3人のスタッフでよくこれだけ描き込めたなと改めて感心!エロシーンがちょっと少なめながら中島史雄氏がダー松作品でこの作品が一番好き、とお褒めの言葉を頂戴する。 TVで三流アマゾネス映画を見ている内、むくむくとイメージがふくらみ、昔から描きたかった西部劇と時代劇がこれで描けると、この年スタートさせたのが「不死蝶伝説」なるアマゾネス路線。昔々青年誌の創世期にあのケン月影氏がマカロニ・ウエスタンを描いていたことを知る人は少ないだろう。俺もあの頃デビューしていたらウエスタンが描けたのに、と思う事もあったが、このシリーズでほんの少しだけその願望がかなう。 この頃、アシスタントやってくれてた格闘技マニアの鶴田洋久に誘われ、近所の空手道場通いの日々。若い頃修行のため新宿でやくざに喧嘩を売って歩いたという寺内師範は、もう鬼のような人で、行けば地獄が待っていると判っててなぜ行く?と不思議な位休まず通う。体育会系はマゾの世界と知る。組手は寸止めではなく顔面以外は当てて可だったので身体中打撲のあざだらけ、ビデオで研究したという鶴田の体重をかけたムエタイ式の蹴りをくらい、右手が饅頭のように腫れ上がる。先輩たちの組手の試合も蹴りがもろにはいってあばら骨が折れたりで、なぜこんなヘビーな事をする?と思うが、闘う事によって身体の奥から何か沸き上がってくるものがある。スリランカの元コマンドと組手をやった時、格闘家の気持ちが少しだけ判るようになった。 ●1 9 8 9 ~ ’94まで続く「美蝶」シリーズでこの年は『ノスフェラトウ篇』を描き、シリーズ中これが一番のお気に入り。同人誌の「王夢」はこれが原点。 短編では「悪夢の中へ」はスプラッタ・エロマンガで久しぶりにチェーンソゥでお尻のぶった切り!はらわた引きずり出し、人肉食いちぎ��!顔面叩き割り等々でラストに「ホラービデオの規制をするバカは俺が許さん!」などと書いているので、この年が宮崎事件の年か?世間は彼が日野日出志・作のホラービデオ「ギニーピッグ」を見てあの犯罪をおかした、としてさんざんホラービデオの規制をやっといて、結局見てもいなかったとわかったあとは誰一人日野日出志氏にもホラービデオさんにも謝らす゛知らんぷり。残ったのは規制だけで、馬鹿のやる事には全く困ったもんである。先日の「酒鬼薔薇・14才」の時も犯罪おたくの心理学者が、「これはマンガやビデオの影響です。」などと相も変わらずたわけた寝言をぬかしていたが、馬鹿はいつまでたっても馬鹿のまま。少しは進歩しろよ!お前だよ、お前!短絡的で幼稚な坊や、小田晋!よぅく首を洗っとけ!コラ! 「獣人たちの儀式」は退学者や少年院送りになつた生徒、暴走族、ヤクザ達が集まって酒盛りしながら女教師たちをずこずこにしてOB会をひらく不健全作品。編集長が「また危ない作品を・・・」とこぼしたものだが、岡野さん、田舎で元気にお過しでしょうか。この頃の「漫画エロス」には「ケンペーくん」だとか「アリスのお茶会」だとかおもしろい作品が載っていたものです。「爆走遊戯」は伝説のストーカー・ろくでなしマンガ家の早見純が一番好きな作品と言ってくれたが、なぜだかわからない。人の好みはいろいろです。以上3本は単行本「熱き唇の女神」に収録。 「ふしだらな女獣たち」はフェミニストの女二人が美少年をいじめる話。これは「氷の部屋の女」に収録。 ●1 9 9 0 ~ この年の「美蝶」シリーズは『ダンシング・クイーン篇』。マネキン工場跡でJ・ブラウンの「セックス・マシーン」にのせて5人プレイをするシーンや文化祭でのダンスシーン等々結構好きな場面多し。暗くて硬い作品が多いので、この「美蝶」シリーズは肩肘張らずに、かなり軽いノリでキャラクターの動きに任せて、ストーリーも、そして次のコマさえも先の事は何にも考えず、ほとんどアドリブで描いた時もある。 「不死蝶伝説」に続いてシリーズ第2弾「不死蝶」は2誌にまたがって2年位続ける。これも結構お気に入りの一遍。 ●1 9 9 1 ~ 1 9 9 3 「性狩人たち」の近未来版、といった感じの「夜戦士」は学園物が多くなったので、マグナム銃で脳天をぶっとばすようなものが又描きたくなって始めたミニシリーズ。全5話位。松文館より単行本「黒い夜と夢魔の闇」に収録。 この年から知り合いの編集者がレディス・コミックを始める人が多く、依頼されてどうしたものかと思ったが、エロなら何でもやってみよう精神と何か新しい世界が開けるかも、という事から’94位までやってみたものの結果的に不毛の時代に終わる。与えられた素材が体験告白物という事で、非��実的なものは描けないという事は得意技を封印して戦うようなもので苦戦を強いられ、これって内山亜紀氏がやまさき十三原作の人情話を描いたようなミス・マッチングで不発だったかな。今後、もしやることがあれば美少年SMのレディス・コミックのみ。そんな雑誌が出来れば、の話だが。 いくつかやったレディコミの編集の一人「アイリス」の鈴木さんは同じさいとうプロOBで、マンガ・アシスタント、マンガ家、マンガ誌の編集、そして今はマンガ学校の講師、とこれだけ多くのマンガに関わる仕事をしてきた人はあまりいないだろう。これでマンガ評論でもやれば全て制覇だが・・・。 この頃はいつもと同じ位の30~40本の作品を毎年描いていたが、レディコミは一本30~40枚とページが多く結構身体にガタがきた頃で、右手のひじが腱傷炎になり1年以上苦痛が続く。医者通いではさっぱり痛みがひかず、電気針で針灸治療を半年位続けてやっと完治。その後、住んでいたマンションの理事長を押しつけられ、マンション戦争の渦中に巻き込まれひどい目にあう。攻撃するのは楽だが、話をまとめるなどというのは社会生活不適格のダー松には大の苦手で「お前等!わがままばかり言うのはいいかげんにしろー!」と頭をカチ割りたくなるような事ばかりで、ひたすら我慢の日々で血圧がガンガン上がり、病院通いの日々。確実に寿命が5年は縮まる。あの時はマジで人に殺意を抱いたものだが、今でも金属バット持って押しかけて奴等の脳みそをクラッシュしたい気分になる時もある。いつかこの時の事をマンガにしようと思っていて、まだ誰も描いてない「マンション・マンガ」というジャンル、タイトルは「我が闘争」。え?誰も読みたくない? この間に出た単行本は「血を吸う夜」、「赤い月の化身」「熱き唇の女神」[以上・久保書店] /「牝猫の花園」「真夜中の人魚たち」[以上久保書店]、「美蝶/放課後篇」「美蝶/ダンシング・クイーン篇」「不死蝶/鋼鉄の女王篇・上巻」[以上ミリオン出版]。 ●1 9 9 4 ~ 1 9 9 5 ろくでもない事が続くのは厄払いをしなかったせいか、このままここにいたら頭がおかしくなる、と15年以上いたマンションから引っ越し。板橋から巣鴨へ移動し気分一新!以前からうちもやりましょうよ、と言われていた同人誌創りをそのうち、そのうちと伸ばしてきたものの遂に申し込んでしまい、創らざるをえなくなる。しかもそれが引っ越しの時期と重なってしまい大いに後悔する。しかしいろんな人にお願いして何とか一冊でっちあげ、ムシ風呂のような夏コミに初参加。これが運命の分岐点。レディコミもこの年で切り上げ、以下同人街道をまっしぐら。現在まで「FUCK OFF!」が9まで、「FUCK YOU!」が4まで計10+&冊創る。 ’95からダーティ松本の名前にも飽きてきたしJr,Sam名��も描き始める。 レディコミ時代は松本美蝶。あと2つ位違うペンネームも考案中。 この間の単行本「氷の部屋の女」「双子座の戯れ」[久保書店]、「黒い夜と夢魔の闇」[松文館]、「危険な女教師/美蝶」[ミリオン] ●1 9 9 6 ~ 美少女路線の絵柄もこの年の「夜顔武闘伝」あたりでほぼ完成、今後また少し変化させる予定。しかしこの作品は超能力、アマゾネス、忍法エロマンガとでも呼ぶべきか。「グラップラー刃牙」みたいに闘技場での勝ち抜き性武道合戦までいきたかったけれど、残念ながらたどり着けず。 「冬の堕天使」は久しぶりの吸血鬼もの。都営住宅で生活保護をうけている吸血鬼母子のイメージが浮かび、そこから漫画家協会・加藤芳郎を撃つ有害図書騒動のマンガへ。吸血鬼少年が光の世界との戦いに旅立つまでを描き、「闇に潜みし者」は時空を越えて近未来での戦い。その間を描く作品を今後創らなければ。 「FUCK CITY 2006」はクソ溜めと化した近未来のTOKYOを舞台に久しぶりにダーティ・バイオレンスが炸裂!ハード・エロ劇画と同人誌風・美少女路線の合体は果たしてうまくいったかどうか?30ページほど描き足して、’97、9月にフランス書院のコミック文庫にて発売。[「少女水中花」] 「放課後の媚娼女」と「人形愛」刊行。[いずれも久保書店刊]前者は以前、上下巻だったのを一冊にまとめて。後者は近作を集めた同人時代を経ての初単行本で、同人誌を知らなかった読者はショックを受ける。メタルフアンから以下のようなお手紙を受け取る。「これはジューダス・プリーストの『ターボ』だ。ラストの『眠れる森の少女』は『レックレス』にあたる。しかしジューダスもその後『ラム・イット・ダウン』や『ペイン・キラー』という傑作を世に出した事だし、今後を期待したい」という意のダー松のようなメタルファン以外は意味不明の激励をうける。 ●1 9 9 7 同人誌「エロス大百科シリーズ」スタート!いろんな項目別に年2刊づつ計100ページ位を別刊シリーズとして出し続ければ10年で1000ページになり、以前「谷岡ヤスジ1000ページ」という枕に最適の本があったが、これも一冊にまとめて枕にして寝れば、目覚める頃は3回夢精しているなんて事に・・・などとまだたった40ページの段階で言っても何の説得力もないか。飽きたら2~3号でSTOPするだろうし・・。[推測通り「毛剃り」「美少年SM」「女装」3号でストップ中]冬にはやおい系にも進出の予定。 今年出した単行本は厚くて濃いエロマンガを集めた久保書店MAXシリーズ第2弾!「放課後の熱い祭り/完全版」と「夜顔武闘伝」オークラ出版。ともに大幅描き足して25周年記念出版として刊行。ティーツー出版よりJr,Sam名で「昼下がりの少女」、9月にはフランス書院より「少女水中花」の文庫本が出る予定で現在、この同人誌と並行して描き足し中。「斬姦狂死郎」第2部も���ホリディ・COMIC」誌にて6月よりスタート!年内創刊予定の『腐肉クラブ』なる死体姦専門のマンガ誌にも執筆予定。 さてさて25年間、旅行の時を除いて、現在まで2日続けてマンガを描かなかった事はほとんどない。これはその昔、伊東元気氏というマンガ家とお会いしたとき「今月何ページ描いた?」との問いに、「今月仕事ないんでぜんぜん描いてません」と答えたら、「そんな事じゃ駄目だ。仕事があろうがなかろうが、毎月100頁は描かなきゃ。」と言われ、以後その教えを守り[描けるページ数は減ったが]、マンガは仕事ではなくなり、朝起きたら顔を洗うのと同じで生活そのものとなり現在に至る。 今は何でも描けそうなハイな状態で、以前はたまには外出しないと煮詰まってしまうので週いち位ガス抜きをしていたものだが、最近はせいぜい月いち休めば十分の「純エロマンガ体」。[���粋にエロマンガを描くためだけの肉体、の意。ダー松の造語] こうしてふり返ると、この路線はまだえぐり足りない、これはあと数回描くべし、なぜこれを一度しか描かない!等々、残り時間にやるべき事、やりたい事の何と多い事! 爆裂昇天のその日まで・・・ 燃 え よ ペ ン ! なお続きは 1997年後期 1998年 INDEX
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第44回 『台北市動物園』
台北に行ったらメトロで動物園へ
いつ行っても穏やかな暖かい台湾は、のんびりして食事もうまいし、足つぼマッサージも手軽で廉いし、絶好の観光地である。今回は、メトロに乗ってまだ訪問していなかったアジアで指折りの規模である動物園に行ってみた。
動物園駅を下車してエスカレータで降りると、待合せなのか、見物客がたむろしていた。動物園入口までの歩道には、動物たちの足跡がいく種類も点々とレリーフで並んでいた。形がずいぶん違ったり大小それぞれ異なっていたりおもしろい。早く入って足跡の主をみたくなる。一般客は60元、日本円換算約120円で入場券を買って園内に入る。
まず、入口で日本語版の園内地図を選んでもらい、最初に入るパンダ館参観券を一緒にもらった。切符には入場時間が指定されていて、混む時には並んで待たないと見られないこともあるらしい。今回はすぐに入れた。
パンダは中国から2008年12月に、オスの團團とメスの圓圓のつがいを寄贈されたもの。そして2013年7月6日には人工授精でメスの赤ちゃんが生まれている。
立派な建物のなかにパンダはいた。館内は歩きながらゆっくり見られるようなスロープになっていたが、休日だからか家族連れで混んでいた。そして大きなガラス張りの洒落た展示場のなか、パンダは少し離れたところにじっとしていて、客のそばにはなかなか来てくれない、こちらに向いてもくれない。だから、愛らしい姿も見えず、カメラにも撮りにくく、何枚も撮ってみたが、残念ながらいい写真にはならなかった。
アジア屈指の動物園
この動物園はアジア最大だそうで、東京ディズニーランド2個分の面積がある。展示種類も360種、2300点もいるという。休日なので人も多く、せっかく来たのに見たいものが見られないのは残念だから、つい���ぎ足になる。
ところが園内バスが何台も巡回していて、5元出せば子どもも大人も乗れて、奥の方まで連れて行ってくれる。おとぎの国のバスのように車体は可愛らしく飾られていて、休日でお客さんがたくさんいてしばらく並んで待つほど人気だった。
終点で下車すると、コンクリの塀に囲まれた木のうえに静かに寝そべってグリーンイグアナが4匹太陽に当たっていた。怖い顔をしていて背中に並ぶトゲ状の突起物がタテガミのように見える。けれど、よく見てみると草食系でおとなしそうな眼をしている。じっとしてあまり動かなかったけれど、めったにお目にかかれないからしばらく眺めていた。
この近くに両生・爬虫類館があった。カエルは日本でもなじみでかわいらしいけれども、珍しい真ッ黄色のカエルがいて目を見張る。表情もなかなか愛嬌があって、仲間同士活き活きしていてかわいらしくさえある。
この部屋にはヘビやトカゲなどたくさんの種類が展示されていて、見るだけで疲れてしまうほどいた。正直いってそう好きな生きものでないけれど、ガラスの向うにいるからじっとよく見てみると、怖いようでもあるが、なかには愛嬌のある顔をしているものもある。
1点1点丁寧に見るほど長居すべきところとはどうしても思えないから、ちらっと見てはとなりのガラス窓の部屋へと移動して、両生・爬虫類館から出てきた。でもけっこうな時間を費やしていたようだ。
じっくりモウコノウマを眺める
馬はなんども見ているが、いろいろ種類があって、蒙古の馬というのがいるとは聞いていたが、なかなかじかに見ることがなかった。日本のあちこちの動物園にもいるけれどもうまく見られなかったが、ここでゆっくり見ることができた。
競馬馬に比べるとずっと小ぶりで農耕馬のようにどっしりと��て、一昔のまえのもの静かな種類の馬のような感じで、親しみやすく馴染める感じがした。
向かいに足を運ぶと、谷間のような景色の向うにアメリカバイソンがゆったり群れをなして歩いている。太い重そうな角を生やして体も大きいが、ウシの仲間の草食性でおとなしい。まさに自然のなかの野生種のように見えるけれど、実のところこのバイソンは野生種がほぼいなくなってしまったそうだ。20世紀はじめには世界で500頭ほどしかいなくなり、目下のところ世界各地の動物園が保護して、絶滅を防いでいる現状であるという。
動物園では、かわいい動物の子どもを増やしたり育てたりして、世界の生きもののバランスを崩さないよう、目に見えない努力を積み重ねているのである。
オリのなかのチンパンジーと記念撮影?
さて、その向かいはチンパンジーのコーナーである。この写真はオリに入って記念撮影と洒落こんでみた?わけではない。チンパンジーがオリから手を出しているようにリアルに造ったブロンズ像なのである。入場者への記念撮影用の園のサービスであるようだ。
「ほんもののチンパンジーと仲良く写っているように見えるでしょう?」
けれども、ほんものはちゃんとオリのなかにいて、静かに物思いにふけっているような気取ったポーズをしていた。なかなか愛嬌があって、下あごに白く生やしたヒゲがなんともお洒落で、ヒトとあまり変わらない知的な表情をしている。
ことばはしゃべらないが記憶力はけっこう確かで、ヒトとのやりとりを覚えているようである。例えばカメラを向けると、得意のポーズをするものもいる。
世界に広く分布し、食生活もヒトと似ていて、甘い果物が好物で菜食もし、昆虫や卵も好み、さらには集団で狩りをして動物の肉も食べるのである。
となりのコーナーではお客さんがケータイで写真を撮っていた。同じヒヒの仲間で、アヌビスヒヒと書いてあった。日本の動物園にはあまり見かけない種のようだが、カメラを前にしてじっとポーズしてサービスする健気なサルである。
「東非ヒヒ」とあり、OliveBaboonと英語で書いてあった。サルの仲間とは姿を見ればわかるが、どんな生き方をしているのか。草原��群れをなして生活し、あまり樹のないところ小石まじりの丘に住み、まれには木に登ったりする。オスは他のオスと戦ってメスを得て性交し子孫を増やす、と簡単な説明がしてあった。
サイもカバもたくさんあちこちに
シロサイが近い場所2か所に別れてたくさんいた。仲間どうしで遊んでいるのか角突き合わせているのか、仲間が何頭もいる動物園は珍しい。オス同士でメスの取り合いでもしているのか。
いくつかの動物園でサイを見てきたが、だいたい1~2頭で、退屈そうに水辺で水を浴びたり、横になって寝ていたりしていた。ここのサイはゆったりではあるがよく活動している。
何頭いるのか調べてないが、別のところにいたシロサイは、仲間から離れて散らかっているフンを検証しているようだ。サイは眼があまりよくないが、聴覚や臭覚はすぐれているので、仲間や家族のようすを散らばったフンから感じ取ってでもいるのだろうか。
こんな巨体のサイも、角が高く売れるというのでヒトに襲われて、悲しいことに絶滅の危機にさらされており、いまや地球上で2000頭ほどになってしまっている。
ここにはカバも数頭いた。カバは河馬と台湾では書くが、日本語でもおなじだ。身体が大きくて丸っこいのに泳ぎがすばらしくうまい。イヌは首だけ出してイヌカキで泳ぐけれど、カバの泳ぎはけっこう潜って泳ぐし、カバカキというのだろうか、子どもたちがその泳ぎを食い入るように眺めていた。水上に上がって顔を出すと、鼻の穴を大きく広げて呼吸をする、そのとき水しぶきが勢いよく飛んでくるのがおもしろい見ものであった。ガラスの囲いでしぶきは飛んで来ないから安心して見物できる。
この池のとなりのコンクリートの庭では、池で泳いでいない親子のカバがゆったりと日を浴びて、エサでも探しているのか散歩していた。
キリンとシマウマが同居して
かなり広いコーナーの遠くにキリンが見えた。その同じ区画にシマウマも一緒にいた。いつも同じコーナーにいる��らだろうか、お互い素知らぬ顔でじゃれ合いも遊びもしない。双方草食性でおとなしく、追いかけて襲ったりもせず、興味なさそうな感じだ。ケンカするようでは一緒に飼育できはしないけれど。
そのてまえにシマウマが団体でいた。どうしてこんなにたくさんいるのか。初めて目にする光景である。
何頭もきれいに背中を並べて群れているようすを上から眺めると、じつに壮観である。じっとしてあまり激しく動かないから体の模様が幾重にも重なって、珍しい美しい幾何学的な模様になる。のぞきカラクリメガネとか抽象画とかを見ているような錯覚に陥る。
日本や世界に数多く動物園はあるが、こんなにたくさんシマウマやサイやカバがいるのは珍しい。この台北動物園ならではの見ものかもしれない。台北に足を向けた折りには、ぜひこの動物園に足を運んでみてはいかがか。
動物園で漢字のお勉強
この動物園にはラクダが2種、ヒトコブラクダとフタコブラクダと柵を隔ててほぼ一緒にいて、それらの大きさが違うのがよくわかる。日本人の場合「月の砂漠」の歌のイメージから、ラクダはフタコブに決まっていると思っている人が多いはずだが、フタコブラクダは、荷物を運搬したり人が乗ったり、乳を搾ったり毛織物の材料にしたり、家畜用に育てたもののようだ。
コアラが樹のうえで寝ていた。夜行性の生きものだから昼間は寝ている時間が長い。時々は動くけれど、近くでなでたり触ったりはできないから、長居してもおもしろくはない。かわいいけれども、つぎに行こう。
ゾウ舎だ、ここにはアフリカゾウがいた。こことは別のところにアジアゾウのコーナーもある。アフリカゾウはアジアゾウに比べると気が荒いが、遠くにいるから大きさがあまり実感できず、眺めているだけでは怖いとは思わない。ある動物園のゾウはストレスがたまっていたのか、長い鼻で観客に向けて水鉄砲のように振り撒いていたこともある。
この柵には、ゾウの漢字「象」の変遷が掲示されていた。甲骨文字・金文・小篆・隷書の書体が並んでいた。小学生のお勉強にはちょうどいい。むしろ大人も甲骨文字になると分からない人が大半だろう。漢字だから日本人でもよくわかって勉強になる。
そろそろくたびれてきたので帰り路につこうと歩いていくと、大きな箱があった。これはゾウの引っ越しに使った箱であった。
説明板によると、もと台北市内の北にあった動物園から、いまの動物園に引っ越しした時に使ったものだという。外から見ても感じはつかめるが、なかに入ってみると、いかにゾウが大きいかまざまざと実感できるのがおもしろい。
嫌がる大きなゾウをこの箱に追い込むのはたいへんな苦労があったろう。入れたあとここまで運んでくるのも大仕事であったことだろう。
この動物園はとても広く、ほかにもアジア熱帯雨林区、台湾動物区、子ども動物区、虫の谷、鳥園など1日ではとても全部は見切れないほど充実している。今回はざっと半分ほど見たろうか。なかなかすばらしい動物園であることを確認したので、また来てみたいと思いながら帰途についた。
(磯辺 太郎)
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2019.06.25 ダイバーシティに溢れるポエジー
先日、乃木坂から西麻布まで、青山霊園を抜ける道を歩いている時にようやく気づいたのだった、ここが青山霊園なのだと。東京で生まれ育って45年、何度も通ったこの道に霊園があることはもちろん知っていたのだが、なぜかそれが青山霊園と直結せず、青山霊園はもっと青山一丁目方面のどこか別の場所にあって、ここは違うと思い込んでいた。
なぜそう思い込んでいたのか。まったくわからないが、理由はおそらくない。もともと方向音痴で、地図を読むのも苦手なので、勘違いした節はある。が、もっと根本的に、これまでの人生で「ここが青山霊園である」とあえて認識する機会も必要性もなく、同時に「ここが青山霊園ではないか否か」についても懐疑してこなかったため、まるっとスルーしてしまったのだろう。
時に、自分と密接なトピックや関係性のある事物以外には意識が及ばず、世界から欠落させてしまっていることがある。興味のないカルチャー、苦手な学問、海外情勢、自分の生活と地続きであるはずの地域問題などなど、様々なトピックについて思考したいのに、それらが認識の外にある場合、存在そのものに気づかない可能性も否めない。かくして視野は狭窄する。
自分が捉えている世界は、自分の認識を保有するたった1400ccの脳にある。本来の世界は外にある。見えない外を想像し、見える内を疑う視点を保ち続けなければすぐさま思考は停止する。なるべく視野を広く。自分を盲信せず。それでもスルーしてしまう事物は多くあるので、青山霊園のような日常のふとした「気づき」が意識を刺激してくれるのはとてもありがたい。
以下、最近の日記。
◎6月14日 アジア食材を調達しに新大久保のJB HALAL FOODへ。たまたま棚卸しをやっていて、ゆっくり見れなそうだったので、東新宿のASIA SUPER STOREへ。帰宅するのが遅くなるので冷凍冷蔵を除いた食材を吟味するのだけれど、結局ゲテモノ見ちゃうよね。
お買い物後、ワタリウムで大好きなジョン・ルーリー展「Walk this way」。眼福。凄まじいポエジー。可視域の向こう側で息づく精霊たちの遊び。固定観念の記号をはしゃぎながら破壊する無垢なる何者かの笑い声。
snacknagako
ジョン・ルーリー詣。最高すぎて脳からβエンドルフィン出まくる。 ジョン・ルーリーの絵を見るといつも、子供の頃にきっちり子供をやり尽くさないまま規範の型にはめられ、大人にさせられた結果未だに成仏できずにくすぶり続けるわたしのインナーチャイルドが、大はしゃぎする。それでいいんだよって言われてる気がする。もう一度やれる気がする。もう一度くる
その後、GLASSLOFT展の打ち上げに誘っていただいて、会場に着いたらメンバーのみなさま自ら赤エプロン装着!手料理でおもてなしいただいて感激!
snacknagako
ちょっと信じられないくらい豪華なクリエイター陣が赤いエプロンしていらっしゃる豪華な打ち上げ現場!ご馳走さまでした!
◎6月15日 食材整理。英語表記さえない子はもう何が何だかわからない
◎6月16日 原稿が進まないのでトムヤムクン制作へ逃亡
◎6月17日 毎月第3月曜日16時台は、渋谷のラジオなのに映像部! ゲストの尚玄さんありがとうまたね!
snacknagako
毎月第3月曜日16時台は #渋谷のラジオなのに映像部 📻 本日は今週末に主演映画『ココロ、オドル』の公開を控えている俳優の尚玄さんをゲストにお招きいたしました! 映画の見どころはもちろん、以前出演された映画や体作りのお話などいろいろ伺いました! 尚玄さん、聞いてくださったみなさん、ありがとうございました😊 楽しすぎて記念写真撮るの忘れました😭 また来月!
その後、ヤマト運輸の祐天寺センターへ。農家さんから取り寄せた梅3kgが、なぜか以前住んでいた祐天寺のアパートに届いちゃって、引き取りに。なかみ梅なのに段ボールはみかん。
snacknagako
Amazonの住所設定がなぜか昔の住所になってしまっていて、南高梅3キロがヤマトの祐天寺センターに漂着して、転送は受け付けられないから取りに来い、さもなくば発送主に1週間後に戻すとのことで、金も払わず商品戻すのはあまりにも農家さんに申し訳ないから引き取りに来て、ダンボールを抱えてよちよち歩きながら「重い、あまりにも重い」と喘ぐ道すがら、小学生に「みかん!みかん!」と指さされ、「おいこらガキ!みかんじゃねえよ!梅だよ!」と怒鳴り散らしたい衝動を堪えたところで馴染みの蕎麦屋の前を通りかかったので、生粉打ちとろろそばをいただきながら、このダンボールを抱えてこれから1時間ラッシュの満員電車に揺られて帰宅する自信がないけれど、赤ちゃんも子供ももっと重いわけだからだっこするお父さんお母さん大変だ、気ままに生きる独り者の私ごときがたかだか3キロで弱音吐くなど片腹痛い、そうだこのダンボールは神が私に与えたもうた赤ちゃんで、この子を立派に育てるのが私の使命だとやにわに天啓を受け、蕎麦屋を出るなりダンボールに梅太郎という名前をつけてよしよしあやしながら抱きしめて歩く私をどなたか見かけたら遠慮なく通報してください
◎6月18日 原稿がどうしてもうまくいかない。煮詰まったときはみじん切りに限る。というわけで、サンダーキャッツさんのレシピでザワークラウト。
◎6月20日 梅仕事開始。甥っ子に手伝ってもらって2kg塩漬け。梅酒用1kgは冷凍庫へ。
夜は仕事しながらDOMMUNEで「TOKYO NEW SOURCE」特集を正座で拝見。お世話になっているWATUSIさん、大ファンのいとうせいこうさん、憧れのs-kenさん、そして中2から神と呼んでいる町田康さん。この並びにさらにOTOさんまで。無性に山本政次監督「ロビンソンの庭」を見直したくなった。
そういえば中学生の時、パンク仲間の友達のいとこが町田町蔵時代の人民オリンピックショーのライブ音源を聞かせてくれたことがあった。その中の一曲に腰が砕けて立ち上がれなくなるくらいの衝撃を受けた。音源になっていないから歌詞も曲名もわからないけれど、あまりの衝撃に5、6年くらいシリアスな精神の緊張状態を保っていたところで町田氏の歌詞集が出て、これは絶対あの曲の歌詞だと思しき詩のタイトルが「レタスと仏像」だった時、その言葉のチョイスと抜け感にやられて、ずっとシリアスに緊張していた心がおおいに緩んで思わず号泣してしまった夏の日を思い出して夜中に悶絶。
◎6月22日 gongonこと長嶋五郎画伯の個展エンディングへ。遅れちゃって本人のラップパフォーマンス見れなかったんだけど、友達とおしゃべりして、星野概念さんのトリオのライブを少し拝見。
その後、青山CAYへ。楽しみにしていた「TOKYO NEW SOURCE」のライブ! みなさま本当に素晴らしかった。SECRET COLORSの4者4様のポエトリー。表現力が豊かで、格好良かったので、サイコーとかイエーとか叫びながら1人で拍手していたら「ナガちゃん?」って。大学の頃の旧友、みずえだった。なんと10数年ぶりの予期せぬ嬉しい再会。久しぶり、いま何してんのって聞いたらおもむろにパケ入りのナンプラー麹をくれる。作ってるらしい。やっぱりちょっと凝り性の人たちはね、みんな行くんだよ、発酵に。
そのみずえと一緒にライブを見る。s-kenさんの年季の入ったピカピカの高級本枯れ節みたいな貴重なスポークンワーズ。神こと町田康先生のピンと張りつめたテグスのような緊張感の中にも温もりがともる聖なる朗読とお歌。いとうせいこう is the poetのダブポエトリーの、言葉と音の一部に自分が取り込まれたかのような錯覚の快楽。WATUSIさんの指から放たれるベース音が自分の足の裏をビリビリ振動させる。これはほとんど性行為だと思いますとご本人にお伝えしながら、改めてポエトリーってすごいなと感動した次第。
音楽や朗読、執筆表現のみならず、【個々の多様性を尊重する社会】には、ポエジーが溢れている。
ひと昔前には【人間を一括りとくくりたがる社会】があった。男らしさ・女らしさのジェンダーの型。個人より全体を重んじる社会規範。全体より外れる者を断罪する同調圧力。モテるためのHOW TO。これらは、人間個人の性質を慮る以前に、先に型を示し、そこへ後付け的かつ一様に人間を押し込む型先行の方法論だった。ゆえに個に不寛容で、抑圧的だった。
私などは、それを個殺しと呼び、たかだか型の分際で、個々に異なる命を生きぬく人間より先にしゃしゃり出るな図々しい、人間を馬鹿にするのもいい加減にしろと怒りの長文コラムを認めて対抗したものだが、実際に型にはまらない人間を侮辱したり、いたずらに苦しめたりする状況は人権侵害であり、個人の自己決定権を蔑ろにしているという意味においても、まさしく人間を馬鹿にしているとしか言いようがない。
男らしさ・女らしさの型。良き父・母の型。理想の家族像。模範生。デキる男の処世術。モテる女の仕草。それらは本来、先だって多様な個性を生きてきた人間の行為や選択を参照した結果、後付け的に集約された傾向と対策、あるいは各組織の長が管理しやすい理想のコマ像であり、個々に多様な人間たちを一回りも二回りも都合よく矮小化させた空疎なデータにすぎない。そのたかだかデータに向かって、個々に多様な人間を後付け的に集約せんとする社会で、人間は人間性=個を殺され、たかだかデータの劣化コピーとして扱われる人間喪失デフレスパイラルの沼に総じて落とされた。
前時代の鬱憤や反省を受けて、現在は人権意識を改め、【個々の多様性を尊重する社会】を目指す向きにある。もっとも過渡期ゆえ、未だ【人間を一括りとくくりたがる社会】の残滓に出くわす瞬間もあれば、多様性への理解値が自分も含めて不足しているのではないかと懐疑することもある。なにしろ自分が見ている世界は、自分の1400ccの脳が自分に見せている世界だ。視野を広く持たないと、ここは青山霊園ではないと思い込みながら、青山霊園の中を歩くような頓珍漢な事態を招いてしまう。
さておき。この一様と多様がぶつかり合っては渦を巻く過渡期のカオスに、私はポエジーのうねりのようなエネルギーを感じる。型はたかだかデータであって、良くも悪くも光も闇も有象無象の矛盾もまるっと内包する人間そのものの性質を映していない。むしろ人間ならではの複雑な性質の上っ面のみを都合よく抽出して滅菌し、最低解像度で簡略化した劣化コピーキャットが型に現れる人間像である。そこに人間個人の真なる声はない。型に嵌められる怒り、型になじまない苦しみ、型に嵌らない者への侮辱、その悲しみなど、先に用意された型と対峙した時に、どうしてもこぼれ落ちてしまう各個性にこそ真なる声がある。そしてそれらは個々に多様である。
型の時代は、データ集計の都合上、男女、老若、白黒、犬猫といった二項対立や選択を容易に持ち出し、優劣をつける言説が多かった。多様性の許容を目指す現在はその「どちらかしかない」状況が苦しく、社会にも閉塞感が蔓延する。今はSNSやブログなどを通じて多様な生き方、グレースケールの振り幅、個々に異なる言葉の表現を目視できる。そこにはポエジーが溢れている。
ポエジーは、白黒の型からこぼれ落ちた個が、人間の真なる声で自らの生命を誇る賛歌であり、押し付けられた規範的な言葉では到底語りつくせない人間味を雄弁に語る表現���力だ。うまくまとめなくていい。支離滅裂でいい。超整っていてもいい。誰かにとって都合の良い言葉などほとんど嘘だから吐かなくていい。嘘をついてもいい。醜くていい。美しくていい。なんでもいい。言葉が生命の一部であることを喜び、ゆえに生命が潤う循環によって、人生が素晴らしくなるといい。この世にもっとポエジーが溢れて、人間ひとりひとりが自分の生命と楽しく、丁寧に遊べるようになるといい。
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近さの / なかに / はいる
※この記事はnoteに書いたものをそのまままとめて移植したものです
→もとの記事(初回)https://note.com/megata/n/n47f8d146b717
[1]
花になるなら、飾らず、まっすぐに伸びるヒマワリがいい。モードが言う。対してハロルドは、一面に咲くヒナギクを見下ろしながら、自分はこの花がいいと言う。あの花この花の区別なく、たくさん横並びで生えている、どれでも変わりないようななかのひと花でありたい、と。そんなふうにヒナギクを評するハロルドに対し、同じ花なんてないとモードは意見する。それから、こんなこともいう。世の中の不幸のほとんどは、他人と同じように扱われることに不満を持たない人々が生み出している、と。
ところが、「どこにでもいるやつなんて どこにもいない」式のことを述べたてるモードは、とてもとても極端な人物なのだ。名もなき雑草のひと花ひと花に愛情深い態度を示すような、落ち着いた穏やかな人格ではない。独善的で身勝手な狂老女、とみなされても不思議ではない。
ラブコメというジャンルはどのような構造で組み立てられているか、という話のなかで話題にのぼり、紹介された映画『ハロルドとモード』を実際にみてみた。とはいえこの映画は、いわゆるラブコメというジャンル映画ではないように思われる。家人の目につくところで自殺を演じ続ける少年ハロルドだが、ハロルドの母は、息子が首を吊ろうと手首を切ろうと銃で頭を撃ちぬこうと、まったく相手にしない。「いつものいたずらね」ということで軽く流し、かわりに精神科に通わせたり、軍人の叔父に預けようとしたりする。ただし同伴・同席はしない。ハロルドは一人で精神科や、叔父のオフィスに通わされる。 ハロルドはいつものように、知らない人の葬儀に勝手に参列する。そこで知り合った79歳の老女・モードもまた、赤の他人の葬式に参加するシュミがあった。二人は巡りあう。 モードは常に人の車を運転する。公道の街路樹を引き抜き、人の車にのせ、料金を払わず高速道路をぶっ飛ばし、白バイ警官をまいて、山に勝手に植えにいく。シャベルだって当然盗品である。しかしあっけらかんとしていて、罪の意識はない。法を犯していることぐらい理解しているだろうけど、罪を犯している自責はかけらもない。めちゃくちゃである。 惹かれ合った二人が、きちんと一夜を共にする描写(朝になって、裸の少年と老女がおなじベッドで目覚めるシーン)があるのがとてもよかったです。 「ラブコメ」のジャンル映画ではなさそうだったし、それに「恋愛」を描いているようにも思われなかった。おもしろい映画だったけどね。さあ「恋愛」ってなにか。
このごろ読んでいた嘉村磯多の「途上」という自伝小説のなかに、露骨な切れ味の描写があってハッとさせられた。中学校のなか、からかわれたり後輩をいびったり、勉学に励みつつ田舎出身を恥じらい、色が黒いことをバカにされたり先生に気に入られたり、下宿先の家族に気を使いすぎたりして、なんやかんやで学校を中退して、実家に戻ってきた。ぶらぶらしていると、近所にいる年少の少女に目が留まる。いつか一度、話したことがあるきりだが、やたらと彼女が気にかかる。そこにこの一文があらわれる:「これが恋だと自分に判った。」 そんなふうにはっきり書かれてしまうと弱い。「はいそうですか」と飲み込むほかない。 けれど、恋愛を描いている(とされるもの)に、「これが恋」って「判った」だなんて明確に言及・説明を入れ込むことは、どうなんだろう。少なくとも当たり前な、お約束なやり口ではないと思うけど。 世の中には、「恋」「愛」「恋愛」という単語の意味するところがなんであるのか今一度問い直す手続きを踏まえずに、じつにカジュアルに言葉を使っているケースばかりがある。そうすると、その場その場で「恋」の意味が変わっていくことになる。その「恋」が意味しているものは単に一夜のセックスで、「恋多き」という形容詞がその実、「ぱっと見の印象がイケてた人と手当たり次第やりまくってきた」って内容でしかないときも少なくない。 まあけど、それがなんなのかを追究するのはやめましょう。というか、いったんわきに置いておきます。
さて『ハロルドとモード』の紹介された雑談のトピック:「ジャンルとしてのラブコメ」ですが、これは単に、「イニシアチブを奪い合うゲーム」であるらしい。そういう視点で構築されている。要するにラブコメは、恋愛感情の描写とか、恋とは何かを問い直すとかじゃなくて、主導権や発言権を握るのは誰か?というゲームの展開に主眼がある。気持ちの物語ではないのだ。描かれるのは、ボールを奪い合う様子。欲しがらせ、勧誘し、迷い、交渉する。デパートのなかで商品を迷うように。路上の客引きの口車にそれなりになびいたうえで、「ほか見てからだめだったらまた来ます」って断りを入れて、次の客引きに、「さっき別の店の人こういってたんですよね」とこちら側から提示するように。 イニシアチブの奪い合い、というゲームさえ展開できればいいので、気持ちとかいらない。ゲームが展開できるのであれば、主体性もいらない。ラブコメの「ラブ」は心理的な機微や葛藤の「ラブ」ではない。奪い合っているボールの呼び名でしかない。(つまり奪い合い=おっかけっこ、が、「コメ(ディ)」ってワケ)
浮気はドラマを盛り上げる。人が死ぬのも、まさに「劇的」なハプニングだ。雨に濡れて泣きながら走り、ようやく辿りついたアパートの部屋はもぬけの殻、ただテーブルにひとことの書き置き「フランスに行きます」みたいな、そんな派手な出来事で試合はいよいよ白熱する。ところが、心理的な機微や葛藤というのはいつだってモノローグ的だので、気持ちの面での「ラブ」を描きたいなら、このような出来事たちはむしろいらない。うるさすぎる。もっとささやかで、短歌的な味わいのものがふさわしい。ひとりでいるときに、マフラーの巻き方を真似しようと試みて途中でやめたり、チェーンの喫茶店の安コーヒーの味が思い出でおいしくなったり、そういうのでいい。出しっぱなしのゴミ勝手に片づけたの、ちょっとおせっかいすぎたかなってくよくよ悩む、とかでいい。
恋愛の感情・心理がよく描写されているように感じられる物語の登場人物は、内面的な葛藤に閉じこもらざるを得ないシチュエーションに押し込められている場合が多い気がする。「ひとには秘密にしてないといけない」「誰にも言えない」という制約のある環境。仕組みとして、宗教の違いや人種や年齢の断絶、同性愛など、自分の思いを簡単にひとに打ち明けられないセッティングの話のほうが、「イニシアチブ奪いあいゲーム」からは遠ざかる。(それに、そんなようなセッティングだと、「世間の常識」が要求してくるジェンダーロールを無視して鑑賞しやすい場合も多い。)
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[2]
成功した実業家の息子であるハロルドは、経済的にも肉体的にも不自由なく暮らしている。が、なんだか欠落を抱えている。自殺遊びや他人の葬式への参加など、死に接しているときが最も楽しい。老女モードは、そんなハロルドの世界観を一変させることになる。彼女はかなりアナーキーな存在で、逮捕されるようなことばかり繰り返している。けれど悪びれない。自らの行為を、自分らしい人生を過ごしている実感を与えてくれる刺激として肯定している。
J.G.バラードに『コカイン・ナイト』という小説があって、この頃これを読みました。あ、そもそもこの記事は、最近読んだものや見たものについて、できるだけ網羅的に言及できないかと願いつつ当てずっぽうで書き出した文章です。できることなら人とのやりとりや、自分の過ごした日常についても記したいが、それがうまくできるかどうか。
『コカイン・ナイト』の主人公はチャールズで、世界中を飛び回っている旅行記者です。退屈について、カリスマについて、刺激について。さまざまな切り口から鋭い洞察が重ねられたこの名作の入り口は、ミステリーのかたちをしている。 スペインの南、ハイパーセレブたちのリゾート地で働いているはずの弟が窮地にたたされているから助けにいかなきゃ! という目的で、チャールズは物語の舞台にやってきます。弟の状況はよく知らないけど、あいつのことだし、そこまで深刻じゃないだろう。そう高を括ってやってきました。ところがどっこい、弟、かなりやばい状況でした。 大邸宅が放火により全焼し、五人が焼け死んだ。弟にその容疑がかけられている。捕まって、留置されている。裁判を待っている。けれども、誰も、弟が犯人であるとは信じていない。警察だって例外じゃない。明らかに、弟の犯行ではないのだ。それでも弟は、自分がやったと自白しており、嘘の自白を繰り返すばかりで取り下げない。いったいなにが起こっているのか。どういうことなのか。 地域の人らはすべて疑わしい、なにかを隠しているような気がする。チャールズは素人ながら探偵のまねごとをしはじめ、地域の人々から疎んじられはじめる。チャールズにとって、地域の人々の態度と距離感はますます疑わしいものに思えてくる。そして実際、普通には考えにくい、歪んだ事態を数々目撃することになる。余暇時間を持て余したハイパーセレブたちは、事故を起こして炎上するボートを楽しそうに見つめていた。拍手さえあがる。
『ホット・ファズ~俺たちスーパーポリスメン~』という映画があって、平和な村=表向きには犯罪のない村を舞台にした話でした。「表向きには」犯罪はない、というのはつまり、法に反した行為があったとしても、届け出や検挙がなければ統計にはあらわれない、ということを示しています。
世の中にはあたまのかたい人というのがたくさんいて、俺もその一人なんだが、すべてのルールは事後的に構築されたものなのに、これを絶対の物差しだと勘違いしている場合がある。法律を破ったのだから悪い人だ、みたいな感覚を、まっとうなものだと信じて疑わない人がたくさんいる。身近に悪いやつ、いやなやつ、いませんか。自分のなかにも「悪」はありませんか。それと「被告人」「容疑者」はぜんぜん別のことではないですか。 陰謀論がささやかれている。「悪いやつがいる、たくさんいる、てのひらで人を転がしているやつと、愚かにも転がされているやつがいる、自分はその被害者でもある」そう発想する立場に対し、逆の立場に立たされている不安を訴える声もありえる。「知らず知らずのうちに、自分は、陰謀に加担しているのではないか。なんならむしろ積極的に参加しているのではないか」あんなふうになってしまうなんてこと思いもよらなかった、ってあとで口走っても遅い。
『コカイン・ナイト』の主人公チャールズは旅行記者で、世界中を飛び回っているから定住地はない。 どこかに行くと、「自分にとって、ここが本当の場所だ」と感じられる旅先に巡り合うことがある。けれどその段階を越えたむこうに、「自分にとって、世界はすべて異郷である。どこにいても、自分は単なる旅人以上のものではありえない」その境地がある、というようなことを池澤夏樹が言っていたかもしれない。言ってないかもしれない。ともかくチャールズは定住地がない。
國分功一郎『暇と退屈の倫理学』には、 遊動の暮らしをやめて定住するようになったとき、人類は、財産や文明を手にするようになった。貧富の差が生じ、法が生じ、退屈が生じた。時代が下って便利になればなるほど、退屈は大問題になってくる。 というようなことが書かれていた。遊動の暮らし云々については資料がない話だから、この本がどれほど学問的に厳密なのかはわからないけど、発想としてはおもしろいと思ったので覚えています。記憶だから、読み返すとそんな話してないかもしれないけどね。 けどまあ、ともかく、遊動し続けていたチャールズは、退屈がまさに大問題になっている地域に巻き込まれるかたちで取り込まれていく。はじめは弟の部屋を使っていたチャールズも、その地域を牛耳っているやつが用意してくれた部屋にうつるときがやってくる。その部屋にはじめて足を踏み入れたチャールズに、こういった言葉がかけられる。「チャールズ、君は家に帰ってきたんだ……」 「今の気分を大いに楽しみたまえ。見知らぬ場所という感覚は、自分にとって、常日頃考えているよりも、もっと近しいものなんだよ」
この記事は当てずっぽうで書き出した日記ではあるけれど、記事のタイトルははじめから決めている。「近さの/なかに/はいる」 ようやく、「近さ」というキーワードを登場させられました。よかった。距離についての話を引き続き。
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[3]
いつか「ア・ホロイ」というグループ展で映像作品の発表をしたときに(おれのみヘッポコな)対談イベントの相手として巻き込んだ太田充胤(医師・ダンサー・批評家)が、ちょうどその当時スタートさせていたのが『LOCUST』という雑誌だった。Magazine for travel and criticism|旅と批評のクロスポイント。 執筆者たちはみんなで旅行をしにいく。そしてその場所についての文章を書く。これを集めて雑誌にしている。参加者は批評家だけではないが、肩書は別になんでもよい。いわゆる観光ガイドでもなく、かといって思想ムックでもない。地域と時事に結びついた、批評癖のある人らの旅行界隈記集で、最近、この第三号を買いました。三号の特集地は岐阜県美濃地方。
この本、千葉市美術館で買った。千葉市美術館ではいま、「大・タイガー立石展」が開催されている。立石紘一=立石大河亞=タイガー立���という作家については、これは子供のころ、好きで好きでしかたなかった絵本のひとつの作者として知りました。親近感、懐かしさがある。 60年代、日本のなか美術作家として活動、のちイタリアに渡り、そこで油絵もヒットしますが、同時にデザイナー・イラストレーターとしても、漫画家としても活躍。日本に戻り、絵本の仕事も手掛けるようになります。陶も捏ねます。 ナンセンス、毒々しくも軽妙で、湿度は高いんだけどしつこくない。筆運び色選びモチーフ選び影の黒さははっきりシュールレアリズム由来で、反逆児のフリをしつつジャンルの枠組みは壊さず、荒唐無稽なフリをしつつ不穏当で思わせぶり、祝祭的=黙示録的、派手好みのくせに辛気臭くすら感じられるガロ感がいつまでも抜けない。という印象。個人的には。
懇意にしている友人の家、友人なのかな、友人なんでしょうか。一緒にいる居心地はいいんだけど、話題が狭く��政治的な話も教養的な話もしない。あるのは惰眠と食卓で、生理的で予測可能なよろこびしかない。安心安全で退屈な時間を過ごす人。おれは人のことをバカにして生きてる。まあいいかそれはいま。ともかく、友人、そう友人の家を出て、千葉中央駅に到着すると、急に大雨が降りはじめた。美術館まで徒歩にしてほんの10分の距離ですけど雨はものすごい。駅ビル内のダイソーで傘を買って足を濡らして10分歩くなら値段的にもそう変わらないと判断し、駅前でタクシーに乗り込みました。「市立美術館まで」と注文します。「市立?」聞き返した運転手はメーターをつけずに発車、すぐに着いて、料金として500円を払う。車運転させておきながら500円玉1枚だけ払って降車するのは後ろめたい。ちょっと照れくさくもある。 タイガー立石の絵はいわゆるコピペっぽさというか、表面的なトレースが多い。ピカソの泣く女やゲルニカ、ダリの溶けた時計、ルソーの自画像、タンギーのうねうね、そんなものがはっきり登場する。作品によっては、モチーフらは一枚の画面にただ雑然と並んでいる。ライブハウスのトイレの壁みたく、全体のなかに中心のない、みるべきメインの仕組まれていない羅列面。 ずっと好きではあったけれど、とはいえどっぷりハマりこんだ覚えのある作家でもない。距離感としては「シュークリーム」とか「揚げ出し豆腐」みたいな。それでも、さすが小さなころからの付き合いだけあって、自分のなかに、あるいはタイガー立石をみる自分のなかに、自分自身の制作態度の原型をみるようで居心地が悪く、やはりちょっと照れくさくもあった。
もちろんカタログを買う。そのために美術館併設の書店に立ち寄った。そこで『LOCUST vol.3』を見つけたので一緒に買ったのだった。太田充胤が、「おいしい、と、おいしそう、のあいだにどんなものが横たわっているのかを考えた原稿を vol.3に載せた」と言っていた覚えがあったためだ。なんだそれ、気になる。そう思っていたところだった。 ぜんぶで7つのパートにわかれたその原稿の、はじめの3つを、ざっくばらんに要約する。 1・はじめの話題は日本の食肉史から。肉を食べることは力をつけることと結び付けられもしてきた。禁じられた時代、忌避された時代もあった。食肉への距離感っていろいろある。 2・野生動物の肉を食うことが一種のブームになっている。都市部でもジビエは扱われている。ただ、大義たる「駆除される害獣をせっかくだから食べる」というシステムは、都市部では説得力がうすい。都市部のジビエは「珍しいもの」としてよろこばれている? 舶来品の価値、「遠いものだから」という価値? 3・身近に暮らす野生動物と生活が接しているかどうかで、(動物の)肉というものへの距離感は変わる。都市部の居酒屋で供される鹿の肉と、裏山にかかってたから屠って食卓に登場する鹿の肉は、そりゃ肉としては同じ鹿肉であっても、心理的な距離の質は同じではない。
イモムシが蝶になる手前、さなぎに変態してしばらくじっとしている。さなぎの中身はどろどろで、イモムシがいったんとろけた汁であり、神話の日本の誕生よろしく、ここから形状があらわれ、蝶になるのだと、子供のころ誰に教えられたわけでもないのに「知って」いた。それは間違いだった。イモムシの背中を裂くと、皮膚のすぐ裏側に羽が用意されている。蝶の体つきは、さなぎになるよりずっと前から、体のなかに収納されている。さなぎはただ、大一番な脱皮状態を身構えてるだけの形態で、さなぎの中がどろどろなのは、イモムシや成体の蝶の体内がどろどろなのとまったく同じことだった。日高敏隆の本で知った。大学院生のころ、ひとの自作解説を聞いていたら、「イモムシがいったんその体の形状をナシにして、さなぎの中でイチから再編成しなおして蝶になるように」という言い方をしている人があった。同じ勘違いだ。 この勘違いはどうして起こり、どうして疑いなく信じ続けられるんだろう。だって、イチから再編成されるなんて、めちゃくちゃじゃないか。めちゃくちゃ不思議なことがあっても、それが「生命の神秘」や「昆虫の不思議さ」に結びついて納得されてしまえば、「ね、不思議だよね、すごいよね」で済む話になるのか。<現代人・大人たちが昆虫を嫌うのは、家の中で虫を見なくなってきたからだ>という論文を先日みつけました。隣近所の人とあいさつをするかどうかで生活の心やすさは大きく変わる。知らない人の物音は騒音でも、知っている人の物音はそんなに不愉快じゃなかったりする。「面識」のあるなしは非常に重要だから、背が伸びてもなお、公園や野原で昆虫と親しみ続ける人生を送っていれば、虫嫌いにはなっていかないだろう。けれど、そういう人生を送っていたとしても、いったん誤解した「さなぎ状態への理解」が誤りだったと、自然に気づけるものだろうか。
岐阜で供されたジビエ肉についての原稿をLOCUSTに執筆した太田充胤は高校の同級生で、とはいえ仲良しだったわけではない。今も別に、特別仲良しとかではない。なんかやってんなあ、おもろそうなこと書いてるなあ、と、ぼんやり眺めて、でも別にわざわざ連絡はしない。卒業後10年、やりとりはなかった。数年前、これを引き合わせた人がいて、あわせて三人で再会したのは新宿三丁目にある居酒屋だった。ダチョウやカンガルー、ワニやイノシシの肉を食べた。それこそ高校の頃に手にとって、ブンガクの世界に惹かれる強烈な一打になったモブ・ノリオの作品に『食肉の歴史』というタイトルのものがあったな、と急に思いついたけれどこれはさすがにこじつけがすぎるだろう。あ、 ああ、自分の話を書くことはみっともなく、辛気臭いからしたくないんだった。「強烈な一打」たるモブ・ノリオの『介護入門』なんてまさに「自分の話」なわけだが、他人の私小説のおもしろさはOK けど、自分がまさに自分のことを語るのは自分にゆるせない。それはひとつに、タイガー立石はじめ、幼少時に楽しんだ絵本の世界のナンセンスさ、ドライさへの憧れがこじれているからだ。 まとまりがなく、学のなさ集中力のなさ、蓄積のなさまであからさまな作文を「小説」と称して書き散らかし、それでもしつこくやり続けることでなんとか形をなしてきて、振り返ると10年も経ってしまった。作文活動をしてきた自負だけ育っても、結果も経歴もないに等しい。はじまりの頃に持っていたこだわりのほとんどは忘れてしまった。それでも、いまだに、自分のことについて書くのは、なんだか、情けをひこうとしているようで恥ずかしい気がする。と、このように書くことで、矛盾が生じているわけだけど、それをわかって書けちゃってるのはなぜか。 それは、書き手の目論見は誤読されるものだし、「私小説/私小説的」というものには、ものすごい幅があるということを、この10年、自分にわかってきたからでもある。むしろ自分のことをしっかり素材にして書いてみてもおもろいかもしれない、などと思いはじめてさえいる。(素材はよいほうがそりゃもちろんいいけど)結局のところ、なんであっても、おもしろく書ければおもしろくなるのだ。
こないだ週末、なぜだか急に、笙野頼子作品が読みたくなった。『二百回忌』じゃなきゃだめだった。久しぶりに引っ張り出して、あわてて読んだ。おもしろかった。モブ・ノリオ『介護入門』に接し衝撃を受けた高校生のころ、とりあえず、その時代の日本のブンガクを手あたり次第漁っていた。そのなかで出会い、一番ひっかかっておきながら、一番味わえていない実感のある作家が笙野頼子だった。当時読んだのは『二百回忌』のほか『タイムスリップ・コンビナート』『居場所もなかった』『なにもしてない』『夢の死体』『極楽・大祭』『時ノアゲアシ取リ』。冊数は少なくないが、「ようわからんなあ、歯ごたえだけめっちゃあるけど、噛むのに手一杯になってしまってよう味わわん」とばかり思っていた。 新潮文庫版『二百回忌』に収録されているのは4作品。いずれも、作家自身が作家自身の故郷や家族(など)に対して抱いているものを、フィクションという膜を張ることで可能になる語り方で語っているものだ。
『大地の黴』: 生まれ故郷に帰ってきた主人公が、故郷での暮らしを回想する。かつて墓場で拾い、そして失くしてしまった龍の骨が、いまや巨大に成長し、墓場を取り囲み、そして鳴る。小さなころ、その土地に居ついている、黴のような茶色いふわふわが見えていた。地元の人の足元にまとわりついていた。いま墓の底から見上げる、よく育った龍の骨たちのまわりにもいる。
『二百回忌』: 二百回忌のために帰省する。親とは険悪で、その意味では帰省したくない。しかし、二百回忌は珍しい行事だし、すでに死んだ者もたくさん参加する祝祭時空間らしいから、ぜひとも行ってみたい。肉親はじめ自分の人生と直接のかかわりをもったことのある地元の顔ぶれは嫌だけど二百回忌には出向く。死者もあらわれる行事だから華々しいし、時間はいろんなところでよじれ、ねじれる。
『アケボノの帯』: うんこを漏らした同級生が、うんこを漏らしたことに開き直って恥ずかしがらない。そればかりか、自分の行いを正当化ないし神聖化し、排泄の精霊として育つ。(漏らしたことで精霊になったから、その同級生には苗字がなくなった!)自分のうんこの話をするのははばかられるけれど、精霊が語る排泄は肥料(豊かさ)や循環の象徴であるからリッパである。
『ふるえるふるさと』: 帰省したらふるさとの土地が微動している、どうやら時間もねじれている。いろいろな過去の出来事が出来していく。
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[4]
『LOCUST』の第三号の特集は岐阜で、おれの祖父母の実家は岐阜にある。大垣にあったはずで、いまどうなっているかは知らない。 父方の祖母が一年ほど前に亡くなった。おれの祖父=おれの父からすれば実父は施設で暮らしはじめた。住む者のなくなった、父の実家は取り壊された。父は仏壇や墓のことを考えはじめ、折からの歴史好きも手伝って、寺を巡っては話をきいてまわるようになった。寺の住職はすごい。自分とこにある墓の来歴ならしっかり把握しており、急に訪れた父が「うちの母のはいった墓は、いつ、誰がもってきたもので、誰がはいっているのか」と尋ねればすらすらと教えてくれる。 つい数代前、滋賀の彦根から、京都の寺に運んできたとのことだ。ところが運んだ者がアバウトで、京都の寺は彦根の寺と宗派が違う。それもあって、一族代々の墓ではなくて、数代のうち、そのアバウトさに異を唱えなかった人らが結果的におさまっているらしい。よう知らんけど。 続いて調査に乗り出した、母方、つまり岐阜の大垣にあった家の墓の来歴についても、どうやらごまかしが多い。ひとりの「かわりもの」のために、墓の行き先がなくなる事態があったらしい。 昭和のなかごろ、青年らは単身で都会へと引っ越しはじめ、田舎に残してきた墓をそのままにしてると数十年のちに誰か死ぬ。次は誰の番だろうかと悩むころには、あれこれ調べて動かす余裕がない。嫁ぎ先の墓にはいるとか、別の墓をたてるとか、戦死してうやむやになってるとか、ややこしいからウチは墓を継ぎたくないとか、もはやふるさとはないから墓ごと引っ越したいけど親戚全員への連絡の手立てがないのでできる範囲だけを整理して仕切り直すだとか、そういうごたごたを探査するのがおもしろいらしい。 父から送られてきた、一緒に夕食を食べることを誘うメールには、「うちの墓についての話をしたい」と書いてあって、おれはてっきり、「墓を継げ!」というような説教をくらうのかと身構えていたのだけど、全然そうじゃなかった。墓の来歴からみえてきた、数代前のずさんさ、てきとうさから、果ては戦国時代の仏教戦争まで、わがこととしての眺望が可能になった歴史物���を一席ぶちたかっただけだったみたいだ。よかった。
京都で父は祖父、父からすれば実父と、たまにあそんで暮らしている。祖母なきいま、90近い祖父と話をできるのはあとどれくらいかと思いを馳せるとき、父はふと、戦争の頃のことを聞いておこうと思い立った。いままでぶつけていなかった質問をした。 「お父ちゃん、戦争のときなにしとったん?」 祖父は15歳だった。日本軍はくたびれていた。戦局はひどい。余裕がない。15歳だった祖父は、予科練にはいった。 「軍にはいれば、ご飯が食べられるから」と祖父は笑って話したそうだ。けれど理由の真ん中は本当はそこじゃない。どうせだめになるのだ、負けるのだ。自分の兄、つまり一家の長子を死なすわけにはいかない。兄=長男に家は任そう。長男が無理やり徴収される前に、次男である自分が身を投げうとう。 きっと必要になるから、と考えて、英和辞書を隠し持って予科練にはいった。敵の言葉の辞書を軍に持ち込んでこっそり勉強するなんて、見つかったらえらいことになる。 その頃、12歳だった祖母は、呉の軍需工場で働いていた。 生前の祖母、というか、祖父と出会ったばかりだった祖母は、祖父が、長男に代わって死ぬつもりで、自ら志願して予科練にはいっていたことを聞いて泣いたという。 おれの父親は、おれの祖父からそんなような話を引き出していたそうだ。父としても、はじめて聞く話だった。 90近くなった自分の父親が、目の前で話をする。自分の身に起きたこと、戦争時代の思い出話をする。子供の前で語ってこなかった話を語る。なんだか瀬戸内寂聴みたいな見た目になってきている。極端な福耳で、頭の長さの半分が耳である。 本人は平気な顔をして、ただ、思い出を話しているだけなのである。それでも、「大井川で、戦地へ赴く特攻隊を見送った。最後に飛び立つ隊長機は空でくるりと旋回したあと、見送る人々に敬礼をした。」と、この目で見た、体験した出来事についての記憶を、まさに目の前にいる、親しみ深い人物が回想し話しているのに接して、おれの父は号泣したという。これは「裏山にかかってたから屠って食卓に登場する鹿の肉」なのだ。
戦争への思いのあらわれた涙ではない。あわれみや悲しみでもない。伝え聞いていたという意味では「知って」いたはずの戦争だが、身近な存在たる父親が直接の当事者であったことがふいに示されて、戦争が急激に近くなる。父親が急激に遠くなる。目の前で話されていることと、話している人との距離感が急激に揺さぶられた。このショックが、号泣として反応されたのではないか。食事中、口にする豚肉を「ロースだよ」と教えてくるような調子でふいに、「この豚は雌だよ」とささやかれて受けるショックと同質の、「近さ」についての涙なのではないか。感情の涙ではなくて、刺激への反応としての落涙。 これでひとまず、自分の描く分を切り上げる。思えばいろいろなトピックに立ち寄ったものです。ラブコメにはじまり、犯罪的行為と共同体の紐帯の話、内的な事件「恋」の取り扱い方、ジビエを食べること、故郷についてのマジックリアリズム。 散らかすだけ散らかしておいて、まとめるとか、なにかの主張に収束するということもない。中心がない。さながらライブハウスのトイレの壁みたく、みるべきメインの仕組まれていない羅列面。 この羅列面に対して連想されるもの、付け足したくなったものがあれば、各々が好き勝手に続きを書いてください。うまく繁茂すれば、この世のすべてを素材・引用元とした雑文になるはずです。や、ほんとのことをいえば、すでにテキストというものはそういうものなんですけど。
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【黒バス】Bye bye by Bye bye
2016/05/03発行コピー本web再録
封された手紙と一緒にお渡ししておりました。
手紙の中身の一文は最後に入れておきます。
この感情に色をつける。そうすると、俺は何色の絵の具を手に取れば良いのだろう。
悲しみはブルーで、イエローはハッピーだ。恋だったらピンクで、情熱レッド? いいや情熱はバイオレットかもしれない。『危険信号』は赤と黄色で、緑は『癒し』。或いは運命。
いつの間にか、俺たちの感情は、大昔に誰かが塗り分けた姿をそのまま使わされていることに気づく。まるで神様みたいだよな。一番最初に、空を青に塗ったみたいに、夕焼けを橙に染めたみたいに、夜を闇色にしたみたいに、俺たちは決められた色で動いている。赤は止まれ。緑は進め!
別にそれに、文句を言う訳じゃない。ただ、教えて欲しいだけなんだ。正解があるなら、正解であるに越したことは無い。一度色を塗ってしまったら、上塗りできる保証なんて、どこにもないだろう。
なあ、俺って今、何色なんだ?
一番最初のピカソでも、モネでもダリでも、或いはエジプトの壁画を描いたような古代人でもなんでもいい。誰か教えてくれないか。俺のこの感情は、果たして何と呼ばれるものなのか。
なあ、お前だったら、俺を何色に塗ってくれるんだ?
*
「真ちゃんさあ、これ版画の授業ってわかってんの」
「もちろんだ」
「版画ってさあ、こう、なんかさ、ざっくり線をとってさ、大まかな形を表現してさ、そんで自由に色を塗るようなもんだなって、俺、思ってたんだけど」
「そうか」
こんなやり取り、前にもした気がする。した気がする、というか、間違いなく、したんだよな。覚えてるし。あれはいつのことだったっけ。確か、校庭のど真ん中で、俺とコイツは並んで絵を描いていた。油彩の授業だったんだ。空から鳥の糞が落ちてきて、真ちゃんは嫌そうな顔したんだっけ。青空と、強い風。何処かから飛んで来たコンビニのビニール袋が、夢みたいに空を舞い踊っていた。
写真みたいに覚えているのに、細かい所がぼやけている。
まあ、過去は過去だ。今は今。油彩じゃなくて、今学期の課題は版画。風のない教室の、後ろの方に陣取って、俺は緑の頭越しに、どう贔屓目に見ても版画には見えない風景画を覗き込んでいる。
美術の授業は大概自由だ。思いっきり大声で喋っていても、席を移動しても、なんなら、他の教科の宿題をやっていても怒られやしない。自由な感性が自由な作品を生む、だとか、なんとか。そういうポリシーらしい。ホントか? ただまあ、そうは言っても秀徳高校、自由には責任がつきまとう、ということで、提出期限が一日でも遅れれば落第、中身が酷ければ容赦なく赤点、泣きつけば減点。恐ろしい世界。
「お前、下絵の段階でその細かさで、どうやって彫る気よ? マジで一生かかっても終わんねえだろ」
「馬鹿が。誰がこれを彫ると言った」
「いや、え?」
戸惑う俺を他所に、真ちゃんは淡々と、教室の風景を白いキャンパスに写し取っている。写すとは言っても、動き回っている生徒たちは軒並み存在を消されて、そこに描かれているのは、がらんどうの教室だ。がやがやと、ざわざわと鼓膜を揺らすあらゆる感情のお喋りと、面前のキャンパスの静けさが噛み合わなくて違和感しかない。精密な筆致のせいで、余計に奇妙に見える。机の上の落書きも、汚れたままの黒板もそのままなのに、それを生み出した筈の人間がいない。いやでも視界に映る、沢山の制服と喧騒、その全てが排除された白黒の教室。
「え、じゃあお前、何描いてんの」
「見たままだが」
お前の目には邪魔な生徒は映ってねえのかよ。怖ぇよ。
というのは、まあ冗談として、見たまま、見たままね。じいっと見つめる俺など知らん顔で、テーピングされた左手は着々と教室を完成させていく。鉛筆の粉がこぼれて、指先が僅かに黒ずんでいるのを、俺は黙って見過ごしている。
「いや……版画の下絵じゃねえの?」
「彫刻刀など、一歩間違えれば手を傷つけるようなもの、使うわけが無いだろう」
「いや、それは、まあ、ちょっと思ったけどさ、いやでも、彫らずに版画とか無理だろ」
「お前が代わりに彫ってくれるんだろう?」
「絶対にお断りだわ! どんな苦行だよ!」
冗談だ、と真ちゃんは嘯くが、ここで俺が「やってやるよ」などと言っていたら、マジでやらされていた気がするので油断ならない。真ちゃんは案外、目的のために手段を選ばないずるい男なのだ。ホントの話ね。その目的のほとんどが、まあ一般的には害のないものなので、あまり周囲に伝わらないだけである。こわい奴だよ。
今だって、真ちゃんの目的はこの風景画を完成させることにあるので、さっきから話をしている俺のほうへ振り向いてもくれないのだ。あーあ。優先順位がはっきりしてやがる。
こっち向いてよ。見ればわかると思うけど、お前の隣には今、俺がいるんです。
「教師には、版画は絶対にやらないと言ってある。例え成績評価で最下点を付けられようが、なんだろうがな。とはいっても、授業中に何もしない訳にもいかないだろう。美術の授業なのだから、美術的なことを行うべきだ。代わりとして、油彩とレポート提出で代替評価としてもらうよう交渉した」
「はあ……そんなことできんの」
「監督に我が儘二十一回分で」
「マー坊に謝れや! いや二十一回分って、すげえんだか、そうじゃないんだかもよくわかんねえけどな!」
「授業の回数なのだよ」
「一回につき一ワガママかよ。節約してんじゃねえよ」
言ってしまえば、こんなの授業のボイコットだ。授業一回につき三ワガママくらいは使われて然るべきだろ。等価交換とは言わないが、最低限の仁義っつーか。なんつーか。
「だから水曜は二回しかワガママが使えん」
「なんで不満げなんだよ。二回も使えることに感謝しろよ。一般ピープルはゼロ回だからな」
まあ、真ちゃんの手を傷つけたくないのはバスケ部の総意だ。どんなに腹立たしくても、こいつの手が毎週水曜四限に傷ついてたんじゃ話にならない。というか、それこそ俺が見ていられなくて代わりに彫ってしまいそうだ。奴隷根性極まれりってか。手を止めて消しゴムを探しているらしき瞳に、俺はそのへんに転がっていた消しゴムを放り投げる。こうやって、言葉にされる前に甘やかしてしまうからいけない。わかってんだけどなあ。
マー坊も苦渋の決断だったろうな。そんで、なんで美術の教師はオッケーしたんだよ。普通に考えたらありえねーだろ。自由か。これも自由の一環だっていうのか。
「うっわ、緑間、ナニ��ってんの」
「真ちゃんさあ、彫刻刀使わねえかわりに油彩なんだってよ」
「うーわ、相変わらずだなお前」
「うるさい。これが人事を尽くすということなのだよ」
立って騒いでいた三村が、真ちゃんのキャンパスが目に入ったのか、ずかずか近づいて悲鳴をあげた。そりゃな。版画でこれやろうと思ったら気が狂うよな。でもちげーんだよ。こいつは既に先生に交渉済で、何故か一人だけ油彩をやるんだよ。高校生が、教師の作ったカリキュラムに逆らうって、なかなかどうして、普通できねえもんだけどな。
三村は、どへぇ、だか、うひゃあ、だか、意味の無い雄叫びをあげて真ちゃんの絵を見ている。真ちゃんはもう会話は終わったといわんばかりに、黙って己の作業を進めている。そうして、窓の外は青い。昔のように青い。覗き込めば、校庭で馬鹿みたいに笑ってる俺がいそうな気がする。
気がつけば、三村はもう元の位置に戻って騒ぎを広げていた。机が揺れる音、椅子が床をこする音、笑い声、叫び声、どうでもいいお喋りと、低く聞こえてくる誰かの愚痴。誰かが空気を震わせるたびに、そこが色づいていく。黄色い声、赤い叫び、緑の音、青い響き。多分世界中で、ここがいま、一番雑多にうるさいんだろうな。
「ってかさあ、真ちゃんクラスメイトも書こうよ」
「何故」
「何故って、これ風景画だろ?」
「あんな動き回る喋り倒す輩を、一人一人描いていたら、それこそ終わらないのだよ。風景画だからこそ、人を配置する必要性は無いだろう」
「まあ、そりゃそうかもしんねえけど」
教卓の歪みも、窓の外の街並みも正確なのに、生徒たちがいないだけで全く違う教室だ。段々と完成されていく世界があんまりモノクロなので、俺は何故か不安になる。白と黒の線だけの世界は、ちょっとぞっとするほど冷たい。
「お前だけ描いてやろうか」
「えっ」
「この課題が終わるまで、一ミリも動かずに静止して黙っていられるならな」
「死ねって言ってる?」
「親切心だ」
お前も、人のばかり見ていないで、自分の課題をやったらどうだ。
そう顎で示された先は、今日の授業開始からほとんど進んでいない俺の下絵だった。そもそも何を描いているんだ、と言う真ちゃんには、俺の半分も進んでいない下絵じゃ何も伝わらないらしい。テーマ? テーマはね、体育館。いっぱい見てるし、床と壁しかねえから楽かと思って。ちなみに、バスケのゴールリングは省略してある。ゴールは描くために存在してるわけじゃないから、いいんだよ。
「遅れれば落第」
「あー! あーもう分かってるよ! くっそ、油彩の奴には負けたくねえ。油彩で合格して版画で落ちるのは勘弁」
もういっそ、下絵なしに彫ってみたら、味のある絵になるんじゃねえ? そう思って、試しに適当な所に刃を入れてみたら、木の欠片だけが無意味に散った。ぱらぱらと、木屑が落ちる。強くやりすぎたのか、深く抉れて、一箇所だけ穴があいたようだ。三角形の、あなぼこ。
「おい、高尾、飛ばすな。木屑があたってるのだよ」
「うるせー」
がりがりと、彫る。がりがりと。がりがり、がりり。意味のわからない奇妙な曲線が生まれて、俺もなんだか不思議な気分だ。楽しいような、気持ちいいような、妬ましいような、何か。体育館の床が、丸く抉れていく。
「勢いよく、いきすぎじゃないか」
「いーんだよ、こんくらいで」
「後戻りできないのに、よくやるな」
後戻りできないのにね。ホントにな。俺は彫っていく。体育館? いいや、目に見えない、俺の中の何かの景色を。
多分、今期の美術、評価ヤバイな、これ。
*
バッシュの靴紐は右から結ぶ。俺じゃあなくて、真ちゃんの話。真ちゃんの、結び目は、とても綺麗だ。性格出るよな。右と左が綺麗に対称になっていて、紐は長すぎず短すぎず、バランスを保って鎮座している。なんだろう。あるべき姿として、おさまってるんだ。紐ひとつに言い過ぎかもしれないが、こいつの場合は一事が万事これなのだ。鉛筆は絶対に芯が尖っているし、ハンカチはいつも縦に二回、横に二回畳まれてポケットに入っている。
俺はといえば、シャー芯は使い切る前に無くすし、ハンカチなんて持ってりゃ御の字、鞄の底で無限に折れ曲がっている。靴紐は何故か滅茶苦茶右上がりになるんだよな。自分でわかっちゃいるが、わかっただけで綺麗に結べりゃ問題無い。
「高尾交代! 多野上はいれ!」
「ハイ!」
「スリーメン五本、バック走三、残りケーオージャンプ五十、先頭水城、はじめ!」
「はい!」
喉に細かい罅が入ったような熱がある。それでも体育館中に響くような大声で、俺は必死に数を数える。
イチ、ニ、サン、ニ、ニ、サン、サン、ニ、サン、ヨン、ニ、サン。五回目、飛んだ瞬間に汗で滑って、顔が引きつった。下手な転び方しても、着地しくっても、すぐに捻挫だ。必死に体制を立て直しながら、俺は声を出し続ける。ロク、ニ、サン。
コートから出て、一瞬も休ませてもらえない。練習なんて、地獄の代名詞。至るところの筋肉が悲鳴をあげている。脛が剥がれ落ちそうだ。上げっぱなしの腕は震えて、そろそろ感覚が無い。血流が、必死に酸素を運んでいるのがわかる。指先から、脳みそのてっぺんまで、どくりどくりと脈動している。口の中に血の味がする。真っ赤な世界。
「そこまで! 一分後ランニング十周、そのままAB分かれて一ゲームだ。水分忘れるな!」
水飲んだら吐くけど、飲まなかったら死ぬな、って、冷静なところで考えた。体は今にも体育館に倒れこみそう。倒れたらもう、今日は試合に出させてもらえないだろうから、必死にふんじばっている。下を向いたら吐くから上を見上げている。体育館の照明が目を焼いた。視界の端には、緑色した頭がよぎる。視線をそのままスライドさせれば、そいつは浴びるように水を飲んでいた。マジかよ。バケモン。
「真ちゃん、さあ、そんな一気に飲んで、腹、やばくねえの」
「問題無い。飲まない方が死ぬだろう。恐らくマラソンのあと、水分補給の時間はないぞ」
「うそだろ……、いや、そっかマー坊言ってねえわ、くっそ」
「高尾、靴紐」
「あ?」
「あぶない」
近寄りながら、わざわざ指で指し示されたのは、俺のバッシュの右側。いつの間にか紐が解けて広がっている。もしかして、さっき滑った時に踏んづけたか? このままじゃ間違いなく転ぶ。自分が転ぶだけならまだしも、他の奴まで転ぶだろう。
結び直さないといけない。わかってる。当たり前だ。わかってる。
「ちょい待って……」
「何を待つのだよ。さっさと結べ。他の奴の邪魔だ」
「わーってる。わーってるけど、今しゃがんで、下向いたら、間違いなくヤバイ。リバース確実」
「……そういうことか」
呆れたような溜息に、心臓にまで罅が入る音がした。軋みをあげて唸っている。どくりどくりと流れていた血が、そこからじわじわ染み出していく。悪かったな。お前とは違う。情けねえ。動けねえ。畜生。
「全く、だからお前は駄目なのだよ」
「うっせ……」
ただ上を見ることしか出来ない俺に、覆いかぶさるように緑色の影が刺す。俺を見下ろす瞳は、逆光になっていてよく見えなかった。どつかれるか、冷たく諦めろと言われるか、どっちだろうな。腹を殴られて強制退場すらありえる。そんなことを俺が考えているなんて露知らず、溜息と一緒に、真ちゃんは、ふっと、しゃがみこんだ。
「は? え?」
「こっちを見るなよ。下を向いたら吐くんだろう。俺の頭にかけたら許さないからな」
「や、えっ、真ちゃん、俺」
「もう休憩が終わる。待ってられるか」
ごついバッシュに神経など通ってやしないが、気配だけで、真ちゃんが何をしているのかなどすぐわかる。しゅるしゅると、擦れる音、足首に、僅かな刺激。俺の靴紐を結んでいる。こいつが。緑間真太郎が。
「そもそも最初の結び目がゆるいんじゃないか? 結ぶの下手だろう、お前」
「うっせーよ……てか、余計なお世話だわ」
「そうか」
なら、次からは余計な世話をかけるなよ。
そう言いながら立ち上がったこいつは、確かに、かすかに笑っていた。ムカつく。悔しい。心臓が大きく動いて、血が染み出すどころか溢れ出ている。けど、それだけじゃない。顔に熱が集まっている。嬉しい。照れくさい。恥ずかしい。お礼を言うのも変な感じがして、茶化そうにも言葉が無かった。口だけを馬鹿みたいに開けて、餌を待ってる雛鳥かよ。俺が何も言えない間に、ホイッスルが空間を切り裂いた。
「これでマラソン中にへばったら、笑ってやるのだよ」
「うっせー、ぜってーに負けねえ。お前こそ疲れたへろへろシュート撃って外すんじゃねえぞ」
「誰に言ってる」
走る。怒声に応えるように、走る。走って、走って、もつれた足で、走る。下は見ない。腕を振れば、体は勝手に前に出る。床なんか見なくても、俺は足つけて走っていられる。顔をあげて、先頭をひた走る緑色の弾丸を睨みつけた。
「やめ! ゲームするぞ! 別れろ! チンタラするな! 走れ!」
才能を軸に、努力を装置に、意思を燃料に変えて、誰より早くひた走る、一つの、弾丸。高く高く撃ち上がる、ミサイル。天井すれすれから、地面を穿つように叩きつけられる、兵器にも似た何か。
あれはお前だ、お前のエネルギーそのものだ。お前の感情を、一つの球体に詰め込んで、お前はそれを撃ち上げる。
呼吸だってままならないような汗の中で、俺はそれを必死に見届ける。本当に、もう、一歩も動けない。声だって出せない。ブザーの音と、床に転がったままのボール。いつかあれが爆発したら、きっと世界は終わるだろう。誰も逃げられやしないんだ。いつか、あのボールが爆発したら、俺にトドメを刺すだろう。今はまだ、俺は、ブッ倒れそうな体を必死に地面に突き刺している。
「……っ、ふ、倒れなかったじゃ、ないか」
「ぁ、っはぁ、はぁつ、っ、は、あ、たりめー、っしょ……」
整列に並びに行くのも、もう無理だ。そう思ったら、強く腕をひかれた。今度こそ思いっきり転びそうになるけれど、転ぶだけの足すらもう動いてない。引きずられている。腕が動けば、体は前に出る。腕を動かされれば、体は前に、進まされる。力技すぎんだろ。
「や、っめ、ろ、おい、はなせっ、て」
「整列だ。待てない」
「あるけっ、から」
「嘘をつけ」
靴紐、解けなかったろう。そう言ってこいつが楽しそうに笑うので、俺は思わず下を見る。綺麗な蝶々が、俺の右足にだけ止まっていた。左側の、なんと不格好なこと。笑っちまうね。笑っちまうが、下を見たのは、本当に失敗だった。
*
「お、高尾きた」
「あっれ、どうしたの酒井」
雨だった。そして俺は弁当を忘れていた。四限が終わった瞬間にダッシュかけた俺は、目的の焼きそばパンとカレーパン、あとキムチおにぎりをゲットすることに成功。授業が時間ぴったりに終わってくれたことが、今回の勝因といえるだろう。気分が良いのでおしるこでもついでに買ってやろうかと思ったが、冷静に考えて多分あいつは今日の分をもう持ってる。朝一で買ってたもんな。
戦利品を抱え、割と朗らかな気持ちで教室に舞い戻ったら、俺の席には酒井がいた。
「いやマジ聞けよ。緑間ガチうけんだけど」
「おい、やめろ」
「えー、なになに」
「いやそれが」
「やめろと言っているだろう」
俺が購買にパンを買いに走っている間に何が起こったんだ? 窓際一番後ろ、真ちゃんの席。そのひとつ前、俺の席。俺が昼��を買ってくるのを一人待っている筈の場所に、酒井が座って爆笑している。いや、そこ俺の席だから。
緑間がマジうける、のは今に始まったことじゃない。だけど、真ちゃんがその内容を喋らせようとしないのは珍しい。基本的に己の信念と欲求に正直に生きている男だから、なんというか、恥じらいというものが無いのだ。
何を恥ずかしがることがある、人事を尽くした結果なのだよ。俺の生き様に、恥ずべきことなど何も無い。
恐ろしいスタンスだ。己の信念を裏切らなければ、何をしても良いと思っていやがる。まあ、ラッキーアイテムとか、説明するまでもねえけど。
普通の人なら恥ずかしくて出来ないようなことを、こいつは平気でやってのけて、それを一つも隠さないのだ。おかしいだろう。
「酒井、言ったらはっ倒すのだよ」
「や、緑間ってそんなキャラだっけ? こええ!」
「五月蝿い。さっさと消えろ」
蠅を追い払うようにして、真ちゃんは酒井を追っ払った。けたけた笑いながら退散する背中を、俺は見送る。真ちゃん、酒井と仲良かったっけ。そういや、この前サッカーのチーム分け一緒になってたな。そん時は、真ちゃん倒すのに燃えすぎてよく見てなかったけど、どうやら、真ちゃん、イコール、面白い奴認定、は広まったらしい。そりゃな。嫌でも一緒にいりゃわかるよな。一緒にいて分かんないんだったら、そいつの目はレンコンかなんかなんだろう。
「真ちゃん、どーかしたの」
「いや、別に」
「ふーん」
がさり、と音をたてて、ビニールに入った昼食を真ちゃんの机に置く。俺の分だけ半分スペースをあけて弁当を広げていた真ちゃんは、こちらの準備が整うのを黙って待っている。チャイムが鳴って、何にも言わずに走り出したのに、待っててくれるんだから、こいつも大分まるくなったというか、なんというか。餌付けに成功したらこんな気持ちなんだろうな。それは、ちょっとだけ俺の心を満たす。
「酒井と何話してたのさー」
「別に、と言っただろう。お前には関係ないのだよ」
でしょうね。そうだろうよ。多分、本当に、どうでもいいことなんだろう。真ちゃんが毎日ナイトキャップかぶって寝てるとか、ラッキーアイテム保管用の部屋があるだとか、案外AVは女教師ものが好きとか、そういう感じの。多分、俺も知ってるような、或いは、知らなくても何も問題ないようなこと。知っても仕方がないこと。
「気になるなー気になっちゃうなー」
「しつこい。さっさと食べるぞ」
「へいへい」
誰も知らなくても問題ないようなことで、人間って出来上がってる。高尾和成が、何を好きだろうが、嫌いだろうが、家で何してようが、関係ない。幼い頃の初恋の先生の名前だとか、未だに捨てられないBB弾が入った、缶からの存在だとか、そういうの。そういうものの、寄せ集めで、俺の体は出来上がってる。きっと誰だって、そうだろう。
だけど、俺は、何だかいたたまれない気持ちになる。俺の知らない緑間真太郎がいることに。俺は知らないのに、俺じゃない誰かが知っている、緑間真太郎が存在していることが。
「聞いてよ真ちゃん。俺本当に今日勝ち組でさ」
「何が」
「焼きそばパンとカレーパンダブルでゲットした」
「何だと? どんな裏技を使った」
「いや走っただけなんだけどさ」
だから俺は、馬鹿みたいに喋り倒す。どうでもいいこと。知らなくていいこと。知ってほしい、こと。
くだらない、どうでもいいものが組みあがって出来上がった、俺のカラダと血肉を、お前には知っていて欲しい。
雨がざんざか降っている。俺は結構、窓越しに聞くこの音が好きなんだけれど、お前は果たしてどうだろう。どうでもいい、知らなくていいことを、俺は何故だか、知りたくなる。灰色の雨が降っている。
*
「お兄ちゃんはさ」
「うん?」
「誰かになんかあげたいとか、思ったことないの?」
「なんじゃそりゃ」
夜、リビングのソファでテレビつけながらゴロついていたら、何やら妹ちゃんが不審な動きで台所に立っていた。普段料理なんて、てんでしないくせに。がさごそと、音を立てて動き回っている。台所は、料理をする場所だ。まさか包丁探して誰か殺しに行くわけでもあるまいし。とすると、へえ、なんか作って持っていくのか。
でもバレンタインって結構最近終わったばっか。ていうかコイツ、バレンタインに友チョコとかする可愛げも無かった気すんだけど。マジでどうしたんだろうな。
「彼女いないの」
「あ? そういう話? 彼女ができたらちゃんとプレゼントしろってこと?」
「違うよお、まあ、それはそれで、そうなんだけどさ」
起き上がりもせずに声だけを寄越す俺に、妹ちゃんも淡々と、姿のない声だけを返す。
「私が彼女だったら、イベント及び記念日ごとにプレゼントを所望するね。そんでもって、他の人と遊びに行くときは必ず報告するようにしてもらう」
顔が思わず引き攣るのを感じる。単純に怖い。何が怖いって、俺の妹は、なんというか、割と俺に似て、人生楽しんだもん勝ちというか、あまり何かに執着しないタチなのだ。
周りの空気を壊さない程度には合わせるけれど、自分の好きなことだけをやってるタイプ。それがこんな、こと恋愛になると、束縛型というか、なんというか、女って怖い。
「えー……と、つまり、お前彼氏できたってこと?」
「出来てない。片思い。多分」
「多分って」
「脈なしじゃ無いと思うんだけど、なんか、人のことは分かっても自分ってなると、分かんないよね」
「ああ、成程」
台所で、恐らく調理器具を探していたのであろう音がひと段落して、今度はガシャガシャとボウルの音が聞こえてきた。普段料理の音なんて意識したこと無いけど、こうして聞くと、料理の音って、メシ作るのとお菓子作るので全然違うんだな。いや、お菓子とは限らねえのか。なんか勝手に、誰かに渡すんならお菓子って、そう思ってた。
「友達だったらさー、『それ絶対に脈アリだよ、長本くんも待ってるって、コクっちゃいなよー』とか言えるけど、自分となると、自意識過剰なんじゃないかとか、いやそうやって謙遜してる方が逆に変じゃないか、どう見ても私のこと好きじゃないかとか、ぐるぐるしちゃうよね」
「自覚してんのは良いけど、長本誰だよ」
「サッカー部のフツメン」
「イケメンじゃねえのか」
「お兄ちゃんよりカッコよくない」
「んー? それ俺のこと褒めてんの? けなしてんの?」
「事実。お兄ちゃんはフツメンの上」
あんまりにもな言い草に、思わず笑ってしまう。正直かよ。テレビでげらげらと、作りこまれた笑い声がする。別にテレビなんて見ていない。頭の中を空っぽにしたいだけだ。何だか最近、色んなことを考えすぎてお疲れの俺。学校楽しい、バスケ楽しい、生きてて楽しい。でも何か苦しい。たまに、ひどく、呼吸しにくい。心は簡単に体を裏切って、勝手に俺を息苦しくする。名前の無い、色も形も得体のしれないエネルギーが、俺の中でとぐろを巻く。
「そんで? なんかクッキーでも焼くの」
「大正解」
「わかりやすいな」
「わかりやすいから良いんじゃん。好きでも無い人にクッキー渡さないでしょ。しかもこんな時期に」
「成程。明快だな」
誕生日でも記念日でもない日に、突然付き合ってもいない奴からクッキー渡されたら、勘違いする方が難しい。俺もお菓子って、勝手に思ったくらいだし。だからこそ、渡すのは結構勇気いると思うけどな。
「迷ったんだけどね」
「何が? クッキー渡すか?」
「それもだし、何を渡すかっていうか。別にクッキーあげたいわけじゃないんだよね」
「うん? よくわかんねえな」
ガシャガシャと、音は続いている。クッキーって、こんなにずっと、何かをかき混ぜているもんなのか。ずっと、少し荒っぽい、音がする。恋をして、ウキウキしたリズムではなく、やるせない、大雨のような音だ。あらゆる感情をかき混ぜて、種を埋め込んでいる、音。
「何でもいいんだよ。ていうか、なんかさ、自分の持ってるもの全部あげたくなっちゃうの」
「お前そんなボランティアキャラだっけ?」
「うっさいなあ。そうじゃなくて、その人にはってこと。その人には、自分の持ってるもの、全部あげたくってさ」
「おお、恋してんな」
「恋だよ。これはマジで恋だよ。だってさ、あげたいだけじゃなくって、全部欲しいんだよ。意味わかんくない?」
「ソレ、分かるのか分からないのか、どっちなんだよ」
「そういう感じなんだよ」
分かんねえよ。あまりにもアホらしい会話に、考える方が馬鹿らしくなってくる。勢いと感覚だけで話しすぎ。コイツはどんな顔してこんな話してんのかと、ソファから起き上がって台所に向かった俺はちょっと後悔した。
「見返りが欲しいんだよね」
想像していたより、三百倍くらい、真剣な顔をしていた。全然楽しそうじゃなかった。むしろ、嫌そうな顔をしていた。手元でクリーム色になっている何かは、もう十分に混ぜ合わさっているのに、コイツは手を止めない。俺は何故だか、この遣る瀬無い物体を見て、バスケットボールを思い出す。感情の坩堝。あらゆる衝動を詰め込んだ、一つの爆弾。
「不純すぎねえ」
「だよねえ」
このクッキーは、あのボールと同じなのだ。爆発したら、死んでしまう。誰も逃げられない、致死性の爆弾だ。それを必死に溶かして、かき混ぜて、一つの形に、閉じ込めている。
誰かはそれを、信念と呼ぶかもしれないし、執念と恐れるかもしれない。大切な気持ちをありったけ詰め込んだけれど、どうでもいい物だって、一緒に沢山入れてしまった。
それは、俺の、或いは誰かの、全てなのだ。
「自分のものあげるのなんてさ、勝手じゃん。あげればって感じ。相手が欲しくなかったら捨てるだろうしさ、はいどーぞ、はいどーもって感じで、終わりじゃん。でもさ、欲しいんだよね。相手の全部知ってなくちゃ嫌だし、自分が知らないとこ出されると、ムカつくし不安になるし、でも全部なんて無理ってわかってるから、もやもやするしさ」
ガシャン、と一際大きな音を立てて、調理器具は洗い場に放り込まれた。
「何で無理って分かってんのに欲しがるんだろうね?何で無茶って分かってんのにやろうとすんだろうね? そんで、そこまで分かってるくせに、なんで心のどっかで期待してんだろうね?」
溜息と一緒にチョコチップが放り込まれていく。この一粒が、コイツの感情で、あの一粒が、コイツの感情だ。そうやって、感情を消化している。
「むなしいわ。むなしいけど、何もしないのも耐えらんないから、クッキー。本当は、全部ぶん投げたいし、全部欲しいけど、どうしようもないから、クッキー」
あー、もー、やだやだ。そう言って笑う顔は、俺によく似ていた。本当に、馬鹿だなあ。俺もお前も。
「やっぱお前って俺の妹だわ」
「はあ? 何当然のこと言ってんの」
「欲張りで、嫉妬深くて、でもへんに計算できるから上手いこと傍目には帳尻合わせて、その癖頑固だから自分の意思は曲げれずに、最終的に勢い任せに突っ走ってる感じが」
「あー、そりゃ、私だわ」
「だろ? ちなみに俺もだ」
「じゃあ、お兄ちゃんも恋してんの」
「してるね。こりゃ」
ほんと、やだやだって感じだよ。参っちゃうね。こんな所で、こんな形で、自覚する羽目になるなんて、な。妹ちゃん、お前のその爆弾は、思わぬところに被害を及ぼしているぞ。
「じゃあ、これあげるよ」
無造作��放り出されていた、透明な袋を一つ取って、俺の心臓に押し付けたこの爆弾魔は、やけに楽しそうな顔で笑っている。仲間ができたのが嬉しいらしい。
「十五枚セットしかなかったからそれ買っちゃったけど、別に十五回もクッキーあげる予定ないし」
まさかお兄ちゃんも恋する乙女だったとはね。それで、何か、あげればいいんじゃないの。
俺の中ではね、恋って、ハッピーピンクなイメージだったわけ。女の子がね、きゃいきゃい夢見て、男はそれにそわそわしてる。彼女欲しい、エロいことしてえって叫んで白い目で見られてさ、それ見てけたけた黄色く笑うみたいな。そう言う感じ。まあ別に何色でも良いんだ。なんかこう、しんみりした夕焼け色でも構わない。
けど、まさか、こんな戦場みたいな、沼地みたいな、何にも掬い取れない代わりに、全部に足を絡め取られるようなモンだとは思ってなかった。爆弾は俺の心臓に眠っている。
「高尾!」
「うっわ、びっくりした!」
「さっきから呼んでいるのに、お前が返事をしないからだ」
「へっ、マジ?」
「本当にどうした? 彫るのも進んでいないし、話しかけてもこないどころか、こちらが話しても気づいていないし」
「あ、あー、ごめんごめん。考え事。ぼんやりしてた」
お前のこと考えてたよ、なんて言える筈もなく、戦争と平和について考えてた、と言ったら怪訝な顔をされた。そんな顔を見れたことでさえ、なんだか嬉しくなってしまう。
全部知りたいし、全部知ってほしい。構って欲しいし、構いたい。驚く程今までの俺のアレコレは恋だったし、今だってそれの真っ最中だ。
「お前……本当に間に合わないぞ」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ、な、筈」
俺って鈍感だったんだろうか。いや、気づいては、いたと思う。俺の、この、不可解な熱に。ただそれに、恋という名前を付けるのを渋ってただけなのだ。友情ってタグを付けて、カテゴリ分けしていればよかった。その中で、親友とか、相棒とか、好き勝手なラベル貼り付けて、満足できるハズだったんだ。俺の心の中じゃ、俺が神様。俺の気持ちは、俺が決められる。それなのに、このザマ、笑っちまうね。
「ってか、真ちゃん進んだね……」
「当たり前だ。作業していたのだから」
覗き込んだキャンパスは、相変わらず、誰もいない教室。だけど、白黒から段々と色を重ねられた景色の印象は随分と違った。窓の外は青い、教室は陽が差し込んで暖かい。机の影だって、僅かに揺れて緩んでいるようだ。お前に見えている景色は、きっと、誰かが想像するより、優しい。
「あれ? 真ちゃん、ここ塗るの失敗したの?」
「ん? ああ」
画面の端、青空にはみ出して僅かに一筆塗られた橙色を指させば、真ちゃんは不本意そうな顔をした。失敗したらしい。
「端にお前を描こうと思ったんだが」
「へっ?」
「冷静に考えると、お前はいつも隣にいるから、この視界には写らないのだよ。それでやめた」
「えっ、と」
「弁当やら他の授業の時は正面にいるがな。今更この画面のど真ん中にお前を配置するのは流石に無理があるし」
「俺、描こうとしてくれたの」
「? 言わなかったか?」
「……言ってた」
冗談だろうなって、思ってたよ。
喉がからからに乾いていく。今すぐ水を飲まないといけない。水を飲まないと死んでしまう。だけど、飲んだら、吐いてしまいそうだ。俺の感情。俺の爆弾。お前は本当に、俺を殺すのがうまい。
「…………それで、失敗しちゃったんだ」
「そうだな。まあ、いいだろう、別に」
「いいの?」
「塗り直せばいいだけの話だ。油彩なのだし」
失敗したら、やり直せばいい。正解するまで、それだけの話なのだよ。
淡々と、そう言う真ちゃんは、きっと躊躇いもなく、一筆分の俺を、青空で塗りつぶすだろう。それでいい。それが正解だ。正しいものがあるなら、それに越したことはない。
俺は、後戻りできない穴を見つめて、笑っている。三角形に、深くえぐれた、穴ぼこ。俺の爆心地。
そういえば、リボン渡すの忘れてたよ。それだけ言って、妹ちゃんは部屋から出ていった。クッキーの結末は聞いてない。ちなみにおこぼれにも預かってない。
透明な袋と、きらきらしたリボンを蛍光灯に翳して考える。光が反射して、ちかちかする。そうだ。恋って、こんなイメージだった。
全部あげたいけど、無理だから、クッキー。
我が妹ながら聡明だ。それは酷く正しかった。そうして愚かな兄は、何もあげるものが見つからなかった。
おしるこ? ラッキーアイテム? 参考書? NBAのDVD? あいつが喜びそうなものはいくつも思いつくけれど、それは別に、俺があげたいものとは違う。
全部あげたい。その見返りに、全部欲しい。
信じられない強欲だ。俺は、俺そのものを与えたいのだ。あいつそのものが欲しいのだ。そんな小っ恥ずかしいことを考えて突っ伏した。信じらんねえ。自覚って怖い。恋って怖い。やばい、俺、絶対に、誰とどこに行くとか、めっちゃ聞いちゃうよ。休日の予定とか、いちいち確認しちゃうよ。俺ってもしかして、結構粘着質な束縛タイプだったのか。
どうしようにも行き詰まって、溢れたそれを持て余して、俺は、すっからかんのビニール袋に、何にもいれずにリボンを結んだ。
全部あげたい。全部欲しい。お前が好きだ。恋をしている。そんなの、言える筈も無かった。クッキーなんて、渡せてたまるか。全部が手に入らないなら、いっそ、何にも無い方がマシだ。嘘。何も無いなんて無理。だから、ラベルはお前が貼ってくれ。友情でも、相棒でも、下僕でも、まあいいや。
その透明な爆弾を、下駄箱に、誰もいない隙に、放り込んだ、空っぽの袋。名前もない、中身もないこれを、お前はただのイタズラだと思って、捨てるだろう。
*
「高尾」
「んあ、どーしたの真ちゃん」
「見ろ」
「っ、ええ!? で、ジャンボヤキソバオムレツパン!」
「人事を尽くした結果なのだよ」
「いやいや、えっ、それ限定五個のやつじゃねえの! どんな裏技使ったんだよ!」
「走った」
「や、やっぱそれかー!」
階段を登るのに三段飛ばし出来るのは、やはりアドバンテージとして強いな。そんなことを悠々と言うこいつは、本日昼飯を忘れたらしい。お前でも忘れることあるんだなって言ったら、忘れたのは母だ、とぶっきらぼうに返された。いや、鞄の中持ってんじゃん。勝手に手を伸ばしても、真ちゃんは止めなかった。やけに軽い感触と、何の反動もなく開いた蓋。
「ぶっは、えっ、うそ、こんな漫画みてえなことあんの」
「あるのだよ。目の前に」
「やっべ、中身入れ忘れるって、真ちゃんのママさんも、結構、天然っつーか、なんつーか」
「受け取った時に軽いことを指摘すれば良かったのだよ……俺のミスだ」
いや別にこれにミスとかねーだろ。そう言って笑う俺の心は穏やかだ。透明な、俺の爆弾をぶち込んだ、次の日。真ちゃんから何か言ってくることは無かった。まあ、そりゃ、当然だろう。そもそも俺からだと、わかる筈もないし。そうして、勝手に目に見えない感情を押し付けた俺は、ホンの少し、すっきりしている。
「そういや、俺多分あと二週間くらいで終わるわ、版画」
「なんだと。抜けがけか」
「抜けがけってなんだよ」
名前をつけられなかったこの日々を、俺は気に入っている。
「あ、お兄ちゃん、おかえり」
「んあ、どーしたんわざわざ」
「いや、帰ってきたらさ、封筒あったんだけど、なんかどこにも名前がなくて。間違いなのかな。でも、切手も貼ってないから、直接ウチのポスト入れたと思うんだよね。だから、お兄ちゃん、心あたり、ないかと思って」
リビングの机の上に、ひとつだけぽつりと置かれた、名前も無い、宛名も無い、緑色の封筒。緑色。緑は癒し。或いは、運命。俺の中で、緑色は一人しかいない。
「��ー、もうあけた?」
「開けてない。心当たりあったら、悪いと思って」
心臓が、うるさい。あの日、黙って下駄箱にぶち込んだ筈の爆弾が、俺の胸で鳴っている。
「あ、あー、多分俺だわ。サンキュ」
「うん」
それ以上、何も聞かれなかった。俺がクッキーのこと、何にも聞かなかった、お返しとでも思っているのかもしれない。
心臓が痛い。呼吸が苦しい。
部屋に戻って、少し震える手で、開けた。中に何か、が、
入っている。
読みたくなかったけれど、見ないでいることは出来なかった。俺はもう、確信している。これは、あいつからだ。
さあ、覚悟を決めろ。
勢いのままに開けば、予想に反して、それは手紙では、なかった。いいや、手紙、なのだろうか。たった一言。見慣れた文字で、書いてあるそれは、一瞬で視界に飛び込んできた。
脳みそが処理しきれずに、その一言を、何度も何度も、読み返す。想像していた全ての言葉と違うその一言を、理解するのに、しばらく時間がかかった。
そうして、理解して、俺は思わず、笑ってしまう。
なんだよそれ、そんなの、ずるい。いいや、ずるいのは、俺だって同じだ。名前も無い、中身もない、リボンだけをかけた、空っぽの袋。宛名も無い、差出人も無い、たった一言だけの手紙。
そうだな、分からない筈が、無かった。伝わらない筈が、無かった。だって、俺とお前は、ずっと隣で、下らない話を、していた。
「ちょっと出かけてくる!」
走って飛び出す。今すぐに、伝えに行こう。
この胸の爆弾が、俺を急かす。走れ! 今にも爆発して、世界を終わらせそうな、高鳴りよ!
どうしてやろうかと思った。
まさか、バレないとでも、思ったのだろうか。俺に分かるはずが無いと、思ったのだろうか。いいや、確かに、分かる方が、おかしいのかもしれない。けれど、俺には分かる。
パスが通った時に、シュートが決まった時に、目が合った時に、或いは、教室で、下らない話を、している時に。
俺とお前が抱えていたのは、全く同じ、ものではなかったか。お前の、その自慢の目には、見えていなかったとでも、言うつもりだろうか。
いいや、違う。分かっていただろう。俺に分かったように、お前だって、知っていた筈だ。それをこんな、回りくどい手段で、俺に決めさせようというのなら、お前がずるい。
お前は本当に、ずるい男だ。
無視してやったって、よかった。むしろ、その方が簡単だ。名前も無い、中身もない空っぽの袋に、俺は好きな名前をつけることができる。名前をつけないでいることができる。
けれど、俺は案外、みっともない男なのだ。あいつがどう思っているのかはしらないが、俺は、目的のためには、手段を選ばない。大切なものが、両手をあげて飛び込んできたら、みっともなくとも、そのまま掴み取るだろう。
掴み取ってやる。後悔などしない。俺は俺に、恥じることなど一つもないのだ。
しかし、実際、どちらが我が儘だという話だ。こうやって、言葉にされる前に、甘やかしてしまうから、よくない。悟って、理解して、動いてしまう。下らないことばかりを喋る口で、お前は肝心のことを言おうとしないのだ。
そうはいくか、と、思う。
俺だけに決定権を委ねて、終わらせるなど、言語道断だ。お前の抱える感情には、お前が自分で名前をつけろ。俺は俺に、決着をつけるので手一杯なのだから。
暫く考えて、手近な便箋を手��とった。長々と、書いてやるのもにくらしい。そもそも、そう、伝わらないと、思っていることが、腹立たしい。気がつかれないと、思われていることが、腹立たしい。お前が俺を見ていたように、俺だって、お前を見ていたのだと、何故、気がつかない。大馬鹿者。
一言だけ書いた。宛名も差出人も、つけなかった。明日の帰りにでも、直接郵便受けにいれてやろう。別に、他の誰に開けられて、困るようなことは書いていない。あいつだけが、分かればいい。あいつだけが、分かることを、書いた。
さあ、この愚かな戦争に、別れを告げよう。
「お前は、リボンを結ぶのが下手くそだ」
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ランス10総評
道中ストレス溜まりすぎて同じような愚痴を何度も書いてたので全て削除して一つにまとめようと思います。R-18作品だから良い子の皆は読んじゃだめだよ!あとネタバレもりもりだよ!
一部の途中で違和感の積み重ねが爆発して断念、二部とかそのへんさらっとネタバレ読んでふーんってなりつつ放り投げて今ランス6やってます。楽しいです。
ここからはあくまでこのゲームはnot for meだなってスタンスでどうしてそう思ったのかをつらつらと書いておきます。7,6,5,1,8(マグナムまで),9(メインストーリーラスボスで投げる、ヒロイン個別ルート適当にネタバレ読んで済ませる)、ときて今回10にうろ覚えのまま挑んだわけです。
1.戦略ゲー風なのにご都合主義的なぬるい展開
死闘感に説得力がないんですよね。例えばですね、ランス6ではマジノラインという魔物の侵攻を防ぐ国境に敷かれた万里の長城みたいな施設が機能しなくなってしまったことで魔人が攻めて来るわけですよ。サブ的にもう2人かな、魔人はいたけど実質指揮とって攻めてきた魔人はカミーラさんだけ。この侵攻、わずか二週間でゼス本土の3/4くらい侵略しています。まークーデター起こってゼスはろくに戦うことができる状態ではなかったという背景はありますけれども。
それがですね、ランス10では魔人を倒せるのはランスだけ(仲間になった魔人や健太郎の日光を使うって発想が一切ないのも違和感ありますけど)、そうしてランス君の遊撃部隊が4国を駆け回って魔人を倒すのがストーリーの骨格となってるんですね。
……移動してるうちに数週間余裕で経つし、無理あらへん???どこでもドアもなんもないなかランス君が全国を駆け回って魔人ぶっ倒��て全部の国を救う。無理ありすぎでしょ。戦国ランス見てみろや、それがどれだけむずいかってのがわかるだろうが。下手に同時に多方面に開戦宣言したら手が回らなくてひーひー言ってた記憶があります。私、未だに政宗の領土とったことないです、そこまで自信がなくて。あいつらは喧嘩ふっかけなけりゃ安全すからね。ま、そんな感じでですね。せめて作戦フェーズで領土どんくらい奪われてるかとか視覚化されればもちっとぎりぎり感を共有できて多少納得できたんでしょうが、なんせ戦況、バーでしか表示されないからイマイチわからんし。そうして絶望的状況から全部の国、仲間キャラが死なずにたどり着く第二部へと繋がるハッピーエンド。ご都合にしか見えないんですよね。
あと部隊って概念もこのゲームやってるとうまく噛み合ってないんです。だって実質魔人に挑んでるのはランス君とその仲間です。戦国ランスなら部隊人数が増えれば部隊は強くなり、戦う度に人員は消耗し、補充やなんだに軍資金を割かねばならなかった。それにきちんと洞窟探索などでは各1キャラクターをユニット化しててきちんと集団戦、いわゆる戦争と戦闘の棲み分けができていた。なのにこちらではただ部隊レベルって概念があるだけで人々を率いている描写なんて殆どないし、それこそ遊軍としてこっそり動いてるならこの設定はおかしいわけですよ。結果としてもともとランスの世界にあった才能限界、技能レベルという概念がゲームシステム上から霧散したわけです。才能限界は人類が魔人を越えられない絶対的な強さの壁として描かれるものだったし、技能レベルは努力しても届かないものがあるということを印象づけるスパイスだったはず。それがキャラクターカードに記載されるだけのまったくもってゲーム上活かされることのないパラメータへと成り下がった。僕の考えたキャラクター設定を見てくれ。悪いんですけど設定だけとか興味ないです。
あと魔人もぶっちゃけ強さをゲーム難易度からでしか描いてなくて、テキストだけ見てるとめっちゃ弱いっつーか。詰めが甘すぎるんですよね、敵側が。何回見逃すんだよ。魔人も魔人で6と7で絶望の象徴だったはずなのに、ぶっちゃけランス10では魔人(笑)って感じでですね……特にレキシントンシナリオ。ちょっとレキシントンシナリオだけはなろう臭強すぎてなんかハッピーエンドっぽいエアー出してる中心人物に全く共感できずすごいやる気がなくなったのは覚えています、はい。引きこもりが魔人の力を手に入れたので私をいじめた人類皆殺しにします!タイトルつけるならこうですか?まずその発想自体がなろう臭すぎてきつかったです。それに引きこもりの体乗っ取ろうとして逆に乗っ取られる魔人、ランス君いなくても倒せるんじゃないですかね、魔人って。知らんけど。
上げたらキリないんですけどね…そもそも強くてニューゲームで魔人圧倒して第一部のエンディングにたどり着くシステムが才能限界とかそういった諸々の世界設定と合ってねーよとか勇者お前ランス殺そうとする前にもっと他にやりようあんだろ?とかぶっちゃけランダムに襲ってくる勇者と自称魔物エリート集団うざすぎるとか、後半魔物エリート集団がランス城の魔王候補の美樹ちゃん攫いにきたときのやつらのここは俺に任せて先にいけ描写とか誰得なんだよもっと割くべき描写あんだろとかまぁ色々ありますけどここまでにしときます。
下手に地域制圧型の形を取らずに一本道RPGにすればよかったのになぁってのが総合的な感想ですかね。どっか一国にたどり着いてそこから協力しろ!みたいに徐々に隣国と手を取り合って土地を奪われて撤退しつつどうにか戦線を維持しながら起死回生の妙手を探して大元をぶっ倒す。そういう一本道であれば途中仲間になった魔人とか���光とか、そういうのをシステム上うまく取り込めたんじゃないだろうか。鬼畜王意識しすぎて失敗した感が個人的にはあるなーという印象でした。
2.万能キャラ、ミラクルさんとクルックーの弊害
困ったことがあれば大抵どうにかしてくれる2大巨頭ですね。このせいでより絶望感というものが薄くなったように思います。
勇者と相討ちして死んだランス君→速攻クルックーが生き返らせる
パイアールシナリオの最後の最後で脈絡なく万能アイテムをくれて魔人をざまぁするのを手伝ってくれるミラクルさん
生命の重さが薄れた瞬間と一気に冷めた瞬間です。なんかどうせこの二人が最終的になんかするんじゃん?って思ってしまってアホらしくなってしまいました。パイアールシナリオがトドメです。素では????って声出た。いくらなんでもご都合主義を連発しすぎる。ご都合主義ってのはやって最後に一回とかですよ、受け入れられるのは。
3.アレなシーンのバリエーションのなさ
まず最初に言っておきたいのは私は過程のないエ□はほとんど食指が動かないという前提です。それを元に今回のアレなシーンを評価すればハンコみたいに同じような展開ばっか、という感じでしょうか。ほぼほぼ罠にはめられてランス君とS○X!襲われてるだけなのに、初めてなのに悔しい感じちゃう!からのメロメロ。こればっか。飽きました。初めて初見でCtlスキップしました。一応読むんですよ、普段は。暴力系のキツイシーン以外は。今回はかったるくて飛ばしました。あとはそういうシーンの描写すげー適当。めっちゃ短い。正直そういうシーンどうでもいいんですけど、シーンマスに止まって、媚薬試してみよう→反転して朝チュン、あれやべぇで終わったあのシーン、なんでHマスにした???ってくらいなんも面白くもなければなんのサービスシーンにもならない雑な描写だったし、私の推しなんて本番前に反転してこのあとめちゃくちゃしたって文だけで終わらせられています、冗談抜きに。苦労して姉妹まとめて倒せば脈絡なく姉妹+ランス君とのシーンが挿入され、ランス君そっちのけで姉妹が熱烈にキスしているようなシーン(描写3クリックくらい)。悪いけどドン引きだよ。家族愛的にお互いを心配していると思っていたのでいきなりそういうシーン見させられてもドン引きだよ。
後はnaked カードっていうのがありましてそれを入手時に小話が挟まれるんです。8割くらいランス君との混浴でドッキドキというだけのお話です。何も面白くない。唯一面白かったのはランちゃんがカスタムの3人と入浴時に会話しているシーンだけでしょうか。そういうのでいいんだけど、過去作やってる人へのサービスって。まぁこれは私がエ□方面全くいらない派なので需要自体はあるんですかね、naked な立ち絵とか。
4.ランス君のキャラ、周りの反応への違和感
これが一番の原因かなぁ。とにかく周りがランス君あげあげ系ばっかりなんですよ。一見否定的な人もでもこいつは何かやってくれる…エ□いの好きなしょうがない人ね、っていうやれやれ系肯定派ばっかりです。なろうの主人公みてぇ。
違和感MAXになったのはマリアの最高傑作であるチューリップ3号(戦車)をデコイに使えってランスが言ったシーンですね。パイアール君との技術量の差からどんどん壊されていって残り2台くらいしかないっていうような状況下で、パイアール君が執拗にチューリップ3号を壊そうとするのを逆手に取った作戦を提案したわけです。そらマリアちゃん癇癪起こすよ。でもこういう提案自体はとてもランスらしいと私は思ってました。違和感がすごかったのはこの後です。
もっとマリアの気持ちを考えろと周りに非難されてぐぬぬとなるランス君。
そうして珍しくフォローなんていれちゃいます。
ランス君<わかった、嫌ならやらなくていい。お前が泣くなら、やらんでいい。だから泣くな(うろ覚え
その場にいた他のヒロイン<ランスかっこいい…
私<どこが????????
ていうかまずランス君のこのセリフ、個人的にすごいランス君っぽくなくて気持ち悪かったんですよ。お前フォローなんてするキャラじゃないだろ、周りに責められたら逆ギレくらいするだろ。あとなんだそのなろう主人公みたいなセリフ。そう思ってたら外野からのランス君がかっこいい発言。もうね、申し訳ないんですけどね、このヒロイン9で急にデレた勢なんですが一々ランス君のことかっこいい…って言わせるキャラみたいになってて私もう好きじゃなくなってたんですよ、9の段階で。
そういう感じで最終的に主人公の解釈違いみたいなんを起こして投げました。ランス6始めたんですが心地良いです、具体的にはダニエルさんがランス君ガチクズ認定してあわよくば殺そうって魂胆で無理難題ふっかけたり、寝言は寝て言えよって感じでランス君のお誘いはねのけまくる序盤のヒロイン達だったり。ランス君は私の中ではモテキャラではないんです!!!ガチで嫌われキャラなんですとある方面では!!これよこのぞんざいな扱い!!!笑
今までのシリーズは大体シナリオを通して落とすメインヒロインがいたわけです。それが今回はいないからどうにも全てのキャラの掘り下げが薄い。キャラが薄っぺらい。ついでにいうとランス君の本命は最初っからランス君���ブ勢なのでここもそんなに精神的なアップダウンがない。これがお祭りゲーなら許してたと思う、でも最終章でもうこれ以上キャラの描写は見込めないってときにできるだけ全てのキャラを拾おうとしてくれた努力は認めるんですが結果としてなんだこれってなってしまったんです。
そういうのが積み重なってもう無理だ、となってやるのをやめてしまいました。キャラの掘り下げであるボーナスシナリオはね、食券という券(上限3枚まで保持できる、各長いストーリークリアしたあとでのみ見られる。一人見るのに一枚使用)を使ったガチャでしか見られないんですよ。好きなキャラが見られない。あとカードのレベルを大幅に上げてくれる効果があるおかげで強いキャラを選びがち。大抵ね、強いキャラと弱いキャラがはっきりしてるのでね、そうなるんですよ。キャラゲーなのにキャラを選べない不自由さ。このランダム要素になんの利点があるんでしょう。唯一運良くウルザちゃんだけ食券イベ3まで読めたんですが、彼女は最後までランス君とある程度の距離を置いたお付き合いをしてくれていてよかったです。ウルザちゃんまでメロメロにされてたら多分画面叩き割ってたから。そういう意味で今回アレなシーン彼女のはなくて個人的によかったです。あと食券2のキムチさんとのやり取りは好きでした。あと魔人レイとメアリーのお話は好きでしたよ。以上です、好きなところは。
思い返せばなんとなく9で一気にツン勢が落ちたあたりでこれじゃない、ってモヤモヤはあったんですよね。それが今回一気に吹き出した感じでした。だから私はランスシリーズにおける変化に適応できなかった一人なんでしょう。三十年もかかりましたからね、8からはスタッフ総入れ替えですし。変わって然るべきところはあるでしょう。そこが合わなかったと。そういう人がいたんだなということで、ここにひっそりと書いて締めくくります。クソゲーかっていうと運要素は強いけどゲームとしては結構面白いと思いますよ。私は根幹のストーリーが合わないと思うと楽しめなくなってしまう人種というだけでこのゲームをクソゲーとは言いきれないです。心情的には叫んでますけど。若干一部のキャラの扱い雑だし。でもそういうのでクソゲーと評価するのはまた違うかなぁと。だから最初にも言った通り、このゲームはnot for meだったなぁ、悲しいなぁっていう。そういう感想で、〆たいと思います。
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Photo
MAGAZINE - 2019.10.30
それぞれの全感覚祭 Photo by Katsuhide Morimoto
今年の全感覚祭は様々なドラマを作ったと思います、そこで以下のライターのみなさまに協力いただいきそれぞれの全感覚祭を綴っていただきました。
ご協力いただいたのは以下の方々です、ありがとうございました。
石井恵梨子さん、大石始さん、渡辺裕也さん、田中亮太さん、金子厚武さん
まずはマヒトゥー・ザ・ピーポーのこの文章を読んでみてください。 http://s-scrap.com/3425
前日はひたすら台風の動きを見守っていた。国民の代表者は顔を出すことも何かを語りかけることもなく、ただ「命を守る行動を」とNHKアナの連呼だけが続いた夜。なんとなく共同体に守られている、いざとなったら国が守ってくれる、そんな幻を信じられた時代はとうに消滅していることを思い知る。濁流が溢れ出す光景。無力すぎて泣きたくなる。誰もがこうやって見捨てられ、自己責任のシュプレヒコールの中、無力に死ぬだけなんだろうか。
理想よりも人命を優先して中止になった全感覚祭19 TOKYO。代わりに急遽決まった13日夜の渋谷サーキット「Human Rebellion」は、大袈裟ではなく、最後の希望のように感じられた。ボンヤリした何かに守られるんじゃない。自分から守りにいかなきゃいけない。本当に自由な音楽の鳴る場所を。
渋谷Duoに着いたのは10:30。まだ客足も少なくIDチェックもスムーズに終了。先にやっていたライヴが撤収したばかりで、まだ何も始まっていない時間帯だ。ぼんやりしていたら目の前に一台のバンが到着し、運転席からはノーベンバーズのマネージャーが。あれ石井さん何やってんの。いや暇だから搬入手伝いますよ。かくして即席スタッフとなる私。エントランスフリーの投げ銭制とは、こんなにも気持ちの滞りをなくすものなのか。演者/スタッフ/ゲスト/一般客という線引きがないから、本当に自分が大事にしたいもの、今やるべきことがスッと見えてくる。普段ライターとしてパスを受け取っている立場に、なぜか少しの羞恥を覚えた。そんなものじゃない、私が欲しいのは音楽だったと改めて気づかされる。そうなれば迷わず財布を開く。いや、先に開いているのは心なんだろう。全感か君もそれなりにかわいく見えてきた。
11時、クアトロ周辺はすでに長蛇の列だ。さながら渋谷に突然現れた巨大ヘビのように、それは秒単位で尻尾を伸ばし続けていた。ラグビー観戦後の酔っぱらいが次々と声をかけてくる。「これ、なんの列?」「今から何があるんですか?」。そんなに知られてないし言ってもわかんない、たぶんあなたたちは全然興味ない世界。だけどDIYで急遽行われることになった奇跡みたいなサーキットだよ。勢い込んでぶちまけたい気持ちをぐっと押さえ、一言「音楽イベントです」と答えておく。そうそうGEZANってバンドの、みたいな補足の声は上がらない。みんな素知らぬ顔のままだ。内緒にしときましょう、という暗号のようでもある。だってこれは彼らの声明をキャッチした人たちだけの祭でしょう? くつくつ笑い出したくなるような黙秘の快感を、渋谷の繁華街の真ん中で、私たちは確かに共有していたと思う。
11:25にクアトロ内へ。大量の客が相変わらず無言のまま5階フロアに吸い込まれていく。そして、突然に開花するみんなの笑顔。フロアでそれぞれがビールを飲み、知り合いを見つけてはしゃぎ、ゆらゆらと身体を揺らしている。なんだよ、みんな騒ぎたくて仕方なかったのか。ずっと我慢して黙秘を続けてたのか。台風直撃のニュースを知ってからほぼ一週間。ようやく全感覚祭が始まる。長かった。いよいよだ。無言のテレパシーみたいに飛び交う気持ちが膨らんでパンパンになった瞬間、爆音のSEとともにメンバーが登場した。そのときの歓声の凄まじさ、神懸ったような爆発力を、私は一生忘れないと思う。
「俺はメディアとかメジャーって枠に期待してないし、それよりは個人の力のほうを信じてる」。
かつてマヒトが語ってくれた言葉だ。狭いオルタナの世界で大きなうねりは生まれにくい。DIYはいいけれど、広めるという点ではどうなのか。そんな問いに対する彼の見解だった。正直、普段関わっている商業誌/音楽メディアを全否定された気分だったけれど、じゃあ自分はGEZANと別の世界で生きていくのかと自問するきっかけにもなった。答えはNOだ。属性は何でもよくて、私は今日、ただの個人としてここに来た(この文章を書くことも当初はまったく予定になかった)。みんなそうだろう。自分の意思で渋谷に集まり、それぞれの判断でカネを払い、それぞれのハコに散らばっている。問われているのは「どこに属すか」ではなく、「その選択をした自分を誇れるかどうか」だ。チケット代という設定すら取り払うことで見えてくるもの。選択することで顕になってくる己の輪郭や思想。湧き上がってくるエネルギーの清々しさに自分でも驚く。やっとわかった。これが彼の信じてきたものだったのか。
ライブの詳細やMC内容を逐一書くつもりはない。ただ、GEZAN一発目の始まりが「DNA」だったことは、この全感覚祭「Human Rebellion」の空気を完璧なまでに象徴していた。そのことだけを記しておこう。クソな真実をかき消すファズの眩しさ。マヒトは人差し指で遠くを指すような仕草を何度も繰り返してみせる。もっと遠くへ、誰より高く、イメージひとつで飛んでいこうと誘うように。それは理想論者の夢ではない、リアルな実感を伴う光景だった。どん詰まりの資本主義の裏側、機能不全な民主主義の果て、革命ごっこも終わったロックシーンの極北で、もう、新しい価値観は動き出している。 石井恵梨子
渋谷の路上に群衆が溢れかえる光景を見て、僕は日本各地で目の当たりにしてきた祭りのそれを連想した。祭りとは五穀豊穣の祈願などさまざまな目的を持つが、担い手の魂を活性化し、生命力をチャージするためのものという一面も持つ。その意味では、全感覚祭とは祭りそのものでもあった。入場料は投げ銭、しかもフリーフード。音楽イヴェントとしては前代未聞だろうが、祭りや神事と考えれば決して珍しいことではない。投げ銭とは祭りにおける花代であって、投げ銭ボックスにガンガン札を入れていた彼や彼女は、イヴェントの観覧者という立場を超えて祭りの担い手だったともいえる。
僕が運良く観ることができたのは、切腹ピストルズ、Tohji、KID FRESINO、BLACKSMOKERS、やっほー、折坂悠太、そしてGEZANの2ステージ(林以樂はタッチの差で見逃した)。ただし、どのステージで何を観たかということは大きな問題ではないだろう。あの夜の渋谷にいたこと、あるいはGEZANとその仲間たちが発信し続けたメッセージを受信したこと。それこそが重要だったはずだ。会場に入ることができなかった方々も、全感覚祭という極めて特殊な「祭り」を体験した当事者である。
ひとつのコミュニティーやネットワークが何かに飲み込まれることなく、独立してそこに存在し、なおかつその存在を主張すること――それは社会に対する異議申し立てにもなりうる。そのことをいささか混乱したかたちで証明したのがこの日の全感覚祭だったはずだ。あの夜を体験してしまったからには、もはや傍観者ではいられない。この時代を生き抜くため、僕らは何をしていけばいいのだろう? 大石始
下水から追われたネズミがセンター街を元気に駆け回っている様子をツイッターで確認し、戦々恐々としながら夜の渋谷に着くと、そこに溢れかえっていたのは、とにかく人、人、人。台風の襲来によって室内待機や避難を余儀なくされ、誰もが不安に苛まれた1日を経て、人々はその鬱憤を晴らすように外へ飛び出してきた。そんないつも以上に騒がしい渋谷で、全感覚祭は開催された。 開催中止から、まさかの緊急開催へ。キッズの落胆は一気に歓喜へと変わり、その興奮は渋谷全感覚祭というイベントに、尋常ではない熱気とカオスを生み出していく。そしてこの状況に触発されたのが、他ならぬ演者たちだった。もしかすると、出演した全バンド/アーティストが過去最高のライヴをこの1日で更新してしまったんじゃないか。それくらいにどの演者も凄まじかった。いま自分はとんでもない瞬間に立ち会っているーーそう思えるようなライヴしかなかった。大げさに聞こえるかもしれないが、本当にそうだったのだ。イベントに対するオーディエンスの期待値の高さと、そこから放たれる熱気によって、アーティストのパフォーマンスはこんなにも変わるのだ。 フード・フリーの会場には行けなかったものの、ラママでカレーをいただくことができたのだが、あれもまた貴重な体験だった。店員さんはこちらにカレーを差し出してくるだけで、投げ銭すら求めてこないのだが、こうした催しで食事をタダで提供されたときの背徳感は想像以上に大きかった(ので支払った)。それにしても、カレー、めちゃくちゃ美味かったです。
最後は絶対に3度目のGEZANで締め括りたかったが、WWW Xはすでに入場規制。あえなくここで俺の全感覚祭は終了…かと思いきや、おなじく入場しそびれた友人数名とたまたま遭遇。まだ遊び足らないよねってことで、そのままコンビニ前で酒盛りがスタート。「今日のミツメ、ちょっと凄くなかった?! XTCみたいだったよね!」「入場規制で結局GEZANいっかいも観れなかったわ…」「あいつ、渋谷に来たけど入れなかったらしいよ。まだそのへんで飲んでるって」「てか、台風ハンパなかったよね」「このまま『ジョーカー』観に行こうかな~」。そんな感じで宴は朝までグダグダとつづき、いよいよ雨が降り出したところでお開き。間違いなく、全感覚祭は渋谷の街すべてを飲み込んでいた。
渡辺裕也
2019年の〈全感覚祭・東京編〉で、僕がもっとも観なければいけないと思っていたのは、THE GUAYSだった。はじめに言っておくと、僕は彼らと特に親しいわけではない(キャプテン以外からは認知もされていないはずだ)。ライヴを観た回数も片手で数えられるくらいだし、バンドについてはファンとさえ言えない程度の知識しか持っていない。
そんな僕が、なぜ今回THE GUAYSだけは観ておくべきだと考えたかというと、どのバンドよりも彼らこそがこの〈全感覚祭〉という大きな渦の中心で、その混沌としたエネルギーと対峙している存在だと思ったからだ。もちろん、看板を掲げているのはマヒトやGEZANだろう。だが、十三月のSNSに投稿された準備風景や、THE GUAYS自身の動きを目にするかぎり、彼らがこの祭りにおいて、紛れもなく中枢でもあり、最大の貢献者であることもひとつ事実なのだと思えた。
にも関わらず、メンバーのヒロシの健康上の理由により、大阪開催の〈全感覚祭〉でTHE GUAYSが出演できなかったことはショックだった。いるべきときにいるべき人がいない。そうした役回りをこのバンドが背負うことに、ヒロイズムを投影することは許されなかった。
頑なに悲劇の主人公たることを拒絶する態度は、〈全感覚祭〉も同様だった。台風による中止の決定からありえないスピードでの、渋谷での深夜開催。大阪での出演キャンセルを経て、ようやく復活をはたす今回のTHE GUAYSもまた、十三月チームの〈決して倒されない〉という姿勢の、小さな象徴でもあるように思えた。
THE GUAYS前に出演していたのはLEARNERS。予想通りLa.mamaのキャパでは収まりきらず、会場には入場制限がかかっていた。入場待ちに並ぶと、入り口を挟んだ向かい側には、マーク��ティのあたりまで、参加受付(=IDチェック)を待つ長い列ができている。24時半頃だっただろうか、新規の受付が終了したことがアナウンスされた。〈え〜!〉と悲鳴があがるなか、パラパラと人が散っていく。そのなかに近付いてくる人がいると思ったら、ライターの金子厚武だった。彼は残念そうな顔をして渋谷の街に消えていった。
さて、LEARNERSが終わると、ぞろぞろと人が退場し、無事にLa.mamaに入ることができた。他会場ではすでになくなっていた、赤色の〈全感覚祭〉ソックスの在庫があったので嬉しい。家族からゲットしてこいと頼まれていたのだった。
小さなライヴハウスのなかには、ほかの小さなライヴハウスでよく見かける顔がやけに多い。〈全感覚祭〉という常軌を逸したとさえ言えそうなハレの場で、わざわざいつもと同じよう場所で、いつもの面々で、いつも観ているバンドを観なくても……とも思ったが、自分と同様に、みんなも、の日のTHE GUAYSを目撃しておきかったのだろう。
そうした、いわばホーム的な空間で、THE GUAYSはほぼ定刻通りに演奏をスタートした。そのライヴは……思っていたよりも普通だった。だけど、それがとても良かった。4人のパンクスがステージに立ち、懸命に楽器を鳴らし、歌を叫ぶ。そして、オーディエンスは手を振り上げたり、笑ったりする。いつものライヴハウスの風景だ。もちろんヒロシやキャプテンのMCは感動的だったが、なんのへんてつもないTHE GUAYSのライヴだったことが、なにより素晴らしかった。カリスマでもない天才でもない僕たちと、いつもの場所。エクストリームさが取り沙汰されることの多い〈全感覚祭〉において、その中心にTHE GUAYSがいることは、すごく重要なことなのかもしれない。そこは、帰れる場所でもあり、何かをはじめる場所でもあるのだ。
田中亮太
〈RAWLIFE〉にしろ〈東京BOREDOM〉にしろ、〈未整理なオルタナティヴが一番面白い〉と思う自分にとって、今年の〈全感覚祭〉は非常に魅力的なラインナップでした。会場と日時が急きょ変更となり、OKAMOTO’SやPeople In The Boxをはじめとした一部のアーティストが出演できなくなったことは残念でしたが、それでも千葉会場の中止決定から迅速にこの日の開催に向けて動いたアーティスト、ライブハウス、スタッフへのリスペクトもあって、〈見たい〉というより〈体感したい〉という想いは余計強まっていました。
ただ一つ問題があって、僕はこの日自分のバンドのライブがあり、IDチェック・入場受付がスタートする22:00はもちろん、トップバッターを飾る23:30のGEZANにも間に合わないであろうことが確実だったのです。ただ、GEZANはこの日複数回出演するから、どれかを見れればよいかと思い、まずは自分も〈全感覚祭〉の出演者の一人であるかのような気分でライブをし、軽く打ち上げをして、一旦家に帰って楽器を置き、〈0:00からのカネコアヤノには間に合うかも?〉くらいの感じで、まずはメイン会場のO-EAST/DUOへと向かったのでした。 渋谷に到着し、そこで待っていた現実はみなさんご存知の通り、O-EAST/DUOの周りをグルッと取り巻く長蛇の列。渋谷に向かう電車の中で、〈ノベンバと原田郁子さん、折坂くんと踊ってばかりの国のどっち見るかで悩む〉なんて呑気をツイートをしてたのですが、他の人のツイートはあんまり見てなかったので、状況が全然把握できてなかったのです。それもあって、この時点ではまだ〈マズイ!〉とも思わずに、むしろ〈すごいことになってる!興奮してきたな〉というサンドウィッチマンのような気持ちになり、〈みんな音楽好きじゃーん!〉という嬉しい気持ちの方が勝っていました。
で、今にして思えば、ここでもうちょっと焦って、〈受付会場の中で一番規模の小さいラママなら、スムーズに受付できるかも〉と機転が利けばよかったのですが、自分のライブの打ち上げですでに軽く酔っ払い、浮かれていた自分がそんな判断をできるわけもなく、なんとなく〈とりあえずクアトロ行ってみるか〉と思うも、やっぱり待っていたのは長蛇の列。〈WWWX行ってみるか〉と思うも、もちろん長蛇の列。ここで初めて〈あ、これやばいんじゃね?〉と思い、やっと〈ラママが一番列短いんじゃね?〉と気づいたのですが、それでもまだまだ鈍感力を発揮し、〈これもう2:20からのDischarming Manが見れればそれでいい!〉とか思いながらラママに向かった自分は幸せなやつでした。
案の定、ラママも受付待ちの人が並んでいましたが、他の3会場に比べれば中蛇の列くらいで、〈よし、ここに並べばとりあえず受付はできそう〉と思ったものの、少し並んでいると周りから、〈他の会場は受付自体終了したっぽい〉との声が。ようやく事の重大さに気づき、〈えー!〉と思ったのですが、冷静に考えれば、キャパが無限なわけあるまいし、受付の時点で入場規制がかかっちゃうことも十分あり得たわけで。〈ガーン〉と思いながらも、ラママの受付枠が残っていることに一縷の望みを託し、さらに待つこと5~10分……結局願いは叶うことなく、〈受付終了です〉との声が聞こえ、ここで僕の〈全感覚祭〉は事実上の終了となりました。
印象的だったのは、〈何だよそれ!もっと早く言えよ!〉みたいなブーイングがほぼなくて、〈だよねー〉みたいな感じだったり、〈もう終電ないからオール確定じゃん!〉と笑いながら話しているような人が多かったこと。もちろん、中にはライブが見れなくてめちゃくちゃ悔しかった人もいたと思うけど、みんな〈全感覚祭〉の心意気に共鳴して、ライブハウスに入り切れないくらい多くの人が集まったことに、むしろパワーをもらってるように感じられたし、もともとそういうパワーを持ってる人たちが引き寄せ合って、この場に集まったってことかもなと思ったりもしました。というわけで、ライブはひとつも見れなかったけど、〈見たい〉というより〈体感したい〉という当初の目標はバッチリ果たしたので、ラーメンを全感覚で味わって帰宅。次はちゃんとライブ見たいけど! 金子厚武
数年に一度、音楽シーンがあるひとつのイベントをきっかけに大きく動くことがある。シーンが動くというよりも新しい流れが認識されるといった方がいいだろうか。その日をきっかけにあるサウンドやシーンが閾値とでもいうべきものを超え、そのジャンルやシーンが広く知られる分岐点、その日を境に一気に広がり始め明確にシーンが浸透していくようなイベントである。1979年の新宿ロフトの東京ロッカーズ、1996年のRAIBOW 2000、1998年のAIR JAM、2004年もしくは2005年のRAWLIFEなどなど、ある程度の年齢の音楽ファンであれば心当たりがあるのではないだろうか?
2019年の全感覚祭は4月の開催決定の報とともに、フードフリーのステイトメントがでた瞬間から特別なものになる予感が漂っていた。去年大阪堺にて2日間開催された全感覚祭2018の異様な熱気や、この企画の中心にいるGEZANのアルバムのリリースからドキュメンタリー映画の公開、Fuji Rock 2019のホワイト・ステージのライブの流れはすべて全感覚祭に向けて進んでいるように思えていたからだ。9月に堺で開催された全感覚祭は本当にいい雰囲気だった。このイベントはもちろん音楽が中心にあるのだけど、今年のフードフリーの効果は絶大だったと思う。ラインナップを見てもらえばわかると思うが、かなりエッジのたったアクトが一日中演奏している。去年もこのイベント独特のラインナップで時折フロアのテンションが上がり、全体にちょっとした緊張感が広がる瞬間があった。しかし今年はあちこちで振舞われる食べ物の掛け声が転換中に響き、みんなが食べ物を手にとって食べ始めると不思議に和んだ空気が流れていて、これまでに感じたことのないやわらかな雰囲気だった。
今年の全感覚祭はひとつの分岐点だったと思う。しかしそれは冒頭に挙げたような音楽的な新しさを打ち出すという意味ではなく、今の時代に対して力強くプロテストの声をあげるのとも違い、自分たちのアイデアに素直に従った結果だったと思う。いまの政治に対して意見を言うことではなく、見に来てくれた人たちに食事を振る舞うことが、なによりも参加した人たちに現実を考えさせたのではないだろうか。フードフリーに協力してくれる生産者や調理してくれる人たちとのやりとりを細かくSNSにアップすることで、これまでアクセスすることのなかった音楽と農業がリアルに近づいて、それぞれの存在をお互いが知ってゆく。その流れを見て、現場で食事をした音楽ファンはどんなアジテーションよりも何かを考えはじめたと思う。
そしていよいよ東京!と、僕らキリキリヴィラ・チームも芋煮のための準備をしていたところ、10月12日の東京は台風の直撃で中止となってしまった。それでもただでは転ばないのが十三月のチーム。13日の深夜、渋谷のライブ会場を複数押さえオールナイトで全感覚祭『Human Rebelion』としての開催となった。どの会場も入場規制ということもあり僕自身も4つのライブしか見れず多くは語れないのだが、これまで一緒に全感覚祭を支えてきたHave a Nice Day!や踊ってばかりの国の出演は全感覚祭のストーリーとして最高だった。なによりも、この夜の渋谷が十三月の夏の風物詩『セミファイナル・ジャンキー』の拡大版だったのはさすがと言うほかない。
与田太郎
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Rock’n Roll Birthday 7周年です。
書こう書こうと思っていて、いつの間にやら前日になってしまいましたが、 明日はRock'n Roll Birthdayの7周年パーティー!!
ラインナップはこちら
◆フライヤーについて
ちゃんみく氏作成のフライヤー。めっちゃよくないですか? 背景の細かさと、ギミックの豊富さに見ていてとてもワクワクします^^ フライヤーの中に出演者のモチーフが隠されているので、 Twitter上で憶測も飛んでいたのが面白かったです。 「猫が寝てるからneco眠るが出るのでは…?」みたいな意見もあったとか。笑 そういうただの告知でない作品を作ってもらって、本当にちゃんみく氏に 感謝しています。ありがとう。 ◆RRB×フリスロ×セカロイでの開催について
RRB周年は、ここ最近、FREE THROWと一緒にやっていましたが、 今年は例年と違い、そちらにSECOND ROYALも加わり、 三つ巴な形になっています。 昨年のRRB6周年あたりに、メトロで小山内さんとお話させてもらったことがきっかけで、元々は、RRB×セカロイができないだろうか。 という話から始まったのですが、スケジュールの兼ね合いもあり、頓挫。 だったら周年を三つ一緒にやっちゃいましょう!!ということで三つ巴に…笑 DAYからALLNIGHTでやってしまうか?とか、色々ありましたが、 昨年のRRB6周年がめちゃくちゃ楽しかったので、今年も昨年と同じ形で 開催することになりました。 明日を���っかけにまた広がりができたらいいな。という思いも込めて。 SECOND ROYALも、FREE THROWも、まだ自分がDJを始める前から 遊びに行っていたDJパーティーなので、周年でご一緒できるということは 非常に嬉しく思いますし、明日のDJも楽しみ^^ ◆出演バンドについて
今年個人的に、珍しいのは全バンドが共演済み。という点。 毎年、周年には初めて共演させていただくバンドさんが必ずいるものですが、 今年は、バレーボウイズ以外はRRBに過去出演してもらっていますし、 バレーボウイズも過去、2回程、DJでご一緒させていただいています。 始める前から勝手知ってる状態なので、全体的にグルーヴを1ランク上げて スタートできるのではと、思っています。 会場はSOCOREですから、とんでもない日になるのではないかと��。笑 そんな出演バンドさんをご紹介(というか思い出話みたいなやつですが)。
①THE FULL TEENZ こちらはSECOND ROYALからのご出演。 昨年12月のRRBやMISOJI CALLINGにご出演頂きました。 前にもブログに書いているのですが、 FULL TEENZの特徴って、いとうくんのコーラスギターだと思うのです。 それが、音響抜群のSOCOREでどんな音が鳴るか今から楽しみでしかたない。 悩みに悩んでトップバッターお願いしました。 色々理由はあるんだけど、いとうくんを早めに開放して楽しんでもらいたい っていうのが一番の理由かもしれない。。笑 ②TENDOUJI 昨年、初めて大阪にお誘いさせてもらってから、 誘いまくっているTENDOUJI。 同じバンドを誘うのは年に1回。という自分ルールがあるのですが、 どうしてもFREE THROWがいるときに、 大阪でのTENDOUJI(というかSOCOREのTENDOUJI)を やりたくてお誘いしました。 SOCOREのTENDOUJIって昨年の伝説的なレコ発の印象がまだ残っているので、 今回それを超えたい(超えて欲しい)なって思ってます。 ③バレーボウイズ 今年関西で勢いに乗ったバンドの一つではないでしょうか。バレーボウイズ。 本人たちはトップバッターのつもりだったみたいだったけど(笑) どうしても真ん中で演ってほしくて3番手でお願いしました。 見るたびにライブがぐんぐんよくなっていって、 特に今年のフジロック以降の成長ぶりが半端ないです。 平成生まれが昭和を発信していることが素晴しい。 来週フルアルバムがでるのでぜひ、チェックを。
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④ドミコ 先日、新譜「” hey hey , my my? ” 」をリリースしたドミコ。 新譜リリース後、初の大阪ですね。 新譜聴きましたでしょうか? 太陽の熱さを感じるギターリフに、海のゆらぎを感じるBPMの振れ幅、 全体的に夏を彷彿させるアウトラインが素晴らしい。 特に、アルバム後半の、家出をして⇒深海旅行にて⇒くじらの巣 の流れはこれぞドミコ!と感動して、 今回の演奏時間ちょっと増やしてしまいました。笑
ドミコとは、3年前(?)ぐらいのFREE THROWの神戸で初めてご一緒させていただきました。(当時、神戸RATでYogee New Wavesとドミコっていう今考えたらとんでもない夜だった。。) その思い出も強く、またFREE THROWとドミコの組み合わせを関西でできたら。。。と、思ってお誘いしました。 たっぷり45分。これまた楽しみ^^ ⑤DENIMS RRB7年やってますが、4年連続出演をお願いしている唯一のバンドがDENIMSです。 1年目は、神戸RATでfulaとツーマン。 2年目は、SOCOREでONIGAWARAとHO17、フレンズの太郎さん。 3年目は、TENDOUJIのレコ発。 と、大事なときにいつも出てくれたDENIMS。 遡ること2017年の1月アタマ。 CANDYの企画でキイチビールとCANDYを見たあとに、 ハシ��してDENIMSを見に堺に行きました。 その時のDENIMSがめちゃくちゃかっこよくて、 今年の周年のトリはDENIMS!!と、その時決めました。 なので、オファー段階から「トリでお願いします!」、 とお願いし、承諾いただきました。笑 最近のDENIMSって、遅い曲でも、速い曲でも、躍らせることができるし、 観ていて本当に楽しいです。 これまた、SOCOREでマジックがかかるバンドだと思うので、 最後、(人に迷惑かけない程度に)盛り上がりましょう! ◆やまさきあかねについて
RRBのカメラマンやまさきあかね氏が今回で一旦スタッフ終了です。 RRBのメンバーの中でも一番長い付き合いなので、さびしい気持ちはありますし、 やまちゃんの写真が一番好きなので、またどっかで撮ってもらおうとは思っているけど、 一旦おやすみ。いつもありがとうございました。 ラストショット、かっこよく撮ってもらいますので、また写真はHPにアップします。 やまさきあかねの過去の写真はこちら http://rrbphoto.tumblr.com/ ◆さいごに 今回、イベントを進めるにあたって、個人イベントの難しさを改めて痛感しました。 大きな時流の中で、大きな会社には勝てねえ。。っていう感じです。ほんとに。笑 ただ、その中でも協力をしてくれる仲間やお客さん、 個人イベントならではの面白みを理解してくださるライブハウスの方だったり、 もちろん出演いただくDJやバンドマンとそのスタッフの方々がいて続けられています。 ふと考えると、7年続けるって中学高校の部活動より長いですよね?笑 一つの会社に7年居るっていう人も少数派なのではと、思います。 そうやって続けられるのも、上に記したみなさんのおかげさまだなと改めて思います。 周年イベントってそういうみなさんの思いに乗っかっているものだと 最近、思うようになったので、Rock'n Roll Birthdayという、 色んな音楽が好きな人のおかげで成り立っているものを お祝いしてもらえたら嬉しいです。 あと、明日のDENIMS終わったあとに、 次回12月20日の出演者を告知させていただきますので、 そちらもチェックしてください。 寝て起きたら7周年。 みなさんに楽しんでもらえますようにやれることを全力でやります。 (ぼっち参加の人は、RRBスタッフなり、DJに話しかけてみてください。) それでは、お待ちしてます! 来られる方はお気をつけて!
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【CoCシナリオ】ペットは私 PL:蓮川 KP:ありんこ
KP:【CoCシナリオ】ペットは私 KP:いつもの零課です。そろそろ定時です。 KP:蘭くんはわりとちゃっちゃと帰って、あなたとチーフと凌霄がいます。 野分馬酔木:早く帰るのは良いことだなって思ってます KP:凌霄はソイジョイを並べて居残り体制です。 野分馬酔木:「……凌霄、仕事終わりそうか?」 凌霄 花:「はあ、そうですね、日付が変わるころには」 野分馬酔木:「・・・・・・・・・」 凌霄 花:ソイジョイを種類ごとに並べて満足している 野分馬酔木:「チーフ、凌霄の仕事貰ってもいいか?」ちーふーーーーーこの人また残業する気だよ! 凌霄 花:「ちょ、」 凌霄 花:「やめてください」 福寿朔太郎(見学):「ああ、手伝ってやってくれるか?」 凌霄 花:「いいですから!」 野分馬酔木:「ああ」ソイジョイをたおさないようにしながら自分の出来そうな仕事を取っていきます 凌霄 花:「やめてください!!なんですか!!」 野分馬酔木:「残業、良くない」 野分馬酔木:「明日に響くぞ」 福寿朔太郎(見学):「あまり残業が多いと上に目を付けられるからな」 凌霄 花:「いいんです!!私は!別に慣れてます!!」 野分馬酔木:「労働基準法を公務員が守らなくてどうする」 福寿朔太郎(見学):「自分だけの問題だと思ってるのか…?」 凌霄 花:「うるさい!夜中の出動に対応できるからいいんです!」 野分馬酔木:じ・・・・・・ 凌霄 花:「…」むぅ 福寿朔太郎(見学):(仕事を減らしてやったほうがいいな…) 凌霄 花:「だ、だいたい、私が一番年上なんですよ、別に一杯仕事して何が悪いんですか」 野分馬酔木:「時間内で自分の終わらせて帰る方が、年下にとっていい影響を与えるんじゃないか?」 凌霄 花:「蘭は私みたいになりたくないってさっさと帰るからいいじゃないですか」 福寿朔太郎(見学):「残るなら10時くらいまでにしておけよ」 凌霄 花:「わかりました、チーフ」 野分馬酔木:「分かった福寿」一緒に残る気 野分馬酔木:さっき取った書類抱えてデスクに戻りま��� 凌霄 花:「野分さんも帰ってくださいよ!」 野分馬酔木:「その山を半分は片付けたらな」 福寿朔太郎(見学):「…今日は先に失礼する。野分、凌霄あとは頼んだ」片付ける 凌霄 花:「はい!!おつかれさまです!!」 凌霄 花:「も~~~!野分さんは!!なんなんですか!保護者気取りですか!」 野分馬酔木:「ああ、お疲れ」 野分馬酔木:「……そうかもしれない」なるほどって納得した顔をしました 凌霄 花:「納得すんな!!いやですよ!!こんなデカい保護者!!」 福寿朔太郎(見学):ふふ…そんな二人を横目に見つつ先に帰ります 福寿朔太郎(見学):「お疲れ様」 KP:そんなこんなで、悪態をつかれながら仕事をこなしました。 KP:貴方も疲れ切って家に帰り、「明日休日だな…」って思って、就寝します。 野分馬酔木:おやすみ・・・・・ KP:【アイデア】 KP:目を覚ますと、見知らぬ部屋にいた。どうやらマンションの一室のようで生活感のある家具が並んでいる。 KP:ふと、身を起こしてみると首に違和感がある。 KP:触ってみたところ、探索者は自身が首輪をつけられていることに気づく。SANC0/1 野分馬酔木:「?」っておもって触ってみます 野分馬酔木:CCB<=60 【SANチェック】 Cthulhu : (1D100<=60) → 48 → 成功 野分馬酔木:「!?」困惑 KP:それに動揺していると、背後で扉が開く音が聞えた。 野分馬酔木:振り返ります 野分馬酔木:バッ KP:そこから入ってきたのは凌霄です。 KP:探索者を見て少し目を見開いた後、頬を緩ませて探索者に近づいてきた。 KP:そしておもむろに手を伸ばすと 凌霄 花:「かわいーーー!!!」 凌霄 花:わしゃわしゃー KP:わしゃわしゃと可愛がるように撫でてくる。 野分馬酔木:「??? の、凌霄…?お前、どうした……?」 野分馬酔木:困惑 凌霄 花:「大人しいなぁ…」ぎゅ 野分馬酔木:目の前にいるんは筋肉だるまやぞ KP:抱き着いてきました KP:Fカップです 野分馬酔木:Fかっぷが・・・・・Fかっぷが・・・・・ 凌霄 花:「へへ、今日はよろしくね」 野分馬酔木:「な、なにが…?」困惑の極み 凌霄 花:「うーーん!!小首かしげてかわいいなーー!!もう!!」ほおずり 野分馬酔木:「???」 野分馬酔木:「いや、おちつけ凌霄……!」 野分馬酔木:手とか使って軽く体をポンポンする 野分馬酔木:そしてちょっと離れたい 凌霄 花:「えへへ」なでなで KP:離れられます 野分馬酔木:はなれよ 凌霄 花:「あ」 野分馬酔木:「な、なにが起こってるんだ……?」 KP:<リビング> 部屋の中を見回してみると、鏡、猫の玩具、テーブル、ソファー、窓、扉があるのが分かる。また、奥にキッチンがあり、そちらも見ることが出来そうだ。 凌霄 花:「どこかいくの~?」にこにこ 野分馬酔木:(……凌霄、いつもと様子が違いすぎないか?残業のし過ぎで幻覚でも見てるんじゃ…) 野分馬酔木:CCB<=41 【精神分析】 Cthulhu : (1D100<=41) → 16 → 成功 凌霄 花:「…」 野分馬酔木:語りかけます、お前、疲れてたんだな…はやkに気づいてやれなくてすまない…みたいなかんじで 凌霄 花:「…かわいい」 凌霄 花:「もーー!かわいいなーーー!!」ぎゅ KP:Fカップがくっついてきます 野分馬酔木:「な、何故…!?」 野分馬酔木:え、なんで感じで一回鏡とかみに生きたいです。はなしてーー! 凌霄 花:「お話してきてかわいーなー」 KP:○鏡 近づいて覗いてみると、そこには1匹の猫が映っていた。その猫は探索者が動くと同じように動く。 探索者はそれが自分自身であり、KPCにはそう見えているのだろうと分かる。SANC0/1 野分馬酔木:CCB<=60 【SANチェック】 Cthulhu : (1D100<=60) → 20 → 成功 野分馬酔木:「………………、なる、ほどな?」 KP:よくみたら、凌霄は小脇に「ねこのきもち」って冊子をもってますね 野分馬酔木:(これなら凌霄の反応の意味も分かるが 凌霄 花:「ねこちゃん鏡珍しいにゃ?」 野分馬酔木:…いや、何故猫に…?)まさに困惑 野分馬酔木:「いや、珍しくはない、鏡は……」 凌霄 花:「クールだねーきみーかっこいいねー」 野分馬酔木:「いや、そもそも俺は…。…!凌霄、それ、開けてみてほしい」って猫のきもちを指さす?飛んで主張してみる? 凌霄 花:「んー!!おててかわいーー!!!」にぎにぎ 野分馬酔木:俺は野分馬酔木だということを主張したい 野分馬酔木:「…ちがう……」>< 凌霄 花:「ん~~かわいいにゃ~~」 野分馬酔木:こう、飛んで冊子に振れて見ます 野分馬酔木:取りたいなぁ! KP:いいですよ、あっさり取れます 凌霄 花:「それが欲しかったんだ~~ん~~いいよ~~」 KP:当たり障りのないただの雑誌です 野分馬酔木:>< 野分馬酔木:「……雑誌だった、すまん凌霄」お返しします 野分馬酔木:渡した 凌霄 花:「かえちてくれるの~うれしい~」笑顔でなでなでします 凌霄 花:鼻歌を歌いながらソファに座ります 野分馬酔木:(・・・・・、これ俺がもとに戻った時凌霄大丈夫なのか」 野分馬酔木:) 野分馬酔木:でも今のうちにいろんな所見て回ろうと思います。 野分馬酔木:元に戻るという強い意志 KP:いいねいいね 野分馬酔木:テーブルを見に行きます KP:○テーブル テーブルの上にはいろいろな雑誌や新聞が雑多に置いてあるのがわかる。 野分馬酔木:CCB<=69 【目星】 Cthulhu : (1D100<=69) → 62 → 成功 KP:【目星】それらの雑誌類に隠れるようにメモが置いてある。 KP:*メモ「解除の鍵は眠りの下に」 野分馬酔木:(解除の鍵、玄関の扉とかか?) 野分馬酔木:じゃあ窓! KP:○窓 近寄ってみると、ベランダがある。窓は開いており、心地よい風が探索者の頬を撫でた。 ベランダには鉢植えが置いてある。 野分馬酔木:じゃあ、来たついでなので行きます KP:*鉢植え 鉢植えには白いポピーが植えられている。鉢植えは重く、自力で動かすのは難しそうだと分かるだろう。 野分馬酔木:CCB<=1 【生物学】 Cthulhu : (1D100<=1) → 36 → 失敗 野分馬酔木:CCB<=(18*2) 【STR】 Cthulhu : (1D100<=36) → 60 → 失敗 KP:うごかない… KP:重いぞうーん 野分馬酔木:「……よっぽど重たい鉢植えなんだな…」ううん 野分馬酔木:じゃあ、もどって扉に向かいます 野分馬酔木:うそ!猫のおもちゃ見ます! KP:○玩具 鼠や羽根、ボールなど様々な玩具 KP:玩具を見たら【POW×4】 野分馬酔木:CCB<=(12*4) 【POW】 Cthulhu : (1D100<=48) → 40 → 成功 KP:成功→玩具がとても魅力的なものに見えて近づいたものの、見知った仲であるKPCの前で、はしたない真似はしたくないとぐっとこらえることが出来た。 野分馬酔木:(……いや、さすがにまずい。あぶなかった…) 野分馬酔木:離れよう 野分馬酔木:じゃあソファーに凌霄さんが座ってるので、扉に向かいます 野分馬酔木:(傷が浅いうちに元の姿にもどらないと…) 野分馬酔木:えーー廊下に向かいます 野分馬酔木:CCB<=(60/2) 【幸運/2】 Cthulhu : (1D100<=30) → 34 → 失敗 KP:あかないなぁ… 野分馬酔木:>< 野分馬酔木:寝室に向かいます KP:幸運の半分です 野分馬酔木:CCB<=(60/2) 【幸運/2】 Cthulhu : (1D100<=30) → 15 → 成功 野分馬酔木:あいた! KP:<寝室> 4畳ほどの寝室。ベッドと本棚が置かれている。 野分馬酔木:「開いた…」ほっ 野分馬酔木:じゃあ、このじょうたいを何とかしたいので本棚に行きます KP:目星か図書館 野分馬酔木:CCB<=25 【図書館】 Cthulhu : (1D100<=25) → 52 → 失敗 野分馬酔木:CCB<=69 【目星】 Cthulhu : (1D100<=69) → 65 → 成功 KP:黒い表紙の本と日記帳のようなものを見つける。 野分馬酔木:じゃあ、日記帳の方を読みます KP:*日記帳 開いてみると、誰かがつづった手記のようだ。日付は一切かかれておらずいつのものなのか分からない。 KP:・最初の方と最後の方の記述の抜粋 「暇だったからそこら辺にいた人間同士を同じ部屋に閉じ込めてみた。片方に首輪をつけて。 何が起こっているのか分からず狼狽えまくってて凄く面白かったww これは良い暇つぶしになりそうだ。飽きるまではこれで遊ぼう。 人間は本当に面白い。狼狽えて相手から逃げ回る者、動物になりきって甘える者、冷静に状況を判断し手がかりを探す者、人によって全然違う行動を示してくれる。 与えられた条件は同じのはずなのにどうしてこんなに面白い反応を示してくれるのだろうか。 そうだ、人間同士に元々関係があったら何か共通の反応をするのかもしれない。 仲の良いものや嫌いあっているもの、様々な関係の者をぶち込んで実験をしてみよう」 野分馬酔木:「………」 野分馬酔木:「……そもそも、人間を猫に出来るってどういうことなんだ」 野分馬酔木:知恵熱が出そう 野分馬酔木:黒い表紙の方をよむ KP:*黒い表紙の本 表紙を見てみると、白い文字で商品カタログと書かれているのが分かる。中を開くと、見たことのない様々な商品の写真と説明が載っており、通販雑誌のようなものであると分かるだろう。 探索者はその中で「気になるあの子に可愛がられたい!そんなあなたにおすすめ!!」と書かれている記事が目につく。 野分馬酔木:「・・・・・・・・・・ 野分馬酔木:」 野分馬酔木:よみます KP:・内容 そこには白、黒、銀の3つのカラーの首輪の写真が載っており、その下に商品の説明が書いてある。 「この首輪をつければあら不思議!あなたの姿をその子の好きな動物に見せることが出来ます。 姿が変化するわけではないので体に害はありませんし、普段通り体を動かすことが出来ます。 それに首輪をつけている限り効果は途切れないので、誤って正体がばれちゃうこともありません! 是非この機会に普段できないことを存分にやっちゃってください!!」 その下には購入はこちら!とかいてあり電話番号が書いてあった。 野分馬酔木:CCB<=69 【目星】 Cthulhu : (1D100<=69) → 17 → 成功 KP:写真が小さいので分かりにくいが、よく見るとそれは自分の首についているものと同じだと分かる。 野分馬酔木:「……これか…」 野分馬酔木:溜息をついた 野分馬酔木:(いったいどういう原理なんだ) 野分馬酔木:試しに外してみようと思います KP:鍵がかかっているようです 野分馬酔木:「……そう簡単には上手くいかないか…」 野分馬酔木:(……そもそも、今この状態でもどったら凌霄が傷つくのでは?) 野分馬酔木:ううんって考えてベットを見ます KP:○ベッド 白い大きな枕が置かれているシンプルなダブルベッド。触れてみるとふわふわで寝心地がよさそうだと思う。 野分馬酔木:「……どちらにしても鍵は探さないといけないか」 野分馬酔木:じゃあ、外に出てキッチンに行きます KP:○キッチン コンロや水道、冷蔵庫などがあるキッチン。掃除が行き届いているのは分かるだろう。 野分馬酔木:鍵!を探したいのでまず順にコンロから行きます KP:*コンロ周り 二口コンロがあり、その一つに鍋が置かれている。 また、調理台の上に猫のご飯入れが置いてある。 野分馬酔木:覗き込みます KP:・鍋 開けてみると中には茹でられたササミが1つ入っている。ほんのり温かい。 凌霄 花:「…あぶないよ…?」 野分馬酔木:「あ……」 野分馬酔木:(そういえば猫の姿に見られてるんだった) 凌霄 花:「行動力あるなぁ…」 凌霄 花:「うちにもすごい行動力のむきむきのがいるんだよ~」なでなで 野分馬酔木:(それ、俺なんだよな) 凌霄 花:「無茶しそうで心配なんだよね…」 凌霄 花:わしゃわしゃ 野分馬酔木:「それは、お前もじゃないか」 野分馬酔木:え、撫で返すけど 野分馬酔木:わしゃわしゃ 凌霄 花:「わかってくれるかにゃ~」 凌霄 花:「ふふ、やわらかくてかわいい」 野分馬酔木:「……そっちも、あんまりむちゃするなよ」 凌霄 花:「よちよち」 凌霄 花:「ササミがあるけどたべたいのかにゃ?」 野分馬酔木:「福寿への罪悪感かは分からないが…、あんまり目の下に隈を作ってると心配になる」 凌霄 花:「うーん、急に不安そうな声だしてるなぁ…御主人がいなくてさみしいのかな…?」 野分馬酔木:「……だからまずは、残業の減少からと思ってるんだがなぁ」遠い目 凌霄 花:「ごめんね?頼りないよね…」 凌霄 花:なでこなでこ 野分馬酔木:「……お前の心配をしてるんだ」 野分馬酔木:ぽんぽんって撫で返しとこ 野分馬酔木:え、ささみはいらないので…冷蔵庫見ます 凌霄 花:「でれた!かわいい!」 野分馬酔木:CCB<=(60/2) 【幸運/2】 Cthulhu : (1D100<=30) → 30 → 成功 KP:あいた… 凌霄 花:「すっごーい!天才!!」ぎゅ KP:中には沢山の食材が詰め込まれていた。その中にパックのミルクを見つける。 KP:・ミルク 表に「ミルク」と描かれてある以外何の表示もない。 それを見ていると、KPCが探索者の手からそれを取り上げ、「喉乾いたよね」とご飯入れに入れて差し出してきた。 野分馬酔木:CCB<=69 【目星】 Cthulhu : (1D100<=69) → 90 → 失敗 野分馬酔木:CCB<=40 【聞き耳】 Cthulhu : (1D100<=40) → 93 → 失敗 凌霄 花:「のむ?」 凌霄 花:じー 野分馬酔木:「……さすがに、ご飯入れからは飲めない…」首をふります 野分馬酔木:迫真で素 野分馬酔木:す 凌霄 花:「のどがかわいているわけじゃないのか…?」 凌霄 花:「ささみは?」ほぐして差し出してきます 凌霄 花:��はい、あーん」 野分馬酔木:「……さ、さすがに… 野分馬酔木:」 野分馬酔木:食材に申し訳ないけど…首を横に振ります…… 凌霄 花:「うーん、苦手だったのかな…」しゅん 野分馬酔木:>< 野分馬酔木:申し訳なくなった 野分馬酔木:(……これは、下手に一人で行動するより何かやってもらいたいかを伝えた方が凌霄の心配も減るか?) 野分馬酔木:じゃあ、「こっちに着いてきてほしい」って言って見れてないソファーに行きます 凌霄 花:「にゃー?」ついていく 野分馬酔木:なにもなかった…… KP:はい… 野分馬酔木:(刑事の勘もまだまだだな)っておもってじゃあ開けれなかった廊下の扉の前に行って 野分馬酔木:「すまないが開けてほしい」 野分馬酔木:って言います 凌霄 花:「ん?出たいのかな? 凌霄 花:難なくドアを開けます 野分馬酔木:「……猫の姿は歯がゆいな」 野分馬酔木:「ありがとう」 KP:廊下ですね。トイレ、洗面所・お風呂、玄関がある。 野分馬酔木:洗面台に行きます KP:○洗面台 洗面台の下には収納棚がある。 収納棚を開けると洗剤や石鹸などが詰め込まれている。 野分馬酔木:CCB<=69 【目星】 Cthulhu : (1D100<=69) → 54 → 成功 KP:【目星】その中に小さな鉄製の箱があるのに気づく。 KP:*箱 箱には鍵穴があり、鍵がかけられている。 野分馬酔木:「……また鍵か」 野分馬酔木:「凌霄、これ持っててくれないか?」 凌霄 花:「か~~わい~~~~!!!!」 凌霄 花:「これ宝箱?うー!!かわいいなーー!!!」 野分馬酔木:「凌霄……」通じてないんだろうなってきもちになりました 野分馬酔木:(まぁ、向こうから見たら猫だしな…) 凌霄 花:「は~~人懐っこくてかわいいな~~」 野分馬酔木:「…………」しばらくされるがままです 野分馬酔木:じゃあお風呂場にしばらくしたら向かいます KP:○お風呂場 ごく普通のお風呂場。蛇口をひねればお湯が出る。 凌霄 花:「おふろはいる?」 凌霄 花:「洗おうか?」 野分馬酔木:「それは、ダメだ」 凌霄 花:「綺麗な毛並みだもんね」 凌霄 花:ジリッジリ 野分馬酔木:首を振ってさっさと出ます…… 凌霄 花:「クールだなぁ」 凌霄 花:ついていきます 野分馬酔木:どうしようかな・・・・ 野分馬酔木:玄関行きます KP:扉に鍵はかかっていなく、とても軽い。普通に自分の力で開けることが出来そうだ。 野分馬酔木:「……鍵はかかってないが」 野分馬酔木:まじ? 凌霄 花:「あーだめだよ、勝手に出たら…」あわ… 野分馬酔木:(……しかし、鍵を見つけずに出るわけにもいかんしな) 野分馬酔木:「ああ、戻る」 野分馬酔木:じゃあもどって、ベランダに連れていきます 野分馬酔木:つれてって、鉢植えどけて! 凌霄 花:「ん?なにかあるのかな?」鉢植えをひょいと持ち上げます 凌霄 花:「白いポピーか~~~わ~~興奮する~~~」 凌霄 花:(不定 野分馬酔木:(……凌霄に軽く持ち上げられるんだな)軽くショック KP:鉢植えの下には白い鍵がある。 野分馬酔木:あったーー! 凌霄 花:「はぁ~~~このどこまでも透き通る白…綺麗…」 野分馬酔木:「凌霄、凌霄」 野分馬酔木:トントン 凌霄 花:「はっ!!」 凌霄 花:「ごめんにゃー!うー…今日はねこちゃんのお世話だったのに…つい…」 野分馬酔木:「しっかりしたか?」 凌霄 花:「よしよし~ありがとうね~~」 凌霄 花:なでこなでこ 野分馬酔木:(……これで癒されるならいいか)と思ってます 凌霄 花:「は~~この胸の所のモフモフたまらんわ~~」胸をもみもみしてる 野分馬酔木:「…… 野分馬酔木:choice[たえる,たえない] Cthulhu : (CHOICE[たえる,たえない]) → たえない 凌霄 花:顔を埋めてすーはーします 凌霄 花:「は~~たまらん~~~」 野分馬酔木:「凌霄、それ以上はお前が傷つく」ひょいって逃げます 凌霄 花:「ああ!!」 野分馬酔木:にげて箱!箱に向かいます KP:箱があるぞ 野分馬酔木:開けれますか? 野分馬酔木:鍵で KP:鍵を開けると、一回り小さな銀の鍵が入っている。 野分馬酔木:うーん、自分の首輪の鍵と会いそうですか?」 野分馬酔木:合う KP:あいます 野分馬酔木:「……どうするかな」 野分馬酔木:いま凌霄さんどこにいますか? KP:ベランダかな 凌霄 花:「にゃーちゃーん」 野分馬酔木:じゃあ、いまのうちに首輪を外します KP:はい、わかりました 野分馬酔木:(ばれる前に外した方が) KP:鍵をはめるとあっさりとはずれました。 凌霄 花:「にゃーちゃーん、どこかにゃ~」 KP:【NyanCat】 野分馬酔木:どうすっかなぁ 凌霄 花:「にゃーちゃーん、どーこーかーにゃー」 野分馬酔木:「凌霄」 凌霄 花:「え」 凌霄 花:「は?」 野分馬酔木:「帰るぞ」 凌霄 花:「・・・・・・・」 凌霄 花:「・・・・・・」 凌霄 花:「え?」 野分馬酔木:玄関を開けます 凌霄 花:「ちょ、」 凌霄 花:「え、」 凌霄 花:「のわき」 凌霄 花:「なぜ」 野分馬酔木:「なんでだろうなぁ」 KP:そしてようやく事態を認識したのか、今まで自分が探索者に行った所業を思い出して顔を羞恥に赤く染め上げると、逃げるようにその場から走り去って行った。 凌霄 花:「うわぁああああ!!!!!!」 野分馬酔木:「おっ、おい!!」 野分馬酔木:追いかけます・・・・ KP:探索者は慌ててKPCの後を追いかけることになるだろう。 そんな探索者の背後では誰かが楽し気に笑う声が聞えた気がした。 KP:*エンド報酬 クリアした →SAN+1d3 ニャル様を楽しませた→SAN+1d2
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スタートレック・トラベラー
STAR TREK TRAVELER
■第1話・生存者
●1.襲撃 周囲の空間には、線上に流れる星々の光が見える。長さ350メートル程のイントレピッド級の航宙艦がワープ航行している。艦体には『USS アトカ NCC74789』記されていた。『アトカ』の船体には点々と窓の光が見える。
ブリッジの艦長席には、ジェフリー・ウィドマック艦長、隣の副長席にはリリィ・ホイ副長が座っていた。 「艦長、コース上ではないですが、前方に妙なものがあるようです」 操舵席に座るナカタは、コンソールの画面から目を離さないで言っている。 「妙なもの?、ポレック、何だかわかるか」 艦長は、科学部士官コンソールに向かって言う。ポレックは、素早くキーボードを叩く。 「何らかのエネルギーの集合体ではないかと推察されます」 「そうか、副長、どう見る。緊急停止する必要があるかな」 「別に急ぐ旅ではないですし、行方不明になったヴォイジャーの手掛かりになるかもしれませんから」 「そうだな。ナカタ、ワープ解除、インパルス推進で接近してくれ」 艦長は、ブリッジにある大型の主スクリーンに映る、光の点のようなエネルギー集合体を注意深く見ていた。
『アトカ』は、ゆっくりと星雲のような光の渦に接近していく。太陽フレアのように時折、光のリボンを放射していた。赤から黄色、緑から黄色、青から赤と色が目まぐるしく変化している。
ブリッジの主スクリーンにも、エネルギー集合体が映っている。次の瞬間、ドミニオン船がワープを解除して姿を現した。 「ドミニオン船が次々にワープ解除。8隻が現れました」 ポレックは冷静に言っていた。 「なんでまた、アルファ宇宙域のこんな所まで来たんだろう」 ウィドマック艦長は、腕組をしていた。 「今の所、敵意はないようですが、あぁ、武器システム作動。エネルギー集合体に発射しています」 アジア系クリゴン人女性のロムガが言っていた。 「ロムガ、念のためフォースフィールドを張れ」 「了解」
エネルギー集合体は、攻撃を受けると、一部の光が、黒っぽくなる。その後、すぐにフレアのような光のリボンを伸ばして、次々にドミニオン船を破壊していった。
「ドミニオン船のフォースフィールドは、全く役に立たないようです」 ポレックは自分のコンソールのモニター画面を見ながら言っていた。 「我々のも、多分役立たないでしょうね」 ロムガは、ぼそりと言う。艦長は唾をごくりと飲んでいた。 「ドミニオンを倒したということは、敵ではなさそうだが、どうも味方とも思えんな」 艦長は、艦長席のひじ掛けを指で軽く叩いていた。 「艦長、集合体が近づいてきます」 ポレックが静かに言う。 「ナカタ、ワープ2で離脱」 ナカタは、コンソールのキーを叩く。 「集合体はワープ速度で接近中」 ポレックは立ち上がり、艦長の方を見て言っている。 「ナカタ、ワープ7」 「了解」 ナカタが言った直後、艦内が激しく揺れた。照明が明滅する。 「艦長、集合体の光のリボンに接触しました」 ポレックは、しっかりと立っていた。 「バーンズ、被害状況を」 艦長は、マシューに呼びかける。白人男性のマシューの顔は、青白くなっていた。 「後部船体に亀裂。機関部に損傷あり」 「ナカタ、ワープ解除」 ブリッジの主スクリーンには、エネルギー集合体が映っている。 「ポレック、交信は可能か」 「わかりませんが、やってみます」 ポレックが言った直後、再び艦内が激しく揺れる。照明が消え、緑色の非常灯に切り替わった。さらに激しく 揺れ、船体がきしむ音が、聞こえてくる。 「フォースフィールド20%、全く通用しません。ダメだわっ」 ロムガはかなり感情的になっていた。
急にブリッジ内の重力がなくなり、ポレックは少し浮き上がった。ナカタは息苦しさを感じ始めていた。ブリッジ内に嵐のように空気の流れ出す。ブリッジ内に光のリボンが侵入し、人間を次々に黒焦げにしていく。ポレックが黒焦げになり、人形のように倒れた。ロムガは光のリボンに立ち向かおうと手を伸ばすが、その手から黒焦げになり全身が包まれた。 ナカタが振り向くと、艦長と副長の席は、黒い残骸になっていた。ナカタはとっさにコンソールデスクの下に潜り込む。ブリッジ各所、通路から悲鳴が聞こえていた。ナカタは息苦しさに喉を押さえていた。ナカタはコンソールの下から這い出し、周りを見る。もう光のリボンはなくなっていた。 科学部士官コンソールの後ろに、緊急用酸素ボンベがあった。ナカタは、浮遊しながら、かつてポレックだった黒い塊の辺りまでくる。ナカタが、酸素ボンベを取り出そうとするが、周りの支柱が曲がり、引っかかって取り出せなかった。ナカタは力任せに引っ張ろうとするが、ビクともしなかった。何か使えるものはないか、周りを見る。ポレックの腰のあたりにフェイザー銃が見えた。半分近く焦げている。ナカタは、それをつかんで支柱に向けて発射する。支柱は弾け飛んだが、ほぼ同時に手が火傷してしまった。火傷していない手で酸素ボンベをつかみ、マスクを口に装着した。
ナカタは寒さに震えていた。酸素ボンベは後1時間でゼロになると表示されていた。ブリッジの主スクリーンは、ちらつきながら、被害状況を表示している。ナカタは、スクリーン上に目が留まった。『生存者1名』とあり、空気漏れがないのは天体測定ラボだけとなっていた。
天体測定ラボの中は、破滅的な襲撃以前のままであった。ナカタは、呆然として半球状のドームから宇宙を見ていた。エネルギー集合体はなくなっているが、光のリボンが1本だけたなびいている。穏やかに波を打ち、攻撃をいる意図はなさそうだった。ナカタは天体測定ラボで使えそうなものを探している。無線装置以外は全てオフラインになっていた。マイクを持つナカタ。スイッチを入れてもスピーカーからは空電ノイズしか聞こえてこない。マイクのスイッチを切るナカタ。 「…オォマエ…お前らは私たち追う、なぜぇ」 たどたどしい言葉が聞こえてきた。ナカタは、スピーカーを見つめていた。 「お前らは、なぜ我々を追うのだ」 明瞭な音声になった。ナカタはマイクのスイッチを入れる。 「あんた、誰だ」 「ri kfppXY…」 意味不明の音声がする。 「誰だか知らないが、宇宙連邦の船をここまで破壊するということは、宣戦布告に等しい」 「お前らはドミニオンの仲間だろう。エネルギー生命体ではないからな」 「仲間なわけないだろう」 「お前らが現われて、すぐにドミニオンが現われたではないか」 「バカな、ずーっとあんたらを追っかけてたんだろう。たまたま俺らが出くわしただけだ」 「お前らのハイブリッド神経回路AIとやらを調べる」 薄い光のベールが一瞬、船内を包む。 「お好きにどうぞ。嘘は言ってないからな」 「確かに、ドミニオンではないようだ」 「だいたい、あんたらは何なんだ」 「エネルギー生命体だが、細かいことを言っても理解できんだろう。トラベラーと認識しろ」 「旅人だってか。さっさとどっかに消えちまえ」 「しかし初歩的とは言え、超光速で移動できる乗り物には郷愁がある。気に入っ��」 「乗っ取る気か」 「直す必要がある」 「好き勝手な野郎だな。壊して直すのか。人命を奪っておいて」 「このまま放って置いても、良いのだがな。お前は確実に死ぬだろう」 ナカタは押し黙った。 「うっ、待った。ワープコアなどの機関部だけでなく、空気も満たすというのか」 「当たり前だ。しっかりとオリジナル通りに復元してこそ価値がある。高く売れるのだ」 「え、この『アトカ』を転売しようっていうのか」 「たいていの場合、きれいに破壊してしまうので、形として残っているものは珍しいのだ」 「だろうな」 「お前は、お前らの時間でいう5日間はここにいろ。そうすれば、今まで通りになる」 「仲間はどうなる。生き返るのか」 「それは無理だ。しかしお前は死ぬことはない。まずは宇宙服を着て残っている食べ物など集めて5日間を食い つなげろ」
●2.奮闘 誰もいない艦内の通路を歩くナカタ。亀裂が入っていた内壁は、どこにも見当たらなかった。黒焦げの死体があった場所は、きれいになっている。ナカタはジャンプしてみるが、すぐに床に着地した。 「おい、トラベラー、聞こえて��るか」 ナカタは、天井に向かって語りかける。 「修理したようだが、今どこに向かっているのだ」 返事は全くなく、通路にはワープ駆動の微かな音が聞こえている。 「これを売る前に、俺を人類の居る所に下してくれ。俺が居たんじゃ高く売れないだろう」 「この先、人類の居る所はない。お前込みで売る」 「そうかい。それで、いつ頃、あんたらの市場に到着するんだ」 「12.81年後だ」 「そんなにかかるのか。となると、天井を見つめて話すのを12年以上もするのかよ」 「つまらぬことを口にする奴だ。ホロ技術を用いるとする」 艦内の通路の空間の一部が揺らぎ、次の瞬間、ダヴィンチが現われる。 「これでどうだ。お前から見れば、私は万能だからこの姿が相応しいのではないか」 「ゼウスじゃないのかい。船のデータバンクには、あったろう」 「今は、これが気に入っているのだ」 トラベラーはナカタと並んで歩き、ターボリフトの前まで来る。 「それじゃ俺はブリッジを見させてもらうよ」 ナカタはターボリフトに乗った。
ナカタは、ブリッジに入る。科学部士官コンソールの後ろにある支柱は真っすぐになっていた。新しい酸素ボンベが備え付けられ、支柱の重力表示計が『1.05G』を表示していた。ナカタは、ブリッジを見回しながら、操舵士のコンソールに座ってみる。座り心地に変化はないようだった。立ち上がるとターボリフトに向かった。
ターボリフトの扉が開くと、シャトルベイが目の前にあった。普段はあまり使わない、シャトルが置いてある。気配を感じてナカタが振り向くと、ダヴィンチ姿のトラベラーが立っていた。 「逃げるつもりか。そうは行かないぞ。お前も含めて大事な売り物だからな」 「お前と一緒に、こんな所に12年以上もいられるわけないだろう」 ナカタはシャトルベイのハッチの前に駆け寄った。 「仲間を殺されたんだぞ、お前の言いなりにはならない。なるくらいなら死を選ぶ」 ナカタは、ハッチの緊急手動開閉レバーに手をかける。ハッチが少し開き、警報が鳴り出す。 「愚か者、死ぬ気か」 「俺は不死身だ。こんな茶番では死なないぞ」 ナカタはハッチを完全に開けきった。 「訓練生の異常行動により訓練シュミレーション終了」 自動音声が流れる。 シャトルベイは、揺らいで消えると、ホロデッキの支柱がむき出しになった。 「俺が、こんなホロデッキに騙されるか。ボロボロになったイントレピッド級の航宙艦を5日かそこらで直せる わけないぞ」 ナカタが叫んでいると、トラベラーは軽く拍手をしている。 「良く分かったな」 「重力1.05Gは訓練用の設定なんだよ。直せたのは、電源区画とホロデッキだけだろう」 「お前を甘く見ていたが、全艦をコントロールしているのは、この私だということを忘れるな」 トラベラーは姿を消した。
ナカタは、緊急用の簡易宇宙服を着て、ホロデッキの外に出た。黒くひしゃげた支柱があり、通路の所々に亀裂が入っていた。ナカタは宙に漂いながら通路を進む。船内カメラやセンサーは機能していない。トラベラーは全艦コントロールしていると言っても、ホロデッキを出たナカタの動きは、把握できないはずだと、ナカタは思ったが。はたと気が付く。宇宙服にマーカービーコンが付いている。ナカタは、肩口にあるワッペンを引きはがし、手近の支柱に張り付けた。 ナカタはバックアップ用の司令室にたどり着いた。機能は全て乗っ取られたハイブリッド神経回路AIによってコントロールされていた。ナカタは宇宙服を脱いで、いろいろとキーボードを叩いてみるが、どれも受け付けられなかった。 ナカタは気配を感じて振り向くと、ダヴィンチ姿のトラベラーが立っていた。 「だから言ったであろう。私がコントロールしている。救難信号など発信できないぞ」 トラベラーはニヤニヤしていた。 「何様のつもりだ」 「殿さまというところかな」 「ふざけるな」 ナカタはトラベラーにつかみかかる。トラベラーは、物凄い力でナカタを放り投げる。ナカタは司令室の壁に激突し、壁にひびが入る。ふらふらと立ち上がるナカタ。 「これだから、身体を持つ生命体はひ弱なのだ」 「お前には、人の心がないのか。これだけ大勢の乗組員を殺してニヤつきやがって」 ナカタは飛びかかろうとするが、足がふらついていた。 「血迷ったか。私は人ではない」 トラベラーはナカタを再び放り投げる。床に落ちたナカタは、必死になってすぐに起き上がり、駆け寄って、 トラベラーの顔にパンチを繰り出す。もろに受けたトラベラーはよろけるが、またニヤニヤする。 「私はホロ投影像だぞ、なんの痛みもない」 トラベラーは笑い出す。ナカタは、サンドバッグに打ち込むように連打している。トラベラーは大笑いをする。 「人の感情とは、こういうものなのか。実に興味深い」 「糞っ」 息の荒いナカタは、パンチを止めた。 「どうしたもうやらんのか。私はワープコアを修理しなければならないので失礼するぞ」 「ん、そうかまだこの船は動いていないのか」 「だからどうした」 「何の連絡もなしに5日以上も緊急停止している。遭難船と認識されているはずだ」 「だとしても、私に歯向かえると思うのか」 トラベラーは姿を消した。
天体測定ラボにいるナカタは、無精ひげが伸びていた。ラボの測定装置は自由に使え、現在位置を割り出して見ると地球から3852光年の宙域と表示されていた。ナカタはワープが使えなければ、自力帰還はほぼ不可能だと感じていた。暗い気持ちになりながら、数少ない空気がある場所のホロデッキに向かった。
ナカタは窓を開け、ドイツ・ローテンブルクの街並みを眺めている。空腹に腹が鳴り、宿の階段を降りていく。 「マルクト広場近くのレストラン」 ナカタが天に向かって言うと、周囲の景色が変わった。レンガ造りの内装のレストランになっている。ナカタは奥まった席に座った。 店員が料理を持ってナカタのテーブルの所にやってくる。 「こちらが当店自慢のシュニッツェルとアイスパインでございます」 店員はテーブルに料理を置いて行く。 ナカタは食べてみるが、口の中に入れると消えてしまった。何かホロデッキのデータが欠落しているようだった。空腹は全く満たされなかった。残りの携行食料をポケットから出して食べていた。 突然、全てが真っ暗になった。何の音もしなくなり、重力もなくなった。ナカタはどちらが上か下かもわからなくなっていた。急激に不安感が増してくるナカタ。 「どうした。修復に失敗したか」 ナカタの言葉はホロデッキに虚しく響いていた。 「問題はない」 ホロデッキの重力が戻り、照明が点灯した。 「修理は進んでいるのか」 「いや」 「いやって、お前らしくないな」 「資材が調達できない」 「あんたらの、素晴らしいテクノロジーでもか」 「この劣ったAIの仕業だ。お前が細工したのか」 「かもな」 「バカな、そんなことをしたらお前も私も死ぬぞ」 「ええっ、実際に俺は何もしていないぜ」 「資材が調達できなければ、このままの状態が永遠に続く」 「何にもしいないのに、脅しか」 「私のエネルギーデータがこのAIから抜け出せなければ、近隣の小惑星にある資材が調達できないのだぞ。なぜ閉じ込める」 「おいおい、あんた、この船のAIに捉われたってわけか。笑えるな」 「修復技術があっても、手足がなければ…、これは比喩だが、直すことはできない」 「もしかして、俺に手足になってくれとでも言うのか」 「これに選択の余地はない。やらなければお前も死ぬのだ」 「でも、手足になったとしてもだ。この船を直したら転売するんだろ。あんたしか得をしないよな」 「考える時間を38年与えよう」 「時間のスパンが全然違うんだけどな」 ナカタは周囲の空間に向けて言っていた。
ナカタは21世紀前半の渋谷のスクランブル交差点にいた。通りに車はなく、歩道にも街にも人は誰もいなかった。強い日差しが降り注いでいる。ナカタは交差点のド真ん中に置いてある革張りのソファに座っている。 「何をやっている」 ソファの前に立つトラベラー。 「気晴らしに、一度やってみたかったことをやってみただけだ。昔は地上を車が走っていたから交差点というものがあったんだぞ、知ってるか」 「原始的なことだな。それでどうだ、私の手足になるのか」 「それには、まずシャトルを直さないとな」 「シャトルだと、魂胆は見え透いている。まずは転送装置を直す」 「勝手にしてくれ。あんたも俺も捕らわれの身ってことは同じだからな」 「抵抗はしないのだな」 「お前に一時的に協力するが、お前を許したわけではない」 ナカタは、渋い顔をしていた。 「良かろう」 「それで、必要な資材を調達できそうな所が近場にあるのか」 「浮遊している小惑星がまもなく近くを通過する。それがそうだ」 「転送装置の修理は間に合うのか」 「間に合わせる」
宇宙服を着ているナカタは、小惑星の表面に転送された。掘削レーザーを肩から下げている。 「どうだ。聞こえてるか。無事に転送完了だ」 ナカタは宇宙服の無線の感度を調整する。 「その周囲にレーザーで穴を10メートルほど掘れ、そしてそこにある鉱脈から『errrxy』同位体297が含まれてい る岩石を採取する」 「そのなんとか同位体ってなんだ」 「説明している時間もないし、理解はできない。黙って作業をしろ」 「偉そうだな」 ナカタは渋々レーザー光を小惑星の地面に向けた。
宇宙服を着ているナカタは、小惑星の表面に転送された。 「今日で何日目だよ。いつまで続くんだ」 「7日目だ。後2日で終わる」 「あの変な物質で本当に船が直るのか」 「死にたくなかったら、作業を実行しろ。待て、不測の事態の可能性がある。作業を中断しろ」 「なんだよ、やれって言ったり、止めろって言ったり」 「お前を船に戻す」
ナカタは、転送室に立っていた。トラベラーが出迎えている。 「あの小惑星はおかしい。位置が変化しない」 「浮遊しているんだろう」 「それなのに、位置が変化していない。我々も一緒に動いている可能性が高い」 「引力か何かに引き寄せられているんだろう」 「エネルギー集合体にあったデータバンクを思い出しのだが、放浪星系というものがある。それに飲み込まれた可能性が高い」 「何を言っているか、良く分からないんだけど」 「無理はなかろう。とにかく危険なものだ」 「別に超光速で動いているわけではあるまいし、急ぐことはないだろう」 「移動速度は不安定で、時速56.4089キロから光速の2896倍まで変化するとされる」 「あんたも迂闊だったんじゃ���いか」 「それに異論を唱えるつもりはないが、一刻も早く出た方が良いに決まっている」 「出ると言っても、壊れかけのインパルス推進しかないぞ」 「インパルス推進を最大限に活用すれば、何とかなるはずだ」 「スウィングバイでもするのか」 「その通り。まずは採取した『errrxy』同位体297で、インパルス推進を直す」
『アトカ』のインパルス・ドライブ装置の周囲に光のリボンが目まぐるしく動き回り、少しずつ黒焦げの部分がなくなって行く。周囲の宇宙空間の色は、薄っすらとグレーがかっていた。
ブリッジの操舵士席に座るナカタ。後ろの艦長席には、ダヴィンチ姿のトラベラーが座っている。 「お前の操舵の腕にかかっている。慎重にやってくれ」 「俺を頼りにしているのか。なんか随分と立場が変わったな」 「つべこべ言わずにやれ」 「黙っていると落ち着かないものでな」 ナカタは、切り替えた手動用のレバーをしっかりと握っている。『アトカ』はインパルス推進で航行し始めた。 一番近くの小惑星の横をすり抜け、その先にある木星程の惑星に向かった。その途中に小惑星群が散らばっている。 ナカタは機敏に操作して、小惑星群の間をすり抜けた。 「センサー類が使えなくても、何とかなりそうだな」 トラベラーが言った直後に艦内が少し揺れた。 「おーっと小さいのが当たったようだ」 「気を付けろ」 「わかってるよ」 ナカタは、レバーを操作し��いる。
木星程の惑星のそばをかすめると、一気に加速した。『アトカ』は、速度を増して、星系の重力圏を振り切ろうとしている。
「上手く行ってないか」 ナカタはレバーから手を離していた。 「まだわからんぞ」 トラベラーは、主モニターを見つめていた。 艦内は小刻みに揺れてから、安定した航宙になった。 「脱したようだぜ」 艦長席に振り向くナカタ。 「そのようだな」 トラベラーはそう言うと、姿を消した。
●3.修復 天体測定ラボでデータを分析しているナカタ。 「今どこにいるのか、全く不明だ。トラベラー聞いているのか」 「それはそうだろう、放浪星系と共に移動したからな」 声はするが姿はどこにもなかった。 「お前の転売市場に行くにも、俺の地球に行くにも、ワープドライブを直さないと、どうにもならないだろう」 「お前だけでは手が足りない。ホロで人手を増やそう」 「ダヴィンチの分身をいくつも作る気か」 「ミケランジェロの方が良いか」 「ちょっと待て。お前が殺した乗組員のデータはあるよな」 「ある」 「ポレックやバーンズ、ロムガなんかをホロで再現してくれよ。その方が気が利いている」 「その方が、お前のやる気を高めるのか」 「当たり前だ。百倍高まる」 「調整に時間が53.86時間ほどかかるがすぐだ」 「頼んだぜ」
ナカタがターボリフトをから出てくると、ブリッジ内には、艦長、副長、ポレックらが動き回っていた。ナカタは、ブリッジ内をゆっくりと見回す。 「みんな、復活している…」 息を詰まらせるナカタ。 「目が赤いぞ。何らかの感染症か」 ブリッジの端に立っていたダヴィンチ姿のトラベラーが言っていた。 「まるで本物じゃないか」 「本人のキャラクター設定に基づいて行動するようプログラムされている」 「トラベラー、ありがとう…、なんて言えるか。このバカ野郎」 「人間の感情というものは、複雑だな。実に興味深い」 トラベラーは平然としてブリッジ内を歩いている。 「ナカタ、君の席はここだ」 艦長がナカタを艦長席に案内する。 「艦長、それは恐れ多いですよ」 ナカタは、躊躇していた。ポレックが科学士官コンソールから歩み寄って来る。 「ナカタ大尉、君は唯一の生存者だ。今ここで指揮を執るのが最も論理的である。座りたまえ」 「しかし…」 「我々はホログラムだ。それを気にするのは非論理的だ」 「トラベラー、艦長と副長は、再現しなくていい。気持ちの整理がつかない」 ナカタが言うと艦長と副長は姿を消した。 ナカタは、ゆっくりと艦長席に座わり、座り心地を試していた。 「想わぬ、大出世をしたものだな」 ナカタはひじ掛けを指で軽くさすっていた。 「さて、ナカタ艦長。やることが山積みだぞ。インパルス推進で行ける範囲で…」 トラベラーは言いかけたが、ナカタに遮られた。 「なんたら、同位体を探すんだろう。格好良くエンゲージとは行かないよな」 「誰と婚約するのだ。女性もホログラムだぞ」 トラベラーは不思議そうな顔をしてナカタを見ている。 「気にするな」
医療部の診療台を直し終えたナカタ。診療用の精密機械は部品が足りないので、半分ぐらいしか機能していない。ナカタは手の火傷がだいぶ自然治癒したので、作業がしやすくなっていた。それでも皮膚は赤くただれた傷跡として残っている。 「医療部はある程度使えるようになったが、肝心の医者いない。トラベラー聞いているか」 ナカタは天井に向かって言う。 トラベラーが姿を現す。 「医療部長のスミスを作れば良いのだな」 「ん、どうせなら彼よりもジェシカ・ムーアの方が良いな。彼女もかなりの医療知識を持っているから」 「それでモチベーションが上がるのだな。お前の感情を考慮する。しかし独自のキャラクターで艦内を自由に行動する人間並みのホログラムの投影は5人が限界だ」 「5人になるか」 「ポレック、ブラウン、バーンズ、ロムガ、それにムーアの5人だ」 「トラベラー、あんたは含まれないのか」 「私は別格だ」 トラベラーは姿を消した。
ナカタは診察台に腰かけて医療部を見回している。天井の化粧パネルは、ナカタがパテで補修した後がハッキリと見えていた。 「ナカタ大尉、どうしました。怪我ですか」 ナカタが振り向くと、白人女性のジェシカ・ムーアが立っていた。 「あっ、変わりがない」 「大尉、何でそんなに私を見るのですか。さては気があるのね」 「えぇっ、気が…」 「ジョークよ。その手、診せて」 ムーアはナカタの手を取り、触診している。 いつの間にかニヤニヤしているトラベラーが立っている。 「どうだ。本物と同じだろう」 「そう言えば、トラベラーから聞いたわよ。あなたが唯一の生存者で指揮を執ることになったって。昇進おめでとうございます。ナカタ艦長」 「艦長だなんて、まだ慣れていないけど」 ナカタは頭をかいていた。 「艦長、」 トラベラーが水を差すように言う。ナカタは自分のこととは思わず聞き流している。 「ナカタお前の事だ」 「なんだよ」 「意外なことが判明した」 「あんたでも意外にことがあるのか」 「インパルスドライブの修復に使った同位体297だが、再分解して、ワープドライブの修復に回せば、ワープ1で航宙できるようになる」 「できても、どこに行くのだ。ワープ1では知れてるぞ」 「私の推測が正しければ、ワープ1で行ける範囲内に同位体297などが豊富にある星系があるはずだ」 「あるばずということは、もしなかったらどうする」 「この状況を考えると、そうなる確率が格段に高い」 「確率ねぇー。ヴァルカン人みたいな言い草だな」 「とにかく、細かな作業を手伝ってくれ」
空気のないインパルス・ドライブ区画。ナカタは宇宙服を着て、機器コンポーネントの間を浮遊していく。光のベールが機器コンポーネントの一つを取り囲むと、形が溶けて、ドロドロの状態になる。それが、雷のような光を受けると別の機械部品になった。 「これをワープドライブ区画に持っていけば良いのか。艦内の重力はオフにしてくれよ」 ナカタは宇宙服の無線を通してトラベラーに言っていた。 「お前だけでは、手が足らんだろう。ブラウンも手伝わせる」 トラベラーが言うと、ブラウンが姿を現した。 「艦長は前を持って、俺は後ろを持ちますから」 ブラウンがぶっきら棒に言う。 「艦長、あ、俺か。わかった」 ナカタとブラウンは機械部品を引っ張って行った。
与圧され空気があるワープドライブ区画では、ロムガが作動していないワープコアをセンサーで調べていた。 「本体そのものは、取り換えなくても使えそうね」 ロムガは少し安心したような顔になっていた。近くで作業をしているポレックはうなづいている。 宇宙服を着たままのナカタとブラウンが漂ってくる。 「お待たせ。これを付ければ、ほぼ完成だろう」 ナカタはフェスプレートを開けてロムガに言う。 「艦長、何言ってるのよ。まだこれで半分ぐらいなんだから」 「まだ何往復もしなければならないのか」 ナカタはうんざり顔であった。
ブリッジの主スクリーンには、木星型の惑星を背景にしている氷で覆われた白い衛星が映っている。 「スキャンした結果、『errrxy』同位体297があの衛星には豊富にあります」 ポレックが科学士官コンソールから報告している。 「トラベラー、ワープ1で行ける範囲に、これがあると良く分かったな」 艦長席に座るナカタは、副長席に座っているトラベラーに言った。トラベラーは無表情であった。 「トラベラー、もっと喜べよ。言う通りになったじゃないか」 「艦長、とにかくお前しか転送できないから降り立ってもらう」 「また、同位体を取って来るんだろう」 「同位体の鉱脈の正確な位置を測定してくるだけで良い。後は転送で回収する」 「わかった。艦長が自ら行くなんて、あまりないよな」 「文句を言うのも感情の現れだな。覚えておこう」
氷原がどこまでも続く衛星表面に転送されたナカタ。宇宙服の姿のナカタはトリコーダーを地面に向けている。ナカタは、軌道上から探査したデータと照合しながら、詳細な位置を記録していた。トリコーダーによると、同位体以外にも、鉄やニッケルなども確認できた。 「トラベラー、ここは宝の山じゃないか。ここで修理したら『アトカ』は新品同様になるぜ」 ナカタの宇宙服の無線に返答はなかった。 「おい、トラベラー聞いているんだろう」 「艦長、我々はしばらく滞在することになる」 「トラベラー、あんたに感情はないのはわかるが、もっと喜べよ。転売市場や地球へワープ艦速で自由に動ける ようになるんだぜ」 「黙っていても、仕方ないから言おう」 「言いたいことがあるのか」 「こんな近くに別の星系があるのは不自然なのだ。あるということは、…説明してもわかるか…」 「もったい付けるなよ」 「放浪星系と思われた外に放浪星団があり、その中にいるはずだ」 「ええっ、放浪星団。動いている星団か」 「お前も私も捕らわれの身なのだ。この星団をコントロールしている存在に会わなければ、出られないだろう」 「存在って」 「身体を持つ種族かエネルギー生命体か不明だ、星団の広さや移動速度もわからない」 「あんたでも、わからないものがあるのか」 「その存在に出会えても、脱出できる保証はない」 「だとしら、こうやって勝手に資源を採掘していたら、その存在とやらが、文句を言いに来ないか」 「その可能性はある。しかしいつ来るかは見当もつかない」 「あんたのお得意な50年後とかか」 「数秒後ということもある」
天体測定ラボにナカタとトラベラーがいた。 「今日で7日目だが同位体の採取は順調に進んでいる。ワープドライブは完璧に使えるようになるだろう」 「トラベラー、ワープドライブが使えても、放浪星団から抜け出せるのか」 「このラボで観測した星団内の星系の間隔を考慮すると238光年から319光年の間と推察できる」 「そんなものなら、ひとっ飛びで脱出できるぜ」 「星団を維持するために境界面の重力場はかなりのものだ。簡単にはいかんだろう」 「それじゃ、ここの管理者に一刻も早く会うしかないな」 「それも、いればだが…」 「何日もここで採掘して、誰も来なかったら、そういうことになるか」 ナカタは頭上に広がる星々を見ていた。
衛星に広がる氷原には、ドーム状の建物が見える。その建物の遥か上を『アトカ』が周回していく。この惑星系にはある人工物はこれらしかなかった。 ドーム状の建物の窓から氷原を眺めているナカタ。制服のコミュニケーターをオンにする。 「トラベラー、あんたらの同位体を使った技術は、部品とか機械が作れるが、俺らのレプリケーター技術と同じようなものなのか」 「見た目は、その遅れたレプリケーター技術と似ているが、もっと高度なものだ」 「あんたらの技術を習得したら、特許で儲けられそうだぜ」 「勝手にしろ。それもここから脱出できたらの話だがな」 「それでトラベラー、そろそろ、ここは引き払うのか」 「『アトカ』の修復は121日で完了した。補給物資も積み終えた。後は艦長のお前次第だ」 「そんなにここに居たか。俺は誰にも邪魔されない、ここが気に入っているがな」 「艦から離れられるのは、お前だけだからな」 「しかし、どこへ行く。管理者が居そうな惑星はあるのか」 「少なくとも、ここから2光年の所に星系がある」 「やっぱり近いな。取りあえず、ここはそのままにして、そこに向かうか」
●4.模索 惑星降下用のシャトルは、『アトカ』を飛び出し、目の前の惑星に降りていく。雲が少ない惑星の表面は、陸地と海がほぼ半分ずつであった。 ナカタは、操縦レバーを楽し気に操作している。 「トラベラー、こいつは、以前のものに比べて操縦性が増したぞ。こうなると自動ではなく手動の方が断然楽しい」 「今、見えている下の海に降りろ」 「わかったが、テスト飛行の性能を試すためにも、この辺りをもう一周してから降りるよ」 ナカタはグイッとレバー引いていた。
水深60センチ程の浅い海が広がる地帯にシャトルは着陸していた。空気が薄いのでナカタは簡易酸素マスクを装着してシャトルの外に出た。空を見上げると、大中小と太陽が3つ出ていた。ナカタの影は、いろいろな方向に薄っすらと伸びている。ナカタは、海水のサンプルを採取し、手にしている分析器で調べる。モニター画面に赤い表示が点滅する。急いで、シャトル内に戻るナカタ。 ナカタはシャトルの通信機をオンにする。 「トラベラー、ここの海水は硫酸の濃度が高過ぎる。まともな生命体はいないだろう。希硫酸の雨も降っている」 「艦長、サンプルは採取したな。すぐ戻れ」 「了解」 ナカタは、通信をオフにした。その直後、シャトルが激しく揺さぶられた。 ナカタはコックピットの窓から外を見ると、地割れが各所で発生していた。ナカタは、素早くコンソール飛び込み、シャトルを上昇させる。
あたり一帯の地面が地割れして、海水が地面に滲みこんでいき、浅い海は消えてしまった。その上空を飛ぶシャトルは角度を変え、一気に大気圏外に向かった。
ブ��ッジの艦長席に座るナカタ。その隣の副長席にはトラベラーが座っていた。 「あの惑星は、身体を持つ生命体には相応しくないが、エネルギー生命体なら快適で問題はない」 「確かに、海には小魚も見えなかった」 「そこから推察すると、管理者はエネルギー生命体ではないと言える。あそこを利用していないのだから」 「隠れているのかもしれないぞ」 「地殻の下にか。あり得なくはないがな」 トラベラーはヒゲをさすっていた。 「艦長、シャトルベイに異様なエネルギーサージを感知しました」 ポレックが冷静に言う。 「攻撃を受けたのか」 「それが、かなりのエネルギー量なのですが、どこにも被害はないようです」 「ポレック、シャトルベイに行こう」 ナカタはターボリフに行きかけると、トラベラーが急にしかめ面になる。 「艦長…、ハイブリッドAIに何者かが侵入した」 トラベラーの言葉に足が止まるナカタ。ナカタはポレックだけ、先に行けと合図する。 「貴様は何者…ertyo.ggopy…、立ち去れ」 トラベラーは、憤怒の表情で叫んでいる。のたうち回るトラベラー。その場に居合わせたロムガ、バーンズもナカタと共に様子を見ていた。トラベラーの姿が薄れ、光が体から漏れる。 「立ち去れ」 トラベラーが大声で叫ぶと、トラベラーの姿は安定した。 「艦長、お前がシャトルで、変なものを連れて来てしまったようだが。私が追い払った」 トラベラーは冷静さを取り戻していた。 「言葉が発せられるぞ。実に面白い。久しぶりに身体と言うものが体験できる」 リリィ・ホイ副長が立っていた。声は男の声になっている。 「貴様、まだ、そこにいたのか」 トラベラーは、副長を見ている。 「お前らは何者だ。身体を持つ者と、エネルギー体ばかりではないか」 「トラベラーだ」 「また迷い込んだのか」 副長は、困り顔になった。 「あんたはここの管理者なのか」 ナカタがブリッジの真ん中に立っている副長に尋ねる。 「管理者!?なんの管理をする者だ」 副長はナカタの方を見る。 「この星団をコントロールしているのは、あんたか」 「そんなものは、いない。様々な生命体の寄合所帯と呼べるものだ」 「いないって、どうしてわかる」 「我々が探したからな。それよりもこの船を私に使わせろ。お前らは出ていけ」 「それは無理な相談だ。私は、このAIから出られないのだ」 トラベラーは、その後、ニヤニヤする。 「たぶん、お前も出られないぞ」 「バカな、うむ、…」 副長のホロが消えかかるが、完全に消えなかった。
ポレックはブリッジに戻っていた。副長は黙ったまま動かなくなっていた。 「私が奴の動きをデータ的に封じ込んでいる。今のうちに何とかしろ。いつまで持つかわからんぞ」 トラベラーは歯を食いしばっていた。ナカタはポレックにトラベラー以外のデータの特定を急がせていた。 「ホロであろうとも、押さえつければ、多少は気が済むといものだ」 ロムガが副長に飛びかかるが、体を通り過ぎて床に落ちる。副長をつかむことはできなかった。 「ロムガ少尉、無駄なことはしない方が良いのではないか」 ポレックは、科学士官コンソールのモニターから、ほとんど目を離さずに言っている。 「多少は気が済んだわ」 ロムガは自分の席に座った。
「艦長、ハイブリッドAI内にある侵入した新規データをマークアップすることに成功しました」 「主スクリーンに出してくれ」 ナカタは艦長席から立ち上がる。 「ロムガは無駄が多いが、ポレックのキャラクターは使えるな」 トラベラーはポレックを見ている。 「ポレック、新規データを消去しろ」 ナカタが叫ぶと、副長は青白い顔になる。 主スクリーンいっぱいに表示されていたデータ表示アイコンが、次々に消えていく。10×10のマトリックスが半分以上消えると、副長の姿が揺らぎ消え始めた。 「やめろ、あぁ」 副長は声が途切れていく。 「私のデータは消すなよ」 トラベラーは心配そうになる。 「あんたが、いくなっては今の所困るからな。ポレック注意してくれ」 「艦長、完了しました」 ポレックが言うと、主スクリーン上のマトリックスは全てなくなっていた。
ワープからインパルス推進に切り替えた『アトカ』は、火星ような惑星にゆっくりと近づいていく。周回軌道に入り、地表をスキャンしていた。
ブリッジにはナカタ、ロムガ、バーンズ、トラベラーが主スクリーンを見ている。スクリーンには、洞窟のよう場所が映っている。 「ポレック、モバイルエミッターの調子は良さそうだな」 ナカタは無線を通じて呼びかけていた。 「今の所は、問題がないようです。今後、モバイルエミッター使えるようになれば、艦長だけが惑星降下しなくて済みます」 ポレックは喋りながら歩いている。 「空気がない所を宇宙服なしで歩けるんだから、便利だよな」 「ホログラムですから、当然のことです。特に驚きには当たりません」 「ポレック、もうその辺りが高エネルギーの発信源になるはずだ。カメラを回してくれ」 トラベラーは主スクリーンを食い入るように見ている。 「エネルギー生命体がいるのかな」 ナカタ、カメラが捉えている映像をくまなく見る。 「ポレック、その先に何かある近づいてくれ」 トラベラーが指示を出す。 「了…」 通信が途切れ、主スクリーンがノイズだけになった。 「ポレック。どうした大丈夫か」 ナカタが呼びかけるが、通信は途切れたままであった。 「ポレックの安否が気になる」 「艦長、安否など気にするな。あれはホロだ。艦内でまた再生できる」 「いや、せっかく作ったモバイルエミッターに問題があったのかもれないし、何者かいたのかもしれない。ここは俺が行くしかないだろう」 「確かにモバイルエミッターの回収は必要だな」
ナカタは宇宙服を着て洞窟内を歩いている。 「どうやら、これは溶岩流が流れた跡らしい。人工物ではないな」 「艦長、そろそろポレックが消息を絶った辺りだぞ。カメラをゆっくりとパーンさせてくれ」 「わかった。これでどうだ。トラベラー何かわかったか」 「そのまま、真っ直ぐ歩けそうか」 「あ、モバイルエミッターが落ちている」 ナカタはモバイルエミッターを拾上げるとカメラの前に持ってくる。 「使えそうか」 「全然、無傷だ。それにポレックと違って、生身の俺は、どんどん奥へ進めるぞ」」 「艦長、お前は今、エネルギー波の発信源のすぐそばにいるはずだ」 「そう言われてもな。それらしいものは見当たらない」 ナカタは、宇宙服の照明を広角にしていた。
「何か小さな箱のようなものがある。これが多分発信源だな。これを持ち帰って分析しよう。 トラベラー、転送してくれ」 「わかった」 「どうした」 転送されるのを待っていたナカタは、通信機で呼びかける。 「出来んのだ。転送ビームが到達できない」 「出来ないだと、ポレックのモバイルエミッターが落ちていた所の外まで戻ってみる」 ナカタは、小箱を持って、軽くジャンプしながら戻っていく。 ナカタはモバイルエミッターが落ちていた付近まで来ると、透明の壁のようなものにぶつかり、弾き飛ばされた。 「トラベラー、何らかのフィールド内に閉じ込められたようだ。出られない」 「ん…」 「トラベラー、あんたのテクノロジーで何とかならないのか」 「残念ながら無理だ」 「本当はできるのに、やらない気か」 「バカな。身体を持つ生命体のお前がいなくなることは、私にとって致命的なことになる。待て、考えさせろ」 「ここで、50年ぐらい待つのかい」 ナカタは手にしている小箱を放り投げる。ナカタは、洞窟内を見回す。急に恐ろしさを感じたナカタ。 「こんな所に閉じ込められるなら、フィールドに思いっきりぶつかって死んだ方がマシだぜ」 ナカタは、走り出しフィールドに向かってジャンプする。ナカタは、そのまま、通り過ぎるこの惑星の弱い重力 によって、数メートル先にゆっくりと着地した。ナカタはさっきまで小箱を手にしていた手を見ている。 「トラベラー、あの小箱を手放したら、フィールドの外に出られた」 「艦長、今なら転送できるぞ」 トラベラーが言い終える途中で転送が開始された。
艦内の科学部の分析室に、ナカタ、トラベラー、ポレックがいた。3人の���にある分析台には、カメラとトリ コーダーで記録したデータを元に作られた小箱が置いてあった。 「これは、救難信号ポッドの可能性がきわめて高いと言えます」 ポレックは小箱を指さしている。 「誰のものか特定できるか」 トラべらーは、ポレックに向き直っている。 「それは無理です」 「とにかく我々以外にも捉われた者がいっぱいいるんだろう」 ナカタは小箱を見つめていた。 「あのフィールドの組成はわかるのか」 「トラベラー、それはあなたの方が詳しいのではありませんか」 ポレックに言われたトラベラーは、黙っている。 ナカタは、トラベラーとポレックがホロ同士のはずなのに、気まづい雰囲気があるように見えた。 「俺を閉じ込めたフィールドも込みの救難ポッドってところか」 「そうでしょう。フィールド内から持ち出せないようになっているようです」 「あのフィールドはポレックを消してしまったら、一時はびっくりしたよ」 「驚く必要はありません。あれはホロですから」 「そうは言ってもなぁ。あんたら、やっぱり人間の感受性に乏しいな」 ナカタはトラベラーとポレックを交互に見ていた。 「それよりも艦長、ブラウン少佐の発案によるモバイルエミッターは使えそうです」 「他所の船で誰かが発案しているかもしれないぜ」 「それはわかりませんが、私以外のモバイルエミッターも作った方が良いと思います」 「また消えてしまうのは怖いか」 「艦長、それは論理的ではない」 ポレックは、肩眉を軽く上げていた。
ブリッジには、ロムガ、ポレック、バーンズが所定のコンソール席に座っている。ナカタの座る艦長席。その隣の副長席にはダヴィンチ姿のトラベラーが座っている。 「医療部は異常なよな。行くのは俺だけだしな」 「艦長、問題はありません」 「機関部、ワープコアは安定しているか」 「艦長、いつでもワープ艦速が出せます」 「エンゲージと言いたいところだが、俺には向いていない。トラベラー、ワープ4で前進させてくれ」 「艦長、私は操舵士の役割もあるのか」 「そうだろう。コントロールしているんだから」 「トラベラー、ワープ4で隣の星系に向けて前進」 ナカタは、真っ直ぐ主スクリーンを見ていた。
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第43回 『しろとり動物園』
しろとり動物園
〒769-2702 香川県東かがわ市松原2111 電話0879-25-0998
高松から電車に揺られて讃岐白鳥へ
今回は香川県高松から電車に揺られて1時間ちょっとの讃岐白鳥(さぬきしろとり)まで来た。乗り降りする人がごく少ない鄙びた駅で、学校帰りの生徒とか、動物園に行く人とかがたまに降りるだけだが、高松市郊外の住宅地なのだろう。
駅前には客待ちタクシーがいなくて、電話連絡して呼び出しなさいと看板にある。呼べばすぐ愛想のいい年配の運転手が駆け付けて来た。走り出すと人家のあいだの細い路地をくねくねと曲がっていくと、あっという間に動物園に着いた。
しろとり動物園入口のまえで下車すると広い駐車場があり、来園者の多くは家族連れでマイカーに乗って来るようだ。四国の瀬戸内海東外れの山と池とに囲まれた私設の動物園である。子供が好きなトラやライオン、ゾウなど多種類の動物がいて、小さな動物たちと遊べるコーナーもあって、工夫に富んでいる。
入園料は、中学生以上の大人1300円、3歳以上の子供600円、65歳以上のお年寄1100円。午前9時から午後5時まで開園していて、年中無休なのがありがたい。
入口には今日のイベントの時間が掲示されていて、エサやりとか学習発表会とか、飼育員さんの汗の結晶がみられるようだ。
生まれたばかりのライオンとトラの赤ちゃんがいっしょに
さあ園内に入ろう。すぐ目のまえにお子さま歓迎の記念撮影用の絵看板があり、その奥には大きなガラスケースのなかに、生まれて2か月ほどのあどけないライオン、オスが3頭、メスが1頭、ベンガルトラのメス2頭が仲よくいっしょに遊んでいた。いきなりかわいいトラなどがいるので、だれもがしばらく足を止めて、戯れるようすに釘付けになってしまう。いっぺんにたくさん生まれるというのは何頭もの親ライオンがいるということで、じっさいにあとで奥のほうに進んでいくと、いくつものオリに別れて親たちが昼寝していた。
先に行くと目がクリッとしてこちらを睨み付けているフクロウが並んでいた。怖そうで足を運んで近付くのがためらわれる。怒っているように見えるが、実際はどうなのか。
最近都会の街なかではフクロウを鑑賞しながらコーヒーを飲ませる店があちこちにできてきて、首がくるっと回ったり目が丸かったりして、可愛いと感じたり、珍しがったりする人がいて、不思議と人気があるようだ。
一様にみなこちらを向いて木に乗っているだけのようだが、よく見ると飛んで行かれないように脚にヒモが付けてある。飛んだところはめったに見られないが、ヒトの100ほど視力に富んでいて夜間の暗闇でもものが見え、さらに耳もよく、地面すれすれに大きな翼を広げて飛び、野ネズミや昆虫など小動物を捕らえてエサ���する肉食のトリなのである。
だから、鋭い目付きをしているのは本性なのだろう。だが残念なことに、近年は日本でも世界でも森林が狭まって住みにくくなり、野生種の数が少なくなっているという。
ポニーに乗った坊やのそばにおしゃべりベニコンゴウインコが
フクロウの前のコーナーには、ミーアキャットとカワウソが並んでいた。ミーアキャットは遠くを眺めるような立ち姿が人の立ち姿に似ていて、お人形さんを思わせ、カワウソは泳ぎが上手で、どちらも小さくて愛くるしい姿をしていて人気がある。
でも今日のミーアキャットは寝てばかりいたので、
「立ってサービスしないと、行っちゃうからね!」
ととなりに行く。そこにはワオキツネザルが長いシマシマの尻尾を立たせていた。でも、今回はちらっと見て先に行くことにした。
その先にある野外ステージを横目で見て先に進んでいくと、エサやりタイム用のエサ売り場があった。その横を見るとポニーの背中に乗った坊やが、係りのお兄さんと園内を散歩していた。どこの動物園でもよく見られる風景だが、ここでは散歩コースが柵で仕切られていないから、緑豊かな園内をゆったりとフリーな感じで楽しんでいる気がした。
そのてまえに大きなインコがつがいでケージのなかにいた。ベニコンゴウインコとある。じつに身体が大きく、くちばしも長くて大きい。いまはお話してくれなかったが、とても頭がよくて、おしゃべりが得意なのだそうだ。
パナマから南アメリカに生息していて、羽の色が赤・白・青・緑とじつにカラフルできれいだ。世界一綺麗といわれるトリがいるけれど、これかな? 彼らは果物やヒマワリの種や小型の昆虫をエサにしていて、長いクチバシは強力でクルミやナッツの殻を簡単に割って、なかの身を出して食べるそうだ。
そのうえとても長生きで、平均50~60年も生きるそうだ。なかには動物園で80年以上も生きた記録があるという。
ウサギやヒヨコと遊べるコーナー
この動物園にはところどころに、例えば子ウサギとかヒヨコとかの危険性が少ない生きものたちと遊べるコーナーがある。囲いが低くなっていて手がすぐ届くようになっている。
ヒヨコなどは写真のように、子どもたち用とは別に、大人のために台の上に乗せてしゃがまなくてもすぐ抱けるようになっているところもある。おとなも子どもも手のひらにのせてヒヨコと遊べて、ぬくもりを感じられるようになっていた。
生きものを抱くことなど初めてで慣れない人が多いからだろう、飼育員さんが抱く要点を親切に掲示板に書いてくれているので、ここに記してみよう。
「ヒヨコの持ち方 一匹ずつ優しく両手で包むように持ってね!〇
高いところにはあげないでね!
投げたり握ったりすると怪我をしてしまいます✖」
つぎつぎに通りがかった人がもの珍し気に抱いて愛しんでいた。生まれたばかりのものはなんでもかわいいものだが、ヒヨコはごくからだも小さくて鳴く声もかわいらしい。つい手を出して抱いてしまう。抱いてその目を見ながらぬくもりを感じて、
「うちの子も、こんなふうにかわいかったのよね!」
としばらくのあいだ、幼いころのわが子を思い出して感慨にふけっているのだろうか。
ブチハイエナが2匹であそんでいる
オリのなかで激しく乗りかかったり噛み合ったりじゃれあったりして、ブチハイエナがあそんでいる。ハイエナの仲間では最大種で、体長約1.3mある。
夜行性で死肉も食うというので、怖い生きもののイメージが強い。サハラ砂漠以南のアフリカに生息して、野生下では約33年、飼育下では40年以上も生きるとある。
ここの飼育員さんの書いた掲示板には実に興味深いことが書いてあるので、写真と重複するが記してみよう。
「オスよりもメスの方が 体が大きい。」
「陰部 実はメスにも“おちんちん″が付いているんです。メスの膣と尿道が一緒になったもの。なので外性器からの雄雌の区別はしづらいです。」
「声 12種類もの鳴き声を使い分けます。」
こういう知識は実際に飼育してみないと見つけられないことで、事典や資料などで調べてみても、なかなか書いてない貴重なことがらである。
そういえば、さっきなんとなく見ていたオリのなかで遊んでいたハイエナのようすはどうだったのだろう。優勢にうえに上に乗ったりしてじゃれあっていた大きい方がオスだとばかり思って見ていたが、違うのだろうか。一段落したあと小さい方が反撃して大きい方に噛みつき返していたから、なにか妙だなと見ていたけれど、看板の説明のように、小さい方がオスなのだろうか、きっとそうに違いない。なぞが解けた。
どうぶつ学園でサーカス?
ブチハイエナのまえに「どうぶつ学園」があって、始まる時間になるとどこからか親子連れやおじいさんおばあさんに手を引かれた子どもたちが集まってきた。
「どうぶつ学園」
とはいったいどんなものなのか、ちょっとわからなかったが、始まってみるとすぐに解決した。ブタやネコやイヌやヒツジたちを仕込んで芸をさせるのだった。綱渡りさせたり輪をくぐらせたり細橋を歩かせたり、結構危険なしごとだから訓練しないとなかなかできない。お客さんの見ているところでするのだからなおさらである。
ちょっと合図をすると、「おれの出番なのか」とはいわないけれど、わかったようなそぶりでブタが舞台の中央に出てきて、指示されたことをきちんと演技するのだ。ほぼ毎日おこなわれ、これが学習なのであろう。
サーカス的な動作を成功させると、褒美に好物のエサが与えられる。しごとがうまくいったヒツジが舞台から降りると、係りの飼育員のおにいさんやおねえさんのそばに寄ってくる。少しでもエサが遅れると、必ず係りの顔を見上げたり、脚で係りのからだを掻いたりして褒美を請求する。動物たちの真剣さがよくわかって、それが興味深かった。
不思議なからだの変化をするニホンジカ
奈良公園とか安芸の宮島とかの神社には、放し飼いにされた鹿が境内にたくさんいる。昔から神の使いと崇められていて、みんなに馴染みが深い。だからだろうか、二ホンジカが動物園で飼われているのがまれなのは。
二ホンジカは北海道から沖縄まで広く生息している。からだにある白い斑点は夏だけに現れ、冬になるとほぼ消えてしまうのである。角はオスのみに生えて、毎年3月頃に抜け落ちてしまい、4~5月にかけて袋角が生えたのち、9月頃にはそれが立派な硬い枝角になる。
秋が深まればオスは盛んに鳴いてメスを呼ぶ。その時期が来ると、オス同士がこの強い角で角突き合わせて戦い、勝った強いオスはたくさんのメスを従えてハレムをつくって暮らしていく。強いオスの子を孕んだメスは、やがてくる春から夏にかけて1子を産み育んでいく。生きものの世界は強くなければ子孫を残せない仕組みになっているのだ。
ところでこの動物園では、シカの角の神秘的な変化のようすについて詳しく説明した掲示板があり、具体的な絵もはいっていてたいへん興味深かった。園外公開禁止?な貴重品かもしれないが、カメラにおさめてきたので興味ある人はご覧いただきたい。
愉快な顔をした古代からの家畜・ラマ
シカの先の山すその奥の方まで歩いていくと、おもしろい顔をした大きな動物がいた。南アメリカにいるラマと書いてある。このラクダ科のラマ(またはリャマ)は、アンデスの高山地方の人たちに3000年以前から飼われていて、いまは野生種がいないという珍しい家畜である。
毛は織物として、肉は食用として、脂はロウソクなどに使われ、お乳はたいへんおいしいそうで、いってみれば最高の家畜である。
そばで見ると、体高は約1.2m、体長は約2m、体重は約140kgあって大きいが、顔は左右の目が離れていて愛らしく優しそうだ。おっとりと歩き、すぐに人に馴れる感じがする。長いあいだヒトに飼われて穏やかな表情になったのだろうか。今流行りの「ゆるキャラ」にすれば人気が出そうな顔だとおもう。
また山すその細道を来園の人たちとすれ違いながらコースを行くと、カバやカピバラやワラビー・シマウマ・ヤマアラシなどのオリにでた。
暑い盛りで、カピバラなどは日陰にはいってじっと目をつぶってゆったり休息時間を楽しんでいるようすだった。そんなようすをながめていると、動物園は彼らにとって外敵に狙われることのない安心して暮らせる文字通りの楽園なのだろう、とふと思ったので、そっと頭��撫でてやりたくなったが、オリの向うで手が届かない。
帰り口まで順路を歩いて行くと、いくつかのコーナーにペリカンやガチョウが一緒になって来園者がふれあってあそべる場所がここにもあった。その一つのコーナーで数匹の仔ブタにエサを与えている親子の姿が目に入ってきた。
生きものとの交流は言葉では通じ合えないけれど、例えばエサをやるという行為で生きものとの仲間意識が芽生える。そしてそれは、生きものを慈しむ心を育てる情操教育になるはずである。この動物園にはその機会がけっこうたくさん設けてあるとおもう。
電車で来るとちょっと遠い気がしたけれど、なかなかユニークな動物園で、愉しく興味深いものがあった。パンフレットによると「移動動物園も相談ください」とある。いろいろな動物に会えない人たちには、すばらしいサービスだとおもう。
機会をみてまた来てみたい動物園だった。
(磯辺 太郎)
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少年ジャンプで最速の打ち切り記録を叩き出した漫画が話題にwwww
1: 名無しさん : 2017/09/16(土) 05:59:07.31 ID:CAP_USER.net マンガ「珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-」「地獄甲子園」などで知られる漫☆画太郎さんの新連載「珍(チン)ピース」が、16日発売のマンガ誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)42号に掲載された。 漫☆画太郎さんのマンガが、同誌に掲載されるのは約22年ぶりとなったものの、わずか3ページでの打ち切りとなった。 →【写真特集】衝撃の「珍(チン)ピース」 画太郎先生の“本当”の新連載は… →<馬場ふみか>ルフィに変身! 麦わら×赤ビキニ姿で →<ワンピース>PEACH JOHNとコラボ ナミの水着も 3ページで打ち切りとなるのは、同誌史上“最速”記録といい、「編集部の手違いで、漫☆画太郎先生のボツ原稿が一部掲載されてしまいました。読者の皆さまにおわび申し上げます。…
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